○正森委員 今数字をずっとお読みになりましたのでおわかりにくかったかもわかりませんが、高齢人口ですね、六十五歳以上というのは
昭和三十五年ごろには一けたである。それが
昭和百年ごろには大体二一%前後になる。明らかに増大するわけであります。ところがゼロ歳から十九歳までの若年人口は、逆に四〇%を超えたところぐらいから半分近い二三、四%に減少するというのが人口の推移であるという二とをお答えになったわけであります。
そこで、経済的に見ますと、よく使われる従属人口指数というのがありますが、それは何かといえば、生産人口が実際上生産に従事できない高齢者と子供を扶養するということになるわけですから、高齢人口と年少人口を足したものを生産人口で割るということで、現在働いている
世代の
負担がどのくらいになるかということを通常示すわけであります。その数字を考える上で、結局のところは、六十五歳以上の高齢者と十九歳未満の年少者が人口でどれくらい占めるかということが問題になるわけでありますが、それを考えるのに、今大まかな傾向は出ましたので、私の手元にある書物で申しますと、今
昭和三十五年をおとりになりましたが、私もその数字を申しますが、以下、この本では西暦紀元で違っておりますので、
昭和三十五年は一九六〇年になります。
そこで申しますと、一九六〇年に十九歳以下と六十五歳以上、つまり主として社会で生産する人に扶養せられる人々の全人口に占める割合は四五・七七%でありました。これは共通の土俵であります厚生省の人口問題研究所の「日本の将来人口新推計」の中位推計を全部とっておるわけであります。それが一九八〇年、今から五年前でありますが、三九・六四%に下がっているわけであります。つまり生産人口によって扶養される人口は下がっているわけです。
高齢化社会が進む西暦二〇〇〇年にはどうなるかといいますと、さらに下がりまして三八・七五%まで下がります。二〇二五年になりまして少し上昇いたしまして四四・三二%になります。二〇五〇年、今から六十五年先でありますが、やっと四五・六三%まで上がります。二〇七五年になると
高齢化社会が落ちつきまして下がってまいりまして四四・九七%になります。
つまり、これはどういうことであるかといいますと、一九六〇年、
昭和三十五年高度成長が始まりましたときの高齢者と若年人口の人口に占める比率が四五・七七%であったにもかかわらず、日本経済は世界にも発達した資本主義国であれば非常に例がないと言われるくらい急速な生産の増大を示したわけであります。今
政府は声高に
高齢化社会で
年金財政はもたないという意味の遠因にしておりますが、この数字を見れば、西暦二〇〇〇年に達しても老齢人口と若年人口の合計は
昭和三十五年よりも七%も低い三八%くらいであり、二〇二五年も四四%くらいであり、二〇五〇年でも四五%で、
昭和三十五年と大きく変わらないという数字が出てくるわけであります。
世界的に、若年人口、少年人口の場合に十四歳以下をとる国々があります。これは国の名前は失礼ですから挙げませんが、アフリカ大陸であります。あるいは必ずしも人口の大
部分が高等学校に行かない、あるいは大学に行かないという国々の場合には若年人口を十四歳以下でとるのもあるいは妥当かもしれませんが、日本のように高校の進学率が全国平均でも九〇%を超えておる。東京や大阪では九五%をはるかに超えておるというところでは、これは十九歳以下をなお全面的に生産活動には従事しない人口であるというように見て大きな誤りはないと思われるのですね。
そうだといたしますと、
政府が、
高齢化社会だ
高齢化社会だ、生産人口が高齢者を今までは七人に一人くらいで持っていたんだが今は二人か三人で一人しか持たないんだから国の財政がもたないとかパンクするとか言うているのは、実は非常に疑問があるわけであって、
自分たち生産人口が扶養しなければならない高齢人口だけでなしに若齢人口、これを入れるなら、社会全体として見れば働いている人口が扶養しなければならない人数、
世代というのは大きな差がないのですね。しかも、現在の日本のように教育程度が発達しているという国の場合には、これは教育費においても、あるいは若齢者の場合にはよく運動もしますから医療費においても、腹が減るから食費においても、これは七十歳、八十歳の人よりも逆にある意味では費用がかかるということすら言えるわけなんですね。だから、
政府が
高齢化社会を声高に叫び立てて国の財政上ももたないというように言うておるのは鬼面人を驚かすものではありませんか。
国の経済全体について言うならば、生産量を十分に
世代間で配分するならば、高齢者が二一%という最悪の場合でも、若齢者を入れれば全体としては生産人口によって扶養される人口は
昭和三十五年よりもふえない、こういうことになるのですから、それについて厚生大臣の御所見を承りたいと思います。