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1985-06-20 第102回国会 参議院 農林水産委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  六月十二日     辞任         補欠選任      小野  明君     稲村 稔夫君      大森  昭君     菅野 久光君  六月十八日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     田代由紀男君      水谷  力君     前島英三郎君  六月十九日     辞任         補欠選任      田代由紀男君     岩崎 純三君      前島英三郎君     水谷  力君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北  修二君     理 事                 高木 正明君                 谷川 寛三君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 岩崎 純三君                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 山田  譲君                 塩出 啓典君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤 守良君    政府委員        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産大臣官        房総務審議官   眞木 秀郎君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        農林水産省構造        改善局長     井上 喜一君        農林水産省農蚕        園芸局長     関谷 俊作君        農林水産省畜産        局長       野明 宏至君        農林水産省食品        流通局長     塚田  実君        農林水産技術会        議事務局長    櫛渕 欽也君        食糧庁長官    石川  弘君        林野庁長官    田中 恒寿君        水産庁長官    佐野 宏哉君        水産庁次長    斉藤 達夫君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        大蔵省主計局主        計官       竹内 克伸君        建設省住宅局民        間住宅課長    鹿島 尚武君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (当面の農林水産行政に関する件) ○蚕糸業緊急対策に関する請願(第二二九号) ○国内農産物自給率向上等に関する請願(第二一五七号外三件) ○畜産物輸入抑制並びに畜産経営改善生産振興対策及び価格安定対策の推進に関する請願(第三〇六七号) ○新潟食糧事務所小千谷支所及び塩沢支所の存置に関する請願(第三五四八号) ○農業・農村の振興食糧自給力向上等に関する請願(第三六六五号) ○農業者年金制度拡充強化に関する請願(第三九九九号) ○農林年金制度抜本改悪に反対し、その充実改善に関する請願(第七二八二号外一件) ○米作と食糧安定供給等に関する請願(第七八九一号外二件) ○国内農業の保護に関する請願(第七八九二号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     ─────────────
  2. 北修二

    委員長北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、きょうは、米価審議会も七月早々に開かれるやに伝えられておりますし、そうした中で特にことしの六十年産米米価に大きな関心を持っておりますので米の問題をぜひお聞きをしたい、このように思いますし、またこれは農産物の市場開放問題とも私は全然無縁でないというふうに思いますし、それだけに、今の関心事になっております市場開放問題と、二点に絞ってお伺いをしたいというふうに思っております。    〔委員長退席理事谷川寛三君着席〕 ただ、私とあと同僚委員とで大体一時間の枠の中で、私が大体四十分ぐらいでいろいろとお聞きをしたいということになりますので、できるだけ私の方も簡潔に伺いたいと思いますし、お答えの方も簡潔にしていただいて深めることができれば大変ありがたい、このように思っておりますので、どうぞひとつよろしくお願いをしたいと存じます。  そこで最初に、ことしの米の需給見通しというようなものについて理解を深めたいというふうに思います。最初に、現在の米の在庫水準について、どのようになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。これは五十九年産米、それから五十八年以前産米、韓国米、こういうようなことでお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  4. 石川弘

    政府委員石川弘君) 六十年三月末で申し上げますと、政府管理米、これは政府米自主流通米でございますが、この在庫が約三百九十万トンでございます。それから五十八年以前産米は、五十三年以前に起きました例の臭素汚染した米、これ以外は持っておりません。この臭素汚染のあります米が約十一万トンでございます。それから韓国から返還されました米でなお在庫しておりますものが、三月末現在約二万トンでございます。それから他用途米は、これはこちらが持ちませんで指定法人が持っているわけでございますが、三月末現在で約十五万トン程度と見込まれております。  以上でございます。
  5. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 三月末現在で五十九年産米三百九十万トン、それで、あとそれ以外の米は主食用としてはもうないということですね。そうするとその中で五十九年産米のこれからの見通しというのについて伺いたいんですが、その前に、五十三年産米が十一万トン、これは例の五〇ppm以上のものということですね。これの処置はどういうふうに決まりましたでしょうか。
  6. 石川弘

    政府委員石川弘君) 五〇ppm以上のものにつきましてはこれは食用に充てることができませんので、今現在でも処分ができますものは合板の接着剤とか、それからえさと申しましてもミンクのえさのような、できましたものが人の口に入らぬもの、こういうものに総計一万五千トンぐらい処理をいたしましたが、その後のものにつきましては、現在新たな処理といいますか、安全性確認された上で処理のできる用途としましてえさ用とそれからアルコール原料用というようなことで蒸留アルコールでございますが、現在試験をいたしておりまして、その利用が安全であるという確認を得ました段階でそのような形で処理をする予定でございます。
  7. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 五十三年産米については、今、長官のお答えいただいたように、食糧としてたとえ家畜であっても人間の口に入るというもの、間接的に入るという形になる場合には十分に留意をしながら間違いのない処置の仕方を考えていただきたい、このように思います。  同時に、これの今後の見通しということになりますと、今のお話では大体一万五千トンくらいしか今までの処置ができてないわけですね。これから先まだ十一万トンの在庫をはくとなると容易なことではないと思うんですけれども、これは財政的処置とも絡んでくるのでありましょうけれども、民間の企業でいけば、言ってみればこれはもうそれこそ欠損処分にするかどうかというようなことを迫られてくるような、そういうものだと思うんでありますが、その辺は見通しは何かあるんでしょうか。
  8. 石川弘

    政府委員石川弘君) そういう財政上の問題もございますので、安全性というものが確認された上で処分ができる方法としまして、蒸留アルコール用ないしえさ用ということを試験中でございます。これが安全性確認されますれば、今のようなテンポを上回りますテンポ処理ができるわけでございます。
  9. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ちょっと気になるんです。安全性確認されればということは、要するに、じゃ五〇ppm以上あるけれども、どこかの何かの機関が安全だというふうに出せばそれはえさ程度には回す、こういう意味ですか。
  10. 石川弘

    政府委員石川弘君) 例えば今蒸留アルコールのことで申しましたが、これは蒸留いたしますと臭素そのものはほとんどなくなるわけでございますが、その他の成分の残留がどうだというようなことを試験しております。それから、えさ用の場合は混合の仕方なり、どんなものなら使えるか、例えばいきなりやりまして卵にすぐ出てくるというのはまずいわけでございますけれども肥育段階のある種の家畜とか、そういうことが過去においても試験のデータがあるわけでございますが、そういうものを試験をしながら、一方、厚生省にそういうものの使い方について相談をしているわけでございます。
  11. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 厚生省相談をされてどういうふうな決め方をされるか、それはわかりませんが、そうするとこれは一連の経過があったことでございますから、その方向をお決めになったときはぜひまた御報告をいただきたい。これはやはり大きな国民関心事でもありますから、そのことは要望しておきたいと思います。  それでは次に、五十九年産米、これからの見通しということになるわけでありますが、今度の米穀年度末の状況というのは大体どのように見通しておられましょうか。
  12. 石川弘

    政府委員石川弘君) 三月に策定しました「昭和六〇米穀年度政府管理米見通し」の「需要及び供給」のところでございますが、五十九年産米集荷量を八百二十万トンから八百五十万トンぐらい見込んでおりまして、それに新米売却復元等を五十万トン三角と考えておりまして、そういう計算でまいりますと、需要量を七百三十万トンないし七百四十万トンと見ました場合に、十月末の政府管理米在庫を四十万トンないし六十万トンと見込んでおるわけでございます。  現状で申しますと、集荷がいささかこの水準より今のところ低うございますが、これにつきましては農業団体等それから集荷団体も、特にせっかく豊作でありながら集荷目標までいってないところがある。結局は、予約限度超過米を集められないようなところだとか、あるいは予約限度にまで到達してないところというようなことがございますので、ことしは特別集荷ということを今図っております。そういうものの結果を見まして、だんだん集荷がこの時点に達してくるんではなかろうか。  それからもう一つ、これはやはり六十年産米の米のできというようなことが、農家がそういうお米を出すか出さぬかということにも大いに絡むと思いますので、そういう時期まで慎重な配慮をしながらやってまいりますけれども、いずれにいたしましても、これは計算上は新米早食いを五十万トンもとへ戻すという計画のもとにやっていることでございますから、奥行きの問題としては昨年に比べましてはるかに余裕のある形でございます。
  13. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 昨年のことをちょっと確認をしておきたいんですが、集荷について若干予想どおりにいかなかったという面がございました。これは結局最後まで集荷ができなかったんでしょうか、不足だった分。
  14. 石川弘

    政府委員石川弘君) 集荷は昨年も当初の目標を達成できませんでしたけれども、ことしの集荷の問題は、作自身は大変いいわけでございます、一〇八という大豊作でございますから。作自身に問題があるんではなくて、率直に申しますと、やはり集荷の仕方にどうも余り力が入っていない部分もあるんではないか、一定のところまで行ってしまいますともう特別の努力がされない。私どもそういうことでは、例えばかねて問題になっておりますような不正規集荷問題等もございますので、集荷団体、これは主力は農協でございますけれども、それと商系集荷団体に、こういう条件のもとでも集めにくいということでは大変問題であるということでいろいろ働きかけをいたしました結果、両団体とも、本年は特別集荷という形でいろいろな運動を展開しているわけでございます。
  15. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 集荷計画どおりいくようにいろいろな形で御努力をいただいて、そこのところは間違いのない確保をしていただきたいというふうに思うわけであります。これは、これからまたお聞きをしたいと思っている備蓄の問題ともかかわってまいります。ぜひそうお願いをしたいというふうに思います。  そこで、今度韓国米それから他用途利用米、要するに工業用原料米ということに相なるわけでありますけれども、これは三月末現在で合計すると十七万トンぐらいになるわけです。それで、ことしはこれでほぼ需要は満たすということになりましょうか、それとも少しまた在庫を持ち越すということになりましょうか。
  16. 石川弘

    政府委員石川弘君) 量といたしまして何か非常に余裕があるという感じでは別にございませんけれども、私ども考えております水準として不足するというような事態ではない。したがいまして、六十年産の他用途米が順調に生産をされてまいりますれば、これは今のところ二十七万トンを目標にいたしておりますが、今申し込まれました数字はこれを若干上回っておりますが、そういうものがあれば適切につなげる水準ではなかろうかと思っております。
  17. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 大体、需給については、ほぼ大まかな見当を私なりに聞かせていただいたように思います。  そこで次に、国会決議等にもございますけれども備蓄ということがやはり国民食糧の安定的な確保という観点から大事な課題になるわけでありますが、この備蓄はことしの計画でいきますと四十五万トンから五十万トンくらいの在庫積み増しをするというような形になっているわけでありますが、これは予定どおり積み増しができそうでしょうか。もう一度確認になって申しわけありません。
  18. 石川弘

    政府委員石川弘君) 四十五万トンというのは、御承知のようにある程度目標でございます。私どもこれを上回るか下回るかというのはこれからのいろんな動きだと思いますが、一つは、御承知のように、ことしの状況はどちらかといいますと、私ども感じでは農家保有がまだかなりあるような状態のもとで需給が推移していると実は思っておるわけでございますが、豊作というような事態になりますと、そういうものが出てくるスピードが速くなりますと、政府管理米がなかなか売りにくくなるような条件ができますとふえるように働くと思います。それからその逆の状態考えますと、マイナスに働くような要因もあろうかと思います。  それからもう一つ考えられますのは、政府管理をしております米の中でも良質の自主流通米が、どちらかと申しますとオーバーと申しますか、若干荷もたれぎみでございますので、そういうものが結果として残る。といいますのは、米の需要の問題として、そういうものより政府が直接持っております米を需要者サイドが非常に強く要望するというようなことになりますと、これはもう少しそういうものが少なくなるというように働きますが、いずれにしましても、申し上げたいのは、何トンという水準を今申し上げることはできませんが、昨年のようなすれすれということは全くございませんので、ある程度余裕を持って、それがいわば備蓄用に回るということは十分考えられます。
  19. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 一部マスコミ等では、ことしの備蓄期末在庫というのは四十万トンはとても無理ではないだろうかというような見方をしているものも出てきているわけであります。今、長官も言われましたように、去年のようなことというのはこれはもう今後絶対あってもらっては困るわけであります。私はここのところの約十年間ぐらいの単収の動きをずっと見てまいりますと、収量についてはかなり不安定でして、最高のときと最低のときというのは大体単収にして百キロぐらいの差があります。こういうことになるわけですが、そうすると一キロ違うとどのくらい増減は違いましょうか、おわかりになりますか。
  20. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今の規模が一千百万トン前後の規模でございますから、それが四百数十キロの一キロでございますから、五十分の一と考えますれば、二、三十万トンはすぐ違うわけでございます。——失礼しました。五百分の一でございます。一キロでございますと五百分の一でございますから、二万トン前後でございます。
  21. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 局長の御答弁で私は今ちょっと目を丸くしていたんでありますけれども、どの数字を見て推計するかによってそれは幅はいろいろと出てきますから、数字を正確にということは私はわからないと思いますけれども、いずれにしても一キロの違いでそれこそ数万トン、四万、五万なんていかないわずかな数量の動きですが、豊作のときと凶作のときと、凶作という言葉はあれかもしれませんが、最低最高の間が単収にして百キロあるということになりますと、そうするとそれこそ二十キロ、三十キロの差というのはしょっちゅう出ることです。  それから、極端なことを言えば、これからの天候が非常に悪いということになると、また最低のクラスになることだってあり得るということになります。そうすると、最高の収穫があったときに最大限備蓄というのは確保していく、こういう努力がされなければならないというふうに思うわけでありまして、そういう点では、一つには、私は今までの四十五万トンぐらいずつの積み増し計画というようなことに対しても若干疑問がありますが、できればできただけ、できた年にはもう最大限積み増しをすべきでありましょう。そういう中で、一定水準ができたらそこから先のことは計画的に少し考えていくという形をとるべきでありましょうと、こう思うわけであります。  それからもう一つは、備蓄についての考え方というものは、私はこれこそまさに食管制度というものがあってこそできる仕事だというふうに思います。よくこのごろは食管制度が崩れるんじゃないかという心配もされるわけでありますけれども、この点、長官は、その辺は絶対やらないというふうにお考えになっていると思いますけれども、一応やっぱり心配になりますので、念を押しておきたいと思います。
  22. 石川弘

    政府委員石川弘君) 食糧管理制度、これは私どもが米を管理している基本でございますし、生産者にとりましては安定的に生産をしましたものが買い入れられる、消費者にとっては安定的に家計を考えられるような価格で売れるという制度でございますから、この基本は絶対守っていきたいと思っております。
  23. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうしてそういう備蓄確保していくためには、私は減反政策というものがやっぱり問題になるんじゃないかというふうに思うんですよね。例えば去年ああいう状態だったんですが、そうするとここで最大限備蓄をしましょう、一定目標数字に達するまではそこでもって生産調整などということはお考えにならないで、極端な言い方ですけれども、言ってみればできるだけつくって水準を一たん確保する、これで安心だから今後のことに対してそれから計画的に対処しましょうと、こういうふうにいくべきではないかというふうに考えていますけれども、第三期の方ももうあと一年ですか、そういうことになるわけでありますけれども、これは生産調整についてはまた今後も考えていこうということなんでありましょうか。
  24. 関谷俊作

    政府委員関谷俊作君) 基本的には、全体としましては、日本の水田で米をいわゆるいっぱいつくりますと千三百万トン台の生産能力があるわけでございますし、需要の方は一千万トン前後ということになりますと、やはり基本としては生産調整が必要である。ただ、非常にきめ細かく当面の需給、今御議論になりましたような需給を前提にしまして、例えば六十一年の場合にどういうふうにするか、こういうことについては、ことしの米の作況なり何なりを見まして、第三期対策六十万ヘクタール、昨年末に軽減しまして今五十七万四千ヘクタールというふうになっていますが、この数字でいくかどうか、この辺は極めて慎重に考えなければいけない、かように思っておりますし、今、先生御指摘になりました点もございますけれども、同時に転作の方もできるだけ安定的に面積をおろしてほしい、こういう要請もございますので、諸般の情勢考えまして十分検討したいと思っております。
  25. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 安定的におろしてほしいというのは、やらなきゃならないというふうに覚悟すればいろいろとしょっちゅう変動されたんじゃ困る、こういうことがありますので、本当はやってほしくないというのが皆さんの気持ちなんですから、そこのところはひとつちゃんと理解をしておいてもらいたいと思います。ここのところは、今後の問題としてこれからまた出てくるんでありましょうからこの程度にさせていただきますけれども、要は、備蓄もきちっとして心配のない供給体制というものを確立をしていただきたい、こういうふうに要望をしておきたいと思います。  そこで、米価審議会も近いわけですが、それではことしの米価についてはどのようにお考えになっているんだろうかということを、米価審議会の前だからなかなか詳しい具体的なことは言えませんということなのかもしれませんけれども新聞等ではもう既に据え置き諮問であるとか、いや良質米奨励金圧縮方向であるとかというようなことがいろいろと報ぜられているんですけれども、この辺についてはいかがでございましょうか。
  26. 石川弘

    政府委員石川弘君) 昨日の米価審議会で麦に関する御答申をいただいたばかりでございますから、私どもは作業はもちろんいたしておりますけれども、決めたとか、こうするとかということはまだやってないわけでございます。よく一般論としてお聞きになられますこととして、下がるとかなんとかというのはどうかということはございますけれども、私どもごく一般論として申し上げておることといたしましては、それは先生もよく御承知のように、算定方式生産費所得補償方式という方式は決まっておりますので、三年平均を出します場合、比較的作の悪かった五十六年という数字が抜けまして、非常に豊作でございました五十九年の数字と入れかわるという、そういう事情を一般論として言いますれば、算術といいますか、算術の上では三角が出る可能性が多いというふうな話が、何か下げるのに決めるとかなんとかということで出るわけでございます。  私どもは、そういう一般論のほかに、もちろん今置かれていますいろんな諸情勢に応じて数字その他検証しているわけですから、私どもがどうするというのはもっと時間をかけまして、そういう具体的な数字、特に各種の費用等につきましては、御承知のように五月の数字を使いながら計算をするわけでございますので、そういうものを当てはめた上で、さらにそういう数字と、あの法律にも書いてありますような諸条件を加味して、我々としての政府案をつくっていきたいと思っております。
  27. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 まだそういうことで計数的には出てないものもいろいろとあるという話なんであります。また生産費調査等もそのうちに公表されると思いますけれども、この点については、特に生産費については、特に平均収等とり方等について、またいろいろと私の方も算術について勉強してみたいというふうに思いますので、これが決まりましたらぜひ資料をいただきたいというふうに思います。  そこで大臣、局長はそういうふうに言っておられるんですけれども、新聞に載るというのは、よく昔からのことわざで、火のないところには煙は立たぬということわざもあるわけでありますけれども、これは新聞、マスコミが勝手に当てずっぽう、推量でということになるんでしょうか。いろいろと今まで報ぜられている米価据え置きとか、あるいは良質米奨励金圧縮とかというのは、その辺、大臣としてはどういう姿勢で臨んでおられるか。そして、報ぜられていることについては大臣としてはどう考えておられるか。
  28. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 稲村先生にお答えいたします。  今の局長の言ったとおりでございまして、新聞にも出ておりますが、まだ何も決めておりません。それで、実は恐らく昨年の生産費所得補償方式でいろいろ計算すれば、あの数字で入れれば米価は引き下がるというようなことを言う人がございまして、そういう形の中に、実は食管法の再生産を旨としてという言葉、それからまた農家の皆さん方の意欲をそぐようなことをしちゃいかぬと、そんなことがそんな記事になっているんじゃないかと思います。  そんなことで、いろいろな作業はしていると思います。私も実は長官から聞いてないんですが、何も決めておりませんと。そして、先ほど長官の言ったとおりでございますが、食糧管理法の規定に従いまして、物価その他の経済事情を配慮しながら再生産を旨として米価審議会の意見を聞きまして適正に決定いたしたい。また、自主流通米につきましては、これは自主流通制度の今後の取り扱いにつきましては、自主流通制度の健全な発展を図る立場を堅持しながら、自主流通米の流通実態を踏まえ、その縮減合理化につきましては現在実は検討を行っているところでございます。
  29. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そういうお答えしか今の段階ではできないんだろうと思いますけれども、もう一つ念を押しておきたいんですが、米価審議会はそうすると大体いつになるというふうにお考えになっておりますか。
  30. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 米価審議会につきましては、実は今、長官のもとでいろいろなことを考慮しながら、特に米審委員先生方の日程を聞いておる最中でございます。そんなことで六月二十六日の前広米審はいたしたい、その後につきましては現在鋭意折衝中と理解しております。そういうところでございます。
  31. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、前広だけは決めているけれどもあとの本米審はまだ未定だということですか。  そこで、大蔵省おいでいただいておりますか。——今、農林水産省に米価のことを伺っていたんですけれども、随分早々と農林水産省のあれが伝わる前に、大蔵省の方がことしの米価については引き下げを主張しているとかなんとかという新聞記事が載ったりいたしまして、大蔵省が米価について何かのコメントを出されるというのはどういう観点からされたんだろうか、こんなふうに思います。まず、その点をお聞きしたいと思います。
  32. 竹内克伸

    説明員(竹内克伸君) 先ほど長官からも御説明がございましたように、まだデータがそろってないわけでございますから、具体的にどうこうという段階にないわけでございますが、新聞等に出ておりますのは、恐らく長官のお話ございましたように、五十六年の不作のデータが落ちて昨年の豊作のデータが入ることから算定上はマイナスになる可能性が強いのじゃなかろうか、そういう観測記事が出ているわけでございますが、具体的にどういうふうにこの問題を扱っていくかという点につきましては、私どもとしましても今はどうこうというふうに考えているわけではございませんで、これから農水省が検討される過程で私どももよく相談してまいりたい、そういうふうに思っております。
  33. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、これは具体的に発表されたことはない、コメントされたことはない、こういうことのようですけれども、米というのは食管会計等もございますし、そういう中で米価というものについて財政当局なりの何か物差しというのをお持ちになってそれに対応される、こういうことになるんでしょうか。それとも農林水産省から申告というのでしょうか、財政的にあれやこれや必要だからという要望があったらその要望に従ってお決めになる、こういうことになるのでしょうか。
  34. 竹内克伸

    説明員(竹内克伸君) 財政当局として、こういう物差しというふうなことはあるべきではないと思います。食管法の趣旨に沿ってどう扱うかということを農水省で御検討される過程で、私どもも十分よく相談してまいりたいということでございます。
  35. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、これは大臣にぜひ要望しておきたいんですが、大蔵省の方は、農林水産省が主体的にお決めになるということについては、財政的にはこれはちゃんと食管法に基づいてのことということで処置をしなきゃならぬ、こういうお立場のようでありますから、そこのところは今度は農林水産省の主体性をきちんとさしていただいて、大いにきちんとした米価水準の維持をしていただくというために御努力をいただきたい、こんなふうに要望しておきたいと思います。  そこで、さらに大蔵省にお伺いをしたいんでありますけれども、実はここのところ、米価とそのほかのいろいろな計数等を見てまいりますと、前年対比とかなんとかというと短いやつはいろいろとありますけれども、やはり一定の評価をしようと思うと長いスパンで見なければなりません。大体五十年ごろからの十年以内くらいのところを見てまいりますと、例えば米価は五十年と五十八年と比較しますと、生産者の手取り米価というのは大体一・一七倍くらいになっています。ところが、これに対して、例えば労働者の賃金でも一・六八倍くらいになっていますということでありますけれども、それに生産費の方もみんな一・八倍とかなんかですね。そういうように上がっている。  この辺のことはもちろんあれなんですけれども、特に財政当局に伺いたいと思いますのは、農家の一戸当たりの税金ですよね。これは国税でも二・七倍以上、約二・八倍くらいなんですよ。市町村民税、都道府県税全部平均をいたしまして二・六倍くらいになっているんです、税金が。そうすると、支払う方は一・一七倍で、取る方は二・八倍というのはどうも不自然な姿だと思うんですけれども財政当局としてこういう現象に対してはどうお思いになりますか。
  36. 竹内克伸

    説明員(竹内克伸君) 税金の方の担当は私は直接しておりませんので、いささか私がお答え申し上げるのは不適切かなと思いますが、今の具体的な数字につきましてちょっと手元にもございませんし、それをどう考えたらいいのかという点についても、ちょっと今直ちには担当しておりませんので思いつきませんが、農業関係の税金についてもいろんな議論がございますので、何倍何倍という、何割アップというのを単純に比較しただけで考えていいのかどうかというふうにも思いますが、いずれにしても、直接担当しておりませんので、私から申し上げるのは差し控えさせていただきます。
  37. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私の時間がなくなってきてしまいましたが、この問題で本当はもっとお聞きしたいのですよ。というのは、一つには、あなたは主計官でもいらっしゃるのですから、そうするといろいろとこの査定に当たっていかれるわけでありますから、その辺について私はお考えをいろいろと伺いたいというふうにも思うのでありますけれども、少なくとも今私は何倍何倍というふうに申し上げましたが、要するに米価というものが世間の常識で言う以上に厳しく今まで抑制されてきているという事実がそのことを示しているのですから、だからそのことを財政当局も十分に考えていただいて、そうして今後の米価については農林水産省がどうお決めになるかわかりませんけれども、農林水産省のそういう方針というものに、財政的な側面から少なくともブレーキをかけたりチェックをしたりというようなことが起こりませんようにということを、ぜひお願いをしておきたいというふうに思います。  そして、農林水産省には、特にこうした不条理な状況というものが現実にあるわけでありますから、そういう中で切実な声として今、米価要求というのが上がってきているわけでありますから、良質米奨励金の問題も、特に私の地元なんかはそれだけに、政府の方針に協力してやってきたということを今思っているわけであります。基本米価と同じように考えているわけでありますから、その点を十分に考えていただきたい、このように思うわけであります。もう時間が本当にないので、米価については以上で、これはもう幾ら聞きましても具体的には米価審議会が始まるまでは何も出してこないということなのでしょうから、これ以上お聞きをするのはやめにいたします。  最後に、市場開放の問題について、時間もありませんけれどもひとつ伺っておきたいと思います。もう時間がありませんから私はずっと羅列いたしますので、そのお答えをいただきたいというふうに思います。  一つは、行動計画というものについて農産物畜産物についての対応というのは、進捗状況はどうなっていますでしょうか。  それからさらに、新たな問題提起というのが今ありませんか。特に、私は骨なし鶏肉などのアメリカ以外のところからの要求というものを大分気にしているわけでありますから、そういうものがないだろうかということと、それからもう一点は、森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画案なるものが農林水産省の一つの素案としてできたようでありますけれども、これについて国費が八百五十億、それから融資が一千百六十億円、こういう話なのであります。    〔理事谷川寛三君退席、委員長着席〕  これを見ていきましたら、まず第一は、大臣はこの間別枠で確保するというふうに言われたので大いに評価していたのですけれども、その中には国有林の方もこれも決して例外ではないというふうに言われたように思うのですけれども、今度は何か国有林は別途引き続いて検討みたいな格好になっていると思うので、この辺どうなったのだろうかなということと、本当に川上対策というのは随分時間もかかることなのでありますけれども、この程度のことで果たして関税引き下げに耐えられる体質ができるのかどうか、この辺が随分気になります。  大変あれでございますけれども、以上御質問を申し上げますので、ひとつよろしくお願いをいたします。それで終わりたいと思います。
  38. 眞木秀郎

    政府委員(眞木秀郎君) お答え申し上げます。  市場開放問題につきましてのいわゆる行動計画の策定につきましては、政府全体の方針のもとで、農林水産省におきましても、四月二十二日に省内に設置されました策定委員会におきまして現在鋭意検討を行っているところでございます。  御承知のように、我が国の農林水産業は現在非常に厳しい状況に置かれておりますし、またこういう市場開放対策が何度にもわたって実施されるということで農林漁業に従事される方々、あるいはその団体の方々、非常に懸念を有していらっしゃるということで、私たちとしては非常に厳しい状況と受けとめておるわけでございます。  現段階におきましてまだその具体的内容等につきましてお話しする段階には至ってないわけでございますが、今月の末にはいわゆる個別品目につきましての関税引き下げの決定を行うという予定になっております。また、七月じゅうには行動計画についての骨格を決めるということになっておりますので、現在、時間も切迫しておるということもございまして、省内で鋭意検討を進めておるという段階でございます。  その中で、御質問のございましたアメリカとかASEAN等につきましてのいわゆる要求の態度でございますけれども、骨なし鶏肉につきましてはタイ国が非常に強い要求を出しておるということで、これは我々としても非常に重みを持って受けとめざるを得ないという状況でございます。アメリカにつきましては、昨日、日米貿易委員会が開かれまして、これは事務レベルでございますが、私が代表として出席をいたしましたけれども、これにつきましてはアメリカ側からは、これまでさまざまな機会に我々に対して要求をしている関税引き下げ等の問題につきまして改めて確認と申しますか要求がございましたけれども、特に新しい点につきましての要求はなかったということでございます。  そのほか、アメリカ、ASEAN以外の国々からも関税その他の問題につきましての要求は出てきておりまして、我々そういうものを全部念頭に置きながらやはり対応を考えざるを得ないという状況でございます。
  39. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の活力回復五カ年計画につきましては、四月九日の対外経済対策の閣議決定を受けまして今日まで鋭意検討を続けた結果、先生のお話にもございましたように、国費八百五十億、融資千百六十億の内容をもちまして農林水産省案として作成をしたものでございます。  この具体的内容につきましては、今後財政当局と十分協議を行いまして詰めていくこととしているわけでございますが、これらの施策を従来からの施策にあわせまして推進することによりまして、林業並びに合板製材等の木材関連産業におきましてもそれぞれ生産コストの低減を図ることができまして、活力回復を図ることができるものと考えているところでございます。  なお、国有林につきましては、これは国有林野事業は、昨年六月策定をいたしました新改善計画に則しまして今日自主的な改善努力を一層徹底し、かつ所要の財政措置を講じていただき、経営の健全性が確立できるように努力をしているところでございますが、今回の五カ年計画によります国内対策の一環として国有林の整備を図ることにつきましては、今後引き続き検討を行っていくと考えているところでございます。
  40. 村沢牧

    ○村沢牧君 今までの稲村委員の質問に二点だけ関連して聞きますが、まず食糧庁長官に聞くけれども米価審議会ですね、二十六日に前広米審を行う、およその理解としては七月三日に米価審議会が開かれるであろうということで大勢が動いているわけですね。最近になると、どうも三日、四日がずれるのではないかということも耳にするんです。皆さんが日を決めることであるけれども団体なり国会の都合もいろいろあるから、その辺について食糧庁長官はどのように考えているか、はっきりもう少し示してください。
  41. 石川弘

    政府委員石川弘君) 米審の日にちの決定につきましては、前例といたしまして、少なくとも一週間ぐらい前までには決定をして委員に通知するという慣例でございます。私ども、前広米審までにつきましては、既にほぼ一週間ということでございましたので決定をしたわけでございますが、その他の日程につきましてはなお若干調整を要することがございますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思いますが、慣例に従いまして一週間以上前には決めるつもりでございます。
  42. 村沢牧

    ○村沢牧君 そうすると、三日、四日に開かれるであろうということは、その理解で必ずしもそういうことではないということなんですね。わからないということですね。ずれるかもしれないということですな。
  43. 石川弘

    政府委員石川弘君) 実は私ども一度も三日、四日ということを決めたとかなんとか申し上げたことはないわけでございますが、報道ではそういうことが出ておりましたけれども、私どもはそういうことで慣例に従いまして決めなければいけないタイミングまでには決めるつもりでございます。
  44. 村沢牧

    ○村沢牧君 いいです。時間がないから余り言いませんが、しかし農水省としてはけしからぬじゃないですか。例えば、衆議院の農水委員会が三日にひとつ米審があるからやろうじゃないか、そういうことを既に話し合いをしているのですよ。食糧庁長官は言わなくたって、農水省幹部はそういうことを考えているんじゃないですか。だから、決めたわけじゃないと言うけれども、おおよその動きがそういうふうになっているじゃないですか。そのことはいいですよ、決まってなければね。  それから大臣にお伺いしますが、今、稲村委員の質問の中で、林業活性化の問題で先日私が質問した際に、この活性化対策の中には国有林も含まれます、たとえ二千億であろうが三千億であろうがその一部は国有林にも配分をしますと、私は二回も念を押したのですけれども、大臣ははっきり答えておったんですが、その辺が林野庁長官と大臣の見解とうんと違っているんですが、どうなんですか。
  45. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。  そのような答弁をいたしました。私は、現在の国有林制度を見ておりまして、これじゃいけないと思って何とかしたいということですが、これにはやっぱり制度、法律を変えにゃいかぬものですからその方向で頑張りたい、こう申したわけでございます。  それからもう一つは、林業の活性化については、これで合板と製材産業と、それから川下、川上対策ございますが、合板と製材は救われます。ただ問題は、合板事業はコストが木材と接着剤で七五%かかるわけです。これはどうにもならない。そうすると、残り二五%をどうするかということで、したがって合板、できた製品がインドネシアに比べまして、この対策をやれば約数十円安くなります。対抗できます。  それから木材の総合対策、これは民有林ですが、大体五カ年間で百九十万ヘクタールやります。今の計画は毎年二十五万ヘクタールでございまして、年に十三万ヘクタール足りないわけです。それを五カ年で六十五万ヘクタールやる。  それからもう一つ、木材のコストを見ますと、実は原木代が三割、搬出代が七割なんです。したがって、どうしたらコストを安くできるかということは搬出代を安くすることです。それから林道、作業道等の整備です。仮にこれをやれば三割下がります。例えば、杉は一本八千円でしたら二千四百円ぐらい下がるということでございまして、十分期待にこたえられる。御理解のほどをよろしくお願いいたします。そういうことでございます。
  46. 村沢牧

    ○村沢牧君 大臣、非常に力強い決意を述べてもらったんですが、しかしきょうの答弁を見ても、例えば八百五十億、千何億、二千億足らずの融資も含めて、その中には国有林も含まれると大臣ははっきり言うのですね。ところが、林野庁は違う、入ってないと言うんですよ。その点はどうなんですか、一体。
  47. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 今の点につきましては私の希望を申し上げたわけで、あるいは言葉が十分足りなかったかもわかりませんが今の形では難しい。でも、将来は制度等を変えまして何とかそういう方向へ持っていきたい、こういうことを実は申し述べたわけでございます。
  48. 村沢牧

    ○村沢牧君 時間がないけれどももう一回質問しますが、大臣は先回この委員会で、含まれると言って答弁したのですよ。希望を述べたじゃ、これは責任ないじゃないですか。大臣の決意としては、この活性化対策の中に当然国有林も含まれる、そういうことを何回も大臣は言っておったんですけれども、あれは希望だったのですか。そんな無責任なことはない。じゃ、この前の委員会の発言は取り消しますか。
  49. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。  私は率直に言いまして、今の国有林は何らかの財政負担をしないと、将来、例えば昭和七十年代に国産材時代が来た場合になかなか難しいと考えています。そんなことで何とかその方向努力したいと、こう今でも考えております。
  50. 村沢牧

    ○村沢牧君 努力するはわかるけれども、活性化対策の今、林野庁が示しておる中には国有林も含まれるだろうと。何回も言うけれども、大臣は先回の委員会で、大臣の責任で含めますとはっきり言ったじゃないですか。あれは取り消しますか。
  51. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 私、三年から五年にかけて活性化対策をやるということでございまして、まだ期間がございます。そんなことで、制度等を変えましてその方向へ持っていきたい、こう考えております。
  52. 山田譲

    ○山田譲君 極めて時間も少ないですから、端的にこちらも質問しますから、端的にお答えいただきたいと思います。  一つは、麦価の問題で、これはきのう諮問して答申もそのとおりに出たわけですか。そして、その計算方式も教えてください。
  53. 石川弘

    政府委員石川弘君) 昨日諮問をいたしまして、昨夜答申をいただいております。  算定方式は、昨年と全く同様でございまして、これは五十六年以来やっております方式でございますが、パリティで計算したものにかつての生産振興奨励金見合いのものをつけるわけでございますが、そのときに生産性向上部分について、いわば生産性の向上で生産が有利になった部分を調整いたしまして足すわけでございます。  その算定方式でやりますと、若干前年産価格より下がりますけれども、決定いたします価格は同価格にするというやり方でございまして、やり方自身五十六年以降のやり方と全く変わっておりません。パリティ指数が〇・八〇という大変微細な変化でございますので、据え置きでいたしております。
  54. 山田譲

    ○山田譲君 パリティ方式は〇・八〇、ですから当然非常に少ない数ではあるけれども上がっているわけですね。ですから、パリティ計算計算する部分については当然上がるわけですね。そう考えていいですね。
  55. 石川弘

    政府委員石川弘君) 価格は、パリティで計算される部分と生産奨励のための調整金と二つで成っておりまして、パリティは上がります。
  56. 山田譲

    ○山田譲君 だから要するに、パリティ計算の部分は去年より上がる、極めて少ない〇・八だけれども。そうすると、それに上積みして調整額というやつがありますね。それで、去年ときのうの諮問の結果は同じのようだけれども、ということは、言いかえれば調整額は去年より減ったということになりますね。四十円と三十円という差は別といたしまして、考え方として、パリティ計算の分は上がったから、それにプラスする分は下がったというふうに考えていいですか。
  57. 石川弘

    政府委員石川弘君) そのとおりでございます。
  58. 山田譲

    ○山田譲君 下がったのはどの辺か、どのくらい下がったか、そこをちょっと教えてください。
  59. 石川弘

    政府委員石川弘君) 下がります要素としましては、単収の上がり部分と所要労働の減少部分、要するに効率化された部分の三分の一を計算で下げるわけでございますが、それで下がりました金額は、去年は二千三百四十円に当たります部分がことしは二千二百六十九円になるわけでございます。
  60. 山田譲

    ○山田譲君 それは例の計算式に当てはめた結果でしょう。ですから、今おっしゃった労務費ですか、それと生産性向上の部分、これを分けた場合に、生産性向上は幾ら、労務費の方は幾ら、それからさっきの〇・八のパリティ計算によって上がる部分ですね、これは幾らか。結局、その差が問題だと思うんだけれども
  61. 石川弘

    政府委員石川弘君) パリティで上がった部分は小麦では七十一円でございます、金額で申しますと。これは〇・八〇の部分でございます。それから、七十一円上がりまして、その部分と全く同じ金額が結果的には下がるわけでございますが、それは丸々それで下がるんではなくて、正確に計算しますと、小麦で四十五円部分だけまだ不足になるような計算になっているわけでございます、生産性のアップで下がります部分は。結果的に、小麦で申しますと、四十一円下がりますのに四十一円の調整額というものを加えて、前年と同じにしているわけでございます。  今、先生がおっしゃいました単収の部分とそれから労働軽減部分というのは別に分けて計算しておりませんが、計算の仕方は単収のアップ部分についてはそのまま、それから労働経費の節減部分については三分の一という計算方法は前年と全く同じでございます。
  62. 山田譲

    ○山田譲君 生産性向上の部分と労働費の問題は、当然計算式に出てくるわけでしょう。ですから、それはわからないはずはないでしょう。
  63. 石川弘

    政府委員石川弘君) 減少率で申しますと、生産振興奨励金の交付前と交付後、最近の期間五年間と比較して出すわけでございますが、平均で申しますと、十アール当たり単収が五年前は二百六十キロ、それが最近五年では三百九キロに上がるわけでございまして、この単収の上昇率は年率にしますと一・五八%、それから労働時間の減少は五年前は四十七・九時間、これは平均でございますが、それが十アール当たりの五年後では十四・三時間、これの年率の減少率は一〇・四一でございますが、労働時間の減少率につきましては、これの三分の一をもって減少に充てるという計算でございます。
  64. 山田譲

    ○山田譲君 パリティの方では〇・八上がって生産費の方は一・五八下がり、それから時間の方は幾つでしたか、とにかくこれも下がっている。両方差し引きすれば、結果的にはほとんど去年と同じである。多少のマイナスになっているようだけれども、その分は最後の段階でもって四十円とか、九十円ですか、四十五円、六十九円とかというふうに足していますわね。だから要するに、そういうふうに完全に機械的にこの公式に当てはめたということでいいんですか。
  65. 石川弘

    政府委員石川弘君) パリティの方はもともとの価格に掛けるところでございまして、今私が申しました生産性向上部分というのは、過去二千三百円の生産振興奨励金というのがございまして、根っこの八千幾らの価格と二千三百円というものを足しまして今の一万一千数百円の価格ができているわけでございます。パリティが掛かりますのは、もとの八千幾らというもと数字に掛けるわけでございます。そっちが〇・八上がる。それから生産性向上で落とすのは二千三百円の系統、生産振興奨励金の系統に、今申しました省力化の問題とか単収増を掛けるわけでございまして、掛ける根っこが違いますが、その結果として、若干のマイナスが昨年に比べまして出ました。それを補正をいたしまして、前年同にしたということでございます。
  66. 山田譲

    ○山田譲君 それはわかっているんだけれども、私が聞きたいのは、要するに公式がありますね、何かシグマだとかPだとかMだとかいろいろ使って。この計算式そのものは、私は非常にわかりにくいし、こういうところでごまかされてもわからないからね。だからこれは非常に問題がある。ですから、計算式だって、もっと簡単にだれにもわかるような式にしてもらいたいと思うんだけれども、それはそれとして、私が聞きたいのは、要するにそういう変な計算式だけれども、一応ちゃんと数字を当てはめて機械的につくった数字がきのう諮問し答申があった数字である、こういうふうに理解していいわけですか。
  67. 石川弘

    政府委員石川弘君) おっしゃるとおりでございます。
  68. 山田譲

    ○山田譲君 ところが、おっしゃるとおりでないことを食糧庁の人が言っているから、私はきょう聞いているわけですよね。つまり、これはきのうの日本農業新聞に大きく出ていたから恐らくわかっていると思うけれども、「麦価据え置き諮問へ」、そして「外圧、財政が締め付け」というふうに書いてあって、しかもその記事の中に、食糧庁は、米国の「わが国の麦価格に対する関心も強まっている」と、米国がですよ。「同庁はこのようなことから国内麦振興が抑制的になるもう一つの背景に”外圧”があることを指摘する。」、これは食糧庁が指摘したと。「生産者麦価決定は、国内消費量の約九割を占める外麦価格に大きく影響を受ける構図が鮮明に浮かび上がっている。」という記事が載っている。  これは、私は恐らく麦価というものは、今あなたが言ったように、多少の問題はあるにしても大体公式どおりにやっているというふうに思っていたところが、こういう記事が出てきたから、これは大変だと思ってきょう緊急に質問したわけです。そして、これはしかも食糧庁が言ったと書いてあるからね。ここら辺はどうですか、これは。
  69. 石川弘

    政府委員石川弘君) 計算方式は別に私ども独自でやっておりますから、どこに相談をするということでもございませんし、それはもう数字はそのとおり計算したことは御信用いただいて、何度計算してもそうなりますものですから、そうでございます。  それから、もしそういう話が出たとしますれば、昨日も米審等で出ましたけれども、御承知のように麦の今の価格を申し上げますと、大体トン十八万ぐらいで小麦を買っているわけでございます。そして、外国の麦というのは今五万八千円前後でございますから、内外格差が大変大きいというような話とか、それから政府が内麦を約六十万トンから七十万トン買うわけでございますが、これで買いましたものを結果的に非常に安く売っているわけでございますから、そのことによる財政負担が約一千億ある。その一千億というのはどういう形で出ているかといいますと、安く買った外麦を高く売って、そこで益を得ているわけでございます。その関係をよく諸外国から、そういう外国の麦に財源を求めながら国内生産振興するのは問題だというような指摘はこれは外国の立場からあるわけでございます。  私どもは、食糧管理制度でやっているんだから、日本の国の麦管理についてはこういう形でやる、これは米審でも、外麦と内麦を合わせてコストをプールして売っていけというやり方は食管法上認めて、しかも政令でもそういう算定方式をやっているわけですから、私どもは別にそういうことをどうこう言われる筋合いはないと言っておりますが、外国がそういうことを言っているということは事実でございます。そういうことを何か圧力と言われたのかもしれません。そういうことを言われることはありますけれども、私どもは我々の方針に従って今の麦管理をやっているわけでございます。
  70. 山田譲

    ○山田譲君 これはくどいようだけれども、こんなに大きく出ていまして、しかも外圧、財政が締めつけた結果、据え置きが諮問されたというふうな意味の記事になっているわけですよ。しかも、そこは食糧庁がそういうことを言ったというふうなことをはっきり書いてあるものですからね。新聞の書いたことだから責任はないと言えばそれまでだけれども、日本農業新聞はそういうでたらめを書かないように、よく農業新聞に注意しておいてくださいね。食糧庁の名誉のためにも私は特にお願いしておきます。  特にまた、米と麦とは兄弟みたいな関係だから、今後の米審の問題にもなるわけですけれども、弟の方を我慢したから今度は兄貴も我慢しろというふうなことで、まさか据え置きになるようなことはないでしょうな。そのときも外圧、財政が締めつけられたなんということのないように、この辺どうですか。
  71. 石川弘

    政府委員石川弘君) なかなか私どもの思うとおりに新聞が書いてくれませんものですから、そういうことでいろいろと誤解がありますが、私どもはむしろ今申し上げたように、麦管理に関しましては外国の麦生産国からいろんな苦情があることはこれは間違いないことでございますけれども、しかし逆に私どもは、例えば昭和四十九年、五十年、この二カ年に外国の麦、これは大変大暴騰したわけでございます。それに二千億の国費をつけて外国の麦も安定的に売ったという実績があるわけでございます。ですから、そういうときもあるのに、そのときは黙っていて、その裏返しのときだけしかられるというのはおかしいじゃないかとかいろいろ言っているわけでございます。  したがいまして、農業新聞も、我々がそういうことを言って食糧管理制度を守るために頑張っていることも少し書いてもらえれば、先生のおっしゃる趣旨に合致するかと思います。
  72. 山田譲

    ○山田譲君 麦は、今言ったように、いわば弟分でありますから、弟分が我慢したんだから兄貴も当然我慢しろというようなことのないように、とりわけ米価の方は特にいろんな政治加算とかなんとかいって従来から若干麦価と違ったような感じがあるだけに、余計心配なんですよ。しかも、非常に機械的に計算して出てきた麦価についてさえこういうふうな外圧、財政が締めつけたんじゃないかというふうな、こういう記事が載るくらいのときですから、まして米価についてもこれからどのくらい外圧や財政の締めつけがあるかわからない。そういうときに、それを守ってくれるのは農水省しかないわけですよね。しかと言うとあれだけれども、農水省がまず何といったって頑張ってくれなきゃどうもならぬ。こういうときですから、米価のためにも、これから始まる米審についてどうかひとつ農水省がまず頑張っていただきたい、かように考えて、特に強く要望をしておきます。  その次に、時間がありませんけれども、例のビール麦の問題で私この前、大分いろいろ御質問したんですが、そのときに、その後一生懸命指導しますというふうなことを局長おっしゃっていただいたけれども、相当たっておりまして、これまた新聞にいろいろ書いてありますが、大体その後の経過それから現状ですね。それから、今後の対策というふうなものについての指導方針といいますか、そういうものをあわせて、時間もありませんから端的でいいですからお答えいただきたいと思います。
  73. 関谷俊作

    政府委員関谷俊作君) 今年産の大麦のしま萎縮病の発生状況は、全国的に二万四千ヘクタールぐらいでございまして、ビール麦に限りますと一万七千ヘクタールぐらいというふうに承知しております。  この対策でございますけれども、非常に被害の激しいところは、今これから出てまいります抵抗性品種への切りかえとか、あるいは小麦あるいはしま萎縮病の抵抗性のある大麦、そういうものにかえていくというようなことが必要であろうと思っております。多少発病程度の低い地域はいろいろな耕種的な防除、播種期をおくらせるとか、排水対策とか深耕、反転耕、こういうような耕種的な防除を総合的に使うというようなことで対応できると思っております。  問題は、当面、関東二条二十二号という抵抗性品種の問題でございますが、これは本当に近々のうちに、恐らくきょうであろうと思いますが、かねて昨年産の麦でやっておりました小規模醸造試験、この結果が出てまいります。今私ども内容をまだ承知しておりませんけれども、この状況を見るということと、それからことしとれます関東二条二十二号の種というか、麦の配分につきましては、この次の醸造試験に向ける分と、それから来年の麦の種に使う、この振り分け、それからさらに各県ごとの配分、これを早急に今月中に決めたいと思っております。  問題は、来年の六十一年産に作付いたします場合の関東二条二十二号の数量をできるだけ多くするということにつきましては、先生よく御承知のとおり一応千トンプラスアルファとなっておりますが、俗にプラスアルファという言葉で表現される以上に相当ふやしたいと思っておりますが、これはいずれにしましてもビール関係業者とそれから生産者団体、その間に入ります県なり私ども含めまして、できるだけ大きい作付ができますように指導してまいりたい。今月中に決めたいと思っております。
  74. 山田譲

    ○山田譲君 最後になりましたけれども、いわゆるビール麦については契約栽培ということのようですね。だけれど、契約栽培とはいうものの、例えば嬬恋のキャベツの契約栽培なんかと違いまして、具体的に耕作する農民は契約の当事者になってないわけですよ。だけれど、実際に耕してつくるのは個々の農民である。農民がその契約が一体どうなっているのか、契約が一体だれとだれが結んでいるかというふうなことをよく知らないんですよね。これはもう農協でさえよく知らない。まして個々の農民はわかりっこないんです。  ですから、いろんなことをやっぱり想像したり考えたりする、あるいはまた農民の言うことの方が本当のことがあるかもしれない。だけれども、どうも契約の当事者関係がはっきりしないもんですから、そこのところが非常にあいまいになって、農民も場合によっては誤解と思われるところもある、そういう場合もあるんだけれども、この辺をもうちょっと明確に契約内容を農民に周知徹底させるように、これはぜひとも指導していただきたいと思うのですけれども、それについてのお考えを一言だけ聞いてやめます。
  75. 関谷俊作

    政府委員関谷俊作君) ビール麦という商品の性格上、その品質なり、つくります数量についてはよく栽培農家、個々の農家もかなり意識しているところがあると私ども思っておりましたが、今御指摘のようなこと、あるいは契約が経済連と会社の間で行われておりますので、経済連から単協へ、単協から農家へという段階で十分徹底してない点があるいはあるかもしれませんので、この点、十分今後注意いたしまして指導したいと思っております。
  76. 山田譲

    ○山田譲君 お願いします。  終わります。
  77. 菅野久光

    菅野久光君 私は、先に食管制度の関係についてちょっとお伺いをいたしたいと思います。  財政改革の名のもとに、生産者米価を抑制して消費者米価段階的に引き上げるということで食管赤字を今日まで大分解消してきました。生産者米価が上がれば消費者米価を上げなければならないという論理で、麦も四年連続据え置き、米価もまた据え置きの方針であるやに伝えられております。食管制度の建前から逆ざやがあるのが当たり前であって、生産者米価の抑制による逆ざや解消路線というものは食管制度を変質させるものであるというふうに私は思うんですけれども、その辺の御認識はいかがでしょうか。
  78. 石川弘

    政府委員石川弘君) 物の値段ということにつきまして一般論として申しますと、買いますときの価格と売りますときの価格が裏返しになっておる、要するに、高く買って安く売るというのは、物のごく自然の流れとしては不自然な場合が非常に多いわけでございます。したがいまして、私ども管理費、米を動かすためにいろんな輸送その他の管理費が要りますから、例えば備蓄すれば金利も要りますし倉庫料も要りますから、そういう管理費はともかくも、いわば買います値段と売ります値段の逆ざやというのはなるべく早く解消していきたいというのが、これは政府としてかねがねもうかなり前からの方針でございまして、ただし、これは値段の問題でございますから、一挙にやることはできないということで徐々にやってきたわけでございます。  したがいまして、私どもは逆ざや解消をいたしますこと自身は、食糧管理制度のもとでもこれは決しておかしなことではないと思っておるわけでございますが、そういう変化自身はなるべく徐々にやっていくということでやったわけでございます。その結果として、現在の逆ざやは、一般論として申しますと一・九%という形で非常に少なくなっているわけでございます。これも一類につきましてはむしろ順ざやでございます。二類がほぼとんとんでございまして、逆ざやがありますのは三類、四類、五類の米と三等の米でございます。したがいまして、私どもは、逆ざや自身はかなりいい形にと申しますか、ほぼ全般的に解消に近づいてきていると思っているわけでございます。  ただ、先生がおっしゃいましたように、買う方のときの規定、これは農業者にとりまして再生産確保する、私どもはそれを生産所得補償方式でやるわけでございますが、そういう原則、それから売りますときには消費者の家計の安定を旨としてやるという、この二つの違った原理で価格をつくるということはこれは法律上明記されていることでございます。両方の原則を実行しながら、なおかついわば逆ざやが解消されていくことは、むしろ望ましいことだということで来ているわけでございます。  ただ、問題は、逆ざやを解消してまいりますと、どうしても米の流通というものにはそれだけいろいろ難しい要素が出てまいります。うんと買う方が高くて売る方が安ければ生産者は専らそこへ売っていくわけでございますが、その差が少なくなりますと、もちろん管理経費は要るわけでございますが、少なくなりますれば、そこにいろいろ流通の乱れが出るわけでございまして、したがいまして、そこは私ども集荷につきましても販売につきましても、各正規に許可を得ました業者がもっと競争をしながらそういうものを十分競争の中でやっていけるようにという体制整備を現在もやっておりますし、将来においてもさらに進めなきゃいかぬと思っております。
  79. 菅野久光

    菅野久光君 売買逆ざやが解消方向をたどれば、今、長官がお答えになりましたように、農家の庭先価格政府売り渡し価格と同一水準になるというようなことで不正規米を生みやすいということになっていくわけですね。それで、流通の問題等が非常に大事な問題になってくるというふうに思うわけであります。そこで、だんだん食管制度が崩されるのではないかという危機感が農業団体を含めて農家の中にあります。  また、報道によれば、「自民党内部にも「中曽根首相は行財政改革に続いて教育改革に着手した。この政権が続くと次は農業改革が必ず出てくる。それは総合食料安保の名のもとでの食管見直し」(農林幹部)との声すらある。」というふうに報じられております。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)新聞ですから、これはそういうことで報じられているということを私は申し上げておる。大臣は、六十年産生産者米価の決定を控えて、日本農業新聞との記者会見の中でこれに取り組む基本姿勢を明らかにした。「この中で農相は現行の食糧管理制度について「国民の主食である米が安定的に供給できることが、どれだけ国民に安心感を与えているか」と、位置づけ「きちんと守っていく」と、引き続き食管を堅持するとした。」ということが報じられておりますが、この食管の問題、先ほど申し上げましたように、市場開放の問題ともいろいろ絡んで農業団体それから農民の方々も大変心配をしておりますが、今の段階でのこの大臣の食管を守るという決意を、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  80. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 菅野先生にお答えいたします。  食糧管理制度は、国民の主食でございます米を政府が責任を持って管理することによって、国民の必要とする米を消費者に対しまして安定的に供給するという非常に重要な役割を持っております。  そんなことで、今後とも本制度については、事情の変化に即応して必要な運営面での改善は図るつもりでございますが、この方針は堅持してまいる所存でございます。
  81. 菅野久光

    菅野久光君 ぜひ食管制度はひとつ強い決意を持って守っていただきたいということを、重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、市場開放の問題に絡んで、特にナチュラルチーズ等の酪農、畜産製品の関税引き下げの問題が北海道としては大変大きくあるわけであります。これは関税の引き下げに伴って輸入が拡大されるということになりますと、計画生産下にある国内酪農、畜産をさらに縮小させ、崩壊のおそれすらあるというふうに思うわけであります。今、酪農製品では何といってもナチュラルチーズに重きを置いてこれからやっていこうと、こういうやさきにこの関税引き下げなどということがなされれば、これは大変なことになるのではないかというふうに思いますが、その点についてのひとつ農林水産省としてのお考えを承りたいと思います。
  82. 野明宏至

    政府委員(野明宏至君) ナチュラルチーズにつきましては、ECとか、あるいはニュージーランド、豪州等の関心品目になっておるわけでございます。ただ、御案内のように、酪農は我が国の土地利用農業の基軸として位置づけられておるわけでございますし、また北海道等におきましても非常に重要な産業となっているわけでございます。それからまた、ただいまお話がありましたように、ナチュラルチーズは乳製品の中でこれからも需要が着実にふえていくというふうに見込まれている品目でございまして、国内生産振興を図っていくということが我が国の酪農の安定的発展につながる、そういうものでもあるわけであります。ところが、残念ながらまだまだ我が国の酪農、乳業の歴史は欧米諸国に比べると浅うございます。  したがいまして、土地条件等の制約がある中ではございますが、合理化に努めておるわけでございますが、国際競争力が十分でない、こういう状況にございますし、また欧米諸国においても輸入制度上、手厚い保護のもとに置かれておるわけでございます。そういったような状況にございますので、ナチュラルチーズの関税の引き下げというのは、極めて困難なものであるというふうに考えておるわけでございます。
  83. 菅野久光

    菅野久光君 例外制限を設けないで、とにかくやれというような話などもいろいろ伝わっておるだけに、これがなされるということになれば、北海道における酪農、それはもう大変な状況になることは農林水産省としても十分承知しておられると思いますので、ひとつこの点については、どんなことがあっても守っていただくという決意で当たっていただきたいということを、特に要請をしておきたいと思います。その点について、大臣いかがでしょうか。
  84. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  いつも言っていることでございますが、先生のおっしゃることもよくわかりますが、現在それをどうするかということにつきましては、そういう事情を配慮しながら今、我が省にできております事務次官を長とする策定委員会で考慮中でございますが、私の基本方針はやっぱり日本農業を守り、その農業をどう発展させるかということと、友好国との関係を配慮しながら慎重に対処したいという考えで進んでおりますことを、御理解願いたいと思うわけでございます。
  85. 菅野久光

    菅野久光君 友好国のことを配慮する余り、国内の農業をつぶすようなことにならないように、その点は、はかりの問題になろうかと思いますけれども、はかりのおもりのかけ方を間違わないように、ひとつやっていただきたいというふうに思います。  さらに、北海道としては加糖調製品の関税の引き下げ、これが大変なことにやっぱりなっていくわけであります。てん菜糖とか、あるいはバレイショでん粉製造の効率化というものを阻害していきますし、てん菜とかバレイショ等甘味資源作物の生産抑制を強いるものでもあるというふうに思います。本土では既に畑作作付指標面積策定をやりまして、ある意味で言えば生産調整といいますか、そういうことで合理的な土地利用をやっている、そういうことにも大きく障害になる、そういうことでありますから、この点についても今のナチュラルチーズと同じように北海道の農業にとっては大変な問題でありますが、その点についての御認識はいかがでしょうか。
  86. 塚田実

    政府委員(塚田実君) お答えいたします。  御案内のように、菓子類を初めとする砂糖が入ったいろいろな調製品でございますけれども、この関税引き下げは、もうかねてから毎年のようにアメリカを中心にして来ているわけでございますが、御案内のように、主な原料の価格は我が国の農業政策、先生今御指摘の糖価安定制度等との関連から、諸外国に比べてかなり割高になっているわけであります。そのような中で、国内の砂糖への影響、てん菜糖初め南の甘蔗糖もそうでございますが、そういう影響も心配されるわけでありまして、この関税引き下げ問題というのは非常に難しい問題であるというふうに認識しております。  そこで、チョコレート菓子等を含めまして、関税率については、実は一昨年の四月に砂糖消費税の大幅引き下げの見返りとしてMTNの最終譲許税率を大幅に下回る関税を引き下げたばかりでございます。今の関税率は私どもはEC並みだというふうに考えておりまして、そのような認識をしておるわけでございますが、そのような状況でありますけれども、アメリカ初めヨーロッパ諸国がなお下げろ、こういうふうに言ってきているわけであります。  私どもとしては、この加糖調製品の関税率の引き下げ、これは糖価安定制度を堅持する上からも極めて慎重に対処しなければならないというふうに考えております。
  87. 菅野久光

    菅野久光君 かつて、四十七年の対策で一律引き下げを行わなかった品目があるわけですね。そういう過去の事例もあるわけでありますから、一律一律という言葉で農業にかかわるいろんな品目等についてされるということになれば、これは日本農業にとって大変な状況になってまいりますから、その点を踏まえて今後の対応をやってもらいたいというふうに思います。特に、今度の行動計画についての例外とは、国家の安全、それから環境保全、国民生活の維持安定にかかわるもので、国際的にも理解を得られるものだということでありますから、私が今幾つかの問題について申し上げましたけれども、これらはいずれもこれらの観点から十分に私は理解を得られるものだというふうに思うわけであります。その辺の理論づけをきっちりひとつやって、日本農業を守るために頑張ってもらいたいというふうに思います。  それから、時間がございませんからひとつ端的にお答えをいただきたいわけでありますが、昨年オレンジ、牛肉の枠拡大の問題で、当時の山村農水大臣がワシントンで四月七日に記者会見をしたときに、前段の方はちょっと省略をいたしますが、しかし万一不測の事態が発生するような場合には直ちに必要な措置を講ずる方針であるので、生産者各位におかれては、動揺することなく生産活動に努力していただきたいという記者発表をされております。  そこで、雑豆の価格暴落というのが昨年現実にあったわけでありますが、このことについては農家にとってはまさに不測の事態、例えば小豆が一俵大体三万円ぐらいないと合わないわけですね。それが一万八千円から一万八千五百円、そして昨年余りとれなかったという状況の中でも、わずか百円かそのぐらいの値上がり程度ということで、半値よりもちょっと多いぐらいの収入しか得られないというようなことで、まさに農家にとってみればこれは不測の事態ということになるわけですけれども、それらについてどのような対応をなさったのか、お伺いいたします。
  88. 関谷俊作

    政府委員関谷俊作君) 雑豆につきましては、御質問の中にございましたような昨年の日米農産物交渉の決着の際の最低輸入枠についてのいわば一種の約束があるわけでございます。  その後の経緯としまして、特に昨年産でございますが、雑豆は大変生産が好況でございまして、小豆で過去五年の平均生産量を五五%上回る、インゲンでは四九%上回る、こういうような状況がございまして、このいわば豊作の影響が出ました時点から大変価格が下がったような状況でございます。  私ども、こういう状況もございましたので、輸入割り当てにつきましては、今申し上げましたような一種の約束の中で、できるだけ国内への影響のないように、少ないように実施をしていこうということで、五十九年度下期輸入割り当ては小豆をゼロとする、インゲンについては前年同期を約二割下回る割り当てといたしまして、さらに今年上期につきましては小豆は前年度同期のわずか一一%程度とする、インゲンも六割ぐらいにする、こういうようなことで非常に抑えて実施をしております。  したがいまして、全体としましては、昨年のかなり豊作の影響が価格面に出たというふうに私ども理解をしておりますが、輸入割り当て制度につきましては、いずれにしましても慎重に対応しようということでございまして、今年に入りましてからの価格の推移を見ますと、三月あたりにかけてまでは下がってまいりましたが、その後は一俵当たり三千円程度回復をするということでやや持ち直す、こういうような状況になっている次第でございます。
  89. 菅野久光

    菅野久光君 いずれにしても、これは輸入枠の拡大ということがやはり価格の低迷を招いているということになるわけでありますから、そういう面での対応というものは、ただ輸入枠の拡大だけじゃなくて、従来とれたときには確かに価格は下がる、しかし、とれないときには価格が上がるということで大体のバランスがとれるということになるわけでありますが、今回の場合はまさに輸入枠の拡大あるいはそのことが価格の問題にやっぱりはね返ってきているということを踏まえて、ひとつ今後対応してもらいたいというふうに思います。  次に、木材の関税問題について、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。  時間が余りございませんからひとつ簡潔にお答えをいただきたいわけでありますが、アメリカ合衆国が日本に対して強く求めておりました針葉樹合板の関税引き下げ問題は、先般日本が関税を引き下げることによって一応の決着がつきました。しかし、アメリカが関税引き下げを求めた背景には、アメリカ西海岸の森林メジャーの要求をレーガン大統領が受けてなされたものという報道もあります。  ところで、アメリカは日本の合板関税率一五%の引き下げを求めておりましたが、片方でアメリカはカナダに対して二〇%の関税をかけております。アメリカのやり方は私は身勝手なものというふうに思わざるを得ないわけでありますが、この点についての率直な感想をひとつお聞かせいただきたい。
  90. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) お話にございましたように、アメリカではカナダからの輸入に対しまして二〇%の関税をかけておりますので、今回のMOSSの協議におきまして、日本の林業関係者はそのことについて十分関心を持っておると。やはりアメリカも、自分の国内事情からそういうことを設けなければならないとすれば、我が国においてもそういう事情があることを理解せよというお話をしておりますけれども、アメリカ側の方は、それは日本とアメリカ間においては特に関係はないのではないかというような議論立てもしておりますけれども、それにつきましては、さらに今回の協議におきましても、この次の協議におきましても、その辺はやはり釈明を求め交渉をしてまいりたいと思っております。
  91. 菅野久光

    菅野久光君 今言ったようなことを踏まえて、余り一方的な要求に屈することのないように、ひとつ頑張ってもらいたいというふうに思うわけであります。  さて、大臣は、去る十三日にこの五カ年計画を、中曽根首相、それから竹下蔵相、金丸自民党幹事長らに報告をして、六十年度からの実施を要請したというふうに報じられております。その規模は、当初二千億円から三千億円の範囲でということで予算化されることが予想されておりましたが、その結果は二千十億円ということになりました。それはそれで一応評価をするわけでありますが、しかし総理を初め大臣も、木材の関税引き下げに対する救済策が必要と言いながら、でき上がったその内容を見ますと、国費は八百五十億円で残りの千百六十億円は融資となっております。業界では全額国費でやってくれるという期待を持っておったと思いますし、その期待を裏切った形になっているというふうに思うんです。  その理由を私なりに考えてみますと、国の財政事情が苦しいからであるというのでありましょう。しかし、合板業だとか製材業の倒産が増加している現状を見ると、もっと手厚い措置が必要だというふうに思うわけであります。  そこで、どういう理由で二千十億円という予算の規模になったのか。また、国費の配分方法を見ますと、間伐、保育に力を入れて四百七十億円を割り振って、今回の木材関税引き下げで一番被害をこうむるところの木材産業は三百二十億円の国費支出となっております。この配分は主客転倒の感があり、むしろ逆の配分をすべきではなかったのかと思っておりますが、この点も含めてお答えをいただきたいと思います。
  92. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の五カ年計画につきましては、四月九日の対外経済対策を受けまして先週まで省内で鋭意検討をいたしまして、いろいろな各般の事情につきまして大変な作業を重ねた結果でございますが、先生ただいまお話ありましたような八百五十億と千百六十億の規模になったわけでございます。これらの施策とこれまでの従来施策を推進することによりまして、林業、林産業の生産力の向上を図り、それらの活性化を達成することができるものと考えて、この規模を決めたところでございます。
  93. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  今、長官の答えたようなことでございますが、やはり合板は約百六十社ございます。それから製材業は約二万社ございます。この対策をどうするかということでいろいろ検討いたしたわけでございまして、自由主義社会でございますし、やっぱり経済界も、合板会社の自助努力も必要です。そういう形の中に実はコストをどう安くするか、それで少なくとも外国の合板にどう太刀打ちするかということで案をつくったわけでございまして、これで大体私は太刀打ちできると思います。  それからもう一つは、木材の総合対策は、いつも言っておりますが、価格が高いわけです。どうして安くするか、こうしなくちゃ日本の林業は栄えません。  そんなことで、私は先ほどもちょっと申し上げましたけれども、やはり木材の原価計算を見まして、どこを安くしたら木材は安くなるかということで、やはり搬出に約七割のコストがかかる。そんなことで林道、作業道の整備をやる。そうしますと、大体三割弱下がります、コストが。それから、間伐材もそうでございます。間伐も一立方メーター二十五本という計算をしまして、二百円程度下がる。これなら太刀打ちできるじゃないか、こんなことで考えたわけでございまして、十分かどうかは別として、これならば最低民有林の活性化が図れる、このような自信を持って実は財政当局に今話している最中でございます。
  94. 菅野久光

    菅野久光君 時間がございませんので、具体的な問題を一つだけ聞いておきたいと思いますが、緊急初回要間伐林百九十万ヘクタールですね、これに対して国費が四百七十億ですが、これを五カ年で果たしてこのとおり完了する見通しがあるのかどうか。一部マスコミ報道では、六十五万ヘクタール相当促進ということなども報じられておりますけれども、その真偽のほどはどうなのか、お伺いしておきたい。
  95. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今後数年間、五年くらいの間にぜひとも間伐をしたい、しなければならないと我々は見ております。面積が百九十万ヘクタールでございます。五年で割りますと三十八万ヘクタールになりますが、そのうち今日までの従来の施策、これも相当力を入れておりますが、大体二十五万ヘクタールが消化されております。今回の措置が、やはり間伐は路網の整備が何といいましても一番重要でございますので、そういう施策を充実することによりまして、残りの十三万ヘクタールに当たるものも、これも十分消化できるという見込みを立てておるところでございます。
  96. 菅野久光

    菅野久光君 この計画がそのとおり実施されるかどうかということは、今後も見守っていきたいというふうに思っております。  次に、北海道営林局における除草剤の問題についてお伺いをいたします。  これは、夕張営林署にかかわる問題でありますが、昨年の十月に遠幌地区の国有林で除草剤散布を計画いたしました。この箇所は、住民約千五百戸の生活用水を取水している河川の上流約十三キロメートルの地点になっているわけであります。住民はこれに反対をして、除草剤を積んだ車を入れさせないために十五日間も座り込むというような事態がありました。ところが、当局は夜中に百キロメートルも遠回りして、裏山から除草剤を搬入して散布を強行したわけであります。この事実はお認めになりますか。
  97. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 北海道営林局の報告によりますと、昨年夕張営林署におきまして、除草剤散布に関連しまして、いろいろ一部の地元の方々からの反対がございましたが、最終的には散布をしたわけでございますけれども、その散布に際しまして、トラブルを避けるためにそういうふうな行動があったということを聞いております。
  98. 菅野久光

    菅野久光君 トラブルを避けるためにということでありますが、余りにもちょっとやり方が私はひどいんじゃないかというふうに思うんです。  地元住民は、まず一つ目は、子供の炊事遠足が心配だと。これは私ども除草剤の散布地域についていろいろ調査をいたしましたが、除草剤を散布したあの沢から流れてくる水は、放牧している牛や馬も飲まないというような状況が出ているところがあるわけですよ。そういうところで、ましてこれは人間ですよ。そういう意味で炊事遠足が心配だと。それから、そのことによって魚が死んだりしまして、魚釣りができなくなる。これはレジャーならレジャーということで、そう大きな問題でないのかもしれませんが、さらに三つ目は、営林署に安全性についてのデータを求めたけれども、これは示していない。それから四つ目は、住民の裏をかいて強行したが、これは国のやることかどうかということですね。  このような住民の声に対して、どのようにお考えになりますか。
  99. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 除草剤の使用につきましては、国有林で現在主力に使っておりますのは、ササ関係の抑止に使っております塩素酸塩系と、あとはクズの処理に使うのと、大別すると二つあるわけでございます。御案内のこととは存じますけれども、特に北海道、東北におきます天然更新にはササの処理がもう不可欠でございますし、あるいはこれは発芽を促進する、天然下種を促進するための事前のササ処理もありますし、また下刈りの際のササ処理もあるわけでございますけれども、これに使用しておりますのは、当然のことながら農薬取締法によりまして登録を受け、その薬自体の使い方についての注意に加うるに、国有林といたしましての内部的な取扱基準を設けまして、いろいろ危被害の防止等については万全を期するように、憤重に対応をしておるところでございます。  除草剤につきましては、ベトナム戦争来のいろんな経緯もございまして、非常に関心を集めやすいと申しますか、特に初めて散布いたしますような場合には反対も起こる場合もあるわけでございますが、極力私どもはお話をいたしまして、理解を得て実行するように指導をしているところでございます。  ただ、この薬の散布には適期がございまして、どうしてもその適期を逃しますと全く薬効が薄らいでしまうということがありますので、それまでの間十分理解、説得の努力をいたしましても、やむを得ず適期を逃すわけにはまいらないというときには散布をしたというのが今回の例であったろうと思っておりますが、今後とも理解を求めるための努力は十分尽くしてまいりたいというふうに考えております。  それから、安全性その他につきましては、当然、薬一般につきましての一般的知識は十分持ち合わせているわけでありまして、その辺についての説明がないとすれば、そういうことのないように、十分御説明できるようにいたしたいと思っております。
  100. 菅野久光

    菅野久光君 2・4・5Tの問題も、初めは安全だ安全だ、大丈夫なんだ大丈夫なんだということで、結果的にアメリカでこれは大変な発がん性がある、あるいは遺伝毒性がある、そういうようなことがわかって、結局日本でも緊急にやめたという経過があるわけですね。この種の問題については、これは環境汚染の問題も含めて、安全だ安全だと言っても果たして本当に安全なのかどうかということは後になってからでなければわからないものがたくさんあるわけですよ。  そういう意味で、今環境汚染の問題について非常に国民が高い関心を示している、そういう中でありますから、十分に住民の理解が得られなければこれはもうやるべきでないというふうに私は思いますし、今何回か長官が言いましたが、地元の住民の理解が得られない場合にはやらないということだけはひとつ確認をしておきたいと思うんです。適期とかなんとかといったって、例えばその年やらなくてもまた次の年だってあるじゃないですか。それを、住民が反対しているのに百キロも迂回して、しかも夜中ですよ。そんなことを国がやるということについて、国に対する国民の信頼感というものが一体どうなのかということをよく考えてもらいたいと思うんです。  そういう意味で、地元の住民の理解が得られない場合は散布を強行すべきではないということについて、ひとつ確認をいたしたいというふうに思いますが、よろしゅうございますか。
  101. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 地元の方々の御理解を得るよう最大限努力をいたしまして、散布する場合には十分御理解が得られるように努力をいたしたいと思います。
  102. 菅野久光

    菅野久光君 だから、理解を得られなかった場合はさらに理解を得るために、このようなこそくな手段を用いて強行するなんというようなことのないようにしてもらいたいということについて私は申し上げているんですが、その点いかがですか。
  103. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 方法、手段につきましては、十分慎重に対応をいたしたいと思います。
  104. 菅野久光

    菅野久光君 非常に何というんですか、まだ事によってはまた強行するぞということの含みのある答弁ということにならざるを得ないわけですが、その辺、大臣いかがですか。
  105. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。  今、経過を聞いておりまして、やっぱり散布その他については不穏当なような感じがいたします。そんなことで、一遍現地へ行かして実態を調べさせまして、その結果によりましては私が使用禁止いたします。
  106. 菅野久光

    菅野久光君 大臣の明快な答弁をいただいて、感謝を申し上げたいと思います。  次に、同じく除草剤にかかわるわけでありますが、恵庭営林署での問題であります。除草剤散布によってアカエゾマツの造林木を大量に枯死させた事件がありました。ところが、営林署は管理者のみで祝日に現場へ行き、枯死した造林木を抜倒または抜き取って土中に埋めた。それも、小さいものじゃないんですね。背丈以上ある造林木だということであります。当局の説明では約三百本というふうに言っておりますが、実際にはもっと多いというふうに思われます。なぜこのようなことをやったのか、やらなければならなかったのか、そのことについてお伺いをいたします。
  107. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 恵庭営林署の除草剤散布につきましては、アカエゾマツとトドマツの造林地十ヘクタールにつきまして五十七年に除草剤を初めて使ったわけでございます。  アカエゾマツの方が薬害に対しましては非常に弱いわけでございますが、そういう知見も当時初めての使用でございましたので十分なかったことと、それから降雨直後で茎とか葉に非常に付着しやすい状態にあった。その後、使用基準におきましては、そういう日を避ける、特に空中湿度が高いときも避けまして薬害が生じないような使用基準を現在は設けておりますけれども、当時はそういう知見もないというままにまきまして、トドマツの方には被害は全く出ておりませんけれども、アカエゾマツの方に被害が出たということで、当時営林署の責任者としては予期しないことでもあったために、また自分の管理する造林地の中にそういう枯れた造林木があるということを見るに忍びないと申しますか、そういうことでそれを除去したと聞いておりますが、私どもも決して穏当なやり方とは思っておりませんで、今後そういうこそくなことのないような注意と、それから除草剤使用上の適切な使い方と、双方につきまして十分指導をしたところでございます。
  108. 菅野久光

    菅野久光君 何か、いろいろお話を聞きますと、除草剤の散布そのものが、今言ったような、何というか、化学的な量だとかなんとかというものも全くなしに請負に請け負わせて、そのために、とにかくまくだけまいてしまえば、薬品がなくなればそれで一日の仕事は終わりというようなことがなかったのかどうなのか、そんなことなんかもやっぱり話を聞くとあるようであります。言えば、極めて狭い箇所にどんと大量の除草剤をまいたのではないか。そのことがこの大量の枯死を招いたのではないか。  いずれにしろ、国有林の財政悪化の中で、これはもうむだ遣いも私は甚だしいものだと思うんです。薬もむだ遣い。それから枯れた木はもちろんそうです、これだけ大きくするといったら何年もかかるわけでありますから。そういう意味では、本当にこういったような除草剤の散布というものについては、しっかり見直してもらいたいということを強く要望しておきます。  あと、時間もございませんから、この件については以上で終わらしていただきます。  次に水産問題でありますが、時間がございませんので、日ソサケ・マスの漁業交渉の実態交渉のかかわりについてはちょっと後からお聞きすることにいたしまして、日本海サケ・マスの漁業問題についてお伺いをいたしたいというふうに思います。  ソ連は、今回の交渉で我が国の日本海のサケ・マス漁獲について大きな関心を示して、漁獲努力を二分の一に削減することが必要だと主張したというふうに伝えられております。さらに、来年度の実態交渉を二月三日から始めることをソ連側が提案してきたのも、我が国が日本海サケ・マスの操業を、例年は三月一日から、ことしは三月十日からだったのでありますが、この時期から始めていることを問題にしたためだと言われますが、政府はこれをどう受けとめておられますか。  我が国の二百海里内のサケ・マス漁業について、安易に規制の強化を許すことは主権の放棄にも等しいことで、絶対にあってはならないことだというふうに思いますが、政府のこの面についての対策をお伺いいたしたいと思います。
  109. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  まず第一の点でございますが、ソ連側が議事録の中で記録にとどめることを要求いたしました文言は次のとおりでございます。「ソ連側はさらに、特に日本海に関する産卵場の充満のためのサケ・マスの遡上の顕著な増大及びこの目的のための新漁期における漁獲努力を二分の一に削減することの必要性の問題を提起した」ということを記録にとどめたいということを主張いたしましたので、そのとおりのことが議事録に載っております。  それから、来年の日ソ漁業合同委員会は二月三日であるということと日本海操業の規制との関係でございますが、これは、ソ連側が別にそういうことを明示的に述べたわけではございませんが、一つは、本年の二百海里操業に関して、これもソ連側が次のように記録にとどめたいということを述べて記録にとどめられております。「合同委員会が議事日程第八項(4)を」、これは八五年の漁獲についての話でございますが、「討議する以前に日本国側が日本国の漁業水域においてソ連系サケ・マスの漁獲を開始したことに関連し、ソ連邦側はかかる決定は協定第二条6に反している旨の声明を行い、協定の義務を日本国側は厳しく守るべきである旨指摘した」ということが記録にとどめられております。  この点につきましては、日本側も反論をいたしまして、日本側の反論も議事録にとどめられております。すなわち、「日本国側は日本国が自国の二百海里水域において漁業に関する管轄権を有していることにより、かつ協定第二条6にいう所要の協力を実施することに留意しつつ上記の操業を始めたことを指摘し、この決定は協定第二条6には反していない旨の声明を行った」ということになっております。  それで、私どもといたしましては、我が国の二百海里内のことでございますから、いかに遡河性魚種とはいえ我が国の二百海里内の管轄権下にあることでございますから、先ほど朗読いたしましたような日本国側のポジションは来年以降も堅持してまいる所存でございます。
  110. 菅野久光

    菅野久光君 そこのところは何か非常に、日本海サケ・マスの関係者にとっては極めて心配なところであったわけでありますが、今の長官のお答えのように、来年度以降も我が国の二百海里内のサケ・マスの問題については、従来どおりひとつ堅持をしていくということで今後も進めていきたい、こういうことでございますから、そういう点でこれからもひとつ一層努力をしてもらいたいというふうに思います。  今回の交渉では、科学技術協力計画が作成されましたが、ソ連の提案によって今月の十七日から二十九日まで日本海でサケ・マス資源調査をすることになったわけですね。ソ連のねらいは、日本側の日本海サケ・マス漁業に新たな規制を進めるためのものではないかと漁業関係者は大変心配をしておりますが、その点について政府考え対策をお伺いいたしたいと思います。
  111. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  これは日本海のサケ・マスにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、単に日ソ間の協議が始まる前に出漁したということだけではなくて、ソ連側としては、日本海で漁獲されておりますカラフトマスにつきましては、ソ連は一般的にはカラフトマスの資源状態については楽観点な見通しを持っておりますけれども、日本海で漁獲対象になっておるカラフトマスだけは、カラフトマスの中でも例外的に資源状態がよくないというふうにソ連側の科学者が認識をしておるわけであります。そういう憂慮の面が、ただいま先生が言及なさいましたような科学協力の面でも、そういうことに参加したいというソ連側の希望になってあらわれてきたわけであります。  したがいまして、来年の協議におきましてもまたソ連側は本年の協議における主張の延長線上のような主張を恐らく展開をしてくるだろうと思います。それで、ソ連側が本年の主張についてこういうことを議事録にとどめましたのも、ソ連側の感じといたしましては、ことしは勘弁してやるけれども来年は承知しないぞという感じがあるのであろうと思います。  ただ、これは繰り返しになりますが、私どもとしても資源論は資源論、管轄権の問題は管轄権の問題ということで、日本側の管轄権下にある漁業であるという点については毅然として対処をしてまいりたい。それから資源論につきましては、私どもとしても資源保存のために必要があるということであれば、それはもちろん所要の措置をとることには、日本の漁業者自体の利益から見ても場合によっては必要なこともあり得るわけでありますから、その点につきましてはよく資源状態を精査いたしまして適切に対処したいというふうに思っておりますが、私ども、少なくとも現在の時点では、日本海のカラフトマスについて、ソ連側が主張しておるようなクリティカルな状態であるというふうには思っておりません。
  112. 菅野久光

    菅野久光君 次に補償問題でありますが、これは毎回私も申し上げておりますが、太平洋中型サケ・マスの問題で前にもちょっと言ったわけでありますが、一カ月以上の出漁のおくれ、こういうことで漁業者にとっては赤字を余儀なくさせられているわけであります。そこで、まず出漁のおくれに伴う損失補償を早急にすべきだというふうに思います。  次に、減船の必要がある業界が出た場合には、五十二年、五十三年の例にならって十分な措置をとるべきだというふうに思います。  また、地先沖合協定から外されたカニ、ツブ、エビも、ズワイガニを除いてあとは全部出漁不能の事態になりましたが、これも当然サケ・マスと同時に救済措置を講ずべきだというふうに思います。  私は、サケ・マスやカニ、ツブ、エビの救済対策については、これまで何回となく質問を重ねてまいりました。政府はその都度、交渉中だからとの理由で具体的な対応策を明らかにすることを避けてきました。これ以上はもう私も我慢ができません。もう交渉も終わったわけでありますし、具体的にこういったような事態が出てきているわけでありますから、この場でその対策を明らかにして直ちに救済に乗り出してもらいたい、そのように思いますが、大臣の責任のある答弁を期待して、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  日ソ漁業合同委員会におけるサケ・マス交渉の結果につきましては、先生も御存じのとおり総漁獲量で三万七千六百トン、六月及び七月分の漁獲量としては受け入れ可能な数字であると考えております。また、当面、減船といった事態は避けられたものの、残念ながら例年の漁期は遅延したところでございます。  そんなことで、今後出漁のおくれに伴い漁獲にどのような影響があるかについては、毎年の漁獲は漁海況等に大きく左右されるものでもあり、政府としては今後ともその影響を見きわめて救済対策につき検討してまいりたいと考えております。  また、カニ、ツブ、エビにつきましては、実は私、水産庁長官ともにいろいろ努力したわけでございますが、結果としては、例えばソ連側は日本海エビ、北洋イバラガニ等の禁漁のほか、取り締まり及び規制措置の緩和をすることはできないと回答したところであります。  そんなことで、影響を受ける漁業者の救済措置につきましては、関係漁業者、北海道庁等の意見を十分聴取の上、適切に対処してまいりたいと考えております。
  114. 北修二

    委員長北修二君) 本件に対する質疑は午前はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  115. 北修二

    委員長北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  116. 浦田勝

    ○浦田勝君 午前中に野党の皆さん方から御質問がなされたわけでございますので、大変重複してまことに恐縮に存じますけれども、重ねてお尋ねをいたしたいと思います。  それは米穀政策、米価対策の問題でございますが、一番ただいま問題にもなっておりますところの食管制度についてでございます。  食管制度につきまして多くの方々から御意見が出ておるわけでありますが、国民の主食である米の安定供給を目的とする食管制度はあくまでも堅持してまいらなきゃならないというふうに考えるわけでございますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  117. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 浦田先生にお答えいたします。  食糧管理制度は、先生の御指摘のとおりでございまして、国民の主食でございます米を政府が責任を持って管理することによって、国民の必要とする米を消費者に対しまして安定的に供給するという重要な役割を果たしてきており、今後とも本制度については、事情の変化に即応して必要な運営面での改善を図りつつこれを堅持してまいる考えでございます。
  118. 浦田勝

    ○浦田勝君 お言葉をいただいたわけでありますけれども生産者価格の抑制により売買逆ざやは一・九%まで圧縮されており、だから不正規流通をこれはもう非常に誘発するおそれもあるわけでございますので、食管制度がなし崩しにならないように、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  さらに、売買逆ざやの縮小と生産者米価の抑制は、先ほども出ましたけれども、食管法に明記されております食管機能を弱めることになりますので、ぜひひとつ御尽力願いたいと思います。  ちなみに、食管費は昭和五十年以前は農林予算の四〇%を占めていましたが、五十九年、六十年度予算では二年続けて一千億以上も削減されており、今日では二一%に低下しております。食管会計予算は別枠として、将来ともひとつぜひ考えてほしいと思います。  次に、他用途利用米についてでありますが、農水省と団体が新たに他用途利用米規格について検討会を開催しているようでございますが、どのように研究をなさったのか、お尋ね申し上げたいと思います。
  119. 石川弘

    政府委員石川弘君) 昨年、他用途米を発足させましたときに、生産者の方々から専ら他用途米、要するに主食とは別に他用途米の規格ができないかというような問題提起がございまして、よく検討しようということになっていたわけでございますが、私ども生産者、これは中央の団体だけではなくて、現に扱っております各都道府県の経済連の専門家、それから需要者サイドとしましても、これはおみそから、あるいは米菓、いろんな代表にお集まりいただき、さらにこういう問題に特に学識経験のある方も集まっていただきまして、五回にわたりまして検討会を開いたわけでございます。  これは大変難しい問題を初めから持っているわけでございまして、例えば専ら他用途米の規格ということになりますと、それは逆にそれと同じものは主食規格ではない。ですから、事柄をある程度わかりやすく申しますと、かえって規格を分けたら農家とすれば手取りが下がるという可能性もあるというような、そういう難しい要素もございますし、それから他用途米というのは、御承知のようにくず米とある意味では一緒になりまして加工原料になるわけでございますから、くず米の部分については政府財政負担をしてない米でございますので、これも扱いいかんによっては財政負担が新たにふえるというような問題がありまして、幾つかの案、たしか四つの案をつくりまして、その四つの案の利害得失ということを五回にわたって専門家でみんな話し合ったわけでございますが、一利一害というようなこともございまして、率直に言いますと、みんながこれならよかろうというのはまとめかねたというのが実際の姿でございます。  しかし、これはそうは申しましても、現に六十三年産にも適用しなきゃいかぬことでございますので、みんなの共通認識としては、当面は今の三等以上ということで他用途あるいは普通の米、それを分けない形でやらざるを得ぬだろうと。ただ、問題としましては、将来多収穫品種なんかが出てまいりますと、これは規格も違ってくるというようなこともございますし、それから例えば今の検討では四つの案しかなかったわけでございますが、さらに何かもっと新しい知恵も出ないかというようなことで、検討は将来も続けるということにいたしますが、とりあえず六十三年産米については現行の考え方でいこうということで、ついこの間大方の意見が一致を見たところでございます。
  120. 浦田勝

    ○浦田勝君 よくわかるわけであります。大変御苦労様と思いますが、初めて出発したわけでございますから大変困難も起きていろいろと論議を呼んだわけでありますけれども、やはり一物二価というようなもの、同じような品質で販売がなされるということに、理屈はわかっておっても違和感が出てまいりまして、だからやはり新規格をひとつ早くつくっていただくことと、あわせてこの問題のとり方次第ではまた外米を入れなくちゃならぬような事態も起こらないとも限らないわけでありますが、速やかにひとつおつくり願いたいと思います。  次に、良質米奨励金の確保についてでありますが、良質米奨励金は、消費者の嗜好に即応した良質米を安定的に供給するため単収も低うございますし、生産者生産努力も必要となる良質米については生産奨励のためにも交付されているものと考えます。この縮減合理化につき検討していると聞いておりますが、この縮減合理化は従来の施策に反するのではないかというふうに思いますので、この点、お聞かせ願いたいと思います。
  121. 石川弘

    政府委員石川弘君) 先生の御指摘いただきましたように、良質米の奨励ということはそのこと自身大変意味のあることでございまして、生産者にとっても、そういうより品質の高いものをつくり売ってこれるというメリットもありますし、消費者にとっても、おいしいお米を食べられるということもあったわけでございます。したがいまして、私ども良質米奨励の目的が達成しているとか、もう良質米奨励の必要がない、そういうことを言っているわけではございませんで、実は昨年米価決定の際にいろいろ御論議しましたときも、自主流通米制度の健全な発展を図るという基本的立場に立った上で、流通実態等を踏まえ、その縮減合理化につき検討を行うということになっているわけでございます。  そういう意味は、例えば昭和五十四年という時点を考えてみますと、五十三年、五十四年と豊作が続きまして、良質米奨励も単にその奨励措置だけではございませんが、豊作の影響もあって大変な量が出てきたわけでございます。そこで、御承知のように、自主流通米というのはそういう需給関係が価格に反映する制度でございますので、せっかく良質米奨励等をしながら、結果的に売る立場の方から言いますと建て値を下げてまで売らざるを得なかった。財政的に言うと、金をつぎ込んで結果的に手取りを下げたというふうなこともございまして、やはりそういうことの反省にも立ちまして、五十五年に実は現在のAI、AII、Bというランクの良質米奨励金のランクをつくったわけでございます。  その後は、御承知のように比較的作が乏しかった、要するに生産が低い時代が続きまして良質米奨励の手取りはふえてきたんですが、実は五十九年の豊作を機会に良質米がどちらかというと売りにくいというような条件も出てきておりますので、そういうような条件も踏まえて、財政という面だけでこのものを考えるというんじゃなくて、むしろ財政をうまく活用しながら農家手取りというものに対してうまく働くにはどんな水準がよかろうかというふうな検討をしているわけでございます。  したがいまして、私どもは良質米奨励の必要性を十分考えた上で、しかも水準等について、もしより合理的なことが可能であればそういう措置もとることがいいんではないかという、そういう立場で検討しているわけでございます。
  122. 浦田勝

    ○浦田勝君 良質米奨励金の果たした役割というのは、大変大きかったと思っております。これがなければ、また大分混乱もしたかと思います。奨励金につきましては、やはり生産農家の皆さん方も鋭意全地域的に努力しているさなかでもございますので、今後ひとつその点よろしくお願い申し上げたいと思います。  それから、これはもうお尋ねすまいと思ったわけですが、先ほどもいろいろお話が先生方から出たものですから、言うまいと思いましたけれども、せっかくの機会ですから、重ねてまた生産者米価についてお尋ねしたいと思います。  今度価格が決まる時期に近づきまして、いろいろと先ほどからお話が出ておったわけでございますが、途中からの出席でございましたので、基本的なお考えを御説明願いたいと思います。
  123. 石川弘

    政府委員石川弘君) 米価につきましては、先生も御承知のような法律、政令の規定に基づきまして現在は生産費及び所得補償方式という算定方式を使っておるわけでございます。そういう算定方式を使いながらそのときどきの需給事情その他を勘案してやっているわけでございますが、御承知のように、ことしは三年平均と申しますと五十七年、五十八年、五十九年という三年の平均で算定をすべき時期になっていると思っております。そういう数字の中で、五十九年産数字というのはまだ全部を詰め切っているわけじゃございませんし、それから評価がえ等をいたしますための労賃水準、そういうものも一番最近時点の数字を使わなければならぬものですから、もう少し時間をおかしいただきたいわけでございますが、基本的には私ども今の生産費所得補償方式という方式をそのまま使いまして、その中におけるいろいろなデータ、それから評価がえ等におきましてはいろいろな考え方もございますので、そういうものを適正にやりながら政府案というものを決めていきたいと思っております。もう少し時間をかしていただきたいと思っております。
  124. 浦田勝

    ○浦田勝君 もう余り重ねて聞きませんけれども、算定のとり方、その基準あるいは労働時間、そういうものは非常に団体側が要求いたしております四・九五とほど遠いものになるわけであります。これはいつでも食管の数字の魔術でどうにでも恣意的になるような感じがしてならぬわけですが、そういうことでできるだけ、先ほどもお話があっておりましたが、とにかく再生産ができるような正当な米価価格が生み出されるように、ひとつ御努力方をお願い申し上げたいと思います。  次に、米の安定供給についてお尋ねしたいと思います。全部関連があるわけですが、五十九年産米は非常に豊作であったわけでありますが、米の安定供給体制を確立すべきではないかということでございます。特に五十三年産米の反省によりまして、在庫した米の安全性確保等その保管は万全を期していかなくちゃならぬのではないか、こういうふうに思うわけであります。この点についてはどういうお考えですか。
  125. 石川弘

    政府委員石川弘君) 私ども、国内産の農産物というものを消費者の方々が大変望まれる中では、やっぱり一番安全性ということ、どういうぐあいに生産され、どういうように保管されているかがわかっているという意味で、国内産のものにそういう期待が多いということを痛感いたしておりまして、したがいまして、五十三年産米の扱いにつきましては、大変私どもの米管理にとって反省すべき材料であったと思っております。  したがいまして、安全性ということも大変大事でありますと同時に、どんな場合でも要するに政府が持っております米がその他の市中の米に負けないで売れるような体制にしておきませんと、またぞろ過剰の要因にもなるということもございまして、ことしの三月に米の管理に関する基本方針を定めます際に、これからいわば在庫をし回転させながら備蓄しておきます米につきましては原則として低温の保管を行う。低温保管をするということは、薬剤を使いました防虫の必要はないわけでございますので、原則的には低温保管、現在、倉庫は量としてはあるわけでございますが、地域的に若干あるところ、ないところというのがございますので、そういうことの調整をしながら、原則的に低温保管をするということをうたっているわけでございます。  原則としてと言っておりますのは、一部は御承知のカントリーエレベーター、これはもみで持っておりますのでその必要がないわけでございます。それから、地域的に北海道あるいは本州でも比較的高冷地におきまして、常温の倉庫を活用しましても比較的管理に耐えるところもございます。そういうことで、大原則は低温保管ということで、安全性についても全く問題のないような処理の仕方をするつもりでございます。これは安全性はもちろん、食味の点においてもすぐれているわけでございまして、若干管理経費が増高いたしますけれども、今後はこれでやっていきたいと思っております。
  126. 浦田勝

    ○浦田勝君 大変苦い経験を経たわけですからもうそういうことはないと思いますけれども、用心に用心をして、用心するにこしたことはございませんから、ひとつ御努力いただきたいと思います。特に政府の方で、大変倉庫等についての行き届いた施策によって大体良好な状態にあるということはよく承知をいたしておりますものの、なお一層またカントリーその他については予算的なひとつ配分方もお願い申し上げたい。  第五番目でありますが、市場開放と米麦についてでございます。農産物につきまして市場開放対策の検討が進んでおるように聞いておりますが、国民の主要食糧である米麦については市場開放策を講じることではないと思いますが、この点についてお尋ねをいたしたい。
  127. 石川弘

    政府委員石川弘君) 米麦は我が国の主要食糧でございまして、米につきましては昨年の当院の御決議等でございます。私ども、これは自給をすべきものと考えておりまして、食管の運用で今後とも自給をするつもりでございます。  それから麦につきましては、これは全量を国内というわけにはとてもまいりませんので、国内でとれます麦というものを大原則にしますけれども、不足するものを輸入する。これも御承知のように、食管制度の中で、国によって一元的に輸出入を管理できるという制度にしてございますので、こういう制度を活用しながら現体制でやっていくつもりでございます。こういう一元の輸出入管理ということは、ガットの場でも国際的に認められておるところでございます。
  128. 浦田勝

    ○浦田勝君 アメリカやEC諸国から、第二の黒船と言われるほどの激しい日本に対しての外圧があるわけであります。それを踏まえて対外経済対策というのをお立てになったわけでありますが、大体六月の二十五日ごろまでに関税全部を見直して、輸入制限品目を原則自由として見ると言われておりますが、特に総理が、農産物といえども市場開放のためには聖域ではない、そのようなことをはっきり言っておられたわけでありますけれども、フランスのミッテラン大統領あたりの御意見を聞きますと、大変自分の国の農民に対する保護というもの、また自分の国の実情というもの、これをわきまえての発言があったわけであります。ところが、どうもうちの中曽根総理がそのようなことを言われたということは、非常に私どもとしては不愉快な感じがしたわけであります。我が党の総裁ですから余り言いたくはありませんけれども、実情は御存じなのかなというふうに思うわけであります。我が国の安全保障や国土保全等において重要な役割を果たしてきておる農業を原則自由、例外制限の例外として位置づけるべきではないか、私はそういうふうに思っております。  また、世界の国から一方的な荒稼ぎは許さないと非難を浴びているということの点からいたしまして、新しい日本経済を確立していかなけりゃならぬわけでありますが、過度な輸出依存をしない経済政策や為替レートの国際不均衡の是正等を行うのに努力すべきじゃないか、こういうふうに思います。  ですから、いろいろと調べてみますと、本当に日本という国はかわいそうだなと、何で日本だけがこんなにたたかれなくちゃならぬのか。農林水産物の輸入におきましては世界第一の輸入大国でありまして、貿易収支の黒字幅が昭和五十九年度で三百三十六億ドル、このうちの大半が米国への出超であり、アメリカが三百三十億ドルであります。一方、農林水産物は、輸出額は二十二億ドルに対して輸入額は二百七十八億ドルと急増しておりまして、総輸入額の二〇%を占めておるわけであります。貿易黒字の軽減に本当に農林水産物が役割を果たしておるわけでありまして、農林水産物の自由化促進の決定以来、残存輸入制限品目は七十三あったんですが、現在は二十二品目に譲りに譲ってきておるわけであります。言うなれば、打たれ打たれて鼻血ももう出ない、ふらふらの格好の状況であります。  農業保護は各国共通の政策であり、食糧農産物の貿易については国際ルールの確立が必要ではないかと思われます。食糧農産物に関する新貿易の原則の確立を図るべきだと思われます。私はそういう面で、自国の生産基本として、そのために生産者努力国内農業政策を相互に尊重し合う、食糧農産物の貿易は国内生産で不足する分以上の輸入を強要しないということが要求されてくると思います。  ただいま申し上げましたようなことの二点を国際農業生産者連盟の総会で日本農業団体が提唱し、多くの国の賛同を得ておるものでございます。しかし、これは生産者、農民団体だけの話し合いではどうにもなりませんので、これはもう国の方の力をもってお互いの政府機関の場で協議の上に確立する必要があると思いますが、この点につきましてどのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  129. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) お答えを申し上げます。  ガット等の国際的な場におきまして農業問題、あるいはまた農産物貿易の問題がいろいろ取り上げられております。最近でございますと、ガットに農業貿易委員会というものがございまして、そこでいろいろな議論がなされておりますが、今お話のございましたように、我が国はその中で、農業というのは一つの特殊性を持っている、そういう意味で鉱工業品とは異なった扱いがなされる必要があるということをかねてから主張をしてまいってきているところでございます。ガットの原則そのものは、関税以外の貿易障壁を否定いたしまして、関税もできるだけ相互に交渉によって下げていくということでございますが、現在も輸入制限なり、あるいは輸出補助金について一次産品ないし農産物について例外的な取り扱いが一部ございますけれども、その運用なり、あるいはまたルールそのものが必ずしも実態に合ってないという面の指摘もあるわけでございます。  そういうことで、国際貿易におきます農産物の扱いについていろいろ議論がございますが、我が国はやはり農業の特殊性というものを今後も主張してまいりたいというふうに考えております。
  130. 浦田勝

    ○浦田勝君 これ以上お尋ねすることはないと思いますが、重ねてもう一つ農産物市場開放の問題について、政府の対外経済対策についてでございますが、経済摩擦問題の原因は、先ほども申し上げましたように農業にあるとは考えておりません。農産物の市場開放のみでは解決はできないと思いますが、この点についてどういうふうにお考えですか。
  131. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 浦田先生にお答えいたします。  その前に、中曽根総理の発言が出たわけでございますが、中曽根総理は何といいますか、大変農林政策に御理解を賜っておりまして、そのことを特にひとつ御理解を賜りたい、こう思っておるわけでございます。  先ほど先生御指摘のとおりでございまして、私はこの経済摩擦問題の原因というのは、我が国の貿易収支がかつてない大幅黒字となっておるということにあると考えております。その主たる原因は、先生も御指摘のとおり、アメリカの財政赤字とか高金利によるドル高、景気回復局面のずれにあるものと思われます。また貿易摩擦の背景には、我が国の特定品目分野における輸出の急増等もあると思われます。また一方、農林水産物につきましては、我が国は大幅な輸入超過となっております。  したがって、貿易黒字の解消のためには、アメリカに対しまして高金利、ドル高の是正等を主張していくことが肝要であると思いますが、また一方では、我が国としても、市場アクセスの改善のみならず、内需の拡大とか節度ある輸出、経済協力の拡大等を総合的に実施することが大切であると考えております。
  132. 浦田勝

    ○浦田勝君 中曽根総理が理解がないとかというふうには思っておりません。それは群馬県の農民も承知しませんから、そういうことは。それはマスコミから出てきたわけでありますが、これは野党の総裁だったら我々も声を大きくして張り上げるんでありますけれども、声を小さくして御理解を求めておるところでありますので、農林水産大臣はぜひひとつ閣議の席上では、よろしく総理の軌道修正方をお願いいたしておきます。  それから、市場アクセスの改善のためのアクション・プログラム策定に当たっての基本方針というものについて、お尋ねをいたしたいと思います。
  133. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 現在、アクション・プログラムの検討につきましては、省内に設置をされました策定委員会で検討をしているわけでございますが、もう御案内のとおり、我が国の農林水産業の実情を見ますと、カロリーベースの食糧自給率が五十数パーセントというような状況の中で生産調整等が実施されているという非常に厳しい状況にございますし、また関係者も非常にこの問題に強い注目をしておるところでございます。  現段階におきまして、まだ具体的な内容等をお示しできるまでに至っておりませんけれども、今月中には個別品目の関税の引き下げの問題、また七月末には行動計画の骨格の策定を行うということが政府全体として決定されておりますので、我が省といたしましても、厳しい立場にございますけれども、何らかの結論を出すべく、今鋭意検討を行っているところでございます。
  134. 浦田勝

    ○浦田勝君 よく事情もわかりますけれども、重ねてこのアクション・プログラムがどの程度まで今進んでいるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  135. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 順序といたしまして、六月中に個別関税の引き下げについて決定をするということになっておりますが、そういった関係もございまして、アクション・プログラムの中でも関税に関する事項というのは、できるだけ優先的に早く詰めるべきであるというようなことで作業をいたしております。  このアクション・プログラムそのものは、そのほかにも例えば基準・認証でございますとか、輸入の手続の問題あるいは政府調達の問題と非常に範囲が広いわけでございますが、政府調達などは各省横並びの問題が相当多くございます。現在、関税の問題をまず取り上げて、鋭意検討をしておる段階でございます。
  136. 浦田勝

    ○浦田勝君 私どもも自由貿易を大切にしていかなくちゃならぬということは十分わかっておるわけです。ですから、皆さんの方でも、やはり洗いざらいに全部一つ一つ点検していこうということだと思います。その中でどのように選択するかということになるわけですが、原則自由の中の例外制限というようなことでひとつお取り計らいをお願いをしておきたいと思います。  時間もあるようでございますので、もう一つお尋ねいたしたいと思います。  食糧の安全保障でございますが、世界の食糧需給は長期的に見て楽観を許さない状況にございます。これは皆さん方御案内のとおりでありますが、我が国の食糧安全保障に対してどのようにお考えになっているか、この点をお聞かせ願いたい。
  137. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 食糧の安定供給なり安全保障、これを確保しますことは、国政の何といいましても基本をなす重要課題と心得ております。  そういう前提で、第一番目には、国内で生産可能なものは何とか極力国内で生産をしていくということを基本といたしまして、総合的な食糧自給力というようなものを、国会決議の趣旨に沿いまして維持強化してまいりたいと思っておるわけでございます。しかし、残念ながら国土の制約等もございますので、輸入に依存せざるを得ないという物もございますので、こういう物につきましては、安定的な輸入の確保を図るなり、あるいは国際的な農業協力というようなもので、外国からの輸入ソースの安定化に努めたいと思っておるわけでございます。  ただ、そういう国内生産を増強し、それからさらに安定的に輸入を図りましても、一時的な輸入障害ということも時々発生するおそれがございますので、こういう不測の事態に対応いたします備蓄というものにつきましても、遺漏のないように努めているところでございます。
  138. 浦田勝

    ○浦田勝君 西欧の先進諸国では、穀物自給率がどんどん高まっております。我が国の方は、まさに低下の方向にあるわけであります。先ほど申し上げましたように、非常に大量の輸入国に成り下がってしまっておりますが、この食糧自給力の向上についてはどのようにお考えになっておりますか。
  139. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ここのところ国民の食生活が多様化してまいりまして、畜産物の消費がふえる、そういうことにつれまして飼料穀物の輸入というものが若干増加してまいりまして、ただいま御指摘ありましたように、自給率というものは近年横ばいなり、あるいは物によりましては微減というふうな傾向をたどっているわけでございます。  そういう中で、総合的な食糧の自給力の維持強化を図るということでいろいろと取り組んできているわけでございますけれども、そのための具体的な方策といたしましては、一つは、何といいましても需要の動向に応じました農業生産というものを再編成していくということで、水田利用再編対策を柱といたしましていろんな再編対策というものに取り組んでいるわけでございます。  それから同時に、技術なり経営能力というものにすぐれた人をどうやって育てるかということなり、それから中核農家というものを育てていくにいたしましても、それだけではなかなか生産の底辺というものは確保できませんので、兼業農家も含めました生産組織なり、あるいは地域ぐるみの生産体制というものにも取り組んでいるわけでございます。  それから、そういう人を育てると同時に、何といいましても一番の農業生産の基盤になります農地の確保なり、あるいは農地の計画的な整備ということも緊要でございますし、それからさらには、長期的な問題といたしまして、バイオ等を使いました技術開発とか規模拡大でございますとか、そういうことにつきましては非常に長くかかりますし一定の限界もございますので、質的な生産力を高めるという点で農業生産基盤の計画的整備と、このバイオ等を駆使いたしました新しい技術の開発ということに総合的に取り組んでまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  140. 浦田勝

    ○浦田勝君 いろいろ大変ありがたい話ばかりですが、予算を見たってやっぱり金が伴うわけですね。足腰の強い農業、中核農家の育成、これは理屈じゃわかっておりますけれども、予算の方は削減の方向にある、この点も金にまつわる問題ですが、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  最後に、農産物の自由化を求めてくる外国からの要求が大変強くなってきたわけでありますが、消費者農業についての理解を深めるよう努力すべきではないかと、こういうことも考えるわけですが、この点どうでしょうか。
  141. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 価格問題にいたしましても、それから対外問題にいたしましても、農林水産関係者だけじゃなくて消費者一般、こういう方々の御理解がなければなかなか農政は展開できない事態になってきているわけでございます。  そういう中で、我々といたしましてもいろんな広報活動を通じまして、消費者なり広く一般国民農業の問題点なり進むべき道なりというものをPRしてきているわけでございますけれども、ここのところ、特に大臣からもいろいろとそういう方向での御指示がございまして、例えば先般来も全国三カ所で一日農林水産省というものを開催いたしまして、単に霞が関で座っておりまして末端の意見を聞くだけじゃなくて、こちらから出かけましていろいろと我々の悩みなり現状というものをお話すると同時に、消費者なり、あるいは地元経済界の方々、こういう方々からも地元に即した意見を聞くというような一日農林水産省を三カ所ほどで開催いたしましたし、それから去年の秋以降、農林水産省に消費者の部屋という形で一室を設けまして、ここでいろいろと消費者の方々からの相談なり、あるいはこちらからのいろんなPRというようなものにも努めているわけでございます。  今後ともこういうことを基本といたしまして、我々第一次産業のいろんな問題なりを、消費者を初め一般の国民の方々に少しでも理解を深めていただくような努力を積み重ねてまいりたいと思っているわけでございます。
  142. 浦田勝

    ○浦田勝君 ぜひひとつその方向お願いを申し上げたいと思います。生産者サイドにおいても生産性の向上が図られなければならない、努めなければならない、こういうふうに思われるわけです。この点についてはどうですか。
  143. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 農業団体の方々を中心にいたしまして、今、先生の御指摘になったような生産性の向上に取り組む必要性というものにつきましてもかなり認識が深まってまいりまして、二年ほど前に農協がみずから策定いたしました「一九八〇年代日本の農業の課題と農協の対策」、こういう中でもコスト低減運動というものを提唱されて取り組んでおりますし、それからことしの冬にまた農協大会がございまして、従来の農業計画に対するフォローアップなり新しい血を注ぐということで、農業団体みずから生産性向上に取り組んでおりますので、そういう動きにつきましては我々といたしましてもできるだけの協力なり支援というものは加えてまいりたいというふうに考えております。
  144. 浦田勝

    ○浦田勝君 大変ありがたい御意見を聞きました。私も農業団体に所属をいたしておりまして、つぶさに実情もよく知っているわけでありますが、私はやはり一つの転機に来たと思っております。これは団体みずからの方でもそのような自助努力を打ち出したことも、その一つのあらわれであります。生産者農民もこのままの状態でいかないということは全部知っているわけです。しかし、就業構造の問題、立地的な問題、その他いろんな問題が重なりますと、やはり農業が背負わなければならぬ、こういうことになってくるわけです。ですから、皆さん方が本当に足腰の強い農業、そして中核農家、これはしょっちゅう出てくる、しかしなかなか遅々として進まないところに問題点があるわけですが、これはひとつ我々もコスト意識とかそういうものを持ちながらやっていかなければならぬと思うわけであります。その脱皮について、やはりそれなりの思い切った農水省としても御指導をひとつしていただきたいというふうに思います。  決して生産者みずからもいつも甘えてもおらないわけですが、何か農業は甘えの構造に浸り過ぎて過保護だというふうな御意見が出ておりますけれども、とんでもない話であります。ただ、本当に食糧というものが我が国の安全保障の意味からも、この四つの島に一億二千万の国民がおって安定的に米が食べられるのは日本だけであります。その米の生産土壌であるところの優良農地が非常に荒廃をしていくことは、壊滅的に崩壊することはあくまでも阻止していかなければならぬ、こういうふうに思います。  時間がないので以上でやめますけれども米価の問題も迫っておりますが、ひとつ今回の米価につきましては、豊作だからとか、そういうような数字の持っていき方じゃなくして、心のある、思いやりのあるもので処理をしていただきたいと思います。  それから、大臣も大変だと思います。農業というものは間口も広し、奥行きも深し、そして、これで終わりということは何もないわけです。大臣自身も多くの皆さん方からいろんな文句をつけられ、政府機関の皆さん方もそうでありますけれども、その立場というのはよくわかるわけですけれども、やはり日本民族が生きていくために、本当に将来我が子孫がこの島国で暮らしていけるようにするためには、いつ何時どんな試練があろうとも、国民が生活のできる食糧というものだけは確保していかなきゃならない。  フランスという国は、本当に失礼な話ですけれども、戦争はしょっちゅう負けて弱い国だと思っておりましたが、こういうことに関してはドゴール大統領も独立国と言えるかと言いました。ミッテラン大統領もそうだ。ですから、中曽根総理も思いをそこらあたりにはせて、自国の農民をひとつ救っていただく、守っていただく、そして本当に日本人が生活ができるようにしていただく、こういうことでひとつお願い申し上げて、終わりたいと思います。
  145. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農林漁業を取り巻きます諸問題は、非常に広範にわたっておりますが、基本的なことを中心にしまして何点かについてお伺いをしておきたいと思うのであります。  最初に、農林漁業に対します基本的な考え方としまして、大臣は口を開くと中曽根総理は非常に協力的である、深い御理解をいただいている、こういうことを再三再四おっしゃっているのでありますが、この理解の度合いというものが問題でありますし、さらにまた、これから当面いたします対外経済問題に対してどういう態度をとるかという具体的な行動でこれから評価がされるんだろうと思うのであります。閣議の席上やいろんなところで、この対外問題を中心としまして農林漁業問題がいつもいけにえといいますか、やり玉に上がっておりますが、その席上では佐藤農水大臣は言うべきことはきちっと言っておる、そのように新聞で私ども拝察をいたしておるところでございますが、大臣は大臣として、担当者としてきちっとしたそういう態度で臨んでいただきたいのであります。  今も同僚委員からお話ございましたように、非常に複雑な、国内だけじゃなくて国際的な難しい諸問題の中にありますけれども、農林漁業の持つ意味というのは非常に重大であるという、そういうことから、機会あるごとに現状等について大臣からも総理に進言をし、言うべきことはきちっと今後も言い続けていただきたい。中曽根総理も生命産業という言葉で言われております。私ども公明党も民族生存の基幹産業というふうに農業を位置づけて、農業をきちっと安定していかなければならないということを訴えておるところであります。  しかし、ミッテラン・フランス大統領は、サミットの席上でもいろんな議論があったようでありますが、農業については極めてもろい分野である、自由貿易を否定するものではないけれども農業というのはそういう非常にもろい分野なんだという認識。中曽根総理に、これは言葉は生命産業とかなんとか言われておりますけれども、農林漁業の構造的な、体質的なものに対してどれだけの認識があるかということについては、私ども一抹の不安感を持たざるを得ない。今度この対外貿易問題でどういう態度をとるか、また今麦価の答申があり米価の決定がなされる、こういう非常に大事なときに来ておるだけに、私どもは大臣のより一層の確固たる信念に立って農林漁業の振興に頑張っていただきたいということと、それから中曽根総理に対しましても、きちっと言うべきことについては主張していただく、こういう毅然たる態度でこの諸問題に対処していただきたい、こう念願をいたすのでありますが、大臣の御所見をまずお伺いしておきたいと思うのであります。
  146. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。  市場開放問題につきましての私の心構えにつきましていろいろ御示唆いただいたわけですが、私は、基本的に農業は生命産業であるということで、食糧の安定供給という重要な役割を持っているというようなこととともに、公益性を認識し、また地域経済におきまする就業の場としての地域経済活性化の重要政策である、こんな立場を認識しております。  そんなことで、農業の重要性を訴えてまいっているわけでございますが、市場開放問題につきましては、そういうような気持ちと、それからまたいつも言っておりますけれども、我が国の農業を守り、その健全な発展を図るということと、友好国の関係にどう配慮するかということを考え、慎重に対処していきたい、こういう考えで策定を進めておる状況でございます。
  147. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 農産物の市場開放問題について、これはもう対象品目が三百四十という非常に大きな品目にわたっておりまして、この中にはどうしても日本の農業を守るために守らなければならない品目も幾つかあります。何でも一律何%云々というような、こういうことじゃなくて、やっぱり一つ一つの品目の現状というものをよくわきまえた上で、きめ細かに対処をする、それはある程度の期間、いつまでもというわけにはいかないでありましょう。自由貿易のこういう原則の中で、私どもそれは否定するものではありませんけれど、やはり現状として、せっかく育ちつつあるものが芽をつぶしてしまうようなことがあってはならぬ。  具体的な問題については先ほど同僚委員からもお話ございましたが、ひとつこういう問題については、きめ細かに大臣に対処をしていただきたいというふうに思うのでありますけれども、大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うんです。
  148. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  関税の引き下げを含むアクション・プログラムの策定については、我が国農林水産業の置かれている厳しい事情を踏まえながら、現在鋭意検討を行っておるところでございます。関税については、実は四十七年の第三次円対策の例もあり、一律引き下げの話が出ていることは御指摘のとおりでございますが、引き下げ率、対象品目等、具体的な内容はもちろん、それを実施するかどうかを含めて全く未定でございます。
  149. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 未定ですから、これから臨むに当たりましては、そういうきめ細かな配慮をしなきゃならぬということを私は言っているんです。これから、そういう十分に現状というものをわきまえた上で対処してもらいたい、こういうことについて大臣はどう思うかと聞いておるんですよ。
  150. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 御指示のとおり対処したいと頑張っております。
  151. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 同僚委員からいろいろお話ございましたから、私一点だけ、森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画ですか、このことについてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  今度の計画の中で、過日金融三法でもいろいろ議論になりましたが、補助金より融資へという体制というか流れというか、そういうものがやっぱり今度の計画の中にもはっきり出ておりまして、国費は八百五十億、融資で一千百六十億、こういうことですが、六十年、七十年という長い月日で見なければならないそういう投資効果といいますか、そういうもののすぐ顕著にあらわれる産業でないだけに、非常に勤労意欲をそぐようなことになりますと、投下したものが実際生きないということになる。そういうことから、できるだけ国費が多ければいいということじゃありませんけれども、そういう林業に携わる方々の士気高揚といいますか、今まで日の目を見なかった林業というものに対して、一つの大きな活を入れるという政府のそういう力強さというものが、今回のこの計画の中に盛られてなければならないだろうと思うのであります。  そういうことから、融資はいかぬ、こういうことを言っているわけじゃ決してないんですが、これだけの計画を立てるということでも、それはそれなりの成果は生み出されるだろうと思います。しかし、実際、融資対象事業者に対する貸付条件とか、ほかの産業とは違うわけでありますから、五カ年計画という計画の中でこれだけのことをするんだということなんで、実際その内容的なことについては私ども承知をいたしていないところでありますが、こういう数字だけを見まして、これで果たして所期の目的が達成できるのかどうか非常に危惧を抱くんですが、国費、それから融資の貸付条件、またこれの対象業者、そういうもの等について、もう少し御説明をいただきたいと思うんです。
  152. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 今回の五カ年計画につきましては、大変な不況下に呻吟しております林業、林産業の活力を回復させるという観点で、まずは木材需要の拡大、木材産業の体質強化、間伐、保育等、森林、林業の活性化について、その大きな三つの柱につきまして、ただいまの国費八百五十億、融資千百六十億から成るところの農林水産省案をこのほど作成したところでございます。  この具体的内容につきましては、今後財政当局と十分協議を行いまして詰めていくことになるわけでございますが、やはり融資などにつきましては業界の自主的、自律的努力を助長していく。そういうことをあわせまして、こちら側からいろいろ利子を補給する等の考えをもちまして、これからいろいろ協議をしてまいるわけでございますが、これらの施策は、当然のことながら、従来からの施策もございますので、あわせて効果を発揮いたしてまいりまして、生産コストを下げるようにこれは機能し、林業、木材産業につきまして活力の回復を図られることが可能であるというふうに考えておるところでございます。
  153. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 これは決まったわけじゃなくて、こういうことで案をつくられて、これから財政当局との折衝に当たるということですから、そういうことは我々も十分承知しておるんですが、何とか息を吹き返すような状況にあるならば、融資によるてこ入れで何とか立ち上がることができるのかもしれませんが、もう長年にわたって不況状況が続き倒産が相次いで、少しぐらいのカンフルを打っても立ち上がることのできるような状況にない、非常に危機的状況にある。  そういう中で、市場開放を求められ、そして今回のこういう計画を立てようというんでありますから、並みの対策では、今までの企業等でやってきたような施策だけでは、しかも特に林業そのものについて間伐等いろいろな施策がございますけれども、貸付条件とかいろいろな条件につきましては実態に即した姿でこれに手をかしてやりませんと、自立自助、こういうことばかり言いましても、加工業のように新しい機械を入れるとすぐ生産が倍になる、三倍になるというのと違う。ミッテランじゃないけれども、非常にもろい分野であるという、そういう現状の上に立って、ぜひこれは現実、現状というものをよくわきまえた上で諸施策を進めていかなければならない、私はこう思うんです。  さらに、大臣がさっき随分力説をしておりましたが、林道をつくればコストがずっと安くなるだろうと。それはそういう条件のところもあります。三割くらいダウンするところもありますけれども、林業というのは、必ずしも部落のすぐそばにある木だけが相手じゃございませんで、道なき道、そういうところも数多くありまして、平均的にはもっともっとコストダウンと言いましても、そう簡単にはいかないでしょう。農林予算の中で林道をつくるということは林業活性化のための一つの大きな大事な事実であるということで、今日までもそれなりの配慮をしてきたことは事実でありますけれども、今日のこういう大きな財政難というようなことで、だんだん計画どおり何だかんだ進んでいないというのが現状です。さっき大きい声で、確信に満ちて、林道をつくればコストが下がるというお話でございましたが、ぜひひとつそういう実効性のある施策を進めていただきたい、こう思うんです。  お聞きしたいのは、林業といいますか、森林、林業、木材産業、これはこちらのサイドの融資対象としていろいろなさるわけでありますが、地域の産業として通産とか各省といろんな関連も出てくるんだろうと思います。この融資につきましては、ともかく合板を初めといたします木材に関する融資のあり方等につきましては、現状に即した、しかも機械化をすればという先ほど大臣もいろいろお話ございましたが、そういう問題等につきましても、まだまだ現実は適切な機械の開発とかいろんな問題については現場へ参りますと問題点がたくさんある。そういう隘路を一つ一つ乗り越えて、五カ年の間に何とか、林業が五年で生き返るなんというのは非常に難しいことだと思うんですけれども、施策をひとつ強力に進めてもらいたい。  私は、これはぜひ進めていただくのは結構なことなんですが、さて、これを進めるに当たりまして、山にこれだけの事業を進めるにふさわしい人といいますか、人材といいますか、労働力といいますか、そういうものが伴うのか。お金だけで物が進むわけじゃ決してありません。山村、最近は非常に若い人たちがいらっしゃらない、都会へどんどん流出しておる。こういうこと等を考えると、お金だけで物事が進むのかどうかという、余りにも林業というのは他産業に比して状況がよくないという、こういうことから非常に心配しておるんですが、予算をつけるということでこれを進めるということになりますと、それに伴う事業推進のための人、こういうもの等については林野庁ではどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺のことをお聞きしたいと思います。
  154. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 林業労働力関係につきましては、先生お話しのように、現在大体十八、九万人で、横ばいとはいいながらも内容的には高齢化も進んでおりますし、若年層の参入がないということで非常に質的な劣弱化があるわけでございます。そういうことから、林業全体の景況の悪さもありますけれども、どうしても士気が沈滞しがちである。今回の対策の中にも士気を高揚して村興し運動というものでもひとつぜひやっていこう、それが核になりまして間伐等を促進する。中にはコンクールなどもやっていいんではないかと、内々、中の話ではいろいろ出し合っているわけですけれども、優秀事業者を表彰するとか、いろいろ何か士気を鼓舞するに足る村興し運動、その中核に林業を据えてやることなどを考えたりしているわけでございます。  なお、一般の施策としての林業労働力施策はいろいろ構造改善事業等においても広く行われておりますが、今回はそれに加えましてやはりそういうものを足していきたいというふうに考えております。
  155. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 林業問題はそのくらいにしておきまして、昨日ですか、生産者麦価の答申が出まして、米価審議会では生産者側から四年連続価格据え置きは納得しがたいという反対意見が非常に出たということが報じられております。生産者側は生産者側としていろんな意見がある。しかし大勢としてやむを得ない、四年連続据え置きという、こういう答申にまとまったようであります。しかしながら、生産者側の委員の方々はこぞって、四年連続据え置きではコスト削減努力の結果が生産者の収入増には反映されない、肥料や農機具の値上がりで負債額が大きくなっており、大幅に引き上げるべきだという政府に対して強い反発があったと報じられておりますが、こういう現状に対しては、それは生産者という立場で実際そういうことを体験している立場でのお話でありますから、それを否定する何物もないだろうと思うのでありますけれども、今回のこの四年連続麦価の据え置きという答申が出たということに対して、それに対して政府がどうこうということではないのかもしれませんけれども生産者のこれは言い分というものはそれなりの真実味というのは私はあるんだろうと思いますけれども、こういうものはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。それは価格がどうこうということじゃないんですけれども、認識を聞いておきたい。
  156. 石川弘

    政府委員石川弘君) 連続据え置きという形になっておるわけでございますが、これは先生もよく御承知のとおり、パリティというものを主としてやるわけでございまして、物価が落ちついておりますものですから、そのパリティの動き方が大変小さいわけでございます。ことしは〇・八〇でございますか、そういうようなことで、そもそもパリティの動きが小さいものでございますから数字動きが小さいということと、それからここ数年の麦作の生産性向上が大変大きい。これは何も全部吸い上げているわけじゃございませんで、その一部をいわば計算上合理化措置としてやっているわけでございます。  そういう意味で、実は私ども説明をいたしておりました際も、あるいは各委員の御論議の中でも、四年間ずっと据え置いているということには心情的にいろいろと生産者の方の御不満があるということはわかるということを述べられた委員が大変多うございましたけれども、ただ、これはパリティという方式から言いますと、そういう資材費が落ちついているということがそのまま数字にあらわれるものですから、理屈の問題といいますか、論理の問題とすれば、こういう措置でやむを得ぬのではないかという方が大勢いらっしゃったわけでございます。  生産者の方々の御意見の中では、どうも役所でパリティを計算しますとこれは何となく落ちついた数字が出るんですが、農民的な感覚で肥料とか機械とかというふうなものについて、いろいろもう少し役所の言っている数字よりも大きいんじゃないかというような感触の御意見もございました。それに対しまして、大臣からも、そういう資材費というようなものについては今後も極力抑制する方向でやっていくというようなお答えがありまして、全体の雰囲気といたしましては、そういう農家の方のいろんな御意見もわかるけれども、やはり今の状況の中では、特に麦の場合は米と比べものにならないほど大きな実は逆ざやの中でございますし、それから生産も一応順調に展開しているというふうなことでございますので、答申のような結論になったかと思います。
  157. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 麦の生産につきましては、今日までいろんな経緯を経てきているわけでありますが、五十二年、五十三年、五十三年には水田利用再編対策における特定作物、こういう規定がなされて、そういうことから五十三年から作付面積がずっと伸びたということで、内容的には、農水省の資料にもございますけれども、転作麦、これは五十八年からだんだん減少のような下降線をたどっているような状況ですね。それから畑作麦、これは伸び悩んでいるのが現状だと指摘されておりますし、また水田裏作麦が増加傾向にある、こういうことで五十七年以降百万トンを超えておるということでありますが、今回この附帯意見の中にも、規模拡大によるコスト引き下げを重点とする麦作振興の中長期方策の作成などの政策推進、こういうことがうたわれておるというふうに言われておりますけれども、本来ならば、この畑作麦というものがある程度伸びていくような形が望ましいんだろうと思います。  特に、畑作の場合は、輪作体系の中へ組み込んでやっていくということが望ましいことだと思うんですが、北海道におきましては転作作物の面積配分の適正化、適正価格ということで、最近ちょっと伸び悩んでいる傾向があるわけですけれども、今日麦も日本にとりましては、価格は別にしまして、非常に重要な作物ということでそれなりの需要、国内麦の需要というものもあるわけでありますけれども、この振興策というのはそれなりに大事なことであり、価格差が大きいというだけに生産コストを下げるための努力、また新しい品種の開発等今日までもいろいろ議論されておるわけでありますが、最近は過去のような麦の品種等についての努力がないみたいであります。  大きくやるといいましても、今申し上げたように水田裏作で傾向が示されるという、畑作で大きくコストダウンできるような形での麦作の振興が進んでいるというわけでもないし、こういう点では非常にコストダウンをしなさいという看板を掲げましても、現実、政策そのものといいますか、誘導策そのものが何か先しぼみのような感じを受けてならないんですけれども振興策をとるべきだというにはそれなりの政策がなければならぬと私は思うんです。特に作付面積全体の中で五十七年以降三十五万ヘクタールと横ばい状況と、こういうことでありますから、そういう中で一戸当たりの規模とか、それからデータなんか見ますとそういう方向に進みつつあるようですけれども、ここにはそういう芽があるんでしょうが、もっと生産性向上のための施策というのは農水省としても真剣に取り組む必要があるんじゃないか、今日までもそれなりのことはやっていると思うんですけれども、より一層米価審議会でもそういう附帯意見がつけられたということで、私はこれはもっと取り組んでもらいたいと思いますが、どうでしょう。
  158. 石川弘

    政府委員石川弘君) まず最初の、中長期の政策展開という御指摘でございましたが、これは一つは、実は六十五年見通し等に絡みましてその伸びが期待どおりいくかどうかというような問題やら、あるいは大麦が比較的需要がないからと思っておりましたところ、五十九年に食用についてもしょうちゅう用についてもふえたというような事情とか、いろいろ見直しをする必要があるというような御意見もありまして、そういう中長期的な振興策という言葉が入ったわけでございます。  それからもう一つは、先生も今御指摘いただきました麦について、どちらかというと水田転作のものにつきましては転作面積を緩和いたしまして米に戻った分、それから特に他用途米生産によって米に戻った分というのがございまして、これは顕著にどちらかというと三角に立ちましたので、そのほかもう一つの北海道における畑作ローテーションの中での適切な規模ということで、ある程度伸び悩んだという、この二つにつきましてはどうやら方向としてもそういうことだろう。しかし、裏作麦につきましては現実に伸びておりますし、それからこれからの問題として、その指摘の二番目にも出たわけでございますが、麦の場合、麦だけつくってペイするという生産方式というのはなかなかないわけでございまして、御承知のように米と麦で一本にするとか、あるいは裏麦に大豆をつくりまして一本にするとか、そういう作付体系みたいなものが頭にありますものですから、そういう単品じゃなく複合の中で、今、先生も御指摘になった共同化の問題なり、あるいは面積拡大の問題なり、そういうことがひとつ施策の上で必要ではないかという御指摘が多かったわけでございます。  私どももそういう意味で、ぜひ御指摘がありましたような麦対策というのは、食糧管理という立場だけじゃなくて、麦作振興の立場からもこれから取り組んでいきたいと思っております。
  159. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ぜひ麦作につきましても、これは食管の大事な一つのウエートを占めるものでもありますし、またしょうちゅうなんという新たなものができたりなんかしまして、国内麦の需要というものがやはりある程度これを確保しなきゃならない。昨年は百十四万トンですか、最高作だったということでありますけれども、これも米とか麦とか畑作、いろんな輪作の中で全体としてバランスがありますから、急激な伸びというのはないのかもしれませんが、少しでも価格、コストダウンのできるような方向性でぜひひとつ今後も施策を推進していただきたい。  そこで、時間がございませんので次に移りますが、米価のことについてはまた後日いろいろ申し上げなきゃならぬだろうと思うんでありますが、大臣はいつも機会あるごとに食管制度というものに対しての考え方等については明確に述べられておりますが、食管制度に対しての基本的な考え方と、それから大臣は米は安いんだということを常日ごろおっしゃっておりますけれども、安いというのはどういう感覚でおっしゃっているのか。いよいよ生産者米価のシーズンがやってまいりまして、農家にとりましては一年に一度自分がつくったものの値段がここで決められるということであります。  さっきも麦価のときにも申し上げて、また長官からもお話ございましたが、よく消費者物価でもそうですけれども、庶民の実感との違いといいますか、肥料とか機械とか値上がりしている割には自分のつくるものが上がらない。米価を算定するに当たりましても、政府の算定と生産者側の算定といろいろこれは違いがあるわけでありますが、細かいことについては後ほどいろいろ申し上げたいと思うんですけれども、そういう論理的にどうこうということじゃなくて、大臣はよくお米は安いと思いますと、こういうお話をしておる。そういうことにかんがみまして、いよいよ大事な米価決定のときを迎えまして、あくまでもひとつ農民の納得のいく米価決定でありたい、こう私は思いますし、またぎりぎりの線を農業団体も算定をいたしたようでございます。そういうこと等も含めまして、大臣の所見をお伺いをしておきたいと思います。
  160. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。  本年産米価につきましては、米の需給事情や、あるいは昨年産豊作生産に及ぼす影響等を踏まえまして現在検討しているところでございます。いずれにしましても、食糧管理法の規定に従いまして、物価その他の経済事情に配慮しつつ、再生産確保を旨として米価審議会の意見を聞きまして適正に決定したいと考えております。
  161. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣はお米は安いと、こういうことも何度か言われたことがございますが、その感覚というのはどういうことですか。御発言はどういうところにあるんでしょうか。
  162. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。  私はいつもそういうお米、特に消費者米価につきましては安いと、このように考えております。
  163. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣が安いという感覚をお持ちになる。しかし、これはその価格決定には一つのルールがあるわけでありますから、その感覚どおりこうしろというわけにはいかないかもしれませんけれども、ぜひ一つの感覚を大事にしていただいて、今後のまたいろんな審議の中で十分に討議をし、生産者の現状というものも一日農水省ということであちこち三カ所ぐらい回っていろんな意見もお聞きになったようでありますから、ぜひそういう声も生かしていただきたい。  時間がありませんで、次は、はしょって申しわけございませんが、漁業問題についてお伺いしておきたいと思うんであります。  長期にわたりまして漁業問題、日ソ漁業交渉に当たられました水産庁長官には大変に敬意を表するものでありますが、このたびの日ソ漁業協力協定の発効に基づきまして、第一回日ソ漁業合同委員会、この実態交渉が行われましたが、一月もおくれて五月三十日、合意が成立をいたしまして、六月四日ようやく議事録が正式に調印された。この内容は、私が長々申し上げるまでもなく、交渉が一カ月もおくれたということや総漁獲量が削減されたということ、また魚種別漁獲数に関する枠がすべての範囲で設定されたということや、協力費が総漁獲量が削減されたにもかかわらず、前年と同じであった、それから取り締まり方法についての厳しさとか、こういういろいろな問題が言われております。  まずお聞きをしておきたいのは、このたび単年度ではなくして、日ソ漁業協力協定ということである程度長期にわたってこの問題については話し合うということであったのでありますが、今回は非常にあらゆる点から厳しい条件が突きつけられた。これは政府も恐らくそこまでは、厳しいとは言いながら今回のようなこういう厳しさというのは予想していなかったのではないかというふうに思うのでありますけれども、今回のこの妥結内容等については政府としてはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか、その点、まずお伺いをしておきたいと思います。
  164. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  今回の日ソ漁業合同委員会におきますサケ・マスの協議は、先生御指摘のとおり従来に比べて格段に厳しいものでございましたが、先生も言及なさいましたように、今度の協議は新しい日ソ漁業協力協定のもとで生まれた最初の協議でございます。  新しい日ソ漁業協力協定の旧協定と比べての特徴ということは、一言で申しますれば、国連海洋法条約によって認知されております母川国主義というものを認めて、それをベースにして締結された協定であるということでございます。したがいまして、実態協議の中におきましても、母川国の立場というものは従来以上に強化されてくるということは、これは私どもとして当然覚悟して臨んだわけでございまして、ふたをあけてみれば予想のとおりであったということでございます。  さらに、日ソ漁業協力協定の締結交渉自体が非常に長期間を要しましたために、日ソ漁業合同委員会におきまして実態協議が開始されましたときには、既に大幅に漁期に食い込んでおるという意味でも交渉上の立場としては大変苦しいものでございました。そのほかに、我が国の漁船の違反操業に対するソ連側の猜疑心が年ごとに高まってきておるということも、今申し上げましたような環境の中で特に交渉の制約要因としてのしかかっておったように存じております。  妥結の結果につきましては、私ども最大限努力を傾注いたしました結果、漁期が事実上五月の漁期を既に失っておるという現実の中で考えてみますれば、三万七千六百トンという総漁獲量もまあまあということであるというふうに存じておりますし、四十二億五千万という漁業協力費の金額につきましても、ぎりぎりのところではございますが、対応し得る限度の範囲で辛うじておさまったというふうに私どもは認識をしておるところでございます。
  165. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 過日の委員会で、一カ月漁期がおくれるということは去年でさえ大変な漁期がおくれたということで損害額が云々されたわけでありますけれども、今回は一カ月ということですから業界の打撃は大変なものだろうということを申し上げました。それは今交渉中であって、そういうことをここでは云々できませんというお話であったのでありますが、しかし、海水もことしは少し低温ぎみだというようなこともお話ししておったのでありますけれども、実際操業が始まってみて現実どういう状況なのか。  いろいろ報ぜられるところによりますと、やはり一カ月もおくれたということで相当打撃は大きいというふうにも言われておりますし、母川国主義、こういうことを基本にした、国際海洋法をもとにした新しい時代に入ったわけでありますから、こういう一つの節目、それなりに今後のサケ・マスを初めとしまして関係する業界に対しては何らかの対策を講じていきませんと、死活問題になるのじゃないかというふうに思うのでありますけれども、業界等に対する厳しい現状についてどういうふうに認識していらっしゃるのか、さらにまたそれに対して何らかの措置をおとりになるお考えがあるのかどうか、その辺はどうでしょう。
  166. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  実は、この三万七千六百トンという総漁獲量でございますが、これはもし、三万七千六百トンもとれっこない、そんなにたくさんクォータは要らない、ソ連側が提示しておる三万五千トンでさえとれるかとれないか心配なぐらいであるというふうに関係の漁業者の皆さんが判断をなさったとすれば、本当は少なくとも一日、二日は早く協議が妥結できたはずでございます。それで関係の漁業者の皆さん方は、三万五千トンのクオータでは足りないということで、クォータをふやすようにということを強く要求なさいました。私どももその意を体して、三万七千六百トンまでせり上げたわけでございます。したがいまして、漁業者の皆さんは当然にとれっこない、要するに取りこぼしが出るに決まっているというふうにお考えになっているわけではないというふうに私どもは認識をしております。十分とれる可能性があって、そういうクォータを獲得するようにと私どもを御鞭撻なさったものであるというふうに認識をしております。  ただ、実際問題として、そのときはそういうふうにおっしゃったものの、一カ月おくれてみて、とり損なう危険があるかないかということになりますと、それはとり損なう危険がないというふうに申し上げる自信が私どもあるわけではございませんので、毎年ここら辺の漁の模様はその年ごとの漁海況によりまして大きく左右されるものでございますから、政府といたしましては、よく本年の漁の模様を見きわめた上でその影響を評価して、関係業界の意見も伺って適切に対処してまいりたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  167. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それから、このたび漁業協力協定の実態交渉と平行的に行われましたカニ、ツブ、エビ交渉、東樺太のズワイガニについては、非常に低い条件ながら操業できる見通しになったものの、ほかのものはすべて断念せざるを得ないような状況になってきた。これは民間ベースの交渉ですね。これはすべての種類で減船とか、それから廃業とか漁船転用とか操業水域の変更とか、こういうものが必要になっているというふうに言われておりますし、現実こういう厳しい条件をつけられますとそうせざるを得ない状況にある、こう思うのでありますけれども政府は民間ベースの交渉に移行したカニ、ツブ、エビについて何らかの施策をしなきゃならない、対応策を講じなければならないぞというふうにお考えなのかどうか、その辺はどうでしょう。
  168. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  本件は、元来昨年までは政府間協定の枠組みの中で操業をしておったものでございます。本年一月の日ソ漁業委員会の協議の際、やむを得ざる事情によって政府間協定の枠外にはみ出すという事態になったわけでございます。したがいまして、今回関係の漁業者を代表して大日本水産会とソブルイブフロートの間で協議を行い、先生御指摘のとおり東樺太のズワイガニ以外は協議不調、断念せざるを得ないという事態に立ち至ったわけでございますが、私どもとしては一月の日ソ漁業委員会以来の経過から見て、当然それなりの認識を持って対応すべきものであるというふうに心得ております。  したがいまして、交渉の経過におきましても佐藤大臣御自身アブラシモフ大使を招致して、本件について強くソ連側の再考を促すように申し入れをされましたし、また私自身、佐藤大臣からのメッセージを伝達するということで、鹿取大使と御一緒にカメンシェフ漁業大臣に会いまして、直接この問題について再検討してほしいということをアピールもいたしましたし、ソブルイブフロートのジガロフ総裁とも私自身協議をいたしました。そういう政府としても一月以来の経過にかんがみましていろいろ手だてを尽くしたところでございますが、残念ながらこういうことになったわけでございます。  それで、これによりまして影響を受けます漁業者の問題につきましては、関係の漁業者の皆様方あるいは道庁等の御意見も十分聞かせていただいた上で、適切に対処をしてまいる所存でございます。
  169. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、今お聞きになったように、民間ベースのやつは非常に危機的状況にあるという、そのほかの魚種につきましてもこれからまた申し上げるわけでありますが、十分に御認識していらっしゃると思うんですが、ソ連の関係もそうなんですが、今度はアメリカとの日米漁業関係についても非常に状況が厳しい。十三、十四日に北西太平洋のサケ・マス漁業規制に関する日米協議が開かれたという、いろいろ新聞等に報じられておるんですが、アメリカの要求というのは一体どういうことであったのか、私も新聞に報じられたことしかわかりませんので、ひとつこの協議の内容等について、御説明いただきたいと思います。
  170. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  六月の十三、十四の両日、東京で米側とサケ・マス漁業の問題について協議を行いました。協議の際のアメリカ側の主張は、端的に申しますと、要するにサケ・マスの沖取りをやめるということでございます。元来は、この問題は、アラスカ起源のマスノスケの漁獲問題として争われてきたわけでございますが、今やアメリカ側の主張はだんだん拡散をいたしまして、サケ・マス流し網漁業の全面禁止というところまで来ておるわけでございます。  我が国といたしましては、そもそも一定の節度をわきまえたサケ・マスの沖取りというのは資源の保存と両立可能なものであるという認識を踏まえて、その中で現存する日米加漁業条約の枠組み及びその中でさらに北米系のマスノスケについて我が国の業界が自主的な規制措置を講じておりますので、それをあわせて考えますと、それで北米系のサケ・マス資源の保護の目的は十分達成されておるという我が方の見解を主張したわけでござざいます。そういうことで、日米双方の基本的な見解が相対峙したままの状態で十三、十四の両日は終わりました。双方とも、今後とも引き続き協議をしようということで八月に再度協議をする心組みで双方おります。
  171. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 八月に再度協議の場を持とうということのようでありますが、いろいろ報じられるところによりますと、アラスカの選出議員ですか、議会に全面禁止の法案を出すとか、いろんな厳しい様相が報じられておりますし、対外経済摩擦との絡みの中で、やっぱりアメリカとの漁業問題につきましても非常に条件としては厳しい方向に推移せざるを得ない。これは今後の交渉でどこまでそれを防ぎ得るかということになるんだろうと思うのでありますけれども、今後のアメリカのそういういろんな動きに対しまして、政府としてはどういうふうに取り組んでいこうとお考えになっていらっしゃいますか。今後の話し合いということなんでしょうが、何か進め方等につきまして、アメリカの強硬な姿勢に対しましてお考えがありましたらお聞きをしておきたいと思います。
  172. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  ただいま先生言及なさいましたように、少なくともアラスカにおきましては、本件は既にかなり政治問題化しておるように見受けられます。先般訪日いたしましたアメリカの代表団の中にも、例えばスチーブンス上院議員のアシスタントというような人も参加しておるということも、そういう事態の反映であろうかというふうに思っております。  それで、アラスカの特定の局地的な問題として非常に極端な主張が出てくるということは、それ自体は別に驚くに当たらないわけでございますが、現在のアメリカの政治的な環境の中で、ごく一部の人の局部的な対日要求が直ちにアメリカのほうはいたる世論であるように転化してしまうということがほかにもいろいろ例のあることでござざいまして、そういう事態になって日米間の対立が処理不可能な状況になってしまうということを私どもとしては一番恐れておるわけでございまして、そういう意味では日米間の大局的な見地、あるいは北太平洋におけるサケ・マスの保存のためのトータルな仕組みがいかにあるべきであるか、そういうことを大所高所から判断できる人たちの影響力が、そういう局所的な問題で日米関係あるいは北太平洋のサケ・マス保存のための国際的な枠組みをぶち壊しかねないような動きに対して抑止力として働くような状況をつくり出せないか。非常に抽象的な話でございますが、基本的に私どもが追求をしていくべき方向は、そういうことを探求していくという方向であるべきであるというふうに認識をいたしておるわけでございます。
  173. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 アメリカやソ連の要求というのは何もサケ・マスだけではございませんで、公海上の問題、二百海里内の問題につきましても非常に厳しい要求やら、また大幅削減ということで、日本の今までの父祖以来の開拓した漁場という、そういう観念で今日まで権益として進めてまいりましたものが、一つの大きな国際海洋法の時代、サケ・マスにつきましては特に母川国主義というような考え方の上に立って、さらにまた経済摩擦等もあわせまして厳しい状況の中にあると、こう言わなければならないと思うのです。  こういうことからしまして、漁業者とか業界の方々がどんなに努力をしましても、自主努力の限界を今日の状況というのは超えておると言わなければならないと思います。ちょうど五十二年、五十三年のあの厳しい一つの転機を迎えた以上にやはり難しいときを迎えておるんではないか。あの ときは、国際的な状況の中で二百海里時代を迎えて大変に多くの減船、さらにそれに対する国の施策というものは必要であったんでありますけれども、今回もそれにまさるとも劣らない大変な一つの転機を迎えており。アメリカもソ連も、アメリカなんかはもっと厳しい状況の中にあると、こう言わなきゃなりません。そういうことだけに漁業者、業界の自主努力の限界を超えるという、こういう状況の中で、これは今までと同じようなことを続けていて業界の維持ができるかどうか。これは、交渉が妥結をしまして操業中ということでありますから、ある時点に至りますと、これは相当総合的に検討し、今後の見通しや展望というものについて検討しなければならないのではないか、水産庁及び農林水産省としましては。  現在、経済摩擦やそのほかで大きな問題がございますから、そういうものの陰に隠れてということではないんですけれども、アメリカやソ連とのこの漁業問題というのは実は水産界、漁業界にとりましては非常に大きな転機であるというふうに私は思うんでありますが、それだけに政府の、財政も含めたバックアップというものが必要ではないか。今までと同じことはこれは許されない、ひとつ抜本的な長期的な対策が必要なときを迎えているんじゃないかというふうに認識をするんですが、いかがでしょう。
  174. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  二百海里時代に入りましてから、そういう二百海里時代の国際環境の中での漁業経営のあり方というものが質的な変化を遂げてきているのであろうという認識は私どもも持っております。要するに、二百海里時代が到来いたしました時点におきましては、今まで公海漁業自由の原則ということで堂々と日の丸の旗を立ててやっておりましたものが、外国政府の発給する許可証がなければ操業ができない。とっ捕まれば外国の官憲に罰金を払わなければいけないという事態になりましたことは、青天のへきれき、驚天動地ということであります。ですから、その段階で関係の漁業者がそういう降ってわいたような大変化に対して備えがなかったということは、それなりにもっともなことであり、したがって激変緩和と申しますか、ショックアブソーバーと申しますか、そういうことのためにいろんな対策を講じたわけでございます。  ところが、二百海里時代に入りましてこれだけ既にもう年数がたってまいりますと、何といいますか、現在漁業をやっていらっしゃる経営者の皆さん方は二百海里時代というのはいかなる時代であるか、外国の主権下で操業するということはいかなることであるかということについては十分御認識をいただき、それなりの覚悟を持って漁業をおやりになっている方である。現実には残念ながらそうでない方も若干いらっしゃるというふうに思いますが、少なくとも行政としてはそういう前提で考えさしていただかないとうまくいかないというふうに存じております。  したがいまして、現在私どもが直面をしております国際漁業秩序における大変な事態というのは、二百海里時代の到来にも比すべき重大な曲がり角であるというふうに思っておりますが、同時に、関係の漁業者の皆様方の対応というのは、二百海里時代が到来したときに比べますると、それなりに心の準備のできた状態でこういう変革を迎えておられるというふうに考えるわけでありまして、したがって、そういう変革期を乗り切っていくためにいかに対応すべきであるかということにつきましても、漁業者の皆様方の御発意なり、あるいは漁業者の皆様方御自身の努力ということをベースに置いて私ども行政の側がそれに対してお手伝いをしていく、そういう関係であるべきものではないか。そういう意味で、二百海里時代が到来した時点の話とは若干趣を異にしているのであろうというふうに私どもは思っておるわけでございます。
  175. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 状況の違いとか意識の相違とか、確かにそれはあるんだろうと思いますが、意識あるいはまた状況が変わっているという中にありましても、やはり今日まで続けてまいりました仕事を転換するというのはそれは大変な勇気の要ることであり、状況が変わったからさっとほかのものにかえるというわけにいきません。やはり一つの業種としてそれに携わる以上は、その中で何とか生きていこうということで大変な自主努力をする、しかしそういう自主努力ではもう今日、こういうアメリカにもソ連にも、このような新しい時代を迎えますと、対処、対応し得ないような状況を今日は迎えているんじゃないか。  意識は、確かに五十二年、五十三年の当時とは違うのかもしれません。しかし当時よりは、ずっとここしばらくの間、減船、共補償、いろんなことで業界としましても降ってわいたような話ではないのかもしれませんけれども、危機的なそういう状況を迎えながら、いつどうしようかと迷いながら、しかしやってきたことだということで今日まで続けてきたのではないでしょうか。  そういうことでは、関連するサケ・マス、北洋に関連する二十万とも言われる方々、また大変な借財を背負って何とかそこで一旗、一旗というか、挽回しようという、そういうことで今日まで営々として続けてまいりました方々、またその他城に及ぼす経済的な問題、輸送業やそのほかのいろんなことに携わる方々、こういう方々等を考えますと、地域として、たまたま北洋問題、またアメリカ、ソ連との漁業交渉の中でこうあったということではなくして、これは地域問題としても大変な問題だろうと思うんであります。ぜひこれは国務大臣という立場からひとつ農水大臣、これらの問題については真剣にお取り組みをいただき、適切な対処をひとつお願いを申し上げたいと思うんであります。  もう時間もありませんから、最後に、こういう遠洋漁業、今までの公海、それから他国の二百海里内、こういうところでの規制というものはだんだん厳しくなる、勢い沿岸漁業の振興というものもしっかりしなければならぬだろうと思うんでありますが、これも公共事業の一割一律カットですか、こういうことで、現在進めております第二次沿岸漁業整備計画や第七次漁港整備長期計画事業とか、新沿岸漁業構造改善事業とか、いろいろ事業をやっているんですけれども、ところが遠洋で締め出されるということとともに、国内的な整備というものも補助金の一律カットということで進んでいないという、進捗率を一々お聞きしなくとも大体わかっておりますけれどもね。  こういうことで、私は米価についても麦価についても思うんですが、いわゆるいろんな方式で算定をしますが、米も単年度需給ということで今までかかっていたお金がかからないように、できるだけお金をかけないようにしよう、それは当然そういう合理的な運用というのは必要でありますけれども、しかしそれは米なり麦なりの安定的な推進のためにそういう合理化されたお金が投資されるという、本当に再生産のためにそれが大きな力を発揮するということならよろしいんですけれども、削ったら削っただけということで、それが基盤の確立というものに何の寄与もし得ないというところに問題があろうかと思います。何せ、農業、漁業、林業いずれもミッテランのあれではございませんが、非常にひ弱な分野という、こういうところでありますから、他産業並みなことをしましてもなかなか再建というのは難しい。日本の国もこういう国際的不況の問題で、日本だけでどんなに力んでも解決し得ない非常に厳しい状況の中にある。  魚を副食として、重要な動物たんぱく源として今日まで参りました日本食の中で占めるウエートというのは非常に大きいわけでありますけれども、それを供給するためには当然この沿岸漁業、これらの政府の立てた施策というものを着実に推進すること、こういうことが大事なことになるんだろうと思います。農水省ももう予算がどんどん削られっ放しということじゃなくて、一方が削られたら別な面でその補うべき施策というものがちゃんと芽を出すというような次善の策が講じられなきゃならないだろうと思います。同じことを 今後続けるわけにはいかない非常に大事なときを迎えているだけに、この沿岸漁業の整備計画、漁港の整備計画、こういう問題につきましてもぜひ来年度の予算、いよいよこれからまたいろいろ審議され検討するときに参りましたが、林業の活性化のためにいろんな施策をすることになりましたが、漁業もより以上に重要なウエートを占めているということで、この問題については大臣に一層のひとつ御努力をいただきたいということを申し上げて、大臣の所信を承って終わりたいと思います。
  176. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  先生御指摘のとおり、最近の対米、対ソ交渉に見られるように、北洋漁業を取り巻く情勢はますます複雑かつ厳しさを加えてきております。このような環境の中で、我が国北洋漁業の存続を図ることは容易ならざることでありますが、我が省としては全力を傾注しまして引き続き関係国との交渉に当たり、漁業の分野における各種協力の推進等あわせて適切に対処したいと考えております。  いずれにいたしましても、我が国周辺水域の高度利用を図ることがますます重要となってきておりますので、農林水産省としましては、財政大変厳しい状況でございますが、皆さんの御協力を得て予算確保に努めながら沿岸漁場の整備開発、栽培漁業の振興等各種の対策を推進しまして、我が国周辺水域における漁業の振興を図ってまいりたいと考えております。
  177. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 市場開放のためのアクション・プログラムにつきましては、七月末をめどに鋭意努力をされているように承っておりますが、順調にいっているのかどうか。  それから、特に骨なし鶏肉あるいはバナナ、パーム油、この三つにつきまして、新聞の報道では一律に二〇%ぐらい下げる、こういうお話でございますが、この三品目については今どういう方向に論議が進んでおるのか、あるいは問題点はどういう点があるか。もちろん日本の国内の生産者との話し合い、そういうものもあると思いますが、このあたりについてお伺いいたします。簡潔で結構ですから。
  178. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) アクション・プログラムの骨格づくりというのは七月末までに行うことになっておりますが、個別関税の引き下げにつきましてこの六月中に決定をするということとの関係もありまして、たくさんの項目があるわけでございますが、中でも関税について優先的に検討しなくてはいけないということで、今、鋭意検討をいたしておるところでございますが、正直に申しまして諸外国からの要請が非常に強く、また多いという事実が一方にございまして、他方我が国の農林水産業、非常に厳しい状況にございますし、累次の市場開放対策なり、あるいはまた昨年の日米交渉といったようなことで、生産者もこういった市場開放措置につきましては非常に厳しく注目をしているという状況でございますので、率直に申し上げまして私どももその対応に特に苦慮をいたしておるところでございます。  三品目のお話がございましたけれども、中でも骨なし鶏肉の問題につきましては、我が国の鶏肉の需給が近年過剰基調で推移しておりますし、価格も昨年に比べてことしまた下がっているという状況にございまして、関係生産者計画生産努力中という状況でございますし、タイからの鶏肉の輸入は伸びを示しているというような状況にございますので、この問題の対応については外国からの要請と国内の厳しい事情というものをいかにして調和をさせるかということで、慎重に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  179. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 私たちも世界のそういう一つの大きな流れというものはある程度やむを得ないものはあると思いますが、国内の業界の情勢を十分配慮して、やはり農水省としてもひとつ頑張っていただきたい、このことを強く要望しておきます。  それから、合板の問題につきましては、特に広葉樹の合板の関税引き下げの要求が強いようでありますが、これは六十二年四月から下げる、そしてそれまでにいろいろ対策を立てるというようなお考えのようでありますが、六十二年四月から下げるというのはどの程度下げるお考えなんですか、それはまだ決まってないんですか。
  180. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 塩出先生にお答えいたします。  四月九日の対外経済対策におきまして、関税問題の取り扱いについては先生が御存じのことで、国内対策の進捗状況を見つつおおむね三年目からということで関税等の引き下げを行うべく前向きに取り組むとされております。  そんなことで、関税引き下げの具体的内容は、今後所要の検討手続を経て対策が実施に移された後、その進捗状況を見つつ決定されることになると思います。
  181. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 そうすると、六十二年四月はめどであって、いろんな対策の進行ぐあいによってはこれから先も延びると、そのように理解をいたします。  そこで、いわゆる合板の関税が下がって、もし下げた場合、影響を受けるのは恐らく合板業界じゃないかと思うのですがね。ところが、合板業界は既に現状においてもこの五年間見ましても工場数は二百十五から百六十五に減る、従業員も三万四千六百人から約一万人減る、生産量も百四十五万平米から一六%減の百二十二万平米と、こういうように現状においても大変厳しいわけですけれども、今回政府はこれらの対策に、先ほどもお話ありましたが、国費八百五十億、融資枠千百六十億、こういう金額で大蔵省と折衝を始めたようでありますが、この合板業界については過剰設備廃棄、転廃業などの再編整備対策に三百二十億と、このようにお聞きしておるわけでありますが、この内容はどういうことを考えていらっしゃるんでしょうか、これをお伺いしたいと思います。
  182. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 具体的内容につきましては、今後財政当局などと折衝を行いまして固めてまいるところでございますが、現在のところは、これをなかなかこれ以上明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。鋭意折衝中でございます。そのような、お話がございました生産力を高める体質強化策万般についてでございます。
  183. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えいたします。  今、長官が言ったことでございますが、実は一番大切なことは、やっぱり合板業界は非常に不況であるというふうなことで、この体質強化をしながら外国から入ってくる合板事業にどう対抗させるかというようなことで、そういうことを含めまして具体的に検討している。したがって、検討案につきましては業界の自主的な案をまち、それに基づいて林野庁が交渉してやる、こんなことで、あの予算の中でいうと八百五十億、融資枠千百六十億でございます。その中に、やはり利子補給を含めた融資枠も用意してあるというようなことでございます。  そんなことで、基本的には合板業界を体質強化しながら、そしてもちろん転廃業もあると思います。そういうこととともに、外国から入ってくる合板事業に価格的に対抗し得るようにする、こんなことで対策考えているわけでございます。
  184. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 業界としても需要に見合った生産体制の確立という、今設備が非常に過剰であるという、こういうことが一つの問題になっているようでありますが、しかし、いずれにしても、一つの政策を実現する場合にはその大義名分を明らかに大衆に訴えて、そういうものをバックにやっぱり大蔵省に要求していく。ところが、実はこういう内容は今折衝中だから言えません、こういう話では、我々も応援のしようがありませんわね。そういう意味で、農水省あるいは林野庁のこの問題に対する姿勢は甚だ理解に苦しむ、こういうことを私は申し上げておきたいと思います。  そこで私は、今回この合板業界だけではなしに、やっぱり森林業全体をどうするかという、こういうことを考えていかなくちゃいけない、こういうお考えは私もそのとおりだと思うんですけれども、しかし、本来、合板の関税を下げることによって影響を受けるのはやはり合板業界であって、林業の問題はそれとはまた別個にもっと本質的な問題があると思うんですね。これをやはり私ははっきり分けて考えていかなければいけない、このように思いますが、そういう点は林野庁長官はどのようにお考えですか。
  185. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 合板の関税引き下げが海外の合板の競争力を増しまして輸入がふえるということは、ちょうど今我々が進めようとしております間伐対策の中に、やはり間伐のこれから相当大きな用途になると思われております板類ともろに競合する現象が起こると思われます。現に、既にそういうことがありまして、経済界と申しますとやはりそういう気配だけで相場が下がると申しますか、合板が坪二千円くらいでございまして、ちょうどそれに匹敵する間伐材からの小幅板と言っておりますが、それが大体千八百円から二千円くらいであったのですが、その合板が安くなりそうだといううわさだけでちょっと下がりかけてくる。  今までも採算ぎりぎりであったものですから、そういう間伐材製材工場が非常に困ったというふうな例がございまして、そうなりますと、直に間伐材の売れ行きに響いてくる。そういうふうなことから、これは一つのずっとつながっておる例でございますけれども、そういう意味で非常に関連が深いとは思っております。  ただ、林業の持っております問題、長期間を要する林業の問題と製造工場の合板の持っております問題は、先生御指摘のように大分本質的に違ったものがございます。したがって、対策もおのずと違うわけでありますけれども、その関税引き下げがそのように連鎖的に影響し合うという点で、一体としてとらえて施策を講じようとしたわけでございます。
  186. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 それで、林野庁は先般も林業白書を出されたわけですが、国産材時代が来るということ、確かに今一千万ヘクタールの植林がだんだん大きくなっていけば量的には国産材がふえてくるわけですけれども、しかし、輸入材というのはほとんどすべてが天然の材であるし、日本は非常にコストが高いわけですね。そういう意味で、果たして国産材時代が来るのかどうか。やっぱり国産材時代を招くには、かなり越えねばならない問題が多いように思うんですけれども、報道によりますと、今度の二千十億円の施策によって材木のコストが二二%下がるというような試算もあるように聞いておるわけですが、林野庁としては、日本の国産材というものを輸入材に比べてどの程度まで持っていけるお考えなのか、そういう見通しはどうなんですか。
  187. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 先生御指摘のように、国産材時代が自動的に来るとは思っておりませんで、国産材が十分市場で活躍できる体制は大変な努力でつくり上げなければならない。国産材時代とは申しましても、そのころの生産内容はどうしてもまだ小径の間伐材も相当含まれておりますし、外材は天然林材でいろいろ競争条件におきまして有利な条件にございます。したがいまして、そういう不利な点をどれだけこれから克服していけるか、国産材時代を現実のものたらしめるためには、需要の拡大にいたしましても、生産工程の合理化にいたしましても、随分と努力しなければならない点が多いと考えております。  その中でやはり非常に重点を置いて行うべきと考えておりますのは、今回のにも入っております路網を整備いたしまして生産過程を、これは即効的な効果がやはり期待できますので、生産過程の重要な運材過程の生産性を上げるということを重点に置いておるわけでございますけれども、そのほか育林から伐出に至る全工程にわたりましていろいろ手厚い対策考えていく。それは今回試算をいたしまして約二二%程度の原価低減が可能であるという試算もいたしたわけでございます。そういうのを目標に置きまして私ども努力してまいりたい、そういうふうに考えております。決して黙っていて来るとは、毛頭思っておらないところでございます。
  188. 塩出啓典

    ○塩出啓典君 森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画という資料をいただいたんですが、これを見ると非常に抽象的で、これでやっぱり林業が回復するようにはとても思えません。しかもだんだん外国の方も、インドネシアは丸太は輸出をしない、あるいはマレーシア、フィリピンにしてもそういう方向を願っているわけですね、丸太は輸出したくない。しかし、今は財政的な理由で丸太も輸出しているわけです。将来の方向としてはそういうような環境もあるのじゃないかと思うんですが、そういう点も含んで、ひとつ長期的なビジョンを持った計画を立てていただきたいと思うんです。  最後に、木造住宅の建設の促進ですね。やっぱり需要を拡大していかなくちゃいけないとよく言われているわけですが、しかし、木造住宅の建設を促進するためには、やっぱり木造住宅がどういう点がいいかということを大いにPRしていかなければいけないのじゃないかと思うんですね。農水大臣は木造住宅は五つの誤解がある、地震に弱い、火災に弱い、長もちしない、居住性が悪い、建築費が高くつくという、これは誤解だと言っているわけですが、それならば地震にどれぐらい強いのか、火災にはどうなのか、長もちはどうするのか、こういう点をもっとやっぱりPRしていかなくちゃいかぬと思うんですよ。  これは、「日本の木で 日本の技で 日本の家を」という、こういうような資料をつくっているようですけれども、とてもこれを見て木で家を建てようという気持ちにはなれませんよ。お金持ちの道楽でいいかもしれないけれども、やっぱりそれだけの、健康にもこれだけいいんだとか、値段はこうすれば安いんだとか、そういうのをもっとPRすべきじゃないかと思うんですね。実際は鉄筋と木造というのを、日本の歴史を見ても、きのうもテレビでやっていましたけれども、鉄筋よりもある意味では木造の方がずっと長くもつ面もやっぱりあるようですね。そういう点を私はもっとPRをして、科学的な資料も添えて、やっぱり日本の木材というものの需要を私は拡大をしていくべきではないか、このように思います。  それと、住宅金融公庫の融資につきましても木造と鉄筋に差があるわけですよね。ああいうものはなくすべきではないかと思うんですけれども、これについて、もうあと一分しかないわけですけれども、建設省、一分間で答弁していただいて、それで終わります。
  189. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) ただいま先生から公庫を御活用になりまして住宅を建設する場合に、木造とそれから鉄筋の場合の違いについて御指摘がございました。  私ども住宅金融公庫の融資につきましては、既に先生御案内のとおり、建築工事費の実態等にかんがみまして、地域、規模、構造によって仕分けをいたしてまいったところでございます。  貸付額につきましては、年々今日まで努力をしてまいりまして引き上げを図ってまいりましたが、六十年度におきましても限度額を、例えば木造の例で見てまいりますと、六百二十万を六百三十万にするというようなことで、十万円の引き上げを行うなど、一律に十万円アップを行いました。  それからまた、建設費融資の地域区分につきまして、従来地方各県の県庁所在地以外の町とかというような地域におきましては、木造住宅の比率が高いにもかかわらず大変低い融資額であったわけでございます。丙の地域と称しておったわけでございますが、これを乙の地域に引き上げるということで二十万円の貸付額のアップをいたしたわけでございます。六十年度こういう個人系統の貸し付けだけではございませんで、業者に対する貸し付けにつきましても引き上げを大きく図ってまいりました。私ども木造の住宅についての重要性は十分認識をいたしておるわけでございますので、今後とも振興策といたしまして公庫の融資の拡充について努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  190. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、最初にカネミ油症患者の皆さんの一日も早い救済をということで二、三お尋ねいたします。  去る二月の十三日、カネミ油症事件の第三陣の訴訟判決後、私質問いたしました。大臣はその際に、たまたまカネミライスオイルを口にした患者には全く責任がない、人道的な見地から患者の治療費支払いなどできるだけのことは側面からやりたいというようなことも約束され、現にいろいろ対応もされておりますこと、これは大変ありがたく思います。ただ、実際の治療費支払いの問題でどうかといいますと、患者さんと、またカネミ倉庫との間では治療費支払いの協定が結ばれておりません。  全面解決に至ってないことは御存じだと思うんですけれども、そういう中で去る六月六日、患者の代表の方々と一緒に大臣室に伺いまして、いろいろお話も申し上げました。そのとき大臣は、とにかく自分の家族が被害に遭ったと思いなさい、こういうふうに担当者に言われ、治療問題は厚生省だというようなことではなくって、私が直接カネミの社長さんに会って実情を聞きたい、治療費の支払い等について解決ができるように努力したい、こう約束されまして、そのお話を伺ったときには私も非常に胸を熱くしましたけれども、患者の皆さん方はそれ以上に大変大臣に対して感謝の言葉を申されておったわけでございます。一日も早くそういう点でカネミの社長とお会いして解決のために対応していただきたいと思うんですが。
  191. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 下田先生にお答えします。  私、基本的に、カネミ油症事件の被害者の長年の御苦労に対し心から御同情申し上げます。  それから、現在、実はカネミの社長とは先方と日程調整を行っているところでございまして、できるだけ早期に、多分明日会えるんじゃないか、このように思っております。明日会えるんじゃないか、会えると思っております。
  192. 下田京子

    ○下田京子君 具体的に約束を実行に移される、しかもそれを明日考えるというお話なんですが、この際に大臣みずからが言われましたように、確かに治療費問題というのは厚生省の担当である、しかしカネミ倉庫を指導する立場にあるというふうなことで、大臣が一体なぜその協定が結ばれないのか、その辺の真意を確認したい、こういうことで解決のために会うと、こう言われたわけですよね。ですから明日会って、本当に治療費支払いで患者とカネミ食庫との間で協定が結ばれるように尽力いただけるというふうに期待してよろしいですね。
  193. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) この間も申し上げたとおりでございまして、本当に御同情申し上げているわけでございますが、ただカネミの社長に会いまして、会社の経営状況等よく聞きながら適切に対処していきたい、こう思っております。
  194. 下田京子

    ○下田京子君 ぜひ協定が結ばれるように努力してくださいね。よろしいですね。
  195. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 今申し上げたとおりでございますが、やっぱり会社の立場と経営の内容等がありますから、それをよく聞きまして適切に対処いたしたい、こう思っております。
  196. 下田京子

    ○下田京子君 大臣は、裁判と人道上の救済というのは別なんだということをいつも言われております。できるだけとにかく人道的な見地からやれることをやりたい、こう言われております。これは当然と言えば当然なんですけれども、一方で、また国の行政責任が裁判で厳しく問われているというふうな事態もよくわかるわけなんです。  ここで私は大臣に申し上げたいのは、第三陣判決の際にも指摘しましたけれども、患者に何の責任もない、これははっきりしているわけですよね。そうしますと、とにかく患者の苦しみを一日も早く救済するということは何なのかというと、やはり国があの際控訴すべきでなかったということなんですよ。  なぜならば、きょう私ここに持ってまいりましたけれども、去る五月二十六日、高知市の六十七歳の吉尾さんという方と奥さん、五十五歳ですが、いずれも油症患者なんですが、悲観をされて自殺されている。これは去る六月六日に大臣に会ったときもお話しました。この方が、実は第一陣の控訴審、五十六年の八月に陳述書でこういうふうに述べられている。この方は、実を言いますと元米穀商なんです。ですから、お米販売でカネミライスオイルを置いてくれと、こう頼まれて置いた。自分も食べた。そして患者になった。その方が自殺された。まだお元気だったときに、五十六年にこう言っております。   この十三年間をふり返ってみて、自分の身体が、病魔にいじめられつづけてきたという感じです。一日として、健康だ、はればれした、という感じの生活を送ったことがありません。ただでさえ、老後は淋しいものですのに、こんな体にされてやけ気味で生きているこのみじめさ、無念さをぜひわかっていただきたいと思います。 こう言っていましたけれども、頑張ってはいたんですが、ついに亡くなったわけですね。控訴したその後です。ですからやはりこの裁判、控訴がなかったなら、あるいは自殺しなくて済んだのではなかろうかという思いがいたしますよ。  そういう点から、和解の道を何とか探れないかという裁判所からのお話もあったはずです。ですから、私が申し上げたいのは、今からで遅くないんですよ。これから最高裁まで持っていったなんてことになったら、五年、六年、あるいはもっとかかるかもしれない。一方で、人道的患者救済をと言いながら、これから何年苦しめるんですか。そのことを考えていただいた上で、どうか本当に、和解のための話し合いのテーブルにも着かないなどというかたくなな態度ではなくって、もう一度本当に人道的に考えるならその救済の道を、厚生あるいは法務、そして大臣と協議をいただきたいということを、重ねて私はお願い申し上げておきます。そしてまた、そのことに必ず大臣は期待にこたえてくれるだろうというふうに思いたいと思います。それだけ申し上げます。よろしいですね。  次に移りますけれども米価問題なんです。午前中からもいろいろお話がございますけれども、もう既に財政当局が六十年産米価については、もう引き下げだとか据え置きだとか、しきりに宣伝されておりまして、その一つの論拠として挙げられているのが、五十九年は豊作だと。その結果、昨年と同様の算定方法で計算するとことしの米価は引き下げになるんだ、こういう話なんですね。これは対しまして、長官は、法に基づき算定方式は決まっている。そしてまた、法に基づき諸条件を加味していろいろ検討してきているんだと、こう言われております。確かに、算定方式は決まっていますけれども、現実はどうかというと、運用上いろんな形で変えてきている、これも事実だと思うんです。こういう論でいきますと、大変矛盾したことになるんじゃないか。農家は納得できないだろう。  なぜなら、過去はどうだったかと申し上げますと、五十五年以来四年ですか、連続的に冷害が続いたわけですね。そういう中で、もし今、財政当局等が言われているように、毎年その前年の算定方式計算したならばと、この論理で行ったなら、もう過去五十五年も五十六年もずっと米価はアップしてきたはずですよ。それを現実に毎年米価を抑制、据え置きと。そのために、米価の算定方法を変えてきたというのが現実だと思うんです。とすれば、前年同様に算定したら、豊作だったらなどという格好で米価引き上げ要因はないなどというのは大変矛盾した話だと思うんですが、いかがですか。
  197. 石川弘

    政府委員石川弘君) 米価算定方式生産費所得補償方式というものを使って算定しておりますのは、御承知のように、ここしばらくずっとそういう方式でございます。その中で、法律にも言っておりますが、「其ノ他ノ経済事情」というようなものの中で、特に需給事情というものは非常に強く勘案すべき要素でございます。物が足らなくなってきているような状況とか、あるいは物が潤沢になってきている状況、そういうものは当然参酌をして算定をすべきことになるわけでございます。  そこは、先ほども私申しましたように、いろんな要素、例えば評価をいたします労働賃金をどう考えるかとか、あるいは地代を評価する場合にどういうことで考えるかとか、あるいは自巳資本利子といったものをどう評価するか。そこは先ほども申し上げましたように、そういう事情に応じて数字を入れかえたりと申しますか、そういう事情に応じた数字を使うというのが今までの方式でございまして、そういうものを使うことに関して米価審議会等でも十分御議論をいただいているわけでございます。  何にも動かさずにやりますればオートマチックにと申しましたのは、これは一般論として五十六年産の比較的作の悪かったときの数字と五十九年産の大変作のいいときの数字を入れかえれば、一般論としては三角に立つ可能性が多い。これは私どもがそうすると言っているんじゃなくて、算術の問題として、数字を入れかえればそういうことになる。私どもが何かそうするとか、そう決めたとかということを申し上げているわけじゃございません。
  198. 下田京子

    ○下田京子君 算定方法はですから変えてきたんですよ、方式はそのとおりですがね。なのに据え置き、引き下げという宣伝をせんがために、一般論としながらも、前年同様でという論理でやってくるというのはまさに問題だ。そういう論理を言うなら、なぜ冷害時点でそういう論理を使わなかったのかということにもなるわけで、ですから、据え置きと米価抑制がまず最初にあるという論を展開しようと思えば幾らでもやれるわけで、これは大変問題だということは重ねて申し上げます。  ところで、それでしたら、一般論でということですが、前年と同じ方式でと、こう言うなら、五十三年から水田利用再編対策がやられたわけで、じゃ五十二年当時と同じ算定方法で計算したらどうなのかということをお聞きしたいわけです。五十二年産と同じ算定方法で昨年の五十九年産米価をやったときには、一体どうなるかという問題ですね。単純に五十二年と五十九年を比べますと、この間にたった生産者米価は八%しか上げてないんですよ。ところが、消費者米価は二四%も上げているんですよ。  実際にこの間には、消費者物価が三〇%も上がっているでしょう。それから、生産資材は一九%も上がっているでしょう。それに製造業の賃金はどうかというと、これは五十八年ですけれども、実際に賃金の方は四七%ですか。そして、生産費はもう四二%も上がっているわけですよ。そういう状況の中で五十二年と同じ方法で計算すれば、基準価格で一俵二万二千五百九十八円になると思います。それを予約限度数量ですか、これを七百八十万トンでやりますと、五千四百六十億円の損失額になる。あるいは、集荷実績数量八百十一万トンを一俵二万二千五百九十八円の値段でもし買ったとすれば、これでもう五千六百七十七億円になると思うんです。そうですね。
  199. 石川弘

    政府委員石川弘君) 五十二年方式と申しますのは、そういう意味で算定方式の中ではかなり有利に働く算定方式でございまして、よく五十二年と比較したらどうなるかという御質問があるわけでございます。今一俵当たり、おっしゃいました二万二千五百九十八円というようなものは、おっしゃるとおりの数字でございます。  ただ問題は、五十二年産でそういう算定方式をしました後に、五十三年、五十四年という大豊作の中で残念ながら六百六十六万トンという大変な過剰をつくり出した。そこで需給失調を生じまして、御承知のような減反をさらに強めなきゃいかぬとか、そういう問題を起こした算定方式でございます。ですから私ども、高くするようなことをやって生産を刺激することだけが生産者に有利ということでございませんで、六百六十六万トンの過剰、この第二次過剰の処理には実に二兆円を超えます財政負担をとってやったわけでございます。したがいまして、そういう需給事情をしんしゃくして米価を決めろということでございますから、この方式で、いつも五十二年方式でやることが正しいとは私ども考えておりません。
  200. 下田京子

    ○下田京子君 私は、正いしとか正しくないとかという論評をしてないんですよ。前年同様にという論理でことし、さも据え置かれるとか引き下げだとかと言っているものですから、それはもう勝手な政府の言い分でもって、需給事情がどうのこうのとかいうふうな形で据え置きをまず最初にやって、いろいろと要素を入れかえて計算をしてきたというのがけしからぬという話は別にしながら、単純に五十二年と比較すれば今言ったような損失が出てくる。それが事実かどうかと確認したわけなんですよ。それは事実でしょう。総額のあれは確認をまだされてないんで。
  201. 石川弘

    政府委員石川弘君) 今、損失とおっしゃいましたけれども、架空計算をして農民が損をした、得をしたということは私ども損失とは考えられませんので、五十二年で計算すれば一俵当たり四千二百円の格差があるということは私ども申し上げられますが、何千億損をしたという話ではなかろうと思います。
  202. 下田京子

    ○下田京子君 それは立場の違いですよね。一俵二万二千五百九十八円になるというのは事実で、それを四千二百円の差があるというのも事実ですから、集荷実績数量で掛ければ単純な話出てくるわけです。今、生産を刺激しないようにいろいろと米価を、計算を変えてきたんだとおっしゃいますけれども、その結果生まれてきたのが昨年の米不足じゃないですか。そして、韓国米輸入という事態を招いたんじゃないでしょうか。  ですから、そういう事態の責任をとって、じゃ少なくとも昨年農業団体が掲げていた要求というのは幾らかというと、基準価格で一万九千三百八十四円ですよね。もしこれを実現しておったならどうかといいますと、一俵九百八十六円の差が出てくるわけです。ですから、一俵当たり九百八十六円で政府売り渡し数量約八百万トンとしますと、これまた実に一千三百億円、本来なら農家の懐が暖かくなったはずなんですよ。それすらも政府は値切ったんですね。それだけ農民を犠牲にした、これも事実なんですよ。  問題は、米価抑制を前提にして恣意的にいろんな形でもってその算定方法を変えるなということ。ですから、昨年の米価算定方法をもう固定したような格好でことしの米価を決めるというようなことはあってはならない。これは大臣にお答えいただきたいと思います。
  203. 石川弘

    政府委員石川弘君) 要素をすべて変えるなとおっしゃいますと、大変硬直的な運用になるわけでございます。逆に、そういうことをすると、マイナスに働く場合もあるわけでございます。私どもはそういうことも考えて、諸要素を弾力的に使いながら、しかもこれは要素で、オートマチックにつくるというだけじゃなくて、需給事情その他を反映させなければいけないという算定方式でございますから、例えば去年と全く同じ数字を入れてみろということがどういうように働くかということも私どもは十分考えて、ことしの算定方式はやってみたいと思っております。
  204. 下田京子

    ○下田京子君 私が言ったのは、昨年の米価算定方法を固定すべきじゃないと言ったんです。  次に移りますけれども、今の議論ではっきりすることは、いかにして生産者米価を低くしようかという議論でしょう、政府考え方は。低米価ということは何を意味するかということなんです。お米の内外格差を縮小せよと臨調も言っていますね。財界も言っていますね。あわせて、日米諮問委員会等でアメリカからもそういうことが言われておりますね。そして、支持価格制度そのものが余剰米を生み出すことになるから、これは周到に準備された価格格差の段階的縮小と過渡的なプログラムが立案されるべきだと、こう言っていますね。今のような方向で行くと、その線をずっと歩み続けることになりますよ。その結果、何が出ます。米不足じゃないですか。米輸入、これをみずからが許していくことになるじゃありませんか。しかも、その点と非常にかかわりある食管制度無用論でよく言われるのが不正規流通米、いわゆるやみ問題ですよ。  まず最初に聞きたいのは、山形県食糧等のやみ問題で去る三月三十日行政処分されまして、その内容についてはもう具体的に説明も伺っております。確認したいことは、約百五十万トンの未検査米を反復継続して集荷したというふうに言われておりますけれども、この百四十五万トンの未検査米は昨年一年間におけるものというふうに言われています。とすれば、一昨年はどうだったんでしょうか。
  205. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは御承知のように、やみをやる方が何か帳簿でもみんなつけてくれておりますと確認がしやすいわけでございますが、こういう性質のものでございますから、過去へさかのぼってどこまでもどこまでも追っかけていくということは事実上不可能でございます。私どもはそういう事実をつかむために、最近時点からそういう面でいろんな取引の面、これは輸送も含めましていろんな面であらん限りの努力をして、しかもはっきり立証できるものということで、一定の期間で限ったわけでございます。
  206. 下田京子

    ○下田京子君 一昨年の問題は調査したんですか、しないんですか。
  207. 石川弘

    政府委員石川弘君) 少なくとも末端までのつながりがない事実、要するに最後は農民のところまでいくわけでございますけれども、そういうことで、つかめるだけつかんでみろということで調査をさしておりますので、それを何年間も積み上げて奥へいくのがいいのか、それともむしろ範囲をはっきりさせて、しかも違反事実をはっきりつかむのがいいかということでございますので、私は最近時点から一年間ぐらい、とれるだけをとるということで調査をさしております。
  208. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、一昨年は調査しなかったんですね。
  209. 石川弘

    政府委員石川弘君) 調査をしなかったというよりも、はっきりさせられるところの限界をつかもうとしたわけでございます。
  210. 下田京子

    ○下田京子君 調査はしなかったんですね。
  211. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは先生にも御理解いただきたいんですが、何かこういう事実を何年も何年も追っかけると申しましても、これは帳簿も何にもないものから追っかけていくわけでございます。それは物すごい苦労をしてやっているわけでございまして、五年でも十年でも先まで追っかけろといって追っかけられるものではございません。
  212. 下田京子

    ○下田京子君 調査してなかったんでしょう。大変問題だと思いますよ。  そこで長官に聞きたいのは、四月三日ですか、当委員会でも問題になりまして、そのときには、刑事的な訴追、そのことも十分考えていると、こういうふうに答弁されているんです。一体どうなりました。
  213. 石川弘

    政府委員石川弘君) これは、こういう行政事案につきましてはできるだけ行政事案として処理をして、それでもなおかつさらに刑事的にやるべきものについてはやるということを申し上げております。この事案につきましては、行政処分として十分の処分をしたつもりでございます。
  214. 下田京子

    ○下田京子君 私は今、未検査米を売った二社は行政処分された。だけれども、購入したいわゆる武蔵糧穀と丸正の問題については何の措置もとってないと、ここのところを質問しないで、どうなんだって、こう聞いたんですよ。刑事的な訴追をすることは十分考えているというふうに答弁されたんですから、それなりの準備はされていると思うんですよ。
  215. 石川弘

    政府委員石川弘君) 米の流通に関するこういう事案につきましては、実はいろんなところでいろんなことが行われているわけでございます。それは極端に申しますと、何もこのことだけでございませんで、いろんな地域でいろんな事案があるわけでございます。私どもそういうものにつきまして、第一義的には卸、小売段階の監督をいたしております都道府県知事というものにも十分連絡しながらやっておりますけれども、何かどこかで起こりましたことを、直ちに全部例えば訴追というような方法をとらなければ行政がうまくいかぬということじゃございませんで、今度の事案につきましては、今まで例がなかった産地における集荷問題ということでかなり徹底的にやったつもりでございます。  それから、行政的に申しますと、そういう不正規流通につきましては、かなり繰り返し繰り返し行政的な警告とかいろんな措置をやりまして、そういうものの数自体としてはだんだん少なくなってきているというのが現状でございます。
  216. 下田京子

    ○下田京子君 山形食糧と矢萩商店は、これは行政処分したことはわかっているんですよ。私が今問題にしているのは武蔵糧穀とか丸正、これは無許可だということで何ら行政処分がされてない。それが問題なので、何かやらなきゃならないんじゃないでしょうか。これは食管法の第三十一条違反による告発ということも考えながら、いろいろ準備しているという話を聞いているわけです。だから、それはどうなっているんだというふうに聞いているわけですよ。  この武蔵糧穀と丸正の問題につきましては、実を言いますと、五十七年の七月に我が党の藤田衆議院議員が衆議院農水で取り上げたんです。そのときに、中山食糧庁次長が、五十七年五月三十一日知事名で警告もしている、この警告に従わなければ今後さらに強い措置をとるんだということを答弁されたわけなんです。しかも、その後一貫してこの業者は無許可で販売を続けているんですよ。  それで、食糧庁から説明も聞きました。それによりますと、五十七年六月以降今日まで武蔵糧穀に対して口頭指導十一回、警告書交付が五回、張り込み監視が十二回もやられているんですね。丸正チェーンについてはどうかといいますと、二十五の店舗に平均六回の口頭指導ですから、全体でもって百五十回もやられているわけです。警告書の交付は平均一店舗三回ですから、延べ七十七回もやられている。食糧庁も大変粘り強くいろいろ指導されているんですけれども、しかし相手は全く無視している、こういうことですよ、足かけ三年間にも四年間にもわたって。もう断固たる処置をすべきじゃないでしょうか。
  217. 石川弘

    政府委員石川弘君) こういう小売のいろんな行為に対する指導と申しますのは、ただ警察に引き渡せばいいというものではないわけでございます。したがいまして、私どもはそういうところへ流しているもとのところから直していくという方法をとりながら、しかし、これはこういうところでここまで申し上げていいかどうかわかりませんが、どうしてもというときは、単に小売なら小売とか、やみの中継ぎ店というのじゃなくて、もとのところから一連のものとしてきっちり数量とか、だれがどこにどういうふうに流したか。極端に言いますと、最後はどこの農家の米がどこへ流れたということまで含めて、一連のものとしてきちっと立証しませんと、これは法律で最終的なところまで持っていくにはいろいろあるわけでございます。何度も張り込んでいるとか、何度も調査しているというのは、そういうためのいろんな準備とか資料収集もやっております。  しかし、それを何か頭から尾っぽまで全部並べてきちっとやるときには、それなりの我々も確証を得た上で、この前の場合は少なくとも産地のそういう行為までははっきりとらえましたけれども、それがいつどこでどれだけの数量で、丸正といいますのも、御承知のように許可の店舗も持っている営業所でございます。本当にその無許可のどの分にどこまで行ったかということをきちっといたしませんと、ただ告発しろ、あるいは訴追しろというだけでは事柄が済まぬわけでございまして、私の方の手はずとしましては、そういうことを都道府県と一緒になりましてきちっとできるようなことをいつも準備をしております。  ただ、それをどうしてやらぬかということになりますと、やって万が一それがだめじゃ、これは一番まずいわけでございますから、そういう証拠が集まるようにということは常々やっております。
  218. 下田京子

    ○下田京子君 常々やって、五十七年から八、九、六十となってきているんですよ。だから、必要な調査、準備をしているということは、一定段階でまとめたら告発するんですね。これはどうかといいますと、もう二月段階で東京食糧事務所の吉田所長さんだって言っているじゃないですか、準備していると。どうなんですか。
  219. 石川弘

    政府委員石川弘君) こういうことは、いつどこでどうやりますと言ってやることじゃございませんものですから、私どもはそういうきちっとしたデータをそろえて、これならばどこからどこまで大丈夫というところをきちっと把握した上で行動すべきことだと考えております。
  220. 北修二

    委員長北修二君) 時間です。
  221. 下田京子

    ○下田京子君 それじゃ必要な調査、準備をしているということは、一定の時点で断固たる対応をするというふうに理解させていただきます。  問題は、こういう不正規流通の温床をそのままにしておくということが大変なことなんですよね、それは食管崩しにもなるわけですから。そういう点で、本当に政府が責任を持った対応をされることを、米管理に責任を持てということを申し上げて、質問を終わります。
  222. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は初めに、今、日本の政治の中で最も重要な問題として取り上げられております、いわゆる貿易摩擦と市場開放の問題に関連して農水大臣に確かめたい、こういうことで最初にお尋ねいたしたいと思います。  今、中曽根総理は、ツルの一声といいますか、という形で去る六月の十四日に政府・与党対外経済対策推進本部の拡大正副本部長会議の席上で、相互主義でなく一方的に関税を引き下げるんだということで、一律に二〇%引き下げをということを至上命令といいますか、そういう形で述べられておったということに対して、これまで日本の農業を守ると。守るということは、とりもなおさず国内自給の向上を意味するわけでありますが、それを強調してこられた農水大臣は、中曽根総理のこのツルの一声に対してどのような受けとめ方をしておられるのであるか、まずそのことをお聞きしたいと思います。
  223. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。  農業というのは、いつも言っておりますが生命産業として大変大切である。また、他の公益的機能を持っている。また地域経済にも大変重要な役割を果たしているということは、先生御存じのとおりでございます。  そんなことで、農業の重要性とか特殊性をいろいろな人に理解を求めるように努力しているわけですが、総理も五月二十四日の本会議におきましては、行動計画における農業の取り扱いについては国際的に説明できるものでなければならないが、国民生活あるいは国民経済における役目等々も十分考えて、その特殊性に留意しながら行うべきものであると考えている旨答弁されたわけでございます。  そんなことで、私はいつも言っておりますが、農産物の市場開放問題につきましては、我が国の置かれています国際的立場は私としても認識しておりますが、関係国との友好関係に留意しながら我が国農業を守り、生かし、その健全な発展を図ることを基本にして慎重に対処してまいりたいと、こう考えております。  それからまた、先ほどの一律二〇%引き下げ等のことにつきましては、その話は聞いておりますが、まだ具体的、個々に今検討しておりませんし、全く未定でございますということでございます。
  224. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 七月に向けてこういった至上命令に基づいて策定されつつあるという経過があるわけでありますが、そうしますと、これまでの段階においては農水大臣の姿勢、主張は十分配慮されると、こう受けとめてよろしいんですか。
  225. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) お答えします。  私は、今申し述べたような農業に対する認識と農業の扱い方、また市場開放等につきましては、日本農業を守り生かすという立場をとりながらこれらの問題に取り組みたいと、こう考えております。
  226. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それは五月三十日に本院のこの委員会での決議もあったわけですが、あの線を踏まえて私は頑張ってもらわなければいけない、こう思っておりますので、重ねて念を押したいと思います。  次に、水産庁長官に尋ねたいことがあります。その一つは、米国は我が国に対して米国二百海里内を含む北西太平洋におけるマスノスケなどの禁漁といいますか、とってはいけない、こういう要求をしておるようでありますが、この問題に対してそのことは事実であるのかどうか、まず確かめたいと思います。
  227. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  マスノスケばかりではなくて、サケ・マス全体についての沖取りが禁止されるべきものであるという立場でアメリカ側は臨んできております。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 アメリカがこのようなことを日本に強く要求しておる根拠があると思うわけでありますが、その根拠というのは、申し上げるまでもなく国連の海洋法条約の規定に求めておる、こう思うわけなんです。この条約に対する日本政府の立場はどのようにとっておられるのか、この条約に対して日本政府はどういう態度をとっておられるのか。
  229. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。  まず、アメリカの場合は、途中までは熱心に国連海洋法の作業につき合ってまいりました。ある段階まではアメリカは主導的な地位で参加をしておったわけでございますが、最近に至りまして、アメリカは国連海洋法条約に対して極めて否定的な態度をとるようになってまいりました。現在のところ、アメリカは国連海洋法条約に署名もいたしておりません。  したがいまして、アメリカとしては国連海洋法条約を援用する立場ではございませんが、アメリカは国連海洋法条約が始まる前からそもそもサケ・マスの沖取りというものはよろしくない、やめるべきものであるという考え方をとっておりました。日米加漁業条約も大筋においてはそういう考え方に基づいて仕組みができておるわけでございますが、そういう前提を踏まえて、その中で最近マスノスケの起源についての鱗相分析に基づく新しい知見と称するものを論拠にして、先ほど申し上げたような主張を展開してきておるということでございます。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうすると、原則的にはこの条約を遵守する、こういう姿勢であるというふうに受けとめていいんですね。
  231. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) 国連海洋法条約につきましては、アメリカ側は、先ほど申し上げましたように、現在極めて否定的な態度をとっておりまして、現在署名もしておらないという状態でございますから、これを遵守するということをアメリカ側がコミットしておるということではないというふうに認識をいたしております。
  232. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 と申しますのは、アメリカは、先月新しく締結された日ソ漁業協力協定、これは申し上げるまでもなく国連海洋法条約の母川国王義ということがはっきり反映させてある、この点を重視していることであると私は思うんです。ソ連との間に、このような協定を結んだという点に問題はなかったのかどうかという疑問が出てくるわけです。いかがでしょうか。
  233. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) アメリカ自体は、国連海洋法条約に盛り込まれております母川国王義と極めて近い考え方を元来伝統的に持っておったわけでございますが、アメリカ側が持っております考え方は、国連海洋法条約に盛り込まれた考え方よりも、さらに母川国の立場を強い立場で主張するというのがアメリカ側の考え方でございまして、アメリカ側の考え方におきましては、例えば経済的混乱というようなことについての国連海洋法条約で認められているような考え方は、どうもアメリカ政府考え方の中にないように見受けられますし、あるいは国連海洋法条約で規定されておりますようなサケ・マスの沖取りに対する法的な枠組みについて精緻な仕組みが盛り込まれておるわけでございますが、アメリカが考えておりますことは、平たく申しますればもう少し乱暴なこと、乱暴といいますか粗野と申しますか、粗削りな考え方をしておるというふうに思いますので、私どもとしては国連海洋法条約をベースにした日ソ漁業協力協定が締結されたということが、今回のようなアメリカの態度の引き金になったのであるというふうには考えておらないわけでございます。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それは相手国の立場は察する以外にないわけでありますが、結局、私が言いたいことは、聞きたいことは、米国は我が国に対して強力に、それこそ圧力と言いたいほど強力に市場開放要求を突きつけてきておる。結局、裏を返せば、アメリカの側からすると自国の国益を守る、こういう立場から強引にこういうことをしておるのではないか、こう思われてならないんです。いわゆるマスノスケあるいはその他もあるとおっしゃるのですが、サケ・マスを日本は勝手にとってはいけない、二百海里以内であってもとってはいけない、こういう根拠は私は条約にある、根拠を置いておる。しかも、ソ連との協定が最近結ばれた、それ見ろ、こういう形で追っかけて強硬な態度に出たのではないか、こう思われるんです。  そこで、私が言いたいことは、日本もみずからの国益を守るという立場において、農水大臣の姿勢も長官の姿勢もそういう前提であるとは思いますが、ならば、こののしかかっておる市場開放の問題あるいは貿易摩擦の問題を切り抜けていくことが本当に日本の農林水産漁業の向上にならなければいけないわけでありますが、そういう点、重ねて聞きますが、十分に国益を守っていける、そして日本農業あるいは漁業も発展十分である、こういう決意で受けとめておらなければいかぬと思うんですが、その点について、重ねて長官と農水大臣の御所見を承りたいと思います。
  235. 佐野宏哉

    政府委員(佐野宏哉君) 外国の河川で産卵をいたしますサケ・マスを沖合いで漁獲している漁船、これは日本の漁船でございまして、日本人の漁業従事者が乗っており、とった魚は日本人が食べておるわけであります。外国の二百海里におきましても同様に、日本の漁船に日本人が乗って、とった魚を持ってきて日本人が食べておるわけであります。したがいまして、私はこのような日本漁船の操業の場を確保し、このような日本の漁業従事者の雇用の機会を確保し、それで彼らの漁獲物を国民食料として提供することを確保するというのは我が国の重大な国益であると考えて、交渉に臨んでいるわけでございます。
  236. 佐藤守良

    ○国務大臣(佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えします。  今、長官の言ったとおりでございまして、先生のおっしゃる意味もわからぬことはありませんけれども、やはり私は日本の実情をお話ししながら粘り強く伝統的な漁業外交を展開していくということが一番大切ではないか、このように考えております。
  237. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 事態が緊迫すればするほどますます姿勢を正して、厳しくても苦しくても頑張ってもらわなければいけない、こう思っておりますので、ひとつ頑張っていただきたいと思います。  次にお聞きしたいことは、農業の、あるいは農業だけでもありませんが、日本の産業の地域性というものが非常に重視されてきておるわけでありますが、そういう考え方に立って、沖縄というものの地域が非常に日本全体の中で特色を持っておるわけであります。例えばサトウキビという一例をとりましても、日本の中で、鹿児島県も奄美大島を主にしてあるわけでありますが、県ぐるみでサトウキビを基幹作物としておる県は沖縄だけであるわけであります。したがって、今後の科学的な技術、方法、機械化、いろいろな問題を背景に持たなければ今日の時代に間に合わない、また希望の持てる農業にはならぬと思うんです。  そこで、私、年来の要望として訴えてきた一つに、沖縄に国立糖業試験場をぜひ設置してほしい、こういう要望をまたきょうも重ねて述べたいと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 櫛渕欽也

    政府委員櫛渕欽也君) サトウキビの試験研究につきましては、その重要性にかんがみまして現在熱帯農業研究センターの沖縄支所、それから九州農業試験場、この二つの国立試験研究機関と、鹿児島県、沖縄県の県立の農業試験場、こういった研究機関が協力、連携しながら、先生の今お話にありましたようなサトウキビの品種改良を初めいろいろな栽培改善の研究に取り組んでおるわけでございます。さらに、沖縄県におきましては、サトウキビの育種の指定試験所を設置しておりまして、さらにその上に鹿児島県、沖縄県に対します一連のサトウキビ関係の総合助成に対する総合助成事業でございますが、この試験研究の事業に対する助成を行っておるわけでございます。こうした結果、これまでにも先生承知のように大変好評を得ております糖分の高い、しかも多収な、早熟で病気にも強い、こういった優良品種が最近着々と育成されておるわけでございます。  こういうようなことでございまして、サトウキビの関連研究につきましては、県と密接に連携しながら国としては精力的に取り組んでおるわけでございまして、お話ではありますけれども、現下の行政改革推進の中におきましては国立の試験研究機関を設置するということは考えておりませんけれども、今後ともこうしたサトウキビに関連する試験研究の一層内容充実を図るように、鋭意取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  239. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そうしますと、日本の財政の問題とも関係があるわけですが、一応それはともかくとしまして、国立糖業試験場を持つ意義というものは、今、外堀的なことを話されましたが、意義を認めておられるんですか、どうですか、もう一遍念のために聞きたいと思います。
  240. 櫛渕欽也

    政府委員櫛渕欽也君) 現在の、先ほど申し上げましたような国立機関、それから二つの県、この研究勢力で十分対応をしていきたいというふうに考えております。
  241. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これはもっと掘り下げて問いたいこともありますけれども、その程度にきょうはしておきたいと思います。  次に、農作物等の病害虫の問題、これは沖縄だけの問題でなく、どこでも重視される問題でありますが、特に亜熱帯農業の沖縄という地域からは、この病害虫の問題が非常に問題になるわけであります。生産を高めても病害虫があるために移出ができない、こういった悩みを持っておったわけでありますが、その一つにウリミバエの問題があったわけであります。ところが、このウリミバエの駆逐作戦が久米島から始まって次々と成果を上げて、最近南の果ての八重山においてもウリミバエゼロ作戦が宣言されたわけであります。そうしますと、これは沖縄の生産農家にとって大きな希望であり朗報であるわけでありますが、このことに対して政府はどのように対応していかれるつもりであるか、お聞きしたいと思います。
  242. 関谷俊作

    政府委員関谷俊作君) 沖縄県のいわゆるミバエ撲滅運動でございまして、今お尋ねはウリミバエ関係についてお尋ねございましたが、ミカンコミバエにつきましては、これは現在八重山群島を除くいわゆる久米島以北につきましては御承知のように解禁をいたしましたので、そういうところではかんきつ類、スモモ、バナナ、アボガド、レイシ、グアバ、こういうものの果実の移動が解除されておるわけでございます。  ウリミバエの関係につきましては、今、先生、かなり根絶対策が成果を上げているというお尋ねございまして、そのとおりでございますが、これは現段階におきましては、昭和五十三年に根絶されました久米島以外のところは、現状ではいわゆる持ち出しにつきましてコントロールをしているわけでございます。これはもう早く対策を講じなければいけない、こういうことでございまして、そういう関係につきましては、これから一日も早く根絶がされますように対策を講じてまいりたいと考えておりまして、その場合これが本当に撲滅されますと、今お尋ねにもございましたが、果実では例えばマンゴー、パパイア、こういうようなものを中心に、一部の野菜も含めましてかなり本土への移出が可能になる、こういうことでございまして、そういう意味でこれからのウリミバエ対策の徹底に伴います沖縄の果実農業、野菜関係の農業にはかなり期待が持てるわけでございます。  なお、私、今ミカンコミバエにつきまして申し上げました移動解除は宮古島以北、こういう関係で今解除をしておるわけでございます。
  243. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 ひとつ対応を、本当に生産と開発の結びつく対応を、機を逸せず打ってもらいたいと要望いたします。  では最後に、農産物の輸入と関税の引き下げにも関係をする沖縄の基幹作物、日本にとっても大事にしてもらわなければならぬパイナップルの問題があります。これもこの前の委員会でも一応訴えましたので、ひとつ沖縄のパイン産業が成り立つように守ってもらいたいということを要望しておきます。  次に、沖縄にとって水の問題がもうこれは宿命的なものを持っているわけでございます。ところが、世界にもない地下ダムが宮古島に計画されておるわけであります。しかもこれは国営土地改良事業の計画であるわけですが、現在その地下ダムがどうなっておるのであるか、それからこれをどのように開発していくのであるか、このこと。  そして、関連して、これがもう恐らく世界でも初めてのことだと、こう言われておりますから、このことを一つの足場にしてさらに沖縄本島の島じり、南部でも手がける、さらに北部でもと、こういう一応見通しが話されたわけでありますが、宮古の現状とその開発への段取り、そして本島の島、南部、中部、北部と、こうなりますが、その計画はどうなっておるのであるか、お聞きしまして、私の質問を終わります。
  244. 井上喜一

    政府委員(井上喜一君) 沖縄県におきます基盤整備の中では、特に水資源の開発というのは非常に重要な位置を占めているわけでございます。  ただ、島嶼部でありますために、普通内地で行っておりますようなダムによりましての水を使うということができないわけでございまして、農林水産省が開発いたしました地下ダムによりまして水資源を開発していく方式をとっているわけでございまして、試験的にはこれが成功をしております。これを事業化するための今全体実施設計を実施しておりまして、ここ一、二年かかると思いますけれども、その全体実施設計の中で全体の事業計画を確定し、事業費も定めまして工事の段取りを決めていきたい、今そういうような段階でございます。現地の要望も非常に強いものがございますので、できるだけ早く全体実施設計をまとめるように努力をいたしたいというふうに考えております。  それから、地下ダムを他の島嶼部に応用していくという問題でございますが、沖縄県の場合は自然条件なり、あるいは地形条件それぞれ地域的に特色がありますので、そういった状況に応じまして水資源を開発していく必要があろうかと思います。いずれ地域の実態に即しまして、今後そういった水資源の開発が促進されるように努力をしてまいりたい、そのように考えております。
  245. 北修二

    委員長北修二君) 本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。     ─────────────
  246. 北修二

    委員長北修二君) これより請願の審査を行います。  第二二九号蚕糸業緊急対策に関する請願外十四件を議題といたします。  速記をとめてください。    〔速記中止〕
  247. 北修二

    委員長北修二君) 速記を起こしてください。  これらの請願につきまして理事会で協議いたしました結果を御報告いたします。  第二二九号蚕糸業緊急対策に関する請願外十四件はいずれも保留とすることに協議決定いたしました。  つきましては、理事会協議のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  248. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  249. 北修二

    委員長北修二君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産政策に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  251. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  252. 北修二

    委員長北修二君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  閉会中、農林水産政策に関する調査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  253. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  254. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十六分散会