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1985-11-15 第103回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月十五日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 粕谷  茂君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 後藤  茂君 理事 城地 豊司君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       太田 誠一君    奥田 敬和君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       高村 正彦君    佐藤 信二君       椎名 素夫君    田名部匡省君       中川 昭一君    仲村 正治君       野田  毅君    林  大幹君       原田昇左右君    水野  清君       村岡 兼造君    奥野 一雄君       上坂  昇君    浜西 鉄雄君       水田  稔君    元信  堯君       横江 金夫君    和田 貞夫君       木内 良明君    草野  威君       西中  清君    福岡 康夫君       伊藤 英成君    工藤  晃君       野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君         通商産業政務次         官       与謝野 馨君         通商産業大臣官         房長      児玉 幸治君         通商産業大臣官         房総務審議官  鎌田 吉郎君         通商産業大臣官         房審議官    松尾 邦彦君         通商産業省基礎         産業局長    岩崎 八男君         資源エネルギー         庁長官     野々内 隆君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       逢坂 国一君         資源エネルギー         庁公益事業部長 山本 幸助君  委員外出席者         法務大臣官房審         議官      稲葉 威雄君         建設省道路局国         道第一課長   布施 洋一君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ————————————— 委員の異動 十一月十四日  辞任        補欠選任   福岡 康夫君    森本 晃司君 同日  辞任        補欠選任   森本 晃司君    福岡 康夫君 同月十五日  辞任        補欠選任   尾身 幸次君    中川 昭一君   梶山 静六君    村岡 兼造君   野上  徹君    太田 誠一君   松野 幸泰君    田名部匡省君   渡辺 嘉藏君    元信  堯君   青山  丘君    伊藤 英成君 同日  辞任        補欠選任   太田 誠一君    野上  徹君   田名部匡省君    松野 幸泰君   中川 昭一君    尾身 幸次君   村岡 兼造君    梶山 静六君   元信  堯君    渡辺 嘉藏君   伊藤 英成君    青山  丘岩     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債  発行限度に関する特例法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二号)      ————◇—————
  2. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会の申し入れに関する件についてお諮りいたします。  ただいま内閣委員会において審査中の内閣提出、許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 粕谷茂

    粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上、公報をもってお知らせいたしたいと存じますので、御了承願います。      ————◇—————
  4. 粕谷茂

    粕谷委員長 内閣提出一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君
  5. 浦野烋興

    浦野委員 今国会に政府社債特例法改正法案、これを提出されたわけでありますけれども、この背景には、現在の我が国経済の置かれた厳しい現状、そして問題点があると考えるところでございます。すなわち、米国の対日貿易赤字、これが史上最高を記録いたしております。あわせて米国を初めとする諸外国との貿易不均衡による対日批判の高まりの中で、先般五カ国蔵相会議を境といたしまして円高の兆しが見えるわけでありますけれども、依然として輸入は停滞をしておる、こうした現状から、今日鎮静化が見られるところの貿易摩擦の再燃あるいは保護主義の台頭、これが懸念されるところでございます。こうした状況からいたしまして、我が国貿易不均衡問題、これは早急に解決をしていかなければならぬ問題でございます。  今日、官民一体となって市場開放対策、これに全力を尽くしておるわけでありますけれども、加えて内需拡大を推進するという根本的な対策が不可欠であると思うところであります。政府は十月十五日の経済対策閣僚会議において内需拡大のための対策、これを決定されております。民間活力を最大限に活用しながら内需拡大を促進する姿勢を示したわけでありますが、この柱の一つとして、特に民間設備投資の重要な担い手であるところの電気事業者に対しまして、昭和六十三年までの間に送配電高度化などを中心に一兆円程度追加投資を要請し、業界もこれに努力すると聞いておるところであります。しかし、電力業界設備投資は膨大なものであり、当然設備資金巨額に上るわけで、電気事業者が円滑に資金調達ができるように、国としても必要な条件整備を図っていくことが必要であろうと思うところであります。  今回政府が本法案を提出したのは、電気事業者社債発行における制約を緩和しつつ円滑な資金調達を図ることにより、電気事業者に要請しておるところの追加投資を含めまして、今後の電力業界設備投資がこれまた円滑に実施される、このためであると私は認識をいたしております。  そうした観点から、数点にわたって質問に入りたいと思うわけでありますけれども、まず、本改正により、一般電気事業者社債発行限度商法限度の四倍から六倍に引き上げられる、こうなっておるわけでありますけれども、この算出根拠となる電力需給設備投資は今後どのように推移していくと想定されるのか、この点についてまずお尋ねをいたします。
  6. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  まず、電力需要見通しにつきましては、先般の電気事業審議会需給部会の報告の数字を基礎お答えをさせていただきたいと思います。  まず、どのくらいの電力を使うかという電力需要についてでございますが、六十年度の見込みは五千三百四十九億キロワットアワーでございますが、これに対して七十年度には七千八十億キロワットアワーということでございまして、年平均は二・八%で着実に増加していくものと見込まれております。この間、GNPにつきましては毎年約四%で伸びるということで想定をいたしてございます。  次に、最大需要電力、すなわちピーク電力需要につきましては、今後とも夏の冷房需要は堅調な伸びとなると予想されまして、六十年度の見込み一億九百八十一万キロワットに対しまして、七十年度では一億五千二百万キロワットと、年平均三・三%の割合で伸びるものと予想されております。  これに応じまして、電源設備についてでございますけれども、これは昭和六十年度見込みは一億五千四百二十五万キロワットでございますが、七十年度には二億五百万キロワットということで、年率二・九%ということで増加するものと見込まれております。  それから次に、設備投資でございますけれども、今後着実に増加する電力需要に対応するということと、さらに電源多様化を進め、また電力供給信頼度を向上させるために、送配電変電設備建設するということでございまして、設備投資は膨大なものとなる。九電力ベースで、六十一年度から七十年度にかけまして十年間で約四十五兆八千億円となるものと見込まれております。
  7. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま説明があったわけでありますけれども、その見通しについて何点か質問をしたいと思うのです。  まず、電源設備については、最大需要電力、つまり夏場ピークにおける需要電力はウナギ登りに上がるとただいま御説明もあったところでございますけれども、これに対して必要な供給力を確保すること、これが電力安定供給には不可欠な点でございます。この点、現在そして将来にわたって適正な予備率、これは一〇%内外、このように聞いておるわけでありますけれども、これを確保するような電源開発を推進していかなければならぬわけであります。しかし、昭和五十九年度、六十年度のお話もありましたけれども、五十九年度で見ると最大需要電力というのは一億三百六十九万キロワット、これに対しまして電源設備は一億四千六万キロワット、ここに約三五%の余裕があるわけであります。当然この中から点検とか保修分、これは差し引いて考えなければならぬわけでありますが、電力設備現状についての通産省の認識、これをお尋ねしたいと思います。
  8. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答えを申し上げます。  電力事業用発電設備は、今先生指摘のように一億四千六万キロワットというものに及ぶものでございますけれども、需要に応じて実際に供給することが可能な設備能力ということになりますと、その発電設備から、まず第一に先生も御指摘のように保安上の観点等から必要な点検保修のための停止というものを見込む、それから第二番目には出水状況による水力発電所出力の減少、三番目には発電所内部で必然的に消費される電力、こうしたものに相当する分を控除する必要がございます。  これが供給出力ということでございますが、五十九年度を見ますと、一億一千四百万キロワットということでございます。ところが、この供給出力最大需要電力とほぼ等しいというのでは大変不安でございます。なぜならば、発電設備に偶発的な事故が起こるとか、あるいは渇水が起こるということも予想されますし、また、夏場気温が高い、あるいは冬に気温が低い、さらには景気変動ということで、電力需要予想外に変わることも考えられます。そこで、一定の予備率が必要でございますが、それは八%から一〇%程度が妥当なものと考えられております。現在の供給出力は一億一千四百万キロワットではございますけれども、これは最大需要電力の一億三百六十九万キロワット、それの約一〇%アップということでございますので、設備規模は適正であるというふうに私ども考えているわけでございます。
  9. 浦野烋興

    浦野委員 最大需要電力でありますけれども、これは民生用冷房需要増大、こうした点から電力需要を上回る伸びを示す。これは先ほども御説明があったと思いますし、ちょうだいいたしております調査室の資料の中にもあるわけでございますけれども、最大需要電力電力需要を上回る伸びを示す見通しにある。こうした点からピークをシフトさせて、負荷平準化、これを図ることができれば、電源開発ベースというものを若干ながら落とすことができるのではないか、こうした点、政策的にいろいろと工夫をすべきであろうと思うわけであります。  これは供給面、そして需要面から考えられることであろうと思うのですけれども、供給面からいたしますと、経済効果を考慮して、負荷パターンに応じた電源ペストミックスを図る、あるいは需要面からはピークシフト、これを促進しながら負荷平準化を進めるような、例えば需要家に対する料金面でのインセンティブを与える、こういうような方策も検討していく必要があるのではないか、こう思うのでありますけれども、その点はどうでございましょうか。
  10. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生の御指摘どおり負荷平準化ということが非常に大きな課題でございます。  まず、供給面につきましては、電源ベストミックスを達成するということが非常に重要でございまして、燃料情勢見通し、各電源特性経済性とか安定性負荷追随性等を考慮しまして、バランスのとれた構成を目指していくということが大事かと思います。具体的には、ベースになる電源としまして原子力あるいは水力石炭火力というものを想定し、また、ミドルとなる電源につきましては、石炭あるいはLNGというものを考えるわけでございます。また、ピークに対応する電源といたしましては、石油火力あるいは一部の水力というものが考えられるわけでございます。今後とも、こうした各電源特性負荷パターンを踏まえた電源開発を推進していくということが非常に重要かというふうに考えております。  また、将来の課題としましては、石炭LNGにつきまして、負荷追随性をもう少し増すような工夫、あるいは原子力についてもフレキシブルな運転を可能にするような技術開発というようなものも必要になろうかと考えております。  次に、需要面でございますが、需要面につきましては、現在負荷平準化のためにさまざまな制度がございます。  第一は、需給調整契約制度と申しまして、これは現在五百キロワット以上の大口需要需要者に対して行っておりますが、時間帯別調整あるいは緊急時の調整あるいは休日の振りかえ等々につきまして負荷調整に資するような内容契約をいたしまして、その分について電力料金を割り引きするという制度をとっております。  また第二番目には、夏季料金制度というのがございまして、現在七月から九月の三カ月間は夏季料金として、電力料金につきまして一〇%アップで課している。夏季以外の分についてはそれに応じて低くなるという制度を現在とっております。  第三番目には、深夜電力制度がございます。これは主として家庭用温水器でございますけれども、深夜の八時間あるいは五時間というところで電力を使うようにいたしました場合には、割り引いた料金を適用するというようなことでございます。  さらに、今後の課題といたしましては、一番問題になりますのは、季節別、時間帯別料金制度を根本的に導入したらどうかということでございます。これはかねがね指摘されておりますけれども、この制度を導入した場合に本当に需給調整がうまくいくかどうかということにつきまして、現在各方面の識者を集めて検討を進めている段階でございます。そのほかに、例えば需給調整契約をさらに拡大するとか、あるいは夜間に負荷が造成できるようないわゆる機械装置開発をさらに促進するというようなことも、負荷平準化に役立つ今後の方向かと存じます。
  11. 浦野烋興

    浦野委員 いろいろと難しい問題もあろうかと思うんですけれども、ぜひとも適正な負荷平準化対策、これについて全力を尽くしていただきたいと思うわけであります。  引き続いて、先ほどの想定についてお尋ねするわけでありますが、一般電気事業会社資金調達考え方、そして今後の見通しについて説明をいただきたいと思います。
  12. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 今後増大する一般電気事業会社設備投資大変巨額でございまして、長期にわたる資金を必要とするわけでございますが、そのときどきの経営環境とかあるいは金融動向等を勘案して、調達コストが低くて、しかも長期安定的な資金調達を行うことが非常に重要でございます。  この場合の基本的な考え方といたしましては、第一に、設備資金は本来自己資金のうち内部留保等調達することが望ましい、その不足分は借方入れ、社債から成る外部資金調達するということで、でき得れば自己資金を一番重要視したいということでございます。  第二は、外部資金につきましては、そのときどきの金融情勢によるコスト条件等を勘案しまして、社債あるいは借り入れ、そういう調達手段のうち有利なものの組み合わせを選択しているということでございます。社債につきましては、大変大きなロット調達できる、しかも長期安定資金であるということでございまして、一般電気事業会社長期設備投資資金としては非常に適した、かつ重要なものと考えております。  今後十年間の見通しては、総工事資金四十五兆八千億円の資金調達を、自己資金で二十二兆九千億円、外部資金のうち社債借り入れ、それぞれ十一兆四千億円ということで、外部資金は二十二兆九千億円ということを現在想定いたしております。
  13. 浦野烋興

    浦野委員 ただいま説明のございました資金調達見通しの中で、増資につきましては調達コストが非常に高い、電力会社配当負担は既に巨額に上っておるという点から料金原価圧迫要因となるため、今後増資ペースは抑えざるを得ないと思うんですけれども、自己資本比率の兼ね合いも含めてお尋ねをしたいと思います。
  14. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 電力設備投資資金調達手段のうち増資、すなわち株式からの調達につきましては、電力は他産業に比べまして大変資本金規模が大きゅうございまして、五十九年度末現在、九社合わせて二兆四千億円でございます。そのように非常に資金規模が大きゅうございますので、配当負担巨額になるということがございます。  また、資金調達コストとして見た場合には、配当、それからさらにそれにかかります法人税その他の税金というものを考えますと約二〇%ということでございまして、社債とか借り入れの場合の約七%というものと比べますとかなり割高でございます。  こういう問題がございますので、電気料金長期的な安定を維持して、増資原価上昇圧力とならないようにするために、六十年代には従来の増資ペースよりかなり鈍化せざるを得ないと考えております。過去十年は年間約六%程度ペース増資が行われましたけれども、今後はかなりダウン、二%程度というふうに我々は想定いたしております。
  15. 浦野烋興

    浦野委員 外部資金でありますけれども、この中で社債借り入れ比率一対一、こうした想定をしておられます。これはどういう考え方に基づいておるのか。
  16. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  外部資金社債借り入れにより調達するわけでございますけれども、借り入れのうち財政資金につきましては、貸出原資伸び悩み等資金量コストの面から楽観は許されないということが今後については言えるかと思います。また、民間資金につきましては、長期資金供給という面で不安定な面もございますし、電力につきましては大口融資規制ということの抵触問題もございます。そういうことで不安定な要因がございます。一方、社債につきましては、大変大きなロット調達できるという長期安定資金としては非常に望ましい、また長期設備投資資金としては欠くことができないと我々は考えておりまして、今後社債発行は活発化することが予想されております。  こういうことでございますので、今後一般電気事業会社資金調達するに当たっては、そのときどきの金融情勢によって調達コストあるいは条件等を勘案して、社債あるいは借り入れ手段のうち有利な組み合わせを選択することになると考えております。したがって、社債、借入金の比率につきましては、今後ともそのときどきの金融情勢などで増減することが考えられるわけでございますけれども、長期的に見ればほぼ一対一、半々というふうに見込むのが最も妥当であろうと考えたわけでございます。
  17. 浦野烋興

    浦野委員 続いてお尋ねいたします。  本改正案の第二の改正点であると思うのですが、一般電気事業会社特例措置を当分の間の措置とした、この点について、なぜ十年間の限時法から今回当分の間という措置をとられたのですか。
  18. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  現在の社債特例法は、制定当時、電力需要の増加に対応して電源多様化を図るための電源施設建設あるいは公害防止投資などに要する建設資金の急増ということが予測されまして、十年間くらいでこれらの資金需要が一巡するということを見込みまして、十年間の限時法といたしたわけでございます。しかしながら、その後の情勢によりまして、特に第二次石油ショック以後全体的な経済成長がダウンし、それに伴いまして電力需要下方修正、また電力設備投資下方修正ということで、こうした電源多様化のための施設投資が一巡するということにつきましてはかなりおくれてきたということがございます。  今回、社債発行限度の問題について検討いたしました際、前回の特例法制定一年後、すなわち昭和五十二年に、商法二百九十七条の特例法として社債発行限度暫定措置法というものができました。御承知のように、商法二百九十七条では、社債発行資本金プラス準備金の額までとなっております。これに対しまして、五十二年にできた社債発行限度暫定措置法は、これをすべての会社に対して二倍まで引き上げるということにしたわけでございます。その際、その措置を当分の間というふうにいたしました。  その当分の間とした理由といたしましては、商法二百九十七条の規定そのものについての見直しが必要である、果たして商法規定のように社債限度規制する必要があるかどうかということにつきましてかなり論議がございました。そういうわけで、早晩その二百九十七条自体を見直すことになろうということで、その法律、すなわち暫定措置法では当分の間とされたわけでございます。  したがいまして、今回社債特例法改正に当たりまして、この期限をどのくらいにするかという問題につきましては、ただいま申し上げました商法発行限度暫定措置法と同じ考えに立ちまして、これを当分の間とするということで、将来、商法二百九十七条自体が再検討されることが予想されますので、それが再検討されて結論が出るまでの間ということで、当分の間とさせていただいたわけでございます。
  19. 浦野烋興

    浦野委員 当分の間ということでありますが、ただいまの説明の中にございました商法改正動向と絡むということでございますけれども、商法改正動向についてはどのように受けとめておられますか。
  20. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 商法改正法務省の所管でございますので、私どもが法務省から伺っている内容お答えいたしたいと思います。  現在、法制審議会商法部会がございますが、そこでこの次の商法改正に向けて検討をいたしております。現在は大小会社の区別ということでメーンテーマを検討中でございますけれども、商法二百九十七条につきましても、同条の抜本的な見直しを含めて社債法全般に対して、関係各界意見調整を図りながら、次回改正対象とすべきかどうかということで検討中であるということでございます。いずれにしましても、次回の商法改正についてはこの商法二百九十七条の規定の改定が当然議題に上るということになっているわけでございます。
  21. 浦野烋興

    浦野委員 本改正案によりますと、電力特例措置対象としておるわけでありますけれども、ガス事業はなっていないわけでありますが、この点について本当に問題はないのか、政府としてどういう考え方を持っておられるか、お尋ねをしたい。
  22. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  今後の一般ガス事業会社資金需要を考えてみますと、大手の一般ガス事業会社につきましては、既にLNG導入に関連する主要な設備投資を大体終えております。したがって、今後中長期的に見まして大幅な資金需要が発生するという状況にはございません。  また、中小の一般ガス事業会社につきましては、一部の会社についてはLNG導入等に伴う設備投資増大も考えられるわけでございますけれども、これにつきましても、今回の特例法の適用がなくなりましても、先ほど私が申し上げました昭和五十二年にできた社債発行限度暫定措置法によりまして資本金と準備金の合計の二倍まで社債が出せるということでございますので、この限度の範囲内で十分に対応できるということでございます。  また、特に中小のガス会社に対する今後の資金供給という面につきましては、LNGの導入に伴う設備投資にかなりのお金が必要であるということでございますので、開銀と北東公庫から低利の融資制度ということで、五%程度の低利の融資制度が今年度から設けられておりまして、この制度を活用して中小ガスを中心とするLNG化というものに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  23. 浦野烋興

    浦野委員 それでは、昨今新聞等にも時折出るわけでありますけれども、円高基調によりまして円高差益、これが論議されつつあるところでございますが、この差益について国民の皆さんの関心も結構高いわけでございますけれども、これにつきまして大臣はよく御発言なさっておられる。先般の一般質疑でも御答弁がございましたけれども、事態の推移を見守るというお話でございます。  慎重に検討したい、推移を見守っていきたい、こういうことを御答弁なさっておられるわけでありますけれども、それにいたしましても、一つは、いつごろをめどとするか、ここら辺にもお考えいただかなきゃいかぬのではないか、めどを立てていただく必要があるのではないか、このように感ずるわけでありますけれども、この点につきまして、この円高基調の見通し、それから差益をどのようにするかということにつきましてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  24. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 浦野委員お答えを申し上げます。  現在の円高基調の問題について、実はまだG5の九月二十二日の打ち合わせ以降五十日余りしか日にちがたっていない。したがって、実際に電力会社の収支面に影響が及ぶまでにはタイムラグがあるので、現在の状況で直ちに収支に円高の影響が出るわけではない。したがって、今後為替レートの動向など事態の推移を慎重に見守っていきたいということをお答えしたわけでございますが、さらに一歩進んで、それではいつごろそれがわかるのかという御質問かと思います。  これは、現段階で先の見通しを言うことは、今申し上げましたように困難でございますけれども、今後六十年度決算が明らかになって、これに、基づいて六十一年度の収支見通しが立てられるような時期が一つの節目ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  この問題は非常に重要な問題でございますので、なお一つ例を引いて申し上げますと、為替レートと電気事業の動向の問題で、一番最近の事例としては、五十三年の下期に為替差益の料金割引措置というのをとったことがございます。あのときは、年度平均レートで五十一年度の平均が二百九十三円四十五銭、五十三年度が平均レートで二百二円五十七銭で、その間九十円内外の差があるわけでございます。しかもごく一部引き下げましたところ、今度は逆の傾向が起こってまいりまして、一年数カ月にして今度は料金改定をした。大幅な五割アップというような料金改定をしたという経験がありまして、このことから見ると、よほどこの問題については慎重であらねばなりませんし、また円高差益の還元というのはどういう形で考えるのかということは、これはまだまだかかって将来の問題であると思います。  したがって、国民生活、消費者の生活というものを基本に考える政府の立場から、この問題についてはなお慎重に見守り、今申し上げましたように、ことしの決算が明らかになり、来年度の収支見通しを立てる時期においてある程度の判断をする一つの節目とすべきではないか、このような考え方をいたしております。
  25. 浦野烋興

    浦野委員 これをいかにしていくか、見通しも現段階ではまだはっきりといたしませんし、なかなか難しかろうと思うのです。このことは電力会社の経営の問題もありますし、中長期的視点に立っての料金長期安定、こうした点も図っていかなければならぬ。差益については必要な設備資金に充てる、こうした点も考慮していかなければならぬ。還元の方法につきましてもいろいろ論議もあろうかと思うのですけれども、なかなかこの点につきましても、そう急に結論の出ることではなかろうかと思うのでありますが、どうぞひとつ国民の納得のいく施策として受けとめていただきたい、このように考えるわけであります。  なお、エネルギーセキュリティーの確保を図る、こうした観点から、私は核燃料サイクルの確立、これは我が国として極めて重要なものであろう、こう思うわけでありますけれども、この核燃料サイクル事業化推進に当たって、通産省の基本的考え方及び青森県の六ケ所村の核燃料サイクル施設立地の進捗状況についてお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 お答えいたします。  先生指摘の核燃料のサイクル事業化でございますが、これは現在いろいろ六ケ所村で計画しておるのでございます。  まず、この意義でございますけれども、今後電力供給の中核的役割を果たすということが原子力の役割でございますが、この中で核燃料サイクルというものが必要不可欠なものであるというふうに位置づけられております。  それで、現在の状況でございますが、昨年七月に電気事業連合会から青森県に対しまして、青森県の六ケ所村むつ小川原工業開発地域にウラン濃縮、使用済み再処理施設、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設、いわゆる三施設でございますが、この三施設の計画につきまして申し入れがなされました。それで、本年の四月に青森県より電気事業連合会に、これに対しましてこれを受け入れるという正式の回答がなされたところでございます。  現在は、本年六月二十七日から、当事者でございます日本原燃サービス株式会社及び日本原燃産業株式会社の両当事者によりまして、立地予定地点地域の陸域の立地環境調査が行われているところでございます。すなわち、この立地環境調査と申しますのは、気象とか地質などにつきまして詳細な調査をする、こういうことでございます。  今後でございますが、海域の部分につきましても同様に立地環境調査を進めまして、来年六十一年には準備工事に着手したいというふうな計画であると承知しております。  このような状況を踏まえまして、通産省といたしましては、電気事業の健全な育成という観点も含めまして電力会社を指導しているわけでございますが、同時に、建設資金の確保あるいは広報対策の充実など立地関係の円滑化、事業化に直結した技術の確証試験とか、そういう問題につきまして総合的な施策を展開いたしまして、この関係の助成をするということをいたしまして、核燃料サイクルの着実かつ健全な難業化に万全を期するようにしたいということで進めておるところでございます。  以上でございます。
  27. 浦野烋興

    浦野委員 ありがとうございました。  若干本改正案とは外れたお尋ねになろうかと思うのですが、最近の新聞、十一月二日の読売に、「東電も通信サービス参入」、こういう見出しの記事が載りまして、以後各紙にこの電力会社の電気通信事業への進出、これが記事として載っておるわけでございます。これに対しましてNTTの意見というものもまた記事として出るわけでございますけれども、政府として、この電力会社の電気通信事業への進出、このことについてはどんな受けとめ方をされておられるのか、この点についてお聞きしたいと思います。
  28. 野々内隆

    ○野々内政府委員 東京電力が電気通信事業に進出するという報道がございまして、東京電力もその方向で現在進んでいると聞いております。  電気事業者は、その保有いたしております設備あるいは通信の技術につきまして非常に高いポテンシャルを持っておりまして、各方面から電気通信分野での協力ということにつきましてその要請が高まっているというような、需要側からの要請がございます。しかし、一方また電力会社というのは、御承知のように、安定的かつ低廉な電気の供給を行うという責務を持つ公益事業者でございますので、仮にも電気事業の適正な遂行に悪影響を与えるというようなことがあってはならないという意味で、慎重な配慮が必要なわけでございます。  こういう二つの観点から、私どもといたしましては、電力会社の電気通信事業への関与につきましては、一つは、子会社の活用というような方法によりまして本来事業への影響が回避されるような方法が望ましいという点、もう一つは、電気事業自体が公益的な事業でございますので、他の電気通信事業者に対しては中立的な支援をする必要がある、こういうようなことを基本的な考え方として対応すべきだというふうに考えております。  東電の行っております考え方は、子会社を設立するという方式であり、また経理的区分も明確にするということで、電気事業者の保安体制に影響を及ぼさないような事業運営というものを行おうとしているというふうに理解をいたしておりますので、基本的には問題はないのではないかというふうに考えております。  今後、高度情報化社会というものが実現をいたしてくるというように私ども考えておりますので、そういう社会になりますと消費者の選択の幅も広がる、あるいは地域の情報化に貢献をするということで、こういうプロジェクトといたしましては、公益事業者として取り組んで差し支えない分野ではないかというふうに考えております。
  29. 浦野烋興

    浦野委員 最後の質問に入ります。  私が最初に申し上げましたように、現在我が国を取り巻く経済上の厳しい環境、この中にあって貿易不均衡を是正していかなければならぬ。そうした点につきましては、官民一体となって市場開放努力に全力を傾注しておる。あわせて内需拡大を推進する。景気浮揚、したがってそれに輸入促進を締めるというような重要な柱としての内需拡大、そしてまた内需拡大策の中で重要なシェアを持っておるところの電力業界に対しまして、六十三年度までに追加一兆円、七十年度までで四十六兆円という膨大な設備投資が行われるわけでありまして、それについて今回の改正案で円滑な資金調達が図られるような措置を講ずる、こういうことでございますけれども、この設備投資、これは購入品目も多岐にわたり、他産業に対しましても景気浮揚のための極めて大きな波及効果を持っておる。  特にその中で、私は地元の中小企業、こうした人たちに対しましても、工事、資材の発注、購入、こうした点から極めて影響を与える、その利益を広く及ぼすことができるのではないか、そうした点から地域経済にも大変効果をもたらすであろう、このように受けとめておるわけでありますけれども、こうした点につきましても、僕は政府としても十分配慮をしながらやっていっていただきたいものだと思うわけでございますが、この点につきまして政府考え方をお聞きしたいと思います。
  30. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 浦野委員の御指摘は非常に重要な御指摘であると思います。先ほど来質疑応答で示されておりますように、内需拡大について電力会社あるいはガス会社等の公益事業会社の果たす役割は非常に広いわけでございまして、今回の政府内需拡大の要請に対しましても、先般私のところに、九電力の代表である電事連の会長あるいは三大ガス会社の代表である東京瓦斯の社長等がおいでになりまして、内需拡大についての協力要請をいたしましたところ、咲くこれを引き受けていただいて、政府の方針に全面的に協力をいたしますということで協調していただいております。  こういった点での電力会社、ガス会社政府への協力というものは非常に誠心誠意であるというふうに私は受けとめておりますが、それと同時に、非常にすそ野の広い産業でありまして、今御指摘になったように、電力事業関係の事業は非常に多いわけでございますので、地域経済あるいは中小企業、そういった広範な範囲に対して非常にバランスのとれたよい影響、そしてよい協調をしていただくような配慮も、資源エネルギー庁長官にも指示をいたしまして、よくやってもらうような、そういうことを今後対策として考えていきたいと思っております。
  31. 野々内隆

    ○野々内政府委員 若干補足させていただきますと、今回の内需拡大策の対象設備は、送電とか配電というような電力の流通関係の設備が大部分を占めておりまして、これらの設備は、機器、材料など比較的簡易なものが多いということで、各電力会社では地元業者からの供給に依存する場合が非常に多くなっているということが言えるかと思っております。また他方、工事の実施面でも、送電、配電それぞれの専門の地元業者が工事を請け負っております。したがいまして、今回の内需拡大策の効果は、かなりの部分が各地域の地元業者に波及するというふうに考えられております。  なお、電力会社の方でも、機材、請負工事等の調達において地元依存となっておりまして、また、工事の実施あるいは事故等の対応にも、安定供給に直接かかわることから、地元業者の優先利用あるいは育成等にも特段の配慮をしていると聞いております。  いずれにいたしましても、今大臣が御答弁申し上げましたように、私どもといたしましても、今後とも中小企業あるいは地域経済の発展のために十分な配慮をするように指導してまいりたいと考えております。
  32. 浦野烋興

    浦野委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  33. 粕谷茂

    粕谷委員長 以上をもちまして浦野烋興君質疑は終わりました。  続いて、浜西鉄雄君の質疑に入ります。
  34. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 まず冒頭に、委員長に苦言を申し上げておきますが、これは理事会に対してもですが、真ん中一日置いてのきょうでありますから、私自身大変勉強不足で、暇がありませんでして、できるならば、せめて三日ぐらいの研究、検討期間が欲しいということをこれから御配慮願いたい。そのことを日数不足の点で一言申し上げておきます。  まず、今回の九社平均の七十年までの社債発行倍率が五・五、こうなっておるわけです。私ちょっと計算してみましたが、七十二年には今までの倍率の延長線として見ると倍率六・〇四、こういう計算になる、これは単純計算ですが。そうすると、これが今から十年前、私は論議に参加しておりませんから議事録その他で見る以外はないわけですが、その時点での見通しで今日の六倍にしなければならぬというようなものは全く見当たらないわけです。そうすると、この種の特別な会社、特例の設けられた会社はほかにもあると思うのですけれども、こういう手法というものが一体どうなのか。  まず第一の質問は、少し先のことも含めますが、五十一年に現行法を決定した際に、今日の六倍にしなければならぬというような、つまり設備投資も含めてそういう見通しはなかったのか、多少でもあったのか、その辺をちょっと一遍振り返ってみたいと思います。まず、その辺を質問いたします。
  35. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  前回の社債特例法制定の際には、先ほどの先生の御質問で、そういう想定をしたことについて問題なかったかということでございますけれども、法律制定後の経済情勢の変化が非常に多うございまして、まず法律制定後、五十年代の前半におきましては大体想定したとおりの状況で推移いたしたわけでございます。  設備投資額も資金調達額もほぼ想定どおりいったわけでございますが、五十年代後半に至りまして、設備投資社債発行倍率等々想定値を非常に下回ったわけでございます。これは、五十四年における第二次石油危機の影響を受けて経済成長の低下ということで五十年代後半の電力需要伸びが非常に鈍化した、それに伴いまして当初の計画が繰り延べられたというのが非常に大きな要因でございます。  具体的に数字で申し上げますと、GNPは昭和五十年から六十年、すなわち十年間で六・一%という想定でございましたが、それが四・五%ということでダウンいたしました。それによりまして電力需要につきましても、年平均で六・三%という想定でございましたが、それが三・七%ということで落ちた。これに伴いまして電源設備につきましても、一億九千百二十万キロワットと想定したものが一億五千四百二十五万キロワット、それから設備投資額は約四十八兆円と見込んだものが二十八兆円と大幅にダウンしたわけでございます。
  36. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 見通しというものは、確かにこれはあくまで見込みですから、いろいろ経済的な問題その他含めて客観的なことが発生するわけですから、多少の変化、異同があることは了解できるわけです。しかし、そういう見通しがこれから先も立ちにくいわけですし、そういう中でこのような六倍にするということについて、それでは私が今さっきちょっと言ったように倍率だけの問題に絞りますが、一体こういうふうなことで、それでは今から十年先、極端に言えば、計算によりますと昭和七十年が五・五の倍率ということですね。この説明に書いてあるとおりであります。七十一年、五・七七、七十二年には六・〇四、こういくわけですから、こういう調子は急に変化があって、つまり六倍を超えることはないという前提なのか、そのときになってみなければわからないということなのか。これがまず一つですね。  それから、全体的な国の政策として、内需拡大という大命題の中で、当面三年間一兆円近いものを、とにかく景気をよくするために波及的効果も含めて電気事業に活を入れるということが目的で、あと数字合わせで結局六倍という、当面そのことを実現せしめるために、つまり内需拡大を実現せしめるための簡単な計算方式で言う六倍なのか。本当にこれからこの調子でいきますと、私が言った数字は間違いないと思うのですが、それとの関係、一体何が主なのか。  本当に社会資本というものを考えてこれからずっとやっていくんですよ。とにかくこの文章の中にありますように、投資したものが一応の安定時期を迎えて一巡するというふうなことについての見通しなり何なりが、今さっきの答弁によりますといろいろな経済変化が起こって立てにくいわけですから、一体今回の六倍というものは打ちどめなのか。この調子でいくと、何回も言うようですが、七十二年には六・〇四という計算になるわけです。その辺はひとつはっきり、一体何が主なのか、内需拡大が主なのか、内需拡大という命題がなくてもこういう延長線として漸次ふやしていかないと今の電気事業というものは安定的な供給も保てぬ、公共性に対する責任も果たせないというのか、その辺をちょっと詳しく説明してください。
  37. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  この法律改正案を出しまして六倍に限度額をふやしたい、その趣旨は、内需拡大問題とは別に、今後の電力設備投資を見ますと、当然現在の四倍というのでは貯えないということでございます。先ほど先生が御指摘になったわけでございますけれども、昭和七十年には五・五倍になるという計算でございます。その投資の内訳は、大体十年間で四十六兆円、そのうち電源部門が十八・五兆円、非電源部門が二十七・三兆円ということでございます。これがさらに七十年を越えるとどんどん大きくなって、六倍はおろか七倍に近くなるのではないかという御指摘でございますが、私どもの想定ではそうはならないというふうに考えております。  現在、電力事業で設備投資が旺盛な一番大きな原因は、電源多様化を進めるということで、原子力石炭火力あるいはLNGという方向で大変資本費のかさむ大きな投資を続けざるを得ないということから設備投資が多くなってくる。さらに、最近の経済の高度化に伴いまして一層電力供給の信頼性を増すという観点から、送配電設備についての高度化投資が起こるということでございますが、これらはいずれもやはり一定の期間で一巡するものと見ておりまして、私ども今後十年間が特にピークになるだろうと見ております。ただし、それがちょうど十年とか十何年ということではございませんで、ここ当分の間が非常に大きな設備投資需要が起こるだろうと見ておるわけでございます。  それから、先ほど先生おっしゃいました内需拡大のためにということではどうなのかという点でございますが、これにつきましては、先般来御説明申し上げておりますように、今度の内需拡大のために約一兆円という設備投資を上乗せするということでございますが、主としてその内容は、電力供給の信頼性を向上させるための送電、配電、変電設備高度化のための投資でございまして、これは当然しなければならない投資をこの際思い切って前倒しにしてやるということでございます。  そういう観点からそういう投資を現在の段階で前倒しにするということでございますれば、やはり電力業界としましては、それに必要な資金的な基礎がしっかりしないとそれができないということでございますので、今回、内需振興のための法律の一環として提出させていただいたということでございます。
  38. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 いや、私が聞いているのは、五十一年のときに現行法律は入れる見通しの前提に立ってやったわけですね。今さっき説明があったように途中変化があった。変化があれば当然このような法律の手直しをしなければならぬ。それは端的に言えば六倍社債発行。だからこの調子でいきますと、何回も言うようですけれども、七十一年を越えた場合、七十二年には六・〇四になるということなんです、これは今までの率をずっと割ってみまして、その延長線として単純計算ですけれども。だから、そういうふうなことがなぜ起こらないのかということは、今の説明でもよくわからないです。  例えば原子力発電の問題についても、当初計画されたときのあれを見ますと、これは五十八年十一月の電気事業審議会需給部会の試算というか発表で見ても、火力、水力はちょっと除きますが、原子力に例を挙げてみても二千五十六万キロ、これが五十九年の実績。七十年段階ではこれの倍以上、つまり二・三倍に当たるんですね。四千八百万キロ。こういうふうな調子でいくわけです。つまり国民総生産、GNPの伸び、言ってみれば技術によって食っていく日本ですから、そういう生産に伴うところの伸びと同時にこういうエネルギーが必要だということは私ども十分理解しておるわけです。そういうものについて見た場合に、このような調子は続くと私は見ておるわけですが、いやそうでない、一巡すると言ったその一巡というのは一体どういう内容の数字になるのか。  何がどのようにして一巡するからこういうことは起こらない。つまり、きちっとした見通しがなくても、およそ何年先ごろには一巡することになるはずだ、あるいはなるというようなものがない限り、言葉の上で一巡するから四倍が六倍になって、今度は、この次はないということには今の説明ではどうしても納得できないわけです。そういうこれからまだ需要伸びていくであろうということ、それに対しての内容を見ると、かなり原子力関係については力が入っておる。火力、水力については横並びか、あるいは火力の場合はちょっと減るような格好になっておる、この構成比でいきますと。そうすると、それだけ原子力発電というものにかなり投資をしなければならぬということになってくるのですが、それでどこで打ちどめになるのかということはどうしてもわからない。その辺をちょっと詳しくわかるように説明をしてください。
  39. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、今度の法律改正の前提となる大きな投資につきまして、その一つの大きな要因原子力発電の建設ということにあることはそのとおりでございます。特に今後十年間につきましては、原子力発電につきましては非常に力点を置くということでございまして、先ほど御指摘のございましたように、七十年度には倍近い大きな容量になるということでございます。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕  それでは、この状況がずっと続くかということでございますが、御承知のように、各電源につきましてはそれぞれ特性がございまして、例えば原子力につきましては非常に長期運転した場合のコストは安いけれども、そのかわりフレキシビリティーに欠けるとか、あるいは石油のようにコストは高いけれども非常に臨機応変にそれが調節できるとか、またその中間の設備もございます。そういうことで、そういう各電源の特徴をうまく構成いたしまして、ベストミックスと申しておりますが、ベストミックス電源構成を達成する必要がある。  特に、先生も御承知のように、最近はいわゆる負荷追随性というのが非常に重要な問題でございます。ピークと平均電力の差がどんどん開く。これは電力にとりましては非常に非効率的なことになりますし、ひいては全体的な電源コストを高めるということになりますので、そういう観点からも今後は負荷追随性を重視していくということになりますと、原子力なら原子力だけを非常に突出しましてそれだけになってしまうということになりますと、これは非常にフレキシビリティーの欠けた電源構成になりますので、今後は、やはりある段階に至りましてベストミックスを達成していこうということになるかと思います。  そういうことで現在の見通しの十年間というものを見通しますと、非常に大規模原子力についての投資を行うわけでございますけれども、それはやはり一巡して、現在のような大型投資というのが永遠に続くということではないということでございます。
  40. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 後ほど専門的なことを少しお尋ねしますけれども、私がなぜこれにこだわるかというと、計画では十年先を見通して二・三倍の原子力発電所を今からつくっていくというわけでしょう。ところが、後ほどまた言いますけれども、コジェネレーションという問題だってあるし、そういうことが目前に既に実用化されつつあるのに、全然そういうものがベストミックスの中に入っていない。あるいは今、年負荷率の改善というものの考え方にも入っていない。そういうのも片方で想定をしながら当面、当面が三年か五年かということならばある程度わかりますけれども、十年間こういうことでずっと計画を立てるということ、そのことに対する私の疑問点が残るわけです。専門的には後ほど言います。  また、代替エネルギーというか新しいエネルギーといいますか、そういう問題について通産省そのものもそれなりにいろいろな文書でもって明らかにしておるわけですし、民間ではそれなりきに既に着々と、極端に言えば十兆円市場になるというぐらいで、大変飛びついて研究開発しているわけです。それは後ほど触れます。  さて、そういった意味で、できるならば原子力発電というものに頼らなくても電源が確保できる、こういう体制を絶えず追求していくべきだということで前回の、前回というのは五十一年、我が党がその当時この法案についていろいろ質問した経過からかんがみて、やはり原子力の安全性というものもこの法案審議に際してただしておかなくちゃならぬと思います。  まず、原子力問題について通産省なり政府発行のあれを見ますと、意外に放射性物質の半減期というものがそう長くない。それこそ長いので十二、三年だとか三十年だとかいうような説明がありますが、私は専門家でないのでわかりませんからそれをお尋ねするのですけれども、原子力発電の炉の中に発生する、もちろん後ほど廃棄物の処理のことについてもお尋ねしますが、放射性物質というものは、私が聞いたところによると二百種類ぐらいある。二百種類の中で瞬時にして半減してしまうものもある。だからさまざまだけれども、長いのになると大変なことだ。例えば再処理と関係いたしますが、プルトニウム239というもの、これはそれこそ半減期は二万四千年とも言われているのですね。比較的短い半減期の問題については、私はそれなりきに考えてもいいと思うのですが、半永久的に考える気の遠くなるようなそういうプルトニウム239というふうなこと、これはウラン期に中性子が吸収されてそういうものが一つのものに生成されるというふうに説明を聞いていますが、これ以外にどのような放射性物質があるのか、特徴的なものを少し、たくさん並べなくてもいいのですが、五つや六つ並べてもらいたいと思うのです。それの半減期をひとつ……。
  41. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 お答えいたします。  原子力発電所の運転に伴いまして発生する放射性物質にはいろいろな種類がございます。御指摘のとおりでございますが、大きく分けまして、使用済み燃料の中に入るもの、それから運転中に発生するものというふうに分けられると思います。  まず、運転中に中性子が発して周辺の炉水や機器で発生するものといたしましては、腐食生成物と言っておりますが、要するにさびとかそういうところに当たりまして発生するものが多いわけでございます。そういうものは比較的低レベルのものでございまして、いずれも半減期は短い、こういうことでございます。その代表的なものといたしましては、マンガン54、半減期が約二百七十八日、コバルト60、約五年、セシウム137が約三十年、セシウム川が半減期二年でございます。沃素131が約八日、コバルト58が約七十一日、鉄59というのがありますが約四十五日、ストロンチウム89が約五十日、ストロンチウム90が約二十八年でございます。  一方、再処理施設などで使用済み燃料を再処理したときに出るものといたしまして、仮定がいろいろあるわけでございますが、百万キロワットの原子力発電所を一年間運転いたしましてその中に含まれる核種を想定いたしますと、まず割合と種類を申し上げますと、全体の約二〇%を占めますのがセリウム144という核種でございまして、半減期が二百八十五日、それから同じく約二〇%を占めます、キュリー数の意味でございますが、半減期十七・五分という非常に短いものでございますけれども、プラセオジウム144というものでございます。それから、全体の一三%を占めまして、半減期が三百六十八日のルテニウム106、全体の約三%を占めますのが半減期二十八年のストロンチウム90、先ほども出てきておるものでございます。  それから、全体の約一兆分の八程度で非常に微量でございますが、半減期が非常に長いものということで、一番長い代表的なものとしては五百億年のルビジウム87というのがございます。それから、全体の約一億分の二程度、ですからこれも非常に少ないのですが、半減期が千七百万年の沃素129というのがございます。それから、全体の約十兆分の二程度、これも非常に少ないのですが、半減期が千六百万年のキュリウム州、こういうことでございます。  こういうものがございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、要するにパーセンテージの多いのは比較的短い。短いといっても、それは比較の論理ですから、長いというふうに言われるかもしれませんが、量の少ないものは非常に長い半減期のものがある、こういうことでございます。  それで、こういうものをどうするかということでございますが、これは今申し上げましたように非常に半減期が長いという核種もございますので、非常に長期間安定な貯蔵をしなければいけないということで、現在考えられておりますのは、安定なガラス固化によりまして三十年から五十年貯蔵する、そして冷却をした後数百メートルの深い地層に処分する、そしてそういう長いものは長期間にわたり人間環境からも隔離する、こういうような考え方で今いろいろ進めておるところでございます。
  42. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 話が出ましたからちょっとそれにも触れますが、仮に量的には少ない微量なものであっても、五百億年だの一千六百万年だの、気の遠くなる話でありまして、地球が果たしてそれまで存在するかどうかもわからぬぐらいの大変な、言ってみれば一遍それが生成されると永久に生き続けると言ってもいいと思うのですが、これらを含めて、今出ましたようにこれの後始末、廃棄処理の問題について少し触れてみなきゃならぬと思うのです。  その前に、使用済み燃料を再処理することによって、また強い新たなそれこそ原子の力を発揮できるようにたるわけです。プルトニウムになるわけですが、そういう生成過程での使用済み燃料の発生量、これは聞くところによると、原子力発電所百万キロワット、これで年間二十五トンぐらい出るということなんですが、そうすると、稼働日数にもよりますけれども、現在我が国原子力発電で起こってくる使用済み燃料の発生量というものは、これはまた後の質問の再処理なり廃棄物の処理の問題に関連しますが、年間どのくらいあるのですか。
  43. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 使用済み燃料の発生量は大体百万キロワット当たり年間三十トンということになります。現在発電所は三十一基二千三百六十万キロぐらい、まあ二千五百万キロと換算いたしまして、その三十トンの二十五倍です。七百五十トンぐらいの使用済み燃料が年間発生する、こういうことになります。
  44. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そういたしますと、これの廃棄処理、大変なことだと思うのですが、今ちょっと説明があったように、ガラス容器で云々とかいうふうなこともありました。そこで、これは最大限安全な方法をとらないと、それこそ人類とのかかわりで、今は地震もなく何とかうまく安全に保管をしてあるとか地中に埋めるとかいうことでありますが、きのうですか、あのような噴火がコロンビアでありました。あのような大地震その他大変なことを想定して最大限安全なことをやらなければいけぬわけですが、この処理で、低レベルのものはそれなりきにまた違う処理をし、高レベルを今言うガラスに固定をして埋め込んで、一定の期間冷やして、そして地中深く埋めるというのか、その点の放射性廃棄物の処理の仕方、今までの例でいきますと、二千五百万キロといたしましておよそ量的に七町五十トンぐらいになる、そういう計算になるということでありますが、これが全部そうなるのか、それともその中で振り分けて、低レベルと高レベルに分けて処理が違うのか、その辺をちょっと素人にわかりやすく説明してください。
  45. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 お答えする前に、先ほどの三十トンでございますが、これはちょっと誤解ないように御説明いたしますが、その中にはこれから再処理して使うウランとか被覆のジルコニウム、こういうものも入っておりまして、正確な数字はまたあれでございますが、恐らくジルコニウムを入れましても五トンとか六トンとか、そのくらいのオーダーになります。ですから、三十トン丸々が廃棄物ではないということでございます。それから、御質問の件でございますが、原子力発電所で発生するものをどういうふうに処理、処分するか、こういう御質問でございます。  まず、発電所で運転に伴いまして発生する低レベルの、先ほどコバルト60だとか鉄の59とかという御説明をいたしましたが、そういうものは、今二百リットルのドラム缶の換算で年間約三万五千本程度発生しております。この処理につきましては、現在は施設の方で安全に貯蔵しておるところでございますが、将来につきましては、この処分については六ケ所村の方の施設を活用することも今後あり得るかと思います。  それから、再処理施設に伴って発生するものでございますが、これは先ほど御説明いたしましたように非常に長いものが入っておりますので、長期安定に封じ込めておく、こういうことが大切だと思います。このために、今ガラスによって固化をいたしまして、その外側を耐食性にすぐれたステンレス製の容器で密閉するということにしております。この容器を三十年から五十年間貯蔵いたしまして冷却した後、地下約数百メートル以上といいますかの地層に処分する、そこで処分するということを計画しているわけでございます。
  46. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 処理する、貯蔵するというよりもずっと埋め込んでおくということになるのでしょうが、現在主要な国、アメリカとかフランスとかイギリスとか、そういう国はどのような処理の仕方をしておるのか。それで処理のめど。海洋投棄は現地のそれぞれ関係する国からの反対もあって、こちらの太平洋では今のところだめだとなっておるわけですが、その辺の状況は世界的にどうなっているのですか。
  47. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 今御質問の海洋投棄とかいう問題は低レベルのものの話でございますが、低レベルの問題につきましては、我が国は海洋処分と陸地処分をあわせ行うということを基本にしておるわけでございまして、実際は海洋投棄の方は今おっしゃったような状況で進んでおりません。  諸外国の状況でございますが、低レベルにつきましては、各国とも、発電所で貯蔵するのと、あるいはアメリカのように貯蔵施設を決めてそちらに運んでおる、それからフランスも一部貯蔵施設を設けてそちらの方に運んでいるという状況でございます。ですから、低レベルのドラム缶などについてはある一定期間発電所に置いて、処理施設のあるところはそちらに運んでおるという状況でございます。それで、海洋投棄の問題につきましては、数年前まで欧州などでは海洋投棄をずっとやっていたと思いますが、今はやっておりません。そんな状況でございます。
  48. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 いずれにしても、世界的にもまだこの辺の後始末がきちっとなっていない部分があると私は見るわけです。言ってみれば、我々がそういった放射能に直面してから、それこそ人類が直面してからまだ経験を持っていないのですから、何年間こうしたら、あるいは何千年こうやったら結果として安全ですとかいう実証がないわけですから、絶えずもしもという不安、万が一という不安がつきまとう。  そういった意味で、五十一年の時点では、この電力債の問題について、設備投資にこれが絡まって、原子力発電問題について安全性の確認をやはりすべきだという前提でいろいろ論議されたのを、今から十年前の議事録でありますけれども、それを見まして、私はそういった意味での立場で今回の問題の、十年先は二・三倍を見通しての今からの設備投資である。若干先ほどの言葉ではっきりしませんでしたけれども、内需拡大という要請にこたえて前倒し的な意味である、これも大体わかりましたが、純粋に内需拡大の立場でこれをとらえようとするならば、二・三倍になるような原子力発電を十年を見通してやる前に、現在開発されつつあるコジェネについてももっと積極的に取り組むべきではないかと私は思うわけです。  私は、説明するまでもない、むしろこのことをここで説明してもらいたいわけですけれども、コジェネレーションについて、現在我が国ではアメリカよりずっと進んでおるわけですから、そういう法律もつくっておるわけですから、その問題についてどの程度進んでおり、およその実用化のめとはどの辺に置いておるのか、現状説明してください。
  49. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 コジェネレーションと申しますのは、現在ガスタービンとか、あるいはガスエンジン等によって発電を行う一方で、その廃熱を利用して給湯したりあるいはその他の熱需要にこたえるというシステムでございます。これは電気の需要と熱の需要との適切な組み合わせが可能な場合にはエネルギー効率が非常に上がるということで、コストの低減その他メリットが高こうございます。  現在では、このコジェネレーションはホテルとかあるいは事務所等を中心に進められておりますけれども、小さいものもあると思いますが、現在まで把握している限りでは、日本で大体数十カ所行われておるというふうに認識いたしております。  今後の進展につきましては、経済性等の観点から、電力需要と熱の需要とがバランスよくマッチする分野についでこれが発展していくだろうと考えております。そういう意味では、いわゆる国全体のエネルギー供給の中で枢要な地位を占めるというようなものではなかろうと考えております。  このコジェネレーションを導入する場合には、その設備の効率的利用とか、あるいは予備電力の確保とか、あるいは発電電力の質的向上というようなことで、一般電気事業からの電力供給に依存するというのが実情でございます。すなわち、一般電力系統に並列するということで、電力とつながってやっていくというのが現状でございます。コジェネだけでやった場合には、何か起こった場合には完全な停電になったりあるいは定検とか保修したら真っ暗になっちゃうということでございますので、通常は一般電力系統へ並列をして行っております。  そういうような並列をいたしますときには、今度は既存系統の方、本体の方の電力に不安定な要素ができたりあるいは負荷率に悪化を起こすというようなこともございます。そうした悪影響についての防止策というのが必要でございます。したがって、今後コジェネレーションの導入という場合には、一般の電気消費者への影響等を十分に勘案して、これとの調整を図りながら進めることが必要でございまして、現在通産省におきましても制度面の具体的な適用について検討を進めているところでございます。
  50. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 これはまだ今検討の段階のように言われておりますが、諸外国ではかなりこれが進んでおるわけですね。だから、一つの例で言いますと、これはアメリカ、イギリスその他のいろいろな例が載っておるのですけれども、アメリカでは第一次オイルショックに伴って、省エネという立場でコジェネを推進をしてきて、既に普及の段階に入っておるわけです。言ってみれば実用化したわけです。したがって、そういうふうなことに対して法的にそのことを、いろいろ先立って施行規則みたいなものを決めていっておるというのも、私の手元に資料があるわけです。  例えば、電気事業者がコジェネによって発電をしたその電力、それを電気事業者がその電気を生産したというか起こしたと同じように生じたであろうというコスト、それを前提にして総機会回避原価に反映する料金でやる、こういうふうなことで、それで電力を購入しなければならないという、つまり電力会社が見れば勝手につくっておいてなんだということを言わないようにさせるためにも、そういうきちっとした施行規則というものを決めておる。それから、電気事業者は、そういうコジェネをやっておる地域だとか事業所だとか病院、そういったところに対して、常時送っている電気を差別をしてやるというふうなこともしてはならないということだとか、つまり、この施行規則に盛られておる精神というものは、そういう補助的なあるいは代替的な電気に対して、言ってみれば援助しておるわけですね。やりやすいように仕向けておるわけですね。これはアメリカの実態です。  だから、この法案の中にも、どこかに説明その他でちょっと書いてあったと思うのですが、できるだけ負荷率というものをうまくコントロールしていかなければならないという精神になっておると思う。つまり安定供給ピーク時であろうが何であろうがいつでもということになりますと、できるだけピーク時をうまく抑える、コントロールする、そういった意味では、これはピークカツ十の大きな力になると思うのです。これらを全然俎上に上せないで、話は変わりますけれども、十年先を見越しての設備投資計画になって、つまり六倍社債というふうに話が非常に単純にいっておるわけです。こういう問題も、もう目前に来ておるわけです。  それとあわせて、燃料電池という問題だって大きく新聞でも取り上げておる問題であります。これらも先陣争いだ、この燃料電池の問題なんかは十兆円市場だと。これは水の電気分解ですか、ああいうのをうまく逆利用したものだろうと思うのです、専門的にはよくわかりませんが。その今の説明はコジェネレーションのことですが、この燃料電池、これは新聞に載っておることでもあるし、十分通産省は知っておられると思うのですが、現状大体どうなっているのですか。既に企業間で競争的にこれに取り組んでおるというふうに書いてある。この問題はどうですか。
  51. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 現在、いわゆるクリーンなエネルギーということで、燃料電池とかあるいは風力、太陽の光を利用するというような研究開発を行っておりまして、通産省でもいわゆるサンシャイン計画あるいはムーンライト計画ということで、積極的に技術開発を進めております。  これにつきましては、我々としても非常に成果が上がっているというふうに考えているところでございます。ただ、こうしたエネルギーは、安定的かつ経済的かつ大規模ということで現在使えるような状況でございませんで、現在は技術開発の段階であるというふうに考えているわけでございます。  こうした中で、今先生指摘のいわゆる燃料電池というものは、一言で申し上げますと、電気分解をするそのちょうど逆をやる。電気分解すると水が酸素と水素に分かれますけれども、酸素と水素を合わせますと電気が出て熱が出て、そこで水ができるという過程になるわけでございますが、これは将来非常に有望なもの。特にいわゆる分散型電源と申しまして、大きな電源を遠隔地でつくってそれを消費地に運ぶという考え方のちょうど裏返しで、消費地に近いところでもって電気を起こしてそれを配る。特に燃料電池の場合には非常にクリーンでございます。酸素と水素で水ができるということでクリーンでございますので、そういう点では非常に有望かと存じております。  ただ、現在の段階では、技術開発としては非常に成功しておりますけれども、コスト面その他で非常にまだ問題がございまして、やはり今後十年あるいはそれ以上の年月を経て実用化されるということでございますが、将来の非常に有望な電源として、電力会社もまた電力会社以外のガス会社、石油会社等も注目しているところでございます。
  52. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今通産省の説明のとおりの内容で、私どもの資料では、かなりもう電機メーカーがそれの開発に取り組んで、それこそこの新聞に書いてある「先陣争い激烈 夢膨らむ十兆円市場」、こういうことで、しかもこの中に説明がありますように、六十五年ごろから実用に入るということも書いてあるわけです。  それから、コジェネについては、これはまだ小型の段階であるかもわからぬけれども、ガスタービンによって補助的にやれば、甲子園野球があるときにクーラーをかけてテレビを見るというようなときにそれをやればいいことであって、これは完全にピークカットのできる大変便利な品物だと私は思う。これも公害が少ない、音も小さいというふうに説明があるわけです。  この種の関係が、今回の電源開発というか電源確保のための設備投資に全く想定もなければ触れられてない。ひたすら原子力発電に力を置いて、もちろん比率で見ると非電源部門もかなり比率が高いようですから、これはまた後ほど触れますけれども、そういう意味では、社会資本的な意味でこれから大いにそれが使われていくのだろうと思いますから希望を持っていますけれども、どうしたって、今私が質問しておるような、そういう年負荷率の問題をうまくコントロールすることについても非常に有効的なものだと思う。したがって、この際、基本的な考え方ですから、今いついかなるときにどうだという質問じゃありませんが、せっかく大臣が来ておられるのですから、ひとつ、安定的な多種多様の電源の確保というか、いかようにも切りかえがきく、そういう補助的な、いい、公害のない、騒音のないこの種のことについてこれから力を入れてやるべきだと私は思うが、大臣の考え方を聞いておきたいと思う。
  53. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 浜西委員お答え申し上げます。  これから、できるだけ公害の少ない、そしてまた高能率の電源の発見、開発、これはもう非常に重要な問題であると思います。  委員の御見識、よく承りました。よく検討させていただきたいと思います。
  54. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 大臣のお考え方はわかりました。検討していろいろやるということですから、大いにこれから期待いたします。  そこで、話を少し戻します。したがって、今回六倍にしたことに対して私はまだどうしてもすとんと胸に落ちてないのですけれども、当面七十年をめどのあれでありますから、またその時点で本委員会でどのような形でこれが取り扱われるかわかりませんが、最大限原子力発電ということの、今の場合それが確かに国民生活に大きく寄与しておることはわかりますけれども、最大限安全性を追求するという立場も片方で持ちながら、できるだけそういう心配のないクリーンなエネルギー源の開発に国の金を使う、あるいは電気事業者もそういう方向へ研究費をどんどん使っていくという方向だけは、何とかこの委員会を通じて私は要請をしておきたい。希望を申し上げておきます。  そこで、次へ移ります。  さっき説明ありましたように、いろいろ非電源部門についても投資をするというわけですが、そこで、ちょうどあしたは一年前のあの世田谷の共同溝というのですか、地下パイプというのですか、あの火災が起こってちょうど一年目になるわけですね。それで、コスト面では私自身もかなり疑問もありますし、確信は持てませんが、少なくともこれから、よく使う言葉ですが、二十一世紀を目前にして将来のためにも社会資本の最大のものだと私は思うのですが、共同溝、言ってみればこれからの情報産業の問題もある。もちろん、けさのテレビではありませんけれども、高圧を張っておるところの電線に冬やってくる渡り鳥がぶつかってけがをして、もう野生に返れないというようなのを写真入りでずっと説明していましたけれども、こういうことを考えてみても、単純な話ですけれども、やはり地下に埋めて、そこで共同溝の中で処理すれば、もちろんセキュリティーの問題もいろいろありますが、そういうことをやればもちろん美化にも通じるし、渡り鳥も死なないし、道路拡張工事その他大変なメリットが波及的に出てくる。  だから、共同溝そのものは確かに膨大な資金が必要だ。このコストというものをどう見るか。見方によっては、私は結果的に大変安いというふうに言えるのじゃないかという気がする。そういうものがこれから先は中心となって、社会資本の設備投資の中にきちっと位置づけられていいのではないか。もちろん、通産省だけでやるというわけにはいかぬでしょう。恐らくこの辺のことは建設省を中心にいろいろその辺の策定をして、関係省庁のそういうためのプロジェクトというか特別委員会を設けてやるということに結果的にはなるでしょうが、通産省としても今の電源開発の中で非電源部門についてはかなりウエートを占めるような計画になっておるわけですから、中身はもっと知りたいわけですが、その辺の考え方はあるのかないのか、将来どうなのか、その辺をひとつ示してもらいたいと思います。
  55. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 送電線と配電線があるわけでございますが、まず送電線につきましては、先生今御指摘になりました共同溝へ送電線を入れるということで、これは都市空間の有効利用あるいは都市災害の防止という観点から非常に重要だということで推し進めております。それから配電線につきましては、いわゆるキャブシステム方式、これは簡易共同溝と言っておりますけれども、それによって地中化をしていくということで、電気事業の観点からもこれが合理的な範囲で着実に進むことが非常に望ましいということでやっております。  促進のための措置としまして、まず先ほどの送電線の共同溝につきましては、現在開銀融資による助成措置がございますけれども、これを今後とも引き続き継続してやっていくということでございます。  それから、配電線の地中化につきましては、今後関係各省とも調整しながら進めてまいりますが、来年度の要求として財投による低利融資、それから税制上の助成措置というものを含めまして現在要求いたしておりまして、今後これを計画的に推進していくという方針でございます。
  56. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 私の言うのは、当面本格的な共同溝、これをそれこそ政府が一丸となって取り上げる、こういう意味で言っておるのですが、今建設省の道路局長の私設諮問機関でやられておるところのキャブシステムというのですか、これは大体どんなようなもので、それに通産省も今言ったような送電線その他を地中に埋めるという計画でしょうから、それに関与しておるのか、これに対してどういう参画をしていくのか、この見通しなども含めて説明していただきたい。
  57. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 配電線の地中化につきましては、今先生指摘建設省のキャブシステム研究委員会というのがございまして、これは先般十月二十一日に報告を出しましたが、私どもこの委員会とも非常に密接な連携をとってやっております。  御承知のように、地中化は非常に望ましいわけでございますけれども、一方建設費用が非常に高くなる。これは地上に張るよりも五倍から三十倍ぐらい高くなる。それから、事故が起こった場合に修理が非常に難しい、早期修理が難しいというような問題点がございます。  しかしながら、今後地中化を大いに進めようということでございまして、従来年間一、三十キロメートルぐらいのペースでやっておったわけでございますけれども、これを急速に加速しまして百キロメートルぐらいのオーダーでいこう、それで、十年間で一千キロメートルの地中化を行おうということを考えておりまして、この一千キロメートルの地中化の我々の計画につきまして、先ほど言いましたキャブシステム研究委員会とも相談して、これを全国的にうまく計画をつくりながらやっていこうということで考えております。  さらに、今度内需振興のために約一兆円を電気事業としては追加投資いたしますが、その際に、この地中化につきましても、先ほど言いました一千キロメートルの実現につきましてさらに一層加速してやっていこうということで考えております。
  58. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 大体考え方見通しはわかりました。  ちょっと細かいことを聞いておくのですが、投資をして、今建設省が中心になって研究をし、そういう諮問を受けてこれから実行段階に入るのだと思うのですけれども、その場合のそれこそ経費の配分だとか、それからINSの問題ですが、新たにそれを使用させてもらうというような業者が出てきたときに、そういうふうなものは後からかかったコストを計算して分担してもらうとか、あるいはそこを通すためには料金を取るとか、ちょうど高速道路に投資しておいて料金を取るというあれに以たようなことをするのか、その辺がわかればちょっと説明してもらいたいと思います。
  59. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 現在キャブシステムにつきましては、電力だけではなくて電話とかその他も入るわけでございます。その入る際に、例えば電力をとってみますと、単独でやる場合に必要な費用を限度として払うということでございますので、マキシマム自分だけでやった費用を払うということで、それが若干安くなるということを当然期待いたしているわけでございます。それから、先生の御指摘のように、後から入ってきた場合にはその分だけ当然負担する人がふえるわけでございますので、その分は割り戻しをいただけるというふうになっておるようでございます。
  60. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 もうちょっと聞くのですが、CATVとか、一定の地域にそういった業者がCATVを設置して始めようという場合には、顧客それぞれ各戸に、わざわざ一定の部落まで地中に埋めて引っ張るとか、いろいろやり方はあると思うのですが、そういうふうな場合。それから、もうちょっと話を進めると、共同溝的なものというとかなり簡易な小さなものになるだろうと思うのですが、こういう場合にガスとか水道、上水道ですね。下水道は無理だろうと思うのですが、それの規模というかおよその構想、どの程度のものなのか。このキャブシステムのその辺をもうちょっと聞いておきたいと思う。
  61. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 共同溝の場合には非常に大きなものもございますけれども、先ほどから問題になっておりますいわゆるキャブシステムの場合には、歩道の下に置く割と小型のものでございまして、現在考えられますのは電力、それからNTT、電話というのが中心になっております。したがいまして、ガス、水道その他も一緒に入るようなものではございません。  それから、先ほど先生が御質問されました、実際に要望があって、そこでもってみんなでつくったらどうなるかという問題でございますけれども、先ほど言いましたように、キャブシステム研究会でも、これは計画的にやろう、特に、当面やはりある程度都会の密集したところから進めていこう。といいますのは、そういうところがやはり何といっても全体的なコストとしては安くなるわけでございますので、そういうところから始めるということでございます。しかしながら、例えば商店街とかそういうところがぜひやりたいということで、地元が強く要求してやる場合には、むしろ地元負担というのが原則になってくるということになっているようでございます。
  62. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 細かい話ですから、これ以上やってもちょっとなにですが……。  そこで、話はまた基本に戻るのですが、冒頭私が言ったように、類推してずっと延長線で見ると、それこそ八倍になる可能性も将来出てくるわけですが、大体商法の二百九十七条の立法の趣旨というものは、釈迦に説法、私が言う必要はないと思いますから言いませんが、その趣旨と電気事業法の三十九条の特例とのかかわり、解釈、もともとこれには一定の歯どめというか担保という意味もあっていろいろ規制が加えられていると思うのですね。それとこのような、いとも簡単というとおかしいのですが、四倍が六倍になり、今度は八倍になるだろうとさっきから私は言っているのですが、その辺の立法の趣旨と扱い、二百九十七条と電気事業法三十九条のかかわりについて、ちょっと専門の立場で説明してもらえますか。
  63. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  商法二百九十七条の立法の趣旨は、やはり社債権者の保護ということでございます。ただ、世界的に見るとこういう法律は余りないそうでございまして、イタリア、スペインその他にあるということで、アメリカ、ヨーロッパの諸国にはこういう規定がないということもございまして、現在この規定の必要性そのものを根本的に検討しようという段階にあることは、先ほど申し上げたとおりでございます。  なお、今度六倍にするわけでございますので、その点で社債権者の保護に欠けるところがないかという問題がございます。この点につきましては、実は電力の場合につきましては、公益事業として国によって規制、監督をされて、絶えず適正な運営が図られているというのが第一点。それから第二点は、電気事業法によりまして電力の場合の社債は一般担保が適用されるということで、これは非常に強うございまして、民法の先取特権に次ぐ非常に強い先取特権が認められております。それから第三番目には、発行する際に当該社債一般電気事業会社の財産状況とか償還能力に照らして大丈夫かということを通産大臣が確認することになっておりまして、そういう意味で私ども電力債についての債権者の保護には欠けるところがないというふうに考えております。
  64. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 電力、電気事業の関係はこれでわかりましたが、これと同じような特例扱いというか、特例を受けるところはそう数は多くないと思うのだが、どことどこがあるのですか。
  65. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 現在特例を受けておりますのは、一つは特殊法人でございまして、例えば国際電電、KDD、それからNTTの出します電話債券、それから日本航空、電源開発というのがございます。そのほかに鉄道債券、それから中小企業金融公庫が出す債券その他について特例がございます。  ちなみに申し上げますと、電発の場合には十倍、それから日本航空の場合には五倍、電信電話の場合には四倍ということになっております。なお、銀行につきましては別途ございまして、例えば東京銀行の場合には十倍、それからいわゆる長期信用銀行につきましては三十倍ということで、これも特例が認められております。
  66. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 そうすると、かなりの事業所といいますか、そういうところがあるのですが、これはこの提案のどこかの説明の中にも書いてあったと思うのですけれども、近く見直しをするというのは、そういう問題に対して商法とこういった特別法とのかかわりで、やはり正常なあるいはそのことが適用できるような法律に手直しという意味だろうと思うのですが、その辺をちょっと説明してもらえますか。
  67. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 商法二百九十七条は社債権者を保護する目的であるということでございますけれども、こうした立法措置というのは世界的に見ても余りない。先ほど私、スペインと申しましたけれども、これは誤りで訂正させていただきますが、イタリア、ポルトガル、アルゼンチンというところにあるけれども、欧米諸国の主要な国にはない。それは、こういう形でもって社債権者を保護しなくても、いわゆる社債の格付とかあるいは社債発行する機関に対する指導というようなことで十分できるということが、国際的な大きな流れになっております。そういう情勢を踏まえまして、法務省といたしましても、この二百九十七条そのものが必要性があるかどうかということを考え直したいということでございます。
  68. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今の点は、考え方はわかりました。  それで、私は素人でよくわからないのですが、設備投資をした場合には減価償却をやりますね。それらが今回のそういう問題が起こって八倍にしかならぬということと減価償却の性格というものがちょっとわからなくなったわけです。それぞれ耐用年数その他ありますが、一定の期間を通じてそのことはまた新たに設備がえができるようにするのが、減価償却等の準備が、それらがどのように動いておるのか。それは電気事業については微微たるもので、とてもじゃないが増資、増債をしなければやれないシステムなのか、どこかに欠陥があるのではないかという気がするのです。そうでなければいいのですが、そういった意味でこの減価償却というものはどのような形で補完されているのか、どのようにそれが手当てをされているのか、それをちょっと教えてください。
  69. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  普通設備投資をいたしまして、それを減価償却でもって回収いたすわけでございますので、同じ設備をつくるという場合については、普通は減価償却だけで論理的にできるわけですが、それに対して、実際にはインフレがあったり、それから新しく買う設備が高くなってしまうというようなことで、なかなか減価償却だけでは貯えないという状況がございます。  さらに現在、電力会社がいい例でございますけれども、次々と設備がふえていくという場合につきましては、減価償却だけでは既存の設備分だけのお金しかないわけでございますので、新しくふえる分の設備についてのお金というものは、これは新しく調達する必要がございます。  今後約十年間を見ますと、全体で四十六兆円お金が要るわけでございますが、これにつきまして私ども、約半分は内部留保で賄いたい、残りの半分について外部資金ということで、社債と借入金で賄うということを考えておりますが、その前半の五割という内部留保につきましては、その非常に大きな部分が減価償却ということでございます。
  70. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 大体わかりました。  この法案とは直接関係がないのですが、後で質問される同僚議員も触れられると思うのですけれども、一口に言って電気業界はもうけておる、特に円高差益によってもうかっておる。これに対しては、国民感情というか、消費者から見れば、もうかっておるのなら料金を下げてもいいんじゃないかという単純な気持ちが起こってくると思います。私もそう思います。もうかったときには還元するということにならないのかどうなのか。その辺の料金の算定は大変難しく、素人ではわかりにくいわけですが、簡単でいいですから、そういうことに対する希望が消費者に強いという立場を代表して、そういった意味で質問するわけですから、答えてください。
  71. 野々内隆

    ○野々内政府委員 電気料金は電気事業法に基づきまして総括原価主義をとっておりますので、電力料金の収入と原価を比較いたしまして、余れば値下げができますし、足らなければ値上げをする、これが一般原則かと思います。  ところで、電気料金というのは国民生活、産業にとって非常に重要なものでございまして、これをできるだけ長期安定的にしなければならぬということもまた事実かと思います。今回の円高の問題につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、まだ始まったばかりでございますので、その帰趨もめどがついていない状態でございますから、もうしばらく慎重に様子を見守りたいと思っております。  先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、六十年度決算の時期になりますと先の見通しもつくかと考えておりますので、そのあたりになりますと、電気料金にさわったものかあるいは長期安定的という観点からこの差益を使うべきか、そのあたりについての判断をしてみたいと考えております。
  72. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 最後に、通産大臣と科技庁長官お尋ねいたします。  今さっきから私がいろいろと主張しておりますように、内需拡大というものについては基本的に私どもは賛成であるし、どんどんやっていかなければならぬと思っております。そういったことで、社会資本を充実させる意味での共同溝の問題を取り上げましたが、この共同溝はどう考えても、何としてでも進めなくちゃならぬと思っております。交通整理の問題もあるし、それから、立体交差にする場合でも共同溝がいかに役に立つか、最近の交通ラッシュその他を見ますと、いつもそういうことを思うわけです。地上からガスホースや水道や電線、そういうものがなくなるということは、また違った意味で新しい都市化というものが生まれてくると思うので、この共同溝に対する将来の取り組みの姿勢をぜひ通産大臣にお願いしたい。  それから科技庁長官には、今さっきから出ております新しいクリーンなエネルギー。原子力に頼っておるし、またそれをさらに拡大しようとすることに対して私は反発するわけですが、クリーンなエネルギーに対して、コジェネの問題、それから今さっき申しましたように、それこそ水分解の新しいシステムによるところの無公害の電池開発など、これらに対してこれから集中的に取り組む気持ちがあるのかどうか。私の希望とすれば、そういう問題に積極的に取り組んでもらいたい。したがって、その辺の決意のほどをお伺いしたいと思います。
  73. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 共同溝の問題、この点は私は非常に重要だと思います。都市空間の有効利用、それからまた都市災害の防止などの観点から共同溝への収納を推進する。そしてまた、キャブシステム方式、いわゆる簡易共同溝も含めて配電線地中化についても、今後電気事業の観点からも合理的な範囲で着実に進めていくべきものである、このように考えております。  そして、電力の共同溝につきましては、今後とも引き続き開銀融資による助成措置を継続してまいる所在でありますし、配電線の地中化については今後関係省庁とも調整をしながら計画的に進めていく所在でございます。その工事費につきましては、六十一年度財投及び税制上による助成措置を要求しておるところでございます。建設省その他この問題についての所管官庁とよく協議をして、浜西委員の御指摘になりました点を今後進めていく方向で検討をいたします。
  74. 野々内隆

    ○野々内政府委員 先生指摘のコジェネあるいは燃料電池というような新しいエネルギー、こういうものにつきましては、今後電力需要に対応いたしましてベストミックスあるいは電力コストの低減という観点から、それぞれ望ましいポジションというものを検討いたしまして進めてまいりたい、かように考えております。
  75. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 じゃ、これで終わります。
  76. 浦野烋興

    浦野委員長代理 浜西鉄雄君の質疑は終わりました。  続いて、和田貞夫君の質疑に入ります。
  77. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今、同僚の浜西議員の質問に対しまして、今次の提案に対するあるいはエネルギー政策等についての政府の御意見をいろいろと賜ったわけでございます。  現行社債特例法が十カ年間の時限法であった、これが来年の三月三十一日で失効するので、このまま放置するとそれ以降の需要にこたえる電源開発等の設備投資というものが困るのだ、だからこれを延長するということと、それから社債発行限度の倍率を現行の四倍から六倍にするという内容であります。  四倍から六倍にするという内容はさておきまして、十カ年間の現行の時限法を今度は時限法じゃなくて当分の間ということで改正するという内容でありますが、この当分の間というのは日本の法律には随所にあるわけでございまして、大体何年ぐらいを目途とされておるのか。長いのでは四十年間も当分の間が続いている法律があるわけなんです。したがって、そのような設備投資というのは必要でないというような時期に仮になったといたしましても、それが当分の間ということでずっと未来永劫に続いていくというようなことも考えられるわけなんですが、今次の法改正に当たって当分の間ということにしたいきさつについてお答え願いたいと思うのです。
  78. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  今度のこの法律改正につきまして当分の間としたことにつきましては二つ理由がございます。  第一の理由は、前回この特例法ができた後、昭和五十二年に社債発行限度暫定措置法というのができまして、商法では資本金プラス準備金の額までとなっている枠を二倍まで発行できるということで、これは一般の企業全部にそれを認めたわけでございますが、その際に当分の間とされたわけでございます。そうされた一番大きな理由は、もとになっております商法二百九十七条につきましてそういう規制が必要であるかどうかということについて早急に見直す必要があるということで、その見直しがいずれ行われるということでございますので、その見直しが行われるまでの間ということで当分の間とされているわけでございます。  今回この特例法改正法も基本的には商法二百九十七条に対する特例法でございますので、このもとになる二百九十七条が見直されるということになりますと、この法律もその際に、もう一回存在を含めて洗い直す必要があるということでございますので、当分の間としたわけでございます。これが第一の理由でございます。  第二の理由につきましては、社債発行限度額を引き上げる一番大きな理由は、今後十年間に約四十六兆円、これは六〇%が非電源でございますけれども、電源、非電源を含めて非常に大型の投資が行われるということでございます。それに対応するために社債限度額を引き上げるわけでございますが、その投資も一巡するだろうということでございまして、その投資が一巡した場合にはこういう特別の措置は要らないということでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、この当分の間というのは商法規定が、見直しが行われるまでの間ということと、あるいはその前に資金が一巡するということでございましたら、一巡した段階ではこういう措置は要らないということで、その両方の意味から当分の間を考えているわけでございます。
  79. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 一巡をするということは大体どのくらいの見通しをつけておるのかということと、法務省来てもらっておると思いますが、本来、暫定措置法だとかあるいは特例法というのは、今も御説明があったように本法、本則が原則であるわけですから、その原則である現行の商法第二百九十七条の規定見直し検討というのはどの程度まで進められておるのか。次には通常国会があるわけですから、次の通常国会でこの部分についての商法改正が出されるというような作業を法務省としてはされておるのか、その点もひとつあわせてお答え願いたい。
  80. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 電力につきましての大型投資がいつ一巡するかといういつごろというのをお尋ねでございますが、何年と申し上げたいところでございますけれども、やはり内外の流動的なエネルギー情勢とか、あるいは今後の電力需要見通し、さらには電源立地の進捗状況その他等々を考えますと、何年ぐらいで一巡というのは、現在の段階で申し上げるのはなかなか難しいというように考えております。
  81. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 商法二百九十七条の改正見通しについてでございますけれども、私ども、今会社法に関しましては、中小会社に適した会社法をつくるという見地から検討いたしております。これは会社法の全面改正見直しの一環でございますが、その一環として社債法についてももちろん見直しをしなければならないということは考えておりますが、ただ優先順位といたしまして、社債法の問題というのはやや後になっております。  しかしながら、この社債発行限度の問題に関します限りは産業界から非常に強い要望があり、また、事実資金調達の面でこれが制約になっているという状況があったようでございまして、先ほど公益事業部長からお話がございましたように、昭和五十二年に社債発行限度暫定措置法という法律で暫定措置を講じたわけでございます。これは商法の全面改正の一環として社債法について見直しをするという際に根本的に見直そうという趣旨で、それまでつなぎの措置ということになるわけでございます。  ただ、この社債発行限度規定と申しますのは社債権者の保護のためのものでございまして、その社債権者の保護のためにこの二百九十七条の規定がどのように効果があるかという点についてはいろいろ議論があり、しかしながら代替措置として考えられる社債権者保護の措置が一体どんなものであるべきか、また、現実に日本においてどういう規定を設けることが可能であるかという点についてまだ必ずしも明確なコンセンサスができているわけではありません。  特に、ことしになってから社債につきましては格付機関というものが三つほど相次いで設立されたわけでございますけれども、そういうものの信頼度というものについてもまだ確定していないというような状況がございます。そういうものに頼って社債権者の保護というものを考えていいのかどうかという点も含めまして、私どもとしてはなるべく早く社債法の改正作業に取りかかりたいというふうには思っておりますけれども、現在のところ、来年の通常国会に直ちに提出するというような態勢にはないわけでございます。
  82. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 先ほど山本公益事業部長が我が党の浜西議員に、対しては、今も法務省の方から、現行商法社債発行限度というのはこれは社債権者の保護という説明がございましたが、これは別段、特例法が倍率を四倍を六倍にふやしても迷惑をかけない、保護になるという内容の趣旨の説明が事業部長の答弁としてあったわけですけれども、法務省の方はあくまでも、本則の商法改正についてはそこまで到達しておらない、ただ、事務的に今直ちに次の通常国会に出せるというようなことがないという一つの理由に、そういう意見もある、議論もある、こういうように言われているわけですね。そこでちょっと食い違いがあるんじゃないかというように私は思うのですが、この特例法改正を出されたことについて、法務省との意見の相違についてはどういうことですか。
  83. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど、今度六倍にいたしましても、電力債の債権者には保護という観点からは問題はないというお答えをいたしたわけでございますが、その根拠は三つほどございまして、第一は、電力事業の場合につきましては公益事業として電気事業法という法律がございますけれども、これによっていろいろな規制監督措置が行われております。したがいまして、電力各社につきましてはその適正な運営が確保されているということでございます。  それから第二は、これも電気事業法によってでございますけれども、一般担保が適用されておりまして、電力会社社債権者はその会社の財産について先取特権が認められるということで、非常に優先的な権利が認められているということでございます。  第三番目には、社債特例法、今度の法律の第三条に基づきまして実際の社債発行をする際には、その社債一般電気事業会社の財産状況とかあるいは償還能力等に照らしまして過大なものではないということを通産大臣が個別に確認するという制度をとっておりまして、したがいまして、その際に担保余力につきましても十分確認されるということでございます。これは電力事業の社債についての特別な制度でございますけれども、以上の三点から見まして、社債権者の保護は十分であるというふうに考えたわけでございます。
  84. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 法務省の方にお尋ねしますが、そうすると電力事業については今お答えになったことは認めておられるわけですね。ただ、一般的に、暫定措置法がありますが、社債限度枠を一挙に二倍にするということについてはいろいろな意見があって本則の改正案についてはまだ踏み込めないということですか。
  85. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 電力会社については今お話がありましたような特殊事情、例えば行政監督が行われているとかあるいは一般担保に供されているとか、そういう社債権者保護のための措置が講じられているわけでございまして、一般の会社についてはそういう措置がないということからその差があることは当然であるというように思っております。  先生指摘のように、暫定措置法におきましては、担保つき社債でありますとか転換社債でありますとか、特殊のものに限りまして発行限度の二倍まで発行することを認めているわけでございますけれども、直ちにこれを本則化する、あるいは一般的にこれを二倍、三倍にするというような措置を講ずるのが適当かどうかという点については、先ほどお話ししましたような事情、諸条件の考慮が見終わっておりませんので、まだそういう段階にはなっていない、こういうことでございます。
  86. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これもひとつ早急に議論を進めていただき、検討していただきたい。何か法律というのはたくさんある方がいいというようなことじゃなくて、本則は本則としてある以上は、できるだけ暫定措置法だとか特例法だとかいうようなものが少ない方がいいと私は思いますので、その他の関連もあると思いますけれども、早急に本則自体改正案について近い国会に上程をしてもらう努力をしてもらいたいという意見を付しておきたいと思うわけであります。  そこで、もう一つ。経済企画庁の方にお尋ねしたいわけなのですが、十月十五日の経済対策閣僚会議で決めた「内需拡大に関する対策」、いわゆる内需拡大策についてでございます。今度の特例法改正案というのは内需拡大策というよりも、むしろ大方の改正の理由の部分というのは内需拡大策とは関係がないかの答弁を先ほどお聞きしておったわけなのですが、しかし、この内需拡大策の中に「民間設備投資の促進」ということで大々的に電力事業についていろいろな設備投資の指導をするということを掲げておるわけですね。  この内容を見てみますと、三カ年間で一兆円程度設備投資を追加させて努力指導をやっていくということだけで、あとの法改正については内需拡大じゃなくてむしろ現行の電力事業の来年以降の設備投資に支障を来してはならないので社債の倍率を六倍に引き上げるということだったと思うのです。  しかし、いずれにいたしましても、この関係閣僚会議でお決めになった政府の「内需拡大に関する対策」というのが出ておるわけですから、このことについて、我が国の経済に与える効果というものは今後一体どういう見通しがつくのかということについて経済企画庁の方からひとつお答え願いたいと思います。
  87. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 十月十五日経済対策閣僚会議において御決定になりました内需拡大に関する方策の経済効果いかんということでございますけれども、このたびの内需拡大策につきましては特徴点が四つございます。  まず第一は、この対策は経済摩擦の解消を経済の拡大均衡を通じて実現しようというねらいを持っているという点が第一点でございます。  それから、十月十五日という時点で決定をする、つまり我が国の予算制度のもとにおきましては新しい予算措置あるいは税制改正措置を伴った措置を決める時間的な時期ではない、こういうこともありまして、民間活力を最大限に活用することを基本としているという点が第二点でございます。  したがいまして、予算、税制措置等を伴うような国内需要の拡大策につきましては、今後の予算編成、税制改正の過程で検討をしてお答えを出す、こういうことを第三点として言っております。  今申しましたように、経済摩擦の解消を主眼として経済の拡大均衡を通じて実現するということではございますけれども、九月二十二日のG5の決定以来円レートの急速な上昇があるわけでございますから、さらに第四点といたしまして、円レートの動向とその国内経済に及ぼす影響に適切な注意を払いつつ弾力的な政策運営を行っていきたい、今後の経済政策につきましての政府としての態度をはっきりさせたという点がございます。  内容的には「当面早急に実施する対策」と「今後推進する対策」といったようなことで、かなり多岐にわたっております。その中で公益事業、特に電力、ガスの設備投資の追加、そのための資金の円滑なる調達という観点から今回の法律案を御審議いただいているということでございますが、いろいろ多岐にわたる項目につきましてすべて効果を計算することは必ずしもできません。  そこで、一定の前提条件を置きますと、試算が可能なものについてその効果を推計したということでございますが、その効果は事業規模で三兆一千億円強、さらに波及効果も含めまして、GNP拡大効果ということになりますと四兆一千億円余りということになります。これは今後一年間ということでございまして、六十年度ということではございません。  さらに今回の対策の主たる目的が経済の拡大均衡を通じて経済摩擦を解消するということでありますので、この輸入拡大効果についても計算をしておりますけれども、私どもの推計によりますと、二十億ドル前後の輸入拡大効果があるということでございます。
  88. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 電力業界設備投資は、この資料にも書いてありますように、また先ほども提案者の方から言われておりましたように、かなり大規模設備投資であるがために大企業への発注ということになっていくわけですね。したがって、この設備投資によって中小の企業に対して、あるいはその地域の経済に対してどのような効果をもたらすというような期待を持っておるのか。そういうことは全然考えておらない、中小や地域のことは全然考えておらない、とにかく今お答えになったように大きな経済効果ということだけしか考えておらないということなのか、ひとつお答え願いたいと思います。
  89. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 和田委員、非常に全般的な御質問をいただいておるわけでございまして、内需の拡大についての意義というものも非常にお認めをいただいたわけでございます。  先ほど経済企画庁の担当でございます赤羽局長から詳細に内需拡大についてのお話があったわけでございますが、当然、内需の拡大というのの対象設備は、送電、配電など電力流通関係の設備が大部分となっておるわけでございます。これらの設備は機器、材料等比較的簡易なものが多く、各電力会社は地元業者からの供給に依存する場合が多い、こういう想定をいたしておるわけでございます。  また、工事実施の面でも、送電、配電など、それぞれ専門の地元業者が工事を請け負っておるというのが実態であろうかと思います。したがって、今回の内需拡大策の効果は、かなりの部分が各地域の地元業者に波及をする、こういう期待を私どもはいたしております。  なお、電力会社の方でも、機材、請負工事等の調達において地元依存ということを考えておりまして、また、工事の実施や事故のときの対応など安定供給に直接かかわることから、地元業者の優先利用、育成等にも特段の配慮をしておる、こういうふうに聞いております。  いずれにいたしましても、通産省としては、今後とも中小企業等、地域経済の発展のためにこの内需の拡大が及ぶことを前提と考えまして、十分な配慮をしていきたい、このように考えております。
  90. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 貿易摩擦の解消の一策として、内需の拡大ということは、むしろ今日冷え切ったあるいは倒産が相続く中小企業あるいは地域経済に経済効果をもたらしてほしい、こういうところから我々が言っておるわけでございますので、今通産大臣の方からお答えになったわけでございますが、とにかくそれは下請あるいは又請、材料ということになれば、そのことに通じていくであろうと思いますけれども、やはり配電線の地中化の問題にいたしましても、これは電力会社自体が抱えておるいわゆる建設の子会社というのがありますし、それを中心になされておるというのが事実問題であります。  したがいまして、一般的な中小企業あるいは地域の経済にもたらす影響が大になるように、なお各電力会社にぜひとも設備投資に当たっては、せっかくの内需拡大の一環としてやる限りにおいては、今大臣がお答えになったそのことを十分に徹底してもらうようにお願いしておきたいと思うわけです。  なお、先ほども浜西議員の質問お答えになったわけでございますけれども、この地中化の問題は、簡易共同溝を含めて、なかなかこれでは進まぬわけですね。大都会から電柱の姿がなくなるというのは大体何年ぐらい先になるのですか。あるいは日本列島から送電線の鉄柱や町、村の配電線の電柱がなくなってしまうというのはほど遠い将来の話になるのじゃないかと思うのですが、これはひとつ率直に、今のような十年で千キロとかあるいは一年で百キロとかというようなことではどうも話にならぬわけでございますので、これは町の美化の点からいっても必要な問題であるわけでございますから、その点ひとつお答え願いたいと思います。
  91. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 配電線の地中化につきましては、都市あるいは町の美化、さらには交通の問題、それから電力の場合の安全の問題等々非常に望ましい点が多うございますけれども、先ほど申しましたように、そのお金は電線を張るのに比べて、場所によって非常に違うのですけれども、五倍から三十倍ぐらいかかるということで、非常に膨大なお金がかかるわけでございます。  従来は年間大体十五キロから三十キロぐらいをやっていく、しかもほとんどが東京でございますが、やっておったわけでございます。それに対して、これを急速に加速しようということで、先ほど申しましたように、年間百キロぐらいやったらどうかということで、これは従来のペースに比べて四、五倍のペースアップになるわけでございますが、そういうことで現在進めておるわけでございます。そのためのお金は大体三千億ないし四千億円かかるだろうということでございます。  今般、内需拡大ということで一兆円の投資をするわけでございますけれども、その際にもこの地中化については大いに加速しようということで考えています。ただ問題は、これを加速するといたしましても、実際に行う場合には当該地元と調整し、かつ工事が大規模工事になりますので停電が非常に長く続くとか交通遮断が起こるとか等々ございますので、やる場合には計画的にやらざるを得ないということでございます。  先生がおっしゃいました日本全国から電柱がなくなっていまうというのが将来の夢でございますけれども、ざっと計算しても何百兆円というお金だそうでございまして、やはりある程度密集した都会地を中心に地道に進めていくということになろうかと思います。
  92. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 この点は時間の関係もあるのでそう議論はしたくないわけでございますけれども。せめてひとつ共同溝にしてもあるいは簡易共同溝にいたしましても、都会から電柱が一日も早く消えるような、そういう姿をつくってもらうためになお一層の努力をしてもらいたいということを意見として申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、各電力会社は近年極めて高収益を上げているということでありますが、これは国際的に見ても日本の電力会社が非常にもうけておるということが言われるわけであります。電力会社というのは、言われておるように、公益性というのを主としておるわけでありますから、収益を上げればそれを需要者に還元するということにしていかなくてはならないのであります。先ほども言われておったわけでありますが、株主への高率配当はやっても、料金の値下げということよりも長期安定ということをしばしば言われるわけですね。値上げをする場合も長期安定と言われる。そして、円高によって円高差益が出てもあるいは高収益を上げても値下げをするという姿を見せるんじゃなくて、長期安定のためには設備だ、こういうことを繰り返しておる限りにおきましては、どうにもこうにもならなくなって値上げたというときには消費者は納得しませんよ。やはり消費者に対して還元をする、値下げによって還元をしていくということを私は忘れてはならないと思うのであります。  したがいまして、各国の電力会社と比べて日本の電力会社というのは言われておるように国際的にも優位に立った高収益を上げているのであれば、ひとつ数字的に示してもらいたいと思いますし、さらにひとつ通産大臣としての値下げについての御見解をちょうだいいたしたい、こういうふうに思います。
  93. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  国際的な比較ということで電力会社の収益というお話でございましたけれども、私どもの手元には収益面での国際比較はございません。と申しますのは、アメリカは民間企業でやっておりますけれども、約三千社あるというふうな状況でございますが、一方、イギリス、フランス、イタリー等は国営でやっております。そういうことで、アメリカは民間でございますけれども。そこの統計がございませんので、そういう面では国際的な収益比較はちょっと手元にございません。
  94. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 今数字的なデータあるいは各国の関係等について山本部長からお答えを申し上げましたが、円高差益の還元問題、これは非常に重要な御指摘であると思います。それで今回の円高差益等も考えながら、内需の拡大ということについて電力会社が非常に前向きの対応をしておる。したがってこの電気事業の設備投資は、事業遂行上の必要性等も十分考えながら計画的に行うという意味において、相当長期的なタイムラグで考えていかないと消費者の利益に即応しないという基本的な問題がございます。  今回の内需拡大策の一環としての投資の積み増しは、送変配電等の流通設備を中心に、六十三年度までの間、総額一兆円程度を追加的投資として実施しようとするものでありまして、これも、国民生活の水準が向上をし、高度情報化社会が進展する中で、供給への信頼性向上に対する社会的な要請にこたえるものだ、まずこういう基本的な考え方を持っております。そして日本は、委員御承知のように九電力体制でございまして、その点非常に合理的な経営というものが考えられ推進をされておるという前提を我々は考えるのでございます。  為替レートと電気事業の動向というものについて考えてみますと、御承知のように昭和五十三年に約七%の電力料金のダウンを行ったのは事実でございますが、その前に、五十一年には二三%のアップをいたしております。そして五十三年の二年後の五十五年には、今度は逆に五〇%のアップをしておるということで、わずか四、五年の間にアップが二回、そして小幅のダウンということをしておるわけでございますが、これはまさに、消費者の立場からいえば、大変迷惑をおかけした面が多いのじゃないか。つまり、七%下げたが、その期間を挟んで二三%アップ、五〇%アップという二回の大幅なアップをしておるのでございまして、これは消費者にとっては決してプラスになるゆえんではない。したがって、ある程度長期的なタイムラグを考えながらこの問題は考えるべきが本筋であるというふうに考えておりまして、究極的に消費者、一般国民にどういうような対応をしていけば円高利益というものに対して真の意味でプラスになるのであるかということを見定めていかなければならぬ。  いずれにいたしましても、現在はまだ円高が始まりましてからわずか五十日間余りでありますので、この期間においてそういった問題に触れるのは早過ぎる。先ほど野々内長官からお答え申し上げましたように、この円高が定着をし、そして各電力会社の需給の見通し、そしてまた資金見通し等がもっとはっきりする、恐らくこれは来年の六月ぐらいになるのじゃないかと思いますが、そういった期間において総合的に判断をして、究極的に国民生活にプラスになるという方向で検討すべき問題である、このように私は考えております。
  95. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 収益については国際的な比較の資料というのはないとしても、電力料金については、国際的に見て日本の電力料金というのは非常に高いということは認められると思うのです。したがって、過去値上げをしてきたいきさつから見て、収益を上げるということになれば、どうにもならなかったらひとつまたお願いしますよという意味で、消費者に納得をしてもらい理解をしてもらうためにも、消費者に還元するということは、ひとつ通産の方ではぜひとも大きな検討課題として持ってもらって電力会社に指導してもらいたい、こう思います。  ただ長期安定のために設備設備だと言ったところで消費者は納得しないわけでありますから、その必要性を消費者に理解をしてもらうためにも、やはりもうければ還元するという原則の上に立って指導してもらう、これは公益性を主とした事業であるわけですから、ひとつぜひともお願いしたいと思うのですが、もう一度お答え願いたいと思います。
  96. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 和田委員の御主張はよく承りました。先ほどお答え申し上げましたように、究極的に一般国民にとってどういった形で円高差益の還元をすべきであるかということがやはり一つの大きなテーマだと思います。  先ほど五十三年の例を申し上げましたが、ああいったことでは一時下げたことが少しも国民の利益にならない。そういった意味で、例えばそういったことによる収益をほかの使途に充てないように積み立てて、また物価が上がったり、あるいはその他いろいろな社会的要因に対応して値上げをしないで済むような、そういう長期的な視点で委員のおっしゃった点をよく検討いたしたいと存じます。
  97. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 最近、電力会社が電気通信事業に進出するという動きがあるわけなんですが、これまた消費者としては心配をするところであります。そのことによって電気料金に影響を来さないであろうかという心配をしておられる消費者のために、この動きについて、通産省としては電力料金に対する影響は与えないという自信を持っておられるのかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  98. 野々内隆

    ○野々内政府委員 最近、東京電力が電気通信事業に出るという報道がございまして本件が問題になっておりますが、電気事業者は、その設備あるいは通信技術というものは非常に高い能力を持っておりまして、電気通信分野での協力ということにつきましては、いろいろな方面から協力の要請が参っているというふうに聞いております。  しかし、一方、電力会社というのは安定的かつ低廉な電力供給というもの、これが公益事業者の責務でございますので、そういうものへの悪影響があってはならないというのが必要なことかと思います。したがいまして、私どもとしましては、この両者を勘案をいたしまして、子会社による方式、あるいは中立的な対応というような形での指導ということを考えております。  今回の東京電力の場合も、子会社を設立をし、明確に区分された経理によりまして電気通信事業に参入をするというふうに聞いておりまして、新会社は当然独立採算で運営するというふうに考えておりますので、電気事業への悪影響というものはないと考えております。
  99. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 それは消費者として心配をしておる面でありますから、ひとつ今お答えになったことを十分かみしめていただいて今後対応してもらいたいと思います。  そこで、さらに消費者の心配であるわけでございますが、電気の安定供給、こういう錦の御旗のもとに、必要以上に急激に投資を拡大して設備をどんどん進めていくこと、電源開発をどんどんやっていくこと、これについても、やはり結果的には需要者や消費者にしわ寄せが来るのではないかという懸念さえあるわけでございます。その点についての見解と、あわせて現行の九電力体制で電源開発等をやったりあるいは電力業界の運営をやっておるわけでございますが、この設備についてもやはりそれ以上に枠を超えた広域的な運営をやっていく。  例えば電源開発を共同で広域的に開発を進めていくというようなことによって設備資金需要というものが極めて合理化される面もあるし、効率化を図ることにもなるわけでございますから、徹底的に効率性を追求していくためにもそのような行政指導というものが必要ではなかろうか、こういうように思うのですが、御見解を承りたいと思います。
  100. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  電力投資が非常に膨大でございますが、その内容としては、増大する電力需要に対応するあるいは電源多様化を図っていく、さらには国民生発電の向上や高度情報化社会に対応した供給信頼度の向上ということで、送電、配電、変電設備投資をするということでございまして、これは電力の低廉かつ安定的な供給を確保するためには必要不可欠の投資であるというふうに考えられるわけでございます。  こうした投資をいたしますと資本費の上昇をもちろんもたらすわけでございますけれども、石油代替電源開発による燃料費の減少あるいは停電の防止その他今後の高度情報化社会に対応するための電力の責任の合うというようなことで、電力会社の事業運営あるいは経営の安定に寄与するものであるというふうに考えておるわけでございます。こうした膨大な投資を、できるだけ効率的かつ低廉な資金調達しながら取り組んでいきたいというのが現状でございます。  先生のおっしゃいました現在の九電力体制の問題でございますが、現在電力事業は民営企業でやっておるわけでございますが、その主体性を発揮する、あるいは経営の効率性を発揮する、あるいは地域の状況によくマッチした対応をするというようなことで、最近臨調等の審議におきましてもそのパフォーマンスについては大変評価をされているわけでございます。ただ、こうして地域が分割されておりますので、そうした面を補うという点で御指摘の広域運営というのを大いに活用する必要があるということでございます。  特に、具体的な内容といたしましては、電力融通を拡大するあるいは共同開発をする、さらには連系線の強化というようなことでお互い各地方の電力会社が協力し合いまして一層の効率化を図っていくということで、たくさんプロジェクトがございますけれども、具体的にはそういう広域運営のためのプロジェクトを互いに進めておりまして、それによりまして、運営の効率化、さらには設備資金の運用自体の効率化ということを図っておるわけでございます。
  101. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 来年度以降の設備投資によって、今も言われましたように、停電あるいは電圧低下、これらの防止等によって、いわば消費者あるいは需要者電力供給信頼度を向上させることができるというように通産省としては考えておるというように受けとめておっていいのですね。
  102. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおりでございます。最近特に情報化の急速な進展あるいは都市構造の高度化がございまして、電力供給面における社会的要請がますます高まっておりまして、そういう意味では供給信頼度の向上というのは非常に大きな課題となっておるわけでございます。  特に、供給信頼度の向上の対策といたしましては、従来から送電線の多回線化あるいは変電所の変圧器や母線等の二重化あるいは配電線自体についてループ化するあるいは柱上の開閉器の自動化をするということで、実際に停電が起こらないようにあるいは停電が起こった場合にもそれが速やかに回復するようにということで、種々の対策を講じているわけでございます。  特に、来年度につきましてはさらに配電線の自動化ということについても一歩踏み出すということでございまして、現在来年度の財投、税制に配電の基盤高度化ということを進めるための施策を準備中でございます。  現在、停電ということで見ますと、我が国は欧米諸国に比べて停電の時間あるいは回数ともに抜群のいい状況でございますけれども、先生指摘のように今後そういう供給信頼度に対する要請はますます高まるということでございますので、こうした政策には力点を置いていきたいと考えております。
  103. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今回の改正一般ガス事業会社をこの社債特例法対象から除外しているわけですが、その理由として、大手の一般ガス事業会社が天然ガス導入に関連する設備投資が一応一巡した、こういう理由であるわけです。しかし、一面中小の一部の事業会社についてはなおその天然ガス導入の計画がある。これらを含めて中小のガス事業者の御意見をお聞きになっての上なのか、これらの中小一般ガス事業会社に対して今後そのような中で支障を来すということがないと断言できるのかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
  104. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 中小のガス会社を含めてガス業界の御意見は十分拝聴いたしまして、問題はないということで今回の原案をつくってございます。  先生指摘のように、大手のガス事業会社につきましては既にLNGの導入が大体終わっておりまして、そういう意味では今後非常に大きな設備投資が中長期的に出てくるという状況でございませんので、これについては資金需要からいっても特例法に入れる必要はないということでございます。  中小のガス事業会社につきましては、これからLNGの導入が起こるということでございますので資金需要が起こってまいります。ただし、この特例法がなくなった場合につきましても社債発行限度暫定措置法昭和五十二年につくられた法律でございまして、その法律によって商法限度の二倍までは発行できるということでございますので、その措置で十分に対応できるということでございます。  なお、地方都市ガス事業LNGを入れる場合につきましては、やはり資金的な需要も起こりますし、また担保その他のことでもいろいろ問題が生じるだろうということで、本年度から開銀、北東公庫などに低利の融資制度というのをつくりまして、ここから資金供給するということで万全を期するということを考えております。
  105. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間もありませんので、最後に、省エネに対する需要者、消費者の自覚の問題、あなた方の方からいうならば啓蒙の問題ですが、しばらくこの省エネ、省電力ということについては非常に関心があったのですが、最近は日曜、祭日のガソリンスタンドはもう休日がなくなりましたし、それから長期安定のために来年から多額の社債発行によって設備をやっていくんだ、大丈夫だ、こういうことになれば、おのずから需要者、消費者の省エネ、省電力の意識というものがだんだん薄れていっておるし、薄れていくと私は思うのですね。  まあ売ったら商売になるんだというようなことだけじゃなくて、何といっても資源の少ない国であるわけですから、一方では電力長期安定の抜本策の中で消費者の皆さんに迷惑をかけないということとともに、やはり消費者の皆さん、需要者の皆さんには、電力をむだに使わない、節約しなくてはいけないという省エネルギー、省電力の啓蒙というものは今後なお続けていかなくてはならないと思いますし、そのことはやはり大事な問題であろうと私は思うわけであります。  したがいまして、設備投資よりもそのことを念頭に置いたなお一層の努力をひとつ傾けてほしい、こういうように思うわけですが、最後にその点についてのお答えをひとつ大臣の方から述べていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  106. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 大変いい御指摘だと思います。国際的な原油事情が数年前と変わってきておりまして、その点で、和田委員指摘のように、省エネ省エネと言った時代からやや客観的情勢が変化したことは事実だと思います。  しかし、日本の資源賦存事情などを考えますれば、まさに原油にいたしましても石炭にいたしましても資源の非常に少ない国でございます。そしてまた、先ほど外国の電力料金との比較等いろいろ広範な視点から御指摘になりましたが、そういったいろいろな客観的情勢から考えれば、日本という国はぜひ資源を大事にして、そしてそれを大切に使っていくという原点に常に返らなければいけないわけでございまして、その意味で、和田委員の省エネという御指摘はまさにそのとおりであると思います。  したがいまして、今後も、そういった原油の供給事情その他にかかわらず、省エネという精神は常に国民生活にとって必要な考え方であるということでしっかりと啓発を続けてまいりたいと思います。
  107. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 終わります。
  108. 浦野烋興

    浦野委員長代理 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後二時一分開議
  109. 粕谷茂

    粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。城地豊司君。
  110. 城地豊司

    城地委員 今回、この社債特例法が提起をされているわけでありますが、この法律を約十年前の昭和五十一年に制定したわけでございます。その制定後今日までの約十年間の実績推移を各年度別にお知らせいただきたい。  それと、きょうは時間がありませんのではしょって申し上げますが、この社債発行限度の特例の改正は、結局、資本及び準備金の総額または純資産額のいずれか少ない額の四倍ということに現行はなっているわけでございますが、私の感じでは資本及び準備金の総額の方が純資産額より少ないのじゃないかというふうに考えております。ということになりますと、資本及び準備金の総額のこれまたこの十年間の推移状況について最初にお知らせいただきたいというふうに思います。
  111. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  まず、社債発行状況でございますが、昭和五十一年度から六十年度までということで、これを五年ごとの数字で見てみますと、昭和五十一年から五十五年までの五年間に社債の手取りベースでもって三兆円でございます。それから五十六年から六十年までの五年間は手取りベースで一・七兆円でございます。両方合わせまして全体は五十一年から六十年までの十年間に手取りベースで四・八兆円の社債発行いたしております。  なお、実際に発行した額といたしましては、この十年間に九兆円でございます。その結果、社債発行残高といたしましては六十年度末で約八・一兆円となっているわけでございます。これが社債発行についての現在までの推移でございます。  なお、この法律制定時には社債発行総額は一応二十兆円ということで見込んだわけでございますが、それが現実には九兆円の発行ということになっております。  それから、もう一つの資本及び準備金の件でございますが、これにつきましては、両方足しまして五十年度末には一・六兆円でございましたが、五十五年度末には二・二兆円になりまして、六十年度末は二・九兆円になる見込みでございます。  これが増加いたしました理由は増資が一つの原因でございますが、そのほかに、準備金につきましては利益準備金と資本準備金がございますが、利益準備金につきましては、これは配当を行うたびに配当の一〇%を積み立てるという準備金でございまして、資本金の四分の一に至るまで積むということになっております。それから資本準備金の方は、増資の際に時価発行いたした場合にはその時価発行した額面を上回る分につきまして準備金として積み立てるものでございます。  両方合わせまして六十年度末の実績見込みで申し上げますと、資本金が二兆四千億、準備金につきましては資本準備金が二千百九十九億円、約二千二百億円、利益準備金が二千七百四十七億円、約二千七百億円でございまして、全体をトータルいたしますと二兆八千九百七十二億円、これが現在の資本金と法定準備金の合計額でございます。
  112. 城地豊司

    城地委員 社債発行と資本金との関係、さらにはなぜ社債発行するのかということについて昭和五十一年の国会の審議の中でもいろいろやりとりがあったようでございますが、資本金をふやすよりは社債発行した方が金利その他の関係で非常にメリットがある、そういうことで社債発行するんだというような意味のやりとりがあるわけであります。  それらのやりとり、さらにはもう一歩突っ込んで考えますと、社債を多くすることが会社経営上一番大きなメリットになるのかどうか、そういうふうに考えておられるかどうか、質問をしたいと思います。
  113. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 企業が資金調達する場合に、自己資本調達する場合と外部資金調達する場合がございます。もちろん自己資金が一番望ましいわけでございますが、内部留保以外の自己資金としましては増資ということになります。増資につきましては調達コストが非常に高こうございまして、配当のほかに法人税その他の税金を足しますと大体二〇%ぐらいになるということでございます。社債とか借入金の場合には金利が七%前後ということでございますので、こういう点から増資によって資金調達いたしますとどうしても高くつくというのが現状でございます。そういうことで従来も増資はそれほど多くございませんでしたけれども、今後はさらに増資のテンポはかなり緩やかなものになるというふうに予想されます。  次に、外部資金でございますが、これについては借入金とそれから社債がございますが、まず借入金につきましては、金融の繁閑によって資金量が変わってくるというような問題、あるいは金利面でも非常に不安定である、さらには電力の場合には大口融資規制がかかってくるというようなことがございまして、この借入金に全部を頼るということは非常に難しゅうございます。  一方、社債につきましては、増資に比べて調達コストは低い、しかも大きなロット調達できる、長期安定資金であるということでメリットがございます。社債につきましては一般に長期安定的であるという趣旨から準自己資金というふうに位置づけられますけれども、そういう意味で社債の割合をある程度確保いたしますと、コストの面でいってもあるいは資金安定性という面でいつでもメリットがあるというふうに考えております。
  114. 城地豊司

    城地委員 結局、社債増資に比べて資金調達コストが非常に安いということで利用するということでございますが、私は財政金融、会計学の専門ではありませんが、会社運営の基本は何といっても自己資本ではないかと思います。  そういう意味で、特にこの電力事業の関係はどんどん設備を新たに投資して伸びていく、それに追いついて自己資金をどんどんふやすということにいかないという事情は一般的には理解できますけれども、やはり何といってもいわゆる自己資本の全体に占める割合ということになると、自己資本が多くなることは経営上安定的な経営になる。社債とか借入金に頼るということよりはその方がいいんじゃないかというように理解しているわけです。  そういう立場からいたしますと、今、社債は準自己資金というのですが、準自己資金という言い方もまたある意味でおかしな表現じゃないかと思いますが、そういう意味合いでいきますと、電力事業関係では通産省としては自己資金はどれくらいなところにあるべきであるのか、例えば、現在はこうであっても将来はこういうふうな姿であるべきであるというような点も含めて、自己資本率のあるべき姿というようなものについてお考えがあればお聞かせをいただきたい。
  115. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 九電力会社自己資本比率の実績は、昭和四十年代前半までは三〇%程度の数字で推移いたしたわけでございますが、昭和五十年度に入りまして一〇%台で推移いたしております。具体的な数字を申し上げますと、昭和四十年度末には三一・四%でございましたが、四十五年度末には二七・一%、五十年度末には一八。五%、五十五年度末には一四・〇%というところに参っております。  御指摘のように、その会社安定性ということから見ますればやはり自己資本が望ましいということでございますけれども、一方、電力の低廉で安定的な供給を確保するという場合に、今後当分の間、相当増大する設備資金を賄うためには膨大な資金が必要であるということでございまして、その資金については外部資金へ依存することはやむを得ないというふうに考えております。  御承知のように、内部資金として最も望ましい減価償却資金でございますが、これが大体内部資金の大部分を占めるわけでございますけれども、電力会社のように設備が次々と増大していくという場合には、減価償却でもってこれを補っていくというのは非常に難しゅうございます。そういうことで、やはり外部資金への依存が高まるというのはやむを得ないというふうに見ております。  しかしながら、経営の健全性という面から見ますと、御指摘のように、自己資本比率というものの低下は余り急激であってはまずいという観点もございます。今回の特例法の前提となる試算で見ましても、七十年度末についても一〇%は割らないという計算をいたしております。具体的に数字を申し上げますと、現在、六十年度末は自己資本比率は一五・〇%でございますけれども、六十五年度末に一二・〇%、七十年度末に一〇・六%ということで、今後士も漸次比率は減少いたしますけれども、やはり一〇%のラインは守っていきたい、それが望ましいというふうに考えております。
  116. 城地豊司

    城地委員 一〇%を割らないという話でありましたが、一般の、例えば日本における大企業と言ってもいいのですが、そういうところのいわゆる自己資本率との比較でいきますと、私はこの一〇%では低いんじゃないかと思うんですね。各会社別の資料を詳細に見ておりませんけれども、日本の大企業がおおむね三〇%前後じゃないかというように思うのです。そういう意味合いで、電力の実情が七十年末で一〇・六%に自己資本率がなるという御説明でありましたが、中長期的に見てどれくらいが望ましいのか、それらについてお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  117. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 企業の自己資本比率につきましては、諸外国に比べて日本は非常に低いというのが一般的な状況でございます。そういう低い日本でございますけれども、昭和五十八年度の数値で申し上げますと、全産業の平均では二〇・三%でございます。二〇・三%というのが全産業の平均でございます。そのとき電力は、五十八年度では先ほど申しましたように二五・二%、一五%程度でございます。  若干産業別に見ますと、例えば電気機械三六・一%、自動車四〇・三%、ここら辺は自己資本の非常に高いところでございます。これに対しまして、例えば石油精製は七・六%、私鉄は一〇・七%ということで、これは自己資本比率の非常に低い例でございます。  私ども、自己資本はできるだけ高い方が望ましいという点については全くお説のとおりでございますけれども、現在の電気事業のように、今後かなり膨大な設備投資をしなければならない、その場合に、設備投資資金についてはできるだけコストの安いものを選ぶ必要がある、全部を増資に頼ることはできないという状況を考えますと、ある程度自己資本が下がってもやむを得ない。そういう意味で、ほかの設備産業についてもどうしても自己資本が下がっております。  そういうことで、我々としましてはそういう形で膨大な設備投資、そしてそれに必要な設備資金調達が必要であるという状況におきましては、ある程度下がっていくのはやむを得ないかというふうに考えておりますが、そういった状況が終わった後にできるだけ自己資本を高めていくという努力が必要であるという御指摘については、そのとおりだと思います。
  118. 城地豊司

    城地委員 自己資本率のあるべき姿について私もはっきりどういう見解で何%にすべきだという結論は持ち合わせておりませんけれども、今お答えがあったように、いわゆる設備投資をする、しかも電力需要との関係でどんどんいろいろなところに金をつぎ込む、しかし自己資本率はどんどん低下をする、そういうことで果たしていいんだろうか。社債とか借入金だけで賄っていっていいんだろうか。大きな工事をやるのに自己資本でそんなにできるあれはないという現実は我々はわかっておるのですが、だからといって、やすきに流れて借入金もしくは社債ということだけで、果たして産業の実態を見てそれでいいという結論になるかどうかという点では疑問を持っておりますが、これは後ほど結びのところで要望申し上げたいと思います。  次に、時間がありませんのでまとめて御質問申し上げますが、電力債の消化の内訳、個人消化とその他に分けて、それらの内訳はどういうふうになっているのか、また、今後これは四倍が六倍ということで、そういう意味では社債の関係がふえていくわけですが、そういう場合でも、個人の消化が今のところ多いようでございますが、そういう状態のまま推移するのかどうかという見通しも含めてお答えいただきたいと思います。  もう一点は、エネルギー庁で試算をした資料によりますと、このごろ国内だけでなくて、海外の外債というようなものも昭和五十七年度からかなり入ってきているようでございます。一年間、五十七年度千四百七十八億、六十年度二千四十七億というような外債が入っているようでありますが、これらの傾向は今後も続くのかどうか。  それから、外債に踏み切って今こういう状況になっているわけでありますが、今後の外債のあるべき姿、例えば今後どんどん伸ばして国内だけの資金でいかない、国内債と外債と両方同じぐらいにするんだとかいうような考え方とか、もしくはその逆にもっと外債を少なくする、国内債を多くするというお考えなのか。それらの基本についてお考えがあればお聞かせいただきたいというように思います。
  119. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 まず、電力債の消化先でございます。  これにつきましては、現在の状況を申し上げますと、五十九年、一番新しい数字で申し上げますが、個人の消化が六三・七%でございます。それから都銀、長信銀の比率が一二・一%、それから簡易保険が一三・七%その他となっておりまして、非常に個人の消化率が高いというのが電力債の特徴でございます。  これは、例えば一般の事業債、電力以外の会社が出します事業債につきましては、個人消化は、同じく昭和五十九年度で一九・五%となっております。それから国債の場合には一七%ぐらいでございます。それから地方債は四・四%ということで非常に個人消化率は低うございますが、これに対して電力債というのは非常に個人消化率が高い債券でございます。  一般に、国債あるいは地方債も含めて金融機関を中心としたいわゆる機関投資家が引き受けられるわけでございますが、これに対して電力債の場合には六割以上が個人投資家ということになっておりまして、いわば地元、地域に密着した消化基盤というものができているということが特徴でございますが、先ほど御質問のほかの債券、国債、地方債あるいは他の事業債等々と消化の面で競合することがあるかという点につきましては、そういう意味では非常に競合の度合いが低いものであるというふうに考えております。  さらに、最近の金融の自由化あるいは国際化ということで、金融資本市場も我が国においてもだんだん整備されてくるということが考えられますので、今回、社債発行枠を拡大いたしましても消化という面でそう大きな問題が出ることはなかろうというふうに考えている次第でございます。  次に、外債の問題でございます。  電力会社の外債発行昭和四十年代から二、三年に一回という程度で行われておりましたけれども、昭和五十年代後半以降に、いわゆる金融の国際化が進みまして非常にふえてまいっております。具体的に数値を申し上げますと、昭和五十五年、五十六年とも実績ゼロでございますが、五十七年は千四百七十八億円、五十八年度に千二百一億円、それから五十九年度には二千九百十七億円ということで、次第に増加してくる傾向が見られております。なお、六十年度、今年度も上半期、四月から九月にかけまして二千四十七億円が既に発行されているところでございます。  今後の見通してございますけれども、電気事業会社は低利な資金調達調達手段多様化ということが非常に必要でございますので、国外においてもそうした社債発行するということは当然必要かと存じます。今後金融の自由化あるいは円の国際化というのが進展するに伴いまして、発行額はさらに増加していくだろうというふうに考えております。  これが望ましいかどうかあるいはどういう比率がいいのかという御質問がございましたが、私どもは、資金調達についてはそのときどきの金融情勢あるいは国際金融情勢を踏まえながら、最も有利で安定した資金をうまく取り込むということが重要でございまして、あらかじめどのくらいの比率が適当であるというようなことは現在の段階でそういう考え方はございませんが、ただ見通しといたしまして、今後金融の国際化が進む中でますます外債の発行というのはふえていくだろうというふうに見通しております。
  120. 城地豊司

    城地委員 次の質問は、同僚議員からも先ほどから質問があった点と重複いたしますが、今後十年間の設備投資四十五兆八千億、そして電源部門が十八兆五千億、非電源二十七兆三千億、非電源部門の方が多いわけでございます。ただ私は、この電源部門というのは発電所本体、非電源部門というのは送配電線等々の関係になるわけですが、いわゆる発電所をつくると、それに付随して送電線、配電線、変圧器、いろいろそういう関係が出てくる。  したがって、電源に関連する部門と、発電所をつくれば当然それに付随してどうしても必要である非電源部門、それともう一つは、それらとは全然関係なく例えば既設のものの改造、改修、先ほども意見が出ておりました電線を地下へ埋めるというのは、これは以前あったものをそのままやるということであれば、それは電源に関連しない新規な全然別な次元のことになるわけであります。そういう電源、それに付随する非電源、直接それに特別関係のない非電源というふうに本来三つに分かれるべきであると思うのです。  そういう考え方に立って見ますと、ことしの十月の十五日に「内需拡大に関する対策」ということで三年間で追加一兆円というようなものが出されましたが、私は、新規のそういう内需を喚起するというようなものは、ただ単に発電所をつくったからそれに付随するものではなくて、新たにいろいろなことをやる、そういう部門に金を多く使うということがむしろ必要なんじゃないか。  電源、それから電源に付随する非電源は当然見込まれた予算、来年度、再来年度ぐらいまでの間は発電所を何カ所つくって何万キロふやすというようなことはおおむね計画に立っておりますから、それは一応コンスタントにいろいろな会社であっても自分たちの予算の中に含まれていく。ですから新たに需要を喚起するのには、そういう地中化、先ほど電線を地下へ入れるという話が一つの例としてありました。そういうふうに、新規の予想されないものをぼんとやることが日本の経済を活性化させる上でも非常に必要なんじゃないかというふうに考えるわけであります。  したがって、ただ単に電源、非電源ということではなくて、私が言いました第三番目のそういう新たな現在ある設備の更新とか設備の改修とか、さらに上にあるものを今度は地下に滞らせるとかいうことの計画が、全体の二十七兆三千億の非電源の中にどれくらい含まれているのか、もしくは含まれていないのかという点について質問したいと思います。
  121. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のように、今後十年間の設備投資四十六兆円弱を見込んでおりますが、そのうち非電源投資額は二十七兆三千億円、約六割を占めているわけでございます。その中には当然送電線にいくものあるいは配電線あるいは変電さらには配電線の地中化、自動化というようなことで投資がかさむもの等々がございますが、今先生がおっしゃったように、その中のどれが電源に直結する——電源に直結するような非電源とあるいは全然直結しない非電源というのは区別が若干難しゅうございますが、現在ある数字で申し上げますと、先ほど申し上げました全体の六十一年から六十五年あるいは六十六年から七十年、この統計は五年ごとに分かれておりますけれども、そこで申し上げますと、非電源は六十一年から六十五年には十一兆、それから六十六年から七十年には十五兆、こうなって分かれておりますが、まずその前半の十一兆八千億の内訳を見ますと、一番大きいのがやはり改良工事でございまして、これが四兆円でございます。それから送電に二兆六千億、それから変電に八千億、それから配電に一兆八千億というようなことでございます。これのどういうアイテムが先生のおっしゃったいわゆる電源に直結する非電源なのか、あるいは非電源プロパーというべき工事なのか、もう少し私どもも分析、勉強させていただきたいというふうに考えております。  それから今度の一兆円の追加投資でございますけれども、今後の約四十六兆円の投資についてはもともと六〇%が非電源ということで電源以外の投資を予定いたしておりましたけれども、いわゆる内需拡大ということから特にこの非電源投資について新たに追加投資として三年間で一兆円を追加しようということでございます。  その主たる内容は、今先生のおっしゃいましたいわゆる電源に直結しない方の非電源でございまして、例えば配電線とか送電線についての信頼性の向上ということで、停電対策、停電が起こらないように、起こった場合にも非常に早くそれが回復するように、あるいは地中化を進めるということで、送配電と変電の設備についての高度化ということに主たるねらいが込められております。
  122. 城地豊司

    城地委員 時間がもうありませんので、最後の質問に入りたいと思います。  今回の法案との関連は直接ございませんけれども、電源設備のいわゆる定期検査というものがあります。これは通常一年ごとに行われているわけでございますが、その定期検査について、発電機器の材質の向上その他を考えますと、一年に一回の定検でなくてもいいのではないかという意見もあります。  むしろ逆に、一年に一回では少ないという意見もあるかもしれませんが、一般的にはやはり一年に一度の定検ではなくて、もう少し検査間隔を延長してもいいのではないかという意見もありますし、さらに検査期間、検査方法の簡素化、私も職場にいたときにもいろいろ監督官検査とか監督官立ち合いとか、こんなところにまで監督官のマークがなくても大体大丈夫じゃないかと思うのですが、どうも監督官に来ていただかないとだめだ、その期限が折り合わない、折り合わないと一日、二日おくれるとか、そういう具体的な事象に幾つか当たっていたこともございます。  そういう関係からすれば、この定期検査の問題を全体的に再検討するというか見直してみるということのお考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
  123. 野々内隆

    ○野々内政府委員 発電設備の定期検査につきましては、保安上の観点、それから長期的に見まして設備の経済的運用の観点ということから、ボイラーとか原子炉につきまして電気事業法によりまして原則年一回検査ということが義務づけられております。これは御指摘のとおりだと思います。  他方、夏のピーク時には供給力の確保のためにはできるだけこの時期を避けて定期検査を行うのが望ましいというふうに考えておりますが、一年という義務づけをいたしますと、それによりましてどうしても順繰りにその時期に当たってしまうというようなこともございます。  いろんなことを考えまして、火力発電設備につきましては、その施設状況あるいは保守状況ということを勘案いたしまして、できるだけ弾力的な運用を図っていきたいというふうに考えております。  ただ原子力発電設備につきましては、保安上の問題がございますので、将来的には技術の進展に伴いまして定期検査時期の弾力化も可能かとは考えられておりますが、現在ではまだ保安ということに重点を置いて考えますと、長期的に安定した運転を行うためにはやはり年一回の定期検査が必要ではないかというふうに考えております。  全体といたしまして、私どもとしては今後とも技術開発というのが非常に重要になりますので、そういう技術開発状況に応じまして、また個々の発電施設特性というものも考えまして、合理的な点検保修計画を立てることが必要かと思っておりますので、そういう方向で電力会社を指導いたしまして、定期検査の効率化、弾力化を図ってまいりたい、かように考えております。
  124. 城地豊司

    城地委員 時間が間もなく来るようでありますので、最後に総括して要望を申し上げ、そして通産大臣のお考えのほどもお聞かせいただきたいと思います。  短い時間でありまして、余り核心に触れた質疑が行われなかったので不十分かもしれませんが、例えば電気産業のあるべき姿等々、先ほどは自己資本率だけしか私は追及しませんでした。  しかし問題は、事業を行う会社であるとすればやはり自己資本が高くなるようなことが望ましい。将来のことを考えても、会社自己資本率が一〇%というようなことでは、それは電力の特殊事情だなどということで社債だとか借入金だけに頼るということだけでいいのかということになると、将来の課題として問題があるし、それらについても十分な指導をしていくべきだし、また極端に言って、電力だから原価主義ということで、何か内部蓄積ができないような形にしております。そのことについての意見もありますが、それは後日に譲るとして、それやこれや考えていきますと、やはり自己資本率が高くなる、それだけ企業としての力があるという形にしていくことが望ましいんじゃないかというように考えております。  それから設備投資の関係で先ほど若干伺いましたが、やはり特に今、内需喚起でやられる場合に、先ほどの答弁でいただきましたが、例えば六十一年から六十五年までの十一兆八千億ですか、その内訳で改良四兆円という内容がありました。  むしろ具体的には、改良の内容が例えば四兆円のうち一兆円はこれだ、一兆円はこれだという一兆円単位くらいのものでこういう改良をするから、それは日本全体の経済にどういうような影響を及ぼすんだというところまでいかなければ、例えば三年間でさらに設備投資を一兆円ふやしてそれで内需喚起をするんだと言っても、今この衆議院の商工委員会の場でそういうことがある程度はっきり言われるような状態になっていなければ、本当に内需喚起になるのか、本当にこれをやることによって日本の経済がこれだけ伸びるんだというような裏づけにならないのじゃないかと思うのです。  ですから、そういうことが出たとすれば、これは通産省だけでなくて、いろんな工事その他の関係では建設省との関係もあると伺っておりますけれども、それらは別にしても、とにかく具体的にこれとこれとこれをやればこういう内需喚起があるよ、それは地方に対して経済の波及効果もあるよというようなことを確信を持ってやるべき時期じゃないかなと考えますので、今後はそれらのものが出された場合、それからさらに一歩突っ込んで検討をする場合にでも、それらの内容まではっきりさせるようにぜひお願いしたいと思います。  さらに定期検査の問題についてはお答えがありましたが、検査間隔の延長が難しいとしても、検査方法の簡素化とか、さらに検査期間の短縮というものではまだまだ十分検討する余地があると私は思いますので、これらについても十分な検討をお願いしたい。  最後になりますが、そういう意味で非常に、電力社債、四倍を六倍にする、それによって日本の安定的な電力供給というものを確保し、そしてこれから来ます高度情報化社会にも電力も対応する、それから、私どもの文化的な生活を高めるためにも電力は必要不可欠なものでありますから、そういう意味合いも含め、これからこれらに対する取り組みに対して大臣のお考えを伺って終わりにしたいと思います。
  125. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 先ほど来城地委員の御質疑承りました。個々の問題につきましては資源エネルギー庁長官あるいは山本部長からお答え申し上げたとおりでございますが、今回の、十月十五日の経済対策閣僚会議で決定された内需拡大に関する対策の中でも、委員指摘のように、電気事業については六十三年度までの間に一兆円程度をめどに追加的投資を実施することが決定をしております。  そして、先ほどもお答えをしたところでございますが、九電力体制のもとでできるだけ効率的に、そしてまた広域的に電力経営というものをやっていきたいというのが基本でありますが、委員指摘自己資本比率についてはもちろん高い方が望ましいわけであります。それからまた、内部蓄積ということについても高めることが望ましいわけでございまして、内需拡大投資内容を十分検討をいたしまして効果あるようにすべきであると考えております。  また、定期検査の改善であるとかそういった諸般の問題についても、通産省としても電力会社を十分指導してまいりたいと思っておりますし、電力業の公益事業としての社会的責任を果たしてくれるようにできるだけ効率的に、国民の立場に立って運営をされるよう指導してまいる決意でございます。
  126. 城地豊司

    城地委員 終わります。
  127. 粕谷茂

    粕谷委員長 城地豊司君の質疑は終わりました。  続きまして、草野威君の質疑に入ります。草野威君。
  128. 草野威

    ○草野委員 初めに、私は社債特例法改正案の趣旨についてお尋ねをしたいと思います。  今回のこの特例法改正につきまして、期間は当分の間、また限度額につきましては六倍を超えない範囲内で、このようなことになっているわけでございます。電気事業法の第三十九条、社債発行限度の特例が定められておるわけでございますが、この中のただし書きにおきまして二倍ということが書かれているわけでございます。このただし書きの部分の改正で対応すべきではなかったのか、こういう点。  さらにもう一点は、一般ガス事業会社の取り扱いにつきましては今回特例を廃止することになったということになっているわけでございますが、これらの理由についても御説明をいただきたいと思います。
  129. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  今回の社債特例法改正につきましては、今後中長期的にもかなり電力企業の資金需要がふえてくる、これらに対応するために社債発行限度額をふやすということでございます。  先生の御質問の幾つかをまずお答えいたしますと、一番基本になります電気事業法三十九条自体をなぜ改正しないかということがございます。これにつきましては前回の社債特例法制定の際にも大変問題になった点でございます。しかし、今回の電力事業の設備投資が非常にふえてくるというのも、これは永遠に膨大な設備投資が起こるということではなくて、やはりこれは一巡するものである。特に電源多様化ということで原子力とか石炭をつくる必要がある、あるいは送変電あるいは配電設備につきまして時代の要請にこたえて早急に高度化する必要があるということでございますが、こうした投資もやはりある時期が来れば一巡するということでございまして、前回はこれを十年と見込んだわけでございます。  しかしながら、その後の経済情勢の変動、特に第二次石油ショック以降非常にGNPの伸び率も電力需要も減りまして、それによって今申しました多様化設備投資も相当規模が低下いたしました。そういうことで、一巡するはずの投資がかなり持ち越されておるということで、我々計算いたしますと、今後そうしたいわゆる電源多様化投資原子力あるいは石炭LNG、さらには送配電高度化という投資は今後とも相当起こってくるけれども、それはやはり長い目で見ればある時期の問題でございまして、一巡する、そういうふうに考えております。そういうことで、今回これを電気事業法自体改正ではなくて、やはり特例法ということで改正をお願いしているわけでございます。  そこで、これを当分の間といたしました理由でございますが、これも二つございまして、一つは、今申し上げましたそういう大型の設備投資は一巡するということにございます。それからもう一つは、現在の特例法ができました一年後に、昭和五十二年でございますけれども、商法暫定措置法というのができまして、これは商法のもとになる。二百九十七条自体について今後その規制の必要性があるかどうか、すなわち社債について資本金プラス準備金の額までと決まっておりますが、そういう規制をする必要があるかどうかということについての議論が今後行われるということで、その暫定措置法では、それをとりあえず二倍までふやすとともに、それを当分の間の措置といたしたわけでございます。そういうことでございますので、一番もとになる商法の二百九十七条自体につきましても、今後それが基本的に再検討される可能性が強いということで、この関係からもちょうど暫定措置法と同じような趣旨で当分の間といたしたわけでございまして、この二つが当分の間といたした理由でございます。  さらに、今まで社債特例法には電力会社及びガス会社が適用対象になっておりましたが、これについて今回はガス会社については落としたという理由でございますが、二つございまして、一つは、特に大手のガス会社につきましてはいわゆるLNG化ということで相当大幅な投資がございましたが、それも一巡いたしまして、今後この現在の社債暫定措置法限度を超えて資金が出てくるという見込みはないということでこれを落としたわけでございます。  御高承のとおり、現在の社債特例法では電力は四倍、ガスは二倍となっておりますが、その後にできました暫定措置法で全企業について二倍にふやすとなっておりますので、今度社債特例法から外れました場合には、従来は社債特例法で二倍だったものが、今度は暫定措置法で二倍になるということで、実質的にはその倍率は変わらないということで、ガス会社についてはそれで十分対応できるということでガス会社を外したわけでございます。
  130. 草野威

    ○草野委員 ガス会社につきましては、今後十年間その必要はなかろうというふうに理解してよろしいわけですね。  それからただいまの御答弁の中で、商法第二百九十七条、これについて再検討の時期が来ている、こういうお話があったわけでございますが、この問題で法務省お尋ねをさしていただきたいと思います。  この商法二百九十七条、明治三十二年法律第四十八号、この中で社債発行限度に関する規定が定められたわけでございますけれども、例えば法制審議会において立法的な面から批判がある。また、一部財界からも撤廃せよというような話もあるやに伺っておりますけれども、そこら辺を含めまして商法見直し作業が今後どのように行われていくのか、そういう点を含めましてお話を承りたいと思います。
  131. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 商法二百九十七条の規定は、これは社債権者の保護という見地から定められたものだというふうに考えられておりますけれども、比較法的に見ましても外国でもイタリア等のわずかの例外を除いて例を見ないということ、それからさらに発行時の規制にとどまって将来必ず償還されるというような保証をするようなものではないということ、あるいは現実に会社資金調達において支障が生ずる場合があるというようないろいろな理由によって、これについての立法的な批判があるわけでございます。  これにつきましては、私どもとしてはその本来の趣旨でございます社債権者の保護が、他にいかなる方法によって保護することができるかということを検討したいと思っております。この制度はこれなりに、自己資本に比して余りに過大な負債を負わないようにという趣旨でございますから、それなりの理屈はあるわけでございますけれども、今申し上げたいろいろの弊害があるということは事実であろうという認識でおるわけでございます。  したがいまして、この問題につきましては早急に検討したいということはあるわけでございますけれども、現在、法制審議会商法部会では会社法の全面改正作業の一環として中小会社についての法律見直しというものをやっておりまして、社債法まではまだ手が回りかねるという状況であるわけでございます。しかしながら、現在、実務界においてもいろいろの要請があるということでございますし、私どもとしても、現在行われております社債権者の保護のためのいろいろの方策というものを総合的に考えまして、法制度をどのように整備したらよいかということについてなお検討をして、しかるべき時期には国会に提出させていただきたいというふうに思っております。
  132. 草野威

    ○草野委員 しかるべき時期にというお話でございますが、もう一点だけこの問題についてお尋ねをしたいと思います。  社債権者の保護ということでございますけれども、この二百九十七条の廃止に当たりまして幾つかの問題点もあろうかと思います。その中で、例えばこの社債法、それから担保つき社債、それから証券取引法、これは大蔵省、法務省にわたる問題でございますけれども、これらの整合性の問題、これについては早急に着手しておかなければならない、こういう問題もあろうかと思いますけれども、こういう点についてはどのようなお考えでしょうか。・
  133. 稲葉威雄

    ○稲葉説明員 先生指摘のとおり、社債に関する法制については商法、担保附社債信託法あるいは証券取引法と、いろいろの法律にわたって規制が行われているわけでございますけれども、この間に必ずしも整合性が見られないという批判があることは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、私どもとしては、先ほど申し上げた会社法の全面改正作業の見直しの一環としてこれの問題について検討をしたいということを前から考えておりまして、それを総合的に見直して、その過程の中で社債権者保護の問題についても十分検討いたしまして改正をいたしたい、それが先ほどの趣旨であるわけでございます。
  134. 草野威

    ○草野委員 今回の法改正に当たりましていろいろな資料をいただきまして、七十年までの電力の需給関係、また設備投資の関係につきましていろいろと御説明もいただきました。それなりに理解をしているつもりでございますが、一、二点お尋ねをしたいと思います。  まずそれは、過去十年間の計画、またその実績、こういうものについてのお尋ねでございます。これによりますと、十年前は、この六十年までの間の十年間の設備投資、これが四十七兆六千億円、このように見込まれていたわけでございます。これが二十八兆円程度にとどまっている。また六十年の必要電力量、これが一億九千万キロワット、これが同様に一億五千万キロワット、このように計画が大きく狂ってきているわけでございますが、いろんな要素はあると思いますけれども、どういうことが原因でこのように大幅に狂ったのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  135. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  前回の法律制定時に想定いたしました諸数字につきましては、実は五十年代前半につきましては大体その数字に沿って動いておったわけでございますが、五十年代後半に至りまして非常に狂ってきたということでございます。  その一番大きな原因は五十四年における第二次石油危機でございまして、その結果まずGNPが非常にダウンいたしまして、十年間の見通し六。一%でございましたけれども、後半に至りまして非常にGNPの伸び率が落ちましたので、全体的にはこれが四・五%ということになりました。  さらに電力需要につきましては、それに上回りましていわゆる電力需要のGNP弾性値というものも非常に下がりまして、それが相乗されて、需要見通し年率六・三%というのが三・三%ということで、非常にその伸び率が低下いたしました。これに伴いまして当然年度末の電源構成につきましてもダウンするということで、これが見通しが一億九千百二十万キロワットでございましたけれども、それが一億五千四百二十五万キロワットに実績では落ちた。これに伴いまして、当然それに必要な資金につきましても、当初の四十七兆六千億円というのが二十八兆三千億円ということで大幅にダウンしたということでございます。  以上が、法律制定時に考えられました経済上の諸数字が現在の段階で非常に修正されたという大きな原因でございます。
  136. 草野威

    ○草野委員 これからの新しい計画によりますと四十五兆何がしと、非常にまた巨額設備投資が計画をされているわけでございますが、このような投資供給信頼性の向上、こういう面におきまして非常に必要な一面、反対にまたその減価償却、こういう面から見ますと非常にふえてまいりまして、さらにまた金利の増加とかの面にもつながってくるわけでございます。いずれにいたしましても、電気事業の経営にとりましてはこのような巨額な資本費の増大負担というものは大きな重要な問題になってくるかと思います。そういう中で、今回、この四十五兆八千億円の設備投資という面でございますけれども、当然これはコストにはね返らざるを得ないと思いますが、この十年間、四十五兆の設備投資によりましてコスト的にどの程度こういうものがはね返ってくるか、これは非常に難しい問題だろうと思いますけれども、我々にも参考にこういう話を聞かせておいていただきたいと思います。
  137. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 電力会社のみならず一般の企業がその設備のために資金調達する場合に、一番望ましいのはやはり内部資金でございます。内部資金電力の場合でいいますとその大部分が減価償却費でございますので、この内部資金を使えばもちろんコスト的には非常に有利でございます。ところが、非常に大型の投資を次々と行う場合には、当然内部資金だけでは無理だということで、外部資金に綴るわけでございます。その場合に、内部資金の一つである増資に頼ることも考えられますけれども、これは実は非常に資金コストが高くなりまして、現在の積算では法人税その他も加えますと二〇%近くなるということで、コスト的には非常に高くつくということでございます。  外部資金につきましては、借入をするものと社債でそれを調達するという二つがございますが、この両者につきましては、そのときどきの情勢によって異なりますけれども、利息の比率は七%内外ということで参っております。したがいまして、今後、調達した七%内外の資金がそれに見合う収益あるいは全体の資金を通じての収益の増大をもたらすかどうかということが先生のおっしゃった答えになるわけでございますけれども、実はそういう七%の社債発行して、それがどういうふうにコスト増になって、それが生んだ収益との関係でどうなるかという計算は、現在いたしておりません。  したがいまして、一般的に言って、今までの電力の運営自体からいきまして、七%のコストで集められる資金で今後運営いたしますならば、それによって有効な投資をいたしまして低廉かつ安定的な電力供給ができれば資金的にはそれで十分ペイすると考えておりますが、おっしゃったような具体的な数字につきましては、現在、手持ちいたしてございません。
  138. 草野威

    ○草野委員 確かに今長官おっしゃられたように、資金的な面から見た場合には、社債発行限度枠の拡大によって資金調達をする、これはコスト低減につながってくると思います。しかし、これだけ膨大な投資計画である以上は、より一層コスト低減に努力する必要があろうかと思います。そこで、今後どのような対策を講じていくのか、特にこの設備投資の効率化という面につきましてぜひとも努力をしていただきたいと思いますけれども、こういう点について何かございましたら承りたいと思います。
  139. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 設備投資の効率化という面で現在電力業界が抱えている一番大きな問題は、いわゆる負荷平準化の問題でございます。御高承のとおり、電力については貯蔵がききませんので、生産則消費となりますが、その際に、特に現在では夏の田中を中心にして冷房のための需要が急激に高まりますけれども、そうした高まった需要に応じた設備が必要であるということで、その設備に見合った電源開発をせざるを得ない。そうしますと、それ以外の普通の電力の平均的な使用時にはその設備は余ってしまうということで、この問題は供給面及び需要面に非常に大きな問題を投げかけておりまして、我々もこの負荷平準化というのを非常に重要な課題と思っております。  それからもう一つは、消費の増加を回避するという面で広域的な運営、現在九つの電力会社に分かれてやっておりますけれども、電源開発あるいは電力の融通等につきまして広域運営ということで互いに補って、それによって資金及び現実の運営を効率的にするということが重要な課題と考えております。その他いろいろございましょうが、現在の電力の大きな問題としてこの二つがあることを申し上げておきます。
  140. 草野威

    ○草野委員 今長官の方から負荷率の平準化対策というお話がありました。その前にもう少しお尋ねしておきたい問題があるわけでございますけれども、お話が出ましたのでこの問題について先にお尋ねしたいと思います。  電力コスト低減を図るためには、今お話ございましたように、負荷率の平準化の促進ということが非常に重要であろうと言われております。年年電力需要構造とか供給構造は大きく変化をしている。これも事実でございます。例えば冷房の需要増加による夏のピーク時の増大であるとか、昼夜間、季節間の需要格差の拡大の傾向が言われているわけでございますけれども、この平準化対策につきまして、具体的に政府はどのような対策を今お持ちでございましょうか。
  141. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 負荷平準化対策といたしましては供給面需要面と二つあると存じます。  まず供給面でございますが、いわゆる電源ベストミックスと呼んでおりますけれども、そのときどきの燃料情勢あるいは各電源特性、特に経済性安定性等々を考慮いたしましてバランスのとれた構成に持っていくことが非常に重要かと存じております。具体的には、ベース電源として原子力あるいは石炭火力、ミドルの電源として石炭火力あるいはLNG、それからピークの対応電源としては石油あるいは揚水の水力というのが考えられますけれども、こうしたものを最も合理的に組み合わせて、負荷パターンを踏まえた電源開発構成を進めていくということが供給面では基本になるかと存じております。  また、需要面でございますが、需要面でやはり負荷平準化を図るためのインセンティブを持った制度が必要でございます。  現在、三つ制度がございまして、一つは需給調整契約制度というのがございまして、これは五百キロワット以上の大口需要の方に適用されておりますが、時間帯別調整をする、あるいは非常に負荷の高い緊急時にはそれを遮断する、あるいは夏の一番負荷の高いところに休日を持ってきてもらうというようなことで、そういう需給調整をする契約を結びまして、これに従いまして料金を安くするという制度でございます。  第二番目は夏季料金制度でございまして、これは家庭用の電灯料金を除くすべてに適用されておりまして、七月から九月につきましては一〇%高く設定いたしております。当然、その分につきましては夏季以外の方は安くなっているわけでございますけれども、夏季についてはほかの時期よりも一〇%高くして、この時期についての需要を抑制しようという考え方でございます。  第三番目は、いわゆる深夜電力あるいは去年からつくりました第二深夜電力でございまして、これは家庭舟の温水器を中心に夜中の電力の要らないときに使った場合には安い料金供給するという制度でございます。  現在この三つが主要な制度でございますけれども、今後の検討課題といたしましては、先ほど申しました需給調整契約をさらに拡大するという考え方、さらには夜間の需要を喚起するような機器をもっと開発する。現在は家庭用温水器だけでございますけれども、さらにそういう機器を開発するということが考えられます。  また抜本的には、いわゆる季時別料金季節別時間帯別料金と称しておりますが、一般家庭も含めて季節別時間帯別料金をつくって、負荷の高いときには高い料金で、負荷の低いときには安い料金でという制度の導入も現在検討中でございます。
  142. 草野威

    ○草野委員 確かに昼と夜、また季節によりまして大きな格差があることはもう当然のことでございますけれども、例えば最近の産業の傾向を見ましても、いわゆる二十四時間フル操業型の素材産業、こういうものがだんだんと少なくなってきた、やはり昼間型の産業が増加しておる、こういう傾向にあることも事実だろうと思います。今お話がございましたけれども、幾つかの対策を考えておられるようでございますが、ともかくそういう中であって、昼間の料金、夏の料金、こういうものが現在よりもさらに高くなってしまう、こういうことであっては庶民感情からいってもどうかな、このように思うわけでございます。  そうなってきますと、今新しい夜型の機器の開発だとか、それからメーター類の問題もちょっと触れたようでございますけれども、やはりこれについても相当大きな問題を幾つか抱えておられると思います。  そういう中で、例えばメーター類の整備にしても大変なコストがかかる問題でございますし、また深夜型の家庭用電気機器の開発と一口に言っても、これは大変大きな問題が幾つかあろうと思います。こういうことにつきまして、今通産省はこういう問題についてどういう点を具体的に指導をされているのか、そしてまた、どういう方向に向かいつつあるのか、そこら辺のところをもうちょっと具体的に御説明をいただきたいと思うのです。
  143. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先ほど申し上げました季節別時間帯別料金を導入するということは、負荷平準化のために非常に抜本的な制度になるというふうに考えております。  ただ、今先生が御指摘になりましたように、例えばメーター一つとっても今後の技術開発の余地が非常にございますし、それからそれをつける場合にはお金がかかるという問題がございます。それから、現実に夜、非常に能率的に働く機器がうまく開発できるかどうかということも非常に大きな課題でございます。それと同時に、人々の行動パターンが変わるかどうか。昼間高くして夜安くしますと、例えば昼間やっていたいろいろな仕事を真夜中にやるというようなことになるのかどうか。しかもそれがいいことかどうかという問題もございます。  そういうことで、従来からこの季節別時間帯別料金については、理論としては非常にいいのではないか、早晩これを導入すべきであるという論が強うございますが、現実に導入した場合にはかえって混乱が起こりはしないか。あるいは夜安くして昼高くすると、逆に今までのパターンで昼に余計使った人は料金の値上がりになってしまうのではないかということもございます。現在そういう点を含めまして、実務家を中心に具体的な内容を詰めております。  それと同時に、先ほど言いましたように、実際にこういう制度をとった場合に人々のパターンが変わるかどうかということも、実態的な調査も含めて現在いろいろ検討を進めておりますが、私どもといたしましては、今後の負荷平準化のための非常に大きなポイントになる制度だと思っておりますので、ぜひこれを検討して将来の導入に結びつけたいというふうに考えているところでございます。
  144. 草野威

    ○草野委員 あわせて、今度コジェネレーションの問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  このコジェネの問題でございますけれども、現在、ガス業界電力業界、いろいろと論議が交わされているようでございます。特にガス業界では、自家発電に対する電気事業法の制約をぜひとも取り払ってもらいたい、このようにいろいろと運動もあるようでございます。  実態としましては、ビルだとかホテルだとか病院、こういう大口のところでガスタービンを回して自家発電をする。いろいろな面で非常に効率的な面も考えられるわけでございますが、反面、大きな問題をたくさん抱えていることも事実であろうと思います。そこで、きょうはこのコジェネの抱えている具体的な問題点について御説明をいただきたい。また、今後は通産省としてはどういう方針で臨まれようとしているのか、この二点につきまして承りたいと思います。
  145. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 コジェネレーションにつきましては、先生指摘のようにこれがうまくワークしますれば非常に熱効率が高くていいということでございますけれども、また他方、いろいろ問題を抱えております。  その第一の問題といたしましては、実際にコジェネレーションをやる場合には、一般の電線に併入しなければいけないという状況にございます。と申しますのは、コジェネレーションだけが独立して電気を供給するということになりますと非常に不安定である。故障した場合とか定検した場合とかあるいはその他のいろいろな事情によって絶えず電気の供給が不安定であるというのでは困りますので、現実にやっておりますコジェネレーションでも、必ず一般の電力系統に併入をいたすわけでございます。  そういたしますと、いろいろな問題がございまして、まず第一には、技術的な問題として、併入したところがコジェネレーションできる電力が非常に質の悪いものであると、それが全体の電力に対して悪い影響を与える。あるいは逆流防止をつけておかないと、併入された一般の電力の方が電気を切ったつもりでいるところへ電気が流れてくるということだと、感電その他の観点で非常に危ないという問題がございます。そういういわゆる併入に伴う技術問題がございます。  それから第二番目には、コジェネレーションが働かない場合に、電気をもらわなければいけないわけでございますが、そのときに、いわゆる予備電力という制度がございます。この予備電力ということで電力系統に対して一定の契約をいたしまして電力供給を受けるわけでございますが、そのときの供給値段をどうするか。これが余り高いと、コジェネレーションをやったことに伴うメリットがなくなってしまうという問題がございます。  第三番目には、コジェネレーションの結果、余った電気はどうするか。これは例えば夜中に、要らなくなった場合には当然余るわけでございますけれども、そういうときに、この余った電力をどうするか。電力会社が買えばいいということがございますけれども、例えば夜中で、電力需要が少ないときに余ったからといってこれを引き取るという場合には、非常に問題が生じるということでございます。  以上、大きく分けてこの三つの問題がございます。  現在、コジェネレーションにつきましては、全国で約数十カ所で行われておりますけれども、今後、熱の需要電力需要がうまくマッチする場合については、非常に有効な手段でございますので、こうした問題点をうまく解決しながらこれは進めていきたいということで、現在通産省の中におきまして、こうした問題についての実務家を集めまして調整について検討を進めているところでございます。
  146. 草野威

    ○草野委員 今、検討しながら進めているところでございますということなんですが、ここら辺のところをもう少しはっきり御説明いただきたいと思うのです。これは非常に重大な問題だと思いますし、日本のエネルギーの将来を考えた場合、こういうことをどこまでやるかという問題も非常に重要だろうと思うのです。今までいろいろと検討してきた中から、通産省としてはこういう姿勢で取り組むのだ、またこうあらねばならないとか、そこら辺のところをきょうはもう少し詳しく中身について御説明いただきたいと思うのです。
  147. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 御説明申し上げます。  コジェネレーションにつきましては、基本的には熱の需要電力需要がうまくマッチする場合には非常に有効であるということで、私どもといたしましては、これが今後うまく発展できるような基盤をつくろう、しかし、その場合に既存の電力サイドに非常に迷惑をかける、技術的な面あるいは余剰電力の面あるいは電力供給の質が落ちるというようなことでは困りますので、この点について、そうしたことが起こらないようにということで具体的な調整を行っております。  基本的な考え方といたしましては、一般電力系統に併入する場合には、コジェネレーションの設置者は一般電力系統の電力の品質、あるいはこれは技術的な問題でございますけれども系統自体の保護、保安等に必要な措置を講ずるということで、技術的な措置を講じてもらうということでございます。  それから、予備電力につきましては、先ほど言いましたように、これが非常に高こうございますとコジェネレーション自体の存立が不能になりますので、予備電力については普通の電力よりもある程度安い、いわば業務用の予備電力制度というのを今後つくってはどうかということで、その検討を現在行っております。  それから、余剰電力につきましては、基本的に電力のいらないときに買い取れと言われても困るわけでございますので、これは当事者間の協議によって解決することにいたします。  以上三点につきまして基本的なラインは決まっておるわけでございますが、この具体的な適用をどうするか、ただいま申し上げましたところで、実際の適用に当たっては非常に技術的な問題でまだ細かい詰めが必要でございます。こういったところを詰めているというのが現状でございます。
  148. 草野威

    ○草野委員 では次に、内需拡大策の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。もし、大臣から御答弁をいただけましたらお願いしたいと思います。  先月の十五日、政府が三兆一千二百億円に上る内需拡大策を発表されたわけでございますが、正直言いまして余り好評とは言えない内容であったようでございます。経企庁長官もみずから六十五点のできとかおっしゃったそうでございますけれども、いずれにしましても、重要事項については先送り、迫力を欠く内容であったとか言われているわけでございます。  そういう中で、今回、電力業界の、年平均しますと四兆五千億、十年間にわたる巨額設備投資計画がこれから実行されようとしているわけでございますけれども、内需拡大という面から見たらどのような効果が期待されるのか。  それから、政府が特に電気、ガス業界に対しまして六十三年度までに内需拡大の一環として合計一兆一千億円の積み増しをするように要請した、これを受けまして、各社が十一月の初めまでに各年度の具体的な投資内容を決める、このように言われているそうでございますけれども、これらの点につきまして、あわせてお尋ねしたいと思います。
  149. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 去る十月十五日に経済対策閣僚会議で決定をしていただきました内需拡大に関する対策でございますけれども、これにつきまして、マスコミなどで今先生が御紹介になったような評価がいろいろあることは存じております。  私どもといたしましては、この効果を積み上げ計算する場合に、それぞれの要素を厳密に検討いたしまして、例えて申しますと、住宅対策で事業規模が五千億円ということでありますけれども、住宅対策の追加がなくても家を建てたいということで予定されていた方が当然あるだろう、そこへ住宅金融公庫から有利な条件で新しく追加対策があるわけでありますからシフトしてくるものがあるだろう、こういったようなシフト率につきましても検討した結果積み上げたものでございます。  したがいまして、事業規模で三兆一千億円、波及効果も含めましてGNP規模で、GNPに対する拡大効果四兆一千億円というようなものは当然実現できるものと期待しているわけでございます。  それから、電力業のことでございます。  電力業というのは、経済にとりましていわばインフラストラクチャーに当たります。インフラストラクチャーがしっかりしていることが日本経済の将来の基盤を形づくるとともに、今仰せになりましたような規模投資は、日本経済大きくはなってまいりましたけれども、日本経済を今後成長させる上で大変な原動力になるものと理解をしております。それとともに、経済のインフラストラクチャーになるような投資は、輸出能力と申しますか製品をつくる能力を直接ふやすものではないということで、内需拡大という観点からも非常に好ましいもの、貿易摩擦の原因にならない投資であるというふうに理解をしております。
  150. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 内需拡大の十月十五日対策に関連して、私はもちろん閣僚会議にも出席しておりますし、それから七月三十日のアクションプログラム以降あるいはそれ以前、全体にわたっておりますので、私自身の考え方もこの際申し上げておきたいと思います。  内需拡大は、例えばアメリカで言えばマクロ経済というような言葉でも言われておりますし、中曽根・レーガン会談等におきましても、そういう基本的な問題にまでさかのぼって貿易問題、経済問題を論じようということから出発しておるのでございまして、委員指摘のようにこの内需拡大策だけでは余り大きな決め手がないではないかという批判も一部にあることは承知しております。  しかし、今赤羽局長からも個々について御説明申し上げましたように、三兆一千億という内需拡大策は決して小さな規模ではございません。そして、現在の日本の財政状態から言えば、小さな政府、またできるだけ効率的な政府ということを考えておるわけでございますので、要は一般財政の中で非常に苦しい財政事情の中から打ち出の小づちはないかということで考え出しますと、民間設備投資あるいは民間活力という日本経済全体の中にある活力を引き出すというこの考え方の方向自体は非常に正しいと私は思っておりまして、アメリカと日本あるいはヨーロッパその他の自由主義経済諸国の中でそういった共通の目標に向かって頑張っていく、そして庁本の場合はこれから六十一年度の予算査定でございますし、あるいは税金の問題も出てまいりましょうし、そういった今後の問題をも含めて総合的な大きな施策として考えていく中の一環であるという御理解をいただきたいと思いますし、その一環に対して電力業界においても一兆円の設備投資を追加するということで、相当思い切った協力をしてくれているという理解を私はいたしております。
  151. 草野威

    ○草野委員 その中で、具体的な問題について一点お尋ねしたいと思います。この内需拡大策の一つとして電線の地中化が言われているわけでございますけれども、まずこの点につきまして建設省にお尋ねしたいと思います。  この電線の地中化につきまして、この事業方針についてまず概略を御説明いただきたいと思います。
  152. 布施洋一

    ○布施説明員 建設省におきましては、安全で快適な通行空間の確保、都市災害の防止、都市景観の向上というような観点から、電線類の地中化について積極的に推進すべきものと考えておるところでございます。  それで、このような見地から、学識経験者あるいは関係省庁、関係の公益事業者によって構成されましたキャブシステム研究委員会というものを設けまして、電線類の地中化についての具体的な御方針を検討していただいたところでございます。そしてこの委員会から、去る十月二十一日に報告をいただきました。  したがいまして、今後の事業の進め方につきましては、この委員会の御報告に示されました御提言に基づきまして、大都市及び地方の中心的な都市といったようなものから段階的に全国へ展開していくことが適切だと考えているところでございます。  配電線の地中化につきましても、大都市等の主要道路を主体に実施をいたしまして、今後十年間におおむね千キロ程度を地中化するということを目途に進めてまいりたいと考えております。  なお、具体の事業といたしましては、当面はモデル都市を選定いたしましてモデル事業として実施をし、その実績を蓄積いたしました後に徐々に実施範囲を広げていく、円滑な事業の展開の面からはそのような方式をとってまいりたい、かように考えているところでございます。
  153. 草野威

    ○草野委員 モデル都市を選んでということでございますけれども、六十一年度はこのモデル都市はどこを選ばれるのか、またその選考の基準、これが一点。それから、この実施に当たっての費用の分担、こういう面についてお尋ねをいたします。  それからあわせてもう一点。今冒頭に御説明いただきましたけれども、安全で快適な通行空間の確保等の御説明でございますけれども、やはりこういう問題と同時に都市災害の防止、さらに都市の景観の問題、こういう観点からこれは当然有意義な事業であろうと思いますが、やはり見ておりますと、都市景観の向上というところに重点が置かれる余り、歩行者の通行の安全とかそういうところがどうしても後回しにされるのじゃないか、こういうところがあるのですね。  諸外国を見た場合でも、確かに電柱がほとんどない国は幾つもございます。日本の場合にはこういう状況でございますけれども、都市の景観、また災害防止等含めまして、歩行者の通行の安全という観点からも、この千キロメートル、これから実際に工事をするに当たって、そういうところも念頭に置きながらぜひとも進めていかなければならないのではないか、このようにも考えるわけでございますけれども、今申し上げました点につきまして御説明をいただきたいと思います。
  154. 布施洋一

    ○布施説明員 まず第一点の、モデル都市はどのような基準で選んだのかということでございます。いろいろ基準がございますが、一つには都市としての成熟度といった都市としての要件があろうかと思います。それから、キャブを予定しております道路の規模でありますとか歩道の幅でありますとか沿道の状況、こういったような道路の条件があろうかと思います。それから、地中化を行いますことに関します関係の方々、関連の事業者あるいは地方自治体等の合意の有無といったようなものもございます。こういったようなことを考慮いたしまして、昭和六十年度におきましては全国で十五都市を選んだわけでございます。  それで、十五都市でございますが、順次申し上げますと、札幌、仙台、前橋、千葉、東京都区部、金沢、福井、名古屋、岐阜、大阪、京都、広島、高松、久留米、大分という、以上十五都市を選んだものでございます。  それから、その次に御質問のございました費用負担考え方でございます。事業の実施に当たりまして、まず電力会社が単独で地中化を行われます場合には、当然全額電力会社の御負担と相なるわけでございますが、御案内のように、道路管理者が一緒に行いますキャブシステムといったもので実施をいたしますような場合には、その場所で電力事業者が単独で地中化される場合の費用と同額を負担していただきまして施行をしていくという費用負担考え方を持っているものでございます。  それから、最後に御質問のございました美観ということもさることながら、交通の安全というような見地を重視した箇所から行うべきではないかという御指摘でございます。今おっしゃいました御趣旨は、私どもといたしましても非常に重要な課題だというふうに認識はいたしているところでございます。  ただ、現実にこの事業をモデル事業として始めてまいったわけでありますけれども、まず第一義としては、やはり大都市中心部の主要道路といったようなところも歩道幅員が狭くて、歩行者が集中して歩行に困難を来しているというようなこともございます。また、沿道にもいろいろな高いビルが集中していて、その架空線がもろもろの障害になっているというようなこともございます。またあわせて、今申し上げましたような観点のほかに、電気事業者の方々の健全な発展というような見地からの調整も必要かと考えております。  したがいまして、今御指摘のような場所から実施するということも重要とは存じますけれども、まずは大都市の主要道路を中心として電線の地中化を始めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  155. 草野威

    ○草野委員 いずれにいたしましても、この地中化の問題につきましては電力事業者また地方自治体、そういうところと早急にひとつ調整を図られて実施をしていただきたい。特に内需拡大、景気という面から見た場合には非常に大きな影響も出てくる事業ではないかと期待をしているわけでございますので、ぜひともお願いをしたいと思います。  次に、円高問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  最近のこの円高傾向、それから景気の問題、また円高差益の問題等々につきまして、何点かお尋ねをしたいと思います。  まず初めに、大臣並びに経企庁にお尋ねをしたいと思いますが、九月のG5会議以降、急速な円高傾向が続いているわけでございまして、一時は二百円の大台を突破、こういうような勢いでございました。ここのところ二百四円か五円というところのようでございます。今回のこの円高は、政府円高誘導堅持政策の結果であろうと思います。  そこでまずお尋ねしたい第一点は、円高貿易収支の関係というものにつきましてお尋ねをしたいと思います。常々通産大臣がおっしゃっておりますけれども、今回のこの円高によりまして黒字解消にどういうふうに役立っていくのか、こういう点が一点でございます。  それからもう一点は、このような為替政策の効果があらわれる時期はいつごろなんだろうか、ここら辺のところをひとつ具体的に承りたいと思います。
  156. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 草野委員お答え申し上げます。  今まで貿易インバランス、特に日米に例をとってみますと、私どもがかねがねアメリカに対して主張しておりましたのは、ドル高・円安、そしてまた米国の高金利、財政大幅赤字、こういったようなものが貿易インバランスの大きな原因であるということを主張しておったわけでございます。このことがG5の会議においても各国からも指摘をされ、ファンダメンタルズの問題の解決が非常に急務であるということからドル高介入が始まったものと理解をしております。  一般的に言えば、円高になれば輸入がしやすくなる、反面、輸出がしにくくなるという傾向が起こるわけでございます。したがって、今まで私どもがアメリカなどに対して主張しておりましたドル高が円高になることによって一般的にはそういう貿易インバランスの解消に役立っていくということから、円高は全般としては非常に好ましいものであるという受けとめ方をしておるわけでございます。  ただ、円高が景気に与える影響につきましては、それが経済一般に浸透するためには通常ある程度の時間を要する、これは草野委員指摘のとおりでございまして、我が国経済の全体に対して直ちに大きな影響を及ぼすということには必ずしもならないわけでございます。  したがって、G5以降どのくらいの期間が必要であるかということでございますが、どうしてもこの円高基調は相当期間継続する必要がある、少なくとも半年、一年間ずっと継続しないといけないのではないかというふうに思っております。九月二十二日のG5の会合以降、大体四十円内外の円高基調を示しております。しかし、過去においてはもっともっと大きな円高のウェーブがあったことは事実でございまして、したがってこの円高がどのくらい続くかということを私どもは非常に大きな関心を持って見詰めておるところでございます。  これがインバランスに大きな影響を与え、貿易正常化ということに役立つ、あるいはまたその他いろいろな問題に対して影響が出てくるのは、少なくともこの円高基調が半年以上、相当期間継続することが必要と考えております。
  157. 草野威

    ○草野委員 貿易インバランスの解消に役立つということでございまして、その期間は半年後ぐらいになるのではないか、こういうお話でございます。  確かに現在四十円程度円高になっているわけでございまして、甚だ具体的な質問で恐縮でございますけれども、例えば民間の調査等で十円の円高で十五億ドルぐらいの黒字解消になるのではないか、そんなことも出ているそうでございますが、こういう点についてのお考えをひとつ。
  158. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 為替レートが円高になりました場合どういう効果があるか、ただいま通商産業大臣の方からお話がございましたしばらくの間、半年から一年くらいの間はむしろ黒字がふえるというような効果、専門家はこれをJカーブ効果と言っておりますけれども、Jカーブ効果が見られるであろう。しかし、それが一巡した後におきましては、所期の効果ということで黒字が減る、こういうことになるわけでありますけれども、これを計算するということは大変に難しい。  と申しますのは、そのときどきの条件によって違うということでありますけれども、過去の平均的な条件というものを想定いたしまして、いわゆるモデルを使って計算する。こういうことになりますと、これまたモデルによりまして効果が大きく出るもの、小さく出るものがありますけれども、二百四、五十円を基準にして一%で二億ドルないし六億ドルというのが出ます。  ただいま委員から御質問のございました十円というのは、大体四%ないし五%ということになりますから、十円で十五、六億ドルといったようなのはちょうどこの二ないし六というレンジの真ん中辺であろう、こういうことでモデルなどを使って計算をすればそんなところかな、こう考える次第でございます。
  159. 草野威

    ○草野委員 Jカーブのお話もございましたけれども、やはり円高の影響が成長率にどのような影響を与えてくるか、こういう問題についてはいかがでしょうか。
  160. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 円高経済成長率、経済活動に対する影響でございますけれども、いわゆるデフレ効果ということが言われます。こうした円高の経済活動に対する影響というものも、Jカーブ効果が出た後の状態ということで御理解をいただきたいと思います。したがいまして、これから先半年ぐらい、つまり六十年度中はそれほど大きな影響はないだろう、こういうふうに考えます。  そこで、デフレ効果ということでありますけれども、物事にはすべて光と影がある、こういうふうに思います。これは円高についてもそのとおりでございまして、デフレ効果というのはいわゆる影の部分に当たります。輸出がしにくくなる、輸入がふえる、こういうことで国内の産業の経済活動がデフレ効果を受ける、こういうことでありますけれども、その反面で光の部分に当たるプラスの効果もございます。これは専門家がよく言至言葉を使いますと、交易条件好転に伴う実質国民所得増加効果ということであります。具体的に言いますと、物価が一層安定をして、実質所得がそれに応じてふえる、こういう効果であります。  こうした実質所得増加効果というのは、当然国内需要を増加させるということになります。したがって、円高の効果というのはマイナスの効果、デフレ効果と、それからプラスの効果、実質所得増加効果のどちらが上回るのかということだと思います。  私ども理解しているところではややマイナスの効果、デフレ効果の方が大きいのかな、こう思いますけれども、デフレ効果だけを頭に置いてプラスの効果を考慮しないような推計になりますと、かなり大きな影響を受けるという結果も出ておりますが、私どもは、五十二年から五十三年にかけて円高があったわけでありますけれども、その当時の経験などを踏まえてかなりプラスの効果も大きいもの、しかし差し引きをいたしますと若干デフレ効果の方が強いのかな、こういうふうに考えている次第であります。
  161. 草野威

    ○草野委員 いずれにしても、この円高の影響が出てくるのかかなり先になるというようなお話であったわけでございますけれども、大臣にお尋ねしたいと思いますが、こういう状況で今後進んでいった場合、年明け早々にもまた貿易摩擦というものが再燃してくるのではないかと思いますけれども、そういう懸念はありませんか。
  162. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 九月二十二日以降、私どもは経済の動きというものを慎重に見守っておるわけでございます。また、例えばアメリカ政府と日本との関連等についてもいろいろ見ておりますが、現在の円高基調が続くことは、貿易摩擦にとってはそれを少なくする方の要因に動く、こういうふうに見ております。  ただ、先ほども経済企画庁から御説明を申し上げましたJカーブというようなものがありますから、一時的に安定するまではいろいろな変化があるわけでございますが、私は、この基調が継続すれば貿易摩擦については来年早々また再燃をするという可能性は、今までよりも鎮静化していくのじゃないかという見方をしております。  ただ、アメリカ議会は来年の中間選挙を控えまして非常に保護主義的な圧力が強まっておりますから、こういった個々の具体的な問題については分析がなかなか困難な点もございますけれども、この円高基調そのものについて申せばそういうことになろうかと思います。
  163. 草野威

    ○草野委員 この円高基調といいますか、これが今後どういうふうに見ていくかという問題でございますけれども、例えば日銀総裁が一昨日ですか、この円高の問題につきまして、決して定着したという状態ではない、現在はアクセルを踏みっ放しの状態で、それでブレーキを踏む段階じゃない、こんなようなことをお話しになったそうでございます。  これから年が明けて引き続き円高基調の政策が重点的に続いていくのではないか、当然こういう判断がされると思うのですけれども、今後の円高の方向といいますか、また定着の見通したとか、こういう点につきまして大臣の御見解を率直にひとつきょうは承りたいと思います。
  164. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 このお答えは実は非常に難しいと思います。  円高基調、これについては私は、アメリカ、日本そしてまたG5全体の意向というものが、ぜひこれは通貨の実際の動きというものを、アメリカのドルがファンダメンタルズ以上に高く評価をされておるというような基本的な認識から介入が始まったと思いますし、しかも日本銀行総裁や大蔵大臣のいろいろな御発言を見ておりますと、これをひとつぜひ相当続けようという決意のもとに進めておられるように思うわけでございます。  したがって、これはどうしても相当期間続けてもらわなければ困る、そうしないと、円高が始まる以前の状態にまた逆戻りしてしまったのでは、貿易摩擦にとってまた大変な遺憾な事態が起こるという、基本的には認識でございます。ただ、円高が始まりますと、これは草野委員が前提として踏まえながらおっしゃっておられるということがよくわかるような気がいたすのでございますが、特定の企業あるいは輸出に頼っておりました中小企業には相当深刻な影響も出るという、先ほど赤羽局長の申し上げた光と影からいえば影の部分も出てまいりますので、通産省としてはそういう方面もよく観察をしながら国民全般の生活が向上するような対応をしていかなければならない、そういう配慮をしておるところでございます。
  165. 草野威

    ○草野委員 では次に、電力各社の財務の状態につきましてお尋ねをしたいと思います。  五十九年度の決算におきましては経常利益が九社で八千四百三十七億円、史上三位でございます。これは二百四十五円という円安、また異常渇水という中での決算でございます。六十年度の上半期の決算の状況でございますけれども、既に九月で終わっておるわけでございますけれども、この状況についてもしおわかりであればお尋ねをしたいと思います。  さらに六十年度三月期の決算、この決算の見通しにつきまして大体どのようなことが予想されるか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
  166. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 六十年度の中間決算でございますが、近々最終取りまとめが行われるという段階でございます。現時点ではその詳細については承知いたしておりません。したがって、確たることは申し上げられませんけれども、内々得ている感じでは、昭和五十九年度、すなわち前年度の中間決算並みの水準ではないかというところかと思います。  さらに、六十年度全体の決算がどうなるかについては今後の、この冬の需要動向あるいは出水率、資本費のコスト要因等々、不確定な要素が非常に多うございまして、現在その見通しを述べる段階ではないと考えております。
  167. 草野威

    ○草野委員 円高差益の問題でございますけれども、特に電気事業の収益に大きな影響を持っておるわけでございますが、それと同時に原油の価格の動向というものもかなり大きな影響を持つわけでございます。この原油の価格の動向につきまして今後の中期的な見通しについてお尋ねをしたいと思います。
  168. 野々内隆

    ○野々内政府委員 石油情勢につきましては現在国際的に緩んでおりますが、ただスポット価格につきましては最近急上昇いたしておりまして、アラビアン・ライトも大体GSPの天井に張りついたという動きでございますが、これはサウジアラビアのネットバックプライスによる販売方法あるいは共産圏からの輸出減とかいろいろな事情があろうかと思います。ただここ当分は弱含みで推移すると思っております。  本年七月にIEA、国際エネルギー機構の閣僚会議がございまして、通産大臣のお供で出席いたしました。そのときの見通しによりますと、大体一九九〇年代に入りますと需給が固まってまいりまして、紀元二〇〇〇年に入りますと石油需給は大体一日当たり四百万バレルから八百万バレルぐらいの超過需要供給不足になるであろうということでございます。  我が国の現在の原油の輸入が一日当たり三百四十万バレルでございますので、大体日本に匹敵するぐらいの量、またはそれ以上のものが今後十五年後には不足の可能性があるというのがIEAの見通してございます。そういたしますと、一九九〇年代中ごろあたりから価格が締まってくるというふうに考えるのが常識的ではないかというふうに考えております。
  169. 草野威

    ○草野委員 先ほどの大臣のお話にもございましたように、この円高傾向はさらに続いていくであろう、ただいまの長官のお話にもございますように、原油価格につきましても約十年間ぐらい当分弱含みの傾向が続いていくのではないか、こういう状況でございます。  そこで、ちょっと教えていただきたいわけでございますけれども、いつも言われることでございますが、円高だとか原油下げの電力各社の収支に与える影響いかんという問題でございます。例えば円が一円上がった場合にはどうとか、それから油が一ドル下がった場合にはどういうふうになるとか、このように言われておりますけれども、この点の数字についてちょっと確認をさしていただきたいと思います。
  170. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答えを申し上げます。  円につきましては、一円高になって一年間続いた場合には電力九社合計しまして百二十億円ということでございます。これは一年間続いた場合でございます。  それから油価につきましては、これは油だけじゃなくて、そのほかの燃料にも全部響くわけでございますので、油が一ドル下がった場合には全燃料を足しまして、かつ九電力全体ということで年間一千億円ということでございます。
  171. 草野威

    ○草野委員 ということでありますと、円高、また原油の当分弱含み、こういう状態が今後続いていくという前提になりますけれども、電力業界はかなりの利益が予想されるわけでございます。そこら辺の見通しはどのように持っておられますか。
  172. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 円高につきましては、先ほど来大臣からも御答弁さしていただいておりますけれども、始まってからまだ五十日ぐらいということで、まだ現実にその円高の差益が出ておりません。と申しますのは、大体二カ月ないし三カ月のタイムラグを生じて燃料が下がってきて九電力会社に差益が生じるということでございます。それから先ほど言いました石油につきましても、今後どういうふうになっていくかということで、その見通しについてはいろいろな見通しがございますけれども、実際にどうなるかは確たることはわからないわけでございます。  そういうことで、現在の状況で今後の電力会社の収益が一体どうなるかということを想定することは非常に難しいというように考えておりまして、理論値として円が幾ら上がり、原油が幾ら下がったらどうなるということは出ますけれども、今後の現実の電力会社の経理がどうなるかということにつきましては、もうしばらく様子を見たいというふうに考えております。
  173. 草野威

    ○草野委員 現在のような大幅な経済の変化、急激な経済の変化と言ってもいいんじゃないかと思いますけれども、それから今後の見通しを立てた場合も今いろいろな方から見通しについてもお話があったような状況でございますけれども、こういう場合には当然その利益というものがある程度予想されるわけでございまして、例えば料金の改定をするか、また前回のような一部還元という方法をとられるのか、またそのほかの方法をとられるのか、いろいろな方法があると思います。  今の部長の方の御説明で影響があらわれてくるのはまだ先の話である、二、三カ月先の話である、こういうような御説明でございました。そういう中で、通産省としてはそこら辺の判断の時期をいつごろに置かれるのか、そのめどについて承りたいと思います。
  174. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 非常に重要な御質問でございます。最近の、今、草野委員がお挙げになったことに非常に参考になるデータと申しますと、昭和五十三年に円高為替差益のための料金の割引措置というのがあったわけでございますね。これは五十一年が非常に円安で、平均レートでいうと二百九十三円前後であった。それが五十三年になると二百二円前後ということで、その間円の換算レートで一ドル約九十円ばかりの大変大幅な差があるわけでございます。  もう一つ、草野委員のお挙げになった石油価格の方は、五十三年に料金改定をいたしました後で石油価格が上昇をする、一方、円のドル換算レートは逆に今度は安くなりまして五十五円までに下がっておるという間で、五十一年には二三%の料金アップを行って、五十三年には今申し上げた電力料金の七%ダウンを行った。ところが、二年もたたないうちにそういった石油料金が高くなったり、いろいろな理由から今度は五〇%も上げてしまった。これは考えてみれば、一つの歴史の示すところでありますが、五十三年の料金ダウンは行わないでもっとほかの方法でやっておれば、五十五年国民生活に与えたショックに比べれば、もっとショックは少なくて済んだはずであるということが言われるわけでございます。  したがって、こういうことから考えますと、現在の円高がどれだけ続くのか、少なくともこれは半年、一年あるいはそれ以上も続いてもらわないと、とても円高差益の還元という事態は考えられないわけでございますが、仮にそれが続いたといたしましても、そういうことを判断する時期は来年の決算がはっきりした以降の問題であろう。  それも円高差益の還元ということは電力料金でやったのがいいのか、あるいはそうでなくて物価が上がったりいろいろなことに備えて、むしろそういった円高差益というものはほかに一切使わないという形の貯金として蓄えておいて、来るべき時期に、そのショックが国民生活に及ばないようにするということで考えたがいいのか、これは非常に、重要な判断の起点であろうと思います。  したがって、そのことは六十年度の決算が確定をし、六十一年度のいろいろな計画を立てる時期においてそういった判断をすべきであって、現在まだ円高が始まってから五十日前後の時点においてそういった問題に当局者が触れるのはまことに時期尚早である、こういう感触を持っております。
  175. 草野威

    ○草野委員 今大臣がるる御説明になられたわけでございますが、前回の例にかんがみまして、電気事業審議会の方から「急激かつ大幅な経済変化に対応する料金のあり方」ということにつきまして提言が出ているようでございます。この結論から見ますと、ケース・バイ・ケースで対処する以外にない、こういうことになっております。  ただし、その中で、こういう事態になった場合に、将来二年間程度の収支の見通しの上に立て、こういうようにも書いてあるわけです。もう既に恐らくこの二年間程度見通しを立てたと思いますけれども、どのように立てておられますか。
  176. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のように、「急激かつ大幅な経済変化に対応する料金のあり方」ということにつきまして、昭和五十四年三月に取りまとめを行っております。その中で、ガイドラインをつくったらどうかとか、いろいろ指摘もございましたが、結論的にはそういうのもなかなか現実に難しいということで、先生おっしゃったようにケース・バイ・ケースに判断するということに結論はなっているかと思います。  ただいま御質問の、二年程度の収支見通しを立てているかということでございますが、現在の状況では、先ほど来申しましたように円高状況もはっきりしない、それから今後の油の値段の状況もはっきりしない、そのほかにたくさん要素がございまして、例えば需要動向がどうか、これが電力の収益に非常に大きな影響を及ぼします。そのほかに出水率の問題、これがどうか、あるいは原子力の利用率はどうか等々、非常に多くのファクターがございますので、現在の状況で将来二年間についての収支見通しをつくっているということはございません。
  177. 草野威

    ○草野委員 それはちょっとおかしいのですよね。今申し上げたこの電事審の内容は、いわゆる平時の場合はそんなことしなくてもいいのですよ。でも、ここに書いているように、急激かつ大幅な経済変化によって大幅な利益が発生する場合の対処方法をどのように定めておくかということで、そういう場合にその料金の不安定化を招かないように将来二年間程度の収支の見通しの上に立つように、こうなっているじゃないですか。これはすぐ立てるべきでしょう。なぜ立てないのですか。
  178. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、例えば円高が定着するあるいは油が下がるというようなことは仮定としてございますけれども、現実の問題として一体そうなるかどうかということは現在わからないわけでございます。そういう将来不確定な状況、すなわちここで言っております「急激かつ大幅な経済変化」というものは将来まだはっきりしないわけでございます。
  179. 草野威

    ○草野委員 そういうことでは困ると思うのですね、そういう答弁では。こういう事態になって、政府は挙げてそういう方向に進んでいる。しかも、さっき長官がおっしゃったように、原油についてもこれから十年間、当分弱含みの状態が続く、そういう判断をされている中で、あなたがそういうような判断をしているとしたらおかしいですよ。もう少しきちっとした見通しに立ってもらいたいと思います。  それから、もう時間もなくなりましたので最後に申し上げたいと思いますが、家庭用電力の問題でございますが、第一次のオイルショックの後でございます。昭和四十九年。このときに、この家庭用電気料金の算定の仕方について変更が行われておりまして、三段階に分かれての従量料金制度が取り入れられております。  それを見ますと、昭和四十九年の九電力の一家庭の月平均使用量は百五十七・五キロです。それから昭和五十九年が二百七・四、このようになっておりまして、三一%ふえているわけでございます。これは家庭の冷房機器その他いろいろな理由があると思いますけれども、このように五十キロほどふえているわけでございます。  こういう中で三段階の電気料金がとられているわけでございますが、四十九年のスタートの当時では割安料金が十二円、これは百二十キロ未満、それから百二十から二百キロ未満が十五円四十銭、二百キロ以上が十六円九十銭、このように定められておりました。その後二回の料金改定がございまして、現在では割安料金が二十円九十五銭、平均が二十八円九十五銭、割高が三十三円二十五銭、このように五十五年以来改定がなされているわけでございます。  この三段階料金、これをこのようにされた意味もわからないわけではございませんけれども、この十年間に一家庭の電気使用量というのも三割以上もふえてきておる、こういう状況の中にありまして、この三段階料金について、このように円高の差益が予想される中におきまして、やはりこれも近々に見直してもいいのじゃないか。  ということは、五十九年の実績でいきますと二百七・四キロとなっているわけでございまして、平均が割り増し料金を払っている、こういう状況です。また、電力の使用量を見ておりましても、口数から見ますと割安が三〇%、平均が三〇%、割り増し料金を払っている口数が四〇%と、これまた一番多いわけでございます。そういう点から見れば、この三段階料金制について見直しの時期に来ているのではないか、このように思いますけれども、この点についての御見解をいただきたいと思います。  もう一点、やはり四十九年の第一次オイルショックを契機といたしまして特別料金制度がしかれております。この特別料金制度におきまして、これは二五%ないし三五%、各社によって違いますが、高くなっているわけでございますが、これもいろいろな報道等によりますと、この特別料金制度によって年間五千億ないし六千億の利益を上げている。これも、この制度の発足の当時と比べまして既に十年以上経過したわけでございますので、この特別料金制度についても見直すお考えがあるのかどうか、この二点についてお尋ねをしたいと思います。
  180. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  まず、三段階料金制度の問題でございますが、これにつきましては今先生の御指摘の数字はそのとおりでございます。  この制度の発足時には、一家庭の平均の電力の使用量が百六十キロワットアワー、これは月ごとでございますが、ございました。それが最近では二百七まで上がっているということでございます。ただ、その中をさらに分析いたしてみますと、最も多い需要家層というのは、やはり平均使用量が百五十キロワットアワーという程度のクラスが多うございまして、この傾向はここ数年来変わってないという状況でございます。ただ、三百キロワットアワー以上を使う非常に多消費型のお金持ちの需要家の分が非常にふえているということで、これが急増しているということで全体の平均使用量はおっしゃったように非常に上がっておりまして、先ほど先生の御指摘ございましたように、五十九年度では二百七キロワットアワーまで上がっております。  しかしながら、先ほど申しましたように、平均的な使用量が百五十キロワットアワーの家庭というのがやはり中核を占めているという状況は変わっておりません。ただ、先生指摘のように、今後家庭における電気の使用の実態についてさらに詳細な分析を行いながらその動向についてフォローしていきたいというふうに考えております。  それから、もう一つの特別料金制度でございます。  この制度は、新しくつくる電源が非常にお金がかかるということで、新しい電源の費用を分担していただくという趣旨から、新しく電気を契約する音あるいは増設する者に対して高い値段を徴収しているという制度でございまして、現在二五%ないし三五%、これは各電力によって違いますけれども、その割合で高くなっている制度でございます。  この制度は、その後の状況におきましても、やはり新しい電源はもとの電源に比べてかなり割高になるという状況は変わっておりません。そういうことで、この制度自体の存立の基礎は今でもあるとは存じます。ただ、その後の電源開発の進展によりまして、次第に原子力あるいはLNG石炭等がふえてまいりまして、従来ほどには、新しい電源の費用も増加度が減っております。  そういうことで、今後そうした状況を見ながらこの制度についても検討を進めていきたいと考えておりますけれども、ただ、現在のいわゆる円高差益問題との絡みでこの制度について見直せという論議が起こっておりますけれども、我々といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる為替差益というのはまだ現実のものではない、やはり二カ月ないし三カ月のタイムラグがございまして、それもその後の状況を十分見ながらこうした問題を検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  181. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたのでこれで終わりにしたいと思いますが、料金改定の問題でございますが、これは大臣に最後に要望として申し上げたいと思いますけれども、やはりもう少し明確な料金改定に関するルール、こういうものをぜひともひとつつくっていただきたいと思います。理由は長くなるから申し上げません。  それからもう一つは、先ほど大臣の御答弁の中に、来年の三月決算の時点において判断をしたい、還元の方法についてはいろいろな方法があるということで例を挙げていただきました。直接還元する方法、また例えば今私が御提案申し上げたような三段階の電気料金の改定という問題もあろうかと思います。また積立金として保留していく、そういう考え方もあろうかと思います。また設備投資というような形で間接的な還元もあろうかと思います。幾通りかの方法は考えられると思いますけれども、いずれにいたしましても今回のこの円高の差益、今後も当分は続くであろう。原油もまた当分弱含みで今後続くであろう。こういう中において、ぜひとも、どういう判断に立たれるとしても、国民が本当に納得するような方法で決めていただきたい。仁の点だけは特に大臣に要望して質問を終わりたいと思います。
  182. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 重要なことでございますからもう一度申し上げます。  来年三月というのは決算の時期ということでございまして、それが確定をして判断をし得るのは六月以降であろうということでございます。  それから条件がいろいろございまして、円高がこのまま続くであろう、あるいは委員指摘のように石油料金の軟化の状態が続くであろうといったような条件もございますし、それからまた既に電力会社設備投資の前倒し発注その他で非常な協力をしていただいておるわけでございまして、そういった条件を踏まえて草野委員の今御主張になりました点は承っておきます。
  183. 草野威

    ○草野委員 以上で終わります。
  184. 粕谷茂

    粕谷委員長 以上をもちまして草野威君の質疑は終わりました。  引き続いて、宮田早苗君の質疑に入ります。
  185. 宮田早苗

    ○宮田委員 この法律改正案は、一般電気事業会社が今後必要といたします設備投資資金を円滑に調達する法律案として提出されておるわけですが、この法律案提出と時を同じくして、今時最大の問題でございます貿易摩擦解消の一つの方法として、為替レート問題なりあるいはまた内需拡大のための民間設備投資の促進の作業として電気事業及びガス事業設備投資の追加等が考えられておりますので、私はこの問題に関連をいたしまして質問をいたします。  最初に質問いたしますのは、円高差益によります電力料金引き下げの問題についてであります。九月の二十四日、五カ国蔵相会議での協調介入への各国合意が発表されてこの方、急激に円高が進んでいるわけでございます。この円高があらゆる産業に大きく影響しておることは御承知のとおりであります。産業界の今日最大の関心事は、これに対しまする見通しがどうなるであろうかということだろうと思いまして、そこで通産省は現在の円高がどの程度まで進行すると見ておいでになるか、またこの円高の定着の見通しですね、これについて明らかにしていただきたいということです。
  186. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘の九月二十二日のG5におけるドル高是正の合意と、その後の日米を初めといたします各国の協調介入あるいは我が国の金融当局の金利政策を受けまして、円の対ドル相場は御承知のように一時二百二円五十五銭まで上昇したわけでございます。一月半の間に大体四十円近い円高になっておりまして、その後は円がやや反落をいたしまして、最近一週間は二百四円から二百五円くらいのところで推移しているかと思います。こうした円高傾向は、私どもといたしましては、日本の経済にとっても大きな流れとしては望ましいという認識は持っております。しかしながら、現在の円高傾向は各国の介入あるいは金利政策などに支えられたものでありまして、先行きにつきましては、なお予断を許さないというのが実情かと思っております。  それで、今後円高傾向が定着していくかどうかということでございますが、これはG5で合意されましたような各国の政策協調、例えば、アメリカでは財政赤字の削減あるいは我が国では内需拡大、こういうようなものが具体的に進展するか否か、こういうところによるところが大きいというふうに考えております。病気でいえば、解熱剤を飲ませた感じの為替介入と、それから基本的な病気を治す治療、この二つがあろうと思いますが、今のところ解熱剤が効いてきている段階でございまして、今後基本的に病気が治るかどうかという点になりますと、ちょっとまだ疑問点もございますので、引き続き為替相場の動向を重視していくという点が申し上げられる限界かというふうに考えております。
  187. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一つ、この円高によります差益を、電気料金引き下げの形で国民に還元せよという意見が一部に出てきておる、御承知のとおりと思います。しかし、この円高差益の電力料金引き下げの効果については極めて小さいんじゃないか。といいますのは、昭和五十三年当時の料金引き下げの実績を見ましても証明しておると思うわけでございます。  そこで、私は基本的に円高差益は現行料金長期安定に振り向けるべきだ、こう考えておりますが、大臣、せっかくおいでですから、御意見はいかがですか。     〔委員長退席、田原委員長代理着席〕
  188. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 非常に重要な御指摘であると思います。  私は、料金改定というものには当然極めて慎重であるべきであるという前提でございまして、要はその判断の基準になるのは、いかなる対応が国民生活にとってプラスになるかということであろうと思います。したがって、円高長期的に続かなかった場合は、もちろんこれは円高差益の還元は行いようがないわけでございますし、そしてまた、物価その他の問題も一つの判断の要因になります。現在の時点では、九電力会社民間設備投資の練り上げ発注等を内需拡大施策に対応をして非常に積極的に協力をしていただいておるわけでございますので、こういった事態のもとで円高がどのくらい続くのか、そういった問題をよく判断した上で、国民の生活のためにいかなる方法がいいか。それは内部に蓄積していくということも電力設備をよくしていく上には大変大事なことであると私は思いますし、そういういろいろの考え方をよく検討してみるべきである、このように慎重に考えております。
  189. 宮田早苗

    ○宮田委員 十月二十二日の新聞報道でございますが、通産省首脳は、円高が定着した段階で、一定期間、原価の見通しが立ては原則として料金改定を行うことを考えている、こういうふうに言われておるようでございますが、これは事実かどうか、お聞きします。
  190. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘の記事は、私がプレスとの懇談で申し上げた中身が一部伝えられたものと思いますが、その発言の真意は原価主義というものの原則を申し上げたわけでございまして、むしろこの段階でどういう判断をするかということを言うのはまだ早過ぎるのではないかということにポイントを置いて申し上げたつもりでございましたが、どうもああいう記事になりまして、誤解を生じて大変申しわけないと思っております。
  191. 宮田早苗

    ○宮田委員 電力産業は今後、中長期にわたりまして巨額設備投資を行う必要に迫られておる。したがいましてこういう法律改正ということになったと思います。また、さっきの質問の中でちょっとあったようですが、建設省の構想にございますように、電線の地中化埋設作業を本格的に推進するためにはさらに巨額資金が必要になると思いますが、これをやるためにはどの程度投資規模になるか、この点ある程度わかっておりますならば説明願いたいと思います。
  192. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 配電線の地中化についてでございますけれども、御指摘のように、関係省庁とも調整の上、問題の少ない大都市中心部の主要道路等を主体にして、今後十年間で一千キロメートル程度の地中化を行っていきたいということで現在進めております。これにより、配電線地中化のための投資額は今後年間三百ないし四百億円程度、全体では十年間で大体三千億円から四千億円程度というふうに見積もっております。
  193. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいまの答弁によりますと一千キロノートルということでございますが、これは電力会社そのものがおやりになる額なんですか、それとも建設省と一緒なんでございますか。
  194. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 これは会社が独自にやるものと、建設省のいわゆるキャブシステムによってやるものと両方合わせた数字でございます。
  195. 宮田早苗

    ○宮田委員 さっき大臣から答弁していただきました円高差益の問題について、電力産業のこうした中長期にわたります巨額設備投資を円滑に進めるためには有効に用いなければならぬ、こういうふうに思っております。したがいまして、料金引き下げの形で関係する方策を安易にとるべきでない、こう思っておりますので、もう一度大臣の所見をお聞きしたいと思います。
  196. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 重ねて申し上げますが、電力設備投資の額は、今一つの例として配電線の地中化のための設備投資規模を仮に十年間で千キロ程度というだけでも三、四千億円かかるわけでございますが、その他、電力需要の増加に対応しながら国民の利益に合致するように電力供給を行っていくためには、相当の設備投資あるいは施設の整備が必要であると思うわけでございます。  つきましては、そういった投資をいたします場合に借入金で賄えば金利が要ります。これは自己資金で行えば金利は要らないわけでございますから、これは需要者のためには大変なプラスになるわけでございまして、したがって今後、高度情報化社会がやってくる、そしてますますこれから電力に対する需要その他の問題、国民的なニーズが高まってくるでありましょう。その意味で、国民の供給に対する信頼度を向上していくためにも設備の整備、設備投資がますます増加するであろうと考えられます。したがって、そういった国民に対する直接的なサービスをもっともっとよくしていくためにも資金の内部留保が必要である、こういうふうに考えております。  円高差益問題につきましては、本日たびたび出ておりましたように、現在はG5の介入によって円高の事態が発生いたしましてからまだ五十日間でございます。非常に時期尚早でございまして、今後慎重にこの事態を見守りながら判断をするべきものであると思っておりまして、宮田委員の御指摘は非常に正鵠をついた御指摘であろうかと存じます。
  197. 宮田早苗

    ○宮田委員 次にお聞きしますのは電力設備投資内容についてお聞きをいたします。全体については説明書をもらった中に入っておりますが、おのおのについてちょっと聞きたいわけでございます。特に非電源電源それぞれの投資額、できるならば六十年、六十五年、七十年という追っての額がわかりますならばお知らせ願いたいと思います。
  198. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 総投資額は、先生指摘のように四十五兆八千億円でございます。これは六十一年度以降十年間のトータルでございます。この内訳でございますが、電源部門が十八兆五千億円、全体の四〇%でございます。それから、非電源部門では二十七兆三千億円、全体の六〇%を占めております。  なお、各年ごとの内訳は出しておりません。
  199. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一つ、エネルギーごとの発電量について、例えば水力石炭火力石油火力原子力、それぞれの量がわかっておりますならばお知らせ願いたいと思います。
  200. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 電源別の発電電力量でございますが、電気事業審議会需給部会というのがございまして、この答申の数字をもとに説明させていただきます。  昭和七十年度には二億五百万キロワットの発電設備ができる、そして八千五十億キロワットアワーの発電電力量が必要であると見積もっております。内訳でございますが、まず電源別の発電電力量は、原子力が二千八百五十億キロワットアワー、これは全発電電力量の三五%を占めます。これは七十年度でございます。それから、LNG火力でございますが一千七百億キロワットアワーでございまして、同じく全体の二一%を占めます。次が石油火力の千百五十億キロワットアワーでございまして一四%、水力が千十億キロワットアワーでございまして一三%、石炭火力が九百五十億キロワットアワー、一二%ということでございます。
  201. 宮田早苗

    ○宮田委員 次にお伺いしますのは、電力需要見通しについてでございます。  安定的な経済成長年平均約四%としておいでになります。これに伴う電力需要年平均約三%増加ということになっております。そうして、最大需要電力は年平身三・三%増加が見込まれておるわけでございます。このことは、今後の経済成長率は今どこで言っております想定どおりで推移するであろう、こういう見通しかどうか、その辺をちょっと確認したいと思います。
  202. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 現在の電力需要想定は「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、五十八年八月に出されました政府想定でございますGNP平均四%というものをもとに計算いたしておりまして、その結果電力需要は大体年三%程度伸びると思っております。  ただ、先生指摘のように、この一両年電力需要伸びが非常に高こうございまして、昭和五十八年度には六・〇%、それから五十九年度には四・九%ということでかなり高目になっております。これは季節的な要因として非常に冬が寒かった、あるいは記録的に夏が暑かった、あるいはちょうど景気の上昇期であった等々の要因がございまして、私どもは今後十年間をとりますと想定の三%程度というのが見通しになると考えております。
  203. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一つは、家庭での電化ということがますます多くなってきております。これからも多くなると思いますので、電気税の廃止の問題についてお伺いをいたします。  電気の使用への課税は、産業面では原料課税でございます。国民生活の面でも不合理な大衆課税であるために廃止すべきであるという声が非常に強いわけですが、その点と、もう一つは、廃止措置が実現されるまでの過渡的な措置として、現行の税率は電気料金で五%で昭和五十年以来据え置きになっておりますが、これの引き下げ、さらに、免税点は月額料金三千六百円以下で昭和五十五年以降据え置きになっておりますが、これの引き上げをしたらどうかと思います。これらの点についての答弁をお願いします。
  204. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 電気につきましては、国民生活及び産業活動に不可欠なエネルギーである、こういう国民一般の日常生活に不可欠なエネルギーに対して特別な課税を行うことは適切ではないということで、御指摘のように、今後できるだけ早期に廃止する方向で検討すべきであるというふうに考えております。もし廃止ができない場合には、既に講じられている減免措置以外に、免税点の大幅な引き上げ及び税率の大幅な引き下げを行うべきと考えております。そのため通産省としましては、そういう内容について六十一年度税制改正要求を出しておるところでございます。実は毎年度要求を出しておりますが、今まで実現を見るに至っておらないわけでございますけれども、今後とも努力をしたいというふうに考えております。
  205. 宮田早苗

    ○宮田委員 これはついでということで大変申しわけございませんが、電気との関係はございませんけれども、ガス税の廃止の問題についてちょっとお聞きします。  このガス税は、都市エネルギーとして不可欠の必需品に対する大衆課税であるとともに、LPG、灯油の非課税措置に対して著しく不公平な税制である、こう思います。税率は現行が二%ですか、昭和五十一年以来据え置きになっております。そして免税点は、現行が一万二千円で、昭和五十七年以来据え置きになっております。これで対処してきておるわけでございますが、このガス税の廃止に踏み切るべきと思いますけれども、その点はどうですか。
  206. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のとおり、私どももガス税については廃止、それができない場合には免税点の大幅な引き上げ、さらには税率の大幅な引き下げということがぜひ必要であるというふうに考えております。通産省といたしましては、電気税とともにガス税についても毎年度要求を出しておりまして、今後ともその廃止ないしは軽減について努力したいというふうに考えているところでございます。
  207. 宮田早苗

    ○宮田委員 さらに税金のことでございますが、電気、ガス企業に対する事業税の課税標準の変更についてお伺いいたします。  現在の事業税は、電気、ガス、生保、損保の四業種のみが収入金課税になっております。言うならば外形標準課税であるのに対して、他のすべての業種には所得課税、こうなっておるわけでございます。この両者を比較いたしますと、収入金課税方式は通常でも重い上に欠損時にも課税されるということになるわけでございまして、その負担は大変大きいのじゃないかと思います。さらに、租税負担の公平の原則に反しておるのじゃないか、こうも思うわけでございます。同じ料金認可業種でございます鉄道とか航空等の公益事業と比較しても大変不合理と、こう思うわけでございます。  この見地から、事業税の課税標準を所得課税に改めたらどうか、こういうふうに思いますが、その点の見解がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  208. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のとおり、電気事業における課税方式は外形課税方式がとられておりまして、電気事業以外でこの方式が適用されているのはガスと生命保険、損害保険しかございません。一般産業についてはすべて所得課税方式がとられているわけでございます。  電気事業は、従来から、所得課税方式で計算した場合に比べてかなり多額の事業税を払っております。具体的に数字を申し上げますと、昭和五十九年度について見ますと、現実に納付したお金が千六百八十七億円でございますが、仮に所得課税にした場合の税額を計算してみますと、千二百四十五億円ということで四百四十二億円高くなっております。御指摘のように、これは非常に不公平な税であると考えております。  特に近年、電気事業においてはコストの低減問題が最大の課題の一つとなっているわけでございます。こうしたことから、実質的に重課になっているこうした課税方式につきましては、一般産業と同様の所得課税に変更する必要があるというふうに強く考えております。  通産省といたしましては、そういう内容につきまして来年度の税制改正要求を出しているところでございまして、これについても、今後ともそういう要求を強く主張していきたいというふうに考えております。
  209. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、中小のガス事業者の課税標準の変更についてお伺いをいたします。  ガス事業者の九〇%以上が中小企業である。御承知のとおりです。この外形課税による税負担は事業経営の圧迫要因であろう、こう思います。また、認可料金制の地方鉄道及びバス業は、事業者数も多く、経営規模の小さい事業者が少なくない点はガス事業者とよく似ておるわけでございます。これらの業種は既に外形課税から所得課税方式に変更されておるわけであります。このため、税負担の公平を図る見地からも所得課税に変更することとして、当面、経営基盤の脆弱な中小ガス事業者について実現したらどうか、こういうふうに思いますが、その点の見解をひとつお聞きします。
  210. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生指摘のように、ガス事業につきましても電気と同様の外形課税方式がとられておりまして、非常に不公平でございます。特にガス事業者につきましては、その九割以上が中小企業でございまして、中小企業でこういう外形課税で税金を取られているのはガス供給業だけでございます。  先生指摘のように、地方鉄道とかバスというのは既に所得税方式に変更いたしております。当省といたしましては、ガス事業について、ガス業全体についての事業税の課税の方法についての変更を求めておりますけれども、少なくとも中小ガス事業については課税方式を改めるべきだというふうに考えて、今後ともそういう要求をしたいというふうに考えております。
  211. 宮田早苗

    ○宮田委員 一番最初に申し上げましたように、この法律が持ちます一つの大きな意味は、今日問題になっております貿易摩擦の解消のための設備投資を大きくやる、そうして内需の拡大を図るということでないといけない。そのために投資が今どういう傾向になっておるかということを新聞報道で見ましたからお伺いいたしますが、最近設備投資の手控えというのがだんだんに出てきておるんじゃないかという報道でございまして、特にハイテクなどは慎重姿勢をとっておる。これが結果として投資を減退させて、せっかくの電力、ガスの追加投資までやって内需拡大をしようという矢先にこういうことになるとマイナスになるんじゃないかというふうに思います。  中小企業のごときはさらにこの投資活動が鈍っておる、こういうふうな傾向にあるようでございますから、通産省としては早くこれに対する手を打って、せっかくこの電気関係の法律まで改正をして大きく投資をしようという、これと相まって、全体の設備投資が活発になるような方策を進めたらどうか、進めなければならぬと思いますが、その点についてのお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  212. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘の点は非常に重要な点でございまして、今後の景気動向を考えますと、内需振興ということが非常に重要でございますが、その中でも設備投資というものが私どもとしても非常に重要だと感じております。  特に、私どもがエネルギーを扱っておりますものの面から見ましても、長期的なエネルギー動向を考えて、エネルギー節約的なあるいは代替エネルギー導入的な技術開発設備投資というものを促進する必要があると考えておりまして、各種の内需振興策とともに、今後のエネルギー供給あるいは需要構造が高度化するような投資税制というものを来年度創設したいということで、現在関係方面との折衝を行っておりますが、今後ともそういう技術開発を体化したような設備投資、こういうものを中心に促進措置をとっていきたい、かように考えております。
  213. 宮田早苗

    ○宮田委員 ぜひひとつお願い申し上げたいと思います。  そして、電力設備投資が引き続いて行われる、さらに一兆円の追加で行われる、こういうふうになるわけでございますが、もしそれを実行するということになりました場合に、波及効果についてひとつお伺いをしたいということです。電力でございますから、相当に業者も関連しておると思いますし、さらに中小企業に与える影響というものも相当に効果が出るのじゃないかと思いますが、貿易摩擦の解消になり得るだけの波及効果があるものかどうか、この辺についてお伺い申し上げたいと思います。
  214. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 今回の内需拡大策の一環としての設備投資でございますが、この対象設備は送電、配電など電力流通関係の設備が大部分となっております。したがって、これらの設備は機器、材料等比較的簡易なものが多く、各電力会社は地元業者からの供給に依存する場合が多いということでございまして、また工事実施の面でも、送電、配電それぞれ専門の地元業者が工事を請け負っておるということで、内需拡大自体が相当の効果があるということを我々は見ておるわけでございまして、これがまた回り回って、内需の拡大でありますから、貿易インバランスの解消についてももちろん相当役に立つ、こういう判断をいたしておりまして、そういう趣旨のもとに進めておるところでございます。
  215. 宮田早苗

    ○宮田委員 設備投資を増加するに当たりましては、内外のエネルギー事情を無視してはできかねるのだと思います。  そこで、外国におきますところのエネルギー事情について御質問申し上げるわけでございますが、まず石炭、石油、ガス関係についてどのような傾向になっているか、抽象的な質問ですけれども、ひとつ説明していただきたい、こう思います。
  216. 野々内隆

    ○野々内政府委員 国際的なエネルギーの動向でございますが、まず石油につきましては、国際的な石油情勢は基本的には緩和基調で推移していると考えていいかと思います。昨年来OPECが、石油市況の回復のために生産枠の削減でございますとか、価格ディファレンシャルの調整というようなことで新価格の設定などの措置をとっておりますが、基調的には余り大きな変化がないというふうに考えられます。ただ、最近では、短期的には在庫が非常に低くなっているということ、あるいは冬場の需要期を迎えるというようなことで、石油市場はやや堅調ぎみに今推移いたしております。  ただ、長期的に見ますと、IEAの見通しによりますと、石油の需給は中長期的、一九九〇年代中ごろには逼迫化するというのが一般的に言われておりまして、また、日本の石油供給源の大体七〇%が中東依存でございますが、この中東情勢は、御承知のように、イラン・イラク戦争、レバノンをめぐる情勢、イスラエルとの関係、その他非常に不安定な状態でございます。今後の国際石油情勢については、十二月初めに開催されますOPECの通常総会、これの動きを見きわめる必要があろうかというふうに考えます。  それから石炭でございますが、最近の世界の石炭需要は一般炭を中心に着実に増加を見せておりまして、また需要伸びに対応した供給が安定的に行われております。英国で石炭鉱山のストライキがございまして、その分供給が逼迫をし、石油需要がその分逆にふえたということが昨年ございましたが、現在は落ちつきを取り戻しております。  今後の石炭需給の動向でございますが、石炭は確認可採埋蔵量が非常に豊富でございます。また、石油のように地域的に偏在をするということではなしに比較的世界に広がっておりまして、潜在的な供給力も大きいということで、適切な開発が行われれば需要の増加に対応した供給量の増加は可能であろうかと思います。天然ガスにつきましても、最近各地で開発が行われておりまして、我が国では、長期的な供給契約で大体ここ十年ぐらいの需要に見合う分は契約済みという程度に安定をいたしております。この天然ガスも供給地域があちこちに分散をいたしておりますので、当面需給に心配はないというふうに考えております。
  217. 宮田早苗

    ○宮田委員 もう一つは、電源立地の進捗状況についてお伺いをいたします。  余り立ち入ったことはと思いますが、できるなら現在各電力会社が進めております開発状況説明をしていただければと思います。
  218. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 電源立地につきましては、官民による立地の促進努力の効果もございまして、近年着実に進展を見ております。しかしながら、第一に発電所の立地に伴う雇用効果というのは余り多うございません。また、地元へのメリットが一般の工場に比べて少ないというような問題がございます。第二番目には、発電所の立地に伴う安全性あるいは環境保全についての不安がまだまだ残って根強いということがございまして、そういう意味では楽観ばかりしているわけではございませんで、今後とも官民挙げて努力を続けたい。  具体的には、まず第一には、電源立地地域における公共用施設の整備、それから企業導入、産業の近代化のための措置等に充てるために現在交付金の交付をやっておりますけれども、これを昭和六十年度から、電源地域の市町村の行う産業興しについても補助金を交付して、電源立地についての産業面での振興を図ろうというような施策を講じております。  また、電源立地地域における安全対策等を推進するために、原子力発電施設の安全性の実証のための試験あるいは環境審査のための調査等を行っておりまして、地元住民の理解の確保を図り、電源立地促進に努めていくというようなことで現在行っております。
  219. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に、電力多消費型産業についてお伺いいたします。  きょうはアルミの問題についてお聞きするわけでございますが、アルミの問題については、前回の産業構造審議会ですか、もう三年ぐらいになると思いますが、それがあったにもかかわらず、何かなかなかそのとおりいっていないということですが、まず、アルミ産業現状についてお伺いしたいと思います。
  220. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 先生よく御承知のとおり、アルミ製錬業というのは典型的な電力多消費産業でございまして、アルミ地金一トンつくるのに一万四千キロワットアワー電力が要る、こういうことでございますので、石油ショック以来非常に強い大きな影響を受けております。特に、第二次石油ショックというのが極めて大きな影響をもたらした。その後、構造的な不況産業ということでずっと苦しい状況を続けておりまして、それに対応するためにこれまで数次にわたる構造改善を進めてまいっておるところ、これもまた先生よく御承知のところでございます。  現在も、昨年十二月の産業構造審議会の答申に基づきまして、この四月からもう一段の構造改善事業というのを三カ年計画で進めておりまして、その主要部分は、七十万トンございました能力をさらに三十五万トンまで減少させる、設備処理をする、身軽にするというようなこととか、あるいは海外の開発輸入室進めるとか、あるいは関係企業の協力を得まして最大限の金融支援を行うとか、政府といたしましても関税減免制度というようなものをとってこれを側面から支援している、こういう状況でございます。  ただ、今御指摘になりましたように、ことしに入りましてアルミ製錬業をめぐります国際環境は一段と厳しさを増しておりまして、円高の事情等もあって、いろいろなこれまでの努力にもかかわらず、現在なお千億円の累積欠損を抱えている五つの企業というのが極めて厳しい状況にある、こういうふうに認識いたしております。
  221. 宮田早苗

    ○宮田委員 アルミの問題についてでございますが、答申は三十五万トンという方向に持っていかれるという話を聞いておりますが、国内需要が今どれほどあるものか、さらに、それに対しまして輸入がどの程度になるか、さらに、三十五万トンというふうにおっしゃいましたけれども、果たして三十五万トンの生産が可能かどうか、これは大変疑問を持っているわけですけれども、この点もひとつお考えがありましたらお答えいただきたいと思います。
  222. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 確かに、今や日本のアルミ需要全体は二百万トン前後ございますので、そういう中で国産の地金の供給というものは極めて少なくなっておりまして、五十九年度で見ましても、現実の国内地金の生産は二十八万トン、地金の輸入というのは既に百二十八万トンということで、極めて大きな部分が、開発輸入等もございますけれども、輸入に依存している、こういう状況でございます。
  223. 宮田早苗

    ○宮田委員 電力多消費型の産業について、要望を含めて、見解をお聞きしたいことがございます。  それは、やはり電力多消費型産業で一番大きな原因というのは電力料金だということでございまして、たびたび業界からも、何らか特別の措置はとられないかというような意向がよく伝えられておるわけでございますが、せっかく電力の関係についての法案審議、さらにこれが実行される過程の中で、その辺についての御見解、これは要望を含めて私は言っているわけですが、何か見解がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  224. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 確かにアルミ地金というのは電力の塊でございまして、先ほど申し上げましたように一トンで一万四千キロワットアワー、もし一キロワットアワー十円としましても十四万円、トン当たりかかります。現在の国際市況は非常に異常な低水準でございますけれども、千ドルあるいはそれを若干切っておるような状況で、現在の円レートで申しますと二十万そこそこでござい津す。したがいまして、非常に大きな部分が電力料金ということになっておりまして、これの重要性につきましては私どもとしましても従来からよく承知しております。  前の構造改善計画のときにも、アルミ地金産業用の電力コスト低減を非常に大きな眼目として個別に各電力会社との間でのいろいろなお願いもいたしましたし、また政府といたしましても石炭共同火力への転換等につきましてできるだけの支援をしてきたところでございます。  ただ、そういうことにもかかわりませず、やはり日本の電力産業コストというのは全体としてはどうしても高く、水力発電国等に比べますと格段と高い水準でいかざるを得ないということで、いろいろな電力コストの低減措置が非常に大きな目に見えた効果を及ぼすほどにはなかなか実現できないというのが実情でございまして、今後とも私どもとしましては、いろいろと深夜料金等の活用あるいはそういうものの拡大とか、電力料金体系の範囲内において許す限りの電力コストの低減について、資工庁ともよく相談しながら最大限の努力をしてまいりたい、そう思っております。
  225. 宮田早苗

    ○宮田委員 次に石炭問題についてお伺いいたします。  まず、我が国石炭火力に使用いたします国内炭はどの程度使用されておるのですか、それをまず聞きます。
  226. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 電気事業では、燃料の多様化という観点から積極的に石炭火力の導入を今図っておりまして、五十九年では全体の発電電力量の八・八%を占めております。その使っている石炭の内訳でございますが、全体が約二千万トンでございますが、そのうち一千三十五万トンが国内炭、大体五〇、五〇という感じでございます。
  227. 宮田早苗

    ○宮田委員 ただいま国内炭の方針は依然として二千万トン体制という、これは続けられておるわけでございますが、実際問題として実績は千七百万トン程度ではないかと思います。せっかく二千万トン体制が決められておりますだけに、それに到達することがなぜできないかという疑問があるわけでございますが、その点のネックはどこにあるのですか、聞きます。
  228. 野々内隆

    ○野々内政府委員 本年度の国内炭の供給は千六百三十万トン程度でございます。これは大きな事故があったということもございますが、最近国内の炭鉱の条件がだんだん悪化してまいりまして、今平均の深さが六百メートルでございますが、既に千メートルを超える炭鉱も出ておりまして、切り明への往復に一時間以上もかかるというような炭鉱も出現いたしておりまして、かなり技術的に悪い条件で掘らざるを得ない状況になっております。保安の確保には十分注意をいたしておりますが、残念ながら大きな災害が続いている現状でございます。  そういうことで本年の供給は千六百三十万トンということで、これはやはり日本の地層の構造あるいは現在の技術水準からいってこの程度ではないかというふうに考えております。
  229. 宮田早苗

    ○宮田委員 現在の石炭政策といいますのは第七次ということなんでございましょうが、これから第八次政策の検討ということになると思いますが、その際、二千万トン体制を見直すお考えがあるかどうかということをお聞きいたします。
  230. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 第八次石炭政策につきましては、ことしの九月三日に石炭鉱業審議会に諮問を行いまして、現在、政策部会に設けられた検討委員会において来年夏にその答申を出すべく検討を行っておるところでございます。現在の段階ではこういった状況でございますので、まだその方向は決まっておりませんが、今後、内外炭価格差の拡大とか、近年の国内炭をめぐる諸情勢の変化を踏まえまして、国内炭の生産規模、保安確保のあり方など広範な課題について検討を行うこととなるのではないか、このように考えております。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
  231. 宮田早苗

    ○宮田委員 第八次の石炭政策の検討ということですが、多分に要望しておきたいと思いますのは、やはり円高ということでございまして、国内炭使用という理由がだんだん高まってきておるのではないか。もちろん保安ということは全く前提でございますから、その辺は十分に配慮してもらわなければいけませんが、炭鉱の今日の実態から、できるだけこれが引き続いてできるような方策を八次の政策立案の中にきちっと入れてほしいということをまず要望しておきます。  あと、最後でございますが、ガスの問題についてお聞きをいたします。  このたびガスの関係についてはこの法案から除かれておるわけでございます。しかし、貿易摩擦解消の一つの方策として特別投資として一千億円を追加するということになっておりますが、この一千億の追加の対象が三社ということになっております。問題は、九十何%までが中小でございますから、中小にもある程度そういう関係の投資をやらせないとなかなかガス業界も大変だと思いますが、そういう点について何か御見解がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  232. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 今回の内需拡大のための追加投資につきましては、大手三社に対して要請をいたしたわけでございます。これは、大手三社の設備投資ガス事業全体の設備投資の約七割を占めているということで、三社に要請をいたしたわけでございます。実は、その他のガス事業者につきましてはそのほとんどが中小企業、民営ガス会社の約九〇%以上は中小企業でございます。そしてまた公営企業も相当多うございます。ということで経営基盤が脆弱であるということもございますので、政府として強く要請するということはしなかったということでございます。
  233. 宮田早苗

    ○宮田委員 最後に要望です。  何しろ貿易摩擦という大きな問題をどう国内的に解消するかという最大の課題設備投資だと思います。ただ、設備投資の可能性のあるのが電力だけだというのは大変寂しい思いをいたしますが、それだけでも思い切ってやることによって波及効果が生まれるのじゃないかと思います。今のところ三年間、一千億の追加というふうになっておりますが、今日の他の民間産業投資状況というのが大変少ないという傾向になっておりますので、そういう点は、通産省としては別な面で投資が活発になりますように、質問の中にもございましたように、電線を埋没するような工事等々も大いに取り入れてやっていただきたいということを要望として申し述べて、私の質問を終わります。
  234. 粕谷茂

    粕谷委員長 宮田早苗君の質疑は終わりました。  引き続いて工藤晃君の質疑に入ります。工藤君。
  235. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 本法案内容電力会社設備投資を大いにやる、そのため社債発行の枠を広げたいという非常に単純明快な内容でありますけれども、しかし、これは今の電力会社の体質や政府電力政策の方向や、あるいは今日のいわゆる民活による内需拡大の方向や、さらには国民の負担が今後どうなるであろうか、さまざまな問題が絡んでおります。そこで私は幾つかの問題についてただす予定であります。  水曜日の当委員会におきまして、私も、電力料金が公共料金である以上、円高の差益や原油の差益、これが出てくる以上、料金の値下げを行うべきであるということで、一つの例として、これはあるテレビで、ある経済評論家の三十円の円高で三千六百億円、原油バレル五ドル安で五千億円、合わせて八千六百億円の差益が出るという例を紹介したわけであります。  昨日のある新聞を見ましても、石油連盟会長が十三日の記者会見で、一ドル二百円が定着するようなら来年度以降石油製品値下げも考えると言って、民間側でもこういう動きといいますか意向の表明が出てきたということは、大変注目されなければいけないわけであります。  ただ、前回私が伺いましたところ、この前円高差益の還元ということで値下げしたら、すぐに第二次オイルショックでまた上がってしまって、今度は五〇%の値上げをやったではないか、そういうことをもって非常に慎重に臨むという答弁も聞かれたわけであります。しかし、私は円高見通しを今から論じるわけでありませんが、少なくとも石油の価格の動向について言えば、先ほど答弁にありましたように、IEAの見通しやらその他を見ても、長期的には石油の価格はそう上がるという見通しは持てない、どちらかというと弱含みではないということでありますが、その点だけもう一度御確認願いたいと思います。
  236. 野々内隆

    ○野々内政府委員 国際石油情勢は、中長期的には緩和傾向と言っていいかと思います。ただ、残念ながら日本の石油は七〇%が中東依存でございまして、中東情勢、イラン・イラク紛争あるいはベイルートあるいはイスラエル、ああいう動向につきまして確たる見通しというのは非常に申し上げにくいわけでございますので、確たる見通しということになると非常に難しゅうございますが、中表期的には緩和傾向かというふうに言えるかと思います。
  237. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 中長期的にそういう見通しであるということは、もう国際的にも一つの共通した見解になっておると思いますから、私たち政策を考えるとき、もちろん突発事故が起きたときはどうするかということは当然考えなければいけないけれども、国の政策としてはそういう見通しを前提にして考えるべきだという意見を申し上げます。  次に、ごく一般的な問題でありますが、電力コストあるいは電気事業費用の最大の費目は燃料費と資本費、この資本費は減価償却費プラス支払い利息、大体こういうことだと私は思いますが、過去十年ぐらいの一つのトレンドとして、コストあるいは電気事業費用の中でそれぞれが何%で、最近はどういう傾向かということを答弁していただきたい。
  238. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  九電力会社の費用に占める燃料費、資本費について、過去十年間の推移を見ますと、まず燃料費でございますけれども、昭和五十年度が約一兆五千二百億円、それから五十五年度が約三兆五千五百億円、五十九年度が約三兆六千三百億円となっております。その費用全体に占める比率を見ますと、五十年度が約三七%、五十五年度が約三七%、五十九年度が約三一%となっております。  また資本費は、先生指摘のように減価償却費と支払い利息を足したものでございますが、これについては昭和五十年度約七千六百億円、五十五年度約一兆九千億円、五十九年度約二兆七千五百億円と推移いたしております。その費用全体に占める比率を見ますと、五十年度約一八%、五十五年度約二〇%、五十九年度約二三%、こうなっております。
  239. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 これからの設備投資に伴うコストの変動を考えるときに、当然長期的に特に資本費が伸びているということに注目しなければなりませんが、それは後段の私の質問で触れることとしまして、私はここにも持ってまいっておりますが、電気事業審議会料金制度部会の七九年三月二十七日中間報告というのがありますけれども、「原価主義にいう原価は、「能率的な経営の下における適正な原価」であるべきことである。」こういうことを確認してありますね。電気事業者に対し、経費節減のために努力を促すとも書いてあるという観点から、これは最近私が電力会社の有価証券報告書に基づきまして、それぞれの企業が実際に幾らの石油を買っているかとか燃料を買っているかというこの単価を見ると、大蔵省が発表しているCIF価格と比べてかなり高いという状況があるので、一体これはどこから起きているのかということについて説明していただきたい。  例えば五十九年度原油のCIF価格は、キロリットル当たり四万四千五百五十八円です。ところが、東京電力は一キロリットル当たり五万四千六百九十五円、関西電力は五万四千五百六十九円。ほかの電力会社もいろいろありますが、省きます。関税と石油税を加えても二千七百三十四円これに積み増しで、四万七千二百九十二円キロリットルでありますから、東京電力も関西電力もそれよりも七千円以上、キロリットル当たり高いという状況もあります。  重油の方については、CIF価格では四万二千七百五十五円。これに関税や石油税を加えて計算して四万五千四百四円ですが、東京電力は五万四千四百四十七円、関西電力は五万四千九十九円で、これは九千円以上あるいは九千円近く高い。こういう違いがなぜ発生するのか。それこそ能率をよくしたもとでの原価でなければいけないというとき、電力会社のこの費用の計上というのは一体どうして起きるのか。これは私にとって大変なその問題でありますし、電力会社の中の人も大変不思議だと言っておりましたので、ぜひ伺わせていただきたいと思います。
  240. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のような輸入原油のCIF価格は、我が国が輸入している全油種の通関時の平均価格でございます。これに対して、電力会社が平均購入している価格というのは、ちょうど燃料消費前の価格、いわゆる炉前価格というものでございまして、この中にはまず関税や石油税が課税されるということは先ほど先生が御指摘したとおりでございますが、そのほかに石油会社の内航運賃、それから備蓄費等諸経費が加算されるわけでございます。  具体的に申し上げますと、関税、石油税のほかに、基地経費としてタンクの費用、それから防災費として消火設備、防油堤等の費用、それから備蓄費として備蓄法に基づく備蓄タンク等の費用、それから内航運賃、それに金利として石油会社が産油国に支払った後ユーザーから代金を受け取るまでの間の金利、以上がCIFにさらにつけ加わるということでございます。
  241. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今言った具体的なその構成、これはぜひ私ども知りたいと思いますし、資料としてお見せいただきたいわけです。というのは、LNGの場合ですとそういう差が比較的少なく出てきて、原油、重油に関してはある。しかし、常識的に考えて、火力発電は大体港湾にありますから、大体そこに着くのじゃないですか。ですから、こういう諸経費がこれだけ七千円も八千円もキロリッター当たりふえるというのはまことに不思議なことですが、そういう意味で、具体的な内容が幾らだというのはぜひ示していただきたいと思います。
  242. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 ただいま申し上げました諸経費の具体的な数字その他につきましては、取引の秘密ということで私どもも手元にございませんけれども、これは公表は不能かと思います。
  243. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そういう通産省の姿勢を私たちは問題にしなければならないと思いまして、大変遺憾なことである。あくまで要求しますが、それをやっていますと時間がかかりますので、次に移りたいと思います。  委員長、当委員会に提出したいと思っております資料の配付を許可していただけますか。
  244. 粕谷茂

    粕谷委員長 ただいま工藤委員から資料の机上配付をしたいということでございますので、これを許可いたします。
  245. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 五十五年の料金改定のとき、各社が申請を出しました。例えば東京電力がこういうふうに出しました。それに対しまして通産省の方で査定して、料金の認可をしたわけであります。それで、ここに書いてある資料は東京電力と関西電力でありますが、いわゆる総括原価に含まれたものを積み上げていくとき、通産省としてはこういう積み上げでなければならないというように訂正されたものでありまして、これは注に書いてあるところであります。実績というのは、有価証券報告書から、その結果どうであったかということが書いてあります。  なお、各社が出した申請書の中には、最後に五年間にわたる収支見積書がありまして、こういう新しい料金の改定をやると大体五年間これこれの収支見積もりになるというのがあります。  そこで、実績と比較していったのがこの表になりますけれども、東京電力の燃料費というところをぜひ見ていただきたいわけですが、これは五十五年度に早くも七六・〇%、五十六年度が七一・九%、五十七年度が六八・三%、それから五十八年度が五一・六%、五十九年度には四七。七%。この改定時に出した見積もり、そしてそれを認可したときの計数や何かの変更がありますね、それで修正したものによりますと、つまり査定したとき燃料費はこのくらいであろう、それに基づいて今後五年間どうなるというのが、この燃料費だけでもこんなに大きな違いというか、半分以下になっておる。支払い利息の方を見ていただいても、東京電力の場合は六九・三%まで落ちて、そんなに高く査定する必要がなかったということになってきております。そのほか、人件費、修繕費などもあります。関西電力の場合、五十九年度だけについていいますと、燃料費は三九・八%、支払い利息は四二・一%ということになっているわけであります。  つまり、五十五年度の料金改定のときの総括原価、その根拠となったいろいろな、燃料費がこうであるとか支払い利息がこうであるというその計算の根拠というのは、五年たってみると余りにも甘かったというよりか、もう二年、三年でかなり大きな変化が出てきておる。もちろん先ほどもお話がありましたように、事業収益が予定どおり伸びたわけではありませんが、これは五十九年度の方を見ていただけばわかりますように、九一・五%、九二・二%ですから、いわば一〇%以内に収益の方はおさまっている。ところが、重要な経費である燃料費などに至っては見積もりよりも半分以下である、支払い利息も見積もりよりか大変少なくて済んでいる、こういうことになっているわけなんです。これは料金改定の認可表と申請書に基づいた計算でありますから、これはぜひ試していただきたいわけでありますが、このことを見ても、つまり五十五年度の料金改定の根拠、少なくともそのときの総括原価というのは、その後の経済変動と比べて著しくかけ離れているということであります。  さらにこの問題を詰めていきますと、先ほど申し上げました電気事業審議会料金制度部会の中間報告の中に、急激で大幅な経済変動があったときに電気料金を見直さなければいけないということであって、今日の、そしてこれから進むであろうところの円高に対して当然見直しを行わなければならないけれども、五十五年度の料金改定のときの、少なくとも政府見通しからこれほど大きな変動が起きているわけでありますから、料金の改定というものは既にこれまでの時点で当然やっておかなければならなかったことである。それに加えて今度の円高が起きているのだというふうに考えます。その辺については大臣の答弁を求めます。
  246. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 五十五年当時の査定でございますけれども、この料金認可につきましては公正かつ適正な査定を行い認可されたものと考えておりまして、査定に当たりましては、公聴会、物価安定政策会議の意見を参考としながら、経済企画庁とも協議の上厳正な査定作業が行われたものと考えております。  先生指摘のその査定と実績が非常に変わっておるという点でございますが、特に燃料費についてそれが大きいという御指摘でございますけれども、この点につきましては、一番大きな要因はやはり燃料の構成及び燃料の量が変わったということでございまして、五十五年度について分析してみますと、一番大きな原因は需要減でございまして、需要想定よりも非常に減った。それから円高になった。それから非常に豊水であった、水が豊富であったということで、水力発電の割合がふえた。それから原子力が非常にふえたというようなことがございます。  五十六年につきましても、石油消費が非常に減った。これは原子力あるいは石炭火力が非常に伸びまして、その分石油消費が減りましたが、それによって全体の燃料費が非常に減ったという状況にございます。
  247. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 大臣、私はなぜこの食い違いが出たかという説明は十分よくわかっております。しかし、少なくともこの五十五年改定のときに根拠にした今後の総括原価の構成並びに見積もりというのが大きく変動したではないか。これだけ大きな変動をするのに、この料金を改定せずにほっておくのはおかしいではないか。これはさっき言った電気事業審議会料金制度部会の報告に照らしてもおかしいではないか、そういうことを申しているわけであります。ですから、その点でこの問題ぜひ検討して、どうするかということについて大臣の御答弁を願いたいと思います。  通産大臣、お願いしますよ、もうお話はたっぷり伺いましたから。
  248. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 ちょっと先に答弁させていただきます。  先ほど申し上げましたような燃料費の構成及び為替についての変動その他によりまして、御承知のように五十五年についてはその後想定した内容よりも変わったことは確かでございます。しかしながら、全体につきましてはそれほど大きな変動はございませんで、特に為替差益が出たということで、これにつきましては御高承のとおり別途積立金として千八百億円を積み増し、現在それが千七百三十五億円残っておりますが、その別途積立金として積み立てまして、為替差益によって生じた利益はそれをガラス張りにして、今後料金長期安定あるいはその他為替差益のさらに違う変動が起こった場合の準備といたしておるわけでございます。
  249. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私は大臣に答弁を求めております。つまり、料金改定したときの総括原価が、その後の事態から見ても余りにも変わっているではないか。なるほど収益も少しは予定どおりではないけれども、これはまあ九割以上だ。ところが重要なコストの方は、半分で済んでいるとか半分以下である。余りにも大きいじゃありませんか。だから電力会社のもうけ過ぎということが起きるわけでありまして、当然そこで料金の改定を考えなければいけない。これは何もこれからの円高について私は言っているのではなしに、過去五年間について言っているわけでありますから、その点について、この表についての御感想でもいいですから聞かせていただきたいと思います。
  250. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 工藤委員から御提出をいただいたこの資料でございますが、この「事業収益計」の「b/a」、この欄を見てみますと、大体九三%、九四%というような数字になっておりますが、御指摘のように、確かに燃料費は年次が新しくなるのに従って相当の差があるようでございます。この点はひとつよく検討させていただきたいと思います。
  251. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 大臣は検討されると言いましたから、ぜひこれは検討していただきたいと思います。つまり、これからの円高という変化でただ改定問題を考えるというだけでなしに、過去の、これまで大きな変動があったということは大変重要な事実であります。ですから、仮に五十五年改定のとき、通産省の方としてはこの程度だと思っても、事態がこんなに進んで変わってきている。これが放置されているということは、国民にとっては全くたまらないことであります。このことを強く申しておきます。  そして前回も私申し上げました、電力会社というのは非常に高収益を得ているという問題ですね。これは国民の側から見ても大変疑問にしていることであります。例えば五十九年度申告所得上位五十社を見ると、電力会社が五社入る、ガスは二社入る。それで東京電力は三位、関西電力は六位、中部電力は七位。こういうことで、例えば売上高に対する利益、これは申告所得の利益をとったわけでありますが、関西電力などは一〇・一%で、トヨタの八・八、日立の九・九、松下の八・〇なんかと比べても著しく高い、こういう利益になっている。そして、先ほどお話ありましたように、結構積立金もやってきている、こういう事態であります。  しかし、この中間報告は、大きな変動があって利益がたまるときには、ただ積立金を積み増すだけじゃだめだと書いてあるでしょう、この中には。そのときには料金を改定しなければいけないと書いてあるわけであります。つまり「過大な利益が長期間発生する場合には、準備金を積み立てる一方となり、かなりの期間取崩しが行われないこととなる。このような場合には、原則として料金見直しを行う必要があり、準備金の積立てのみで対処するのは適切でない。」と書いてありますから、当然これはもっと前の時点でやるべきであったと考えます。  さて、そういう点でもう一点それに加えて、先ほど来円高問題で、今後円高差益がさらにふえるときには、料金改定の検討をいつかやるということでありましたが、先ほどの大臣の答弁ですと、それは来年の六月ごろですか三月ごろですか、もう一度はっきりさせていただきたいと思います。
  252. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 お答え申し上げます。  来年の六月ごろには六十年度の決算が出てくるであろう、それに従って今後のいろいろの資金上の見通しが出てくるであろう、その場合に円高がなお現在のまま続いておる、あるいはその他のいろいろの物価等の要件に変動がなければ、どういった方程式が出てくるか、そういった意味で諸般の情勢を勘案をする、検討をする、このように申し上げたわけでございます。
  253. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それはガス料金についても同様ですか。
  254. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 同様でございます。
  255. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 しかし、ガス会社の収益状況はもっといい点も最近ありますし、先ほど言いましたように、五十五年の改定のときの総括原価の根拠が大きく変わっているということを通産省としてももう一度確認し検討して、その時期を早めるようにする必要がある、このように考えますが、どうですか。
  256. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 料金査定時にはいろいろな諸元について前提を置いて決めるわけでございますが、先ほど来申し上げましたとおり、下がっているものと上がっているもの、例えば燃料についてはその後非常に変わっておりますけれども、資本費は上がるとか、あるいはその他の経費は下がる、上がるということで、でこぼこがございまして、その全体が最終的には、そのときに起こる経常利益ということになろうかと思います。その経常利益につきましては電力会社、ガス会社ともにガラス張りにして、現在積み立てるということで、料金長期安定に備えるということにいたしております。
  257. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 今みたいないいかげんな答弁をされては困りますよ。資本費がふえているというのは、比率の上でふえているという傾向はありますけれども、私の出した表で見ると、例えば関西電力の場合は減価償却費も八〇・九、支払い利息も四二・一、資本費が下がっているじゃないですか。東京電力の場合も支払い利息が六九・三。なるほど減価償却費は一一〇・八ですが、これは定率法を広げたりいろいろそういう操作で広がっただけであって、何かこっちは下がったけれどもこっちは上がっている、そういう答弁をされては困ります。今の答弁は、これに基づいて変えてください。
  258. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 五十五年の料金査定の際には、その査定の予定期間を一年といたしておりますので、その後についてはさまざまに変わることがございます。五十五年について見てみますと、先ほど言いましたように、上がった分もございますし下がった分もございますということで、その収支じりは当然最終的に経常利益として出るということを申し上げたわけでございます。その経常利益につきましては、法人税を払い、配当した後は全部積み立ててあるということでございます。
  259. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 これはやり合っていてもしようがないですけれども、上がったものもある、下がったものもあると言って、その主要経費を全部合わせたら、私の計算では下がっているじゃないですか、六十何%に。どうしてそういうことを言うのですか。ですから、そういうようなことはだめですよ。ちゃんとまじめにこの問題を検討していただかなければなりません。しかし、時間の問題がありますから、設備投資の問題に移りたいと思います。  私の設備投資問題での最初の問題は、十年間で四十五・八兆円設備投資をやるといいますと、その場合資本費はどのくらいふえますか。これは八四年度、五十九年度と比べてどういう計算になりますか。
  260. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 御指摘のように電力会社設備投資は、五年後四兆八千億、十年後には五兆二千億となる見込みでございます。資本費については試算いたしておりません。
  261. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私は、あらかじめその計算をぜひ示してほしいと要求しておりましたけれども、なぜそれをやらないのですか。これは非常に大事なんですよ。電力会社設備投資をどんどんやる。国民にどういう負担がかかるか。それは結局資本費の増大ということを通じてかかるわけでしょう。それが計算されないと、今度設備投資をふやすときに、国民は一体どういう負担を負わなければならないか、はっきりしないではありませんか。それはどうなのですか。
  262. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 資本費につきましては、各資産ごとの減価償却年限等に応じまして計算しなければなりませんので、現在のところ計算できておりません。
  263. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そういうことさえ試算できないようでは、一体この設備投資は国民にとって何をもたらすか、はっきりしたことが言えないということだと認めざるを得ませんが、私は、ごく粗っぽい私の試算を示します。  これは、五十年度から五十九年度まで、設備投資が二十六兆六千四百三十四億円だということであります。二十六・六兆円として、その間資本費がどれだけふえたかというのは、約二兆円ふえています。二十六・六兆円で二兆円ふえた。四十五・八兆円ならば、これと大体並行するならば三・四兆円ふえる。というと、五十九年度の資本費二兆七千億円余りプラス三兆四千億円で六兆一千億円に十年後には年間の資本費がなる。二・二倍ぐらいになっていく。これは減価償却のやり方によればもっとふえることになるわけでありますが、結局この資本費の増大というのは料金収入で回収されるということになるのじゃないですか。その点はどうでしょうか。
  264. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 ただいまの先生の試算については伺っておりましたけれども、それについては現在コメントする限りではございません。いずれにしましても、設備投資が増加すると資本費が上昇するということは当然でございます。  ただ、それによりましていわゆる石油代替電源開発されるということで燃料費が減少する、あるいはその他のコストが下がるということでございまして、総合的には電力料金の安定、あるいは電力経営の安定に資するというふうに考えております。
  265. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私の試算をどんなにコメントしていただいてもいいわけでありますから、遠慮なしにそれはやっていただきたいわけであります。今の答弁でも、資本費が相当ふえるであろうということは明らかだと思います。  ところで、電力会社設備投資内容について、産業構造審議会の資料を見ますと、六十年度の計画で、電源開発が四一・六%、流通が二四・九%、改良が二〇・八%等々ありますけれども、この電源開発じゃ何といっても火力と原子力が多い、それから流通では送電が多いという中身であります。  そこで、民間活力による内需振興策として電力会社設備投資をふやすというのですが、電源開発で、これは原子力なら原子力に限ってもいいですが、電力会社電力、その発注を受けている上位十社はどこですか。それで、この十社で総額の大体何%ぐらいを占めているか。送電関係でその注文を受けている上位十社はどこであって、総額何%ぐらい受けていることになっているのか、これをぜひ資料として示していただきたいと思います。
  266. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました内容につきましては、私企業間の契約の問題でございますので、具体的な社名とか発注について資料を出すことは差し控えたいと思います。
  267. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 まことに不満な答弁でありますが、私がたびたび引用します電気事業審議会料金制度部会の中間報告の中でも、「電気事業は、公益事業としての性格を持ち、社会に対する影響、役割が大きいので、他産業に比してより積極的に企業活動の内容を公開すべきである。」「いたずらに企業秘密の範囲を拡大しないよう留意しなければならない。」こうなっていますね。こういう方向に照らしてみて、これはまことに疑問に思われます。「電気事業を監督する立場にある通商産業省においても、上記の点を踏まえ、電気事業に関する行政の内容について、国民への説明等に一層努力すべきである。」もっと公開しろということじゃありませんか。それをどういうふうに実行するつもりですか。
  268. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 その答申の内容につきましてはよく存じております。  ただ、その答申の同じところに、「この場合において、商取引に悪影響を及ぼし、あるいは企業努力の余地を奪うような企業秘密の公開は行うべきではない」というふうに書いてございまして、先ほどの点につきましては「企業秘密の公開」になるというふうに考えるわけでございます。
  269. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そういうことで答弁を避けておりますので、私の方で少し実情についてお話ししたいと思います。  日本原子力産業会議が毎年報告を出しております。一九八三年度「原子力産業のマネーフロー」というのがありますが、電気事業への納入額、これは機械装置、構築物、その他を含んでおりますが、一兆五千百五十億円という巨額に及ぶ。  こういうことを前提にして、今度は「鉱工業の資本金階層別・部門別原子力関係受注残高」の表がありますが、それを見ると、原子炉の材料、これは受注残高で一兆五千億を超えるという巨額なものでありますが、資本金五百億円以上が八〇・五%を占めております。十億円以上を合わせますと九七・八%になります。発変電機器、これは二千五百六十七億円でありますが、資本金五百億円以上で九三・六%を占めます。建設・土木、これは二千三十二億円でありますが、資本金五十億円以上で九一・六%を占める、こういうことになっております。ですから、特に電力設備投資というのはほかの設備投資とも違いまして、受注する企業が非常に少数に限られて、しかも巨大企業である、資本金五百億円以上である、これが特徴ですね。  このことを考えると、電力設備投資がふえると一体どこへ波及するかという問題は、当然真剣に見なければならないということになっております。例えば東京電力の例で福島第一、これは原発、福島第二、これも原発ですが、一から六、一から二までとって主契約者のリストを見ますと、GE、GE・東芝、東芝、日立になっております。原子炉型について言うと、GE、GE・東芝、東芝、日立ということになっております。圧力機器について言いますと、GE、石川島播磨重工、バブコック日立。本当に二社か三社に限られております。  関西電力の例で言いますと、美浜の一から三、高浜の一から二、大飯の一から二、これはウエスチングハウスと三菱原子力工業、ウエスチングハウスと三菱商事、三菱原子力工業、三菱商事、これが主契約者であり、原子炉型ではウエスチングハウスと三菱重工、三菱重工、ウエスチングハウス、それからコンパッション・エンジニアリング、こういうものも入ってきます。圧力容器その他についてはこれが入ってくるわけでありますが、これは非常に限られております。  特に、土木建築関係で言いますと、五社体制というのがしっかりしかれておりまして、鹿島それから大林組、大成、清水、竹中、この五社体制というのがほとんど原子力建設関係を独占している。鹿島に至っては、電力業界全体三十一基のうち十四基の本体を設計したり施工したりしている、こういう状況になってきているわけであります。  そういうことを見ますと、電力産業設備投資は、GEとかウエスチングハウスとか東芝とか日立とか三菱とか限られたのが、繰り返し繰り返し注文を受けて設備投資をやっている、こういう関係にあるわけですから、これは一体そこで果たしてもうけ過ぎがあるのかないのか、こういうような企業でいいのか、そういうことは通産省としても当然検討しなければ、総括原価の中身を査定することもできないし、これからの設備計画が妥当であるかどうか見れないと思うのです。その点について、通産省としてはどういう態度でこれまで臨んできたでしょうか。
  270. 山本幸助

    山本(幸)政府委員 先生の御指摘で、電力会社が発注する場合に非常に大企業に偏っているのではないかというのがまずございますけれども、この点につきましては、御指摘のように、発電設備に関連するものにつきましては非常に大企業が多いということでございますけれども、逆に送電、配電、変電等の設備につきまして、これは全体の設備投資の非常に大きな部門を占めますけれども、そういう設備につきましては機器とか材料等について比較的簡易なものもあって、地元業者あるいは中小企業者に依存する場合もかなり多うございます。また、工事の実施面でも、送電、配電、それぞれにつきまして地元の中小企業の工事会社を使っている場合も多うございます。  また、先生がおっしゃったいわゆる原子力発電あるいは発電工事のど真ん中につきましても、全体についてはやはり大手メーカーあるいはいわゆるゼネコンが受注するということでございますけれども、その下請あるいは具体的な土木工事、据えつけ工事等につきましては、中小企業あるいは地元の業者が非常に多く関与しているというふうに考えております。
  271. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 もしいろいろそういう説明をされるなら、先ほど私が要求しました、それこそ送電関係あるいは電源開発関係、上位十社とか三十社のリストを出して、十分納得いくように説明していただきたいのですが、少なくとも原子力関係では、日本原子力産業会議のこの報告の中にあるように、先ほど言いましたように、発変電機器に関して言えば五百億円以上が九三・六%ということを書いてあるわけでありますから、それで、あと下請にいくとだんだんピンはねかなんかされてしまって余りうまみがないのです。もうけるのは一番上なんです。  これは三菱銀行の「調査」、昭和五十六年十二月号に、特にゼネコンのことが書いてあるのです。この中で、原子力関係の建設でどう書いてあるかといいますと、「この本体建屋だけでも今後一〇年間で八、〇〇〇億円の需要が出てくると予想される。」「今後とも一部の大手ゼネコンの金城湯池であろう。」銀行の調査というのは割合こういう金城湯池というような文学的なことは書かないのですよ。割合抑えて書くのですが、金城湯池と出てくるのは、一つは競争者を寄せつけないという意味があるのです。しかし、これでは国民も寄せつけられないわけですね。一体どこでどういう取引が行われているのだろうか、こういうことも全くわからない。五社体制がずっと続いている、最近少し崩れたという報道がありますけれども。ですから、ここで一体どれだけぼろもうけが行われているか全くわからない。  しかし、これをこのまま続けて、ただ設備投資だけふやしましょうというのでは、国民の側から見てちょっと納得できないと思うのですが、大臣、どうでしょうか。こういう点について、もっと通産省として厳格に、電力会社の発注のやり方や価格が妥当であるかなど、もう少し考えないと、それは私企業間の関係であるといったって、百社も二百社も公開入札してやるような関係じゃないのです。延々として相手は東芝であり、鹿島であり、延々として相手は三菱であり、そういう関係ですから、そこへどうしても踏み込んでいただかなければならないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  272. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 工藤委員の御質問を承りました。公共事業の場合であれば、大企業と下請企業あるいは中小企業との関係につきましては公共事業執行官庁が、その執行についていろいろな監督指導等をするわけでありますが、民間企業の場合は、自由主義経済体制でありますので、原則としては自由経済を十分伸長させる、その中で社会的に一つのバランスのとれた形が出てくるというのが望ましいのだろうと思います。先ほど公益事業部長から御答弁申し上げましたように、大企業と中小企業との関係、地元企業との関係等につきましては、もちろん通産省もいろいろ検討、研究をしなければならないと思いますが、原則としては、電力事業というものの性質、非常に大規模なものであるというような性質から、そういったことがあろうかとも思いますし、またいろいろな事項について、大企業と中小企業あるいは地元企業の振興ということについては、常に民主主義の原則として配慮をされつつバランスがとれていくものである、このように考えております。
  273. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 しかし、先ほども私指摘しましたように、料金制度部会が、やはり公益企業なんだから、秘密をなるべくなくして公開しなければいけない、通産省としてこういうのを受けているわけですね。それは大臣としてやはりそういう方向で努力しないと、そこはどれだけもうけているかわからない、それで、それは私企業だというのでは済まないのではないですか。そういうことで済ましてはいけないということを書いてあるのではないですか。その点、どうお考えでしょうか。
  274. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 私は、民主主義というものは一つの社会秩序として、その秩序が保たれていくべきものであると考えておりまして、官庁の介入というのは最大限少なくするというのが民主主義の理想だと思います。そしてまた、そのことは、仮に工藤委員のおっしゃるように非常に不公正なことが行われているとすれば、これは公正なマスコミが承知しておくはずがないのであって、そういった批判にさらすわけでありますから、そういった民主主義のルールというものを最大限尊重したいと思います。
  275. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 さっき言った東京電力と東芝の関係とか、そういうのが延々と続いて、マスコミも知りようがないわけなんですよ。それを知ることができるのは、やはり通産省がちゃんと調べないと知りようがないわけでありますから、そういうことを言われたのでは完全に公益事業としての性格を失う、大変危険な答弁だと私は思います。  時間もだんだん迫ってまいりましたので、私が最後に申し上げたいのは、このように、どうも考え方として設備投資のための設備投資ということになっている。それで、たしかしばらく前までは、なるほど国鉄の設備投資をどんどんふやす、あるいは鉄鋼の設備投資をふやす、それに電力をふやす。ところが鉄鋼の方も伸ばせない、国鉄もああいうことになったというので、特に重電機関係だとか商社関係だとか銀行関係だとかあるいは電気機器関係が、ともかく電力設備投資をふやす以外ないということで、寄ってたかってここを膨らまそうとしている。だから本当に電力の必要ということからやる設備投資と、こういう大きな大手の企業、商社などが、ともかく彼らの景気対策のためにやる設備投資と、はっきり区別していかなければならないけれども、私はこのやり方、非常に心配なんです。  かつて国鉄は、日本列島改造計画が出たときに、これまで政府の審議会で十年間に三兆七千億円までにとめなければ国鉄危ないと言ったのを、一挙に十年間で十兆五千億円にふやしてしまって、そして国鉄はとうとうパンクしてしまった、こういういきさつがあります。ただ、国鉄と電力会社が違うのは、地域の独占ががっちりしていて、みんな料金にぶっかけることができるのですね。国鉄は料金を値上げしたらどんどんどんどんお客さんが減ってしまってああいうことになったけれども、電力の場合はみんなこれは国民の負担にツケが回るから、私はこういう設備投資のやり方には非常に大きな危険を感じる。  こういうことを含めまして、公共料金見直しを直ちにやらない問題や、今の設備投資のあり方や、それからもっともっと企業として公開すべきであるのに、そういうことがやれないという今の状況のもとでは、設備投資拡大を認めるのにつながるような今度のこの法案には賛成しがたいという意見を述べまして、時間が参りましたので私の質問は終わらしていただきます。
  276. 粕谷茂

    粕谷委員長 これにて工藤晃君の質疑は終了いたしました。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  277. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  一般電気事業会社及び一般ガス事業会社社債発行限度に関する特例法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  278. 粕谷茂

    粕谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 粕谷茂

    粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  280. 粕谷茂

    粕谷委員長 次回は、来る十九日火曜日午前九時四十五分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三分散会