○
木本平八郎君 今、
政府のやるべき性格のものではないのじゃないかという話なんですけれども、トンチン年金という性格からいって、これはやるとすればやはり
政府なり地方公共団体がやらないと、
一般の私的企業がやるとこれはちょっとおかしなことになると思うわけです。
トンチン年金に入る前に
一つ私がぜひ申し上げたいのは、今の
財政状況からいって、
国民の率直な感触ですけれども、これはやっぱり大増税必至であろうという恐怖感があるわけです。これはちょっと不謹慎な
言い方ですけれども、増税がいいとは言いませんけれども、どうしようもなければ払わざるを得ないわけですね、
国民としては。しかしながら、その前にはやはり、必死になって工夫もし考えてもらわなきゃいかぬというのも
国民の率直な感情だと思うのですよ。これは封建時代
なら、おまえら人民ども払えということで済みますけれども、今の近代国家ではそういうわけにいかない。現在、
国民の公的負担というのは、税金と社会保障を合わせて三五%ですか、それが将来四五%になるだろうと言われるわけですけれども、これも、
国民というか、私の率直な感触では、まず五〇%を超えるだろうと思うのです。
そうなりますと、ある人は、日本
国民の若い人
たちは税金亡命でどんどん出ていくんじゃないかというようなことを言う人もおるわけです。それはちょっとなにしても、やはり増税というのは政治の中では悪政の最たるものだと思うのです、最後の最後だと思うわけです。しかも、今でも
国民はやはり、税が重いという感触を持っているわけです。これが一体どこにどうなっているのかというのを私も少し勉強してみたいと思うのですけれども、これは
大蔵大臣は三五%の負担だから大したことはないというふうに
答弁されますけれども、
国民の率直なる感触は相当重いという
感じなんですね。それで、中曽根総理も、シャウプ以来の税制改革をやろう、こうおっしゃっているわけですけれども、私はぜひ税制改革の前に、徴税
方法というか、それから歳入の特別
財源の
確保というふうなところにまず全力投球していただかないと、
国民のコンセンサスを得られないんじゃないかという気がするわけです。
それで巷間大型間接税とか消費税とか言われておりますけれども、このままそれが導入されますとやっぱり
国民は相当反感を持つのじゃないかと思うのです。したがって、その前に、
政府としてはこれだけあらゆる面において
努力をしているということを示していただく必要があるということで、金額的には大したことはないようですけれども、私はトンチン
公債の考えなんかも入れてやはり
国民の自助的な
努力、もう年金は
政府に任しておけばいいのだということじゃなくて、やはり自分
たちの将来は自分
たちでも考えるということも含めて、トンチン年金の考え方がいいのじゃないかと思ったわけです。
私
自身もそういう専門家じゃないからよくわからないのですけれども、先ほどのフランスで失敗したというところから、やはりトンチン年金を導入するためにはまず
財政だとかそれから国に対する信用がないとだめだ。国の
国民に対する信用がなければ、もう全然
国民がこれは入りませんからね。それから、先ほどの年齢詐称の問題がありますので、戸籍がしっかりしているということ、それから、先ほどの殺し屋じゃないですけれども、警察制度がしっかりしていないとこれは非常に困る。ところが日本は、両方ともばっちりやっている。それから、ギャンブルという問題がありますけれども、私の南米なんかの経験では、やっぱり日本人というのは非常にギャンブル性というのは少ないのじゃないかという気がするわけです、非常に健全だ。
したがって私は、これは直観ですけれども、トンチン年金をやっても、ギャンブルの面からこれに飛びついていくという人は非常に少ないんじゃないかという受けとめ方をしているわけです。したがって私は、そういう
意味で
平澤さんの
意見とは反対に、日本が今世界で一番、トンチン年金を導入するには向いているんじゃないかという気がするのです。これはこの前の話じゃないですけれども、ブラジルなんかだと、これをやるとまたえらいことになるんじゃないかという心配がありますけれども、日本は一番今のところ向いているんじゃないかという気がするわけです。
私はもう一度ここであえて、トンチン年金でもトンチン
公債でもいいのですけれども、トンチン
公債を導入することをやはり真剣に考えていただいたらどうかと思うんです。特にこれは、
国債の
償還原資としてという前提を置いてやっていただいたらどうだろう。先ほどのように、仮に百億円なら百億円の原資が集まった、そうしますと、確かにそれは今全部使っちゃってあと金利の負担だけが残るという説明もありますけれども、本来は、ちゃんと原資は残しておいて金利は一割ずつ払っていって最後の一人が亡くなったときにそれが国庫に入るというのが本当なんで、先に使っちゃわれたら困るわけです。ただ、将来であっても、こういうきちっと
償還原資があるということであれば、私は
国債の残高が残っていても問題はないのじゃないかと思うんですがね。その辺は
財政操作としてはどうなんでしょうか。