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1985-11-14 第103回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十月十四日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 三塚  博君    理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君    理事 近江巳記夫君 理事 河村  勝君       加藤 六月君    佐藤 文生君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       近岡理一郎君    林  大幹君       福家 俊一君    堀内 光雄君       箕輪  登君    山村治郎君       若林 正俊君    兒玉 末男君       左近 正男君    関山 信之君       田並 胤明君    富塚 三夫君       浅井 美幸君    薮仲 義彦君       中村 正雄君    梅田  勝君       辻  第一君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十年十一月十四日(木曜日)     午前十一時一分開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 小林 恒人君 理事 吉原 米治君    理事 近江巳記夫君 理事 河村  勝君       佐藤 文生君    関谷 勝嗣君       田中 直紀君    林  大幹君       福家 俊一君    堀内 光雄君       山村治郎君    若林 正俊君       兒玉 末男君    田並 胤明君       富塚 三夫君    浅井 美幸君       薮仲 義彦君    中村 正雄君       梅田  勝君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省運輸政策         局長      栗林 貞一君         運輸省国際運輸         ・観光局長   仲田豊一郎君         運輸省航空局長 西村 康雄君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君  委員外出席者         中小企業庁小規         模企業部小売商         業課長     坂井  宏君         郵政省電気通信         局電波部航空海         上課長     金澤  薫君         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岩瀬 虹兒君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         参  考  人         (日本航空株式         会社専務取締         役)      平沢 秀雄君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   関谷 勝嗣君     江崎 真澄君   田中 直紀君     山中 貞則君   林  大幹君     東   力君   堀内 光雄君     村岡 兼造君   薮仲 義彦君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     関谷 勝嗣君   東   力君     林  大幹君   村岡 兼造君     堀内 光雄君   山中 貞則君     田中 直紀君   坂井 弘一君     薮仲 義彦君 同月十三日  辞任         補欠選任   加藤 六月君     野呂田芳成君   関谷 勝嗣君     稻葉  修君 同日  辞任         補欠選任   稻葉  修君     関谷 勝嗣君   野呂田芳成君     加藤 六月君     ――――――――――――― 十月十四日  地域交通整備法案小林恒人君外六名提出、第  百一回国会衆法第二四号)  交通事業における公共割引国庫負担に関する  法律案吉原米治君外六名提出、第百一回国会  衆法第二五号)  都市における公共交通環境整備に関する特別  措置法案左近正男君外九名提出、第百二回国  会衆法第一九号) 同月三十日  運転代行業タクシー類似行為撲滅に関する請  願(橋本龍太郎紹介)(第一一二号)  同外十三件(安田修三紹介)(第一一三号) 十一月十一日  運転代行業タクシー類似行為撲滅に関する請  願外二件(江藤隆美紹介)(第一四九号)  国鉄分割民営化反対等に関する請願(梅田  勝君紹介)(第一九九号)  同(浦井洋紹介)(第二〇〇号)  同(小沢和秋紹介)(第二〇一号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第二〇二号)  同(経塚幸夫紹介)(第二〇三号)  同(工藤晃紹介)(第二〇四号)  同(佐藤祐弘紹介)(第二〇五号)  同(柴田睦夫紹介)(第二〇六号)  同(瀬崎博義紹介)(第二〇七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第二〇八号)  同(田中美智子紹介)(第二〇九号)  同(津川武一紹介)(第二一〇号)  同(辻第一君紹介)(第二一一号)  同(中川利三郎紹介)(第二一二号)  同(中島武敏紹介)(第二一三号)  同(中林佳子紹介)(第二一四号)  同(野間友一紹介)(第二一五号)  同(林百郎君紹介)(第二一六号)  同(東中光雄紹介)(第二一七号)  同(不破哲三紹介)(第二一八号)  同(藤木洋子紹介)(第二一九号)  同(藤田スミ紹介)(第二二〇号)  同(正森成二君紹介)(第二二一号)  同(松本善明紹介)(第二二二号)  同(三浦久紹介)(第二二三号)  同(簑輪幸代紹介)(第二二四号)  同(山原健二郎紹介)(第二二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  日本国有鉄道経営に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  航空に関する件について、本日、日本航空株式会社専務取締役平沢秀雄君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  6. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。富塚三夫君。
  7. 富塚三夫

    富塚委員 第一に、国鉄幹部の汚職問題についてちょっと御質問をいたしたいと思います。  十一月六日に、東京北局事業部長田宮氏が逮捕されたということが明らかにされています。その犯罪の疑いは、事業部長広告会社社長ら三人に贈収賄の疑いがあるということで逮捕されたように思います。特に、日本交通文化協会津久雄専務理事、エヌ・ケー・ビーの社長でもあります。あるいは文宣社稲川社長、こういう関係者も逮捕されているのですが、この広告契約の問題について、まず第一に質問いたしたいと思います。  この日本交通文化協会及び文宣社などは都内の広告社百四十社のうちの横綱格であるというふうに見られているのですが、年間契約の売り上げのほとんどが国鉄から収入を上げていると言われていますけれども、この広告会社はいつごろから国鉄契約されているのですか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  8. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 国鉄広告事務を行っております責任者が、今回、先生の御質問の中にございましたように、承認に絡んで業者から現金を受領したという容疑で逮捕されましたことは、まことに遺憾なことでございまして、まず最初に深くおわび申し上げる次第でございます。  この両業者は、終戦後比較的早い時期から国鉄広告掲出をしておりまして、昭和二十三年からであります。
  9. 富塚三夫

    富塚委員 私たちの調べですと、北局の場合には、文宣社ナンバーワン、それから日本交通文化協会がナンバーツー、南局ですと、日本交通文化協会ナンバーワン、そして文宣社ナンバースリー西局ですと、文宣社が二番目、そして日本交通文化協会が三番目、五十九年度の広告扱い数及び金額はそのようになっているのですが、そういう実績で間違いないですか。
  10. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 そのとおりでございます。
  11. 富塚三夫

    富塚委員 広告契約方法を調べさしていただきますと、広告代理店国鉄契約をする、しかし東京大阪新幹線地区は、それぞれ管理局広告媒体管理会社契約をする、こうなっているのですが、なぜ田宮事業部長みたいに直接こういうふうにかかわるケースが起きてくるのですか。広告媒体管理会社とは一体どういう会社なんですか。
  12. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 広告掲出の手続でございますけれども、これは鉄道広告基準規程第十四条によりまして、一般的には鉄道管理局長広告代理店に対して直接広告掲出承認を行っております。  なお、今御質問の中にございましたように、東京三局、千葉局あるいは大阪地区新幹線につきましては、いずれも広告の需要が非常に多く、また広告水準向上について重点地区でございますので、この部分については媒体管理会社を設けて、それに対して一括した承認を行っているわけでございます。  このように至りましたのは、もともと広告国鉄につきましたころは、御承知のように非常にばらばらのものがついておったわけでございます。と申しますのは、それぞれ広告代理店が持ってきたものを管理局長承認するわけでございますので、いろいろ規格についても統一されていない、またその掲出の仕方についても、それぞれ望んだところに望んだものを出すということで、美観上からも非常に好ましくないということで、新幹線を開業いたします時期にアドメディアセンターというのをつくりまして、その会社に一括してそういう広告規格を定めさせ、また運営をさせるということにしたわけでございます。その結果、新幹線に見られますように、いわゆる広告の杯その他については相整ったものになったとか、あるいは掛出する内容も非常に整理されてきたというようなことがございましたので、その後、昭和四十二年でありますけれども東鉄管内についても同じような方法広告の刷新ができないものかということで東京メディア株式会社を設立いたしまして、それに包括して事業を行わせることにしたわけであります。これで今まで各代理店設置をしておりました個々ばらばら広告のいわゆる枠を媒体管理会社が逐次買収をいたしまして、また新しく設置するものは、この媒体管理会社設置するということで規格の統一を行ってまいりましたし、また出すものについても秩序正しく出すというふうにしてまいったわけでございます。また大阪地区についても同じわけでございます。  それで、田宮部長容疑を受けた内容について、果たしてこの間とういうところでそのような疑惑を受ける事実が起こったかということでございますが、これは現段階では国鉄はまだ本人と接見を許されておりませんし、また関係書類も押収されたままでございまして、いろいろ調査をしておりますけれども、まだ十分に把握できていないわけでございます。もうしばらくお待ちいただきたいというふうに考えております。
  13. 富塚三夫

    富塚委員 上越・東北新幹線開業のときの広告契約状況というものを聞きますと、広告代理店の選定に当たっては国鉄広告媒体管理会社協議によるというふうにされたわけですね。一般の広告契約状況とは違う形で新幹線問題を扱ったということはどういうことを意味するのですか。
  14. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 これは今度の被疑事件とどのように関連するかについては定かでございませんけれども、先ほど申しましたように、媒体管理会社国鉄に対して施設の設置について承認を求め、また広告掲出について承認を求めるわけでありますが、その間鉄道管理局長協議をするように別途定められております。これを定めました理由は、やはり媒体管理会社広告代理店に対して非常に強い立場に立つということから、公正な取り扱いを行うということを非常に重視しているわけでございまして、そういう意味で鉄道管理局がその広告掲出について内容を知る機会を持ちたいということから定められたものでございます。したがいまして、これは現段階では臆測ではございますけれども掲出内容あるいはその代理店について関与できるといたしますと、この部分ではないかなというふうに推測しております。
  15. 富塚三夫

    富塚委員 そういう決定本社がするのですか。それとも地方局の権限でさせるのですか。広告契約方法の変更は本社が具体的に指示するわけですね。
  16. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 鉄道管理局長でございます。
  17. 富塚三夫

    富塚委員 本社は一切がかわりないということですか。
  18. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 規程の制定、改廃その他が本社業務分担でございます。またこの媒体管理会社に対して包括的な広告業務を行わせることについての取り決めは、本社とそれぞれの媒体管理会社との間で行っておりますが、実務の執行は鉄道管理局でございます。
  19. 富塚三夫

    富塚委員 事業部長という幹部職国鉄地位でどういう地位になるのでしょうか。具体的に国鉄経営に直接参加する幹部というふうに見てい。いのですか。
  20. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 国鉄職員身分から申しますと、管理局長クラスが参与という一番高い身分になるわけでありますが、その次の参事という身分であります。経営的には極めて重要な地位の者であるというふうに考えております。
  21. 富塚三夫

    富塚委員 総裁にお尋ねしたいのですけれども、この問題は司直判断に今ゆだねられている、大変な問題をはらんでいるというふうに私どもは見ています。特にこれは東北上越新幹線開業の問題を含めて、あるいは同時に東鉄三局のほとんどの広告をこの社が独占してやっておるように見られるわけであります。  それで、事業部長だけではなくて、前あるいは元、現職の主要な幹部もかかわっているように私どもは思います。私はきょうは具体的にその問題を指摘しません。司直の手の判断が出てから問題は明確にするつもりですが、滝社長などと同席して、とりわけ営業担当幹部が同席して、そして具体的に話し合いをしている場というものを私どもは調べて持っているのですけれども綱紀粛正とか、何かあの事件の後に具体的に幹部諸公を集めて、癒着を断てと――これは田宮事業部長そのものが重要な幹部職にあり、そういうかかわり合いを持っているということになりますと、現職幹部あるいは前、元、大変な幹部たちもかかわっているということになると、これはゆゆしき問題である、私はそう思います。そういう点で具体的に総裁もこの問題について調査をしていただきたい、そういう問題があるかないか。問題はいずれ明確にいたしたいというふうに思いますが、総裁はこの事件についてどういう責任を感じているか。北の管理局長は、私は全然知らなかったみたいなことを言っておりますけれども責任を感じておるかということの問題と、その点の問題について、もし幹部がかかわっているということになれば、国鉄としては大変な問題になると私は思いますが、その点についてひとつ総裁お答えを求めたい。
  22. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今回の事件につきましては、まことに遺憾に存ずる次第でございまして、常々綱紀粛正につきましては、何遍も何遍も経営に当たる者といたしまして最も心すべきものといたしまして指示をしたところでございます。まして、現在大変国鉄の問題がクローズアップされまして、改革の熱意で職員一同一生懸命やっておる時期だけに、こうした事件の発生は、私といたしましてまことに残念な限りでございます。  事実関係におきましては、目下捜査中でございますので、確実な中身はわかりません。私といたしましても、できるだけの調査はいたしたいというふうに思いますが、事実関係の判明いたしました時点におきまして、厳正な対処をいたし、今後二度とこのような不正事件が起こらないようにしっかりやっていきたいというふうに思っておるところでございます。
  23. 富塚三夫

    富塚委員 もう一つ、こういう広告会社とは契約はすべきでない、私はそういうふうに思うのです。現実にこういう疑惑を持たれるということは、今御案内のように、国鉄再建が国民の、国家の非常に急務である時期に、こういう贈賄とか供応といったものが業者との間に行われている。東北上越新幹線開業などでは大変な内容を持っているように思っております。私は少なくともそういう広告会社とは国鉄当局契約をしないということをぜひ約束をしていただきたい、こう思います。総裁にお尋ねいたします。
  24. 杉浦喬也

    杉浦説明員 そういう事実が確実でございますれば、当該容疑を持たれました広告会社との今後の新規契約は一切いたしません。また現在契約しているものにつきましては、解約するというつもりでございます。
  25. 富塚三夫

    富塚委員 厳正な措置ということを先に総裁お答えされていますが、そういう中でやはり具体的にこういった契約の問題もきちっとしていただきたいということについて、これは要請をいたしておきます。私は、これはさらに継続的に、司直判断が下ったときに、また国会でも明らかにさせていただきたい、こう思いますけれども、いずれにしても、調査を十分にしていただいて厳正な措置をひとつとっていただきたいと要望します。  次に、共済年金のことについて質問をいたします。  既に大蔵委員会あるいは地方行政委員会農水委員会などでも国鉄共済の問題について実は大変な議論がされているわけであります。私も六月十八日に本会議で今の共済年金法改正案に対する質疑をした際に、中曽根総理大臣も、国鉄共済財源不足はさらに巨額になることが予想されるので、一元化の趣旨に沿って、公的年金の体系を通じての負担調整を図ることを検討したいと言って、厚生年金相当部分との対比の問題とか財源の問題とかを示唆されたように思いますが、今共済年金法審議を通じて、やはり国鉄年金をどうするかということが実は大変な問題であるというふうに思います。そういう点で、所管大臣として運輸大臣国鉄年金について一体どのようにお考えになっているのか、また国鉄総裁所管総裁としてどのように国鉄年金考えられているのか、その点をまず運輸大臣からお答えをいただきたい。総裁お願いをいたしたい。
  26. 山下徳夫

    山下国務大臣 国鉄再建監理委員会の「意見」におきまして、まず、分割民営後の追加費用等四兆九千億円については長期債務等一環として旧国鉄において処理すること、二番目には、今回の経営改革後の要員規模等を考慮すれば、国鉄共済年金財政が一層厳しいものになること等が予想されることから、国鉄共済年金についての公的年金全般による調整方策を要望し、及び公的年金制度の再編成についての検討を期待する、こういう旨が述べられているところでございます。  そこで、政府といたしましては、この問題について去る十月十一日に「国鉄改革のための基本的方針」において「国鉄共済年金財政が極めて厳しいものとなることにかんがみ、将来にわたって年金支給を維持し得るよう、所要の措置につき速やかに検討を行うこととする。」このように閣議決定を行ったところでございます。国鉄共済問題は、国鉄改革を推進するに当たりまして極めて重要な問題であり、国鉄職員及びOBの皆さんに不安を与えることのないように、将来にわたって国鉄共済年金の円滑な支払いを維持し得るよう最大限の努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  27. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄年金問題につきましては、その将来性につきまして、これを維持確保する必要がある、職員全体の生活の安定のためにぜひ必要であるというふうに思っておるところでございますが、先生案内のように、国鉄改革合理化等を実行いたしますと、国鉄再建上の効果はあらわれますが、逆に言いますと、共済組合の方にある部分のしわ寄せが寄ってしまうというような、矛盾した大変難しい問題であるわけでございます。先般、各関係省庁の強力な御支援によりまして、国鉄共済年金収支の大変な状態に対しまして、国共、国家公務員グループの財政的な御援助をいただき、昭和六十四年度までは何とか収支均衡するというような見通しを立てていただいたわけでございます。しかし、先ほど申しましたように、合理化を進めるということの裏腹といたしまして、一層年金財政の悪化が進むということに相なるわけでございまして、この財政調整の計画の前提といたしました職員数三十二万人、こういう数字がこれからの合理化の徹底によりまして十万人以上の人数の差が出てまいる、こうしたことの結果といたしまして、年金財政収支は著しく悪化するというような事態になるであろうというふうに想定をされるわけでございます。  どのくらいの影響が出るかということにつきましては、今後退職者退職の時期あるいはどういう年齢の方が退職するかというようないろいろな変動要素がございまして、現在まだ決めかねておるところではございますが、昭和六十四年度までの間におきまして、大まかに申し上げますと、平均一年間で七百億から八百億程度の不足金額が見込まれるわけでございます。こうした事態に対処するために、ぜひとも関係方面の御協力をお願い申し上げておるところでございますが、方向といたしましては、去る五十九年二月二十四日の閣議決定、「公的年金制度改革について」というところにうたわれておりますような将来の公的年金制度一元化というプロセスの中で抜本的な検討が早急に行われるよう、今後関係方面お願いをしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  28. 富塚三夫

    富塚委員 さきに国鉄監理委員会答申案が出ました。政府は、最大限尊重して六十二年四月一日からあの答申に沿って改革をしたい、こういうことを決定いたしました。国鉄改革の直接の責任者である大臣総裁なんですが、今出されている共済年金法案かかわり合い、この問題と、いわゆる監理委員会答申による年金の具体的な対応措置とのかかわり合いについてどのように大臣はお考えになっておりますか。
  29. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 国鉄再建の問題にかかわります共済年金の問題、二つあると理解をいたしております。  一つは、国鉄がこれから将来共済組合に対して払い込んでいかなければならない追加費用等の莫大な金額があるわけでございますが、それが六十二年度の四月で四兆九千億、計算をいたしますと、将来四兆九千億に相当するものを国鉄が負っていかなければいけない、これをどういうふうに処理するかという問題があろうかと思います。この問題につきましては、御承知のように、監理委員会の「意見」では、これを国鉄長期債務一環として、将来の国鉄継承体でございます新しい経営主体にしょわせることなく、これを何らかの形で国の責任において処理をするようにということでございまして、これにつきましては、現在再建監理委員会の「意見」を受けまして政府部内において検討を進めておるところでございます。  もう一点は、先ほど来国鉄総裁からお話のございましたように、国鉄共済組合そのものが御承知のように財政調整で賄っていくということで、本年度からスタートしておりますけれども、私鉄並みの合理化を行うというようなことも関連をいたしまして、急速にその合理化を進めるという中で、共済年金の財政そのものが危機に瀕するというような問題と二点あるというふうに理解をいたしております。  この後者につきましては、先ほど来大臣お答え申し上げましたような線で、監理委員会からもこれについて速やかな検討を行うようにということでございまして、これについては速やかに政府部内において検討を行うという閣議決定を行って対処しようと考えておるところでございます。
  30. 富塚三夫

    富塚委員 いや、大臣に聞いているのですけれども国鉄改革問題では年金と雇用は非常に大事な問題である、それは政府監理委員会も我々も全くそういう認識を持っているわけです。ところが今回の共済組合法の改正四法は、いわゆる厚生年金、国民年金を統合して基礎年金の導入、イコール公的年金一元化に向けて対応したい。中曽根総理も本会議で答弁しているように、三十二万人という体制で三十六万人を見ている、こう言う。監理委員会答申は二十一万五千人体制になっているわけです。そして国鉄当局が過日各組合に提案をしたのは、要員削減の目標として六十二年四月までの間に、現業で十六万七千二百人、非現業を入れると十九万五千三百人に要員削減をしたい、こう音っているわけです。いわゆる監理委員会答申に基づいて着々と職員の減員を行っていこうという提案を一方でしているわけなんです。にもかかわらず、当該改革をする責任の省が年金問題について、国鉄年金の問題について所見を持たない、ただ一般論で何とか考えますなんという話だけで一体国鉄改革ができると思うのかどうか、そこのところは運輸大臣どうなんでしょうか。
  31. 山下徳夫

    山下国務大臣 御案内のとおり、昭和六十年から六十四年までの五カ年の計画につきましては、三団体の御協力をいただいて一応ぴしっとした計画のもとに実施しておるわけでございますが、その後、今御指摘のように、監理委員会から非常に厳しい人員の問題についての「意見」がございました。到底従来の方式でこれを乗り切れるわけはないのでございまして、先ほど私が冒頭に御答弁申し上げましたように、これから現在の職員、それからOBの方々にこういう時期においてこそ安んじていただくような方途をとらなければならぬことは私の責任であり、また当然でございますが、しかし、それをやるについては、これから先の問題としては私一人ではできない。ただ、基本的な私の心構えを申し上げたのでございますが、それにつきましては、先般大蔵大臣が統一見解で申し上げたとおり、関係の省庁集まって、これからひとつそういう不安のなからしめるように、政府責任においてやっていくということであろうかと思います。
  32. 富塚三夫

    富塚委員 非常にあいまいな答弁になっているのですけれども、やはり再建計画を実施していく上に、減量経営つまり減員をしていくんだ、要員削減をするんだというかかわり合い年金の問題というのは真っ先に考えなければならないことであるし、本来なら監理委員会答申を受けて尊重してやるというなら、事年金問題は、共済年金法の現状の審議をストップさせて国鉄問題の改革をするのが本来あるべき姿だ、そういうふうに思いますね。  そこで、その監理委員会答申の具体的な年金政策について、年金の方策について運輸省は具体的な検討をしているのですか。
  33. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、この共済年金が今後国鉄改革を行っていくに伴って現在の財政調整ではとても賄い切れなくなるという厳しい状況になるということについては、これを国鉄職員の方、OBの方に御不安を与えないようなことで何とかしなければならないということでございますが、それから先の対応策については、大臣が申し上げましたように、運輸省だけではできないわけでございまして、そういう意味で、政府部内において速やかにこの検討を行うように関係方面お願いをして、現在政府部内において御検討を進める体制をお願いをしておる、こういうところでございます。
  34. 富塚三夫

    富塚委員 運輸省としては、具体的に監理委員会答申年金問題の指摘をまず検討した上で、今提起されているものとの関係をどういうふうに、整理するかというのが、尊重するということなら筋でしょう。ところが何となく関係省庁と打ち合わせ中だなんというそんなことで、片方では国鉄当局はどんどんと減量経営、要員削減提案をしているわけでしょう。そんなばかげたことないんじゃないですか。一番大事な年金問題ということになると、これは具体的に運輸省がそれぞれの所見を持って大蔵省なり関係省庁調整をするというのが筋じゃないでしょうか。その点は一体どうなんですか。
  35. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたように、年金に関する各省庁協議をいたしまして、そして十一月十二日の大蔵委員会において大蔵大臣が、国鉄共済年金の支払いについては、昭和六十四年度までの支払いに支障が生じないよう政府責任を持って解決策を講ずる、このように答弁いたしておりますのは、先ほど私から申し上げました、六十年から六十四年までは一応順調に年金が支給できるような体制をとったけれども、今お話しのように、監理委員会の「意見」によって新たな事態が生じたので、これに対する対応は各省庁が一応統一見解としてまず発表して、そしてそれぞれこれについて努力をするということでございまして、今申し上げました大蔵大臣の統一見解について野党の皆さんの御納得をまだ十分いただいていないというところで、さらに私どもはこれからまた皆さん方と詰めてまいりたいと思っておる段階でございます。
  36. 富塚三夫

    富塚委員 大蔵委員会における我が党の戸田委員質問に対して、最終的に大蔵大臣は、今大臣が言ったように、国鉄共済の支払いについては、六十四年度までの支払いに支障が生じないよう政府責任を持って解決策を講ずる、これは現状の延長線上における、つまり財源上の問題で考える。これは大臣は国庫補助として考えるというふうに理解をしているわけですね。そのように理解をしていいですね。
  37. 山下徳夫

    山下国務大臣 これはまだ財源について大蔵大臣は明言をいたしておりませんが、少なくとも支給においては政府責任を持ちます、財源についてはこれから検討させていただきます、まず支給の責任を明らかにした段階である、このように理解をいたしております。
  38. 富塚三夫

    富塚委員 他の厚生年金とか国家公務員、地方公務員共済、そのかかわり合いなどと考えているわけではないですね。これは、政府の具体的な責任において措置するということの財源措置は、国庫において具体的に処理するというふうに理解をしていいですね。
  39. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいま御答弁申し上げましたように、国庫において処理するということよりも、その支給に対して責任を持つ、その財源についてはこれからであるということでございますから、今御質問のございました点につきましては、これからの問題だと私は承知をいたしております。
  40. 富塚三夫

    富塚委員 結局、国鉄改革年金と雇用の問題を先行させて解決しなければ改革できないことはおわかりでしょう。そのときに、今六十四年度までは財源的に支障ないようにしますと言っても、現に国鉄が、監理委員会答申をあなたたち実施するということになると、そういう六十二年度以降の姿はどうあるべきかということは、具体的に運輸省が年金制度の考え方を出すのが筋でしょう、まして監理委員会答申を受けて尊重したいと言っているのだから。そこのところは一体どういうふうに考えるつもりなんですか。大蔵省に任せっ放しでいこうとしているのですか。
  41. 山下徳夫

    山下国務大臣 繰り返し申し上げますように、今先生からも御指摘ございました監理委員会の「意見」におきましては、これからのいわゆる雇用対策、余剰人員対策ということで、これは長期債務とともに一番大きな問題でございまして、これに対して当然年金問題が、これは抜本的な対策を講じなければ、従来の六十年-六十四年の構想ではやっていけないことは、私ども十分承知をいたしております。  ただ、繰り返し申し上げますように、年金につきましては、大蔵省がやはり統括して所管するという立場から、これは統一見解として各関係省庁が集まってこの問題の解決を図る以外にはない。そこで、とりあえず六十四年までは、国鉄再建監理委員会の「意見」に基づくいわゆる人員対策につきまして、先ほど申し上げましたように、OBあるいは現職の方々に迷惑をかけない、その責任政府が持ちます、その支給については六十四年までは滞りなくやりますから、その財源につきまして全額国庫から出すかどうかという点については、これから検討させていただきますという、現段階においてはそこまでを詰めておるわけでございますから、現段階においてその点で御了承いただきたいと思うわけでございます。
  42. 富塚三夫

    富塚委員 やはり所管大臣ですから、明確に考え方をはっきりさせて、国鉄に働いている労働者に、あるいはOB、退職者の方々に安心感を与えるというのが筋じゃないでしょうか。そうすると、聞くところによると、あなたたちは、何か来年の通常国会には百三十本余の国鉄改革法律案を出して、秋に向けて議論をしたいと言って、今法案体系の問題を検討中だというが、運輸省案ではまだ全然年金問題は検討していないわけですか。
  43. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどから申し上げますように、余剰人員対策につきましては、私は所管大臣でございますから、これについては責任を持って私がやらなければならない。そういう立場から、現役の方、OBの方々には御迷惑をかけませんということを申し上げているのでございますが、具体的に、それでは年金の支給についてどうするかということになりますと、これは大蔵大臣の所管でございますということを申し上げておりまして、したがって、私ども協力しながら政府の統一見解というものを一応皆様方にお示ししたわけでございます。
  44. 富塚三夫

    富塚委員 運輸大臣としては、年金を減額したり支払いに支障するようなことは絶対させないということを約束していいですね。
  45. 山下徳夫

    山下国務大臣 滞りなく支給するということについては、お約束するのは結構でございます。
  46. 富塚三夫

    富塚委員 時間がありませんので、国鉄総裁、私はこの年金問題はとても納得できませんが、今具体的な要員削減計画を出している。そして年金問題ということのかかわり合いで、政府に具体的にどんなことを要請しようとしているのか、年金問題の解決にどんな態度で臨もうとしているのか、明らかにしていただきたい。私は国庫負担でなければ、具体的な年金問題の解決にはなっていかないと思う。  もう一つ、具体的に職域加算年金の問題について、改正案では、長期給付の財政調整期間中は適用しない、国鉄の場合にはやらないというふうになっているのですが、そんなことを国鉄総裁として認めるわけはないと思うのですけれども、その点も国鉄総裁としてはそんなことはさせないということでいいですね。考え方を明らかにしてください。
  47. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄共済年金の重要性は重々身にしみておるわけではございますが、何分にも国鉄みずからで解決はできないというところに非常に心苦しいことがたくさんあるわけでございまして、これから関係方面政府の皆様方に年金を将来にわたりまして確保していただくようにただただお願いを申し上げるというだけでございまして、具体的にこうせい、ああせいというようなことを私の方から申し上げることはなかなかできにくいというふうに思います。  さらにまた、現在の共済年金の改正法案の中の職域年金部分の問題につきましては、私ども現在いろいろな面で国家公務員グループにお世話を願いながらようやく財政の収支を均衡させておる状況の中で、今後一層悪化が見込まれることが必至でありますので、いわゆる職域部分の問題につきましては、現在の法律改正でやむを得ないというふうに私は思っておるところでございます。
  48. 富塚三夫

    富塚委員 時間が参りましたが、私は年金問題は納得しません。了解しません。いずれ午後にまた我が党の吉原委員から明確に問題を提起してもらいますが、今監理委員会答申を受けて改革するんだと言って大変意気込んでいるのに、全然年金問題の検討、しかも国鉄総裁のように非常に消極的な発言ですね。何かバランスだけ考えて、そんなことでは私どもは納得できない。やはりこの年金法の審議の中で国鉄年金の問題をどうするかということを明確に位置づけてやっていくという責任がないと、事実上改革なんかできないんじゃないですか。この出発点において挫折したら、分割民営なんてしてみたって、現実に職員の具体的な生活の保障とか年金の問題とか雇用の問題を考えられないで当該所管大臣とか総裁がやろうなんてどだい無理な話じゃないですか。だから、私は今の答弁では絶対に納得いたしません。  午後に我が党の吉原委員にやっていただきますけれども、ひとつ責任を持ってやる体制を、態度を大臣なり総裁はとってもらいたいということを要望して、私の質問を終わります。
  49. 三ツ林弥太郎

  50. 田並胤明

    田並委員 きょうは日本航空の専務の平沢さんが大変多忙なところを出席をされまして、大変御苦労さまでございます。  まず第一に、日航機の航路逸脱問題についてお伺いをしたいと思います。  三年前の羽田沖事故、さらに本年八月十二日の日航ジャンボ機による群馬県上野村山中墜落事故、これはまだ記憶に新しいわけでありますが、貴重な五百二十名のとうとい犠牲を出し、さらに遺族の母親が自殺をするという、まさに世界航空史上まれに見る大惨事があったわけであります。  しかるに、それからわずか二カ月少々、ちょうど八十日目でありますが、十月三十一日に日航の成田発モスクワ経由パリ行きの四四一便が所定のコースを外れて約一時間も迷走し、所定のコースから六十海里もサハリンに寄っていくという事件が発生をしたわけであります。これはもう場合によりますと、日ソ間の重大な外交問題を引き起こすばかりでなくて、乗客、乗員の生命にも重大な事態を引き起こすおそれのある事件だったと思うのです。しかも、国民の皆さんに対しては、航空輸送の安全性あるいは航空輸送の信頼性、こういうものを著しく裏切るという結果になったのじゃないか、そういう重大な事件であったと私は思うのです。  八月の日航の事故の直後の八月二十日の日に当運輸委員会に高木社長出席をされまして、国民の皆さんに、深く反省をして事故の再発は絶対に防止をする、こういうことをこの委員会で表明をされ、さらにその中で、安全の確保というのは航空輸送に携わる者の至上命題だ、したがって、もう一回徹底的に社内の見直しをして、点検をして、事故の絶滅に向けて役職員が一丸となって努力をする、このように述べておるわけでありますが、大変失礼な言い方ですが、この表明が本当のものであったのかどうか、本物だったかどうか、非常に疑わしい感じがするわけであります。  そこで、日航側に聞きたいのは、第一点目として、新聞等によりますと、操縦士のうっかりミスだった、本当に単純なミスだったという報道になっておりますが、ただ単にそれだけでは済まされない日航の体質の問題があるのじゃないか。というのは、日航がこの間の八月二十日の運輸委員会のときにも、各先生方が運輸省に対して厳しく指摘をしたように、どうも安全よりも利益を最優先させるという体質がまだまだしみついておって、具体的な安全確保というものについての十二分の配慮がまだまだなされておらなかった、その結果がこういう事態を引き起こしたのではないか、こういう気がしてなりません。したがって、ぜひひとつ日航側の安全に対する認識、八月十二日以降全社的に取り組んできた安全対策等についてどのように進められているのかお聞かせを願いたい。そのことによって一日も早く国民の信頼を回復をしてほしい、このように願うものであります。  さらに、聞くところによりますと、例えば全日空あるいは東亜国内航空、これは組合が一つでありますが、日本航空は四つもある。しかも、そういう状態ですから、労働組合から提起をされる労使による安全対策委員会的なもの、これらが日本航空の場合には設置をされていないような話を聞いておるのです。もっとも四つにも分割をされておれば、金のかかる安全の問題については極力避けたいという意思があれば、そんなものつくりたくないというふうに思うのは経営者の心情だと思うのですが、この辺のことも含めて、日航側の今回の問題に対する考え方、安全に対する認識の問題等々について一括ひとつ御答弁をお願いをしたいと思います。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  51. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げたいと思います。  お答え申し上げます前に、一言おわびを申し上げたいと存じます。  去る八月十二日に大事故を起こしまして、政府初め社会の皆様より厳しい御指摘、御批判をちょうだいし、会社を挙げて万全の安全体制を確立すべく努力を重ねてまいりましたやさきに、今回航空路逸脱の事態を引き起こしました。重ね重ねまことに申しわけなく、深くおわびを申し上げます。会社といたしましても極めて重大に受けとめ、この種事故の再発防止のための対策を速やかに、既に立てておりますが、関係者に周知し、その遵守の徹底を図っております。また運航関係者の業務に対しますより厳しい姿勢、心構えにつきまして一層の徹底を図っておるところでございますが、重ね重ね深くおわびを申し上げる次第でございます。  ただいまの御質問に対しましてお答えを申し上げたいと思います。  まず、日本航空の体質についての御質問でございますけれども、営利優先ではないか、安全軽視ではないか、こういう御指摘を今もいただいたわけでございますが、私どもは、決してそういうことではなくて、常に安全が第一である、安全は経営の至上命題である、こういう方針を持って実施をしてきておるつもりでございます。そういうことで営利優先というふうなことを決して考えておるわけではございません。  八月十二日の事故の後の安全対策でございますけれども運輸大臣からいただきました勧告に従いまして、業務改善策を策定し、御回答申し上げましたが、その線に沿いまして、現在全力を挙げて安全体制及び施策の実施に努めております。  なお、会社といたしましては、自主的にも会社全般、また整備部門についてはなおさらでございますが、すべての体制あるいは整備の内容の見直しを行いまして、より一層安全体制を強化すべく努力をしておるところでございます。  また、最後の御質問の安全対策委員会の件でございますけれども、御指摘のように、私どもには四つの労働組合がございますが、職場の安全衛生を主にしました安全衛生委員会は現在二つの組合と行っております。その他の二つの組合についても参加をしてもらうべくいろいろ話をしておりますが、その二つの組合は団体交渉の場でこれをやるということで現在行っておるところでございまして、航空安全につきましては、やはり二つの組合と安全協議会というのを持ってやっておりますが、残りの二つの組合とは、団体交渉及び組合の安全委員会社の安全を担当する者とのその都度の話し合いというものを重ねておるところでございます。  以上でございます。
  52. 田並胤明

    田並委員 今の専務の答弁で私どもとしては非常に納得のできない部分が多いのです。航空安全協議会を二つの組合と結んでいる、その他の二つの組合と団体交渉をしているというのですが、実際にそれぞれの組合と乗客の安全、空の安全についての話し合いをした内容が具体的に実践をされておらないのではないかと思うのですね、安全というのは金がかかりますから。これはいろいろな組合から話を聞いても、前もって私たちが提起したことをきちっと会社側がやっておれば、恐らく八月十二日の事故も引き起こさずに済んだろうということを具体的に指摘をしておるわけですよ。ただ単に安全協議会があるからあるいは団交の場で話し合ったら、聞きっ放しては困るのですよ。実際にお客さんを運んでいる乗務員の方々の組合――操縦士も含めてでありますが、こういう方々から自分たちの仕事を通して乗客の安全について問題提起があったときには、それに真剣に耳を傾けて、具体的に実践をしていくという対応を強く求めたいと思うのです。  さらに、もう一点だけお聞きをしたいのですが、この事件が発生した後記者会見をされた。その記者会見の中身を見ると、どうも当該の操縦士を前面に出して、会社側の方は余り前面に出なかったような感じがするのであります。先ほど私が、操縦士のうっかりミスということで個人の責任に転嫁をされては困る、会社全体の体質にあるのではないかと言ったのは、そこのところなんです。その辺も、どんな考え方でそういうことになったのか、それだけちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。しっぽ切りじゃだめなんだよ。
  53. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  私どもも、先生がおっしゃいましたように、私自身記者会見をいたしましたけれども会社がこれを受けとめてやる、こういう基本的な考え方でいたしたわけでございます。しかし、何分にも御要望が非常に強うございまして、私どもはその御要望の結果、機長の記者会見をいたさざるを得なかったということでございますが、私自身もその席におりまして、会社としてできるだけのサポートをしながらやったつもりでございます。申しわけございませんでした。
  54. 田並胤明

    田並委員 いずれにしても、日航側の再三にわたるこういう事故について、ひとつ一層国民の信頼を回復するための社内の努力を、体質改善も含めてやっていただきたい、このことを要望しておきます。  次に、運輸省の方にお伺いをしたい。  所定のコースを外れたのを航空自衛隊の稚内のレーダーサイトが発見して、札幌の航空交通管制部に連絡をした、このようになっておるのですが、札幌の管制都というのは、函館の横津岳にレーダー基地があって、そこから大体三百六十キロをカバーしているというお話なんですね。そうすると、同管制部は、この四四一便のレーダーによる管制というのは行われておらなかったのかどうか。それをちょっと聞きたいと思うのです。
  55. 西村康雄

    ○西村政府委員 札幌の管制部がレーダーでカバーしておりますのは、今言われました今回の日航機逸脱のR11の航空路、これは東京FIRからハバロフスクFIRに至る地点が、管制の移管地点がスキッドというところでございますが、このスキッドで位置通報を受けるわけでございます。そしてこのスキッドのポイントが大体この札幌の管制からはレーダーには映っております。ただ、レーダーの非常に端にございます。そこで、今回の場合ですと、レーダーの端でございますとともに、今回の逸脱がスキッド付近では十数海里ぐらいでございまして、航空路の幅の中に入っているということで、通常見ておりましても、特に逸脱ということが明確なような状況ではございませんでした。
  56. 田並胤明

    田並委員 今の答弁は、ちょっと私の方で調査をしたのと違うのですね。ここの区域は、今言ったR11の方は、札幌管制部の方としてはレーダーによる管制を行わない区域になっている、こういう報告を受けているのですよ。となると、なぜそういう状態なのか。特に大韓航空機の事件が発生をしたその近くですから、特に日ソの外交問題にまで発展をするような大きな問題が発生する可能性のある空域ですよ。にもかかわらず、これは管制を行わない区域になっている、こういう説明を私受けたんですが、その根拠についてちょっとお示しを願いたいのですよ。
  57. 西村康雄

    ○西村政府委員 管制部が航空路上の航空機に対する管制を実施しますのに、通常レーダーを直接見ながら、そのレーダー上の機影を見て、そして航空機と交信しながら指示をしていくというレーダー管制と、それからレーダー上には直接映さないで、それぞれの航空路に飛んでおります飛行機から位置通報ごとに今どういうところを飛んでいるということを確認しながら管制する、二つの方式がございます。それで、後の方の方式でございますと、これは耳で聞いて管制していますので、飛行機と飛行機の間はかなり管制間隔をとっております。ところで、複雑なところはそういうふうに十分な管制間隔をとれませんので、レーダーでしっかり見ながらかなり航空機の間を詰めて管制するという仕組みになっておりますが、この場合も、札幌の管制部では、R11というのは非常にすいている航空路でございます。そして札幌の管制部が中心的になりますのは、本土から札幌、北海道へ参る、これに専心がかっているわけで、ここの部分をしっかりレーダー管制をやっております。したがいまして、レーダー管制のレンジは、こういう場合には切りかえまして、大きく拡大して管制をしているということで、物理的にはR11上のスキッドは管制のレーダーの中に入りますが、レーダー管制という形ではやっていない。通常の耳で聞く位置通報に頼って十分な管制間隔がある。しっかり航空路を飛んでいるということを確認しながら管制する、こういう方式を適用しているわけでございます。
  58. 田並胤明

    田並委員 今のお話ではちょっとわからないのですよ。レーダーには映るけれども、そこは位置通報をすればいい場所なんだ、それで管制するんだ、こういうふうに言っているわけでしょう。先ほどの話は、レーダーの端になっていたので映らなかったのだ、あるいは所定の航路というのが何マイルかにありますね、中心から何マイルかというのが。その範囲におさまっていれば、別にそれは逸脱とは言わないんだ。確かにそうかもしれません。ただ、その横津岳にあるレーダーが三百六十キロをカバーできるということになると、最終的に操縦士が気がついてハバロフスクの方に左旋回ですか、するところぐらいまでカバーできるようなレーダーじゃないかと思うのですよ。そこまでいかなくとも、恐らくルートから外れた、いゆわる決められた幅から外れたところは、もう既にレーダーで映そうと思えば映せる。ただ、レーダーには映っているけれども、たまたま連絡通報すればいい管制になっているので、うちの方としては特別にやらなかったという今の返事でしょう。そうすると、レーダーに映っていながら、その通過点を通報すればいいことになっている、だから別にしなかったんだということになると、これは逆に言えば大変な問題だと思うのですよ。逸脱しても、いやあれは逸脱しているけれども、そのうち通過地点を通報してくるだろう、だからそれまで待っていようじゃないか、こんな話になる危険性があるんじゃないかと思うのですよ。  それともう一つ、それではここのところはレーダー管制じゃなくて位置通報の管制でやっているんだと言うのですが、ほかに日本から、成田から飛び立つあるいは羽田から飛び立つ国際線というのはいっぱいあると思うのですね。北京へ行くのもあるしソウルヘ行くのもあるし、あるいはアメリカへ行くのもあるしあるいは東南アジア、ASEANの方へ行くのもあると思うのですが、その辺はどこがどういうふうにレーダー管制はカバーしているのですかね。
  59. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほど申しましたところ、やや不正確だったのかもしれませんが、レーダーには物理的に映る場所、スキッドは映る場所であったということを申し上げ、かつ今回のケースに当てはめると、その航路逸脱は特別認識できる程度のものではなかったということを申し上げたわけで、現実には、先ほど申し上げたように、レンジは拡大して見ていますので、そこは映し出してレーダー管制はしていなかったということでございます。  それから、他の洋上に参ります場合も、通常は現在レーダー管制をやっていますのは、本邦の中の航空路について、これは非常に航空機がふくそうして飛んでいます。この部分をレーダー管制をやっているわけでございます。そのほかの洋上に入りますと、これは洋上の間隔も大きくなりまして、先ほど申し上げました飛行機との通信を中心として管制をやるという方式をとっているわけでございます。
  60. 田並胤明

    田並委員 ここのところは、だから今局長言われたように、はっきり申し上げて、レーダー管制は行わない区域、このように決めているんですよ、運輸省では。でなければ、当然レーダーで管制をするはずでしょう。あるいは機材が不備で、もう一つあればもっと全部レーダーで管制することができるのだけれどもと言うのなら、それはまた別ですよ、機材を整備すればいいんですから。ただ、少なくとも一日四便ぐらいだから、それよりも国内線の方が北海道と本州を結ぶ航空路が非常に複雑になっているので、煩雑なんで、そっちを重点的にやっていて、こっちはレーダー管制はしてないんだということなんじゃないかと思うのですよ。そうなると、今回のような事故というのは二度と再び起こってはならないことなんですが、人間というのはミスを犯すのですよ、人間ですから。その場合に、また再びこういう事態が発生をしないという保証はないでしょう。  そういう意味でひとつ最後に、時間がちょっとあれですから、運輸大臣の方から今回の問題を含めて安全に対する決意をぜひお聞かせを願いたい、このように思うのです。
  61. 山下徳夫

    山下国務大臣 五百二十名の方々がお亡くなりになったあの事故、本当に遺憾のきわみでございまして、またそれが覚めやらぬうちに今回のようなことが起きたということは、まことに私にとっても遺憾のきわみでございますが、前回の五百二十名亡くなられたあの事故につきましては、今事故調で鋭意その原因が究明中でございますので、まだ私から事故の原因についてここで正確に申し上げることはできないのでございますが、その責任論から言うならば、今度の方が重大である、このような認識を私は持っておるわけでございます。したがいまして、今回のうっかりミスと申しますか、これが起きました直後に日本航空社長を招致いたしまして、厳重に注意いたしました。特にこの責任の所在と申しますか、そういう意味から、責任者に対する、関係者に対する一つの処分あるいは処置、処分、処罰等の処置でございますね、そういうことにつきましても私から、社内にもいろいろ規程があることであろうけれども、ひとつ十分その点についても行うべきであるという私の気持ちも申し上げておきましたし、先ほどからいろいろ御指摘ございましたが、社内の体質というものが今回の事故に結びついたかどうかということは、これは私まだわかりませんが、少なくともそういうことが言われること自体日本航空にとって私は重大な問題であると思っております。  労使の話し合いにしましても、お互いが心の窓を開いて話し合えるような労使の話し合いにしてもらいたいという気持ちもあって、先月の二十六日には四つの組合の幹部の方々ともそれぞれ十分私も懇談をいたし、お気持ちも十分聞いた次第でございますが、そういう意味におきまして、体質を変えると申しましょうか、日本航空の血液を変えていくと申しましょうか、そういうことは率直に申し上げて必要であるという考え方に立って、私は今回の最高幹部の大事についてもそういう方針で臨んだつもりでございますし、今後ともまず何よりも安全であるという、これに徹してすべて日本航空の問題、日本航空に限らず航空全般の問題に対して行政官庁として処してまいりたいと思っている次第でございます。
  62. 田並胤明

    田並委員 ぜひひとつ空だけでなくて、陸海空全般にわたる安全対策について、一層の万全の措置をとられるように強く要望をして、次の問題に移りたいと思います。大変に専務さん、御苦労さまでございました。  次に、国鉄の問題についてお伺いをいたしますが、時間がちょっとないので、要員問題に絞ってお聞きをしたいと思います。  再建監理委員会がさきの最終答申で、国鉄分割民営化、さらに新事業体への移行に伴って、九万三千人もの余剰人員が発生すると述べているわけでありますが、この問題は、当該の国鉄職員にとりましては、雇用の問題に直接つながる死活の問題でありまして、関連事業労働者、地域社会にも重大な影響を与えるだけに、大変な関心を実は持っているわけであります。一方、新事業体にとっても、要員規模をいかに設定するかということが今後の企業の収支に直接影響いたしますし、また利用者、国民にとっては、サービスなり安全の面で非常に大きな問題を発生をさせることになるわけであります。つまり監理委員会が算出をした新事業体の適正要員が妥当なものかどうか、それによって監理委員会が見通した経営収支が成り立つのかどうか、また答申そのものが崩壊をするかどうかということにつながるという問題だろうと思うのです。こうした意味からしますと、適正要員をどう算定をしたのかということが非常に重要な問題だと思うのでありまして、再建監理委員会答申やデータだけでは、ここにございます「鉄道旅客部門の適正要員数の推計」、監理委員会が出したこの資料だけ見たのでは、果たして適正要員の妥当性があるのかどうか非常に疑問であります。したがって、きょうは要員問題と余剰人員問題について質問をしたいわけでありますが、まず、監理委員会に算定基準についてお聞きをしたいと思います。  答申では、算定の基準として、私鉄並み生産性を指標として、在来線については私鉄六十社、新幹線については大手私鉄との比較ということを算定の基礎にしているようであります。しかも、比較の方法は、在来線については系統別、発着人員別、列車キロ、営業キロ、こういうものをもとにして回帰式というのを用いている。しかも、国鉄の特殊性を含めて最終的な要員を推計する方法をとっているわけであります。一方では、新幹線は私鉄との単純な生産性比較で、四割の合理化の目標を立てながら要員を算出しております。在来線と新幹線の推計の方法が違うわけでありますが、この違う理由をまず第一点、お聞きをしたいと思うのです。  それと、時間の関係でちょっと質問をまとめてやりますから、次に比較の対象とした私鉄六十社というのは具体的にどこなのか、これは明らかになっていないですね。またどのような基準で六十社を選んだのか、ぜひリストとその基準をお示しを願いたいと思うのです。例えば北海道の場合には私鉄は通っておりません。こういう場合の比較というのはどういう中身でされたのか。これについてひとつお聞かせを願いたいと思います。  次に、在来線と新幹線で、新幹線の場合は装置産業だから、したがって、比較の手法が違うのだというふうに言っておるのですが、装備率が異なるのならば、在来線、新幹線についてそれぞれ私鉄との単純比較で逆によくなるんじゃないか、こういう気がするわけですが、これもお聞かせを願いたいと思うのです。  それから四つ目には、列車キロ、車両キロ等は将来の需要予測に基づいて恐らく設定をしたと思うのです。例えば乗客がどのくらい乗るだろうという予測、それからそれに基づき列車を何本当したらいいかとか、あるいは車両の数をどのくらいにして編成したらいいかということも含めて、恐らく列車キロ、車両キロについては将来の需要予測も含めて検討をされたと思うのですが、どういう方程式でこの説明変数というものを引き直したのか、これを聞かしてもらいたいと思うのです。  また、五年間の経営の見通しも出されているわけですね。昭和六十二年から六十六年までの経営見通し、これも出されておりますが、分割をされた後の各社則、年次別の需要予測のデータもぜひひとつ資料としてお示しを願いたい、このように思います。さらに、五年間という長期の見通しを立てているわけでありますから、これはぜひ年度ごとに、各社別に需要予測、営業キロ、列車キロ、これも示していただきたい。とりあえずその点の回答をお願いしたいと思います。
  63. 林淳司

    ○林政府委員 非常にたくさんの御質問でございますが、まず、新幹線と在来線とで生産性比較の仕方が違うという点でございますけれども新幹線は現在の私鉄の運行実態とかなり大きく異なりますので、一般的に私鉄の生産性というものと比較検討するというのは必ずしも適当ではなかろうということで、在来線については一般的な比較をいたしますが、新幹線は私鉄の特定の区間をとりまして、類似した区間、長距離の都市間運行をやっております区間をとりまして、それとの比較において生産性を推定したということでございます。  それから、在来線について六十社程度というものはどういう会社を対象にしたかということでございますが、これは現在私鉄は約百三十八社ございます。ただ、その中にはモノレールでありますとかあるいは新交通システムあるいは施設のみを保有しておる施設会社と申しますか、そういう私鉄とか、必ずしも比較対象として適当でない企業もございますので、それらを除外いたしまして、百三十八社のうちから比較対象として適当な会社六十一社を選んで比較をしたということでございます。  それから、北海道には私鉄はないじゃないかということでございますけれども、各地域ごとにその地域の私鉄と比較をしたということではございませんで、前にお出しした資料にも記載してございますように、駅職員とか運転士とか車掌とか、あるいは施設保守、車両保守といったような各職種ごとにそれぞれの職種に適切な輸送量指標というものを選びまして、それで回帰式をつくって、一方国鉄の方は、営業線区を五百単位に分けまして、それぞれの輸送密度に応じて回帰式に当てはめまして、それで要員数を出しておる、こういうことでございますので、特定の地域というものには直接関係がないということで、全国的に比較可能ということでございます。  それから、列車キロあるいは車両キロというものを使っておるけれども、どういう考え方と申しますか、どういう式でこれを出したのかということでございますけれども国鉄の場合、全体の線区を約五百単位に分けてやっておりますけれども、その実績におきまして、それぞれの五百単位ごとに輸送量と列車キロあるいは輸送量と車両キロというものでそれぞれ回帰式をつくったわけでございます。その回帰式に昭和六十二年におきます五百単位のそれぞれの区間ですね、それぞれの区間が昭和六十二年にどの程度の輸送密度になるか、その輸送密度を推計いたしまして、その輸送密度をこの回帰式に当てはめて、そしてその時点での、昭和六十二年の時点でのそれぞれの五百単位ごとの列車キロあるいは車両キロというものを推計した、こういうことでございます。  それから、五年間の収支見通しというものを前にお出ししておりますけれども、それに関連いたしまして諸般のデータを提出せよ、こういうことでございますが、この点につきましては詳細に検討いたしまして、御提出できるものは御提出をしたいというふうに考えます。  以上でございます。
  64. 田並胤明

    田並委員 まず第一点の比較対照しやすい私鉄六十社を選んだということなんですが、確かに方式としてはわかるのでありますが、この六十社の具体的な会社名とどのような基準でこれを選んだのか、最後の方の回答のとおり、五年間の経営見通し、営業キロ、列車キロ、需要予測の資料を詳細検討して出せるものは出すというのですから、あわせてひとつ出していただきたいと思うのです。それはそういうことでぜひお願いしたいと思います。  次に、監理委員会の説明資料でいきますと、需要予測に基づいて、例えば運転士は営業キロと列車キロと出ておりますが、それで要員数を推定しておるわけであります。営業キロというのはある程度推定可能だとしても、列車キロというのはどういうダイヤを組むのか、お客さんを短編成で何回運ぶのかあるいは長編成で何回運ぶのかということによって変わってくると思うのです。したがって、列車キロというのは直ちに需要予測に結びつかないのじゃないかと思うのですが、監理委員会は各社則、年度別のダイヤ設定まで想定して、あるいはそれを不変のものとして要員を算出したのかどうか、この辺ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  65. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、列車キロあるいは車両キロの六十二年の姿というものを推計する方法といたしまして、全国の国鉄の営業線区を五百の単位に分けまして、その五百単位ごとのそれぞれの輸送密度とその輸送密度に対する列車キロあるいは車両キロの関係で回帰式をつくったわけでございます。それぞれ別でございますが、例えば横軸に輸送密度をとる、それから縦軸に列車キロをとる、そういうグラフにおきまして全国の五百単位をそれぞれプロットいたしまして、それでいわゆる回帰式をつくるわけでございます。その回帰式をつくって、別途輸送需要に基づいて六十二年のそれぞれの区間ごとの輸送量、輸送密度を推計いたしておりますので、その輸送密度をその回帰式に当てはめて、その線区の六十二年における列車キロあるいは車両キロを出した、こういう計算方法でございます。したがいまして、六十二年の時点における具体的なダイヤとは直接関係がない、こういう計算の仕方をしているわけでございます。
  66. 田並胤明

    田並委員 まだ不明な点がありますが、次の問題に移らせてもらいます。  在架線は私鉄六十社の平均的な生産性の比較、このようにこれではなっておるわけでありますが、国鉄と私鉄のカバーする領域というのは全く同じという想定を監理委員会はされたのかどうか。これは違うと思うのですね。そうでなければ生産性比較というのはできないと思うのです。というのは、例えば選んだ六十社の中の大都市圏のウエートが高ければ高いほどそれだけ生産性は高くなると思うのです。ですから、どうも生産性比較でぐあいのいいところだけとってしまって、ぐあいの悪いところはカットしているのじゃないか、こういう感じがするのですが、こうした差異というのはどのように考慮されたのか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
  67. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、回帰式をつくって、個別にそれぞれの区間ごとにこの回帰式に当てはめて要員数を出しておるということでございまして、私鉄の加重平均とかあるいは単純平均とかいう方法ではなく、個別の積み上げでございますので、いわゆる私鉄の都市のウエートが大きいとかいう要素は入ってこないということでございます。  さらに、一般的に見まして、私鉄と国鉄では運行形態等の面におきまして異なった面がございます。例えば駅職員関係で申しますと、国鉄の場合はかなり中長距離の比率が大きいということで、長距離切符の販売を券売機だけでやることは非常に難しい、したがって、どうしても手売り窓口が私鉄よりはある程度たくさん要るとか、あるいは長距離列車でございますと、車掌の乗務にいたしましても二人乗務ということがどうしても必要になってくる場合がある、そういう特殊事情がございますので、国鉄の場合、現在手売り窓口がどれくらいあるかとか、あるいは車掌の二人以上の乗務の延べ列車キロがどれくらいあるかとか、そういう実績を全部調べて計算をいたしまして、そういう国鉄の特殊性というものを一般的に出した私鉄との比較における要員数に上乗せをしておる、約二割でございますけれども上乗せして、これを適正要員数としておる、こういうことでございます。
  68. 田並胤明

    田並委員 監理委員会の資料によると、比較は線区単位ごとの比較になっているのです。そうじゃないですか。そういう意味では、具体的にどことどこを比較したのかという具体的な線区を明示してもらわないとちょっと困るのですね。五百ぐらいに分けて、それを一つの単位としてやったと言うけれども、中身を見ると、比較は線区単位ごとの比較、こういうふうに言っているわけですから、ひとつこの辺の具体的な線区の明示をお願いしたい。  まだいっぱいあるのですが、時間が来ましたので、今の質問のほかに余剰人員の問題で一つ今度は国鉄の方に聞きたいのです。  余剰人員、余剰人員というふうに言われていますが、国鉄職員というのは民間に適用されている雇用保険の適用はないわけです。しかも、今日までスト権が否認をされておる代償として雇用の安定というのは図られてきたと思うのです。職員の人はそれを信じて一生懸命今日まで働いてきたのですが、国鉄なり政府経営の失敗ということがあって、もう人は要りませんよ、これでは職員としては立つ瀬がないと思うのです。国鉄なり最終的な雇用者としての政府は、この問題についてどういうふうに考えておるのか、これをまずお聞きしたいと思うのです。  それで、答申ていけば、余剰人員は、新会社に行く三万二千人を除いても、六万一千人さらに残っちゃうわけでしょう。しかも深刻なのは、地域的に大きく偏在しているのですね。例えば北海道一万三千人、九州一万一千人が余剰人員と言われているのですが、この地域では従来の国鉄職員の二・五人に一人とか二人に一人が余剰人員になっちゃうわけです。しかも北海道、九州というのは、現在でも失業率の高いところでしょう。北海道の場合には、現在失業率が一二%というふうに言われておるわけです。九州だって恐らく高いと思うのです。こういう地域における余剰人員対策、あちらこちら関連企業にお願いをしたり、あるいは自治体にもお願いしたりいろいろなことをやっているまうですが、場所的に見てとても吸収できるほど余力のあるところじゃないのです。しかもそれだけじゃなくて、国鉄の場合には関連企業というのはいっぱいあるわけでしょう、保守にしても電気にしても、いろいろな面で。こういうところの将来的な具体的な雇用の状況というものも明確になっておらないし、逆に言えば、そういうところに働いておる人も場合によれば失業をするというような、関連企業も含めると今回の最終答申というのは大変な数になるはずですよ、雇用の面では。こういうものが具体的に明らかにされずにおったのでは、これをのみなさいなんと言ったって、そう簡単に働く者がのめるはずがないと思うのです、自分の死活問題になるわけですから。したがって、雇用の確保という問題は、先ほどの高塚委員と同じように、年金の問題とともに非常に重要な課題であります。ぜひひとつこの雇用の確保については最重要な課題であるということを認識をされて、運輸大臣としても最終的には必ず雇用を守っていくのだ、こういう立場での表明をしていただきたい、このように思うのです。
  69. 山下徳夫

    山下国務大臣 再三申し上げておりますように、余剰人員対策は国鉄再建のかぎを握る最重要課題であり、避けて通れない問題であるということは、私ども深く認識をいたしておるところでございます。したがいまして、国鉄再建監理委員会におきましても、特にこの問題につきましては深く思いをいたされまして、しばしば委員長も、国会における答弁でも、絶対に路頭には迷わさないという表現でもっておっしゃっておられましたけれども、私どもも同様に、その雇用対策につきましては最善を期して、今後とも最善の努力を図りたいと思っております。
  70. 田並胤明

    田並委員 最後になりますが、監理委員会並びに国鉄、運輸省に対して申し上げておきたいのですが、この監理委員会から出された要員算定基礎なるものは、私どもつぶさに検討してみますと、あいまいなところが非常に多いのです。果たしてこれでいいのかどうかという疑問を多く持ちますので、引き続いてこの問題については全力を挙げて私どもとしては解明をしたいと思いますし、いろいろな資料、この算定基準にしたもろもろの資料をぜひひとつ詳細、できるものは出してほしい、このことを強く要望して終わりたいと思います。ありがとうございました。
  71. 久間章生

    久間委員長代理 午後一時十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ――――◇―――――    午後一時十九分開議
  72. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。一質疑を続行いたします。吉原米治君。
  73. 吉原米治

    吉原委員 午前中富塚委員質問が中途半端に終わりましたので、その後を引き継いで若干確認をしておきたいと思うのですが、十一月十二日の大蔵委員会で、国鉄共済年金について六十年から六十四年度までは政府責任で対処いたしますという竹下大蔵大臣から統一見解が出されたやに私も承りました。政府責任でやるとおっしゃるから、私も財源がどうのこうのは言いません。しかし、肝心な六十五年度以降は一体どうなるのか。しかも、今監理委員会答申閣議決定をしながら要員削減をされようといたしておりますが、この六十五年度には現役組が約二十万人に減ってしまうわけでございます。計算上からいいましてもOBが約五十万。現役とOBとの逆転というのは、少々の逆転じゃございません、完全に倍以上違うわけでございます。とてもこんなことで国鉄共済が成り立っていくはずはないわけでございますが、六十五年度以降、特に今要員削減で希望退職等を募るやに私も聞いておりますが、やめてしまっても後、年金をもらえるかもらえぬかわからぬようなことではやめるわけにはいかぬということになると私は思う。そういう意味では、これからの国鉄監理委員会答申をまじめに政府はやろうとされておりますが、まず希望退職からして順調にいかなくなるのではないか。やめてしまったけれども、六十四年までは確かに政府責任でと時の大蔵大臣が約束してくれたから安心してやめられるにしても、六十五年度以降は全くこれは払ってもらえるものやらもらえぬものやらわからぬ、そういう中で希望退職に応ずるわけにいかぬということになるだろうと思う。六十四年度まではわかりましたから、六十五年度以降はどうするのか。運輸大臣お答え願いたい。
  74. 山下徳夫

    山下国務大臣 公的年金制度全体の改革につきましては、既に昭和五十九年二月二十四日の閣議において決定いたしておりますことは御承知のとおりでございます。すなわち、七十年度までに公的年金制度全体の一元化を実現する、完了するということでございます。この線に沿って、この閣議決定には、逐次その作業の順序についても決定がなされておるのでありますが、六十一年度以降につきましては、「以上の措置を踏まえ、給付と負担の両面において制度間調整を進める。これらの進展に対応して年金現業業務の一元化等の整備を推進するものとし、昭和七十年を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させる。」今申し上げたとおりでございますが、その間、今御指摘のとおり、余剰人員の問題について、既に六十三年度でもって手直しをしなければどうにもならない事態に立ち入る。したがって、六十四年度までは大蔵大臣政府の統一見解として申し上げたとおりでございますから、私どもといたしましては、引き続き六十五年度以降においても、七十年度までのその作業の過程において、とにかく国鉄共済年金というものが安定的に支給されるように、当然運輸大臣として最善の努力を図ってまいりたいと思っております。
  75. 吉原米治

    吉原委員 おっしゃる意味はわかりましたが、そうすると、確認しておきますが、六十四年度までは政府責任でというのは時の大蔵大臣が統一見解で出した。引き続いて六十五年から七十年の公的年金制度一元化されるまでの間も政府責任で、今大臣は午前中の発言を聞いておりますと、滞りなく支給をさしていただきます、責任を持ちます、こういう御答弁をされておりますが、六十五年度以降も滞りなく、運輸大臣責任――政治は継続しておるわけですから、あなたの任期が終わった以降も当然きょうの発言は拘束されるわけでございますが、六十五年度以降も政府責任で滞りなく支給するようにやっていただけるのでございますか。
  76. 山下徳夫

    山下国務大臣 今申し上げましたとおり、七十年度に完了するような公的年金制度の全体の見直しというものに向かっていろいろ作業が進められておりますが、その中途において、既に今申し上げました余剰人員について手直しをしなければならぬようになっておる。この手直しについて、六十四年度までは少なくとも政府責任において、これは迷惑をかけないようにやりますよということを大蔵大臣が言明しておるわけでございます。  したがいまして、とりあえず六十四年度まではということで、そのようにこの目標に向かっては七十年までに完了するようにやりますが、やはりその間に手直し等が今後も起こるかもしれません。そういう問題は厚生大臣が担当大臣としてまとめていくということでございますが、今後その作業の過程においてそういったそごを来したりいろいろな問題があると思います。そういうことについて、運輸大臣は、この国鉄共済年金については責任を持って支給できるように強く要望しながら、これらに対処していくという決意を私は今申し上げたわけでございます。
  77. 吉原米治

    吉原委員 ちょっと前肢がはりきりしなかったのですが、私が聞きたいのは六十五年度以降ですよ。六十五年度以降も引き続いて滞りなく年金が支給されるように運輸大臣として頑張りますという表現が適当なのか、努力しますという表現が適当なのかわかりませんが、少なくとも六十四年度までは政府責任できちっと統一見解も時の大蔵大臣がしておるけれども、一番心配なのは六十五年度以降も心配なんです、年金受給者としてみれば。だから、それは引き続いて運輸大臣としては六十四年度までの取り扱いを継続するようにやっていただけるのですね。もう一回確認しておきます。
  78. 山下徳夫

    山下国務大臣 七十年度までにこの公的年金制度を完了させるということは、落ちこぼれのないようにやるということでございますから、その過程において今度のようなことが起きたから、これはとにかく何とかやってもらわなければ困るということで、とりあえず六十四年度までは約束ができたということでございます。さらに六十五年度以降におきましても、そのための統一を図るわけでございますから、私どもとしては強く要求し、また完全にそれが実施がされるようにひとつ私どもも努力していく決意でございます。
  79. 吉原米治

    吉原委員 一応わかりました。賛成、反対は別として、おっしゃる意味はわかりましたから、年金問題はこれでおきたいと思います。そこで、国鉄監理委員会答申を中心にきょうは四十分ばかり、同僚議員が多少オーバーしたようでございますから、オーバー分ほどは最後をやる私がカバーをしなければなりませんので、比較的簡単にやりますが、まず最初にお尋ねをしたいのは、国鉄経営が悪化した最大の原因を、再建監理委員会は二つの問題に絞ってこの原因を指摘しております。一つは、公社という自主性を失った制度がまず第一の原因だ、それから第二の原因は、全国一元の巨大組織にある、経営がそういう意味では巨大組織なるがゆえに非常に難しいという理由を挙げております。つまり公社制度と全国一本であるということに最大の原因を監理委員会は絞っておりますが、もともとこの公社制度、つまり公共企業体として発足した当初、当時は占領下であったように記憶をいたしておりますが、こういった公共企業体を、今まで鉄道省と言われておったものが公共企業体として発足をさせるという、その目的を一体どういうふうに皆さんは考えていらっしゃるのか、これを最初にお尋ねをしておきたいと思います。
  80. 山下徳夫

    山下国務大臣 公社制度が発足いたしましたのは昭和二十三年でございまして、戦後間もないころ、これが発足をいたしております。当時を振り返ってみまして、私の記憶でも日本自体の進むべき方向すらまだ画然としておらなかった事態でございますから、そのときに事業の能率的な運営によりこれからの国鉄を発展させるという意味においてこの公社制度ができたということは、私にも容易にわかるわけでございますが、その後、いわゆる複合的な交通体系の中において、国鉄の独占的な立場というものが崩れていったというようないろいろな要素によって公社制度ではいけないということになって、今改革しようとなされているわけでございまして、発足の当初の精神というものは私どもよくわかるし、また当時国営よりも、こういった方向でもって発足したことの方が当時としては一歩前進して、進取の気性と申しましょうか、先取りでもってやったところに、当時としては、私はこれは決して非難されるべきでなく、非常に進んだやり方であったろうと思うのでございます。ただ、それが今日においてはもはや通じなくなったということ、私はそういう意味から今回この改革が行われようとしておる、このように認識をいたしておるわけでございます。
  81. 吉原米治

    吉原委員 私が尋ねておるのは、公共企業体として発足した理由はどこにあったのか、あるいは目標はどこにあったのかということを尋ねておるのです。私の尋ね方がわかりませんか。
  82. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 ただいま大臣からのお答えの中にもございましたように、昭和二十三年に国鉄が公社になりましたときの目的なり理由といたしましては、従来国が直営しておりました鉄道事業につきまして、事業の能率的な運営により、その発展を図り、もって公共の福祉を増進することを目的として、このような公社制度に改正されたというふうに理解をしております。
  83. 吉原米治

    吉原委員 それは日鉄法の第一条に書いてあることですから、それはいいんですよ。私が言わんとしておるのは、従来の鉄道省時代から国鉄を公共企業体として発足さした大きな目的といいますか目標というのは、政治から離れて主体性を持つ事業体にしよう、つまり自主性ですね、これは。それから政治から離れるわけでございますから、人事の面もきちっと主体性を持った事業体にしよう、さらにまた経済的な面もひとつ主体性を持った経済運営ができるようなことにしようということで公共企業体は発足したと私は理解しておるのです。私の理解に違いがありますか。
  84. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 大分古い話でございますけれども、当時の日本国有鉄道法案の提案理由というものがございますが、その理由によりますと、内閣総理大臣に対しまして連合国最高司令官から書簡が発せられまして、国家公務員の労働問題が現行のものに対して極めて重要な変更を加えられることとなり、国有鉄道に関しましても、その書簡の中で、特に国鉄並びに云々というような理由が書いてございまして、その後、先ほど申し上げましたように、それによりまして業務運営を能率化し、そしてもって公共的なものにするというような趣旨であったというふうに理解をしております。その中におきましては、先生が今お話しになりましたように、それに企業体としての独立性を持たせて、そして従来の鉄道省という公務員というような形から変革させて、独自性を持たせてやっていくという趣旨が含まれていたということは、そのとおりだと思っております。
  85. 吉原米治

    吉原委員 そうしますと、私の認識に誤りはな。い、私の理解は否定はされぬわけですね。それなら安心しましたが……。したがって、そういう国有鉄道なんという事業は、言ってみれば、公共的側面と企業的側面、両面を持った事業であることは間違いない。その限りにおいては、発足の目的がはっきりしておるわけですから、その目的どおりやれば、今日のような国鉄の惨状にならなかった、私はこう理解をしておるのですが、その発足の目的、目標に向かって正しく運営がされなかったということに帰すると私は思うのですが、そのとおり理解をされていますか。
  86. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、自主性、独立性を持たせ、公共的な使命を果たさせようという趣旨であったわけでございますけれども、先ほど大臣からお話しのございましたように、その当時は国鉄は独占の企業でございました。そういう中において従来の国の直営よりも公共企業体という形で一歩前進した形としてやっていくということが望ましいということでスタートしたわけでございますが、その後の輸送構造の変化によりまして、独占的な地位が失われ、そしてそれに的確に対応して重点化、効率化を図るということが公社制という体制の中では果たし得なかった、その結果、今日のような事態になったというふうに理解をいたしております。
  87. 吉原米治

    吉原委員 そこがちょっと棚橋さん、私はあなたと違うところがあると思うのだな。何か公社制度そのものが現実に対応できなかったかのように理解をするとおっしゃるけれども、もともと独立した企業体として自主性を持たしてスタートさした事業体なんだから、そのもの自体がうまくやりさえすればいいものを、後ほどまた触れたいと思うのですが、政治的な介入あるいは人事の介入、そういうものが確かに政治の場から外的要因としてこの公共企業体である公社にかけられてきたことは事実でしょう。それは否定しますか。
  88. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 国鉄は独立ではございますけれども、公共企業体でございますから、その予算は政府の統制、さらには国会の議決を要しますし、人事等につきましても、そういう意味においては、完全な民間会社的な独立性というものは持っていないわけでございますから、その限りにおきまして、国鉄のいろいろな活動に関しましていろいろな意味での外部的な制約があったということは事実だろうというふうに理解します。
  89. 吉原米治

    吉原委員 私は、企業体の制度そのものと、政治が介入をせざるを得ない、まあ予算と運賃などはその典型的なものでしょうが、しかし、そのことと制度そのものを正常な形で運営できなくするということとはまた別問題だと思う。余りにも政治が介入をし、本来公共企業体として発足をしたその企業体を素直に真っすぐ進めさせることができなかった。その要因は、歴代の政治家が不当な介入をし過ぎたために、結局公共企業体としての効率ある事業運営ができなくなった、あるいは現実対応が非常に緩慢になった。やろうとしてもできないようにさしたのは政治にあると私は思うのですよ。  ところが、この監理委員会答申を読んでみますと、そういう責任は一切触れてない。あたかも公社そのものの制度に欠陥があるかのような答申になっておる。私はそういう意味で、公社という自主性の欠如した制度、全国一元の巨大組織である、こういう現在の国鉄経営が悪化した最大の原因をそこに求めておるところに、私どもが今回の答申を読んで、なるほどこれはいい国鉄再建策だとどうしても理解がいかぬ。  続いて、この監理委員会答申の中で総合交通体系というようなものが触れられておる。この答申の中で触れておるのは、「望ましい交通体系の形成は、各交通機関の競争と利用者の自由な選択が反映されることを原則」とする。一体総合交通体系というのは、国鉄をまず基幹にして、そしてそれを補完をする他の交通輸送機関はどうあるべきかという観点から考えなきゃならぬ総合交通体系だろうと思うのです。ところが、利用者の自由な選択に任せるなんというようなことでやりっ放しにさして、一体交通政策と言えるだろうか。少なくとも政策と言われる限り、政治が主導的な役割を果たさなければならない。具体的には運輸省自体の政策が主導的に果たされていかなければならぬと私は思うのですよ。私はこの監理委員会の分析あるいはそれを確認した閣議決定に大きな過ちがあると思う。総合的に言うなら、欠陥だらけの今回の監理委員会答申だと私は思う。後ほどまた触れますけれども、できもせぬことをあたかもできるかのように、あるいはまた交通機関というのは、今度の規制緩和の中でも大幅に省政令で規制緩和をされようとしておる。本来きちっと規制をすべきところは規制をして交通秩序を守っていく、その中の競争でなければならぬと思う。そういう観点から私は異論を持っておるのですが、この点はいかがですか。
  90. 山下徳夫

    山下国務大臣 総合交通体系の形成につきましては、基本的には監理委員会の「意見」で述べられておりますように、各交通機関の間の競争と利用者の自由な選好が反映されることを原則としておる、この原則ができるだけ生かされるように配慮して各種の政策措置を講ずべきである、このように考えておりまして、この考え方は、五十六年の七月の運輸政策審議会の答申あるいはまた五十八年の八月に閣議決定においてなされました「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、この中に述べられておる交通政策の考え方と全く一致しているところでございます。
  91. 吉原米治

    吉原委員 大臣は、それは監理委員会答申を金科玉条のように信じられて、そうおっしゃるだろうと思いますけれども、現実に利用者のニーズにこたえる、こういう形で自由な選択に放置したままでは、一体それで日本の交通政策と言えるだろうか。いたずらにマイカーを助長することになるだろうし、また競争原理に追いやられるわけでございますから、新たな系列化、寡占化という問題が出てくるだろうと思う。今度六分割をされて、六つの巨大な民間企業ができ上がるわけです。そして一方では規制緩和ということで、あれもこれもと規制緩和をされて、事業区域の見直し等もされるようでございますが、そうなってまいりますと、この六つの巨大な民間会社というのは、言ってみれば新たな寡占化体制の中に大きな、後ほどまた触れますが、既存の民間企業というものを大きく圧迫することになる。つまり弱肉強食になってしまいますから、そういう意味では、日本の交通業界というのは支離滅裂になるのではないか、そこまでやらなきゃならぬ課題なのかどうなのか、もっと発足当初の公共企業体としての目的を素直に実行できるような政策と手だてをすることの方がより賢明な策だと私は思いますが、いかがですか。
  92. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 ただいま先生のお話の総合交通体系と申しますか、あるいはそれを実現するための総合交通政策と申しますか、そういった問題に関しましては、基本的な考え方といたしましては、ただいま大臣から申し上げましたとおりでございまして、それは政府として一貫してそういうことで進めてきておるわけでございますが、ただ、具体的な問題といたしましてどういうことをやっていくか。これは何も国が放置しているという意味ではございません。政府はまず基本的な考え方を示しまして、関係者がこれを理解しつつ、それぞれの立場で努力する。事業者もそうですが、しかし、政府も当然そういったととがうまく実現できるような施策を講じていくということが一方であるわけでございまして、例えば施設の整備でございますとか輸送力の確保の関係のいろいろな助成措置でございますとか、また先生が言われました安全問題というのは、これは基本でございますから、お触れになりました規制の見直し問題についても、その辺は十分配慮しつつ考えていくということで総合的にやっておるわけでございますので、私どもとしては、何か自由にやればいいという意味ではなくて、一つ考え方、ビジョンを示し、その方向にうまく政策を総合的に推進していくという考えでやっておるわけでございます。
  93. 吉原米治

    吉原委員 どうも論議がかみ合わなくて、率直に言いまして、我が方、少なくとも私はいらいらしておるのですが、利用者の自由な選択に任せるというその表現は、閣議決定でも確認をされておるわけでございまして、そうなれば、私的なマイカーのさらなる拡張、そして集中するところは全部集中してしまう、自由な選択に任すわけでございますから。そうなれば、全く政策などは棚に上げておいて利用者のニーズにこたえるだけのことになってしまう。少なくとも総合交通体系なり総合交通政策と言われる限り、やはりそっちの方向に、均衡のとれる方向に政策的に誘導するのがこの総合交通体系のあり方だと私は思うのです。そういう意味では、全く投げっ放しじゃないとおっしゃったけれども、それは具体的には何をやるのですか。
  94. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 具体的な点につきまして、例えば幹線交通の問題については、まず運輸政策審議会の五十六年の答申でも、高速交通体系の整備に当たって、例えば定住圏の中心都市から一、二時間程度で最寄りの空港または新幹線駅に到達できるようなネットワークを充実していこうとか、その方向づけをしております。また地域旅客交通については、それぞれの移動手段の特性と利用者の選好を生かして、その地域で効率的な質の高いネットワークを形成していこう。それで幹線については一つの計画というものを、先生承知のようにいろいろな面であるわけでございますし、また地域においてもそれぞれ運輸局ごとに審議会を設けて具体的な計画をつくり、それらを実現するために、例えば実際にやっております施策といたしまして、空港、港湾、鉄道といったようなことを通じて基盤施設をどういうふうに整備していくか、これはそれぞれ計画的にやっておるわけでございますし、また輸送力の確保問題については、大都市における私鉄の輸送力の増強問題、一方では過疎バスに対する経営の維持の問題、離島航路もそうでございますが、そういったいろいろな助成措置を講ずる。そのほか安全問題とかあるいは運賃の問題もそうでございますけれども、そういう規制の点を通じて総合的な姿を描いて、それに近づけていくといったようなことで、いろいろな面でそういった描かれた総合交通体系にできるだけ誘導していくということをやっておるわけでございまして、」運輸行政の相当大きな部分というものは、そういうことでやられているというふうに理解しております。
  95. 吉原米治

    吉原委員 できるだけ誘導したいと一方では言いながら、一方では誘導するのに、あるいは全国的な視野から運輸省が日本の国土の望ましい交通体系はどうあるべきかという青写真をつくる上にも一番便利な一元化体制というのを、今度はこの民営分割というのは、六つのそれぞれ別会社に仕立て上げて競争の原理に追い立てるわけですから、そういう総合交通体系の望ましい方向にできるだけ誘導しようという主張を一方ではしながら、今度は非常にやりにくい方向に分割をしていくということになるわけですからね。それぞれ競争会社をつくって六つの会社が競争するわけでしょう。運輸省は総合交通体系はこうだああだと格好いいことを言っておるけれども、おれらの会社がもうけなければならぬどいうことでやり出したら、一体運輸省の存在価値はなくなってしまうんじゃないでしょうか。政策局長、いかがですか。
  96. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 私ども、何か企業体が一元化されれば、それで直ちに効率的な交通体系ができ上がり、事業者サイドにとってもあるいは利用者サイドにとっても最も望ましい姿ができ上がるというふうに考えているわけではございません。むしろ適切な競争というものを前提にして、もちろんその前の前提は効率的な経営ということでございますけれども、効率的な経営があり、かっ適切な競争、そしてその適切な競争というのは、それぞれの交通機関が、これは鉄道だけではございませんので、国民の選択は航空もあれば自動車もある、鉄道もある、そういったそれぞれの交通機関がそれぞれの特性を発揮して効率的な経営のもとに競争していく、それを利用者が選んでいく、そこに効率的、総合的な交通体系というものができ上がっていく、こういう理解でございまして、それに近づくように私どもとしても政策措置をできるだけ講じていく、こういう意味でございます。
  97. 吉原米治

    吉原委員 今あなたの言われておる考え方と私が今言わんとしておる問題とはちょっとすれ違いになっておるようでございまして、論議がかみ合いませんで大変残念ですが、時間もきょうはございませんので、この総合交通問題はまた後日の機会に譲るとして、次に進みたいと思います。  公社制度の欠陥の中に監理委員会が指摘しております。その一つに、「不正常な労使関係」こういう言葉が載っております。「現行の労働関係調整法による公益事業に関する取扱いのほかに、労使紛争が生じた場合にこれを迅速に解決するための特別の仕組み等が必要かどうか」これは答申の五十九ページに載っております。ここで言う「特別の仕組み」というのは一体どういうことを考えていらっしゃるのか、この際ただしておきたいと思います。
  98. 林淳司

    ○林政府委員 意見書の中に書いてございます労働基本権に関連する問題でございますが、「特別の仕組み」とそこに書いてございますのは、例えば電電公社が新しく電信電話株式会社になりました際に、三年間の期限つきでございますが、現在の労働関係調整法による紛争の早期解決ということの措置のほかに、労働大臣の請求による紛争解決手段というものが三年間に限り講ぜられておる、こういう前例がございます。  私どもといたしまして、国鉄が現在行っております事業の性格から、その点についてそういう仕組みが必要であるのか、あるいはないのか、一般の一〇〇%民間の労働関係でいいのか、その辺のところについてはやや問題が残るところであろうということで、政府において十分検討していただきたい、このように「意見」を提出したということでございます。
  99. 吉原米治

    吉原委員 一方では私鉄並みの云々というようなことをよく今まで聞かされたわけでございますが、事労働三権の問題については、「特別の仕組み」が要るかどうかを考えてみたらどうか、あるいは考える必要があるかどうかということで政府にげたを預けていらっしゃるけれども、今私鉄の場合、労働大臣にお問いかけになるような「特別の仕組み」になってない。一方では私鉄並みにと言っておるのなら、こういう問題もひとつ私鉄並みにやってもらわなければならぬ。これは意見として申し上げておきます。  だんだん時間がなくなりますから、続いて進みますが、次は関連事業。今の公社制度をそのままにしながら可能な限り民営的手法を導入してやるということについては私も大賛成です。ところが過日といいますか、十一月八日の日経にも掲載されておりますが、今度東京駅の北口に国鉄初の直営書店ブックス・シグナル、売り場面積が百三十平米、こういう書店が出されるということになって、これをめぐって既存の民間中小業者との紛争が起きておるようでございます。こういったものに余剰人員対策と称して進出をされる計画を立てられたようでございますが、現在、中小企業の分野調整法とかあるいは小売商業調整特別措置法、こういう法律が一方で既存の中小業者を守るためにできておる。こういう問題と当然紛争が起こるということは事前に予測できなかったのかどうなのか、この点をまず国鉄当局にただしておきたいと思います。
  100. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄の現在の実情から少しでも増収策を講じたい、あるいはまた既に発生しております余剰人員対策の一環といたしまして投資会社等の関連事業、あるいは最近やっておりますこのような国鉄直営の仕事というものをどんどんふやしていきたいというふうに思っておるわけでございます。こうした場合におきまして、過去におきましてもいろいろな例がございます。地元の関係の業界あるいは小売店等々の御意見等もたくさんあるわけでございまして、私どもの方向といたしましては、こうした地元の方々と十分話し合いを進めながら我々の目的も達成していきたいということで、多くの場合、御理解を得ながら今まで進められたところでございます。  本件の東京駅の書店の問題につきましても、そうしたようなことで御理解が得られるであろうというようなことで準備をいたしたわけでございますし、また現在、書店の小売業の組合の方と鋭意お話し合いを続けておる状況でございまして、ぜひとも御理解を得た上で、この開業に踏み切りたいというふうに思っておるところでございます。
  101. 吉原米治

    吉原委員 ここで、中小企業庁来ていただいておるはずでございますから、中小企業庁の見解をただしておきたいと思います。  調整法の十五条三号で中小業者との紛争云々という記事を新聞も書いておりますが、当初は国鉄の方から中小企業庁に、こういう書店を出したいと思うのだが、既存の法律には抵触しないかどうかという照会はあったのかなかったのか、それが一つ。  時間がないからまとめて言います。そしてそういう問い合わせがあったら、いや、国鉄は公社でございますから調整法には関係ございません、こういうことになって国鉄は書店を出そうとされたのかどうか。新聞の記事を読みますと、最初中小企業庁が何かそういう見解を出して、大丈夫だと思って国鉄はやった。紛争が起きて中小企業庁の見解がまた、いや、これは公社であろうと調停を受けるべきだと初めての判断を示した、こう記事ではなっておりますが、何か途中で変わったのかどうかという疑問が、記事を読むだけではそういう理解になるものだから、まず中小企業庁の見解をただす、そして国鉄に事前の相談があったかなかったかだけをひとつお答え願いたい。
  102. 坂井宏

    坂井説明員 お答え申し上げたいと思います。  まず、国鉄が関連いたします各種の事業を行われる場合につきましても。物販の事業でございますれば、小売商業調整特別措置法第十五条第三号の規定による都道府県知事のあっせん、調停の対象にはなるというふうに解釈いたしております。  また、先生からお尋ねのございました国鉄からの照会の件でございますが、事前に私ども中小企業庁に対しまして、国鉄から小売商業調整特別措置法の運用解釈についてのお尋ねがあったという経緯はございません。したがって、また国鉄に当初、国鉄は本法の対象にならないというようなお答えをしたこともございません。  ただ、東京都から照会がございまして、私どもといたしましては、東京都の方に対しましては、国鉄が物販の事業を行われるという場合につきましても、小売商業調整特別措置法第十五条第三号の都道府県知事によるあっせん、調停の対象にはなるというふうにお答えを申し上げたところでございます。  以上でございます。
  103. 吉原米治

    吉原委員 そうすると、国鉄の大丈夫だろうという、総裁の今答弁がございましたが、既存の中小の同業者の皆さんは納得してもらえるだろう、こういう甘い推測のもとにやられたことには間違いないですね。法的な研究もなしにやられたことは間違いないですね。
  104. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 商調法第十五条のあっせんまたは調停につきましては、都道府県知事においてすることになっておりますので、国鉄といたしましては、都に対して指導を仰いだわけでございます。その際には、都からは十分話し合いをするようにという指導をいただいておりますので、そのような線でいろいろ各組合の方とお話し合いをしているということでございます。
  105. 吉原米治

    吉原委員 残念ながら時間が来たようでございますから、これで終わりたいと思うのですが、今、余剰人員対策としてやろうとする関連事業、既存のいろいろな縛りがあってなかなか思うようにできない、そういう意味では、民営的手法を大いに導入してやるべきだとは一方で思いながら、少なくとも日本の経済界に大きな波紋を投げかけるようなやり方というのは私はないじゃないか、こう思いますよ。国鉄が六つの会社分割をして本気でやり出したら、とても地方の中小企業者は、物品販売業であろうと何であろうと、それはもうたちどころに倒産ということになるだろう。つまりこの余剰人員対策一つとらまえても、年金の問題を冒頭にやりましたけれども、まだ非常に不確定要素がある。職員の皆さんは不安に耐えかねておる。そこへ持ってきて新たな企業に進出しようとすると既存の業者の抵抗がある、あるいは法的な規制もあってなかなか思うようにいかぬ。こんなことを考えますと、私は、監理委員会答申をまともにやり出したら日本の経済界は大混乱になるだろう、こう思っておるのですよ。  話をはしょって言いますけれども、それほど欠陥だらけの今回の答申だ。少なくとも政府は、その精神は、閣議決定されておると言いながら、実施に当たっては、やはり慎重な対応をしてもらわないと大変なことになる、私はこのように危惧しておりますので、大臣、せっかく国民的な大問題を今から審議をして、六十二年の四月からは新しい企業体でスタートさせようという審議が今から始まるわけでございますから、十分その点を頭の中に入れておいていただいて、少なくとも日本の経済界が大変なことになったという大混乱の起こらないような施策を進めていただきたい。最後に大臣の所信を伺って質問を終わります。
  106. 山下徳夫

    山下国務大臣 国鉄分割民営化は私どもに課せられた現内閣の使命でもございます。そこで、これを推進していく上においては、当然余剰人員対策というものは避けて通れない問題であり、そのために、政府におきましても余剰人員雇用対策本部というものを設置いたしまして、こういった組織の本部長には異例の総理大臣を本部長とするということで私ども真剣に取り組んで、これから余剰人員対策に対処してまいりたいと思っております。  先ほど御指摘がありました本屋等の問題につきましても、これは余剰人員対策としてやむにやまれずこういう面にもいろいろとまた新しい活路を見出しておられるということで、涙ぐましい努力をおやりになっていることに対して私は敬意を払っておりますが、だからといって、法律を曲げていいということではございませんし、法律やまた団体との調和を図りながらやっていくべきだと思っております。  とにかく今申し上げましたように、この対策本部を中心に今後私ども大いに努力をいたしまして、この問題の円満なる推進を図ってまいりたいと思っております。
  107. 吉原米治

    吉原委員 終わります。
  108. 三ツ林弥太郎

  109. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、まず日航機事件から質問に入りたいと思っております。  その前に、ちょっと資料を同僚の皆様方、政府委員に配付したいと思いますので、お許し賜りたいと思います。  この八月十二日の日航ジャンボ機墜落事故、これは大変な衝撃を与えたわけでございます。亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。  大臣はあの墜落した飛行機に、福岡から羽田までお乗りになったわけでございまして、一層深い思いにとらわれておられると思うのでございます。私はちょうど一二三便の後の一二五便で大阪空港へ着きまして、まだそのときには墜落ということがわからなくて、何となしに飛行場がちょっといつもの空気と違うなという感じでございました。それからしばらくして墜落の報が入ったわけでございますが、そういうことで、私も選挙区に大阪空港を持っておりますし、私の選挙区だけでも七十九名の方が亡くなられております。それだけに、航空機の安全問題というものは、これは本当に二度と起こしてはならないという祈るような気持ちで国民はじっと見ておる、このように思うわけでございます。そういう中で、今回この日航の、十月三十一日ですか、迷走事件というものが発生しておるわけでございます。  私は、まず大臣にお伺いしたいのですが、この事件につきまして、大臣はいつ報告を受けられたのですか。
  110. 山下徳夫

    山下国務大臣 先生おっしゃったように、私もあの八月十二日の飛行機に乗っておりまして、乗員の方は交代しないでそのままあれからまた発進していかれたということで、たくさんの方々を承知いたしておりまして、何か宿命的な、そして新しい使命感を感じながら、今後の航空の安全対策に一段と取り組まなければならぬという心と覚悟を新たにいたしておる次第でございます。  にもかかわらず、今回ああいう一つのうっかりミスと申しますか、そういうものが出たことに対して、私は一種の憤りを感じながら社長を早速呼びまして、厳重に注意をいたした次第でございます。  お尋ねの、このことに関する報告は、十月三十一日がこの事故の発生日でございます、とすれば、翌日でございますから十一月一日だったかと思います。多分そうだと思います。
  111. 近江巳記夫

    ○近江委員 所管の運輸省、しかもその最高の責任者である大臣ですね。これは私、航空法を克明に調べましたけれども、こういう重大なことがあったときには直ちに報告をしなければならぬと航空法にきちっと出ていますよ、報告の義務。七十六条。なぜ翌日にそういう大事なことを大臣が聞かれたかということですね。  それとさらに、この公表自体が一週間おくれで発表されている。大韓航空機撃墜事件のあれを思い起こしたときに、背筋が寒くなるのですね。あとあのまま二、三分飛んでおれば、しかもスクランブルかけてきておるわけでしょう。あの事件がありますから、いわゆる日本、ソ連、アメリカとお互い合意をいたしまして注意しようというようなことがあって、いきなり撃墜というところまでいかないにしたって、威嚇射撃をやった場合、威嚇射撃というのは案外当たるわけですね。八月十二日の事故も、隔壁が破れて尾翼を吹っ飛ばしたという説も非常に濃厚じゃないかと言われていますが、それほど飛行機というのは案外もろいのですね、考えてみれば。威嚇射撃をやられた場合でも、もしも当たりどころが悪ければ、また悲惨なことになっておったかもわからない。これは直前に何とか気がついて、かじを切ったから助かったというようなものでございまして、そういうことを考えますと、非常に背筋が寒くなる思いがするのですね。  この報告の義務、航空法にもあるのですよ。なぜ大臣が翌日にそれを聞いて、しかも公表が一週間後になったのですか。それを聞かしてください。
  112. 西村康雄

    ○西村政府委員 まず最初に航空法による報告でございますが、これは航空機の事故その他運輸省令で定めているような重大な事故に準ずるものでございます、例えばニアミスのような。今回の場合には、航空法の報告事項には入っておりません。  それから第二でございますが、今回の事件につきまして大臣には翌朝報告したわけですが、実は私ども航空路の逸脱ということにつきまして最初に防衛当局と連携のありましたのは札幌の管制部でございます。札幌の管制部におきましては四四一便と連絡をとりつつ、そしてソ連の飛行情報区へ四四一便が飛んでいったわけですが、途中でまたソ連の管制移管に続きまして、ハバロフスクヘの当局に対しまして入域の許可の手続も、この札幌の管制部が代行してやっております。そのように密接な連絡をしていたところ、その後はもうハバロフスクの管制部にお任せして飛んでいるという状態で、途中で防衛庁から逸脱しているという連絡が入ってまいりました。それで間もなくまた防衛庁から、逸脱はすぐまたコースヘ戻ったという連絡がありまして、その後ハバロフスクとの交信では、連絡がとれているということをハバロフスクから聞いておりまして、特にハバロフスクでは今回の航行については全く問題にしてないということで、どういう異常があったか、そこは余りはっきりしないまま、ただ一応順調に飛行機は飛んでいるというような理解でいたわけでございます。  ただ、三十一日の夜に入りましてから、防衛庁から航路の逸脱がかなり大きいよという連絡がありまして、それは直ちに調査しなければいけないけれども、これは何分にもハバロフスクからさらにモスクワヘ向けて飛んでいることでございます。実際にこれは操縦者から聞かなければならないことと、航路の逸脱については飛行機内のいろいろな記録をとって調査するしかないなということで、とりあえず翌日、大臣にはその旨申し上げたのですが、私どもの認識としては、これは一応の航路逸脱が夜になってあったということでございますが、それ自身が事故につながっておりませんし、どの程度の事件になっているか、この事実関係の究明をまずしなければならないなということがその日のことだったわけでございます。  それから、公表が一週間後、七日になりました。この間、私ども事実関係の究明に努めたわけでございます。二日に操縦者がモスクワから戻ってまいりました。また飛行機に積んでありました飛行記録計を取りおろして、それを日本へ送らせました。そのFDRの記録の解析をやる。さらに当日は非常に強い偏西風でありましたので、FDRの解析だけでは航跡がわかりません。そこで偏西風の強さ等気象条件について調査しました。これらのデータを合わせて総合的に解析して、航跡の発見ということをしたわけでございます。私どもこの間、まず航跡を確定すること、そしてなぜこういうことが起きたかということ、この問題自身はソ連の中でも大きな事件そのものにはなっていないが、これ自身はやはり今後大きな事件につながる可能性があることとして受けとめておりまして、再発防止のために、原因の究明、そして再発防止措置ということを至急やらなければいけないという認識でやっておりました。そして事実が判明しましたのが六日の午後でございます。それで七日に発表するような段階に至ったわけでございます。
  113. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで大臣は翌日、一日に聞かれたわけですね。政府、いわゆるトップの官房長官、総理はこのことをいつ知ったのですか。
  114. 西村康雄

    ○西村政府委員 一日には一応総理の手元には報告は行っておりますが、ある程度の状況を添えてお話ししたのは二日でございます。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 航路の確定とかいろいろなことで日にちがかかったということでございますが、ちょうど公表のあったときは参議院の予算委員会が終わった直後ですね。そういう政治的なことは全然頭に置いてなかったのですか。いわゆる解析というか航跡の確定というか、そういうことだけで本当にきちっと六日までかかったのですか、その辺どうなんですか。
  116. 山下徳夫

    山下国務大臣 おっしゃるとおり、私が報告を受けたとき自体が参議院の予算委員会の真っ最中でございまして、航空局長等に、これはいつわかるかということをただしましたところ、機長もそのままヨーロッパに飛んでいっている、あるいはフライトレコーダーその他も取り寄せなければわからぬから数日を要するでしょう、なるだけそういうものを早く取り寄せたり呼んだりして、事件の解明を早く図るようにしなければいけないねということで、私はそのままずっと予算委員会に毎日出席いたしておったわけでございます。したがって、その間において、予算委員会がいつまであるからそれまでどうだとか、そんな不心得なことは全く考えておりません。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 この事件に関しましての公表という点におきまして非常におくれておる。ちょうど国会でも審議ということがあったわけでございますし、そういう点で非常に我々としても釈然としないわけでございます。こういうようなことについては、やはり速やかに報告をして、あったことについては二度とそういうことを起こさないように、また次への対処を考えることが大事だと思うのです。そういう非常に公表が遅いという点、これを強く申し上げておきたいと思います。  それから、今局長は、航空路の逸脱というものは報告の義務はないんだ、それは本当ですか。そういうことは航空法のどこに書いてあるのですか。
  118. 西村康雄

    ○西村政府委員 まず航空法の七十六条でございますが、機長は、左に掲げる事故が発生した場合には、運輸大臣にその旨を報告しろということを言っております。ここでは「航空機の墜落、衝突又は火災」「航空機による人の死傷又は物件の損壊」「航空機内にある者の死亡又は行方不明」「他の航空機との接触」「その他運輸省令で定める航空機に関する事故」、こういうことを言っております。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 他の航空機との接触というのは、スクランブルは入らないのですか。接触というのは本当の接触という意味ですか。どういう意味なんですか。
  120. 西村康雄

    ○西村政府委員 本当の接触でございます。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、ニアミスというのはどうなるのですか。
  122. 西村康雄

    ○西村政府委員 それで航空法七十六条はなお三項がございまして、「飛行中」「他の航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあると認められる運輸省令で定める事態が発生したことを知ったとき」ということを言っておりまして、これを受けまして、省令では「飛行場及び航空保安施設の機能の障害」「気流の擾乱その他の異常な気象状態」「火山の爆発その他の地象又は水象の激しい変化」「前各号に掲げるもののほか航空機の航行の安全に障害となる事態」、以上でございます。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう法律というものは、まず安全性なりいろいろな点からいって幾らでも改正すればいいのですよ。法律はこうなっておるから報告の義務はありません、そんなものですか、今の航空行政というものは。当然運輸省として、航空局として、やはりこれはまずい一まだ幾らでも法改正をあなた方も進言すべきじゃないですか、我々も議員立法でまた一遍考えますけれども。そういうことをこのまま放置しておいていいのですか。これだけ航路を逸脱して、大韓航空機撃墜事件のそばまで行っているのですよ。こんな航路逸脱なんて大変な問題ですよ。それが報告の義務がない、そんなばかなことありますか。法改正について今後考えますか。
  124. 西村康雄

    ○西村政府委員 航空路の逸脱という問題でございますが、正直のところ航空路から逸脱するという事例は、国内の航空路を飛んでいる場合にはまずございませんが、洋上航行の場合には、直接の問題がないという場合にはしばしば、INSその他の問題もございますし、航法のとり方によりましては逸脱の事例がございますが、これだけ大きな逸脱があったのは、私ども余り例を聞いていないところでございます。  ただ、逸脱の場合に、どのような逸脱を報告事項にさせるかということは、具体的に申しますと、航行の安全にどういうふうに支障があるかということとの関係でございますので、直ちにすべての逸脱をどうこうということは、安全に対して影響があるかどうかということの問題になりますので、法で決めるのはなかなか難しいことだろうと思いますが、今回の場合には、私ども連絡いたしまして、日本航空からも詳しく報告は聞いておりますが、今後のあり方として、航空路逸脱について一定の幅があれば、具体的に安全の問題に支障がある事項として報告を自動的にするということも検討させていただきたいと思います。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう法律改正までいかなくても、いろいろと運用といいますか、そういうことで幾らでも手が打てるわけですね。今、局長はそういう方向で検討するということを言ったわけでございますので、これは大臣、よくその他のことも、あらゆることを想定して、法律事項以外で考えられるあらゆる点につきまして、通達といいますか省令といいますか施行令といいますか、いろいろなところにそれを記載するなり、報告義務として、航空会社も少ないわけでございますから、十分ひとつその旨を徹底できるように、中身を検討していただいてやっていただきたい、このように思うのです。いかがですか。
  126. 山下徳夫

    山下国務大臣 現行の法令は別といたしまして、利用者の航空機に対する信頼性の問題でもございますので、御指摘の点は今後検討すべき課題だと思っております。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 それを早急にやっていただきたいと思います。それで法改正まで踏み込まなければいけない場合は早急にその作業にかかっていだだきたい、これを強く要望いたしておきます。局長、答弁をもう一遍お願いします。
  128. 西村康雄

    ○西村政府委員 直ちに検討いたします。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで私、今配付させていただきました資料をごらんになっていただきたいと思うのですが、大臣も驚かれると思いますが、実にこれだけのいわゆる逸脱をいたしておるわけでございます。少なくとも機長、副操縦士、機関士、六つの眼でしっかりと見ておる。これだけの人命を預かって、しかも言うならば、大韓航空機撃墜事件がありました危険な、一番緊張すべき海域で洋上飛行をやっておるわけでしょう。これがこういう迷走事件を起こすということは、八月十二日の事故と少し性格は違うわけでございますけれども、その辺の大事故ということを肝に銘じておるならば、こういうでたらめな飛行はできなかったはずであります。これは全く驚くべき出来事でございまして、こういうショックのダブルパンチに見舞われたならば、国民の航空機に対する――幾ら信頼せよと言っても、大事故につながってないからいいという、そんなものじゃない。深くシビアに考えれば考えるほど、これは恐ろしい事件であります。  そういう意味におきまして、今回のこの事件は、もう既に関係者は御承知のように、まずINSのスイッチを入れるのを忘れておる。その前に相互連絡の不徹底。機長、副操縦士は、今から切りかえをしますよ、それをやっておれば、INSを切ったのだから、副操縦士は言えるはずでしょう。声もかけずにやっておる。これが一つです。それから二番目のミスはスイッチの戻し忘れ。第三番目のミスは通過位置を確認してない。それからまた第四は標示灯も確認しておらない。そうでしょう。INSが働いておれば、グリーンの、安全ですよとともっておらなければいけないわけでしょう。ずっと消えたままであるのを一時間近く気がつかない。またレーダーも切っておる。レーダーがあれば、樺太からあの辺のところは地形がすぐわかって、これはずれているな、いつもと違うなとすぐわかるわけでしょう。それも切っておるわけでしょう。あるいはまた緊急無線のスイッチのボリュームを下げておった。素人が考えたって、そういうような重大なことが幾らでも出てくるわけなんです。  まずこれだけのミスを犯しているわけでございまして、きょうは日航さんから平沢さんも来ていただいておるわけでございますが、これはどう思われますか。こういう乗員の勤務ぶりにつきまして、まずお伺いいたしたいと思います。
  130. 平沢秀雄

    平沢参考人 午前中も申し上げましたが、大きな事故の後がかる事態を引き起こしまして、まことに申しわけないと思っております。ただいま先生から六つ、忘れていたあるいは絞り過ぎていたという点の御指摘がございまして、幾つかのやるべきことをやってないということにつきましては、実際そのとおりでありまして、まことに遺憾に存じておりますとともに、私どもとしては弁解の余地がないというふうに感じております。まことに重大に感じておる次第でございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 ここにお渡ししました表を見ていただきたいと思うのでございますが、コメントに私書いておりますが、モスクワ-パリ行き便は一日三回から五回往復、多くて八往復、こういう動きをしておるのです。  まず、運輸省が自衛隊から通報を受けておる。そこで運輸省は一体レーダーがあるのかないのか、一々防衛庁から教えてもらわなければいけないのかどうか、これをお伺いいたしたいと思うのです。
  132. 西村康雄

    ○西村政府委員 運輸省の北におけるレーダーは、横津岳のレーダーだけでございます。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 だからこの横津岳、特に今回のいわゆるR11の飛行ルートからいきますと、小木の城レーダーと横津岳レーダー、二つがカバーしておるわけですね。自衛隊がこのように何回も連絡してきているのですが、運輸省は自衛隊から教えてもらわなければ、運輸省にレーダー機能がないのですかということを聞いておるのです。
  134. 西村康雄

    ○西村政府委員 運輸省のレーダーは、一応運輸省が責任を持って、日本国が責任を持って管制する地域につきましてはほぼカバーしております。ただ、今回のようにソ連の管制の区域内で日本側の管制機関がレーダーによって情報をとるというシステムはとっておりません。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、ソ連の管制のところについては責任持ってカバーしてないとおっしゃっているのですが、それではこのスキッド、私のお渡しした表を見てください、これは境界のところでしょう、こういうところは管制してないのですか。
  136. 西村康雄

    ○西村政府委員 スキッドは、日本の飛行管制区とソ連の飛行情報区との間で、R11の交点でございます。ここが位置通報点でございますので、これにつきましては、日本側も十分コンタクトをし、管制をするというポイントでございます。この区域につきましては、管制のレーダーは一応カバーしております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 一応カバーしておるということをおっしゃっておる。能力的にもここはできる能力はあるという答弁ですよね。しかも、大韓航空機撃墜事件がここからもう本当に数百マイルのところで起きているわけですね。言うならば、ここは一番危ない海域でしょう。ここは管制しておりますと。では、なぜ自衛隊から連絡をどんどんしてもらわなければ――そのときも運輸省は確認していたのですか。自衛隊から、逸脱していますよと。それに対してどう答えたのですか。管制しているならあなた方、答えが出るはずでしょう。どういう答えをしたのですか。
  138. 西村康雄

    ○西村政府委員 運輸省が管制をいたしますのはスキッドまでであります。スキッドから先はハバロフスクの管制部が責任を持って管制している区域であります。  防衛庁から御連絡をいただきましたときに、当方も連絡はつくかということでございましたが、この時点では、当該航空機の周波数はハバロフスクの指定周波数でハバロフスクと交信するという状況でございますので、当方とは交信をできる状況ではございません。ここはあくまでもソ連の管制区の中でございます。ここでソ連の管制区に入りますときは、日本側から向こうに管制移管の手続をしております。それからさらにソ連の領空に入るためには、こちらから、本来は航空機がやるべきでございますが、このときは連絡がつかなかったので、当方からハバロフスクへ、いつから領空へ入るという通告もしております。そういう意味では、ソ連がこの航空機の安全に対して責任を持って飛ばせている区域でございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 自衛隊から第一報が入ったのが十二時四十分ですね。これは確かにスキッドからずっと越えていますよ。越えているけれども、スキッドまでは日本の運輸省が責任を持って管制しているのでしょう。そうすれば、スキッドの時点で、既にここで相当なずれが出ている。いわゆる自然の航路帯との幅があるわけでしょう。その幅から逸脱しているわけでしょう。当然自衛隊からそういう第一報が入ったならば、確かにそうですね、スキッド通過時点において相当逸脱しておる、これからさらに角度を開いて――そんなに開いてきていますかというようなかみ合った話し合いがそこに、自衛隊と運輸省の管制との間に入ってしかるべきでしょう。何も話してないじゃないですか、これは。スキッドの時点でこれだけのずれがあったということを知っていたのですか。
  140. 西村康雄

    ○西村政府委員 当方はスキッドにおきましては特に大きなずれがあったということは認識しておりません。ただ、先ほど申しましたスキッドでの位置は、現在航跡を見ますと、航空路の中心から十五海里でございます。なお、航空路幅は二十五海里でございますので、通常この程度のものであれば、特に航路逸脱というような考え方をとるべき事態ではございません。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、能力的にいきましても、じっとここで管制をしておれば、その開きということがずっと航跡でわかるはずなんですよ。それでは聞きますが、やっていたんですか。この日航機を捕捉していましたか。
  142. 西村康雄

    ○西村政府委員 この航空機の位置につきましては、位置通報によって確認しただけでございますので、レーダーでは見ておりません。したがって、河海里ずれているかということは確認しておりません。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 レーダーで監視していないんですよ。いわゆる信頼関係だけで、通過しました、オーケー、これだけなんです。あと数百マイル先には大韓航空機が撃墜された地点があるわけですから、ここは一番危険な地点としてフォローしておかなければいけない。運輸省としてなぜフォローしないのですか。
  144. 西村康雄

    ○西村政府委員 ソ連の管制圏内の飛び方について、まず第一原則として日本の管制機関が責任を持って監視するという体制はとれません。これはICAOの条約でも、それぞれの管制圏はそれぞれの責任ある唯一の管制当局が当たるという原則でございます。そして私どもがこれを国際的にソ連に飛行させておりますのも、ソ連の管制当局が責任を持ってやるという建前でございます。その建前、相互の信頼関係がなければ、飛行機は飛んでいくわけにいきません。したがいまして、スキッドから向こうへ正当な手続をとって入った航空機の安全につきましては、ソ連政府責任を持って処理するということでございますので、日本国の管制当局がソ連内の飛行について一々監視するという建前は全くとっておりません。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃあなた、自衛隊からずれておると聞いて、緊急発信して、届いていないじゃないか、これは。それであなた方の責任は果たしておるの、あなたがそういう言い方をするんだったら。運輸省としての緊急発信は届いていないじゃないですか。
  146. 西村康雄

    ○西村政府委員 運輸省はそのときに航路逸脱について防衛庁から聞きました。しかし、それまでの間、特に異状は知っているかという連絡がありまして、緊急事態であるという感じの連絡はなかったものですから、そうして待っていましたら数分後に、航路に戻っているという連絡をさらに防衛庁からいただいたわけでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 このスキッドまでのいわゆる管制、なぜレーダーを常にフォローしないのですか。ただ通過したよというそんな無線通信だけでなぜそれを許可するのですか。大韓航空機のこの事件というものを運輸省は軽視しているのですか。
  148. 西村康雄

    ○西村政府委員 まず一般的な管制の方式を申しますと、午前中にも申し上げたのですが、管制をいたします場合にレーダー管制をするというのは、まさに航空交通がふくそうしているという事態に備えて、そして管制間隔、飛行機と飛行機との間隔を合理的に設定するためにレーダーを用いて管制しております。ところが、このところにも書いてございますように、R11を通ります航空機というのは一日に数便、大体四便ぐらいのものでございます。したがいまして、こういった航空路につきましては、飛行機が一応正しく報告をしているという信頼関係に基づいて、通信で管制をいたしております。これが一般的建前でございます。こういう航空路に一々管制レーダーをやるということは、実施上なかなか難しい問題がございますので、一般的にはしておりません。  ただ、今お話しのように、R11というものが一応正当に使われておれば特に問題ないわけですが、大きく逸脱するような今回のような事件が、さらにソ連の領域に入ってから大きく逸脱するということはまことに好ましくない事態でございます。一応管制当局相互間の管制の受け渡しということがありますから、直ちに航空機が危険な状態になるというふうには私ども見ておりませんが、しかしそれでも、手続をとってソ連領空に入っているとはいいながら、やはりソ連のいろいろな施設に近づく可能性があるということでございますから、それについてはRnの中でも、日本側のR11の航空路を飛んでいる場合でもできるだけ正確に飛ぶということを、これから今後の問題として励行させるように、またそれをチェックするような仕組みを考えていくことは十分必要があるかと思います。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに一日三便なり四便ですね。そうすれば、大体その飛行計画に従って何時ごろに飛ぶということはわかっているわけですから、特にその三便なり四便のフォローはできるはずでしょう、その管制においてスキッドまでの間をレーダー捕捉で。なぜそういうような応用といいますか、そういうようなやり方をしないのですか。あるいはもう一台レーダーがあればいわゆる完全にできるとか、そういう設備が不足だからそういうことになるのですか。どういうことなんですか、それは。
  150. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほども申し上げましたように、レーダーを用いて管制をするというのは、やはりレーダーを用いて管制をしなければならないような航空交通の状態があるからやっておるわけでございます。一般的に管制の基本は、やはり飛行機との間の信頼関係、これでやっているわけでございます。  それで、R11の場合に、今お話しのような大きな逸脱をしますと、確かに問題がないわけではないと思います。しかし、それではソ連に行く航空機に対して全部日本側が常に航路逸脱を少しでもしない、そういうことはソ連側に入っては保護されないのだというような認識で管制をするのも、これまたいかがというふうには思います。ただし、管制からの大きな逸脱について、我々やはり注意していかなければいかぬということでございますので、ソ連の中へ入っていくRnについては、これから、そういった問題について実際にどういうやり方が一番実行に適するか、検討させていただきたいと思います。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、太平洋側は公海に出るわけでしょう。日本海側はソ連なりほかの数カ国もあるわけですが、大韓航空機がここで撃墜されているわけですよ。前例があるわけだ。ほかの地域とこれは違うわけでしょう。当然それだけの能力があるのですから。しかも一日三便か四便でしょう。その時間帯、スキッド通過までそんなに時間はかからないでしょう。そんなことぐらいできないのですか。役所というのは、そんながんじがらめな体制になっているのですか。予算の点、管制官の人員のこととか、そういうことからできないのですか。
  152. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほどから申し上げておりますように、大韓航空の場合には管制上何ら連絡もない、そして全く手続もなくて領空に入っていった飛行機、いわばこれはまさに領空侵犯でございます。今度の日本航空の飛行機は、管制の移管も正式に手続をいたしましたし、領空へ入ることも許可をとっております。そういうような形で日常的に飛んでおります、正規に飛んでおります航空機が、若干の航路逸脱という問題を起こすことは、お互いの国にとって好ましくないことですから、そういう点ではこれを監視しておくことはさらにベターなことだと思いますが、一般的には札幌管制部自身の業務の処理の重点は、あくまでも交通のふくそう区域についての管制の円滑な処理ということに重点を置いております。  ただ、今R11という問題から先、引き続きますソ連領内のR22というルートにつきまして、実際の安全問題を脅かすような飛び方をするおそれが、既にR11のときにあるということでは問題がございますので、スキッドのポイントで正しく航路にあるかどうかをチェックするような仕組みを今後私ども考えてみたいと思います。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 十分その仕組みを考えて、そしてまた予算上措置をしなければならないことがあるならば、大臣の方で早急に考えていただきたいと思うのです。大臣、どうですか。
  154. 山下徳夫

    山下国務大臣 今私も質疑を聞いておりまして、国際間におけるそういった航空管制等の仕組みについて、実は私もよく理解できない面があるわけでございます。したがいまして、事務当局また専門家の意見を十分酌み取りながら対処してまいりたいと思っております。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 北海道の稚内に運輸省のレーダーを置けば、相当広範囲なカバーができるんじゃないかと思うのですが、これは防衛庁との、今おっしゃった外交上の問題もあろうかと思うのですが、これについては検討したことあるのですか。
  156. 西村康雄

    ○西村政府委員 部内では稚内に置くというようなケースについても検討したことはございますが、稚内に置いたレーダーの覆域はほとんどがソ連の領域、ソ連のFIRの中をカバーすることになりまして、むしろこれはソ連側の管制に任すべき区域なので、これについてはどうも現実的でないということで、現在はまず道東の区域についてのレーダーの整備を重点に置いております。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 今管制の問題でいきまして、北海道周辺のこの地点をお聞きしたのですが、そうしますと、運輸省として、いわゆる航空路の監視レーダーの施設という問題でございますが、この点について、不安な、この辺が手薄である、カバーし切れないという点、これは完全に一〇〇%やっているのですか。もしも手薄であるというならば、これはもう航空機の安全という点におきまして重大問題になっているのですから、こういうところにこそ税金を使うべきなんです。そして完璧なレーダー網、監視綱を充実しなければいかぬと思うのです。この点について、完全であるかどうかをお答えいただきたい。また手薄であるならばどこが手薄か、お答えいただきたい。
  158. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほど申しましたように、北海道の東の区域を整備する。それから中国地方にもう一つレーダーをカバーする。これをやりますと、一応日本全体が二重にカバーされる形になります。  なお、今後の必要な問題としては、洋上レーダーで太平洋上比較的長距離のレーダーを設けたい。現在の精いっぱい延ばしましても二百海里というのを、もう少し延びるようなレーダーを設けて、早く太平洋上の特に密集する区域について整備したい、こういうふうに考えております。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣は技術的なことは余り御存じないと思いますが、今局長からそういうお話があっったわけでございますが、来年度予算編成にもう入るわけでございますし、これは国会でも非常に重要な問題として提起があった、こういうことで、予算のしかとした裏づけを早急にしていただきたい、このように思うのです。答弁をお願いします。
  160. 山下徳夫

    山下国務大臣 わかりました。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、電波法違反のことについてお伺いしたいと思います。  緊急発信をして応答がなかった、ボリュームを下げておった、絞っておったということでございますが、これにつきまして、郵政省にまずお伺いいたします。これは重大な電波法違反であると私は思うのですが、御答弁をお願いしたいと思います。
  162. 金澤薫

    ○金澤説明員 御質問の点は、電波法第七十条の四に定める聴守義務についての御質問だというふうに考えておりますけれども、当時日航機が責任航空局から指示された周波数を聴守していたかどうか、それから百二十一・五メガヘルツの周波数の聴守を行っていたかどうか、またVHF受信機の音量スイッチの位置、それから日航機の航跡等について、現在事実関係関係方面に依頼いたしまして調査中でございまして、先生御指摘の点については、調査の結果を待って判断してまいりたいというふうに考えております。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、公表自体も事件発生から一週間後ということで、私が冒頭に指摘をしたわけですね。これだけの重大な航路逸脱の事件でございまして、ボイスレコーダー初めあらゆる手がかり的なものは解析されているわけでしょう。それがいまだにわからないというのはどういうことなんですか。何日たっておるのですか。処置すべきことはきちっと処置しなさいよ。
  164. 金澤薫

    ○金澤説明員 私ども運輸省からこれについての情報を受け取りましたのは新聞発表の日でございまして、十一月七日でございます。それ以降関係方面との連携をとっているわけでございますけれども、現時点で判明いたしました百二十一・五メガヘルツによる聴守状況でございますが、日航機のVHF受信機につきまして音量、ボリュームを調査いたしましたところ、これは詳細については調背中でございまして、現時点での結果でございますけれども、この音量、ボリューム位置は、通常やや聞き取れる九時の位置にセッティングされております。VHF受信機というのは、全体で三台あるわけでございますけれども、九時の位置、それから可聴範囲にございます十時、十一時の位置にセッティングされていたわけでございまして、当時の状況を全体として判断いたしますと、VHF受信機三台のうち一台は可聴し得る状況にあった、聞き取り状況は非常に低いわけでございますけれども、一応可聴状況にあったというふうに判断しております。
  165. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしましても、私、電波法もかなり調べてみたのですけれども、いわゆる聴守義務、七十条の四を初めといたしまして、七十六条、七十九条、どのあれを見ましても、今回のこの事件というのは重大な電波法違反の典型的なケースだ、私はこのように思うのです。だから、郵政省としては今最終の決断に来ておると思うのですけれども、ほぼ違反が確定できる状況である、そこぐらいまでの判断は今来ているのですか、どうなんですか。
  166. 金澤薫

    ○金澤説明員 郵政省が関係しておりますのは、先ほど申し上げました聴守義務違反かどうかという点のみでございます。  この点につきましては、いろいろな要件がございます。その一点として、長距離洋上飛行中の航空機について聴守義務がかかっているわけでございます。それでこの長距離洋上飛行中の航空機に該当するかどうかという点が判断しなければならない点でございますけれども、国際民間航空条約の第六附属書及び第十附属書等の趣旨にのっとって、この長距離洋上飛行中という点について解釈しているわけでございますが、この長距離洋上飛行中とは、現時点の判断といたしまして、こういうふうな国際条約の趣旨から見て、今回の場合はそれに該当しない、長距離洋上飛行中ではなかったというふうに判断しておりまして、現時点では、そういう意味で電波法違反という点については非常に疑問ではないかというふうに考えております。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたが言っているのは無線局運用規則でしょう。これの百四十六条の二項であなたはそういうことを言っている。運輸省が長距離洋上飛行を育っているのですよ。そこまでの規定を出しているのですよ。それじゃ、郵政省と運輸省の見解は違うのですか。運輸省の見解は長距離洋上飛行ということを言っているのですよ。違いますか、局長
  168. 西村康雄

    ○西村政府委員 私どもは、先ほど洋上の飛行ということを申し上げましたが、これは日本海を渡ってソ連の領域に入っていくという事実を指しております。  ただ、郵政省でないから、その点わかりませんが、電波法で言っている聴守義務がどういう状態において規定しているかは、電波法固有の問題だと思います。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 運輸省と郵政省は全くこういうすり合わせすらできてない。そうでしょう。はっきり局長が洋上飛行と言っているわけですよ。それからいけば、これはぴちっと入っているわけだ。これは聴守義務を怠っている。こんなことでは質疑できませんよ。両省の意見がかみ合っていない。これはどうしますか。ちょっと一遍各理事協議してくださいよ。こういうことでは続けられませんよ。両省の意見がかみ合わない。
  170. 金澤薫

    ○金澤説明員 長距離洋上飛行中の解釈につきましては、ICAOの附属書六、附属書十の趣旨を踏まえて解釈しているものでございまして、航空法については航空法としての解釈でおやりになる点もあろうかと思いますけれども、基本的なICAOの条約にのっとってこれを解釈していくということでございます。そういう意味で、私ども現時点での判断を申し上げたわけでございますが、詳細、現在、先ほど申し上げましたようにいろいろ調査中でございまして、調査の結果を待って最終的に措置していく所存でございます。  また、先生御指摘の運輸省との解釈云々の問題でございますけれども、この点につきましては、運輸省とも十分すり合わせをして最終的な結論を得たいというふうに考えております。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 私たちは九月の上旬にカナダへ参りまして、ICAOのランベール事務局長を初め首脳陣と会ってきました。それで日本の悲惨な日航機の事件を話をしまして、あらゆる基準にしろ、民間航空機の安全飛行に関するすべてのシビアな見直しについて、同行されました議員の皆さんからも強くそういう意見の開陳があったわけです。それに対して、十分見直しをする、このようにおっしゃっておりました。そういう点からいきまして、ICAOのそれも一遍後で資料を提出してもらって私も検討したいと思いますが、要するに、飛行機の安全を守るためにそんな四角四面の、こうだ、こうだと、そうじゃなくして、本当にそれを守るという立場に立った対応ということを考えていかなければいけないと思うのです。  これにつきましては、郵政省としては要するに運輸省とすり合わせをすると言っておるわけでございますが、ほかの同僚の質問もありますから、私はここでストップをしようとは思いません。後ほどまた報告してもらいたいと思っておりますが、十分検討されて、きちっと処置すべきはする。あやふやな、国民に疑惑を与えるような、解釈によってどうでもなる、それでは法律なんか要らないじゃないかということになる。運輸省ははっきりと洋上飛行と言っておる。そういうことを持ち出して、またこの件もあやふやにしてしまう。郵政省がそういうあやふやな姿勢で航空機の安全が守れますか。そうでしょう。こちらから連絡をとっておって全然連絡がとれない。それだけで、現状の認識だけでこれは電波法違反じゃないですか、機械が故障しているのならいざ知らず。それをどうのこうの、そういうものを持ち出して、おかしいと思いませんか、あなた方の解釈は。電波法違反の疑いは全然ないのですか。その辺、どう考えているのですか。
  172. 金澤薫

    ○金澤説明員 この点につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、事実関係の詳細を把握した上で運輸省とも調整いたしまして、最終的な結論を出したいというふうに考えておりますけれども、もちろん私どもも人命の安全という点は非常に重要な問題であるというふうに考えておりますので、その点を踏まえて事実関係を詳細調査し、結論を出していきたいというふうに考えております。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 運輸省と郵政省で、大臣もお聞きのように、一つのことでも見解がそういうように違うのです。だから、こういうことについて、もっと関係各省はあらゆる点にわたって日ごろから連絡調整ということをきちっとしておかなければいけないですよ。ひとつ十分やっていただきたいと思うのです。大臣、いかがですか。
  174. 山下徳夫

    山下国務大臣 今の問題につきましては、運輸省と郵政省の間で全く意見が対立しているということよりも、現状認識と申しますか、それがまた十分ではないというふうに理解しておりますので、大切な問題でございますから、今後両省の間で私の責任において詰めて、また適当な機会にこのことについて御答弁申し上げる機会もあるかと思います。
  175. 近江巳記夫

    ○近江委員 それをよく検討して、しかるべき対策をとっていただきたいということを重ねて申し上げておきます。  それから、大韓航空機の事故が起きまして二カ月後、同じルートで旧航機が二年前にも航路を逸脱をしているということが言われているのですが、そういうことがあったかなかったか、それを平沢さんにお答えいただきたい。  それから、最近導入したボーイング767につきまして、最初の運航に際して、乗員はドアがどこにあり、どこに安全装置があるか知らないで、スチュワーデスを初め乗員が乗客を乗せた中に乗っだということは事実ですか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  176. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  第一番目の、二年前に北太平洋ルートで我が社の航空機が航路を逸脱したのではないかという報道がございましたが、その事実はございません。  二番目の、ボーイング767型機の就航に当たりましての客室乗務員の安全操置等に対する慣熟の問題でございますが、私どもは、新しい航空機が入ってまいります前に、まず客室乗務員に訓練をしなければいけない項目といたしまして、ドアの緊急操作、脱出シュートの操作並びにそれによる脱出、それからあとはその機体特有の非常装備についての知識を与えること、私どもは各機種共通の非常装備品を通常装備しておりますので、その一つ一つのアイテムについては知っておりますから、その位置、数等についての知識を与えること、こういうことを事前に行いまして就航に備えておるわけでございます。  なお、就航に当たりましては、客室乗務員の中で幹部の者、これは実機についてもそういう位置等の慣熟をさせておる者でございますが、そういう者を乗せまして、それに今のような地上で十分に知識あるいは訓練を与えた者を一緒に乗務をさせて就航させた、こういうことでございます。
  177. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうすると、キャップだけが実際に見ておって、その日飛ぶいわゆる客室乗務員は入ってから、ここはこれですよと、あらかじめ絵がなんかで知っておったか知らぬけれども、実物の飛行機に乗って初めて確認する、こういうことをしたわけですね。
  178. 平沢秀雄

    平沢参考人 就航に当たりましては今申し上げたようなことでございますが、現在新しく乗る者につきましては、飛行機に少し早く出頭いたしまして、そこでまたそういう機体についての確認を十分に行わせまして乗務をいたさせております。
  179. 近江巳記夫

    ○近江委員 今のことを聞いているんじゃないのですよ。最初に導入したときにそういうことを、要するにキャップの人だけは知っておったけれども、ほかのいわゆる客室乗務員は知らなかったのでしょう。乗り込んで初めて実物を見たのでしょう。どうなんですか。その点をはっきりさせてください。
  180. 平沢秀雄

    平沢参考人 今お答えいたしましたように、航空機に行って見たその時点では、慣熟した者以外は実機については初めてであった者もおりますが、それにつきましては、早目に航空機に行って、そういう者は指導者からブリーフを受ける、こういうやり方をいたしたわけでございます。さらに乗務員の方からそういう点につきましてもいろいろ意見がございまして、それに対して会社としても必要な措置、すなわち人数の一名の付加等をある期間いたして、早急な慣熟を図るというふうな手を打った次第でございます。
  181. 近江巳記夫

    ○近江委員 専務さんも非常にショックの連続で、私もそう厳しいことは言いたくありませんが、少なくとも客室乗務員が一般乗客の乗る前に先に行っておるのは当たり前のことですよ。そうでしょう。そのときに、知った者から、ここはあれですよ――それは事故なしに飛んでいればいいけれども、もしも海上に着水、重大事故が発生した、そのときにどうしていいのか、スチュワーデス初め初めて乗るのですよ。そうでしょう。飛行機は大体共通したものだから大体わかるとしても、そんな慣熟どころか、乗客と同じに乗って、何十分前に行くのか知りませんが、ここですよと、こういうことを知れば危なくて乗れませんよ。これはもう重大な私は反省をしてもらいたい。大臣、どう思いますか、今の話聞いて。あなた正直に感想言いなさい、相談せぬと。
  182. 山下徳夫

    山下国務大臣 いや、別に相談しているわけじゃないのですゆれども、現実にそういう問題があったかということを一遍確認していたところです。あったそうでございまして、そうでございましたら、まことに無責任のようでございますけれども、ただ確認をいたしまして、これはおっしゃるとおり、そんなことでいいのかなと私自身率直な感じでございます。これは厳重に注意いたしたいと思います。
  183. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣も厳重に注意をするとおっしゃっております。私もそれば何も嫁いびりじゃない。そんなことはしたくないけれども、要するに、これは安全のかかった問題ですからね。そうでしょう。いざとなったとき、例えば八月十二日のあの事故を見てみなさい。墜落寸前までスチュワーデスが乗客に、いわゆるベルトはどうだとか頭を伏せなさいとか、彼女たちのけなげな姿を思い浮かべたら、本当に涙が出ますよ。ところが、自分が搭乗するその飛行機に乗って初めて、乗客と同じように、一体ここに何がある、そんな不安なことはだめだ。二度とこういうばかげたことはやめていただきたいと思います。今大臣も、厳重に注意するとおっしゃったら、それを期待しております。  それで、もう時間がだんだん迫ってきましたので急ぎたいと思いますが、大臣は運輸省改善勧告、あの事件以来多くの項目にわたって、日本航空初め、また共通事項については、各航空会社に対して改善勧告をされておるわけでございます。これは非常に結構なのでございますが、この日本航空に対して特に運輸省の改善勧告、何十項目もございますが、「社内体制の強化」ということにつきましては、「構造点検整備体制の強化について」、これにつきましては、御承知のように、あの八月十二日の事故につきましては、ああいう修復した隔壁のところから亀裂が入って尾翼を吹っ飛ばしたのじゃないかという大きな疑惑、これは今事故を究明しておるわけですから一〇〇%そうだとは言い切れませんけれども、そういうことを感じながら、運輸省としては、こういう「構造点検整備体制の強化について」の改善勧告をなさっておる。これが一つです。それから「総合安全推進体制の強化について」ということで「安全確保のための全社的な体制として総合安全推進本部が設けられており、その下部機構として航空安全委員会が設けられ、形式的にはその体制が整っていると認められるが、実態上、この組織の目的に照らし、十分、有効に機能しているとは認め難いので、組織面の検討を含め、安全推進体制の強化を図る必要がある。」という勧告をなさっておる。これに対して日本航空は、「構造点検整備体制の強化について」また「総合安全推進体制の強化について」の回答をされているわけです。  こういう回答が出たやさきに、今回のこの迷走事件が起きているということでございまして、この「総合安全推進体制の強化について」日本航空さんはこういうふうにおっしゃっている。「総合安全推進体制の強化については、改めて組織面も含め検討を行った結果、以下のごとき措置を講じ、安全推進体制の強化を図ることと致します。(i)総合安全推進本部の下部機構として設置している。航空安全委員会にかえ、新たに航空安全推進委員会設置し、委員の構成についても変更し、運航および整備に重点をおき全社的立場からより実質的な審議を行い、機動性をもたせて運営する体制と致します。」云々とずっとあるのですね。ずっとあるのですよ。航空安全推進委員会の事務局業務を担当する航空安全推進委員会事務局を新たに設置するだとか、こういう形を整えてもらうのはいいのですけれども、実際に今回の三人の乗員の、これだって本当にもう、さっきから何回も指摘していますから重ねることはやめますけれども、何ら一人一人にまで浸透していないということが問題だと思うのですよ。幾らこういう組織をつくり、何したって、実際は三名なりまた客室乗員の十数名のそういう人々が、何百人の人を輸送して飛ぶわけでしょう。一人一人がこの安全性の徹底ということの自覚、一人一人が自分の胸の中に安全推進委員会を持ってもらわなければいけない。持っていないのですよ、これは。それであれば、これは事故を絶滅、二度と起こさないと言ったって、我々には大きな不安が残るわけです。  そういう点、ひとつ最後に、もう時間ありませんから、平沢さんと、またその監督官庁にある大臣から所感をお伺いし、決意をお伺いして終わりたいと思います。
  184. 平沢秀雄

    平沢参考人 おっしゃいますとおり、組織等をつくりましてもこその中で仕事をする者の魂が入っていなければ何もならないということは十分に承知しておりまして、私ども今後そういう点で一層厳しく心を込めて全員がやるように徹底を図っていきたいと存じております。
  185. 山下徳夫

    山下国務大臣 どのような制度をつくり、組織をつくりましても、やはり一人一人がその気持ちになって一生懸命やらなげれば、その全きを期することはできない、先生のおっしゃるとおりでございます。  羽田沖の事故の後にも、私は当時党の航空安全対策特別委員長、そういう役目をいたしておりまして、いろいろと日航の方々とも相談した折にも、制度をつくって、例えばその当時は乗務員の健康管理の問題でございましたけれども、今度はそういう一つの医療部門その他健康管理について組織をもっと強化するということがありまして、当時も私は、仏つくって魂入らずではいけない、組織だけではだめですよということを申し、また今日、私も大臣の立場として機会あるごとに、そういうことはいわゆる社員打って一丸となっての意識の高揚ということを言ってまいりましたし、今後とも最も必要なことだと思っております。
  186. 近江巳記夫

    ○近江委員 もうこれで終わりますが、きょうは国鉄の問題やろうと私思ったのですが、この事の重大さ、国鉄も非常に重大であります。しかし、限られた時間でございますので、これで質問できなくて、来ていただきながら非常に申しわけなかったと思います。今度はゆっくりとひとつ国鉄をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。  以上です。
  187. 三ツ林弥太郎

  188. 河村勝

    河村委員 初めに、今問題になっておりました去る十月三十一日の日航のモスコー航路のジャンボ機が航路を逸脱した事件についてお尋ねをいたします。  この事件は完全な人為ミス、人為的なミスで、大韓航空事件とは条件は違いますけれども、事と次第によっては大きな惨事を引き起こさないとも限らない事件ですから、これを契機に、今後の安全体制を確立するむしろよき反省の機会であると思います。  私、一番ここで疑問に思っているのは、どうして安全の確認ということが本当にやられていないかということですね。海陸空を問わず、安全というものを最も重大な使命として持っている機関については、安全の確認ということについては平素から基本動作のしつけというものがはっきりしていなければいけないんですね。例えば鉄道で信号の確認をする場合に指差称呼ということをやりますね。一人でもやるし、二人なら両方が手を上げて声を出して確認をする。非常に形式的なようだけれども、それが自動的にやられることによって、それでミスを免れるということですね。  ところが、どうも今回の経過は新聞報道でしか知りませんけれども、INSをHDGに切りかえるときも、それから途中の位置の確認についても、コックピットの中に何人か乗っているにもかかわらず、そうしたはっきりした意思表示というものが表にあらわれたものがない。そういうことがやはりこういう結果を生んでいるんじゃないかと思うのですけれども、一体日航ではそうした安全の確認、それをしっけとしてどういうふうにこれまでやられていたのか、それを平沢さんに伺いたい。
  189. 平沢秀雄

    平沢参考人 基本動作に忠実であるべきだ、こういうしつけの点に関しましては、私も運航本部長になりまして以来全乗員に対して事あるごとに基本動作に忠実あるいはルールをしっかり守るということを申してきたわけでございますけれども、今回かかる事態が起こりました。大変遺憾であり、申しわけなく思っておるわけでございます。  私ども会社におきましては、乗員につきまして、日常運航の場において、職制機長によるそういう基本動作を忠実にするという点の指導を、こればかりではございませんが、この指導も十分に図ってきております。さらに、制度といたしまして、定期の航空機による飛行または模擬試験飛行装置による訓練がございますが、そういう場、さらに定期の地上訓練、これも決められておりまして、必ず受けるわけですが、こういうものがございまして、その場でも今のような基本動作を守るという点について、指導、強調、徹底を図ってきております。また乗員部内、この乗員部は実際に飛行機を操縦あるいは機関士として乗務いたします乗務員から成る組織でございますが、そこのグループミーティングというのがございますけれども、そこにおきましても、飛行技術関係事項の再確認とともに規程類の遵守の徹底を図る、こういったような方策を講じておりまして、いろいろな機会にいろいろな手段でこういうしつけの徹底を図ってきております。さらに機長につきましては、機長になっていく過程におきまして、特にこういう点についてしっかり身につけて、実施してもらうように指導し、またそういうふうになったというようなことを十分に確認をしてやっておる次第でございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、今回のようなことが起こりました点につきましては、大変弁解の余地がないところでございまして、私といたしましては、さらに規程を遵守するあるいは基本動作について忠実に守る、こういう点の実施につきまして、一層の徹底を図っていきたいというふうに思っております。
  190. 河村勝

    河村委員 何か平素非常に周知徹底しているような御答弁ですけれども、実際やられてないんですね。一体、そういうしつけの具体的なもの、声に出し、動作にあらわすという、そうしたけじめのつけ方というものが本当に決められて、それが周知徹底しているんですか。その辺が私は非常に疑問に思うのですけれども、どうですか。
  191. 平沢秀雄

    平沢参考人 お答え申し上げます。  私ども航空機を運航いたしますいろいろな場面におきまして、例えば着陸進入を行うときにはアプローチ・チェック・リストというのがございますが、それはそれぞれのチェックアイテムに従いまして、声を出して読んで、それについてチェックする者が指で指してチェックし、そして呼称、声を出してそれを知らせる、こういうことになっておりまして、それを確実にやるようにいたしておるわけでございます。今回のINSのスィッチ操作を忘れた、あるいはその操作の確認が行われなかったというあたりのことにつきましては、これまでこれは一つのスイッチ操作で簡単に自動操縦がINSにつながりましたり、ヘディング、コンパスにつながりましたりするわけでございますが、この操作において、相互に確認をしてやるように、こういうことにいたしておりましたが、今回こういうことが起こりました。対策といたしまして、巡航中におけるこういう問題につきましても、操作をするときには、操作する者が声を出し、相手の者はこれを必ず確認するというふうに改めた点もございます。そういうふうな点を踏まえまして、今後さらに一層の確実を期さなければいけないというふうに思っております。
  192. 河村勝

    河村委員 恐らく離着陸のときは事故が起こる可能性が強いから、そうした表にあらわれた基本動作というものがあるんだろうと私は思う。しかし、運航中はほとんどがコンピューターシステムで動いて自動で行きますから、ですからどうしても抜けがちになりますね。だから、そういうときこそ本当に表にあらわれた動作がなければならないはずだと思う。離着陸のところはさっきあなたのおっしゃったのでわかったけれども、本当に運航中のいろいろな確認についても声を上げ、体を動かす、手を動かすというような動作をつけてあるかどうか。本当にそれはあるんですか。
  193. 平沢秀雄

    平沢参考人 運航中、すなわち巡航しておるときの点でございますが、先ほど申し上げましたスイッチを切りかえる場合以外、義務位置通報点及び変針点におきましては飛行機の位置の確認を行う、これがまず第一でございますが、それに加えまして、その位置を正しく通過したことを機長、副操縦士がお互いに声を出して確認する、こういうことになっておりました。従来その声を出して確認する項目といたしまして、百六十イーストをちょうど越えたとか、そういうふうな位置を呼称するということにしておりましたが、今回の経験にかんがみまして、さらにそのときの自動操縦のモードを声を出して相互に確認する、こういうことをつけ加えて、より一層の徹底を図るということにいたした次第でございます。
  194. 河村勝

    河村委員 御説明を聞いていると、やられているように思われるけれども、現実に出てきたものはこういう状態だということは、どうもそれが形式に流れている証拠だと私は思うのですよね。その辺に体質的な欠陥だと言われるゆえんがあると思う。今度もそうですね。大体むだな動作のように見えることは、近ごろしつけてもなかなかやらないという風潮がとかくある。国鉄でも、私の経験でもありました。どんな抵抗があっても、それをやはり守らせるのが、これが本当の会社責任ですよね。しっかりやってもらいたいと思う。  それからもう一つ。自衛隊からの緊急無線に対してボリュームを絞ったために聞こえなかったというのは、とれは大変なことですね。こんなことがあっていいはずはないと思うけれども、これは一体どういうことなんですか。
  195. 平沢秀雄

    平沢参考人 私からお答えいたします。  この飛行におきましては、これは機長その他操縦者から事情を聴取いたしました結果でございますけれども、この航路におきまして、第三番目のVHFに百二十一・五メガヘルツの緊急通信を受信できるように周波数がセットしてございました。そこで、そのボリュームかどうであったかということでございますが、先ほど郵政省の方から御説明のように、第三番目のVHFの音量のセットは大体九時の位置でございまして、聞こえる位置、非常に大きくは聞こえませんが、聴守可能な位置に置いてあった。機長は絞ったんじゃないかということを述べておりましたが、これはナンバーツーのVHFを普通航行いたしますときに管制との通信に使用しておりまして、このルートは、ハバロフスクと通信するような場合でも通信設定が大変難しいルートでございまして、そのためにナンバーツーのボリュームをかなり上げて使っておった。その結果としてこのナンバースリーの方の聴守がしにくかったんではないかといったような点があろうかと想像しております。  さらに、十三時四十七分ごろに機の位置がずれていることに気がつきまして、したがって、すぐに自分の位置がずれていることをハバロフスクの管制に伝えなければいけない。それから通過地点でありますエディンカに行くにはどのルートをとるかの指示を受けなくちゃいけない、こういうことで管制との通信を一生懸命やったわけですが、なかなか通じなかった。そこで三番目のVHFもハバロフスクの周波数に切りかえまして、その通信設定を試みた、こういう時点が十三時四十七分以降にございますので、その間は百二十一・五で連絡を受けましても聴守できない状態にあったのではないか。ただ、ここらの時点の詳しいことはなかなかはっきりわからない点もございますので、今私が申し上げたような推定をいたしているところでございます。
  196. 河村勝

    河村委員 コースを逸脱したことに気づいてハバロフスクと通信を始めてからのことはどうでもよろしいわけだ。その前に自衛隊の方では再三警告をしたと言っているわけでしょう。ですから、それが音量を絞ってもいないのに聞こえないというのはどう考えても信じられないし、それじゃ緊急無線の用をなさいのですね。これはちょっと信じがたいのですけれども、運輸省でもうちょっと調べてもらえますか。
  197. 西村康雄

    ○西村政府委員 自衛隊が緊急無線で連絡を入れましたのは、既に飛行機が航路逸脱に気がついてハバロフスクとの交信を試みてからでございます。時間的には自衛隊が後でございます。したがって、交信に追われていて聞こえなかったという説明はそれなりに理由があろうかと思っております。
  198. 河村勝

    河村委員 本当にそうならいいのですけれども、もう少し調べてください。  それから、八月十二日の事故の関係でちょっとお尋ねいたします。  今、事故調査委員会で調べている最中ですから、まだ結論を得られないのかもしれませんが、私は、八月の委員会の節にも、五十三年六月の大阪のしりもち事故によってプレッシャー・バルクヘッドに亀裂を生じて、それを一部取りかえて、その継ぎ目の部分が壊れて、そこから端を発したのではないかということを申しましたが、どうも大体それが原因のようで、垂直尾翼が壊れたのも、結局プレッシャー・バルクヘッドが壊れたことに起因していると思われますが、そういうことと考えてよろしいのですか。
  199. 大島士郎

    ○大島政府委員 事故の正確な原因あるいは機体の損壊の過程、こういったものは現在事故調査委員会検討中でございますので、公式にどういう状況であったのかわからないわけでございますが、ただいま先生御指摘のようなことが一般的に報道され、私どももその可能性はあると考えております。
  200. 河村勝

    河村委員 それ以上のお答えがないのは当然でしょうが、その問題は一応ペンディングのままとしましても、五十三年六月の事故の後の修理はボーイング社の修理チームがやってきて構造部材の交換をやったということでありますが、それについてボーイング社も修理ミスを認めたという報道がありましたが、それも事実かどうか。そして修理チームがやるという際、日航は一体何をしていたのか。それから修繕が終わってから後、政府は一体何をしたのか。その問題が私は残っているのだと思うのです。  まず、日航はその際には修理チームに任せたままで自分たちは何もしないのですか。
  201. 平沢秀雄

    平沢参考人 ボーイングの修理チームにこの修理を依頼したわけでございますが、通例非常に大きな部分の修理を行います場合に、これは私どものエアラインばかりではございませんが、メーカーであるボーイングあるいはダグラスのそういう緊急修理チームというのがございまして、大変スキルも高く、またその航空機の設計をしておりますので、強度、修理方法等を的確に指示できるという利点がございますので、そういうチームに修理を依頼するということをやってきたわけでございます。ボーイングで申しますと、飛行機の生産ラインに働いておりますスキルの高いメカニック、工員をそれぞれのラインから抜きまして臨時にチームをつくって来る月そのチームには、まず設計、修理方法を決めますエンジニアが入っております。それから実際に作業をする工員がおりまして、さらにその作業を検査する検査員がついております。こういうチームでございまして、私どもはそのチームに修理を依頼したわけでございます。この依頼の場合は契約で依頼をしておるわけでございますが、契約内容といたしましては、エンジニアリングから修理作業、そして検査までを一括して依頼するという形が通例でございまして、そういう契約でございました。  そこで、日本航空の役割はその場合に何かということでございますが、作業中にボーイングと契約したとおりの部分で新しいものと取りかえておるか、あるいは修理をするというやり方において、ステートメントに述べられているとおりの部分がやられているのか、そういう契約内容に沿って行われているかという点を検査する、監視する、こういう役割が一つであります。それからもちろん、修理のための必要な部品をボーイングから持ってきて羽田で仕事をいたしましたので、その必要な部品の調達、通関、保管、そういう部品の管理関係をやりました。それから飛行機ができ上がってきましたときに、一度取り外したいろいろなシステムを復旧して作動試験をやるわけでございますが、これも契約上はボーイングが責任を持ってやることになっておりましたけれども、これは次の試験飛行につながる項目でございますので、私どもの検査員が立ち会って実施をいたしました。最後にその試験飛行を行うわけでございますが、これは我が社の飛行機でございますので、私どもの乗員が試験飛行をやり、それにボーイング及び私どもの検査員並びに局の検査官がお立ち会いになりまして試験飛行を実施する。それですべて正常に作動しておるということを確認し、ボーイングから一切の作業内容及びボーイングが取得したアメリカ航空局の大修理の仕様承認、こういうものを受け取りましてこれを確認し、航空局にお出しをして耐空証明をいただいた、こういう経過でございます。
  202. 河村勝

    河村委員 運輸省は修理改造検査をその後でやるわけですね。
  203. 大島士郎

    ○大島政府委員 本件のしりもち事故後の修理作業につきましては、この航空機の所有者である日本航空が受検者となりまして、日本航空から当該修理作業についての修理改造検査の申請が行われております。これはボーイングの修理作業にかかる前に申請がございまして、ボーイングの修理作業を通して、ただいま平沢専務からお話がありましたが、最終の段階まで必要な時点での運輸省の検査を行いまして、それで修理改造検査合格となっているものでございます。  運輸省の検査のやり方につきましては、当該検査の申請者である日本航空に対しまして、ボーイングの作業の状況について十分監督するように指導をしたほか、修理計画あるいは修理作業の進め方、あるいは修理完了後の地上機能検査、飛行検査等に立ち会いを行いまして、これを原状に回復したことの検査合格の判定をしたわけでございます。  しかし、結果としてボーイングが声明するような修理ミスがあったということは大変遺憾でございまして、その当時の日本航空の監督体制については、結果としては十分でなかった点も認められるかと思っております。
  204. 河村勝

    河村委員 わかりました。  恐らく修理そのものは正常に行われたんでしょう。だからもとの契約内容ということになるわけですね。我々素人が考えても、バルクヘッドの下半分を取りかえて、それをリベットでつなぐなんというのは、どうしてもそこに弱い部分が生じて、それが炎時間続けばだんだんとおかしくなるであろうという気がするのですが、それから七年間飛ばしているわけですね、そのまま。その間に何回も検査をやっているわけですが、それは全く常に異常がなかった、こういうことなんですか。
  205. 平沢秀雄

    平沢参考人 五十三年の修理以来事故が起こりますまでの間、問題になりました後方の与圧隔壁につきましては、三千時間ごとに尾部の部分に入りまして後ろから目視検査をする、こういうことをいたしておったわけでございます。そして一番最近の検査は、昨年の十一月末から十二月にかけまして、三千時間ごとの整備に入りましたときに検査をいたしておるわけでございますが、そのときの検査の報告につきましては、特に異常は認めておらない、こういう報告でございます。  そこらの点につきましては、私どもは、事故調査委員会においてこの実物についての調査が行われておりますので、いずれ明確になるのではないかと思っておりますが、今申し上げましたように、検査したものの報告、記録からは異常の発見は当時報告されておりません。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
  206. 河村勝

    河村委員 この件はまだ事故調査が進んでいる最中ですから、きょうはそれだけ伺っておきます。  次に、三光汽船問題で伺いたいのですが、三光汽船は八月に事実上倒産をして、更生手続の進行中というか、入るか入らないかでもめているところのようであります。基本的には、三光汽船そのものが商社や銀行と提携をして大量の仕組み船をつくって投機的な経営をやったというところにあるわけですから、会社責任が最も大きいわけであります。しかし同時に、これは運輸省としても責任があるはずであって、昭和五十七、八年ごろ百二十五隻もハンディサイズのバルカーを三光汽船がつくっているわけですね。これに対して臨時船舶建造調整法というものがあって、建造許可というのは運輸省がやるわけですね。このとき、私らの常識からいうと、もう既に大変な船腹過剰の状態にあったはずだと思うけれども、一体、なぜこんな大量の建造許可を与えたんですか。
  207. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 当時三光汽船がいゆわるハンディバルカーという、三万トンから五万トンのサイズでございますが、船舶の大量建造を行ったという事実はございますが、御指摘の臨時船舶建造調整法、この法律に基づいた一つの許可基準、これに照らしまして審査した結果、適正と認められましたので許可をした次第でございます。  現在の三光汽船が経営上非常に問題になっております原因といたしましては、このハンディサイズのバルカーの大量建造が原因であったというふうには私ども見ておりませんので、御承知のように、これから三光汽船が再建されるかどうかというかぎは、このハンディバルカー部門をどうやって活用するかということにかぎがあるわけでございまして、そういう意味では、今までの三光汽船の経営の足を引っ張ってきたというようなことにはならないというふうに我々は認識しているところでございます。
  208. 河村勝

    河村委員 どうも百二十五隻つくったのは当たり前みたいな話だけれども、実際、一九八三年のOECDの海運委員会の報告がありますけれども、その中でも、この時期の「驚くべき新規発注量のはん濫はほとんど不可解なものであった。」特に「二万五千~四万五千重量トンのいゆわる「ハンディサイズ」のバルク・キャリアに集中している」とわざわざ三光汽船の名前を挙げて、三光汽船によって運航されるこの船型の百二十三隻――二隻違うけれども、にも及ぶ大規模な造船発注が日本の造船所に受注されて、これがギリシャやイランその他の船主にも影響を及ぼして世界的な船腹過剰になった、こういう指摘がされているのですよ。  ですから、この時期がどう考えても――臨時船舶建造調整法の適正であるかどうかの許可の判断基準に、船腹過剰のときには認めないんだという項目があるわけですね。法律そのものにはないけれども、その法律に基づいた判断基準というものがね。一体、それに照らして、こんなものをつくったのは本当にいいと思ったのだろうか。そこにはやはり何か政治的な動きがあって、いや応なしにつくられたのではないかという懸念が多分にある。その点は一体どうなんですか。
  209. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 今先生御指摘の点、その結果、世界的に非常に船腹過剰の状態が発生したということは事実でございます。  しかしながら、その百二十五隻と言われておりますバルカーを建造許可した当時は、同じような形のバルカーはほとんどが十年を超えた老朽船であった。それに対する、世界的な規模で見れば代替というような意味を持っておりましたし、それから日本でそういうような建造をいたしましたのに加えて、御指摘にもありましたように、世界的にギリシャとかほかの船主がおよそそれと同数、それ以上の船をつくり出したということで、結果的に全体が過剰になった、そういう状態になったわけでございます。したがいまして、私どもはその許可に当たりましたときの判断、船舶が著しく過剰になるという判断は当時は持ち合わせておりませんでしたし、老朽船の代替ということのためにつくるということが、その時点におきましては適正な一つの商業的な判断であったのだろうというふうに考えたわけでございます。
  210. 河村勝

    河村委員 そのときは適正とあるいは考えたかもしれないけれども。そのときの判断が間違っておったということだけは間違いないでしょう。
  211. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 結果といたしまして、世界の船腹の需給関係が過剰状態になったということは確かでございます。しかしながら、許可をいたしました時点におきまして、それに追随して、その船腹量の何倍かに当たるような新造船、しかも同じ型の新造船が出るということを予測していなかったということは事実でございます。
  212. 河村勝

    河村委員 予測していないのが間違いなんで、実際OECDの指摘によれば、これが引き金になってギリシャとかイランとかがそういった船をつくって、それで結局世界的な大船腹過剰になったと言っているわけですよ。私もそうだろうと思う。政治的な原因があったかどうか、我々も確たる証拠を持っておるわけでも何でもありませんから、これ以上申しませんが、とにかく政府にも重要な責任があるわけであります。  私は三光汽船がどうなってもよろしいけれども、そこに働いている船員だけでも二千三百人、これの雇用と生活の問題がありますね。それと日本海運の国際的な信用の問題もある。だから、三光汽船そのものの問題は別としても、やはり更生手続というものは進めて再建をすべきものだと思っております。それが今何か商社と銀行との間で争いがあってなかなか進んでいないように聞いておりますが、一体大臣、どうなっておりますか。
  213. 山下徳夫

    山下国務大臣 今の御指摘のとおりでございまして、船員の数にいたしましても、国内において二千三百人、さらに、韓国の乗組員が二千人、フィリピンが二千人、これらの友好国からも、この問題については重大な関心を持っているというような意向も伝えられてきておりますし、私も担当の大臣として、実はこれが解決のために今一生懸命努力をいたしている次第でございます。  さらにまた、今お話がございましたように、七つの海に君臨した日本の海運に対する信用の失墜ということが大きな問題だとして、三光汽船にとどまらず、日本のこれからの外航海運について信用を回復するためにも、三光汽船の今後の更生法の適用等について私は真剣に今取り組んでおるわけでございます。八月十三日にこの更生手続の申し立てが行われまして、現在まで東京地方裁判所において手続開始決定の可否についていろいろと審理が行われているところでございます。  現在、同社におきましては、保全管理人に大変な御努力をいただいて、この再建策についての検討を進めていただいておるわけでございます。したがいまして、今申し上げましたように、ただ単に一会社ではなくて、日本の海運界の将来に与える影響等にかんがみ、私自身もこれらの問題についていろいろと微力をささげておるわけでございますが、一つの打開策として、主力銀行に対して同社の再建についてのざらに前向きな協力方についてもいろいろとお願いをいたしておるところでございまして、今後とも運輸省といたしましても、適切なる再建方策について最善の努力を払ってまいりたいと思っております。
  214. 河村勝

    河村委員 今の段階の見通しはどうですか。
  215. 山下徳夫

    山下国務大臣 既に三カ月余を経過いたしまして、諸般の情勢からいたしますと、私はやはりもう最終的な段階と申しますか、この決定につきまして、少なくとも、できれば今月じゅうには最終的な結論を出さなければならぬというふうに、時期的に一つのめどを立てながらお願いをいたしておるわけでございまして、現時点、きょうのこの時点においてどうなるということを申し上げる段階ではございませんし、いずれにいたしましても、そういうことでかなり時期的にも詰まってきておるということから、この一、二週間のうちに、さらに努力いたしまして、よい結論が出るようにいたしたいと思っております。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  216. 河村勝

    河村委員 あなたの立場はちょっと微妙かもしれませんけれども、そのことを離れてこの問題は努力をしていただきたいとお願いをしておきます。  本当は国鉄の問題を取り上げる予定でしたが、時間がありませんので、一つだけ余剰人員問題の処理について。  いよいよ再建監理委員会答申に対する閣議決定も行われて法案づくりの作業に入っているんだと思いますが、余剰人員問題だけは特に急がなければならない。私は前の委員会で申し上げたように、新幹線リース方式あるいはそれを余儀なくするような本州の分割のやり方等について異論を持っています。しかし、そのことはそのこととして、余剰人員問題と長期債務の処理はすべての前提になりますから、これだけは最も早くやっていかなければならぬと思っております。  余剰人員問題、特にこれは二つありまして、四万一千人のいわゆる特別対象者、それと希望退職の二万人、この取り扱いが一番難しいわけですが、希望退職について、この監理委員会答申にも、退職の条件について、簡単に言えば退職の割り増しでしょう、これについての立法措置を講ずるということが書いてありますが、その点についてどういう作業、相談を今やっておりますか、あるいはめどがついておりますか、それをちょっと聞かせてください。
  217. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先生ただいま御指摘のように、余剰人員問題は二つございまして、第一の希望退職というものにつきましては、希望退職をする方に何らかの形での割り増しの給付金を給付するということでその促進を図りたいということで、現在、政府部内におきまして、一つはその割り増し給付金の条件問題につきまして、どの程度の額を給付するか、かつて電電公社等には若干の例がございますけれども、そういう例も参考にしながら、どの程度の給付をするかということについて協議中でございます。さらにどの程度の年齢層を対象にこの希望退職というものを行うかという問題につきましても、国鉄、運輸省、それから余剰人員対策本部等で現在検討を進めているところでございます。  いずれにいたしましても、本件は予算措置を伴うものでございますので、明年度の予算におきまして、その給付金の予算というものを提出したいというふうなことを考えておりまして、したがいまして、そのための特別の法律案につきましては、予算関係法案といたしまして、次期通常国会の冒頭と申しますか、予算関係法案の提出期限内を目途に提出をしたいということで作業を進めておる段階でございます。
  218. 河村勝

    河村委員 これについては二つ問題がありまして、一つは額の問題ともう一つは時期の問題。  額については、毎年の勧奨退職の場合も、法律に定めた普通の額の五割増しになっていますね。ですから、これを魅力あらしめるためには、少なくとも七割増しを適用するということが必要であろうと私は考えております。  それともう一つは、これだけは一般の立法化と離れて急ぐ必要があろう。ぎりぎり六十二年の三月でもいいのかもしらぬけれども、しかし、今からやっていきませんと間に合わなくなるおそれもあるし、なるべく早く処理ができれば、それだけ財政的にも後に残る事業体にとっては楽になるわけだ。ですから、これだけは来年の三月に間に合わせるように先にやる気はないか。  この額と時期の問題。その二つについてどう考えていますか。
  219. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 まず、前段の額の問題でございますけれども先生のお話しのございました勧奨退職の際の退職金の割り増しというのは、退職金の割り増しという形でございます。今回検討いたしておりますのは、退職金の割り増しであるかどうかというような内容も含めまして、何らか別の意味でその上に上乗せをする給付金ということで検討いたしております。ただ、退職金の割り増しの方は、先生御指摘のような例もございますけれども、たしか年齢とか、そういう層によって若干相違があったというふうに思っております。今回の給付金は、それと別途の形として、希望退職に応ずる者に対して給付する給付金ということで検討を進めております。  それからもう一点、先生の御指摘の、早い方がいいじゃないかということは、私どもも御指摘のとおりだと考えております。できるだけ早い時点で希望退職への対応を考えていきたいということはそのとおりでございますけれども、いかんせん、先ほど申し上げましたように、過去に例も少ないような制度でございますし、まだかなりの額の予算措置等も伴いますので、現在のところでは通常国会に法案を提出いたしまして明年度の予算として考えていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  220. 河村勝

    河村委員 そうすると、来年の三月には間に合わぬというわけですね。きょうはそれだけ伺っておきましょう。  時間があと五分だけ残っておりますから、長期債務の問題をちょっとだけ聞きましょう。  長期債務の処理について、これはもう一番難物でありますが、大筋の交渉というのは一体どの程度に今進んでいるところですか。
  221. 山下徳夫

    山下国務大臣 経営形態変更の際の国鉄長期債務等三十七兆三千億円のうち新しい事業体に引き継がない債務等につきましては、清算等のための組織に残す、資産の適正な処分等によりできる限り自主財源を確保し処理することといたしておるのであります。  なお、残る約十七兆円につきましては、政府全体として長期的観点に立った的確な処理方策を確立すべく鋭意調査検討を進めてまいりたいと思っております。具体的な処理方策につきましては、現在検討中でございまして、成案を得るに至っておりません。
  222. 河村勝

    河村委員 今のは監理委員会答申そのままで、まだ何も具体的なことはないのですが、まだその段階で、政府の中の折衝も何も行われてない、方針そのものが立ってない、こういうことですか。
  223. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 政府部内におきましては、先ほど大臣が申し上げましたように、現在政府部内においていろいろな意味で検討中でございます。
  224. 河村勝

    河村委員 この長期債務の処理の中で私もよくわからぬところがあるから一、二だけ伺っておきます。  国鉄長期債務二十五兆四千億、これはわかりますね、現実にあるものですから。ところが年金負担と三島の補給金の基金、こういうものは現実には長期債務としてあるわけじゃありませんね。だけれどもそれを、年金で言えば四兆九千億をどうしようというのですか。これをファンドにしようという意味なんですか、これはどうなんですか。これは再建監理委員会でもいいのですが。
  225. 林淳司

    ○林政府委員 四兆九千億と申しますのは、そのうち追加費用が四兆七千億でございますけれども、あと二千億は恩給負担とか公経済負担ということになるわけでございます。これについては当初その四兆九千億のファンドをつくるということではございませんで、現在国鉄が追加費用というものについて毎年支出する義務をしょっておるわけですが、これをいわば債務性のあるものとみなしまして、今後四、五十年にわたってこれが支出されていかなければならぬ。六十二年度の時点でこれを年金現価に換算いたしますと、これが追加費用であれば四兆七千億に相当するということでございます。したがって、今後支出するべき支出というものを六十二年度の年金現価に換算した額というふうに御理解をいただきたいと思います。
  226. 河村勝

    河村委員 そうすると、これが三十七兆の勘定の中に入っておるわけだ。これは話がよくわからなくなるので、いわゆる債務として残っておるものとは全然別に切り離して考えるのが本当じゃないですか。
  227. 林淳司

    ○林政府委員 例えば二十五兆四千億という長期債務にしましても、これは六十二年度に一挙に支出するわけではございませんで、今後その元利を逐次支払っていくということでございます。そのように国鉄が過去の累積した債務あるいは費用という形で今後において支出を義務づけられておるものについて、六十二年四月の時点で総額に換算したのが三十七兆三千億ということでございます。したがって、先ほどの年金の四兆九千億もそのような位置づけになっておるわけでございます。
  228. 河村勝

    河村委員 これはとてもけりがつきませんから、きょうはこれで終わりましょう、また次にしましょう。終わります。
  229. 三ツ林弥太郎

  230. 梅田勝

    梅田委員 きょうは日航と国鉄の問題につきまして質問さしていただきます。割り当ての時間が三十五分しかございませんので、御答弁の方も簡潔にお願いを申し上げておきます。  去る十月三十一日に発生いたしました日航機の航路逸脱問題でございますが、二年前の大韓航空機撃墜事件を私どもは思い起こしますし、また八月に起こりました日航ジャンボ機の墜落事故で、今日航の安全を軽視した経営第一主義の体質が問われております時期だけに、非常に重大な関心を持っているわけであります。マスコミも非常に大きく報道いたしました。幸い逸脱に気づいて事なきを得たのはいいわけでありますが、多くの人命を預かる航空機関の責任というものは、ひとつ間違えば重大なことになるという点におきまして、再びこのようなことが起こってはならないと思うわけでございまして、そういう点をきちっとおさめていただきたいと思うわけであります。  問題は、再発防止のためにどのように安全対策を強化していくかということでございますが、その点で先ほど来議論が相当行われておりまして、お尋ねしたいことも既に明らかになっている点もございますので、要点を絞ってさらにお伺いしたい点は、防衛庁の緊急通信が聞けていなかったということで電波法違反ではないかということを郵政大臣が言ったという新聞報道もございます。しかし、先ほど聞いておりますと、郵政省の方からお見えの方のお話によりますと、無線局運用規則では必ずしもそのように理解していないということですね。問題は洋上航行ということでありますが、長距離という場合がついているわけなんですね。その場合、必ず緊急無線が入るようにセットしておかなければならないというわけであります。本件の場合は、既にハバロフスクの管制区内に入ってVHFを使っておるという状況のもとにおきましては、必ずしもそこに緊急無線の方にセットを義務づけておるというように省令の方ではなっていないのではなかろうか。それから私ども素人が考えますと、緊急無線というものはそんなものか、聞いても聞かなくてもいいのかなというようにすぐに考えるものであります。新聞も全然聞いていないのはけしからぬじゃないかというようにだっと書きましたから、そのように一般は理解されたと思うのでありますが、専門的に聞いてみると、そうではなさそうだ。しかし、どうもすっきりしないということがございます。なぜならば、一つ間違えば法律違反だなんだかんだといって乗務員は責任を問われなければならないということになるわけでありますし、それからうまくいったからいいものの、うまくいかなかった場合、重大事故に結びついた場合は、これは取り返しがつかないということでありまして、いずれにしても、ここのところは今後どういう扱いにしていくかということが非常に重大な問題だと思うのであります。  日本航空にもお伺いしたいわけでありますが、JALのオペレーションマニュアルというのによりますと「HFが使用されているときは、原則として百二十一・五メガヘルツの周波数をあわせて聴守する。」というように書かれておりますが、これを逆に読みますと、VHFで相手の管制下に入っている場合にはその限りにあらずというようにマニュアル自身がそうなっておるということになりますと、やはりこういう点も今後はっきりすべきものははっきりするというように改善をしなければならないと思うわけでありますが、航空局並びに日航当局はどのようにお考えですか。
  231. 大島士郎

    ○大島政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、本件が起こりました後、防止対策の一環といたしまして、ただいまおっしゃられましたJALのオペレーションマニュアルの一部変更を行っております。現在この変更につきましては、航法上特に注意を要する地域の飛行に際しては百二十一・五メガヘルツを聴守するということで、さらに義務づけを強化したところでございます。
  232. 梅田勝

    梅田委員 それは郵政省の無線局運用規則との関係で詰められた話でございますか。とりあえず日航のマニュアルについてはそのように指示をして改善したということでございますか。
  233. 大島士郎

    ○大島政府委員 とりあえず緊急の措置といたしまして、日本航空からそのような変更の申請がございまして、私ども承認したわけでございます。
  234. 梅田勝

    梅田委員 郵政省にも来ていただいているわけでございますが、今のやりとりを聞いておられまして、先ほどもございましたが、今後この解釈問題につきましてはどのように対処されていくつもりでございますか。今までこのような事例というのはほとんどなかったというように聞いておりますが、その点もあわせて御答弁願いたいと思います。
  235. 金澤薫

    ○金澤説明員 まず、このような事例があったかなかったかという点でございますけれども、過去にこのような事例はございませんでした。  それから、解釈その他の問題でございますけれども、この点につきましては、事実関係を今後詳細に調査しながら運輸省とも協議して最終的な結論を得たいというふうに考えております。
  236. 梅田勝

    梅田委員 航空局長にお伺いいたしますが、先ほども議論がありましたが、いわゆる一部の新聞におきまして、管制官がレーダーを見逃したというように報道されたわけでございますが、日ソ線をレーダーで管制する空域にはなってない、移管する地点からあちら側はソ連がやるのだということで、レーダーでカバーする責任というものを持っていないという御答弁でございましたが、非常に危険な空域でございますので、再発防止というか、万一事故が起こったら困るわけでありますから、あの空域につきましては、日本側においてレーダーでカバーする、常時飛行している時間帯を監視できるような体制はとってもらいたいと私は思うのでございますが、いかがでございましょう。
  237. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほども申し上げたのですが、ソ連の飛行情報区内の航空交通管制の実施の責任はソ連が持っております。したがいまして、日本政府がソ連の区域内の航行についてこれを監視するというシステムそのものは国際民間航空条約の精神にも反しますし、また実行にも適さない、向こうが責任を持って飛行機を誘導すべき区域でございます。そういう意味で私ども責任を持つのはスキッドまでの区域でございます。そこのスキッドにおいて大きなずれがないように今後はチェックするような仕組みを考えてまいりたい、こういうふうに思います。
  238. 梅田勝

    梅田委員 スキッドまでの責任はこちらに当然あるわけでありまして、しかし、先ほど来話を聞いておりますと、相当本州の航空路がふくそうしておりますから、管制官も相当忙しくて位置確認を厳重にやっておるように思えないという点がありますので、特に我が国の分担地域につきましてより厳重にやっていただきたいということを希望しておきたい。  それから、相手側の情報区でございますが、ソ連のDE―VOR、エディンカがここ一年ほど機能してないということを聞いたわけであります。これは事実ですか。
  239. 西村康雄

    ○西村政府委員 エディンカの航路標識はNDBとVORがございますが、このVORにつきましては、ソ連の航空路誌に出ておることは出ておりますが、長期間発信しておりません。
  240. 梅田勝

    梅田委員 手動で行った場合でも方向を見ながら行くわけでございますが、ここの電波が非常に弱いようでございます、いろいろ関係者に聞きますと。それでここのVORが機能してないということもかなり影響を与えているんじゃないかというように感ずるわけでございます。そういう点で相手の責任空域だからこちらは知らぬというのではなくて、それを立派に機能するようにしてもらいたいというような対策を今日までやられたことがあるのでございましょうか。また今後どのようにされるつもりなのか、お伺いしたいと思います。
  241. 西村康雄

    ○西村政府委員 ただいまエディンカにはNDBとVORと両方あるということを申し上げたわけですが、VORは機能しておりませんが、実は長距離の航空路の目標としてやる場合にはNDBの方が到達距離が長うございます。実際にNDBを目がけて飛べば特別な支障はないということで、これまでその点については実際上支障があるという話を聞いておりません。したがいまして、ソ連に対してVORを作動するようにということを申し入れるような考え方も今は持っておりません。
  242. 梅田勝

    梅田委員 その点も、専門的なことは我々も素人でございますからよくわかりませんが、いろいろ各方面意見を聞いてみますと、せっかくのものが機能してないということは問題だという指摘もございましたので、きちっとやっていただきたいと思うわけでございます。  それから、パイロットがミスを犯しては絶対にならぬわけでございますが、そのミスを犯した後の措置ですね、再び同じようなことにならないようにきちっと教育するということが当然必要だと思うわけであります。ともすれば、厳しい処分が優先するということがあって、逆に萎縮していくということもあるわけであります。今回の場合、聞きますと三名の職員が事実上乗務停止ということになっているようでありますが、機長、副操縦士、それから航空機関士、職責がそれぞれ違うと思うのであります。一律に扱うというのは非常に不合理に思うわけでございますが、実際はどうなっているのですか。
  243. 平沢秀雄

    平沢参考人 ただいまの御質問の点でございますけれども、現在三名の乗務員は運航をさせておりませんが、これは私どもはスケジュールオフという措置考えておりまして、何かこういうような事態あるいは事故等がありましたときには、当該乗員はまず私どもがその内容調査いたします間、スケジュールオフということで通常フライトにつけない措置をとっております。これは、一方ではそういうことから受けたであろうショックについても考えまして、十分にフライトについて差し支えない、こういう状態を確認してフライトにつける、さらに例えば技量上の措置が必要でありますれば、そういう措置をとった上で戻す、こういうふうなことをやっております。  それで、一般的に今御質問の処分等につきましては、就業規程にかかわります処分関係では表彰懲戒委員会、技量上の措置につきましては運航乗務員の資格審議委員会あるいはその下部機構としての査定委員会、こういう委員会がございまして、その案件の内容に応じましてそれぞれの委員会審議を行うことになっております。
  244. 梅田勝

    梅田委員 過去にもいろいろ処分を受けた人がいらっしゃると思うのでありますが、大体どのくらいの期間乗務につけないということをやっていますか。
  245. 平沢秀雄

    平沢参考人 これはただいま申し上げましたように、その案件の内容によりまして決まるものでございますので、大変内容はまちまちでございまして、一口にこれぐらいと、こういうふうに申し上げることはできない状態でございます。
  246. 梅田勝

    梅田委員 時間がないので詰められぬわけでございますが、何事も処分をして、そしてさらしものにすれば反省するだろうというようなやり方では、日航がたびたび事故を起こして問題にされているわけでございますが、直らないと私は思うのです。問題は、もっと明るく伸び伸びと意見も言えて、これは間違っているぞと機長でありましても職制であっても自由に言えるような職場の雰囲気、こういうものがつくられなければ、安心して日航の飛行機には乗れないということに世間ではなってくると私は思うのですよ。  八年前にクアラルンプールにおきまして日航のDC8型が着陸に失敗をして大事故を起こしております。そのときにマレーシア民間航空局が事故調査報告を出して、我が国の航空事故調査委員会におきましても、この翻訳したものを配っておられますが、この中に安全勧告というのが最後の方に出てまいりまして、「日本航空は、パイロットが会社規程についての危険な違反を行っている場合は、操縦していないパイロットにその是正を要求できる適切な権限が与えられるよう、運航方式及び会社規程を見直すこと。この方式は、単純にして明快なものにすべきである。」ということが安全項目第四項の中にあるわけです。これはたびたび日航で問題になっております機長については組合活動を禁止している、そして一応管理職ということにして組合に入らせない、このようにしておる弊害が、先般来問題になっております経営第一主義の誤りと結びついて事故を大きくしてきているということでありますので、私はこの際機長の組合活動の自由を奪っておる全く異例な状態を改善すべきであると思うわけでありますが、この点はどのようにお考えでございますか。まず日航から……。
  247. 平沢秀雄

    平沢参考人 ただいまのクアラルンプールの事故調査報告書にかかわります御質問の点でございますけれども、確かにそういう項目がリコメンドされて劣りますが、副操縦士がそういう場合には注意をする、業務に関しましてはオペレーションマニュアルにそういう種類の規定を私どもは入れております。  そこで、しかし機長は管理職という問題があるので、そうはいっても十分に行われないのではないか、こういう御指摘でございますが、私どもは、操縦室における機長、副操縦士、セカンドオフィサーあるいはフライトエンジニアの関係は、それぞれがそれぞれのタスクを持ち、義務を持っております、その上に立って相互に十分なコーディネーションをとって安全運航を行うことが大切である、こういうふうに思っておりますが、その場合に、機長が管理職である、そしてその他の者が組合員であることの影響というものは、実際のコックピットにおけるフライト中のタスク遂行においてはそういう問題は介在し得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  なおかつ、コックピットにおけるコーディネーションという問題、これは近来各航空会社で、非常に大切である、ヒューマンファクターに基づく事故を減らす、それにはやはりコーディネーションの強化が必要である、こういうことでいろいろと新しい訓練のやり方等も開発、実施されておりますが、私どももその種の訓練を現在始めつつあるところでございまして、それだけですべてが片づくとは思いませんけれども、今後いろいろと考えまして、このコックピットにおけるコーディネーションというものがよくなりまして、トータルパフォーマンスが上がる、こういう方向で十分にいろいろ注意をしてやっていきたいというふうに思っております。
  248. 梅田勝

    梅田委員 あなたのそういう考え方だから日航の事故はなくならぬのですよ。全日空を見てみなさいよ。組合は分裂してない。労働組合というものは社会の矛盾に対していろいろ真剣に取り組んで、絶えずその矛盾を原動力にしながら社会を発展させてきた、社会進歩の貴重な推進力なんですよ。それをあなた方はいろいろ不当労働行為をやって組合を分裂させたりして、そして暗い職場をつくっているから、日常的なそういう状態が知らず知らずのうちに仕事の中にも反映していくのです。我々の人間関係というものは、管理者の側はもっと明るい職場をどうつくっていくかということでもっと真剣にならなければだめですよ。  大臣、私は日航に事故が集中しているというのは偶然じゃないと思うのです。いろいろな条件が集まってきて今日のような事故が連続しておる、このように見ていかなければ、いつまでたったって改善できないと思うんですね。ですから、運輸大臣は日航に対して重要な指導責任を持っておられるわけでありますから、先般の大事故にいたしましても、今回の問題にいたしましても、やはり本当を言えば政府が一番責任を感じなければならぬわけですよ。社長を幾ら更迭したって問題は解決しない。私は全取締を更迭しろというぐあいにも言いましたけれども、そこだけでは問題は解決しない。ですから、政府自体が日本航空に対してどういう姿勢で臨んでいくか。これは安全第一、これを背にしながら、そして明るい職場をつくっていくということについて、従来の行き過ぎた労務政策につきましても改めて、機長を自由な組合活動に参加させて、そして大いに機長としての言うべき意見を言わす、こういう場を保証していただきたい。  それから、民間航空機に対するレーダーサービスにつきましても、まだ改善すべき点がありますし、先ほど来申し上げておるように、緊急無線の受信につきましても、ほかの雑音が入ってうるさいからどうしても交信中は絞るという問題もあるし、そういった点を今後どう改善していくか、こういうことについて大臣の所信をお伺いいたしたいと思います。
  249. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどからあなたの御意見を聞いておりますと、私とかなり意見を異にする面があるわけであります。例えば今回のうっかりミスと申しましょうか、これを私最初に聞きましたときに、私は言い知れぬ憤りを感じたわけでございます。それは八月十二日に起きました群馬県における五百二十名のとうとい命をなくしたあの事故とまた違った、いわゆる責任論からいえばむしろ今度の場合の方が重大ではないかとすら私は感じたのでございます。しかるにあなたが今、私は責任がある、重大な責任だと思っておりますが、にもかかわらず、これに対して処罰または処分等の処置をすることは萎縮するからだめだとおっしゃる。そして反面においては重役は全部やめろとおっしゃる。一体どういうお気持ちなのか。あなたのお気持ちが私はわからない面があるわけでございます。もちろん、これは社内の規程に基づいて処分あるいは処罰等がなされるべきことは当然でありますけれども、私はやはりこういうときに、飛行機に対する一つの信頼性というような面から見ると、それを著しく阻害したというだけでも大変な責任がある。そういう面に基づいて社内において適当に処置されるべきであると私は思っております。  次に、機長の管理職の問題でございますが、私は、たまたま日航が機長が管理職であるから、それが今回の事故と結びついたというようなことは全く考えておりません。ただ、機長が管理職がいいのか悪いのかということについてはいろいろ意見があると思います。これは新しい会社の三役を中心とし、また組合の方とよく話し合いながら、さらに今後また検討すべき問題だとは思っておりますけれども、事故と管理職と結びつけるということは全く意味違いだと私は思っております。  むしろそのことよりも、日航の今日までの労使関係、ややもすればどうもぎすぎすしたこの労使関係が、あるいは安全性の追求、安全をさらに高めるためにはどうしたらいいかという意見が対立したりいろいろな問題があったのではないか。そういう面については、お互いに労使の間で話し合うときに、それぞれ心の窓を開いて、もっとざっくばらんに話し合えるようなそんな労使であってもらいたいという意味におきまして、先月二十六日でございましたが、私は四つの組合のそれぞれの代表の方々と親しくお話をし、どうぞひとつ私に対してできることを言ってください、不満の点があれば言ってください、こう言ってお話をしたわけでございまして、今回の日航の最高大事につきましても、この点について私は十分配慮をしたつもりでございますし、今後とも労使の関係が正常化されることは必要であり、例えば労使がいろいろあるから、あるいは日航の体質がいろいろ問題にされているから事故があったとは私は言いたくない。ただ、むしろそういうことを言われる日航の体質は問題であるということを私は申し上げておきたいのであります。  今後とも安全の度合いを高める意味においても、日航の体質を改善するとともに、日航の労使の関係をさらによいものにしていくために、私どもはこれを指導、監督する立場からひとついろいろとまた助言をしてまいりたいと思っております。
  250. 梅田勝

    梅田委員 大臣、時間がないからこれ以上やりませんけれども、労働組合が分裂していくというのは重大事態なんですよ。これは必ず支配介入があるからそういう事態が起こっていくのです。労働組合にも弱点がある場合があります。しかし、大概は支配介入がずっと進んで分裂が起こるものです。それが暗い職場をつくっている。ここの根本の反省がないからいつまでたったって改善されないのです。これだけ申し上げておきます。日航の関係はこれで終わります。  名古屋の新幹線公害問題につきまして、残り時間少ないわけでございますが、質問させていただきます。  御承知のように、四月の名古屋高裁の判決によりまして、国鉄の加害責任と東海道新幹線の欠陥は明確にされております。以来国鉄当局とこの問題の早期全面解決を目指して原告団との協議が行われてきたわけでございますが、今日まで五回やって、近く第六回目の交渉が予定されておりますが、一番重要な環境基準達成のための問題点が詰まっていない、非常に遺憾でございます。  そこで、環境庁は十年前に定めた環境基準の達成状況について調査をいたしておりますが、未達成が非常に多い。最近運輸省に対しまして、音源対策を推進し、当面七十五ホン以下となるよう五年以内をめどに対策を完了するよう要請いたしております。これは現行基準を緩和してやろうということでありますが、五年やって果たして見通しがつくのかどうか。それから騒音とともに振動対策につきましても緊急を要するわけでございます。これは昭和五十一年三月に運輸大臣国鉄に対して勧告をしたわけでございますが、これも達成が非常におくれておるということですね。  ここに名古屋の現地の新聞の中日新聞を持ってきたわけでありますが、十月二十三日の新聞の社説で「環境庁はだれの味方か」ということを書きまして、環境基準を緩めて、今度五カ年の対策をやれと言ったが、しかし、社説の一番最後で「環境庁がやらねばならぬことは環境基準のダウンではなく、新幹線のスピードをダウンさせるよう働きかけることではないか。」というように、音源対策としては幾らやっても、これいろいろ聞きますと、一ホンずつぐらいしか改善されていかない。五カ年間で五ホンなんですね。そうすると、名古屋の問題地域は八十九ホンもあった。この地域に関しては全然対策にはならないわけですね。したがって、現地の方々が、もう本当にこれこそが解決の道だ、これ以外にないとおっしゃっております七キロ区域のスピードダウンに踏み切るべき段階に来ているんじゃないか、私はそのように思いますが、関係の方々の御意見大臣のこの点についての決意をあわせてお伺いしたいと思います。
  251. 岡田宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  第二審の判決がございましてから、先生もお話ございましたように、今日まで五回にわたりまして原告団の方々と誠心誠意話し合いの場を持っているところでございます。その中で、既に幾つか原告の方々の御要望に応じまして前進を見た部分も多々あるというふうに我々としては考えているわけでございます。  今御質問のございました騒音問題、まず第一点でございますが、このたび十月二十一日に、環境庁の大気保全局長から運輸省に対しまして、環境基準の達成について御指示があったわけでございます。この中で、騒音問題につきまして、「住宅が集合する地域において当面七十五ホン以下となるよう努めること。なお、この場合、住宅密集地域が連続する地域においては、早急にその対策に着手し、五年以内を目途に対策を完了するよう努めること。」こういう御指示をいただいているわけでございます。私どもは、名古屋七キロの区間は、この「住宅密集地域が連続する地域においては、早急にその対策に着手しこという区間に当然含まれているというふうに考えておりまして、この御指示を受けまして、五年以内を目途に対策を完了するということで、最大限の努力をしてまいるということでございます。なお、そのような趣旨のことも、今までの五回にわたるお話し合いの中で、私どもとしても申し述べているところでございます。  なお、振動対策の問題につきましては、いわゆる発生源対策といたしましては、レールの重量化でございますとか、バラストマットでございますとか、そういった騒音対策の面におきましても振動対策の面におきましても効果のある対策を既に着手あるいは完了をしている状況にございます。しかしながら、振動の発生源対策は技術的になかなか難しい問題もございますので、いわゆる障害防止対策と申しますか、家屋の移転あるいは家屋の防振工を施すというようなことを御提案申し上げておりまして、名古屋七キロ区域におきましては、それぞれ八〇%以上の達成率を見ているところでございます。なお、この数値は現在までにお申し出のある方々についてはすべて完了しているというような状況でございます。  それから、最後にお話のございました減速の問題についてでございますが、この点につきましては、私どもはこの名古屋の裁判の中におきましては、一審におきましても二審におきましても、名古屋七キロ区間のスピードダウンという問題は必ずや全線に波及をする、全線に波及をするということになりますと、新幹線の到達時分が著しく延びてしまう、それによって新幹線新幹線であるという機能を果たし得ない、そういうことになりますと、高速で、かつ安全であり、安定をした輸送機関であるということで国民生活の中に定着をいたしております新幹線の使命が果たせなくなるということで、減速をすることはできないということは、繰り返し主張してきた点でございます。
  252. 梅田勝

    梅田委員 時間がないから、ずっと詰めるわけにいかぬけど、あなた、十年やってうまくいかなんだんよ。東海道新幹線について十二・五メートル地点では達成率はわずか八%だ。二十五メートル地点では一六%だ。あなた、五年でまた新しい基準値でやりますと言ってもだれも信用しませんよ。現実、大体、やっても一番ひどいところは八十四ホン程度にしかならぬ。しかも分割民営でどんどん進めていく。監理委員会にも来ていただいておるのだけれども分割民営したらだれが責任をとるのかということで、現地の人々は、分割民営には反対だが、現国鉄責任をとってやってもらいたい、早期に全面解決のための話し合いを実らしてもらいたい、このように言っておるわけであります。  大臣、今話し合いをしているわけですから、督励して、この問題は運輸省としても責任があったわけでありますから、早期に決着はつける、工事するなら工事する、その間は徐行するならする、こういうことで現地の人々が納得するように措置をしていただきたい。明確な御答弁をいただきたいと思います。
  253. 山下徳夫

    山下国務大臣 騒音、振動等の公害対策は地域住民の方々にとって重大問題でございますから、基準に従って是正していかなければなりません。ただ、その方法が、ただ単に減速することによって解決するということは、先ほど来答弁がありましたように、著しく新幹線の機能を阻害する、減殺する問題でございます。したがって、発生源対策でこれはまた別途に考慮していかなければならぬということで、この点を今国鉄と十分話し合いを詰めておるところでございます。
  254. 梅田勝

    梅田委員 残念ながら時間が参りましたので、能登線事故の跡がまだ車両がほったままになっておるということ等につきましても、安全対策をきちっとやっていただきたいということを強く要望いたしまして、きょうの私の質問を終わります。      ――――◇―――――
  255. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  大蔵委員会地方行政委員会、文教委員会及び農林水産委員会の各委員会において審査中の国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案、私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について、それぞれ関係委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  256. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、内閣委員会において審査中の許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案について、内閣委員会に連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、両連合審査会の開会日時等につきましては、関係委員長協議の上、決定いたしますので、御了承願いたいと存じます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十七分散会