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1985-12-10 第103回国会 衆議院 社会労働委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月十日(火曜日)    午前十時一分開議 出席委員   委員長 戸井田三郎君    理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君    理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君    理事 村山 富市君 理事 大橋 敏雄君    理事 塩田  晋君       伊吹 文明君    古賀  誠君       斉藤滋与史君    自見庄三郎君       谷垣 禎一君    友納 武人君       長野 祐也君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    林  義郎君       湯川  宏君    網岡  雄君       河野  正君    多賀谷真稔君       竹村 泰子君    永井 孝信君       森井 忠良君    沼川 洋一君       橋本 文彦君    森田 景一君       森本 晃司君    塚田 延充君       浦井  洋君    小沢 和秋君       菅  直人君  出席国務大臣         労 働 大 臣 山口 敏夫君  出席政府委員         労働政務次官  浜野  剛君         労働省労政局長 加藤  孝君         労働省労働基準         局長      小粥 義朗君         労働省婦人局長 赤松 良子君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       清水 傳雄君  委員外出席者         総務庁人事局企         画調整課長   井出  満君         法務省人権擁護         局調査課長   永井 敬一君         郵政大臣官房人         事部長     櫻井 國臣君         労働省労政局労         働法規課長   廣見 和夫君         労働省労働基準         局労災管理課長 松本 邦宏君         自治省行政局公         務員部公務員第         一課長     紀内 隆宏君         日本国有鉄道常         務理事     長谷川 忍君         日本国有鉄道職         員局職員課長  葛西 敬之君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君     ――――――――――――― 十二月四日  老人医療費患者負担増大反対等に関する請願  (網岡雄君紹介)(第八〇七号)  同(横江金夫君紹介)(第八〇八号)  同(網岡雄君紹介)(第八三九号)  同(伊藤茂君紹介)(第八四〇号)  同(大出俊君紹介)(第八四一号)  同(堀昌雄君紹介)(第八四二号)  同(渡部行雄君紹介)(第八四三号)  同外一件(網岡雄君紹介)(第九二九号)  同(浦井洋君紹介)(第九三〇号)  同(加藤万吉君紹介)(第九三一号)  同(沢田広君紹介)(第九三二号)  同(田並胤明君紹介)(第九三三号)  老人保健制度拠出金増額反対に関する請願  (左近正男君紹介)(第八〇九号)  原爆被爆者援護法制定等に関する請願(土井た  か子君紹介)(第八一〇号)  同(土井たか子君紹介)(第八四五号)  同(土井たか子君紹介)(第九三八号)  合板・製材等木材産業労働者の雇用の安定確保  に関する請願(田中克彦君紹介)(第八一一号  )  同(日野市朗君紹介)(第八一二号)  同(中村正男君紹介)(第九四〇号)  民間保育事業振興に関する請願(伊藤忠治君紹  介)(第八一三号)  同(角屋堅次郎君紹介)(第八一四号)  同(田並胤明君紹介)(第八一五号)  同(横江金夫君紹介)(第八一六号)  同(横山利秋君紹介)(第八一七号)  同(浅井美幸君紹介)(第八四六号)  同(有島重武君紹介)(第八四七号)  同(石田幸四郎君紹介)(第八四八号)  固(上原康助君紹介)(第八四九号)  同(菅直人君紹介)(第八五〇号)  同(斉藤節君紹介)(第八五一号)  同(柴田弘君紹介)(第八五二号)  同(山花貞夫君紹介)(第八五三号)  同(渡部一郎君紹介)(第八五四号)  同(伊藤昌弘君紹介)(第九四一号)  局(梅田勝君紹介)(第九四二号)  同(浦井洋君紹介)(第九四三号)  同(岡崎万寿秀君紹介)(第九四四号)  同(久間章生君紹介)(第九四五号)  同(工藤晃君紹介)(第九四六号)  同(沢田広君紹介)(第九四七号)  同(瀬崎博義君紹介)(第九四八号)  同(田中美智子君紹介)(第九四九号)  同(田並胤明君紹介)(第九五〇号)  同(中井洽君紹介)(第九五一号)  同(中山正暉君紹介)(第九五二号)  同(中林佳子君紹介)(第九五三号)  同(丹波兵助君紹介)(第九五四号)  同(東中光雄君紹介)(第九五五号)  同(不破哲三君紹介)(第九五六号)  同(正森成二君紹介)(第九五七号)  同(町村信孝君紹介)(第九五八号)  同(松野幸泰君紹介)(第九五九号)  同(松本善明君紹介)(第九六〇号)  同(湯川宏君紹介)(第九六一号)  健康保険本人の十割給付復活等に関する請願  (大出俊君紹介)(第八四四号)  同(浦井洋君紹介)(第九三五号)  同(小沢和秋君紹介)(第九三六号)  ソ連抑留後遺症シベリア珪肺潜在患者救済  等に関する請願(網岡雄君紹介)(第八五五号  )  同(林義郎君紹介)(第九六二号)  国立療養所東高知病院存続等に関する請願外  二件(井上泉君紹介)(第八九七号)  同(浦井洋君紹介)(第八九八号)  同(小沢和秋君紹介)(第八九九号)  同(瀬崎博義君紹介)(第九〇〇号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第九〇一号)  同(辻第一君紹介)(第九〇二号)  同(中林佳子碧紹介)(第九〇三号)  同(三浦久君紹介)(第九〇四号)  同(山原健二郎君紹介)(第九〇五号)  国立久留米病院存続等に関する請願外九件  (稲富稜人君紹介)(第九〇六号)  同(浦井洋君紹介)(第九〇七号)  同(小沢和秋君紹介)(第九〇八号)  同(経塚幸夫君紹介)(第九〇九号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第九一〇号)  同(中林佳子君紹介)(第九一一号)  同(野間友一君紹介)(第九一二号)  同(藤木洋子君紹介)(第九一三号)  同(正森成二君紹介)(第九一四号)  同(三浦久君紹介)(第九一五号)  同(山原健二郎君紹介)(第九一六号)  国立十勝療養所及び国立療養所帯広病院の統廃  合反対等に関する請願(岡田利春君紹介)(第  九一七号)  同(島田琢郎君紹介)(第九一八号)  同(新村源雄君紹介)(第九一九号)  国立療養所新潟病院整備拡充等に関する請願  外二件(小林進君紹介)(第九二〇号)  老人保健制度改悪反対等に関する請願(工藤  晃君紹介)(第九二一号)  同(津川武一満紹介)(第九二二号)  同(中川利三郎君紹介)(第九二三号)  同(林百郎君紹介)(第九二四号)  保育所制度の充実に関する請願(古賀誠君紹介  )(第九二五号)  同外一件(三原朝雄君紹介)(第九二六号)  老人医療への定率自己負担導入反対等に関する  請願(浦井洋君紹介)(第九二七号)  同(経塚幸夫君紹介)(第九二八号)  医療保険制度の改善に関する請願(不破哲三君  紹介)(第九三四号)  老人医療患者負担増額反対等に関する請願  (佐藤祐弘君紹介)(第九三七号)  老人保健法改悪反対等に関する請願(山原健二  郎君紹介)(第九三九号)  輸血及び血液製剤エイズ汚染排除等に関する  請願(浦井洋君紹介)(第九六三号) 同月五日  老人医療への定率自己負担導入反対等に関する  請願(佐藤祐弘君紹介)(第一〇〇四号)  老人医療費患者負担増大反対等に関する請願  外一件(網岡雄君紹介)(第一〇〇五号)  同(沢田広君紹介)(第一〇〇六号)  同外五件(田中美智子君紹介)(第一〇〇七号  )  同(野間友一君紹介)(第一〇〇八号)  同(沢田広君紹介)(第一〇六三号)  同(嶋崎譲君紹介)(第一〇六四号)  同(浜西鉄雄君紹介)(第一〇六五号)  同(上野建一君紹介)(第一一六二号)  同(小川国彦君紹介)(第一一六三号)  同(小林恒人君紹介)(第一一六四号)  同(佐藤観樹君紹介)(第一一六五号)  同(浜西鉄雄君紹介)(第一一六六号)  医療保険制度改善に関する請願(佐藤祐弘君紹  介)(第一〇〇九号)  民間保育事業振興に関する請願(相沢英之君紹  介)(第一〇一〇号)  局(小杉隆君紹介)(第一〇一一号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一〇一二号)  同(瀨長亀次郎君紹介)(第一〇一三号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一〇六六号)  同(大野潔君紹介)(第一一六八号)  同(木内良明君紹介)(第一一六九号)  同(左近正男君紹介)(第一一七〇号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一一七一号)  同(武藤嘉文君紹介)(第一一七二号)  同(渡辺栄一君紹介)(第一一七三号)  国立療養所東高知病院存続等に関する請願外  二件(井上泉君紹介)(第一〇一四号)  国立久留米病院存続等に関する請願外二件  (細谷治嘉君紹介)(第一〇一五号)  同外二件(細谷治嘉君紹介)(第一〇六七号)  同(権藤恒夫君紹介)(第一一七五号)  同外三件(細谷治嘉君紹介)(第一一七六号)  国立療養所新潟病院整備拡充等に関する請願  外一件(小林進君紹介)(第一〇一六号)  同(小林進君紹介)(第一〇六八号)  保育所制度の充実に関する請願(自見庄三郎君  紹介)(第一〇一七号)  同(田澤吉郎君紹介)(第一〇六九号)  同外一件(櫻内義雄君紹介)(第一一七七号)  同(辻英雄君紹介)(第一一七八号)  国立湯田温泉病院存続等に関する請願(浜西  鉄雄君紹介)(第一〇六一号)  同(吉井光照君紹介)(第一〇六二号)  社会保障社会福祉の拡充に関する議願(池端  清一君紹介)(第一一一七号)  同(梅田勝君紹介)(第一一一八号)  同(浦井洋君紹介)(第一一一九号)  同(小沢和秋君紹介)(第一一二〇号)  同(岡崎万寿秀君紹介)(第一二一号)  同(経塚幸夫君紹介)(第一一二二号)  同(工藤晃君紹介)(第一一二三号)  同(佐藤祐弘君紹介)(第一一二四号)  同(瀬崎博義君紹介)(第一一二五号)  同(瀨長亀次郎粛紹介)(第一一二六号)  同(田中美智子君紹介)(第一一二七号)  同(竹村泰子君紹介)(第一一二八号)  同(中川利三郎君紹介)(第一一二九号)  同(中島武敏君紹介)(第一一三〇号)  同(中林佳子君紹介)(第一一三一号)  同(林百郎君紹介)(第一一三二号)  同(東中光雄君紹介)(第一一三三号)  同(不破哲三君紹介)(第一一三四号)  同(松本善明君紹介)(第一一三五号)  同(三浦久君紹介)(第一一三六号)  同(村山富市君紹介)(第一一三七号)  同(山原健二郎君紹介)(第一一三八号)  保育予算増額等に関する請願(池端清一君紹  介)(第一一三九号)  同(浦井洋君紹介)(第一一四〇号)  同(小沢和秋君紹介)(第一一四一号)  同(岡崎万寿秀君紹介)(第一一四二号)  同(工藤晃君紹介)(第一一四三号)  同(柴田睦夫君紹介)(第一四四号)  同(田中美智子君紹介)(第一一四五号)  同(竹村泰子君紹介)(第一一四六号)  同(津川武一君紹介)(第一一四七号)  同(中川利三郎君紹介)(第一一四八号)  同(中島武敏君紹介)(第一一四九号)  同(中林佳子君紹介)(第一一五〇号)  同(野間友一君紹介)(第一一五一号)  同(東中光雄君紹介)(第一一五二号)  同(不破哲三君紹介)(第一一五三号)  同(藤田スミ君紹介)(第一一五四号)  同(簔輪幸代君紹介)(第一一五五号)  同(村山富市君紹介)(第一一五六号)  身体障害者雇用対策に関する請願(浦井洋君  紹介)(第一一五七号)  同(小沢和秋君紹介)(第一一五八号)  同(津川武一君紹介)(第一一五九号)  国民年金等改善に関する請願(経塚幸夫君紹介  )(第一一六〇号)  高齢者福祉充実等に関する請願(竹村泰子君  紹介)(第一一六一号)  老人保健法改悪反対等に関する請願(東中光  雄君紹介)(第一一六七号)  ソ連抑留後遺症シベリア珪肺潜在患者救済  等に関する請願(竹村泰子君紹介)(第一一七  四号) 同月六日  年金福祉事業団等分譲住宅建設資金返済方  法に関する請願(小沢貞孝君紹介)(第一二〇  四号)  岩手県の国立病院療養所統廃合反対等に関  する請願(菅原喜重郎君紹介)(第一二〇五号  )  老人医療費患者負担増大反対等に関する請願  (左近正男君紹介)(第一二〇六号)  同(永井孝信君紹介)(第一二〇七号)  同(岩垂寿喜男君紹介)(第一二六三号)  同(左近正男君紹介)(第一二六四号)  同外二件(森井忠良君紹介)(第一二六五号)  老人医療定率負担反対等に関する請願(永井  孝信君紹介)(第一二〇八号)  合板・製材響木材産業労働者の雇用の安定確保  に関する請願(永井孝信君紹介)(第一二〇九  号)  同(渡辺嘉藏君紹介)(第一二一〇号)  同(不破哲三君紹介)(第一二六八号)  民間保育事業振興に関する請願(熊川次男君紹  介)(第一二一一号)  同(倉成正君紹介)(第一二一二号)  同(小坂徳三郎君紹介)(第一二一三号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一二一四号)  同(砂田重民君紹介)(第一二一五号)  同(玉置一弥君紹介)(第一二一六号)  同(中村正雄君紹介)(第一二一七号)  同(太田誠一君紹介)(第一二六九号)  同外一件(奥田幹生君紹介)(第一二七〇号)  同(山本政弘君紹介)(第一二七一号)  保育所制度の充実に関する請願(田中秀征君紹  介)(第一二一八号)  同(中島衛君紹介)(第一二一九号)  同(太田誠一君紹介)(第一二七四号)  同(唐沢俊二郎君紹介)(第一二七五号)  同(羽田孜君紹介)(第一二七六号)  同(宮下創平君紹介)(第一二七七号)  同(若林正俊君紹介)(第一二七八号)  国立湯田温泉病院存続等に関する請願(小澤  克介君紹介)(第一二二〇号)  保育予算増額等に関する請願(不破哲三君紹  介)(第一二二一号)  同(菅直人君紹介)(第一二八三号)  同(田中美智子君紹介)(第一二八四号)  同(横山利秋君紹介)(第一二八五号)  国民年金等改善に関する請願(経塚幸夫君紹介  )(第一二二二号)  高齢者福祉充実等に関する請願(竹村泰子君  紹介)(第一二二三号)  同外一件(竹村泰子君紹介)(第一二八六号)  医療保険制度の改善に関する請願(松浦利尚君  紹介)(第一二六六号)  原爆被爆者援護法制定等に関する請願外一件  (土井たか子君紹介)(第一二六七号)  ソ連抑留後遺症シベリア珪肺潜在患者救済  等に関する請願(小沢辰男君紹介)(第一二七  二号)  輸血及び血液製剤エイズ汚染排除等に関する  請願(村山富市君紹介)(第一二七三号)  社会保障社会福祉の拡充に関する請願(菅直  人君紹介)(第一二七九号)  同(田中美智子君紹介)(第一二八〇号)  同(多賀谷眞稔君紹介)(第一二八一号)  同(横山利秋君紹介)(第一二八二号) 同月九日  老人医療無料制度復活等に関する請願(中林佳  子君紹介)(第一三五九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一四九五号)  老人医療費患者負担増大反対等に関する請願  (小川国彦君紹介)(第一三六〇号)  同外一件(小澤克介君紹介)(第一三六一号)  同外二件(田中美智子君紹介)(第一三六二号  )  同(藤木洋子君紹介)(第一三六三号)  同外二件(左近正男君紹介)(第一四八一号)  同(城地豊司君紹介)(第一四八二号)  同外二件(新村勝雄君紹介)(第一四八三号)  同(竹内猛君紹介)(第一四八四号)  同(簔輪幸代君紹介)(第一四八五号)  老人医療無料化制度復活等に関する請願(山  原健二郎君紹介)(第一三六四号)  同(井上一成君紹介)(第一四八七号)  老人医療患者負担増額反対等に関する請願  (田中美智子君紹介)(第一三六五号)  同(藤田スミ君紹介)(第一三六六号)  民間保育事業振興に関する請願(大久保直彦君  紹介)(第一三六七号)  同(田中慶秋君紹介)(第一三六八号)  同(玉城栄一君紹介)(第一三六九号)  同(塚本三郎君紹介)(第一三七〇号)  ソ連抑留後遺症シベリア珪肺潜在患者救済  等に関する請願(橋本文彦君紹介)(第一三七  一号)  国立療養所新潟病院整備拡充等に関する請願  (田中角榮君紹介)(第一三七二号)  同(田中角榮君紹介)(第一四九〇号)  保育所制度の充実に関する請願(平泉渉君紹介  )(第一三七三号)  同(井出一太郎君紹介)(第一四九一号)  国民の医療充実等に関する請願(梅田勝君紹介  )(第一四七六号)  同(八木昇君紹介)(第一四七七号)  京都府の看護学校寮における電気製品使用規  制緩和等に関する請願(小沢和秋君紹介)(第  一四七八号)  国立佐渡療養所存続等に関する請願(関山信  之君紹介)(第一四七九号)  国立療養所松戸病院国立柏病院統合反対等  に関する請願外五件(新村勝雄君紹介)(第一  四八〇号)  老人保健制度拠出金増額反対に関する請願  (大出俊君紹介)(第一四八六号)  原爆被爆者援護法制定等に関する請願外三件  (土井たか子君紹介)(第一四八八号)  老人保健法改悪反対等に関する請願(竹内猛君  紹介)(第一四八九号)  社会保障社会福祉の拡充に関する請願(河野  正君紹介)(第一四九二号)  同(関山信之君紹介)(第一四九三号)  保育予算増額等に関する請願(河野正君紹介  )(第一四九四号)  看護学校寮における電気製品使用規制緩和等  に関する請願(小沢和秋君紹介)(第一五〇六  号) 同月十日  千葉県の国立病院療養所統廃合反対等に関  する請願(柴田睦夫君紹介)(第一五四七号)  原子爆弾被爆者等援護法制定に関する請願外  二件(中島武敏君紹介)(第一五四八号)  老人医療への定率自己負担導入反対等に関する  請願(浦井洋君紹介)(第一五四九号)  老人医療費患者負担増大反対等に関する請願  (浦井洋君紹介)(第一五五〇号)  同(近江巳記夫君紹介)(第一五五一号)  同(嶋崎譲君紹介)(第一五九八号)  医療保険制度の改善に関する請願(浦井洋君紹  介)(第一五五二号)  老人医療無料化制度復活等に関する請願(中  島武敏君紹介)(第一五五三号)  民間保育事業振興に関する請願(池田克也君紹  介)(第一五五四号)  同(小澤潔君紹介)(第一五五五号)  同(熊川次男君紹介)(第一五五六号)  同(小谷輝二君紹介)(第一五五七号)  同(中島武敏君紹介)(第一五五八号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第一五五九号)  同(春日一幸君紹介)(第一五九九号)  同(永末英一君紹介)(第一六〇〇号)  ソ連抑留後遺症シベリア珪肺潜在患者救済  等に関する請願(沼川洋一君紹介)(第一五六  〇号)  国立療養所東高知病院存続等に関する請願外  一件(平石磨作太郎君紹介)(第一五六一号)  保育所制度の充実に関する請願(小泉純一郎君  紹介)(第一五六二号)  社会保障社会福祉の拡充に関する請願(浦井  洋君紹介)(第一五六三号)  保育予算増額等に関する請願(浦井洋君紹介  )(第一五六四号)  国立療養所松戸病院国立柏病院統合反対等  に関する請願(森田景一君紹介)(第一五六五  号)  看護学校寮における電気製品使用規制緩和等  に関する請願(浦井洋君紹介)(第一五六六号  )  同(森田景一君紹介)(第一五六七号)  同(網岡雄君紹介)(第一六〇一号)  同(池端清一君紹介)(第一六〇二号)  同(河野正君紹介)(第一六〇三号)  同(竹村泰子君紹介)(第一六〇四号)  同(村山富市君紹介)(第一六〇五好) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月六日  国民健康保険財政改善に関する陳情書外五十四  件(第  四八号)  福祉予算の充実に関する陳情書外五件  (第四九号)  精神障害者福祉法早期制定に関する陳情書外  一件(第五  〇号)  国立病院療養所存続等に関する陳情書外十  件(第五  一号)  食品添加物規制等に関する陳情書  (第五二号)  一般廃棄物収集輸送施設に対する補助制度確  立に関する陳情書外一件  (第五三号)  痴呆性老人対策の充実に関する陳情書外一件  (第五四号)  辺地医師の確保に関する陳情書外一件  (第五五号)  カネミ油症被害者救済に関する陳情書外一件  (  第五六号)  年金客船の建造に関する陳情書外一件  (第五七号)  原爆被爆者援護法制定に関する陳情書外二十六  件(第  五八号)  中国残留邦人問題に関する陳情書  (第五九号)  高山公共職業安定所益田分室廃止反対に関する  陳情書  (第六〇号)  季節労働者対策の充実に関する陳情書外四件  (第  六一号)  シルバー人材センター事業の充実に関する陳情  書  (第六二号)  労働時間の短縮促進に関する陳情書外二件  (第  六三号)  最低賃金制に関する陳情書  (第六四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  労働関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 戸井田三郎

    戸井田委員長 これより会議を開きます。  労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
  3. 永井孝信

    永井委員 今、国鉄問題がこれからの再建をめぐって大変な状況になっているわけです。監理委員会の答申を受けて、六十二年の四月から分割民営をするという方向で政府は検討されているようでありますが、その行く末がどうなるか別にいたしまして、この国鉄再建最大課題というのは余剰人員対策であるというふうに君われているわけですね。  聞くところによりますと、近くこの余剰人員対策についても閣議で決定されるやに聞いているわけであります。たまたまきのうの朝日新聞などに出ておりますのを見ますと、政府と与党の関係では、まだこの余剰人員対策について調整が進んでいないと報道されているわけです、真偽はわかりませんけれども。そうして、その中を見てみますと、当初、閣議でこの余剰人員対策を決定するについては閣議決定を十一月二十九日に予定しておった。それが延び延びになって、現在もなお閣議決定がなされていない、こういうふうに報道されているわけです。その真偽は別にいたしまして、分割民営を進めていくという大きな政治課題に向けて作業を進める際に、この余剰人員対策がいかに大変な問題であるかということを物語っていると思うのですね。  さて、歴代労働大臣所信表明などで、労働省最大の使命というのは雇用確保、安定、こういうものだと常に触れられているわけですね。そういう立場からすると、労働省としてあるいは労働大臣としてこの余剰人員対策をどのように進めていく御決意なのか、まず冒頭にそれを承っておきたいと思うわけであります。
  4. 山口敏夫

    山口国務大臣 先生から御指摘いただいておりますように、国鉄再建対策の沖におきまして、やはり究極的には人の問題をどう御理解をいただいてひとつ再就職への方途を探るか、こういうことだと思いまして、余剰人員という言葉が先行してしまっておるわけでございますが、私は人材派遣というくらいの認識を持って、完全雇用を目途に国鉄の方々の再就職を政府の責任においてひとつてれを進めていかなければならないというふうに考えております。  政府といたしましても、去る十月十一日に「国鉄改革のための基本的方針」を閣議決定し、その中で余剰人員対策につきまして、国、地方公共団体、一般産業界等について雇用の面の確保に努めるとともに、余剰人員の円滑な職業転換の促進のための所要の立法措置を講ずることとしておるわけでございまして、国鉄余剰人員雇用対策本部におきましても、今基本方針を決定すべく取りまとめの作業を進めておるところでもございます。  新聞にもいろいろございますように、公務部門で三万一千人、民間産業界において一万人、これは先生御承知のとおり、亀井委員長もしばしば発言をしておるところでございまして、再建委員会の答申を最大限尊重するという政府といたしましては、公務部門で三万一千人を採用すべく検討しておるところでございますけれども、これは民間の労働市場が五千五百万、公務部門は五百万弱、こういう状況でございますので、いい職場、いい条件ということも考えますと、その辺の民間の方も含めて国鉄の職員の方々がどこを希望されるかという点なども一つございまして、最終的な数がまだ決定をしておらない、こういう経過に今あるわけでございます。
  5. 永井孝信

    永井委員 まだ具体的なことは決まっていないということでありますけれども、今言われておりますように、監理委員会の答申の中身というのは余剰人員を九万三千名と想定したわけですね、もちろん、旧国鉄関係分を含めたといたしまして。断っておきますが、分割民営を私たちは認めて言っているのではないのですよ。今の動きを申し上げておるのでありますから、それはひとつそのように誤解のないようにしていただきたいのであります。しかし、今大臣も言われました国や自治体などの公的機関ですね、三万一千名を何とか受け入れていきたい、監理委員会の答申を受けて実践をする場合にそういう数字をお示しになったわけであります。採用可能な職種の一〇%だ、こう言っておるわけですね。採用可能な職種の一〇%だと。  労働大臣、三万一千名という数字が今出てきているわけでありますが、果たしてその数字を、公的機関といいますか、国や自治体を含めまして、あるいは公団、公社を含めまして、そういうところに間違いなく受け入れさせることができるという自信はお持ちですか。どうですか。
  6. 山口敏夫

    山口国務大臣 国鉄は公共企業、こういう立場で今日の日本の大きな発展の牽引車といいますか、中心的な役割を果たしてこられた、こういう経過があるわけでございますから、一人といえどもこの再建計画の中で失職、失業というようなことがあってはならないということでございまして、当然、公務部門において三万一千人の雇用が必要である、今政府・与党で最終協議中でございますが、こういう方向が出まするならば、これはもう政府がどんな努力と犠牲を払ってでも受け入れる、こういう方針を決定しなければならない問題だというふうに労働大臣としては考えておるわけでございます。  しかし、ただいまも申し上げましたように、何せ民間の労働市場、民間の産業の活力——国会でも民間活力、いろいろ言われておるわけでありますから、そういう意味で国鉄の職員の方々で民間部門を希望するという方もこれからのいろいろな御意見を個々に伺っていく過程においては当然出てくる場合も十分予測できるわけでございますから、その辺の数の問題をどういう形で最終的な方針として固めるかということについては、ひとついましばらく政府の作業を見守っていただければ大変ありがたいというふうに考えるわけでございます。
  7. 永井孝信

    永井委員 ところで、今もう既に政府の方は、いわゆる自治体などを含めて、国の機関もそうでありますが、あるいは財界に対して、国鉄のいわゆる余剰人員の受け入れについて協力を願いたいということをそれぞれなされているわけですね。事前の対応としてなされていますね。けさの新聞を見ますと、公的機関への希望が今のところ非常に多い、どういうふうに国鉄調査されたかわかりませんよ、そういうふうに音われているわけです。ところが極めて狭き門だ、こう言われているわけです。  私の地元の地域の、全部ではありませんけれども幾つかの自治体に、国鉄余剰人員を受け入れてくれという話が来ているかとお聞きいたしました。そういたしますと、全部国鉄の当局の側からそういう御要請がありました。実態はどうなんですかと、きょう質問するために一遍具体的なことを知っておこうと思って聞いてみたのです。そうすると、たとえそれが一名になるのか五名になるのかわかりませんけれども、受け入れもやむを得ないだろうという気持ちを持っていると言われた自治体が一つありました。あとの自治体は、私の当たったところではざっと九つぐらいの自治体なんですけれども、すべて断固反対なんですね。それはその首長さん、市長や町長さんは思想信条がどうあれすべて反対なんです。  なぜ反対なのかと聞いてみると、地方行革で職員の数を減らせということを強く言われている。だから職員の数を削減しなければいかぬ。そのために自然減耗を待つことが労使の関係では一番紛争が起きませんので、ここ五年ばかり採用ゼロの自治体もあれば三年ばかり採用ゼロにしているところもある。そんなところへ受け入れることはできないとか、もちろん清掃とかそういう現業関係なら別でありますけれども、いわゆる庁舎の中で働くような業務についてはかなりそれなりの専門的知識が要る、それぞれ受け入れ前に教育を受けるんであろうけれども、実態的に自治体の中で国鉄職員を活用できるだろうかとそのことをいろいろ相談してみると無理だという結論になったとか、あるいは国鉄の職員時代にもらっておった賃金を受け継いでくるわけですから、そこは法律上どうなるのか知りませんけれども、前からいる同僚との均衡が崩れてしまって一つの混乱を起こしかねないとか、いろいろな理由を挙げられるわけです。  そんな状態でありますから、それはそうだ、受け入れに反対しろなんて僕は言っていませんよ、実態はどうかと聞いてみたらそういう答えが返ってきているという現状から考えると、三万一千名の公的機関への受け入れというのは、表現上あるいは文章工作文は幾らでもつくれますけれども、あるいは受け入れに協力をしますよと言ってくれても、それが実態的に行為として伴っていくだろうか、こう考えると極めて難しい状況にあると見なければいけないと思うのです。私の今の認識であります。  もしも閣議でこの国鉄のいわゆる余剰人員対策なるものが決定をされて、それを六十二年三月末ですか、そこに向けて作業を進めていった場合に、うまくいかないということが事前にはっきりしてきたら、六十二年四月と言われている一つの作業のタイムリミットというのは、これはそれにこだわることができなくなるのではないか、こう思うのですが、それはどうでございますか。
  8. 山口敏夫

    山口国務大臣 ですから、そこが一番の問題でございまして、永井先生も先ほど分割民営を了承して質疑しておるものではない、こういう御説明もあったわけでございます。私も各労働団体等にお話を申し上げますときに、これが民営であれ現状の国鉄のままでの経営であれ、経営の採算ベースと人員の総数ということになりますと、今の現状であれ民営移管の状況であれ、人の問題をある程度やはり再就職をごあっせんをして交通整理をいたしませんと、国民の皆さんの御負担をいつまでもいつまでも現状のままでというわけにはいかない、こういうことが一つございます。  それからいま一つは、円高調整等中小企業もいろいろ厳しい状況で、これも政府でもいろいろ金融措置等年末を控えて検討しておるわけでございますが、一口に輸出の勢いを内需にと言っても、輸出立国でございますから国内景気に大変影響が出てきておる。そういう中で、景気に倍数的に雇用意欲がそがれていく、こういう厳しい情勢も心配されるわけでございます。そういう意味で、六十二年以降の日本全体の雇用市場というものを考えましたときに、何としても前倒しといいますか、六十一年の就職戦線においてもできるだけ配慮していかなければいけないのではないか、こういう基本的な問題が一つございます。  そして極めて現実的、具体的な問題は、今先生が御調査いただいて一つの側面が出ておりますように、率直に言って国鉄の職員の方々の再就職というものは、公務部門においても地方自治体等においても大変厳しい。私は労働大臣として自治体の労使の方々にもいろいろ発言もいたしまして意見調整もあったわけでございますが、労働省雇用官庁として精いっぱい責任を果たしますけれども、それとて、例えば安定所一つ見ても全国で出張所を入れても六百そこそこでございまして、全国の地方自治体は三千三百カ所もあるわけでございますから、そういう意味で情報基地としての自治体の権力といいますか機能というものは大変なものがあるわけでございますから、直接自治体が採用するということ、地方のために国鉄が今日まで果たしてこられた一つの大きな功績、実績というものも踏まえて、住民の生活を守ってきた自治体が一人も採用できない、こういうことは最終的には許される状況にない。何らかの仕事を、民間ではございませんけれども考えても、国鉄の職員の採用ができ得る一つの努力をまずすべきであるということが一つ。  そしてまたいわゆる民間部門に、公的部門に準ずる民間の採用条件、給与、いろいろな意味でそういう点の御紹介といいますか、働く方々の職域を守るという形で自治体の労使の方々がともに責任を果たしていただく、こういういわば公的な責任というものを御自覚いただける、最終的にはいただかなければならないし、いただけるというふうに確信しておりますし、政府としてはそういうきめ細かなお願い、努力を進めることによって国鉄職員の方々の安心と信頼を基本的にかち取らなければ、この国鉄再建というような大事業をとても進めるわけにはいかない。国民全体としてこの問題に対する理解を一層持っていただかなければこれだけの仕事ができるはずがない、こういう決意で、特に労働省としても責任を果たしていくという考え方でございます。
  9. 永井孝信

    永井委員 新聞記事を引用させていただいて恐縮なんでありますが、いろいろ公的機関に対する採用について検討を加えてきているけれども、六十一年度に国鉄から引き受けられる数は二千くらいが最大限に可能な数字ではないかとさえ言われているわけなんです。現実は全然問題にならぬ数字なんです。幾らいいことを言葉で並べてみても、現実はそうはなっていかないという状況にある。  しかし、今大臣が言われたように、この余剰人員が新たに大幅に出てくるということは、国鉄の責任で余剰人員をつくったわけではないですね、今までの余剰人員はさておいても。これからの余剰人員というのは国の政策で出てくるのですからね。だから、国の政策で余剰人員を生み出すということについて、今大臣が言われたように、政策を決めていった政府の責任においてこの余剰人員対策というか、むしろ国鉄の職員を路頭に迷わせないということについては責任を持つ、このように大臣は決意を述べられたというふうに理解してよろしいですね。
  10. 山口敏夫

    山口国務大臣 国鉄の職員の方々の再就職につきましては、公務部門、民間部門を問わず政府の責任において完全就職を目途に努力をする、こういう決意であるというふうに御理解いただいて結構であります。
  11. 永井孝信

    永井委員 政府の決意や責任のあり方というのは今の御答弁でよくわかりました。  さて、では今国鉄の現場ではどうなっているか。御承知のように、ことしの三月末に二万五千名程度でしたか、細かい数字は覚えていませんけれども、余剰人員ができて、これを自然退職を含めて二万人程度整理した。しかし、新たな合理化によってまた三万人を超える余剰人員ができたという状況になっているわけですね。調べてみますと、国鉄の現職員数は三十万七千人だというのです。六十年度首、ことしの四月の初めで三十万七千人だと言われているわけです。国鉄財政再建法が昭和五十五年の秋の臨時国会で成立したのでありますが、その当時からの施策でいきますと、もともと昭和六十年には三十五万人体制だと言ってきたわけです。三十五万人体制と言ってきて現実はどうなったかというと、三十万七千人まで職員数を減らしてきているわけです。それは当局も組合も、労使とも大変だったと思います。  これが将来は、国鉄当局のいろいろな資料で見ますと、六十二年度首には十九万五千三百人にするんだと言われているわけです。監理委員会の答申を受け、政府の指導を受けていろいろなことをやっておられるのでありましょうけれども、これは大変なことなんですね。この前質問したときにも申し上げたのですが、私の将来、おれの将来はどうなるんだろう、仕事がなくなってしまいはしないか、再就職できなくなるのではないかと私のところに言ってくる。いつおまえはやめろと言われるかわからぬという不安感を多数の職員が持っているわけです。そんなことを一々私に相談されても私は答えようがないわけです。そこで、政府が進めることについては国会で十分に審議をしますので、皆さんに御心配かけないように私どもも頑張りますと言うしかない。  そして、今国鉄の職場ではどういうことかというと、昨年から発足しましたいわゆる依願休職ですね。あるいは退職前提の休職であるとか、その中にはもちろん復帰を前提とした休職もあります。あるいは出向という問題もありまして、これは三項目と言われているのでありますが、その三項目をめぐって昨年の秋からことしの春にかけて、ストライキはされませんでしたけれども、労使の大変な紛争状態がありました。労働省の幹部の方々にもこの問題の処理のためには随分と御努力を願ったところであります。そして、ことしの四月にようやくこの三項目の関係が整理ができて、一番おくれておった国鉄労働組合もそこで協定がなされる、こういうことで昨年の秋から問題になっておりました雇用安定協定が締結されたわけであります。その雇用安定協定が締結されるまでの関係各位の御努力、政府当局を含め、もちろん労働組合の幹部も含めまして大変なものだったと思います。  ところが現実は、その協定は今国鉄で働く職員で結成する労働組合のすべての間に締結されているわけではないのですね。十二月一日から、最大の組織率を持っている国鉄労働組合との間にはこの雇用安定協定が期限切れのままになっているわけです。労働組合の方は雇用安定協定を結べるようにするために中央委員会を開いて機関決定もされたと聞いているのでありますが、機関決定と現場の実態との乖離の問題もあるのでしょう。現実はまだ締結がされていない。  そこで労働省にお聞きするのですが、冒頭にずっとお聞きしてきましたように、これから起きてくる余剰人員も、もちろん財政再建法ができたときから起きてきた余剰人員も、いわば国の国鉄に対する政策から生まれてきた余剰人員なんですね。だから、大臣も余剰人員の対策については政府が責任を持つべきであるし、労働省最大限のことをやる、こう決意を言われているわけであります。今ちまたで、国鉄雇用問題に特別立法措置を講じるということまで言われているわけです。どうなのか私は具体的に知りませんけれども、仮に雇用確保する、雇用を安定させるためにそういう特別立法措置を講じたとすると、それが国鉄に働く職員を対象につくられるとするならそのつくられた法律が適用されていくわけですから、その法律が適用されるときに、雇用安定協定があるないということによって組織別に特別な影響が出てくるのですか。この辺のところはひとつ専門的な立場からお答えいただきたいのです。
  12. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今先生のおっしゃいました立法問題でございますが、我々今考えておりますのは、例えば昭和六十二年四月以降六分割し、旧国鉄ができるという監理委員会の意見のとおりに進んだとしてまいりますと、この旧国鉄の四万一千に対しまして、先ほど公的部門が三万、民間部門が一万一千ということでございましたが、これらに対します就職促進、訓練その他の面での立法措置を講じていくということと、もう一つは、六十二年四月一日の前に希望退職者として二万人という数字がございますが、ここでの退職金問題についての立法措置を講じていくということを考えているわけでございまして、それまでの間は、政府閣議決定その他いたしますいろいろな基本方針に基づいて施策を進めていくわけでございます。  今おっしゃいました協定が新しい法律ができたときにどうなるかという問題につきましては、新しくできます会社、また旧国鉄の性格その他によってその協定が受け継がれるかどうかということになるわけでございまして、そこのところは会社の形態によるというふうに考えております。
  13. 永井孝信

    永井委員 国鉄には不幸にして複数の組合があるわけです。その複数の組合の中で、協定が結ばれている組織と結ばれていない組織がある。しかも現実は、一番組織率の高い組合との間に協定がないのですよ、その原因はいろいろあったとしても。これから立法措置を講じていこうという段階で、しかも大臣が雇用安定、雇用確保のためには政府は異常な決意で臨む、こう言われているときに、法のもとに平等という言葉がありますけれども、そういう精神からいって、この協定のあるなしというのが結果として決定的な影響を与えるかどうかということを一言でお答えいただきたい。
  14. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 影響を与えるかどうかは、今申し上げましたように新しい形態の会社なりがどういうふうにその協定を受け継いでいくかということになるわけでございまして、立法そのものは六十二年四月を目指してつくるわけですから、それまでの間の協定がどういうふうな影響を与えるかということにつきましては、現在の国鉄と組合との関係になる、そういうふうに思います。
  15. 永井孝信

    永井委員 そこがもう一つ明確でないのです。  そこで、大臣にお聞きいたしますが、よって来る原因はいろいろあったとしても、これから国が国鉄雇用政策について、何回も繰り返して恐縮でありますが、異常な決意で臨もうというときに、今の現実からすると、最大の組織を持つ国鉄労働組合との間に協定がないという現実は、これから政府の政策を進める上においてやはり好ましいことではないと私自身は思うのですね。あるいは、これから六十二年の四月までの段階で、極端に言えば新しい事業体に移行させようと政府は言っているのでありますが、新しい事業体に移行する以前の段階からいわゆる余剰人員の対策は講じていかなきゃいかぬわけでしょう、現に今も余剰人員を持っているわけでありますから。  そうすると、政府の進める施策を受け入れる国鉄の労使という受け皿の機能が十分に果たせないという状態では私は困ると思うのであります。したがって、今の状況から、大臣としては、いろんな労使関係、労使間でいろいろなことがあったとしても、この雇用安定協定というものが一日も早く結ばれるべきだし、あるいは雇用安定協定が全部結ばれたという機能でき得る状況をまず基盤としてつくり上げることが緊急の課題ではないかと私は思うのですが、大臣、そこはひとつ率直にお答えください。
  16. 山口敏夫

    山口国務大臣 きょうは国鉄の常務理事も出席をしておりますので、労働大臣が御答弁申し上げるよりも直接その労使交渉を進めておる当事者からお考えを聞いていただく方がよろしいとも思うわけでございます。  労働大臣の立場といたしましては、労働協約の締結という問題につきましては、労使間の自主的な話し合いによって解決をしていただくというこの経過を見守りたいわけでございますが、先ほど来私が御答弁申し上げておりますように、国鉄再建の問題は、これはなまはんかなことではできないということですね。  過去の国鉄に対する国民的、地域的な恩義とか感謝という問題と、目の前にさあひとつ職員を採ってくれということであっても、今永井先生が御指摘のようにいろいろ難しい問題がたくさんあるわけですから、こういう状況に対して国鉄の労使が危機感といいますか国民的責任といいますか、そういうものも十分踏まえてこの法律までの論議以前の段階において、再建監理委員会の答申が出た今日において、あるいは国民を代表する国会でこれだけ国鉄問題が論議されておるわけでございますから、あすといわず今日、今の問題として一層の話し合いを進めていただいて、真剣な協議の上でひとつ労使交渉の早期日満な解決という事態に向けて努力をいたすべきである、私はこういう基本的な考え方を持っておりまして、それを私どもなりの考えとして国鉄当局にもお伝えを申し上げておる、今こういう経過でございます。  いずれにしましても、雇用協定という問題が、さらに労使間の協議を踏まえて、ひとつ十分公の責任も双方が持たされておるという認識の上に立って一層の話し合いを進めていただきたいということを願っておるところでございます。
  17. 永井孝信

    永井委員 大臣、私は率直にお答えいただきたいと申し上げたことは、これからの、中曽根総理の言葉をかりれば、行政改革の総仕上げは国鉄一だ、こう言われておる。国の政策として今の余剰人員がつくられ、これからも余剰人員がつくられようとしておる。これは繰り返し私は言っておるわけですね。そうすると、その国の政策を遂行する上において、労使間で協定がないという状態が今現実に起きている、このことが政府としてただ単に労使間の円満な話し合い、努力にまつということだけでいいんだろうか、協定がないという現状を大臣としてこれでいいと思われるのか、いや、もうこれは協定は早いこと結んでもらって、政府の政策が機能できるようにちゃんと受け皿をつくってもらいたいということなのか、そこのところはずばりと労働大臣のお答えを聞きたいわけですよ。  労働大臣のその決意というものがいろいろな箇所において協定を締結させるための力にもなっていくことは間違いないわけですし、ことしの年度当初でも労働省は随分といろいろな意味で御苦労願いました。今も願っているのでありましょうけれども、さらに今こういう、これからいよいよ具体的に、政府の立場からいうと大手術をやろうというときに、国鉄の労使関係が今の状態のままでは、これは手術がしにくい、このことを私どもは心配しておりますので、労働大臣はそういう立場でずばりお答えいただけますか。
  18. 山口敏夫

    山口国務大臣 永井先生は国鉄問題の御専門的な立場でもございますし、そういう多年の経験を踏まえての御発言、私も十分傾聴しておるわけでございます。  ただ、今、労使がそれぞれ過去の経緯、今日の状況を踏まえて公式、非公式に交渉を進めておる、そういう中で雇用協定を結ぶまでの一層の努力をしておる途中でございまして、私自身も明快に私の気持ちや考えを申し上げたいところでございますが、労働大臣としてこの雇用協定の締結に至る最終段階においてそれなりの、政府雇用問題の責任者として、事は国鉄の問題あるいは所管官庁は運輸省でございますが、雇用責任は労働大臣として、政府の責任者として十分果たしていかなければならぬ、そういう立場でこの労使協定あるいは労使関係がどうあるべきかということにつきましては、ずばり率直に国鉄労便双方にもいろいろ意見を申し上げなければならない場面も間もなく来るというふうに私も考えておるわけでございます。今のこの今日の時点においては、もう一息の労使双方の自主的な論議を高めて、協定に至る信頼を培っていただきたい、こういうことを今の時点においては希望しておる、こういうことで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  19. 永井孝信

    永井委員 もう一つ真意が私にもわからないところがあるのですけれども、今の、協定がないということは決していいことじゃないんでしょう。協定がされることが政府としてもいろいろな政策を進める上において一番やりやすいわけでしょう。一言で答えてください、それを。
  20. 山口敏夫

    山口国務大臣 やはり労使関係の信頼の前提でございますから、雇用協定というものは労使の話し合いによって一日も早く締結をされるということが望ましい姿であるというふうに考えております。
  21. 永井孝信

    永井委員 そこで、私も一日も早く協定が締結されるように労使双方に御努力を強く要請しておきたいと思うのですが、この三項目と言われている問題の処理以降、現場ではその三項目の推進に関する協定といいますか、三項目を処理するに当たっての協定がなかなか機能しなかったという問題を当局の方でもかなり指摘をしてきているようであります。私、そのときの当委員会における質問で、仮に三項目の協定がなされたとしても、あるいは協定がまだ締結されるまでの間においても、一切強要はしないんだ、本人の希望に基づいて処理をするんであって、一切強制しません。じゃあ強制をしないというんなら、仮に本人の希望によって、当局側のそういう三項目に基づく協力についての要請があったときに、拒否したことを理由に不利益な扱いをしないかということを繰り返しこの委員会で質問しました。で、国鉄当局も絶対にそういう不利益扱いはいたしません、こう言ってきたわけですね。  ところが現実に、そういうことがあったにもかかわらず、もう公に裁判などに出ている問題もあるんですが、その中に、例えば、おまえだけ非協力で退職勧奨に応じないのは問題だ、協力しない者を差別するのは当たり前だとか、あすから出てくるなと言わなければならないほど事態は切迫しているとか、個人にその現場の管理者がいろいろとそういうことをやっているという事実が出てまいりまして、それが人権擁護委員会に提訴されたり、あるいは裁判に持ち込まれたり、公労委に持ち込まれたりしているわけです。  幹部が一切強制はしないんだと言ってみても、不利益な扱いはしないんだと言ってみても、今国鉄の職場、一口に言えばまあ労使の力関係の均衡もあるんでしょうけれども、一つはいじめの構造になっているんですよ、現場に行くと。当局の幹部はさておきまして、現場の方に行きますと、いじめの構造になっていることは間違いない。今、小学校や中学校でいじめ問題が毎日のようにキャンペーンが張られていますけれども、国鉄の場合だってそのいじめの構造になってきている。そういうことが結果として、中央で労使協定を結んでも、なかなかそのことが現場の方で素直に受け入れることができないという状況をつくり出してきたのではないか、こういうふうに思うわけです。  だんだんと時間がなくなってまいりましたので、細かいことは言いにくいんでありますが、ちょっと具体的な問題を、ここで一つ、二つ例を挙げておきたいと思うんであります。  例えばこういう事件があります。これは実は暴力行為に当たることでありますが、郡山の貨物ターミナル駅において、職員が休憩時間中に坂阜の詰所に入った。そこへ助役がやってきて、おまえら何でここにおるのや、出ていけ、こうどなりつけた。そして座っている長いすをけっ飛ばした。ここは仕事をするところだから出ていけ、こういうことなんですね。ところが、そのことについて、なぜいすをけるんだ、こう抗議をした。そうすると、おまえら帰れ、帰らなかったら承知せぬぞ。どうせおまえらは首なんだから覚えておけ、こういうふうな暴言を吐いた。そしてさらにいすをけった。その上、おまえは何という名前だ、こう聞かれたものだから、そんなことを言われて名前を言えるか、こう言ったというんですね。そうしたら、そこで脾腹をけり上げられたというわけですよ。こういう事実が人権擁護委員会に提訴されているんであります。これは一つの例であります。  あるいは、一つの体罰の問題で、これは二本松という駅の出来事でありますが、労働運動としてワッペンをつけていろいろ行動をしていた。ワッペンをつけることがいいとか悪いとか、そんなことはさておいて、これは論争のあるところでありましょうけれども、ワッペンをとれ、ワッペンを外さないということでやりとりがありまして、現に毎日仕事をしているのに、ワッペンを外さないことは就労する意思がないものとみなす、だから、おまえは一日じゅうロッカーの前に立っておれと言って強制的に立たせた、業務命令だと言って立たせた。約二時間弱で本人が腰痛を訴えてやっと座らしてもらった。背、私も小学校のときに廊下に立たされた経験があるのですけれども、まさに同じことが、今のこの近代的な社会の中で大の男をつかまえてそういうことがやられているという事実が二本松の駅で起きている。  あるいは東京や九州では、今の協定を結ばれていない国鉄労働組合に所属する職員に対して草むしりをやらせる、これも業務命令だと言ってやらせる。その草むしりをやらせるのに、一定のノルマを与えて、除草すべきものが残ったら賃金カットするとか、あるいは車引きは嫌だと言って処分を受ければ、その代償にその人は車引きから外される。嫌だと言わない限りは車引きをさせる。車引きも仕事じゃないかといえばそうなんでありますが、実際現場へ入ってみると、その車引きを命令されるのは組合の活動家であったり職場の組合の幹部であったりすると、もはやそれは意図的なものとしか言いようがない。これは国鉄本社がどこまで把握をしているのか知りませんけれども、そういう問題が随所に出てきている。これはまさにいじめの構造ではないのか。  そういういじめの構造の中では、職場で当局の施策についてすべて協力をせいと言われてもなかなかできないのではないか。こういう事実を国鉄本社は把握をされておるのか。あるいは組合員はちょっと体が触れれば懲戒処分を受けるわけですから、その暴行事件を働いたことなどについてどのように対応されたのか。その辺のところを国鉄当局の長谷川常務、お答えいただけますか。
  22. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 現在、国鉄は職場規律につきまして全国的に推進をしておるところでございまして、これは先生も御承知のとおり、五十七年に職場規律の乱れにつきまして国民各位から御批判を受けまして、これではこれからの国鉄改革を進めるに当たりまして重大な障害になるということで、全社を挙げて取り組んできておるところでございます。そのような中で、先般第八次総点検を終わったわけでございますが、まだまだ現実に職場規律の乱れが残っているという状況の中で、今全国の管理者が一生懸命にその問題に取り組んでいるというような状況になっておるわけでございます。  そこで、先生先ほど二、三具体例を挙げていじめという表現を使われましたけれども、私どもそのような事実はないというふうに考えております。先生がおっしゃった中で、例えば郡山の貨物ターミナルの件でございますが、これは六十年の七月に起きた事件でございまして、郡山貨物ターミナルにおきまして、ほかの執務場所の職員が執務中の職員も含め駅の構内で集合している、そういう状況を管理者が発見いたしまして、退室を指示したわけでございます。その退室を促すために、その経過の中で、管理者の方の腹部をもってこのように腕を組んでいる職員を軽く押したということをもって、これは暴行行為であるということで福島地検に告訴されたというような状況に私どもは報告を受けておりまして、現在この点につきましては福島地方検察庁におきまして事実関係を調べておるというような状況になっております。  あるいはまた、二本松駅のワッペン着用者に対しまして長時間にわたって立たせておるという御指摘の仲なんでございますが、これは、職場規律の一環といたしまして、ワッペンを外すあるいは氏名札を着用することによってサービス向上を図るということを今全国的に指導しておるところでございますが、その氏名札の着用、ワッペンの着用につきまして指示に従わないという職員につきまして、再三にわたり、私どもが聞いているところでは六名の職員一人当たり百回ばかり注意したわけなんでございますが、それでも従わないということで、指示に従わないことは就業の意思がないということを管理者から当該職員に対しまして通告した。その際におきまして、各職員の気持ちの変化を待つ必要があるというようなことで、駅長の目の届くところに当該職員に立ってもらったというような状況でございます。決していじめということでやったというふうには認められない、このように私どもは考えておるところでございます。  概略、以上です。
  23. 永井孝信

    永井委員 時間がなくなりましたので、細かい議論をする時間はないのですけれども、今決していじめをしていない、こう言うのですが、私どもがいろいろ現場に入って職員の声を聞くと、それは表現では難しゅうございますけれども、いろいろな意味でいじめ的な構造になっていることは事実なんです。ですから、本社の幹部と現場の管理者との間には大きな乖離がある。現場の報告をとれば、現場の管理者としては自分の成績にかかわることでありますから、そういういじめの構造について、そうしていますなどとなかなか言わないと思うのです。だから、今の郡山の事件などは裁判の法廷で争われることになりますからこれ以上言いませんけれども、体罰などは憲法十八条でも禁止しているのであります。それにまさに抵触するようなことが、どんな理由があったにしろ、そこに立っておれなどということの体罰はあってならないことだ、このことを私はここで問題点として強く指摘しておきたいと思うのです。  まだたくさん問題がありますが、時間がなくなってきましたので、もう一つ問題点を申し上げておきたいと思うのです。それは鷹取工場で特別非番日という、いわゆる時間短縮によって処理をされている年間三十五日の特別非番日というのが設定されているわけでありますが、この特別非番日の出勤をめぐって、実はこの九月、十月紛争が起きてきているわけであります。それは、細かいことを指摘しようと思ったのでありますが、時間の関係で大綱だけにとどめたいと思うのですが、労使間の協定で、翌月の特別非番日の出勤の扱いについては事前に対応機関に提示をし、協議をして決める、こうなっているわけであります。八月までは何の支障もなくそれが実施されてきました。そして、九月になって突如としてその協定に基づかずに特別非番日の出勤の取り扱いが強行されようとしたということが問題なんです。  そのときにどういうことがあったかというと、八月の中旬ごろに現場の職員に対して、次の九月分の特別非番日の出勤については、従来と違って振りかえ休日にしたいということを通告してきたわけです。その通告を受けてびっくりして組合員が組合機関に申し出た。組合機関は協定違反だということで当局に抗議をした。いや、それはまだ検討中のことであって、そのまた検討中のものが事前に漏れたのではないかということでその場はおさまった。そして、八月の末に予定どおり翌月の特別非番日の扱いについて一括して協議がなされたわけでありますが、そのときの当局の提示というのは従来と何ら変わっていない。変わっていないから従来どおりのことで労働組合としてはそれを認めた。ところが、いよいよその出勤の前になると、そうじゃなくて中身が変わっておった。それは協定違反ではないかということで公労委に申請をした。公労委は、円満に話し合いをしなさい、こうなったわけです。ところが、円満に話し合いがつかないまま、当局の業務命令で一方的実施をされた。そして、そのときに協定に基づかないということで拒否をした職員に対しては不参扱いで賃金カットがなされた。  そこで紛争が起きているときに、翌月の出勤についてまた同じようなことが起きて、今度はもう公労委ではだめだというので地方裁判所に持ち込んだ。地方裁判所が、これは労働組合の了解なしに出勤させることはできないという仮処分の決定を下した。決定を下してもなおかつ当局は一方的実施をやめなかった。そこで、裁判の判決も出たことであるからということで出勤を拒否した者については、やはり不参扱い。不参というのは欠勤ですからね。本来なら休みの日なんですよ。それはたまたま賃金カットはされていないようでありますが、そういう問題が現実に起きてきている。公労委の勧告があっても、まともに交渉ができないでいる。  それで、私いろいろ調べてみました。そうすると、当局の文書では、いや、そんなことはない、十分に事前に交渉したんだ、何月何日に再三、再四にわたってこのように説明しましたとかということが上がってきたのです。それで事実を調べてみました。それは協定違反を一方的にやっているではないかといって組合が抗議に行った。その抗議したことも、当局の弁明によると、その日は団体交渉をやって十分に説明した、こうなっているのですね。  すべてそういう状態で、まともに団体交渉がやられないまま、いわゆる地方裁判所の仮処分の決定までが事実上無視、踏みにじられたままで推移をしていくということになると、これはもう労使の信頼関係というものはどこかに飛んでしまうと思うのですが、このことについて労働省として、まずこういう問題を私が申し上げたら、協定上の問題としてどのように受けとめられるかということです。一つの企業の協定の問題でありますから非常に難しゅうございますけれども、少なくとも今の国鉄の職場でそういう実態があるということは看過することができないと思うのですが、どうでございますか。
  24. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 労働条件に関する事項につきましては、これはもう労使が十分に話し合いをして処理を決めていくということが基本ではございます。しかし現在の国鉄が置かれております厳しい現状について双方とも十分認識をしながら適切な解決を図っていく、そのためにまた労使が十分話し合い、協力し合って解決するということが基本的に大切なことであると考えるわけでございます。
  25. 永井孝信

    永井委員 国鉄当局はこのことについて承知をされていますか。
  26. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 ただいまの特別非番日の振りかえ問題につきましては、先生今おっしゃったとおり神戸地裁の仮処分の決定が出まして、その点の欠勤者、二十四名が欠勤しているのでございますが、これの扱いにつきまして現在検討を行っている状況にございます。
  27. 永井孝信

    永井委員 常務理事に私は強く御要望申し上げておきたいのですけれども、協定の中身が組合から見ても問題がある場合がある、当局から見ても問題がある場合がある。それは当然団体交渉で協定の中身についても協議されて、改定するものは改定すると言ってある。これはいいのですよ。しかし、その協定が現に存在している間はその協定に基づいて処理をするのが当たり前のことであって、その当たり前のことがなされていない。そして、そのことに従わなかった者については不参ということで賃金カットが行われるということになってくると、これは労使の関係、信頼関係というものは言葉だけになってしまう。私はこれは氷山の一角だと思うのです。  そうでなかったら幸いなんでありますが、それだけにひとつ本社として現場の実情をよく把握をしてもらって、そういう仮処分の決定が出るようなことが少なくとも起きないようにきちっと対応してもらいたいと思うのですが、長谷川常務、どうでございますか。
  28. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 ただいまの特別非番日の関係なんでございますが、これは今回鷹取工場でこのような特別非番日の振りかえを組合側に提示したことにつきまして、私どもといたしましてはこれが協定に違反するというふうに考えていないのでございますけれども、ただ仮処分決定が出されたという経過の中で欠勤者の取り扱いにつきましてどうするか、今検討を行っている、そういう状況でございます。
  29. 永井孝信

    永井委員 長谷川常務、労働省も聞いてほしいのですけれども、こういう問題を提起すると、当局としては協定に反していないと理解している、こう言うのです。その協定を決めた中身が、今の国鉄の実情からいって問題があるとかないとかということはあるかもしれません。しかし、その協定では明らかに事前に組合と協議をして決めるとか、あるいはその協定に基づいて八月まで何の支障もなくやってきた問題が、突如として組合に提示をしないまま職場の職員に対して直接現場長から通告をする。寝耳に水で組合がびっくりして抗議を申し込んだ。抗議を申し込んで団体交渉を申し込んだけれども、答えが返ってこない。そのまま一方的に強行実施をされてしまう。これは協定の解釈もさることながら、取り扱い上の問題も大変な問題なんですよ。  だから、仮処分が出たのです。組合の了解を得ない限りはこれを出勤させることはできないと断定を下した。これが仮処分であっても、そういう断定を下されるようなことが事実行為としてあったことは当局は素直に認めるべきだ。協定の解釈について私たちはそう理解していないとかという問題ではない。労使の協定というものはもちろん労働組合にも守らせなければいかぬけれども、当局も守るということがあって初めて労使の信頼関係が浮かぶわけですから、そこのところは当局としても安易に体をそらさずに事実を把握した上で対応してもらいたいということを、もう答弁は結構ですから、私の方から一方的でありますが、強く求めておきます。そのことは今の労使関係の中で障害になってくるいろいろな労使の不信感を生み出す積み重ねの一つでありますから、労働省もそこはきちっと踏まえておいてもらいたいと思うのです。  それからもう一つ、休暇の問題で労働省に見解を尋ねておきたいと思うのであります。これも具体的なことを言いましょう。  九州の長崎管理部というところ、あるいは鹿児島自動車営業所では年休の取り扱いをめぐって社会通念上認められるもの以外は不参扱いとするとか、あるいは家族の病気で当日年休の申し込みは事故欠とするということが決められて実施に移されているわけであります。これは簡単に言うとポカ休をなくすための対応であります。ポカ休というのは労働組合も言っているようにあってはならないこと、その日の勤務に支障が出ますから。しかし、社会通念上認められるもの以外は不参扱いとするということが逆に最大限活用されて、休暇が認められないままで、例えば一つの事例で言うと、自分の奥さんが急病で病院へ担ぎ込んだものまで連絡しても休暇を認めなくて事故欠にされてしまったというケースが随分出てきて、休暇の取り扱いの問題が乱れてしまいました。  そこで、休暇の取り扱いをめぐって労働省は昭和四十八年三月六日に基発第百十号を出していらっしゃいます。その基発第百十号というのは、最高裁判所の第二小法廷において出された判決をもとにこれから実施しなさい、解釈しなさいということの通達なんです。その基発第百十号の中に述べられている最高裁の第二小法廷で出ました判決から言うと、年次有給休暇というのは、本人が請求したことは「休暇の時季を指定するという趣旨であって、労働者が時季の指定をしたときは、客観的に」その「事由が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしない限り、その指定によって年次有給休暇が成立」するんだ、こういう判決なんです、簡単に言うと。そうして、「当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。」というふうになっている。そしてその時季変更権というのは、どうしても業務に支障が出るという場合に限って、幅は狭いのでありましょうけれども認められている。  だから、社会通念上と言われている中に、例えば隣でお葬式が出たとか突発的なことがありますね。あるいは家族が急に病気になって病院へ連れていかなければいかぬとか、そういう問題は業務と無関係に社会通念上認められないということを理由に休暇を認めてもらえないというのは法律に反しているんではないかと私は思うのですが、ひとつ御解釈を聞かせていただけますか。
  30. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 御指摘の年次有給休暇の取得につきまして昭和四十八年に百十号通達で地方に対しても示達をいたしております。内容は御指摘のとおりでございまして、最高裁の判決に基づきまして、年休の取得は労働者の権利である、したがって時季を指定すれば、時季変更権の行使が使用者からない限りは年次有給休暇が成立をするということになっております。したがいまして、今お話しのような内容ですと、年休取得の理由は本来問うものではございません。一斉休暇闘争のようなものはまた別でございますけれども、そうじゃない限り休暇取得の理由を問うものではございませんから、時季を指定して請求があれば、これは年休としては成立するわけでございます。  むしろ問題は、請求の手続が事前であるのか、あるいは間に合わなかったのかというようなところにいろいろ取り扱いのこじれる原因もあるケースがございますから、その辺のところをあるいは育っているかとも推察されますけれども、事理由に関しては、今申し上げたようなことでございます。
  31. 永井孝信

    永井委員 今の解釈は非常に明確なんであります。例えば熊本の保線区長、この年休問題で紛争が起きまして、いろいろ区長にそのことをただした。年休の理由を聞くのは上司として当たり前のことだ、年休の理由を知ることは上司としての権利である、ここまで言い切っているわけです。何が悪いと開き直っているわけです。  だから、私は繰り返しますが、ポカ休はいけません。黙って休んだら業務に支障が出ますからね。しかし、当日、突発的に休まなくてはいけないような事情が朝起きたという場合は、直ちに電話連絡するなりいろいろなことをして、上司に休ませてほしい、年休をとらせてほしいと申し出るわけです。ところが、社会通念上認められるかどうかという理由でこれが認められなかったり、あるいは事前に休暇を申し出た問題でも、鹿児島の自動車営業所の例で言うと、どんなことがあったか知らぬけれども、反省のための教育と称して、何カ月間にわたって所定の勤務につけずにいろいろな講習を受けさせておった。そしてその者が年休を請求すると、年休を請求するということはおまえはまだ反省の色がないという理由で年休を認めてもらえない。  プライバシーに関することでありますから、私どもがわかりかねることもありましょう。しかし、年休の請求権というものからいくと、これが余りにも逸脱して運用されたのではたまったものではない。だから、業務に支障を来す目的を持った一斉休暇闘争とか黙って休むいわゆるポカ体ということは断じてあってはなりませんけれども、正規の届け出の手続がとられた場合は、最高裁の判決や基発第百十号の通達の内容に基づいて処理をされるように労働省としては強く指導してもらいたいということを私は強くお願いをしておきたいと思うわけであります。時間もありませんけれども、常務はそのことをどう考えておられるか、一言お答えいただけますか。
  32. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 先ほど労働基準局長が御答弁になりましたように、私どもといたしましては、この時季変更権の取り扱いにつきましてはきちんと守っておるつもりでございます。ただ、今お話が出たような事案は、恐らく一斉に休暇申し込みが一時期に、同じ日に集中いたしまして業務上支障を来すという場合、何らかの優先順位をつけるために話を聞いて措置するということではないかというふうに推測いたします。
  33. 永井孝信

    永井委員 今私が申し上げていることは、いわゆる労働運動、当局との闘いの闘争戦術として取り組んだことを言っているわけではない。私も労働運動を長くやってきているから、そのことと私は区別して質問をしているのだ。個人の年休請求した場合のケースのみについて私は申し上げているわけでありまして、そこのところはひとつきちっと踏まえてもらいたいと思うのです。  あるいは、こういう例が一つあります。長崎という特殊性から、毎年夏には原爆慰霊祭というのが行われます。亡くなられた国鉄職員の原爆慰霊祭、これは二年前までは、いろいろなことがあったのでしょうけれども、公式行事として勤務扱いにされておったというケースがあります。これは今国鉄に対するいろいろな批判もあるものですから、勤務扱いということは二年前からなくしたそうでありますけれども、しかしこの行事には国鉄当局も参加している。ところが、ことしに限って言いますと、その参加する人が年休を希望して申し出たら、年休は認められなかった。その年休を申し出た本人は日常、余剰人員の一員でありまして、車引き業務に従事している。車引き業務に従事しているのに、車引きはその慰霊祭に参加することよりも重要なことなのかという問題まで起きているのですね。これは一つの具体的な例として私は申し上げているのでありまして、ひとつこれからきちっと年休のとり方に対応してもらいたいと私は強く要望しておきます。問題点を提起しておきます。  最後に、これは一方的なことでありますが、委員長、申しわけありません。実は職場規律の問題がやかましく言われてきたのでありますが、残念なことに、国鉄の管理者の中で汚職を犯した者を出すとか、新聞でも随分と騒がれている。逮捕されております。そういう問題もありますが、そういうこともさることながら、一つだけ事実を調べてもらいたい問題があるのです。  それは国鉄の工事の発注をめぐって、例えば定められた工期以内に実は工事が完成しなかった。完成しなかったけれども完成したようにして業者に工事費を支払ってしまうというケースが果たして日常茶飯事に行われているのかどうかという問題であります。これはきょう具体的なことを事前に言っておりませんので、調査してもらえば結構なのですが、名寄の保線区で、実はことしの八月十三日までに完成しなくてはいけない、七月二十五日から八月十三日までの工期で六十四万円である業者が工事を請け負った。ところが、事実は八月十三日に工事はできていない。しかし、十三日に検査をしたようにして六十四万円の金額は既に払われてしまっている。そして、その支払うための文書はそこの保線区長や管理者がつくったわけでありますが、こういうことが公文書偽造にならないのかという告発が私のところにあったのです。だれの名前がわかりません。無記名であります。しかし、これだけの書類のコピーを全部私のところに送ってきているのですから、うそじゃないんですね。これは明らかに公文書偽造だ。今職場規律がやかましく言われているときに、管理者ならこういうことが許されるのかという問題提起なんですよ。  これが事実だとすると、そういうことが日常茶飯事に行われておるとすれば、管理者の勤務規律という問題についても、やはり管理側に根の深いものがあるのではないか。こういうことについて事実かどうかひとつお調べ願って、きょうでなくていいですから、そういう類似ケースがあるかどうか、ひとつ私の方に御回答いただくように私の方からお願いを申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  34. 戸井田三郎

  35. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働大臣にお尋ねいたしたいのですが、私最近大変憂慮しておる問題に、要するに日本の働きバチの慣行が長い間つくってきましたヨーロッパの民主主義、労働慣行を破壊しつつあるのではないかということを感ずるわけです。それは、日本はこんなに貿易がぐんぐん伸びまして貿易摩擦を生じておる。そこで、いわば先進国に日本の自動車であるとかあるいは電子機器であるとかいう企業は進出をせざるを得なくなっている。そうすると、長期的に考えてみますと、例えばある会社がイギリスに出ていく。そうすると、イギリスであるいは合弁会社をつくるなりいろいろする。ところが、その国の国内における自動車の輸出のマーケットを失うわけですね。  そして、今のような状態でぐんぐんいきますと将来どういうことになるかと言えばいとにかく貿易摩擦ところか日本の貿易収支は赤字になって、そして財政は非常に苦しくなる、失業者は出る、しかしこれらの進出した企業は隆々としておるという形になる可能性が近く起こるのではないか。私は、海外に出るとか投資をするということに決して反対しているものじゃありません。しかし、今日、貿易収支以上に資本収支は逆に急激に赤字になっておるという状態である。こういうことがかなり長期的に続きますと日本経済はどうなるんだろうかという心配をしておるわけであります。これについて将来ある山口労働大臣はどうお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。
  36. 山口敏夫

    山口国務大臣 日本の一民間企業が大きな技術と力を蓄えて多国籍企業のような規模として諸外国での生産活動を拡大をしていくというケースが確かに数多く見られます。カリフォルニアなんかでも税制の問題等でいろいろ訴訟もしておる、こういうことでございますけれども、同時に、私どもアメリカあるいはヨーロッパ等に参りましても、今先生も御紹介ございましたように、大変企業誘致というものが熱心でございまして、特にヨーロッパ等の失業の多い国におきましては、もう立場を超えてでも日本の企業の進出というものを日本の労働側の代表者などにも直接要請をしておる、こういうケースもございます。  そういうことで、今日の日本の経済摩擦、貿易摩擦等を考えますと、国内の生産のみならずアメリカあるいはイギリス等ヨーロッパでの現地生産というものが一つの時代の必然として、経済の必然としてこれから規模が拡大されてくると思いますけれども、確かに二十一世紀の日本の経済社会を展望したときに、多賀谷先生が御指摘されたような問題を含めて、我が国の雇用確保という立場からも、こうした経済政策をどう調整をしていくかということが非常に大事な問題であろうと思います。私は、かといって先妹も御指摘のように海外へ産業が進出をして外国の労働者の雇用の安定に努めるということも、当然経済的な立場として、日本の立場としてODAと同じように大事な問題だというふうに思いますので、その調整は、一に内需の拡大といいますか、それにつながる個人消費、いわゆる可処分所得をどう高めていくか、こういう一つの政策等を含めてこれから調整していくということを一層検討していく場面に迫られるのではないかというふうに考えております。
  37. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 御存じのように、最近、企業は国内に投資をしませんよ。今上る産業であるというところは、半導体のように割合に女子労働者を余計に使って、そうして言うならば付加価値の高いものはやりますけれども、今国内で投資をするという自動車会社は残念ながらない。我々は期待しておるけれども、ない。皆海外に出ていっておるでしょう。  そこで、内需の拡大といっても金の方は外国へ出ておるのですよ。私は、名前を言うとあるいは語弊があるかと思いますから名前を言いませんが、ほとんどの企業がそうですね。ですから、内需の拡大なんて言っても消費者に給料を上げないで拡大、拡大と言ったって、投資はしないのですから。企業投資を輸出ができない電力だけに頼っているわけです。電力も原子力に頼っているでしょう。これはやはりどこか大変なひずみが来るんじゃないかと僕は思いますよ。財政は十分でないのに内需の拡大——これだけ土地が上がって家を建てろといってもそれは無理ですよ。何を政府は考えておるのか。黒字が、これだけ貿易摩擦と言われるくらいになっておるのに、そのもうけた金は国内に投資しないのです。皆海外に投資するわけでしょう。  きょうは社会労働委員会ですから、この程度にしてこの問題は追及しませんけれども、そこで、私はこの働きバチの労働慣行をどうも輸出しているのじゃないかという感じがするのですよ。日本の企業のやり方、日本の労使のやり方を盛んに宣伝をしておるでしょう。技術について各国が学ぶのは結構です。しかし、労働慣行が今盛んに学ばれ、輸出されようとしている。  先日、イギリスにおいて日曜日の営業制限を撤廃するという法律が出たでしょう。これを一体どう思うのですか。これは長い間かかった民主主義の伝統を破るのですよ。それは買い物をする者としては、やはり日曜日に店をあけてもらっておった方がいいだろうけれども、こういうように次から次ヘヨーロッパの幾世紀も続いた民主主義や労働慣行を日本がむしろ破っていくのじゃないか、こういうことを私は憂慮するのですが、あなたはどういうようにお感じですか。
  38. 山口敏夫

    山口国務大臣 先生も十分御承知のとおり、やはりイギリスなども今五千万の人口で三百万を超える失業者が出ておる。失業率が一三%ということでもございますし、炭鉱ストの一年間の経過の中で、非常にイギリス経済が停滞し、失業も逆に二%近くその後遺症で伸びたというような経過の中で、非常に慢性的な失業と、それが結果的に経済の足を引っ張っておる。こういう悪循環の中で、イギリス政府が日曜日のお店も開くようなことで一つの経済の浮上、雇用の拡大のために窮余の策のような形で恐らく法制化をした、法律を新たにつくった、こういうことだと思うのですね。  私は、確かに先生が御指摘のようにいいことかどうかという問題はございますけれども、来年にはアメリカのブロック労働長官、これは今まで通商代表として日本との窓口でもございましたが、それからヤング、イギリスの労働大臣も日本に来る予定になっております。これは、まさに多賀谷先生御指摘のように、逆に労働摩擦を批判するという立場ではなくて、日本の労使慣行というものを一層ひとつ認識しておく必要がある、むしろこういう立場でぜひ日本に来たい、こういうような日本にとったはいいような、あるいは先生の御指摘のような点の問題も含めて、実情はそういうことである、こういうこともあるわけでございます。
  39. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 日本の労使慣行と言いますが、日本経済が伸びた最大の理由は、日本の勤勉、そうして要するに社外工、臨時工、雇用の二重構造ですよ。我々はやはりこれを忘れてはならぬです。こんな国ないですよ。どこでも職業別組合でしょう。産業別組合でしょう。企業が違うからといって賃金の差はそうないですよ。今、製鉄でもどこでも社外工の方が多いですよね。ですから、そういう雇用形態がどんどんよそに輸出されると、世界の労働者から日本が恨まれるですよ。  現実に政府というものが、あなたは労働大臣ですが、労働慣行とか労働条件というものに一体どういう役割をしているのですか。要するに、政府企業というものは民間の企業について一体どういう役割をしているのか、どういう使命があるのか、これをお聞かせ願いたい。
  40. 山口敏夫

    山口国務大臣 そういう今の御指摘のような点を踏まえて、労働省としても最低賃金への取り組み等含めて企業間格差、中小、小規模事業所の労働者福祉の向上、改善に一層努めなければならない、こういう基本的な政策を進めたいと考えておるわけでございますし、また、同時に、日本の失業を低く抑えておる経済運営の一つのあり方というものも、これは第一次、第二次石油ショックのようなときに西欧的な形での合理主義で雇用関係を考えれば三百万近い失業も出た、そういう点も含めて、労使の努力、今先生御指摘のような二重の構造の部分、その辺をどう埋めていくかということが政府労働経済政策における一つの大きな責任だと私は考えておるわけでございます。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それなら今、政府みずからもあるいは自治体もやっている民間委託、下請、臨時工、臨時職員、これをやめるべきですよ。何を政府は考えているか。労働省はこの事態を何と思っているのか。現実に政策としてどんどん低賃金に追いやっているでしょう。政府、自治体の労働政策に対する考え方が全然ないのです。アメリカのような自由主義の国でも、政府が発注し、それを受注する企業には、まず公契約において労働条件をきちっとするのですよ。そうして民間にそれを及ぼすのですよ。そういう政策が欠如しております。安ければいい、依然としてそういう財政中心で、政府というものが労働問題にどう取り組むべきか、あるいはまたこれだけの発注を持っている政府がどういうようなあり方をすべきかというのが全然欠如しておるのですよ。  公契約における労働条件というものをどういうように確立するか。もしも公契約において労働条件を履行しなかった場合は、その会社への発注をとめるのです。日本にはそういう物の考え方がないのですよ。そうして政府みずからが安ければいいというような政策をして、それで民間に最低賃金を上げろなんと言ったって、そんなことできませんよ。  私は、これ以上言いませんけれども、今、日本はこれだけの大きな政府投資をし、あるいは公共関係投資をしておるのに、それが雇用に一体どういう影響を及ぼすか、労働条件にどういう影響を及ぼすかという考慮が全然なくて労働政策をやるというのは、やはり大きな問題が欠如しておるのじゃないですか。  そこで、具体的に、この前法律が通過をいたしました男女雇用機会均等法について質問したいと私は思います。  そこで、まず第一に、政府が「労働時間短縮の展望と指針」というのを出されまして、我々のところにも配っていただいたわけですけれども、従来、年間総実労働時間二千時間を想定して推進してきたが、労働省ではその後の推移を踏まえて、引き続き「労働時間短縮の展望と指針」に基づいて推進することといたしたものであります。そうして各国の時間についてグラフが書いてあるわけですが、この方針は変わっていないのか、二千時間を依然として推進しようとしておるのかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  42. 山口敏夫

    山口国務大臣 今、基準法研究会等でいろいろ労働時間問題について御検討もいただいておりますが、政府といたしましては二千時間に到達をする、既に二千時間を割り込んでいる企業もたくさんございますけれども、中小、小規模事業所も含めまして二千時間の大きな目標に向かって到達をする、これを基本的に進めたい。またそのために「展望と指針」の中に週休二日制の拡大の問題あるいは連続休暇の採用等含めまして、労働時間短縮、週休二日制の拡大、こういうものを今行政指導を通じて各事業所に要請しておるところでございます。
  43. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は立法者の一人として大変反省しておるわけです。男女雇用均等法を審議する際に、基準法の部分はやはり留保すべきであった、こう思うのです。というのは、全貌がわからない。要するに、基本になる労働基準法についてわからないのに、それ以上の分だけが突出して先に審議されたわけですね。  ですから、今からお聞きしますが、今度の規則改正の省令案によりますと、まず、今まで長い間伝統的にあった一日何時間以上はしてはならぬというのが抜けていますね。そうして非工業事業については「四週について三十二時間、一年間について二百時間とする」こう響いてある。そうすると二千時間になりませんよ。あなたが一生懸命太鼓をたたいて我々も賛同しておる週休二日制にしてもならない。五十二週にして、週二日ですから百四日ですね。それから二十日間の年休、それから祝日が十二日といたしますと、百三十六日休む。三百六十五から百三十六を引くと二百二十九日です。八時間労働にして千八百三十二時間ですよ。これに二百時間を足してごらんなさい。二千時間を超えますよ。  そうすると、せっかく今労働時間を短くしようという運動のさなかに、二百時間を足したら二千時間を超えるというような、しかも週休二日制にするのですよ、こんな案というのは非常に不思議じゃないですか。要するに、一般の基準がわからないのに女子だけの時間外労働の制限について緩和するというのは本来不思議だと思うんだ。現実にこの案が通って、そして週休二日制になってみても二千時間を超えるでしょう。大臣、どう思いますか。
  44. 赤松良子

    ○赤松政府委員 先生御指摘のように、労働時間の短縮ということは現在の労働行政にとっての最大課題の一つであると存じます。しかし、一方、男女の機会均等ということも非常に大きな要請でございます。  そこで、男女の機会均等という観点から、また女子差別撤廃条約の要請にこたえるためにも、女子についてだけ男子と違う規制をしているということをできるだけ少なくしていこうという観点からの改正でございますので、男女含めて全体の労働時間を短くしていこうという政策を進める中で男女同じくしていくという観点からの規則の改正でございますので、その点を御理解いただきたいというふうに思います。
  45. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 労働省から発行した今私がお示しをいたしましたこのパンフレットでも、日本は千九百五十時間が所定内時間、それに時間外が二百二時間。アメリカは千七百四十二時間、これは所定内、そして百五十六時間の時間外。イギリスは千七百九十八時間に百四十時間の時間外。西ドイツは千五百三十五時間、時間外が七十八時間あるのですよ。これは男女一緒ですよ。フランスも千五百七十九時間に七十八時間の時間外。これなのに二百時間とは何ですか。あなたの方から配られたのですから、違いありませんよ。  ですから、大臣は二千時間と言われておるけれども、二千時間にならないでしょう。石川さんが会長をされております労働基準法研究会ですか、これがこの前、一週四十五時間、一日九時間なんというのを発表して、去年の夏、我々がヨーロッパヘ行ったら、とにかく困りましたというのが全部のヨーロッパの大使館の人々の話でしたよ。日本はこんなことを今考えておるのですか、こう言う。答弁に困っておるのだと言う。あれはどういう経緯ですかと我々逆に質問を受けたのですけれども、何にしても大変評判の悪い話。それにやはり二百時間の時間外労働を許すという、しかも一日に対する制限がない。  これは、人間には生活のサイクルがあるのですよ。それは商売あるいは企業側から言えば、やはりその週ならその週、夜遅くまで使いたいでしょう。しかし、人間は生活を持っておるのですよ。男女の役割分担ということが平等だと言われながら、これは婦人局長がよく言われますように、現実はまだまだ女子に家庭の多くの負担がかかっていることは事実ですからね。それなのに二百時間とは何ですかね。各国男女含めても、もちろんこれは平均ですけれども、どうも二百時間というのは、今我々がつくる指針としては多過ぎる、こういうように思うのです。  ですから、我々立法を出した者ですから仕方がありませんけれども、せめて百五十時間ですね。我々も大変反省しておるのですよ。百五十時間にしたらどうですか、この際。というのは、もとが決まってないのですから。こんな不安なことはないですよ。ですから、私は全貌がわからないと言うのです。婦人局長、やはりこの点は将来を見て、二千時間に入らないから百五十時間にします、諮問の途中でもいいですよ、こういうようにお話しになったらどうですか。
  46. 赤松良子

    ○赤松政府委員 一日の二時間を外すという問題と百五十時間を二百時間にするということとは必ずしも全く同じ時点で考えるべきものではないのかもしれないと思います。一日二時間の規制を外したということは、これは工業的業種についてもそのようにいたしましたが、先生先ほどおっしゃいましたように、確かにリズムというものもございますし、家庭責任というものもございますけれども、労働時間についてはやはり全体としてフレキシブルにしていくということが一つの大きな流れなのではないかと思うわけでございまして、一日についての規制あるいは週についての規制というものが非常にストリクトにあるということは、女性の職場進出についてかなり障害になっているという認識を持っているわけでございます。  一方、百五十時間と二百時間の問題はそれとはやや違いまして、先生御指摘のように、上限が百五十時間から二百時間になれば全体としての労働時間が長くなる可能性はございます。それは、二百時間になったから今まで百五十時間目いっぱい働いていたものが二百時間になると必ずしも思いませんが、二百時間になるというのが時間短縮の逆の方を向いているという御指摘は否定し切れないと思うわけでございます。しかし、私どもとしては審議会に対して労働省の案を一応御諮問いたしたわけでございますので、その点につきまして審議会の御意見をよく伺って善処いたしたいと思うわけでございます。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 アメリカの法制は時間外について割にラフです。西ドイツは一日二時間、これも許可制ですよ。非常に厳しいのです。やはりそういうことを考えざるを得ないのですね。私は、一日の制限時間を外すのを流れだというのはおかしいと思うのですよ。企業が盛んにそういうことを言っている。というのは、日本には三十六条協定という無制限な協定があるからです。  時間を一日あるいは週幾らというのをぴしっとしないことには、競争場裏になって労働条件なんか考えられないような状態になり得るのですよ、日本という国はとても激しいですからね。デッドロックに乗り上げなければお互いに反省しないのですから。皆どの店も深夜業をやるようになりますよ、このままでいけば。我々も日本人ですけれども、率直に言ったらそういう歯どめのきかないような競争原理に入っていくのです。もう既に深夜にやる店が随分出てきたでしょう。基準法がどうにもならなかったら商店法をつくる以外にない。営業時間を規制する商店法でいく。それは夜中じゅう店が開かれるのは便利でいいでしょうけれども、日本人の気質といいますか、そういうものはある程度ルールに乗せていく。  ですから、婦人局長の言われる一日というような制限はなく弾力的に時間規制を行うというのは決して潮流ではない、それは企業側の意識だ、こういうように思います。この点は局長もおっしゃったでしょう、二百時間というのは労働時間短縮の意味からいっても無理があるように思います、そういう表現じゃない、逆におっしゃったかもしれぬが、否定できないとおっしゃいました。大臣、どうですか。法律は百五十時間から出発しておるのですから百五十時間と、こういうように諮問の過程で直されたらどうですか。重要ですよ、これは。
  48. 山口敏夫

    山口国務大臣 御承知のとおり男女雇用均等法は婦人参政権以来の歴史的な法律として先生方に御審議をいただいたわけでございまして、施行は六十一年からということでございますけれども、ことしの就職戦線などにおきましても四〇%近い女子雇用の伸び率があった、そういう一つの成績もおさめておるわけでございます。いろいろ御指摘のような問題もございますが、一歩後退、二歩前進ではございませんけれども、まず全体の男女雇用機会の均等を進めながら、同時にトータルの労働時間調整の中で女子の労働者の方々の過重な負担をどう調整するか、先ほど局長が御答弁のように今審議会でいろいろ御論議もいただいておるわけでございます。  先生の御発言の趣旨も十分わかるところでございますし、また流通経済の中で、消費者のニーズでどうしてもお店を開く時間が長くなる、長いお店がお客さんから非常に望まれておる、またお客さんに買われておるという実情と労働時間の調整をどう進めるか、交代制の問題も含めて、商店法の規制ということになりますとまた経済の活力をそぐという問題もございますので、そういう営業形態の中であっても労働者の労働福祉条件がどう守られるか、こういう問題も労働省としては当然検討しておかなければならない、そういう点も含めて労働時間問題について一層の取り組みを図っていきたいと考えておるわけでございます。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 全体の男女一般労働者の規制でも、私は二百時間は多過ぎるという感じがするのです。それを一般の方がまだ決まらぬうちに女子だけ二百時間が先行するというのはどうも納得いかない。これは審議会の先生方でまた御考慮願いたい、こういうように思います。  基準法に入りましたので、ついでに基準法の関係から順次質問していきたいと思います。  例の管理職、「業務を遂行するための最小単位の組織の長」。管理職に値しないようなものまでも規制の対象から外すというのはいかがかと思うのです。少し拡大し過ぎておるのではないか、こういうように思うわけです。国鉄に若干そういう点が見られるわけですが、助役というのをいっぱいつくって、組合員でないようにした。これはILOからも指摘を受けたのですけれども、そういうようにグループの班長とか何かをすぐつくる、そうすると全部適用外になる、こういう可能性だってありますね。  ですから、やはり現行の労基法四十一条の二号のような管理職でいいのじゃないかと思うのですよ。わざわざ小さな単位のものまで役職につける、それはこの規制の対象から外れるというのはどうかと思うのです。これらの人だって皆家庭があるわけです、家庭の主婦ですからね。そこに差なんかないです。給料だってそれだけ違わないのですよ。それだけの待遇を受けていないのですよ。これもしゃくし定規ではないかと考えるのですが、どうでしょうか。
  50. 赤松良子

    ○赤松政府委員 管理職の問題につきましては、今御諮問いたしております女子労働基準規則案要綱の中でも、単に名目的な管理職というものはこの中には入らないと考えているわけでございまして、たとえ課長という名前がついておりましても部下のいないような場合、名目的な管理職、それはあるように思いますが、そういうものはこの規則では当てはまらないというように考えているわけでございます。実質的に他人を指揮命令している者ということで、「業務を遂行するための最小単位の組織の長」であって、現実に「業務の遂行を指揮命令するもの」を管理職とこの規則では呼ぶことにいたしたい、こういうふうに考えているわけでございますので、単に名目的に管理職の名前が付されていても、それは実体を伴わなければこの規則で言う管理職には当たらないというふうに考えているわけでございます。  また、家庭責任は、管理職の女子といえどもあるではないかとおっしゃいましたのは、それはそのとおりだと思います。しかし、職業上の責任ということと家庭での責任ということは、これは調和的に果たされるべきだというふうに思いますが、どういう職業を選び、どういう仕事の仕方をするかということにおいては、そのバランスのとり方というのはおのずから変わってくる場合が多いというふうに思います。そして、管理職になろうというような方の場合は、やはり職業に対する責任の方がより先行して、例えばパートタイム労働などをお選びになる方は、どちらかといえば家庭責任の方をより重く考えるので、労働時間も短い、また残業もないというような仕事をお選びになるのではないかというふうに考えるのでございます。  そういたしますと、管理職の方につきましては、家庭責任は、それはある場合もございましょうが、やはり職業に対する責任の方をより重く考えていただきたい。そして、そういう管理職につかれるような方がふえていくということが働く女性の地位の向上という点からいって望ましいのではないか。したがいまして、管理職をできるだけ狭い範囲にとどめるという考え方は、私どもといたしましてはとっておりませんで、やはりある程度管理職の範囲を広げて、女性が進出していくということを促進いたしたいというのが基本的な考え方でございますので、先生御指摘のような、基準法に今ある四十一条のような範囲にとどめよということについては、いささか否定的に考えております。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 局長さん、大変丁寧な答弁ですけれども、管理職という表現を使われるあなたの意識とこの条文は、どうも違いますよ。あなたは、パートというのと管理職と出されましたけれども、それはまた非常に差があるわけですよ。しかし、一般概念としての管理職と、ただ部下が何人があればよいというのとは、これは権限がほとんどないのですから、やはり違いますよ。そこの班長とか主任とかいいましても、判断する権限がないのですよ。そういう人と、今まで概念的に管理職といった人と、やはり違うのじゃないか。  この点は、ただ「業務の遂行を指揮命令する職務上の地位」というのはもう少し高いんじゃないか。こういうふうに、末端の役職であればいいんだということでは、何人かつければいいんですから、ほとんど脱法行為ができますよ。ですから、これは乱用されるおそれが非常に強い、私はかように思います。やはり従来のような管理職の定義でここは進まれた方がいいのではないか、こういうように考えるわけです。ひとつ考慮を願いたい。  大変丁寧な答弁でございまして、余り時間がないものですから続いていきますが、今まで審議会等で審議の話題になっていなかったものがここに大分出ていますね。それは専門職。専門職の場合、生命の維持とか、あるいは時間的に中断ができないようなもの、そしてかなり自分の自由で研究が続けられるようなもの以外余り認めるべきじゃないと私は思うのです。例えば不動産鑑定士なんというのは、こんなものが一体専門職だろうか。なるほど資格はある。資格はあるけれども、労基法に言う専門職に入らないのじゃないか。ですから、これはのけられてもいいのじゃないかと思うのですね。こういう点をどういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。  続いて、深夜業についても同じようなことが言えるわけですね。それで私は、深夜業の中で殊に大変意外に思いましたのは、今まで深夜業についていろいろ議論がありまして、たしか昭和三十一年だと思いますが、施行規則を変えたことがあります。私どもも砧の撮影所を見に行ったりして、映画撮影がどういうように行われておるのか、そして女子の深夜業はどういう範囲で認める方がいいのかというので、いろいろ研究したことがありますよ。そうして女子年少者労働基準規則の六条が拡大をされたのですね。そういう経緯がある。今余り事情が変わっていないのになぜこんなにどんどんふえたのか、こういう疑問を持ちます。  そこで、一つ質問をしたいと思いますが、郵政省、見えていますか。郵政Bが入ったというのがどうも私は納得できない。というのは、郵政Aと郵政Bに今まで採用基準の区分をしておった。それで郵政Bの場合は男子のみということになっておった。そこでこれは男女均等法に違反するからというので削られた。そのことは私は結構だと思うのです。採用の基準に男子のみというのはいかない。だから、深夜業を認めるのだというそのつながりが余りにも形式論理じゃないか。採用するときはそれを入れていいですよ。AとBと分けることも要らないのですよ。郵政職員一本で入れて、そして女子の場合は深夜業ができないということでいいのじゃないですか。AとBを従来は分けておったけれども、採用基準からそれを削除したてとが、今度は基準法の施行規則で深夜業を認めるということにはならないのじゃないか。もう言いませんけれども、郵便物の区分なんかする仕事は、立ち仕事で男子でも大変なんですよ。それを深夜業を認めるということになると、女子労働に大変な影響がある、こういうように私は考えるのですが、ひとつ以上の点を両方から御答弁願いたい。
  52. 赤松良子

    ○赤松政府委員 最初、専門職の問題で御指摘がございましたのでお答え申し上げますが、専門職を決める場合のメルクマールといたしまして、高い資格、国家試験のような資格を有する者と、必要とする知識を得るのに高い専門的な勉強をしなければいけないというようなこと等を考えて、公認会計士以下幾つか、イからチまで並べてあるのは、そういう観点から国家資格という点に着目して選んであるわけでございます。そういたしますと、不動産鑑定士は、これまでの議論の過程で、固有名詞は出てまいりませんでしたでしょうが、そういう点での並びを考えますと、他のものに決して劣るものではない、むしろ不動産鑑定士を落とす方がバランスを失することになるのではないかというふうに思います。また、実際にそれをなさっている婦人の方々も、ぜひ時間外労働、深夜業の規制は外した方が自分たちにとっていい、このように御要請があったわけでございます。  それから、深夜業のもう一つの郵政Bにつきましては、その区別をなくしますと、かえってすべての方たちが深夜業をしなければならないというようなことにもなりかねないわけでございまして、Bというのを特定しておいて、今後Bの試験を受けてお入りになった方のみがここに書いてございます「郵便事業における郵便物の区分、運搬等の業務」として括弧がございますが、それに該当するというふうに限定いたしました方が、深夜業の解除される女子労働者は限定されるわけでございます。そして試験を受けるという点で、そこにおいては選択ができるわけでございまして、決して今までいる方も全部深夜業ができるというようなことではないわけでございますので、これは限定をして今のような形にしておけば、選択をした上でのことである、こういうふうになるのではないかと思いますが、その業務の違いというような点につきましては郵政省の方が御専門でございますので、私はそちらにお譲りいたしたいと思います。
  53. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 お答え申し上げます。  今、婦人局長がおっしゃった事柄で大要は尽きておるというふうに思います。私たちの郵政省の立場も十分御理解をいただき、また、男女差別撤廃条約、雇用均等法の精神などを受けまして、私どもとしては採用区分の中でAとBを分け、かつ、Bには男子のみというのがこういう形で残っておるのはこの郵政省の採用試験だけでございますので、この際、この部分については男子のみという部分を削除したい、こういうことで今回考えたところでございます。労働省の方でも、こうした問題について目下基準法等検討を進めていただいておりますので、そうした御検討に合わせて私の方もそれに対応した措置をとらせていただいたということでございます。  また、先生おっしゃいましたように、じゃ区別はなくしてしまえばいいじゃないかということでございますけれども、深夜業務を女子に認めないということをそのままにしておいて区分をなくすということは、事実やはりできかねます。そういう点がございますので、この際、郵政Bという職種に限定をいたしまして、希望される方については雇用の機会を広げる、それはすべて女性の皆さん方の選択に任せるということで、そういう選択の幅を広げるという意味で積極的な意味があるものだというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
  54. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ちょっと誤解がありますね。採用の区分を廃止するということは、深夜業を全部認めるというのじゃないのですよ。深夜業を禁止するのです。禁止する中で例外として認めるかどうかというので、わざわざどこの企業だって、男子のみというのは今度は禁じられたわけですから、もうないわけです。そうなれば、そこに入ってくる従業員は皆深夜業をやらなければならぬでしょう、あなたの論理から言えば。そういうことはないのだと言っておるのですよ。ですから、それを区分をなくするということと深夜業をやらすということとは別個じゃないですかと言っているのですよ。  私は、やはり立ち仕事で深夜をやるというのは、今までやったことないのですから、男子でも大変だと言っているのですよ。ですから、それはやはり形式論理ではなくて、一般採用のときには男子のみというのは削るけれども、それに連動して、じゃ深夜業を女子にやらすということはおやめになったらどうですか、これは婦人局長、考えてもらいたい。こういうのは僕は、局長さんよくわかっておってなぜ入れるのだろうかと不思議に思うのですがね。郵政省から言ってきても、だめですと、局長、あなたはおっしゃればいいのですよ。どうも単純な論理でそういうことが進められておると思います。  まだ基準法の問題、随分あるのですけれども、もう時間が五分ぐらいしいありませんから、募集・採用の問題あるいは教育訓練の問題、いろいろあるわけですけれども、本来、均等の機会を与えるように努めなければならぬというのに、均等の機会を与えるというのではなくて、これは単に女子を差別してはならないというようにすりかえられておるのですね。法律の趣旨と指針が違うじゃないですか。それから指針と行政解釈がまた違うのですね。大変落差があると思いますよ、この間には。今度の機会均等法と指針と、さらにあなた方の解釈、これにはかなり落差があると考えるわけです。  具体的に言いますと、「女子に対して男子と均等な機会を与えるように努めなければならない。」我々、努力義務は反対でしたけれども、こういうように法律は通過しておるわけですから。それから女子であることを理由にして募集または採用の対象から女子を排除しないこと。そうしてその後に、これはどういう場所でお話しになったか知りませんけれども、例えばフルタイムは男女、しかしパートタイマーは女子のみ許される。あるいは総合職は男女、補助職は女子のみ、それから営業一般は男女、窓口の事務は女子のみ、こういうように差別をされておりますね。  それは女子の雇用の機会を増すんだとおっしゃるけれども、本来、男子と女子の区別をしてはならぬ、均等に扱えというのが法律の趣旨でしょう。ですから、解釈の段階まで行きますと、大変な差が出てくる、これが固定化することになるわけでしょう。  これは何もパートが女子の専門的な分野じゃありませんよ。男子だってパートに行きたいと言う。それは高齢者だけだろう、いや高齢者じゃない若い人だってパートに行きながら勉強をしたいという人もあります。ですから私は、何もパートは女子のみなんというのは、逆に女子労働者の方からもむしろ批判を受けておるわけですから、そういう解釈はおやめになったらどうかと思うのですが、どうでしょうか。
  55. 赤松良子

    ○赤松政府委員 法律の段階と指針と解釈は首尾一貫していると私どもは考えております。  法律が、女子に対して男子と均等な待遇を与えなければならないという、いわば片面的に書いております。それからまた、法律は非常に漸進的に男女の平等を実現しようということで一貫しているわけでございますから、指針は、女子に対して男子と均等な機会を与えるという考えを具体化するためにまず取り上げるべき、なくすべき措置をスペシフィックに書いたということでございまして、それ以外のものを全部排除してしまったということではございません。  それから女性にすべての機会が開かれていれば、付加的に、追加的に女子のみの職種があっても、それはまずやめるべきことの中には入らないというふうに考えているわけでございまして、先ほど幾つかお挙げになりましたのは、女子に対してはすべての職種が開放されているという前提で、プラス・パートの女子を雇うということまでを今の段階でなくせというのは当たらないのではないかというふうに思ったわけでございます。  それから、男子に対して差別になる場合が出てくるではないか、それはおっしゃるとおりでございます。男子のパートタイムというのをスーパーマーケットでやっているところへ男子もつきたいという方がふえれば、それは、その方たちを締め出していれば男子に対する差別になると思います。しかし、現在の段階で、特にこの法律でなくそうと思っておりますのは女子に対する差別でございまして、もし男子に対するパートの門戸開放が非常に必要だというような状態になりましたならば、法律改正を含めてそれは検討に値する問題だと思います。
  56. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 もう最後ですが、やはり女子の側から、これは今の差別を固定化するという意見が出ているわけですよ。ですから、わざわざパートは女子のみということを入れなくても、採用は男女一緒にいきます、こういうことだけで、パートを区別して論議をする必要はない。そのことが現実に雇用主としてはやはり差別になるし、また応募する人も、あなたはパートはできますよ、しかし事実は、一般職を受けられてもいいけれども、非常に厳しいですよということになっていくんですね。そういう概念は早く払拭することが一番現実的じゃないか、こういうように思っておるわけです。  ひとつそういう点を十分配慮して審議をしていただきますようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。
  57. 戸井田三郎

    戸井田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ————◇—————     午後一時二十三分開議
  58. 戸井田三郎

    戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大橋敏雄君。
  59. 大橋敏雄

    ○大橋委員 本日は、労働一般の質問の時間をちょうだいいたしまして、二、三お尋ねしたいと思いますが、まず初めに、今、社会で大きな話題になっておりますが、我が国の野球界に初めて労働組合が結成され、その会長さんにはジャイアンツの中畑選手さんがなられたようでございます。労働大臣もある球団の大変なファンらしいのですが、また野球適ということも聞いておりますけれども、所管大臣といたしましてこの野球界における労働組合の結成についてどのような感想をお持ちか、お尋ねしたいと思います。
  60. 山口敏夫

    山口国務大臣 現在の社会では各種の分野で労働組合が存在するということはもうごく普通の状況でございますし、プロ野球界に組合ができたということ自身も、私としては素直に受けとめておるわけでございます。組合活動でございますから、長い時間といいますか期間をかけまして地道な活動を続ける中に大きく成長をすることが大切だと思いますし、やはり労働組合というのは労使の話し合いの中でそれぞれの組合員の処遇の向上、こういうことでございますから、これを通じてプロ野球界全体が発展をするということになれば、これはファンたる国民の皆さん方も大変期待をすることもできるのではないか。  いずれにしましても、個人の能力とか資質とか、なかなか激しいプロスポーツの世界でございますから、いろいろ選手の間同士、組合員同士、あるいはオーナー、球団側と個々の選手、組合員の間でもいろいろあつれきもあろうと思いますけれども、どうぞひとつ健やかに成長発展をしていただき、プロ野球全体、ファンの大きな期待にもこたえられればこれに過ぎることはないのではないかというふうに考えております。
  61. 大橋敏雄

    ○大橋委員 何かアメリカにももう既に球団の中に組合があると聞いたんですが、そういう点はもうお調べになっていますか。
  62. 廣見和夫

    ○廣見説明員 お答えいたします。  そもそもプロ野球がございます国は日本とかあるいはアメリカと、ごく少数の国でございます。ただ、その中で例えばアメリカについて見ますと、一九六〇年代に労働組合ができまして活発に活動をしておられるというふうに聞いております。
  63. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いろいろお尋ねしたいので、次に移らしていただきます。  私の地元は北九州、あるいは筑豊という地域が含まれているのですけれども、その中には失業対策事業に就労しておられる労働者の方がかなり多数占めているわけです。  実は、御承知のとおりに、六十年十一月二十日付で失業対策制度調査研究報告というものが出されましたですね。その内容は私もつぶさに拝見さしていただきました。非常に幅広く関係者の御意見を聞かれ、またそれを参考にもし、かつ具体的、そしてきめ細かな配慮のもとに今後の失業対策事業のあるべき姿といいますか、そういうものを示されたように拝見いたしました。しかし、この影響は非常に大きくて、いわゆる失対現場ではかなり深刻な動揺が生じてきております。ということは、いかに就労者の生活が失対によって支えられているかという証明でもあるわけでございます。  過去にもしばしばこの失業対策事業の改革問題について論議をしてきたわけでございますけれども、そのあらゆる論議の究極はこうだったんですよ。つまり、俗に言う生首は切りません、こういうことで、要するに健康で就労の意思があれば一方的に首にするようなことはいたしませんよということで、いろいろな議論はあったけれども、何とかこう過ぎてきた感じがするのです。  しかし、今回の報告書によりますと、高齢者の具体的な引退の方針が示されておりますだけに、従来とは様子が大きく変わって、憶測も交えましてさまざまな反響を呼んでいるというのが実態でございます。しかし、冷静に失対事業のことを考えれば、その入り口を既に閉ざされている失対事業でありますので、やがては終息の運命にあることも否定できない事実でございますし、むしろ終息に向かって合理的かつ政治的に関係者の納得できる措置をいかに講ずるかというところに重点を移さざるを得ない。そして、いかに万全の対策を立てていくかが我々の責務であろうと考えるわけでございます。  そこでお尋ねしたいんですが、記憶を整理する意味におきまして、五年前、五十五年の研究報告の内容の骨子、それと実施について簡単にお尋ねしたいと思います。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  64. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 五十五年の十二月に失業対策制度研究会の報告が出されました。  その骨子となっておりますものは、さまざまな失対事業の歴史的な経緯、それからその置かれている現状、またその実情、そういうところから見ますれば、失業対策事業というのは基本的には終息をすべき段階に来ている。ただしかしながら、旧産炭地域その他、あるいは事業の歴史的な事情、またそれに就労を依存している人たちの状況等考えますと、なお暫定的には継続することもやむを得ない。しかしながら、暫定的な継続ということを考える上におきましても、やはり労働政策としての立場を貫くような、そうした形での事業運営がなされていかなければならない。  そのための必要な一つの大きな条件として、失対事業に就労する人たちの年齢の上限という面についていろんな諸条件を考えると、六十五歳程度に持っていく、六十五歳にするということが妥当ではなかろうか。ただ、これについて一挙に行うということについても問題があるので、さらに五年程度の猶予期間を置く。そしてまた、それへ向けて引退しやすい環境づくりというような意味での特例給付金の支給とか自立引退措置とか、そうしたものを講じていったらどうか。基本的にはこうした考え方で五十五年の報告が行われておるわけです。
  65. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今の御答弁のとおりだったと私も記憶しております。基本的には終息の段階にある。しかし、直ちに終息させることには問題がありますぞ。したがって、暫定的に継続していくべきであるけれども、そのための条件はこれこれだ。そのときにもう一つ、引退する人々に対しては特別援助措置として異例の手当が支給されたと思うのですけれども、ちょっと確認しておきたいんですが、いかがですか。
  66. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 昭和五十六年にいわゆる自立引退を援助するための措置として国の助成、それから市町村の協力のもとに、当時といたしまして百万円の自立引退援助措置が講じられたという経過がございます。
  67. 大橋敏雄

    ○大橋委員 そういうことで、労働省としても失業対策の就労者に対して、特に高齢者の引退への呼びかけを全力を挙げられたと記憶しております。また、その特例援助措置による百万円が用意されまして、そのときは国家財政はやっぱり非常に財政難であったわけでございますが、そういう中でも百万円が配慮されたということは、それなりに評価されていたんではないかな。このような異例な措置というものは恐らく将来にはないんじゃないかというようなお話もちらちら聞こえておりまして、もう引退するならこの際ですよということで引退促進を図られたと思うのですよ。  私もそのときは労働省の皆さんのそういう考え方を信頼しまして、私もその立場に立って、現場の就労者の皆さんには、こういう措置というものは恐らく将来ないんじゃないでしょうか、やはり労働省のおっしゃるとおりに、もし引退されるならばこの際がいいんじゃないかということで説明したわけですよ。今回の調査研究の報告の内容を見ますと、計画的な引退に対して特例給付金というのがまた出るようになっております。これはこれなりに私は当然のことであろうと思いますけれども、その当時五十五年、つまり五年前のそのときに——私は何か今複雑な気持ちになってしようがないんですよ。これに対して労働省はどういうお気持ちですか。
  68. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 五十六年の措置におきまして、それから五年経過した六十年時点においてできるだけ六十五歳程度まで年齢が引き下がるように、そういうふうな意味合いにおいて、当時として自立引退される方をできるだけ募りまして、また各方面の方々の御協力もいただきましてそういう措置が講じられたわけでございます。しかしながら、研究会報告にも触れておりますように、五年経過後の現在の時点を見てみますと、必ずしもそうした目標どおり進んでこなかった。こうしたことが研究会報告にも指摘がなされておりまして、今回具体的に実行可能な解決案を目指すべく研究会報告の提言が幾つかなされたわけでございまして、そうした中におきまして引退者に対する特例給付金ということも提言がなされております。  これは、今回の措置というのは前回の措置と異なりまして、前回の場合には自発的に引退をされる方々をそうした措置によって援助しよう、こういう考え方でございますが、今回の場合には年齢によって一律に引退されることになる。こういうことに配慮をし、その生活の激変を緩和する、こういうような意味合いで特例給付金という提言がなされておるわけでございまして、ただいま先生御指摘のように、今回の措置もそういう意味合いにおきましてはやはり一つの妥当な措置ではなかろうかというふうに私どもも受け取らせていただいているところでございます。
  69. 大橋敏雄

    ○大橋委員 確かにその支給される内容、考え方には変わりがあるように思いますけれども、こんな異例な措置はもう二度とないですよというような雰囲気で引退を募ったことを考えると、私は今回の措置をあわせて考える場合、何となく場当たり的な、いいかげんなことを言ったようなふうに思われるのではないか、政治家の一人としてその点は非常に気にとまるところであります。  それはここで幾ら言ってみても始まりませんので、では五十五年の実施で実際に高齢者の引退はどの程度促進されたのか、予想引退者数と実績はどうだったのか、簡単で結構ですから、お願いします。
  70. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 五十六年の措置を行いましたときには二万人を目標といたしまして予算措置が講じられたわけでございまして、高齢者を中心に当時約一万八千人の方々が自立引退を願った、こういう実績に狂っております。それによりまして若干の平均年齢の低下を見たという形でございます。
  71. 大橋敏雄

    ○大橋委員 では、現在に話を戻しますが、失対就労者の実態といいますか、現在の平均年齢あるいは就労期間ですか、就労者の総数などはどうなっているのかお尋ねします。
  72. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 現在の失対就労者の総数は六万人強という状況でございます。平均年齢は五十九年で六十五・九歳、平均就労期間は二十五年を超えまして、年齢構成を見ますと、六十五歳以上の人たちが六割近くを占め、七十歳以上の人たちが三人に一人、こういうふうな状況になっております。
  73. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私がいただいた資料の中では、就労総数、これは五十九年と思いますけれども、約六万五千だということでございますが、報告書を見ますと、五十七年以降も毎年三千人前後が減少していった。しかし、常用就労者となっていった方は年に三十人前後と極めて少数である、こういうことなどが失対事業の終息促進への理由に拍車をかけられたとも言えるわけでございますけれども、見方を変えるならば、就労者の皆様がいかに失対に依存し生計を立てているかということにも通ずると思うのです。したがって、今回の研究報告のポイントを極めて簡単で結構ですから述べていただきたいと思います。
  74. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 今回の研究会の報告におきましても、失対事業が基本的に終息すべき段階に来ている、こういう認識については前回の報告と同様でございます。そうした中において、地域によりましては失業対策事業に生計を依存している方々がやはりかなりおられる、またそうした地域というのが旧産炭地域なりあるいは地域改善対策対象地域、こういった形で雇用情勢の面におきましても非常に厳しい地域である、そういう実情等を考えますと、なお暫定的に継続するということもやむを得ないという面においても、やはり前回の報告の基本的な考え方を踏襲をいたしておるわけでございます。  その事業が終息に至る前の段階におきましても、それはそれなりに一つの社会的な役割というのを果たし得るような形での努力がなされなければならない。そういうふうに持っていくための一つの条件としていわゆる年齢の上限というものを考え、労働政策としての立場を貫いていく、こういう努力が必要であるということで、五十五年報告で六十五歳という線が出されたわけでございますけれども、単に六十五歳という線を出しっ放しということではなしに、そうしたものが具体的に実行可能になるようないろいろな方策というふうなものと、現実に就労している人たちとの問題との調和点というのを具体的にどう図るか、こういうふうな観点から、いわゆる年齢の経年段階的な紹介対象の上限を設定していくことを初めとする幾つかの具体的な提言がなされている、こういうふうに理解をいたしております。
  75. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今度の報告内容がもし実施されれば、失対事業はいわば六十五歳定年制になって、ただし五年の経過でそうしてまいりますよ。例えば六十一年は七十歳未満とし、それ以上は引退していただきます。毎年一歳ずつ下げていく。これを労働省としてもその方針で臨まれるというふうに理解してよろしいですか。
  76. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 ただいま申し上げましたように、現実的な解決策を提言していただいておるというふうに受け取らしていただいておりまして、労働省といたしましてもこの報告の趣旨を最大限に尊重して実施いたしてまいりたいと考えております。
  77. 大橋敏雄

    ○大橋委員 労働政策の観点からはやむを得ない措置、もう仕方ないと思うのです。しかし失対事業が果たしてきた役割と成果というものも大きなものでございました。特に先ほど言いました私の地元旧産炭地域あるいは地域改善対策対象地域となっている筑豊方面におきましては重要な働きを果たしてきたわけでございまして、言われるとおりに激変緩和をぜひともとっていただきたいと思うわけです。  そこで、引退の計画として、先ほどおっしゃったとおりにまいりますと、実際問題としまして労働省の資料によれば現在全国に六万四千六百九十六人の就労者がいらっしゃるのですけれども、現在六十歳から六十四歳が一万一二千六百三十四人、六十五歳から六十九歳が一万六千四百二十三人、七十歳以上が二万一千七百十七人、合計五万一千七百七十四人になるわけです。この六万四千六百九十六人から五万一千七百七十四人をマイナスしますと一万二千九百二十二人、要するに昭和六十五年には失対の皆さんは一万二千余りになるということですね。この理解は間違いないですね。
  78. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 現時点での六十歳未満の方々の数字は今先生お述べになりましたとおりでございます。
  79. 大橋敏雄

    ○大橋委員 大臣に申し上げますが、いよいよ失対事業がもう目に見えて終息されていく状況になってきたわけですが、失対事業に生活破かなり支えられている実態があるわけですから、その引退後の生活をカバーしていただく何物かを何としても考えていただきたいということですが、いかがでしょうか。
  80. 山口敏夫

    山口国務大臣 先ほど来大橋先生の御指摘にもございますように、労働政策上どうしても研究会の報告を踏まえた一つの改善策も進めていかなければならない、こういう点もございますが、こうした失対事業の引退者の方々の特例給付金の支給、また年齢により一律に引退することになるという点もございます。そういうことで、昭和五十六年に行われた特例援助措置の内容、その経過等に配慮をしながら、財政当局と十分析衝して今御指摘いただいたような問題についても十分踏まえて取り扱ってまいりたいというふうに考えております。
  81. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今の特例給付金でございますけれども、計画的な引退ということになるのでこういうことが配慮されたんだ、今から大蔵省と折衝するんだというお話でございますが、五年前、正直言って百万出たわけですね。それから大変経過もしたし、物価の上昇もあります。今から交渉なさると言うけれども、一応の額の算定はなさっていると思うのですが、幾らになさり、そして要求なさるおつもりですか。
  82. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 この考え方につきましては、一つの要素として、一律に引退をすることとなる、こういう事情について配慮をしなければならないという点と、もう一点につきましては、先ほど先生も御指摘になりましたように、五十六年の自立引退措置、そのときの経緯及び内容、言うなれば当時の方々が損をしたとか、こういう形にならないようにという行政の流れの上での配慮も一面において必要になってくる、こういう面もございまして、双方を十分に勘案をしながら今後財政当局とよく折衝をいたしてまいりたい、このように考えております。
  83. 大橋敏雄

    ○大橋委員 五年前の方が、ああ、あのとき残っておけばよかったという思いにさせることもよくないことですけれども、しかし今回立場を変えての引退になるわけですから、その方に対する引退の給付金としてはそれなりにふさわしいものでなければならないということです。ですから、余り過去のことにこだわって額が抑えられるようなことがあってはならぬと思うのです。そこのところを私は厳しく要求しておきます。  と同時に、自立引退希望者についてもその額は保障されるのかどうか、あわせてちょっと聞いておきたいと思います。
  84. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 今回の特例給付金の考え方につきましては、年齢によって引退をされる方々以外の自発的に引退をされる方々につきましても対象としてまいりたい、このように考えております。
  85. 大橋敏雄

    ○大橋委員 時間もだんだんたってきましたので、次に移らせていただきますが、今度は特に大臣に事情をよくのみ込んでいただきたい要望がございます。それは労災による脊損患者の中で車いすで生活していらっしゃる方、労災法第十三条の療養補償給付における看護、付き添いの支給要件に該当する方は、いわゆる一人つき看護が認められておるわけです。つまり、脊損患者一人に対して看護担当者、付添婦さんと言ってもいいのじゃないでしょうか、一人がつけられる、お世話できる立場になっております。その理由は言うまでもないのですが、介護者がなくしては一日も生活ができない特別の症状、状態に置かれているということからそういう措置が図られていると思うのであります。したがいまして、脊損患者に対する介護につきましてはそれなりの専門的知識あるいは患者の取り扱いを心得た要領のわかる人が要求されるものでございます。要するに看護婦さんならだれでもいい、付き添う人はだれでもいいというものではないんだということなんです。この点が極めて重要な問題点なんです。正しい認識をしていただきたいと思うところでございます。  実は私は脊損患者の方としばしば懇談する機会があるわけでございまして、一般の方杯よりは脊損患者の生活実態については深く承知しているはずです。例えば身体的にも、精神的にも、経済的にも大変な苦悩を抱えておられます。と同時に、個人差はあるのですけれども、一般的には四時間置きに体位変換といいますか、体を変えなければならないわけです。起こしたり、寝かしたり、横向けたりということで、四時間置きにしないと、褥瘡といいまして床ずれの悪質なものができたり、あるいは悪化していくということです。  また、排尿とか排便につきましては、健常者の定期的といいますか、自然便とは非常に異なりまして、二日に一回は浣腸による処理をやらざるを得ない。このときはまた介護人のなれといいますか、要領というものが非常に問われるようでございますが、ふなれな介護人がやりますと失敗が多くて、一部が褥瘡等に付着して、そこから菌が入って脊損がまた悪くなっていくということでございます。したがいまして、介護人、いわゆる付添人の方々も大変な苦労でございまして、筆舌に尽くせぬものがあるわけでございます。それだけに脊損患者側としてもなれた付添婦さんをぜひお願いしたい、これが心からの希望であるわけでございますが、実は問題になってくるのはこれからです。  基準看護病院というのがありますね。そこに一時的にでも入院しようという場合、基準看護病院の規定がありまして、付添婦さんが余儀なく切り離される状況が出てくるわけでございますが、これが非情に困ったことなんだということです。この点を是が非でも改善をしていただきたい。要するに、脊損患者の症状の実態からいくと、付添婦さんは一体的なものなんです。離せるものではないんだということをよく認識していただいて、この点を是が非でも改善していただきたいわけです。これは厚生省との関連もあろうかと思いますけれども、労働災害者の気の毒な状況に立った場合、何としても改善していただきたい点でございますので、大臣にその気持ちをお伝えし、配慮していただきたいということです。いかがでしょうか。
  86. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 先生御指摘の、脊損患者の療養につきまして非常に大変な状況にあることは私どもも十分承知をいたしておるわけでございますが、先生お話の中で今の制度の仕組みと若干違う点があるように感じましたので、その点だけちょっと御説明させていただきます。  労災保険の適用を受けます患者が基準看護病院に入った場合に、先生も御承知のように、基準看護病院は完全看護を建て前にしていますから部外の付き添いは本来づけられないということになっておるわけでございますが、特に重篤な脊損患者等につきましては、一定の要件を満たす場合、といいますのは、十人以上そうした重篤な患者を収容している看護病院の場合には、特別看護料を出すことによって部外の付き添いの人がつけられるようになるという仕組みをとっております。健康保険の場合は一切ないわけですが、労災保険については、脊損患者のように重篤な方がおられるものですから、そういう扱いをしております。  ただその場合も、患者四人について一人の部外付添者ということですから、例えば十人そういう重篤患者がおりますと二・五人、切り上げて三人まで部外の付き添いがつけられるという形になっております。したがって、先生、労災病院全部がマン・ツー・マンというような語が今ちょっとございましたが、労災病院の中で労災保険の適用を受ける患者については、今私が申し上げておりますように、特別看護料は患者四人について一人ということで特別看護料をつけておりますので、マン・ツー・マンまでは実はいってないわけでございます。
  87. 大橋敏雄

    ○大橋委員 そうじゃないのです。それは私も知っているのです。まず十人収容している病院で、四人に一人はよその看護婦さんをつけてもよろしい、それはわかっているわけです。私が言わんとしているのは、支給要件のイ、ロ、ハ、ニの中のイとロについては、「イとロに該当する場合の看護は、看護担当者一人が傷病労働者一人を担当する看護(以下これを一人つき看護という)とする。」とあるのです。だから、一級障害の状況にある脊損患者には一対一、マン・ツー・マンになっているわけです。ただし、今言うように基準看護病院に入った場合は今の規定に沿わなければならぬので、離されたり、違った人が担当したりするということなんです。それでは困るということを言いたいわけです。だから、大臣、これを研究して是が非でも改善していただきたいと思うのです。
  88. 山口敏夫

    山口国務大臣 今の大橋先生の御指摘の点につきましては、今後特別看護の実情等を把握した上検討することとさせていただきたいと考えております。
  89. 大橋敏雄

    ○大橋委員 それでは、ついでにといっては失礼ですけれども、もう二つほど。  近く労災法の改正が行われるのじゃないかという情報を耳にしているわけでございますが、その際に今から申し上げる問題もぜひとも配慮していただきたい。  それは脊損患者の死亡と遺族補償との関係の問題でございますが、労災事故との因果関係が証明されれば問題なく遺族補償につながるわけでございますが、証明されない限りはだめなんですね。これはもう従来の法規ですからよく承知しているのですけれども、この脊損患者の場合は特別の事情に置かれているのではないかということを私は主張したいわけです。というのは、脊損という症状というのは、先ほど申しましたように物すごくお気の毒な状態にあるわけですが、そういう脊損という症状とその生活がもとになって体力が衰弱していくわけですね。体力が衰弱していくと抵抗力も減退してまいりますし、容易に余病が発生する、併発していく、そしてやがて死んでいくということになるのではないか。したがいまして、一般的にこの病気は労災事故には関係ないというふうに見るのではなくて、基本的に今言ったような脊損の状態に起因しているのだということも一面に配慮してもらって特例をつくっていただきたいと言うのです。  というのは、こういう実例があるのですよ。これは聞いた話でございますけれども、自宅療養中の脊損患者が、当然お医者さんの往診を受けていたわけでございますが、ある日、先ほど言った褥瘡の極度の悪化から救急車で救急病院に搬送されていったわけでございますが、その途中で亡くなられたわけです。救急病院の方では、それを心不全だったと診断されたわけでございまして、そういうことで労災補償とは無関係になったわけですね。その方の家族の方がおっしゃるには、もし往診に来てくださっていた主治医の方がこれを診断してくだされば、あるいは脊損との関連を何らかの形で述べてくださったのではないだろうかということも言っているわけでございます。  これも極めて難しい医療の分野に入る問題でございますけれども、長期にわたってお気の毒な生活を送り、かつ家族のことを心配している脊損患者の御心境に立ては、これも何とか特別の配慮をしてあげるところではないかなと思うわけでございます。この点もぜひお願いしたい。一言でいいです。
  90. 山口敏夫

    山口国務大臣 脊損患者が死亡した場合、当該疾病と死亡原因との間に相当な因果関係が認められないものについては、先生も御承知のとおり労災保険の補償の対象とすることが制度上現在困難だ、こういうことでございますが、しかし尿路障害、術後ショック、これは専門的ですけれども、褥瘡による敗血症等による死亡の場合のように、相当因果関係が認められる例もある。このような例を除くと、業務上の認定を行うことは一般的に困難でございますが、脊損患者の死亡原因と脊損との因果関係につきましては、今後、医学情報の収集、研究等に努めて、どう取り組むかということにつきましてもひとつ研究さしていただきたいというふうに考えます。
  91. 大橋敏雄

    ○大橋委員 もう時間が参りましたが、最後にもう一問お尋ねしたいのですが、昭和三十五年三月以前の脊損患者のうち平均賃金の千二百日分の打ち切り補償を受給した人でも、その後もなお療養を続けている患者にも療養の費用等が援助されているわけです。これは労働福祉事業団による療養援護金という名前で出ている制度でございますけれども、現在その入院または通院中の諸雑費は幾らになっているのかということをお尋ねしたいと思います。入院のときと通院ですね、それから特別栄養食について幾らになっているかというのを事務的にお聞かせいただきたいということが一つ。  もう一つ、これも実例です。福岡市のある療養所に援護金の対象患者が入っていたわけでございますが、これは労災指定病院だったわけですけれども、その病院が基準看護病院になったために病院を移されたわけです。北九州市の労災指定病院に移されたのですけれども、その際に個室に入ったわけでございますが、室料が一日に二千八百円だ。いわゆる差額ベッドの病室になったわけでございまして、恐らく援護金の方からは新しい金額に直しますと千二百八十六円が出ることになるんだと思うのですけれども、差し引きますと約千五百円ばかり自己負担ということになって、これも大変悩んでおりました。この救済の道はないものかということで質問を終わりたいと思います。
  92. 松本邦宏

    松本説明員 まず、先生御質問の前半の御質問にお答えをしたいと思いますが、療養に要しました費用につきましては労災患者の場合と同じに出しておりますが、それ以外に、入院した日がございました月につきましては現在三万六千五百円の月額をお支払いしてございますし、それから通院した日が二日から七日の場合には月額一万八千二百円、八日以上の場合ですと二万二百円をお支払いいたしております。(大橋委員「特別栄養食については」と呼ぶ)失礼しました。そのほか、入院一日については七十円の加算がございます。
  93. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 基準看護病院を転院した場合に、自己負担、持ち出しが出てくる、こういうお話でございますが、詳しくはまた具体的な事情を調査させていただいた上でお答えいたしたいと思いますが、一人部屋に入った場合と二人部屋に入った場合で金額が違いますので、その辺で従来例えば二人部屋に入っていたのが今度一人部屋相当の負担をしなければならないとなると自己負担が出てくるといったようなこともあり得るわけでございますが、その辺、具体的な事情をまたお教えいただいて、調査の上で対応したいと思います。
  94. 大橋敏雄

    ○大橋委員 終わります。
  95. 浜田卓二郎

    ○浜田(卓)委員長代理 次に、森田景一君。
  96. 森田景一

    森田(景)委員 最初に、六十歳定年の法制化についてお尋ねしたいと思います。  我が国は世界に類を見ないスピードで高齢化が進行しているわけでございます。厚生年金の改革に呼応するように、六十歳代前半までの雇用継続、すなわち定年を六十五歳ぐらいに延長すべきである、こういう声が各方面から強く出ているわけでございます。おくればせたと思いますけれども、去る十月一二日、労働大臣の諮問機関であります雇用審議会から六十歳定年制を法制化するよう答申がなされたようでございます。これは労働大臣への答申でございますので、その内容について大臣から御説明いただきたいと思います。
  97. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 答申の中身でございますので、私の方からお答えいたしたいと思います。  今先生御指摘いただきましたように、去る十月三日に、雇用審議会から十九号答申として六十歳定年制についての法制化の答申がなされました。これはこの当社労委員会においても長い間御議論いただきましたし、この雇用審議会におきましては、五十四年から本年までの長い間いろいろと御議論をいただいたわけでございまして、非常に議論の分かれるところであったわけでございますが、高齢者社会を目指して、この際、努力義務ではございますが、六十歳定年の方向で立法化を図るべきだという御答申を全会一致でいただいたわけでございます。  今回の答申は、今後の高年齢者の雇用、就業のあり方の方向として、当面六十五歳程度までは雇用、就業の場の確保が図られるようにすることが最も適切かつ現実的であるとの観点に立ちまして、具体的には六十歳定年を企業の努力義務とするとともに、定年の引き上げについての行政措置を講ずることができるようにすること、それから二つ目としましては、六十歳代前半層を含めた高年齢者の雇用、就業の場の維持拡大のため、事業主は高年齢者雇用推進者の設置、定年退職者等に対する再就職のあっせん等の措置を講ずるようにすること等につきまして法的整備を図ることが妥当であるという内容のものでございます。
  98. 森田景一

    森田(景)委員 たしか三年前までは雇用審議会では六十歳定年制は法制化すべきでない、こういう意見であったと聞いているわけです。今回、全員が賛成ということで答申に踏み切った、こういうことは一応の前進だと評価するわけでございますが、答申でございますから、これを今度法制化するという作業があります。この法制化について、いつごろ法制化に踏み切られるのか、法制化をなさるのか、その辺のところ、大臣の方から御答弁をお願いしたいと思います。
  99. 山口敏夫

    山口国務大臣 国会におきましても、長い間六十歳定年制の御論議を先生方から活発にいただいておったわけでございますが、今御指摘のように、雇用審議会の第十九号答申、また今後の施策の充実強化に関する中央職業安定審議会の建議が出されたわけでございまして、労働省といたしましては、これら答申及び建議の内容に沿いまして、高年齢者についての総合的な雇用、就業対策に関する法律案を次の通常国会に提出をしたい。人生八十年時代に備えて、ひとつできるだけ早く御論議、御審議をいただきたいというふうに考えております。
  100. 森田景一

    森田(景)委員 私ども公明党は、六年前に六十歳定年制という党独自の法案をつくりまして国会に提出したと記憶しておりますが、その当時から六十歳定年制の法制化という話があったわけでございます。今回おくればせながらこういう状況になっておりますので、ぜひ六十歳定年法制化、ひいては先ほど内容の説明がありましたように、六十歳代前半、この雇用確保という点で、ひとつ速やかに法制化されるように御要望申し上げておきたいと思います。  大臣は、参議院の方の審議の出席要請があるようでございますから、どうぞそちらに御出席になってください。  御存じのとおり、二十年後の西暦二〇〇五年までに我が国の労働者人口が五十五歳以下では五十九万人減る、こういうふうに言われております。また、逆に五十五歳以上が四十四万人もふえて、労働者全体が高年齢層へ移行していく、これは労働省の試算で発表になっております。  こういう状況でございますから、現在若者とか働き盛りの労働者が占めている部分を高年齢者で埋めなければ日本の産業は立ち行かなくなってくる、こういうことは明白だろうと思います。つまり、今までは高年齢者はどちらかというと余計者、こういう見方が強かったと思いますけれども、これからは雇用労働力として不可欠な年代になってくる、こういうふうに考えられるわけでございます。こうした意味からも、この六十歳定年制法制化ということは非常に大きな意味があると思いますし、また六十五歳定年制への第一歩である、このように評価できると思うわけでございます。  ただし、この定年延長に伴いましていろいろと心配される問題があるわけでございます。賃金を引き下げるとか、給与体系を見直してしまうとか、役職に絡む要員計画の変更だとか、事実上は定年延長が喜べないような事例も出てくることが憂慮されるわけでございます。これらの点にも十分考慮して立法化の作業をされるように要望しておきたいと思います。  次に、労災認定基準の見直しということについてお尋ねしておきたいと思います。  過労死に対する労災の認定というのは非常に厳しいわけでございます。過労死は脳や心臓の病気、例えば脳出血とか心筋梗塞、こういう病気によるケースが多いために、不規則な仕事あるいはストレスが原因と見られていまして、特に原因がはっきりしないケースが多いようでございますが、管理職を中心とした中高年に多い、このように言われております。  一般的に労災補償は、労働基準法に基づく施行規則の表に列挙されている病気につきまして個別の申請ごとに労働基準監督署が業務上かどうか、これを判断して認定が決められることになっております。ただし、脳出血や心筋梗塞などはこの表には明示されておりません。過労死の労災認定は個別ごとのケースで判断する、こういうことになっておりまして、この判断の基準を、中枢神経、循環器系疾患、すなわち脳卒中、急性心臓死などの認定基準というものを昭和三十六年二月に労働基準局長通達でつくっているわけでございます。  この内容は、一つは、業務上とする認定要件を「突発的な出来事やとくに過激な業務についたことによる精神的、肉体的負担があり、これらが発病の原因として医学的に認められること」こういうことになっておりまして、単なる疲労の蓄積だけでは認定できない、こういうのがあるわけでございます。  それからもう一つは、高血圧症を持病として持っている人が脳出血を起こした場合も、特別な場合を除いて一般的には認められない、こういうふうになっております。  また、第三点としまして、日常的に激しい仕事をしている人や長時間労働者も発病前に特に変わった業務がなければ認定は難しい、大体こういうことになっていると思いますね。  高度経済成長の中で、技術革新で新たな緊張を強いられる仕事や交代制勤務がふえてきた。高齢化に伴う中高年サラリーマンのストレスというのは非常に激しくなっている、このように言われておるわけでございます。一方では、働き過ぎが脳や心臓の病気を引き起こすケースが目立ってきているわけでございます。こうした過労死の労災認定の実情というのはどのようになっているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  101. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 御指摘の過労死、特に脳卒中なり急性の循環器系疾患を私どもとらえておるわけでございますが、こうしたものが職場で仕事をやっている際に発生をするというケースがふえてきていることは事実でございます。昨年、昭和五十九年度の数字を申し上げますと、急性循環器系疾患、それから脳血管疾患、しれによります業務上の申請がありました中で、業務上と認定した件数は五十四件でございます。ちなみにその前年五十八年は十九件、その前年五十七年は三十五件ですから、年によって若干のでこぼこはございますが、特に五十九年は五十四件と認定の件数はふえております。  これに対する取り扱いの方針でございますけれども、先生御承知のように、労災保険は使用者の無過失損害賠償責任を前提とする保険制度でございますから、いわゆる私病がたまたま職場で仕事をしている最中に出たとしてもこれは必ずしも業務上の疾病にはならない、こういう建前をとっております。その意味でそうしたケースが出た場合に、ケース・バイ・ケースで個別に判断をするという仕組みをとっているわけでございます。  先日、一部の新聞に認定基準の見直しの作業を始めているという記事も出ました。これは五十七年以来専門家にお願いして、こうした面の取り扱いをどうしたらいいか、検討をお願いはしているところでございます。ただ、これは先生のお話にございましたように、基準法の施行規則三十五条で職業性の疾病全部掲げてございますが、その中へ初めから掲げられるような疾病たり得るかどうかという点については、やはり個人差が大きいということがそうした専門家の検討の結果でもはっきりと指摘をされております。したがって、ケース・バイ・ケースで判定せざるを得ない、こういうことになっているわけですが、そのケース・バイ・ケースの判定も、昭和三十六年に認定基準をつくってそれに基づいてやっておりますけれども、その後、成人病が非常にふえてきているといったようなこと、それから先生御指摘になったような労働の密度が前と比べれば非常に高くなっているじゃないかといったような事情から見て、果たして従来どおりでいいのかどうか、その辺の検討をこれから専門家によって見直しの作業をしてもらおう、こういう段取りにしているところでございます。
  102. 森田景一

    森田(景)委員 見直しを進めているということでございますが、実際に今も認定が、去年はたしか申請が二百件ぐらいあったと思いますが、そのうちの五十四件、そういう状況で非常に難しいし、また、要するに亡くなった方の家族が大変なんですね、労災と認定されるかされないかというのは。後の生活という問題で大変な違いが出てくるものですから、この辺のところを、難しいことは難しいわけですけれども、皆さんが納得できる、そういう内容に見直してもらわなければならないと思うのです。この見直し作業がいつごろ終わるのか、その辺の見通しはありますか。     〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  103. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 御指摘のように、こうした急性疾患で亡くなられた方の家族の方は非常に嘆き恋しまれ、また今後の生活をどうするかといったことでは非常にお気の毒な状態にあるわけでございます。ただ一方で、先ほど申し上げましたように、使用者の無過失損害賠償責任によって労災保険を適用していくという建前なものですから、私病について職場で起きたことはすべて対象にするというわけにもまいらない、こういう一方からの要請もございますので、その辺の兼ね合いをどうつけるかというのが正直言ってなかなか難しいところでございます。  今申し上げたようなストレスの問題あるいは成人病が一般的になってきているといったような状況も踏まえて見直しをやっておりまして、ただ、これは具体的にいろいろな症例を集めて認定基準というものをつくってまいりますから少々時間がかかりますので、さらに一年ぐらいの期間は要するのじゃないかと見ております。
  104. 森田景一

    森田(景)委員 拙速という言葉がありますけれども、拙速じゃなくて、納得できる内容の充実した見直しを早くやっていただきたいと思うのです。  実は、通達の中でもいろいろあるわけですけれども、お医者さんの認定というのが非常に大きなウエートを占めることになるわけですね。労働省にもお医者さんはいらっしゃるようなのですけれども、地元で認定して、トラブルがあって判定がつかないときには労働省に持ってこい、こういうことになっているわけですね。労働省のお医者さんが中心になってそれをまた検討なさるのだと思いますけれども、その辺のところはよくわかりませんが。お医者さんは、そういうことを言うと失礼かもしれませんけれども、自分が診断したら後で撤回することはまずないと思うのです。この辺が非常に難しいことでして、私も時々医療の関係で相談を受けることがあるのですけれども、お医者さんも万能じゃなくて誤診もあるのですね。  誤診がないお医者さんならそのお医者さんの判断に従うしかないのですが、誤診ということがある。しかし、誤診だということは、そのお医者さん、まず認めませんね。ほかの病院へいろいろと持ち回りして最終的には亡くなってしまったなどというケースもあるのです。因果関係がはっきりわかっているなら結論は下しやすいのでしょうけれども、因果関係がよくわからない、しかも持病があるとかなんとか、そういうことになると、それが労働作業上の死亡の原因につながっているのかどうかというのは難しいことだと思うのです。今、脳死の問題もいろいろ論議されております。これだって非常に難しい問題をはらんでいるようでございます。  特に御紹介しておきたいと思うのですけれども、こういう本があるのです。「女の器量はことばしだい」著者はNHKアナウンサーの広瀬久美子さん。これはアナウンサーですから言葉のことについて書かれているのですけれども、最初の部分にちょうど今と同じようなお医者さんの診断のことに対するトラブルといいますか、御自分が体験されたことが述べられておりまして、私も非常に同感という気持ちでこの本を買ってきて読んでいるわけでございます。労災認定してもらいたいのだという人と労働省といろいろ話をすると、向こうの言っていることはうそだ、こういう見方をしたり、公平な判断ができないのじゃないかと思いますから、わざわざこの本を持ってきたのです。  この広瀬久美子さんという方はNHKアナウンサーでは人気ナンバーワンのアナウンサーだそうです。四年ほど前から乳房に固まりがあったというのですね。それで親しいお医者さんに診てもらいましたら、これは何でもありませんよ、こういうふうに言われて安心して仕事をしていたというのですよ。ところが、たまたま仕事上のことである医療センターの院長先生と対談をした。その対談の合間にごりごりの話をしましたら、その院長先生は早く検査をした方がいい、こう言ってその医療センターのお医者さんを紹介してくれたのです。  その紹介されたお医者さんは触診をしまして、これはすぐ手術ですと言ったというのです。本当に奈落の底に突き落とされたような気持ちがしたというのです。本人は、今まで四年間何ともないと言われたのにそう言われた、どうも納得できない。アナウンサーでしゃべるのは専門ですけれども、自分のことになるとしゃべれないというのです。翌日、お姉さんと一緒に行ってもらいました。診てくれたお医者さんとお姉さんが相当やり合ったのです。どうしてそうなんだ、今まで何ともないのに。そうしたら、お医者さんが怒ってしまった。こちらも怒って帰ってきた。  けれども、すぐ手術だと言われているものだから気になります。NHKの中の医療関係に詳しい人に相談したら、今度は別のお医者さんを紹介してくれた。そこでも診てもらいましたら、これは手術した方がいいでしょうね、こういう話があったので、その前の医療センターのお医者さんの話をしたというのです。そうしたら、ああ、あの先生はよく知っています、あの先生がおっしゃるならなおさら切らなければいけません、こういう診断だったのです。でも、なかなか本人は納得できない。  この話をすると長くなりますから途中をはしょりますが、もう一軒お医者さんに行きました。やはりそこも、切らなければいけない、これはがんです、こう言ったという。本人も悩みまして——ここまではどこの病院とか何というお医者さんだという名前は出てないのですけれども、最後に診てもらった先生、病院の名前も出ておりまして、聖マリアンナ医科大学東横病院院長の渡辺弘先生という、ここで診察をしてもらいました。試験切除というのですか、組織を取って顕微鏡で調べるらしいのですが、それで調べてもらいましたら、それはがんでも何でもなかったというのです。  私は医学的なことはわかりませんけれども、ただ繊維が絡みついてごりごりになっていたというのです。それを切除して三センチほどの細い傷が残っただけだ。もし最初の先生が何でもありませんと言ってくれなかったなら、恐らく医療センターで診てもらったときすぐ切ったかもしれない。御存じのとおり、がんは切っても再発という問題があるのですね。再発とかそういうことでとにかく私はずっと一生悩んだかもしれないということが述べられているのです。  この本ではそれが主力ではありません。言葉のやりとりということが主力になっているのですけれども、同じ病気らしいものを診ても、お医者さんの見方でずっと違うわけです。このアナウンサーのように何カ所も何カ所も診てもらうということは一般の人にはなかなか大変なわけです。そういうこともありますので、認定という作業は本当に大変だと思うのですけれども、本人が間違いなく労務による災害だったというとき、その因果関係が難しいことは難しいのですけれども、納得できるようなそういう対策を立ててもらわないと、これから先もずっと労災認定についてはいろいろな問題が残ってくるだろう、私はこのように心配しているわけでございまして、見直しをなさるということでございますので、どうかその点をよく検討していただきたいのですが、どういう方がこの見直し作業をしていらっしゃるのですか。
  105. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 こうした脳疾患あるいは循環器系疾患についての専門の医師を中心とした方十数名でございます。
  106. 森田景一

    森田(景)委員 専門といいましてもいろいろの立場の方がいらっしゃると思うのですが、どういう立場の方なのですか。
  107. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 行政関係の研究所の先生であるとか大学の先生であるとかいったような方をお願いしておるわけでございます。
  108. 森田景一

    森田(景)委員 労働省がお願いしているのですから、権威のある方だと思います。  たまたまきょうの新聞を見ましたら、これは千葉の新聞でございますけれども、これは労災補償とは違うのですが、公務補償という公務員の補償につきまして、ある先生が、先生ですから子供さんの面倒を見るのは当然ですけれども、そういう職務上過労が重なって亡くなったということで、それが公務に当たるかどうかということが裁判で争われていたのです。それで、地方公務員災害補償基金県支部審査会というところで、これは激務による精神的肉体的負担が原因だとして公務として認めたということなのです。その前に、県知事が支部長の裁定のときはそうではないという裁定をしておりまして、それが逆転したという報道がありました。これは労務災害ともかかわりのある内容だと思いますので御存じかと思いますが、十分な対応をお願いしたいと思うわけでございます。  もう一つ質問がございます。  それは、先ほども問題になっておりましたが、国鉄余剰人員対策ということでございます。政府は、十月十一日に閣議を開きまして、国鉄再建監理委員会の最終答申に基づく国鉄の六分割民営化を六十二年四月一日から実施することに閣議決定したようでございます。関連法案を次の通常国会に提出する、このように報道されております。この関連法案の中に、余剰人員の再雇用については、特別立法などによりまして政府が強力に支援するということが盛り込まれるということでございます。法案名はどうなるかわかりませんが、余剰人員対策の基本法となると報道されているわけでございます。  国鉄再建監理委員会の「国鉄改革に関する意見」では、昭和六十二年度初めにおける余剰人員が約九万三千人ということになっているわけでございます。まだ国鉄分割民営ということが決定したわけではありませんけれども、法案を次の通常国会に出すと言われておりますが、この法案が通常国会で通るかどうか、これも未知数であります。下手をすると、法案が通過するのがぎりぎり、来年末になるか六十二年にずれ込むかわからない状況であります。しかし、一応のスケジュールとしては六十二年四月実施ということになっているわけでございます。余剰人員ははっきりしているわけでございますから、これの対策というのは今からきちんとやっていかなければならないのじゃないか、このように考えているわけでございます。この余剰人員の再雇用計画につきまして、国鉄からもおいでになっていると思いますので、国鉄はどのような案を持っていらっしゃるのか、最初にお尋ねしておきたいと思うのです。
  109. 葛西敬之

    ○葛西説明員 余剰人員九万三千人の雇用の考え方でございますが、監理委員会の御意見の中にも書いてございますとおり、まずそのうち三万二千人につきましては、六十二年四月一日以降スタートする新事業体で抱えていくということを考えでございます。そうしますと、残る六万一千人というものが鉄道事業以外のところに出ていく形になるわけでございますが、そのうち二万人を希望退職ということで、あと四万一千人が、特別対策として旧国鉄で対策を受けていくということになるわけでございます。  そのための雇用の考え方といたしましては、まず国鉄の関連企業というものが我々の自助努力といたしまして真っ先に挙げられなければならないということで、ことしの九月以降細部を詰めまして、二万一千人の雇用確保すべく現在最終段階の詰めを行っています。各企業と個々に話をいたしまして詰めていくということでございますが、二万一千人につきましてはほぼ確保の見通しを持つに至った状況でございます。あとは、私ども国鉄だけの力ではどうにもならないわけでございまして、国、地方自治体その他公的部門でぜひ御採用をお願いしたいということでお願いしておるわけでございますが、この点につきましては、政府雇用対策本部等で一般民間企業の問題も含めまして現在いろいろな形で検討をしていただいておるわけでございまして、監理委員会の亀井委員長が国会答弁でもおっしゃっていますが、公的部門でおおむね三万人の雇用確保できれば全体として六万一千の雇用数は確保していけるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  110. 森田景一

    森田(景)委員 国鉄再建監理委員会の意見としては、今御説明がありましたけれども、雇用の場の確保としまして、国鉄、関連企業及び国、地方の公的部門はもとより、広く一般産業界からも協力を得て雇用の場の確保に努める。特に公的部門については、採用数の一定割合を雇用の場として提供するということになっているわけですね。具体的に国の方としてはどれだけ、地方自治体としてはどれだけ、一般の企業としてはどれだけ、こういうことまではまだ詰まっていないということですか。
  111. 葛西敬之

    ○葛西説明員 現在の段階では、全体としてどういう枠取りをしていくかということを検討していただいているというところでございまして、我々の方で全体の枠取りが固まっているというところにはまだ至っておりません。
  112. 森田景一

    森田(景)委員 今、地方自治体でも、国の行政改革とあわせまして大変な状況の中にあるわけでございます。こうした中で、国鉄余剰人員を受け入れる可能性はどのくらいあるのかということです。かなりの数を国と地方自治体で受け入れよう、こういうことになっているわけでございますけれども、地方自治体としてはどのくらい受け入れる見込みがあるのか。自治省からもおいでだと思いますので、ひとつ見解をお願いしたいと思います。
  113. 紀内隆宏

    ○紀内説明員 お話しございましたように、現在地方では行革を推進中でございます。したがって、定員の適正化というのはその大きなテーマの一つでございまして、国鉄余剰人員の受け入れにつきましてもおのずと限りがあるということは御理解いただけると思います。しかしながら、国鉄の改革の緊要性あるいは地方の交通体系を将来にわたって維持していくという観点からは、地方についてもやはり事情の許す限りこれに協力してもらいたいと考えております。  なお、具体的な数字につきましては、現在検討中の段階ということで御了承いただきたいと思います。
  114. 森田景一

    森田(景)委員 地方自治体でも幾つかのところが出向という形で現在国鉄職員を受け入れているようでございます。時間もありませんから、この辺でやめますが、国の方としては、この受け入れの可能性というものはどのくらいを見込んでいらっしゃるのでしょうか。
  115. 井出満

    井出説明員 国鉄余剰人員の問題は、国鉄の改革のためには避けて通れない重要な問題と認識しております。現在、先ほど御説明がありましたように、内閣に置かれた国鉄余剰人員雇用対策本部を中心に国鉄余剰人員の受け入れについて検討が進められているところでございます。総務庁としましても、同本部と密接に連絡をとりつつ、国等における受け入れが円滑に進むよう鋭意検討中でございますが、具体的な受け入れ人数等については現在検討を行っている最中でございます。いずれにしても、この余剰人員問題の重要性を踏まえて努力していく所存でございます。
  116. 森田景一

    森田(景)委員 いろいろと申し上げたかったのですが、時間もなくなってまいりましたので、最後に申し上げておきたいと思います。  かなりの人員について民間企業に引き受けをしてもらわなければならない、こういう状況だと思うのです。ところが、先般千葉勤労のストで、支援する過激派がケーブルを切断した、そういうことから大変国鉄は混乱をしましたし、国民も迷惑を受けたわけでございます。あれは一部分の人だ、こういうことだと思いますけれども、民間企業は、受け入れた場合、うちの企業へ来てああいうことをされたのではとても受け入れはできません、こうならざるを得ないと思うのです。本来ならきょうは国鉄総裁に来てもらって、この千葉勤労のストについて総裁として国民に対して、少なくともこうだという説明をしてもらいたいと思ったのですけれども、何かいろいろ都合があって来られないということでございます。今までもいろいろ国鉄のサービスの悪さというのは定評があったのです。そういうことがある限り再雇用という問題については大きな支障となると思いますね。  それは一部分の人だったかもしれない。しかし一部分の人が全体に与えるダメージは非常に大きなものでございますので、この余剰人員雇用というのは、国鉄再建で非常に大事な仕事になるはずでございます。その辺のところを総裁にかわって国鉄の方から御説明いただきたいと思います。
  117. 葛西敬之

    ○葛西説明員 先生の御指摘ございましたとおり、現在国鉄といたしましては、職員全員が全力を挙げて改革に取り組んでいかなければならないという状況であるにもかかわらず、千葉動力車労働組合の違法なストライキによって、またそれを支援する団体の反社会的な行為によって大変国民に御迷惑をかけ、また輸送を混乱させたというのはまことに言語道断の行為だというふうに考えておりまして、千葉動力車労働組合の指導者並びに実行行為者等につきましては、断固たる処置をもって処分するという方針で現在検討を進めております。  また、職員全体の、雇用の問題からするイメージの問題といたしましても、職場規律の確立等を通じまして、職員のサービスあるいは規律というものを確立して、余剰人員雇用確保に万全を期していく方向で努力を続けてまいりたいというふうに存じております。  また、ついでながら、派遣されている人間は現在丸千人強おります。派遣されている人間の各企業における評判は非常によろしいようでございまして、こういうようなイメージアップの効果を無にすることのないよう、全般として締めてまいりたいというふうに考えております。
  118. 森田景一

    森田(景)委員 終わります。
  119. 戸井田三郎

    戸井田委員長 塚田延充君。
  120. 塚田延充

    ○塚田委員 男女雇用機会均等法及び改正労働基準法につきまして労働省から指針及び労働省令に関する案が作成されまして、それが各種審議会にかけられているところだと承知いたしております。  十月三十一日の労働省発表によりますと、四つの審議会にこれをかける予定であるということで、婦人少年問題審議会には十月三十一日、中央労働基準審議会については十一月一日、以下云々ということになっておりますけれども、十一月八日までの審議会のスケジュールは予定どおり消化されているでしょうか。
  121. 赤松良子

    ○赤松政府委員 お答えいたします。  審議会のスケジュールでございますが、十月三十一日婦人少年問題審議会、十一月一日中央労働基準審議会、十一月八日中央職業安定審議会、十一月十八日中央職業能力開発審議会、それぞれ諮問をいたしまして、その後、婦人少年問題審議会の中の婦人労働部会において実質的な審議がなされているところでございます。
  122. 塚田延充

    ○塚田委員 お尋ねいたしますけれども、関係審議会に対してそれぞれ関係部分を諮問するということになっておりますけれども、今局長が挙げられた四つの審議会それぞれについて、関係部分というのは何と何になるのか、簡潔にお答えください。
  123. 赤松良子

    ○赤松政府委員 婦人少年問題審議会には、労働基準規則と機会均等法部分の省令が二つと指針案が一つ、合計三つでございます。それをすべて婦人少年問題審議会には諮問をいたしました。中央労働基準審議会には基準法の規則案、それから中央職業安定審議会には指針の中の募集・採用部分、それから職業能力開発審議会には職業訓練の部分でございます。
  124. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは職業訓練についてお伺いいたしますけれども、中央職業能力開発審議会、十一月十八日に開かれていたそうでございますけれども、これは一回きりですべて審議は終わっておるのでしょうか。それともその中の部会などでさらに現在審議が進行中なのでしょうか。
  125. 赤松良子

    ○赤松政府委員 この審議会、四つとも共通いたしますことは、最初の諮問の日に時間の許す限り御審議が行われましたけれども、その後、必要に応じて審議が続けられているわけでございまして、まだ終わったものは一つもございません。
  126. 塚田延充

    ○塚田委員 審議が完全に終わる前には、審議の途中経過などは労働省の方としては公表できないんじゃないかという気もするのですけれども、私ぜひお聞きしたいのは、その途中経過の段階で、既にいわゆる審議が難航しておるとかいうような問題点、労働省として把握している件はございますでしょうか。
  127. 赤松良子

    ○赤松政府委員 途中の審議経過につきましては既に二度目と申しますか、部会で審議をしておられますのは婦人少年問題審議会だけでございますので、それにつきましては第一回の部会、第一回と申しますのは実質審議に入っての第一回でございます。その部会の終わりました直後に労働省記者クラブにおきまして審議の概要を発表いたしたところでございます。
  128. 塚田延充

    ○塚田委員 その内容についてお聞きしたいのですけれども、審議会でもめにもめてしまって結論が出しづらいとかいうような案件はあったでしょうか。
  129. 赤松良子

    ○赤松政府委員 その次の日の新聞などにも報道されておりましたけれども、実質審議が始まって最初の日は、労使それぞれの委員の方々から、この諮問されておりますもの全体について御意見を全部とにかく一応出していただくということを部会長からお願いいたしましたところ、非常にたくさんの意見が出まして、しかも使用者側と労働者側との御意見は非常に隔たりがあったということは確かでございます。
  130. 塚田延充

    ○塚田委員 この男女雇用機会均等法につきましては、最初から労働者サイド及び使用者サイド、場合によっては学識経験者も含めて三つどもえになって、三論併記なんという形にもなってしまったのですけれども、今諮問しておる省令案及び指針案について、最終的に審議会の結論が一本化されずに労働省の案に対してまた対立のまま二論併記もしくは三論併記になった場合、労働省としてはどのような決着をされる予定でしょうか。
  131. 赤松良子

    ○赤松政府委員 ただいままだ審議の真っ最中でございますので、どのような答申がなされるかというのは私どもとしては予測がつきがたいところでございますが、これまでの経験からいって、すべての問題についてコンセンサスが得られにくいであろうということは予想されるわけでございます。  その場合にどのように労働省としては考えるべきか、大変苦慮をしているわけでございますが、いずれにいたしましても来年の四月一日の施行ということはぜひ守りたい、その前に必要な指針案、省令は公表をし、それを周知するための期間も必要と、これも強い要請でございますので、何とか労働省として省令や指針を決定し公表できるように、時間的な制約の中で御意見をまとめていただきたいということを引き続き要請をいたしているところでございます。
  132. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは教育訓練についてお尋ねいたします。  労働省令の案において、労働省令で定める教育訓練について三つの事項を挙げているわけでございます。  第一には、言うなれば新入社員数管、第二番目にいわゆる集合教育、第三も同じようなことなんですけれども、第二の方は地位に基づくものであるし、第三のものは、特別な地位じゃなくても、例えばセールスマン教育とかそういうことを意味するのじゃないかと思われるのですけれども、これは結果的には新入社員教育、集合教育に限定されておる。わざわざここに労働省案では「労働者の業務の遂行の過程外において行われるものとすること。」ということでございますので、この件についてお尋ねしますが、労働者の業務の遂行の過程内の教育というもの、これは各企業において大変重要視されている問題でございますけれども、これが除外されておる理由はなぜでございましょうか。
  133. 赤松良子

    ○赤松政府委員 過程内において行われる訓練というのは、いわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングというふうに呼ばれているものがこれに当たると存じますが、これは非常に多種多様にわたりまして、それぞれの職場の中で上司や先輩が部下や後輩に対して具体的に仕事をさせながら、教育的な配慮を加えながら指導をするということがしばしばあるわけでございます。このようなものを総称してオン・ザ・ジョブ・トレーニングと言っていると思いますが、これはその態様が極めて広く多様でございまして、それを一つ一つについて強行法規の規定になじむような形で規定をするということは極めて困難なことでございます。  そこで、法律の条文の作成の場合に、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというものを強行規定の対象にするということの困難性を考えまして、その時点で既に対象外というふうに考えて、それ以外のものを包括的に内容とする表現を法律上書いた、このような次第でございます。
  134. 塚田延充

    ○塚田委員 OJTにつきまして、範囲を決めることが難しい、もしくは定義の仕方が難しいというような御答弁でございますけれども、実際、企業においての訓練というのはOJTが一番威力を発揮するといいましょうか、大変な地位を占めているわけでございます。そして範囲が広いという中でも、OJTを狭義、狭く解釈した場合は、単に習うよりなれろというようなこと、これは広い意味になってしまって、やっているうちに適当に覚えなさいよと、昔の徒弟さんか何かのやり方と同じで、かえって手をとり足をとり教えないというやり方だと思うのです。  しかしながら、現在の企業内教育というのは、マン・ツー・マンのような形で、わざわざ新入社員に対して先輩社員を教育担当としてつけて、そしてそれを職務の遂行の過程の中でもって見きわめながら、手とり足とり教えていく。例えばゴルフにおける打ちっ放しか何かでフォームを直したりなんかしておる指導プロがおりますけれども、これが集合教育といいましょうか、特別そのための教育ですけれども、一緒に回りながら一々教える、その場合、必ずマン・ツー・マンの形になる。わざわざ企業では先輩を指定するというような形があるのです。  そのようにオン・ザ・ジョブ・トレーニングにおいても非常にはっきりした形の訓練の仕方が行われている。だから定義が可能である。にもかかわらずそのオン・ザ・ジョブ・トレーニングを外すと、私は大変な片手落ちになってしまうんじゃなかろうか、このような気がするのですけれども、いかがでしょうか。
  135. 赤松良子

    ○赤松政府委員 御指摘のように、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの中にもいろいろございますので、これが女子の能力開発にとって不必要とか、その場合に差別があっていいとかというふうに考えているわけでは決してございませんが、これは先生のお話の中でもございますように、職務の遂行に極めて密接に関係する、職務遂行自体であるというような場合も多いわけでございます。また、そのジョブ・トレーニングをするということは配置転換と非常に関係の深い側面も持っているわけでございまして、配置とか業務命令だとかというようなことと不可分といいますか、それ自体であることも多いわけでございまして、そのようなものまで職業訓練としての当該規定の中で規定をするということが難しいというふうに考えたわけでございます。
  136. 塚田延充

    ○塚田委員 それは、その定義の仕方が難しいとか限定の仕方が難しいということであって、私が具体的に申し上げたいことは、例えば一つの組織——労働省で言ってもわかると思いますが、課があって、二人の新入社員といいましょうか、何も新入社員でなくてもいい、ほかのセクションから回ってきて、いずれにせよその業務については新しい男女一人一人の者がおったと仮定します。そして片方、男子社員の方にはその上の係長が何かが特訓係か何かでもって指名を受ける、女子の方についてはそれはつけない。オン・ザ・ジョブ・トレーニングというのは仕事を通じながらやるのですから、あなた、女子の方は勝手にしなさい、こういうような差別が現実的に出得るのじゃないでしょうか。いかがでしょう。
  137. 赤松良子

    ○赤松政府委員 そのようなことはあり得ないことではないというふうに思いますが、それを法律で禁止規定の対象として書くというのは非常に至難のことではないかというふうに考えたわけでございます。
  138. 塚田延充

    ○塚田委員 全然至難じゃないと思いますけれどもね。例えばマン・ツー・マンによるようなオン・ザ・ジョブ・トレーニングについてはとか、監督者を特定して職務上の訓練を行う場合においてはとかというような限定条件をつけてやれば、いかようにでも法文化することは可能じゃないでしょうか。いかがですか、もう一度考え直してみてください。
  139. 赤松良子

    ○赤松政府委員 この条文につきましては、法律を書きおろしますときに非常に苦労をいたしまして、教育訓練の重要性、これが女子の職場における地位の向上に非常に大きな影響を持つということから、これは努力義務ではなくて強行規定にしたわけでございます。しかし、強行規定にするということは、逆にそれなりの制限があるわけでございまして、非常に厳密に条文をつくらなければいけないということでございまして、それについては随分時間もかけ、勉強も事務当局としてはしたわけでございまして、それが足りなかったのかもしれませんで、先生の今の御指摘のような書き方があるいはできるのかもしれませんが、その時点でいろいろ研究をして、こうも書くか、ああも書くかというようなことをやってみた結果、大変難しいということで今日のような形に落ちついたということでございます。
  140. 塚田延充

    ○塚田委員 中央職業能力開発審議会、この委員の構成メンバーを教えてください。
  141. 赤松良子

    ○赤松政府委員 審議会の会長は原田運治先生でございますが、その構成メンバーにつきましては、ただいま手元にございませんので、後ほどお届けさせていただきたいと思います。
  142. 塚田延充

    ○塚田委員 後ほどお賭けいただくには及びません。私が申し上げたいのは、もしかするとという危惧なんですけれども、この危惧が当たらなければいいですけれども、審議会のメンバーが学識経験者ということになりますと、大体大学の先生、それから労働者側もありますけれども、使用者側にしても、通常のサラリーマン社会といいましょうか、労働者訓練の社会をよく知らない方がこの審議に当たっているのじゃないかという取り越し心配を僕はしているわけです。というのは、OJTがどのくらい今必要かということ、それからOJTというのは、口で言うのではなくて必ず指導官をつけるのです。つけなければOJTなんという言葉があり得ないでしょう、勝手にやりなさいというのでは。ほっておくわけじゃない。  ということは、必ず各企業においてシステムができているのです。そのシステムの基本というのは、必ず内々に指導上司が指定されるわけでございます。その指導上司が片方にあって片方にはないとかいうことがないようにすべきである。これは法文になじむなじまないの問題ではなくて、実質的な問題としまして、ぜひ審議会に社労委においてこのような意見が出たことをはっきり申し上げて、実質的なそういう規定ができるようにぜひ再検討をお願いしたいと思います。  オン・ザ・ジョブ・トレーニングにつきましてはこれで終わりにいたしまして、次に、一般の集合教育についてお尋ねいたします。  これは社外で行われる講習会への出席とかいうことですね、これについても適用されるのでしょうか。各企業においては教育の一環として、どこかの講習屋さんもしくは立派な大学とかなんかでやる俗に言う講習会ですね、これに社内から募集する、もしくは職務に必要な者を指定して出させるのです。そういう場合の指定が男子のみに偏った場合、女子はまた差別されてしまうということで、社外教育についていかがお考えでしょうか。
  143. 赤松良子

    ○赤松政府委員 その教育ないし訓練が当該職務を遂行するために必要な能力を付与するためのものであれば、これは規則の中での職業訓練に該当すると考えております。ただし、教養的なものあるいは趣味的なものはこれには該当いたさないのではないかと存じます。
  144. 塚田延充

    ○塚田委員 確認いたします。業務に関連することだった場合には、社外講習会のような社外教育てあってもこの規定が適用されるということですね。
  145. 赤松良子

    ○赤松政府委員 そのようにお答え申したつもりでございます。
  146. 塚田延充

    ○塚田委員 次に、この教育で逆差別のような危険性がありはしないかということでございますが、最近、はやりとして、特に新入社員教育で自衛隊への体験入隊とか禅寺への禅修行なんということがよく行われるわけでございます。そうした場合、今度の省令によって差別してはいけないということですから、女子も当然それに参加しなければいけない。それに対して女子が、カリキュラムによってはついていけないということでその教育に参加を拒絶するとかいうことが起きた場合、人事考課とかいろいろな面で問題が出ると思うのです。ちょっと特殊な例かもしれませんけれども、いかがなものでしょうか。差別をしないという意味において、逆差別のような観点です。
  147. 赤松良子

    ○赤松政府委員 大変難しい御質問でございまして、どのようなことが起こるのかが具体的にすべてにわたって思い浮かぶわけではございませんが、その訓練が業務に必要な訓練であれば、それを受けられない理由が合理的でもないにもかかわらず女性がそれを拒否して受けないということになれば、その訓練を受けなかったことによる不利益な取り扱いはやむを得ないのではないかと思います。
  148. 塚田延充

    ○塚田委員 自衛隊の体験入隊とか禅寺での修行のような荒療治に近いようなことでもいかがですか。これは業務に即必要とは私は思えないのですけれども、新入社員として当社の社員たる限りはこのくらいはやっておかなければいかぬという方針をきちんと出されている場合、女子がそれについていけないために人事考課面とかで不当な差別を受ける危険性はいかがお考えでしょう。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  149. 赤松良子

    ○赤松政府委員 職業訓練の規定につきまして、最初の第一項は、先生御指摘のように、新入社員訓練でございまして、この場合は「業務」と書かれておりませんで「職業に必要な基礎的な能力」と表現がちょっと広がっております。これはどういうことかと申しますと、先ほどお話に出ましたような、業務に非常に密接に関係のないことでも、例えば職業人としての考え方だとか、あるいは世俗によく言われます根性だとか、そういうものも会社の社員として必要だと考えている場合もあるようでございます。そういうことは、あながちそんな訓練をすることはおかしいと言うこともできないわけでございまして、そのような広い意味での職業訓練も新入社員に対する訓練としては非常に広範に行われておりますし、それもまた企業の一員になるという場合には必要なことのようでございますので、それについては女性が、特別な理由があればともかく、そうでもなくて、一般的にそれを受けないということは受けるべき職業訓練を受けなかったということになるであろうと思います。
  150. 塚田延充

    ○塚田委員 企業の教育制度の中で通信教育を活用する例もふえているのじゃないかと思います。これも職業上のかなりの必要性に基づくものということで、何も趣味とか何かでの書道教室とか英会話教室じゃなくて、英会話は必要になるかもしれませんけれども、いずれにせよそういう通信教育もこの労働省令で定める職業訓練もしくは集合教育の中に含まれるでしょうか、含まれないでしょうか。
  151. 赤松良子

    ○赤松政府委員 通信教育にもいろいろあろうかと思いまして、自発的に通信教育を受けて、それに対して企業が援助するというような形もございますでしょうし、企業が特定の通信教育を業務遂行に必要なものと指定して、費用は企業が負担をして労働者にそれを受けさせるというような場合もあろうかと思います。企業がぜひ必要な通信教育としてそれを指定し、かつ費用も出すというような場合であれば、これは差別なく受けさすことが必要ではなかろうかと思います。
  152. 塚田延充

    ○塚田委員 ただいまの局長の答弁、私、納得いたします。しかし、そういう通信教育とか、また社外講習会などについて、省令の中もしくは指針という形である程度明記する必要があるんじゃないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
  153. 赤松良子

    ○赤松政府委員 ただいま申し上げましたことは、多分(三)あたりで解釈として読めるのではないかと思いますので、この施行規則は細かく書いて非常に疑問の余地を残さないということがあるいは望まれるのかもしれませんが、現在の形でも、解釈をすることによりましてかなりその点は明確にできるのではないかというふうに考えております。
  154. 塚田延充

    ○塚田委員 教育訓練につきましてはこれで終わらせていただきます。  次に、労働省令案によりますと、募集に際して男女に均等な機会を完全に与えたのかどうかちょっとした疑問が残るわけでございます。  と申しますのは、いわゆる男女枠の問題です。男性何名、女性何名ということでそれに差がある場合。この場合、いわゆる均等法の趣旨にそぐわないと解釈すべきなのか、それも構わないのか。いかがでございましょう。
  155. 赤松良子

    ○赤松政府委員 この均等法の目指しておりますのは、機会を男女に対して均等に広げるということでございます。その点、諸外国におきましては、例えばスウェーデンなどでは、すべての職務について六分四分以上の格差があるものはそれを是正すべきであるというような政策がとられている国がございます。しかし、日本ではまだそこまでのことは考えておりませんで、機会が均等に与えられれば、その結果がたとえ男子の方が多くて女性が非常に少ないということが残っても、これはまだ今の段階ではやむを得ないと申しますか、それはそれとして、機会が均等であるということで是認せられるというふうに考えているわけでございます。  そこで、枠が例えば先ほどのような六〇、四〇以上でなければいけないというふうに書くということは、全く私どもの考慮の中には今の段階では入ってまいりません。しかし、極端に女性の枠が小さいということになりますと、これは均等な機会が与えられていないではないかということで法律の精神に立ち戻ることにもなろうかと思います。  しかし、指針は基本的に私どもとしては男女の平等に向かっての第一歩というふうに考えているわけで、一挙にすべてのことを解決しようと思ってつくったわけではございませんので、これですくえないものがいろいろと出てくれば、その段階でまた次のステップに踏み出すということは十分に予想されるわけでございます。したがいまして、現在は、ともかく女性を全く排除しているかあるいは女性に対して不利になるような条件をつけているか、それに絞りましてこの指針はつくったわけでございます。  したがって、それからはみ出ているものについては、均等法の女子に均等な機会を与えるように努めなければならないという精神はカバーするでございましょうけれども、第一歩としてやめるべき使用者がとっている措置というものの中には入らないというふうに考えますので、この指針で踏み出してみまして、仮に極端に女性の枠を小さくするような企業が蔓延するというようなことであれば、女性に対する均等な機会が確保されないことになりますので、その段階では次の踏むべきステップが考えられなければならないであろうというふうに考えておるわけでございます。
  156. 塚田延充

    ○塚田委員 非工業的事業における女子労働者の時間外労働時間の範囲を四週について三十二時間とした根拠をお聞かせいただきたいと思います。  このような状態では、例えば企業が、月末などの特定の週に三十二時間となりますと、一日平均五時間強の残業を強いることができるわけですよね。この制限では緩過ぎると思うのですけれども、いかがでしょうか。
  157. 赤松良子

    ○赤松政府委員 御指摘のように、残業の制限を緩めたことにつきましては、審議会でも非常に問題になっている場所でございます。しかし、私どもとしては、一応これにつきましては根拠を持って諮問したわけでございまして、その根拠と申しますのは、現在、男子の時間外協定におきまして、四週単位で協定する場合は四十八時間という目安が示されております。これはもちろん強行法規ではございませんで、目安にすぎないわけでございますが、そのような題安がございまして、女子が家庭責任をより重く負っているという状況を考慮して、それより少ないものにしたということがあるわけでございます。  しかし、女子の能力発揮、職場への進出を促進するという観点からは、これまでのような一週六時間という規定では繁忙期に対応できない。先ほど先生、繁忙期にその週に集中して残業させることが起こるではなかろうかとおっしゃいました。それは確かにそのとおりでございまして、繁忙期に対応するために、週ごとに六時間とか八時間とかいうような規定をするのではなくて、四週という、つまり枠を広げることによってフレキシブルに対応できる、対応できるからこそ女性が進出が容易になる、こういうふうに考えた次第でございます。
  158. 塚田延充

    ○塚田委員 労働基準法の抜本改正をしないままにこのような指針を出すことに問題があるんじゃないかと私は考えます。労働省では労働基準法の改正を検討しておるようですけれども、労働基準法そのものがもし改正された場合、これらの指針は見腹さなければいけないと思うのですが、いかがでしょう。
  159. 赤松良子

    ○赤松政府委員 今回の省令案は、女子の差別撤廃条約の要請を受けて男女の均等な取り扱いという観点から改正されたものでございます。労基法につきましては、これは男女を含めて労働時間の短縮、労働条件の向上ということでいろいろ検討されていることは先生御承知のとおりでございますが、次の段階で労基法が改正されるといたしましても、その際に必ず女性の労働条件に関する規則がそれに伴って改正されなければならないというような種類のことではなくて、その改正のやり方、そのときの女子労働者の状況等を考慮いたしまして、必要と判断されれば行われるでございましょうが、必ずそれとリンクさせなければならないというふうには考えておりません。
  160. 塚田延充

    ○塚田委員 労働大臣が戻ってまいりましたようですので、労働大臣にお伺いしたいと思っております。  労働大臣は、長い政治経歴の中でも石田博英元労働大臣のいわばまな弟子として経験をお積みになって、言うならば労働大臣というのは魚が水を得たような感じで大変御活躍されて、今度の国会、前の国会におきましてもこの一年間に、今私が申し上げているような男女雇用機会均等法であるとか労働者派遣事業法とか、いろいろな重要法案を成立させて、特に勤労者のサイドからいきますと、五月四日の休日案などいわゆる労働時間の短縮であるとか、また定年制の延長についても大変尽力されていること、その努力を評価するものでございます。  そこで、今後の労働行政における大きな課題というのは一体何だとお考えになっておられるのか、そしてそれをどのような方策で解決されようとしているのか、労働大臣としての基本的な御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  161. 山口敏夫

    山口国務大臣 御承知のとおり人生八十年時代を迎えておるわけでございますし、こうした傾向はさらに延長されてやがては人生一世紀時代、こういう超高齢化時代ということも十分念頭に入れておかなければならないと思います。  そうした場合に、労働の分野における役割ということになりますと、今塚田先生御指摘の定年制の延長あるいは雇用の延長、これは体金とのリンクの問題も含めて十分政府として対応しておかなければならない問題だと考えております。そこから来る新たな労働人口というものが、労働省の試算等によりましても十年間規模で五百万人近く今の六千万労働人口にさらに上乗せされる。その八割が五十歳代後半の中高年の労働者、こういうことでございまして、経済も御承知のとおり貿易摩擦等、大変これが国内景気にも影響する状況もございます。  そういう点で、失業というものを未然に防ぐということが労働経済分野において最も大事なことではないかと考えておりますし、またMEを中心とする技術革新に対する新たな労働災害の防止、また雇用のミスマッチ等も非常に大事な問題でございますし、先ほど来先生と婦人局長の間でやりとりのございます男女雇用の機会の拡大、こうした問題もそうしたいろいろな問題とあわせて一歩一歩環境を整えていかなければならない。こういうことが当面の労働政策の柱、中心ではなかろうか、かように考えております。
  162. 塚田延充

    ○塚田委員 引き続き労働大臣の見解をお尋ねしたいと思うのですが、失業対策の今まで果たしてきた役割をどのように評価し、今後どのように改革していこうとお考えになっておられるでしょうか。
  163. 山口敏夫

    山口国務大臣 私は、西欧各国の雇用面、失業率の面での一番の最近の一つの対応のあり方は、第一次、第二次石油ショックのときに、レイオフを簡単にかけたというわけでもございませんでしょうけれども、あの時点における西欧諸国における大量失業というものが非常に慢性的な失業、失業ゆえにまた経済の足を引っ張る、こういう悪循環にあると思います。  それに対して日本の場合は、労使の真摯な話し合い、雇用確保、こういう立場からの真剣な取り組みによって、推計でございますけれども、恐らく三百万人近い失業を未然に防止することができた、こういうことだろうと思います。そういう労使の真剣なお取り組みに、政府雇用調整給付金等の機能を果たしながらこれに御一緒に御協力を申し上げた、こういうことであろうと思います。  そうした問題を含めまして、また失対事業の問題でございますとか、いろいろ各国会での御論議等を踏まえて適時適応の施策というものが今日二・五%、こういう低い失業率の中に押さえ込むことができたのではないか。今後一層雇用の安定といいますか、失業の防止ということが労働経済においては一番大事な課題だという認識でおります。
  164. 塚田延充

    ○塚田委員 失対制度調査研究報告の「任意的な就業機会の活用」という中に、就業日数などについて「一定の制約を設けるべき」とあるわけですけれども、労働省はこれを五日ぐらいと考えているようですが、失対事業の引退者は高齢者というだけでなくて、すなわち生きがいのために就業機会を与えるという以上にやはり生活がかかっておる方が非常に多い。このようなことを考えますと、せめて十日ぐらい就労の機会を提供すべきと考えるのですが、いかがでしょうか。
  165. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 研究会の報告で提言されております任意就業の事業でございますけれども、引退者について「緩やかな引退が図られ、生活の激変が避けられるような配慮」こういう観点から提言をなされておるわけでございます。したがいまして、言うならば単なる引退者の受け皿事業ということではなしに、また新たな形の失業対策事業というふうな形になるのではなしに、一般の高齢者対策の中の一環としての位置づけの中でこうしたものがなされていかなければならない、こういうふうな考え方であろうと思っておりまして、これのみによって生活を支えるとか支えないとか、そうした形を想定をされているものではないというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、報告にもございますように、若干の収入を得つつ生活の一助となし得るような仕組み、しかもそうした緩やかな引退が図られるような配慮というふうな任意的な就業という性格を踏まえまして、今後、具体的な内容につきましてさらに詰めてまいりたい、このように考えております。
  166. 塚田延充

    ○塚田委員 次に円高問題、それに絡む円高対策についてお尋ねいたします。  御承知のとおり、現在円相場が急激に高騰しているわけでございまして、それによって輸出関連の中小企業の経営環境が日増しに悪化しているわけですね。これについて早急な対策を講ずる必要があるわけですけれども、この円高は短期的なものと見るのか、それとも長期的なものと見るのか。これは大蔵省になるのかもしれませんが、労働大臣としてはどう考えるのか。  それから、長期的と判断せざるを得ない政治家としての判断があるならば、今度は労働大臣としてそのような輸出関連の中小企業に対してどのような手だてを講ずる必要があるのか、御答弁いただきたいと存じます。
  167. 山口敏夫

    山口国務大臣 これは労働省もやはり経済官庁でもございますから、企業の景気の実態というものが雇用面に大変影響が出てくるわけでございまして、通産大臣でございますとか大蔵大臣などにも、閣議等の場所を通じまして円高による中小企業の不況状況というものに対して前倒しといいますか必要な措置を早急に講ずべきである、こういうことで政府としても、先生も御承知のとおり、年末に向けての中期低利の緊急融資等も含めまして今その対応策を最終的に取りまとめておるところでございます。  私どもといたしましては、雇用保険法に基づく雇用調整助成金制度等雇用安定施策を活用いたしまして、失業の予防、早期再就職、こういうようなことでひとつ事前に十分対応したいというふうに考えておりますし、本年十二月一日には、影響が予想されます刃物や陶磁器関連業種等を雇用調整助成金の指定業種として、休業等の雇用調整を行った事業主に対し賃金等の一定率を助成し、関係労働者の雇用の安定を図っておるというところでございます。  今後も各省庁とも十分連絡をとりまして、雇用に対する影響等、十分遺憾のないよう適切な対応を心がけてまいりたい、かように考えております。     〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
  168. 塚田延充

    ○塚田委員 労働省としての円高対策についての包括的な見解を御答弁いただいたわけでございますが、やはりもう少し個別的もしくは実態に合った形でのいわゆる調査であるとか情報収集であるとか、具体的な対策について知恵を絞るとかいうような意味で、労働省内部にこの円高対策のプロジェクトチームみたいなものをつくって、特に労働雇用の面から労働者が安心できるような具体的な対策を考えるお考えはございませんか。
  169. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  今大臣が申し上げましたように、円高問題につきましては労働省としてそういうふうに対応いたしておるわけでございます。今先生御指摘の問題等につきましては、具体的にはそれぞれの担当部局におきまして円高に対します調査、情報の収集等行いますとともに、これらの問題につきましては地方との関連もございますので、地方の職業安定機関響を通じまして地方における経済動向等も把握しております。また、業界等の情報収集等も行っているわけでございまして、それらの情報の結果を得まして、先ほど大臣も申し上げましたいろいろな施策を講じておるところでございます。  プロジェクトチームをつくるかどうかは別にいたしまして、今のようないろいろな施策につきまして職業安定局、それから官房の政策調査部で連合しながら地方と連絡をとって組織的に進めております。
  170. 塚田延充

    ○塚田委員 円高対策につきまして、雇用調整助成金、これがかなりまた重要な役割を帯びてくるんじゃないかと思います。この雇用調整助成金の対象業種の中で本年十一月末で指定が打ち切られたものが幾つかあるわけでございますが、私の知っている範囲内では、眼鏡であるとか楽器などの業種は、特に最近の円高直撃によって大変な影響をこうむっておるわけです。この雇用調整助成金につきましては、企業であるとか業界から要望が出た場合、助成金の対象業種になるのかならないのか。どんどん要望を出すと継続してもらえるとかいうような話も一部耳にするのですけれども、この件についてはっきりと、業界もしくは個別企業から要望があれば対象業種として今後も継続するというような方針について明確にお答えいただきたいと思います。
  171. 白井晋太郎

    ○白井政府委員 お答えいたします。  対象業種の指定に当たりましては、基準としましては、最近三カ月間の月平均の生産量、雇用量等を示す指標が前年同期比でおおむね五%以上減少していることなどの要件によりまして、その指定の要望がある業種につきまして指定を行っております。  したがいまして、そういう面で業界から御要望がございますれば、実態調査の結果指定を行っていくということでございます。
  172. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは、眼鏡及び楽器の業界から大変要望が強いわけでございますので、ぜひ御配慮賜りたくお願いいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
  173. 戸井田三郎

  174. 小沢和秋

    小沢(和)委員 最初に大臣に一言お尋ねしたいのですが、先日、「職場の自由と民主主義の新たな前進を」という我が党の政策を差し上げました。これ、読んでいただいたでしょうか。読んでいただいているとすれば感想を一言最初にお伺いしたいのですが。
  175. 山口敏夫

    山口国務大臣 職場におきまする労働者の皆さん方の生活、また社会的活動における自由というものが十分保障される、そういう職場条件というものは、これはもう憲法にも保障されているわけでございますから、ひとつ一層そういう環境づくりのために労働省としても努力をする、こういう基本的な考え方でございます。
  176. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私ども共産党が職場の自由と民主主義の問題についてこの種の政策を発表したのは二回目なんであります。私たちは、職場で労働者の人間としての権利それから労働組合活動の自由を守ることは日本の民主主義の根幹にかかわるような重要な問題だと考えております。  現在どういう状態になっているかというふうに見てみますと、多くの大企業の職場で実際にそういうものが守られないようなひどい状況になっております。きょう私は、大臣の地元と特に関係の深い西武鉄道の労働者からいろいろ訴えも来ておりますので、ぜひ具体的に取り上げてその指導をお願いしたいと思っております。  まず、西武池袋駅に勤めております越坂部松治さんという方から、職場で村八分に遭って非常に困っているという訴えが来ております。  初めに法務省にお尋ねしたいと思うのです。村八分というといろいろな近所づき合いはしないということなんですが、それでも二分だけはつき合うというのが村八分だと聞いているんですが、二分というのは具体的に何ですか。
  177. 永井敬一

    永井説明員 突然の御質問でございますが、一応火事と葬儀というふうに承知してございます。
  178. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今、どんなにつき合わないところでも火事とお葬式はつき合うんだというお答えですが、ところが、西武はもうそれよりもひどいんですね。この越坂部さんという方の奥さんが九月に亡くなったんですが、お通夜やお葬式に同僚が参加することを職制が禁止しておるのです。職制だけが若干名参加して、同僚が来てくれない。おかしいと思っていたら、後で同僚の方々から、行きたかったけれども済まなかったというふうに経過を言われて、初めてわかったというんですね。私は、これは全く人道問題としても許しがたいことではないかと思うのですが、法務省としてもこういうようなことについては早速調査をして救済をすべきだと思いますが、いかがですか。
  179. 永井敬一

    永井説明員 御指摘のような申告がございますれば、人権擁護の観点から調査をいたしまして、事実が認められました場合には、啓発機関として所要の措置をとりたいと考えております。
  180. 小沢和秋

    小沢(和)委員 この越坂部さんという方は、昭和十七年に西武に入社しております。その年に貨車の連結作業中に左腕を切断するという大災害をこうむったけれども、その後も西武鉄道一筋で生きてきた人なんです。ところが、ことしの一月に、同僚が起こした客とのトラブルを越坂部さんのせいにされて、おまえは西武に不必要な人間だ、今すぐ退職願を苦かないと首だ、首になると退職金がないぞというふうに、長時間駅長ら八名からおどかされて無理やりに退職願を書かされておるわけであります。ところが、これを知った家族の人たちが怒って、特に息子の勤め先の労働組合などがこの池袋駅に抗議などに行くというような状況にもなる中で、会社がよく調べてみたら、これは本人が起こしたトラブルではなくて同僚が起こしたトラブルだったということで、一週間後に原職復帰を認めざるを得なかったわけであります。本来だったら会社が非をわびて、以後このことは水に流して仲よくしてくれというのが常識だと思うのですが、会社は渋々復帰だけは認めたけれども、以後一年近く村八分の状態が続いている、これが私どもが承知をしている経過なんです。  大臣、こんなことが許されるとお考えですか。私は、これは会社に非を認めざして、以後円滑にいくようにぜひ指導願いたいと思いますが、いかがですか。
  181. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 一週間でもとへ戻って、その後、村八分の状態であるというお話でございましたが、その間の詳しい事情は、実は私ども必ずしも承知してない面がございます。  その越坂部さんの件につきましては、労災の問題であるとかということで監督署の方に一度御相談においでになったこともありまして、その際にいろいろ事情を伺っておりますけれども、そうした中で村八分の問題まで詳しく伺っておりませんので、直接にはお答えしにくいんですが、いわゆる労働条件の問題で差別をしているということであれば、基準法三条の問題としていろんな問題が出てまいりますが、それ以前のいわゆる人権の問題としてのことでございましたら、今法務省がお答えになったようなことでの対応がなされようかと考えております。
  182. 小沢和秋

    小沢(和)委員 だから、私は政治家としての大臣に、こういうようなことについて政治的に指導をされてはいかがですかということを言っているんですが、いかがですか。
  183. 山口敏夫

    山口国務大臣 私の方の今手元にあります資料によりますと、今小沢先生の御指摘のように、乗客とのトラブルということまではそのとおりでございますが、その後、夫人が退職届を提出して、この間欠勤、ただし賃金計算上は出勤扱いとしている。そして、六十年の一月の末から退職届を返却して通常の出勤が再開され現在に至っている、こういう報告でございます。
  184. 小沢和秋

    小沢(和)委員 だから、職場へは帰っているんですね。しかし、本人がそういう温かい形で職場にまた迎え入れられて気持ちよく働いているというんじゃなくて、村八分で、お葬式があっても同僚が行くのさえ禁止をするというような状況が今でも続いているというんです。だから、ぜひこの点については指導していただきたい。  私、さらに申し上げたいのは、実は越坂部さんだけでなく、労働災害で今でも障害を残している人を同じところでもう一人やめさせているんです。だから、私は、西武がこうやって労働災害をこうむったような、いわば会社にとっても犠牲者であるような人たちを何か理由がつけば職場から追い出そうというようなことをずっとやっているんじゃないかと疑わざるを得ないんです。  もう一人の方は遠藤孝男さんという方で、こちらは昭和四十六年に西武に入社したんですが、五十年に池袋駅構内で清掃作業中、電車にはねられ、脳挫傷、頭蓋底骨折など瀕死の重傷を負っております。しかし、九カ月の治療で奇跡的に職場に復帰をしておりますけれども、動作に後遺症があるため清掃係に回されておった。ところが、昨年の十月、駅長から突然、六カ月間田舎へ帰って修行してこいと申し渡され、就労を拒否され、その後再三職場復帰を求めたけれども、今年七月に至り、君がいると乗客が迷惑する、このままだと自然退職になり一切退職金は出ないと、ここでも無理やりに退職願を書かされている。その後再三退職願の撤回、職場復帰を求めているけれども、今日までに至っているというのです。  労働省は、身体障害者の人たちについてできるだけ社会参加をさせたい、働かせたいということで、身体障害者雇用率などというのを設けて一生懸命指導しているんです。ところが、御存じのように、大企業は大体達成していないところが多い。不熱心なところが多いんだけれども、新たに採用するのが不熱心なのはともかく——ともかくというのもいけないのですけれども、自分のところでそうやって労働災害をこうむって、そのためにいろいろ障害が残っている、会社の目から見ればほかの人並みに働けていないと言うかもしれないけれども、そういうような人をこうやってやめさせにかかるなどというのは私はもってのほかじゃないかと思うのです。ぜひ指導していただきたいが、いかがですか。
  185. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 今先生お尋ねの方につきましては、遠藤さんと存じますが、私の方でも出先の監督署でいろいろ事情を調べまして、また会社の方からもいろいろ事情を聴取いたしましたが、率直に言いまして、今先生がお話しになったのと会社側の言い分と大分食い違う点がございます。  例えば退職願を六十年七月に御本人が出しているわけですが、これが要するに会社側に無理強いされて書かれたものなのかあるいは御本人が自発的に書いたものなのかといったようなところが一つの問題点になろうかと思いますが、この点で、先生のお話とは違って、会社の方の主張は、本人が自発的に書かれたと言っているのですが、その際の傍証としまして、実はその後御本人から礼状も来た。田舎に帰って第二の人生を歩むことになったというような手紙も会社が受け取ったというようなことを言っておりますので、その辺のところは実は率直に言って、お話だけではどちらとも決めかねる問題があるわけでございますけれども、基準法の問題として言いますと、そうした労働災害に遭った方が療養を受けている間はやめさせることはできないわけでございます。  疾病が治った後の問題ですと、これはまた別の問題になりますので、そのことで直ちに違法だとは申し上げられないのですが、その辺は両者よく話し合って円満な解決を図るということが期待されるということなんでございます。
  186. 小沢和秋

    小沢(和)委員 自分でやめたくていわゆる退職願を書くなどということが普通の労働者でありますか。それは、よほどほかに有利な話でもあるとかいうようなことなら別として、西武のような大企業に入ったら、自分は一生そこで何とか働きたいと思って一生懸命になるのが普通でしょう。そういうような会社の言い分をうのみにしないで、ぜひひとつよく事情を調べて、本当に遠藤さんという人が職場復帰を願って、もうしょっちゅう会社に自分はもともと働きたかったんだから何とか働かせてくれと言っているのですから、指導していただきたいと思います。もう一度大臣、さっきのことも含めてこの二件いかがですか。——いや大臣です。もうあなたの話は聞いたから。
  187. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 先生お尋ねの件につきましては、一度監督署で十分事情も伺ったわけでございますけれども、もちろん、こうした件について申告があれば監督署として対応することは当然でありますから、そうした方途を通じて対応したいと思います。
  188. 山口敏夫

    山口国務大臣 直接の担当であります基準局長の答弁のように対応したいと考えております。
  189. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、事務的なそういう答弁だけでなしに、さらに大臣としての、政治家としてのもう一歩踏み込んだ姿勢を期待したわけです。だから、ぜひその点については、答弁はもう求めませんけれども、あなた自身が積極的に対応していただきたいと思います。  この機会に、私どもが調べてみて驚いたのですけれども、西武鉄道の職場は問題だらけだというふうに言ってよいと思います。その一つが、休日や非番に出勤をさせて仕事をさせた場合の賃金の支払いの問題があります。  まず確認の意味でお尋ねしておきますが、労働基準法では、休日や非番に出勤して働いた場合には賃金はどういうふうにしなければなりませんか。
  190. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 週に一回ないしは変形の場合でしたら四週間に四日の休日を与えなければいけないとなっているわけでございまして、そうした休日に出勤させて労働する場合には、これは休日の割り増し賃金を払わなければならないということになっております。
  191. 小沢和秋

    小沢(和)委員 ところが、そういうふうにされていないのです。今ここに、五十六年四月十六日に会社の運輸部庶務課長から各駅長あてに出された「駅企画普通団体付添者への時間外および弁当代支給の変更について」という通達があります。これを見ますと、駅が企画して団体旅行を行った場合には付添者をつけるわけですけれども、三万五千円以上の収入がある団体旅行に限って一名だけ休日出勤扱いにする。しかし、三万五千円にならないときには一名だけ千五百円の弁当代がつくということになっていて、この場合は賃金が全然支払われないのです。  一つの旅行の実例を見てみますと、午前八時に出て午後六時に帰ってくる、この十時間の団体旅行に非番者が三人付き添っていろいろ世話をしているのですが、三人でようやく一人分の賃金が支払われて、だから、三分の一ずつ分けてもらっているだけなんですね。別の団体旅行の場合には三万五千円以下だというので、やはり三人付き添っていっているけれども、賃金は全く支払われていないわけです。駅が企画をする団体旅行というのはどう考えても会社の仕事そのものではないかと思うのですが、こういうような扱いは労働基準法上全く間違いだと私は思いますが、いかがでしょうか。
  192. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 今御質問の、休みの日ないしは非番の日にそうした付き添いの仕事をさせるということになりますと、先ほどお答えしましたように、休日であれば休日労働の割り増し賃金、それから非番であればいわゆる階間外労働の割り増し賃金、いずれにしても割り増し賃金を払わなければならない、こういうことになるわけでございますが、今御指摘の駅で企画しました旅行についての付添者として勤める、これが業務命令であるかどうかというところが一番の問題であろうかと存じます。  私ども聞いた範囲では、それはどちらかと言えば任意の就業だという面もあるというふうに聞いておりましたが、必ずしもそうじゃなくて業務命令ということになれば、これははっきりと基準法上、先ほど申し上げたような割り増し賃金の支払いをしなければなりませんから、今調査中でございます。その結果によって対応したいと思っております。
  193. 小沢和秋

    小沢(和)委員 任意の面があるというふうに言われましたけれども、休みの日にわざわざ会社に行って働きたい、任意にそう思う人はちょっといないんじゃないですか。これは会社がどう弁解をしようと実際上は当番みたいになっているから、あした君の行く番だよというような格好で、一々命令ということで直接は出なくても、これはもう事実上その秩序の中では自動的にそうせざるを得ないようになっているという点では、私は、任意性などというものは全くない。ただ、形式的にそういう命令が出たか出ないかという点では、それは形式はいろいろ議論の余地があるかもしれないけれども、中身がそうであることはもうはっきりしているのですよ。ですから、ぜひその点についても、今調査をしているというふうに言われましたから、間違いないように支払わせるようにしていただきたいと思います。  次の問題ですけれども、今、私は幾つか会社の中の問題を申し上げたのですが、こういうことを私に知らしてくれているのは職場のいわゆる活動家と言われている人たちなんですが、この人たちもさっき申し上げた越坂部さんなどと同じような村八分のような状態に多かれ少なかれ置かれているのです。職場の人々に会っても、上司から目を合わすな、口をきくななどと指示されていて、朝、おはようございますと言っても声を返してくれないというような状態が多くのところである。あるいは職場でボウリングや野球のクラブ員募集などをしているので活動家の人が応募したら、君が入るとこのクラブはにらまれて解散させられるといって、入ることを拒否されたとか、こういうような事例がまだ幾らでもあるのです。  だから、幾らまじめに勤務していても、そういう思想の持ち主である、あるいは今言ったような職場の労働条件の改善などのためにいろいろと活動したことがあるということになるとこういうような目に遣わされるというのは、これも人権侵害として全く許しがたいことではないかと私は思うのですが、これについてもぜひ調べて、積極的に改善するようにお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
  194. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 今お話しのような形で事業場の中で行われている行為につきましては、労働基準法上の問題になりますと、これは先ほど申し上げましたように労働条件に関しての差別的取り扱いがあるかないかということでございますし、また組合活動家として行動したことについてのいろいろな取り扱いがあるとすれば、これは労働組合法上の問題にもなりましょうし、またそれ以外の一般的なつき合いの中での問題でしたら人権問題としての問題にもなりましょうから、全部について監督署でというわけにはまいりませんが、少なくとも労働条件に関しての問題については監督署の問題として対応したいというふうに思います。
  195. 小沢和秋

    小沢(和)委員 わざわざ法務省の方も見えているから、時間もないので答弁はあえて求めませんけれども、あなたも今うなずいてくれたから、ひとつこの点についてぜひ関心を持って、改善するように指導していただきたい。  次に、私は労働組合の運営に対しても会社がとんでもない支配、介入をやっているということについてもこの機会に申し上げたいのであります。  会社が組合の役員などの選挙についていろいろ介入することは不当労働行為として労組法第七条第三号で禁止されているというふうに私は理解をしておりますが、そのとおりでいいでしょうか。
  196. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 使用者が労働組合の運営に介入するというのは不当労働行為として禁止されておるということでございます。(小沢(和)委員「選挙は」と呼ぶ)組合の役員の選挙というのも組合の重要な運営事項でございます。
  197. 小沢和秋

    小沢(和)委員 全くそうだろうと思うのです。  ところが、ここに会社の職制の会議のメモがあるのです。この中で五十六年七月二日のブロック連絡会というところを見ますと、ブロックというのは、駅などが幾つか集まって駅長などが連絡の会議を持っているというもののようですけれども、この中に「選挙対策について」というのがあるのです。ちょっと関係部分を読み上げてみますと、「執行委員、常任委員については対抗者が出ない限り無投票当選のかたちをとる。」「代議員については今迄無投票当選であったが、今回は、ブロック内の思想家」、思想家というのは多分活動家という意味だと思うのですが、「思想家の情況をは握するため選挙とする。なお次点者を五名程つくる。」「代議員選挙に伴う票割りについては、各駅の責任において徹底すること。」こういうようなことが会社の職制の内部的な打ち合わせの会議の席上で決められておるのです。  労働組合の根幹にかかわる運営上の問題について、こんなことを会社が中で決めていろいろ介入するというような、これほど重大な不当労働行為はないのではないでしょうか。いかがでしょうか。
  198. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この点は、既に事前に御指摘もございましたので会社の方から事構も聞いておりますが、このブロック連絡会なるものは、ブロック内の人事交流の結果生まれた私的な会合であって、会社は全く知らない、こういうようなことを言っておるわけでございまして、この具体的なケースはおっしゃるようなそういう支配、介入に当たるのか、そして不当労働行為になるのか、こういった事実関係、事実判断につきましては、労働委員会というそれを判断する機関があるわけでございますので、そこにおいて判断をされるべき問題で、やはりその事実関係から固めなければ、軽々には私どもで申し上げる立場にないということでございます。
  199. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私的な会合だなどというような言い逃れは通用しないと思うのです。この会議のメモを見ますと、「異常時訓練実施について」ということで、恐らく鉄道ですから事故だとか火事だとか、そういうようなときに備えてだと思いますけれども、どういうような訓練をするというようなことについての打ち合わせなども行われているのですよ。一体、こんなことを私的にやりますか。それと並んで「選挙対策について」というのがあるのです。だから、そういう会社の私的な会合であるなどというのは全く言い逃れですから、この点については何も労働者の人たちから労働委員会にわざわざ出させてそこでいろいろやってという手間をとるまでもなく、極めて明瞭な事件ですから、あなた方の方から砥接指導をしていただきたいのです。  この機会に、今の選挙のことでもう一言申し上げたいのですけれども、驚くべき資料があるのです。これは労働者一人一人に対してだれだれに投票しろとちゃんと指示をした表があるのです。今言いました十六名の代議員の候補者がそのとき職制の側から立てられているのですけれども、Aさんという人はこの十六名のうちの一、二、六、七、九番の人に投票せよ、それからまた別の人は三、四、五、六、七の人に投票せよというような調子で全部指示がされているのです。この順番も守って投票しなければならない。これを少しでも変えておったら、実際変えて投票した人がいるそうです、そうしたら、その人は会社の指示に反しておったといって始末書をとられた。始末書をとるなんというのは会社のやっていることでしょう。こういうひどい証拠まで一絡に挙がっておるのですよ。  あなた方、こういう具体的な事実がここまで明らかになっても、やはり指導はしてくれませんか。
  200. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、そういう事案関係は会社としては全くない、全く知らない、こういうことで言っておる話でございますので、これについては不当労働行為であるかどうか、その事実関係があったかどうか、これを専門的に審査をいたします労働委員会の場でその審議の結果を待たなければ、私どもの労働省の立場でとかくは申し上げられない問題である、こんなふうに考えます。
  201. 小沢和秋

    小沢(和)委員 大臣、最初にも申し上げたように、私が西武のこういう訴えを取り上げる気になったのは、あなたの地元を走っている鉄道だからぜひ大臣に格別関心を持っていただきたい、そういう意味も含めて取り上げたわけであります。しかも西武の堤社長と言えば若き財界の実力者ということで、中曽根首相やニューリーダーなどとも親交があるということもいろいろ聞いている人です。そういう会社でこういうような状況があるということはまことに残念なことだと私は思うのです。ですから、あなたの地元のことでもあるし、改めて大臣にこれについてぜひ厳しく指導していただくようにお願いしておきます。  私、最初に、一つの例として西武の問題を挙げるというふうに申し上げたのですが、大企業の職場では、こういう労働者の自由や民主的な権利を踏みにじるようなことは全園的にもいっぱいあるわけです。  西武ばかりではいろいろあるということにならないから、私はもう一件だけ申し上げたいのです。住友軽金属名古屋製造所の労働者で鈴木明男さんという人から来た訴えてあります。  この方は、本年四月一日に会社がアルミ製の隔離部屋を工場の建屋の外にわざわざつくって、ここに半年以上もずっと押し込められているのです。この隔離というのは徹底したもので、出退勤の表示板を扱うために工場内に立ち入ることも禁止、工場内のトイレに行くことも禁止、ずっと遠くにある事務所横のトイレの使用を指示されておるということです。仕事のための資材を取りに行くことも禁止、電話で連絡してくれば持っていってやる、こういうことになっているわけであります。  しかも、九十センチ角の窓ガラスが五カ所にはめ込まれて、外の通行者からこのアルミ製の隔離部屋の中はよく見えるようになっていて、絶えず監視されて、ほかの者にも、おまえも会社にいろいろ盾突けばああいうところに入れるぞというように見せしめにしているわけです。これでは動物園のおりに入れられた猿と同じで、全く人間を侮辱した扱いとしか言いようがありませんし、しかも今まで三交代であったものが常駐勤務におろされて残業は一切なしということで、賃金は一カ月に十万円近い減収になっているわけです。  先ほど西武の労働者の方についても、幾ら仕事をきちんとしていても村八分のような状態に遣わされているのだと申しましたけれども、鈴木さんの場合も、仕事は幾ら同じようにちゃんとやっていてもこういう目に遣わされている。遣わされている理由というのはただ一つ、彼がここ十年来ずっと労働組合の強化を訴えて執行委員などの選挙に毎年立候補している、これに対する報復以外には考えられないわけです。ですから、私は、これも労働基準法の第三条などに明白に違反していると思います。違反しているかどうかという議論をここで延々とやる気はありませんけれども、会社の気に入らぬ思想や信条の持ち主だということでこういうような迫害を加えるということは、私は人権問題として絶対許されないのではないかと思うのですね。本人も労働基準監督署や人権擁護委員会に訴えたりしているということですけれども、労働省としても直ちに事実を調査して、こういうひどい状態を改めさしていただきたいと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  202. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 今お尋ねの住友軽金属名古屋製造所の件につきましては、実は既に地元の監督署に春にお話がございまして、いろいろ経緯はございますが、監督署が実地の調査もし、あるいは労使、それから署も交えて三者でいろいろ話し合ってきた経過も経た上で、十一月に基準法第三条の規定違反にはならないということで申告された方にもお伝えをしているというふうに報告を受けているところでございます。
  203. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私が聞いているのでは、そういう意向だということは聞いた。しかし、実際にまだまだこういうような事実もあるじゃないかということで、それについてはもう一遍調査をしましょうということに今なっているというふうに聞いているのですよ。そして私が言いたいのは、だから、最初に話の中で断ったでしょう、この第三条に違反するかどうかという法律的なことについてここで論争しようとは思わないけれども、こういう、いわば労働者が会社にとっては気に入らないような物の考え方をしている、あるいは労働条件の改善などのために職場でいろいろ活動したりすることが気に入らない、そういうことでこういうような差別をすることが人権問題としても許されるのかということを言っているのですよ。この点、大臣いかがですか。私は、ぜひこれを積極的に救済するために大臣としてももっと努力をしていただきたい。
  204. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 お尋ねの件で私ども報告を受けた限りでは、一応十一月に御本人にも結果についてはお知らせをしているということでございますが、今先生のお話ですと、またさらに調査をしているというふうになっているやに伺いましたが、その辺は私どももう一度確かめてみたいと思います。  ただ、そうした労働条件にかかわらない問題になりますと、監督署としてそこまで踏み込んでいくわけにはいかない問題もございますが、これは関係の行政機関と連絡をとって対応するということにならざるを得ないと思います。少なくとも監督署として対応できる範囲については、今申し上げたような点についてさらに確かめてみたいと思います。
  205. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いや、だから私は局長ではそういうような答弁しかできないだろうと思うから、さっきから大臣どうだというふうに言っているのですよ。大臣、今度は立ってくださいよ。
  206. 山口敏夫

    山口国務大臣 労働基準局長から答弁申し上げましたように、そうした違反的事実があれば、それは適正に指導しなければならないと考えております。
  207. 小沢和秋

    小沢(和)委員 だから、そういう訴えを持ち込まれて、私がわざわざここで責任を持って問題にしているのだから、大臣もぜひそういうふうに調査もし指導もしていただきたい。  時間もありませんので、最後に、去る十一月二十日に失業対策制度調査研究報告が出されました。このことに関連してごく二、三の点をお尋ねをしたいと思います。  一つは、特例給付金の支給についてでありますが、この報告の中では、昭和五十六年の「特例援助措置の内容とその経緯に十分配慮しなければならない。」とされております。当時は自主的に引退する者に対し百万円支給されたというふうに聞いておりますが、今回はどんなに就業を続けたくても年齢で一律に、いわば強制的に引退させるわけですから、その点を配慮すれば前回よりも相当に高い額でなければ理解されないと思いますが、どの程度のことを考えているか、これが一つ。  それから二番目として、引退者に対する任意的な就労について、私どもが聞いているのでは一カ月五、六日というのを考えているというふうに聞きますが、これでは余りに少ないのではないか。これまででも七十歳以上の高齢者に対しては十五日間の就労を認めてきた。緩やかな引退を図るというのであれば、先ほどもお話があったようにせめて十日間ぐらいは働かせてもらいたいというのが我々が聞く声です。先ほどのお話では、これだけで生活できるものとは考えていない、生活の一助にというふうに考えているということですけれども、しかし、一助にといっても、あと当てにするものといったら年金ぐらいというふうになりますから、その年金と合わせて最低生活を確保できるぐらいのものにはぜひしてやっていただきたい。そういう意味で十日間ぐらい働かせてほしいという声をどう考えるか。  それから三番目に、今回の措置などによって自治体の負担が、特例給付金あるいは任意的就労、こういうようなもので新たな負担がふえてくる。さらに、来年度からは失対事業の補助率を切り下げようというようなことも伝えられている。そうすると、自治体の新たな負担増という問題が起こってくると思うのですが、こういうような点どうお考えか。  最後に、四番目にお尋ねしたいのは、失対事業をやめさせられた場合、身寄りのない人が多いので、そのうちかなりの人々が生活保護を求めざるを得なくなるのではないかと思うのです。労働省は、線引きをして、やめさせてから後のことは知らぬというのではいけないのではないかと思うのですね。生活保護などについても厚生省などとも協議して、本当に温かい手を差し伸べてやっていただきたいのですが、報告でも「カウンセリング体制の整備」というようなことが言われているのですが、具体的にどういう体制をつくるか、このことも含めてお答えください。  以上です。
  208. 清水傳雄

    ○清水(傳)政府委員 お答え申し上げます。  特例給付金につきましては今までの御質問の中でもお答え申し上げてきたところでございますけれども、要素といたしまして、一律に引退することになる、こうした点と、去る五十六年の自立引退措置、その内容、経緯に十分配慮しつつやっていかなければならない、こういうふうに報告でも指摘をされているわけでございまして、この趣旨を十分踏まえまして今後財政当局と協議をいたしてまいりたい、このように考えております。  それから任意就業の問題でございますけれども、これにつきましても、いわゆる失対事業から引退をされた方の単なる受け皿事業、こういう形ではやはり社会的な合意というものはなかなか得られない性格のものであろうというふうに考えるわけでございまして、いわゆる緩やかな引退過程にある高齢者の方々に対する対策、こういうふうな観点からこの事業そのものを今後さらに詰めていかなければならないわけでございます。そうした場合におきまして、一般の高齢者の任意就業の機会でございますシルバー人材センターにおきます就労の実績とか、そうしたこと等もよく考慮に入れつつ今後慎重に検討をいたしてまいりたい、このように考えております。  それから、いわゆる財政負担の問題でございます。確かに六十一年度におきましてはこうした改善措置を講ずることによりまして相当負担をかけなければならないという可能性もございますが、後年度のことも考えますならば、地方自治体にとっても負担の軽減につながっていく、こういう問題にもなってまいりますので、そうした点もよく理解を得つつ進めてまいります。また、補助率の問題につきましては、関係閣僚会議の検討結果を踏まえつつ今後適切に対処していかなければならない、このように存じておるところでございます。  それから、後のフォローにつきましては、いわゆる生活保護との関係等の問題につきましては関係省庁と今後十分連携をとりつつ対処してまいりたいと思いますし、また御指摘のように生活相談体制の整備、こうした点につきましても地方自治体に対する助成等を含めまして財政当局と折衝しつつ、その体制を充実してまいりたい、このように思っております。
  209. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  210. 戸井田三郎

  211. 菅直人

    ○菅委員 この臨時国会も会期末を真近に控えておりますし、また今月の末には内閣改造も必至だということでありますから、今期内閣での衆議院の社会労働委員会での質問は、あるいは私が最終バッターになるのかと思っております。  そういう意味で、山口大臣にもこの一年余りですか、労働大臣としていろいろと活躍をされたわけですけれども、この最後の質問に当たって、特にその中で労働時間短縮ということに大臣は大変意欲を示され、各党間で五月四日の休日の問題などいろいろと努力をし合って一定の成果が上がったわけですけれども、しかし、まだまだ諸外国に比べてみますと年間の労働時間も非常に長いですし、あるいは週の労働時間も決して短いとは言えない、こういう状況を見られて、大臣として今後の日本の労働時間のあり方について基本的にどういう方向に行くべきか、その基本的な考え方を、特に諸外国との比較なども念頭に置かれてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  212. 山口敏夫

    山口国務大臣 社労委の各党の先生方を中心に御協議いただきましたゴールデンウイークにおける五月四日の労働休日の問題につきましては、この十二日の内閣委員会で正式に法制化される、こういう日程のようでございまして、そうした一つの啓発、啓蒙的な休日を含めまして、今後中小企業、小規模事業所の対応、努力なども十分いただきながら、総体的な労働時間調整というものを進めていかなきゃならない。当面は二千時間、もう既に二千時間を切り込んでいる企業もございますけれども、そういう一つの目標を持っておりまして、特に労働省といたしましても、金融機関等と協議をしながら週休二日制の拡大なども取り組んでいかなければならない。  今までの日本の勤勉性から来る生産性の向上、こういうものもあったわけでございますが、私は十分勤勉性の美徳を維持しつつ労働時間調整を進めまして、いわゆる生活余裕時間の拡大が労働経済分野におきましても、中小、小規模事業所にとりましても、今後の個人消費あるいは内需拡大、こういう立場からもぜひぜひ必要であろうというふうにも思いますし、当然のごとく労働者の労働条件の改善、福祉の向上、こういう立場からも中長期的な展望のもとに、男女雇用均等法ではございませんが、一歩一歩その具体的、現実的な一つの成果を上げていくということが大事なことではないかというふうに考えております。
  213. 菅直人

    ○菅委員 大臣には参議院の審議があるということなので、これで結構ですが、今後どれだけ、また何度労働大臣をやられるかわかりませんが、ぜひこの労働時間の短縮という問題については政治家山口敏夫として御努力をいただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。じゃ大臣、結構ですので。  それで、きょうの報道の中に、労基法研究会が一つの提言をまとめつつあるということが出ておりまして、昨年の九月に、たしか一日九時間、週四十五時間ということを提起をした研究会だと思いますが、この報道によりますと、一日八時間、週四十五時間という案をまとめつつあるというふうに報道がされておりますが、この労基法研究会のこの問題の取り組みの現状と、もしこの報道のとおりであるとすれば、とおりであるかどうかを含めて、どういう内容になりつつあるのか、現状をお聞かせいただきたいと思います。
  214. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 お尋ねのけさの新聞の報道は、御指摘のように昨年の八月に労働基準法研究会が中間報告として一日九時間、週四十五時間という案を出したわけですが、それについてさらに一年かけて最終報告をまとめるということで、昨年夏以来作業をしてきたのです。その間、関係の労使団体も幾つか意見を聴取し、さらに外国の法制の実態等も調べたわけでございまして、年内に何とか最終報告をまとめていただきたいということで現在大詰めの作業をしている段階でございます。したがいまして、まだ成文ができ上がっているわけじゃございませんので、内容についてこうだというふうにお答えできる段階にはございませんが、あとできるだけ早く、年内といっても日にちはもうございませんので、今大詰めの作業を急いでいるところでございます。
  215. 菅直人

    ○菅委員 その作業が正式に発表されるまで議論ができないという趣旨かもしれませんが、もしこういう内容であるとすれば、さきに一日九時間という提案が出たときには我々もちょっとびっくりしたといいますか、やはり非常に逆行ではないかと思ったわけですが、それが一日八時間ということになれば、前進とは言えないまでも中間報告に比べれば一定の改善が示されている。  しかし、週四十五時間というのは、今やヨーロッパでは四十時間あるいは三十時間台に突入をしつつある今日においていまだ何かかなりおくれているという感じを否めないわけですけれども、私は労働時間はやはり週四十時間ということを当面の目標としてぜひ実現をしてほしいと思うわけですが、そういうことについて労働省として、労働行政を担当している部局の局長としてはどう考えておられるか、そのことを聞かしていただきたいと思います。
  216. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 労働時間を実態として欧米先進諸国並みに、先進国としてよりふさわしいものにするというのは政府としての方針でもございますので、現在の欧米諸国の労働時間の実態を見ますと、確かに実質的に週四十時間といった線に届いておりますから、我が国においても将来そうした線にできるだけ近づけていくことは必要であろうかと思っております。  しかし、その方法といたしまして、いわゆる法制でもってこれを短縮するということと、労使の話し合いによってこれを短縮していくやり方と実は両方あるわけでございます。欧米先進諸国の場合は、どちらかといいますと、法制の枠組みというのは、カナダあるいはフランスでございますか、そうした国を除きますと、必ずしもいわゆる最低基準の枠組みは法制定後そんなに変えないで、むしろ枠組みの中で労使が話し合って実質的にそれを短縮していくという傾向が非常に強いわけでございます。  我が国の場合に同じような方式がとれるかとれないか、その辺が率直に言いまして労働基準法研究会の中でも大いに議論をされている部分でございますけれども、法制でやるとなりますと、我が国の労働基準法は少なくとも最低基準としてそれに満たない場合に罰則をもって一律に強制をする、こういう形になりますから、労働時間の実態が企業別あるいは企業の規模別、産業別に非常に格差のある現状において、法令、法律によって罰則つきでやることについてはおのずから一定の限度があると言わざるを得ないと思っております。  しかしながら、そういう枠組みの中で、労使の話し合いでさらに短縮が進められるような方向づけ、こうしたものが我が国の場合においては必要ではなかろうかというふうに考えております。
  217. 菅直人

    ○菅委員 労使の話し合いということそれ自体は大変重要なことでもあり、またそういう方向が望ましいのはよくわかるのですが、ただ、日本の場合、中小企業も大変多いわけですし、そういう意味では逆にある程度法律が先行していくことによって、今度はそれを前提とした労働条件なり待遇というものを考えていく。つまり最低基準が緩い限りはぎりぎりのところでとどまるところとかなり労働時間を短縮するところの格差がますます広がりかねないという要素もあると思いますので、これはいいところだけといいましょうか、都合のいいところだけ欧米のまねをするのではなくて、結果においても欧米水準に近づけるために、労働行政としても、先ほどの大臣の話もありますけれども、今後も頑張っていただきたいと思うところです。  もう一点、男女雇用機会均等法が制定をされて、いよいよそれが指針等の具体的な内容の議論が各審議会で進んでいるというふうに聞いておりますけれども、その現状と具体的な見通しについてお尋ねをしたいと思います。
  218. 赤松良子

    ○赤松政府委員 法律の制定の御審議のときにお答え申し上げましたように、この法律を具体化するために必要な指針及び法律をより細かく規定をいたしました省令というものをこのたび婦人少年問題審議会、中央労働基準審議会、中央職業安定審議会、中央職業能力開発審議会の四つにそれぞれの部分ごとに御諮問をいたしました。最初の婦人少年問題審議会は、この問題に関しましてメーンの審議会ということですべてについて諮問をいたしているところでございます。  それぞれの審議会では、婦人少年問題審議会を除いては第一回目に相当の部分の御審議をされまして、次は今月末にそれぞれ予定をされているというふうになっております。婦人少年問題審議会だけは細かい御議論が必要ということで婦人労働部会に審議をおろしまして、その部会の中で御審議がされているところでございます。今日の段階では問題点の指摘ということがなされまして、それを踏まえて次の部会は十一日、明日でございますが、引き続き審議がされる予定になっております。
  219. 菅直人

    ○菅委員 大体の見込みとしては、いつごろ結論が出て、省令制定がいつごろになる予定ですか。
  220. 赤松良子

    ○赤松政府委員 まず諮問をいたしました時点でお願いいたしましたことは、来年の四月一日の施行ということをにらんで、それまでに周知のための期間を置くということから逆算をいたしまして、年内に答申をいただきたいというお願いをいたしたところでございます。
  221. 菅直人

    ○菅委員 審議中ということで細かいところはなかなか難しいのかもしれませんが、いろいろ聞かれるのですけれども、例えば男子百名、女子若干名などという募集が今たくさんあるわけですね。そういう募集の仕方というのはこの法律の趣旨からすると許されないと考えでいいのかどうか、ちょっとその点だけお聞かせ願いたいと思います。
  222. 赤松良子

    ○赤松政府委員 この法律は、「女子に対して男子と均等な機会を与えるように努めなければならない。」というふうに規定されておりますが、それを具体的に、まず最初のステップとしてとるべき措置という観点からこのたびの指針はつくっております。  そこで、法律の中では目指すべきこととされておりますものすべて指針の中に盛り込んだということではなくて、まず最初の段階でなくすべきことというふうな観点から掲げられておりますので、先ほど先生が御指摘になられましたような男子何名、女子何名というようないわゆる枠というものをつくった募集の方法は、この指針で直ちになくすべきものとして掲げられているものではございません。しかし、その枠が極端に男子が多くて女子が少ないというようなことであれば、女子に対して均等な機会を与えるという法律の趣旨に合わない。したがいまして、この指針で出発をして、そういうような極端に女子の枠が小さいというようなものが非常に多くあって、その結果、女子の均等な機会が得られないというようなことであれば、その段階において再検討するべきだろうというふうに考えます。
  223. 菅直人

    ○菅委員 もう時間ですので、これで終わりにしますけれども、大体、この男女雇用均等法審議のときから、一方で女性に対する雇用機会を拡大するということが言われている反面、一方においてある種の労働条件の強化が行い得るような内容も含んでいるという問題点がかなり指摘をされていたわけで、それが女子に対する機会の拡大、いわゆる雇用機会の拡大ということそれ自体も何かだんだん骨抜きになるのでは、この法律の趣旨から一体何をやったのかということにもなりかねませんので、そういった意味で、この審議会の答申などを踏まえての省令づくりには本来の法律の趣旨が本当に生かされるような方向での努力をぜひお願いしておきたいと思います。  それでは、時間ですので、終わります。
  224. 戸井田三郎

    戸井田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十七分散会