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小林(進)
委員 外務大臣がおっしゃった、そのお
言葉のとおりだと思いますよ。常に加害者としての
立場を反省しながら友好を続けていかなければならないというその
基本姿勢は、私は全くそのとおりだと思うのでありまするが、しかし、残念ながら
日本の首脳部――あなたも首脳部ですけれども、あなたを除外するとしても、首脳部にそれができてない。それから
日本国民の中にもそれができてない。これが一番問題の
本質だと私は思うのであります。
くどいようでありまするけれども、四十年前の第二次世界大戦、我々は敗戦国。敗戦国の仲間は、ドイツであり、イタリア。その敗戦国が、いわゆる不当
戦争の挑発者として戦勝国側から非常に追及をされた。しかし、それに対して、今の戦勝国側のこの三つの敗戦国に対する
考えが皆違っている。これは私は、全く
本質だと思うのですが、イタリアは御承知のとおり、敗戦に近づいたときにイタリアの
国民が立ち上がった。こんな不当な
侵略戦争で我々イタリア
人民を痛めつけ、世界の平和を破ったその張
本人はムソリーニとファッショだ。そのファシズムを、我々イタリア
国民はこれをひとつ排撃し、排除しなければならないといって、レジスタンスに立ち上がり、ムソリーニを殺してしまった。同時に、イタリア
人民、
国民の手で、このファッショ、ファシズムの追撃を徹底的にやった。そして
戦争の贖罪を、平和を愛する世界
人民の前にその
姿勢を示した。これが敗戦に処したイタリア
人民の
姿勢であった。
ドイツはどうですか。ドイツは御承知のとおり、ヒトラーは愛人とともに自殺をして死んだ。それから連合軍はドイツを占領したけれども、その中でやはりドイツの
国民は、占領軍の政策に抵抗する前に彼もはヒトラーのナチズムに対する怒りを爆発させた。ヒトラーの誤れる
戦争政策、侵略政策、これが我々ドイツ
国民をこんなに苦しめ、悲惨と苦しみを与えたんだ。同時に、世界の平和、ヨーロッパの平和を乱したのは、このヒトラーを頂点とする誤れるナチス、ナチズムなんだから、これを徹底的に追撃しなくちゃいけないという、あのドイツ
国民の怒りが爆発して、今、四十年たってもどうですか、あのナチズム、
戦争を挑発したナチズムの首謀というものは、世界のどこへ隠れていようと、ドイツ
国民は一生懸命追及している。二、三年前も、ラテンアメリカのどこかに隠れていたナチスの一首脳がやはり見つけ出されて、そしてドイツ
国民の手によって裁判にかけられて、厳重なる処罰を受けているという。こういう平和を愛するそれぞれの
国民の怒りが爆発して、
戦争を挑発したその国の指導者に対して大きな懲罰を与えているんだな。
それに対して
日本はどうかというんだ。
日本は、このイタリア、ドイツとともに同じように
戦争を挑発し、加害し、やったけれども、ナチスを排撃するドイツ
国民、ファシズムを排撃するイタリア
国民のような運動が、戦後ついに
日本に起きてこなかった。それで、一億
国民総ざんげなどと言って、
戦争した者もしない者も、賛成した者も反対した者も、
戦争を計画した者も計画せられた者も、一律同様にみんな反省しようということで問題の処理がおさまってしまった。これが四十年たって、
アジアの国々から
日本はおかしいじゃないか、こんなことで、一体我々は何のために極東裁判をやったり、
日本から賠償を取ったり――あるいは賠償を取らない国もあるが、それぞれ
戦争を処理をしてきたか、それが
日本では一つも実っていないではないかという、これが
中国人民の怒りであり、台湾の
人民の怒りであり、南北朝鮮の怒りであり、
アジアにおける国々の怒りなんだ。
そういうところを指導者である
政府がいま少し反省してくれればいいのに、
靖国神社へ
公式参拝でございます、なぜ参拝するか、これは殉難者だ、国の平和と安全と
日本国民のために戦ってくれた英霊だからお参りするんだ。そこには、
戦争挑発者に対する怒りもなければ反省もない。これが、
日本国民は別として、
アジアで
靖国神社の
公式参拝を頂点にして今火を噴いている根本の
理由なんですよ。これを大いに反省してもらわなければ問題の
解決にならない。
靖国神社の
A級戦犯だけを取り外せば、また
公式参拝に行っても一向に支障もないだろう、そんな甘っちょろい問題ではない。
先ほどから私が繰り返しておりますように、四十年続けてきた
日本の平和政策、これが今がらがらと崩れようとしている重大問題だから、私はこうやって執拗に
質問している。この反省です。
このための
基本点をとこか
政治の場で明らかにしなければ、問題の
解決になりません。問題は、
靖国神社じゃありませんよ。ドイツやイタリアと非常に変わっている
戦争処理のあり方が、こうした
靖国神社公式参拝の問題を契機として今火を噴いているのだという、くどいようですが、それをひとつ大いに反省してもらわなければならない。
官房長官はもちろんでありますが、
中曽根さんにも反省してもらわなければならない。反省してもらわなければだめです。
私は、繰り返し申しまするが、そういうように
日本が一つの反省の上に立っていく、そのためには今当面している問題は何か。今、私が申し上げました原則を認めていただくとするならば、未
解決の問題はたくさんある。
A級戦犯十四名だけを除いたらいいだろう、それではB級はどうなるか、極東裁判でやられたことは同じなんです。しかし、私はこの前も申し上げましたよ、
A級とB級は違う。B級は、主として捕虜を虐待したとか、あるいは
戦争途中において何々をしたとか、だから俘虜収容所の職員やらあるいは憲兵隊等、そういうところに所属している者が多いので、中には
本当に気の毒な
人たちもおりますから、
日本国民から見れば、
戦争を計画し、
戦争を挑発し、
戦争を実行したそういう
A級戦犯の首脳部と、B級というものは同一に
考えられないという
気持ちはよくわかる。しかし、極東裁判を行って厳正中立、公正にやったんだといういわゆる第三国、戦勝国側から見れば、一体この区別が許されるかどうか、相手側がこれを了承するかどうか。
政府はこの問題を一体どう処置をするのかという問題がある。
先ほども言うように、あなたはまた、いやそれは
靖国神社独自の問題で
政府は干渉しない、対外交問題、国と国との問題が今火を噴いているときに、
政府は
関係ありません、
靖国神社が独自にやる問題ですということで、一体、対国際
関係、対外交問題が済むとあなたはお
考えになりますか。済むとお
考えになったら、
中曽根総理大臣はノーテンホアイラと申し上げても失礼じゃないと私は思う。そんな甘っちょろいものじゃない。これをひとつ
外務大臣、というよりは閣僚の一人ですから、もちろんあなたは承知しているから言っている。何だ、
的場君。君、眠ったような顔をして。少し目をあけていろ。君は、帰ったら、この問題で
官房長官と
総理の耳に入るように、ちゃんと伝えてやってくれぬか。おれはまた聞きに行くよ。
A級とB級をどう取り扱いの差別をするのかという、前から聞いている問題だ。
答えられるかい。
きのうもおれは、きょう
質問するから、ちゃんと
官房長官がこれに対する
答えを持って来てくれるようにと注文をつけておいた。持ってきましたか。対国際問題なんだよ。
本当に
解決する気なら、今も言うように、
遺族会を媒介として
靖国神社からそういう者を排除するなどというのはちっとも困難な問題じゃない。その手段方法は、
櫻内さんがちゃんと
北京において
説明しているじゃないですか。
A級戦犯はこんな、こんな、こんな手段で排除いたしますと言っている。B級だって、
政府の
見解が出れば、そういう手段を使って排除することができる。やる気があるのかないのかという
見解を私は承りたい。これが一つです。
的場君、
答えますか。君はこっちだな。そうか、おれ顔を間違えた、ちょっと目が近いものだから。