○
国務大臣(
竹下登君) 赤桐さんに
お答えいたします。
まず、五十九本もの
法律を一括して改正するという問題についての御
質問でございましたが、
総理から詳しく
お答えがございました。が、いわゆる国の
歳出の縮減に資する
措置である、いわば
財政そのものの問題であります。したがって、
大蔵省の持ちますところのいわゆる
予算調整権というものをもちましてこれを御
提出申し上げた次第であります。
それから二番目は、この
重要法案と
参議院の会期末の問題でございますが、これは、
提出は
総理からも申しましたように
予算と同時に一月二十五日に
提出さしていただきました。そのことはやはりこの
法案の持つ重要性を認識しておったからにほかなりません。今日におきましては、ひたすら
参議院の
皆様方の御
審議に対して物すごく期待を持っておる、御
審議に
最大限の協力もしなければならぬという気持ちでいっぱいであります。
それからいわゆる
地方自治体に対する支払いをおくらせておるということに対する御
指摘でございます。
予算は
成立しましたが、本
法律案が
審議中の
段階でございますので、いわば
国会の意思が明らかとなるまでの間は
政府としてはやはり交付決定を差し控えざるを得ないというのが実情でございます。
政府としては
国会の御
審議に
最大限の御協力を申し上げる所存でございますが、また重ねて
お願いするようでございますけれども、何とぞ本
法律案の速やかな
成立を心から
お願いする次第でございます。
次の問題は、いわゆる昨年の
財確法審議に当たって赤桐さんから何度も何度も御
指摘のあった問題が
附帯決議となっておることは私も十分承知しております。したがって、この問題につきましては、中期的
展望を持って
財政運営を
考えていくことが必要であるということは、私もそのように思います。そこで、今回も
財政改革を進めるに当たっての
基本的考え方、そしてさらにその背景となる中期的な
財政事情について、
財政の
中期展望や機械的手法による
仮定計算例を
提出して御
審議の御参考に供しておるという実情でございます。今回
提出した試算は、昨
年度と全く同じ手法による、ここがまた御議論のあるところでございますが、
歳出と歳入の差額を要調整額という形で示しております。これは、一定の仮定のもとではございますが、中期的に見た
財政事情を示す一つのわかりやすい試算であります。これをもとにさまざまな角度から
検討をしていただくためのたたき台となる基礎的な資料であるという認識を持っております。この基礎的な資料につきましては、毎
年度異なる手法を用いるよりも、むしろ同一の手法による方が
継続性の意味で望ましいのではないかと思われます。
五十九年六月の本院における
附帯決議につきましては、その際に私は
大蔵大臣でございましたので御発言申し上げましたように、具体的な
歳出削減計画や、そして
増税計画を策定してお示しすることは困難でございます、決議の
趣旨及び昨年からの
国会での論議を踏まえ何とか半歩でも進んだものをお示しできないか、これを
大蔵省で
検討してみましょうと
お答えをいたしました。しかし、その結果として、やはり昨年と同様、
中期展望や
仮定計算例をお示しすることにとどまった。結果としてそうなりました。
しかし、六十
年度予算編成におきましては、
歳出歳入両面において
財政改革に向けての懸命の
努力を行いますとともに、
税制全般について幅広い角度から
検討を行うことが必要であるとの認識をまず明らかにしましたほか、
歳出面では
補助金の
あり方について抜本的な
見直しを始めることとしておりまして、また、
国債償還財源の充実に資するため、御
指摘のありました
電電株式を
国債整理基金へ三分の二帰属させる等のいわば方向をお示しした。その方向をお示ししたということは、私は半歩にならなくてもいささかの前進と受けとめていただきたいと思うのであります。
このように、私どもとしましても、毎
年度の
予算編成等の過程におきまして、将来の方向を明らかにすべく精いっぱいの
努力を重ねているところであります。要調整額を埋める
具体策については、今後ともこのような
努力を続けていく必要があると
考えております。したがって、現
段階で具体的な方策を示し、それを織り込んだ定量的な試算を作成するのはやはり困難でございます。
いずれにいたしましても、要調整額の解消のためには
歳出歳入両面にわたる種々の
施策の組み合わせが必要であり、それらの中でどのような政策手段の組み合わせを選ぶかは
国民の合意と選択によるべきものでございますが、御
指摘のような半歩なり一歩なり進んだものをお示しするためには、やはりもう少しいろいろな御議論が交わされる中で
国民の合意が那辺にあるかということをいま少し見出す
努力を積み重ねていくことが必要である、このように思います。そのような議論の積み重ねが濃密になればなるほど、
負担するのも
国民、受益者もまた
国民という
観点から次第にコンセンサスが生まれてくるものであるというふうに私は重ねて
お答えせざるを得ません。
さて、
電電株式の
売却につきましては、
株式市場との
関連等を考慮しながら慎重に進めていく必要があります。したがって、実際問題としてあらかじめ
株式売却収入についてこれまた定量的な確たる見通しを織り込むというのは難しい問題であることも御理解を賜りたいと思います。
それからいわゆる税の問題につきましては、
総理から、公平、公正、簡素、選択並びに活力という基本的
観点からのいわば広範な角度から
検討を行うということの
お答えがございました。
国会の議論等を正確に報告して、そして
税制調査会で御議論をしていただきたいというふうに
考えております。
それから
電電株売却の使途につきましては、これは
総理から
お答えがございましたので、私からはこの問題につきましてはこれ以上申し上げることはございませんので省略さしていただきます。
それから国の
負担を
地方に
転嫁することは許されないと。これは行
財政改革推進の見地から、
一般歳出の約四割を占める
補助金等の
整理合理化を積極的に進めることがやはり不可欠の状況にございます。
補助率についても、このような
整理合理化の
一環として、
社会経済情勢の
推移等を踏まえながら
見直しを行う必要がありまして、なかんずく
高率補助率については、その
あり方について問題があって、その
引き下げを図る必要があるとのたびたび御
指摘がございます。現在の極めて国の厳しい
財政状況にかんがみまして、
地方公共団体に対する
高率補助率の
引き下げを行うということで
法律案の御
審議を
お願いするわけでございます。したがって、
財政難を理由にした国の
負担の
地方自治体への
負担転嫁ということではなく、あくまでもこれは分担の問題であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
なお、
引き下げによって生じますところの
地方財政への影響につきましては、
所要の
財政対策を講じまして、いわば
地方財政のマクロな意味における円滑な
運営に
支障を来さないような
措置をとっておるところでございます。
福祉行政の後退ではないか、こういうことでございますが、
総理からも
お答えがございました。いわば最終
段階における給付が変わるわけではございません。そして、申し上げましたとおり、
地方負担の増加額については
所要の
措置を講じたということでございます。したがって、
個々に見た場合、いわゆる
福祉行政の後退であるというふうには理解をしていないところであります。
それから
補助率一律カット、
行革関連特例法一年
延長、いわゆる一年限りの
措置、この御
意見を交えての御
質問でございます。
この問題につきましては、私ども今後また一年かけまして、
補助率の
見直しなどについては、まさに国と
地方の
役割分担そして
費用負担の
あり方、これを
検討する必要があることを踏まえまして、したがって今度の問題は六十
年度におけるいわば
暫定措置ということで
お願いをしておるところでございます。
行革関連特例法との
関係の問題でございますが、この問題は御案内のとおり、言ってみれば五十九年というものを私どもは
赤字公債依存体質からの
脱却の第一義的な
努力目標としておりましたが、これを変更せざるを得なかったわけでございます。したがいまして、この特例法の
対象となっております諸
制度について、累次の
答申等の
指摘も踏まえて、いわば
所要の恒久的
制度改革の実施が逐次予定されるに至っておるところでございます。したがって、六十一
年度以降の取り扱いにつきましては、このような本特例法の使命を踏まえ、その
対象となっておりますそれぞれの
制度の改革実施の
状況等をも見きわめた上での
判断が必要であろうというふうに思っておるところでございます。
それから一律というのは安易過ぎる、荒っぽい、こういうことでございます。
六十
年度においては
補助金の
個々につき全面的な洗い直しをして、
人件費補助等の
見直し、そしてまた廃止、
一般財源化、
統合メニュー化等幅広い
整理合理化を積極的に
推進してきたところであります。
補助率につきましては、これはたびたび
答申で繰り返されております総合的な
見直しの必要が
指摘されておるところでございますが、したがって今回は
社会経済情勢の
推移等を踏まえ、そしてとりわけ二分の一超の
高率補助率について、その
あり方についての問題点も
指摘されておりますことにかんがみて
引き下げるということにしたわけであります。そして、これまた
暫定措置とさしていただいたところであります。
以上で
お答えを終わります。(
拍手)
〔
国務大臣増岡博之君
登壇、
拍手〕