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1985-11-26 第103回国会 衆議院 大蔵委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十六日(火曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       金子原二郎君    笹山 登生君       中川 昭一君    二階 俊博君       額賀福志郎君    野中 広務君       野呂 昭彦君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    山岡 謙蔵君       山崎武三郎君    山中 貞則君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       野口 幸一君    藤田 高敏君       武藤 山治君    古川 雅司君       宮地 正介君    安倍 基雄君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         経済企画庁調整         局審議官    宮本 邦男君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    北村 恭二君         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 窪田  弘君         大蔵省国際金融         局長      行天 豊雄君         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         厚生省年金局長 吉原 健二君         中小企業庁次長 見学 信敬君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君  委員外出席者         文部大臣官房福         利課長     岡林  隆君         文部省教育助成         局財務課長   逸見 博昌君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      阪田 彰夫君         自治省行政局公         務員部福利課長 松本 英昭君         参  考  人         (日本団体生命         保険株式会社取         締役)     村上  清君         参  考  人         (野村総合研究         所所長)    徳田 博美君         参  考  人         (日本労働組合         総評議会議長江田 虎臣君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長)    亀井 正夫君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   瓦   力君     野中 広務君   自見庄三郎君     野呂 昭彦君   田中 秀征君     二階 俊博君 同日  辞任         補欠選任   二階 俊博君     田中 秀征君   野呂 昭彦君     自見庄三郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八一号)      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、参考人として、日本団体生命保険株式会社取締役村上清君、野村総合研究所所長徳田博美君、日本労働組合評議会議長江田虎臣君に御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位には、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げます。まず、各参考人から御意見をそれぞれ十五分程度お述べいただいた後、委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず村上参考人からお願いいたします。
  3. 村上清

    村上参考人 村上でございます。  共済年金改正案について意見を申し上げます。  私は、本日御出席江田さんと御一緒に国家公務員等共済組合審議会委員といたしましてただいま審議中の共済年金改正の問題に参画してまいりました。  今、共済年金改正がなぜ必要か。これには二つの理由があると考えます。  第一は、将来の年金財政の破綻を防ぐことであります。加入員の中で言えば二十代あるいは三十代の人たちの将来の年金にはっきりとしためどをつけることであります。従来の年金は、ともすれば年金を受ける側、年配の方の立場で考えられていたことが多かったと思います。しかし、実際に年金制度を支えているのは現在拠出している若い人たちでございまして、この人たちの将来の年金について極めて不確かであるという状態では絶対にあってはならないわけでございます。  第二は、現在の制度の中にあるさまざまな不公平を是正することでありまして、これは特に女性年金のために必要なことであるというふうに考えます。  年金制度につきましては、官民格差という言葉があります。これはしばしば誇張されて言われているというふうな感じがいたします。マスコミなどが取り上げます場合には、非常に極端な例で、現行法では起こらないような特殊な例を持ってきて、それがあたかも共済の代表であり、一方、厚生年金の方はごく一般的な例を持ってくるというふうな例がしばしばございます。これでは正確な比較にならないというふうに考えております。  共済年金計算方式には御案内のとおり一般方式通年方式とございます。そしてそのいずれか高い方をとるというふうになっているわけでございます。現在では、共済年金の全加入者の中で約半数通年方式になっているというふうに承っております。  通年方式はもともと厚生年金計算仕組みに似せてつくったものでありますから、したがって、既に約半数通年方式になっているということは、共済年金加入者の約半数がもう実質的には厚生年金とほぼ同じ水準になっているということが言えるわけでございます。この人たちから見ますと官民格差というのはまことに迷惑なことであろうというふうに思うわけでございます。一般方式の場合にはやや高くなることは確かでございます。一般方式通年方式、全部突きまぜまして、恐らくその差はせいぜい一割か二割ぐらいであろうかと思います。しかし実際には、官民格差よりももっと大きな格差年金制度の中にあります。それは女性年金であります。  例えば、共済年金加入者公務員家庭を考えてみたいと思うのです。  夫が公務員だったといたします。その場合に年金加入の様態からいいますと四種類の妻がいるはずであります。一つはどの年金にも入っていない妻、二番目は任意加入国民年金加入している妻、三番目は働きに出て厚生年金加入している妻、そして四番目に夫も妻も共済年金であるというそれぞれの家庭があるわけでございます。  このいずれかにょりまして、夫の年金だけ見れば大した差がないかもしれないけれども、夫婦まとめて見ます年金の差というものは大変大きなものになります。恐らく官民格差の数倍になるだろうというふうに考えております。さらに妻が公務員共済年金、夫が国民年金とか厚生年金とかさまざまな家庭もありまして、実際には極めて複雑多様な組み合わせになっております。  この組み合わせのどれかによって、つまり夫と妻がどの年金にそれぞれ入っているかという、ある意味では運不運でありますけれども、結果的には、女性の側から見ると天と地ほどの差が出てくることがしばしばございます。特に生別、死別、離婚した場合とかあるいは死に別れた場合に後に残りました老齢の妻あるいは母子家庭、その際出る年金というものは、ある場合には年金一つ出る、ある場合には二つ出る、あるいは本当に保障の必要があるのに何も出ないという場合もございます。具体的に申しますれば、例えば夫が共済年金、妻が国民年金加入している。この場合に母子家庭が残りますと、二つ年金が出ます。しかし、その逆の組み合わせでありますと、何も出ないということでございます。これは何とも説明のつかないような不公平でございまして、こういう不公平はきょう現在でも日本のどこかで起こっているわけでありますので、一刻も早く改めていただきたいと考えるわけでございます。離婚した妻の年金にはもっと極端な不公平が出てまいります。  現在、公務員の妻は国民年金任意加入できることになっておりまして、恐らく七割から八割の人が入っていると思います。この任意加入という制度加入任意ですから脱退任意でありますけれども、これは放置できない制度だと考えております。加入脱退任意にすれば結果はどうなるか。もう目に見えているわけでございまして、得だと思う人が得なときだけ入って、有利でなくなったらやめてしまうということでございます。年金財政というものは、概して段階保険料といいますか、未成熟なうちは掛金が低くて、後になると高くなる。とすると、当初だけ入って途中でやめれば、大変有利になることは明らかであります。だれかが有利な結果を得れば、その分はほかの人が迷惑な負担を負わなければならないという不公平を生むことでございます。今度の改正では、幸いこの任意加入の問題が収束されます。これも早くに収束しなければならないし、これは共済関係者家庭でも同じことであるというふうに考えております。  今度の改正では、全国民国民年金加入して、家庭にいる妻も含めまして全員に基礎年金が支給されます。このことによって、今申し上げた女性の不公平は大幅に是正されます。これは大きな前進であるというふうに考えております。女性年金世界共通の悩みでございます。きのうからOECDと日本政府が共催で、年金と医療の国際会議が行われております。そこで各国の方々が話しておるのを聞いておりましても、今回の日本年金改正、特に女性の問題の解決は、国際的にも専門家の間で大変高く評価されております。  新しい共済年金は、全国民に共通な基礎年金を土台にしまして、これに所得比例年金が乗る仕組みになっております。所得比例年金の内容は、厚生年金相当部分に若干の上乗せ職域年金としてつくという仕組みでございます。これまでの共済年金計算方法は、原則的には最終給与基準、正確に言えば退職前一年間の給与基準にした仕組みであります。改正案では、これが全期間給与基準になります。共済年金の前身は恩給であります。恩給考え方は、功労報賞といいますか、在職中の貢献度に報いるという考え方であったと思います。この場合には最終給与基準というのは妥当だし、民間でも退職金企業年金、すべて最終給与基準と考えてよろしいと思います。しかし、今や恩給ではなくて共済制度であります。共済制度公的年金であり、共済という名のとおり加入員相互の助け合いの制度と考えられます。この場合には別の尺度が妥当ではないか。全期間給与基準という新しいやり方は、別の表現をいたしますと、各人が生涯に拠出した掛金の総額に比例するという仕組みでございまして、共済という立場に立ては、これはより妥当、公平なことではないかというふうに考えます。  次に、年金水準について申し上げます。  改正案共済年金水準は、厚生年金に二〇%のプラスがついている。基礎年金まで含めますと、全体に対しては八%ないし九%ぐらいの上乗せというふうに聞いております。既に厚生年金については改正が決まっているわけでございますけれども、新しい厚生年金水準は、現役勤労者の平均的な給料の六九%を標準にしております。しかし、現役の人は、給料から相当な諸控除があります。現在少なく見ても一五%は引かれていると思いますから、手取りは八五%であります。つまり、実際に使える金で比較いたしますと、現役八五に対して引退したお年寄り年金が六九という数字になります。  これをもう少しわかりやすい数字に置きかえますと、現役が五五対引退した人が四五でございます。概して言えば、現役の人は四人世帯子供を養育している、引退した方は二人。四人と二人という世帯構成を考えますと、五五対四五というのは、どちらが楽でどちらが苦しいか、必ずしも現役が楽だということは言えないと思います。  年金制度はいわば順送りの世代間扶養であります。家族制度に例えれば、いわば子供が親に仕送りをしているというふうに言ってもよろしいと思います。あるいは現役の人が働いて生み出した物の一部をお年寄りに分ける。平たく言えば、一つ財布を親子で分けるわけでございますから、その振りかえた後でおのずから妥当な配分があるだろうというふうに考えます。  従来は、年金についての議論は、ある場合には年金水準だけ取り出して高い、低いという議論、ある場合には掛金だけ取り出して負担できる、できないという議論がございました。これは一方だけの議論でございます。年金制度所得の振りかえでありますから、振りかえた後で、二つ世代の実際に使われる金のバランスがどうだろうか、そこで適正なバランスを保つ、そうしていけば絶対に破綻する二ともないし、恒久的に安定するわけでございます。これも今各国専門家の間では、年金水準というものは、振りかえ後の実所得で妥当な水準を維持すべきであるということにほぼ一致しております。西ドイツでは、一九八五年の予算関連法律の中で、既にこのことが確認されているというふうに聞いております。  厚生年金部分についてもそういうことでございます。共済はさらに上乗せをするわけなんですから、今申し上げた点を考慮いたしますと、それほど大きな上乗せということは、実際上世代間の公平性から見て無理ではないかという感じがいたします。しかし一方では、いかなる上乗せも望ましくないという議論も聞いております。すべて厚生年金と同じにすべきだということなんですね。ちょっとでも乗っていればそれは官民格差だという極端な議論も聞いております。しかし欧米の各国を見まして、どの国でも公務員年金には若干の上乗せがついております。  例えばアメリカでは、従来は公務員は、国家公務員ですけれども、一般勤労者制度とは別の年金制度でありましたが、昨年の初めから新規採用者に限っては一般制度に統合いたしました。日本流に言うと、共済年金厚生年金に統合したということであります。しかし、この場合にも、その上積みとして、ある一定職域年金をつけるということが約束されておりまして、その中身が現在審議されているというふうに聞いております。これらの例あるいはこれまでの経緯、さらには公務の特殊性その他いろいろな条件を勘案いたしますと、この程度上乗せというものは妥当な線ではないかというふうに考えるわけでございます。  今回の改正は、現役の人、引退した人両方世代に厳しい改正であると思います。若い世代の人から見ますと給付は下がり、そして負担は上がる。高齢世代から見ますと、人によってはスライドが足踏みするという場合も生じるかもしれません。しかし若い世代から見ますと、それは自分の将来の年金を確実にすることであり、避けられないことだと考えます。あるいは年配の人にとりましては、仮に給付の一部がスライド停止するとすれば、それは、自分たち年金を支えてくれる後の世代が将来幾ら努力しても手にできない部分スライドを停止しているというふうにお考えいただき、我慢していただかねばならないのではないかというふうに考えます。  これまでは、共済に限らず公的年金に何か錯覚があったように考えております。年金制度が未成熟で、負担する人はたくさんいるのにもらう人が少ない段階でありますと、掛金が安くて高い年金を払うことができます。何か公的年金というのは極めて有利なものであるし、またそうなければならないというふうな錯覚が生まれていたのではなかろうかと思います。しかし、もともと年金制度というのは世代間のお金の分け合いでございます。両方が喜ぶということはないわけで、いわば一つ財布両方が分けるのですから、両方とも実はもっと欲しいあるいは出したくない、しかし若い世代からいえば、自分の親のためだからやむを得ない、あるいは年金受給者からいいますと、子供や孫に負担してもらうわけでございますから、この程度だよということになるわけでございます。  今回の改正は、将来の共済年金の安定と、そして仕組みの公平のために、ぜひとも早く実施していただきたいというふうに考えるわけでございます。  ありがとうございました。(拍手)
  4. 越智伊平

    越智委員長 ありがとうございました。  次に、徳田参考人にお願いいたします。
  5. 徳田博美

    徳田参考人 徳田でございます。  ただいま村上参考人から、年金制度について技術的な面を含めて詳細なお話がございましたが、私は角度を変えまして、マクロ的な見地から、今回の改正の背景となる実態について御説明してまいりたいと思います。  御承知のとおり、所得保障目的と申しますのは、老後や不慮の事故等、個々人の力あるいは家族などの助け合いではおのずと限界があり、さまざまな所得の中断であるとかあるいは所得喪失に備えまして、一定所得水準を確保しようとするのがその目的でございます。その中でも、特に公的年金制度は全国民から強制的な保険料を徴収いたしまして、老齢など所得喪失要因が生じた場合に給付を行う制度でございまして、生活不安定化を未然に防止するための社会的な扶養システムと考えられます。特にこのシステムは、インフレその他がありましても、それに対しまして実質的な価値が維持できる、あるいは終身の所得保障を行うことによりまして、予想外物価上昇生活水準上昇によって起こってくるようないろいろな事象に対処することができるわけでございまして、この意味で、現在老後保障中心となっているわけでございます。  このように、年金制度国民生活にとって大変大事な中核となるべき制度でございますけれども、同時に、この年金制度というのは、経済構造と申しますか、特に日本人口構成あるいは就業構造変化に即応してまいることが大変大事でございます。この点におきまして、この基本となるべき人口構成変化、それから就業構造中心としまして、今後の経済成長率等について触れてまいりたいと思います。  まず人口でございますが、もう先生も十分御承知と思いますけれども、厚生省その他の推計によりますと、日本人口は穏やかに増加を続けまして、昭和八十三年に一億三千万人のピークに達しまして、その後減少に転じまして、六十年間くらいは人口減少が続くのではないか、このように考えられております。  このように、日本静止人口局面に移行するわけでございますけれども、その中で問題になるのが質的な変化でございます。その特徴の一つは、人口高齢化が当分の間急速に進行することでございます。六十五歳以上の老齢人口の総人口に占める比率は、昭和六十年の一〇・二%から昭和九十五年に向けて急速に上昇いたします。この年に二一・八%と最初のピークに達するわけでございまして、推計いたしますと、その時点で日本よりも老齢人口が高い国はルクセンブルクとスイスくらいでございまして、世界の大国は全部日本よりも老齢人口が低いという姿になるわけでございます。以後しばらくこの水準下降に転じますけれども、また上昇に転じまして、昭和百十八年には二二・二%、次のピークに達するわけでございます。  このように老齢化が進みますと、人口統計の場合には普通ピラミッドという言葉が使われますように、昭和六十年ごろにはやや上部がとがったつり鐘型でございましたけれども、昭和七十五年ごろになりますと、それがつぼ型に変わりまして、昭和百年ごろになりますと、もう矩形に近い姿になってしまうわけでございます。  そこで、このような状態になりましたときのもう一つ問題点は、いわゆる従属人口指数でございます。従属人口指数というのは、御承知のとおり、生産年齢人口に対する年少人口老齢人口の和の比率でございまして、大まかに申しまして、一国の経済活動を担当する年齢人口が、それ以外の年少者あるいは老齢人口を扶養するために払わなければならない負担の重みをあらわすものでございます。  この従属人口指数、つまり十五歳から六十四歳までの勤労のできる人口で、これらの人口が扶養しなければならない十五歳未満、六十五歳以上の人口を割った比率は、昭和六十年では四六・九%でございましたけれども、これが下降傾向に行くわけでございまして、昭和六十五年に最低値の四二・八%に達するわけでございます。ということは、昭和六十五年が日本人口的な姿からいえば一番活力のある時代だと言えるわけでございまして、これがいわば人口から見た国力のピークでございます。その後、今度は老齢人口上昇するものでございますから、従属人口指数は急速に増加いたしまして、昭和百十五年に六八・六%まで上昇してしまうわけでございます。これが質的な意味で大変な問題になるわけでございます。  もう一つ日本人口統計で問題になりますのは、日本老齢化のスピードでございます。普通、老齢化一つの目安としては、老齢化人口のパーセントが七%から一四%に行くのに何年かかったかという数字をよくとるわけでございます。フランスでは百十五年、アメリカでは七十五年かかったわけでございますけれども、日本の場合にはわずか二十六年でそれに到達してしまっているわけでございます。こういう意味で、日本人口構成は大変問題があるわけでございまして、この結果として、働く世代年金を受け取る老齢層、最近、老齢ではなくて実年というそうでございますが、その層を何人で扶養するかと申しますと、昭和六十五年には六人に一人でございますが、九十五年には二・八人に一人という比率になるわけでございます。これが一つ人口の問題でございます。  次に、日本経済成長の問題でございます。現在経済は、殊にオイルショック等契機にして、高度成長から低成長に移行しているわけでございますけれども、日本経済成長率の低下は第一次オイルショックを契機として急激に成長率が下方屈折したように見えるわけでございますけれども、実は資本の面からこれを見ますと、やや違った姿があらわれておりまして、民間企業資本ストック増加率は、石油ショック以前の一九七〇年あたりをピークといたしまして、既に低下し始めております。つまり高度成長は、資本ストックという面で見ますと、既に転機に差しかかっていたわけでございます。したがって、石油ショックはこの屈折に追い打ちをかけたという形になっているのかと思います。  そこで、問題は、これから日本実質成長率がどうなるかということでございますが、この場合に一つの手がかりになるのは、御承知のとおり、日本潜在成長力でございます。経済潜在成長力は、労働人口伸びそれから労働時間の伸びあるいは減少それから労働生産性、この三つが中心になるわけでございまして、一九七四年から八四年までの大体十年間では、労働人口が一・一。それから労働生産性は、実はこの十年間技術革新に余り目立ったものがなかったこともあって低かったわけでございまして、三・六程度でございます。一方労働時間は、オイルショックの減量経営に対して一生懸命仕事をするということで、ほとんど短縮されてないわけでございます。そういう意味で、潜在成長率は四・七でございました。  そこで、これから十年間の、八四年から九五年までの潜在成長率計算してみますと、労働人口伸びは、これは人口統計から出てきます、その前の十年間とほぼ同じ一・一でございます。労働時間は恐らくこれからだんだん短縮されるのではないか。現在我が国の労働時間は、一九八三年ではアメリカ労働時間に比べて一丁八%多いわけでございまして、これに対してある程度の縮小は当然行われるであろう。そうしますと、これを大体マイナス〇・六くらいに見てよろしいかと思います。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  一方労働生産性でございますが、これはハイテク産業を中心として今再び技術革新がかなり行われておりますし、それからデレギュレーションの関係で、これも労働生産性にプラスになると思いますので、恐らくそれは四・二%ぐらい、合計すると潜在成長率は四・七でございまして、結果的には、過去の十年どこれからの十年はほぼ同じかと思います。  問題は、さらにその先でございます。年金の場合にはむしろこれから先が問題になるわけでございますが、推計は大変難しいのでございますけれども、まず基本的な労働人口伸びは九五年以降恐らく〇・五ぐらいではないか。つまり、今までよりこれは大幅に落ちてくるわけでございます。それから労働生産性でございますが、これは実は社会保障その他の国民負担率とも関連しているわけでございますけれども、そういうものとの関連もありまして、労働生産性は若干落ちるかもしれない。仮に労働生産性が三・五ぐらいになるといたしますと、潜在成長率は合計四%前後になるわけでございます。  こういう意味で、このままで参りますと、十年、二十年先の経済成長率は少し落ちるということは、やはりバイの大きさ自体の伸びが減るわけでございまして、そういう意味では、そのパイに支えられている年金制度にも当然問題が出てくる。と同時に、労働生産性の低下を極力抑えるためには、やはり社会保障その他の国民負担率を余り上昇させないように図ることが大事かと考えられるわけでございます。  このような社会経済の構造変化人口経済成長の構造的変化に対応しまして、日本の社会的ないろいろな組織、制度を新しい環境にマッチするように改革していくことが必要でございますけれども、特に社会保障の分野において、こういう意味で、これを踏まえて適正な改正が行われることが必要かと考えられます。  そこで、こういう社会構造の変化に対応いたしまして、社会保障のあり方を考える場合の視点の幾つかを申し上げますと、一つは、まず制度的に安定していることが非常に大事でございます。先ほど申し上げましたように、社会保障、特に公的年金制度というのは、これから老齢化が進むと恐らく八十年人生ということになると思いますが、その中でこれからの人生、生まれてから二十前後までがいわば就学年齢、二十前後から六十ごろまでがいわゆる就業年齢それから六十から八十ぐらいまでの間が本当に人生を楽しむ、就生年齢、そういうような言い方もできるかと思いますが、その人生を楽しむ最後の二十年を支えるものとしての年金制度というのは個々人の生活設計に密接にかかわっているわけでございますので、その期待を裏切らないようにする、あるいはそれに対する不安感を持たせないようにする、信頼感を持たせるようにすることが大変大事なことでございます。そういう意味で、制度的に安定して、安心してそれに頼れる制度にしておくことがまず大事かと思います。  それから二番目には、過重な負担を排除する、極力抑制することが大事でございまして、これが活力ある社会を維持することに関連してくるわけでございます。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、高齢化が大変進展してまいりまして、一人の支える年金生活者の比率が大変変わってくるわけでございますので、今のままの仕組みでは社会保障負担国民負担の率の増大は避けられないわけでございます。現実に欧米では、社会保障負担の率が高いことが労働生産性にも大変関連しているわけでございまして、国民経済自体の活力も失われかわないわけでございます。こういう意味で、将来の日本経済のパイの大きさを確保するためにも適正な負担率ということが必要かと考えられます。  それから三番目は、公平性の維持でございまして、これは、世代間のバランス、つまり縦の公平と、同一世代間における横の公平と二つの面があると思います。殊に縦の公平ということにつきましては、今後ますます働いている人が支える年金生活者の関係が変わってまいりまして、先ほど申し上げましたように、九十五年には二・八人で一人を支えるような状態になるわけでございますので、退職者に対する給付現役労働者の負担とのバランスということに配慮することが大変大事かと思います。  それから四番目に考えられますことは、給付の重点化、効率化ということでございまして、先ほど申し上げましたように、これからの経済成長率、先行き今までほどの高度成長ということはなくなるわけでございまして、その中で、限られた資源を有効に活用して必要に応じて適切に配分していく、真に必要な人に対して重点的な給付を行うということが大変大事でございます。こういう視点からの改正はぜひとも望ましいものと考えられます。  それから五番目に、同時に社会保障と申しますのは、国家と企業あるいは個人、つまり国家の公的な補助、企業の相互的な補助、あるいは自助努力、そういうものがバランスをとることが大事でございまして、この視点も欠落してはならないかと思います。  以上、いろいろな視点について申し上げたわけでございますけれども、この公的年金制度につきましては、政府におきまして、今申し上げましたような経済構造変化高齢化社会の到来に対処しまして、制度全体の長期的安定と整合性のある発展を図るという視点から今回改正が行われているわけでございます。国民年金厚生年金につきましては、先ほどの村上参考人のお話にもございましたように、全国民共通の基礎年金の導入あるいは給付水準の適正化等を内容とした改正法が既に成立したわけでございますけれども、今回の共済年金改正法案もこれと全く同じ趣旨に立ったものでございます。  この法案が成立しますと、さきの国民年金等の改正とあわせまして、給付負担の権衡が図られ、また適正な負担率というものが想定されるわけでございます。それから、いわゆる官民格差の是正ということも行われるわけでございますので、こういう視点からいえば、今回の改正は、先ほど私が申し上げました日本のそういう産業構造、人口構造の変化に対処する改正として評価されるものではないか、このように考えております。(拍手)
  6. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 ありがとうございました。  次に、江田参考人にお願いいたします。
  7. 江田虎臣

    江田参考人 総評副議長江田でございます。  時間が十五分でございますから、余りたぐさん述べられませんので、最初に国鉄年金の救済問題について、事実経過を含めまして述べさせていただきたいと思います。  この国会が始まりまして、共済法案が審議に入りまして、政府の救済の具体的統一見解がいまだに出されないということについては私は大変遺憾であるというふうに思います。  なぜかと申し上げますと、事実経過を申し上げますが、二月の六日、ことし最初の産労懇、産業労働問題懇話会ですが、第一回目には必ず総理が御出席になりまして一年間の重要課題について所信の表明がございます。そのときに総理みずから、今年の課題は国鉄再建と教育改革それから地方行革である、三十分にわたって力説をされました。私も産労懇のメンバーでございます。総理が大変力を込めて力説されましたので、終わりまして第一番目に私が質問いたしました。ちょうどあたかもそのときには共済法の改正審議、国鉄財調問題の国共審の審議の真っただ中でございまして、そういう時期でございますから、総理に対して国鉄年金の現状と問題点については総理は御存じでございましょうか、承知の上で国鉄改革問題を提起される、であるとするならば国鉄年金の救済についていかような処置をとられるのか、総理の所信をお伺いしたい、こういうふうに私は御質問をいたしました。総理はそれに対してわずか一言で、今専門家が検討中です、国鉄監理委員会も発足いたしまして監理委員会の中で再建計画全体の中で結論を出します、こういう御答弁がございました。総理ですから年金問題一つを専門的におやりになるとは思いませんから、さようでございますかということで私も了解をいたしました。  それから、七月に国鉄再建監理委員会の答申が出まして、総理がお約束になったから、その中に極めて具体的かつ明確に国鉄年金の再建についての御提言が含まれているというふうに私どもは思いました。私もあれを三回ほど読み直してみましたけれども、あの中に書かれておる国鉄年金についてはわずか三行、これについては国共審の答申の中で書きました文言を引用いたしまして、そして引き続き政府で検討しろ、こういう趣旨のことしか書いてなかったわけでございます。  またボールを投げ返されたわけでございますが、直ちに私は国共審の船後会長にお願いをし、大蔵省の事務当局に要請をしまして国共審の開催を要求いたしました。そして亀井監理委員長と国鉄総裁に御出席をいただくということで国共審が開かれたわけでございますが、その席に、国鉄総裁はお見えになりましたが、監理委員長は日程の都合で出席できないというお断りがありまして出席されませんでした。私は監理委員長に御質問をしたい、監理委員会の中で総理に対する負託としてどういう御議論をされ、どういう審議をされて国鉄年金救済についてお考えなのか、監理委員長に明快な御答弁をいただきたいというために国共審は開いたわけでございますが、御出席になりませんでした。  その翌月の産労懇で、ちょうど運輸大臣が参りまして再建計画の説明がございました。亀井委員長も産労懇の委員でございますから、亀井委員長と運輸大臣にも質問をいたしまして、監理委員会の見解をお聞きしたい、したがって国共審に御出席をいただきたい、こういうふうに申し上げたところ、必ず参りますという亀井委員長の御答弁でありました。それで大蔵省に連絡いたしまして直ちに再開をお願いしたのですけれども、大蔵事務当局の私に対する連絡では、亀井委員長は出たくないということでかたくなに出席を拒まれている、こういうことで大蔵省と運輸省の間で数回となくやりとりがあったけれどもいまだに御出席がございません。そして十月の産労懇でお会いしましたから、亀井委員長に公式の産労懇で御出席を受諾されたのになぜ御出席いただけないんですか、こう言ったら、国共審で文句を言われるのが嫌だから行きたくない、こういうお話でございました。国共審でいろいろ言われるのが嫌だから行かないという監理委員長では国鉄再建はできないのではないかと私は思います。  そういう経過を踏まえてまいりまして、国鉄監理委員会があれほど大胆な国鉄再建計画を提起された以上、少なくともその中に国鉄年金も大きな部分を占める。国鉄の職員のいわゆる雇用問題は大変大きな問題になっておりますけれども、雇用とは職を失うかどうかという問題だけでなくして賃金も入りますし勤務条件、年金を含めて雇用問題というのは存在する。その中の重要な既裁定年金者、そして現役の三十万の職員の老後における生活設計の問題を含めた重大な年金問題に監理委員会は一言も触れずに、これをさらに政府にゆだねるあるいは国共審に突き返すという処置の仕方については、私どもとしては納得できない。これは国共審の席上、公労使三者一体で、監理委員会のあの答申は国共審を冒涜するものである、書かないなら一字も書いてもらわない方が結構だ、国共審の答申をただ引用するやり方というのは国共審に対する冒涜であるというのが国共審の全員一致の確認でございました。  そういう点で、きょうも亀井委員長、後でお見えになるようですけれども、私はせっかく参りまして大蔵大臣にも聞いてもらいたかったし亀井さんにも生に聞いていただきたいという期待を持っておりましたが、非常に残念だと思います。  私どもは、少なくとも九十万の共済グループの組合員は大変な苦痛を感じながら月平均一万二千円程度の金額について、きれいな言葉で言えば労働者連帯、そういう意味で国鉄救済のためだけに千分の五・三の負担をさせられておるわけであります。政府はこの九十万人のそういう国鉄救済に対する善意な協力に対して、それにこたえるためにも速やかに政府の統一見解を出して政府の責任を明らかにされるのが九十万人に対する任務である。そういう誠意が示されないならば、我々としては今の財政調整については直ちに打ち切ってもらいたい。政府の誠意がない限り我々だけが誠意を見せるというわけにはまいらないわけであって、今の財政調整については直ちに中止をして組合員の負担を軽減してもらいたいということを強く要求せざるを得ないわけであります。  以上、事実経過を踏まえまして、私は政府に速やかに政府の責任、政府の負担を含めて明らかにしてもらいたい。私は、国鉄共済年金の救済について何が難しいのか、政治的に難しいのか技術論的に難しいのかよくわからない。政府は金は全く一銭も出したくない、あるいはその他の共済も今の段階で政府の責任を明らかにしない中で負担するのは嫌だ、それは当然のことだと私は思います。そういう問題についてやはり的確にこたえていくのが政治の任務である。政治的にどこが難しいのか明らかにしてもらいたいし、技術論的になぜ難しいのか。極論すれば銭金で済むことではないか。銭金をだれも負担しないで国鉄救済をやれといってもできるはずがない。そういうことに貴重な時間を使って、何十時間使っても国鉄救済についての具体的な筋道は私は出てこないと思います。これが第一であります。  それから年金法につきましては、村上先生も一緒に審議してまいりまして、私は年金の素人でございます。したがって、中身の問題は別といたしまして、ただここで申し上げておきたいのは、国共審が満場一教の答申ができなかったという事実、これは国共審の答申案をひとつお読みいただきたいと思います。地共済は大体統一見解、統一した答申案になっておるようでありますが、国共審は国鉄財調問題の審議等々いろんな問題が絡みまして、内容の審議が十分尽くされませんでした。政府が法案提出を急ぐ余り、内容の審議時間というものは非常に制約されたわけであります。そして、労働側の意見と主管側の意見、公益側の意見が対立したままそれの解明ができなかった、そういう意味で国共審答申は明確に両論の併記ということで答申が出たという事実、これを御了承いただきたい。そのことは、労働側は今この共済法の改悪については反対であるという意思表示であるというふうに申し上げざるを得ないわけであります。  中身について申し上げると時間がございません。総評の共済対策委員会も連日開いておりますし、昨日も開いておるようでありますが、今国会においてどうしてもこの法案を審議完了したいという国会の中での事態であれば、私どもとしては十数項目にわたる法律案についての修正をお願いをしたい。この修正が実現されないとするならば、我々としては、この共済法の成立については断固反対せざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。  その中で特に一、二申し上げますと、年金の一元化、一元化という言葉が使われておりますが、七十年一元化というのは大綱として政府の閣議決定にもなっておりますが、一元化というのは何なのか。国共審でも大蔵事務当局にお聞きしても、なかなかそこのところはまだ決まってないんだ。給付負担の一元化を一元化というのか、あるいは法律の一本化を一元化というのか、財政運営、財政の一本化を含めてそれを一元化というのか、どの場でお決めになったのか、その一元化の中身についてはいまだに明らかになっていない。大蔵省の事務当局も、御質問してもそこのところは定かではないというのが答弁であったと記憶いたします。したがって、七十年一元化という問題だけがひとり歩きをしている。どういうふうな中身で一元化なのか、一元化とは何なのかということについてまず前提条件を明らかにされてしかるべきである。同時に、一元化のプロセスについても私は必ずしも明確になっているとは思いません。そこの部分が第一の、一つの問題だと思います。  それから、官民格差論が言われますし、村上先生からも大変理解のある説明が今ございました。しかし私どもは、公務員共済年金というのはやっぱり、公務員という特殊性の中で存在をすると思います。共済組合法等にも、公務の民主的、そして能率化というような、公務員制度の一環としての年金制度だというふうに少なくともうたわれておるし、強調されていると思います。いわば戦前の恩給法から共済年金法に変わりまして、そして共済年金法になりましても、厚生年金法との間には大変異質なものが法律上にも存在していると私は思います。その中にも、例えば我々公務員が懲罰を受けたり刑罰を受けたり懲戒処分を受けたり、そういうものについては給付制限なり給付の停となりもろもろの条項が入っておりますが、これらについては厚生年金にはございません。かつての三公社の場合にも、三公社のそれぞれの共済法はばらばらで、あるものもあったし、ないものもあった。一本化したために、三公社の中に非現業公務員のこれらの制度が逆に持ち込まれて不利益をこうむっておるという事態もありまして、そういうものは何なのか。やっぱり公務の特殊性においてそういう問題が共済法の中に入れられてきたんじゃないか。そういう問題を抜きに官民格差論だけが言われるということについて私は納得がいかないわけでございます。  今賃金問題も含めまして、七年間凍結、値切り、その他公務員は何か人権が無視されっ放しの状況の中で年金法だけがひとり歩きする。しかも、国民年金財源なり国鉄年金財源の破綻の中で、それを国庫負担をせずに労働者に転嫁するだけの改悪法案じゃないか。それで給付は下げられる、負担は大きくなる、こういうむちゃくちゃな改正はないじゃないかというのが組合員の率直な、素朴な気持ちでございまして、どうしても納得いかないというふうに思います。  そういう点で、やはり共済年金の持つ性格をどちらかに明確にされる必要もあるだろうと思います。公務員共済年金というのは、老後の社会保障としての老齢年金なのかあるいは公務員としての職域年金なのかあるいは相互保険なのか。政府の説明は、その都度そのそれぞれをうまくつまみ食いして、あっちの場合にはこっちだ、こっちの場合にはあっちだ、こういう答弁で常に逃げられるわけでございます。けれども、年金の一元化という問題と含めまして、共済年金の性格づけはどちらなのか、何なのか、それを決めてもらわないことには私どももどちらに沿って物を言っていいのかもわからなくなる。つまみ食いされるだけで、先ほど申し上げた給付制限その他欠格条項は民間にないものが入ってくる。都合のいいときには、厚年との並びで給付負担の一元化あるいは財政調整等による年金の一元化とか、負担だけが公平だ、こういうような言い方で逃げられることについては納得がいかない。私どもは十数項目にわたりまして修正要求をまとめてありますので、社会党の方を通じましてお出しいただきたいと思っておりますが、全野党の皆さん方と自民党の方もひとつ満場一致で御賛成をいただいて、この法案が円満に上がりますことを期待いたしまして、私の意見陳述にかえます。
  8. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見開陳は終わりました。     —————————————
  9. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  10. 沢田広

    ○沢田委員 各参考人については大変御多用の中、我々のためにいろいろ示唆ある御発言をいただきまして、まずもって厚く御礼を申し上げる次第です。  最初に、村上参考人にお伺いいたします。お話の中で恩給共済年金との関係についてちょっとお融れになりました。共済は助け合い運動だ、こういうふうに言われたんですが、もとは、出発は、恩給共済も産んだ母親は同じだと思うのです。急に養子にやったのかどうかわかりませんが、そこで変えた。恩給の方は手つかずに、臨調等の答申もありますけれども、触れておられなかったと思うのでありますが、その点とういうふうな関係にあるのか。やはり同じように考えていくべきものなのか、あるいはこれはもう別枠として考えるべきものだと参考人は考えておられるのか、この点ちょっとお聞かせいただきたい。
  11. 村上清

    村上参考人 お答え申し上げます。  年金制度の始まりというのは、どの国も公務員、さかのぼれば軍人なんですけれども、お国のために尽くした人に功労に報いるという意味で軍人恩給ができ、それから官吏の恩給という形で来ているわけです。言葉が適切でないかもしれませんけれども、民間の企業で言えば、長く働いて御苦労な人に報いる、それがお国のためであるから国の制度になっている、いわば職域の制度だというふうに理解しております。そして恩給の場合には国といいますが、ある意味では言葉が適切でなかったら御了解いただきたいと思うのですけれども、雇い主としての政府が長らく御奉こうした人に対して報いるということであり、原則的には事業主負担だというふうに理解いたします。つまり国の負担ですね。納付金がありますけれども、それは社会保険ではありませんから、これに対応するものではないと考えております。  ところが、共済制度というのは社会保険原則でございますから、ある期間掛金をし、それに対応してもらうということでありますので、かなり違うのじゃないかという気がするわけです。最終給与基準恩給の原則でした。恩給の場合には、長らく働いて最終的に上り詰めた地位とか、給料とかそういうところが功労の報賞の尺度であるというふうに一般的に理解されると思うのです。その形でもって共済年金もやってまいりましたことは事実であります。  当初最終三年平均だったのがいつの間にか一年になるということになってまいりました。最終給与基準ということになりますと、生涯のほとんどの期間同じ給料で来て、最後だけ上がった人は掛金は幾らもふえないけれども、年金だけたくさんもらってしまうのです。全体で言いますと、低所得者の所得が高所得者に振りかわるという、普通ですと所得の高い方から低い方の再分配ということはわかるのですけれども、逆の結果が起こっております。やはり申し上げたような全期間の方がよろしいのではないかというふうに思うわけでございます。
  12. 沢田広

    ○沢田委員 参考人の方に、私の持ち時間は二十七分しかないのでありまして、大変申しわけありませんが、聞くことはたくさんあるのですが、お答えはひとつ簡潔にお願いしたいと思います。  もう一回村上参考人にお聞きします。無年金者はこれで御審議した結果どのくらい発生すると想定をされたか。それから滞納による失格割合、これを国民年金から基礎年金の中にどういう想定をされたか。それからもう一つは、四十年を掛けるという職業というものはどういう職業、奥さんになれば四十年も別ですが、もし職業を持っている独身の婦人であったと仮定した場合は、どういう職業か四十年継続でき、どういう職業が四十年継続できないか、幾らか想定されたことがあるかないか、それだけひとつお答えいただきたい。
  13. 村上清

    村上参考人 まず、無年金でございますけれども、従来言われていた無年金一つはサラリーマンの妻が離婚した場合、これは今回は救済されることになるわけでありますから、その意味での無年金は解消されると思います。  ただし、率直に申し上げまして、無年金がゼロになるかというと、そういうことではございません。というのは、基礎年金は社会保険方式をとっております。これは国会で社会党の先生方から、基礎年金は全額税でやるべきでないかという御意見がございました。私自身も大変魅力を感じております。ただ、二十五年間社会保険方式で来たものが、いきなり切りかえられるかどうか。それから、税方式にしても社会保険方式にしても要る金は同じでございまして、膨大な税が必要でございますが、それが早くできるかどうかということで今回のことになりました。そして社会保険方式をとれば、中には拠出しない人もありますから、それが脱落するということはあり得ますね。これはできるだけ努力をしてなくするということだと思います。  それからもう一つは四十年の問題でございますけれども、これは何年の職業という問題ではなくて、普通大人になって働き出すのが二十、まあ大学を出れば二十二、三でございますね。そうすると、六十くらいまでは働くのが普通だし、これから考えれば六十二、三までは働く。もうこれからの時代は社会保険の保険料、あるいは保険料といいますけれども税金と変わらないと私は思うのです。要するに親を養うための税金ですね。現役のときにはとにかく親孝行に参画していただきたい、そうすれば年金がもらえる。それをサラリーマンはサボれませんけれども、自営業の方は納めに行くわけですから、嫌だとそっぽを向いたら比例的に御勘弁いただく、そういうふうに御理解いただくより仕方がないのではないか。またそれが本当の年金の姿だと私は考えております。
  14. 沢田広

    ○沢田委員 徳田参考人にお伺いしますが、結果的に年金の信頼性というものが極めて大切である、私もその方の主張者なんです。これは村上さんの方が商売繁盛するかどうかは別といたしまして、例えば二十五年でいって五万円をもらって、それに二十万の給与であったとすると二万八千円ぐらいの遺族年金、合わせて七万八千円ぐらいになる、そういう制度で果たして奥さんが安心していられるだろうか。さらに四十歳にならなければ発効をしない。こういう点は極めて信頼感を低める役割しか果たさないのじゃないかという気がするのです。まず一つは、五万円という金額があります。もう一つは、今言った遺族年金年齢の制限がある。これも大変不安感がある。それからもう一つは、子供がいる場合といない場合がまた違う。そういうことの信頼性は極めて薄い、信頼感が乏しい。そこに何か頼るものを別に求めなければしようがない。だから民間の生命保険とか何かに、損するのはわかっていて——今言ったように年間四%ずつ上がっていったって、単独計算したって十年たてば四割下がってしまうということと同じですから、簡単に言って。そういうものに対する信頼感というものが乏しい制度じゃないかという気がするのですが、達観してどうお考えいただけるか、お答えいただきたいと思います。
  15. 徳田博美

    徳田参考人 お答えいたします。  私が信頼性が大事だと申し上げましたのは幾つかの点がございまして、今先生御指摘のように、将来の自分の人生設計を考えでこれだけの年金で果たして生活ができるかという点の問題かと思いますけれども、それにあわせてもっと重要な問題は、現在の年金制度が、自分が本来受給できる年齢に達した場合に果たして同じような水準で維持してもらえるかどうか、給付してもらえるかという点も大事と思うわけでございまして、その点もあわせて御勘案願いたいと申し上げたわけでございます。  それから今先生御指摘の給付水準でございますが、村上参考人からもお話がございましたように、結局これは所得の移転の問題でございますし、世代間あるいは縦あるいは水平にほかのいろいろな生活者との関連、それぞれの公平ということを考えて、ある程度水準が考えられるべきものかと思います。  同時に、先ほど私が申し上げましたように、やはり年金というのは国と企業と個人の自助努力、この三つが総合的に考えられるべきでございまして、その点も勘案が必要か、このように考えております。
  16. 沢田広

    ○沢田委員 ついでに徳田参考人に、職域年金公務員制度の特性に応じていろいろ縛られている条件がありますね。民間では割合開放的に行われていることであっても、公務員なるがゆえに世間の目も厳しいし、いろいろ拘束されているものもある。しかも、例えば品物なども、慶弔なども随分気をつかわなくちゃならぬ。そういう厳しい条件があるので、皆さんの一般民間企業の例を標準にして職域というか職場の特性というものの割合というのは、後の老後でまとめてもらうという格好になるわけですが、果たして今言っている水準でいいのか。三十年、四十年の間の苦労というのは大変なものだ。気を配りいろいろな配慮をしてきたのだから、職場によっては三割から四割ぐらい当然あっていいのじゃないかというふうな気もします。例えば警察官もそうでしょうし、税務署の職員もそうです。そういう職業にある者は、物をもらえばそれで首ということにもなるわけですが、そういう形から見ると何かその辺を考えていく必要があるのじゃないか。一般企業の研究所ですからいろいろ研究されているでしょうから、その点を含めて、野村さんなんかはボーナスはべらぼうに高いところですから、そういうところを経験すると、こんなお粗末でいいのかという答えが来るような気もするのですが、ひとつお答えいただきたいと思います。
  17. 徳田博美

    徳田参考人 年金がどのようなものを反映すべきかということでございますが、確かにかっての官吏の恩給と申しますのは、先生御指摘のようにある程度官吏の働いたことに対する功労金的な性格もあったかと思います。しかしながら、そういうものに対してやはり官民格差の是正ということで次第に是正の方向に向かっていったというのが一つの方向かと思います。  同時にまた、先生御指摘のような職業間のいろいろな苦労とか問題点とか生活上の制約とか、それは官と民だけではなくて民の相互間にも恐らくあると思うわけでございまして、そういうものをある程度勘案して職域関係の、つまり年金が二階建てということになりますか、その点が行われていると思いますので、この点について、しかしどの程度のパーセンテージが適切かというお答えについては、これは大変難しい問題でございますので、ちょっとここではお答えいたしかねるかと思います。
  18. 沢田広

    ○沢田委員 江田参考人にお願いいたしますが、職域年金は今言ったようにいろいろな拘束力があってやるのであるから、この拘束力の厳しさ、言うなら格子なき牢獄にいるような条件から、やれやれとなった時代にその分をもらうわけですから、その割合というものは職場によって差があっていいものかどうかということは一つあります。  それから、四割くらいまではいいのじゃないかという私は気がしているのですが、参考人はどのようにこの問題についてはお考えでしょうか。
  19. 江田虎臣

    江田参考人 よく意味がのみ込めませんでしたけれども。(沢田委員「三階建ての部分です」と呼ぶ)我々としては今のあれでは不十分だ、二割ぐらいは当然だということで要求したい、こういうふうに思っております。
  20. 沢田広

    ○沢田委員 大分御遠慮なさったようでありますが、ささやかな期待だというふうに思います。  そこで、村上参考人にちょっとお伺いしますが、今の民間年金の補完的な作用をしている割合、この五万円年金ができた、今度、今共済やっておりますが、来年の四月からスタートする、これじゃとても不安でたまらない、民間加入度が今物すごく高まっているように思われるのですが、これはお立場を超えた質問になっているのかもわかりませんが、生命保険の当事者としてお考えいただいたときには、今の現状はどういうふうな水準だとお考えになっておられますか。
  21. 村上清

    村上参考人 先ほど徳田さんからお話しございました老後保障はよく三本柱とか三重保障ということを言っております。つまり、公的年金とそれから職域年金、それに個人年金ですね。三本柱という言葉はヨーロッパで大変はやっているのですけれども、三本柱というと何か太さが全部同じみたいに聞こえます。私は、日本では一番大きいのは公的年金だと考えております。普通のサラリーマンですと、今の厚生年金で生涯に四千万円もらえますね。多い人ですと五千万円になります。退職金よりもうんと多いのです。そしてそれだけの個人年金に入る人はとてもおりませんし、それから日本企業年金は若干誤解があるのですけれども、退職金の内枠でございます。ほとんどの場合が退職金との選択だし、そしてそのいずれをとるかは本人の自由、実際には一時金をとっている例が多いのですね。退職金水準は、御案内のとおりで人によって違いますけれども、一般的にいいますと千万、二千万くらいでしょうか。  そういたしますと、私は日本公的年金、特に被用者の場合ですけれども、決して低いとは思わないのですね。最近イギリスでは何か二階建てを全部外しちゃってそれを民間の個人年金あるいは企業年金にやらせるということをサッチャーさんは言っております。これは払うまくいかないと思っているのですけれども、日本ではこんなことは考えられませんし、やはり公的年金が土台で、それをある程度できる限りで努力して積み上げていくというのが現状でありまして、極端な変化はないというふうに私は考えております。
  22. 沢田広

    ○沢田委員 ボーナスに対して今外している厚生年金制度については、あなたの御見解はどうですか。
  23. 村上清

    村上参考人 これは大変難しい問題でございます。率直に申し上げます。今後社会保険料がふえてまいりますと、給料がボーナスに逃げちゃうのじゃないかという感じもいたしますね。つまり、ボーナスで払えば社会保険料は本人も事業主も要らないということなんです。それで、人によりましては総報酬制といいますか、ボーナスも入れたものをもとにして掛金も取り、年金計算したらどうかという御意見もございます。しかし、これはちょっと技術的には難しいですね。まず標準報酬の頭打ちをやめてしまわなければならないということとかあるいは今の水準のままでボーナスを入れますと率を落とさなければ計算が成り立ちません。率を落としますと、中小企業の場合にはボーナスが極めて少ないとするとただ減る一方なんです。これはちょっと忍びがたいことですね。ですから、非常にジレンマを感じているのですけれども、今、名案はございません。次のその次のあたりでは何とか考えなければいけない。非常に難しい問題で、御指摘のとおりだと思っております。
  24. 沢田広

    ○沢田委員 続いて、頭打ち四十七万ですね。これは極めて低過ぎるのではないのか。高額所得者だけは、言うならば掛金が非常に少なくて済んでいる。もっと高い給料をもらっている人がたくさんいる。その人たちに恩恵を与えるという制度が果たして妥当なのか、こういう点はどうお考えですか。
  25. 村上清

    村上参考人 標準報酬の頭打ちにつきましては、社会保険の場合、ある国とない国とありますが、概してあります。そして日本の場合には決して低い方ではございません。むしろ高いです。九〇%から九五%がその中で包み込まれるというのは、日本が中産階級のせいもございますけれども、よそに比べて高い水準でございまして、決してそれは不当ではないと考えております。そして、もしその上までやるとすれば給付の方にどうはね返らせるか、はね返らせないか。それから今言われておりますような累進課税の見直しということもございます。その辺含めて検討する必要があると私は考えます。
  26. 沢田広

    ○沢田委員 江田参考人はこの点どうお考えですか。——じゃいいです。意見が一致しているだろうと思いますから省略します。  先ほど村上参考人の話で五五と四五、給料八五%にすれば六九%、そうするとやはり賃金スライドにすることが正しいのではないのか、こういうように感ずるのですが、なぜ物価スライドにしなければならないのですか。
  27. 村上清

    村上参考人 大変いい御質問をいただきまして、私の言いたかったことを言わせていただきます。  私の個人の考えは賃金スライドでございます。ただし、手取り賃金でございます。そして、今のような手取りじゃない賃金でやったら年金が膨れ過ぎます。老齢化負担を若い人だけがしょうことになりますね。各国も基本的には物価スライドでいって、そのときどきの見直しをやるときに手取りスライドといいますか——スライドという言葉は適切じゃないですね、それに見合うように、つまり両方世代が常に同じ実質所得バランスを保っていく、そういうやり方をするのが本当だと個人的には思っておりますし、またそれが今世界の共通の考え方だと私は理解しております。
  28. 沢田広

    ○沢田委員 徳田参考人にお伺いしますが、先ほど一九八〇年から二〇〇〇年あたりを展望されてちょっとお話がありましたが、そのときの日本の国の税の負担率、健康保険も入りますが、いわゆる社会保障負担率というものが日本の風土あるいは日本の条件の中にあってどの程度の割合が限界とお考えになっておられるか。可処分所得の割合と言った方がわかりやすいかと思いますが、義務的経費で負担をするべきものとそうでないものとの割合、その点はどのようにお考えになっているか。
  29. 徳田博美

    徳田参考人 お答えいたします。  この推定はかなり難しいわけでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、租税、社会保障負担率と申しますのは、労働生産性に関連してくるわけでございます。例えば日本では現在、一九八二年でございますが、国民負担率三四・七%でございます。労働の生産性が四・一%でございます。これに対しまして、五〇%を超えた国、例えばイギリスは五四・四で労働生産性が二・三、西ドイツが五四・一で労働生産性が二・八、このように大体五〇%を超えた国は労働生産性がかなり低いわけでございます。こういう意味で、大変大きな目安で申し上げますれば、国民負担率が五〇%を超えますとかなり労働意欲にも関連してきて労働生産性が低まるのではないかという一応の推定が行われ得るかと思います。
  30. 沢田広

    ○沢田委員 これはまた後でいろいろな分野でお伺いいたします。  村上参考人にお伺いいたします。  併給調整で、働くと損という言葉がいいかどうかわかりませんが、二割、五割、八割という削減の割合というのは、働く人にとってみると極めてあほくさい。第二の人生でよく働けばべらぼうに減らされてしまう、こういう感覚を起こす可能性があると思われます。十五万でいけば五割減らされてしまう、これはボーナスは別という形になりますが、そういう条件が、働くと損という印象を与えることが果たして制度としていいのかどうか。やはり働いたら働いただけの結果が生まれるように、それはバランスをとることが必要だということは認めます。しかし、この金額の比率も、二、五、八という数字は極めて大ざっぱで不公正ではないか、こう思いますが、いかがですか。
  31. 村上清

    村上参考人 ただいま先生御指摘のとおりでございます。私も全く同感でございます。  今度の改正の中で積み残しの一つの大きな問題は——先生併給調整とおっしゃいましたが、これは在職老齢年金でございますね。在職老齢年金の二割、五割、八割、これはおっしゃるように所得が上がるとかえって全体では下がってしまうという問題も出てくるわけでございます。似た例はアメリカにあるのです。アメリカでは稼ぐと減る、二ドル稼ぐと一ドル減るということですから割と合理的ですね。日本もこうしたいと私も考えましたし、厚生省の方も一生懸命勉強しました。外国の例も調べたり、いろいろ技術的にやったのです。ただ、なかなかうまくいかないのです。それから、細かく刻みますと膨大な事務量がかかります。恐らく公務員の数をうんとふやさないとできないだろうと思います。  そういうふうなことを勘案いたしまして、次のときには何とか解決しなければならない問題だと考えておりますが、私もできるだけ私なりに考えたこともありましたけれども、うまい方法は今回見当たりませんでした。それは大変遺憾でございます。
  32. 沢田広

    ○沢田委員 それでは、審議会でやられた議論の中でも相当あちこちに欠陥が残っておるという条件の中で提出せざるを得なかった、また厚生年金の方も同じようないわゆる欠点というものは持っていた、それを承知でしょうがなく出した、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。全部そうだというのではなくて、そういう部分も持っておる、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  33. 村上清

    村上参考人 年金制度改正にはいろいろな経緯とか技術的、実務的なもの、たくさんございます。それで、仮に今の制度が五十点だとすれば、一遍に百点は絶対にできないと思います。しかし、少なくともたくさんある欠点の中で直せるものは直して、一刻も早く七十点、八十点にすることは絶対必要だと考えておりまして、今回の改正は、私はすべて百点だとは言えませんけれども、今に比べれば格段の進歩だと思いますし、できることは早くやっていただきたいと考えるわけでございます。
  34. 沢田広

    ○沢田委員 江田参考人に重ねてお伺いしますが、今最終的にいろいろ詰めた質問をしましたが、全部が十分満足できない場合に最低限度これとこれだけは改善してほしい、そういう要望、もし選択ができましたらお答えいただきたい。
  35. 江田虎臣

    江田参考人 どれとどれと言われましても、一応対策委員会でまとめましたのは、一つ公的年金の一元化計画、先ほど申し上げましたが、これについてきちんとしていただきたい。特に二階以上の部分については自主的な運営を認めてくれということです。  二点目は、国鉄共済年金財政の安定、国庫負担について国の責任を速やかに明らかにしてもらいたい。  三点目は、基礎年金を基本年金といたしまして、国庫負担でこれをやるべきであると要求したいと思っております。  それから算定基礎の統一。これは今度国共済の場合には際立って地共済とも違いますが、こういう算定基礎にされますと縦のバランスだけでなくて横のバランスも崩れまして大変な問題になります。これは組合員の納得いくものではありません。  それから、支給開始年齢を本則で六十歳にしてもらいたい。とりわけ定年制の問題と年金が必ずしも制度的に連動してないという点について、私どもは問題であると思います。  それから、既裁定者のスライド保障。先ほど村上さんも言われましたけれども、賃金スライドでやるべきであるという点を強調したいと思います。  それから、懲戒処分等に対する支給停止の撤廃。これは先ほども若干触れました。  それから併給調整。これも今御指摘がありましたように、一律にこれを禁止したり設定することについては反対である。  それから保険料負担割合について見直してもらいたい。  それから国庫負担の繰り延べ分。これは国共審でも大蔵大臣に何回も念を押しまして、三年間でしたか貸してくれ、利子をつけて返すという約束になっていますけれども、実行されるのかどうか、言ったことについては実行していただきたい、こういうふうに思っております。  そのほかに、職域年金の加算分を千分の一・五から二以上にしてもらいたい、特別支給期間の国庫負担について、六十歳から六十四歳の特別支給に当たって基礎年金の相当部分の国庫負担でやってもらいたいという問題、公営企業の国庫負担についての問題、特定消防職員等の扱いの問題、減額退職年金制度の存続問題等々、まだ二、三落ちているかもしれませんけれども、盛りだくさんあります。これを全部直してもらわないと、今国会で成立させてもらっては困るということを特にお願いしておきます。
  36. 沢田広

    ○沢田委員 終わります。どうもありがとうございました。
  37. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 宮地正介君。
  38. 宮地正介

    ○宮地委員 参考人の皆さんには大変に御多忙の中、当大蔵委員会意見陳述のため御出席いただきまして、心から敬意を表する次第でございます。  今回の共済改革四法案につきまして、既に皆様方も御存じのとおり、国会におきまして、国鉄共済をいかに救済するか、こういうことが大変に大きな問題になっているわけであります。それは、既に御存じのように、国鉄監理委員会が七月に発表いたしました今後の国鉄の民営・分割化、こういうことになりますと大体二十一万五千人体制あるいは十九万五千人体制、それに比べまして財政調整計画におきましては当初は三十二万体制、こういうような組合員が大幅に減少する国鉄の民営・分割化、こういうところで年金の問題もやはり大きな改革をしていかなければならない、そういうことで、まずそうした国鉄職員の大幅な削減に伴ってのいわゆる財政上の負担が新たに出てくる、こういうことでこの国鉄の救済策を今後どのようにしていくか、こういうことで大変にこの大蔵委員会、連合審査の委員会でも問題になったわけでございます。政府といたしましては、衆議院の通過までに検討の結果を報告するということになっているわけでございます。  何といいましても、その最大のポイントは財源対策ではないか。当初の三十二万人体制のときには約四百五十億、NTTあるいは国家公務員共済あるいはたばこ、このおのおのが財政支出をして何とか財政調整をしていこう、さらに新たな財源が出てくる、これに対して国庫負担をさらに新たにふやして対策をするのか、あるいは現在の共済の仲間だけではもう財源対策が厳しいので、少し枠を広げよう、こういうことで厚生年金あるいは地方公務員共済なんかにも枠を広げて負担をお願いしよう、あるいはその両面でやっていこう、まあいろいろな議論が今されているわけでございますが、参考人の皆さん、この国鉄の救済策に対して、そうした新たな組合員数の大幅な削減、これからの国鉄の民営・分割化に向かっての中における年金救済策、率直に皆さんとしてはどういう形でこれを持っていったらいいだろうか、御意見を例えればありがたいんですが、おのおの方、まずこの点について伺いたいと思います。
  39. 村上清

    村上参考人 ただいま御指摘の国鉄の年金問題、これは江田さんもお話をなさいましたように、私どもも本当に頭を痛めておる問題でございます。  国鉄の年金問題というのは各国共通の問題でございます。そして国鉄だけではございません。どの国でも工業化の初期の基幹産業は、いずれも斜陽産業でございます。斜陽というのは言葉が悪いのですが、要するに人口が減っている産業ですね、それは国鉄だけでなくて、石炭、鉄道、海運、こういったところはどの国でも同じ状況になっております。  では、それはどうするか。先細りの集団が自立てきないことはもうだれが考えても自明のことでございます。とすると、全体で見るより仕方がないわけでございます。例えばアメリカの場合ですと、一般制度に統合いたしました。フランスの場合には財政調整しております。西ドイツは国庫負担の配分で対応しておりますね。それで国鉄の年金が単純な職域年金でしたら、これは国鉄と運命をともにしても仕方がないかもしれませんけれども、公的年金でございますし、社会保障です。社会保障というのは私は勉強し始めたときに教わったのですけれども、要するに仲間が集まって、みんなで不安をなくする、ということは一人一人が社会全体の中で保護される仕組みだ、そこの職場が栄えたから衰えたからで不安になるんじゃ公的保障、社会保障じゃないわけでございます。  といたしますと、やはりこれは全体で見るということより仕方がないんじゃないか。全国民で見るという見方もあるかもしれません。あるいはこれが二階部分だから全被用者でということで見るか、そこら辺はそのいずれかの方法であろうかと考えております。そして年金制度というものは、これは極めて、ある意味では政治的なものだというふうに思います。  昨日のOECDの会議でも各国の方みんなおっしゃっていらっしゃいます。ということは、要するに国民の感情に合致しなければならないわけですね。それはそのときどきの環境の中で、徐々にまた移り変わっていくものでございます。  共済年金にはこれまでのさまざまな経緯がございます。その経緯の中では尊重しなければならないものもあります。また、逆の場合もあるかもしれません。それから関係者の感情とか、あるいは利害も当然に絡んでいるわけでございます。そして、それらを調整して合意を得なければならないわけでございますから、それらの方向の中でどれがベストか、私は早急にその場をつくっていただきたいというように思っているわけでございます。  つまり、単独の制度議論してももうどうにもならない状況ですね。今御審議いただいておるわけでございますけれども、今回の改正案との関係で申し上げれば、むしろこれは一歩の前進であると思います。というのは、従来の国鉄の共済というのは、職域年金公的年金がよくわからない状況でございましたが、今度ははっきり線を引きます。職域部分については援助するかしないか、これはかなり難しいことですけれども、公的年金部分というのは、やはりこれは社会保障だと考えれば、むしろはっきり線引きすることが以後の対策がしやすくなるし、したがいまして今回の改正は一歩の前進であり、その後、しかしすぐ引き続いて、この問題は関係者の中で早急に詰めていただきたいと思うわけでございます。
  40. 徳田博美

    徳田参考人 先生御指摘のとおり、国鉄共済の問題は、受給者の数が現役の組合員数を上回るという大変厳しい事態に直面しているわけでございます。ただ、この問題につきましては、実は私が最初に申し上げました、年金制度というのは一国の人口構造あるいは就業構造、産業構造の変化に即応し得るものでなくてはならないということに関連してくるかと思いますが、たまたま国鉄共済の場合には、小単位の保険集団であったということがこれに関連してくると思うのでございます。  御承知のとおり、今、日本の産業構造全体は、大きな装置産業その他から技術を中心とした産業に大きく構造転換が行われておるわけでございますけれども、それを全体を母集団として言えば、その母集団の中にそのような構造変化はうまく調整されてしまうわけでございますけれども、国鉄の場合には、先ほど申し上げました小単位の保険集団で運営されていたために、その変化を受け入れる体制になかったということに問題があるかと思います。  したがって、この解決の方法といたしましては、今、村上参考人からもお話がございましたけれども、公的年金の一元化という方向の中で適切な解決方法が求められるべきではないかと思います。  公的年金考え方というのは、勤労者老後保障というのを、すべての被雇用者の仲間の相互扶助によって保障していくということが一つのねらいでございますので、そういう観点からの解決が望ましい、このように考えております。
  41. 江田虎臣

    江田参考人 国鉄年金がある日突然に今のような状態になったとはだれにも思えませんし、やはり国鉄当局の怠慢であるし、政府の怠慢であったと私は思います。これが土壇場に来てどうしようかという議論が今されておることに、最大の疑問を感ずるわけです。  同時にまた、国鉄当局についても国公共済よりも国鉄共済の方が給付水準は高かったわけですね、ずっと統合する前に。そういう点についての自助努力も以前からおやりになったかどうか、その辺等については国共審でも問題になりました。そういう点を含めて非常に国公共済グループでは不満が多かったわけです。  端的に申し上げて、六十三年には国鉄年金はこのままいきますと破産をするわけですから、竹下大蔵大臣にも私は公的、私的に申し上げておりますが、破産したら政府が軍人恩給並みに抱え込むしかないでしょう、その覚悟でおやりになったらどうですかということを申し上げております、乱暴な意見ですが。  ただ、今西先生からお話もありましたが、年金の一元化の中でという御意見、私もそう思いますけれども、先ほど申し上げた一元化の中身、これを政府は早くはっきりしてもらわなければいかぬですね。給付負担の一元化を一元化とおっしゃるのか、あるいは財政運営全体を含めて、財政を全部一本化して一元化するとおっしゃるのか、幾つもの一元化の解釈がございまして、大蔵省もその点は一定の見解を持っていないのです。そういう中で一元化の中でと言われても、七十年一元化の中身というのは何なのかということを前提条件にした上で、救済なら救済という道がある。  同時に、これは私の私見ですけれども、船員共済を厚年は抱え込みましたね、これは分母と分子、余り負担にならないから財界も反対しなかったと思うのです。国鉄年金の場合にはかなり厚生年金負担がかかるということで、これは財界挙げて反対のようでございますけれども、私は監理委員会が今度の国鉄再建にあれだけ大胆なことをおっしゃるんだったら、少なくとも国鉄年金の当面の部分として資産売却から三兆円くらいお出しになって、そうしてそれをつけて厚年にお願いするという、頭をお下げになったらどうですか。銭も一銭もなくて六十三年から倒産することがわかっているものを厚年にとれと言っても、私はとらないのではないか。資産がたくさんあるわけですから、その分三兆円くらいの積立金をくっつけて厚年さんお願いします、こういうふうに頭を低くしてお頼みになった方が一番いいのではないか、それでなければ丸々国がお出しになる以外にはないのではないか、私はそう思います。
  42. 宮地正介

    ○宮地委員 大変にありがとうございました。  きょうは限られた時間でございますが、次の問題といたしまして、企業年金課税の問題についてちょっと村上参考人徳田参考人にお伺いしておきたいと思います。特に今特別法人税が問題になってまいりまして、これからこの共済の法案が通過いたしますと、このままほっておきますと、厚生年金基金の現状約千八十基全くらいの八割、八百基全くらいが課税の対象になるということで、特に国家公務員共済年金改正に伴いまして特別法人税課税の取り扱いはこのまま据え置きという状態にしておくのか、あるいは改正をして課税措置を撤廃するのか、あるいは現状と同じような改正にするのか。この辺のいわゆる特別法人税の課税問題についてはどのようにお考えになっておるか、所見を伺いたいと思います。
  43. 村上清

    村上参考人 特別法人税という税は世界にまれな例でございまして、昭和三十七年に日本で税制適格年金という制度ができまして、これはアメリカのまねでございます。当時私どもアメリカの税法あるいは制度その他いろいろ勉強して、税制改正をお願いしたわけでございまして、結果的にはアメリカに大変似た企業年金の税制ができて、これは大変幸せであったというわけでございますけれども、一つだけありますのが特別法人税でございます。これはアメリカ、イギリスなどを見ましてもない税でございますし、またそういうことが企業年金勤労者老後保障に役立っているわけでございますので、私は日本だけの特別法人税というものはないことが望ましいと考えております。
  44. 徳田博美

    徳田参考人 先生御指摘の特別法人税は、この制度の中で法人、企業に対する損金算入の時期と給付の時期とのずれに対する税理論からの課税措置かと思われます。したがいまして、これはこれなりに税的な面から見れば一つの理論的な背景を持った制度でございます。同時にこれは、今財政再建の問題もございますけれども、全体のそういう社会保障を含めた国民負担率との関連もいろいろ出てくるわけでございまして、その点から総合的にこれは判断すべき問題ではないかと思っております。
  45. 宮地正介

    ○宮地委員 村上参考人は撤廃すべきである、徳田参考人財政再建の問題もあるのでもう少し総合的に検討すべきである、大体皆さんの前身、御出身の肌ざわりがちょっと出ているな、こんな感じがしているわけでございます。この問題については今回の国家公務員共済年金改正に伴って単なる財源措置ということだけでなくして、この際、撤廃をするか、あるいは現行の一つ基準に合わせて改正をするか、そういう方向が望ましいのではないか、私どももこんな感じがしているわけです。単に、これが大蔵省の歳入の原資であるという簡単な考え方でとらえるのはどうかな、この点また皆さんにもいろいろ議論をいただきたいなと思うわけでございます。  それから、先ほど徳田参考人からこれからの公的年金制度のあり方としての人口構成あるいは就業構造経済成長、特に潜在成長力のこれからの推移というものを見ながら社会保障のあり方についての視点のお話がございまして、私この御意見に対して大変な敬意を表しているわけでございます。そういう中で先日も私は労働大臣にも伺ったのですが、いわゆる公的年金の一元化というものがこれからいろいろ改正されながら七十年に何とか今までの七種類の公的年金を本格的に改革をしていく、今回、来年の四月から一応そのスタートに立った。そして、支給開始年齢がこれからの高齢化社会の中で日本は大体六十五歳ぐらいに落ちついていくという方向になっているわけです。これから八十歳時代、二十一世紀を迎えるに当たりましてそうした時代が来るわけで、定年制の問題とのリンクの問題ですね。労働省としてはまず六十歳定年制というものを実施できるように法案を来年提出する、六十歳と六十五歳ですと五年間ギャップがあるわけですね。そういう点で、こうした徳田参考人のおっしゃった人口構成あるいは就業構造、これから日本経済成長を考えていったときに、どんなに遅くても公的年金の七十年一元化のときには六十五歳定年制という問題はそれより早い時期に導入をしておくべきではないか。先日、たしか昭和六十五年ごろですか、六十五歳定年制延長に向けていろいろ審議会の方でも検討しておる、こういうお話も出ておるようでございますが、この点について定年制と年金制度、特に公的年金制度の支給開始年齢とのリンクの問題についてまず徳田参考人からお伺いし、御専門の村上参考人からも次にお伺いしておきたいと思います。
  46. 徳田博美

    徳田参考人 お答えします。  先生御指摘のとおり、年金制度と申しますのは、老後と申しますか実年と申しますか、六十歳程度過ぎた後の国民生活内容の充実ということに大変関連してくるわけでございます。その場合には、年金生活するのも一つの方法でございますけれども、働く意欲と能力があり体力もある人は極力職場にいて、自分の能力を国民経済のために寄与させるということも大事なことでございます。したがいまして、先生御指摘のとおり年金制度というのは雇用制度と全く密接に裏腹をなすものと考えます。したがいまして、今後年金経理の関係から支給開始年齢が上がるとすれば、当然それに見合って雇用面のそれに対する配慮ということが大変大事になるわけでございまして、御指摘のとおり定年の延長ということと支給年齢の引き上げということはやはり密接に関連して考えられることが望ましいと考えております。
  47. 村上清

    村上参考人 支給開始年齢の問題でございます。日本公的年金は従来支給開始年齢か低いと言われておりました。欧米は概して六十五、日本は六十歳でございます。また年金財政の面からもこれを六十五に上げるべきではないかという声も強うございます。今回の改正では六十歳のままでございます。先生御指摘のように年金の支給年齢だけを先走って上げるということはできないので、やはり雇用が連続しなければ無理でございますね。  欧米の経緯を見ましても、高度成長期には六十五からさらに上まで働かせようという政策をとっておりました。つまり人手不足でしたから。ところが、今様子がすっかり変わってしまいました。例えばフランスは六十に下げてしまいましたし、それ以外の国でもかなり低い年齢に下げております。これは、失業が多くて若い人に職を与えるために早く引退してくれというのが一つの要素と、もう一つは、これは労働観が日本と違うかどうか知りませんが、引退するということは一つの権利で早く引退して年金をもらって楽に暮らしたいという感じもあるわけでございますね。日本としましても、やはり将来的にはまず高齢の人に雇用の場をなるべく提供して、それがある程度進んだらその時期には六十五歳支給もよろしいかと思います。  それからもう一つは、六十から六十五は個人差が随分ありますから、弾力的な支給年齢とか部分的に年金を出して徐々に完全な就労から完全な引退に移っていくとか、そういったきめ細かい配慮もこれからの中では検討が必要ではないかと思うわけでございます。
  48. 宮地正介

    ○宮地委員 次に、いわゆる厚生基金連合会を財投の機関にしようという動きが最近大分出てきているわけでございますが、特に積立金の高利運用での新しい構想、こういうことで御存じのように、住宅金融公庫などと同じように厚生基金連合会というものを財投機関にすべきではないか、もっと厚生年金の基金というものを、現在の資金運用部に任せておくだけでなくしてやはり自由に資金運用してその資金の運用から出てくる財源というものをもっともっと年金の財源として充実をしていくべきである、こういう動きが政府部内の方でもだんだん出てきているようでございますが、私はこの点について大変当を得た一つの動きではないか、こう見ているわけでございますが、この問題について村上参考人徳田参考人あるいは江田参考人、どのようにお考えになっておるか、所見を伺っておきたいと思います。
  49. 村上清

    村上参考人 ただいま先生御指摘の件は、私は新聞で見たような記憶がございますが、詳しい情報は私よく知りません。率直に申し上げますと、ここしばらく共済年金に悩まされまして、専らそれに全力投球してまいりましたので、またきょうもそういうことが御質問だと思ってほかのことは余り準備してまいっておりませんので、その点についてはちょっとお答えいたしかねます。
  50. 徳田博美

    徳田参考人 今先生御指摘の具体的な問題点については、私は村上参考人と同様詳しくは勉強しておりませんけれども一般的な問題として申し上げますと、年金の積立部分をどのように生かすかということにつきましては、先ほど申し上げましたようにやはり将来国民経済のパイを大きくしていくことが必要でございますので、その積み立て部分を前向きの設備投資あるいは公共投資に運用いたしまして、経済成長率を極力上げるようにするということは大変必要なことかと考えられます。  またその場合の運用につきましては、これは欧米のこういう年金のいわゆるファンドマネジャーの関心も全くそうなんでございますけれども、安全性ということが第一でございまして、収益性の面というのはどちらかというと二番目の目標になるわけでございますし、それから先ほど申し上げました公的な国民経済その他に寄与するということも大きな問題でございます。その点を考えますと、一元的な運用ということもやはり今後とも必要ではないか、このように考えられます。
  51. 江田虎臣

    江田参考人 今の問題は初めて聞きましたけれども、私は国共審で、資金運用部資金は廃止したらどうですかということを大臣に申し上げております。私も素人ですからわかりませんけれども、ああいう資金があるのは日本とスカンジナビアのどこか二カ国しかないというふうに聞いておりますけれども。  国共審で財投計画を出してもらいました。財投計画で今出されておる金、経済効率的に見まして極めて問題があるのじゃないか。元金も返ってこないような財投資金が出されて、第二予備費的に一方的にやられている。これについては問題があるのじゃないか、だから資金運用部資金をつぶしたらどうですか、元金が返らなかったらどうしますかと言ったら、そのときには一般会計で負担しますというのが大蔵省の答弁でございましたが、資金運用部資金は廃止して、そして年金財源は自主運営にさせてもらいたい、今は金融自由化時代でございますから大いに自主運営で、そして高率で運用できるようにするのが年金財源のより効率性であるというふうに私は思っております。
  52. 宮地正介

    ○宮地委員 時間が参りましたので、どうもありがとうございました。
  53. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 安倍基雄君。
  54. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 参考人の皆様、本当にお忙しいところ貴重な御意見をどうもありがとうございます。続けていろいろな質問が出ておりますので大体種が尽きだと言っては言い方が悪いのですが、特に新しい問題も余りないのでございますが、聞きたいことは、さっきもちょっと話が出ましたが、日本の場合には高齢化への移行が非常に激しいという点でございます。こういうときに公的年金中心で考えていくのか、あるいはむしろ公的年金は最小限にして民間の方を活用していこうとするのか、それとともにまた貯蓄率がどういうぐあいに動くのだろうかな。  今まで日本の場合には非常に高い貯蓄でございましたけれども、これは老後の心配があるということで高い貯蓄があるというぐあいに見られておりました。また、これからの年金支給も今度減ってくる、負担の割には減ってくるという話になってきますと、その貯蓄率がどういうぐあいに動いていくのか。さっき徳田参考人経済成長労働生産性あるいは労働人口といろいろ分けられて御説明いただきましたけれども、その間において貯蓄率をどういうぐあいに考えておられるかということを徳田参考人村上参考人のお二人にお聞きしたいと思います。
  55. 徳田博美

    徳田参考人 現在日本の貯蓄率は、世界的な水準から比べるとかなり高いわけでございますが、しかしながらこの五、六年一貫して実は低下傾向をたどっているわけでございます。かつて二〇%を超えておりましたけれども、現在は一六、七%になっておるわけでございます。これが今後どうなるかでございますが、先生御指摘のとおり老齢化が進むに従いまして貯蓄率は低下の一途をたどるわけでございまして、これは年金を主体にして考えますと、かなり大胆な試算ではございますけれども、約二十年後に年金が賦課方式に移行したときのケースを考えますと、現在は貯蓄は、若い人の貯蓄とそれから年金の積み立て部分、それから年金を受給している老齢の人の貯蓄と三つあるわけでございますけれども、賦課方式に移行した場合には、社会保険料が恐らく今の倍以上になる可能性がございまして、若い人が貯蓄する余裕が余りなくなってしまうわけでございます。同時に、国の年金の積立額もなくなるわけでございまして、残るのは老齢者の貯蓄だけということになりまして、これは非常に大胆な試算でございますけれども、賦課方式に移行した時点では、貯蓄率が四%前後に落ちることも考えられるわけでございます。したがいまして、そういうことを踏まえて今後の制度をいろいろ考えていく必要がある、このように考えております。
  56. 村上清

    村上参考人 今度の年金改正厚生年金国民年金給付水準がかなり下がる、それに伴ってというお話ございました。今度の改正は、切り下げるということより今の水準を横ばいにするということであります。そして、厚生年金について申し上げますれば、現役の人の手取りとバランスがとれたところではないかというふうに考えております。  御指摘のありました社会保障と貯蓄との関係なんですけれども、今外国の人と一緒に国際会議をやっていて一番話が合わないのは、欧米の人は、社会保障が厚いから貯蓄は減るんだ、こう心配する方が大変たくさんございます。日本はどうだろう。日本は貯蓄がまだ高いわけでございます。しかし将来的には、だんだん社会保障成熟してくると貯蓄率が下がるのではないか、これは欧米の例を見れば言えることでございます。  ただ私は、日本では若干事情が違うんじゃないかなという気がいたしております。若干は下がるかもしれませんが、ある程度のところで支えられるんじゃなかろうか。というのは、欧米の社会と日本の社会、年金を通じて見ますとまるっきり違う点がございます。つまり、欧米の場合にはホワイトカラー、ブルーカラー、そして高所得者と、こう所得階層がはっきり分かれておりますね。低所得者は全然貯金しないです。つまり、もともと社会保障というのはブルーカラーのためにつくった制度でございまして、ブルーカラーは貯金しなくても国の年金で見るよ、そのかわり生涯ブルーカラーだよという、そういう社会でございますね。日本は一億総中産階級という言葉が合っているかどうか知りませんが、割合に中流意識が高くて、やっぱり人に負けない、少なくとも人と同じ。貯金をするんならみんながする。欧米の場合にはごく少数の人だけしております。そういったような点を考えますと、将来的にはただいま徳田さんのお話のような点も考慮しながらいかなきゃいけないと思うのですが、予想し得る範囲でそう極端に下がるということは考えなくていいんじゃないかと私は思っております。
  57. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今のと関連いたしまして、貯蓄率が減ることがどの程度経済成長に関係するのかということと、もう一つ最終的にでき上がったパターンのところで、貯蓄関係のウエートといいますか、非常に公的年金でカバーされる部分民間のそういう自発的なものと大きく分けて、大体欧米と比較して日本の場合にはどんな感じになりますか。むしろ公的部分が大きな話になってくるのか。これは非常に難しい話でございますけれども、今の制度を考えたときにはある程度もくろみがある。一つは、急速な移行期ということでございますから、そういうときにはもう公的がミニマムで、民間の分で相当カバーしようというのか。でき上がったところが公的、民間、外国と比較してどんな感じになるんでしょうか。突然の質問でございますから、ちょっと難しいかと思いますけれども、もしその辺のあれがございましたら、お教え願いたいと思います。徳田先生にはいわゆる貯蓄率と成長の関係、そして村上先生にもう一度、海外のこと等のお話がございますればお聞きしたいと思います。
  58. 徳田博美

    徳田参考人 貯蓄率と経済成長の関係でございますが、確かに今、日本の貯蓄率について十分高過ぎるではないかというような議論があちらこちらにございまして、場合によってはもう少し貯蓄率を下げてもいいんじゃないかという意見もございますけれども、これは大変危険な意見でございます。昭和五十年以降、日本がこれだけ大量の国債発行をしながらも、一度もクラウディングアウトというような弊害も起きず、またインフレもなかったということは、日本の貯蓄率の大きさがこれを支えたわけでございまして、そういう意味では経済の安定性には大変寄与するものでございます。  成長率との関連でございますが、これは結局設備投資、すなわち投資との関係になるわけでございます。現在のアメリカの場合には、御承知のとおり、貯蓄が大変不足しているわけでございまして、海外からの資本流入によってこれを賄っているわけでございます。そういう意味で、将来日本の貯蓄率が低下した場合にも海外からの資本流入その他によってISバランスを補うことができれば、それなりに健全な成長は確保できるわけでございまして、成長という面だけをとらえればそのような見方ができるかと思います。しかし、安定的な成長という点からいえば貯蓄率は大変重要なものでございます。
  59. 村上清

    村上参考人 ただいま先生御指摘ございました欧米との比較で公的保障、私的保障、これは企業年金、個人年金だと思うのですけれども、その比較というのは実は大変難しいのでございます。というのは、アメリカとかヨーロッパの場合には、そういうモデルを出す場合に三種類出します。つまり所得の低い人、それから真ん中の人、高い人、言うなればブルーカラー、ホワイトカラー、高所得者ですね、彼らはそう出さないとわからない社会のようでございます。日本では厚生省がそんなのを出したらえらく怒られてしまうんだろうと思うのです。欧米の場合には、ブルーカラーはもうほとんど全部が公的保障でカバーされておりますし、ホワイトカラーは若干乗る、所得の高い人はこれまた別の話になってくるわけでございます。日本ではどうかといいますと、そういう区分けはできませんので、一般的なことで考えるのですけれども、私はやっぱり日本は公的保障の比重が相対的にいって欧米に比べて低い水準ではないと思うのです。先ほど手取りで比較したのですけれども、手取りでいいますと、現役勤労者の月給の約八〇%が今度の厚生年金のモデルなんです。もちろんその上にいろいろ積み上げて豊かな暮らしに努力することが望ましいし、またそうなければいけないことは確かでございますけれども、将来これをミニマムということで今の年金を極端に、半分に切り下げるとか、そんなことはとても考えられませんので、大体今に近い水準。しかし、やっぱり日本人というのはみんなが努力する国民だと思いますので、その上にさらにいろんな制度を積み上げて、いい老後を楽しく期待できるようにする、そういうことではないかと私は考えております。
  60. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 ただいま亀井参考人が御出席になりました。
  61. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 もう一つの論点でございますけれども、これからの高齢化社会というのは年金とは別に非常に医療が問題になる。結局年をとってきますと年金をもらうかわりに、どっちかというと医療の方、お医者さんの方がしっかりしてほしいという感じが今までより出てくると思うのでございますけれども、これからの公的年金を考えるときに、医療保険との関連をどう扱っていくのか。年金よりもむしろ医療の方に重点を置いていくようになるのか、その辺のお考えですね。これはいささか急な話でございますけれども、村上参考人、お聞かせいただけますか。
  62. 村上清

    村上参考人 御指摘のとおりでございます。今各国年金問題あるいは社会保障専門家の間では、老後年金とそれから医療、もう一つ言えばサービスがございます、いわゆる福祉サービス、これらをどう組み合わせ、どう優先順位をつけていくかということが一番の問題になっておるようでございます。私、申しわけございませんが、年金はある程度勉強しているのですけれども、医療はまるっきり勉強しておりませんので、何ともお答えできないのです。ただ、年金の側かも申しますと、現役の人にはいろんな諸経費がかかります。引退するとかからなくなるわけです。だから、生計費が少なくていいかというと医療費がかさんでくるわけですね。だから、そこら辺を見ながら、生活の出ていく金の中身を考えなければいけない。とすると、日本高齢者の医療がどうなっているか、ただなのか、それとも相当なお金をいただくのか。そういうことは本当を言うと、年金水準を決めるときに考えなければいけないことだと思うのです。あるいは年金をもらいながら、入院して、それで健康保険の方で全部見てくれるとすると、その辺も何か割り切れない点もございますので、次の段階は社会保障の総合化と申しましょうか、いろんな角度から見て、重複している面とかあるいは調整すべき面、これを取り上げなければいけないし、これがこれからの大きな課題だと私は思っています。
  63. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 論点を変えまして、さっきちょっと出た話でございますけれども、私も前回の大蔵委員会で、恩給共済と考えて、税務職員とかあるいは警察とか、そういったものに対する職域というのはちょっと普通と違うのではないかというような話もしたのでございますが、各国恩給を見ますと、その最終給与から年金をはじいているのですね。従来の共済年金もそうだったのでございますけれども、今度は変えた。それはそれなりの、いわば上下の格差を減らすという意味があるのかと思います。しかし逆に、さっき話が出ましたけれども、いわば昔の官吏、公務員はいろいろな制限というか義務を負っておる。それだけその職場に一生懸命働く職務専念義務を持っておる。私も、第二の人生とか離職を図るようでは困りますよということを言ったのでございますけれども。それとともに、ほかの国で恩給をやっておるというのは、本当に義務の厳しいもの、激しいものについて比較的人数を限定している。非常に官民格差が問題になるというのは、官でありながら非常に民間的なことをやっているものがある。ちょっと言い方は悪いけれども、地方の区役所あたりで印鑑証明を出す、あるいは緑のおばさんというのは東京都で二十万円の月給をもらっている、二十三区全体で八十億ぐらい使っているという話もこの前ございました。それを公務員として扱うかどうかという問題がございますけれども、そういう官的なものでなくて民的なものだけれども本当に官と同じ扱いを受けているという問題があるのじゃないか、そういうことを指摘したのでございますけれども、最終給与で考えるという考え方、これが今度変わったのは受給者にとって非常に大きな変化でございます。本当に国の基礎になる警察、税務あるいは幾つもの部門、そういったものに対してモラルの保持に逆に問題ではないかというようなことも考えております。村上参考人あるいは徳田参考人にちょっとその辺をお聞きしたいと思います。
  64. 徳田博美

    徳田参考人 ただいま先生御指摘のように、国家公務員その他、実際に現在職務に努めている間にいろいろな制約もあるし、一般民間の職業とは別のいろいろな規制も要求される場合が多いわけでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、かつての恩給制度はそういう面をかなり加味したものであったかと思います。しかしながら、現在行われておる今回の改正の方向と申しますのは、どちらかというとそういう官民格差の是正という方向に進んでいるわけでございます。したがいまして、年金制度につきましては、今までいろいろお話が出ておりますように、いろいろな政策目的あるいは過去の給与その他の評価の仕方が反映するわけでございますので、それをどの程度そこに反映させるかという一つの政策判断の問題ではないかと思います。
  65. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 余り時間もございませんから・・・・・・。  さっき国鉄の問題が出ましたけれども、理論的に結局この救済を保険集団の拡大でやっていくのがいいのか、あるいは保険集団を拡大していくことそのものがいろいろなビスター・ビュー・ファクターになるのだったらほかの財源でやった方がいいのか、この辺は非常に問題があると思いますけれども、保険のいわば専門家としての村上参考人に、保険集団の拡大ということが問題になるのか、これは各国にいろいろな例があるという話をお聞きしましたけれども、ちょっとお聞きしたいと思います。
  66. 村上清

    村上参考人 当面日本のということですと大変話しにくいのですけれども、各国一般的に申し上げれば二つの方法だと思います。一つは保険集団の拡大であり、もう一つは税負担をつぎ込むということですね。  国民の側から言いますと、税負担というのは要するに国民みんなが払った税金で払うわけでございます。税金はみんなで払っているわけですから、これは被用者だけでなくて自営業の人も払っているわけでございまして、そういうお金をつぎ込むのがいいのかという問題が一つあると思うのです。もう一つは保険集団の拡大ですけれども、これはとにかく社会保障ということであれば全国一つというのが本当だと考えております。  その場合に、先ほどちょっと江田さんのお話ございました一元化ということですけれども、いろいろなニュアンスがあるし、将来を展望しながら一つずつ考えていくことだと思っております。つまり、本当に一つにしてしまうということもありますけれども、これまでの経緯、その他共済組合で言えばそれぞれが果たしてきた役割あるいは福祉というふうなことも考えますと、例えば制度はそのままで、財源をある程度調整し合うというふうな方法もありましょうし、そういったような方法の中でベストなものを関係者が集まり合議し、合意のできるところを求めていくべきじゃないかと考えております。
  67. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まだまだ御質問したいことが多いのでございますけれども、持ち時間が参りましたものですから、これで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
  68. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 正森成二君。
  69. 正森成二

    ○正森委員 まず最初に、徳田参考人に伺います。  徳田参考人は、マクロの問題をお取り上げになりました。その中で、人口問題の推移にお触れになりましたが、私の理解するところでは、その根拠は厚生省人口問題研究所の日本の将来人口新推計によるものであろうと思います。あなたの御論説の中で、例えば今後の視点のところで、二十までは就学年齢であるという意味のことを言われました。そういう点を考えますと、将来の年金負担との関係で人口を考える場合に、従属人口六十五歳以上と十五歳までにとるというのは日本の場合に適切でないのではないでしょうか。例えば、現在高等学校進学者は九五%に達しております。短期大学を含む大学進学者は二〇%をはるかに超えております。そういう意味からいうと、発展途上国の場合は別ですが、日本のように高度に発達した国の場合には十九歳以下と六十五歳以上を従属人口にとり、二十歳から六十五歳までを生産人口にとるということで従属人口指数をとるのが正しいのではないかと思われます。  そういう点で考えますと、一九六〇年、昭和三十五年、高度成長が始まりましたときの従属人口指数は四五・七七%、それが一九八〇年には三九・六四%に下がっております。もちろん数字の低い方が生産人口比率が多いわけですから有利なわけです。それが西暦二〇〇〇年には三八・七五%、二〇二五年には四四・三二%というようになりまして、二〇七五年になっても四四・九七%であります。つまりこのことは、そういう指数のとり方をすれば、我が国が非常に高度に発達した昭和三十年代、四十年代に比して必ずしも従属人口指数というのは不利ではないということが言えるのではないでしょうか。したがって、「一九六〇年と二〇二五年とでは、従属人口の重みに変りはなく、問題は子供たちの比率が下がり老人たち比率が増えるという、内部変化に過ぎないのである。それは一種の世代間配分の問題を生むに過ぎないのであって、それを老人比率の増大のみに限定する論者は、子供を扶養するのは当然ではあるが、親は然らずという親不孝の頭脳集団に過ぎない、」こういうことを言っておられる学者もおります。これは京大の教授であります。  そういう点から考えますと、あなたのマクロ論というのはあなたのお説ではあっても必ずしも一般に通用する理論ではないのじゃないですか。
  70. 徳田博美

    徳田参考人 従属人口指数につきましては、先ほど私が御説明申し上げました十五歳あるいは六十歳という数字をとるのが一般の従来の方式でございましたので、その方式に従って御説明を申し上げたわけでございますけれども、確かに先ほどから再々申し上げておりますように、社会の就業構造変化とかあるいは産業構造の変革とか、そういうものを踏まえて、これを一つの目安として、しかしこれは絶対的な基準ではございません、先生御指摘のようにいろいろ勘案しながら物事を判断していくのが私は適当かと思われます。ただ、私が先ほど従属人口指数で申し上げましたのは、別に京大の先生がおっしゃられたような意図では全くございませんので、その点はひとつ誤解のないように御了承願いたいと思います。
  71. 正森成二

    ○正森委員 亀井参考人に伺います。御苦労さまです。  再建監理委員会は「国鉄改革に関する意見」をお出しになりました。それを拝見しますと、年金部分で例えば「国鉄共済年金経済負担部分についての記述を見ますと、「昭和六十年度は約六百億円である。これは、国鉄はもと国が鉄道特別会計によって独占的に経営していたという事業の沿革等により、国鉄が公経済の主体として負担してきているものである。しかしながら、国鉄事業の民営化により新事業体に公経済性はなくなるものと考えられるので、この負担については国庫負担を求めるのが適当である。」というように国庫負担という考えを明確に出しておられます。  それに対して、時間がございませんので亀井さん相手ですから説明しませんが、追加費用というものがございますね。その追加費用は「六十年度は四千五百八十一億円となっており、今後数十年は追加費用の発生が続くと予想される。追加費用は、他の公的共済年金制度にも存在し、事業主としての負担であると観念されているものであるが、これを新事業体が負担すれば経営が大きく圧迫されること等を考慮して、この負担は全額「旧国鉄」において処理する。」こうなっております。  これは必ずしも首尾一貫しない議論ではないかと思うのですね。公経済負担部分は明白に国庫負担だ、こう言っておる。追加費用は事業主の負担でやると認めておられながら、それなら新国鉄が負担するのかといえばこれでは経済がやっていけないから旧国鉄に持たせるのだ、こう言って、これを一歩進めて、これも国庫負担だと言われるならこれはこれで首尾一貫しているのですよ。しかし、事業体が負担すべきだ、事業主としての負担だと言いながら、それではおれの方は経済がもたないから旧国鉄に債務として持たせるのだというのでは首尾一貫しないように思うのですね。この点についての御見解を承ります。
  72. 亀井正夫

    ○亀井参考人 その点は私どもも大変苦労して考えた点でございます。電電とか専売も同様のケースがございますし、また新日鉄においても事業体で三十一年以前の追加費用は負担をしておる、こういう実績がありますので、ずばりこれは国と言いがたいというところもある。したがって、やはり清算法人をワンクッションにしまして、それで総合的に、結局今もらっておられる方がおられるわけですから、その資金を切るというわけにはいかぬ。そうするとやはり年々四千何百億とファンドで、総合すると四兆九千億ですか、これを手当てして、今そういう追加費用で生活しておられる方に不安のないような対策を出したい、こういうことで非常に苦心惨たんしてこういうことをやったということを御理解いただきたいと思います。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 正森成二

    ○正森委員 苦心の策であるということはよくわかりました。  そうしますと、もう一つだけ伺いたいのですが、昭和六十五年以降は国鉄共済は他の三共済に助けてもらっても到底もたない。村上清さん、参考人が論文を書いておられますが、この論文を見ましても、昭和六十五年度以降は国共済全体が今の国鉄と同様な状態になるというようなことを書いておられるくらいですから、国共済負担させても六十五年以降はそれだけでは無理だということになっているのです。ましてやそれが今度の国鉄の改革によりまして、前の三共済統合のときには国鉄の従業員が三十二万人ということでございましたが、昭和六十五年四月には二十一万五千人になるという再建監理委員会の御予定であります。そうしますと、昭和六十五年以後はさておきまして、昭和六十四年まで、つまり、前の三共済統合のときにはこれで何とかやっていけるであろうというのも、だめになってきたわけですね。  今亀井さんは、国鉄のOBに年金を払わないわけにはいかないという温かいお心を言われましたが、それなら同様に、今でも国鉄の職員は他の人に比べて職域年金部分はやらないとかあるいは一〇%のスライドカットであるとか非常に、もちろん保険料率は上でありますが、重い負担を負っているのですね。そうかといって、今救済している三共済について言えば、今でも一人当たり年一万五千円、年額四百五十億円負担している。自分らも昭和六十五年以降はもうダウンしてしまうということになれば、これを国鉄の労使の努力や今の統合された三共済に持たせるというようなことは到底無理であって、やはり少なくとも六十四年度分までのものは国が財政的な負担についても考えるということでなければ公平な処理ができないということは、国鉄再建監理委員会としては明言されるか示唆していただきたかったと私は思うのです。それがこの年金部分についての意見に欠けておるということは非常に遺憾な気がするのですが、御見解を承りたいと思います。
  74. 亀井正夫

    ○亀井参考人 年金については、この三共済組合が六十四年まで分母を大きくして助けてやろうというシステムがあった。そのときの前提は三十二万であった。現在もう既に三十万になっておるわけですね。そうして六十二年には国鉄当局の推定でも自然減を入れると二十七万強ということでございまして、それから減る。ですから、こういう事実を提示をいたしまして、これをどういうふうにするかということを私どもがここでこうやりなさいということまで言い切れるほどの勉強もしておりませんし、また専門的に江田さんが属しておる国家公務員共済審議会あるいは社会保障制度審議会、こういうものがありますので御検討いただける。政府には、これは非常に大きな問題ですよ、したがって、六十四年まで何かの手当ては必要ですということは指摘しました。したがいまして、今度国鉄の改革に対する基本方針、政府が決定しましたのも、これについては真剣に取り上げて「将来にわたって年金支給を維持し得るよう、所要の措置につき速やかに検討を行うこととする。」こういう決定をいただくまでは、私ども答申以外に非常に努力をしてやったということをお認めをいただきたいというふうに思います。
  75. 正森成二

    ○正森委員 時間の関係で村上参考人に一問だけお伺いして、終わらせていただきます。  村上参考人日本団体生命保険の取締役で、一般の生命保険とは違いますのでいささかお聞きしにくいわけですけれども、御承知のように基礎年金が、現在は六千八百円ですけれども将来の形では一万三千円出して月五万円もらう。これは一号被保険者にとりましては夫と妻と両方だと二万六千円という非常に高い負担になるのですね。現在でも一七・四%が保険料の免除、将来の形としては二五%くらいにまで達するかもしれない、こういうことになっておりまして、これは保険料が非常に高い。それに対して給付が必ずしも高くないということをも意味しているのですね。  これを絶好の機会といたしまして、最近団地等に、あなたの会社ではございませんが、一般の生命保険会社、それから証券会社の年金をやっておるところ、それが勧誘しまして、そこの決め手は何かというと、公的年金よりも私どもの商品の方がずっと有利ですよというのがその決め手なんですね。  時間がございませんから、私はきょうその基礎的な見解を申し上げませんけれども、つづめて言いますと、ある会社の年金というのは、物価上昇率が三%ぐらい、「八〇年代経済社会の展望と指針」と同じくらいですね、実質金利を仮に三%ぐらいとしますと、七十三まで生きると保険料の元が取れ、あとはもうけになるという形なんです。ところが、政府の基礎年金というのは九十二歳まで生きなければ元が取れないという格好になるのですね。これではあなたの世代間の公平ということを考えましても、保険料を納める人は自分にとってどうだということを考えるわけですから、生命保険会社がやってきて、公的年金は不利で私どもの方が有利だと言うとどうしてもそっちの方へ行くということになるのですが、同じ生命保険関係の取締役として御見解を伺いたいと思います。
  76. 村上清

    村上参考人 ただいま御指摘のような点がありますれば、それは私、まことに遺憾なことだと思っております。私自身は、公的年金、今おっしゃいましたのは国民年金ですね、公的年金と個人年金とは全く守備範囲が違うと思っております。つまり、言葉が合うかどうかわかりませんけれども、公的年金というのはある意味では若い世代が順繰りに老齢世代を扶養する義務でございます。被用者年金の場合には強制徴収できるのですけれども、今の国民年金は自主納付になっております。そのために今のようなことが起こってくるので、これはできることならばなるべくそういう方向にするということと、それから将来、今御指摘になった点はさらに今後見直していかなければならないというふうに考えております。
  77. 正森成二

    ○正森委員 時間がございませんので、終わらせていただきます。
  78. 越智伊平

    越智委員長 戸田菊雄君。
  79. 戸田菊雄

    ○戸田委員 きょうは参考人の皆さん、御足労を煩わせまして、本当にありがたいと思います。  まず最初に四人の参考人の皆さんに、今回の各四共済改正案を見ましても、四月通過しました年金法の改正要旨を見ましても、一口で言うと掛金は二、三倍ふえる、給付率は三割くらいダウンする、既得権、期待権はやや制限、そして国庫負担は大幅削減、こういうことになっていると思うのでありますが、この見解に対してどうお感じになりましょうか。それぞれ御意見をいただきたい。
  80. 村上清

    村上参考人 ただいま御指摘の点は、共済年金だけではなくて厚生年金すべて同じことだと考えております。確かに個人から見ますと負担が上がり、給付が下がるという感覚は受けるのですけれども、私は、国全体で見れば出したものともらう。ものはイコールでございますから損得はないはずでございますし、年金はそういうものであると考えているわけでございます。ただ、その年金制度の初期に起こることなんですけれども、未成熟なうちは拠出者がいっぱいいて、もらう人が少ないですから、どうしても低い掛金で高い年金が出てしまう。それが有利だという錯覚を与える。それが何か、みんな非常に得だ得だということで年金がどんどん上がってきて、その後でパンクするというふうな例が各国あるわけでございます。この辺は損得という実感は本当によくわかるのですけれども、そこら辺のところをよく国民全体に御理解いただき、結局は若い人とお年寄りがどういうバランスをとるかということだと思いますので、ひとつ十分その辺が徹底するように役所その他で努力していただければありがたいと思うわけでございます。
  81. 徳田博美

    徳田参考人 今回の改正につきましては先生御指摘のようないろいろな問題点があるわけでございますが、いずれにしても年金の方の改正と申しますのは縦の所得配分、つまり世代間の格差、あるいは横の配分の問題でございまして、それに対して改正を行いますといずれかプラス・マイナスが出てくるわけでございます。したがって、先生御指摘の点もあるわけでございますけれども、国民年金その他の改正とあわせてこれを見ます場合には、負担給付の均衡が図られているということ、それから年金制度の安定基盤が確保されるということ、それから官民格差の問題についても対処している、こういうことで全体としては評価されるべきではないかと思います。
  82. 江田虎臣

    江田参考人 冒頭申し上げたように私どもは反対でございます。  年金という部分の範疇の中で両先生は物を言っているような気がしますけれども、国家財政危機ということで臨調行革の中でどうも社会保障関係とか教育とかそういうところのいわゆる国の負担、それだけが大幅に削減されていくという点、いわゆる国家負担の限度といいますかあるいは国の責任といいますか、そういう政治全体、施策全体の面からどう見るかという議論をさせてもらうならば、私は国が社会保障を重視するならば年金についても国の負担といいますか責任というものをもっと大胆にふやすべきであるし、責任を負うべきであるというふうに申し上げざるを得ないわけです。その中でなおかつ、先ほど幾つか申し上げたように、改正案の中身の個々について全く不満な内容が多過ぎるという点で我々としては賛成できないということを申し上げます。
  83. 亀井正夫

    ○亀井参考人 年金問題というのは非常に複雑で難しい問題でございまして、私、専門的な意見を述べるような学識もないわけでございますが、年金が戦後いろいろやってきても、ここ十何年の間に非常に大きな情勢の変化があった、オイルショックを契機にしまして低成長に移るとか予想以上の高齢化の進展とか、いろいろな情勢の変化にかつてやった体系というものがそぐわなくなってきたという点があると思うのでございます。国鉄の問題について考えました場合には、私どもの考え方は国鉄のために長年御苦労になった方に老後の不安を来さない、これは現在年金をもらっておる方にもあるいはこれから働いて十年、二十年先に年金をもらう方にも老後の不安がないような諸施策、これが全体の水準とのバランスの感覚の中においてどう考えるべきかという問題ではないか、こういうふうに考えております。
  84. 戸田菊雄

    ○戸田委員 そこで、村上参考人にまず第一にお伺いしたいと思うのです。  四月、年金法案通過後、各都道府県年金担当者研修会、これは国民年金協会においてでありますが、ここで「年金のこれからの課題」ということで講演されておるわけです。その中で、基礎年金の定額保険料を採用しているが、諸外国にはこのような例はなく、また、免除率が上がり、検認率が下がり、結果的に収納率が下がる。結果的に運営できなくなる。早晩行き詰まると思う。結局、国庫負担率を三、四、五、各段階的にふやすべきであるとの趣旨の講演をされている。これを拝読しているわけですが、この辺の見解をまずお伺いしたいと思うのです。どのようにお考えになっているか。
  85. 村上清

    村上参考人 現在、国民年金は定額保険料でございます。定額というのは金持ちの人も貧乏の人も一律でございますから、掛金が上がると支払いが困難な人が出てくることは確かでございます。日本の場合にはその対応として免除という制度がございまして、免除を受ければある額の年金は確保され、また将来的にはさかのぼって納められるという手当てはできているわけでございます。そしてまた今回の改正で余り過大にならないような抑制もとられたわけでございます。したがいまして、当分の間、現状でもって収納率をよくし、そしてみんなが年金をもらえるということに励むべきでございます。ただ一方、長い先を考えますと、やはり別の財源を入れるということも考えてばいいんではなかろうか。これは保険料負担所得比例に従ってという議論も一方にはあるわけでございまして、その辺と考え合わせなければいけないのですけれども、私の感じではどっちかというと、将来的には国庫負担をふやすとすると新しい財源が必要でございます。福祉税とか間接税とかいろいろな意見がございますけれども、そういったようなことはすぐにはできませんから、これから次の、あるいは次の段階くらいのところでそういうことも含めて考える必要があると私は思っているわけでございます。
  86. 戸田菊雄

    ○戸田委員 それからもう一点でございますが、これは江田さんを除いて三人の参考人にお願いしたいと思うのでございます。  今や、財投は厚年の積立金あるいは共済の積立金、そういったものに依存する時代ではないのじゃないだろうか。したがって、厚年、各共済も自主有利運用、こういうことで行っていくべきだという考えを持っているのですが、この見解はどうでございましょう。時間がございませんから、財政計算等の問題に触れたいのでありますが、これは除きまして。
  87. 村上清

    村上参考人 率直に申し上げまして、私は制度論の方は専門にやっておりますけれども、投資とか運用、そこら辺は余り専門ではございません。にだいま御指摘の問題は、大きく言えば国の財政施策の問題でございますので、その中でどう見て。いくかということではないかと考えるわけでございます。
  88. 徳田博美

    徳田参考人 先生御指摘の点は財政投融資の一元的運用の関連がと思いますが、先ほど申し上げましたように、年金の積み立て部分につきましては、将来の国民経済成長と申しますか、パイの大きさを確保するため、そういう観点から前向きに投資されることが、年金保険料を支払う立場に立っても非常に大事なところでございます。そういう意味で、積立金を国民経済的に極力有効に使用することが望ましいわけでございまして、その場合に現在の一元的運用というのは、限られた原資の有効利用という意味では非常に意義のある制度ではないかと思っております。
  89. 亀井正夫

    ○亀井参考人 私はこの問題については全く素人でわからないわけでございますが、これから高齢化社会に向かっていくので、年金基金というのは従来どおり運用できるかどうかという点にも疑問がある。しかし、基金がしっかりしたものでなければ一般老後の安定も期待が崩されていくということでございますから、そこは専門家において理想的な方策というものを御検討いただくというのが筋ではないかと思っております。
  90. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間がありませんので、順序を若干変更してお尋ねをしてまいりたいと思います。  一つは国鉄共済の関係でありますが、共済年金に対する監理委員会答申を見ました。意見の詳細はこの「国鉄改革に関する意見」の七十六ページ、百十五ページ等々にあるわけでありますが、「現在国鉄共済年金についてはその財政状況から国家公務員等の共済組合による財政調整事業が行われているが、昭和六十年二月十二日の国家公務員等共済組合審議会の答申において「国家公務員・電電・専売の三共済による国鉄共済年金に対する財政調整事業は、拠出側組合員の負担増等から判断すれば、今回の(財政調整五箇年)計画が限度であり、速やかに年金制度の一元化を展望しつつ公的年金全般による調整方策を確立すべきである。」と述べられている。」等々述べておられるわけであります。ですから、国鉄共済は六十一年からややパンク、その同じグループの国家公務員等の共同グループの組合員の皆さん、これも六十四年度までが限度ですよ、それ以降はだめです。こういうことだと思うのですね。したがって、六十五年以降は何らかの方策を樹立して一元化方式を図りなさいということを指摘されている。六十一年、六十二年、六十三年、六十四年、前二年間は、御指摘がありますように、この間確認をいたしましたように七百億から九百億の赤字になります、後半二年間は約九百億から一千百億の赤字になります、総体三千億ないし四千億の赤字になりますよ。現在、国鉄の積立金は四千四百億見当しかないけれども、これは住宅貸付と債券問題で約二千四百億消えます、その残金二千億しか積立金はやれませんよ、こういうことになっているのですね。  そこで、問題になるのは、先ほど江田さんの冒頭陳述にもございましたように、監理委員会としてそういう問題についていろいろ忌憚のない意見交換をやり、対策樹立について検討してきたけれども、結果的には今申し上げたような内容しか出ない、こういう状況になっているのでありますが、ここで六十一年、六十二年をまずどうするか、六十三年、六十四年をどうするか、この審議の中で政府はその回答を出します、こう言っておりますので、その辺に対してどうあるべきかという御見解を示していただきたい。
  91. 亀井正夫

    ○亀井参考人 問題の所在は、今戸田先生がおっしゃったとおりでございます。それで、現在、六十四年までは他の三組合が救済をしていこうというシステムでございますけれども、その基盤になった国鉄の人員等について非常に大きな変動が見込まれるということでございまして、ここに三組合にさらにやるということも、今までの共済費を上げて他の組合にやったのですからなかなか難しかろう、しかし財政難だ、そういうことで私どもも名案を出し、はっきり書くこともできなかったものでございますから、政府当局に、こういう問題もございますよ、これをよく御検討いただいて、働いておる方々が不安のないような対策をお考えいただきたい、こういう趣旨で、先般の国鉄の改革に対する行政方針、閣議で速やかに決定を行うという御努力をなさっておられるということで、私どもは期待をして待っておる。六十五年以降については、現在国会においても年金の根本問題ということで先生方が御論議になっておられるようでございますから、そういう大きな枠の中、流れの中で解決をしていただいたら結構だ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  92. 戸田菊雄

    ○戸田委員 検討は当然必要だと私も思います。しかし、今話を伺いましても、具体的にこうあるべきものだというものはまだ出ていないのですね。監理委員会としてもお持ちになっておらない、政府の回答も出てきていない、こういうことであります。しかし、結果的には、国鉄の自助努力というものもだめですよ、それから共済グループ同士の今後の財政調整もだめですよ、残されているものは何かと言えば、国庫負担等で、こういうことにならざるを得ないのじゃないかと思うのです。殊に国鉄の場合ですと、高掛金、二〇・四%も掛けている。それからスライド停止一〇%食っている。その割に今度の改正法では職域加算もやらない、みなし保障額もやらない、こういうことになってきますから、これは国鉄だけが相対的に今より四〇%もダウンする。二十万円の年金者は約十二万円でということになるのですね。ここまで過酷な状態をつくり上げたのは、決して国鉄の労使そのものの責任ではない。大正九年創設されて以来いろいろな沿革を通じてここまでやってきた、そういった、いわば政策当事者の皆さんの責任ではないだろうか。我々にもその一半はあるかもしれません。そういうことは考えます。したがって、そういう問題に対して、五十八年の国家公務員共済組合の統合のときに、単に財政調整だけじゃなくて、負担給付の原則に立ってこの公平化を図るべきだし、制度的に統一すべきである、あるいは積立金の共同管理方式等々一元化方式に向けて統一で促進していくべきじゃないか。それは、今後の年金のあり方としては統一は避けられないという判断を持っていますから、そういうことであるべきじゃないかということを言っておったのですが、そういう問題についてもない。  いずれにいたしましても、そういうことで政策責任でありますから、これは政府なりそういったところで適切に責任を持っていくべきじゃないかということで私は考えるのですが、その辺の見解をひとつ。
  93. 亀井正夫

    ○亀井参考人 国鉄がずっとかつてのような、二十年前のように五〇%以上のシェアを持ち、独占が続けられればこういうような不幸も起きなかった。客観情勢が大きく変化したということが一番の基盤にあるというふうに私ども認識をしております。そういう意味におきまして、私ども、どれをどうせいと言うまでの専門的なことをはっきり勉強をする期間もなくてできなかったので、そういう諸般の情勢を勘案して政府においてひとつ責任を持って速やかに対策を講じていただきたいというお願いをして、政府は速やかに対策を講じようということで結論をいただいたということでございます。同じ繰り返しになりますけれども。
  94. 戸田菊雄

    ○戸田委員 しつこいようでございますけれども、さっき言ったように極めて多くダウンするわけですね。今回の国家公務員共済改正案の主たるねらいは、やはり給付の一元化、こういうところに置いてやっているわけです。そういうことになってあのぐらい下がるのですから、そうだとすれば公的年金の社会保険部門以外、すなわち国の政策的なものに属するもの、これは明確に国で処理をすることが私は一番いいと思うのでありますが、これは各参考人の方に御意見を拝聴したい。
  95. 村上清

    村上参考人 ただいま御指摘の、国鉄財政の破綻を何で見るかということでございます。  これは、一つは社会保険方式の中で集団の輪を広げるということでございます。もう一つは、国のということでございますが、ただ国民から見ますと、国の負担というものもこれは多額なものではありますし、結局は税金が回るわけでございますから、税という形で見るのがいいのかあるいは保険料で見るのか。これは、さらにさかのぼりますと、年金制度はどちらが妥当かということだと思います。これに関してはやはり国民全体にいろいろな御意見があると思いますので、できれば検討の場があり、そこで十分に御審議いただきたいと思うわけでございます。
  96. 徳田博美

    徳田参考人 国鉄の共済年金財政の悪化につきましては、先生の御指摘のようないろいろな要因があると思います。しかしながら、基本的には、やはりこれは小単位の保険集団であったために、就業構造年齢構造あるいは産業構造の変化をその中でカバーし切れなかったことが一番の基本ではないかと思います。  そういう意味で、先生が御指摘のとおり、負担給付の公平を図り、一元化を目指すというのがこの基本的な解決ではないかと思います。つまり、公的年金の一元化の中でしかるべき適正な是正方法が求められてくるのが一番適当な方法ではないかと私は考えております。
  97. 江田虎臣

    江田参考人 今の質問に関連しまして、同じと思いますけれども、若干申し上げておきます。  国鉄財調の審議をしましたときに、そのもの自体に間違いがあったと私は思うのです。間違いがあったという意味は、あのとき財調委員会、三十二万体制で五年間通したわけですね。そのとき、五年間、三十二万でいくということは、国鉄当局も我々も、明らかにだれも思ってないわけですね。三十二万で通さざるを得なかったそれなりの理由は、私はわかっております。  同時に、あの審議のときに前の仁杉総裁をお呼びしました。国鉄から自主再建計画について御説明を長時間いただきました。そのときは国鉄一本民営化という説明ですね。それで国鉄当局は、断固として責任を持って国鉄改革をやりますというふうに、仁杉さんは断言したわけですよ。その前提条件で私どもは財政調整の議論をいたしました。その前提条件の中にはちゃんと合理化計画、人員が年度に何ぼ減っていくということを全部国鉄当局は出しているわけです。その時点で、四年間に約一千億という数字を国鉄は示したわけです。赤字は一千億だ。一千億ならば国鉄の自助努力でやりなさいというのが結論ですね。当局も自助努力でやります、こう言ったわけです。一千億の赤字については、自助努力でやりますという前提条件で、財政調整は答申がされているわけです。それらの前提条件が今全部崩されているわけです。したがって、いわゆる民営・分割からいきまして、年金だけは当分の間一本化、こうおっしゃっていますけれども、会社が別になって給与水準もいろいろばらばらになりますね。そういうものをどういうふうにするか知りません。同時に人員の削減も、仁杉総裁が我々に正式に提起した資料と、監理委員会の答申に基づく新しい資料とは相当数の食い違いが出ているわけです。その数字によれば二千四、五百億くらいの赤字が出るわけです。  先般、今の総裁をお呼びしましたときに、仁杉総裁が言ったものと新しい体制とどう違うか説明してくれと聞いたら、今検討中ですからということになっていた。それなら近く国共審に、監理委員会答申に基づく今の数字はつまびらかにしてもらわなければいかぬと思うのです。我々としては裏切られた形なんです。国鉄総裁も出てまいりまして、あれほど、民営一本化でやります、これしか改革はありません、したがってそれに基づく合理化計画はこうですという前提条件を全部並べてやったわけですよ。  政府としては、総裁以下七人の首を切って、経営者がかわったのだから後の人が出てきて何を言おうと勝手じゃないか。論理は通ると思いますけれども、我々の側としては、経営者がかわろうと責任者がかわろうと、公の場でちゃんとした約束をされて、ちゃんとした数字を出されて、そして七人も首をすげかえて、新しい人が来て、おれはそんなことは知らぬ、お札の方はこうだと言われても、財政調整全体をゼロにしてもらわなければいかぬ、もとに戻してパアにしてもらわなければいかぬわけです。その辺について政府はどう責任をお考えになっているのか。少なくとも国共審というのは公に設けられた公的機関なんですよ。そこの場に最高責任者が出てきて、三十分も四十分も我々があらゆる角度から質問を申し上げて、具体的に合理化計画も資金計画も明らかにした上で財調に応じたわけですよ。それが根本から前提条件が覆るような、財調をしてその赤字をまた持て、こういう論議になってきますと、政府そのものは信用ならない、これからの審議会は一切信用ならない。産労懇の約束だって、中曽根総理はあれほど明確に私に約束して、十カ月たってまだ政府の統一見解を出さぬというのは、私は納得がいかない。総理の政治責任として明らかにしてもらわなければいけないということを申し上げて、それらを含めて、速やかに政府が全額国庫負担すべきだ、こういうふうに思います。
  98. 亀井正夫

    ○亀井参考人 年金の大きな流れにつきましては、高齢化社会においては大きな分母でやっていくという方角で六十五年以降抜本的な対策が練られることが望ましい。ただ、条件として、やはり官民格差を整備するとかいうことをしないと国民の納得を得られないというふうに考えております。
  99. 戸田菊雄

    ○戸田委員 時間がありませんので、これで終わります。ありがとうございました。
  100. 越智伊平

    越智委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、御多用中のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  午後一時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  101. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
  102. 川崎寛治

    ○川崎委員 共済年金法の審議に入ります前に、瞬間的に一ドル二百円の大台を超す事態も生まれておりますし、この円高の方向の問題は、これからの財政運営、経済運営にも大変大きな課題でございますので、少し時間をとりまして御質問したいと思います。中小企業への影響も大変大きいわけでありますし、デフレ傾向も、各金融機関等いろいろと調査の報告もいたしておりますが、それらの点について幾つか伺いたいと思います。  まず、経済企画庁、円高の影響をどういうふうに見るのか。それから金子長官が、先週、来年度の予算案は積極予算を組まなければいけないと言っておるのでありますが、経企庁としての今日の分析、今後の方向づけを伺いたいと思います。
  103. 宮本邦男

    ○宮本政府委員 先生が御指摘いただきましたように、最近かなりの円高となっているわけでございますけれども、この円高の影響が経済の各面に浸透するまでは、普通ある程度のタイムラグというか、時間を要しますので、当面は、それが国内経済全体に対して直ちに大きな影響を及ぼすものとは考えられませんけれども、もちろん、円高がある程度続きますと、先ほど申しましたようにタイムラグは伴いながらでございますけれども、国内経済にいろいろな影響を及ぼすと考えられます。円高の影響は、次の二つの道筋を通じて経済に影響を及ぼしてくると私ども考えておるわけでございます。  一つは、俗にデフレ効果と言われているものでございます。円高になりますれば、タイムラグはございますが、当然輸出の数量が減少する。それから逆に、輸入面では輸入数量が増加することになりますが、これは言うまでもなく、国内の生産には抑制効果が働くわけでございます。輸出の減少もそうでございますし、輸入も、競争商品が輸入されれば、その分だけ生産の必要が薄くなるというわけで、国内の生産が縮小し、所得にも減少効果が働くということで、この効果はGNPを減少させる方向に働こうかと存じます。  もう一つ、実はこの二つ目の効果が新聞紙上等では軽視されているのではないかと考えますが、私ども円高の交易条件改善効果と称しておりますが、これは、円高になりますと円建ての輸入価格は低下するわけでございます。しかし、その一方で円建ての輸出価格も、若干は低下しますでしょうけれども、その低下は比較的限られているということになりまして、我が国の交易条件が改善する。つまり一単位輸出をして、どれだけ外国から物を買えるかという我が国の輸出の購買力が改善するわけでございます。そうしますと輸入価格が下がりますから原材料の価格も下がる、原材料の価格が下がれば企業の原材料コストが下がって、その分原材料を使っている企業には経営改善効果がございます。それから、製品価格が下がり、それから原材料価格等の下がり方が消費者段階まで波及してまいりますと、消費者物価も安定効果が生じまして、家計の実質的な購買力もふえるということで、国全体の実質所得増加する方向に働きます。この効果は、GNPをふやす方向に働くわけでございます。  それぞれの効果がどれほどになるかということでございますが、これはそのときどきの経済の情勢、どういう条件にあるかというようなことに依存いたしまして、一概には言い切れないとは思いますけれども、一般的にはいわゆるデフレ効果の方がややまさるかと考えているわけでございます。  それに対する対応策でございますが、ことしに入りましてからの我が国の最大の政策課題というのが、御存じの対外インバランスの拡大を背景に経済摩擦がアメリカ中心に非常に高まっておりまして、我々としては、経済の拡大均衡を通じて経済摩擦を解消していこうということで、既に七月末に市場開放策を決定いたしましたし、それを推進しているわけです。それとあわせて、円高の定着さらには内需拡大策ということで、三本柱と申しますか、その政策を推進してきているところでございます。  このうちの内需拡大策でございますが、これは今申し上げましたように、第一義的には対外不均衡の是正ということで取り組んでいるわけでございますけれども、同時に現下の為替変動等が国制の経済、国内産業に及ぼす影響にも適切な注意を払いながら弾力的な政策運営を行っていくという役割も担っているわけでございまして、そういった観点からこれを着実に実施していく所存でございます。先生御承知のとおり、「内需拡大に関する対策」は「当面早急に実施する対策」と「今後推進する対策」と大きく二つ部分から成り立っておりますけれども、当面は、まずこのうちの「当面早急に実施する対策」を着実に実施に移していく所存でございます。それから今後につきましては、それとあわせまして「今後推進する対策」、これは民活の公共的事業分野への導入ですとか規制緩和ですとか週休二日制、国有地の活用等々でございますけれども、これを実施していきますとともに、予算、税制措置を伴う施策については今後の予算編成、税制改正の過程で検討していくということにいたしているわけでございます。  なお、円高の進展によって中小企業等を中心に一部業界等への影響が出てくることも懸念されるわけでございますので、円相場の動向、その中小企業への影響等今後の動向を十分注視していく所存であります。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  104. 川崎寛治

    ○川崎委員 それでは通産省に伺います。  今のデフレ効果それから交易条件の問題もそれぞれタイムラグがあるわけですから、今ここで宮本審議官の答弁をそれぞれ検討するというのは時間がありませんから、いずれまた本格的にやります。デフレ効果というのは非常に大きいだろう、それから中小企業に非常に出てきているわけでございますが、こういう中で中小企業の受ける影響、あるいはけさの新聞等では円高特別措置法という五十二、三年ごろのあれに似たようなものをまた検討ということを言っておりますが、通産省としての今の分析、対応の仕方を伺いたいと思います。
  105. 見学信敬

    ○見学政府委員 お答えいたします。  円高の調査でございますが、円高が始まりました十月初旬時点で既に若干の調査をしたほか、さらに十月の下旬からこの十一月の初旬にかけまして輸出依存度の非常に高い産地を中心に四十産地ほど調査を実施したところでございます。基本的には、円高模様眺め等の原因でもって新規成約のほとんど全面的にストップしたような産地まで出てきております。受注残につきましても、かなり適正水準を割り込んでしまったという産地がかなり出てきております。また、既に一部資金繰りにやや困難を感じているというような産地もあり、特に年末までに資金繰りが非常に苦しくなるのではないかというふうに指摘する産地もあるわけでございます。  こういったことを踏まえまして、既に中小企業関係の三金融機関等に対しまして中小企業庁長官と大蔵省銀行局長の連名でもって適時適切に対処するように、機動的に融資ができるように指示をする等の幾つかの措置をとってきているところでございますが、特に来年度にかけまして予算要求を二点しております。  国際経済上の環境変化に伴いまして、影響を受ける中小企業者を特に支援するため政府系中小企業金融機関に特別の貸付制度を創設したいというのが第一点でございます。  さらに、長期的に見まして、円高が続くとしますと事業の転換を迫られる業者も出てこようということを考えまして、新しく中小企業事業転換法を制定する等のことを考え、これに伴う税制、金融措置等をお願いしているところでございますが、これは来年度の措置でございますので、来年度を待たずに金融措置につきましては緊急的な措置を講じたいという方向で現在検討しているところでございます。  さらに、円高法につきましても今後の進展ぐあいによって、前回五十二、三年のころに円高法を制定した経緯もございますので、検討する必要が出てこようかと思っている次第でございます。
  106. 川崎寛治

    ○川崎委員 九月二十二日のG5以後確かに円高の方向に進めてまいりました。日銀も短期金利の引き上げ等をやってきたわけでありますけれども、内外の情勢というのは非常に大きく変わってきたと私は思います。特にレーガン、ゴルバチョフの首脳会談というのは明らかに緊張緩和、それから対話ということは軍縮、そういう方向に行くわけでありまして、緊張すればドルが高くなる、そういうあれからしますと、緊張緩和という今の国際情勢というのはこれから相当続くと見なければならないと思います。これが変わって緊張ということになるのは、また困ることでございます。  そうなりますと、国際情勢のそういう大きな変化というのは一八〇年行財政改革ということで「増税なき財政再建」に入った当時といたしますと、日本をめぐっております内外の政治情勢、国際情勢、経済情勢というのは大変大きく変化をいたしてまいったと思います。ドル安が続く、そういう方向の中でまたアメリカにおける軍縮、赤字財政の解消への努力、そういうものもこれから進むと思いますし、我が国における防衛費の問題もこれからまたいろいろと議論がなされてこなければならないだろうと思います。  そういたしますと、今経済企画庁なり通産省なりから今日のドル安・円高の方向についての見方がそれぞれなされてきたわけでありますが、なお一層円高に持っていくつもりなのか、あるいは二百円の辺で定着という方向を大蔵省、財政当局としては考えるのか。そして、それによりますと今度は来年の景気が非常に落ち込む、中小企業が非常に深刻な状況に追い込まれる、こういうことになりますならば六十五年度赤字公債発行ゼロ、こういうことでまいっております今の「増税なき財政再建」という政策の方向についても財政運営の転換ということが考えられなければならないと思うわけでありますけれども、今日の円高の方向というものを大蔵大臣としてどうお考えになり、これからの方向をどう持っていかれようとするのか、伺いたいと思います。
  107. 竹下登

    ○竹下国務大臣 最近の為替相場でございますが、まさに自律的な動きで市場が今動いておる、こういう基本的な認識を持っております。したがって、自律的な動きの中で一層円高が定着することを期待しておるという表現に今とどめておるわけであります。もともとG5にいたしましても、これは我が国のみでなく他の国も特定の水準を意識してやるということは本来の変動相場制の基本に触れる問題だから、特定の水準を意識することだけはやらないようにということも合意の一つでございます。したがって、値ごろ感とでも申しましょうか、値ごろ感というものを申し上げることは非常に難しい問題でございますし、と同時に日本経済力等から申しまして、仮にもし日本の通貨当局が値ごろ感を出しますと、それがすぐ投機の対象になるとでも申しましょうか、したがって、あくまでも特定の水準は持たないで、今日自律的に形成されておる市場の、いわゆるドル以外の通貨が高目に移ってきておることを、それが定着することを期待しておる、こういう難しい表現にならざるを得ないではなかろうかというふうに考えております。したがって、秩序のある市場の動きというのが今一番大事じゃなかろうか。きょうのところが寄りつきで二百円八十五銭、それから前場の終わりが今二百一円二十八銭と、比較的乱高下というようなもののない状態ではなかろうかというふうに見ておるところでございます。
  108. 川崎寛治

    ○川崎委員 特定の水準を目指していない、それはこれまでずっと大臣が答えてきたとおりだと思うのです。ただ私は、日銀の方はどっちかというと、より円高へということでの短期金利の高目誘導はやってきたわけでありますから、そういたしますと、今のそこで自律的なというか定着というふうな見方をすると思うのですけれども、じゃ、定着するなら影響は、これから後半から来年に向けては出てくる、こういうふうに思うわけですね。そうしますと、従来どおりの財政運営なのか、それとも内需拡大とそれから円高の定着という、そういう方向でいく、その二つをどういうふうにしていくのか、伺いたいと思います。
  109. 竹下登

    ○竹下国務大臣 先般決めました内需拡大策が効果が出るのはかなり時間がかかるというふうに私は思っております。  一応のまさに試算、試しの算術でいきますと、三兆一千億がGNPを四兆一千億でございましたか、程度押し上げる効果はあるという考え方で決めたわけでございますが、先ほど経済企画庁からも整理してお答えがありましたように、税制、財政を伴うものは、この間の中には一つの方向としては補正予算を意識した災害復旧と、それから公共事業等の契約を可能にする債務負担行為、これは含めてありますけれども、まだこれは補正でございますので本予算との関係はないわけでございます。したがって、内需振興というのは当然のこととして、G5でも日本がやるべき役割の中へ約来しておるわけでございますから、やっていかなきゃならぬことでございますが、それをいわゆる民間活力をどういう形で引き出していくか、その環境をつくるというのが今日いろんな知恵を模索しておるという段階でございます。  これも中小企業庁からもお話がありました、いわゆる円高によってトタに影響の出る産地等は非常に注目して見ていただいておりますので、それらの対策は当面は年末金融をきちんとやればということになりましょうが、これから様子を見ながらそれは対応していかなきゃならぬことだというふうに見ております。  ただ、基本的に日本の産業構造というものの柔軟性は、昔も百八十円でも一件も倒産がなかったじゃないかというふうなことを言うつもりはございませんけれども、基本的には柔軟な構造で対応できる。が、今中小企業、産地、そういう問題には本当にきめの細かい注意を払っていかなきゃならぬだろうというふうに考えております。
  110. 川崎寛治

    ○川崎委員 日本経済の柔軟性ということ、これはなかなか議論のあるところであります。つまり行革、「増税なき財政再建」というものが進む中で地域間格差それから企業間格差というのが非常に出ているわけですから、日本経済の柔軟性という場合はその格差がクッションになっている。それがもっとどんどん今広がりつつあるわけです。この点は改めてまた、きょうはもう年金に入らなければいかぬわけですから、しませんが、しかしそういうことでは済まない状況だろうと私は思う。  それから、長期的に見れば米ソの首脳会談からまいります国際情勢の変化というのが大きいわけです。そうしますと、ここ数年間とってまいりました基本というのが国際的には変わってくる、変わりつつあるんだということで見なければならぬわけです。  そういたしますと、この一つ一つ議論しておるとあれですから端的に、先ほどもちょっと触れたんですが、金子経済企画庁長官は、来年度予算は積極予算をとこう言っておられる。それから宮澤総務会長は、政策の軌道修正をとこういうふうに言っておるわけですね。そうしますと、そこの点はいかがですか。
  111. 竹下登

    ○竹下国務大臣 財政改革、まあ無理しながら今日までやってきて、基本的に財政当局としては、今日まで歩んできた財政改革への道が水泡に帰するようなことになってはならぬという緊張感は絶えずあるわけであります。したがって、いわゆる財政の出動ということが非常に困難であるだけに、民活等によるどのような環境整備の知恵が出されていくかということをやはり基本として、すなわち財政改革路線というものが変更されてはならぬというふうに、私は非常に渋く考えております。
  112. 川崎寛治

    ○川崎委員 これはいずれまた機会を得たいと思います。  そこで、年金の質疑に入りますけれども、大蔵大臣はかねて日本列島ふるさと論というのを至るところで展開をしておられるわけでありまして、それにはなかなかほんわかとした雰囲気は感ぜられるわけであります。しかし、その日本列島ふるさと論というものの基本は何なのか、伺いたいと思います。
  113. 竹下登

    ○竹下国務大臣 今、川崎さんおっしゃいましたように、まさにほんわかとしたものでございまして、具体的に整理してこういう権威のある場所で展開するほどまとまったものではございません。まさに今おっしゃっていただきましたほんわかとしたものだという程度で御勘弁をいただきたいと思います。
  114. 川崎寛治

    ○川崎委員 私は、それは少しいけないと思うのですね。戦後の最長期の財政の責任者なんですから、これはやはりどんどん出してもらわないと、そしてそれを議論しなければ、私は竹下財政というのは何なのかなという疑いになってくるわけですから、その点はひとつ大胆に展開をしてもらいたい。そしてまた、それを議論してもらいたい、こう思います。  そこで、それはまた改めての機会にしますが、今、国民の意識あるいは国民のニーズというのが政策に対して何に一番あるかということ、これは五十九年度の国民生活選好度調査という、経済企画庁国民生活局のものをこの間もらいました。少しばらばらめくっておった。なかなかおもしろいなと思ってこれを見たわけです。企画庁が昭和四十七年からこれまで四回やっておりまして、今度は五回目なんです。これを見ますと、これは全部重要度の高い、ということはつまり要求の強いという項目、それから満たされていないという不満、これはどっちも大蔵大臣にかかっているわけなんです。どうもほんわかとしておらぬのです。この重要度の高い項目を見ますと、一番は何かというと、老後に十分な年金が得られることという、これが圧倒的なんです。そして、それは細かな調査票によるずっと調査をしたものが、昭和五十三年、五十六年、五十九年、こういうふうにありますけれども、これを見ましても、自分老後に明るい見通しを持っているかということに対しては、五十三年の二九・九から五十九年には三七・五、こういうふうに高くなっているのです。それは税負担の問題についても、税負担が公平かどうかということに対しては、五十三年の四六・二が五三・七というぐあいに不満が高まっているわけです。こういうふうに見ますと、これは年金と税金というのが今の国民の皆さんの、つまり政策への要求というものの非常に強い不満度だ、そして要求である、こういうふうに私は思います。この点について「国民の意識とニーズ」こういう企画庁が出した、年度年度にずっとわたって検討してきたものを大蔵大臣はどういうふうに受けとめられますか。
  115. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この年金と税金というのは、年金を充実させるためにはある程度国民負担をふやさなければいかぬ、そうなると一方、国民負担、税負担に対する重圧感というものは、ある意味においては両方が別の意味における位置づけにもなるわけでございますけれども、少なくともまず年金問題ということになりますと、国民全体が最も理解できる形の年金制度というのを、いずれにせよ高齢化社会、二〇二〇年、二〇三〇年ぐらいの人口構造を展望して、今から本気にやっていかなければならぬ課題だ。それがまさに、第一段の国鉄救済統合の問題は別としまして、第二段階の厚年、国年の改正であり、第三段ロケットとでも申しますか、今御審議いただいておるこの共済年金法ではないか。そして、これが将来にわたって、昭和七十年年金一元化の方向へ着々と歩を進めていく大きな第三ステップではなかろうかというふうに考えております。  それから負担の問題は、国民の皆さん方は負担するのが少ないのがいいに決まっておりますけれども、むしろ負担の重圧感というよりも、それ以上の不公平感というものがやはり一番大きな問題ではなかろうか。大蔵委員会等でこうして御審議いただいておりましても、本当に物価の議論がなくなって、税の論議というようなのがそれにかわって審議時間のシェアが大変多くなっておることも、やはり国民がそれに最も関心が高いからじゃなかろうかというふうに問題意識として持っております。
  116. 川崎寛治

    ○川崎委員 急速な高齢化社会ですので、それだけに年金への要求は強まっておる。しかし、一方ではなかなか難しくなってきておる。そうしますと、税金と社会保険料という強制的な、これは機関自体の、税制調査会と対応する機関のあり方という、社会保障制度審議会なりとの関係についても、かつて議論も質疑もしたこともあるわけでありますけれども、まさに裏腹の問題としてこれは大変大きな課題だな、こういうふうに私は思います。そういたしますと、これは後ほどまた国会のあり方の議論も絡んでくる、こういうふうに私は思いますので、後に残しておきたいと思いますが、そういう認識で次に入りたいと思うのです。  今回出されております国家公務員共済組合法案を初め四法案、これは四つの年金として大蔵省、自治省、農林省、文部省それぞれが法案を出して、今各委員会議論があるわけです。しかし国鉄共済の問題をめぐり入り口でもめました。そして、結局総理に御出席願って連合審査ということをやった。つまりそこに今日の年金の問題のあり方というものがある、議論の仕方というものがあると思うのです。つまり、さきに厚生年金国民年金の統合法案を議論しておるわけでありますし、そういう意味一つの節目に来ておるわけです。そういたしますと、この四つの法案を大蔵、自治、農水、文部、それぞれが提案をするわけでありますが、しかし共通の問題がある、それが連合審査の姿にもあらわれているわけです。立法の過程で四省庁間はどういう連絡をとり合ったのか、その点を伺いたいと思います。
  117. 門田實

    ○門田政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、共済年金制度は現在四つに分かれておりまして、国共済は大蔵省が、地共済は自治省が、私学共済は文部省が、農林共済は農水省がそれぞれ所管しておるわけでございます。したがいまして、今回のような基本的な制度改正を行います場合には、各省庁がそれぞれ別個に、ばらばらに原案をつくっていくということでは不適当でございますので、おっしゃるように共通の土俵をつくる必要がある、こういう認識のもとに関係四省を中心にいたしまして、学識経験者といいますか、そういう方を含めまして共通の検討の場として設けましたのが共済年金制度改革検討委員会というものでございます。したがいまして、この検討委員会といいますのは、法律上に位置づけを持つものではございませんで、関係各省で実際上設けた、いわば検討機関といいますか勉強の場、こういうことになるわけでございます。  そこで、これは実務家の集まりでございますから大変詳細な議論をいたしました。そうして、そこででき上がったのが改革の素案のようなものでございますが、これはいわばたたき台であった、こういうことでございます。その検討の内容は、給付水準でありますとか負担のあり方でありますとか、もう全項目にわたって検討いたしました、そのたたき台をもとに今度は関係各省がそれぞれの審議会で御意見を聞きまして、そうして今回の改正案を取りまとめた、これが経緯でございます。
  118. 川崎寛治

    ○川崎委員 それで、関係各審議会にかけた、議論してもらった、こういうことですね。ところがその中で、地共審は委員の方から提案がありまして、国共審と連合審査したいという、私はこれは地共審の委員からちゃんと聞いているのですから。連合審査したい、これは当然だろうと思うのです。つまり四省庁が連絡をとり合って改革検討委員会をつくって、そしてたたき台をつくったわけでありますから。そうしますと、問題は農林と私学になるわけですね、これは審議会がないわけですから。そうしますと、地共審から国共審に連合審査を申し入れた。ところが、国共審にはその計画はないと言って断っているわけです。  だから私は自治省にお尋ねしますが、自治省はだれか来ているのだろうな。——つまり、これは大蔵大臣、審議会の運営の問題にもかかわるのです。つまり地共審の委員から提案があって、地共審としては連合審査をやりましょう、したい、こう言って申し入れたわけです。これは自治省が大蔵省に私は言ったと思うのです、連合審査の申し入れをいかがですか。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 松本英昭

    ○松本説明員 地共審の審議の過程におきまして、先生御指摘のような、連合審査というのは法制度上の問題でございますので、実質上の合同会議のようなものをやってはどうかという御意見がございまして、委員会の中で会長の方から事務的に打診してみてはどうかというお話がございまして、打診をしたことがございます。
  120. 川崎寛治

    ○川崎委員 ところが大蔵大臣、国共審にはその計画はないと言って断っているのです。  事務局に聞きますが、自治省から申し入れがあったことを国共審の皆さんに諮っておりますか。
  121. 門田實

    ○門田政府委員 何回も審議会をやっておりまして、かつ国共審の方はその間に国鉄財調の問題でありますとか別個の問題もございましたので、私も今記憶が必ずしも定かでないのですが、内々の話としてはそういうこともあったように思いますが、正式にそういう形で申し入れがあったということではなかったように思います。
  122. 川崎寛治

    ○川崎委員 自治省もそう言っているでしょう。何も連合審査とかいった形のあれではないが、話し合いをしたい、懇談をしたいと。その前の、いわゆる国鉄それから電電それから専売というのを統合しますときには一年ぐらいやっているのですね。いろいろ議論やっている。ところが国共審は、ありたのだけれども委員にはそれを連絡してないのです。  大蔵大臣、これからが大事なのですけれども、実は国共審の中では、やはり国共審の方も共通の問題がある、国鉄共済の問題やら何やらあるわけですから、そうなりますとこれはやはり地共審とやりたいということで、正式に議論になっているのです。ところが、それを事務局が断ったのです。私は、審議会の運営というのは事務局が運営するのじゃなくて委員が運営するのだと思うのですよ。どうですか。
  123. 門田實

    ○門田政府委員 先生お話ございました、いわゆる統合法の方でございますが、あのときは実は国鉄、電電、専売につきましては審議会がなかったわけでございます。したがいまして、国共審という場で拡大的にこれを運営して審議してまいったというのが事実でございます。  それから、今回の場合はもちろん四省庁中心に共同で勉強会をやったようなことがずっとあったわけでございますから、私どもも必ずしもそういう一緒の検討が非常にぐあい悪いという考えは持っていなかったはずでございまして、そこのところはちょっと記憶がはっきりしないのが申しわけないのですが、それほどぜひという話ではなかったのではないかという感じがいたします。
  124. 川崎寛治

    ○川崎委員 国家公務員等共済組合審議会第九十九回、三月十一日、これは実にしつこく議論しているのです。そうしましたら、ここで何と言っているかというと、私、これでびっくりしたのですよ。中立の委員の皆さん方からも、「統合の前のときには、実は懇談会という形で大蔵省で地方と共同の集まりございましたね、一年ぐらい続いている。ああいうことを考えているのではありませんか。」つまり、労働者側委員が提案したことに対して、中立委員もそういうふうに言っているわけです。それに対して事務局が何と言っているかといいますと、「今のところ、私ども事務当局としては懇談会という形でも合同でやる考えございません。例えば、今回、私学は審議会ございませんし、農林もございません。そういったことも踏まえ国共は国共という考え方でおります。」委員会の運営についてこう言う事務当局がありますか。私はこれはおとなしくしたいと思っていたんだけれども、これは少しいろいろ検討しておりまして、これには大臣は、オールジャパンとか労働者連帯とか、こう言っているわけですよ。労働者連帯だなんだと表で言っておりますときに、その審議会の運営で、今のお話のように地共審から申し入れがあった。それは、その申し入れというのが重いか軽いか、連合というか、その言葉は別ですよ。しかし、そういうことに対して「事務当局としては懇談会という形でも合同でやる考えございません。」と、こんなことありますかね。私は、これは問題にしたら大きいと思うのですよ。  しかし余り問題にはしませんけれども、ただ審議会の運営としては許せぬ。審議会のあり方がいろいろ問題になっているわけですから。後はといろいろな審議会なり研究会なりまた少しずつ洗いますけれども、しかしその中で、それは本当に大改革だ、数十年にわたる大改革だということを、前の合同のときも大蔵省の主計局の次長は言っているわけだ。だから、数十年にわたる問題だということは五十八年から五十九年、六十年にかけてずっとあるわけです。そういう中でこういうことを言っている。私はこれは許せぬと思うのです。これでは大蔵大臣の言う労働者連帯ということにはならぬわけです。オールジャパンということにはならぬわけですよ。地共審にも、こう言ってもおられるわけだけれども、しかしそういう話し合いをこういうところでチェックしているということは、私は本当にいけないと思うのです。大蔵大臣、いかがですか。
  125. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も中身のことを詳しく存じておりませんが、今おっしゃったいわば委員会にしましても、それから懇談会にしようやとかという問題も、全部自主的にやっていただいておるわけですから、あくまでも自主的に運営されるのが本来の姿であって、ちょうどの機会だから地共審の関係者とも懇談してみようじゃないか、こういう意見があったとすれば、それはそれを取り次ぐ努力はやはりすべきものであっただろうというふうに、私も今お話を聞きながら素直にそういう感じを持ちました。
  126. 川崎寛治

    ○川崎委員 地共審に言うべきだというのは一つ確かです。ところが、さっき自治省が言いましたように、自治省は委員の方で決めまして、会長もそういうふうにまとめまして、そして自治省から連絡が来たわけです。それは重さがどうかこうかというのは、門田審議官もいろいろな言い方をしておりますが、私はそれはとやかく言いませんよ。しかし、だから二重に問題がある。地共審の方からは、やりたい、こう言っている。そうすると、おれの方にはない、こう言っている。おれの方にないという言い方を勝手にすること自体が問題だが、取り次いでないわけでしょう。ところがあにはからんや国共審の方は、やりたい、こう言っている。やりたいと言っているのを取り次がぬばかりか、事務局でけっている。だから、私はもう二重三重にここの運営の仕方は問題だと思う。しかも、先ほど企画庁のニーズの問題でも言っておりますように、税金と年金というまさに裏腹の問題なんですから一裏腹というか、相前後した密接な問題なんですから、その問題を議論をする場所を断っだということは、これは私は本当に大蔵省の思い上がりだと思いますよ。だから、こういう運営の仕方をしてはいけないと思うのです。ひとつ審議会の運営について、事務方のあり方については謙虚に反省してもらいたい。大蔵大臣にそのことを要請しておきたいと思います。いかがですか。
  127. 竹下登

    ○竹下国務大臣 あくまでも自主的に運営される、それのお手伝いをするという立場をとらなければならぬ、基本的には私も今お話を聞きながらそういう心の整理をいたしたところであります。
  128. 川崎寛治

    ○川崎委員 ひとつそのようにやっていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、文部省はどなたがお見えですか。逸見財務課長、岡林福利課長ですね。国共審の中でも事務局が、私学には審議会がないのだ、こういうふうに言ったわけであります。だからできぬという理由にもされておるわけであります。だから、実はきょうは官房長官も来てもらいたかったのですが、どうしても都合が悪いというので、やむを得ないだろうということで了承したわけでありますけれども、私学にいたしましてもたくさんおるわけです。そういう人たちの意思というのが参加がないまま法案になりました。そして今後さらに年金の統合、制度間の調整というふうに、先に進みますとまたいろいろ出てくるわけです。そういたしますと、積立金の運用の問題等でいろいろと議論はありますが、それは厚生年金国民年金あるいは現在ある国共審、地共審というだけの問題じゃなくて、こうした農林、私学というものも当然これから参加をした中でのものでなければならない。これからのいろいろな七十年に向けての整理というか統合なり一元化なりが進められてまいりますとすれば、そういう方向に向けて直接参加がなければならない、こういうふうに思います。私学共済としてそういう審議会をつくる考え方があるのか、あるいはなぜできないのか。まず、なせできないのか、考えはあるのか、二つ伺いたいと思います。
  129. 岡林隆

    ○岡林説明員 お答えいたします。  私学共済組合にはただいま先生がおっしゃいましたとおり、審議会は設けられてございません。一つは、私学共済組合が、各省各庁に組合が設けられております国家公務員共済組合などと異なりまして単一の組合であるということ。それから二つ目は、私学共済組合というのは教育基本法六条、いわゆる私立学校教職員の福利厚生については国公立学校の教職員と均衡の保てるような制度にする、そういう趣旨で設けられているわけでございますが、そういうことのために国公立学校の教職員の共済制度と同一の水準で組合を運営していくという考え方があるということ。それから三点目は、私学共済組合の中に、これは理事長の諮問機関でございますけれども運営審議会が設けられてございます。これは国家公務員共済組合の各組合等に設けられております運営審議会と異なりまして、こちらの方は労使二者構成となっておりますが、私学共済に設けられております運営審議会は、学識経験者を含めた三者構成になっております。そういうことのために現在私学共済には審議会が設けられていないところでございます。  それで私どもといたしましては、特に学識経験者を含めました私学共済組合の運営審議会に組合それから法人関係の委員につきましては私学側の意向が十分反映できるような人を推薦して、教職員それから私学関係者の意向が十分反映できるような運営をやってまいりたいというようにお願いをしてきているところでございます。私どもはこの運営審議会の運営だけでなく、私学団体あるいは関係者のいろいろな会合等におきまして要望あるいは意見などを聞くなどしてできる限り関係者の意向が私学共済制度に反映されるように努めてきているところでもございますし、またこれからも努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。  以上でございます。
  130. 川崎寛治

    ○川崎委員 では、そうするともう審議会は要らないということですか。
  131. 岡林隆

    ○岡林説明員 私どもといたしましては、ただいまお話しを申し上げましたとおり、国家公務員共済組合制度との均衡を図るということ、そういうことを旨として運営等をいたしておりますので、現在のところ審議会を設ける、そういうことは考えていないところでございます。
  132. 川崎寛治

    ○川崎委員 今後、共済年金グループの統合の問題等あるいは制度間の調整の問題等が出ますと、これは財産の処分だとかいろいろ出てくるわけです。つまり共済年金の形がそのままずっといくかどうか、こういういろいろな問題が出ますからそれはそれで一応、文部省の場合は後ほどにまた残しておきたい、こういうふうに思います。  この際、ちょっと年金と離れておりますが文部省に伺っておきたいのです。  というのは大蔵大臣、補助金一括法案の議論をここで長々とやりました。松永文部大臣は義務教育費の国庫負担制度改正ということに対して強い懸念を言ったわけです。特に給与の問題については、事務職員、栄養職員の義務教育費国庫負担からの廃止ということを大変強く言いましたし、中曽根総理もそのとおりだ、教壇に立つ教員と事務職員、栄養職員三者が一体になってこそ学校運営はできるのだ、中曽根総理もそういう答弁をされておるわけです。大蔵だけが最後まで逃げ回っておりまして、この点は明確なお答えがなかったわけでございますけれども、文部省として、予算編成になりますと補助金の問題がだんだん厳しいところに来ます。大蔵大臣は、六十一年度予算は欠陥予算だ、こう言って一生懸命防波堤をつくっているわけですけれども、そういたしますと、これはとにかく戦前、戦中、戦後を通じての義務教育費の国庫負担制度でございますから、そうなりますと、文部省として今いよいよ予算編成の大詰めに来ておりますが、この義務教育費国庫負担制度の問題についてどういうふうに考えておるのか、考え方を述べていただきたいと思います。
  133. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  義務教育費国庫負担制度の見直しの問題につきまして、実は、これまでのところ財政御当局から具体にどうこうというお話は全く伺っておりません。したがいまして、現時点で具体の対応ぶりにつきましてお答えいたしますことは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、義務教育費国庫負担制度、これは文部行政にとりましてまことに基幹的な制度でございます。したがいまして、それの本質的な部分、一番大切な部分、これはしっかりと守ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  134. 川崎寛治

    ○川崎委員 その基本を守るためには文部省としてひとつ頑張ってほしい、こういうふうに思います。  農林省、農林年金共済の問題ですが、これは文部省と同じこういう言い方をするのかどうか、審議会はありませんけれども、この点についての見解を伺いたいと思います。
  135. 阪田彰夫

    ○阪田説明員 御説明申し上げます。  先生御指摘のように、私どもには法律に基づく審議会はございませんが、農林漁業団体共済組合制度、これは農林漁業団体職員相互扶助制度として成り立っておりまして、私ども、経営者あるいは組合員あるいは各団体相互の利害調整については心がけておるつもりでございます。各団体ごとにつきましては、県レベルあるいは全国レベルあるいは農協、漁協、森林組合、そのレベルで話し合いをされておるやに聞いております。また、いわゆる組合会という、経営側と被用者との会議を持ちまして、これにおきまして私どもの説明をいたしております。また、そういう関係者を集めました農林年金制度に関する懇談会というものを昭和五十七年度から催しておりまして、そこで十分関係者の御意見も伺っておるつもりでございます。
  136. 川崎寛治

    ○川崎委員 国鉄共済の問題について、これはいずれ案が出てくるんだと思うのですが、要するに三つしかありませんね、大蔵大臣。つまり、共済グループを一つに統合するのかどうか、それから年金グループとの問題、そして国家財政。こうなりますと、これを検討する場所、大蔵大臣が検討するところは共済グループですよね。大蔵大臣の権限というのは共済グループ。そうしますと、国鉄共済の救済という問題については、共済グループと年金グループと国家財政。国家財政は大蔵大臣の所管になるわけです。その三つを進めていくという場合に、検討機関というのは、これは閣議だけではできないと私は思うのです。そうなりますと、検討する場所というのはどういう形をとられるつもりなのか、それを伺いたいと思うのです。
  137. 竹下登

    ○竹下国務大臣 おっしゃいますように、私どもの所管であります国家公務員共済組合ということになりますと、その審議会から、国鉄問題についてはこれ以上だめよ、こういう御答申をいただいているわけです。これはやはり官房長官からお答えがありましたように、確かに担当の私のところで、しかも一方は国庫大臣でもあるというようなところで検討しても結論が出ないんじゃないか、こういうお考えもあったでございましょう。したがって、審議終了までに結論を出します、こういうお答えがあっておるところであります。  昨晩も関係大臣全員と夜九時ごろから十一時半ぐらいまで相談をやりましたが、なかなかここのところまではまだ入っていけなくて、どっちかといえば、ここで今まで議論されたのを大体整理しまして、それの検討会をきのうはやった。今晩も実は、当然九時とか十時とかからまたもう一遍議論をしてみようということになっておるわけでありますが、今晩の場合は厚生大臣と私と官房長官と、各省の事務方に集まってもらいましてもう一遍議論をしてみようか、こういうことになっております。その結論については、しかるべき機会に官房長官からお答えをすることになるだろうというふうに思っております。
  138. 川崎寛治

    ○川崎委員 これ以上これは追及いたしません。  公企体の共済は、今廃止になったわけですが、懐は四つあるわけです。ところが、掛金率は全部違うわけです。そうしますと、例えばNTTを例にとってみますと、NTTは組織が民間になったのだから厚生年金に行くという話もあった。しかし連帯ということで国家公務員共済に統合されたわけですね。そこで、電電の時代からすると運営が大変厳しくなっている、こういう話なんです。だから企業年金、つまり三階部分ですね、企業年金制度ができるように手だてをしてほしい、私はこういう要求が労使双方にあると思う。その点いかがですか。そういう運営について自主性を認める。電電の場合には株式投資ができた。しかしそれが今は厳しく規制をされるようになってきている。ですから、そういう面では企業年金制度ができるようにしてくれ、こういう要求もあるわけでありますが、いかがですか。
  139. 門田實

    ○門田政府委員 御指摘のように、今NTTは国家公務員共済組合法の適用を受けて国共済に入っている、こういうことですが、そのいろいろな資産運用、積立金運用の面のお話だと思いますが、この統合法で統合される前と現在と比較いたしまして、この積立金の運用に何か厳しい制約を課しているということは、私も調べてみましたが、そういうことにはなっていない、こういうことでございまして、ただいまお話がございました株式につきましても、従来どおりの運用でやっておる、こういう事実のようでございます。  ただ、今お話がございましたように、民営化いたしますと、いろいろと自主設計といいますか、そういうことをやりたいという考え方も、これもまた立場立場でいろいろ考え方は違うようでございますが、やはりNTTの中におありだ、こういうことも十分あると思います。この点につきましては、法律的には税制適格年金とかそういったものの適用の方は一応自由にできる、こういうことでございますが、共済グループということで職域部分というものをああいう形で設計しておるわけでございますが、その辺をどういうふうに今後考えていきますか、NTT自体もそこらをもっと勉強したい、こう言っておりますので、その辺はその推移にまちたいと思います。
  140. 川崎寛治

    ○川崎委員 十分話し合って進めていただきたい、こう思います。  そこで、「公的年金制度の改革について」という五十九年二月二十四日の閣議決定があるわけでありますが、その統合化というのはどういうことなんですか。つまり財政計算を別にした統合というのと、財政計算を含めての統合、こういうふうになっていくわけでありますから、その点は、今も四共済は懐は別々、こういう点を言いましたが、今後、この閣議決定で言っております「給付負担の長期的な均衡を」図るため制度間の調整を、こういうことでございますけれども、今後の統合の進め方と言う場合に、六十五年、七十年、こうあるわけですね。そうしますと、そういう七十年の一元化ということに向けてのプロセスはどうなるのか。国鉄の統合の場合もそうですし、それから今回の四共済法案の場合もそうですけれども、審議会の議論をいろいろ委員の諸君から聞いてみましても、国会に出さにゃいかぬということで非常にせっぱ詰まった追い詰め方をしているわけですね。だから大蔵大臣、これはそういうことをいたしますと、年金全体の信頼度に、いろいろな面から非常によくないと思うのです。ですから、そういう制度の改革についてのプログラムというものは明確であるべきだ、こう思いますが、伺いたいと思います。
  141. 竹下登

    ○竹下国務大臣 昭和五十九年二月二十四日の閣議決定、それで「一元化を展望しつつ、」ということでございまして、その一環として今度御審議いただいておるのは国民共通の基礎年金の導入、したがって、給付水準の適正化等をその内容とします国民年金厚生年金改正案が成立して、そこで今度は、共済年金については、同じ給付水準の問題と基礎年金の導入ということを目的とする法律を今審議していただいておる。  ここまで来ますと、ほぼと申しましょうか、給付面における一元化がほぼ成ったと言えるのではないか。そういたしますと、六十一年度以降におきましては、今度は引き続いて給付面と負担面、こういうことの制度間調整ということが大きな課題になって、それを進めていこう、そして七十年を目途でいわゆる公的年金の一元化を完了させるということでありますので、いわば具体的な内容あるいはプロセスということになりますと、これはこれからの検討課題ではないかという考え方でございます。  今度は、もちろん国共審だけでやるわけにはいきませんし、いろいろなことが考えられるだろうと思いますが、その議論制度間の負担の調整みたいな感じになりますから、給付の一元化がほぼ完了したとすれば、まさにそれが一番重要な課題でありますので、具体的な中身についての検討はこれから、こういうことになります。
  142. 川崎寛治

    ○川崎委員 これから、まさにこれからですよね。そうしますと、これからその検討をしていくについては、従来の年金制度のあり方というものを検討していく、あるいはそれぞれ審議会もありますけれども、四共済それから国年、厚年、こうありますね。そうすると、四共済自体の制度間のいろいろな問題も、これは今の審議会ではできないと思うんですね、今の審議会ではできない。公的年金制度の一元化、こういうふうになりますと、目指すというのだから、七十年度になるのかならぬのかは別ですが、そうするとこれを検討する場所というのは今の制度の中、つまり今の制度というのは、今の審議会がそれぞれあるわけですが、そういう審議会のところではカバーできない。そうしますと、それはそういう検討に入る機関、どこで審議するかということはいつごろ明らかにするのですか。どういう機関でやるのか、それでいつごろ明らかにするのか。いかがですか。
  143. 門田實

    ○門田政府委員 お話しの審議会としましては、先ほど来出ておりますように、国家公務員共済組合審議会、それから地方公務員審議会、それから厚生年金の方で、今度ちょっと改組されましたが、年金審議会、こういうのがございまして、これがいわばそれぞれ併存しておるわけでございますが、その全体をカバーいたしまして社会保障制度審議会がございます。私どもがこういう法律案をつくります場合にも、個々の審議会から必ず社会保障制度審議会の方へ上がっていって、最終的にはそこを通って出てまいる、こういうことになっております。  今お尋ねのありましたような今後の負担の整合性を図っていくというような問題になりますと、もちろんそれぞれの審議会の検討も必要ですが、それだけでは、お話しのようになかなかうまくいかないのじゃないかという問題がございまして、かつて国共審で議論がありましたときにも、特に負担の問題はかなり数理的であり、専門的であり、社会保障制度審議会に年金数理部会なんというのがございますが、そういうようなところで扱われるといいのかなという御意見を出された委員の方もおられたわけでございます。いずれにいたしましても、やはりそういった全体をカバーするようなところで詰めていくことが必要であろう、こういうふうに思っております。
  144. 川崎寛治

    ○川崎委員 いいかげんなことを言っちゃいかぬですよ。社会保障制度審議会は、今議論されておる基礎年金はだめですと、いろいろ批判をしているわけですよ。だめですというか、そこらはちょっと後へおいて、要するに社会保障制度審議会は、時間をかけて基本年金制度にしなさい、一律のものにしなさい、こういうことで出したのだけれども、それはネグレクトして、基本問題構想研究会でしたか何かそういうものを政府の方でつくってしまって、それで厚生大臣のところでちゃからゃかとして統合法案を出してきたわけでしょう。だから、今言う国共審なり地共審なり、そういうものはこうします、こう言った。そうすると、農林年金や私学共済はどうなるのかということをさっき私は問題にしたわけです。そうしますと、なるほど国年と厚年は一緒になって年金審議会が発足をいたしました。しかし、それではカバーできません、だから社会保障制度審議会の数理部会、こう言われるわけだけれども、しかし社会保障制度審議会が設置法に基づいた審議会であっても、その建議というのが、第一建議、第二建議は無視されたわけでしょう。無視されるようなところで、してくださいなんというばかな話はないじゃないですか。どうするのですか。
  145. 門田實

    ○門田政府委員 今私がお話し申し上げましたのは、そういった年金数理部会を活用するようなことはどうか、そういう御意見もあったということで、一つの例としてお話をいたしたわけでございまして、それぞれの審議会がそれぞれのことをきちんとやるというのが今の建前でございますが、それだけでは十分ではないのではないかと言われるところは、まさにそういう感じがいたします、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  146. 川崎寛治

    ○川崎委員 だから、官房長官来てください、こう言ったんだ。総理大臣か官房長官だと思ったわけですよ。あるいは年金担当大臣が、そこまで含めて年金担当大臣をしているのかどうかわかりませんけれども、国務大臣としてどうなんですか。
  147. 竹下登

    ○竹下国務大臣 その辺も本当は今晩相談しようと、実は私の問題意識にあることはございます。が、官房長官はきょうちょっと出張しておりまして、まあ遅く帰ってきてもいいと思っておりますが、年金担当大臣はおられるわけですから、話をしてみようというふうには思っております。が、確かに国共審なんかは実際よくやっていただいておると思います。専売、電電には審議会がなかったのでございますが、そのときも経営者側も労働側も懇談会の形で随分積極的に参加していただいて、あの統合法案をつくったわけでございますから、今度もいろいろな形で意見を聴取しなければならぬという考え方を持っておりますが、私自身、今制度審できちんとやりますと言うわけにもいかぬじゃなかろうかな、それは年金担当大臣と相談してみようという考えはございます。
  148. 川崎寛治

    ○川崎委員 だからきょうは官房長官と年金担当大臣のお二人出てくださいということだったんだが、官房長官はどこかの大会に行かれる、長年の関係があるというわけで、どうしてもやむを得ないと思いました。年金担当大臣は参議院の社労に引っ張られておりまして、参議院の我が方の社労の委員から何とか回してくれということで私は了承したわけですよ。そうしますと、今の肝心な議論は詰まらぬわけです。  厚生省年金局長はどうなんですか。
  149. 吉原健二

    ○吉原政府委員 ただいまの問題につきましては、大蔵大臣からお答えされましたとおりでございまして、今後の七十年に向けての統合一元化というものを具体的にどういう形で進めていくか、またどういう場で審議なり検討をやっていくかということは非常に重要な問題でございますけれども、現在具体的にどうこうということを申し上げる段階にない、それはすべて六十一年度以降の今後の問題だと思っております。
  150. 川崎寛治

    ○川崎委員 だから、役所というのはいつもそう言うんだ。法律が通ったら次に検討します、こう言うわけですね。法律を通してください、こうなる。しかし、法律議論するについては七十年というめどを出しているんだからどうなんですかと言えば、六十一年からだ、こう言うわけでしょう。来年の四月以降でないとというこういう言い方。私はこれは大変問題があると思うのです。だから、これはいずれ各党間の問題にしなければいけないなと思っておりますが、やはり国会の中に年金対策特別委員会。私は今まで大蔵大臣の評価でいけば年金問題で五点でした。だから、一生懸命二十点くらいまで行こうと思ってやってきましたけれども、あの表を見たら目がくらくらするのですよ。目がくらくらするのですけれども、これはやはり大変な問題だなということはわかった。そうしますと、これはまさに税金もあるし社会保険料もあるし、給付もあるし負担もあるし、こうなる。それから財政投融資の問題もある。さらには資金運用部の問題もあるとなったら、これは各委員会でやっておれない問題だなという感じがしてきているのです。  だから、そうなるとこれは年金対策特別委員会というのか、この国会の中に設置をして、六十一年さらに七十年に向けての議論をしなければいけないな、こういう感じがいたします。ですから、これはいずれ国対を通して各党間で話し合ってもらわなければいかぬわけですけれども、どうですか、あなたが総理というふうな立場であってみれば、なおさらこれは難しい問題だなという感じがすると思います。つまり政府の間もそれぞれ縦割りですからなかなか難しいですね。それを超えるものがなかなかできないでおるわけです。その点について、国務大臣としての見解を伺いたいと思います。
  151. 竹下登

    ○竹下国務大臣 国会で特別委員会というようなことになりますと、政府の立場から感想を述べるわけにはいかぬというふうに思いますが、私も川崎さんと同じような問題意識を持っておることは事実でございます。私が百点とか五点とか言いましたのは、共済と書いてあるからともに助けるということがわかれば五点だというような意味で申し上げたわけでありますけれども、今度の国会を通じてそういう点数も、私も含めやむを得ず勉強しますからみんな随分上がってきておると思います。今までは、どちらかといえばプロの方にお任せしていたような嫌いが私自身もあったような気がいたしますだけに、広範な勉強はぜひ必要なことではないかと私は考えております。
  152. 川崎寛治

    ○川崎委員 ですから政府は、先ほど吉原局長も言いましたが、いずれにしましても今のものを超える検討機関が必要だ、こうなりますね。国会も当然対応する方向でなければならぬなということを思います。  そこで、年金の資金の運用についてお尋ねをいたしますが、局長年金積立金の本来の機能は何か、伺いたいと思います。
  153. 吉原健二

    ○吉原政府委員 年金の積立金は、将来の年金給付の財源といたしまして、保険料、積立金及びその運用利子、それから国の国庫負担、この三つがあるわけでございまして、年金の積み立て方式をとる限りにおきましては積立金及びその運用利子というものが将来の年金給付の貴重な財源になる、そういう観点から、この運用につきましては、私どもの立場から申し上げますと、安全、確実かっできるだけ有利に運用する必要があると考えているわけでございます。
  154. 川崎寛治

    ○川崎委員 この年金の積立資金の議論はこれで三回目だと思うのです。第一回目は、昭和十七年の労働者保険法が制定をされましたときに、この自主運用、有利運用ということについての要求があったわけですね。しかし、これはまさに戦争遂行のための強制貯蓄であり、戦費調達であったわけでありまして、これは連合審査の際に多賀谷さんからも、年金脱退者が出たいろいろな経過についても厳しくお話がありました。結局成熟度が非常に低い。やめているのが六百万を超す、もらっているのは二百万そこそこだという今日の厚生年金の実態もあるわけです。そういたしますと、十七年、そして十九年に今の厚生年金法という法律に変わるわけでありますけれども、三十六年に皆年金ということで国民年金が制定されるわけでありますが、その前後にまた年金資金の運用の問題については非常に議論があったと思います。  大蔵大臣から、坂口委員の御質問に対しまして、資金運用審議会のあり方についてお答えがございました。役に立たぬ、役に立っていないという大変率直な御意見もあったわけです。資金運用審議会というのは今日何をするところか、お伺いしたいと思います。
  155. 窪田弘

    ○窪田政府委員 資金運用審議会は資金運用部資金法に定められておりますが、権限といたしましては、大蔵大臣の諮問に応じ、資金運用部資金の運用の方針、条件その他、資金運用部資金の運用に関する重要事項を調査審議する、こうなっております。ただ、その資金運用部資金法の中には資金運用計画は運用審議会にかけなければいけないというふうな規定もございまして、制度上は、やや運用面の審議というところに重点が置かれているわけでございます。
  156. 川崎寛治

    ○川崎委員 三十四年から三十六年にかけまして年金資金の議論がありましたときに、資金運用審議会は改組するわけです。それは、保険料を納めた年金保険料拠出者の意向を反映させるための改組だ、こうなっているわけですよ。ところが大蔵大臣は、坂口さんの質問に対しては、そういう機能を果たしていないということをお認めになっているわけです。そうしましたら、運用審議会というのは要するに資金運用部資金の運用に終わっている、つまり三十六年の年金資金の運用の問題が議論になったときの精神はなくなっているというふうに見てよろしいですか。
  157. 窪田弘

    ○窪田政府委員 三十六年の一月、国民年金積立金等の運用方針というのを大蔵省と厚生省の間で取り決めましたときに、資金運用審議会を改組し、資金運用部資金全体の公正妥当な運営を図るという取り決めがなされております。従来役人ベースでやっておりましたのを、民間の有識者に入っていただき、あるいは会長も民間の方にやっていただくというような改組を行いました。その後も年金のことを常に念頭に置いていただいておりまして、先般も預託金利を〇・三下げましたような際には、やはり資金運用審議会にお諮りをして御了承をいただいております。
  158. 川崎寛治

    ○川崎委員 資金運用審議会の開催状況というのは「五十八年度実績について」、「六十年度財投要求について各省庁からヒアリング」、また「ヒアリング」、「財投追加について」、「六十年度財投計画について」、「財投追加(地方公共団体への貸付)について」、こういうことなんですね。つまり、改組をして拠出者の意向云々ということは三十六年で終わっているわけです。それで、三十六年のときには資金運用審議会とそれから国民年金審議会と社会保障制度審議会と三つが、運用審議会も建議をし、国民年金審議会は答申を出し、社会保障制度審議会は要望を出した。しかし、結局これは資金運用部資金の一元的統合運用、統合管理運用ということで押し切られているわけです。年金局長とうですか、ここのところ。
  159. 吉原健二

    ○吉原政府委員 年金資金につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、制度ができましたときからこの資金についてはできるだけ自主、有利な運用をさしていただきたいというお願いをしておったわけでございます。それで、国民年金ができました昭和三十六年におきましても、そういった要望を踏まえまして大蔵省と御相談をさしていただいたわけでございますが、基本的にはその要求は認められなかったわけでございます。ただ、昭和三十六年におきましては、できるだけその資金を国民生活に直接役立つ分野に使う、融資をするということが決まりまして還元融資の割合などが拡大をされましたし、年金事業団等の設置も認められたわけでございます。  自来約二十五年ほど経過をするわけでございますけれども、今回御案内のように大変厳しい年金改正をやっているわけでございます。私ども、年金財政の長期的安定のためにはこれからも毎年相当急ピッチで保険料を上げていかなければならないわけでございますが、やはりそれと同時に年金積立金というものはできるだけ有利に運営さしていただいて、できるだけ保険料上昇を抑制をしていくということも必要なのではないかと思っておるわけでございます。そういう考え方に立ちまして、今の時期に改めて年金資金につきましては、全部とは申しませんけれども、約半分程度を、新規積立金の半分程度を有利に、高利に運用し得る道を開いていただきたいということで大蔵省にお願いをしているわけでございます。
  160. 川崎寛治

    ○川崎委員 これは後ほど少し入りますけれども、理財局長の私的諮問機関として五十六年に設置されました年金資金懇談会というのは何ですか。
  161. 窪田弘

    ○窪田政府委員 五十四年の十二月に五十五年度予算折衝に関連いたしまして厚生省と御相談を申し上げた事項の中に、年金資金懇談会を設置いたしまして、年金資金をお預かりしているという点につきましていろいろ御意見を承る、こういう制度をつくったわけでございます。
  162. 川崎寛治

    ○川崎委員 これはそのように機能してきましたか。振り返ってみますと、もともとこれは厚生年金国民年金の拠出者の立場から財投計面、預託金利等について聞くという機関で、五十六年に発足しているわけですね。ところが、大蔵大臣、五十九年「五十九年度財投計画決定の報告について」、十一月「六十年度財投計画要求の概要について」、六十年二月六日「六十年度財投計画決定の報告について」、十月九日、今度の預託金利を七・一から六・八に下げた、そのときの「預託金利改定 六十一年度財投計画要求の概要について」というわけで、厚年や、国年の拠出者の立場から財投計画というものをやるという形での進み方をしていないのですね。そうしますと、大蔵大臣、大蔵省として財投——これは財投研究会もそうだ。財投研究会の審議録を持ってきてくれ、財投の見直しの議論を少し検討してみたいと思いましてね。ところが、とうとう持ってこずに、最後にぺらぺらと、こういう問題が挙げられておりますというメモをもらいましたけれども、この年金資金懇談会も今言う年金資金の運用というものについては議論をする場所ではありませんね。
  163. 窪田弘

    ○窪田政府委員 従来の実績から見まして、率直に言って十分ではなかったと思いますが、ただ私どもも統合運用、政府の特別会計から生み出されたお金は統合してお預かりするという立場ではございますが、その中に大切な年金のお金をお預かりしているということは絶えず念頭に置いておりまして、その開催は少のうございますけれども、いろ。いろな機会に御意見を伺い、また、我々そういう自戒をしておるところでございます。
  164. 川崎寛治

    ○川崎委員 財政投融資というのは、外国ではどこにありますか。
  165. 窪田弘

    ○窪田政府委員 これはイギリスの統合資金あるいはアメリカの連邦資金銀行でございましたか、正確な名前はあれでございますが、あとはドイツ等に、同じではございませんが、こういう公的金融の制度はございます。
  166. 川崎寛治

    ○川崎委員 それは、フランスも国民貯蓄金庫とかいうもの、住宅ローンですね。それからイギリスの場合ですと、国家貸付基金という、国債発行の収入金で賄っております国有企業や地方公共団体への資金供給、こういうのはありますけれども、いわゆる第二予算としての日本のような財政投融資計画というのは外国にはない、こういうふうに理解してよろしいですね。
  167. 窪田弘

    ○窪田政府委員 日本ほど大規模なものは確かにございません。それは、どこの国でも郵便貯金が日本ほど大規模なものはないわけでございまして、そういったものを運用するという、政府が受け入れている預金の規模が非常に小そうございます。したがいまして、今御指摘のような国々の、例えばフランスでもその規模は約八兆円というふうな小さなものでございます。ただ英国では、投資部門の予算どこういう財投的なものとを一緒にして、昔の両線下の予算というものを運営しておりますので、国債発行もそこでやる、貯金も受け入れるというようなかなり独特の制度がございまして、これなどは日本の財投にかなり似通ったところがあるのではないかと思っております。
  168. 川崎寛治

    ○川崎委員 そこで、要するに財投の資金運用部資金というのが問題になるわけでして、これは明治以来あるわけですわ。いずれにしましても、明治以来やってきておるのは、戦費調達で来ておるわけです。明治から、日清、日露、そして太平洋戦争とずっと、郵便貯金にしましてもあるいは十七年に発足しました労働者保険にしましても、強制貯蓄、戦費調達という性格のもので来ておるわけでありまして、そうなりますと、急速な高齢化社会を迎えるという中での年金資金の運用という問題についてはもう今までのままではいけないというのが財投の見直しにもなっていると思うのです。  しかし、この財投研究会がそういう中で、私は、大変御苦労いただいて財政投融資のやってきた役割というのも全く否定するというわけじゃないですよ。ではないけれども、ただ年金資金のあり方について大変問題がある、こういうふうに私は思うわけであります。  そういたしますと、財投のあり方というものについて、委員の先生方がするわけですからとやかく言うべき、批判すべきでないと言えばそれまでかもわかりません。しかし数十年にわたるであろう年金制度の大改革だ、こういうわけです。そして財投資金の積み残しというのが毎年出てきておる。五十二年には四兆八千億、未消化率が二六・三%、五十八年度に三兆六千億、未消化率が一四・九%、五十九年度は四兆九千億で二〇・九%、こういうぐあいに積み残しがあるわけですし、それから輸出入銀行が五〇%、医療金融公庫が六〇%、そして海外経済協力基金、こういうぐあいに政策金融の問題が大変問題になっているわけです。  そういう中で、では財投研究会というのが今日の年金改革に向けて財政投融資の見直しという要求にこたえてきたのかといえば、実は財投研究会というものがやってきている、これは財投機関のそれぞれを見直しておる、それは確かに必要なことだと思います。しかしその中の資金運用部資金そして年金資金という問題の一番国民に密接なところについては後回しになっている。これは大蔵大臣、財投研究会にそれを期待するのがいけないのかもしれませんけれども、ただ年金資金というのはつまり給付負担、いかにして給付を減らさないようにするか、いかにして負担を軽くするかというのが給付負担の問題ですよね。そういたしますと、そういう中で、財投が第二の国鉄とまで言われるような今の状況の中で年金資金と絡む点での検討という面で言いますならば、私は大蔵省としてはこれは財投研究会に責任をかぶせちゃいけないと思うのです。大蔵大臣どうですか。年金資金懇談会もそうじゃない、資金運用審議会もそうじゃない、財投研究会もそうじゃない、こうなりましたら何をやっておったのか。
  169. 窪田弘

    ○窪田政府委員 大臣のお答えの前に事実を述べさせていただきますが、財投研究会は去年十月に発足をさせていただきまして、過去一年間は運用面、各機関ごとにフリートーキングをしていただきまして、特に結論らしいものも出ておりません。それで、ことしの秋以降は財投の今までの歴史をレビューしながら問題点を洗い出していただいておりまして、確かにそういう意味ではまだほんの始まったばかりという感じでございますが、実は我々がこういう勉強を始めるに至りました契機には、臨調の答申で財投改革の必要性というものをはっきり指摘していただいております。それを受けて我々自身まず勉強してみようということでつくったわけでございますが、この臨調の答申の中ではやはり年金につきまして有利運用の要請があるということ、それから年金の将来については、かなり将来では賦課方式に移行する奇想定されているというふうな年金の将来展望をした上で、しかし、なおかつ今の統合運用を前提としながら、いろいろ改革の御意見をいただいておりますので、これを一つ一つ今後実行していこうという我々の勉強の場として財投研究会をやっていただいておるわけでございます。
  170. 川崎寛治

    ○川崎委員 臨調を持ってくるなら、今あなたが読み上げられたように「公共性の観点も重要であるが、原資の性格からくる要請にかんがみ、これまで以上に有利な運用にも配意する。」こうありますね。大蔵省、これをどういうふうにやっているのですか。
  171. 窪田弘

    ○窪田政府委員 運用部の預託金利は従来は郵便貯金の金利と同じ時期もございましたし、先ほど御指摘の三十六年以降は七年物の預託をつくりまして高い金利を設けました。  それから今後の預託金利を展望しますと、従来のような硬直的なあり方ではなくて、市場実勢というものができますので、それを見ながら運用していく。ただ運用に厳しい制限がありますためにその有利さには限界がありますけれども、年金資金を運用するという立場から、長期資金の実勢を見ながら極力有利な運用に心がけてまいりたい、こう考えております。
  172. 川崎寛治

    ○川崎委員 私の聞き方が悪かったと思うのですが、そうではないのですよ。つまり、臨調のそれを受けて財投研究会をやっております、こう言ったわけです。そうしたならば、これまで以上に有利な運用にも配慮するという、そこはどういう検討機関をつくってその検討をやっておりますかと聞いておるのです。
  173. 窪田弘

    ○窪田政府委員 資金運用部資金法というのはこの運用対象を非常に厳格にしておりますが、例えば現在の民活を利用して公共事業的部門に民間活力を利用するというふうな時代から見ると、その運用対象がちょっとどうかな、あるいは戦前の預全部資金制度では外国の債券なども買っておりました。今日の時点でそういう点も検討すべきではないか、こういう運用面でも見直してまいりたいと思っております。
  174. 川崎寛治

    ○川崎委員 いやそうじゃないのです。財投研究会をつくって、臨調を受けております、こう言ったから、有利運用ということも考えなさいよ、こう言っているのだから、それなら有利運用のことについての検討機関は何をつくってやっておられるのですか、それがないのですよ。そっちの方がなくて一元運用、一元的な管理運用が大事ですという結論を出すばかりではだめなんですよ。だから、そこを肝心の国民立場の方の、つまり高齢化社会、高齢化社会と言うのでしょう。高齢化社会を言うのだったら、その中で有利な運用も検討しなさいと臨調が言っているのだ、だから臨調のそこを、どういう機関をつくって大蔵省としては検討しております、こうなければ、この数十年間に及ぶであろうという六年金改革に対応する大蔵省の姿勢ではないと私は思うのですよ。
  175. 窪田弘

    ○窪田政府委員 私の言葉が舌足らずで申しわけございませんが、この臨調の答申の中では「資金運用部を通じた資金の運用においては公共性の観点も重要であるが、原資の性格からくる要請にかんがみ、これまで以上に有利な運用にも配意する。」こういうことでございます。これは全体の広範な指摘の中の一項目でございます。したがいまして、こういう全体を通じて財投研究会という場でも勉強をしていただく、あるいはそういう点も離れて我々自身も勉強していかなければならないと思っております。
  176. 川崎寛治

    ○川崎委員 私は理財局長と繰り返しやりたくないと思うので、大蔵大臣、つまり今の年金改革というのは何年展望するか。これはこれからの問題にもなると思いますよ、七十年というのは一つの統合のめどですけれども。そうしますと、そういう中で今大蔵省は、この年金資金の問題については、厚生省が言うような形での面に手をつけさせまいということだけで来ているのですよ、正直言って。しかし一方、財投機関というのはもう第二の国鉄という方向に今どんどん落ち込みつつある。だから、そうなるとすると年金資金というものについては、これは厚生省だけでもだめ、厚生省は大蔵省に要求するだけに終わってしまう。  そうすると大蔵省の方は財投研究会だ、こう言われるけれども、財投研究会の方は財投機関のあり方に今重点があって、この年金改革には間に合わないという議論の進め方をしておる。こうなりますと、年金制度の統合一元化というそういう方向を目指しながら、その中で年金資金の運用のあり方について検討する機関、これは大蔵省、厚生省を超えるものがなければこれは進まぬのだ、こういうふうに私は思います。だからきょう官房長官、年金大臣、お二人来ていただきたかったのだけれども、それがおられませんから、大蔵大臣に聞いたってこれは答えはわかっているようなものだけれども、国務大臣として、つまり今枠を超えなければいかぬ、しかし超えたら困る、いかがですか、そこのところ。
  177. 竹下登

    ○竹下国務大臣 この財投というもの、逐年見直しをしながら世の中のニーズに合うように随分性格的には復興金融金庫の時代から見れば大変な変貌を遂げております。しかし、この議論が非常にかまびすしくなって、そして臨調からの答申もあり、やはり勉強しなきゃいかぬなというので、去年理財局長の私的相談会とでも申しますか、財投研究会というのができた。財投研究会で私はかなりいろんな整理がなされるだろうと思います。それを今度はどこへぶち込んでもう一遍仕上げの議論をしてもらうかということになると、本当は一つは資金運用審議会が考えられることは考えられます。が、少し偉過ぎるのじゃないかという感じもしないわけでもございませんし、したがってそういうところで議論をしていかなきゃならぬ問題だなというふうに思っております。今までのところの臨調、行革審等の答申は、とにかく運用は一元化でやりなさいよということは言われておるわけでありますが、さりとて毎年、郵政省は毎年でございますが、出てくるのを要求権を抑えるわけにもいかぬというので、毎年議論になり、場合によっては継続審議みたいにして続いておる。一つは、私はか知らなくて相手は一年でかわられるということも一つの災いなのかなという気もせぬでもございません、率直に言って。  したがって、今回の問題は問題として、これは予算編成期にまでは決着をつけなければいかぬ問題でございますが、今までどちらかといえば日本独特の郵便貯金というものを原資にした対応の仕方、それで新たに年金というものが膨大な額になってきた今日、若干原局でも両者の意見は、必ずしも僕は一緒ではないだろうと思います。したがって、その辺の整理もしながら議論は進めていかなきゃならぬのだなという問題意識は持っておりますけれども、今のところ、されば厚生省から要求の出ておりますのを認めますとかいうような状態段階ではないということでございます。
  178. 川崎寛治

    ○川崎委員 ちっとも前進せぬわけですよ。だからやはりこれは大蔵大臣を超えるどこかで検討しなきゃならぬところに来ていると思う。理財局長の私的諮問機関ではだめなんですよ。これは財政投融資のあり方そのものを問うのに——だから各機関の検討はいいですよ。財投機関の検討は理財局長の私的諮問機関でいいのです。しかし、財政投融資そのもの、あるいはさらには資金運用部資金、さらには年金資金の運用、そういうことになりますと、高齢化社会に向かってのあり方を検討する機関としては、これは私は、大蔵大臣を超えなきゃいかぬ。だから、大蔵大臣を超える機関の検討ということを要求しておきたい、こう思います。これはもう大臣に聞いたって自分を超えるものをいいなんて言わぬでしょうから、要求しておきます。  そこで、ちょっと時間がなくなりましたので先を急ぎたいと思うのですが、厚生省、離婚のことです。  八四年の九月に、離婚に関する人口動態統計特殊報告というのが出されております。これを見ますと八三年で十八万ぐらいという離婚件数で、これを見ますと、やはりなかなか難しい時代に入っているなという感じがするのですよ。婚姻率はぐんと落ちるのです。離婚率はぐんと上がっていく。そうしますと、いわゆる婦人の年金権という問題はなかなか、そこを見ても大変だな、こう思うのです。これは時間の関係で細かにもうできませんけれども、問題は、一般世帯の税込み平均年収が四百四十四万円、死別母子世帯の場合が二百四十万円、離別の母子家庭というのは百七十七万円ですね。  そういたしますと、ここから出てくる問題は何かというと、婚姻率は減ってきている。それから離婚率はふえている。しかも、母子世帯を見てみましても、生別母子世帯と死別母子世帯で、死別母子世帯の場合には、夫の方の遺族に対するいろいろな問題、手当やら何やらありますから、そういうものから来るのがあって二百四十万。ところが、離別の母子家庭の場合には百七十七万と、ぐんと落ち込むのです。そうなりますと、これは必ず無年金になっていく、こういうふうに私は思います。それはもう今の、つまり夫婦でいくこのあれにならない。じゃ、離別のこの母子世帯が一号の被保険者になれるかといえば、今のこの状態ではなれない。こうなりますと、婦人の年金権という問題はまさにこれまでいろいろ議論があったわけでありますけれども、これは大変実行は難しい問題になるなという感じがいたします。  そこで、そういうものを踏まえながら、衆参における統合法案のときの修正案の問題について伺いたいと思います。つまり、衆議院の修正案は、国民年金の費用負担所得比例等との関連を考慮の上、総合的に検討、それから参議院の修正が、基礎年金水準、費用負担等について今後検討、こういうふうになっているわけです。そうなりますと、この修正案というのは何年までにやるんですか、局長
  179. 吉原健二

    ○吉原政府委員 私ども、今回は年金制度始まって以来の大改革でございますけれども、通常の給付水準の見直し等は、原則として五年ごとに財政計算をして将来の収支見通しを見直した上で保険料水準なり給付水準なりを見直していくということにしているわけでございまして、国民年金あるいは厚生年金について修正でもって今後の検討課題とされました、今御指摘のありましたような大きな問題につきましては、私どもとしては一応次の財政計算をめどに検討さしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  180. 川崎寛治

    ○川崎委員 次の財政計算というと六十五年ということですね。
  181. 吉原健二

    ○吉原政府委員 六十年、ことし法律を通していただいたわけでございますから、六十五年までということになるかと思います。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕
  182. 川崎寛治

    ○川崎委員 それでは、最後に厚生省にお尋ねしますが、これ、実は頼まれたものだから少し詰めなきゃいかぬと思っているのですけれども、年金担保の貸し付けですね。年金担保の貸し付けというのは、今、改正になりまして百九十万まで貸し付けが行われるということになっておりますね。ところが、これは償還方法が問題だと思うのですよ。原則として担保に供された年金の支給金をもって弁済に充当する、こうなっておりますね。そういたしますと、いずれにしても百九十万借りたらこの百九十万返すまでは年金支給はない、こうなるわけですよね。私はこれは非情だと思いますね。だからこれはひとつ見直しをやらにゃいかぬ。そして、幾つかの段階をかけながら、ひとつこの償還についてはもう少し血と涙のある償還方法というのが考えられていいんじゃないか。年金で全部返すまであとは貸さぬ、こういうやり方を私は非常に冷たい、こう思います。これの見直しというものについて伺いたいと思います。
  183. 吉原健二

    ○吉原政府委員 せんだっても同様な趣旨の御質問を受けたわけでございますけれども、本来年金を担保にした貸し付けというのは、果たして年金受給者のためにいいんだろうか、どうだろうかという疑問を私ども実は持っておるわけでございます。そういった考え方に立ちまして、従来は年金を担保とした貸し付けは認めることができないということが法律で禁止をされておったわけでございます。ところが恩給につきましては、いわば限定的な形でそういった恩給を担保にした貸し付けが既に行われていたというような経緯がございましたので、受給者からの御要望もございまして、恩給に準じた形での、まあ限定的といいますか非常に制限した形で私ども貸し付けを今やらしていただいているわけでございます。  今御指摘のような問題は、実は恩給も昔からそういうやり方をやっておりまして、いわば一定期間は自分のもらう恩給は全部借りた借金の返済に充てられるということになっているわけでございますので、せっかくの御指摘でございますけれども、今年金だけ緩めるのがいいかどうか、若干問題もあるんじゃないかという気もいたします。この制度のあり方全体を含めまして十分検討さしていただきたいと思います。
  184. 川崎寛治

    ○川崎委員 ほかの国民金融公庫その他は違うわけですよね。だからこれは、やっぱり貸すのがいけないということで禁止しておったということでございますけれども、やっぱりみんな深刻な要求があるわけですから、そういたしますと、従来、年金で返し終わるまでは貸さないんだ、——支給がないわけで、ストップになっちゃうわけですから、そこは恩給とともに年金担保の貸し付けについてももう少し余裕のある見直しをやるべきだ、してほしい、こういうふうに再検討してほしい、こう思うのです。これは大蔵省どうですか。
  185. 窪田弘

    ○窪田政府委員 厚生省からお答えがありましたようになかなか難しい問題だと思いますが、厚生省ともよく相談をしてみたいと思います。
  186. 川崎寛治

    ○川崎委員 暮らせる年金ということについて非常に要望が強い、それから一方では税金について大変厳しい思いがあるという、両方の痛みと希望ですね、そういうものに対してどうこたえていくかということが政治だ、こういうふうに思いますので、今の問題も含めまして、厚生省と話し合いたい、こういうわけですから、ひとつ検討してほしい。そしてさらに年金資金の運用の問題については、最後にひとつ、大蔵大臣を超えるそういう検討の機関というものをつくってやらにゃいかぬのだということを希望して、終わりたいと思います。
  187. 熊谷弘

    ○熊谷委員長代理 渋沢利久君。
  188. 渋沢利久

    ○渋沢委員 まず最初に、昨年来国民年金厚生年金、こうして共済年金に至る一連の年金大改革の大目的を伺うところから始めたいと思います。まず先に大蔵大臣から、この一連の改正の大目的は何であるかということからひとつお話を承りたい。
  189. 竹下登

    ○竹下国務大臣 やっぱり公的年金制度全体の長期的な安定と整合性ある発展を図る、それで、その一環がまさに今御審議いただいておる法律ではないかというふうに考えております。
  190. 渋沢利久

    ○渋沢委員 厚生省
  191. 山内豊徳

    ○山内政府委員 今大蔵大臣からお答えございましたように、長期的に安定した年金の姿を実現しなければならない。そのために具体的には基礎年金の導入という形で安定性をねらうと同時に、もう一つ給付負担を適正な水準にするということで、厚生年金国民年金につきましても、現行制度のままではかなりの給付が実現し、またそのためにはかなりの負担が必要であるものを適正な水準にいずれも抑えるということが今回改正の大きな基本的な考え方になっております。
  192. 渋沢利久

    ○渋沢委員 今の御説明を聞きましても、大蔵省がお出しになりました解説書の説明を見ましても、言うところの長期的に安定した年金制度が維持されるようと、この一点に尽きる。今大臣が説明をされたことに集約されているわけであります。しかし、何十年に一度の日本年金制度の大改革という場合に、長期的な安定というのはどうも年金財政基盤を安定させるということに絞られた趣旨になっていると思うのであります。しかし、年金制度を根っこからいじるということで言えば、実際国民が待望している年金制度への期待感、あるいは現状に対するさまざまな不満、批判というものを総合して、そして、言うところの高齢化社会へ向けてこれから立ち向かう日本のこの年金制度の到達点、目標といいますか、そういうものが掲げられて、そこへ到達するための道筋というものを明らかにしていく。それで、さまざま障害になっている部分、問題のある部分に、理想的な年金制度をつくり上げていくために避けて通れない困難な課題というものに大胆に真正面から取り組んで、そしてまさに抜本的な解決、こう言えるような目標を掲げて、そこへ向かう道筋を明らかにする。その過程ではこういう負担を強いるかもしれない。負担という側面では、さまざまな新たな負担が出てくるかもしれない。あるいは負担のあり方を整理する。けれども、将来目標として、困難が予想される高齢化社会へ向けて、こういう状況を必ずこういうプログラムの中で切り開いていくというような、夢もあり、しかも現実の困難な課題を具体的に洗い直し改めていくというようなものでなければ、何十年に一度という年金制度の大改革などとおっしゃるには、これは日本の政府の言いようとしては、いささか制度問題にだけ短小化されていやしないかという感じがするわけであります。その辺をもう少し具体的に、いやそれは君の読み違いである、こういうことであれば、ひとつぜひ御説明を賜りたいものだというふうに思います。
  193. 山内豊徳

    ○山内政府委員 今先生がおっしゃいましたように、年金の大改革をうたう以上といいますか、うたうためには、掲げられるあるべき年金の姿あるいはそれに必要な負担の実態をまず提示して、それに行く道筋を明らかにすべきではないかということでございますが、私どもある意味では、年金のあるべき姿をお示しする場合には確かにその考えをとるべきだと思いますが、実は特に厚生年金のような既に昭和十七年以来の歴史を持った公的年金制度の今回の改正の私どもの考え方の道筋は、むしろこれまで十七年以来いろいろな改正を加えてきました厚生年金がもし現行のままにされると、どのような給付が実現するか、これについては一、二の資料で数字を挙げて、一般現役勤労者の平均標準がどのくらいになるかということが見通しがつくわけでございますが、それは当然にその裏腹として毎月の稼働所得の二十何%、三十何%という負担を伴うわけでございます。それを私ども提示しました上で、これでは負担としてもピーク時においてはとても持ちこたえ切れないという、先生のお話の発想からすればやや後ろ向きには聞こえるかと思いますが、私ども、現にある厚生年金というものが既に今の仕組みの中にそういったものを、高い数字になり得る要素を持っていることを前提に今回の作業を始めたわけでございますものですから、厚生年金にしましてもあるいは国民年金にしましても、白地に絵をかいて、これくらいの年金を実現するということよりも、現行のままで推移するとこのようになるから、そこに行かないように給付を適正にし、かつそれに伴う負担も適正にするという大きな発想で今回の大改革を設計したわけでございます。
  194. 渋沢利久

    ○渋沢委員 年金改革、今次の改正にかかわるさまざまな審議会の答申の中でも共通して明確に示されておりますけれども、あるいは過般の国民年金厚生年金改正案の衆参の審議経過を通して修正や附帯決議がさまざまな確認の中で指摘されているように、現在の年金水準を引き上げる。今、これは五年区切りでその検討に着手するというふうに川崎委員の指摘に触れて答えられておりましたけれども、現状の年金水準というものについてどういう認識を持っておられるのか。一元化あるいは官民格差と言うけれども、どこに合わせて一元化しようと言うのか、一本化しようと言うのか。それはもう明らかに、高いところを目標にして、そこへ引き上げるという一元化ではない、全く逆の方向に行っているという懸念が非常に強いわけです。  基礎年金というものが今次改正の目玉だと言われるのですけれども、後でまた尋ねますが、これはしかし財政調整のためのシステムでしかないという懸念もあると思うのであります。厚生大臣にお見えいただきましたが、実年という五、六十代の呼称について、きのう何か名づけ親である厚生大臣に、私なども社会党の実年前期の一人として実年大臣にお尋ねをする機会を得たことを大変うれしく思うのですが、先ほど川崎さんも国民日本年金制度に対する期待感、信頼感に触れて幾つかのデータをお示しになっておりましたけれども、比較的新しい、ことしの九月十五日の敬老の日に、それを前にして全国の調査、これは毎年やっておられる時事通信の調査でございますけれども、この中であなたの老後について非常に明るく受けとめているか、暗いイメージで受けとめているか、心配しておるかという、そういう選択の中で非常に前途は暗い、私の老後は暗いと受けとめているのが去年は四二・六%であったものが、ことしは四九%に伸びておる。明るいと受けとめておった層は去年が一九・五%、ことしは一六・九%というように減っているというデータが出ているわけであります。  厚生大臣、この国会は共済年金審議をしているわけですけれども、まさにこれは国民年金厚生年金共済年金を貫く基礎年金というものを軸にした一連の年金改革案の審議と受けとめてお尋ねするわけです。厚生年金国民年金の持っている弱点といいますか問題点というようなことで考えてみると、やはり日本の現在の年金水準はかなり低い。この低い年金水準をどう高めるかということ、そしてそういう形で統合していく、一本化していくという、底上げというものが年金改革の出発点じゃないのか。五万円年金といろいろ言っても、現実は国民の皆様が正直にこのアンケートで受けとめておりますように、不安だけがまだいっぱいというのが現状なのではないでしょうか。今の年金水準の現状というものについて厚生大臣はどういう認識でいらっしゃるのですか。
  195. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 年金水準につきましては、いろいろな考え方があるだろうと思うわけでありますけれども、例えば厚生年金に例をとりますと、現在現役勤労者の平均月収の六八%までに達しておるわけでございまして、現役の賃金から見ますと既にかなりの水準に達しておると思います。国民年金の場合には比例報酬部分がございませんので、多少の議論の余地があるかと思いますけれども、厚生年金の例で言いますと、この制度がかなりの立場に立っておる。もし仮に先般改正をいたしません場合には給付水準は恐らく現役勤労者の平均月収の八三%までに達し、多少過度な嫌いがある。それに伴いまして、保険料負担ピーク時に過重になるということが見込まれて今回の改正を行ったわけでございまして、そういう意味合いから申しますと、かなりの水準に達していると思わざるを得ないというふうに考えております。
  196. 渋沢利久

    ○渋沢委員 国民年金老齢年金の現在の受給者の平均受給月額というのは幾らになっているのでしょうか。
  197. 山内豊徳

    ○山内政府委員 御存じのように国民年金につきましては、五年年金あるいは十年年金と経過的に加入期間が非常に短い方がいらっしゃいますので、一番新しい統計で全平均をとりますと三万二千円台の数字になっております。ただ、現在でも最高加入期間が十九年という方の年金がございますので、平均は今のとおりでございますが、十九年加入者の場合四万二千三百円余りの額の水準が現在支給されている方もいらっしゃるわけでごさます。
  198. 渋沢利久

    ○渋沢委員 千二百五十万いる老齢年金受給者の中で、月三万円以下という人たちはどのくらいの割合を占めているわけですか。
  199. 山内豊徳

    ○山内政府委員 現在の老齢年金受給者は、国民年金だけとりましても掛金を掛けるという仕組みになっていなかった福祉年金受給者も入っておられますので、そういう無拠出の受給者を入れますと、今言いました拠出年金の平均に達しない受給者の数が、ちょっと私の手元に正確な数字がなくて恐縮でございますが、三割からこれを超える数字が出てこようかと思います。
  200. 渋沢利久

    ○渋沢委員 いろいろ申しませんけれども、私どもの調べた範囲ではもっとひどい状況になっていると思うのであります。現実は非常に低い年金水準にあります。  例えば、国民年金保険料の滞納とか免除申請とかいうのは減る方向じゃなしにふえる方向に進んでおる。実質無年金状態。一番年金の重み、ありがたみ、恩恵を享受してほしい階層に一番年金が薄くなっていくという趨勢、懸念が現実にはあるわけでしょう。しかし、今国民年金保険料の免除申請はどうですか、減っていますか。滞納は減っていますか。ふえているでしょう。どのくらいの割合にいっているのですか。
  201. 山内豊徳

    ○山内政府委員 先生御指摘のように、国民年金の場合、免除を受ける方あるいは手続上滞納のままに終わっている方がいらっしゃるわけです。  まず、免除について申し上げますと、平均的なパーセンテージとしまして、全都道府県を平均しますと一七%台ということでございますが、地域によってかなりの差があることは事実でございます。なお全体として実数で見てみますと、免除を受けている人の数はそんなに大きくふえないのでございますが、国民年金全体の加入者の数がむしろ横ばいなりマイナスぎみでございますので、率としては微増と申しますか、全国平均値でも率にしてみますと免除を受けている人がやや高まっている傾向は若干ございます。
  202. 渋沢利久

    ○渋沢委員 法定の免除、申請免除はおびただしい数になっておる。六人に一人くらいの割合になっておるのじゃないですか。これは大変おびただしい形でふえております。五十二年には九%程度だったものが、今一六・七%というような数字になっておるのじゃないですか。私、驚いたのは、保険料の検認率も東京、大阪なんかひどいのです。十人に一人くらいの割合で未納、滞納という状態になっておるのじゃないですか。これは先ほど婦人年金とのかかわりで、川崎委員も無年金者はなくならぬという御指摘がありましたけれども、皆年金、皆年金とすべての国民年金保障するとうたいとげるのはいいけれども、厚生大臣は年金水準は非常に上がっておるとおっしゃったけれども、現実には国民年金の中にはこの保険料を払えない、前の状態では払えない、これからだんだん多くなるわけですから。そういう状態で免除申請がふえる、未納、滞納がふえるという状況が進んでおる。全体じゃありませんけれども、特に大都会は十人に一人というのはちょっと驚くべき数字。しかし、比較的失業多発県とか、通産が特にどうしなければならぬというような地域設定をしているような部分で、さすがに北海道や沖縄なんかほかから見ると保険料の滞納がかなり進んでいる。やはり現状の厳しさを証明しているような気がするのです。つまり、国民年金におけるこういう未滞納とか免除申請とか無年金とか、そういう脱落せざるを得ないような状況が進めば進むほど、基礎年金という統合化の中で、結局はかの年金がここを担っていかなければならないという構造になっていくわけでしょう。  そういう意味で非常に問題だと思うわけですが、今無年金者というのはどのぐらいおるのですか。これはどうしてなくするのですか。なくなるのですか。どんな方法があるのですか。
  203. 山内豊徳

    ○山内政府委員 私ども、いわゆる免除の取り扱いはもちろんのこと、特に滞納といいますか、納入手続をとってない方に対する対策というのは、先生の御指摘を待つまでもなく、公的年金の基底を支えるものとして非常に大事なものでございますので、社会保険庁という業務体制の最大の懸案の一つとして取り組んでおるわけでございます。先ほどの国民年金改正におきましても、外国に行っていた期間があるためにせっかく帰ってきて納めても年金に結びつかないということのないような制度上の改善も幾つか果たしまして、一つの無年金対策を講じておりますが、やはり基本は、免除なり滞納につきまして、これを解消していくということに尽きるかと思います。  先ほど申しましたように、免除にしましても、滞納にしましても、現在の保険料水準でもこのような数字があるところに、将来給付に見合った負担とはいいながらかなりの月額の保険料負担になる。そういった面でも公的年金として国民年金はなかなか持ちこたえられないのじゃないか、そのあたりが今回改正の基本的なスタンスでもあったわけでございますが、事務体制のことを申し上げますれば、今三月に一遍納めるような形をとっておりますような仕組みを毎月納付できるような仕組みを考える。あるいはもちろんのこと、国保の加入者たり得る方々に対するPRなり行政的な働きかけを綿密にやっていくという形で、何とか先生の御指摘のような無年金あるいは免除による低い年金で推移する人をなくそうということに最大の努力を深めているところでございます。  なお、免除者がふえると、その分だけ各被用者年金からの基礎年金の費用などにむしろ負担、肩がわりが起こるのじゃないかという点でございますが、ごく長期的に見ますれば、免除の期間は免除期間に見合う国庫負担だけの年金になりますものですから、長期的に見れば必ずしもほかの被用者年金から基礎年金の拠出分が出るわけじゃございませんが、しかし確かに単年度の収支を考えますと、全体で一人頭同額で持ち合うという基礎年金財政の運営にも支障が出てきますものですから、今私が三つばかり挙げました対策を非常に集中的に講ずることによって今後の国民年金保険料の運営を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  204. 渋沢利久

    ○渋沢委員 水準が高いとかいろいろおっしゃったって、現状はこういうことなんです。無年金者は減らない。厚生省はあれこれやってきたといろいろおっしゃるけれども、それはもうずっと言い続けておられるので、なかなかそれは解決しないという状況で来ているというふうに思うのですね。やはり低所得者ほどこの年金に結びつかぬという現状をそこでは解決しないままでいるということではないでしょうか。  五万円という金額は、これは何が根拠なのですか。
  205. 山内豊徳

    ○山内政府委員 五万円という月額の考え方は五十九年価格で設定したわけでございますが、基本的な考え方としましては、老後生活における基本的な部分を賄う額ということで、高齢世帯の実態調査などに着目しまして生活費用の中での基本的な部分をとらまえて、五十九年価格で約五万円程度のものが老後生活の基本的な部分として設定されておるわけでございます。
  206. 渋沢利久

    ○渋沢委員 老後生活費用の基本的な部分をこれで賄うという、それがなぜ五万円なのかということのその根拠は、何を根拠にしておるのか。老後生活の、あなたの言葉で言うと生活費用の基本的部分を賄う金額、それが何で五万円なのか。
  207. 山内豊徳

    ○山内政府委員 もちろん、この五万円を年金改正のレベルとして設定しまずに際しましては、生活保護基準のようにマーケットバスケットで積み上げるというそういう設定ではなくて、実際の高齢世帯の家計の調査数値の中から、いわゆる衣食のような基本的な部分、言いかえれば雑費として計上されるような額を外した額が、五十四年、ちょっと古い年次でございますが、数字をつかむことができたわけでございまして、それに対して、五十九年度までの物価上昇率を設定しますと約五万円という額が老後生活の家計支出の中の基本的な部分として私どもとしてはつかまえたわけでございます。その点は、それを年金水準とした場合の保険料負担がどうなるかということももちろん総合的に勘案したわけでございますが、月額五万円という数字をつかまえましたデータの基礎はそういうものを使っております。
  208. 渋沢利久

    ○渋沢委員 そこは、五万円で抑えなければならぬというところから出発しているのでしょう。だから、実際に生活費の基本部分をこれで賄うというところから出発して積算したものではないんじゃないですか。生活保護費より低い水準はいかがなものかという議論が随分あったわけですね。耳にたこができるほど厚生省の皆さんは国会審議などでも聞かれておったはずなんだけれども、これはそのとおりだと思いますね。厚生大臣は、非常に日本年金水準は進んでおるとおっしゃる。そういう意味で言えば、生活費用の基本的部分を賄う、これが生活保護基準よりも低いというのはやはり問題があるのじゃないでしょうか。  私がお尋ねしたのは、五万円というものの基準にしたもの、何を基準にして、例えばどういう統計があるかですね。生活保護で言えば、この部分のこういう分類の中で、それを基礎にしてどうとかという何か根拠があるでしょうということで伺ったわけですね。
  209. 山内豊徳

    ○山内政府委員 私の説明の仕方がやや不正確な表現で恐縮でございますが、五十四年の全国消費実態調査をとらえまして、その中で、先ほど申し上げましたように、六十五歳以上の単身世帯の方の消費水準、その中から雑費を除いた部分が金額として設定されたわけでございます。これは五十四年の調査でございますので、それを五十九年の価格に置き直しまして、約五万円が高齢者の生活の中の基本的な部分としてつかまえることができるという考えで取り上げたわけでございます。
  210. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それは、衣食住の費用を見て、ただしその他の雑費は除いた、そういうデータですか。住居費は入っているのですか。
  211. 山内豊徳

    ○山内政府委員 五十四年の消費実態調査の中の雑費以外の部分、具体的には食料費、住居費、光熱費を含めた額でございます。
  212. 渋沢利久

    ○渋沢委員 それは総務庁の全国消費実態調査というものですね。これをもとにしたと言うのですけれども、これは実に低いものを探してきたという感じでありまして、実際に生活保護基準そのものを見てみましても、これはとても今の五万円というものが最低の生活を担保する額だというふうにはならないわけですね。むしろ生活保護の基準を見るのが、厚生省としては基準のとらえ方としては妥当なんじゃないですかね。それが、それをとらぬで、総務庁の全国消費実態調査の五十四年の調べをもとにして五万円という数字を理屈づけたというところにあなた方の御苦労があるんだろうという感じがするのですけれども、とにかく低いですよね。  住宅費なんかはほとんど見ていないに等しいですね。私は不勉強ですけれども、しかし例えば物の資料で、イギリス、西ドイツ、スウェーデンなどは住宅保障というのが年金とは別に社会保障的にきちっと担保されているということですね。住宅費を考えなくていいという部分が、別な形で見られているところがある。日本は、住宅保障というのは、女性のひとり暮らしで四割は持ち家でないんですね、借りている。アパートを借りたり何かして、自分の家を持っていない人が四割もおる。だから、暖房とかいろいろなことを考えると、老後の住宅費というのは意外とお年寄りにとっては重要な要素だけれども、これは見ていると言えるほどのものではない。生活保護のもので五万円以下のものの基準を出そうとすると、住宅扶助をカットしなければ出てこないんですね。ですから、これはもう議論しませんけれども、非常に無理があるという気がするわけであります。  これは厚生大臣、最初に、あなたがお見えになる前に私申し上げたのですけれども、どうも今度の改正の基本を流れていくものに、現状の年金に対する国民の不満というものを解消して、そして今幾つか指摘されたような、非常に底の低いものを引き上げる、官民格差というならば高いところに統一していくという方向、しかしそれをやろうとするといろいろな障害が出てくる。財源の問題があったり、いろいろ制度上の問題があるが、しかしそれは手段ですから、一元化するとかその財源措置をどうというのは手段としてあらゆる知恵を絞って大胆にその手法を考えるとして、やはり年金改革の基本目的というのは、ごく原則的なことであるけれども憲法二十五条で言うところの思想を具体的に年金制度の中に構築していく、積み重ねていくということのために年金計画の絵をかかなきゃいかぬはずでありますから、今からよくなるという目標がなくて改革はないものですよ。  後で聞きますけれども、負担は上がって、保険料は上がって、それで給付は下がる、国庫負担だけが確実に減っていくというような中身では、国民に対して説得力がない。先ほどのアンケートが示すように、老後に対して、公的年金制度に対しての期待感はどうだ、非常に暗いものです。たくさんの人たちがそういう印象で受けとめざるを得ないという状況が残るわけだと思うのであります。  そもそも基礎年金というのは一体どういうものなのでしょうか。どういう思想で基礎年金というものが考えられたか。まさか財調子段じゃないでしょうね。現実はどうもそういう形になっている。そして大蔵大臣の説明も、このさまざまな文書も骨組みも、まさに長期的な財政基盤の安定というところだけを考えて、給付は控え目にする、そして保険料の引き上げは早目に、何か交通のスローガンのようでありますけれども、そういう感じで、しかも国庫負担だけは低目に低目に——これは、よくするために何かを悪くする、負担一つしてもらう、しかし夢も希望もあるというならわかるけれども、あれも悪くなってこれも悪くなって、それで国庫支出だけが確実に鮮やかに減っていくというのではどうにもならぬという感じがするのですね。国庫負担の削減の推定、これをちょっと説明願いましょうか。一体この大事業、この大改革を通して国庫負担はいつまでにどう減っていくのでしょうか。一つ一つちょっと担当の方からそれぞれ、あるいは総括して大蔵省の方で言っていただいても結構ですが、国民年金で、厚生年金でということで説明してください。
  213. 山内豊徳

    ○山内政府委員 国庫負担の見通しで、厚生年金国民年金をあわせました見通してございますが、六十一年度で現行法のままでまいりましても二・七兆、法改正後におきましても二・七兆でございますが、昭和七十年になりますと、現行のままでは四・四兆の見通しが改正法では四・一兆円、それから昭和八十年になりますと、六・五兆となりますのが五・二兆、九十年でもやはり八・一兆になりますのが五・八兆ということでございます。  これは、御案内のように五十九年度価格での見通してございますが、六十年度二兆七千億のものが七十年には四兆になり、八十年には五兆になり、九十年には五兆八千億になるという形ではふえるわけでございますが、現行法制度をそのままにしておいた場合に比べますと、今申しましたように国庫負担の額が小さい数字になる傾向になっております。
  214. 門田實

    ○門田政府委員 国家公務員共済の連合会の一般組合員のケースを申し上げますと、この改正案では、五十九年度価格でございますが、六十一年度が六百億円、それが七十年度八百億円、八十年度一千億円、九十年度千二百億円の推移でございます。現行の場合には六十一年度六百億円、七十年度千百億円、八十年度千七百億円、九十年度二千億円でございます。
  215. 渋沢利久

    ○渋沢委員 連合会ですと、この共済はどこまで入っているのですか。
  216. 門田實

    ○門田政府委員 国家公務員の中で自衛官だけ特別でございますから、これは除いておりまして、あとは全部入っております。
  217. 渋沢利久

    ○渋沢委員 今御説明があったように国民年金厚生年金だけでも七十年度三千億、八十年度には一兆三千億、九十年になると二兆三千億、それに今の国共済などが入ってくる、こういうことですから、少なく見積もってもざっとこの程度の国庫負担の削減だけは確かに見込まれる。これではこの基礎年金の導入、一元化というのはまさに国庫負担減らしの改正だ、こう言われてもしようがないということになりはしませんか、大蔵大臣。
  218. 竹下登

    ○竹下国務大臣 長期的な安定ということを考えました場合に、結果として今渋沢さんの御批判はまさにちょうだいできる御批判でございますけれども、そういう設計のもとにおいては妥当なものではないかというふうに理解をいたしております。     〔熊谷委員長代理退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  219. 渋沢利久

    ○渋沢委員 日本年金制度の充実を図るために、実は先ほど来川崎さんも言われたように、本当の意味で一元化というものを形の上だけで考えるのでないならば、その財投の問題を含めてさまざま詰めなければならないものがあるはずなのに、そういうところは避けて通る。そして今度の委員会の審査に当たっても、まず冒頭問題になったように国鉄共済年金の解決、これへの対応などは本来この法案が出るときにきちんと出てこなければならないものが、引き出しに入ったまま後送りにさして法案だけを出そうとするというようなことが多過ぎるのですね。私どもは、年金の大改革ということを通してもっと国民給付の内容を充実させることについての具体的な夢を与える、そういう目標設定がなければ——それは国庫負担だけがはっきりと減っておる、中身を充実させるための例えば年金水準を引き上げるという注文がついているけれども、それは法律が通ってからじっくり検討もしましょう、国鉄共済年金の処理をどうするんだ、これも一歩間違えば年金の全体の加入者の利益を損なう、信頼を損なう重大な問題に発展しかねない、そういう課題をしょっておっても、そういう問題を棚上げにして、そうして一元化あるいは基礎年金の導入という形だけに、これを骨組みにした法律案になっているというところが非常に問題だという気がするのですね。  厚生大臣、この改正によって共済年金給付は悪くなる、こういう指摘があります。政府の出した資料に基づいて見ましても、特に単身者の場合は相当ひどいことになるのですね。四〇%から給付の切り下げになる、こういうことになるんじゃありませんか。いかがですか。
  220. 山内豊徳

    ○山内政府委員 今御指摘の点は、特に基礎年金という形で、夫婦の場合、単身者の場合でもそれぞれ個人の年金という形で月額五万円という土台を置きましたために、今までの年金額の決め方に比べると、特に共済のような被用者年金の場合、夫婦世帯の受給額と単身世帯の受給額を現行との比較で比べると単身者の方が減り方が大きいのではないかという御指摘かと思います。これはやはり受給者が夫婦の場合、単身の場合、それぞれ個人の年金額として基礎年金を再編成したための結果と言えば結果でございますが、先ほど来申しておりますように、五万円という水準そのものを私どもは老後生活の基本を預かる年金額として設定した結果でございますので、いわば全体としての給付の、私どもが申します適正化の一つのあらわれとして御理解をいただきたいと考えておる次第でございます。
  221. 渋沢利久

    ○渋沢委員 定額部分基礎年金に移ることで夫婦も、そして特に単身者の場合はおびただしい給付の切り下げが行われる、これは、御理解をいただきたいと言うけれども、ひどい話だと思うのであります。これは大蔵大臣、国庫負担が総体として削減をされていくということと全く無関係ではないですね。年金の大改革をやるのに国庫負担を減らしてそれで給付を引き下げるというような改革は、我々が言わなくてもまさに大改悪と言わざるを得ないです。原因はまさに国が今度の年金改正の中でその責任を果たさないということに尽きるというふうに思うのです。この改革によって給付が今よりよくなるというならわかるけれども、単身者は四〇%も減ってしまう、そんなひどい給付条件を押しつけるということは了承できるところの話じゃないですね。これは厚生大臣の所見を伺いたい。
  222. 門田實

    ○門田政府委員 共済につきましてのお尋ねでございますから、私の方からお答えいたします。  従来の年金給付は、一つ年金世帯年金を見ておった。これは通常の家庭が主人の方が勤めを持つ、そして奥さんの方は家庭にいる、こういうことで年金額というのはそれが一つ世帯年金だ、こういうことであったわけでございます。そういうことでいきますと一だんだん社会経済状況が変化いたしまして、今共稼ぎの世帯等もふえてまいっておりまして、もう一度新しい観点から年金単位というのは何でいくべきかということを考える必要があるということで、婦人の年金権の問題でありますとかいろいろなことを総合勘案しまして、個人単位の年金に設計し直したというのが今回の基礎年金に流れている考え方でございます。  そこで、単身者あるいは夫婦共稼ぎの方、こういう方は従来額に比べますとそういった調整の割合が高いということになっておるのでございますが、そこはそういった世帯年金か個人単位の年金がというところから来ておるものであるというふうに考えております。
  223. 渋沢利久

    ○渋沢委員 さらに、現在の受給者に物価スライドを停止する、これは大変な影響を与えるということになりますし、社会保障制度審議会の答申にも、そのままの言葉で言えば、「改正案老後生活設計に組み込まれている既裁定年金スライドを停止する等年金制度に対する信頼を裏切りかねない内容をもつものである。」こう言っている。審議会がこういう表現で答申を出しているというのは、やはりこのことの重大性を物語っているように思うのであります。まさに年金制度に対する信頼を裏切るほどの内容を持っている、そういう改正になっているということは大変重大だと思うのです。これは、今の年金水準を引き上げるどころか、むしろこうして実質切り下げていくということになっているのではないか、どうでしょうか。
  224. 門田實

    ○門田政府委員 共済年金におきましては、従来一般方式通年方式、こういう二つの方式がございまして、今回の改正では厚生年金にほぼ類似しております通年方式の方に裁定がえいたしまして、今後は計算をしてまいる。そこで、従前額がこの改正による方式よりも高い人の場合はその額は喉離しますが、しばらくの間、追いつくまでスライドを停止する、こういう内容になっておるわけでございます。  これは基本的にはきょうの午前中の参考人意見等にもございましたが、何といいましてもやはり人口構造の変化といいますか、そういう影響を非常に強く年金が受けまして、出生率が低下するあるいは人生八十年で寿命が長くなる、勤続年数も長くなる、年数が長くなりますと年金額はふえるわけでございまして、ふえた年金額をかつ長い期間にわたって受給する、こういうことですと、いわゆる世代間の助け合いでありますところの公的年金の収支というものはどうしても維持されなくなるということがございましてこういった調整をしたわけでございます。今の通年方式を超えますところのスライドを受けない額の部分は、今後の若い世代にとりましては今後とも受給できない部分でございまして、その部分につきましてはそういった経過的な調整を加えておる。それは現在の受給者の立場から見ますと非常にきつい話でございますが、またこれを支えておる現在の若い世代から見ますと、自分たちが今後とも受給できない額を今の方々は受給されておるわけでございまして、その両方世代間のバランスをどう考えるかという兼ね合いの中でこういうことをとったわけでございます。
  225. 渋沢利久

    ○渋沢委員 どれを探しても何か一つ二つ、ひざをたたいてさすがこれはと思うようなものがあるかと思うとないんだ、どれを見ても悪くなる話ばかりであります。国家公務員は今度、ことしから六十歳定年制が施行されるということになったわけですね。そうですね。そういうことから言いますと、これは議論の余地がないほど、年金の支給開始年齢を本則六十五歳に設定するというのはむちゃくちゃな話だと思うのであります。いかがでしょうか。
  226. 門田實

    ○門田政府委員 国家公務員共済年金につきまして支給開始年齢を本則六十五歳にいたしておりますが、これは厚生年金改正に合わせたわけでございまして、現実には六十歳定年でございますから、今後六十歳から現実には支給を開始していくということが附則の方で書いておるわけでございまして、そういう意味では法形式の問題はともかくといたしまして、実態上は支障がないように設計してあるわけでございます。
  227. 渋沢利久

    ○渋沢委員 実際の運用では支障がないようにしてあるという、しかし、この六十歳からの特別支給というのは、この財源には国庫負担が入っていないというものです。支障があるとかないとか言うけれども、これは本来六十五歳の設定に無理があるのですよ。今の国家公務員にとどまらず、雇用の実態からいって六十五歳の支給開始年齢というのは無理がある。年金制度本来の趣旨からいっても、雇用の現状を全く無視した設定ではありませんか。公務員についてはたまたまつなぎがあると言うけれども、それは国庫負担に関係のない部分で、金は出さないけれども答弁だけは上手におっしゃる。しかし、雇用全体の今の状況から見ると、この六十五歳支給開始年齢というのは、年金が持っている本来の趣旨からいえば実態に合っていない。これは基本的に間違いである。筋の通った議論、決め方じゃないじゃありませんか。
  228. 門田實

    ○門田政府委員 年金の支給開始年齢につきましては、おっしゃいますように雇用の実態とかそういうことを十分考えていく必要があると思います。今、本則六十五歳で、実際は附則で六十歳支給ということになっているわけでございます。したがいまして、将来、いつからこういう本財を適用するのかという問題を考える場合には、おっしゃるように雇用の実態等を十分考えていく必要がある、こういうふうに思います。
  229. 渋沢利久

    ○渋沢委員 まだある。  きょう、午前中に参考人意見を聞いた中にも指摘がありましたし、審議会の答申の中にも指摘がありますけれども、官民格差の解消を大いにうたいとげているわけだけれども、共済組合にある処分などにかかわる支給制限条項だけは残っている。なぜこれが必要なのか。言ってみれば、実際にはこれが労務対策のてこに利用されてきた傾向があるとかなりの人が指摘をしておりますが、全く筋の通らない話だ。理屈はあれこれ言いませんけれども、これはおやめになる方向で検討された方がいいものだと思うのです。いかがでしょう。
  230. 門田實

    ○門田政府委員 国家公務員共済年金制度は、しばしば議論に出ておりますように公的年金としての性格、それと同時に国家公務員法に基づく年金制度として、公務員制度等の一環としての性格の両面を持っておるわけでございます。  したがいまして、今回の改正におきましても、国家公務員共済年金のうち職域年金相当部分というものにつきましては、これを設計いたしますと同時に、国家公務員等の職務の能率的運営に資するという共済法の目的と相入れない法令違反等があった場合には、その職域部分に限りまして一定の制限を行う、これは民間にはない部分についての話でございます。私どもはそういう考え方に立ちましてこういう改正をいたしたわけでございますが、従来は給付年金額全体についてこういった給付制限がかかっておったわけでございますが、今回はそこを純化いたしまして職域部分だけに限定する、こういうことをいたしております。
  231. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これもかなり大きい認識の開きを感じるだけでありますけれども、これはさらに検討すべきものだということを強く申し上げておきたい。  もう一つある。  これまで民間厚生年金には在職老齢年金制度があり、共済組合には減額年金制度がある、こういうことになっておったわけです。これは、年金の性格が厚生年金老齢退職年金であって共済年金は完全な退職年金、こういう位置づけによるものであった。ところが、今度の政府案では共済組合にも新たに在職老齢年金制度を導入して、そのかわりに減額の制度を廃止していく。しかし、これは職場の実態などからいって非常にそぐわないものだと指摘をされているところです。なぜこういうことになったのか、今後検討していく必要を感じないか、伺っておきます。
  232. 門田實

    ○門田政府委員 今御指摘がございました減額退職年金制度でございますが、これは沿革を申し上げますと、恩給と旧法を統合いたしまして現在の新年金制度へ移行する際に、これは人生五十年時代でもあったわけでございますが、従来恩給は四十五歳、旧法は五十歳、こういう年齢から年金が支給されていたわけでございますが、これを五十五歳支給と改正いたしましたそのことを勘案いたしまして、五十五歳前でも本人の希望により、年金額は減額になりますが、年金を受けられる、こういう制度を設けたわけでございます。  減額退職年金は、本来の支給開始年齢よりも早く年金が受給できる、これは非常に便利な面でございますが、一方ではその後も生涯ずっとその減額された年金を受けるということでございまして、これは、老後に稼得能力を完全に失ったというような場合には果たしてこれが本当にいいのかどうかというような問題点が従来から言われておったわけでございます。厚生年金にはこういった減額退職年金制度もございませんし、また定年制の施行でありますとか最近の標準的な退職年齢あるいは再就職による所得制限、いろいろなことを勘案いたしますと、年金は早期に支給するよりも実際に必要な年齢に達したときからきちんと受けられるという方がよろしいのではなかろうかというような観点から、今回の改正では経過措置を設けまして昭和七十年まではこれは存続いたしますが、その時点で廃止という措置をいたしたわけでございます。
  233. 渋沢利久

    ○渋沢委員 細かいことでいろいろ言いましたけれども、答申の中にも非常に鮮やかな指摘があるのです。今度のようなこんな大きな改革をやるときには関係者の十分な合意、理解を得ることが強く求められるという表現で答申がされておりまして、これは国共審だったと思いますが、これはそんな答申を受けなくても当たり前なことだと思うのであります。かなり実態に見合わないさまざまな手直しあるいは制度化が行われているという感じがいたします。この法案がどういう形になるかわかりませんけれども、今後この法案をまとめ上げていく過程ではかなりの部分について関係者の意向を十分組み入れた手直しを考えていかなければ、関係加入者国民の理解を得た、支持ある、信頼される年金制度をつくり上げていくということにならないという思いがいたします。  大蔵大臣、どうですか。問題が大変たくさんあるのです。これは、これからも指摘されていくであろう幾つかの問題について、この答申が指摘しているような十分な理解を組み入れるという姿勢で、ぜひこの法案に対処してもらいたいというふうに思うのですが、必要な修正は積極的にやるというぐらいのお考えでこの法律を考えていかないと、これはとても理解も納得も得られないところか、信頼を損なうことになります。これは、答申が幾つか指摘しているように、まさに年金に対する国民の信頼を失いかねない中身を持っているというふうに思うのです。大臣の意見を伺っておきます。
  234. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いかなる制度、施策といえども、国民の信頼なくしてこれは円滑な運用ができようはずもございません。しかし具体的に、今渋沢さんがおっしゃった修正ということになりますと、政府としては、原案が最善のものなりとしてこれは御審議をいただいておるわけでございますから、私の側から修正をしましょうという表現はできないことでございます。ただ、いろいろな議論の過程において与野党側協議が行われておるとすれば、私はその方向を今の場合は静かに見守っておるということが答弁の限界ではなかろうか。しかし、基本的に国民の信頼を得なければ、年金制度というようなものは十分な機能をしないという考え方は、私もそのように考えます。
  235. 渋沢利久

    ○渋沢委員 先ほど必ずしも明確に確かめておらなかったことですけれども、引き続いて意見を伺いたいことは、どういう物の考え方基礎年金というものを位置づけるのか。これは、定額支給で国が責任を持つ部分だという思想でなければならない。全額国庫負担が原則。当面はこの公的負担をふやしていくという方向で、物の考え方として、国が国民に対して責任を持つ部分というものはまさに基礎年金である、こういう物の考え方をはっきりさせていかなければならぬのじゃないか。このことについても今度の法案はもちろん全く違うのだけれども、物の考え方としては、言うところの年金に対する国の基礎的な責任を果たす部分というのはまさにここじゃないかというふうに思うわけですけれども、これはいかがでしょうか。
  236. 山内豊徳

    ○山内政府委員 基礎年金年金制度における性格につきましては、確かにその三分の一に国庫負担を集中したという事実から申しましても、この部分が各公的年金制度に共通する土台の部分であることは、私どもの考え方もそのとおりでございます。  ただ、これは、先ほど来先生からも御指摘ありましたように、その月額だけで、生活保護が基準としますような生活のすべてを補う額ではないという点は、私ども率直に申しまして、やはり公的年金給付一つの性格から来る限界であろうと思っております。  ただ、私どもが、厚生年金国民年金、さらに今回共済改正においてお願いしております基礎年金は、特に今までの公的年金の費用の持ち方と違いまして、各公的年金制度加入者が一人当たり同じ額の負担を持ち合うということと、その持ち方が、従来のようにあらかじめ何年か積み立てておいて、その中から、将来の給付に充てるというよりも、その年、その年の単年度の基礎年金の支給に要する費用をその年、その年に同じ額で各加入者に持っていただく、そこに国庫負担も集中するという意味では、私どもなりに、この制度はこれからの公的年金制度の土台をつくるため、あるいはつくっているものというふうに位置づけているつもりでございます。
  237. 渋沢利久

    ○渋沢委員 どうもそこの部分が、これは最後に強く意見として申し上げておきたいのですけれども、基礎年金というものを導入する以上は、掛金にかかわらず、ここに国が責任を持って老後生活を最低限担保するという仕組みにしない限り、本当の年金制度にはならないというふうに考えているわけであります。そのために必要な財源措置その他等については、社会党は社会党の提案もあります。さまざまな手法を駆使してやればいいのであって、最初に国庫負担の削減ありきというところに今度の年金改革の問題がある。最初に一元化という一つの構造、家づくりだけがどうも先行して、その中身を本当に高めていくという形のものになっておらない。保険負担は引き上げるばかり、給付は引き下げるだけ、国庫負担は確かに減っていくだけという形で、形の上だけで年金の一元化を図る、こう言っても、国民の側から見ると、これは期待する本当の年金にはならないということがはっきりしていると思うわけであります。財政再建という一連のリズムの中で、国民にいわば小さな政府で犠牲を強いるという流れがまさにこういう形で年金制度にまで出てきているという受けとめ方しかできないと思うわけであります。  最後に、国鉄関連のことでちょっとお尋ねをしたいと思うわけです。  今度の共済年金の問題で、国鉄共済に触れて、大蔵大臣の私的諮問機関の共済年金制度基本問題研究会が共済年金についてたまたま大臣に意見を出しておりますが、その文章を呼んでおりましたらこういう項目がありました。「年金財政が一段と早く危機的状況に陥るであろうことが以前から予見されていたのに、国及び国鉄においては、財源率の引き上げ等(それも十分な引き上げではなかった。)の対策にとどまり、現在のような焦眉の急の段階に至るまで有効な抜本的対策が講じられなかったことは、甚だ理解に苦しむとともに深く遺憾とするものである。」まさにそのとおりだと思うのでありますが、まず、改めてお尋ねをしたいのであります。以前から予見されていたのに、国や国鉄は全く有効な抜本的対策を講じようともしなかったというのは全く理解に苦しむとはどういうことでしょう。政府と国鉄にぜひ伺いたい。
  238. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 国鉄の共済年金、大変な破綻状態にあるわけでございますけれども、それに至りますについて、国鉄特有のいろんな事情がございました。戦中戦後の特殊状態といたしまして、復員者を大勢受け入れたとかそういうことで大勢の人たちが一斉に退職をするというような事情、あるいは輸送構造の変化に伴いまして、大幅な合理化を必要とするというようなことから職員が減りまして、一方、年金受給者は急増するというようなことがございます。また、基本的には昭和五十五年ぐらいまではおおむね四十万人台の職員構成でございましたが、最近では、本年度初めでは三十万七千人という体制になっておりますけれども、一つの保険集団として小さい集団であるというようなことがあるわけでございます。そして、こういう状況というのは、御指摘のとおり予見できたところでございまして、これについては運輸省なり国鉄においてもかねて問題点としては認識をいたしておりました。  具体的には、五十三年の九月に運輸省におきましても大臣の私的諮問機関でございます国鉄共済年金問題懇談会というのを設けまして、いろいろ御議論をいただきました。九回にわたります会合の結果、今後の国鉄共済年金財政については、国鉄共済単独での対応には限りがあり、共済年金制度全体からの検討が必要であるという意見をちょうだいしております。そうしまして、五十四年の十二月二十九日に国鉄再建に関する閣議了解が行われました。国鉄再建全般についての閣議了解でございますが、その中で年金対策についても触れまして「年令構成の歪みから生ずる国鉄の年金問題の重要性にかんがみ、関係省庁において抜本的な共済年金対策について検討を進め、早急に結論を得ることとし、これに基づき所要の措置を講ずる。」という閣議了解が行われたわけでございます。  こういう背景の中で、先生ただいま御指摘の大蔵大臣の私的諮問機関でございます共済年金制度基本問題研究会の御意見も出て、引き続いて臨調の第三次基本答申におきましても「当面、国鉄共済年金について類似共済制度との統合を図る。」という答申をいただきまして、そういう一連の流れの中から国家公務員と公共企業体共済組合の統合法案が国会に提出されまして、五十八年に成立して六十年度から長期給付財政調整事業というのが開始された、こういうことでございまして、確かに御指摘のように遅きに失した嫌いはございますけれども、関係者としてはそのときの状況に応じまして努力をしてまいったところでございます。
  239. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは大蔵大臣、国鉄の共済年金、どんな事情があれ、これを破産させるわけにはいかないということは明らかだ、これはもう国鉄の問題じゃない、年金制度そのものに対する信頼を壊してしまうことになることだと思うのであります。  さりとて先般来議論があったように、どこへどういう形でその対応策のてこ入れをするか、オールジャパン、労働者連帯と日ごろ余り言いつけない言葉を、普通の人は余り言いつけぬ言葉を言うと舌をかむものですが、者もかまずに竹下さんは労働者連帯などをうたいとげて、だんだんあなたも中曽根さんにちょっと似てきたところがあるかなと思って聞いておりましたけれども、あなたと中曽根さんの違いは、あの総理は、いろんな縫いぐるみを用意して、時と場所によって見事に心にもない、やっていることとは無関係なったいとげを上手にこなし切る大政治家だけれども、あなたはそのまま地金で勝負をするというのが中曽根さんとあなたとの違いかなと思って、ある意味一つの親近感も持って見てきておるのですが、だんだんどうも中曽根総理に似てきたところがありはしないかというふうに思います。  これはいずれにしても、あの政府回答がきちんとないと議論のできないものをみんな抱えながら、しかしこの委員会は非常に建設的ですから、それが出なければ審議しないなどとは言わずに審議をしているわけでありますけれども、しかし衆議院の審議中に政府見解を出すということになっているわけで、あれが出れば、それで衆議院の審議は終わりでいいということじゃないのですからね。そこからまた、その中身によって議論が始まるということなんだろうから、もうそろそろ出なければならぬことだと思っておるのですが、これはやはり早く責任のある政府見解をお示しになるということがなければならない。本来、これはもう先ほども言いましたけれども、法案提出前に並行して出てこなければならない政府の態度、責任であったろうと思うのですけれども、大きな声で追及をされないと大事なものを出してこないということは非常によくないと思うのであります。  それが出ないままにこうして審議が続いておるということがあると思いますけれども、しかしぜひこの政府見解は、さまざま我が党の先輩委員が連合審査で指摘をいたしましたような問題に、きちっと政府の責任でこたえられるというようなものとして我々は期待をしておるわけです。これは予定どおり早期に出るということで、しかも中身は政府責任を明確にしたものとして具体的なものをお出しになるというふうに受けとめておりますが、ようございますか。経過の中間報告じゃなくて、検討の結果を出すということになっていますからね。そういう意味で非常に期待をしておるわけです。言わずもがなですけれども、お尋ねしておきます。     〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  240. 竹下登

    ○竹下国務大臣 昨晩もやりましたが、今晩も九時ごろからいろいろ相談しようということにいたしております。が、率直に申しまして、国鉄の問題というのは、御指摘なさいましたとおり早くからわかっておった問題であると私も思っております。ただそれが、五十八年の統合法案に至るまで、やはりある意味においては機が熟さなかったとも言えるんじゃなかろうか。あのときに全く機熟したというふうな印象を今でも持っております。したがって、その機の熟した根源はどこにあったかといえば、まさに労働者連帯ということを私自身がそのとき肌で感じたものですから、たびたびそのようなことを申し上げておるわけであります。したがって、その後に起きましたところの、いわゆる国鉄監理委員会からの意見に基づく三十二万体制というようなものは、予測するところ、崩れていくという時点に至りましたので、その問題を含めた解決策というのは、これは官房長官からお答えをいたしておりますように、恐らく近い機会に官房長官からお答えがあるのではなかろうかというふうに私も考えております。(発言する者あり)
  241. 渋沢利久

    ○渋沢委員 これは、今いろいろ発言もあるけれども、僕らも実際はかなり我慢をして質問をしておるので、今言いましたように、本来説明を受けなければならない資料も方針も説明抜きで、しかし我々は、理事会の判断で委員会審議をやっておるわけですけれども、しゃにむにこの法案を提起して、ろくな資料も説明もなしに法案審議を進めようとする与党の出席が悪いという席で、これは私もこのままやるわけにはいかないので、やめさせていただきます。
  242. 越智伊平

    越智委員長 次回は、明二十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二分散会