○国務大臣(嶋崎均君) 御質問の点でございますけれ
ども、何しろこの
工場抵当法というのは明治三十八年にできた
法律でございまして、非常に歴史を持っておるわけでございます。しかも当時は製造業というのですか、第二次産業を
中心にしまして事柄を考えて今日に及んでおるわけでございます。そういう中で
法律の全面的な
改正というようなことにつきましていろいろ検討しないわけじゃないんですけれ
ども、なかなか非常に難しい点が多いのだろうと思うんです。というのは、その範囲というものをどういう範囲のものにするか、すなわち製造業以外のところにどれだけふやしていかなければならないのかというような事柄も問題でしょうし、それからそういうことを処理していく場合に、どういう財団組織というものを考えて事柄を対処しなければならぬかというようなことも詰めなければならぬというような問題もあるわけでございまして、そんな意味で、やはり
改正をするとするならば相当しっかり念の入った検討をしなければならぬのだろうというふうに思うのでございます。
今問題になっているこの
有線テレビの問題を考えてみましても、そういう背景の中から事柄を考えていきますと、この
施設というのは、先ほど御質問にもありましたように、ある
程度一定の状態における、すなわちある
程度電柱を借りたり何かしなければならぬ
施設、そういうものを借りているし、そういう一定の
状況に配置された配線設備が非常に大きな価値を持っている。そういうようなことをまず念頭に置いていきますと、そういう一定の状態にあるということが非常にこの問題の処理というものを難しくしているのじゃないか。かつまた、この
許可を受けるにつきまして郵政大臣の認可を受けなければならぬというような条件も一つかかっておるので、それをあらかじめ先に判断をするということもなかなか難しかろうというような問題もありましょう。かつまた、先ほ
ども申しましたように、そういう
施設をするときにはそれぞれ電電会社なり、あるいは
電力会社なりの
電柱との私的な契約というようなこともかかっておる。そういうことをいろいろ考えてみますと、その
部分だけ取り出して議論をするというのは、そういう全体的な背景の中で考えていくということはなかなか難しいことじゃないか。
しかし、考えてみますと、やはり我々が頭の中で考えている以上に時代は変化しておるわけでございまして、どうしてもやっぱりこういうものにつきまして何か
工場抵当というものを設けなければならぬというような強力なお気持ちがあり、またそういうことを背景に、政府関係の機関からも
融資を受けるような対処をとってこられたというようなことを考えてみますと、そういう抜本的な
改正より、これだけ急いで法案が出てきているわけでございますから、さきの
放送法の政正の場合に準じて事柄を判断したらいいのではないか。また考え方によっては非常に難しい問題があるかもしれませんけれ
ども、結果的には裏づけは
金融で処理をする形になるわけですから、そういう過程を通ずることによってある
程度適正な価格というか、
工場抵当法の財団としての価値というのですか、そういうものが認定されていくというような事柄も考えられるではないか。そうなれば、ここで議員立法で処理していただくというのが一番適当な方法であるかもしれない。そういうぐあいな判断をいたしまして、この法案を提出されることについては異議がありませんということを申しておるわけでございますし、そういうことで、何というか、
法律が出ていくということについて我々は反対をしてないというのが実態であります。
ただ、全体的な政正ということになりますと、先ほど来るる申し上げましたように、相当長い歴史を持ち、しかもその中で十二分にいろいろな配慮をして検討しなければならぬ、そういう意味では今後層一層幅広い慎重な検討というものをこの問題には考えていかなければならぬというようなことを考えますと、そちらの方はなかなか難しかろうというふうに思っておる次第でございます。