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1985-06-20 第102回国会 参議院 内閣委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月二十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十四日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     野田  哲君      久保  亘君     矢田部 理君  六月十七日      辞任        補欠選任      内藤  功君     上田耕一郎君  六月十八日     辞任         補欠選任      小野  明君     和田 静夫君      上田耕一郎君     内藤  功君  六月十九日     辞任         補欠選任      和田 静夫君     小野  明君  六月二十日     辞任         補欠選任      森山 眞弓君     林  ゆう君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大島 友治君     理 事                 亀長 友義君                 坂野 重信君                 穐山  篤君                 野田  哲君                 原田  立君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 沢田 一精君                 林  寛子君                 林  ゆう君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 小野  明君                 矢田部 理君                 太田 淳夫君                 内藤  功君                 柄谷 道一君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    政府委員        内閣官房内閣調        査室長      谷口 守正君        国防会議事務局        長        塩田  章君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        総務庁長官官房        長兼総務庁恩給        局長       藤江 弘一君        総務庁長官官房        審議官      佐々木晴夫君        防衛庁参事官   古川  清君        防衛庁参事官   古川 武温君        防衛庁長官官房        長        西廣 整輝君        防衛庁防衛局長  矢崎 新二君        防衛庁教育訓練        局長       大高 時男君        防衛庁人事局長  友藤 一隆君        防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        防衛施設庁長官  佐々 淳行君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        経済企画庁国民        生活局長     横溝 雅夫君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        外務省情報調査        局情報課長    大久保 基君        大蔵省主計局主        計官       西村 吉正君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査  (日米防衛首脳協議に関する件)  (行革審内閣機能等分科会報告に関する件)  (洋上防空に関する件)  (米軍艦載機夜間着陸訓練用飛行場の選定問題に関する件)  (「五九中業」の策定状況等に関する件)  (防衛費に関する件) ○福岡財務支局の存続に関する請願(第一号外三八件) ○人事院勧告早期完全実施に関する請願(第五九号) ○元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願(第六〇号外五件) ○人事院勧告完全実施に関する請願(第二〇九号外一二件) ○人事院勧告完全実施に関する請願(第三二二号) ○国家公務員への障害者特別採用制度創設等に関する請願(第三七三号外五件) ○自衛隊の増強反対軍事費削減等に関する請願(第三八七号外七九件) ○公務員賃金抑制反対等に関する請願(第四四二号外三件) ○ウタリに対する施策の拡充に関する請願(第四八四号外一件) ○長野県の寒冷地手当改善に関する請願(第五五三号外一一件) ○長野県下伊那郡の寒冷地手当改善に関する請願(第五五五号) ○新潟県朝日村の寒冷地手当改善に関する請願(第五七四号外三件) ○新潟県下田村の寒冷地手当改善に関する請願(第五七五号外三件) ○米空母艦載機下総航空基地使用反対に関する請願(第五九四号外一四六件) ○兵庫県の寒冷地手当改善に関する請願(第六二五号) ○兵庫宍粟郡波賀町の寒冷地手当級地引上げ改善に関する請願(第六二六号外三件) ○兵庫宍粟郡千種町の寒冷地手当級地引上げ改善に関する請願(第六二七号外三件) ○人事院勧告完全実施等に関する請願(第六八四号外五六件) ○人勧の完全実施に関する請願(第七二四号) ○石川県の寒冷地手当改善に関する請願(第七二五号) ○人事院勧告即時完全実施に関する請願(第七五六号) ○人事院給与改定勧告完全実施に関する請願(第八二一号外四件) ○共済年金制度改悪反対に関する請願(第九五二号外五二件) ○東京営林局存置に関する請願(第一一六五号) ○岐阜県の寒冷地手当改善に関する請願(第一一六六号外一件) ○国の事務等の整理・合理化に関する請願(第一三〇六号) ○対戦車ヘリAH1Sの十勝飛行場への配備撤回に関する請願(第一三一三号外六件) ○旧国際電気通信株式会社の解散前に退職した社員に対する恩給法等の期間の特例通算に関する請願(第一六二〇号外一〇件) ○旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関指定に関する請願(第一六八〇号外七件) ○軍人恩給改善に関する請願(第二七三五号) ○中小企業専任大臣設置に関する請願(第三〇九九号外四三件) ○中小企業専任大臣設置に関する請願(第三五四〇号) ○中小企業所管専任大臣設置に関する請願(第四三八〇号) ○中小企業専任大臣設置に関する請願(第五二五四号) ○共済年金制度抜本改悪反対に関する請願(第五八九三号) ○旧軍人軍属恩給欠格者救済のため、恩給法の一部改正に関する請願(第六八一七号) ○国家公務員に対する筑波研究学園都市手当新設に関する請願(第六八五一号外一二件) ○国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案反対等に関する請願(第六八七六号外一一件) ○傷病恩給等改善に関する請願(第七一九九号外二四件) ○米軍基地内日本人労働者身分保障制度確立に関する請願(第七五二八号) ○中小企業施策の樹立を図るため、中小企業専任大臣設置に関する請願(第七五二九号) ○元上海日本大使館嘱託に対する慰労金に関する請願(第八〇二八号) ○継続審査要求に関する件 ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件 ○理事の辞任及び補欠選任の件     ─────────────
  2. 大島友治

    委員長大島友治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月十四日、青木薪次君及び久保亘君が委員辞任され、その補欠として野田哲君及び矢田部理君が選任されました。     ─────────────
  3. 大島友治

    委員長大島友治君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。  加藤防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤防衛庁長官
  4. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 先般の日米防衛首脳協議につきまして御報告いたします。  私は、今回ワインバーガー国防長官の招待により、六月七日から六月十七日までの間米国を訪問し、同長官との定期協議を行うとともに、シュルツ国務長官マクファーレン大統領補佐官ルーガー上院外交委員長アスピン下院軍事委員長クラウ太平洋軍司令官会談し、また米国軍事施設などを視察してまいりました。  ワインバーガー長官との協議の概要は次のとおりであります。  私から、まず、日米防衛関係我が国防衛政策について、  一、今日、日米間においては、経済分野で困難な問題がある中で、防衛分野では良好な状態が続いており、これを維持発展させるため、双方が最善の努力を行う必要があること。  二、米国がこの数年来我が国の自主的な防衛努力を静かに見守るとの姿勢をとっていることは極めて建設的であり、今後ともその方向が望ましいこと。  三、憲法や非核三原則の遵守、日米安保体制の堅持など防衛に関する基本的な政策は、国民のコンセンサスを得ているものと認識しており、今後ともこのような政策に従った防衛努力を着実に積み重ねてまいりたいこと。 等を申し述べました。  ワインバーガー長官からは、いずれも貴重な意見である、ソ連の軍事力増強等にもかんがみ、日本がみずからの国益の問題として防衛努力を行っていることを評価する、米国としてもこれに必要な支援と協力を惜しまない旨の発言がありました。  次に、五九中業について、私から、現在、「防衛計画の大綱」に定める防衛力の水準の達成を期するとの方針のもとに作業を進めていることを述べ、正面と後方のバランスの確保、我が国地理的特性への配意など、この中業策定に当たっての基本的な考え方を説明しました。  これに対して、ワインバーガー長官から、五九中業策定作業進展を期待する旨の発言がありました。  さらに、私から、「日米防衛協力のための指針」に基づく各種の研究日米共同訓練装備技術交流進展について述べるとともに、日米安全保障体制が真の抑止力として揺るぎなく機能するよう、今後とも、双方がその内容の充実に一層の努力を払っていくことの重要性を述べました。また、こうした交流の深まりに対応し、シビリアンコントロールの観点からも、政策担当者間の交流を一層促進させる必要性を述べました。  ワインバーガー長官から、これらについていずれも同感である旨の発言がありました。  空母艦載機着陸訓練の問題については、最大の懸案として、私はもとより政府全体としてこの問題の解決のため最大限の努力を行っている旨述べました。  これに対し、ワインバーガー長官から、日本側努力はよく承知しており評価している、引き続き努力をお願いしたい旨の発言がありました。  以上のほか、ワインバ!ガー長官より、在日米軍駐留経費の負担について我が国努力に対する謝意が表明され、私からは、沖縄駐留米軍事故防止に配慮するよう要請しました。  シュルツ国務長官マクファーレン大統領補佐官議会関係者及びクラウ太平洋軍司令官との会談においては、我が国防衛努力軍備管理・軍縮の問題等について意見を交換しました。  なお、マクファーレン補佐官から、SDI研究日本の進んだ技術等の参加を希望する旨の発言が、またクラウ司令官からは、日米共同訓練等についての発言がありました。  今回の訪米を通じての所感を申し上げます。  ワインバーガー長官との定期協議を初め米側関係者との会談において、防衛上の諸問題について充実した意見交換を行い、相互理解の増進を図ることができたことは、大変意義深いことであったと思います。米側は、我が国の自主的な防衛努力を評価しつつも、厳しい国際軍事情勢にもかんがみ、我が国が一層の努力を行うことを期待しております。私は、安保条約改定後四半世紀の間に築き上げられてきた実績と信頼関係を踏まえ、日米防衛協力関係を「模索の時代」から「定着の時代」とすべく、各般の分野にわたって着実な防衛努力を行っていく必要があると考えます。  以上でございます。
  5. 大島友治

    委員長大島友治君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 矢田部理

    矢田部理君 官房長官の時間の都合があるようでありますので、そちらから先に質問したいと思います。  六月十七日付で行革審内閣機能等分科会内閣総合調整機能のあり方について報告が出されました。  この内容を見ますれば、内閣調整機能強化を名目にして総理大臣権力集中強化を図ろう、大統領型首相を目指そうというようなにおいがぷんぷんとするわけでありますが、こういう答申といいますか、報告を出した背景には、中曽根総理自身の意向が色濃く反映されているという報道な どもありまして、なるほどなと思われる節も折々見受けられるわけてありますが、官房長官、どんな経過だったのでしょうか。
  7. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 臨時行政改革推進審議会でいろいろなテーマについてそれぞれ分科会で熱心な御討議をいただいているということを大変ありがたく思ってきておるところでございます。その中で内閣機能等に関する分科会意見がまとまって審議会に上げられたと申しますか、提出されたというふうに情報としては聞いておりまして、これから審議会でいろいろ御討議があって、そして来月に答申が出されるもの、こういうふうに考えておるところでございます。したがいまして、臨行審内閣機能等についての御審議はなおプロセスの段階というふうに私ども理解をいたしておりまして、その段階で私ども立場からコメントすることはいかがか、こういうふうに思いますのでお許しをいただきたいと思います。  分科会でいろいろ御討議いただいた結果をおまとめになりましたものが新聞などにも出ているわけでございますが、大統領型というよりも、臨調でも内閣機能強化して、そして内閣全体のそれぞれ責任が果たしていけるようにいろいろ工夫、検討してはどうか、こういうふうな御指摘もございまして、それらを受けて審議会の中の分科会で御討議が重ねられてきたものというふうに理解をしておるわけでございます。  御質問の総理の気持ちが反映しておるのではないかということにつきましては、これは全く臨行審自主性を持った御審議の結果のものであって、途中で総理大臣はどう思うかというようなお尋ねもなかったように思いますし、申し上げる機会もなかったように思いますが、どういうふうにこれを受けとめてどう考えていくかということについては、基本的には臨行審の御答申を尊重する、こういうことは当然でございますけれども、具体的にこれをどういうふうに持っていくかということについては答申を受けた後検討することになろう。こういうふうに思っておりますので、今までのところで総理が特にこういうふうな方向に持っていってもらいたいというようなことを申し上げた機会はないということをお答え申し上げておきたいと思います。
  8. 矢田部理

    矢田部理君 かつて総理首相公選制などということで、日本議院内閣制あるいは国会最高機関性ということとは別に、首相そのものの権限強化なり、直接国民とのかかわりを強めて基盤強化をしようというようなことを唱えられた経緯にもかんがみてみますれば、この答申背景にして総理のもとに権力が極めて集中する、そのことを通して強化していくということになりますと、これは行政権の優位をますます確立しようという中身にもなるわけでありまして、日本憲法の仕組みから見てもいろんな問題が出てくるというふうに実は考えるわけでありますが、同時に行政庁内部におきましても、既に行政の二重機構化というようなことも言われるわけでありまして、かつて、後で後藤田長官にもいろいろお尋ねをいたしますが、屋上屋を重ねるというようなことで、既に外務省筋からは安倍外相など反発論があるわけでありますが、この点はいかがお考えでしょうか。
  9. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 今申し上げましたように、臨行審の御審議のなお過程でございますので、その時点で私ども立場で物を言いますことはいかがかと、こちらから御審議をお願いをしておる立場でもございますので差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、前々から、各方面から内閣機能をさらに強化して、今日の非常に変化の多い時代に、しかも行政がどうしても縦割りになっているものですから、各省庁をまたいでいろいろ調整したり連絡を取り合ったりしていかなければならぬ、そういうことで今の内閣はいろいろ各省庁またいで問題をとらえて努力していくということを重ねておるところでございます。そのためには当然国会におきますいろいろな御論議なども十二分に頭に置いてやっていかなきゃいかぬ、それを受けて各省庁をまたいで課題の解決に向かって努力をしていく、それには調整能力といいますか、指導力などというものでなしに、調整しながら今日の時代でございますから進んでいくことになるわけでございますが、そういう意味では内閣機能というものをもう少し全体が円滑に動いていくためにどうすればいいかということについては、各方面からいろんな御指摘もいただいてきたところでありますし、臨調でもいろんな御議論があったところでございます。それらを受けていろいろ御討議をいただいているもの、こういうふうに考えておる次第でございまして、総理大臣直属のところに権力が集中して、そこで何か大統領型のようなそういうことを目指しておるのではないか、あるいはそういうことになるのではないかというようなことにつきましては、私どもは私ども立場でさらによく検討しなければなるまいか、こう思いますけれども、事柄からいきますと、今日非常に内閣全体をうまく調整したり、連絡を取り合うようなことはだんだんとふえてきておるような感じはいたしておりまして、流れといたしましては、そのことは非常に重要なことではないだろうかというふうには一般的に考えておるようなことでございます。  しかし、これは具体的に、何回も申し上げますが、審議会分科会で御討議いただきましたことについて私の立場から今コメントすることは遠慮させていただきたい、こう思います。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 お話にも既に出ておるわけでありますが、今度の報告によりますと、重大緊急事態というのを想定し、それに備えるために内閣直属機関として安全保障会議設置するということが一つの内容になっているわけですね、外交の問題はきょうは取り上げませんけれども。  さて、その緊急事態、しかも重大緊急事態というようなことは一体これまであったのかどうか、あわせて、そういう事態があったにもかかわらず内閣がもたついて強力な指導ができなかった、あるいは緊急事態対応できなかったというようなことがあったんだろうかということになると、私は思い当たらないわけです。そして、いろんな分野にわたる問題については関係閣僚会議閣僚協などという組織があって、それがそれなり対応してきていたのではないかというふうにも思われるのですが、官房長官の認識はいかがでしょう。
  11. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 分科会のいろいろ御討議をいただいたところでは、重大緊急事態というのは、「国家の安全に係る重大事に発展するおそれのある緊急事態」、こういうふうなことが書かれておるかと思うのでございます。今までそういう事態があったのかどうかということにつきまして、何といいますか、客観的にこれが緊急事態だというようなふうにみんなが認める状態というのはなかなか難しいのではないか。そのときその人が、これは緊急事態だなと思いながらうまく処理してきた、切り抜けてきたというようなことは、どういうのをどうだということになると、全くなかったということはないだろうと思います。それはいろいろな局面はあったろうというふうに思います。  これからの問題につきましても、それじゃどういうのを緊急事態と言うのかということになりますと、これはいろいろなことが、この生きた国家社会国際社会の中でいろんなことが起こり得るわけでございますから、こういう種類の話というのは、一番厳しい状態といいますか悪い状態といいますか、そういうことも十分想定して、そういう場合にはどうするかということについての対策をよく考えていくということは非常に大事なことではないだろうか、これは一般的にはそう思うわけでございます。今度のこの中身について私申し上げておるのではなくて、一般的にはそんなふうに思うわけでございます。  それから、その場合にそれじゃその緊急事態に対処するような体制というものはどれぐらい要るのかということになりますと、これは体制と人と両方の問題だろうというふうに思います。何か起こりましても、後藤田正晴氏のような、緊急にどんな事態にでも対応できるような能力を持ったす ばらしい方がおれば、これはきちっと対応ができると思いますし、そこでなかなかうまく対応できないでということになると、体制ができていて、そこできちっと相談して判断して、最終だれか決定して対応するというようなことが要るというような場合もありましょうし、いろいろあるだろうと思うんです。しかし、国としてはどういう状態が起こっても、事、安全に関することは普段からいろいろ対応策を考えておくということは非常に大事なことであろうというふうに思うわけでございまして、緊急事態のようなことが起こらないことを願いつつ、そのことは十分念頭に置いていかなければなりますまい、このように考えておる次第でございます。
  12. 矢田部理

    矢田部理君 私なりにいろいろ過去のあれこれの事件なり問題なりを考えてみたんですが、この事例に当てはまるようなことはないんですね、率直に言って。戦後四十年、多少いろんな事件はあったけれども、緊急かつ重大で国家の危急存亡にかかわるような事態というのは戦後四十年間なかった。にもかかわらず、どうして内閣権限強化とか、調整するために権力を集中しろ、そのために常備体制を一段と強化しようというような必要があるのだろうか。例えばここで国防会議機能が衰弱しているとか、よろしくない、まあ国防会議も来ておられますがね。私はこれは結構な話なんでありまして、国防会議が余り活性化してしょっちゅう動くようでは実は困る事態なんでありまして、これを活性化するためにやるのだということが一つあるわけでありますが、同時にまた有事、非常時を想定しているわけてありますが、単に軍事問題だけではなくて、軍事の色合いを帯びながら大規模地震だとかあるいは大型自然災害だとかというようなことについてまで、これに取り組んでいくという発想が実は色濃く出ているわけでありまして、そうなってくると、これは今まではそれぞれの担当省が中心になって、あるいは内閣それなり協力して対応してきたのでありまして、またそういうここで想定されるような大型国家の危機にかかわるような大災害とか、それから人為的事故というようなことまで想定して、常時そういう体制をつくっておくという必要性が果たしてあるのか、これもまた問題なんです。しかも、それをやっぱり軍事と一緒にやるということになれば、その性格づけがそれ自体問題なんでありまして、このことはやっぱり極めて慎重に、今後の答申を待ってということではありますが、内閣としても考えていただきたいと思うのです。時間でありますから、きょうは余り各論的な話はしませんが、官房長官のもう一言この点に関するコメントをいただいておきたいと思います。
  13. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) あくまでも審議会の御審議過程でございますので、答申が出ましたならば十分この中身を検討させていただきましてしかるべき措置を講じていく。ただ、基本的に審議会に御審議をお願いしてきておりますので、これは答申を受けて取捨選択してやりますよというようなこともまた今の段階で言えることではありません。あくまでも答申を受けて、そして平素国会でいろいろ御討議いただいていることなども十分頭に置いて取り組んでいくようにいたしたい、こう考える次第でございます。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 この議論はもう少し後藤田長官と交わしたいと思っているわけてありますが、官房長官お帰りでありますので、最後にもう一点だけ官房長官に伺っておきたいと思いますのは、去る六月十七日、アメリカの下院政府活動委員会の小委員会で公聴会が開かれたわけてありますが、アメリカの海軍が数多くの防諜要員を持っている、その防諜要員の世界的な配置について日本が一番多い、特別の訓練をして、海外ではCIAの活動と一体になってそれに従事しておるというような指摘があるわけでありますが、きのう外務省に伺ったら、外務省の縄張りじゃない、こういうふうに言うものでありますから、こういう防諜要員が日本国内で大量に活動しているということになりますれば、公権力の行使が国内で行われている危険も高く、日本の主権にもかかわる重大問題だと思わざるを得ないわけでありますが、この点、官房長官の認識はいかがでしょうか。
  15. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) そういった情報をも得ましたので、ただいま外務省で実態を調査しているところでございます。よく実態の調査を見ましてまた考え方をまとめたい、こう思っています。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 幾つかのこれは具体的な問題があるわけでありますが、ソ連や東欧圏に日本を通して技術の流出が行われ、日本がその抜け穴になっているというような指摘をアメリカではしばしばするわけですね。この防諜要員はそれを抑えるための役割も担っていると言われておるわけですね。そうなってきますと、単に米軍のあれこれの活動、動きを監視するだけではなしに、日本の国内にもその監視の目が向けられておるし、そういうための活動も行っている危険性があると見なければならないのでありまして、この点緊急に調査して、そういう防諜要員の活動を国内では許さないという対応をとるべきだと思うのと、海軍だけでなしに他の部隊も同じようなことを行っている可能性もあるわけでありますから、緊急に調査を求めたいのでありますが、もう一度官房長官に。
  17. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) これはあくまでも想定したり、仮定の上に立って議論することはいかがかというふうに思います。あくまでも実態をよく調査するということが大事だと思いますので、なるべく早く外務省で調査をまとめるようにさらに外務省にお願いをしておきたいと考えております。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 官房長官、結構でございます。  これはついででありますが、外務省はどの程度実態を把握しているんでしょうか。
  19. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 外務省といたしましては、先日の報道に基づきまして、どのような証言が行われましたかを含めまして、事実関係を現在調査中でございますので、できるだけ早く調査を進めたいと思っております。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 全然今までは実態をつかんでおらなかったんですか。
  21. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私、先生の御質問の趣旨をあるいは十分理解しておらないかもしれませんが、十七日のこの証言が行われたということは承知しておりますので、その証言の内容その他について現在、必要に応じてアメリカ側に照会することも含めまして、調査中でございます。
  22. 矢田部理

    矢田部理君 アメリカの下院で指摘をされるまで全然日本では知らなかったのかと聞いているわけです。相当数の防諜要員が日本に配置されているんですよ。海軍だけでも六十四人と指摘されてますね。他の部隊もいる可能性もある。そういうことを全然国内で知らぬまま日本の政治は行われているんでしょうか。。
  23. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私の承知しておりますところでは、これは海軍内部の問題として私ども必ずしも十分把握しておらなかったかと思います。
  24. 矢田部理

    矢田部理君 アメリカで指摘されるまで全くこういうことを知らぬということでは、日本行政は一体どうなっているんだろうという気持ちが強いわけでありまして、その点、官房長官も今述べられましたから、緊急に調査をしてその全貌を明らかにし、こういう活動は即刻やめさせるべきだというふうに私は思いますが、もう一度答弁願いたい。
  25. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 繰り返しになりますが、私ども早急に事実関係を調査いたしたいと思っております。
  26. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、後藤田総務長官に問題を戻したいと思いますが、先ほど官房長官とのやりとりの中で問題にしました分科会報告ですが、これは行革審として今後取り扱いはどんなふうになっていくのか、それにかかわる総務庁としての今後の対応はどんなふうになるのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  27. 山本貞雄

    政府委員(山本貞雄君) 大臣から御答弁ございます前に、私から事務的に御説明申し上げます。  昨年五月、政府の方から行革審に対しまして、内閣総合調整機能強化の問題と、いわゆる大災害あるいは大韓航空機撃墜事件等の緊急事態に 対する対処体制の整備の問題、これにつきまして検討の要請があったわけでございます。行革審におきましては、昨年の九月、この二つの問題を検討いたしますために、内閣機能等分科会を設けまして審議を続けてまいったわけでございますが、御案内のとおり、十七日に行革審に対しまして部会報告を上げたわけでございます。これを受けまして行革審におきましては、検討の上、七月の下旬をめどに答申総理に対して提出すると、このような手はずになっております。
  28. 矢田部理

    矢田部理君 大韓航空機の事件日本で何か緊急事態だったんですか。また、あれに対する対策が、決定的に何か行政機能がうまく調整されないまま失敗したんでしょうか。
  29. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私からお答えを申し上げます。  去年の五月の六日でございます、行革審に私の方から六項目の検討依願を申し上げました。  その一つは、昭和六十年度においても引き続き増税なき財政再建の基本方針を堅持して行財政の改革を進めるという方策について行革審の御意見をいま一度承りたい、増税なき財政再建、これは第二臨調以来の基本の考え方でございますから、そういう背景のもとに検討を御依頼を申し上げました。二つ目は、我が国行政において大きなウエートを占めておる地方公共団体の行政改革を国と同様強力に推進する方策について、いま一歩突っ込んだ具体的な御意見をちょうだいしたい。三番目は、大災害あるいはハイジャック、大韓航空機事件のような緊急事態ないしは国際的な大事件の発生に迅速、的確に対処し得る仕組みを整備する方策について突っ込んだ御意見を承りたい。それから四番目が、先導的科学技術の研究開発の推進に関する体制を整備し、総合調整機能の活性化を図る方策を突っ込んでもう少し御意見をちょうだいしたい。五番目が、各省の縦割り行政の弊害除去等内閣総合調整機能強化するための仕組みを整備する方策についてさらに突っ込んだ御意見をちょうだいしたい。六番目が、特殊法人の活性化方策、これについてももう少し具体的な御意見をちょうだいしたい、こういう六項目の検討依頼をいたしました。  なぜしたかといいますと、第二臨調の中にこれが全部一応触れられておるんです。第二臨調答申は、矢田部さん御案内のように、具体的な改革意見と同時に考え方を述べられたにすぎなくて、これは時間の制約があったんだろうと思います。第二臨調答申そのものが突っ込みが十分でないという面が相当各所にあるわけでございますから、政府としてはこれらについてもう少し行革審そのものの審議会設置の法律の趣旨に照らして、突っ込んだ、進んだ御意見をちょうだいしたい、こういうお願いをしたわけでございます。それに従って、行革審としてはそれぞれの分科会をおつくりになって、できるものから順次御答申をいただいておるわけでございます。  そこで、今回の問題は、その三番目の問題と五番目の問題、これについての分科会意見が一応まとまって審議会に御報告になった段階でございます。政府としては、これはいつごろ御答申いただけるのか、ただいま行革審の山本次長のお答えでは七月の下旬ごろだと、こういうお話でございますから、その御答申を受けた上で行革審設置法の趣旨に基づいて政府としてはこの意見を尊重して、そして政府みずからの責任のもとに改革をすべきものはしていこう、こういう考え方に立っておるわけでございます。  ただいまの御質問の中にもございましたが、今まで緊急事態等でそんなものは緊急事態でも何でもないじゃないか、こういう趣旨の御発言がありましたが、私は過去二回内閣の中で官房副長官官房長官という重職をやらせていただいておりますが、まことに官邸の機能というものは不十分でございます。これはもう身をもって体験いたしております。緊急事態等も大韓航空機の事件であるとか、あるいはミグ25の事件、これは処理をひとつ誤まれば私は国の大事に至るおそれがあると思います。これらは、内閣全体として、もう少しきちんとした総理に対する補佐機能というものはどうしても国の存立のためには絶対必要だと、私はこういう強い確信を抱いておるような次第でございます。  幸いこういった問題が大事に至らなかったということは非常に私は幸せであったと思うんです。あるいはまた、これはいつそういうことが起きるかわかりませんが、仮に日本の現状というものを考えて中東地方が戦乱に巻き込まれたといったときに、一体日本はどう対応するのだ、エネルギーの問題等国にとっての大変重大問題になってくるおそれがあるわけでございますが、これらについて平素からマニュアルをつくるとか、対処方針、こういう想定をして一応の国としての勉強をする。そして、総理に対するそういった事態の際の補佐を間違えないようにする。これは各省当然やるわけでございますが、各省それぞれが縦割りでございますからみんな意見が違う。  これらをどう政府全体、内閣全体として調整していくのか、もちろん閣議でやるわけでございますけれども、それからまた別の立場内閣全体の立場、それは長は総理大臣でございますから、各省は各省の立場がある。そこでそれらを調整しながら対処を間違えないようにしていくということが、私は本当に今日のように内外でどんな緊急事態が起こるかわからぬではないか、それに対する平素からの仕組みあるいは補佐のやり方、こういうものをきちんとしておくことが、今日国の存立を全うするという意味合いにおいて、大変重要な仕事ではないのか、かように考えておるわけでございます。  先ほど外務大臣の御答弁で云々という御発言がございましたけれども、もちろん私は、外務大臣がどういう御答弁をなさったのか承知しておりません。いないが、今日首脳外交ということが、これはもう国際外交の常識になっておるわけでございます。それらを背景にしながら、二元外交に絶対になってはいけないという大前提のもとでの、私は答申内容もまだ承知しておりませんから、答申についてとやかく申し上げる段階じゃありませんが、それらを頭に、当然の前提としての行革審での御結論が出されるものというふうに期待をしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、日本行政全体の仕組み、内閣機能、これらを見た場合に一番欠けておる面はこういう点ではないのかということでそこに手を、若干改善の措置を、基本を変えるわけじゃありませんから、入れて改革をやっていけばいいのではないか、こう私は一般的に考えておる。そういう意味合いで答申をお願いをした。その答申がまだ出ておりませんから、答申が出た段階内閣としてはさらに各方面意見をお伺いしながら政府としての最善の方策を求めながら実現をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  30. 矢田部理

    矢田部理君 大韓航空機の事件やミグ25の問題は、それ自体は問題でありますが、日本にとって危急存亡を問われるような問題ではない。そのことのために何かそういう組織があればもう少し有効に対応できたのだということでも必ずしもない。したがって、前提となる認識そのものに問題がありはしないか。個別問題はもう少し時間があればやりますけれども。ということが一つと、いたずらに危機感をあおって、それをまた足場にして内閣機能強化していく、権力を集中していくという政治手法は、決して日本の政治のあり方、ありようにとっていい方向ではない、危惧すら感じておりますので、その点十分に踏まえて対応をいただきたいと思うのが一つ。  それからもう一つは、従前も内閣機能強化とか調整能力を強めるとかということで、いろいろな制度の提案があったわけですね。例えば第一次臨調では内閣補佐官制度というのがあった。それからついせんだっては中西大臣のもとで危機管理問題をいろんな議論をさせ、しかるべき報告書もまとめられた。大平さんの時代には総合安保が大事だということで、たしか総合安全保障閣僚会議ですか、などもつくられた。全部そのときどきに よってちぐはぐなんですね。しかもそれらとの整合性も必ずしも十分な議論をされないまま組織先行型でこの安全保障会議設置とかあれこれの調査室をつくるというようなことは、従来の行政のあり方、ありようにとってもいま一つ消化不十分なのではないか。まして二重外交とか二重行政の問題というふうなことになりますれば、幾つかの問題点がさらに出てくるわけであります。  特に私が三番目に指摘しておきたいのは、アメリカに国家安全保障会議、NSCというものがありますが、これにちなんだような体制日本内閣がつくろうとしているのではないか。これは機能別、地域別にいろんな世界戦略を立てる上で大統領直属の機関として働いているわけでありますが、これすらも世界戦略を立てる上でいろんな危惧や問題が出てきておるし、現にペンタゴンや国務省との間にも亀裂や矛盾が指摘をされているわけであります。こういう方向を目指すとするならば、日本が単に国内の問題だけではなくて世界戦略、西側の一員論としての役割を担うために大がかりに打って出る体制をつくっているんではないかという心配すら実はあるわけなんでありまして、それは日本外交政策あるいは政治のありようとしてもとるべき道ではないと思うのでありまして、余り私が演説ばかりやっていても何でありますが、この扱いにつきましてはもう一度後藤田長官の手元で十分に吟味していただきたい。とりわけ臨調軍事問題には余りこれまで踏み込んでこなかったわけですね。どちらかというと、それを整理統合して、本来は行政改革の対象にすべきなのに、他の官庁は人員を減らしていくのに防衛庁だけはふやしていく。ふやすだけではなくて軍事色を強めた危機管理、そういう型の内閣の権限強化という方向で問題を詰めるとするならば、行革の方向にすら逆行しはしまいかという心配すらあるのでありまして、そんな点でもこの扱いは極めて慎重にしていただきたいというふうに思うのですが、長官いかがでしょうか。
  31. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いずれにしましても、行革審の御答申が出ませんと、私の方から今お答えするわけにはまいりませんが、矢田部さんが御心配になるようなことは杞憂だと考えておいていただいて間違いないと思います。そんなことを意図しておるわけではありません。要するに、現在の日本行政の制度、内閣制度、内閣総合調整機能、それの欠陥を補充するという観点に立っての考え方でございますから、矢田部さんの御意見のような御心配はありませんし、少し御心配が過ぎているんじゃないか、かように考えますので、御安心をしていただきたい、かように思います。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 後藤田さんから安心せいと言われても、即なるほどというわけにはまいりませんが、その点は十分留意してお進めをいただきたい、対応をいただきたいというふうに考えております。長官、結構です。  そこで、今度は防衛庁の方に問題を移していきたいと思いますが、防衛庁長官日米首脳協議で五九中業についてはどんな話をされたのでしょうか。
  33. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) かねて、私たちが当院におきまして五九中業の進行状況、それの基本的な発想について御説明申し上げてきたわけですけれども、その概要につきまして向こう側にも説明いたしました。具体的に言いますと、正面と後方のバランスを十分とることとか、我が国地理的特性を踏まえた装備の整備方針にしたいとか、それから時期的には夏までには作業を終えたいと思っていますとか、そういうようなことを申し上げた次第でございます。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 洋上防空とかOTHレーダーなどについては突っ込んだ話になったんでしょうか。
  35. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) OTHにつきましては、これを私たちとしては情報収集機能または洋上防空体制の総合的な検討の一環として有益なのではないかと思っておるので、それについてもうちょっと具体的な検討をしたいので、データ、技術的な情報の提供をお願いできないかとこちらから要請いたしまして、できるだけの努力をしてみたいというコミットメントを向こうから得た次第であります。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 洋上防空について。
  37. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 今御指摘の話題は、ただいま大臣から申し上げたような脈絡で言及があったわけでございまして、加藤防衛庁長官の方から、今後の防衛力整備に当たりまして、警戒、監視、情報収集の手段としてOTHレーダーの有用性に注目しているところだ、洋上防空におきます早期警戒の手段としてもこのOTHレーダーの利用が効果的ではないかと考えております、そこでこういったOTHレーダーとか早期警戒機とか要撃機とか艦艇の対空システムといった総合的な洋上防空のあり方について検討したいと今思っているところである、そのためこれを検討するに当たってOTHレーダーに関します技術資料の提供等について米国側の協力が得られればありがたい、そういう趣旨の発言をしたわけでございます。これに対してワインバーガー長官の方から、できる限り協力をできるように努力をいたしたいという趣旨の御発言があったわけでございまして、話題として出たのはそういう脈絡で出たわけでございます。
  38. 矢田部理

    矢田部理君 OTHレーダーの採用というのはとりあえず五九中業で予定しているんでしょうか。
  39. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 現在総合的な洋上防空体制のあり方の一環としてどうするか検討しているわけでございますけれども、検討の進展いかんによりましては、五九中業の中でこのOTHレーダーを導入するということもあり得ないわけではないというふうに考えておりますが、今の時点でまだ結論を得ているわけではございません。
  40. 矢田部理

    矢田部理君 どうもアメリカに行くと少し踏み込み過ぎてきているのではないかという印象を強めているわけですね。洋上防空についてもいろんな具体案を出し、あるいはこのOTHレーダーの導入についても含みを持たせるような発言、有益であり、検討したい、データの提供を求めたいという発言だったとしても、何かそれをいずれ導入する、そういうことを対米公約にしてきたような受け取られ方をしてもいたし方ない。これは少し長官として行き過ぎなんじゃありませんか。
  41. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 我が国が自国の防衛のためにできるだけ情報収集機能強化すること、またシーレーン防衛の際に洋上防空についていかなる体制が一番有効であるかを考えることは自国の防衛のために私は当然のことであろうと思いますし、シーレーン防衛我が国のシーレーンの防衛でございます。そういった観点からOTHレーダーの導入が有用かもしれないと私たち思っておるものですから、それにつきましては、より明確なデータをアメリカ側は現在現に設置して持っておるわけですから、それの提供を求めたものでございます。我が方の要請に対して向こう側が応じてくれたものであって、どちらかといいますと、我が方が要請して向こうが協力することを向こうが公約してくれたと見た方がいいのだと思います。
  42. 矢田部理

    矢田部理君 全く逆なんでありまして、これはアメリカ側から、アメリカ側はかねてから日本にそういうものを持つように要求してきている、それを追認しただけじゃありませんか。事は逆じゃありませんか。今度の会談ではなるほど日本側発言が先だったかもしらぬが、要求そのものはアメリカからかねてからあった、それに対して日本対応をした。言うならば、長官の手土産にしたような印象が強いわけでありますが、どうですか。
  43. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) OTHレーダーの問題につきましては、これまで米側から具体的に要請されたというような経緯はないわけでございます。そうではなくて、私どもが五九中業を検討しております過程で、今後の海上防衛力の整備の問題として洋上防空重要性が高まってきているという認識を持ったわけでございまして、その一環としてOTHレーダーというものの有用性に着目をしてきたという経緯があるわけでございます。 しかしながらこれは技術的に私どもの方ではほとんど知識のない分野でございますので、これの具体的な開発をしておりますアメリカの協力がないと具体的にこれを進めるわけにもいかないなというような事情が私どもとしても明確に判断できるような状況になってまいりましたので、この機会にそういった協力の要請をしようというふうに考えたわけでございます。  いずれにいたしましても、アメリカ側に対しましては、そういった問題を、OTHレーダーの問題を総合的な洋上防空のあり方の体系の一環として検討してみたいという前提で、その中での検討資料の提供を要請するということをしたわけでございまして、検討自体がなかなか難しい面もございますので、アメリカ側に対してこれをやるというふうなことを約束したという経緯は全くございません。単に技術資料の提供を求めたという経緯でございます。そういうことに対してアメリカ側ができる限り協力できるように検討はしてみたいというようなことでございまして、どの程度の協力が得られるかということ自体、今後の事務レベルでのいろいろな接触の課題ではないかというふうに考えているわけでございます。
  44. 矢田部理

    矢田部理君 有用でかつ検討したいというふうに言えば、アメリカはもともと日本に持ってもらいたいわけでありますから、そう単純に向こうは、検討した結果だめでしたということを想定したり、そうなることもあり得るという前提で受けとるんじゃなくて、これは持ってくれるという期待を込めたから余り今度は文句もつけなかったということのようであります。  どだい、もともとOTHレーダーについては防衛庁内部だってまとまっていないんじゃありませんか。航空自衛隊からは幾つかの点で疑問が提起されてきた。物を買う優先順位が違う。そんなシベリアの奥地までカバーできるようなレーダーは日本のためには要らぬという指摘すら防衛庁内部であるんです。しかもその精度その他もまだよろしくない。性能も不明というようなことで幾つかの問題点があるわけでありますが、このレーダーそのものは従来のものに比べて極めて戦略的な性格が強いものであるというふうに一般的に言われているわけですね。水平線地平線を超えて四千キロ先まで全部カバーできる、シベリアの奥地からベトナムまで入る、硫黄島が基点になるようであります。こんなものを買うことは、導入することはかえってアジアにおける緊張を高めることになる。日本にとって有用ではない。だからこそアメリカには、アメリカの世界戦略の一翼を担ってくれるという、洋上防空なりあるいはこのOTHレーダーの導入を通して、この期待を大きく持たせたことになっているのではありませんか。その点いかがでしょうか。
  45. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) このOTHレーダーの問題を私どもが検討いたしておりますのは、我が国のシーレーン防衛の一環としての役割に着目をしているわけでございます。かねてから申し上げておりますように、我が国の安全を確保するという観点からいいますと、シーレーン防衛は極めて重要であるということで従来から防衛力整備をやっておるわけでございまして、具体的には防衛力整備の目標といたしまして周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域における海上交通の安全を確保するということを目標にしてやってきたことは累次申し上げているとおりでございます。  この考え方は、大綱以前から同じような考え方をとっておりますし、大綱でもその考え方をとっておるわけでございます。そういった海上交通の安全を確保するという仕事をやっていきます場合に、いろいろな作戦が考えられるわけでございますけれども、例えば対潜水艦作戦もあれば水上作戦もございますが、洋上の防空という問題も従来から問題としてはもちろんあったわけでございます。ただ、最近の科学技術の発達というようなことから、空からの脅威、つまり経空脅威というものの増大という現象が私どももあるというふうに認識をしてきているわけでございまして、そういう意味において洋上防空体制について従来より一層重視しなければいけないという判断をするに至ったわけでございます。したがって五九中業におきましては、そういった大綱の基本的な枠組みの中におきまして洋上防空体制をさらに一層充実いたしたい、こういう考え方をとってきているわけでございます。  したがって、その洋上防空をどういうふうにするかということを考えてみますと、まず第一には、海上交通の安全確保をしようといたします我が方の艦艇等に対する空からの攻撃に対処するわけでありますから、その母機対策をまず考えなきゃいけない。そういたしますと、できる限り遠方からその目標が発見できることが極めて重要なわけでございます。そういう意味におきまして、このOTHレーダーと申しますのは探知距離が約五百ないし千八百海里というような能力がありまして、そういった遠方におきます航空機、艦船等の目標を探知する能力があるわけでございますから、そういう早期に端緒情報を把握するということがもし可能であれば、それをもとにいたしまして迅速に対応行動がとり得る、そういう位置づけになるわけでございます。要するに専守防衛を建前としております我が国にとりまして、こういった情報能力を拡大する、ウサギの耳をより長くしていくということは極めて適切なる施策ではないか、基本的にはそういう判断をしているわけでございます。  そういう観点から現在検討を進めているわけでございまして、防衛庁の内部におきましても、そういった考え方については全く意見が一致しているわけでございまして、その中に異論があるという話は私どもは承知していない次第でございます。
  46. 矢田部理

    矢田部理君 シーレーン防衛そのものが大綱の予定していたものかどうかということで議論があるわけですね。日本の周辺海域を守るというやつを一千海里の彼方まで守る方向を明らかにし、加えてこの洋上防空ということをさらに明確にしたのが今度の意味内容だと思うんですが、これだってそんなに大がかりな洋上防空まで考えていたわけじゃない。大綱を超えるものだという指摘ももちろんあるわけでありますが、加えてこの四千キロもの彼方まで見えるようなレーダーということになりますと、もう日本防衛という枠を超えている。アメリカの世界戦略の一翼を担う、対ソ戦略に大きく組み込まれてくるという危険があり、かつその要素の方が強いと見ざるを得ないわけでありますが、日本は、日本軍事力の規模、内容については戦略的な能力を持つということまではまさか考えていないんでしょうね。その辺はいかがでしょう。
  47. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) これは政府の一貫した方針でございますが、我が国防衛力整備は我が国防衛のための必要最小限の防衛力を保有していく、整備をしていくということでございます。具体的には防衛計画の大綱に示されております防衛力の水準をできる限り早く達成したいということでございまして、五九中業におきましても大綱水準の早期達成を期するということで作業をしているところでございます。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 ところが、アメリカの国防総省は、この日米首脳協議を終わった後で、とりわけ長官などから五九中業作業状況や今のレーダーの話などを聞いたことの結果としての評価が、五九中業が達成できれば日本防衛力は戦略的な能力、戦略的な力を持つようになるであろうという評価をしているわけですね。客観的な評価、アメリカはとかく非常に厳しい見方を日本に対してしてきたわけでありますが、そのアメリカからそこまでお褒めをいただくというのは、あなた方の考えてきた、少なくとも我々に説明してきた日本防衛力をはるかに超えることに五九中業はなるのではないか。その一つのあらわれとして、まさに今のレーダーが問題に供されたのではないかというふうに見られるわけでありますけれども、いかがですか。
  49. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 今回の防衛首脳会談に おきましても、加藤防衛庁長官から、我が国憲法及び基本的な防衛政策に従って、自衛のため必要最小限度の防衛力を整備していくというのが基本的な考え方であるということを表明され、ワインバーガー国防長官もこれを十分に理解された、こういう経緯があるわけでございます。したがいまして、アメリカ政府ないしは国防総省当局がこういった基本的な考え方について誤解をしているということは全くないと私どもは考えております。  ただいま委員指摘の報道につきましては、私どもも滞米中にそういうことを聞きましたものですから、早速国防総省の方に照会してみたわけでございます。そういたしましたらば、そのときのやりとりというのは、要するに日本が地理的な位置からいって戦略的な重要性のある位置にあるというようなことはコメントしたことはあるけれども、しかしながら日本防衛力整備はあくまでも日本の自主的な判断によって進められていくものであるということを強調した経緯があるということを言っていたわけでございますので、私どもといたしましては、アメリカ側に私ども防衛政策についての誤解があるとは全く考えていない次第でございます。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 私もいろいろ調べてみたんですが、単に日本の位置が地理的に戦略的位置にあるということを言ったというふうには到底とれない内容ですね。シーレーン防衛そのものがもともと周辺海域だったのがだんだん伸びてきて、しかもシーレーンも線だったのが幅になり面になって、言うなれば制海権を握るというような議論にまで内容的には発展していく。そして今度は洋上防空で制海権だけではなくて制空権も日本の責任で分担していく。そしてウサギの耳で言えば物すごく長い耳を持つ。ここまでくれば、なるほどアメリカが言うように、単に必要最小限度の兵力、小規模限定戦争に耐え得る能力を持つんだというような議論からははるかに超えたものになって、戦略的な役割、アメリカの対ソ戦略を分担し得る能力、こういうふうに規定もしているわけですね。そういうところにもう客観的にはきちゃっている。少なくとも我々はもちろん前々から指摘をしてきた、アメリカもそう思っている。だから今度は長官の説明をうんうんとうなずいただけで、向こうは特別な注文をつけなかったとかということで説明をされているようでありますが、アメリカの期待どおり、あるいはそれを超える努力日本防衛当局はやってきた。自主的にとか日本防衛のためにとかと言いつつ拡大してきた。  これについて長官、アメリカとの関係でシビリアンコントロール云々なんという議論があるようでありますが、あなたがハト派ならば、進めるんじゃなくて抑制的な方向で問題を考えていくべきじゃないかというふうにも思うのでありますが、長官としてこの戦略的能力論、アメリカがそう評価していることについてどう考えますか。
  51. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 戦略という定義はいろいろあろうと思いますが、先生今おっしゃるような意味での戦略的な能力を私たちの自衛隊の装備がそれを持っているとは思いません。また五九中業でそういうものを私たちが装備するような基本的な発想はございません。また私は、我が国は専守防衛に徹する国ですから、いわゆるいろんな正面装備においてはかなり専守防衛の極めて厳格な原則に従って装備をいたしているという自信がございます。  一方、私たちは、そういう性格の防衛力整備だからこそ情報の収集は常にしっかりとしておかなければいけない。その情報の収集という面につきましては私たちは大いに力を注ぐべきであろうと思います。それはかつて歴代の防衛庁長官、特に坂田防衛庁長官などが、専守防衛の国においてはちょうど余り強大な攻撃的な能力を持たないウサギが大きな耳で情報収集しようとする努力をするのと同じように、私たちの国はその収集機能を重視すべきであるという点は私たちも全く同感でございます。そういう意味で我が国のシーレーン防衛、防空の観点から情報収集機能としてOTHレーダーが有効であろうかもしれない、そこでデータの要求をしたというだけでございます。  全般的に先ほどの米国防総省筋の発言があったということを私も聞き、すぐ調べさせもいたしましたけれども、戦略的な地位にある、地理的な位置としてそういう点があるという認識を述べたものにすぎないというふうに私も確信いたしております。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 ウサギの耳は長けりゃ長いほどいい、大は小を兼ねるという議論じゃないんですね。そのことも含めて、例えば空中給油機を導入して飛行機の足を長くするということや幾つかの洋上防空をめぐっては議論をし、そういうニュアンスを示したことを含めて戦略的能力論を言っているのでありまして、そこは地理的な問題ということですりかえをしてもらっては困るし、特にレーダーなどについては、軍事専門家筋から見ても、沿海州北部のソ連の空軍基地とかサハリンの基地を正確につかむことの方がより大事なんであって、シベリアの奥地からベトナムまでをフォローするような大レーダーを備えつける必要はない。戦略兵器だという規定がもともとあるわけでありますから、そういう点で長官のすりかえは許しがたい、問題の弁解にすぎないというふうに思うわけでありまして、この点は私は厳しく警告をしておきたいと思うのです。  それから次の質問に入りますが、日米共同訓練等についてはどんな言及をされたんでしょうか。
  53. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 特にワインバーガー長官との首脳会談では日米共同訓練について具体的な言及はいたしませんでした。ただ、日米防衛首脳会談というものが十年になりました、そしてこの間日米の間では防衛協力のあり方につきましてはいろんな模索をしてまいりました、そういう中で共同研究もありますし、共同訓練もございました、そしてそれがすべてガイドラインに従って、我が国の基本的な防衛政策に従ってやるやり方につきまして、いろいろそのあり方についてもだんだん固まってき、私たちも自信を持ち始めてきました、そういう意味でガイドラインに従ってやるということがいいことだという自信を持ってそういう定着の時代になってきたのではないかという脈絡の中で、過去共同訓練、共同研究などでいろいろ模索もありましたがという表現で一言触れましたけれども、それ以外はワインバーガーさんとの会談では言及いたしておりません。先方からもございません。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 帰りがけにハワイで太平洋軍司令官などに会った際、共同訓練の問題には触れておるんじゃないでしょうか。
  55. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) クラウ太平洋軍司令官とは、この共同訓練の問題についてもちろん話し合いました。現在やっております共同訓練がそれぞれ順調にうまく機能しております、そしてことしの何月にはこういう訓練がありますねというお互いに周知の事実、既に決定した政策でございますが、それにつきましてお互いに話し合ったわけであります。そしてその際、私の方から申し上げたのは、今後とも共同訓練は行うけれども、それは我が国防衛政策の原則、個別的自衛権の原則が許す範囲内において行うものでありますという確認を私の方から特にやっておきました。
  56. 矢田部理

    矢田部理君 共同訓練というのも、単にトレーニングをするというだけでなくて、それ自体が非常に軍事的な意味を持ってきているのが最近の状況ですね。とりわけ共同訓練の名目のもとにソビエトを仮想敵国視し、かつ集団的自衛権にも大きくのめり込むような実態を持ち、極東アジアの緊張を高めるような問題点を持つ訓練がずっとふえてきているわけですね。    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕先般の予算委員会で私が提起したフリーテックスなどもそうであります。そういう流れの中で共同訓練の意味内容をとらえる、日米間で話し合ったということになりますと、これは単純にこれからも一生懸命共同訓練をやりましょうということでは済まされない、いろんな軍事的意味合いを深めてくる、持ってくると言わざるを得ないわけであ ります。  特に日本の場合にはフリーテックスについて幾つかの問題点を指摘しましたからここでは繰り返しません。いよいよこの秋口には日米で三軍の共同訓練、指揮所演習といいましょうか、が行われる予定が組まれ、いずれ実動演習に発展し、さらにはフリーテックスにも本格的に参加する、加えて全体の性格は仮想敵を明確にしたチームスピリット型の演習に入っていくのではないかというような危惧、危険すら指摘されておるわけでありますが、この辺の関係はどういうふうに考えておられますか。
  57. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 先ほど申しましたように、私たちが共同訓練をする際に常に心に置いておかなければならないのは、それが私たちの業務遂行のために必要な訓練であるのかどうか、それから一番重要なことでございますけれども、集団的自衛権の範囲に踏み込むことにはならないであろうか、そしてまた訓練すること自体がその時点におきまして政策的に有効であろうか、適切であろうかということを常に考えながらやってまいる次第でございます。  特にこの面につきましては、今国会で衆参合わせて矢田部議員からの御指摘が一番多かったように思います。したがいまして、私たちがわざわざクラウ司令官との会談で、私の方から集団的自衛権に踏み込むことのないような範囲で私たちはやっていきますと申し上げたわけですけれども、そのとき正直に申しますと、先生と私のやりとりなんかを頭に浮かべながら申したということを申し上げておきたいと思います。
  58. 矢田部理

    矢田部理君 頭に浮かべるだけじゃなくて、うんと強く印象づけておいてもらわないと困るわけであります。  そこで日米三軍の指揮所演習、これはどんな計画、予定になっていますか。
  59. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ちょっと担当局長が今ここにおりませんので、私から承知している限りでお答え申し上げますが、統幕レベルでのいわゆる指揮所演習、これが本年秋に行われるという予定でございます。
  60. 矢田部理

    矢田部理君 その程度の話は既に明らかにされているわけでありますが、どんな内容でどんなシナリオでやろうとしておるのか。それからもう一つは指揮所演習の次に来るものは実動演習だというふうに言われているわけですが、そういう計画も既にできつつあるのかどうか、その点はいかがですか。
  61. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 指揮所演習の内容等につきましては、ちょっと私も詳しく承知しておりませんが、その後の計画がどうなっているかという点につきましては、まだ具体的に委員指摘のような計画があるとは聞いておりません。
  62. 矢田部理

    矢田部理君 指揮所だけの演習ではなしに、次の発展はどうしたって実動演習になっていく。日米三軍が統合してやるということになれば、ガイドラインに基づいて行われるわけでありますから、シナリオは我々の前には明らかにされませんが、想定されるシナリオというか、我々が考えることからすれば、それは極東における緊張、対ソ関係を緊張に導く危険性が極めて高い。単なる練度の向上とかなんとかというレベルを超えるものになってくる。その客観的な意味とか役割を十分に考えませんと、日本の行き方にとって決していい方向に行かない。防衛庁長官もハト派の長官ということでその任務を全うするとするなら、軍事力の増強とか、アメリカの世界戦略の一端を担うとか、アメリカによく思われるとかということではなしに、もうちょっと日本軍事問題についてハト派らしい態度をとったらどうかと思うんです。どうもあなたの態度を見ていると、そういう側面がほとんど見えないんですね。何となく制服組に押される、アメリカと連動する、そして軍拡の旗振り役を担う。これではあなたがなった意味がなくなってしまうのではないか。期待もしているんですが、いかがですか。
  63. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちは防衛論争のときに、ハト派、タカ派とのレッテルというものはなかなか定義の難しいことでございますのであえてその問題には触れませんけれども、私たちは我が国の基本防衛政策にのっとって、そしてまた日米安全保障条約に基づく抑止力というものが我が国防衛にとりまして非常に有効である、その二つの観点から政策を論議してまいりたいと思っております。  現在のところ、私たちは、国民の皆さんは私たちが憲法に従い、そしてシビリアンコントロールを全うしながら専守防衛に徹し、着実にやってきた防衛政策につき、ますます理解を深めていただいておると思いますし、そしてそれに基づいて戦後四十年、私たちは平和を全うしてきたことによって国民理解はますます深まっておると思います。その信頼を裏切らないような政策推進を日米防衛協力の面でも行ってまいりたいと思っております。
  64. 矢田部理

    矢田部理君 ところで長官は、訪米した際にワインバーガー・長官に対して、米国がこの数年、対日強硬発言をせずに日本努力を静かに見つめる方針をとり続けてくれたことは極めて建設的であり、今後ともその方向が望ましいという発言をされたんでしょうか。
  65. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) そのとおりであります。
  66. 矢田部理

    矢田部理君 そういう発言をされた矢先といいますか、お返しといいましょうか、アメリカ上院の本会議では対日防衛要求に対して極めて厳しい決議が可決された。これをどんなふうに受けとめておりますか。
  67. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) アメリカ議会の中のそういう一般的な空気を反映した決議であったと思います。  付言いたしますならば、私たちはワインバーガーさんに一番最初、第一日目の冒頭にこう申しました。現在の日米防衛関係は非常に良好であります、貿易面ではかなりの摩擦があります、そしてともすれば貿易面の摩擦が良好な防衛面に波及するおそれがあるわけですけれども、特に議会との関係で私たちには見えないほどの多くの努力を重ねられながらワインバーガーさんたちが防衛面の話と貿易面の話を結びつけないようにしてくださっていることを評価します、それには本当に私たちが知り得る以上の御苦労があると思いますけれども努力に感謝申し上げますと、こう申しました。そして二番目に、私たちは自主的な防衛努力をしてまいる、そしてそれは日本のためにやるのであります、そして、かつてのような圧力をかけるというやり方はいいと思わないし、そうでない話し合いに基づき私たちの努力をじっと見ているというやり方をここ四、五年とってもらっていることは非常に建設的であり、今後もそうあってほしいと思いますということを申しました。  なぜ申したかというと、そうでない動きというものが十分予想されたからそのようにやってほしいと申したのであります。案の定、議会の中ではそれから一日半後にそういう決議がありましたけれども、やはり私たちが冒頭に政府の方にそのようにお願いしておいたことがよかったな、判断は正しかったなと自負いたしております。
  68. 矢田部理

    矢田部理君 あなたがそういう認識なり発言をされたにもかかわらず、それは強烈なアメリカのお返しだと思うんですね。単にお返しであるというだけでなしに、率直に言って私は内政干渉だと思うんですよ。この決議の内容、従来も幾つか防衛問題に対する決議的なものはアメリカで取りざたされてきましたけれども、少しく一般的な内容になっておったわけですが、公然と大綱を見直しなさい、防衛計画の大綱を正式に再検討せよ、日本軍事費は同盟国の責務に見合う十分な資金、資源を提供してない、さらにはシーレーン防衛を五九中業で達成すべしというような意味内容にもとれるんですね。日本の内政そのもの、あなたは自主的にとかみずからの判断でとか言っておりますが、そういう問題に直接かかわる内容を持った決議を突きつける。これはどう思いますか。議会人の一人としてあなたはどう考えますか。日本防衛政策の責任ある担当者としてどう受けとめま すか。
  69. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) アメリカはバンデンバーグ決議がある中で、有事の際に私たちの国の防衛のために共同対処してくれることを公約している国でございます。そこの国の議会が私たちの防衛政策及び防衛力整備方針につきまして多大な関心を持つことは私は自然の成り行きだろうと思っております。しかし、私たちはそれは念頭には置きますけれども、私たちの防衛政策は私たちが自主的に決めるべきものであろうと思っております。  したがいまして、その際にアメリカ側が私たちの方にどういう態度をとるかというのは、アメリカ政府部内でもまたアメリカ議会内部においても過去十年、二十年多くの論争があった分野だろうと思います。私たちは、そのアメリカの中にある二つのアプローチについての議論の中で、現政権、特にワインバーガー長官以下が、圧力とか要求するというやり方ではなくて、お互いに話し合いをし、そしてその相手側の自主的な努力を見守るというやり方の方が建設的であると申し上げてきたわけでありますけれども、その気持ちは今も変わっておりません。したがって、私たちは、アメリカ側が議会も含めてそういった態度をとってくださる方がより建設的であろうと思っております。
  70. 矢田部理

    矢田部理君 どちらがより建設的かの議論ではなくて、日本防衛政策の大綱、あなた方がとっているその基本を公然と再検討せいと幾ら言われても、私たちはそれに影響されずに自主的にやるんですから大丈夫ですと、こう言っている説明では済まないんじゃありませんか。そんな言い方そのものが日本に対する極めて立ち入った内政干渉。アメリカの不届きな態度と言っていいんじゃありませんか。どちらが建設的かという比較の問題じゃないでしょう、ここまで言われると。そのことを長官として厳しくきつく言う必要がある、言うべきだ。議会もまたそういう対応はきちんとしなきゃならぬと私は思っているんであります。
  71. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私は、アメリカのその決議があった後、ニューヨークのジャパンソサエティーというところで講演を頼まれまして、この決議についてどう思うかという米側出席者の質問もございました。それに対して、そういうやり方は日米防衛関係を今後進めていく意味合いで建設的なやり方であるとは思わないということを申し上げてまいりました。現在もそう思っております。  米側が私たちの防衛政策にどのような意見を持っても、これは当然自然の成り行きであろうと思っておりますけれども、私たちは私たちの行政府部内で、そしてまた私たちが考えております政策をこの立法府、この議会の中で申し述べ、そういう議論を通じて日本国内で自主的に決定していくべきものだと思っております。
  72. 矢田部理

    矢田部理君 アメリカの言うことだから何を言われてもしようがないんだと。ただ言われても自主的にやるだけなんだということでは済まされない重大な問題を含んでいると私は思いますので、今の長官の答弁には納得いたしかねますが、次の問題に入ります。  五九中業の策定状況はどうなっていますか。
  73. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 五九中業の策定状況でございますが、現在防衛庁内部におきまして各幕と内局との詰めを大体終わりまして、今、政府部内でのいろいろな調整作業に着手いたしている段階でございます。夏までにはこの作業を完了いたしていきたいと、こう考えております。
  74. 矢田部理

    矢田部理君 七月ごろには作業を終えて国防会議報告するというような話も以前には伝わっておったんですが、いかがでしょうか。
  75. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 仕事の流れ自体にもよるわけでございますが、前回の五六中業の例で申しますと、七月の下旬に国防会議に御報告申し上げて御了承を得たという経緯がございますので、私どもはそういった前例を参考にしながら作業を進めたいというふうに考えてはおります。  ただ、具体的に日程が明確に固まっているわけではございませんので、ともかく夏には何とかそういうことにまで持っていきたい、国防会議に御報告をし、御了承を得られるようにいたしたいというふうに申し上げている次第でございます。
  76. 矢田部理

    矢田部理君 そのただ七月末というよりも夏ということで、八月も含めて考えておられる、こういうことですか。
  77. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私どもの希望から申しますれば、できる限りは前回の例というものを参考にした進め方ができれば望ましいのではないかなというふうには思っておりますが、ただ、これは作業の進行状況いかんにもよることでございますから、今明確に七月というふうに確定的に申し上げることのできる状況でもございませんので、夏ごろまでということを全体としての目標として申し上げている次第でございます。
  78. 矢田部理

    矢田部理君 内容としては、洋上防空あるいは海空重視というふうな議論がずっとあるわけでありますが、先ほど議論をしてきましたOTHレーダーの導入などは、この中に状況によっては盛り込むという考えでしょうか。さらには空中給油機の導入などにも踏み切るという中身になってきつつあるのでしょうか。
  79. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 第一点のOTHレーダーの問題につきましては、先ほどるると申し上げましたような状況でございます。私どもが現在五九中業の中におきまして、シーレーン防衛のための洋上防空体制をいかにあるべきかということを検討していることは事実でございまして、その一環としてOTHレーダーというものが情報の早期探知という意味で有効ではないかなという観点から検討対象になっておるわけでございます。  ただ、これは技術面での検討もさらに加えませんと最終的な結論を得ることができませんので、今ここで明確に右左を申し上げる状況ではございません。ただ、検討の進み方次第によっては五九中業の中で取り上げられる可能性もないわけではないというふうに考えております。  それから第二点の空中給油機の問題でございますが、これはかねてから申し上げておりますように、近時の航空技術の発達ということから考えますと、超低空侵入でありますとか高高度の高速侵入といったような航空機の能力の向上という状況が出てきております。したがいまして、それに対抗するために空中警戒待機をするということが本土防空のために非常に有効であるという状況が出てきつつあることは事実でございます。  それからまた、同時に先ほど申し上げました洋上防空体制を考える場合でも、早期探知をOTHレーダーで仮にすることが可能になると、それに引き続いて近距離のところを早期警戒機を利用してさらに精密なる状況の把握をすることも可能ではないか、それに対応して要撃戦闘機によって早期に迎撃をする態勢をとることも可能かもしれない、その場合に空中給油の機能を活用すればその要撃活動がより効果的にできる面もあるのではないかというような関連から申しまして、空中給油機の活用ということが洋上防空体制の一環として有効な面もあるように思っておるわけでございます。  そういった両面から空中給油機能というものを私どもは検討課題として検討していることは事実でございます。ただ、他方、その空中給油機の問題につきましては、従来ほとんど技術的な資料等の蓄積がございませんので、そういった現状から申しますと、今後検討すべき課題がいろいろございまして、運用の構想でありますとか、そのバックアップ態勢のあり方とかいうようなことで種々問題がございます。そういうことでございまして、現在のところこの空中給油機について具体的に五九中業の中で飛行機そのものを採用することができるというふうな見通しまではまだ得るには至っていないというのが現状でございます。ただし、検討の課題としては、これは我々は考えていかざるを得ない、こう考えているところでございます。
  80. 矢田部理

    矢田部理君 それらの評価、盛り込み方や内容についてはもう既に議論しておりますから言いませんけれども、専ら予算上の問題ですか。それとも今言われたように運用構想とか幾つかの議論でクリアしなきゃならぬ問題があるということが焦 点でしょうか。
  81. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 空中給油機の問題につきましては、ただいま申し上げましたような実体そのものについての検討が非常に難しい問題がいろいろ含まれておるということが今言ったまだ見通しを得るに至っていないと申し上げた理由でございます。
  82. 矢田部理

    矢田部理君 いずれにしても、空中給油機そのものも日本の戦闘機の足を飛躍的に伸ばすということで、防衛というよりも攻撃的な性格が一層強まるという危険などはかねてから指摘しておって、私どもはそのいずれにも反対でありますが、もう一つ、五九中業で財政試算はどういうふうになってきているでしょうか。
  83. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 五九中業の所要経費の問題でございますか。
  84. 矢田部理

    矢田部理君 はい。
  85. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 五九中業の経費、いわゆる期間中の経費、六十一年度から六十五年度までの五年間を対象にしておりますが、この経費の見積もりがどうなるかというお尋ねかと思います。この点につきましては現在作業中でございまして、したがって具体的な数字でもって現時点でお答え申し上げられる状況ではございません。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕  ただ、考え方として申し上げますと、中業の性格から申し上げまして、まず正面の経費については具体的に積み上げ作業を行います。そういう意味でかなり詳細なというか、かなり精密な積み上げを行うという性格の分野であろうと思います。それに比べますと、後方の場合は若干違う面があろうかと思います。五六中業の場合で申し上げますと、後方なり人件・糧食費については明細な積み上げはしておりませんで、全体としての大まかな推計をした、こういう経緯がございます。  ただ、私ども現在、五九中業で考えておりますのは、五九中業の作成に当たっての長官指示におきましても、正面と後方のバランスということを特に強調して作業をスタートした経緯がございます。そういう意味におきまして、後方の事業につきましてもある程度主要なものについては詰めてみたいというふうに思っておりますので、五六中業の場合に比べますと、ある部分については個別の見通しというものをつけてみたいというふうなことは考えておりますけれども、しかしながら後方経費と申しますと、かなり細かいものが多いわけでございますから、全部について詰めるというわけにはいきませんので、全体として見ればその積み上げ方にはおのずから限界があるということは事実でございます。しかしながら、五六中業に比べてみればある程度のそういった個別の見通しを一部込めて後方の詰めも行いながらやってみたいというふうには思っております。しかしながら、現在の時点では全体として経費がどのくらいになるかということはまだ明確に申し上げられる状況ではございません。
  86. 矢田部理

    矢田部理君 五九中業期間中のGNP一%というのは、いろいろな計算の仕方がありますが、経企庁の「展望と指針」で見れば十八兆か十九兆強、それから大蔵省が出しておる財政試算の基礎数値は六・五%成長で十九兆円だということになっているわけですね。政府筋のデータの基礎はこの辺になるだろうと思うんですが、こういうことは一%論との関係で念頭に置いて五九中業を詰めているんでしょうか。長官いかがですか。
  87. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちは五九中業を策定する際の長官指示として防衛計画の大綱の水準を達成することをめどとしてやっております。達成を期するという観点から作業するようにという前長官の指示がございますし、それが現在も生きておりますし、私もその方針で作業をいたしております。したがいまして、その観点から作業をいたしておりますので、GNP一%との関係は累次御質問いただいておりますけれども、まだその関係がどうなるか明確なめどが立っているわけてはございません。全体の集計をいたしているわけでもございませんので明確なことは申し上げられませんけれども、かつてこの委員会及び他の委員会でも申しましたように、個々の作業の詰めを個別に報告を聞いた私の直感的な気持ちでは、一%以内でそれをなし遂げるのは、今後のGNP見通しによりますけれども、容易なことではないなという感じがいたしております。
  88. 矢田部理

    矢田部理君 そこが問題なんですよね。その大綱と一%の問題はもう随分いろんな議論がありますからここで詳しくはやりませんが、長官が外に行ってシビリアンコントロールだとかという話をするとするなら、みずからシビリアンの代表として、とりわけ中曽根総理も一%は守りたいと言っているわけですから、その願望なり中曽根総理の公約を諸政策で生かしていくというのが防衛庁長官の役割、立場なんです。大綱の方が大事だから超えるかもしらぬ、感触は超える方にあるというような言い方では防衛庁長官の役割は務まらないんじゃありませんか。ハト派、タカ派の議論をさっきはしましたが、そのぐらいは抑えてしかるべきじゃありませんか。少なくとも五九中業とこの期間中における軍事費の総額、それから予算とは別だとかなんとかいろんな理屈を言っている向きもありますが、せめてそのぐらいは出すということが防衛庁長官のシビリアンとしての役割、そう思いませんか。
  89. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) この問題は、また繰り返しになるかと思いますけれども中業は我が防衛庁内部の大蔵省に対する概算要求の基礎にする資料という性格のものでございまして、単年度ではございません、五年間の期間を切ったものでございます。そしてまた五十一年におきます三木内閣の閣議決定は、決定された単年度の予算そのものについての際の基準であろう、こう考えております。したがって、この問題は現在直に関係するものではないのではないだろうかな、こう考えております。
  90. 矢田部理

    矢田部理君 そういう弁解なり説明はもう承知の上で聞いているわけですかね。ここまでくれば、何らかの形で防衛費の拡大を抑えていく、軍事力をコントロールしていく役割が防衛庁長官にあるわけです。それは認識されているんでしょうね。
  91. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちは防衛力整備に要する費用の分も当然のことながら現在の厳しい財政事情の中で考えなければなりませんし、国の他の諸施策との総合的なバランスの中で論じられなければならない、こう思っております。しかし一方、私たちは、防衛計画の大綱というものは国民の間に多くあります防衛についての各種の議論、現在の防衛力が多過ぎるという立場の御議論もございますし、全く足りなくてこれで大丈夫かという御議論がありますが、そういった各種の議論の意見を集約するための一つのコンセンサスづくりの中核として果たしてきている機能は私は重大だと思います。そのためにも私は平時からこういった程度の規模の防衛力を持つことを歴代の防衛庁長官ないし総理大臣がこの議会で公約したものである限り、私はこの達成を早く目指すことも一つの大きな要請であろうと考えております。
  92. 矢田部理

    矢田部理君 論議を重ねることを避けたいと思いますが、あなたは大綱が国のコンセンサスだと言うが、一%論がもっと国民のコンセンサスとしては比重が大きい、世論調査を見たってそうなっています。一%ならいいなどという立場を私はとりませんけれども、そうして三原長官だってかつて、一%でずっとやれるんだ、やるんだというような発言をしていたが、ところが、あなたになったらずるずる後退している。これが私は許せない。むしろ財政面からのコントロールをしていく、とりわけ大綱については、あれは期限の定めない防衛計画なんでありまして、そこが四次防までと違ってきている、そんな点も踏まえて対処されるよう強く要望しておきたいと思います。  次の質問、三沢の核について伺います。外務省。  アメリカの軍事問題の専門家のアーキンとフィールドハウス両氏の著書で、三沢に米核戦略の支援施設がある、日本にも三沢だけではなくて相当箇所ある、特に三沢には高度水中兵器の施設が存在している、これは対潜水艦用の核魚雷を貯蔵したり取りつける準備をしたものである、今は核弾頭 が持ち込まれているわけではないが、有事には直ちに核兵器を持ち込める手はずが整っているという指摘があるようでありますが、この辺について事実関係をどんなふうに受けとめているんでしょうか。
  93. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。  私どもといたしましても、先生ただいま御指摘になりましたアメリカ人の著書がございますことは承知いたしております。その中で新聞報道にも出ております高度水中兵器施設という記述がございますが、これにつきましては従来からも国会でも御議論がございまして、私どもから御答弁申し上げているところでございますけれども、私ども調査いたしましたところでは、これは特に核兵器を意味するものではございませんで、例えば磁気機雷とかそれから音響機雷とかいうもの、さらには通常弾頭を搭載しておりますMK46モード5魚雷等も含まれるものというふうに理解をいたしております。そのようなものとしての高度水中兵器を整備いたします場所が三沢にもございますけれども、これは通常海外も含めまして対潜部隊の存在するところにはある施設というふうに承知をいたしております。  したがいまして、核の問題につきましては、もちろん申すまでもなく安保条約上の事前協議に従って対処するわけでございますけれども、この高度水中兵器施設の問題につきまして、私どもといたしましては、日米安保体制に基づく抑止力を万全なものとするという観点からいたしまして特に問題はないものというふうに理解をいたしております。
  94. 矢田部理

    矢田部理君 これは核魚雷等の貯蔵は可能な施設になっているという受けとめ方ですか。
  95. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私ども理解をいたしておりますところでは、先ほど申し上げましたような非常に広い範囲の水中兵器の進んだものを指して高度水中兵器と言っているということでございまして、特に核兵器を意味するというものではないという理解でございます。
  96. 矢田部理

    矢田部理君 質問を端的にしているんだから端的に答えてください。いろいろな水中兵器を貯蔵できるが核魚雷の貯蔵も可能だということになっているか、イエスかノーかで答えてください。
  97. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) その辺につきましては、繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げたようなことでございます。  核兵器につきましては、いずれにいたしましても、私どもとしては、持ち込みは事前協議の対象でございますし、その事前協議がございました場合にはこれを断るかということでございます。
  98. 矢田部理

    矢田部理君 まじめに答えなさいよ。  核魚雷を貯蔵可能な施設になっているか、イエスかノーかで答えてください。
  99. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私どもが、昨年国会で御質問がございまして、その高度水中兵器について米国に照会いたし調査をいたしました結果、先ほど来御答弁申し上げておりますように、これは特に核兵器を意味するというものではなく、進んだ水中兵器全般を指すものというふうな結果を得ております。それ以上のことはちょっと承知いたしておりません。
  100. 矢田部理

    矢田部理君 特に核兵器、核魚雷を貯蔵するためにつくったものではないということはわかりました。何回も言っているんだ。しかし特にではなくて一般的に核魚雷も収容できる施設になっているかと聞いております。わからないならわからない、イエスならイエス、ノーならノーと答えてください。三通りしかない。
  101. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 先ほどの三沢の高度水中兵器の施設につきましては、ただいま先生に御答弁申し上げましたようなものとしての進んだ水中兵器を設置する場所であるという以上のことは承知いたしておりません。
  102. 矢田部理

    矢田部理君 核魚雷を貯蔵できるものであるかどうかは承知していないと、こういうことですか。
  103. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) そういうことでございます。
  104. 矢田部理

    矢田部理君 じゃ、ないということじゃなくて、わからないということですな。  それからF16の配備が始まっておりますが、これはもちろん核搭載能力がありますね。
  105. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) F16自身は核搭載能力があるというふうに承知しております。
  106. 矢田部理

    矢田部理君 その核搭載のための機器や核爆弾を落とすための装置がF16についたまま来ているということは御承知でしょうか。
  107. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私、申しわけございませんが、その辺の詳細は承知いたしておりません。
  108. 矢田部理

    矢田部理君 あなた個人が知らないということですか、それとも外務省としても知らぬということですか。
  109. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私ども外務省といたしましてF16の装備の詳細等については承知いたしておりませんけれども、ただ、繰り返しになりますが、核兵器の問題については、先ほど来お答え申し上げておるとおりでございますので、その辺御理解を……。
  110. 矢田部理

    矢田部理君 ちょっとはっきりしないな。
  111. 大島友治

    委員長大島友治君) もう一回。
  112. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私どもといたしましては、繰り返しになりますけれども、核兵器そのものの問題につきましては、当然事前協議で対処するという立場で一貫しておりますが、そのF16の装備そのものの詳細につきましては私どもとして今のところ承知いたしておりません。
  113. 矢田部理

    矢田部理君 それは困るんですよね。一般的に核搭載能力があるということと、それから核搭載のための機器や核爆弾を落とすための装置をつけて日本に来ているかどうかというもう一つ突っ込んだ質問に対しては、わからないということですか。
  114. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 今の問題は、最初に申し上げましたように、F16そのものといたしましては核搭載能力があるというふうに理解をいたしております。  ただ、申すまでもございませんけれども、そのことと核兵器を実際に搭載しているかどうかというのは別のことであろうと思いますし、それ以上の詳細については私どもは今のところ承知いたしておりません。
  115. 矢田部理

    矢田部理君 私は中間的な質問をしているんですよ。核搭載能力がある、核を搭載している、二通りありますね。前者は認められた、後者は否定された、搭載能力があるだけではなくて、搭載できる装置その他をつけて日本に既に来ている、そのことを認められますかと、こう聞いている。
  116. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私どもはそこは実は承知しておらないところでございます。
  117. 矢田部理

    矢田部理君 これは時間がないからあれですが、先般私は三沢の基地の調査に行ってきた。F16がまだ練習のためだということで二機でしたか、三機既に配備されておる。事実F16の中もずっと見てきたわけでありますが、核搭載の設備が全部ついているんです。赤い印がついて、色で、核発射ボタンまできちっとついたまま三沢に来ているんですね。だから、有事のときかまさかのときに核弾頭さえ運んでくればいつでも核戦争が可能だ、こういう状態になっているんですね。先ほどの核魚雷の貯蔵の問題もそうですがね。  そこで、核問題というのを今日的に考えるならば、核弾頭は現実に日本に持ち込まれているかどうかも非常に重要なポイントでありますが、通信施設等も含めて核関連施設が日本でもう既にできているかどうか、核兵器システムがどの程度まで日本に入り込んできているかということも核問題として十分にとらえていかなければならぬという時期に来ているんじゃないでしょうか。その点外務省は、そういう装備をつけたまま日本に来ておる、核発射ボタンまで我々に示しているわけですから、そこを知らぬということでは無責任過ぎやしませんか。いかがですか。
  118. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、ちょっと繰り返しになりますけれども、核搭載能力のあるなしの問題と、核兵器が実際に積まれているかどうかということは別のことであろうと考えておりますし、核兵器そのものにつきましては、当然のこ とながら安保体制のもとでの事前協議制度に従って従来どおり厳密に対処するという立場をとっております。
  119. 矢田部理

    矢田部理君 核問題はあなたとやり合っても、もう少し外務大臣とかしかるべき責任者とやらなければならぬと思うんでありますが、かつて沖縄国会のときです、佐藤総理の答弁で何回か確認をされているわけでありますが、沖縄が核抜き本土並み返還ということになっている。核抜きということの意味内容は、核弾頭だけを抜けばいいということではない。運搬手段、貯蔵庫その他トータルとしての核システムそのものを除去するということが沖縄の核抜き本土並みの意味内容なんだと、こういうふうに答弁をしているわけですね。その立場から問題を見るならば、核関連施設が日本にどんどんつくられている、核搭載可能の装置をした飛行機が日本に飛来している、これ自身が厳しく問題に供されなければならぬはずなんです。特にC3Iなんという議論が今盛んに行われている時勢でありますから、トータルとしての核システムを拒否するということでなければ、非核三原則の貫徹、柱は立たないというふうに私は思うんです。その点で外務省の態度は極めてあいまいである。核弾頭の持ち込みそのものについても寄港とか通過をめぐっていろんな議論がありますし、外務省の態度は不鮮明であります。さらに次の問題でも極めてあいまい、逃げまくっていると言わざるを得ないのでありますので、その点はきょうのところは質問を留保しておきたいと思います。今の答弁は全くだめです。  最後になりますが、防衛庁に伺っておきます。対米武器技術供与できのうも議論になったようでありますが、防衛庁の技研ですかで開発をしたとされる画像識別によるミサイル誘導装置、これを技術供与として求められているということがきのうの質疑で明らかになりました。それはそれとして、次の問題は、SDIとの関係が論議をされているんですね。このSDIに対する態度としてまだ日本は正式な態度決定をしていない。にもかかわらず、この防衛庁提供の技術がSDIの技術の一部に応用される可能性を持っているというような指摘があるわけでありますが、これはちょっとまずいんじゃありませんか。長官もアメリカに行ってSDIの話をしてきたようでありますし、基本的な態度が決まらないのに、またこんなことに協力すべきでないと私は思っているわけですが、あなた方が提供する技術がそこに使われる可能性を持っている、これは断ってしかるべきじゃありませんか。もともとSDIの研究に対する協力要請というのは、全面的参加だけを求めているんじゃなくて、個別的な技術の提供、民間のものもそうでありますが、をアメリカは求めているのであって、そこであなた方は厳しく線を引かなければならぬ。基本的な態度を決めないままずるずると引きずられていくならば、結果としてSDIの開発なり研究協力したことになってしまう。その点も防衛庁長官、少しきちっと線を引いてほしい。そこは考えなきゃならぬ対応じゃありませんか。特に防衛庁が開発した技術だということになればなおさらであります。その点、長官の見解を伺って私の質問を終わります。
  120. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) SDIにつきましては、我が国政府立場はその研究理解するという立場でございます。そして、この問題は外務大臣が所管されておりますので、私が今回アメリカに行った場合も先方の若干のブリーフィングがありましたけれども、私たちの立場を特に申し述べることはなく、そのブリーフィングの内容はまた外務大臣の方にお伝えするということを言ってまいりました。そして、その点は特に目新しいものはない説明でございましたけれども、外務大臣にも先刻その旨の報告をいたしたところでございます。それ以外に、最近の我が方の技研の技術等に関します問題は、SDIの問題とは別個のこととして装備局長より御答弁させていただきます。
  121. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) SDI研究につきましては、ただいま防衛庁長官からお答えのとおりでございます。また今回米国が武器技術供与という枠内におきまして要請があったという点につきましては、昨日北米局長より外務委員会においてお答えしたところでございます。相手方があることでございますから、その具体的内容につきまして現在のところ詳細明らかにすることはできませんけれども、報道されておりますような防衛庁の技術研究本部が研究をいたしておりましたイメージホーミング方式による携行SAM関連技術というものにつきましては、米側がいろいろ関心を示してきたものでございます。しかし、今回米側から技術供与要請というものがございます枠内では、このSDI研究との関連につきましての要請ではございません。また、私どもSDIというものに関する内容等については、現在あるいは今後においていろいろアメリカ側からの情報提供というものはあると思います。またあらゆる科学技術、いろんな科学技術が直接、間接使われるものだろうと推測はされますけれども、今回いろいろアメリカ側が関心を持っているこの武器技術供与関係のいろんな技術というもの、そして現在特に関心を示しているものに関しましてSDIと直接関係があるものではないだろうと今思っておる次第でございます。
  122. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点だけ。  どうもちょっと最後の方がもやっとしていますね。現在、SDI関係ではないであろうと思っていると、こう言ったんですか。逆な言い方をすれば、SDIに関連しているとか応用される可能性が高いとかという場合には、協力についてはお断りするというふうに聞いてよろしいんですか。
  123. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) ただいま私が関係ないと断定しないで、若干ないだろうということを申し上げたのは、アメリカ側からまだ本件につきましていろいろ詳細にこういう点が欲しい、あるいはこういうものということにつきましては、武器技術、いわゆるJMTCという共同委員会におきましての開催がまだ要請されておりません。また、そういう武器技術関係の共同委員会、JMTCにおきましての議論というものがございます。恐らく将来アメリカ側から開催が要請され、そしてその中でアメリカ側の要請の内容というものがより詳細に出てくるだろうと思います。それを聞いた上で、アメリカ側の要請を聞いた上でJMTCの日本側委員会、これは外務省、通産省、防衛庁の関係局長で構成されておる日本部会というものがございますけれども、そこで十分討議をした上でアメリカ側に供与するか否かを決めてまいる。そういうことがあるものですから、そういう可能性、検討の結果決まってくるということを申し上げたのでございます。
  124. 矢田部理

    矢田部理君 どうもあなたのやつは、端的に答えてくださいよね。  SDIについては、中曽根総理大臣も、今長官がおっしゃったように、理解するという以上は踏み込んでいない。その後の態度を決めていないという状況のもとで、この技術供与がSDIに関連しているものだ、それの一部をなすものだということが明らかになった場合には、まだ原則的態度がSDIについて決まってないんだから御遠慮申し上げる、協力はしないということになるんですねと、こういうこと。そこだけ、イエスかノーか答えてください。
  125. 山田勝久

    政府委員(山田勝久君) 先ほど御説明いたしましたように、アメリカ側からJMTC、武器技術共同委員会の開催の要請がまだなされておりません。また、そういう段階でどういう内容のものか、あるいは私どもとの議論の結果を踏まえまして、具体的に出てきた段階で私ども日本側委員会がまた検討するということでございますので、ただいまの段階でどうこうというお答えをすることはできません。
  126. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) SDIにつきましては、現在、研究するという立場理解するというのが私たちの立場であり、そしてそれに対して我が国がどう対処するかというのは今後決定されることであろうと思っております。  一方、装備局長が申しましたその技術交流の面は、SDIの話がある前からずっと進行している プロセスでありまして、そのプロセスの中でアメリカ側がどういうものに興味を持ち、関心を持ち、また具体的にどういうものを要請してくるかは、これは別個の話であろうと思っております。
  127. 矢田部理

    矢田部理君 これで終わりますがね、整理して答えてくださいよ。  SDIについての態度はまだ日本は決めていない、理解をするという以上に意思表示をしていない。そういう状況のもとで、仮にも防衛庁に求められている誘導装置の技術がSDIに使われるということが明らかになれば、SDIに協力することになるわけでありますから、それはお断りするのが当然じゃありませんか。これは当然の話であります。それは長官、そうでしょう。それがまだわからないから云々じゃなくて、わかった場合にはお断りすると、そういう答弁をするのは当たり前じゃないですか。
  128. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) SDIについて我が国がどういうような態度をとるかどうかは、これから所管の外務大臣を中心にお決めになることでございまして、それについてまだ全然方向も定まっていないときに、私にしても、装備局長にしても、ここでお答えできるわけはございません。
  129. 矢田部理

    矢田部理君 そんなことはわかっている。前段はわかっているからあと後段、その態度を決めないうちに、SDI関連の技術の提供だということがはっきりした場合に、これは態度を決めないんだから各論も決められない、まだ本来の態度が決まってないんだからできませんと言うのが当たり前の話じゃありませんか。それはそのとおりです、そうですと答えればいいんです。後は終わります。
  130. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) SDIについてどうするかということは、私たち防衛庁が御答弁できる現在の状況ではございません。また、こちらの話は、先ほど言いました技術供与の話、交流の話は、それとは全然別個の話で現在進んでいるものでございます。
  131. 矢田部理

    矢田部理君 まあ、いいでしょう。
  132. 穐山篤

    ○穐山篤君 長官、今度の日米防衛協議でシビリアンの交流を提案しましたね。これはどういう背景ですか。あるいはワインバーガー長官はこれに対してどういうふうな御返事をしたのか。それから提案をする以上、ある一定の行動計画、こういうものをお持ちだと思うんですが、その点いかがですか。
  133. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 日米防衛協力関係はガイドラインに基づいていろいろ過去十年間ほど試行錯誤いたしてまいりました。そして今やそのガイドラインに従ってやっていくこと、そしてそのガイドラインの基本にあります我が国防衛政策、基本的な防衛政策に従ってやっていくということにつきましては、私たちもその内容自身にはいろんな意味での定着の時期に来ているんではないかなと思っております。しかし、これから共同研究にいたしましても、またインターオペラビリティーに関する共同研究にしましても、共同訓練にいたしましても、そういう交流が深まっていく場合に、現実にそれを担当していきます制服と向こう側の各サービスとの間の交流がかなり緊密になってまいりますので、そうした場合には、それは単にそういう専門家たちの交流に任せることだけではいろいろ御不満も、また御不安も国民の間に持たれるかもしれない。その際にはまずとりあえずシビリアンコントロールの第一歩として、防衛庁内局ないしその他のシビルの防衛政策担当者がしっかりそれを見届けていく仕組みがなければいけない、こう思っておるわけです。現在問題があるわけではありませんが、今後とも交流が深まるということになればますますその必要性は出てくるのではないか。  それが現在どういう形のものがあるかといえば、一番大きいものは総理大臣級の交流があるわけで、それから私たちの今回のような防衛首脳の交流があるわけで、そして事務当局としては、委員御承知のハワイにおきますSSCというのがございますね。ところが、このSSCというのもかなり大きな会議に最近なっておりまして、小回りがきかない。一方、制服の方は担当課長、部長たちが必要であるならば身軽に出張して話をしてくるというような部分も最近ございますので、もうちょっとしっかりシビルの方もやっておかなければいかぬのじゃないか。したがって、ある意味では例えば我が方の事務次官が課長補佐を一人連れて二、三日簡単に旅行へいって話を詰めてくる、そういった形で向こうからも来てもらうとか、そういった交流をしっかりやっておかないと我が方のシビリアンコントロールの面からも、またアメリカの方のシビリアンコントロールの面からも、いろいろ問題が起きてくる可能性も考えておかなきゃいかぬのじゃないか。そういう観点から提起いたしまして、向こうもそのとおりだということで全面的な賛意を受けたわけでございます。具体的なチャネルはこれから詰めてまいりますけれども、概念的に申しますと、SSCの既存の枠の中でもうちょっと機動的に動けるようにしたいというのが本音でございます。
  134. 穐山篤

    ○穐山篤君 それから今回の訪米で二カ所基地をごらんになっていますね。バンゴールの核戦略原潜基地、ここでは原潜フロリダに乗艦をされたようでありますね。これは一説によりますと、SLBM二十四基が積めるというふうに報道されているわけですが、現実にこれは二十四基搭載がされていたんでしょうか。この点ひとつお答えいただきます。
  135. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) バンゴールの原子力潜水艦基地を視察さしていただきました。現実にトライデント級のミサイルは装備してありました。ただ、そこで核弾頭があるかどうか、これは当然のことながら明確にはされませんし、質問しても答えるわけはございませんので、一切答えないというのが米国政策でございますので、本当に核があれにあったのかなというのは私は若干疑問でございます。  いずれにいたしましても、フロリダ号の中の視察をさしていただきました。この視察の計画が進んでおります段階で、私たちとしても、核の被害を受けた唯一の国でありますし、そこの一市民で私もありますし、同時に防衛の担当責任者でありますんで、これの中を本当に見せてもらうべきなのかどうかというのはかなりいろいろ考えましたし、それからちゅうちょもございました。しかし、この核の問題は政策担当者としては、冷静な気持ちで現場を見ておくことも政策担当者としては必要なのではないかなという気持ちで申し込みをいたしまして、向こうも同意されまして、かなり厳格な条件のもとに、立ち入る人間の数も制限されながら見てまいったような次第でございます。
  136. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間ありませんから、具体的なことはきょうはやめますが、もう一カ所コロラドスプリングスで防衛関係の司令部もごらんになりましたよね。この両方を実地にごらんになってどういう御感想を持たれたんでしょうか。あるいは日本の軍備の増強といいますか、自衛隊の実力、アメリカの具体的な装備、そういうものを比較しながら、将来戦争があってはならないし、戦争を起こしてはならないと思ってはおるんでしょうけれども、これらのアメリカの基地を見て、何といいますかね、平和の維持の問題について特別の御感想があったと思うんですが、その点いかがですか。
  137. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 防衛政策の担当者として、また一個人としていろいろな数限りない感想を持ちました。  そこで、今委員指摘日本防衛力との比較でどう思うかということにつきましては、これは全く次元の違う話だということで私たちはそういう感想は持ちませんでした。  ただ、核を持つ国というものが核を持つことの恐れというものをいかに感じているか、しかし抑止力のために持たざるを得ない苦悩というものが私たちの想像以上に強いのではないかというのが率直な感じでございます。そして万が一、持たざるを得ないから持っているけれども、持った際に一つでも間違いを起こしたならば、いかなることになるかを常に考え、そしてそれを防止するためには機械に頼ってはならぬ。そして常に、彼らの言葉で言わせますと、これはNORADでもバン ゴールでも同じ言葉を司令官たちが言いましたが、ヒューマンファクターというものを信頼するしかない、人間が最終的に冷静に判断するのですという言葉のもとに、例えばバンゴールの場合には、仮にそれを操作する場合は恐らく十八以上の人間が正常な頭脳で活動しないと絶対にできないような仕組みにしてありました。いわゆるフェールセーフといいますか、その仕組みについての厳格さというものについての印象が、恐らくあの国の指導者の核についての危惧感というものを明確に示しているのではないかという感じがいたした次第であります。
  138. 穐山篤

    ○穐山篤君 先ほどの矢田部委員の質問に関連をするわけですが、今自衛官が外務省に外務事務官として出向して、昔流に言えば駐在武官、今で言えば防衛駐在官という名称だと思いますが、これが三十カ国に三十八人出ておりますね。  そこでお伺いします。一名というところはある意味では形のことでしょうが、韓国とソビエト、それから米国に複数出しておりますね。これはどういう背景で複数になっているんでしょうか。
  139. 大久保基

    説明員(大久保基君) 外務省の情報課長でございます。  ただいま先生御指摘の点につきましては、外務省といたしましては、防衛庁の要請を受けましてそれぞれの公館に配置しておる次第でございます。
  140. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 結局、防衛駐在官を外務省に派遣といいますか、出向させまして、外務省の職員としていろんな情報活動、情報の収集等の職務を担当してもらっているわけでございますけれども、それぞれの国によりましてそういった仕事の量、情報収集等を行います場合の対象といいますか、そういったものの重さ、そういうものを総合的に勘案いたしまして、こういった派遣の数を決めているわけでございますが、決める過程におきましては、外務省とも十分御相談をした上で従来決定させていただいているという経緯がございます。
  141. 穐山篤

    ○穐山篤君 外務職員の公の名称に関する省令第三条六号を見ますと、その任務というのは「主として防衛に関する事務に従事する」、こういうふうになっていますね。  さてそこで、かつての帝国陸海軍のときの駐在武官の任務と、それから防衛駐在官の任務の、定義の上ではどういうふうな違いがあるんでしょうか。これは外務省ですね。
  142. 大久保基

    説明員(大久保基君) お答えいたします。  現在の防衛駐在官の任務は、先ほど防衛局長からも御答弁ございましたけれども、在外公館におりまして軍事情勢等に関する情報収集、調査等を主として、防衛に関する事務に従事することでございます。
  143. 穐山篤

    ○穐山篤君 ちょっと公式的過ぎますね。  旧帝国陸海軍の場合には役割がきちっと定義をされていましたね。私の調べによりますと三つであります。駐在国の観察、図書類の購入、軍事上の必要による特殊な事項、これはかつての定義であります。もちろんその当時、一九四五年、前は正規の駐在武官のほかに嘱託という名の使用人がおりまして、それが特殊な任務についていたわけです。その両方がやっていたわけですね。  そこで、今度は具体的にお伺いしますが、在京の各武官と武官補の数字を見ますと、複数のところはブラジルが武官が二人、韓国が四人、そのほかに韓国は一名の武官補がいますね。それからメキシコが二名、タイが三名、ソ連が二名、ソ連の場合にはそのほかに武官補が四人います。それから英国が三人、アメリカが武官が四人、武官補が二人。この数字と日本が海外に派遣しております駐在官との間に別に具体的な関係があるとは思いませんけれども、例えば日本は韓国に二人ですね。ところが韓国は日本に五人駐在をしておりますね。それから日本米国において六人が駐在をしております。ソ連に三人です。非常に奇妙な数字を思い起こすわけですが、かつて予算委員会で矢田部委員から在日韓国人の問題について指摘をしました。その際にも触れたわけてありますが、こういう正規の武官のほかに、先ほどのアメリカの海軍の防諜要員六十四名とか、それから韓国の場合にはKCIA——今は名称が変わりました。大阪にも福岡にも東京にもKCIA出身の人が相当配置されて、現実に在日韓国人、朝鮮人の動向を調べ、情報を送っているわけですよ。そういうことについて調べられているかどうかわかりませんけれども、先ほどの六十四名の問題に関連して、よもやこの程度の駐在武官で事が足りているとはだれにも信じがたい数字だと思うわけです。そのことについて外務省は十分お調べになっているかどうか、その点、明らかにしてもらいたい。
  144. 大久保基

    説明員(大久保基君) 近年におきます我が国の国際的地位の向上と国際的な相互依存関係の深まりに伴いまして、我が国を取り巻きます国際情勢に関する情報機能強化が強く要請されているということは、先生がただいま御指摘のとおりでございまして、外務省としても十分に認識しているところでございます。外務省といたしまして、情報機能の大宗は何と申しましても在外公館の活動による情報収集が中心でございまして、こうして入手いたしました情報をもとにして、その的確な分析に基づいて外交政策の企画立案、案件の処理に当たってきている次第でございます。  体制面につきましても、昨年度に私ども情報調査局というものを新設さしていただきまして、例えば二十四時間緊急情報管理連絡体制を発足させるなど、情報機能の充実強化に努めております。また駐在防衛官も含めまして赴任前の研修の強化等によりまして私どもの省員の質の向上にも従来にも増して努めてきている次第でございます。今後ともこのような情報機能のなお一層の強化努力していく考えでございます。
  145. 穐山篤

    ○穐山篤君 私は外務省の機能強化という意味でかなり応援団の一員であったと思うのです。イタリア並みの要員にしようという一つの目標もありまして、我々も努力したつもりでありますが、質で問題があると思うのです、質の問題ですね。一番不愉快な事件というのを過去幾つかさかのぼって見ましたが、昭和五十三年、一九七八年九月の五日から九日まで福田総理大臣がイランを訪問したときに、随分総理大臣が恥をかいた事件があったんです。これはもう私が言わなくても御案内のとおりであります。それから今回のアメリカ上院の決議も、突如として出されたと言われておりますけれども、これは用意周到に準備されたものであります。少なくとも外務省が、あるいは在外の公館職員が多くの友人を外国に持っておりますけれども情報が全然入らぬようなものであっては、これはつまらぬというふうに思うわけですよ。何も私は諜報活動を熱心にやれということを言っているわけてはありませんが、最低限度こういう上院の決議が出されるということ——これはもう公館職員、いやその他の職員でもそうでありますが、アメリカの政府高官なり議会の主要な人と十分友人関係にあると思うんですね。今回の決議なんというものは我々日本にとって全くはた迷惑であるし、不当な干渉だと思うわけです。しかし、あらかじめそういう情報が外務省に入って十分な話し合いを行う、こういうことがなければ、幾ら外務省に要員をふやしてみても、これはもう機能を十分果たされない、そういう懸念を強くしているわけです。きょうは時間がありませんから、問題の指摘をしまして私の質問は終わりたいと思います。  以上です。
  146. 大島友治

    委員長大島友治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ─────・─────    午後一時四十三分開会
  147. 大島友治

    委員長大島友治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、森山眞弓君が委員辞任され、その補欠として林道君が選任されました。     ─────────────
  148. 大島友治

    委員長大島友治君) 休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  149. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、午前に引き続きまして、防衛庁長官の訪米の問題につきまして何点か質問させていただきます。  長官も大変御苦労さんでございましたけれども、この訪米をされるに臨みましての姿勢及び方針についてお尋ねしたいと思うんです。
  150. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 我が国防衛にとりまして米国というものは非常に重要な存在の国であります。現在、我が国とアメリカとの間の防衛関係は非常にスムーズにいっておりますが、この関係をより強固なものにしていくということが重要なことだろうと、私はこんなふうに思って行ってまいりました。その際に心にありましたのは、現在、日米防衛関係は良好であるとはいえ、日米間には貿易面においてかなりの摩擦があるわけでございますから、この経済関係が防衛問題に波及しないで済むように、向こうの政府当局者としっかりとした意思の疎通を図っておくことが重要なのてはないだろうかなと、そんなところがまず第一の私たちの問題意識でございました。
  151. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官の訪米に先立ちまして、六日に西廣官房長がワシントン入りをしているようてございますけれども、これもちょっと異例じゃないかと思うんですが、このような異例な対応をした理由とか目的はどのようなものでしたでしょうか。あるいは上院決議とか、そういうようないろんな動きに対して対応されようとされたんでしょうか。どうでしょうか。
  152. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 今回の防衛庁長官の訪米に際しまして、官房長が長官一行よりも早く渡米いたしたわけでございますが、これは日程等についての細部の調整を行うということで先発をさせたわけでございます。ただいま御指摘のような、例えば上院の決議の話などは、先ほど来御議論がございますように、これはまさに突如として出てきた話でございまして、私ども知る由もなかった次第でございます。
  153. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私、別に先乗りというほど大それたことで参ったわけじゃございませんで、御案内のように、今回の長官の訪米は会期中でございますので、最後まで国会審議等の都合で日程が固まらなかったというようなこともありまして、先に米国に参りまして細部日程等を詰めたということでございます。
  154. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 ワインバーガー国防長官との対談の内容につきましては、先ほど長官からもいろいろと御報告がございましたが、特にこの対談を通しましてワインバーガー長官の方から要請されたような点はなかったんでしょうか。
  155. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) もちろん、一般的な防衛努力の期待というのは従来からアメリカ側が表明しているところでございますし、そういった意味での期待の表明はもちろんあったわけでございますが、具体的な問題についての個別の要請といったようなものは特にはございませんで、夜間離着陸訓練の問題について、かねてから米側機会のあるごとにその早期解決の要請をしていたということがありますので、その件についてはもちろん要請はあったわけでございますし、加藤防衛庁長官から一層の努力を払いたいという趣旨のお答えはしておりますけれども、そういったことを除きますれば、特段、個別の問題についての要請というものを受けたということはございません。
  156. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今お話のありましたワインバーガー長官との話の中で出ました三宅島の問題ですけれども、こちらの方で報道されたところを見ますと、この候補地というのは三宅島に絞られてきたような感じがするような発言をされたというふうに報道されているんですが、防衛庁、政府として、大体三宅島に的を絞った、そういう感触でよろしいんですか。
  157. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちがアメリカ側に申したことは、この国会で累次申し上げていることと同じトーンで話してまいりました。私たちは三宅島に決定したというわけではございませんけれども、現在のところ、できるならば三宅島にお願いできたならば、考えられるところ一番条件がいいのではないだろうかなというようなことを考えておるわけでございますけれども、そしてまた、それを国会の場で申したわけでございますけれども、そういうようなことを米側に申してまいりました。
  158. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど同僚委員からも質問がございましたが、防衛政策担当のシビリアン交流、これを発展させることを提案した、そしてワインバーガー国防長官との間に合意を得たというところでございますけれども、この問題は今度どのように具体化していきますか。
  159. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 具体的に申しますと、従来のSSCの枠組みの中でより小回りてきるような動きが、交流ができればと思っております。御承知のように、ハワイにおきます定期協議のSSCはかなり大がかりに最近なっておりまして、そのタイミングを双方で設定するのにはかなり苦労するような状態になってきております。会議参加者もかなりの人数でありまして、双方から十人程度になっているのではないか。そうしますと、そういう人間の全部日程が合うということがなかなか我が国内でも難しいのに、向こう側も国防省、国務省、ホワイトハウスという形になりまして、なかなか機動的に動けないということでございます。  具体的には、その枠組みの中で、例えば私たちの方の事務次官が課長補佐ないし係長一人ぐらいを連れて、さっと行って二、三日で話をしてくるとか、向こう側からもそんな感じで来てもらうとか、そういったシビリアンの交流を考えているわけでございます。
  160. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官は、ことしの五月に、防衛庁内局の強化、このことを事務局に検討を指示したという報道がされておりますけれども、その意図は何でしょう。
  161. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちは、防衛政策遂行に当たりまして、シビリアンコントロールというのは非常に大切なことだと思っております。その際に、第一のステップというものは、防衛庁の内部の内局であろうと思います。それから政府各部局の間の関係機関との間の協議でございますし、また国防会議であり、また内閣であり、そして最終的にはこの国会の場におきますシビリアンコントロールというものが最高の権威のあるものだと思っておりますが、その第一歩たる内局の方の人間の数がちょうどいろんな戦後の世の流れもありまして、昭和三十二、三年以降からのところがかなり層が薄くなっております。これではなかなか今後十分なる能力を発揮できない場合もあり得るかという危惧をいたしまして、その意味でも人材を新規採用するとか、それからほかの省庁との交流を図るとかやる計画を立てなければならないのではないかと思ってそのような発言をある場所ていたしました。それが報道されました。現在もそのように思っております。
  162. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今のお話とワインバーガー長官とのシビリアンの交流の発展ということをいろいろと考え合わせますと、長官は自衛隊、防衛庁及び日米防衛協力という点につきましては、果たしてシビリアンコントロールが機能していくのかどうか不安を感じている、こういうことでございますね。
  163. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 現在、我が防衛庁の運用に当たりましてのシビリアンコントロールと日米防衛協力に関するシビリアンコントロールは非常に適切に機能いたしておると思います。  ただ、今後、日米の間の協力関係がより定着し、より充実していくにつけても、多くの面での仕事面のまた専門的な交流がふえてくるだろうと思います。この進展に適応した、よりしっかりとしたシビリアンコントロールを今後考えていかなければならないというのが今度アメリカ側に提起した問題でございます。  一方、我が国内の問題につきましては、先ほど 言いましたように、これから我が防衛庁のトップクラス、内局の指導層におきます人材が採用のとき自体から数少ない季節を迎えます。それぞれ優秀な人材がそろっておりますけれども、何せ人数が少ない。そこをこれから十分に手当てしておかないといかぬという将来についての配慮でございます。
  164. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また長官は、いわゆるOTHレーダーの技術的な資料の提供等の協力要請をしたようでございますけれども、このレーダーの能力あるいは主な目的はどのようなものであるか、あるいはこれは我が国防衛構想上どのような意味を持っているのか、その点どうでしょうか。
  165. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) OTHレーターと申しますのは、オーバー・ザ・ホライゾンというものの頭文字をとった略語でございます。性能としては、短波が電離層において反射するという現象を利用した仕組みでございまして、従来のものに比べますと、非常に遠方にあります航空機とか艦船等の目標を探知する能力を持ったレーダーでございます。  これは米国で開発が進んできたものでございまして、アメリカは現在二種類のものを手がけております。一つは、本土防空用のものでございまして、それを現在調達し、配備を進めておるところでございます。それからもう一つは、海軍用のもので再配置可能な性能を持っているようでございまして、これは開発中という状況でございます。探知距離としては、本土防空用が約五百海里から千八百海里ぐらいまでのところというふうに言われております。海軍用のものも大体同じような性能ではないかというふうに言われているわけでございます。  こういったOTHレーダーの機能を見てみますと、我が国が専守防衛という基本的な防衛政策をとっていることから見ましても、我が国に対する脅威、攻撃が発生した場合に、それが具体的により遠くの時点で発見し得るということができれば、これは対応行動をとるのに大変便利で効率的である、こういうことが一般的に言えると思うわけでございます。この点は本土防空用及び洋上防空用の二つの面から私どもは関心を持っているところでございます。  特に洋上防空の問題について申し上げますと、これは従来から申し上げておりますように、我が国の生存にとって、我が国が四面環海の国であることから海上交通の安全を確保するということが、有事におきまして我が国の生存を維持し、継戦能力を確保するという意味から極めて重要であるわけでございます。そういうことから、我が国防衛構想においてはシーレーン防衛構想というものを従来から進めてきておるわけでございます。そのシーレーン防衛構想の中において対潜水艦作戦や水上作戦と並んで洋上防空の問題がもともとあったわけでございますが、近年における科学技術の進歩に対応しまして、空からの脅威、経空脅威の増大ということが出てきたわけでございます。したがって、そういう面から見ますと、そういうシーレーン防衛におきます対空防御の問題が非常に大きな問題になるわけでございまして、その際に、より遠くから攻撃する航空機等が発見できれば、それに対する対応行動をより早くとりかつまた攻撃をしようとする動きを阻止することも可能になるかもしれない、こういう発想になるわけでございます。  そういう意味で、このOTHレーダーと申しますのは、専守防衛の建前をとっております我が国防衛構想にとって有益なものではないかというふうに判断をいたしまして、現在五九中業作業の中でこれをどうするかということを検討しているわけでございます。
  166. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今、五九中業の中で検討中ということでございますけれども長官は五九中業の説明の中で、特にこの洋上防空に関しまして早期警戒態勢の強化ということでこのOTHレーダー、早期警戒機、要撃用戦闘機、AEGIS艦などの整備に取り組む意向を表明されたようですけれども、これらのことは国会にもまだ報告されてない現状でございますし、そういう段階米側に説明をするということは国会軽視になる、このように思うんですが、その点どうでしょうか。
  167. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この五九中業の問題につきましては、国会におけるいろんな委員会の場におきましてその都度いろいろと御質疑があっているわけでございます。衆参両院のいろいろな委員会におきまして御質疑を受けた経緯がございますが、その過程におきまして、私どもの方から、この洋上防空の問題というものについて、そういったいろいろな武器の組み合わせというものを考えていく必要があるというふうに思っております、そういったことで検討しておりますというようなことで御説明した経緯はございますので、今回防衛庁長官ワインバーガー長官との会談におきまして今検討中の状況を説明いたしました内容は、従来から国会において御説明を申し上げております範囲を超えたものではないというふうに考えております。
  168. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 こういういろんな説明をされてまいりますと、今まで従来のいろんな経過を見ましても、いつの間にかアメリカでしゃべってきたことが、アメリカとしては国の方針と理解して、公約ということで実行を迫ってきている例があるわけでございます。まだ五九中業で案が固まってないという段階でいろいろと向こうに話をされるということは、これは公約として受け取られる可能性はないですか。
  169. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私どもは、防衛力整備につきましては、我が国自身の自主的な判断によって決定していくという立場を従来から一貫して貫いてきておるわけでございます。そういう前提で五九中業におきましても洋上防空構想を検討しておるわけでございまして、その中の一つのアイテムとしてこのOTHレーダーの検討をしたいということになってきたわけでございます。しかしながらこの技術が、先ほども申し上げましたように、アメリカが開発してきたというものでございまして、我が国にはこういった技術が実はないわけでございます。したがって、そういう構想を進めていく場合には、どうしてもアメリカ側の技術資料等の提供を求めて協力していただかないとこの具体化が進んでいかないという事情があるわけでございます。  そこで今回の会談では、加藤防衛庁長官からそういった意味での技術資料等の提供等についての協力を要請したわけでありますが、その協力要請をするに当たっての背景説明として、なぜそういうことを我々が要請するかという理由といたしまして、現在こういうことを検討しておる、洋上防空体制を総合的な体系として我々は検討しておって、その一環としてこの問題があるんだということを説明したわけでございます。あくまでも日本の自主的な防衛努力の現在の状況を説明したということでございまして、ワインバーガー長官も私どもの要請に対して、そういった協力はできるだけ努力してみましょうというふうに答えられた経緯があるわけでございます。決してこれがアメリカに対して公約をするとかなんとか、そういう性質のものではないと考えております。
  170. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと今、自主的な判断によって防衛計画を進めるということでございますが、上院の決議を見ましても、日本に対して具体的な要望を織り込みながら決議をやっているわけでございます。防衛庁としてはアメリカ側に対しまして、五九中業に関しましては防衛庁限りの計画であり、予算でどの程度実現されるかは別問題である。我が国は一%の枠という、そういう国是に類するものがあるんだということをきちんと説明をされている。このように思いますけれども中業の計画に乗ったからといって実現するとは限らない、このことはちゃんと向こうにも説明はしたわけですね。
  171. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 最近、アメリカ側も我が国防衛政策の基本的な問題から具体的な話までよく事情の研究はされていると思います。そこで、中期業務計画ということは、国防省を初めとする政府部内も、またよく勉強されております上 下両院の議員の方もよく御存じのようでありまして、特に政府の方におきましては、中期業務計画の性格というものはよく理解されていると思っております。
  172. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども同僚委員からも話がございましたけれども、ちょうど長官がワシントンを訪問されたときをねらってこの対日防衛要求の決議が可決されたということは、長官をねらい撃ちにしたような感じが我々するわけですね。これに対して長官としてもアメリカで感想を述べておみえになりました。これはまさしく私たちもこの内閣委員会総理を迎えてここでも話し合いをしたんですけれども、内政干渉に類する問題じゃないかということで毅然たる態度をとることが必要ではないか、このようにも思います。しかし長官は訪米されまして、政府間でそのようにいろんな話し合いが進み、理解が進んだとしましても、アメリカの上院に見られるように、日本のやっている防衛努力に対する評価というものは、まだまだ認識が浅い面が非常にあるんじゃないかと思うんですね。前回も、貿易摩擦のときに向こうでも決議をしてまいりました。今後も機会あるごとにそういうような議会からの、政府間では話し合いは進んだとしても、議会からこれからの決議とか、いろんな圧力というのは高まってくるんじゃないか。特に来年は中間選挙を迎えるところでございますし、議員としては選挙人向けのいろんな活動もしなければならない。日本にもそういう状況がありますけれども、そういった中で、これからのアメリカの要求というものは、防衛力に関しましてもこれはまだまだ続いてくるんじゃないか、こういう感じがするわけですが、そういった点で毅然とした態度で対米関係に臨んでもらいたい、こう思うんですけれども、その点どうでしょうか。
  173. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) アメリカは我が国と安全保障条約を結んでおる国でございますし、有事の際には我が国を支援し、共同対処することを米国大統領我が国総理大臣に対し公に公約をしてくれている国でございます。その国の国会が私たちの防衛力整備とか防衛の基本政策に関心を有するのはごくごく自然のことであろうかと思っております。ただ、私たちはそういうものに十分耳を傾け、念頭には置きますけれども、しかし我が国防衛政策は私たちのみずからの判断で自主的に決定していくという方針は、委員指摘のとおり、私たちはしっかりと堅持してまいりたいと、こう考えております。  なお、今回の上院の決議の背景には、そういった米議会の中の日本防衛政策に対する関心もかなり強いし、そういう決議になったのだと思いますが、またよくよく底流を見ますと、最近の日米貿易関係の、日米経済関係の幾つかの不満の気持ちがある意味では底流にあったのでないかなということも私たちワシントンで感じました。私たちは、だからこそワインバーガー長官政府筋との話し合いの場において、防衛問題と貿易問題はできるだけ切り離して論ずるべきではないか、またそういう大変な御努力国会との関係でしていただいていると思うけれども、一層御努力を願いたいし、私たちもそのような方向努力したいと申し上げてきた次第でございます。
  174. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 長官は、ワインバーガー国防長官との会談で、先ほど防衛局長が一生懸命説明してみえましたが、洋上防空ということを積極的に説明したことに関連しまして、いわゆるシーレーン防衛というものを足がかりにして、防衛計画の大綱、この防衛構想をだんだんと変質させながら拡大しているんじゃないかというふうに私は思うわけです。シーレーン防衛は最初は船団防衛そのもののように説明をされてまいりましたけれども、それがいつの間にか航路帯になってきて、そしてそれが線が帯になって、そして面になってきた、そういう変化をしてきました。また最近では海上封鎖等を含めた総合作戦、こういう説明もされて海上交通保護と言われていたわけでありますけれども、今回はこれに洋上防空を含めますとまさにだんだん立体化してきた、そう言わざるを得ないと思うのです。それに伴いまして、当然装備も質量とも増大の一途をたどってくるわけですけれどももともとこの大綱では本土防衛に必要な周辺海空域の防衛構想ですから、現在の政府がとっているようなシーレーン防衛をやる能力を持てないはずじゃないかと思うのです。その大綱の構想にないものをやろうとしているからその水準になかなか現在の防衛力が追いつかない、またGNPの一%枠といった国民の中で根強く定着している歯どめというものを超すおそれが出るほど防衛関係費というものをふやしていかなければならない。こういうことになってくるんじゃないかと思うのですが、その点どうでしょうか。
  175. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 防衛計画の大綱とシーレーン防衛との関係について御説明をしたいと思いますが、これは従来から申し上げておりますように、我が国防衛力整備に当たりましては、周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域において海上交通の安全を確保するということを目標として海上防衛力の整備をするということが従来からの考え方でございます。この考え方は、大綱以前の三次防、四次防の時代からそういう考え方をとってきておるわけでございまして、大綱におきましても同様の考え方をとっているわけでございます。こういう点につきましては、従来からその都度国会においても何回も御説明を申し上げているわけでございますし、昨年の参議院予算委員会におきましては、本件について特にいろいろな御質疑がございまして、四月の段階で、私どものこれまでの経緯、考え方をまとめた資料も提出させていただいた経緯がございます。そこにそのことを詳しく書いたつもりでございます。  そういうようなことでございまして、現在私どもが五九中業におきまして海上交通の安全確保のためにシーレーン防衛能力の充実を図るということを考えておりますものも、あくまでも防衛計画の大綱の枠内でこれを考えているわけでございます。ただし、大綱策定当時に比べますと、シーレーン防衛のいろいろな機能の中で空からの脅威に対する対策、つまり洋上防空の問題の重要性が増加してきている、そういう変化があることは事実でございますので、そういったことを念頭に置いて今やっておるということでございます。防衛計画の大綱の本文の中に防衛力整備に当たっては諸外国の科学技術水準の変化に対応し得るようなことを常に考えていなければならないというふうに言われているところから見ても、この大綱の基本的な考え方に沿った物の考え方であるというふうに私ども理解をしているわけでございます。
  176. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 せんだって参議院の外交・総合安保調査特別委員会の安保問題小委員会に元統幕議長の竹田五郎さんが出席されました。そこでこういうことをおっしゃっているわけです。大綱作成当時の航空自衛隊はシーレーン防衛についてそれほど関心を持っていなかったと思う、したがって、シーレーン防衛が任務として課せられるならば、それに応じただけの飛行機の増加さらには空中警戒管制機も必要である、今のままではシーレーンを空から守るだけの力は航空自衛隊にはない、このように述べられておりますし、さらに質疑の中で、そのような能力を持つためには、大綱の範囲を当然超えなければならない、このように答えてみえるわけです。この方は統幕議長をされた方ですけれども、こういう方の証言からも、今の防衛庁がやろうとしていることは、いかに拡大してきたかということが明らかになると思うのですけれども長官はどのようにお考えですか。
  177. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 今の竹田参考人の御意見、私も記録で拝見はいたしました。ただ、現在私どもが進めております防衛力整備は、防衛庁内局及び各幕僚監部を含めて現職の者が現在の諸情勢を判断し、現在のいろいろな諸技術、そういうものの評価をいたしまして、現在の新しい時点においての判断をして、その方向を見定めているということでございまして、現在の防衛力整備につきましては、防衛庁及び各幕が一体となって万全を期して判断をしておるのが現状でございます。そういった体制の中で現在五九中業防衛庁内部で 十分な議論と討論を通じまして、全体の構想を煮詰めてきておるわけでございます。そのプロセスの中で意見が一致しておりますのが、防衛計画の大綱の範囲内において、私が先ほど来申し上げておりますような洋上防空能力の向上というものを検討していこうではないかということでございまして、私どもが現在考えておりますことは、あくまでも大綱の範囲内における洋上防空能力の向上でございますし、大綱を超えてやっていこうということではございません。航空自衛隊の能力の問題にいたしましても、現時点において現在の大綱の約四百三十機という機数の範囲の中でどういったオペレーションを考えるか、そういう枠組みの中で検討を進めているということを御理解を賜りたいと思います。
  178. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間もなくなりましたので最後になりますけれども、先ほど洋上防空能力の向上についてのお話がありまして、OTHレーダーの導入につきましては、向こう側に技術資料の提供を要請したということでございます。このことにつきましては、OTHレーダーにつきましては、伝えられるところによりますと、米国側から前々から設置の要請があった。防衛庁の中でもいろいろ検討を重ねてきて、今回いろいろな資料要求ということで検討を重ねるということでございますけれども、OTHレーダーの導入につきましては、大綱ではこの種の超長距離レーダーの設置というものは想定をしていない、あるいはこういうものが日本の国内に組み込まれるということになりますと、これは先ほどからおっしゃっている脅威の増強、当然脅威の対象としてはどこかということは明確になってまいりますし、一つの対ソ戦略の一端を日本が担うということになろうかと思うのですね。このことは憲法に禁じられております集団的自衛権につながってくるというおそれを我々は持っておりますし、今後加藤長官が導入に積極的な姿勢を打ち出すということになりますと、今後日米防衛協力というものが個別的自衛権の枠を超えて進められる、そういうおそれがますます濃厚になってくる。このように思うわけですが、その点はどのようにお考えですか。
  179. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちの政策は、基本的な防衛政策にいたしましても、それから具体的な防衛力の整備にいたしましても、あくまでも専守防衛、そして個別自衛権の範囲内で行わなければならないと思っております。私たちは、我が国は諸外国を攻撃するような長距離の各種の装備は持ちませんけれども情報収集に関してはしっかりといい仕組みをつくっておくことが、専守防衛の守りに徹した国の防衛の極めて必要な部分なんではないだろうかなと、こう思っております。歴代の防衛庁長官が、専守防衛の国においてはウサギの耳は長くあるべきで、そして敏感であるべきでと、こう申しておりますけれども、私たちOTHに興味を持っておりますのも、この仕組みというものができるだけ早く相手側の情報をキャッチ、動きをキャッチできるという意味で有益なのではないか、比較的早く情報をキャッチすることによって私たちの専守防衛体制というものがより効率よく発揮できるのではないかと考えるからでございまして、あくまでも私たちは、先ほど言いましたような専守防衛と個別自衛権の範囲内における私たちの防衛力整備という原則を守ってまいりたいと、こう考えております。
  180. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後ですが、大蔵省お見えになっていると思いますが、今回の長官の御訪米におきましても、米側からのあのような上院の決議を見ますと、相当防衛費の増額についての要請があろうかと思います。あるいは政府としても大綱水準の達成ということ、あるいは日米安保体制強化、そういう方針から防衛費の増額については、六十年度予算でも総理みずからが積み上げをするというような姿勢の中にも見られますように、相当な増額に対する圧力が高まってこようと思うんです。今後これから五九中業等の概算要求の資料ができまして、大蔵省との折衝ということになろうかと思いますけれども、六十一年度のGNP見通しというものはその時点ではっきりはまだしてないかと思うんですが、あるいははっきりしてくるかもしれないし、そのときGNP見通しの一%の枠を超えた場合には大蔵省としてはどのような対応をされる方針なのか。聖域として今回も防衛費の増額についてはある程度のことは認めるという方針なのか。その点どのようにお考えですか。
  181. 西村吉正

    説明員(西村吉正君) まず五九中業につきましては、ただいま防衛庁内部で御検討中と聞いておりますし、それから来年度の概算要求につきましては、まだ私ども内部で検討中でございまして、具体的な方針をまだ得ておるわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、GNP一%との関係では閣議決定が現存するわけでございますので、当然私ども行政官としてはそういう方針に従って対処していくということになろうかと存じております。
  182. 原田立

    ○原田立君 長官、あなたは十九日の衆議院の安全保障特別委員会で、憲法、専守防衛、非核三原則などは我が国の基本的防衛政策だが、GNP一%枠はこうした政策を進める上での四、五年間の当面のめどと考えられていたと述べ、一%枠を防衛の基本政策とは位置づけていないということを言われたということが報道されておりますが、本当ですか。
  183. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 昨日申し上げましたのは、我が国の基本的な防衛政策の諸原則の中に、憲法をしっかりと守り、それから専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えないという立場を堅持しながら、しっかりとしたシビリアンコントロールにのっとってということを申しました。そして、その中でGNP一%の問題は、確かにそれによって多くの国民の間に我が国防衛というものについての理解を深め、また安心感を与える、そういう効果はあったとは思いますけれども、しかしその閣議決定された当初の経過といたしましては、閣議決定そのものにも書いてありますように、当面の、そしてまあこれは四、五年という当時の意味だったと思いますけれども、それの財政運営上のめどとしてつくられたものだと思っております。一つの国の基本原則と言われるものの中に当面という言葉が使われるとは思いません。
  184. 原田立

    ○原田立君 こういう当面ということを言うて安心感を与えただけだと、こんなふうなとらえ方をしているように今の御答弁では聞けるわけですけれども、だけど多くの国民は、このGNPの一%枠については厳守しろとか、あるいはそれを突破しちゃいかぬとかということが、最近の世論調査では随所に何度も表明されております。これは国民の声だと思うんです。ただ単に安心感を与えるために言うたんだというような、そういう軽い受け取り方でいいんですか。
  185. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 繰り返して申しますが、GNP一%の閣議決定と申しますのは、当初、当面の財政のめどとして当面四、五年という感じでスタートしたものだと思っておりますし、それが当時の各種の国会答弁でも明らかだと思います。  しかし、その後これが国民の間に我が国防衛力についての幾つかのシンボルとしての機能を果たし、また国民にある種の防衛力整備についての安心感を持たせるための機能を果たしたことも私は事実だと思っております。そういう意味で大きな意味を持ってまいりましたからこそ、現在このGNP一%の問題が国会の中でこのように大きく論議されているのだと思っております。したがいまして、その一%問題の重さというものは私たちも十分に認識いたしておりますし、総理大臣ないし私たちも申し上げておりますように、GNP一%は守ってまいりたいと、こう思っております。
  186. 原田立

    ○原田立君 三木内閣のときに、これが当面一%の枠内でやろうと、こう決まったと。だけど、これが非常に大きく国民の支持を得てあったからこそ今日まで続いてきた、こういうふうに僕は理解をするわけだ。だから、昨年年末に世論調査したのでは、一%枠以内という人たちが実に七二%もおります。また、ことしの三月十七日に某紙で世論調査したのも、一%遵守は五八%となっておる。こういう多くの国民の希望、要望、切望、こういう ものは防衛庁としても軽々しく見てはおらないと思うんです。非常に重要な課題として受け取っているだろうと思うんであります。  伝え聞くところによると、五九中業に当たっていろいろと計画をする、それに何か長官はこういう一%枠の中では五九中業の達成は難しいんだと、一%枠を突破するのもやむを得ないんだというようなことを言うているということを聞いておりますが、いかがですか。
  187. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 確かに、現在五九中業作業を進めておって、その全体の総額が幾らになるかという積み上げの計算はいたしておりませんけれども、しかし個々の案件の検討状況の報告を受けて私が直観的に感ずるところでは、一%以内で五九中業作業を終えることは難しいかなと、容易でないかなと思っておる旨を申し上げたことは事実でございます。  もちろん五九中業と申しましても、正面装備だけについて今積み上げをやっているわけで、これは全体の防衛費の中の二五、六%、まあ四分の一程度のものでありまして、ほかの四六、七%を占める人件・糧食費とかその他の経費につきましては概算によるものでございます。したがって、明確なことは言えませんけれども、そんなような感じを持っております。  ただ、一つだけ申し上げさせていただきたいのは、これは防衛庁内部の概算要求のための内部の資料でございまして、現にこの五九中業の一つ前の五六中業の場合も幅を持ってある金額が明示されたわけですけれども、その上限は当時のGNP一%見通しを超えておりました。
  188. 原田立

    ○原田立君 五九中業が一%枠を突破するのはやむを得ないということは中曽根政権下における基本的方針ですか、自民党政権の防衛庁としての基本的方針なんですか、それとも一%枠の中にとどめたい意欲は満々としてあるんだ、そのために真剣に努力する、今後も一生懸命一%の枠は遵守していく決意だ、こういうことですか。いかがですか。
  189. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 五十一年の三木内閣におきます閣議決定、GNP一%問題は、政府の予算案が決定し、そしてそれが国会等で承認されたときのその予算案ないし予算についての基準であろうと思っております。それが例えば決算の段階なのか当初予算の段階なのかにつきましては多くの議論が行われたわけでございますが、いずれにしても、予算として決定したものについての基準であろうと思っております。五九中業で論じられております現在の点は、中業があくまでも防衛庁内部の予算要求の資料であるという点につき御理解をいただければと思います。  そして、その作業もまだ完全に終わったわけではなく、内部の数字の積み上げも行われているものではありませんけれども、全体としてどういう感じなのか、防衛庁長官として個々の報告を受けておるはずだから、それについてあなたの個人的な感じでもいいからあえて言わなければおかしいじゃないかということをかなり強く要請されたときに私が申したのが、私の直感的な感じでは一%の中でおさめるのは難しいかなと申し上げたのでございます。
  190. 原田立

    ○原田立君 難しいかなと、それで終わりですか。要するに、一%枠は守るという決意で臨むんですか、それともやむを得ないから突破しても構わないと。これは防衛庁の方針でもあり自民党の方針でもある、中曽根政権の防衛方針である、こういうふうに受け取ってよろしいんですか。
  191. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) GNP一%を予算の段階で守ってまいりたいと申しますのは中曽根政府の現在の立場でございます。私が申しておりますのは、それとは直接完全に関連はしない中業についての作業の状況の私の直感的な感想でございます。
  192. 原田立

    ○原田立君 そんな重要な問題を直感的な感想ぐらいで発言をされては困りますね。というのは、防衛庁長官は今後五年も十年も十五年もやるんじゃない、こんなことを言うと失礼だけれども、逐次交代していかれる。だからその場その場で発言されても困るということを強く申し上げておきたい。  それから、先ほど太田委員からも質問がありましたけれども、シビリアンの交流の問題であります。長官は身軽な交流をしたい、そのためにシビリアンの強化ということも考えているんだというふうなお話でありましたけれども、要するに、この前次官がだれか一人か二人連れていった、そういうふうな身軽な交流をしていきたいという、そういう意味でのことだということでありますけれども、シビリアンコントロールに裏づけられた協力関係というのはこれまたそんなに軽い感じで考えられていいんですか。
  193. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 身軽なと申したとするならば、言葉の使い方が下手で幼稚なんだろうと思いますが、機動的な動き、機動的な往来と申した方がいいのかもしれません。
  194. 原田立

    ○原田立君 制服の皆さんがいろいろと協議なさる、それから文官の方が今度は行ってやられるようになるというと、防衛庁全体として大きい太いパイプにつながっていく、こういうことになるわけでありまして、防衛の問題ということにしても、要するにアメリカと外交の問題でも直接つながるわけでありますけれども、外務省の外交あるいは外務大臣との関係、二元外交みたいなそんなようなことの危惧はございませんか。
  195. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 先ほどから申しておりますように、シビリアンコントロールの第一歩はまず防衛庁内における内局対制服の関係であろうと思います。それから二番目に政府全体の中で防衛庁も含めまして関係省庁との間の協議があろうかと思いますし、それから進みまして、国防会議内閣、そして最終的には国会におけるシビリアンコントロールがあろうかと思っております。  私が日米関係におきます防衛協力が進むに従ってシビリアンの交流が重要だと申しますのは、訓練にいたしましても、共同研究にいたしましても、制服レベルにおける交流が今後とも活発になり、またかなり機動的にしなければその効果が発揮できない部分があろうかと思います。その交流の機動性、高まりに応じまして、またそれ以上にシビリアンもしっかりと議論をしていかなければならない。そういう意味で、従来の枠組みの中ではありますけれども、より機動的な交流がされる必要があると申したのでございます。  従来の枠組みの中と申しますのは、さっき別の委員の方にお答え申し上げましたが、事務レベルにおきます協議は従来ハワイにおきますSSCで行われているわけですが、その枠組みの中と申しておるのでございまして、その中には当然のことながら防衛庁もありまた外務省もあるわけでございます。もちろん防衛政策担当者としては防衛庁がしっかりしなければならないし、防衛庁が行く回数の方が多いのかもしれませんけれども、しかしSSCの中の枠組みと申しておりますのは、その関係の政府の中の各種の部門も機動的に参加してもらうという意味でございます。
  196. 原田立

    ○原田立君 NLP問題、すなわち艦載機の夜間離着陸訓練について、三宅島を、ワインバーガー長官会談したときに、候補地としているが難航しておる、政府全体として最大限の取り組みをしておる、こういうふうなことが言われたということは新聞に出ております。先ほども質問がありましたけれども、まだ三宅島ということは決まったわけじゃないんでしょう。現地住民はここに基地を持ってくることに対して町長を先頭にして反対なんでしょう。そういうようなのを、アメリカに行って、しかも向こうの最高責任者である国防長官に言うというのは少し不見識ではないかと僕は思うんですが、どうですか。
  197. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私は国会で申し上げておりますことはアメリカにも申しております。国会でいろいろ五九中業について申し上げていることをアメリカにも説明いたします。これはお互いに有事に際しては共同対処するということをコミットメントしている国、そして非常に良好な関係にある米国に対しては当然そうしてもいいものだと思いますし、また我が国会に言うこととアメ リカに言うことと違うようなことを言ったら、また国民は疑惑を招くのではないかと思います。  NLPの問題につきましては、私たちは、三宅島に決まったものではないけれども、できるならば三宅島にお願いできたらいいというふうな立場を、総理大臣も私もことしの初めから国会で申し上げておりますけれども、その立場を改めて同じことを御説明申し上げたわけでございます。
  198. 原田立

    ○原田立君 三宅島に持っていってほしいというのは、最初アメリカの方から提案があったことだと僕は思うんです。国会で議論したことをアメリカに行っても話したと。それはそうに違いないだろうけれども、ここで話をしたことは、三宅島のことも話をしたけれども努力はしているが実際にはそれが実現するかまだはっきりしないということは、これははっきり念押しはしてきましたね。
  199. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 念を押してきたというのはどういう意味かわかりませんが、私たちはできれば三宅島でやれればと思っているけれども、これは強硬な手段はとれるものではないので今非常に苦労いたしております、難しい問題でございます、しかし、精いっぱい努力し、何とか実現できたらと思っておりますということを申してきたわけでございます。
  200. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 三宅島についてアメリカから希望があったんではないかという御指摘でございますが、そういう事実はございません。  三宅島の問題、ちょっと簡単に背景を御説明さしていただきますと、三宅島はかねてから大型ジェット空港を望んでおりまして、五十七年の九月十七日には村議会で三宅島空港ジェット化促進特別委員会をつくっております。この理由は、人口が噴火等がございましてどんどん減少していく、観光客も減っていく、産業振興の必要上ジェット機が欲しいと、こういうことだったんですが、御承知のように、五十八年十月の三日に噴火がございまして、島民の安全対策上もジェット飛行場が欲しい、こういう機運が盛り上がりまして、たまたま政府が厚木の代替基地、ミッドウェーのNLPの代替基地を探しておったという時期と合致いたしましたために、むしろ三宅島の方から村議会の決議といたしまして五十八年十二月二十一日に官民共用大型ジェット空港を国の全額負担で建設せよという決議がなされまして政府に申し出てきた。しかしながら、そのやり方がちょっと島民の意思を無視したものであるということから反発を買いまして、これがまた一転して反対決議になり、反対派の村長さんが当選をされ、今日に至っておる。こういう状況でございます。  また、NLPの実情には必ずしも一致しないいろいろなうわさやデマ等が流れまして、誤解がかなり深く島民の間に根差しておる。こういうことでございまして、私どもはとにかく賛成、反対は別として、一番最初は三宅の方から言ってみえたお話だものですから、政府が考えておるNLPの代替飛行場というのはこういうものなんだ、この説明会をやらしていただきたいということを現在お願いしておるという状況でございまして、アメリカ側が三宅と言ったことはございません。
  201. 原田立

    ○原田立君 では私の方の勘違いでしょう。それは、じゃそうします。  ところで長官、かつて鈴木前総理が渡米したときに、シーレーンの問題についてやろうというような意味の話をした、それはアメリカに対してですよ。だけれども、国内に戻ってきてはそこいら辺のところがあいまいであった。だが、それがだんだんだんだん時がたつにつれて現実化し、そしてまたいわゆる洋上防空というようなところまで現在進んできておる。私が言いたいのは、長官が行って向こうで話をしてくる。それは日本のいわゆる公約みたいな受け取り方をされるおそれがある。だから、余り出っ張った物の言い方をすると非常に後で引っ込みがつかなくなる、そういうおそれがあるのではないかという危惧をするわけなんですが、今回のこの三宅島の問題なんかにしてもそういう点の心配はございませんか。  また、新聞では、艦載機の夜間離着陸訓練、NLPについては三宅島を候補地としているが難航している、政府全体として最大限の取り組みをしていると、こういうふうなことが報道されている。最大限の取り組みをしているということは一体どういうことなんですか。  二点お答え願いたい。
  202. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 最近は通信とか、マスメディアの発達によりまして、私たちが国会防衛問題について発言いたしておりますことは、全部アメリカに報道されるか、ないしはその議事録はアメリカの方でも注意深く読んでいるわけでございまして、私たちが国会で例えば三宅島にお願いできたらと思っておりますということは、そう発言したことはアメリカ側も十分すぐ承知するわけでございます。したがいまして、私たち今回同じような発言をアメリカでやってきたからといって、それが新たなアメリカに対してのニュースであったり、発言であったりすること、新たな公約であったりすることはないと思っております。  次に、最大限の努力でございますが、これはまさに最大限の努力でございまして、具体的に言いますと、私が防衛庁長官として具体的な懸案処理の問題として割いている時間、使っているエネルギーという面からいいますと、このNLPの問題は最大のものであろうと思っております。一番時間と労力を使い、そして政府、ほかの関係の方々にもいろいろ御助力を願って進めている問題解決の一つといいますか、一番大きなものだということでございます。
  203. 原田立

    ○原田立君 超地平線レーダー、OTHレーダーのことでありますが、先ほど能力的なものをお聞きしましたが、それをなぜ置くのか、主目的は何なのか、また我が国防衛構想の上からいって不必要なんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
  204. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) OTHレーダーは、先ほど来御説明申し上げておりますように、非常に遠方にあります航空機、艦船等の目標を探知する能力があるわけでございます。  他方、私ども防衛力整備と申しますのは、専守防衛という基本的な原則に従ってなされているわけでございますので、ともかくできる限り遠く遠方からその端緒の情報を把握するということができれば、専守防衛の趣旨に従った対応行動もより効率的に実施し得ると、こういう基本的な考え方になってくるわけでございます。  そこで、具体的な問題として考えますと、例えば洋上防空の問題にいたしましても、本土防空の問題にいたしましても、そういった早期の端緒情報の把握ということにこれが使えるのではないか、そういう見方をしておるわけでございます。特に洋上防空の問題についていいますと、シーレーン防衛の問題は我が国の海上交通の安全の確保にとって非常に大きな問題でございます。その際の機能として対潜水艦作戦、水上作戦に加えまして、空からの脅威に対する洋上防空の問題は非常に大きな問題でございます。特に近年は空からの脅威が増大してくる趨勢にございますので、その洋上防空体制を整備していくに当たりまして、どういった方法がいいかということが五九中業におきましても大きな課題の一つでございます。その意味におきまして、このOTHレーダーというものを、この洋上防空体制の一環としてこれを位置づけることができないかどうかということを現在検討しておるということでございます。
  205. 原田立

    ○原田立君 長官、あなたは、十日のワインバーガー国防長官、十一日のシュルツ国務長官会談終了後、記者会見で、防衛力整備は日米両国がお互いに圧力をかけず自主的に考える、それから経済問題を防衛に絡ませない、それからシビリアンコントロールをしっかりさせるの三点についてアメリカと確認できたことは意義があったと強調したということが新聞報道でありますが、その考えは今でも変わりありませんか。
  206. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 変わりありません。
  207. 原田立

    ○原田立君 六月十一日、上院本会議において対日防衛要求決議案が八十八対七の圧倒的大差で可決したのはもう御承知のとおりでありますが、長官はこの決議がなされた後の見解を発表なさって おられます。従来アメリカ議会に我が国の一層の防衛努力に強い期待があったことは承知している、今回の議決はこのような気持ちと関心の表明だ、こういうふうなことを言われたというふうに報道されているんでありますが、その決議の内容を見ますと、先ほども話がありましたけれども、そう簡単に割り切れるものではない。日本国内に対する干渉がましいことをたくさん言っていますね。そうとはおとりになれないですか。藤波長官は、親しい間柄だから本音がちょろっと出たんだろうというふうなことも言っていましたよ、これも新聞報道で見ました。そんな簡単な受け取り方でいいんでしょうか。いかがですか。
  208. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) アメリカ国内で我が国防衛力整備につきまして、またその他の防衛政策につきましていろいろ関心があることは当然だろうと思っております。それは、有事になりましたら我が国に支援することを、我が国に支援のために来ることを約束している国の国民ないしその国会としてはごく自然の成り行きであろう、こう思っております。そして、議会の中に我が国に対してより強い防衛力の整備を要求すべきであるという声があることも私たち従来から重々承知いたしておりまして、またその議会の中の一部に日本には強い調子で要求すべきだという意見があることも私たち承知いたしておりました。だからこそ私たちは、アメリカ国防総省、行政府との話し合いの場において、そういった面からも防衛と貿易問題は分けて考えていただきたい、そのために努力を願いたい、また努力をしていただいていることに感謝する、特に議会との関係ではそれはなかなか難しいだろうけれども、私たちが知らないいろんな御苦労なさって分けることを維持されてくださっていると思うけれども、それに感謝するとともに、今後ともその方向をとり続けていただきたい、こう申したわけでございます。私たちとしては、ワインバーガーさんとの会談の際にそういったポイントを指摘しておいたことは、その決議を見た後でも感じたんですが、正しかったのではないかなと、私たちが思っていたとおり、やはり議会の中にはいろんな議論があるんだなというふうに思った次第でございます。  そういう意味で私たちは、アメリカの議会の動き等も十分に見きわめつつ念頭には置いておきますけれども、しかし私たちの政策は私たちの防衛政策に従って自主的に決定していくだけの毅然とした態度で対処してまいりたいと思います。
  209. 原田立

    ○原田立君 もう時間ですからこれで終わりにしたいと思うんでありますが、日本防衛庁長官が行って、そして向こうの国防長官あるいは国務長官ともいろいろ話しているときに、幾ら議会と政府は違うんだとはいっても、話し合いをしている最中にほっぺたをぶん殴るようなそういうふうなことは、我々としてみればまさに非礼な行為ではないか、こう実は思うんです。長官ももとは外交官出身であったからこのことはよく御承知だろうと思うんでありますが、その国を公式訪問しその国の大臣と協議会談をしているときに、符節を合わせるように当該国家に対して今回のような要求決議を行うといった事件は各国間にあるものなのかどうか、恐らくないんじゃないかと思うんですがね。それからまたそれに対する所見をお伺いしたい。  それから安倍外務大臣は、十九日の衆議院外務委員会で、米議会には日本政策についての誤解や理解不足があり、時々粗っぽい議論をするが、今回の決議についてもそんなことを言われる必要はない、決議の中身はまさに要らざる問題提起だ、防衛問題は日本が自主的に決めるもので他から拘束をされる立場ではない云々というようなことを言われているんです。御意見いかがですか。
  210. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 先ほども御質問に対して申しましたけれども、私たちは防衛面におきます日米の話し合いは、お互いに強い要求をしたりするような形ではなく、お互いの努力を静かに見守るということがより建設的な効果をもたらすものだと思います。したがいまして、その後ある場面でアメリカの人から感想を聞かれたときも申したんですけれども、あのような決議のやり方が日米防衛関係のために建設的な効果をもたらすものではないと申しましたし、私は今でもそう思っております。
  211. 原田立

    ○原田立君 終わります。
  212. 内藤功

    内藤功君 まず防衛庁に確認のために聞いておきますが、日本周辺海域というのはどこからどこまで何海里をいうんですか。
  213. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私どもがそれに類似した言葉で使っておりますのは、我が国防衛力整備に当たりまして海上交通の安全を確保するためのいわゆるシーレーン防衛を考える場合に、どういう範囲で考えるかという意味で従来から申し上げていることがございますが、それは周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域における海上交通の安全を確保することを目標として海上防衛力の整備を行っている、こういうことで申し上げているわけであります。
  214. 内藤功

    内藤功君 次に、周辺空域というのはどこからどこまで何海里ぐらいですか。
  215. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 周辺空域という言葉自体で明確に定義をすることはなかなか難しいかと思いますが、要するに現航空自衛隊のオペレーションでいいますと、航空自衛隊の持っております戦闘機の能力によりましておのずからその行動の範囲が限定されてくるということになるのではないかと思います。
  216. 内藤功

    内藤功君 周辺空域の定義はあるんですか。
  217. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 周辺海空域という言葉でたしか五十六年の首脳会談のときに使われたことがあるかと思いますけれども、その場合の表現としては、一般的な表現としてこれを使っておるというふうに当時からお答えをしている経緯がございます。
  218. 内藤功

    内藤功君 周辺空域の定義はどうなんですか。
  219. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) まさに日本の周辺の空域ということではないかと思います。
  220. 内藤功

    内藤功君 その周辺空域というのは何海里という規定はあるんですか、ないんですか。
  221. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私がただいま申し上げましたことのほかで使われている言葉として言うならば自衛隊の行動の地理的範囲というようなことで議論をされる場合があるわけでございます。それは自衛権の行使というのは、これは領土、領空、領海に限定されるものではなくて、それは公海及びその上空にも及び得るものであるということでございます。しかしながら、必要最小限の自衛力の行使という限界の範囲に当然とどまるべきであると、そういうことを過去の統一見解で申し上げている経緯がございます。
  222. 内藤功

    内藤功君 その統一見解はいつの統一見解、だれが言ったやつですか。
  223. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) これは五十六年四月十七日の衆議院楢崎弥之助議員質問主意書に対する答弁書でございまして、  我が国が自衛権の行使として我が国防衛するため必要最小限度の実力を行使することのできる地理的範囲は、必ずしも我が国の領土、領海、領空に限られるものではないことについては、政府が従来から一貫して明らかにしているところであるが、それが具体的にどこまで及ぶかは個々の状況に応じて異なるので一概にはいえない。 と、こういうふうに申しているのがございます。
  224. 内藤功

    内藤功君 もう少し周辺空域に密着した防衛庁長官の見解はなかったんですか、今までないんですか。
  225. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいま手元にそういった過去の議事録をすべて持っておるわけではございませんので、具体的に明確にお答えはちょっといたしかねますけれども、恐らくは我が国の本土の防空のために必要な防空活動は考えるというふうな脈絡で申し上げたことがあるのではないかというようなことでございます。  具体的にいつどのように答えていたかということをもし御必要でありますれば、後ほど詳細に議事録を点検いたしましてお知らせいたしたいと思います。
  226. 内藤功

    内藤功君 しっかりしてくださいよ。昭和五十六年五月十五日、衆議院本会議で大村防衛庁長官が答弁しております、周辺空域について。あなたの言ったのよりもっと正確に答えております。  お尋ねの周辺空域とは、本来、航空自衛隊が航空侵攻等に対処するために必要な範囲を一般的に指すものであります。すなわち、サイトレーダーの探知距離、要撃戦闘機の行動半径などによりおのずから制約されるものではありますが、一定の空域を具体的に特定して考えておるわけではございません この見解は今も同じですか。
  227. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいま先生が御引用になりました部分は、私がただいま申し上げたことと内容的には特に大きな違いはないのではないかなというふうに感じます。
  228. 内藤功

    内藤功君 内容的に違いなくても答弁は大分違っています。この方がよりわかりやすいですね。これを答えてもらえば私は余り時間を食わなかったんですよ。  それで、私の方から聞きますが、そうしますと、レーダーの探知距離と要撃戦闘機の行動半径、これによって周辺空域は決まるという見解でよろしいですね。
  229. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私が先ほども申し上げましたように、我が国の自衛権の行使の態様の問題がまず基本の前提にあるわけでございます。それは我が国の領土、領空に限らず、公海及びその上空にも及び得るというのが基本的な枠組みであると思います。  ただ、実際に防衛活動を行う場合の具体的な範囲というのがどの程度になるであろうか、そういうことについて考えてみますと、    〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕まさに要撃機が活動いたしますのは、地上のレーダーとの関連での運用が中心になりますので、そこで申されておりますように、レーダーサイトの覆域であるとか、あるいは戦闘機自体の行動半径の能力とか、そういったようなものからおのずから制約がされてくるということでございまして、ただいま委員が引用されました答弁もそういった趣旨のことを申し上げているものと理解をいたしております。
  230. 内藤功

    内藤功君 OTHについて聞きたいんですが、洋上防空の範囲、これはどこからどこまでですか。
  231. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 洋上防空と申しておりますのは、既に何回もお答え申し上げておりますように、シーレーン防衛の一環として考えているわけでございます。  シーレーン防衛と申しますのは、これは防衛力整備上の目標として申し上げておるわけでございますが、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね約一千海里程度の海域における海上交通の安全を確保するということを目標として防衛力整備を行っているわけでございます。  その場合の防衛力の整備すべき防衛能力内容の問題でございますが、それには各種の作戦に応じた能力が必要になるわけで、例えば対潜水艦作戦あるいは水上作戦、それに加えて洋上防空の作戦、こういうふうなものが組み合わさってくることになるわけでございます。その際の洋上防空を考える場合に、これは目的はあくまでもただいま申し上げましたようなシーレーン防衛に寄与するということを前提として考えておるわけでございます。    〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕  したがって、OTHレーダーというものを考える場合にも、そういったただいま申し上げましたようなシーレーン防衛の基本的な枠組みに有効な情報を早期に入手するということが基本的な目的になるわけであります。
  232. 内藤功

    内藤功君 防衛庁長官御自身にお伺いいたしますが、どうして四千キロ先が見えるのかという原理を長官なりにどんなふうに理解していらっしゃいますか。
  233. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私は文科出身でございまして、その辺がよくわからないのでございますけれども、電離層に短波を反射さして、電離層の反射原理を利用すると比較的遠くまで見えるというふうに聞いております。
  234. 内藤功

    内藤功君 これは局長で結構ですが、敵味方の識別はできるんですか。
  235. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) このOTHレーダーの性能の詳細につきましては、先ほど来申し上げておりますように、これからアメリカ側のいろいろな資料提供等も受けまして詰めていきたいというふうに考えておるわけでございまして、その能力の細部、ただいま委員指摘のような識別機能がどの程度あるかということについて今ここで明確に申し上げ得る状況ではございませんが、いずれにいたしましても、そのときの有事における問題でございますから、有事におきます彼我の勢力の動向というものについては、ほかのいろいろな諸要素と組み合わせて総合判断をしていくことになるのではないだろうかというふうに思っております。
  236. 内藤功

    内藤功君 敵か味方かわからないかもしれないという段階での日米協議だったわけですね。  次に、このOTHレーダーは東西ですか、南北ですか。素人っぽい質問ですけれども、東西南北何でも見えるんですか。
  237. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) その意味がちょっとよくわかりかねますが、要するに五百海里から千八百海里ぐらいの範囲におきます航空機、艦船等の目標の動きが把握可能であるというシステムであると理解いたしております。
  238. 内藤功

    内藤功君 飛行物体のみならず艦船も見えるんですか。
  239. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 私どもが承知している限りでは航空機に限られるわけではない、艦船についても目標を把握する能力があるというふうに聞いております。
  240. 内藤功

    内藤功君 艦船は問題にならないはずですから、よくお調べいただきたいんですね。  飛行物体といいますとどういうものですか。
  241. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいまの点をちょっと補足しますと、アメリカが現在本土防空のために配備しつつあります系統のものと、それから海軍が現在開発中の再配置可能のものと、両方あるわけでございまして、それぞれの用途によってその目標の把握についてもいろいろと多少の差があるのではないかと、こう思います。  それから飛行物体と申しますのは、中心は航空機であろうというふうに考えております。
  242. 内藤功

    内藤功君 般空機にもヘリコプターから長距離重爆撃機までありますが、主としてどういうものを対象としておりますか。
  243. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) そこのところはいろいろな機種が目標としてはあり得る話ではないかと思います。
  244. 内藤功

    内藤功君 四千キロ先のヘリコプターまで見るわけはないんで、これは長距離を飛び得る戦略爆撃機、それから長距離を飛び得る巡航ミサイル、これを対象に本来開発されたものじゃないんですか。四千キロですからね。
  245. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) これはアメリカの方で開発されているもの、現在米本土で既に配備を始めておるわけてありますが、アメリカが本土防空用に開発しているというわけでありますから、それは米本土に対する爆撃機等の接近状況を把握することがそれによって可能になるということはもちろんあるはずでございます。しかしながら、そういった遠方の目標を発見し得るという能力そのものの問題がポイントてありますから、そういう遠距離の目標を発見し得る能力という面から言えば、発見し得る対象の機種というのは爆撃機だけに限られるということでは理論上あり得ないわけであります。
  246. 内藤功

    内藤功君 八五年の国防報告、アメリカの国防報告ですね、この中に位置づけられていますね。ソ連の新型戦略爆撃機と長距離巡航ミサイルに対する戦略防衛戦力としてこれは位置づけられている。これはお認めになりますね、アメリカの国防報告
  247. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) アメリカがどういう目的でこういった性能のOTHレーダーを利用しよ うとしているかということについてのアメリカ側の評価は、アメリカが国防白書に述べているところであろうと思います。私どもが直接想像すべき分野ではないと思います。
  248. 内藤功

    内藤功君 まさに同じ名前のものを今入れてこようとしているわけですが、このOTHをもし、仮定の仮定の話ですけれども防衛庁が御採用になりまして、硫黄島なら硫黄島に設置をなさるという場合には、さっきの観点でいきますと、レーダーの覆域は俄然広がりますから、周辺空域も広がってきますね。
  249. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) そこは、何といいますか、分けてお考えいただきたいわけでありますが、私どもが海上交通安全確保のための防衛活動をする、そのための防衛力整備を今やっておるわけでありますが、その目標というのは周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね約一千海里程度の海域における海上交通の安全の確保を目標とするということは一貫して変わっていないわけでありまして、それをやるためには端緒情報がより早く、より遠くで見つかった方がより効率的にやれるというその手段でございます。したがって、そういう手段が出てきたからといって、私どもが考えております海上交通安全確保のための防衛力整備の目標が変わるというような性格のものでは全くないわけであります。
  250. 内藤功

    内藤功君 そこで、そういうことになると思ったんで最初に聞いたんですが、周辺空域というのはサイトレーダーの探知距離と要撃戦闘機の行動範囲で決まっていくと。そうなりますと、技術の発展によってレーダーの探知距離が広がれば周辺空域の方は変わってくるということになりませんか。空域ですよ、誤解しないで。
  251. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) これはもう当初から申し上げておりますように、OTHレーダーの性能というのはごく遠方の目標を端緒として把握ができるという性能を持っているわけでございまして、それは先生御指摘の、現在、我が航空自衛隊が持っておりますいわゆるレーダーサイトのレーダー、これとは機能が本質的に違っているわけでございます。要撃管制能力を持っているのが現在の二十八カ所のレーダーサイトでございますけれども、ただいま委員指摘のOTHレーダーというものはそういった要撃管制能力を持っているようなものではないわけでございます。その点は分けてお考えをいただきたいと思います。
  252. 内藤功

    内藤功君 今の話でますますこれは日本の本土防空には必要性がないという疑いを深くしたわけなんですね。  そこで、次にお伺いしたいのでありますが、このOTHに関連して、周辺海域、周辺空域での洋上防空日本の安全のために必要だと、そこまでの御説明が今までの各委員の質問に対して出てきたわけですが、かねがね聞いてみたいと思ったんですけれども、周辺海域あるいは周辺空域、あるいは一千海里の航路帯及びその上空という範囲で、重点からいきますと、第一、第二というふうにして、どういう順位で守るのか、何を守るのか、重点ですね、これを改めてお聞きしたいと思うんです。
  253. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) このシーレーン防衛と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、海上交通の安全の確保を図るということが目的でございます。有事におきまして国民の生存を維持し、継戦能力を確保するという意味からは、この海上交通を確保することが非常に重要でございます。しからば、そういう目標を達成するためのオペレーションの問題としてどういうことを考えるかといいますと、これはいろんな作戦を組み合わせてやるわけでございまして、哨戒、護衛あるいは海峡、港湾の防備等、各種の作戦を組み合わせてやっていくわけで、その総合的な累積効果によりまして海上交通の安全の確保という目標を達成するわけでございます。したがって、いろいろなオペレーションがそこの中に含まれるわけでございまして、その総合効果をねらうわけでございますから、どれが第一、どれが第二というようなことは一概には割り切れる性質のものではないと思います。
  254. 内藤功

    内藤功君 じゃ、こういうふうに聞きましょう。大きく分けていわゆる海上軍事力といいますか、水上艦隊あるいは空母を中心とする機動部隊あるいは核ミサイルの原子力潜水艦、こういうものに重点を置くのか、それとも一般の貨客船といいますか、あるいは漁船も入るかもしれませんが、そういう民間の船、軍事用でない船、こういうのを守るのを主とするのか。そこの点はどうなんてすか。
  255. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 海上交通の安全確保というのは、先ほども申し上げましたように、有事におきまして国民の生存を維持し、あるいは継戦能力を確保するということが非常に重要であるということから考えておるわけでございますから、そういった作戦の対象となる、つまり保護の対象となるものとしては、日本にとって必要な物資を運搬している民間の船舶もあるでありましょうし、あるいはそれを護衛するために船団を組んでいる場合の船団護衛の海上部隊もあるでありましょうし、また対潜水艦作戦を実施しているときのその作戦部隊そのものの場合もあるでありましょうし、これはいろいろな形態があり得るわけでありまして、千差万別ではないかと思います。
  256. 内藤功

    内藤功君 そうすると、むしろ一定のある海面、海域というものの中に入ってきているものは、特にこれが大事、これが守るべきものというふうに区別しないで、その海域の中で随時そのときの必要に応じてということになりますか。そうすると海域、海面ですな、重点は。
  257. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この点は、もう累次申し上げておりますように、私どもが海上交通の安全を確保するために行っております防衛力整備の目標は、我が国周辺数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね約一千海里程度の海域における海上交通の安全を確保するということが目標でございまして、この枠組みは一貫して変わっていないわけでございます。委員指摘のような一千海里をコンパスで引いたように面全体を対象にして考えているというようなものではないわけであります。
  258. 内藤功

    内藤功君 次に、いわゆるAEGIS艦といわれる艦船の保有が一部に報道されております。その前に、今海上自衛隊が八・八艦隊というものを整備するということで一部実現しておるようですが、これはどういうふうに目標としては立てているのか、運用はどのようにされるのか、こういう点を伺いたいと思います。
  259. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 海上防衛力の整備の目標としては、委員も御承知のように、防衛計画の大綱の中で四個護衛隊群を整備することを目標にしているわけでございますが、その一個護衛隊群の内容をどういうふうに考えるかという問題を御指摘になっているものと思います。これは船の数で言いますと、八隻を今考えておるわけでありまして、八隻の中身を申し上げますと、いわゆるDDHが一隻であります。これはヘリコプターを三機そこに積んでおるわけでございます。それからDDG二隻、これは少し射程の長い対空ミサイルを積んでおるわけで、これは防空能力のやや高い船でございますが、これが二隻。それから対潜水艦作戦を主として考えておりますDDが五隻、この計八隻でございます。このDD五隻にはヘリコプターが一機ずつ積まれておるわけであります。  したがって、船の隻数で言いますと、計八隻になりますし、それから艦載のヘリコプターの数がDDHに載る三機とDD五隻の各一機分、これを足しますと八機になるわけでござまして、これで八と八でございますので巷間それを八・八艦隊と呼んでおられる方がおるということは私どもも承知しておりますが、私ども防衛庁が八・八艦隊というふうに呼んでいるということでは全くございません。  そして、第二のどういう運用をするのかということにつきましては、これはそれぞれの船の特性を利用いたしまして、特にヘリコプターによって船の現在位置からある程度離れたところにそれが進出して哨戒をし、あるいは場合によっては潜水 艦の探知もするというふうな機能を持っておるわけでございまして、総合的な対潜水艦作戦能力を持った一つの単位として、この護衛隊群が今編成されつつあるというふうに御理解をいただければよいかと思います。
  260. 内藤功

    内藤功君 先ほど私が述べましたいわゆるAEGIS艦、この主な性能をどういうふうに認識しておられるか。特にアメリカ海軍ではこれは空母の直衛艦としての任務を持って行動している、こういうふうに私は理解をしておりますが、この点について伺いたい。
  261. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) このAEGIS艇と申しますのは、いわゆる水上艦艇の中でも対空防御兵器としての対空ミサイル能力が極めて高い船というふうに御理解をいただければよろしいかと思います。そういった対空防御能力を持った船といたしましては、我が海上自衛隊の場合でいいますと、ただいま申し上げました中にありましたDDGというのがその一つでございまして、これもターターという射程のやや長い対空ミサイルを持ってそういったエリア防空の機能をそれに持たせて運用する構想が従来からあるわけでございます。  先生御指摘のAEGIS艦はそのDDGに比べますと対空能力が極めて高いというのが特徴でございます。ミサイル対処能力がAEGIS艦の場合は非常に高いというふうには聞いております。これはアメリカでは既に実際に建造し、配備を始めておるという状況にあるようでございます。
  262. 内藤功

    内藤功君 一方でいわゆる八・八艦隊というものを対潜作戦を中心に整備しておる。それから一方アメリカ海軍では対空母護衛用に使っておるAEGIS艦を導入しようという声がある。これは予算上も憲法上も大きな問題がありますからそう簡単にこれは入るものじゃないと思うけれども、そういう一方で、八・八艦隊の整備をやっておきながら、一方でこのAEGIS艦の導入を図るという動きがあるんですか。またこれは防衛庁としてはどういうお考えなんですか。
  263. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) このAEGIS艦の能力につきましてはただいま申し上げたとおりでありまして、要するに空からのミサイル攻撃に対応する防御能力が非常に高いというところが特徴であると理解いたしております。そのアメリカの運用構想が具体的にどうであるかということを正確にはもちろん私どもとして申し上げ得る立場にはございませんが、アメリカ海軍の運用の一つの形として先生が御指摘になった空母の護衛にそれを活用するということがあり得ることはそういうことではないかなとは思います。ただ、ほかにも活用の仕方があるのかどうか、それは私は詳細には承知しておりません。  他方、我が国の海上交通安全の対策を考える場合に、先ほど申し上げましたような洋上防空の問題というのがございます。このAEGIS艦の問題と申しますのは、この洋上防空体制を充実させるための一つの手段になり得るか否かという意味での問題でございます。この洋上防空体制を考える場合には、最近の航空技術の進歩に伴いまして遠距離からミサイルを発射する能力と航空機からミサイルを発射する能力というものが発達してきているというのが最近の科学技術の趨勢でございます。  したがいまして、私ども洋上防空体制を考える場合には、まず発射の母機対策というものを含めて全体の対策を考えていく必要があるだろうというふうに考えております。そういう意味で、先ほど来申し上げておりますような、OTHレーダーというのはその母機を遠くから発見するというために有効なのではないかということで関心を持っているわけであります。もし、そういうことで端緒が早く見つかりますと、次にはいわゆる早期警戒機でもってさらに近間に来る状況をそこでまた探知する。もしそこで探知ができれば要撃戦闘機をできるだけ速やかに発動、発進させることも可能になる。そういうことによって母機に対する対処をすることがかなり従来に比べて効果的に実施できるのではないだろうかというような考え方で体系的に考えようとしているわけでございます。  そして、そういう母機対策に次いで、万一母機からミサイルが発射されてくるということになった場合に、そのミサイルに対処するために艦艇からミサイルを迎え撃って落とすための対空兵器というものにどういうものを選ぶのがいいのであろうか、そういうことを考えているわけであります。その場合に、現在のDDGでいいのか、それを多少レベルアップするのがいいのか、さらにはAEGIS艦というような極めて性能の高い艦艇を護衛艦に導入するのがいいのか、こういう一つの選択の問題があるわけであります。  ただ、このAEGIS艦と申しますのは、現在の船よりもいずれにしても大型になりかつ高価なものになるという問題が別途あるわけでございます。したがいまして、洋上防空体系の中の全体としての検討の一貫としてその採用についての可否を検討しなければならないというのが現時点での私どもの判断でございます。したがいまして、現在のところはこれを切り離して採用を決めるというふうな状況ではございません。いずれにしても、これは継続してその可否を検討すべき問題であろうというふうに考えておるわけであります。
  264. 内藤功

    内藤功君 いずれにしても、大変なむだ遣いだし、洋上防衛とか洋上防空ということはもうやろうと思ったらおてんとうさまが見えないぐらい飛行機を飛ばさなきゃならなくなります、極端に言えば。そういうことが私は許されるかどうか大変な大きな問題だと思います。  そこで最後に、防衛庁への最後の質問として、教育局長に伺いたいんですが、日米統合指揮所演習、今年秋に予想されておりますが、この内容について伺いたいと思います。その一問に絞って、後、官房長官が見えておりますので次に官房長官に聞きたいと思います。
  265. 大高時男

    政府委員(大高時男君) 現在、予定しております日米共同指揮所演習でございますが、現在今年の秋以降ということを目標にいたしまして各種の詰めを行っておる段階でございます。  現在決まっております概要を申し上げますと、参加部隊といたしましては、日本側では統幕事務局、それから各幕、それから米側の方は在日米軍司令部、それから在日の米各軍司令部等。それから実施の場所につきましては、統幕、各幕につきましては檜町、それから米側でございますが、在日米軍司令部あるいは在日の米各軍司令部等がございますが、これはそれぞれの司令部所在地でやる。統裁官につきましては、日本側は統幕議長、米側については在日米軍司令官、こんなところで現在考えておりまして、日米双方それぞれ三自衛隊及び米側については三軍種ございますが、これについて指揮官、幕僚が見積もりあるいは計画の作成、命令の起案、こういったものを行いまして、この過程を通じて日米が共同で我が国防衛する場合の調整要領、これの演練を行うというふうに考えてございます。
  266. 内藤功

    内藤功君 最後に、官房長官お見えになっておりますので、二点お伺いをしたいと思いますが時間が短くて大変恐縮です。  一つは、六月十七日に、行革審分科会より報告が出されました。私これを読みまして、特に「報道・広報対策」というところにおきまして、情報の秘匿、報道機関との調整や広報対策について政府の方針の統一を図っておく必要がある、これは八ページ。戦時中は軍や政府が報道統制をしました。そういうものの復活につながるのじゃないかという憂いを禁じ得ない。特に、今情報公開が叫ばれている時代の流れにも逆行するんじゃないか。国民の知る権利や報道関係の取材の権利というものにも非常に障害になって、官庁の組織が壁をつくるということは甚だよくないんじゃないかと思うんです。まだ報告段階ですけれども、こういう知る権利、マスコミの取材の自由というものについてどう考えられるかという点が一点です。  もう一つは、時間の関係で別の問題で聞きたいと思ったんですが、それは今問題になっている悪徳商法、特に豊田商事の問題は先日テレビの画面 で非常な惨劇が全国民の目に入っている、こういう事態になっています。私は、先日長官にも内閣全体としての対策を急ぐように申し上げたわけですが、この時点においてどういうような対策をさらに講ぜられるおつもりか。  以上二点をあわせてお伺いしたいと思います。
  267. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 臨時行政改革推進審議会でいろいろな御討議をいただいておりまして、その中の内閣機能に関する分科会につきましては、分科会としての意見をおまとめになりまして審議会に提出をされたと、こういうことを聞いておるところでございます。  その中に、情報に関するいろいろな今御指摘のような御意見も含まれておるわけでございますけれども、これからまだ審議会でいろいろ御意見が述べられて審議会としての答申づくりへ進んでいく段階でございますので、今の段階で私から意見を申し上げることは差し控えたいと思います。  ただ、今先生がお話しになりましたように、今度の内閣機能強化する、あるいはさらに仕事の効率性を高めるといったようなことを中心としたいろいろな御討議の中でいろいろな問題が出ておるわけでございますけれども、今日は御存じのようにいろいろな情報が随分、むしろ過密に流れる時代でございますし、そういうものをどういうふうに集約したり、あるいは判断をしたり、あるいはその情報をもとにしてどのように適切に手を打っていくかというようなことというのは非常に大事な仕事になってきている。そういうところにお考えの主眼があるのであって、内閣機能強化するということによって情報を公開していくようなところが逆に閉鎖的になったりというようなことをねらうものではないだろうというふうに感想としては思っておりますけれども政府はそのことを従来も非常に大事に考えてまいりましたので、特にこれから、今お話しのように情報を少し閉鎖的に取り込んだり、あるいは情報中心にいたしまして、今御指摘のような暗い時代のような方向に向かって動いていくのではないかというようなことについては、これは決してそういうことをねらいとしておるものではないだろうというふうに考える次第でございます。  いずれにいたしましても、答申が出ましたならば、それを受けて政府としての考え方を検討していくようにいたしたい、こう思っておる次第でございます。  また、第二点で御質問のございました豊田商事会長刺殺事件につきましては、御指摘のように、まさにカメラが構えているところで白昼堂々とああいった殺人事件が起きているということを非常に遺憾に思っておるところでございます。またその事件が非常に大勢の方に迷惑をかけているといった事態、今回の事件の一連の背景になっておるものなども、御指摘のように私どももその社会的影響を非常に心配しておるところでございます。  先般、お答えをいたしましたように、政府といたしましては、関係省庁でよく連絡をとり合いまして、特に消費者保護という立場からいろいろな適切な指導に当たるといったようなことを中心にいたしまして、またこの問題を法律上どういうふうにして適用して調査するかというようなことについても、大勢の方々に随分迷惑をかけておる社会的な事件でありますので、慎重を要しはいたしますけれども、前向きに検討していくようにしなきゃいかぬという立場から、関係省庁でいろいろ検討を進めてきておるところでございます。その作業をなお今続行いたしておるところでございまして、こういうふうに考えてこういうふうに手を打ってまいりますというところまで至っておりませんけれども、よく実情を調査いたしましたり、それへの対応の検討を急ぐようにしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  268. 柄谷道一

    柄谷道一君 まず、日米防衛首脳会談と後方支援態勢の強化の問題についてお伺いをいたします。  長官は、もう既に多くの質問が出ておりますが、首脳会談において、五九中業ではOTHレーダー、早期警戒機、要撃機、艦艇の新対空システムの導入など、洋上防空強化するという方針を表明されたようでございますが、これに対してアメリカ側がどのような見解を示したのかお伺いいたします。
  269. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 私たちは、今後重要性を増します洋上防空につきまして、その情報収集の態勢、早期警戒の態勢等の総合的な検討の中で、OTHレーダーというものが有用なのではないかなと思うものであるので、それについては、このレーダーについての技術的なデータを提供していただけないかということを申しまして、先方からその努力する旨の言明を得たわけでございます。
  270. 柄谷道一

    柄谷道一君 我が国政府が一貫して仮想敵国は置かない、ただソ連が潜在的脅威であるということはしばしば今日まで言われてきたところでございます。となりますと、このOTHレーダーは、やはり潜在的脅威に対応して配置するということに配置する場合はなろうと思うんでございますが、具体的にどの地域、どのような情報を得るためにこれを導入しようとお考えになっているのかお伺いします。
  271. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) このOTHレーダーは、非常に遠方の航空機、艦船等の目標を探知するという機能を持っているものでございます。そういう意味で、私どもは本土防空なり洋上防空を考える場合に、できるだけ遠くで端緒を把握することができれば、専守防衛体制をとっておる我が国にとって非常に有益であるという観点から、これについて関心を持ち検討しているわけでございます。そういう意味で申しますと、特に洋上防空の場合でありますと、経空脅威、空からの脅威を遠方から探知するということが主たる目的になるというふうな考え方を持ってこの検討をしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  272. 柄谷道一

    柄谷道一君 このレーダーをどういう目的で入れたいという気持ちで検討しておるか、技術の供与を要請したかということは、もうたびたびの質問でわかっているわけですね。しかし具体的に言いますと、潜在的脅威というものに対処するためにいち早く遠方の情報をキャッチしようということだろうと思うんですね。となりますと、どの地域にそのレーダーの基地を置いてその機能を期待しようとしておるのか、これを伺っているわけです。
  273. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) これはまさに現在その洋上防空体系全体の検討ということをしようという段階でございまして、その全体についての検討が進んでいった後にそのOTHレーダーについての使い方も決まってくるということでございまして、現在、今の時点でどこにこのものを設置するかということの結論を出している状況ではまだございません。
  274. 柄谷道一

    柄谷道一君 空陸の自衛隊の配置にしても、北海道を中心ということは、潜在的脅威というものを念頭に置いての部隊配置が行われているわけですね。ということになると、今非常に慎重なお答えをされておりますけれども、潜在的脅威があるから早く情報をキャッチして専守防衛機能強化したいということなんてしょう。といいますと、具体的にはその潜在的脅威というものを対象にしてこのレーダー網というものをつくっていくんだということだけは言えるんじゃないですか。何の目的もなくてただ研究しようということだけですか。
  275. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 繰り返し申し上げておりますように、洋上防空なり本土防空なりに有効であろうということでございます。特に洋上防空で考えますと、先ほど来るる申し上げておりますように、空からの脅威、かなり遠方から航空機がミサイルを発射してスタンドオフ攻撃をなし得る能力が近年特に進歩してきているという状況にかんがみまして、私どもがシーレーン防衛能力を考える場合には、どうしてもその洋上防空というものを従来より一層重視しなけきゃいけないということで、このOTHレーダーを検討の対象にしているわけでございますので、その目的ということ でお尋ねがあったわけでありますが、それは遠方の航空機を洋上でより早くキャッチする、シーレーン防衛の一環としてそういった航空攻撃の端緒をより遠方の上空で把握するということが主たる目標だというふうに御理解をいただきたいと思います。
  276. 柄谷道一

    柄谷道一君 これ以上の押し問答はやめたいと思いますけれども、GNP一%という今日までの政府の方針もあれば、こういう洋上防空体制強化しようと思えば当然多額の費用をまた必要とする、その費用は国民の負担によるところでございますから、いろいろな点を配慮されて今のような答弁をされていると思うんですけれども、その目的と、これを導入することによって我が国の安全保障がいかにその機能を高めるかということの国民の合意がなければならないと、こう思うんです。アメリカ向きに言っているんではなくて、むしろこれを導入する是非は、これから国会で大いに議論されると思いますけれども、しかし主権者たる国民がこれをどう理解するかという視点に立つと、余りいつまでも一般論だけでは過ごせなくなるんではないか、きょうはそれだけの指摘だけいたしておきます。  ところで、これを導入するということになった場合、陸海空のどこがこれを運用することになるわけでございますか。
  277. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) この点はこれからOTHレーダーを仮に導入するとした場合には決めていかなきゃいけない問題であろうと思っております。ただ、その運用の形態、その技術的なバックアップの能力の問題、いろいろと詰めなきゃいけない問題が多いように思いますので、これからそういった諸要素を総合勘案しまして、その辺はこの導入の可否の問題とあわせて検討していきたいというふうに思っております。
  278. 柄谷道一

    柄谷道一君 これもまあ検討ということでございますから、これ以上の答弁は無理だと思いますけれども、それぞれが縄張り意識で、やれ陸だやれ空だ、こういうことでは一元的運用もできませんし、せっかくの機能が阻害されることもあり得ると思うわけでございます。技術的な検討とあわせてこの運用をいかに効率的、効果的にするかという点についても、これはもう当然防衛庁はお考えだとは思いますけれども、十分のその面における検討もお願い、要請をしておきたい、こう思いますが、長官いかがでしょうか。
  279. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 先生の御指摘の点は私どもも十分心得ながらやっていかなきゃいけない問題であろうと思います。一般的な問題といたしましても、一つの陸海空それぞれの持っております防衛機能がありますが、それは相互に連関をする局面が常にあり得るわけで、そういうものが統合的な見地から効率的に活用されなきゃいけないというのが自衛隊自体の本来の課題でございますので、仮にOTHレーダーというものを導入するということになった場合でも、この体系、システムがそういう意味で統合的な見地でも活用がされる余地があるのであればそういう面についても十分配慮していく、こういうことは当然のことであろうというふうに思っております。
  280. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、早期警戒機の問題でございますが、洋上防空強化するために早期警戒機というものをこれから充実していきたい、こういう方針であると新聞で報ぜられております。その場合、現在のE2Cを増加させるというのが基本的な考え方なのか、それともP3AEW・Cを強化充実していこうというお考えなのかお伺いします。
  281. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 洋上防空体制の検討の一貫といたしまして、OTHレーダーのほかに早期警戒機、要撃機、艦艇の対空システム、その総合的な組み合わせの検討をしなければならないというふうに申し上げているわけでございますが、その場合の早期警戒機の機種をどうするかというふうな問題でございますが、現在持っております早期警戒機の機種はE2Cでございますし、その機数も八機ということでございます。一般的に言って少数の機種であるわけでございますので、一つの同じ目的を持ったオペレーションのために機種の異なるものを少数ずつ整備するということは、一般論としてはちょっと考えにくい問題ではないかなというふうに現在は考えております。
  282. 柄谷道一

    柄谷道一君 それではE2Cということで統一的な方向でという心証と受けとめるわけでございますが、海空が別々の早期警戒機を導入するということは、これは見方によっては極めて非効率ではないかとも思うわけでございます。この運用に関するお考えがございましたらお伺いします。
  283. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) ただいまお答え申し上げましたように、別々の機種を少しずつ持つということはなかなか考えにくい問題だというふうに申し上げたわけでございますが、仮にE2Cというものを五九中業におきまして増強するという場合に、これを洋上防空体制にどういうふうに活用することができるかという点は、私どもとしても今後の運用構想についての一つの検討の課題であるわけでございまして、仮にそういうことになった場合には、洋上の問題ではありましても、航空自衛隊のそういったE2Cというものが効果的に連携のとれた作戦ができるような方策を当然に考える必要があるわけでございまして、その点は防衛庁の内部で十分に詰めていきたい、こう考えております。
  284. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、六月三日、これは新聞に報道された記事でございますが、ミグ25の侵入事件を契機に、日本の低空監視能力強化のために防衛庁は早期警戒機E2C八機を導入する方針を決められました。本年の四月までにこの八機がそろった。しかし、この計画に伴って五十八年十一月、北部航空方面隊に臨時航空警戒隊が編成されまして、とりあえず百九十人の規模で発足をした。しかし、八機で二哨戒点をカバーするためには少なくとも三百五十人が必要である、このような観点に立って予算要求をしたが、この予算が入れられなかった。そのために三沢入りいたしましたE2C機は既に二年四カ月も実任務につけない、部隊も臨時のままパイロット、要撃管制官の訓練が続いている、こういう報道がなされております。その実態はどうなのか、この新聞の記事どおりなのかどうかお伺いします。
  285. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) E2Cの取得の経緯を申し上げますと、五十七年度にまず最初の二機が入ってきまして、それが五十八年度に四機になり、五十九年度に六機になり、六十年度にようやく八機の体制に航空機の数としてはなってきたわけでございます。  そこで、現在の時点はこの八機取得した体制におきます錬成訓練ということを中心にして実施をしておるわけでございまして、そういう意味で六十年度は錬成訓練に必要な最小限の要員というところを措置した次第でございまして、現在の六十年度の時点ではそこまで来ているわけでございます。来年度におきましては、こういった錬成訓練の充実という実態を踏まえまして、ぜひ正規の警戒航空隊の編成をいたしたいと思っておりますし、そのために所要の人員もさらに増員を図っていきたい、こう考えております。
  286. 柄谷道一

    柄谷道一君 防衛庁は、当初は本年の五月から航空警戒隊を発足させる、これが予定ではなかったんですか。
  287. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 概算要求の段階でそういったような一つの想定を考えていたことは事実でございますけれども、六十年度予算の編成に際しまして、定員の問題で総体として増員が認められないというような結論に達した時点で、本件についてもどういうふうに処理するか十分内部で検討したわけでございますが、実態から見て現在の状況はまず錬成訓練というものを中心にやっていくのが適当な時期でもあるので、六十年度はとりあえずその本隊の警戒航空隊への新編を見送ることにしてもやむを得ないのではないか、したがって六十年度は錬成訓練にひとつ本腰を入れてやろう、六十一年度には本隊の編成にぜひ移行しようそういうふうに判断した経緯があることは事実でございます。
  288. 柄谷道一

    柄谷道一君 局長、大変苦しい答弁をしておら れるのですけれども、実態は、まず防衛庁としてはせっかくE2C八機を整備するんだから、できれば本年度から警戒隊を正式に発足させたい、ところが、それができなかったから、次善の策として錬成訓練ということをせざるを得ないというのが実態ですね。そうでなければ概算要求は間違いだったということになるわけですから、意欲、目的と実態とはその間ずれが生じておるというふうに思うのです。これは正面と後方のバランスが欠けているという一つの象徴的な例ではないか、私はこう思います。  私もいろいろ自衛隊を視察さしていただきましたけれども、例えば第二航空団に掩体十基ができた、一基三億五千万円ぐらいのあれですね。そこで至近弾が落ちても要撃戦闘機十機は守れる。それはそれで目的が一つ達せられたと思うのですけれども、それではその十機に乗るパイロットはどうかということになりますと、掩体の横に建設会社の工事事務所みたいな臨時の建物があるだけで退避ごう一つない。有事になれば横に土のうを積んで防ぐんだとか言っておられましたけれども、これもバランスを欠いた事例ですね。  それから北海道を重点に百五ミリ自走りゅう弾砲が重点的に配備されている。ところが、短時間に砲弾は撃ち尽くします。後の弾薬補給はどうするのかといえば、トラックで運ぶというんですね。自走りゅう弾砲はキャタピラですから野でも山でも踏み分けて入っていきます。トラックは道路しか走れません。そうしたら、短時間に撃ち尽くした砲弾の補給は一体どうするのかということになると、人力でトラックが運べる地点から自走りゅう弾砲の位置まで射撃を中止して弾薬を運搬せざるを得ない。これもバランスが欠けている大きな事例ですね。  こういうことは数多く存在するわけであって、例えば充足率にしても非常に低い、したがって練度を向上させるための演習訓練にしても正規の編成における訓練ができない。指揮官が中隊長であっても、小隊の毛が生えたような兵力を率いて演習訓練をしていかなければならない。さらに最も我が国で機械化された第七師団といえども、これに続く第二師団といえども、確かに七四式戦車はそろった、しかし普通科連隊の兵士をどうして運ぶんだといえば輸送用のトラックは全く足りない、さらに迫撃砲はあれどこれを運搬する車なし、通信施設はあれどその装備は十分でない、いわゆる乙類装備の衰えというのが非常に顕著でございます。  私は、時間がきょうは余りありませんので、多くの事例を具体的に挙げることは差し控えたいと思いますけれども、現在の自衛隊の実態というものを率直に、しかも客観的に眺めるならば、いかにも正面と後方のバランスが欠けていると指摘せざるを得ないわけでございます。正面装備だけいかに整備されましても、後方がこれにバランスをとったセットとしての自衛力でなければ、せっかく貴重な国費というものがその効果というものを発揮し得ない状態にあるということは、我が国防衛を考える上において大変大きな問題を抱えているのではないか、私はそう思います。とすれば、私は五九中業を制定する場合に、従来の正面重視、言葉ではバランスをとりつつということは言っておられますけれども、実態は私から言えば正面重視でございます。正面、後方、人糧の予算配分の割合をここで見直してでも、そのバランスを図っていくということでなければならないのではないか、こう私は思うわけでございます。これは五九中業を作成する根幹的な問題ではないかと私は思いますので、長官の方からこの私の指摘に対する率直なお考えをこの際お伺いしたい、こう思います。
  289. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) 防衛力の整備に当たりましては、防衛計画の大綱にもありますように、防衛上の各種の機能を備えると同時に、後方支援の態勢をも含めて均衡のとれた状況になければならないということは御指摘のとおりで、そういうことを目標にして行うべきであり、これまでもこのような考えに基づいて努力してまいったわけでございますけれども、実態はどうかと申しますと、今柄谷委員指摘のような、必ずしも後方支援態勢、補給態勢が十分でないところがあるということは事実であろうと思っております。  したがいまして、六十年度予算の概算要求のときも、前栗原長官が後方と正面のバランスのとれたことを十分配慮しながら予算要求をし、今年もまた一歩の前進を得たと思いますけれども、現在策定中の五九中業の策定に当たりましては、今言いましたような正面と後方のバランスには十分意を用いてやるように、私たちはその辺を重点項目の一つにいたしまして作業をいたさせているところであります。御指摘のとおりの部分はよく注意しなければいけない部分だと思います。
  290. 柄谷道一

    柄谷道一君 ぜひそういう配慮で防衛力の整備を図っていく、そういう計画をぜひ御検討を願いたい。  私は幾つかの事例を挙げたんですけれども、例えば練度向上のための訓練の弾薬にしても、これは極めて不足ですね。私は実弾射撃を見たんですが、残念ながら一発目は当たらなかった。何発の弾が年間一戦車に配属されているのか聞きましたら、本当にそんなものかという程度ですね。空対地ミサイルはある程度使っておるようですけれども、空対空ミサイルを訓練で撃ったことがあるのかとパイロットに聞きましたら、一部のベテランパイロットが撃ったことがあるというだけであって、まだ飛行隊の中枢のパイロットは、頭ではわかっているけれども空対空ミサイルの発射の実際の訓練をしたことがない。私は、非武装という考えを別にして、防衛力を是認するという立場に立って、日米首脳会談で正面装備の整備ということを強調されるその前に、もっと足元を見て、最小限の費用で、しかも我が国の専守防衛体制というものをいかに強化するかという視点に立つならば、外向き立派じゃなくて、小ぢんまりしておってもバランスというものを図っていく、これが最も重要視されなければならないのではないか。同時に、私はかつて退職手当、年金、医療、この前は給与の問題を御質問さしていただきましたけれども、そうした志気を高めるための基本的待遇問題ももっと真剣に考えなければならないだろう。そういうものがセットされ、セットされて初めて我が国防衛力というものが整備されていくんだ、こういう感じを強く持っておりますので、この点は意見として申し上げ、長官の善処を求めておきたいと思います。  次に、予備自衛官の問題について若干御質問をいたしますが、各国は予備役制度を持っております。日本以外の多くの国は予備役制度を持っています。これは有事において兵力を増強する、かつ戦闘損耗を補充する。平時において常用兵力というものをできるだけ節減する、そして経済的負担を少なくするとともに、有事に必要な兵力の増強や戦闘損耗の補充に対処する、これが大体予備役制度を持つ国の基本的考え方だろうと思うんです。我が国にはこのような予備役制度はございませんが、予備自衛官という制度が存在いたします。この予備自衛官というのは有事に際してどのような役割を期待しているのか、予備自衛官制度の目的というかどうかはわかりませんが、この際改めて明らかにしていただきたいと思います。
  291. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 予備自衛官の員数は現在四万三千六百人でありますが、そのうち大部分が陸上自衛隊の予備自衛官でありまして、これが四万三千人でございます。  この陸上自衛隊の予備自衛官につきましては幾つかの役割を考えておるわけでありますけれども、一つは、有事の際に後方警備を行うために編成されます軽普通科連隊に配置されるものでございます。有事になりますと、現在全国に分散配置しております部隊が所要の正面に移動していくわけでありますから、そのことによりまして警備の勢力が手薄になるという問題が当然出てくるわけでございますので、そういう面をカバーする後方警備のための軽普通科連隊に配置されるものが一つでございまして、それが約二万人ぐらい予定をしております。  それから次は、後方支援要員、補給処等の後方支援部隊、それに増強配備したいと思っておりますのが約九千人。それからいわゆる戦闘によって損耗があった場合に補充する要員というものを約一万四千人というようなことを予定しておるということは従来から申し上げているところでございます。
  292. 柄谷道一

    柄谷道一君 それではその二万人、九千人、一万四千人と三つ言われましたね。予備自衛官というのは、有事の場合自分はどういう任務につくんだ、どういう編成の中に自分が加わっていくのか、これが明らかにされているんですか。
  293. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) これは軽普通科連隊でどういう仕事をするかとか、あるいは後方支援とか、いろいろ考えているわけでございますので、一応どういう部署で仕事をしてもらうかということは、各予備自衛官についてそのことは予定させているようでございます。
  294. 柄谷道一

    柄谷道一君 決まっているのか徹底が足りないのか、私は予備自衛官のいろんな方とお話をいたしますと——もちろん、みずから進んで予備自衛官となった人でございます。有事の際は自分も役に立たねばならぬ、こういう意識を持っておられるんですけれども、しかし自分は果たして後方警備の任務を与えられるんだろうか、一線の部隊の要員としての任務を与えられるんだろうか、その目的意識というものがどうもわからないんだ。だから訓練を受けるにしても、みずから受けている訓練と、自分の予備自衛官としての任務、具体的な任務ですね、精神的な任務じゃございません、それとの間がどうも明確でないので身が入りにくいと、こういう意見を多く私は聞くわけでございますが、そういうことはないんですね。
  295. 大高時男

    政府委員(大高時男君) ただいま先生御指摘の予備自衛官の運用構想等の絡みにおきます訓練でございますが、原則的に申し上げますと、本来自衛官でおりました際に戦闘職種というものに属しておった者、すなわち例えば普通科、特科、機甲科、それから航空、施設、通信、こういったものでございますが、こういうものに属する者につきましては、先ほど防衛局長が話しました後方警備、要するに駐屯地等の警備でございますが、こういうものに回る。一方、後方職種で在職しておりました者でございますが、これは補給とか需品とか衛生、輸送、こういった分野に関連をしておった者でございますが、これは後方支援の任務に回る。こういった分類がございますので、訓練の方も、なるほど現在五日間の訓練を原則としてやっておりますが、これにつきまして、戦闘職種につきましては、この訓練のうち戦闘訓練が後方職種の者に比べまして八時間ぐらい多い。すなわち軽普通科中隊としての訓練でございまして、各種の戦闘訓練をここでやる時間が長い。こういう形になってございまして、おのずとその区別はできておるという状況でございます。
  296. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただ、後方と戦闘要員の区分は、かつての自衛官であったときということを比べればおのずと分けられると思うんですけれども、この五日間の訓練の中で、例えば自衛官在任中に特科だとか機甲科で訓練を受けてその技能を持っているという者も、現在は全部普通科中心の訓練でしょう。そうなりますと、予備自衛官のみずから進んで予備自衛官になったという意識と、それから有事の際の運用と、それに対応する訓練というものが本当に一体になっているのかなという感じを受けますし、またそこらが予備自衛官としていろいろ考えが出てくるところでもないかと、こう思うんです。ここらについて今どうせい、こうせいという具体論を闘わす時間はございませんけれども防衛庁長官、予備自衛官制度の是非を私は言っているんじゃなくて、現存する予備自衛官というものと有事の際の対応と、その訓練というものについて一遍見直して、これを体系的に整備していくことが今必要な時期じゃないかとも思うんですが、検討の用意はございませんか。
  297. 加藤紘一

    国務大臣加藤紘一君) それぞれ予備自衛官の問題につきましては、我が防衛庁の内部でもいろんな部署に分かれて所掌いたしておりますけれども、実際にその人たちが士気を持ってその制度の一員として訓練を受け、そして目的意識を持てるようにどういうところに問題点があるのか、その総合的なつじつまがちゃんと合うような形になるのか、その辺はまたよく検討いたしてみたいと思っております。
  298. 柄谷道一

    柄谷道一君 さらに、この予備自衛官には例えば作業服は支給されておりませんね。訓練のときだけ貸与されるわけですね。しかし全国に散らばっておるわけだから、記章さえ明確にしておけば悪用の心配はないわけだろうと思うのですが、せめて服装ぐらいは自分で持っていたいというような希望が出ましたり、さらに一般公開されている防大の病院等は別でございますけれども、自衛隊病院を利用するということができないものかなどなど、予備自衛官の中にも多くの要望というものがあることを私は肌に感ずるわけでございます。  こういう点も防衛庁として十分意見を吸い上げていただいて、自衛官というものがみずから意識してその任務に精励できるようなバックグラウンドというものについても、以上私の指摘とあわせて検討を願いたい、こう思います。  最後でございますが、予備自衛官は今ほとんど陸中心でございますけれども、陸海空それぞれどの程度の人員までしたい、予算その他の問題もございますけれども、一応防衛庁としての持っておられる目標があれば陸海空別に明らかにしていただきたい。  これをもって質問を終わりたいと思います。
  299. 矢崎新二

    政府委員(矢崎新二君) 五九中業の今の検討課題の一つに、予備自衛官をどの程度の規模に考えるかという問題がございます。これは検討中でございますから、まだ最終的な数字は申し上げられる状況じゃございません。ただ、五六中業の時点で検討されたものといたしましては、陸上自衛隊でありますと、四万三千人から五万三千人に一万人ふやしたいということが一つございましたし、海上自衛隊については、六百人から二千四百人にふやしたいということがございました。それから航空自衛隊については、今その制度がないわけでございますが、ここにも新しく制度を設けて二千三百人の予備自衛官をつくりたいということを五六中業では考えていた経緯がございます。五九中業でどうするか、この点は今後鋭意詰めたいと思っております。
  300. 大島友治

    委員長大島友治君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ─────────────
  301. 大島友治

    委員長大島友治君) これより請願の審査を行います。  第一号福岡財務支局の存続に関する請願外五百七十九件を議題といたします。  請願の願意につきましては、お手元に配付いたしました資料のとおりでございます。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第六〇号元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する請願外百三十四件は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第一号福岡財務支局の存続に関する請願外四百四十四件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  302. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  303. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  304. 大島友治

    委員長大島友治君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。  情報公開法案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本案の継続審査要求書を 議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  305. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  307. 大島友治

    委員長大島友治君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  308. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  309. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  310. 大島友治

    委員長大島友治君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査のため、閉会中に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  311. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  312. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  313. 大島友治

    委員長大島友治君) この際、理事の辞任についてお諮りいたします。  穐山篤君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  314. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  315. 大島友治

    委員長大島友治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に野田哲君を指名いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十六分散会