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1985-11-19 第103回国会 衆議院 大蔵委員会地方行政委員会文教委員会農林水産委員会社会労働委員会運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月十九日(火曜日)     午後一時三十分開議 出席委員  大蔵委員会   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       金子原二郎君    瓦   力君       笹山 登生君    自見庄三郎君       田中 秀征君    中川 昭一君       額賀福志郎君    平沼 赳夫君       宮下 創平君    伊藤  茂君       大原  亨君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    石田幸四郎君       古川 雅司君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    安倍 基雄君       正森 成二君    簑輪 幸代君  地方行政委員会   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君 理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    尾身 幸次君       大村 襄治君    工藤  巖君       仲村 正治君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    松田 九郎君       小川 省吾君    細谷 治嘉君       山下洲夫君    小谷 輝二君       宮崎 角治君    吉井 光照君       経塚 幸夫君  文教委員会   委員長 阿部 文男君    理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君    理事 船田  元君 理事 佐藤  誼君    理事 池田 克也君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    臼井日出男君       榎本 和平君    佐藤 徳雄君       田中 克彦君    中西 績介君       伏屋 修治君    滝沢 幸助君       藤木 洋子君    江田 五月君  農林水産委員会   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君    理事 神田  厚君       佐藤  隆君    自見庄三郎君       月原 茂晧君    松田 九郎君       上西 和郎君    串原 義直君       島田 琢郎君    駒谷  明君       水谷  弘君    稲富 稜人君       菅原喜重郎君    津川 武一君       中林 佳子君  社会労働委員会   委員長 戸井田三郎君    理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君    理事 池端 清一君 理事 村山 富市君    理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君       愛知 和男君    小杉  隆君       自見庄三郎君    長野 祐也君       野呂 昭彦君    林  義郎君       網岡  雄君    多賀谷真稔君       森本 晃司君    浦井  洋君       小沢 和秋君  運輸委員会  委員長 三ッ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 吉原 米治君    理事 河村  勝君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       林  大幹君    堀内 光雄君       兒玉 末男君    左近 正男君       田並 胤明君    富塚 三夫君       梅田  勝召  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         農林水産大臣  佐藤 守良君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         労 働 大 臣 山口 敏夫君         自 治 大 臣 古屋  亨君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)藤波 孝生君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      大出 峻郎君         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         内閣総理大臣官         房審議官    田中 宏樹君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         警察庁長官官房         長       鈴木 良一君         総務庁長官官房         審議官     本多 秀司君         総務庁長官官房         審議官     百崎  英君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁恩給局長 佐々木晴夫君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 窪田  弘君         大蔵省銀行局長 吉田 正輝君         文部大臣官房総         務審議官    五十嵐耕一君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         厚生省社会局長 小島 弘仲君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         労働省婦人局長 赤松 良子君         労働省職業安定          局高齢者対策部         長       清水 傳雄君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長代理)  加藤  寛君         参  考  人         (日本たばこ産         業株式会社労働         部長)     伴内 昭彦君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社労働部         長)      外松 源司君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         文教委員会調査         室長      高木 高明君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君         農林水産委員会         調査室長    門口 良次君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八一号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八四号)  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八二号  )  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八三号  )      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより大蔵委員会地方行政委員会文教委員会農林水産委員会社会労働委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  関係委員長との協議により、私が委員長の職務を行います。  内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  本案の趣旨説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料により御了承願います。  これより質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原委員 法案審議といたしましては異例のことでございますが、四つ常任委員会に付託をされております共済年金関係法案の入り口、冒頭における連合審査、こういうことに事が運んだわけでございます。  大体私どもは、国民年金厚生年金、四月に成立いたしましたが、その問題と、非常に歴史の違う、または国鉄のように非常に古い歴史を持っておる年金、そういうものは全体の改革をやるときには一緒審議をすべきであるということを、早くから昨年来主張いたしておったところでありますが、結果といたしましては、政府態度が各閣僚、各省の間、審議会の間にあってふぞろいでございましたから、四つにばらばらに分かれて提案されることになったわけでございます。したがって、きょうはそういう冒頭における連合審査でございまして、これから各常任委員会における具体的な問題等中心にする慎重審議がございまして、総括的な政府態度表明を私どもは期待いたしておるわけでございます。したがって、私はきょうは、質問事項をあらかじめ提示いたしておりますように、共済法案についての基本的な問題につきまして、中曽根総理大臣以下各関係者の御答弁をいただきたいと思います。  私は、第一に、この四法案を調べておりまして非常に大きな疑問にぶつかったわけであります。それは、昭和六十年十月十一日に政府は、国鉄再建監理委員会意見、これから「意見」と申し上げますが、これを最大限に尊重するという閣議決定をいたしております。その「意見」の中には、第一に効率的な経営形態の確立について述べておりますが、きょうは亀井さんが出席できないので有名な加藤先生が見えておりますから、まず最初に加藤先生の御見解を聞くわけですが、第二の柱といたしまして、意見書要員合理化及び余剰人員対策を挙げておるわけであります。  その中に、「日本国有鉄道は、「意見」の趣旨に沿って、新経営形態への移行のため、最大限要員合理化を進めるものとする。」といたしておるのであります。そしてその「意見」の中には、昭和六十二年の四月一日分割民営を想定いたしておりますが、その前の段階においても希望退職その他、その後の段階においても要員不補充その他をずっと一貫いたしまして、過剰人員整理について最大限合理化をやれということを言っておるわけでありまして、それを受けて政府の方は閣議決定で、最大限に尊重する、こういうふうに述べておるわけでございます。これは全部最大限という言葉でございまして、国会審議その他これから始まるわけですが、そういうこととは別に、言うなれば大国鉄で今までも大きな使命を果たしたが、これからも果たすべき国鉄ですが、ここでぴしゃっと生きておる事業体を切りまして、この破産管財人のような形で監理委員会が君臨いたしまして次々と重要な意見見解を表明されてきたわけであります。  私が調べてみて非常に不思議であると思うのは、年金改革の第一段と言われましたが、昭和五十八年に国家公務員共済組合法と三公社共済年金統合いたしまして国家公務員等共済グループをつくりましたが、これは統合ではなくて国鉄共済年金救済法案でございました。財政調整の五カ年計画をつくりまして、昭和六十一年から六十四年までの計画をつくったわけであります。しかし、人員削減計画を進めてまいりますと、その計画基礎の三十二万人が二十一万、十八万というふうに絞られていくわけでありますが、そういたしますと、今まで監理委員会意見書で述べておりますことが全然共済年金に対しましては適合しない、そういう結果になりまして、ここに非常に大きな、年金改革の第一段ロケット空中分解をするような、そういう状況になっておるのが今の実情でありまして、そのことは、再建監理委員会意見書を書くに当たって事態の推移というものを承知しないでお書きになったのではないか、こういうふうに私は判断せざるを得ないのでありますが、監理委員会側の御意見をお聞きしたいと思います。
  4. 加藤寛

    加藤参考人 お答えいたします。  きょうは亀井委員長が出張しておりまして、私がかわりにお答えをさせていただきます。  今御質問のございました点でございますが、私自身、今、国鉄経営をいかにして立て直すかということが極めて重要な問題であると考えております。したがって、このような国鉄改革をやるということによってその後どういうふうな問題が起こるか等については十分考えておきながら、しかしなお経営形態効率化する、その効率化することによってそこにどのような問題が起こるかということを考える、これが筋道であると私は考えて、効率的な経営形態検討を先にしたわけでございます。  以上でございます。
  5. 大原亨

    大原委員 私が言っているのはそういうことではないのですよ。そういうことの国鉄に対する認識が問題ではないかということを言っているのです。基本認識の問題であります。  つまり、昭和五十九年の現状で見てみましても、国鉄退職金共済年金に対する支出は一兆円を超えまして、国鉄人件費に匹敵するわけです。それを三十二万人体制財政調整計画をつくっておるわけですが、この三十二万人を二十五万人、二十二万人、そして十八万三千名まで絞っていこうというわけです。それが絞られてまいりますと、監理委員会意見に基づく収支の見通しの変化につきまして、ここに材料を出しておりますが、昭和六十年、六十一年、六十二年、六十三年、六十四年というふうに五年ごとに年金財政計算いたしまして、加藤委員、あなたが知っておるとおりでありますが、そして保険料給付の見直しをするわけですが、その年金改革の二段ロケット国民年金厚生年金統合で、ことしの四月に成立しておる。第三段ロケットが今度の共済の四法案。その第一段ロケットが発射されて空中にある途中で、昭和六十三年には国鉄共済年金パンクをする。パンクをするというのはどういうことかというと、掛金を掛けておる現職の五十歳以上の人あるいは五十歳以下の、四十六歳との間の人は減額年金ですが、そういう人がどんどんやめていきますと、高い方の保険料、率で取っているのですが、高い方の保険料がだあっと減りまして、そして年金受給者がばあっとふえてまいりますから、賃金に支払っている額よりも共済年金で支払う額の方が多くなるわけですよ。国全体の支出といたしましては逆転するわけですよ。  しかも、総理大臣に聞いてもらいたいのですが、今の国鉄は、明治以来ずっとやってきて、戦争中も軍隊と同じように、私が調べてみますと国民義勇戦闘隊を編成いたしまして軍人と同じようにやっている。戦後は経済復興で、経済や輸送の基幹といたしまして総力を結集してやったわけです。最高六十二万人おった。それが三十二万人になり十八万人になろうとしているのですが、それが財政再計算の途中でパンクするわけですよ。そういう事態を放置いたしますと、五十万人の年金受給者に対しまして非常な不安を与える。保険料を払っている人に対しましても不安を与える。周辺の人に対しましても不安を与える。  そういう重要なことについて、監理委員会人員削減だけを提示いたしてきまして、国鉄共済年金の問題は終わりの方におざなりでちょちょっとつけてある。そんな無責任なことは、国鉄の実態というものを本当に知ってやったのかどうか、私は非常に疑問に思うわけです。私が指摘をいたしました点について見解を述べていただきたい。知らなかったら知らないと、こう言ってもらいたい。
  6. 加藤寛

    加藤参考人 ただいまの問題でございますが、私は先ほど申し上げましたけれども国鉄効率化を図るということになれば、当然そこに今おっしゃった問題が起こってくることについては十分に検討いたします。そのことを申し上げたのでありますが、もう少しそれを申し上げてみますと、既に御説明がございましたけれども年金財政については国鉄は既に危機的な状況にございます。その危機的な状況ということから、昭和六十年度から財政調整五カ年計画が行われまして、そして国家公務員あるいは日本電信電話株式会社あるいは日本たばこ産業株式会社の各共済組合から援助を受けております。  それで、国鉄自体要員合理化と当委員会国鉄改革に基づく要員規模の影響を考慮いたしますと、今後年金財政が厳しくなるということは我々一同すべてがよく考えていることでございます。そこで、ここに今私が申し上げますのは、当委員会といたしまして、政府において国鉄共済年金についての公的年金全般による調整方策及び公的年金制度の再編成についての検討が速やかに行われることを期待し、その旨意見を提出した、こういうことでございます。  したがって、国鉄共済年金の問題につきましては、国家公務員等共済組合審議会あるいは社会保障制度審議会などにおきましてその議論を踏まえ適切な処理が行われるものということを我々は考えておりまして、そのような考え方から進めてまいりましたが、国鉄再建監理委員会がそれ以上具体的な問題に入るということにつきましては、当委員会所掌事務といたしましては適当でないと考えました。したがって、意見はこのような形で出したわけでございます。  以上でございます。
  7. 大原亨

    大原委員 監理委員会は、追加費用については四兆九千億円を出しておるわけです。その積算の根拠とかこれからの問題について聞きたいのですが、時間が惜しいですからこれはやりません。しかし、それ以外に年金自体についても、年金行政改革の中では非常に大きなウエートを占める。しかも国鉄共済年金歴史的に一番古いのです。ですから、これが崩壊するようになれば日本の皆年全体制は崩壊するのです。であるとするならば、国鉄のこのような人員削減に伴う年金給付増大支出増大について何らかの方向を示さないと、どこが、だれが負担して処理するかということがわからぬではないですか。そういう問題についてはこの委員会ではずっと初め以来議論になっておるわけであります。ですから、あなたの御答弁答弁にならない。国鉄共済年金重要性について全然認識をしていない監理委員会態度を私は厳しく指摘しておきまして、これはまたあとの時間がございましたら質問することにいたします。  総理大臣、私は、国鉄共済年金国鉄年金受給者を救ってやるとかそういうことじゃないと思うのです。私は大平内閣のときから予算委員会でしばしば、国鉄共済年金はこのままではつぶれますよ、国民年金もつぶれますよ、そういうことを指摘している。だから年金改革をやろうじゃないですか、こういうことを言ってきたわけです。国鉄共済年金がつぶれますと、年金は行き詰まったらつぶれるということになって皆年全体制が次から次へ崩壊するような仕組みになっておるのです。そうさせないために、非常に欠陥が多いのですが基礎年金を導入して横割り年金にしたのでしょう。独、仏型の、縦割り年金横割り年金にしたのです。基礎年金を導入したのです。  しかしそれでも、基礎年金欠陥の問題は後で指摘をいたしますが、国鉄共済年金パンク寸前です。五カ年計画を進めてまいりますと途中でパンクするのです。それでは今四法案審議している我々国会としての責任を果たすわけにはいきません。国鉄共済年金重要性について総理大臣はどのようにお考えであるか、所信を総括的に明らかにしていただきたいと思います。
  8. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 国鉄共済年金の問題は非常に重大な、大切な問題であると考えております。国鉄改革に伴いまして当然従業員皆様方の雇用問題というものが出てまいりますが、現在においてすら既に年金費用を負担している方と受給している方とのバランスが逆比例になっておりまして、これ以上さらに雇用関係が悪化する、整理が行われるということになると、アンバランスがなおひどくなってくるということは明らかなことでございます。にもかかわらず国鉄改革を行わなければならないという観点からしますと、企業形態並びに従業員皆様方に対しまして、まことに忍びざることではあるけれども、ある程度の我慢をしていただかざるを得ないという状況になりまして、再建監理委員会からそういう国鉄再建中心に考えた答申も出てきております。もちろんその中には年金問題も考慮に入れておることは当然のことでございます。  しかし、政府といたしましては、この国鉄再建監理委員会答申をいただきまして、一面において国鉄事業自体再建、長期的安定というものを考えると同時に、また一面におきましては、従業員の雇用問題や、あるいは年金問題についても重大関心を払わなければならない、そういう立場にございまして、その点につきましては、我々としては今後とも誠心誠意努力してまいりたい、そう思っておるところでございます。  一方におきまして、今国会におきまして、きょうも御審議をいただいております共済年金関係については、これは国鉄以外の公務員地方公務員農林関係あるいは私学関係その他の皆様方年金の問題、これは昨年の二月に閣議決定いたしまして、昭和七十年を目途に大きな一元化を行おう、そういう目的のもとに、今大原さんおっしゃいましたような一段ロケット、二段ロケット、三段ロケットという順序に従いまして、今進めておる一環としてこの問題が出てきておるわけでございます。  しかし、先生が御指摘になっているやはり国鉄を救うために、今までの既存公社皆様方あるいは電電とかあるいは専売公社とか、そういう方々にもいろいろ犠牲の御負担をお願いをいたしてきております。そうなりますと、将来の問題として国鉄年金を救うためには、そういうような今までの既存考え方等も考慮しつつ、しかしまたいろいろ今後想定されるあらゆるケースに対応いたしまして政府としても深く考え慎重に考慮していろいろな政策を考えていかなければならない、そういう政府立場もある、そのように考えております。
  9. 大原亨

    大原委員 余剰人員削減というところへ焦点を絞って、そしてこれを最大限に行うということで、分割民営の問題が起きる以前以後の問題を通じまして政府に対しまして監理委員会意見を出しておるわけです。ところが、分割民営議論国会でもこれから議論するのですよ。そして人員共済制度関係共済制度自体にかかわる問題ですよ。そういう問題について一知半解の認識を持って、そして一方的に押しつけるというのはおかしいじゃないかということを指摘をしたのです。それと一緒に、総理大臣監理委員会が言ったから御無理ごもっともで最大限に尊重しますという閣議決定をやるなんということは不見識じゃないかということを私は指摘をいたしておるのです。その点で総理大臣認識をきちっとしてもらいたいという気持ちであります。  これは議事録に残す必要がありますから、監理委員会意見に従いまして収支見通しがどういうふうに変化するかということについて正確に答弁できる人が答弁してください。
  10. 門田實

    ○門田政府委員 お答え申し上げます。  昭和六十年度から六十四年度までの五年間財政調整計画ということをやっておるわけでございまして、この間一年平均四百五十億円という金額を国家公務員共済、電電、たばこの組合から出しておるわけでございますが、先ほど来お話のございました監理委員会の計数を前提にいたしまして概算いたしますと、この六十四年度までの五年間におきまして一年間平均、その上にさらに退職する人がどういう年齢層であるかということでこれはやや違ってまいりますが、七百億円ないし八百億円の不足が生じる、こういうふうに見込んでおります。
  11. 大原亨

    大原委員 審議官昭和六十年、六十一年、六十二年にかけましては一年当たり七百億円から九百億円。これは監理委員会意見を分析した資料がありますよ。それから六十三年から六十四年には八百億円から千百億円、六十四年から六十五年まで三千億円ないし四千億円。これは退職する層によって多少違うわけですからそれはいいです。私の方で指摘をしておきますから。  それで問題は、大蔵委員会地方行政委員会農林水産委員会、各常任委員会における各閣僚の答弁を見てみますと、これはまさに百鬼夜行である。これが統一した政府であろうか、中曽根内閣は統一しているのだろうか、こういう疑惑を持つようなものである。  そこで、国家公務員等共済組合審議会が少数意見を付して答申をいたしておりますが、その中で満場一致答申をいたした中に、大蔵大臣の答弁にも出てまいりますが、こういう答申がございます。門田審議官指摘をいたしましたように一年間に平均で四百五十億円、一人月に千二百円ずつ国家公務員の連合会の組合員とそれから二公社、NTT、たばこの組合員が保険料から拠出をいたしまして、そうして国鉄の救済措置で財政調整計画をやるわけでありますが、これが第一段ロケットですが、これが今のお話のように大きな収入欠陥を生ずるのであるが、審議会の満場一致の意見は、昭和六十一年から六十四年までの五年間については泣く泣く了承いたしましょう、やむを得ません、しかし六十五年以降あるいは月に千二百円以上、これにつきましては、三者構成の関係者は、国家公務員共済と旧二公社が負担することはできません、こういう答申を出しておりますが、大蔵大臣はそのことを御承知でありましょうか。
  12. 竹下登

    ○竹下国務大臣 よく承知いたしております。
  13. 大原亨

    大原委員 自治大臣、地方公務員共済審議会も三者構成です。地方公務員共済組合審議会は、地方公務員共済組合法の内部で赤字組合がどんどん出ておるのを救済しているのであるから外に向かって国鉄共済を救済するようなことはできません、そういうことを分析いたしまして満場一致で答申をいたしております。  その答申の主な国鉄共済年金における連合会の問題点、それから自治大臣としての、地方・公務員共済の管轄大臣としての御見解を聞かせてもらいたい。
  14. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 地方公務員共済組合審議会から答申が出ておることはお話のとおりでございます。答申ももちろん私ども自治省としても十分尊重していくつもりでございます。  ただ、お話のように政府におきましてもこの問題を十分検討する、その検討の中におきまして私の今申しましたような趣旨を生かしてまいりたい、こう思っております。
  15. 大原亨

    大原委員 自治大臣、国鉄共済年金のグループがさらに大きな赤字が出て国鉄共済空中分解するのですよ。それを救済するというふうなことは内部の事情からこれを超えてやることはできませんし、やることには反対ですと言ってあなたは答弁しておりますよ。
  16. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 私はそういう答弁をしております。今のお話のように、政府において統一的にこの問題は必ず検討するというお話でございますので、私としては、地方行政委員会で言いましたことは私もよく承知をしております。ただ、政府検討する、必ず解決する、その枠の中でこの私の言いましたことを入れながら考えてまいりたい、こういう意味でございます。
  17. 大原亨

    大原委員 あなたはだれに遠慮しておられるのかおびえておられるのかわからぬが、私が地方公務員共済の大体のことを言いますと−これはそうでなければ答弁してくださいよ。地方公務員共済は八十九ほど単位組合があるわけです。公立学校と警察共済があるわけです。これは後で言います。それで八十九の単位共済の中にはグループがございまして、呉とか鹿児島とか大牟田とかいう都市共済があるわけですね。その都市共済が三十の中で半分以上、十九もどんどんパンクしておるのです。皆逆転しておるわけです。そういうふうにずっとたくさんパンクいたしておりますから、それを救済するために大連合をつくっておるわけですね。それは保険料の三割を基金としてやって、言うなれば再保険のような形で裏づけをしておるわけです。ですから、赤字で高い保険料を出すような形の財政負担のあるところで国鉄共済を救済するどころじゃありません、こういうことなんですよ、審議会答申は。  私が言いましたことは事実に間違いがありますか、どうですか。はっきり言いなさい。
  18. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 審議会答申は今先生のお話のとおりでございます。私どももそういうことは地方行政委員会等で答弁をしております。  お話のように、今政府において一体としてこの問題を検討するということがございました。その統一見解に沿いまして、その中で私どもは今申しました答申趣旨を尊重いたしながら考えていく、こういう意味でございます。
  19. 大原亨

    大原委員 農水大臣、あなたは農協関係年金管轄大臣でありますが、農林年金国鉄共済の援助を要請されましたらできる余地がありますか、やるという方針ですか。
  20. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 大原先生にお答えをいたします。  国鉄共済の救済策につきましては、統一見解の線に沿って共済法案の成立後できるだけ速やかに政府部内での協議を進めることといたしております。  この連合審査会には実は総理大臣が出席されるとともに各大臣も出席されておりますので、年金共済制度の所轄大臣としての個々の見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  21. 大原亨

    大原委員 これは大変だ。だれが口をとめたのですか、そんなことを。閣僚ですからあなたは農林水産委員会におきまして答弁しておる、このことを否定しますか。全部ここに書いてありますが、これを否定するのですか。
  22. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  今申したとおりでございます。
  23. 大原亨

    大原委員 文部大臣、あなたは私学共済管轄ですが、あなたの考えを聞かせてください。あなたは少しははっきりしていることを言うだろう。
  24. 松永光

    ○松永国務大臣 国鉄共済救済の具体的な手順、方法等については、共済法案の成立後できるだけ速やかに政府部内での協議に着手することになっておるというふうに承知いたしております。
  25. 大原亨

    大原委員 連合審査に臨むに当たって何か約束でもしているのか。全然答弁にならぬじゃないですか。  それでは一番問題の、関係大臣では国家公務員国鉄共済を担当しております竹下大蔵大臣の答弁
  26. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この国鉄の問題につきましては、国鉄共済に対しては、少し長くなりますが、財政調整五カ年計画により国鉄要員三十二万人を前提とし、先ほど来るるお述べになっておることと重複いたしますが、国家公務員、電信電話、たばこ産業の三共済により昭和六十年度から六十四年度まで毎年約四百五十億円の援助を行うこととしておる。しかし、今後国鉄再建計画が具体化されれば近い将来国家公務員等の三共済のみの援助では対応困難な事態になることが予想されますので、将来にわたって年金支給を維持し得るような対策を講ずる必要があります。  その具体的な手順、方策等につきましては、先ほど来各大臣がおっしゃっておりますように、共済法案の成立後できるだけ速やかに政府部内での協議に着手することとしたい。この場合、国鉄共済問題については国鉄改革の重要な一環として、国鉄改革の具体化に応じでこれまでの経緯を踏まえつつ財政調整計画のあり方、それぞれの役割等について検討をすると同時に、年金一元化の観点からの所要の検討を行い、関係者の理解や国民的合意を得ることができる適切なものとしなければならない。そこで、国鉄共済年金の支払いについては、昭和六十四年度までの支払いに支障を生じないよう政府が責任を持って解決策を講ずる、このように申し上げてきたわけであります。
  27. 大原亨

    大原委員 それでは、年金担当大臣、厚生大臣、どっちで答弁してもよろしい、厚生大臣でも年金担当大臣でもよろしいが、あなたは、この議事録を見てみますと、国家公務員とか地方公務員などの共済グループが手助けをするのが前提であって、そしてその後でいろいろと考えましょう、こういう答弁をしておるのですが、ちょっとニュアンスの違う答弁です。あなたの見解を聞かせてください。
  28. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国鉄共済年金につきましては、今支援グループで財政調整をしておられるわけでありますから、まずその財政調整計画の見直しをしてください、しかし恐らくそれはなかなか困難な様子があろうと思います。一面、私ども年金の一元化を考えておるわけでありますから、その中で国民的な合意ができるような方策を模索したい、ただその開始時期は来年四月一日以降であります、そういうふうに申し上げております。
  29. 大原亨

    大原委員 僕は非常に不満です。せっかく年金担当大臣を中曽根内閣はつくったんですけれども年金担当大臣のもとには、設置法もなければ何もない。権限についてないわけですよ。そばの大蔵大臣なんかが一言言いましたらしゅんとなるんですよ。年金担当大臣というのはいろいろな問題を含めて日本年金をどうするかという観点で考え方を出さなかったら、このようにばらばらになる。ばらばらの答弁になるんです。  大蔵大臣、あなたに質問しますよ。あなたはオールジャパンとかときどき言いますね。何回も言いましたね。オールジャパンで救済するとか連帯とかいうのは、どういう意味ですか。中身を言ってください。
  30. 竹下登

    ○竹下国務大臣 まず経過的に申し上げますと、先ほど来の議論のいわゆる第一段ロケットの際に私が感じましたのは、労働者連帯とはかくもとうといものであるかという、涙が出るほどのうれしさを感じたわけであります。したがって、その労働者連帯をさらに広げられないかという考え方を個人的に持ったことがございます。そしてさらに、厚生年金等々、使用者側も支払いますから、それをさらに拡大していけばまさにいわゆるオール日本になる、こういう感じで話を申し上げたわけでございます。  そのオール日本という表現は非常に抽象的でございますが、その狭く限定した関係者のみでなくいわば国民全体、こういうような気持ちも私の答えの中になかったわけではございませんが、整然と整理したわけではなく、いささか感覚的にオール日本、こういうことを申し上げたわけであります。
  31. 大原亨

    大原委員 中曽根総理大臣、一つ問題があるんですよ。大蔵大臣は一つの、国家公務員等の担当の大臣なんですよ。しかし、二重大格でございまして、あれは地方行政委員会がなんかであったかな、大蔵大臣がもう一つの性格のことを、ちょっと我々のような紳士は口をはばかるんですが、——————と、こう言ったわけです。これは予算を出さぬと言う方の大蔵大臣と、それから、国鉄共済を皆で救うてくれ、みんな来て救うてくれ……(「それは速記録の中から訂正してあるぞ」と呼ぶ者あり)これは大蔵大臣が言ったものを引用したんですから、大蔵大臣を追及しなければならぬ。つまり、二重人格、三重人格でやっておるわけですよ。だから、年金改革議論が焦点が合わないんですよ。年金担当大臣は宙に浮いちゃうわけですね。  私の意見を言いますよ。私は、年金改革というのは、いいか悪いかは別にいたしまして、これで基礎年金を導入するわけです。これで全部できるわけです。これはカナダ、スウェーデン、オランダ、ベルギー、イギリス、それからノルウェー、フィンランド、そういう北欧型の横割り年金を導入いたしまして高齢化社会に対応しようというのですが、できるかどうかなという議論がありますよ。それで、二階の報酬比例部分については保険料給付のバランスをとる、開始年齢もバランスをとる、こういう原則で公的年金統合をやろうというわけですよ。閣議であなたが決めたことわかりましたか。私の言っていることわかりましたか。  そういうことなんですが、そういうことから言うならば、開始年齢と保険料負担と給付をバランスをとる、基礎年金を導入して官民格差を解消する、そういう年金改革の中で、国鉄共済年金について、監理委員会意見について言うのですが、もっとちゃんと認識してもらいたいという点ですが、報酬比例の社会保障的な部分について歩調をそろえるんですよ。しかしこの国鉄のような問題、あるいは、きょうは見えているはずですが、警察のような問題、自衛隊の問題は、定年も若いのですが、しかし五十五歳年金開始の特例をやっているのです。五十五歳年金減額年金を置いているが、五十五歳の年金ということになると、他の公務員共済その他全部の共済は事実上定年が六十なんですよ。五十五と六十の差があるということは莫大な支出の差があるんですよ、防衛庁共済は。事実上、警察共済と消防共済、同じですよ。     〔越智委員長退席、阿部委員長着席〕 そうすると、保険料を高く払うということになれば、負担の公平にならぬでしょう。しかしながらどうしても五十五歳から六十歳まで−特例を設けているのですから五十五歳を開始にしなければいかぬでしょう。そういたしますと、その財源をどこで見るかという問題が今の制度の中にあるわけです。これは質疑応答をすれば明らかですが。これは恐らく私は、国の要請に従ってやるのだから、六十歳や将来本則で決めておる六十五歳の兵隊さんをつくるわけにいかぬだろう。そこで、やはり国としては五十五歳の年金開始ということで定年と合わせることになるだろう。そうすれば、その間のことについては国が見なければいかぬだろう、こう思うのです。  今国鉄共済年金は、監理委員会人員削減最大限やれ、事前にもうどんどんやれと、まるで無視したようなことを言っているのですが、そういうことをやってまいりますとどうなるかといえば、五十五歳以下で四十六歳ぐらいまで今減額年金をもらえるわけです、一年間マイナス四%で。そういうことになると、どんどん減額年金をもらわせて追っ払っていくわけですよ。そうすると、保険料を負担する人が少なくなって、給付をもらう人がどっとふえて、賃金よりも年金の方が高くなる。事実上五十五歳、五十歳、四十六歳、どんどんやめていっているんですよ。それを国家公務員共済地方公務員共済、農林共済、私学共済、他の共済が全部寄って、自衛隊も今、月に千二百円、防衛庁共済も出しています。それがみんなで寄ってたかって、政府の施策、これはまだ決定しておらぬのに事実が進んでいるのですが、そういう事実に基づいて、崩壊している国鉄共済を−これは国の方針でしょう、行政の方針でしょう。それを社会保障の保険料負担の中でカバーするのですから、そういうことは年金統合とかバランスの確保とか官民格差解消と結果といたしましては反することなんです。  国鉄は企業年金としての一番長い歴史を持っている。昔は判任官以上だった。雇用員にもある、そういう国鉄の古い共済日本の基幹産業でしたから。それの行政改革による出血の穴埋めを他の共済年金保険料でするということは筋が通らない。そういうことについて監理委員会も、それを受けた閣議も議論しない、各共済審議会においても、各大臣も責任を持ってやらない。年金担当大臣が、たとえ総理、総裁の候補者であろうとも竹下大蔵大臣を抑えてこうあるべきだということをやらないと、年金を守ることにならぬじゃないか。そういうことにおいて中曽根内閣の年金に対処する方針は根本的に誤っておると私は思っておる。  だから、私が言ったような原則で整備をしないと、報酬比例部分を含めて給付の公平と負担の公平、そして開始年齢の歩調をそろえて日本の皆年全体制でやっていこうということになりませんよ。このことは非常に重要な問題でございますし、これはしばしば閣議、閣僚懇談会等で議論されている問題です。私も党の全権委任を受けて、閉会中審査については反対いたしましたが、問題点については自民党の責任者との間において煮詰めて議論したのです。ここに問題があることがはっきりいたしました。いたしましたが、これを政治力をもって解決する態勢にないということで四共済審議に入ったわけです。  閣僚懇談会においてどういうふうにこの問題が議論されたかということを、ひとつ官房長官御答弁ください。
  32. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 今般の共済年金法案を御審議をお願いしてまいるにつきまして、政府といたしましても、それぞれ委員会四つ委員会に分かれておりますし、当然それぞれの委員会での御審議に対応するために政府といたしましてのいろいろな意見の交換もしていかなければいかぬ、こういうふうに考えまして、年金担当の厚生大臣を中心にいたしましてたびたび年金問題についての閣僚懇談会を開きまして、いろいろな意見の交換をいたしてきたところでございます。  その中で、閉会中にも、今大原委員からお話もございましたように、各党のこの問題についての御意見ども自民党からいろいろ伺っていただくというようなお願いもしてきたところでございまして、その中で、国鉄共済問題をどのように解決をしていくかということが今日共済年金を論ずる場合に非常に大きな問題であるということの御指摘がございまして、この問題についての非常に大きな問題意識を持って意見の交換をしてきたところでございます。  監理委員会からの意見も提出をされまして、先ほど来御意見も出されておりますように、政府といたしましても最大限これを尊重して国鉄改革に取り組んでいくという姿勢を示してきておるところでございますが、その中でこの国鉄共済問題の解決は非常に大きな問題であると考えておるところでございまして、今後政府部内で寄り寄り検討を進めていってこの国鉄共済問題の解決に当たっていくようにしなければならぬと考えてきておるところでございますが、大きな問題意識は持ってきておるところでございますけれども、なお今日、どのように、どういう時期にどういう方法でこれを解決するかというようなところまで論議を詰めるに至っておりません。今後、ひとつ誠意を持って検討していくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  33. 大原亨

    大原委員 これは全然私は納得できません。どういうことかといいますと、国鉄監理委員会は非常に大きな権限を持って政府国会、国民に君臨していると私は思うのですが、それが出した人員削減の方針、そして閣僚は、人間の配置とか再建の中身の問題を十分議論することなしに最大限尊重の原則を出したわけですから、どんどん既成事実が進んでいるのですよ。  私は、七月に話を始めました当時は、出口で解決する、国鉄監理委員会意見に基づく分割民営議論をするときにやろうというふうな考え方も一つあるなと思っておりました。しかし、それは今申し上げましたような経過からいいまして、そういうことはない、入り口でこの審議中に解決しないと一段ロケット財政調整五カ年計画という国鉄救済が途中でパンクいたします。国民年金厚生年金統合が第二段ロケットですが、最終の三段ロケットのこの四共済法案は宙に浮くことになる。実質的な審議をしないということになる。  このことについて、検討して中身を出さなければならぬ。そのときに、だれがこの出血を負担するか、支出を負担するか、そういうことについて、共済年金を矛盾する方向ではなしに改革する、社会保障的な部分における給付と負担、開始年齢の均等ということの問題を追求する、そういう課題等を外れて、企業年金の伝統を持つ職域の特殊な問題を、行政府の一方的な措置によってどんどん事態が進んでおるということを踏まえて−開始年齢の問題等につきましても指摘をしたとおりですが、一般的な部面でなしにその特殊な部面については、よく内容を分析いたしましてこれは国が責任を持って処理する以外にない。自治大臣ははっきり頭をこうやっておられる。自治大臣が前の委員会答弁されているところ、厚生大臣が前のところで答弁をしかかっているところ、途中でおかしくなりましたが、そういう趣旨から見ても、私が申し上げておる趣旨に従って政府のきちっとした見解を出さないと、この連合審査四つ委員会からここへ集中いたしました審議といたしましての意味がない、そういうことに私は考えます。  私が指摘をした点を官房長官は御承知ですか。御理解いただけましたか。この問題についてどういう考えを持っておられるか、お聞かせください。
  34. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 ただいま申し上げてまいりましたように、国鉄共済の問題は非常に大きな問題であり、その解決を迫られているという大きな問題意識を持っているところでございます。  国鉄共済年金財政を見まするときに、先ほど来御指摘をいただいてきておりますように、今後再建計画が具体化を進めてまいりますとさらに厳しいものになる、こういう事情にありますので、将来にわたって年金支給を維持し得るよう所要の措置を講じておく必要がありますが、政府といたしましては、現在国会に提出いたしております共済法案の成立後、検討体制の問題も含めましてできるだけ速やかに検討に着手をいたしまして結論を得たい、このように考えておるところでございまして、誠意を持って検討を進めていくようにいたしたい、このように存じておる次第でございます。
  35. 大原亨

    大原委員 国鉄共済年金に対する財政調整五カ年計画は、事実上パンクしているのです。これは国家公務員や二公社に全部関係あるわけです。答申にも出ておるわけです。法律にも出ておるわけです。他の共済にも全部関係あるのです。保険料負担で、これから五カ年間にどういう保険料を負担して給付をするかということ、この四共済審議一緒にやっております。昭和六十五年と七十年、七十年が年金統一でしょう。このことについてきちっとした審議をしないと、年金の統一の展望は開けない。そういうふうないわゆる出口論による答弁では私は納得しません。何のために連合審査をやったかわからぬじゃないですか。入り口のところで、ここで審議するところで連合審査をやったということは、その中身をここでできるだけ明らかにする、そういう責任が国会にあると私は思うのです。その私の質問に対して答えてください、官房長官。
  36. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 十分誠意を持って今後検討してまいりたいと思いますので、まず、共済年金法案の成立をお願いをいたしまして、その後に検討を進めていくようにぜひお願いをいたしたい。深い御理解をいただきますようにお願いをいたします。
  37. 大原亨

    大原委員 今、年金改革の第一段ロケットから三段ロケットまで話をいたしましたが、第一段ロケット空中分解しようとしているのだ。これは全部の共済に影響があるのだ。だから、入り口において大方の内容について政府の決意を聞かなければ、日本年金制度をこれからどうしていこうということについて方途はつかめない。ですから私は、委員長、全然答弁に納得できません。今の答弁では納得できない。政府の私の質問に対する答弁質問をするのですから質問に対する答弁をきちっとしてもらいたいということは、例えば金丸発言じゃないけれども、読売、各社の社説もちゃんとやっているじゃないですか。割合年金については冷淡であったと思われる人々もみんなやっているじゃないか。そういう衆人環視の中で議論するときに、この問題についてしっかりした答弁、責任ある答弁をやらないでばらばらで答弁をして、後でやりますというようなことは絶対だめですよ、これは。委員長、善処してください。どうしますか。     〔阿部委員長退席、越智委員長着席〕
  38. 越智伊平

    越智委員長 各委員長さん、代表する理事さん、ちょっとお集まりください。  速記をちょっととめて。     〔速記中止〕
  39. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  内閣総理大臣答弁を求めます。
  40. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 先ほど官房長官が次のような趣旨の御答弁をいたしました。  国鉄共済年金財政は、今後国鉄再建計画が具体化されればさらに厳しいものとなるということにかんがみまして、将来にわたって年金支給を維持し得るよう所要の措置を講じる必要がありますが、政府としては、現在国会に提出している共済法案の成立後、検討体制の問題も含めてできるだけ速やかに検討に着手し、結論を得たいと考えております、こういうふうに実は御答弁申し上げております。  私は、大原さんが御指摘になりました、片っ方において国鉄改革ということが再建監理委員会答申を得てどんどん進んでいる、片っ方においては共済年金という問題があり、そして国鉄改革が進むにつれて膨大な人員問題というものが出てきて、結局今まで以上にアンバランスは加速される、それを政府が黙って見ておるのか。片っ方、各大臣は、みんなおのおの共済関係に関する審議会等持っておりますから、その答申をいただいて、その答申を頭に置きながら今まで御答弁申し上げてまいりましたが、今のような、こういう片っ方における国鉄改革問題、片っ方における年金問題、この両方をいかに総合的に把握して妥当な結論を得るかというポイントに差しかかっている、それをあなたは御指摘になっているということを私はよく承知しております。官房長官もそういうあなたの御趣旨を頭に描いて今この御答弁を申し上げておるわけなので、私は官房長官の考えと同じである、そういうふうに申し上げている次第であります。
  41. 大原亨

    大原委員 この答弁は、今までの四つ常任委員会審議を集約いたしまして連合審議でやって問題点を出して、審議を実りあるものにしよう、そういう趣旨には全然沿ってない。だれか役人が書いた答弁です。それは。それはそういうことであってはならぬ。つまりこれは明らかに国の責任でやっているのでしょう。国鉄再建問題は行政の責任でしょう。やり方はいろいろあるのですよ。その一つでしょう。であれば社会保障を満たすような形で助け合うというのではなしに、政府の責任分野をきちっとして、そのことに従った政府の措置をとらなければ他の方の相互の助けはありませんよ。オールジャパンなんかないですよ。連帯じゃ何じゃといい言葉を言うけれども、あなたの言葉を見ると御家族様じゃ何じゃというようなことを言って言葉は非常にいいわけですが、まるで葬式のような答弁じゃないですか。そうではなしに、原則をきちっとして入り口で大方の方向を出さなければいけない、私はそう言っているのです。だれが聞いてもこれは正しいですよ。もう少し突っ込んだ答弁をしてください。私は今までの答弁では納得できません。私が指摘する点は反対ですか。言ってください。
  42. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 国鉄共済問題が非常に大きな問題であるということの認識は十分政府部内一致して持っておりまして、そのためにいろいろ検討を進めていかなければならぬな、こういうふうに考えておるところでございます。  国鉄改革問題につきましては、既に申し上げてきておりますように、国鉄改革のための法案の準備を急がなければいかぬ、その中で長期債務の問題をどうするか、あるいは雇用対策の問題をどうするかといったような大きな問題と並びまして、この国鉄共済の問題をどう解決していくかというのは非常に大きな問題としてきておるところでございます。一連の年金の仕組みの中で特に国鉄共済は非常に大きな問題だというふうな認識もまた持っておるわけでございまして、今総理から御答弁を申し上げましたように、それらを総合的にどう解決をしていくかということにつきまして、この共済年金法案の成立後速やかに検討に着手するようにしていきたい、このように考えておりますので、これは決して入り口とか出口とかということでなしに、誠意を持って検討を進めていきたいと考えております政府の気持ちをぜひ御理解をいただきたい、このように考える次第でございます。
  43. 大原亨

    大原委員 繰り返しになるのは時間のむだですよ。つまりこう言っているのですよ。監理委員会意見閣議決定、どんどん先行して事態が進んでいるじゃないか、人員削減が。そうしたら、このままでいけば昭和六十二年から三年にかけましてパンクするじゃないか、当面の事態をどうするかということについて私は意見を申し上げているのである。私の意見についてどうかということを聞いているのであって、そのことに答弁しないで、そうして政府に任せてください、誠意を持ってやります、責任を持ってやります、そんなことじゃだめですよ。そんな答弁で進行するんだったら、そんなものは国会審議じゃありませんよ。そんなことはだめです。
  44. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 ただいま御質問のございました国鉄共済問題につきましては、大原委員の御趣旨をも踏まえまして十分検討いたしてまいります。
  45. 大原亨

    大原委員 官房長官、あなたは私が主張いたしましたことを理解したわけですね。それで検討いたしますと言うが、いつまで検討するのですか。
  46. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 事柄の非常に重大なることをば十分認識をいたしておりますが、これをどのようにして解決していくかというのは、先ほど来もいろいろ御意見も出たしそれぞれ閣僚からも御答弁のありましたとおり、非常に難しい問題でございます。したがいまして、この場では可及的速やかに検討を進める、こういうことでひとつぜひ御猶予をいただきますようにお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
  47. 大原亨

    大原委員 可及的速やかにということは、共済法案を衆議院本院において審議をしているその過程、つまり審議が終わるまでには政府見解をきちっとする、そういうことですか。
  48. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 何回も申し上げておりますように、それぞれどのように負担をしていくかという問題でございます。したがいまして、なかなか事務的に割り振っていくというようなわけにはいきません。それはいろいろな仕組みがそれぞれこの問題をどのようにお考えをいただき、どのように御負担をいただくかというような問題とか、あるいはその中で国がどのような姿勢でどのように対応するかというような問題でございますとか、いろいろ総合的に検討していかなければならぬ問題でございます。したがいまして、それらも十分踏まえまして誠意を持って検討を進めてまいりたいと思いますが、今委員が御指摘になりましたようなタイムリミットで果たして結論が出るかどうかというごとにつきましては、今定かに御返事申し上げるようなことにはなかなかならない。非常に難しい問題でございますから、誠意を持って検討をさせていただくということでぜひ御理解をいただきたいと思います。
  49. 越智伊平

    越智委員長 速記をちょっととめて。     〔速記中止〕
  50. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  官房長官より答弁をいたします。藤波官房長官。
  51. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 先ほど私は大原委員の御趣旨をも踏まえて十分検討いたしますというふうにお答えを申し上げたところでございます。事柄の重要性にかんがみまして誠心誠意検討をさせていただきまして、本法案が衆議院を通過をいたしますまでに検討の結果を御報告を申し上げるようにいたしたいと存じます。
  52. 大原亨

    大原委員 可及的速やかにという問題について、本委員会共済法案審議議了する以前の段階において政府見解を出してもらう。その際には、私が申し上げましたように、社会保障部面を基礎年金と二階の報酬比例部分の問題、給付と負担−国鉄の負担は今一割を超えているのですよ。矛盾が大きくなればなるほど、これは上がるのです。倍ぐらい取っているんだ。負担、開始年齢にそういうものをきれいにそろえていって、職域年金は職域年金とするということで年金を整備しようという趣旨、そういう趣旨に反する国の政策、行政上の責任に基づく問題については国が責任を持って処理すべきである、こういうことを私は指摘したわけです。その指摘を了解した上で可及的速やかに国会のこの審議が終わる以前において政府見解を与える、こういうふうに私は理解をいたします。  中曽根総理大臣、このやりとりに対しまして最終的にあなたの答弁を伺いたいと思います。承知ができなければ考えがありますよ。
  53. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ただいま藤波官房長官が答弁申し上げたとおりに考えております。
  54. 大原亨

    大原委員 あと残り時間だけを……。一番の国鉄共済年金問題に非常に時間がかかったのですが、これは三分の二は政府の責任です。  二の公的年金一元化の問題は、今議論いたしましたことと非常に関係深いのです。政府閣議決定昭和七十年公的年金の一元化を決めておるし、総理大臣も御答弁になりました。しかし、閣議決定の前提となった自由民主党の田中年金調査会では、昭和六十五年に全共済統合をやって国鉄共済を救済しようということになっておったわけです。そういう背景があったわけです。しかし、それは国共審、地共審その他各大臣の答弁でわかるように、それはパンクいたしました。ないです。そういうことはない。ですから、どういう過程で一階をつくり、導入し、二階をつくり、三階をつくるかということについてはいまだ政府においては方針がないはずであります。私は見たことがありません。ほとんどの文書は目を通しますが、ありません。それでは公的年金一元化と言ったって、これは宙に浮いているではないか。一元化とは一体何だ、できもしないことを言っているのか。であるならば、どういうことを通じてやろうとしているのか。二階の形はどうなるのか。  例えば、自治省がやっている、地方公務員で連合をつくって三分の一の保険料を基金に投入して全体の調整をやっているのもあるし、あるいは厚生大臣の所管に厚生年金基金というのがあって、二階と三階で基金をつくって、それで一体的に積立金の自主運用をやっておる、財投に任さない運用をやっている、そういうのがある。公務員はそういうことをやるのか、あるいは農林共済、私学共済については将来どう考えているんだということが、六十五年まで五カ年間の共済年金の大体の財政再計算を基礎にした審議をしている本委員会において聞きたい問題であります。だれか答弁する人がありますか。だれが答弁しますか。
  55. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 一元化の問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり、本年の厚生年金国民年金の改正、今回の共済年金の改正によりまして、一部分でありますが、基礎年金としてある程度一元化の方向に向かうわけでございます。その御決定をいただきまして来年の四月一日から今後の制度間のそのほかの問題についての調整計画を立てなければならないところでありますので、そのように考えておるわけでございますけれども、その中でも、私どもが考えておりますのは、制度間に公平というものを考えていかなければならぬ、あるいはそれぞれの制度が安定をするようにしなければならぬということが基本でございます。来年四月一日以降の問題と考えておるわけでございます。
  56. 大原亨

    大原委員 私の質問に対しましての答弁といたしましては、全然納得しません。  第三。基礎年金導入の問題です。  皆さんのところへ資料が出ているのですが、せっかく資料を出してありますから、総理大臣、この資料を見てください。  ことしの四月二十四日に基礎年金を導入いたしましたが、その基礎年金の導入は、国民年金は、今任意加入の妻が外へ出てまいりますから第一号被保険者ですが、自営業者等で低所得階層と、金の多い人、お医者さんとか弁護士なんかもいる。千九百万人います。その人たちで申請とか法定の免除を受けておる率をごらんいただきますと、沖縄県は四二・四%免除しておりますが、免除した人は国庫負担がつくのです。これは昭和三十六年に我々が議論いたしましてつけた、いい制度です。三年間たちますと、三分の一の国庫負担ですから一年分です。保険料が免除になるのです。しかし、保険料を払わないのですよ、そういう人が一七%を超えまして、多いところは四二%。右の表を見てみますと、政令都市をとってみましたら、北海道は免除率が三〇%で、ずっと超えているわけです。それに、検認率というのは収納率ですから、保険料を納める率のことなんですが、これが数%ずつ、一〇%以上も加わっておりますから、保険料を納めない人が二四、五%を超えるのです。そんな社会保険方式があるのですか。これは定額保険料といって、北欧型の申し上げました国々で全世界で例がないのです。定額保険料ですから、所得の再配分の機能を発揮していないのです。ですから、大きな欠陥がございまして、ますます欠落があるということでございます。  これは年金改革中心的な目標の政策となっておる点に大きな欠陥があるわけでございまして、その欠陥指摘するために参議院でも議論がございまして、基礎年金検討ということを附則で入れたわけです。私どもが国家負担のあり方や基本年金の性格や、あるいは無年金の解消等について総合的な施策を進めるべきであるという附則を提案いたしましたが、基礎年金の改定、国民年金の改定、改正につきまして、私は最後に御所見を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。
  57. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国民年金厚生年金の改正につきましては、その基礎年金も含めて生活状況の激変あるいは賃金の激変に伴って改定を行うようにという修正をいただいておるわけでございまして、年々スライド制で改定をいたしますけれども、五年ごとの再計算期にはそのような諸条件を勘案して見直しを行うことにいたしたいというふうに思っております。
  58. 大原亨

    大原委員 それでは以上で、非常に終わりの方は全然質疑応答、審議になっておりませんが、問題点だけを指摘いたしまして、基本問題に対する私の質問を終わりたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  59. 越智伊平

    越智委員長 多賀谷眞稔君。
  60. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総理はよく、今や大衆民主主義の時代である、大衆民主主義における社長は、みずからシナリオを書き、みずから演出し、そうしてみずからPRをする時代だ、中曽根少し出過ぎておるという話もあるけれども、これが私のやり方だ、こうよくおっしゃっておる。  そこで、一体国鉄共済について、六十二年度からもう採算割れをするような計画に、あなたは社長として判を押しますか。あなたが、立場をかえて言うならば、こういう二、三年したら崩れるような収支計算書に、予算書に判を押しますか。
  61. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 年金制度の一元化につきましては、与野党でも長い間議論していただいておりまして、社会党の皆さんも、これを保険税というような形で考えたらどうか、あるいは長期安定の方法ではないかという御議論も長年承ったところであり、自民党側におきましても、あるいはほかの野党の皆様方におきましても、保険制度の統一あるいは一元化という問題をつとに叫ばれておったと思うのでございます。  政府は、それらの御議論等を参考にいたしまして、そして昨年の二月に閣議でこれらの将来の計画の大きな路線を大体決めたと思うのでございます。昭和七十年にそういう大きな一元化をやろう、それまでの間に、いろいろの年金共済等につきましては歴史もございますし、あるいは内容の髪もございますが、そういう既往の歴史等も十分尊重すべきものは尊重しなければなりませんが、しかし、一面において国全体の公平性、安定性、あるいは老齢化社会に対する、立ち向かう恒久対策等々も考える。そういうような考えから一元化ということに踏み切りまして、今大原さんがお話しいただきましたような一段ロケットから三段ロケットまで推進しつつあるわけでございます。  そういう過程の中に国鉄問題という問題が大きくここにクローズアップしてまいりました。しかし、国鉄問題という問題は、これは国民的な、また我が自民党にとりましては最も重大な問題の一つでございまして、それは雇用問題あるいは負債問題の処理あるいは年金問題の処理というようなのが実はその内容の大きな問題でありまして、その中でこの年金問題をどう処理するかという大きな課題を我々は国鉄改革と同時に受け取ってきておるわけでございまして、それにつきましても今官房長官が大原さんにお答えいたしましたような考え方に立ちまして努力してまいりたい、そう思っておる次第なのでございます。
  62. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 国鉄年金制度について、今大変悩んでおるのは何も日本だけじゃありませんね。殊に欧州は国土が戦場になった。でありますから、戦後の復興はまず鉄道から、こういう状態を呈している。それらの方々が海外から帰ってきたり、そうしてそのときに雇用した人が今年金受給者になってあらわれておる。大変大きく悩んでおるわけです、各国とも。  そこで総理は、運輸大臣もされました、また欧州にも何度も行かれておるのですが、一体国鉄共済年金あるいは恩給でもいいですけれども、各国どういうように悩み、どういう対応をしておるか、調べておられたらお聞かせ願いたい。
  63. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 非常に専門的なお話でございますから、正確に政府委員から答弁させます。
  64. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では運輸大臣。
  65. 山下八洲夫

    山下国務大臣 せっかくでございますけれども、ただいまの御質問に対する資料を今手元に持ちませんので……。
  66. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大蔵大臣は。
  67. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ちょうど多賀谷さんや私の年齢の者が荒廃した国土の中へ帰ってまいったわけでございますが、それは確かにヨーロッパ諸国も、いわゆる第二次大戦というものの時期からいたしますならば同じ条件であろうと思っております。  ただ、日本の国有鉄道の場合は、昭和三十八年まではもとより黒字であったわけでありますが、雇用の場の提供としての役割とやはり日本の産業復興というものに一番大変な功績を与えた産業ではないか。そうなりますときに、ほかの国の鉄道と日本の鉄道の果たした役割というところまでは私は分析をいたしておりません。
  68. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 再建委員会加藤さん、大変御苦労さんですが、ひとつあなたの方で調べられておるので御承知あれば、お聞かせ願いたい。
  69. 加藤寛

    加藤参考人 今の問題につきましては、これは監理委員会の方でも調べておりますけれども、私個人の今記憶に頼って申し上げますが、私の知っております範囲では、ヨーロッパの場合は当然のことでありますけれども、鉄道というものについてはこれは国がそのまま運営している。ただしその場合も西ドイツの場合とフランスの場合とは違いまして、フランスの場合につきましては契約制度を採用しています。そしてまた西ドイツの場合には、これは御承知のように官僚というものが二つに分かれておりまして、上部の官僚とそれからいわゆる現場の職員とに分かれておりますが、上部の官僚の人たちはこれは国家公務員として処理されています。
  70. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は共済について聞いておるのです、共済について。——政府委員答弁する必要はありません。僕が教えたんだ。全然知らない。国鉄に聞いたけれども全然その資料は見つからない。そこで僕は、こういう資料がありますよと、むしろ紹介をしたのです。  一体今日のような状態を現出しておるのは、何も日本国鉄だけが年金受給者でその支払いに困っているのじゃないのですよ。少なくとも西ドイツ、フランス、イギリス——殊にこの問題はECの規則にある。そうして一九六九年にこの年金に、殊に一般企業に比べて過重な年金、恩給については補助金を出しているのです、一般会計から。この実態をよく知らないで、そうして日本国鉄だけが満鉄あるいは華北鉄道から帰ったという論議をしているけれども、ドイツだって、ベルリンから引き揚げてきたとかベルリンにおる元国鉄職員の年金を見ておる。こういうのは何も日本だけじゃないのです。ですから、こういう状態の中で各国はどういう対応をしておるのかということを歴代の運輸大臣が知らぬようで一体どうするんだろうと思うのです。この状態は初めからわかっているのですよ。  もう時間がないから私の方で言いましょう。私が示した資料で計算してきたんだ。これは日本でも例の公制審、すなわち公務員にストライキ権を与えるかどうか、このときにも海外調査をして全部調べているのです。年金に一般会計からどれだけ出しているかを全部調べてきておるのです。ところが役所が知らないで、そうして対応するのに他の年金財政調整をするとかなんとかいろいろ論議をしておる。私は、この点は国家の責任というものをはっきりしなければならぬと思うのです。  大体ECは、一九六九年制定の千百九十一号で決めておるのです。西ドイツの場合は、まず連邦鉄道の過大な恩給負担に対する補助金、これは官吏と一般雇員がおりますが、それが一つです。それから、労務職員及び事務職員の付加年金に対する補償、これは全額国庫で見ているのです。それから引揚者、ベルリン在住の元鉄道職員の恩給及び年金、これも一般会計から見ておるのです。そうしてその金が一九八〇年代当時の円換算にして五千五百八十九億円。これは毎年出しておるのです。こういうようにして共済年金、すなわち年金制度というものを維持しておる。フランスも同じですよ。フランスも退職年金の一般企業の負担を上回る分については国庫負担でやっている。これは八〇年代の日本円換算で約四千四百七億円。イギリスもやっていますよ。各国皆こういうようにして、あの爆撃で鉄橋という鉄橋、鉄道路線をやられたのですから、従業員、職員をどっと抱えたと思いますよ。日本以上に鉄道は破壊されておるのです。その働いた人々が今や年金受給者になっておるというのは常識上わかるでしょう。これを調べないで今日論議しているというのは全く不見識である。これについて一体どう考えるのか。  総理、これはどういうようにお考えですか。私はこれだけの資料を出した。こんなことも勉強しないで、再建委員会だって——運営の仕方は知っていますよ。官吏と一般職員の分かれるところも知っておる。しかし、大事な一番大きなネックである共済の制度について、今ECがどういう対応をしておるかということを知らないで論議するのは極めて不見識だと私は思うのです。総理、どう思いますか。     〔越智委員長退席、高鳥委員長着席〕
  71. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 国鉄問題は、実はアメリカでもヨーロッパでも、政治にとっては非常に重大な問題であると同時に頭痛の種であるということは私も承知しております。私は昭和四十二年ごろ運輸大臣をやっておりましたが、それからしばらくたってドイツにおきましても国鉄の大改革案を出した。しかしそれはうまくいかなかった。その後何回か、ドイツ及びイギリスにおきましても同じように改革案が出たまま、必ずしも成功していないでしかし、そういう場合におきまして国家がかなり負担しておるということも私は知っておりました。  日本でも、やはり国鉄経営を助けるために相当な金額を毎年補助している。あるいは六千億円とか、場合によっては全部合わせれば一兆数千億円とか、そういうお金も用意して今までやってきておるわけで、これは直接間接、国鉄全体の運営、運行をしかるべく運営させるためにやってきているものなのだと思います。今回国鉄の大改革をさらに進めるに当たりましても、三十七兆に及ぶ債務に対しまして、監理委員会においては約十七兆というものは国あるいはその他で何とかしなければならぬ、そういう形で我々は宿題を出されておりまして、これらにつきましても検討していかなければならぬということになっておるところでございます。  そういう意味において、国が国鉄経営等につきまして全然無責任で何にもしないということではないのでありまして、大きなかなりの負担を国民の皆さん方にもお願いし、またやむを得ず運賃値上げ等もお願いせざるを得なかった。そういうことで国鉄を円滑ならしむるために国も努力してきたということは申し上げられると思うのであります。
  72. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 日本のやっていることは、政府がやっていることは全部逆なんです。本来恩給の人、鉄道省以来の恩給の人はもう既裁定、これは五十七年度で百三十四億ある。これも国鉄の財産から一般会計へ戻入しておるのです。一般会計の恩給というのは、国鉄の分は国鉄が背負って、そして一般会計へ出しておるわけでしょう。それから、共済法ができまして、その前の恩給時代がありますね、この三十一年六月以前の恩給の分も、共済の人についても出しているのです。恩給時代の分も国鉄が出しておる。それから、先ほどから話がありました満鉄、華北鉄道、華中鉄道に雇用された期間、それから軍人期間、それから雇用員期間に見合う年金、これらも皆国鉄の会計から出しておるのですよ。ですから、外国から見るとまるきり逆じゃないですか。本来日本政府が出すのを国鉄に、おまえおったじゃないかというんで、もうおっぱいも出ないようなおばあちゃんから出させている、そういう式ですよ。ですから今日のような状態が来る。  歴代運輸大臣は、こういうものに対して一体どう対応したのか。私は今の運輸大臣だけ責めるわけじゃないのです。こういう状態が来ることは初めからわかっているでしょう。そういうことがわかっていて、今日まで何もしないでじっと手をこまねいてきた。歴代の国鉄総裁もそうですけれども、運輸大臣も皆責任者だ。これは数字をはじけばわかるでしょう。それは三十二万、それから後の二十二万とか十八万を別にしても、もうやっていけぬことはわかっているのです。これをじっとしていて今日デッドロックヘ乗り上げるまで何もしなかった、ここが私は全く無責任だと思うのです。そういう点について一体どう考えておるのか。
  73. 山下八洲夫

    山下国務大臣 国鉄共済年金問題につきましていろいろお心を煩わせまして、所管大臣として大変恐縮に存ずる次第でございます。  先ほど来御指摘でございました例えば欧州との比較等につきましては、実は私もまだそういう問題で視察をいたしたことはございませんけれども、少なくとも今回監理委員会意見を出されるについては、十分そういうことも世界じゅうのいろいろなものを参考にされ、やられたことと思います。ただ、それはやはりその国々の事情があって、その国々に基づいた方法でおやりになるし、我が国は我が国なりにそういうものを参考にしながら今日に至っておると思います。  また、歴代の運輸大臣が何もやっていないとおっしゃいますけれども、そういうものも十分しんしゃくしながら我が国は我が国としてのやり方でやってきた。その方法として、昭和六十年から六十四年まで、何とかとりあえずこの間だけでもきちんと支給できるようにしようではないかということで、いろいろ関係閣僚等も御心配いただきまして、そして三つの団体に特に御援助をお願いして一応六十四年までは支給できるような体制になった。このこと一つでも、何もやってないというのではなくて、とにかくみんなで知恵を合わせてやってきたわけでございます。
  74. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 先ほど大原委員質問に対する答弁として、審議中に協議の結果を報告します。これでは審議ができない、ほかの委員会は。法案審議できませんよ。肝心なことが決まらないで、しかもそれは遠きかなたというのではないでしょう。もう六十二年の後半から六十三年にかけて破産をするようなこういう法案審議できますか。そんなに国会というものは見識のないところですか。各委員会全然できないでしょう、そういうことを言えば。どうなんですか。  そうすると、もう少しなにすると、六十四年度までの支払いに支障を生じないよう政府が責任を持って解決策を講ずる、これは国庫補助金を出すということですか、もう率直に言うと。全部もう既往の分については我々は責任を負いました、これ以上は出せません、各共済は全部言っているのですよ。ですからほかは、じゃ当面六十四年度までの支払いは国家が一般会計から出す、こういうふうに理解してよろしいですか。
  75. 竹下登

    ○竹下国務大臣 それらの有力な意見も踏まえながら検討する、こういうことであります。
  76. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 六十五年からの話はまだ今から論議するという話もあるのです。しかし、六十四年までの支払いに支障を生じないよう政府が責任を持って解決策を講ずるというのは、一般会計から政府が金を出すという意味でしょう。それ以外に方法がありますか。ないでしょう。ほかの方は、もう財政調整については協力してまいりました、これ以上できません、こう言っているのです。これをはっきりしてください。少なくともこれをはっきりしないでおいて審議をしてくれというのはもう僭越ですよ。国会をなめたことになる。
  77. 竹下登

    ○竹下国務大臣 まず、確かに私ども国家公務員共済組合審議会からはそのような御意見をちょうだいしております。それを引用されて、国鉄監理委員会意見にもそうした意見が提出されております。それを尊重して対応しよう、こういうことになっておるわけでありますが、地方公務員共済、農林、私学またあるいは厚年等々、それぞれの審議会はそれぞれの意見をお出しになっております。それらを背景にして、おのずから大臣の発言には限界があった。そこで、それを統一した見解を出そうというので、先ほど官房長官から統一見解が示された。その中で、私どもはこの審議、これから検討していくということでありますので、短絡的に——表現はちょっと短絡的にと言うと悪いのですが、今おっしゃったとおりに理解をいたしたといたしますならば、それ以上まあ私が活躍する場所というと表現がこれもおかしいのですが、それ以上、今多賀谷先輩がおっしゃったとおりでございますと私が言えば、もう物は決まったという形になります。したがって……(多賀谷委員「いや、そんなことはない」と呼ぶ)いや、六十四年までにいたしましても、もろもろの工夫はやはりやっていかなきゃならぬというふうに考えております。
  78. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 はっきり区別は本来我々はしたくないのだけれども、しかし、あなたは区別して御答弁なすったから、「六十四年度までの支払いに支障が生じないよう、政府が責任を持って解決策を講じます。」と言うならば、当面それまでは政府が一般会計から出しますと言わざるを得ない。そういう意味にとらざるを得ないでしょう。六十五年からは七十年に向かってどうするかという問題についてはひとつ審議します。そうすると、七十年に公的一元化の問題についてはどうするか審議します。しかし、六十四年までははっきりしてくださいよ。それすらできないということなら、一体国会は何を審議しておるのか。我々はめくら判を押すわけにいかないのですよ。
  79. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今私どもがいわゆる四百五十億円ずつ出していただいてという、三十二万人体制のもとの財政調整というものの計画があった。しかし、それが今意見書に出た人員等というものを前提にしたら、おのずからいわば財源が不足してくる、こういうことになるわけでありますが、そのいわゆる再建計画に基づく案というものが実行されていくのはこれからでございます。  したがって、私どもお答えしておるのは、まあ大原さんの言葉をかりれば、一段ロケット、二段ロケット、そして三段ロケットでほぼ給付の水準というのの調整ができますから、さらに負担の問題について今後検討させていただく。その負担の問題について検討させていただくときに、私どもが申しましたのは、六十四年までの問題は政府の責任で解決策を講じますと。その策をこれから検討させていただくということでありまして、その策そのものが、今多賀谷さんのおっしゃった、いわば一般会計の歳出がすべてであるとかという判断を今しておるわけではございません。
  80. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 六十五年から以降も政府が解決策を見出すのでしょう。六十五年から後も政府は考えざるを得ないんです。ところが、特に六十四年度までについて解決策を講じますと言うならば、一般会計から出す以外にないでしょう。どう考えても、もうこれ以上他に迷惑をかけられません、どこももう協力はいっぱいいたしましたというならば、もう結論はわかっておるじゃありませんか。ですから、我々は一般会計からこれは出るんだ、こう解釈してよろしいですか。
  81. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いや、そこのところがなかなか難しいところでございまして、一般会計と、こういうことになりますと、きょうはその議論が出ませんでしたけれども、いわば財源問題等についての議論も今日までもいろいろなされておるわけでございます。  したがって、それらすべてを勘案しながら、おっしゃいますとおり、案はそれは政府が出さなければいかぬでございましょう。それは六十五年以降においても案は政府が出さなければいかぬ。しかし、その問題につきましては、それこそ国会議論等を踏まえて、なかんずく官房長官は、その限定した問題としては、本院における審議が終了するまでに一つの考え方を示すというふうなお約束をなすったわけでありますから、まさに今の多賀谷さんの意見等を聞きながら私どもは解決策を講ずるが、なぜ六十四年と言ったかと申しますと、六十四年というものまでは一応三十二万人体制の四百五十億程度で、大体これで貯えますという前提が狂ったわけでありますから、当面一番心配な問題でありますので、それについて政府が解決策を講じますというお答えをしたわけでありますが、その解決策とはすなわち一般会計負担であるという断定ができるかどうか。それは私は、今度は財源問題とかいろいろな議論に展開してまいりますので、それをすべてを包括して一般財源で出しますという答えは、私は今日の時点ではやはり無理ではなかろうかというふうに思っております。
  82. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では聞きますけれども、今まで協力をいただいていますね。その年間四百五十億の協力をいただいている共済にはこれ以上迷惑はかけない。それが第一。鉄道の職員の保険料は今までの保険料アップ以上は増加させない。この二つは確認していいですか。そのほかの方法を講ずるというのですか。
  83. 竹下登

    ○竹下国務大臣 それはやはり、ああいう答申を私どもいただいております限りにおいて、さらに負担をお願いしようと思いますということは、ここでお答えするべきではないと私自身も思います。  ただ私は、あの審議会に出まして、まだまだ粘っこく話をしたらいろいろな知恵を出していただけるのではないかという、物すごい尊敬心を持った期待感を今日も持っておることは事実であります。
  84. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 審議会というのは、ことに地方公務員共済審議会とかいろいろありますが、審議会にあなたの方は協力を願う、こういうことになるわけでしょう。もう私の方はやりませんと言っているのですから、少なくとも他の共済にこれ以上の過重な負担はさせない、そういう限定をはっきりしたらいいじゃないですか。そして保険料も従来どおり。首を切られる者に、さらに保険料を今までの予定よりも余計取れというのは無理な話ですよ。そういう二つの枠をはめて、その中で政府は考えますということですか。そういうふうに考えていいのですか、あなたは区別されておるのですから。六十四年までと六十五年以降を区別されておるのですから、そういうように了解してよろしいか。
  85. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに六十五年以降の問題というのは、それこそ各方面の意見を聞きながら、これはまだ時間もあることですから詰めていかなければならぬ。  しかし、六十四年までの問題は、少なくとも本院において指摘された問題は、三十二万体制というものをつくった段階と今日違うじゃないか、そうすればまさにトタで財源が必要ではないかということでありますので、まずはその分については政府が責任を持って解決策を講じます、こう申しておるわけであります。その解決策とは、いわばすべて一般会計で不足分を補てんするという、トタでそういう考え方かとおっしゃれば、まだまだ工夫する道があるのではないかというふうに私は思います。  ただ、今までお世話になったあの国家公務員と光電電、元専売、この方に対してまだまだいろいろ知恵を出してもらおうという気持ちは私は持っております。金を出してくれということをトタで申し上げようとは思っておりませんが、知恵を出していただける方々ばかりの集まりでございますので、私は本当に感心しておりますので、これはさらに相談も持ちかけてみなければならぬなというふうに考えております。
  86. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 知恵を出せといいましても、金は出さない、これ以上迷惑をかけない、知恵だけ出せというなら、これは私的にお聞きになればいいのであって、何も審議会の論議の対象にはならないですよ。ですから、あなたの方でとにかく財政的に見ます、政府としてはほかには迷惑をかけません、どういう財政の措置をするかわかりませんが政府財政措置をいたします、こういうように考えてよろしいですか。他の共済には迷惑をかけない、政府財政措置をいたします、こういうふうに考えでいいですか。
  87. 竹下登

    ○竹下国務大臣 政府の責任で解決策を講ずるわけでありますが、その結論に至ります間は、審議会で途端にこれを諮問するべき問題であるとは必ずしも私は思っておりませんが、審議委員懇談会なんかでは、これは率直に申しまして、私いつでも共済年金のときには申しますけれども、非常に専門的な知識が必要であります。まさに多賀谷さんなんか専門家でございますが、したがってあの審議会も、私から比べれば、いつも百点とか四十点とか言っておりますが、いろいろな意味において専門家でございますので、私は、そういう懇談会等の場を活用すれば、いろいろな意見をまだまだ出していただける余地があるのではないかというふうに、心から尊敬と期待を持っておるということであります。
  88. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと審議会に逃げられてもはっきりきませんね。政府が責任を持ってやるというのは、何も審議会にかける必要はないのです。  とにかく、今日三十二万体制が崩れだというのは、この統合案、いや、統合と言ったら問題があるが、財政調整案を出すときに国会説明したことと事態は違うわけですよ。この責任はだれが持つかといったら、政府が持つ以外にないでしょう。ですから、政府の責任で財政の面倒を見ますということでしょう。それは借金でするか何でするかわからぬけれども、とにかくあなたの方で見ますということでしょう。他に波及することはいたしませんということでしょう。それ以外に方法はないですよ。そこをはっきりしてください。  これ以上審議はできませんよ、各委員会は。一番肝心なことを、審議の終了するまでに報告されますというのでは、それまで待っておらなければならぬ、ほかの委員会は。あなた方も本当に不見識ですよ。国会をなめてかかっている。こんな問題が出ることは当然わかり切ったことを、いまだにはっきりした方針も出さないで国会に臨むということがそもそも間違っているのです。これは、財政措置は政府が講じますと明確に答弁願いたい。総理、答弁してください。
  89. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その点は先ほど大原さんからのぎりぎりの詰めの質問がありまして、官房長官から誠意を持って処理すると御答弁申し上げたとおりでございます。
  90. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから私は、六十四年と六十五年以降を区別したのですよ。六十五年以降の問題をまだ——本来ならば、法案を出しているのですから当然回答しなければならぬけれども、せっかく区別しておっしゃっているなら、六十四年までの財源を明確にしてもらいたい。それは当然でしょう。ですから、答弁でそういうようにお答え願ったのですから、ひとつそれをさらに明確にしてもらいたいということですよ、この点は。時間がたつばかりですから御答弁願いたい。
  91. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ですから、政府の責任において解決策を講じます、その策の中身につきまして、それこそ国会議論等を参考にしながら中身は詰めていく、こういうことを申し上げておるわけでございまして、今いみじくも一般財源があるいは借入金とかいうような議論もございましたが、私もいろいろなことを考えてみておりますが、まさに国会の御意見等を聞きながら、また、かねて運営しておるときに、審議会の懇談会等でいろいろな議論を聞いておりますので、そういうものを最も念頭に置いていわゆる解決策というものは出さなきゃいかぬな、こういう気持ちでお答えしておるわけであります。
  92. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 全く押し問答みたいですね。「六十四年度まで」と、これだけ明確に区別をしてお答えになったのですから、その区別をさらに具体的にお聞きしておるわけですよ。ですから私は、政府の責任でおやりになる、ではどういう方法ですか、こう聞いている。他には迷惑というか、他の共済に影響の及ぶようなことはありませんね。これは確認しておきます。どうですか。
  93. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私がここでそれを申し上げますことについていささかはばかりますのは、いわば年金の一元化の体系の中において、国家公務員共済の方はそれぞれの役割の中で考えなさいという答申をいただいておるわけです。地方公務員共済等とは若干ニュアンスの違った答申をいただいておりますので、いろいろこれから相談してみますが、答申を完全に飛び越したお答えをするというのは、やはりその所管大臣としては少しオーバーランになりはしないかな、こういう感じも持っておるところでございます。(多賀谷委員「議事が進まぬですよ。こんな重要な法案を出しておいて、答弁もできぬようなことでは進みませんよ」と呼び、その他発言する者あり)
  94. 高鳥修

    ○高鳥委員長 竹下大蔵大臣。
  95. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私が若干こだわっております一つの理由は、本当は我が方が答申をちょうだいしておりますのは六十年の二月十三日でございまして、これは言ってみれば三十二万人体制のときの答申でございます。したがって、私は答申をちょうだいする意味ではないが、あのプロ集団と相談してみなければいかぬなという気持ちが私にあるわけであります。  だから、きょうの場合お答えしますことは、やはり先般官房長官がお答えいたしましたように、大原委員の御意見等をも踏まえてというお答えをいたしましたが、その中にすべてインタルードされることであって、もとより今の多賀谷先生の御発言等をも踏まえてということに入るではなかろうか、こういうふうに考えます。
  96. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは残念ながら時間をとりますから一応保留して、次に行きたいと思います。  そこで、同じ問題ですけれども、公的一元化の中に、あるいはグローバル、あるいはオールジャパンといろいろ出ております。厚生年金昭和十九年に労働者年金から厚生年金に移った時点において加入者が八百三十一万九千人いるのですが、今日、四十一年を経過してまだ二百九十八万一千七百七十人しか老齢年金の受給者がいない。そして積立金は四十九兆あるのですね。これは一体どうしてそういう結果になったのか。もうその間に私学共済は分離、独立をした。農業共済は離脱した。そういう状態、なぜそういうことが行われたか。これは厚生大臣にひとつ御答弁を願いたい重要な点ですよ。やがて公的一元化を目指すというならば、従来の経緯を十分踏まえて行わなければ大変な混乱が起こる。本当に泣き寝入りの人が、今日無年金で数百万人いるのです。一体どういうようにお考えであるか。
  97. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  厚生年金の現在の老齢年金受給者が被保険者数に比しまして他の年金に比べて非常に少ないのではないか、これはどういう原因がという御質問がと思います。  今先生指摘のように、いわゆる成熟度、被保険者数に対します老齢年金受給者数の比率は一一%程度でございますので、おっしゃるように成熟度は低いと思います。先生が今、昭和十九年末の被保険者数を八百三十一万人とおっしゃったわけでございますが、厚生年金の被保険者数の推移を見ますと、おっしゃるように昭和十七年に始まりまして、十九年に適用拡大をいたしましたために被保険者数はこの段階で八百万人を超える人数になっておりますが、御承知のように戦後急激にこれは減少いたしておりまして、昭和二十年時点で見ますと、約半分の四百三十二万人というような数字になっておるわけでございます。長期的に見ますと、一千万人を超えましたのが昭和三十二年でございますし、現在二千六百万という被保険者になっておりますが、二千万を超えましたのが昭和四十三年というような経緯でございますので、厚生年金の長い歴史の過程を見ますと、被保険者数の増が最近に至って大変急激であったということも成熟化状況をおくらせた原因の一つであろうと思います。  それから、もう一つの原因といたしましては、これは先生からかねて御指摘をいただいておるわけでございますが、厚生年金保険制度の中に、給付に結びつけます仕組みといたしまして脱退手当金という制度がございまして、特に女子の方で、期間が少ない雇用しかない方につきまして、脱退手当金をお受けになられました方が相当数おられるということも、この被保険者数に対しまして老齢年金受給者が少ないという原因になっておるかと思います。
  98. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その一番大きな原因は、日本厚生年金が公的年金大原則に対して残念ながら適応していない。公的年金の原則というのは第一に強制加入ですね。第二はスライド制ですよ。第三は過去勤務債務、要するに発足してから二十年なら二十年、全然一銭も上げませんという制度では、これは先輩は全く何の年金がということになるわけでしょう、保険料は払っておるのですから。それから第四はいわゆる携帯年金、次の企業に行ってもつなぐという。この四つの原則の二つは満たされておった。すなわち強制加入ということと携帯年金は満たされておったが、スライドと過去勤務を全然見なかった。そこで要するに農林年金ができたのですよ。私学共済もそういうことでできた。  それと、もう一つ大きなファクターは積立金の自主運用です。これに非常に魅力があったわけです。ですから今日、文部省の管轄の大学を見てごらん狂さい。私学では早稲田とか慶応とか、六大学のうち東大を除いたあとの私学は全部厚生年金ですよ。そうして私学共済ができた。農林の方も御存じのように、役場等の職員と農業振興を同じようにやっておるじゃないか、ところが一般の共済と農協に勤めておる人々の厚生年金とでは余りにも差がある、もらえないじゃないかという問題が起こった。起こったから脱退したのですよ。こういう経緯があるのですよ。簡単に、今厚生年金は金があるから一緒にしようじゃないか、こう思っておられる。私は残念ながらもう古いから、早くこういうことを言っておかぬと、そのときに経過を知っておる人が国会にいなくなって、そしていや一つは四十九兆円もあるじゃないか、こういうことでどんどん進められるとこれは大変なことになる。  今、脱退手当金をもらった人が六百二十二万人いるのですよ、わずかの金で。殊に中小企業なんかは退職金を出せぬものですから、脱退手当金を計算してみんなやっておるのです。ですから脱退手当金をみんなもらっておるから、今日のように四十年もたってまだ三百万人に足らぬ、一一%なんという成熟度がありますか。国民年金を見てごらんなさい。ずっと後からできた国民年金が、成熟度はぐっといって、もうパンクしそうになったわけでしょう。その救済に基礎年金をつくったわけでしょう。そういう経過を十分踏まえていかないとこれはできないのですよ。  一体、これらの救済を今後どういうようにするつもりなのか。これは現時点の問題ですよ。無年金者がおる。非常に少ない年金しかもらっていない人がおる。これらを一体どう救済するつもりなのか、厚生大臣。本来ならば受給者である人が現に無年金であるとか、あるいはかって厚生年金に加入しておったけれどもわずかの一時金でやめたとか、こういう人のまず救済措置をある程度講じて、それから全般的な一元化の問題の話をしないと非常に不公平になってしまう、こういうように思うのですが、厚生大臣どうですか。
  99. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 無年金者に対しましてはある程度の救済措置をとろうということでございますけれども、脱退なさった方々については、その後のもちろん保険料の払い込みも何もないわけでございますので、大変困難であろうかというふうに思います。  何にしても、先生指摘のようにスライド制がなかったとかそういうことが原因であろうかと思いますので、今後はもうそういう制度ががっちり行われておりますので、今後の無年金者、脱退者というものはかなり減少してくるものと考えられます。
  100. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、日本の制度は割合にヨーロッパ並みになったというけれども、現在おるお年寄りは何ら制度の改革の恩恵にあずかっていないのです。ですからこれが問題なんですよ。それは、近ごろ年金を受給する人は比較的高い、それを対象に議論されておる。ところが既にやめて、六十五以上あるいは七十になった人の年金は、先進国では類を見ないぐらい低いでしょう。ほとんど三万円以下でしょう。千二百万人の受給者のうち七百五十万人は三万円以下ですよ。三万円以下でもなお低いのですよ。あなた方は国民年金を六十歳から減額年金を繰り上げ支給したから四二%控除されたでしょう。一年間について約八%ずつ控除になったでしょう。ですから十年年金の人だって、三万円にして一万八千円です。それは十年年金に入った人ですよ。十年間納めた人だってそうです。  ですから、結局今の年寄りを十分見ないでおいて、次の世代のことをやがて高齢化社会になる高齢化社会になると。高齢化社会になるということをみんなでいろいろおっしゃるけれども、今の年寄りを見ないでおいて、そうして自分の時代の高齢化社会だけ考えてもだめですね。それがやはり問題なんですよ。  でありますから、私は時間もありませんから、今のお年寄りをどうするのだ、二万円以下の人が数百万人もおるような、無年金者もおるような状態をどうするのだということを、もう一度厚生大臣から御答弁願いたい。
  101. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この問題は、国民年金が発足して経過がまだ短時間でございますので、その経過措置として五年年金、十年年金というものをつくりました。その年金の方々が比較的低い水準にあるということは御指摘のとおりでございます。また、当初から、もう国民年金が始められたときから高齢であられた方々に対しましての福祉年金も同様でございますが、この相互について今後できる限りの措置をとりたいと思うわけでございますけれども、何分現在の厳しい財政状況でございますので、いろいろ御理解をいただきたいと思います。
  102. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 では福祉年金を重点的に考えると考えてよろしいですか。
  103. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 福祉年金につきましても従来厳しい財政の中で精いっぱいやってきたわけでございますけれども、今後も努力してまいりたいと思います。
  104. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、さっき大原さんが質問をしかけまして中断したわけですけれども、今日で基礎年金、あなた方は大宣伝、PRをされたが、基礎年金というのは、御存じのように二十五年国民年金に掛けた人が六十六年に六十五歳になった人、六十一年まで掛けて五年間休んで六十六年に六十五歳になった人、この人が五万円ですよ。今度は四十年掛けて五万円でしょう。ですから大変にそこにまた落差がつくわけです。そこで段階を設けてやるのですけれども。  そこで、先ほどからお話がありました、要するに確認できない——入っていないのです。検認率が非常に低いということは、加入してない人が大都市に非常に多いということです。そのほかに免除率が高いということです。これは全国的に見て高い。一七・一%も免除者がおる。それからあと約一〇%ぐらいの未加入者がおるのですが、これは一体どうするのだ、こういうことになるわけです。そして、免除された人だって三分の一でしょう、三分の一しかもらえないのですよ。今平均で三万円ぐらいにしても、これの三分の一ですから一万円です。現実はこういう状態である。一体どうしますか、これ。沖縄では四二%も免除者がおる。     〔高鳥委員長退席、今井委員長着席〕  そして、御存じのように今から保険料が高くなりますね。一万三千円になると、一七%ですよ、一七%というのは、勤め人の奥さんは払わなくてもいいというけれども、九十万円以上になると払わなければならぬですね。これは言うならば三号保険者から一号保険者に切りかわる、こうでしょう、厚生大臣。九十万円未満まではこれはゼロですよ、主人が払う、それによって負担してもらう。九十万円を超えますと、自分で定額分を負担しなければならぬという問題が起こるでしょう。この人は今度は健康保険でも主人の扶養家族にならぬですね、国民健康保険の対象になる、その奥さんは世帯主になる。大変な負担なのですよ。一体この落差をどう考えるか。厚生大臣、これは非常に重要な問題です。今社会保険事務所や市役所の窓口へ行ってごらんなさい、大変な混乱をしていますよ、あなたは扶養家族になるのですかならないのですかと。これはどういうようにお考えであるか、御答弁を願います。
  105. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 免除者の件につきましては、ずっと保険料を払わない場合には三分の一国庫負担分になるわけでございます。そういう方もかなりの数字になるわけでありますけれども、往々にして安易に、例えば免除者になった場合でも丸々年金をもらえるのであるまいかというような考え方の方々もおられるのではないかというふうに憶測されるわけであります。したがって、そういう方々に対してのことはPRその他でこちら側が十分注意しなければならぬ問題であろうというふうに思います。  次の九十万円以上云々という問題につきましては、多少技術的な面になりますので政府委員から答弁させます。
  106. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  先生の御指摘の中に、無年金者となるケースが多いのではないか、こういう方々に対する対策をどういうふうに考えているかという御質問があったかと思います。  国民年金保険料を滞納されることによります無年金者の発生の防止ということは、私どもとしても大きな課題として取り組みたいと思っております。市町村におきまして、住民基本台帳でございますとか国民健康保険の被保険者台帳を基礎といたしまして、こういった方で滞納しておられる方、これは国民年金の被保険者として把握をしていない方も含まれるかと思うのでございますが、こういった方々を捕捉するということをいたしておりますし、準備が整った場合には直接年金手帳をその方に送付するというような形も含めまして、適用の促進を図っているところでございます。もちろん一般的な広報、新聞、雑誌、ポスター等の活用も十分に考えてまいりたいと思います。  それから、今の先生のお話の免除の問題でございますが、確かに現在免除対象となっております方が一七・四%ということでございます。現実に免除の該当者の実数自体は従来の伸びに比べましてやや伸びは鈍化したように思うのでございますが、被保険者数自体も減少傾向がございますために、免除率といたしましては昨年より上昇を見ております。  この点につきましては、今大臣よりお答えを申し上げましたように、免除の趣旨を徹底いたしましてできるだけ保険料を納めていただくようにお話を申し上げることと、それから、保険料を納入していただきやすい環境づくり、毎月納付でございますとか口座振替といったようなことを推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  107. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これはやはり、九十万円になった途端月に一万三千円ずつ納めなければならぬというのは、政治としては大変残酷な政治ですよ。そして八十九万まではゼロ、主人が納めてくれる。これは何も年金だけじゃないのですよ。健康保険もそうでしょう。今度は世帯主になるわけです。ですから、ここへ段階を設けるかどうか、これを考えないと、今みたいに定額で一律にやって、まあ一律給付というのは必要だ、少なくとも基礎年金という名前がつく以上は一律給付は必要であるけれども保険料を全部定額で納めさせるというのは社会保障としてはもう大変な欠陥商品だ。所得の再配分効果は全然ゼロでしょう。低いときならまだいいのですよ、百円とか百五十円のときは。しかし、今日のような状態になって、そして定額で保険料を置くということはもってのほかだ、私はかように思うのです。  総理、これは小さいようなことですけれども、国民にとっては大変なことですよ。一体どういうようにお考えですか。あなたは頭がいいからすぐおわかりでしょうけれども、これはもう本当にきょうの収入が年額九十万円にならぬようにと、パートの収入も抑えることになる。労働大臣、パートヘ行っても、よく計算をして九十万円になりそうだったらもう休んでしまう、こういうことにもなるのですよ。ですから、この調整を全然しないでおいてこの基礎年金を構築したというところに間違いがある。非常に安易ですね。
  108. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この九十万円の問題は、被保険者本人であるか扶養者であるかという限界の問題でございまして、これは健康保険その他も全部そのように一応そろっておるわけでございます。この限界は、仮にもし変えることがありましても、さてそれじゃ、それから上の五万円超えた場合はどうかという問題は常に必ずついて回る問題ではないか。したがって、現状のままでやむを得ない課題であると考えます。
  109. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 所持が一千万あってもやはり一万三千円ですよ。今は大千八百円ですが、九十万円の人も同じです。だから、私は言っておるのです。これは何か方法を講じないと−今その確認を急いでおるのですね、社会保険事務所も市町村の国民年金課も。ですから、これは何とか手当てをしないと大変なことになると私は思うのですよ。そして、無年金の防止とおっしゃるけれども、十五年間滞納したら無年金になるのですよ。四十年のうち十五年滞納したら二十五年に足らぬでしょう。そしたら無年金になるのですよ。一生涯何も年金が来ないのですよ。ですから、こういう問題は小さいようだけれども、国民にとっては大変重要な問題である。それに対する政治的配慮がないでしょう。
  110. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 これは給付と負担の関係であろうかというふうに思うわけであります。給付が同じでありますから負担も同じにせざるを得ないという事情でございますので、御理解を願いたいと思います。
  111. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 基礎年金であるという以上は、やはり今の徴収方法では崩れていく。こんなに初めから一七・四%も免除者がおって、その免除者は三分の一しかもらえぬのですからね。そうして結局これだけの滞納者が出ておる、確認ができない、こういうような状態で基礎年金がいよいよ出発するわけですけれども、これはやはり基本的に大きな欠陥がある。  一つは、国庫補助金を削減するということに視点を立てて年金制度を決めた。ですから、この国庫補助金があるいは今日の三分の一から三分の二というようになれば、また融通ができるのです。それをなぜやらないか。これはすぐ行き詰まるですよ。そのことが一つ。国庫補助金をなぜもう少し上げないのか。  それからもう一つは、先ほど言うように、我々が今からの長い経済の動向を見ると、労働大臣もおられますけれども、雇用主、事業主が労働者一人当たり幾ら負担するという方式は、今後非常に大きなアンバランスの状態になると思いますよ。日本が一番ロボットが進んでいるでしょう。そういう中で、要するにFA工場なんというのは全然人がいないのです。そうすると保険料を払わなくてもいいんですよ。労働者は、自分のを払うのは当然ですよ。しかし、雇用主負担、事業主負担の保険料の体系を労働者と同じ折半をするというやり方をすれば、人は雇わなくなる。結局、ほとんど中小企業がかぶるようになるのです。これを一体どういうように見るのか。  日本だってあるんですよ、句も労働者一人当たりに幾らと取らない方法が。石炭年金というのがあるでしょう、厚生大臣。石炭年金従業員一人当たりというのでは取らなかったんですよ。一つは石炭が御存じのように合理化によって労働者が減るということも予想されたのですが、トン当たりで取ったのです。トン当たり七十円というように取っているんですよ。ですから出炭規模においてそれらが払われておるのです。こういう方法を今から考えないで、合理化が進んでいく、近代化が進んでいく、オートメーション化になるという状態の中に今までのようなやり方ではだめじゃないか。いやしくも改革をする以上はそういう改革を出すべきじゃないか、こういうように考えるのですが、ひとつこれは大蔵大臣に答弁願いたい。
  112. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは将来の問題でございますが、今私自身がお答えする能力の限界を超した問題であると思っております。したがって、やはりあらゆる制度、施策の絶えずの見直しとか、あるいは今一元化問題は七十年というようなことを言っておりますが、そういう全体の中で検討をする課題ではないかなというふうに感じました。
  113. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 総理はなかなか識見があるのですが、今私が最後に提起した、要するに労働者一人当たりという保険料の拠出金については、今からの日本経済を展望するときにこういう行き方ではやがて非常な不公平が起こる。ですから税で取るか、あるいは何かで取るか。一人当たりというならば、労働者をなるべく雇わない方が企業としては非常によろしい。それについてどう考えられるか、最後に御答弁願いたい。
  114. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ME化の進展等々によりまして、いろいろな年金システムにつきましても、従来の考えと違って新しい視角から見直す必要のある点も出てくるであろうと思います。そういう意味におきまして、非常に多様性を持って現在の機械化、ME化の進行等を見ながら、保険全般をどういうふうに考えていくか、常に見直していく必要を感じておる次第でございます。
  115. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 終わります。
  116. 今井勇

    ○今井委員長 柴田弘君。
  117. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 きょうは総理を迎えてのせっかくの連合審査であるわけでありますが、実は地方行政委員会におきまして、国鉄問題で政府の統一見解を出していただきたい、そうでなければこれ以上審議が進まないということで、私も質問を留保いたしました。それで、きょうの連合審査は、この国鉄問題を含めて七十年までのいわゆる年金の一元化は一体どういう方向へ行くのか、そのプロセスを明確にしていただきたいという観点からいろいろ質問をしたいと思っておったわけでありますが、残念ながら国鉄問題については統一見解は先送りをされております。私はまことに遺憾であると思っておるわけでありますが、この国鉄問題は一番最後にまとめてやることにいたしまして、私が総理にまずお伺いをしていきたいのは、いわゆる高齢化社会を展望いたしまして、老人にとって医療そしてまた年金というものは生活をするために最も重要な課題であると私は考えておるわけであります。  ところが、最近の政府の動きを見ておりますと、老人医療につきましては本人の一部負担を導入し、それがさらにまた強化をされようとしている。そしてまた、年金についても、一連の改正案によってその給付水準をなお引き下げようとしているわけですね。そういたしますと、果たしてこうした老人福祉の行き着く先は一体どこであるか。きょうもテレビを見ておりましたら、厚生省は厚生白書を発表した。いわゆる福祉の給付については一定の限度を設けて、あとはもう自己負担なんだ、こういうことであるわけでありますね。そういったことを見ておりますと、老人福祉を含めてのいわゆる政府の福祉の考え方というのは、あくまでも財政優先、財政対策を中心とした考え方であって、お年寄りなりそういった社会的弱者の生活を本当に守っていくという立場からではないということを今私は率直に痛感をいたしているわけであります。特に、高齢化社会を展望して、年金と医療を今後どのように位置づけられ、そしてまたどうした方向へ持っていかれるのか。厚生白書の発表もあるわけでありますが、総理にまずお伺いをしておきたいと思います。
  118. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 社会保障制度につきましては、本格的な高齢化社会におきましても長期的に安定的かつ有効に機能して、国民から信頼されるものとなるような制度が必要であると思います。今後ともそういうような観点から、高齢化の進展に伴いまして、制度の合理化効率化に努めるとともに、各種老人福祉施策の充実等についてもきめ細かく配慮する必要があると感じておる次第であります。
  119. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 きめ細かく配慮する、こういうふうにおっしゃるわけでありますけれども、どうも政府に老人福祉に対する哲学といいますか、理念がないのではないかということを指摘をせざるを得ない、私はこう思っております。  総理は十月十四日の所信表明演説の中で、我が国の平均寿命は近年大幅に伸びて、人生八十年時代を迎えて、国民の一人一人がこの長い人生を安心と生きがいを持って過ごすことができる、社会全体のシステムをつくり上げることが必要である、こうおっしゃった。しかし、今回のこの年金制度の改革を初めとするいろいろな社会保障制度のあり方を見てまいりますと、本当にお年寄りが安心と生きがいを持って過ごすことができる、そういったきめ細かい制度を確立していくのかということに、私は甚だ疑問を感ずるわけであります。やっていらっしゃることと言っていらっしゃることとは言行不一致であると断ぜざるを得ない。  要するに、行政改革という大義名分のもとに、財源不足というものを理由にいたしまして経費を機械的に一律削減をしようという、いわゆる財政優先の考え方にすぎず、福祉の哲学、こういうものがあるとは私は考えない。もし総理にそういった哲学というものがあるとすれば、やはり国民の理解を得るようなものを示していただきたい、こう思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
  120. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 私は、前から、大体十年ぐらい前になりますが、人生八十年時代が来る、そういう意味において、終戦直後の人生五十年を人生八十年に設計変更する必要がある。それは、社会のいろいろなシステムについて考える必要もあるし、生涯学習という面についても考えていく必要がある。老人福祉についても同様である。特に、老人については生きがいという問題が非常に大事である。特に、日本の場合にあっては在宅福祉という面が重要視さるべきである。老人の世論調査を見ますと、常に家族と同居したいという御希望が非常に強いようでございます。そういうようないろいろな日本的特性を考えながら、日本的な社会福祉制度を老人の体系についてもつくり出していくように今後とも努力していきたいと思う次第でございます。
  121. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今回のこの年金制度の改革を含めまして、世代間の公平ということが言われている。そこで、厚生年金は四十年加入で現役の平均賃金の六九%の給付水準、地共済の場合は、職域年金相当部分を除いて六九%。私は思うのですけれども年金給付水準決定というものにこの六九%という数字だけがひとり歩きをして、本当に老人の老後の生活安定という観点から十分討議されたものではない、こういうふうに私は考えております。少なくとも公的年金と言うからには、やはり老後の生活のために、せめて最低生活というものを保障するものでなければならない、こういうふうに私は考えておるわけでありますが、この公的年金の役割というものを総理はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  122. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 公的年金制度は、世代と世代の間の助け合いの仕組みによって老後の所得保障を行うものであり、国民の老後生活を支える主柱となるものであると思います。給付水準につきましては、現役世代の所得水準との均衡やその負担についても考慮しつつ設定されてしかるべきものである、そのように考えております。
  123. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今総理が御説明になったような給付水準が果たして設定されているかどうか、先ほど来私は疑問を呈しているわけでありますが、最近の個人年金の隆盛の問題、それからもう一つは老後生活を支えるためのいわゆる貯蓄率の増強、向上の問題、こういったものを考えますと、公的年金制度に対する国民の非常な不信感があるのではないか。今総理は、公的年金というのは老後生活の主柱を支えるものである、こうおっしゃった。そうすれば、私ども、あるいは素朴な年金受給者立場からいえば、少なくとも公的年金と言うからにはやはり最低生活を保障できるものであるのだ、ゆとりある生活というもの、それも大事であるかもしれませんが、そこまでいかなくても、要するに最低生活を保障できる年金というものが公的年金であるのだ、私はこういう素朴な考え方であろう、こう思うのであります。  はっきりお伺いいたしますが、公的年金の役割に関連をいたしまして、最低生活を保障するものなのか、ゆとりある生活を保障するものなのか、あるいは所得の主柱とおっしゃったのですが、一部分あるいは大部分を保障して、あとはもうそれぞれ自分で勝手にやれ、こういうふうな考え方なのか。私は、社会保障制度の根本的な考え方から、公的年金の性格というもの、一体国民はそれに何を期待したらいいかということをここでお伺いしたいが、どうなんですか。
  124. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 今政府が進めておりまする公的年全体系の一つの重要な基礎として、基礎年金という構想を導入しておるわけでございますが、この基礎年金にある意味におけるそういう思想が出てきていると思うのであります。  改正法の基礎年金は、老後生活の基礎的な部分を保障するものであり、高齢者の現実の生計費等を総合的に勘案して、月額五万円の水準といたしたものであります。この五万円が適切であるかどうか、公明党の先生方からはもっとふやすようにという御注文を前から承っているわけでございますが、将来の保険料負担との関連や今日におけるいろいろな条件等の関係から見まして、今これを変えるということは財政的に非常に厳しい状況にある、こう考えております。
  125. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私がお聞きしているのはそういうことでなくて、いわゆる社会保障制度としての年金、しかも公的年金と言うからには、その公的年金の役割というのは一体どういうものなのか、最低生活を少なくとも保障できる年金でなければならないでしょう、こういうことを聞いているわけですね。あるいはその一部を保障するだけであってあとはもう自己負担でやってください、個人年金も結構です、あるいは老後の生活のために貯蓄をしなさいよ、こういう考え方の公的年金がどうかということなんですね。国民は何をこの公的年金に期待したらいいか、こういうことを聞いているわけなんです。
  126. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 特に基礎年金につきましては、老後の生活の基本的な部分を保障するものと考えておるわけでございます。高齢者の現実の生計費等を総合的に勘案して月額五万円、夫婦の場合には十万円の水準としたものでありまして、あくまで生活の基礎的な部分の保障という趣旨でございます。
  127. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私は基礎年金の問題までまだ聞きませんですよ。公的年金というものの役割について聞いておるわけなんですよ、大臣。要するに私どもの率直な意見、そして年金受給者の素朴な意見考え方からいえば、少なくとも公的年金と言うからには、ゆとりある生活はまだともかくとして、最低生活の保障をするべきものである、それがやはり公的年金の国民が期待する位置づけだ、私はこう思っている。ところが、今政府の方はそんな考え方がないわけだ。生活費の主柱を占めるかもわからないが、その一部なんだ、あとはどうぞ御自由に、こういう考え方である。そこに、国民の素朴な考え方政府考え方に非常に大きな食い違いがある、こういうことであります。  以上につきましては、そういった食い違いを私は指摘をいたしまして、次の問題にいきたいと思うのですが、やはり総理、今回の共済年金改革は、共済年金公務員制度の一環、こういうことに位置づけられている、こう思うわけであります。であるならば、やはり人事院、その他権威ある公的機関の意見を十分聞くべきじゃないか。あるいはまた、この年金改正、その年金水準そのものについて一番当事者の公務員の諸君の理解が得られなければならない、こういうふうに私は考えているのですが、私はこうした今回の改正案を見てまいりまして、そういった諸君たちの十分な理解を得てない、ここに一つの大きな問題がある、こういうふうに思います。やはり信頼関係が大事でありまして、今回のこの提案というものは、そういった点で一つの大きな問題があったのではないかということを私は感じているわけでありますが、いかがですか。
  128. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 柴田委員のお話に私も同感でありまして、できるだけ幅広く関係者の御意見を徴して決めていくのが適当であると思います。今回の改正案は、今後の高齢化社会を控えて、給付と負担の調整を図り、共済年金制度の長期的安定等を図るためのものでありまして、関係審議会におきましても十分に審議され、おおむね了承を得ているところであると思います。  また、国家公務員につきましては、今回の改正案の原案の段階から人事院とも協議し、人事院から大蔵省に対して口頭で意見の申し出があったところでありまして、改正案は人事院の意見も踏まえて取りまとめもいたしたものでございます。
  129. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 審議会等の答申ですね。例えば地共済審議会の場合も、基礎年金問題等々につきましていろいろな意見があったわけであります。時間の関係で、ここでそれは申しませんが、やはりそういった点が取り入れられてない。大方の意見を取り入れられたとおっしゃったのですが、政府は何かしら都合のいいところだけ取り入れて法案にまとめられた、私はこういうふうに思います。  そこで、公務員の諸君の大多数がどう言っているかと言えば、今回の改革というのは、国庫負担の削減公的年金制度間による財政調整、この上に立って給付水準の大幅切り下げ、負担の大幅引き上げを行うものである、これは公務員共済年金制度というものを根本から破壊しようとするものである、社会保障制度のあり方あるいは公的年金の役割というものについて、今回のこの改革に当たってこういった基本的な考えが十分に検討されたものとは言いがたい、こういうことを言っているわけであります。この点についての回答は求めませんが、私はこの指摘は正しい、こういうふうに実は考えております。  そこで基礎年金ですが、簡単にお聞きをしておきます。  五万円にされた根拠というのは、これは横並びになっているわけでありますが、極めて不明確だ、私はこういうふうに思うわけであります。しかも、現在の生活保護費は、二級地で、単身者が六万八千七百四円、夫婦で十万七千五百四十三円であるわけであります。あるいはまた総務庁の全国消費実態調査によりましても、高齢の単身者で月に七万七千七百五十九円、これだけかかるというわけでありますね。政府は、食料費だとか住居費だとか光熱費だとか被服費、こういうものを合計して老人の一カ月の消費支出額が四万七千六百円程度かかるということで、これが五万円の根拠になっているわけでありますが、老人の生活の中には、絶えず私どもが主張しておりますが、保健医療費もあれば交通通信費もあるわけでありますね。しかも、こういった基礎年金そのものが無拠出の生活保護水準さえ下回るというのでは国民の納得が得られない。私どもは少なくとも五万五千円、夫婦合わせて十一万円の、生活保護費を上回る基礎年金を支給すべきだ、こういう考え方を持っておるわけであります。  この点について、過日の委員会で自治大臣は、今後、そういった意見を含めて一遍給付の改正の方向へも検討したい、こういうようなお考え方もあったわけでありますが、基礎年金について改めて総理に御見解をお聞きしたい。
  130. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 基礎年金は、前から申し上げておりますように、老後生活を支える、基礎的部分を支える、そういうようなものと考えて五万円というものができておるわけでございます。急速な高齢化時代がやってまいりまして、それに対して世代間の公平とかあるいは制度の長期的安定性とか、そういういろいろなものも考えましてこの水準が適当であると考えて実施しておるものでございます。  いろいろな御議論はあると思いますが、現行のいろいろな生活、給与、年金、そのほかの体系全般をも見まして、この水準で安定している、そして、将来高齢化がさらに進んだ場合におきましても、現役あるいは将来の人たちとの間の負担の公平ができるだけ維持されるように配慮していくべきものである、そう考えておるわけであります。
  131. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 この基礎年金の性格というのは一体どういうものですか。
  132. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほども申し上げましたが、老後生活の基本的な部分を保障するということでございます。現実の生計費の中でそれに当たる部分を総合的に勘案して五万円と算定したわけでございます。
  133. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 総合的に勘案をされて五万円とされたと言うのですが、それでは総合的に勘案された中に老人の保健費と通信交通費というのは計算されましたか。
  134. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 そのようなものは私の記憶では計算をしていないと思いますけれども、詳細にわたりましては政府委員から答弁いたさせます。
  135. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 まあいいです、わかっていますから。  計算されてないのですよ、大臣。それではお年寄りは医療保健費が必要でない、交通通信費が必要でないと言うのですか。人生八十年というのは総理がおっしゃっている。私はその点について、老後の生活の安定のためだ、世代間の公平あるいは年金の長期安定を図るためだ、そういう口実のために基礎年金も本当の生活の水準を維持していくものではなかったということを残念で仕方がないというふうに思います。この点は社労委員会でも随分やってまいりましたので、これでとどめてまいりますが、この点も将来増額の方向で大いに検討していただきますことをここで要望してまいりたいと思います。  そこで、年金改革の今回のねらいというのは、私は過日の委員会でも申し上げましたが、一つは国庫負担を減額させる政府財政対策である、こういうことを言いたいわけであります。厚生年金国民年金ではピーク時の昭和九十年には二兆五千億の国庫負担が減額をされる。地方公務員共済の場合も昭和九十年には累計をして二兆三千五百億円減額がされる。年金給付なり、あるいはまた負担の引き上げを少しでも少なくしていく、保険料率、保険料を引き上げていくのを少なくしていく、こういった切り下げに用いられればともかく、それだけの国庫負担というものをどうしていくのか。減税をしていただければそれにこしたことはないわけでありますが、こういった国庫負担、公的負担の減額は財政優先の考え方である。お年寄りの生活の安定ということより、あるいは保険者のそうした掛金の引き下げということよりも、そういった点に今回のこの年金改革のウエートというものは置かれている、私はこういう点を一点指摘をしたい。  それから二つ目には、これは厚生大臣とも議論しましたが、国民年金の救済のためじゃないか。国民年金財政は非常に健全ですよとおっしゃったが、私は必ずしもそうじゃないと思います。先ほど来議論があったところであります。国民年金の積み立て、支出比率を見ましても、昭和六十年代には一を割っている、そういったところが多い。現状を見ましても、そういったことであります。  それから、いま一つは、これは総理もくしくもおっしゃっておりますが、今回の年金改正というのはどうしても成立させなければいけない、国鉄はどうしても救済をしていかなければならない、だから、この改正というものを与野党を超越してやらなければならないという発言をされた。記憶があると思う。国鉄救済であるならば、この年金改正の審議の前提条件としては私は国鉄の救済策というものをきちっと出すべきだというふうにかねがね持論で思っておったわけでありますが、以上の三点について、概括的でいいですから総理の意見を聞きたい。
  136. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 この問題は、かねてから与野党の議論等も踏まえ、また、各種審議会答申等も踏まえまして、公的年金等の一元化を図る必要がある、特に、高齢化社会を迎えて大きな改革、一元化へ進む必要がある、そういうようなお話を受けまして、党でも随分勉強もし、また、与野党の意見も伺いつつ、昨年の二月に大体工程管理表みたいなスケジュールをつくりまして、七十年を目途に一元化を行う、その前に、これこれしかじかの年全体系については逐次一元化に向けて体系を整備していく、そういうシステムで今進みつつあるところでございまして、大原委員のお話によれば、いわゆる第三段ロケットに点火する、そういうような段階に今来ていると思うのでございます。  国鉄の問題ももちろん年全体系の中の重要部分を占めるものでございますから、国鉄を無視するわけにはまいりません。やはり国鉄の皆さんに心配をかけないようにみんなで努力するということは大事なことであると考えて、もちろん念頭にあるということを申す次第なのであります。
  137. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで総理、先ほど議論があったのですが、私も地行委員会で大蔵大臣に質問をしました。六十四年までは政府の責任の上において支払いに支障のないようにいたします、その中身は何だ、一体どういう具体的な財政措置をするのか、こう言いましたら、大蔵大臣は、それは私の答弁の限界を超えています、こうおっしゃった。また、六十五年はどうかと言ったら、六十五年以降についてもそのような答弁であった。それで、きょうの連合審査になった。総理なら、せめて少なくとも政府がその責任の上において支払いに支障のないようにすると言うのだったら、総理としての考え方があるであろう、こういうことで私も総理の出席を要求し、連合審査を要求したということがあるわけでありますね。今、大蔵大臣とのやりとりがあったわけでありますが、総理としては、政府の責任においてやっていくというのは一体どういうことなのか。先ほど来お話がありましたように、一般会計で財政負担をすることなのか、あるいはまた政府の責任というのを拡大解釈して、厚生年金や地共済等々他の年金に参加をしていただいての財政調整ということも考えているのか、そのどちらかだ、あるいはその両方かもしれませんが、そういったことだと私は思っているのですが、どうですか、総理。
  138. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 この点は、最初に大原委員との間の問答の中でだんだん問い詰められまして、官房長官が御答弁申し上げた次第のとおりでございます。
  139. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それを聞いておるわけなんです。どうなんです。  では、変わった角度から質問しましょう。  六月十八日本会議、総理は国鉄共済年金財政問題について、国鉄共済を救うために六十五年度以降全年金制度を通して負担を調整する必要がある、こうおっしゃった。今六十四年まではどうかということですが、そうすれば、これは六十五年度以降はやはり厚生年金や地共済グループなどからも新たな拠出を求めるというふうにしか理解できない。どうなんですか。あなたが答弁されたことなんです。
  140. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 この点は、大蔵大臣が申し上げたのは、これは内閣全体で考うべき問題で、今、一大蔵省のそろばんじりばかり考えているような点だけでは考えられない大きな政治的課題であります、そういう意味で大蔵大臣は御答弁になっているんだろうと私は思っております。確かにそういうようなことであると私も思います。したがいまして、そのときだれが内閣総理大臣になっているか知りませんが、やはり内閣全体として、国民世論あるいは各与党、野党の御意見、各種審議会の動向あるいは国家財政状況、そういうもの全般を踏まえつつみんなで助け合う、そういうような考えに立ってやるのが適当ではないかと思います。
  141. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうすれば、今わかった範囲は、六十四年度までは、政府の責任において支給に支障のないようにやってまいりますよ、その中身はどうなるか知りません、ところが、六十五年度以降においては、要するに国鉄救済のために厚生年金とか地方公務員共済からも新たな拠出を求めることもあるのだよ、こういうふうに私は理解をいたしたわけであります。それでいいですね。
  142. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ただいま申し上げましたように、非常に総合的な一つの政治課題として登場してくると思っております。それに対しては政治的に解決するという考えが必要で、それは内閣全体で取り組む必要がある問題である。もちろん、財政的観点も考える必要もございますが、与野党の意見やら、また、各種審議会のそれまでの御意見やら、国民のお考えやら、そういうふうにすべて勘案して考うべき問題であって、そのように考えております。
  143. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私が申し上げたように理解をしておきます。  そこで、私は、今回の国鉄問題には二つの問題があると思うのですね。それは、一つはいわゆる国鉄改革、これは要するに監理委員会答申最大限尊重されてやるということでありますが、そういった国鉄改革に伴って出てくる赤字の資金不足というものが一つあると思うのですね。  それからもう一つは、今、国会議論されております国鉄改革だけではなくて、もう既に今日までの国鉄共済の運営あるいはその現状というものについて問題があった部分がある。現実に国鉄においては積立金を食いつぶしてしまう。しかも、毎年の保険料でもうこの支出を賄うことができない。しかも、その積立金の半分というのは事業主負担になっている。今日まで国鉄は国がオーナーであって、国鉄を監督指導する立場が国にあったというふうに私は思うのです。やはり国がそういった責任を持って解決をすべき問題である、こういうふうに思います。  こういった二つの側面がある。一つは政府国鉄民営分割化という政策転換によって出る部分、そして今までもう既にあった部分、この二つの部分は私はどうしても国の責任においてきちっと解決をしていかなければならない問題であるというふうに思います。統一見解の策定に当たってやはりこういった意見もよくしんしゃくをしていただきまして対応していただきたい。国の責任の明確化ということをきちっとしていただきたい、私はこう思いますが総理、どうですか。
  144. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 広くよく検討させていただきたいと思います。
  145. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大蔵大臣、いかがですか。
  146. 竹下登

    ○竹下国務大臣 そのような意見をも踏まえつつ検討すべきであるというふうに思います。
  147. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、国鉄問題の出発点に戻りまして、今日まで社会保障制度審議会あるいは国共済審議会で再三にわたって、国鉄問題を早いところ何とかしなさいと繰り返してきたんだが、国の責任に触れた具体案が示されてない、まことに遺憾だということで、これはもうずっと答申を受けてきました。昭和五十八年三月二十九日の大蔵大臣に対しての答申、それからことしの四月八日にも、政府は具体策を検討する場を早急に設けるべきである、こういうふうになった。今、国会でこういった問題に火の手が上がって、この審議中に、法案の議了までに何とか出します、こう言って答弁をされているという現状、要するにこれだけこの審議会から政府に対しての答申を受け取って、今日まで検討する場すら設けていなかったというのは、政府のこの国鉄問題に対する怠慢というものを僕は言いたいわけなんです。どうなんですかね。何とも思っていらっしゃらないのですか。この審議会の軽視だ、僕はこう思うのですよ、その辺はどうなんですか。
  148. 竹下登

    ○竹下国務大臣 特に一番近いのが四月八日の国共審の答申で、早急に検討の場を設けるべきだ、この場を設けていない、それは怠慢じゃないか、こういうことであります。私ども、いろいろ考えがないわけではなかった。しかし、その後いわゆる監理委員会意見というものが出て、そのとおり将来実行されたとすれば前提が崩れてしまう、こういうことになるわけでありますので、したがって二つの側面が出てきたなと思っておりますが、これもきょう、官房長官の統一答弁にありましたように、今の意見等を踏まえながら何らかの方向を本院におけるこの法律案審議中に出さなければいかぬというふうに考えております。
  149. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それで総理、この検討の場ですが、先回、委員会のときには、大蔵大臣も、実は私の答弁の限界を超える問題でございます、こうおっしゃった。厚生大臣は、いや、やはり国鉄共済は大蔵大臣の所管だから、大蔵大臣を中心にしてこれはやってもらうのが妥当だ、こういう意味の発言をされた。一体どっちがどうだかと思っているわけなんです。やはり検討の場というのは統一見解を出すにはどうしても必要だと思うのですが、総理の腹案としてはこの検討の場は一体どういった形が、いわゆる下部機構である学識経験者等々のそういった委員会というか審議会というものをつくるのか、あるいは政府の閣僚会議の中だけでやってしまうのか、その辺のところはどういうお考えなんでしょうね。
  150. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 その辺につきましては、与党ともよく相談もし、また各閣僚の意見も徴しまして、慎重に研究してみたいと思っております。
  151. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それでは統一見解は、いわゆるこの衆議院——これはちょっともう一つ聞いておかなければいかぬのだけれども、先ほどの大原委員に対する答弁で、この法案の議了するまで、たしかそうだった。そうすると、議了するといっても衆議院で議了するのか参議院で議了するのか、もちろん私どもは衆議院だと考えておるわけですね。その辺をひとつはっきりしていただきたいということと、それから、当然見解を出すには検討の場をもっと早く設けなければいけない。それはいつまでに設けられますか。
  152. 竹下登

    ○竹下国務大臣 第一のお答えは、本院を議了する、こういうことであります。  第二の問題というのは、検討の場というようなものが、これから議論してみなければなりませんが、恐らく官房長官がお答えになった趣旨は、それをも含めて明示されるではなかろうか、こういうふうに考えます。
  153. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 いつですか。
  154. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この本院における議了までに官房長官が皆さん方の意見等をも勘案しながらこの方向を示すとおっしゃった、その方向を示す中に検討の場というものも含まれてくるんじゃないかというふうに思います。
  155. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 だから、それを示す前にやはり検討の場というのは設けなければいけない。  それから最後に、これは大きな問題で聞いておきますが、この国鉄問題がきちっと解決をする、そして七十年までの年金一元化の中であと何が残っておるかという問題が一つある。  この一元化の内容というのは、それについてじゃどうなるか。例えば、要するに各制度を全部完全統合してしまってやる一元化であるのか、各制度を残してそしていわゆる負担の調整というものを、財政調整をやっていく一元化であるのか、その他いろいろあるかもしれませんが、その辺の方向性というのはまだ決まってないかもしれませんね。しかし、七十年までに少なくとも一元化をやるというならば、今回のこのいわゆる共済法案の改正がこの七十年をめどにしたこの一元化の中で一体どういう位置づけを持つかということ、やはりそういったことについてもきちっとスケジュール的なものを明確にしていかなければならない、こう私は思いますので、そういった問題も含めてどうかひとつ、国鉄共済も大事でありますが、やはり早急にこの一元化の方向へ向かっての明確なものを決めていただいて、国民が公的年金制度に対して安心が持てるような対応をしていただきたい、こういうように思っておりますが、その意見についてはどうお考えですか。
  156. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今おっしゃっている意見に対して私は反論を少しも挟むつもりはございません。まあ言葉をおかりいたしますならば、一段、二段、三段と、それで三段によって給付の一元化問題がほぼ調整された、こういうことになりましょうから、これから負担の問題になってまいりましょう。そして最終的には、生い立ちがいろいろ違いますので、完全に一つのかまどになるか、こういうことになりますと、にわかにお答えするだけの私自信ございませんけれども、基本的には今おっしゃったような意見を踏まえながらそれに対するいわゆる工程表をつくっていく、こういう努力が必要であると思っております。
  157. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 じゃ終わります。
  158. 今井勇

    ○今井委員長 坂口力君。
  159. 坂口力

    ○坂口委員 では引き続きましてお伺いをいたしますが、時間が短うございますので簡潔にお聞きをして、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。特に、大蔵大臣はごまかさないようにひとつ御答弁をいただきたいと思います。  公務員制度の基本は、言うまでもなく労働基本権の制約でありまして、スト権、団体交渉権その他を認めていないわけでありますし、また労働基本権のほかに職務専念義務あるいはまた守秘義務等の義務も公務員には課せられているわけであります。その代償として人事院制度がありますし、その処遇は法律によってまた定められているところでございます。その中でこの年金というのも給料、退職金とともに三本の柱の中の大きな柱として位置づけられていることは今さら申し上げるまでもございません。これらの制約に対応した処遇が法律で定められまして、給料、年金そして退職金、これらが公務員制度の一環としてその中に織り込まれていると申しますか、公務員制度の中に織り込まれた問題である、こういうふうに考えますが、まず総理の御見解を伺っておきたいと思います。
  160. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 給与、退職年金制度は公務員制度の一環をなすものと理解しております。
  161. 坂口力

    ○坂口委員 ここで大蔵大臣に一つお聞きしておきます。  今回の法改正によりまして、既裁定者も含めてでございますけれども、最高に年金額が低下する人、それから最低で低下する人、大体どれくらいの範囲であるか、ちょっとお答えいただけますか。——それじゃ結構でございます。先ほど事務局でお聞きしましたら、最高で四割だそうでございます。最低一割ということで、官官格差としては短縮された。しかし中には、とりわけ次官級の皆さん方は四割ぐらい下がる、こういうことだそうでございます。  今回の改正が昭和三十四年の国家公務員共済組合法の改正以来の大改正であることは、総理もおわかりいただけると思うわけでございます。私は先日の大蔵委員会質問でも申し上げたところでございますが、退職年金制度が書かれております国家公務員法の百七条の歴史を振り返って、過去の国会審議等の内容を読んでみますと、公務員制度調査会、これは総理の諮問機関でございますが、昭和三十年に開かれまして、この中で、国家公務員の能力減退を補償する、こういうふうに述べているわけであります。こうしたことを受けまして、そして以前の恩給法のときの思想も引き継ぎながら国家公務員法は今日に至っていると私は考えている一人でございます。     〔今井委員長退席、越智委員長着席〕  旧国家公務員法の百七条、百八条が現在の国家公務員法に変わりましたとき、その内容のどこが変わっているかということを調べてみますと、現在の国家公務員法の第百七条の第二項に、いわゆる年金制度というのは「退職又は死亡の時の条件を考慮して、」となっておりますが、これが旧国家公務員法におきましては「退職又は死亡の時の条件に応じて、」というふうになっております。それから、現在の国家公務員法は「本人及びその退職又は死亡の当時直接扶養する者のその後における適当な生活の維持を図ることを目的とするものでなければならない。」となっておりますが、これは、旧国家公務員法におきまして「適当な生活を維持するに必要な所得を与えることを目的とするものでなければならない。」となっておりましたものを、現在の国家公務員法になりますときに、「適当な生活の維持を図ることを目的とするものでなければならない。」と書き改められました。  それでは、内容がどう変わったかを見ますと、恩給法のときの算定基礎給与は最終給与額でございましたが、国家公務員共済組合法になりまして最終一年の平均本俸というふうに変わりました。これは後に三年とかいろいろ変わったときがございましたけれども、また最終一年の平均本俸ということになっております。今回の法案はこれが平均標準報酬月額ということに変わったわけでございまして、詳しく述べる時間がございませんけれども、そうした経過をずっと見てみますと、恩給法から現在の国家公務員共済組合法に変わりましたときの変化よりもむしろ今回の改正の方が大きな変化がある、こう思うわけでございます。しかし、国家公務員法の内容は何ら変えられることなしに今回改正案が提案をされたわけでございます。  そこで、現在の国家公務員法百七条の中に流れております背景あるいは思想というものを見てみますと、先ほど申しました旧国家公務員法のときから受け継がれたものがかなりございまして、そして最後にございます「適当な生活の維持を図る」というところは、先ほど申しましたように、「維持するに必要な所得を与えること」という旧国家公務員法の流れをくみながら字句が改められている。そのころの審議の模様のいろいろのものを見てみますと、ここに言います「適当な生活の維持を図る」の以前の「必要な所得を与えることを目的とする」という旧国家公務員法のこの部分は、憲法二十五条に言います「健康で文化的な最低限度の生活を営む」に必要な所得の額を上回るものであった、こういうふうに理解をしなければならないいろいろの審議の過程があるわけでございます。  そこで、今回の改正案は、「適当な生活の維持を図る」という文言からいたしましてこれに合うべきものかどうか。この文言だけを見ますといろいろな意見がございますけれども、今までの国家公務員法の流れから見ますと、これは、今国会に改正案として出されましたものとは本質的に違うものではないか、どうもそんな気もするわけでございます。しかし、この国家公務員法には何ら手をつけることなしに、この法案審議に入ったわけでございます。その辺のところはどのようにお考えになっているのか、ひとつ大蔵大臣からお答えをいただきたい。
  162. 門田實

    ○門田政府委員 ただいま先生の方から大変精密な御意見がございました。国家公務員法百七条は大変専門的な条文でございますが、その中に流れております思想は、大体においておっしゃられたような趣旨であったと思います。恩給から共済の仕組み、また共済の仕組みの中で今回の改正、こういう流れがあるわけでございまして、その中で今回の改正がこの百七条におきますところの「適当な生活の維持を図る」、これに本当に適合しているのであろうか、こういう御質問であったと思います。  私どももこの百七条のことを十分念頭に置きまして、今回の改正は年金制度としての大きな改正でありますが、同時に、国家公務員等の共済年金公務員制度の一環であるという側面もございますので、そこのところは職域年金部分というものを設けましてこういった国家公務員法等の趣旨に対処する、こういうことにいたしたわけでございます。具体的な乗率等を掛けましたところの最終的な給付水準は、基礎年金、報酬比例部分、職域年金部分を総合的に見まして、人によりましてそこのところはいろいろ違ってまいりますが、全体としてはこの趣旨に合っておるというふうに考えております。  従来からも共済年金の中で一般方式と通年方式という二つのものがございまして、国家公務員ですと五〇%強の人が通年方式といいます今回の制度に近いような制度を選んでおったわけでございまして、この「適当な生活の維持を図る」という趣旨には反していない、こういうふうに考えております。
  163. 坂口力

    ○坂口委員 最初の「退職又は死亡の時の条件を考慮」する、この「退職又は死亡の時の条件を考慮して、」というのは、例えば退職なら退職のときの条件を考慮してということだろうと思うのですが、これは今までは算定基礎給与が最終給与額あるいはまた最終一年の平均本俸、こういうことでありましたから、これでよく当てはまったと思うわけです。しかし、今回の場合は平均標準報酬月額ということになりますから、これは「退職又は死亡の時の条件を考慮して、」という表現からは少し遠ざかるのではないだろうか、そんなふうに読み取れるわけでございます。これらも含めて、この字句の問題もさることながら、この国家公務員法百七条に流れておりますところのものと今回とは若干これは異なってきている。  そこで、これはその辺も勘案されておる、こういうふうに言われましたが、これは人事院総裁、先日も大蔵委員会で、それじゃ人事院としては、この百八条に「年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見国会及び内閣に申し出ることができる。」という条文がありますけれども、その調査研究はどうですか、あるいは国会及び内閣に申し出られましたか、こういうことを申し上げたわけです。主計局長に口頭でお申し出にはなりましたけれども、しかし、それは口頭でのお申し出であって、これは余り大きな研究成果ではなかった、こういうことではなかったか。その旨は人事院総裁から御答弁がありましたし、それ以後、人事院の方から主計局長に口頭で申し入れられました内容につきましていただきました。短いですから読み上げてみますと、こういう内容でございます。   今回の年金制度改正は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しづつ改革を進めるという基本的な考え方に基づくものと承知しております。このような年金制度の改革に際しては、長期的な展望にたち、給付と負担の適正化を図ることにより世代間の公平性を確保するとともに、この制度が公務の職域における老後の所得保障として、公的年金の一翼をも担っていることから制度間の整合性の確保にも配慮することも必要となるものと思われます。  しかしながら、公務員年金制度は、社会保障年金としてのみならず、公務員に国民全体の奉仕者として在職中厳正な規律の下で専心勤務に精励させるとともに高い志気の保持、適切な退職管理を可能にする等人事管理上重要な役割を果たしており、これが公務の公正かつ能率的な運営に資するという公務員制度の側面を有していることに鑑み、年金制度の改正に際しては特に職域年金の在り方を中心として公務員制度の一環として機能し得るよう十分な配慮を必要とするものと考えます。  大まかに意見は述べられておりますけれども、しかし、この前も申しましたように、今回のこの大改正を行うに当たりまして人事院が出されたものとしては少しお粗末ではないだろうか。調査研究することになっておりますが、調査研究をされたのか、そして、されても発表をされなかったのか、それとも、特別に今回のこの改正に当たっては調査研究をされなかったのかということと、もしされなかったのであるならば、この法案が通るか通らないかこれはよくわかりませんけれども、まあ後先になりますが、今後調査研究をされて国会に御報告になるお気持ちがありますかどうか、あわせて御答弁をいただきます。
  164. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 調査研究の内容でございますので、私から答弁をさせていただきたいと思います。  人事院といたしましては、国公法百七条、百八条の規定に基づきまして、退職公務員状況につきましてその生活状況の調査、それからまた、退職手当関係の一環といたしまして企業年金等についての調査というものを実施いたしておりまして、今後もこういった退職者につきましての調査を継続したいというぐあいに考えております。
  165. 坂口力

    ○坂口委員 それは特別にしたものですか。
  166. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 これは従来からいたしております。
  167. 坂口力

    ○坂口委員 従来からやっているものですね。
  168. 内海倫

    ○内海政府委員 調査につきましては、ただいま主管局長からお話を申し上げましたように、従来からある程度の調査は実施しておるわけでございますし、今後もまたいろいろな観点からの調査はぜひ実施をしていきたい。  また、今回の改正につきましても、私どもとしましては、先ほどお読み上げになりましたような申し入れもいたしておりますが、同時に、この案が策定される段階におきましても、累次意見を主管省の方には申しまして、できるだけ公務員制度の一環としての年金制度というものが確保される、このために努力をしたつもりではおります。私どもは、職域年金というものが三階建てとしての積み上げとして出てきたということにつきましても、そういうふうな関係者の話し合いあるいは努力というふうなものの結果ではなかろうか、こう思っております。  なお、先ほど御質問のございましたように、この法案の御審議の過程におきましても、もし私どもが対応しなければならないような状態があれば、それの対応の一環として、場合によっては意見を申し上げることもあろうと思いますし、今後またいろいろ調査を継続する過程においてその必要を感じました場合には、私どもはやはり公務員の制度の一環としての年金制度を確保していく観点からも、意見はやはり申し述べるような考え方を持っております。
  169. 坂口力

    ○坂口委員 総裁、もう一遍お聞きしたいですから、どうぞそこにおってください。  総裁の今御答弁の中で、審議中においても意見を申し述べる機会があれば述べたいということをおっしゃいましたが、それは、この口頭で申し入れられた総論的なことではなくて、もっと具体的な各論的なことで御意見をお持ちになっている、それが現在のこの法案には十分反映されているとは思えない部分もあるから、その審議の過程においてもし意見を述べよということがあれば申し述べる、こういうことでございますか。
  170. 内海倫

    ○内海政府委員 先ほど申し述べましたように、この法案自体につきましては、私どもは、確かに公務員についてはかなり厳しい点もございますけれども、職域年金というものが設けられることによって、公務員制度の側面からも一応の措置がとられ得た、こう思っておりますから、このこと自体については、私ども審議の御様子をよく承りたいと思っておりますけれども、私が先ほど具体的に意見をというふうなことを申しましたのは、例えばこの職域年金部分というふうなものをいろいろなことでもしこれは取りやめるとかいうことになるようでありますれば、私どもはこれは根幹にかかわる問題という意味で御意見を申し上げることもあろう、こういうことを申し上げております。
  171. 坂口力

    ○坂口委員 人事院の方から調査研究もしたという御報告がございましたけれども、人事院が今言われました調査研究は、通常人事院がおやりになっております調査研究でございまして、今回の年金に際して特別にされた調査研究ではないわけでございます。その点非常に不満が残るわけでございますが、その点について調査研究をもう少しして、その結論が、今回の改正案と大体同じになるかもしれませんし、あるいはまたもっと違った結論が出るかもしれない、その辺の調査研究をおやりになる必要はございませんかということを私は聞いたわけで、もう一つそれも簡単に御答弁だけいただきます。
  172. 内海倫

    ○内海政府委員 この法案自体にかかわっての特別な調査研究というものは、今私どもは直ちにこれを行うということはまだ考えておりませんが、このような制度が施行されるというふうな場合においてどういうふうな状態が出てくるかというふうなことについては、やはり今後ともに調査もし、研究もしていきたい、こういうふうに思っております。
  173. 坂口力

    ○坂口委員 総理、今お聞きをいただきましたように、今回のこの法案が提出されるに当たりまして、きょうお昼からずっと議論がありましたように、国鉄の問題にいたしましてもいろいろの問題を残しておりますし、また、人事院の方も、特別に今回のこの大改正に当たりましてそれにふさわしい調査研究というものもされませんでしたし、そして、国会あるいはまた内閣に意見を申し述べるというほどのこともおやりにならなかった。それからまた、先ほど申しましたように、国家公務員法も今までの流れから見ますといろいろ流れが変わってきているにもかかわらず、ここには何ら手をつけることをされなかった。私は、この提出されました法案のよしあしを申し上げているわけではございませんで、その結論に至りました過程を実は申し上げているわけでありまして、いろいろそこで研究をしても同じ結論になったかもわかりませんが、たとえ同じ結論になったといたしましても、過程がどうであったかということによって持つ意味は違ってくると思うわけでございます。  ひとつ総理にお聞きをしたいと思いますのは、今回のような年金制度を抑え込むような大改革は、公務員制度そのものを抜きにして年金だけを大改革をすることはでき得ないシステムになっている。先ほど申し上げたように、労働基本権の面からいきましても、あるいはそれを補います法律からいきましても、人事院の制度からいきましても、これは公務員制度論を抜きにしてはでき得ない状態になっている。本来なら公務員制度審議会、これは総理の諮問機関になろうかと思いますが、この辺も開いて、公務員制度論をひとつ十分にそこで議論を闘わして、そして公務員の処遇のあり方等をまず検討しなければならない問題ではなかったか、こういうふうに考えますが、この点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  174. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 公務員制度審議会は、国家公務員地方公務員及び公共企業体の職員の労働関係の基本に関する事項について調査審議するものであり、また、国家公務員共済年金制度はこの所掌外にあると考えております。国家公務員共済年金制度を所掌する審議会は、国家公務員等共済組合審議会及び社会保障制度審議会というものがありまして、おっしゃるようにちゃんと系統立ててできておるわけでございます。  しかし、公務員制度の中に、最初の御質問にありましたように、大きく包摂されて、年金や待遇問題というものもまた書かれておるわけでございます。そういう意味におきまして、今回行ったことは適法であるとは思います。しかし、なるほどそういう御意見も我々としては注意をしておく必要があるな、そういうふうにお話を承っていて実は感じておった次第でございますが、今後よく慎重に対処していきたいと思います。
  175. 坂口力

    ○坂口委員 総理から前向きな答弁をいただきましてある程度満足でございます。しかし、法案は既に国会に出てまいったわけでございますし、本来ならば、そういう手続をした上でこの法案が出てくれば今回のようないろいろな問題は起こらなかったのではないだろうか、国鉄も含めまして。その辺に手抜きがあったという言葉が適当かどうかはわかりませんが、いずれにいたしましても、この法案を出すに至るまでの過程においてもっとやはり踏むべき問題があったのを手抜きしてきた嫌いがなきにしもあらずである、こう断ぜざるを得ません。  そこで、最後に、これは大蔵大臣にお聞きをしなければならないと思いますが、先ほど当局の方から、国家公務員法につきましても、流れております思想は私が言ったことがそのとおりである、国家公務員法の文章というのは、今回のこの改正にもなおかつそこで当てはまるものだというふうに考えるというお答えがありましたけれども、しかしこれは非常に無理をしていると思うのです。けさから法制局にもお邪魔をいたしまして、いろいろ実は議論をしてきたのですけれども、今までの歴史を踏まえますとかなり無理な状態になってきていると思うのです。こうした問題を踏まえて今後の公務員制度、これは全体を踏まえての問題になると思いますが、こうした点を検討されるお気持ちがあるかどうか、もう一度お聞きをしたい。
  176. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も、今総理からお答えがありましたように、公務員制度審議会の議を経なければならないとは書いてありませんが、そこまでの気配りと申しましょうか、なるほどなと思って実は聞かしていただいております。したがって、この種の問題につきましては、やはりそういう気配りはこれからもしていかなきゃならぬ課題だという問題意識は持たしていただきました。
  177. 坂口力

    ○坂口委員 あと四分くらいしか残っておりませんが、もう一問だけお聞きをしたいと思います。  全く違う問題でございますが、今回統一案がここに出されたわけでございます。一元化の方向にこれで向かっていくわけでございますけれども、これは一方におきましては財政上の問題もございますし、それから官民格差の問題もございました。それからまた一方におきましてもう一つ忘れてはならないのは、これは現在の行政改革との絡みにおきましても私はこの年金の問題は関係ないとは言えないと思うわけでございます。  年金の問題は、こんなにたくさん各大臣が並んでいただいておりますように、各大臣のところ、各省庁にこの年金が分かれておるわけです。先ほど大原先生の御質問にもございましたけれども、本当は担当大臣として厚生大臣お一人でいいかもわからないのですが、大蔵省にもある、あるいは自治省にもある、あるいは文部省にもあるし、農林省にもある。こういうふうに分かれている。これは年金が一元化されるのですから、政府の側も各省の間の年金のあり方というのがもう少し一元化されていかなければならないのではないだろうか。私は、もう厚生省なら厚生省が年金担当として全部それを統合してこの問題をおやりになるということになれば、職員の問題も、各省庁にばらっと同じ年金課があるということではなくて、そこで職員の削減はできるのではないだろうか、そんなふうに思うわけです。  それで各大臣にお聞きをするつもりでおりましたけれども、時間がなくなりましたからお聞きをしました数字を申しますと、国共済の方は、大蔵省の方で専門にこれに従事しておみえになる方が十四名だそうでございます。それから自治省におきましては十三名だそうでございます。それから文部省はお二人——お二人というのが本当かどうかちょっとわかりませんが、ほかの仕事も兼ねておやりになっているのが二十四、五名おみえになって、専門はお二人ということだそうでございます。それから農林省の方は四人だそうでございまして、厚生省は七十名だそうでございます。これだけ各省庁で年金のお仕事をなすっている方があるわけですが、ここで一元化をされました以上、省庁間のこうした事務的な問題も一元化をされていかなければならないのじゃないだろうか、こんなふうに私は考えますが、最後に総理からこれに対する御見解をお聞きして、終わりにしたいと思います。
  178. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 年金の一元化という七十年を目標にする大きな仕事等を考えますと、まず支払い関係の一元化を年金庁というようなもので厚生でやらせたらどうかという思想はずっと前から聞いておりますが、今おっしゃったような点につきましても将来の課題としてひとつ研究すべきものと考えております。
  179. 坂口力

    ○坂口委員 では、これで終わります。ありがとうございました。
  180. 越智伊平

    越智委員長 坂口君の関連質問、柴田君の質問を許します。
  181. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 わずかな時間で我が党の最後の質問をいたします。  私どもといたしましては、今回の四共済年金の改正法案は撤回とか廃案という考え方は今のところ持っていません、また今後の審議の過程でどうなるかわかりませんが。しかし、中身は非常に問題がありまして、大幅な抜本修正を要求していきたい、こういうように考えております。職域年金相当部分の問題あるいは障害年金あるいは遺族年金等々の問題、いろいろ問題があるわけでありまして、もしこういった修正の問題が与野党間でまとまった場合に政府としてはどう対応されるか、これは今後の私ども態度を決定していく上に大きな問題でありますので、最後にお聞かせいただきたい。総理、どうですか。
  182. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 可及的速やかに本法案を御審議賜りまして成立させていただけばありがたいと思いますが、今後の与野党間の折衝を見守ってまいりたいと思います。
  183. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 終わります。
  184. 越智伊平

    越智委員長 安倍基雄君。
  185. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今まで同僚議員がいろいろ質問されてこられましたけれども、我が党といたしましては、年金の改正法案はどうしてもこの国会内に通すべきものではないかと思っております。このままほっておきますと官民格差がますます広がっていく。六・六などはすぐ違憲なものをつくるわけでございますから、その点とは性格の変わっている法案だと考えております。もう既にいろいろ議論が出ましたけれども、幾つかに論点を絞ってお聞きをしたいと思います。  まず第一に、保険料というものが税金と非常に似たような性格になっておる。これから高齢化社会に伴いましてどんどんと保険料がふえていく。そうすると、税制を考える上においては常に保険料とミックスしたというかトータルした考えでいかなくてはいけないだろうと思うのでございますけれども、将来税金がどのくらい、保険料がどのくらいといういわば負担を想定してこの制度ができているかということをまずお聞きしたいと思います。
  186. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる租税負担率、社会保障負担率の目標値ということになりますと、究極的には政府部門、民間部門に資金をどう配分するか、それはどれくらいが適当かという選択の問題と裏腹をなすものであります。したがって、国民が必要とする公共支出はどれくらいが適当かということ、その水準と裏腹で対応して決まるということになりますが、今に言えることは、臨調の答申、そして「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中にありますように、将来の租税負担と社会保障負担とを合わせた全体としての国民負担はヨーロッパ諸国の水準よりもかなり低い水準、その低いとはどこかということは今までもそして今後も議論しなければならぬ問題でありますが、それを頭に置いておるというのが今の場合の限界ではないかというふうに考えます。
  187. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 総理がいろいろ税制改正を言われておられる。この税制改正は常に将来の高齢化社会の保険料負担というものと絡んで考えていかなければいけないということでございますけれども、その点総理、いかがでございますか。
  188. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 それは、臨調答申というものを頭に置いていつもやっておりますから、今大蔵大臣が答弁申し上げましたように、西欧の水準から見ると、税及び社会保険料の両方の負担を合わしたものはかなり低い水準の方に置けるような改正というものを考慮すべきである、そう考えております。
  189. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間が限られておりますから、いろいろ聞きたいことがございますので、先に進みます。  今まで、特に社会党との論議で、国鉄共済の問題が常に中心となっておりました。私どもも、この問題は非常に大きな問題と思っております。さっきの御答弁で、六十四年度まではちゃんとやる、その先は検討するというようなお話がございました。私どもはそれで審議をとめたりするようなつもりはございませんが、大きく見まして、これをどうするかということについて三つの方法があるだろう。  一つは、保険集団を広めていく。保険集団をどこまで広めていくか。地方公務員まで広めていくのかあるいは厚生年金まで広めていくのかという問題がまず第一でございます。  もう一つは、税金で賄う。税金といってもどうせ国民の懐から出るわけでございますからこれもまたいろいろ問題がある。  第三の方法としては、国鉄がいわば民営化する。民営化した後の国鉄というのはなかなか収支が償わないような話を私は聞いておりますけれども、必ずしもそうではないのではないか。考えますと、都会地のど真ん中には国鉄の土地も随分ある。土地というものは黙っていても少しずつ上がっていく。また、目抜きのところに土地を持っておりますと大サービス業、百貨店とかいろいろなものができる。こういったことを考えますと、意外と民営化以後のそういった会社がもうかってくる可能性もある。どのくらい国鉄が含み資産を持っているかということはこれからの問題でございます。  例えばさっきの地方公務員のあれにいたしましてもパンクしそうなものが出てくる。また厚生年金の方も今まで我々は随分低い年金で甘んじておった、国鉄は随分高いじゃないかという話もある、何で我々がそれを担がなければいけないんだという議論は必ず出てくる。  そういう意味で、彼らにかぶせていくのか、保険集団でいくのか、あるいは税金でいくのか。場合によっては、税金ではないけれども、新会社がもうけてきたらそこから出すとか、あるいは国鉄の資産をもっともっと評価していく、十分うまくさばいていけば相当なものになるんじゃないか。国鉄そのものあるいは分割民営後の会社にも負担させるような感じがあるのかどうか。この三つの方法についてどうお考えになっているか。さっきのお話だと、これから考えるのだということでございますけれども、私どもの考えた点のどの点に重点が置かれているのであろうかということをお聞きしたいと思います。
  190. 竹下登

    ○竹下国務大臣 国鉄共済の今後の問題ということになりますと、先ほど来申しております、いわゆるきょうの段階における統一答弁でお答えするというのが今の限界であろうと思うのでございます。だが、今おっしゃいました三つの問題は、それぞれ、それらの意見をも踏まえて検討すべき課題ではなかろうかと思っております。  ただ、集団の問題ということになりますと、どちらかと言えば国共済審議会はそのような趣旨にも読める答申をいただいておる、他の審議会はそのようには読めない答申をいただいておる。  それから、二番目の税金の問題でございますが、一般会計からの支出とでもいいましょうか、あるいは従来目的税を設けるという議論もございますが、目的税ということになりますと、税制の抜本議論が行われておるさなかでもございますし、これは今のところすぐ結論の出る問題ではなかろうと思います。  したがって、三番目の民営に移管された後の問題ということになりますと、それぞれどういう形が予測されるか、まちまちだろうと思います。いいところもあれば、真ん中ぐらいのところもあるでございましょうし、これらの問題についてはにわかにお答えするだけの自信は今のところございませんが、そういう意見を踏まえて検討させていただく課題だと思います。
  191. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 では、最後の民営になった会社に負担させるということも一つの方法としては検討の余地があるということでございますか。
  192. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ちょっと専門でございませんので明確に答えられませんが、移っていきました際には、その問題は新しい職場で継続した年金制度の中で、もちろん経営者側も負担することにはなるわけでございますが、具体的に今お答えするだけの勉強を私、しておりません。
  193. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、保険集団の拡大にしてもいろいろな問題があるということで、この点については今後の国鉄分割民営化に絡んで御討議願いたいと思うのでございます。  次に問題を移します。  さっき坂口委員が提出された問題でございますけれども、今度の改正法は非常に大きな改正だと私どもは理解しております。と申しますのは、公務員年金が大きく変わってくる。これは一般的には高いものをみんなと一緒にするということにおいては一つの意味があるのでございますが、さっき国鉄の問題が出ましたけれども、他国と比べて公務員についてはどうなっているのかということをまずお聞きしたいと思います。
  194. 門田實

    ○門田政府委員 諸外国の制度のお話でございますが、諸外国の公務員の退職年金制度は、その国の公務員制度のあり方あるいは社会保障制度の歴史などに当然かかわっておりまして、そこは非常にさまざまでございます。しかし、概括して申し上げますと、欧米諸国におきましては、公務の特殊性等を考慮いたしまして、一般の被用者年金とは別建ての制度を設けておるというところがございます。その場合には、公務員、官吏というところの概念がまた日本とは違うというような事情もございます。
  195. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今度の職域年金相当部分という部分がございますけれども、これはどういう根拠で算出したわけでございますか。
  196. 門田實

    ○門田政府委員 今回の職域年金部分の設計でございますが、これにつきましては、公務の特殊性ということから当然何らかのこういうものが必要であろうということで私ども検討いたしたわけでございます。  その検討に当たりましては、一方で民間におきまして企業年金というものが相当普及してまいっておりますので、それとのバランスにおきましてまず研究する必要もあるだろうということで調べたわけでございますが、企業年金の態様、水準、方式等なかなかさまざまでございまして、そのまま公務員の場合に持ってくるというわけにはいかない、これはあくまで参考にとどまる、こういう感じでございまして、もっぱら公務員制度の一環という観点に立ちまして、その場合に労使折半の保険料負担でございますから、やはり負担の限界ということを考えなくてはならない、こういうことがございまして、現在お示ししておりますような厚生年金部分に対しまして二〇%、基礎年金を含めますと全体で八%強、完成時にそういう水準になるような職域年金部分を設計したわけでございます。
  197. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私、こういうことを言うとむしろ票が減るかもしれないのでなかなか言いづらいことでございますけれども公務員というものについて思い切って官民格差をなくす。格差をなくすことはいいのですけれども、だれもかれも−公務員の中でも非常に大切なことをやっている人間がいる。どれが大切かどれが大切でないかという議論はございましょう。私は昔、門司の税関長をしておりましたけれども、職員に対して、一番恨まれるのは大蔵省の税関とか税務署、あるいは警察だ、ところが、こういったものがしっかりしていなければ社会はどうにもならぬのだということをよく訓示したことがございます。警察なんか、私は特に警察のシンパでもないのですけれども、会ってみますと、例えば課で旅行するというときもみんなが行けない、半分くらいしか行けない、しかも一泊以上できないというような非常に緊迫した状況のもとに働いている。彼らにそれだけのモラルがあるということはもちろんそれは伝統でございましょうけれども、かつての警察あるいは税務署、そういったものはある意味では非常に身分が保障されておった。退職金も一応あるし、しかも年金もはっきり恩給という形でもらっておった。そういった裏づけがあって、しかも一生懸命やればどうにか昇進していった。  ほかの国の恩給を見ますと、アメリカでもイギリスでも、例えば最も高い連続三年間の平均給与とか、フランスなどは退職前六カ月受けていた俸給とか、今までの日本の制度と同じ制度であるわけでございます。これを官民格差ということで全部下げるという話になるのでございますけれども日本の場合にはいわゆる官という人数が非常に多いわけです。     〔越智委員長退席、堀之内委員長代理者席〕 つまり、そう言っては悪いけれども、地方自治体の印鑑証明なんかぼんぼん判を押す者も官であれば、警察あるいは税務署あるいはここに来ておられる皆さん、いわば政策立案のために非常に力を発揮している人々もいるわけでございます。そういった人々が第二の人生を考えるようなあるいは汚職に手を出すというようなことがあっては国家的な損失なわけです。でございまして、単に官民格差ということだけで物事をとらえるべきではないのではないか、本当に官の中でももうこれがいなくては社会が成り立たぬ、あるいは本当に大切な政策立案をする、そういう者に対して、果たして彼らを通常の扱いとしていいんだろうか、単に生活保障の形にしていいんだろうかという懸念があるわけでございます。  この点、私がこういうことを言うと、本当に大勢の人間の票を持っている人から考えると非常にけしからぬというような議論が出るのかもしれませんけれども、しかし、国家というものは、そういう人間をぴしっとモラルを高めるというところに成り立っておるわけでございます。そういった人々が本当の意味の職務に専念できるという体制に持っていかないとこれはどうなんだろうと私は考えます。  そこで、今のいわゆる職域部分というのですべてを割り切っていくというのはどういうことだろうかな。私は税務署とか警察を見ていまして、ほかの職務に専念している民間とは——民間でもそうかもしれませんけれども、しかし権限があり、義務があるという者が腐ってはしようがない。彼らは権限がある。これが悪いことをしたら国家はおしまいでございます。本当にそういった者に対してはきちっと保障すべきものを保障するというのが公務員制度の趣旨ではないか。官民格差ということだけで流されるべきではない。  しかも、その官の中には民間企業と全く似たような官もある。私がこういったこと宣言いますと、まあ——民社党の意見というか、私個人がどんどん出していることでございますけれども、こういった観点から今回の制度というものをどうお考えになるのか、これについて人事院総裁の御意見を承りたいと思います。
  198. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 お話しのように、一概に公務員と申しましてもそれぞれ異なる職種がございまして、非常に服務規律あるいは勤務態様、異なる実態がございます。これらにつきましては、年金の問題は一応おきまして、給与の面におきまして、御承知のように一般の行政職に対しまして、例えば公安職の(一)表でありますとかあるいは公安職の(二)表、あるいは税務職の給料表という形で給与の水準の差を設けております。この給与の水準の差は、当然その生涯を通じて出てくるわけでございますから、年金の部分にも反映されるもの、このように考えております。
  199. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 特別職という話を言われましたけれども、さっきの坂口委員の試算でも下がるものは四〇%ぐらい下がるというような話がございます。これは単に特別職で優遇すればそれで済むという問題ではないと思います。むしろ、いつかこの辺の問題について見直す時期が必ず来るのではないか、その点、今までこれをどの程度本当に本気で検討したのか、私は非常に疑問に思う。人事院総裁と総理の答弁をお願いします。
  200. 内海倫

    ○内海政府委員 ただいまのいろいろなお話を承っておりまして、公務員制度または公務員制度の中における公務員のモラルというふうなものを絶えず所管して勉強いたしております私どもとしましても、非常に御意見に対しましては同感でございますし、敬意を表したいと思います。  ただ、一般的に考えまして、官民というものの間に格差をできるだけ少なくしていく、平準化していくということも非常に強い社会的な要望もございますし、また私どもも、いろいろな面でそういうふうな官民の給与格差というふうなものに対して、絶えず神経を配りながら検討をいたしておるところであります。  しかし、今回の例えば共済年金法の改正案の作成に際しましても、私どもは今おっしゃったような公務員の職務というものの他の一般の民間の方たちの職務とはかなり違っておる点のあること、さらに非常に厳しく、責任が非常に重い。その責任は国民に対して負うような責任であります。そういう面から考えましても、公務員というものの職務の実情というものをぜひ反映して、この年金というものにおいて実現していきたい、またぜひ実現してもらいたい、こういうことを強く要望してきておるわけでございまして、今後ともにやはり官民の間におけるある面における均衡というものは考えなければなりませんが、同時に公務員のそういうふうな職務の特殊性、責任の重大性、とりわけ国民全体に奉仕をしなければならない公務員立場というふうなものをいろいろ国民の皆さんにも理解していただかなければならない、こういうふうに思っております。
  201. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 公務員制度には、やはり厳然とした公務員制度の特色があるだろうと思います。労働権の制約もございますし、あるいはまた、一面において守秘義務とかあるいはいわば無定量の国民に対する奉仕責任、そういうようなものもあります。そういう意味におきまして、営利行為もできない、普通の民間人とは違った立場にある、やはりそれなりの処遇を受けるべきものでもある、そう思っております。  ただしかし、これが独善になったりあるいは特権的地位になるということは好ましからざるところでありまして、今回、官民格差の是正というようなことも言われたのは、全体の奉仕者としての公務員というものが、国民から退職金あるいは年金等について少し隔たりのある給与を受けている、そういうものに対する長年の批判等もございまして、その是正も図っているという面もなきにしもあらずでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、公務員制度というものは独自のそれなりの体系を持っているものでありまして、それなりにふさわしい処遇というものが与えられなければならない、そのように思います。
  202. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私、数字を持っておりませんけれども、皆さんに海外の事情を調べていただければわかると思います。日本における官というのは、民間と非常に似たようなことをしながら官であるという要素が随分あるのではないか。つまり、独善的になってはいけないということは事実ですけれども、権限を持っている人間、そういった人間は腐敗しては困るわけです。そういった人間に対しては、やはりぴしっとしたモラルを高める保障が必要なわけです。  日本の場合には、官の名において非常に民間と似たようなことをやっている連中が官と扱われている。その官民格差が一番問題となっているのじゃないかなと私は思います。この点、総理の御答弁がそういったことを勘案した意味の御答弁であるのかどうか。
  203. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 そういう公務員制度には公務員制度の独自性があるということを申し上げたので、それはそれなりのふさわしい処遇が与えられるべきである、そういうふうに申し上げている次第なのであります。
  204. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 また、これは私の私見でございますけれども、しかしこれは長い目で見たときに、必ず問題になる問題ではないかと私は思います。  次に、これはちょっと具体的な問題になりますけれども、軍恩欠格者という人々がいます。私の地元で、こういった連中は必ずしも民社党の支持者じゃないのですけれども、しかしいろいろ話を聞いてみますと、ちょっと不合理な点があるなと思うのがございます。  例えば十二年未満の軍歴の者の問題。軍歴が十二年を超えればどんどんと恩給をもらう、それ以下だったらもうそれはだめだ、それはもちろんどこかのところで線を引かなくちゃいけないことは事実でございますけれども、彼らの軍歴というのは自発的意思じゃなくて、いわば戦争終結ということで終わってしまった。あるいは引き揚げたことで終わってしまった。そこで、いろいろ聞いてみますと、彼らにはかって五十三年か五、六年に、一人当たり一万五千円ずつぐらい支払われたという事実はあるようでございます。現在、彼らをどうするかということをいろいろ論議されているようでございますけれども、だれもかも戦争で犠牲をこうむったのでございますが、例えばさっきの国鉄の場合に、外地で、満鉄で働いてきた人々は、日本国鉄に勤めればそれが通算されているわけでございます。軍恩欠格者の軍歴というものを厚生年金に通算しようという話が起こったときに、これは金を出してないのだから通算できないというような結論が出たと思います。  私は、この戦後処理の点で、もちろんみんなが損害をこうむったのだけれども、少なくともこういった公的年金の一元化という話が俎上に上ったときに、彼らのいわば軍歴を救済してやったらどうだと思う。と申しますのは、軍歴といいましても、彼らは民間で働いていた人々でございます。こういった人々を、例えば十二年を超えている者は軍人恩給をどんどん上げて、しかもスライドしていく、少しでもそれに欠ける者は厚生年金も全然通算もしない、もちろん一万五千円ぐらいずつを払っだということですが、私どもの支持者じゃないけれども、それではいささか公平感に欠けるのじゃないか。こういった公的年金一元化の機会にこれはもう一遍見直す必要があるのではないかなと私は考えておりますけれども、これについての御見解をお聞きしたいと思います。
  205. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 軍歴の期間を通算することができないという一つの例としては、厚生年金保険制度ができましたときに、それまでに働いておった方々についてはその制度を適用しないということがございましたので、そういう方々との公平の観点から問題があるということでありました。軍歴通算問題に関する報告におきましても、「恩給受給資格年限に満たない軍歴期間を厚生年金保険及び国民年金に通算することは適当でない」という報告をいただいておるところでございます。またさらに、そのことは戦後処理問題懇談会報告においても確認されておるわけでございますので、まことに残念でございますけれども、目下のところ可能性はないということでございます。
  206. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうも言っていることがはっきりしないのですけれども厚生年金の場合にはちゃんと加入者がお金を積み立てたじゃないか、ところがそういった軍恩欠格者の場合には払ってないと言いますけれども、彼らは、何年間かは自分の体をもって国に奉仕したわけです。今自衛隊で雇うならば相当の給料を払わなければいかぬ人々なわけでございます。しかも、彼らが通常の共済年金関係できますると、これは通算したのじゃないのですか。そういうことを考えますと、これはいかにも不公平ではないかな、公的年金の一元化のときに何らかの形で通算というようなことを考える必要があるのじゃないかなと私は考えております。これは総理がどこかへ行かれちゃったものですから、帰られたら御意見を承りたいと思いますけれども、もう一遍厚生大臣、この点いかがでございますか。
  207. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほども申し上げましたようなほかの例との公平の観点、あるいはいろいろな研究報告の結果がございますので、この点につきましては、まことに残念でありますけれども、御期待に沿い得ないものと思います。
  208. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それでは、この問題は総理が帰られてから総理の御意見を承りたいと思いますけれども、——ちょうど帰ってこられたから……。  今総理の立たれている間に、軍恩欠格者の話をいたしました。私がお話ししたのは、保険料を払ってないじゃないかということで厚生年金から外されているわけでございますけれども、彼らは、何年間かは自分の体をもっていわば奉仕した。しかも、共済関係で続ければそれは通算する、厚生年金はしなかった、体をもって尽くしたそういった連中が通算もされない。私は今、彼らに軍人恩給を出せとは言っておりません、随分財政負担が悪い時期でございますから。しかし、何らかの形で公的年金を一元化するときに考慮してもいいのじゃないか。総理は、戦後の総決算とおっしゃいますけれども、こういった連中は決してずっと職業軍人だけではなくて、民間で働いていた連中でございます。私は、いかにもその不均衡が目につくのではないかなということでございまして、厚生大臣は、それはだめだというお話でございますけれども、この点はいかがでございますか。
  209. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 いわゆる恩給欠格者問題につきましては、さきの戦後処理問題懇談会におきまして二年半にわたって検討を加えた上で、「これ以上国において措置すべきものはない」とするとともに、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から、特別の基金を創設することを提唱しております。  政府としましては、この懇談会の報告の趣旨に沿って特別基金の事業内容等について関係省庁とともに十分協議して検討していくことといたしておりまして、現在これに関連して、関係者の実情、基金に関する希望等について調査をしているところでございまして、そういう程度で御了解をいただきたいと思う次第であります。
  210. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうもできた作文をお読みになっただけなんで、私の言った趣旨が十分通じていないかと思います。この問題ばかり取り上げる気持ちはないのでございますけれども、いずれにいたしましても私は、この問題はちょっと尾を引く問題であるなと思っておりますし、戦後の総決算をなさるというのであれば、少なくともこの厚生年金の通算ぐらいのことは考えるべきじゃないか。要するに、さっきお話ししましたように、彼らが共済関係の官吏みたいな格好でいくと通算されたらしいのです。民間で働くと通算されないというのはいかにも不合理じゃないか。私は、彼らに軍人恩給をやれとは言っていない、そういう面の処理があるのではないかと考えるのでございます。  いろいろございますけれども、最後に、いわゆる公的年金の一元化はどういうスケジュールでなさるのか。例えば拠出方法なども一元化していくのか、あるいは負担割合をどう変えていくのか、これは先々の問題でございますけれども、この辺の問題を含めて今後これをどうしていくのだろうかなという点について御見解を承りたいと思います。
  211. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 その問題につきましては、多少現業業務の一元化ということにも関係してくるかと思います。私どもは、年金制度の公平と安定ということを念頭に置きながら、負担と給付の公平を図る、なおかつ、各制度の安定を図るということを主眼といたしておるわけでございます。ただ、これは昭和七十年度までに一元化するということでございますから、若干時間がございますので、いろいろの問題もよく研究してみたいと思います。
  212. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうもはっきりしないのですけれども、例えばこれから運用がいろいろ問題になるだろう。金利が自由化されてくる。そうすると、運用面で従来自主運用させていたものもあれば、全部預金部に持っていったものもある。自主運用の中でも、私は最近よく議論するのです。けれども、例えば金利を求めて海外にぼんと投入する。それがいわば為替差損で大損するというような運用もあり得るわけで、現在は、聞いてみますと、そういったものは安全確実に運用しろというような歯どめを設けているようでございますけれども、こういったことも含めまして、将来どういうぐあいに一元化というものを拠出面において、運用面においてそれぞれ考えていくのかということでございます。
  213. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 運用の面につきましては、保険料の積立金とその運用益というものが将来の課題になる支払いに対する元手になるわけでありますし、またピーク時におきましての保険料負担の軽減にも役立つわけでありますので、年金の積立金の高利運用は一層要請が高まるものと考えておるわけでございます。  特に共済年金におきましては積立金の自主運用が認められておるわけでありまして、これも一面からの官民格差と言えるかもわからないと思うわけでございますから、積立金の一部について民間の活力を利用した別建て高利運用の要求を六十一年度の概算要求でいたしておるところでございまして、調整の面につきましてはこれからの課題であろうかと考えます。
  214. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これから保険料の負担が増大していくとなると、これをどう運用していくかということが随分問題になると思います。運用で利益をどのくらい上げていくのか。上げてといっても逆にいろいろなリスクがあっても困る。財投をこれからどうするのかというような問題にそれぞれ絡まっていくと思いますけれども、この辺につきまして、運用部資金をこれからどうするのだろうということについての大蔵大臣の御見解をお願いしたいと思います。
  215. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いつも申し上げますように、財投というものの基本から考えなければならぬわけでございますが、従来から、そのときどきの経済情勢や社会的要請に応じてその事業内容、融資対象、これらを見直して、整理を行いながら適正な資金配分を今日行っておる。したがいまして、財投というものの意義からいたしますと、資金運用部資金を財投にどれだけ充てていくか、そしてその金利等をどうするかという政策課題が一つあります。一方は、今度は年金資金をより有利に運用しようとする目的がございます。結局、今日のところ、国の信用において集めたものは一元的に運用するのがいわば筋である。行革審、臨調等からの答申に基づいてそれを行っておるところであります。  したがって、この問題につきましては、私どもはその趣旨を今日まで主張いたしておりますが、今厚生大臣からもお答えがございましたように、来年度予算要求に際しての概算要求に当たって、自主運用の範囲拡大とでも申しますか、そういう問題が出てきておりますので、これについてはそういう要求をされる権限もございますし、また我々は今後話し合いを進めていく、こういうことになるのではなかろうかと思っております。
  216. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大体お聞きすることはお聞きしましたからこの辺でやめておきますけれども、最後に私は、さっきお話しいたしました公務員のモラルという関連で、官民格差ということで、要するに人数が多過ぎる。これは、なかなか言い方が悪いのですけれども、本当の意味の官と民間とほとんど変わらない官をぴしっと区別して、民間とほとんど変わらない官についてはまさに同一に扱う。しかし、本当にこの人間が悪いことをしては大変だ、権限を持っている、それだけ責任を持っている、しかも、私はさっきもちょっと言いかけたのですが、高くもらっているものを低いものに合わせるということも考えられますけれども、逆にいい人間を集めて職務に専念させるためには、例えば裁判官じゃないけれども、彼らが第二の人生など考えないでそれに全力投球できるということが必要なわけでございまして、いわゆる抽象的に官民格差の是正ということだけで物を処理するのはおかしいのじゃないか。この点についてもう一度人事院総裁と総理の御見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  217. 内海倫

    ○内海政府委員 仰せの意味は大変よくわかるのでございますが、ただ、私ども公務員及び公務員制度というものを対象にいたしております場合、おっしゃるような形で区別をすることが果たしてできるかどうか、あるいはそれが適当かどうかということも慎重に考えていくことが必要であろう、しかし、御意見は十分承っておきたいと思います。
  218. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 国家公務員地方公務員につきましては、それぞれの法規に基づきましてそれぞれの処遇なり制約が与えられております。私は、民との関係におきましても、その均衡を得るという点もまた大事な点ではあると思いますけれども、職務の内容から見る一つの独自性や独特の立場というものもまた考えておかぬと健全に発達しない面もございます。そういうような面に沿いまして、公務員法の趣旨に沿ってしかるべき処遇が与えられるように努力すべきであると考えております。
  219. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 では、質問を終わります。
  220. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 小沢和秋君。
  221. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の四つ年金共済法案の改正趣旨として、「高同齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、我が国公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、」ということが言われております。これだけ見ますと、働く人々が年をとったときに安心して生活を送れるように今度の法改正が行われるように思われるわけですけれども、しかし一方、この改革の内容なるものに立ち入ってみますと、掛金は、共済によって違いますけれども、大体二、三倍に引き上げる、これを四十年間掛けさせる、そして年金の支給開始は、最近公務員関係などは五十五歳から六十歳に引き上げて今は経過措置の最中だというのに、また六十五歳に引き上げるわけであります。さらに、もらえる年金額は二、三割切り下げるということになっております。働く者にとっては全面的な改悪だと言わざるを得ないわけでありますが、総理は、これでも高齢化社会に備えて、働く人たちが安心できるようになるんだというふうにお考えでしょうか。
  222. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 今回の改正は、高齢化社会の到来に備え、公的年金制度の一元化を展望しつつ、給付と負担の均衡を図り、公平で安定した年金制度を確立することを目的としているものであります。今までの国庫負担は制度によって区々ではありましたが、今回の改正により国庫負担を基礎年金に集中することにより全国民的に公平な国庫負担といたしているところでございます。これらの措置により、年金制度に対する信頼を損なうことのないよう長期的に安定した制度の確立を図ろうとしておるものであります。
  223. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 型どおりの答弁があったわけですけれども、私は、この法案の本当のねらいは、高齢化社会の負担を働く人自身にすべて押しつけて、国の負担はできるだけ逃れようという立場のものであると思います。医療についても、一昨年からお年寄りの医療費を有料化し、来年はそれを一挙に二倍半にするというようなことがやられておりますけれども、それと同じ発想のものではありませんか。厚生年金などの改正では、昭和百年には国庫負担は二兆七千億円も軽くなるということが当時審議の中で明らかにされましたけれども、この共済法案でも相当に国庫負担が軽くなるのではありませんか。実際はどうですか。
  224. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今回の年金制度の改正は、高齢化社会の到来に備えまして、公的年金制度の一元化というものを展望しながら、給付と負担の均衡を図って、公平で安定した年金制度を確立するということがあくまでも目的であります。したがって、年金給付水準を適正化するといたしますとともに、将来的に見た組合員の負担を軽減しよう、こういうことでございます。したがって、先ほどおっしゃいました国庫負担を減らすためではないかと言われるのは当たらないというように考えます。  国庫負担につきましては、現行制度に比べますと、当初は、経過措置が設けられておりますなどのためほとんど変わらなくて、将来に向かって給付水準の適正化により低下することが予想されますが、むしろ基礎年金給付に要する費用に国庫負担を集中することとしておりますので、すなわちその限りにおいて見ますと全国民に公平な国庫負担を付する、結果的にはそうなるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  225. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の大蔵大臣の答弁によっても、適正化によって長期的には低下をするということは確認をされたと思います。  私は、国が負担を逃れる姿勢というのが一番はっきり出ているのが先ほどから議論をされております国鉄共済の問題ではないかと思うのです。厚生年金の負担率がこの十月から大幅に上がりまして一二・四%になりました。このことで私たちも非常に大変で重い、将来払い切れないんじゃないかというような声も聞くわけでありますけれども、ところが共済年金関係は、国鉄が二〇・四%というのを初めとしてほかの共済厚生年金に比べるというと非常に重いわけであります。これは共済給付水準との関係もあるとは思いますけれども、しかし、国鉄共済の危機をいわゆる五カ年間の財政調整という形でこれらの共済に押しつけたということがこういうふうな非常に高い財源の負担率になっているということではないのですか。
  226. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いつも申し上げますように、実際問題として五十八年の公企体共済と国共済との統合、これは公的年金制度のいわば長期的安定を図るための公的年金制度の一元化の一環、そこで、よく親戚同士とかいいますが、制度の内容、沿革が類似している国家公務員の方と旧公企体職員との年金制度の統合を行ったわけであります。  その際も、労働側、経営者側、学識経験者ともに随分長い議論が行われましたが、国鉄共済財政が悪化したのは、輸送構造の変化によります職員数の減少あるいは職員の年齢構成のゆがみ、すなわち満鉄から帰ったとか、いわば我々級の年齢の人の層が厚いとかいうような問題もございます。そういう国鉄特有の原因があることも事実でございますが、より基本的には、要するに小さい単位の共済というものの持つ宿命というものがあるのではないか。なかんずくそういう小さな保険集団で運営してきたために大幅な要員減少の影響をより強く受けたということからいたしまして、長期的に安定した設計に事欠いておったという結論からいたしまして、とにかく労働者連帯という形で社会保険制度の枠内で解決すべきだということでいろいろ御議論をいただいて、法律案を作成し、国会審議していただくに至った。これは本当に労働者連帯というものの典型的なすばらしさというものを私はその際に感じました。このことは素直にいつでも私が申し上げているところであります。
  227. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 労働者連帯が発揮されたなどと言いますけれども、これは国が出すべきものを押しつけたということをあなたが別の表現で言っているにすぎないんじゃないですか。もともと国鉄共済の危機の原因というのは政府がつくり出したのだと私は思うのです。この前から議論されておりますように、敗戦直後の時期にもとの満鉄や朝鮮鉄道などに勤めていた人たちを大量に採用した、この人たちが今続々定年を迎えつつある。その一方では、目前の国鉄危機を切り抜けるということで、徹底した人減らし、合理化がどんどんやられて、保険金を払う人はどんどん減っている。こういう政府の政策によってこういうような事態が引き起こされたわけでしょう。しかも、それだけでなく、先ほどもちょっと話が出ましたけれども、鉄道省と言っていたような時代からの恩給の負担なども大変膨大な金額ですが、追加費用ということでやはり全部国鉄などに持たせるということになっているわけですね。だからこういうような大変な危機が来たわけです。  本来国が持つべきものを、国鉄、それからそのOB、さらに親戚関係だなどとあなたおっしゃるけれども、同じ公社形態だった、もう今公社形態でなくなったけれども、電電とかあんなのに親戚だなどといって押しつけることがどうしてできるのですか。あなた方の全く勝手な理屈にすぎないんじゃないですか。五十八年にああいうような共済統合をやって押しつけたことが間違いなので、これは直ちに国が負担するようにそこのところを手直しすべきじゃないかということを私は申し上げたいのですが、いかがでしょうか。
  228. 竹下登

    ○竹下国務大臣 小沢さんの理論は小沢さんの思想、哲学を背景にしてお述べになっておることでありまして、それを私は軽べつしようなどという考えは毛頭ございません。それは本当にちゃんと静かにお聞き申し上げておるわけでございますが……(「ふざけちゃいけない」と呼ぶ者あり)ちょっと委員外発言は御遠慮願います。お互い国会議員として紳士的にやりたいと思います。  そこで、今の論理というものは、これはあくまでも小沢さんの立場に立っての論理であって、親戚と申しますのはいささか俗過ぎた言葉かもしれません。しかし生い立ちは一緒ですよ。そしてまた、満鉄の方がお帰りになりましてそれは私どもの年齢です、もう皆おやめになっておりますが、戦後、あごひもを締めて、——そして軍手をはめて、体で我々を押し込むようにしてあの輸送に励んでいらした、私はあんなとうとい姿はないと今でも思うのであります。そういうものに対する国民の関心が、私はあの場合労働者連帯という表現を使っておりますが、そういう姿として出たんじゃないかというふうにいつも見ております。  したがって、世の中の推移の中でいろいろな変化がありました。それをすべて国の責任という断定の仕方は、言論は自由でありますから結構でありますが、すべてそのとおりでございますと言うほど私も愚かではありません。
  229. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の発言も大分問題があるのですけれども、そこら辺にかかずらっていると質問そのものができなくなっちゃうから先に行きますけれども、私も先ほどからの国鉄共済問題の議論を一生懸命に聞いたわけであります。そもそもこの連合審査をやるようになったというのは、国鉄共済の救済の問題につきまして政府が明確な態度を示さなかったために、それぞれの委員会での審議が難航している、こういう事態を打開しようということで開かれたと聞いておりますから、当然私はこの席で前向きの答弁がなされるかと思っておりましたら、先ほどあれだけ詰めに詰められてもなお法案審議が終わるまでに検討して報告するという程度のことで終わってしまったんですね。私はきょうの連合審査を何のために開いたのかと言いたくなるわけであります。  先ほどの答弁では、六十四年度まで国鉄共済の支給が確実に行えるように政府として策を立てるというふうに言われました。国が負担するととうとう言われなかったわけであります。そうすると、端的にお尋ねしますけれども、国は負担する気がないということだったわけでしょうか。
  230. 竹下登

    ○竹下国務大臣 あくまでも、お答えいたしましたように、六十四年までの不足分については政府の責任において解決策を講じます、こう言っているわけであります。その解決策の中身につきましては、きょうも立派な議論がございました、そういう議論をも踏まえながらこれから検討しましょう、こう申しておるわけであります。
  231. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから、端的にお尋ねをしているわけです。解決策を講じましょうというのは、国が負担をするということも含めて検討するのか、それはもう除外して、どこかから金を引っ張り出したいということで今から策を講ずるというのですかとお尋ねしておるわけです。
  232. 竹下登

    ○竹下国務大臣 国が負担すると申しましても、これは国民からちょうだいする税金でございます。したがいまして、もろもろのことを考えながら対応策を講じます、こう申しておるわけであります。
  233. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから、お金を出すと言っても、五十八年度のときのように、国家公務員共済とか旧電電の共済とかああいうようなところから出してきて、国の懐は全然痛めないでやるというやり方だってあるわけでしょう。だから、あなた方のお話を聞いていると、どうもそういうように何とか今度も持っていきたいということで考えたいと言っておられるのじゃないかというふうに聞こえてしようがないわけです。だから、端的なところ、国が出す考え方も含めて検討するのかとお尋ねしているわけです。
  234. 竹下登

    ○竹下国務大臣 もろもろの意見等を参考にしながら検討さしていただく、こう申しておるわけであります。
  235. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、もう一つお尋ねしますけれども、オール日本という形でこの国鉄共済の救済をやりたいという趣旨のことも言われたというふうにさっき聞いたのですけれども、オール日本といえば、これはいよいよ四十九兆円の積立金を持っている厚生年金と一刻も早くドッキングさせてそっちから金を出したい、これがオール日本という意味じゃないかというふうに聞こえるのですが、どうでしょう。
  236. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは、保険集団というものを大きくしていけばそれは一つの論理が通るわけでございますが、オール日本と申しましたのはまさにオール日本でありまして、特定のものを念頭に置いて申し上げたわけではない、こういうことであります。
  237. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 もちろん私は、厚生年金とドッキングさせてそっちから金を出すなんということは絶対反対です。さっきから申し上げているとおり、国鉄共済を危機に陥れたのは政府の責任だというふうに考えておりますから、政府が責任を持って対処すべきだということを重ねて申し上げておきます。  時間もありませんから次の問題に移りたいと思うのですが、私はこれまで、国が年金財源負担を逃げているということを特に国鉄中心にして追及してきたわけでありますけれども、企業の年金についての財源負担が少ないということも申し上げたいわけであります。  年金財源は労使で折半して負担をするという形をとっておりますから、労働者の負担が重くなれば企業の負担も重くなるように見えますけれども、私はそれは錯覚だと思うのです。一人一人の労働者は確かに重くなるんですよ。しかし、企業の方は労働者の数に応じて負担をしていくわけですから、人減らし合理化によってどんどん労働者が減っていけば、年金の財源負担というのは、その企業としてみればうんと減るということが当然考えられるわけでしょう。  実際、東洋経済統計月報の本年八月号によりますと、東京証券取引所の一部上場会社は、この十年の間に、平均一社当たり労働者を四千三百十二人から三千七百四十六人に、五百六十六人減らしておるのですね。だから、我が国を代表する一部上場会社は、金融、証券関係を除くと九百八十六社あるのですが、実に五十五万八千人の雇用数を減らしているわけです。これらの会社の年金などの負担軽減額というのは莫大なものじゃないですか。こういうようなところに対してももっと負担を求めるのが当然ではないでしょうか。
  238. 竹下登

    ○竹下国務大臣 年金に要するに費用の労使折半負担、これは社会保険全般を通ずる原則でございますね。特に私の担当しております共済、これの場合は、仮に使用者側負担−申しましても、それは一般納税者の負担、こういうことになるわけでございます。したがって、それはある意味において国民に対する負担転嫁、こういう問題がございますので、現行の労使折半という原則、これは妥当であるというふうに考えております。
  239. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先ほど中曽根総理は、同じような問題を同僚議員が質問したのに対しまして、新しい視角から財源問題を絶えず見直していきたいというふうに言われました。私は、この財源問題を絶えず見直していきたいという中には、今私が申し上げたように、大企業などはどんどん人を減らして、そのために年金についての負担が非常に軽くなっているというような状態に着目して、そこからもっと負担を求めるというようなことも当然含まれて考えられているんじゃないかというふうに思ったのですが、総理大臣としてはいかがですか。
  240. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 時代の進歩に応じてさまざまな角度からよく点検してみる必要がある、そういう意味であります。
  241. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今も申し上げたように、これらの企業が非常に負担能力があるということはいろいろな角度から言えると私は思うのです。労働者一人当たりの売上高は、この一部上場会社は、全体として平均すると、この間に二・一六倍に伸びているのです。ところが経常利益の方は実に四・五九倍。だから経常利益の方が倍以上のテンポで伸びている。これはどんなにこの一部上場会社などがこの間にこういう利益を蓄積して、大きな負担能力、余裕を持つようになっているかということを端的に示しているのではないかと私は思うのです。  国際比較で見ましても、日本の企業の社会保障負担率が先進国サミット参加のいわゆる七カ国中最低であることは、私は昨年末総理に質問する機会にも質問をしたわけであります。日本は労使の負担割合が一対一・一五、つまりほぼ折半になっておりますが、最高のイタリアは一対四・五七になっております。サミット参加国外では、スウェーデンなどでは全額企業が負担して、労働者には社会保険料は一切出させていないわけであります。  だから、日本でも企業、特に大企業の負担をもっと引き上げて、諸外国並みに三対七に企業の負担を上げる形で変更することができる時期に来ているのではないか、共済についても国などの負担を上げて三対七にすべきではないか、私はこう考えるのですが、総理、いかがお考えでしょうか。     〔堀之内委員長代理退席、越智委員長着席〕
  242. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 年金は、給付は個人になされるわけでありますから、給付と負担ということを考えますと、やはり人を雇っていない企業に負担を求めるということは問題があろうかと思います。また、御指摘のように、仮に企業の負担を多くすればするほど逆に人を雇うことをやめるという傾向もあらわれるのではないか。人を少なくした方が得だということになると思われる、そういう危惧もあるのではないかと思います。
  243. 竹下登

    ○竹下国務大臣 共済の場合は、先ほどもお答えしましたようにやはり国民に負担を転嫁する、こういう論理が成り立つのではなかろうかと思います。
  244. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の問題については今後もさらに議論を続けたいと思います。  さて、ようやく年金をもらえるようになりましても、先ほど申し上げたようにその額が三割あるいはそれ以上切り下げられる方もいるわけであります。厚生省の昭和五十九年老人実態調査によりますと、六十五歳以上の老人の七八・三%といいますから十人中八人までは年金が主な収入だとされております。それを三割も切り下げられたらどうして安定した老後生活を送ることができるか。特に重大なのは定額部分の切り下げ率が大きいことだと思います。今まで勤続一年につき二千四百円を掛けておりましたものが今度は千二百五十円になるわけですから、カット率は実に四八%にも達するわけであります。平均的な引き下げ率が今約三割くらいというふうに申し上げたのから見ても非常に大きい。定額部分が大きければそれだけ低所得者が優遇される、いわゆる再配分効果というのもあるわけでありますけれども、これでは全く逆ですね。私は、財政が苦しくてどうしても削らなければならぬということになるならば、いわば最低保障に当たる定額部分はできるだけ手をつけないようにして、その上積みになる定率部分を中心にして調整をするというのが当然の発想にならなければならないのじゃないかと思うのですけれども、今回のような引き下げのやり方というのは、その点でも非常に重大な問題があるのではないかと私は考えますが、いかがお考えでしょうか。
  245. 吉原米治

    吉原政府委員 従来の制度は定額部分と報酬比例部分に分かれておったわけでございますが、新しい制度におきましては、定額部分とは違いまして、基礎年金ということにしたわけでございます。やはり年金の水準を考える場合に、基礎年金とその上の報酬比例部分のバランス、そういったものを考えて新しい年金制度の設計をしたわけでございまして、今御意見のように定額部分中心、新しい制度で言う基礎年金中心にして報酬比例部分は少なくていいというような考え方は私どもとっていないわけでございます。やはり勤労者の老後の年金といたしましては、基礎年金とそれとバランスのとれた形での報酬比例部分があるというのが望ましいのではないかという考え方に立っているわけでございます。
  246. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私の主張をねじ曲げてもらっちゃ困りますよ。私は、報酬比例部分が少なくてよいなんていうことを主張しているんじゃないですよ。あなた方がどうしても削るというから、どうしても削るというのであれば最低生活保障はどうしても優先的に確保するという発想に立った調整をしなければいかぬのじゃないか、今のはこれでは逆じゃないかということを言っているわけです。まあいいです。あなた方がその点についてはまともに答弁できなかったのだというふうに理解をいたします。  時間も詰まってきましたから、次の質問をします。  私は、高齢者が老後を安心して送るために必要なのは、年金と医療だけではないと思います。核家族化が進行し、老夫婦だけあるいはひとり暮らし老人がふえているという現状を考えますと、もっと総合的な老人福祉のためのサービスを社会が提供することが緊急に求められていると思うのであります。  その点の第一は住居の問題です。総務庁の住宅統計調査によりましても、年収の高い者ほど持ち家を持ち、低い者ほど借家に入っております。その住居費を見ると、総務庁の家計調査年報によりますと、年収二百万円未満では実支出の七・七%という大きな率を占めておりますけれども、収入がふえるにつれて減り、七百万円以上の方では家計の二・二二%にすぎない、低所得者の三分の一以下の住居費になるわけであります。でありますから、現役時代に高所得だった人は早くから持ち家を持ち、高額の年金を大部分生活費などに充てて悠々自適できる。しかし低所得者は、現役時代も引退後も借家住まいで、わずかな年金の相当部分を家賃に出さなければならないということになるわけです。  最近私はスウェーデンの社会保障について勉強する機会があったのでありますけれども、スウェーデンでは老人向けの住居の世話が大変行き届き、低所得者には基礎年金の二〇%相当の住宅手当が支給されております。そのほか、ホームヘルパーの派遣、トランスポートサービス、食事、入浴、洗濯などのサービスも極めて充実しております。  日本にもその種のサービスは設けられてはおりますけれども、スウェーデンのようにどこでもだれでも利用できる、低所得者は非常に低廉なお金でそれを利用できるというふうにはなっておらないのが実情であることは関係者はよく御存じだと思うのです。真に高齢化社会に対応しようとすれば、このような総合的な老後保障の実現のために今政府は全力を挙げなければならないのではないかと思いますが、総理はいかがお考えでしょうか。
  247. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 急速な高齢化社会、長寿社会を迎えまして、それに対応できるような年全体系等を至急整備する、そういう意味から大きな改革に取り組んでいるところでもございます。
  248. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 失礼ですけれども、総理は今私の質問をお聞きになって答えられたのでしょうか。  私がお尋ねしたのは、医療や年金などだけでなく、住居とかその他のいろいろな福祉の総合的なサービスを社会が提供できるように、政府が先頭に立ってその施策の実現に取り組まなければならぬのではないかとお尋ねしたのですよ。今のはそれに対するお答えですか。
  249. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 つまり、急速な高齢化社会が近づいてきておりますから、すべての面におきまして総合的に常に点検をして充実した生活を送れるようにしたい、そういう意味で申し上げたのであります。
  250. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、そういうような医療、年金以外の総合的な福祉施策というのが諸外国に比べると日本は非常に貧弱なんですよね。それを充実するために取り組みたいというお答えだと理解しましたが、いいですか。
  251. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 おくれている面もあるし、進んでいる面もあると思うのです。しかし、高齢化社会に対応できるように一生懸命取り組みたい、そう思っております。
  252. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では最後にお尋ねしたいのですが、財政が苦しいからというのは私は理由にならないと思っております。問題はやる気、政治姿勢だと思うのです。きょうは時間もありませんから社会主義国の年金や医療などについては触れようとは思いませんけれども、ただ、社会主義国については、経済建設がうまくいっていないとか経済が停滞しているなどというようなことがよく言われますけれども、その中でも年金や医療などは着実に改善され、ほとんどの国で国民からは一銭も取らずに先進資本主義国以上の給付を実現しているということにいては私は指摘をしておきたいと思うのです。そして、先進資本主義国でも、軍備や財政危機を理由に社会保障を切り捨てようとしている国ばかりではありません。先ほどから例に挙げているスウェーデンなども財政的には苦しいのですけれども政府支出を抑制しながら、その内容とそれから財政収入の面での税制の改革によって経済成長のインセンティブを高めながら強い福祉ニーズに対してはこたえていこうという政策をとっているわけであります。高い福祉水準をこの中で守り抜いていく。国民もその方向を支持したことは、最近のスウェーデンの総選挙の結果でも明らかだと思います。  もう一言、言いますなら、この政府支出抑制の中には、今後十年間で六千人の兵力を削減することも含まれているわけであります。スウェーデンは人口が一千万足らずですから、六千人も減らすということは、日本でいったら七、八万人ぐらいは減らすということに当たるのではないかと思うのですね。スウェーデンが目指してきた福祉国家は破綻したというようなことが日本ではしばしば言われますけれども、福祉を守りながら経済的にも困難を乗り切りつつあるということで、OECDなどで高く評価されていることは御存じのとおりであります。  日本は巨大な経済力を持っております。この国力を軍備拡大などにではなく高齢化社会への対応に集中するならば、私はスウェーデン以上に高い福祉の社会をつくり出すことができると考えますが、首相は今こそこのような国政の方向に発想を転換して取り組むべきではないかということを私は最後に指摘をし、総理の見解を求めて終わります。
  253. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 御意見として承っておきたいと思います。
  254. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  255. 越智伊平

    越智委員長 江田五月君。
  256. 江田五月

    ○江田委員 総理、長時間でお疲れと思いますが、あと四分ですのでひとつお許しをいただきたいと思います。  高齢化社会の到来、先ほどから強調されておりますが、確かにそのとおりで大変な事態だと思いますね。しかし、この急速な高齢化、世界に例を見ない高齢化というのは、決して困ったことというわけじゃないので、むしろ日本人がどんどん長生きをするようになってくる、お年寄りがふえてくるということは、ある意味で大変にうれしい、好ましいことだと思いますね。自由民主党の新政策綱領ですか、この間発表になられたものでは、先ほどの総理の答弁の中にもありますが、「長寿社会の到来」という言葉をお使いになっていて、古来日本で長寿という言葉は大変めでたい言葉なんですから、めでたい、めでたいと言わなくてはいかぬと思いますが、それにしても、それは政策上いろんな困難を抱えておることは確かです。  しかし、この年金制度の改革というのは、決して何か困ったことだということではなくて、やはり未来に希望を与えていくんだ、すばらしい未来をつくっていくんだという改革でなくてはならぬと思う。私たちは、こういう時代にやはり新しい国民のコンセンサスというものをひとつつくっていく努力をしていかなくてはいけない。確かに年金を受ける方からいえば負担は少ない方がいいし、給付は多い方がいいし、支給年齢は早い方がいい。しかし、それはそうばかりは言っていられない。限度がある。そこで、どこかでバランスをとる。しかし、そのバランスのとり方というのは国民のコンセンサスによっていろいろ変わってくるわけですね。  それから、先ほどは労働者の連帯という大蔵大臣の言葉がありましたが、年金の問題というのは世代間の戦争になるのではないかというような話さえある。しかし、これはそうであってはいけないので、世代間の連帯になっていかなくてはならぬ。その世代間の連帯をつくるためにも、国民のコンセンサスを一体どうつくるか、常識を新たにどうつくっていくかということだと思うのですが、そのためにひとつこれから一体どういう国民のコンセンサスを自分はつくろうと思っているかという総理の基本的な哲学、これを伺っておきたいと思うのです。  一体、高齢者あるいは老年期の人生というものはどういうものであるというふうにお考えになっているのか、この基本的な考え方を伺いたいと思います。
  257. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 ここで前にも御答弁申し上げましたように、私は十年ぐらい前にも「新しい保守の論理」という本を書きまして、その中で、人生五十年を人生八十年に設計変更する必要がある、これは単に年金のみならず、住宅からあるいは教育からすべてにわたって新しい文明の転換期が来る、そういう意味で至急設計変更をする準備をする必要がある、そういうことを申し上げました。これはおめでたい話なのでありまして、ですから、高齢化という名前を長寿社会というふうに変えさせていただいたわけでございます。  しかし、結局はどういうことになるかといえば、生きがいをいかに感じていくかということであります。生きがいを感ずるというについては、日本人には日本人なりの生きがい、生きざまというものがありまして、それをよく尊重していかなければできない。また、単に物質的に欲望が充足されたからといって、それでまた生きがいを感ずるものでもない。人間にはそういう非常に高い精神性がございます。あるいは自由というものを非常に欲しているというところもございます。そういう面において、国民の皆様方が御満足いけるような社会をつくっていきたい、物心両面にわたって心がけていきたい、そう思っているわけであります。
  258. 江田五月

    ○江田委員 その高齢者が、とにかく生産の現場からはもう放逐された人たちであって、今さらいろいろ仕事をするといっても能率が悪くて困るので、適当にお金を上げるからどうぞどこかで邪魔にならないように生きていてくださいというのか。私はそうじゃないと思いますね。そうではなくて、これまでの経済なりあるいは社会なりをつくってきてくれた大変に貴重な先達ですから、これを大切にしていくことは当然。しかしそれだけでもなくて、やはり人間それぞれに自分の能力を精いっぱい発揮し、まじめにそのときそのときを一生懸命に生きていけば、高齢を迎えて生活に困るというようなことなく——もちろん、人間パンのみにて生きるにあらずですから精神的なものも大切ですが、しかし、やはり経済的な基礎がしっかりしていなければならぬ。ちゃんとした人生を送っていけば老年になって年金ということできちんと生活ができていくんだ、そしてその年金生活というものは人間のライフスタイルの一つの時期なんだ、そのことは決して気兼ねをすることでも何でもないんだ、そういう五十年から八十年への常識の転換をしなければならぬと思うのです。  さて、ところで、もう時間がほとんどありませんが、先日総理が、これは六十年十一月十五日ですが、参議院議員秦豊君提出の質問主意書に答弁書をお書きになっていますが、その中では、「国民の一人一人が、国家という共同社会を構成する一員としての自覚を持ち、また、社会的責任を適切に果たすことが重要」そういうくだりがあるのですね。これはこのまま読めば、それはそのとおりだ。まあ国家というのが共同社会であったかな、ちょっと国家と共同社会は違うんじゃないかという感じもありますが、まあそれはおいて、そのとおりだという感じもする。  しかし、これを余り言われますと、お年寄りなんかどう思うだろうか。自分たちはもう共同社会を構成する一員といったって、年もとってよたよたで、社会的責任を適切に果たせと言われてもどうにもそういうことできないのでと、だんだん気兼ねをし、小さく小さくなって生きていかなくてはならぬ、そういうふうにも読めるのです。そのあたりのくだりが総理は新国家主義じゃないかと言われているところだと思いますが、これは弁解なさることがありますか。
  259. 中曽根康弘

    中曽根内閣総理大臣 弁解することはありません。私は、老人にとって大事なのは年金ばかりじゃなくて、実は仕事と孫と年金だろう、そう思っておるのです。私自体がだんだん年をとってきまして、やっぱり仕事と孫と年金だなあ。江田さんも私ぐらいになるとそういうふうにお思いになりますよ。  それから、お年寄りになった方々は、結局はふるさとというものを非常に大事に思うようになるだろうと思います。後ろにふるさと論の元祖がおりますが、私はそう思います。ふるさとの中には心のふるさともあれば、住んでいるふるさともあります。自分の国というものはふるさとの中にあります。そういう意味で大事にしていきたいと思っておるわけです。
  260. 江田五月

    ○江田委員 時間が来ましたので、終わります。
  261. 越智伊平

    越智委員長 次回は、明二十日水曜日午前十時より連合審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十分散会      ————◇—————