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1985-11-27 第103回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十七日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 小川新一郎君    理事 浦野 烋興君 理事 鹿野 道彦君    理事 高村 正彦君 理事 関山 信之君    理事 永井 孝信君 理事 坂井 弘一君       臼井日出男君    加藤 卓二君       津島 雄二君    林  大幹君       上野 建一君    沢田  広君       森中 守義君    伊藤 英成君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         警察庁交通局長 八島 幸彦君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       矢部 昭治君         運輸大臣官房国          有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省運輸政策         局長      栗林 貞一君         運輸省地域交通          局長      服部 経治君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省航空局長 西村 康雄君         運輸省航空局技          術部長     大島 士郎君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   藤原  享君         早朝行政管理         局管理官    稲葉 清毅君         法務省民事局参         事官      濱崎 恭生君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       鏡味 徳房君         厚生省健康政策         局医事課長   佐野 利昭君         運輸省航空局管         制保安部長   中村 資朗君         運輸省航空事故         調査委員会事務         局長      藤冨 久司君         建設省道路局企         画課長     三谷  浩君         建設省道路局高         速国道課長   小林 芳夫君         自治省税務局固         定資産税課長  佐野 徹治君         日本国有鉄道常         務理事    山之内秀一郎君         日本国有鉄道経         理局会計課長  土屋比呂幾君         日本国有鉄道施         設局用地課長  大西 光男君         参  考  人         (日本航空株式         会社専務取締         役)      平沢 秀雄君         参  考  人         (日本航空株式         会社常務取締         役)      川野 光斉君         特別委員会第一         調査室     木村 俊之君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 小川新一郎

    小川委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本航空株式会社専務取締役平沢秀雄君及び常務取締役川野光斉君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小川新一郎

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 小川新一郎

    小川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
  5. 臼井日出男

    臼井委員 最初に、国鉄に関連をしたことについてお伺いをさせていただきたいと思います。  現下の国鉄状況というのは大変厳しいわけでございます。再建監理委員会からの答申が出まして分割民営化というのが決まっておるわけでありまして、再建処理をいろいろやりましても、十六兆以上のお金はさらに国民の負担として何とか処理をしなければいかぬというふうな状況でもございます。人員等につきましても余剰人員が九万三千人、その中で四万一千人は旧国鉄に残して、何とかこれをどこかで受けてもらわなければいかぬ、処理をしなければいかぬ、こういうふうな状況にもございます。また、今、第百三臨時国会で共済年金問題が四委員会で上がっているわけでありますが、この一つの大きなネックというか問題になっている点も、国鉄共済をどういうふうにしていくか、これが大変大きな問題であります。きょう政府統一見解が出るということでありますが、こうした厳しい状態の中で、公益性というものを重視してきたわけでありますからこれはやむを得ないと思いますが、しかし現に国民に対して大変迷惑もかけている、こういう状況国鉄があるわけであります。  最近は新幹線等も大分延長されまして、騒音問題もいろいろ出てきている。現に国鉄があるということによって地域との問題もいろいろあろうかと思うわけであります。しかし、私は今お話をしたとおり、国鉄というのはやはり国民の足でありますから、それなりに正確な判断で物事に処していかなければいかぬ、それが単なる地域の末端で起こったことであっても、正確にとらえてしっかりと処理をしてもらわなければ困る、こう考えているわけであります。  そこで国鉄は、こうした地域に起こる諸問題、いろいろなトラブルについてどういう考え方でいかような態度処理をしようとしているのか、この考え方をまずお聞きしておきたいと思います。
  6. 大西光男

    大西説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、国鉄は現在非常に厳しい状況に置かれておりまして、国民皆様方の御協力、御理解がなければ国鉄の問題というものは解決できないということは御指摘のとおりでございます。そのように我々は理解をいたしております。  そこで、先生の御質問の地域の問題に関するトラブルについてどうかという点でございますけれども、国鉄といたしましてはやはり公共性公益性という観点から、できるだけ地域に密着いたしましていろいろな面でトラブルをなくするといいますか、そういう観点で今まで対処してきているというふうに考えている次第でございます。
  7. 臼井日出男

    臼井委員 非常に模範生としての回答で結構なことでありますが、どうも現状を見るとなかなかそうじゃないのではないだろうか、そういうふうに感じる点が多いわけであります。  そこで私は地元千葉の現に起こっている問題、どうも常識的に考えてもこれは国鉄やり方がおかしいと思うことについて問題を提起したいと思うわけであります。  それは国鉄船橋駅に極めて隣接をしている地区、しかもその地域としては片や国鉄線路、片や京成の線路、こういうところに挟まれた一町会であります。出入り口が非常に狭隘である。海神片町という町会でありますけれども、こういう状況地域であります。この地域はそういうわけで、物理的にいって国鉄用地を通らなければ車の出入りが一切できない、こういう地域であります。人口五十万を超える船橋の、しかも駅の前でこういう地域があるのは極めて奇異なわけでありますが、現実に行ってみるとそのとおりである、こういう状況でございます。昔は国鉄線路をまたいで赤道もあったのですが、国鉄の拡幅に伴ってこれが廃止をされた。これは戦前の話でありますが、そういう経緯もありまして、従来、戦後、車の緊急の出入りについては国鉄用地を通してもらっておった。例えば引っ越しの際とかあるいは建てかえの車が入る際とか、どうしても緊急やむを得ない場合には慣例として国鉄用地を通って車を通していただいておった、こういうことであります。一時閉鎖をされたことがありますが、つい最近まで使用させていただいておった、こういう状況であります。  ところが本年の六月十七日、これが閉鎖をされてしまった。地元から七月に要請が出まして、従来どおり緊急の車両等、例えば引っ越しであるとかあるいはうちの建てかえであるとか、そういう緊急の際にはぜひとも従来どおり通してもらいたいということをお願いしたわけでありますが、現在まで正式な文書による回答はない、いわゆる回答としてはノーということでありました。私は、どうもこうしたやり方というのが一般常識からいって外れておるのじゃないだろうか、そういう気がしてならないわけであります。この点について経過と、どういう回答をしたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  8. 大西光男

    大西説明員 お尋ねの件でございますが、まず国鉄用地内の通行につきまして国鉄がどういう考え方をしておるかということについての御説明をさせていただきたいと存じます。  用地内の通行につきましては、業務遂行上であるとか安全対策面等がございまして、一般的には認めてないというのが実情でございますが、地域住民の方が国鉄用地内を通行することにつきまして、業務上であるとか安全対策の面から支障のない範囲で駅の構内や宿舎の用地内を通行するということは事実上認めておる事例がございます。  そこで船橋の件でございますが、本年六月十七日に用地内の門扉閉鎖したというのは、先生指摘のとおり事実でございます。本件国鉄用地は、現在実は第三者というか以前の貸し付け相手方訴訟関係にございまして、訴訟遂行上その門扉閉鎖する必要が生じましたために、本年六月十七日に船橋市及び関係住民方々事情説明いたしまして閉めたような次第でございます。地域住民の方からは、六月十七日後におきまして通行に関する要望口頭でございましたが……(臼井委員口頭じゃないよ、書面だよ」と呼ぶ)書面でございますか、失礼いたしました。要望がございましたが、現在訴訟中であるということで説明をいたしまして今日に至っている次第でございます。  それで、本件に対する国鉄考え方といたしましては、実は本件国鉄用地は、倉庫敷として昭和二十五年から使用承認という形の貸し付けを、倉庫業を営むために使用を認めていたわけでございますが、使用料の不払い、それから相手方から契約継続意思表示がなされなかったことによりまして昭和五十七年三月に契約が失効いたしておりまして、その相手方から昭和五十七年九月に通行権確認訴訟が提起されておりまして、現在係争中でございます。この間、先生指摘のように、地域住民方々がこの用地を便宜的に利用していたわけでございますが、現在通行権の存否をめぐりまして係争中でございますので、訴訟遂行上、坂巻商店から通行権を認める訴訟が提起されておるのに、その通行権を認めているような状態で放置しておくことは好ましくないという考えに立ちまして、やむを得ずこのような措置を講じた次第でございます。御理解を賜りたいと思います。
  9. 臼井日出男

    臼井委員 それは相手が違うと思うのですよ。例えば、相手側倉庫業に対して通さぬというのは、これは話はわかりますし、常時通せ、こういうことではないわけですね。緊急やむを得ない場合お願いをして通してもらう、どうしていかぬのかちょっと納得いかないわけです。特に私はけしからぬと思うのは、地元町会から文書でもってお願い書が上がってきたのに、全然そういうものは解していない。これは大国鉄ともあろうものがどういう処理かと私は極めて不思議に思うわけであります。通行してはならないと決定を下した人はだれですか。
  10. 大西光男

    大西説明員 お答え申し上げます。  通行してはならないということを決定した者は、用地管理の委任を受けております千葉鉄道管理局長でございます。
  11. 臼井日出男

    臼井委員 恐らくそうだろうと思うのですね。私は当初このことについて聞いたときに、管理局長のところへ行きましたが、だめだと。しかし、私ども一般常識的に考えて、常時通すということではなくて、特にやむを得ないときに通してもらいたいというのは当然の話で、それはどこかのごろつき会社じゃないのですから、そういう相手方の気持ちというものは当然酌んで判断すべきだというふうに感じるわけですね。特に、弁護士さんが閉じた方がいい、じゃないと勝てないということですが、それもさっき申し上げたとおり相手が違う。倉庫業者に対して閉じるということであるならばいいですが、全然関係ない善意の地域住民、しかも町会という地域代表者が正式な文書で持ってきたものし対して全く一蹴するという態度は、私は大変遺憾であるというふうに考えているわけであります。  ちょっと聞いておきたいのですが、法務省の方見えていますか。――今お聞きのとおりの話で、こうした措置訴訟法律対抗必要条件としてぜひともなければならないものかどうか、一般論しか言えないと思いますが、お聞きをしたいと思います。
  12. 濱崎恭生

    濱崎説明員 御指摘のとおり、訴訟になっている具体的な事件でございますので確定的なことは申し上げられません。一般的、抽象的にのみ申し上げさせていただきますが、御指摘のような事案につきまして国鉄のとられたそういう行為が、直接訴訟の結果に影響を及ぼすという論理的必然性というものはないのではないかと考えられます。ただしかし、今問題になっておりますように、当該の土地につきまして当事者間に一定の権利、今通行権といったようなものが問題になっておるようでございますけれども、そういった権利が存在するかどうかという判断に当たりましては、当事者がその土地使用に関して実際上どういう行動をとっていたかというようなことも影響してくる場合があり得るわけでございまして、そういう意味で、今回の国鉄行為訴訟の結果に全く影響を与えないというふうに断言するわけにはいかないかと思うわけでございます。そういうような関係があるかどうかということは、紛争の実態あるいは具体的な事実関係のいかんによる問題であろうかと思います。
  13. 臼井日出男

    臼井委員 国鉄側にお聞きをしたいのですが、例えば、国鉄も全国にありますけれども、国鉄関係でこのように一町会で、しかも都会のど真ん中で丸々車一台も入れないという地域がどれくらいあるか、もしわかったら教えていただきたいと思います。
  14. 大西光男

    大西説明員 お尋ねの件でございますが、現在国鉄としては把握をいたしておりません。
  15. 臼井日出男

    臼井委員 私も一区という狭い中ですが歩いておって、どんな田舎の山の中でも、今車が一台も町会に丸々入れない地域というのは私の知る限りでは全くないと思います。そういう意味では、この地域は極めて特異、特殊である。しかも、あなたも知ってのとおり、戦後国鉄拡張によって赤道というものがつぶされて、国鉄が買収しているわけですね。今その赤道があったならば、道路拡張というものもあるいは現時点でできたかもしれない。しかし、現にあの時点で赤道というものを買収して国鉄用地を拡充したということによって、その土地が拡充できない状態になってきてしまっている。そういう経緯もあると思うわけですが、そのことについて御存じですか。
  16. 大西光男

    大西説明員 現在調査中でございます。
  17. 臼井日出男

    臼井委員 そんなのは地元に聞けばすぐわかることです。そういう経緯もある。だから、昔のことをよく聞いて、流れの中で判断しなければいかぬことでしょう。よく調査をしていただきたいと思います。  それから、自治省にちょっとお伺いしたいのですが、国鉄地方税固定資産税減免措置がとられておりますが、これはどういう理由によってそういう措置がとられているかお聞きをしたいと思います。
  18. 佐野徹治

    佐野(徹)説明員 固定資産税につきましては、国鉄が本来事業に要する固定資産につきまして非課税措置が講じられております。なお、これにつきましては、非課税措置が講じられておりますけれども、二分の一の市町村納付金を納付する措置が講じられております。なお、国鉄につきまして非課税措置が講じられておりますのは、公社としての強い公共性にかんがみて講じられておるものでございます。
  19. 臼井日出男

    臼井委員 二分の一に減免されている。これは今お話のとおり、国鉄がほかの民間の鉄道と違う、国鉄であるから、特に公共性を持っているから減免をしているのだ。市町村も我慢しているわけですよ。毎年のように何とかこれを元に戻してくれという意見書が地方自治体から出てきておりますが、あえて我々がそれをしないのは、公共性が特に強いということの判断であります。そういうことからするならば、当然こうした判断は、例に挙げて申しわけないけれども、他の私鉄等と違って国鉄として国のやっている鉄道、そうしたことの判断で、地域住民に対しては十分な配慮をしなければいかぬと思いますが、国鉄、いかがですか。
  20. 土屋比呂幾

    土屋説明員 お答えいたします。  市町村納付金制度につきましては、先ほど自治省の方からお話がございましたが、従来公社発足のときには、国鉄は本来事業につきましては一切の税金を払っておらなかったわけでございますが、三十一年当時、非常に地方財政が窮迫しているという事情もございまして市町村納付金制度というのが創設されて、先ほどお話がございましたように、固定資産税に比べまして二分の一をお払いする、そういう制度ができたわけでございます。  そういう意味で、できました経緯はそういうことでございますが、現在の状況といいますか、固定資産税と比較して見た場合には、やはり国鉄の性格が公共企業体ということで、公共性なり企業性なり、そういう両方の面を考えてこういう制度になっている、そういうふうに理解すべきではないかと思っております。そういう意味で、公共性ということにつきましても十分配慮していかなければいかぬ、そういうふうに考えております。
  21. 臼井日出男

    臼井委員 今、公共性配慮をするということでありますから、今後こうした問題についてもまた違った結論も出てくるんじゃないかな、私はこういうふうに期待をいたしておりますが、運輸省の方、見えていますか。――今お話をお聞きのとおり、やはり政治というのは、一般人たち常識でこれは正しいんだろう、あるいはこれは間違っているんじゃないか、そういうものと全く違った結論が出るというのは政治ではない、やはり一般国民が、常識からいってこういうことが当然じゃないだろうか、それが反映されるのが政治だと私は思っているのです。ですから、これは極めて一部の問題ですが、こんなことがしょっちゅうあちこちで起こっているとしたら、これはえらいことであります。やがて民営化されると、当然この固定資産税の問題なんかについても、この際やめてもらいたいという要望市町村から出てくるはずですが、これに対して私は、こういうことがあちこちで起こっているのならば、民営化された後もあえてこれを続けるということは主張できないような感じがするわけであります。  そこで、運輸省についてお尋ねするわけですが、こうした状況について運輸省は何らかの指導あるいはどういうふうにお考えになるか、お聞きをしておきたいと思います。
  22. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 今お話しの、そういう国鉄用地通行をめぐりましてのトラブルといいますか、そういうことにつきましては、これは基本的には私法上の問題でありますので、国鉄とそれから相手方々当事者の間で十分話し合いをして円満に解決すべき事柄と存じます。  先生指摘のとおり、国鉄分割民営化という大改革をこれから実施するわけでございますし、いろいろな意味地域方々とも円満に万事過ごしていくということが大切だと思います。いろいろ国鉄側の今のお話訴訟当事者としての立場はあると思いますが、そういうことについてよく地域住民方々お話をして、官僚的な態度でなくて十分納得いくようなお話をする、そういうことによって地元理解を得ながら円満に解決を図っていくということが必要と存じます。
  23. 臼井日出男

    臼井委員 今運輸省のお答えをいただいて、私はそれが普通考えた適当な判断じゃないだろうかな、そう思うわけであります。今後国鉄は、この問題についてもひとつもう一度御検討をお願いいたしておきたいと思います。  あと、時間がなくなりましたのでもう一件だけお伺いをしたいと思うわけでありますが、日航問題で、最近非常に引き続きトラブルが起きているようでございます。小さなトラブルを入れると百件ぐらい年に起きているんだ、特に日航は九百便ぐらいいろいろな異常が現に起きておるというふうな、これは新聞報道でありますからその正否のほどはわかりませんが、事実、昨日の新聞にも蛇行降下、これはなかなか技術が要るんじゃないかと思いますが、曲がりながらおりていった、こういうことも起きている。こういうふうな状況があの大変痛ましい大惨事の後にも引き続いて起きている。何か基本的な欠陥といいますか、もっと正さなくてはいかぬ点があるのじゃないだろうかな、そういうふうな感じもするわけでございます。  こうしたいろいろな事故が起きていること、また今回の航路逸脱等に関し、運輸省日本航空に対してどのような再発防止措置を講ずるように指導したか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  24. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいま御指摘ございましたように、これは飛行機に限らず、少なくとも交通機関というものは安全の確保が第一であることは申すまでもありませんし、特に航空機の場合は死につながるという危険性が、被害が非常に大きいということから、安全の上にも安全を図らなければならぬ、そういう立場から運輸省としては今日まで指導をしてまいりました。しかるに相次ぐ事故が起きたことは、まことに遺憾のきわみでございます。その都度私どもといたしましては、日本航空に対して厳重な注意あるいは改善命令等次々にいろいろな指示をしてまいったわけでございます。  今後どうするかという問題、いろいろ改正すべきことは改正し、命令等も出さなければなりません。同時にまた、そういった一つ技術的な問題、あるいは規則その他いろいろございますけれども、そんな問題だけではなくて、やはり巷間伝えられておりますように、何か日本航空の体質に問題はないのか、あるいはどうも労使関係がぎくしゃくしていて、安全問題一つ取り上げても、意見が折り合わないでそれがなおざりになったというようなことはないかというようないろいろなことがありますが、そんなことが今回の例えば御巣鷹山のあんな大きな事故につながったとは私は思っておりませんけれども、そういうことが巷間うわさされるだけでも私はこれは重大な問題だと思っておりますので、そういう面も含めて今後は厳重に監督すべきはしてまいりたいと思っている次第でございます。
  25. 臼井日出男

    臼井委員 ぜひともこういう問題が頻発することのないように、ひとつ御指導をさらにお願いいたしたいと思います。  これはまだ正確な答申運輸省には来ておらないはずでありますが、山下運輸大臣の御諮問になりました運輸政策審議会航空部会、この会合で中間答申の骨子がまとまった。いわゆる日航民営化も促進をしていく、そして日本のこれからの航空行政というものをもっと多元化していくのだ、従来の航空憲法というものも廃止をすべきである、こういう案が固まったやに聞いております。来月の十二月早々には正式に運輸省の方に答えが返ってくるということであります。  しかしその答えを待つまでもなく、これからの日本航空行政というのは、一つの大きな転換期に来ているということは事実でありまして、将来展望、どのようにこれからの航空行政というものをやっていくのか。もちろん答申を受けなければこれははっきりしたことは申していただけないのはもちろんでございますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 山下徳夫

    山下国務大臣 今お話しのとおり、運政審におきまして鋭意審議を重ねていただきまして、おおよその見通しがついたようでございまして、大要が一致したという立場から来月の九日に答申が、中間答申でございますけれども出されるということを伺っております。  運政審におきましては、いわゆる航空憲法について今日必要であるかどうかということ、そのほかにもございますが、このことについても御審議いただいたわけでございますが、おおよそ今の時点においてその使命は達成されたという判断に立って、これから新たな競争を促進する、恐らく中間答申の内容はそういうことじゃないかと思っておりますし、そうなりますと航空憲法は当然廃止されるものと理解をいたしております。私どもは答申の内容を十分尊重しながらこれに対応する政策をとってまいりたいと思っております。
  27. 臼井日出男

    臼井委員 これから国鉄問題もこれあり、また空の方でも大変大きな航空行政の曲がり角に来ているわけでございますが、運輸省におかれましてはこうした点、将来展望をしっかりと、日本の交通行政というものがやっていけるように御尽力をいただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  28. 小川新一郎

    小川委員長 次に、永井孝信君。
  29. 永井孝信

    ○永井委員 ただいまも日本航空の問題について若干質問が出ておりましたので、その関係からお聞きをしていきたいと思うわけであります。  サハリン沖で航路を逸脱したということについては、びっくりするような出来事であったし、新聞だって大変なニュースで流しているわけですね。連日このことが流されました。その新聞一つに、迷走したことについて六点を挙げています。私は直接調査したわけではありませんから、この新聞の記事で言うのでありますが、まず一つは「相互連絡の不徹底」、二つ目には「スイッチ戻し忘れ」、三つ目には「通過位置確認せず」、四つ目にはコックピット内の「標示灯を確認せず」、五つ目には「レーダーがオフ」、六つ目には「緊急無線届かず」、こう新聞には書いているわけです。なぜこんなにすべてのことについてミスが起きたのか、私ども常識では判断できないんですね。これについて、運輸大臣として航空安全のあり方についてどのように今回の事故をとらえていらっしゃるか、一言お答えいただけますか。
  30. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど臼井委員の御質問にもお答えいたしましたように、相次ぐそういった事故あるいはミス等を私なりに判断してみますと、技術的な面あるいは規則その他いろいろあると思いますけれども、やはり私は一種の緩みというのか、親方日の丸的なものが労使双方にあったのではないか、そういった問題もあわせて、広い意味において、やはり日航自体がここでひとつ反省すべき時期に来ておるんではなかろうかという感じがいたすわけでございます。  特に、五百二十名のとうとい人命が失われたあの御巣鷹山の事件、私はあの直後現地に行き、また再度行きまして、私もまたあの飛行機に乗っていたというような何か一つの使命感というものを感じながら、これはこのままではいけないなということをしみじみ感じ、それから今日まで約三カ月でございますが、私としては打つべき手を打ってきたつもりでございますけれども、今申し上げましたように、ただ単に社員のたるみということはちょっと言い過ぎかもしれませが、総体的に何かもう一つ欠けているような気がして、そういう意味も手伝って、私は先般四つの各労働組合の幹部の方々と個々にお会いしましていろいろ懇談いたしました。いたしてみると、それぞれ組合の方々のおっしゃることも非常に私にはよくわかる。それがどうして労使の話し合いになるとわからないのかなということ。そこでお互いに、積年の弊というものもありましょうが、ひとつ心を開いた話し合いをしてくださいということを私は申し上げました。  何か労使の問題だけここで取り上げるようでございますけれども、一例として労使の問題を取り上げたのでございますが、そういう意味におきまして、今後この時点に立って、私はもうあらゆる問題をここに出して、これから日航はどうすべきかということを原点に立ち返って考える時期が来ている、そのように思っておる次第でございます。
  31. 永井孝信

    ○永井委員 労使問題にまで大臣として配慮してもらっているということは非常にありがたいことだと思うのでありますが、例えば日航機の羽田沖墜落事故のときにも私はこの委員会で問題提起をしたのでありますが、労働組合は不幸にして複数の組合があるわけですね。そして、この前の日航ジャンボ機の墜落事故のときにも私は指摘をいたしましたけれども、世界でただ一つ日航だけが機長が管理者に組み入れられているわけですね。そのことから、労働組合の情報を見ましてもよく問題になっているのでありますが、コックピット内で副操縦士や機関士が機長に気軽く物が言えないという状況にある。これが大変問題なんだということを、この事故が起きるずっと前から指摘をしてきているわけです。  たまたま一つ新聞記事を参考までに申し上げますと、これは航空専門家の発言でありますが、「機長の権威が強すぎてものの言いにくい操縦室は危険だ、といった点が、外国では報告されている。この辺を十分に点検する必要があろう」、こう言っているわけであります。だからコックピット内で、機長が管理者であるがゆえに副操縦士や機関士が遠慮があって物が言えないということで、仮に機長に何かミスがあっても、機長さん、それは間違ってますよということが言えないような状態があったとしたら、これは仮定でありますが、大変なことでありますから、そういう観点で労使の関係というものはもっと大切にするように、そして日航だけが機長を管理者に指定しているようなあり方についても、一回監督官庁として日本航空と十分にその辺のところも、果たしてこれでいいんだろうかということで話し合いをしていただきたいと思うのですが、どうでございましょう。
  32. 山下徳夫

    山下国務大臣 大型化時代に五百数十名という方々の命を託されたという形における日航の乗務員、特にクルー打って一丸となって、お互いに親しく話し合いながら心を一つにして運航に当たるということは最も望ましい形でございます。そういう意味において、今御指摘のように、機長が管理職であることがいいか悪いかということは、これから私も十分検討させていただきたい。  同時に、これは一つの社内問題でもございます。私もよく存じませんが、たしか全日空は大方の方が管理職ではない。しかし全部が管理職でないかどうか。例えば今申し上げたようなことは、日航の場合は管理職だから、全部管理職でなくするというようなやり方がいいかどうかということの例として申し上げているのでございますが、同時にまた日航のクルーの中には、コックピットじゃなくて客室乗務員でも、先任チーフパーサーというのでしょうか、この人たちはたしか管理職だと思っております。そこらあたりまで含めて、これから今のままでいいのかという一つの反省に基づいて、社内で十分検討していただきたいと思っております。
  33. 永井孝信

    ○永井委員 それは大変ありがとうございます。  そこで、きょう私自身は日本航空関係者に答弁席に来てもらうことは遠慮いたしました。それはどういうことかと言いますと、日本航空の幹部からはもう言いわけは聞きたくない。私の気持ちからすれば、聞く耳持たぬという気持ちなんですよ。何回も何回も同じことを繰り返してきているのですからね。私どもの地元の表現の悪さは承知の上で申し上げれば、もうあきれ返って物も言えんわ、こういうことなんですよ。だからもうここは、安全指導のあり方については運輸省がその気になって徹底的にやる以外にない、こう私は思っています。  ところが、今度サハリンの事件がありましてから、航路逸脱再発防止のための改善措置ということを日航はやられているわけでありますが、その中に、例えば現行の手順では、位置通報点及び変針点においては自機の位置を確認し、当該地点を通過した場合に、機長、副操縦士が地点通過を呼称して相互に確認することになっている。現行でそうなっている。今後はさらに、当該地点通過時にオートパイロットのモードについても呼称して相互に確認する、こういうふうに改善をするように指導をしているわけですね。これが一事が万事でありまして、現行は相互に呼称して確認することになっている、しかしなされていない。ここは多くの言葉を費やす必要はないと思うのです。日本航空全体の安全運航に対するあり方を根本から変える以外にない。ここのところは私は厳しく申し上げておきますので、今具体的にそのことをどうこうということじゃなくて、監督官庁としての毅然たる対応を私はお願い申し上げておきたいと思うわけであります。  なお、この前のあの五百二十名のとうとい犠牲を伴った大事故、これに関連をして少しお聞きしてみたいと思うのですが、事故調査委員会調査結論は、細かい専門的なことは別にして、大体どの程度まで進捗しているのか、お答えいただけますか。
  34. 大島士郎

    ○大島政府委員 航空事故調査委員会運輸省航空局とは、多少立場を異にいたしますので私から申し上げるのは適当ではない面もあるかと思いますが、私ども聞いております範囲では、現在、事故調査委員会において一部相模湾の残骸を海上保安庁等の船で捜索しているというような点もございますが、内部的には事故調査が進められているということでございます。この見通しについては、事故調査委員会からの公表あるいは発表はございませんので、私どもからちょっとお答え申し上げかねるところでございます。
  35. 永井孝信

    ○永井委員 それでは結構ですが、この前、八月二十八日のこの委員会で問題になりました事故の原因ではないかと言われている例の隔壁問題、どういう原因が加わったにしろ、恐らく隔壁が事故の直接原因ではなかったのかなということは、おおむねそのように見られているわけですね。それでよろしゅうございますか。
  36. 大島士郎

    ○大島政府委員 隔壁が破壊していたということは事実でございます。隔壁の破壊と事故原因との因果関係につきましては、現在事故調査委員会調査が進められている段階でございますので、公式にはこれが原因と直接関係がある、あるいはないということは言えないのでございますが、いろいろ報道等によりまして原因と関係があるのではないかということは私どもも承知しておりまして、私どもとしてはその可能性はあると考えております。
  37. 永井孝信

    ○永井委員 そこで、技術的な問題もあるのでございますが、この隔壁について前回の委員会のことをちょっと振り返ってみたいと思うのです。  私は、断定はできませんけれども、隔壁が原因ではないか、そういう客観的な状況の中で七年前のしりもち事故をここで質問いたしました。そのときに大臣は、私の質問に対してこういうふうにお答えになっていらっしゃるわけです。それは七年前の修理がなされた後、「毎年定期的に行われる点検におきましてもこれはパスをしてきている。厳重に決められた問題について点検の処理をしてきているということでございますので、私はこれは不可抗力であったここう大臣がお答えになったわけです。私はそこで不可抗力とは問題があるということを指摘したのでありますが、そのときに私はこのように質問いたしました。七年前に修繕をボーイング社が行ったときに、その合格証を発行したのは運輸省でございますねと私は確認いたしました。これについて運輸省は、そうです、こうお答えになっていらっしゃるわけでありますが、その合格証を発行した運輸省が、この七年前の修繕のことで一定の責任を果たすという立場からすると、もしもその隔壁に問題があって事故につながったとしたら、監督官庁としての責任はどうなるのですかと私がお聞きいたしましたら、今お答えになりました大島部長は、「この事故後の修理、それに伴う航空法に基づく修理改造検査において事故前の状況に原状回復している、こういうことを確認して合格といたしたものでございましてここうお答えになっていらっしゃるわけであります。そして、そのことを繰り返し強調されたわけでありますが、不幸にしてボーイング社の調査で隔壁が完全に修繕がされていなかった、リベットの問題一つとってみても、いわばまともなリベットの打ち方がされていなかったということがわかってきたわけです。  だから、そういう大島部長の発言はけしからんと言ってここで私が幾らやってみてもこの事故はもとへ戻ってこないわけですから、そういうことは私は聞くわけではないのですが、運輸省のそういう安全点検に対して手抜かりがあるのではないか。陣容の問題があるかもわからぬ、人手が足りぬという問題もあるかもわからぬ、あるいは悪く言えばペーパーテストのようにめくら判を押しておったのかもわからぬ、これは私の勝手な想定でありますけれども。めくら判を押したとすると、めくら判を押さざるを得ないような機構になっておったのかどうなのか。今後のことがありますから、運輸省のそういう安全に対するチェック機能をより強化するためには、この前の説明では私は納得できない。これについてもう一回、現状に立ってお答えいただけますか。
  38. 大島士郎

    ○大島政府委員 去る八月二十八日の当委員会におきまして先生の御質問にお答えした私の発言は、ただいま先生指摘のとおりであります。その八月二十八日以降振り返って、九月七日に、ボーイング社が五十三年のしりもち事故の修理の際に作業ミスをやったということをみずから認める発言をしておりまして、これにつきましては我が国の事故調査委員会も経過報告という形で確認したものでございます。先ほども申し上げましたが、この修理ミスと事故の原因についてはまだ公式的な評価がなされていない状況でございますが、運輸省として当時修理改造検査を行いまして、当時の時点において合格と判定していることも事実でございます。この修理改造に当たりましては、日本航空がボーイング社に修理作業を委託して行いまして、日本航空は当該航空機の所有者として運輸省に対して修理改造検査の受検をいたしたわけでございます。  当局がやりました修理改造検査の内容につきましては、まず、この作業は日航自身がやるのではなくてボーイング社がやるということから、日本航空に対して、ボーイング社の作業を十分監督あるいは検査するように指示をいたしました。また、修理計画の妥当性あるいは修理過程の管理の方法、また修理完了後の現状について、地上の機能試験あるいはでき上がり状態を飛行試験によって確認して合格の判定を行ったものでございまして、私どもとしましては、運輸省の検査の方法は適正に行われたものと判断しているものでございます。また、修理改造検査で受検者である日本航空につきましては、結果としてボーイングの修理ミスというものが内在したことが判明しているわけでございますが、この点につきましては、日本航空のボーイング社に対する監督、検査にやや不十分な点があったと認められると考えております。  今後の問題としましては、航空会社が下請あるいは委託作業によって修理改造作業を行う場合、さらに監督体制については万全にするよう指導したいと考えておるところでございます。
  39. 永井孝信

    ○永井委員 日本航空とボーイングという二つの社にまたがる問題でありまして、非常に困難な問題もあったと思うのでありますが、そのことによって運輸省の監督責任は免責されないと思うのです、大臣。だから、運輸省自体が合格証を発行するというシステムになっている以上、そこは運輸省として逃げずに、積極的にその機能を強化するという態度を持ってもらいたいと私は思うのであります。  もう一つ、ついでにお伺いいたしますが、サンプリング検査の方式について私は前の委員会で提起をいたしました。そのときに大島部長は、補強すべき点があれば今回の事故を契機にして検討してみたい、こういうふうにお答えになったわけであります。このサンプリング検査そのものが大変問題だと私は思っているのでありますが、たまたま当時参考人で来ていただいた平沢参考人は、サンプリング検査の中で隔壁部分について言えば、事故を起こした当該機は検査の対象になっていなかった、こういうことを述べていらっしゃるわけですね。だから、サンプリング検査というのはそういう問題点を非常に持っておりますので、サンプリング検査のあり方というのは根本的にひとつ見直してもらって、全体の航空機自体が安全を確保できるような検査方式を積極的に進めてもらいたい。これについて責任の大臣から監督官庁としての責任を果たす立場で一言お答えいただいて、それから他の問題に入っていきたいと思います。答弁は簡単にしてください、時間がありませんので。
  40. 大島士郎

    ○大島政府委員 ただいま御指摘のサンプリング検査につきましては、事故後に行いました業務改善勧告の中でも私どもから指摘をしておりまして、これに従って現在総点検をやっておりますが、その結果も踏まえて改善いたしたいと思っております。
  41. 山下徳夫

    山下国務大臣 先生からの御質問に不可抗力と申し上げたのは、まだたしか事故があって二週間程度の八月二十何日かだったと思います。後日反省いたしまして、確かに適当ではなかったということで、瀬谷先生の御質問どおりに訂正させていただきました。  その後ずっと経過を見ながら、私に対する報告等を丹念に見て、どうさせる、こうさせるということも必要でございますが、運輸省みずからも、こういう監督でいいかということをみずから省みて、十分今後ひとつ反省してまいらなければならぬ点もある、かように理解しております。
  42. 永井孝信

    ○永井委員 それでは他の問題に入っていきたいと思うのでありますが、これまた御要望申し上げておきますが、関係者の答弁はできるだけ簡単にしていただきたいと思うのであります。  まず、十一月十七日現在で交通事故による死者がついに八千人を超えました。当初第三次交通安全基本計画で掲げた目標は、昭和六十年は八千人以下に抑えるという目標を掲げたのでありますが、それは達成できませんでした。これは一言で言って、一体なぜこうなっていくのだろう、単に自動車がふえたからだけだろうか、こう思うのでありますが、ちょっと総務庁でも警察庁でも結構でございますが、どちらかでお答えいただけますか。
  43. 八島幸彦

    ○八島政府委員 お答えいたします。  最近におきます交通死亡事故の多発傾向は御指摘のとおりでございまして、これは自動車交通の著しい増大あるいは混合交通の進展とか、あるいは運転者の多様化等全般的に交通環境が悪化している、こういう状況に対しまして、道路環境の整備、交通安全教育、交通指導取り締まり等事故防止対策が総体的に不十分であるために生じている、そういうふうに理解いたしております。  このような情勢に対応するために、先般道交法を改正いたしまして、シートベルト、ヘルメットの着用の義務化とか、あるいは原付の交差点における二段階右折、二輪車似二人乗りの禁止等の所要の規定を整備したところでありますけれども、この施策の浸透に伴いまして、今後交通事故防止効果があらわれてくるというふうに期待をいたしているところでございます。
  44. 永井孝信

    ○永井委員 この前の百二国会で道交法を改正したときに、当委員会でいろいろな議論がありました。シートベルトを着用すれば恐らく死者が三千人くらい減るのではないかという話も出ました、施行されてまだ日も浅いわけでありますから、直ちに効果がすべての面に及ぶとは思いませんけれども、道交法を改正した年に、依然としてやはり九千人台を超えるような死亡者を出したのではやり切れぬわけですね。だからこの辺の関係については、総合的に事故死が減っていかない本当の要因は何なのかということをもう一回専門的に洗い直してみていただきたいと思うのです。これは要望しておきたいと思います。  さて、交通事故の激増に伴って保険金請求ということも非常に増加をしてきているわけでありますが、この保険金請求に対して、依然として不正請求と言われているものがかなり介在しているように私どもには見えてならぬわけであります。現に私の手元にもそういうことで相談を受けて、随分やってまいっております。ですから、この不正請求というものが、例えば警察の関係で言うと、摘発の実態はどうなっておりますか、わかっておりましたら、ちょっと一言でお答えいただけますか。
  45. 八島幸彦

    ○八島政府委員 保険金の不正請求の摘発の実態でございますけれども、昭和五十九年中における検挙状況は、件数が六百三十九件、検挙人員五百五十人、金額約十六億一千万円となっておりまして、この数年、毎年の検挙件数、大貫、金額のいずれも増加しておりまして、今後ともその検挙の徹底を図ってまいりたい、かように考えております。
  46. 永井孝信

    ○永井委員 不正請求が起きてくる要因の一つに、私は事故証明の問題があるのではないか、こう見ているわけです。それは、事故証明が添付されないままに保険金請求が行われている事例が極めて多い。道交法の七十二条によって事故の届け出が義務づけられているわけですね。事故の届け出を行っていれば事故証明が出るわけでありますから、この事故証明の添付がないままに保険金請求が随分存在するということは、事故を起こした場合に届け出ていないということなんですね。いわゆる法令違反を犯しているということなんですね。ところが、その請求をするときに、事故証明がなくとも、例えば目撃証言者がいるとかいろいろなことで一定の書類の整備がなされれば保険金請求はできるという片方の抜け道もあるわけです。ここに私は不正の温床があるのではないか、こう思うわけです。  今現在でわかっている限りにおいて、事故証明の添付がないままに請求されておる件数は何件ぐらいだと把握されておりますか。
  47. 鏡味徳房

    鏡味説明員 五十九年度で請求がありました件数が九十万二千五百九十七件でございますが、そのうち事故証明書のないものの件数は五万四千五百二十五件でございます。
  48. 永井孝信

    ○永井委員 今言われましたように、九十万を超えるような事故の中で、数も多いのでありますが、その割合からいくと少ないかもしれません。しかし、五万四千五百二十五件と言われたようなその事故が、事故証明がないままに保険金請求がされているのですね。そこに私は、いろいろな意味で不正を働くということになっていくような原因になっているのではないかという気がするわけであります。  ですから、端的に言うならば、事故の届け出の義務を怠っているといういわば法令違反をしている者にまで自賠責の保険を支払う必要があるのだろうか。むしろ事故証明の添付がなされなければ支払い請求に応じないというぐらいの姿勢を関係当局は持っていいのではないか、こう思うのですが、運輸省、大蔵省、ちょっとお答えいただけますか。
  49. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、自賠責保険にかかわる不正請求を極力排除すべきことはもとより当然でございます。そういう観点から、自賠責保険の請求に際しましては、事故の事実を証するに足る書面というものの提出が求められております。そういうことが関係法令で規定されております。それで、道路交通法が適用される場所で発生した事故につきましては、自動車安全運転センターの発行する人身事故証明書というものによるのが最も適当であるというふうに考えておるところでございますが、例えば道路外での事故など状況によりましては人身事故証明書が入手できない事情のある場合もございます。したがいまして、事故証明がない場合について、すべて一律に請求に応じないということといたしましたときには、被害者救済というこの自賠責制度の目的に沿わないことにもなりかねない点も考慮する必要があるというふうに考えております。  私どもとしては、その点も勘案しまして、そういった人身事故証明が入手できないといった特別の事情がある場合を除きましては、とにかく人身事故証明というものの添付を原則とするように損保全社等を強く指導してまいってきておるところでございますが、なお、今申しましたような事情から、事故証明書の添付がないケースにつきましても、その入手ないしは添付が不能であることの理由書の提出を求めまして、さらに医療機関等にその事実を裏づける事情を照会するなど、事故の事実を慎重に調査いたしました上で請求に応ずるようにしているところでございます。
  50. 永井孝信

    ○永井委員 直ちにこの法令を改正することは難しいかもしれませんけれども、確かに被害者救済という原則に立って救済をしていかなくてはいけませんから、やみくもにということは難しいかもしれぬけれども、事故証明がないままに請求するということをうまく活用して不正請求が行われている可能性が極めて強いので、その辺のところはいろいろな知恵を出して不正請求を防止するように努力してもらいたいことを要望しておきたいと思います。  この自賠責保険についてさらに重ねて聞くわけでありますが、この請求件数の内訳は、時間がありませんので私の方から数字を申し上げますが、死亡者が昨年で一万五百二十七名、傷害が八十一万六千二百七十九、後遺障害がそのうち七万五千七百九十一件、こうなっておるわけですね。その後遺障害の中で十四級に認定されるものが、関係当局にも御協力いただいて調べてもらったら五七・一%にも上っているわけですね。そして、仄聞するところでありますが、この十四級に認定する際に、被害者救済が大切でありますからその視点はもちろん失ってはならぬわけでありますが、場合によってはとにもかくにも十四級に認定してもらって、示談で早く片づけてしまおうという動きさえあるやに実は聞いているわけです。そして、その十四級の中で一番問題になっているのはいわゆるむち打ち症などがその中心でありますけれども、本人の自覚症状だけで問題の処理をせざるを得ないという厄介な内容なんですね。  だから、このことについて自動車保険料率算定会の資料を見ましてもこのように言っております。ちょっと読み上げてみますと、「我が国の現状においては、保険金請求の事由とされる精神、神経障害には、愁訴を裏づけるに足る医学的他覚所見のないものも多く、それらの中には単なる心因性の現象に基づく請求ではないかと思われるものもあり、この病名を利用した過大ないし不正な保険金請求の疑いが持たれるものもある。」というふうに算定会の資料にも書かれているわけであります。ですから、この十四級の認定はもちろん医師が行うわけでありますが、率からいって余りにも多過ぎる、五七・一%にも上っている、ここに私はやはり不正請求との絡みで何か、明確には言えませんけれども、そういう問題があるのじゃなかろうかと思いますので、不正請求を厳に排除するという立場で、医療を担当する厚生省、ひとつお答えいただけますか。簡単に言ってください。
  51. 佐野利昭

    佐野(利)説明員 先生も御承知のように、医師は医療を行うためにほぼ独裁的な権限を持っております。そういうことからいきまして、お医者さんには非常に強い倫理観あるいは科学的な裏づけを持った、信念を持った診断行為が必要であろうということが要請されておるわけでございまして、そういう形がもしも行われないならばそれは大変遺憾なことであろうと思います。そういうことから、医師法におきましては、万一医師が不正な行為を行った場合には、医業停止あるいは医師の免許取り消しというような処罰も講ぜられることになっております。  特に、自賠責に関連いたしまして医師の診断行為について不正な行為が行われるというケースが最近見られておりますので、これに関しましては、医師の行政処分を担当いたしております私どもの所管の医道審議会におきまして、医道審議会会長が特に談話を発表いたしておりまして、このような医師の不正な行為につきましては厳密に対処するということを表明いたしております。その関係から、処分も非常に厳しいものになってきているというのが現状でございます。
  52. 永井孝信

    ○永井委員 今、処分も厳しいものだと言われますけれども、医道審議会などの不正を働いた医師に対する処分なんかを見ておりますと、医師の免許取り消しなんてめったにないことで、せいぜい業務停止三カ月とか、これが大々的な処分として出るわけですよ。だから私は、そういう不正を働く医師には、まあまあ摘発されても三カ月ぐらいの停止で済むのではないかという甘えがあるのではないかという気がいたしますので、厚生省はもっと厳しく対応してもらいたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  時間がだんだんなくなってまいりましたけれども、もう一つは任意保険の事故処理の問題であります。  任意保険の事故処理で、代理店が介在をしたためにトラブルを起こすということもあるのですよ。随分とそういう事例もあります。実は任意保険を売るときに、ほとんどの損保会社がそうでありますが、対人、対物事故の示談交渉サービスつきという商品を売っているわけですね。この商品を売っていること自体は私はそれでいいと思うのでありますが、しかし実際に査定に当たる場合に、査定要員を私どもも定かにつかむことができないわけでありますが、そういう要員不足から、実は示談代行を商品として売り出した会社が、示談代行すべき人が足りないために、その代行のさらに代行を代理店にやらせるというケースもあるようであります。もしもそういうことがあったとすると、これは弁護士法七十二条に明らかに違反する行為でありまして、こういう問題について監督官庁としてどのように承知されておるか。
  53. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自家用自動車総合保険等いわゆる示談代行ができる契約につきましては、約款上、保険会社が被保険者の同意を得て被保険者のために折衝、示談または調停もしくは訴訟の手続を行うこととなっております。  この制度の導入に当たりましては、日本弁護士連合会と損害保険業界との間で、弁護士法から見て問題にならないような形で制度の設計が行われているところでございますし、その後も定期的に日弁連と損保業界との間で交通事故保険に関する協議会が開かれておりまして、弁護士法違反の問題が生じないよう絶えず協議が行われておるところでございます。  したがいまして、御指摘のような弁護士法違反の問題が生じないようなことにつきましては、業界でも十分注意を払っているところでございまして、先ほど申し上げました日弁連との協議会におきましても、御指摘のような形で弁護士法違反の問題指摘があったとは聞いておりません。
  54. 永井孝信

    ○永井委員 例えば、損保協会の示談代行をするための査定員などが何名いるかということを事前に大蔵省にお尋ねしたのでありますが、正確な数字がなかなかつかめないようであります。しかし、こういう商品を認めたのは大蔵省でありますから、認める以上はそれだけに対応できるような要員がきちっと確保できるように指導もしてもらいたいし、把握も常時してもらいたいということを、もう時間がありませんから一方的にやりますが、私から強く要求しておきたいと思います。  最後に一問だけ、医療費の適正化の問題であります。  これは昭和四十四年の自賠責審議会の答申以来何回も触れられておりまして、私もこの委員会で何回となく取り上げてまいりました。たまたま今回、公明党の議員から質問主意書がこの関係について出されまして、それに対して内閣が答弁をしているわけでありますが、その答弁の中を見ますと、「診療報酬基準案の作成作業を進める等、医療費適正化のために多大の努力がなされていると承知している。」こう答えているわけです。しかし「多大の努力がなされている」と言ってみても、昨年の十二月十九日に答申が出されてからもう一年が来ようとしているわけでありますが、私どもが承知している限りでは、まだ一切そういうことについては具体的な問題が出てきていない。だから答申が出されても、その答申関係当局ではまともに受けとめてやられていると私は思えないのですね。  そして片方で、そういうことも努力しているからということで、私どもの反対にもかかわらず、ことしも自賠責の料率が改定をされて大幅に料金が引き上げられたということもあるわけですね。こういうことで果たしていいのだろうか。これは時間がなくなりましたのでこれ以上申し上げることはできませんけれども、審議会の答申の都合のいいところだけは取り上げて実施に移す、都合の悪いところはまあまあということで押さえ込んでいるのではないか、悪く考えればそういう勘ぐりもできないことはないのでありますから、この審議会の答申を、もしも関係当局がそれに基づいてというのなら、すべての面に基づいてひとつきちっとやってもらいたいということを要望し、一言だけお答えいただいて、あと次の議員に譲りたいと思います。
  55. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生指摘のとおり、医療費の適正化は、自賠責保険制度の健全な運営を図る上で極めて重要な問題でございます。私ども従来とも大蔵省、厚生省と御一緒にこの問題に取り組んでまいりましたけれども、遺憾ながら、なお事態の改善を見るに至っていないことはまことに申しわけない現状でございます。昨年十二月の自賠責審議会におきましてもこの点が強く指摘されているところでございまして、この医療費の適正化につきましては、私どもを初めとしまして業界、自算会あるいは損保業界挙げて取り組むべき問題だというふうに認識しておるところでございます。  このため、自算会あるいは日本損害保険協会におきまして、新たに医療費適正化のための機構を設けるなどの体制整備も行ったところでございまして、現在日本医師会の協力を得ながら、自賠責保険についての診療報酬基準案の作成作業を鋭意進めておるところでございます。現在、第一次の試案を医師会の方にぶつけて、そのお答えを待っているという状況でございます。
  56. 永井孝信

    ○永井委員 まだいろいろ具体的な不正事件もここに資料で持っているわけでありますが、時間がなくなりましたので、直接担当省の方に資料も提起して改善を求めたいと思いますので、それも申し上げておいて終わりたいと思います。ありがとうございました。
  57. 小川新一郎

    小川委員長 この際、関山信之君より関連質疑の申し出があります。永井君の持ち時間の範囲内でこれを許します。関山信之君。
  58. 関山信之

    ○関山委員 大変短い時間でございますので、端的に伺いたいと思います。  関越トンネルが開通以来二カ月近くになろうとしているわけですけれども、最初に警察の方からごく簡単にこの二カ月間の交通量、事故トラブル状況がどうか、手短にひとつお聞かせいただきたいと思います。
  59. 八島幸彦

    ○八島政府委員 お答えいたします。  本年十月二日に関越自動車道が開通いたしました。開通後十一月二十五日までの五十五日間の開通部分の交通状況でございますが、交通事故は人身事故が十一件、負傷者数が二十一名、物件事故が三十五件発生いたしております。しかし、死亡事故は幸いに一件も発生しておりません。また、関越トンネル内では交通事故は一件も発生いたしておりません。  それから交通渋滞でございますけれども、交通量の多い日曜日、休日等におきまして、関越トンネル周辺の非分離二車線区間及び片側二車線から一車線への絞り込み部分を中心に、都合四キロ以上の渋滞が二十二回ほど発生いたしております。警察といたしましては、事故防止あるいは渋滞解消のために群馬、新潟両県警が鋭意その対策に当たっているところでございます。
  60. 関山信之

    ○関山委員 先ほど来日航機の事故お話があったわけですけれども、巨大事故というのはまさにはかり知れない、予測せざる事態の中で発生をして、発生してみるといろいろと事故を起こすだけのさまざまな要因が介在していたことが明らかになってくる、そういうパターンをとるわけでありますけれども、さきの国会でもこの高速自動車道、特に長大トンネル、これが見通しのないまま暫定二車線の供用をする、中央分離帯のない対面交通道路というのは、こういう状態での供用というのはまさに欠陥道路の供用じゃないかということを実は申し上げたわけであります。渋滞の状況もまだ二カ月間でありますから、物珍しさも手伝ってのことだろう、そういう側面もなきにしもあらずでありますけれども、私自身もこの前このトンネルを自分でハンドルを握って運転してみました。あの一万メートルにも及ぶトンネルの中を、スピード規制をしたとはいえ、やはり不安が残ります。一遍事故が起きたときには大変なことになるという不安がやはりつきまどうものでありますから、短い時間でこの際お願いを申し上げようということで質問に立たせていただきました。  そこで端的に伺いますが、建設省からきょうおいでいただいておりますけれども、三十日には建設大臣も改めてトンネルの現場視察をなされるそうですけれども、速やかな四車線化が図られるべきだというふうに考えますが、いかがか。特にこの問題について、前回整備計画を拝見いたしまして、整備計画の中では、「さしあたり二車線の完成をもって供用を開始し、交通量の増加に応じ残りの二車線を完成するもの」、こうなっておったものでありますから、国幹審にかけるという手続は要らぬものかと思っておりましたが、国幹審にはやはりかけなければいかぬということなんだそうであります。どうこの文章を読みましても、我々素人にはこのままでもいいのではないかとも思うのです。しかしそういうことにはなっておらぬようでありますから、そうだとすれば、この国幹審というのもしょっちゅう開かれる代物ではありませんから、できるだけ速やかな機会に少なくともこの整備計画の中身は変更しておく必要があるんじゃないか。さもないと一遍事故でも起きたときには、当然このトンネルの施工主体なりこれを許可した建設省なりにやはり責任の一端を担ってもらわなければならぬということにもなりかねないのじゃないか、こんなふうにも考えまして、ぜひひとつ前向きのお答えをいただければありがたいと思います。
  61. 小林芳夫

    ○小林説明員 関越トンネルにつきましては、トンネルの長さが十・九キロございまして、本年十月二日に供用開始がなされたわけでございます。供用開始後二カ月近くになりますが、この間の本トンネルの交通量を見てみますと、特に開通当初におきましては、観光シーズンと重なったということもあるかと思いますが、日曜、祝祭日を中心に二万台から三万台近い車が流れておったというわけでございます。また、ごく最近の交通量を見ますと、平日で七、八千台というようなことでございますが、日曜、祝日につきましては平日の二倍近い交通量が流れているというような現状でございます。  このトンネルの、今先生指摘のありました四車線化というようなものにつきましては、国土開発幹線自動車道建設審議会の議を経るということが必要ではございます。建設省といたしましては、今言った交通の状況だとかそういったものの推移を見ながら引き続き検討してまいりたい、こんなふうに考えております。
  62. 関山信之

    ○関山委員 時間が終わりましたのでこれでやめますけれども、特に強調しておきたいのはトラックなんです。中小のトラックは、営業上からいいましてもあの高速道を全線走らせるには至らない、至らないというか勘定が合わない。全線を走るほどの経費負担ができない。しかしあのトンネルだけ通そうという会社が多いのです。そうしますと、ボトルネックのところへ、この前列な機会にお尋ねいたしましたが、首都高速道では軸重計で十二キロオーバーというのが七十六万台も走っておる。御承知のとおりいろいろな事故を起こしておるわけですね。ですからそういう特殊事情にあるということも御判断の中に入れていただきながら、ぜひともこの問題の積極的な解決を図っていただきたいということをお願い申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
  63. 小川新一郎

    小川委員長 次に、森中守義君。
  64. 森中守義

    ○森中委員 日本航空の先般の大事故につきましては、大臣も職務柄とはいえ大変御心痛であったと思います。また、関係者のお骨折りもその労を多といたします。同時に、五百二十名の帰らない、とうとい犠牲者に心から哀悼の意を表しながら、二度と日本の航空界にこういうことが発生しないことを心から祈念しながら、以下幾つかの質問を申し上げたいと思います。  それから委員長日本航空の社長を私はお願いしておりましたが、御出席がないようですが、どういうことでしょうか。
  65. 小川新一郎

    小川委員長 大阪で日航機の今回の事故に遭われた御遺族の御慰問に回っておるということで、物理的に当委員会出席ができないという申し出がございましたので、かわって平沢参考人川野参考人ということに相なりましたので、御了承をいただきたいと思います。
  66. 森中守義

    ○森中委員 今回はこれでわかりました。しかし、これでこの問題が終わるわけじゃございません。やはり日本航空といえども国会は重大な責任を担っておるわけですから、委員長の職権においてでも直ちに召喚するような、そういう方法をこれからおとりいただくことを特に希望しておきたいと思います。
  67. 小川新一郎

    小川委員長 承知いたしました。
  68. 森中守義

    ○森中委員 それから数日前に警察庁と群馬県警の方で、事故機が大体どういう状態で現場まで行ったかという、何か新聞報道によればダッチロールというような言い方で検証が行われたようですね。その結果がどういうように得られたのか。警察庁の刑事局長お願いしておりましたが、藤原捜査第一課長がおいでのようでございますから、その結果どういう検証が得られたのか。同時にまた、これだけの大事故ですから航空法はもちろん、関係の法律あるいは刑事訴訟法などなど適用法は幾つもあると思う。強制捜査に踏み切って傷害致死罪等で刑事訴追がされるのかどうなのか、まずこの辺を最初に伺っておきたいと思います。
  69. 藤原享

    ○藤原説明員 ただいま先生お尋ねの、これはたしか二、三日前でございましたが読売新聞に、日航の同型機に群馬県警と警視庁の捜査員が乗って上野村の山頂を検証飛行する、こういう記事がございましたが、事実は全くそうではございません。その事実関係は私も定かに理解をいたしておりませんが、私どもの方でその記事の関係について調査いたしましたところ、これはたしか日航が同型機の年間を通じての整備計画をいろいろやっておいでになるわけでございますが、その整備計画に合わせまして私どもの群馬県警の方の捜査員が、一応どういう機種であり、どういう機体の状況なのかということを、これは一口に申しますと勉強という意味で羽田の整備の関係のところに参っておったわけでございます。  その日航の整備が一応終了いたしまして、終了したときには、私どももよく根拠は承知いたしておりませんが、何かテストフライトをやる、こういうことを伺っております。それをやるので、たまたまそういう機会があったので、そのテストフライトに一応便乗したということでございます。飛んでおります場所も、こういったテストフライトの飛行、航行は安全性を非常に大事にいたしますので洋上でやるということで、私どもが承知いたしておりますのは、たしか大島の方ヘフライトしたということでございまして、そういった捜査に関連いたしましていわゆる現場検証的なフライトをやったということでは全然ないということでございますので、その点ひとつ御了承をいただきたいというふうに考えております。  それから、この事件についてどういう罪名があるのか、あるいは業過致死罪を適用すべきではないか、ただいまこういうお話でございますが、その前提としてまず捜査の状況から申し上げたいと思います。  捜査といたしましては、現在現場の山中における機体の主要部分、これを航空事故調査委員会へ鑑定を嘱託したわけでございます。それと並行いたしまして、専従捜査体制によりまして目撃者、生存者及び日航関係者などから事情聴取などを進めておる段階でございます。このほか、機体の整備状況及び運航状況などの捜査もあわせて進めておりますが、そういった捜査の結果、あるいは事故調査委員会でやられております鑑定嘱託の結果、こういうものを合わせまして事故原因の解明を図り、さらに関係者の刑事責任の有無の追及、こういうものを今後進めてまいらなければならないであろう、こういうふうに考えております。  お尋ねの罪名云々ということでございますが、これまでの状況下で、一般論といたしましては業務上過失致死傷罪とか、あるいは航空危険法の第六条で言います過失の罪がございますが、そういったものが一般論として考えられるのではないか。いずれにしても、そういった捜査がまだ状況的に明らかになっておりませんので、事故原因の解明と刑事責任の有無、こういうものが明らかになった段階でそういう問題をいろいろと検討する必要があるのではないかと考えておるわけでございます。
  70. 森中守義

    ○森中委員 調査委員会結論であるとかさまざまな要因をある程度集約した後で刑事問題として取り上げる、そういうことですね。
  71. 藤原享

    ○藤原説明員 そのとおりでございます。
  72. 森中守義

    ○森中委員 運輸大臣、屋山太郎さんという評論家がいらっしゃる。この人が文芸春秋の八月号で「日本航空は誰のものか」という論説を出している。それから事故が発生した後、「だからいわないことじゃない、稿を新たに痛憤の一文」をまた世に問うて、「日航機はなぜ墜ちる?」という論文を出しておる。それに合わせて、元西独の大使であった曽野明さんという人も、日本航空をかなり痛烈に非難する論文を出しておりますね。お読みになったかどうかわかりませんが、非常に大きな反響を呼んでおりますよ。  日航法によれば、事業計画を一年に一回大臣のもとに提出をして承認を得るようになっている。そこで、この屋山論文の「日本航空は誰のものか」というこの内容からいきますと、その事業計画の審査の段階で改善命令を出すような内容が非常に多い、こういう内容について運輸当局は御存じであったのかどうか、ちょっとお尋ねを申し上げます。
  73. 西村康雄

    ○西村政府委員 屋山太郎さんの文芸春秋の記事は一応読ませていただきましたが、日本航空から毎年出される事業計画というものは、運航の主たる計画、各路線ごとの運航の便数等の計画その他航空機の機材手当て等が主でございまして、ここに言われるような問題というのは、通常の事業計画を通じての監督では特別に問題となっておりません。
  74. 森中守義

    ○森中委員 西村さん、それは確かに事業計画と屋山論文はちょっと趣が違うかもわからぬけれども、これは日本航空の社内体制を言っているわけだから、そういう日本航空を航空法上指揮監督する立場の監督官庁としては当然――いわばこれは一種の警告ですよ。こういうのが改善されておったならば事故は起こらなかったと私は思っている。ですから、日本航空に対していわば一種の警鐘を乱打したわけだから、こういうことは気にならなかったのかと聞いているわけです。
  75. 西村康雄

    ○西村政府委員 日本航空の一二三便の大事故等最近いろいろと日本航空に対する批判がなされております。そういった事故なりなんなりの根幹にあるものとして、日本航空の経営の体質ということが言われておりますし、またその点について屋山太郎さんの論文は非常に鋭い御指摘があると思っております。  ただ、こういった問題に対しまして監督官庁がどういう態勢をとるべきかということでございますが、私ども基本は、やはり日本航空株式会社という株式会社でございます。政府の監督は必要最小限にとどめるべきでございますし、一般的な指導ということが基本でございまして、個別の問題は社長以下の経営陣が本当に自主的に自分たちの手で航空会社を運営していくということが基本でございます。政府が一々はしの上げ下げまで口を出すようなことは、かえって会社のあり方を曲げてしまうということを基本に思っております。そういう意味で、非常に大きな経営上の決定等につきましては運輸省は発言をするということを堅持しておりますが、それ以外は、一般的な問題として会社の自主的な解決というものを期待しているわけでございます。
  76. 森中守義

    ○森中委員 お言葉ですが、本来は航空法にも非常に欠陥がある。つまり経営委員会的なものが日本航空にあってもいい。そういうものがなく、ただ常務会でいろいろ決めている。これは航空法上の一つの欠陥ですよ。ですから、経営委員会がないわけだから、航空局長あたりは運輸大臣の命を受けていろいろ日本航空を指揮監督するならば、こういう警鐘を乱打されたような問題についてはもうちょっと真剣にしなければ、今のような一般論では承知できませんよ。  それから、日本航空から平沢さんと川野さんいらしているが、あなた方は当事者としてこれをごらんになりましたか。
  77. 川野光斉

    川野参考人 ただいまおっしゃいました屋山太郎さんの論説、拝見いたしました。
  78. 森中守義

    ○森中委員 当事者として、こういう日本航空に対するいわば警鐘に対して何か省みるところはなかったですか。
  79. 川野光斉

    川野参考人 内容につきましてはいろいろと貴重な御意見ということで、私ども今後の経営につきましては参考にすべきところは参考にしていかなきゃならぬ、こう思っております。
  80. 森中守義

    ○森中委員 それから、屋山さんの「日航機はなぜ墜ちる?」の中にこんな記事がある。   八月十九日付の毎日新聞夕刊はトップで高木社長が社内報に「燃費節約、徹底を」と語っている点を捉えて「この営利追求の姿勢こそ問題だ」という主旨の記事を載せている。これについて乗員組合は待ってましたとばかり「管理職の機長がこの考え方を押しつけられているために無理が生じ、事故を生む土壌となっている」と語っている。毎日によると今回の事故の原因は機長が近くの浜松空港に降りずに羽田を目指したのが失敗だったという。機長が羽田を目指したのは乗客を浜松に泊める経費を節約したかったからで、それは日頃から経費節約をうるさくいわれているせいなどの論法である。   しかしいくら機長の身分が管理職だとはいっても、生死の境をさ迷っている時、しかも五百余人の生命を預かるパイロットが、生命よりも経費を重視するはずはなかろう。機長は故障の原因がつかめぬうちに降りたくても降りられない事態に至ったとみるのが自然ではないか。 私は、後段はこれでわかる、どういう状態だったか機長はわからないから。しかし、確かに事故が発生した地点のすぐ下に木更津の米軍基地がある。それから浜松空港は、大体三十分間さまよっているわけだから、恐らくもう五、六分で行ったでしょうね。浜松空港は滑走路が二千六百。ただ、滑走路が重量に耐えられたかどうか、それは一つ技術的な問題があったにしても、敏捷に事態を判断する機長の平素の訓練が一体どういうものであったのか。毎日新聞指摘、屋山さんの指摘は非常に一つのポイントになると思うがどうですか。
  81. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  私どもは安全を第一として運航を行うことを規定でもうたっておりますし、あらゆる機会に安全最優先ということを指導徹底しております。安全よりは採算を重視するというふうなことは考えておりません。まして緊急事態が起きましたときに採算性を勘案するというようなことは決してないと思います。  それで、先生指摘の浜松飛行場の件でございますが、先生もおっしゃいましたように、当機は羽田離陸後間もなくふぐあいと申しますか、緊急とは当時思わなかったようですが、ふぐあいが発生したわけでございまして、その時点ではまだ一部油圧も残っており、機長としては機体の破損状況がどういう程度であったか把握できてないときでございます。その場合には、羽田から離陸後間もなくでございますから、自分が出発してきた羽田に戻るというふうにアクションをまずとるということは自然であると思っております。  そこで、ただいまの浜松等についてでございますけれども、私どもは規定の中では、例えば四つ発動機のある航空機で二つ発動機がとまった場合、あるいは火災が発生してそれを消火し得ないような緊急の場合には最寄りの飛行場におりる、こういうふうになっております。したがいまして、そのときには木更津なり浜松なり厚木なり、そういう近いところで最も妥当と思われるところに着陸をするということになるわけでございます。本件の場合は、今申し上げましたように、機体の損傷状況の程度というものをまだ機長は把握し得ていなかった、そういう時点でございますので、先ほど申し上げましたように、まず羽田に戻るというふうに考えたのが自然ではなかったかと判断しております。
  82. 森中守義

    ○森中委員 川野さん、これは結果論ですが、私も屋山さんも、羽田に帰るのが自然であろうという見解は首肯できる。しかしながら、この前外務委員会でも問題になっておりましたが、サハリン上空。     〔委員長退席、関山委員長代理着席〕 それから、今度はアンカレジからロス行きの航路逸脱がある。それから豪州でもコースを逸脱したという問題がある。それから福岡空港でのニアミスが一つ最近問題になっている。あの事故以降といえども、日本航空のこういう非常に危険な状態というのは頻発している。もしあのパリ行きでも、あれはソ連がスクランブルはしなかったからよかったようなものの、もしそれでもやられたらどうなっていますか。第二の大韓航空機みたいになっていますよ。こういう一連のことを考えると、社内における運航状態というのはどうしても合点がいかない。大臣、どうお考えになるか。このシアトル便は、日米ソ三国間協定でホットラインをつくろうという話が出ているらしい、そういうようなことでソビエトはスクランブルをかけなかったと思うけれども、もしこの三国間協定が話題にも出ていなければ、これはやられていますよ。こういうようにたび重なる日本航空の運航状態、大臣はどうお考えですか。
  83. 山下徳夫

    山下国務大臣 本朝来しばしば御答弁申し上げておりますように、連鎖的と申しましょうか、次々に起こることについて、率直に申し上げまして私もやりきれない気持ちでございます。  そこで、これはどこに原因があるのか。このことも再三先ほどから御答弁申し上げましたとおり、ただ単に基準であるとか技術がどうだという以前に、やはり日本航空の体質自体がこれでいいのかということに思いをいたし、私も四つの労働組合の諸君と個々にお会いしたりして、いろいろお話をしてきたわけでございます。私は、やはり親方日の丸的なところがありはしないか、いわゆる公社制度に似たような今の日本航空の体質自体、経営形態自体に問題がありはしないかといろいろ考えておるわけでございまして、こういった問題につきましては、今、即断的にここが悪いのだということを申し上げるだけの知識をまだ私は持ち合わせていませんが、私自身が一つの使命感を持って、これは何とかしなければならぬという方向でさらに詰めてまいりたいと思います。
  84. 森中守義

    ○森中委員 今大臣からたまたま労働組合の話が出ましたが、こういうのを送ってきました。航空労組連絡会というところから「民間航空の現状分析と航空労働者からの提言」、これはお読みになったかどうかわかりません。私も余り詳しく読んでおりませんけれども、この内容はすべて日本航空を指している。  そこで、日米ソのホットラインの問題です。これは大韓航空の後にこういうのが話し合われたらしい。アメリカのシュルツ国務長官とグロムイコ・ソビエト外相の間で話が出て、それに日本も入った。しかし、これは正確な三国間協定になっていない。外務省に来てもらっておりませんが、航空局は外務省とよく相談をして、これは正確に三国間の政府間協定にしなければ大変ですよ。
  85. 中村資朗

    ○中村説明員 お答えいたします。  この二月から、この三国間協定につきまして関係者間で鋭意努力をしてきたわけでございますが、十月の八日に、外務省を交えまして、三国間で、安倍大臣みずからと各国の大使ということで、了解覚書につきまして最終的な効力発効のための手続をとったということでございますので、正確には協定の性格を有しているというふうに考えております。     〔関山委員長代理退席、委員長着席〕
  86. 森中守義

    ○森中委員 運輸大臣、これは日米ソ航空管制協定となっているようですが、ちょっとこれでは協定の意味合いが軽い。やはり三国間の政府間協定でもう少し重みのある協定にしぼければ、今のような日本航空の運営だと、これはどうなるかわかりませんよ。ぜひひとつ安倍外務大臣と御相談なさって、急いで三国間の政府間協定にするようにあなたが骨を折ってください。これは事務当局に任せたらだめですよ。
  87. 山下徳夫

    山下国務大臣 外務大臣と話し合ってみたいと思います。
  88. 森中守義

    ○森中委員 そうしてください。
  89. 西村康雄

    ○西村政府委員 三国の了解覚書に関する口上書と申しますのは、性格は政府間の協定でございます。
  90. 森中守義

    ○森中委員 シアトル便はこういうものがあり、大韓航空の例があったからスクランブルをかけられなかったようなものの、もしそういう先例がなければやられている。そして、サハリンで一度あったのに、何でまたシアトル便までこういうひどい逸脱なんかしたのですか。大体、日本航空の平素の教育はどうしているのですか。
  91. 平沢秀雄

    平沢参考人 先生の御指摘の点は、モスクワ線の航路逸脱にかかわる件だと存じますが、本件につきましては、あの地域におきまして……(森中委員「モスクワじゃない、シアトルだよ。モスクワヘ行ったのとシアトル便と続いているわけだ」と呼ぶ)もう一つの方は、アンカレジからロサンゼルスに飛んだ便のことでございますね。それにつきましては、本年の五月に起こった件でございまして、この場合は、その路線が無線航法によって飛行する路線でございまして、その航法をとって飛行していたわけでございますが、やはり位置の確認について不十分な点がございまして逸脱ということになりましたが、それに対しましては、我々はその内容を調べまして、規定の一層の整備及び本部内のこれに対する注意徹底を図ってきたところでございます。  その後、今回モスクワ線に絡む問題が起こりましたので、これを非常に重大と受けとめ、またまことに申しわけないというふうに感じておりまして、その件につきましても必要な対策あるいは処置、注意、こういうものを図りまして、今後こういうことがないように周知徹底、また私どもも心を一層引き締めまして指導してまいりたいと存じております。
  92. 森中守義

    ○森中委員 それから、四月のことでちょっと古いようですが、オーストラリアでコースを逸脱したというのもありますね。オーストラリアの航空安全調査局から運輸省にそういう通知があった、これは読売新聞の記事です。非常に頻繁にこういうのがある。  それから、福岡空港でのニアミスについては、機長と副操縦士に再教育等の処分をされたようですが、サハリンあるいはアンカレジ-ロス間のこういう問題等については懲戒しないのですか。
  93. 平沢秀雄

    平沢参考人 アンカレジ-ロス間の件につきましても、当時機長がグルーブリーダーでございましたが、グルーブリーダーを解任いたしましたのと、さらに当該関係乗員に厳重に注意を与えております。  それからモスクワ線の件に関しましては、既に新聞等で御承知と思いますけれども、機長及び副操縦士、さらには監督の任にありました乗員部長及び担当室長、役員の私自身運航本部長並びに副本部長がそれぞれ処分をされております。
  94. 森中守義

    ○森中委員 運輸大臣、日本航空民営化によって、現在の危機的な状態から日本航空は立ち直りができるとお考えでしょうか。
  95. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、日本航空の現在の一つの形態からよってくるいろいろな体質的な問題があるとするならば、私は民営化一つの方法であると思っております。
  96. 森中守義

    ○森中委員 さっき捜査当局は、場合によっては強制捜査をやる、法人として刑事訴追をやるということです。それと補償の問題、いろいろありましょう。けれども、ここまで堕落している日本航空を完全に民営化することによって立ち直ることが本当にできるかどうか非常に問題がある。  それで、既に与党においても航空対策特別委員会で、法人化、特殊法人ではないようにしてしまえ、こう言っている。それから、運輸省も運輸政策審議会がきのう同じような結論を出しているようですね。これはいつから実行されるつもりですか。それと特殊法人、つまり今の日本航空株式会社法という法律を消滅させるのかどうなのか。この辺をはっきりしていただきたい。
  97. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在、我が国の航空企業の運営体制につきまして全般の見直しを運輸政策審議会で行っております。その中の一環として、日本航空株式会社のあり方、それは完全民営化、完全な民間会社にするという方向で審議会としての大体の合意ができておりまして、近く中間的な答申をする運びでございます。これは、その基本的な方向についてひとまず答申をする、具体的にどのような形で完全な民間会社化するかということにつきましては、さらに引き続き審議をして答申をするということになっております。政府といたしますと、その最終的な審議会の方向、御答申をいただきまして、できるだけ早く措置をしていくというつもりでございます。
  98. 森中守義

    ○森中委員 総務庁の稲葉管理官、これは本来は臨調行革の中でも相当議論されてしかるべきであったと思う。国鉄はあれだけやいのやいのと言いながら、こういうような日本航空をほったらかす法はないじゃないですか。資本金の中の約三五%ぐらい国の金が入っています、納付金はその十分の一くらいしかない、そんなばかな話はないですよ。せめて公定歩合ぐらいの額に値するような納付金を日本航空は国に払ってもいいはずです。そんなばかばかしい話はないです。もっと積極的に、総務庁は少し運輸省のしりをたたいたらどうですか。
  99. 稲葉清毅

    ○稲葉説明員 お答えいたします。  日本航空につきましては、先般の臨調答申におきましても「日本航空株式会社については、国際航空路線を独占的に委託されている企業でありながら、経営の現状は高度成長型体質から脱却しておらず、一般民間企業よりはるかに恵まれた給与体系、労働条件を採用して、世論の批判を受けているので、先発企業として、他の航空企業の模範となるような効率的な経営を行うべきである。なお、航空需要の低迷から、当面特殊会社としての体制を維持するとしても、経営体質の改善ができないときは、経営形態の抜本的見直しを行う必要がある。」という指摘をされているわけでございます。  私どももこれを受けまして、運営改善ということにつきまして毎年御努力を願っているわけでございますけれども、なお一般論といたしましては、特殊法人整理合理化方策の一環といたしまして特殊法人、特に特殊会社のように自立的経営能力のあるものにつきましては極力自立いたさせ、先生指摘のように、先般政府に対しても配当をするようになったわけでございますけれども、さらにその政府の出資を積極的に返していただくとか、あるいは今日本航空法によっていろいろ便益を受けておりますが、そういうことを見直していただくような方向で常に御努力を願っているところでございます。こういった民営化というただいま御議論をいただいておりますことも、私どもの立場から見ますと、経営の活性化あるいは効率化方策につながるものとして大いに期待しているところでございます。  なお現在も、運輸政策審議会のみならず、臨時行政改革推進審議会におきましても、特殊法人の見直しの一環として日本航空民営化問題につきまして論議しているところと承っておるわけでございます。
  100. 森中守義

    ○森中委員 大臣、これはもう特殊法人じゃない、しかも国際線は複数社にする、あるいは株は全部引き揚げる、その程度のことでは競争原理にはなりません。今までが日本航空株式会社法でさまざまな権益を付与されているわけだから、他のエアラインとの均衡をとるには一切の権益を放棄する、ゼロから出発させなければ本当の競争原理にならない。またそれは、今一定の方向が流れとして決まったようですから、この段階で具体的にどうするこうするというお話を承るのには少し早過ぎますけれども、物の考えとしてはそうされないと、権益は依然として日本航空株式会社法の恩典を受けた在来のままの状態で競争原理でいきなさい、こう言ってみても変わりませんよ。しかも、国の出資を引き揚げるぞ、こう言ってみても、相当内部留保もあるだろうし、体力がついているわけですから他社とのバランスがとれない。この点は一体どうお考えでしょうか。
  101. 西村康雄

    ○西村政府委員 ただいま御指摘のような問題点は、日本航空株式会社を完全民営化をするということになりましたとき、政府一つのねらいは、これから他の民間航空会社と対等の立場で競争をさせていくということにございますので、そういう意味では、これまで日本航空が国の政策目的を実現するために、いわば国の政策実現のための使命を持ってやってきまして、国際線を一元的に運営するとか、そういう路線についての具体的な権益というものがございます。そういったようなものを今後とも日本航空が保持していく場合に、他社との間にいろいろな差ができるじゃないかというような問題点もございますし、また企業の体力と申しますか、そういう点もやはり先発企業として他の企業よりすぐれているということもございます。  そういった問題も含めまして、これから競争させていく場合のいろいろ配慮すべき事項というのはどういうことかということを、審議会といたしますと今後引き続き検討するということになっておりまして、そういったことで具体的な問題点を十分検討していきたいということで、私どもはその審議会の結論を注目しているところでございます。
  102. 森中守義

    ○森中委員 もう時間が来ましたからこれで終わりますが、これは大臣、今申し上げましたように、ここで民間に移行する内容をお尋ねしてもそれは無理ですからそこまで聞きませんけれども、体質改善が本当にできるように、二度と再び日本航空にこういう痛ましい事件が起きないように、それは大臣も非常にお骨折りでしょうが、近々内閣の改造も行われるようですから、せっかく手をつけられたわけだから留任でもされて、ひとつ日本航空をもう一回立ち直らせるようにあなたの手でやってください。また、日本航空もこういうことで社会の指弾を受けないように、特に遺族の補償については万全を期して、今高木社長がずっと遺族を回っておられるようですが、これは非常に結構なことです。ただ、水戸黄門のようなつもりじゃ困りますよ。  それでは、質問時間が過ぎましたからこれで終わります。どうもありがとうございました。
  103. 小川新一郎

    小川委員長 次に、上野建一君。
  104. 上野建一

    ○上野委員 国鉄の安全綱領の中に、冒頭だと思ったのですけれども、「安全は輸送の最大の使命」、こう明記をされております。この点について、安全を確保するためには設備などの投資の問題、それから訓練、労働条件にかかわる問題としては疲労度あるいは検査体制、それから作業の基準、労務管理など、こういう総合的な勤務体制が充実していなければ安全輸送というのは確保できない、こう私は思いますが、まず安全に対する基本的な考え方国鉄当局にお伺いしておきます。
  105. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、国鉄は、安全の問題というのは一番重要な問題でございまして、経営の最重点として取り組んでいるつもりでございます。戦後四十年を見ましても、その成果で着実に事故は減っておると思っておるのでありますが、今後とも安全問題というのは基本に据えて取り組んでまいりたいと思っております。
  106. 上野建一

    ○上野委員 それで、私は最近起こった事故を中心に少し問題点を出してみたいと思うのです。  まず、ことしの七月十一日に発生をいたしました能登線の列車転覆事故。これは大変雨が降って、それによって地盤が緩んだ、こういうことから起こっておりますけれども、七人が死亡して二十六名が傷を受けている。ところが、この崩れたところはもともといわくつきの場所であって、既に国鉄の職員の中からこの点についての指摘があった場所なんです。したがって、それを放置しておった結果こういう事故が起こったと私は思いますが、この問題についてはその後どのような対策をやっておられるのか、この点を聞きたいのです。  それから、これとも関連をして運転規制が改められましたね。我々に言わせると改悪といいますか、悪くなった。もしこの運転規制が改悪されていなければ当然時速制限がなされておったはずで、これは五十キロで走ってきて脱線しておりますけれども、規制をされれば三十キロで走っておった。これは事故の内容の問題になりますけれども、そういう意味では防止できたかもしれない、あるいは死傷者がもちろん少なかっただろうと思われる。こういう点も含めて、当局のこの問題に対する対応はその後どのような形になっているか。
  107. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 先生から御指摘のございました能登線の事故は大変痛ましい事故でございまして、亡くなられた方、けがされた方に対してまことに申しわけないと思っております。  事故の現場、私も現地へ行ってまいったわけでございますが、軟弱地盤のところでございまして、そういったことが長雨等の条件と重なりましてああいった事故になったのではないかと思っております。特に、私どもが技術的に大変困惑いたしましたのは、雨が上がってから六時間後、その間何本も汽車が通った後にああいった事故が起きたことでございまして、余り経験のない事故でございまするので、この点につきましては専門委員会までつくりまして現在検討をいたしているところでございます。  ただ、そういったことでございますけれども、こういった事故にかんがみまして、改めて全国に災害に対する警備のあり方について一般的な警戒をいたしましたことと同時に、従来私ども経験がなかったのでありますが、長雨がこういった崩壊に結びつくのではないかということで、同じような条件のあるところを全国的に総点検をいたしまして、新しい目で長雨に対する問題という意味で総点検をいたしました。と同時に、早急にこの長雨問題というのを新しく取り上げまして、従来の基準を改めて、長期間雨が降った場合の新しい基準を暫定的に設けました。いずれにせよ、非常に新しい技術的な問題が提起されたものですから、今専門家を集めて対策委員会をつくっておりまして、その結論を待ちまして抜本的なものをつくっていきたいと思っております。  それからもう一つ先生から御指摘のありました規制の問題でありますが、私どもがつくりました規制は相当古かったものですから、その後十年間の経験も踏まえまして、金沢管理用では六月の初めに規制の緩和をいたしております。その点は御指摘のとおりでございますが、従来の規定ですと連続して百ミリ以上、それから一時間に十ミリ以上の雨が降った場合徐行するという規定でございましたのを、六月以降連続して百ミリ以上、それから一時間に二十ミリ以上の場合徐行するというふうに改めたわけでございますが、今回の現地の雨量計の記録ではどちらの条件にも適合いたしておりませんので、旧規定並びに新規定でも徐行の対象にはなっておりません。
  108. 上野建一

    ○上野委員 当日の管理体制の問題なんですけれども、私どもの調査では、区長や支区長というのがあるわけですけれども、これが当日指示してないのですね。しかも排水溝はつぶれているのにそういうことも明確にされてない。その排水溝がどこに埋まっているかもわからなかったという調査結果が出ているのです。いわばこの保守体制、そういうものにも問題があって、しかも前からここは崩れるぞという注意の場所であった。これは認めますね、非常に軟弱な地盤であったということ。そういう場所が、しかも放置をされておった。土管の施設場所さえ明確じゃない。しかも当日は、この区長やそれから支区長の指示がない中で、現場の労働者が何とかしなければならぬというので動いているという経過もあります。  そういうことからいいますと、やはりこの事故の持つ、もちろん天災的な面も私は全部否定はいたしませんが、かなりの面で安全に対する省略、いわば最近の国鉄全体のそういう傾向がやはりここにあらわれたのじゃないか、こう思うのですけれども、この点についてはどうですか。
  109. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 先ほどちょっと申し上げましたのですが、現地はそういった地形のところでございますが、何分日本の国というのは大変気象条件の厳しいところでございまして、地形的にも大変山に富み、それから雨も降り、それからあちこちに火山質の地質もございますので、諸外国に比べて大変厳しい条件にございます。したがいまして、全国的に重点警備箇所というのを制定してございまして、そこをまず私ども重点箇所にしておるのでございますが、この当該箇所は全国的な重点箇所には入っておりませんでしたので、先ほど申し上げたように、今回の長雨に関しまして再度見直しを行っているところでございます。  当日は、やはり基準内ではございましたが相当雨が、御承知のとおりことしの夏は異常なくらい降りましたので、現地の保守を担当している職員は、長雨が朝八時ごろ一時上がったものですから、車上の点検並びに地上でも現地に、スポット点検と呼んでおりますが、点検をいたしまして、異常がないことを一応確認をいたしております。それが午前中でございましたが、その後十四時過ぎになりましてこういった事故が起きまして、私ども大変衝撃を受けまして、先ほど申し上げたように、そういった点について今検討いたしているところでございます。
  110. 上野建一

    ○上野委員 聞いたことにちょっと正確に答えてくれませんか。現場の長は認めているのですよ。前からここは危ないですよということを言われていた、それに何の手も打たなかった。当日もそうでしょう、具体的なことはやってない。それが現場の中で追及されて区長が謝っているでしょう。そういう事実をあなたは知らないのですか。知っていてとぼけているのか。やはりそういうことは率直に認めて、現場との関係で問題を処理しなければいかぬのですよ。現実に今、調査委員会をつくってやっているわけでしょう。それはどうなっていますか。
  111. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 御指摘の現場の細部についてはよく関知しないところがございますので、また調査をいたしたいと思っております。  調査委員会は大学の先生等も委嘱いたしておりまして、夏から事故後直ちに委員会を設置いたしまして、特に先ほど申し上げましたが、こういった長雨に対する影響というものは、従来私ども一時間単位の雨の降る量、それから連続雨量というのを考えておりまして、ある時間たちまして雨が上がった後のものについては連続雨量に考えていなかったのでありますが、今回はそういったことについて専門家の学者の先生も入れまして検討いたしておりまして、なるべく早く、できれば今年度中ぐらいに結論を出すように努力していただきたいと思っております。
  112. 上野建一

    ○上野委員 この問題は国鉄の専門的にやっている人たちの話でも明らかなんですけれども、もう悪いところはわかっていると言うんですね。現場ではわかっている。ただそれの対策が講じられてない。それでも脱線しないで通っているうちはいいけれども、時折やはりこういう問題が起こる。  それからこの雨量に対する対策にしても、降ったときすぐ水が来るわけじゃないんですね、だんだん水がうんでいくわけですから。しかもはける水がない状態になっている、土管まで全部埋まってしまっている状態ですから。そういう状態からこれは発生しているのです。これはやはり安全に対する手抜きと言うしかない、こういうことだと思うのです。  そこで、二つ目の問題としては、東北新幹線の九月十一日の事故があります。これは時間がないから端的にお伺いしますが、この事故はその後――その前には北海道の八二年の石北本線、それから最近では、ごく最近なんですけれども、松戸の馬橋駅の付近で同じようなケースの事故が起きている。そのほかにもあるでしょうけれども、とりあえずこの三つの点からこの問題に対する対策をお聞きしたいと思います。  まず東北新幹線の場合に、二十分遅れて列車が通過をする、それを知らなかった現場の労働者が仕事を開始した、そこから事故が起こっております。そして二人が死亡して七人が重軽傷を負っている。ところがその場合考えてみますと、もしこれがさらに実際の作業に入って、レールのボルトを緩めたり外したりした状態の中へ二百三十五キロの新幹線が超スピードで入ってきたと考えますと、防護壁を突破して、高架ですから地上にたたきつけられる、これは大変な大惨事になっただろうと思われる状態にあります。  ところがそれに対して当局は、工事をやる者が列車のおくれを知らなかった、届け出をしないで中に入った、こういう弁明をいたしておりますけれども、これはどう考えましても知らせるのは国鉄の側にあるだろうと思うのですね。しかもこれは下請の企業です、中に入っていくのは。そういう意味で、一体国鉄安全対策についてはどういう形でやっているのですか。実際の業者を敷地の中に入れて仕事をさせるわけですけれども、これに対する監督とかあるいは安全対策というのは一体どうなっているのか、それもこの東北新幹線との関連でお聞きしたい。
  113. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 新幹線は先生お話のとおり大変高速で走っておりますので、二十一年前に東海道新幹線が開業したときにも相当私ども真剣に勉強いたしまして、特にこういった線路保守のあり方につきましてどうするか議論をしたところでございます。  在来の鉄道でございますと、列車が走っている間を縫って線路保守をやるということも間々あるわけでございますが、新幹線の場合は高速でございますのでそういったことは非常にいろいろな意味で危険でございますので、全く別の体系をとっております。基本的には、新幹線は、御存じと思いますが、夜間に列車を全面的にとめまして、その時間帯を保守に充てでございます。したがいまして、一番重要なのは、どこまで列車が走っている時間であるのか、それからどこからが保守をする時間かのけじめがポイントでございまして、今回の事故もその接点で起きたというふうに思っております。  その点につきましては、私どももかねがね一番重点的に問題意識を持っておるところでございまして、ここはほかの在来線と違うところでございますが、保守に入るときにはただ単に目でもって作業する方が列車の通行状態を確保するだけではなくて、作業にかかるときには指令センターに施設指令というのがおりまして、必ずこの人たちが最終列車が通って保守をしてもいい時間になったかどうかをチェックをいたしますので、ここと連絡をとって保守作業に入っていいかどうかを確認することを義務づけておりますし、またそういった時間帯になったかどうかということは現地でわかる設備も取りつけてございます。それを原点にいたしまして、東海道新幹線も二十一年間安全な保守作業をしてまいったつもりでございますが、今回そこのところで、現地の作業をする方が、列車の保守作業に入ったことを関係の指令貴と確認もせずに入ったということで事故が起きましたので、私ども大変衝撃を受けまして、再度関係方々を集めまして、原点の安全対策の周知徹底を図っているところでございます。  先生後段で御指摘になりました、もしそういった作業をやった場合、列車がひっくり返らないかということにつきましては、線路等を取り外しますと、新幹線は自動的に列車に非常ブレーキがかかりますので、最悪の場合にもそういったことはないだろうというふうに思っております。
  114. 上野建一

    ○上野委員 その指示というのがこういうことですね。例えば、北海道の石北本線の場合にはまくら木の交換ですね。オホーツク一号、これは八二年の六月十一日のちょうど昼過ぎですが、転覆している。ところが、あなたの方で事故についていろいろ厳重に注意をしていたりなんかしているのは元請の関係なんですね。ところがこれを見ますと仕事をやっているのは下請なんです。しかも、そこには元請の監督もいなければ国鉄の監督ももちろんいない。そしてこの列車もまたおくれて、昼飯を食べておる間に通過したと思った、正規の時間表ではそうなっておる。ところがその後におくれて入ってきている。  東北新幹線も二十分おくれがこういうふうになっているわけですね。しかも東北新幹線の場合も、元請が仕事をやっているんじゃなくてその下請なんです。事実を調べてみますと、例えば夕方の八時に農家の人たちをマイクロバスで集めて、そこで入ってくる、こういう形です。ですから元請に対していろいろ注意をしたって、下の方の現場にはいかないわけでしょう。そういうことなどを考えたら、あなたの方で関係者を集めているというけれども、一体安全に対する対策というのはどういう形でやるんですか。もともとあなたのところに関係する企業というのは何社ぐらいあるのですか。
  115. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 新幹線の件でございますが、先ほど申し上げましたように、そういったけじめが非常に大事でございますので、こういった新幹線に立ち入って作業をする場合には、必ず私どもが認定をいたしました責任者がつくことになっております。したがいまして、この問題の事故が起きたときにも、直接の請負会社の中の資格を持った人間が必ずついておりますので、その人間を中心にいたしまして今後とも事故防止体制をとっていきたいと思いますし、そこがやはり一番の重点かと思っております。  それから、北海道の件、かなり前のものでございますので、ちょっと今詳細な人間の配置等持っておりませんが、作業の内容等によりまして、重大な作業については必ず責任者をつけるようにいたしております。  先生指摘の関連企業の数は、ちょっと今私ども手元に資料がございませんので、御了承を願いたいと思います。
  116. 上野建一

    ○上野委員 あなた、資料がないと言うけれども、昭和三十九年に新幹線が出発をしてから、五十四年の数字までしかありませんが、国鉄の職員で亡くなったのが七人、それから下請関係が二十三人となっている。事故で死亡しているのは圧倒的に下請なんですね。  そこで、今なぜ下請ということで私が申し上げたかというと、例えば石北本線の場合には、元請の札建工業株式会社というのは現場で工事をやる資格を持っているのはいない。いわばブローカー会社なんですね。そして現地でやっているのはその下請の浜町軌道というのがやっている。その元請から下にいくためには大体二〇%ぐらいピンはねされておる。そういう中でこの事故が起こっているんですね。だから監督もだれもいないのですよ。しかも、一日にまくら木を取りかえるのは一人が大体七本だと聞いているのですが、この会社はピンはねをされているから、一日十本取りかえることをやっている。平均すると一人十本ぐらいやらないとやれない。そういう意味で、国鉄が最近直営の仕事をどんどん減らして下請、合理化をやっている、その結果は安全対策に非常に問題点を残していることになるわけです。  例えば東北新幹線の場合も農家の人たち、昼働いた人たちを夜集めてくるわけです。それは働かなきゃ食べられないから働くでしょうけれども、この人たちは訓練も何もないわけでしょう。そういうことについては一体どういう対策をとられてますか。あなたのところで下請でやっている企業が約一千社あるそうですけれども、そのうちブローカー的なのはどのくらいあるのですか、そこも聞きましょう。
  117. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 新幹線を中心に御返事申し上げますが、先ほども申し上げましたように、列車の運転とのかかわりというのは安全の基本でございますので直営でやる、国鉄の職員直接でやる場合も、関連企業に委託してやる場合も一番大事なところでございます。したがいまして、国鉄の工事をやる場合に、直接やる場合にはその場合の責任者を置き、またこういった部外の企業へ委託する場合にも必要な講習と資格審査を行った者を責任者にして置いてございます。したがって、今回の東北新幹線の事故の場合につきましても、一番元請になります企業の中に軌道の工事を行う責任者がございまして、これについては講習、指導あるいは資格認定も行っておりますし、それがついております。  したがいまして、一番列車の運転と安全との接点になります、例えば最終列車が通ったかどうかの確認、それから、その後国鉄側の設備関係の指令の責任者との連絡を受けて、全作業員にこれから作業をしてもいいというようなこと、そういったことをこの責任者が行う体制にしております。したがいまして、今回の事故にかんがみまして、まずそこの責任者を中心に、現在、再度安全対策の徹底を行っておるところでございます。  それから、関連企業の数でございますが、恐縮でございますが、ちょっと数字を持っておりませんので、御了承願いたいと思います。
  118. 上野建一

    ○上野委員 答弁漏れだよ。下請と元請との関係、そういうのは一体どうなっている。
  119. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 安全の問題につきまして、先ほど申し上げましたように一番安全にかかわるところにつきましては、基本となる企業の認定を受けた責任者が行っております。
  120. 上野建一

    ○上野委員 いやいや、死ぬのはいつもいわゆる下請のまた下請なんですよ。例えば松戸の場合をあなた知ってますか。これは、仕事をやろうと思って資材を運んでいるうちに列車に接触して死亡しているんですけれども、これは今月の十四日のことなんですが、新聞には元請の東京電気保全会社ということになっている。ところが実際に仕事をやっているのは港電気工業なんです。新聞には元請のちゃんと社員のように書いてある。ところが東京電気保全会社は仕事をやらないで、港電気工業というのがやっているのです。これは見ると全部そうですよ。事故の起こるたびに明らかになるのはその点なんです。こういうことに対して平気なんですか。現場の仕事はできないブローカー会社みたいなのが元請になっているというのは一体どういうことです。しかも、その会社には国鉄のOBが大量に入っているのですね。例えば社員が百人までいない北海道の場合には、そのうち二十数名が国鉄のOBが入っている。しかもそれはブローカー会社。こんなことがあっていいんですかね。この点については国鉄から答弁いただきたい。  さらに運輸大臣、国鉄事故を見ますとそういう問題点もあるのです。これは一日も早く改善させなければいかぬのじゃないでしょうか。だから安全が徹底しないのですよ。国鉄が教育しているのは、大体一つの会社の安全対策の係でしょう。ところが、それがさらに下請に行くわけですから、もう全然そうなっていない。しかも、国鉄は自分の企業の中で仕事をしているのに連絡もしない。列車のおくれぐらいは本来なら明確にすべきなのにしていない。これは直営でやっているとするなら当然連絡が行きます。それは連絡も密に行く。それから仕事の時間などもきちっとしている。ところが、国鉄が合理化を徹底させようとする余り、いわば下請にしわ寄せがずっといっているわけですね。しかもピンはねをされた上で仕事をやるわけですから、見張りをする人も専門にはいない、片手間にやっているというような状態になっている。そういうことについて、国鉄の監督官庁である運輸省がそこのところをやらないとどうしようもないのじゃないかと思うのですけれども、大臣の意見もこの際聞いておきたいと思います。
  121. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 先生の御質問の件は、本年の十一月十四日に常磐線の馬橋駅で起きた事故だと伺っております。この件は、夜間の午前一時二十五分から二時五十八分の間に列車を走らせない時間をつくってございます。これはダイヤの上で、そういった線路の保守をして安全を確保する時間を設けてございます。その時間に信号設備等の取りかえをやる計画をこの日は予定いたしていたのでありますが、実は原因がよくわからない、まだ調査中でございますけれども、なぜかこの保守時間に入る前に作業にかかってしまって関係者が亡くなられたという大変残念な事故でございます。  当該の作業は、国鉄側の信号区員と実際に作業をやります、直接受けます電気保全会社と両方でやっているわけでございまして、直接のパーティーは、工事を請け負った保全会社の責任者とその他の職員等の構成でやっておったわけでございます。そういった意味の作業の一番の責任者、いわば元請である電気保全会社の職員が他の企業の方と一緒に作業をしておったわけでございますが、この方々が亡くなりましたので今詳細な状態がわからないのでありますが、いずれにせよ直接的には所定の作業時間の前に作業に取りかかったことが問題でございますので、これも新幹線と在来線の違いはございますが、そういった面の基本が欠けておりますので、両面的に対策を講じていきたいと思います。列車の運行状態の通信その他について新幹線と在来線と違っておる点がございますが、国鉄職責がやる場合と関連企業がやる場合とは、基本的に同じような体制で取り組んでいるつもりでございます。
  122. 山下徳夫

    山下国務大臣 輸送について安全性が何よりも要求されることは当然でございますし、国鉄のように公共輸送機関であればそれは一層のことでございます。そういう観点から、今御指摘のございました工事を請け負わせる場合でも、それに価する内容を持っているかということを十分事前にチェックしなければならぬことは当然であります。お話しのように、下請、孫請とだんだん下がっていく過程において安全性が薄れるかもしれない、技術その他のスタッフも不十分であるかもしれないということは当然予想されることでありますし、今後もその点は特に厳正に注意していく必要があるということで、私どもはそういう面から指導監督していく所存でございます。
  123. 上野建一

    ○上野委員 時間がありませんので次の機会に申し上げますが、常務、ただ一つだけ念を押しておきたいのは、東北新幹線の際に問題になったのですけれども、一方的に当局側が現場の協議会をなくしたのですね。だから労働委員会なんかでもこの安全問題、現場に近いところの人たちと協議するのが一番いいわけです、どう考えても。ところが、いわゆる現協と言われるのが現在やられてないわけです。そこから逆にいろいろな問題が出てくる可能性が一層あるわけです。だから、この現協というのを復活したらいいじゃないですか。現場で働いている人たちからいろいろ意見を聞いたり、安全についてやることをなぜやらないのですか。現協の問題についてはどうしたってやる必要がありますよ。中央には安全対策の協議会がありますね。現場の方にはかってあったのに今はなくなっておる。これは、今組合との関係で対立しているからこういうことになっていると思うのです。  それはそれとして、国民の安全を守る、輸送の安全を守るという立場から考えるなら、あなた方国鉄内の労務管理なり労務対災の形からこれをやめてしまうのじゃなくて、やはり現場と協議をしてやる必要があるのじゃないですか。例えば能登線の場合もそうなんですね。現場の意見を聞いてない。それから東北新幹線の場合には、二回にわたって事故があるのです。職員が殉職している。その際にもそれを指摘したら、それは当局が考えるからいい、余り余計なことを言うな、簡単に言うとそういう態度なんです。そういうことではなくて、やはり安全については現場で話し合う、そのことがなければこれから何が起こるかわからないのです。その点についてやる意思はないですか。
  124. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 現場協議については先生経緯を御存じかと思いますが、国鉄の中にいろいろとその運用の問題も生じまして、職場規律について問題が出まして過日改定をいたしたところでございます。現在管理局の団体交渉を中心にしまして労働条件についての協議を行っておりますので、その体制で臨みたいと思っております。  安全問題につきましては、そういった労使の問題を離れまして、各職場におきまして日ごろの作業あるいは安全の検討会等々を重点的に行っておりますし、今後も日ごろの作業あるいは責任者、職員を含めた安全問題の技術講習、研究会等広範に広げまして、職員の意見も十分に採用して取り組んでいきたいと思っております。
  125. 上野建一

    ○上野委員 運輸大臣は、今度の日航事故の場合に四つの組合を集められて、これは人間の生命に関することであって、安全に対しては労使関係を超えて協力しろ、そういうことで動かれましたね。そのことは大変結構なことだと思うのです。一番身近な国鉄にもこれはぜひやってもらいたい。今の状態では当分今申し上げました形というのは進みませんし、常務理事の話を聞きましても余りはっきりしない。したがって安全の問題については、特に現場との関連において合理化と下請の問題がどんどん進んでいるために、余りにも急激にやり過ぎているためにいろいろな問題が出てくる。これからも危ないですよ、本当に。そういうことでこの安全問題に絞ってでも結構ですから、国鉄も幾つかの組合に分かれているわけですから、運輸大臣に日航に行われたような形をやってもらいたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  126. 山下徳夫

    山下国務大臣 国鉄の各組合の幹部の方々とは、私は就任以来それぞれ個別に一回お会いしたことがございます。  先般、日本航空の各労働組合の幹部とお会いしましたのは、御承知のとおり、五百二十名の人命をなくするという大変な事故が起きまして、私もその飛行機に乗っていたというのは一つの何か宿命、使命感、いろいろなことを考えながら、私自身何かたまらないような気持ちもございました。いろいろそんなものも手伝って、この際ぜひともひとつ御了解いただきたい。これから日航の体質を変え、全く事故のないような会社にするためにどうしたらいいか、そんな思い詰めた気持ちも手伝って私はお会いしたのでございます。国鉄の現状、いろいろございます、今御指摘の点もございますが、若干日航のそういった事態の直後に私が会ったのと違いまして、今私が会うということを考えておりませんが、また必要とあらば私も考えてみたいと思います。
  127. 上野建一

    ○上野委員 なお細かい問題点についてはもうちょっと時間を改めてやっていきたいと思いますので、国鉄の方も答弁できるようにちょっとやっておいてもらいたいと思います。特に下請との関係などについてはやはりもっと改善しないと、組合員だけ非常に厳しく当たって、実際は業界その他の関係では大変問題が多い、こう思いますので、その点申し上げておきます。  最後に、来年三月から暫定に開業する京葉線の関係ですけれども、この京葉線の発表された内容を見ますと、多くの駅があるのですが、駅員が駅に対して一人しか配置されてない、しかもその駅員も改札にタッチするのは新稲毛駅だけ、こういう状態になっております。窓口で切符を売るのは新稲毛駅だけ、あとの若松町とかその他の駅については人を一人だけ配置しているだけの、いわばホームには駅員のいない国鉄になる、こういうことになっていますが、これでは幾らなんでも安全とかサービスからいったら問題にならない。新しく駅をつくるというのに駅員を一人しか配置してない、あとは全部自動券売機でやってしまう。それから通勤通学の定期券も売る場所が一カ所、こういうサービスの悪さでは、幾ら国鉄が今斜陽だと言いながら、新しく新線をつくってやるというなら、もうちょっと何とかなりそうなものじゃないですか。  一方では人間が余っていると言っておきながら、自分のところは徹底的に切り詰めていく。埼京線というのですか、あれなんかでも、それでやったら随分コンピューターに事故が起きて、一カ月近く毎日六十名も動員した時期があったんじゃないのですか。そういうことから、京葉線などもまず出発の段階にはもっと人間を配置したらどうですか、しかも人間が余っていると言っているのですから。何万人も余っていると言いながら、こんなサービスの悪さ、人間の配置、これは安全が確保されませんよ。ホームで何か起こったってわからないじゃないですか。一体これはどうする気ですか。明確にしてもらいたい。
  128. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 御指摘の京葉線は、来年の三月に部分開業する予定で現在準備を進めているところでございます。  国鉄は現在、安全問題はもちろん基本でございますが、経営問題も大変深刻でございまして、この改善に組織を挙げて取り組んでいるところでございまして、その一環といたしまして、やはり効率的な経営形態、特に同じような仕事をしております私鉄等と比較しても遜色のない効率あるいはサービスを提供することが基本かと思っております。  したがいまして、京葉線につきましては新しく建設する線でもございますし、設備につきましても新しい技術をフルに取り入れまして、例えば自動改札装置、自動出札装置、この辺、国鉄は従来余り採用してなかったのでございますが、思い切って採用いたしましたし、そのほか列車が進入した場合、自動的にホームで放送が始まる自動放送装置、あるいは遠隔地から例えばホームの状態が見えるようなITV等を取りつけまして、そういったものと並行しながら極力効率的な駅の配置、職員の配置を考えたつもりでございまして、御指摘になりました稲毛海岸という駅が一番御利用客が多いものですから、私鉄等でよくそういう体制がございますが、ここを拠点の管理駅にいたしまして、ここを中心にして沿線の駅を管理してまいりたいと思っております。  その他の駅につきましては、私ども出面という言葉を使いますが、出勤する職員が基本的に一名でもって改札業務等に当たるつもりで考えております。
  129. 上野建一

    ○上野委員 一名で当たることがわかっているから質問しているのですよ。これは何とかならぬかと言っているのです。  例えば稲毛駅なんか、通勤通学を含めて二万一千九百人乗りおりするわけでしょう。二万一千九百人という想定で今なっている。それを一人の駅員でさばこうなんというのは、どんな機械があったって、機械が故障したらどうするのですか。現に埼京線は「開業一カ月 節約が裏目”人海運行”」と新聞にも批判されているじゃないですか。電算機なんというのは壊れる可能性があるのでしょう。国鉄のは絶対壊れないのですか。しかも二万人もあれしなければいかぬ。ほかのところだって皆一万人単位ですよ、乗りおりが。これに対して一人の駅員しか配置をしない。事故が起こったら一体どうなるのかということを考えますと、これは本当に大変なことだと思うのです。先ほど言いましたように、経営が苦しいことはわかります。だからといって、安全なりサービスを放棄した国鉄というのはあっていいのですか。これは改善を考えませんか。
  130. 山之内秀一郎

    ○山之内説明員 先生指摘のありました稲毛海岸の駅というのは、この沿線で一番利用客の多い駅だというふうに想定をいたしておりまして、想定の利用客の数は先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたこの駅を拠点にいたしますので、この駅にはかなりの人数を配置する前提で、この駅の方々はいろいろな場合に備えまして、その他の駅の事務とかあるいは異常な場合の応援体制もこの駅でしくような格好で考えでございます。  その他の駅についてでございますけれども、一つは、やはり私ども効率的なことをやる前提といたしまして、ただそのために安全とかサービスの基本にかかわってはまずいものですから、先ほど申し上げましたいろいろな意味技術開発の成果を取り入れまして、放送装置、ITV等も取りつけまして、そういったものでもって一つはカバーしてまいりたいということと、それから、その上にも慎重さが要りますので、国鉄に先んじてこの種の駅体制で広い経験のあります私鉄等の実情も調べまして、そういった実例も非常に多いものですから、また国鉄についても地方においては無人駅をやっておりますし、最近は大阪地区その他、埼京線の御指摘もございましたが、同じような体制をしいておりますので、こういった格好で基本的に対応できるというふうに考えてございます。  それから、ただいまの埼京線の問題でございますけれども、埼京線につきましては新しいコントロールシステムを入れまして、最近はやりのマイクロコンピューターというものを使いました作業装置が若干ふぐあいがあってトラブルが起きまして、現在その対応をやっておりまして、ほぼ装置の対応が終わり、今年中にはほぼ所定の運転に入るようにしたいと思います。御迷惑をかけたことはまことに申しわけないと思いますが、技術開発の過程で、こういったことにつきまして早急に対策をとっているつもりでございます。
  131. 上野建一

    ○上野委員 質問を終わりますが、答弁を聞いていまして、もうちょっと明確な答弁をしてもらわなければ困るし、事実関係についてももっと明確に把握しておいてもらいたいと思うのです。特に最後の問題は、埼京線については当初そういう計画でやったけれども、これはやはり失敗したわけでしょう。それはやはり責任を感じなければいけないと思うのですよ。京葉線についてだって、何が起こるかわからないでしょう。結果的には多くの人間を動員している。毎日六十名ずつ働かせていたわけでしょう。そういう意味では、この京葉線についても、さらにまた機会があれば申し上げますけれども、再考して少し人間の配置を考えてもらいたい、このことを強く要望して私の質問を終わります。
  132. 小川新一郎

    小川委員長 午後一時四十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時五十分休憩     午後一時四十分開議
  133. 小川新一郎

    小川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。坂井弘一君。
  134. 坂井弘一

    ○坂井委員 最初に日航機墜落事故の問題、次に航空企業の新しい運航体制の問題、それから最後に警察庁の交通安全対策、以上三点につきまして順次お尋ねをしていきたいと思います。  ちょうど今から七年前の昭和五十三年の六月に、今回墜落しましたJA八一一九号機のしりもち事故があった。このしりもち事故の修理は、これは全面的にボーイング社の手によって修理作業が行われた。ところがその修理につきまして、ボーイング社が不適切な部分があったと、これはみずからそれを認めるというまことに衝撃的な発表がなされた。ただ、この発表が日本側に対して何らの相談もなくというのでしょうか、一方的に、連絡も打診もなく、了解なしに行われたということのようでございますが、そういうことでしょうか。
  135. 藤冨久司

    藤冨説明員 お答えいたします。  航空事故調査委員会でございますが、去る九月の初旬にボーイング社が、先生合おっしゃられましたいわゆる大阪のしりもち事故後の修理について、一部正常でない部分があるということを一方的に公表した事実がございました。これにつきまして、当航空事故調査委員会といたしましては、ちょうど調査中の事案の関連でもございますので、当時来日中の米国の調査団に対しまして遺憾の意を伝えましたところ、折り返しボーイング社の方からは事情の釈明がありまして、今後はこのようなことのないように努めるという言葉を得ているところでございます。
  136. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、実は大変遺憾な事態だという受けとめ方でございまして、今後はこのようなことのないようにいたしますとは言っても、極めて重要な事柄についてこういう形で発表されるということは、これは私は非常に恐れますことは、今後の事故解明なりあるいは補償の問題なり、そうしたことをめぐってこういうあり方というものが少なからざる影響を持つのではないかという実は心配でございます。  それで、これは再度念を押してお尋ねをいたしますが、全く一方的なのでしょうか。実はこういう発表をせざるを得ないのだと了解を求めるとは言わないが、発表せざるを得ないのですがというような何らかの音信、打診ぐらいのことはあったのでしょうか。
  137. 藤冨久司

    藤冨説明員 お答えいたします。  ボーイング社の釈明によりますと、アメリカ側の敏腕の新聞記者にスクープされ、ボーイング社としては公表せざるを得なかった事情があったという釈明でございまして、私どもの方へ事前にこうこうであったということではございませんでした。
  138. 坂井弘一

    ○坂井委員 大変遺憾だということを申し上げながら以下お尋ねをいたしますが、日本航空から本日は平沢川野お二人の参考人にお出ましをいただきまして、大変どうも御苦労さまでございます。  日航お尋ねいたしたいと思いますが、この事故の補償問題でございますが、ボーイング社と日本航空が協議をいたしましてやがて合意に達した。その内容につきましては十月の五日に発表した。要点を申しますと、当面は遺族に対する補償金を両社が折半して分担し、事故原因が確定した後に双方の過失責任の割合に応じて補償金の分担額を改めて清算する、こういうことで合意されたということは、これは間違いございませんか。
  139. 川野光斉

    川野参考人 間違いございません。
  140. 坂井弘一

    ○坂井委員 そうしますと、この合意がなされたという背景、前提は、やはりしりもち事故による修理、この修理ミスがボーイング社側にあったということ、修理ミスは厳然とあったということ、この修理ミスが墜落ということに結びつくというか起因になったというか、そういう認識はボーイング社側にあった、日航側もそういう認識で合意する、こういうことでしょうか。  それとも、直ちにはつながらないけれども、少なくともこの修理ミスが何らかの影響を及ぼしたであろうという認識は当然なければこういうことにはならぬと思うのですが、どの程度の認識でこういう補償交渉の合意ということになったのでしょうか。
  141. 平沢秀雄

    平沢参考人 ボーイングは、事故の原因については事故調査委員会調査をなさっておられるわけでございますからその結果を待たなければわからない、こういう立場をとっております。ただ、何らかの関係があるかもわからない、こういったような点から、双方の保険団が今先生のおっしゃったような合意をいたしたものというふうに考えております。
  142. 坂井弘一

    ○坂井委員 何らかの影響関係があるかもしれないという認識で非常に大事な、重要な補償問題の交渉、これはボーイング社側から出た話でしょう。これは我が方としても、補償についてはということで、結論的には折半、それから今言ったように責任の度合いが決まったならばその時点で改めて清算という話は、これは最初持ちかけたのはボーイング社側じゃないのでしょうか。
  143. 川野光斉

    川野参考人 確かにボーイング社の方からそういうお申し入れがあって、これを受けての両社の保険団の間で合意が成立した、こういうことであります。
  144. 坂井弘一

    ○坂井委員 ちょっと大臣、御感想というくらいの程度で承っておけばと思うのですが、いろいろなことを巷間言われるわけですね。また専門家の間でも、このことをめぐって随分いろいろな意見が出されておる。そういう中で、どうも今回のボーイング社のこうしたやり方、ミスだという一方的な発表、それからこういう補償交渉についても向こうから身を乗り出すというようなあり方等々見てまいりますと、例えばある専門的な立場の人は、どうもこの墜落をしたJA八一一九号機、この一機に限って例の修理ミスがあったがゆえに墜落ということにつながったんだ、したがってこれ以外の飛行機は全部無事でございます、どうか御安心くださいということで、何もかも墜落の原因を修理ミスだということにしてどうも一機に押し込んでしまうのではなかろうか、こういうことを言われる。  一方において、事故調査委員会がこれからこの事故原因の解明に大変な御苦労をいただくわけでございます。真因を探り当てなければならぬ。片や遺族に対する補償交渉問題がある。そういう中で、こういうあり方というのは事故責任を分散してしまう、あるいはせっかくの事故調査委員会事故原因の解明に対してまことに好ましからざる圧力みたいなもの、介入が行われる、事故原因の解明に困難性を加える等々、我々素人が考えてもどうもおかしいぞという気が実はしてならないわけでございます。ひとつ大臣の御感想ぐらいのところでお伺いしたい。
  145. 山下徳夫

    山下国務大臣 極めて微妙な問題で、特に当事者間の問題でございますから、私から軽々に申し上げるべきではないかと思いますが、一般論から申し上げれば、まだ遺族補償が開始されたわけでもございませんし、資金的に日航がどうということでもございませんし、あるいはまた保険の内容等私は承知しませんけれども、そういった面から判断しても、あの時点において言わなければいけなかったのかなという――実際、率直に私もあっとびっくりしたわけでございます。より重大なことは、やはり当面あなたの方で過失責任を半分持ちなさいというような形に、一方的に向こうから言うことは一体いかがなものかな、そんな感じが率直に私はしたということでございます。
  146. 坂井弘一

    ○坂井委員 それじゃ、なおお尋ねしてまいりたいと思います。  このしりもち事故によります隔壁の修理、ボーイング社が、上部の九枚の扇形リグを残して、下部の九枚を全部新品と取りかえた、その際に例の継ぎ板を当てて修理するような事態になって、そういう事態の中でまことに重大なミスにつながっていったようでございます。  ちょっと日本航空お尋ねをいたしますけれども、この修理の作業中は、日本航空の検査員の方はずっと立ち会って、この作業計画書というんでしょうか、一連のこうした極めて精密を要する、安全を要する機体の大修理でございますから、それなりのきちんとした契約に基づき、それなりのきちんとした計画書に基づいて修理が行われ、それがそのとおり行われるかどうかということについては、日本航空の検査員が始終立ち会って、監督というんでしょうか、それがなされたと思うのですけれども、そうであればこういう大ミスを見逃すはずはない、こうも言われる。聞けばそうだろうかなとも思う。その辺のいきさつはどうだったんでしょうか。
  147. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  大きな修理の場合には、当時私どもはメーカーでありますボーイング社に、技術及びそういう大きな修理の経験というものを信頼をいたしておりまして、修理全体を一括して委託する、当時世界の航空会社の一般的にやっておる方法でございますが、そういう方式で契約をいたしました。これはボーイングの緊急修理チームが来て修理をするわけですが、その場合に、航空会社と契約を交わします一つの標準的な契約形態、こういうことになっておりまして、それに従いまして修理契約をいたしました。その中身は、ボーイング社が必要な技術者それから実際に作業をしますメカニック、さらにその作業を検査いたします検査員、こういう人たちを全部連れてまいりましてボーイングが修理を行う、こういう形態でございます。  それで、私どもの検査員あるいは社員の役割は、ボーイングとの間に交わしました修理契約書の中にワークステートメントというのがございまして、どこの部分をとって新しいものにかえる、どの部分はどういう修理をする、こういうふうな箇条書きにいたした文がございます。そういうふうな約束事に沿ってボーイング社が修理を行っているかどうか、そういう全般的な点を検査員一名が見ておった、こういうことでございまして、個々の作業内容あるいは作業後の個々の検査というものはいたしておりません。  そしてボーイングの受け持つ領域といたしまして、そういう修理が終わりました後、取り外しましたいろいろなシステムを取りつけて、機能検査、作動検査をいたしますが、これもボーイングの責任においてやることになっておりますけれども、その後に試験飛行がありますものですから、私どもの検査員は、この機能検査のある部分においては立ち会い検査をいたしております。そして、その後の試験飛行は私どもの会社のパイロットによって行われ、また検査員も同乗しておりますが、同時に、ボーイングの関係者並びに航空局の検査員の方にもお乗りいただいてこの試験飛行をしております。これが終わりまして、航空機の状態がファンクション的に満足なものであるということを確認いたしまして、ボーイング社がつくりました修理にかかわる書類、そしてアメリカの航空局から出されました改造後の耐空証明、こういうものを受け取りまして航空局に申請いたしまして、日本の改造後の証明書を出していただく、こういう経緯でございます。
  148. 坂井弘一

    ○坂井委員 それじゃ運輸省お尋ねしますけれども、修理ミスが現にあったということですね。現にあった修理ミスには日本航空も立ち会っておるわけですね。その後の機体の検査、耐空証明を出したのは、これは航空局ということになるわけですから、理屈の上で言えば、航空局も何でそんなことがわからなかったのかということになるんだろうと思うのです。しかし、そうした極めて技術的な部分と、言うなればボーイング社の手によってほとんどの部分というか、大事な部分が修理されるという事態の中ではなかなか発見しがたいこともあったんだろうと思うのです。あったんだろうと思うのですが、もしこのことを教訓とすれば、どこにこういうミスを見逃した原因があったんだろうか、今後このようなことを再び起こさない、こういうミスを見逃さないためにはどこをどうすればいいのかということがあろうと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
  149. 大島士郎

    ○大島政府委員 私ども、このしりもち事故後の修理作業に関しましては、機体の所有者であり、また運航者であります日本航空から修理改造検査の申請を受けまして検査を行ったわけでございますが、その際に、この修理作業がボーイング社によって行われ、日本航空がその作業を委託し、また監督するということでございましたので、日本航空に対してボーイング社の修理作業を十分監督検査を行うよう指示していたところでございます。  私どもの検査の方法といたしましては、修理計画の妥当性あるいは修理作業の進め方等々を審査いたしまして、また完成後の現状につきましては、機能試験あるいは最終の飛行試験等に立ち会いまして、修理作業が満足に行われたことを確認した上、修理改造検査の合格を判定いたしたものでございます。しかしながら、結果としてその中にボーイング社による修理ミスが内在したことは大変遺憾なところでございますが、私どもといたしましては、日本航空の監督検査体制に多少不十分な点があったのではないかと判断しておるところでございます。  今後の問題としましては、特に他の事業者に修理作業あるいは改造作業を委託するような場合には、十分万全を尽くして監督検査体制をとる必要があろうかと思いますので、そのような検査に当たりましては、航空会社を指導強化していきたいと考えているところでございます。  なお、本件事故の教訓といたしまして、過去に修理あるいは大改造作業等を行った機体につきましては、その後の運用中、当時顕在しなかった欠陥その他ふぐあいが後に顕在するということも技術的にはあろうかと思いますので、このような過去に修理を行った機体につきまして長期監視プログラムを設定するよう指導したところでございます。
  150. 坂井弘一

    ○坂井委員 十分検査監督体制といいますか、これを強化していただきまして、再びこのようなことのないようにぜひお願いをいたしたいと思います。  それで、隔壁の破壊というのが墜落事故につながる主因であったという説やら、いやそうではないのではなかろうか、もっとほかにあるのじゃないかというような説、いろいろなことがあるようですが、しかし考えてみますと、隔壁が破壊したからそれが直ちに墜落ということになったということではどうもなさそうで、墜落したというのは、これは物理的に見て操縦系統が全部だめになったというのが一つ、それからいま一つは尾翼が折れて飛んでしまった、この二つ、これは全く操縦不能でしょうね、尾翼がないんだから。飛行不能でしょう。操縦系統がだめで操縦不能、尾翼がため、これはもう飛行不能、この二つがやはり墜落ということに対する一番大きな因をなしておると思うのです。  そういうことになりますと、隔壁の修理ミスがあったからこの飛行機が落っこちたんだといういわゆる隔壁修理ミス、隔壁破裂主因説というのは、これはどうも我々素人が見ておってもちょっとおかしいのじゃないかな。だから最初の質問に戻るのですけれども、どうもボーイング社のあり方というのはいただけないぞという気持ちが、実は私個人的にしてならぬわけなんです。  申し上げたいことは、例えばある専門家は、隔壁の修理ミスでなくても隔壁破壊は起こり得る素地といいますか、そういう条件というのは幾つもある。これは私の説じゃなくてある専門家の説です。例えば、こういう扇形の力学的にも大変難しい構造になっているようですが、こういう工作物の組み立てにちょっとしたミスがあるというようなことも、それもやがて金属疲労等に結びついて破断していくという要因にもなり得るであろうし、あるいは水漏れがある、腐食を起こす、それもまた隔壁破壊への一つの因にもなり得るとか、あるいは点検修理の際に傷をつけるというような場合もなきにしもあらずである、それもまた隔壁破壊の因にもなり得る、したがってボーイング社の修理ミスがあったから、それがイコール墜落ということになったんだという考え方はいかにも短絡に過ぎる、こういうある専門家の説であります。私は、常識的に考えて、こういう説は尊重しなければならぬなという気が実はしてならぬわけであります。  と申しますのは、だからこそ、いかなるそうしたわずかなひびが隔壁に、ひびといっても目に見えないそういうものがあったとしても、それはこの傷を探り当てる装置もあるようでございますし、磁気でありますとかエックス線でありますとか、そういう機器を十分に使って、そして未然に大事に至る前にそれを発見するということの方がこれまたより大事だと思うのですね。  そういう意味でここでお尋ねをしておきたいと思うのですが、この隔壁部分については、これは点検項目の中にはもともとなかったのですね。
  151. 大島士郎

    ○大島政府委員 この後部耐圧隔壁に対する点検項目を調べましたところ、C整備といいます飛行時間三千時間ごとの整備間隔におきまして耐圧隔壁を点検するような指示が出されております。  ただ、残念ながらこの点検指示の内容が、亀裂に対して十分検査するというような内容ではなくして、どちらかといいますと、腐食に対する検査、それからあとは一般的な状況検査ということでありましたので、耐圧隔壁の一般的な状況については点検は行っていたわけでございますが、この亀裂に対して詳細な点検をやる、こういう項目になっておらなかったのが状況でございます。
  152. 坂井弘一

    ○坂井委員 ですから、業務改善勧告でそういう部分をしっかりしなさいということをお出しになった。これも、もともとはボーイング社がこういうところをこういうふうに点検しなさいという点検項目の基準を決めて、それを日本航空は、航空機メーカーのボーイング社が言うんだから、これはもうそれを信頼するしかないですね。したがって、日航は自社の点検項目、点検基準としてそれを整えた、それを航空局が認める、こういう仕組みだろうと思うのです。  ですから、その辺のところも、やはりボーイング社ももっと、今回の業務改善勧告、これをなされる前にボーイング社みずからが、メーカー、実力があるわけですから、そういうところについて何でもっときちんと点検しろと言わなかったのかなという実は恨みが残ってならぬわけであります。これは恨み言になりますので、これ以上言ってもむだかとも思いますけれども、今おっしゃるように、C整備ということで三千時間ごとの詳細な部分点検を行う、もう一方三千時間も飛んでおるわけですから、少なくとも四回のこの整備をやっておるわけですね。そういう中で、これは恐らくやかなり進行しておったと思いますが、それが発見できなかった。なぜ発見できなかったかといえば、粗っぽい言い方をすれば、ここは点検の箇所に入っていなかったからわからなかった、そしてこの間、ある日突如としてあの大惨事になった。  これは考えてみますと、非常に技術への信頼、それからそうした大メーカーに対する信頼、しかも航空安全ということになると、いわゆる念には念を入れてということが、あり得べからざるこういう事故というようなことでもろくも消えてしまうこのむなしさ、そのむなしさが大臣、そういう点検をしていないというようなことを後で聞かされますと――してないという言い方はよくないかもしれません。よくないかもしれませんけれども、今おっしゃるように、そういうところの亀裂等については十分に目を見張れというような詳細な点検項目、点検基準、そういうものがボーイング社から指示されておればこういうことにはならなかったのじゃないかなという恨みも実は残るわけでございます。  いろいろ申し上げたいことがございますが、余り時間をここではかり費やしてもおれません。ただ、そうした点についての改善はしっかりやってもらわなければならないと思いますが、実際の航空機の技術あるいは強度の算定でありますとか設計の基準でありますとか、そういう内容ということになりますと、一番わかっておる、力を持っておるのはボーイング社、次いで日本航空でしょう。それから大変失礼だけれども、監督官庁の運輸省は残念ながらそういう力を持ち得る立場にはなかろうと私は思う。ですからこそボーイング社に対して、ここが一番力を持っている、能力のあるところですから、注文はしっかりつけていただきたいということをここでしっかりお願いをしておきたいと思います。  なお、事故調査委員会、大変御苦労さまでございます。冒頭申し上げてまいりましたようなある種の力によってこの解明が左右されるというようなことは万々ない、そういう決意でこの事故調査に当たっておられると私は信じておりますが、何分最初にちょっと申しましたようなどうもいただけないような感じがありますので、どうかそういう点については心してひとつ事故の解明に当たっていただきたい、お願いを申し上げておきたいと思いますが、調査委員会に、どうしても今必要だというようなこと、あるいはかくあるべきというようなことがございますれば、この際お伺いをしておきたい。
  153. 藤冨久司

    藤冨説明員 お答えいたします。航空事故調査委員会といたしましては鋭意事故究明に臨んでいるところでございますが、航空事故調査というものは、先生も御承知のとおり公正かつ科学的に調査を行うことがその本質でございますので、私どもその観点に立って、いたずらに外部の力に左右されるということは絶対にないように鋭意原因究明に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  154. 坂井弘一

    ○坂井委員 くどいようでございますけれども、圧力隔壁の破壊の因をなしたものは修理ミスである、圧力隔壁破壊というものが墜落の主因であるということは全く仮説にすぎない、私はそう思っております。垂直尾翼が飛んだ、それから操縦が全部不能になった、この三つの関係はどういう順序、メカニズムで、それはこれからの事故調査委員会の解明にまたなければならぬと思いますし、あるいはこの三つも、こういう状況が起こるほかに原因があったかもしれない、そうした因果関係というものは今日なおはっきりしていない、そういうことであろうと思いますので、この大変な解明に当たられる労を多としながら、そうした点にひとつ御留意いただきながらよろしくお願いを申し上げたいと思います。  実物の機体で実証実験、それをやるべし、そうでなければ事故原因の最終結論は出せないぞと言う専門家も多いようでございますし、これは大臣に一言御答弁いただきたいと思いますが、事故調査委員会は大変な御苦労の中で、相当大きな金が要るのじゃないかな、しかしそんなことは言い出しにくい話だというようなこと等々おもんぱかりますと、大臣のお立場から、この事故解明にはかなり金がかかってもやりなさい、実物の飛行機による実証試験、それも必要とあらばというぐらいの腹をひとつお決めいただきたいなと思うのですが、いかがでしょうか。
  155. 山下徳夫

    山下国務大臣 事故発生以来、国会はもとよりあらゆる機会に二度とこういう事故を起こしてはいけない、そういう決意でいたしますということを私は公約をしてきております。二度と起こさないということは、今回の事故の原因を徹底的に究明することでございます。そういう立場から、徹底究明に必要な予算等については私の責任においてやりますということをNHKの日曜日の座談会においても申し上げました。これは私は国民に対して約束したということでございますから、またこのことにつきましては政府関係大臣とも確約をいたしておりますので、そういう面で徹底的にやるだけの私の責任は十分果たしてまいりたいと思います。
  156. 坂井弘一

    ○坂井委員 大臣、これは御参考までに。  私もそうだなと実は思ったのですが、藤田さんという日航の元機長がこんなことを言っておる。「一、人間は過ちを犯す動物である。 二、機械(機体)は故障するものである。 三、気象はいまだ人間に征服されていない。悪天候には従順であれ。」この三つを自分の信条として空の安全運航にかけてきた。この三つを、自分の長い機長生活の体験の中でこの人がるる言っておることを見まして、私は実は大変感銘といいますか、聞かなきゃいかぬ大事なことだなと思ったのです。  また、この人がこういうことも言っておる。他部門に対する思いやりなしには安全運航が可能とはならない。操縦士と整備士、乗員と地上職の間で安全意識を向上させるにはどうあるべきか、真剣に考えてみる時期である。飛行機に乗る人と地上、乗員と整備士、この人間関係、信頼関係、これが大事だというようなことを言っております。これらも十分に参考にといいますか、心していかなきゃならぬことじゃなかろうかと思った次第でございまして、御披露だけ申し上げておきます。  次の課題ですが、午前中の大臣の御答弁にもございましたが、運輸政策審議会の航空部会で、日本航空が独占している国際定期線に複数社の参入を認めるということが一つ、二つ目には日本航空を完全に民営化させるということ、三つ目には国内線の競争を促進すること、この三つを柱にした中間答申が十二月九日に出される。この中間答申に基づいていわゆる航空憲章は廃止される。廃止されますとどうなのですか、新しい航空憲章というもの、日航、全日空、東亜国内航空、三航空会社の新しい運営体制の新航空憲章というのでしょうか、それはいつごろまでにまとまるということになるのでしょうか。
  157. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのように、十二月九日に運輸政策審議会は、一応これまでの検討の結果を中間答申として出します。その際に三つの問題点、国際線の複数社制の問題、日本航空の完全民営化の問題、それから国内の競争促進体制、これについて一応の結論を得たので中間的に報告する、なおこれらの問題については、それぞれ細目的にも実行、実施に当たっていろいろと検討する問題があるので引き続き審議するということを前提としまして答申をするという運びになりますが、そういたしますと、その答申考え方は、昭和四十五年の閣議了解、四十七年の運輸大臣達で関係の航空企業間のいわゆる事業分野を決めまして共存共栄を図っていくというこの体制そのものを、競争促進を基本にするという体制に移しますので、現在のいわゆる航空憲法、この閣議了解と運輸大臣達に抵触する考え方になりますので、私どもこの答申が出されましたときはこれを尊重して、閣議了解と大臣達を廃止するという手順に入ります。  しからばその後はどうなんだということでございますが、航空輸送事業につきましては、もともと航空法というもとで免許のシステムがございます。本来の航空法の立場そのもので、基本に返ってやっていくということで、これまでのいわゆる航空憲法というのは免許の運用の方針でございました。そういう意味で、もし航空憲法にかわるものがあるとすれば、それは今回の答申考え方でございます。今この審議会では新しい憲法は要らない、本来のあり方に従って考えていけばいい、こういうことで、私ども答申の基本的な考え方を尊重しながら今後の運営をしていくということでございます。
  158. 坂井弘一

    ○坂井委員 航空企業の命運というのでしょうか、これは、行政が配分という言い方はよくないかしれませんけれども、そういうある種の航空権益はそのことによって決まってしまうということになる。ですから、いずれにしろどの航空会社も企業も、行政に対してはこの航空権益を奪い合うという言い方はよくないかしれませんけれども、そうならざるを得ないんですね。  そこで、私はこれは過去の教訓、反省ということで申し上げておきたいと思いますが、どうもそういう場合そこに政治の力が左右しがちである。行政にある種の圧力というようなこと、あるいは癒着の関係、そういうものが、好ましからざるというか極めて不純な、忌まわしいところへ曲げてしまうというようなことが間々ある。この辺はひとつ心していただきたい、特に国民の生活あるいは経済、そういうことに非常に密接に結びつく航空ということでありますので。例えば通産省あたりは、審議会の中に利用者を入れる、あるいはマスコミも入れる、あるいは住民側の代表も入れる、そこで審議をやる、そういう意見をトータルに取り上げる。つまり、国民的合意がそこに形成されたのだというぐらいの感じで、そういう利用者なり一般の幅広いところから意見を吸い上げるという形をとっておりますね。この審議会はそんな形まではとれませんか、ガラス張りにしたいということが事務局長さんのお考えのようですが。
  159. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しのように、運輸政策審議会の審議の仕方として、その委員の構成をどう考えるべきかということでございますが、実は私ども、今回この運輸政策審議会の審議を開始するに当たりましてどういうふうに進めるべきかということを真剣に検討いたしました。通常の産業政策でございますと、各企業間にかなり共通の同方向の問題、課題というのが掲げられてまいりますので、それについては、いろんな意味での学識経験者なり業界の方なり利害関係人が入って一諸に議論してその意向を調整する、そういうことが審議会の使命としてしばしば出てまいります。  ところで、今度の運輸政策審議会で検討しようとします事項は、もちろん競争の促進等、企業共通の利益にかかわるものもございます。しかしながら、今も御指摘のように、個別の企業相互間ではかなり利害が相反する面もございます。そういうことを考えますと、この問題の深さ、そういった点から、私どもは、あらかじめ今回「航空企業の運営体制検討のための論点」というものを用意いたしまして、広く世間の関心のある方に読んでいただくということで、審議会の審議を開始する前にこれをマスコミにもお見せし、意見のある方はどんどん意見を出していただきたい。それで公にされた意見審議会がむしろ公正中立な立場で、一つ立場にとらわれない――各企業の立場に立ちますと非常に困難な問題化なります。また、マスコミの方もいろいろな立場に立って御意見を言われる。それはそれでいいけれども、審議会の中でそれをやるのは非常にまずい。審議会はむしろ公正中立にいろいろなところから出された意見に耳を傾けて、冷静に出すということで、審議の仕方はできるだけオープンに、この審議会で今どういうことが問題になっているということもその審議の都度記者クラブに詳しく説明をしております。そういう形で外部の意見を全部審議会の委員がよく聞いて、最終的に公正な立場から結論を出すというふうな配慮をして現在まで審議をしているわけでございます。  そして、この場合の審議会の審議の仕方の基本は、安全の確保、それから利用者のサービスの向上ということの二本が基本でございます。この安全性と公共性をいかに実現するかということで、各委員が非常に熱心に公正な立場から今御議論いただいているということでございます。そんな意味で、実はマスコミの方もこれはむしろ外で議論をいただきたいということで、マスコミの方、あるいはいわゆる利用者代表といわれる方、あるいは企業の代表の方、そういう方の御参加を求めないで学識経験者を中心として審議をしている、こういうことでございます。
  160. 坂井弘一

    ○坂井委員 わかりました。今回のこの審議は、航空憲章の抜本的な見直しということなんで、国内線、国際線、旅客、貨物、もう全般にわたって、新規参入等をも含めて総合的な、根本的な見出しということだろうと思うのです。そうなりますと、日米暫定取り決めがございましたので、そのうち国際線だけ先に取り出して、日米間の路線の新規航空企業の乗り入れ、来年四月からもう具体化するということのようですね。ですから、これは先にやってしまうのですか。
  161. 西村康雄

    ○西村政府委員 今申し上げましたように、運輸政策審議会の審議は先ほどの三つの柱についてそれぞれ検討を進めてまいりました。その三つの柱の全部について基本的な方向を得たので答申をするということでございます。ただ、日本航空民営化を具体的にどうしていくか、完全民営化に伴って生ずるいろいろな問題、あるいは国内線の競争促進におけるいろいろな路線の経営の問題等、まだまだ詰めなければならない問題がある。国際線の問題につきましても、ワールドワイドにどの部分でどういうことにするかという点は問題として詰めていくことはございます。  ただ、審議会といたしますと、既に相手が複数社で入ってきている国との関係については、これは我が国も複数社で対応するという措置を速やかにやる方がいいんじゃないだろうか。しかも、日米間につきましては暫定取り決めという枠組みが既に示されている、アメリカ側がこの日米暫定取り決めに基づいて対応してくるのに、当方もできるだけそれに応じる体制にすることが適当だという考え方で、中間答申では、そういう対応をすることが適当だという方向で答申が出される予定となっております。
  162. 坂井弘一

    ○坂井委員 航空三社から出されたそれぞれの要望をずっと見せていただいたのですが、なかなか主張は対立しておりますね。利審関係が衝突するということはあるいは当然かもしれません。だから、この辺の調整作業はこれまたなかなか大変だろうと思います。いろいろ申し上げたいことはございますが、時間もございませんので次回に譲りたいと思いますが、これはなかなか大変だぞという実は気がしてなりません。各社それぞれに自社のことを一番頭に置くことは当然でしょうからこういう要望になるのでしょうが、それらをうまくまとめるという作業は審議会も大変だと思います。航空局、運輸省当局におかれましても、審議会の答申尊重だ、全部審議会待ちだというのも一つのあれでしょうが、かといってそうもいかぬぞというような部分もあるのではないか、そんな感じもしないでもないです。  その辺、どうそれぞれの関係機関が相寄り、相調整し、理解し合い、信頼し合い、そこに国民に対する、あるいは国益を踏んまえてよりよき我が国の新しい航空行政、空の再編ということに向かうか、大変関心のあるところでございますので、どうかひとつそういうところを心にとどめていただきまして、なお安全運航ということが最も大事なことだと思いますので、いやしくも安全運航に支障を来すことのゆめゆめなきことを私は心から念ずる次第でございまして、どうかそうした点よろしくお願いを申し上げたいと思います。  時間が迫ってきておりますので、最後に警察庁に最近の交通安全、交通事故等の問題についてお伺いいたしたいと思います。  概略で結構でございますから、ことしに入りまして交通事故の発生状況、その中で非常に特徴的な傾向はどういうことでしょうか。
  163. 八島幸彦

    ○八島政府委員 お答えいたします。  本年十月末現在の交通事故の発生状況でございますが、発生件数、これは確定数ではございませんけれども四十四万九千八百四十一件、死者数が七千五百二十四人、負傷者数、これも確定数ではございませんが五十五万五千五百七人でございまして、これを昨年の同期と比べますと、発生件数で二万一千八百六十三件、五・一%、死者数は二十四人、〇・三%、負傷者数は二万一千七百六十八人、四・一%、それぞれ増加いたしております。  死亡事故の特徴的傾向を状態別の死者数で見てみますと、自動車乗車中が百十人、三・九%、原動機付自転車乗車中が六十五人、七・四%、それぞれ減少いたしております反面、自動二輪車乗車中が百四十一人、一三・六%と大幅な増加を示しておりますほか、歩行者も四十四人、二・二%の増加、そういう状況になっております。
  164. 坂井弘一

    ○坂井委員 自動二輪車事故というのは非常にふえましたね。これは何か特に対策をお考えになっておりますか。
  165. 八島幸彦

    ○八島政府委員 自動二輪車の事故防止対策といたしましては、さきに施行されました初心者の二人乗り禁止等の法的整備のほか、交差点における巻き込み事故を防止するための二段停止線、それから二輪車レーンの設置等二輪車が安全に通行できる交通環境の整備、また更新時講習等における二輪運転者特別学級の開設による個別、具体的な運転者教育の推進並びに年少の自動二輪免許取得者の心理特性を考慮した二輪免許取得時講習の実施等を推進してまいったところであります。  最近の事故の特徴にかんがみまして、特に初心段階における二輪車教育の重要性が高い、こういうふうに思いまして、指定自動車教習所における二輪車教習につきまして、事故の怖さとか悲惨さを視聴覚教材等を使用して認識させ、安全運転の精神というか安全マインドの涵養を図るため、目下教習のカリキュラムの改定を検討いたしております。  以上でございます。
  166. 坂井弘一

    ○坂井委員 この道路標識なんです。(写真を示す)これは大臣後でちょっとごらんいただきたいのですけれども、この国会周辺でも街路樹で見えないですね。せっかくの交通標識が街路樹に隠れて見えないのですよ。それでおやおやと思ってこういう感じに、これはあるドライバーの話です。これは随分写真に撮ってきましたが、こういう見えないのと、それからあんどんの非常にいいのが最近あるのです。ところが電球が切れたのですか、これも見えないですね。国会周辺でこうだから、僕は田舎の和歌山でも幾つかお目にかかるのですが、恐らく全国あちこちに相当あるだろうと思います。これはやはりちゃんと確認できるように改良された方がいいと思います。そのための総点検をぜひひとつまずおやりになったらいかがでしょうかという提案です。  あわせてその際に、標識ジャングルとか言われますが、標識がちょっと多過ぎる感じがします。乱立という感じのところがあります。不必要じゃないでしょうか。同じするのだったら、標識をもっとわかりやすく大きくしたらどうでしょうか。専門の立場の方がいろいろと御腐心されてお考えになっているのでしょうとは思いますけれども、どう見たってもうちょっとこれは簡単にわかりやすくなりそうだなというものがなきにしもあらずですね。どうかその辺をひとつお考えいただきたい。一遍総点検されたらいかがでしょうか。
  167. 八島幸彦

    ○八島政府委員 最近市街地の緑化の推進に伴いまして、御指摘のように街路樹等の陰になって見えにくい標識等が出てきておりますことはそのとおりでございます。このため各都道府県警察におきましては、定期的に道路標識等の点検を行いまして、見えにくい路側標識等につきましては種々是正措置を講じているところではございますけれども、必ずしも十分ではないということも御指摘のとおりでございますので、その趣旨を体しまして、今後ともさらに点検活動を強化いたしまして所要の改善を図りたいと考えております。  また、御指摘のように標識が多過ぎるという御批判もございますので、できるだけ大型の見やすい標識に切りかえていく、それに伴って数も減らすということも可能になってまいりますので、この面につきましても御指摘の線に沿って今後とも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  168. 坂井弘一

    ○坂井委員 ちょっと念のために、街路樹でこう隠れている、だから街路樹はもう切っちゃえというような不粋なことはぜひおやりにならないようにひとつお願いをしておきたい。日本の街路樹が小さいのはどういうことか聞いてみますと、もっと自然に伸び伸びさせないから小さいのだということらしいですね。余り枝を切ったりしないで自然に任せた方がすくすく大きくなる。それは物の道理でしょうか。ですから少し金がかかりますよ局長さん。大臣、ぜひお願いしたいですよ。いいのがあります。どんと空中に上げて目の前にわあっとおりてくる。金がかかると思いますけれども、それくらい奮発していただきまして、人命尊重の立場からぜひお願いしたい。  それに関連いたしまして、交通安全施設等整備事業五カ年計画、これはちょっと悪いですな。六九%ぐらいしか進んでいないのですね。次の五カ年計画ということになるのですが、どんな事業を一番重点的にお考えでしょうか。
  169. 八島幸彦

    ○八島政府委員 御指摘のように、現在の第三次の計画の進捗状況は六九%でございまして、一方、これも御承知のように、交通事故は四年連続九千人を突破する見込みでありまして、大変厳しい状況にございます。こういうことから、来年から始まります第四次五カ年計画におきましては、道路の新設、改築、団地の造成等に対応するための信号機等の整備を図りますほか、幹線道路におきます信号機の高性能化、都市部の交通混雑に対処するための交通管制センターの高性能化、管制エリアの拡大等を重点とした施設の整備を行いまして、安全で快適な道路交通環境の確立に努めてまいりたい、かように考えております。
  170. 坂井弘一

    ○坂井委員 シートベルトの着用状況ですが、着用率が相当上がってきたようですけれども、その状況とむしろ効果ですね、果たして効果があったかどうかということ。これは九月からの実施だから、功を急いで、事をせいて言うわけではありません。しかし、シートベルト着用を推進もし、決めました当委員会としては非常に関心のある、また責任のあるところでございますので、ぜひその効果が上がっていただきたいと念願しながらお尋ねするわけですが、今のところどういう状況でしょうか。
  171. 八島幸彦

    ○八島政府委員 シートベルトの着装率の状況でございますが、先般の秋の全国交通安全運動期間中に調査しました結果では、高速道路の運転者が九五・三%、同じく高速道路の助手席同乗者が八七・五%という非常に高い着装率でございました。また、一般道路の運転者につきましても五八・八%、助手席同乗者が四六・九%ということで、法の施行前に比較しますと、かなり着装率が上がっております。  その効果でございますが、施行前一月から八月までと、施行後の九月、十月を比較してみますと、施行前でもある程度四輪の死者は減っておりまして、これは三・四%の減少であったわけですが、施行後の九月、十月は、前年同期に比べますと六・三%の減少ということで、約二倍近く減少率が高くなっております。こういうこともシートベルトの着用率の上昇に伴う効果ではないか、かように判断いたしております。
  172. 坂井弘一

    ○坂井委員 大変好ましい、ありがたいことだと思います。ぜひこの効果がさらに上がっていくことを期待したいと思います。  ただ、着用率が上がったのですが、正しく着用するという点についてはちょっと着目をしていただきたいと思います。だらんとやっていますね。どうもやはり窮屈だという感じがあるのでしょうかね。だらんというのはむしろ危ないですね。世の中やはり見せかけというのはよくないです。この間のメキシコの地震だって、あれは本当に鉄の棒が入っていない家だからがらがらと崩れた。見せかけというのは本当によくない。これはどうも見せかけでやっておるとかえってけがのもとですな。ですから、キャンペーンもいろいろな形でやられていることは大変結構でございますが、ぜひシートベルトは正しくつけようという点に着目しながら推進をしていただければと、これはお願いをいたします。  最後に一問だけで終わりたいと思いますが、今後の施行予定の改正道路交通法の準備状況でございますが、要点だけで結構でございます。三つあると思いますが、原付自転車の二段階右折の問題、それから原付自転車のヘルメットの着用義務ということになりましたが、果たしてこれは生産が間に合うのだろうかということが言われております。さらに初心運転者の講習の問題、以上三点につきまして概略お答えをちょうだいしたいと思います。
  173. 八島幸彦

    ○八島政府委員 御質問の第一点の原付の二段階右折の問題でございますが、御承知のように、今回の改正によりまして二段階右折をすることとなりましたのは、片側三車線以上の広い道路の交差点でございます。ただし、交差点の中で待っている場所がないところはかえって危険でございますので、そういうところは従来どおりの右折の方法による、こういうことになっております。したがいまして、現在既に調査は終わっておりますけれども、そういう待っている場所があるかとかないかとかいう交差点の調査をやりまして、その結果に基づきまして、若干でも道路の改良によって二段階右折ができるような場所は道路管理者等に申し入れをして改造をやっている、そういう段階でございまして、明年一月一日からの施行でございますが、十分間に合うような準備をやっております。  それから、第二点の乗車用ヘルメット、原付のヘルメットの問題でございますが、これは施行時までに約二百八十万個必要ではないかということを私ども推計しておりましたが、これにつきましても、生産能力等から考えまして、この義務化は御承知のように来年の七月五日からということになっておりますので、その時期までに十分準備ができる、かように考えております。  それから、第三点の初心運転者講習でございますが、これは初心運転者で一定の違反を行った者に対して講習を行うというものでございますが、現在考えておりますのは、適性検査、安全運転の知識、それから安全運転技能の三項目にわたって三時間講習をやる、こういうことで準備をいたしております。適性検査方式の開発だとか指導案の作成、あるいは指定自動車教習所への委託とか、そういう準備を鋭意進めている状況でございまして、これにつきましても施行時までに十分間に合うというふうに考えております。
  174. 坂井弘一

    ○坂井委員 ありがとうございました。
  175. 小川新一郎

    小川委員長 次に、伊藤英成君。
  176. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 任意保険の問題について大蔵省にお伺いいたします。  ことしの九月から自動車の任意保険料率が改定されて、平均一・一%引き下げられたということになっておりますけれども、その一・一%引き下げの計算根拠についてまずお伺いいたします。
  177. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先生指摘のように、ことしの九月から任意の自動車保険の料率の改定が行われておりますが、その料率改定の算出の根拠でございますけれども、これは自動車保険料率算定会の実施いたしました収支検証の結果に基づきまして三%という数字が出てきたわけでございますが、その算出は担保種目別の保険料率にさかのぼらざるを得ないわけでございまして、それによりますと、平均で対人賠償保険が五・〇%の引き下げ、それから対物賠償保険が八・一%の引き上げ、それから車両保険が四・八%の引き下げ、それから搭乗者傷害保険が六・四%の引き下げとなっておりまして、この改定率にそれぞれの契約台数を掛け合わせる、つまり加重平均をいたしますと平均で一・一%の引き下げになるわけでございます。  さらに、それぞれの担保種目について引き下げの計算根拠を申し上げなければならないと思うわけですが、ちょっと長くなりますけれども御説明させていただきますと、まず担保種目で対人賠償保険でございますけれども、この対人賠償保険につきましては、御承知のように保険金額の上限が千万円とか二千万円とか、あるいは一億円とか二億円とか無制限とか多数に分かれておりまして、また、それぞれの担保につきましても、運転する方の年齢によって、つまり二十六歳未満を不担保にするとか二十一歳未満を不担保にするとか、それから全年齢担保にするとかいう形で分かれております。  また、使用される自動車の種類によりまして、自家用小型乗用車とか、自家用の普通乗用車とか、自家用軽四輪乗用車等多数の軍種に分かれておるわけでございます。それぞれにつきまして予想される支払い保険金額を、自賠責保険の限度額の引き上げがことしの四月から行われておりますが、その引き上げ効果を考慮し、それから最近の事故率等も加味しながら将来予想される支払い保険金額を計算し、その支払い保険金額に充当するに必要な保険料をそれぞれ計算し、それを旧保険料と比較し加重平均したところで、先ほど申し上げました平均五%の引き下げという数字が出たわけでございます。  同じようなことでございますけれども、例えば対物賠償保険につきましても、これは保険金額が二十万円以内とか三十万円以内とかいうことで、五百万円以内までそれぞれ分かれておりますが、またそれぞれにつきまして免責金額が三万円、五万円、十万円と区分されておりまして、さらにそれが先ほど申し上げました年齢別、車種別に区分されておりますのでかなり複雑になっておりますが、それぞれの区分ごとに最近の事故率を加味しながら予想される支払い保険金を計算し、それに必要な保険料を算出し、それをまた加重平均する、それで旧料率と比較するというようなことで八・一%の引き上げということになっております。  ちょっと時間を浪費してしまうと思いますので、あと車両とか搭乗者傷害につきましては省略させていただきます。
  178. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のそれぞれの計算根拠についての細部はまた別の機会に譲りますけれども、今回この平均一・一%の引き下げによって、例えば自家用小型乗用車保険、これはPAPの場合ですが、それで見てみまして、対人一億円、対物三百万円、免責がゼロで搭乗者傷害五百万円の場合で試算をいたしますと、二十六歳未満不担保で五万九千七百円の保険料が五万五千九百円というふうになって、三千八百円、六・四%引き下がることになります。これは表で見ますとそういうふうにちゃんとなります。  例えば私の友人の、これは実際にあった最近の例なんでありますけれども、それで見ますと、この友人はSAPで入っているのですが、要するにフルセットの保険で入っているわけですね。     〔委員長退席、関山委員長代理着席〕 そして対人が無制限、対物五百万円、免責ゼロにして搭乗者傷害一千万円、車両が八十万円で、そして彼の場合には六〇%の割引がされておりまして、二十六歳未満の不担保なんですけれども、そういうふうになっており、これは前年の場合、前年こういうふうになっておりまして、実際に払っていた保険料が月額二千三百七十円、年額二万八千四百四十円でありました。  そして今回契約をし直しました。先ほど申し上げたそれぞれの条件に車両のみ、さっき車両八十万円と私は申し上げましたけれども、それを七十五万円に直しまして、その他の前提条件は前と同じであります。そうしたら、月額保険料が二千五百五十円となって、年額三万六百円というふうになりました。したがいまして、今回のこの改正あるいは改定によって、私の友人の場合ですと、年額二万八千四百四十円から年額三万六百円というふうに約七・六%引き上がることになりました。これは私の友人の場合であります。しかもこれはフルセットで入っておりました。  今のような状況もあるものですから、私のところに、新聞等では一・一%引き下がったというような話が報道されているわけでありますけれども、現実には上がってしまったよという声は当然のことながら伝わってまいります。なぜこういうことが起こるのか。実際に本当に下がっているのだろうかというふうに思うのですが、いかがですか。
  179. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先ほど申しました一・一%の引き下げというものはあくまで平均、すべてを加重平均したところの数字でございまして、年齢条件別の料率格差とか、それから車種別の保険料水準の是正等によりまして、年齢条件、例えば若年者の場合とか、それから車種、営業用軽四輪貨物などは引き上げになっておりますし、実際にその契約者が負担する保険料につきましては、先ほど先生からの昨年六〇%割引を受けている方というお話がありましたけれども、ちょっと私どもの承知しているところでは、昨年はまだ六〇%まで達してないと思いますので、それは何かの間違いではなかろうかなとは思いますけれども、実際に契約者の負担する保険料につきましては、先生指摘がございましたように、その一年間無事故の場合には、昨年に比べまして一〇%割引が進行するというようなことで一〇%の割引がさらに行われますし、それから今回総合割引制度が、フルセットの車両までセットされた場合には従来総合割引制度があったのが廃止になりましたので、その廃止になった分メリット制度が進行するのが軽減されるとか、それぞれその個々の契約者によって料率の下がり方または上がり方が変わってくるのはこれはやむを得ないと思うのです。  従来から料率の引き下げをどのような形で表示しているかと申しますと、やはり基本料率、割引を除いた基本保険料率のところで平均的にどれぐらいのものがどれぐらいに下がったか、上がったかということで表示しておりまして、例えば今回で申しますと、シートベルト着用の際の特別保険金制度が拡充になりまして、いわば担保内容が拡充になっておりますので、担保一単位当たりでいけば保険料が安くなっているわけですけれども、そういったことは今回の保険料の一・一%には加味しておりませんし、あくまで割引制度とかそういった担保内容の拡充とかを除いた基本保険料のところで表示しているのが従来のやり方でございます。  なお、保険会社が新聞などで広告する際には、一・一%の引き下げというのは全車種平均の数字であって、年齢とか契約車両の用途とか車種区分によって、個々の契約では引き上げられる場合もあるし引き下げられる場合もあるということを必ず表示しているわけでございます。
  180. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今触れられた総合契約割引制度廃止の問題でありますけれども、近年このセット化というのを進めてきて今日に至っておるというふうに思うのです。今回の廃止について考えれば、言うならば、ユーザーの了解なしにこの総合割引制度は簡単に廃止されてしまったというふうに言えるのではないか、こういうふうに思うのです。一つやり方としては、この割引制度廃止を、先回の無事故割引の改定のときに一緒にやるとかというやり方もあったのかもしれませんが、いずれにしても、ユーザーの立場から見ますと、これは突如としてなくなったという印象を抱かざるを得ない、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  181. 鏡味徳房

    鏡味説明員 総合割引制度昭和四十年に創設された制度でございまして、一保険証券で対人、対物、車両をセットで保険をつけた場合に、保険料の五%を割り引くということで、当時セット化の促進策として設けられたものでございます。ただ、その後昭和五十一年に、自家用自動車保険、いわゆるPAPと言われる対人、対物、搭乗者傷害のセット商品が開発されておりますし、また、昭和五十七年にはSAPと言われます自家用自動車総合保険、これは対人、対物、車両、搭乗者傷害がセットされた保険商品が開発されたわけでございます。  したがいまして、最近ではこのようなセット商品が契約の主流を占めるように至ってまいりまして、こうした中で、対人、対物、車両をセットでするものだけ保険料の割引を行うということになりますと、契約者間の保険料負担の公平に反するというような問題も出てきておりまして、そういう意味で自動車保険料率算定会におきまして、今回総合契約割引制度廃止するのが適切と判断してきたわけでございまして、私どもとしても、そのような判断を尊重したところでございます。
  182. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今課長の御説明になられたSAP、PAPにしても、今の普及率は合計いたしますと八七%近いんでしょうか、九割近くになります。私の理解では、今SAPが一八・四%の普及率を示して、PAPでは六八・五%に来ていると思うんですね。約九割の人がこのセット保険に入っている状況であります。そういう人から見ますと、要するに現在割引制度を利用しているユーザーにとってみれば、今回の割引を前提としたものが言うならば基本の保険料になっていると考えた方が、その人たちの受け取り方からすれば正しいと思うんですね。そういう受け取り方をした方がいいと思うんです。そういうユーザーから見ると、基本となる料金が損保業界の裁量で自由に変えられたんじゃないかというふうな受け取り方ができるんだろうと思います。そういうことは、文字どおり、ユーザーに対しては本当に不信感を植えることになるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  183. 鏡味徳房

    鏡味説明員 確かに、先生今御指摘のありましたように、セット化が進みまして、PAPと言われます、これは車両をセットしておりませんので総合割引制度の適用になっておりませんでしたが、これが七割近くの六八・五%ぐらいの普及率、それからSAP、これが一八・四%、これは当初から設けられた対人、対物、車両が全部セットされておりますので総合割引制度が適用されているわけですが、セット化が進んでPAPの割合が非常に高くなっておるわけでございます。その中で、車両まで担保する一部の契約者について総合割引制度が続けられるということになりますと、現在メリット制度も進行しておる最中ですが、実際にメリット制度が進行――無事故割引を受けられる方については一〇%料率が下がっていく方が多いわけでございますが、そういう中で契約者間の公平の問題を解決するということからいえば、この段階で車両まで含めたセット商品についての総合割引制度廃止するのが適切と考えられたものと考えております。
  184. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 実は、私の申し上げていることを十分に重大視していらっしゃらないんじゃないかという気が私はするのですが、今までセット化を進めてまいりました。それこそ割引制度もあり、要するに事業体としてもそれぞれの従業員に推し進めてきたところも結構あるわけですね。今回の措置によって、何千人というオーダーの人までがこの影響によって引き上がる結果になってしまったところさえある。そういう意味でも今回の進め方は極めて問題だ、こういうふうに私は思っているわけです。  では、今回こういうようなことが改定されたわけですけれども、ユーザーの立場から見ると、どうやってこの割引制度廃止を知ることができたんだろうか、どういう方法で告知をしたんでしょうか。
  185. 鏡味徳房

    鏡味説明員 自動車保険の保険料率等が改定される際には、改定日のかなり前に損害保険協会それから保険会社が、全国紙を初め、各地方の新聞紙上に改定の内容を広告しておりますほか、損保協会の広報誌等を通じて広く契約者に周知しているわけでございます。また、自動車保険料率算定会においても、本部のほか全国六十九カ所の調査事務所に保険料率表を備え、関係者の閲覧に供することとしておりますし、また、新聞広告には出ておりますが、損害保険会社の店頭や代理店でも料率表を置き、照会に対して十分な説明ができるようになっておりますので、こういったものについて御関心のある方には十分説明ができるような体制を整えていると考えております。
  186. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話は、割引制度廃止について、廃止と決定する前に一般ユーザーが見ることができ、あるいはそれに対して意見を言うことができますか。
  187. 鏡味徳房

    鏡味説明員 料率改定の際には新聞広告を行いまして、その新聞広告を見た方が算定会の閲覧書類を見て、それに異議があれば異議申し出ができるという制度にもなっておりまして、異議申し出がない場合、まあ、なかった結果今回の料率改定になったわけでございますけれども、その異議申し出がなく、料率改定が行われているところでも、料率改定の前に、先ほど申し上げましたように幅広くPRが行われている、こういうことでございます。
  188. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私の手元にあるのは六月二十九日の日本経済新聞の広告でありますが、「自動車保険料率算定広告」というのが自動車保険料率算定会から出されておりますが、今言われたのはこのことでしょうか。
  189. 鏡味徳房

    鏡味説明員 料率改定が決定される前の新聞広告としては、先生が今おっしゃった新聞広告でございます。     〔関山委員長代理退席、委員長着席〕
  190. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 この「保険料率算定公告」というものでユーザーは何ができるんだろうと実は私は思うのです。この中には、先ほど問題になっております割引制度廃止ということは一言も書いてないと私は思うのです。そしてまた同時に、異議があったら言ってくれということもここには書いてないのです。細かな省令か何かそういうもので示されていることなのかもしれませんけれども、要するに一般ユーザーがこの広告を見て、これは問題があるかもしれない、素直に読んでみておかしいじゃないか、調べてみようという話になるのだろうという感じを持つのです。一般ユーザーがこれでは絶対に異議申し立てができないと私は思うのです。一般ユーザーにこの広告で異議を申し立てることを期待するとするならば、やはりやり方がおかしいのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  191. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先ほど申し上げましたように、改定の料率内容は、料率表にしまして百六十八ページにも及ぶ膨大なものでございまして、そのすべてを新聞広告に示すというのは現実問題としてなかなか難しい問題があろうかと思います。ですから、それは算定会の中に閲覧室を設けまして閲覧に伏せるようになっております。それからユーザーと申しますが、算定会の理事会で決定されるわけでございまして、この理事会の構成ではユーザーの意見等が十分反映されるようになっておりまして、その理事会の議を経た上でこの料率改定の案が示されることになっているわけでございます。
  192. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ユーザーが理事会の中に含まれているからいいんだよということをもし考えるとするならば、私は広告をする意味はないのだろうと思うのです。この広告は、事前に示して異議があったら二週間以内ですか、二週間以内に申し立てをしてくださいという目的を持って出されるものですね。そういうふうに考えるならば、例えば二週間以内に申し立てをしてくださいということも書いたらどうだろうか。そんなことは書いてありますかね。もしもそういうことが書いてないなら、私はこれをずっと読んでみましたけれども見当たりませんが、この広告をもって異議を申し立てることができるんだよということを一般ユーザーが考えられるのだろうか、私は難しいと思うのです。だから、例えばこういうやり方で二週間以内に異議申し立てをしてくださいというなら、もっと丁寧にそういうことを示さなければ、これでは一般ユーザーは全然わからない。  そして、決定したときに広告をされたのが、これは私の手元に持っているのが八月二十三日の日本経済新聞の広告でありますけれども、保険料率云々とずっと書いてありまして、小さく「総合契約割引(五%)が廃止されます。」ということが結果としてここに出ているのですね。それから、これは六月二十八日の同じ日本経済新聞ですが、委員長からもぱっと見られると思うのですが、大きく自動車保険料が四年ぶりに引き下げになりますよというのでずっと説明してあります。この中にも、その割引制度廃止されるというのはちょっと見当たりません。これはひょっとしたら新聞記者の方が見落としたのかもしれませんし、よくわかりませんけれども、恐らくこの記者の方も少なくともこの時点では気がつかなかったのだと思うのですね。この中の最後には具体的な例として、ちゃんとセット保険の云々として例まで掲げて、これですと結論としては二千五百七十円安くなるよというようなことまで書かれております。今のような状況を見れば、一般ユーザーはどうやって事前にこういう割引制度がなくなるんだというようなことがわかるのだろうか、それに対してもし問題を感じたときに異議申し立てができるのだろうか。要するに、自分たちの気がつかないうちに決定してしまったという事実だけが残っていくのではないだろうかと思うのです。  だから、この保険制度が本当にみんなに信頼をされてちゃんと運営されていくことが必要なわけです。だとするならばそういうやり方をすべきではないかと思うのです。そういう意味で、今の方式をすべてのユーザーに徹底できる方法に改めるべきであるというふうに思いますが、いかがですか。
  193. 鏡味徳房

    鏡味説明員 先ほど申し上げました平均の基本料率一・一%の引き下げ、これは従来からこういう形でお示しするというのが慣行になっておりますが、そういったやり方が、あるいは最近のように無事故割引とかいろいろな制度が加味された中で、一般的に誤解を与えるようなおそれがあるのかないのかも含めまして、そういう表示方法について、次回改定時までに検討させていただきたいと思います。
  194. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ありがとうございました。ぜひ検討をしていただくことを要望いたします。  次に、第四次交通安全基本計画についてお伺いいたしますが、この第四次交通安全基本計画は六十一年からスタートするわけですけれども、現在の策定状況についてまずお伺いいたします。
  195. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  現在実施中の第三次交通安全基本計画につきましては昭和六十年度で終了するわけでございますが、交通事故の防止というのは現下の緊急かつ重大な課題であります。したがいまして、引き続き昭和六十一年度を初年度とする第四次交通安全基本計画の作成に向けまして、有識者、関係省庁、関係団体等々から御意見を承り、あるいは多角的な交通事故分析等を行うことによりまして、計画の基本的な方針、目標あるいは重点事項等の検討を目下進めておるところでございます。今後は総合的かつ長期的な視点に立ちまして、さらに関係省庁とも協議、調整を重ねるなど、来年三月に予定されております中央交通安全対策会議における計画の作成に向けまして遺漏なきように進めてまいりたい、かように思っております。
  196. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 最近の死者の数の推移を見てみますと、現在のままでいきますと非常に多くなるのじゃないかと思うのです。そういう意味で六十五年の死者数もかなり増加するのじゃないかと思うのですが、その辺の予測はどのようにしておられますか。今の情勢のままでいったときにどういうふうになるであろうかという予測はどうなっておりますか。
  197. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  交通事故の死者数につきましては、昭和四十五年にピークを示しまして、以来着実に減少を続けておりましたが、御案内のとおり昭和五十五年以降増加傾向にございます。総務庁といたしましては、交通事故発生状況の長期予測につきまして、昭和五十九年度に民間の専門団体に委託をし、さらにその団体において学識経験者から成る調査研究委員会を設けまして、調査研究を実施したわけでございます。この調査研究によりますと、自動車交通量の増大等によって交通事故の発生がおおむね過去と同様の推移をたどるとするならば、内的、外的な要因がおおむね過去と同様の推移をたどるとするならば、全国総死者数は、昭和五十九年の九千二百六十二人が昭和六十五年には一万五百七十九人に達するであろう、かように予測されております。
  198. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 そうすると、六十五年までの死者数の抑止目標はどの辺に置いて、そのことの達成のためにどういう方策を考えておられますか。
  199. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 お答えいたします。  次期の第四次計画の抑止目標につきましては、現在鋭意検討中でございます。第三次基本計画において実施をされましたいろいろな施策の総合的な点検あるいは最近の交通情勢の変化、つまり量的、質的な変化というものを踏まえたこういった諸事情の分析、あるいは先ほど申し上げました長期予測に関する調査研究結果、あるいは法改正等に伴って実施をされておりますシートベルトの着用義務化等の新規施策の導入効果等を考慮しつつ抑止目標を設定してまいりたいということで、現在基礎的な作業を進めておるところでございます。  なお、お尋ねの死亡事故を減少させ目標を達成するための方策としては、これはまだ検討の段階ではございますが、念頭に置いてございます主なものを申し上げますと、例えば歩道、自転車道等の整備、その他の安全施設の整備とか、あるいは交通規制等を通じまして歩行者、自転車利用者、あるいは高齢者、身体障害者等々の安全を確保すること、あるいは例えば信号機制御の高度化とか、あるいは交差点の改良等々を通じまして、都市部における道路混雑及び運転者のいら立ちの軽減等を通じまして安全かつ円滑な道路交通環境を確保するということ、あるいは就学前、就学中及び社会人のそれぞれの段階に応じた自他、自分及び他人の生命の尊重の理念を基調といたしました生涯にわたる交通安全教育の推進の問題、あるいはシートベルト、ヘルメットの着用の徹底等広報活動の充実の問題、あるいは運転者の行動特性に立脚をした運転者教育の推進等々、特に青少年層あるいは高齢者社会を迎えての高齢者層、これに重点を置いた安全運転の確保の問題、あるいは増勢にあります二輪車対策の推進問題、あるいは悪質危険な違反に重点を志向した道路交通秩序の維持の問題等々を念頭に置きまして、関係省庁といろいろ協議しつつ現在検討しておるところでございます。
  200. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 目標等については今まだ検討中ということのようですからそれについては触れませんけれども、今その対策等でいろいろ言われた中で、一番最初に交通弱者のことについて触れられましたけれども、やはりこの点は非常に重要な問題だと私は思うのですね。もちろん車の運転者の死亡事故の防止のためにはいろいろ対策をとらなければいけませんけれども、交通弱者の歩行者とか自転車等の対策をやらなければいかぬ。それは最近の、ことしだけのデータで見ましても、御存じのとおり歩行者、自転車の死者が全体の四割弱、たしか三八%になっていると思いますが、そんなくらいの大きな水準になっているわけですね。そういう意味で、交通弱者の死亡事故防止というのも、もうちょっと具体的にこういうふうな面でやりたいということがあれば触れていただけますか。
  201. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたとおり、国民の生命、身体を交通事故の脅威から守り、その安全を確保するということは、何にも増してこれは優先しなければならない極めて重要な課題でございますので、今お話しのとおり、第四次の基本計画の策定に際しましては、人命尊重を基本理念に置きまして、特に歩行者等に対する交通安全対策につきましては、これは先ほども申し上げましたが、歩道の整備等歩行者、自転車利用者、幼児、高齢者等々が安心して通行でき、かつ、安全快適な道路交通を確保するための道路交通環境の整備の問題、それから交通道徳に基づいた自発的な交通安全意識の高揚を図るための生涯を通じた交通安全教育の推進及び広報活動の充実の問題。  これはもうちょっと詳しく申し上げますと、例えばドライバー、運転者につきましては、思いやり等社会全体が交通事故を防止するという意識を醸成していくというようなこと、あるいは幼児、子供につきましては、それぞれの発達段階に応じた安全教育をさらに徹底していくというような問題、あるいは高齢者社会を迎えて、老人等につきましては変化する交通環境に適応できる安全知識の普及徹底の問題、こういったようなきめ細かな対策というものを念頭に置きまして、先ほど申し上げました関係省庁と緊密な連携を確保しながら、より総合的かつ効果的な交通安全対策を推進してまいりたい、かように思っております。
  202. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 歩行者保護の問題につきましてはいろいろな策を、今室長も言われましたように進めていただきたいと思うのですけれども、その中でも特に歩道の整備の問題でありますが、これはちょっと建設省の方にお伺いしたいのです。  今、国道あるいは都道府県道等の総延長と、それからそのうちの歩道の整備状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
  203. 三谷浩

    ○三谷説明員 お答えいたします。  建設省といたしましても、交通弱者でございます歩行者、自転車利用者等の安全確保を図るために、一般道路の改築事業であるとかあるいは交通安全施設等整備事業で鋭意歩道、自転車道の整備を進めてまいってきておるところでございます。  御質問の現在の道路延長でございますが、これは五十九年の四月一日現在、統計年報でございますが、国道は四万六千四百十七キロ、それから都道府県道が十二万七千キロ強、市町村道が九十四万八千キロ、合わせまして百十二万一千八百キロ程度でございます。そのうち歩道がついております延長でございますが、国道が二万六百五十五キロ、それから都道府県道が二万二千百九十キロ、市町村道が三万三千六百キロ程度でございます。  なお、私ども全体の道路の中で緊急に歩道が必要な区間として十一万四千キロぐらいを考えておりますが、その割でいきますと、大体ここの部分の数字は六七%ぐらい、こういうことになろうかと思います。
  204. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 第四次交通安全施設等整備事業五カ年計画、これは六十一年から始まるのですが、それでは、その道路建設計画と歩道整備はどの程度計画をされておりますか。
  205. 三谷浩

    ○三谷説明員 昭和六十年度で第三次交通安全施設等整備事業が終了いたしまして、六十一年度から第四次の五カ年計画を今計画してございます。  先ほど申し上げましたように、道路総延長百十二万キロございますが、そのうち、例えば交通量が幾ら、あるいは人間が歩いている、こういうような歩道等に本当に必要な、緊急に整備が必要な道路十一万四千キロについて改築事業、これは交通安全施設等整備事業で既にあります道路に歩道をつける場合と、新しく道路をつくる場合に歩道がついた道路をつくる、こういうようないろいろな改築事業がございますが、そういうものを合わせまして約二万七、八千キロ、そうしますと、おおむね十一万四千キロの緊急に必要な区間については概成をしたい、こういうふうに考えております。
  206. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 大蔵省の方にちょっとお聞きしたいのですが、実は交通事故ですね、この死亡者でも、先ほどの同僚議員の質問のときにお答えもありましたけれども、ことしももう九千人にいくだろうというお話があったりいたしましたが、やはり交通事故は死者もあるいはけがをする人も、それぞれの人たちのこうむる被害も大変でありますし、こういう計算もあるのです。  五十九年度中に交通事故による損害額がどんなふうになるのだろうかと試算したところ、これはいろいろな試算の仕方があるのでしょうけれども、それを見ますと、二兆円からそれこそ三兆円くらいの損害額に達しているというふうに言われたりしております。これは、事故が発生しなければそれだけ支出されなくて済んだはずであるという意味でも大変むだな金だとも考えられるわけです。そういう観点からも、事故防止あるいは歩行者保護等を考えた場合の措置は十分に図っていかなければならない。そうしたときに、やはりどうしても財源が、金がと、こういうふうになってくるわけでありますけれども、大蔵省の主計局はどういうふうに思われますか。
  207. 涌井洋治

    ○涌井説明員 交通の安全確保というのは、事人命にかかわることでありますので、我々としても極めて緊急性が高いと考えております。そういう見地から、毎年度予算におきます道路予算の中でも、一般道路に比べて交通安全については特に重点的に配慮した予算措置を講じてきております。
  208. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 時間がなくなりましたので、最後に決意だけお伺いいたします。  総務庁の方にお伺いしたいのですが、交通事故防止のために、車対策はもちろんでありますし、歩行者など人の保護を念頭に置いた施策がどうしても十分にされていかなければならぬ、こういうふうに思うのですが、第四次基本計画の策定に向けて今申し上げた点の決意をお伺いいたします。
  209. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 交通安全、つまり人命の問題が何にも優先さるべき問題であるということは先ほど申し上げたとおりであります。したがいまして、次期の基本計画策定に当たりましても、第三次においても人命尊重を第一にして、しかも歩行者、自転車乗り、あるいはお年寄り、幼児、体の不自由な方というような形で弱者保護を第一に考えて対応してまいったわけでございますが、第四次計画におきましてもさらにこれを徹底いたしまして、安全を期していくための計画の策定作業をしてまいりたい、かように思っております。
  210. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 警察庁にも最後に決意をお願いいたします。
  211. 八島幸彦

    ○八島政府委員 交通安全は、警察の基本的な責務としております国民の生命身体、財産を守るという責務に直接的に関係する重要なことでございますので、今後とも施策の最重点の一つとして推進してまいりたい、かように考えております。
  212. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 終わります。
  213. 小川新一郎

    小川委員長 次に、辻第一君。
  214. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、日航ジャンボ機の墜落事故に関連して質問をいたします。  航空事故は、ことしは世界的にも史上最悪の記録ですね。ことしに入って死者が千八百人を超す、こういうふうに聞いているわけであります。航空の安全問題は世界的にも重大で、緊急の課題になっている。去る八月十二日の日航機墜落事故で五百二十人の方が亡くなられました。以来、国内航空輸送量は、十月の日航国内線は対前年同月比でマイナス三四%、そして全日空も、十月一日から十日までの集計分では、前年同月比マイナス二一%となるなど、旅客の航空機離れは広がっております。連日、国内、国外で発生する事故や事件で、国民の航空輸送への不安は広がっているというのが今日の状態だと思います。こうした重大事態に対して生への不安を解消するには、改めて航空行政のあり方や航空会社の経営のあり方を深く検討して見直すことが必要だ、このように考えておるところであります。  まず最初に、事故調査委員会お尋ねをいたします。  連日大変な御苦労をいただいていると思うわけでありますが、これまで、第一回目の中間報告はボイスレコーダーやフライトレコーダーなど、第二回目の中間報告は圧力隔壁の修理ミス、こういう報告が出されたわけでありますけれども、これ以外で既に判明している事実、証言でありますとか未回収部分のリスト、残骸の落下分布図、最終航跡図等々について判明している事実については速やかな公表が求められているということだと思うのですね。第三回の中間報告はいつごろ、どのような内容で公表されるのか、お尋ねをいたします。
  215. 藤冨久司

    藤冨説明員 航空事故調査委員会におきましては、事故発生以来、鋭意事故原因の究明に努めておりまして、現在までに先生おっしゃいましたような報告、公表を行ってきたところでございますが、現在は現場調査を終わりまして、墜落現場等から回収されました主要な機体残骸の詳細調査等を行っている段階であります。  そこで、中間的な経過報告についてどういう状況にあるかというお尋ねかと存じますが、当面の見通しといたしましては、現場調査で知り得た事実はまとめて公表することになっておるわけでございますが、その事実を速やかに整理いたしまして、これがまとまり次第、これを中心といたしました報告、公表を行うことを考えてまいりたいと存じているところでございます。
  216. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、海底捜索の問題でお尋ねをいたします。  私も八月二十八日、当委員会で強くこのことを求めてきたのですが、既にやっておられると聞いております。今、その捜索の状況はいかがになっているのか、お尋ねをいたします。
  217. 藤冨久司

    藤冨説明員 相模湾に落下したと思われます事故機の残骸につきましては、既にその一部が浮遊物として回収されているところでございます。そこでさらに航空事故調査委員会といたしましては、海上保安庁及び科学技術庁の御協力を得まして、十一月一日から二十日までの間、それぞれの測量船、海洋科学技術センターの海中作業実験船「かいよう」を用いまして、サイドスキャンソナー及び曳航式深海カメラを用いた海底捜索を実施したところでございますけれども、現在のところでは、まだ機体の一部と認められるものは発見されていない状況でございます。これは、テレビカメラで見た段階では大きなものはほとんど見当ならない、それであと残りは写真等について細部の調査をする段階でございますけれども、今のところ、この限りでは余り期待できないような状況ではないか、さらに私どもそれについては精査はいたす所存ではございますが……。
  218. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度やられるという考え方はないのですか、いかがでしょう。
  219. 藤冨久司

    藤冨説明員 今回の捜索の海域につきましては、この事故機のレーダー航跡の上で、先日解読いたしましたボイスレコーダーにあらわれております異常音の発生時点で、もし機体の一部が落下いたしましたとすれば到達するであろう可能性の大きい海域を広範囲に推定いたしまして捜索したものでございます。したがいまして、今後の状況につきましては、現在回収されております残骸等の詳細調査を行いますとともに、飛行記録装置の記録あるいは関係者の口述等、事実を総合的に調査、解析いたしまして、事故機の破壊過程等の検討が進められてまいることになるわけでございますけれども、その過程で明らかになった事実に基づきまして必要な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
  220. 辻第一

    ○辻(第)委員 一言念のために申し述べたいのですが、事故調は十一月十一日、ジャンボ機の垂直尾翼が客室内の与圧の半分程度の圧力で内側から破壊されることを示すデータを米ボーイング社から入手した、こういうことを明らかにされたようであります。ボーイング社のデータ、これは参考にしていただくのは大変結構だと思うのですが、それを基本に結論を出されるというようなことがないように、事故調で独自な調査、原因究明あるいは実物大の実験などを含めた、そういう十分な対応をしていただきたいということを要望しておきます。  次に、委員長、ちょっと資料をお配りをさせていただいてよろしゅうございますか。
  221. 小川新一郎

    小川委員長 どうぞ。
  222. 辻第一

    ○辻(第)委員 運輸省お尋ねいたします。  きょうの朝日新聞によりますと、ほとんど公表されていないが、エンジン関係トラブルが目立っている。特に日航の場合「今年一月から六月までの半年で、飛行中に約十件の故障が起きている。」このように報じております。また「今年六月、DC8機のブレード二板が根元から折れて飛散したケースでは、事態を重くみて同型エンジンの一斉点検をしている。」ということであります。  ところでお尋ねをするわけでありますが、例えばDC10機は三つのエンジンがついているのですね。そのうちの一つのエンジンを交換した飛行機の場合、さらにもう一基のエンジンを交換して運航しなければならないようなときに、日航の整備規程では運航するまでにどのようなテストを義務づけているのか、お尋ねをいたします。
  223. 大島士郎

    ○大島政府委員 ちょっと手元に具体的な資料がございませんので、申しわけございませんが、正確な御回答ができない状況でございます。
  224. 辻第一

    ○辻(第)委員 結構です。私は何か試験フライトをしなければならないように聞いておるのです。  そこで、今お渡しをいたしましたこの資料でございますが、ことしの一月三十一日付の日航EV-EEV/R-四八二八という文書であります。これはJA八五四七のDC10機について、エンジンの一つの高圧タービン入り口の整流弁の一枚に熱で焼け焦げて一部がなくなっている状態が発見され、当該文書によると、社内規程AMM上からいってエンジン交換が必要であるが、高圧タービン入り口の整流弁の状況から判断して別途な処置をしたい、こういう報告書であります。  先ほど述べておりますように、エンジン関係トラブルが続発をしている、こういう状況ですね。そして日航でいえば、非常に大変な事故が連続して起こってきたということであります。そういう場合、安全は絶対至上ということが何かに書いてありましたが、それぐらい大切なものだと思うわけであります。そういう立場から考えますと、やはり社内規程どおりにやるべきである。後で社内規程が変えられたそうでありますけれども、社内規程がある時点ではきちっと社内規程どおりやられることが大事だ、そういうことをおろそかにされるということでは安全が軽視されていると言わざるを得ないと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  225. 大島士郎

    ○大島政府委員 ただいま先生指摘の点につきまして、私どもが調査したところを御報告申し上げたいと思います。  今のEVと称します社内の技術指示とAMMと称します技術指示書の関係でございますが、基本的にはAMM、日本語で言えば整備作業手順とでも申しましょうか、こういうものに定められた整備作業を行うものでございますが、やはり生きた整備で毎日、あるいは故障の状況による臨機応変の処置が必要なのは当然のことでございまして、そのような点から見てこのEVというのが間々発行され、技術指示されるわけでございます。  御指摘の場合には、AMMという恒常的な技術指示を改定する過程におきまして、このEVという形で臨時措置をとったということでございます。これは作業手順、AMMを改定する者と、EVを改定する者が同じ日本航空のエンジンの担当の課長でございまして、同一人物が判定していることでありますから同じ思想で技術判断をしているということでありまして、安全上の技術解析判断は、EVだから安全性が低下しているというようなことでは全くないということを御理解いただきたいと思います。
  226. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり社内規程というのはきちっと守っていくということでなければ、これは特例だというようなことでやっておれば、その中には安全軽視ということがどうしても出てくる、私はそういうふうに言わざるを得ないと思いますね。この社内規程とは、今いろいろお話がありましたけれども、耐空証明を担保するために政府が認可した整備規程に基づくものであると思うのです。こういうものの運用というのは、あいまいな形ではやってはならないということを再度指摘をしたいと思いますし、さらに言うならば、日航がみずから定めた社内規程をあいまいにして、テストフライトやそのための経費を削減するために政府がEVを認可するようでは、日航の安全軽視、利益優先に政府みずからが手をかしているというふうに国民の批判は免れないのではないか、このように思うわけであります。ひとつ運輸省もこういう安全軽視のないように十分な対応をしていただきたいと強く要望して、次に移りたいと思います。  次に、日本航空お尋ねいたします。  日本航空の中期計画、これは昭和六十一年度から六十四年度、これで昭和六十二年度に二万人体制の実現、このようにされているのでありますが、既にこの十月一日、日航運輸省に提出をされました改善報告書では、整備体制の強化、検査員の増員が盛り込まれており、この点で二万人体制の方針は改められるべきではないか、このように考えるのですが、いかがですか。
  227. 川野光斉

    川野参考人 お答え申し上げます。  今先生から御指摘の中期計画におきます二万人体制というのは、あくまでも中期的経営の目標、経営としまして、非常に激しい競争の中で経営の効率化を図る、非常に長期的に見まして一つのこういう目標を考えております。六十二年度末までにこういう目標を持って経営をやっていこう、しかしながら航空事業におきましては、御承知のとおり需要動向でございますとか今御指摘のような整備点検項目の増加等によりまして、部門、部門におきましては若干幅を持っていろいろ増減ということを考えていかなければならない。  そういう意味におきまして、今回の安全対策につきましても、整備部門につきましては若干の手当てをしつつ改善をやろうということで今実行中でございまして、そういう意味におきまして、二万人体制という中長期的な一つの目標設定という経営目標と、個々の部門におきましての人員の増減というものは全然関係ないことはございませんけれども、そういう弾力性を持ってやっていかなければならないということでございまして、そういう意味で御了解いただきたいと存じます。
  228. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり二万人体制の基本というのはあくまでも利潤追求、経営の効率化ですね。その中では当然人減らし合理化、あるいはいろいろな合理化が入ってきて、それは安全軽視にどうしてもつながるというふうに思うわけであります。ですから、今度の本当に大変な事故の教訓として十分学び取っていただきたい、重ねて要望をしておきたいと思います。  それから、もう既に検査員の方が増員されて、これから整備職員の方の増員計画があると思うのですが、今回の改善措置で点検項目がふえましたね。まさかこんなことはないと思うのですが、日航の職員にふえた分を仕事させるのじゃなしに下請に出すようなことはなさらないと思うのですが、いかがでしょうか。あれほどの事故を出したという教訓や責任から考えても、当然社内の整備要員をふやして対応をされてきた、こう思うのですが、いかがですか。
  229. 平沢秀雄

    平沢参考人 ただいま先生がおっしゃいましたように検査員の増員は行いまして、現在検査員の任用の訓練をいたしておりますが、十二月一日から検査員として仕事をすることになっております。  そこで、ほかの作業員についてはどうか、こういうことになりますけれども、現在747SR型機の特別点検をいたしておりますし、さらにそれに基づきます要目の追加、こういうこともございますので、作業量というものが増加をしておるのは事実でございます。長期的には、年度ごとに定める人員計画の中で作業量に見合いました整備員の配員を計画するということでございますけれども、短期的には、新人の採用と申しましても間に合わない面もございます。したがいまして、現在では整備職種内の相互の応援、あるいは一部の残業の実施等によって必要な作業を実施しておりますけれども、さらに受託しております他社の整備作業を極力削減、調整いたしまして総作業量の減少を図りたい。  先生指摘の一部外注という問題でございますけれども、今のようなことをやりましても作業と必要人員とのアンバランスを生じておるので、現在では一部作業を外注といたしまして、日本の国内の非常にスキルの高い製造会社になりますが、そこにお願いをして一部援助をしていただいております。
  230. 辻第一

    ○辻(第)委員 一時的にはやむを得ぬと思うのですが、将来的にはぜひ社内の整備要員をふやして対応していただきたいと思うのですが、いかがですか。簡単に答えてください。
  231. 平沢秀雄

    平沢参考人 将来的には先ほどお答えいたしたとおりでございます。
  232. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がありませんので、もうそれぐらいで……。  さらに日航お尋ねをしたいのですが、有価証券報告書を私見せていただいたのですが、航空機部品の在庫は過去三年間で五億円の減少ですね。それから整備職員数では五年間で二百六十七人も減少をされておる。私は前の国会の質問で、日航の労働者の方からいろいろお話を聞いて、その中で、部品なし、人手なし、時間なし、こういうことも申し上げたわけでありますが、まさにそのことがこの数字でも明らかだと思うのですね。こういうコストダウンの進行というのは、これまで、殊に三年間の日航の経営姿勢の変化から生み出されたものであると思います。  八三年三月の有価証券報告書の営業状況報告、これは羽田沖の後ですね、それから何か九州でもあったのですか、そういうことで「失われた社会の信頼を速やかに回復すべく、航空運送の絶対至上の命題である安全性確立のため、」とか、また「全社を挙げて、安全運航の確立のため、徹底的な総点検と改善に全力を傾注」、こういうふうに報告には書いてあるのですね。それから八四年があって、安全運航とか大分トーンダウンするのですね。そして、今度は八五年の三月のものになりますと、「安全運航の確保および復配達成を至上命題としこういうふうに復配達成というものが並行して出てくるのですね。  先ほど申しました、この間の部品の在庫が減ったり職員が減ったり、そういうことが数字でもはっきり見られますように、効率化、合理化、そして利潤を上げて復配をやる、そういう方向、ざらに言うならばあの日航の機関誌「おおぞら」ですか、それで社長がコスト、コストとおっしゃっているのが当委員会でもいろいろ指摘されたことがあるのですが、そういう状況ができた、こういうふうに思うのです。この問題は、このような効率化、そして利益を上げ復配達成を至上命題としたのは政府ですね。監督し、指導する政府、しかも三五%という最大の出資者、株主であります。この政府の意向を反映したものだと私は思うのですが、いかがですか。
  233. 山下徳夫

    山下国務大臣 現在三四・五%の株を政府が保有しておりますこと、御承知のとおりであります。そういう点から公益的な法人ではございますけれども、やはりこれは株式会社なんですよ。したがって、株も上場し、たくさんの国民の出資もいただいておるわけですから、とにかく安全が第一であることはもちろんであります、これはしょっちゅう言っておる。しかし安全さえ言っておれば利潤はもうどうでもいいのだということはいかがなものでしょうか。したがって安全という土台の上に立って、やはり企業でありますから、企業としての収益を考えるのは当然だということでございます。運輸省指導する場合はもちろん安全が第一でございますが、ただ、先生の御指摘の点については私はそのような感じを持っております。
  234. 川野光斉

    川野参考人 ただいま先生指摘の、有価証券報告書の中におきます会社の考え方の変化を御指摘いただきました。今大臣からも御答弁いただきましたように、私どもは政府の指示命令等でこういった計画を申し上げておるわけでございませんで、航空企業といたしまして安全と経営の経済というものがいわば車の両輪でございまして、こういった企業の効率化を果たしながらここに安全を守っていく、こういう意味におきまして、有価証券報告書の中でも安全の確保と復配達成――なぜこの復配達成が八四年度の有価証券報告書に出てきたかと申しますと、これは、羽田沖の事故以来配当が無配に陥った企業を、三年計画でとにかく復配に戻していくというのが企業の一つの義務である、こういうこともございまして、特にこの年におきましては実は復配を達成できたわけでございますけれども、そういうことは、企業経営としての自主的な責任において安全と経済の両輪を確保する、こういう意味で書いたわけであります。それ以外の指示、大株主からの要請、そういうことに基づいて書いたということではございません。
  235. 辻第一

    ○辻(第)委員 企業の立場を強調されたわけであります。しかし、これまでいろいろ日航に対する政府指導や監督がありましたね。殊に八三年一月の臨調の第四部会の報告でありますとか、八三年三月の臨調の最終答申、そこでは模範となるような効率的な経営をというようなことがありましたし、八四年一月の閣議決定では、日航は人件費、事業費の抑制措置を強力に推進し、効率的な経営の確立を図るべきだ、こういうようなことでありました。また、去年の十二月の閣議決定でも、増収に努めて効率的な経営の確立を、こういうことが繰り返し繰り返し指導されているということですね。このことは、企業の立場だけじゃなしに、それはもう政府のお考えはそうですけれども、私は私の立場でというようなことではとてもいかないというのが実態だと思うんですね。ですから私は、日航さんも政府も一体となってこういう方向へ進んでいかれたということだと思うのですが、いかがですか。
  236. 川野光斉

    川野参考人 お答え申し上げます。一我が社のみならず航空事業全体につきまして、今先生のお言葉にございましたような、高度成長時代にあったような伸びというものの中で、人件費その他いろいろ御指摘も受けている点がございます。これは今後の航空業界の将来の成長度合いを見ますと、やはりどうしてもここで効率化ということは進めなければならない。また諸外国もそういう方向に向かって強力に進められておるということで、これは経営の自主的な、今後の生き残りのためにもやらなければならぬという課題でございまして、これと安全とを両立させていくというのが今後の中期の課題でもあると私ども考えております。
  237. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど大臣は、私が安全ばかりを言って経営を無視しているようにおっしゃったわけでありますが、そんなことも考えておらないのであります。しかし安全が、経営経営といいますと、もうコスト、それで復配というようなことをいいますと、どうしても人減らし、いろいろな合理化で安全の軽視につながる。殊に安全の話が表へ、当たり前だとおっしゃるのですが表へ出ずに、経営経営、コストコストということですね。政府の御指導も、安全のことは一つも最近書いてないですね。経営の効率化、そういうことがずっとやられている。これではやはり安全軽視になると言わざるを得ないと思うわけであります。そういう意味で、今度の事故日航さんもボーイングも運輸省も大きな責任があるわけでありますが、私は、中曽根内閣の今の臨調行革路線も大きな責任があると言わざるを得ないと思うわけであります。  時間が来たので、最後に運輸大臣にお尋ねをいたします。もう連日遅くまでおつき合いをいただき大変御苦労さまでございます。もう一問でございますので、ひとつよろしくお願いいたします。それはSAR、RCC、救難の機関ですね、このことについてお尋ねをするわけであります。  交通安全対策基本法では、第三十四条「緊急時における救助体制の整備等」の中で、救急業務、海難救助についての規定があるのですが、航空機の救難救助についてはないのです。航空法上では何らの規定もない。こうした国内法上の扱いを続けていては、国際民間航空条約で東京SRRを担当する責任からいっても、さらに今後の小型機の増加等我が国航空交通の変化への対応として重大な問題だと考えるわけであります。  それで大臣、この点で、交通安全対策基本法だとか航空法を改正して、本当に航空事故に実効のある法改正をしていただきたい、強く要望するわけでありますが、いかがですか。
  238. 山下徳夫

    山下国務大臣 国際条約等もございまして、あとはもう一つ国内、今回の事故にかんがみ、どのように法体系を整備していくかという問題、十分心してまいりたいと思います。不十分な点は政府委員から御答弁申し上げます。
  239. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お示しの交通安全対策基本法の三十四条第二項で、海難救助について体制が書いてございます。この第二項は、「国は、海難救助の充実を図るため、海難発生情報の収集体制及び海難救助体制の整備等必要な措置を講ずるものとする。」いわば国の施策のプログラムをここでは述べているわけでございます。そういう点では、航空の方は民間航空条約に基づきまして、この附属書で具体的に捜索救難のだ功の設置すべき組織、捜索救難の作業手続等を決めております。これを受けまして我が国でも、航空機の捜索救難に関する協定を関係省庁で結んでいるわけでございます。そういう点ではこの協定は、国際的なレベルの内容を持った協定として一応機能しているということでございます。  ただ、今回の事故の場合に、そのような協定に基づく関係機関の連絡調整が果たして十分であったかどうか、十分機能したかどうかという点については、情報収集その他いろいろと私どもも反省すべき問題点がありますので、その運用には努めたいと思いますが、先ほどの交通安全対策基本法もプログラムを言っていることでございますし、私どもも、航空についてはこのような方向で整備されている、そういうふうに一応は認識しております。
  240. 辻第一

    ○辻(第)委員 これで終わります。どうも御苦労さまでした。
  241. 小川新一郎

    小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時八分散会