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1985-11-26 第103回国会 衆議院 環境委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十月十四日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 辻  英雄君    理事 柿澤 弘治君 理事 國場 幸昌君    理事 戸塚 進也君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 和田 貞夫君    理事 大野  潔君 理事 中井  洽君      稻村佐近四郎君    金丸  信君       齋藤 邦吉君    田澤 吉郎君       田村  元君    平泉  渉君       渡辺美智雄君    竹内  猛君       中村  茂君    馬場  昇君       小川新一郎君    岡本 富夫君       草川 昭三君    永末 英一君       藤田 スミ君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十年十一月二十六日(火曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 辻  英雄君    理事 柿澤 弘治君 理事 戸塚 進也君    理事 福島 譲二君 理事 岩垂寿喜男君    理事 和田 貞夫君 理事 大野  潔君    理事 中井  洽君       渡辺美智雄君    竹内  猛君       中村  茂君    馬場  昇君       小川新一郎君    岡本 富夫君       草川 昭三君    永末 英一君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       古賀 章介君         環境庁企画調整         局長      岡崎  洋君         環境庁企画調整         局環境保健部長 目黒 克己君         環境庁自然保護         局長      加藤 陸美君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      谷野  陽君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部公害課長  上野 治男君         総務庁行政監察         局監察官    石和田 洋君         科学技術庁計画         局国際科学技術         博覧会企画管理         官       沖村 憲樹君         環境庁長官官房         参事官     杉戸 大作君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     谷口 哲彦君         国土庁地方振興         局総務課長   杉原 正純君         外務大臣官房外         務参事官    村田 光平君         外務省アジア局         南東アジア第二         課長      小林 秀明君         文化庁文化財保         護部記念物課長 田村  誠君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 大澤  進君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 内山 寿紀君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   小林 康彦君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   加藤 三郎君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       横田  勇君         厚生省薬務局安         全課長     渡辺  徹君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      岩本  毅君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      武政 邦夫君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課長     阿部巳喜雄君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     細川  恒君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     黒田 直樹君         特許庁審査第二         部審査基準室長 小栗 昌平君         特許庁審査第三         部審査長    岩崎 幸邦君         運輸大臣官房国         有鉄道部施設課         長       高松 良晴君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部技術企画課長 福田 安孝君         運輸省港湾局環         境整備課長   藤森 研一君         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      玉置 佑介君         労働大臣官房国         際労働課長   佐藤 勝美君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     角野 敬明君         建設省建設経済         局建設業課長  小野 邦久君         建設省河川局都         市河川室長   日野 峻栄君         建設省道路局道         路環境対策室長 野村 和正君         自治大臣官房地         域政策課長   今泉 浩紀君         日本国有鉄道施         設局環境対策室         次長      鬼沢  淳君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 十月十九日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     中野 四郎君 同月二十一日  委員中野四郎君が死去された。 同月二十二日  辞任         補欠選任   田村  元君     江藤 隆美君 十一月八日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     石田幸四郎君 同日  辞任         補欠選任   石田幸四郎君     草川 昭三君 同月十三日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     串原 義直君 同日  辞任         補欠選任   串原 義直君     竹内  猛君 同月十八日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     田村  元君     ――――――――――――― 十月十四日  水俣病問題総合調査法案馬場昇君外二名提  出、第百一回国会衆法第一九号)  環境影響事前評価による欄発事業の規制に関す  る法律案岩垂寿喜男君外二名提出、第百一回  国会衆法第二〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ――――◇―――――
  2. 辻英雄

    辻委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  環境保全基本施策に関する事項  公害防止に関する事項  自然環境保護及び整備に関する事項  公害健康被害救済に関する事項  公害紛争の処理に関する事項以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 辻英雄

    辻委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 辻英雄

    辻委員長 公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島譲二君。
  5. 福島譲二

    福島委員 去る八月十六日、福岡高裁において、いわゆる第二次訴訟控訴審判決が出され、原告チッソともに上告いたしませんでしたので、これが確定をいたしました。この第二次訴訟判決について、環境庁としてどのようにお考えになり、どのように対応してきたか、まず初めに伺っておきたいと思います。個々の内容については続いて御質問申し上げますので、ここでは総括的に簡単にお答えいただきたいと思います。
  6. 目黒克己

    目黒政府委員 熊本第二次訴訟は、原告及び被告チッソ当事者とする民事上の訴訟でございますので、その当事者間の問題でございまして、環境庁として直接判決当否について申し上げる立場にはないわけでございます。しかしながら司法の一つ見解でもございますので、水俣病判断条件につきまして斯界の専門家にお集まりいただきまして再度御検討いただいて、その結果、水俣病判断条件は、医学専門家による検討の末医学的コンセンサスを得たものであり、現在においても適切なものであるとされたものでございます。  環境庁といたしましては、今後とも引き続き水俣病認定業務の推進に努めますとともに、今回の専門家会議において示された考え方を踏まえまして、さらに現在の水俣病をめぐる状況にかんがみまして、水俣病対策について幅広い角度から今後とも引き続き検討を進めていくことといたしているのでございます。
  7. 福島譲二

    福島委員 今お答えいただきましたこの第二次訴訟判決内容について、幾つかの点についてお伺いいたしたいと思います。  まず、第二次訴訟判決は、環境庁判断条件について、このように判決をいたしております。「補償協定所定補償金を受給するに適する水俣病患者を選択するための判断条件となっているものと許せざるを得ず、広範囲の水俣病像を示す水俣病患者を網羅的に認定するための要件としてはいささか厳格に失する」、こう申しております。わかりやすく言えば、補償金が高いから判断基準も厳しいのではないかというわけであります。  一体そういうことかどうか。言いかえれば、環境庁は、判断条件補償協定対象者を選別するためのものであると考えているのか、それとも公健法に従って医学的に厳正な認定が行われるためのものであると考えているのか、お考えを示していただきたいと思います。
  8. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  水俣病患者救済は、医学基礎として行われるべきものであると考えております。したがいまして、救済すべき人につきましては速やかに救済していくことが必要であると考えているのでございます。後天性水俣病判断条件は、医学専門家による検討の結果、医学的にコンセンサスを得たものでございまして、あくまでも認定申請者水俣病であるか否かを医学的に判断するためのものでございます。  以上でございます。
  9. 福島譲二

    福島委員 今もお答えがありましたが、判決では「水俣病認定審査会認定審査公害病救済のための医学的判断に徹していない」、こう述べております。水俣病かどうかは、これもすぐれて医学の問題であり、これは認定審査会における認定審査に対する批判とも受け取られるわけでありますが、この点について環境庁はどうお考えになっておるか、伺っておきます。
  10. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  熊本水俣病の第二次訴訟は、原告及びチッソ株式会社当事者といたします民事上の訴訟でございまして、その当事者間の問題でございますので、当庁としてその当否について述べる立場にはないわけでございます。  先生指摘いただきました点は、判決理由の中に示されているものでございまして、判決は、認定審査会医学的判断ではなく、最低でも一千六百万円の補償金に該当するものかどうかを審査しているのではないかという御趣旨であると理解しているわけでございます。この点につきましては、認定審査会委員水俣術に係る高度の学識と豊富な経験を有します医学専門家方々お願いしているわけでございます。そして症状の軽重にかかわらず、水俣病であるかどうかを医学的に厳正に判断していただいているものと考えているわけでございます。
  11. 福島譲二

    福島委員 今の御答弁と多少重複した形の御質問になりますが、水俣病認定については医学的に判断される、これがどうなっているかということがスタートラインであると思います。この点につきましては、判決は「遠位部優位の手袋、足袋様の知覚障害は、」何か大変難しい表現でありますが、多分手や指先や足先のしびれということでもありましょうか、「障害は、水俣病に極めて特徴的な症状であるので、このような知覚障害診断所見しか得られない場合も、当該患者の家族に水俣病症状が集積し、疫学条件が極めて高度と認められれば右症状が他の疾患に基づくことの反証がない限り、水俣病認定できる」といたしております。  これは、今までの環境庁判断条件が、単に一つ症状ということではなくて、二つ以上の症状が複合的にあらわれておるときに初めて水俣病認定をするという見解をおとりになってきたわけで、それとは基本的に異なるものと思いますが、先ほど行われました、今お話し医学専門家による検討の結果はどのような状態であったか、ここで御紹介をいただきたいと思います。
  12. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  水俣病判断条件に関します医学専門家会議におきましては、症状の組み合わせを高度の学識と豊富な経験に基づき総合的に検討することとしております現行の判断条件、これは医学的に妥当であるとの結論でございました。特に、御指摘感覚障害でございますが、感覚障害のみで水俣病と認めることにつきましては、専門家会議報告書は「感覚障害のみが単独で出現することは、現時点では医学的に実証されていない。従って、四肢の感覚障害のみでは水俣病である蓋然性が低く、その症候が水俣病であると判断することは医学的には無理がある」というふうに述べているわけでございます。
  13. 福島譲二

    福島委員 専門家会議は、御答弁にもありましたように、日本のこの種の医学最高権威方々医学的な結論でありまして、医学的には環境庁判断条件は正しい、妥当であるというふうに私のような素人は考えざるを得ないと思います。しかしながら判決では、その理由はともかくとして、チッソに対しまして何がしかの損害補償を支払えと命じております。これは判決に打ち出された一つの事実でございます。  それで、また理由は別といたしまして、判決結論医学上の結論と、その間を埋めるような何らかの方策はないだろうか。先般の医学専門家会議でも、「水俣病と診断するには至らないが、医学的に判断困難な事例がある」ということを示唆をいたしておるところであります。わかりやすく申しますと、言葉が正確かどうかは別といたしまして、ボーダーライン層があるということを専門家会議でも認めたと言ってよいのではないかと思うわけでございますが、これらの方々、いわゆるボーダーライン層方々、あるいはグレーゾーン方々、こういう方々に対しまして、これは水俣病とは認定をされないわけでありますから、補償協定に基づく補償金を支払われるわけではありませんが、別途行政的に何らかの対策を講ずる必要があるのではないかと思うわけであります。  先般、この専門家会議の答申を受けた後の環境庁からの意見表明といたしまして、幅広い角度から引き続き検討すると環境庁自身もおっしゃっておられるわけでありますが、具体的に環境庁はその構想を明らかにすべき段階ではないかと思うわけでございます。御答弁いただきたいと思います。
  14. 石本茂

    石本国務大臣 お答えをいたします。  ただいま先生申されましたように、医学専門家会議報告を受けまして、環境庁といたしましては、水俣病と診断するには至っておらないが、しかし医学的に判断困難な事例というものに対しまして何らかの措置をいたしますということを申しております。この措置を六十一年度から実施することなどを含めまして、現在幅広い角度から検討を行っているところでございますが、なお、その内容につきましては医学的に判断困難な事例に対するものであることを踏まえまして、現在、事務局熊本当局と相談をさせながら詰めさせているところでございます。  以上でございます。
  15. 福島譲二

    福島委員 今、長官のせっかくの御答弁でございますが、そしてまた熊本あるいは鹿児島関係府県も、その他関係するところが大変多いところであり、具体的な対策というものを明確にお話しになるにはまだ十分の時間的な余裕がなかったということかと思いますけれども、しかしこの問題は、やはりそうそう長く放置するわけにはいかない問題かと思います。月末にはまた待たせ賃訴訟判決があるというふうに伺っておるわけでございますが、今関係方面と御協議をなさっておられるという内容につきまして、いま少し、その具体的な方向について明らかにしていただきたいと思います。
  16. 目黒克己

    目黒政府委員 御指摘の点についてでございますが、大変難しい問題でもございますし、この協議につきましては関係者熊本県等を中心に今協議をいたしておるところでございます。この判断困難な事例についての措置内容ということでございますが、例えばその対象をどういうふうにしたらいいかとか、あるいはどういうふうな内容にしたらいいかといったようなことにつきましては、まだ検討段階でございまして、もう少しお時間をいただければと思っておる次第でございます。
  17. 福島譲二

    福島委員 確かにボーダーライン層と申しますれば言葉は非常に簡単でありまして、これを今まで環境庁が決められておった判断基準と、いわば今回の判決におきまして、その判断基準は厳格に過ぎる、もう少し幅広い像で水俣病救済というものを考えていくべきではないかという判決が打ち出されたことも現実でございまして、そのボーダーラインをどういう形で線引きをしていくかということは、これはまさに非常に慎重に考えていかなければならない問題かとは思いますが、しかし、かといって何らの対策方向も打ち出さないということでは、この段階では済まないのではないか。現実水俣病患者と第一線で接しておる熊本当局というのは、まさに熊本県の行政の最大の焦点、問題の一つとして本当に苦労しながら仕事を続けておるところでございまして、今もしその方向について明らかにできないということでありますれば、いつまでにそういう方向についてのはっきりした対策というものを打ち出せるのか、その辺についてひとつはっきりとお答えをいただきたいと思います。
  18. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  私ども、この対策につきましては、一応六十一年度から実施するということも含めまして現在検討いたしておるところでございますので、できるだけ早い時期に方向お答え申し上げたい、このように思っているところでございます。
  19. 福島譲二

    福島委員 現に第三次訴訟も相当の数に上っております。かつ一部の患者団体では、さらにその訴訟の後に続く方々を、言葉は大変悪いわけですが発掘をするというような動きもあるわけであります。この問題を行政責任においてやはり早急に解決すべきである。今ややもすれば司法的な解決が前面に立ってきておるわけでありますが、そういう形でこれから推移するというのは、行政の主体性、行政責任からして極めて無責任だと私は思います。そういう意味で、私は少しくどいような形で今申し上げたわけでございますが、その具体的な対策とその方向について、今全然まだ環境庁としてお考えがないのかどうか、改めてもう一遍ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  20. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えを申し上げます。  私ども現在の段階では、六十一年度実施ということを含めまして幅広く検討いたしておるところでございますが、先生指摘のとおり何分にも大変重大な影響を持つものでございますので、ある程度の議論は内部ではいたしておるところでございますが、その内容等につきましては、まだきょう現在の時点では、もうしばらく検討に時間を要するということでございます。したがいまして、この検討の具体的な方向づけにつきましては、できるだけ早い時期にというふうに現在考えているところでございます。
  21. 福島譲二

    福島委員 来年度予算の編成も既に始まっておるこの段階でございます。しかも今の御答弁では、何らかの措置を六十一年度からとるということを明言をしておいでになるわけでございます。そういう意味で私は、少なくともきょうこの段階で、まだ環境庁としてあるいは関係当局との十分な協議がなされない、明確な方針を打ち出せないということであるのでございますれば、場合によっては、十二月三日にもう一遍環境委員会が予定をされておりますので、少なくともその環境委員会の日にちまでにある程度はっきりとした方針を打ち出すということが考えられるかどうか、ぜひそのことをお願いをいたしたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
  22. 目黒克己

    目黒政府委員 お答え申し上げます。  現在、財政当局等を含めまして協議中のところでございます。したがいまして、この検討が終わりましてからということでございます。  また、御指摘の十二月三日ということでございますが、私ども、十二月三日ということにつきまして、まだそれまでというわけにはまいらないわけでございますが、できるだけ早くということで、ある程度の方向を出したいと思っているところでございます。
  23. 福島譲二

    福島委員 長官、今お聞きのとおりでございますが、六十一年度には、内容はまだ申せないが何らかの具体的な措置を必ずとっていくという部長お答えであったかと思います回そういうふうに理解してよろしいかどうか、長官からひとつ責任を持ってお答えをいただきたいと思います。
  24. 石本茂

    石本国務大臣 お答えをいたします。  ただいま部長の申しましたとおりに御理解をいただきたいと思います。
  25. 福島譲二

    福島委員 私も、事柄は決して簡単なことではないと思いますし、財政当局とのすり合わせも必要であります。また、何よりも前面に立って大変苦慮をいたしております主として熊本あるいは鹿児島の県の意向というものも十分に参酌をしながら、適切な対策というものをひとつ早急に打ち立てていただきたい。改めてお願いを申し上げておきます。  続きますが、判決では、損害賠償を命ずるに当たりましてこのように申しております。「日常生活不快感を伴うに過ぎない極めて軽度でその症状存否自体の判別が困難な慢性不全型」、こういう表現があります。最近ではこういう慢性不全型が非常に多くなっておる。したがって、かつての補償協定の千六百万から千八百万という水準というのは必ずしも適当でない、こういう趣旨判決を下していると理解をいたしております。  一方、今月の十八日に、チッソ水俣病患者連盟チッソに対して補償金の金額の引き上げを要求してまいりました。私はかねてから、本来、大変重症方々にはもっと厚い補償があってもいいのではないか、その反面、判決で言いますような日常生活にほとんど支障のない方には、今の千六百万から千八百万、これはほぼ一律に近い水準でありますが、これは非常に偏った補償である、場合によっては、判決では五百万という数字が示されておるわけでありますが、むしろ百万とかあるいは二百万、三百万、そういうような低額の基準があってもいいのではないかなと思っておった一人でございます。環境庁は、今回の判決のそういう趣旨を踏まえて、補償協定の改定を関係者に働きかけるおつもりはないかどうか伺っておきたいと思います。
  26. 目黒克己

    目黒政府委員 お答え申し上げます。  今回の判決の中で、水俣病症状がごく軽微であっても、水俣病認定された患者は、補償協定書により最低千六百万円と、それから附帯のいわゆる損害金及び月々所定手当金の支給を受けることになっている等の指摘があることは承知いたしております。この補償協定は、加害者でございますチッソ株式会社とそれから被害者団体の両当事者間において民事上の損害賠償問題を解決するものということで締結されたものでございますので、環境庁としてその是非について申し上げる立場にはないというふうに考えているところでございます。
  27. 福島譲二

    福島委員 私は、オール・オア・ナッシングのような現行の補償協定が、水俣病問題を極めて困難にしておる一つの原因であると思っております。  そして、今部長お話しのように、これは関係者間の、チッソ患者の皆さん方との協定だから関係ないのだと、えらい割り切ってお話しになりましたが、当初の、この補償協定を結ぶときには、いきさつについてはお聞きだろうと思いますが、当時の熊本県知事と同時に三木環境庁長官が、どういう立場とういう資格がは別として、その協定書にサインをなさっておいでであります。私は、この水俣病問題が非常にこじれてきた一つの背景というのは、当時の環境庁なりあるいは厚生省の責任者の方々が、率直に言って大変格好いい姿勢をおとりになられ過ぎたということが、この問題のこじれてきた大きな背景であり原因であると思っております。そして、この補償協定は形の上では当事者間と今お答えになっておりますけれども、その実態は、当時の三木環境庁長官がどういう立場においてかは存じませんが、やはり環境庁を指導をされてこの補償協定を結んでいったという経緯があったと思っております。  判決でも、極めて重症の患者というのは十数年前この問題が登場した当時には大変多かった、しかし、今や慢性型の比較的症状の軽い方々になってきたんだという実態を踏まえまして、しかも患者補償金については非常に異例の熊本県債というものによって裏づけされていることを考えてまいりますと、私は今のような単に紋切り型の御答弁では非常に不満であります。今申し上げた趣旨をお聞き取りいただきまして、再度御答弁をいただきたいと思います。
  28. 目黒克己

    目黒政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの問題でございますが、私どもの立場といたしましては、民事上の損害賠償の問題を解決するものとして締結されたものであるという前提でもございますので、環境庁といたしましてはその是非というふうなことにつきましては申し上げる立場にはないわけでございます。その辺御理解をいただければと思っている次第でございます。
  29. 福島譲二

    福島委員 この問題は保健部長お答えいただく筋合いの問題ではないだろうと私は思います。むしろ企画調整局長に、私が申し上げたことについて私の判断に非常に無理があるのかどうか、その辺についての率直なお答えをいただきたいと思います。
  30. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 従来からの経緯等につきましては先生おっしゃるとおりだと思います。その経緯等を踏まえまして率直に感想を言えとおっしゃられれば、環境庁のオフィシャルな立場は今保健部長が申しましたとおりでございまして、それ以上の域を出ることはあり得ないわけでございます。そういった経緯を今後どういうふうに現状から判断していこうかということは、率直に申し上げましてもう少し幅広く頭の中に置いて、何とか水俣病の問題の全体的な解決の中で進め得る方途があるならば、もう少し模索をすることがあっても私としてはいいのではないかというふうに個人的には思っております。
  31. 福島譲二

    福島委員 精いっぱいのお答えであったかと思います。かつ、私は会社と患者団体との間の補償協定の改定というのが、そんなに簡単にできる話とはこれまた思っておりません。今念頭に置いてというお答えがあったわけでございますが、どうか環境庁も今の企画調整局長の念頭に置く内容というものをもう少し皆さん方お持ちいただきまして、この問題についても真剣にお考えいただき、場合によっては会社と患者団体との間に割って入るくらいの気概を持って取り組んでいただきたいと思います。  ところで、判決損害賠償の支払いがあった方方、これは判断基準外だから当然水俣病患者ではないんだろうというふうに判断をいたします。  そこで、その認定審査会の処分の問題であります。これは県がやられることでありまして、当然環境庁とも御相談の上なさることだと思いますが、今回の判決の指示する補償額というのは包括一律請求であるというふうに理解をいたしますので、私は改めて公健法の判断を受ける利益がない、意味がないということで、県の処分は却下が適当かと思っておりますが、いかがでしょうか。
  32. 目黒克己

    目黒政府委員 お答え申し上げます。  環境庁が所掌しております公健法は、本来両当事者間で解決されるべき公害健康被害に関します損害補償の問題について、行政一つのバイパスをつくって一定の手続によりまして一定の水準補償給付を行うというものでございます。したがいまして、この公健法によるのではなくて、裁判によって損害補償を得られた場合には、もはや公健法による救済は必要ないという考え方もあり得るのであります。先生の御意見は貴重な御見解として承ってまいりたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、勝訴原告四名につきましては現在認定を申請中でございまして、いずれ県によって適切な処分が行われるものと考えているところでございます。
  33. 福島譲二

    福島委員 今の問題は混乱が生じないように適切な御指導を県に対していただくようにお願いをいたしておきます。  水俣病問題のもう一つの問題は、大量の認定申請者があり、これが処分がなかなか円滑に進んでいないところにございます。来る二十九日には、いわゆる待たせ賃訴訟控訴審判決がなされることになっております。原告の中には検診拒否運動に同調する者もおられると聞いております。このような検診拒否者に対しても現在治療研究事業によって医療費の支給がなされております。これに加えて、待っているだけでも、待たされるという意味では大変申しわけない話でございますが、国や県から毎月何がしかのお金が待たせ賞として支払われるという事態は、どこに責任があるかは別として、税金の使い方、使われ方としては決して適切なものではないと私は思います。  先般、細川熊本県知事は、みずからの都合で検診に応じない申請者に治療研究事業費を支払い続けることは、この事業の趣旨から適当でなく、補助金の適正な執行の面から問題があるという意見もあるので今後検討したいと県議会で表明をしておられますが、環境庁はこの発言についてどうお考えになるか、伺っておきます。
  34. 目黒克己

    目黒政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおりに治療研究事業というものは、水俣病認定に関する処分につきまして、申請から処分まで長期間にわたる場合もあるということから、申請者の病状の変化を把握するために治療等に要した経費の一部を助成することを内容とする事業でございます。したがって、検診拒否のように、長期間にわたる未処分の状態の原因が申請者の側にあって、やむを得ない事由が認められないような場合にも医療費を支給することは、本事業の目的、趣旨から適当ではなく、今後検討すべき課題の一つというふうに考えているところでございます。
  35. 福島譲二

    福島委員 検診拒否運動が治療研究事業費と潜在的につながっていることが否定できない面があるという認識に立ては、今申し上げた知事の発言も、県の行政を預かる者として当然の心境ではないかと思っております。検診拒否をなさっておられる方々に対して何も手を打たずに漫然と過ごすことは最悪でありまして、あらゆる手段を尽くした上で、場合によってはもっと積極的に受診命令を発して、これに応じない方々に対しては棄却なり却下をやっていくような姿勢というものもそろそろ必要ではないかと考えております。いきなりそういう荒っぽいことをやれということを申し上げているわけではなくて、その前段階として、まだまだ県は環境庁と御相談をしながらもっと適切に認定を促進をしていくあらゆる努力をすべきだという意味で、この際あえて申し上げておきます。  続いて、水俣病の名称の問題について触れてみたいと思います。  昨年の十一月二十五日の熊日の報道でありましたが、昨年の十月の下旬に修学旅行で三角から島原に参ります長崎への修学旅行の生徒たちの中で、熊本市の小学校の生徒が水俣の小学校の生徒に、「水俣病のうつるけん あっちに行け」「近寄んな」こういう発言があったということを報ぜられております。引率いたしました水俣小学校の先生によりますと、それから二、三日、子供たちは本当に元気がなくなりしょんぼりしてしまった。熊本の小学校と一緒に出会うのもとても嫌がった。よほどショックだったんでしょうねと、こういう記事が出ておりました。私はこれを読んで本当に愕然といたしました。かつては、関西や関東に出た水俣出身者の方々が、自分が水俣出身であるということを隠そうとする、あるいは水俣の女性がお嫁に行くのに大変な差しさわりが出て、水俣の出身者であるということが大変大きな負担になる、そういうようなことがございました。これは昨年の末の話でありますが、今でもこのような偏見があって、水俣の市民の皆さん方は、日常生活はもちろん、社会的、経済的にもいろんな差別を受けております。本当にすばらしい風光明媚の土地でございますが、観光面でも大変大きな支障になっておるところであります。  ところで、この水俣病の名称は昭和四十五年の三月に公害影響による疾病の指定に関する検討委員会、こういう委員会専門家の答申に基づいて、水俣病とするのがよかろうという答申をいただいて決めたと伺っております。水俣病の名称を変更したいという動きがかねてからあったわけでありますが、一方において、そういう運動というものが水俣病の深刻さを覆い隠すものであるとか、あるいは水俣病問題を風化させるものであるというような見方も厳然としてあることも承知をいたしております。しかし、実態的に見ますと、その後新潟で同じような病気が発生したときにも、直ちに第二水俣病あるいは第三水俣病と、全く関係のない地区で発生した有機水銀中毒症についても水俣の名前が出てまいりました。せっかく観光客も戻ったかなと思うようなところになりますと、そういう問題がその都度出てくる。これでは水俣市民も本当にたまったもんじゃないなと思います。  私は多少調べてみましたが、WHOで疾病統計を作成するために各国の用語を統一する目的で国際疾病分類、ICDというものを定められており、このICDの中では水俣病という項目はなく、「水銀及びその化合物の毒作用」という項目で取り扱われていると伺っております。そして、水俣病の名称は現在このICDの内容例示と索引に記載があるにすぎないと伺っております。  この名称の変更の問題は非常に難しいようにも思いますが、しかし、よき前例といたしまして、私は蒙古病の問題があると思っております。かつて、一九六〇年ごろ、世界各国の医学者の中で、一面、人種偏見と結びつくと言えぬこともない蒙古症という表現を、ダウン症候群と改めるように提案をされました。その結果、一九六五年のICDでは蒙古症とあったのが、翌年にはダウン病と改定をされ、現在ではダウン病と言われておる。このように、正式に一遍ICDに登録された疾病の名前でも変更された例があるわけでありますので、私はこの水俣病の名称も、今申し上げましたような背景のもとに、本当に水俣市民はこれで苦しんでおるわけでありますから、この名称変更もできるのではないかなと思います。少し古くなりますが、昭和四十八年、水俣市長ほか一万八千三百二十六人の署名のもとに、「水俣病を適切な病名に改称して下さい、このことは私達市民にとって耐え難い屈辱であり、人道上重大な問題であるとともに、平和で豊かな町づくりに大きな障害になっています。」こういう文章で、公害病として地域名をつけない、何らかの最もふさわしい病名に改称するように要望がございました。これは解決を見ないままに、最近では水俣市民の中にも多少あきらめの空気があるようでありますが、私は、依然として先ほど申し上げたような偏見というものが現に存在している以上は、この名称の変更というものも真剣に考えていいのではないかなと思っております。  そこで、環境庁に伺っておきたいのですが、この水俣病という名称は、法律上に何らかの規定があるものかどうか。私どもが議員立法いたしました水俣病認定臨時措置法以外に、何かそういう規定があるかどうか、あるいはまた、私は先ほどICDの具体的なことを御紹介いたしましたので、また重ねてということになりますが、この水俣病という名称が世界的にも権威づけられた名称と受け取るべきかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  36. 目黒克己

    目黒政府委員 お答え申し上げます。  病名の変更を希望されておられます先生のお気持ちは私どもよくわかっているのでございますが、水俣病の病名につきましては、医学界におきましても多くの学者が使って定着をしているものでありまして、また、国際的にも使用されてきたものでございます。またさらには、水俣病認定業務促進臨時措置法や公健法の施行令にも用いられておりまして、法的にも既に定着をしてきているところのものでございます。現在、この病名を変更するという場合にはいろいろ複雑な問題が考えられますので、その変更には慎重に対応する必要があるというふうに考えている次第でございます。
  37. 福島譲二

    福島委員 私は、今のような簡単なお答えでは非常に不十分でありまして、定着したというようなお答えでありますと、先ほどの蒙古病の例は一体どう考えられるのか。やってやれないことはないのではないか。法律的にも今のお話で議員立法だけということであれば、これは余り感心した適切な方策とは言えぬかもしれぬけれども、荒っぽいやり方ではありますし、あの議員立法の名称だけを取り出してやるというわけにもなかなかいかぬかとも思いますが、何らかの機会には、例えばハンター・ラッセル症候群とかあるいは有機水銀中毒症とかいうことに変えることも、議員立法をいたしました当事者といたしまして、そういう機会が改めてまたあるかどうかはまだわかりませんけれども、もしそのような機会があった場合には、あえてこの問題を取り上げてみようかなという感じがいたしております。  けさの新聞では実年という新しい言葉が登場いたしました。これが場合によっては日本の今までの法律の中の老人、そこにぶつかる年代層もあるわけでありますから、法律上も何らかの形であるいは改定をしなければならない、こんなような時期でもありますし、今お話しのように確かに水俣病という名前はかなり一般的に使われておる名称ではありますけれども、今私が申し上げたように水俣市民にとって本当に不幸な言葉であります。また一面、いわれのない、新潟で起きたものまで第二水俣病と言われるわけでありますから、その辺について、今すぐというわけではありませんけれども、今後の一つの課題として取り扱っていきたいと思います。現に、ことしの春から夏だったと思いますが、水俣商工会議所の副会頭がこの問題について長官に直接陳情なさったことも長官覚えておいでになられると思います。そのときにも長官としてはかなり理解をお示しいただいたものだと私は立ち会った者として受け取っておるわけでございますので、そういう意味で、これからの一つの課題として、絶対にあり得ないというかたくなな姿勢だけは、この際おやめをいただきたい。希望いたしておきます。  なお、きょうは時間が余りないと思いましたので要求してありませんが、本来文部省からもおいでをいただきまして、この公害教育に関してどういう形でなさっておられるか、さっき御紹介をいたしましたように小学生が水俣病についての偏見を持ち、そしていじめ、いじめられるという事態というのは、私はこれは大変重大な問題だと思っております。この公害教育の基本というのは、私は人間に対する思いやりであり人間愛だと考えております。そういう意味で、一体今の小学生あるいは中学生に対する公害教育というものがどの程度になされておるかについてまた別途勉強いたしたい、そしてまた、場合によってはこの委員会で問題を提起いたしたいと考えておりますので、委員長に、改めて文部省に対して、公害教育、教科書の面でどういう取り扱いをしておられるか、その資料をお願いを申し上げたいと思いますので、理事会に諮って、またその際には適切な御処置をお願い申し上げたいと思います。
  38. 辻英雄

    辻委員長 資料については理事会で御相談したいと思います。
  39. 福島譲二

    福島委員 水俣病が公式に発見をされましてから既に三十年を経過しようといたしております。そして、国、県の認定促進の努力にもかかわらず、これは待たせ賃訴訟等でいささか国、県に対する御批判が少し厳し過ぎるのではないかというのが私の率直な感じでありますが、その努力にもかかわらず申請者は今三十三都府県、そして熊本鹿児島の両県だけでも未処分者は六千人に上っております。他方、水俣病であるかどうかをめぐって各地で訴訟が行われ、また行われつつありまして、原告の数も一千人に達しようといたしております。また、今月末にはいわゆる待たせ賃訴訟の二審判決、そして近くは取り消し訴訟の一審判決が予定をされております。このような状況の中で環境庁は今後の水俣病対策をどのように進めていくおつもりであるか、この水俣病一つのけじめの段階長官のお考えを伺っておきたいと思います。             。
  40. 石本茂

    石本国務大臣 お答えをさせていただきます。  先刻来言っておるところでございますが、水俣病患者救済医学基礎として行われてまいりましたし、また行っております。救済すべき人につきましては速やかに救済していくことが必要であるというこの考えは従来どおりでございます。環境庁としましては、検診・審査体制の整備を行うなど認定業務の促進に努めてまいります。また、これに加えまして、水俣病ではないが医学的に判断困難な事例に対する特別の措置などを含めまして、今後とも幅広い角度から引き続き検討を行いまして、水俣病問題の解決に努力をしてまいりたいという考えを持っております。
  41. 福島譲二

    福島委員 今の長官お答えをぜひ実行段階でひとつどしどしと環境庁打ち出していただきまして――県も大変苦労をいたしております。その県の気持ちに立って、格別、熊本鹿児島両県の担当者の方々の意見というものを十分にひとつくみ上げていただきまして、先ほど来取り上げましたいろいろな面で適切な対策というものをひとつ早急にとっていただくということを最後にお願いを申し上げておきます。  水俣の問題に関連して、最後に国土庁に。地方振興局の杉原総務課長においでをいただいております、この水俣病をめぐる深刻な打撃というものを緩和するために、水俣・芦北地区に対する振興を図ることが水俣病関係閣僚会議で決定をいたしておりまして、五十四年から六十年度にわたる第一回のこの計画は本年度をもって終了をいたそうとしております。  実は、けさも熊本当局とこの問題で大会議が開かれておったわけでありますが、改めてこれを六十一年度から五年間か、場合によっては十年間という新しい水俣・芦北振興計画を立てていきたいということを考えております。これはまた当然関係閣僚会議でも決められたことであります。しかしながら今までの経過を見ておりますと、大変残念ながら、その関係地区、水俣市、芦北郡になりますが、この関係地区における事業を網羅的に並べたような計画があるだけで、しかも実行段階においても、必ずしもその地区にそういう特殊の振興計画があるんだという認識のもとに関係各省が予算づけをなさっておられるかどうかについてもいささか疑問のところがございます。私は、この問題は大変厄介な問題に発展をしてくると思っております。  と申しますのは、国土庁の方では御承知ないかもしれませんが、しかし関係閣僚会議にも御出席のメンバーでありますので、いわゆる水俣病患者に対する補償金の支払いの県債の問題というのが、常日ごろ熊本県議会でその都度大変大きな問題になっておりまして、県議会にこの問題が付議されるたびに、もう少し国は何かその地区のために具体的に考えてもらってもいいではないか、場合によってはまた株式会社チッソの支援策というものを通産当局ももっと真剣に取り上げてくれてもいいではないかという問題が常に提起をされております。そしてこの問題は、必ず来年、場合によっては再来年、そう遠からぬ時点で、県借問題を継続する一つの条件として、この水俣・芦北振興対策をもう少し具体的に実のあるようなものにしてほしいという要望が具体的に提起をされて、それに対して明確な、目新しい、立派な御返答がいただけぬときには県債問題も返上する、それは即チッソの不慮の事態につながってまいりますし、この水俣病問題を大変混乱に陥れ、救済すべき水俣病の皆様方に対しても大変な御不安を与える事態になりかねないと思っております。  そういう意味であえて最後に、この水俣・芦北振興対策について、国土庁においでをいただいたわけでありますが、私は、今までのような総花的な振興対策というのは県自身にも余り意味がない、もっとはっきり、その地区にとって本当に必要であり、そしてほかの地区と違って、やはりこの地区のために国に面倒を見てもらったんだなというような印象が明確に地区住民にもわかるような、そういう具体的な振興対策をつくらなければならないということをけさも申し上げてきたところでございます。そういう意味で私は、この地区のために何らかの形で、今のこの水俣病という非常に不幸な事態を前提といたしまして、国も十分に配慮をしておるんだということについての明確な意思が伝わるような、そういう何かの対策をひとつお考えいただきたいと考えております。  いろいろなことが考えられるだろうと思いますが、その一つは今、九州縦貫道が福岡から八代に来ておりまして、八代から山の中に入って、人吉まであと数年で完成をしようといたしております。大変残念ながら、海岸線を通じての鹿児島へ行く路線、現在は三号線でありますが、これは非常に狭い、どうにもならぬ幹線道路であります。水俣では場合によっては緑に関係する博覧会を開きたいとか、あるいは今現に進めておりますヘドロ、堆積汚泥の除去事業、これが完成をいたしますとかなり大きな面積が水俣湾に出現いたします。その跡地利用とか、いろいろな問題が今討議をされておりますが、私はこの水俣に至る交通網を整備することがすべての先決だと思っております。  そういう意味で今私ども、鹿児島県下の国会議員と一緒になりまして、南九州西回り高速道路というものをぜひ実現したいというような動きがあり、場合によっては九州新幹線という問題も早期着工をお願いいたしております。こういう大構想も浮上いたしております。できればその高速道あたりも水俣まで、今のような特殊事情というものを考えていただいて、お取り上げいただくことが大変望ましいわけでございますが、今国土庁の立場で、そのことについて前向きなお返事がいただけるものとは思っておりません。しかし国土庁が国土開発計画を組まれるとき、あるいはこの水俣  芦北振興対策についての関係各省との協議をなさるときに、そのような気持ちを持って取り組んでいただく。私は三号線の改修というものを普通の国道の改修に比べて非常にテンポアップするというのは最小限必要なことと思っております。そういう点をこの際お聞き取りいただきまして、本来関係各省もおいでいただくと一番よかったのですけれども、たくさんの方に御迷惑をかけるのもと思いまして、あえて国土庁だけおいでいただきましたが、今後関係各省とも十分な御連絡をいただいた上で、せっかく閣議了解で決められておりますこの水俣・芦北振興対策を実のあるような形に持っていくために、ひとつお力をかしていただきたいと思っております。御所見をお答えいただだきたいと思います。
  42. 杉原正純

    ○杉原説明員 お答え申し上げます。  今委員の方から御指摘ございましたように、現在の水俣・芦北地区の振興計画、これはもちろん県が策定いたしたものでございますが、その内容についてお話のような御意見がいろいろございます。また必ずしもその成果について十分でないという感じも率直に持っております。数字的には、確かに各省の御協力も得まして県から毎年度要望されます額に対します実施率といいますのが、五十九年度までとらえますと大体一〇〇%に近いわけでございますけれども、それはトータルの話でございまして、今委員の方から御指摘ございましたように、特に道路のネットワーク関係を中心にいたしまして、財政環境ということもございますし、あるいは一部地元での用地買収のおくれといったような事情もあろうかと思いますけれども、必ずしも十分でないという点がございます。  そこで、今御指摘ございましたように現在の県の計画が六十年度で終わるわけでございまして、六十一年度から十年間を目指した新しい計画を県の方でつくるということを聞いております。近々そういうお話も承りまして、御趣旨にございましたように、関係各省に対しましてさらに従来以上の地域振興のための御尽力、御協力のほどを、私どもを窓口としましてお願いを申し上げたいと思います。また、御指摘いただきましたような、さらにほかに何か効果的な方法がないかというようなことについても十分検討させていただきたいと思うわけでございます。
  43. 福島譲二

    福島委員 十分御理解をいただいたと思われる御答弁をいただきまして、そのようにひとつ適切に御処理をいただだきますように、改めてお願いをいたしておきます。  まだ二、三ほかの問題で御質問申し上げたかったのですが、時間もなくなりましたので、以上をもって終わらしていただきます。ありがとうございました。
  44. 辻英雄

    辻委員長 中村茂君。
  45. 中村茂

    中村(茂)委員 まず、ニホンカモシカの対策について先に質問をいたします。私が申し上げるまでもなく、ニホンカモシカは文化財保護法に基づく特別天然記念物として指定されております。特に私の出身である長野県の場合には、県の一つのシンボルとして、県獣としてまた指定されているわけでございます。ですから私どもはニホンカモシカについて非常に愛着を持って、保護をどういうふうにしていくかということを中心にして今まで考えてきたわけであります。  ところが今回、このニホンカモシカを捕殺して、その肉は食べてもよい、皮を売却して商品化してもよい、こういう新しい方針が実施されるということでありまして、長野県、岐阜県の場合には、まずその二県が施行されるということで、県段階、今まで捕獲してまいりました市町村で、打ち合わせのための準備が既に行われているわけでありますけれども、私がこの際強く指摘しておきたいというふうに思いますのは、まだ文化財保護法の種の指定が解除されていないわけであります。ですから日本のどこに住んでいるニホンカモシカも特別天然記念物。その特別天然記念物のまま捕獲して、しかも皮を売って、それを商品にしていく、このやり方についてはどうしても私どもは納得できません。  まず、どういうふうに対策が進んできて、今どういうふうに考えているかということについて、文化庁の方に先に答弁願います。
  46. 田村誠

    田村説明員 特別天然記念物のカモシカについてでございますが、ただいま先生からお話がございましたように、昭和三十年代の初めのころはカモシカは幻の動物と言われるくらいに減った時期がございまして、当時四千頭ぐらいじゃないかというようなことが言われたわけでございますが、その後、密猟対策等が十分講じられた結果もございまして、逆に昭和五十年代の初めごろからカモシカの食害問題が岐阜、長野あるいは青森の方で問題化してきたわけでございます。五十年の当初に環境庁の方でどのくらいの生息数があるかというようなことで調査をしましたところ、四千の数が七万五千頭プラス・マイナス幾つというような数にまでふえていたわけでございます。  食害問題が起こりまして、これに対してどういうふうに対応するかということで、関係環境庁、林野庁それから文化庁三庁で、カモシカの保護とそれから被害対策について協議したわけでございます。五十四年の八月に三庁の合意ができまして、将来はカモシカを地域指定にしていく、それまでの間として保護地域を全国に十四カ所設定して保護地域内のカモシカは十分守っていく、外のカモシカがかなりひどい食害問題を起こしたときにはやむを得ずこれの捕獲を認めていこうというようなことにしたわけでございます。そういうことで五十四年からカモシカを、できれば麻酔銃で生け捕りにしたいというようなことがあったわけでございますが、当時百台程度の捕獲であったわけでございますけれども、これが年々ふえまして、五十八年度には千台を超えるというような状況に至っているわけでございます。文化庁としては五十四年当時、数もそれほど多くありませんし、ただいま申し上げましたように、できれば生け捕りというようなこともありましたし、また死んだカモシカも、カモシカを守っていく上でカモシカを十分知らなければいけないというようなことで学術研究用にこれを使わなければいけないということで、県にお願いしまして文化庁が三分の二の補助金を出して捕獲事業を行ってきたわけでございますが、五十四年当時は二千万程度の補助金で済んだわけでございますが、ただいま申し上げましたように、毎年捕獲数もふえまして、もう五十九年度、昨年度では九千万の補助金が必要になってくる、事業費にして一億四千万というような形になってきているわけでございます。一方で、カモシカの死体の解剖等による研究も四千頭を超える数をこなすようになってきておりまして、もうこれ以上死体を全部解剖して調査をしなくてもかなりの調査ができる、実態もよくわかってきたというような形になってきたわけでございます。  そこで、文化庁としましては、今後カモシカを本当に守っていく上で今までどおりのやり方もなかなか困難になっているということから、どのようなカモシカの保護対策を講じていくべきかということで、五十八年のころから専門家に依頼しまして、あり方について検討していただいたわけでございますが、その結果を参考にしまして本年度、六十年度からはカモシカの捕獲の補助事業を切りかえまして、カモシカの保護地域、これもかなりできてきたわけでございますので、その保護地域の中を十分環境あるいはカモシカ両方含めて守っていく、こういうことの事業に切りかえていこうということで、今そういう考え方のもとに三庁で検討を進めているということでございます。
  47. 中村茂

    中村(茂)委員 今の御答弁で、いずれにしても文化財保護法の種の指定を解除して保護区域をつくっていく。それで、その作業が今どのくらい進んでいて、どの時期にその指定がきちっと行われるか、この見通しについてもう少し細かく明らかにしていただきたいと思います。
  48. 田村誠

    田村説明員 ただいまお話し申し上げました地域指定に先立って、保護地域の設定という作業を進めているわけでございますが、先ほど申し上げましたように十四カ所設定するということで保護地域の設定を現在まで進めてきたところ、十一カ所の設定が終わっておりまして、あと四カ所残っている。十一と四で十五になるわけでございますが、当初の計画からいいますと十・五カ所でき上がって三・五カ所まだできていないという状況でございます。  保護地域の設定が終わったところで、今度は地域指定をしていくということになるわけでございますが、地域指定につきましては、御存じのようにその地域全体のいろいろな行為に対しまして、カモシカを捕まえるだけじゃなくて、木を伐採するというようなことにつきましても規制を受けるという形になるわけでございますので、保護地域の設定が終わった段階で、カモシカを守る意味でどれだけの規制を講ずべきかということについて三庁で協議することになっておりまして、その規制案ができたところで、今度は森林の所有者等に対して御理解を得る作業に入るということでございます。  なお、地域指定のためには、先生からお話がございましたように、一方で種の指定の解除ということが起こってくるわけでございますが、種の指定の解除については、との春、自然保護団体から慎重にやるべきであるというようなお話もあるわけでございまして、そういう方々の御理解も得ながら進めなければいけないということでございますが、三庁できるだけ速やかにそういう形になるように努力していきたいというふうに考えております。
  49. 中村茂

    中村(茂)委員 これからカモシカのいわゆる特別記念物としての保護を、文化財保護法に基づく全面保護から、いわゆる種の指定を解除して保護区をつくって、それ以外のところは有害鳥獣として捕獲もできる、私はこういう行き方が、カモシカの生態からして果たして保護につながるのかどうかという疑問が一つあります。というのは、カモシカの生態というのは普通の動物と少し違いまして、集団で生息していくということではなしに、分散生息という習性を持っています。ですからその生息が非常に広がっていく。保護区を一定につくって、そこだけ保護していくといっても、そこがもういっぱいになってくると、どんどん横に広がっていく性格があるわけですね。そういう性格のものを、いわゆる種の指定を解除するという方法で本当に守っていけるのかどうか、こういう疑問が一つあります。先ほど専門家というか、そういう学識経験者でいろいろ研究してもらった結果そういう方向へ持っていきたい、こういうお話がありましたけれども、この生息の習性からして本当に守れるのですか。
  50. 田村誠

    田村説明員 ただいまのお話、大変難しい問題だと思いますけれども、本年の一月に岐阜県においてカモシカの被害に対して訴訟も起こっているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、五十年代の初めのころに七万五千頭にふえている。一方で森林の人工造林といいますか、植林等もどんどん進んでいるというような中で、カモシカを守りながら被害対策考えていくということについて三庁十分検討したわけでございますけれども、その両方を成り立たせていくためには、やはり一方で地域指定してカモシカをきちっと守っていく、他方でやはり食害問題が起きてくるということに対しては、それはそれなりにまた捕獲等を認めていかなければならないのではないかというようなことで、やむを得ない措置ではないかというふうに考えているわけでございます。
  51. 中村茂

    中村(茂)委員 これが実施された場合には、保護区については捕獲というものは全然起きてこないのですか。  それから環境庁の方にお聞きしますけれども、いわゆる保護区以外のところ、ここのところについては今度鳥獣保護法の有害鳥獣として、天然記念物じゃなくなるわけですから、そこのところは自由にできるのですか。やはり保護ということを重点にして、食害が起きたところだけ捕獲できるような対応にするのですか。これが実施された場合どういうふうにお考えなのか、その点、文化庁と環境庁からお伺いしたいと思います。
  52. 田村誠

    田村説明員 ただいまのカモシカの保護地域でのカモシカの捕獲を認めるのかどうかという御質問でございますが、カモシカの保護地域は、そこはカモシカを守っていこうということでございますので、原則としては認めないということで考えておるわけでございます。もし食害でも起これば、幼樹保護事業といって今ポリネットを木の上にかぶせるとか忌避剤を塗るとかいうことをやっておりますけれども、そういったことであるとか保護さくをつくって守るとかいうことを、限られた地域でございますのできちっとやっていきたい。  それから、先ほど先生のお話のような形で分散して生息するということですので、恐らくこういう問題は起こらないと思いますが、極めてたくさん一カ所に生息するというような事態がもし発生すれば、そのときにはまた専門家にいろいろ意見を聞いて、あるいはほかの対策ではどうしようもないというようなときに捕獲ということが生ずるかどうかということはあるわけでございますけれども、原則としてはただいま申し上げましたように捕獲は認めないということでございます。
  53. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 先生の御質問されました後半の部分と申しますか、保護地域が設定され地域指定になって、いわゆる文化財保護法に基づくカモシカの種の指定の解除がされた場合のことをお尋ねになっておるわけでございますが、その場合の指定地域外につきましては、そういうケースになりますと先生おっしゃるとおり鳥獣保護法の対象になります。  そこで、ここは明確にお答え申し上げておきたいわけでございますが、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の考え方は基本的にこうなっております。カモシカというのは非狩猟鳥獣でございます。したがいまして、原則的には捕獲を禁止し保護される鳥獣でございます。ただ、ただいま先生の方もいろいろおっしゃいましたし答弁にも出ておりましたが、農林業上の被害等が黙視できない状態になったというような場合に、その被害の状況それから生息の状況を勘案しながら、被害の防止を図るため必要最小限の捕獲を許可するという制度、現行法そうなっておりますが、この制度で対処することが必要になってくる、こういうことでございまして、非狩猟獣でございますので、原則は保護されるものでございます。
  54. 中村茂

    中村(茂)委員 文化財保護法に基づく種の解除をして保護区をつくり、それから保護区以外のところは鳥獣保護法に基づく保護をしていく。今作業中ですね。私は今いろいろお聞きしましたが、まだ若干の疑問はありますけれども、そういう作業が行われている。方針は持っているけれども、まだ実施されていない。依然として文化財保護法に基づく特別天然記念物ニホンカモシカ、それを今度補助金がなくなったから、捕獲したのは肉は食べてもいい、皮は売ってもいい、商品化していく。天然記念物をイコールやるわけですよ、まだ種の解除になっていないわけですから。この方針は撤回していただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 先生の御質問、実は現在検討中の段階の点をお話してございますので、これは文化庁さんの方も関係があるかと存じますが、現在文化庁が中心となって進めてきておられる種指定の解除等のいわゆる法的手続が終了しておらない段階でございまして、本年度そういう状況のもとでどういうやり方をやっていくかについてはいろいろと検討を加えておるところでございます。非常に苦慮しながら検討しておるところでございまして、まだ検討中でございまして、これは撤回とかそれをやるとか、いずれともちょっと申し上げかねる段階でございます。いずれにしましても、慎重に検討を加えていきたいと思っております。
  56. 中村茂

    中村(茂)委員 まだ決めていないけれども準備をしろということで、県、市町村で打合会なんかやっているのですよ。そういう方向でやろうということで準備させているし、そういう考え方があるから出てきたのでしょう。ここのところで、まだそういう方針が決まっていない、だからそういう方針ではやりませんとあなたが言うならいいのです。しかし、まだ決めていないからそういうふうになるのかならないのか言うことができないという言い方はないと思うのです。その点明らかにしてください。
  57. 加藤陸美

    加藤(陸)政府委員 先生おっしゃいますお話は、検討段階でいろいろな考え方、それから実はただいま文化庁さんと私の方からお答え申し上げておりますように計画にずれもございますので、指定解除になったときの話とごちゃごちゃになってまいりますので、いろいろな誤解も出まずし、また心配も出るという状況でございますので、重ねて慎重な検討をしておると申し上げたわけでございます。地元の、被害を受けておられる、訴訟を起こしておる方々もおられる状況でございます。そういう中でどういうやり方が一番いいか非常に難しいところだと思います。したがいまして、準備を進めておるというのは検討のための準備でございまして、そういう方針でやるからと決まっておるのであれば、検討中というような言い方は申し上げないわけでございますので、その辺は御理解いただきたいと存じます。
  58. 中村茂

    中村(茂)委員 特別保護区の指定、種の解除、これは先ほど六十年度というふうな説明がありまして、今六十年度ですけれども、ことしの三月ごろまでにはそういうことをきちっと行政上やって、そしてこの冬を迎えたいわゆる食害が起きているカモシカについてどういうふうに対処するか、こういう方向検討してきたと思うのです。ところが、行政の方の保護区を設定するという措置が、先ほど報告がありましたように、まだ十四のうち十しかできていない、おくれている、それはできない、ところが冬が来てしまう。ですから、今話がありましたように、その点で混乱しているというふうにも一面私は理解できます。しかし、行政の方がそういう対応ができていないけれども、捕獲の方だけは検討してきたその方向で実施しますという、その責任逃れを、ただ実施の方だけはいこうというやり方は御勘弁願いたいというふうに思うのです。百歩下がったとしても、こういう措置がきちっと実施されて、実施された上に立って、いわゆる有害鳥獣というふうに、ある程度捕獲できるものについてはこういうふうにしますということなら話はわかるのです。しかし、まだ片方ができない。しかし、捕獲の方は補助金がないから売ってその足しにしよう、こういう天然記念物を、全く行政の怠慢からそういう方向だけを取り上げていくということにしてもらっては困る、すべきではない、このことを強く申し上げておきたいというふうに思います。長官の御感想はいかがでしょうか。
  59. 石本茂

    石本国務大臣 お答えをさせていただきます。  ただいま自然保護局長が申しておりますように、これは保護獣でございます。我が庁といたしましては、そうした意味で、今後の対策につきましては慎重に進めてもらわなければならぬという気持ちでおるところでございます。
  60. 中村茂

    中村(茂)委員 次に進ませていただきたいと思います。文化庁、結構です。  次は新幹線鉄道騒音に係る環境基準についてお伺いいたしたいと思います。  先般、東海道・山陽新幹線の沿線地域の騒音実態調査結果の発表がありました。その達成状況について、私も文書でいただいておりますが、その特徴というか概要というか、簡潔で結構ですから一応御報告いただきたいと思います。
  61. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  本年七月に十年目の達成期限が到来いたしております東海道と山陽新幹線につきまして、八月に関係地方公共団体、十三都府県の御協力を得まして調査をいたしました。百三土地点に百三十側線を設けまして、最寄りの軌道の中心から百メートル、五十メートル、二十五メートル、十二・五メートルという地点で測定をしたわけでございます。  環境基準の達成という観点から申しますと、最も代表的な軌道中心から二十五メートル地点では、東海道新幹線におきまして達成率は一六%、山陽新幹線は一〇%、五十メートル離れた地点では、東海道が四九%、山陽が二二%と、達成率は非常に低い状況でございました。十年前と比べてみますと、騒音の状況そのものはかなり改善をしてきているという評価はできるように思います。おおむね八ないし十ホン程度は下がっておるように思いますし、住宅防音工事も七十五ホン対策が相当進んできている、こういう状況でございますので、環境基準の達成率は、率直に申しまして私どもが想像していたよりも低かったけれども、環境そのものについては十年前に比較してかなり改善されているというふうに理解いたしております。
  62. 中村茂

    中村(茂)委員 どうも今の達成の評価というか見方ですけれども、これはこのいただいた結果の書類で見てみますと、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準の達成状況及び今後の対策について(概要)」、昭和六十年十月、環境庁大気保全局の文書ですけれども、文書の二ページの「一 東海道」の一行目のところに「鉄桁を除けば八十ホンを超える地点はみられない。」これも環境基準の第Ⅰ分類からいくと居住地は七十ですよね。だから、やはり七十を基準にして考えるべきということが一つ。  それからもう一つは、いわゆるホンの高いもの、基準から外れているもの、基準だからおさまっていればいいんですよ、外れているものをどうするかという視点でまとめてもらいたいと思うのです。ですから「鉄桁を除けば八十ホンを超える地点はみられない。」とあるが、見られないところでなくて、見えるところを表に出してまとめてもらいたいという気持ちが一つあるということと、その後にずっと書いてあるのを見ても、騒音レベルの一番高い十二・五メートルの地点で高架は七十六・三ホン、盛り土七十六・三ホン、鉄桁八十一・〇ホン、こういうふうに指摘しているわけですね。これは七十に比べると相当上ですね。確かに努力してきたことは認めるけれども、まだまだ環境基準は達成していない、こう見るべきだと思うのですね。  そこで「今後の対策」のところでお聞きしたいのですけれども、「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」、これは環境庁告示として出してあるわけですね。それによると、この第二のところで、表までつくって、八十ホン以上の区域は三年以内とか、または七十五ホンを超え八十ホン未満の区域は七年以内、十年以内、七十ホンを超え七十五ホン以下の区域は十年以内、ここまで細かく告示で指定しているわけですよ。それが今回できなかった。できなかった責任はどこにあるのですか。この責任考えないのですか、追及がないのですか、それが一つ。  それから、この第二のなお書きのところですね。「環境基準の達成努力にもかかわらず、達成目標期間内にその達成ができなかった区域が生じた場合においても、可及的速やかに環境基準が達成されるよう努めるものとする。」何も環境基準を下げろというようなことは出ていないわけですね。努力したけれども、その基準を目標期間内までに達成できなかったなら可及的速やかに環境基準を達成させろ。この「可及的速やかに」というのは五年なのかどうか、それから、七十のところを七十五というふうにどうしてしたのか、これだけのことを皆さんの告示で出しておいて、そしてここに書いてある趣旨が達成できなかった。そうしたら今度「今後の対策」として、皆さんが出しているいわゆる環境基準告示に反するとは言わないけれども、この趣旨と「今後の対策」というのは沿っていないと私は思うのですよ。それを環境基準を後退させた形で、皆さんの出している基準方向とは違った「今後の対策」を今度は立てている。そこのところがどうしてもわからないのですね。ですから具体的に言えば、七十ホンを七十五にした理由、五年とした理由、そしてここまで達成できなかったのはどういう原因で、どこに責任があるのか、そういう点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  63. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。一環境基準に関しましては、目標として定めてきたものでございますから、御指摘のように本来達成すべきものでございます。それが達成できなかったということであれば、可及的速やかに達成に向かって努めなければいけないということになっているわけでございます。  では、可及的速やかにというのはどのような期限になるのかということからお答えをいたしたいと思います。可及的速やかにということを一般的に解釈した場合に五年にもなるのかという御指摘につきましては、ごもっともだと思いますが、私どもが今回対策の申し入れをいたしました趣旨は、調査をいたしまして、全体の達成の状況それから現在技術的にどういうところまでが可能であるか、そういうような諸般の問題を踏まえまして、現在一番問題があるところに音源対策を中心にして早急に手を打っていただくというような形で解決を図っていくということが、達成できなかった環境基準の達成に向かって着実に進んでいくためには一番必要な道ではないかという判断をしたということでございます。つまり、達成ができなかったことは御指摘のとおりでございますし、達成率が非常に低いということも御指摘のとおりでございます。そういうような状況でございますから、私どもとしては最大限の努力をし、関係者と力を合わせて達成に向かって進まなければいけない。その場合に、一番確実に前進をしていくための方策として今回の申し入れをいたしました。  率直に申し上げまして、屋外での達成ということに関しましては、現在の音源対策の技術からは七十ホンにはまだ技術水準が到達していないというふうに私どもは理解をいたしました。したがいまして、そうなれば先ほど先生指摘のように、平均的な姿としては七十五ホンを若干上回っているような状況のところがたくさんあるわけでございますから、音源対策として七十五ホン対策を目指したい。その場合には、優先順位としてはやはり住宅の集合しているようなところから手をつけてもらいたい。さらに一歩進めて申し上げれば、特に住宅の密集している地域が連続しているようなところについては、Ⅰ類型、Ⅱ類型を問わず、そういうところは住民がたくさんおられるわけでありますので、そういうところから早急に対策を推進すべきであるし、優先的に取り組んでほしい。そういうようなことで音源対策を重視をいたしまして、七十五ホンというものをともかく住宅の密集地域から早急に手をつけていってほしい、そうして、できますれば五年以内に完了するようにしてほしい、こういう申し入れをしたわけでございまして、五年以内にということは、五年以内に達成されればそれは幾らでも早い方がよいわけでございますけれども、国鉄が現在置かれている状況等をも勘案をいたしまして、五年以内ということで申し入れをしたということでございます。  七十五ホンということを目標に置きましたのは、もう先生御案内のとおり、国鉄が名古屋地域で昨年からことしの春にかけて実験をいたしておりましたことを御存じと思いますが、五月の中旬に至りまして実験の結果が公表されたところでございまして、その結果を私ども評価をいたしまして、当面七十五ホン以下に音源対策によって下げるということはある程度技術的にめどが立ってきたのではないか、だから、そういうものを具体的に実現をしていっていただこう。その場合に、先ほど申し上げたようなところから実施をしていっていただこう、こういうことで七十五ホンというレベル、それから五年以内という期限を申し上げたわけでございますし、責任という点に関しましては、そういうことで、できるだけ早く沿線で騒音によって悩まされている方々の状況の改善を図りたい、こういう考え方でございます。
  64. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、まず一つは、七十五までというのは第一段階で、それが達成できれば七十まで持っていくという本来の目標は捨てていないわけですね。
  65. 林部弘

    ○林部政府委員 ただいまの御指摘は、環境基準を変えたのかという御質問と同様な趣旨と承りましてお答えいたしますと、私どもは、環境基準そのものを変更したつもりはございません。  率直に申し上げまして、現在の時点で音源対策としては七十はまだ難しい。したがって七十五の達成ということで、Ⅰ類型、Ⅱ類型を問わず密集地域からやっていく。その場合に、七十五を超えているようなところで防音工事を併用しなければいけないようなところは当然あるわけでございますし、防音工事につきましては、七十五ホンを超えているところについては今年の夏の時点でもう九割近く達しているというふうに伺っておりますので、これはうんと急いで、五年以内と言わずに、できれば一年か二年以内にでも達成していただけるのであれば、そういう防音工事の実施をしてもらう。それは防音工事の面でございます。  それから七十問題といたしましては、これは防音工事でございますけれども、従来から病院とか学校とか福祉施設につきましては防音工事が既に行われてきておりまして、おおむね完了しているというふうに伺っておりますけれども、もしそこで残っているものがあれば、そういうようなところについては、七十ホン対策として防音工事は早急にやっていただく、そういうような趣旨で申し入れをしているということでございます。
  66. 中村茂

    中村(茂)委員 今説明された中で、音源対策に力点を置いていく、それは結構です、それが環境基準ですから。あと住宅の防音工事とかそういうのは、どうしてもそれが達成できない、しかし、住宅の防音工事をすることによって、中に住んでいればそれ以下で何とか生活できる、こういうことですから、これはもう音源対策に力点を置いていただきたいというふうに思うのです。  そこで、今言われた内容ですけれども、現在のところでは、騒音低減技術では七十五ホンぐらいしかできない、こういうふうに言われているんですね。そうするとこの技術が、現在と言われるから、将来進んでいけば、この技術だけで七十ホンまで持っていけるのですか。そういう展望はあるのですか。
  67. 林部弘

    ○林部政府委員 現在の時点で、発生源対策として七十ホンが達成できるという展望があるかというお尋ねかと思いますが、やはりこれから技術開発に努めなければいけない、そしてまた、その開発の結果を音源対策に活用していくということは当然あるわけでございますが、やはり線路に余り距離が近いところではどうしても難しいという問題が残ると思います。  それからもう一つ、私ども今回は申し入れをいたしておりませんが、振動の問題もあわせて判断しなければいけないというようなこともございますから、やはり沿線の、余りにも線路に近接しているところにつきましては、そういうようなところの市街化というのは余り好ましいことではないわけでございますから、その意味では、そういった沿線地域に市街地の再開発事業を行うというような際に、そういうようなものを積極的に活用する土地利用の適正化ということによって改善をしなければいけない、そういう問題もあわせて考えないと、七十ホン達成というものはなかなか難しいのではないかというように現在私ども思っております。  したがいまして、今回の申し入れに際しましては、そういった市街化の抑制の問題とか市街地の再開発の事業のようなものを活用することによって沿線の土地利用の適正化を図るという方向でお力添えをいただきたいというような申し入れも建設省の方へしたということが、従来と違った点と言えば違った点でございます。もちろんそのことは運輸省の方でも建設に当たって御配慮いただきたいことでありますから申し入れをいたしておりますけれども、やはり七十ホンというものをできるだけ近い将来に達成するということになれば、それはいわゆる音源対策だけでは難しい問題が当然残ってくるわけでございますから、やはり土地利用の適正化ということをかなりあわせて考えていく必要があるのじゃないかというのが現在の私どもの考え方でございます。
  68. 中村茂

    中村(茂)委員 口では、音源対策重点だ、重点だと言うわけだね。ところが現在の技術をもってすればせいぜい七十五で、七十までは無理だろう、だから、そのカバーとして住宅の方の防音工事とか、今度新しく建設省にも御協力いただいて土地利用対策をやっていこう。そうすると、音源対策と口では言うけれども、どうしても他の方のいわゆる対策に逃げられる要素が出てきてしまうのですよ。それを助けるようにここのところにも「住宅防音工事助成」というところで「特に七十五ホンを超える区域の住宅防音工事は速やかに完了する。」となっている。どうして七十と言えないんですか。七十五を超えるものについては音源対策でやると言っているんだ、あなたは。だから、環境基準というものは七十なんだから、七十五になっているとしてもこれはもうそういうことで七十に持っていけるようにするというのに、七十五を特に速やかにやれと言う。七十五は音源でやりたいというあなたの基本方針なんでしょう、それをこういうふうにカバーしていくから、こちらで逃げられちゃうと私は言うわけですよ。まあ、これはいいです、そういうことをよく頭の中へ入れておいてください、時間がないからね。  そこで、どうしても今の技術をもってしてはできない。しかし環境基準は七十だ。そこのところへ持っていくために音源じゃなくて違うところを全部つけていって、そして実際に家の中に住んでいれば七十に持っていこう。これはもう少し環境庁とすれば踏み込んでもらいたいと思うんだよ、音源対策に。そういうことで、技術でできないとすれば、減速をそういうひどい地域もやるというところまで踏み込まなければ七十まで持っていけないということなんです。それを、音源対策の中でただ技術だけ技術だけと、そういうふうに言って、それで現在の技術では七十五だ。しかし、環境基準は七十だということになれば、七十に持っていけるようにもう一歩踏み越えなけりゃいけないんじゃないですか。だから、環境基準を後退させて国鉄の方のいわゆる技術なり、そういうところに、まあ迎合しているといえばちょっと言い過ぎかもしれぬけれども、そういう対策になっているような気がして私はたまらないわけです。そこら辺のところはどういうふうに考えるのですかね。
  69. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  私どもが今回音源対策として七十五ホンを打ち出しておりますのは、技術的にある程度めどが立ってきたということを踏まえてでございますけれども、先ほど申しましたように、できるだけ早急に手をつけていただき、住宅の密集しているようなところについてそれを五年以内にやっていただくという問題を考えました場合に、率直に申し上げまして環境基準が達成できないということがわかっている時点で、環境庁がそういう言い方をするのはいかがなものかという御批判はあろうかと思いますが、ずばり申し上げれば、私どもが申し入れました七十五ホン対策、音源対策としてやっていただくということは、私はこれは相当国鉄当局に努力をしていただかなければいかぬ水準のものじゃないかというふうに考えております。ただ、それを達成していただければ、これは先生御存じかと思いますが、七十五ホンのところまでコンターを縮めることができれば、当然のことながら、現在七十ホン目標になっておりますところの騒音によって影響を受ける区域は狭まってくるわけでございます。七十五ホンまで下げることができれば影響範囲は小さくなります。したがって、私どもとしては現在は、環境基準というのは達成が目標でございますから、ともかくそちらの方に全力をまず挙げてもらう必要があるのじゃないか。  それから七十五を超えているところの防音工事の問題は、現在の技術をもってしてもカバーできない部分も当然残ってまいりますから、そういうところはどうしても次善の策として防音工事で対応していただくとか、あるいは場合によっては移転をしていただく場合もあるかと思いますから、そういうような意味合いから、私どもは別に環境基準の切り下げをするわけではございませんけれども、当面通るべきステップとして七十五というものを音源対策で実現をしていただこう、そのために総力を挙げていただこう。  さっき先生おっしゃいましたように、七十の防音はやらないのかということについては、七十については病院とか学校とか福祉施設のようなところについては、残っているところがあれば、これはもうすぐにやってください。それから七十五ホンを超えているところはあと一〇%ぐらいだというお話でございますから、そういうようなところは、もちろん八十を超えているようなところもあると思いますが、そういうところの音源対策については屋内の環境が十分に保持されるようなことを御確認いただいてしっかりやってほしいという意味で、七十五ホンの防音工事というものを早急に完了してほしいという意味で申し上げているわけでございまして、私どもとしては、音源対策として七十五を達成していただけば、うまくいけば七十二なり七十三なり、七十には届かないかもしれないけれども、七十五よりは七十に寄った方にかなり改善ができるのではないか。そうすれば当然コンターはそれだけ狭まってくるから、そこのところについては防音工事をどうするかというのは、そういった音源対策の進捗状況も見きわめながら行くというスタンスで行きたいということで、環境庁はなりふり構わず七十五対策を叫ぶのかと言われるとつらいのですが、我々としては、屋外でのレベルを何とかして下げていくためにはそういう形で具体的にやってもらうことを明示するのが一番いいのではないかということで、こういう形で臨んだわけでございます。減速の問題というのは、現在、一般的な環境基準七十ホン達成のための選択肢としては減速の問題は今考えてないということでございます。
  70. 中村茂

    中村(茂)委員 環境基準は七十だということを忘れないでいただきたいというふうに思います。そして音源対策で何とか七十五ホンに抑えたい、これはもう達成するように努力していただきたいというふうに思います。  それから、今現実に見ると鉄桁などについては八十を超えているところはあるわけですね。それも含めて、いずれにしても五年間に七十五まで持っていく、こういう方針ですね、この方針は。そこのところはどうなっているのですか。
  71. 林部弘

    ○林部政府委員 鉄けたのところが七十五以下に下がるかというお尋ねかと思いますが、率直に申し上げまして、近い将来七十五以下に下げられる技術を現在国鉄がお持ちになっているかどうかということについては、現在の時点では音源対策としては技術はお持ちになっていないのじゃないだろうか。したがって、そういうようなところは次善の策としての防音工事その他の対策によって対応することが必要になってくるのじゃないだろうかというふうに私どもは思っております。
  72. 中村茂

    中村(茂)委員 そういう技術だけではなかなか難しい鉄桁などについては、そのほかの対応を含めて検討するということですね。  それで、それは五年までにそういうことを含みて完了させるという考え方ですか。五年まで見て達成できなかった場合にはどうするかということは考えていないわけなんですか。いずれにしても、五年までにあらゆることを含めて、鉄桁などを含めて七十五に抑えたい、こういう方針なんですね。
  73. 林部弘

    ○林部政府委員 基本的にはそういう考え方でございます。ただ鉄けたは、先生御案内のように、一番古い時代に建設されました東海道以外のところは少なくなっておりますし、山陽も非常に少なくなっておりまして、ほかのところは鉄橋のようなところ以外は事実上ないだろうと思いますので、五年以内に少しでも改善をしてもらうように努力していただこうというふうに考えております。
  74. 中村茂

    中村(茂)委員 そこが大事なところなんだよ。少しでもという言い方は本当は何だ。少しでもなるようにということはどういうことか。
  75. 林部弘

    ○林部政府委員 国鉄がとれるあらゆる手段を尽くして頑張っていただこうという意味でございます。
  76. 中村茂

    中村(茂)委員 そして、今いろいろやりとりした方針環境庁の大気保全局長から運輸省大臣官房国有鉄道再建総括審議官あてに出したわけだね。これはどうしてこういうふうなことになるのか、よくわからぬですけれども、それはいいです。  今いろいろやりとりをお聞きになったと思いますけれども、運輸省はこれを受けてどういうふうにお考えでしょうか。
  77. 高松良晴

    ○高松説明員 運輸省といたしましては、先ほど環境庁から御答弁ございましたような要請につきまして、その趣旨も踏まえまして十分国鉄の方に検討するように指示してございます。
  78. 中村茂

    中村(茂)委員 国鉄も来ておると思いますけれども、国鉄は今度その運輸省の指示を受けて、これをどのように受けとめているかということと、名古屋の新幹線訴訟が和解に向かって話し合うということを前提にして五回も話されたということを聞いております。そして、あともう一回予定していた話し合いについては残されておる。この環境基準の達成、それとこの訴訟との関係でどのように受けとめているか、その二点についてひとつ国鉄側の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 鬼沢淳

    ○鬼沢説明員 お答えいたします。  前半の環境基準の達成についてでございますが、先生先ほど来御指摘のように環境基準の告示以来十年たちまして、まだ環境基準が達成されてないという事柄につきましては、国鉄として厳しく受けとめておりまして、今回の環境庁の要請も踏まえまして、技術開発も含めまして目標達成に向けて早急に努力してまいる所存でございまして、その詳細につきましては現在検討中でございます。  それから、二つ目の御質問でございますが、名古屋新幹線訴訟に係る原告団との話し合いにつきまして、私ども今裁判は裁判として、話し合って解決できるものについては解決すべく話し合いを進めているところは先生御案内のとおりでございます。  これと環境基準達成との関連という御質問でございます。私の受け取り方がもし間違ったらお許しいただきたいのでございますが、もともとこういった訴訟というものは新幹線の騒音なり振動なりというものが沿線の皆様方に大変御迷惑をかけた、そういうことから生じた問題でございますから、やはり騒音、振動を低減して環境基準という望ましい生活環境を保持するということそのものが主体的に行われなければならないという事柄であるというふうに受けとめておりまして、訴訟訴訟といたしまして、この種新幹線沿線の騒音、振動に係る環境を保全する努力、これは従来からもそうでございますし、今後とも続けていかなければならないというふうに考えているということでございます。
  80. 中村茂

    中村(茂)委員 環境庁の方でもう一点明らかにしておいていただきたいと思いますが、住宅防音工事の点について「速やかに完了する。」これがあるわけですね。それから国鉄は今分割・民営ということが言われていますね。ですから、そのかかわり合いというのは私どもよくわからないのですけれども、そういうことを考えてみると、速やかに完了するとか早急に対策に着手するとかそういうことは、全体的にできるだけ、五年を待たなくもどんどん早く実施しなさい、こういう趣旨ではないかと思うのですが、そういうことを、時間がありませんからお願いしておきます。  そして長官、今全体的にやりとりしたわけですけれども、いずれにしても環境基準を下げて七十五ホンにしたわけですよね。そして七十五ホンというのは技術的に音源対策でそこがぎりぎりだ、したがって、そのほかの対策はまた全体的ににらみ合わしてやっていきたい、言えば第一段階をそういうことでやって、それで第二段階は環境基準に近づけるという対策をまた考えるでしょう、きっと。そういうやり方だと思いますけれども、いずれにしても、環境基準を緩めて対策考えていくわけでありますから、これはもう五年以内に絶対に七十五以下に下げる、このことについて強い姿勢と、そういう考え方でやっていただきたい、こういうふうに強くお願いし、長官の御意見を承って終わりたいと思います。
  81. 石本茂

    石本国務大臣 いろいろ先生の御所見あるいは御見解など承ったところでございますが、今回運輸省などへ申し入れをしたこの目標に向かっては、対策をさらに進めていくための必要な当面の措置でございますので、運輸省、国鉄はそれを十分に受けとめられて着実にこれは実行してもらえるというふうに確信いたしておりますし、その後はさらに七十ホンという基準がございますので、これを達成できるように今後とも一層の努力を進めていく覚悟でございます。  どうもありがとうございました。
  82. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  83. 辻英雄

    辻委員長 この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十五分開議
  84. 辻英雄

    辻委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。馬場昇君。
  85. 馬場昇

    馬場委員 私はまず長官に、去る八月十六日に判決が出ました水俣病第二次訴訟についてお尋ねします。  まず最初に、この福岡高裁判決を大臣はどのように受けとめておられるかお伺いしたいと思います。
  86. 石本茂

    石本国務大臣 お答えをいたします。  今回の判決でございますが、司法判断という一つの御判断であるというふうに認識をしております。  水俣病判断条件は、医学専門家による検討の末に医学的にコンセンサスを得たものであり、適切なものであるというふうには考えております。  水俣病患者救済は、医学基礎として行われるべきでありまして、救済すべき人については速やかに救済をしなければならない、これは当然のことだというふうに考えております。  水俣病対策につきましては、今後とも幅の広い角度から引き続き検討を行うとともに、認定業務の促進などにも精いっぱい努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  87. 馬場昇

    馬場委員 判決が出た後、長官の談話を私は新聞で読んだわけでございますが、環境庁としてはこの判決を謙虚に受けとめておるというふうなことを言っておられたようでございます。今の答弁でもはっきりわからなかったのですけれども、この判決は、上告しませんでしたからもう確定しておるわけでございますが、この判決長官としては尊重なさるつもりですか、どうですか。謙虚に受けとめるということは談話で見たのですけれども、この判決を尊重なさるつもりがあるのかないのかということを端的にお答えください。
  88. 石本茂

    石本国務大臣 あの判決の結果につきましては、これは謙虚に受けとめさせていただいておりますし、その後も真剣に検討を重ねているところでございますけれども、この二次訴訟は、原告と、それから被告のチッソでございますが、そのチッソ株式会社当事者とする民事上の訴訟でもございまして、その当事者間の問題であるというふうに一応理解しております。  水俣病判断条件は、医学専門家によりますところの検討の末……(馬場委員「それはさっき聞きましたからいいですよ」と呼ぶ)医学的なコンセンサスによるものだというふうに考えているところでございます。
  89. 馬場昇

    馬場委員 この裁判所の判決の中では、行政に対していろいろなことに物を言っているわけですよね。ところが、私は何もひっかけて聞こうと思っているわけではないのですけれども、尊重なさいますか、尊重いたしますという答えが出ると思ったのですが、なかなか尊重という言葉をお使いにならないわけですけれども、長官水俣病というのは、公式に発見されてから来年の五月一日がちょうど三十周年なのです。これは公式に発見されてからですからね。学者の研究によりますと、三十一年の前の二十八年にも発症しておるということがはっきり認められておるわけです。さらに研究者によりますと、太平洋戦争の勃発前後から実は発症しておるという研究のデータを出しておる人もおるのです。まさに三十年を越している問題。  ちょっと事務局の方に聞きますけれども、今この水俣病関係では、公式に発見されてからでもいいのですが、裁判で争われたものは幾つありますか。
  90. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  現在係属中のものは五件でございますが、それ以前のものを今調べておりますので、ちょっとお待ち願います。
  91. 馬場昇

    馬場委員 けさ、ちゃんと通告をしておいたのです。一覧表をつくって出せ、間に合わなければ数をきちんと発表せよということを言っておいたのですけれども、ないというのはけしからぬ話です。十以上です、十以上あるのですよ、長官。そして水俣病の問題でとにかくいろいろ解決のために前進したものがあるとすれば、これは患者が血みどころに闘って前進した部分と、裁判所が行政は怠慢じゃないか、やるべきじゃないかということを判断を下した、そういうものに支えられて進んできただけであって、いわゆる行政が主体的に、積極的に何をしたかということはほとんどない。そういう面で私はこれ何回でも質問しておりますけれども、そういう点について水俣病の発症についても行政責任がある。ましていわんや今日までほとんど解決ができていないということは反省をしておるということを歴代の長官答弁しておる。最後に押し問答したってしようがありませんけれども、今日解決すべき問題が山ほどあるわけでしょう、長い、三十年もたっておる時期に。こういうものについて行政を預かる者としての反省はありませんか。
  92. 石本茂

    石本国務大臣 今先生申されますように、三十年という長い年月を経て、なお今日こうした問題でいろいろと、どういいますか、お話を聞いたり、またお答えしたりしなければならないということを私は残念だというふうに思っております。
  93. 馬場昇

    馬場委員 水俣病、このごろ、もうこれを風化させてしまおうというような環境庁の姿勢があるのですよ。私はそう思います。だから今までの大臣の答弁より長官答弁は全然後退してますよ。本当に行政としても、大臣としても責任を感じ、反省をしておる、政治家としても、本当に今まで何もしなかったと反省しておると、みんな長官答弁されておる。そして一生懸命それなりにやられたのです。今、この判決を尊重するとも言わない。そしてまた反省はしておりませんかと言っても、反省をしておりますとも言わない。そういうことでは、私は今から先に質問することでもわかり切っておるような感じがしてしようがないのですけれども、それではやはり行政というのは進みませんよ。そのことだけはまず申し上げておきたいと思います。  そこで、具体的に入りますけれども、現行の認定制度というものを大臣はどう考えておられますか。
  94. 石本茂

    石本国務大臣 的確にお答えできるかどうか自信はございませんけれども、先ほど来繰り返しておりますように、医学の、どういいますか水俣病について承知している学者のコンセンサスを得て今日まで対処してきたというふうに聞いておりますし、私もそれより手がなかったのではないだろうかというふうな気持ちもややいたしております。
  95. 馬場昇

    馬場委員 これは事務局でも結構でございますけれども、結局これは昭和四十五年の救済法の時代から、四十九年の補償法の時代から、このいわゆる認定というのは行政がするんです。政府がするんです。それを今知事に事務を委任している。そして知事は認定審査会という会をつくった、それに諮問をしておる。しかし、あくまでもこれは参考にするために諮問をしておる。この認定をする権限というのは行政にある。ところが今聞いておりますと、本当に何かすべてが、その審査会が言ったとおりにやっております、行政の主体というのは全然出てきていないわけでございます。そういうところは判決の中でも今度言われておるわけでございまして、結局この認定制度というのは不作為違法の判決が五十一年にあったでしょう。認定のおくれは行政の怠慢で違法だと言われておるわけでしょう。これは確定しておるのですよ。それから不作為違法の解消をしないから損害賠償金を支払いなさいという判決も出ておる。事務の委任を受けた沢田知事は、この認定制度は破綻しておるということも言っておる。今の細川知事は、この認定制度は正常な状態ではない、こういうことを言っておる。事実、六千人近い人がこの制度の前で滞留をしておるという現実がある。この裁判の判決でも指摘をされておる。この不作為違法、あなた方行政の怠慢で違法だと言われてからもう十年ぐらいになるのですよ。こういうことで、この判決が出た機会にこの認定制度というものを改善するという意思はあるのかないのか答えてください。
  96. 目黒克己

    目黒政府委員 現行の認定制度につきましては先生指摘のとおりでございますが、環境庁といたしましては、熊本県における月間約百五十人の検診をやるとか、百三十人の審査体制の整備を始めるといったようなことでございまして、そのほかに県外の検診機関を設置する等々というふうな制度をつくっているところでございます。また、この検診について、特に長期の未処分者の方々に検診の希望の日時をいろいろ照会した上で、申請者の方の都合に合わせて検診を受けていただくといったようなきめ細かな配慮もいたしておるところでございます。  こういう状況でありますほかに、先ほど来御説明申し上げておりますように、この認定制度というものはそもそも患者救済ということでもございますし、患者ということから申しましてやはり医学というものを基礎に置いていく必要がある、このように考えているわけでございます。そして、その医学は、あくまでもこの審査会の判断というものを尊重して行うということでございます。また過日、専門家によります……(馬場委員「それは後で聞きます」と呼ぶ)はい、わかりました。そういうことでございまして、現在では私どもの方では判断条件を変えるというふうなこと、あるいは認定の制度を大幅に変えるというふうなことは考えておらないわけでございます。
  97. 馬場昇

    馬場委員 認定制度を大幅に変えるということは考えていないとおっしゃいましたけれども、裁判はこの認定制度についても改善を求めておるでしょう。少なくとも十年前に不作為違法、あなた方行政の怠慢は違法と言われて、十年たって一つも改善されていないでしょう。ここでこれを抜本的にとは言いませんが、少しでも改善するという意図があって、そういう努力をしますか。
  98. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  先般の専門家会議の結果でも指摘されましたように、幅広い角度から……
  99. 馬場昇

    馬場委員 やめてください。端的にあなたは改善をしますか、努力をしますかということを聞いているんだから。中身は後で聞くのです。  この認定制度、十年たっても同じでしょう。一つも改善されていないでしょう。そういう中で、行政責任者でしょう、あなた方が。あなた方がこれを認定するわけですから。審査会というのは諮問機関でしょう。だから、あなた方がこういう状況の中でこれを改善するという意思はあるのか、努力はするのか、それだけ答えてください。
  100. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  認定制度については現行のまま進めたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 馬場昇

    馬場委員 裁判でどんなに指摘されようとも、まさに、あなた方は違法を犯していると言われても、そのために賠償金を払えと言われても、現行のまま押し通すということは、これは患者切り捨て以外の何物でもないのですよ。患者救済するというのが補償法の精神でしょう。まさに裁判所からも違法を指摘されながら、そして苦しい患者を抱えておりながら現行のままで押し通すということは何ですか。あり得べからざる行政機関の姿勢じゃないですか。こういうことを患者熊本の水俣に伝えてごらんなさい、あなた方は要らないと言われますよ。  そこでもう少し具体的に申し上げますが、認定制度と補償、と言うよりも審査会と補償とのかかわり、まだわかりにくいから、さらに具体的に言うと審査会は補償考えてやるのですか、やらないのですか。
  102. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  水俣病患者救済は先ほど来申し上げておりますように医学基礎として行われるべきものでございまして、救済すべき人につきましては速やかに救済をしていくということが必要であろうと私ども考えております。したがいまして、後天性水俣病判断条件というものにつきましては、医学専門家による検討の末できたものでございまして、あくまでも私どもは認定申請者水俣病であるか否かを医学的に判断するためのものであるというふうに考えております。
  103. 馬場昇

    馬場委員 それはそのとおりだと思います。  そこで、もう一つそれにかかわって聞くのですけれども、認定の審査会は、この人は軽い水俣病患者だ、この人は重い水俣病患者だ、そういうことも答申をするのですか。それとも水俣病であるというだけの答申ですか、どちらですか。
  104. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えをいたします。  認定審査会はあくまでも医学的な見地から水俣病患者であるか否かということについて認定をするということになっているわけでございます。
  105. 馬場昇

    馬場委員 これは当然のことでございまして、昨今、この人は重い水俣病患者だ、この人は軽い水俣病患者だ、そういうことを言うような人もおりますが、少なくとも行政のこの認定審査会というのは、この人は水俣病であるということをやっておるというような答弁は、そのとおりだと私も思います。  そこで、かかわってもう一つ聞きますが、この間の福岡高裁で四人、水俣病認定されましたね。これは環境庁としては水俣病患者として認めておるのですか、認めていないのですか。
  106. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  水俣病患者認定につきましては、各県の審査会が判断することでございますので、ただいま私がここで認定するかどうかというふうなことについてはお答えできないわけでございます。
  107. 馬場昇

    馬場委員 そうすると、この裁判で水俣病認定されました人は、行政ではまだ水俣病考えてはいないわけですね。
  108. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えをいたします。  ただいまの御指摘の点につきましては、私どもどちらというふうにも今お答えできないわけでございます。と申しますのは、先ほど御説明申し上げましたようにこれは審査会が決めるという立場でございます。
  109. 馬場昇

    馬場委員 審査会はまだやっていないのでしょう、この人たちは。結論を出していないのでしょう。そうしたら、あなたの答弁を聞くとこれは行政的には水俣病患者ではないということになるのでしょう。どうですか。
  110. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えをいたします。  ただいまのはちょっと説明不十分でございましたが、この四人はただいま申請中であるというふうに聞いております。そういうことでございますので、申請中で今審査会でこれから審議をいただく、こういうふうなことになろうかと思いますが、どちらにいたしましても審査会の御意見等を得て決めるものというふうに考えているところでございます。
  111. 馬場昇

    馬場委員 何でそんなに回りくどく答弁するのですかね。まだ申請を検討中で知事が認定をしていないのだから、行政的には水俣病患者ではありません、そういうことでしょう。  そこで、これは長官に基本的に後で聞きたいので、よく聞いておいてください。現在行政では六千人もずっと滞留して、後で言いますけれども、審査会は切り捨て審査会だ、これは余り信用ならないと言って検診拒否も行われておりますけれども、いずれにしても今度は裁判所の方でひとつ認定してもらおう、それでこのような裁判も起きて結論も出たわけです。  そうすると今後の水俣病認定制度というものは、例えば行政認定患者がここにおる、こちらには裁判所の認定患者がおる、認定制度というものが二つになってしまうのではないか、こういうぐあいに私は思うのです。こういうことについて、そういうことになるのかならぬのか。なるとすれば、それはどうやって統合したいのか解決をしたいのか、そのまま続けていくのか、どうですか。
  112. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えをいたします。  ただいま御指摘水俣病患者救済というものは、先ほど来申し上げておりますように医学的なものを基礎として行っていくということでございまして、現在法律に定められた認定業務につきましても同じように医学基礎として行っているということでございます。  今般の専門家会議等でもやはり現行の判断条件……
  113. 馬場昇

    馬場委員 そういう話を聞いているのではないですよ。委員長注意してくださいよ。全然聞かぬことばかり答えて時間だけ過ぎてしまうじゃないですか。
  114. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えいたします。  その裁判の判断条件に関するいろいろな御意見等も一つの司法の立場からの御意見でございますが、環境庁といたしましては、従来からのこの公健法に基づきます制度に基づいて行っていくということでございます。
  115. 馬場昇

    馬場委員 これは制度の問題ですから、局長とか大臣もう少しハイレベルで答えてください。  今私が言いましたようにどんどん裁判の方に行く、裁判は水俣病として認定する、その人にはまた額も出して補償をするというのが今度でしょう。今まではずっと行政認定していっているでしょう。そうすると行政認定患者というものと裁判認定患者というものと二つ出て、制度もそういう二つみたいになって、あるいは行政で全然やらなければ、みんな裁判に行ってしまって行政認定制度を破壊するかもしれない、信用されないで、なくなるかもしれない。それで当面は、そういう二つの制度になってしまうのではないか。そうした場合に、それはそれでいいのか、何とかそれに対応を立てるのか、このことについて答えてください。
  116. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今先生の御指摘になられましたような二つのカテゴリーの患者さんが出てくるということは、私どもとしても望ましい形のものであるとは思っておりません。したがいまして、公健法に基づいた制度をつくったわけでございますから、地域の方の御理解を得ながら、その制度の中でできるだけ物事が円滑に少しでも解決されるように運営をするように努めてまいりたいと思います。ただ裁判所は、裁判という司法という形で訴訟が起きたものについては判断をなさるお立場にありますから、その判断について私どもがとやかく言うことは差し控えなければなりませんけれども、できるだけ一つのものとして解決が図れるように私ども行政として努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
  117. 馬場昇

    馬場委員 この補償法の責任というのは、まさに今局長が言ったように本当に速やかに患者救済する、それを政治はこうやりなさい、行政はこうやりなさいとしているわけですが、現実的には、それをあなた方が不作為違法、サボってやらないことの違法状態をつくっておるものだから、やむなく裁判所に打っちゃうわけですよね。だから解決というのは、あなた方が本当に患者から信頼されて、今のような滞留もないようにして早く認定していく、そのことをこういう二つの制度をつくらないという基本に据えなきゃならぬと思う。  そういう点においてここで今ずっと詰めてきても、ここで行政の怠慢というものは一日も早く解消しなければ、そういう二つの制度ができたみたいになっちゃってまた混乱をするし、法の精神にも反する。こういうことで長官、本当にこの滞留している認定制度を今ここで改善しなければ、この水俣病問題はまた大混乱を起こすと思うのですが、その辺、そういうふうにならないように一生懸命改善のために努力されるのか、されないのか、やっぱり最高責任者としての考えを聞いておきたいと思うのです。
  118. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま企画調整局長が申しましたように、この公健法を所管しておりますのが環境庁でございます。その円滑でしかも適正な運用を図っていく、これもまた行政庁に課せられた責任であるというふうに考えております。このために認定業務の円滑な促進ということには全力を挙げまして努力をしていかなければならないというふうに私は考えております。
  119. 馬場昇

    馬場委員 本当に大臣、不作為違法、行政の怠慢は違法だと言われてから十年ですよ。一つも解決していない。こんなことが行政の中であり得ますか。こういうことを十分反省をしていただいて、改善の方向に努力をしていただきたいと思います。  それで次に、審査会でこういう滞留しておるという一つの原因に、保留者が多いんですよね。この保留者というのが今も千人以上もおるんです。この保留者というのは、部長医学的、医学的と言うけれども、審査会がどうもわからない、あるいは観察をもう少し続けたいとか、結局現時点においてわからないから保留になっておるわけです。それがもう何年も保留されておる人がいっぱいおるわけです。これもまた統計を出してもらいたいんだけれども、何年保留されておる人が何人おるのか、こういうことをずっと調べてみますと、千人くらいおる。本当に五年も十年も保留になっておる人がおる。この保留になっておる者はお医者さんたちがわからぬと言うのですが、それが五年も十年もずっと続いていきよるということで、このことについていろいろ追及していきましたら、熊本県の前の知事の沢田さんは、今の認定は破綻しておる、こういうことを言った後で、やはり認定するのは行政ですから、諮問されて意見を言った人たちでわからないと言ったのがいっぱいおる。こういうのはやはりもう行政認定しなきゃならぬと思う。だから審査会なんかがわからぬのは認定方向で答申していただきたいんだ。こういうことを発言したことが実はあるんです。  そしてもう一つは、わからないと言うとともに、患者救済すると考えたならば、お医者さんの意見にも違いがあるんですよね、このお医者さんは、これは水俣病認定した方がいい、このお医者さんは、これはやっぱりそこまで認定する必要はないんじゃないかということで、やっぱりお医者さんの中にも違いがある。そしてまた、いろいろ審査会の中でも違いがあろうし、あるいはまた、外部の医者と審査会との違いもあろうし、医者の中にもやっぱりそういう考え方の違いがある。  医学的判断というのは限界があると私は思うのですよ、神様がやるわけではないわけですから。そして結局わからぬと出たような人には、やはりこれは行政責任認定すべきではないか、こういうことでございまして、これは先ほどもちょっと議論になったようでございますが、専門家会議でも、「なお、水俣病と診断するには至らないが、医学的に判断困難な事例があることについて留意する必要がある、との意見があった」、こういうぐあいに出ておるわけでございます。先ほどから改善せい改善せいと言っておるようなことがたくさんある中で、これは具体的に今すぐ一歩を踏み出してやるべき問題ではなかろうか、こういうぐあいに思いますが、いかがですか。
  120. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えをいたします。  先生指摘の保留者、特に医学専門家会議において「水俣病と診断するには至らないけれども、医学的に判断困難な事例があることに留意する必要がある」と言っている点につきましては、先ほど来先生のお話もございましたように私ども幅広い角度から検討していきたい、このように考えているところでございます。
  121. 馬場昇

    馬場委員 だから、先ほども出たんですけれども、この検討した結論はいつごろ出されるんですか心
  122. 目黒克己

    目黒政府委員 六十一年度中に行うということを含めまして検討していることでございますので、できるだけ早くこれを出したい、このように考えているところでございます。
  123. 馬場昇

    馬場委員 せっかく裁判も判決が出たわけでございますし、この点については本当に一日も早く改善をしていただきたいと思います。そういうときには、やはり法の精神は患者はすべて救済をするという方針ですから、そういう点で判断をしていただきたいと思います。  それから次に、五十二年の後天性水俣病判断条件について聞きたいのです。これは先ほどから質問しないのに答えているのですけれども、医学専門家会議を設けて意見を聞いてみるということで、実は医学専門家会議を設けられて意見を聞かれたのは私もよく知っておりますから、もう説明はいいのですけれども、この医学専門家会議のメンバーですね、このメンバーは、五十二年の判断条件を出した人たちと一緒の人じゃないですか、同一人物じゃないですか。
  124. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えをいたします。  この専門家会議のメンバーでございますが、このメンバーの人選に当たりましては、やはり公正かつ中立な立場から審議を行っていただく、こういうことから、五十二年の認定検討会の委員ではない国際的に非常に権威のある先生方にもお願いをいたしたわけでございます。座長を務められた前の名古屋大学の内科学の教授の祖父江先生を初め、前の東大教授の豊倉先生、現在厚生省神経センターの所長をしておられます里吉先生も当時の委員ではないわけでございます。そういうことで、そういう先生に入っていただきまして御検討をいただいたということでございます。
  125. 馬場昇

    馬場委員 私がメンバーを見ましたら、五十二年のあの判断条件を出した人がほとんど全部入っておる。今の人は五十二年の判断条件のときに入っていたかどうか私記憶が明らかでないのですけれども、入っていなかったとすれば少数です。五十二年の判断条件を出した人が、これを変えるかどうかという専門家会議のメンバーにほとんど入っておる。ところが問題は、自分が前に出したのを、誤っておりましたと自分が変えるということは常識的にあり得ないでしょう。前の、五十二年の判断条件を出した人が何人か入るのは別として、今度はその人たちが出したのを変えようか変えまいかと決めるんだから、やはりもう一つの違った人たちをつくるというのが公平なやり方じゃないかと思う。  特に、今言われた人も現実的に水俣病患者を実際に自分が診察しておるという人は一人もいない。熊本で日常患者をずっと診ておる人、もう三十年もずっと診ておる人もおるわけですから、少なくともそういうような、現実患者と接し、診ておるような人、そういう人をやはりこのメンバーの中に入れてやるべきだったと思う。ただ竹内先生と原田先生は、委員には入れない、ちょっと呼んで意見は参考として聞いた、こういうことはありますけれども、私は、この専門家会議というものは、あの構成というのは適切を欠く。自分たちが前にやったことだから、それは間違いでありませんでしたと答申するのは当たり前だ、そういう意図でやったのではないかとさえも実は思います。  その前に、もう少し大切なことは、認定の主体というのは行政ですよ。責任者というのは環境庁長官ですよ。だから裁判所からこういう判決があったときに、まず行政が、この滞留している状態を見てどうすべきか。これはやはり変えた方がいい、そういうことで変えたいのです、裁判の意見を尊重したいのです、そして、検討してくださいという自分の考え方というのをはっきり出して、それぞれ賛否はあるでしょうが、進めるべきです。その責任がなくてすべてはみんな専門家会議、お医者さんに逃げ込んでおる。そして出た答申をそのまま行っておる、こういうところに患者からの不信がいっぱいあるわけです。水俣行政患者行政の信用がなければ進まないということは、もう口が酸っぱくなるほど言いましたし、皆さん方も知っておられるはずだ。そういうことで、この構成は全然正しさを欠く、こういうぐあいに私は思います。  さらに大切なことは、環境庁の姿勢として専門家会議から来たのを全部そのままうのみにしていることです。構成がおかしいと私が言っている、そのおかしい構成のをうのみにしているとともに、判断するときに、専門家会議や諮問会議のお医者さんたちはこう言った、裁判所はこう言った、その上に立って行政はどう判断するか考えなければならないのに、裁判の判断を全部無視して、お手盛りの専門家会議だけをそのまま認めて変えない、こういう態度を出す。行政の姿勢というのがこのような格好では、今後見直しは全然進まない、私はそういうぐあいに思います。  だから長官、例えば裁判がこれは変えなさい、検討しなさいというような意味のことを言っている、お医者さんたちの方は検討する必要はない、変えない方がいいと言っている、そういうときには現状をずっと見ながら、認定する責任者として両方勘案して判断すべきじゃなかっただろうかと私は思うのですが、そういう点についてはどうでしょう。次を含めて答えていただきたい。  私もこのことについてはずっと何十年とタッチしておるから知っているのですけれども、五十二年の判断条件というのは実に政治的に決まったのだ。あなた方は環境庁にいなかった。非常に政治的に決まったのは何かというと、まず四十六年の環境庁事務次官の通達というのは、水銀の影響を否定し得ないものは認定するという立場で出ておるわけです。その通達が出た後だから、四十六年、四十七年というのは物すごくたくさんの人が認定をされておる。ところが四十八年には、後で言います補償協定が出てきたのです。そして五十一年に行政の不作為違法の判決が出て、あなた方の怠慢は違法ということになった。補償協定ができ上がったということと、行政の怠慢が違法だということが四十八年、五十一年に出たのです。その後五十二年にこの判断条件をお医者を集めて決めている。このことは明らかに政治的で、前やっておったのを変えるわけです。五十二年の判断条件というのは、例えば蓋然性の高いものを認定しなさい、こう変わっている。そして知覚障害だけでなくて、運動失調とか視野狭窄とか、こういうものの組み合わせがないとだめだ、こういうぐあいに非常に厳しく変えているのです。患者を切り捨てるために五十二年の判断条件ができて、五十三年にはこれに基づいて次官通達を出している。こういうぐあいに非常に政治的。だから五十二年の判断条件が出た後は患者認定はぐっと減っているのです。  こういうことを考えますと、この判断条件というのは、あなた方は金科玉条、物すごく神聖なものみたいに言っているけれども、そうじゃない、政治的にできたといういきさつもあるわけですから、この際、何としても判断条件は変えるべきだ。私はこの裁判の判決を読んでみました。やはり四十六年のあの次官通達に返りなさいということを、言葉は違うけれども、みんなそう言っている。私は何回もここで言いました。四十六年のあの次官通達に返ってみなさい。そうしたならば検診拒否もなくなるでしょう、滞留者もなくなるでしょう、この救済が法とおり行われてスムーズに流れていくということを何回も言ったことがありますけれども、そういう意味で、本当に四十六年の次官通達にまで戻すというような考え方はないのかということについてお答えください。
  126. 目黒克己

    目黒政府委員 お答えをいたします。  先生もう十分御承知のことと思いますけれども、五十二年の通知は、四十六年の通知が当該症状が有機水銀の影響によるものであることを否定し得ない場合には水銀症とした点について、具体的にどのような場合かということを明らかにしたものでございまして、私どもといたしましては、四十六年の通知と五十二年の通知とは同じようなものであるという考え方をいたしているわけでございます。  また先ほど先生、蓋然性が高いということについての事例を引かれておるわけでございます。その点につきましても、前に大石長官答弁いたしました、五〇%、六〇%、七〇%も大体そうであろうけれども、またいわゆる定型的な症状が出ておらぬとかなんとかいうような、そういうものが疑わしいという医学的な用語になるというふうなことも申し上げておるわけでございますが、そういう例を引かれたわけでございますけれども、私どもの方といたしましては、四十六年の通知と五十二年の通知が同じものだというふうに考えている次第でございます。
  127. 馬場昇

    馬場委員 全然違うんですよ。同じものというのは、あなた方がここでお経を読むように毎回言っているだけであって、中身が違うということはだれでも知っている。それを違うと言えば困るものだから、そんなことをメンツにこだわってやっておったら、この問題は解決しませんよ。  もう少し具体的に言いますけれども、これには端的に答えてもらいたいのは、申請をして、いわゆる保留とか審査の結論が出ない人で亡くなる人が最近非常に多い。そして、死んだら解剖をなさる。解剖された後の死後認定というのが非常に多い。この死後認定というのは患者救済にはなっていないのです。だから、提案ですけれども、この死後認定をされた人のデータと生きておられるときに検診をしたデータ、そういうのを突き合わせて研究してみたら、一つ水俣病像というのもそこからまた出てくるのではないか、こういうことが考えられます。そして私は、早くからこの委員会水俣病総合調査法という法律を提案しているのですが、それとともに、この委員会水俣病の総合調査をするのだという委員会決議があるのです。何も現在までしてない。結局、不知火海沿岸は二十万人くらいの人が水銀の汚染に暴露されておる。こういう人たちを調べて、健康管理手帳くらい交付して定期的に健康の調査をしていく、そういう中から水俣病像の典型というのは出てくるのじゃないか。そして、それに合わせてきちっと疫学調査もしていく。だから、解剖によるデータが出てくれば、それと検診データを突き合わせる、健康管理手帳で、暴露された人たちはみんな定期的にその病状を遣っていく、そして疫学調査をする。しかし三十年たった今日でも水俣病像さえはっきりつかみ切っていないじゃないですか。そこに混乱があるのです。  こういうことで、水俣病像を明らかにする、そういうための今後の努力というものをしていきたい。病像が明らかであれば治療法も出てくるわけですから、水俣病像を明らかにする努力をさらにさらに続けるというようなことについての長官の意見はどうですか。
  128. 石本茂

    石本国務大臣 私、就任いたしまして以来今日まで、一番気にかけてきたのはこの水俣病対策でございました。今も気にしておるわけでございますが、何もかも全部御承知の先生でいらっしゃいますので何も言うことはございませんけれども、今申されました水俣病とは、その像はどういうものかということにつきまして、皆が承知してきたと思いますけれども、さらに一層今後を見詰めまして検討してまいりますことを申し上げます。
  129. 馬場昇

    馬場委員 この水俣病像を明らかにするということに本当は全精力を突っ込んでいなければならない。三十年たった今日も病像さえ明らかでないというのは怠慢ですよ。それはぜひひとつやっていただきたいと思うのです。  そこで次に、補償協定の問題について、ちょっと一言、先ほどちょっと問題のある発言を局長がしていますから聞きたいと思うのですけれども、この補償協定というのは、実は患者さんたちが自主交渉をやった。この患者さんの悲惨な実態というのはここで繰り返しませんけれども、この健康被害、あの劇症型から、ずっと生けるしかばね、何とこの世の地獄、そういう中で会社とか行政とかから分裂させられて患者が対立させられた、患者と市民も対立させられた、地域、人間が裂かれて、奇病だ、伝染病だと言って地域の人からも疎外されて本当に苦しい中で生きてきたあの患者たちが、昭和三十四年、見舞い金三十万とかなんとかで、チッソに原因があるとわかっているときでも、原因がわかってももう何も言ませんよといったあの悪名高き見舞い金契約で抑えつけられた。  そしてさらに昭和四十五年には厚生省の補償処理のあっせんで、こういうところで四百万とかなんとかで抑えつけられた。こういう中で、こういうときも会社は何一つ済みませんでしたということは言っていない。おれには原因はないんだ、たとえおれの原因がわかっても、もうこれ以上言っちゃいかぬぞということでもって補償協定なんかつくったのです。そういうことの中で補償の見舞い金契約をつくった。私はこれに最初からタッチしておるのですが、患者たちが最初に言ったのは、本当にこういう苦しい中でチッソの社長と直接会って、そうして心の底から社長に謝ってもらいたい、そしてこの後の生きるための保障をしていただきたい、そういうことでやむにやまれず交渉を始めました。四十六年八月です。  それから二年間どういう状態だったか。まさに鉄格子を間にして対峙して交渉もしました。チッソは全部逃げて、もぬけの殻のところにも座り込んでおった。大混乱も実はありました。本当に文字どおり血みどろで血を流して交渉をされました。そういう中でこの補償協定書はでき上がったのです。これは七月九日ですよ。ここに補償協定書の原文があります。これは私が立会人だから持っている。これは七月九日です。ところが裁判には十二月何日と出ております。あれは六派がありましたが、ほとんど全部東京交渉団がこれをつくった。ほかのは何もしなかった。しかし、これをやるときには全部に広げようということで六派のうちの五派が賛成して一緒に調印した。ところが一つの派は、おれはせぬぞと言って、しなかった。おくれた。その人たちが十二月に同じやつをやった。だからこの人たちには立会人というのはついていない。この原本には立会人がついておりまして、ここにちゃんと患者と社長と立会人は三木さんから私から沢田さんから日吉君四人、ここにちゃんと墨で書いてある。  こういうことでできたのですが、先ほどあなた方の話を聞いていて思いますのは、この立会人というのはどういうためにつけたかというと、この協定書を守らせるという意味の立会人ですよ。巷間、この交渉で金額とか中身まで三木さんがやったという話も聞くが、三木さんはそういう金額とか中身にはタッチしていないのです。ただ一カ所タッチしました。一カ所タッチしたのは患者医療生活保障基金、これを患者は五億円と言った。会社は一億円と言った。調印の朝まで決まらなかった。このときだけ、三木さんと私にここの数字を入れるのは任せてくれということで、三木さんと私がここに三を入れる、どうだと言って、そのことだけですよ、三木さんがタッチしたのは。あとの金額とか補償額の中身は全然タッチしていないっその証拠には、私が協定書を見せたら、こんなことをよく当事者が納得してまとまったものですなと言って驚いた。そういうことで、三木さんはこれを守らせるという意味の立会人でございます。そしてあくまでも環境庁というのは――三木さんが環境庁長官でした。それから沢田さんも私も、そして日吉さんも、守らせるために立会人としてここに名を連ねた。だからこれを七つつくって、立会人も一冊ずつ持とうということになったわけでございますが、先ほどのあなたの答弁を聞いてみると、この経緯を頭に置いて解決のため模索するもよいと個人的に思っております、こういうことをあなたは言われたわけですが、あなたは経緯はどういうぐあいに思っているのですか。
  130. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今先生から当時の貴重な経験をお教えいただきましたけれども、私は頭にありましたのは、環境庁の先輩から当時の苦労談といたしましていろいろ話を聞かされておりましたことを頭に置いてお答えをいたしたわけでございます。
  131. 馬場昇

    馬場委員 苦労談というのは何ですか。額をああせいこうせいとか、中に入っていったという苦労談ですか。あなたは事実を誤認している。間違いです。  本当に守るための立会人ですから、これは患者と会社が自主的に決めたもの、それを守らせるという立場環境庁にある。そのための立会人、これが経緯です。だから環境庁としては、こういうものを個人的であろうと何であろうと、何か検討する余地がある、こんなことを言ってごらんなさい。またこの問題、大混乱になる。事実誤認で経緯も知らない者が軽々にそういうことを言う。そんなことがこの水俣病行政を大混乱に陥れることは間違いない。そういうことですから、あなたは経緯を知らないのだから、やはりさっきの発言は撤回した方がいいのではないですか。
  132. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 私が先ほど申しましたのは、今の協定が大変軽いものであるとかそういうことで申し上げたわけでは全くございません。福島先生からの御質問がございまして、現在の時点において、私ども水俣問題の解決が一歩でも前進するためにいろいろな可能性を模索するのが当然だと思いますので、その勉強の一つといたしまして、福島先生のお話もございました、また例の八月の裁判以来いろいろなところでいろいろな御意見が出ております、そういうものにもフランクに耳を傾けながらベストの道を探るということが、私の個人の気持ちとして、いいのであろうということで申したわけでございまして、決して今の補償協定がどうこうということで申し上げたわけではございません。
  133. 馬場昇

    馬場委員 最後に念を押しておきますが、局長も答えてください。この補償協定に対する環境庁立場というのは、補償協定当事者がやったことだ、順守すべきものである、こういうことは当然言えると思いますが、長官局長、答えてください。
  134. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 補償協定は、先生お話しの経緯からもございますように、当事者が完全に納得してつくられたものでございまして、当事者の気持ちというのがすべてであると存じております。
  135. 石本茂

    石本国務大臣 この補償協定につきましては、環境庁といたしましては、当時の三木長官がこの協定審に署名をしておられますので、当然その精神に基づいて努力をしていくべきであると思います。
  136. 馬場昇

    馬場委員 実は、そのときのいきさつを、ここにこれだけ今まとめてあるのですよ。そのとき出したチッソの社長の調印に当たっての声明もあります。永遠に、過去、現在、未来にわたって患者救済し、協定の精神を守るということも書いてあるわけですから、これを変えるべきだみたいなことはあってはならない問題でございます。  時間が来てしまいましたが、一言だけ意見を言っておきたい。  先ほど水俣病の名前を変えたらどうだとかいう意見がございまして、答弁を聞いておりましたけれども、これこそ水俣が今後大混乱を起こすということであって、こういうことは起こすべきではない。また、混乱ということで言うのじゃなしに、これは風化を促進する以外の何物でもない。ノーモア・ミナマタ、世界の公害の原点として、こういうことは二度と犯しません、ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキと一緒でノーモア・ミナマタ、決して起こしませんという意味において、これを前向きにとらえて対策を一生懸命やるのであって、こういうふうに名前を変えるなんということはあるべきことではないということを申し上げておきたいと思います。  チッソの経営状況だとか、さっき言われました水俣・芦北地域振興計画、こういうことについても、これは県債の問題でいろいろ言われておりますし、水俣・芦北地域振興計画というのは閣議了解があるのですから、本当に地元のこと、患者のこと、地域住民のことを思われたら、長官、これは地元が計画を出すから、閣議了解事項まで引き上げて、その計画が実行できるように長官として努力していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  137. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 長官お話しになります前に、私どもの今受けとめております状況だけお話しさせていただきます。  けさほどもお話が出ましたように、六十一年度からの新しい計画を今熊本県が寄り寄りつくっておられる、近々に私ども役所の方にもお話しに来られるような状態になっておると思います。これの受けとめ方といたしましては、国土庁が窓口になりまして、私どもも関係の一員として、できるだけそれが実のあるものとして取り上げられるようにいろいろ御相談してまいりたいと思っております。
  138. 馬場昇

    馬場委員 関係閣僚会議の一人ですから、ここで持ち出してくださいということですが。
  139. 石本茂

    石本国務大臣 努力をさせていただきます。
  140. 馬場昇

    馬場委員 終わります。
  141. 辻英雄

    辻委員長 竹内猛君。
  142. 竹内猛

    竹内(猛)委員 質問に入る前に、私は皆さんに二点ほどお礼を申し上げたいわけであります。  第一は、過ぐる三月十六日から九月十六日まで茨城県の筑波研究学園都市の谷田部町で開かれた国際科学博覧会に関連をして、科学技術庁並びに関係各省庁に大変御協力いただき、各団体の方々にもお世話をいただきまして、ひとまず二千万以上の入場者等々により、大きな事故もなく終わったことに対してお礼を申し上げたいと思います。  もう一つは、先般本委員会で私は石本長官に、霞ケ浦の汚濁問題に関連して、最もひどいときに現地調査をしてほしい、こういう要請をいたしました。過ぐる八月四日に長官お忙しい中を現地調査をしていただきまして、あわせて感謝申し上げておきたいと思います。     〔委員長退席、柿澤委員長代理着席〕  さて、きょうの質問は、その科学万博が終了いたしまして今日二カ月以上過ぎております。二千万以上の入場者があったわけですけれども、これの総括という形についてはまだ聞いていないのですね。一体これは内容的に成功したのか成功しなかったのか。  入場者は確かに二千万を超しました。ところが、いろいろな報道によりますと、例えば本当に見たいところは何時間も行列しなければ見られない。大変不満が残っております。あるいは商売をする方々も、時には不法に入ってきたものもあるけれども、約束したものについてもどうも納得しない面もある、こういうようなことがあったり、倒産事件もありましたし、いろいろな点で配慮するべきものがある。心配であった衛生、保健上の問題については幸いに大きな事故がなかったわけでありますけれども、この科学万博というものは一体どのような成果が上がり、どのようなものを反省して次の博覧会のために残していくのか、そのことについて担当の科学技術庁はどのように総括されているか、まずそのことをお聞きします。
  143. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 お答え申し上げます。  その前に、先生からただいまお言葉がありましたけれども、長い間いろいろ御協力いただきまして大変ありがとうございました。  総合的な評価ということでございますので、長くなりますが、申し上げさせていただきたいと思います。  まず、博覧会の規模といたしまして、おかげをもちまして海外から四十七カ国、三十七国際機関、国内からは政府出展のほかに二十八の企業、団体に参加していただきました。先ほどお話がございましたように、目標を超える二千三十三万人の入場者があったということでございまして、これはこれまで世界で開催されましたいわゆる特別博覧会の中で最大の規模だということでございます。  それから運営面につきましては、今先生からいろいろ御指摘がございましたが、まず開会当初、物価の問題が先生からもいろいろ御指摘がございまして、その後協会の方でもいろいろ措置をとりました。最後に衆議院の物価対策特別委員会で御視察いただき、ごらんいただきましたとおり物価の問題は一応おさまったのじゃないかと思っておりますが、今お話のありました待ち時間対策、営業者の問題、協会の方もいろいろ努力いたしましたけれども、今後反省しなければいけない点が若干あるのではないかと考えております。ただ、全般といたしましては、大きな事故もなく順調に推移しまして、特に会期終了間際は非常に雰囲気のよい、盛り上がった博覧会になったのじゃないかと考えております。  それから科学万博は、開催の大きな目的としまして、科学技術に対する国民の理解の向上ということがあったわけでございますが、この点につきましては、二千三十三万人の入場者に入っていただきましたが、そのほかに、このプランができましてから七年間にわたりましていろいろな先生方、企業、関係省庁の御協力をいただきまして、科学万博の趣旨が新聞やテレビで大きく報道されたということで、科学技術に対する国民の理解向上という面では非常に大きな成果があったのじゃないかと考えております。  それからもう一つの大きな目的としまして、科学技術を通じて国際親善に貢献するということがあったわけでございますが、この点につきましては、協会の調査によりますと大体七十五万人の海外からのお客様に入場いただいております。そのうち六名の元首、十六名の科学技術関係の大臣を含めまして約七千人のVIP、要人に入っていただいております。こういう多くの方に御入場いただきまして、日本の科学技術の現状、二十一世紀の科学技術のビジョン、そういうものを世界の方に知っていただけたということは、非常に大きな成果だったのじゃないかと考えております。  それからもう一つ大きな目的としまして、筑波研究学園都市の育成ということが当初からあったわけでございますが、これは先生地元でいらっしゃるので一番御存じかと思うのですけれども、七年前と比べていただきますと、科学万博とその後の工場団地に入る民間企業を目安としまして、民間の設備投資が非常に進んでおりまして、ホテルでありますとか飲食店でありますとか、非常に民間投資が行われまして、七年前に比べますと非常にさま変わりの年になったんじゃないかと考えております。  また関連公共事業ということで、筑波まで常磐高速道、首都高速道が開通いたしまして非常に時間が短くなったということで、万博の後には非常に研究開発型の大企業の進出が決まっております。また、こういうことから既に国立試験研究機関は数多くあそこに活動しておりますけれども、この後、民間の高度な研究所があそこに進出いたしますと、今後は国立、民間の研究機能を含めまして、非常に世界的にもレベルの高い研究開発都市ができ上がるということが期待できるんじゃないかと思います。  こういうことを総合いたしますと、いろいろ御批判があるかもわかりませんが、私どもとしましては合格点をいただけたプロジェクトではないかと考えております。
  144. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今いろいろお話がありましたが、当初心配したようなことが幾つかありましたけれども、それが余り大きな問題はなくて終わったということについて、非常に幸いだったと思います。今後これを、今お話があったようにどのように利用して、活用して、活性化していくか、こういう問題については後ほど質疑の中で明らかにしていきたいと思います。  そこで、これを成功させるためには一つ大事なことがあると思うのですね。それはボランティアの問題について、たくさんのボランティアの皆さんが自主的に、創造的に参加をされまして、あの寒い三月のころから暑い夏の中においても、ごみ拾いや空き瓶、空き缶、それからさらには身体障害者の皆さんに対する手厚いもてなし、こういうことについて大変努力をされました。  この方々に対して私も二、三回現地で激励をし、お礼を申し述べたわけですが、この皆さんに対する扱いが、どうも私の感ずる限りは十分じゃないような感じがしていかのです。ただ社会福祉協議会の責任者に賞状を贈ったことはわかっているけれども、もう少し何らかの形で感謝を述べた方がいいのじゃないか、こういうように私は感ずるのですが、これはいかがですか。
  145. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 ただいま先生指摘ございましたように、一般のボランティアの方々に会期中大変に御尽力、御協力いただきました。その方々に対しましてどういう形で御礼をということでございますが、今先生が御指摘ございましたように、茨城県の社会福祉協議会を通じまして御参加いただいたわけでございますが、社会福祉協議会に対しまして、大臣及び博覧会協会の方から感謝状を贈らしていただいているところでございます。  重ねて、個人にどうかというお話かと思うのでございますが、実は御参加いただいた方、七千五百名いらっしゃいまして、そのほかに、御協力いただいた方はボランティアの方々ばかりではございませんで、催し物でありますとか警備の方でございますとか、清掃の方でございますとか非常に多くいらっしゃいまして、今までの例に倣いまして、それぞれの方が属していらっしゃる関係機関を表彰させていただくという形で御容赦いただきたいというふうに思っています。
  146. 竹内猛

    竹内(猛)委員 七千五百名のボランティアがいろいろ活躍したことはそのとおりですが、こういう自主的に努力をされる皆さんに対してもう少し気を配った方がいい、こういうことだけは申し上げておきたいし、これからもあることですから、協力したい者は勝手にしろ、というと言葉はちょっと悪いですけれども、後は紙一枚でというようなことでは、何か物をくれというわけじゃないけれども、心の温かい人たちであるだけに、心を通わせてもらいたい、こういうふうに私は要求をしたいんですね。  そこで次の問題は、一月十七日の朝日新聞のときも明らかにしたように、これは万博が終われば当然その後に廃棄物が出るということは当初からわかっていたわけです。これはもうコンクリートのくずからプラスチックから、ガラスからアスファルト等に及ぶたくさんの廃棄物が出る。この問題については科学技術庁にも、あるいは博覧会協会にも県にも私はしばしば要求をしてきました。ところが、博覧会が始まると忙しくて、そのようなところに気が使えない場面もあったかもしれません。そういう中から、終わるまで具体的に廃棄物を捨てる場所がわからない。そして終わった直後に、いきなり豊里町の野堀町長がテレビで私のところで引き受けますということで発言をされた。確かにテレビではきれいな言葉であったけれども、それから間もなく地元から反対の運動が起こってきた。今日、依然としてこの反対は続いているわけですね。  こういうような事態というものをなぜ引き起こしたかということについては、余りにも準備と誠意がないじゃないか、これは今どういうふうになっていますか。
  147. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 博覧会施設の撤去工事に伴いまして、先生指摘のように廃棄物が出てくるわけでございますが、その廃棄物の捨て場、処分場につきましては、博覧会会期中からもいろいろ内々の検討はしていたのでございます。協会の方といたしましては、県の御指導をいただきまして、何よりも捨て場の距離が近い、あるいは全体の容量が約二十八万トンございますが、そういう容量との関係で適当な候補地ということで検討しておりましたが、現在候補地として、比較的近い、いわゆる水海道市に所在いたします小貝川の廃川敷のところを候補地として選んでおりまして、県の指導によりまして博覧会協会の方で地元の方に鋭意説明を行っておるところでございます。
  148. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そう説明まではわかっているけれども、それが受け入れられていないということだね、現実に。四つの集落があって、一つの集落は条件つきで賛成をしているけれども、三つは少なくとも賛成をしていない。なぜか、それはもう十分に知っていると思うのだけれども、最初に明野町というところに大きな処理場がある、そこでやればいいじゃないかという形でこの問題を指摘をしてきた。ところがそこに誤った業者がおりまして、生ごみを捨てる、悪臭が出る、カラスが入ってきたということから地元が反対をする、これは当たり前の話だ。  そこで、この明野町に対して県議会でも問題になった。私はしばしば明野町の鬼怒川の河川敷に埋めるということは必要だということで主張をしてきましたが、それを十分に説得ができないうちに、今度は頭から小貝川の廃川敷をねらって、発表したときにはまだ地元には何の説明もしていない。こんなばかなやり方はないですよ、これは。そしてわかったときにはそうだと言う。  その廃川敷は五ヘクタールぐらいある、私も何回か現地へ行きました。水がたまっている。そこでは少なくとも九メートルぐらい穴を掘って、その下に地下水が流れている。あの地区は、地下水というか水に対しては非常に敏感などころですね。その地下水に汚物が入る、これは困る。あるいは農作物をつくるのに、また水が汚れる、それも困る。ところが二十八万トンという廃棄物は、一日の量にして八百台ぐらいのトラックが運ばなければならない。それで七万五千台ぐらいの車で運ばせなければならない。こうなると学校の道路も、従来の農家の皆さんが使っている道路も占有してしまう。それだけでも危険だということで、何としても説得できないですね。ついこの間、十五日に谷田部町の保健課長に会いました。四つの集落に説明をしたけれども、理解してもらえたのは条件つきで一カ所だ、あとのことについてはまだ十分にわからない。この状態で、一体来年の三月十六日という期限つきできれいに処理ができるかどうか、これの見通しはどうなんです。
  149. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 来年の三月十六日に会場をきれいにするということでございまして、それに間に合うように現在鋭意、協会の方で地元の方に十分御説明申し上げているところでございまして、先生の方がお詳しいかと思うのですけれども、賛成の方もいらっしゃるし、まだ御意見のある方もいらっしゃるようでございますけれども、十分説明を尽くしまして、間に合うように努力したいと考えております。
  150. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで困ったことには、県外のえたいの知れない業者が今侵入してきている。それで周辺の村に、科学万博の廃棄物を処理するから、あなたのところの周辺の土地に廃棄物を埋めることについて了解をしてくれという判をもらって歩く業者がいるのですね。新治村でもそうだ、千代田村でもそうですね。毎晩のようにこの地区では会合をやっている。その頭に、科学万博の廃棄物を捨てるんだ、だから心配はない、こういうのです。  ところが博覧会協会から出ている書類によると、これは自社処理方式をとっていて、それをつくった者が捨てるという形になっている。その時間も、朝の九時から夕方の五時半までの間に運ぶという形になっているでしょう。ところが業者というものは何を運び込むかわからない、これが一番危険なんですね。確かに科学万博から出ているあれそのものは、アスファルトを除いては、ある意味ではそれほど問題はないかもしれない。しかし、それに紛れ込んで入れるのが、しょうゆのかすであり、紙を製作した後のヘドロみたいなものであり、今まで大変なものが入ってくるわけだ。県内だけの廃棄物でも困っているのに、よそから持ち込まれる。そういう業者がうろうろしていることについて、大変迷惑なんですね。  茨城県としては、十月の段階で、ごみ捨てに関しては一つの処理方式に対する懇談会をつくって厳重にやろうとしているけれども、こういう問題をあわせて考えるときに、科学万博はうまくいったけれども後始末がうまくいかないということは甚だ残念ですね。もう少し誠意を持ってやらなければだめじゃないですか。どうですか。
  151. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 先生指摘のとおりでございまして、後始末がきちんといかないと、最後まで成功と言えないということはおっしゃるとおりでございます。  今先生お話しになりました県外の業者が県外のごみを持ち込むという話は初耳でございますが、協会の今の計画では、協会の会場から出ます車は一台一台きちんと確認して中に入れることにしています。それから捨て場の周辺にはきちんとさくを設けまして、部外者が入れないようにしております。それにつきましては二十四時間ガードマンを立てまして、車両、ごみ等についてはきちんと確認をした上で処理することにしておりまして、先生の御懸念になりましたようなことはないと考えております。
  152. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一度だけ質問しますが、廃棄物処理に関する予算は一体どのくらいあるのか。これは相当な金がかかりますね。三人とか九人とかという形で協会の方は人を配置しようとしていますが、その程度のことでは、とてもこの問題については地元は納得がいかないでしょう。だから、よほど金をかけない限りこの問題は始末がつかない、私はそう思います。  だから、本来であるならば、県なり市町村あるいは協会、こういう行政機関が中心になって別なところも考えていく形をとらない限り、私は谷田部だけをねらっていてもだめだと思う。つまり明野でだめなものは谷田部でもだめだし、谷田部でもだめなものはその他もだめだという形になって、だめだ、だめだ、だめだということがあちこちにいってしまったら、これはどこでもどうにもならない。だから、この問題についてはもう少し考えを変えていかなければならないし、予算措置もよほど考えなければうまくいかないと思うのだけれども、予算は一体どのくらい考えているのか。
  153. 沖村憲樹

    ○沖村説明員 予算の詳細については承知しておらないのでございますけれども、今先生がおっしゃいましたように交通に支障を来さないようにガードマンを立てるとか、それから道路の補修をいたしますとか、そういう部分につきまして、この処理全般につきまして地元が納得のいくような形できちんと処置をさせていただくように指導いたしてまいりたいと思います。
  154. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題は通常のことでは簡単に解決しないから、よほどしっかりやらなければいけない。また二十九日には議員の集まりもあるから、そのときにも発言をさせてもらうけれども、本当にこれはしっかり後始末をやって、名実ともによくでき上がったというふうにしてほしいということを要望として言います。これはまだまだ終わったわけではない。  次に、環境庁に関連をする質問でありますが、霞ケ浦の汚濁の問題については、長官がおいでになったときには例年よりもきれいな状態であった。確かにことしは例年よりも問題は少なかったようです。ところが今度は牛久沼が大変汚れておりまして、ここに東谷田川、西谷田川、稲荷川の三つの川が流れ込んでくる。この牛久沼が非常に汚れている上にもってきて、その地域に、ある業者が墓地をつくろうという動きが出てきております。それで、六千名ぐらいの署名が集まって、沼の浄化の問題と同時に環境を保全してもらいたいという要求がある。これはごもっともなことだと思うのです。霞ケ浦の方はかなり努力をされて、きれいになったということは申し上げませんが、去年よりはやや前進をした、こういうふうに評価ができると思いますが、牛久沼の浄化問題をどうするのか。これはどうですか。
  155. 谷野陽

    ○谷野政府委員 牛久沼の水質の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたように牛久沼の水質は、例えばBODで見ましても、ここ数年、年によって変動はございますけれども、どちらかと申しますと悪化の様相を呈していることは御指摘のとおりでございます。これは近年、流域の宅地化が大変進んでまいりまして、生活排水の流入等によりましてBODあるいは窒素、燐等が高まってきておると考えられるわけでございます。  このため茨城県におかれましては、既に工場、事業場につきましては上乗せの規制を行われているわけでございますけれども、ただいま御説明を申し上げましたように、この地域の実態から見ますと、人口の増加による生活系の汚水の問題が最も大きいのではないかと考えられるわけでございます。この地域は、筑波の学園都市の系統につきましては下水道の整備がかなり進んでおるわけでございますが、この流域の中には下水道の整備が全く進んでいない地域もある。わけでございまして、そういう地域での人口の増加が一つの問題であろうと考えております。
  156. 竹内猛

    竹内(猛)委員 認識は大体一致しておりますから、この問題は環境庁になるのかどこになるのか、墓地の問題について、これは最近の話ですから今ここでどうということにはなりませんが、こういう問題があるということについてだけ指摘をしておきます。  それから今の牛久沼の汚れている問題は、確かに生活雑排水の問題であり下水の問題ですから、下水をどうつくるかという問題は、これからの町づくりに大いに関連をしてくるわけです。今後重要な課題になってくるわけですから、ここでも一つの問題として指摘をしておくにとどめたいと思います。  ところで十一月十四日の夕刊の毎日新聞、それから朝日新聞及び各紙の十五日の新聞を見ると、環境庁関係をする国立公害研究所の調査という形で、地元の筑前水道企業団を初めとする水道企業団関係の水利用者に対する大変ショッキングな報道が出されました。それは、学園都市の水道水に有毒物質であるジベンゾフランが含まれているということであります。  この問題について、まず水を使っている四万六千の住民はもちろんのこと、県南の十八市町村において約三十一万世帯に給水をしている霞ケ浦水道事務所等がことしの二月から水の生物処理の実施をして、大変おいしい水をつくっているというときにジベンゾフランが検出された、こういうことになっている。風が決めているところの基準に基づいていろいろ検査をしたわけだけれども、この二十七の検査の中にはジベンゾフランが入っていない。だから二十七の調査以外のものとしてこれは出ているわけですから、もしこういうことが公表をされてそのままにしてあれば、これは水道管の中のタールかなんかがはがれて溶け出した、こういうような話をしていますが、すべての水道管を取りかえなければならぬことになるだろう、こういうものを一体あの時期にどういう目的で発表したか、そのことについてまず聞きたいですね。
  157. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 ただいまお話しの国立公害研究所の研究でございますけれども、これは風立公害研究所の計測技術部というところが行った研究でございまして、環境測定のための微量物質の分析測定を行う技術の開発研究ということで、純学問的に分析精度の向上を図るという見地から行ったものでございます。したがいまして、その発表もアメリカの科学学術誌にその成果を載せたわけでございますが、それが新聞記者の方の目にとまられまして、先生指摘のような記事になったわけでございます。  したがいまして、研究の目的自体は技術の改良ということでございまして、それの実験の試料と申しますか、材料に水道水を使った結果、そこからごくごく微量の今御指摘の物質が発見されたということが、その研究論文に付記されておる、こういうことでございます。
  158. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いや、研究することは結構なんですよ。研究することは結構だけれども、ああいうものを東京で発表して、そして新聞の中に堂々とこんなに大きく出た。それで十五日の日に調査に行った。所長もいなければ副所長もいない。副所長がいるかいないか知りませんが、総務部長もいない。企業団も会おうとしても会えない、こういうことですね。     〔柿澤委員長代理退席、福島委員長代理着席〕 私は国会議員だから、何言っているんだと言って会ったのが主任研究企画官、それからこの調査をした理学博士の人ですね。そうしたら今のようにアメリカで発表したのだと言う。アメリカで発表するのも結構だ。どこで発表するのも結構だが、これがアメリカで発表した原本ですよ。こういうものを発表してあれだけの問題が起こっているときに責任者が――一人が三百六十トン飲まなければ病気にはならないというのだから、三百六十トンの水が飲めるはずがない。それにもかかわらず、このようなものを発表してそのまま今日に至るまで何の音さたもないというのはどうしたことですか。
  159. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今御説明いたしましたように、新聞に積極的に発表したわけではございませんで、取材にお見えになられた記者の方にお話をした内容等が取りまとめられて夕刊に出たわけでございます。そういたしましたところ、ほかの新聞社の記者の方々も、この事案内容等について説明を求めたいというお話がございまして、改めてその研究内容等につきまして新聞記者の方々の求めに応じてレクチャーをいたしましたというのが事実関係でございます。  なお、今先生指摘のとおり翌日、早速先生がお見えいただきましたときに、私どもの公害研究所の所長、副所長ともども学会及び東京大学の方に出かけておりまして、お目にもかかれず、まことに失礼なことをいたしたと思っております。  その後のこの問題に対する私どもの対応につきましては、今御指摘の地元の方々に不安をなくすように、もっと積極的に説明を私どももすればよかったのではないか、後になっての反省でございますけれども、そういった悔みは持っておりますし、その点については御迷惑をおかけしたことを大変残念に思っておりますし、申しわけなく思っております。  なお、実は先生のところに改めて御説明に行かさせませんでして、大変恐縮至極でございました。
  160. 竹内猛

    竹内(猛)委員 十八日には参議院の環境委員長矢田部理、これも茨城県出身の参議院議員ですね、彼も現地に行っているけれども、所長、副所長には会えずに研究者と会って話をして帰ってきた、こういうことなんです。  そこで要請したいことは、研究者が自由に研究してもらうことは結構なことだ。これは大いにやってもらわなければならないし、それは結構だが、しかしこれを発表して、それがこういう状態で新聞に載せられて、しかも多くの家庭の皆さんから電話がかかってくる。一体うちはどうなるのだ、こういう電話がかかってくるし、大変恐怖というか、最近そういうことにあおられていますね。ただでさえ水の問題というのはあの辺では神経質になっているときであるだけに、このような発表をされると、これは大変だ。  しかも、それは水道の調査の二十七の調査項目から抜けているものであるだけに問題ですよ。しかも鋼管の中のタールが溶けて出ているのだということになれば、これはもうそれを取りかえなければならないという心配も起こってきている。公害研究所が記者会見をするなりなんなりして、この問題についての後始末を、こういうふうに発表したけれども、これについては心配がない、もし心配が起こったら、その責任環境庁がとる、これくらいの勇気のある発言をしなければならぬ。これは長官、こういう問題についてどうです、こんなばかなことないでしょう。
  161. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 今おっしゃられたように、住民の方々の不安等を起こすような形での勉強の成果が外に発表されるということはまことに申しわけないと思っております。ただ、勉強自体は伸び伸びとやっていただかなければならないというふうに思っておりますので、その勉強の成果をどういう形で世の中の方にお知らせするかということにつきましては、私どもも含めまして国立公害研究所の管理者といたしましても、その扱いについてはもっときめ細かい配慮が必要だろうと思っております。  特に技術屋さん特有の専門に偏りがちでございますので、その点は私どももカバーをしなければなるまいというふうに思っておりますし、その後の不安の除去等につきましても、これは非常に微量な量が出ただけであったものでございますから、技術者、科学者の常識として、この程度の量でそんなことにはというような甘い判断があったものではないかなという気もいたしますけれども、そういう点等々を十分反省をいたしております。
  162. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そういうことじゃだめですね。この間までこの国立公害研究所の所長をされていた近藤次郎さんは、日本学術会議の会長さんになられたですね。その後もかわられた人がいる、どういう人か知りませんが。  これは大臣に要請をしますが、公害研究所のこの問題について、研究責任者と一緒になって、今までの経過でこういうふうにやってきたけれども、この点について問題があり、この点は安全だ、それでもしこれについて疑義があったり問題が起こったら、その責任はやはり国がとる、そういうことでなければ、この問題は一研究官が説明したぐらいのことで済まされるような、それほど生易しいものではないですよ。そうでしょう。まだほかにも随分ありますが、もうこれ以上いろいろなことは言いませんが、とにかく近日中に正式にあそこで記者会見をする、あるいはこっちでも構いませんが、長官が記者会見をして、この問題の後始末をしてもらいたい。そして今後どういう方法によって安全性を保持するのかということでなければ、現地はもちませんね。これはどうですか。
  163. 石本茂

    石本国務大臣 このことにつきましては、原水に問題があるのか水道管に問題があるのか、原因を究明してくれというのは当局に申し入れをしておりますが、今先生申されましたように、できるだけ近いうちに、安心できるものであるなら安心できるものである、ここにこういう問題がありましたというようなことをきちっと発表させていただきたいと思っております。
  164. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ぜひ地元にわかりやすく明確に、このことについては正式に環境庁として答えてほしい。そういうふうにしませんと、現地は二千五百人の博士がおりまして研究者が大変おるのですから、その方々は家族もたくさんおりまして、どれくらい今心配しているかわかりませんね。  次に、国土庁に質問をします。  科学博覧会後の学園の都市づくりについて、特に博覧会が終わった後は、先ほど沖村さんから話があったように道路がよくなり、それからいろいろの点で社会的な基礎的なものはよくなった。それを活用して本当にこれを成果あらしめるためには一体どういうことにした方がいいのかという問題が今問われている。たまたま第四次総合開発計画の中で土浦市を中心とした県南地方に業務核都市ということで指定をされておりますが、この土浦ブロックを中心とした学園との関係で何か考え方があるのかどうか、まず基本的な考え方について示してもらいたい。
  165. 谷口哲彦

    ○谷口説明員 ただいま御指摘がございましたけれども、研究学園都市は昭和三十八年の閣議了解以来建設を進めてまいったわけでございますが、一応都市としては、概成という言葉を我々使っておりますが、第一段階のインフラ整備が終わった。しかし、今後残された課題が大変多うございまして、それにつきましては、現在国土庁の中で有識者の方々にお集まりいただきまして新筑波懇談会というのを設けまして、ここで今後の育成方法等を含めていろいろ議論をしていただいておる最中でございます。  その中でのお考えの中にも、御指摘のございました土浦市との関係をどういうふうに考えていくかということがやはり大きな課題でございます。概括的に申し上げますと、研究学園都市と土浦市の集積というものと一体となりまして、県南広域圏の中核都市となる方向で物事を考えるべきだろうという御意見がございますが、その具体的な方策等につきましては今後検討をするということに現在相なっております。
  166. 竹内猛

    竹内(猛)委員 県南地域の都市づくりの目標は、土浦市を二十万から二十五万にしよう、学園は二十二万にしようということのようです。しかし現実には土浦は今十二万しかない。学園は十五万までいってない。その学園の中で、桜村という村は全国一の人口の多い村になって四万人。ところが、そこの男女の差を見ると男性の方が四千人ぐらい多いのですよ。次の三万七千人の人口を持っている谷田部町は、これまた二千数百人男性が多い。どういうことかというと単身赴任ということじゃないか。単身赴任ということになると、いろいろな面で問題が起こっていますね。  そういう中から今起きている問題に筑波病という病気が言われている。これは筑波大学の小田先生がよくそういうことを言うのですが、何かというと、ついこの間、これは科学技術庁になるのかな、川田功さんという理学博士の方が自殺をされた。私はその家にお伺いをしていろいろ聞きました。大変寂しがっているということですね。つまり孤独感。そういうことで、自殺をされた方は六人目ですね。それぞれ立派な方々が自分で自分の命を絶つということは、その地域から見ると少なくとも何か関係があるんじゃないかという感じがしますね。  そういうことですから、どうしてもここでは、活性化という問題を考える場合に社会施設というか娯楽施設というか、とにかくそういうものがなければいけない。だからそれを研究学園とあるいは牛久、これはやがて市になりますが、これと土浦その他との間で分担をして、とにかく今後活性化のために町づくりの抜本的な改革をしなければならぬじゃないか。そういう中から新しい文化創造の拠点として総合都市文化センターなどもつくれというような要求も出ているし、いろいろなものが出ているが、この辺についてもう少し前向きな方向はないのか。いつも同じようなことばかりで、人口が一つもふえない。ふえないところには活性化はない。どうですか。
  167. 谷口哲彦

    ○谷口説明員 ただいま御指摘がございましたように、確かに我々といたしましても、筑波研究学園都市、ハードな施設は大体でき上がったのでございますけれども、都市として見る場合にはまだ未成熟であるというふうに認識をいたしております。  特に、御指摘のございましたように娯楽面とかあるいは文化的な施設等について地元からの要望も多々ございまして、その一つとして文化的な総合施設みたいなものをつくろうということで今関係当局といろいろ折衝をしておる最中でございますけれども、こういったものをどんどん進めていって、あそこで人口が定着するような、魅力ある都市づくりにしていかなければならないということが、先ほども申し上げましたけれども、懇談会の中にも大きな意見としてございまして、そのための具体的な方法とか、その辺のことになりますと、周辺の開発ともいろいろ絡んでまいりますので、少し具体的に検討を始めた段階でございます。以上のように、いろいろ魅力ある都市とするためにはまだまだ未成熟な面があるという認識で今後当たってまいりたいと考えております。
  168. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう一つ要求しておきますが、科学者や技術者や学者の方々が定年でおやめになる。そうするとその場所を去らなければならない。だから結局単身赴任という形になるのですが、高校を卒業して就職をされた若い方々は夜間の勉強をしたい、こういう場合にはその学校がない。これでは両方とも片手落ちなんです。何としてもそこに専門学校なり、夜間も通えるような学校をつくっていく、そういうやわらかい、つまり官立の余りかたいものではなしに、厳しい入学試験などやたらやらないで、もう少し勉強がしやすいところをつくっていく、このことも必要です。  もう一つは、既に大きい公園もあるし小さな公園もあるけれども、その施設が鎖が腐ったりいろいろなものが大分傷んでおりまして、いまにまた事故が起こりそうですね。そういうものは国が管理をする分野と県と村がありますが、どうもあれは国がかなり絡んでおるようだから、こういうものの維持、管理は何としてもしてもらわなければどうにもならないということ。  それから、それぞれの跡地利用についての負担の問題についても、今まで出てきた五億円ですか、五億円の金を引き揚げてしまうのではなくて何とかこれは継続しなければ、依然として人口は二十二万にならないで十五万にしかなっておらないのですから、こういうことを要求もしたいし提案もしたい。これはどういうふうになりますか。
  169. 谷口哲彦

    ○谷口説明員 最初の教育施設の問題でございますけれども、これは地元の研究所の方からも研究補助員と申しますか、そういった人間があそこでなかなか採りにくいというような御指摘もございますし、また定年後の雇用の場としても都市の多様性を付加する意味で必要な施設だというふうに思っております。ただ、こういった施設につきましていろいろ誘致の動きを県の方でも地元の方でもしておるようでございますけれども、たまたま今地元の方で少しそういった構想が動いておるということでございまして、場所等につきまして相談がございましたならば、もちろんいろいろ協力をしてまいりたい。私どもとしても一刻も早くそういったものがあの都市にできることを希望しておるものでございます。  それから公園の問題でございますけれども、あの都市は、研究環境をよくして田園的な都市として育てるというふうに法律の中にも書いてございますので、そういう面から見まして公園施設というのはあの都市のシンボルというふうに我々は認識をしておりまして、国といたしましても、そういう観点でこれまで維持、管理につきまして特別の手だてを講じてまいりました。今後とも維持、管理が良好に行われるように対策を立てるべく、現在、関係機関といろいろ協議を進めておる段階でございます。  以上でございます。
  170. 竹内猛

    竹内(猛)委員 当初もう少し問題を出す予定でありましたが、もう時間もありませんし、まだ墓地の問題や建築業界におけるいろいろな問題もありますが、これはまた別な機会にしたいと思います。  きょうはこれで終わりますけれども、水の問題に関しては人の今、毎日の生活に関係することであるだけに、ぜひ慎重な取り扱いをしてもらいたいし、研究者に対していささかも制肘を加えるようなことのないように、ひとつ研究は自由に、発表は厳粛にしてもらいたいということを強く要請して終わります。
  171. 福島譲二

    福島委員長代理 草川昭三君。
  172. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  きょうは、まず最初にパラコートの問題を取り上げます。二番目に、日本で禁止をされている農薬、ガンマBHCを日本企業がマレーシアで製造しているという問題、それから輸入果物に関する残留農薬の問題、それから、ついせんだって公害審の方に出されました自動車の排ガスの低減対策、その他の問題を取り上げたいと思います。  まず最初に、パラコートの問題が今非常に重要な問題になっておるわけでございますが、特に全国のどこにも自動販売機のないところはないという時代に、この販売機から出てくる瓶を危ないと思って飲む人はいない、こういうところに現代の盲点をついたのが毒入りの清涼ドリンク剤事件だと思うのです。これは新聞報道でございますけれども、ほとんどが強力な除草剤のパラコートを混入していくという犯罪のようでございます。この農薬を一たん口にするとほとんど助からないという劇毒物であるわけでございますけれども、一つの特徴として、犯罪が犯罪を呼ぶという模倣犯罪という言葉があるかどうかわかりませんけれども、警察庁の方としてどういうように取り組んでおみえになるのか。まず警察庁から御答弁を願いたいと思います。
  173. 上野治男

    ○上野説明員 お答えいたします。  パラコート除草剤による死亡事故というのは昨年、昭和五十九年で全国警察が掌握したもので五百三十数件発生しております。これは多くは同剤を使用しての自殺事件あるいは間違って飲んだという事件でございます。このような事件は年々増加の傾向にございます。初めてパラコートが毒物として指定された昭和五十三年には八十数件しか警察庁科学警察研究所では把握しておりませんでしたから、それと比べましても昨年は約六倍に達している次第でございます。  また、先生ただいまお尋ねがありましたように、最近パラコート剤を清涼飲料水に混入するという事件が全国に多発しております。本年四月以降昨日までで三十四件発生し、そのうち十三人が死亡しておる次第でございます。このような事案の中には自殺と認められるようなケースもございます。しかし、先般三重県津市で発生しました事件のように、小学校や保育園などにパラコート剤混入の牛乳を多数、数回にわたって置き去っていったという事件があります。このようなものは、まかり間違えば純真な子供が被害に遭いかねないという悪質な事件でございます。そういうこともございますので、警察としましては個々の事案に即して体制をとり、事案の解決、実態の解明に努めるとともに、自動販売機管理者に対してあるいは一般消費者に対して指導、呼びかけ等行うよう、被害の防止策に努めておるところでございます。
  174. 草川昭三

    草川委員 今警察の対応を聞いたわけでございますが、もう一度ここでパラコートとは何か、わかっておるようなことでございますが、これは農林水産省の方から私どもは無臭の液体だ、こういうように聞いておりますし、致死量というのは人間にとってどの程度が致死量になるのかという点、それからもう一つは、全国に一体どの程度出荷されているのか、年間の出荷量で結構でございますからお答え願いたい、こう思います。
  175. 岩本毅

    ○岩本説明員 お答え申し上げたいと思います。  パラコート剤の致死量の問題でございますが、これは毒物劇物取締法に基づきまして毒物の指定を受けておりますが、その根拠となります実験動物に対する毒性で見ますと劇物相当であるというふうに私どもは理解しております。  それから全国的な流通量でございますが、このところ年間約六千キロリットルで推移しておるというふうに見ております。
  176. 草川昭三

    草川委員 それで、においはあるのですか、これはないのですか、お伺いします。
  177. 岩本毅

    ○岩本説明員 実はパラコート剤はいろいろ他目的に使われておるというような実態もございます。そういうようなことにかんがみまして、私どもといたしましてはまず最初に、飲んだら吐き出すことができるような催吐剤の添加を、メーカーを指導いたしまして実施させてまいっております。さらにその後、着色をする、濃いブルーの色でございますが、そういった着色をさせるということによりまして、他目的利用への防止を図ってきたわけです。さらに、そういった措置をより強化する観点から、ことしの二月には、着臭剤、大変不快感を催すようなにおいを添加させることによりまして、そういった事故の防止を図ってきておるところでございます。
  178. 草川昭三

    草川委員 警察庁にもう一回お伺いしますが、今自殺があるというようなお話がありましたが、そういうことも含めての話でございますけれども、とにかく過って飲んだという事例がたくさん出ておるという御報告がありました。そういう場合に、今、農林省のお答えのように吐き出すとか着色をしてあるということがもし行われておるとするならば、そのような過ちはないと思うのでございますが、ただいままでの事件ではどのような状況であったのか、お伺いします。
  179. 上野治男

    ○上野説明員 昨年の統計によりますと、先ほどもお答えしましたように死亡事件が五百件を超す、あるいはこの半年間ほどに三十数件にわたる自販機事犯が起こっておるというような数字でございますが、そういうこともございますので警察庁としましては、国民の安全を守るという立場からいろいろ検討しておるわけでございます。パラコート剤につきましては、確かに農薬、除草剤として非常にすぐれたものであるし、また広く農家に利用されている現状というのは十分承知しておる次第でございます。しかし現実に、先ほど申しましたような大勢の人が亡くなっているということも考えまして、このようなパラコート剤の不正使用による事故の多さ、それによって一般国民が不安に駆られている、あるいは犯罪に用いられているということから、これをより少なくするためにということで、関係省庁といろいろ協力して、今後さらに事犯の絶滅を期していきたい、こう考えておるわけでございます。  具体的に二、三の例を申し上げますと、一つは、パラコート剤がもっと濃度が薄かったら、あるいは現在液体でございますが、それが固形化していたならばというような製品の改良を関係業者に対してもっと厳しく指導していただきたいということ。また、あるいは販売に当たりましては、農協等を通じて、真に農業に必要な人のみに販売を限定してほしい。一般家庭の人にまで簡単に手に入るような店で、例えばスーパーマーケットとかいろいろありますが、そういう店では売らないでほしいということ。あるいは販売に際しましては、購入者の身元、使用目的、使用場所、使用方法等を十分に確認して、必要最小限度を販売し、さらに使用に当たりましては、関係農家がこのパラコート剤の危険性を十分認識するよう、繰り返し啓発、指導してほしい。あるいはかぎのかかる場所に保管するように指導してほしい。また万一、盗難、紛失に遭った場合は速やかに警察に届けるよう、こういったような保管管理。今申しましたパラコート剤の製造、販売、使用全般にわたりまして関係者全体が安全対策上の見地から諸施策を講じるよう、もっと気をつけるよう、いろいろな指導を関係省庁でもって行っていただき、このような不幸な事故を大幅に減らせるよう、さらに努力していきたいと考えておる次第でございます。
  180. 草川昭三

    草川委員 農水省は担当の局ですが、今の警察庁の御答弁を大体受け入れられて協力をなされる御意向はございますか。
  181. 岩本毅

    ○岩本説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましても、かねてからパラコート剤の他目的使用に伴いますいろいろな事故を防止するための措置を講じてきております。例えば指導、通達によりまして保管管理の徹底あるいはパラコート剤の適正な販売、先ほど警察庁の方からも御説明がありましたように農家向けに販売するとか、あるいは都市部の園芸店ではこういったパラコート剤を扱わないようにというような内面的な指導もこれまで実施してきておるわけでございます。これからもこういった措置を強力に実施する考えでおるわけでございます。  なお、パラコート剤を薄めたらいいんではないかというような議論があるわけでございます。私どもは、この点につきましてはいろいろな検討課題があるというふうに認識しております。と申しますのは、パラコート剤を何倍かに薄めますと、それだけ流通量がふえるわけでございまして、言うならば非常に高度に発達した情報化時代でございますので、流通量がふえることに伴ういろいろな問題点が出てくることもまた懸念されるわけでございまして、こういった問題については慎重に対処していく必要があるだろうというふうに考えております。
  182. 草川昭三

    草川委員 全くおかしい答弁で、警察庁としては薄くしたものを販売したらどうか、こういう提案をしておるわけです。今農水省は薄くすると倍に量がふえるから問題だと言う。何も倍にしろと言っているわけじゃないのです。薄くても使えないかどうか、考えたらどうかという提案だと思うのですよ。だから、一つの量を二倍にして売らなきゃいけないという立場に立つから、この問題について問題が起きるのじゃないかと私思うのですが、その点どうでしょう。  それから、ついでに答弁していただきたいのですが、農水省は内部資料で、たしか昭和五十七年か五十六年だと思いますが、パラコート剤の販売調査をやってますね。これは非農業地用というのですか、無登録販売の店がどの程度あったのかという調査をやっておるはずですが、これは明らかにすることができますか、ここで発表できますか。
  183. 岩本毅

    ○岩本説明員 パラコート剤を希釈する問題でございますが、その希釈の程度といったことが、その希釈した結果の有効性といいますか、他の目的に使われでいろいろな事態を引き起こすということを防止し得る、あるいはし得ないかといったような問題につながってくると思います。したがいまして、どの程度の濃度に希釈したら一番効果的なのかといったようなことも含めて検討の余地があるだろうというふうに私どもは考えております。  それから、かつてパラコート剤の無登録のものの調査をしたことがあるんではないかという御指摘でございますが、過去に、これは別にパラコート剤に限らず、私どもは一般的に、農薬取締法の規定に基づかずに、登録をとらずに販売されている農薬の指導、取り締まりということは通常業務として実施してきておりまして、過去にはそういった通常の取り締まり業務の中でパラコート剤の無登録のものを販売していたという事実がございました。これについては一定の行政処分をかけたところでございます。
  184. 草川昭三

    草川委員 これはぜひ無登録の販売店が全国に何軒あるのか、あるいはどういうような実態なのかというのを、この際一回、国民の前に明らかにされたらどうなんでしょうね。そして、それを全国民が十分承知をしながら対応を立てるということも必要だと思うのです。だから、そういう資料が既に出ておるわけですから、これは明らかにされるのが当然だと思うのですが、資料の公表をされますか、どうですか。
  185. 岩本毅

    ○岩本説明員 無登録の農薬の扱い業者といいますか、そういった人たちに対します立入検査あるいは調査の問題であります。現在こういった事態に立ち至っておりますので、私どももそういう立入検査なりあるいは調査を進めておる段階でございますので、その過程におきまして、そういった実態をつまびらかにするのは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
  186. 草川昭三

    草川委員 ですから、これは警察庁にもう一回聞きますが、警察も農水省も関係省庁と話し合いをやっておると言うのですが、本当に話し合いをやっておるのですか。今のような答弁で片一方は差し控えたいとかと言う。これは内部資料といったって、もう既にある程度関係者にみんな発表しておる資料があるわけです。それをみんなで注意をしなければいけない、こういう段階です。私は警察庁に、もう少し関係省庁の連絡を明らかにしてもらいたいということを強く要望したいと思うのです。  ちょっと警察庁の答弁の前に、総務庁来ていますね、行政監察局おいでになっていますね。  実は「農薬による危害の防止に関する行政監察」というのを昭和四十六年一月十八日に、当時の農林省及び厚生省に対して勧告をしたという事実があります。勧告は非常に多岐にわたっておりますが、「農薬の残留対策について」あるいは「農薬による環境汚染防止について」「残留農薬許容量の設定に関する調査研究体制について」あるいは「農薬の残留毒性検査の充実について」それから「都道府県における残留農薬の検査体制について」等の項目があり、それから最後になりますが「農薬取締りについて(厚生省、農林省)」この中には「毒劇物の保管不適、譲渡手続不励行など毎年相当数の違反事項が発見されているが、違反者に対する処分などが適切に行なわれていないため、販売業者の法令違反事例は必ずしも減少していない。」そしてさらに飛びますけれども「それらの行政処分を行なった事例はなく、そのほとんどが口頭での改善指示にとどまっており、改善を確認する措置を講じていないため、取締りの効果が十分あがっているとは認めがたい。」そして、都道府県に「取締権限を委譲しているが、いずれの道県においても、当該権限に基づく立入検査はほとんど行なわれていない。」と指摘しております。これは今農水省答弁で、これからも一生懸命やりますよとおっしゃっておられますが、四十六年の一月に行政監察で非常に厳しい指導があるのです。  この点について行政監察局、私の言ったことに間違いがあるかどうか確認をしたいと思うのです。
  187. 石和田洋

    石和田説明員 御指摘の監察でございますが、四十六年には私どもの監察の結果を勧告したということでございまして、監察の仕事は四十五年の十月の時点で実施したわけでございます、当時の行政管理庁でございます。この背景には農薬の人畜に与える影響であるとか自然環境の問題あるいは食品に対する不安といったようなことが問題となっていたということがございまして、主として残留農薬の問題を中心に監察したということでございます。  その結果、先生指摘のとおり、非常に広範にわたる問題の指摘を行ったわけでございますが、その後、法律の改正、通達等によって、例えば講習会を開催するとか、あるいは人体に被害を生ずるおそれのある農薬についての登録の取り消しであるとか販売の禁止、あるいは保管について具体的な方法を指示するといったような措置がとられたというふうに承知いたしております。
  188. 草川昭三

    草川委員 今おっしゃったように改善されているならば、一番最初に警察庁から御答弁があったように五百三十九件というような死亡例は生まれないわけですよ。  そこで、一体フォローアップという言葉がありますけれども、行政監察もじつ放しなのか。今後こういうような事態の中で改めて行政監察を考える余地はございませんか。
  189. 石和田洋

    石和田説明員 監察の仕組みといたしましては、勧告した内容について時期を見てその推進状況を監察するという方法もございますが、本件につきましては、最近不慮の農薬の事故が必ずしも減ってないという状況もございますので、先生の御意見を踏まえながら、所管省庁の対応状況等を見ながら検討させていただきたいと思います。
  190. 草川昭三

    草川委員 とにかく、私は別に農林省を目のかたきにするつもりはありませんけれども、所管官庁ですから、今の答弁では、私はやはり行政監察は厳しくやっていただいて指導してもらわないと、役所の機構というのはなかなか動かぬと思うのですよ。問題は、解毒剤というのが本当に開発をされておればいいのでございますけれども、一応解毒剤というのはないんでしょう。これは厚生省、答えてくれますか、それとも農林省ですか。解毒剤はあるのかないのか、どちらかから答えてください。
  191. 岩本毅

    ○岩本説明員 解毒剤の問題でございますけれども、効果の面ということになりますと、多少相対的な問題が出てくるわけですけれども、解毒剤なるものが全くないということではございません。
  192. 草川昭三

    草川委員 全くないということではない。では一般的にあるかということの質問にどう答えますか。
  193. 岩本毅

    ○岩本説明員 あるというふうにお答えさせていただきたいと思います。
  194. 草川昭三

    草川委員 解毒剤はある、私どもは一般的にはそういう解毒剤というのはないから対応が難しい、こういうように聞いております。  では厚生省にお伺いをしますが、今のような答弁を厚生省は確認をされますか。きょうはその担当の省庁、見えてますか。
  195. 渡辺徹

    渡辺説明員 私どもはこのパラコート剤、毒物及び劇物取締法の観点から所管しておるわけでございますが、私どもの承知しておる範囲では、本剤によります中毒の治療はなかなか難しいということで、現在は例えば血液透析というような治療方法が主体になっておるというふうに了知しております。
  196. 草川昭三

    草川委員 課長、もう一回ちょっと明確に答えてください。非常に困難だという事実は認められるわけですね。
  197. 渡辺徹

    渡辺説明員 現在発生をしております自殺事故、先ほどの警察庁の方から五百何件かという御説明があったわけでございますが、私ども把握している範囲でも三百二十件ほどの自殺等の事故例が昨年に報告されておりまして、そのような事例から見まして、このパラコート剤、服用量等にもよるかと思います、あるいは治療までに要した時間等によるかと思いますけれども、その治療はかなり困難であるというふうに聞いております。
  198. 草川昭三

    草川委員 今のようなことで明確になったわけですが、これは皆さんお聞きになっておわかりのとおり、厚生省と農水省それから警察庁、この三つの省庁の意見は全部違います。そういう中で犯罪がふえていく。これを放置していいのかどうか。これは私、非常に重要な問題だと思うのです。多くの生命が奪われるということに対して、所管の省庁に、よってこれだけ意見が違うわけです。一体、そういうことで安心して私どもが日常生活を送られるかどうか問題があると思うのです。  それで、治療が非常に困難だとするならば、解毒剤が開発されるまでは製造販売を中止すべきではないか、あるいは毒物指定から特定毒物の指定に変更を行うべきではないか、あるいは購入者の身元確認を徹底するような何らかの新しい対応ということが必要ではないか、こう思うのです。その点について、最初に警察庁、答弁ちょっと保留していただいておりましたので警察庁から、どうするのか。そしてもう一回最後に農林省の方から、私が今申し上げた点についてどのような対応をされるのか、答弁お願いしたい、こう思います。
  199. 上野治男

    ○上野説明員 お答えいたします。  大変難しい問題でございます。私ども国民の生命の安全を預かるという立場もございますので、そういう面でいろいろ事故を通じて御意見を申し上げることが多いわけでございますが、現在の社会におきまして便利さと危険あるいは安全と能率の間をめぐっていろいろな議論があるところでございます。そういう面で一つには、先ほど各省庁と連絡を密にとっているのかという御指摘でございますが、今お答えになりました岩本課長渡辺課長とは最近は連日のようにお会いする、あるいは電話等で、この対策について鋭意検討を重ねさせていただいている次第でございます。  そういう面で、特に農水省におかれましては、最近、業者あるいは関係の農家の指導に対して、先ほど言いましたように便利さとか能率を大事にする関係業者の方々に対して強く説得する努力を繰り返しされているという見地には高く敬意を表している次第でございます。しかし私どもとしましては、この安全をさらに高めていきたい、国民の不安をもっと解消していきたいという面でもって、安全の立場から、より意見を申し上げていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  200. 岩本毅

    ○岩本説明員 パラコート剤につきましては先生も御承知のように、私ども農業サイドといたしましては除草剤としては大変有効なものであるというふうに認識しております。大変使いやすく、効果も早く出てくる、しかも価格が安いということがございます。そういう観点からいたしますと、このパラコート剤を農業用として使用している場面での事故でございません、他目的に用いられたことに起因いたします事故を何とか防止したいというのが私どもの共通の認識でございます。したがいまして、現行の法令、制度のもとで何とかそういった事故の防止に万全を尽くしてまいりたいと考えておりまして、先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、販売店におきましては農業者のみにこういった薬剤を販売するとか、あるいは保管管理をより厳重にさせるとか、先ほども申しましたように都市部の園芸店ではこういうパラコート剤を扱わないとかいうような指導を現在強力に実施しておるところでございまして、そういった措置を通じて、これからも対処してまいりたいと考えております。  それから、特定毒物へ指定したらどうかという御指摘でございますけれども、先ほど申しましたようにこの農薬の持つすぐれた特性というものを私どもはこれからも生かしていきたいと考えております。特定毒物に指定されますと、個々の農業者がこの薬剤を使用できなくなるといった規制措置も講ぜられるわけでございますので、そういうことに伴いまして他の価格の高い除草剤を使うという場面も出てくるものと考えております。したがいまして、先ほど申しましたような現行法令のもとでの十分な対応をこれから考えてまいりたい、現在既にそういった措置を講じておるところでございます。
  201. 草川昭三

    草川委員 パラコートで余り時間をとれませんのでこれで終わりますけれども、今明らかになりましたように、それぞれ努力をするとは言っておりますけれども対応に非常に差があるということ、しかも基本的な立場の違いというのがあり、その間に犯罪はふえる、こういうことになるわけです。ひとつ関係省庁、対応を一層急いでもらいたいし、それから農水省は、解毒剤はあるとの趣旨の御発言がありましたので、どういう対応を立てたらいいのか、この委員会が終わったら資料で提出をしてもらいたいと思います。我々も農水省保証つきの解毒剤があるということならば、それを大いに紹介をすることにはやぶさかではありませんから、それは農水省に対して要求をしておきたいと思います。  それでは、この問題はこれで終わりますから、関係の警察庁、総務庁の方は結構でございます。  そこで二番目に、日本でつくられている農薬が海外でどのような形になっているのかということをお伺いするわけでございますが、その前に外務省に、一九八二年、昭和五十七年の十二月に国際連合で、「健康及び環境に有害な製品の輸出規制を求める決議」あるいはまた、ことしの四月九日「消費者保護ガイドライン」というのが採択されております。これは、各国政府は、他の輸入国が製品の有害な影響からみずからを適切に守ることができるように、禁止、撤回もしくは厳しく制限されている製品に関する情報の輪を開発あるいは強化すべきである、このような趣旨の国連決議が採択されているわけでございますが、この有害な製品の輸出規制を求める決議、これに対して附属資料で、例えば世界各国の有害な農薬のリストを提出するということになっておるわけでございますが、その関係についての答弁を求めたいと思います。
  202. 村田光平

    ○村田説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘の健康及び環境に有害な製品からの保護に関します決議でございますが、この決議につきましては御指摘のように昭和五十七年でございますが、まず第一段階におきましては、経済社会理事会の第二通常会期でベネズエラから上程されたわけでございます。その通常会期におきましてはコンセンサスに至りませんでして、そして三十七回の国連総会におきまして提案された結果、採択されたわけでございます。これは賛成百四十六、反対一、棄権ゼロという結果でございましたが、この反対はアメリカが反対しておりまして、この理由は財政負担を極小化するという点につきまして満足がいかなかったための反対でございます。この点につきまして、我が国はこの決議案の採択を支持しておるわけでございます。  そこで、この決議案の概要でございますが、三点ございまして、一つは、健康及び環境に有害であるとの理由で国内での消費または販売が禁止されている製品は、当該製品の輸入国より要請がある場合もしくは輸入国で正式に許可されている場合を除き、輸出されてはならないという点でございます。第二の点は、特に薬品及び殺虫剤の特定の製品につきまして各国は、受け入れ可能な言語による明確な表示を含めまして当該製品に関するすべての情報を利用可能にしなければならないという点でございます。第三点は、国連事務総長に対しまして、かかる製品に関するリストを準備し、かつ常に最新のものとするよう要請するということでございます。  今御質問のございましたリストの点でございますが、まだ作成されたとの情報には接していない状況でございます。
  203. 草川昭三

    草川委員 日本の方から、今度新しいリストが改定されるわけでございますけれども、既に外務省の方では農水省、厚生省の方といろいろ相談をなされて提案をされるのではないでしょうか。この期限がことしの九月下旬だと聞いておりますが、その点どうですか。
  204. 村田光平

    ○村田説明員 ただいま作成をしているとの情報に接していないと申し上げましたが、訂正させていただきます。  一応できておりまして、それを毎年の国連総会までに訂正する、アップ・ツー・デートにするという体制になっているわけでございまして、ことしもそのように対応したはずでございます。
  205. 草川昭三

    草川委員 実は、そのリストの中に日本では使用禁止になっているリンデンという農薬があるのでございます。これはいわゆるBHCでございますけれども、それは入っているのでしょうかどうか、お伺いをします。
  206. 村田光平

    ○村田説明員 リストに含まれていると承知しております。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 草川昭三

    草川委員 これは農水省に聞いた方がいいのでしょうか。有機塩素系農薬の販売の禁止及び制限を定める省令、これは昭和四十六年十一月三十日に改正になっておるわけです。「(販売の禁止)第一条 農薬の販売業者は、次に掲げる農薬を販売してはならない。」という中で「(別名ガンマBHC)又は(別名DDT)を有効成分とする害虫の防除に用いられる」云々という農薬があるわけですが、日本では、この点はどういう処置をされておみえになりますか、お伺いをいたします。
  208. 岩本毅

    ○岩本説明員 BHC、DDTの問題でございますが、先生今御指摘のように、我が国では既に販売の禁止措置がとられております。
  209. 草川昭三

    草川委員 そこで東南アジアにマレーシアという国がありますが、このマレーシアに日本の現地法人で農業化学有限公司、アグリカルチャーケミカルズ公司というのですか、こういう名前の合弁企業があります。これは日本側が四八%出資、マレーシア側が五二%出資。日本側は日本農薬ですか、これが二四%、丸紅が二四%。合弁でこの会社をつくっておりますが、この会社で、今問題になっておりますリンデンを――リンデンというのはいわゆる一般商品名でございます。この商品名リンデンの中にはBHCを含む。私、パンフレットを持っておりますが、これは現地で売っておるわけですね、ばらまかれているわけです。ガンマBHC二〇%云々、BHCを含む害虫駆除剤でございますよ、こういうのがあるわけでございますね。これはつい最近手に入ったわけでございます。  こういう事実があるのでございますが、これは農林省と外務省南東アジア課でございますか、外務省はせっかくこの国連決議を実施しておみえになるわけでございますが、必ずしもこの決議に違反するという形ではないにしても、日本で使用禁止になったところのBHCを含む殺虫剤、このリンデンがマレーシア、特にペナンにあるのだそうでございますけれども、やられているという事実、これはまず農水省に確認をさせていただきたい、こう思います。
  210. 岩本毅

    ○岩本説明員 お答え申し上げます。  マレーシアにおきまして日本の合弁企業がBHCを製造しているということについては、私どももそういう実態があるということを承知いたしております。
  211. 草川昭三

    草川委員 農水省も確認をされましたが、これは資本金は幾らの企業になっておりますか、お伺いします。
  212. 岩本毅

    ○岩本説明員 マレーシアドルで千六百七十五というふうに承知しております。
  213. 草川昭三

    草川委員 千六百七十五億ドルですか。もう一遍確認してください。
  214. 岩本毅

    ○岩本説明員 まことに申しわけございませんが、単位についてはちょっと再確認させていただきたいと思います。
  215. 草川昭三

    草川委員 では、また後ほど資料を出してください。  そこで、外務省にお伺いをいたしますが、国連においても農薬の安全性という問題については非常に神経を使っているわけです。そして有害製品のリストを、それぞれの国からも出しなさいと指導しているわけです。それで、今のお話ではございませんけれども、こういうものはお互いにやめましょう、そういうことだと思うのですね。そういう対応をしているわけです。ところが、マレーシアの国のことについてとやかく言うわけではございませんが、ここで日本の企業が現地参加をしているその合弁会社で、そういうことがあるにもかかわらず、日本の国内で使用禁止になっているところのBHCを含む殺虫剤というものが生産をされている。これは国連の精神にも、あるいはこの決議に照らし合わせても問題であると私は思いますが、どうでしょうか。
  216. 村田光平

    ○村田説明員 ただいま先生指摘の点はまことにごもっともだと存じます。その意味で私ども、こういう決議につきましては関係省庁を通じまして関係方面にも周知徹底する努力を、これまで以上にする必要があるのではないかと考える次第でございます。
  217. 草川昭三

    草川委員 では、農水省はどういうような対応を立てられますか、お伺いします。
  218. 岩本毅

    ○岩本説明員 それぞれの国におきます農薬の使用規制と申しますか、そういう点につきましては、それぞれの国が持っております農業事情だとか、あるいは自然条件だとか病害虫の発生様相というものに対応して決められるべきものであろうというふうに考えております。  マレーシアの現地法人におきますBHCの製造の問題でございますけれども、私どもの現在得ておる状況から申し述べさせていただきますと、マレーシアにおきましては水田の害虫防除用としてBHCの使用が認められているという国情にあるということでございます。その辺の状況を踏まえて私どもは対応していく必要があるだろうというふうに考えております。
  219. 草川昭三

    草川委員 もう一回念のためにお伺いしますが、日本の国内でBHCがなぜ禁止をされたのか、その御説明をお伺いしたいと思いますが、これは農水省で答えられるでしょう。
  220. 岩本毅

    ○岩本説明員 一言で申しますと、いろいろな農作物その他に蓄積性があるということが一番大きな事柄だろうというふうに理解しております。
  221. 草川昭三

    草川委員 これは環境庁にも問題が関係するのでお伺いしますが、環境庁は、もちろん国内の関係、それから農薬取締法の関係、いわゆる国内の農薬取り締まりの一つのけじめの量というのですか、登録保留基準というものを担当してみえると思うのですが、この点についてはどういうようにお考えになられますか。
  222. 谷野陽

    ○谷野政府委員 ただいま御質問にもございましたように、農薬取締法におきましては登録保留の基準というものが定められておりまして、これに該当するものについては品質の改良をしなければ登録ができない、こういうことになっておるわけでございます。第三条一項でございますが、この中で四号から七号までに規定がございまして、これはいずれもいわゆる残留関係基準でございます。この規定が昭和四十年代の半ばに追加になりまして、この点につきましては、環境庁におきまして農薬の登録の保留の基準を定めておるわけでございます。現在、我が国においては登録をしない農薬は販売できないわけでございますが、登録の際には、この登録の保留基準にのっとりまして一件ずつ審査をいたしておるということでございます。
  223. 草川昭三

    草川委員 いずれにしても、環境庁も土壌を守るという意味で農薬というものに対して側面的にいろいろな対応を立てておるわけでございますが、BHCの問題は今さら申し上げるわけではございませんけれども、当時大変問題になったわけです。それで、日本の国内ではもうつくりませんよ、こういうことになったわけですね。ところが、今の農水省の答弁を聞いておると、マレーシアは現地は現地なりの実情があるのではないかということで簡単に答弁をなさっておみえになりますけれども、問題は農業労働者、働く農民に大変な神経障害を与えてみたり、人間が廃人になっていくわけでしょう。そういう意味があるからこそ禁止になっておるわけです。幾ら現地でつくろうと思っても、それを防ぐような指導を我々はすべきだ。しかも国際連合では「健康及び環境に有害な製品の輸出規制を求める」という決議になっております。こういう決議に農水省も参加をし、決議に賛成をしておるわけです。  昭和五十一年に農薬取締法が改正をされて、十六条の三には「農薬を輸出するために製造し、加工し、又は販売する場合には、」云々ということもあって、これは日本で禁止あるいは未登録、再登録されていない農薬の輸出が野放しになったという点があって、逆にこの国際連合の決議だとかいう問題がございまして、我々もかねて問題提起をしてきておるわけです。そういうような経過も考えてみるならば、今の農水省の答弁というのは、現地は現地で任せる、しかも、それは現地の企業がやられるならそういう答弁でもいいのですけれども、少なくともそこに四八%の日本側の資本が入っている。しかも日本の農薬工業会に入ってみえる企業ですから、それは農林省として注意をするのは当然だと私は思うのですが、その点はどうですか。
  224. 岩本毅

    ○岩本説明員 先ほど申し述べたとおり、マレーシアの現地の事情も私どもも十分情報を得ながら、先生の今御指摘のありました日本の企業がそれに参画しているという問題については慎重に対処したいと考えておりますが、いずれにしましても関係企業からもうちょっとよく実態を聞いた上で対処したいと考えております。
  225. 草川昭三

    草川委員 私、以前この委員会で、たしかインドネシアでございましたか、キノホルムを含む塗り薬の問題を提起したことがございましたが、厚生省はいち早く日本の国内企業に対して、これも合弁会社ですけれども指導して、販売、製造することを中止させたというようなことも聞いております。そういうことに比べると、農水省としては対応が非常になまぬるいと私は思うんですね。こういうものは日本には輸入をされることはないと思いますけれども、手っ取り早く安いからいい、便利だからいいという間に自然にいわゆる土壌が汚染をされる、あるいは、そこの農業労働者の体をむしばむということになっては大変でありますから、繰り返しませんけれども、とにかく今おっしゃった答弁の中で早急に対応を立てられて、しかるべき答えを本委員会に戻していただきたい、こう思います。  時間が随分過ぎてまいりましたので、今度は、フィリピンにおいてバナナがつくられているわけですが、このバナナというのは日本の食卓に、ほとんどと言っていいほど日本に入ってくるわけです。フィリピンの現地における農業労働者は非常に劣悪な条件に働いているという強い不満がございます。フィリピンの中の労働者の問題をなぜ私が取り上げるかといいますと、このフィリピンでバナナを製造しているのは、また日本資本が参加をするところの多国籍企業であるからです。日本が参加をする多国籍企業が非常に劣悪な条件でフィリピンのバナナだとかマンゴーだとかパイナップルを製造しておるわけですが、これが大量に日本に輸入をされることになります。  そういう立場からこの問題を質問したいと思うのですが、まず、バナナ、マンゴー、パイナップル、こういうものが年間どの程度日本に輸入になっているのか、これをお伺いしたいと思います。
  226. 武政邦夫

    ○武政説明員 お答えします。  バナナでございますけれども、一時百万トン近くまで推移した時代がございますけれども、最近徐々に減少しておりまして、平均いたしますと大体七十万トン程度と見ていただければ結構だと思います。七十万トンのうち約十万トンが台湾産で、残りがフィリピン産とごらんいただければよろしいと思います。  それからマンゴーでございますけれども、またこれは技術的な問題がありまして入っておりません。  それからパインの方は約十万トン程度というふうにごらんいただきたいと思います。
  227. 草川昭三

    草川委員 今の答弁で、マンゴーは別としてパイナップル、バナナはやはり日本の食卓に大量に入ってくるわけでございます。問題は、現地ではいろいろな会社があるわけでございますけれども、労働組合が現地でもございまして、日本の労働条件に対して大変な不満があるということで昨年来からストライキをやっていたわけでございます。これはどうやら解決したようでございますけれども、その間の事情を外務省はどのように把握されているか、お伺いをしたいと思います。
  228. 小林秀明

    小林(秀)説明員 お答えいたします。  御質問の件はダバオ・フルーツ社という、日本の商社が三六%出資しているフィリピン法人の件ではないかと推察いたしますが、そのダバオ・フルーツ社が保有いたします五つの農園のうちの一つにおきまして、昨年の十月でございますがストライキがございまして、その際、労働者側より提示された三十数項目の要求の中の一つといたしまして、農薬使用に際するマスクとかエプロン、手袋、長靴、ゴーグル等の防具を支給してほしいという要求があったと聞いております。この要求に対しましては、ダバオ・フルーツ社としては、安全確保に万遺漏なきを期すという観点から労働者側の要求を受けて、要求のあった農薬防具の支給を行うこととしたというふうに承知しております。ただいま先生指摘のとおり、このストライキは約一カ月間続いたのでございますけれども、会社側が農薬防具等の支給その他の要求に応じた結果、解決したというふうに承知いたしております。
  229. 草川昭三

    草川委員 今外務省の答弁の中にありましたように、このストライキの要求の中で、農薬を散布する場合の安全性が非常に不十分だというりでマスクとゴムの手袋を支給しろ、靴も欲しいと言ったようでございますが、安全具はマスクとゴム手袋だけが支給されて、靴は折半だというように聞いております。非常に初歩的な要求でございますが、いわゆる農薬中毒と見られる症状の訴えが現地の労働者の中に非常にございまして、それが私どもの方にも伝えられてきておるわけであります。  それで、きょうは労働省も来ていただいておりますけれども、御存じのとおりILOは、有機燐系農薬に関する定期検診についての最低基準をつくれとか、多国籍企業に対しても非常に厳しい要求をいたしております。特に安全衛生等については水準を確保しろ、あるいは他国における経験の受け入れ国への適用、受け入れ国の政府並びに使用者及び労働団体との協力、いろいろなものがあるわけでございます。  私たまたま、きょう写真を持ってきましたけれども、現地の労働組合の方からですが、これをちょっと見ていただきたいのです。こういう足をしているのですよ。これは委員長、ちょっと見てもらいたいのです。これはひどい、いわゆる農薬犠牲ですよね。飛行機で空中散布をやるのですが、労働者が旗だけ立てて、その上に空中散布しておる。この足なんか見たら食事ができないぐらいのひどいものですから、長官も御参考までに見ておいていただきたいのでございます。そういうように非常に劣悪な条件だ、日本側もただバナナを食べるのではなくて、日本人なるがゆえにもう少し生産地の条件も考えてほしいという訴えが来ておるわけです。  それで、きょうこの問題を取り上げるのですが、労働省は多国籍企業に対してどのように対応なされるのか。あるいは日本の企業に対して外地で今のような苦情があるとするならば、どういうかかわり合いをされるのか、お伺いをします。
  230. 佐藤勝美

    ○佐藤説明員 労働省の立場から多国籍企業への対応ということになりますと、御承知と存じますがILOに「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」という宣言が昭和五十二年十一月の理事会で採択されております。これは多国籍企業の行動に関しまして、各国の政府、労働団体、使用者団体あるいは多国籍企業そのものにつきまして行動の指針を示しているものでございます。  労働省といたしましては、この宣言に示された内容に従いまして、政府、労使団体、多国籍企業が自発的意思に基づいてこれを守ることが求められておるという理解をいたしております。したがいまして、一般に先ほど御指摘のような問題がある場合に、関係の労使がこの三者宣言の示す指針を尊重して、進出地域の労働法令、労働慣行等のルールにのっとって行動することが望ましいというふうに考えておる次第でございます。
  231. 草川昭三

    草川委員 私は、きょう具体的な事例を申し上げておきますので、これは労働省の方も日本企業のかかわり合い、特に住友商事が日本企業として現地法人をつくっておるわけでありますが、その他の商社も随分フィリピンでは合弁企業をつくってバナナの生産をしているわけです。農薬の使用について、名前を挙げるとあれでございますけれども、一般名ではDBCP、商品名ではネマゴン、あるいはネマキュールあるいはフラダン、これは日本では未登録のもの、あるいは日本では失効しているものです。こういうものを使っている。特にダーズバンと言われるもの、一般名ではクロルピリホスという薬でありますけれども、これも日本では採用されていないというものもあるわけでありますが、そういうものを今言ったように素手で、あるいははだしで散布をしている、そのために大変な労働災害を受けている、こういう実情があります。これは労働省の方としても多国籍企業対策の一環として、ぜひ対応をしていただきたい、こういうように思います。  そこで今度は厚生省にお伺いいたしますが、実は私はこのフィリピンバナナの問題を、昭和五十六年の三月二十日、この委員会で取り上げているわけです。そのときに厚生省は、この五十六年の三月八日から十日間、厚生省の係官がミンダナオ島で使用農薬の調査をしたという答弁をしております。調査をしたけれども農薬の使用については否定をする答弁があったわけでありますけれども、カーボフランは使っていることを認めた答弁がございました。  その後、厚生省食品衛生課は、輸出入の検査係長の名前で全国の輸入バナナの残留農薬検査の指示を出しております。これは同じ年の九月一日から十一月三十日の間に指示を出しておりますが、この検査項目の中に、私が三月二十日質問をして厚生省は使用をしていないと言明をしたところのテミックだとかネマゴンだとかモキャップというものが入っておるかどうかという対象調査をしておりますけれども、その意図する意味は何か、お伺いしたいと思います。
  232. 大澤進

    ○大澤説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、当時カーボフラン及びチオファネートは使用されており、テミック、モキャップ、ネマゴンは使用されていない、こういう状況であったわけでございます。我々としては、食品が人間の健康にかかわる問題という観点から、一般的にフィリピンで使用されている農薬については輸入時に検査をする、こういうことで五十六年以来検査をしているところでございます。
  233. 草川昭三

    草川委員 念には念を入れてやっていただくという姿勢は私どもは評価をするわけでございますが、どこかに厚生省の方も、当時使っていないと言った農薬が使われているのではないかというような気持ちがあったからこそ、そういう調査を各食品衛生専門官の方々に事務連絡として流されたのではないか、こう思うのです。  きょうはその話は別といたしまして、今度は厚生省の「残留農薬基準一覧」の担当の方にお伺いをいたします。  ただいま日本では「残留農薬基準一覧」というのがありまして、農薬は全部で二十六品目、横に食品名としてキュウリ、トマト、ブドウ、リンゴ、キャベツ、こういうのがずっとあるわけですが、ここの中に、私が主張していますバナナ、マンゴー、パイナップルという、非常に輸入をする、しかもその輸入する果物の中には農薬がかなりたくさんあるのではないかと言われる果物等の食品がないわけですね。それを今後挿入をされる意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  234. 内山寿紀

    ○内山説明員 お答えいたします。  今先生の御指摘のバナナ、パイナップル等につきましては、現在、食品衛生法に基づく残留農薬基準は設定されてございません。これにつきましては農薬使用の状況等の把握に努めまして、必要に応じまして、国際規格等を踏まえました輸入時における検査を適宜実施する等、安全性の確保に努めているところでございます。  それからなお、先生が言われました残留農薬基準にする意図があるかどうかということでございますけれども、これにつきましては、本年度より輸入農産物を含めまして計画的に残留農薬の実態調査などを進めまして、必要に応じましてその残留農薬基準を設定し、食品の安全衛生確保に努めてまいりたいと考えております。なお、そのための予算設定といたしまして、本年度より食品残留農薬基準設定費というものもいただいております。  以上でございます。
  235. 草川昭三

    草川委員 時間が大分たってきましたので、フィリピンバナナの問題については厚生省の方に、国内の窓口で水際でひとつ慎重な対応をより立ててもらいたい、こういう要望をし、それから、今の基準の中に挿入をするということは、考える、こういうお話でございますので、それは評価をして、これは終わります。  そこで問題は、現地の労働条件、こういうものを放置していいわけはありません。特に今日、日本は国際化の時代に、ひとりよがりだという大変な非難があるわけであります。特にフィリピンは政情的にも非常に問題のあるところであります。しかし、我が国にとってはフィリピンというのは非常に重要な地位であります。そういう地位の中で、多くの農業労働者が日本企業に対してストライキをしておる、しかも一カ月にわたって。それは農薬の使用についての非常に強い不満。しかも私が今挙げました農薬というのは、WHOの分類からいきましても極度に危険だとか、非常に危険だとか、かなり危険だとかいうような分類になっている薬を使っているわけでありまして、これは一日も放置をすべきことではないと思うのです。そういう意味で、これは答える省庁がどこになるかわかりませんが、外務省は、先ほどのBHCの問題等についても、国連の精神について関係省庁とも協議をする、こう言っておりますから、それはぜひ実施に移していただきたい、こういうように思います。  以上でフィリピンバナナの問題は終わります。  そこで、あと十七分ありますので、今度は排ガス規制強化の問題をまず環境庁にお伺いをいたします。  排ガス規制の問題については、環境庁がねらっておりましたことし七月の環境基準達成期限内でNOxの濃度が守られたかどうか。放棄宣言をしたというようなことも言われておるわけでございますが、どのような指導をしたのか。守られなかった原因は何か。対応策、特に今回中央公害対策審議会に諮問をされておりますけれども、これがどの程度の期間内にお答えを願い、また何年後に実施をされるのか。少しロングランで結構でございますけれども、対応を立てられることが必要だと思うのでお伺いをします。
  236. 林部弘

    ○林部政府委員 お尋ねが幾つかあったように思いますが、環境基準が本年度の達成期限までに大都市圏において達成できなかったということは御案内のとおりでございます。この問題につきましては、本年の三月以降当委員会におきましても多くの先生方の御質疑がございまして、その時点でもお答えをいたしております。達成ができないということになりましたけれども、現実には六十年度のデータをもって評価をするというのが本来の建前でございますが、そのデータの出てくるまで手をこまねいているというわけにはまいりませんので、本年の四月に窒素酸化物対策検討会というものを発足させまして、そこにおきまして現在、施策の推進について私どもと地方公共団体また専門家の間でいろいろと検討いたし、作業しているということでございます。春先にも申しましたけれども、私どもとしましては中期的な視点からの展望をまとめてお示しをするという作業をやっているわけでございますが、この秋までにまとめるということで作業をいたしてきておりますけれども、現在、若干作業はおくれておりまして年内にはおまとめする、こういうようなことになっているわけでございまして、窒素酸化物の環境基準達成に向かっての全体的な対策といたしましては現在作業しているという段階でございます。  先ほどの諮問をいたしました排ガス対策の問題につきましては、今申しました中期展望の作業に関しましては、おおよその枠組みと申しましょうか方向と申しましょうか、それは七月の上旬に既に発表いたしておりますが、その中でも自動車の単体規制、特にトラック、しかもディーゼルトラックを中心としました、そこら辺のところを特に重点的に対応する必要があるのではないかという御指摘等もございましたし、また自治体からの強い御要望もあるということで、その点についていろいろと検討をいたしておりました。  率直に申し上げまして自動車の排ガスの単体規制につきましては、五十二年の御答申をいただきましてから乗用車につきましては五十三年規制、トラックにつきましては段階的に五十八年規制までで一通り終わっておりまして、現在はディーゼル乗用車の一部が残っておるだけということでございますので、私どもといたしましては単体規制をすぐに追いかけてやるということには技術的な困難が伴うのではないかというような判断もあったわけでございますけれども、やはり技術開発の促進を図るという意味では御諮問を申し上げ、路線をはっきりとした上で、現在の時点でメーカーのサイドにおいても保有しております技術のうちで少しでも前倒しにできるものがあるならば、それはできるだけ早い時点で御答申をいただくようにしてはどうかということで、つい先日御諮問申し上げたということでございます。  どのくらいのめどで答申をもらうのかということがとりあえずの目標になりますけれども、現在の私どもの腹づもりといたしましては、先般大気部会で御承認をいただきまして、十二月には専門委員会を設置して検討を開始するという形になっておりますので、可能なものとしてどの程度のものがいただけるかは、今の時点ではまだ予想ができないわけでありますけれども、できますれば一年以内に、専門家のお立場で具体的に単体規制の方向が踏み出せるという内容のものがまとまるのであれば、答申をいただいてそれを実現に移したいと考えております。御案内のように、答申をいただき実際にその条件に合致した規制車が出てくるためにはリードタイムが二年ぐらいかかるというのが従来までの経緯でございますので、今回御諮問いたしました単体規制について何らかのお答えがいただけて、具体的にそれが実際町の中を走る車になるまでには恐らく二年程度は時間が必要であろうと思います。
  237. 草川昭三

    草川委員 対応が非常におくれていくわけですから非常に問題だと思うのですけれども、これはしかし相手のあることでございますから非常に難しい問題があるのです。  大体、車の保安基準等をつくっておみえになるのが運輸省、それからまた工業会等の指導、対応では通産省、こういうことになりますので、ひとつ運輸省に、どのような保安基準でこのディーゼルトラック等の重点になる排ガス規制対策考えられておみえになるのか。それから通産省に工業会等の指導、特に技術的な問題点は一体何か。両省から答弁を願いたいと思います。
  238. 福田安孝

    ○福田説明員 運輸省といたしましては、従来から中央公害対策審議会の答申というものをいただきまして、さらに環境庁の許容限度の告示という手続を経まして、またそれと連携いたしまして私どもの保安基準を改正するということで規制を強化してまいったわけでございます。今回、自動車排出ガス低減対策のあり方について中央公害対策審議会の審議にかけられたわけでございますが、その審議状況を十分見きわめていきたいということを考えております。答申が出されました場合につきましても、環境庁と十分連携をとりつつ早期にその答申が具体化されるようメーカーの指導及び保安基準の改正に努力いたしまして、早期に答申の線が達成できるよう努力してまいりたいというふうに考えておるような次第でございます。
  239. 黒田直樹

    ○黒田説明員 ディーゼル車の技術的な問題ということでございますが、ガソリン車につきましては従来エンジンの改良あるいは排気ガスの再循環装置、触媒を使った後処理という形で対応をしてきているところでございますが、ディーゼル車につきましては排気ガス中の酸素が多いためにガソリン車のような触媒による後処理というのが技術的になかなか難しいということ、それから排気ガスの再循環装置につきましても、ディーゼルのトラックのような場合には負荷が非常に大きい車両でございますので、黒煙が増加するとかあるいは燃料中の硫黄分のために耐久性が悪化するというような問題がございまして、ガソリン車で使用しているようなものはなかなか効果が小さいというような問題がございます。したがって、従来からディーゼル車につきましては、排出ガスの低減技術というのが主としてエンジンの中での燃料の燃焼のタイミングをおくらせるようなエンジンの改良ということで行われてきているわけでございます。ただ、この方法につきましてもかなりもう限界のようでございまして、これ以上タイミングをおくらせるということになりますと黒煙が増加する、あるいはCOが増加する、エンジンの機能といたしましても始動性が悪化するとかいうような性能の低下の問題、あるいは燃料の消費量が増大するというような問題がいろいろあります。また、ディーゼル車につきましては黒煙を除去するためのフィルターの開発といったような問題もあるわけでございます。  したがいまして、自動車メーカーにおきましても、従来の排ガス低減技術の延長線上での研究開発と同時に新しい技術開発ということで、先ほど申し上げましたような排気ガスの再循環とか後処理の方法を開発するというようなことで鋭意取り組んでいるところでございます。私どもといたしましても、ただいまお話がございました中央公害対策審議会での審議の状況等を踏まえながら、今後必要な指導を業界に対して行ってまいりたい、かように考えているところでございます。
  240. 草川昭三

    草川委員 いずれにしてもディーゼル車が七十五万台もふえてきておる、トラックの台数全体では二十万台も減っておる、こういう段階の中で、今もお話がありましたように技術的には非常に難しいということでございますが、いずれにいたしましても、ひとつ中公審の答申が出るのと並行して、対応を急いでいただきたいということを要望いたしまして、この件は終わりたい、こう思います。  今度は厚生省と自治省に、乾電池の焼却の問題でございますけれども、これはかねがねいろいろな意見が出ておるのですが、ごみ一括処理のやり方ではメチル水銀というものが焼却灰の中に出てくるのではないかということが岐阜薬科大学の研究でわかったというのが報道されております。地方自治体の場合は非常に困っていまして、私どもの選挙区の中でも、一体乾電池処理はどうしたらいいのだろうかということで、議会も、また市民の方々の相談の中でも対応に困っておるようでございますが、その点についてどういうようにお考えになっておられるのか、厚生省と自治省にお伺いをしたいと思います。
  241. 加藤三郎

    加藤説明員 先生お尋ねの、一般都市ごみの中に乾電池が入ってきて、これが燃やされたときに大気汚染を起こすのではないか、そして、そのときに乾電池に含まれている水銀で問題が生ずるのではないか、あるいは埋立地に埋められた場合に乾電池に含まれている水銀が、例えば地下水汚染とかそういったものを起こすのではないかという御懸念が確かにございまして、この点につきまして厚生省といたしまして昨年の六月から生活環境審議会の中に専門委員会を置きまして、ここでいろいろな関係者学識者あるいは実際に清掃事業を担当している人あるいは現場で働いている人、そういった人を含めまして十三回にわたって検討しました結果をこの七月に発表させていただいているわけでございます。  その中身につきまして簡単に申し上げますと、まず現状におきまして、私ども厚生省独自で調べたデータあるいは環境庁がお調べになっていらっしゃるデータ、そういったものを含めまして現状を判断いたしますと、現在廃棄物に含まれております水銀によって大気あるいは水質あるいは土壌等について環境汚染の状態が生じているということはないという判断をいたしておるわけでございます。ただ、それなら何もしなくていいかということでなくて、業界に対しましては乾電池に含まれます水銀の量をできるだけ減らすように、かねてから通産省ともども要請をしておったわけでございますが、幸い業界の方もこれにかなり積極的に取り組んでくださいまして、これまでのところ、従前のレベルに比べましてアルカリ乾電池におきます水銀の量は約三分の一まで減ってきまして、さらに低減をするということで技術開発をお願いをいたしているということでございます。そのほかに、例えばモニタリング等を行いまして、ごみ処理に伴う環境汚染が生じないように努めているところでございます。  それから、先ほど先生がお触れになりました岐阜薬科大学の小瀬教授の論文につきましても、私ども報道ないしは先生御自身からいただきまして存じ上げております。これは今のところ実験室での研究というふうに考えております。確かに、これまで環境の中で無機水銀が例えば有機化するあるいは逆に有機水銀が無機化する、こういったものにつきましてはいろいろな論文が出ておるわけでございます。いわばその一環といたしまして、特にシリコンによって無機水銀が環境中でメチル化するのではないか、こういう御研究でございます。もちろん、私ども重大な関心を持ってこれを見ておりますが、ただ先ほど、一応私ども現状をどう認識するかということで申し上げましたところでは、実験室ではなくて実際の埋立地の土壌中、表土ないしは埋立地から出ます浸出液あるいは地下水、そういったところで有機水銀も含めましてデータをとっておるわけでございますけれども、今のところ有機水銀は検出されていないということで、今後の課題として注視をしていきたい、こんなふうに考えている次第でございます。
  242. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 使用済みの乾電池につきまして、先生指摘のように一部の市町村におきまして分別回収等を行われておるわけでございまして、また、その処理等についていろいろと苦慮しておることにつきましては私どもも承知をいたしております。ただいま厚生省の方からもお答えがございましたが、専門委員会報告あるいは厚生省の通知がこの七月に出たわけでございますが、これらを踏まえてどのように対応していくか、自治省といたしましても関心を持って見てまいりたい、このように考えております。
  243. 草川昭三

    草川委員 もう時間がありませんので最後になりますが、運輸省と建設省にお伺いをいたします。  名古屋港の西一区埋立事業、これは廃棄物の埋立処分施設でありますけれども、大都市でありますから相当大規模な廃棄物処理地を確保したいというので、港の西一区埋立事業というのを促進しておるわけです。これを第七次港湾整備五カ年計画に位置づけされるよう要望が出ておるわけですが、港湾局の対応はどうか。これが第一問です。  第二問は、これは建設省の河川局になると思いますが、名古屋市内の堀川という運河の環境改善、これも調査を行い、現在も行っておるわけですが、早期事業化のための国庫補助事業の採択を要望しておるわけでございますが、これについての対応を求めたいと思います。  本来ならばもう一つ、私が六月十四日の環境委員会で取り上げました伊勢湾の環境問題、特に埋め立ての問題を質問する予定でございましたが、時間がございませんので、第二ポートアイランド計画の問題については海上保安庁に後ほど要望だけさせていただいて、以上二件の質問を行い、終わりたいと思います。
  244. 藤森研一

    ○藤森説明員 お答えいたします。  名古屋港の西一区の廃棄物処分場につきましては、昭和五十六年六月の港湾審議会第九十三回計画部会の議を経て承認されているものであります。名古屋市で発生いたします一般廃棄物、都市施設廃棄物の最終処分地といたしまして百ヘクタールの埋め立てを予定しているものであります。本事業につきましては、港湾管理者より第七次港湾整備五カ年計画期間内に実施したいとの要望を受けております。港湾局といたしましても事業の必要性を十分認識しているところであります。なお、第七次五カ年計画につきましては、昭和六十一年度よりスタートすることで現在財政当局に要求しているところでございます。  以上でございます。
  245. 日野峻栄

    ○日野説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、堀川は名古屋市の市街地のほぼ中央を南北に流れている河川で、流下能力の不足とかあるいは護岸の老朽化等のために改修の非常に急がれている河川でございます。また、堀川の沿線は高度に土地利用されておりまして、建造物の密集した地区でございますので、河川改修と同時に沿線市街地の整備を行いまして、堀川を中心とする良好な都市環境を創出するよう、現在愛知県及び名古屋市でその総合的な整備のための調査を行っているところでございます。建設省といたしましては、愛知県並びに名古屋市の要望を受けまして、昭和六十一年度における堀川の改修につきまして予算要求を行っているところでございます。以上です。
  246. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  247. 辻英雄

  248. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、きょうはNOx問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  私の一番尋ねたい本論のところは少しおいておきまして、まず最初に、二酸化窒素の総量規制三地域の環境基準というのは六十年度も未達成となった。しかも事態は一層深刻になっていると私は考えます。大阪の場合でも、六十年版の環境白書を見ますと、二酸化窒素については、昭和五十九年度は旧基準で達成率ゼロ、それから大幅に緩和されました五十三年基準でも、一般観測局は五十八年は九六・一%の達成率でしたが、五十九年は八八・五%、それから自排局も、五十八年は四八・三%の達成率でしたが、五十九年は四四・八%と落ちております。同時に、六十年度四月、五月、六月の日平均から見た基準達成不可能局は、大阪市内だけでも既に十三局に上っております。このわずか三月の間に、昨年度の基準オーバーの日数を五〇%超えてしまっているというところが十三局中九局も出ているわけで、中には何と三カ月の期間にもう昨年度の実績を一二五%も超えたという自排局もあるわけであります。こういうふうな事態について環境庁はどう認識しておられるのか。何よりも私は、長官基準未達成の責任をどう考えておられるのか、まずお伺いをしたいわけです。
  249. 石本茂

    石本国務大臣 今先生申されましたように環境基準が達成できなかったこと、大変残念だと思っております。この対策を急ぐ意味で、この四月以来、窒素酸化物対策検討会に御相談しながら中期展望を策定するための作業を進めております。なお、そのほかに東京都知事などと意見交換もいたしました。自動車排出ガスの低減対策につきましては審議会に諮問したりしているところでございます。今後は検討会の作業を急いでいただきまして、できるだけ早く今後の方針を取りまとめたいというふうに目下考えているところでございます。
  250. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 七年もたって、しかも環境基準を二倍から三倍にも緩めて、それでなおかつ達成できなかったということに対して、環境庁としての責任ということを真剣にこの際考えていただきたいわけです。「大都市地域における当面の窒素酸化物対策の推進について」という文書も読ませていただきました。ここには困難となった理由を三点挙げ、対策としては六点挙げ、同時に自動車交通総量の抑制、交通流対策というものも挙げておりますが、どれをとりましても、それを具体化していくためには非常に大きな抵抗もあるだろう、摩擦も起こるだろう。それから非常に多額の資金導入ということも予想されるわけです。そうすると実現には大変な覚悟が要ると思うのですが、一体どのように具体的に各省庁と話を詰め、推進をされていかれるのか、お示しをいただきたいわけです。
  251. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  ただいま大臣からも御答弁ございましたように本年の四月に検討会を発足させておるわけでございまして、この中には学識経験者にとどまらず関係地方公共団体の行政責任者にも参加をしていただいておるわけでございまして、この検討会の中で方向づけをして施策の具体化を図っていくということで、作業を現在やっているわけでございます。したがいまして私どもといたしましては、今これを中期展望というふうに呼んでおりますが、その作業の最中でございまして、年内にはこれを取りまとめてまいりたいと考えております。  それから他の省庁との具体的な連係プレーの問題につきましては、先ほど先生の申されました、いわゆる総合的な交通対策の一環といたしまして、私どもと運輸省と厚生省とがそれぞれブリッジをかけまして、共同輸送のようなものを中心にいたしまして、大都市での物流の効率化というものに資するような形のものを、調整費の中で本年若干の予算を確保いたしまして、現在その調査研究も一方において行っているというような状況もございますし、私どもといたしましては他の省庁にも、これからもさらに、こういった総合的な交通施策については働きかけて具体化を図ってまいりたい。  それから単体規制につきましては、先ほど大臣からお答えありましたように、つい先日御諮問申し上げて、ことしの十二月には、大気部会の御承認を既に得ておりますので、専門委員会を発足いたしまして具体的な答申をいただくための作業にかかっていただく、そのように現在のところ作業を進めておるということでございます。
  252. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 大体、中期的展望をまとめるという話も、文書には「今秋を目途に」こういうふうにあったわけです。それで私も途中で何遍も――今秋というと大体常識で人が考えたら、秋というのは九月まあ中ごろになったら、もう人は秋と呼びますよね。それで十月になっても十一月になっても出ない。晩秋でしょうと言って、そしてきょうの答弁では年内と。私はこういうのはいかぬと思うのです。文書にまで書いてあるものがころころころと変わる。だから私は、腹構えが要るのに、その腹構えが見えないということを言っているわけなんです。  さらに報道を見ますと長官は、その三地域については六十三年、遅くとも六十五年までに基準達成というふうに言っておられるわけですが、目標期限はそういうことなんですか。
  253. 石本茂

    石本国務大臣 先生が今申されましたように中期展望は六十三年度ないし六十五年度をめどとして取りまとめるというところでございます。
  254. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、自分の住んでいるところがいわゆる総量規制のかぶさったところですから、こういう環境庁考え方自身に非常に憤りを感じます。御近所の方の中にも公害患者の方がたくさんおられまして、そして非常に苦しみながら亡くなられた人も見ているだけに、一体これはどういうことかという思いに駆られていくわけですね。結局中期展望を見ないと、六十三年とか六十五年とか言っても今長官自身はそのことをはっきり言えないということなんです、そういうことなんですよね。しかも六十年の達成というのがこういうふうにおくれてきている点については、これから質問に入りましてよく聞いていただきながら、いかに長官が決意をしていかなければならないか、まさに環境庁設立の初心に戻って大きな決意で取り組んでもらわなければならない問題を含んでいるかということを真剣に考えていただきたいわけです。  そこで、中公審の方でも特にディーゼル車の排出規制ということが検討される、審議されるということでございましたが、私はこのディーゼル車のNOx規制の中には現行で三つの重大な欠点があると思っているわけです。  まず、その一つ目なんですが、それはシックスモード法ということであります。東京都の環境科学研究所が大気汚染学会に報告した内容を見ますと、渋滞時の絶え間ない発進、停止を織り込んだ低速の走行モデルについて規制年次別のNOx量を比べると、減るどころか横ばいから増加に転じているという実態がわかった、こういうことですね。それで大型トラック、バスの大半を占める直接噴射型のディーゼル車二十二台の場合、この研究所が調べましたら、未規制車の排出量を一〇〇としますと、四十九年の規制車は六七、五十二年の規制車は一〇〇、五十四年の規制車は八八だった、さらに最新の五十八年の規制車は一二六というところまで上がっているわけです。ところが、この試験に使った車はシックスモード法でNOx規制はどうかということをもちろん審査されておりまして、それは合格点になっているわけです。どうしてこのような結果になったのか、環境庁のお考えを聞かせていただきたいわけです。
  255. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  もう先生御案内のとおりだと思いますが、従来から一般的にディーゼル乗用車、ディーゼルトラック、ディーゼル大型トラックと申しますか、ディーゼルの系統は低速域においてNOxが高いということは言われていたことでございますし、ガソリン車は高速域において高いということが言われているわけでございます。私は、今先生の御指摘になっている演者の方の御発表そのものを伺ったわけではありませんが、シンポジウムを直接伺っておりまして、そのときに東京都の福岡先生がまとめて御発表されたものを伺いました。詳しい細部までは記憶いたしておりませんが、そういうようなことが一般的に言われているわけでございますから、ディーゼルトラックを極めて低速で走らせた場合にどのくらい出てくるかということになれば、当然のことながら低速域だけではかれば相当高い濃度になるはずでございます。たしか東京が時速四・四キロ、それから大阪が五キロ、横浜はもう少し大きい数字のように思いますが、一時間に四キロないし五キロというのは私たち人間が歩くスピードと余り変わらない状況での運行になるわけでございますから、よほど渋滞のひどい状況であればかなり排出量がふえるのではないか、そういう点を示唆されたものというふうに私は受けとめております。シックスモードでは合格しているけれども、そういうように一日じゅうのろのろ運転の状況になればたくさん出る、またそのことは非常に科学的なお立場から、常に渋滞が起こっているようなところでは、そういうことによってNOxがたくさん出る可能性があるのだから十分配慮する必要がある、そういう御指摘だと私は承りました。  本来、車は何らかの形で走行をモードによってモデル化いたして規制しなければならないわけでございますから、一般的には人間と同じようなのろのろの状態で走行することを前提にして走行モードが決まっているわけではございませんから、その意味では、低速域で専ら運転をすれば排出量が多くなるということは従前から指摘されていたことでございまして、そのことを東京都の研究所の方で何台かの車を使っておはかりになった結果としてそういう答えが出てきた、そういうように私は理解いたしております。
  256. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 そんなことで一体本当に対策がとれるのでしょうか。これは「交通安全と道路整備」という土肥先生調査ですが、非常に細かい調査をされながら、「東京、大阪、名古屋三都市の一日平均交通渋滞総時間を、昭和五十五年時と昭和五十九年時で比較すると、東京都三一・四%、大阪市二五・六%、名古屋市一三・三%とそれぞれ増加しており、大都市の交通機能低下の実態がうかがえる。」というふうに調査の結果を言っておられます。都の環境研の調査で非常に大事なことは、大都市では避けられない渋滞だとか実態に即した低速の走行を中心にテストしているというところなんです。人の歩く時間と同じような走行なんて考えられないとおっしゃいますが、実際にはそういう渋滞になっているところというのはあるわけです。交差点だとか交通量の多い幹線ではそういうことが日常茶飯事になっていて、だからディーゼル車を中心にNOxの排出量は規制基準を超えているということが調査の結果明らかにされたわけです。違いますか。私はその認識というのは何か開き直りのように思います。そんな認識で対策がとれるのでしょうか。
  257. 林部弘

    ○林部政府委員 私の申し上げたことを誤解されたのかもしれませんが、私は、低速域においてディーゼル車においてNOxがたくさん出るということを別に否定もしておりませんし、渋滞があるようなところにおいては、そういうことについて十分配慮する必要があるということを御示唆されたというふうに受けとめたということでございます。私は、ディーゼル車の代表的なモードとして人間が歩くのと同じような走行モードをもって当てるということにはならないので、現在はシックスモードというものが使われておるということを申し上げたつもりでございます。
  258. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 渋滞のあるところは十分配慮する必要とは、現実の問題としてどない配慮できますか。そういう点から考えると、私はそもそもシックスモード法自体が絶対的なものではないというふうに考えているのです。うなずかれましたので、同じ意見であると非常にいいわけですが。アメリカでも排ガス対策を特定のエンジン使用領域に特定させてはだめだというので、排ガス対策をまんべんなく行うために実モード、トランジットモードというのを採用しておられるわけです。現在、都の調査によってシックスモード法の一つの欠陥が指摘されたわけですね。実態と合わないじゃないか、特に問題になっている渋滞の地域を勘案するときにシックスモード法には非常に欠陥があるというふうに指摘されたわけですから、トランジットモードの採用も含めて、抜本的にシックスモード法の検討に取り組むべきだというふうに考えますが、どうでしょうか。
  259. 林部弘

    ○林部政府委員 御指摘のように、シックスモードは決して絶対的なものではございませんし、もう先生御案内のように、車の走行モードとしては既にテンモードというのが一般乗用車についてはございますし、それを踏まえてディーゼルの場合にはシックスモードという形でやっているわけでございます。もちろん、定めました当時の実態と都市内の高速道路の建設が進みました現在の時点、また今先生のお話にありましたような渋滞の問題、そういうものを踏まえますと、どういう走行モードをもってやるかということについてはいろいろ議論のあるところでございますし、私どもも今のモードでいいのだと言っているつもりはございません。御案内のように予算もどって、走行モードの是非についてはもう既に調査に入って、ことしが二年目に入っているわけでございます。来年も新しく予算の要求をいたしまして、予算をいただいてまたその調査を続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございますから、その意味におきましては先生のお考えと私どもの考えは同じでございます。
  260. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 わかりました。  そうするとシックスモード法は万全ではない。当時の実態と現状とは大きく変化をしているので、その辺を踏まえて今のこのモードでいいかどうかということを検討していきたい。そのために自動車走行実態調査というのを今取り組んでおられる。これは聞くところによると六十一年度末、つまり六十二年の三月末にその調査がまとめられるので、それを見てシックスモード法については検討していきたい、こういうふうに聞いておいたらいいのですね。
  261. 林部弘

    ○林部政府委員 むしろ、もう現在その妥当性をめぐっての検討を始めているというふうに御理解いただいてもいいわけでございまして、私どもは妥当かどうかということはやはり実態を調べませんと判断ができないわけでございますので、もうその調査には既にかかっておりまして、昨年が東京、ことしが大阪、来年は予算をいただければ名古屋地区でやりたいというように考えてきております。
  262. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 二つ目の欠陥の問題に移りたいと思います。  私はここに六十年度の交通安全公害研究所の発表会で講演された概要を持っております。「ディーゼルエンジンにおけるNO2/NOx排出傾向」こういう文書でありますが、ここにこう書いてあります。「従来、デーゼル排ガス中のNOxはNO2の比率が小さいためNOxまたはNOとして測定評価されNO2にはあまり関心が払われなかった。しかし、最近、大気環境の評価からNO2/NOx排出率が注目されている。」こういうふうに指摘されております。そして実際に都の環境研がこの間、学会で発表された中身を見ますと、つまり、年々ふえているディーゼル車の吐き出すNOxの中にNO2が最大三九%も含まれているということが明らかになりました。それも特に二十キロメートル以下の低速域でNO2の排出比率が高いわけですが、環境庁はこのような事実については以前から承知しておられたわけでしょうか。
  263. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  今先生の御指摘になりました点も、たしかこの間の大気汚染学会で御報告があったように記憶いたしております。  従来から自動車の排気口から出る窒素酸化物というのは大部分NOであるというふうに考えられていたようでございまして、五ないし一〇%ぐらいがNO2というような理解が一般的で、九五%ぐらいまではNOというような理解が一般的だったように記憶をいたしておりますが、たしか今先生指摘のように今回の学会での報告では、実際に計測した事例の中に高いものがあった、そういうような御報告であろうかというふうに思っております。
  264. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最初に私が読み上げました交通安全公害研究所の講演の中で言われておりますように、その測定評価という問題で、おっしゃるように恐らくディーゼル車の方はNOが主だというふうに一般的に考えておられたわけですね。  そこで問題なんですが、ディーゼル車のシックスモードにおけるNOx規制の検査方法というのがありますね。これはNDIR法ということでディーゼル車のシックスモードにおけるNOx規制の検査方法はNDIR法、つまりNOしか測定できないものではなかったのですか。
  265. 林部弘

    ○林部政府委員 非常に専門的な質問でございまして、現在は、たしか六モードはNOxの排出につきまして御指摘のようにNDIR法を使用して測定をしているというふうに記憶いたしております。と申しますのは、恐らく先生これから御指摘の中でCLD法のようなお話が出てくるのかと思いますが、現在は排気管から直接とっているということで、直接とった場合には、この方法でないと測定ができないということもございまして、かねてからこの方法をとっておるということでございます。
  266. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 技術的な問題じゃなしに、認識の方が非常に甘かったんじゃないかというふうに私は思うのです。  乗用車で使われているのは、NOとNO2を測定するケミルミ法というのを使っているのですね。それに基づいて排出基準が出されているわけです。ところがこのNDIR法というのはNOしか測定できない。そういうことですから、沿道周辺でNOの濃度は下降ぎみになっているのにNO2の濃度は逆に上昇してきている。それをいろいろ調べた結果、ディーゼル車は空気を余分に送り込む結果、排出口からNOがNO2に即変化をして多くのNO2が出てきているということがわかったわけですね。したがって、NDIR法というのは、これはケミルミ法というものに変えていかなければ正しく評価ができないじゃないかというふうに私は考えるわけです。どうなんでしょう。
  267. 林部弘

    ○林部政府委員 自動車の排ガスの排出係数と申しましょうか、それはでき得れば、走行キロ当たりのグラム数と申しましょうか、絶対量ではかれるのが一番いいわけでありますから、その意味では、現在の方法では総体的な濃度、ppmという形しかとられていないわけでございます。ガソリン乗用車などはシャシダイの上で走らせましてそのガスを希釈いたしまして、それを一定の量とって、実際にその中にどのぐらいのものが入っているかということを測定するような形になっておりますから、その意味では濃度規制よりも重量規制の方が望ましいのではないかということを考えれば、確かに実際に希釈したものについてはかることが望ましいということは言えるかもしれません。ただ、今までそういうようなことで現在の方法がとられてきているということでございまして、今直ちにそれを変えるべきかどうかということに関しましては、まだ私どもの方ではそういうような段階にまで議論は至っておりません。
  268. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 議論は至っていないけれども、しかし、これは変える必要があると私は考えるのです。そうでないと正しく評価がされないわけですからね。NO2がこんなに多いのはどうしてか、そのことは非常にいろいろ問題になっているけれども、これはこういうふうなNDIR法でディーゼル車のNO2が非常に過小評価されているということが原因になっている。その原因をつくっているのがこの検査方法なんですから、そこのところはやはり変えていく、そういうことも含めなければ、今度何ぼ期限を、三年先、五年先ということで総量規制の基準達成を言ったって、失敗しますよ。私はここまでメスを入れていかなければいけないと思うのです。検討するというふうに約束してください。
  269. 林部弘

    ○林部政府委員 今先生が御指摘になりましたNDIR法がいいのかCLD法がいいのかということについては、必ずしもまだ十分なデータの蓄積があるという段階ではないんじゃないかと思います。と申しますのは、その領域の調査研究というのはそんなに多く発表されているというふうには伺っていないということでございますから、測定をどういう方法でやるのかということについては、私が今ここで簡単にお約束をしますと言うには、もう少し実態というものをきちんととらまえる必要があるのではないかと思います。  先ほどのアメリカの走行モードの話も、アメリカが今直ちにやるという話ではなくて先にいってやる、こういうことになっているわけでもございますから、従来、一つの物差しをもってはかってきていた、その物差しを全廃するということは、尺貫法をメートル法に変えるというようなことでも随分いろいろな検討がされていたようでございますけれども、やはり従来行っていたもののメリット、デメリットも踏まえつつ、不十分なところにはどういう形で修正を加えていくかということと、先生がおっしゃる、そういう考え方ではどんなに対策を立ててもむだだという御議論とは、その間にはもう少し距離があるのではないかというように私は理解をいたしております。
  270. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 アメリカの場合は、六千ポンド以下についてはもう既にトランジットモードでやっているのです。それで六千ポンド以上のものについてはこれからトランジットモード法でやっていこうかという方針が出されているということでして、これからやるということじゃないのです。  それからデータの蓄積がないということですが、そうしたらこれだけは確認できますね。このNDIR法というのはNOしか測定できない、したがってNO2については非常に過小評価されていくので、こういう問題についてもひとつ見詰めていくべきである、この辺までは言えますね。
  271. 林部弘

    ○林部政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、研究者のレベルで、問題があるという御指摘をされたことは別に私は否定するつもりはございませんし、そのことについては認めます。しかし、私どもがその研究者の発表を踏まえて本当に制度的に重要なポイントをいじることができるだけの判断が、私たちの今持っているデータと申しましょうか情報と申しましょうか、今、先生にお約束することができるほどの情報量を私どもが今持っているかというと、残念ながら私どもの情報量はまだそのレベルに達しておりませんので、今ここでお約束をと申されても、やはり慎重に、もう少し時間をいただきたいというふうに申し上げたいと思います。
  272. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 くどいようですが、長官、ディーゼル車はNO2が非常に多いということが問題になっているのですね。このNO2を何とか減らしていこうということでみんなが頑張っているわけです。ところが、何ぼ単体規制を強めていっても、今の検査方法では、つかまえていかなければならぬ肝心のNO2が逃がされてしまっているのです。十分つかまえられないままで評価されていくわけですから、これがすべてのことに影響してくるわけですね。したがって先ほどおっしゃったような、研究者のレベルの報告は否定されないけれども、それだけを根拠にしてポイントをいじるということには余りにも反対材料が乏し過ぎる、こういうことですから、それなら環境庁としてはこうした問題をこれは一自治体が研究しているわけでしょう。環境庁という親元の方が情報不足だなんということは国民が納得できないことですから、この点はぜひともちゃんと情報を集めて、みずからも調査に乗り出して、そしてアメリカがやっているような実際の走行に照らしたやり方ですね、こういうものも踏まえて、ディーゼル車からNO2の排出がどうなっているかということをもっと把握できるような検査方法を検討していく、こういうことで環境庁が取り組んでいかなければ私は国民の納得が得られないと思うのです。そこで最後に、その点について長官の決意ということになりましょうか。
  273. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま局長からいろいろと御答弁を申し上げたわけでございますが、やはり今先生も申されますように、いろいろ豊かな情報を収集いたしまして、そしてその実態を確かめることが緊急の課題であろうと考えておりますので、それから先の問題は、これでいいとかあれでいいとかというのではございませんで、今申されましたことを私ども一つの資料にいたしまして、そして真剣に取り組んでいきたいというふうに思います。
  274. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 これはぜひとも検討していただきたい、再度申し上げておきます。  三つ目の欠陥の問題に移ります。  それはETコントロールシステムの問題であります。大型ディーゼル車の中で電子式噴射時間制御装置装着のディーゼル車が増加していると思いますけれども、この電子式噴射時間制御装置をつけたディーゼル車の生産台数、生産メーカーをお示しください。
  275. 福田安孝

    ○福田説明員 お答えいたします。  ETコントロール装着車のメーカー名及び生産台数についてでございますけれども、日本自動車工業会というところの調べでメーカー別に申し上げたいと思います。  五十九年の生産台数でございますけれども、いす父自動車が六千八十二台、トヨタ自動車株式会社が五千台、日産ディーゼル工業株式会社は千三百九十五台、日野自動車工業株式会社は三千八百五十七台、三菱自動車工業は二千七十四台、合計一万八千四百八台でございます。
  276. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 五十八年は一万三千三百七十三台ということですから、五十六年から五十七年の期間に二千四百九十五台という、これは日野が開発したのですが、数字が出ております。つまり、今日までこの手の装置をつけた車は十二・七倍というような数字にふくれ、各メーカーに広がっていきました。  今の電子式噴射時間制御装置、長いですからETコントロールシステムと言いますが、これはディーゼル車の審査基準でありますシックスモード法の測定方法の六つのポイントの直近だけ電子制御装置で噴射のタイミングをずらして、六つのポイントだけは審査基準をクリアして、ほかはNOxの垂れ流しと言えるようなエンジンをコントロールしていくシステムになっているわけです。この件につきましては五十七年四月十五日、本院の内閣委員会で我が党の中路議員が日野自動車のETコントロールシステム装置は非常に問題だということを指摘しているわけです。ところが、その後他メーカーにも広がりまして今日に至っております。  そこで特許庁にお願いをしておりますが、日野と一体の三輪精機が出願者になって、五十四年にエンジン燃料噴射装置自動制御システム、それから五十五年に回転角の制御装置をそれぞれ特許出願しておりますが、その後の事実経過をお示しいただきたいわけです。
  277. 岩崎幸邦

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  特開昭五十四―一一三七二八号は、昭和五十三年二月二十四日に三輪精機株式会社により出願されたものでございます。本件特許出願につきましては、出願人によって本年二月二十三日に審査請求がなされ、審査官は審査の結果、この発明に似た先行技術に基づいて容易に発明ができると判断いたしまして、六十年九月三日に拒絶の理由が出願人にあてて発送されております。そして現在この件につきましては、出願人からの応答を待っているところでございます。  次に、特開昭五十五―一二八六二八号につきましては、出願人は同じく三輪精機株式会社でございます。しかし本件出願につきましては、現在のところ出願人からの審査請求がなく、審査を開始するに至っておりません。
  278. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 つまり一一三七二八の方は先行技術、類似技術があって、ことしの十一月に拒絶理由通知を申請者に出した、そういうことでございますね。私はここで、その拒絶理由通知書の提出を特許庁に要請しておきたいと思いますが、出していただけますか。
  279. 岩崎幸邦

    ○岩崎説明員 お答え申し上げます。  お申し込みの件につきましては、後ほど政府委員室を通じてお渡ししたいと思います。
  280. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 このETコントロールシステムの開発に携わった方は、この装置はインチキ装置だというふうに率直に言っておられるわけです。また、運輸省の五十七年当時の自動車局公害対策室長も、日野自動車にだまされたとメーカー関係者に語ったというようなことも私は関係の方から聞いております。  運輸省に対して私はこの際お願いをしておきたいのですが、ETコントロールシステム仕様車の型式指定が妥当であったかどうかということを調査して報告していただきたいわけです。要求していることわかりますか。
  281. 福田安孝

    ○福田説明員 お答えいたします。  当時十分審査して問題はなかったと私どもは理解しておりますが、再度調査いたしまして、提出できるものがあれば政府委員室を通じて提出させていただきたいというふうに考えております。
  282. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 せっかくシックスモード法でそれがクリアされるようになっているかどうかということを調査しても、それの裏をかいたような制御装置をつくって、そしてとにかく六つのポイントだけは合わせているけれども、あとは垂れ流しになっているというようなものではどうしようもないわけですね。  昭和五十七年五月十八日から二十日にわたって東条会館で自動車技術会総会というのが開かれまして、第三十二回自動車技術会賞の授賞式というのがあったのです。ところが、日野自動車の第三研究部の岡田信近さんという方が受賞されたわけですが、日野自動車からはだれも出席されなかった。また恒例になっている自動車の記念講演も行われなかったということが言われています。こんなことはめったにないそうなんです。だから何でかなと、場内ではメーカー関係者は、インチキシステムが明るみに出されて恥ずかしくて出られないのじゃないかというようなことが公然と言われていたというのです。  三年前に環境庁自身が中路委員の質問に対して「自動車排出ガスによります大気の汚染の防止をはかるため、今後とも大気汚染防止法に基づきますところの許容限度の確保に必要な措置を講じられますよう運輸省に働きかけてまいりたい、」というふうに答弁されておりながら、今日なおこういうふうにしてどんどんそれが広がっていっていることに、大きな三つ目の欠陥があるということを私は申し上げているわけであります。  長官、私はきょう三つの欠陥ということを言いました。シックスモード法が実走行に合っていない、シックスモード法は万全なものではないという問題。それから二つ目は、NDIR法の検査法というのはNO2の排出がもともと過小評価されてしまうものなんだ、それはNOしか評価されないからそういうことになるわけですが、こういう問題がある。それから三つ目の問題はシックスモサド法の裏をかいたような装置の開発が広がってしまっているのだ、こういう三つの問題を指摘しました。自動車排出ガスの低減対策というのは、こうした問題も含めてぜひ検討してもらわなければならないものだと思います。中公審の答申を待つということの待ちの姿勢ではなしに、今こそ環境庁が積極的に環境基準達成を一年でも早めていくためにどうしたらいいかということを真剣に考えるべきだと思いますが、最後に、この問題で長官の決意を聞かせていただきたいわけであります。
  283. 石本茂

    石本国務大臣 先生が三つの欠陥についてお示しをいただきました。事務当局にも言いまして、それらを全部総合いたしまして早急に検討してまいることを申し上げたいと思います。
  284. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 次の問題に移ります。  建設省にお願いをしておりますが、建設省が現在道路建設用アセスメントに使っているNO2の濃度予測モデルは昭和五十年の実測値に基づいてその変換式をつくっているのだということを聞いております。ところがその後、そのディーゼル車の排ガス規制は乗用車の排ガス規制に比べて非常に緩いし、結局昭和五十年当時と比較すると、NO2に占めるディーゼル車の割合が増加をしている。ディーゼル車の台数そのものも年々ふえていっている。しかもさっき言いましたようにディーゼル車自身からもNO2の排出が多くなっている。こういうふうなNO2の発生源の状況は明らかに変わってきているというふうに思います。そこで当然建設省の使っているNO2の濃度予測モデルというものは見直すべきときが来ているんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  285. 野村和正

    ○野村説明員 現在、建設省におきまして道路関係の環境影響評価を行う場合に、自動車排出ガスのNOxの予測値からNO2の換算式を用いているわけでございます。これはただいま先生指摘のように昭和五十年ごろまでの沿道におけるさまざまな実測データを用いて作成したものでございます。先ほどからの御指摘のように、ディーゼル車に関しまして最近の情勢につきましてはいろいろ変化がございますので、現在必要な資料を集積しているところでございます。今後とも適切な環境影響評価ができますように所要の措置をとってまいりたいというぐあいに考えております。
  286. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 その御答弁は現在見直しのために作業をやっているのだ、つまり見直しを考えておられるというふうに受けとめました、いいですね。そこではいだけ言ってくれはったらいいです。首を振りはりましたので、そういうふうに受けとめておきます。  いずれにしても環境庁の指導のもとに策定したNOxの総量削減計画というのは今日もう破綻をしてしまったわけですね。三地域の総量基準達成というのは先送りされてしまいました。こうなりますと、事業者がアセスメントをする場合に、六十年三月までの達成を目標にした総量規制の削減目標量をそのままバックグラウンドに使うというようなことは、もう今日の時点では常識的には考えられないというふうに思いますが、環境庁はどういう御見解をお持ちでしょう。
  287. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 アセスメントは先生御承知のとおり事業主体がするわけでございますが、当然のこととして一番新しい状況、一番新しいデータを使って行うというのが一般論としての原則であるというのは申すまでもございません。
  288. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 少しあいまいなんですな、その言い方は。大分上手に言ってはる。研究しはったなと思うのですが。  自動車の排ガスがここまで規制されたら、ここまでNOxを低減させることができるだろうというふうに考えていたのが、実際にはそうはならなかったということですから、そういうふうな総量規制の削減目標量というものが、もう今日ではアセスメントに生かされるものではないんだ。最も新しい情報をバックグラウンドに入れていかなければならないということなんですね、そういうことなんですね。だからアセスメントは、削減計画の目標量をそのままバックグラウンドに使用していくことになると問題が出てくるということですね。これは後でいいです。  私、時間がもう終了になりましたから、最後に関西新国際空港の総合アセスメントの必要の問題について一言だけ環境庁の御意見を聞かせていただきたいわけです。  新空港株式会社が関西新国際空港の環境影響評価準備書というのを提出して、もうすぐ評価書が出てくる段階になってきています。それから前島といいまして、空港建設のために必要な前島の方も今環境影響評価の準備書が出てきております。せんだっては土取り地の環境影響評価準備書の方が出てきたわけですね。関西新国際空港株式会社が出しました空港建設のためのアセスメントを見ましたら、驚いたことに、空港から陸地へつながる連絡橋が海の真ん中で切れているのですね。それは前島をつくるということを前提にして、そこまでアセスをしているわけです。だけれども実際にはそこから先、道路が要るわけですね。山手には近畿自動車道、海辺には、私がここで問題にしましたが湾岸道路というのができるわけです。それから空港から近畿自動車道に向かう中央連絡高速道というものもできるわけです。前島ができる。その前島のために土取り地を設定して、そこから土をとって海を埋めていく、また空港島の方にも土を埋めていく、こういうものが全部ワンセットになって、そして関西新国際空港の事業が進められていくわけです。ところが、そのアセスメントの方は一つずつばらばらに進められるわけです。  だから住民の方から見たらさっぱりわかりませんよ。何がどういうふうになって私の町はどう変わっていくのだろうか、これで環境への影響は大丈夫なんだろうか、そういうことがさっぱりわからないです。それは、よほどそういうことを専門に研究している方なら、そういう次々に出されるアセスメントをずっとにらみながら合わせていけば、あるいはその準備書案に対しても意見を述べることもできるでしょう。しかし、ほとんど素人、素人というか住民は、まあ次から次へとアセス、準備書ということで、耳なれない言葉で新聞に記事がどんどん出るのですが、全部部分的なのですね。しかも、道路のアセスメントも大丈夫と言われ、土取り地のあれも大丈夫と言われ、前島も大丈夫、空港島も大丈夫、全部こうなっておるのです。  私はここで環境庁お願いしたいわけです。一つ一つの事業でアセスをしていくのは私もわかっておるのです。事業主体者がやるということはわかっておるのです。しかし、それにしても地元泉州はそのことによって大きな環境の変化が起きます。その変化によってどういうことになるのかという点では、どうしても総合的なアセスメントを実施する必要があるというふうに思います。もちろん三点セットでそれに似たようなものが出されておりますけれども、中身は三点セットと現在出されているアセス準備書とは随分数字的にも違いがありまして、あれでもう終わったのだと言われては困るわけで、事業を進めるのだったら、今日この時点で空港関連はワンセットで出して、住民に環境影響評価を示していくべきだというふうに思います。そういう点で総合的なアセスを実施するように意見を述べるなり助言をするなどの手を打つべきだと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  289. 岡崎洋

    ○岡崎政府委員 現在行われております空港関連のアセスメントは、先生御承知のように大阪府の要綱に基づきまして行われているわけでございます。それぞれの事業主体はできるだけ関連の事業等から受ける影響等も頭に入れながらアセスメントはしているというふうには聞いておりますけれども、御指摘のようにそれが全体を総合的に一覧性でぱっと出るかということになりますと、おっしゃるような不便さは確かにあると思います。そういう点につきまして先生今御提案のように、だれか別の主体が一つの総合的なアセスメントを行うか、あるいはアセスメント自体それぞれ大阪府の手に収れんされてまいりますので、大阪府がそれについて総合的に審査を行う、これは今のシステムでもそういうことになっておりますから、その段階で今先生指摘のような総合性についても十分配慮するということについては、私どももよく大阪府に話をしてみたいと思っております。
  290. 辻英雄

    辻委員長 藤田君、時間ですから。お願いします。
  291. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 わかりました。最後に長官に一言だけ。  今まで開発が進められて、後になってからこんなつもりじゃなかったというような大きな環境悪化が出てきているわけです。だからこそ今こういう総合アセスメントもやってもらいたい、そういうことを環境庁が物を言ってほしいということを私は申し上げているわけで、そういう点では、長官、これから大型プロジェクトがどんどん進む、特にこの新空港の問題では大きな地域の環境変化が起こりますので、国定公園に指定していくというような話が出て環境庁も評価しているということで、私はそれ自身は決して望んでいないわけじゃない、大いに望んでいることで、結構だと思いますが、むしろ私は、ああいうことを言いながら前の緑がつぶされるということが合理化されるのじゃないかというような心配もしております。最後に、そういった意味で新空港に絡んで泉州の環境を守るという立場で、もう一度長官からのお言葉をお聞かせいただいて、私の質問は終わります。
  292. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま局長も申しておりましたように大阪府がこれを管理しておるわけでございますが、総合的な観点から大阪府が、我々が期待しているとおりの条件といいますか、それを満たしていくものであろうというふうに期待しておりますし、また、先生が今御要望されましたことにつきましては、心いたしまして今後の対策に私どもも努力してまいりたいと思っております。ありがとうございました。
  293. 辻英雄

    辻委員長 次回は、来る十二月三日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会