○粕谷照美君 しかし、一〇%になってないわけなんですね。一割にも達していないというところに私は、
文部大臣がおっしゃった言葉を具体的に事務局の方で実践をするという姿勢がないということを
批判をしたいと思います。
さて、今
文部大臣が婦人
教師が増大しているけれ
ども、立派にやっているという言葉はお伺いできませんでしたけれ
ども、きちんと仕事をしているということの
意味を含めた御回答がありましたので安心しているんですが、例えば結婚しながら、
子供を持ちながら働いている、そういう婦人
教師が非常に多い。そういう条件をつくるものは一体何かといえば、
一つには、育児休業という制度をつくって、そして安心して本人も休める、そして学校の方もその間かわりの
先生が入って安心して
子供たちもいい条件のもとに
教育が受けられるという、こういう幾つかの制度を私は
文部行政はやってきたというふうに思います。ところが
臨教審のメンバーの中に女
教師を廃止せよということを堂々と公言をしていらっしゃる、本に書いていらっしゃる方がいるわけでございます。先ほど
久保理事からの質問に対して、
文部大臣は
男女共学は守っていきますと、こういうふうにおっしゃいましたので安心しておりますが、同じその方が
男女共学を廃止せよと書いていらっしゃるわけですね。なぜこんな人をわざわざ
臨教審の正
委員に入れているのか。私は
総理の
考え方自身がわからないというよりも、もう不信感でいっぱいなんですね。
具体的に言えば「現代」にあります。渡部昇一さん、上智大学教授でありますね。この方は塾も学校にした方がいいんだなどというようなことを書いてもいらっしゃいます、同じ「現代」に。さっきの
香山さんの話ではありませんが、
文部省の硬直した姿勢を直すには物すごい圧力をかけて、そうして若干直すというこういう目標を持った発言と考えても、私は非常に問題がある人だというふうに思います。
どんなことを言っているかといいますと、例えば「学科を女の
先生に習いたいという気持が親や子にあるだろうか。」、それから
自分自身の体験で言えば、あるいは
自分の「身近に知っているいろいろな家庭の例でまとめると、女の
先生はいい
先生も困った
先生もいた一方、男の
先生の場合、
子供から見て悪い
先生はいなかった、」などということを書いているのですね。私なんかもう顔を見るのも嫌だ、廊下の向こうにその
先生が顔を出しただけで身の毛がよじられるような思いをした男の
先生いらっしゃるのですけれ
ども、男の人から見るとこういうようなことを思うものかなというふうなことを考えているのですね。「産休・生理休その他で労働量が男の
先生よりずっと少なくとも、賃金は男女完全同一で平等である。」というふうなことを書いていますね。何よりも恐ろしいと思うものは、「
子供の間の秩序感覚の崩壊が、ガキ大将もつくれないような男の子、ある日突然親を殴るような
子供をつくるということにつながっているらしいことである。」——「らしいことである。」というふうに逃げていらっしゃる。この辺は非常に巧妙な逃げ方だというふうに思いますが、こういう人をなぜわざわざ選んで
臨教審メンバーにするのか。しかも
文部大臣のお言葉によれば、国連婦人の最後の年で女性の地位を向上しなきゃならないというときに、こういう方を出してくるのかということについて、私は非常に不満を持っております。
それから、
男女共学についてこの方はどういうことを言っているかといいますと、思春期には男と女は別にした方がよろしいのだ。「もし
男女共学を学問と矛盾しない形でやりたいならば、女の子は六歳、男の子は八歳で就学させなければおかしい。」と、こういう何が科学的なのか知りませんけれ
ども、堂々と書いているわけですね。大体この時期に男女を一緒にすると「互いに対するロマンチックな感情が育ちにくいのである。」なんと言ってね、小学校三年、四年からもう分けた方がよろしいなんということを言っているわけですが、これは
教育基本法から言うと、どういう判断をしたらよろしいのですかね。
文部大臣のさっきの御答弁では
男女共学だと、こうおっしゃるのです。よりもよって何でこんな人を
臨教審メンバーに出したのですか。大変不満を持っているのです。しかもそういうことをしていくと、比較が嫌らしいですね。雄と雌のゴリラを一緒に育てた例が、ある動物園であった。雌の方が早く生まれたので力が強かった。雌ゴリラが雄ゴリラをいじめたので成長した雄ゴリラはもうだめだったと、こういうことを書いているわけですね。売文としては売れるかもしれませんが、しかし、まじめな
教育を
審議しようというときにこんな人をわざわざ正
委員に出してくるということについて、私は非常に憤りにたえないわけであります。それはまた別といたしまして、先ほどの
男女共学の問題で
久保理事も触れられましたけれ
ども、日経連が労働問題
研究委員会の報告を出しておりますね。この中に家庭
教育の中で離婚の増加傾向を憂えてこういうことを言っております。我々は男女雇用
機会均等法案の
審議過程において何回かの児童福祉のことを頭に置くように要望してきた。この
法律の施行後離婚が増加し、児童に不幸をもたらすというようなことが起こらないことを切望せざるを得ない。離婚がまるで女だけに原因があるような報告を日経連が出しているということについて、私は非常に問題があるというふうに思います。
先ほど
久保理事が触れられたのは、「二十一世紀に向けて
教育を考える」という題のもとに財界の
調査機関である日本経済
調査協議会が三月の二十五日に発表したものであります。この中に、岡本
臨教審会長、石川
会長代理、それから木田宏専門
委員ですね。それからそういう
臨教審関係が七人も入っていらっしゃる。そして、官界のOBも含めて二十五人。三年がかりで出したというにしてはちょっとお粗末ではないかと思いますが、男女の知的、肉体的発達
段階に即し、中等
教育での
男女共学の
あり方の再
検討が必要だと、こう言っているわけです。
教育における家庭の
役割の項では、
教育における母と子のきずな、母親の
役割は、生物学的に見ても
教育上からも軽視ができない。母親となる女性には母親としての教養、知識が必要であり、これを母親になる前段で施すことが必要だ。そしてまた、外で働くことこそ女性の自己
表現と満足するのは早計だというふうに言いまして、女性の社会進出に対する疑問が出されております。財界の
意見というのは非常に大きく労働行政にも、またこの
文教行政にも私は影響してるというふうに思っておりますので、こんなことを財界が言うということは気になってならないんですね。
文部大臣は、先ほどおっしゃったような
意味で
教育基本法の
男女共学を守っていらっしゃる。そして、女性が社会進出がちゃんとできるような条件を
文教行政の中でやっていくということを、こういう私の今報告をいたしましたようなことを聞きながらもまたお考えでいらっしゃいますか。お考えは変わりませんか。その辺はいかがですか。