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1985-11-20 第103回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 青山  丘君    理事 國場 幸昌君 理事 仲村 正治君    理事 深谷 隆司君 理事 町村 信孝君    理事 川崎 寛治君 理事 島田 琢郎君    理事 玉城 栄一君 理事 和田 一仁君       鈴木 宗男君    月原 茂皓君       東家 嘉幸君    中川 昭一君       野中 広務君    上原 康助君       新村 源雄君    安井 吉典君       山原健二郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      藤本 孝雄君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      宇都 信義君         沖縄開発政務次         官       大城 眞順君         沖縄開発庁総務         局長      小谷 宏三君         沖縄開発庁振興         局長      小林 悦夫君  委員外出席者         国土庁計画・調         整局計画課長  糠谷 真平君         外務省北米局北         米第一課長   沼田 貞昭君         外務省北米局安         全保障課長   岡本 行夫君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         中小企業庁計画         部計画課長   長田 英機君         運輸省港湾局計         画課長     坂井 順行君         運輸省航空局監         理部航空事業課         長       黒野 匡彦君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 堀井 修身君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       松田 政雄君         建設省道路局市          町村道室長   田尻 文宏君         自治省財政局調         整室長     鶴岡 啓一君         特別委員会第一         調査室長    木村 俊之君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十日  辞任         補欠選任   瀬長亀次郎君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   山原健二郎君     瀬長亀次郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 青山丘

    青山委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 長官、おはようございます。よろしくお願いします。  長官におきましては、御就任以来短期間のうちに沖縄県内地域視察されまして、初の沖縄専門大臣といたしましてこの活動ぶりには県民ひとしく感謝申し上げ、また大きな期待を持っておるわけでございます。  長官承知のとおり、沖縄復帰しまして十三カ年を迎えておる今日、政府並びに議会また担当開発庁の御理解の上に立って復帰以後目覚ましい発展復興はしておるといえども、まだまだ二十七カ年のアメリカ統治における後遺症といいましょうか、軍事優先でやっておりました関係においてのことでありましょうから、本土との格差是正等いろいろ特別なる特恵の法整備によりましての恩恵を受けておるといえども、まだ本土との格差は大きくして、今後なすべき戦後処理初め他の復興にいたしましても、あるいはまた経済基盤と申しましても何ら目ぼしいものはございません。よって、長官にお願い、また御意見を賜りたいことは、二次振計ももう三カ年目を迎えておる今日、県民所得にいたしましても本土に比較しますと七三、四%、こういうような状態におきましていかような今後の沖縄格差是正振興開発をお考えでありましょうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 沖縄本土復帰をいたしましてから十三年余たっておりますが、この間約二兆円の国費と県民のたゆまざる努力によりまして、社会資本、特に道路港湾空港学校等整備は進んでおりまして、その面では本土との格差は大幅に解消されていると思っておりますが、しかし、水であるとか農業基盤整備であるとか、そういう生活産業面での基盤整備はまだまだ多くの問題を抱えておると思います。  したがいまして、今後の方針重点は、社会資本整備の中でおくれている面の整備生活並びに産業面での基盤整備重点に進めてまいりまして、財政依存度の高い沖縄経済体質解消して、産業振興によりまして沖縄経済的に自立をしていく、こういう点を重点に今後進めていこうというふうに考えております。  当面の問題といたしましては、六十一年度の予算概算要求、実質的には前年度十八億を上回る数字を概算要求で要求しておりまして、この総額の確保と、中でも六十二年度の海邦国体関係予算、また全国の水準を上回って御理解をいただいております農業基盤整備予算、これらの点につきましては最重点確保してまいりたいというふうに考えております。  それから長期の問題といたしましては、先ほど申し上げましたように、沖縄経済自立化を図るために沖縄特性亜熱帯性海洋性文化性国際性、こういう特性を生かしまして、特に観光面それから農業面地場産業面、これらの振興を強力に進めていきたいというふうに考えております。
  5. 國場幸昌

    國場委員 現在、国土庁におきまして四全総策定作業が行われておると思います。これは国土庁開発庁に御答弁をお願いしたいんですが、四全総の中で沖縄位置づけというのをどうするようなお考えであるか。これは三全総の方でも位置づけはしたが、実現してないというようなことを感ずるわけなんですが、沖縄は御承知のとおり我が国の南の果てで、国防のみならず文化経済、いろいろな面においての歴史が語るがごどく、南の玄関口として今後も重要だと思うのです。  殊に、私は参考までに申し上げますと、沖縄本島からコンパスではかりますと、東洋における重要都市は全部入ります。そこで、かつて中南米調査に派遣されていきましたときに中南米方々が、政府、自治問わずして大体異口同音に言われることは、沖縄日本の中でも、四十七都道府県の中でも最も地理的条件に恵まれておる。西においては十億余を擁しておるところの中国を控え、南の方にはASEAN諸国、それから北は我が国ですね。そういうような条件アジアポートをつくったらどうだ。これは中南米の豊富な資源を、消費地である世界人口の四分の一を擁しておる中国大陸、それから南西のASEAN諸国、それに北は我が国、そういうことにおいて、太平洋からすると沖縄が最も条件がそろっておる。であるとなると、那覇空港国際空港にして太平洋に面する恵まれた条件を生かしてアジアポートをつくって、そこに沖縄中継基地として――その恵まれた条件というのは、御案内のとおり太平洋岸、東海岸は陸地から五十メートル、百メートルしますと断崖絶壁で、これは琉球海溝というのが通っております。御案内のとおり、石油コンビナートにおいても注目して、石油備蓄基地ということであったときに、アメリカさんもそういうような諸条件をよく察知しまして、駆け込み外資というまでも競ってやったわけなんですよ。  そこで、私がお願いしたいのは、中城湾港もおかげさまで今工事進行中であるけれども中南米方々が言っておったのは、四十万トン、三十万トンの船をつくって、いろいろと資源大型輸送でもってアメリカやあるいはまた南米の奥地、三分の一の奥地から運び出すよりも太平洋を渡った方がはるかに安くつくというのですね。だから、そういうような条件を持っておるのに何でその条件を生かさないかというようなこともよく言われたのですが、まあ小さいながらも中城湾港重要港湾として今開発中である。そこにまた最近に至ってフリーゾーンというのもできるというような計画中である。でありますと、那覇空港国際空港として位置づけはされておるといえどもまだ実現はしておりません。だから、かようなることから考えまして国土庁に、第四全総策定中であると思うのですが、沖縄位置づけを一体どうしておるのか、その位置づけに対しての沖縄の将来、未来、二十一世紀よりもまだまだ遠い以降に対しての、これは百年の大計というよりも千年の大計というようなことにもなるかもしれませんが、そのような位置づけに対しまして、空手形だけじゃなくして実現可能なるような位置づけをしていただきたい、こういうことをお願いするわけですが、どういうような位置づけをせんとするものであるか、国土庁並びに開発庁にその点を御答弁よろしくお願いします。
  6. 糠谷真平

    糠谷説明員 お答えをいたします。  第三次の全国総合開発計画におきましては、沖縄について地理的な条件あるいは自然的条件の制約、そういったもの、それから歴史的背景がございますので、基盤整備がおくれているということから、今後整備上特段の配慮を必要とする課題地域、こういうふうに位置づけたわけでございます。その後の進捗状況を見ますと、まだ自立的発展のための基礎条件が十分整ってはいない、こういう状況かと思っておりますので、私ども今第四次の全国総合開発計画策定作業を進めているところでございますけれども、このような条件を踏まえまして、離島性といいますか、そういった不利な条件を克服いたしますとともに、例えば海洋資源に恵まれているとか、日本の南端に位置するとか、今御指摘ございましたような地域特性も積極的に生かす方向で、沖縄開発庁とも御相談をしながら位置づけ検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
  7. 小谷宏三

    小谷政府委員 御答弁申し上げます。  ただいまの御答弁にもございましたが、沖縄振興開発計画全国総合開発計画との調整を図ることとされておりまして、第二次沖縄振興開発計画は、昭和五十二年に策定されました第三次全国総合開発計画定住構想を受けまして、調和のとれた人間居住総合的環境整備を図りまして、各地域の均衡ある発展に努め、新しい生活圏を確立する等を振興開発基本方向としております。  第四次全国総合間発計画策定につきましては、ただいまの答弁にございましたように、現に国土庁においてかねがね昭和七十五年、つまり西暦二〇〇〇年でございますか、二十一世紀でございますが、これを目標年次として現在検討が進められておるところでございますが、私ども沖縄開発庁といたしましては、四全総策定過程の中で第二次沖縄振興開発計画推進状況などをよく御説明しておりまして、必要な調整を十分に図っているところでございます。
  8. 國場幸昌

    國場委員 長官を初め国土庁の方からも、今後の沖縄位置づけに対しましての将来の見通し、いやしくも位置づけして決定したことはひとつ実現に結ぶべく、空手形じゃないようにしていただきたい、これを希望いたします。  それから国内問題に入るわけなんですが、海邦国体準備状況についてでありますが、施設整備進捗率はどうであるか。また県外からのお客が恐らく相当来島すると思うのですが、その輸送機関あるいは宿泊対策が特に重要な課題だと思うのですが、この問題は沖縄県の仕事といえども、何分にも沖縄財政というのが、大臣よく御承知のとおり、地方財政がまだまだ脆弱でありますので、どういうような計画を持とうが実現するについての裏づけはやはり資金問題でありますが、そういう問題に対しての受け入れ態勢が今どうなっておるのか。それから迎えくる国体に対しての設備関係に対しましてもいかような進捗状態であるか、ちょっとお聞かせしていただきたいのですが。
  9. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 国体準備状況でございますが、先生当然御承知のように、六十二年に開催される国民体育大会に向けまして現在県市町村で精力的に取り組んでおりまして、公共施設整備を進めておるところでございます。昭和六十年度の予算におきましても二百二十六億六千九百万円、こういうものを確保いたしましたし、また六十一年度の概算要求におきましても二百六十九億五千万円、対前年度比一一八・九%、こういうものを要求いたしまして、重点事項として積極的に取り組んでおるところでございます。この中で沖縄県の総合運動公園、主会場となるところでございますが、現在の進捗状況、六十年度末でございますが、七二・四%ということでございますが、これは国体開催に間に合うように計画をされておりますし、その他、各市町村でやるわけでございますが、四十五施設のうち今三十施設がすべて完了をしてございます。その他の施設についてもすべて間に合う、こういう計画になってございまして、国体開催に支障のないように努力をしておるところでございます。
  10. 國場幸昌

    國場委員 長官御高承のとおりでございますが、沖縄県には、沖縄振興開発特別措置法に基づいて指定離島有人島で四十一、無人島で十七、合計しまして五十八の島があります。長官も御就任以来、かつて担当長官のなされておらないようなとても目覚ましいところの、またまことに崇敬にたえないような行動をなされて、もう既に四回も沖縄に行かれて現地調査をされておる。これを高く評価するわけでございますが、長官離島視察されて、それから、よく言われておる沖縄本島本土との格差是正というようなことをよく言われて、今日までそれに対してやってきておりますが、もちろん離島も含んではおりましょうが、しかし、離島の方は沖縄本島に比較しまして、まだまだ立ちおくれておる。例えば県道にしましても、離島もたがわずサトウキビをもってやっておるのですが、製糖期になりますと車のすれ違いもよくできぬような県道で、遅々として進んでおりません。だから離島港湾とともに、離島沖縄本島との格差是正本土との格差是正は、本島にしますと相当縮まってきておるといえども、やはり離島振興の方はまだまだ随分立ちおくれておる、こういうようなことを感じ、また陳情も受けるわけですが、離島対策としまして、今後特別にどういう方法で離島苦解消をなさんとするか、その点に対しましてお考えをお示しいただきたい。
  11. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 就任以来、幾つかの離島視察をしてまいりまして、確かに今お話がございましたように、本島離島との格差、これは離島県としての沖縄が抱えている大きな問題だと思います。これらの離島につきましては、今まで住民の生活の安定、向上という面につきまして力を入れてまいっております。道路港湾空港などの交通確保それから農業振興保健医療対策教育施設整備生活用水確保離島振興総合センター電気供給施設整備など生活産業基盤整備に努めてまいりました。  数回視察をいたしまして、各地で関係者皆様方からいろいろな御要望を承りましたが、その中で特に空港整備道路港湾、さらに第一次産業振興を図るための農業基盤整備、かんがい問題、こういう点が特に御要望では多かったように思います。したがいまして、今後二次振計の方針に沿いまして、離島振興を図ってまいりたいと考えておりますけれども、今申し上げましたような御要望重点にいたしましてこれから進めてまいりたいと考えております。  その場合に、やはり本島離島との格差というものを解消するためには、予算面で傾斜的な配分というものが必要であろうかと思います。今人口離島が約一〇%でございますけれども離島関係予算配分につきましては、その人口一〇%のところへ約二五%程度の予算配分しておりますけれども、こういう傾斜的に配分をしていくという考え方は、今後も大事な考え方ではなかろうかというふうに考えております。
  12. 國場幸昌

    國場委員 第五次の空港整備五カ年計画が六十一年度からスタートするが、離島振興では交通体系、特に空港整備は必要不可欠であるというようなことは御高承のとおりでございます。長年要望し続け、いまだに実現のしない伊是名、伊平屋、その空港整備に対しまして、すぐ隣に伊江島というところがあって、そこは米軍基地、射爆場というのでしょうか、そこの基地になって、旋回圏にというようなことでありましたが、伊平屋の方ではその旋回圏をそれじゃ位置を変更しましょうということで位置も変更した。それで今度こそはというので期待して県に聞きましたら、県の方からは出しておるからひとつその促進方に対して頼む、こういうようなこともございましたが、これは運輸省と、それから窓口は何としても開発庁ですから、その伊平屋空港新設に対しての問題、それから久米島南大東多良間空港拡張整備、そういうことに対しまして今度六十七年度から始まるところの空港整備五カ年計画位置づけに対してはどうなっておりますか、それをお聞かせいただきたいと思うのです。
  13. 堀井修身

    堀井説明員 運輸省でございます。  離島におきます空港整備につきましては、現在御存じのように第五次空整策定に当たりまして航空審議会空港航空保安施設整備部会から基本的な考え方をこの八月にちょうだいをしておりまして、離島におきます空港整備につきましては、民生の安定あるいは地域振興に多大な貢献をなすということで非常に要請が強い、そういうことで従来から対応を図ってきておったところでございますけれども、今後におきましても空港必要性のほか、経済性あるいは路線運営見通しに留意をしつつ整備を進めるようにというような中間取りまとめを受けているわけでございます。運輸省といたしましてもこのような趣旨に沿って、厳しい財政状況ではございますけれども離島空港整備にできるだけ努力をしてまいりたいと考えでございます。  また、先生が御指摘になられました空港等につきまして、県並びに沖縄開発庁の方から要請を受けておるところでございます。
  14. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 有人の島四十二、しかも東西南北四百キロから一千キロの中に点在している離島県沖縄振興開発という問題にとりましては、私はかねがね、船経済から航空機経済に移行していくことが非常に大きなかぎを握っておるように思っております。このような認識で離島空港整備を行ってきておるわけでございまして、第五次空整につきましては、継続事業与那国空港早期完成、これは来年の十二月末を予定しておりますが、早期完成と新石垣空港整備、また新しい事業といたしましては久米島空港ジェット化多良間南大東空港YS化、それから今御指摘がございました伊平屋島の小型機用空港新設、これらを第五次空整におきまして要請を行っております。しかし一方では地方空港整備についての財政は非常に厳しい状況でございますので、私どもといたしましても、離島県としての沖縄振興開発を図るために今後さらに関係者関係省庁に対して引き続いて強く要請をしてまいりたい、かように考えております。
  15. 國場幸昌

    國場委員 わかりました。  今離島県の陸上におけるところの整備に対しましてお答えをいただきましたが、沖縄の島々、一島一港という方針整備を進めてきて、今日まで大体基本姿勢として一島一港、こういうことでやってきておりますが、カーフェリーとかいろいろと海上の輸送形態も大型化してくるという今日、六十一年度から第七次の港湾整備五カ年計画のスタートがあるわけなんですが、沖縄港湾整備についてどのような方針で、空港とひとしく港湾に対してもひとつ抜本的な対策をして離島苦解消航路改善、これを図っていただきたい。  そこで、特に南北大東というのがございますが、そこはもう三十メーターくらいの断崖絶壁で、ちょっと荒天にもなると、桟橋もないものですから、いや桟橋はあるにしても、今言うような自然岸壁にちょっとコンクリートで桟橋みたいな格好はつくっているけれども、これはもっこでつるのですよ、人間も牛も豚も何ももっこで。だから、それはそれとして今日まで耐え忍んできておりますが、しかしちょっとしけになりますと、もう逃げ隠れ惑って、ここからの風であればその反対側の海岸に行って避難する、こういうようなことで、今日まで幸いにしまして避難中においての事故は起きてはないといえども、やはり余りにも、近代我が国はこれだけの高度成長をして世界に冠たるところの輸出立国であるし経済大国である、こういう中にあって我が国の中にこういうようなところがあってしかるべきものであるか。私はやはりこれは予算さえつけてもらえば近代的技術においてはどういうようなことでも安心したところの港湾の構築は可能だと思うのです。  そこで、その南北大東の悩み、これを解消するために、何か港湾に対する整備ですね。私はこの前、運輸省にいかなる質問しますかということに対して、この南北大東港湾に対しては掘り込み人造港湾をつくったらどうだというようなことも言ったのですが、金さえ出せばこれはできると思うのです。船の発着は、太平洋の荒波の寄せるのを避けるには、自然の断崖を利用しましてS字型に掘り込んでいって、その奥に桟橋並びにたまり場、停泊場をつくれば可能だと思うのです。私も二回ほど調査に行きましたが、いろいろ今日まで工夫してやってきておりますが、なかなかうまいようなことはできない。これはやはり予算関係で、技術面から見た場合においては予算さえあれば現在における我が高度な先進技術ではどうにもできる、こういうことは感ずるわけなんです。どうぞひとつこれも南北大東の、今の離島に対しての、安心して本島との行き来もできるような、まあ飛行場はもちろんのこと、御理解あっていろいろと整備も達成しつつあるけれども、やはり生活必需品とか大量の輸送をするには、殊に向こうは砂糖の積み出し地でありましてそういうような地理的条件でありますので、何か工夫しまして、何としてでもその港湾整備だけはひとつ長官の時代においてでも計画を立てて、まあ長官がいつまでもというようなことは今までの慣例からしてないはずですから、どうぞひとつ長官大東島に銅像でも建てられるような記念事業として、運輸省もそれに協力されましてひとつよろしくお願いしたいのです。それに対するお考えがもしありましたら、おれはやってやるんだ、また運輸省としましても、これは復帰記念事業としてもいい記念事業になると思うので、ひとつよろしくお願いしたいのですが、御感想をひとつお願いします。
  16. 坂井順行

    坂井説明員 お答えいたします。  ただいまの南大東あるいは北大東港湾につきましては、基本的には離島における港湾整備というのは当然のことながら常時安全な停泊のできる港を整備するということで進めておるわけでございますが、従来より北大東だとか南大東のような外海に孤立している港湾にあっては自然条件が非常に厳しいわけでございますので、一島二港あるいは一島三港の港湾整備というのを基本にいたしまして整備をしたところでございます。  ただ、今先生のおっしゃっております特に北大東南大東におきましてはいずれの島にも三港の港湾整備されておるわけでございますが、御承知のようにもっこで荷役をしたりあるいはお客さんを揚げたり、とにかく岸壁をつくるわけでございますがそれには船が着けられないというような状況になっていることも事実でございます。よく承知をいたしておりますが、では今先生のおっしゃったような掘り込みにしてある程度お金をかけて果たして可能かということについては、私どももまだ現段階では結論を得ておりませんので、技術的にも非常に問題があろうかと思いますが、この問題につきましては、ただいまの先生の御意見を一つの見識として伺わせていただきまして、引き続き開発庁並びに港湾管理者でございます県といろいろ検討を加えて安全な港づくりというようなものに努力してみたい、かように考えております。
  17. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 ただいま運輸省の方からお答えがありましたように、技術的に非常に難しい問題があると思いますが、開発庁といたしましては、南北大東のそれぞれの同じ名前の西港でございますが、そういうところの天端が今非常に高い、こういうことがございますので、岸壁を低くしてそこに道路をつけるとかこういうようなことについて運輸省とよく相談し、私としては前向きに運輸省要請をしてまいりたいと考えております。
  18. 國場幸昌

    國場委員 局長さん、低くしてということはできないような格好なんです、大東の地形を見ますと。あの角然の断崖絶壁で波が来て桟橋ができないものですから、もっこでつり上げてやっているのですが、これを船を着けて桟橋をこうというようなことは地形上到底できないのです。それは運輸省の方でその状況をよく参酌されて、私は近代的技術において技術的に難しいというようなことはないと思うのです。問題はお金の問題だと思うのですよ。だから、これはひとつ長官も、両大臣、それで大蔵省を説いてこの実現に対しては最大の努力を払っていただきたいということを切望します。  それから、これはとても難しい問題で常日ごろもう何回となくこの面に対しましてはなにしておるが、実は市町村のつぶれ地問題ですね。これはなかなか現行法ではどうだこうだというようなことも言って、一級、二級はおかげをもちまして大体解決のめどもついて、その公共道路としての位置づけもしまして支払いもやや進行し、終末に至っておるということも聞いておりますが、問題はその他という一級、二級以外のつぶれ地が、同じ固有財産であってすぐ隣であっても、一級、二級と指定されたところは代金も補償されて――それも公共道路として同じような役割をやっておるわけなんですね。これは、沖縄歴史は一つの大きな戦後処理としての課題でありまして、事が難しいだけにおいて前の次官の井上さんはよく理解しまして、一級、二級で決まったところを支払いしつつ補償して、それを進行しつつ、その他というものに対しては課題を保留してそれで解決しようじゃないか、こういう約束であったのです。ところが、その人も現役を引かれて亡くなられまして、私は決して死人に口なしということではないわけですが、現実において、四十年たって今日固有財産が道路にやられて、さりとてその所属する市町村財政力からしてもそれを補償、買い上げする力もない。そしてまた一番お考えになっていただきたいことは、人口一人に対しての公共道路面積が沖縄は六二%。例えば一人当たりに対して本土平均は三十二・二平米だというのですね。これが沖縄においては二十平米です。これは六二%にしか当たらない。であれば、同じ国民としての機会均等、平等の憲法の線に沿ってやるのであれば、私は、道路の必要に対しての、しかも現実にあるわけでありますので、しかもそれも我が国の敗戦によるところのアメリカの統治において割り当て土地というものに人口が入植しまして、割り当てしてその地域に強制移住させられたのですね。それが人間が住むのであれば道がなければいけない。その道になっているのがその他なんです。  だから、沖縄の地主の方々も良識的に現に使っておるものをふさぐわけにはいかない。四十年間何の補償もなくして賃貸料も取らずして今まで使用されて、四十年たっていまだにこれがめどもついてないわけなんです。今の法制度におきましては、これは県の責任だ、市の責任だとおっしゃるかしれませんが、しかし、市としても二十七カ年のアメリカの統治下にありましては、民生優先ではなくして軍事優先であったのですね。でありますから、どんなにしてでもそれに対する対応をするだけの市の財政、県の財政もないわけなんです。だから、その点は現法に対して沖縄は特別地域であるという特別事情に派生した問題だ、こういうことをもって解決してもらわなければ、私は、ただ今の法制度にはなじまないというようなことで事を片づけるというのは余りにも非情じゃないか、こういうようなことを考えるわけです。何とかこれは建設省とそれから窓口でありますから開発庁沖縄には特別措置法というもので、そのために特別なる立法をしまして、喜びのある復帰というようなことで、違憲といえども国民総意のもとで、憲法上はどうあろうとも国政参加を――私は二カ年前に国政参加しまして、その責任があるから強く要求するわけでありますので、どうぞひとつ法整備において、これだけについて特別措置が講ぜられてなかったということは、本委員としましても県民に対して申しわけないとは思うのです。しかし、私がどんなにじたばたしても私にできるわけではないし、国の力によって、今までの経緯、事情をよく御理解いただきましてその問題は解決していただきたい、こういうことを切望しますが、それに対するお考えを御答弁いただきたいと思います。よろしくお願いします。
  19. 田尻文宏

    ○田尻説明員 お答えいたします。  建設省としましては、昭和五十四年度から幹線市町村道のつぶれ地の処理をさしていただいておりまして、一般市町村道につきましては、五十五年度に幹線市町村道の格上げの際に、沖縄につきましては特別きめ細かく、できるだけ幹線市町村道に格上げするという作業をさせていただきまして、現在は鋭意その幹線市町村道の処理をさしていただいている、こういうことでございまして、残りました一般の市町村道につきましては国庫補助の体系上大変難しいということでございます。沖縄開発庁等とも、またいろいろ話があれば私どもとしては承ってまいりますけれども、実際問題としては大変難しいのではないか、こういうふうに考えております。  以上でございます。
  20. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 つぶれ地、一般市町村道の問題は、先生申されましたように非常に経過のある話でございまして、幹線市町村道を主体として今まで進めてきたわけでございますが、今後開発庁として真剣に検討しなければならない問題であると考えております。ただ、この問題につきましては建設省、自治省といろいろ相談をしなければ解決しない問題でございまして、開発庁でいろいろ考えまして今後建設省、自治省と具体的な案についていろいろ御相談をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
  21. 國場幸昌

    國場委員 参考までにしつこくも申し上げておきたいことは、沖縄は厄介者だ、こういうようなことも沖縄の経過をよく御承知でない方々はややもするとおっしゃるかしれません。と申しますのは、沖縄だけが聖域じゃないよとか、沖縄を甘やかすなという言葉もよく聞くことでありますが、私はそうは思っておりません。かつて沖縄は、ドルの一ドルが血の一滴と言われた当時においても、一県でありながら国際的において我が外貨の獲得の場として第三位になったこともあるんですよ。それから、安保条約におけるところの我が国の今日の繁栄は――佐藤総理はよく言っておったのです、我が国の今日の繁栄は安保条約のおかげであると。この安保条約の役割を果たしておる沖縄県民、安保条約の基地の七五%というものを沖縄が背負うておるのですよ。だから精神的においても物質的においても沖縄の持つところの国家への貢献度、これを評価しまして、ただ現制度になじまないからということだけでは済まされない問題なんです。だから沖縄の立っておる立場をよく理解されまして、政治的において、行政的においてでも特別なる御配慮で、抜本的な対策をもってじゃないとこれは解決できないのです。もう四十年たっておりますよ、皆さん。それが百十三万二千平米、金額にしましては二百六十億、こう言われておりますが、その査定の方法としては、これは少なくなるかどうか私はわかりませんが、要求するものはいつでも水増しじゃないんですが高く評価しておるということも考えられますが、しかし、この問題だけは何とか、沖縄に対する、今後も戦争中も戦後も、それだけの国家への貢献度というものを評価しまして、この問題は単なる道路整備計画というわけじゃなくしてひとつ御配慮をしていただきたい。殊に長官、閣議でもってこの問題に対しては、また私は建設委員でもありますので、政党政治ですからわが党の建設部会でもこれは強く力説しますが、ひとつ閣議におきましても、今私が御報告いたしましたような経過をよく説明されまして、そうじゃないと、やはり地域住民の協力なくしてでは基地の機能は発揮することはできないのです。だから、安保条約によっての日米親善、ともに同盟国としての我が国の立場からしますと、こういうようなささいな問題で県民の期待に何とか少しでも沿うように御協力を国の政策でもってやってもらわなければ、こちらは政権を持つ与党ですから、それにおいての立場というのもよく御理解いただきましてどうぞひとつこの点だけは、もう四十年もたっておりますので、その間においてどうならどうだというようなことで、何だ、市町村だから市町村でやってしまえばいいじゃないか、こういうようなことかもしれませんが、それはやはり裏づけとする財政の問題ですので、その方は、きょうは自治省も来ておられますか。――いろいろと自治省には基準財政においての方法もあるようでありますが、開発庁も建設省も、よく三者合議の上でこの問題に対しましては、全額とは言わぬにしましても、何か地方債をもってでも、またできるだけの、国家的においても沖縄は重要な地域であるということを御配慮をされましたら、何かの方法で解決していただきたい、これを強く要望いたします。
  22. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 つぶれ地の問題は私も実は就任してから初めて知りまして、いろいろ今までの経過を聞いておりますと、これは大変な問題だ、おっしゃるように戦後処理の一つの大きな問題だと思います。お考え、お気持ちは私もよくわかるわけでございまして、沖縄が持っている特殊事情、これに対して今までできる限りのことをしてまいったわけですし、またこれからもそれは力を入れていかなければならないと思っております。  ただ制度上、その他のつぶれ地の国庫補助の問題についてはなかなか困難な問題があることもこれまた承知をいたしておりますので、今國場先生が言われましたように、実現可能な方策について関係者でお話を進めておるところでございますので、私もこの問題については非常に大きな関心を持っておりまして、今後力を入れていくことを申し上げて御答弁にいたします。
  23. 國場幸昌

    國場委員 お願いいたします。  時間がございませんので次に進みます。  フリーゾーンに対しまして、これは沖縄復帰前に法制度化しまして、国もそれに対しては大いに協力するというようなことでやりましたが、これが、フリーゾーンの設置に対しての期限切れに延長のときでも、単純延長の今の制度じゃだめですよということも何回も言ってきたのですが、これはいまさっきも申し上げましたとおり、アジアにおけるところの沖縄地理的条件というのは、やはり言うまでもなく、我が四十七都道府県の中で最も有望な地理的条件を持っておる。何でこれを生かして利用しないかということもよく指摘される問題といえども、このフリーゾーン世界には百六十余りあるそうですね。その中で我が国には一つもない。そこで目をつけたのが宮崎とか千葉とか、かようなるところからも申し込みをしたら、今沖縄に試験的にやっておるので、これの結果を見て君たちはやるからというようなことで、千葉とか宮崎から君たちがもたもたしておるから我々の方の要望もできないじゃないかというような突き上げを食らっておる、こういうことも聞いておるのですが、フリーゾーンに対しましては、フリーゾーン実現に対しての推進協議会というものが出版しているものをよく読みますと、これは政府の責任も大きいわけですね。だから、今これが遅々として進まない問題としては、那辺に問題があるのか。軍用地の開放問題に対しての港湾地域にやるとかなんとか言うものですから、私はかつて経験があるので、それでは手伝いしてと言ったら、県の方は自分でやりますからとかなんとか言っておりました。ところが、これが一体どういう結果になるのか、まだ目鼻もつかない。これはもう沖縄から申請が出ておりますか。
  24. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答えいたします。  沖縄県からまだ申請は出ておりません。
  25. 國場幸昌

    國場委員 わかりました。やはり県から出てこなければ開発庁としましても、また各所轄主務省としましても肩の入れようもないんだ、こういうことであるということが今初めてわかりましたので、それでは県の方に、県がもたもたしているから、国としては大いに意欲的である、法律に従ってやる意欲は十分あるんだということを言っていいのですか。
  26. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答えいたします。  県からまだ正式な申請がございませんが、今年の春以来積極的に私ども沖縄県と連絡をとり合って、いわば知恵を出し合っているところでございます。
  27. 國場幸昌

    國場委員 知恵を出し合っておる。ミニ政府というのが、沖縄総合事務局がありますが、私の知る範囲においては、何ものも策定せんとするときには事前に打ち合わせをしてやっておるということをよく理解しております。  そこで、皆さんの方は、県から出てこないから肩の入れようもないじゃないかというようなことではなくして、沖縄の総合事務局あるいはまた直轄してでもやっておるとは思うのですが、その点は関連するような通産省なら通産省ともやっておりますか、外務省なら外務省、大蔵なら大蔵ともやっておりますか。
  28. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答えいたします。  これは開発庁だけではなくて、開発庁関係省庁と懇談会をつくってやっております。また現地では、総合事務局が現地の那覇防衛施設局などとも現実に接触を持って交渉を続けております。
  29. 國場幸昌

    國場委員 時間がありませんから、政府のなす責任とかいろいろありますが、それはくどくどと言いませんので、上がってきたら、では、何で上げないかということも促進させるべく御協力をよろしくお願いします。  まだ十ぐらい問題、課題がございますが、時間がございませんので、そのうちで最も沖縄県民の期待している首里城復元に対してだけお伺いしておきたいのです。  これは御案内のとおり、首里城復元に対しては、文化庁の予算としてはとても及ばないということで海洋博覧会国立公園の附属設備としてやろうというようなことで、植木構想というのでもってこれを大体やるというようなことで、たびたび沖縄側においてもその話は聞いておるわけなんですが、財政もこんなに厳しくなってくると、文化庁はかつて形あるものに対して我々は保存、管理の責任はあるが首里城は形がないから我々の関知するものじゃないというようなことを言いましたものですから、おいおい君君、わけのわからぬことを言うな。沖縄作戦のときに、第二次大戦のときにマッカーサーは本土であろうと沖縄であろうと文化財には爆撃とかそういう危害を絶対加えてはいけないという厳命を出したというのですよ。にもかかわらず、我が三軍が総合司令部を向こうにつくったのです。そうしたら作戦上やむを得ずして首里城をこっぱみじんにしてしまったのですよ。そういうようないきさつがあって、沖縄文化財は第二次大戦以前は、沖縄上陸で敵があれだけ破壊する前は三十三か幾らかあったはずなんです。それがほとんど壊滅してしまって、せめて首里城だけは復元していただきたい。これは沖縄歴史を語る上においても沖縄の象徴であるというようなことでやっておりますが、今その問題に対して開発庁を窓口としましてどういうような進捗状態であるか。予算も厳しくなってきますと、相当それを理解もして心からしてやってやらなければいけないということじゃないと、またこれも法ではなじまないということでけられたのでは大変ですから、どうぞひとつそれに対する考え方、経過を教えてください。
  30. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生十分御承知ですので、経過等について、また必要性については省略させていただきます。  従来、久慶門、歓金門それから城壁等整備をしてきたわけでございますが、いよいよ首里城正殿をどうするか、こういう話になってきたわけでございます。そこでいろいろ検討し御相談いたしました結果、国営公園として整備をさせていただくのが一番よろしいだろうということで、六十一年度予算でその調査費を要求させていただいておるところでございます。ただ、非常に大規模な公園でございまして、正殿等の問題につきましては、今までこのような事例がなかったこともございまして、その実現につきまして厳しい状況が予想されるわけでございますが、この事業は第二次振興計画の重要プロジェクトの一つでもございますので、本土復帰した記念事業といたしまして、ぜひとも実現したいと考えておるところでございます。
  31. 國場幸昌

    國場委員 よろしくお願いします。  終わります。
  32. 青山丘

    青山委員長 仲村正治君。
  33. 仲村正治

    ○仲村委員 藤本長官は八月十四日に御就任をなされたわけでございますが、あれから三カ月という短い期間に四たびも沖縄をお訪ねになられて、いろいろ現地の状況など御視察になったわけでございますが、県民といたしましても、その御熱意に心から敬意を払っているところでございます。沖縄本島はもちろんでありますけれども久米島、宮古、八重山、くまなく御視察をなされたと思いますけれども長官沖縄視察の印象と申しましょうか、行く先々で県や市町村あるいは各種団体からいろいろな御陳情をお受けになられたと思いますけれども、それに対する御決意を含めて御印象を承りたいと思っております。
  34. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 就任以来四回視察に参りまして、本島を含め十の島に参りました。総体的に各地域とも関係者の皆さん方が地域振興開発、活性化のために非常に御努力をされていらっしゃるという実情を拝見いたしまして、まず感銘をいたしております。  総体といたしましては、復帰以来十三年余の間に約二兆円の国費を投入いたしまして、また県民の皆さん方のたゆまざる御努力もありまして、空港とか道路とか港湾とか学校等社会資本整備につきましては非常に進んでおる、本土との格差は大幅に解消されておるというふうに拝見いたしました。しかし、水とか農業基盤整備とか生活産業基盤整備につきましては、まだまだこれから問題が多いと思いました。また、県民所得とか失業率等も本土に比べますと、県民所得は低い、失業率は高いということでございまして、今なお本土との格差は相当あると思います。いろいろな理由はあると思うわけでありますけれども、一番大きな理由は、何といっても今までせっかくみんなで力を入れてきた社会資本整備がその地方の経済産業の活性化に必ずしも結びついていないのではないだろうかという感じもいたしておるわけでございます。  そこで、今後の問題としては、おくれている社会資本整備、それから特に生活産業基盤の面の整備を進めていきまして沖縄経済自立化していく、自立経済発展ということが一日も早く可能になるために、重点的に予算配分であるとか対策考えていかなければならないのではないかなと今考えております。  各地でいろいろな御要望を承りましたけれども、やはり空港整備道路整備港湾整備、それから農業基盤整備等が非常に要望の中心でございまして、そういう点からいたしますと、今後沖縄特性を生かしまして、観光の面であるとか亜熱帯の農業振興を図るとか地場産業振興を図るというこの中長期の目標に沿った考え方で各地とも地方の活性化、振興開発に取り組んでいるのかな、現在私は非常にその点は結構なことだと思っております。
  35. 仲村正治

    ○仲村委員 ただいま御視察の感想を率直にお述べをいただきまして、まことにありがとうございます。  たまたま長官沖縄訪問をなされた時期にはサトウキビの価格決定の時期でもあったわけでございますが、そういったものを含めて、今お話がありました空港問題、道路問題あるいは農業基盤整備の問題等々について早速閣議でそのことを各大臣要請をされたということを新聞報道で見まして、大変感激をいたしたわけでございます。ぜひ御視察になられたその成果を今後生かしていかれるようにひとつお願いを申し上げたいわけでございます。  それで、六十一年度沖縄開発庁関係予算確保についてでありますが、確かに六十一年度予算は、大蔵省の概算要求基準に基づいて皆さんはお出しになられたと思います。これは総額で千九百十億九千四百万円、道路特会直入分を入れて千九百五十二億三千二百万円ということで、事業費だけを見ますと千七百六十八億一千万円、道路直入分を含めて千八百九億四千八百万円で一〇〇・六%ということでございますが、その見通しは一体どうなのか。いろいろ伝え聞くところによりますと、大きく切り込んでくるんだということも聞かされておるわけでございまして、私たちとしては最低限これだけはぜひとも振興開発計画を推進していく上で必要なんだということで要求を出しているわけでございますので、この予算要求の基本姿勢というものをぜひ貫いていただきたい。第一次振計もそうでありましたけれども、第二次振計の意義を忘れてはならぬのじゃないかということを考えまして、ぜひとも十二月までその線で頑張っていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、その点について御決意のほどをお聞かせいただければと思っております。
  36. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 六十一年度の概算要求につきましては、沖縄県から御要望をいただいておりますことは内容的にはすべて網羅している、そう考えております。したがいまして、沖縄の今後の振興開発のためにも、また二次振計後期に向けまして非常に重大な段階に今入っておりますので、六十一年度の予算につきましては、概算要求の総額の確保、中でも国体関連予算、また農業基盤整備等につきましては全力を挙げて確保してまいりたい、かように考えております。
  37. 仲村正治

    ○仲村委員 この復帰十三年間の成果というものを正しく評価しなくてはならぬと私は思っております。政府もそれなりに一生懸命やっていただいた。また、県もそれを受けて一生懸命、そのおくれた点を取り戻すべく頑張っているわけでございますけれども、何しろこの二十七年間の米軍支配の軍事優先政策、民生不在のひずみあるいは空白というものを埋め合わせていくためには、やはりある程度の期間が必要であるし、それなりの財政投資をしていかなければできない。いわゆる振興開発計画基本目標は、本土との格差是正経済自立基盤整備ということで、まず全般的に国民的標準の確保を図っていこう、こういうことでございまして、先ほど申し上げましたようにこの十三年間の成果というものは顕著にあらわれている、こういうふうに私は思っておるわけでございます。  全般的に申しまして、そのハード面はやや順調に進捗している。しかし、ソフト面は割とおくれているのだということをよく言われているわけでございますが、例えば学校教育施設につきましても、もうほとんど本土水準に達していると私たちは考えております。国県市町村道につきましても、今現にある道路の分についてはその整備率、舗装率も割と進んでいると思いますけれども、何しろ可住地域、いわゆる平野部が米軍に占拠されたために、みんな一カ所に閉じ込められたような状態になりまして、どうしても過密社会をつくってしまった。そこで学校も全部過大規模校、これは文部省基準からいいますと、半分以上は過大規模校だと思うのです。だから、そういったものの是正をしていかなければならない。道路にいたしましても、先ほど申し上げましたように整備率は順調に進んでいるけれども、しかし普及率の面では人口比率あるいは車両台数比率、面積率においては、これは全国の半分の状態なんです。  したがいまして、そういったものを含めて、県民所得にいたしましても、第一次振計で国民所得の八〇%を目指していたものが大体もう六八%、ようやく五十八年度で沖縄県が百三十六万六千円、国が百八十四万八千円で七四・三%ということで、この二十七年間の米軍支配の期間のひずみというものをまだまだ取り戻していない。いわゆる国民と同じような立場で走っていく、活動をするという水準にまで達していないという状況の中で、財政が厳しいということを理由に、もし六十一年度予算あるいはそれ以降の分についても切り込まれることがあるならば、もうおくれる立場の者がだんだん取り残されていく、こういうことになりますので、今さっき長官からお話がありましたようなお気持ちで、ぜひとも要求しただけの全額確保を図って、この二次振計の意義というものを十分生かしていただきたい、こういうことを要望申し上げたいと思っているわけでございます。  次に進んでいきますけれども、六十二年海邦国体開催でございます。  これはもう何としても成功させなければならないということで、県民が一体となってその準備を進めているところでございます。国民体育大会はスポーツ振興法六条によって行われるわけでございますので、国や県市町村あるいは日体協の共催で行われるわけでございます。全国的なベースから考えますと、持ち回りで沖縄県に回ってくるんだなという考え方もあるのかもしれませんけれども、この二十七年間の異民族支配ということを考え島ときに、沖縄県で初めてその国家的な行事が行われるという点からいたしまして特別な意義を持っている。したがいまして、この事業を成功させることが県民に大きな自信を与えるきっかけになるという考え方を私は持っておりますので、ぜひとも予算の面あるいは輸送の面、宿泊の面、いろいろな点からその準備の万全を期していただきたい、こういうように考えております。  そのことについて、まず毎年の国体に天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぐということはもう恒例になっているわけでございますが、陛下が非常に御高齢である、また沖縄県が非常に遠隔の地にある、また沖縄県においてはその地上戦を経験した非常に悲惨な状態から過去の戦争に対する特殊の感情がある、いろいろございまして、私たちもぜひとも両陛下の御臨席を仰ぎたいということでございますけれども、反面まだ今申し上げたような難しい点もあるわけでございます。それについてぜひ御臨席をいただく方向で準備を進めていただきたい、こいうふうに思っておりますけれども、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  38. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 国体には天皇陛下が御出席になられることが通例になっております。また、国体開催基準要項によりますと、開会式には天皇陛下のお言葉をいただくこととされております。先般も西銘知事が、陛下においでをいただきまして沖縄の戦後を終わらせたい、こういうお話もされたと聞いておりまして、私どもも非常に大きな関心を持っておるわけでございますが、昭和六十二年の全国一巡最後の沖縄において行われます海邦国体につきましては、従来各県で開催されました国体と同様に陛下の御出席が行われることと考えております。
  39. 仲村正治

    ○仲村委員 これは先ほど長官からお話がありましたように、十月十一日に西銘沖縄県知事が地方の事情を御進講申し上げたときに、ぜひ御臨席をいただきたいということを御要請申し上げましたら、沖縄国体に出席をしたいというふうに陛下も申しておられたようでございますので、ぜひともそれの御出席ができるような方向で準備を進めていただきたいとお願い申し上げておきたいと思っております。  先ほども申し上げましたように、国体はスポーツ振興法の六条によって実施されるわけでございますので、何としてもその国体に参加する人たちはスポーツ振興法の精神にのっとってやらなくてはならない、私はこう思うわけでございます。しかし、それが政治的に利用されて、どういう職業をしているからということでいろいろ参加妨害をする、こういうことがしばしば新聞報道されておるわけでございます。沖縄県でも。現に二月十六日の市郡対抗駅伝大会に自衛隊が参加したということで競技妨害をした、全くけしからぬ状態が起こっているわけでございます。私は、自衛隊に反対するのは、それぞれの主張がありますので、我が国においては大いに結構なことだと思うのです。しかし、競技参加を実力で邪魔をするというこんな不見識なことが許されていいものかということを考えているわけでございます。沖縄国体においてもこれが非常に心配されておりますので、主催者である国、県あるいは日体協はこういうことのないように責任を持って対策考えていただきたいと思いますが、それについての御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  40. 小谷宏三

    小谷政府委員 国体開催基準要項によりますと、「都道府県大会及びブロック大会において選抜された者を、都道府県の各競技団体会長及び都道府県体育協会会長は連署の上、日体協会長あて申し込むものとする。」こういうのが選手を選ぶ手続でございます。そして海邦国体の主催者である沖縄県はこれらの手続による選手の選考を尊重していく方針であると承っております。  このようにして選ばれた選手につきましては、職業のいかんにかかわらず平等に扱われるべきでありまして、またそうすることが海邦国体の成功につながるというふうに認識いたしております。
  41. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひそういう方向で万全の措置をとっていただくことを強く要望申し上げておきたいと思います。  施設整備の面でございますが、県の説明を聞きますと、昭和六十年度で六七%、六十一年度で九八%、六十二年三月までに一〇〇%完成していきたい、おおむね順調に進捗いたしているということでございますので、心配はないだろうという気もします。ただ一カ所だけ、埋め立てをして競技場をつくるという場所でまだ手をつけてないところがありますので、果たしてどうなのか。あるいは関連施設の面で、例えば国体主会場の入口に給油所があって、そこの取りつけ道路の問題がまだ解決しないとか、国体までに間に合わせなくちゃならない沖縄自動車道の宜野湾市長田地区においてまだもたもたしているという状況もあるし、あるいは三百三十二号線の那覇空港ターミナル周辺で地籍明確化との関連で道路整備が全く手をつけられない、こういったことがございますけれども、果たしてそういう点では大丈夫なのか、そして那覇空港ターミナルは一体これで対応できるのかという心配をいたしておりますので、この点について簡単に説明していただきたいと思います。
  42. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 国体施設予算につきましては、それぞれ計画を立てまして間に合うように準備をさせていただいておりまして、六十二年度につきましても、再来年のことになりますけれども最後の年でございますので、その点は十分配慮いたしたいと考えております。  ただいま仲村先生指摘の問題、私もすべて承知いたしております。簡単に申し上げますが、沖縄自動車道につきましては、用地の取得は九三%終わっておりますし、本線工事については一部構造物、これは上部工でございますけれども、それを除きまして工事は全部発注されております。道路公団にいろいろ御努力いただいておりまして、国体開催までには間に合うものと考えておりますし、そのように計画されておると存じます。  空港ターミナルから那覇市街地に至る道路整備でございますが、先生承知のように山下、垣花の立体交差も五十九年に完了したわけでございますが、御指摘のように、現在空港付近の一部が四車線化が済んでおらない、こういうことになってございます。この区間は一・六キロでございますけれども、地籍明確化地区ということもございまして、なかなか事業が進捗いたさないということがございますので、暫定措置といたしまして国体開催時の県の玄関にふさわしい緑化事業、こういうもので対応せざるを得ないのではないか、このように考えておるところでございます。  それから主会場への連絡道路でございますけれども、三百二十九号線から入る県道沖縄総合運動公園線、また沖縄市道四百四十三号線、これらについて県で鋭意整備を進めておりますので、その努力に期待をいたし、また国体に支障のないようにしなければならない、このように考えておるところでございます。
  43. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひそういう方向でどんどん進めていかれるようにお願いを申し上げたいと思っておるわけでございます。  それから、輸送体制ですが、県内には約二百台ぐらいの貸し切りバスしかございません。何か開会式には七万三千人の人が参加するということで、六百二十一台のバスが必要になるわけでございますが、これが路線パスから引き抜くにしましても四百台も引き抜けるのか、一体どういうふうな対応をするのか、非常に心配でございます。それと、県外からの輸送でございますけれども、選手、役員で約三万人。そうすると、飛行機は選手、役員だけでいっぱいになって、一般の観客輸送は全くできないということになりますけれども、そういったことも含めてその対策を早目に立てていただきたい。今詰めているのだということでありますけれども、これはぜひ早目に詰めていただきたいと思っております。これは別に御答弁はよろしゅうございます。  交通通信体系の整備でございますが、先ほど長官からお話がありましたように、沖縄県は東西一千キロ、南北四百キロの地域に散在する島々から成っておりまして、どうしても島嶼、遠隔の地理的な不利性を抱えているわけでございますので、これを距離的に時間的に解決していくためには交通通信体系の整備を図っていく以外にないわけでございます。  その問題に関連して、まず空港整備でございます。先ほどもお話がありましたが、那覇空港位置づけは、三全総でも我が国の基幹空港としての整備を図るべきだということでありましたし、また一次振計でもそういう方向で進めてきたわけでございますが、運輸省の四次空整との関連で、県が思っていたような線では進められなかったわけでございます。たまたまこの十月八日でしたか、国土庁の事務次官がお見えになって、シンポジウムで講演をしておられるわけでございますが、その中で那覇空港位置づけについて、三全総に引き続き我が国の基幹空港として、南の玄関口としての位置づけをして、中国、東南アジアに向けての拠点空港にすべきだということを言っておられます。これについて、国土庁那覇空港位置づけについての御答弁をいただきたいと思っております。
  44. 糠谷真平

    糠谷説明員 お答えをいたします。  四全総計画目標年次は西暦二〇〇〇年を予定しているわけでございますけれども、二十一世紀へ向けまして国際的な人の流れ、あるいは物の交流が非常に盛んになると考えておりますので、私ども、国際交流の拠点となる空港の配置ということは四全総策定上の重要な課題だと考えております。那覇空港につきましては、既に週二十六便国際定期便の就航もされていることでございますから、このような実績も踏まえまして四全総位置づけを十分検討してまいりたいと考えてやります。
  45. 仲村正治

    ○仲村委員 ただいまお話があったとおりでございますが、十月八日の永田良雄国土庁事務次官のお話からいたしましても、そういう方向四全総の中に織り込んでいくということをおっしゃっておられましたので、これは六十二年スタートですので、今から決定をされるわけでございますが、それに向けてぜひきちっとした位置づけをしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、運輸省としては来年から第五次空整が始まるわけでございます。四全総に合わせて五次空整をちゃんと立てていかなくちゃならぬと思いますけれども運輸省は今御答弁があった方向那覇空港整備を進めていかれるのかどうか、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。なぜ私がこれをお聞きするかと申しますと、御承知のように、今のターミナル地区は一番北の端っこにあって、飛行機が飛んだりおりたりするときにこんな非能率なやり方はないということで、幸い国際線のターミナルができますので、そのときにきょうあすにもということではないにしても五次空整の中では国内線、国際線そして県内線のターミナルを一元化すべきである、こういうことを考えまして、運輸省考え方は一体どうなのかどいうことでお尋ねをするわけでございます。
  46. 堀井修身

    堀井説明員 お答えいたします。  那覇空港の基幹空港としての位置づけにつきましては、先生からお話がございましたように、三全総において札幌、東京、大阪、福岡、那覇等々と並びまして基幹空港として位置づけられておるわけでございますが、運輸省といたしましてもこの趣旨にのっとりまして、御存じのように滑走路の三千メーターの延長工事並びにターミナル地区の整備事業といったものを進めてきたところでございます。このような整備が進みますと、施設面におきましては基幹空港としての条件が一層整うということになろうかと思っておるところでございます。四全総におきましてどのような位置づけになるかということでございましょうけれども、このような基幹空港としての役割は変わらないというふうに私ども空港の立場から考えておりますし、今後需要の動向とか施設の利用状況を見ながら検討してまいりたいと思っております。  御指摘がございましたターミナルの集約の問題でございますが、御存じのように、当面の国体ということあるいはそういうことで現在のターミナルの整備を進めておるわけでございますが、この整備が進みますと、その後もかなりの期間、現在進めております施設で旅客と貨物との処理は可能であると考えてございます。ただ、御指摘のように使い勝手が非常に悪いというようなことも起こってこようかと思いますけれども、今後の需要動向あるいはでき上がりました施設の利用状況、こういったものを見つつ、長期的な課題として考えてまいりたい、このように考えております。
  47. 仲村正治

    ○仲村委員 私たちも一次振計の中で何としてもきちっとした国際空港、今中途半端な国際空港ですね、それで復帰前の状態に戻すべく、沖合展開をすべきだということで主張をしてきたわけでございますが、需要変動からしてしばらくは現在のあれで間に合うということで、三千メーターにし、ターミナル地区整備をし、いろいろやってもらっていることについてはよく理解できるわけでございます。しかし、二十一世紀と申しましてもあと十五年しかないわけでございますので、やはり十年、二十年先を見通して五次空整の中ではきちっとした位置づけをし、整備計画を立てていかなくちゃならぬのじゃないかということで申し上げているわけでございますので、ぜひそういう方向で御検討いただきたいと思っているわけでございます。  それから同じ空港問題でございますが、三種空港で新石垣空港、これはもう本当に皆さんも頭を痛めている問題でございますが、ここまで来て何をぐずぐずしているのかという感じでございます。県から埋め立て申請が出なければどうにもならぬと思うのですが、しかし、出すにしてもそれは開発庁といろいろ調整の上だと思いますし、いつ出していつ埋立事業に取りかかるのか、これがまず一点でございます。  それから長官久米島あるいは宮古、八重山へいらっしゃるときにいろいろ要請を受けたと思うのですが、久米島も席もとれない、何としてもジェット化しなければならぬということで、今千二百メーターの滑走路をぜひ二千メーターにしてくれ、多良間も八百メーターを千五百メーターにしてYSを就航してもらいたい、南大東も今八百メーターを千五百メーターにするためには今の場所ではどうすることもできないので、移設してぜひ拡張してもらいたいというこの三つの問題があるわけでございます。これについて、ああいう地域状態考えると、――本当に南大東なんか席がとれないんです、一週間も、場合によって一カ月ぐらい前から予約をしておかなければ乗れないというような状態でございますので、何としても拡張して、その地域経済発展を図っていかなければならないという立場から、これはぜひとも早急に促進をしてもらいたいと思っておりますが、これについての皆さんの対応はどうなっているのか。  それから伊是名、伊平屋の問題も先ほどお話がありましたが、これはようやく伊江島の射爆場訓練空域を少し変更して、伊平屋は大丈夫だろうということで、では伊平屋にはつくろうという線で今進めているわけでございます。伊是各はまだ空域にかかるということでいろいろ問題が残っているようでございますが、伊平屋はできる、こういうことでございますので、何としても、やはりその線から早目に進めていただかなくちゃならぬのじゃないか、こういうことでございますが、この新石垣空港あるいは久米島多良間南大東、そして伊是名、伊平屋新設についての対応を御説明していただきたいと思います。
  48. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 新石垣空港の問題でございますけれども沖縄開発庁といたしましても、また運輸省といたしましても既に予算要求、また予算がついているところでございます。先生承知のようないきさつがあるわけでございますが、現在県で環境アセスメントを調整中でございまして、それをもとにまた住民と十分話し合いをしていただく、こういうことでございまして、その成果に期待をいたしておるところでございまして、いつかということでございますが、私はできるだけ早くそういう調整を図っていただきたいと考えておるところでございます。何といいましても下新石垣空港の場合には今後の石垣の発展のためにはぜひ必要である、私はこのように考えておりますので、県の努力に期待をいたしておるところでございます。  それから離島空港の問題でございますけれども、先ほど大臣も申し上げましたとおり、新たに久米島ジェット化、また南大東多良間空港YS化、それから伊平屋の小型機空港新設要請をいたしておるところでございまして、伊平屋、伊是名の問題があるわけでございますが、伊平屋は伊是名に比べて距離も遠い、また米軍の演習空域との関係も解決できる、こういうこと等ございまして、今回の、今回といいますか、次の空整につきましては伊平屋空港をお願いをしておるということでございまして、ぜひこれらの実現を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  49. 仲村正治

    ○仲村委員 今いろいろ御答弁いただいたわけでございますが、皆さんは久米島多良間南大東の拡張については十分理解をしているということでございますが、大体見通しとしてはいつごろから手をつけられそうなのか、それから伊平屋新設についても大体いつごろをめどにしているのか、その点をひとつ御説明していただきたいと思います。
  50. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 現在、運輸省と第五次空整について調整中でございますので、明確なことは申し上げられませんが、我々の考え方といたしましては、明年度は新しい空港について要請をしてございませんけれども、明年度以降につきまして順次これらの整備を図るように要請をしていきたい、このように考えておるととろでございます。
  51. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひそういう方向でひとつ御努力をお願い申し上げたいと思っております。  交通体系整備のことについては、どうしてもやはり航空輸送、海上輸送、陸上輸送というものが三者一体となっていかなければその実を上げることはできないわけでございます。先ほども復帰後、道路整備は非常に順調に進んできたと申し上げましたけれども、依然として交通渋滞がますますひどくなるばかりでございます。やはりこれからも引き続き道路開発という点にはカを入れていかなくてはならぬわけでございますが、まず沖縄自動車道を基幹にして、それから国道、県道市町村道を全部有機的につないでいくという御計画だと思います。幸い国体に間に合わして沖縄自動車道は完成する予定になっておるわけでございますが、これは首里までで終わるわけです。一番人口の多い那覇以南について一体どうなるのかということを考えるときに何としても、南部の拠点都市である糸満市それから空港が基点にならなくちゃならぬということで、沖縄自動車道は首里でとまりましてもそれに接続する高規格道路が必要じゃないか、こういうことで関係市町村長からも強い要請を受けているわけでございますが、この問題にどういうふうに対応されているのか。  それから三百三十一号線の糸満-小禄間、これは旧態依然として戦前のままの幅員ですね。糸満市にあれだけ、三百ヘクタール、百万坪ぐらいの埋立地ができて、どんどん県営住宅ができる、一般住宅ができる、商店ができる、そして工業団地も将来どんどん張りつけていくと思いますけれども、あの三百三十一号線の豊見城地区の状態では、ますます交通渋滞に輪をかけていく状況になります。今、小禄バイパスも計画がなされております。しかし、一体その豊見城部分をどうするのかという問題があるわけです。それをどのように考えておられるのか。  それから那覇臨港道路港湾施設の一環としてつくられているこの臨港道路を五十八号線バイパスとして北伸をさせ南伸をさせるという考え方もあるようでございます。昭和六十年度は宜野湾バイパスがついている。来年はぜひ浦添バイパスをつけたいというふうなことでございますけれども、これは何としても北谷の国体道路入り口まで持っていかないとその機能を十分発揮することができないと思います。それがまず一点。逆に南側につきましても那覇空港まで結ばないとその機能発揮ができないのじゃないかと思いますが、これが三つ目であります。  それから土日、祭日になりますと、嘉手納から恩納間のこの道路の渋滞は大変なものであります。家に帰るのに四時間も五時間もかかるという状況ですね。これは皆さんよく御承知だと思います。ああいう状況で本当に産業開発ができるのか、観光産業振興ができるのかと思っているわけであります。そういう点で、嘉手納から読谷、恩納までの五十八号線バイパスを計画すべきじゃないかと考えますけれども、この四点について御説明をいただきたいと思います。
  52. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 まず高速道路の問題でございますが、先生おっしゃいますように、現在の高速道路ができましても、あとは環状二号を利用いたしまして、あと三二九を使うとかそういう方法で、今後非常に込み合うことが予想されるわけでございます。現在建設省におきましては、長期的な全国幹線ネットワークといたしまして、既定の国土開発幹線自動車道、全国で約七千六百キロ予定されているわけでございますが、こういうものを含めましておおむね一万キロ余で形成される高規格幹線道路、こういうものにつきまして第九次道路整備五カ年計画、五十八年から六十二年までの計画の中でまとめるべく調査検討を進めていると聞いておるところでございます。沖縄開発庁といたしましては、沖縄自動車道の延伸についてもこの中で検討されるものと考えておりまして、県当局及び南部地域等の関係者要望も非常に強いわけでございまして、今後とも建設省と連絡を密にしてまいりたいと考えておるところでございます。  それから次の糸満-豊見城間のバイパスの件でございますけれども先生おっしゃいますように現在国道三百三十一号線のバイパスとして小禄バイパスの事業を行っているわけでございます。先生おっしゃるような事情があるわけでございまして、周辺の事業また交通の動向を考えまして今後検討をしなければならないわけでございますが、後ほど申し上げます五十八号バイパスとともに後期以降の長期プロジェクトの重要な課題として受けとめておるところでございます。  それから一般国道五十八号の那覇から浦添、宜野湾を経て北谷に至る区間につきましては、現在は六車線でございますけれども交通量が一日六万台から七万台と非常に多くなっておりまして、交通混雑が著しい状況となってございます。そこで、先生ただいま申されましたとおり、宜野湾市内の約四・五キロメートル、これは国体のマリーナのところから伊佐に至るところでございますが、これを六十年度より国道五十八号バイパスとして新規に事業に着手しておるところでございますし、また那覇新港から宜野湾に至る約五キロメートルの区間につきましては六十年度よりバイパス計画策定のための調査に着手しておるところでございます。それから、さらに北の宜野湾市から北谷に至る区間につきましては、周辺事業進捗状況、また交通事情の動向等を勘案しながら将来の構想として今後検討していく必要があると考えております。  また、その先の嘉手納-恩納間でございますが、現在嘉手綱ロータリーを中心として、そして非常に交通が渋滞をする、こういう状況でございますので、これについてもバイパスの整備について検討をいたしたいと考えております。  さらに、臨港道路から空港に至る部分の検討でございますけれども、確かに現在地橋に抜けるという案であったと思いますけれども、また先生のおっしゃるような必要がございますので、現在その検討を進めておるところでございます。  いずれにしても、これらは今後の重要な課題として、今後の沖縄振興を図る上で極めて重要である、このような認識で検討をさせていただきたいと考えております。
  53. 仲村正治

    ○仲村委員 振興局長さんは総合事務局長をなさっておられたので、今私が御指摘申し上げた点についてはもう十分お感じになっておられると思いますので、ぜひひとつそういう問題解決の方向で御努力をお願い申し上げたいと思っております。  それから港湾整備の問題でございますが、重要港湾はおおむね順調に進捗をいたして、この復帰十三年間の成果というものは本当に大きいものがございます。離島港湾につきましては、大体離島というのは小さい島があって、全般的に隆起サンゴ礁で島が低いために、風が南から来て北が島陰になる、あるいは北から来て南が島陰になるということはありません。例えばいまさっきお話がありましたように、南大東なんかはもうどこの風が来たって、しければ島周辺が全部波荒くなるというような状況でございまして、一つの島に三つも港湾をつくってもらっているような状況でございます。南大東の西港は岸壁が大体十一メーターぐらい、その上に約二十メーターぐらいのクレーンが立って、クレーンでもって船からつり上げる、三十メーターぐらいつり上げられるわけです。非常に危険な状態で荷役をしております。これは戦前つくった岸壁らしいですね。それでそのそばに天気の日には大体普通の岸壁と同じような形で荷役ができるような岸壁を何としてもつくってほしい、これがまず南大東からの要望でございます。  それから多良間もやはり丸い島で、今あそこは普天間港を整備してもらっておりますけれども、昔の前泊港もぜひ必要だ。これはどちらかというと平良港からは真向かいになりますので、非常に近い場所にあって、やはり夏場はそこを使った方がいいということで、この前泊港整備を希望されているわけでございます。  それから渡名喜港は、これは漁港を利用しているわけですね。御承知のように、冬海になりますとしけて船が入れない。それでそこに行く予定の船が客も乗せたま東久米島に行ってしまうというごとで非常に困っている。ですから、現漁港を何とか改善できるのか、あるいはしようがなければ東側にもう一つつくるとかというような方法を検討してもらわなくては、島の交通事情からして大変な不便をかこっているわけでございますので、渡名喜漁港を整備するかあるいは新たにつくるかということについて検討していただきたい。  それから運天港のフェリーバースをぜびつくってほしいということで、地元の村長から要請が出ているわけでございますが、これは皆さんともあるいは調整がついているかもしらない、せっかくあれだけ立派な港湾をつくっているわけでございますので、やはりフェリーが着けるような施設もあわせて検討すべきである、こういうふうに思っておりますが、これは伊是名、伊平屋の連絡船の航路変更の陳情が出ているわけでございます。低気圧発生で海がしけたり、あるいは冬海になるとしょっちゅう、あの備瀬崎というところは波の荒いところでございますので、そういう危険を冒して本部新港に入っているので、時間の短縮、危険防止、あるいはまた燃費節約という点がら何としても航路変更をしたいということ。これは私たち、どっちがいいかそれはわかりませんけれども、やはり危険防止ということを言われると、何としてもそれは検討する必要があると思いますけれども、この伊平屋航路の変更について、どういうふうになるのか、この五点について御説明をいただきたいと思います。
  54. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 まず南大東港湾の問題でございますが、先ほど御説明して國場先生の御指摘を受けたわけでございますが、私も南大東に行っておりますので、その間の事情はよく承知をいたしております。ただ、國場先生おっしゃるように波が高いということがあるわけでございますが、若干天端を低くいたしまして、現在あります夏場に使う北港、また冬場に使う亀池港、こういうものとの有機的連携を図れるようないろいろの工夫はできないものだろうか、それで、荒天時は無理かもしれませんけれども、晴天時におきましては、そのようなもっこ揚げのような方法をとらない方法はないだろうか、こういうようなことを考えておるわけでございまして、こういう点を考慮しながら次期港湾整備計画検討をさせていただきたいと考えでおるところでございます。  次の、ちょっと順序不同になるかもしれませんけれども、渡名喜港の問題でございますが、これも先生おっしゃるような事情があるわけでございます。この渡各喜港については、漁港でありますために漁港の整備としては大体終わったという事情があるわけでございますけれども、確かに冬場に使えないというような事情がございますので、漁港と港湾の基準の問題もございますけれども、次の第八次整備計画において改めて検討を進めることにさせていただきたいと考えておるとごろでございます。  それから、多良間の前泊港の問題でございますが、多良間につきましては普天間港と前泊港がありまして、普天間港の方が港湾整備するのには好条件でございましたので、そちらを主体として整備を進めてきたわけでございます。現在前泊港は、水納港との連絡に利用される物揚げ場、こういうものが整備をされておるところでございまして、当面、港の安全性を高めるための防波堤の整備、こういうものを中心に進めることといたしてございまして、新たな岸壁整備につきましては、今後の定期船の船型や貨物量の推移を勘案しながら第八次以降の五カ年計画において考慮をさせていただきたい、このように考えておるところでございます。  それから運天港の問題でございますが、御承知のように、県管理の重要港湾として整備が進められてきたわけでございます。伊平屋、伊是名とのフェリー船の問題があることはよく承知しておりまして、また先生指摘のようないろいろの面があることも私よく承知をいたしておりますけれども、このような定期船バースを本部港から運天港に変更するという問題につきましては、県、地元関係者を含めて十分意見調整が図られた段階で考慮をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  55. 仲村正治

    ○仲村委員 ぜひ今の航路変更の件については、危険防止という点から大変重要な問題でありますので、真剣に御検討いただきたいと思っているわけでございます。  それから離島架橋の問題について、これはたびたび私が申し上げているわけでございますが、架橋可能な場所としては大体七カ所ぐらい考えられるわけです。これは古宇利、浜北嘉あるいは慶良間の外地、慶留間、阿嘉、それから伊良部、小浜、こういうことになるわけでございますが、やはり経済効果の非常に高い、すぐやらなくちゃならぬなという感じのところは伊良部と平良間の架橋、それから小浜-西表間の架橋だと思います。  伊良部は国策によって訓練飛行場を設置をして、そのときに県は土地を全島買い上げという地元からの要請で、要らない分まで土地を買わされて、今百方坪ぐらい遊休地があるわけでございます。ですから、そういう国策に沿った事業を今後十分活用していくためにも、平良市と結んで地域経済開発を図っていかなくちゃならぬのじゃないかというところから、ぜひともこれは検討を進めていただきたい。  それから小浜-西表の架橋ですが、今小浜島は八重山で割と土地のいいところ、また開発可能な土地が非常に多いところです。しかし、含みつ糖地域であるために、土地開発のときにこれ以上キビはつくるなという条件が付されるということで、大変問題だと思っているわけでございます。これは西表と結べば分みつ地域にできるわけでございますので、そういう点から小浜架橋については真剣に、早急に検討していただきたい、こういうふうに思うのでございますが、どうでしょうか。
  56. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 伊良部-宮古間、小浜-西表間の架橋の問題でございますが、確かに先生おっしゃいますように、伊良部島は下地島の遊休地を含め発展の可能性のある地域でございますし、また小浜島につきましても現在の含みつ糖地域が分みつ化できる、こういうような島の発展につながる架橋であるとは存じます。しかしながら、非常に金のかかる話でございまして、また投資効率からどうであるか、また沖縄におきましては、他の架橋でもやらなければならないのにやらないところがある、こういうようないろいろ事情があることは先生よく御承知のとおりでございます。私は、もちろん頭には入れておりますけれども、長期的な課題として取り組ませていただけないものであろうか、このように考えておるところでございます。
  57. 仲村正治

    ○仲村委員 確かにおっしゃるとおり金のかかることでありますので、今申し上げたことが一挙にできるとは思いませんけれども、しかしスケジュールの中にはきちっと入れていただかなくちゃいけない、こういうことで今手を挙げているというような状況でございますので、ひとつ御検討していただきたいと思っておるわけでございます。  それから宮古直行便につきましては、本委員会が十月八日から九月、宮古を視察したときに、行く先々でこれを言われたわけでございます。また皆さんもたびたび陳情を受けていると思いますけれども、その見通しについてどうだろうか、ひとつ……。
  58. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 宮古-本土との直行便の問題につきましては、沖縄のその他の空港整備、例えば新石垣空港とか久米島空港ジェット化などと同じように地元から強い要望が上がっておる一つの問題でございます。私も、宮古島に伺いましたときに地元から強く要望されまして、その後、運輸大臣とも数回、この問題につきまして実は相談をいたしております。  問題点は幾つかございまして、それは御承知と思いますけれども、特に羽田空港の発着枠の問題、これが一番物理的な問題でございまして、なかなか厳しい問題でございます。しかし一方で、宮古-本土間の直行便をつくるということは、宮古周辺を含めまして、その地域産業経済の活性化に非常に大きな役割を果たしておるわけでございますので、私としては、今後、地元の要望を十分頭に入れながら、実現可能な方策につきまして検討してまいりたいと考えております。
  59. 仲村正治

    ○仲村委員 この問題につきましては、かねてからいろいろ要請があるたびに羽田の離発着枠の問題があるということを言われておったわけでございますが、新幹線と競合する地域でどんどん便数が減る、ダイヤが減っていくということで、割と枠があいているんだということも聞かされておりますので、ぜひそこも念頭に置いて実現方向で御努力をお願い申し上げたいと思っておるわけでございます。  私は、戦後処理の問題について二つほど前もって御提示申し上げたわけでございますが、その中の那覇市手鏡水の崎原地区の地籍明確化問題についてお尋ねをしたいと思っております。  まず、防衛施設庁にお聞きしたいわけでございますが、この地域の地籍明確化に当たって、防衛施設庁の地図作製の手順、経過を説明していただきたいと思います。
  60. 宇都信義

    ○宇都政府委員 施設庁におきましては、昭和五十年から行政措置としまして地籍明確化作業を実施しておりますが、当地域につきましても、その後、位置境界明確化法が制定されましたので、その法律に従いまして土地所有者の行う土地の境界明確化作業のために資料を提供し、これを援助する立場から明確化作業を実施してきております。  この作業におきましては、昭和十九年に米軍が撮影した航空写真、昭和四十九年に施設庁が撮影しました航空写真、それぞれを図化しまして、また昭和四十六年、当時の琉球政府が航空写真をもとにして作製した国土基本図との照合、さらには米軍施政権下におきまして土地の所有権認定事業の結果作製されました公図、いわゆる小字マップとか公簿等の資料をもとにさらに現地調査を行い、土地の位置境界を明らかにするための参考となります道路、用排水路、墳墓等の工作物とその場所を図化し、さらに地元の古老等の御意見も伺いながら最終的な地図を作製しまして、関係者方々に対して位置境界の確認の協議のための資料として提供しております。
  61. 仲村正治

    ○仲村委員 時間がないようでございますので、簡潔にお尋ねをしていきたいと思います。  今御説明があったとおり、この地籍明確化法というものは、それを作成された総務局長小谷さんもここにいらっしゃるわけでございますが、戦中戦後のありとあらゆる資料を駆使して、政府の立場としてはそれに協力をするということで、その地域の地籍明確化図をつくるためには昭和十九年の十・十空襲の前のB29から撮影をした航空写真、その後の航空写真、上陸後の航空写真、あるいは上陸をして昭和二十三年ごろに米軍現地調査をした現地地図、こういったものを全部総合して、国土地理院の指導を受けてその地図をつくったということでありますが、たまたまそこに国有地がある。これは沖縄総合事務局が裁判によって国有地化したわけですが、ここにはもともと国有地というのはないわけであります。だから、国有地と決めた場所が個人の所有地と重なっていて、復帰前からずっと大蔵省はそこに地料を払っているわけです。防衛施設庁は地料を払っているわけです。そこが国有地だということで、今地籍明確化作業が停滞しているわけです。一体こんな矛盾した話がどこにあるかということなんです。これはだれが答弁するのですか。もともとここに国有地があったのじゃないでしょう。ひょっとしたら海浜地域であったのじゃないか。そこに土が埋まって陸地になったので、そういう場所を某氏が不法占拠しているので立ち退きをさせるべきだという訴えで総合事務局が裁判をして国有地にしたということでありますけれども、もともとここは個人有地だったところに国有地という裁判の判決が出た。そして、今度地籍明確をしようとしたら、土地が重なっているので総合事務局はだめだと言うのですね。これはもう時間がございませんので、長官、私は現地の方で総合事務局の財務部とも何回もかけ合っておりますが、この経過を聞けば聞くほどなぜ国有地になったのか、また国有地にするためになぜ隣接地主の了解も得ないで、立ち会いもせぬで国有地にしたのか。非常に矛盾している。国有地だと言っておきながら個人有地としての地料を払っているわけです。ですから、これは早目に調査をされて、ぜひ結論を出して、この地籍明確化作業が順調に進捗できるように御配慮いただきたいということを申し上げたいと思いますが、よろしゅうございますか。どうぞひとつ。
  62. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 今の問題につきましては、余り知識がございませんものですから、十分検討いたしまして善処したいと思います。
  63. 仲村正治

    ○仲村委員 これはぜひ調査されて、早目に解決できるようにお願い申し上げたいと思います。私は、向こうの財務部長さんですか、かけ合っておりますけれども、部長の権限でああそうですか、それじゃ皆さんの言うとおりやりましょうということは絶対できないと思います。首が飛んでもできないと思います。だから、国有地にしたといういきさつに問題があったと思うのです。そこをよくお調べになって早目に、そうしないと私が先ほどから申し上げております国道三百三十二号線の整備はできないです。用地買収ができないです、地籍明確をしなければ。それからフリーゾーンをつくるにしてもこれはできません。それから県はそこにモノレールの車庫をつくろうとしておりますが、それもできません。そういったプロジェクトを進めていく上でも早目に解決していかなければならない問題でございますので、ぜひお願い申し上げたいと思います。  ほかにもいろいろ通告してあったわけでございますが、時間が参りましたので、待機していただいて大変恐縮でございますけれども、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。
  64. 青山丘

    青山委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  65. 青山丘

    青山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  66. 上原康助

    ○上原委員 午前の御質問とも若干重複する向きもあろうと思うのですが、改めて新しい藤本長官に、大体似たり寄ったりの質問、いつも同じようなことを聞いているみたいで聞く方も何か気乗りしないものもあるのですが、国会はある面では政府のいろいろの政策に対して御見解を聞き、またそれを批判をしたり、野党は野党の立場で提言をしたり、別にまた、ある側面では討論の場でもあると思うので、そういう立場で、まず沖縄振興開発計画についてお尋ねをしたいと思うのです。  お話のありましたように、八月の十四日に河本前長官の後を受けて御就任なされたわけですが、従来は沖縄開発庁長官というのは別の部署も担当、兼任というお立場でしたが、今度は初めて専任の開発庁長官になられた。その意味では沖縄にとっては大変期待が大きいし、またある面では、専任大臣といってどの程度変わるのかなという不安も、率直に言ってないわけじゃないわけであります。  そこで、四回にわたって本島、余りどなたも行ったことのない与那国まで足を運ばれたということで、その点は高く評価をし、敬意を表したいわけですが、御在任中に何を一番重点にやりたいのか、継続性のあるものもたくさんあるので、それはこれまでの開発庁なり関係省庁が大体レールに乗せているので、もちろんその中から優先度を決めてやらなければいかない政策課題ということになると思うのですが、御視察をなされて、あるいは沖縄開発庁の専任大臣に御就任をされて、これだけは何とかやってみたい、またこれだけは何としても方向づけておかなければいかないというその所見、決意というのをお持ちだと思うのですね。そこをひとつずばり聞かしていただきたいと思うのです。
  67. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 就任以来三カ月余たつわけでございます。私は先ほど上原先と言われましたように、十六代目の沖縄開発庁長官で、初めての専任大臣ということを私自身実ははっきりよくわからなかったわけです。しかし、だんだん説明を聞いているうちに、これは大変な責任も感じておるというのが率直な感じでございます。事実四回訪沖いたしまして、行く先、行く先で大変な御歓迎をいただいて、それはまた私に対する期待のあらわれでもある、そういうふうに感じますと、ますます責任を感じるわけでございます。しかし、微力でもございますので、また、どこまでの時間が与えられるかということもよくわかりませんので、しかし、今言われましたように方向づけだけはしっかりやっておきたいという気持ちは持っております。  その具体的な問題としては、やはり一口で言えば、沖縄の今の現状が、社会資本整備を中心として相当本土との格差は是正されている、しかし一方では財政依存度の高い経済体質である、これは、これからの財政状態からしますと沖縄にとっては非常に厳しい問題になってくるわけでございますし、そういうことを考えますと、できるだけ早くこの財政依存度の高い体質から脱却をして、それで産業振興を図って、沖縄経済自立化していく、こういうことに全力を挙げていかなければならぬというふうに感じておるわけでございまして、その方策としては、いわゆる価値観の多様化の時代でございますから、やはり沖縄の独自性、特色というものを最大限に生かしていく、これが基本的には最も大事な戦略、展望になろうかと私は思います。  そこで、独自性、つま力亜熱帯性とか海洋性とか国際性とか文化性とか、こういう独自性を生かしていく方向の中には、やはり今の観光事業というものが非常に大きなウエートを占めておるし、それからまた沖縄全体の活性化を図るためには第一次産業というものが非常に大事である、こういうことも感じておりますので、地場産業ももちろん大事でありますけれども、こういう問題を振興開発発展さしていくためにはこれから何に重点的に力を入れていかなければならぬか、こういうことになるわけでございまして、私はやはり交通体系、この整備が最も大事だ、そういうふうに思います。また同時に、離島県でもありますから、通信体系の整備もこれまた大事でありまして、特に交通通信体系の整備という問題が、もちろん生活環境の整備も必要でありますけれども、特に最重点として考えていく課題ではないかな、こういうふうに思っております。
  68. 上原康助

    ○上原委員 大体長官の意図すること、理解できます。私どもがこれまで指摘をし、あるいは今長官指摘になったような課題というか政策というものをやはり重点にすべきでないかという立場なので、その面では共通性があるし、また意を強くいたしました。  そこで、問題は独自性というか多様性、沖縄の特徴、特製性というものを活用してやっていくわけですが、御承知のように二次振計も既に四年目の半ばに差しかかっておるわけですね。けさほどもいろいろ御議論がありましたが、歴代の長官沖縄振計の基本というのは本土との格差の是正と自立経済基盤の確立ということに一口ではなっているわけですが、所得格差にしても依然として全国平均の七〇そこそこ、よくて七四・二%程度、言うところの産業構造の改革にしてもなかなか思うように運んでいない。特に製造業のウエートが低いということ。沖縄はわずかに九・九、一〇%にも満たない。全国平均は二九・七で三〇%近く。失業問題は依然として恒常化、慢性化している。今大臣指摘になった財政依存度が高いということですね。県民総生産の面から見ても県際収支の非常に大幅な赤字の面、いわゆる移出というか移入というか、そういう面のバランスが全然とれていないで、これはまさにその意味では赤字経営ですね。そういう中で財政依存度が高いということで、人口問題は過疎化になるであろうという予測を裏返して亜熱帯性、住みやすいという環境のよさもあると思うのですが、上昇傾向にある。これは自然増、社会増を含めて恐らく二次振計後半段階では百二十万に手が届くのではないかと思うのですね。  こういったフレームをいろいろ考えてみますと、この二次振計後半のプロジェクトをどうするかということは大変重要な課題なんです。今みんな国体国体ということでいろいろ進めているわけですが、私はこの国体計画が海洋博の二の舞を踏まないことを非常に期待をするし、またかねがねそういう警鐘を鳴らしてきたわけなんです。国体そのものには反対じゃございませんが、しかし県を初め各市町村に相当無理をさせていることは間違いないわけですね。その後始末も恐らくいろいろ出てくるでありましょう。  そういうことを念頭に置いて、これからの二次振計後半ということを考えた場合に、まず第一点は、当面財政依存度が高いといってとは行財政計画あるいは政策からしてよいことではないかもしれませんが、しかし沖縄がよって立つ歴史的過程あるいは現状というものを考えた場合には、どうしても国の助成措置というものに依存をしなければ当面の県経済あるいはその他の経済政策、振興開発がおぼつかないことは、これは指摘をするまでもないわけですね。そこで、何としても六十一年度以降のこの予算確保ということを第一重点として開発庁としてはやっていただかなければならない、政府全体として、特にその中で補助金のカット、去年は行財政改革、補助金の一律一割カットなどということで沖縄関係にも手が伸びたわけですが、報道によれば、大蔵当局は補助金の一律カットについて六十一年度予算でも、六十年度より広範かつ深く削減方針を打ち出してくる可能性があるやに聞いているのです。このことについては我々も非常に心配をするし、けさほど来いろいろ議論があったことなど、本当に沖縄のこれからのことを考えた場合に、いましばらくこの問題というのは堅持をしていかなければならない重要な課題だと私は思うのです。先ほどお述べになったことと今私が指摘をしたものを含めて、まず第一に、当面の予算確保というものと二次振計が推進段階であるということと国体以降のことを考え合わした場合に、この沖縄振興開発計画で言う助成措置の継続性というものは必要欠くべからざる制度だと我々は理解をしているわけですが、この点に対しての見通しと、また堅持をしていくための決意を伺っておきたいと思うのです。
  69. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 現在、二次振計の四年目に入っておるわけでございまして、当面は六十一年度の予算の問題と、その中にも関係いたしておりますけれども、六十二年の国体、これが二次振計前半の一つの大きな問題で今日来ているわけです。しかし、二次振計後期の進め方いかんによりましては、この二次振計全体が成功するかしないかということに深くかかわってくると私は思っております。  予算の問題につきましては概算要求、六十一年度分につきましては、いろいろ計算のやり方によるわけでもありますけれども、実質は六十年度よりは十八億多く要求しておるわけでありますし、それからその中で特に国体関連、これは約二百七十億、農業基盤整備、これは全国平均よりも四・七%上回った率で要求をいたしておりまして、これが約二百四十一億だったと思いますけれども予算全体の中で占める割合は非常に高いわけでございまして、しかもこれからの沖縄振興開発には非常に大きな問題を持っておりますので、この総額の確保と、中でもこの重点の二つについては全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。  それから財政依存度が高い今の沖縄経済体質というものは今の沖縄の特徴でもあり、これが非常に問題点でもあるわけで、早急にこの体質は解消しなければならぬ。これはもう当然のことでありますけれども、しかし今の沖縄本土との格差状況を見ますと、そうは言ってもなかなかそうはまいらないと思うわけでございまして、財政力に当面は頼らざるを得ない。また、それが私ども沖縄開発庁課題といいますか、目標課題だというふうに考えております。  それから高率補助の問題につきましては、これは御承知のように、六十年度全国一律の中で沖縄につきましては配慮をしていただいておるわけでございますし、来年度のことにつきましては、今高率補助関係関係閣僚会議で御検討中でございます。結果はまだ出ていないわけでございますけれども、どういう結果になりましても、私どもとしては沖縄振興開発並びに県市町村財政に影響のないような形で必ず配慮してまいりたい、かように考えております。
  70. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ御努力をいただきたいわけですが、大蔵当局も御承知のように、いろいろこの沖縄補助についても見直しを図りたいという意向もあるやに聞いておりますので、少なくとも開発庁としては、そういう立場ではやっておられないと思うのですが、国体までは目をつぶるけれども、その後はばさばさということにならないように強く要求をしておきたいと思うのです。  そこで、これもたびたびお尋ねしていることなんですが、要するにポスト国体の振計の後期のプロジェクトはどういうふうなものを考案するかということですが、既に河本前長官なりあるいは振興局長開発庁の首脳の皆さんがこれまで言っておられることは、六十一年夏ごろまでは具体的なプロジェクトを考えたい、基盤整備の継続しているものは後期にも継続していくが、言うところの経済自立的発展に直接結びつく形で、民間投資を誘発をする公共的な投資というものを考えていきたい、こういうかなりわかるようで少し漠然としたようなことを言っているわけですよね。来年夏というと、僕が聞いたのが四月だったか六月ごろであったので、もうそのころよりはこの構想の固まりぐあい、あるいは作業の進捗というのはあると思うので、改めてどういうことをお考えになっているか、ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  71. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答え申し上げます。  現在、沖縄開発庁沖縄振興開発審議会の総合部会にこの検討をお願いしておりまして、現在までに専門委員会が三回にわたって開かれております。正確にというか厳格には、現在沖縄振興開発審議会で御検討中のものでございますので、余り極端な予想というものを申し上げるのはなんでございますが、現在私どもこんな方向ではないかなというふうに考えているものを申し上げます。  第二次振興開発計画は、一次計画の成果を踏まえまして、産業振興を積極的に進めるなど、先生のおっしゃいます自立的発展を目指すことに重点を置いております。しかし、二次振計策定後三年少しを経過いたしました現在、沖縄県の経済は依然として製造業のウエートが低い産業構造となっておりまして、このため経常的に移輸入が移輸出を上回り、財政支出に大きく依存しております。この点も先ほど先生に御指摘いただいたとおりでございます。また、一人当たりの県民所得につきましては、対全国格差復帰後次第に縮小してきてはいるものの、その額は依然として全国最下位でございます。  さらに、昭和六十二年に開催される国体以降、二次振計の後期、つまり昭和六十二年度から六十六年度までにおきましては、政府財政事情から考えましても、それほど財政支出に大きく依存するというようなことは希望しにくいと思いますので、そのような経済体質から脱皮しまして、産業振興により経済自立的発展を図ることが緊急の課題となっております。  したがいまして、今後沖縄地域特性を生かした亜熱帯農業であるとか地場産業であるとか、あるいは海浜リゾートを中心とします観光関連産業等民間産業部門の伸展によりまして経済自立的発展を図るとともに、また、民間投資を誘発するような効率のよい公共投資を実施することが必要であると考えております。大体基本的にはこのような考えのもとに現在沖縄振興開発審議会の諸先生方も二次振計後期の展望と戦略について御検討の作業をしていただいているものと存じております。
  72. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 今局長が御答弁いたしましたような方向でございますけれども、今後の二次振計後期の方向としては、私はやはり一番は観光だと思うのです。それで、今観光収入が二千二百億、農業の粗生産が千三百億でございますから、やはり現状から考えますと、沖縄特性はそういうところが一番強いのではないかなというふうに思います。しかし、数字だけの問題で考えるばかりでもこれまたいけないわけでございまして、基本的にはやはり第一次産業振興農業それから漁業、畜産、こういうこともこれから重点を入れて、しかも方向としては有望だというふうに考えております。
  73. 上原康助

    ○上原委員 まあ、おおよそこれまでのことと余りかわりばえしないと言ったら失礼になりますが、大体そうだと思うのです。そこで、こういう二次振計の後期をどうするかという面では、政府の御見解も我々が考えている点あるいは指摘をしたことと余り差がないわけですよね。共通性がある。ですから、私はその土俵を大事にしてもらいたいと思うのですね。しかし、その手法においてはいろいろまた異なる考えもあるかもしれませんが、観光問題、観光産業必要性というのはどなたも否定はしない。  ただ、これはきょうは時間的なゆとりがありませんので細かくは言いませんが、今のようなパック観光では、沖縄の今後の観光産業のいわゆる地場、民宿やそういうものに本当に好影響を与えているかどうか、先行き不安な面があるわけですよね。航空会社がリゾートホテルをどんどんつくって、募集するのも全部一括してやり、乗っけるのも一括してやる。今度宿泊も一括してやる。お土産品店も全部チェーンでやっていくという、これで沖縄経済が果たしてプラスになるかどうかというものは、もっと分析する必要があると僕は思うのですね。こういう面は既に相当問題含みであると中小の観光業者や民宿等々からクレームがついているということは念頭に置いていただきたい。私、この間、西表に行きましたが、西表だって大変ですよ。石垣から朝行って、日中はみんな向こうで観光するけれどもまた引き返してくるというふうに、ある面ではごみを落として帰るようなものだというきつい御指摘もありましたが、そういった面を考えないと、大企業に独占をされる沖縄の将来の観光のあり方というものは、よほど政府段階でも御配慮をしていただかないと、今長官が言うように、でっかいホテルや輸送体系ができたから沖縄観光が発展をしたということにはつながらないという危険性というか暗い側面もあるということを指摘しておきたいと思うのです。  そこで、総務局長がいろいろお述べになりましたが、ぜひそういったことをひとつ体系化、具体化をしていただきたい。冒頭長官がおっしゃった交通体系、通信体系の面と関連するわけですが、観光を重点施策の一つの柱にするという意味でも交通体系整備というのは極めて重要だと思うのです。しかし、けさもいろいろございましたが、那覇空港のターミナル問題にしたって、あんなターミナルが、国内はこっち、島内はこっち、国際はこうと、国際ターミナルは今中央に建設中ですが、これも長年指摘をして、ようやく六十二年に向けて手をつけているようですが、どう見たってああいう変則的なあり方というのは沖縄観光の玄関としてはよくない。そういう基本的な問題さえも整備されていないということ。さらに、空港に至ってもこれから大変力を入れていかなければいかぬ。  そこで、けさもいろいろございましたが、繰り返しで恐縮なのですが、この離島空港整備の問題は久米島ジェット化は五次空整でやっていきたいということでしたが、久米島は観光だけの問題じゃないのですね。今クルマエビの栽培というのを非常に盛んにやっておって、四月から七月にかけてはちょうど収穫期に入って、これは直接空路で東京あたりに運ばなければならぬ、だが今のYSではどうしてもほかの荷物もあるから、特にそういった農産物、海産物というものを運ぶキャパシティーがないと言って、大変この面が問題だ。そういう面で単なる空港整備という政府全体の計画の中にこの久米島問題を位置づけては遅過ぎるという指摘がある。これは仲里、具志川の村長さんからもありましたし、私はクルマエビをつくっている現場まで行っていろいろ聞いてみたのですが、その面でもこの久米島空港の滑走路延長というか拡張問題というのは、優先度として私は早めなければいけない一つの課題だと思うのですが、その点はどうお考えなのかということ。  もう一点、南大東も五次空整に入れるということでした。これは陳情書が来ております。南大東は現空港位置というのが防風林、いろいろあって、拡張は無理だという話もあって、東側に新しい立地を考えているということもありましたが、この間の村長さんの要請書を見ると、そういうことまで具体的には示されていないのだが、運輸省も来ておられると思うのだが、この現空港整備していくのか、あるいは新しく立地させるのかという問題。  それと、多良間は御承知のように平良と石垣の中間にあるわけですよね。ちょうど向こうは気象条件が非常に悪いのですよ。悪くて、行くのは行ったが、帰りはよいよいどころかもう帰れないという場合もあるのです。レーダー、そういうものもなしで、有視界ですか、全くそういうことでやっているので、行ってみないと帰りの気象はどうなるかわからぬというので、パイロットの勘で向こうはやっているのですね、空港は。そういう面で危険性の問題もあるし、気象上の面からも空港整備というものは早急にやらなければいかぬということが、この間青山委員長を初め御苦労さんでしたが、平良市に行ったときも強くそういう要求が出されているわけですね。一方、粟国の方も出されている。伊平屋、伊是名はもちろんです。  もう一つは、ついでに言いますが、慶良間空港、これはグライダーが飛んでいると思うのですが、あれは外地にある空港ですが、これは御承知のような豊田商事問題で、この会社が倒産をしてしまったのですね。今地元の座間味村当局や関係者が何とか維持をしているようですが、安定的に継続的な運航が確保できるようにやうてもらいたいという強い要望があるのですが、こういった大どころじゃなくして、県民やその地域住民の生活環境と結びつく足の確保必要性、安全性というものを考えないと、離島空港整備というものは本物にはならないと私は思うのですがね。  今指摘をした問題等を含めて、改めてどういう優先順位でやっていくのか。優先順位というと、先になる方はありがたがるが、遅くなる方は御不満があるかもしれませんが、しかし、みんな一遍にやろうとしたって今の状況ではできないわけですから、そこはやはり交通整理をして、もし後になる方はまたそれだけ御理解をいただいて、協力も頼むということでないといかぬと思うのですが、甘い期待だけやらぬで、どういう形でやっていこうとするのか、そういう面はおのずと方向性というのは出てくると私は思うのですが、ひとつ開発庁運輸省から改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  74. 堀井修身

    堀井説明員 お答えいたします。  離島空港整備考え方というのは、午前中も申し上げたかと思うのでございますが、御承知のように、現在第五次の空港整備五カ年計画策定中でございまして、航空審議会の方にいろいろと御審議を賜っておる状況でございます。この八月に第五次空港整備五カ年計画の要求に当たりまして基本的な考え方を取りまとめていただきました。  その中で、離島における空港整備基本考え方といたしまして、民生の安定あるいは地域振興、こういったものに非常に多大の貢献を空港は果たしてきておるというようなことから、今後におきましても空港必要性あるいは経済性、路線の運営の見通し、こういったものに配慮しつつ整備を進めていくべきだというような取りまとめをちょうだいしたわけでございます。私どもこのような観点から、非常に厳しい財政状況にはございますけれども、この趣旨に沿いまして離島空港整備にできる限り努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  さて、先生の方から御指摘がございました久米、南大東多良間伊平屋等の整備につきまして、県あるいは沖縄開発庁の方から要請を承っておるところでございます。私ども現在この五次空整の大枠を財政当局に要求をした段階でございまして、この大枠が決まりました後、個別空港についてどのような段取りでやっていくかというような点について運輸省としては詰めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  75. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 沖縄離島県でございますから、この離島空港整備につきましては、今お話がございましたように、その地方の産業経済振興開発に非常に大きな役割を持っておるわけで、単に住民の利便だけではない、そういう考え方、私も全くそうだと思うのです。事実久米島、それから宮古、石垣、与那国各地で関係者から、例えば与那国であればあの小さい飛行機でございまして、大きいカジキなんかの魚をとった場合に積めない。だから早くYS、大きいやつにしてくれ、新石垣の問題もそうですし、宮古もそうですし、今先生指摘久米島、これもそういう農産物、空港が早く整備できればもっともっとつくれる、こういうお話を随分ちょうだいいたしまして、私どもとしても、大変厳しい財政状況のもとでございますけれども、精いっぱい努力しなければいかぬな、こう思っております。  我々の立場から総合的にもし順番をつけるとすれば、与那国が来年の十二月に完成しますからこれが一番、それから後は久米島、石垣ということになろうかと思います。それからその後は南大東多良間空港YS化、それから伊平屋島の小型機の新規空港、こういうことになろうかなと思います。
  76. 上原康助

    ○上原委員 それはどうしても優先順位というのは出てくると思いますので、地域必要性あるいは緊急性等々をお考えになって、ぜひひとつ御努力を賜りたいと思うのです。  お答えありませんでしたが、慶良間の空港問題についてもぜひ御検討いただきたいと思いますし、運輸省は確かに、八月の航空審議会に出された第五次空港整備計画基本考え方というのは私もちょっと目を通してみたのですが、これは別に異議を唱えて言うわけではないのですが、国策としてはそうかもしれませんが、大阪、成田、羽田の三大プロジェクトということに重点を置いているわけですよ。今の段階では当然そうなるという必然性はわかりますけれども離島空港沖縄の場合は――沖縄と言ってもまだ離島なんですよ。そこはよくお考えになっていただいて、離島空港整備の面にも第五次空整においては十分な御配慮をするように強く要望をしておきたいと思います。  そこで次は、二次振計とも関連をするわけですが、いま一つの問題である沖縄電力の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  この沖縄電力の問題もこれまで何回か聞いてきたわけですが、民営化にするという問題の前に、私は沖縄の電力料金を考えていただきたいと思うのですよね。御承知のように、沖縄電力の電力料金は昭和五十五年ですか、二回にわたって大幅値上げをされたわけですね。その結果、一キロワットアワーの料金はたしか五十五年段階で二十七円二十銭ですか、になった。その年に九電力も料金の値上げが行われたと思うのですが、一キロワット時の料金はたしか二十二円三十四銭だったと思うのですね。翌五十六年の十月に北海道電力の料金の値上げがなされたかと思うのですが、それでもまだ沖縄の方が相当高い料金だ。その後たしか料金値上げは行われていないですね。料金格差はそのままなのか、五十九年度の平均で一体九電力の平均はどうなっているのか、沖縄はどうなのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  77. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答えさせていただきます。  昭和五十五年の料金改定時におきます沖縄電力株式会社、それから九電力会社平均の数字は、先ほど先生お述べになりましたとおりでございます。  それから五十九年度につきましては、五十五年度以来、先ほども指摘ございました北海道電力の料金改定があっただけで推移をいたしておりますので、料金水準としてはそれが横になっておるわけでございますが、総電力量の収入割る販売電力量ということで一キロワットアワー当たりの単価をはじいてみますと、九電力会社は一キロワットアワー当たり二十三円五十三銭となっておりまして、沖縄電力は二十七円六十六銭という数字に相なっております。
  78. 上原康助

    ○上原委員 そこで大分差がありますね、長官もお聞きになって。この五十五年段階で沖縄電力の累積赤字というのは幾らぐらいあったのですか、ちょっと話は横にそれますけれども
  79. 川田洋輝

    ○川田説明員 五十五年度末におきます沖縄電力の累積赤字は百六十七億六千三百万ということに相なっております。資本金が百四十七億余でございますから、債務超過という事態になっておりました。
  80. 上原康助

    ○上原委員 現在幾らですか。
  81. 川田洋輝

    ○川田説明員 昭和五十九年度末の累積赤字は四十五億七千八百万円と相なっております。
  82. 上原康助

    ○上原委員 そこで、沖縄の電力料金が割高になったことは、当時燃料問題が、石油、重油が高くなったという背景もあったし、同時に今なぜ私がこれを聞いたかというと、これだけの累積赤字があって大変なのでということで年に二回も大幅改定をしたのですよね。そうしますと四円十三銭沖縄の方が料金が高いわけですよ。しかもこれは余り指摘しない方がいいかもしれませんが、沖電の場合は六十二年の五月まで関税の免除措置がありますね。あるいは復帰特別措置等もある。その他の面でもかなり特別措置が設けられていることは御承知のとおりなんですね。そういうことを考えた場合には安くなければいかないはずなんだ、本来は。しかも今石油は、もう今度OPECなんかでもいろいろ議論があって自由化にされようというようなところまで来ているわけでしょう。むしろだぶつきぎみであるという、一時期よりは状況が大分変わってきている。こういう国際環境、状況というのが出てきたということと、いま一つはドル安・円高の問題ですよね。きょうその数字はまだ言いませんけれども、二百円台あるいは二百四、五円台の二百円前後になりますと、これはもう大変な差益というものが出てきていることは間違いないのですよ。もう五、六カ月経過をしてきている。今までさえこれだけ高い。所得は低い。あのころはそういった悪い条件があったから、県民としてもこれはやむを得ないのかなという辛抱もあったと思うのですが、ここに来ると抜本的に料金問題は見直すべきで、沖縄は少なくとも九電力よりは高くしてはいけないと思うのですね。私は、これは非常に急を要する問題で、沖縄県民としては、この問題は消費者の立場では見逃せない問題になってきていると思うのです。今私が言った幾つかの好転した条件などがある。しかも石川に火力発電はできるけれども、現在のところは、燃料は全部石油使用なんですよ。そういう面からすると相当の差益が出てきているということと、五十九年度末で四十五億ですか、四十五億程度となりますと、恐らく年度末までには赤字は全部帳消しになるでしょう。だから消費者にこれ以上高い料金をやるということは筋が通らない。ぜひ御検討いただきたいと思うのですが、いかがですか。
  83. 川田洋輝

    ○川田説明員 お答えいたします前に、先ほど御説明すべきだったかと思いますが、先ほどの数字は仕上がりのところで申し上げたわけでございますが、それぞれの契約種別で実際需要家さんがお支払いになっておられます料金水準で見ますと、沖縄の電力料の水準は本土のちょうど中ほどの水準でございます。  どうして先ほどのような差が出てくるかということを御説明いたしますと、沖縄の電力の需要は、供給原価が非常に高くかかります。一般家庭向けの電灯需要あるいは事務所などの業務用需要、こういうもののウエートが非常に高いわけでございます。先ほどもお話があっておりましたように、大口の産業用需要のウエートが低うございます。電力は、その流れからいたしまして、大口のものは発電所に近い段階で供給をされますので、原価が安く済むわけでございます。そういう関係がございまして、先ほどのような最初の数字になるわけでございますが、それぞれの需要家さんのお支払いになっておられるのは、契約種別によってばらつきはございますが、本土の中ごろの水準にある、本土並み料金水準のところにあるということを御理解いただきたいと思います。  それから今後の見通してございますが、先ほども申し上げましたように、五十九年度末ではまだかなりの累積赤字を有しているわけでございます。したがいまして、ここ二、三年業況は好転をいたしてきておりますが、やはり電力会社の健全な運営ということからすると、まずはこの累積赤字を解消して、かつ九電力会社との企業体質はまだ大分差がございますので、そういう面にも配慮していく必要があるのではないか。  それから為替レートの問題につきましては、まだ始まったばかりでございまして、沖縄電力は国産の重油を使用いたしておりますので、レートの効きが非常に遅くなると考えておりますので、ここいらは始まったばかりであることも考えてみますと、事態の推移をよく見守っていく必要があるというふうに思っておるところでございます。
  84. 上原康助

    ○上原委員 エネルギー庁としてはそういうかたいことをおっしゃらざるを得ないかもしれませんが、しかし消費者は、それは納得しませんよ、あなた。いろいろ理屈をつけて数字をはじけばどうでも操作できると思うんだが、感覚的に割高であるということは間違いないんだよ、あなた。五十五年からそういった経過で今日まで来ているわけですから、それを是正は難しいということは納得できませんよ。これは開発庁、少し御検討いただきたい。それはお答えいただきたいと思います。  それとついでに、この民営移行の問題がかなり固まったやに聞いたわけですが、しかし、沖電を民営移行にする場合の資本金の規模をどうするかということとか、政府所有の株式の売却をどうするかというようなことで、いろいろ障害というか難しい面があると聞いているわけですが、これらのことについては、当然エネルギー庁も開発庁方針なりお考えを持っておられると思うのですが、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  85. 川田洋輝

    ○川田説明員 沖縄電力株式会社の民営移行問題につきましては、早期にこれを実施するというのが政府の確立した方針になっておりまして、かねて地元の意見の取りまとめをお願いをしておったところでございますが、ことしの四月に県御当局から、その取りまとめ結果につきまして御要請という形で報告がございまして、沖縄県のみを供給区域とするいわゆる独立民営方式という方式でやっていただきたい。それから、先ほど来お話がありますが、本土並み料金水準の確保というのは重要な課題であるので、それに向けての特段の支援助成をお願いをいたしたい、こういうお話がございまして、その後、沖縄県御当局とそれから沖縄電力株式会社と私どもが一緒になりまして、ずっと検討をいたしてきております。  検討のポイントは、今お話がございました百四十七億円余のこの会社の資本金の九九・九九%、これは政府所有の株になっておるわけでございます。民営化と申しますのは、形の上では民有の株となるということに相なるわけでございますので、その際にどういうやり方をするのか、それから、その資本金の規模というのが将来の経営を考えた場合今のままでは大き過ぎる、あるいは沖縄県民主体の電力会社ということにぜひ持っていきたい、こういう地元の御要望もございますので、こういった点につきまして、今申し上げましたように三者で今一生懸命検討を行っておるところでございまして、できるだけ早く成案を得まして、財政当局あるいは関係の九電力会社等の支援も要請されておりますので、そういったところとのお話し合いを始めたい。  それから、検討いたしておりますもう一つの面は、やはり離島を大きく抱えておるというような構造的な不利性もあるので、今後どういう支援助成が必要であるかどうか、そういったようなことにつきまして検討を進めておる、こういうのが現在のところの状況でございます。
  86. 上原康助

    ○上原委員 もう少し推移を見なければいけないかなと思うのですが、もう一つ指摘をしておきたいことは、この沖縄電力の前身はいわゆる沖縄電力公社だったわけです。これはガリオア資金で設立されたもので、本来ならこれは沖縄県民に無償で交付さるべきものなんです。今考えてみると、復帰のときにいろいろ沖縄側にとって非常に不利になっている面が多いわけですよね。従来だって、琉球大学をつくったら、国立大学になった途端にその財産は全部国に没収されてしまった。これだってそう言えなくもないわけで、したがって、この政府所有の株というものについては、沖縄振興に役立てるような形でどう処理するかということは、私は大きな課題だと思うのです。政府が九九・九九持っているからということで、それを武器にこれを操作をしていくということは、県民の側からすると問題なんですよ。その点を指摘をしておきたいと思うのです。  もう一つは、仮に民営になったにしても、先ほど私が若干指摘をした、いわゆる沖振法で今助成措置というかそういった特別措置がなされている部門については、継続性の必要があると思うので、やはり民営移行後においても暫定的にやっていかなければいかぬ、その点も十分御配慮いただきたいということ、これについてのお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。  そこで、開発庁は何か遠慮なさるのだが、電力料金問題についてはここで即答できなければ、高いというのはわかっているわけで、この件については通産省と開発庁で十分御検討いただいて、この際消費者に還元すべきですよ、沖縄電力を含めて。そう御検討いただけますね。この点については改めて長官なりどなたかお答えくださいよ。
  87. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答えいたします。  沖縄開発庁は、電気料金値上げあるいは値下げの認可を所管しておりませんので、ただいまの所管庁の御答弁につけ加えるべきものを持っておりませんが、いずれにしましても、所管庁が沖縄の将来のために適切な御判断をされるものと期待しております。  それからまた、株の評価につきましても、申しわけございませんが、ただいま所管庁の方が答弁されたことにつけ加えて申し上げるべき立場にございません。  それから、復帰特措の中の沖電関係でございますが、復帰特措の延長につきましては、数十項目につきまして県なり県の経済団体なりからその延長の御要請がございます。私どもは、そのすべてについて、地元の御要望を各所管官庁にお伝えし、お願いするというのが基本的立場でございますが、事沖電に関するものにつきましては、ただいまちょうど民営移管についての検討がなされておりますので、その大きな議論の中の一環として御検討をお願いすることになろうかと思っております。  以上でございます。
  88. 上原康助

    ○上原委員 そんな御遠慮なさらぬでいいですよ、総務局長。もっと自信を持って。エネルギー庁、料金問題少し検討しますね。どういうことができるか検討してみてくださいよ。中ぐらいいっているといったって、高いという感覚はみんな持っているわけだから、電力料金問題。検討して、結果については御報告しますね。
  89. 川田洋輝

    ○川田説明員 先ほども申し上げましたとおり、現在の水準はそれぞれの契約者がお支払いいただいている段階で本土並み水準ということでございますので、格別高いというふうには理解しておらないのでございますけれども、やはり沖縄においては電力原単位が高いとかあるいは産業活動へのウエートが低いとかというようないろいろなことがございますので、我々いつも勉強しているところでございますが、料金の全体水準につきましては、先ほど来のお答えを繰り返えさせていただかざるを得ませんので、これはひとつ御理解を。沖縄電力にも、消費者の需要家の方々沖縄電力の料金がそう高い水準にはないということはよく御理解をしていただくように指導はしてまいりますけれども、それとともに、全体的ないろいろな配慮はしていく必要があるだろうというふうに思っておりますし、現に今でも本土の需給調整契約との関係でまだない制度がどういうところにあるだろうかというような細かい検討は一生懸命させていただいております。  そういうことで、今後とも電力料金という問題が非常に大事な問題であるということは理解しておりますので、いろいろな努力は進めてまいりたいというふうに思っております。
  90. 上原康助

    ○上原委員 納得できないですね。ちょっと次の質問もあるから終わりにするが、あなたの答弁には納得できない。何も沖縄電力に、沖縄電力の料金は高くないということを消費者に指導する必要はないですよ。これは消費者から高いという運動が起きますよ。恐らくエネルギー庁、通産省は、今沖縄電力の料金が高くて何かこれを再検討するというのは――日本全国の料金問題が問題になりつつあるわけでしょう、これだけ円高になってから。沖縄県民も含めて、国民はばかじゃないですよ。ちゃんと高いということがわかるのに何で逆にあなたはそれは高くないと言う。あなたは高くないと思っても、沖縄県民は高いと思っているんだから。これは開発庁を含めて検討してみてくださいよ。現に数字が示しているじゃないですか。一キロワットアワー四円十三銭も高いんじゃないですか。自分で言った答弁の数字を、後で指摘をされたらこれをごまかして直すなんて、そんな答弁がありますか。検討してください。くどくど言わぬで、やるかやらぬかだけ答えてください。
  91. 川田洋輝

    ○川田説明員 先ほど来申し上げておりますように、料金水準が必ずしも高くないと私どもは思っておりますので、いろいろな勉強はさせていただきますけれども、そこいらは御理解を賜りたいというふうに思います。
  92. 上原康助

    ○上原委員 長官、これはエネルギー庁そう言ったって、それは波及があるから今何とか抑え込もうとしているので、それが余計問題なんだ、そういうやり方が。現に五十五年以降高いわけですよ。しかも、五十五年の段階には二回も大幅値上げしてこういう結果になったわけだから、条件がよくなってもなおこれを見過ごすというわけにはいかないのですよ。沖縄担当大臣としてこの点はどうお考えか、聞かせていただきたい。
  93. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 所管外のことでございますけれども、担当大臣としては電力とか水とかという問題は非常に大事な問題であるということは十分認識しております。所管外のことでございまして具体的な答弁はできませんけれども、よく勉強して努力してみたいと思います。
  94. 上原康助

    ○上原委員 それともう一つ、農事用電力の問題ですが、これもたしか長官が行かれたときも石垣市から出ていると思うのですが、いろいろ調べてみると、現在も供給時間を決めて若干農事用電力は適用されているようですが、これももう中身おわかりだと思うので、この時間帯をもう少し検討していただいて、石垣市農業団体から出されている方向で改善をしてもらいたいのですが、これはどうですか。
  95. 川田洋輝

    ○川田説明員 農事用電力につきましては、現在の制度は午後九時から翌日午後一時までの十六時間に限って供給をする、いわゆるピークカット、ピーク時間、電気が余計使われる時間を外してお使いをいただくというようなことで、それだけの分を割引をするという制度があるわけでございますが、この供給規程の中でも供給設備の状況によりその使用時間の変更ができる、こういうことがございますので、今御指摘がございました石垣市からの要望につきましては、需要家と沖縄電力、それに行政当局もオブザーバーとして参加した協議会というのをつくっておりまして、そこで協議が進んでおるというふうに承知をいたしております。できるだけ需要家の方の御要望をお聞きして、それにかなう方向沖縄電力に対応するよう指導してまいりたいというふうに考えます。
  96. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ現地の要望に速やかに答えるように御努力をいただきたいと思います。  次に、基地問題でお尋ねしますが、その前に委員長に一言要望しておきたいのですが、きょう、これは非常に重要な問題なので施設長官にぜひ出てもらいたいということを要望したのですが、来ておらないのですよね。最近施設長官、何か神様になったのか、なかなか沖特には出ないとかいう風聞も聞いていますので、特に二十年も他人様の土地を取り上げようという重要な問題なんで、ぜひということについても出ないということには納得いきませんので、次回の理事会あたりで御検討いただいて、そういうことのないようにひとつ御要望申し上げておきたいと思います。
  97. 青山丘

    青山委員長 よく承りました。
  98. 上原康助

    ○上原委員 そこで、長官がおいでだったらいろいろこの問題をむしろ重点にお尋ねしようかと思ったのですが、残された時間の範囲でちょっと聞きますが、この強制使用二十年問題に入る前に、基地の返還問題で若干お尋ねしておきます。     〔委員長退席、仲村委員長代理着席〕  これまでも何回か公式、非公式に施設庁に、那覇の施設局を含めて要望をしてきたわけですが、嘉手納町議会が最近、六月の二十日、九月三十日、軍用地の返還を求める決議を採択をして施設庁、関係当局にいろいろ要請がなされていると思うのですね。意見書が提出されていると思う。  まず第一点の嘉手納弾薬庫地区の返還、面積が二百三十九万八千平米、これは畜産産業振興という面からぜひ返還をしてもらいたいという強い地元の関係者要望なんですが、私も地元でもあるし、現場を見たんですが、フェンスの外、その周辺は既に今でも遊休化しているし、その周辺も全部黙認耕作地帯になっておって、何ら基地との関係というのはないわけですよ。そういう面で、決して無理な要求でないという感じがしましたので、この件がどうなっているのか。  もう一点は、嘉手納マリーナ地域の返還問題、これは、中身は細かくは言いませんが、嘉手納町にとってはこれは唯一残された漁業、漁港としての適正地域であるということで、この面も全会一致で決議がなされて意見書が提出をされている。ここはしかも米兵のレジャー施設として使っているわけですよ。八五%も基地に取られて、一万五千に近い町民というものはもう狭苦しく住んでいて、爆音には悩まされる、基地被害は受けるという中でアメリカさんだけ排他的、独自のレジャー施設確保するというのはいささか神経もどうかと思うのだ、それをまた提供している施設庁も。そういう面でこの二カ所の返還については速やかに政府としても解決を図るべきだと思うのですが、この件がどうなっているかということ。  いま一つは、住宅防音家屋空調施設維持管理費に関する意見書、これも例年出されておるわけで、いわゆる電力料の問題、これはやはり加害者負担というか責任者負担でなければいけないと思うのですね。そういうことについてもぜひ早急に考えるべきであるということ。  もう一つは、区域指定告示以後の個人住宅防音工事助成に関する意見書というものも年々出ている。今度も九月三十日付の町議会で出されたものがあると思うのですね。前二点と、後の方は防音整備関係のことですが、この四点についてひとつできるだけ簡潔に、中身は濃くお答えいただきたいと思います。
  99. 宇都信義

    ○宇都政府委員 お答えいたします。  まず最初にお尋ねのありました嘉手納町が嘉手納弾薬庫の一部を畜産団地として使用したいので返還してほしいという御要望でございますが、この土地は約三万九千平方メートルございます。嘉手納町からは五十七年に那覇防衛施設局長に対しまして返還要請が出されておりまして、その後米軍と交渉を続けておりました。本件につきましては、既に現地の米軍と嘉手納町、それから那覇防衛施設局におきまして調整を下しておりますので近く米軍から回答が来るものと期待しております。御要望実現するよう努力したいと考えております。  それから、第二点の嘉手納飛行場のマリーナ地区についての返還の御要望でございますが、現在米軍は、先生おっしゃいますとおり厚生施設等として利用しておりますほか、この地域は嘉手納飛行場の転移表面にもかかっておるということでもございます。したがいまして、米軍にとって必要とする地域であると承知しておりますけれども、嘉手納町から正式に返還の御要望があれば、その御要望の内容等について検討さしていただきたいと考えております。  第三点の住宅防音工事を行った場合の維持費、電気料金の補助についてでございますが、防衛庁としましては、自衛隊の飛行場等の周辺におきまして住宅の防音工事を実施したことに伴いまして空調機器を設置し、その使用による電気料の補助について、特に生活保護世帯の方々に対しましては国庫負担の必要性が十分にある、十分に理解できるということから従来から予算確保に努めてきておりますが、財政事情等諸般の事情によりましてその実現に至っていないところでございます。昭和六十一年度におきましても予算概算要求に計上しておりまして、その実現になお一層努力したいと考えております。  最後の、防音工事の区域を指定するための指定告示の結果、ドーナツ現象が起こっているという問題かと存じますが、この問題につきましては、現在全国で防音工事対象として考えられている戸数は二十数万戸という膨大なものがございまして、六十年度の予算を執行しましてもまだ四〇%程度の処理しか見込めない状況でございます。したがいまして、なお残っている方々の一室あるいは二室の防音工事を積極的に推進していくように、毎年施設庁としましては重点施策としまして予算を計上しておるところでございます。一度告示した後、その中心部、告示区域に住宅を建てて居住される方々につきましては、現在の法体系上追加して補助対象とすることについては大変難しい問題がございますが、施設庁といたしましては、これは重大な課題であると考えておりますので、将来においてこれを検討する方向ができるかどうか、重要な課題として考えていきたいと思っております。  以上でございます。
  100. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、最初にお答えのあった畜産団地にしたいという地域については近々返還の可能性があるということですね。どうですか。
  101. 宇都信義

    ○宇都政府委員 実は私も先月現地に参りまして、現地米軍と現地情勢、それから地形、利用形態等検討してまいったわけでございますが、その際にも米軍からはいい感触を得てまいりまして、現地米軍は中央の方に現地米軍考え方を上げたというふうに漏れ聞いておりますので、近々米側から回答があるものと考えております。
  102. 上原康助

    ○上原委員 おっしゃったように、これは相当長期間かかっているわけですよね。あなた方は取り上げる方では早いのだが返すのは遅々として進まぬ。できるものはやっていただきたい。  もう一つ確かめておきたいことは、きょうは二十年のことはあなたと議論したって始まらぬから、これはとてもじゃないが後日にしますが、この嘉手納マリーナ地域の返還については、議会からの要請は出されているが町当局からはまだ出されていないということですか。町から出ればそれに基づいて検討したいというふうに私は今聞いたのですが、その点もう一遍はっきりしておいてください。
  103. 宇都信義

    ○宇都政府委員 ただいま具体的な利用計画が提出されておりませんので、具体的計画が出ましたならば、その内容について検討し、米側とも調整を図るということを考えております。
  104. 上原康助

    ○上原委員 わかりました。具体的な利用計画について恐らく策定をしておると思うので、私の方でも話をして早急に要請をさせるようにいたしますので、その点もあわせて実現をするよう努力をしていただきたいと思います。  それと、後半の防音家屋に対する電気料問題あるいは告示の線引きがなされた以降にできた家屋に対する防音施設については、これもいろいろ理屈をつければ問題があるかもしれませんが、関係者にとってみれば生活上の大変重要なことなんで、ぜひ実現を図るように要望をしておきたいと思うのです。  そこで、土地の二十年使用の問題ですが、個人の土地というものを返してもらいたい、あるいは契約をしたくないという人々の土地を特措法で仮に収用するにしても、今回施設庁のとった措置というものはどう考えても余りにも無謀過ぎるわけです。私も復帰前から国会に出させていただいておりますが、七二年、七七年、八二年といずれも五年以内だったのです。だが、六十二年以降については二十年の使用期間というものを定めようとしているわけですね。しかも去年の十一月三十日、米軍用地特措法の再発動の手続を開始した段階にあなた方は使用期間を明示しなかった。八二年の期限切れの――私が今言っているのは西暦ですからね、八二年の期限切れの際は、私の質問主意書に対しても五年以内という使用期間を予定しているという答弁をやったのです。既にそのときは米軍特措法、米軍用地収用法の発動を予定をして手続を開始した後だったのですね、開始した後、二カ月後にそういう五年以内という答弁をしておったのだが、今回の場合はそれがなかった。私は今度も出したんだが、それを明示しなかった。時間の範囲で一、二点だけ聞いておきますが、使用期間を二十年とした根拠は一体何ですか。法的根拠は何ですか。
  105. 宇都信義

    ○宇都政府委員 我が国は日米安保条約体制を防衛の基本としておりますが、同体制は極東の平和それから安全に寄与しております。それで、その基幹となっております安保条約は昭和三十五年から既にもう二十五年経過しておりますが、現在の国際情勢並びに日米友好関係等から見まして両国がこれを終了させるとは考えておらず、したがって米軍の駐留は今後相当期間続くものと考えられます。  施設、区域は、平和条約発効後三十三年、新安保条約締結後二十五年、また、沖縄復帰後も既に十三年続いておりまして、米軍に提供している施設、区域につきましては安定的に使用できなければならないという考えに立っております。本土におきましては、施設、区域は既に民公有地につきまして一〇〇%賃貸借契約を締結しておるわけでございますが、沖縄県における施設、区域内の民公有地につきましては賃貸借契約の締結ができない土地がございまして、その未契約地につきましては、施設、区域内の運用上、他の土地と一体として使用しておりまして、必要欠くべからざるものでございます。沖縄復帰から公用地暫定使用法または駐留軍用地特措法を適用しまして十五年間、現在公用使用中でございますが、この間、復帰時に約三万一千件ございました要契約者のうち約二千九百件、九・四%に当たりますが、そういう未契約者がございましたが、その後契約説得などを重ねまして、契約努力によりまして、現在要契約件数が約二万六千件のうち未契約者の方は百三十六名、〇・四%にまで減少した経緯がございます。すなわち沖縄でも九九・六%の方々は合意により契約して施設、区域を使用してきたところでございます。これらの未契約者の土地につきましては、引き続き使用する必要があり、また合意を得るよう努力しておるところでございますけれども、なかなか合意を得ることが困難な状況にございます。  加えて、嘉手納飛行場の滑走路地区に土地を有する一名の未契約者の土地、三筆でございますが、面積にして約二千平方メートル、約六百坪の土地にいわゆる一坪共有運動が発生しまして、現在千九百五十九名の共有登記がされ、土地所有者が一挙に大幅に増加するという事態が生じております。昭和六十二年五月十五日以降も引き続き米軍の用に供する必要のある未契約地の所有者との合意による使用がますます困難になっておりますので、沖縄における施設、区域の長期間使用の安定を図るために、安保条約の目的達成と契約不同意の事情、経緯をあわせ考えましてできる限り長期の使用期間を設定する必要があると考えまして、特に民法に言う一般の賃貸借契約の存続期間、最高二十年ということでございますが、これなどを参考としまして使用期間を二十年として裁決申請をいたした次第でございます。
  106. 上原康助

    ○上原委員 宇都さん、あなた聞いていると、よくもぬけぬけと言うね。安保条約についてはあなたも専門かもしらぬが僕も少しぐらい勉強していますよ。安保条約が三十五年を経過して、日米関係考えると、これからずっと関係が続いていくだろうから、その目的達成のために二十年の裁決を申請したなんてよう言うのだが、安保条約は十年で期限更新もできるわけでしょう。仕組みはそうなっているわけでしょう。仕組みとしては、十年たって一年間にどちらかが申し入れれば破棄もできるのですよ。それを倍も上回るようなことをやっておきながら何が安保の目的ですか。あなた方の理論に矛盾するのじゃない。だから、こういう議論は一部長としたって始まらないのよ。これは防衛庁長官とか、本当に政治的にここで保証できる人とじゃないと議論できない。きょうあなたは大変重要なことをおっしゃっている。それだけでも――そういう感覚だから困るのだ。たとえ一人だろうが財産は財産ですよ。契約を拒否する地主が少なくなったから、もうどんな権力を行使してもいい、そうはならないと思いますよ、幾ら何でも。しかも、民法の六百四条にしたって、任意の賃貸借契約の存続期間が最高二十年と定めているかです。憲法二十九条はどうですか。正当な補償のもとに公共のために用いる場合のみその権利の制限が許されているわけでしょう。しかも補償については十分になされなければならないはずなんだよ。  そういうことであと一点確かめておきたいのです。あなたがおっしゃっていることは非常に問題があるので、いずれこの問題は相当時間をかけてどこかで議論をしていかなければいけませんが、契約を拒否している地主に対する補償問題です。これも本当に踏んだりけったりなんですよ。このやり方は余りにもひど過ぎるのじゃないですか。今度、契約を拒否した人に対しては損失補償というのは二十年分一括払いをするわけでしょう。そうしますと、五十六年から六十年までの過去五年間の単純計算をしても賃貸料は毎年四%アップしていますよ。これはあなた方が出した資料なんですよ。四%加算される。しかし、この人々は二十年間四%のアップはないのです。しかも、前払いしてどういう補償をするかというと、二十年の利息は引いて計算をして、それを差し引いて一括払いをする。一括払いした分に対しては地主は税金は取られるわけなんだ。  そういう全く理不尽なことで、この二十年の収用ということに対しては、たとえ数が少ないといえどもこれは問題にならぬ。きょうは細かいところまで議論できません、これは法制局にも来てもらわなければいけない問題もありますので。この二十年のことについて政府としてもう一遍検討していただきたい。百歩譲っても、安保条約を云々するならば、安保だって期限は十年なんですよ。その後一年間でどちらかが破棄しようと思えば、改正しようと思えばできる仕組みになっている。これは国際条約だ。それが一つと、もう一つは損失補償のあり方については施設庁として再検討すべきである、この二点は、もしあなた方に少なくとも少しの誠意なり善意というものがあるならばできない相談じゃないと思うのだが、いかがですか。これだけ聞いて、きょうはこの問題は終わります。
  107. 宇都信義

    ○宇都政府委員 まず第一点の二十年の期間でございますが、先ほど申し上げましたように、日米安保体制を基本とする我が国にとりまして提供している施設、区域の安定的使用を図るということが第一の目的でございますので、私ども裁決申請した期間を変更する考えはございません。  また第二点の補償金の算定でございますが、この件につきましては、駐留軍用地特措法の十四条によりまして補償金が支払われるわけでございます。駐留軍用地特措法は土地収用法の九十五条が適用されておりまして、その土地収用法の第九十五条にありますように補償金は一括して支払うということにされております。多額の補償金を一括して支払いますと、これを運用することによりまして相当の利益を得ることも可能でありますし、一方契約地主の方々には毎年賃貸借料という形で使用料をお支払いするわけでございますが、現在まで沖縄において計算しました賃借料も必ずしも毎年値上がりしたわけでございませんで、数年間の据え置き等もございましたし、少額の借料を毎年受け取って利益とする方法と一括して補償金を受け取る場合と単純に比較することはできないものと考えております。いずれにしましても補償金が一括支払われるということだけで必ずしも不利になるとか有利になるとか一概に判断できないものと考えております。
  108. 上原康助

    ○上原委員 きょうはもうこれで終えておきます。
  109. 仲村正治

    ○仲村委員長代理 玉城栄一君。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題も最近非常に深刻な問題として関係者方々が訴えておりますので、開発庁の方にお伺いをいたします。  最近の急激な円高そしてドル安によって沖縄にどういう影響が出ているのか、その実態について開発庁としてどういうふうに把握していらっしゃるのか、お伺いをいたします。
  111. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答え申し上げます。  現在の実態について、まず申し上げますと、県を通じて調査した結果によりますれば、現在沖縄におけるいわゆる特免業者は二十六業者で、その従業員は約一千名、その行っております業種は、クリーニング、車両整備、理容業などであると聞いております。また、円高になる前の月平均売上高、これは企業者を通じてでございますが、これは約百万ないし百十万ドルであったところ、ドル安・円高という為替相場の変動後は、いまだ具体的な数値は出ておりませんが、少なくともその売上高が落ち込んでいるようであるという実態は承知いたしております。  それに対する措置でございますが、とりあえずの金融面の措置といたしましては、円高による影響との関連でその当該業者、つまりこれは特免業者でありますが、特免業者を含む中小企業者等、これは特免業者と取引関係のある中小企業者等でございますが、これに対する貸し付けに当たりましては、経営の実情等を踏まえて適切かつ機動的に対処いたしてくれるよう、私どもの方から沖縄振興開発金融公庫に指示したところでございます。  その他のこの円高・ドル安の件につきまして、沖縄開発庁といたしましては事態の推移を見守っておりまして、これ以外にできることがあれば、関係省庁と連絡をとりながら適切迅速に対処してまいりたいと存じております。
  112. 玉城栄一

    ○玉城委員 私も関係者方々から実態についていろいろ調べさしていただいだわけですが、そういう関係者方々のいわゆる円高になる以前と円高になってからを比べますと、売り上げは大体平均して三四%減ですね。これは所によっては、例えば沖縄市の嘉手納空港のいわゆる空港通り、ここなんかはもう五〇%から六〇%売り上げ減になっているわけですね。まさに激減という状態です。  例えば衣料関係米軍関係者を専ら相手としてそういう商売をやっていらっしゃる方々、三〇%減ですね。それからお土産品店、約三〇%減。それから時計とかそういう方々が四〇ないし五〇%の減。それからオーディオ関係、五〇%の減。そういうことでダメージが極めて大きくなってきておるわけですね。しかもこの円高というのは、これは今後定着していくわけですから、やはりこの対策というものは非常に抜本的な対策が当然とられなければならないと思うのですね。例えば沖縄に三万五千ぐらいですか、米軍、兵隊関係者。家族を含めて約五万。ほとんど七〇%ないし八〇%、米兵関係者ですね、米軍関係者日本車の中古車を随分買っているわけですね。そういう関係とか、それからいわゆるメードさん、そういう方々への影響とか。  それで長官にお伺いしたいのですが、今の問題、先ほどから長官沖縄の観光振興ということについて大変強調しておられるわけですが、二千億ですか、この基地経済という問題なんですけれども、これは善悪は別としても、これが現実に沖縄の一つの経済の柱になっていることもまたこれは事実なんですね。こういう形で、いわゆる円高・ドル安というものがずっと定着していくとなりますと、やはり関係する方々にとっては大変深刻な問題があるわけですね。長官としてはどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
  113. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 確かにお話のように沖縄経済を支えております背景の大きな一つの問題であると思います。それが今後円高傾向の中で相対的にその状況が悪くなるといいますか経済活動が低下するといいますか、影響が出てくるわけでございますから、これは大変深刻な問題だと私も思います。  今局長答弁いたしましたように、当面はやはら金融上の対策が主眼になってくると私も思いますけれども、実情につきましてはなおよく注意をいたしてまいりまして、できるだけ関係省庁とも連絡の上で適切な処置はとってまいりたい、かように考えております。
  114. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題については、基本的には円高という政策推進はもう国が強力に推進していくわけですが、そのことによって犠牲を受けるこういう方々については、当然これはやっぱり救済措置というものを手当てすべきことは当然だと思うのですね。  そこで、これは中小企業庁の方、来ていらっしゃると思うのでお伺いしておきたいわけですが、これは昭和五十二年ですね、五十三年も一時こういうことがありまして、いわゆる時限立法で、これは全体的にいろいろな救済措置を講じていらっしゃったわけです、この沖縄の問題も含めて。ですから、こういうふうに急激に円高が来て、そして関係者が非常にそういう犠牲を受けているということについて中小企業庁としてはどういうふうな対策をとっていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  115. 長田英機

    ○長田説明員 中小企業庁としましては、この急速な円高に伴いまして中小企業がどういう影響を受けるかということにつきましては非常に重要な問題だ、こう考えておりまして、実態の把握に常時努めているわけでございますが、既に政府系中小企業金融機関等に対しまして、適切かつ機動的に対処するように通達を発して、まず指導をしておるわけでございます。  それに加えまして、六十一年度の対策になるわけでございますが、こういうような円高等の国際経済上のいろいろな環境変化、これに対処いたしまして、政府系の中小企業金融機関から低利の融資を行うということを考えております。これは六十一年度の対策でございます。  同様に六十一年度の対策といたしまして、現在ございます中小企業の事業転換法というのがございまして、これを六十一年度から拡充いたしまして、新しい法律として対策を強化していきたい、こう考えているわけでございます。  このように、六十一年度の対策といたしまして特に今この二つを用意しているわけでございますが、先生指摘のとおり、最近のこの実情をいろいろ見ておりますと、私どもは特に製造業の輸出に依存していを産地、それを主体的に調べておりますが、やはりかなり円高の影響が出てきているということが懸念されるわけでございます。こういうような点から、こういうような影響に対処しまして、私どもとしては、金融上の措置が緊急に必要かどうか、これについて現在検討している段階でございます。  先生指摘のように、たしか五十三年の二月に円高法という法律を制定いたしまして、当時の円高に対処したわけでございますが、考えてみますと、このときの円高は昭和五十一年十一月から五十三年十月までの間でございますが、何と百円以上の幅にわたって円高な状況になってきておりまして、非常に急激な円高だったわけでございます。こういうような事情に基づきまして当時円高法というものを制定したわけでございます。今後この為替の動向あるいは中小企業への影響というものをなお引き続き十分注視しまして、適宜適切な対策をやっていきたい、こう考えているわけでございます。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄の場合は、五十三年のときは製造業、輸出産地ということでみなして基地周辺地域指定をやりまして、沖縄市、浦添市、宜野湾市、嘉手納町、それから北中城村、金武町、そういう基地周辺業種、いわゆる地域指定をして、いろいろな金融面の措置とか、そういうこともやったわけですね。ですから、今回の場合も当然そういう考え方でのいろいろな救済の措置がとられると思うのですが、どうなんでしょうかね。
  117. 長田英機

    ○長田説明員 今私が申し上げましたように、円高法を定めるような状況であるかどうか、そこのところの状況を見定める必要があると考えておるわけでございまして、先生指摘のようなことがございますれば、この円高法をもし仮に定めるというような事態に至ったときにあわせて検討して考えていかなきゃならない、こういう問題だと考えるわけでございます。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 大体関係者方々、円高になってから平均して三四%とか、あるいは五〇%、六〇%ということになると、これは営業そのものはもう成り立たない。従業員の方々の失業の問題とか、さっきおっしゃいました中小企業の転換の措置等も当然考えなくてはならないと思うのですね。  それで、この方々要望は、一つは、差損補償を国でやってもらいたい。それから二番目に、転業資金の特別措置を講じてもらいたい。三番目に、緊急融資の特別措置を講じてもらいたい。四番目に、円高後の市中銀行よりの既存借入分については公庫で肩がわりしてもらいたい。同時に、利子補給まで考慮してもらいたい。長期低利の融資ですね。ですから、こういう具体的な要望も踏まえて、今回の円高の問題については国が強力に推進しているわけですから、そのためにこういう方々が非常に深刻な打撃を受けてきているということについては、こういう要望を踏まえて、開発庁の方も長官の方もぜひ御努力いただきたい、このように要望を申し上げておきます。中小企業の方は結構です。  それから次に、空港の問題、それから第五次空整の問題につきましては、これまで質疑がありましたので、長官も何回もこのことについては県側の要望を踏まえて努力をしているということを強調しておられますので、私の方も御努力を強く要望をしておきたいと思います。  そこで、実は運輸省の方にお伺いをしたいわけでありますが、きのうアメリカ太平洋空軍が沖縄北西の訓練空域で、在日米軍のほか、韓国、フィリピン、グアムの米軍も参加する大規模な戦闘演習コープ・マックスを実施した。このことによって民間航空機にどういう影響が出たのか、その点を御報告いただきたいと思います。
  119. 松田政雄

    ○松田説明員 お答えいたします。  今回の米軍の演習につきましては、事前に米軍演習機の航行するルート、高度等につきまして、民間航空交通の安全に十分配慮し、かつ影響のないように調整して、またそれに基づいて計画されたと承知しております。  それから、当日は幸いに好天に恵まれたこともありまして、演習は整然と実施された。かつ民間機に対する影響といたしましては、那覇空港の出発機二機に各十七分程度の遅延が出たというふうに報告をされております。
  120. 玉城栄一

    ○玉城委員 今おっしゃったことと、もう一つは、民間機は危険を避けるために通常使われている出発経路を変更して飛んでいくというようなこともあったわけですね。
  121. 松田政雄

    ○松田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、民間の航空交通に可能な限り影響がないように事前調整をいたしましたので、今回は、民間機の出発経路等についてはそれほど大きな変更はなかったというふうに報告をされております。
  122. 玉城栄一

    ○玉城委員 それで、昨年十月の末もそういう空軍の演習という通告は来たけれども運輸省の方としては、これはいわゆる管制業務に非常に負担がかかる、あるいは民間航空機の航行にもいろいろな影響が出てくるということで何か拒否をしたということを伺っているわけですが、今回はオーケーしたわけですね。運輸省というのは当然民間機の航行の安全を最優先すべきだと思うのですが、現実にきのうの場合も民間機のいろいろな点に影響が出ているということなんです。昨年はなぜ拒否をしたのか、今回は大丈夫だというような感じのことをおっしゃっているわけですけれども、昨年の経過と、今度オーケーをしたということと、そういう事態が起こらないことを願うわけですけれども、もし万一そういう不測の事態が起きた場合、運輸省がオーケーした責任というのは重大だと思うのですが、その三点をお伺いいたします。
  123. 松田政雄

    ○松田説明員 昨年度の演習が中止に至った経過につきましては、民間航空交通へ影響を与えない程度に調整するのに十分な時間がなかったというふうに承知をしております。  それから、今年度につきましてはある程度その調整の時間がありまして、民間航空交通に与える影響がないように調整ができたということと、それから規模的にも影響を与えるような規模ではなかったということかと思います。  それから、三点目は、ちょっと実は聞き取り……。
  124. 玉城栄一

    ○玉城委員 もしこういうことによって民間航空機に事故が起きた場合、運輸省の責任というのは非常に大きいのじゃないかと思いますね。
  125. 松田政雄

    ○松田説明員 当然こういうことで民間航空交通に影響を与えないように十分に米軍側とも調整いたしておりますしい今回も厳しくそのような申し入れを行っております。
  126. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題は、沖縄の場合は民間航空機の航行の空域は非常に制限されているわけですね。もちろん高度制限もありますし、いろいろな面で不安全要素というものが非常に強い中でさらにそういう演習が行われていて、民間航空機の航行の安全性にもかかわる影響が出てくるということ。民間航空機の航行の安全という立場からすれば、運輸省はこういうことは慎重にやっていただきたい、このように思うのです。  それで、長官、ことし就任されて四回もずっと精力的に沖縄を御視察されたということに対して心より敬意を表するわけでありますが、慶良間諸島についての御視察はされましたですか。――ここはいらっしゃってない。ぜひここもごらんになっていただきたいわけです。非常に自然景観がすばらしい島々ですし、長官のおっしゃっております観光資源という立場からも非常に大事なところだと思うのですね、先ほど上原先生もちょっとおっしゃっておられたのですが。飛行機が一時いろいろな事情があって中断して、最近復活したやに聞いているわけですけれども、ああいうすばらしい自然景観の観光的な価値を当然活用すべきだと思うのです。それにはやはり交通手段のきちっとした確立が必要だと思うのです。  そこで、運輸省の方にお伺いいたしますが、今どうなっているのですか。前は公共施設地図航空という形で軽飛行機、いわゆるセスナが行っていましたけれども、現在はどうなっているのですか。
  127. 黒野匡彦

    ○黒野説明員 先生指摘のとおり公共施設地図航空という会社が運航しておりまして、これが例の豊田商事問題の関連企業でございまして、経営が非常に悪化いたしております。今のところは外部の支援を受けまして一応運航は維持しておりますが、極めて難しい状態、このままの状態で将来とも運航を継続するのは困難ではないかというのが実情でございます。  それに対する対策といたしまして、今関係方面でいろいろな案が検討されておりますが、特に地元の村にいろいろお考えがあるようでございまして、私どもといたしましては、地元の選択を一応最優先にいたしまして、その選択の結果に対応いたしまして最大限の運航確保策を講じたいと思っております。ただ、希望といたしましては、地元がなるべく現実性のある選択をしていただくことを期待いたしております。
  128. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、ついでに運輸省の方に伺っておきたいのです。  エアコミューター、地域航空システム、これはこの間も国土庁の方が調査をして結果も発表しておるわけですけれども沖縄の場合いろいろな離島を抱えているわけですが、エアコミューター導入というものについても、運輸省としても当然検討していらっしゃると思うのですが、その辺はいかがなんでしょうか。
  129. 黒野匡彦

    ○黒野説明員 エアコミューター、小型機による航空輸送の通称でございますが、需要の少ない区間あるいは離島のように大規模な空港整備が困難な区間につきましては、適した航空輸送手段だとは思っております。ただし、小型機であるということ、もともと需要の少ないところを運航するということから見ますと、採算的には経営を維持するのがかなり難しい輸送手段であることも残念ながら事実でございまして、今後これを発展させていくためには、地方公共団体を含め関係者の一致した協力と支援が必要ではないか、かように思っております。
  130. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほどからも沖縄の各種の空港についてのお話があったわけですが、与那国、それから、いつかまた西表の方も当然必要だと思いますし、今の石垣、多良間南北大東久米島、粟国、伊江島、伊是名、伊平屋沖縄本島の北の方にも、例えば那覇から車で三時間半ぐらいかかるわけです。伊江島にしましても、那覇に行くまでフェリーで四時間ぐらいかかるわけです。ですから、こういうエアコミューターということも当然検誌して導入すべきだと思うのです。特に今の慶良間の問題でも、向こうも八百メーターの滑走路のある飛行場があるわけですから、長官としてのお考えをお聞かせいただきたい、
  131. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 離島県沖縄にとりまして、段々の御指摘がございましたように、空港整備という問題は沖縄振興開発のために非常に重要でございまして、これは住民の方の利便だけではなくて産業経済振興発展のために非常に大事な問題であります。  そういう認識のもとで今まで整備してまいっておるわけでございますけれども、まだまだ問題があるわけでございまして、今のところでは、先ほどから申し上げておりますような計画を五次空整の中で進めてまいりたいと考えておるわけでございます。その後の問題につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
  132. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは長官の方に航空問題で関連いたしますのでお伺いしておきたいのですが、最近沖縄の南西航空が運輸省、運輸審議会の方に、南西航空十五路線のうち黒字路線は二つであとの十三路線は赤字だ、このままの状態でいくならば経営そのものが大変な状態になるので沖縄本土間の幹線に参入したい、あるいは近い国際線、台湾路線にも参入したいという希望を出しているわけです。これはなかなかもっともな話だと思うのですが、長官はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  133. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 基本的には南西航空を育成していくという方向は必要だし、その方向は私もそういうことを考えております。  ただ、具体的な問題につきましては、運輸省内でいろいろ検討していくところでございますから、今後具体的な問題ごとに検討してまいりたいというふうに考えます。
  134. 玉城栄一

    ○玉城委員 それでは、午前中に國場先生もおっしゃっておられましたけれども、自由貿易地域の問題です。  さっき長官から財政依存体質が強い、第一次産業振興をしなくてはならない、製造業も低いというようなお話があって、この自由貿易地域の問題については前の河本長官も、これは第二次振計の後期の目玉として大きなプロジェクトを組んで取り組んでいきたいという熱意を示しておったわけです。  ところが、我々が期待するような形ではなかなか進んでいかないし、規模の面でもいろいろ問題があるわけです。問題は、一つは用地確保の点が何か詰まっているのではないかと思うのですが、用地確保見通しは今どういうふうになっておるのですか。
  135. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答えいたします。  現在沖縄県で考えておりますのは、三ヘクタール弱の土地を那覇空港のそばに立地したいということでございます。ところが、現在そこは施設、区域の中でございます。もう一つの難点と申しますのは、そこに位置境界不明確地がございます。そこで、その問題を解決しないと終局的に立地が決まらないということがございまして、それが沖縄県が自由貿易地域の申請になかなか踏み切れずに検討中である一つの原因だろうと承知しております。
  136. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官、これは長官御自身が積極的に防衛庁とかに本腰を入れてやっていただかないと、総合事務局、施設庁というような感じでは進まないのです。  そこで、さっきの話に戻りますけれども財政依存体質は早く解消しなくてはならぬと長官がおっしゃったのは全くそのとおりなんですが、例えば今の那覇軍港、牧港兵たん地域あるいは普天間の飛行場、大きくは嘉手納基地、非常にいいポジションを米軍がどかっと押さえてずっと来ているわけです。そういう中でも自立経済をやらなくちゃいかぬことも事実ですけれども、そういう非常なハンディがある中で自立経済を確立するのは大変なことです。ですから、どうしても財政依存にならざるを得ない状況があることもまた事実です。ですから、今のフリーゾーンも那覇軍港という米軍との絡みでなかなか進まないということから考えますと、六十一年度予算確保、そういうものをずっと強力にやっていただかなくちゃいけないという事情もあるということも事実でありますから、ぜひ御努力をお願いしたいわけですね。  ところで、二次振計の後期ということですが、前の河本長官はこのままいくと恐らく失業の問題、所得の問題も全国最下位という話もありましたし、自立経済の確立もちょっとそんなに期待できるほど二次振計の中で果たしてできるのかなということは客観的に言えるわけですね。ですから、前の長官はやはり三次振計も考えざるを得ないのではないかというようなこともおっしゃっておられたわけですね。藤本長官、どうお考えですか。
  137. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 二次振計の後期の問題につきましては、展望と戦略につきまして沖縄県とも今相談しておりますし、また、私どもの中でも検討中でございます。おっしゃるように、ポスト国体、これは約五年間で千三百億ほどの投資をしているわけでございますから、この後二次振計後期をいかに進めていくかということはそういう後の問題でもありまして、非常に頭が痛いというか重要な問題だと思うわけです。  後期の問題については、国営公園の整備であるとか五十八号線のバイパスの問題であるとか農業基盤整備の問題であるとか、経済自立化を進めていくための具体的なプロジェクトに重点を置いてやっていかなければならぬというふうに考えておりますけれども、今の段階で三次振計の問題につきましてはまだこの場でどうこう申し上げるそういう時期ではない、今は後期の、二次振計後半の問題について考えておるというところである、そう申し上げたいと思います。
  138. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうお話は前の長官もしておられました。そういうことを踏まえてやはり三次振計も考えていく必要があるのではないかというようなこともおっしゃっておられた。お気持ちは藤本長官も同じではないかと理解するわけです。  今度は質問を変えますが、読谷の国有地扱いの問題なんです。これはこの間の衆議院決算委員会で決議されまして、次の通常国会には報告を決算委員会でされるということに当然なると思うのですね。沖縄開発庁としては、この問題について現在どういう努力をしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  139. 小谷宏三

    小谷政府委員 読谷の飛行場跡地の問題でございますが、昨日、読谷村飛行場転用計画審議会の会長さんが読谷村長さんに対して審議結果を答申したというふうに伺っております。読谷村はこの利用計画策定検討を行うというふうに聞いております。答申の内容につきましては、まだ地元から報告を受けておりませんので、詳しいことはわかりませんが、今まで内々に私どもの耳に入ってきておりますところでは、農業団地として約七割、道路文化交流広場等公共公益用地として約三割の土地利用計画をお持ちであるように聞いております。これらのことが昨日提出されました答申の内容に盛り込まれておるかどうか、まだ確認していないわけでございます。  次に、これに対する沖縄開発庁の態度でございますが、従来から玉城先生その他いろいろの先生から御質問がありますが、公共用地の利用計画策定されれば、そのために沖振法九条に基づく政令の改正の検討も必要になるのではないかという御質問をたびたび承っておりますので、この際、ここで改めてお答えしておきたいと思います。  これは私どもはっきり申しまして、将来この政令を改正、検討する必要は出てくるのではないかなと思っております。これにつきまして、基本的には昭和五十四年六月一日の三原沖縄開発庁長官の答弁がまずございまして、それにややおくれまして昭和五十四年十一月二十八日の竹下大蔵大臣の御答弁がございます。その後も沖縄開発庁政府委員昭和五十七年三月三十一日、それから昭和五十八年三月七日というふうに、大体一本の線につながった答弁をさせていただいておりまして、現在沖振法九条に基づく政令の範囲は限定されておりますが、これとほぼ同様の公益性を持つものであるならば何とか検討する余地はないのだろうかというのがこの答弁の骨子でございますので、そういう必要が生じてきました場合には、私ども関係省庁と十分協議してまいりたいという腹づもりを今から固めておる次第でございます。
  140. 玉城栄一

    ○玉城委員 今小谷さんおっしゃいましたように、この利用計画の約三割は公益性のある公共用地として使いたいということ。そのためには沖振法九条、国有財産の譲与は学校関係に今限定されているわけです。ですから、「公共の用に供する施設に関するものを実施するため必要があるときは、政令で定めるところによりこということを具体的にそういう政令で定められてないわけです。ですから、それをやっていく必要があるだろうということでありますので、長官もこの点は御存じだと思いますが、そのとおり確認してよろしいわけですね。  それでは長官、西表にもいらっしゃった、御視察なされたということでいろいろな御感想もお持ちだと思うのですが、実は前の科学技術庁の岩動長官も西表視察をされたわけです。その一つの目的は、私は直接那覇空港で当時お会いしましたけれども沖縄の西表島にそういう野生植物種子保存センター的なものが果たしてできるかどうかという、視察の目的は一つはそこにもあった。今の竹内長官にも私は予算委員会の分科会でもそのことを申し上げてあるわけです。私が沖縄県というのでなくて、これからの種子戦争とよく言われるわけですけれども、西表の場合そういう野生植物種子保存センターというものは条件が非常にいい。いろいろな専門家の方々もおっしゃっているわけです。科技庁の方も、条件は非常によろしい、しかし、あっちからもこっちからも我が地域にという要請がある、それは検討している段階だという話をしておられるわけですが、長官は西表を視察になられて、どうなんでしょう。
  141. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 科学技術庁が今考えております種苗センターの問題は、私も承知をしております。私もかつて科学技術庁の政務次官をした経験もございますし、竹内現長官とは同期でもございまして、私就任以来この問題で数回長官とも、また科技庁の幹部とも話をしておりますが、実はいろいろ構想の段階でございまして、例えて言えば一カ所だけつくるということになりますと、暖かいところで寒いところのものをつくるということはなかなか難しい、寒いところで暖かいところのものをつくるということはしやすいということでございますので、全国で一カ所ということになりますと極めて厳しい問題がございます。  それから一方、沖縄は御指摘のように亜熱帯地帯でございまして、そういう資源の豊庫といいますか、非常にたくさんあることはよくわかっておりますので、将来のバイオテクノロジーの関係上からも十分沖縄特性を生かす一つの方策でもあると思いますので、それは十分に関心を持っておりますし、これから力を入れてまいりたいというふうに考えております。
  142. 玉城栄一

    ○玉城委員 幸いに長官は科技庁の政務次官もしておられたということで、事情も大変詳しく御存じのようでありますし、今度は沖縄開発庁長官でありますから、今も西表はそういう意味では条件としては非常にいいという認識を持っていらっしゃるわけでありますので、どうか科技庁の方とも相談されまして、一カ所でなくても、とにかく西表あたりにそういうものができる、実現させていただきたいということを期待しまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
  143. 仲村正治

    ○仲村委員長代理 和田一仁君。
  144. 和田一仁

    ○和田(一)委員 長官就任されて三カ月でございますけれども就任早々に、一週間ぐらいのうちにまず沖縄に飛ばれて、その後も今日まで三回、合計四回も現状をごらんになっていらっしゃる、現地に行っていらっしゃる、こういうことを伺いまして、専任大臣として大変御努力をなさっていらっしゃる、私もその姿勢に大変敬意を表しておるところでございます。どうぞその意気込みでこれからも沖縄開発のためにお力添えをいただきたい、こう思うわけでございます。  私は、今までの同僚議員の極めて現地に精通した皆様方の御質問とは違いまして、ごく基本的なことを数点お伺いしたい、こう思うわけでございます。  これからは国際化と言われている時代、さらに環太平洋時代というような言葉もしきりに言われる時代でございまして、そういうときに当たりまして、私は沖縄というところは日本歴史の中でも極めて国際的な立場を、過去においてそういう役割を果たしてきた土地柄ではないかと思います。これは今言ったように、これからますます国際化が進展する中にあって大変大事な地域ではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。いわばこれからの日本の国際化への極めて重要な役割を演ずるところだ、こういうふうに思うのでございますけれども、そうなりますと、これは南へ向かって、太平洋へ向かっての玄関口というだけでなく、世界へ向かっての日本玄関口、こんな感じもするわけでございます。  そういう中で、その大事な玄関口である沖縄開発について、振興について、今までの御質疑を聞いておりましても、なかなか思うようには進んでいない、計画どおりにはいっていないというふうに大まかに感じたわけでございますけれども長官就任されまして四回現地へ飛ばれましてつぶさにいろいろ御視察になった上で、今進められております振興開発計画、今までの計画の中で、それがどのように効果を上げ、またこれからこの開発をどういうふうに進めたらいいのか、今お感じになっているところをまずお聞かせいただきたいと思います。
  145. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 四十七年に本土復帰をいたしまして、第一次沖縄振興開発計画、十年間やりました。それは主に社会資本整備が中心だったと思うのです。本土との格差が非常にございましたから、生活面、産業面それから社会資本整備の面、これはそのとおりであろうと思います。ただ、その社会資本整備はその地域産業経済の活性化の前提になるものではございますけれども、その社会資本整備をうまく活用して、そしてさらにその地方の産業経済の活性化を図っていく、そういう事業を選択していかなければならぬわけでございまして、必ずしも社会資本整備沖縄地域経済産業の活性化に結びついていない、そういう点も感じたわけでございます。事実、県民所得も相当大幅に上昇してきておりますけれども、やはり本土に比べると七四%であるとか、失業率も本土の倍近く、しかも若い層の失業率が高いというようなことは、今の沖縄本土との格差を率直に示しておる数字であろうと思うわけでございます。  そこで、今後の問題としては、この社会資本整備も随分進んでおるわけでございますけれども、まだおくれている面もあるわけでございまして、それを進めていく、それから特に生活産業基盤農業問題はそうでございますけれども、土地の基盤整備とか、これも全国の水準の約二分の一の水準でございますから、これらも進めていこう、そういうことを重点にして、一日も早く経済自立化、こういうことに持っていきたいというふうに考えております。
  146. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私はそんなに沖縄のことを知りませんでしたが、先般、委員長の同行で現地視察をしてまいりました。その際、いろいろ勉強させていただき、また要望もお聞きしたわけでございますが、そういう点から若干御質問していきたいと思います。  私も、一緒に参りました東北青森出身の先生と宮古へ行きまして、本当に声を上げてびっくりいたしました。本当に藍を溶かしたような海の色、それがまたあくまでも澄み渡っている。そして亜熱帯性の何か甘いような香りの空気が、胸いっぱい吸うと体じゅうにしみ渡るような、そういう空気を吸いまして、うわあすごいなと二人で声を上げたわけでございます。加えて、大変新鮮なおいしい海産物を中心としたお料理、またお酒もよかったですね。それに加えて、私は何よりもあの素朴な島の人たちのああいう生活態度、ホスピタリティーというか、観光の人や何かに対するそういう態度も本当にすばらしい資源だ、こう思ったわけです。  そう感じた宮古の人たちから強く要請を受けた件が一つございます。これは運輸関係のことでございますけれども、ぜひひとつ宮古から中央への直行便の飛行機を飛ばしてもらいたいんだ、許可をしてもらいたいんだ、こういう要請がございました。私もなるほどなと思ったわけでございます。後でこちらでお聞きいたしますと、長官もそういった要請を現地でお受けになって、大変前向きにそれをお取り上げになって、その後運輸当局とこのことについて御相談をなさったというふうに伺っておるのですが、その点いかがでございますか、どんな御相談になっているのかをお聞かせいただきたいと思います。
  147. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 お話は宮古と東京との直行便の問題だと思うのですが、確かに宮古群島それから石垣、いわゆる先島方面は那覇からも三百キロ前後でございますか離れておりまして、非常に遠いところにあるわけでございますし、また有人離島の中では本島を除けば非常に大きな島、人口経済力も持っております。そういう島でございますから、この地域発展考えますと、いわゆる船経済から航空機経済への移行、つまり大量輸送という問題が非常に大きな問題になっておると思うのです。宮古も石垣も同じようなことを言われておりましたけれども、これが大量輸送が可能になりますともっと農産物でもつくれる、積極的に経営ができる、それから水産物も同じようなことでございまして、承ればまことにごもっともなことだというふうに私は感じました。  そこで、山下運輸大臣ともこの問題につきまして数回話をいたしておりまして、ただ、今の羽田空港の発着枠がいっぱいでございまして、これは私、香川県が選挙区でございまして、香川県と東京の増便を随分やりまして、そのとき非常に苦労した経験も持っておりますので、今の発着枠が新規がなくて、発着枠の中で新しい便を入れるということができなくて非常に問題だということはよくわかるのです。これは全く物理的な問題でございまして、技術的とかお金の問題とか、そういう問題ではありませんから、これは大変厳しい。そこで、いろいろ相談をしておりまして、そういう状況のもとで可能性のある方策というのはどういう方策があるだろうかというようなことも相当突っ込んで実は話をしております。ただ、今のそういう問題を含めて非常に大事な段階でございますので、具体的な内容はちょっと申し上げられませんけれども、非常に突っ込んだ相談をしております。そのことだけははっきり申し上げることができます。
  148. 和田一仁

    ○和田(一)委員 担当の大臣間で今御答弁のように突っ込んだお話をしていただいておるということで、私は希望が持てるな、こういう感じがいたします。ただ、大臣の御答弁の中で、羽田への発着枠、これは確かに過密ダイヤで、いっぱいに近いのではないかと思うのですが、私がそういった要請を受けたときに、その私と一緒に感嘆した青森の議員さんは、いやあ、うちの方は新幹線が通るようになって、そのために仙台と東京の飛行機はもう事実上飛んでいない、また花巻から東京への飛行便ももう飛んでいない、こういった枠があいているはずだ、こういうサゼスチョンをいただいたのですよ。それで調べてみましたら、東京-花巻間の定期便は七月一日から実質上中止されている。これは一日二往復の定期便でした。東京-仙台間も五月の一日からこれは実質上休止している、こういうことなんですが、これは私の調べ方が間違いかどうか、事実かどうか、ちょっと御答弁をお願いします。
  149. 黒野匡彦

    ○黒野説明員 ただいま先生の御指摘の休止の事実は、御指摘のとおりでございます。
  150. 和田一仁

    ○和田(一)委員 そうしますと、大臣、これ枠があるのですよ。これはぜひひとつこの事実を踏まえて、もう一回運輸大臣に、何か枠がありそうじゃないかということでお話をしていただけませんか。いかがでしょう。
  151. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 大変御激励をいただきましたので、頑張ってみたいと思います。
  152. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、これがもし実現ということになってきますと、地場で動いている、あれは南西航空ですか、これが、直行便が宮古へ入りますとやはり影響を受けてくる、こういう感じは持つわけです。  そこで、運輸省にお尋ねしたいのですけれども、行革のあの規制緩和でも取り上げられておりますけれども、運輸行政の中で特に航空行政の見直しが今言われるようになってまいりましたね。従来国際路線は日航一本、チャーター便は全日空が時々飛ぶ、国内幹線はJALと全日空、ローカルは東亜その他と、こういうように今まで航空憲法というようなものでがんじがらめになっていたのを、どうやらそういうことを緩和して民間の活力を出そう、今こういう方向にあると私は思うのですが、そういう中で、こういうめどがついていく場合には、沖縄振興開発ということについても地場産業を育てるということは極めて大事だ、私はこう思うわけなんで、そういう民活の一つの具体的な手段として、そういう場合にはこういう方向がやはり考えられるということを私はここでちょっとお聞きしたいわけなんですが、いかがでしょう。
  153. 黒野匡彦

    ○黒野説明員 今の御質問にお答えします前に、先ほど御指摘ございました休止した後の枠の使用の件でございますが、長官もお話しございましたように、高松のように非常に利用率の高いところでピークのときにはお客さんの乗り残しができるというような路線が幾つかございまして、全国から増便あるいは路線の新設の要求が来てございます。それで、仙台及び花巻につきましてはそのような利用率の高いところの増便ということで既に処理してございまして、まことに申しわけございませんが、今のその件につきましてはちょっと……。まあ長官の御指摘ございました別の対応ということは別にいたしまして、少なくともその枠があいているという事実については、残念ながら今お答えできません。  それから今御指摘の点でございますが、私ども、今利用者の利便の向上あるいは我が国航空事業発展という観点から航空政策そのものを抜本的に見直すという作業中でございまして、具体的に申し上げますと、私ども、運輸政策審議会という審議会がございますが、そこに諮問をいたしておりまして、例えば国際線を複数社にしたらどうか、あるいは日本航空を完全な民営化にしたらどうか、あるいは国内線につきましては、今のように何となく壁がある、南西は本土に出にくい、あるいは本土の企業が沖縄に出にくいというような壁を取っ払って相互に自由に乗り入れたらどうかというような問題意識で現在検討中でございます。その検討の場におきまして南西航空の方から極めて具体的な希望も出ておりまして、沖縄を拠点とした近距離国際線を開設したい、特に沖縄-台湾線は早期開設を図りたい、あるいは沖縄離島本土主要都市との間の両行便、那覇と東京以西の主要都市との間の路線等の運営を逐次実施したいというような要望が出ております。  私どもの今の見通しといたしましては、今の審議を急ぎまして、来年の春もしくは夏くらいまでにはこの答申をいただきまして新しい航空政策を立案いたしたいと思っております。その中で先生の御指摘の点につきましてもできるだけ実現したい、かように思っております。
  154. 和田一仁

    ○和田(一)委員 大臣もぜひひとつ地場産業育成ということを念頭に置いていただいた上でまた運輸大臣にお話をしていただきたいなと、こんなふうに思います。  先ほどの御答弁の中で、産業の基盤あるいは農業基盤、こういったものの整備経済自立化ということがこれから大事だ、こういう御指摘がございました。それで、先ほども触れられておりましたけれども沖縄振興開発特措法によってせっかく自由貿易地域が置けるということになっておりながら、このフリーゾーンがなかなか実現しない、こういうことで、それは土地の問題だというようなお話もございました。確かにそうだと思うのですが、土地が選定をされればそれでいいのかどうか、私はこのフリーゾーンを最初に設けてやろうというこの考え方の発想のときには、企業立地の促進や貿易の振興に貸すというこの趣旨に従って、加工輸出型の自由貿易地域というものを念頭に置いてこういったものをお決めになった。しかし、その後どうも少しそうではなく別のタイプの、例えば中継型の地域にするとか、そういうふうに当初頭に描いておられたものと若干変わってきている。そして、それがまた何かはっきりしてないような気がするのですね。それがどういうタイプのものをここにつくったら一番いいのかあるいはベターなのか、そういうことがきちっとされませんと、やはり誘致をしようとしても、企業の方もどういうタイプのものを求められているのかがはっきりしないとなかなか意欲が出てこないんじゃないか、こんな気がするわけです。それで、なおかつ企業としてはそれが決まって、さらに認定を受けないといけないわけですね。どういう企業ならいいんだという特典に対する認定があるわけですが、その認定が、またこれは前段が決まらないんですから政令等で決まらないのだろうと思いますけれども、行こうという側の民間の企業サイドに立ては、その辺がまずきちっとしないと、自分の企業が行く適地なのかどうかが全然見当つかないんじゃないかという気がしてならないのですが、こういった私の疑問にはどうでしょうか。
  155. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答えいたします。  自由貿易地域の根拠は、先生おっしゃるとおり沖振法にございますが、当時はこれも先生指摘のように加工輸出型を考えていたのは明らかでございます。と申しますのは、アメリカの占領中、既に同種の制度がございまして、その制度が加工輸出型でございました。ただ、その復帰前の沖縄の自由貿易地域昭和四十年ごろがピークでございまして、その後だんだん衰退の一途をたどっております。この原因については、経済学者はいろいろ言っておりますが、一つには台湾、東南アジアの方で同種の自由貿易地域ができて、労働力その他の条件で不利になったからだというふうに言っております。  そこで、先ほど申しました加工輸出型の自由貿易地域沖縄復帰直後に沖振法に基づいてつくっても、これはどうも経済的に不利であるということで、なかなか具体的設置の動きはなかったわけでございます。現在でも、どういう型がよいかについていろいろなお立場、お立場で議論をされる方はいらっしゃいます。現在沖縄県が考えておりますのは、先生おっしゃいました中継加工型と申しますか、そういう型でございます。もちろんこれに対して、反対である、より別のタイプの自由貿易地域をつくれという御議論もございますが、この点沖縄県の方では滑り出しは先生おっしゃった中継加工型、流通型でございますかでやるんだというふうにほぼまとまっておるんだろうと思います。そのほか、現在保税地域をこの中核といたしまして、その他税制上の優遇措置四種類がリンクされております。現在これでスタートしていき、ほかにもいろいろ優遇措置を講ずべきであるという御議論がございますが、それは県の方と私の方では、まず滑り出してから、実態を見てからいろいろと御要望があれば承って処理したい、さしあたって滑り出すのが先決ではないかなというふうに考えているのが現状でございます。
  156. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この春以来、さっき御答弁の中で、開発庁と県と連携をとりながら知恵を出し合って今対処しているんだという御答弁がありましたので、その知恵を出し合う知恵の中に私が今申し上げたようなそういう点をひとつ十分考慮していただいて、せっかくの措置を生かせるように、こういうことが計画倒れではやはり振興開発がなかなか具体的に進んでいかないのではないかな、こんな感じがしてなりません。どうぞひとつお願いいたします。
  157. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 確かにフリーゾーンの問題は、今後の沖縄振興開発に大きな問題になると思っております。ただ、御指摘のように、私も全く同感なんですが、フリーゾーンのイメージが先行していると思うのですね。具体的にどういう内容を考えているのかということを聞きますと、みんな違うのですね。だから、イメージが先行しておるのでその点が確かに心配だという御指摘、私も同感なんです。しかし、来年の二月ごろには申請をしようというようなところまでこぎつけてきておりますので、土地の問題も非常に大きな問題になっておることも御承知のとおりなんで、今後さらに私どもの方としても県と積極的に相談をしながら指導してまいりたい、かように考えております。
  158. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それからもう一つ、時間が十分ありませんので、いろいろお聞きしたいのですが、私が非常に気になりますのは、沖縄の失業率のことなんです。  これは先ほど来何人も御指摘されておりましたが、五十九年で五・二%という、これは全国平均二・七%の約倍近い数値でございます。特に若年の失業率というのですか、二十九歳以下の若者の失業率が非常に高いという、これは私は大変気になります。伺いますと、県外に就職の機会があって出ておりながら、さらにこれが三年未満で六割の方がUターンしてしまう、こういう現象があるのが一つの原因だというふうにも伺ったのですが、私はそのUターンするというのは、自分の生まれ故郷の沖縄が好きで好きでほかでは嫌だというような思いで帰ってきている人も相当いると思うし、そういう若者が自分の一番往みいいと考えている郷土でやはり雇用の機会をつくっていくということは非常に大事だし、特に若い人が失業しているというのは、これはその社会の活力を失ってしまう、私はそう思うので、この点が大変気になります。  そこで、これは労働省の方のいろいろな対策もあるのかと思いますけれども、今まで開発庁として県との間にこの現象に対して何か特別な手を打ってこられたかどうか。
  159. 小谷宏三

    小谷政府委員 お答え申し上げます。  まず失業率の高い原因は、一つには、ただいま先生指摘のとおり、県外就職者のUターンが多いということでございます。それから、何よりも困ったことは、労働力人口の増加が著しい反面これに見合う雇用の場が沖縄県内にないということ、これがもう最大の難点でございます。それからまた、新規学卒者が県外の就職情報に接する機会が割合沖縄では乏しゅうございますので進路決定が極端に遅くなりまして、したがって学校を卒業してもそのままいわゆる無業者になってしまうということが多いというようなのが失業率の高い原因であろうと言われております。  そこで、これの解決でございますが、何よりも抜本的には、沖縄県内における労働力人口を吸収する場をつくらなければならないということでございまして、これがまさしく私ども努力しております沖縄振興開発計画そのものと実は一致するわけでございます。沖縄振興開発計画に基づきまして格差是正自立的発展の基盤などをつくってまいりましたが、まだ本土に追いついていない状況でございまして、したがいまして本土並みに労働力吸収の場というのをまだつくり切れていないというのが実情でございます。また、職業安定所などの御活躍によりまして本土の求職を御紹介するというようなことももちろん努力して行われておりますが、まだ全国の失業率のほぼ二倍というところを脱し切れないわけでございます。
  160. 和田一仁

    ○和田(一)委員 それは原因はよくわかっているのですけれども、そういったことで、これは例えば復帰開発のために相当国としても力を入れてきた、そのことが沖縄経済を今日まで、格差はまだ大変ありますけれどもとにかく七割くらいのところまで上げてきたわけですね。このこととの関連がありはしないか。何か若者の体質の中に、沖縄は何とか政府が面倒見てくれる、そういう中央依存の体質が出てきちゃっているんだとこれは困っちゃうという感じが私はするのですね。これは八七年の国体後に、かつての海洋博の後と同じようにまたいっときダウンするような懸念を先ほど来指摘されておりましたが、そのポスト国体後の計画の中でも、さっき長官が最後に答弁された経済自立というそこへ誘導していけるようなその政策でないと、依存型で終始するような形では沖縄の将来は決して期待どおりにはいかない、私はこう思うわけなんで、ポスト国体の後の計画等についてもとにかく経済自立というそこを最重点にやっていただかないといかぬじゃないかと思います。この点についてもう一遍長官お答えをいただきまして、時間が参りましたので、きょうは終わります。
  161. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 確かに社会資本整備が地方の経済産業の活性化に結びついていないという点が非常にあろうかと思うのです。社会資本の投資をいたしますと、それによって景気は確かに上がります。しかし、それは社会資本整備が終われば終わってしまうわけでございますから、社会資本整備を進めてその社会資本を活用して、それで沖縄地域の特徴を生かした事業を県も市も町村も進めていく、そういうことによって雇用の場もつくっていく、こういうことだと思うのです。ですから、おっしゃるように今後の二次振計後期に向けて重点の問題は、そういう経済自立化に役立つプロジェクト、それを最重点としてそこに力を入れていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  162. 和田一仁

    ○和田(一)委員 時間が過ぎましたので終わります。
  163. 仲村正治

    ○仲村委員長代理 山原健二郎君。
  164. 山原健二郎

    ○山原委員 長官大臣になられて初めてお目にかかり、質問いたします。御苦労さまです。私は時間が少ないものですから、運輸省その他にお伺いしたいと思っておりましたが、時間の関係で質問できないかもしれませんので、私の方から情勢を話しながら一言ずつ質問をいたしたいと思います。     〔仲村委員長代理退席、町村委員長代理着席〕  昨十九日、沖縄西方空域におきまして米空軍の大規模な演習がございました。航空関係者やあるいは全運輸労組などの反対を押し切ってこの演習は行われたわけですが、この演習に当たりまして運輸省、外務省、米軍当局が八月以来事前の調整をしたと聞いております。それでもなお民間機の規制、遅延、特に管制業務に大きな負担を与えたように聞いておるわけでございます。さらに、この演習のため特定の空域を一定の時間、その経路及び高度を民間機が飛行しないよう排除するという措置、つまり空域の一時留保、アルトラブを行ったのかどうかという問題があるわけですが、ほぼこの事実は間違いないと思います。  そういう点でお伺いしたいのですが、実は一昨年、十一月三十日にも米空軍機が二百機以上参加した大演習が行われまして、その際那覇と本土間の民間機はコースの変更や高度の制約を受けた、その上二十分から三十五分の遅延がありました。しかも沖縄本島の西側空域は米空軍機によって独占された状況になっておったわけでございます。このことは昨年の二月二十一日の予算委員会におきまして大きな問題として論議をされたことは御承知のとおりであります。  こうなってまいりますと、いわゆる航空機の安全、国民の生命の安全を守るという立場から考えまして、このような演習は絶対に認めるべきでないと私は思います。したがって、断るべきであるというふうに思います。事実、一度拒否したこともあるわけですね。これは昨年の十一月です。米軍は大規模演習のために日本本土の航空路の優先使用を要求してきましたときに、このとき運輸省は民間機を大幅に規制することになるとして拒否したと聞いておりますが、それは事実かどうかということと同時に、この問題につきまして長官関係大臣にこうした危険な演習は認めるべきでないということを要請することが大事だと私は思いますが、そういうお気持ちがあるかどうか、最初に伺っておきます。
  165. 岡本行夫

    ○岡本説明員 米軍の訓練に関する御質問でございますので、私の方から答えさせていただきます。  私どもといたしましては、我が国の安全保障は日米安保条約そして現在の日米友好関係、それがもたらします枠組みによって守られている、こういう認識でございます。したがいまして、米軍が安保条約の枠内におきまして我が国周辺地域で訓練していく、これは我が国として認めていかなければならず、またそれは当然のことと思っております。他方、民間の航空の安全を図ることは言うまでもないことでございます。したがいまして、私どもは今回の演習につきまして、その必要性を認めた上で、時間をかけまして関係当局と民間の航空の安全の保全について最大限の調整をしてまいった次第でございます。
  166. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 沖縄振興開発と住民の生活安定を図る観点から、航空輸送は非常に重要な問題であります。その安全性の確保につきましては、沖縄開発庁としても当然重大な関心を持っておるわけでございます。  そこで、今回の演習につきましては、関係省庁によりまして十分な調整の上なされたもので、民間航空機への影響は軽微なものだったと聞いておりますが、沖縄開発庁といたしましては、なお航空の安全確保の見地から、今後とも関係省庁で十分協議をしてほしいと考えております。
  167. 山原健二郎

    ○山原委員 現地の新聞報道によりましても、いわゆる三沢、嘉手納、韓国、フィリピン、グアムから約二百五十機が参加する大規模なもので、米太平洋空軍の戦域軍合同演習だというふうに報じられております。確かに日米安保のことを言われますとこれ以上話が進みませんけれども、しかし、実際に八月から事前の話し合いをしてもなおかつ南西航空二機が十七分程度の遅延をし、管制業務に若干の負担があった。それからアルトラブが行われた。これは民間航空の安全のためにという意味でしょうけれども、こういうことが野方図に許されたのでは民間航空の安全性というのは保障できないということを考えますと、時間の関係でこれ以上詰めるわけにはいきませんけれども、私は今の長官の御答弁では納得はいきません。沖縄県民並びに日本国民の安全を保障するという立場から、こういう大規模な演習の連続については当然拒否してしかるべきだということを申し上げて、次に移りたいと思います。  二番目の問題は、沖縄が米占領下にありましたときのアメリカ政府関係の資料の公開問題について質問をいたします。  GHQ文書などとともにアメリカ政府関係の資料というのは、日本の戦後史をつづる上でも歴史的研究を行う上でも、欠くことのできない重要な文書であることは言うまでもありません。この問題については、この国会でも何回か取り上げられておりまして、本年の五月十三日の参議院補助金等に関する特別委員会で安倍外務大臣は、早速アメリカ側に確かめて返事をしたいと答弁をいたしております。もう既に六カ月も経過をしておりますが、外務省、この点についてどのような措置がとられたか、一言報告をいただきたいのです。
  168. 沼田貞昭

    ○沼田説明員 ただいま先生御質問の件につきましては、何回か国会の場でも御質問を受けておるわけでございますが、ただいま先生が言及なさいましたことしの五月十三日の参議院補助金等に関する特別委員会の場においても、私どもの方からお答えいたしましたとおり、この文書の収集等につきましては、専門知識、経験を有する国立国会図書館が実施する方向検討をするということに政府部内でなっております。  他方、その国会図書館の中においても、現在は連合国最高司令官総司令部関係文書の収集というのを行っておりますので、米国の民政府関係文書について現段階で具体的な収集計画を立てるというまでには至っておりませんが、このような国立国会図書館の方の資料収集の準備と並行いたしまして、この図書館の方の体制が整うに応じて、私どもとしても必要に応じましてアメリカ側との折衝を行いたいということを申し上げた次第でございまして、それを受けて外務大臣の方から、こういう文書がどういう状況になっているかというようなことについてはアメリカ側に確かめたいということを答弁した次第でございます。  その後、私ども、以上のような国会における議論を踏まえまして、アメリカ側に対しまして、この文書の状況がどうなっているか、この文書の返還というようなことについていかなる方策が考え得るかというようなことについて照会しております。それに対しまして、アメリカ側の方からは、現在調査しているところであるが、何分にも非常に膨大な量の文書であり、必ずしも整理されていないというような状況にもございますので、個々の文書がどこにどのような状態で存在するかというような点も含めて、もうしばらく時間の猶予が欲しいという感触が返ってきている状況でございます。
  169. 山原健二郎

    ○山原委員 国立国会図書館の担当者が渡米をしまして、沖縄関係文書について実情調査を実施し、文書の公開について打診したわけですが、これに対して米国国立公文書館側は、現在のところ、沖縄関係文書は復帰から三十年経なければ公開できないという態度を明らかにしているというふうにお聞きをいたしております。文書公開の起算点が復帰時から三十年ということになりますと、今世紀に提供を受けることはまず不可能であって、三十年と言えば二千二年にならなければ実現しないということですね。外務省の方、歴代外務大臣もそうでございますが、例えば中山沖縄開発庁長官の場合も、これは「明年、迎える十周年記念として米国政府に外務省を通じて、こういうふうな貴重な資料を日本のために提供していただくように交渉を近く始めたいと考えております」とか、あるいは亡くなった園田元外務大臣も「きわめて大事な問題でありますから全力を挙げてやりたいと考えております」というふうに答えております。  そういう点から重要な問題として、歴代の外務大臣もおっしゃっているわけですが、何となく最近、例えば一昨年の九月二十二日に瀬長亀次郎議員が政府に質問主意書を出しておりますが、それに対する答弁は、国立国会図書館の収集の際に、必要に応じ米国政府と折衝するというふうなお答えで、今外務省がお答えになったこととちょっと似通っておりますが、やや消極的になっているのではないかというふうに考えますと、新しく沖縄担当の大臣となられました藤本長官におきまして、この点については外務省とも相談をしていただきまして、ぜひ早くこれが実現するように折衝もしていただきたいと思いますが、改めてそういう言明ができるかどうか、最後に伺っておきます。
  170. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 米国民政府の資料の収集につきましては、沖縄開発庁としてできる限り協力してまいりたいと思っております。
  171. 山原健二郎

    ○山原委員 これは非常に重要な、歴史上の記述の問題からも重要でございますから、ぜひお願いをいたしたいと思います。  三番目の問題として、沖縄県のいわゆる市町村道のつぶれ地の問題でございます。  これはもう経過についてはもはや申し上げる必要はないと思いますが、いわゆる幹線一級、二級道路の補償は昭和五十四年から始められまして昭和六十二年にはおおむね終了の予定と言われております。問題は、その他道路が取り残されたままでございまして、その方針すら決まっていないという状況にあるのではないかと思うわけでございます。その他道路沖縄県市町村つぶれ地連合会の要望書によりますと、三十四万三千坪、価格にして二百五十九億八千八百万という数字が出ておりますが、これは間違いないと思います。  ところで、沖縄開発庁小林振興局長は十月二十九日に沖縄研究会主催の講演会で、その他道路の処理が当面の重要課題になってきたと述べまして、同時に、全く各市町村の負担なしには各省庁のコンセンサスは得られないという趣旨の発言をされております。この件について何らかの処理方針をお持ちなのかということがこの問題についての一つでございます。  それからもう一つは、沖縄の今日の市町村財政本土と比べて実際にどのように困難な状態に置かれておるかということは、もはや申し上げる必要はないと思います。私は一級、二級と同様の措置を講ずべきだと思いますが、この点について藤本長官のしかとしたお答えをいただきたいのでございます。この点については多くを語りませんけれども沖縄の今後の発展のためにも、都市計画の推進あるいは生活道路整備拡充を可能にする面におきましても県民生活にとって大変重要な問題でございますから、沖縄県の市町村財政とにらみ合わせまして、負担のないような、しかも幹線一、二級と同様の措置をぜひとっていただきたいと思いますが、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  172. 小林悦夫

    小林(悦)政府委員 先生指摘のとおり、市町村のつぶれ地につきまして私沖縄協会で話をいたしまして、それが新聞記事に載ったわけでございます。建設省、自治省と関連のある事業でございまして、制度上の問題、すなわち道路整備特別会計の補助になじむかどうかというような問題が従来から議論されておりまして処理がなかなかできない、こういう状況になっておるわけでございます。私その際、市町村の一部負担は不可欠だ、これに近いことを申し上げたわけでございますが、確かに沖縄市町村財政力は乏しいという事情はございます。ただ、従来の幹線市町村道に対しても補助率がかかっておる、それからその他の市町村道のうちでも、位置境界不明地域の処理の方法等いろいろございまして、必ずしも全部国で負担するというのではなかなか各省のコンセンサスが得られないのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。私沖縄を担当する者といたしまして、できるだけ財政負担を少なくするような処理はお願いいたしたいと思いますけれども、全然持たないというのでは各省のコンセンサスを得るのは難しい、こういう趣旨で申し上げたところでございます。
  173. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 その他の市町村道にかかわる国庫補助の問題でございますが、これは制度上いろいろ困難な問題がございますことは御承知のとおりだと思います。しかし、地主の方々の御要望も強いわけでございますし、また何よりも沖縄の戦後処理の問題の一つでもあるわけでございますので、関係省庁と十分協議しながら問題の解決に努力してまいりたい、かように考えております。
  174. 山原健二郎

    ○山原委員 結局、あの凄惨な沖縄戦、二十七年に及ぶ米占領軍の支配下における問題でございます。今長官がおっしゃいましたように、まさに戦後処理の最重要課題として沖縄県民の要求としてあるわけですから、その点ぜひ今お答えになりましたように御努力をお願いをして、この問題をおきます。  最後に、米軍用地特別措置法による土地の強制使用の問題についてお伺いをいたします。  政府並びに那覇防衛施設局は八月五日に、米軍基地に土地の提供を拒んでいる那覇市を含む土地所有者千九百七十九人、十二施設六十五万四千平米と言われておりますが、これに対しまして再び米軍用地収用特別措置法を適用しまして強制使用に踏み切り、その裁決を県収用委員会に申請をいたしました。しかも、大変重大なことは、現在の強制使用期間の切れる一九八七年五月十五日以降二十年間にわたって強制使用するというものであり、県民の意思を無視したものではないかと思うのであります。私はこの点に対して強く抗議をしまして、今回の措置の撤回を求めたいと思います。  かつて、この問題が国会に上程されましたいわゆる土地取り上げ法の法案をめぐりまして、衆議院本会議は徹夜、徹夜の審議が続けられまして、私もそのときに、沖縄の農民の土地が銃剣とブルドーザーによって強奪されたものであるということを申し上げました。また、各政党ともこの問題については憲法上の重大な疑義があるというふうに国会でも指摘されたのであります。それが公用地暫定使用法でありますが、これに基づきまして今まで五年間の強制使用が続けられてまいりました。七七年の五年間の使用、八二年五月の五年間の強制使用、そして八七年五月十五日の期限切れを契機にしまして、もちろん今までの五年刻みの強制使用も問題ではありますけれども、これがさらに二十年ということになりますと、大変な事態を迎えるわけです。  国会の論議をちょっと振り返ってみますと、政府はこういうふうにお答えになっております。これは一九七一年十二月四日の衆議院沖縄特別委員会の高辻法制局長官でありますが、五年は長いのではないかという御議論もあるかと思います、この点についても無論短いにこしたことはない、五年というのも長いといえば確かに長い、できる限り五年ということに画一的にしないと言明をいたしております。当時、西村直己防衛庁長官が、長いではないか、そういう面があるかもしれないとお答えになっております。続いて、江崎防衛庁長官は、最悪五年というふうに答弁をしまして、五年というのは最悪の事態だというふうに言っております。  実はその五年も長いわけでございまして、この点については与野党を含め、政府を含めまして一致した認識だったと思うのであります。こういう五年という例は沖縄以外にはないと思います。まして二十年間というのは全く前例もありません。今まで見てみますと、本土の場合はほとんど一年から二年の強制使用期間でございまして、三年というのが二件です。実は講和発効以来十年間を計算してみますと三十九件あるわけですが、三年間というのは二件しかありません。一番長い期間は四年というのがありますが、これは一件しかありません。そういう状態であるにかかわらず、一気に二十年という数字がどうして出てくるのか。防衛施設庁では、民法に最高二十年の賃貸借期間があるというふうに言っておりますが、まさに民法六百四条の乱暴な解釈、参考の仕方でありまして、こんなことは到底容認できないわけです。政府みずから策定しました第二次沖縄振興開発計画に基づきまして、政府も日ごろから米軍基地の整理縮小を強調しているのにかんがみまして、まさにこれに逆行するものではありませんか。そう考えてみますと、藤本長官にお考えをいただきたいのです、こういうものは撤回をしていただきたいというふうに私は考えます。しかも、今回強制使用対象の土地の中には伊江島の補助飛行場、那覇軍港などが含まれておりまして、これは日米間で返還が合意された基地なんです。それも含まれておるわけでございますが、これはまさに重大問題でありまして、今度の措置についてはこれを撤回をしていただきたいと思いますが、この点につきましての長官の所見を承りたいのであります。
  175. 宇都信義

    ○宇都政府委員 ただいまお話しのありました一九七一年十二月の法制局長官答弁、西村防衛庁長官答弁等が引用されておりますが、これは公用地暫定使用法を制定するに当たって、その時点での経過的期間について見解を述べたものでございまして、本件のような土地収用法の特別法であります駐留軍用地特措法という従来からある法制度の適用について期間を述べたものでないと考えております。  なお、二十年については長いのではないかという御意見でございますが、先ほど来申し上げてございますが、安保体制が我が国の国防の基幹でありまして、極東の平和と安全に寄与しつつ、日米の両国間においてその意義が高く評価されておる状況からいいまして、この安保条約に基づいて日本に駐留する米軍の活動の基幹になります施設、区域を安定的に長期間使用できるという方策をとるのは日本政府の条約上の義務と考えておりますので、裁決申請しました二十年間を短縮する等の考えはございません。  なお、伊江島あるいは那覇港湾施設につきまして返還の合意があるという御意見でございますが、この施設につきましては、第十五回または第十六回の日米安保協議委員会におきまして、移設の条件が整った場合に返還されるということが了承されている施設でございまして、まだ返還の合意がされたものでございませんし、両施設とも移設先の候補地がまだ見つからないということや、あるいは地元の一部の方には、施設を使用してほしい、返還に反対するという声等もございまして、まだ移設が実現しておらないものでございます。
  176. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が来ましたので、これでおきますけれども、私はこの土地取り上げ法のときに本会議の壇上で言ったのです。どうやって土地を取り上げたか、一列横隊にずっと並びまして土地を守ろうとする農民の胸に銃剣を突きつけて、そして奪った土地が伊佐の美田であった、そういう歌まで本会議場で歌って討論に参加したのでございますけれども、「日本を守るなどとはなにを言う漁夫の網ひとつ守りえずして」という短歌が朝日新聞に出ておりましたが、日本を守る安保条約、それによってこんなにたくさんの農民が犠牲になる、長年の要求が踏みにじられる、今まで五年間、五年間で来ておったのが、今度は二十年になる、本土にはそんな例はないということを考えてみますと、これは幾ら安保条約があるといっても、――安保条約は私も反対ですから、ここで論議しようとは思いませんけれども、しかし余りにもむごい話じゃないですか。私はそういう意味で、この問題については長官の御意見も承って、沖縄の今後の真の意味での発展のために寄与していただきたいと思いますが、こういうお考えはおやめになっていただきたいと思うのですけれども、これについてのお考えを伺いまして、私の質問を終わります。
  177. 藤本孝雄

    藤本国務大臣 ことしの八月五日に那覇防衛施設局長から、使用期間二十年とする使用の裁決申請がありましたことは承知をいたしております。ただ、本件につきましては、所管外のことでもございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、しかし、沖縄におきます米軍施設、区域、これは日本の安全保障上、必要なものでありますけれども、しかし、全国米軍施設、区域の七五%、本島面積につきましては二〇%米軍施設、区域があるわけでございまして、このことが沖縄の土地利用上、大きな制約になっておるということも事実でございます。  我々の立場からいたしますと、二次振計の中にもこの米軍施設、区域の縮小につきましては極力進めていく、また跡地利用につきましては、沖縄振興開発のために活用していくということにいたしておるわけでございまして、我々の立場からいたしますと、米軍施設、区域の整理縮小、これにつきましては今後とも力を入れてまいる、これには間違いありません。
  178. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  179. 町村信孝

    町村委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会