○安倍国務
大臣 通貨調整は、それなりに貿易摩擦という点から見ましても効果は出てくるであろうと期待をします。これは、それだけドルが安くなる、
日本には輸出しやすくなるわけでございますし、輸入する側の
日本としましても、円高ということになれば、それなりに今までとは違った国内的な問題もあって輸入が将来にわたって今までよりはふえる。これは、円高・ドル安という面からいえば、理屈としては出てくるわけです。
〔
新村(勝)
委員長代理退席、
委員長着席〕
しかしただ、それでは来年中でそれが著しく出てくるかということになると、御承知のようなJカーブ等もあって、むしろ今の
調査等では、来年いっぱいはまだまだ黒字というものが相当大きく存在をするということは、これは
見通しとしてそのとおりだろうと思います。
それから、ことしの黒字は来年二月ごろには明らかになると思いますが、相当膨大なものになって統計として示されるということになると、確かにアクションプログラム、MOSS
委員会その他いろいろの協議で日米間のアクセスの方は相当これは前進をしております。これは
アメリカも非常に評価をしておりますし、アクションプログラムについて三年という
言葉がありますが、何か今やらないで三年先にやるんじゃないかという、初めは
アメリカも随分
誤解をして、それこそ
誤解でしたけれ
ども、
日本が前倒し等積極的にこれに取り組んでいく、今度の
国会でも関税率の問題でも早速取り上げた、あるいはアクションプログラムを法案化するものは積極的にやっているということから、
日本がアクションプログラムを今から始めるんだという積極的な姿勢は、だんだんとわかってきておるようでございます。
しかし、具体的な成果としては、とにかく黒字というものが大きく存在しているわけですから、そういう面では、なかなか
アメリカの議会その他の今後の動きというのは容易ならざるものが私はあると思います。しかし、この円高
状況というのが定着をしていけば、方向としてはやはり黒字の解消に前進をしていくことは間違いない。
ただ問題は、私はマクロの問題だと思います。円高になれば、
日本におけるある意味においてはデフレ傾向が出てきます。来年のいろいろの経済指標等民間で
調査している——政府の方はまだ出していませんが、
状況を見てみると、大変低い
数字が出ておるので心配しておる、卸売物価はマイナスというようなことですから。ですから、こうしたデフレ傾向が続けば、せっかく輸入が容易になるという
状況の中で輸入が
伸びないということにもなるわけですから、その辺は世界のマクロの経済という形でこれから世界各国で話し合う、そういう必要が出てきつつある、こういうふうに思っておりますし、そういう点は
日本も踏まえて責任を果たしていく努力をしていかなければならぬのじゃないか、そういうことを感じておるわけであります。