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1985-11-29 第103回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十九日(金曜日)     午後零時二分開議  出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       大島 理森君    金子原二郎君       瓦   力君    笹山 登生君       自見庄三郎君    関谷 勝嗣君       田名部匡省君    二階 俊博君       額賀福志郎君    林  大幹君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       堀内 光雄君    宮下 創平君       山岡 謙蔵君    山崎武三郎君       山中 貞則君    山本 幸雄君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    清水  勇君       戸田 菊雄君    野口 幸一君       広瀬 秀吉君    藤田 高敏君       武藤 山治君    古川 雅司君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    岡田 正勝君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         国 務 大 臣         (内閣官房長官藤波 孝生君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵大臣官房審         議官      亀井 敬之君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 窪田  弘君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         建設省道路局長 萩原  浩君  委員外出席者         警察庁警備局公         安第三課長   鏡山 昭典君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      藤冨 久司君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     川口 順啓君         日本国有鉄道常         務理事    山之内秀一郎君         日本国有鉄道経         理局長     前田喜代治君         日本国有鉄道共         済事務局長   小玉 俊一君         参  考  人         (日本たばこ産         業株式会社労働         部長)     伴内 昭彦君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社労働部         長)      外松 源司君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     —————————————  委員の異動 十一月二十八日  辞任          補欠選任   野中 広務君      瓦   力君   藤田 高敏君      大原  亨君 同日  辞任          補欠選任   大原  亨君      藤田 高敏君 同月二十九日  辞任          補欠選任   加藤 六月君      田名部匡省君   金子原二郎君      堀内 光雄君   田中 秀征君      二階 俊博君   中川 昭一君      月原 茂皓君   中川 秀直君      林  大幹君   野口 幸一君      清水  勇君   藤田 高敏君      広瀬 秀吉君   玉置 一弥君      岡田 正勝君 同日  辞任          補欠選任   田名部匡省君      加藤 六月君   月原 茂皓君      関谷 勝嗣君   二階 俊博君      田中 秀征君   林  大幹君      中川 秀直君   堀内 光雄君      金子原二郎君   清水  勇君      野口 幸一君   広瀬 秀吉君      藤田 高敏君   岡田 正勝君      玉置 一弥君 同日  辞任          補欠選任   関谷 勝嗣君      中川 昭一君     ————————————— 十一月二十八日  大型間接税制定反対に関する請願小沢貞孝  君紹介)(第四七三号)  国鉄共済年金改善に関する請願網岡雄紹介  )(第四九一号)  同(渋沢利久紹介)(第四九二号)  同(島田琢郎潜紹介)(第四九三号)  同(天野等紹介)(第五五〇号)  同(小川仁一紹介)(第五五一号)  同(野口幸一紹介)(第五五二号)  同(上田卓三紹介)(第六〇四号)  同(小川国彦紹介)(第六〇五号)  同(串原義直紹介)(第六〇六号)  同(馬場昇紹介)(第六〇七号)  同(細谷治嘉紹介)(第六〇八号)  所得税課税最低限度額引き上げ等に関する請  願(梅田勝紹介)(第五二九号)  同(小沢和秋紹介)(第五三〇号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第五三一号)  同(工藤晃紹介)(第五三二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第五三三号)  同(瀬崎博義紹介)(第五三四号)  同(津川武一紹介)(第五三五号)  同(辻第一君紹介)(第五三六号)  同(中川利三郎紹介)(第五三七号)  同(中林佳子紹介)(第五三八号)  同(野間友一紹介)(第五三九号)  同(林百郎君紹介)(第五四〇号)  同(東中光雄紹介)(第五四一号)  同(藤木洋子紹介)(第五四二号)  同(正森成二君紹介)(第五四三号)  同(三浦久紹介)(第五四四号)  同(簑輪幸代紹介)(第五四五号)  同(山原健二郎紹介)(第五四六号)  同(林吾郎紹介)(第六〇九号)  同(山原健二郎紹介)(第六一〇号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願中林佳子紹介)(  第五四七号)  同(不破哲二紹介)(第五四八号)  同(松本善明紹介)(第五四九号)  国民本位税制改革に関する請願外一件(伊藤  茂君紹介)(第五九五号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第五九六号)  同(沢田広紹介)(第五九七号)  同外二件(渋沢利久紹介)(第五九八号)  同(瀬崎博義紹介)(第五九九号)  同(野口幸一紹介)(第六〇〇号)  同(東中光雄紹介)(第六〇一号)  同(不破哲三紹介)(第六〇二号)  同(藤田高敏紹介)(第六〇三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八一号)      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。藤山高敏君。
  3. 藤田高敏

    藤田(高)委員 国家公務員等共済組合法等に関して質疑をいたしたいと思います。  長時間にわたってこの法案審議が継続されてまいっておりますが、わけても国鉄再建をどうするのか、そのことに関連をして国鉄共済の今後の年金財政をどうするのかということが、今日までの審議経過の中では非常に重要な観点として議論をされてまいりました。このことに関述をいたしまして、私、きょうは出席要求をしたのでありますが、何か御事情があって出席していないようでありますけれども国鉄監理委員であります住田委員四国における監理委員としての政治的発言について、国鉄問題についてお尋ねをいたしたい、こう思うのであります。  官房長官なりあるいは運輸大臣というよりも国務大臣として大方先刻御承知かと思いますが、念のために細分をさせていただきますと、去る十一月七日、愛媛県の松山市における集会において、住田国鉄再建監理委員が、前後をはしよりますが、地元は何でも欲しいというが、ぜいたくな要望は受け入れられない、道路、いわゆる四国高速道路をつくるのであれば鉄道は撤退をする、このように大声で言ってもらいたい、いわば道路鉄道かの二者択一の時代に入っている、こういうことで、国鉄監理委員が、四国については高速自動車道路を今後促進、実現していくのであればもう国鉄再建は必要でない、国鉄監理委員会の案の良否はともかくとして、今後その案を中心に推進するというのであれば、高速道路は要らない。これは常識的に、だれが聞いても暴論に近い発言でありまして、今、四国におきましては、行政機関あるいは政界あるいは経済界、あらゆる団体を通して、率直に言いますが一種のパニック状態と言ってもいいくらい、これは国鉄再建監理委員にあるまじき非常識な発言ではないか、こういう意味の雰囲気が今強まっております。  私はここで時間の関係で幾つかお尋ねをいたしたいのですが、順序はどのようでも結構です。  一つには、この十月十一日閣議決定された国鉄再建監理委員会の案と称するものは、当然のことでありますが、四国については今、第六次から第九次までの高速自動車道計画がありますけれども、この計画前提としていわば国鉄再建もやるが−高速自動車道も、今供用されている区間は四国の場合だったの十一キロしかないわけですからね。ですから、大変におくれておる四国高速自動車道整備促進するということを前提にしてこの国鉄再建監理委員会の案は出されておるというふうに承知をしておるわけですが、そのように理解していいかどうか。  そして建設省関係道路局に対しては、高速自動車道の今後の取り組みについては、これまた当然のこととして、今の計画を一日も早く実現するという基本線において取り組んでおると理解をしておるが、そのような理解でいいのかどうか。この理解の仕方は、運輸省はもとより政府全体としてもそういう基本的な立場に立って、高速道国鉄、そうして将来の航空航路、こういうものを三者一体の形で四国のおくれを整備していく、こういうふうに私は理解をしておるのでありますが、そのように理解をしていいかどうか。  そうして、きょうはお忙しい中、特に官、腸長官もお見えでありますが、きょう住田委員があればその発言趣旨なりその真意というものをまずただして、その上で内閣官房長官なりあるいは所管の国務大臣としての運輸大臣の御見解を聞かしてもらえばこれは非常にすっきりした形で結論がつくわけですが、委員がおりませんので、これもあえて時間の節約上一括して申し上げますが、住田発言が今私が御紹介したようなことであるとすれば、国鉄再建に係る臨時措置法趣旨に基づく委員としての資格を疑われるものだ、これはいわば罷免に値する監理委員としての暴言じゃないかとさえ私は思うのでありますが、内閣官房長官の御意見並びに国務大臣としての山下運輸大臣の御見解お尋ねいたしたい、このように思います。
  4. 山下徳夫

    山下国務大臣 御案内のとおり、運輸省は陸、海、空の交通機関を預かっておりますが、そういう立場から、これから二十一世紀に向かっての理想的な交通体系ということをいろいろと検討いたしております。その前提としてそれぞれの交通機関の持つ特性を生かしながら総合交通体系を図っていくということでございますから、そういう観点からするならば、適切な機能分担ということは十分検討に値する問題であると思います。  ただ、四国において住田委員発言されたことは、高速道路鉄道との二者択一的なような発言に先ほど先生がお読みになりましたのを聞いても感じるわけでございまして、真意はそんな二者択一というようなことではないと思うのでございますが、私もちょっと聞きながらそんな感じがしないでもございませんから、もしもそうであるとするならばこれはやはり舌足らずであったのではなかろうかと思いますし、私は住田委員の気持ちは必ずしもそうでないと思っておりますだけに、真意を後日住田委員から聞いてみたいと思っております。  なお、残余の問題につきましては、政府委員並びに関係機関から答弁を申し上げることにいたしたいと思います。
  5. 林淳司

    林政府委員 事実関係につきまして若干補足をさせていただきます。  先生が最初におっしゃいました高速道路試算前提としてどう扱ったかという点でございますが、この点につきましては、現在の道路整備五カ年計画に基づきますところの高速自動車道というのは四国におきましても実施をされる、そういう前提で、それにより鉄道がどういう影響を受けるかということを需要予測の面で十分考慮した上でいわゆる収支試算を行っておる、こういうことでございます。要するに高速道路ができる、それによって鉄道影響を受ける、それを前提として収支試算をやっておる、こういうことでございます。  それから、ただいまの住田委員発言についてでございますが、その後地元の一部の新聞に大きく取り上げられましたので、私ども事務局といたしましてその真意を本人に確認いたしました。ただいまのような試算前提監理委員会としては作業をしておるということについては当然同委員承知の上で、十分それを踏まえた上で、ただ一般論といたしまして、これから高速道路ができれば、これは四国に限りません、一般的に、高速道路ができれば当然鉄道はそれなりの影響を受けることになるわけでございます。したがって、こういう計画を進めていくに当たりまして相互の調整を十分図ってお互いに適切な機能分担をしていく、こういう観点が必要じゃなかろうかという趣旨で申し上げたわけでございまして、二者択一という形でストレートに高速道路は要らないあるいは鉄道は要らないというふうなことを申し上げたわけではない、そういう趣旨では決してないということでございました。  この点につきまして私どもといたしましては、この国鉄問題は非常に重要な問題であると同時にまた非常に微妙な問題でもございまして、今後影響するところも大きいと思いますので、これから私ども言動につきましては十分慎重に対応していきたいというふうに考えております。
  6. 萩原浩

    萩原政府委員 先ほど運輸大臣からお答えいただきましたように、私ども高速道路の建設に当たりましては、去る昭和四十六年の臨時総合交通問題協議会総合交通体系についての政府考え方をまとめていただいております。この基本的な考え方を踏まえまして国土の骨格を形成いたします高速自動車国道整備を、予定路線七千六百キロにつきまして二十一世紀初頭までに整備することを目標といたしまして現在整備を進めているところでございます。  先ほど先生の御指摘もございましたように、四国ではまだわずかに十一キロしか供用をいたしておりません。この点につきまして、四国地方高速国道整備がおくれているということは先生指摘のとおりでございます。四国は人口で全国シェアが約三・六%、一面積で五・〇%でございまして、高速自動車国道予定路線もやはり五・〇%のシェアを持っております。しかし、供用が非常におくれておりますので、例えば六十年度予算では全国シェアで六・九%の事業費をつぎ込んでおります。また六十一年度はさらにそれを上回る予算を投入する予定でおりまして、今後四国地方におきます高速自動車国道を積極的に整備してまいりたい、こういう所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  7. 藤波孝生

    藤波国務大臣 住田委員真意でございますとか交通体系の中でのそれぞれの位置づけにつきましては、今政府委員からお答えをしたところでございます。  住田委員発言は、恐らく国鉄再建について非常に熱心にお取り組みをいただいてきておりますので、そういう観点から、新しい会社がうまくいくかどうかというようなことを心配をしつつ発言をいたしたことが誤解を呼んだものではないかというふうに考える次第でございます。  問題は、やはり地元の御協力をいただきませんと、どれだけ国鉄再建だといって机の上で計画を立てましても実際に動いていかないということを私ども非常に心配をいたしておるところでございまして、そういう意味で、地元に混乱を生じたりあるいは御心配をかけるということではいかぬ、こういうふうに強く意識をいたしておるところでございます。今後そういうふうな誤解を受けるような言動のないようによく注意をしてまいりたいと思います。  いずれにいたしましても、真意をよく御理解いただいて、そうして道路整備され、また新しい鉄道経営もうまくいく、そして地元で積極的に盛り上げていただいてこれらの事業が推進されていくようにぜひひとつ御理解をいただきたい、このように考えますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
  8. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 先ほど国鉄再建監理委員会事務局の方からお答えがございましたように、七月二十六日に出されました再建監理委員会からの「国鉄改革に関する意見」、これは四国におきましても、道路整備五カ年計画において予定されております四国高速道路が今後すべて完成していくという前提で、その影響を考慮してもなおかつ鉄道経営が成り立つというような収支見通しを策定しているところでございます。  七月二十六日答申を受けまして、その直後に、政府といたしましてはこれを最大限尊重するという閣議決定を行いました。その後、関係各省とも協議を進めまして、この答申趣旨に沿った実現策について、「国鉄改革のための基本的方針について」ということで十月十一日に閣議決定をいたしたところでございます。  そういう次第でございますので、監理委員会答申趣旨に従って今後国鉄改革のための措置を進めていくということになっております。
  9. 藤田高敏

    藤田(高)委員 関係部局並びに両大臣の御見解を承りまして、従来の既定方針には変わりない、いわゆる高速道路整備は五カ年計画に沿って積極的に、むしろおくれを取り戻す立場で取り組んでいく、そのことを前提にしてこの国鉄再建監理委員会答申案が出されたものである、こういう性格づけが明確になったというふうに理解してよろしいかどうか、これが一つ。  そういうことであれば、報道機関がこういう形でトップに大きく取り上げておるわけですから、そこには舌足らずとか一定の誤解とかいうものではなくて、同じ身内に近いものの集会であったとはいえ、かなり恣意に基づく、監理委員会委員としての発言というよりも個人的な一評論家的な考え方発言した向きも率直に言ってあるのじゃないか。しかし、これは世間に大変な誤解を生むものである。したがって、ここに報道されているようなこういう二者択一論政府としてはとらないということを明確に言明すると同時に、住田委員については留保をして、改めてその責任と彼の真意というものをただす機会を持たしてもらいたいと私は思っております。報道されたようなことであるとすれば、これはやはり内閣総理大臣の任命に係る委員ですから、内閣官房長官立場からもこの発言は全面的に取り消し訂正をする、運輸大臣からも同趣旨の全面的な発言取り消し訂正をする、こういう手だてをやらないことには政治的にはこの問題はおさまらないと私は思うのです。その点の確たる所見を両大臣からお伺いいたしたい。
  10. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほども答弁申し上げましたように、先生がお読みになったのが速記録であるとするならば、これは率直に言って、私が聞いていてもちょっとおかしいという感じがしないでもございません。ただ、私ども国会におけるこういった場合の答弁でもちょっと言い過ぎることもありまして、後からああ言えばよかったなということが率直に言ってあるわけでございます。そんなことで言ったのか、とにかく二者択一というのはよくないと私は思います。ですから、住田委員真意を直接確かめてみたいと思います。
  11. 藤波孝生

    藤波国務大臣 今運輸大臣から、直接住田委員真意を確かめてということでございますが、事実関係どもよく調査いたしまして、地元誤解を与えたことがあるとするならば、それを是正いたしますために善処をしなければならぬと思います。運輸大臣とよく相談することにいたします。
  12. 藤田高敏

    藤田(高)委員 きょうは肝心な委員がいませんから、失礼な言い方ですが欠席裁判的なことになるのは、人権、人格上の問題として遠慮したいと私は思うのです。  しかし、これだけ報道機関が大きく取り上げる以上は、単に舌足らずであったとか、さっきの山下運輸大臣じゃないですが、お互いにこっちへ足が出たりあっちへ手が出たりする程度のものではなくて、根本問題にかかわる。今度の共済法じゃないけれども、冒頭に言いましたように国鉄共済制度が財源問題を含めてどうなるのだ、それとの関連において国鉄再建問題が今後どう発展していくのか貧国政全般観点からいっても、教育改革の問題、財政改革の問題、国鉄の問題というのは今や三つの大きな柱にさえなっておる。そういう問題について、それは意見をただすことも事情聴取することも大事ですよ。大事だけれども、報道されたような形のものであるとすれば、これは二人の大臣から全面的な発言取り消し訂正をやるくらいのことが政治的な御答弁としてなければ私も下がれないと思うのです。どうですか。
  13. 山下徳夫

    山下国務大臣 再三申し上げますように、二者択一ということは適当ではないと思います。したがいまして、そのような言い方をしておるとすれば取り消さなければならない、かように思います。
  14. 藤波孝生

    藤波国務大臣 今、委員から御質問がございましたが、さらにそのときの住田委員発言などをよく調査いたしまして、同時に住田委員真意もよく聞きまして、運輸大臣と相談し、善処いたしたいと考えます。
  15. 越智伊平

    越智委員長 藤田委員に申し上げます。  住田委員が、出席要求をいたしましたが、きょうはどこか御出張のようでありますので、この問題につきましては、改めてこの問題についての一般質問がなんかで委員を呼んでやりたい、こう思いますので、官房長官も時間の関係もありますので、御了承いただきたい。改めてやりますから。
  16. 藤田高敏

    藤田(高)委員 委員長のせっかくの御発言ですから、私も尊重いたしたいと思います。ただ、山下運輸大臣がおっしゃったように、二者択一論的なものであるとすればこれは当然のこととして全面訂正取り消しをやらなければいかぬ、こういう御発言がありました。私はそのように確認をいたしたいと思います。  そこで、私、一言触れておきますが、詳しい経過は言いませんが、住田委員が今どこにおられるか、その連絡、そしてきょうの出席を強く求めましたそのことについても、私にとりましては二十年来の国会活動の中で極めて不愉快な経過のありましたことを申し上げておきます。これはこの法案審議中になるか、別途一般質問になるか、そのときに今回の問題についてはまたただす機会を私留保いたしたい、こういうことで、両大臣のおっしゃられたことを私の質問趣旨に沿って善処される、私はこういうふうに再確認をして質問を終わりたいと思いますが、念のために、任命権者である総理大臣のいわば女房役ですから、もう一度、一言だけでいいですから官房長官の御答弁を煩わしたい。
  17. 藤波孝生

    藤波国務大臣 ただいま藤田委員のおっしゃいましたような線で善処いたしたい、このように考えます。
  18. 藤田高敏

    藤田(高)委員 官房長官、ありがとうございました。  次に質問をいたしたいのは、この共済制度とはちょっとなじまない問題かもわかりませんが、かつての日航機墜落事故に関する問題についてぜひ尋ねてほしい、というのは、つい二、三日前の交通安全対策特別委員会でということだったのですが、時間的な制約で質問機会がなかったものですから、簡単にお尋ねいたしたいと思うわけであります。  この事故については、専門的な立場で今鋭意その原因について調査中でありますが、それは油圧系統の関係で尾翼が飛んだとか、いろいろ専門的な立場の検討が継続されています。それはそれとして、早く結論が出るように専門的な立場の御努力を煩わしたいのですが、航空機を利用する一般の乗客の立場からいいますと、あの事故が起こる寸前にボーンという大きな音がした。これは、今事故調査委員会が検討を進めておる油圧系統だとかそういった関係だけでなくて、いうところのハイジャック事件等々に見られますように、乗客の中に、あるいはそれ以外の手段方法で爆発物を含む危険物の持ち込みによってこの事故が起こったのではないかという危惧を持っておる利用者が随分あると思うのです。中間的な段階ですけれども、そういうものではないということであるとすれば、そのことについて簡単に立証できるような御答弁を煩わしたい。  そして、時間の節約上一括して質問いたしますが、民間航空機の耐用年数についてはいろいろ基準、条件があると思うのです。例えば離着陸の回数を国内機については二万回とか飛行時間についてはトータルとして約六万時間とか、現在そういうものが基準になっておるかどうかも教えてもらいたいのです。  そういうものによって飛行機の耐用年数を決めておるようでありますが、今回の事故に関連をして、国内機については、飛行時間もさることながら、離着陸の回数が多ければ多いほど機体、翼その他の疲労度が強くなるわけですから、むしろそういう点に重点を置いた耐用年数の再検討、そういうものを基準とした新しい耐用年数の基準をつくる必要があると思うのですが、どうでしょうか。  また、それに関連をして、同じ一万時間だったら一万時間のトータルとしての飛行時間の中でも、非常に気流の変動の激しい積乱雲等の中を飛ぶのと気流が非堂に穏やかな中を飛行するのとでは、機体や尾翼に対して影響度がうんと違うと私は思うのですね。ですから、同じ一万時間飛びましても、その中の例えば三割ないし二割が非常に激しい気流の中を飛んだということになれば、その比率は、専門的にどういうことになろうとも、一対二になるのか一対三になるのか、そういう要素を入れて飛行機の耐用年数というものを考えるべきじゃなかろうか。特に利用者の立場からいけば、そういう気流の激しいところは、燃料費関係等の採算上の問題は度外視して、規則で許されている範囲で極力飛行航路を変更してそうして迂回して飛行する、安全性の見地からそういう運航を指導していく必要があると思うのですが、専門的な立場でひとつお答えをいただきたい。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  19. 藤冨久司

    藤冨説明員 まず、先生質問の件のうち、日航機事故の事故原因の関係を私の方からお答えしたいと存じます。  今回の日航機事故につきましては、航空機事故調査委員会におきまして事故発生以来鋭意原因の究明に努めているところでございますが、現在までに現場の調査を終えまして、墜落現場等から回収いたしました機体残骸の整理とその詳細調査を行っているところでございます。航空機事故調査と申しますのは、公正かつ科学的に調査を行うことが必要でございまして、ただいま機体残骸の詳細な調査を開始した段階でございまして、その点から、事故の原因につきまして云々と申し上げるまでには至っていない状況でございますので、この点御理解を願いたいと存じます。  なお、事故調査の経過につきましては、逐次節目の段階においては経過報告等を行ってまいっているところでございますけれども、今後ともそういう方向で対処してまいりたいと存じております。
  20. 大島士郎

    大島政府委員 先ほど先生、耐用年数の点でお尋ねでございましたが、私ども技術的に言いますと、航空機の使用寿命ということかと思っております。  航空機につきましては、機体、エンジン、装備品等につきましてそれぞれ点検間隔、これは飛行時間あるいは飛行回数に応じて点検する方法が定められております。そういう定められた点検間隔で定められた点検を行っていく限り、飛行機については使用寿命というものがないというのが現在の一般的な考え方でございます。  特に、機体の構造につきましては、長年使っておりますと金属疲労あるいは腐食等経年的な劣化の問題が起こってまいりますが、それにつきましては、特別に経年機に対して、構造に対する追加構造点検項目というようなものを設定いたしまして、こういった重要部分についての点検を繰り返し行っていくことにより、航空機の使用寿命は特に考えなくてもよろしい。もし点検に応じて何らかのふぐあいが見つかれば、そこでまた完全に直す、こういうような考え方でいっておるところでございまして、私ども今回のジャンボの事故にかんがみまして、日本の国内で使っているジャンボ機が世界的に見てもかなり数多く飛んでいる、こういうような状況もございましたので、国内のジャンボ機に対して特別に一斉点検を行いまして、この時点で構造に異常があるかどうか、こういうことを現在確かめておるところでございます。今後とも、この点検の結果を踏まえまして、必要な対策を打って安全運航を確保したいと考えているところでございます。  第二点の悪気流の問題でございますが、これは私どもの技術的な言葉としては突風ということで設計上考えるわけでございます。航空機の設計の段階で、その航空機が受ける、例えば操縦した場合にかかる力でございますとか離着陸時にかかる力、あるいは悪気流、突風による力、こういうものを考慮いたしまして設計いたします。必要な強度試験等をやって確認しているところでございます。したがいまして、我々が運用上使っております、いわゆる飛行時間あるいは飛行回数というのはそういった状況を踏まえた時間でございますので、悪気流による影響は既に前提として入っているということで御理解いただきたいと思います。  また、飛行中の悪気流を避けるという問題につきましては、現在飛行機の飛び方はすべて管制機関の承認のもとに行っているわけでございますが、地域と申しますよりも、悪気流についてはそのときの気象条件というのが大変大きい要素でございまして、これにつきましては、飛行前に気象状況をチェックする、あるいは飛行中気象レーダー等で積乱雲等を避けて飛ぶということをやってございますが、飛行機の安全上は問題は特にないかと思いますが、乗客の快適性あるいはお客さんに不安を与える、こういうこともございますので、各航空会社ともその点は十分注意して運航しているところでございます。
  21. 藤田高敏

    藤田(高)委員 本委員会の性格上、この問題は余りなじみませんので、私から申し上げた事項につきましては、そういう要素を十分考慮して今後対処してもらいたいということを強く要請をいたしておきます。  それにしましても、大蔵大臣、厚生大臣、大変失礼いたしました。本題とも言うべき年金問題について一、二お尋ねをいたしたいと思います。  もう同僚委員から、あらゆる角度から意見が出ておるわけですが、なおかつ、年金の既裁定者に対する今回の改正というものは、政治家の立場というか、法律改正をする政治的な立場から見ると、私は余りにも非情というか思いやりがない改正のように思えてならないわけであります。私自身もこの種の問題は素人でありますが、既裁定者、例えば年金を二十万もらっておる人が今度の改正で裁定がえになる。これは一つの例でありますが、十八万円ないし十七万円に裁定がえをすればダウンをする。しかし、このダウンした分は今後物価スライドによって二十万円の時点に復元するまでは二十万というものは凍結をする、こういう一つの制度改正ですわね、既裁定者に対しては。  既裁定者の実態をいろいろ聞いてみますと、またこれらの人の意見は、いろいろ国の財政事情、そうしてあらゆる年金制度の一元化という方向に向かって財源調整を含めて今回のようなこの種の改正がなされることについて、不承不承ながら了承するにしても、既裁定者については、恩給法に基づいて恩給を受ける人たちは、例えば今の例でいえば、二十万もらっておる人は従来の方式で、物価スライドではなくて賃金スライドで支給をされる。ところが、既裁定者の中にも恩給期間を十年なりあるいは十五年持っているような人がいる。その人は当然のこととして恩給法で支給される人と同じような取り扱いを受けるのが理屈にかなった制度改正じゃないか、せめてその程度の改正だけは考慮してもらいたい、私はこういう声が非常に満ち満ちておると思うのですよ。これはやはり政治を論ずる者は、そういう意味の配慮というものがないといかないんじゃないか、いわんや既裁定者はそういう考え方で老後の生活設計まで立てておるわけですから、そこに焦点を合わせて、今回の法律改正、一部そこは修正をするというような手だてをぜひやるべきだと思うのですが、どうでしょうか。  私、これまた時間の関係がありまして一括して申しますが、この種のことについては、私が今指摘をしておる点については既に同僚議員からも発言があったかと思うのですが、ことしの四月十日、社会保障制度審議会がこの法律の一部改正についての答申の中で「改正案は老後の生活設計に組み込まれている既裁定年金のスライドを停止する等年金制度に対する信頼を裏切りかねない内容をもつものである。関係者の理解を得ることがとりわけ必要となる。」これは社会保障制度審議会としては極めて異例な答申項目じゃないかと私は思うのですよ。  そして、その末尾には「経過措置等については、所期の目的が達成されるよう十分な配慮を加えることが重要であることを指摘しておく。」こういうふうに二重にわたって、答申が既裁定者に対する配慮を求めておるわけですから、また後で時間がありましたら諸外国の、私のつたない材料も提供してみたいと思いますが、アメリカ、イギリス、西ドイツ等も、この既裁定者については私が今言っておるような配慮はどこの国もやっておる。今、全部去年あたりから改正をやっておりますが、全部そういう配慮をした改正をやっておるのであります。大蔵大臣あるいは厚生大臣として、年金の体系というものを整備していく上にとっては、今私が指摘したことは大変大切な点ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  22. 門田實

    ○門田政府委員 ただいま先生から大変お気持ちのこもった御質問があったわけでございますが、御指摘の中で、特に恩給期間を含めて考えます場合に、恩給とのバランスとかその辺もつと配慮すべきではなかろうか、こういうお話があったわけでございます。  私どももそこのところは大変に議論してまいった点なんでございますが、昭和三十四年に恩給から現在の共済年金制度に切りかわりましたときに、現行法施行以後の期間につきましては恩給期間と共済期間は一体のものとして扱っていく、こういうことにいたしましたし、それから、そういう観点もございまして、たとえ恩給期間のある人でございましても共済期間のある人につきましては、恩給で算定した場合よりもより有利な共済年金の算定も認めよう、こういうこともいたしたわけでございますし、それからまた、切りかえの時点では退職手当の増額ということで調整もされた。こういうようなことがございまして、共済年金制度発足以降は恩給期間を含めて一体で扱っていく、こういう経緯で二十六年ぐらいまいっておりますので、そこのところは非常に御議論のある点なんでございますが、やはり今回は共済ということで考えていこう、こういうことにいたしたわけでございます。  御指摘の点は、所得の高額な方に確かに響いてまいります。所得がそれほど高額でない方にはそんな大きな影響はないわけでございます。高額の方には、そこのところはつらい御辛抱をいただく、こういうことでございますが、今回の年金改正が今後の何十年と続きます年金の歴史の中で、今の若い人たちが将来の受給額も調整を受けますし、一方で成熱化に伴いまして保険料率、掛金率も上がっていく、こういう状況でございますので、若い世代が今後受け取り得ない部分につきましてそういったなだらかな調整で新方式へ軟着陸といいますか、そういうことを考えていくほかないのではないか、こういうことでございます。よろしく御理解を得たいと思います。
  23. 藤田高敏

    藤田(高)委員 諸外国の例ではありませんが、経過措置についてはやはり段階的に滑らかな形で移行していくということが大切じゃないか。私ども、民間のこの種の問題を取り扱う場合も、本来こういう改正をやるときは、財源的には別途調整財源というものを盛って、既得権を侵害しないような形で処理をしてきておるわけなんですね。  今回の場合は国の財政がこういうことですから、今私が言っておるような手法が用いられないとしても、既裁定者のなにについては裁定がえで二十万が例えば十八万に下がるわけですからね、一つは。その間が賃金スライドで上がっていくのならいいのですが、物価スライドで上がりますからこれまた率がダウンするという、回復する手段の算定の条件がまたここで悪くなる。そうしてこの復元した二十万なら二十万の現在もらっておる額の時点に返っても、恩給法の方は賃金で算定されるが、こっちは物価でいくから、また緩やかななにでやられる。二重三重の、これは額は決定的にどれだけかは別ですよ、しかし既裁定者にとっては、そういう不公平な扱いは何とか勘弁してくれ、せめて恩給期間だけでも回復する時点までは恩給法と同じような賃金スライドでやって、そうしてこの二十万のラインに、現在もらっておる額に回復した場合は、これは残念ながら物価スライドでいくんだったらいく、そういう二段構えの措置ぐらいはとれないものだろうか。  これは私ども、社会党は社会党としての主張がありますが、私は少なくともその程度の、本委員会としてこれだけ議論をしてきておるわけですからね、そういうものは単にすれ違いの意見だけではなくて、この点はやはり、これだけ各委員からそれこそ手をかえ品をかえて法律改正、この部分だけは今私が主張しておるように手を入れるべきじゃないかということになれば、大臣どうでしょうか、今武藤先生からおっしゃっておるように、そういうことをやるのが政治じゃないですか。特に早稲田出の政治家というのはそういったところに大変な思いやりがあるということで、これはもうぜひやってほしい。  私は、時間の関係でなんでありますが、西ドイツでいいますと、経過措置を十年置いておるのですね、既裁定者に対しては旧法を適用して。アメリカの方ははっきりしておるのですね。この法律を適用する場合は、初めて社会保障年金の受給権を持った者から始める。だから現在その適用を受けておる者は、もう旧法でいくというような改正を今やろうとしておる。イギリスの場合は、既得権は保護する。改正時点で一定の年齢、男子五十歳、女子四十五歳以上の者については現行制度を引き続き適用する。こういう形で経過措置は今私が指摘しておるような配慮を十分やって、いわゆる社会保障制度審議会からも答申されておるような趣旨に沿って諸外国はみんなやっておる。そういうことがなぜこれだけの審議を尽くして、せめてそこは修正点として検討しよう、あるいは善処しようという答弁ができないのかということを私は非常に不可解に思いますし、残念に思うわけです。そういう意味合いであえてこの質問をしつこくいたした次第でありますが、大蔵大臣、どうでしょうか。
  24. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この種の法律改正、しかも広範囲にわたっておる改正でございますから、いずれにしても、既得権あるいは期待権の中にもある種の権利の喪失が出てくるということはやむを得ないことではなかろうか。  したがって、種々議論した結果、いわゆる若い世代の世代間アンバランスの感じも出ないように、そして、厳密な意味における既得権というものの侵害がないように、足踏みして待つということになるわけでございますが、そういうことをかれこれ勘案してつくった案でございますので、私はいつも思いますが、この種の法律には百点満点はないじゃないか、五十点か六十点がは別として、そういうものの中でおよその整合性を求めて法律体系をつくる以外にはないではなかろうか。そして、その法律の執行の段階におきまして、著しい矛盾が生じてきた場合はこれはやはりその都度見直していくというような積み上げの中で、だんだん百点に近づいていくという性格のものではなかろうか。別に心を鬼にしてというような大きな表現ではございませんが、およそ妥当などころとして御理解がいただけるのが今御審議いただいておる法律ではないか、こんな感じで受けとめております。
  25. 藤田高敏

    藤田(高)委員 大臣からはもう少しぬくもりのある答弁が出るのじゃないかと期待をいたしておりましたが、というのは、今の御答弁は、この法案審議が始まった当初であれば、その大臣のおっしゃる、今御答弁のあったようなことも私は理解できるのですが、もうかれこれ大詰めに来まして、これだけみんなが非常に重要な点として一部再検討を求めておるという点については、いわゆる政治論的な要素になるかもわからないけれども、制度上から見ても私はやはり矛盾があると思うのです。  私も、今大臣おっしゃったように、百点満点とか、あるいは合格点が七十点以上だとすれば、それ以上のものでない、まあすれすれのところのものかもわかりませんが、やはり財政事情があれこれあっても、今お互いが議論をしておるようなところへいま少し温かい手だてをすることが、年金問題を含めて政治にとっては非常に大事な視点じゃないか、私はこう思いますので、単に人情論でどうこうなんていうものではなくて、制度上の問題としてもそのことが必要ではないか、こう思います。  重ねて大臣の御所見を求めると同時に、私は、この点は委員長にもお願いしたいのですが、最後にこの法案をどうまとめるかを含めて、ひとつ委員会としても十分な前向きの姿勢で検討ができますように御努力を要請をいたしたい、こう思います。
  26. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も、どの部分が法律部分、どの部分が政令部門、あるいはどの部分が将来への検討課題ということを正確に今頭の中で整理しておるわけではございませんけれども、大詰めともなった場合、恐らく与野党間でいろいろな協議がなされておるであろうというふうには私自身も感じておるわけでありますが、この既得権の問題あるいは期待権をも含めた問題については、いろいろな議論をしながら、この辺が妥当ではないか、こういう結論に到達して御審議をいただくという段階に至ったものでございますので、現在の私の立場からしてそれ以上踏み込んだお答えはなかなか難しい問題じゃなかろうかというふうに考えます。
  27. 藤田高敏

    藤田(高)委員 所管の大臣として、私の今の立場としてはこれ以上踏み込んだ答弁はできない、そこには非常にニュアンスのある答弁をされましたが、委員会の意向としてどういうふうにまとめるかは、ひとつ委員長を含めて格段の御努力を要請をいたしたい。私は、この点は一部修正ができますように、既裁定者の立場に立って重ねて強く要請をいたしておきたいと思います。  そこで二つ目の、年金の重要な問題は、これも既に質問に出たかと思うのですが、大臣、去る五月二十二日、この大蔵委員会において、現在の年金受給者の年金に対して課税を強化するような御発言がなされておりますね。これは時間の関係がありますから紹介はいたしませんが、ここに議事録を持っておりますけれども、さっきの既裁定者の問題にしても、あるいは年金受給者である老人の老人医療の問題にしても、一昨々年、ああいう形で無料制度から有料に切りかえられた。また来年は、これはまだわかりませんが、新聞その他の報じるところによると、いわゆる老人医療の問題は、初診料においてあるいは入院代において負担が増加するような改正案がなされる。いわば人生八十年、こう言うのですけれども、やはり寿命が長引いただけが立派なのではなくて、寿命が長引くと同時に、そこで老後の生活が快適であった、長生きしてよかった、これは物質的な、経済的な問題だけではもちろんありませんが、そういうものを含めて高年齢者が余生を送ることが非常に大切ではないかと思うんですね。そういう年配者に対して、医療の面も厳しくいきますよ、さっきの年金の受給も、こっちの方は恩給法は適用しませんよ、そして一方、もらっておる年金に対する課税は来年以降あたりは強くなるかもわかりませんよと、全く暗い材料ばかりなんですね。せめて年金受給者ぐらいに対しては税金をこれ以上課税することは強めない、現在、課税最低限は二百四十一万か何ぼだと思いますが、そういうものはやはり一番後回し、あれこれ手をつけるにしても、そういうものについては、今日の政治はそういう非情なことはしませんよということが大事じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  28. 水野勝

    ○水野政府委員 先生承知のように、ただいま税制につきましては、戦後三十五年間の税制の抜本的見直しということで検討が行われておるわけでございます。その中で、御指摘の年金に対しますところの課税につきましても、重要な問題であるとして審議が行われたところでございまして、この点は非常に技術的な点も多い、理論的にいろいろな問題も指摘されておる、そういうところから、現在、専門の学者を中心とした委員会におろして掘り下げた検討をすることにされておりまして、現在その検討の結果を待っているところでございます。
  29. 藤田高敏

    藤田(高)委員 そうすると、五月の下旬に大臣が大蔵委員会で御発言になられたときの報道あるいはこの議事録から察すると、年金課税のうち老年者年金特別控除とかあるいは給与所得控除とか、こういう具体的な項目について課税強化をするということではないと今の段階では理解してよろしいですか。
  30. 水野勝

    ○水野政府委員 確かに先生指摘の給与所得控除の問題、それから老年者年金特別控除の問題もあるわけでございます。  給与所得控除は、本来から申しますと働いておられる勤労者の必要経費の概算控除という性格がある、それが従来の経緯で年金にも適用されておる、そういったことが基本的に考えてどういうふうに判断されるべきか、その点も一つの検討課題になっておりますことは確かでございます。だんだん年金受給者の数がふえ、国民経済の中でそのウエートも大きくなってくる、そういった場合に、果たして従来と同じような考え方、方式でいいのかどうかということも一つの検討課題にはなるわけでございますが、どのような検討結果になりますか、これはまず専門的に学者の先生方に今勉強をお願いしているところでございます。
  31. 藤田高敏

    藤田(高)委員 そうすると、現在の年金課税最低限二百四十一万八千円にも影響が出てくると思うのですが、課税最低限そのものは何とか守っていける見通しなのか。私は、ぜひそのラインは手をつけるべきではないと思うのですが、そこはどうでしょうか。一年金課税を強化しないという方向、検討はやっても基本的なスタンス、立場はそういったところまでは手をつけるべきでない、こういう考え方で対処すべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  32. 水野勝

    ○水野政府委員 ただいま申し上げましたように、国民経済の中で、あるいは所得の中で年金受給者のウエートもだんだんと大きくなってくる、そういたしますと、世代間の負担のバランスというものも問題点として一つあろうかと思います。  しかし、老後の生活を年金に依存してこられる万々が非常にふえてくる、そうしますと、そういったものに対してどのような課税のあり方、御負担の求め方をしたらいいかということは非常に難しい問題であろうかと思います。先生の御指摘のような点も踏まえて小委員会で検討がなされるものと思っております。
  33. 藤田高敏

    藤田(高)委員 これは近い将来というよりも当面の取り組みの課題でありますが、私から要請をいたしております点については大蔵当局としても十分留意をして、ひとつ今後の税制改正に取り組んでもらいたいと強く要請をいたしておきます。  続いて、時間の関係がありますのではしょって申し上げますが、私は、できることならば、年金制度の改正問題をめぐって、財政再建との絡みの中でこの年金改正問題をどう位置づけるかということを少し議論したいとかねがね考えておったわけでありますが、きょうは時間的な制約で議論することはできません。ただ私が一つ思いますことは、今の我が国の政治は、国家財政が百三十兆円も百四十兆円もの赤字財政になってきた、そうして国の予算でいえば五十二兆円の予算、五十四兆円の国家予算の中で約二割に匹敵する十兆円程度の国債費を支払わなければならぬ。こういう極めてサラ金財政ともいうべき状態になってきたものだから、至るところで、社会保障、社会福祉であろうと老人であろうと、もう何でも手当たり次第、無原則的に財政再建という名のもとにしわ寄せをさせていく。私は、合理化をすべき点と社会保障などという性格のところはきちっと踏まえて、今度の改正でいえば、基礎年金なども基礎年金の三分の一は国庫負担、公的経費負担でやる、こういう案でありますが、財政事情が許せば、せめて基礎年金ぐらいは将来の一元化の方針に沿って公的な財源で面倒見ていくという前提に立って財政再建計画も立てていく、そうして年金制度も国民から信頼される、また期待される年金制度をつくっていくべきだ、こういうふうに思うのですけれども、そのあたりの基本的な考え方は、厚生大臣として、また大蔵大臣としてどのようにお考えになられておるだろうか。  ことしの前国会で厚生年金の改正が行われましたが、これを一つ見ても、国が出すべき財源が約十年間に二兆五千億も軽減するんです、削減される。また今度の年金改正でも、これはどの程度になるか知りませんが、ここにも一つ材料は持っておりますが、きょうはそこまで議論する時間的余裕がございません。しかし、百億単位で国の出すべき金が減っていく。そういうふうに国家の公的財源を減らすことだけが目的で、本来の年金制度、本来の社会保障制度を充実させるという視点が軽視されてきておるのじゃないか。これを私は非常に残念に思うのです。  そういう点について、基礎年金についての将来的な展望をぜひお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  34. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 目下のところ私どもが考えておりますのは、公的年金制度が社会保険方式で運営されておるということでございまして、それが現在までにほぼ定着をしておるということでございまして、先生指摘のようなことができますならば、それはそれなりの意味合いもあり、よろしいわけでありますけれども、今の社会保険方式で運営されております以上は、よく言われております税方式によって賄ったらいいではないかということにつきまして、多少の抵抗があるわけでございます。それは、税方式にすると新しい税負担が課せられることになる、あるいはまた保険料を拠出した者と拠出しない者との間の不公平があらわれるではないかということでございます。したがいまして、現状では引き続き社会保険方式でやることが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  35. 竹下登

    ○竹下国務大臣 現段階におきます物の考え方は、今厚生大臣お答えになったとおりだと思うのであります。ただ、日本社会党のかつての提案の中にも基礎年金部分に対する目的税という問題がございました。それから学者の方の中にも、これは所得賦課ではなく、学者の方の最近お出しになっているのは間接税という趣旨が多うございますが、いわゆる目的税構想というような意見があることは私ども承知しております。しかし、そこへ踏み込むというのはある種の大きな政策転換でございますし、そして新税ということにもなりますでしょうし、したがって非常に示唆に富んだ提案として関心は持っておりますが、現段階において社会保険方式というものにおいてはそこまで踏み切ることは困難でございますというようなところへ私自身も整理をしておるところでございます。
  36. 藤田高敏

    藤田(高)委員 この問題は、基本的な今後の年金制度全般、また社会保障的な性格をより多く持った年金制度をつくるためにどうあるべきかという議論にもなることでございまして、ぜひ私が今主張した方向でお互いが努力をしていくということを強く要請をいたしておきたいと思います。  きょうは共済年金制度に関係をいたしまして、禁錮刑以上に処せられた人たちに対する処分条項がありますが、処分による給付制限の問題がありますし、そのほか二、三質問を用意してきていたのですけれども、どうしても私自身がここで質問を打ち切らざるを得ない時間的な事情がございますので、これで私の質問を終わります。ただ、今私自身が強く要請いたしましたことにつきましては、財政当局を含め、年金当局を含めて、どうぞひとつ格別の御努力をいただきますことを強く要請いたしまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  37. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 上田卓三君。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  38. 上田卓三

    上田(卓)委員 先週に引き続きまして質問を続けさせていただきたい、このように思います。  まず、国鉄が民営・分割化される、こういうことでございまして、やはりその前提になるのは長期債務というものを正確につかむということ、それから国鉄の資産状況がどうなっておるのかということ、それから、運営状況というものとにらみ合わせて、今後運営形態がどうあるべきかということも含めて検討されるならばいざ知らず、長期負債がいつの間にか二十五兆四千億が三十七兆三千億、こういうことで、本来国鉄とは関係のない鉄建公団とか本四公団の部分が水増しされる。あるいは国鉄共済年金についても、戦後の国鉄職員の動向というものは、やはり歴史的な事情があり、また社会に貢献してきたという国策的な面があったわけでありますから、やはりこの部分の五兆円等については別途国庫で見る、国で見るという措置をとられなければならないにもかかわらず、関係あるものもないものも全部国鉄の赤字分としてどんぶり勘定して、そして、もうこれはにっちもさっちもいかないんだ、民営・分割しかないんだ、こういうことは私は余りにも暴論ではなかろうか、このように思うわけであります。  いわんや財政調整五カ年計画前提が三十二万体制、こういうことであるにもかかわらず、もはや三十万人になっておる。そして六十二年度から民営・分割ということで、国鉄職員が二十七万になり、あるいは二十五万になり、あるいは十九万、十八万というような状況の中で財政調整五カ年計画が終わる前に既に国鉄共済が破産してしまう、こういうふうな状況に相なるわけでありまして、そういう意味で、その前提になる問題について若干質問せざるを得ない、こういうように思っておるわけでございます。  そこで、前回に引き続きまして具体的な資産状況について残りをお聞かせいただきたい、こういうように思っておるわけでございますが、この前、国鉄の全資産は幾らかということを聞きましたところ、簿価で十二兆円という数字が出ておるわけでございます。この十二兆円の簿価の中でいわゆる固定資産の部分が幾らと計算されておるのか、まずお聞かせいただきたい、このように思います。——それでは、まだ担当者がお見えでないということでありますから、他の部分を——それじゃ、国鉄をもう一回やりましょう。  まず国鉄の資産、簿価で十二兆円という回答をいただいたわけでありますが、この中での固定資産の部分が幾らになるのか御報告をいただきたい、このように思います。
  39. 前田喜代治

    ○前田説明員 五十九年度末におきまして国鉄の固定資産は九兆九千億でございます。
  40. 上田卓三

    上田(卓)委員 この中で、土地は簿価で幾ら見積もっておりますか。
  41. 岡田宏

    岡田説明員 土地の簿価は八千九百六十八億円でございます。
  42. 上田卓三

    上田(卓)委員 そこで、いわゆる六万六千ヘクタールの土地ですね、これも含めまして総資産が十二兆円。これは簿価ということであるわけでありますが、この中で非事業用地として二千六百ヘクタールを売却する、それで、簿価はわからないんだ、しかし時価に直すと五兆八千億だ、こういうこの前のお答えがあったわけであります。  そこで、新幹線の事業主体が引き継ぐいわゆる旅客専用用地というのがありますね。これは時価というのですか、あるいは再調達価額というのですか、幾らになるのですか。それから、何ヘクタールになるのか、お答えいただきたい。
  43. 岡田宏

    岡田説明員 新幹線保有主体が引き継ぐこととなります用地の価額につきましては、再取得価額ということでございますけれども、その価額につきましては現在鋭意作業中でございまして、まだ数字は出ておりません。
  44. 上田卓三

    上田(卓)委員 ある程度出ているんじゃないですか。
  45. 岡田宏

    岡田説明員 監理委員会のお示しになりました再調達価額は八兆五千億という数字がございますけれども、私ども実務担当者といたしましてそれをさらに今詰めている段階でございます。したがいまして、その中の土地の面積でございますとか、あるいは土地の価額につきましては、まだ詰め切っていない状況でございます。
  46. 上田卓三

    上田(卓)委員 それでは、再建監理委員会が把握しておるようですから、答えてください。  監理委員会見えてないの。−それでは、一応再建監理委員会の方では、新幹線が引き継ぐ旅客専用用地の部分はまださらに詰めるということでありましょうが、八兆五千億という数字が一応出ておる、こういうことになるわけであります。そうすると、いわゆる非事業用地の五兆八千億、それから新幹線が引き継ぐものとして八兆五千億、こういうことになるのですが、あとがさらにどういうものになるかということであります。  この中で、分割するわけでしょうから、他の新事業体、そういうものについての資産というものが——全体はわかっているわけですから、引き算していくということになるのかどうかわかりませんが、幾ら残るのですか。
  47. 岡田宏

    岡田説明員 先生、今お尋ねのものは固定資産の価額でございますか、土地の価額についてですか。(上田(卓)委員「土地」と呼ぶ)土地の価額につきましては、監理委員会のお考えでは、新会社に継承するものにつきまして、事業用資産として引き継ぐものにつきましては簿価で承継をする、それから新会社が、例えば駅ビル等の関連事業をやっておりますが、そういったものに使用しておる土地につきましては時価で引き継ぐということにされております。それにつきましても、私どもとしては実務家といたしましてどの部分が事業用資産として残るか、逆に申しますと、もう一つ、旧国鉄に引き継ぐべき、先ほどの時価にいたしまして五・八兆、二千六百ヘクタールという土地があるわけでございますが、その部分を確定する必要がざいます。そうして残りましたもので新会社に引き継ぐべき財産のうち事業用資産として簿価で引き継ぐもの、時価で引き継ぐもの、そういったものの作業を鋭意詰めているところでございまして、それらについての面積、時価あるいは簿価等の確定は現在の段階でできていないという状況でございます。
  48. 上田卓三

    上田(卓)委員 監理委員会の方もお見えのようでございますが、今お答えのように新幹線それから非事業用地を除く旅客事業用地の部分、それからビルの底地など、アクティ大阪などの場合もそうでありますが、そういう関連事業用地、資産としてこういう二つがあと残るわけでありますが、その中で旅客事業用地の部分は簿価で引き継ぐというのですか、それから関連事業用地については時価、こういうことですが、これはトータルしたものが、何兆円というのが既に出ていますね。それを監理委員会の方お答えください。
  49. 林淳司

    林政府委員 旅客鉄道会社に引き継ぐ資産の額でございますけれども、これは合計六兆円でございます。そのうちいわゆる事業用資産は簿価でございますが四兆八千億、それから関連事業用資産、これは駅ビル等の底地でございますけれども時価で評価をいたしておりまして一兆二千億、合計六兆円、こういうことでございます。
  50. 上田卓三

    上田(卓)委員 わかりました。旅客事業用地の方は簿価、それから関連事業用地については時価でということで、時価と簿価がミックスしたものが六兆円ということですから。  そこで、この旅客事業用地の四兆八千億ですか、これは簿価ですね。だから、これは売るわけではないが一応時価にしたらどのくらいになるのか。これをやはり評価する必要があるのじゃないか、このように思いますので、それはできているはずだと思うのですが、お答えをいただきたい。  それから関連事業用地については時価が一兆二千億という数字が出ているということは、これを簿価がわかるはずですね。だから、これについて時価がわかっているのですから、その購入した時点の帳簿価格、いわゆる簿価をお答えいただきたい、このように思います。
  51. 林淳司

    林政府委員 まず事業用地でございますが、これについてはただいま申し上げましたように簿価で四兆八千億ということでございます。事業用地は、その事業を廃止して売るということではございませんで、あくまで鉄道事業を今後継続していくという前提で引き継ぐものでございます。これまで簿価を前提経営がなされてきたということでございますので、資産価値が変わるわけではございません。したがいまして、これについてはあくまで簿価で引き継いで今までの事業を継続していただくという考え方でございます。したがって、その事業用地については、私どもとしては、いわば時価の評価がえということは実務的に必要ないと言うとちょっと語弊がございますけれども、実務的にそこまでやることもないだろうということで、時価評価はいたしておらないということでございます。  それから関連事業用の資産でございます。関連事業用地は全部で七十五ヘクタールでございますけれども、時価で評価して一兆二千億ということでありまして、この関連事業用地は、その土地を使いましていろいろな駅ビル事業その他の事業をやるものでございます。したがって、これは時価で評価をしておるということでございまして、逆にまた、これの簿価は計算上把握をしていないということでございます。
  52. 上田卓三

    上田(卓)委員 これはおかしいですね。  まず一点の旅客事業用地、これは国鉄の資産といったって国民の財産ですよ。だから、これを新会社に引き継ぐということになってきたら実際とれだけの資産になるのか、どっちみち新会社で株式を発行することになるわけですから、やはり資産評価をしなければ私は大きな疑惑になるのじゃないか、このように思います。どっちみちこれは資産評価しなければならぬものですから、簿価で引き継ぐとしても時価としてはどのくらいのものなのかということは明らかにする必要があるのではないか。だから、今できていないならば、明らかにしてくれるのかしてくれないのか、その意思があるのかないのかお聞かせいただきたい。  また、関連事業用地についても、時価がわかっているわけですから、買い上げ時点の簿価というのはないのがおかしいのですね。国鉄というところは、わずかなことでも、何か記章をつけるのにも左端の何ですか、一々規程を決めなければ身動きができないように聞いているのですけれども、こういうような簿価の管理なども私はちゃんとできているのじゃなかろうかと思うのです。その点、納得できませんので、監理委員会の方でもいいし国鉄の方でもいいですから答えていただきたい。今わからなくても、答えてくれるのかどうか、もう国民に発表しないということなのかどうか。
  53. 林淳司

    林政府委員 まず事業用地でございますけれども、これについては、先ほど申し上げましたようにこれを売却するのではなくて今後鉄道事業を継続していくという前提でございます。したがいまして、これを仮に時価評価をすることにいたしまして、その時価評価に応じて債務をしょわせるということにいたしますと、資産の実態が変わるわけでは全然ございませんのに新事業体は莫大な負債をしょわざるを得ない、こういうことになって、経営が到底成り立たないことになるわけでございます。現在、簿価を前提にしてなお赤字が出ておるという状況でございますから、赤字要因を除去いたしまして後、健全体質にして、現在経営が行われておるベースとなっておる簿価をベースにしてその債務をしょわせていくというのが将来の会社の健全性という面からは必要である、こういうことで、簿価で資産を引き継ぐ、それに見合う債務を引き継いでいくという考え方をとっているわけでございまして、私どもとしましては時価評価というものは資産全体について行う必要はないのではないかと考えておるわけでございます。  それから関連事業用地七十五ヘクタール、これは私どもとしては新会社にどういう資産を引き継ぎ、かつどういう負債を引き継いでいくかということの必要上、売却対象用地と同様に時価で評価をして引き継ぐのが適当であろう、こういうことで時価評価をしたわけでございます。もちろんそのベースになる簿価というのはあるわけでございますが、私どもの作業の都合上、限られた時間でもございましたし、非常に膨大な作業を伴う簿価の整理は現段階ではしていないということでありまして、これは今後引き継ぐ関連事業用地というものを確定する段階におきましてその簿価を集計することは可能でございます。ただ、時間は若干かかるだろうと思いますけれども、その辺はまた必要があれば国鉄の方で作業していただくということになろうかと思います。
  54. 上田卓三

    上田(卓)委員 国鉄の分割・民営といいましても、国鉄の資産、負債もそうですけれどもこれは国民の財産ですからね。これを民間に譲ってしまうということは、国のものでなくなるのでしょう。国のものでなくなるだけではなしに、なくなるについて、二十五年間くらいかけて十六兆七千億ですか、このお金を国民が負担するのでしょう。国が負担するのでしょう。一年間で一兆四千億くらいになりますね。一年間一兆四千億ほどの国庫支出をして、それは結局国民の負担ということになるわけです。国民一人当たり一年間で一万四千円、世帯当たりで四万四千円ぐらいですかの負担になるのですよ。国民の税金をつぎ込んで、そして今までの国鉄の資産というのはこれは国民の資産ですが、それが何にもなくなるわけですよ。十六兆七千億の国民の税金をつぎ込んで、そして国民の財産として土地、建物が残るならわかりますけれども、二十五年間かかって国民が負担して、結局国民には何も残らないのです。だから私は言っているのですよ。簿価で渡さなかったら新会社が莫大な負債を抱え込むとか、それはちょっとおかしいじゃないですか。国民の財産が減り、なくなるということは、逆にその分だけだれかがもうかるということになるのではないですか。これは体裁のいい横領ではないですか、国家財産を横領するということになるのではないですか。だから、長期負債というものと国鉄の資産というものを国民にはっきりさすということが大事になってくるのではないですか。売ることが目的でないと言ったって、あなた、国の財産が民間の財産になるのでしょう。その解釈はどうですか。
  55. 林淳司

    林政府委員 ただいま申し上げましたように、私ども考え方としましては、新しい事業体、新会社が将来にわたって健全に経営できるということをまず考えているわけです。その場合に、現在の実態からいいまして、事業体に引き継ぐいわゆる事業用資産というのは簿価でありませんと、将来の健全経営ができないということでございます。これを時価で評価すると、当然貸借対照表上それに見合う資本金あるいは引当金、さらにその差額、非常に莫大な債務をしょわせることになります。例えば十六兆七千億あたりはすべて新事業体にしょわせるということになってしまうわけでありますけれども、そのようにしたのでは、新しい企業体は大赤字が出て、健全経営は到底できないということでありますので、健全経営ができる限度で債務をしょわせていく、そのためには簿価で評価せざるを得ないということでございます。  ただ、ただいま先生おっしゃいました、それでは国民の財産はどうなるのかという点でございますけれども、今回の改革におきまして、新しい事業体につきましては当初一〇〇%国鉄が出資する、国鉄の出資による特殊会社でございます。したがいまして、その国鉄の出資分というのは旧国鉄に所属いたしまして、旧国鉄が逐次この株式を売却していくわけです。その株式を売却していく段階におきまして、新しい鉄道会社のいわゆる営業成績というものが当然株価に反映されていくということであります。したがって、簿価で引き継いだ、それによって健全経営を確保できた、将来収益を生むようになるということになれば、その収益というのは株を売却する段階で株価を通じて吸収されていく。それは旧国鉄の収入になりまして、それをまた長期債務の償還に充て得る。こういうことでございまして、当初一〇〇%国鉄が株を出資する、それは旧国鉄が所有するというところから、そういう問題はすべて吸収され得るというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  56. 上田卓三

    上田(卓)委員 新会社がどれだけの資産を持っているか、簿価じゃなしに実際の資産ですよ。それは経営状況にもよりましょうが、やはり株価に大きな影響があるわけです。だから、それは新会社で決めることであって国民には関係ないということにならぬわけですから、その時点でというよりやはり現時点でどれだけの評価ができるのかということは明らかにしなければならぬだろうし、簿価でなしに時価で評価すれば新会社が莫大な負債を抱えることになるから計算しないんだということはおかしいのじゃないですか。負債を抱えるか抱えないか、その後のことは別にして、一応現時点、国鉄財産を新会社に引き継ぐ時点での純粋資産、時価というものを明らかにしなければ国民は納得しない。これは法案が出る時点でどっちみち議論になると思いますから、ぜひともこれを明らかにしてもらいたいし、私も機会あるごとにこの問題について追及していきたいと思っておりますが、旅客事業用地の時価の部分、それから関連事業用地、これは時価がわかっているわけですから簿価についても早急にひとつお知らせをいただきたい、こういうように思います。  そこで、先ほどもちょっと藤田先生から出ておりましたが、国鉄再建監理委員の住田さんですか、あの方でさえも、例えば三島基金で国の財政援助というのですか、そういう負担があるならば、引き継ぐ新事業体は超優良企業である。そうでしょう、今までの借金がみんな棒引きというのですか、何もなしに資産を引き継いで、そして赤字になれば基金から見てもらえるということですからね。国鉄の場合は非常な借金を背負ってウーンということであるけれども、新会社の場合は身軽になって、それで赤字が出れば見てもらえるということになって、本当にこんな会社は超優良企業だ、こう言っているのですけれども、そういうようにして民間にもうけてもらわなければいかぬという、そこに私、先ほど申し上げたように非常に利権の巣になりかねないゆゆしき問題があると思うのです。その点ちょっと、住田発言真意についてどういうふうに理解されているのですか。
  57. 林淳司

    林政府委員 超優良企業という言葉遣いが適当であったかどうかという問題はあろうかと思います。ただ、住田委員発言しました趣旨と申しますか、真意と申しますか、これはどういうことかといいますと、北海道、九州、四国という三島会社の場合には、将来の需要予測等を考えた場合がなり経営が厳しい面がある。したがいまして、それに対して当面六十二年度は一%程度の黒字が出るにしても、果たして将来にわたって本当に健全にやっていけるのかという疑問が非常に強く当該地域から提示されている状況でございます。それに対しまして住田委員が説明いたしましたのは、北海道、四国、九州につきましては、それぞれまず資産をただで引き継ぎます、債務は免除をいたします、それによって赤字が相当減ります。いわゆる資本費がそれだけ減る。さらに、それでもなおかつ経常損益でかなりな赤字が出る。したがって、これについては赤字を埋め得るようなそういう基金というものを設定するということで、これは貸借対照表でいいますと非常に大きな資本準備金が立つ、いわゆるコストのかからない資本準備金が立つという形で、そういう意味でいわゆる形の上からは非常に優良な企業の形になるということでありますので、将来にわたって健全経営というものは十分確保できると思うという趣旨のことを申し上げたわけでありまして、むしろ、将来やっていけるかという地元の不安に対して、こういう措置を講じてあるので十分やっていけると思うということを申し上げたというのが真意でございます。
  58. 上田卓三

    上田(卓)委員 これは本人がおりませんからまた後日に譲りたい、このように思います。入り口の話ばかりになったわけでございますが、国鉄問題についてはさらに我々は重大な関心を持ってこの問題について見詰めていきたい、このように思います。  そこで、共済年金の改正、こういうことでありますが、私は先週も申し上げたわけでありますが、各制度によって格差がある。それを高い方で統一をするのじゃなしに、低い方、低位の水準に全部横並びにさせる大改悪であると考えざるを得ないと思います、また、国民年金が基礎年金ということになるわけでありますが、この国民年金自身といいますかその部分が基礎年金になったために、給付水準が非常に低下しておるのではないか。  まず、今まで二十五年間掛金をして、そして五万円いただくことになっておった、月五万円。それが今度四十年掛けて五万円である。こういうことで、実質的には三五%も給付水準が下がった、減額された、こう言ってもいいのではないか、こういうように思うわけであります。基礎年金という以上、ある年齢に達したら一定額の年金がもらえるんだということでなければならないのではないか。それが四十年掛金が、保険料が掛けられなかったら減額するというようなことも基礎年金の性格それ自身にかかわってくる問題だ、このように思うのです。  生活保護基準によると、東京など一級地で単身老人の場合は、去年度だけで少なくとも一カ月七万四千円という生活保護費が出る。こういうことで、それよりも以下であるということは何とも納得できないわけでありますので、この点についてひとつお答えを、これは厚生大臣がいいんじゃないですか。
  59. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 基礎年金の額でございますけれども、この五万円というのは、高齢者の現実の生計費等を総合的に勘案しまして、その基本的な部分を保障しようという水準といたしたわけでございます。これをさらに引き上げるということにつきましては、保険料負担との関連や今日の厳しい財政状況等を考えますと極めて困難であります。総体的に申しまして、高齢化社会を迎えるに当たって制度の安定を期するためには給付の適正化を行わざるを得なかったということに起因いたしておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  60. 上田卓三

    上田(卓)委員 御理解もヘチマも、要するに、今まで国民年金の場合は二十五年掛けたら五万円であったのでしょう。今度四十年掛けるのでしょう。そうしたらそれが五万円になるのじゃなしに、四十年掛けたら七万五千円ぐらいになるとか八万円ぐらいになるというのならわかりますけれども、何かどうもここがわからぬということが一つ。  それから、基礎年金だと言うならば、その掛金を四十年掛けたら五万円だけれども、掛けられなかったら減額されるというのはおかしいのじゃないのか。掛けるとか掛けないとかいうことよりも、基本的にある人が一定の年齢に達したら皆平等に五万円だったら五万円、七万円だったら七万円を上げるというのが基礎年金の基本的な姿勢じゃないのかということを聞いているのです。
  61. 吉原健二

    ○吉原政府委員 もし仮に、先生おっしゃいますように、六十五歳になってみんなが五万円もらえるようにするということにしますと、それはいわば保険料ということではなしに、全部その財源を税金で見て、だれもが六十五になれば年金をもらえるようにする、こういうことでございます。それも一つの制度のあり方としては十分考えられるわけですけれども、果たして現実的にそういうことが可能かということを考えてみますと、先ほどもお話のございましたように、今まで国民年金も、ずっと保険料を納めて、二十五年で大体五万円ということで今日まで来ているわけでございまして、今それを全部、今までの掛けた分はいわば棚上げにして全部税金でみんながもらえるようにするということが果たしてできるかどうか。実際問題としてはなかなかそういうわけにはまいらぬだろうと思うわけでございます。  それから同時に、全部税金でやるといたしますと、仮にその五万円を六十五歳から全部の方に差し上げるとしますと、六兆円ぐらいの財源が必要になるわけでございます。今、年金に対してやっております国庫負担が大体二兆円ちょっとでございます。約三兆ないし四兆の財源を税金で賄う、増税が必要になるわけでございます。そういったことが現実的に今の時点で可能かということを考えますと、先生のような御提案は、考え方としてはあり得ても、なかなか実際問題としては難しいと考えざるを得なかったわけでございます。
  62. 上田卓三

    上田(卓)委員 私は、基礎年金という概念、物の考え方をまず明らかにして、それで金額の問題については財政的な問題があるという、これは意見の違うところだろうと思うけれども、少なくとも基礎年金という以上は、一定の年齢に達した人がだれるかれもがもらえる額というのが基礎年金の概念ではないのか。これは外国でも、イギリスを除いて全部、基礎年金部分というのは賦課方式というんですか、税金で見ていますよね。国庫負担じゃないですか。先進国、皆そうじゃないですか。イギリスは保険料を掛けていますよね。しかし、その部分に対してもやはり国庫補助をつぎ込んでいるというのが現状じゃないですか。やはり基礎年金という以上は物の考え方をまず明らかにしないと……。  だから、そういうことであれば、基礎年金のこの五万円といったって、結局三分の一しか国庫は見ていないんでしょう。三分の一ということは、例えば五万円の三分の一としますと一万七千円弱ですよ。それじゃ、この一万七千円弱が基礎年金じゃないですか。それを何か国民に基礎年金を五万円といって、みんながだれでももらえるような錯覚をさせて、これは欺瞞じゃないですか。我が国の基礎年金は一万七千円であるということになるのじゃないですか。国が見ている部分が基礎年金の部分じゃないですか。あとは掛金によってもらう部分になってくるんじゃないですか。なぜそういうようなごまかし的な——一階、二階、三階というのは一般的にわかるけれども、一階自身に掛金制度をつけて、そして基礎年金といっていること自身に大きな矛盾があるのじゃないですか。どうですか、そういう物の考え方について。
  63. 吉原健二

    ○吉原政府委員 実は、率画に申しまして、私ども先生のような考え方をとっていないわけでございます。つまり、基礎年金というのは老後の生活の基礎的な部分を保障しよう、こういう年金でございまして、それは必ずしも全部国庫負担でやらなければならないという考え方はとっておりませんし、諸外国にもそういった考え方はないわけでございます。今おっしゃいましたように、イギリスでも一階部分基礎年金、上が所得比例年金という仕組みをとっておりますけれども、御案内のとおり、イギリスの基礎年金も社会保険方式の年金でございまして、決して全額国庫負担で一定額がもらえるという仕組みでないわけでございます。やはり老後の生活の基礎的部分をどういうやり方で保障するかというのは国によってまちまち、それぞれの年金制度の沿革あるいは国民の考え方、そういうもので決まってくるわけでございまして、基礎年金という以上全部一定額を国の財源で、国の税金で保障しなければならないという考え方は私どもはとってないわけでございます。
  64. 上田卓三

    上田(卓)委員 とっていないことが間違っていると言っているんですよ。イギリスは保険の元祖みたいなものですから、保険料を掛けて掛金制度。しかし、その他の先進国では、やはり基礎年金部分は全額国が見ているんじゃないですか、イギリス以外では。ちょっとそれは勉強足らぬのじゃないですか。私が勉強足らぬのかあなたが足らぬのか、これは客観的な事実だからどっちみち調べてみればすぐわかることです。私の理解するところでは、イギリス以外は全部、基礎年金部分は国が全額見ているということです。だから、日本の基礎年金というのは大いにごまかしであって、国が見ている三分の一部分だけが基礎年金と言えるのではなかろうか、こういうように考えておるわけです。だから、そういう意味で、三分の一というんじゃなしに、やはり我々の言っているようにそれを二分の一とかあるいは将来全額という形で引き上げるということが正しいのじゃないか。基礎年金というのはこれは社会保障部分でありますから、やはりそういう点で税金で見るということが原則的に正しいのではないか、このような思うのです。だからひとつその点について、事務局方じゃなしに大臣、どういうふうに考えているわけですか。
  65. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この基礎年金は、各保険制度間の公平を図るという意味から共通に適用されるものであります。したがって、そういう意味合いから、私どもから見ますと、現在の国の負担というものは限界であろうというふうに思っております。
  66. 上田卓三

    上田(卓)委員 だから、先般の国民年金、厚生年金の改正案の折には、参議院段階で、基礎年金の水準あるいは費用負担のあり方については今後検討を加える、こういう修正になっているんじゃないですか。だからこの部分に対して、やはり水準あるいは費用の負担のあり方について検討を加えるということでありますから、その点ぜひとも検討してこの給付水準を上げてもらいたい、こういうふうに思います。  それに関連して、国民年金、基礎年金自身もやはり行き詰まってくる、そういう状況にあるのではないか、こういうように思います。現在の保険料が月六千八百円ですね。これがやがて一万円になるだろうし、二十年後には約倍の一万三千円ということになるわけであります。現在でも保険料が掛けられない、こういうことで、去年だけでも法定免除が四・七%、八十七万人、それから申請免除が一二%、二百二十二万人、計一六・七%で三百十万人が保険料の免除者になっておる、こういうことでありますから、保険料が上がるということになればますますこういう傾向が出てくるのではないか、こういうように思うわけであります。そういうことによって国民年金の財政が行き詰まる、こういうことから、国民年金、基礎年金に当たる部分が崩れてはならぬということから、厚生年金とか共済年金等をどんぶりにしてそれを救済しよう、こういうことになっておるのではないか、こういうように思うわけであります。この基礎年金の部分をちゃんと国庫負担でガードしなければ他の年金グループに大きなしわ寄せを与えるということになるわけでありますから、その点についてどのように考えておるのかお聞かせをいただきたい、このように思います。
  67. 吉原健二

    ○吉原政府委員 最近、国民年金につきまして、免除の率といいますか対象者がふえていることは確かに事実でございますけれども、国民年金の財政状態が行き詰まっているとかあるいは危ない状態にある、危機に瀕しているということでは決してございませんで、今回の基礎年金の導入というのは、国民年金を救済するということではなしに、国民年金を基礎年金を支給する制度に衣がえをいたしまして、いわば新しい基礎年金という制度をつくった、その基礎年金という制度を各制度が共同で公平に負担をしていこう、こういうことなんでございます。そういったことを通じて、年金制度全体を二十一世紀に向けて長期的に安定した、基盤のしっかりしたものにしていきたいということでございます。
  68. 上田卓三

    上田(卓)委員 していきたいという願望がありましても、現実問題としてこうやって免除者がふえている、今後もふえる傾向にあるということは事実でありますから、その部分をどうするのかということの中から、国民年金だけではやっていけない、そういう意味で他の年金制度の援助というのですか、そういう形を考えているのではなかろうか。そういうことじゃなしに、もっと基本的な、国庫支出をふやすことによって国民年金、基礎年金の部分をガードしていくということが一番正しい、私はこういうことを申し上げているわけです。  そこで、国の財政事情とかいろいろありますが、例えば厚生年金一つ見ましても、国際的な水準が今どの程度になっておって、そしてそれに比べて日本はどうなのか、その点についてちょっと説明していただけませんか、ILO条約と関係もありますから。
  69. 吉原健二

    ○吉原政府委員 国際的に見ますと、厚生年金の水準は、給付の面では、いわば先進国と言われております西ドイツにいたしましても、フランスにいたしましても、スウェーデンにいたしましても、そういった国々と遜色がない、むしろ高いというところまでの水準に来ているわけでございます。一方、保険料の方の水準がどうかといいますと、まだまだ我が国の場合には保険料の水準が低いわけでございまして、若干保険料率の計算の仕方が違いますけれども、西ドイツの場合には、保険料率が千分の百八十五という諸外国の中でも一番高い水準にございます。我が国の場合の厚生年金の保険料率がことしの十月から千分の百二十四ということでございまして、まだかなり差があるわけでございます。イギリス、フランス等の保険料率も我が国よりも高い。つまり、給付は我が国の場合にはもう諸外国と遜色がない、保険料率はまだ低いというのが現時点の状況でございますけれども、今の制度のままにしておきますと、今後受給者の増加なりあるいは人口の高齢化に伴って、給付も上がりますが、それ以上に、我が国の場合には保険料の水準が現在の三倍程度の水準、率にいたしまして四〇%近くの水準になってしまう。それでは年金制度は長期的に非常に不確かな、不安定なものになってしまうということから、今回の改革をお願いしておるわけでございます。
  70. 上田卓三

    上田(卓)委員 日本が先進国並みである、あるいはそれ以上に近い生言わんばかりの話ですが、それでは一九六七年のILO百二十八号条約をなぜ批准しないのですか。それだけ立派なものであったらなぜ批准しないのですか。これは条約ができたのが十八年前でしたね。そこまで達していないから、恥ずかしいからこれはよう批准しないんじゃないですか。答えてください、なぜしないのか。
  71. 吉原健二

    ○吉原政府委員 給付の面、負担の面の状況はただいま申し上げたとおりでございますけれども、今御質問のILOの百二十八号条約を批准していない理由でございますが、現行法では、五人未満の事業所には厚生年金の適用がございません。ILO百二十八号条約では全被用者の九〇%以上に被用者保険を適用しなければならないということになっているわけでございますけれども、そういった五人未満の事業所への適用ということでこのILO条約を満たしていないというのが批准していない理由でございます。
  72. 上田卓三

    上田(卓)委員 いずれにしても、国際条約ですから恥ずかしいですよね。  一九六七年に百二十八号条約も通っておりますが、これを我が国がまだ批准していないということだけじゃなしに、この年に百三十一号勧告も出ているのです。この勧告の中身は、三十年拠出で従前所得の五五%、百二十八号条約の方は同条件で四五%ということになっているのです。これは私が考えるのは、例えば日本と諸外国では賃金事情が違うと思うのですね。外国ではボーナスというものがない場合が多いのですが、日本はボーナスがあるわけでありますから、やはりボーナスというものも加えるということが一つ前提になってくるのじゃなかろうか、こういうふうに思います。そういう意味で、月々のそういう賃金に加えてボーナスの部分をどの程度見るかということになりますが、やはり一・三倍というような形で加えるとか、あるいは日本の場合は拠出が四十年、こういうことになりますと、国際的な水準では三十年拠出ということになっているわけでありますから、三十年を四十年に変えるということになりますと、やはり大体四〇%ぐらいになってしまうのではないか。そうすると、我が国は一九七五年に批准しているのですけれども、一九五二年の百二号条約ですか、これが約四〇%ということになっているのですが、この水準程度ではないのか、我々はそういうふうに考えざるを得ない。  今あなたは非常に国際的に高いと言うけれども、私の計算によると、日本は国際的な水準から見てはるかに低い給付水準にあるということが明らかになるのではなかろうか。だからこそ日本は国際条約であるところのILO条約を批准しないのではないか。それは五人未満の云々のものもあるのでしょうが、そういうものは早急に解決すべき問題じゃないですか。批准してもしなくてもいいんだ、そんなことでは国際社会から孤立しますよ。
  73. 吉原健二

    ○吉原政府委員 給付水準の面につきましてはILOのいずれの条約をも十分満たしているわけでございます。ボーナスについてのお話がございましたけれども、日本の場合にはボーナスを除いた平均賃金、平均標準報酬に対して現在の時点で六八%、今回の改革案でも将来とも六九%の水準を維持するということでございますが、これはボーナスのようなものがないヨーロッパ諸国の賃金水準に対する比較で見ましても大体四〇%ないし四五%という水準は十分満たしているわけでございます。したがいまして、給付水準の面では国際条約を十分満たし得る条件にあるわけでございますが、適用の仕方につきましては、各国の年金制度の適用の仕方に若干の違いがあるわけでございまして、日本の場合には、五人未満の事業所というのは原則として厚生年金の適用には入っておりません。今回の改正で法人を中心に徐々に広げていくことにしておりますけれども、しかしながら、我が国の場合には、国民年金でもっていわば完全な形で国民皆年金というものができているわけでございまして、決して制度全体としてよその国に比べまして適用が劣っているとかあるいは給付が劣っているという状況にはないということははっきり申し上げることができるわけでございます。
  74. 上田卓三

    上田(卓)委員 あなたは今、給付水準は六八%云々ということをおっしゃいましたが、ボーナスというものを含めて考えたら、月々の賃金の一・三倍ぐらい掛けるのが正しいのじゃないか。ということになりますと、それだけで六八%が五三%ぐらいになるのですね。それをさらに三十年のものを四十年、我が国の場合四十年ですから、四十年というようにベースを長くすると、四〇%ぐらいになるんじゃないですか。あなたと前提に立つものは同じだけれども、我々が計算するとこういうふうに大きな差が出てくるのだ。これはこの場でなくてもいいですから、あなたの計算したのがなぜ四五%ぐらいになるのか、一回詳しく説明してください。我々はどうしても四〇%以上にならないのですよ。どこかでごまかしをやっているんじゃないでしょうか。答えてください。
  75. 吉原健二

    ○吉原政府委員 ごまかしというようなことは全くやっておりませんで、そういった数字になりますので、後刻にでも先生のところに御説明させていただきたいと思います。
  76. 上田卓三

    上田(卓)委員 ここでどうのこうのと言うことはできないですけれども、いずれにしてもそんな高い水準にない。そして、自信を持てるなら早くILO条約を−百二十八号条約、これは三十年にして四五%保障しなければならぬということになっているのです。我が国の場合は四十年なんだ。三十年のものでも非常にこういう低さがあるわけですからね。  それから百三十一号勧告に従う。これは五五%ですよね。だから、そういう点で国際水準にあると言うなら、五五%になるようにちゃんと給付水準を上げるべきだ、私はこのことを申し上げておきたい、このように思います。  そこで共済年金の場合、国家公務員等の定年が六十歳ということでありますから、定年になればすぐ年金生活に入る、すぐ年金をもらえるというのが正しいのでありまして、六十歳で定年退職をして六十五歳から年金をもらうということになりますと、その間はもうちょっと働けということになるわけです。働かなければ食べていけないわけですから、やはり仕事の保障、雇用保障というのですか、そういうものも国の方でちゃんと考えなければならぬ。君たちは勝手に仕事を探しなさいということにはならぬのではないかと思うし、逆に言うと、六十五歳からくれるのだったら定年が六十五歳ということにもなりかねないわけですから、その点日本の定年制度というものと年金を受け取る六十五歳というのがどうも矛盾がありはしないだろうかということが一点。  共済年金につきましては特別支給ということで六十歳から認めておられるわけでありますけれども、特別支給の間はいわゆる国庫負担の部分を行わないということになっておるわけであります。そういう意味で、共済年金というものをどうしても本則六十五歳からという形で、六十歳に持っていこうという考え方がないあうわれとして国庫負担の部分が削られておるのではないか、こういうように考えられますので、本来年金というものを国民年金も含めて六十歳に持っていく努力をするつもりがあるのか、いやそれは六十五歳でいいんだということになっておるのか、その点明らかにしていただきたい、このように思います。
  77. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 老齢厚生年金の特別支給の制度の中に国庫負担がついてないわけでありますけれども、これはそれぞれ違いますいろいろな制度間において基礎年金を導入し、それを国民年金に合わしたわけでございますので、公平という観点から六十五歳ということに相なったわけでございます。支給開始年齢の引き上げをしようというわけではないわけでございます。  先生指摘のように、一生涯をいかに有意義に過ごすかということを考えますと、一定年齢まで働く能力と場所があれば就労によって生活を支え、その後は年金を中心ということになることが望ましいと考えております。しかし、将来の高齢化ということを考えますと、支給開始年齢の問題は今後の課題として避けて通れないというふうに考えておるわけでございます。ただし、今日の雇用情勢のもとで六十歳支給を六十五歳にしようととう考えは持っておりません。もっと高齢者の雇用の動向を総合的に考えながら見きわめて対処していく所存でございます。
  78. 上田卓三

    上田(卓)委員 いずれにしても、六十五歳というよりも六十歳にすべての年金が支給される、すべきであろう、私はこういうように思います。  それと同時に、六十五歳だということになれば、定年後の雇用保障とかあるいは所得保障をどうするのかということが明らかにされなければならないだろう、こう思うわけであります。そういうことができないという以上は、定年即年金の支給ということに持っていくべきだということを強く主張しておきたい、このように思います。  次に、大蔵大臣になると思いますが、厚生年金の国庫負担分ですね。これは行革特例法で三年間四分の一カットする、こういうことで、後で利子つけてでも渡すということをお約束されていますね。ところが、ことしもまた補助金カット法案のあおりを食らって国庫負担分が四分の一カットということですね。来年もまたそういう形になりかねないじゃないかと我々も絶対反対でありますけれども、これはいつ利子をつけて返すのですか、お答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  79. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これはいつも申し上げておりますように、この減額分の返済の具体的内容につきましては、これからの国の財政状況を勘案する必要がありますので、現時点で何年何月ということは明らかにできないところでございますが、政府としても、財政改革をさらに強力に推進することといたしまして、誠意を持って対処して、重ねて申し上げますように、今後積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担の減額分は可能な限り早くその繰り入れに着手するという基本的な考えは、今まで申し上げているのとずっと一緒、継続しておるということでございます。
  80. 上田卓三

    上田(卓)委員 要するに、本年度末四年間分で九千四百七十億円、利子を含めると一兆七百七十五億円に達するのです。これは返すのですか、返さないのですか。利子をつけて返すと約束しているのでしょう。そうでしょう。財政事情が許したら返すが、それまではだめだということですか。ずっと永遠にだめですか。信頼制度というのがあるから、政府あるいは大臣もそうですが、国会で返すと言ったら返す、いつまでに返す。貸しくだされということじゃないのだから、これは政府自身あるいは政治家自身が世間様から信用されないことになりますよ。ちゃんと返すと言えば、何年何月までに利子をつけて渡す。ちゃんとしたけじめをつくらぬとだめじゃないですか。そうせぬと、これから政府がどんな約束をしても、これは将来どうなるかわからぬということになりかねないのじゃないですか、大臣
  81. 竹下登

    ○竹下国務大臣 おっしゃいますとおり、当面ということで行革特例法のときにお願いをして、そして年々約束しておりますのが、財政事情等を勘案して、その運用益をも含めて必ずきちんとお返ししますということはお約束をしておるわけでありますが、現時点において、財政状態等からして、何月何日からと言うだけの今日自信がない、こう申し上げておるわけであります。お貸しくだされというわけにいかない性格だということは、これは国会でも十分御議論をいただいておりますし、私どもとしても、誠心誠意お答えを申し上げておるというのが現状であります。
  82. 上田卓三

    上田(卓)委員 いずれにしても国民年金が将来大変な状況になる。国鉄共済もそうだし、国鉄共済が崩れるということになれば公的年金全体が崩れてくるということになって、連鎖反応で関連倒産ということでみんな大変になってくるのではないか、私はこのように思うのです。だから、この時点で国庫支出を含めた抜本的な状況をつくらない限り、その場その場で言い逃れるというようなことはますます事態を悪化させるだけでなしに国民の信用というものを落とすことになりかねない、このように思っておるわけでありまして、我々は絶対反対であるということを強く申し上げまして、一応、私はこれで質問を終わりたいと思います。
  83. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 午後四時から再開することとし、この際、休憩といたします。     午後二時十九分休憩      ————◇—————     午後四時九分開議
  84. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本たばこ業株式会社労働部長伴内昭彦君及び日本電信電話株式会社労働部長外松源司君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 越智伊平

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  86. 越智伊平

    越智委員長 質疑を続行いたします。沢田広君。
  87. 沢田広

    沢田委員 時間が変わったから前の予定が変わったのかもわかりませんね、これは。こっちも戸惑っているが相手も戸惑っているようですね。  では、順不局でありますが、実はそういう依頼を受けたからするわけでありまして、質問をさせていただきます。警察は来ておられますか。——これもいない。
  88. 越智伊平

    越智委員長 ちょっと呼んできて。  速記をとめて。     〔速記中止〕
  89. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  沢田広君。
  90. 沢田広

    沢田委員 来られる方が順不同でありますので質問する方も順不同になりますが、その点はまずもってお許しをいただきたいと存じます。  最初に警察関係にお伺いをいたします。  本日、いわゆる千葉勤労といわれておりますストライキと関連をいたしまして、言うならば全国的に通信網などの切断等によって新幹線を除く他の国鉄関係輸送機関が全面的にストップをした。この行為は法律的に見るとどういうことになるのかということも問われていると思うし、また、国民に大変迷惑を及ぼしたことも否定できないと思うのです。今さらこの近代国家である我が国にゲリラ的なことがこれからさらにふえたり、あるいは騒擾的な事件というふうに見られることは、国民の生活に重大な影響を与えるというゆゆしいことでもありますので、これは警察当局から、十分事前に察知されていたのではないかと推察される点もあるわけでありますが、その点お答えをいただきたいし、事件の概略について御回答を賜りたい、このように思います。
  91. 鏡山昭典

    ○鏡山説明員 お答えいたします。  けさ方全国的に発生いたしましたゲリラ事件でございますけれども、これは、国鉄千葉動力車労働組合が国鉄の分割・民営化十万人首切り阻止ということで昨日の正午から二十四時間ストライキに突入したわけでございまして、この際、中核派という極左暴力集団がございますが、これを中心にした極左暴力集団が千葉の勤労のストライキを支援したわけでございます。その支援の一環として今回のゲリラを敢行したものと見ております。  けさ方行われたゲリラは、大体午前三時半ごろから九時ごろまでの間に、東京都を初め全国八都府県で国鉄の列車用の信号ケーブルとかあるいは通信ケーブル、大阪の方では新幹線の変電所等に対して、ケーブルをカッター様の物で切断するとかあるいは時限式の発火装置等を置きまして変電所の中の変圧器を焼き壊す、あるいはケーブルを焼くとか、こういうような行為を全国で三十三カ所行っております。同時にけさの七時ごろには、国鉄総武線の浅草橋駅構内で、極左約五十人が駅舎に火炎瓶等を投げまして半焼させるというような非常に悪質なゲリラを同時的に多発させたわけでございます。  これにつきまして、警視庁を初め関係都府県警察では、事件認知直後直ちに緊急配備等を発令いたしまして初動捜査措置を講じ、これまでに、中核派系の全学連の委員長あるいは副委員長等を含め、あるいは非公然部門の活動家を含める四十八人を本日現行犯逮捕いたしております。  先ほど御指摘のように、こういうようなゲリラというものはもっと事前に事実を把握して押さえるべきじゃないかということでございます。御指摘のとおりでこざますけれども、実は極左暴力集団、特に中核派といいますのは、非常に高度な非公然体制をとっておりまして、お互い同士名前もわからない、それから自分たちの住むところも、マンション等に潜んでおって発見がなかなか難しいというようなことで、非常に高度な非公然体制をとっているわけでございます。そういう意味で、高度な非公然体制をとっておる極左暴力集団の情報入手、特に警察の警備の間隙を縫い、あるいは警察の動きを調査した上で行うゲリラというものにつきましてはそれがなかなか掌握しづらいという点で、今度も事前に押さえ込むことができずにこういう事件を発生させたということで、私どもとしても非常に申しわけない、こういうように考えております。  いずれにしましても、私どもといたしましては、今回のこの種事犯につきましては今後さらに捜査を徹底いたしまして、全容の解明、解決に努力すると同時に、国鉄当局とも十分に連携を密にいたしまして再びこういう事案を発生させないように最大の努力をいたしていきたい、こういうように考えております。
  92. 沢田広

    沢田委員 きょうは年金のことが主体でありますから——ただ、相手を高度だというのは自分が低度だということになるわけでありますし、そう相手を感心していたのじゃ話にならないということにもなります。  それからきのうのうちからこれは大体想定されていたのだと思うのですね。総裁を呼んだが総裁は来られない、どうも中核派が襲撃しそうだから、この委員会にも来られないから御勘弁を願いたいという連絡を受けたくらいであります。だから、十分に察知し得た状況にありながら、それをついに十分に捜査ができないまま行為を行わせだということは極めて重大な問題だと思わざるを得ない。  これは大臣から言いただいて、きょうはその方が主体じゃありませんが、これ以上またこのようなことを絶対に起こさせないように万全の体制をとらなければならぬだろうと思いますので、その点、運輸と警察当局から決意のほどを伺って、本題に入りたいと思います。
  93. 山下徳夫

    山下国務大臣 今朝起きました運転の妨害事件は、一般国民を巻き添えにしたということ、さらに首都の交通を麻痺させて首都という重要なところの社会秩序を破壊させたという点において、事は極めて重大であり、卑劣な行為だと私は思っております。しかしながら、このような行為によって国鉄再建計画がどうにかなるものでもございませんし、所期の目的どおり昭和六十二年四月一日に新しい会社が発足できるように今後とも進めてまいりたいと思っております。  そのためには治安当局と十分連絡をとって進めてまいりますが、今お話の中にございました、事前にキャッチできなかったかという点につきましては、まだ国鉄当局から十分伺っておりません。しかし、最近何か起こるかもしれないという予想のもとにいろいろ厳重な警戒をしておったことは私も聞いておりますけれども、どういう配置であったかということは私も十分承知いたしておりませんが、今申し上げましたように今後さらに十分に注意をして、二度とこういう混乱に陥らないような体制をつくらなければならぬ、このように思っておる次第でございます。
  94. 沢田広

    沢田委員 警察の前に大臣、今回行われた行為は千葉勤労のものと言われるストライキとは直接関係はないけれども、便乗という言葉が適切かどうかわかりませんが、それに便乗した破壊的な人たちがこういう行為に入ったと判断されておりますか、どうですか。
  95. 山下徳夫

    山下国務大臣 まだ警察当局からお話を伺っておりませんし、現段階で私からどうであったかということを申し上げるだけの資料を持ち合わせておりません。
  96. 鏡山昭典

    ○鏡山説明員 まず、今度の事件が千葉勤労と関係があるかということでございますけれども、千葉勤労の方はともかくといたしまして、中核派の方は千葉勤労の人を全面的にバックアップするのだ、そういう立場から本日けさ方のゲリラをやったことは事実だと考えております。これはきょう逮捕した者たちを今後もっと調べた上でまたはっきりしてくるとは思いますけれども、現在はそういうふうに考えられます。  それから、向こうが高度だということになると私ども低度だという御指摘でございますけれども、決して向こうを褒めたわけじゃございません。私どもも自分たちを弁明するわけじゃございませんが、彼らがかなり厳しい防衛体制をとっているという点を御理解いただきたいと思いまして申し上げたわけでございます。  いずれにしましても、彼らのゲリラ計画というものは、一般的に今度のストに関連してそれこそ電車を車庫から一歩も出さないのだ、線路上に座り込むのだというようないろいろな情報もございましたけれども、具体的にどこをやるかというようなゲリラ情報というものはなかなか入手が難しいわけでございまして、私どもといたしましても、国鉄当局と一緒になりまして、関東圏あるいは近畿圏の警備を強めておったわけでございますけれども、結果的にこういう事態になりまして国民の皆様方に多くの御迷惑をかけたことは申しわけない、こういうふうに思っております。  今後はこういうことのないように全力を挙げて努力していきたい、とう思っております。
  97. 沢田広

    沢田委員 きょうの本題でありませんから、特に今後の対応に万全を期していただくよう要請をいたしまして、これはまた別の機会にいたしたいと思います。  厚生大臣も忙しいと言う、運輸大臣も忙しいと言う。どっちを先にしたらいいかなと思っておるのでございますが、四時五十分までに厚生大臣——厚生大臣の方が先になりますが、運輸大臣よろしいですか。——いいですね。  厚生大臣、これは政治的な問題ですから事務当局ではなくお答えをいただきたいと思うのであります。  多くの人から言われてきておるのですが、年金を統一していくというスケジュールをはっきりしてほしい。これは国民として極めて不安定な感じを持つわけです。年金を統一するという意味はとうなのだろうか、まず中身が心配だ、それから金額が心配だ、あるいはプロセスが心配である、こういうことがあると思うのです。私はその全部を今聞こうとは思いません。また、できないでしょう。年金を統一化とか一元化とかいうのは日本語として非常に紛らわしい言葉でもあるわけです。ですから、年金を統一するということはどういう意味なのか、一元化するということの意味はどういうことなのか、それからどういう展望を持っているのか、こういうことで大臣から簡潔に——簡潔にというのは難しいかもわかりませんけれども、こう思っております、こういうふうにおっしゃっていただきたいと思います。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕
  98. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 年金の一元化というものは、負担と給付の公平性が確保されるように、それぞれの年金制度全体の整合性のとれたものとしていく必要があるということが究極的には言えるわけでございます。したがって、今回お願いしております基礎年金も、その第一歩としてお互い各種年金制度の間に共通項をつくっておこうという趣旨でございます。  それが御可決いただけましたら六十一年四月から厚生年金、国民年金とともに発足するわけでございますので、その後におきまして、先ほど申し上げました給付と負担の両面にわたって公平であるように、制度が安定するようにという作業を進めるわけでございまして、その作業は制度間の調整に終わるのかあるいはまた統一となるのかというようなことも含めまして、今後政府において十分検討を尽くさなければならないと考えております。
  99. 沢田広

    沢田委員 要すれば、これは七十年度までの問題である、だから、六十九年までに法律体系あるいは考え方、同時にまた金額というようなものは具体化すればいい、こういうことで、六十四年までは問題ないのですから、六十五年直ちにそのアクションが起きるというものではない。準備はするかもしれません。六十九年段階において、七十年にその体制がとれるようにするという意味と解しますが、いかがですか。
  100. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほど申しましたことは、昭和七十年までに終えたいということでございますので、この制度改革も関係者の理解と国民の合意が必要でございますので、できるだけ早く着手いたしたいと考えております。
  101. 沢田広

    沢田委員 もう一つ念のため聞きますと、だから六十九年まではそれぞれの年金間にいろいろな差があってもなるべく近づけたいという気持ちはわかります。気持ちはわかりますが、それぞれの年金制度に若干ずつの制度間のずれがあってもやむを得ないことである、そして漸次融和をし、六十九年、七十年のスタートのときには仲よくみんなが手をつないでいけるようにしていこう、こういうことだと思います。その考え方のスタートはもっと早く出てくると思いますが、実行行為はそういう意味だ、だからその間の若干ずつのずれというものは存在し得る、またお互いがそれは許容し得る、こういうふうに国民的に求めているものである、こういうふうに性格づけたいと思いますが、いかがですか。
  102. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 論理的にはそうでありますけれども、しかし六十九年まで別々であって七十年に一斉にスタートというわけにもまいりませんと思いますから、できるだけ早く適正化というものを順次やりながら七十年で完成ということにいたしたいというふうに考えております。
  103. 沢田広

    沢田委員 念のためですが、論理的には七十年に仲よく手をつないで一つのスタイルで、まあスタイルという言葉が適切かどうかわかりませんが、こういう形で進んでいくんです、そういう姿を今望んでいるのがこの展望です、こういうことですね。だから、その間はお互いにどうしてもだめだというものもあるだろうと思うのです。譲れないというものもあるだろうと思う。そのかわり、それは七十年には一緒になるんですよということを大臣としては頭の中に描いて、それでも、なるべくその前に地ならしはしていこう、こういう努力はしていくということだと思いますが、一元化の道筋というものはそういうものなんだ、こういうふうに判断してよろしゅうございますか。
  104. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほど申しましにのは説明不足でございまして、六十九年まで全然別々であったのが一挙に七十年で一緒になるというのは、論理的には考えられるけれども、事実上はなかなか難しい、したがって、それまでの間にも制度間の調整というものをできるだけ早くやっておかないと、七十年にその完結を見ることができないであろうという意味合いで申し上げたわけでございます。
  105. 沢田広

    沢田委員 そうなるとまた話が難しくなる。  その間にもやるとなると、いつやるんですか、その実行行為を。考えているところの構想は進められるでしょうけれども、六十四年からの財政調整の期間があって、そのときから準備を進めると仮定しても、実行行為は七十年にスタートするということでしょう。その前には実行行為は伴わないでしょう。いかがですか。
  106. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 その具体的スケジュールは七十年一月からやろうとしておるわけでございまして、それがいつからどうということはその後でないと姿はあらわれてこないということではなかろうかというふうに思います。
  107. 沢田広

    沢田委員 もう一回言いますが、だから途中でできるだけそういうものの協調性を保持していきたいということは、あなたの言葉は私はいいと思いますよ。しかし、どうしてもすれ違う場合が起こり得る。職種の事情もある。例えば、自衛隊一つとっても、今五十五歳なんていうのが出てきてしまっているわけですからね。ですから、全体が全部一つのスタイルで、同じモーニングを着るというわけにはいかない。だから、その条件においては本当の姿というのは七十年ということになりますね。その間はできるだけ近づけるように努力して国民の合意を得る、そういう努力はしていくということだろうと思うのですが、その点はいかがですか。
  108. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先生のおっしゃるとおりで結構でございます。
  109. 沢田広

    沢田委員 ようやく一元化への解釈というものが出たようであります。大蔵大臣、聞いていたか聞いていなかったかわかりませんけれども、金の方は大蔵大臣影響しますから、そういう解釈で大体よろしゅうございますか。
  110. 竹下登

    ○竹下国務大臣 問答を聞いておりまして、結構だと思います。
  111. 沢田広

    沢田委員 国民は、次の六十四年の財政調整のときに、お互いができる限り、寛容と互譲というものがどれだけ発揮されるかは別として、相寄る魂というようなものをつくりながら、そこでできるものの了解が得られる分野でスタートをする、そしてその結果生まれてくるものは、七十年が一応実行展望である、こういうふうに統一見解をあえて言えば考えている、発想はこういうものだ、大臣、今私が言ったような発想でよろしいですね。——首を縦に振っていますから、そのとおりだということで次に行かしていただきます。  忙しいようですから、続いて厚生大臣お尋ねしておきますが、事務当局でもいいものは後へ譲ります。  無年金者をなくすということに対する決意なんです。基礎年金について無年金者をなくす。事務的な答弁を求めているのじゃない。無年金者は絶対につくらない、その決意はどの程度あるか。ここで大きい声を上げたからいっぱいある、小さい声だから少ないという判断じゃなくて、無年金者は絶対つくらない、その基本が私は大前提だと思うのですが、その点、大臣の決意のほどをお聞かせいただきたい。
  112. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この無年金者の問題につきましては、できるだけない方がよろしいわけでございまして、制度上の面におきましても、行政上の面におきましても、全力を挙げてできるだけなくするような方向で努力をいたしたいというふうに思います。
  113. 沢田広

    沢田委員 これは私は、個人カードができてくようだと思うのですね。個人別のカードが一つできるようになると思うのです。そして、どこへ転居しようが、あるいはどういうふうになっても——いろいろなケースが今までの討論の中にも出てきておりました。いろいろな討論の中に出てきた経緯を考えてみると、個人の背番号じゃありませんけれども、いわゆる基礎年金加入者名簿というものは一貫したものができないと、要すれば空期間もあれば、いろいろなものが起きてくるわけですから、一号のときもあれば、三号のときもあれば、二号のときもある、組合のときの期間もあるわけですから、どうしても個人カードが必要になってきて集約しなければならぬ、そういう体制をとらなかったら無年金者は生まれてしまう、こういうふうに思います。  大臣は忙しいからもう結論を言いますと、五十九年度末の個人年金の契約数を調べてもらった。想像でいいですが、大臣、今の年金に不信感といいますか不安感、五万円じゃとても心配だと思って民間の保険に入っている人はどの程度いると思っておられますか。テストじゃありませんけれども、一応大臣の感覚的な数字を言っていただけませんか。
  114. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 詳細に調べたことがございませんので恐縮でありますが、数百万人のオーダーだろうと思います。
  115. 沢田広

    沢田委員 年金大臣が国民年金、基礎年金を出し、厚生年金の法案が成立をして、それでそういう判断、どの程度かと聞けば、数百万人も出てくるだろうと言うことは、いかにもつくった年金に自信がない、やはり欠陥が多いんだということを認めたことになるわけですね。だから国民が今、国がつくった年金に依存していたのでは食っていけない、とてもじゃないが老後の不安は消えないと言うのは、あなたが自分でつくった法案がそれだけ信頼性がないということを大体の感覚でいみじくも言ったわけだ。  ちょっと数字を言ってみますと、これはもっとふえていると思う。現在はあなたがおっしゃった数に近づいていると思うのだ。現在は大体そのくらいになっておると思いますが、郵便年金で三十一万です。それから生命保険で百七十六万です。それから信託銀行で二十万です。これは五十九年度末ですから、法案ができた、大変だというので入ったのがこの倍と見れば約四百万、あなたのおっしゃった勘は非常にいいということにもなります。だからその分、倍増しただけ不安感を国民に与えたということも逆に言えば正しい、こういうことにもなるのですが、それはどういうふうにお受けとめになられますか。
  116. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国としては、基本的な老後の経済安定を考えようということでございまして、高齢化してニーズが多様化する分につきましては民間の活力によるということも考えておるわけでございますので、民間のそういう個人年金にお入りになることもあながち私どもは否定する考え方ではございません。
  117. 沢田広

    沢田委員 否定はしないのは当たり前だと思うのですよ、それは民間は民間で……。問題は、つくったときに行革の中の自助努力を前提として年金制度を考えるという発想でつくったから、どうしても腹八分目、腹七分目でつくったということでしょう。だからその七分目の三分が何に依存をしていくかが国民の重大な関心の的なんですね。自助努力を何に求めるか、そこが厚生大臣としては、いわゆる老後の生きがいとかあるいは老後の働きがいであるとかあるいは安らぎであるとかというものにつながって、その三分を何で補てんするか、そこが重大な問題であったので、あなたは当然これを予期していたように言われたけれども、そういう意味で腹八分目か七分目かの年金をつくったということになるのですか。あなたの意思に沿っているということがこの傾向なんですか、どうなんですか、それは。
  118. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国としては、やはり老後の安定の基本的な部分を補完する、高齢化社会を切り抜けていくためには年金制度が安定をしていなければならぬという観点から行っておるわけでございますので、これであらゆる老後の問題が解決をするという程度のものではないというふうに思っております。
  119. 沢田広

    沢田委員 そうすると、前の四百万とあなたが言われた、こういうものに依存をするという傾向を快しと思っているのですか、快くないと思っているのですか。これは当たり前だと思っているのですか、どうなんですか。
  120. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 年金制度全体のことを考えますと、制度が安定するためにはいわば基本的なものに限られるということでございます。それ以上のニーズに対応する場合には民間に依存せざるを得ないということで、両方が両立することが好ましいというふうに考えております。
  121. 沢田広

    沢田委員 これは言葉じりの問題じゃないのですけれども、やはり腹七分目というのが筋なんでしょうか。約七万円近い生活保護者よりも低い五万円という金額をわざわざ設定した真意というものは、財政的に余力があるんだから民間の体系に依存をしなさい、そういうことに相当なウエートを置いて意図したものであった、こういうふうに考えてよろしいですか。ほかに何があったか。じゃ、ほかは生活保護よりも高い水準を保つために何を政策として考えたのか、もう時間がなくなりますが、あなたにもう一回答弁を求めて解放してあげたいと思うのです。いい回答なら解放しますが、悪い回答だったらもうちょっといてもらわなくちゃならないです。
  122. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 基礎年金の額につきましては、老後の生活の本当の基本的な部分を賄うに足る額ということで算定をしたわけでございまして、もちろんこれが給付の面で伸びることはよいわけでありますけれども、そのためにはやはり保険料の負担でありますとか国の負担というものがふえていくという負担と給付の両面から考えると、この程度でやむを得ないものと考えておる次第でございます。
  123. 沢田広

    沢田委員 負担と給付の関係から見て、生活保護よりも低いのが妥当だという意味ですか。それはどういうふうな位置づけをされているわけですか。
  124. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 生活保護の場合には、財産も収入も全くないという方々のための対策であります。その考え方とは全然別個に、それじゃ生計費がお年寄りの場合どのくらいかかるかという計算をした場合に、本当に基礎的な部分は五十九年度価格で四万九千円ぐらいであったと思いますが、五万円ぐらいならばよろしかろうというふうに判断をしたのであります。
  125. 沢田広

    沢田委員 これはまた改めて大臣と議論しなければなりませんが、多くの人が言ったように、あなたが、というと恐縮ですが、あなたは金持ちだからそれは知らぬけれども、五万円で生活できるということは想定できますか、普通に生活してきた人が。これは自助努力が幾らあったら可能だと思うか。  最後の質問になりますが、相当無理を強いているということはわかるでしょう。相当無理な金額だ。だから相当自助努力が必要である。その自助努力に対してどういうふうに国が手助けができるかということも含めてお答えをいただきたいわけなんですが、大臣のぐずぐずいった答弁を繰り返しておるとあなたが行かれる時間がますます遅くなっちゃうから、すかっとした回答をしてもらって次の文教委員会の方へ差し上げますから、ひとつきちっと答えていただいて、無理なところは無理をお願いします、実はこうですということを素直に率直に言って、やはり謝るところは謝って、これからも努力します、こう言って帰られる方がいいんじゃないですか。はっきり言ってください。合法化しようと思うから余計無理なんだ。
  126. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、生活全部が賄えるとは私も考えておりません。したがって、その額が多ければ多いほどよろしいということは考えられますけれども、先ほど申し上げましたような現在の負担の問題と国の財政負担の問題とを考えますと、この程度でやむを得ないという考え方でございまして、今後の検討課題であることには間違いないというふうに思います。
  127. 沢田広

    沢田委員 あなたの、素直ではなさそうだけれども素直な回答で、それをまともに受けて、これからそういう立場でさらに国民の期待にこたえられるように努力されることを願って、大臣どうぞ出ていって結構ですから、解放します。これで満足したからいいというわけじゃないのですよ、不満足ですが、どうぞ文教委員会へ行ってください。  次、運輸大臣も忙しいというので、運輸大臣もこれから聞いていきますと騒擾事件の問題もまだあるんですよね。これは委員長、悪いけれども運輸大臣の行く都合もあるし、続いて聞くのにはちょっと時間が足らないし、一たんここで中断していただいて、国民にこれだけ迷惑をかけていることでもあるし、運輸大臣の責任も極めて重大でもありますから、前もってちょっと言っておきますから、ちゃんと調べて今度は出ていただけるようにお願いして、騒擾事件の三十三カ所というものはどの程度予測をし、また修復が今日のところではまだ及ばない点もある、それで完全に修復する時期はいつごろなのか。  それから警察当局は、逮捕者四十八人、全学連関係だということを言っておりますけれども、この点に対する運輸省としての対応はどうであったのか。  それから今回の事件のいわゆる回復が非常に遅い。これは私たちも実は気にしているところなんです。切られた場所が何カ所であったかわからぬけれども、発見が遅かった。もう一つは、それの修復が遅い、こういうこともありますので——これは言いっ放しです、次の答えるときに楽なようにということで言っているわけですから、大臣結構です、これで行ってください。  以上で、委員長質問の内容は教えてやったのですから、それであとお答えをいただいて、休憩をしていただくようにお願いいたします。(発言する者あり)では、あと参考人の分だけ続いてちょっとお願いします。     〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕  どうも話が大変飛んでしまって極めてやりにくいのですが、大蔵大臣の方から行きます、時間がないですから。  職域年金に関係をすることで専売と電信電話当局に来てもらったわけでありますが、職域年金については、各同僚その他の委員からも、こういう固定的に決めてしまうことは果たしてどうか、もっと弾力的にいくべきではないかという意見もありますし、公務員としての体質、それから格子なき牢獄、こういうような条件の中で働いている人たちである、そういうようなことで、職域部分のいわゆる根拠が不明である、水準はもっと上げていくべきではないか、いろいろな公務員としての義務であるとか兼職禁止であるとかその他から見ると水準をもっと引き上げるべきではないか、こういうふうに言われてもきたし、私も主張してきた一人であります。その点大臣はどうお考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  128. 竹下登

    ○竹下国務大臣 本委員会また連合審査会等で同じ趣旨質問がたびたび出てまいりました。私どもとしては、やはりこれは今後の研究課題であるというふうに理解をいたしております。
  129. 沢田広

    沢田委員 この法案が今通ろうか通るまいかという状況の中で、こういういわゆる中途半端な、今後の検討でこの法案を通すというような不見識なことで我々も通すわけにはいかないのであります。今後の研究だけではなくて、この場でやはり結論を出して、そして多くの職員の方々に不安を与えないようにするということも政治家の大きな任務であると思うのであります。そういう意味において、さらに重ねてひとつ大臣お答えをいただきたい、このように思います。
  130. 竹下登

    ○竹下国務大臣 人事院総裁等もお呼びになった議論もございました。したがって、今国会における審議経過にかんがみまして、職域相当部分の水準等のあり方、これはやはり人事行政に関する面もございますので、人事院の意見等を踏まえて、これからということになりますと、一両年に検討を行って、そして結論を出す、こういうことではないかと思っております。
  131. 沢田広

    沢田委員 今後の検討が一両年で新しい一つの道を開く、まあ前向きのお答えをいただいたので、やや不満な点なしとしませんけれども政府としてはこれは勇気のある言葉だと思いますので、特に大蔵大臣、ニューリーダーのトップにある大蔵大臣が答えたことでありますから、一両年のときには完全に実現できるなど、これは私も腹の中ではそう感じました。そういう意味で、前向きの答弁に対しては、さぞかし職員もこれから喜んで精励恪勤されることであろうと思います。こうやって見ますと、きょうの車が動かない中を朝から職員の人はほとんど欠員なしに出てきているという涙ぐましい努力は、まさにこれは我々も大いに敬意を表さなければならない、はって来たんじゃないかと思うぐらいに感じている一人であります。  たばこの方、大変お忙しい中おいでをいただきまして、専売も電信電話も同じなのですが、民間企業に移行して共済年金制度の職域年金をつくるといった場合に、それはどういう形が一番望ましいのか。民間に行ってみたばかりですから直ちに予測はしがたいでしょうけれども、年金の中に何か夢を、あるいは一生懸命やって期待ということを与えるために、どういうスタイルが一番いいと思っておられるのか、NTTそれから専売、それぞれひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  以上で委員長、あとお答えをいただいたら、先ほどの答弁を聞くまでお考えをいただいておきたいと思います。  では、お願いいたします。
  132. 伴内昭彦

    ○伴内参考人 お答えいたします。  職域年金の水準につきましては、社内におきましてもそれぞれの立場から種々の意見があるところでございます。しかし、給付と負担の世代間の公平姓及び年金制度の長期にわたる安定した運営の確保等の観点から、今回の改革は大局的に判断してやむを得ない措置であると考えております。  なお、先生指摘の税制適格年金等につきましては、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  133. 外松源司

    ○外松参考人 お答え申し上げます。  民営化されましたNTTの事業実態からいたしますと、職域年金部分に弾力性を持たせるということもあり得るかとも考えるのでありますけれども、共済年金制度が適用されるということから、当面は政府案どおりでやむを得ないというふうに考えております。  なお、NTTといたしましては、別に企業年金を今後導入していきたいというふうに考えておりまして、その導入に当たりましては、税制上の扱いにつきまして、職域年金に準じて格段の配慮をお願いしたいというふうに考えておるところでございます。
  134. 沢田広

    沢田委員 大臣は、人事院等の意見を踏まえ、一両年中に検討を行い、こう言いましたかな、一両年中に結論を出して前向きに対応する、私の勝手な言葉も幾らか入ったかもしれませんけれども、そういうお答えであったと思いますね。今のそれぞれの関係者の意向も、やはり年金制度の中にいわゆる血を通わせるということ、私はそういう気持ちなんですが、要すれば血を通わせるといった立場で対応しようとされている条件を大臣の方もぜひひとつ考慮に入れていただぎたいということをお願いして、それぞれ参考人には、遅くなって御苦労さまですが、お帰りいただいて結構だと思います。ありがとうございました。  今の点について、大蔵大臣、ひとつお答えをいただいて……。
  135. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これはやはり五十八年の審議の際にも、当時、まだ電電、そして一方は専売でございましたが、この問題についても、経営者側、労働者側含めて私どもも随分意見交換をした問題でございます。それで、税法上の問題等もそれは可能であるわけでございますが、今のような御発言趣旨を十分体してこれには対応していくつもりでございます。
  136. 沢田広

    沢田委員 それでは委員長、先ほどの……。
  137. 越智伊平

    越智委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  138. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  休憩いたします。     午後五時一分休憩      ————◇—————     午後六時四十分開議
  139. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沢田広君。
  140. 沢田広

    沢田委員 先ほど運輸大臣に要請をいたしました事項についてまず答弁を求めて、入りたいと思います。お願いします。
  141. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 お答えを申し上げたいと思います。  今回は、千葉勤労を中心に闘争がございまして、昨日からその対策並びに異常な事態に備えまして全般的な警戒態勢をとっておりました。特に昨晩は、私ども、三千名を超える職員を動員いたしまして東京付近の警備に当たりましたほか、各現場でも警備態勢を強化しておったのでございますが、何分長大な設備を持っておりますために、その間隙をつかれまして被害に遭ったというふうに考えております。  ケーブルが三十二カ所切られたわけでございますけれども、その調査にかなり時間を食いましたのは、一つは、私どもの電話回線が切られましたものですから現場との連絡が非常に困難でありましたことと、こういったことの確認には地上を歩行いたしまして点検をいたしますので、そういった関係で時間がかかった次第でございます。  そういったわけで鋭意努力いたしまして、昼前から徐々に運転を再開いたしまして、十六時ごろにほほ全線の運転を再開いたしました。一部通信回線等は現在まだ仮復旧の状態でございますが、可及的速やかに本復旧をいたしたいと思いますし、その他、駅設備あるいは変電設備等の復旧についても早急に検討いたしていきたいと思います。  トランスにつきましては、私ども全くまた情報をつかんでおりませんので、今後検討いたしていきたいと思っております。
  142. 沢田広

    沢田委員 貴重な時間でありますから、速やかに、また復旧がなぜこれだけ要するのかということも含め、またこれを一つの頂門の一針として反省をしながら対応していただきたいことを望んで、これは私に対する答弁ではない、多くの利用されるお客様に対する答弁として答えてもらうという姿勢が必要であったということを念のため申し上げて、次の問題に入りたいと思います。  続いて、みなし年金という言葉で言われております、来年三月三十一日に退職をする方の処遇の問題であります。現在どう対応するのか、簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  143. 門田實

    ○門田政府委員 今回の法改正に伴いまして、来年の三月三十一日でひとまずその時点での年金額を計算してみる、そうして来年四月以降やめられた方がその従前額を下回っております場合にはその額までは保障する、これがいわゆるみなし従前額というものでございまして、これは、今回の法施行に伴いまして経過的になだらかに移行させていく、こういう趣旨から設けておるものでございます。
  144. 沢田広

    沢田委員 一般の共済組合と国鉄とに差をつけた理由はどういう理由ですか。また、その内容はどういうものかお答えいただきたいと思います。
  145. 門田實

    ○門田政府委員 御承知のように、国鉄共済につきましては、現在、国家公務員、NTT、たばこ等から援助いたしておる、こういう状況にございまして、やはりそういった財政調整を受けている状況下ということを考えますと、国鉄の既裁定者につきまして一〇%程度スライドの停止をしておる、そうして国家公務員等は一人平均、年一万数千円でございますか、援助しておる、掛金がそのために上がっておる、こういう状況でございます。したがいまして、国鉄の現在の職員の方々につきましてもやはり負担を求めるという意味で、このみなし従前額の適用はいたさない、こういう方法、方策で考えておるわけでございます。財政調整期間中はそういうことをしない、こういう考え方でございます。
  146. 沢田広

    沢田委員 国鉄の当局は、私の方で言ってしまいますが、この措置によって来年の三月、二万名の希望退職を求めていると聞き及んでおりますが、そのとおりですか。
  147. 小玉俊一

    ○小玉説明員 六十二年度の新経営形態発足前において二万人の希望退職を募るという意味でございます。
  148. 沢田広

    沢田委員 そうすると、来年三月のこの切りかえ時期というものは、極めて多くの退職者を求めなければならない時期に相当すると思います。  極めて時間が乏しいものですから質問のやり方も変えてしまいますが、相当の希望退職を求める、そのときにわざわざこういう冷遇措置を講ずることによって果たしてその人たちを確保することが可能なのか、強制が伴うのではないかという気がいたします。わざわざ他の共済と差をつけることによってかえってそれを困難にさせるのではないか、こういうことを感じますが、いかがですか。
  149. 小玉俊一

    ○小玉説明員 ただいまお願いしております法律は六十一年の四月一日から施行ということでございまして、お尋ねの希望退職はもう一年度後になるわけでございます。今年度と来年度と法律の適用が変わってくるわけでございます。その。ために、来年度の退職者の方が年金が低くなるということは事実でございますが、私どもとしましては、今後の経営改革を進めるためにやはり年金の長期的な安定ということが大事だと思っておりますので、年金の長期的な安定のためには、先ほど大蔵の方から答弁ございましたように、よそからいろいろと応援をしていただくという立場に置かれました国鉄といたしましては、みなし従前額は現在のお願いしております法律の形でお願いしたい、かように思っております。
  150. 沢田広

    沢田委員 とにかく、引かれ者の小うたということわざがありますが、立場が弱いとここへきてもそのことが、退職者を希望するのにも、いい悪いは別として、それだけマイナス面を背負って求めるということは大変苦痛が伴うことだと素朴に言った方がいいんじゃないかと私は思います。それだけ条件を切り下げることによって抵抗感もふえるし、あるいは、やめてもいいなと思う気持ちもかえって怒りに変わる、こういうことは通常考えられる心理じゃないのかと思うのですが、これは大蔵省の審議官、どうですか。そういう心理というものは法律をつくる場合は一顧もしないというのが法律の立て方なんでしょうか。一応お伺いしたいと思うのです。
  151. 門田實

    ○門田政府委員 私どもの気持ちとしては、いろいろのことがあるわけでございますが、やはりこういった非常に困難な状況下にある共済年金制度、その中で一人一人の人に安定して年金を支給するようにしていく、こういう前提に立って考えますと、各方面の御理解が得られる措置あるいは国民的な御理解、こういうことからやはりこの考え方はやむを得ないんではないか、こういうふうに思っております。
  152. 沢田広

    沢田委員 今、法律を是正をするということは今の状況下においては極めて難しいと思うのです。しかし、ここで国鉄再建しなければならぬという至上命令もある。そしてまた、これだけの減員も果たさなければならないという条件もこれも至上命令に近い状態にある。そこに置かれている職員の心理からすれば、そこに幾らであるにせよわざわざ差をつけられてやめていかなければならぬという人の心情を考えますと、幾ら法律であるにせよ、あるいはそれが十円であれ百円であれ千円であれ一万円であれ、ともかく心理としては極めてつらい思いをさせているということは、これは理解できるのではないかと思うのですね。それをあえて法のもとにおいて、おまえら助けてやっているんだから、この時期にやめる者はそれだけのマイナス、一〇%のマイナスはこれはすべてのOBが受けている条件ですからやむを得ないと思うのですが、それ以上のマイナスを与えないのがやはり政治ではないのかというふうに思います。法のもとにおいてどうであるかは別問題として、心情として大臣どう思われますか。
  153. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私はいわゆる統合法案ができたとき、それから今御審議いただいておる法律ができたときは、実感として本当は今沢田さんがおっしゃったところまで感じていなかった。結局監理委員会意見というものが出て、そうすると、これは法律は継続審議の法律で前から出ておりますが、いわば心情的な事情変更というような感じを持ったことは事実でございます。したがって、法は法として議了していただきたいと思っておりますが、そうした心情は、例えばこの問題以外のいわゆる過剰人員の方の受け入れ問題等について、みんなが同じような心情でこれに対応していく必要があるんではないか、こんな感じを、数日前の閣議の際に後藤田総務長官からの御発言があったときにも、素朴にそういう感じを受けて承っておりました。
  154. 沢田広

    沢田委員 この段階での法の改正は私もとやかく申し上げません。現実的対応の中にそれぞれ解決策はなくはないと思うのですね。ですからそれらを、行政の分野における施行の方法、年金の分では動かしがたいものがあると思いますが、他の方法をもってこれらの部分を補っていただくように御配慮をいただきたい、このように思います。できるとはなかなか言いがたいでしょうけれども、配慮する方向で検討していただきたい、このように思いますが、いかがでしょう。
  155. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる今回の法律案とは別として、その対応の仕方というものには少なくとも私どもが今抱いておる心情というものが貫かれたいものだなという気持ちは十分私にもございます。
  156. 沢田広

    沢田委員 それから、国民年金との関係なんでありますが、組合員期間が一年未満で障害者になったものは障害年金が支給されていない、これが今度の法改正で皆六カ月になるわけであります。前は一年以上たたなければだめだったわけですね。国民年金の方では六カ月で適用しておって、共済年金は一年で適用しておった。今度は法が変わって、六カ月以上で一本になった。  そういうことで、これは若干無理もあるんですが、過去にさかのぼって、過去の人たちにもこの救済措置を適用をしてほしい。それぞれ足を折り手をなくしという障害者なんでありますから、ですからもし変えるならば、時効期間は当然必要でしょうけれども、いわゆる申告期間を置いて、そして二年なら二年の時効制度をつくるなりして、その間に申し出た者は新法の適用を図る、これも一つの方法ではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  157. 門田實

    ○門田政府委員 障害者あるいは遺族の問題につきまして、御指摘のように今回の改正で一年要件をなくしますので、将来に向かってはもうそこは解決がなされておるということなんでございますが、さかのぼって過去の人について何とかならないかというお話が再三あったわけでございます。私どももいろいろとそこは考えてみたわけでございますが、事務処理的な面を含めまして、そこのところが非常に難しいということがございます。再三のお話に対しましてどうもいいお答えにならなくて恐縮なんでございますが、ひとつその点は御理解をちょうだいしたいと思います。
  158. 沢田広

    沢田委員 委員長の方からだんだん時間を詰めろ詰めるという請求があります。しかし、この対象者は極めて深刻な状態にあるんだと思うのです。もうこの段階に来ては、大臣に続けてこういう問題を出したというのが私の方の質問のやり方が下手だったせいもあったのかもわかりません。ほかのもっとラフな問題を出しておいて、後で出せばよかったんだと思うのでありますが、この問題はまた遺族年金にも影響してくる問題なんです。今度の新しい法律で半年になったよ。今までは一年未満の障害者はゼロだった、今度は六カ月になったんだ。もし今けがすれば障害年金もらえたんだ、それが一年前だったためにもらえないんだ。その人の立場になってみたときには、何で政治は冷たいんだろう、半分でもいいじゃないか、例えば半分でも何かしてくれるのがやっぱり政治じゃないのかと願うのが、私は心情だろうと思うのです。法をつくった審議官も随分苦しい答弁をしておられました。法を改正するのはなかなか難しいし、遡及をどこまでさせるかというのも技術的に極めて困難なものがある。そこで私が提案をしたのは、前に一回ありました二年くらいの制度を設けて申告をしてもらう。それが本人が知り得る条件があったかどうか、またその後続くと思いますが、軍人の加算なんかの場合にはそういう方法をとったわけでありますから、二年間なら二年間の期間を設置して、その間に申し出た者については適用をするという方法は不可能ではない。一年でもいいですが、二年でも経過措置を設けることは可能ではないか。  これも大臣から答弁をするのは大変苦しい答弁だと思うのであります。しかしながら、障害者の立場になってみたときには、心情としてはわかるということはいただけると思うのです。ただ法律が手続が難しい、こういうことだと思いますので、私の提案も含めて今後検討をしていただきたいと思うのでありますが、いかがでありましょう。
  159. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる理論と心情との調和点というのはなかなか難しい点が多かろうと思っておりますが、私もこの質問をお聞きしながら、何かないかなという気持ちが全くないわけでもございません。いわゆる行政面の措置の中でそのようなことが可能かどうかも含めて検討させていただきます。
  160. 沢田広

    沢田委員 続いて、再建委員会においでをいただいておりますが、再建委員会の任務は再建答申を出せば終わったということなんですか。今後は何を仕事としているのですか。
  161. 林淳司

    林政府委員 私ども再建監理委員会の設置の根拠となっております法律によりますと、監理委員会は設置の期限がございませんで、国鉄につきまして効率的経営形態の確立ということで、その体制整備が行われた時点でその取り扱いについて改めて法的に御検討いただくということになろうかと思います。  さらに、この法律によりますと、監理委員会国鉄改革についての意見内閣総理大臣に出した後で、さらに必要に応じ関係方面に意見を申し述べるということができるという規定がございまして、いわばフォローアップという責任を持っておりますので、今後新しい会社ができるまでの間、そういうフォローアップの責任を果たしていくということになろうかと思います。
  162. 沢田広

    沢田委員 もっと詰めたいのですが、時間がないので、ではこれから、今の例えば年金なんかの問題も、あなたの心情としては勧告する意思はありますか。二万人の希望退職者がみなしの何かでマイナスになっている状況については、これはそのまま見捨てていくつもりですか、改めて答申する意思があるのですか。あるかないかだけ言ってください。
  163. 林淳司

    林政府委員 年金の問題につきましては私どもとしても、国鉄はこれから非常に大変であるので、基本的にこれについて十分真剣に御検討願いたいという基本的な考え方はお出ししたわけでございますけれども、具体的な中身は非常に専門的な事項にわたりますので、私どもとしてどこまで立ち入るべきかという点については非常に難しい点があろうかと思います。今後一般的なフォローアップの中で、私どもとして申し述べられることは申し述べてまいりますけれども、それにもまたおのずから限界がございましょうし、そういう考え方で今後対処していきたいというふうに考えております。
  164. 沢田広

    沢田委員 じゃ要望をしますが、民営化が例えばされたと仮定します。それで、一社制にした場合のプラスとマイナス、それから六分割した場合のプラスとマイナス、それをそれぞれ列挙して、今口頭でなくて結構なんです、後で当方に答弁としてお答えいただけますか。
  165. 林淳司

    林政府委員 私どもは、全国一本という形では今後の経営が非常に難しい、こういうことで分割というものを提言したわけでございまして、この分割ということについての、なぜ分割をしなければいけないかということについては意見書に詳細にわたって申し述べております。これは意見書でございますから、意見書をひとつお持ちいたしますので十分お読みいただきたいと存じます。
  166. 沢田広

    沢田委員 そういうことを言っているわけじゃないのですが、またあなたとやり合う機会もこれからあるでしょうから、もうきょうは年金の方を主体にしますから、これ以上は詰めません。  あと年金の方で、遺族の解釈なんであります。遺族とは何かということなんでありまして、皆それぞれの法律の中身が違うのでありますが、その点御承知でしょうか。
  167. 門田實

    ○門田政府委員 遺族の範囲がそれぞれ違うということは承知いたしております。これはそれぞれの制度ができました沿革等がございまして、それが反映してこういうことになっておるのだと思っております。
  168. 沢田広

    沢田委員 時間が忙しいですけれども、その遺族を恩給の場合は成人の子も三五%に停止率を上げたわけですね。しかし、それを二〇%の現状に据えておく、こういうことにしてあります。これは大臣にも特に覚えておいてもらいたいのですが、恩給の受給権は七年間の請求の権利を保有していますね。それから給付制限は八百六十一万、こういうような条件であります。七百万は課税所得金額ですから、いわゆる勤労控除を引いた金額であります。念のために申し添えておきます。それから、成人の子も含まれているのですね。ですから、その点で遺族の範囲というものは調整していかなくちゃならぬものではないのかというふうに思うことが一つ。  もう時間の関係で次にいきますが、もう一つは死刑、無期または三年を超える懲役、禁錮の刑に処せられたときは、年金恩給の受給者は受給権が消滅します、こうなっています。それから公務員の在職中の職務犯、これは過失犯は除くのでありますが、これによって禁錮以上の刑に処せられたときは年金恩給が消滅をする、こういうふうになっているわけであります。それで、共済年金の第一条と関係してくるのでありますが、これは附帯決議の中でも、これからお聞きもいただくわけでありますが、処分を十分考慮してもらう、こういうことは従来も切なる要望であったと思うのであります。  今度厚生年金、国民年金との統合とあわせて、この遺族の範囲あるいは遺族の解釈等についてもぜひ十分な配慮のもとに対応していただきたい。それから、懲戒処分の取り扱いについても、十分この点について均衡を図っていただきたい、こういうふうに思いますが、これもどなたかの御質問にもありましたので、あえてここで重ねて確認をして、次に入りたいと思います。
  169. 門田實

    ○門田政府委員 ただいまお話がございました遺族の方の問題でございますが、お話のように確かに相違があるわけでございます。特に恩給との関係について御指摘がございましたような面がございまして、私どもとしましてはやはりできるだけ整合性を図っていく必要がある、こう考えております。少なくとも公的年金各制度間、これは今回の改正におきましても整合性を極力図る、こういうことにいたしております。  それからもう一つは、懲戒免等の際の支給制限の話がございましたが、これにつきましては政令段階で、御趣旨を踏まえてよく対処いたしたいと存じます。
  170. 沢田広

    沢田委員 年金の話というとわびしい話はかりになるのでありまして、非常に景気のいい話というのはなかなか出ないものなんでありますが、もう一つ大臣に大変御考慮いただかなくちゃならぬ話をするわけであります。  結婚して乳飲み子を抱えたり、あるいは二歳、三歳の子供を抱えて御主人に死なれる。その場合は、母子年金は一応支給される仕組みにはなります。しかしながら遺族年金は支給されない仕組みになっているわけであります。それで、三十五歳以上になれば子供がいた場合は遺族年金が支給されるという法律なんです。  女性の方を三十、三十二、三十三、三十四、幾つと見ても、常識で見ると二十四、五歳で結婚したとして五、六年で三十歳、子供が幼稚園のころで三十一、二というのが常識です。そういう子供を抱えて、再婚を前提として年金を支給しない、三十二歳の場合は遺族年金は出さない、こういう制度が果たしていいのだろうかという気がします。三十五としたのも財政が厳しいからそうしたのだろうと思うのですが、三十四歳十一カ月などという場合も起きてくるわけですね。さらにもう一つは、子供があいにくできなかった場合は、あいにくできなかったという言葉はよくないかもしれませんが、四十歳にならないと年金支給が出てこないのです。法律はこのまま進められると思いますが、これも極めて冷たい法律だと思わせるものがあります。  昔は、一婦二夫にまみえずという言葉が述べられたわけでありますけれども、今は再婚せい、もういつまでも一人ているなという意味なんだろうと思うのです。そうでなかったらそういう発想は出てこない。しかし、日本人の従来の慣行等を考えれば、子供が一人前になり、あるいは高校を出るまでとかは我慢していくというのが母親の心情だと私は思うのです。そういう意味において見ると、今申し上げた三十五という年齢は極めて冷たい年齢だというふうに思うわけです。ですから、法律はできるでしょうけれども、これからそれぞれ該当者から泣きの訴えは随分と出てくると思うのです。そういう意味において、やはり乳飲み子を抱えた人たちの立場というものをもう少し配慮してほしかったなという気がするわけです。  もう時間が少なくなりました。どうもこういううっとうしい話ばかりでありますが、それが政治なんだろうと思うのです。だからその点で特例というか、そういうものを考慮しつつある程度の緩和措置が今後検討されなければならぬのじゃないかという気が私はしているのです。現実に当てはめた場合、乳飲み子を抱えて働けといったって、保育所に預けて働くといったって、今なかなか高いものです。そういうことを考えて、ぜひ御検討をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。これも検討しますという程度がもわかりませんが、そういう実態をぜひ調べていただきたい。その上で、後からでも結構ですが、ひとつ御配慮いただけるようにお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  171. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も専門家ではございませんが、今おっしゃった意味は私なりにも平たくは理解できたような気がいたします。  この問題、恐らく厚生省そのものの問題であろうと思いますが、今のお話を十分お伝えいたしたいというふうに考えます。
  172. 沢田広

    沢田委員 質問事項はまだ十数項目あるわけですが、身体障害者問題等もあります。今後法ができても、悪法も法でありますが、その運用によって生きるも死ぬもあるわけであります。ぜひ厚生省ともども、この運用に当たってはひとつ人情の通った政治として扱っていただくようお願いをして、私の質問予定よりもさらに若干縮まったようでありますけれども、終わりにいたしたいと思います。  どうもありがとうございました。
  173. 越智伊平

    越智委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  174. 越智伊平

    越智委員長 この際、本案に対し、堀之内久男君外二名から、自由民主党・新自由国民連合の提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。堀之内久男君。     —————————————  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法   律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  175. 堀之内久男

    ○堀之内委員 ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。  本修正案は、第百二回国会で成立いたしました国民年金法等の一部を改正する法律の参議院における修正等に伴いまして、原案の附則の規定について、所要の条文整理を行うこととしようとするものであります。  何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  176. 越智伊平

    越智委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  177. 越智伊平

    越智委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。熊川次男君。
  178. 熊川次男

    ○熊川委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま議題となっております国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案につきまして、賛成の立場から討論を行います。  御案内のとおり、我が国の公的年金制度におきましては、人口構造の高齢化、社会経済情勢の変化等により、年金制度のよって立つ基礎に重大な変化が生じてまいりました。  言うまでもなく、年金制度は、国民の老後生活を支える主柱であり、社会保障の中心的なものとして重要な役割を占めており、社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、二十一世紀の高齢化社会においても、健全かつ安定的な運営が必要であります。  もちろん、公的年金制度を長期的に健全で安定したものとするためには、あらゆる面で公平性を確保していくという視点が重要であり、かつまた、社会連帯のもとに、国民の全幅の信頼を寄せることのできる制度の確立こそ切に望まれるところであります。  私は、このような状況のもとで、現在、公的年金の一元化を展望しつつ、公的年金全体の長期的安定と整合性のとれた制度の実現を目指して努力を続けております政府に対し、深く敬意を表するものであります。  本法律案は、かかる観点から、共済年金についても、国民年金、厚生年金保険等の改正と同様、世代間における給付と負担の公平姓及び各公的年金制度間の調整を図るため、国家公務員等共済組合の組合員等についても、国民年金の基礎年金制度を適用し、給付水準の適正化等の措置を講ずることは、今日の情勢から見て当然の措置であると考えるものであります。  すなわち、年金の給付については、厚生年金と同様に、原則として基礎年金に上乗せして支給する報酬比例年金とすることとしておりますが、共済年金制度は、公務員制度等の一環としての性格を有している面にも配慮し、職域年金部分を加算することは、その特殊性にかんがみ、妥当な措置であると思われます。  また、年金額の算定の基礎となる基礎俸給につきましては、全期間の平均標準報酬月額とし、その他の年金額の算定方式についても、厚生年金と同様のものとして設計しており、給付水準及び内容について相互に均衡が図られるなど、まことに適切な措置と考えます。  次に、今回の改正において最も関心が寄せられる問題について申し上げますと、まず、既裁定年金の取り扱いにつきましては、厚生年金の算定方式に類似しているいわゆる通年方式により算定した額に改定いたしましたが、従前の年金額は保障することとしており、またこの点に関しては、給付と負担の公平化を図る見地からもやむを得ない措置であると思われます。  最後に、国鉄共済年金問題については、昨日、政府の統一見解が示されたところであります。この問題の処理については、当然、国民の合意が得られる施策が図られると思われますので、今後の政府関係者間等の努力を期待するものであります。  以上をもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
  179. 越智伊平

  180. 沢田広

    沢田委員 国家公務員等共済組合法及び同修正案に対しまして、日本社会党を代表いたしまして、反対の討論を行うものであります。  今回の改正は、従来二十年で資格がついたものを二十五年に延長をし、三十年で受給できるものを四十年に延ばし、そしてそれ以外の他の諸権利も極めて厳しく削減をいたしまして、今日の状況では、これはいわゆる基礎年金の設定により、より国の負担を軽減する改悪であります。  基礎年金におきましても生活保護費よりも少ない金額であり、極めて国民にとって不都合な制度であります。しかもまだ、無年金者等の発生、あるいはそれぞれ認定の被保険者について査定が極めて困難な点もなしといたしません。  加えまして、報酬比例部分も今申し上げたような条件の中にあって極めて冷遇をされているところであります。さらに、既裁定年金者のスライドも停止をする。そして特に国鉄年金につきましては、情けも容赦もない取り扱いであります。こういったような条件でありまして、まさにその苦しみを万民に与えると言っても過言でないと思うのであります。  加えて、六十歳の定年に六十五歳の支給年齢とする、こういうことでありますから、六十歳から六十五歳の間は何で食べていくのか、こういう条件も整備されておりません。これらについては、やはり六十五歳を六十歳にして年金を支給していく、こういう体制がとられる必要があったものと思います。  さらに、懲戒処分については公務員にとって極めて厳しく扱っており、温かさも感じられないということも遺憾な点であります。さらにスライドの問題も、現在では物価スライドということで、従来の既得権でありました賃金スライドがなくなっております。今後これは見直されることを念じながら、この点は十分配慮をしていただきたいと思っておるところであります。  なお、この改正は、遺族年金、障害者年金のようにいろいろと今までの既得権であったものが大変厳しい条件に追い込まれておりまして、それらに泣いていく人たちもたくさん出てくるのではないかと思います。今後それらの事情を十分考察される課題を担っておると思います。先般の共済問題の審議会の委員が、この法案は不的確な部分を持っている、いうならば不十分さが相当残っておるということをいみじくも指摘をされております。  なお、公的年の金一元化に対する見通しは極めてあいまいもこであり、国民を納得させるものではありません。国鉄共済年金の昭和六十四年以降における体制に対しても明確さを欠いていることは、極めて遺憾であります。また、今後の併給調整あるいは掛金と給付との関係等々について、これからの課題も多い生言わなければなりません。同時に、先ほど述べた国庫負担が極めて低減されるかわりに国民の負担がより増大をされていくということも遺憾な点であります。  以上、いろいろな点について述べましたけれども、この案が速やかに撤回をされて従来の権利が擁護されるように期待をいたしまして、反対の討論とするものであります。(拍手)
  181. 越智伊平

    越智委員長 矢追秀彦君。
  182. 矢追秀彦

    ○矢追委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案及び修正案について、反対の討論を行います。  反対する理由の第一は、国家公務員等の共済年金にも導入される基礎年金の問題であります。  国家公務員等の共済年金についても基礎年金を導入することについては既に我が党が主張してきたところでありますが、国民年金法等の一部改正によって導入された基礎年金そのものについては、給付面、負担面から見てそれが国民にひとしく保障される基礎年金導入の基本理念に十分添うものでなくしたがって共済年金改正案についても、この基礎年金等についての重大な欠陥を繰り返し指摘せざるを得ないのであります。  第二は、我々が修正要求をいたしましたように、本共済年金についても多くの問題を指摘せざるを得ない点であります。  二、三申し上げますと、本改正案では、現行公務員制度のもとにおいて公務員の共済年金制度が公務員制度の一環として組み込まれているという実情が十分尊重されているとは言えない点であります。特に破産状態が明らかである国鉄共済年金について、その救済の具体的方針が示されていないことも指摘しなければなりません。  さらに、共済年金の制度設計を厚生年金と同じようにしていくというのであれば、厚生年金よりも共済年金の方が不利になっている内容については、この際それを是正すべきでありますが、その措置が講ぜられてはいないのであります。  第三は、今後の共済年金のあり方と公的年金制度の再編成の過程が明らかにされていない点であります。公務員等を初め国民の公的年金制度に対する信頼を確保するためにはこの点が明確にされなければならないのであります。  以上、本改正案及び修正案に反対する主な点を申し上げましたが、最後に、高齢化社会への移行を前にして公的年金制度全体の一元化を速やかに進めるよう要求して、討論を終わります。(拍手)
  183. 越智伊平

    越智委員長 安倍基雄君。
  184. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、民社党・国民連合を代表して、今日まで論議されてまいりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、修正案及び修正部分を除く政府原案に賛成の討論を行うものであります。  我が国の二十一世紀への道は、高齢化社会が急速に進展する道でもあります。本格的高齢化社会の到来は、当然のことながら人生八十年時代、すなわち長寿社会に突入することを意味します。人生八十年時代における国民の願いは、生きがいのある老後生活を営みたいということでありましは一つ。  公的年金制度は長くなる老後生活を支える経済的基盤であり、公正な年金給付の確保、年金財政の長期安定を図ることは、政治に課せられた重要な責務であります。御承知のとおり、我が国の公的年金制度は三種七制度に分立し、さらにそれが個別集団に分かれているがゆえに、個別制度ごとに財政が破綻することになり、共済年金制度もその例外ではありません。既に国鉄共済の財政は破綻し、他の共済の組合員の方々に財政援助を仰いでおり、その救済策が今回論議の的となったごとく、いずれ他の共済組合年金も国鉄共済と同様な財政危機を引き起こすことは確実と言えます。ここ数年来、国民の間に、多年にわたり保険料を払い込んだにもかかわらず年金がもらえないのではないかという不安が急速に高まっていることは否めない事実であります。こうした事態を克服し、国民に信頼される年金制度を確立することは急務の課題であります。  また、制度の分立はいわゆる官民格差と言われるような制度間の不公正を招き、今日まで大きな社会問題となっておりまして、その是正も急がねばならない課題と言えます。  さらに、世代内のみならず世代間の公正を期すことも年金改革に不可欠な課題であります。年金財政は、人口の高齢化と年金受給者の増大に伴い、必然的に賦課方式に移行することになりますが、そうしますと、当然現役世代の負担も増加することになります。したがって、これまで以上に年金生活者の給付額と現役世代の負担の適正化を図ることが重要となり、そうした視点からの年金改革も政治に求められているのであります。  今回の改正は、年金制度一元化の第二段階の制度改正であり、私が指摘した諸問題の解決を図る一助になるものであります。  今回盛られましたもろもろの改正案につきましては、それぞれの立場から強い不満や反対があることは十分承知をしておりますが、この改正を断行しなければ公正な年金制度の確立は大幅におくれ、何よりも年金財政がパンクし、老後の経済基盤がなくなり、あすのパンを求める老人が続出する事態も予想され、社会不安を惹起することになります。不満や反対があったとしても、国家百年の大計を考えれば、今回の改正は必要不可欠であり、我が党はこの改正を高く評価するものであります。  しかし、今回の改正は制度発足以来の大改正であり、多くの問題点がありましたため、我が党は十二項目にわたる修正要求を行い、政府・自民党と協議を行ってまいりました。  その結果、第一に、職域年金部分については二十五年未満二分の一支給を加入年数二十年未満とする法修正の約束がなされました。  第二に、年金計算経過措置のうち、施行時四十歳を中心に年金水準を改善し、完成時の水準を下回らないようにすることも附帯決議に盛り込み、次の見直しの時点までに調整することも確約いたしました。  第三に、禁錮刑、懲戒免職など職域年金部分の支給停止は本人掛金部分については行わないこと、第四の職域年金部分の支給停止は遺族に及ぼさないことの二点につきまして、実質的に我が党の主張に沿うよう、政令を定める時点で改める方針が打ち出されました。  さらに、最大の焦点となりました国鉄共済の財政対策につきまして、「国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにする」との政府見解がなされたことも御案内のとおりであります。この際、政府見解を誠実に実行し、国鉄職員の年金支給に対する不安を解消するよう政府は万全を期すべきことを強く要請するものであります。  最後に、年金制度の一元化の今後の具体的スケジュールと年全体系等のビジョンを早急に国民に提示するよう政府に強く要求し、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  185. 越智伊平

    越智委員長 蓑輪幸代君。
  186. 簑輪幸代

    簑輪委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、政府提出の国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党・新自由国民連合提出の同修正案に対して、反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、今改正案が中曽根内閣による年金制度抜本改悪のいわば総仕上げ法案と位置づけられるからです。  本法案は、先国会の国民年金、厚生年金改悪法案に続き、共済年金においても創設以来の歴史的大改悪を行い、臨調行革路線に基づく政府の年金一元化構想に沿って我が国の年金制度全体を反国民的に再編、統合するねらいを持ったものにほかならず、絶対に容認できません。  第二に、本法案を含む四共済法案によって、六百万共済加入者と二百万退職者の生活と権利を、現在はもとより将来までも著しく破壊することです。  まず、給付水準の大幅切り下げです。年金の算定基礎、計算方式の変更、支給率の削減などで、共働き、単身者の場合、現行より実に四割も切り下げられるではありませんか。  次に、保険料の大幅値上げです。  政府収支試算でも、将来の保険料率は現行の二・四倍をも予定しています。そうなれば、本俸の三分の一も税金や保険料に先取りされ、実質大幅賃下げが必至なのです。  こうした政府案を一人の被保険者について試算すると、我が党が指摘したように、基礎年金でも、共済年金でも、積立分に見合う給付さえ受けられず、九十歳から百歳以上生きなければ元が取れないという驚くべき事態を招くのです。  続いて、既裁定年金者への物価スライド停止の問題です。  これにより受給者の過半が十年近くにわたって約二割の受給減を強制されるのです。このような冷酷きわまる仕打ちが果たして許されるでしょうか。  さらに、支給開始年齢を本則で六十五歳にしていることも問題です。  第三に、年金制度に対する国と政府の責任を全く放棄していることです。  今日の国鉄共済年金の危機は、戦中戦後の政府の国策、国鉄を食い物にする列島改造政策、分割・民営化を目指す徹底的な合理化、人減らしによって引き起こされたものです。政府統一見解に示された「国鉄の自助努力」とは、すなわち国の責任を軽減しながら国鉄本体に公経済負担分や追加費用など本来国が負担すべき部分まで負担させられてきた国鉄に対し、さらに財産売却を強制し、加えて現役職員とOBにもさらなる犠牲を負わせようとするものであって、断じて認めることはできません。  また、国民には給付、負担両面にわたって多大な犠牲を負わせる一方で、国は共済年金本体には一円も出さず、基礎年金の三分の一だけに国庫負担を限ることにより、三十年後の昭和九十年には全年金で二兆六千億円にも上る公的負担の大幅軽減を図っていることです。ここにこそ今次改悪案の最大のねらいがあると言っても過言ではありません。  第四に、婦人の年金権の問題です。  今度の改正案は、被用者である夫の存在によって妻の加入保険制度が変わるなど、あくまで夫に従属した制度になっており、とても婦人の年金権の確立などと言えるものではありません。  いわゆるサラリーマンや公務員の無業の妻は無拠出制の三号被保険者に、また、夫が自営業の場合や離婚した妻の場合は高い保険料負担が強制される一号被保険者になります。無業の妻の場合は、年金制度の適用関係が四十年の長期にわたって的確に把握されなければ無年金者となるおそれは十分にあり、全体として、経済基盤の弱い女性に無年金者の多発が予想されます。これは、社会保障制度として極めて矛盾した不十分なもの生言わなければなりません。  婦人の就労条件の実態から見れば、受給開始年齢と保険料負担の引き上げは、真の男女平等に大きく逆行するもので、とても容認できるものではありません。  最後に、政府が今次改悪案の最大の論拠としている年金財政破綻論は、我が党が質問で明らかにしたように、政府前提としている我が国の生産力、経済発展との関係でも、また生産人口に対する従属人口の関係でも、その欺瞞性は明らかであることを指摘しておきます。  我が党は、何よりも軍拡最優先、大企業奉仕の財政運営を根本的に見直すとともに、年金の労使負担割合を三対七に切りかえることを含め、国庫負担を基礎に年金制度全般の抜本改善を実現することを改めて強く要求するものです。  以上、本法案に断固反対し、真に国民の求めている年金制度改革の実現を目指し全力を挙げて奮闘する決意を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
  187. 越智伊平

    越智委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  188. 越智伊平

    越智委員長 これより国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、堀之内久男君外二名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  189. 越智伊平

    越智委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  190. 越智伊平

    越智委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
  191. 越智伊平

    越智委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、熊川次男君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。上田卓三君。
  192. 上田卓三

    上田(卓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、案文を朗読いたします。     国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 今回の改正は、共済年金制度の抜本的な改正であるので、共済組合員はもとより、国民全体の理解と納得を得られるよう周知徹底を図ること。  一 今回の改正が行われても、各公的年金制度間に制度上の相違、特に負担面での相違が残されているので、今後できるだけ速やかに、公的年金一元化の観点から調整を図るよう努めること。  一 公的年金一元化の内容及びスケジュールが依然として明らかにされていないので、今後できるだけ速やかに、その内容等につき明らかにすること。  一 基礎年金の水準、費用負担のあり方等については、国民年金法の附則の規定に基づき、できるだけ速やかに検討に着手すること。  一 今回の改正が行われると、共済年金と恩給との間に大きな相違が生ずるので、恩給制度についても、公的年金制度の改正をふまえつつ、検討を加えること。  一 今回の改正における職域相当部分の根拠、水準が必ずしも明瞭でないので、この点につき、人事院等の意見もふまえ、引き続き研究を行うこと。  一 今回の改正法では、共済年金の政策改定の根拠につき、賃金の変動という要素が明らかに規定されていないが、政策改定を行うに当たっては、この点につき十分配慮すること。  一 既裁定の遺族年金については、最低保障の改善を図ること。  一 職域年金相当部分の支給要件については、その緩和を図ること。  一 懲戒処分等による給付制限措置については、今回の改正後、本人の掛金相当部分については行わないこととすること。  一 国家公務員等共済年金、私立学校教職員共済年金及び農林漁業団体職員共済年金と地方公務員等共済年金との間において、算定基礎のとり方に差異があるが、各制度の間の水準に差異が生じないよう調整を図ること。  一 所得制限の具体的な運用に当たっては、退職者と現役公務員との間の生活の均衡が図られるよう十分考慮すること。  一 現在四十歳の者については、将来給付が最も低い水準になる点について、次の見直しの時点までに調整するよう努めること。  一 自衛官については、その職務の性格から若年定年制とならざるを得ず、これが掛金に反映されることになるが、この点につき今後研究を重ね、何らかの解決策を講ずること。  一 民営化されたNTT、日本たばこの職域部分については、今後公的年金一元化を進める過程で検討を加えること。  一 国鉄の職域年金については、年金財政及び国鉄財政の動向等を見きわめ、設置することを将来検討すること。  一 社会経済情勢の変化をふまえ、財政投融資の見直しについて検討すること。  一 NTT、たばこ共済組合は、引き続き現共済制度を存続し、積立金の自主運用を行うこと。 以上であります。  よろしく御賛成いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
  193. 越智伊平

    越智委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 越智伊平

    越智委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣
  195. 竹下登

    ○竹下国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましては御趣旨を踏まえまして十分検討いたしたいと存じます。ありがとうございました。     —————————————
  196. 越智伊平

    越智委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     —————————————     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  197. 越智伊平

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     〔報告書は附録に掲載〕
  198. 越智伊平

    越智委員長 次回は、来る十二月三日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十五分散会      ————◇—————