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1985-12-06 第103回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月六日(金曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 中村  茂君    理事 大石 千八君 理事 桜井  新君    理事 田名部匡省君 理事 渡辺 秀央君    理事 細谷 昭雄君 理事 水田  稔君    理事 薮仲 義彦君 理事 横手 文雄君       菊池福治郎君    佐藤  隆君       笹山 登生君    田中 直紀君       近岡理一郎君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    若林 正俊君       池端 清一君    川崎 寛治君       富塚 三夫君    松前  仰君       山中 末治君    遠藤 和良君       武田 一夫君    水谷  弘君       森本 晃司君    安倍 基雄君       菅原喜重郎君    中川利三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    高多 康次君         科学技術庁研究         調整局海洋開発         課長      宇都宮 誠君         外務省経済協力         局政策課長   須藤 隆也君         大蔵省理財局国         債課長     米澤 潤一君         国税庁直税部所         得税課長    加藤 泰彦君         文部大臣官房文         教施設部指導課         長       篠塚  脩君         文部省高等教育         局大学課長   佐藤 禎一君         文部省学術国際         局国際学術課長 草原 克豪君         文部省体育局体         育課長     岡  行輔君         林野庁指導部治         山課長     船渡 清人君         中小企業庁小規         模企業部小売商         業課長     坂井  宏君         運輸大臣官房国         有鉄道部財政課         長       後出  豊君         気象庁総務部長 新谷 智人君         気象庁予報部業         務課長     門脇俊一郎君         気象庁地震火山         部長      河村まこと君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      津村建四朗君         建設省都市局公         園緑地課長   坂本新太郎君         建設省河川局河         川計画課長   寺田 斐夫君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省河川局砂         防部砂防課長  成田 久夫君         建設省住宅局建         築物防災対策室         長       遠藤二三男君         消防庁救急救助         室長      篠田 伸夫君         消防庁震災対策         指導室長    泉  正明君         日本国有鉄道職         員局職員課長  葛西 敬之君         日本国有鉄道車         両局管理課長  井澤  勝君         日本国有鉄道施         設局保線課長  梅原 利之君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ————————————— 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   菅原喜重郎君     滝沢 幸助君 同月二十八日  辞任         補欠選任   滝沢 幸助君     菅原喜重郎君 十二月六日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     川崎 寛治君 同日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     辻  一彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 中村茂

    中村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、国の内外にわたる最近の災害状況等について政府から説明を聴取いたします。国土庁杉岡防災局長
  3. 杉岡浩

    杉岡政府委員 本年度に発生いたしました主な災害被害状況及びその対策の概要並びに最近相次いで発生いたしましたメキシコ地震災害あるいはコロンビア噴火災害につきまして、御報告を申し上げます。  お手元資料をお配りいたしておりますので、これをお目通しいただきながらお聞き取りいただきたいと思います。  初めに、おめくりいただきますと一ページがございますが、本年度発生いたしました災害といたしましては、ここにありますように、梅雨前線豪雨及び台風第六号による災害長野地附地すべり災害及び台風十二号、十三号、十四号による災害がその主なものであります。  まず、本年の梅雨季は、梅雨前線の活発な活動に伴う連日の大雨や六月末の台風六号、これの暴風雨によりまして各地被害発生いたしております。この期間中、各地で対平年比が二倍前後にも達する総雨量を記録いたしております。被害でございますが、ここにございますように、死者三十九人、家屋全壊流失八十五棟、床上床下浸水合わせまして約四万八千棟などの一般被害や、公共土木施設約四千四百億円、農林水産業関係約二千四百億円という施設被害発生いたしました。  この災害に対しまして、政府といたしましては、災害救助法島根三隅町に適用いたすなどの災害応急対策をとったわけでございますが、さらに、下欄にございますように、本災害激甚災害に指定いたしております。そして、農地、農業用施設及び農林水産業共同利用施設災害復旧費利用に対しまして特例措置をとる、あるいは天災融資法特例湛水排除事業に対する補助、島根三隅町における被災中小企業者に対します災害融資特例措置、こういった措置を講じてきたわけでございます。なお、六、七月といたしましては近年にない大きな被害をもたらしました公共土木施設関係でございますが、これについても災害復旧に鋭意努めておるわけでございます。迅速な査定実施それから緊要な箇所の早急な工事の着工、こういったものに現在相努めておるわけでございます。  この梅雨が明けました直後でございますが、七月二十六日に長野地附山の大規模地すべり発生いたしたわけでございます。この災害によりまして二十六人が亡くなりました。そして、湯谷団地中心といたしまして、家屋全壊五十二棟などの被害が生じました。この災害被害状況災害応急対策実施状況につきましては既にさきの委員会で御報告を申し上げましたので、本日は最近の対策状況につきまして、後ほど次のページ資料で御説明申し上げます。  さて、さらに八月末から九月にかけまして、台風十二号、十三号、十四号、この三つの台風日本に上陸ないしは接近をいたしたわけでございます。特に、鹿児島市で瞬間最大風速の過去最高を記録いたしました台風十三号でございますが、これにつきましては九州地方中心被害が相次ぎまして、特に漁船の海難事故による二十人を含みます死者は合計三十三人となっております。また、家屋全壊流失七十棟、床上床下浸水三千五百棟などの一般被害を生じております。また、約九百六十億円の施設等被害が生じておりますが、特に九州や青森では、果樹あるいは野菜等農作物被害発生をいたしております。  これに対しまして、政府といたしましては、災害応急対策の円滑な推進を図るとともに、天災融資法を発動いたしまして、同時に激甚災害の指定を行いまして、天災融資特例適用措置を講ずることといたしたわけでございます。また、被害を受けました災害復旧関係でございますが、これについても、迅速な査定実施と緊急な箇所早期工事着手など、鋭意その復旧に努めておるところでございます。  次に、ページをおめくりいただきたいと思います。長野市の地附山の地すべり災害についてでございますが、これにつきまして、最近の災害対策等状況につきまして概括御報告申し上げます。  まず、避難等状況でございます。発災当初六百五世帯、千九百三十二人が避難をいたしておりましたが、避難指示の解除が逐次行われまして、現在、避難指示対象世帯は百二十三世帯となっております。なお、このうち、土砂流出防止用H鋼の外側にございます四十八世帯につきましては、現在下水道復旧工事が行われておりますが、それが済み次第、年内にも避難指示が解除されるというふうに県から報告を受けております。  次に、応急対策状況でございますが、クラックののり覆い工崩壊地頭部排水工土砂流出防止のためのH鋼くいの建て込み、こういった応急対策につきましては、お手元資料にございますように八月中に完了をいたしております。  それから、3の恒久的な地すべり対策でございますが、これにつきましては、既に集水井明暗渠横ボーリング排土等工事に着手いたしておりまして、工事は順調に進捗いたしております。また、抑止くい工につきましては、現在その準備を急いでおるところでございます。  次に、4の被災した湯谷団地復旧についてでございますが、ここにつきましては、その堆積土砂地すべりの安定を損なわない範囲で階段状に整地し、復旧するという計画案長野県が作成いたしまして、これを地元関係者説明し、意見を求め、現在、その計画案に対する地元意見を踏まえまして、さらに計画案検討中という報告を受けております。  このほか、被災いたしました老人ホーム松寿荘復旧につきましては、長野市、それに隣接する須坂市にその代替の施設を早期着工することといたしておりますし、また現在建設中の牟礼荘は、これを今年度中に繰り上げ完成するというふうに整備を急いでおるわけでございます。  次に、有料道路崩壊区間迂回路につきましては、大型車の通行に支障がないよう、現在、市道及び県道の改良工事を鋭意実施中でございます。この災害に対しましても、今後とも関係省庁が緊密な連絡をとりまして、万全を期してまいる所存でございます。  次に、三ページをおめくりいただきたいと思います。本年も極めて活発な活動をいたしております桜島状況について御報告を申し上げます。  桜島は、お手元資料にございますように、本年一月一日から十一月末までに既に爆発回数は三百九十九回、地震が五万三千回、降灰量鹿児島市の気象台構内で一平方メートル当たり約一万五千八百グラムとなっておりまして、さらにことしに入って、臨時火山情報が既に二十一回発表されたという状態でございます。  二月、四月、七月、八月にそれぞれ、お手元資料にございますように、顕著な爆発あるいは噴煙活動観測されておりますが、十二月五日には既に本年で四百十五回の爆発を記録いたしまして、これは昭和三十五年の四百十四回を超える過去最大のものとなっております。また、七月二十八日には気象台構内におきまして、観測開始以来最大の日降灰量一平方メートル当たり二千四百七十六グラムを記録いたしたわけでございます。こうした活発な爆発噴煙活動に伴います噴石、火山れきの落下あるいは降灰、こういったものが各地に各般の被害を及ぼしたわけでございますが、これにつきましては、2にその主要なものを掲げておるわけでございます。最近では、十二月二日の夜から三日の朝にかけまして、爆発時の空振によりまして、対岸の鹿児島市の市街地におきまして窓ガラスが破損する等の被害が生じております。  国といたしましては、当該地域住民の方々の安全と生活の安定のために、活動火山対策特別措置法あるいは先般設けました桜島火山対策懇談会の提言に基づきまして、観測研究体制警戒避難体制整備並びに砂防治山事業降灰除去事業降灰防除事業健康対策あるいは農漁業対策、こういったものに鋭意努めておるところでございます。今後とも、関係省庁が緊密な連絡をとりながらその対策に万全を期することといたしております。  最後に、四ページをおめくりいただきたいと思います。最近、メキシコ地震コロンビア火山噴火、この二つの大きな災害が海外で発生いたしておりますので、これらにつきまして、災害状況等を御報告申し上げます。  まず、メキシコ地震でございますが、現地時間の九月十九日午前七時十八分に発生いたしました。震源メキシコシティーから南西約四百キロの太平洋岸でございまして、マグニチュード八・一と想定されております。メキシコ地震では、震源からかなり離れました首都メキシコシティー中心部におきます中高層の建築物被害が大きかったわけでございます。  この地震災害に対しまして、我が国は、緊急災害援助といたしまして百二十五万ドルの供与を行ったほか、五千万ドルの緊急融資を行う意図を表明いたしまして、現在具体化を進めているところであります。また、専門家派遣といたしまして、先方の政府の要請によりまして、国際協力事業団を通じまして、二次にわたります国際救急医療調査チーム、それから二次にわたります地震専門家チームなどの派遣をいたしております。今後もさらに防災計画整備のための専門家派遣を引き続き行うよう、現在検討しております。  次に、コロンビア火山噴火災害でございますが、首都ボゴタの西約百四十キロメートル、標高五千四百メートルのネバドデルルイス火山現地時間の十一月十三日午後十時に噴火いたしまして、この噴火によって大規模泥流発生いたしました。約二万五千人の死者が出ているというふうに報告をされております。  この噴火災害に対しまして、我が国は、緊急の災害援助といたしまして百二十五万ドルの供与を行い、また、コロンビア災害援助に当たっております国連の災害救済調整官事務所に対しまして五万ドルの拠出をいたしております。また、国際協力事業団を通じまして、国際救急医療チーム派遣などをいたしております。さらに、コロンビア政府の意向を受けまして、技術援助につきまして現在関係省庁検討を進めておるわけでございます。  以上、最近の災害状況につきまして御報告を申し上げました。
  4. 中村茂

    中村委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 中村茂

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石千八君。
  6. 大石千八

    大石委員 本日は、主に地震中心とする災害問題に関して質問をさせていただきたいと思います。  まず、私、十月の下旬に、メキシコ地震発生後およそ一月後でございますけれども、自民党の派遣団としてメキシコ地震視察に行ってまいったわけでございます。この地震は、我が国はもちろん、国際的にも非常に注目を浴びた、そのぐらい大きな地震であったわけでございます。その後コロンビア火山爆発というものもございまして、これもまたそうだったわけでございますが、私は、そのコロンビア火山爆発の前にメキシコ視察をしてきたわけでございます。テレビあるいは新聞等マスコミで報道されておりましたとおり、特に巨大なビルがぺしゃんこに壊れた、そして、その中にいる大勢の人民の命が奪われた、このところを局地的に報道されておりましたので、大変大きな災害だという印象を国民もテレビ等を通じて受けたわけでございます。  実際問題、向こうへ行って見てまいりますと、比較的丈夫な建物地盤の弱いところでも大丈夫だった、そういうこともございます。湖を埋め立てた軟弱地盤のところが非常に中心的にやられているわけでありますが、そこのところでも、ぐしゃぐしゃになった建物は大体構造上問題があるというか、メキシコ建築基準にはパスしているのですが、極めて地震には弱い建物であった。壊れた建物のすぐそばにほとんど無傷のビルが建っている、こういうような状況でもあるわけでありまして、行ってみて、改めて地震というものの原因の的確な把握災害状況の的確な把握というものが必要だったなという印象を持って帰ってきたわけでございます。  それから、今言いましたように、大きなビル、アパートとか病院とかホテル、こういう中に死者が大勢いる。そういうところが壊れたことによって一挙にその建物から大量の犠牲者が出てきて、それを集計して一万人とも言われる死者になったわけであります。つまり、そのほかの二次災害、津波とか山崩れとか火災とか、こういったものによる死者は皆無と言っていいような状況でありまして、一万人と推定される死者はほとんどがそういうような状況であったわけであります。  こういう点は我が国とはちょっと事情の違う点もあろうと思いますけれども、メキシコ地震マグニチュード八・一の巨大地震でございます。関東大震災が七・九、〇・二違うと地震発生エネルギーは二倍か三倍ぐらい大きいようでございます。まあマグニチュード八前後の地震という意味におきましては、メキシコ関東大震災規模としてはそんなに違わないわけでありますが、大体その八前後の巨大地震が起きた場合に我が国はどのような影響を受けるのだろうか。特に建設省に、メキシコでは建物崩壊による死者が大勢出たということを基本にして、我が国であったならば建物崩壊によってああいう大きな悲惨な事故になるだろうか、その辺から伺ってみたいと思います。
  7. 遠藤二三男

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  我が国建築基準は、基本的には震度程度地震に対してはほとんど損傷を生じることのないように、そして関東大震災並み震度七、メキシコはそれより弱いと聞いておりますが、その程度の大規模地震に対しても、直ちに崩壊して人命に危害を及ぼすようなことがないように基準を定めておりまして、そういう構造になっておりますから、今回のメキシコのような悲惨な状況は生じないというふうに信じております。
  8. 大石千八

    大石委員 関東大震災のときの死者が九万九千人を超えておよそ十万人、これは火災による死亡者が非常に多かったということのように承っておるわけでございますが、現在、関東大震災程度地震が起きた場合に、建物の方はメキシコのような状況にならない、まずそれによって犠牲者が出るということは非常に少ないだろうということでございます。建築基準メキシコ日本とは全然違いますから、それは理解できるわけでありますが、再度関東大震災程度規模地震が起きたときには、それでは東京の場合は大正十二年に比べて相当対震強化といった対策が行われているか、あるいは火災の問題なども安全策がとられているか、その辺はいかがでしょう。
  9. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  関東大震災は一九二三年でございますが、既に相当の期間たっております。その間、東京都心部につきましては、相当巨大にはなってきておりますけれども、同時に相当不燃化が進んできておるわけでございます。ごらんいただきますように、東京中心といたしました都心部はほとんど不燃化をいたしております。現在、不燃化率も五〇%を超えるものになってきております。ただ、周辺部におきましては、木造の住宅地帯というものがあるわけでございます。こういった地区につきましては、消防力増強等によりましてその対策を整え、また必要な避難地あるいは避難路整備といったもので都市防災化に現在努めておるわけでございます。また、一たん不幸にも災害発生いたした場合にはその応急対策が万全にとれるように、関係省庁あるいは国、公共団体におきまして、そういったものに対する対策を常日ごろから訓練あるいは計画作成、こういったものを通して備えておる段階でございます。
  10. 大石千八

    大石委員 地震が起きた場合の被害想定というのを的確に答えるのは大変なことだと思いますので、一応参考として考えられる想定をお答えいただいたわけでございますけれども、被害想定はともかくといたしまして、メキシコの場合もそうでございましたけれども、水道施設とか通信施設等ライフライン、こういったものの復旧が非常におくれてきたという問題があります。メキシコの場合は経済活動の密度なども日本とは全然違いますから、このような通信施設等が特に復旧に多少手間取っても、経済活動の活発な我が国とはちょっと違うというふうにも思います。この間はメキシコ道路などは余り破壊されておりませんでした。非常に被害が集中したところでもそれほど破壊されておりませんで、道路の問題は余り参考になりませんでしたけれども、水道施設とか通信施設、こういったものの復旧に手間取ったわけでございます。メキシコでも相当手間取って困った面があるけれども、我が国においては経済活動などが濃密になっておりますから、よほどこういった面の対策が講じられていかないと相当支障を来すのではないかというふうに思うのでございますが、こういった水道施設とか通信施設等ライフライン施設に大きな被害が生じる心配はないか、また生じた場合にどうすればいいか、この辺のところをちょっとお答え願いたいと思います。
  11. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  電気、ガス水道、電話、こういったライフラインにつきましては、災害、特に地震発生いたした場合に非常に大きな役割を果たすわけでございますので、これに対する対策が万全でなければならないわけでございます。  まず、それぞれの施設について申しますと、電力施設でございますが、発電所あるいは変電所、こういった施設につきまして、まず万全の耐震設計をいたしておるわけでございます。仮に一部施設被害を受けましても、それに対して電力の供給がスムーズになるように送電のループ化を図っておるわけでございます。したがって、一部の施設が壊れても、ほかのところで代替するというような対策を講じておるわけでございます。  それから、ガスでございますが、これも製造施設あるいはガス導管、こういったものの耐震性強化がまず必要でございまして、これに努めております。仮に非常事態発生した場合でございますが、ガス漏れが起こらないように緊急遮断装置を設置いたしております。また、大地震に備えまして、被害が一部で抑えられますように導管ブロック化を進めておるわけでございます。また、ガス導管に滞留いたした場合、これを空中に安全に放射するための放散施設、これも現在進めております。  それから、水道でございますが、水道施設耐震性を図るということはもう当然でございますが、配水系統がお互いに連絡をとって、一つの配水系統がだめになった場合は別の配水系統をとるといったような対策を講じております。  それから、通信でございます。通信施設自体耐震化強化が必要でございますが、同時にバイパス伝送施設を進めて、バイパス伝送網作成を進めております。それからまた大規模洞道、穴でございますが、洞道網建設を進めております。  こういったことで、事前対策といたしましてこういったライフライン災害対策を進めておりますが、万が一被害が生じた場合、まず全国の例えば電力会社あるいはガス会社、こういったものがそれぞれ相互に応援してその復旧に当たるという相互協定を持っておりまして、一カ所の災害に対しまして全国から救援に当たるという体制を既に整えておるわけでございます。  また、水なんかの場合、例えば東京でいいますと、大きな耐震性貯水槽をあちらこちらに設けまして、必要な飲み水を供給できるようにする。あるいは貯水池、配水池、こういったところからタンク車等によりまして水を運ぶというような給水体制につきましても、それぞれ地域防災計画を定めまして、その中でそれを整備いたすというような対策をとっておるわけでございます。
  12. 大石千八

    大石委員 これらは一般的に急に巨大地震が起きたときの想定でございますが、東海沖に発生するであろう巨大地震だけは、その発生源となるであろうプレートとプレートの間に挟まれたトラフが原因で、原因と言うとおかしいですけれども、プレートとプレートとのひずみによって起こる地震発生するであろう。しかも、長い期間、これまで五百年間に四回起こっておるその地域、東海地方の駿河湾沖で百三十一年も発生してないというようなことで、地震学者が、エネルギーがそこのところに相当たまっているであろう、したがって、年数からいってももうそろそろ地震発生してもおかしくないんだ、こういうふうに言われることによりまして、昭和五十一年、地震学会でそれが極めて有力な説として多くの地震学者の賛同するといいますか一致する意見になりまして、それから東海沖地震対策が始まったことは御承知のとおりでございます。  そういう意味で、地震対策の緊急措置法が法制化され、そして、それに対してまず第一には、東海地震に対する予知をやろうということで予知体制がとられている、これが一つの大きな東海地震に対する対応であります。もう一つの大きな対応は、緊急整備事業をやる。この二つが東海地震対策の大きな柱でございます。このように法律をつくって予知体制整備する、あるいは緊急整備事業をやるというのは、もちろん我が国でも初めてでございますし、世界じゅうでも例を見ないというような東海地震に対する法的な措置がとられているわけでございます。  そういう意味におきまして、予知ができるということがこの東海地震対策の大前提になるわけでございまして、もし、これが予知できないということになりますと、こういった緊急整備事業そのものも効果が著しく減退してしまう。緊急整備事業そのものも、予知ができることを前提にいろいろと仕事を進めているわけでありますから、何としてもこの予知というものがなされなければならないわけでございます。  自然相手のことでございますし、極めて学問的にも学術的にも難しい面もあるかもしれませんが、とにかく駿河トラフというものが地震発生源であるという前提の中で、御前崎沖から海底ケーブルを百六十キロまで延ばして地震計を最端、一番先から四つつけているのを初めとして、ひずみ計とか検潮計ですか、いろいろな種類の、東海地震を予知するための計器が静岡県全体で百四十八種類もある。そして、気象庁を初めいろいろな大学などへもそういうものが即刻、ずっとグラフで記録されているというような予知体制を整えているわけでありますが、果たして東海地震が起こるときに間違いなく予知ができるか。これはできることなら予知連絡会の会長先生にも伺いたいところでございますが、きょうは気象庁からその辺のところを承ってみたいと思うわけでございます。気象庁、いかがでしょうか。
  13. 河村まこと

    ○河村説明員 お答え申し上げます。  まず、東海地震に対する地震予知体制でございますが、大規模地震発生の可能性が高いとされております東海地域につきましては、全国的な地震観測データに加えまして、埋め込み式体積ひずみ計や今お話のございましたような御前崎沖の海底地震計による観測データ、さらに大学等による地下水や地殻変動についての観測データ等多数のデータを気象庁に伝送し、二十四時間の常時監視を行っているところでございます。また、気象庁に集中的に伝送されておりますデータを瞬時に総合的に処理する地震活動等総合監視システムの整備昭和六十年度から進めているところでございます。  今後とも大学等関係機関の協力もいただきまして、東海地域の地震活動の監視に遺漏のないよう力を尽くしてまいる所存でございます。
  14. 大石千八

    大石委員 全然そういうことを聞いておるのじゃございません。まあ無理かもしらぬけれども、予知ができるかできないか聞いているのです。無理でしょうけれども、可能な限り答えてください。
  15. 河村まこと

    ○河村説明員 現在の技術レベルでございますと、異常の発生状況あるいは異常の程度等により、現在から二、三日以内または現在から数時間以内に発生するという二種類の地震予知情報を報告するというような考え方に立っていろいろな施策がとられておると思います。私どもは大きな地震に関しましては必ず前兆があるものと信じて、一、二度の空振りは許していただくといたしまして、必ず見逃しのないように努めていきたい、そういう所存で監視を続けておるところでございます。
  16. 大石千八

    大石委員 これは気象庁として的確な答弁が難しい点もあることは承知をしておりますが、私が心配いたしますのは、今言いましたように、やはりある意味では多少の空振りすることもあり得るかもしらぬ、その辺のところもある程度国民に認識をしてもらう必要がある。  それから、私も同感でございますが、恐らく全く前兆がないまま、予知観測にそういう前兆があらわれないまま突発的に駿河トラフによる東海大地震が起こるとは私もちょっと、それは素人でございますけれども、これだけやっていらっしゃるのですから、ないだろうというふうには思いますが、今お話しになりましたように、そのような異常が起きてから数時間以内とか二日以内とか、そういったところが果たして的確に把握できるのか。前兆が確かにある、これはどうみても巨大地震の前兆の可能性が高いということがとらえられて、なおかつそれが幾日以内とか何時間以内というようなことがかなり的確にわかるものなのかどうなのか、その辺を承ってみたいと思います。
  17. 津村建四朗

    ○津村説明員 御質問のように常時監視網で異常が発見された場合には、判定会が判定されるわけでございまして、それがどういうふうになるかというのはあらかじめなかなか予想されにくい問題でございます。現在のところは、今、部長がお答えいたしましたように、二、三日以内あるいは数時間以内という程度の確度の予知以上には難しいというのが現状でございます。
  18. 大石千八

    大石委員 つまり、地震の訓練などを毎年九月の一日にもやっておりますし、それから、それ以外に地域的にもやっていることがあるわけでありますが、そのときに、警戒宣言が総理大臣名において発せられるわけであります。異常があったというのを認められると、予知連絡会の先生方が集まって、そこで数時間以内とか二、三日以内とかそういったことが決定をされて、総理大臣名で数時間以内に発生するからとか、あるいは二、三日以内に発生する可能性が高いのでこれこれの地震の準備をしてほしいという警戒宣言が発令されるというふうに訓練でやっているわけであります。そのように明確に予知ができればいいわけでありますけれども、その辺のところはどうなんでしょうかということをお伺いしているわけです。
  19. 津村建四朗

    ○津村説明員 現在の東海地域の地震予知体制と申しますのは、海洋性の大規模地震であります東海地震につきましては、専門的な検討の結果、前兆現象、特に短期の前兆現象を含めてでございますけれども、それの出現の可能性は高いというふうに考えられている、そういう根拠に基づいているわけでございます。気象庁といたしましては、前兆現象が出現する限りこれを見逃さないということで厳重な監視を続けており、前兆現象が出ていたのに見逃したということはないものと信じております。
  20. 大石千八

    大石委員 これ以上はちょっと無理のようでございますので……。とにかく予知がなるべく的確にできるということは、地震対策を講じる上で極めて重要なかぎになってまいりますので、万全の努力を積み重ねてこられておりますけれども、なお予知体制の充実強化について御尽力を賜りたいということを希望しておく次第でございます。  ところで、予知が前提になる、そういう中で、東海地震に対しては先ほどの緊急整備事業等がとられているわけでございますけれども、緊急整備事業は昭和五十五年度から五十九年度まで五カ年間、先ほどちょっとお話で出ましたような避難地避難路を初め、消防用施設あるいは公立小中学校の建てかえ、補強等二十項目に近い重要な、必要なものに対する整備事業が行われているわけでございます。この五年間で三千百億ほどの緊急整備事業が静岡県を初めとした強化地域六県に対して施されてきたわけでございますが、なお残された事業、そして、これはさらにやらなければいけないと新たに認定された新規の事業を加えますと、なお二千四百億程度の追加事業が必要だということで、ことしの三月にそういう事業をやるための特別立法の延長の法案が議決された、それによって二千四百億余りの緊急整備事業の追加を見たわけでございます。  いつ起きるか、前回の大地震以来百三十一年たっておりますから。それをもう少しつけ加えますと、最初の五百年前に起きたときからその次の東海沖巨大地震まで百七年、その次の巨大地震まで百二年、前回の安政年間の大地震まで百四十七年かかっているわけでありまして、その安政年間の大地震から百三十一年駿河トラフが活動を起こしていない、大地震を起こしていないということなものですから、年限的な統計から見ても、いつ起きてもおかしくないということになっているわけでございまして、とにかく予知連絡会が予知をいつ発令するようになるかわからぬということでございますので、まさに緊急整備事業であり、あと五年かけてやれば大丈夫だという問題ではない。これは一日も早く完成するということがよりよいといいますか望ましいわけでございまして、そういう意味におきましては、この委員会でも、緊急整備事業があと五年間というのは長過ぎる、三年以内でやれという強力な御意見もあったわけでございますが、いろいろな事情で、できるだけ三年間でやるが、やむを得ない事業、どうしても五年くらいはかかる事業もあるということで五年延長ということになったわけであります。その後の、延長された後の地震対策緊急整備事業の推進状況とこれからの整備事業計画、こういったものをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 杉岡浩

    杉岡政府委員 衆議院の災害対策委員長の御提案によりまして、地震財特法が今回延長をされまして、ことしの七月にそれに基づく緊急整備事業の変更がございました。これは各県からの要望額そのとおりに変更いたしたわけでございまして、そのトータルは五千六百五十三億円という総額になっております。  その主な中身でございますが、まず緊急輸送道路、これが四百八十四億円の増額になっております。それから、避難地が三百三十億円の増額、それから消防用施設が百二十八億円の増額、公立小中学校の補強が百七億円の増額、それから保安施設が百五億円増額というふうにかなりの増額を見たわけでございます。  現在の、昭和六十年度末の実績見込みでございますが、これが三千七百十五億円というふうに我々は見込んでおりまして、進捗率全体六六%ということになっております。延長いたしたものの六六%ということでございますので、この一年間相当具体的に進捗をいたしております。  ただ、ものによりましては、まだ用地買収あるいは権利の調整、こういったものがございまして、公共団体におきまして鋭意努力をいたしておりますけれども、まだまだ十分でないというものもあるわけでございます。関係省庁それから県あるいは市町村関係の機関におきまして、これの事業の遂行につきまして鋭意努力をいたしてまいる所存でございます。先ほど大石先生からも御指摘ございましたように、早くできるものについては少しでも早くやるという、その覚悟で我々その事業の遂行に努めておるわけでございます。
  22. 大石千八

    大石委員 国土庁長官にも極力このことでは御努力いただきまして、何とか安全の体制が早くとれるように御努力をお願いしたいわけでございますが、御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  23. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 ただいま防災局長がお答えいたしましたように、地震対策緊急整備事業の推進を五年よりも三年にという考えで進めておりますが、東海地震につきましては、いつ起こっても不思議でないということから、緊急整備事業の推進また国、地方を通じた総合的な防災訓練の実施などの対策を推進しているところでございますが、今後とも関係省庁と緊密な連絡のもとに対策強化に努力してまいる所存でございます。
  24. 大石千八

    大石委員 よろしくお願い申し上げる次第でございます。  そこで、ちょっとメキシコ地震日本の協力問題に関して、観点の違った御質問をさせていただくわけであります。  私がメキシコに参りましたときに、建設省派遣の建築関係の技術者の皆さんが現地に来ておりまして、建物の耐震ぐあいあるいはどういう補強をしたらいいだろうか、そういった点の技術協力をしようということでプロジェクトチームが来ておりました。ちょうど同じ宿舎でもございまして、お目にかかっていろいろ積極的な話も聞かせてもらったわけでありますが、現地におきましても、このプロジェクトチームに対して大変大きな期待が持たれていたわけであります。私は、ちょうどそのプロジェクトチームが現地に着いて間もないときのことでございましたので、非常に期待が大きかったということは十分に承知しておりますし、かなり大きな成果を上げてこられたというようにも聞いておりますけれども、具体的にはどんなことで協力をしてきたのか、そして、それがどんなふうに向こうで評価されておるか、建設省に伺ってみたいと思います。
  25. 遠藤二三男

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  メキシコ地震被害復旧に対する国際協力といたしまして、建設省それから大学、地方公共団体建設業界等、いわゆる官学民の建築技術の専門家二十二名を十月十九日から十一月二十三日までという約五週間の長期にわたりましてメキシコ派遣した次第でございます。  このチームの目的は、被災建築物復旧を適切かつ早期に進めるためにメキシコ側の政府関係者や建築技術者に対して技術協力を行う、技術供与を行うということを目的としたものでございます。  その内容といたしまして、第一には、先生も御報告を受けているかと思いますが、被災建築物の被災度の判定を迅速かつ客観的に行う。それから第二に、建築物の被災状況の実態に応じましてその補修、補強の設計方法、これについて提言した次第でございます。  この専門家チームが作業するに当たりましては、また当地で先生から適切な示唆もいただきまして、メキシコ政府とも円滑にうまく共同作業が行えまして、効率よく結果が出たわけでございまして、当地におきましてはいろいろ新聞またテレビ等でもその作業状況等、取材など受けて大きな関心を持たれた次第でございます。  また、その成果につきましては、派遣期間の終了時におきまして現地政府から直接の感謝をいただいておりますし、また国連の方からも、非公式でございますが、各国からたくさんのいろいろなチームが来ておりますけれども、これだけの長期にわたって専門的な技術供与をしたのは日本政府のこのチームだけであるというような評価を受けておるということを聞いております。
  26. 大石千八

    大石委員 日本メキシコ地震に対しまして、安倍外相がすぐ百二十五万ドルを緊急災害援助として持参をしてメキシコを訪れたというようなことがありますし、それから五千万ドルの緊急融資をするという約束をした、こういったことはあるわけでございますけれども、もちろんこうしたお金の面での協力も必要でございますが、日本でなければできない、そういったすばらしい技術があるわけでございますから、そういう意味におきまして、これから諸外国にそういう問題があったときに、お金だけでなしに技術協力によって素早い対応をして、外交上も大変大きな効果を上げられるというようなことを積極的にこれからもやっていただきたいと思うわけでございます。特に、今回のメキシコ地震のそれを教訓としてそのことを十分に我々も認識をしてまいりたいと思いますし、建設省は今度そういう意味で成果を上げたわけでありますが、ぜひ各省庁ともそういった協力のできるものに対しては積極的に協力するという姿勢を持っていただきたいということを最後に希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  27. 中村茂

  28. 川崎寛治

    川崎委員 私は、きょうは桜島活動火山対策の問題について絞ってお尋ねをしたいと思います。  この委員会の冒頭、杉岡局長の方から報告がございました。実は四百十五回という御報告でございましたが、けさまた爆発をいたしまして、ただいまのところ四百十六回になっておりますので、そういう意味におきましては史上最高、こういうことになっております。  先ほどの御報告にもございましたが、ここに現地の新聞がございますが、尚古集成館という島津の歴史館がございますが、桜島側に面しておる七十枚の窓ガラスが粉々に割れましたし、また県警本部の正面の入口ドアは五ミリの厚さでございますが、これが吹っ飛んだ、市役所は玄関の三・五センチ角百五センチのかんぬきがぽっきり折れる、こういうことでございました。三日の午前一時でございましたから人命の問題等はなかったと思いますが、これが昼間であったら大変心配される事態もあるいはあったのではないかなと私は思います。  そこで、まず気象庁にお尋ねをいたしたいのでありますが、予知対策については火山立法の中で大変いろいろと努力をしていただいてまいっております。今、空振であるとか、史上最高の爆発であるとか、この夏場における連続のどか灰であるとか、こういうことを見ますときに、現在の桜島火山活動状況は下降線をたどるということはないのではないかという心配がございます。これは、この法律なり制度なりの運用につきましての基本にかかわる問題でございますので、中長期の見通しがどうなっておるのか、あるいは今、大石委員の方からもメキシコなりコロンビアなりの問題と絡んで東海地震の御質問がございましたが、大爆発の心配は桜島の場合にないのか、気象庁としての御見解を伺いたいと思います。
  29. 河村まこと

    ○河村説明員 地震火山部長の河村でございます。  桜島では依然として活動的な状態が続いておりまして、ことしの爆発回数は、ただいま四百十六回と先生おっしゃいましたけれども、本日の十時現在で四百二十一回を数えております。これは、昭和三十年に現在のような活動が始まって以来最高であった昭和三十五年の四百十四回を既に超えておるところでございます。また、鹿児島地方気象台構内観測しております降灰の量も、一平方メートル当たり現在のところ十六キログラムを超えております。この値も、昭和四十四年に灰の観測を始めて以来の最高値でございます。  このように非常に活発な活動が続いておりますが、これまでの地震活動地盤変動、山腹の地表温度あるいは重力観測等の結果から見て、大規模噴火につながる兆候は今のところございません。しかし、山ろく部に噴石を落下させる爆発とか、現在のように大量に灰を降らせるような活動は、今後かなり長く繰り返されるものと考えております。十二月三日に鹿児島市内で百二十枚という数を聞いておりますが、多数のガラスが割れた爆発がございましたが、これはたまたま当時の気象条件との相乗効果によるものと考えられておりまして、空振の規模は割合に大きかったわけでございますが、爆発そのものは爆発地震ですとか噴石の状況等から見まして特別に大きなものではございません。したがって、大規模噴火につながる前兆ではないと私ども考えておるところでございます。
  30. 川崎寛治

    川崎委員 今、河村地震火山部長説明のとおりに、大爆発はないといたしましても噴石あるいは大量の降灰、こういう点では大変厳しい状況にあろうかと思います。  そこで、もう一度お尋ねいたしたいことは、この鹿児島市が五十五万、その周辺地域といいますと百万の住民でございますが、こうした活火山と同居しておる地域が日本あるいは世界であるのかどうか伺いたいと思います。私は、この鹿児島しかないと思っておるのですが。
  31. 河村まこと

    ○河村説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。  五十万都市というような大都市が十キロというほどの近くにあるということは全世界でも非常にまれなことであろう、そう思うわけでございます。
  32. 川崎寛治

    川崎委員 そこで、最後に河本長官にお尋ねをいたしますので、ずっと聞いておいていただきたいのです。時間がないので少しずつ大変詰めた御質問をいたしますので、申しわけございませんけれども。  四十八年にこれを立法しましたときは避難道、避難港、退避ごうと、爆発したらということで立法したわけです。五十三年の大改正のとき、たまたま私、当委員会委員長をいたしておりまして、大変皆さんの御協力でこの大改正ができたわけでございます。そのときに降灰除去という制度を入れていただきました。また、防災営農についても大変強化をしていただいたわけでありますし、その点については「増税なき財政再建」という大変厳しい財政の中でも、桜島活動火山対策といたしましては、私は国としては非常に見ていただいておる、こういうふうに感謝いたしております。  ただしかし、今気象庁からの御答弁のように、今の状況を考えますと、相当中長期にかかわる問題です。そういたしますと、消防が火災を予防するために機材と人員と大変なお金をかけて配置をし、待機をしておる。そういたしますと、活動火山につきましても、思想的というか物の考え方といたしましては、今この鹿児島の一地域に限られておりますから大変特殊な地方の問題だ、こういうことに限定されがちでございますけれども、しかし活動火山法というのは、国の責任ということでいろいろ面倒いただいておるわけでありますので、消防と同じような思想といいますか考え方で対処をしていただかなければいけないのじゃないかと思うわけです。 そこで、今後の対策強化ということをいろいろお願いをしたいわけでありますが、今国道は国の責任で降灰除去、それから県道は県の責任で除去、それから市道につきましては市の責任ということになっておりますが、市道の降灰除去という維持管理につきましては業者に委託をしておる。つまり、取り除いてこれだけ以上の物がありますときには除去費を見ましょう、こういう仕組みになっておるわけでありますから、その点がことしの夏のどか灰の場合に十分対応できなかった、そして市民の大変ないらいらをもたらしてきた点ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。  そこで、今幾つかのことを申し上げましたが、そういう中からまず第一に、大型のロードスイーパーに対する補助、これは建設省だと思いますが、五十九年度で補助の打ち切りになっておる、きのう建設省がそういう説明をしたものですからおかしいなと思ったんですが、これはずっと続いているというふうに見てよろしいですか。
  33. 帆足建八

    ○帆足説明員 答弁先が建設省ということですが、活火山対策の特別措置法に基づく降灰除去事業に直接必要な機械器具の借り上げ、購入等に必要な経費の補助は私どもの課が所管しておりまして、本年も鹿児島市に大型のスイーパ-ー一台と小型のスイーパー一台、それから散水車一台を補助しておりますし、来年度もそういう御要望がございますれば、実態をよく検討してその補助制度は継続するつもりでございますので、それはちょっと違う費目のことだと思いますが……。
  34. 川崎寛治

    川崎委員 いや、大型スイーパーの話でございました。それは結構です。そういうことで進めていただきたいと思います。  そこで、今鹿児島市あるいは桜島町、それぞれの市町村は夏のどか灰を通じて大変苦慮し、対策に努力もいたしてまいっておりますが、一カ月も続きますと、従来のように、降った、業者が取り除いた、あと面倒見てもらおう、こういうテンポでは間に合わないわけですね。だから、国道についても県道についても緊急除去、二、三日以内には取り除くということになりますと、それぞれの維持管理者としての強化をお願いしなければならないと思いますが、もっと細かい市道、町村道あるいは生活道ですね。例えば今度の場合も国道、大きなメーンをやりますから、団地などは後回しになっちゃったのです。そうしますと、市道なり生活道なりの緊急除去体制ということになりますと、鹿児島市も降灰対策本部をつくり、また市民にも呼びかけて町内会が一斉に灰取りをやるということで今取り組んではまいっておりますけれども、私、伺いますところ、静岡県や宮城県では地震対策として地域の防災体制というのをつくっておるそうでありますが、そうした地域組織というものについてどういうふうに考えておるのか、あるいは全国的な例というものはどうなっておるか、伺いたいと思います。
  35. 杉岡浩

    杉岡政府委員 今回の桜島のどか灰に対しまして、昨年の十二月に桜島の懇談会を設けまして学識経験者にいろいろな角度から御検討していただいたわけでございます。その中の一つといたしまして、道路降灰除去のための連絡調整会を設けることによりまして、国あるいは県市等がそれぞれ所有しております清掃車をお互いに利用し合うということで効果を上げてきております。また、鹿児島市も補助事業といたしまして今回二台の清掃車を買ったということで、国県市町村挙げて降灰防除に努力をいたしております。  ただいま川崎先生の御指摘がありましたように、国県市町村が短期間に生活道路の隅々まですべて除去するということは非常に難しい問題があるわけでございます。やはりこれは一種の災害でございますので、こういったものに対しましては公共と民間が一致協力して対処するということが必要であろう、地域ぐるみの防災対策ということが必要であろうかと思っております。これは桜島の灰だけではなくて、防災対策全体の基本的な考えであろうかと思います。  そういう点におきまして、ただいま先生御指摘のございましたように、宮城県の地震がございまして、それ以来急遽自主防災組織が六八%に上がったわけでございますし、また東海地域におきましては九十数%、一〇〇%近い自主防災組織の組織率になってきておるわけでございます。行政と住民が一致して防災に当たるということでございます。我々といたしても、こういった桜島のどか灰を生活道路等につきまして短期間に防除するためには、行政と地域住民が一致して協力するための自主防災組織といったものをつくっていただいてこれに対処していただきたいとかねがねから県や市等ともお話をしておるわけでございます。
  36. 川崎寛治

    川崎委員 市もそういう降灰対策本部をつくり、町内会もそういう体制ということになりますと、今局長から御答弁のように、自主防災組織という方向の検討がどうしても必要だろうと思うのです。  そういたしますと、今のような大型のロードスイーパーだけではどうしても機能できないわけです。地域の消防団分団単位あるいは町内会単位ぐらいになりますと、小型の機械の購入ということがどうしても必要になる。全面的にそういう体制づくりをしようとしますと、今日の市の財政にとっても大変苦しいわけです。今建設省に聞きますと、小型の機械は十五万円以上でなければ補助対象にならない、こういうことでございます。これは一台一台で見るとそうだけれども、市全体で包括して考えれば補助対象ということで考えてもらえるのじゃないか、また考えてもらわなければいかぬのじゃないかというふうに思うわけです。ですから、そういう自主防災体制組織をつくることについては、私は冒頭に消防と同じような思想で考えてほしいと申し上げました。今、小型の手押しの場合は九万八千円ぐらいだそうで、十五万に入らぬわけです。だから、この単価を下げるか包括で考えるか、こういうことで見直しをぜひやってもらいたい、私はこう思うのです。いかがですか。
  37. 帆足建八

    ○帆足説明員 降灰除去のための小型機械の使用状況等につきまして、実は私どもまだ鹿児島市から詳しく聞いておりませんので、十分聴取いたしまして検討してまいりたいと思っております。
  38. 川崎寛治

    川崎委員 検討したいと言っていただいておりますから、国土庁長官もこの点についてはぜひ前向きに努力していただきたい。いかがですか。
  39. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 私も桜島現地を親しく見て、住民の方々の気持ちも十分に酌み取っております。昨年十二月の桜島火山対策懇談会の提言をよく聞きまして、現在関係省庁と緊密に連絡をとって全力を注いでおるところでございます。今後とも引き続きその推進を図っていきたいと思います。先生御指摘の隅々までの降灰の除去はなかなか難しいことでございますが、結局は地域の連帯意識も深めながら、行政と住民との緊密な連絡のもとにこの対策に万全を期していきたいという考えでございます。
  40. 川崎寛治

    川崎委員 今建設省検討したいと前向きに言っていただきましたが、何といっても国土庁が窓口ですから、国土庁がそのつもりになって建設省と話し合ってもらわなければ進みませんので、長官あるいは局長から国土庁としてひとつ……。
  41. 杉岡浩

    杉岡政府委員 ただいま建設省の防災課長の方から御答弁がございましたが、国土庁といたしましては桜島火山対策の総括をいたしております立場から、建設省とも十分話をしながらその対策を進めていきたいというふうに考えております。
  42. 川崎寛治

    川崎委員 ありがとうございました。  あと十分しかありませんので、少しスピードを上げてお尋ねをしますが、防災営農の方も、これは大変進めていただきまして今四次防、防衛費の方じゃなくて第四次防災営農の方ですが、これは六十一年度で終わる。そういたしますと、六十二年度からどうするかというのが一つありますが、ビニールハウスが噴石や降灰で非常な被害を受けているわけです。一年間のうち半年ももたない、こういう状況もあるわけです。今国土庁あるいは農水省は、国土庁予算でこの優良資材の開発のために調査研究を実施していると伺っておりますが、これの進捗状況はいかがですか、伺います。
  43. 吉國隆

    吉國政府委員 桜島火山噴火物、特に降灰火山ガスによります被覆資材の破損が著しいということは御指摘のとおりでございまして、お話ございましたように、耐久性の強い優良な被覆資材の開発という見地から、国土庁の災害対策の総合調整費をちょうだいいたしまして、鹿児島県への委託調査という形で、昨年度五十九年度から調査実施を進めておるところでございます。  被害の実態はどういう原因でどういったプロセスで被覆資材等の劣化が進むのかといったこと、それからまた、資材そのものの耐久性の調査ということで進めてまいっておるわけでございます。六十年度におきましては、さらにその被覆資材が中の作物の生育にどういう影響を及ぼすかという点を含めまして、夏場の生育期間を通じました調査を続けておるところでございます。現在の予定としましては、本年度の末に総括取りまとめをしたいということで調査を進めておるところでございます。
  44. 川崎寛治

    川崎委員 もう一つ、六十一年度で四次防が終わりますね。六十二年度以降の第五次防災営農ということについては、状況は悪化しているわけですから、そういう意味では強化してもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  45. 吉國隆

    吉國政府委員 第四次の防災営農施設整備計画が、お話ございましたように、六十一年度で終わりますので、その後どう取り扱うかという問題でございますが、現在の噴火状況等からしまして、鹿児島県の方では、六十二年度以降の対策として、新たな防災営農施設整備計画をつくるという方向で検討を進めておられるというふうに承知をいたしております。私どもとしては、鹿児島県とも十分に協議をし、また関係省庁と協議をして対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  46. 川崎寛治

    川崎委員 よろしくお願いしたいと思います。  そこで、文部省に三つお尋ねします。  まず、プールの上屋ということで随分いろいろ御苦労もいただいてまいりました。なかなか金がかかる。今いろいろ開発をしまして、プールシャッターというものが試験研究も実際に進められておるわけですね。ですから、夏場は子供たちが校庭でも遊べないという状況でございますから、このプールシャッターをぜひひとつお願いをしたい。そして、それは早急に設置してほしいということが一つ。  それから、校庭については、大変ひどかったものを災害復旧で見てもらうということで、文部省と大蔵省が近く現地調査、こういうことのようでございますが、災害復旧としての今後の進め方。  それから三番目には、長官もひとつ頭に入れておいていただいて、少し時間がかかる問題かもわかりませんが、噴火の予知の方は京都大学の火山研究所と地方気象台というのがあって、世界的に見ても相当いろいろ努力していただいておる、私はこういうふうにお礼申し上げたいと思います。ただ、先ほどもお話がございましたが、五十万の市民が同居しておる。鹿児島大学があるのですね、地球物理もあるのです。ところが、火山学がないのです。噴火については予知の機関がある。ところが、噴出物、つまりあそこのマグマというのは国の所有物なんですね。そこから出てきている噴出物については、同居しておる中で、しかも大学がありながら、その大学が噴出物の勉強をしないということは、国際的に見ても、コロンビアとかメキシコとかいろいろ見ましても、どうしても火山学という講座を設けなければいかぬ、私はこう思います。  文部省、この三つ、五分しかありませんから、ちょっとスピードを上げてください。まだ、あと二、三やらなければいかぬのです。
  47. 岡行輔

    ○岡説明員 お尋ねの第一点について、私から御説明いたします。  桜島火山降灰防除のための学校プールの上屋の整備についてでございますけれども、文部省としましても、従来から特別の積算をいたしまして整備に努めてきたわけでございますけれども、ただいま先生御紹介のように、最近、新しい形の比較的簡易な上屋が開発されております。来年度につきましては、その新しく開発されたような形のもので整備を進めていきたいというように考えております。特に、先ほど来いろいろ御紹介がありますように、降灰が非常に厳しい状況にあるということを踏まえまして、地方公共団体の要望も十分勘案して、できるだけの措置を講じてまいりたいと考えております。
  48. 篠塚脩

    ○篠塚説明員 学校のグラウンドの降灰除去を災害復旧の対象として対応せよというお話でございますが、学校の降灰除去に要する経費につきましては、降灰が一時に多量にあるなど被害程度が著しく大きいものにつきましては、公立学校施設災害復旧費国庫負担法を適用したケースがございまして、おっしゃるとおり、近く現地調査を進めてまいりたいというふうに予定しております。
  49. 佐藤禎一

    佐藤説明員 鹿児島大学におきましては、先ほども御指摘のとおり、理学部地学科の地球物理学講座におきまして、火山学、地震学等含めて教育研究を行っているわけでございます。これに続きまして、進んで特別の講座をというようなことは、大学の中にも御意見がございますが、そういった講座の設置がよろしいか、あるいは共同研究体制をより強化するのがよろしいか、あるいは財政状況ということもございますが、いずれにいたしましても大学内部における教育研究体制の問題でございますので、大学におきます検討を待ちまして対応させていただきたい、かように考えております。
  50. 川崎寛治

    川崎委員 大変時間がなくなってきましたので、急いで二つ、国税庁と中小企業庁。  降灰除去について雑損控除のための五万円、これは大変御苦労をいただいたと思います。ところが、実際に所得税法の施行令でまいりましても、なかなか五万までいかぬのです。水道料などは中小企業者も非常にうんと水道を使っておりますし、また個人も使っております。そこで、所得税法施行令の適用については相当拡大をしてやってほしい、こういうことが一つです。  それから二番目に、中小企業庁は、中小企業の対策としてはアーケード、照国通りに今一つ進められつつありますけれども、やはりアーケードを商店街の中心的な地域に設置するということについても進めてもらいたいということで、時間がありませんので、国税庁と中小企業庁にお尋ねをいたします。
  51. 加藤泰彦

    ○加藤説明員 お答えいたします。  本年のように異常噴火と言われるほどの相当の降灰量があった場合に、生活用資産に関しまして、降灰を除去するために行われた支出は所得税法施行令に規定する、要するに「被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」ということに該当して、雑損控除の対象となるわけでございまして、具体的には、降灰の除去のために雇用した者に対して支出した賃金とか旅費、食事を提供した場合の食事の費用等、あるいは集積した降灰を投棄するための灰を集める袋の購入費用とか借用した車両の借り上げ料とか、そういうようなものにつきましてこれを対象にするわけでございますが、さらに、被害の拡大または発生を防止するために緊急に必要だというような場合の、降灰を除去するために支出したことが明確に区分できる部分の水道代についても、これを含める取り扱いをするようにしたいと考えております。
  52. 坂井宏

    ○坂井説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、商店街の降灰対策といたしまして、アーケードの建設というのは一つの有力な手段であろうというふうに考えております。したがいまして、私どもといたしましては、中小企業事業団、それから都道府県の資金負担によります中小企業高度化資金融資制度という制度がございます。商店街のアーケードづくりということでございますれば、中小小売商業振興法に基づきまして商店街整備計画の認定を受けますれば、無利子、融資率八〇%、返済期間十五年以内という極めて有利な融資制度も用意しておりますので、こういう制度を活用しつつアーケードの建設というものも進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  53. 川崎寛治

    川崎委員 時間を超して済みません。  最後に要望でございますが、四十八年の立法、五十三年の大改正、今日、こういうふうに見ますと事態がむしろ悪くなっておる、そして厳しくなっておる。これは一年じゅう降っているわけです。鹿児島市だけじゃなくて、垂水とか鹿屋とか福山とか、一年じゅうずっとまんべんなく降っておりまして、夏場鹿児島市に行きますから目立つわけですが、もしこれが東京でしたならば恐らく大問題だろう、こう思います。  そこで、この法律については、冒頭申しましたように、また建設省にも御検討いただいたように、自治省はきょうは御相談する時間がありませんので省きたいと思いますけれども、この問題については、消防と同じようにもう一つ踏み込む。あるいは豪雪地帯の場合ですと、雪国は、三千三百市町村の自治体の中の千を超す自治体がありますね、県でいけば四十七都道府県のうちの半分以上。こうなりますから大変制度がきちっとしておる。ところが、この桜島鹿児島の問題だ、こういうふうに局限化されがちです。ですから、この点についてはぜひひとつ今後対策強化してもらいたいということをお願いしまして、私は終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  54. 中村茂

    中村委員長 武田一夫君。
  55. 武田一夫

    ○武田委員 私は、災害全般に関しましてお尋ねをしたいと思います。  我が日本というのは、御承知のとおり地震あるいは火山噴火台風、豪雨あるいは豪雪、こういういろいろと多くの災害被害を受けやすい地理的条件のもとにあるというような気がしてなりません。さらに、最近は都市化の進展に従いまして、産業施設や建造物の大型化、これがやはり被害規模をさらに大きくするという予想もされるし、現実にそういうこともあり得る。したがいまして、国としてはこうした状況のもとで、国民の生命と財産を守るという観点から、地震の予知あるいはまた災害、特に震災対策、雪害対策あるいは都市、コンビナート防災対策等の諸般の対応が重要な課題となっていると私は思うわけであります。  そこで、まず最初に科学技術庁にお尋ねをいたしますが、こういう問題につきましての安全の確保、それから原因の究明あるいは未然防止、復旧等、そういうもろもろのことを目的とした総合防災科学技術の研究開発の推進というのは私は非常に大事ではなかろうかというふうに思っているわけでありますが、こうした問題についての実情はどのようになっているものか、その点をまず最初にお尋ねをしたいと思うのでございます。
  56. 高多康次

    ○高多説明員 お答えいたします。  火災とか震災等を網羅いたしまして総合的な科学技術の開発を進めるということは非常に重要なことでございますし、しかも、こういうことは関係各省庁の力を合わせて研究をしなければならないことでございますので、昭和五十六年度より五年間の予定で、つまりことしが六十年度で最後でございますが、科学技術振興調整費によりまして、首都圏における直下型地震の予知及び総合防災システムに関する研究というのを実施中でございます。  この研究の中で本年度、昭和六十年度におきましては、主なものといたしまして、科学技術庁の国立防災科学技術センターによりまして大地震の早期検知・警報伝達システム及び信頼性の高度化という研究を行っておりますし、警察庁の交通局が自動車のドライバーへの早期検知・情報伝達技術の開発及び既存の情報伝達技術の高度化をやっております。また、自治省の消防庁消防研究所、建設省建築研究所、厚生省の薬務局、それから科学技術庁の国立防災科学技術センターが共同で火災拡大予測手法の開発というのを行っておるところでございます。本年度の予算といたしましては、総額約九千万円を計上して行っております。  以上でございます。
  57. 武田一夫

    ○武田委員 国土庁に聞きますが、今科学技術庁からいろいろ個々の問題を聞きました。国土庁としては、要するに全体の窓口として調整をしたり連絡関係をまとめるとか、いろいろそういうお仕事をなさるのじゃないかと思うのですが、ちょっと聞いたところによると、総合防災科学技術の研究開発の面ではまだちょっと弱いというのが率直に言いますと実態のようでございますから、今何点か具体的な話がありましたが、今後重要な課題として積極的にこういう問題を進めていく、そして総合的な観点から国土の安全、生命財産の保障という重要な責務を果たしてもらいたい、こう思うのですが、長官の方からひとつ御所見を聞かしてください。
  58. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 お説のとおり、災害の未然防止を図るためには、災害発生機構の解明や予知技術の開発などを積極的に進めていく必要があると考えております。今後とも関係省庁と緊密な連携をとりながら、総合防災科学技術の研究開発が促進されるよう努力してまいりたいと考えております。
  59. 武田一夫

    ○武田委員 次に、林野庁と建設省にお尋ねします。  いわゆる第六次治山事業五カ年計画、それから治水事業五カ年計画、これは進行中です。そこで、治山事業五カ年計画の中で復旧治山事業、予防治山事業、それから地すべり防止事業というのは順調に事業が進んでいるものかどうか、その現状をひとつ。それから、治水事業五カ年計画については、河川改修事業、河川流域の安全確保のための防災遊水地の設置等の状況というのはどうなっているか、まずこの点について、それぞれの関係省庁から御答弁をいただきたい。
  60. 船渡清人

    ○船渡説明員 お答えいたします。  第六次の治山事業五カ年計画につきましては、一兆四千七百億という計画額で昭和五十七年度から実施しているわけでございますが、六十年度までの四カ年間の実施見込み額が八千六百二十八億円ということになりまして、その進捗率は五八・七%となる予定でございます。このような進捗状況にあるわけでございますが、最近、激甚な山地災害も多発していることでございますので、従来から荒廃地あるいは荒廃危険地、地すべり地等の復旧整備に重点を置いて実施してきておるところでございまして、今後ともこれら山地災害の未然防止を図るために治山事業の一層の推進に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  61. 寺田斐夫

    ○寺田説明員 第六次治水事業五カ年計画でございますが、五十七年度から施行しております。六十年度で第四年度目でございまして、当初予算を含めまして六二・四%の進捗率で、六十一年度の概算要求で現在いろいろ要求中でございますが、それを入れても八〇%に満たないのではないかということで、進捗率が非常におくれておる現状でございます。
  62. 武田一夫

    ○武田委員 今建設省の方では、正直におくれていると言う。このままでいくと両者の達成率はかなり低いんですね。昭和四十七年から行われた第四次、五十二年からの第五次に比べると第六次は、特に治水事業五カ年計画の場合なども、全体としてせいぜい八〇%ぐらいいったらこれは最高ではないかという気がする。林野庁の方も五九%弱ですから、第四次、第五次と比べると、これもかなり厳しいですね。こういうことを考えると、公共事業の抑制によるたたりがここに来ているんだというのですが、これは非常に重要な問題だと思うのです。ですから、これは今後どこかで相当埋め合わせをしないと、いざというときにおくれた分の被害をどっと受ける地域というのは大変な問題になりますので、この点の対応はどういうふうに考えているのか、両者から……。  このままいったら恐らく林野庁の方は、七五%ぐらいまでいったら精いっぱいじゃないか。その後またおくれていくわけです。というのは、この六十一年度で第六次が終わるということは、もうそろそろ第七次というものを考えなくてはいけないわけです。そのときにまたこれがおくれて、そのため地域住民に対する不安というものを助長することになれば、これは大きな問題となるわけで、両庁としてこのおくれはどういうところでどのように取り返していくか。そして、もしこれが予算的な問題で十分なされない、そういう心配があるときには、それにかわる第二次の対応というのはそれなりに考えなくてはいけない、こう思うのですが、その点何かお考えがございましたら聞かしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  63. 船渡清人

    ○船渡説明員 お答えいたします。  ただいま先生お話しございましたように、六十一年度概算要求をいたしておりますものを満度にやったといたしましても七三%ちょっとというようなことでございまして、達成率がその程度にとどまるだろうというふうに考えられているわけでございますが、私ども、緊急を要する箇所から対処してまいりまして、できるだけ災害の未然防止に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
  64. 寺田斐夫

    ○寺田説明員 近年の財政制約のもとで、第六次治水事業五カ年計画は、先ほど申しましたように、達成の見通しは極めて厳しい状況にありますが、治水事業の重要性にかんがみまして、今後ともその推進に努力していきたいと思っておりますし、先ほど治山の方でも申されましたとおり、緊急を要する箇所から重点的に予算をつけながら災害に対処してまいりたいと思っております。
  65. 武田一夫

    ○武田委員 そういう事情は私もわかるのでありますが、そうなれば、先ほど私が申し上げましたように、災害のおそれのある地域がたくさんあります。  これは建設省にお尋ねするのですが、一例を挙げますと、急傾斜地の崩壊危険箇所とか土石流危険渓流、地すべり危険箇所というのは大変な箇所数があるわけです。こういうような、おくれるためにそういう危険が放置されている所に対しては、十分なる監視体制を整えて、いざという場合に住民の安全を保障するだけの対応は必要だと思うのでございます。  そこで、そのことと関連しまして、まず最初に、今三つ挙げて建設省にお尋ねしたその箇所ですね、これは今どのくらいあるのでしょうか。
  66. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいまお尋ねの危険箇所についてお答えいたします。  土石流の危険渓流につきましては、約六万二千渓流ございます。それから、地すべり危険箇所につきましては、約五千七百カ所ございます。急傾斜地崩壊危険箇所につきましては、約七万二千カ所ございます。
  67. 武田一夫

    ○武田委員 すると、大体十四万カ所ですね。これはふくそうしている場所もあるでしょうから、危険な箇所は少なく見積もっても六、七万カ所くらいはある、そういうことになるわけですが、こういう所の監視体制というのは十分になされているものかどうか、そのための手だてというのは何かお考えなのかどうか、その点どうなんですか。
  68. 成田久夫

    ○成田説明員 土砂災害被害を軽減するためには、いわゆる砂防ダムあるいは地すべり防止工事、あるいは急傾斜地崩壊防止工事という、施設でもって対応するいわゆるハードな対応がございます。一方、こういったハードな対応だけで危険が十分除去できない所につきましては、危険が予測できる時点で警戒避難をしていただくというような、いわゆるソフトな対応がございますが、現在私どもでは、土石流の発生監視装置と伝達システムを組み合わせました土石流予警報システムというものを検討いたしておりまして、それを積極的に実施していきたいと考えております。  具体的には、総合土石流対策モデル事業ということで、直轄の地域で昭和五十九年から、五十九、六十年度二カ年で現在七カ所実施をいたしておりまして、いろいろこういったソフト面の対応の問題点の把握に努めております。これらの問題を十分把握いたしまして、今後ともそういったソフト面でも対応してまいりたいと考えております。
  69. 武田一夫

    ○武田委員 これまで土砂災害というのは人的被害を含めて相当ございます。五十六年から今日まで見たところ、大体六、七、八、九という時期に集中的に雨、特に雨によって被害があり、人的被害は必ず十人から多いのには行方不明を含めて二百六十人近くということでございまして、この六万、七万という地域の中でそういう危険にさらされている地域がたくさんあるということでありますから、この生命の安全の保障ということは大事な責務でございます。  そこで、今いろいろとそういう問題についての対応もなさっているようでありますが、この間私は東京国際防災展を見てきました。長官は忙しくて見られなかったようでありますが、残念であります。非常にいろいろと研究開発がなされておりまして、日本の科学技術の粋を集めたものを篤と見てまいりました。そのときには土石流の予警報システムというのをちょっと見てきたのでありますが、これなどは拓和という会社ですか、日本無線とか、こういうような会社の研究の簡単なパンフレットを見まして、その中身がどうなのか、これで安全なのかどうか、あるいはまたこれらの性能はどうなのかというのはそちらさんの建設省の方で御存じだと思うのですが、こういうものが適切にそういう所に置かれてそれで一応の、万が一の場合の安全対策として、手だてとして役立つならば大いに結構なものだと思って戻ってきたのであります。  今答弁を聞くと、何かそういうことも含めて検討していくということでありますが、こういうものは今後各地におきまして有効に働くものであるかどうか、その点もう一度聞かしてほしい。そして、これはどのくらいの研究、これを見ますと特許申請中ということでありますから今いろいろと実験的な研究などもやっているのでしょうが、その結果というのはどういうものか聞かしてもらいたい、こう思うのですが、いかがですか。
  70. 成田久夫

    ○成田説明員 先ほどもお答えいたしましたように、ソフト面での対応も十分土砂災害被害を軽減するのに役立つというように私どもは考えております。したがいまして、こういう土石流発生監視装置のいわゆる技術的な問題を、建設省では建設省の技術評価規程に基づきましていろいろ評価をしてまいっております。本年度におきましては八月にこの技術評価をいたしまして、先ほど先生の御指摘のありました機種も含めまして十一機種について私どもは評価をしております。今後につきましては、現在モデル事業をやっておりまして、いろいろ機械の問題点あるいは雨量基準の設定につきましてまだまだ検討しなければならない点もございますので、その辺を含めて検討し、さらに推進をしてまいりたい、かように思っております。
  71. 武田一夫

    ○武田委員 いろいろとバックアップできるものはバックアップしながら、早急にいいものをきちっと配置できるようにしてほしいな、こう思うのです。  それからもう一つ。そのとき財団法人河川情報センターというものの存在を知りまして、これは最近できたそうでありますが、そこでも河川情報を提供しながらそういうものに対応するということで、立派なパンフレットをいただいてきました。これは、端末機を入れまして各市町村に情報を提供するということのようですが、このシステムを見ますとちょっと気になることがあるので確認しておきたいのですが、「財団法人河川情報センター」というものとして、「寄附者及び寄附予定額」として地方公共団体から五億二千万、都道府県から四億七千万、政令都市から五千万、民間諸団体から約十五億円というものを予定している。随分予定しているのですが、国の補助金としては研究開発の補助三千万円を差し上げて発足した。それで、この「情報事業」を見ますと、「地方センターの開設にあわせて、情報提供業務を行う。」というので、もう既にスケジュールが決まっているのですね。地方センター開設予定年月日が、一番早いのが六十一年四月、東京、名古屋、大阪、福岡、その次が高松六十二年、広島六十二年、そして六十三年が仙台、新潟、六十四年札幌、こういうようになっているのです。これについて建設省の河川局長は、この中で「建設省河川局としても、」「事業運営等において全面的にバックアップすることにしております。」こういうことでございます。  それで、この理事長の川本さんのあいさつによると、「河川・流域情報の収集に関しては、建設省、北海道開発庁、沖縄開発庁並びに全国の都道府県が、長年にわたり整備されてきた観測システムからデータを提供していただきます。」こう言うのです。そして、この端末装置について、費用は、情報受信料として年間七十万から百万、端末機五年間リースの場合年間約七十万というのですが、これはどうも、いろいろな点でおんぶにだっこされていながら各市町村、特に公共事業にこういうことをやるのはちょっともうけ過ぎ、行き過ぎじゃないかな。この点どうお考えになりますか。特にこういう地域の町村なんというのはそれでなくても財政的に大変なんですから、そういうことを考えますと、情報の受信料が七十万から百万、端末機が五年間リースの場合年間七十万ですから結構な金額です。これはどういうふうにお考えですか。ともかく建設省の河川局長は、これは全面的にバックアップすると言っているわけでありますから、建設省の責任も大きいわけです。三千万の国庫補助もやっているわけですから、その点でひとつ確認しておきたいのです。
  72. 寺田斐夫

    ○寺田説明員 先ほどから何回も出ておりますように、我が国はその自然的、社会的条件から、一たび災害発生しますと貴重な生命が失われております。それから、莫大な資産が被害を受ける状況に置かれているわけであります。河川情報センターは、災害時に防災情報を迅速にかつ正確にわかりやすく伝達するために、機器を開発いたしまして、一括して情報の処理、加工を行うことによりまして、簡易でかつ安価にこれらの情報を受ける体制整備しようとしているものでございます。地方公共団体が個々に整備するよりもはるかに有利な形で整備できるということで、各地公共団体からの要望も非常に強いものでございます。今後河川情報センターの情報が十分活用されるならば、防災行政に大いに寄与し得るものと確信している次第であります。
  73. 武田一夫

    ○武田委員 民間諸団体からの約十億の寄附というのは、これはどういうところを想定しているわけですか。
  74. 寺田斐夫

    ○寺田説明員 主として河川を利用しておられる方々、例えば電力会社とか、それから情報をやっていただく報道機関、NHKさんとか民放関係の方とか、それから機器の開発を一緒にやっていただく機器メーカーの方々というような方を予定しておるところでございます。
  75. 武田一夫

    ○武田委員 わかりました。  あと、これは今後発足して各地で動くのですが、そのときにいろいろな費用とかの問題、殊に町村ですね、過疎の町村等でこういう危険な地域があるところに対する対応をもう少し柔軟に考えて、情報提供としてたまに無料でやる地域も出てもいいんじゃないかという気がする。県とか総合的にバックアップするわけですからね。その点も含めて事業団の方との御検討を願いたい。これは始まってみればいろいろな問題が出てくると思うのですが、その前にそういうようなことの心配がないかどうか。早いのは六十一年の四月からですからね。仙台とか新潟というのは随分遅くやるわけです。これは事情があるのでしょうが、そういうところの大変な地域の財政状況なんか考えて、建設省としてひとつ相談に乗ってもらいたい、こういうふうに思います。  それで、時間ですので最後に大臣にひとつお尋ねしたいのです。  昨年の総理府の「防災に関する世論調査」によりますと、我が町は安全だというふうに思っている人が全体の七〇%なんだそうです。それで、四〇%の人が地震に対する用意は何にもしてない、こういうアンケートが出た。まあ自分の町が安全だと思うのは非常に結構なんですが、安全だと信用している町が突然安全でなくなるというケースは、私は宮城県沖地震のときは篤と経験いたしました。宮城県というのは、仙台というのは絶対に地震が来ないと聞いていたものですから、あんな大変な地震が来るとはとんと我々も意識の中になかったのであります。たまたま夕方どきに直下型地震というのを私も初めて体験しまして、大の男が縁側からぶん投げられるというような強烈なものもあったわけであります。こういうことを考えますと、要するに危険に対する正しい認識と正しい処理の必要性というのは本当に大事だと思うのです。ですから、そのための日ごろのPRか何かいろいろしておかぬといかぬと思うのですよ。  私、いつも思うのですが、今どう考えてもテレビの時代ですね。テレビで、NHKなんかでも、例えばお昼前の三分間、四分間はいろいろなコマーシャルみたいな、そして最後は針が回りまして六十秒になるわけでありますが、例えばああいう字幕を利用しまして、日ごろから例えばビルで煙が充満したときはどのようにしてそこから逃げたら安全かというような具体的なものを、一つずつでもいいんです、毎日やるとすると三百六十五日なんですから、それを繰り返しておけば、人間というのは自然と頭の中にいざというときの対応というのは、毎日見ている中で無意識の中にぶち込んでいるのじゃないかと私は思うのです。この間、私は質問をとりに来た方に、もし煙が充満して階段をおりるときはどういうふうにおりたらいいのでしょうか、こう聞いたら、そうですね、それはそこを一生懸命走ればいいんでしょう、そういう話。正直言うと、いわゆる消防庁や国で避難のときのあれをちゃんと出しているのだけれども、見てないわけです、関係省庁の皆さん方も。ですから、そういうことを考えますと、やはりそういうものを常日ごろ何回でも繰り返しながらやっておく中で、国民がひとしく自分でそういうものに対応するというものを国として考えたらいかがか。  私は、地震の心配はうんとあると思います。東京でもしあの仙台くらいの地震があったらどうなるのかと考えたら、ぞっとしてしようがありません。東京でどこにいたら安全だと言ったら、国会はまず大丈夫だ、こう言うのでありますが、それもわからぬ。そのときに国会の周辺に一万人か何万人かわからぬけれども陳情の人がいて、地理のわからないその人たちが大騒ぎをしたらどうなるのか。そういう最悪の場合を想定したとしても、もし一人一人がそういうものを頭の中に畳み込んでおけば混乱が回避できるのではないかという気がしてならぬので、そのことについて少し長官としての御所見をお聞きして、十分までですが、早目に終わります。よろしく御答弁お願いしたいと思います。
  76. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 災害に対する準備でございますが、やはり日ごろから災害に対する備えを十分に教育して、災害時の適切な防災活動を展開できるようにしておかなければならぬということが必要でございます。このため政府におきましても、ちょうど先般、九月一日を防災の日、また、この日を含む一週間を防災週間といたしまして、これらの期間に重点を置きまして、国、地方公共団体、防災関係機関の緊密な連絡のもとに、防災に関する展示会であるとか講演会であるとか、防災訓練、テレビやラジオを使用した広報活動などを実施いたしまして、国民の防災意識の普及啓蒙に努めたところでございます。今後とも国民の防災思想の高揚や防災知識の普及啓蒙につきましては積極的に取り組んで、PRに努めていきたいと考えておるところでございます。
  77. 武田一夫

    ○武田委員 それでは、ひとつ十分な対応をお願い申し上げまして、質問を終わります。
  78. 中村茂

    中村委員長 この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時三十九分開議
  79. 中村茂

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安倍基雄君。
  80. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 災害問題というのは本当に大切な問題でございます。つい最近外国のコロンビアで大災害があったというぐあいに報じられております。どのくらいの損害があったかというようなことはなかなかわからないと思いますけれども、ちょっと予想のつかなかったような状況火山爆発して濁流が流れて町が埋まったというぐあいでございます。ああいったものを見ますと、本当にいろいろな災害があるなと思いますが、日本でも似たような可能性があるのかどうか。今まで地震とかあるいは桜島爆発とかいろいろございましたけれども、ああやって日本の場合にも大爆発が一つの町を覆い尽くすというようなことがあるのかどうか、そういったことをちょっと私も気になりましたもので、今まで災害を考えるときにこういったことも考えていたのか、こういった例があり得るかということを冒頭にちょっとお聞きしたいと思います。
  81. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  コロンビア火山噴火につきましては、非常に高い雪の積もった山で噴火をいたしまして、五十キロ先の都市が、大泥流が起きて埋没したということでございます。日本火山は、あんな大きな規模火山はございません。しかし、北海道等におきまして雪が積もっておる山で噴火をするという場合には、ああいったような、規模の小さいものでございましょうが、泥流発生というのが考えられるわけでございます。過去に十勝岳あるいは有珠山等の災害の例はございます。  こういった災害につきまして、国は気象庁あるいは大学挙げまして観測をいたしておるわけでございまして、こういった爆発がある前に必ず前兆現象があるわけでございますが、それを的確にとらえまして、そして火山対策で対処するということを現在日本火山対策としてはとっておるわけでございます。なお、気象庁には火山噴火予知連絡会というのを設けまして、月に一回関係省庁が集まりまして火山ごとにそれぞれチェックをするというような体制を現在とっております。
  82. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 と申しますと、当面日本の場合には、類似なことはあり得るかもしれないけれども、まあまあすぐそういったものが起こる問題でもなかろうというぐあいに理解しているのではないかと思います。  これと関連しまして外務省にお聞きしたいのですけれども、ああいった外国で大災害があったときに、日本として何か援助するとか、急遽そういったものに対して手を打つというような制度があるのでございましょうか。その点いかがでございましょう。
  83. 須藤隆也

    ○須藤説明員 お答え申し上げます。  外国で起こりました災害に対する救援あるいは援助という面におきましては、予算的に申しますと、まず経済開発等援助費という無償援助の予算でございますが、その枠の中に災害関係援助費というものがございまして、六十年度予算で二十五億円の枠を設けております。この援助費の中から、地震あるいは火山爆発のような場合に非常に簡単な手続で緊急援助として資金的に援助できるという仕組みになっておりまして、コロンビアの場合には百二十五万ドル、プラスこれに加えて国連災害救済調整官事務所、UNDROと呼ばれる事務所に対して五万米ドル、合計百三十万ドルの援助を緊急に出したわけでございます。それから、メキシコの場合にも百二十五万ドル、この援助費の中から出ております。  それから、このほかに人の面の手当てといたしまして、これは国際協力事業団、JICAの予算の中に国際救急医療チーム派遣制度というものがございまして、四億円の枠を留保してございます。それから、少額ではございますが、青年海外協力隊のOBを緊急に派遣する必要に備えるために、青年海外協力隊の経費の中に千百万円の予算の枠を留保してございます。なお、それ以上必要になった場合には、それぞれ全体の枠の中で流用して使えるような仕組みになっております。
  84. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、対外援助は注意して使いなさいよ、余りむだ遣いしてはいけませんよという主義なのですけれども、こういった大災害のときには、やはりそれなりの援助をしておくことが日本の国際的な信頼を高めるということと思いますので、この点は我々としても海外の災害にも目を向けなくてはいかぬと考えております。  次に、私、日本にとってこれから一番大問題になるのがやはり地震問題じゃないかと思うのでございます。と申しますのは、私、昔役所におりましたころに、地震保険というのをつくるときに若干タッチしたことがございます。それによりますと、過去六十年から七十年の周期で大地震があるわけでございますね。それとともに、私が非常にショックを受けたのは、あるとき地球物理の学者の専門家に聞きましたら、関東地区を中心として、東海も含めてですけれども、大体過去十万年この方百年に一回は関東大震災級の地震が来ていた、それは地層から見て明らかであるという話を聞きました。私は、そうであればその事実をもっともっとみんなに周知徹底しなければいかぬのじゃないかということを言ったのでございますけれども、考えてみますと、確かに数えてみるとそういったことが次々と統計上ある。昔は大体野っ原に一軒、二軒家が建っているというようなことでございましたから、大地震があってもそう災害は大したことがなかった。それが関東大震災であれだけの災害が起こったということは皆様御承知でございますけれども、今あれと同じぐらいの地震が来たときに、これだけ高度化している——この前ちょっとケーブルが切られただけでも大問題が起こったわけでございますけれども、大変なものになるのじゃないかという懸念がありまして、二十一世紀までの十五年間のうちに必ず到来するものは高齢化社会の問題である、もう一つは、大地震の問題が必ず大きな問題になると私は考えております。  こういった意味で、地震対策というのは、これはよほど今から気をつけなければいかぬという気がするのでございます。これは一度この委員会でも取り上げたことがございますけれども、関東大震災のころの被害というものが大体当時のGNPのどのくらいであったか、そしてまた当時の予算と比べてどのくらいであったかということを改めてはっきりとお聞きしたいと思いますが、いかがでございますか。
  85. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  関東大震災被害でございますが、かつて東京市が「東京震災録」というのを出しておりますが、それによりますと五十五億円ということになっております。現在の価額に換算いたしますと約三兆五千五百億円という金額になろうかと思います。  それで、予算に対して、あるいはGNPに対してという先生の御質問でございますが、この被害額は、当時の国の予算が約十三億五千万ということでございますので、大体その四倍ぐらい、それから当時のGNP換算はなかなか難しゅうございますけれども、GNPが約百二十億円程度というように言われておりますので、大体それの四五%程度というように言われております。
  86. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 その三兆という数字を聞くと大したことがないような感じなんでございますけれども、GNPの半分あるいは予算の四倍となりますと、これは大変な話になるので、この辺私どもはこの三兆というような数字に惑わされてはいけない、この換算が果たして正しいのかどうかという問題はありますけれども。そうなりますと、現在同じくらいのものが起こったときに、GNPの半分がもしすっ飛んだらそれこそ大変な話じゃないかと思うのでございます。  それで、それと関連してお聞きしますけれども、結局地震についてどの程度の予算が従来組まれておるのか、そして災害対策費のうちのどのくらいなのか、それがどのくらいの伸びを示しているのかということをちょっとお聞きしたいと思いますが、いかがでございますか。
  87. 杉岡浩

    杉岡政府委員 先ほど関東大震災被害の換算を申しましたが、現在の都市状況等々いろいろと異なっておりますので、必ずしもその換算率が妥当かどうかは別でございますが、我々といたしましても地震対策に対しましていろいろな観点から対策を施しておるわけでございます。  災害全体の予算といいますのは、災害対策の予算は地震対策にもあるいは風水害にもあるいは雪害にもといろいろな面で重複して出てまいりますけれども、災害対策関係予算は六十年度で約二兆一千億でございます。このうち地震あるいは風水害に共通いたします国土保全の経費、これがあるわけでございます。これは必ずしも地震あるいは風水害と画然と分けるわけにはまいりませんので、合計を申しますと一兆二千億あるわけでございます。それから、災害復旧費、これも風水害による被害あるいは地震による被害、これは込みになっておりまして災害復旧がなされるわけでございますが、これが約三千五百億円の予算が計上をされております。  それで、地震プロパーと申しましょうか、科学技術の関係の予算あるいは災害予防の関係の予算、こういったものに地震の経費はある程度分けられるわけでございますが、これは両方合わせますと約二千二百億円、こうなるわけでございます。  経費につきましてはほぼ対前年横ばいということでございますが、中の経費によりましては、前年よりも増加をいたしあるいは減少しておるものもあります。例えば、地震予知の予算なんかを申しますと、昭和五十九年の関係では五十六億円でございましたが、昭和六十年は五十七億円というふうに、厳しい財政環境の中でふえている経費もございます。
  88. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 さっきの一兆二千億円というのがございますけれども、この中で、例えば地震関係というぐあいに細分はされてないのですか。
  89. 杉岡浩

    杉岡政府委員 今の一兆二千億というのは国土保全に要する経費、国土保全費でございます。治山治水、地すべり、それから、がけ地の崩壊対策事業といろいろとございます。例えば静岡県で行う治水事業あるいは海岸事業、こういったものは震災対策等で行うという場合もございますし、あるいはがけ地対策につきましても風水害対策と同時に震災対策というふうに兼ねて行うということでございまして、必ずしも画然と分けるわけにはまいらぬと思います。ただ、河川事業が多くございますので、いわゆる風水害対策の方に重点がいっていることは当然であろうと思います。
  90. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 国土保全となりますと、現実問題として、災害が起こったようなものあたりに使うのじゃないか。地震プロパーで大体どのくらいという把握はしてないのでしょうかね。結局地震関係で予知関係にどのくらい使う、それからもう一つ、いわば建物強化したり何かするのにどのくらい使うとか、通信にどのくらい使うとか、そういう地震プロパーの、予算の中でこれにどう使う、これにどう使う、基礎研究にこの程度使う、それから予報、つまり、いろいろな通信にどのくらい使うとか、建物のあれにどのくらい使うとか、そういう種類の質的な分け方というものがされてないのでしょうか。
  91. 杉岡浩

    杉岡政府委員 国土保全とか災害復旧費、これは共通経費として別にいたしまして、科学技術の研究あるいは災害予防、こういった面で地震の関係のプロパーの経費が出てくるわけでございます。例えば、先ほど申しましたように、地震予知に関しましては六十年度五十七億円でございます。また、科学技術の関係で、耐震実験の推進ということで科学技術庁八千八百万というような経費もございます。それから、災害予防でございますが、避難地整備、これが公園事業として計上されておりますけれども百二十七億円、あるいは避難路、これは大規模な街路事業でございますが、避難路として整備いたしておりますのが三百五十九億というように、それぞれ目的に応じて施行いたしておるわけでございます。
  92. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 地域的な配分というのもある程度あるのでございますか。
  93. 杉岡浩

    杉岡政府委員 関係省庁にそういった予算がございますが、それぞれの箇所づけに応じてこれを具体的に地域的に配分をするわけでございます。ただ、地震防災対策強化地域につきましては、ことしの七月に延長していただきました地震対策緊急整備事業がございますが、これに基づいてそれぞれ関係六県に計画的に予算を配分して、それについて事業を執行いたしておるわけでございます。
  94. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 さっきの地震の大きな損害から考えますと、これからどういうぐあいに、いわばいざというときに災害が出ないためのことを考えたときに、何に予算の重点を持っていくべきなのかなということを考えるべきじゃないかと私は思うのでございます。でございますから、地震関係としては大体このくらいある、これには大体どのくらい使う、予知にはどのくらい使う、そういった避難というのにどのくらい使う、いろいろな配分をやはりよく分析して、どこに重点を置くかということを考えていくべきじゃないかと思うのでございますけれども、特に地震の場合に火災が一番怖いな。関東大震災のころに非常に火災でやられた。今度、じゃ例えば関東、東京あたりに地震が起こったときにどの程度のものになるのかなということを私は非常に心配しているわけです。  前回も若干そういう問題を取り上げたのでございますけれども、私がこの間お聞きしたのは、火事になったときに消防で水で消せるところはたしか十階くらいまでだと聞いておりましたけれども、その事実は間違っておりませんでしたか。たしか消防車が届くのはその辺だ、その上は非常階段か何か、要するに上っていって、そこで水をかけるしかないという話だと思いましたけれども、それは事実でございましたかな。
  95. 泉正明

    ○泉説明員 御指摘の高層の建物に対する消火でございますが、現在のところ四十五、六メートルくらいまでのはしご車を利用すれば一応可能だということになっております。
  96. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は前の大臣に「タワーリングインフェルノ」という映画を見たことがあるかという話をしたのです。そのときに御本人は知らなかったのでございますけれども、今改めて新しい大臣に聞くこともございませんけれども、高層ビルが火事になってどうしようもなくなってしまった。最終的にはある勇敢な男が屋上に行って、屋上にある貯水槽を爆破してようやく消したという映画です。これは非常にスリリングな映画でございましたけれども、この前ホテルニュージャパンで何人か死んだだけであれだけ大問題になった。となると、大震災のときに一体どうなるのだ。どのビルも倒れはしないかもしれないけれども、大火事になるだろう。例えば、スプリンクラーあたりがあって水が出るといって安心しても、水道管が破裂したらもうお話にならない。そうなると、大火事になったら本当に阿鼻叫喚ではなかろうか。  したがいまして、地震を早く知らせるとか知らせないというようなことばかりに余り集中して日ごろからどういう建物を建てるとかそういうことを見逃しておくと、幾ら早く教えてみたところでしようがないわけですね。地震の前に、火を消すという程度のことはできるかもしれないけれども、どこからどう発火するかわからぬ。各ビルがぼうぼう燃え出したときに消防車なんか走れやしない、スプリンクラーも役に立たない。そうなると、本当にすごい損害になる。かつての関東大震災どころの騒ぎではない。  私はそのときに、これから高層建築を建てるときの規制というものをよほど前から考えておかなければいけないのじゃないかということをお話ししたのでございます。この点について去年ある程度質問したのですけれども、若干の改善がされているのだろうか。建築基準でいろいろこうやっております、こうしておりますという話はあるのだけれども、本当に地震のときに火災発生しないようにできているのだろうか。特に最近は、有毒ガス発生するいろいろな室内のものもある。焼けるあるいは有毒ガスが出て死ぬというのが、どのくらい死んでいるかわからないのじゃないか。私は、関東大震災よりもよっぽどすごい災害になると思います。東海地区もあれでございますけれども、私どもが住んでいます浜松というのは東京ほどの高層建築はない、それでも結構建っておりますけれども。私は、そういう基本的なことを考えないで、ただ早くみんなに知らせるとか避難道路をつくるということだけで物事は処理できないのじゃないかと思うのでございます。もちろん、そういった規制を設けると建設会社なんかもまた大変経費がかかるということもございますけれども、ただみんながそういうルールのもとにつくることになれば、それなりの体制になる。  そういった点、現在建築的な面からいって災害対策に対する考慮がなされているのだろうか。特に地震が起こったときにどうなるか。どうも倒れないことばかりに集中しているような気がするのでございますが、そういった災害を考えた上での建築基準になっているのか。しかも、室内のものが焼けないようにとかそういった配慮がされているのだろうか。これはアメリカあたりであると、マンハッタンは随分高いビルがございますけれども、いまだかつて一度もそういった地震がない。今まで日本は余り高層建築はなかったのでございますけれども、戦後あれだけ建ってきている。それについてちゃんと地震のことを考えながら建てさせているのかどうかということでございますけれども、この点はいかがでございますか。
  97. 遠藤二三男

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  先生御懸念のように、高層建築物というのはいざ火災発生いたしますと、階数が多いとか多数の人が利用しているということで重大な事故につながりますので、建築基準法におきまして、高層建築物をつくるに当たりましての防火に関する基準を逐次強化してきているところでございます。  その考え方といたしましては、先生も御指摘のように、いざ燃えて煙が出たり有毒ガスが出るというようなおそれがありますので、壁や天井の内装の不燃化を義務づける。それから、その不燃化に対しまして不燃材料とか準不燃というふうな材料の指定がございますが、これの指定に当たりましては、煙が出ないとか毒ガス発生しないというようなことをチェックして指定しているわけでございます。また、万が一火災発生しましても、そこが拡大しないようにということで、火を閉じ込めるための防火区画の考え方、これも高層建築物についてはきつい基準を適用する。それから、火や煙から安全な場所に速やかに避難できるように特別避難階段の設置等、いろいろ高度な防災措置を義務づけているところでございます。  また、法律で特に規定しているわけではございませんが、昨今の状況にかんがみまして、高層建築物建設するに当たりましては、防災計画作成ということを行政指導で行っておりまして、材料や構造の選定とか火災時の災害想定に対しまして詳細な避難計画をつくって速やかに避難が行えることができるように指導しているところでございます。
  98. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 この規制なんですけれども、どうも一般に我々の規制というのは少しずつ強化していくというところが多過ぎるのですよ。でございますから、旅館などが建って、建った直後になってきつくなる、改造する、またきつくなる、一体どうなるのだろうかというような話がいろいろあるので、これなら思い切って最初から何年から建てる分はこういったことにするよと厳しいことをあらかじめ決めておきまして、そういった形でやっておかないと、行き当たりばったりでだんだんきつくするものだから、そろばんが合わないという話がすぐ出てくる。特に大都会、さっき言った十階ぐらいしかはしご車が届かないような場所では、何年以後についてはここから何階上は全然燃えないようにしろとか、その辺の規制を本当に厳しくしておかないと、どんどん建ってしまった後にいろいろ騒ぎ出してもしようがない。特に東京都、最近は都庁を何千億かけて移転するとかなんとか言っておりますけれども、その前に、そういった地震対策というのは一体どの程度真剣に考えているのかな。みんなにパンフレットを配って、逃げるときはあそこへ逃げなさいというような程度対策ではどうなるのだと私は思うのでございまして、地震対策だけは本当に長い目で見た対策が必要なのじゃないかと思うのでございます。  それと関連いたしまして、前回、防災局をつくりましたというようなお答えがあったのでございますけれども、地震対策についてはどういうセンターというかそういうのをつくっておられるのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思う。特にまた、この問題は各都道府県、東京都なら東京都、静岡なら静岡と、ある程度国と地方と両方合作した形でいろいろと考えていかなければいかぬじゃないか。その辺の機構も含めまして、どういういわゆるブレーンセンターというかそういったものが設けられているのか、その点をお聞きしたいと思います。
  99. 杉岡浩

    杉岡政府委員 地震発生いたしました場合に、政府あるいは公共団体はそれぞれ非常災害対策本部ないしは緊急災害対策本部を設置するわけでございます。そして、そういった対策本部の相互連絡、情報伝達あるいは情報の収集を重ねまして的確な措置をとるわけでございます。そして、必要な初動体制といたしまして、消防、警備等々の対策をとり、必要な災害措置をとるというようなものが非常の場合の災害対策措置でございます。これを常日ごろから啓蒙あるいは訓練をしておくということで、我々といたしましては必要なところに防災の基地を設けまして、そして必要な住民の知識の普及あるいは訓練、こういったものをやっておるわけでございます。  現在、そういった防災基地につきましては、大都市地域におきまして東京、大阪、川崎、名古屋、尼崎等に設けておりますが、なお本年度から静岡にそういった防災基地を設けて、そういった対策に万全を期していきたいというふうに考えております。
  100. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まだ大臣に一言もお聞きしていないものですから、ちょっと大臣にお聞きしたいと思うのです。  さっきの建築の問題にしてもいろいろな問題がある。地震関係については、建築基準法にどういうぐあいに介入するか、あるいはメガロポリスに余り集中してはいけないのじゃないか、予算について予知にどのくらい金を使うか、基礎研究にどれくらい金を使うか。建築基準法については、例えば何階以上のものは完全に焼けないようにしなければいかぬとかそういう種類のものを、最近シミュレーションとかいろいろはやるわけですから、このくらいの災害が出たらこういうふうにやらなければならない、そのためにはこうしなければいかぬという総合対策的なことを考える。つまり、緊急事態が発生し、そこでだれが出動するとか、自衛隊が薬をどう持っていく、食糧をどう持っていくというような緊急対策とは別に、長い目で見た地震対策、そのためには何と何と何が必要かということを日ごろから考えておくセンターと申しますか、そういうものをつくっておかないと、来たとき慌てて何時間か前に警報を出せばいいという種類のものではないのじゃないか。  さっき言いましたように、これから二十一世紀までに高齢化社会が必ず来る。そこまでいかないにしても、似たような確率で大地震が必ず来ると思うのです。GNPの半分がすっ飛ぶ、予算の四倍がすっ飛ぶというようなときになって慌てても遅いのでありまして、おまえあそこへ逃げろ、あそこへ逃げろというような地図か何か配って、さあこれで地震対策が済んだという無責任なことでは、国もだめだし、特に地方公共団体も困る。東京都あたりはあれだけお金がどんどん入ってくるわけですから、給料なんかにどんどんばらまくかわりに、二千億かけて都庁を動かすかわりに、そういう種類の研究にもっとお金を使い、それだけの施策を打っていくということが必要じゃないかと思うのです。中曽根さんは臨調とかいろいろな審議会が好きですけれども、防災とか地震対策についての専門家、実務家を集めたブレーンセンターというのをつくっておかないと、十年、十五年のうちに日本が右往左往する事態が必ず生じてくると私は思います。いかがでございましょう。
  101. 杉岡浩

    杉岡政府委員 地震対策についてただいまお尋ねでございますが、我々国土庁に防災局を設けましてその体制を固めたのも、まさに先生のおっしゃる震災対策等を充実させるということが一つの大きな目的でございます。  現在、政府におきましては大都市震災対策推進要綱というのがございまして、それに基づいて都市防災化、防災体制強化地震予知の推進という三つの柱で地震対策を進めておるわけでございます。  そういった地震発生する場合に備えまして、例えば東海地震におきましては、大規模地震対策特別措置法によりましてあらかじめ計画をつくり、いつ起こってもおかしくない地震発生した場合あるいは警戒宣言が出された場合、どういう措置をとるかというマニュアルをもう既につくっておるわけでございます。  また、突然地震発生した場合に、先ほど申しましたように、関係省庁あるいは公共団体連絡をとりまして本部をつくり、その情報を収集し、必要な救助活動をするという地域防災計画あるいは各省の業務計画、こういったものをあらかじめつくりまして、相互に緊密な連絡を既にとっておるわけでございます。したがいまして、急に地震発生した場合あるいは東海地震のように警戒宣言が発せられたとき、これにつきましてはそれぞれ国、公共団体、マニュアルに従って行動がなされるということでございます。
  102. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 先生御指摘の地震火災、いろいろな問題がございますが、要するに災害に強い国土ということがまず根本でございますから、政府の震災対策は、中央防災会議の決定に基づきまして、都市防災の推進、防災対策強化及び防災意識の高揚、地震予知の推進、これを基本といたしまして詳細ないろいろな計画を立てておるところでございます。
  103. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 現在どうなっているというよりは、例えばさっきお話ししたように、建築などは焼けないようにつくらなければいかぬ。倒れないよりも、もっともっと焼けないようにしなければいかぬというようなことになりますと、建設省の方にいろいろ話を持っていかなければいかぬわけです。それ以外に、基礎研究にどのくらい金を使うか、予知にどのくらい使うかといったことを総合的に調整するようなファンクションが必要なのじゃないか。単にマニュアルをつくってそのときみんなにこうやるのじゃなくて、広い面から見て将来の都市づくり、国土づくりを含めまして地震に強い都市をつくる、地震に強い社会構造をつくる。防災局をつくりました、これで安心でございますどころの騒ぎじゃないのじゃないか。一つのブレーンセンターというかそういうのをつくって、いざというときに単に手配しますじゃなくて、どういう国にしたら、どういう都市にしたら地震に強くなるのかということを含めた意味の研究というか対策、そういうのを立ててほしい。単に今これをやっています、これをやっていますじゃなくて、一つの省じゃないけれども何とか委員会みたいなものをつくってでも、日本全体の衆知を集めるくらいの組織をつくって、そこで研究していく。予知にどのくらいお金を使う、基礎研究にどのくらいお金を使う、建物は燃えないようにする。また、メガロポリス、最近東京湾横断道路などという話もありますけれども、東京周辺に何もかも日本の富を集中しても、大きな災害があったときにはせっかくつくったものが一挙に全部すっ飛ぶわけですから、そういったことを含めまして地震に対してみんな非常に鈍感じゃないか。  さっきもお話しいたしましたように、十万年この方必ず関東大震災級の地震は来ているのです。これは避けて通れない事実です。それを私どもはのどもと過ぎれば熱さ忘るるで、昔の関東大震災のころから生きている人は余りいませんから、忘れてしまってどんどん東京あたりに富を集中し、建物を集中し、すべてのものを集中してくる。これは一遍パアになったら当時のGNPの半分どころの騒ぎじゃないのじゃないかと思う。余り人は言わないのですけれども、このことは百年に一遍か六十年に一遍かわからぬけれども、日本という土地に住んでいる以上必ず訪れる。これに対して強い国土をつくらないことには、せっかく何十年もかけて蓄積したものが一遍にパアになるのです。  私は、大臣に最後のお話を聞く前に、この前の関東大震災の後どのくらい外債を出したか、それを払うのにどのくらい苦労したか、その外債は現在の額にしたらどのくらいになるのだというようなことをお聞きしたいと思います。
  104. 米澤潤一

    ○米澤説明員 お答え申し上げます。  関東大震災復興のために出しました外債、国債で二本ございます。大正十三年に外貨公債、ポンド建てで一本、ドル建てで一本出しておりまして、ポンド建てのものが二千五百万ポンド、ドル建てのものが一億五千万ドルでございます。当時のレートで換算いたしまして合計五億四千五百万円でございます。  それから、政府保証で東京市の発行いたしました政府保証債を二本、横浜市の発行いたしました政府保証債を一本出しておりまして、これの合計額、当時のレートで一億四千万円でございます。これは大正十五年と昭和二年とにまたがっております。そして、国債と地方債、単純に足すのがいいかどうかわかりませんけれども、単純に合計いたしますと、当時のレートで六億八千五百万円でございます。  どう苦労したかということでございますが、昭和四十三年までかかって返しておりますということで、借りかえたりいたしまして、完済するのに昭和四十三年までかかっております。  これが現在の価格にして幾らになるかというのは、なかなか難しいのでございます。五十九年四月の本委員会の席上、安倍先生の御質問にお答えいたしまして松野国債課長が、これを現在の為替レートで換算いたしますと五百三十億円になるという御答弁を申し上げていると思います。これはあくまで為替レートを現在の為替レートに直したということでございまして、それはドルにしてもポンドにしても物価上昇がございましょうから、現在の為替レートということで、これを現在の値打ちにして幾らというのは難しいのでございますけれども、例えば卸売物価で見ますと、大正十三年から現在まで卸売物価が約六百二十倍ぐらいでございます。そういたしますと、四千二百億円ぐらいかと思います。それから、CPIは、途中で統計が不連続でございますから、しっかり連続したものがとれないのでございますけれども、大体千倍程度でございます。千倍ということになると七千億。ですから、四千億から七千億というぐらいの現在の規模の額であったのではないかというふうに思われます。
  105. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 昔の数値を現在に直すのはなかなか難しいことはわかるのです。  それから、さっきの大まかな数字でいいますと、損害額がGNPの半分ですということ。これだけまた都市が高度化しているときにおける損害額というのは数えようもないぐらいの額になるのじゃないかと僕は思うのでございます。そういったときの対策のために、日本の全ブレーンを結集して、どうするかということに少しくらいお金を使ってもいいんじゃないか。大体、東京都庁の二千億というのを全部つぎ込んだっていいぐらいだ。移転しなくても、こういったところの安全のために金を使うのは当然です。  そういう意味で、日本社会というのは非常に楽天的というか、いざというときのことを考えていない。恐らく二十一世紀までの間に必ず大災害が来ると私は思います。そのとき日本は、財政も含めてどうするのか。今の財政だってもうぴいぴいしているわけでございますけれども、そういうのを含めてそれに対する対策を今から立てなければ遅いんじゃないか。もう遅過ぎるくらいだなと思います。長官の御意見を承りたいと思います。
  106. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 格調高い御質問でございますが、災害に強い国土というのはどうかということに帰することでございますが、財政が厳しいときではございますけれども、やはり対策に対する十分な予算ということを大胆に計上して防災対策に使うべきであるという考えを私は持っております。
  107. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私の申しておるのは、ちょっとした災害が起きたときに、単にそれを直すというのじゃなくて、大地震想定したとき、今からどうしていかなければいけないかという一つのブレーンセンターをつくらないことには必ず大きな悔いを残すよということでございます。この点、国土庁全体としてもあるいは政府全体としても、本当に考えていかないといけない問題だと思います。この点ひとつ大臣として、この問題をよくこれから前向きに検討するか否か、一言御決意を承って、時間も参りましたから私の質問を終わりたいと思います。
  108. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 御趣旨をよく体しまして、国土庁としての任務を十分に果たしていきたいという考えでございます。
  109. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 どうもありがとうございました。  質問を終わります。
  110. 中村茂

  111. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 国際救助隊の設置についてまずお聞きしたいのであります。  十二月二日の毎日新聞の社説によりますと、「メキシコ地震の救助にかけつけたフランス隊二百八十人と犬三十三頭が帰国するとき、メキシコ市の空港は、感謝の意を表するため見送りにきた多くの市民であふれた。そして市民が手にしたプラカードには、「フランスよ、ありがとう」「メキシコは忘れない」と書かれていたという。」こういう書き出しがあるわけであります。先ほどの御答弁にもありましたように、日本も確かにメキシコでやり、コロンビアでやり、先進国の中では最大のお金の援助をいたしているわけでありますが、それにもかかわらず日本の援助は影が薄かった。これは、やはり現場に対する直接の災害救助だとか建設だとか、そういう目に見える部門のあれがなかったということが言われているわけでありまして、その反省や教訓から今度国際救助隊の設置、こういう問題が具体化してきたということは大変結構なことだと思うのですね。  そこで、国土庁長官にお聞きするのでありますが、この国際救助隊の設置そのものは、外国にかかわるわけでありますから外務省が中心となってやるわけでありますけれども、国内的には災害問題は国土庁が所管しているわけでありますね。国土庁としてはどのような構想、体制を持ってこの問題に臨もうとしていらっしゃるのか、まず長官からお聞きしたいと思います。
  112. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 国際災害の救助につきましては、国土庁といたしましては、外務省及び関係省庁と十分な連絡を図りながら勉強してまいりたい、そして国際信用を失墜しないように対処してまいりたいと考えております。
  113. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 では、消防庁にお聞きするのでありますが、消防庁は災害救助のプロでございまして、いよいよ具体的なそういう場面における実践部隊の先頭に立つ役割を持つのでありますが、この国際救助隊設置についてどういう体制、構想を持っていらっしゃるのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  114. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 ただいまの国際消防救助隊の構想の問題でございますが、現在のところ次のような構想を持っているわけでございます。  まず、消防庁では、さきのコロンビア噴火災害の際には消防救助隊を派遣しようということで準備をしたわけでございますが、結果的には行かないで終わったわけです。その経験にかんがみまして、今後海外で大災害発生しまして、当該国の政府から日本政府に対しまして救助隊の派遣要請があった場合には、政府として地方公共団体の協力を得て、消防救助隊を迅速に派遣すべく、早速そのシステムの検討に入ったわけでございますが、現在そのシステムの大綱につきまして外務省と協議中でありまして、近々協議が調うものと考えているわけでございます。  そのシステムの骨子でございますけれども、国際消防救助隊、現在のところこれを略称いたしましてJRTDRというふうに我々は言っておりますが、この国際消防救助隊は、地方公共団体の消防救助隊員及び救助隊長、そして総括責任者及び調整員をもって編成するということがまず第一でございます。  第二には、国際消防救助隊は、既に派遣制度があり派遣実績もございます国際救急医療チーム、これはJMTDRというふうに略されておりますけれども、その医療チームと一体となった総合チームとして派遣いたしまして、JMTDRの行う医療活動と密接な連携協力を図るということが第二の骨子でございます。  三番目には、この国際消防救助隊の派遣の決定は、自治省、消防庁と外務省とが協議して行う、そして四番目には、国際消防救助隊の派遣に要する経費、これは海外協力事業団、JICAが負担するというふうなことを基本的な骨子としているわけでございます。
  115. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この同じ社説を見ますと、冒頭に「国際救助隊の設置を急ごう」、こういう見出しになっておりますが、「ただ、難しいのは輸送の問題であろう。フランスにしろアメリカにしろ、大型救助隊を送りこんだ国の多くは、人と機材の輸送に軍用機を使用している。」「しかし、わが国には自衛隊の海外派遣には、海外派兵につながるとの観点から、消極的な世論が強い。従って、この世論を尊重しつつ、平和国家日本としての独自の方式を真剣に模索せねばならない。」というようなことが書いてあるんですね。もっともなことだと思うのですが、そういう輸送の問題で、あらぬ疑いや国際的な不安を与えてはせっかくの善意がおかしくなるわけでありますので、こういう点についてはどのような配慮なり考え方を持っていらっしゃるのか、あわせてお聞きしたいと思うのです。
  116. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 輸送の問題についての御質問でございますが、お答えいたします。  輸送の問題、そしてまた携行する資機材、物品、そういうものにつきましては、消防庁の要請に基づきまして外務省の方で確保していただくというのが、実は先ほどのJMTDR、国際医療チームの場合もそういうことで、輸送手段だとか資機材等については外務省が確保するということになっているわけでございます。  私どもも同様の考え方で現在大綱をつくっているわけでございますけれども、そういうことで、今後輸送をどうするかということにつきましては、外務省の方で責任を持って対処していただこうというふうに考えているわけでございます。我々消防救助隊の立場では、事の性質上、人命を救出するということが任務でございますので、とにかく可及的速やかに出発するということが大変重要でございます。かつまた、救助に必要な資機材というものはかなり大きなものが必要となる場合も考えられますので、こういうふうな点について十分考慮に入れた輸送手段である必要があるのじゃないかというふうに考えております。具体的な輸送手段につきましては、今後外務省と私どもの方と一緒になって協議してまいりたいというふうに考えております。
  117. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 その問題はまだ決まらない、こういうことでありますが、せっかくの善意が、先ほども申し上げましたとおり、憲法違反の問題だとか自衛隊の海外派兵につながるとか、あらぬそういうもので国内的にもあるいは国際的にもいろいろ問題が起こる、こういうことでは非常に遺憾なことになりますので、こういう点での十分な配慮を改めて申し上げておきたいと思います。  それでは、次に進ませていただきますが、気象衛星の画像装置の整備についてであります。  つまりSDUS、静止衛星「ひまわり」から雲画像を受信する装置であるSDUSについて、気象庁の計画を拝見いたしますと、全部で十五カ所になっているわけでありますね。その気象官署の中でも中枢と言われる札幌だとか仙台だとか大阪だとか、こういう既存のものが今十カ所あるわけでありますが、来年六十一年度、四国の高松に設置する、そういう予定になっていますね。そうしますと、今「ひまわり」から雲画像を受信する装置は、気象庁としては、本庁を除きますと全部で十一カ所ということになるわけですね。後年度計画としてさらに四カ所予定しておりますが、これはいずれも海洋気象台でございますから、ここでは例外にさせていただきます。このことは、地方気象台としては来年度の高松で終わりだということに今の計画自体なると思うのですけれども、そういう計画であることに間違いありませんか。
  118. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  ただいまの先生のお話の内容に間違いはございません。
  119. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の手元にある資料によりますと、今民間でさえも六十カ所にわたって静止衛星利用局の許可をとってそういう装置を持っていらっしゃるのですね。その中には、例えば広島市こども文化科学館だとか、あるいは福岡市立少年文化会館だとか、そういう一般の子供さん向けのいろいろな施設の中にもこういうものがどんどん取り入れられているのですね。本家本元の気象庁が、わずかそのようなことで来年の高松で計画は終わりだ、こういうことでいいのだろうかということを考えるのですね。五十九、六十年の実績、私ちょっと拝見しましたら、二カ所ずつつくっているのですね。来年はたった一カ所なんです。これは気象の臨調行革路線と言わなければならないと思うのですけれども、私の地元の秋田地方気象台でも、私は昨年の七月十一日の決算委員会でも取り上げたわけでありますが、「ひまわり」からの画像を映すSDUSの装置がないのですね。どうしているかといいますと、NHKの画像をビデオに映して、それでやっているというようなこと。あるいは気象庁そのものからも若干のデータはもらっているにせよ、大変な難儀をしていらっしゃるわけでありますが、こういう点について、こういうことでいいのかどうかということを私非常に疑問に思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  120. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 ただいまの点につきましてお答えいたします。  まず、気象衛星資料利用状況でございますが、現在SDUSとして整備を進めておりますのは、私どもの表現で申しますと地方予報中枢官署と申しておりますけれども、全国を幾つかの大きなブロックに分けまして、そこの中心官署でございます、ここにSDUSの整備を進めているところでございます。  一方、予報に使いますいろいろな気象情報を、東京都下の清瀬に気象衛星センターというのがございますが、ここでいろいろ予報に必要なデータを抽出、加工いたしまして、それを雲解析図あるいは輝度温度分布図というふうな形で、気象庁の専用の通信網を使いまして、先ほど先生のおっしゃいました秋田の地方気象台を初めといたしまして、全国の予報官署すべてに即時に配信しております。  現在私どもといたしましては、こういった予報のための情報を抽出いたしました図と、地方の中心官署でSDUSで直接受信いたしました雲の画像から得られます情報をそれぞれの中心官署でその下の地方気象台に指示報という形でいろいろ助言をいたしますが、この二つをもちまして予報のための気象衛星資料利用ということを行っているわけでございます。
  121. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、今そういう格好のSDUSの予報中枢官署、いわばセンターはそういうことで間に合っている、これだけあれば間に合うということですか。
  122. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 現在私どもが気象衛星資料の予報利用ということで考えておりますことを二、三御説明させていただきたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。(中川(利)委員「簡単に一言でやってくれ、時間がないから。大体、間に合っているかどうかということを」と呼ぶ)はい。  現在のところ、予報に使います資料はいろいろ種類が多うございます。そういうことで、さしあたりはこういった地方中枢官署に整備をしまして、一方、図の形で配信する、それを二つ相補って利用するという形で利用を進めていきたいと考えております。さらにその先につきましては、そういった整備が一段落しました段階で、それぞれの官署でさらに予報を改善するためにはどういうものが必要かということを検討いたしまして、それに必要な機能その他を備えた装置が必要であれば整備計画したい、そういうふうに考えております。
  123. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、今の御答弁の範囲内では、さしあたりはそれで十分カバーできるんだ、こういうような意味でありますね。  ところが、とんでもない話ですね。あなたの方が「昭和六十年度重要事項参考資料 (60・1)気象庁」という予算要求のために出した資料があるのです。この資料の七ページを見ますと、「気象衛星資料受信施設整備計画」、これでちゃんと表をかいて、SDUSがなければどんなに困るのか、あればどんなに有利なのかということで、ちゃんとこういうものを大蔵省に出しているのですね。  それを見ますと、「現状の問題点」、つまりいろいろな地方気象台にもわずかしかSDUSが今配置されていませんね、中枢しかないわけですから。その問題点は何かというと、「気象情報量が少い」と書いてある。「気象レーダー探知範囲以外の即時に入手する情報が少い。」だとか、「情報の入手が遅い 雲画像は現在約五時間遅れで、一日二回無線模写放送されるが解像度が低く迅速・的確な利用が困難である。」その次には「天候急変の対応が困難 特に異常気象時に必要な時々刻々の情報の入手が困難である。」ちゃんとこう書いてあるんですね。  そして、もしもSDUSがちゃんと配備された場合、「予報体制強化」ということについてどういうことを言っているかというと、「豪雨・雷雨等の災害の防止・軽減に効果がある。」それから「観測後二十五分で受画することが出来るため、特に異常気象時の防災対策に効果がある。」あるいは「天候急変の対応 気象現象を連続的には握することが出来、天候急変時に適時な注・警報の発表が可能になる。」と言っているんですね。  こういうことをあなた方がちゃんと同じ国の役所の中に出しておっていながら、今、多分その程度で間に合うと言うことは、自己矛盾じゃありませんかね。なぜ正直に、間に合うじゃなくて、そういうものがあればもっといい、そのために努力するということを言えないのですか。
  124. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  現在のところ、私どもが進めております整備計画は、各地方の中心ブロックにSDUSを整備するという計画でございます。先ほど先生が御説明されました資料は、中心ブロックにそういったものを早急に整備いたしまして、それでもって地方気象台活動を援助する、こういう計画でやっているものでございます。
  125. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた、ばかなことを言わないでくださいよ。例えば、東北の中枢予報センターはどこかというと仙台でしょう。仙台というのは太平洋岸にあるんですよ。それが、日本海側にある秋田を気象的にどうしてカバーできるのですか。そういう点からいっても非常におかしいと私は思うんですね。今整備する十一でさしあたって終わりだということをあなたの方は計画になっているんですよ。しかも、今度高松で来年つけるのは一台二千六百万円という話も聞いております。  実は私なぜこういうことを言うかというと、私の部屋は衆議院の第二議員会館の七階ですが、四日に、そこに臨時に「ひまわり」からの画像を受信したんですよ。もちろん許可なくそういうことはできませんから、許可のある方といいますか会社といいますか、そこから運搬用の、簡単な移動用の機材を私、拝借いたしまして、屋上へパラボラアンテナをつけまして、そして許可を得ていますから、臨時中川気象台というものになったんですね。それで、四日の午後三時二十一分、あの「ひまわり」からの画像を受像することができたわけですね。全国のあらましの気象台、県単位でいいましてもそういうものを持っておらないんですね。それを、私が私の部屋でその鮮明な画像を見て、私は非常に感激したんですね。秋田の気象台にもないものを私が見ているというのはとても感激の一つでございましたけれども、本当にびっくりしたわけであります。  ところで、このシステム一式で幾らするかということをお聞きしてみましたら、本体がシステム一式で九十万円だというんですね。若干の工事費がかかるというんですよ。そうして、それをあり合わせの既存のパソコンにつなぐだけだというんですね。それで、機材を持ち運んできまして、ぱっぱっぱっと十分ぐらいしたらもう準備ができて、私の部屋でみんなで見られるという状況になったのです。  そういう状況であるならば、高松の方へ二千六百万円の優秀な機材を来年度つけるということは、それなりに理由はあるでしょうから私は否定はしませんけれども、今どんどん開発されて、いいものが安くてやられるという新しい状況が出てきているわけですね。しかも、精度においてそう遜色ないならば、そういうことを今必要な、少なくとも予報を出しておるそういう気象官署、そういうところに一気に設置したところで、予算的には大したことにはならないのじゃないか、こういうことを改めて私は思うわけでありますけれども、本家本元が民間よりも少ないなんというようなことは非常に恥ずかしいことだと思うし、重ねてお聞きしたいと思うんですね。
  126. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 ただいま御意見のございました点につきまして、現在市販されております衛星の受信装置と気象庁で整備中でございます装置の相違点を少し御説明させていただきたいと存じます。(中川(利)委員「質問に答えてください、どうだかということですから。そういうことを考えてくれるか、そういう方向にやるかどうかということでいいんだ」と呼ぶ)  私どもは、現在民間で販売しております四機種ないし五機種、実際にはそういったものがございますが、そういったものを十分検討しております。その結果は今後の計画に反映させたいと考えております。  ただ、気象庁で使います場合は、三百六十五日、二十四時間全く故障なく動作するものでなくては、気象業務に非常に差し支えがございます。もう一つは、例えばアンテナの強度その他にいたしましても、たとえ台風で六十メートル程度の風が吹きましても大丈夫なものを設置しなければなりません。それから気象業務に必要な情報を抽出するためには、例えば動画の機能でございますとか、いろいろ難しい注文がございます。そのためにシステムとしてはどうしても割高なものになるという事情を御理解いただければありがたいと思います。
  127. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今必要なことは、気象台へ行けばどなたもそういう画像を気軽に見れるとか、そういうものを全国的に幾らかでも多く配置することが大事であって、一年に一カ所、二千六百万円のために一カ所だけしかどうにもならないというようなことでは、しかもそれが年々、去年は二カ所やったものがことしは一カ所だ、来年になれば何もないのですからね。だから、さしあたって、安いものと言うとおかしいけれども、精度が劣らないならばそういうものでもやっていくような、そういう方向に検討するという今返事ですから、それはひとつ十分に検討していただきたいと思うのです。この点は、検討するということを先ほど言いましたから、重ねて返事はもらいませんけれども、そういうこととして理解させていただきます。  そこで、この問題の最後に、私の地元でございまして大変恐縮でございますが、秋田空港の出張所には気象庁の予報官がいないのですね。秋田県の表玄関にもなりつつありますし、ジャンボ機を含めて一日十便ばかり行き来しておるわけであります。気象的には御承知のような豪雪地帯でございますので、あしたどうするこうするということではなくて、これなんか十分検討に値すべきものじゃないかと思っておりますが、この点いかがでしょうか。
  128. 新谷智人

    ○新谷説明員 お答えいたします。  それぞれの空港出張所には予報官を配置している出張所とそうでないものとございますけれども、我々の考え方としましては、現在、予報官は国際定期便の就航する空港あるいは年間の離着陸回数がおおむね一万回以上を超えるような空港につきまして逐次整備を進めていきたい、こういうぐあいに考えております。また、そういった整備当たりましては、さらにそういった空港の特別な気象条件あるいはその空港が地方航空上のどのような役割を果たしているかということも勘案いたしまして逐次整備をしていきたい、こういうぐあいに考えております。
  129. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは、災害関連で、国鉄の安全対策についてお聞きするのであります。  手元資料によりますと、昭和六十年度の鉄道防災補助事業という問題がございます。これによりますと、防災補助事業工事費が百七十三億円、このうち国の補助金が九十億あるのですね。そうして、これは、ここに書いてありますように、河川改修だとか落石、雪崩対策だとか海岸等保全だとか、そうした国鉄に関連する災害に対して工事されるものであります。  そこで考えますと、こうした防災補助は国鉄が持つ公共性、だからこそ国がこうした補助金を出しているものだと思うわけでありますが、万一国鉄が分割・民営化という状態になったとしたならば、こうした補助はやめるのかどうなるのか、これをひとつお聞きしたいと思うのです。
  130. 後出豊

    後出説明員 先生御指摘の国鉄の防災事業に対する国の補助金につきましては、先生御指摘のような額が計上されております。これは一般会計の公共事業、治山治水あるいは海岸事業に相当するようなものについて補助を行っているということでございます。このような防災事業の扱いについて国鉄の民営・分割後どうするかということにつきましては、先生御存じのように、去る七月の国鉄再建監理委員会の「国鉄改革に関する意見」では「輸送の安全対策、防災対策は最も重要な問題であるので、これらの対策についても現在の私鉄においてとられている制度に準じて十分な配慮をすべきである。」こういう提言がなされているところでございます。したがって、私どもといたしましては、分割・民営化後における防災対策につきましては、この意見の趣旨を十分に体しまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  131. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の手元に今あなたのおっしゃった「国鉄改革に関する意見」、七月の監理委員会意見の全文を持っているわけですね。恐らく今のあなたの答弁はその中の八十ページに書いてあることですね。そこには、「今後の新線建設等の考え方」として確かにおっしゃるとおり書いてあるのですね。「輸送の安全対策、防災対策は最も重要な問題であるので、これらの対策についても現在の私鉄においてとられている制度に準じて十分な配慮をすべきである。」これが国鉄監理委員会の答申の中身なんです。  それなら、お聞きしますが、私鉄に準じて防災対策、安全対策をやれということですが、私鉄に対して補助金は出ていますか。ちょっと御返事ください。
  132. 後出豊

    後出説明員 現在の私鉄に対する防災対策に関する補助制度の御質問でございますが、これに関連いたしましては補助ともう一つ助成全般ということでまずお答え申し上げたいわけでございますが、私鉄事業者が行う安全防災対策につきましては日本開発銀行あるいは北東公庫の融資制度がございます。現在私鉄の防災対策はこれに大きくよっているということが言えるわけでございます。ただ、現在の国鉄防災事業に対する補助のような防災そのものを目的とした補助制度はございません。私鉄におきましては近代化設備整備費補助制度というのがございまして、その中で近代化の一環といたしまして例えば防除雪設備の整備事業などが補助対象事業となってございまして、一定の要件を充足した場合には、これによりまして保安度の向上とかサービスの改善が図られているという状況にございます。
  133. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 監理委員会の答申を見ますと、輸送の安全、防災対策は最も重要な問題である、であるならば、それに見合った対応をしなければならないはずだけれども、私鉄に準じて扱え、そうしますならば、私鉄に対しては補助金はないわけです。あるとするならば助成で融資があるというんでしょう。しかし、さらに第三番目にあなたがお答えになったのは、私鉄に対してはそういう補助はないけれども、近代化設備整備費の中で防除雪設備の整備を対象として何ぼかある、こういう言い方です。それでこれは最も重要な扱いになっているのですか。  しかも、私さらにお聞きしますけれども、その近代化の何とかというもので五十八年、五十九年、六十年、一銭でも出ていますか。お答えいただきます。何も出てないはずです。出ているか出ていないかだけでいいですからお答えください。
  134. 後出豊

    後出説明員 近代化設備整備補助の実績のうち、申し上げました防除雪設備の整備についてでございますが、五十六年度におきましては……(中川(利)委員「五十八年、五十九年、六十年を聞いているのですよ」と呼ぶ)五十六年、五十七年と実績はございましたが、五十八年以降はございません。
  135. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、最も重要な安全、災害対策と言いながら、全然これをやらないということがはっきりしているじゃないですか。これは重大な問題だと私は思うのであります。結局分割・民営になれば国の防災補助が出なかったり打ち切りになることはどうしても否定できないわけであります。時間がないから急ぎますけれども、そういう点で厳重に私は問題提起をしておきたいと思うわけであります。  それで、例えばそういう格好の中で国鉄自体が分割・民営化というようなことでこうした安全対策災害対策を手抜きして、あるいは労働強化をしたりして、全国的にゆゆしい問題が起こっているわけでありますが、その一つの事例として、ことしの七月十一日に石川県の能登半島の能登線で列車転覆の事故発生いたしまして、死者七名、負傷者二十六名を出しております。あれから半年近くなっています。にもかかわらず、いまだにあの転覆現場に当時の状況そのままに列車の残骸がさらされていると聞いておりますが、事実ですか。
  136. 井澤勝

    ○井澤説明員 お答えいたします。  現地には当時破損しました車両がそのまま残っているわけでございますが、これは脱線現場が道路もない山間部ということもありまして、解体機械あるいは解体したものを搬送するのに非常に困難ということもありまして、解体のおくれておりますのは事実でございます。これにつきましては、早急に処理することとしております。
  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私が言っているのは、半年たつんですよ、半年ね、にもかかわらず現状がこういうことで、これから解体だとか進入路をつけるとかいったって、これは何といったってやはり誠意あるやり方ではないと思うのですね。同時に、やはりあの事故から学んだ形跡がないということを、ほかの事例でも私は幾らでも指摘できるのでありますが、ここに「長雨の影響が考えられる重点警備箇所に対する工事計画」、七尾保線区ですね、六十年八月ですから、事故から二十日かそこら過ぎたときに出されたものでございますが、この資料を見ましても、七尾線や能登線、この関係だけでも十七カ所の危険箇所を指摘されておりますが、これについてもこれからぽつぽつひとつやろうかというような程度になっているわけであります。  現に、私はそこで問題にしたいのは、金沢鉄道管理局の保線課長が各保線区長にあてた事務連絡というものがございます。昭和六十年七月二十九日に出しておりますね。ですから、事故から十日ちょっと過ぎたころに出た文書でありまして、事故発生についてどれだけ教訓や反省を酌み取ってこういう事務連絡をしているのかと思って見たところ、とんでもないのですな。「昭和六十一年度保守工事計画(管理要項)について」、こう書いてありますが、この中身を拝見いたしますと重大なんですね。「「昭和六十一年度の保守工事計画(管理要項)」については、収入無くして支出無しとの考えを念頭に」置いてやれと、こう言っている。つまり、もうからないものはやるなというんだよな。これはひどいじゃありませんか。「収入無くして支出無し」、「ヤード及び地方交通線については、徹底した効率化を」図れと、こう書いてあるんですな。全く私あいた口がふさがらないと思うんですよ。七名のとうとい人命を、ああしてひっくり返して失ったほかに、たくさんの人をけがさせておいて、さらに中身に入りますと、「きめの細かい軌道管理」、こういう項目を見ますと、「不必要な速度制限箇所を解除する。」速度制限なんというのは間尺に合わないからどんどん解除してしまえ。あそこの場合も、あの十一日の事故が起こったときも、前の月の六月に警戒のいろいろな規制がありましたが、それを解除しているんですね。ああいう事故があって、そのすぐ後に出た文書を見ましても、そういう「不必要な速度制限箇所を解除する。」とか「積極的な軌道保守」とあって「スピードアップに対する検討を行う。」こういうことを次々と書いております。公式文書ですよ。  これでどうして反省だとか安全第一だとか災害に対する考え方を優先していると言えるんですか。むしろ、全くそれと正反対、逆で、経営第一主義ですね。安全第一と言えるのかどうかということ、この点について私は、今挙げた事例だけでありますけれども、全般について言えることだと思うのでありますが、この際、運輸大臣はいませんから、しようがない、課長さんでもいいからお答えいただきたいと思います。
  138. 梅原利之

    ○梅原説明員 お答えいたします。  安全の確保は輸送業務の最大の使命であるということは十分認識をしておりまして、厳しい財政下ではありますが、このことにつきましては、幹線、地交線を問わず、最優先で現在取り組んでおります。  地交線、能登線等につきましても、この考えに基づきまして、現場の実態に即してきめ細かい計画を立てまして線路の保守、材料交換及び要注意箇所中心とした投資を現在行っているところでございます。  それから、先生先ほどおっしゃいました「収入無くして支出無し」という点でございますが、収入の確保は現在の国鉄に課せられた最大の使命でありまして、全職員一丸となって取り組むべき課題であります。もし、収入の確保が十分にできない事態になれば、国民の皆さんに余計な負担をおかけすることになってしまいます。こういう中から支出を考えてまいるわけでございますが、その場合においても、安全の確保はもちろん最重点に考えていくという姿勢に変わりございません。  以上でございます。
  139. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 安全最優先だ、認識を十分にしていると言いながら、今私が挙げた事例だけでも全く正反対のことをやっておるじゃないかということを指摘したわけでありまして、私は、そういう面から見ても、今の国鉄自体の荒廃といいますか、安全第一だとか災害防止を大事にするという言葉のあやというのは本当に見てくれだけで、中身がちっともないということを重ねて指摘したいと思うのですが、同時に、労働組合からもこういう問題については再三指摘されているわけですね。  しかし一方、そういうことについては全くやらないでほおかぶりして、分割・民営化をにらんで労働強化だとか物の言えない職場づくり、そして、悪いのは国鉄労働者だ、あの連中が悪いから赤字になった、こうなった、ああなったと言って全部罪をそっちの方へなすりつけているということですね。今物の言えない職場になっているということはどこへ行っても聞くわけでありますけれども、例えば、長い間の職場慣行であったものが職制によって今ずたずたに引き裂かれたり、今までは事故以外にほとんど処分というものはなかったのですけれども、それが、ちょっとしたことが全部処分の対象になるとか、言えば切りがないわけであります。ワッペン着用も、ちょっとそれを忘れたとかつけなかったというので、それが処分の対象として昇給昇格に響いていくとか、あるいは最近特徴的なことは、個人の顔かたちまで攻撃の対象になっているというのですね。おまえは怒り肩だ。肩が怒っているということは、これは体格でしようがないのです。あるいは、がにまただ。がにまただって、これはしようがないでしょう。これもいろいろ攻撃の対象になったり、注意を受ける対象になるというのです。反っ歯だ。歯が出っ張っているのはしようがないのですけれども、そういうことまで論議されるというぐらい、まさに国鉄一家どころか、最近はそういう美しい伝統の国鉄を、こうした分割・民営化問題は人間の心をその根底まで荒廃させている、むしばんでいるというふうに私は思っているわけでありますが、最後にこれに対するお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  140. 葛西敬之

    ○葛西説明員 ただいまいろいろと具体的なお話ございましたが、国鉄の職場におきまして職場規律を確立するということは、効率のよい鉄道経営をする上で最も肝要なことでございまして、分割・民営化を志向するしないにかかわらず、企業体として効率よく運営していくために不可欠の第一の前提条件であるというふうに考えておりますので、その方向に沿って厳しく規律の確立を図っていくというふうに考えております。  あと、本人の体格、顔つきあるいはもろもろの肉体的特徴等について、これをあげつらうというようなことは一切行われていないというふうに確信いたしております。
  141. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 この問題でも言いたいことありますけれども、時間がありませんので、これで終わりにいたします。
  142. 中村茂

    中村委員長 富塚三夫君。
  143. 富塚三夫

    ○富塚委員 私は、大地震、とりわけ東海大地震が予測されるということで、政府がどのように対処してくれるのか、こういったことを中心にいたしまして御質問をさせていただきたいというふうに思います。  地元の新聞にも大きく出て住民の方々は大変不安におののいておるのですが、先月の十八日に地震予知連絡会で、既に午前中からの質問でも出ていると思うのですが、茂木東大教授が、東海地震想定震源予定地の駿河湾に地震空白域があり、大地震の前兆が出ている。当該地域の東海あるいは湘南一帯は一体どうなるのかという点で、予知方法は本当に万全か、あるいはいつごろそんな地震が起きるのか、どの程度のものかということで実は不安におののいているというのが現状でございます。その不安に拍車をかけるかのように、ことしの九月にメキシコで起きたマグニチュード七・八の大規模地震震源地となった空白域に似ているという報道がまたなされまして、そうなりますと、これはあの悲惨なメキシコの大事件を想定するということなども手伝って実は大変な状況になっているわけであります。  先ほど皆さん方言われておりますけれども、地震が起きてから対策を立てても遅い。現実にそれではどれだけ問題が進捗しているのかということになると大変疑問があるわけでありまして、こういった学者先生方の報告といったことについてどのように政府は受けとめておられるのかということについて、まず第一にお尋ねをいたしたいと思います。
  144. 河村まこと

    ○河村説明員 駿河トラフと南海トラフ周辺におきます地震活動の空白域に関する茂木教授の学説は、気象庁といたしましても東海地震の予知上貴重な御意見として受けとめておるわけでございます。確かに、この地域におきましては最近十年余り、ある規模以上の地震発生回数が少ないというのは事実でございますが、同教授もおっしゃっておられますように、この現象が東海地震に結びつく前兆現象であるかどうかにつきましては、今後なお注意深く見守っていく必要があるものと考えております。  気象庁としては、想定される東海地震はいつ起きてもおかしくないという立場で短期直前予知のための監視を続けており、今後とも注意深く監視を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
  145. 富塚三夫

    ○富塚委員 国立防災科学技術センターの大竹室長さんも、この茂木教授の提案といいますか分析について同じような見方をされている。また、空白域のうち、紀伊半島東南沖の南海トラフは一九四四年にマグニチュード八の東南海地震が起きているのでそのプレート境界のひずみが解消されているので、これはもう間違いなく東海地震が予想されるということで、浅田地震予知連絡会長もそのことを予言されている、認められているということになると、ほとんどの学者、専門家の方々がそのことを認められているということになってきているのでありまして、そういうことについて、これはもっと積極的に問題点を整理をして対処する必要があるのではないか。今のお答えでは、いつ起きてもおかしくないというような前提に立って対策を講じたいとおっしゃっておるのですが、それならもっと、対策をどうするのか、金はどうする、後で質問いたしますけれども、いつ起きてもおかしくないようにするのが政府の責任ということになるのですが、そこのところをもうちょっと、東海地震の前兆といいますか、そういうことに対する学者ないし専門家の指摘している問題点についてひとつ説明をしていただきたいと存じます。
  146. 津村建四朗

    ○津村説明員 ただいま先生御指摘の、茂木先生の空白域の御指摘並びに大竹さんの御指摘はいずれも長期的予知の問題あるいは中期的予知の問題でございます。  東海地域におきましては、既に百三十年余り大規模地震発生しておりませんで、長期的予知の観点から見ますと、いつ起きてもおかしくないということは前から十分意識されておりまして、それに基づきまして大規模地震対策特別措置法の強化地域というものに指定されております。ですから、日本の中で予知の体制は最も整えられておりまして、さらに一層努力しているところでございます。
  147. 富塚三夫

    ○富塚委員 いずれ最後にお願いしようと思うのですが、こういう学者、専門家の話を明確にこの委員会が聞くとか、政府が問題点を整理をしていただくということがあっていいのじゃないでしょうか。そうじゃないと、発表されていることが次々に新聞の記事になって出る、ますます不安が募ってくるということになるわけでありまして、いずれこの学者や専門家の分析をされていることの問題点を正確に国会の場でも説明をしていただく、政府の側も問題点を整理していただくというふうにひとつお願いをしておきたいと思います。  そこでもう一つ、プレート運動解明のために、この六月ですか、日本とフランスの科学者が協力し合って、六千メートルの海底に潜り込んでフランスの最新鋭の潜水艇ノーチールで調査をした。この海洋プレートの実態の解明ということについて、これは文部省が主に担当されたようですが、どのような結果になっているのか、かいつまんで説明をしていただきたい。
  148. 草原克豪

    ○草原説明員 日仏日本海溝共同調査は、東大の海洋研究所とフランスの国立海洋開発研究機構との間で日仏双方の研究者の共同によって実施された事業でございます。  この計画は、日本周辺海域の地殻構造それから海洋底プレートの運動の解明を目的としたものでございまして、第一年目は、フランスの海洋調査船ジャン・シャルコー号によって詳細な海底地形、海底地質の調査を行いまして、それに基づいて第二年目、本年でございます、同じくフランスの六千メーター級の潜水調査船ノーチールによって、深海底の様子を直接目で見るあるいはビデオに撮るということによりまして詳しく観察をする、それから岩石、海水等の試料を採取する、また海底傾斜計、海底地震計を設置する、こういったことを内容とした計画でございます。  本年六月から八月にかけて行われましたこの潜水調査の結果、現時点までに得られた成果としては、第一に、例えば海底の谷間で土石流などによる浸食によって海底が削り込まれた跡が見つけられたとか、海溝の内側の斜面で地殻が横にずれたために生じた断層が見つけられたといったことなど、海洋底プレートの潜り込み現象をいわば直接目で見ることができたということが大きな成果として挙げられると思います。  それから、第二としては、深海底の六千メーター近くの断層に沿った地点で生物の群落が見つけられまして、これら生物とプレート運動の関係が新たな研究課題として注目されるようになりました。  第三の成果といたしましては、四千メーターの深海の岩盤に海底地震計と海底傾斜計を設置することができたということでございまして、これによって海底プレートの運動について継続的なデータの収集が可能になりました。  なお、その詳細な学術的あるいは専門的成果、また問題点等につきましては、現在両国の研究者が、得られました膨大なデータをもとにそれぞれの国において分析、研究を行い、まとめているところでございまして、その結果は、明年十一月に我が国で開催される予定の国際的なシンポジウムにおいて発表され、さらに学問的な検討が加えられる、こういうことになっております。  以上であります。
  149. 富塚三夫

    ○富塚委員 科学技術庁でしょうか、ことしの二月六日、七日の海洋科学技術センターの潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による調査で駿河湾断層発見ということも私はいろいろ拝見しておるわけです。科学技術庁のこういった調査でも同じような結果が出ているのですが、その点の問題についてはいかがなものでしょうか。
  150. 宇都宮誠

    ○宇都宮説明員 本年の二月六日及び七日に実施されました海洋科学技術センターの二千メーター級の潜水調査船「しんかい二〇〇〇」によります駿河湾の潜航調査によりまして、駿河トラフの西側に階段地形と断層が実際に発見されております。この断層は、駿河トラフの東側にある海洋プレートが沈み込み、その沈み込みによりまして西側にある大陸プレートが引き込まれまして、そのひずみに耐え切れずにもとに戻るときに地震発生するという、いわゆるプレートテクトニクス理論を適用してこういった現象を解明するあるいは説明することができるものというふうに考えられております。  こういうように、潜水調査船によります潜航調査地震予知研究を進展させるような成果を着々と上げておりますけれども、今後とも「しんかい二〇〇〇」による潜航調査を進めるとともに、さらに深く潜航してより多くの成果を得られるように、六千メーター級の潜水調査船を早期に建造しまして調査能力を高めていく必要があると考えております。
  151. 富塚三夫

    ○富塚委員 学者の問題提起、分析あるいは専門家の判断、そして政府側のそれぞれの行政分野での調査、こういうことで、まさに東海地震はいつ起きるかわからない、いつ起きてもおかしくない、こう断定されたように政府側の判断が受けとめられていると私は思うのですが、そのことについて、国土庁長官は基本的に一体どういうふうに対処しようとするのか、所見をお聞きいたしたいと思います。
  152. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 いつ起こっても不思議でないという東海地震につきましては、その緊急性にかんがみまして地震対策緊急整備事業の推進、国、地方を通じた総合的な防災訓練の実施などの対策を推進しているところでございます。今後とも、関係省庁と緊密な連絡のもとに東海地震に対する対処方針を進めてまいりたいと考えております。
  153. 富塚三夫

    ○富塚委員 これからの問題で、南米チリやメキシコ地震などの教訓も受けて根本的に検討する必要があると思われますし、政府も基本的にそういう認識に立ってそれなりの防災対策その他を進めたいということなんですが、予知というか事前に知らせることの機能、能力ですね、その問題について、午前中からもいろいろ御質問があったようですけれども、例えば六十年度政府予算では、気象庁が六億五千万用意をして神奈川県の相模湾から房総半島沖に海底地震計などを設置する、そして相模トラフの解明を進めたいなどとされてきたのですが、十分にそういう機能がなされているのかどうかという問題について、まず気象庁の見解をお尋ねいたしたいと思います。
  154. 河村まこと

    ○河村説明員 先生御案内のように、房総沖海底地震常時監視システムは昭和五十六年度から整備を進めておりまして、昭和六十年度は海底地震計と海底ケーブルの敷設を行いました。この工事はことし九月下旬に成功裏に終了しておりまして、九月末から海岸中継監視局、これは千葉県の勝浦市にございますが、そこにおきまして地震、津波等のデータの収集を行っておるところでございます。この整備によりまして、南関東及び相模トラフを含むその海域における地震の検知能力は明白に向上しておると考えております。
  155. 富塚三夫

    ○富塚委員 警戒宣言の問題など、これは非常に判断も難しいだろうとは思うのですけれども、警戒宣言の発令された後に地震が起きなかったという点で住民の間にいろいろな批判とか意見とかが出るということなどで、気象庁は警戒宣言の解除基準づくりに入って検討したいという報道も前に承っているわけです。その辺の考え方についてどのようにお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたい。
  156. 津村建四朗

    ○津村説明員 大規模地震対策特別措置法では、地震の警戒宣言が発せられました後に万が一大規模地震発生せず、観測データの異常もなくなったというようなことが起こりました場合のことを考えまして、そのような場合には、内閣総理大臣が気象庁長官からの新たな地震予知情報の報告を受けて閣議にかけ、警戒解除宣言を発することになっております。大規模地震発生の可能性について判定していただきます判定会の定例的な委員打合会等におきましても、このような万一の場合を想定いたしまして専門的な立場からの検討を種々行っていただいてはおりますけれども、現在のところ、あらかじめ基準を設けておくということは極めて難しいと考えられております。そのようなケースが万一起こりました場合には、個々の状況に即した適切な判定をしていただいて、それに対して迅速な対応をとることになると考えております。
  157. 富塚三夫

    ○富塚委員 予知、つまり事前に知らせる、あるいは警戒宣言、あるいは解除、現実に地震が起きるだろう、間違いないと思うということの中でさまざまな問題で難しさがあることは承知をします。しかし、基本的に住民のコンセンサスを得られるような対応、基準づくりの問題などについては、専門的な分野の皆さんだけでなくて、住民の中で防災対策に携わっているとかそれぞれの地域において地震問題などに取り組んでいる人たちの意見なども取り入れてやっていただきたい、こういうふうに要請をしておきたいと思います。その点、どうですか。
  158. 津村建四朗

    ○津村説明員 発生の可能性の判定自体はかなり高度な専門的なものでございますので、一般の方の御意見、もちろん承りますけれども、やはり専門家の方々の御判断が非常に重要だというふうに私どもは認識しております。
  159. 富塚三夫

    ○富塚委員 私の選挙区の神奈川、もうまさに大地震が起きる、もう話題になると、おまえの選挙区は地震が起きそうだとか、そんなところに住みたくないとか、酒飲んでそんな話題になったりするわけです。警戒宣言が出されて、来なかった。出れば、まさに大地震が起こり得ると住民は恐怖感におののいて、これはなかった。何か空振りになったみたいな形になると、さらに不安が倍加していくということが現実の生活の中に出てくるという点では、そういう警戒宣言の出し方とか判断の問題は、もちろん高度の専門的な判断によるのでしょうけれども、もうちょっとその出す段階とか問題点というのは、地方自治体やそういう住民の代表と十分話し合って、意見を聞いてもらうということを一つは要請しておきたいと思います。  そこで問題は、いつ起きてもおかしくないと政府も判断するくらい、そういう分析に立っているのですが、果たして大規模地震対策特別措置法に沿ってどれだけこれは長官やろうとしているのか。去年の十一月二十六日には、地震財特法の有効期間の延長に対する要望の中でも、災害対策費として約二千四百億の財源を要求している、それぞれ東海地震関係の地方公共団体の代表が要請を政府にしているわけですね。どうも国土庁の去年の予算案なんか見ても、大規模地震対策特別措置法の施行については、これはわずか三千六百万ぐらいですか、ばかにした話であって、一体これでは、いつ起きてもおかしくないなんということの行政上の措置に責任を持つようなことにはならぬと思うのですよね。ここのところは、来年度の予算に向けてどのような予算的対応を考えようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  160. 杉岡浩

    杉岡政府委員 地震財特特別措置法でございますが、先般、当委員会の御提案によりまして延長がなされまして、地震対策緊急整備事業の追加がなされたわけでございます。そして、現在五千六百五十三億円の事業計画でその六県の事業を行うということになっておるわけでございます。  主なものといたしまして避難地、これは大規模な公園でございますが、避難地あるいは避難路等の事業があるわけでございます。こういった事業、これはそれぞれの、例えば避難地であるならば建設省の公園事業、あるいは避難路であるならば建設省の街路事業、こういった事業費の要求に基づきましてそれぞれ事業が達成されるわけでございます。そういった観点から国土庁といたしましては、こういった地震財特特別措置法に基づく緊急整備事業の推進官庁と緊密な連絡をとりながら、事業の遂行が円滑にあるいは進捗されるようにお互いに緊密な連絡をとっておるわけでございます。  ただいま先生御指摘の三千六百万円という数字でございますが、これは大規模地震対策特別措置法を施行するに当たりまして、例えば諸計画を策定する、あるいはこういった対策について必要な調査を行う、あるいはその訓練を実施するといったような事務的な経費でございまして、それぞれの緊急整備事業の事業予算はそれぞれの関係省庁において適切に必要な量について要求をいたし、また、それについて事業執行するということになっております。
  161. 富塚三夫

    ○富塚委員 神奈川県から、地震防災対策強化地域の指定拡大をぜひやってほしいということで、強い要請が出されていると思うのです。また、南関東、東海地域における大規模地震対策の促進決議なども政府に出されていると思うのですが、この神奈川県の防災対策強化地域の指定拡大についてどのようにお考えになっていますか。積極的に受け入れていただきたいと思うのですが、まず、この点についてお答えをいただきます。
  162. 杉岡浩

    杉岡政府委員 現在、大規模地震対策特別措置法に基づきます地震防災強化地域、これは静岡それから山梨、神奈川、岐阜、愛知、長野という六県がございますが、それで百六十九の市町村が指定をされておるわけでございます。  この強化地域の市町村指定でございますが、これは駿河湾を震源として大規模地震、すなわち東海地震発生した場合には震度六、これは非常に大きな被害が出るわけですが、震度六の地震になるであろうというのを想定された区域でございます。これは学問的に学者の先生に御判定をいただきまして決めた地域でございます。それ以外の地区、例えば神奈川県の東部あるいは東京、こういったところにつきましては、震度五ということに相なるわけでございます。  現在の緊急整備事業につきましては、地震防災強化地域におけるその事業の緊要性、緊急性にかんがみまして、これを計画的に実施するということでこの事業を行っておるわけでございます。そういった観点から、現在、地震防災強化地域百六十九カ市町村の地域の指定というのが妥当なものだというふうに考えております。
  163. 富塚三夫

    ○富塚委員 ぜひ積極的に検討していただきたい、受け入れてもらいたいと思うのです。  同時に、やはり防災対策でそれぞれの市町村長さんは今真剣に取り組んでいるわけですね。そこで、道路の問題とか避難地の問題などがあるのです。例えば、平塚市などでは、自然公園をつくりまして、既に第二期の工事を進めたい、三万人ぐらい収容できるところを考えたいとしているのですが、一つは大蔵省関東財務局の持っている土地の払い下げの促進方を積極的にやってほしいと市長の側からも要請されているので、国にも県にもそう出ていると思うのですが、また、公園整備に対する国庫補助金の特別枠の確保の問題も建設省の公園緑地課ですか、などで積極的にひとつ検討していただきたい。あるいは小田原市などからは、具体的な調査に乗り出してもらいたいということがあるのですが、ここらの各論についてひとつどの程度考えていただけるか、お答えいただければ簡単にお願いしたいと思います。
  164. 坂本新太郎

    ○坂本説明員 公園の整備につきましてお答えさせていただきます。  平塚市におきましては、従前の地震対策緊急整備事業計画並びに先般改定いたしました新計画に基づきまして、避難地として平塚中央公園の整備を進めておるところでございます。本公園は、農林省の果樹試験場の筑波移転跡地を利用して整備を進めておりますものでありますが、第一期区域約十二・八ヘクタールにつきましては、本年の三月にその一部約五・四ヘクタールを開園いたしまして、残りの区域につきましても整備を鋭意進めているところでございます。  なお、御指摘の第二期区域、残りの区域でありますが、面積約十八・二ヘクタールございます。これにつきましては現在、都市計画決定等の準備を進めておりまして、国といたしましても、その整備に協力してまいるというふうに考えておるところでございます。
  165. 富塚三夫

    ○富塚委員 ぜひ積極的に受けとめていただいて、対策を市町村が積極的に取り組んでいる状況にありますから、国としても政府としても積極的に取り入れていただきたいということを要請しておきます。  最後に、これだけ東海地震発生の兆候がもう既成のものであるかのように、そういうふうに理解されるようになってきたのですから、一つは、これは委員長にもお願いしたいんですけれども、やっぱり学者や専門家意見をきちっと聞く場を、政府委員とで年が明けたらそこのことをきちっと聞く機会をつくっていただきたい。  それから、二つ目には、行政の一元的な対応ですね。この東海地震に対する行政の一元的な対応について、ひとつ長官の方で、国土庁の方で検討していただきたい。地方自治体もこれはばらばらに対応では困りますし、ここまで来ますと、やっぱり十分に統一的な対応ということが、一元的な対応が必要なんじゃないか。その中でやっぱり総合的に実態を調査をしてもらうといいますか、過日、我が党なども調査団を派遣していろいろ調査をしたんですけれども、一政党の調査とかということじゃなくて、政府としてひとつ具体的な調査をやっていただきたいということがお願いです。  それから、抜本的な防災対策という問題で、避難路の問題、避難地の問題、津波や医療の問題、こういったことについて、予算的な制約ももちろんあるでしょうけれども、重点的に段階的にどういうふうに実施していくのかという展望をもっと明確にしないと、これをやりたい、これをやってみたいと願望みたいなものは出るのですけれども、どうもばらばらになっている。結局は予算的制約でだめだみたいなことではいけない、私はそう思うのです。やっぱり東海地震に対する政府対策ですね、明年度の予算の獲得、予算編成に向けて長官、思い切って対応をしてもらいたいし、この委員会としても今申し上げましたようなことでぜひ努力をしていただきたいというふうに思うのですが、長官いかがなものでしょうか。
  166. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 御趣旨は十分に認識いたしておりますし、その緊急性にかんがみまして、国土庁としては最善を尽くして頑張っていきたいと考えております。
  167. 富塚三夫

    ○富塚委員 以上で終わりますけれども、私、災害対策委員会に入ってみてつくづく思うのですが、こういった災害対策なんというものは、超党派的にきちっと問題を受けとめてやらなければならぬ。とりわけ、地震問題がこれだけ大きな問題になっているのですから、そこのところは、与党とか野党とか政府とかあるいは国会とかというんじゃなくて、もっと積極的に問題を受けとめていただいて、具体的な措置、そして予算、こういったものを考えていただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。  ありがとうございました。
  168. 中村茂

    中村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十三分散会