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1985-11-15 第103回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月十五日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 沢田  広君 理事 坂口  力君    理事 米沢  隆君       大島 理森君    金子原二郎君       笹山 登生君    自見庄三郎君       田中 秀征君    中川 昭一君       額賀福志郎君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    宮下 創平君       山岡 謙蔵君    山中 貞則君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       川崎 寛治君    渋沢 利久君       戸田 菊雄君    野口 幸一君       藤田 高敏君    矢追 秀彦君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         自 治 大 臣 古屋  亨君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵省主計局次         長       小粥 正巳君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 窪田  弘君         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君  委員外出席者         総務庁統計局統         計調査部消費統         計課長     小山 弘彦君         厚生大臣官房政         策課長     岸本 正裕君         厚生省保険局調         査課長     鎌形 健三君         厚生省年金局数         理課長     坪野 剛司君         通商産業省機械         情報産業局総務         課長      坂本 吉弘君         労働大臣官房政         策調査部産業労         働調査課長   浦尾 武昭君         日本国通鉄道共         済事務局長   小玉 俊一君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八一号)      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂口力君。
  3. 坂口力

    坂口委員 おはようございます。  共済年金審議に入らせていただきますが、この共済年金審議は、最初から国鉄共済問題でストップを繰り返すという結果になりました。考えてみれば、国鉄共済の破綻というのは年金全体を象徴する事柄でもありまして、この問題が最初に取り上げられたことは当然と言えば当然の結果ではなかったかと思うわけでございます。  大蔵大臣からは、国鉄共済救済をどのようにするかということにつきましての統一見解が示されまして、政府責任を持って解決策を講じるということを御答弁になったわけでございます。また、全国民的立場から考えなければならない問題であるという御発言もございました。全国民的にということの中身につきましては、国がその一部を負担するのか、あるいはまた共済グループ支援をするのか、それとも年金全体がバックアップをするのか、その中身につきましては不明な点があるわけでございますが、この点を余り申しますとまた審議がストップいたしますので、ここはほどほどにしておきたいと思うわけでございます。  これだけは確認をしておきたいと思うわけでございますが、それは、国鉄が正常に継続をしておりますときに生じてまいりました共済財政の赤字というものは、これは国鉄に大きな責任がある問題であろうかと思うのです。ただ、時の政策として国鉄民営化、こうした問題が起こってまいりました世紀の大改革の中で、約十万人を超える人たちを解雇しなければならないというような事態が生じて、そこから起こりますところの年金異常事態、こういう問題につきましては、それは国鉄責任がある問題でもなければ年金全体に責任のある問題でもない。これは共済もそして一般年金も含めまして、いわゆる年金というものからは想像することのでき得なかった、予測することのでき得なかった事態であります。したがいまして、この辺は分けて考えなければならないのではないか。国の方針によりまして生じましたひずみはやはり国が責任を持つのは当然でありまして、これは年金財政以外もこの援助に立ち上がらなければならない問題ではないか、こういうふうに感じますが、大蔵大臣の御意見を伺って質問を進めていきたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 坂口さん、年金そのものの宿命から生じたものと、その政策の転換に伴って本来のもの以外の要因に伴って生ずるもの、それを仕分けして考えて、対応策を講ずる際には十分検討をすべきじゃないか。基本的にそれらはまさに解決策を講ずるために議論をしなければならぬ問題点であろうという問題意識は私にもございます。  ただ問題は、さあ、さればどこのところまでがどうか、こういう議論になりますとまたいろいろな議論が出てくると思います。ちょうど私が国民連帯の次元においてという表現をしますとそれがいろいろな問題を含むと同じように、そこのところの限界とかという議論もこれから尽くしていかなければならぬと思いますが、やはり今おっしゃったような、この国会等で行われた議論というものが中心になって検討の素材になるということでありますだけに、今の意見などを十分私どもも認識して対応すべき課題だと思っております。
  5. 坂口力

    坂口委員 その辺の議論を明確にしておきませんと、あいまいもことした中でこの問題が進んでしまう。したがいまして、大蔵大臣も御答弁になりましたけれども、国民全体からこれを支援をするというその御発言の中には、そうした問題も含めてこれはやっていくんだという御意見だというふうに承ってよろしゅうございますか。  もう一度申し上げますと、これはそういう経過を踏まえて、年金だけで処理できる範囲の問題ではない、もっと広い立場から検討をしていかなければならないものである、こういう立場から御発言になっている、こういうふうに理解させていただいてよろしゅうございますか。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 今のような、坂口さんの御発言がございましたような意見を十分踏まえて検討をすべき課題だというふうに私も思っております。
  7. 坂口力

    坂口委員 運輸大臣、一、二お聞かせをいただいた後、御退場いただいて結構でございますが、今議論をいたしましたような国鉄共済の問題があるわけでございます。特に、運輸大臣に非常に関係の深い部分といたしましては、日本国有鉄道再建監理委員会からの御意見として、「長期債務等処理」の中で、「年金負担等」という部分がございまして、四兆九千億円を挙げているわけでございます。その中にはいろいろございますが、とりわけ国鉄共済年金追加費用四兆七千億を筆頭として、そのほかのものが含まれているわけでございます。  これにつきましては、監理委員会といたしましても、この負担は今までの経過から見て「全額「旧国鉄」」と書いておりますが、これは新しい民営化ができた仮定の上での話でございますけれども、「「旧国鉄」において処理する。」こういうふうになっております。これに対しまして運輸大臣として、もうそれはそのとおり、そうせざるを得ないだろうというお考えなのか、この監理委員会の御意見に異議がおありになるのか、それをちょっとお聞かせをいただきたい。
  8. 山下徳夫

    山下国務大臣 今おっしゃいましたとおりでございまして、四兆九千億円という膨大な金を新事業体で引き継いで処理していくということは恐らく困難であろうと思います。したがいまして、旧国鉄、いわゆる清算等の組織にこれを残しまして、他の長期債務と一緒にこれを処理していくという以外になかろうかと思っております。
  9. 坂口力

    坂口委員 はっきりと御答弁をいただきましたので、これはそういうふうに処理をしていただきたいと思うわけでございます。  御退場いただきます前に、国鉄共済の問題がこれだけ大きな問題になっているわけでございます。これは確かに、政府政策的なものも含めて非常に難しい段階に来ていることも事実でございますけれども、しかし、国鉄共済には、そうしたものをのけても、なおかつ国鉄共済そのものが持っておりました体質によるところの財政的な非常な厳しさというものもあったわけであります。年齢構成から見まして、これはかねてからそういうふうになりますぞと、それはもう前々からわかっていたことでございますが、この国会の中でも何回かそうなるじゃないかという指摘がありましたけれども、それがずっと改正されずにそのまま放置されまして今日まで来たわけですね。そのことに対する責任はあるのかどうか、その辺ひとつ御答弁をお伺いをして、終わりにしたい。
  10. 山下徳夫

    山下国務大臣 基本的な年金に対する扱い方につきましては再建監理委員会意見にも述べられておるとおりでございますが、いずれにいたしましても、長期にわたって非常に国鉄年金財政が苦しくなってきたということで、他の三つの組合の協力をいただきまして昭和六十年から六十四年までは一応めどを立ててまいったわけでございますが、今お話がございましたように、これから国鉄抜本的改正を行う中で、十万人余といういわゆる余剰人員の問題が生じてまいります。したがって、これは新たに生じた問題として、国鉄だけで処理することはとても困難でございますし、基本的には、やはりこれは私の方でやるべき筋合いのものでもない、筋合いと言うとちょっと語弊がありますけれども、処理し切れない問題でもございますから、このことにつきましては、大蔵大臣から統一見解として今後こうすべきであるという御見解の表明がございましたので、私は、それが最もよい方法だろうと存じておりますし、今後はそういう意味におきまして国鉄年金処理されることを私もこいねがっておるわけでございます。
  11. 坂口力

    坂口委員 運輸大臣の言葉じりをつかまえますと、また話が大きくなってまいりますので、きょうはぐっとこらえてこの辺にしておきますが、ひとつ慎重に御発言をいただきたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、既得権の問題に少し触れさせていただきます。  今回の法案につきましては、これは既得権を侵してはいないというふうに述べられておりますけれども、既裁定者は、一般方式による年金額について、通年方式による年金額が追いつくまではスライド停止することとしている、こうなっているわけですね。スライド停止というのがこの既得権を侵すことなのか侵さないことなのか、これは非常に法的解釈としては微妙なことだと思うのですが、しかし現実的には、スライド停止をされるということになりますと、それは既得権が実質的には侵されることになる。そして、過去に遡及させないといいますけれども、現実問題としては遡及することになる。  前回の私の質問におきましても、大蔵大臣は、この既裁定者に対するスライド停止ということは、これはいわゆる現役の人との間のバランスの上からいってやむを得ないことなんだ、こういう御答弁をされたように記憶をいたしております。しかしながら、既裁定者というのは、国がお約束をした年金によって生涯設計をお立てになり、そして既にその個々の設計に基づいて、年金を十分その中に考慮に入れて生活をしておみえになる方でありまして、これから年金を払い込んで、これから設計を立てていこうという人とは、これは全く立場が違うのではないかと私は思うわけでございます。したがいまして、前回にもこのことを少し御質問を申し上げたわけでございますが、この既裁定者に対するスライド制について、ここにもう少し一考を加えてあげる必要はないだろうか。  と申しますのは、国がお約束を申し上げて、そして長い間掛金をしてもらう、そして今度はそれがいざ支給される段階になりまして、それは計算が間違いでございました、あるいは財政的に苦しゅうございますからそれはでき得ませんということは、これは政治の信頼にかかわる問題であると思いますし、また、これから新しい制度のもとに掛金をしようとする人たちにとりましても、今約束をしていることが本当に守られるのであろうかどうかという疑いを持たせることにもなろうかと思うのであります。現在におきましても、厚年あるいは国民年金ともに考えますと、なかなか皆年金というような調子にいかない。国民年金なんかにもなかなかお入りにならないような人たちがたくさんいる、こういう状況でございまして、そういたしますと、こういう不信を抱かせるというようなことになりますと、余計に年金に対する信頼性というものが失われていくわけでございます。これは非常に重要な問題を含んでいるというふうに思うわけでございますが、この点につきまして、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 まず第一番目に、坂口さんのお話の中にあります既得権という問題がございます。既得権という問題の議論をいたしますと、これまた統一見解みたいなことになるかもしれませんが、期待権の中に包含される既得権法律上の既得権というよりも期待権というものがあって、その期待権の中で生活設計を立てておるものも既得権である。それが法律論争ではなかなかエンドレス議論になるのじゃないかと私も思いますが、今度の場合、今おっしゃっております問題を整理してみますと、言ってみれば、いわゆる通年方式により算定した額に改定することとして、そうしてその額が現に受けている年金額より下がる場合には現に受けている額を保障する、そして一般方式による年金額については、当分の間、すなわち厚生年金に近い形の通年方式により算定した額が追いつくまではスライド停止する、ここのところが問題であるわけであります。この措置は、今後、現役公務員等につきまして給付適正化を図ってもなおかつ掛金負担が大幅に増加せざるを得ないという状況にございますことなどから、現役、すなわち掛ける側と退職者、もらう側との給付水準バランスあるいは給付負担バランスということを図るために必要であるということでこの前もお答えいたしたわけであります。したがって、これは言ってみれば年金一元化に向けてのステップとして給付一元化という問題、そしていま一つは、世代間アンバランスとでも申しますか、そういうことを考えた上の措置であるというふうに御理解をいただきたいというふうに考えます。
  13. 坂口力

    坂口委員 それはわかるのです。この前も、前国会のときにもお聞きをいたしましたし、その経過はよくわかるのですが、しかし、そういう現実的に遡及をさせるという、過去にさかのぼって影響を与えるという行き方は年金というものの信頼にかかわる非常に重大な問題であるということを実は私は指摘をしているわけであります。こういう事態になるということは、これは年齢構成から見まして、年金の始まりますかなり前から予測し得たことでありまして、その予測の上に来ているわけでありますから、この期に及んで実質的に影響を与える改革というのは、非常に重大な問題を含んでいると思うわけです。  先ほど申しましたように、それなら、現在提案されておりますこの法律にのっとりまして、基礎年金として五万円なら五万円を出します、その上に報酬部分を乗せます、職域部分を乗せます、大体これだけになりますよというモデルを示したといたしましても、また今から二十年たち、三十年たちましたときに、あのときにはそのようにお約束いたしましたけれども、しかしそうはまいりませんでしたと言わなければならないということでは、これは全く年金というものが相手にされなくなってしまう。もう年金よりも民間の生命保険個人年金に入っておった方がいいじゃないかという意見すら出てくるわけであります。ですから、ここには何らかの一考を加えることができぬだろうか。  年金というのは個々人で考えることではありません。どうしても全体の大枠として考えなければならないことであります。これはすべて厚生年金並みにというところから来ているわけでありまして、国家公務員共済年金を見てみますと、なるほど厚生年金に比べまして非常に突出した部分がございます。しかし、細かくよく見てみますと、厚生年金よりも劣っている部分も中にはあるわけですね。数は少のうございますけれども、確かにございます。その突出した部分厚生年金並みに下げます、厚生年金よりも少ない部分につきましてはそのままでございますというのでは、ちょっとこれは片手落ちになるのではないか。実質的に過去に影響させるようなことは私反対でございますが、もしこれをこのまま押し通していくというのであるならば、厚生年金よりも劣っているところにつきましては、この際それを何らかの形で引き上げるということが加味されて当然ではないかと思うわけでございますが、このことについて、基本的なことでございますので、ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  14. 門田實

    門田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来お話ございましたように、今回大きな改正をいたすわけでございますが、基本的には、二十一世紀高齢社会というものが参ります。今その過程にありまして、まさに高齢化社会にある。そういう中で高年齢者がふえていく。そのことは同時に年金をもらう期間も非常に長くなるわけでございます。それから一方で、出生率の低下で若い世代が相対的に減っていく、こういう状況がございまして、年配の方になりますと年金額をぜひ維持してもらいたい、こういう声があるわけでございます。  また、一方で若い職員に聞きますと、我々の年金額というのはダウンしてくる、一方で保険料も上がっていく、どうも今の年配の方々の方にそのお金が回っておって、公的年金世代間の助け合いであるわけですが、自分たちがさて年配になったときに、その時点での若い人たちは減っておって、自分らの年金額はちゃんと出るんだろうか、こういう心配を本当にしているわけでございます。  そういった中で考えていきますと、既裁定年金につきましても、これはまだまだ年金受給期間が長く続いてまいりますから、やはりこの機会に改正をいたしませんと、今後二十年三十年先の若い人とのバランスからいってもどうも問題ではなかろうか、こういうことで改正をお願いしておるわけでございます。  もう一点、先生今御指摘になりました、しからば厚生年金合わせということで、低い人の方の救済はどうなんだろうか、こういうことでございますが、これまでの共済年金厚生年金年金額を比較するというのは、なかなか一概に比較できない面がございますが、おおむねの話で申し上げますと、大体勤続三十二、三年くらいまでは厚生年金の方が有利でありまして、それ以上の期間を有する場合には共済年金の方が有利だ、こういう傾向がございます。共済年金組合員勤続期間は平均三十五年程度、こういうことになっておりますので、現状で厚生年金を下回るケースはかなり少ない、こういうことは言えると思うわけでございます。  その不利な年金についての見直しはどうかということでございますが、やはり厚生年金共済年金のこれまでの制度的な経緯、沿革の違いがございますし、あるいは基礎給与のとり方でありますとか、計算方式、あるいは支給開始年齢公務員の方が早かった、こういったことがいろいろございまして、また今回の改正給付負担バランスを合わせていくという改正でございますので、御指摘いただいた点、一つ問題点ではございますが、ちょっと難しいところがある、こういうふうに考えております。
  15. 坂口力

    坂口委員 経過を長々と今御説明いただきましたけれども、そのとおりだろうと思うのです。しかし、私が言っておりますのは、制度が違ったことは事実で、制度が違ったから今ここで一元化をしようとしておるわけでして、一元化をする中で制度の違って出っ張った部分はできるだけ下げるようにいたします、こう言っておるわけですよ。今後下げていきます、そして既に年金をもらっている人たちにも実質的にはそれを及ぼそうといたしております。ところが、制度が違ったがために今まで低かった部分もありますよ、その部分はそのままでほっておくのですか。  例えば、今までの共済でございますと、共済に入りましてから一年を経過しないと、例えば何か事故に遭いまして障害者になるというようなことが起こりましてもそれは障害年金対象にならなかった。新しい法案では、それはもうそんなことはありません。組合員になりましたらすぐに対象になりますけれども、かつては一年を経過しないとなっていなかったわけです。厚生年金の方は、半年を経過したらなっていたわけです。厚生年金なら半年を経過したらなっていたものが、共済でありましたために、一年経過でありましたから、その半年の間のために障害年金をもらえなかったというような人も中にはあるわけです。過去にそうした問題がたくさんございました。それらはそれらで捨てておいて、そして高かったところだけは、下げるということはしないまでも、しかし足踏みをさせて、実質的には新しい制度と同じように足並みをそろえるようにいたしますということは少し片手落ちではないか。上の方にも影響を与えるのならば下の方にも影響を与えてしかるべきではないかということを申し上げているのに、制度が別々でございましたからやむを得ないというのはちょっと理由がおかしいので、制度が別々だったから今これを一元化しようという意見になってこの法案が出てきておるわけです。その議論を踏まえての答弁をしてもらわないと——別々だったからこれはやむを得ない。それなら別々だったら高い方もやむを得ないとなぜ言わないのか、こういうことになるじゃないですか。
  16. 門田實

    門田政府委員 今お話がありましたように、この年金制度の中で御指摘ございました障害年金の一年要件とかそういったものは非常に見直しがきくわけでございまして、まさにお話しございましたようにこの改正の中で一年を要さないというふうに直しております。  ただ、御指摘のありましたような全体的な制度の中で出てまいります年金額、その年金額にっきまして、例えば勤続年数が三十数年というところまで至らなくてその年金水準が低いというようなものにつきましてまで何か手を加えるということは、今回の改正影響を受ける人たちの間での一つバランスといいますか、そういった問題もございますし、今回の改正の趣旨からいきますと、一方で高い人の方の調整がある、低い人については退職年数が二十年、二十数年という人は少ないからふやしてあげようというのはどうも困難ではないかというふうに考えるわけでございます。
  17. 坂口力

    坂口委員 私は、バランスが崩れているからバランスのとれるようにしたらどうだという意見を言っているのであって、なかなか難しいというなら、高い方を抑えることについては難しいところをやっているわけですね。低い方については難しいからできないというのはバランスを崩しているではないか、こう私は言っているわけなんです。  今申しました障害年金のほかに、例えば遺族年金を受けていない過去の遺族者と申しますか、遺族年金にいたしましても、今までは一年未満で死亡しましたときには遺族にならなかったわけです。厚生年金は半年でなっておりましたけれども、共済年金の場合には一年未満では遺族にならなかった、こういった面もあるわけです。まだそのほかにも傷病につきましても同じようなことがございますし、いろいろよく似た問題がございます。これをひとつ何とかいい方法がないのか。これは人数がどのくらいありますか私もつまびらかでありません。非常に少数かもしれませんけれども、こうしたことにつきましても配慮をしないと大変片手落ちなことになりはしないか、一遍御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 門田實

    門田政府委員 お話のように、組合員期間が一年未満で死亡したら遺族年金が支給されないというのが従来の取り扱いでございまして、今回は死亡前に一定の組合員期間は要しないというふうにこの点も直してあるわけでございます。従来、そういうことで支給を受けられなかった人に対してこの機会に何かすべきではないか。障害年金の場合にも同じようなケースがあり得るわけでございます。そこのところが、お気持ちはわかるのでございますが、一たんそういうことで終わっておりますそういう過去の人の扱いにつきましては、共済年金制度としましてはそこの取り扱いを改めることが非常に難しいわけでございます。不利な人のみを厚生年金に合わせるとした場合には、厚生年金に対して有利な人の扱いをどうするか、こういうお話が逆の意味で生じてまいるわけでございまして、現在私どもはその点は非常に難しい、こういうふうに考えております。
  19. 坂口力

    坂口委員 同じことを何遍言うのも失礼ですから申しませんが、一方では難しいけれどもやっておるのです、影響を与えておるわけです。だから、そこをどうするかということを言っておるわけでございます。  この問題、いつまでやっておりましても仕方がありませんからまた後に譲りまして、次に進みたいと思います。  共済年金の歴史というものを振り返ってみますと、昭和二十五年に、官吏と雇用人という両方の区別をなくせ、それから全額国庫負担年金をつくれ、こういうマイヤース勧告というのがございました。また、昭和二十八年に、身分の一元化、国家負担七五%という人事院の勧告がございました。それから、昭和三十年でございますか、公務員制度調査会から、公務員はどうあるべきか、どう処遇すべきかという立場から、国家公務員につきましては能力減退を保償する精神が大事である、そして国家労務員につきましては一般勤労者の受ける年金と同じにしてはどうか、こういう意見が出ましたり、この歴史を見ますと、やはり公務員年金制度につきましての意見というのは左右にかなり揺れているという感じを受けるわけでございます。  御承知のとおり、国家公務員法第百七条の二項に「本人及びその退職又は死亡の当時直接扶養する者のその後における適当な生活の維持を図ることを目的とするものでなければならない。」こういう条文がございます。「適当な生活の維持を図ることを目的とする」というこの言葉はかなり思い切った表現ではないかという気がするわけでございます。この国家公務員法百七条にありますところの「適当な生活の維持を図る」ということから、今回のこの年金改正が妥当なものであるかどうか、とりわけ職域部分というのがつくられたわけでございますが、この部分がここを保障する意味なのか、この辺のところをお聞きをしたいと思います。
  20. 門田實

    門田政府委員 ただいま御指摘のございました国家公務員法百七条でございますが、これは退職年金を例にとりますと、第一項で、職員が、相当年限忠実に勤務した場合に、その者に支給する年金制度が、樹立し実施されなければならない。それから第二項でその年金制度の内容として、退職時の条件を考慮して、本人及び扶養者の退職後の適当な生活の維持を図ることを目的とするものであるべきこと、今お話のありました点をうたっておるわけでございまして、第三項でこの年金制度が、健全な保険数理を基礎として定められるべきであるというようなことを規定しておるわけでございます。  お尋ねの百七条二項に言う「適当な生活の維持を図る」ということでございますが、これは公務員の退職年金制度の趣旨等を踏まえまして公務員の退職後の生活の中核を保障しようとするものであろうと考えます。第三項に「健全な保険数理を基礎として」というふうに言っておりますことから、それは掛金負担する現役公務員とのバランスといったような点も考慮することを言っておるのかな、こういうふうに考えるわけでございます。今回の改正は、やはりそういった長期的な将来も見まして給付負担の均衡を図っていくという趣旨で行われるものでございますし、その給付水準等からいきましても、この趣旨には合致していると考えております。  さらに、職域部分お話がございましたが、まさに共済年金公的年金としての性格、同時に公務員制度の一環としての性格、両方あわせ持っておるわけでございます。私ども、職域年金部分というものを考えましたのは、まさにそういった両方の性格ということを考えまして制度設計をいたした、こういうふうに申し上げてよろしいかと存じます。
  21. 坂口力

    坂口委員 この職域部分を決定するに当たりましてどういう経過があったかということを説明をいただきたいと思います。何を参考にしてこの職域部分というものを決定されたか、ひとつ説明をいただきたいと思います。
  22. 門田實

    門田政府委員 職域部分設計に当たりましてはもろもろのことを考えたわけでございますが、一つはやはり公務員の身分上の諸制約、そういった特殊な性格があるわけでございますから、その観点からひとつ考えなくちゃいかぬということがございます。それから、一方で民間の方で企業年金というものが普及してございます。したがいまして、私どもは民間における企業年金の態様、給付水準、費用負担の割合、そういったものをいろいろと吟味したわけでございますが、その実態はまさに千差万別でございまして、なかなかこれとの比較でこういう水準がいいだろうという結論を得ることは難しかったわけでございます。  いずれにいたしましてもこの職域部分も労使折半の負担ということでございますから、費用を負担いたしますところの現職組合員負担の限度、将来負担水準が上がってまいりますので、その限度を何よりも考えなくちゃいかぬということ、それから、年金受給者と費用負担者の世代間の生活水準のバランス、そういったことから考えますと、厚生年金相当部分の大体二割程度、基礎年金を含めました公的年金全体では八%程度民間を上回る、こういう水準に決着したということでございます。
  23. 坂口力

    坂口委員 決定は非常に情緒的なものであったということですか。今お聞きしますと、こういうことを基本にしてはじき出したという話ではなくて、非常に情緒的なお話ですね。もろもろのことを考えて、大体このぐらいな見当じゃなかろうかということで決めた。かなり説明は長うございましたが、一口で言いますと大体そういうことですか。
  24. 門田實

    門田政府委員 率直にお話し申し上げたいと思いますが、確かにこの水準は一義的にこういう水準であるべきだということが何か理論的に出てくるというものではないわけでございまして、情緒的と言われますと設計者としてはじくじたるものを感じるわけでございますが、そういった総合的な判断、特に何よりも今後の負担の限度というようなことを意識いたしまして決定をした、こういうことでございます。
  25. 坂口力

    坂口委員 私は、この部分が多いとか少ないとかということを言っているわけではない。やはり、年金一元化をして、そして国民全体の中にこれを示さなければならないわけでありますから、国民の皆さんがお考えになってこれは妥当なものであるというお考えを持っていただかなければならないわけですね。そのためには、こういうふうな理由をもってこれを決定いたしましたということを明らかにする責任がある。それを公務員の性格から推して大体この辺だろうと見当をつけて決めましたというのでは、国民の皆さん方への説明にならないわけであります。  例えば一般サラリーマン、しかも大手企業にお勤めの皆さん方には企業年金みたいなものがございます、その企業年金というのは大体これくらいの額になるものでございます、そしてそれは大体何割ぐらいを企業が持ち、個人負担は大体これぐらいなものでございます、こういったものを参考にして計算をすると大体二割、そして全体から見ると八%ぐらいになりますと言うのなら、これは話はわかるわけです。ところが、そんなことは全部のけにして、大体二割ぐらいなものでございますと言うのでは、これは通りませんな。  その辺のところは多分企業年金等を参考にされたのではないかなという気がいたしまして、企業年金を見てみましたら、五十八年度、これはちょっと古うございますが、厚生年金基金、調整年金ですね。調整年金は五十八年度末で千四十三基金がございまして、ここに加入している人が六百五十六万人ございます。積立金は八兆八千億円に上っておりまして、この給付の上積みは、大体三〇ないし四〇%ほどいたしております。  それから適格年金も、五十八年度末の数字でございますが、七万四千企業がこれに加入をいたしておりまして、加入者の数は六百八十七万人でございます。積立金は五兆三千億円に上っておりまして、そのほとんどの人、九八%の人は年金でなくて一時金でこれを受け取っております。  また、自社年金というのもほかにございます。  こうした大きい企業のものは個人負担なのかどうかということを見てみますと、ほとんどが個人負担はなくて、大企業の場合には大体一〇〇%会社が掛金の方はお出しになっている、こういう結果がございます。  労働省、お見えいただいておりますか。−−退職金制度調査結果速報というのが昭和五十七年十月に労働省から出ております。これは三年ごとに見直されるということでございますが、どういうわけか、五十七年十月で終わりで、その後は−−五十六年にお調べになって、その次は本当は五十九年になければならぬのですけれども、五十九年のがないということでございます。なぜ最近はお調べになっていないのか。次は何か六十三年までおやりにならないというようなことでございますが、なぜおやりにならないのか。多分五十六年度のしかないと思うのですが、適格年金の拠出制の有無ですね、これを見ました場合に、労働者負担がないところが大体何%ぐらいあるのかという数字がありましたらお示しをいただきたい。
  26. 浦尾武昭

    浦尾説明員 先ほど御指摘のように、退職金制度支給実態調査につきましては昭和五十年度から三年ごとに実施をしておりました。しかし、昭和五十九年一月二十五日に閣議決定されました行政改革に関する当面の実施方針におきまして、おおよそ五十九年度から六十一年度までの三年間、既存の統計調査につきまして二割以上整理再編をするという方針が決定されまして、労働省におきましても、既存の統計調査の整理再編を実施しておりまして、この調査につきましても実施周期を三年から四年に延長したところでございます。したがいまして、本調査につきましては昭和六十年度に実施をすることといたしております。  それから後の御質問でございますが、適格年金を有する企業のうち労働者負担のない企業は九四・五%でございます。
  27. 坂口力

    坂口委員 厚生省に、これは大臣にお答えいただくか事務官の方でお答えいただくかわかりませんが、大体大手企業とお考えいただいて結構でございますけれども、この公的年金の上に、今申しました適格年金その他大体そうしたもので何割くらい上積みされているのでございましょうか。
  28. 吉原健二

    ○吉原政府委員 その上積みの割合でございますけれども、私どもの手元にございます資料では、厚生年金基金の場合の数字しかございませんが、先ほども先生おっしゃいましたように厚生年金基金というのは、考え方といたしましては厚生年金の報酬比例の代行部分の三〇%以上を給付水準として確保しなければならない、こういうことになっているわけでございますけれども、現在その割合は代行部分に対しましては五四%程度という率になっておりますが、代行部分というのは今や報酬比例部分の全部ではございませんで、賃金や物価にスライドしていく部分は代行部分に入らないということになっておりますので、報酬比例部分全体に対します割合としては、現時点では三一%程度ということになっております。
  29. 坂口力

    坂口委員 大体そういう数字があるわけですね。そうしたものを参考にしてお決めになったのではないのですか。そういうふうなことはもう抜きにして情緒的にお決めになったのですか。もう一遍ちょっとお聞きしたい。
  30. 門田實

    門田政府委員 当然に、民間におけるそういった企業年金の実態というものは参考にいたしました。ただ、参考にいたしたわけでございますが、総体として申し上げますと今のようなお話でございましょうが、さらに実態に入っていきますと、その内容はなかなか区々でございまして、給付水準、費用負担の割合あるいは企業年金の態様、これが企業ごとに非常にさまざまであるという実態がございました。ですから、これを参考にしながらも、しかし、やはり公務員制度の特殊性という観点から決定をした、こういうことでございます。
  31. 坂口力

    坂口委員 参考にしたのなら参考にしたとなぜ初めから言わないのですか。私がこれだけ言ってかも、いや私もやりましたというのでは遅過ぎますよ、言うのが。  大臣、この職域部分につきましては、これはあるのがおかしいという意見の人もございますし、また一方におきましては、これは少な過ぎるじゃないか、もう少しこの部分を多くしなければならないじゃないかという御意見の人もあるわけで、非常に幅広いわけです。妥当かどうかをお聞きしましたら、このぐらいが妥当だと思うと大臣は多分お答えになるだろうと思うのですが、やはり示します以上は、こういうことを土台にして考えましたということが明確でないと、大体諸般の事情を考慮してこういうふうに決定しましたというのではやはり皆さん方を納得せしめることはできないと思うのです。いかがでございますか。
  32. 竹下登

    竹下国務大臣 検討するに当たりましては、いろいろな他の、類似といいましても必ずしも類似ではありませんが、仕組み等についての勉強はそれは十分したであろうと思っております。  私も話を聞きながら私なりに感じておりますことは、私がよく給付一元化ということを申しますが、確かにそういうことを念頭に置きつつ、今までのそれぞれの制度の歴史的成り立ちがございますので、各制度間の給付の整合性がほぼ図られた、完全な一元化を終えだということは言えないのではないか。そうすると、整合性というものを図った、整合性がほぼ図られたというその範囲を一つ一つ取り上げてみますと、やはりそれの根拠はどこにあるかという質問が出てくるのも当然なのかな、だから、いろいろな勉強をしつつもまずはこの辺かな、こういう結論に到達したというお答え以上にお答えすることはなかなか難しい問題だな、こういう感じを受けました。
  33. 坂口力

    坂口委員 どうも聞いておれば聞いておるほどわからなくなってまいりますが、その辺は、出す以上はもう少し根拠なるものを明確にしてほしいですね。そうでないと、少なくともこれは公務員共済の問題ですから、いかにもお役所の方が、自分たちのことだからルーズに決めたなという感じを持たれかねないと私は思う。これも年金信頼にかかわる問題だと私は思う。その辺をぜひもう少し明確にしていただきたい。これはまた後で年金の後半においてもう一度お聞きいたしますから、もう少し根拠を明確にしてもらいたい、そう思います。  それから人事院総裁、どうも長い間お待たせをいたしました。同じ国家公務員法の第百八条に、実情について調査研究、それから必要な意見を申し出ることができる、こうなっております。「申し出なければならない」という表現ではございませんで、「申し出ることができる」という表現でございますが、百八条がございます。  今回の年金改正というのは非常に大きな大改革、世紀の大改革と言ってもいいほど大きな大改革でございます。これは大改革でございますから、当然人事院として調査研究をされ、そして国会または内閣に対してその意見を申し出られてもよさそうな時期に思えるわけでございます。何かお聞きをするところによりますと、主計局長さんのところに口頭で御意見は述べられたということでありますけれども、国会または内閣に対しての意見は出されなかったのではないかと思いますが、この辺について人事院総裁から、それはなぜだったのか、そして御意見を出さなかったけれども、お持ちだったら御意見としてはどういうことなのかということをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  34. 内海倫

    ○内海政府委員 お答え申し上げますが、人事院の意見に関しましては、確かに今御意見にありますように、今回の改正公務員にとりましては極めて大幅な改正でございますから、私どもも、そのこと自体が少なくとも意見を提出する対象としてのケースであるという認識は十分持っておる。したがいまして、この問題が生起されまして以来、人事院としてもいろいろ対処する方策については考えてまいり、この問題についての研究会等が行われます際にも、主管の者をしてそういうふうな意見もいろいろ提示をしてきておるわけでございます。  さて、この共済年金法案というものが立法されるそもそものゆえんについていろいろ承り、あるいは考えてまいりますと、結局、ただいまも大蔵省その他からもるる御説明ございましたように、高齢化社会の到来というふうなこと、それに対応して公的な年金制度全体の長期的な安定と整合性ある発展を図るための改革という、いわば基本的に一つ公的年金制度の改革を図ろうとすることに対しましては、私どもがあえてこれに反対するということは極めて適当でない。  あわせてと申しますか、しかしながら、そういうことに伴う公務員年金に関しましては、これはかなり厳しい改革でもあるわけでございますし、その内容におきましてもかなり厳しい内容を持つものでもございますから、それに対していかように公務員年金という問題に関する条件をつけ加えていくか、あるいはそれを加味していくか、あるいはそういう考え方を入れていくかということにつきまして、先ほども御質問の中にありましたように、公式的というまでではございませんが、私どもの方の給与局長から大蔵省の主計局長あてに意見を申しまして、そういう意見検討していわゆる職域年金部分というものが設けられることになったわけでございます。  このようなことによって、公務員年金というものの在来設けられておる理念、目的というものがある程度実現していくであろうということを私どもも考えまして、今回のこの改正というものは基本的に考えてやむを得ないのではないのか、こういうふうに理解をいたしたわけでございます。  さりながら、なおこの国会におかれまして今後も御審議をお続けになるわけでございますから、その間におきまして、私どももさらに勉強を続けながら、必要があればそれ相当の対応もしてまいらなければならないというふうに考えてはおる次第でございますが、要は、願わくは公務員年金というものの意味合いが正確に理解されて、あわせてこの年金制度改正の理念というものと整合しながらやっていけるような御審議、御決定が願わしいと思います。
  35. 坂口力

    坂口委員 人事院総裁、今、公務員に非常に厳しい制度であるという御意見を述べられましたが、私、先ほどから質問を申しましたように、一つ職域部分ですね、この部分について、でき上がりましたこの職域部分についてどんな御感想をお持ちかということが一つ。  それから、この前にかなり議論をいたしました、既裁定者になっておみえになる皆さん方に実質的には影響を及ぼす制度である、このことについてどんなお考えをお持ちになっていたか、あるいは主計局長にお申し出になりますときに、このことについてはどんなことをお申し出になったか、その辺をひとつお聞きしたい。
  36. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 お答え申し上げます。  私どもが大蔵省に対しまして意見を口頭で表明しましたその内容につきましては、先ほど総裁からお話があったところでございますけれども、基本的には、今回の内容が大変厳しいものである、しかしながら、高齢化社会を迎えて年金一元化と申しますか調整をとらなければいけないということで、基本的にはやむを得ない。しかしながら、国公法の百七条に退職年金制度の根拠規定というものがございますので、その趣旨にかんがみますと、やはりこれは公務員制度の一環として十分機能しなければいけないという基本的な認識を持っているわけでございます。  公務員制度として機能するということになりますと、やはり公務員としての立場の特殊性を反映いたしました年金制度であってほしいという考え方でございまして、今お話がございました既裁定者年金の取り扱い、これは大変厳しいものでございますし、これもやはり担当官庁の方で保険数理を頭に置きながらいろいろと御検討なさったものということで、やむを得ないものというぐあいに一応理解はいたしております。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕  また、職域年金部分につきましては、これがいわゆる公務員の特殊性を考慮いたします核になるものだという認識を持っておりますので、これも私どもの立場からいたしますならばできるだけ手厚いものが望ましいというぐあいに考えておりますが、やはりこれも保険数理との兼ね合いで担当の官庁の方におきまして御検討いただけたものである、このように理解をいたしております。
  37. 坂口力

    坂口委員 でき上がりました結論を見てどうかということではなくて、皆さん方が大蔵省の方にお申し出になりましたときに、皆さん方の意見としてはどういうことであったかということを私はお聞きをしておるわけであります。そのでき上がりましたものがやむを得ないとかどうかということでは決してなくて、御意見を言われたときにどんなことであったのか、同じことを言われたのか、いや、そうではなかったのか、そのことを私はお聞きをしているわけであります。  総裁、大局的な立場で結構でございますが、御答弁いただきたいと思います。
  38. 内海倫

    ○内海政府委員 ただいま局長からも御答弁申し上げ、私からも先ほど答弁申し上げたわけでござ  そういった観点に立ちまして、運用の対象でありますとか具体的な運用の方法、運用の委託の方法、それから運用成績の評価なりあるいは監督の方法等につきまして、専門家あるいは学識経験者にお集まりいただいて研究をお願いしているわけでございます。  第一回を十一月八日に行いまして、第二回目を今月中にやることにしておりますけれども、来月中旬ごろまでには一応の中間的な御意見をいただきたいというふうに思っているわけでございます。
  39. 坂口力

    坂口委員 大蔵大臣、大蔵省の方には理財局長さんの私的研究会として財投研究会というのが今も多分生きているのだろうと思います。厚生省の方にこうした研究会が生まれたわけでございますが、大蔵省としても、新しく厚生省がこういう研究会をおやりになったということに対して何か新しいことをされる御予定があるかどうか。私は、本来ならば厚生省だけではなくて大蔵省も入って、ともどもの、これは研究会なのか審議会なのかわかりませんけれども、そういう場が必要ではないかということを提案申し上げたわけでございますけれども、たまたま今回は厚生省のみでこの研究会をスタートされるということになってまいりました。大蔵省としては、認知というのはちょっと言葉が悪うございますが、十分御納得をした上で厚生省にお任せになっているものなのか、専門のところでやってくれということなのか、私のところは余りかかわり知ったことではないというつれない御返事なのか、その辺ひとつお聞かせをいただきたい。
  40. 竹下登

    竹下国務大臣 後ほど理財局長から追加して詳しく御説明申し上げることにいたしたいと思いますが、資金運用審議会というのがございまして、坂口さんからも、あれはどういうふうな機能をしているかとおっしゃっておりました。なるほどメンバーを見ても大変なお方でございますが、専門家であるかどうかということになると、むしろ資金運用審議会というのは、今まではいわば集まった資金をどのように配分するかというようなことを年に一回、それも十二月にやっていただいておったわけであります。したがって、二つの点がございますが、年金財政の健全化という点から、予算の概算要求と時を同じくして厚生省から要求が出ておる。それからもう一つはいわゆる郵政省からの要求、これは自主運用の問題が出ておる。こういうことになるわけです。要求されるのは、当然権限に基づいて要求されることでございます。従来、大蔵省の方は、いわば国の信用において集めたものは一元運用すべきであるという主張を繰り返してきた。しかし一方、年金問題も大きな転換の方向に今日行っておりますし、もう一つは金融の国際化、自由化という問題、また、いわゆる郵便局というもののあり方はどうすべきか、金利の自由化等から特にそういう議論も出ますので、どこかで総括的な議論をしなければいかぬなという問題意識を私もかねて持っておったわけでありますが、今のところ、さようしからば資金運用審議会の方々を集めて議論をするよりも大蔵省は大蔵省で理財局長のもとでこの研究会をやってみようじゃないか、そういうことで、それぞれの立場で勉強がなされておるということであります。  いずれにせよ、この問題はどういう形、従来のように継続審議にしようやというような感じで済むものか、あるいはこれが一つのきっかけになって本格的な検討機関でやるべきものか、そうなるとそれはどこでやったが一番適当かというようなことを含めて考えなければならぬ問題だな、金融の自由化、年金の大改正、そういう二つの環境の変化というものがあるという問題意識は持っております。  そこで今のところは、我が方の財投研究会というものについての御説明は理財局長の方からさせるといたしまして、おまえさんのところは勝手にやれとこれにつれなく対応しているというものではなく、認知するとかしないとかという問題でもございませんし、それぞれのつかさつかさでみずからの政策運用のための勉強を熱心にしていかれるのは結構なことではないかなと私も思っておるところであります。
  41. 坂口力

    坂口委員 各年金の積立金の利回りの推移を見てみますと非常にばらつきがございます。  これは公的年金ではございませんが、厚生年金基金などは五十八年では八・六六、昨年は八・八というふうにもお聞きしたわけでございますが、非常に高利回り運用をしておみえになるわけであります。今厚生年金の方は六・八ですか。六・八でございますと、二違うわけです。二違いますと、五十兆丸々でございますと一兆円ですか、随分な違いになるわけでございまして、非常に財政難の折から、国民の皆さん方からお預かりしたものについてはその運用を十分に行って、そしてでき得る限り皆さん方に還元を申し上げるべきではないか。そういう意味から、これは今までの財投その他の関係で全部をそうするということはでき得ませんけれども、少なくとも一部については高利回り運用をすることが当然ではないだろうか。特に国公共済の場合には全体の三分の一でございますけれども、三四・二%を有利運用をしておみえになるわけです。この有利運用をしておみえになるために非常に安く福祉に貸し出しもでき得る、こういう結果になっているわけでありまして、ぜひひとつこれは実現をしなければならないものである。これは大蔵省が非常にガードを固めてまいっておりますが、例えば還元資金などで地方がお借りすることも確かにございます。しかし還元資金でお借りをいたしましても、市町村にとってみますと例えば地方債で借りておりますのとそれは実は同じ結果になるわけでありまして、それが必ずしも還元資金、年金の資金だから特に安いというわけではありませんし、結局は同じことになるわけですね。ですから、年金の財政というものを別途に考えるのであれば、やはりこの年金の積立金というものに対してもう少し積極的に考えていく必要があるのではないだろうか。年金財政年金財政なんだ、国からの援助というものはできるだけ控えるんだというのが政府の今の姿勢ですね。これは年金財政年金財政で自立していかなければならぬのだというような考え方でありますが、もしそうだとするならばやはりこの積立金の運用につきましてもそれなりの道というものが開かなければならないのではないだろうか、そういうふうに思うわけでございます。理財局長さん、御答弁いただくなら簡潔に、現状はどこまで進んでいるかということだけお聞きしたいと思います。
  42. 窪田弘

    ○窪田政府委員 六十一年度財投の要求は二十一兆四千億でございますが、厚生省から四兆一千億、郵政省から三兆五千億、合わせて七兆六千億の分離要求がございまして、これではとても財投編成がいたしかねます、財投の崩壊にもつながるということで、ぜひ統合運用をお願いしたいということでやっております。  財投研究会は具体的にそこに焦点を当てているわけではございませんで、今全体的な観点から財投の見直しを御議論をいただいているわけでございまして、私どもとしては国の財政の仕組みから生まれた資金というものはぜひ統合して有効に活用させていただきたいと思っております。  ただ、その中に年金の大切なお金があるということは私どもも十分心得まして、できるだけ有利に運用をしていくという考え方でございますが、厚年基金のように株式とかそういうものまで運用するわけにはまいりませんで、やはり確実ということが何よりも重要でございますので、六・八%と若干下回っておりますが、これはやむを得ないことと思っております。
  43. 坂口力

    坂口委員 大蔵大臣、今の答弁を聞きますと、そういう自主運用の気持ちはさらさらないという答弁ですね。これは大臣のかなり理解のある答弁とはちょっと差がありますね。あり過ぎる。  ことしの予算委員会、前国会での答弁、そしてきょう、こう三回見ますと、竹下大蔵大臣答弁は理解度がだんだん深まってきていると私は思うのです。その審議会にしましても、総理府にありますものは専門家過ぎて、大物過ぎて、ちょっとぐあいが悪い、そこでの議論はなかなか難しがるいますが、やはり人事院としましては公務員の利益の擁護ということが極めて大事な問題でございますし、また、年金に関しましては国家公務員法にもその根拠が明らかにされておるわけでございますから、その考え方に基づきまして、今回の共済年金制度改正に当たっても、そういうふうな趣旨が生かされ、またそういうことによって公務員の利益が大幅に不利になるということのない前提をとる、そのようなことについて厳しく主計局長の方にも申し入れをさしておるわけでございまして、初めからあきらめてどうこうということではもちろんございません。  ただ、年金制度というもの、高齢化社会の到来、年金の原資になるものなどについていろいろ考え、あるいは掛金の問題その他いろいろな条件を考えますと、年金制度そのものの生命にかかわるようなことになってはこれはいけませんので、おのずから公務員立場からも、そういうことに対する妥協と言うと語弊がございますが、のみ込まなければならない点もあったということは私も率直に認めなければならないと思います。
  44. 坂口力

    坂口委員 初めにも申しましたとおり、今回の改革は大改革でございまして、大改革でありますだけに、人事院として調査研究というものがかなりできてしかるべき問題ではなかったかと私は思うわけでございます。そうしたことを人事院として御発言になることがいろいろに大きな影響を与えるということで、調査研究はされましたけれどもそれはお控えになったものなのか、それともすべては大蔵省にお任せになったものなのか、そこは定かではございませんが、人事院は人事院としての立場で我々はこういう意見であったということをやはり明確にしていただくということは、人事院の権威にとりましても非常に大事なことではないかと思うわけであります。大蔵省の方でこういうふうに言ったからまあそれはやむを得ないだろう、それは妥当だろうということではなくて、示すべきところはやはり毅然たる態度をお示しをいただくべきではないかと思うわけでございます。  そこで国家公務員法でございますが、百七条、百八条について申しましたが、この百七条の一項の方にも「相当年限」という言葉が入っているわけですね。新しくこの年金を受けられる人は、相当年限忠実に勤務をされた人という言葉が入っているわけでございますが、今回の改正では相当年限ではなくてすぐ対象になるわけでございます。こういった面で、今度の改正案と比較をいたしますと、字句、文言に必ずしも適切な表現ではない部分もあるように見受けるわけでございます。  先ほども申しましたように、「適当な生活の維持を図る」というようなところにつきましても、これで現在の年金とよくバランスのとれた言葉なのかどうかというようなこともあるわけでございまして、国家公務員法のこうした面はこのままにしておかれるつもりなのか。新しい体制と合わせてここは若干変えていかなければならないとか、新しい趨勢に合わすべきかというようなことについての御検討はなかったんですか、あったんですか。
  45. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 お話は百七条の関係だろうと思います。この百七条の規定は、言うまでもございませんが、退職年金制度の根拠規定でございます。昭和三十四年に共済制度ができましたときに若干字句の修正をいたしましたが、その後一貫してこの規定は今日まで続いているという形でございます。  お話がございましたように、この規定にはいろいろの内容、文言がございますけれども、文言自体はかなり抽象的でございまして、私どもは、今回の共済法の改正はこの規定の趣旨に沿ったものだというぐあいに理解をいたしております。ただ、内容からいたしますと、今回の新しい共済制度は、国民年金部分とそれから報酬比例部分と職域年金部分と三段階になってくるわけでございますが、そのうち国民年金部分につきましては、この百七条の対象の外になったというぐあいに理解をいたしております。
  46. 坂口力

    坂口委員 人事院総裁に対する質問はこの辺で終わらせていただきたいと思いますが、初めにも申しましたように、この重大な局面において口頭で申し入れられたというところに非常に歯がゆさを実は感じをわけでございます。大改革でありますから、当然文書をもって国会とか内閣に態度を表明をされるのがしかるべきであるにもかかわらず、口頭でもって主計局長にのみお伝えになったというところが、初めからどうも人事院としては態度が明確でなかったのではないか、あるいは後に残ることを恐れてされたのではないかというような疑いすらそこに生ずる可能性があるわけでありまして、いささか心に残るところでございますが、これ以上申し上げることは大変失礼でございますので、これまでにさしていただきたいと思います。  さて厚生大臣、長い間お待たせをいたしまして申しわけありません。  この年金積立金のことにつきまして、私はことしの予算委員会、それから年金の前国会での議論と、何回か取り上げてきたわけでございます。  ことし初めの予算委員会のときには、総務庁にあります審議会でこの問題は検討をしてはどうかというような答弁をいただいたというふうに記憶しています。これは竹下大蔵大臣からお話があったのか厚生大臣からあったのかちょっと記憶ございませんけれども、そういうお話がございました。ところが、総務庁にございますところの審議会は、年金積立金の運用について審議をしていただくのは本来の趣旨からいって少し適当でないのではないかということを前国会で私が申し上げましたときに、竹下大蔵大臣から、まあそういう気は私もする、別なものを考えなければならないかなという気はする、こういう御答弁があったというふうに記憶をいたしております。  厚生省からお聞きをいたしますと、最近、年金積立金の高利運用についてということで、年金資金運用研究会というものをおやりになるということになった。その会合が何回持たれたのかよくわかりませんが、新聞等を拝見をいたしますと、額は約四兆円程度の自主運用ということのように漏れ承っております。この年金積立金の高利運用について研究会をお持ちになる経緯、そしてこれからの計画の御予定、そうしたものをひとつ厚生大臣からお聞きをしたいと思います。
  47. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 私どもは、この積立金は将来の給付にとって大変大切な元本であり、その運用利益も将来の膨大な給付に対して、あるいはまた高額な負担を緩和する意味でも大切な財源であるというふうに考えておるわけでございます。一方、共済組合におきましては自主運用が認められておるわけでございます。そういう観点から、現在、昭和六十一年度の概算要求におきまして、自主運用をさせてくださいという申し出をいたしておるわけでございます。  その四兆円の中身につきましては、新規に発生する積立金の半分、それから、七年契約でございますので、その期限切れで再契約いたします分の半分、合計額四兆円となっておるわけでございまして、その申し出をしております以上は、自主運用についてどういうふうに高利運用ができるかという具体的な勉強をしようという研究会を開催いたしたのが今御指摘の会でございます。まだ発足後しばらくでございますので、具体的な意見が出ておるかどうかということは政府委員から答弁をいたさせます。
  48. 吉原健二

    ○吉原政府委員 年金資金運用研究会と申しますのは、ただいま大臣からお答えをいたしましたように、私どもの考え方は、民間活力を導入する観点から、年金の積立金を原則として民間機関に委託をして運用したいという考え方を持っておりますけれども、やはり公的な年金の大事な積立金でございますので、具体的には安全、確実かつ有利でなければならないということが大事でございますし、もう一つは、やはり相当大きな額のお金になりますので、金融なり資本市場に悪い影響を与えるようなことがあってはならないということも必要なことだと思っております。う、独自のものが必要ではないかという前回発言、そういうものを踏まえてみますと、竹下大蔵大臣も非常に理解を示しておみえになるというふうに私は理解をしてきたのですが、今の理財局長さんの御答弁だと、四兆円も三兆円もそんな金を出す気はさらさらないという感じに聞こえてならない。それだと、せっかく厚生省の方で御検討いただきましても、大蔵省がかたく門を閉ざすということでありましたら、その結論を生かすことができ得ない。やはり一つの内閣のもとに行われていることでありますから、厚生省でそういう研究を始められる、その結論と全く一致ということはないにしても、大蔵省の方も程度の差はあれそれに対して理解を示して、こちらも研究をしていくということであるのならば話はわかりますけれども、どうぞ自由におやりください、こちらはそういう気持ちは決してございませんというようなことでは、一つの内閣の中で一体何をしているのかということになると私は思うのですね。甚だ不服でございます。一つ答弁いただきたい。
  49. 竹下登

    竹下国務大臣 それぞれの役所、役所をつかさどっておりますとなかなか問題がございます。例えば、この共済年金法律審議していただきますとなれば、私をある程度制約しておるものは国家公務員共済組合審議会であり、地方公務員の方はまだその審議会であり、社保審とかいろいろな審議会がそれぞれの省の担当の中に存在して、そこでは、年金で申しましても、どちらかといえば私の方がいただいているのは国民連帯みたいなことで解決したらどうだ、他の方はそれはとても受けるべきではないよとか、いろいろな答申がありますから、その中でお答えするというのはおのずから限界がある。したがって、統一答弁も今のところ出ておりますが、こういう委員会に出ましたときにさらに統一見解を出せということになると、私の能力のもう一つ上の人が出なければ本当はいかぬじゃないかな、こんな議論がいつもあるわけであります。  そこで、それと同じように、例が余り適当ではありませんでしたが、例えば臨調答申で見ますと、「公共的な性格を有する資金をできるだけ有効かつ整合的に配分するためには、統合運用の現状は維持されるべきである。」こういうのが一つあり、それから行革審意見の中には「厳しい財政事情の下において、「第二の予算」として一般会計予算と密接な関連を有している財政投融資については、資金運用部による統合運用の現状を維持する」必要と書いてありますし、それらの意見に対しては、閣議はいつでも最大限にこれを尊重すると言っておるわけですね。そういたしますと、そこに私の答弁の限界というのは一応できてくるわけであります。  それで問題は、私が言っておりますのは、そこまで突っ込んだお話をしますとまた当たりさわりもあるのかな。仮に年金を別建てにして、一つの考え方を持って、有利運用ということを念頭に置いて考えるかということになりますと、安全、確実、有利、そして市場の動向というようなものも見なければならぬ。そうすると、その趣旨でどこかで、別に大蔵省というわけじゃありませんが、専門的なところで一元運用をやるという方がいいのかな。今お話しになりましたように、いろいろな年金資金の還元融資も、これは別の角度から見れば、個々の市町村にとっていえば地方債と同じ性格のものである、こういう議論もなされる。そうすると、財投のあり方から議論していかなければいかぬなということになるわけでありまして、財投の議論にしても非常に粗っぽい議論をすれば、もう財投は要らぬじゃないか、むしろ一定の利子補給金の機関があったならば財投というのは民間金融の中の利子補給で賄えるじゃないか、こんな議論もそれは当然出てくるわけであります。その場合に、それでは郵便局というものの位置づけをどうするのか。いや、あれは貯蓄銀行にするとか、いろいろな議論がある。そんなようなことを、大体時期の来たときだから、どこかで本気な議論をしなければならぬ場所が必要だなという問題意識は私にもあるわけであります。私なりに、いろいろな答申の中でみずからの制約を受けながらどこかで何か本気な勉強をしなければいかぬことがあるなという問題意識は持っております。  しかし、それが一年の終わりになりますと、今度は予算編成ということになる。概算要求のときにはまたいろいろな要求が出てまいりますので、それらを一つ一つこなしながらこの問題を処理していかなければならぬのだな、こういう感じでおりますので、私の方から、いや、厚生省の要求はだめです、それはもっとプロの方で運営した方がいいです、そんな生意気なことを言おうとも思っておりませんし、また、どこでも自分の集めたものは自分で運用したいという気持ちになられるのもこれまた人情の常でもあろうなどということを考えながら、せっかくこういう意見を聞いてなるほどなと思いながら対応しているということであります。
  50. 坂口力

    坂口委員 大臣、私は厚生省の肩を持って言っているのと違うのです。厚生省は、自分のところで集めた金だから自分のところで運用したいのだろう、そんな発想で私は言っておるわけでもないのです。年金資金というものが今非常に重大な危機を迎えて、将来とも大変なときなんだ、少しでもそれを拡大をして国民の皆さん方にお返しをしなければならぬじゃないかという立場から言っているのですから、ひとつ誤解しないようにしてほしいと思うのです。  臨調の提言等も引かれましたけれども、臨調は、財投を取り巻く環境の変化により「財投資金を配分する必要性が従来に比べて相対的に低下している。」と分析している。つまみ食いされちゃ困るよ、こうも書いておるわけですね。こういうことになっておるわけでありまして、したがって、先ほど申しましたように、年金一元化をしてこれからやっていこう、そしてそれに対しては国も援助をしますよというのなら、それは話は別でございます。しかし、でき得る限り国が年金に出します金は削っていこう、少なくしていこう、そういう方針なんです。そういう方針の中で、そしてそれならば年金財源、積立金をどうするかといったら、それの運用は国が全部いたしまして自由にはさせません、そして国が出す方は出しません、それだったらこれはもう細っていく以外に方法がないわけですね。だから、こういう時期だからこれはひとつ考え直さなければならぬ、大改革をしなければならぬということを申し上げておるわけです。  それともう一つ。今は一元化の話をしておるわけであります。国鉄の問題が出ますと、大蔵大臣は、国民全体がこれを見ていくんだとおっしゃる。厚生大臣は、それはひとつ共済年金の方でまずごらんください、厚生年金はその後の話でございますというような意味のことをおっしゃる。この資金運用の話になりますと、厚生大臣はできる限り自主運用をしたいと思います、大蔵大臣はそれはそのつもりはさらさらございませんというようなことでは、これは年金一元化の話をしても値打ちないですね。一元化をすると言っておきながら、各省庁の間が一元化されていないんですね。全然ばらばらのままで、各省庁がそれぞれの今までの考え方のままで、やむを得ず基礎年金だけの部門をつくりました、しかし頭はヤマタノオロチで皆違います、これはこれからでも違うのですということですが、ヤマタノオロチ年金では困るわけで、これは一つにまとまっていかなければならないわけです。その議論をまさに今やっているわけです。  ところが、国鉄の問題にしましても積立金の問題にしましても、それぞれ省庁、それぞれつかさ、つかさの考え方の違いはございますとおっしゃいますけれども、それはやはり考え方はあったといたしましても、そこを一元化していこうという努力をしてのこの議論なわけですね。だから運用の問題につきましても、そういう大蔵大臣それから厚生大臣の答弁、これももう少し一元化をしていただかないと、別々のことを言ってもらっちゃ困りますね。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕  ひとつその辺のところは、厚生省だけでおやりになるのも結構、大蔵省だけでおやりになるのも結構。しかし、これはやはりそれぞれ年金に関係のありますところの省庁の皆さん方が一つ議論をする場所をつくって、そして少しでも前進をするように努めていただきたい。私は新しい提案をいたしますが、もう一度御答弁をいただきたい。
  51. 竹下登

    竹下国務大臣 その考えは私は否定しておるわけじゃございません。従来、予算要求の際にそれぞれの省から出て、十二月末までに一応の結論を出す。それは継続審議しましょうやという場合もあるし、決着がつく場合もあるということで、今日までこの問題については、いわゆる年金の問題はしばらくおきまして、郵政省との問題というのはずっと継続審議の形をとっておる。それは、いつまでもこんなことをしておってはいかぬなという気がございます。したがって、お答えすることは、大蔵省の今までの主張をお答えし、一方はまた要求の主張をここではお答えになる。それをかれこれ整理していくのが毎年毎年の予算編成ということになるが、大体、毎年予算編成で、厚生省の方は別でございますけれども、やっておるというのも、本当は大人げない話だと私も思うのであります。そこへ国際化、自由化の問題が出てきたということになれば、まさに今おっしゃったような物の考え方というのは通用する考えだ。  人情として、集めたものは自分の方で運用したいという人情はあるにしましても、その主張が、今坂口さんおっしゃったように、おれは厚生省の立場に立って主張しておるものでもない、いわゆる天下国家、年金のあり方についての主張をしておるんだ、そのとおりだと思うのです。我々もそのつかさ、つかさによっていろいろ縛られることがあっても、根底には同じような考え方がなくちゃいかぬと思う。ヤマタノオロチの島根県でございますが、これはスサノオノミコトが征伐したわけでございます。ですから、本委員会があるいはヤマタノオロチを征伐される大きなきっかけにもなるかもしれぬというようなことを考えて、何かどこかでやらなければならぬことだな。  臨調がおっしゃっているとおりなんですよ。財投の目的も、それは歴史を振り返ってみれば、戦後、復興金融金庫というものができて、これが戦災復興の本当のきっかけになったでしょう。それから輸出競争力をつけるためにいろいろなことをいたしまして、それが今や貿易摩擦の方にいっておりますが、いろいろな変化が起きてきた。そこへ新たに公害の問題がある。そういうところへ、いわばそういうニーズに対応しながら変化してきておりますが、まさに臨調の指摘にあるように、なかんずく戦災復興とかあるいは輸出奨励とか外貨獲得とか、そういう時代からいうと、従来と目標が大変に変わってきておる。そういうことも念頭に置いて、しかしながら、運用だけは一元化してやらなければいかぬぞ、そういう御答申をいただいておるわけでございますので、その場をどこに置くか。とりあえずは財投のあり方ということになると、やはり我が方でも、すなわち理財局でも勉強してみたらどうだというので、今勉強が始まっておるということでございます。  一元運用は大切だということは、いろいろな答申からいたしまして今私がそれをおりるわけにはまいりませんが、どこでどう運用するかということになると、一元運用、こう言わざるを得ませんが、いわば年金財政のあり方、それから金融自由化、国際化の際におけるところの郵貯のあり方、そして財投そのもののあり方、こういうことはやはりどこかでやらなければならぬのだなという問題意識は持っておりますが、まずは我が方で財投研究会ぐらいから積み上げていこうという考え方で勉強をさしておるというのが現状でございます。
  52. 坂口力

    坂口委員 やらなければならないという認識は持っておるというお話でございますけれども、年金財政の方は風雲急を告げてどうにもならない状態に来ている。中にはバンク寸前という年金もある事態において、研究をしなければならない、まだするつもりでございます、いつ結論が出るかはわかりませんというようなことでは、これは年金はさらに細っていかざるを得ないわけです。これだけ国会でも何回か議論になっていることでありますから、ただいつまでか研究をしておるというのではなくて、もう少し大蔵省も前進をしてもらいたいと思う。  これはおっしゃるように、財投全体にかかわることでもあろうかと思います。その運用を厚生省でするのか、大蔵省でするのか、一括してするのか、そんなことは結構です。運用先がどこであろうと、それはいいと思いますが、要は高利運用のできるものはする。とにかく財投でも余って返ってくるのが一兆円を超えておるような時代ですから、これはこのままで果たしていいのかという議論は当然起こってしかるべきだと思うのです。そういう現状を認識していただいて、これはいずれにしてももう少し積極的なお取り組みをいただきたい。  大蔵大臣は否定はしないというふうにおっしゃいますが、否定はしないけれども、しかし積極的にやるという姿勢もお示しにならない。否定はしないということとそれじゃやろうかということとは別問題でございまして、その否定しないというおっしゃり方が甚だ煮え切らないわけで、大変長時間御答弁をいただきましたけれども、しかし、答弁の長かった割には内容に乏しかった。せっかくの年金のこと、これはもう何時間やっておりましても全然だめですね。率直に申しまして、この問題、もう少し前進できませんかね。いつまでか、これは大蔵省、私のところの範疇の金だからよその省庁には言わせません、つかさ、つかさ、それぞれ考え方があってそれはできませんというのでは、これはもう前進いたしません。それなら構いませんから、この年金に対する国家支出ふやしてくださいよ。それはしない、こうおっしゃる。減らしていくとおっしゃる。減らしていくんだったら自主運用ぐらいは認めてしかるべきだと思う。明確な答弁をひとつ求めて終わりにしたいと思う。ヤマタノオロチを退治をするのは竹下総理大臣以外にない、こういう立場でひとつ答弁をしていただきたい。
  53. 竹下登

    竹下国務大臣 否定しないと申しておりますのは、要するに各省がいろいろな要求をなさる。それを初めから否定してかかったら、予算折衝というのは不毛の論議ということになってしまいます。不必要ということになってしまいますから、もとよりそれぞれの要求が出てくる。それで、ただ大蔵省には従来はこうした考え方がございましたというのを披露するのが限界だ。したがって今後の問題は、だからして今財投研究会、やっておりますが、やはり財投とは何ぞやという基本論、やらなければならぬ時期に来ているんじゃないか。一方、金融については国際化、自由化の問題がある。一方、年金財政というのはおっしゃるとおりです。できるだけ自主自立の中でやっていただいて小さな政府でありたい。公的支出はできるだけ縮めて国民負担をできるだけ減らすというのが元来の行政改革のあり方でもあるわけです。したがって、有利運用の問題等がそれは当然出てくる問題だということは私も十分承知しておりますが、結論から言うと、やはり財投そのものは何ぞやというところから議論をしてかからなければ容易に解決のつく問題じゃないな。そうなると、それは確かに一大蔵省というようなセクトよりももっと内閣全体の中でやらなければいかぬな。私なりにこれをどこへ持ち込んでやろうかなというような考えはないわけでもございませんけれども、まだ十分練ったわけでもございませんし、余りつまらぬ反響が出てもいかぬと思いながら万事控え目にいたしておりますものの、問題意識だけは十分に持っておることは事実でございます。  これは特に手前みその話じゃございませんけれども、インフレなき持続的成長ということになりますと、なかんずくいろいろな資金の運用というものに対しての関心、これは法人、個人、公、私を問わず目がそこへ向いてくるのも当然でございますし、問題意識としてちゃんと持っておりますが、さあ坂口さん、どのようにして検討を開始して、どのような時期をめどにやろうと思いますという返事は、いま少し時間をいただきたいというふうに考えております。
  54. 坂口力

    坂口委員 そこまで言っていただかなくてもいい、ひとつ省庁の枠を超えてこの議論をぜひ前進させたいという気持ちがあるかどうかということの明確な答弁で結構でございます。
  55. 竹下登

    竹下国務大臣 年金資金の自主運用、自主運用というのは、自主とは何ぞや、こういうことになりますから、したがって、財投のあり方等を含め公的資金の運用等については今後とも十分注意して、そして私は、まだ私的な考え方でありますが、今はまだ研究会をやっておるにすぎませんが、どこかでやらなきゃならぬという気持ちを持っておるということは申し上げて結構ではなかろうかと思っております。
  56. 坂口力

    坂口委員 わかりました。どうものどに詰まったものが取れない感じでございますけれども、これをもって終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  57. 越智伊平

    越智委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  58. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米沢隆君。
  59. 米沢隆

    ○米沢委員 ただいま提案されております国家公務員等共済組合法等の一部改正法案は、本格的な高齢化社会の到来など社会経済情勢の変化に対応して、我が国公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るために、公的年金制度一元化を展望しつつ、共済年金制度についても所要の改革を行おうとするものでありまして、その趣旨におきまして私どもは全面的に賛意を表するものであります。  そのような観点から、私どもは、基礎年金制度の創設による公正な制度の確立や、長期的に安定した財政運営を図るためには、公的年金制度の統合一元化が不可欠であろうということで、一元化の第一段階として提出されました国民年金法等の一部改正法案には、大幅な修正を加えた上で賛成いたしました。  現在審議されております共済法案は、制度一元化の第二段階として提出されたものでありまして、私どもとしては、共済年金制度昭和六十一年四月一日より国民年金等と同時に新制度に切りかえるべきだとの立場をとっておりまして、今国会での成立を期すべきだと考えております。しかしながら、この共済法案につきましても多くの問題点指摘されておる現状にかんがみまして、これからの議論いかんにもよりますけれども、与野党合意ができ得るならば、修正など的確な対応をするよう政府に強く求めていきたいと思っておるわけでありますが、まず、当局のその点に関する基本的なスタンスについて、大蔵大臣からお伺いいたしたい。
  60. 竹下登

    竹下国務大臣 まさに御趣旨の点は、私も理解をいたすところでございます。  ただ、審議の過程で、もとより国会のことでございますからいろいろな議論も出るでございましょうが、この一元化へ向かっての第二弾、こういうことで早期に成立さしていただきたい、しかも、厚生年金改正と同様の趣旨の内容を盛り込んだ政府原案のとおりに一日も早く成立させていただきたい、これは原案作成者としてはまずはそれを申し上げるのが第一義であろうかと思っております。  ただ、国会というものは、お互い国会議員としての立場から、もとより法案に対する修正、そういうようなことが与野党合意等で行われるということも十分承知いたしておりますが、政府の側から、今出したものは修正の余地がたくさんございますのでどうぞご随意にと言う立場をとるわけにはまいりません。基本的には、いろいろ工夫した結果、現段階においては最善のものであるという考え方の上に立っておりますので、可及的速やかに原案どおりで成立させていただくことをまず心から期待をしておる、現状における答弁はそういうことではなかろうかなという感じがしております。
  61. 米沢隆

    ○米沢委員 原案作成者としては修正よろしくお願いしますと言えるはずはない、そんなのわかっておるつもりで質問しておるわけです。しかし、それぞれ問題点があるので、これからの議論を待たなければなりませんが、与野党合意して、ここらは変えたらどうだろう、そういう話になったならば、やはりそれはわかった、こういう議論をしていただけるのですね、こう言うておるのです。
  62. 竹下登

    竹下国務大臣 与野党合意していろいろな問題が議せられる際には、当然政府側もそれに対して意見を述べたりする機会もお与えいただけるでございましょうから、その上で合意は成立するであろうというふうに思っておるところであります。
  63. 米沢隆

    ○米沢委員 各論に入ります前に、安定した公的年金制度の確立を初めといたしまして、これからの社会保障のあり方等の基本的な問題について厚生大臣と大蔵大臣の所見を求めておきたいと思います。  御案内のとおり、現在人口高齢化率というのは約一〇%ぐらいにすぎませんけれども、二十一世紀の前半、昭和九十五年ごろのいわゆるピーク時には、この人口高齢化率は二二%にまでに達するであろうと推計をされております。このような高齢化社会の到来を前にいたしまして、老後の生活保障としての公的年金制度の役割やそれに対する国民の期待、あるいは一方では不安みたいなものがますます高まっておることは御承知のとおりであります。その意味におきまして、今回の一連の年金改革は、まさにそういうものに対応しようということでの提案であろうと我々も理解をいたしております。しかしながら、このように、二十一世紀には我が国は本格的な、あるいはいまだかつて経験しなかったような高齢化社会を迎えるということでありまして、その意味では、我が国の社会保障の今後のあり方というものは新たな理念と方針に基づいて再構築しなければならない、これが現在の時代の要請ではなかろうか、こう考えるわけでございます。  そこで、この際、政府として、今後どのような展望と指針を持ってこれからの活力ある福祉社会を目指そうとしておられるのか、担当者の厚生大臣と、次期総理を目指されます竹下大蔵大臣に所見を求めたいと思います。
  64. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 これからいよいよ御指摘のような本格的な高齢化社会を迎えるわけでございます。その中でも、せっかく与えられた長寿、長生きというものを喜んで過ごせるような姿にしなければならない。御指摘のように、人生が充実をして活力のある福祉社会をつくるということが我が国の重要な課題であると思っております。  その基盤としましては社会保障制度でございますけれども、高齢化社会におきましても長期的に安定をしたものでなければならない、かつ有効に機能するものでなければならない、そうして国民が心から信頼できるそういう制度にしなければならないということで、今後とも制度の整備、改革に真剣に取り組んでまいる所存でございます。
  65. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘の点は全く私も賛成でございます。  社会保障につきましては、国民生活の基盤として、来るべき高齢化社会においても、長期的に安定的かつ有効に機能するような制度を構築し、これを運営していかなければならぬ。これまでもこのために、医療保険制度それから年金制度の抜本的改革等に取り組んできておるところでございますが、今後とも高齢化社会を展望して、各制度の根本にさかのぼって見直しを行って、給付の重点化あるいは負担適正化等を図りますとともに、社会的、経済的に弱い立場にある方々に対して重点的かつ効率的な福祉施策を推進していくという考え方で対応すべきであると思っております。
  66. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、このような高齢化社会の進展というものによって、当然新たな福祉需要がこれからどんどん生まれてくるという情勢になっておるわけであります。  年金財政はもとより、医療財政、あるいは寝たきり老人等も急激にふえていきましょうからそういう皆さん方に対する福祉の需要等々、これは相当の増大ぶりがこれから推察されるわけでありまして、そうなりますと、一体国民負担はどうなっていくのだろうかとか、あるいはそういう需要というのはどれくらいふえていくのだろうか、それに対応して我々の負担はどうなるのだろうか等々、いろいろと一方では不安みたいなものがわだかまる、こういう状況になるわけでありまして、政治そのものは、そういうわだかまりや不安というものに対して少なくともこうしたいという方針を持って対処するという姿勢を示すのが、今我々に与えられておる大きな課題ではなかろうか、このように思うわけでございます。  そういう観点から、これから年金が一体どういうような伸び方をしていくのだろうか、あるいは医療費はどういうような伸び方をしていくのだろうか、あるいは寝たきり老人等に対して福祉施設等の需要はどういうふうに伸びていくのであろうか、そのあたりの福祉需要が一体どういうふうに伸びるのかという点について、まず厚生大臣からそのあたりの推移について御説明いただきたい。
  67. 岸本正裕

    ○岸本説明員 高齢化社会の到来に伴いまして、社会保障の需要は先生おっしゃるように増大していくということが考えられるわけでございます。ただ、社会保障の需要の伸びが全体としてどの程度の数値になるかということにつきましては、経済情勢等不確定な要素が大きくて、具体的に予測するということは非常に困難な面があるわけでございます。ただ、昭和五十八年度の社会保障給付費というものは、対国民所得比で一四・五%でございます。私ども、先生の御意向を受けましてごく粗い試算ということをしてみますれば、昭和百年度には二〇%台の前半くらいの率になるのではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、全体の社会保障負担とか租税負担を含めました国民負担の対国民所得比というものの推移を考えてみますと、先生御承知のように、臨調の答申でございますとか、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきましても、将来の国民負担は現在のヨーロッパ諸国の水準、まあこれを五〇%前後、こういうふうに考えているわけでございますが、このヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめることが活力ある社会を築くために望ましいのではないかという意向が示されているわけでございまして、私どもといたしましても、必要な福祉を確保しながらこの方向で努力をしていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  68. 米沢隆

    ○米沢委員 確かにこれからの経済的な動き等がわかりませんから、明確に必ずこうなりますという数字は示されないかもしれないけれども、年金だって、まず年金の財政再計算をやって、それから保険料率を決めたりしてやっておるのでしょう。だから、年金は大体どれぐらいになるだろうぐらいのことがなぜ言えないの。医療費はどれぐらいになるのだろうとなぜ言えないの。そんなのが言えずして、なぜ国民負担率が出てくるの。ちゃんと言った数字ははっきりしなさいよ。何回も何回も質問させるなよ。
  69. 坪野剛司

    ○坪野説明員 厚生年金国民年金給付費の将来見通しでございますが、将来どういうふうにスライドするかというようなことがございまして、なかなか推測は難しいわけでございますけれども、今回、五十九年度の財政再計算によりますと、国民年金厚生年金を合わせまして五十九年度価格で、六十一年度には約十一兆を予測しております。昭和百年度におきましては、これは四十年先でございますので非常に難しいわけでございますけれども、五十九年度価格で約二十九兆ぐらいではないだろうか、率にいたしまして約二・七倍ぐらいに膨れるのではないだろうかということを予測しております。
  70. 鎌形健三

    ○鎌形説明員 お答えいたします。  医療費につきましては、年金と違いまして、高齢化という要素のほかに、医学、医術の進歩でありますとか、慢性病の増加とか、そういう要素がございまして、数字として長期的な見通しを示すのは非常に困難でございます。しかしながら、今後高齢化社会が急速に進展いたしまして、年金のための負担の増加ということはやむを得ないということからしまして、国民全体の負担が過大となるないように、総合的な医療費適正化対策を強力に推し進めるということをいたしまして、医療費の伸びというものも国民所得の伸びの範囲内におさめたいということを考えておるわけでございます。
  71. 米沢隆

    ○米沢委員 どうもそういう予測数字も出さぬで長期計画を組んでみたり、国民負担率がどうなるなんて厚かましく言うてみたり、よくできるもんだな。医療費だって、過去の推計を見たら大体これぐらいになりましょう——何もその数字になるなんて僕は言ってないよ。少なくともどれぐらいの規模になるぐらいのことが言えない厚生省なんてナンセンスだと思うな。  まあ何ぼ理屈を言うても時間がたちますから結局、そういうような社会保障の負担、福祉需要というものがこれからどんどん大きくなっていく。それに対して国民が果たして負担にたえられるかどうか、そのあたりがこれからの議論になるわけでありまして、御案内のとおり、いわゆる先進国病という歴史の実例から見ますと、余り租税負担率やら国民の社会保険負担率あたりがふえていきますと、何のことはない、何となくわけのわからぬ社会になってしまう。どうしてもそれを避けねばならないという意味で、やはりある程度のめどとして、政府として租税負担率を含めて社会保険の負担率あたりはどれくらいのめどをセットしてこれのために一生懸命努力、邁進していこう、そういう目標がセットされねばならぬのじゃないかな、こう思うのです。  現在、御案内のとおり国民負担率は三六%ぐらいでございますけれども、八〇年代の展望と指針等を見ますと、大体西欧諸国の水準にはならない、その下の程度でおさめるという漠とした議論がなされておりますけれども、この際、大蔵大臣として、どういうような国民負担率というものを目指してこれから租税負担率とかあるいは社会保険負担率あたりをセットしていった方がベターであるというふうに御理解いただいておるのか、そのあたりを御答弁いただきたい。
  72. 竹下登

    竹下国務大臣 これは先ほどもお話がありましたが、確かにいわゆる臨調の第一次答押当時のヨーロッパをかなり下回るといいましても、当時のヨーロッパは五〇%程度、今あるいは五五という人もあるわけでございますが、我が国は三六弱といたしまして、いろいろなことを考えますと、人によりまして四〇%というのを念頭に置いてあのときは議論をした、こういうお方もいらっしゃいますし、あるいは四五で議論された方が多かった、こういうようなお話も承りますが、私どもとしては、今それを定かに、定着した一つの目標値として掲げるのは、率直に言って難しいな。今、いわゆる社会保険負担という問題につきましては、制度改正一つずつお願いをしておる、そうして一方、抜本審議としての税調審議をやっておる。それらの進行ぐあいを見ながら、今度はやはり国民の側がいわばどこまでサービスを期待しているかということも考えて、総合的に最終的な判断をつけていかなくてはならぬ。だから、漠然とした目標を掲げることはできるが、国民のニーズというものの変化においては余り固定的なものを定めることもいかがか、こんな議論も折々いたしておるところであります。したがって、ヨーロッパのそれよりもかなりという、かなりの範囲ということになりますと、率直なところ、かなりとは大体どれぐらいでございますと自信を持ってお答えするという状態には残念ながら現在ございません。  ただ、私どもいろいろな会合に出ますと、最近は特にヨーロッパ諸国の、私のカウンターパートである大蔵大臣等とお会いをいたしますについては、ヨーロッパ諸国で、今いみじくも米沢さんがおっしゃいましたように、ヨーロッパ病といいますか先進国病とでも申しましょうか、知らぬ間に、意識は余りしない間に、結果として相当な高率になり、そしてそのことが個人個人の心境の中に、元を取らなきゃ損だという表現はちょっと適切ではないのでありますが、そういうことから勤労意欲の低下ももたらしておるということで、私どもに対してもある種の反省からくる警告を与えてくれておるという思いはひとしお深くなっておるという現状でございます。
  73. 米沢隆

    ○米沢委員 社会保険の負担比率だけでも将来五、六%伸びるだろう。今三六ですから、もう四二ですね。そうしますと、四五ぐらいが大体適当だといえば、あと高齢化社会に応じてある程度租税負担率も上がらざるを得ないだろう。わずか三%ぐらいしかありませんよ。それではどうしても間に合うようなものではないなという感じもするものですから、その間ある程度の目標みたいなものを定めて、そこに何しろ押し込むために何をしたらいいのかという優先順位をつけた議論をしていかなければ、これから国民負担は仕方がないから伸びていくという姿では、国民としても納得できない部分があるのではないか、そういう認識をぜひ持っていただきたいということを申し上げたいと思います。  そこで、今度のこの法改正の背景は、どの共済年金制度をとりましても、現在のままでは昭和八十年代には保険料が大幅に上昇して、もう組合員負担の限度を超えて財政的に行き詰まるであろう、こういう認識のもとに一連の改革が考えられておるわけでありますが、この際理解を深めるために、現行制度を維持した場合、中共済あるいは私立学校の教職員共済、農林共済、地共済は財政的にどういう推移をたどるというふうに予想されたのか、そして同時に、それをもし維持するとするならば、各共済保険料はどれくらい上昇していくと見込まれたのか、そのあたりをまず御説明いただきたい。  そして、今回の改正措置によってそれぞれの共済掛金率あたりがどれぐらいでおさまるというようなことで今度の改正法案はできたのか。その二点について当局の説明をいただきたいと思います。
  74. 門田實

    門田政府委員 国家公務員共済組合について申し上げたいと思います。  現在のままでまいりますと、これは議論を合わせますために月収ベースに対して保険料率を申し上げたいと思いますが、現行のままですと、昭和六十一年度一一・三という保険料率でございますが、これが昭和百年度には三六・六というように三・五倍、昭和九十年度あたりでは三八・七と四倍近いような数字になりますが、今回の改正案でまいりますと、昭和百年度三六・六が二九・六という水準に少し抑制される、こういうことでございます。仮に支給開始年齢を六十五歳ということに将来引き上げますと、今申し上げました二九・六といいますのは二四・六%ぐらいにとどまる、こういう計算ができてございます。
  75. 米沢隆

    ○米沢委員 ほかはないの。
  76. 門田實

    門田政府委員 失礼いたしました。  私学、農林それから地方公務員共済、これはそれぞれの所管省庁があるものですから今計数を持っておりませんでしたが、傾向は大体同じでございます。
  77. 米沢隆

    ○米沢委員 もう既にばらばらなんですがね。確かに所管省庁は、大蔵省は国共済で、地共済は自治省とかいろいろあるかもしれませんけれども、今一括してそういう議論をしておるところにそれぐらいの資料は持っておってくださいよ、本当に。  次に、五十九年の二月に閣議決定されました公的年金一元化について少しく質問をしてみたいと思います。  御案内のとおり、政府昭和七十年度をめどといたしまして年金一元化を図ろうとしているわけでありますが、具体的なその後のスケジュールと完成時の年金制度がどういう姿であるのかということをまだ明らかにいたしておりません。本会議等の質問等に対する答弁を見ておりますと、何しろこの改正法案が通った後にそれから先のことは議論するということでございますが、やはり将来どういう絵を描いていかれるようとするのか、あるいは大まかなスケジュール等、給付水準の統一をした後に負担の水準等をどういうような格好でしたいというあらかたの基本的な方針みたいなものは逆に持っていないと、本当はおかしいのではないかな。確実に、何月何日からどうしましょうという議論は、それは難しいですね。しかし、そういうもののために懇談会とか審議会というのをできるだけ早期に開催をして、まずどういう検討を始める、そういう順序みたいなものはあらかじめ持っておかれておることの方が素直じゃないのかな、そう思うんですね。そういう意味で我々は、本会議あたりの総理の答弁だとか、この委員会における答弁あたり、まだちょっと不満なのでございます。  そこで、公的年金一元化という方向性の内容についてちょっと御質問いたしたいと思うのであります。  まず第一に、公的年金制度一元化とは一体何を意味するのかという問題でございます。すなわち、どのような状態ができたときに完成した、こう言われるのか。閣議決定の文書を読みましても、昭和七十年に一元化を完成すると書いてありますね。したがって、完成したという状況は一体どういう姿なのか、その点についてお答えをいただきたい。  それで、その際、今は財政については、それぞれの所管のところで計算をしておりますけれども、年金一元化というその時点においては財政はすべて統合されておる姿が予想されておるのか、その時点においても財政の問題はばらばらの中に推移しておるのか、そのあたりをまず大蔵大臣にお伺いしたい。
  78. 竹下登

    竹下国務大臣 公的年金一元化ということについて、まず一つは、今おっしゃいましたように財布が一つになる、これも一元化一つであります。それからもう一つは、財布は別だが給付負担一元化が行われ、その間においては別々の財布で財政調整が行われる、この二つの議論があるであろうと私も思っております。  私は国民連帯なんて言うものですからすぐそういうことも指摘されるのでございますが、最終的にはまさに財布まで一元化された姿になるのが好ましい姿だと私自身は思っておりますけれども、いつそこへ行けるかということになると、何分制度の沿革等から考えると、私もにわかにお答えするだけの自信はございません。少なくとも給付負担一元化への努力、今度の改正もすべて一元化が完全になったとは私はもちろん申しませんが、それを目指しての努力の中で、財布は別であってもその都度財政調整がされていくという歩みを続けながら、最終的には財布も一つにするというのが理想ではないか。私のお答えする限界を越しておるかもしれませんが、個人的にはそのようなことをいつも念頭に置いておることであります。
  79. 米沢隆

    ○米沢委員 「昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」こうあるわけですから、そういう意味では、七十年の時点においては財政もすべてプールになっておる姿を描いておられると理解していいですか。
  80. 竹下登

    竹下国務大臣 「昭和六十一年度以降においては、以上の措置を踏まえ、給付負担の両面において制度間調整を進める。これらの進展に対応して年金現業業務の一元化等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」こういうことに閣議決定をしておることは事実でございますが、今まで私なりに勉強した点から見ますと、七十年に、私が描いておる、財布を完全に一つにするというところまでは、今までの既存の制度の続きの中で、完全にそこまでは行けないのじゃないか。あるいは財布は一つで別勘定を設けるとか、いろいろな手法はあるかもしれませんけれども、完全に財布まで一つにするというところは難しいのではないかなというのを私のささやかな勉強の経過で感じておるという程度でございます。
  81. 米沢隆

    ○米沢委員 先ほどお読みになった閣議決定の内容には、「昭和六十一年度以降においては、給付負担の両面において制度間調整を進める。」こう書いてありますが、今度の一連の改革で給付制度間調整は終わったと見ていいのですか、まだ残っておるという意識ですか。
  82. 竹下登

    竹下国務大臣 給付面における調整はほぼ完了したということではないか。完全な一元化が終わりましたとは言えぬじゃないかなと思っております。
  83. 米沢隆

    ○米沢委員 今度の改正法案が通った後、今度は負担の調整がありますね。その際、一つの手法としてまず共済年金グループの負担の調整をして、そして最終的にはほかの年金グループとの調整をするという方法もあれば、あるいは一、二の三で調整していくという方法もあるのですが、そういう手法については何か御検討された経緯はありますか。
  84. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、率直に言ってまだございません。私がよく労働連帯なんと言うときに、よくそれは、おまえさんは言ってみれば共済の点を念頭に置いて言っているのか、あるいは国民連帯といいますと、全体をガラガラポンにして考えているのかというような質問を受けたこともございますが、その手法についてはまだ検討をしていないとお答えせざるを得ません。
  85. 米沢隆

    ○米沢委員 先ほどの、給付の面の一元化はほぼ達成できるであろうけれども、すべて一、二の三で一元化されたということは言えない、こうおっしゃいましたので、六十一年以降も給付あたりの一元化のいろいろなまだ残った問題等については整理しなければならないという認識だろうとお聞かせいただきました。  そこで、そういう意味では、これからの年金一元化を展望しましたときに、今度いろいろ改正しましたけれども、改正したにもかかわらず制度的にいろいろ食い違った部分がありますね。ただ、完全に年金一元化議論したときにはそのあたりも一回整理されなければならない課題だろうと思うわけでございます。そういう意味で、今後一元化ということを考えましたときに、障害と言ったらおかしいのですが、ちょっと違いがあって整理しなければならぬ部分が一体どこにあるんだろうか。そういうことを考えたとき、ぜひ事務的に整理してもらいたいのですが、例えば厚生年金、これはもう既に改正法案ができましたね。今度国共済、地共済、農林共済、私学共済ができ上がるのでございますが、その制度間においていまだにお互いの間で共通していない部分、言葉をかえれば、統一的でない部分は一体どのあたりに出ておるのか、箇条書き的にでも結構ですから御説明いただきたい。
  86. 門田實

    門田政府委員 お話しのように、現在厚生年金があり、一方で共済グループがある、その共済グループがまた四つに分かれておる、こういう状況でございまして、現在までは給付要件、給付水準、算定基礎給与等につきまして制度間に相違が見受けられるわけでございます。今回の改正でそういった相違点はほとんど解消されるわけでございますが、幾つかの点になお相違があるという点を申し上げますと、何といいましても、算定のとり方という面におきまして、地方共済におきましては給料月額に一定の率を乗じて得たものを給付額算定の基礎とする、こういうことをやっております。他の制度は標準報酬あるいは平均標準報酬、こういうことでございまして、その点が一点違いますが、その水準は合わせておりますので、そういう意味では水準的には合っておるというふうに考えます。  それから、あと相違点として考えられますのは、一つは職域年金部分の有無ということでございまして、厚生年金にはこれがございませんが、共済グループにはこれがあるということでございます。  それからもう一つ、これもよく議論になるところでございますが、再就職して他の制度に移った場合の支給制限が共済の方にはあって、厚生年金の方にはない、こういうことでございます。  職域部分につきましては、これは公務員の特殊性にかんがみまして、民間の企業年金等の実態も勘案しつつ創設しよう、こういうものでございます。  それから、他制度に移った場合の支給制限の話につきましては、今後厚生年金においても検討されるものと期待しておりまして、そういった制度間の調整も支障になるようなものはないのではないか、こういうふうに考えております。
  87. 米沢隆

    ○米沢委員 今御説明いただきました中で、例の国共済と地共済の間の標準報酬月額の求め方が、地共済の方は本俸主義といいましょうか、国共済の方は標準報酬月額方式、これがちょっと異質なものでございますけれども、今後一元化を図る上でこういうものは障害になると思っておられるのか、障害には全然ならないと思っていらっしゃるの業のか、それが第一点。  そして、この際、国公共済厚年方式をとる理由と地公共済方式をとらなかった理由について御見解をお示しいただきたい。
  88. 門田實

    門田政府委員 御指摘のように、国共済等の場合と地共済の場合で算定基礎のとり方が違うわけでございますが、水準的には見合っておりますので、私どもは今後の障害にはならない、こういうふうに考えております。  それから、こういう相違を生じました理由でございますが、国共済の場合には、公的年金一元化の観点から、厚生年金でありますとか私学、農林共済が既に標準報酬をとっているということに合わせてまいりまして、また、国共済の中には、実は民営化された新電電、たばこ産業といったものもあるわけでございます。また、今後の国鉄共済の扱いも問題になっておりますが、こういうことがあるのに対しまして、地共済の場合には実は地方団体が非常にたくさんございまして、そこの手当が非常にまちまちである、相当の差もあるということで、そのためには標準報酬方式はとりがたい、こういう理由があったわけでございます。
  89. 米沢隆

    ○米沢委員 国家公務員の方は、年金一元化という観点から厚生年金の方の標準報酬月額方式をとった、こういうことでございますが、この標準報酬月額そのものも、昔から問題が指摘されておりますように、住居手当とか通勤手当とか個人差がある所得ですね。本来その人の収入というよりも、長い遠いところから通ったら年金が高くなるとか、住居手当のとり方いかんによってはまた年金そのものが変わってくるというのは不合理ではないかという議論があったことは事実ですね。そういう意味で、厚生年金の標準報酬月額はすべて是であるという議論はできないというのが今までの議論であったわけでございます。そういう意味では、国家公務員共済の方も地方公務員共済と同じような方式の方が逆に矛盾が大きくならないのではないか、あるいはそういう計算方式の方が逆に事務的にはコストは安く上がるのではないか等々の指摘があることも事実ですね。そのあたりに対して、大蔵省はどういう御見解をお持ちですか。
  90. 門田實

    門田政府委員 給付負担バランスをとっていくという観点から見ました場合には、年金算定の基礎として全期間平均の考え方をとっていくというのが望ましいと考えられるわけでございます。この点につきましていろいろ議論はあったわけでございますが、今後年金制度の大宗をなす厚生年金に合わせていくというようなことを考えまして、また、先ほど申し上げましたような、国共済の中にもそういった標準報酬でなくてはならないというようなものを抱えておるということ、また、事務処理上大変ではないかという点につきましては、民間の場合には大企業であれ中小企業であれ皆この標準報酬制でやっておるということで特段の問題があるわけでもない、こういうことを考えて、これに踏み切ったわけでございます。  また、公平性といいますか、そういった面でいきますと、実際の本俸と諸手当によるか、それとも本俸相当額に一定比率のいわば補正率を掛けるということでいくかといいますことは、水準的には結局同じことになりますし、報酬比例年金の性格からすれば、実際の支給額によるということで実態を正確に反映しているのだからこれでいいのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  91. 米沢隆

    ○米沢委員 年金計算方式の相違は今後の年金一元化の障害にならない、そういうふうにおっしゃっておるわけですな。  その次に、共済法案厚生年金と若干相違点がある中で二つだけお聞きしたいのでございますが、一つは、給付における所得制限というのがありますね。厚生年金にはない。それから、在職老齢年金の支給の仕方がちょっと変わっていますね。このあたりについて、なぜこういう相違点を設けたのか、あるいは今後の公的年金一元化の中でこのあたりは整理していくべきものなのか、それともそれは公務特殊性という観点から許されていくものか、そのあたりはどういうような御認識を持っておられますか。
  92. 門田實

    門田政府委員 お話のございました最初の点でございますが、公務員が被用者年金制度に再加入した場合には所得制限をする、これが厚生年金にはないが共済制度の方にはある、こういうことでございます。  これは二つ観点があると思いますが、一つよく言われますのは、民間の人がほかの会社へ移った場合には、同じ厚生年金の中の制度間の移動だから年金をもらうわけではない、むしろ依然として保険料を掛けていく状態が続くわけでございます。ところが、公務員がやめて転職しますと大抵それは民間であるということで、厚生年金グループ、厚生年金制度でございますから、そこで公務員の場合には退職年金が支給される、これが不公平だ、こういう議論が非常にあったわけでございます。もう一方、今度は共済年金そのものとして考えますと、民間企業に再就職して所得のある方は、年金の必要性は相対的に薄いわけでございまして、そういう人が同じように年金額の支給を受けていいのか、こういう観点もございます。そんなことから、転職後の所得に見合いまして年金額の一部支給制限をする、こういう措置を講じておるわけでございます。制度としましては共済の方に何かきつい制度がある、こういう印象でございますが、世間の実態からいきますとそういうことでもないということでございまして、現在もあるのでございますが、その一部支給制限をさらに改正した形のものにしよう、こういうことを考えておるわけでございます。  それから、もう一点御指摘ございました在職老齢年金でございます。これは所得の低い人に対して厚生年金の方で支給されておる制度でございまして、共済制度の方にはこれまでなかったわけでございますが、今度の改正では、低所得者というのが、そういないのでございますがごく例外的には存在し得る、その場合にバランスをとっていこうということで、同じような低在老制度共済年金の方にも設けることにいたしております。
  93. 米沢隆

    ○米沢委員 人事院総裁にお尋ねいたしますが、このような公的年金制度一元化という構想のもとに、いろいろな改正が今積み重ねられつつあるのでございますが、この一元化との関連で、今後の公務員年金のあり方について人事院としてはどのように考えていらっしゃるのか。  それから、今度減額退職年金を廃止することになりましたけれども、そういうものが人事管理上問題を生じることがないのか。この二点について総裁の御見解を聞かせていただきたい。
  94. 内海倫

    ○内海政府委員 公務員年金につきましては、御承知のように、今日この改正が行われますまでは、公務員の人事管理という観点をかなり強く考えて制度が運営されてきておるわけでございますが、しかしながら、何よりも大事なことは、やはり公務員年金につきましても公務員年金に関する制度というものが安定するということが最も基本的に大事なことでございまして、したがって、これを長期的に安定した制度として維持していきますためには、公的年金制度一元化を展望しつつ、先ほどからもいろいろ御質問や御答弁がありましたように、給付水準適正化して世代間の公平性を確保する、それとともに、制度間の整合性にも配慮していくことが極めて必要なわけであって、この点は、私どもはやはり制度の安定ということが非常に大事であろうと思います。  さて、そこで、公務員年金というものにつきましては、これは公務員の人事管理という面からもかなり重要な意味を持っておるわけでございまして、公務員の勤務の実態あるいは勤務に伴う諸制限等をいろいろ考えてみますと、やはり年金というものが勤務の人事管理の面における重要な役割を果たしておるわけでございまして、この面は一元化が行われ、制度が今後改正されました後も、そういう側面はある程度重視し、また考慮、配慮していかなければならないのじゃなかろうか、かように存じます。  その他の点につきましては、政府委員から答弁をいたします。
  95. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 減額退職年金の関係についてお答えいたしたいと思います。  今回の改正案を拝見いたしますと、減額退職年金制度昭和七十年を目途に廃止されるということになっております。御承知のように、減額退職年金制度にっきましては、これはそれぞれの職員に人生設計の差がございますので、早期退職者のために設けられた制度でございますが、一応七十年までということで段階的な廃止ということにもなっておりますし、また御承知のようにことしの三月三十一日から定年制度が実施されまして、職員の在職期間というものが一般的に延長されるという傾向になっておりますので、私どもとしましては、さしあたりは特に大きな支障はないということで、今後の成り行きを見守っていきたい、このように考えております。
  96. 米沢隆

    ○米沢委員 さて、これは年金一元化のトータルの議論としては大変大事な問題でありますが、当面その点で問題になりますのは、やはり先般来もめておりました国鉄共済の問題だろうと思っております。  御案内のとおり、今統合法、国鉄救済法ができまして、その際できた財政調整計画は、三十二万人体制が前提としてつくられておるわけですね。それが、御承知のとおり国鉄再建監理委員会の答申を受けて、国鉄の合理化が急ピッチに進んでくる計画が示されて、さらに人間が減っていくであろう、そういう予測がされる中で、国鉄共済のピンチが言われておるわけでございますが、事実関係として正確に教えてもらいたいのは、まず年次的な人員合理化計画は一体どうなっていくのかという問題と、それからそれを前提とする限り、その影響で年次的にはどういう年金不足額が生じていくのかという——金の方はどなたがやめるかわからないからということを必ず言われますけれども、ほぼ大まかな議論としてはできない範囲の議論ではない、そう思いますので、大まかな数字で結構ですから、どのような年金不足になっていくのか、そしてそれは何年度くらいから赤字になっていくのか、そのあたりの御説明をいただきたい。
  97. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 要員の面につきましては、私の方からお答えいたします。  再建監理委員会の答申によりますと、六十一年度初めの国鉄職員の現在員、これが二十七万六千人の見込みでございます。そこで、六十二年度におきまして旅客鉄道会社とか貨物鉄道会社とか新しい事業体が発足いたしますが、この新しい事業体が引き継ぐ人員が二十一万五千人でございます。その差が六万一千人でございますが、その中の二万人につきましては、六十二年四月一日以前に、いわゆる希望退職によりまして転職を図っていくということでございますので、四万一千人が残るわけでございます。この要員につきましては、清算を主として担当いたしますいわゆる旧国鉄に所属いたしまして、その後おおむね三年を目途として他への転換を図っていくという計画でございます。したがいまして、六十五年度におきましていわゆる二十一万五千人体制になる、こういう計画となっております。
  98. 小玉俊一

    ○小玉説明員 共済組合の財政の点についてお答えいたします。  ただいま運輸省の方から御説明しましたとおり、要員が財政調整計画に比べまして約十万人狂ってくるわけでございますが、その場合に、希望退職者あるいは特別対策の対象になります者が各年度を追ってどうなるかというところが定かでございませんので、先生のおっしゃったとおり、非常に不確かな数字になりますが、ごく大まかに申し上げまして、現在、国家公務員等から年々四百五十億円ばかりの援助をいただいておるわけでございます。それに加えましてこの五年ぐらいの間に、大ざっぱに申し上げまして年々七、八百億の不足が生ずるだろうというふうに想定しております。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  99. 米沢隆

    ○米沢委員 急ピッチの合理化計画の影響を受けて、国鉄共済は年平均七、八百億ぐらいの不足が生ずる。これは何年ぐらいから赤字になるのですか。
  100. 小玉俊一

    ○小玉説明員 不足額は要員合理化の進展に伴ってだんだんにふえてまいりますので、六十一、二年度の場合には割合少額でございますが、年を追ってふえてまいりまして、最終年度の六十四年度には七、八百億よりは高い数字になってくる、そんな感じでございます。
  101. 米沢隆

    ○米沢委員 それでは六十二年ぐらいまではまだ何とかいける、六十三年くらいから赤字が出る可能性がある、こうですか。
  102. 小玉俊一

    ○小玉説明員 赤字は既に六十一、二年度から出始まりますが、かなり危機的な状況が六十三年度あたりに出てくるのではなかろうか、こういう感じでございます。
  103. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、これはさきの委員会からもめておりましたが、そういうものに対して政府は一体どういう対策を打とうとしておるのか、総括的に政府統一見解が出ましたね、あれを御答弁いただきたい。
  104. 竹下登

    竹下国務大臣 最終的に統一見解として申し述べましたのは——その前の段階で申し上げましたのは、法案の成立後できるだけ速やかに政府部内での協議に着手することとしております、こう申しておりました。そして最終的に本委員会で申し述べましたのは、国鉄共済年金の支払いについては昭和六十四年度までの支払いに支障が生じないよう政府責任を持って解決策を講ずる、こうお答えしております。
  105. 米沢隆

    ○米沢委員 そこでその解決策は、でき上がるといいましょうか、解決策を見出さねばならない年次的な限界がありますよね。今お話を聞きますと、六十二年ぐらいから支払い不能になる可能性、危機的な様相になるということでございますから、少なくとも六十二年度中にその解決策が、あらゆる関係機関との合意を得てこうしますということが出てこなければなりませんので、少なくとも来年、この法律が通った後に検討されるとおっしゃるならば、それはわかったとした上で、六十一年四月以降少なくとももう一年くらいの範囲内で結論を見出さねばならぬのじゃないか、こう思うのですが、そういう時期的なめどを、一体どれくらいまでに結論を得られると思うのか、あるいはその結論を得るためにどういう格好で合意を得られようとしておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
  106. 竹下登

    竹下国務大臣 今、国鉄の方からお話もございましたように六十三年には危機的状況になる。そうしますと、もろもろの法律改正も必要かもしらぬということになれば、それらの手当てをする期間を考えるといたしますと、やはり我々が結論を得なければならぬと思うのは今米沢委員の御指摘なさった六十一年度中というのではないかなというのは、今国鉄共済を担当しております私の段階における考え方であります。そうして、それについては答申でも適当な場を設けろということになっておりますが、これについてはまさに法律案が成立いたしましたらそれは考えなくちゃならぬことだな。  ただ、私がいただいている答申の中にはいろいろな答申も書かれてありますので、担当しておる私としてのいろんな考え方を申し述べてみますが、その場はもう少し幅広く関係省庁とも相談をして設けなければならぬではないかな、そのような感じでございます。
  107. 米沢隆

    ○米沢委員 一年以内にある程度のめどをつけなければならぬ、それはまさに結構だと思います。あとは、御承知のとおり今大臣が触れられましたように現在厚生省には年金審議会があります。大蔵省には国家公務員共済組合審議会等があります。こういう従来の審議会の中で個別に議論をしておったのでは合意ができるはずはありませんので、やはり政府で横断的な合意形成ができるような何らかの形の、審議会と呼ぶのがいいのかどうか、懇談会というのがいいのかどうかわかりませんが、少なくとも各個ばらばらの意見が出てこないような形で強力に合意形成する機関としては、ある程度強力な、それで関係省庁すべて網羅した形での審議会とか検討会みたいなものが発足されるべきだろう、こういうふうに申し上げておきたいと思います。その点、何か御返事がありますか。
  108. 竹下登

    竹下国務大臣 意見として十分承らしていただく、こういうことであろうと思います。
  109. 米沢隆

    ○米沢委員 いずれにせよ、今からの検討課題だといたしましても、今ある統合法を受けた財政調整計画は、見直しを迫られておることはだれも否定し得ない事実です。そこで、政府としては責任を持って解決策を講ずみというふうに先ほど御答弁をいただきましたが、解決策として、一つの手法としてどういう解決策があるかと問われれば、いい悪いは別にしまして、私は六つあると思うのです。  一つは、現在の統合法の範囲内で、すなわち今の救済グループのみで財政調整をする。そういう意味では保険料をまた上げる。しかしこれは到底無理な話ですね。しかしやろうと思ったら一つの考え方ではある。  第二の問題は、救済グループを、共済グループすなわち地方公共団体の公共済、農林、私学、そういう共済グループにまで広げる、そして全体で救済するということですね。これは不足額いかんにもよりますよ。不足がちょっとだったらうまく対応できるかもしらぬけれども、相当なものになっていけば共済グループだけではだめだという議論になるかもしれません。あるいは国庫負担をどれぐらい出すかによっても変わってくると思いますが、考え方としては、二つ目には救済グループをいわゆる共済グループにまで広げるという考え方がありますね。  三つ目には、この際、共済グループだけではなくて厚生年金まで一挙に広げて救済するという考え方がありますね。これが三番目。  四番目には、いわゆる国鉄年金を、現在の年金財政の金のある範囲内で支給できるようにぶった切る、減額するという方法もありますね。いい悪いは別ですよ。そういう考え方もありますね。  それから五つ目には、国庫負担のみで、それぞれ国にも責任があるのだからもうこれ以上はかのグループには迷惑をかけられない、国で金を出しましょうという方法も一つの考え方ですね。  それから六つ目には、これは先ほど言いましたいわゆる共済グループ救済するあるいは厚生年金まで広げて救済する、これに一部の国庫負担という、一部の国庫負担を条件に共済グループをちょっと広げる。  私はこういう六つの選択肢があると思うのです。その六つの中で、今大蔵大臣の頭にあるのはどういうことですか。
  110. 竹下登

    竹下国務大臣 これはなかなか難しい問題でございまして、私のいただいておる答申をどう読むかということになります。  私のいただいておる答申の範囲内で言いますと、といってもどんぴしゃりこの一から六までに当てはまりますともお答えができないわけでございますけれども、最初私自身がよく言っておりましたのは、一の、今のままでさらに今の親戚——あえて親戚と申しましょう。私そういうことをお話ししたわけでございますから、御親族の方で、できるだけ同根のところで相談をしてということで大体やっていただいたのが第一段階でございます。その同根のところでさらに負担を背負い込んでやるかという分は答申で、これ以上はもうだめだよ、こういって否定されておるわけです。  それから二番目のオール共済グループに拡大するというのは、私の言葉で言えば、ある意味において労働者連帯というものの範囲を広げていくという意味にもとれないわけでもございませんが、一方地共済、それから厚年関係の答申等を念頭に置いていきますと、親戚づき合いするにしても身ぎれいにしてこいとか、おまえのところはとても親戚と見ないぞ、こういうふうにも受け取れないわけでもない。  それから三番目の問題は、労働者連帯と同時に使用者負担ももちろんございますから、オールジャパンみたいな感じで私自身は受けとめておったのかなというふうにも考えます。  そうして今度は四番目は、これは手法としてはあり得る手法にいたしましても、国鉄におったばかりに給付をカットするということでございますから、これは到底とり得ない問題だな、こういう感じ。  それで五番目がオール国庫負担。どこのところまでで区切るかの問題は別としてオール国庫負担。これも、財政改革の立場からこれにくみするわけにもいかぬ。  そうすると、六番目は二と三と五の一部の組み合わせ、こういう御提案でございますが、これも考えようによれば、オールジャパンと言えばまさにその分もオールジャパンのうちに入るのかな、こういう自問自答をしながら、とても大蔵大臣の能力の限界を超す問題だな、こういうことでみずからの無力さを嘆いておる、こういうことでございます。
  111. 米沢隆

    ○米沢委員 私は、六つの選択肢があるだろう、まだ名案があるのかもしれませんが、それ以上にそんなに名案があるはずがない、そういうところで六つ、どれを選ぶかというふうに申し上げたのでございます。  今いみじくも大蔵大臣が消去法で消されましたように、少なくとも現在の財政調整のお世話になっておるところにそれ以上負担をかけるのは無理だ、だから一は大体だめですね。それから、国鉄年金を減額する、こんなのもまさに言語道断だという議論になりましょうから、これもだめですよね。国庫負担ですべてというのも、これもだめですな。だから、やはり残されてきますと、共済グループ救済していくのか、それとももっと広げて、厚生年金まで広げた救済をやっていくのか、その他一部の国庫負担をどう考えるのかという、三つの組み合わせで今後の検討がなされるであろうということは予測するにやぶさかでない、そう思うわけです。  ところが、今大蔵大臣の話を聞いておりますと、この際少々は国庫負担でもということは言いたくても言えないのだろうと思いますが、あるいはまた全然言う気はさらさらないのかもしれませんが、少なくとも国鉄共済救済という緊急避難的な措置をしていく場合に、単に枠を広げるだけで対応しようというのは国民の納得性はないだろう、そういう感じがするわけです。したがって、先般来いろいろ議論になっておるのは、全然国庫負担なんかを意識もしない、ただ年金制度間だけで財政調整をやってもらうことでこれを乗り切るというところが気に食わぬというのが大方の議論ではなかったのかな、こう僕は思うわけでございます。  そういう意味で、新聞報道あたりでは、基礎年金に国は三分の一出すだけであって、その他については一切出したくないというニュアンスが大蔵大臣発言として出てきておりますが、そんなことはありませんね、大蔵大臣
  112. 竹下登

    竹下国務大臣 結局こういう財政のもとにございますと、全国民に平等の国庫負担を行うことによってその公平化を進めているというのが今おっしゃいました基礎年金に集中した考え方でございますから、特定集団にのみ特別の助成を行うということは、その考え方から見ればそれに反するわけであります。ある意味においては、制度間に不公平をもたらすという議論も成り立つではないかというわけでございますから、したがってどのような対応をとるかというのは難しい問題だなというふうに考えております。  また、かねて私どもの方へいただいておる答申を、読み方によって読めば、公的年金一元化の方向に即して具体的な改正を行ってきたところであるから、国鉄共済年金の財政問題についても基本的にはこの方向に即した解決ということでやらなければならぬという、私に与えられているもろもろの環境の中で模索を続けておるところであります。
  113. 米沢隆

    ○米沢委員 先ほどもちょっと質問しましたように、少なくともこれは公的年金一元化にかかわってくるわけでありまして、我々は何も、国鉄共済が大変だから未来永劫にずっと国が別個のものとして金を出せと言うておるのではありません。ただ、余りにも巨額な不足額が生じて支払い不能になる可能性がある、したがって、緊急避難的にでも国がある程度面倒を見ろ、そのかわりに年金一元化の観点からは昭和七十年あたりに——だから、財政調整までできておるのかと私は言ったのでございますが、最終的には七十年あたりに、もし各制度間の財政まで統合されるという意思があるならば、そこらである程度、いろいろ議論はありましょうけれども片づく問題であろう、そういうふうに考えるわけですよ。  ましてや、統合法案ができるときだって答申は両方の意見が併記されたように、地公共済まで広げると言ったらこれもまた大変な問題になるだろうし、厚生年金まで広げようとしたら大変な問題になっていくと思うのですよ。そういう意味で、利害関係者の納得性を得るためにも、ある程度国が一部負担はしましょうという議論がない限り、みんなあなた方が始末してくださいという議論はいつまでも決まらないであろう。それこそ強権を発動しない限り決まらないであろう。結果的には決まらないままに、今度は国鉄共済年金の支払い不能という事態が起こってくる可能性がある。私は、そこまでかなりもめるものだろうと思っておるわけです。  そういう意味で、大蔵大臣としては、答弁としては物が言いにくいかもしらぬけれども、やはり一部の国庫負担を含めて枠を拡大する方向で検討する、それくらいのことは現段階でも言えるたちのものではないのかな、私はこう思うのです。中曽根総理も本会議の代表質問等に答えて、結局枠を広げないと救えないのですとおっしゃっておりますから、枠を広げるというのはこれからの検討の避けて通れない問題だろう、あとはそれに一部国庫負担が、金額の差もありますよ、かなり踏み出すのか、それともちょろっとなのかわかりませんけれども、少なくとも一部国庫負担みたいなものがある程度用意されて、そのかわりいろいろと救済するグループを広げていく、そういう議論を前提にしない限り利害関係者の合意は絶対に得られないだろう、私はそう感じるのですが、そのあたりの御見解を含めて、言いにくいのはよくわかりますけれども、一部国庫負担を含めて検討するというくらいのことは今おっしゃってもおかしくないのではありませんか、大蔵大臣
  114. 竹下登

    竹下国務大臣 この議論をいたしておりますと、いろいろな理由があるにいたしましても一つの集団が立ち行くことができない場合は、表現は悪いわけですけれども、そのしりぬぐいを国庫が行うという一つの習慣がつくということは慎まなければならぬ、こういう意見も随分あるわけでございます。  またさらに、私個人が勉強したところで見ますと、今までの議論の中に、特定財源とかそんな議論も存在しております。しかしこれは、今税制問題は抜本審議をしているときに、今度の国鉄共済救済策のことでこの議論を持ち込むわけにはもちろんいかぬのだな、こんな感じも持って、それから国鉄共済のこれから予測されるものの中での、いわば今日までの累積債務の中にカウントされておるものも存在する、それらを総合的に判断しなければならぬことであろうというふうには思いますが、私なりに、今ここでおまえ言いにくいだろうとおっしゃったように確かに言いにくいわけでございますが、そういう、言いにくいだろうと言われながら御質問をしていただいておるような議論を踏まえて解決策を講ずる、こういうようなことでございましょう。
  115. 米沢隆

    ○米沢委員 こんな話をしても日が暮れてしまいますからもうここらで切りたいと思いますが、しかしこれからの共済年金国鉄共済あたりが一体どうなっていくのか。現職の皆さんはもちろんのこと、これから余剰人員を整理していかねばならないという国鉄にとっては、今大蔵大臣がおっしゃったような話を聞いて、やめたくてもやめられないね、こんなのは。運輸省、どう考えますか、
  116. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 これから国鉄分割・民営化という改革を実施していかなければいけないわけでございまして、これを実現していくためには、やはり現在国鉄で働いている職員、それから年金受給者であるOBに対して不安を与えないようにしていくことが大切だと思います。そういう意味におきまして、何とか国鉄の関係の年金が維持できるようにしていく必要があるわけでございまして、十二日に当委員会におきまして大蔵大臣もおっしゃいましたように、国が責任を持って解決策を講ずるということでございます。運輸省といたしましても、大蔵大臣の御発言の趣旨に沿いまして、関係のところに御理解を求め、努力をしてまいりたいと思っております。
  117. 米沢隆

    ○米沢委員 次に進みますが、職域年金の問題ですね。今度のこの改正中身として、いわゆる公務員共済年金制度というものは、単なる社会保障制度の一面だけではなくて、公務員制度の一面と両面からの検討をする必要がある、こういうことで公務の特殊性というのがるる述べられておりますが、一体公務の特殊性とはいかがなものか、どういう内容のものか  同時に、公務の特殊性にかんがみて今度加えられた制度改革は一体どういうものか、簡単に御説明いただきたい。
  118. 門田實

    門田政府委員 いわゆる公務の特殊性という問題でございますが、国家公務員法で、公務員は、「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。」こういった根本のことが書いてございますが、そういうことに伴いましてやはり身分上のいろいろの制約がございます。職務専念義務でありますとか、私企業からの隔離でありますとか、信用失墜行為の禁止でありますとか、そういったところのものがこの特殊性の問題である、こういうふうに認識しております。  それに対応いたしまして、どういう事柄が共済制度の中にあるのかという御指摘でございますが、それはやはり何といいましても、今回の改正案の中ではやはり職域年金相当部分というものの上積みを行ったという点がございます。そのほか、やや限定されたものではございますが、共済年金制度におきましては、障害共済年金給付事由となる障害が公務等による傷病である場合、あるいは遺族共済年金給付事由が公務等による場合につきましては特別の加算が行われるとか、あるいは懲戒免職等の処分を受けた者に対しましては年金給付制限があるとか、そういった事柄があるわけでございます。
  119. 米沢隆

    ○米沢委員 そこで、この職域部分年金制度でございますが、いわゆる三階建ての部分として職域年金があるのですね。これは、最終的に共済年金厚生年金とをドッキングさせていく作業過程においては、少なくとも共済年金には企業年金的なものをセットしないと合意は得られないであろうと、私は従来からそう考えておりましたし、この委員会でもそんな話をしてまいりました。  しかし、いざこのような職域年金というのができてきますと、やはり一方では新たな官民格差ではないかという民間の議論があることもこれは事実でございます。そういう意味で私は、この際、このような職域年金について国民合意を形成するためには、もっと踏み込んで職域年金というものの性格、そしてどういう位置づけを持ってつくられたのか、あるいはなぜ政府はこのような設計をされたのかというそのあたりをもっと詳しく説明されないと、最初議論がうまくなされていないと、やはり官民格差だなんて言われるはずですね。確かに、企業年金を持っておるところは言わないかもしれませんが、中小企業で企業年金さえ持っていないところが、自分たちが出した税金が職域年金として上乗せされたといえば、感情的にはやはりおもしろくないというのがあるのは当たり前でございまして、そういう皆さん方を含めて合意を形成するためには、職域年金はどういう理由でつくったのだと、性格、位置づけ、そして設計の理由等々をもっと詳しく説明される必要があるのじゃないでしょうか。  その点を踏まえて御見解を示していただきたい。
  120. 門田實

    門田政府委員 今回の改正で、国民全体の基礎年金部分、それから被用者につきましてはその上に報酬比例の年金、こういう設計をいたしたわけでございますが、なお、その中でといいますか、その上にといいますか、公務員につきましては職域的なものを積む必要があるのかないのか、こういう議論から出発をいたしたわけでございます。その過程におきまして民間における企業年金の実態等を随分勉強いたしたわけでございますが、これは実態的に非常にさまざまでありまして、費用と給付水準、あるいは負担のあり方あるいは制度設計の仕方、いろいろでございました。そういうものを参考としてにらみながら、しかし、ただいまもお話がございましたように、公務員の身分上の制約等の公務の特殊性からやはり職域部分を上積みすべきであるという結論になりまして、そうしてその部分につきましては、労使折半という年金原則に従っております以上、やはりその年金一階、二階、三階といいますか、その全体を通じまして組合員の費用負担の限度というものを将来的にも見ていかなくちゃいかぬ。そういった職員の負担の限度あるいは年金受給者と費用負担者の世代間のバランス、そういうことを考えまして現在の改正案にありますような職域年金設計した、こういうことでございます。
  121. 米沢隆

    ○米沢委員 そういう言い方は、少なくともそれじゃ何でこんなのができたんだ、官民格差じゃないかと言われる人にとっての答えになりませんね。私はそう思いますよ。例えば官民格差だと言われる理由は二つあるのですね。  一つは、御案内のとおり民間の企業年金というのは、現在のところほとんどこれは退職一時金をくわえ込んでつくられておるという事実ですね。確かに、企業内容のいいところはといいましょうか、中小企業で退職金が少ないところは企業がその原資を出して年金をつくるというものは見受けられますが、これはもう圧倒的に少ない割合ですね。大部分は、退職一時金そのものを出していったら大変だということで、それを逆に年金化して支払いを少しずつ繰り延べてきた、そういう背景の中からこの企業年金ができたという経緯もありまして、実際民間はいわゆる退職一時金の一部をくわえ込んでの年金制度でございまして、まさに内数なんですね。退職金の内数になっておる。こういうところがあるわけです。  ところが、この出された職域年金部分というのは退職金の外数ですよね。その上また、官の退職金の水準は民間に比べて高い。特に地方公務員の場合高いと言われておる議論の中で、またその上に職域年金をつくる、それも退職金の外数として加えられるということは、やはり民の立場からすれば官民格差だとおっしゃるその気持ちが私はわからぬでもないわけです。そういうものに対して今のあなたの答えは全然なってませんね。そのあたり、そういう議論がなされたときに一体どういうふうにあなたは説明されるか、もう一回、私は再答弁を願いたいと思うのです。  同時に、もう一つの問題は物価スライド制です。今度の職域年金部分は物価スライド制がついておりまして、これは大したものです。これは私は、物価スライド制結構だと思っておるのですがね。しかしながら、企業年金あたりは、物価スライドがついておるのは本当にほぼないと言ってもいいぐらいでしょうね。あとは、何年か後に見直すとかぐらいがちょっとついておるだけで、物価スライドあたりは実際はないというのが普通のあれなんですね。  したがって、官と民の議論をする場合には、そういう退職一時金をくわえ込んだ年金制度だとか、あるいはスライド制さえとれない企業年金、そういうものが民の、いわゆる企業年金の全体像だと私は思うのです。その全体像との比較において、やっぱり職域年金はこうつくったけれどもわかってくれよ、こういう理由でつくったんだよともっと説明がなされないと、私は新たな官民格差の議論にそのまま火をつけていくんじゃないか、こう懸念をするわけでございます。職域年金はけしからぬと言っておるんじゃありませんよ。職域年金をそういう皆さん方にわかってもらうという議論をもっとしてもらわないと、余りにも不親切で、余りにも官僚的な答弁ではないかな、私はこう思うのです。  例えば中小企業あたりで退職金が本当に少ないところは、逆に会社が全部金を出して一時金の年金制度をつくるというのはありますよ。これはまさに企業が一挙に払えないからなんです。したがって、繰り延べをして払わしてくださいという形で企業年金ができた。ところが今度の場合は、そういうところの企業で働いておる中小企業の皆さん方というのは、そういう意味でこれを見たらやっぱりうらやましいと思うわけですわな。そういう人に対してあなたはもっと親切に答えてもらわなければいけませんね。
  122. 門田實

    門田政府委員 民間企業の場合と公務員の場合を論じるときに、民間の方は非常に経営内容のいい企業、それからまた中小企業等で非常に苦しい企業、そこはやはり実態に非常に差があるわけでございます。まあ公務員の方は、そういった民間の全体的なものをにらみながらある平均的なものでいろんな制度設計していく、こういう観点がございますから、民間の恵まれた立場の人からはともかく、恵まれてない立場の人からは公務員はいいではないかということは、賃金の問題等につきましてもそういう議論も一方ではあるわけでございますが、しかし公務員の実態というものを見ますと、やはり賃金にいたしましてもそう恵まれておるわけではございませんし、また先ほども申し上げましたように、身分上の制約というものもなかなかきついものがあるわけでございます。あるいは、そういう私企業的なものから非常に離れた状態で公務に尽瘁しなきゃいかぬ、こういったこともあるわけでございますから、その点はやはりそういった特殊性の上に立った観点というものをひとつ御了解いただきたいと思うわけでございます。  それからまた、年金額がその分だけ多くなるから恵まれておるという見方もありましょうが、これも保険制度の上に乗っかっておるわけでございまして、やはり本人の掛金負担もそれだけ多いわけでございますから、そこのところは保険制度としての議論であって、丸々何か公務員が得をしているということではないのではないか、こういうふうに考えます。  いずれにいたしましても、退職金の問題も含めてトータルでこういうものは考えなくちゃいかぬという観点、まことにごもっともであると思いますが、現段階におきましては、私どもとしては、こういった公務の特殊性の上に立ちましてこの程度の年金設計ならばお認めいただけるのではなかろうか、こういう考えでいるわけでございます。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 米沢隆

    ○米沢委員 この議論も、国民の皆さんが今おっしゃったような話を聞いて、門田さんのおっしゃるとおりだと言ってくださるかどうかですな。まあこれも水かけ論ですからここらでやめたいと思いますが、今いみじくもおっしゃいましたように、今度の職域年金部分は社会保険だ、こうおっしゃいましたね。  御案内のとおり、従来からそうでありましたが、今度共済年金は、職域年金部分については禁錮刑、懲戒免職などによって支給停止あるいは一部支給停止がある、こうなっていますね。これはいわゆる公務の特殊性だろうと思うのです。公務の特殊性で職域年金についてはこういう禁錮刑とか懲戒免職などの場合はカットするあるいは一部カットするということでございますが、社会保険制度にそんなのがなじむんですか。あなた方がすべて金を出すんだったらばこんなことでいいですよ。ところが、出している分があるのですからね。出した分までカットするなんて、そんな権利がどこにあるのか。
  124. 門田實

    門田政府委員 ただいま懲戒処分等による給付制限というお話でございますが、これにつきましては、公務員等共済年金のうちの職域年金相当部分につきましては、国家公務員等の職務の能率的運営に資するという目的と相入れない法令違反行為等に対しましては一定の給付制限を行うということにいたしているわけでございます。  これはやはり、そういった公務員制度としての目的から来ておるわけでございます。従来は年金額全体につきましてそういった場合に支給制限があったわけでございますが、それは適当でない、やはりそういった公務員制度の一環であるところの職域部分に限ってそういう措置は行うべきであるということに今回は整理をいたしておるわけでございます。
  125. 米沢隆

    ○米沢委員 これは厚生大臣に聞きたいのですが、社会保険制度というものと、公務の特殊性という理由があれ支給停止ができるということはなじむんですか、なじまないのですか。なじむとすればどういう根拠があるんですか。
  126. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国民年金厚生年金の場合にはそのような規定はございません。
  127. 米沢隆

    ○米沢委員 厚生年金にそんなのないのは知ってますよ。あなたは年金担当大臣でしょう。社会保険制度というものを前提にして、幾ら公務の特殊性があろうとはいえ、このような禁錮刑、懲戒免職−−それは感情的には仕方がないという気持ちがあるにせよ、理屈的に社会保険制度をカットする権利はどこにあるんですか、どういう権限法があるんですか、こう聞いておるのです。社会保険制度とはそんなものですか。あなた方がみんな出すんならいいよ。お互いに掛金を半分ずつ出し合ってつくった社会保険制度年金を、こういう理由によって、幾ら公務の特殊性があるからといって削る権利があるかということだ。根拠法を教えてくれ。
  128. 吉原健二

    ○吉原政府委員 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、純粋の社会保険制度ということであればそういう理由でカットするのは難しいかと思います。ですから、もし理由があるとすれば、職域年金部分が社会保険的な色彩、性格も持っておりますけれども、ほかの理由、公務の特殊性ということを言っておられますけれども、そういう要素を強く考えない限りはああいった措置というのは、妥当性といいますか、理由が難しいんじゃないかというふうに思います。
  129. 米沢隆

    ○米沢委員 今の議論をなるほどそうだと聞いたとしても、今度あれだそうですね、遺族の禁錮刑、あれも支給停止になるんだそうですね。遺族まで及ぶんですか、公務の特殊性というやつは。公務員の一族郎党は、みんな公務の特殊性でまじめにまじめにやらなければいけませんね。どういうことですか、これは。
  130. 門田實

    門田政府委員 遺族の問題につきましては従来からそういうふうなことで推移してまいっておるということで、今回特に何かしているという問題ではないわけでございます。  いずれにしましても、従来は年金額全体につきまして懲戒処分等の場合にある一定の給付制限があった、これは妥当ではないということで、今回は非常に限定されましたところの職域年金部分についてだけそういう措置をするというふうに改正をいたしておるわけでございます。
  131. 米沢隆

    ○米沢委員 従来の全体の共済年金から今度は一部の職域年金のカットだ、したがってある程度緩利されたというふうに言いたいらしいですが、それはそれとして結構です。公務員の本人が禁錮刑になったりあるいは懲戒免職になったならば本人の責任だというふうに、それはストレートにわからぬわけではない。しかし、その遺族まで禁錮刑に処せられたらその職域年金部分がカットされるというのは一体どういうことですか、そのことを聞いておるのです。遺族について公務の特殊性が及ぶということはどういう理由なのですか。そこまで権限があるんですか。
  132. 門田實

    門田政府委員 従来から御説明申し上げておりますところを申し上げますと、禁錮以上の刑に処せられた者が遺族年金の受給権者である場合においても、そういうかつて公務員であった者の家族といいますか、そういう人があるいは刑事事件に関連し刑に処せられるということは、広い意味で公務員等の信用失墜という行為、こういうふうに考えまして、本人に対する場合等を勘案しながらそういう給付制限を従来から行ってまいっておる、こういうことでございます。
  133. 米沢隆

    ○米沢委員 それは、昔からあったからそれが理由があるなどという議論じゃないですよ。先ほどから申しておりますように、社会保険制度そのものをカットすることでさえ、公務の特殊性という意味から幾ら理由があったとしても、お互いに掛け合った金をおまえにはやらないということ自体問題ではないか。その上今度は本人だけではなくて、公務員の遺族まで範囲を広げて支給カットをするなどというのは、どこを見ても正当性がない議論ではないかと申し上げておるのです。昔からやっておったから正しいなどという議論じゃない。それは昔から正しくなかったんだ。大蔵大臣の御見解を聞きたい。近代国家が、日本というのは。
  134. 竹下登

    竹下国務大臣 私も今問答を聞いておりましたが、いわゆる罪九族に及ぶのじゃなく、公務員の遺族の方が悪いことをされた場合にいただけない、こういうことでございます。本人が悪いことをして、したがって遺族に罪が及ぶのじゃなく、遺族が悪いことをした場合、その遺族がもらえない、こういうことでございますから……(米沢委員「遺族は公務員なの」と呼ぶ)いや、公務員じゃございませんが、それは遺族であっても、悪いことをした人に差し上げないということは、やはりそれなりの正当性があるのじゃないか。
  135. 米沢隆

    ○米沢委員 そんな議論をされたら、今度は厚生年金だって、本当に遺族にはやらないよという議論に累が及ぶ可能性があるのです。したがって、そんな議論が正しいなどと言われると、その正当性を主張されて厚生年金だってみんなやらないよという議論になって。これは困るのです。逆に、答弁に困るようなことはやめたらどうですか、大臣。
  136. 竹下登

    竹下国務大臣 いや、厚生年金部分は差し上げますが、いわゆる三階部分を差し上げません、こういうことでございますから、それなりに理屈はつくのじゃないかな、私はそんな印象を受けております。
  137. 米沢隆

    ○米沢委員 公務員本人が悪いことをしたならわかりますよ。ところが、遺族というのは公務員じゃないんでしよう。公務員じゃない人が何で公務の特殊性を適用されるのですか。
  138. 門田實

    門田政府委員 御議論いただいています対象でありますところのいわゆる三階部分、これ自体が公務の特殊性というところから発しているわけですから、この分に限ってはそういうことになっておる、こういうことでございます。
  139. 米沢隆

    ○米沢委員 これも水かけ論になりますが、こんなのはこの際削除すべきだ、少なくとも遺族の部分については削除すべきだと私は思います。これは今後の議論にしましょう。  それからもう一つ、これと類似する話になっていきますけれども、私学共済とか農林共済とかNTTの共済は、支給停止はどうなっていますか。
  140. 門田實

    門田政府委員 地方公務員の場合は国家公務員の場合と同様でございます。私学、農林の場合は、禁錮以上という場合について法令違反がありましたら同様のことを考えているという状況でございます。
  141. 米沢隆

    ○米沢委員 ここでも既に、私学などというのは公でない人がおりますね。私学は公務員じゃありませんね。農林の団体の職員だって、これは公務員じゃありませんね。NTTはこの前民間になったばかりですね。これが何でまた公務の特殊性が出てくるのですか。これまた矛盾じゃありませんか。それこそこんなのは取っ払わなければおかしいのじゃないですか。根拠があったら言ってください。根拠もなしにかっぱらわれたらかなわぬよ。
  142. 門田實

    門田政府委員 私学、農林とか、そういう公務員でない場合になりますと、結局その根本に返りまして、厚生年金制度でいくのか共済制度でいくのか、そういう選択の問題になろうかと思うわけでございます。厚生年金の方は厚生年金一つの体系で物事をつくっておる、共済の方は国家公務員に準じましていろいろな制度をつくっていっておる。そういうときに、共済のグループに入りますと共済の適用を横並びでやってまいる。厚生年金の方であればそちらでいく。その中のこの部分この部分、これは取る、これは捨てるというようなことはいたしませんで、どちらのグループでいくのかというのが私学や農林の場合にはまず根本の問題としてありまして、共済に入りますとやはり共済制度の適用を受けている、こういうことかと思います。
  143. 米沢隆

    ○米沢委員 どちらを選択するかから始まると言いますが、例えばNTTなんて、何も共済を選択したんじゃありませんね。強制的に無理押ししてこの中にはめ込まれたのでしょう。無理してはめ込まれた人まで今度は、公務員の特殊性にかんがみてできたような職域年金、そして、それもまた公務員と同じように同列にカットする事由があるなんというのは詭弁だと思う。あなたの頭の中には法律しかないのですか、法律が先にあるわけですか。その運用においておかしかったら、こんなのは変えなければおかしいですよ。  そんな理屈をおっしゃるならば、例えば国鉄だって公務の特殊性があるわけでしよう。それは職域部分なんか設けられてないわけだから、法律でやるならそれにも認めなければいかぬじゃないですか。手前勝手に理由をつけられたら困りますね。  この法律でやるんだからNTTも仕方がない、農林も私学も仕方がないとおっしゃり、その中に入っている国鉄はつけませんなんて、そんな矛盾はないですよ。法律がそうなって、いわゆる共済なら共済法律をグループでやるならば民だって仕方がないのですとおっしゃるならば、まさに公である国鉄に何で職域部分をつくらないのですか。そのときは金がないから仕方がないと、余りにも勝手じゃないですか。都合のいい理由をつくって、つけてみたりつけてみなかったり、こんないいかげんな、不統一な年金制度はないですよ。もっと論理を一貫したらどうですか。  どう見てもわからぬな。公を持っている国鉄は職域はつくりませんなんて言っておって、その理由はお金がありませんからと。こっちの方は、この国共済法律で縛るのですから同じ公の特殊性を民にまで及ぼせる、遺族にまで及ぼせる、こんなばかな話がありますか、本当に。頭のいい人の答弁じゃないですね、これは。もう本当に整理してみてくださいよ。国共済等の法律でやるから民であるNTTも仕方がございませんとおっしゃるならば、それならその一員である国鉄は一体どういうことですか、おかしいじゃないですか。
  144. 門田實

    門田政府委員 先生の御意見はよく考えなければいかぬと思いますが、ただ一つだけ申しておきたいと思いますのは、国鉄共済の問題はちょっとまた次元が違うわけでございまして、これはいわゆる統合法をちょうだいいたしまして昭和六十年度からいわゆる財調計画の実行に入ったわけでございますが、その話をとりまとめていきます過程で、その前に国鉄共済給付水準が高過ぎる、これまで高過ぎてきた、負担給付が見合ってなかった、特に退職前最終一カ月というようなことがありまして、その辺を是正しないとどうにもならない、こういうことがあったわけでございまして、その辺の是正を図りました。そして既裁定の国鉄共済年金の受給者につきましても、昭和五十九年度以降、大体一〇%程度というものをめどにいたしまして年金額スライドを行わないという措置を設けてやってまいっておる、現にやっておるわけでございます。  こういう状況から考えまして、今後とも財政調整を受けている間の国鉄共済につきましては、職域年金部分を増しますと共済組合員等の負担も増すわけでございますし、国鉄の方の負担も増すわけでございます。また、これを助けておる他の組合員からの批判もあるわけでございまして、ひいては財政調整事業の円滑な実施にも支障を来すということがございまして、国鉄共済につきましては厚生年金水準を確保していく、こういうことでまいっておるわけでございまして、これはちょっと次元が違う話かと存じます。
  145. 米沢隆

    ○米沢委員 都合のいいときだけ次元が違うなんと言ってもらっては困るんだな。例えばNTTなんか、何も好きこのんで救済しているんじゃないよ。それも民間だよ。一方では公務の特殊性に応じたような格好で一律に公務員並みに扱われて、それで民そのものの厚生年金を期待したら、だめだ、こう言っている。国鉄の方は統合法に乗っかっておるから次元が違うなんとおっしゃるけれども、NTTなんというのは頼んでその中に入ったわけじゃありませんよ。無理やり入れておって、それにまた公務の特殊性を押しつけるなんて、二重にいじめているようなものじゃありませんか。せめて、例えばNTTあたりなんか、職域年金部分自分たちでつくらせてくれというのを認めたらそんなことわかるよ。財投の議論と全く一緒だな。取るものは取って出さない、確実に運用さして高利には回させない、矛盾ばかりその財調の中に抱え込んでしまう、年金制度は全くそのとおりじゃありませんか。本当に趣旨一貫するならば、NTTの職域年金部分くらい独自でセットさせたら、それを許すくらいならわかるよ、それもみんなさせない。あれもさせない、これもさせない、都合のいいとき金だけ出せ、遺族にまで累を及ぼす。何かおかしいよ、こんなの。どういうことなんですか。いろいろ理屈を言われてしどろもどろ答えられる。それはよくわかるけれども、少なくともどなたが聞いておっても趣旨一貫していないな、これは僕が頭が悪いせいじゃないな。大臣、どうですか。
  146. 竹下登

    竹下国務大臣 国鉄共済救済の際のいわば当時の電電、専売、国家公務員お話し合いをいろいろ詰めていきますときには、今申しておりましたように給付水準が高い、安いというのをお互いであげつらうというのは余りみっともいいことではないけれども、現実そういうことになっておるではないか。しからば我々も我々なりに仲間としてお互いが拠出するから、ひとつあなたの方はこの辺は遠慮されたらどうだという、表現は適切でございませんが、こういうことくらいは自主的にお考えになったらどうだ、こういうようなことでこの問題はあの際話がついたわけであります。  それから二番目の問題につきましては、これは私もへ理屈かなと思って反省しながらも自問自答しましたのは、もともとが公務員であった方がそれぞれ電電へいらして、あるいは専売へいらしておった、それは今やまさに民間でございます。したがって公務の特殊性というものの延長線上に職務の特殊性として存在するのかな、こういう感じを持っておったことは事実であります。もともとが公務の人が延長線で職務にお入りになったわけでございますから、そういうことで同じような仕組みであるのだな、こういう感じでありました。  ただ、今おっしゃいます三階建て部分は自主的にやらせればいいじゃないか、この議論もございました。しかし総じて、我々もいわゆる国家公務員共済組合の中で将来も生きていこう、位置づけをしていこうということは、当時、労使ともにおおむね賛成をいただけた。何かその中へ力でねじ込んだという印象までは私は持っておりません。
  147. 米沢隆

    ○米沢委員 政府がこの議論の中で趣旨一貫されるならば、NTTとか日本たばこ産業株式会社とか、民に移ったところは職域年金は独自設計してください、それが一番素直ですね。同時にまた、もし公務の特殊性に応じて社会保険制度まで手を突っ込んで支給停止をするというならば、あなた方だけで金を出しなさい。国庫の負担だけで職域年金をつくりなさい。それならばそれは勝手にしていいよ。その議論が一番趣旨一貫するのですね。それをいろいろ理屈を言われたって、わからぬな、そんな話は。どう聞いたってわからぬな。余りにも手前勝手だと僕は思う。そんな話を聞いて、次に質問せよといっても無理ですね、もう余り時間も。ありませんがね。  私は、そういう意味で再度聞きますよ。NTTや日本たばこ産業株式会社がもし独自設計したいとおっしゃるならば、それを潔く認めること。公務の特殊性に応じてカットしたかったら、職域年金部分はみんな国庫でやりなさい。この二つ、約束してください。
  148. 門田實

    門田政府委員 誤解があってはいけませんのできちんと申し上げておきたいと思いますが、NTT等につきましては、自社年金でありますとか税制適格年金でありますとか、そういうものの設計の可能性は法律上も現在あるというふうに私どもは考えております。  それから職域年金部分の話でございますが、これは労使で出しているものでございまして、その範囲の中でどういう支給制限の仕方をするか、これは政令の問題でございますので、きょうの御意見も十分頭の中に入れて対処いたしたいと思います。
  149. 米沢隆

    ○米沢委員 しつこいようで恐縮ですけれども、NTTや日本たばこ産業株式会社は民間になったんですから、独自で企業年金をつくるのは当たり前ですね。できるというのは当たり前の話です。わざわざ掛金をこちらまで職域年金部分に出して、その結果いろいろと制約を受けるのはかなわぬとおっしゃるならば、抜け出したらどうですかと言っているのです。独自にできるのはわかっていますよ、民間なんだから。
  150. 門田實

    門田政府委員 将来の方向といたしましては、NTT等の共済の扱いをどうするかという問題が一つ残っておりまして、これは法律の中でも制度再編の際に改めてそこのところは考えるというふうに書いてございまして、そういう方向での今後の対処がな、こういうふうに考えております。
  151. 米沢隆

    ○米沢委員 これは幾ら議論しても、ああそうですかと言いたくありません。時間ももうほとんどありませんから、切りのいいところですから、次にまた質問を残しまして、これで終わりたいと思います。
  152. 越智伊平

    越智委員長 正森成二君。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  153. 正森成二

    ○正森委員 共済年金法案について質問をいたします。国鉄問題についても伺いたいと思いますが、運輸大臣等の御都合がございますので質問の後半にさせていただきたいと思います。  まず大蔵大臣に伺います。今までに同僚委員から質問がございましたが、厚生年金のみならず共済年金におきましても、年金財政の将来を考えていく上においては、その積み立てですね、それをどのように運用してどれだけの利息を上げるかというのは非常に重要な問題を財政上持つと思いますが、いかがですか。
  154. 竹下登

    竹下国務大臣 これは運用利回り等が有利であれば、場合によっては掛金を減すとかいろいろな、それこそ運用利回りによって負担の面等に対して影響がある場合もあり得ると思います。
  155. 正森成二

    ○正森委員 そこで、まず先に厚生省に伺いますが、たしか厚生省の年金局は、「昭和五十九年度国年・厚年財政再計算結果」というものの中で、第七章で収支試算をしているはずであります。その収支試算では、賃金上昇率、消費者物価上昇率、積立金の運用利回りをどのような前提に置いて計算しておりますか。あなた方が採用した、丸印をつけられた標準的なケースについてお答えください。
  156. 坪野剛司

    ○坪野説明員 五十九年の財政再計算におきましては、いろいろと計算の前提としては要素がございます。主に人口学的な要素とかあるいは経済的な要素とかいろいろございますけれども、今先生お尋ねの件につきましては経済的な要素だと思いますけれども、年金の改定率というものを五%、運用利回りについては七%ということを一応標準的なケースとして使っております。  ただ、一通り計算したということではなくて、いろいろなケースについて計算して、あくまで収支見通しという形でお出ししてあるのは標準的なケースでございます。
  157. 正森成二

    ○正森委員 要らないことを答えずに私の聞いたことに答えてください。あなた、私の聞いたことに答えてないじゃないですか。改定もお答えになるのは結構ですが、賃金上昇率幾ら、消費者物価上昇率幾ら、積立金の運用利回り幾らで標準的なケースとして計算したか、こう聞いているのですよ。その三つについて答えてないじゃないですか。
  158. 坪野剛司

    ○坪野説明員 毎年の物価上昇という点にございましては、これを年三%ということで一応の試算はしております。ただし、五年ごとに財政の再計算があるという前提を置いておりますので、五年ごとに賃金と物価との差というものを年金の改定率として新たに織り込んでおります。
  159. 正森成二

    ○正森委員 そんなに聞かないことをいろいろ答えなくていいのです。  そうすると、私が言ったように、賃金上昇率五%、消費者物価上昇率三%、積立金の運用利回り七%なら、積立金の実質運用利回りは幾らになりますか。——百七を百三で割ればいいんだからすぐ出てくるでしょう。
  160. 坪野剛司

    ○坪野説明員 実質という言葉がいいかどうかはわかりませんけれども、計算をするに当たっては百五分の百七ということが適当かと思います。
  161. 正森成二

    ○正森委員 だから、それが幾らかと聞いているのですよ。——厚生省は態度悪いじゃないか。実質金利なんというのは大蔵省だって使っているし、百三分の百七になるでしょうと言ったら、それが幾らかと聞いているのに実質金利という言葉がいいかどうかわからぬとか、私の言った百三分の百七になるとか言って答えを渋っておる。一々まともに答えないじゃないか。そんなふらちな態度で質問できますか。何で質問に答えられない。後に自分に不利なことがあると思っていろいろぐずぐず言っておるのか。まともに答えればいいじゃないか。委員長、注意してください。
  162. 坪野剛司

    ○坪野説明員 百五分の百七ということでございますので、一・〇一九ということになりますので、一・九%でございます。
  163. 正森成二

    ○正森委員 百五分の百七、そんなばかなことがあるか。百三分の百七なら話がわかるけれども、百五分の百七というのは、実質金利についてどうしてそんなことを言うのですか。消費者物価上昇率三%ですよ。積立金の運用利回りは七%にしているのですよ。百三分の百七じゃないですか。それがいつの間に百五分の百七になるのですか。厚生年金のことを聞いているのですよ。
  164. 坪野剛司

    ○坪野説明員 物価三ということと運用利回り七ということでしたら、百三分の百七で三・八%ということでございます。
  165. 正森成二

    ○正森委員 これが厚生省の数理課長ですわ。私みたいに法学部出身で中学の数学に毛の生えたことしか知らぬ者でも、実質金利といえば積立金の運用利回りの百七を消費者物価上昇の百三で割る、そうすれば端数が出て三・八八。切り上げれば三・九になるのですが、三・八でもいいです。それをわざわざ百五分の百七だといって間違えて、そして一・九だというような答弁をする。それで数理課長か、あんた。  厚生大臣、こんな数理課長じゃ役に立たないのじゃないですか。あえてここで首にしろなんて言わないけれども、答弁の態度といい数学の知識といい、およそ数理課長にはふさわしくない人物じゃないですか。そんな人物に何も短い時間で答えてもらわなくてもいいのです。しかも、後で言いますが、今の答弁には、もしこちらが知らなければ詐欺的にひっかけてやろうという物すごい卑劣な魂胆があるのですよ。  今度大蔵省に伺いましょう。大蔵省も同じように計算しているでしょう。大蔵省は制度改革後の収支の見通し、こういうのを計算していますね。それではあなた方は消費者物価上昇率は幾らで運用利回りは幾ら、実質金利は幾らに見ているのですか。
  166. 門田實

    門田政府委員 私どもの計算も、議論が統一的に行われた方がいいということだけではございませんが、前提はそろえてございまして、運用利回り七%、給与改定率及び年金改定率年五%、物価三%でございます。
  167. 正森成二

    ○正森委員 いいかげんなことを言ったらいけませんよ。
  168. 門田實

    門田政府委員 間違えました。物価は五%でございます。
  169. 正森成二

    ○正森委員 実質の運用利回りは幾らになるのですか。
  170. 門田實

    門田政府委員 運用利回り、年七%が名目でございます。したがいまして、百五分の百七ということで一・九でございます。
  171. 正森成二

    ○正森委員 今お聞きいただいたように大蔵は実質運用利回り一・九、つまり運用利回りは同じ七%だが、物価上昇は五%ですから、百七を百五で割れば一・九になるのです。  ところが厚生省は、運用利回りは同じく百七だが、物価上昇は三%、つまり百三で割れば三・八ないし三・九ということで、違うのですよ。  数理課長は数学は弱いけれども、質問者が何を聞こうとしているかを察知する好知にはたけておるから、自分は三・八か三・九で大蔵省が一・九なら、将来の年金財政に重大な関係がある実質運用利回りについて差異があるのはおかしいじゃないか、こう聞かれるであろうということを察知したから、正森成二は法学部出身だから簡単な二けたの数学でも間違うだろう、そう思って一・九だ、こう言って答えておるのです。私がそれにごまかされたら結局、大蔵と厚生には食い違いがない、こういうことになるのです。厚生省という役所は人民の代表である国会議員を口先三寸でだまくらかす、それが数理課長の役目であるということになれば、こういう役人に国民の税金から給料を払っておるというのはおかしいじゃないですか。  大蔵省、厚生省、こういう五カ年計画のことだと言うかもしれないけれども、その五カ年計画の姿で今から三十年、五十年先をずっと見通して収支計算をつくってこの案を出しておるのじゃないですか。それが実質金利で片や三・九、片や一・力といったら二%も違う。あなた方、二%違えば二十年、三十年、五十年でどのくらい違うか知っていますか。物すごく違うのですよ。こんな矛盾をしておって、どうしてこんな法案まともに審議できますか。おかしいじゃないか。完全な矛盾じゃないですか。
  172. 坪野剛司

    ○坪野説明員 年金計算におきましては、先ほどから申し上げておりますように実質金利という考え方をとっているのではなくて、あくまでこれは計算の前提でございますけれども、物価が三%上がり、あるいは五年ごとの財政再計算のときに賃金の仮定をしております五%の取り戻しをスライドで行い、そして名目的な運用利回りを七%にしているということでございますので、先ほど大蔵省の方からお答えになりました数字との矛盾は年金計算においてはないというふうに思っております。
  173. 正森成二

    ○正森委員 またいいかげんなことを言うのですね。大蔵省も厚生省も賃金の改定は五%、したがって、年金の改定も五%という点では同じなんです。けれども、その前提になる議論が、片や厚生省は物価上昇は三%であると見、大蔵省は五%で見るということになれば、実質的な賃金だってうんと違ってくるわけでしょう。それから今大蔵大臣がいみじくも認められたように、将来の厚生年金財政を考えるに当たっては、私は二十日ほど前に予算委員会で質問したのだけれども、今、勤労者が納めた年金の積立金は四十八兆円もあるのですよ。それを実質金利三・九で運用するのか一・九で運用するのかでは物すごく違うじゃないですか。頭の中でちょっと計算しても一年間に約一兆円違うじゃないですか。現在でもそうだから、それが五年、十年、二十年と重なっていけば莫大な額じゃないですか。それなのに、大蔵省と厚生省とは違いがございませんなんて、事年金の将来を論ずるこの大蔵委員会で、よくもそんなことを数理課長ともあろう者が言えるものだな。何の数理を考えておる。おかしいじゃないですか。
  174. 坪野剛司

    ○坪野説明員 国民年金厚生年金におきます財政再計算におきましては、先生よく御存じのとおりでございまして運用利回り名目七%、それから物価はいろいろなケースがございますけれども一応三%、賃金は五%という仮定を立てております。ただし、年金といいますのは長期にわたっての財政を見るわけでございますので、法律で決まっておりますように五年に一回見直すということになっておりますので、いわゆる過去四年間の物価上昇、それから過去四年間の賃金上昇率、この差を財政再計算のときに今までは調整していたわけでございます。そういうことを前提に置きまして財政再計算をしておりますので、運用利回り七%、それから賃金上昇率五%、物価上昇率三%で年金の財政再計算をしているということと、大蔵省が言っております名目の運用利回り七%、賃金の上昇率五%、それから物価は五%とおっしゃったのかもしれませんけれども、五%ということはどこが違うかというと、厳密に言いますと再計算と再計算の間におきましては多少の差はあります。しかし、再計算を行った時点では、これは私たちは数理的には同じになる、ニアリーイコールになるというふうに理解しております。
  175. 正森成二

    ○正森委員 数理課長が今までに六、七回出てきましたが、その中で一番まともな答弁で、やっと中央官庁の役人らしい答弁になったと思うのですね。その中でも、ちょっと違うというようなことを、ちょっとじゃないのですね。うんと違うのですが、違いがある。初めはないなんて言っていたのですが、私が少し大きい声を出したら違いがあるということは認めた。今度はどこへ逃げたかというと、五年間のことだから大したことはないんだ、五年たったらまた見直すんだ、こう言うのです。しかし、あなた方が出してきたこれは、五年間だけじゃないでしょうが。もちろん五年たてばまた見直すでしょうけれども、その五年間の数字を仮に三十年、四十年、五十年延ばしてみて、そしておおよその姿を出したのでしょうが。だから結論についてはこの五年間の差、難しい言葉で言えばシェーレがずっと広がっていくという格好になっているので、やはりこれは大きな影響があるというように言わなければならないと思うのですね。厚生省はもういい。  今度は大蔵省に答えてもらいましようか。どうして大蔵省のこの計算年金全体についての主管庁である厚生省と違うというようなことになるのですか。なぜ運用利回りの実質金利が一・九なんですか。もし三・九で計算すれば、大蔵大臣最初に認めたように、運用利回りが出てくるんだから、給付についても、特に保険料率についても変化が出てくる余地があるじゃないですか。なぜ大蔵省は異なった計算をしたのですか。  これはどちらかといえば、責められるべきは厚生省ではなしに、厚生省は先にそういう計算を出して厚生年金の改定をやったんだから、後から出した大蔵省が共済年金についてなぜそういう異なった前提を置いたのかということがやはり問われなければいけないと思うのですね。
  176. 門田實

    門田政府委員 国家公務員共済の方は、連合会等でこういう作業をいたすわけでございますが、実はその計算をいたしますプログラムが厚生年金の場合と違っておりまして、私どもの場合はいわばこういう形で、カープでもって計算していくというプログラムになっているわけでございます。厚生年金の方はこう刻んでいって五年目に上がる、こういってまた上がるということで、そこはちょっと作業上こういうことしかできなかったということでございます。
  177. 正森成二

    ○正森委員 今の答弁は、この会場におられる人はわかったようなわからぬようなことですけれども、速記で見ればさっぱりわからぬ答弁です。私は、門田議官は非常にまじめな方で精いっぱいまじめに答えられたと思いますから、こんな格好で示したことを、速記には残らないが階段的に上がるというふうに言われたんでしようが、どうこう言おうとは思いません。  しかし門田さん、あなたの善意を認めるにしても、これが厚生省の実質金利が三・九で、大蔵省が階段式にやったんだから三・五になったとか言うのなら、これはそういうぐあいになりましたと言うてもそうですかと言えるけれども、前提がそもそも、厚生省は物価上昇率が三%、大蔵省は五%というふうに違うわけでしょう。そうすると、あなたは手でこういうおもしろい格好をされたのですが、階段式に変化するというのとは必ずしも関係がないんじゃないですか。階段部分はしたがって三角形ですね。その部分がずれていくということは、これはわかりますし、大蔵省の数理にお強い方が実は私の部屋へもおいでになって御説明になりましたから、それはわかりますが、前提が五%と三%で違うということは、これは非常に意図的な、あるいは極めて明白な違いじゃないのですか。
  178. 門田實

    門田政府委員 私ども別段の意図があったわけではございませんで、本当にプログラムの設計が異なっておるわけでございまして、給与改定率及び年金改定率は同数値の年五%、こういう前提を置きませんと、その水準自体はいろいろあり得るわけですが、そういった置き方をしませんと、今申し上げましたいわば曲線で出していきます私どものプログラミングの方にうまく乗らないということでこういうことをいたした、そのほかの点は極力合わせていこう、こう努力したわけでございます。
  179. 正森成二

    ○正森委員 門田議官答弁を聞いていると、何かこれ以上言うのが気の毒なんですけれども、しかし物価上昇率を片や三%と見ているのに大蔵省は五%と見て、そのために実質金利が二%も違ってきているということに対する答弁としては、今の答弁は何ら答弁になってなかったというように言わなければならないと思うのですね。  それで委員長、こういうように主務官庁の厚生省と共済の主務官庁の大蔵省が大前提の数字がこんなに違い、将来の年金の積立金の運用利回りについても非常に違うという中で、何十年か国家百年の大計を考える年金制度改正が論じられるというのは非常に遺憾でございますから、そういう点についてきょうお答え願えないなら、もう少し筋の通った御説明ができるようにぜひお願いしたいと思うのです。  それで、そのことだけ言うておりますと、きょうは各党の第一番目の質問者は二時間質問するということになっておりますので、本来ならここでとまってもいいのですが、それでは失礼だと思いますから……(発言する者あり)いいですか、とまっても。(沢田委員「休憩して、調整して答えてもらって……」と呼ぶ)
  180. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  181. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 速記を始めて。  坪野数理課長
  182. 坪野剛司

    ○坪野説明員 大蔵省の門田議官意見を交換しましたけれども、結論的には、私たち厚生省が国民年金厚生年金計算しております名目運用利回り七%、賃金上昇率五%、それから物価上昇率三%という標準的なケースと、大蔵省の共済課で計算いたしました運用利回り名目七%、賃金上昇率五%、そして物価上昇率五%ということについての数字を使ったことについて、先ほど申し上げましたように、再計算と再計算の間においては多少の違いはございますけれども、五年ごとにそれは調整され、長期についての差異はほとんどございません。     〔堀之内委員長代理退席、熊谷委員長代理着席〕
  183. 正森成二

    ○正森委員 ああいう答弁をされますと、それは五カ年間ははっきりと差異がある、しかし、その五年先にはもう一遍計算し直すのだから差異はないと言うておるのだけれども、しかし五年間は差異があり、しかもそれをもとにしてずっと延ばしているのだから全設計に差異があるというのは非常にはっきりしているのに、ああいう答弁でそのまま続けるというわけにはいきませんな。もう少し納得のいく説明ならいいですけれども。
  184. 坪野剛司

    ○坪野説明員 先ほど門田議官が、こういうふうな図を書いて御説明されたと思うのですけれども、どういうことかといいますと、スライドを何に求めるかということだと思うのです。実質と名目利回りと、それからいわゆる年金改定率を何で求めるかということだと思うのです。大蔵省の試算では、いわゆる年金改定率を毎年五%ずつ行うということですから、先ほど審議官がおっしゃった、なだらかにこういう形で上がりますよと、こういうふうにおっしゃったわけです。     〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕  それで、厚生省の国民年金なり厚生年金につきましては、先生よく御存じと思いますけれども、物価でスライドするというはっきりした決めがあるものですから物価をやはり使わざるを得ないし、再計算を行う直近の数年間の傾向を見て物価上昇というものをはじき、そしてそれをスライド率という形で一応試算に使うわけでございます。それで、最近の物価がおさまっているということから、三%を標準的に使ったということでございます。  それでは、賃金というものがどのくらい上がるかということになりますと、それは再計算の時点において過去の実績を踏まえて、やはり五%近く上がっているのじゃないだろうか、これは共済課と共通でございまして、五%を使っているわけです。したがって、厚生年金国民年金スライドをどうするかということにつきましては、再計算と再計算の間におきましては、やはり物価上昇で年金スライドするしか方法はないわけなんです。  それから、五年たちまして財政再計算を行うときには、先ほど大蔵省がこういう図を書かれて、ぱっとこうなるといったところはここで一致するわけなんです、再計算のときに。それでスタート時点がまた一致しますので、それからまたこういう滑らかになったのと厚生省がこうなったので、再計算ではまた一致するということで五年ごとに一致させておりますので、結果的には、長期的にはほとんど差異はないというふうに先ほど御説明したわけです。
  185. 正森成二

    ○正森委員 いやいや、幾ら言ってもだめなんで、今私が聞いているのは、年金の積立分について運用利回りがどうなるかということを聞いているのに対して、向こうは保険料の基礎になる給与がどうなるか、したがって給付がどうなるかということを中心に答えているわけですから、全然問わんとしているところが違うわけです。だから明確に残るところは、一方は物価上昇を三%と見て、名目が七%だから実質は三・九で運用利回りされるということ、一方は物価が五%だから運用利回りは一・九にしかならないという前提でずっと考えているというのは重大な相違で、この差は幾ら手でこんなことやったって縮まらないんですよ、給与改定についてはそれは縮まっていくということはあるけれども。  それからさらに、大蔵省、本当は言いたいところかもしらぬけれども、言い渋っているのかもしれませんけれども、その前提には次の重大な問題がありますね。つまり、大蔵省は物価上昇も五%、給与改定も五%で見ているということは、年金の給与について政策改定がないということを意味しているのです。  厚生省の方はどうかと言えば、物価三%で賃金が五%で年金の給与改定も五%であるということは、毎年毎年ほぼ二%を年金給付について政策改定があるということを言うているので、そうなると厚生年金共済年金とは重大な相違があるという大前提で、これは年金の積立額がどうなるかということよりももっと重大な内容なんです。それがはしなくも再計算計算の中に出てきておるわけなんで、私は議論を進めていけばそこまでいくのだけれども、とりあえず今は年金積立金の運用利益ということだけで聞いているのだけれども、根本にはそれがあるのです。そうなると、どうして一元化しようなんて考えているのに厚生年金は毎年毎年ほぼ二%の政策改定を行うのか。一方、公務員は永久に、物価上昇については考えるけれども政策改定は行わないというような前提をとるのか。それは大蔵省が渋ちんであるということなのかということになってきて重大な問題で、これは単なる運用利回りの問題どころではないのですよ。だから、なぜそんな矛盾ができてきたかということを聞いているのです。しかも将来は、竹下大蔵大臣が言うているように、全国民的に統一してどうだろうかというようなことを言うておるのでしよう。その出発点がこのていたらくでは、とてもそんなものは審議できない。——委員長、休憩してください。
  186. 越智伊平

    越智委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  187. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  厚生省山内審議官 わかりやすいように説明せいよ。
  188. 山内豊徳

    ○山内政府委員 事柄が数理的なことでございますので、私、説明に出ませんで恐縮でございますが、数理課長が申しておりますのは、財政の見通しの上で再計算の間の五年間は確かに物価三%を使って見通しを計算したが、五年目には毎年毎年五%上がったと同じような給付の再計算をするので、そこでまたスタートが同じになります、また次の五年間で同じような中だるみがあって十年目にまた毎年五%をやりますので、結果的には大蔵省が毎年毎年五%で計算なさったものとニアリーイコールと申しているつもりでございます。  ですから、初めに実質金利はとお問いになったものですから、年金改定と運用利回りの差を数理課長が申し上げたのが、五%と七%の差を申し上げでございます。ですから、確かに毎年毎年給付が五%改定して年金積立金を崩していくのと、その途中だけ三%で崩していくのでは違いますけれども、五年目、十年目、十五年目を全部追っかけていきますと、給付はやはり年率五%の形で改善されますので、その時点の積立金はやはり……(正森委員「わかってる、わかってる」と呼ぶ)そこを申し上げているつもりでございます。そこは間違いなくニアリーイコールでございますので、御理解いただきたいと思います。
  189. 正森成二

    ○正森委員 今の審議官のおっしゃることもよくわかるのですよ。しかし審議官はあくまで給付の点について言うておられるのですよ。給付がいずれは追いつくのですと言うておるので、そんなことはこっちは、大蔵省だって厚生省だって給付は五%と言うているんだからよく。わかっているので、私が聞いているのはそうじゃなしに、今もう既に積み立てている年金の積立金が四十八兆円はある。その運用利回りがどうなるかは被保険者にとって重大な利害がある。だからそれが幾らで運用されるのかということになれば、それを決めるのは運用利回りと物価上昇率だ。それが大蔵省は七%と五%、片や厚生省は七%と三%というように違うのだから、それはどういうわけか、こう言うて聞いたら、それについては全く今まで答えがないのですから、今の審議官の答えも答えじゃないので——いやもう数理課長いいよ、あなたの顔を見たらまた気分がおかしくなるから、もういい、この問題については。問題が変わればまた答えてもらうけれども。  ですから、こういうように質問者が何を聞いておるのかということもよく理解せずに、私がこれから聞くであろう資料を見て、そこでひっかけられたらいかぬからと思って先取りして一生懸命答えているというようなのではよろしくないので、この質問はこれから以後の質問とは一応切り離して独自の体系を持って聞いているのですから、それについて質問者の質問の意図もわからずに違うことを一生懸命答えているというのではやはり困りますので、優秀な頭脳の所有者がそろっている大蔵省と厚生省ですから、きょう一日冷却期間を置けば来週はきっと立派な答弁をしていただけるでしょうから、できればそういう筋の通った答弁を伺ってから、残る質問を続行させていただきたいと思います。
  190. 山内豊徳

    ○山内政府委員 重ねて説明させていただきます。  実質金利というそのお問いに対して、私どもが財政見通しとして使いました三%という物価をベースに考えて七%を説明すべきか、賃金五%を前提にして説明すべきかで戸惑ったことは事実でございますが、ある年ある年残っている積立金を七%で運用するという前提、仮定でやっている点は、大蔵省と厚生省は全く同じでございます。大蔵省と厚生省の見通しで違ってくるとすれば、再計算の間の、つまり五年ごとの間の給付の見方が、大蔵省は毎年五%アップで給付が出ていく計算をなさいますから、三%しかやらない厚生省に比べますと、当然ある時点の積立金の減り方は多いと思います。しかし、五年目に厚生省の方も、五年間五%上がったという計算給付を、スタートをそろえておりますから、その時点ではやはり積立金から取り崩す給付の額はほとんど同じになってくるわけでございます。その意味では大きな違いがないということを申し上げ、かつ大蔵省の審議官の方から、それは計算のプログラムが毎年五%上がる、そういうプログラムで計算したためにそうなったんだという御説明をしていただいておるわけでございますから、確かに計算の数式が違っていたことは事実でございますが、先生がおっしゃる実質金利の見方について、長い間に片方は一・九しか見ないで片方は幾つしか見ないという差はないと私どもは信じておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
  191. 正森成二

    ○正森委員 審議官がきょう、今言われたことも、その言わんとすることは私はよくわかるんですよ。名目で言えば運用利回りは同じ七だ、それから賃金は同じ五だ、だから、若干賃金上昇にずれがあって三角形になっても、追いついていくのだから、その点はそんなに大きな差はないのだという限りにおいては、今言われた答弁は間違っていないのです。  しかし、私が問題にしているのは、年金を受け取る者は、名目で幾らもらうのかということを問題にしているのじゃなしに、自分のもらう年金が実質で幾らになるのか、自分の納める保険料昭和五十九年を基準にしたら実質で幾らになるのかということが極めて重大なことなのです。ところが、それを一方の厚生省は、名目は七%で物価は三%しか上がらない、そういう姿で描いているのです。ところが大蔵省は、名目は七%で物価は五%伸びる、そういう姿で描いているんですよ。それはとりもなおさず、幾ら給与改定があっても、実質賃金について両者に大きな差があるだけでなしに、既に納めた積立金の運用利益、これの実際価格については重大な差がある。そんなことでは、年金の被保険者やあるいは年金を受け取る高齢者は、なぜ同じ官庁でこんな差があるのかということになるのは当然ではないか、こう言うているんですよ。それについては、今のるるたる説明も何ら答えになっていないのです。ですから、後で構わないから、速記者に私の言うたことを起こしてもらって、そして答えてもらうということで、残念ながら、私は決して意図的にとめようなんて思っておりませんけれども、いずれにせよ、きょうで審議が終わるわけじゃなし、月曜日以後もあるわけですから、そういうことでよく整理をしていただきたいと思います。−−もういい、もういい。委員長、そんなことを聞いたってしょうがないですよ。
  192. 越智伊平

    越智委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  193. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  暫時休憩をいたします。     午後三時四十七分休憩      ————◇—————     午後三時五十三分開議
  194. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  ただいまの問題につきましては留保いたしまして、後の時間で、後日の時間に譲ることにいたします。正森成二君。
  195. 正森成二

    ○正森委員 今理事会で、先ほどの問題については大蔵省、厚生省、特に大蔵省でお考えいただくようでございますので、その部分及びそれに関連する部分は留保させていただきまして、同僚議員に御迷惑をかけたらいけませんので、それ以外の部分でできる限り質問を続行させていただきたいと思います。  厚生大臣、厚生省は年金の所管省でございますが、今度の一連の年金制度改正について基本的なお考えは、高齢者がどんどんふえてくる、それに対して若年層は減ってきて、結局生産人口で負担しなければならない高齢者というものが六人に一人、七人に一人というのが場合によったら二人に一人くらいになる、それでは大変だというので、長期的に考えれば世代間あるいは給付負担バランス、公平というものを考えなければならぬというお考えのようであります。それに間違いございませんか。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  196. 吉原健二

    ○吉原政府委員 そういうことでございます。
  197. 正森成二

    ○正森委員 ここに週刊社会保障という雑誌があります。その昭和六十年八月十二日号に、厚生省年金局数理課長坪野剛司さん——あなたですか、お初にお目にかかりますが、「年金財政の現状と課題」ということで論文を書いておられます。非常に興味深い論文でございますので私も読んで勉強させていただきましたが、この中であなたはこう書いておられるのです。  「この被保険者数の減少は合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に子供を生む平均の数)が女子の高学歴化や専門職への進出もあって一・七五人まで減少し、若齢人口は長期にわたって減少傾向にある。一方、年金受給者は現時点でもかなりの数に達しているが、第二次大戦後のベビーブーム時(昭和二十四−二十五年ごろ)に生れた世代年金受給者となる昭和九十年代ごろには、さきの値はピークに達するものと思われる。この時点では受給者一人を被保険者二・三人で担う形になるものと予想される。」こういうように言っておられるのです。  これはあなたの論文に御記載があるとおりであり、現在もそう思っておられますね。
  198. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  これは財政再計算に当たっての考え方なりその結果を簡単に要約したものでございます。  今の御指摘の件でございますけれども、この中の、下の方の「若齢人口は長期にわたって」というところについては印刷ミスで、「生産年齢人口は」という印刷ミスでございますけれども、大筋においてはこんな感じではないかというふうに思っております。
  199. 正森成二

    ○正森委員 大筋においてはこの論文のとおりであるというようにお答えになりました。  そこで、同僚委員にも聞いてみましたが、私も初めてでございましたが、合計特殊出生率なんというのはめったに聞かない言葉なんですね。これは一人の女性が再婚する場合もあるしいろいろなんですけれども、ともかく一生の間に子供を幾ら産むかという数字らしいんですね。初婚のときだけでなしに再婚される方もおられるから、ともかく一生の間に幾ら子供を産むかという数字らしいのです。それが日本の場合は、女子の高学歴化や専門職への進出もあって一・七五人まで減少するというのが御意見なんですね。  これはどこからこの数字を出しておられるかというと、同じ論文の中に、「将来人口は昭和五十六年十二月、厚生省人口問題研究所の「日本の将来人口新推計」の中位推計を参考にしている。」こういうことになっているわけで、同じ厚生省の中の数字をおとりになっているわけであります。このことは何を示しているかといいますと、夫婦の中で子供が二人弱、二人はなかなか生まれないということにとどまらず、その女性が一たん離婚して他の御主人と結婚することがあっても総計一・七五人は超えない。つまり、ある夫婦の場合は一人の場合もあり得るわけで、非常に子供の数が少ないということを示しているわけであります。  そこで、厚生省の人口問題研究所の方に来てもらっていると思いますが、昭和三十年を起点にして昭和百年ぐらいまでで結構でありますが、普通、生産人口と言われる二十歳から六十五歳までの人口が全人口に占める比率、及び高齢化社会である六十五歳以上の人口が占める比率の推移、及びゼロ歳から十九歳までの若年層が占める推移、それについてそれぞれ大まかにお答え願います。十年ごとくらいで結構です。
  200. 岸本正裕

    ○岸本説明員 お答えいたします。  ちょうど手元の資料が昭和三十五年から百年までございますので、それを大まかに御説明をさせていただきたいと思います。  まず初めに六十五歳以上の人口の総人口に対する比率でございますけれども、昭和三十五年には五・七%でございました。五十五年にはそれが九・一%に上がっておりまして、六十五年には一一・六%、七十五年には一五・六%、八十五年には一八・八%、九十五年には二一・八%、百年には二一・三%、こういう傾向を示しております。  ゼロ歳から十九歳までの人口の比率を申し上げますと、同じく昭和三十五年には四〇・一%でございましたが、四十五年には三二・八%、五十五年には三〇・六%、六十五年には二六・五%、七十五年には二三・二%、八十五年には二四・〇%、九十五年には二三・一%、百年には二三・〇%でございます。  それからゼロ歳から十四歳までの比率でございますけれども、昭和三十五年には三〇・二%、四十五年には二四・〇%、五十五年には二三・五%、六十五年に一八・三%、七十五年に一七・六%、八十五年に一八・三%、九十五年に一六・七%、百年で一七・二%というように、傾向的に六十五歳以上の人口比率は増加をいたしますし、若年の人口比率は傾向的にいえば下がっていくということでございます。  なお、生産年齢人口の比率について今ここで計数を持っておりませんけれども、六十五歳以上とゼロから十九までを足して一〇〇から引けばいいということになるわけでございます。
  201. 正森成二

    ○正森委員 今数字をずっとお読みになりましたのでおわかりにくかったかもわかりませんが、高齢人口ですね、六十五歳以上というのは昭和三十五年ごろには一けたである。それが昭和百年ごろには大体二一%前後になる。明らかに増大するわけであります。ところがゼロ歳から十九歳までの若年人口は、逆に四〇%を超えたところぐらいから半分近い二三、四%に減少するというのが人口の推移であるという二とをお答えになったわけであります。  そこで、経済的に見ますと、よく使われる従属人口指数というのがありますが、それは何かといえば、生産人口が実際上生産に従事できない高齢者と子供を扶養するということになるわけですから、高齢人口と年少人口を足したものを生産人口で割るということで、現在働いている世代負担がどのくらいになるかということを通常示すわけであります。その数字を考える上で、結局のところは、六十五歳以上の高齢者と十九歳未満の年少者が人口でどれくらい占めるかということが問題になるわけでありますが、それを考えるのに、今大まかな傾向は出ましたので、私の手元にある書物で申しますと、今昭和三十五年をおとりになりましたが、私もその数字を申しますが、以下、この本では西暦紀元で違っておりますので、昭和三十五年は一九六〇年になります。  そこで申しますと、一九六〇年に十九歳以下と六十五歳以上、つまり主として社会で生産する人に扶養せられる人々の全人口に占める割合は四五・七七%でありました。これは共通の土俵であります厚生省の人口問題研究所の「日本の将来人口新推計」の中位推計を全部とっておるわけであります。それが一九八〇年、今から五年前でありますが、三九・六四%に下がっているわけであります。つまり生産人口によって扶養される人口は下がっているわけです。高齢化社会が進む西暦二〇〇〇年にはどうなるかといいますと、さらに下がりまして三八・七五%まで下がります。二〇二五年になりまして少し上昇いたしまして四四・三二%になります。二〇五〇年、今から六十五年先でありますが、やっと四五・六三%まで上がります。二〇七五年になると高齢化社会が落ちつきまして下がってまいりまして四四・九七%になります。  つまり、これはどういうことであるかといいますと、一九六〇年、昭和三十五年高度成長が始まりましたときの高齢者と若年人口の人口に占める比率が四五・七七%であったにもかかわらず、日本経済は世界にも発達した資本主義国であれば非常に例がないと言われるくらい急速な生産の増大を示したわけであります。今政府は声高に高齢化社会年金財政はもたないという意味の遠因にしておりますが、この数字を見れば、西暦二〇〇〇年に達しても老齢人口と若年人口の合計は昭和三十五年よりも七%も低い三八%くらいであり、二〇二五年も四四%くらいであり、二〇五〇年でも四五%で、昭和三十五年と大きく変わらないという数字が出てくるわけであります。  世界的に、若年人口、少年人口の場合に十四歳以下をとる国々があります。これは国の名前は失礼ですから挙げませんが、アフリカ大陸であります。あるいは必ずしも人口の大部分が高等学校に行かない、あるいは大学に行かないという国々の場合には若年人口を十四歳以下でとるのもあるいは妥当かもしれませんが、日本のように高校の進学率が全国平均でも九〇%を超えておる。東京や大阪では九五%をはるかに超えておるというところでは、これは十九歳以下をなお全面的に生産活動には従事しない人口であるというように見て大きな誤りはないと思われるのですね。  そうだといたしますと、政府が、高齢化社会高齢化社会だ、生産人口が高齢者を今までは七人に一人くらいで持っていたんだが今は二人か三人で一人しか持たないんだから国の財政がもたないとかパンクするとか言うているのは、実は非常に疑問があるわけであって、自分たち生産人口が扶養しなければならない高齢人口だけでなしに若齢人口、これを入れるなら、社会全体として見れば働いている人口が扶養しなければならない人数、世代というのは大きな差がないのですね。しかも、現在の日本のように教育程度が発達しているという国の場合には、これは教育費においても、あるいは若齢者の場合にはよく運動もしますから医療費においても、腹が減るから食費においても、これは七十歳、八十歳の人よりも逆にある意味では費用がかかるということすら言えるわけなんですね。だから、政府高齢化社会を声高に叫び立てて国の財政上ももたないというように言うておるのは鬼面人を驚かすものではありませんか。  国の経済全体について言うならば、生産量を十分に世代間で配分するならば、高齢者が二一%という最悪の場合でも、若齢者を入れれば全体としては生産人口によって扶養される人口は昭和三十五年よりもふえない、こういうことになるのですから、それについて厚生大臣の御所見を承りたいと思います。
  202. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 二十歳から六十五歳までの人がそのほかの年代層を養うということについては同感であります。ただ、それでは十九歳以下のパーセンテージと六十五歳以上のパーセンテージが問題になるのではないかというふうに思います。この際には十九歳以下が減ってきて六十五歳以上がふえていくという傾向であると思います。さて、その年金受給者というのは高齢者でありますから、したがって十九歳以下の方と比べますとやはり国民負担というものはかなり多かろうと思いますので、先生の説にはちょっと賛同しかねるところがあります。
  203. 正森成二

    ○正森委員 そんなことは当たり前のことで、私が聞いているのは、六十五歳以上の高齢社会に対する生産人口全体としての負担はなるほどふえるけれども、その分は若年人口についての生産人口の負担が少なくなるんだから、社会全体としては、それを有効に活用すれば社会の経済全体がやっていけなくなるとかあるいは国の財政上もたなくなるとかいうことは必ずしも起こらないのではないか、こう言うているので、高齢化社会に対する負担が一定の割合で増大するということを私の質問は否定しているものではないのですね。まあ大臣ですからそういうおおらかな答弁でいいことにしておきましよう。  それでは次に、時間の関係で、先ほどので大分時間を食いましたので進ましていただきますが、総務庁統計局は来ておりますか。総務庁統計局は昭和五十九年に家計調査年報というのを出しました。その中の百五十ページですか、第七表に「世帯人員・世帯主の年齢階級別一世帯当たり年平均一か月間の収入と支出」というのが載っております。そういう資料があるかないかだけまず答えてください。
  204. 小山弘彦

    ○小山説明員 昭和五十九年の家計調査の結果につきましては、確かに百五十ページにそのような表が入っております。
  205. 正森成二

    ○正森委員 それでは、総務庁統計局がお認めになりましたので、その数字を引用しながら質問をしたいと思います。  これを見ると、世帯人員を二人から八人以上というように分けまして、食費がどういうぐあいに世帯で支出が違うか、あるいは被服及び履物がどういうぐあいに違うか、あるいは教育費がどのように違うかというのが出ております。  それを見ますと、やはりよくしたものでありまして、世帯人員が二人の場合には教育費というのは二百三十四円しか支出されないのですね。二人というのは恐らく若夫婦だけという場合が多いでありましょうから支出が少ないのは当然なんですね。あるいは子供が一人でお母さんだけという場合もあるでしょうが。三人になりますとそれが相当ふえまして、五千四百十七円になります。四人になりますと俄然ふえまして、一万四千九百十一円になります。五人になるとさらにふえまして、一万八千六百七十三円になります。これがピークであります。六人になりますと一万八千三百二十五円でほぼ頭打ちであります。これは、このごろは少なく生んで賢く育てようなんというスローガンがありまして、子供は大体二人というようなことになっているから、家族が五人という場合には夫婦と子供二人とおばあちゃん一人とか、そういう構成になっていることをうかがわせるわけなんですね。  これは同じ統計の別のところでもある程度裏書きされておりまして、世帯主の年齢階級別に支出がどうなるかというのを見たものがあります。それを見ますとやはり同じ傾向があらわれておりまして、世帯主の年齢が二十五歳から二十九歳ぐらいでは教育費は二千二百三十円しか支出されておりません。ところが、四十歳から四十四歳、子供が高等学校に行くというころになりますと俄然ふえまして一万六千四百二十九円であります。四十五歳から四十九歳、このころは給料は少ないのに子供は大学へ行き始めるという非常に苦しい時期でありますが、二万四千六百五十七円にはね上がるわけであります。そして五十になりますと、そろそろもう高等学校にはおらぬようになる、大学も終わりになるかというので一万五千百三十九円に下がります。そして五十五歳から五十九歳になりますと、自分は定年になるが子供も無事大学を出てくれたということで一挙に五千九円に下がります。これは、教育費がいかに重い負担を占めているかを総務庁統計局の統計が明白に示しているものにほかならないと思うのです。  私が今読み上げた数字は、先ほどあなたがございますと言いましたこの統計に載っていたとおりであるかどうか、答えてください。
  206. 小山弘彦

    ○小山説明員 御質問にございました件でございます教育関係、世帯人員別それから世帯主の年齢階級別でございますけれども、傾向としてはそのような数字が出ております。
  207. 正森成二

    ○正森委員 政府の総務庁が認めているわけなんですね。このことは厚生大臣、あなたは高齢化社会になれば年金保険料についての負担はふえるのだということをおっしゃいました。私は今それを否定する議論を言うているんじゃないのです。しかし、その一方でこういうように四十歳代の世帯というのは教育費の負担が非常に重い。そして世帯数が二人なんというのは教育費は問題にならぬ。三人でも非常に少ないが、四人から五人に上がるにつれて教育費が俄然ふえるということは、逆に、私が今述べてまいりました若齢人口が減るということは、教育に関係する費用、今教育費だけを挙げましたが、食費についても被服費についても同じことが言えるわけでありますが、それがやはり減っていく。その分を高齢者のための保険料の増大に充てざるを得ない、そういう社会構成に異動するということを示しているものにほかならないと思うのですね。  ここで私は「経済学は現実にこたえうるか」という、現在だしか京大教授をしておられるかと思うのですが、伊東光晴氏の著書から引用したいと思うのです。この本の百九ページに書いてありますが、私は断っておきますが、伊東光晴氏の本に書いてある全見解に同意するというわけではありません。しかしここで引用します分についてはごもっともな道理がこもっているということを大蔵大臣や厚生大臣、あるいはお待ちいただいている関係大臣にお聞きいただきたいと思うのです。伊東光晴氏は、今私が言いましたようなことを、全部ではございません、総務庁の統計などは引用しておられませんが、高齢化社会になるので年金財政がもたないとか大変だという主張に対して、「問題はそのようなところにあるのではない。一九六〇年と二〇二五年とでは、従属人口の重みに変りはなく、問題は子供たちの比率が下がり老人たちの比率が増えるという、内部変化に過ぎないのである。それは一種の世代間配分の問題を生むに過ぎないのであって、それを老人比率の増大のみに限定する論者は、子供を扶養するのは当然ではあるが、親は然らずという親不孝の頭脳集団に過ぎない、と言わざるを得ないのではないだろうか。」こう書いてあるのです。  ですから、高齢化社会のみをいたずらにもし政府が説き自民党が説くとすれば、私は選挙のときなどは大いに聞いていただきたいと思うのですが、そういう政党及び政府は、子供は扶養するが親は扶養する義務がないという親不孝集団であることをみずからお認めになるのかどうか。大蔵大臣、厚生大臣、お答え願いたいと思います。
  208. 竹下登

    竹下国務大臣 九四・五%が高等学校へ行って、言ってみればこれらは生産年齢ではないではないか、そういう計算から、言ってみれば生産年齢層の対十八歳以下と対六十五歳以上との比率をお示しいただいて論理を展開された。そしてその中において、自由民主党のみならず、みんなどなたも老人を大事にしろと選挙スローガンにもお書きになっておりますが、それは言ってみれば年金制度の問題については、子供はあくまでも養育するがお年寄りの方はみずからの養育の義務を放棄しておるやの印象を持っての論文の御披露じゃなかったかと思うわけでございます。  しかし、それはいわゆる純粋な自分の家計という問題と、それから負担すなわち税による負担という問題と両面あるだろうと思うのであります。教育費といいましても、本当に子供たちに対する学資と、いま一つは租税負担率等において教育全体が行われていくという問題でございますから、私は、子供は野方図に大事にし、高齢社会に対してもまたちゃんと税の面においても対応していくわけでございますから、決して政府にある自分の知らない金を年金等に入れるのじゃなくして、みんなで蓄積したものが年金財政になっておるわけでございますかも、余り親不孝という感じにはならぬと思います。  それからもう一つは、今ぼけ老人五十万でございますか、寝たきり老人三十万、そういう層もふえないようなことにしなければ、これはまた余計、年金とは別の支出も伴うわけでございましょう。ある人はぼけないためには頭を使い、寝たきりにならないためには足を使い、すなわち足を使って頭を使うのは選挙運動だ、こういう話も私この間聞いたことがございますが、別に今の自由民主党だけでなく、高齢化社会あるいはもう少しおめでたく言いまして長寿社会、そういうものに対して熱心に取り組んでいこうという考え方は、自分責任を他に転嫁してそれをこいねがっておるというものではない、やはり自由民主党と言わず国会に議席を持つところの各党会派というのは、それぞれ立派な政策を掲げておるからこそこうして御議論をお互いすることができるのではなかろうか、こんな感じでございます。
  209. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 親孝行しなければならぬということはもちろんでありますけれども、ただ親の側から見ますと、長年生きてきて立派な業績を国に対しても残した、あるいは経験、知識を持っておる、それが若い者の世話にならなければならぬわけがない、自分で立派にやっていきたいんだというお気持ちもお持ちだろうと思います。そういう意味合いから、今日の経済発展を遂げた功績ある方々に対して社会がお報いするということも、私は理のあるところであろうかと思います。  また、教育費のことに触れられましたが、子供三人、四人になりますと大変な費用でありますけれども、先ほどおっしゃいましたように現在は一生涯で一・七人しか生まないわけでございますので、老人にかかる負担と子供にかかる負担と比べますと、やはり老人にかかる負担の方が過大であり、今の若い方々、自分の私経済で保っていくことができないだろうということを考えますと、やはり公経済で負担をして差し上げるということが必要になってくると思います。
  210. 正森成二

    ○正森委員 時間の関係で申しませんが、厚生大臣は少しお考えが混乱されている面もあるのじゃないかと思うのですね。高齢化社会の方は、この年金制度ができれば、自分の納めた年金及び非常に迷惑はかけるけれども後世代が納めた保険料によって年金を受け取ることができるわけなんです。だから、高齢化社会の方が自分の食費や住居費に要るその全部を今直ちに働いている人からもらうというんじゃなしに、若い人が見なければならぬのはその保険料相当部分なんですね。何も生活費やら住居費やら教養娯楽費やら全部もたなければならないということではないんで、まさに対比さるべきは保険料の増大分ですね。それと教育費や子供の食費などの減少分というのが見合うかどうかという議論をしているので、お間違いのないようにしていただきたいと思います。  ただ時間の関係で、運輸大臣御苦労さまでございます、自治大臣もお見えいただきましたので、ほかに厚生大臣と大蔵大臣にお聞きしたいことがございますが、保留できるそうでございますので、短時間せっかくおいでいただいた両大臣にお聞きいたしまして、私は両大臣に関する限りは次の機会にはもうご質問いたさないということにさせていただきたいと思います。  それでは、自治大臣から伺います。地方行政委員会では恐らくもう質問済みのことであろうかと思いますが、国鉄年金の問題について種々議論になっております。それにつきまして、昭和六十年四月八日に地方公務員共済組合審議会から地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について答申が出ております。それで、既に御質問があったであろうと思いますが、その一番最後に五として、「なお、国鉄共済組合に対する救済は、国の責任分担を明確にすることが先決であると考える。」こう書いてあります。この部分は恐らく尊重されるであろうと思いますが、この点についての自治大臣の御見解を承りたいと思います。
  211. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 地共審の四月の答申でございますが、これは地方行政委員会でも私言っておりますが、その答申に国の責任分野を明らかにすることが先決であるという御承知のような指摘があるのでございまして、その答申の趣旨に沿った解決策を講じなければ地方関係者の理解が得られないという考え方でございます。
  212. 正森成二

    ○正森委員 明確な答弁でありますが、それをさらにもう一度申しますと、国の責任を明確にするのが先決であるというお言葉は、国鉄共済組合に対する救済は、国鉄の職員の保険料を上げたり給付を下げたり、あるいは同じく保険財政である地方公務員共済などの横に広げてそれに持たせるということを考える前に、こういうようになった国の責任を考えて、国の責任分担を明確にすることが先決である、こういう趣旨に自治大臣も同じ見解を持たれる、こういうことでしょうな。
  213. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今答弁したとおりでございます。
  214. 正森成二

    ○正森委員 私はそういう御答弁であろうというように思います。  そうしますと、大蔵大臣、これは来週の審議で各党から審議をいたされるでしようし、我々の党も審議をいたしますので多くは伺いませんが、自治大臣の御見解とこれまで大蔵大臣のお述べになった御見解とでは、少なくともニュアンスの差があるというように言わざるを得ないと思うわけであります。そのニュアンスの差が、きょうこれで見解不統一ということでまた審議をとめたり私はいたしませんが、来週以降もずっと続くということになれば法案審議について重大な影響があると思いますが、それについて御善処くださいますでしょうか、伺っておきたいと思います。
  215. 竹下登

    竹下国務大臣 今自治大臣からお答えありましたのは地共済についての審議会の答申であります。その答申の解釈を自治大臣がきちんとなさっておる。私どもも国共済の答申がございます。それが我々の発言に対しても一つのかせになっておることは事実であります。それをしていわゆるニュアンスの相違、こういうふうにお受けとめになろうかと思いますが、そこで現段階におきまして統一答弁といたしまして、政府責任において具体的解決策を講じますというのが今日の私どもの責任においての統一答弁、こういうことになっておるわけであります。
  216. 正森成二

    ○正森委員 自治大臣にほかにいろいろお聞きしたいと思いますが、役人の方でもお答えになれる部分もございますので、どうぞお引き取りください、結構です。  運輸大臣にお伺いいたします。  国鉄の職員は、戦争中は満鉄、朝鮮鉄道あるいは台湾鉄道ということで、外地に出かけて非常に苦労をされました。そして、国鉄はこれらの引揚者を国の政策上抱えていくということで、人員が最高のときには六十万を超えたわけであります。それが現在三十二万を割り、さらに国鉄再建監理委員会では昭和六十五年四月には約二十一万五千人、将来は十八万人台になるというようなことで、国鉄年金財政を考えるには、分母はどんどん小さくなる、分子はどんどん大きくなるということですから、これはパンクするのはある意味では当然のことである、こう言わなければならないと思うわけであります。  そこで私は伺いたいのですが、国鉄の関係者は今非常に過酷な負担を負わされている。もちろんよそから助けてはもらっておりますよ。例えば財政調整事業が実施されている間は、職域年金の加算というようなものは、たびたびほかの人が言うておりますようにございませんね。それから、負担についてはどうかといえば、自助努力ということで掛金が子分の二十八、二年連続して大幅に引き上げられておる、あるいは年金スライドが一〇%まで停止になっておる、こういう状況なんですね。これについては先ほど大蔵省の審議官が、助けてもらうということと、それから国鉄の場合は退職前一カ月の給与を基礎にしていろいろ計算して、高いというようなことでカット、合理化されましたが、しかしそれだけでは説明し切れないのが掛金の二年連続大幅引き上げで、千分の二十八も上げられた、こういう点であります。  御承知だと思いますが、国鉄組合員は財政調整を含めた保険料率というのは千分の二百四ですね。これは折半されますから、国鉄の職員は千分の百二、つまり一〇%を超える負担保であります。他の共済も高いことは高いですけれども、例えば電電の場合は全体で百四十二・六あるいは国公共済の場合は百五十三・五ということで、二百四に比べれば低いですね。これに比べれば国鉄の場合は非常に高い。ということになれば、現在の高くもない給料を取っておる国鉄職員についてこういう高い負担を負わせるということについては、今度は給付についても変えられて前のような給付にはならないわけですから、将来にわたってこういう差異を設けるということの合理的な説明には大蔵省の審議官答弁ではならないんじゃないかというように思うのですね。これについての御見解一つ。  それから、財政調整事業の継続中はこういうことになると言われるのですが、それでは昭和六十四年度以降はどうなるんですか。昭和六十四年度以降はこういうことはなされないときっぱりお約束できるんですか。今のままでいけば三十二万人がさらに少なくなるから国鉄年金財政は一層苦しくなるということになれば、おまえたちは五年間だけでなしに将来も負担しろあるいは将来も給付は少ないということになるのじゃないですか。そういうことはないと言えますか。あるいはそれは大蔵省の所管であるとおっしゃるなら、山下さん、よく聞いてください。あなたは運輸大臣で、なるほど国鉄共済の所管大臣ではないかもしれませんが、閣僚であります。閣僚というのは国務大臣で、国政全般について政治的な識見を持たなければなりません。そういう識見を持つ運輸大臣山下さんとしての御答弁をお願いします。
  217. 山下徳夫

    山下国務大臣 午前中の私の答弁について若干関連があるような御質問とも受け取れますので、申し上げておきたいと思います。  国鉄共済問題につきましては、国鉄の再建問題と密接な関係があることは当然でございます。ただ私が申し上げたのは、この時期においてこれだけの大きな問題を国鉄担当の私だけで処理できるものではない、それを申し上げたのでございまして、これはやはり国鉄共済所管の大蔵大臣年金担当の厚生大臣及びいろいろ御協力をいただいております関係する大臣、そういう方々と十分協議をしながら進めてまいりたいという趣旨で、若干舌足らずの点があったことはここで私は訂正をしておきたいと思います。     〔中川(秀)委員長代理退席、熊川委員長代理着席〕  なお、第二の点につきましては、なるほど現在の国鉄——その前に申し上げたいことは、戦後たくさんの方がお帰りになって、それに国鉄は職場として提供したというようなことも御指摘ございます。そのとおりでございますが、あるいは給付負担の問題、長期的に安定したものとなっていなかったというようなこと、これは何も国鉄だけではございませんけれども、そういう問題もあった。あるいは基本的には、例えば厚生年金は二千数百万人でございますが、こういった保険の仕組みからいいますと、国鉄の三十万ということは非常に小さな単位であるという点もございました。いろいろな問題が重なってこういうふうになっておるということでございます。  確かにそのことによって現在の国鉄の職員の方々あるいはOBの方々にスライドもできない、これは不公平ではないかという御指摘でございますが、その前に、このことについてどうか応分の御協力をいただきたいということで、まあ親戚筋と申しましょうか、兄弟筋の電電とか専売とかあるいは国家公務員の方にもえらい御協力、御迷惑をおかけしているわけでございますから、やはり国鉄自体もこの際化と同様にはいきません、どうかその点はひとつ忍んで、苦しいときは不十分な点も御了承いただきたい、こういう意味でございまして、当然だという気持ちで私はこのことを申し上げておるわけではございません。つまり国鉄は少なくていいよ、スライドもいいよとか、あるいは料率も高くていいよ、これは当然だよということで申し上げているわけではない。他にも御迷惑をかけておりますから、国鉄自体もこれはやむを得ませんよという趣旨でお願いをしておるということでございます。
  218. 正森成二

    ○正森委員 厚生省の年金局は、「年金改革を考える」、これは「国民年金法等の一部改正について」といって出されたのですが、こういう冊子をおつくりになったということはお認めになりますか。
  219. 吉原健二

    ○吉原政府委員 私どもが作成をしたパンフレットでございます。
  220. 正森成二

    ○正森委員 これを見ますと、非常にいいことが書いてあるのですね。今お持ちでないかもしれませんが、十ページから十一ページに「制度改革のねらい」ということを書いておられまして、これは国民年金法ですね、基礎年金が中心でありますが、これは厚生年金だけでなしに共済年金も同じ土俵に上るわけでありますが、その中で「イ.世代内の公平性」という部分がありまして、こう書いてあります。「同じ世代に生まれ育ったにもかかわらず、たまたまどの職業を選択し、その結果との年金制度に加入したかによって給付の内容や条件に不合理な格差があったり、給付負担に不均衡があったりしては、社会連帯の基盤にヒビが入ることとなってしまいます。」非常にいいことが書いてあるじゃないですか。それなのに、ある者は国鉄に職を奉じたがゆえにほかの者よりも格段に高い保険料率で高い保険料をずっと払わなければならない、ほかの人よりも給付がうんと下でなければならないということであれば、こういう考え方に全く背くものである。だから、私どもはこの間の年金統合法案で、六十四年までを財政調整ということで国鉄の職員が自分責任でもないことについて負担を負う、そしてその分を他の共済が背負うということについては反対であるという態度を明確にしましたが、そもそもそういうことは、厚生省自身が認めているようにおかしいのですね。このことから厚生省は、我が田に水を引いて、恐らくだから将来は全年金制度を統合するんであるというところへ落としたいんだろうというように思うわけであります。  この本の同じく十九ページをあけてください。通産省、鉱山労働者の数字についてあらかじめお答えいただきたいということでわざわざ来ておりますけれども、この厚生省のパンフに既に大体の姿は出ているんですね。  それを見ますと、皆さん方には資料がございませんが、鉱山の労働者数、これは石炭を例にとりますと昭和二十年代がピークで、炭労といえば有名な強い組合でございまして数が多うございましたけれども、その後、石油の方に国のエネルギーが移っていったということで、今では鉱山に従事する労働者というのは大幅に減っているんですね。この厚生省の数字では、ピーク時の昭和二十二年くらいから二十七年くらいまでは大体二十九万人前後ということでありますが、それがこの図で示しますように非常な急カープで減少いたしまして、昭和五十七年には二万九千人、十分の一という数字であります。厚生省がここで言っておりますのは、もしも鉱山の労働者だけで年金制度というのをつくっておれば、とっくの昔に破綻しておる、だから鉱山に勤めていた人は年金をもらえないようになったかもしれないけれども、厚生年金全体に入っておるので守られて、やめられた方は年金をちゃんともらっている、そういう説明であります。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕  これによって、だから年金の統合化をしなければならないという方向に話を落とそうとしているんだろうと思いますけれども、その点についてはまだ改めて触れますけれども、これは国鉄の労働者についても同じことだと思うのです。国鉄労働者であるがゆえにこれから一生、今から勤めている者もずっと保険料は高く、もらうものはほかのよりも少ないということがずっと続くということになれば、それは決して道理にかなったことではない。それに対しては国が手当てをしなければならないというのは当然のことであるというように思うのですね。  通産省、せっかく来ていただきましたので、念のためにお答えいただきたいと思いますが、通産省からいただいた数字は「炭鉱従事者数の推移」という数字でございまして、昭和二十六年がピークで、常用の労働者は約三十八万名、職員が四万七子名、これが昭和三十年になりますと二十八万人と三万七千人に減る。それからどんどん減りまして、昭和五十九年には炭鉱従事者の常用の勤労者は一万五千五百二人、職員は三千二百二十人合わせて二万人足らずに減っておるという数字でありまして、これは厚生省の言う数字におおむね符合しておりますが、こういう数字の姿ですか。それだけお答えください。
  221. 坂本吉弘

    ○坂本説明員 大変恐縮でございますが、私、機械情報産業局の者でありまして、通産省鉱山関係の所管の課長はただいまおりませんのでございますが、今、探しまして後でお答えを申し上げます。
  222. 正森成二

    ○正森委員 よろしゅうございます。これはちゃんと「通商産業省資源エネルギー統計」と書いて「炭鉱従事者数の推移」ということで、いま一時間ほど前に通産省の役人が私に届けてくれた資料です。これの持つ政治的な意味は大蔵大臣や厚生大臣に私が伺うから、この数字が通産省の統計といいますか、調べた数字であるということだけ言ってください、こう言っていたんですが、行き違いがあったんだからいいです。基本的にはここにございますし、それは厚生省年金局のこの大きな意味の傾向には合っておりますから、厚生省もこれを否定なさるようなことはなかろう、こういうように思うのです。  そうしますと、やはり国鉄職員に対して、もう法律が通ったんだから財政調整事業の行われている六十四年までは政府としてはこれを変えるわけにはいかない、こう言われるかもしれませんが、六十四年が過ぎても国鉄年金財政が楽になるという保証はないわけだから、これをとことん続けるということになれば、これが明らかに不合理であるということは言わざるを得ないと思うのですが、財布を握っている大蔵大臣から御感想、御識見を承って、ほかに質問がございますが、委員長から、前の関連部分は留保して来週ということになっておりますので、本日の私の質問を終わらしていただきます。
  223. 竹下登

    竹下国務大臣 六十四年までについては、たびたび申し上げておりますように政府責任で策を講ずる、そして財政再計算の時期が訪れるわけでありますが、少なくとも最低限私どもとしては厚生年金同等のものは確保するという考え方の基礎には今日でも立っておるわけであります。
  224. 正森成二

    ○正森委員 きょうは終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  225. 越智伊平

    越智委員長 次回は、来る十九日火曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十分散会