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1985-08-07 第102回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年八月七日(水曜日)    午後一時三十分開会    委員異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      中村 太郎君     田代由紀男君  八月二日     辞任         補欠選任      青木 薪次君     小山 一平君      松本 英一君     村沢  牧君  八月六日     辞任         補欠選任      坂元 親男君     夏目 忠雄君      服部 信吾君     鶴岡  洋君      栗林 卓司君     伊藤 郁男君  出席者は左のとおり。     —————————————     委員長         志苫  裕君     理 事                 浦田  勝君                 久保  亘君                 原田  立君     委 員                大河原太一郎君                 田代由紀男君                 竹山  裕君                 仲川 幸男君                 夏目 忠雄君                 吉村 真事君                 小山 一平君                 村沢  牧君                 鶴岡  洋君                 下田 京子君                 伊藤 郁男君    国務大臣        建 設 大 臣  木部 佳昭君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  河本嘉久蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        国土庁防災局長  杉岡  浩君        厚生省社会局施        設課長      荻生 和成君        厚生省社会局老        人福祉課長    阿部 正俊君        農林水産省構造        改善局計画部資        源課長      津田  隆君        林野庁指導部治        山課長      船渡 清人君        運輸省運輸政策        局運輸道路業務        課長       高野 富夫君        建設省河川局長  井上 章平君        建設省河川局防        災課長      帆足 建八君        建設省河川局砂        防部長      矢野勝太郎君        建設省河川局砂        防部傾斜地保全        課長       渡辺 義正君        建設省道路局地        方道課長     吉越 治雄君        建設省住宅局民        間住宅課長    鹿島 尚武君        自治大臣官房参        事官       奥田 義雄君        消防庁防災課長  石橋 忠雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (長野地附地すべり災害に関する件)     —————————————
  2. 志苫裕

    委員長志苫裕君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  議事に先立ち、去る七月二十六日に発生いたしました長野地附地すべり災害により亡くなられた方々に対し御冥福をお祈りし、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立をお願いいたします。黙祷を願います。    〔総員起立黙祷
  3. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 黙祷を終わります。御着席を願います。
  4. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 委員異動について御報告いたします。  去る二日、青木薪次君及び松本英一君が委員辞任され、その補欠として小山一平君及び村沢牧君が選任されました。  また、昨六日、坂元親男君、服部信吾君及び栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として夏目忠雄君、鶴岡洋君及び伊藤郁男君が選任されました。     —————————————
  5. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、長野地附地すべり災害による被害について、政府から報告を聴取いたします。杉岡国土庁防災局長
  6. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) お手元にお配りいたしました資料二部ございますが、一つは「長野地附地すべり災害について」という資料と、それから図面でございます。この資料図面をごらんいただきながらお聞き取りいただきたいと思います。  まず、一ページでございますが、被害状況について御報告申し上げます。  七月二十日午後から夜にかけまして豪雨がありまして、その影響で長野市上松の湯谷団地西方戸隠有料道路付近におきまして土砂崩壊が発生いたしました。地元では、七月二十一日から伸縮計設置いたしまして警戒体制を続けております。  七月二十六日の午前中から土砂崩壊の兆候があり、長野市は十六時三十分に特に危険と思われる湯谷団地住民三十八世帯に対しまして避難を指示いたしました。十六時五十八分ごろに、流出土砂量約五百万立方メーターと推定されます大規模な地すべりが発生いたしました。お手元図面オレンジ色で着色しておりますが、この地区でございます。十七時三十八分に、他の団地住民に対しましても長野市は避難を指示いたしました。この地すべりによりまして、老人ホーム松寿荘の五棟が押し出した土砂によりまして埋没、全壊いたしまして、老人ホームに入所されておりました老人二十六名の方が亡くなったのを初めといたしまして、負傷者四人を出しました。また、山ろくの湯谷団地中心にいたしまして、合計五十五棟の住家埋没、全壊いたしました。また、半壊五棟、一部損壊九棟という被害を出したところでございます。  また、お手元図面で赤く塗っておりますが、この範囲が現在避難を継続しておる範囲でございまして、多数の住民の方が小学校あるいは高等学校等指定避難場所あるいは親戚等避難をいたしております。  次に、この地すべりによりまして主な施設被害状況について御説明申し上げます。  まず、道路関係でございますが、長野企業局建設いたしました戸隠有料道路、これが起点より延長二キロメートルの区間崩壊いたしました。料金所も倒壊いたしました。この崩壊区間につきましては、県道の迂回ルートがありまして、道路の運行の確保はなされております。また、市道等につきましても被害が出ております。  それから、河川につきましても、長野市管理の河川が一部被害を受けました。  農林水産業関係でございますけれども果樹園の二・九ヘクタール等の埋没がございました。  それから、社会福祉施設でございますけれども、先ほど申し上げましたように、特別養護老人ホーム養護老人ホームであります松寿荘が全壊いたしまして、二十六人の老人が亡くなったわけでございます。  二ページをおめぐりいただきたいと思います。  ここに、水道被害、あるいは電力、それから電話、それからテレビ中継所等々の被害が出ております。  水道につきましては、七月三十一日にほぼ給水を開始いたしております。  電力関係も、湯谷団地の三百八十戸を除きまして全戸復旧をいたしております。  それから、電話も、一部百三十六回線が不通になりましたけれども、倒壊によりまして修理不可能な八十八回線を除きまして、八月二日までに全部復旧をいたしております。  それから、ラジオ、テレビ等につきましても、中継所等が倒壊いたしましたが、仮送信所で現在はその送信がなされております。  次に、2の項でございますが、災害対策関係省庁連絡会議等の欄について御説明申し上げます。  まず、災害が発生いたしました直後、関係省庁におきましては担当官現地派遣いたしまして、災害の態様あるいは被害発生状況を把握するために現地派遣をいたしたわけでございます。  また、七月二十八日には、政府調査団団長としまして河本国土庁長官が、それから七月二十九日には消防庁長官が、八月五日には建設大臣が、それぞ係れ災害現場視察調査実施いたしたわけでございます。  政府といたしましては、災害発生の翌日でございますが、関係十六省庁によりまして第一回の災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、六項目によります当面の重点事項につきまして決定いたし、また政府調査団派遣を決定いたしたわけでございます。  政府調査団は、七月二十八日に、国土庁長官団長といたしまして、十省庁十八名から成る政府調査団が東京より自衛隊のヘリコプターによりまして現地に入りまして、資料の三ページに行程が書いてございますが、ここに示したよすな行程でつぶさに災害現地視察いたしたわけでございます。  二ページの一番下にございますが、翌二十九日、この政府調査団調査結果を踏まえまして第二回の災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしたわけでございます。そして、この会議で協議いたしまして、当面の重点対策について六項目を決定いたしました。三ページをお開きいただきますと、上段に、決定いたしました六項目が出ております。  まず、第一でございますが、松寿荘におきます行方不明者捜索、救出に全力を傾注するということでございます。警察、自衛隊あるいは消防団全力を挙げまして、八月一日までに行方不明者は全部発見されたわけでございます。  第二は、引き続き地すべり監視警戒を的確に行うと同時に、専門的な調査実施することでございます。現地におきましては、被災地域周辺の二十四時間体制警戒活動を現在続けておるわけでございます。また、専門的な調査を行うために、建設省あるいは科学技術庁等関係省庁によります調査実施いたしておるわけでございます。  それから第三でございますが、地すべり箇所応急対策、これの迅速な実施でございます。また、恒久対策につきましても、今後災害関連緊急地すべり対策事業あるいは地すべり激甚災害対策特別緊急事業実施を図ることといたしております。  まず、応急対策でございますが、既にH形鋼の打設は始めております。と同時に、当面の排水口等工事もいたすことといたしております。恒久対策につきましては、本年度は災害関連緊急地すべり対策事業、それから、来年度以降は地すべり激甚災害対策特別緊急事業実施することといたしております。  第四でございますが、被災者避難者につきましての生活救済の万全を期することでございます。  まず、災害救助法を適用いたしまして、当日の二十二時五十八分に災害救助法を発動いたしました。そして、避難所設置あるいは炊き出し、それから食品の給与等災害救助をいたしております。また、住宅被災者に対しましては、住宅金融公庫による災害復興住宅資金の貸し付け、あるいは被災した老人ホーム入居者に対しましては、他施設への入居等々、分散入居等をいたしております。それから、災害弔慰金でございますけれども被災を受けられました二十六人のうち既に二十一人の方々遺族に対しまして災害弔慰金の支給を行いました。  第五は、被災した老人ホーム松寿荘早期復旧でございます。この問題につきましては、現在代替の土地の検討も含めまして地元の県、市と検討中でございます。  最後に、災害復旧事業費に対します起債あるいは地方交付税の措置でございます。この問題につきましても、被害状況及び財政状況を勘案いたしまして適切に対処してまいることといたしております。また、普通交付税の繰り上げ交付も図ることといたしております。  以上、六項目のことを決定いたしたわけでございますが、さらに適宜適切な対策をとる、こういうふうにいたしております。  続きまして、四ページにそれ以外の主な対策が出ておりますけれども、大体今の説明とダブりますので、主な事項だけ御説明させていただきたいと思います。  まず、2)でございますが、地元長野市それから県におきまして、災害対策本部設置いたしております。また、3)につきまして、自衛隊は知事の要請を受けまして、七月二十六日から八月一日までの間に災害派遣実施いたしまして、給水あるいは行方不明者捜索、こういった活動に従事いたしております。次に5)でございますが、県と市の災害対策本部緊急通報体制を取り決めまして、監視警戒体制の強化を図っております。最後に、被災者住宅確保についてでございますが、住宅金融公庫災害復興住宅資金、これの申し込みを七月三十日に受け付けを開始いたしておりますほか、応急仮設住、宅の設置あるいは公営住宅確保等々を鋭意進めておるところであります。  以上でございますが、今後とも関係省庁が緊密な連絡をとりまして、対策に万全を期してまいる所存でございます。  以上でございます。
  7. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 以上で政府からの報告の聴取は終わりました。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 小山一平

    小山一平君 ただいま報告のありました長野地附地すべり災害は、日本じゅうを震駭させた衝撃的な出来事でございました。今回の災害、そしてまた昨年は木曽王滝村の大災害がございましたので、二年連続の惨事となったわけであります。  今回の災害の最大の悲劇は、何といっても老人ホーム松寿荘におきまして二十六名の貴重な人命を失ったことでございます。湯谷団地におきましては、避難命令が出されて一人の犠牲者も出さずに済んだことを思いますと、松寿荘に対する対応は痛恨の悔いを残す結果を招きました。二十六名の犠牲者は、平均年齢が八十歳の高齢者でございまして、恐らくは波乱と苦闘の人生を生き抜いてこられ、今や身体の自由もきかない身となって、残り少ない人生をベッドに横たわりながら静かに過ごされていたはずでありますが、だれ一人救助の手を差し伸べることもできずに、一瞬のうちに無残な死を遂げられた痛ましさを思うとき、何人も涙を禁ずることができません。心から御冥福をお祈りいたしたいと思います。  また、湯谷団地は市の中心街に近接し、市街を一望におさめ、しょうしゃな住宅が軒を連ねて、高級住宅地と言われていたところであります。被災者避難者皆さんは思わざる災害に対して青天のへきれきの感を深くされております。二千名以上の皆さんがみじめな仮住まいを余儀なくされ、今後の見通しもいつつくのかもわからない現状はまことにお気の毒でございまして、皆さんに対して心からお見舞いを申し上げたいと思います。  いつも災害が発生いたしますと、行政側はとかく言いわけや責任逃れの態度をとるのが通例でありまして、役人性癖ともなっているように思えてなりません。どういう点は改めなければいけません。今は、行政責任として山積する緊急にして困難な課題に対処をされているときでありますから、私は、きょうここで責任問題に立ち入るつもりはありませんが、政府は、その責任について謙虚に受けとめて、貴重な教訓を学び取って、事後対策全力を尽くしていただかなければなりません。  国土庁長官建設大臣、どのような反省の上に立って、どのような認識のもとに、どのような決意で今後に対処されようとしておりますか、お尋ねをいたします。
  9. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) まずもって、今回の災害に当たりまして亡くなられた方々に対しまして衷心哀悼の意を表しますとともに、被災者方々に対しまして心からお見舞いを申し上げる次第であります。  私は、去る七月二十八日、政府調査団団長といたしまして被災地を訪れ、被災状況をつぶさに視察してまいりました。先ほど防災局長から御報告いたしましたが、現地はもう想像を絶する悲惨な状態でありまして、地すべり災害の恐ろしさを身をもって体験した次第であります。  政府といたしましては、この現地調査の結果を踏まえまして、関係省庁連絡会議におきまして、まず、引き続き地すべり監視警戒を的確に行うとともに、専門的な調査実施していく、地すべり箇所への応急対策工事を迅速に実施するとともに、適切な恒久対策実施を図る、第三番目に、被災者生活救済に万全を期するなど、当面の重点対策を決定いたしまして、これを基本としまして関係省庁が所要の対策に鋭意取り組んでいるところでございます。  最後に、今後とも関係省庁が力を合わせまして、地元十分連携をとりながら、被災者方々が一日も早く平常な生活に戻られるように、適切な対策を積極的に進めてまいる所存でございます。
  10. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 今回の災害で不幸にしてお亡くなりになりました方々に対して心から御冥福をお祈りいたしますとともに、また、御遺族方々に対しましても心からお悔やみを申し上げたいと存じます。また、家屋被害を受けられました皆様方に対しましても謹しんでお見舞いを申し上げたいと存じます。  今回の災害教訓といたしまして、今御指摘いただきましたが、私自身も現地へ八月の五日でありますが、参上さしていただきまして、テレビやマスコミが報道している以上に非常に大きな災害であり、また非常に被害が甚大であるということに改めて災害悲劇というものを身にしみて受けとめさしていただきました。そこで、今回の災害教訓を我々はやはり生かして努力をさしていただかなきゃなりません。  そこで、私は、今全国建設省調査で見てまいりますと、大体五千八百カ所ぐらいが地すべり危険性のある地域である、こういうことに実はなっておるわけでございますが、今回の災害現状を見てまいりまして、特に家屋が急傾斜に面している地域というものにつきましてはもう一度改めて総点検をして、そして九月になりますと台風シーズンになりますので、そうした地すべり防止地域の総点検をしてまいりたい、こういうふうに思っておりまして、建設省の方へ指示をいたしておるわけでございます。  第二点の問題といたしまして、やはり地すべり、また急傾斜危険箇所全体に対する技術力の向上であるとか、それからまた、積極的に都道府県や市町村を私ども指導していかなきゃならない。といいますのは、率直に申し上げまして、私静岡のことを申し上げて恐縮でありますが、静岡県なんかには、特に伊豆半島なんか非常に別荘があったりなんかしたり、それからまた景観のいいところを選んで人々が家をつくるとか、家屋をそういうところに求めるとかというような、やはり人間としての欲望がありますから、そうした危険箇所のところと見られるようなところへ建築なんかをする場合でも、もう少しやはり市町村なんかにもそういう災害の心配がないようなところを指導していくべきである。  また、今申し上げましたように、また長官からも御答弁がありましたが、長野市の地すべり災害に関しましても、いよいよ九月になりますと台風シーズンになりますので、応急対策に対して万全の努力を尽くすということが非常に大事なことである、そういうふうに考えておりますので、そうした二次災害防止ということには最大限の私ども努力をしていかなきゃならない。  これが今回の災害の、私は参上さしていただき、また現地をつぶさに視察をさしていただいて受けとめた教訓であり、戒めであるわけでございます。  今後ともよろしく御指導、御鞭撻をお願い申し上げたいと思います。
  11. 小山一平

    小山一平君 二人の大臣ね、私の質問要旨をよく聞いて、それに合うような答弁をしなさいよ。私は、行政責任者として今回の大変な惨事に際会して反省するところはないか、その上に立って今後に対処していくべきだということを申し上げているわけです。反省する点はありませんか。一つもそういう言葉がないじゃありませんか。
  12. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 防災担当官庁として、今回の惨事教訓といたしまして総点検をし、各関係官庁とも本当に密接な連絡をとりながら万全を期していきたい、こう考えております。
  13. 小山一平

    小山一平君 反省する心境にはないかと闘いでいるんです。
  14. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 何かもうちょっと的確に答えたらどうですか。
  15. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 予期せざる出来事惨事でございまするが、防災担当官庁として、不可抗力とも人災とも、判定はやはり専門家に結論を求めまして、反省すべき点は反省していきたいという考えでございます。
  16. 小山一平

    小山一平君 答弁になりませんけれども、また後でこれに関連して触れていきます。だから私は、こういう災害が発生すると、とかく役所や役人は言いわけや責任逃れに終始する性癖を持っている、そういうことを改めなさいと最初に注意したじゃありませんか。また、今の問題にも後で触れてまいります。  今も報告がありましたけれども全国に一万一千カ所以上の地すべり危険地域がある、そのうち指定防止地域が五千カ所以上もある、こう言われておりますが、今回の災害を生じた地附山がその中に入っておらない。一体これはなぜであるのか。県のバードライン戸隠有料道路建設湯谷団地の造成に当たってどのような事前調査が行われたのか行われないのか、これも今のところ不明である。地形や地質学的見地から見て、地すべり危険地域の予知が今日までなぜできなかったのか。バードライン地すべりを誘発する原因となっているのかなっていないのか。かなり以前からバードラインの路肩の崩壊、路面の亀裂などが頻発していたようでありますけれども、今回の大きな地すべりの前兆として早く判断できなかったのか。そして今までどんな予防対策が行われていたのかいないのか。松寿荘になぜ避難命令を出し得なかったのか。松寿荘が安全であると判断をしていたとすれば、その根拠や経過はどうであろうか等々、疑問点問題点が余りにも多いのであります。既に開発災害だとか人災だとか言われておりますけれども湯谷団地皆さんの間にも補償問題の声も大分高まっていると聞いております。  この疑問点問題点につきましては、今後調査も行われていくことでありましょうから、後日また十分な時間をとって徹底的な論議をしていきたいとは思いますが、政府は、このようにいろいろ不備があったのではないかと言われている現状についてどういう見解を持っておりますか。
  17. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) ただいまいろいろと御指摘ございました点が今回の災害について多くあるわけでございます。こういった点につきまして我々といたしましては、これを教訓といたしまして、今後災害からとうとい人命あるいは財産を守るという面で、特に土砂災害の面につきまして検討が必要だというふうに痛感いたしておるわけでございます。先般からも、いろいろと土砂災害につきまして関係省庁緊密な連絡をとりながら検討いたしておるわけでございますが、ハード面整備だけじゃなくて、ソフト面のいろいろと整備を行うという面が特に痛感されておるわけでございます。  今後、そういった点につきまして、我々今回の災害教訓といたしまして災害対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  18. 小山一平

    小山一平君 今、私が若干問題点疑問点というようなものを指摘いたしましたけれども、こういう点については今後皆さんが専門的に徹底的に調査をして解明する必要があると思いますね。  それから、この地附山が指定地域にもなっていなかったというような経験にかんがみて、さっき建設大臣がちょっと触れられたけれども、緊急に全国的に総点検をして、そして今回のような事態を招かない方策を緊急にとる必要がある、こう思います。いかがですか。
  19. 井上章平

    説明員井上章平君) 地すべり等危険箇所につきましては、昭和五十五年に調査いたしまして、この全国の一斉調査によりまして、ただいまお話がございましたような、全国で五千八百カ所近くの危険箇所があるという把握をいたしておるわけでございますが、その後も全国的に適時適切に見直しはいたしておりますが、不幸にも今回の災害発生箇所はこの危険箇所にカウントされていなかったわけでございます。このようなことは、今後の地すべり防止対策上の貴重な教訓として生かしてまいりたいと存じております。  それから、これらの発生についての調査あるいは原因究明でございますが、これは恒久対策上もそういった調査究明を続けまして、十分今後の行政に生かしてまいりたいというふうに考えております。
  20. 小山一平

    小山一平君 地附山が指定防止地域に入っていなかったというのは、これはどういう経緯か、理由か、落ち度か、手違いか、どういうところからこんな大災害を起こすような地域が指定の外にあった、そういう点はどういうことですか。
  21. 井上章平

    説明員井上章平君) ただいま御説明申し上げましたように、五十五年の一斉調査にはひっかからなかったわけでございますし、その時点ではどうもこの地附山には地すべりの兆候はなかったと考えられます。その後五十六年ごろから、ここを通っております戸隠バードラインの維持に関連いたしまして、いろいろと障害が生じて、道路付近に崩落が生じたり、あるいは擁壁が動いたりというような事故が相次いだようでございまして、バードラインの管理者でございます長野県の企業局におきましていろいろと対策あるいは調査等を行ってきたようでありますが、これらはいずれも道路維持上の局部的な対策というような考え方で終始いたしまして、この山全体の地すべりというようななかなか判断に立ちがたかったようでございます。  本年七月にまいりまして、これがいよいよ今回の災害の前兆というような崩落が起きた時点で初めて、地すべり防止区域の指定あるいは緊急地すべり防止工事実施する必要があるのではないかというような御相談が県からございまして、その準備をしておりましたやさき、今回の地すべりの発生に至ってしまった、こういう経緯でございまして、この経緯を見ますと、まことに遺憾な結果になったというふうに私どもは考えております。
  22. 小山一平

    小山一平君 今の御答弁を聞いていると、大変非科学的な御答弁ですね。昭和五十六年ごろまで、いろいろ前兆的な小さな事故が発生してくるまでこういう地すべりを起こす危険な地質的構造を持っているというような判断をなし得なかった、こういうことですか。何か今の話を聞いていると、大丈夫だったんだけれどもバードラインが直接ここ近年になってこの事故を誘発するような役割を持ったというふうに受け取れますが、そういうことですか。
  23. 井上章平

    説明員井上章平君) バードラインの存在がこの地すべりを誘発したということではございませんで、バードラインの維持上、これらの附属施設等について起きた土砂の崩落等に対する対策を五十六年ごろから長野県の企業局において行われておったということでございまして、しかも、それらはいろいろ調査もされておりましたけれども、全体の地すべり対策というような形に行政上生かされなかったということがあったということを申し上げたわけでございます。
  24. 小山一平

    小山一平君 だから最初から、この災害を通じて反省する気持ちはないかと聞いたんで、どうですか大臣、今の話を聞いていて、行政責任者として責任を感じ、大いに反省するところがある、当たり前の話じゃないですか、そういう答弁がなぜできないんですか。
  25. 井上章平

    説明員井上章平君) たびたび申し上げて恐縮でございますが、いろいろな動きの掌握の仕方についてでございますが、これにつきましては当時は長野県の企業局におきまして、そういった局所的な崩落であり、局所的な滑りであるというような判断に立って、それに対応することで済ましてきたということでありまして、当時といたしましても、このような大規模な地すべりに結びつくというようなことがはっきりいたしておりますと、それなりの対応はとられたと思いますけれども、どうもそういう判断にはなかった、そういうことで今日まで来たということが今回の大災害を招来したというふうに考えておるわけでございます。
  26. 小山一平

    小山一平君 それは答弁がおかしいですよ。いろいろ地すべりの研究もやっているわけでしょう。ですから、現状何の危険もないように見える山であっても、地質学的にこの地帯は危険である、こういうあらかじめの判断を持たなきゃいけないんでしはう。ところがそれが持ち得なかった、大変遺憾なことであって反省しておりますと、どうしてこう素直な、率直な答弁ができないんですか。今度、大臣
  27. 井上章平

    説明員井上章平君) ちょっとその前に、ただいま私が申し上げましたことについて敷衍させていただきますと、いろいろ調査はされましても、通常、なかなか地すべり範囲あるいはその挙動等について将来を予測するということは極めて困難なことでございまして、やはり非常に関係するところが大きくなるようなことにつきましては、できるだけ客観的な確実なデータをもとにして行うということになりますと、どうしても不確定な部分につきましては行動を起こしがたいという面がありまして、企業局におかれましてもそういった判断で、自分の道路の保全上の問題というふうな受けとめ方をして、局所的な、現に動いているところは局所的でございますので、それに対応する局所療法的な対策に終始してまいったということであろうかと思うわけでございます。
  28. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 大臣、所見ありますか。
  29. 小山一平

    小山一平君 どうもこんな明らかな常識的なことについても率直な所見も述べられない。そんな大臣でこの難しい行政責任が負えますか。しっかりしろよ。  続けます。今の局長の答弁でも明らかなように、日本は世界に冠たる科学技術を有する経済大国です。ただいま申し上げたようなありさまで、今回のような災害の予知も防止もできなかったという現状は、これだけ高度な科学技術を持っている日本とすれば大変恥ずべきことであって、私は厳しく反省しなければならないというふうに思うんです。  全国で、さっきからお話しのように、五千カ所以上の指定防止区域を指定しておりますけれども、六十年度の地すべり対策事業予算を見ると、事業費が二百四十八億円、そのうち国費はわずかに百四十七億円、まことにお寒い内容であります。また、建設省土木研究所の中に砂防部地すべり研究室というのがありますが、研究員はわずか五人か六人、これまたお寒い内容であります。こういうことが、これだけ高度技術を持った我が国において、こういう災害の予知や防止対策の万全を期し得ない、こういうことを物語っているんじゃないですか。  私は、国も県も市も共通していることだと思いますけれども行政を支配している論理の根底には経済主義や商業主義があって、自然環境を守るとか国民の命や生活を優先するとか、こういう哲学を持ち合わせていないところに重大な問題が潜んでいると思うんです。  この地すべり防止対策現状について、どういう御見解を持っていますか。
  30. 井上章平

    説明員井上章平君) 地すべり対策事業、これは建設省の所管分でございまして、このほかに農水省等の所管分がございますが、建設省実施しております地すべり対策費用は、昭和六十年度で見ますと、直轄、補助合わせましてただいま御指摘ございましたように二百四十七億円強でございます。  ところで、地すべり対策技術の問題でございますが、これらはいずれもその国特有の地形、地質あるいは土地利用に負うところが多うございまして、やはりその国それぞれに独特の技術の進展を図ってまいったというような経緯がございます。我が国におきましても行政の対応といたしましては、これらの技術の研さんに努めておるわけでございまして、これらにつきましてはいずれも世界的に十分比肩できるような技術力を保有しておるというふうに私どもは自負いたしておりますが、しかし何といいましても、地球の皮一枚めくった中のことはなかなかわかりにくいという現実がございまして、地すべりの推定等につきましては大変困難な問題があるということは事実でございます。
  31. 小山一平

    小山一平君 どうも皆さん答弁というのは、私の聞いている趣旨とさっぱり合わないんだよ、最初に言ったように、何とか言いわけやごまかしばかり言っておって。  私は、今の日本のこれだけの高度技術を持った経済大国として、今答弁のあったような現状というものであってはならない、こういう認識のもとにこの防止対策皆さんが積極的に取り組まなくちゃいけないんじゃないですか。これで大体十分やっているんだけれども、地球の皮の中のことはうまくわからない、だからやむを得ない。これじゃいけませんよ。それじゃ、これからこの難しい地すべり対策を進めるに当たって、予算的にも今のようなことだし、あるいは予知の科学的な研究などというものも極めて不十分、こういうことにどう厳しく反省をして今後これを克服するかという、そういう基本的な姿勢を私は聞いているんです。そういう答弁一つもしないじゃないですか。
  32. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 私、先ほど申しましたように、この地すべり全般にわたります技術力の向上とかそれから普及の必要性を、先般お見舞いに上がった際の視察一つの大きな教訓であるということを先ほど御答弁させていただいたわけであります。したがって、この予知と防災の問題につきましては総点検すると同時に、我々の技術陣を動員して、日本の場合には火山列島であり、非常な急傾斜の多い特殊な国でございますから、そういう点も私ども大きな反省の一つとして取り上げて、そして努力をさせていただきたい、かように考えております。
  33. 小山一平

    小山一平君 時間が来たようですから、私はこれで終わりますが、私は、国土庁長官建設大臣答弁には極めて不満どころか怒りの思いを禁じ得ません。政治家であったらもう少し率直に自分の見解を述べたらいいですよ。そして、反省すべき点があってこれに反省することは何ら恥ずべきことではありません。御忠告を申し上げておきます。  それから、質問を終わるに当たりまして、災害が起きてから皆さんのとっていただいた対応、これは県も市も含めてなかなか機敏に適切に進めていただいていると評価をいたします。これからが大変ですから、これからのお手並みが問題ですけれども、今日までの緊急な対応は大変評価に値すると敬意を表します。  ただ、事故が起きればなかなか手際がいい、起きる前のことは全くだめだじゃ、これはいけません。その起きる前の方に手際のいい行き届いたことをやっていただくということ、これが優等生の行政ということだと思いますよ。ひとつこれから大変困難にして緊急な課題が待っているわけですから、本当に皆さん全力を挙げての御努力を要請いたしまして、大変不満でございますけれども、私の質問は以上で終わります。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 私は、まず、今回の災害被災をされた皆さんにお見舞いを申し上げ、亡くなられた皆さん方の御冥福を心からお祈りいたします。  小山委員から総括的な質問がありましたので、これに関連をし、各論にわたって若干の質問をいたします。  今回の災害は、事前の災害防止対策避難体制のとり方、山岳道路と宅地造成のあり方など多くの問題が浮き彫りをされ、教訓と反省をもたらしましたが、二度とこのような災害を繰り返してはならない。そのために、被害の実態調査災害の発生原因の科学的分析。情報の伝達方法、警戒避難等について総合調査実施する必要がある。この調査は、県や市の守備範囲に属するものもあろうが、昨年の長野県西部地震における総合調査の例に倣って、政府としての総合調査実施すべきであるというふうに思いますが、国土庁長官の見解を求めたい。
  35. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 先般、政府調査団派遣いたしましたところでございますが、その中には専門の係官も入っておるわけでございます。また、県の方におかれましても、今回の地すべり災害に対する対策委員会、これは県の部あるいは建設省、それから大学の先生方、こういった委員会を設けられまして、いろんな検討をなされておるわけでございます。国の機関におきまして、関係省庁でいろんな専門的な、技術的な調査を今後進めていく予定にいたしております。我々といたしましては、こういったそれぞれの検討事項につきまして総括的に把握してまいりたいというふうに考えております。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁が総括的に把握することは当然ですけれども、昨年長野県西部地震が起きたとき、財政措置を講じて総合調査実施したわけですね。これと同じことをやってもらいたい。
  37. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 長野県西部の地震の場合、非常に特殊な災害であったわけでございます。今回は、それぞれの分野におきまして専門的な調査がなされるわけでございます。技術的な調査あるいは地域防災計画改定のための指導等々、いろんな調査がなされるわけでございますが、そういった調査を総合的にまとめていくということに我々としてはいたしてまいりたいというふうに考えております。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、昨年行ったような形式の総合調査はやらないということなんですか。
  39. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) この前の調査は、それを総合的に国土庁でまとめたわけでございます。今回も、予算等につきましてはまだはっきりといたしておりませんけれども、そういった関係省庁調査を総合的に国土庁で把握するというような方法はとってまいりたいというように考えております。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 予算は別といたしましても総合調査を行う。この総合調査を行って原因と対策を究明しなければ、今後の施策も出てこないわけですけれども、最終附に国土庁がこの原因なりあるいは反省等をまとめるのはいつなんですか。
  41. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) その時期ははっきりいたしませんが、まず今回の災害調査でございますが、非常に専門的、技術的な調査でございます。恒久的な対策を進める上において必要な調査関係省庁でなされるだろうと思いますし、あるいはさらには学術的な検討もなされるわけでございます。そういった関係省庁で行われる調査を見守りながら国土庁の方で総活的に把握するというふうに考えております。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど小山委員が指摘をしたように、政府として、行政として反省がないのか、こういう強い御指摘があったところでありますが、これについては明確な答弁がなされておりません。したがって、こういう調査を徹底的にやらなければ、今後の対策をどうするのか、再び災害を起こさないようにするにはどうするのか、反省は何だとか出てこないじゃないですか。いつまでこれがかかるかわからない、そんな無責任な態度でいいですか。
  43. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 技術的な調査につきまして結論が出る時期というのは、なかなか私現在つまびらかにいたしておりませんが、恒久対策を進める上において鋭意調査をなされるわけでございます。我々といたしましては、今後の教訓、特に土砂災害対策を進める上においで、こういったような調査を国土庁で総合的にまとめまして、今後の土砂災害対策の推進に役立てていきたいという観点から、鋭意こういった調査の結果を把握していくというふうに考えております。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 建設省に伺うけれども、そのような調査が進まなければ今後どういう工法でもって恒久対策をしていくのかわからないじゃないですか。どういうふうに建設省はお考えですか。
  45. 井上章平

    説明員井上章平君) 地すべり恒久対策を進めてまいりますためには、今回の地すべりの発生原因究明の調査が必要だと思います。それは、ただいまのところ長野県を中心にいたしまして、学識経験者等を集めましていろいろと検討されると伺っておりますので、これにつきましては長野県を今後指導してまいりたいと思っております。いろいろと長野県で現在実施しております調査の進行を見まして、私どもといたしましては恒久対策の計画を進めてまいりたいというふうに考えております。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 当然県がやるでしょうけれども政府としてもやはり調査をしなければいけないと思うんです。政府としては何もやらないんですか。
  47. 井上章平

    説明員井上章平君) 調査の主体は長野県で行われるものでございますが、政府といたしましては、緊急地すべりの事業費の中にこれらの必要経費を見込んでおるわけでございます。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 政府としても、原因の究明なり、先ほど冒頭私が指摘をしたような、あるいはまた先ほど国土庁から答弁がありましたハード面ソフト面を含めてこの調査をすべきだ、このことを強く要請しておきますが、国土庁長官どうでしょうか。
  49. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 国土庁といたしましては、関係官庁調査を待ちまして、企画調整官庁でございますから、恒久対策をしっかり立てていきたいという考えでございます。
  50. 村沢牧

    村沢牧君  関係官庁調査を待って調整をするんでなくて、調査をしなさいということをやはり指示するのも国土庁の責任じゃないですか。
  51. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 調査をしなさいと国土庁が言うわけじゃございませんけれども関係省庁におきましては、先ほど申しましたように、みずからあるいは県を通じていろんな角度から調査をなされるわけでございます。我々といたしましては、そういった調査の推移あるいは結果、こういった面からタッチいたしまして、総合的に今後の教訓として対策をまとめていきたいというふうに考えております。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 災害を担当する省庁として極めて頼りのないような答弁なんですけれども、しかし、調査政府としてもやる、その前向きな姿勢を私はこの際要請しておきます。  そこで、具体的な問題に入りますけれども、今回のような地すべりがなぜ発生をしたのか、発生原因について建設省の見解をお聞きします。
  53. 矢野勝太郎

    説明員矢野勝太郎君) 今回の地すべりにつきましては、五十六年ごろから小規模な道路の部分に崩壊が出ておりましたわけでございますが、これはあくまでも道路付近の小規模な滑落というふうな解釈でございまして、地すべり対策、今回のような大きな大崩壊あるいは大きな滑りというふうなことを予想いたしませんで、道路側で道路としての手当てをしておったわけでございます。あくまでもこのような大きな崩壊、あるいはこのようなスピードを持った大きな災害になるということは予想しておりませんので、地すべり対策としては取り上げておらなかったわけでございます。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 私は、地すべり対策として取り上げておったかおらなかったかを聞いているんじゃないんです。建設省の判断として今度の災害の発生は何だと思うのか、それを聞いているんですよ。
  55. 矢野勝太郎

    説明員矢野勝太郎君) 発生の原因は、ことしは非常に長雨でございまして、梅雨期に通常の年の倍ほどの雨量がございまして、これが直接の原因だと考えております。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 今の答弁でいけば異常豪雨が直接の原因であると、こういうことですけれども、異常豪雨が原因であったと言って片づけられる問題ではないと思う。なぜならば、長野企業局が五十六年から専門機関に委託して地質及び地すべり調査を行った。この報告書を見ると、この地域地すべり地域であること、また崩落の危険性のあることが想定をされているんです。これについて建設省の判断はどうなんですか。
  57. 矢野勝太郎

    説明員矢野勝太郎君) 先ほど申しましたように、長野県からの報告は全然ございませんでしたが、当時の崩落現象から見まして、ごく小規模な道路側だけの崩壊であろうというふうに判断しておったと理解しております。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 私はここに、長野企業局が専門機関に委託して調査をした「五十六年九月戸隠有料道路地質調査」及び五十八年、五十九年調査の「地すべり対策調査委託報告書」を持っています。これはその一部分ですけれども、膨大なものであります。この報告書は、今回の地すべりをほぼ言い当てているんです。  そこで私は、これらの調査書を分析して今回の災害発生の原因を追求するように昨日政府に要求した。ところが、政府の係官は、そのような調査は私どもが委託したものではございません、検討するにしてもそれは建設省の仕事だと、いや運輸省の仕事だと、こういうなすり合いをしているんですね。つまり、責任のなすり合いでどちらも逃げているんですよ。政府が本当に災害発生の原因を追求し、再びこのような災害を発生させないというような気持ちがあるとするならば、もっと真剣に取り組むべきではないか。こういうのをなぜ参考にしないんです。これを見れば、皆さん専門家で一晩見ればわかるじゃないですか。どうなんですか。
  59. 矢野勝太郎

    説明員矢野勝太郎君) 残念ながらその資料を私どもが目にいたしましたのは事件後でございまして、事件前には私どもその資料を見ることができませんでしたわけでございます。よって、それを参考にするというわけには直接にはまいらないというふうに考えております。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 事件後に見たとしても、この資料を見れば、これは豪雨が原因だなんて言い切れるのか。これ見たんでしょう。この資料を見てどういうふうに判断するんですか。
  61. 矢野勝太郎

    説明員矢野勝太郎君) 道路が原因かどうかということは非常に難しい問題でございまして、道路ができまして既に二十年近くたっておるわけでございますので、直接的にこれが影響したかどうかという判断は、いささか難しい判断ではないかというふうに考えております。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 私は今道路と言ったんじゃありません。豪雨が直接の原因だとあんたはっきり言っているんですから、それだけで言い切れるのかどうか。なるほど事前にはわからなかった。しかし、あなたたちの手元にはこの資料が届いている。これを分析してみれば、豪雨だけが影響であったかどうかははっきりするんじゃないですか。
  63. 矢野勝太郎

    説明員矢野勝太郎君) その報告書をまだ十分吟味しておりませんが、私どもは、やはり豪雨が原因であり、その報告書の判断といたしましては、道路のごく一部の崩落だというふうに判断しておったというふうに解釈をいたしております。
  64. 村沢牧

    村沢牧君 建設大臣なりあるいは河川局長にお伺いいたしますが、私はこの資料を提出したんです。昨日提出して、検討してくださいと出したんです。ところが、先ほど申しましたように、いやそれは建設省の仕事ではありません、これは道路関係ですから運輸省の仕事と言う。あなたたちの役所で検討しようと真剣に取り組む人がいないんですよ。ですから、私が今指摘した資料、これらを含めて、あるいはその他の資料も参照にして、この災害はなぜ発生をしたのか、この原因を科学的に分析して今後の教訓にすべきだ。そのことが恒久対策を設計する一番基準になるんですよ。どういうふうに考えますか。
  65. 井上章平

    説明員井上章平君) 今回の災害の発生原因等を入念に究明することが、万全の恒久対策を立てるための避けて通れない問題だと私どもも思っております。したがいまして、それらの五十六年以降の企業局が独自に調査されました報告書も含めまして、あらゆる資料を、データを駆使いたしまして、今回の災害の本当の原因調査ははっきりした形で行いたいと思っております。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 国土庁長官、このような調査をまさに調整するのがあんたたちの仕事なんです。これは建設省の仕事じゃない、運輸省の仕事だ、運輸省に言わせれば、しれは建設省の仕事だと。役所というのはそういうことなんですよ。そうしたら国土庁は調整官庁として成り立たないじゃないですか。国土庁が指示して、こういう調査書があるんだから徹底的に調査をしなさいと、あなたの方で指示してくれますか。
  67. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 先ほど企画調整は庁と申しましたが、今回の事件で反省をしまして、積極的に各省庁に原因の追求を図っていただき、結論を得まして恒久対策の樹立に努力してまいりたいという考えております。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 次は、有料道路と今回の災害との関連は、政府はどのように認識をしていますか。
  69. 高野富夫

    説明員(高野富夫君) お答えいたします。  戸隠バードラインにつきましては、道路運送法に基づく自動車道でございまして、運輸大臣及び建設大臣の免許を受けて事業を行っているものでございますけれども昭和三十九年に供用を開始されたものでございまして、供用開始以来、相当の年月にわたりまして安定した状況にあったと考えられまして、現在のところ、先ほど建設省の方からもお話がございましたけれども、本道路が今回の災害の直接の原因とはなっていないと思われます。  なお、詳細につきましては今後の調査によって明らかにされるというふうに考えております。
  70. 村沢牧

    村沢牧君 このバードラインが今回の災害の原因になっておらないとはっきり言い切れますか、こういう事態になったんですから、運輸省が道路運送法によってこの道路を監督する義務を持っておるとするならば、もっとしっかりした調査をすべきじゃないですか。今まで現地へ行ってどういうふうにごらんになったんですか。まず、現地へ行った感じを聞かしてください。
  71. 高野富夫

    説明員(高野富夫君) 自動車道の維持管理につきましては、道路運送法の第六十八条によりまして、自動車道事業者が自主的に構造、設備を技術基準に適合するように維持するということになっておるところでございます。  それで、先ほど来からお話ございました五十六年以降のいろいろな調査を、こういう自主的に維持管理するということの話の中で、適切に自動車道を維持管理するということで実施してきておるというふうに聞いてございます。
  72. 村沢牧

    村沢牧君 今皆さん方が管理をし、監督をする有料道路地すべりとの関係ですね。これはどういうふうに判断されますか。
  73. 渡辺義正

    説明員(渡辺義正君) お答えをいたします。  バードラインの開通は昭和三十九年でございますので、それから相当時間がたっております。その間、とりたてての変状はなかったというふうに聞いておりまして、今回の崩壊の原因が道路とどのように関係するのかということは、私どもといたしましては、今直ちに判断するということはできかねるわけでございます。
  74. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、あなたたちがそんな答弁ばかりしているから、こういう調査書があるんだから、これについて検討しなさいときのう言ったんです。検討する気持ちはないじゃないですか。見たことありますか。きのうちゃんと見せてあるわけです。
  75. 渡辺義正

    説明員(渡辺義正君) お答えいたします。  今回の災害の発生後、長野県土木部を経由して入手いたしておりますけれども、まだ詳細については検討するところまで至っておりません。
  76. 村沢牧

    村沢牧君 建設大臣、こんな無責任な態度でいいでしょうかね。衆参両院で災害対策委員会を開いて、この原因は何か、早く復旧しなければならない、原因を追求しなければならないというのに、資料があってもまだ検討もしておりません、こんな態度でいいでしょうか。大臣の見解を聞きたい。
  77. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 災害の問題につきましては、ともかく我々といたしましては、九月に台風シーズンになりますので、これに対しての応急対策に最大の努力を注がなきゃならぬというふうに実は一義的には考えておるわけです。役所の方としても、そうした応急対策につきましては今全力を挙げて努力をいたしておるところでございます。  私、現地を見まして、県なりまた自衛隊、消防関係、それから長野市の関係皆さんが、二次災害のないようにというようなことで大変真剣に取り組んでおられることについて、実は胸の打たれるような思いもいたしたわけでございます。そういうことで、先ほど来局長の方からも御答弁申し上げておりますように、地元でも調査委員会をつくって、そして原因の究明に努力をされておられるわけでございまして、私ども建設省といたしまして、決してこれを放置しているわけじゃありませんので、ともかく二次災害が発生しないように今全力を挙げるということで取り組んでおる点を御理解賜りたいと思っておるわけであります。
  78. 村沢牧

    村沢牧君 二次災害の発生を防止するために全力を挙げて取り組むことは当然のことです。しかし、建設省全部がそれに取りかかっているわけじゃないでしょう。各課があるし、あれだけの職員を抱えておって、全部が取り組んでいるわけじゃないじゃないですか。検討すべきものは検討すべき課があるわけだ。それすらやってないところに皆さん方の無責任さがあると言うんです。  そこで、なぜこの地域地すべり地域に指定することができなかったのか。危険箇所にもなっていない。過去において長野県内部で検討されたことがあるわけですけれども、県に申請をしなかった。しかし、災害の結果から見れば、地すべり防止区域の指定基準に該当する地域であった、こういうことが言えると思いますが、どうですか。
  79. 井上章平

    説明員井上章平君) 今日の災害の態様から見まして、当然地すべり防止区域に入れられるべき地域であったと思います。
  80. 村沢牧

    村沢牧君 県にも専門家がいます。したがって、この箇所地すべり区域に指定できるかどうか、随分専門家は判断するわけです。しかし、検討したけれどもなかなか難しいという見解であった。これは県内部でですね。このことは、有料道路だけに気をとられて、有料道路被害を及ぼすおそれのあるものについては地すべり防止区域の指定基準に該当しない、そういう判断でもって申請をしなかったんではないでしょうか。
  81. 井上章平

    説明員井上章平君) 地すべり防止区域の指定要件といたしましてはいろいろあるわけでございますが、当然その地すべりによりまして影響する範囲に人家等がございます状態から見ますと、道路の存在の有無によって防止区域から外れるというようなことではなかったと思います。  ただ、当時の認識といたしましては、道路の周辺に起きた崩落なり地すべりなりというような感覚が非常に強く出ておりましたので、そういう観点から地すべり防止区域に指定されないというふうな、どうも思い違いがあったんではないかというふうな感じがいたします。  しかしながら、いずれにいたしましても、これは長野県が判断されまして、申請に基づきまして指定をされるわけでございますので、長野県で、五十六年にそういう兆候が出だしてからあの災害に至るまでの期間において、どういう判断でどういうふうに処理されてきたかということにつきましては、ちょっとなかなか私どもも、いろいろ伺っておるわけでございますけれども、よくわからない面がございます。ただ、私どもの推定いたしますところ、今のようなことであろうかと思います。  しかし、七月二十一日に至りまして、これが到底バードラインの周辺にとどまらない地すべりの兆候であるということがはっきりいたしましたので、その時点で私どもの方に報告がございました。したがって、この時点ではもう直ちに区域指定が行われるべきものということで私ども動いたわけでございますが、それは二十一日でございましたので、すぐこの災害に至ったというふうな経緯があるわけでございます。
  82. 村沢牧

    村沢牧君 今、答弁のように、七月二十一日になってこれは大変なことだということで、地すべり基準に該当するであろうということで申請をして県が対応した。しかし、二十六日は災害が起きているんですよ。直前にこの指定をしている。この判断について私も理解に苦しむんですが、しかし、県でもこれほどの大災害になるということは想定もしなかったからこういうことになったというふうに思いますけれども、その中には私は、地すべり防止区域の指定基準ですね、そのものにもやっぱり問題があるんだと。つまり、先ほど申しましたように、道路運送法による道路に危険を及ぼしても指定基準には該当しない、したがって、今回の災害にかんがみて、道路運送法による道路もこの指定基準の対象に入れる。あるいは、今回の災害ではNHKだとか民放のラジオの各社の中継所などが倒壊している。これらも公共施設に含める。そのように指定基準のやっぱり見直しをすべきだと。この基準は昭和三十三年にできたんです。そのときには有料道路も少なかったかもしれない。その後の経済情勢もうんと変わってきているんですよ。三十三年にできた基準を今もって守っているということ、それ自体がおかしいんじゃないか。どうなんですか、基準の見直しについて。
  83. 井上章平

    説明員井上章平君) お話ございましたように、この指定基準は建設、農林、大蔵三省の申し合わせでございまして、三十三年のたしか七月ごろ申し合わせが成ったわけでございますが、当時の実態に合わせているという面がございますので、私どももこれを機会に検討いたしたいと思っております。
  84. 村沢牧

    村沢牧君 今、検討するということでございますから、もちろん道路運送法による道路、有料道路全部入れるとは私は言いませんよ。しかし、そういう道路であってもなるほど地域に大きな影響を及ぼす道路があるんですよ。選択をして、その他という項目を設けるなどして指定基準の見直しをすべきだ。もう一回質問しますが、よろしいですか。
  85. 井上章平

    説明員井上章平君) そういう御趣旨を体して検討いたしたいと思います。
  86. 村沢牧

    村沢牧君 次は二次災害の問題でありますが、現地では二次災害の発生を大変恐れており、今日に至るも避難命令は解除しておらない。二次災害について建設省としてはどういうふうに考えていますか。
  87. 井上章平

    説明員井上章平君) 私も現地視察さしていただいたわけでございますが、五百万立米とも言われる大量の土砂があの斜面に広く流れ出ております。ただいまのところとまっておりますが、しかし、これらは今後の降雨のいかんによりまして当然流出するおそれが十分あるというふうに判断されます。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけそういう事態にならないように、ただいまのところ土どめ工をまず実施いたしております。あるいは、もともと地すべり後というのは大変危険でございまして、入りにくい事情もあったわけでございますが、その危険を冒してただいまのり面の整形でございますとか、地表面の水路等を鋭意作業いたしておるわけでありますので、これらを早急に行って、何とか台風シーズンまでにはただいま実施いたしておるものは完成させたいと思っております。  しかし、これをもってして二次災害防止は万全というふうには到底まいらないわけでございますので、今後の気象条件等を十分注意しながら適切に対応してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  88. 村沢牧

    村沢牧君 応急対策台風シーズンまでに完成をいたしたい、ぜひやってもらいたいと思います。  それから、恒久対策は明年度の地すべり激特事業で対処をしていく。この激特事業はおおむね三年間というようなことで今までやられておるわけですが、下の方に、御承知のとおり、大きな住宅団地もありますから、三年と言わず私は二年以内に完成してもらいたい。  建設大臣は、現地視察した際、応急対策恒久対策も法の枠を超えて実施しますから御安心くださいという、こういう現地で記者会見もしておるし、県当局にもそういうことを言っているわけですね。その気持ちは変わりはないというふうに思うんですが、どうですか。
  89. 井上章平

    説明員井上章平君) 六十一年度からは恒久対策実施をいたしますが、それにつきましては、先ほどお話しございましたように、激特事業で実施いたしたいと思っております。  この事業は、通例は三年間でございますが、この状況を見ますと、私どもも一日も早く完成すべきであろうというふうに思います。これは、事業費の確保の問題だけじゃなしに、工程の、問題もございますので、今後、恒久対策を樹立するに当たりまして、そういった問題も十分念頭に置いた上で、できるだけ速やかに達成できるような内容の恒久対策といたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  90. 村沢牧

    村沢牧君 設計その他の地元の対応が整えば、財政問題はこの二年間で完結するように措置をする、そのように理解してよろしいですね。
  91. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 私が地元で申し上げましたことは、例えて申し上げれば、あの下にはたくさん住宅があるわけでございますから、そういう状況を考慮して、また同時に、あれだけの大きな災害でございますから、思いがけないような対策を立てなきゃならぬ。そういうような場合に、先ほど来御指摘のありましたように、縦割り行政の弊害で、そしてこれがおくれるとか、また問題を提起するとかということがあってはなりませんから、そういう点については、ある意味では法の枠を乗り越えても縦割り行政の弊害その他で問題が起きないように最善の努力を私どもは尽くさしていただく、そういう決意を申し上げたわけであります。
  92. 村沢牧

    村沢牧君 先ほど私も申し上げたように、工事ですから、幾ら財政措置を講じても地元が対応できなければいたし方ない面もありますが、地元が対応できるとすれば、二年間でも財政措置は講ずる、そのように理解してよろしいですね。
  93. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) そういうふうに御理解いただいて結構だと思います。
  94. 村沢牧

    村沢牧君 次は消防庁に伺うけれども、消防庁は県並びに市に対して、今回の災害に対して関係機関の対応、松寿荘避難体制、二次災害防止警戒避難体制、消防機関の活動状況等々について資料の提出を求めて、この返事が来ているというふうに思いますが、これらの資料を分析していかなる見解を持ちますか。
  95. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 消防庁といたしましても災害発生以来、御指摘のように、災害情報の収集をいたしておりまして、県、市の対応状況中心に事実関係の把握に努めておるところでございます。  このたびの災害につきましては、まず何よりも老人ホーム松寿荘で不幸にして二十六人の犠牲者が出たことをまことに残念に存じています。  松寿荘の問題を含め、災害に対する対応につきましては、避難にかかわる問題、情報伝達にかかわる問題等が指摘されておりますが、現在まで収集いたしました資料では十分ではございませんので、さらに具体的な事実関係について、関係機関と協調し、できるだけ速やかに調査を進め、その結果を今後地方公共団体の防災対策指導する上で生かしてまいりたいと存じております。  なお、被災後の状況につきましては、例えば地元で二次災害防止のための措置についていち早く取り組むなど、県、市が関係機関と協調してそれぞれの立場で最大限の努力をされていると存じております。
  96. 村沢牧

    村沢牧君 私は、消防庁が照会した資料はかなり詳細にわたっていると思う。専門家のあなたたちから見れば、こういうことでよかったかどうかという判断がつく資料だと思うんですよ。今後もさらに検討していくなんて、そんな答弁を私は求めようとは思わなかった。  じゃ、具体的に聞くけれども避難命令の問題はどういうふうに消防庁としては考えるのか、自治省としてはどういうふうに考えるのか、避難体制はよかったのかどうか、それぞれについて伺いたい。
  97. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 避難体制につきましては、結果的には湯谷団地については人命を保護するという意味で成功しておると、災対法六十条の目的は一応達成しておるわけでございますが、残念ながら松寿荘については避難の指示が出されていないということでございます。  この出されていない原因等につきましては、それが予想されてなかったということで地元から報告を受けております。その辺の事情につきましては、今後の専門的な調査によって解明されるべき問題であると、そういうふうに考えております。
  98. 村沢牧

    村沢牧君 自治省はどうですか。
  99. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 自治省側から答弁ありますか。
  100. 村沢牧

    村沢牧君 避難命令については、自治省側が直接関係するんじゃないですか。
  101. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 避難の勧告、指示につきましては災対法の関係でございまして、自治省消防庁が担当しております。
  102. 村沢牧

    村沢牧君 自治省はないですか。
  103. 奥田義雄

    説明員(奥田義雄君) 避難勧告の関係につきましては、ただいま防災課長から御答弁申し上げましたように、自治省の消防庁の方で所管をいたしておるということでございます。自治省本省ではございませんで、消防庁の方で所管をいたしておるわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  104. 村沢牧

    村沢牧君 所管はわかったけれども、それについてどういうふうに考えていますか。
  105. 奥田義雄

    説明員(奥田義雄君) 所管外の事項でございますので、ここで御答弁することは差し控えさしていただきたいと思います。
  106. 村沢牧

    村沢牧君 所管外のことを調整するのは国土庁ですから、国土庁答弁してください。
  107. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) ただいま自治省の消防庁の方から避難の実態につきまして県からの報告を御報告いたしたところでございますが、国土庁といたしましては、災害対策全体を担当する立場から、ただいま自治省からの報告につきまして、さらに我々といたしましてはこれを聞きまして、今後の災害対策教訓としてこれを進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。  特に、こういった土砂災害につきましてはハードの面で整備をするというのが非常におくれておると申しましょうか、難しい段階にあるわけでございます。したがいまして、その危険区域につきましては、やはり予警報あるいは避難の伝達、こういったものが非常に重要な役割を果たすわけでございます。そういった関係から、今後土砂災害対策という面で、特に今の避難問題、これについて今回の避難の実態を教訓といたしまして、さらに関係省庁連絡をとりながらこれを充実さしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  108. 村沢牧

    村沢牧君 今後の対応に教訓とすることは当然のことですよ。そんな答弁要らない。要らないけれども避難命令が出されなかったということについて政府としてはどういうふうに考えるのか。私はあえて政府責任だとは言わないよ。どういうふうにこれを、判断ミスであったのか、あるいは出すべきであったと思うか、その辺をどういうふうに考えるんですか。あなたたちは事情聴取をしているんじゃないですか。その一言だけでいいんですよ。
  109. 志苫裕

    委員長志苫裕君) ちょっと私から申し上げますけれども、先ほど来、例えば地すべり本体の原因の問題であるとか、あるいは通報、避難、そういう手違いであるとかですね、そういう問題についての政府側の言及はほとんどぼけているわけですね。わからぬものならわからぬ、調査中のものなら調査中、わかっておって手違いであったらあったというふうに、むしろ明確に答弁なさった方がよろしいと思いますので、明確に答弁してください。
  110. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) ただいまの問題でございますけれども、判断ミスがあったかどうかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、地すべりの発生時点あるいは地すべりの規模等についての予測が、現在の科学的な知見等によって通常予測できるような状態にあったかどうかというようなことが決め手になるわけでございまして、その辺につきましては今後専門的な見地からの調査検討を待っての結論が出されるべき問題であるというふうに考えておりまして、直ちに判断ミスがあったかどうかというような結論は、現時点においては出せないものであるというふうに考えております。
  111. 村沢牧

    村沢牧君 時間がないからこれはいろいろと追及もできませんけれども、そのぐらいな答弁だったら、あなたたちの答弁を聞かなくたって、私だって随分災害対策委員会におるから承知しているんですよ。だから、委員長が言われたように、もっと的確な答弁をお聞かせください。  それから、時間がないから次に移りますけれども国土庁長官現地をごらんになっていただいて、災害によって埋没した住宅、それから家財も何一つこれを持ち出すこともできなかった、また住宅のローンも残っている、まことにお気の毒な状態でありますが、大臣はどんなふうに受けとめましたか。
  112. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 現地小学校におきまして、家財を補償せいとかいろいろな要求は受けておったわけでありますが、これとても私は、御意図に沿うように努力しますということしか答えられなかったのですね。だから、家財を補償せよとか、家を補償せよとかいう要求を学校で報告を受けておったわけですが、全面的にそれを受け取るということはちょっとできない点もありますし、努力しますというふうに答えただけであります。それが真相であります。
  113. 村沢牧

    村沢牧君 努力するというふうに答えてきたということでありますから努力してもらいたいのですが、私は、いつの災害にも指摘をするけれども、今の災害対策基本法で一番やっぱり不備な点は個人災害、特に住宅災害に対する手当てがないということですね。大臣現地をごらんになって全く気の毒だと思うわけですね。全壊した人たちは特にそう、埋没した人もそう、埋没しなくても、応急工事としてH鋼を打つ、その内部には無傷な住宅だってあるんですよ。これに対して一体補償があるのかどうか。ですから、建設大臣被災者のところへ行ったときに、行政が補償してください、そういう強い請願書が出されている、御承知のとおりですね。これに対して、ただ融資があります、あるいは保険でどうだということでなくて、もっと前向きな対策建設省として、政府として出すべきではないか。私は、今この答弁を求めても、あなたたちからろくな答弁が返ってこないから、答弁を求めませんけれども、今見直すべき時期だ、どういうふうに考えますか、これ。
  114. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) ただいままさに御指摘なさいました住宅等の個人財産あるいは個人的な被害に対する対策でございます。  死者等につきましては、昭和四十七年度から災害弔慰金制度が開かれたわけでございます。また、災害によりまして家を失った低所得者の方々に対しては、災害援護資金の制度が開かれたわけでございます。通常の場合、個人財産、農地あるいは中小企業の被害、こういったものに対しましては現在融資制度で対応いたしておりますが、これをさらに今後拡充するという段階で、今はそのお答えしかございません。
  115. 村沢牧

    村沢牧君 大臣も政治家ですから十分わかると思いますけれども、あれだけ家がやられても何らの補償がないわけですね。これに対しては何らかのやはり法的な措置も講じなければならない時期だと私は思うんですね。今までこの種のことは、例えば個人に対する見舞いにしても、全部政府がやるんじゃなくて、議会の方で議員立法として修正をしてやってきたんです。こちらの方へお任かせしますということなんでしょうかね。大臣はどういうふうに考えますか。  そのことだけお聞きして、もう一つ要求をし、答弁を求めて終わりますが、先ほど来私が指摘をしたように、今回の災害について、いろいろ原因についてもその他の問題についても政府答弁は極めて抽象的だ。したがって、国土庁がこれをまとめてしっかりした調査結果というのを早急に明らかにしてもらいたい。強く要求をし、答弁を求めて私の質問を終わりたいと思う。
  116. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 村沢先生の御意図は十分に体しまして、具体的にどういうようにするかということを詰めて努力したいというふうに考えております。
  117. 村沢牧

    村沢牧君 報告書はどうですか、報告は。極めて抽象的で、答弁になっていないよ。
  118. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 関係省庁報告が出てまいりましたら、それを取りまとめていきたいと思います。
  119. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから終わります。
  120. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 最初に、災害が起きてすぐその翌日、政府の方から各係が全部現地に来ていただきまして、土日にかかわらず大変手早く、手際よく対策を立てられた。月曜日の午前中には関係省庁皆さんが集まって応急災害臨時対策を立てられたことは、先ほど小山委員からも言われましたように、大変手際がいいことでありまして、私自身、当地の元市長として深く感謝するものであります。  そこで、褒めるのはそのぐらいにしておいて、ひとつ私は極めて現実的なことをお伺いしたいんですが、すぐ火曜日にはもう既に土どめの工事の準備にお入りになった。H鋼のあれをやって、ちょうどきのうも見てきたんですけれども、約半分ぐらいできておりますね。しかし、柱はまだ半分ぐらいしか埋まっておりませんから、地上のあれというものは、このくらいのH鋼がにょきにょきと立っておりまして、ベルリンの壁じゃないが、鉄鋼の壁を団地の真ん中にずっとやってしまった。そうすると、団地の山際の方は、もうおれたちは見捨てられたんだという気になりますよ。大変あれは、後から聞くと、いろいろそれなりの理由があったようですから、まずいとは言わぬけれども、しかしその外側に、おまえたちはもうつぶれてもしょうがないんだとほっておかれた六十何世帯の人たちの心情を思うと、工法上やむを得ないんだというだけではなくて、ここでどうしてもそうしなければならなかったという理由をこの席上でひとつ明示していただきたい。私はそれをもってその人たちによく説得しますから、よくその理由をひとつこの席上をかりて明示していただきたいと思う。
  121. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) 御説明いたします。  まず、現在やっていますHぐいと松丸太による土どめ工でございますが、当初は実はあのラインではなくて、もう少し山側の、今土砂が流れでございます地域に打とうと計画したわけでございます。ところが実施段階になりまして、その土砂の中にプロパンガスが流出してその中に入っておったわけでございます。したがいまして、そこにHぐい等を立て込みますと爆発の危険がある。しかも一方、ああいう状態で土砂を放置しておりますと、降雨がありました際には未被災家屋の方に直ちに流出する可能性があるということで、私どものところで長野県の土木部と市を交えまして急速相談いたしまして、それでは最も手早くかつ土砂の流出を抑えるにはどの地点がいいかということを論議したわけでございます。そうしますと、大体現在のところが最もよくて、作業上も、あの宅地の中でございますと各個人個人の了解をとらないと実施ができないわけですが、一応公有地でございますので、あそこであればかなり手早くやれる。昨日現在で約七〇%もうHぐいの立て込みをやっておりますので、その見通しは私どもとしては正しかったと思っております。そういうことであのラインを決めたわけです。  それから、住宅の方に対する配慮でございますが、まず私どもがやったラインでどのような未被災家屋が残るかと調べたら十七戸ございました。全然被災していない未被災家屋は十七戸ございます。それで、それではいかぬということで、さらに矢板と矢板の間をきめ細かく布団かご工というものでつなぐことによりましてその未被災家屋を守るような工夫をいたしました。それで十五戸土砂流出から守れる。しかしながら、なお二戸残ることになっております。これにつきましては長野県と長野市を指導いたしまして、さらに別の布団かご工を構築いたしまして、それに対応するように現在市と県を指導しておるような状況でございます。
  122. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 大体わかりました。今の説明の中に、土どめ工事をやるのに大型の機械を持ち込まなければいかぬと、それは現在の状況ではとても持ち込めるような状況じゃないということもあわせて納得いたします。納得いたしますが、やはりその説明が十分でなかったような感じがします。  それからもう一つは、これは後でお聞きいたしまするが、水抜き工事が完全にできますと私は十分復活の可能性が極めて強いと、こう考えておりますので、現在の土どめ工事のもう一段上に土どめ工事を適当な機会におやりになる、こう言っていただきたいんだが、どうですか。
  123. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) この工事はあくまで応急仮工事でございまして、これを本工事復旧とするわけではございません。したがいまして、市道の復旧並びに地すべり防止対策工事の本工事は、別途調査をいたしまして、どのような本復旧がよろしいのか、どこに土どめ工をつくるかは今調査している段階で、はっきりしたことは申し上げかねますが、今の矢板工のラインで最終的に決定しているということではございません。そういうことで御理解をしていただきたいと思います。
  124. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 それだけ説明を聞けば結構でございます。私は今、水抜き工事が成功したらばと申しましたけれども、私は建設省の水抜き工事を非常に高く評価しておるものです。これは茶臼山の地すべり、あれが水抜きで完全に成功した例であります。あれは今度の地附山と違いまして、百年来の歴史を持った地すべり地帯の茶臼山でございまして、これは建設省の水抜き工事が完全に成功しまして、現在おさまっておりまするが、私は、建設省の水抜き工事というもの、それから、あれからもう十何年たっておるんですから、随分ノーハウを蓄積されておるんだろうと思いますから、恐らく二、三年の年月をかせば完全に水抜き工事が成功するだろう、こう確信いたしております。どうです、この点技術当局として何ほどかの自信のほどをお示し願いたいと思う。
  125. 渡辺義正

    説明員(渡辺義正君) お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございましたように、地すべりにおきましては水が非常に重要な役割をいたすわけでございます。  それで、私どもといたしましても、現在、当面の対策といたしまして、本年度二十二億五千万円をもちまして災害開運緊急地すべり対策事業ということで、集水の井戸でありますとか、現在は地表面の水が中に入らないようにということで整地をいたしておりまして、そのほか表面水の排除というふうなことに全力を挙げておるわけでございますけれども、それに続きまして、今度は集水井と申しまして、大きな井戸を掘り下げまして、それと横穴にボーリングをいたしまして、それで水を集めます。そういった工事でありますとか、それからくい打ちというふうなことで対処していきたいというふうに考えておるわけでございます。  恒久的な対策といたしましては、地すべり土塊の安定化のために、先ほど来申し上げておりますような工法のほかに、今度は恒久的な対応策といたしまして、六十一年度から地すべり激甚災害対策特別緊急事業費として、調査の上、恒久的な対策実施していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  126. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 そこで、今はもちろんまだ集水の井戸は掘っておりません、整地している段階ですが、そこでこれから、今、表流水をあれして鬼沢と赤砂連川に落としておる。これが本格的に水抜きをやりますると、両河川に相当のやはりあれがいかなきゃならぬ。としますると、続いて本格的な集水の工事と並行して鬼沢川と赤砂連川に、これやっぱり河川改修というんですか、何というんですか、これをおやりにならなきゃいかぬ、こう思うんですが、その点についての御説明を願いたい。
  127. 帆足建八

    説明員(帆足建八君) お答えいたします。  鬼沢川につきましては、流出の土砂の下流への流出防止対策といたしまして鋼製の枠工による堰堤工、高さ七メートル、幅二十四メートルの応急本工事を既に着手しておりまして、これは県の報告によりますと、大体八月いっぱいに完成すると思っております。  それから、堰堤工により上流でございますが、これは先ほど来話になっております地すべり対策事業の排水路の計画と調整いたしまして復旧計画を合わせることにしております。  下流部でございますが、下流は土砂流出防備保安林として指定されておりまして、これは林野庁の所管となっておりまして、聞くところによりますと、別に計画を持っておられるようでございます。  それから、赤砂連川の方でございますが、応急対策といたしまして土どめ工を実施することにしております。本工事につきましては、上流の地すべり対策の計画と調整をしなければならないところで、長野県並びにこの河川管理者でございます長野市と協議して詳細を決めようと思っておるんですが、今の段階で、こちらの赤砂連川の方の本復旧計画的なものは現在詰めておる段階で、早急に計画を立て、災害復旧事業を実施してまいりたいと思います。
  128. 船渡清人

    説明員(船渡清人君) 下流部の保安林内でございますが、林野庁といたしましては、流出土砂等による下流地域の再度災害防止被害の拡大防止のために、地すべり末端に位置する駒形沢、今、お話が出ました駒形沢の保安林内におきまして、災害関連緊急治山事業といたしまして谷どめ工一基を早急に実施したいと、このように考えております。
  129. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 了承いたしましたが、これからが本題ですから、ぜひ建設大臣国土庁長官もお聞き取り願いたいと思うんです。  先ほどから、地すべり地帯になぜ入っておらぬのかというような議論が盛んでございますが、私は、地すべり地帯に入っておればよかったとは思いますけれども、何しろ地すべり地帯というのは全国に何万カ所とあるので、入ってみたところで、先ほど向こうで言ったように二百何十億しかないんだから、とてもじゃないが順番は回ってこない。それを当てにしておったら地方の自治体はえらいことになる。私はこの災害を聞きました途端に思いましたのは、実はあそこの髻山からこの地附山を通りまして茶臼山に至る一帯の土地は、その報告書にもありますように、大体同一地形、同一地層のところで同じところなんですが、残念なことに、こっちの方のその途中にある安茂里の小市には、やはりちょうど今の湯谷団地と同じように小市団地があります。それで、そこの上には地蔵平団地がある。こっちには浅川霊園があるというので、小市の方は大丈夫かいというのが私の第一印象だったんです。  小市の方は、御存じのように、十年ほど前にやはり地すべりがございまして、押し出して、十九号線の国道へこの程度の石がごろごろ落ちてきまして、あわてて土どめ工事をやって、現在は落ちついております。現在は落ちついておりますが、やはりそういう前科がある、小市団地については。こういうところを私は地すべり地帯に入れてくれとはもう申しません、これ待っていられないから。私は、これはやはり地方自治体の自分のところの身にふりかかる災害ですから、防止工事建設省が本格的におやりになる前に、少なくとも危険を予知する、観測して予知する、これを地方自治体はやらなければいかぬ。これはもう自分のことですから、やらなければいかぬと思うんですが、これは私はそれほど難しいことじゃないと思う。  というのは、要するにいたずらするのは地下水なんですから、地下水の観測をするためにボーリングを何カ所か必要なところへ掘って、地下水を定期的に観測していけば、その水位の上下その他によって地すべりの兆候ありや否やということはある程度観測予知ができるはずだと思うんです。これはまあ素人考えですから、そんなことしたってだめだとおっしゃれば別ですけれども、そういったものや、もしくは若干ひずみが出てきたようなところにはひずみ計をつくると。そして定期点検をやるといったような極めて初歩的な観測予知というものは、これはもう地方自治体はやらなきゃしょうがないです、自己防衛のために。とても地すべりの本格的な工事をおやりになってもらうまで待っているわけにいかない。こういうものはやりたくても、しかし、現在の例えばこの長野市の場合におきましては、それだけの技術陣営、専門的な知識がない。ですからこれに対して、そういう地すべり地帯に入れて本格的な地すべり対策工事をおやりになる前に総点検、さっさ言われましたが、総点検をやってみたところで予算がないんだからやりようがないんです。しかし、順々におやりになることは結構だから、速度を進めて順々におやりになっていただくのは結構ですが、まず何はともあれその観測予知ということをやらなければ、これは大して金がかかるものだとは私は思わないんです。  ですから、そういったようなものを市町村がやろうとしたときに、これに対する技術的な指導と、それからもう一つは、これは市町村の悪いくせで、国から例えば二割でも三割でもわずかでいいから助成をくれれば、やっぱりほかのものと違って一生懸命にやるわけだ、これは現在悲しいかなそういうくせがついているのだから。だから、そういう極めて初歩的な予知観測の制度をやろうとしているものに対しては、でき得ればこれは専門的な指導方法をぜひやっていただきたい。できれば若干なりとも財政援助をやって、全国のまず危険地帯というものをそこからおやりになると、こういう考え方を国土庁長官並びに建設大臣はおやりになる必要があると私は思うんですが、御検討をいただけるかどうか。その前に専門の方の話があったらどうぞしてください。
  130. 渡辺義正

    説明員(渡辺義正君) お答えを申し上げます。  地すべりの動きを事前に察知いたしますための観測体制といいますものを整備いたしますことは、災害の未然防止というふうな観点から非常に望ましいということだと考えております。市が積極的にこの施策を取り組まれるということでございますれば、そのための技術的な指導というふうなものにつきましては、国におきましては県とともに積極的に協力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、地すべりの危険が予測されますような地域におきまして、建設省といたしましては現在特定地すべり地の整備事業というふうな制度の発足ということを考えておりまして、それの実現に向けまして努力していきたいというふうに考えております。  その事業と申しますのは、そういった危険の予測されますようなところにおきましては、常時監視体制というふうなものを整えて、そういった地すべりの動きに万全の配慮をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  131. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 大臣答弁ありますか。
  132. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 夏目先生の御意見でございますが、やはり国土庁といたしましては各官庁関連の専門的な意見を取りまとめるということで、取りまとめましてこれをいかに実行するかということにつきましては、前向きに考えていきたいというふうに考えております。
  133. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 建設大臣は。
  134. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) この予知の問題は大変大事な問題でございまして、私どもとしましても、今ここでこういたしますということはちょっと答弁しにくい点もありますが、できる限り前向きで検討さしていただきたいと、こういうふうに考えております。
  135. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 前向きに検討していただくというのでありがたいことだと思いますが、私は今度の災害がいろんな教訓を残しております。いろんな教訓を残しておりまするが、やはりその教訓一つだろうと思う。できるだけ地すべり地帯の枠を広げてやるというのも一つの方法だけれども、しかし、こいつは金と相談の話だから、実際はなかなかそのたびに言われて現実には進展しにくい。これは国土庁よくわかっておりますね、現実の姿というものは。もしそれならば、その前の初動的な観測予知制度というものをぜひひとつ新しくお考えになっていただきたい。もっともこれは長野の市長もやってないのだからだめだけれども長野市には強く私はあれして独自でやるつもりですけれども、ぜひひとつそういう制度を音頭をとってなにしていただきたい。ぜひ専門的な指導と、でき得れば財政的な、これは大して金のかかる話じゃないのだから、ひとつ十分にお考えを願いたいと思うのであります。  それからもう一つ、今度の教訓の中でいろいろ教訓があるわけです。先ほど十分なるそれ相応の兆候があったものを、それを生かしてないじゃないかというようなのも、これは確かに私も感じております。しかし、これは自治省と国土庁の方にお願いしたいのですが、今度の松寿荘の方だって、実際にあそこで道路工事をやっている人夫が危ないからといって言うんだよ。危ないから、変だけれども、人夫が言ったことなんだから、やはり松寿荘の管理者の方ではそう真剣に受けとめないわけだ。それで結局、先ほど言ったように、コンサルタントに頼んで、村沢さんが書類をもって示したような相当程度な調査をおやりになって、ほうっておけば危ないですよと、読めばわかるそういうちゃんとしたものを出しているんだけれども、情報天皇に達せずというやつなんだな。避難命令でも同じだと思うのですが、情報天皇に達せずということなんで、これはやはり予防行政組織そのものに私は何か重大な欠陥があるんではないか、こういうことを感じてなりません。ぜひひとつその点もあわせてお考えおき願いたいと思うのです。  それで、ついでに話が出ましたから消防庁の方に避難命令の問題について申し上げたいのですが、私はこれは地方の新聞を見ただけで、私自身確かめた問題じゃありませんけれども避難命令を現実に聞いて避難したというのは一割に達してないんですよね。そういうのは信毎が全部アンケートを出して調査したのですからある程度信用すべき調査だと思うのですよ。避難命令を聞いて避難した人は一割に達しない。避難命令の伝達方法というのが、ここにひとつ重大なやはり教訓というか、私ども考えなきゃいかぬことがあると思うのです。  それと同時に、もう一つ避難解除の問題、これは両大臣とも湯谷の小学校の体育館に行かれて、避難をされておる方の現状をごらんになられたですね。蒸し暑くてあんなところにいられたものじゃない。三日や四日なら災難だと思うけれども、一週間たっても二週間たってもじゃ子供は蒸し死んじゃう。避難命令を一部解除したようだけれども避難命令の解除については県の方は、専門家にポケットベルかなんか持たして、何か専門に学者の意見を聞いてじゃなきゃ市長は解除しちゃいかぬと言う。学者に頼めばえらいことなんだ。これは松代地震で経験したんだけれども、なかなか松代地震のときも出さなかった。とうとう終結宣言を出したら、翌日地震があったらもう学者の先生はおっかながって絶対出さぬのやな。現状を一番身をもって体験しているのは現地の市長なんですから、学者の意見を参考に聞くのはいい。参考に聞くのはいいけれども、学者の方からオーケーが出なければ避難命令が解除できぬという、これはだれが決めたんですか。私は今度初めて知ったのですけれども、だれが決めたか知らぬけれども、それについて消防庁の方から、申し上げた二つについて意見を聞かしてください。
  136. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) まず第一点の避難命令の伝達方法についてでございますけれども、御指摘の避難命令につきましては七月二十六日午後四時三十分、湯谷団地の三十八戸に対しましてまず出しております。この避難指示は多少戸数も少ないというようなこともございまして、地元側の希望によりまして、地元役員の口コミによって伝達されておるということでございます。それから、さらに午後五時三十八分、湯谷団地一帯に出されました避難指示は広報車により伝達されたというふうに聞いております。  災害時におきます住民避難につきまして、消防庁といたしましては、市町村長が遅滞なく避難の勧告指示を行うとともに、伝達の手段といたしまして防災行政無線とかあるいはサイレン、半鐘、有線放送、広報車、職員の巡回等々の手段を複合的に活用して、災害状況とか、あるいは地域の実情に応じた効果的な伝達をするよう指導しておるところでございます。今後とも状況に応じて的確な対応をなせるよう指導してまいりたいと思っております。  なお、地附山の地すべりの二次災害に対処するため、その後緊急通報システムを地元で決定しておりますが、そのシステムの中では、住民への伝達につきましては常設のスピーカー、あるいは市の広報車、消防局の広報車それから県警のパトカー、こういった媒体のスピーカーによりまして住民へ伝達するということを、前回の経験を踏まえて新しい緊急通報システムとして定めておるということを承っております。    〔委員長退席、理事久保亘君着席〕  なお、一般的なお話といたしましては、緊急情報の住民への伝達につきましては、最近では、いわゆる防災行政無線といたしまして同報系の無線あるいは移動系の無線、これが非常に有効であるということで、その整備促進を全国市町村等に進めておるわけでございます。    〔理事久保亘君退席、委員長着席〕 長野市におきましては移動系無線の整備がなされておりますが、同報系無線の導入につきましても、市として検討されておられるというようなことも承っております。  それから、二番目の避難指示の解除の問題でございますが、県におきましては、御指摘のように、専門家の意見を生かした正確な情報が提供できますよう、学識経験者から成る長野地附地すべり警戒避難予知判定会及び長野地附地すべり災害対策委員会を設置したと聞いております。具体的に解除するという場合には、市におきましてはこの判定会の判定を参酌しました委員会の検討結果を十分尊重して対処するというふうに聞いております。先生のおっしゃったとおり、参考にして十分それを尊重しながら対処するというようなことを聞いております。避難指示の解除の問題は、人命の保護を第一義として決定すべきであるわけでございまして、地元では、専門的見地から安全が十分確認された上で対処すべきものと判断して、このような対応をとることとしたものと考えております。
  137. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 それは報告そのままを言っておるだけの話で、私の言うのは、それは人命尊重ということになれば、今言ったように学者というものはもう慎重きわまるもので、もういいですよと言って、もしあれしたら大変なものだからなかなかうんと言わぬ。そういう習癖がある、学者というのは。だから、避難命令を出すのが市長の権限なら、解除するのも市長の権限にして、下手なひもをつけない方が、市長だって命がけですよ、解除して崩れたら大変なんだから。だから、そこは状況判断で、いざといったらサイレンを鳴らしますからすぐ逃げてくださいというようなやり方やいろいろあって、市長はそこにいろいろな処置の方法をとれるけれども、今読み上げたように、専門家のオーケーが出ない限りは解除を出せないという、何でそんなことを決めるのだろうと思うのだけれども避難命令を出すのが市長なら、解除する命令も、参考意見として聞くぐらいはいいけれども、やっぱり市長の権限で解除するような方にやってもらわなければいけないと思うのだ。十分ひとつ検討してください。
  138. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 避難命令の解除につきましては、先ほども申し上げましたとおり、市長の権限であることには変わりございません。ただ、この災害の発生時点でいろいろ予測がつかなかったというようなことも言われておるわけでございまして、その判断が非箱に難しいということもあって、市長の判断の前提として、そういう専門家の意見等を参考とするという意味で判定会を設けたものというふうに承っておるわけです。
  139. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 小さいことにこだわるようだけれども、今最後に参考としてと、参考としてならわかる、それはいいんだ、参考としてなら。しかし、現地は今参考としてじゃないんだ、現実には。オーケーがなきゃだめだと言っておられるから、市長ももう参っちゃっているわけだ。どうなんだね、そこ。参考にしてかね、それともどっちなんだい。
  140. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 参考としてといいますか、十分尊重して市長が判断するというふうに承っております。
  141. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 そのくらいにしておきましょう。  それから、決まり切ったことは聞きませんが、松寿荘の復活について。  これは私は、土地さえ見つかればすぐやってくれるんだと思っておったところが、何か市町村の組合で今建設中のがあるんだそうですな、もう一つ。それが終わらないと、一度に二つはちょっと無理じゃないかというような話を聞かされたんだが、そんなことはないでしょうな。あれは十八だったと思ったが、十八の市町村の組合でつくっておるのが松寿荘であり、それでその組合でもう一つ何か去年からつくっておるやつで、これが来年、昭和六十一年度に終わらなければ松寿荘の再建にかかれないんじゃないかといって市の連中はばかに心配しておったけれども、そんなことはない、災害のやつは、そっちの建設中とこれとは話が違うんだかも、用地の問題さえ解決したら直ちに復活してくれるんでしょうな。これはどこだ、厚生省が。
  142. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 松寿荘の再建といいましょうか、代替的な特別養護老人ホーム並びに養護老人ホーム建設につきましては、今御心配のようなことは一切ございません。今例に挙げられました現在建築中といいましょうか、のものは牟礼荘というものでございますが、これもたまたま十八の市町村地域広域行政事務組合で建設の計画があったものでございまして、これにつきましては、当初の計画では六十年度及び六十一年度にかけまして建設する、こういうふうな御計画でございましたので、それに合ったような財源的な手当てを私どもで既にしております。ただ、今回の事故が起こりましたので、少なくともこれについては単年度でやりたいというふうな御希望でございますので、これにつきましては、それに沿ったような財政措置に私ども切りかえるつもりでございます。  あわせまして、これは七十名程度の特別養護老人ホームでございますので、今回の事故に遣われて現在避難中の方が百七十名余ございますので、これでは到底間に合う数ではございません。したがいまして、別途老人ホーム建設につきましては、組合の理事会が五日に開かれたそうでございますが、そういったふうな理事会の判断なり結論の計画を待ちまして、私どももできるだけ早期に財政的に手当てをしますように、それに沿った計画でまいりたい、こんなふうに考えておりますので、今御心配のような心配は一切ないというふうに御理解願いたいと思います。
  143. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 了解。それはそれ、これはこれということですね。  それで、ついでに厚生省が出たからもう一つちょっと。これもあるいは誤解かもしれぬのだな。壊れたうちの、何というんだ、かわりに応急住宅、プレハブをつくってやっているわけだ。それの戸数は、やっぱり厚生省の方で被災戸数の三分の一に抑えられていて非常に困るという話を聞いたんだが、被災戸数の三分の一に抑えているということは事実なんですか。事実とすれば、何で三分の一に抑えたのか。それは間違いだというなら間違いだとおっしゃっていただければ結構だが、現実の問題として、市の職員は非常にそういうことをこぼしておりましたから、念のためにお伺いします。
  144. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 災害救助法に基づきます応急の仮設住宅につきましては、災害のため住家を全壊した被災者のうち、みずからの資力等では住宅確保できない者に対しまして一時的な居住の安定を図るということを目的としてやっております。  一般基準としては、おっしゃるように、全壊世帯の三割以内というふうに一般基準は確かにございます。ただし、それはいつでもどこでもそれでおさまるということではございませんので、特別な場合には特別基準を設けて対応するということでございます。それから、三割というふうな話が、そういう一般基準があるというのは、例えば公営住宅の方で対応するとか、それから住宅金融公庫の方の貸付枠で建てるとか、そういったようなことがあるので、これまでの経験に基づいて、三割程度を用意すれば一般的には間に合うというふうなことからこうなったわけでございます。
  145. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 そうすると、念を押しておきたいんだが、従来の経験からいって、三割程度に抑えても何とかおさまると言うんだけれども、現実的にそうならない場合には、そうならなかったときに幾らでも考える、こういうことですか。
  146. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 今申しましたように、現地状況とかそういったことを勘案しまして特別基準を設定して、それで対応してまいりたいというふうに考えております。
  147. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 それから、運輸省が来ているからちょっと聞きたいんだが、有料道路のことは運輸省かな。  これは災害だから道は壊れたらしょうがない、特に、事によれば加害者になるかもしれぬのだからしょうがないとしても、気の毒なのは戸隠なんだ。有料道路の終点の戸隠、あそこはもう参っちゃっている、この夏。夏場ならまだいいけれども、冬になるとスキー客が来ないだろうというんでもって現地は、あそこでも弱り切っているわけだ。何とかこれは迂回路なり何なりの計画はないですか、運輸省の方に。
  148. 吉越治雄

    説明員(吉越治雄君) お答えいたします。  戸隠に向けてのとりあえずの迂回路は、大型車のための十八号経由の二路線と、それから市道を利用しての普通車専用の一路線、これはとりあえずの、遠回りにはなりますけれども、迂回路として指定をさしてもらって利用していただいているわけでございます。  ただ問題は、今度は代替的に路線の整備というのが次の段階として出てくるというふうに思われますが、それにつきましては、先生御承知のとおり、市道一の鳥居線というのが一番近傍にございます。これに何らかの手だてをするのが第一になるのじゃないかというふうに思いますけれども、この市道がまた大変地形の急峻なところで、ちょうど断崖絶壁に蚕棚を取りつけたようなそういう一車線道路でございまして、本格的な改良というのはなかなか難しいということで、とりあえず県と市と打ち合わせをしながら、待避所等のとにかく現在可能な手法を検討したいと、こういうふうに考えているところでございます。
  149. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 一の鳥居線はおっしゃるとおりなんですよ。しかし、戸隠のことを考えると、バスがやっぱり行かないことにはちょっとぐあい悪いんで、一の鳥居線に目をつけられたことは非常にありがたいと思うんだが、この一の鳥居線も、あれも全面的に拡幅しろなんといったって、私ども地形を知っているから、無理だからそんなことは言わないけれども、何とか二、三カ所バスのすれ違い線をやれば大分違ってくるんじゃないかと思うんだが、どうなんです。
  150. 吉越治雄

    説明員(吉越治雄君) 先生おっしゃられるとおり、バスのすれ違い用の場所としまして、先ほど申し上げましたように、待避所をできるところから設置して、幾らか交通の量的な対応ができたり、あるいは交通安全上の観点から資するような施設を可能な限りやるように、県並びに市と検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  151. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 それからもう一つ、時間があるようだからお聞きしますが、被災者の個人住宅建設で、融資の特別措置でありますが、これは決まっているんで、災害の場合には五・五だったか五・〇五か、安くするというふうにお決まっているんだが、もうちょっと何とかならぬかね。
  152. 鹿島尚武

    説明員(鹿島尚武君) 今次の災害被災を受けられました方々住宅金融公庫災害復興住宅資金の融資、これをお使いになって住宅をお建てになるという場合の融資条件でございますけれども、これは一般の方が住宅を入手される場合と比べまして大変有利な条件になっております。例えば貸し付けの額で見てまいりますと、長野地域ですと一般には、土地の費用は除きますが、五百十万円を限度にお貸しいたしております。それに対しまして災害復興住宅の場合には、土地はもちろん別といたしまして、木造の例で申しますと八百万円まで融資ができるということになっております。あるいはまた、利率につきましても一般の建設をされる場合には五・五%でございます。それに対しまして災害復興住宅の融資の場合は五・〇五%ということになっております。そのほかいろいろ有利な条件が重なっておるわけでございまして、この有利な融資制度を御活用いただければというふうに私ども考え、去る七月三十日から現地の方におきましていろいろ御説明、御相談に応じさしていただいているところでございます。  なお、長野県の方では利子の負担につきまして今回大変善政をしいていただいております。利子補給の期間十年でございますけれども、公庫が五・〇五で貸した場合に二・〇五%利子の補給をいたしまして、本人に三%で回るようにということでやっておるわけでございます。私どもは、国の財政事情も勘案しながら、県ともタイアップいたしまして一生懸命やっておるところでございます。
  153. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 厚生省にもう一遍お聞きしたいんだが、災害応急救助活動経費というものを補助することになっていますね。この内容はどういう経費を入れていますか。
  154. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 災害救助法に基づきます救助の種類といいましょうか、そのようなことをお話しすればよろしゅうございましょうか。応急仮設住宅の供与、避難所設置、炊き出しその他の食品の給与、飲料水の供給、被服、寝具その他生活必需品の給与、それから医療の給付、それから災害にかかった方々の救出、それから住宅の応急修理、学用品の給与等々でございます。
  155. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 その中に消防団を、人数聞くのを忘れちゃったけれども、今度の場合なんかもう相当の多人数が出て、しかも長期にわたって頭が下がるぐらい一生懸命にやっている。その消防団に対しては当然市がもちろん出動経費は出しますが、それについてはどうなんですか。
  156. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 今、先生の方からお話がありましたように、消防団員につきましては、出動手当としまして市町村条例に基づいて支給が行われているということもありまして、災害救助法上では手当でいたしておりません。
  157. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 入っている。
  158. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 入っていません。
  159. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 入っていないとすればその理由をちょっと言ってください。これは大きな経費だと思うんですよ。
  160. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 出動手当について、今申しましたように、市町村の方から手当が支給されるわけでございますので、重ねて災害救助法の方からは出してない、こういうことでございます。
  161. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 理屈としてはわかった。理屈としては出動経費を市が払うから出さないという理屈としてはわかったが、これは消防庁も知っているけれども、出動経費なんというのは本当に二階から目薬みたいな金だ、御存じのように。おれ自分でやったから知っているけれども、実際スズメの涙みたいなものだ。この人たちが、一日や二日ならいいですよ、消防で火事のときに出ていくんなら、それでも我慢してもらっているんだからいいけれども、今度のようにもう長期にわたってずっと、ほとんど救出作業のときなんか寝ないでやっているわけだ。  それで、その消防団の人が私に、つくづく世の中の矛盾ですなといってこぼしたのは、被災者松寿荘でもって亡くなった方が何人がおられる。そのうちに、これはあすこで松寿荘の職員と消防団が一緒ですからしょっちゅう話が当然出るんですが、ふだん全然来もしないのに、百五十万金が出るとなったらわあっとやってきて、金をもらったらさっと帰ってしまったというんだな。消防団の人がそれを見て、おいらへとへとになってやっているのに、わずかこれっぽっちのたばこ銭もらうきりなのに、何て世の中というのはおかしなものでしょうなということを聞いているんですよ。これは被災者に金を出すなとは決して言わぬけれども消防団員の嘆きもなかなか世の中の痛いところをついているな、私はこう思うんですよ。  これはひとつ消防庁と厚生省で、出動経費というのが一人前に出るのならいいですよ、それは。だけど、今出動経費というのは本当に申しわけ程度のものなんですよ、ちょっと今金額忘れちゃったけれども。あなただって知っているけれども、実にスズメの涙みたいなものだ。それをあれだけの作業をさしておいてあれだけっていうのは、これは市だって当然出動経費にある程度上前を出さなければおさまらぬですよ。上前を出した分については、どうだい、炊き出しの金なんかと一緒にひとつ扱えないかな。
  162. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 消防団に対します報酬あるいは出動手当、これは全国の各市町村におきまして実はそれぞれの市町村の条例で額を定めるというようなことになっておりまして、かなりばらつきがあることは事実でございまして、長野市の場合はたしか出動手当が千三百円ほどというようなふうに承っております。全国平均からすると余り高い方ではないというようなことがございます。  出動手当と申しますのは、いわゆる費用弁償でございますので、報酬とまた意味が違うわけでございまして、ボランティアの性格を加味いたしましてもそれ相応の額を給付すべきであるということで、かねがね相当な額に設定するようにという指導をしてきております。交付税に一定の額を盛り込んでおりますので、せめてその額ぐらいは確保するようにというようなことを指導してきておるわけでございますが、今後そういう面で、低いところはできるだけ相当な額にするようにという指導をさらに進めてまいりたいというふうに考えております。交付税の中に算定されております額が四千円を超えるわけでございます。長野市の場合はその三分の一ぐらいというような額になっておるわけでございまして、その辺のところを考慮いたしまして、今後十分指導してまいりたいと思います。
  163. 夏目忠雄

    夏目忠雄君 もうやめますが、もう一つ自治省の方へ交付税の繰り上げ支給を頼もうと思ったが、これはやってくれたそうですね、きのうだかきょうか。ありがとうございます。これはお礼だけ言って、質問は差し控えます。  最後に、ひとつ両大臣に、私が一番力を入れて申し上げましたのは、地下水を観測する癖を市町村に持たせる、これが私は、地すべりのあれには絶えず地下水を各市町村ごとに監視していくという癖をつけさせるということがやっぱり地すべり対策の大きな眼目だと思うんですよ。そうすることによって、情報天皇に達せずというのもある程度解決するんじゃないか。市町村の目を地下水の観測というところになにする観測予知制度というものを、ぜひ国土庁の方では、これは元締めなんだから、一番私はそれが基本じゃないかと思いますので、ひとつ慎重なる御検討を願うことにして、重ねて長官のひとつ御答弁をお願いして、終わります。
  164. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 夏目先生の御指摘につきましては、御意思に沿うように建設省その他関係省庁連絡の上、自治体に対する権限譲与になるわけですが、検討していきたいと思います。
  165. 井上章平

    説明員井上章平君) この問題につきましては、よく関係市町村とお打ち合わせいたしまして、御要望に沿うように努力をいたしたいと思います。
  166. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 最初にお断りしておきますけれども、お三方が今まで質問されましたので、重複する点もあるかと思いますけれども、その点をお許し願いたいと思います。  質問の前に、松寿荘で亡くなられました二十六名の方々の御冥福をお祈りすると同時に、多くの罹災者のお見舞いを申し上げる次第でございます。  きょうは、国土庁長官建設大臣がおられますので、最初に端的に私お伺いしたいと思います。  それは、今回のこの地すべりは戦後最大の地すべりと、このように聞いておりますし、事実復旧工事も相当かかるでしょうし、面積も十六ヘクタール、流出土砂が霞が関ビルの十倍、こういうふうに言われております。私も現地に行ってまいりましたけれども、本当に目を覆うばかりの大惨事でございます。目を覆うところか土が覆っちゃって、それを見た人はもうあんぐりとして何にも言えない、こういう大惨事でございます。この大惨事も、私が思うのには、起こるべくして起こったんじゃないか、こういうふうに十分予想される惨事ではなかったのか、こういうふうに思わざるを得ないわけです。もちろんここで人災であったか天災であったかということの結論は出ませんけれども、今、調査中でございます。また警察庁の方でも動いて調査をしている、こういう新聞報道もございますけれども、いずれにしてもこれが天災であったか人災であったか、私が思うのには、これは人災的な要素が非常に強い、こういうふうに思います。  その理由は、今までお話ありましたけれども、遠くはバードライン建設、あの急傾斜にそれこそヘアピンカーブが七カ所も八カ所もある、こういう道路建設、それは景色はいいし、長野県にとってはドル箱かもしれませんけれども、果たしてあそこにつくったバードラインが今回の惨事の原因になっているんではないかな、こういうふうにも思いますし、さらに湯谷団地の造成でございますが、県の企業局で造成された、しかもその売り出し中には長野県最高の高級造成地だということで売り出した、こういうふうに至言われております。その後は亀裂がいろいろ山にできた、そういうことについても先ほど村沢委員小山委員からお話があったように、それを無視してきた、そして伸縮計が必要であるということで伸縮計をつけた、しかし前日には一メートルもいわゆる伸縮計に前兆が見られた。さらに、これは新聞に書いてありましたけれども、鳴り続けた警報を切った、こういうことも書かれております。そのほかに、近くは、避難命令がおくれたとか避難命令を出さなかったとか、こういうことを考え合わせると、これは天災ではなくて人災のいわゆる要素というのは十二分にある、こういうふうに私は判断しているんです。  両大臣現地にも行かれましたし、この辺について反省を含めて御答弁いただきたいと思いますけれども、この反省の面においても、先ほどこちらの二人の委員からお話があったように、私が先ほど聞いておって非常に反省の色がない。反省をすることによって、その自覚を持ってやることによってこれからの精力的な復旧工事もできるでしょうし、またその反省の上に立って二度と再びこういう惨事を起こさない、こういう真剣な調査も対応も私はできると思うのです。そういった意味で、これは人災であったのか天災であったのか、どんな認識を持っているのか、またどんな反省をしておられるのか、二人の大臣に最初にお答え願いたいと思います。
  167. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 私も団長として二十八日に現地を詳細にわたりまして視察したわけでございますが、先生御指摘のように、非常に惨たんたる状況に唖然とした次第であります。  とりあえずは、先ほども答弁申し上げましたが、各関係官庁連絡会議におきましていろいろな処置をしておるわけでありますが、先生御指摘の人災か天災かにつきましては、現在のところ、立場上、結論を私から申し上げるわけにはいきませんが、今後の調査を踏まえまして、今までいろいろな手抜かりがあったと言えば無責任だということになりますし、誠心誠意対策全力を挙げていきたいという考えてあります。
  168. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 先ほど河川局長からも答弁いたしましたが、今回の災害の直接な原因、私ども把握している範囲では、観測史上第二位といういわゆる梅雨期の異常な豪雨である、こういうふうなことを受けとめておるわけでございます。しかし、今、国土庁長官からもお答えがございましたように、これからの調査というものを待たなければならない点も多いと思いますので、私どもといたしましてもそうした調査に対してできる限りの協力をもちろんいたす決意でございますし、また、そうした調査に待つ点の多い点もよく理解しながら取り組んでまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  私、先ほど申し上げましたように、今回の災害というものは五百万立米といいますから、まさに非常に大きな、痛ましい、予想もしないような大災害であると思います。そういう点で、今一番私どもが大事な問題は、地すべりの第二次の防止というものが緊急対策上非常に大事でございますので、今それに全力を挙げて建設省といたしましては努力をいたしておるわけでございます。  そういう点で、恒久的ないろいろな対策につきましてはもちろん全力を挙げて、技術的な向上の面とか、または先ほど来御指摘いただきましたように情報の面とか、そういうような問題にいろいろ最善の努力を尽くすと同時に、私どもは、五千八百カ所というような非常な家屋に近接している危険地域もあるわけでございますから、今までのような型どおりの総点検というようなことではございませんで、やはり住民皆さん方にも十分な理解をいただきながら、二度とこうしたような災害が起きないように、行政としてなすべき点につきましては、先ほど来御指摘いただきましたように、縦割り行政、そういうようなものを乗り越えても、また、ある意味では法の拡大解釈につながる点があっても、そうした問題が二度と起きないような、この災害というものを大きな戒めとして真剣に受けとめさしていただいて努力をさしていただきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  169. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 私の言ったことに余り当を得た答弁じゃないようですけれども行政の立ちおくれというのは、これは先ほどから、また新聞にもたくさん出ておりますけれども、これを踏まえて私さっき何点か例を申し上げましたけれども、いずれにしても答弁が非常に素直じゃないと思うんですね。悪かったなら悪かった、そういういわゆる反省があってこそ、先ほど申しましたように精力附な復旧工事もできるし、これは天災だから仕方がないじゃないかと、こういうことになればまたその後の対応策も延び延びになってしまったり、そういうことになってくるから私は申し上げているのであって、ここで、今調査中だから結論を天災か人災かと出せとは私は言ってないんですよ。長官建設大臣もおいでになっているんだから、またいろいろお聞きになっている、あなたのところは一番情報が入ってくるわけですから、だからこれは一〇〇%天災であると、こういうふうに言いなさるのか、やはりこれには人災というものがあったのではないか、どんな認識を持っているのか、これを私は聞いているわけです。もう一回答弁してください。
  170. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 御指摘のとおり、人災的な要素、すなわち手抜かりがあったということは私もいろいろな話を聞きまして認めておるところでございますが、現在といたしましては、一日も早く平常の状態に戻すということに精力的に取り組んでいくという方針で進んでおるわけであります。
  171. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 先ほど申し上げましたように、今、県の当局の方でも全力を挙げて調査中でございますし、私どもといたしましてもそうした点について最大の協力をし、そして、これは今御指摘のありましたような問題の究明に全力を挙げているときでございますから、そうした調査の結果を厳粛に待ちたいと、こういうふうに思っております。
  172. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それでは次に入ります。  このように二十六名の死亡者を出してしまった松寿荘老人ホームですけれども、この惨事の最大の原因は、私は避難命令が遅かったことが一番の原因と考えますけれども長野市の状況掌握というんですか、これが非常に甘かったのではないか、こういうふうに指摘されておりますけれども避難命令が遅かった原因はどこにあったのか。もちろんその他のいろいろ原因があると思いますけれども、とにかく避難命令が遅かったために私はこういう大惨事につながったのではないか、こういうふうに思いますけれども、この点について消防庁と国土庁、答弁してください。
  173. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 湯谷団地住民への避難指示は、七月二十六日午後二時ごろから団地内の集会所におきまして、県、市、さらに団地の自治会役員等約五十数名が集まりまして、県からの説明を受けた後に、県、専門家、さらに自治会役員から避難すべき区域の設定等についての意見を聞いた上であの時点での避難指示の発令になった、そういうふうに聞いております。  なお、松寿荘につきましては、先ほど来出ておりますが、被害を想定することができなかったということで、まことに残念ながら避難指示は出されなかったということでございます。
  174. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 先ほど消防庁からも御答弁がありましたように、今回松寿荘の方につきましては、いろいろと地すべりについて警戒体制をとっておったわけでございますが、特にあの地区においてそれほどの危険性はない、あるいは地すべりがあってもゆっくりだというような判断で避難対策ができなかったというふうに報告を受けております。
  175. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 この地附山周辺は数日前から地すべりの兆候があらわれており、松寿荘のあそこに池があったそうですけれども、これが濁り始めていた、こういうように言われております。  ここで、当日の状況がいわゆるドキュメント式に新聞に出ておりますけれども、その時間帯を申し上げますと、午後四時三十分、土砂崩落の兆候があるため長野市が湯谷団地住民避難勧告、五時三十分、湯谷団地上部のテレビ信州の善光寺サテライト局の鉄塔が倒れて送信不能となる、五時四十五分、老人ホーム松寿荘にパトカーが避難を呼びかける、五時五十五分、松寿荘土砂で半壊、地すべりの規模は高さ三百五十メートル、幅四百五十メートル、六時、バードライン上松料金所上部のNHKFM放送用の送信施設が傾く、こういう時間帯になっているわけです。この間、湯谷団地の南西三百メートルしか離れていない松寿荘避難命令が出なかった。四時三十分から五時四十五分まで、この間一時間十五分、それでやっと松寿荘にパトカーが避難命令を呼びかけているわけです。この間は一時間十五分時間があるわけです。この市の対応が遅かったために私は大きな惨事になった、こういうふうに思わざるを得ないわけです。  今後、県警などで松野荘の避難体制などについて本格的な調べが進められるでしょうけれども松寿荘に対して避難命令はどういう形で伝達をされ、そして避難誘導はどういうふうに行われたのか、これを詳細に私はお聞きしたいと思うんです。先ほど夏目先生からお話があったように、新聞報道によれば、避難しなさいといういわゆる勧告ですか、命令を受けて避難したという人は約一割だと、こういうふうにも出ております。そういったことで、松寿荘の方は予想しなかったと、こういう話が出ておりますけれども、実際に松寿荘に対して県側また市側がどういう体制をとっておったのか、詳細にその当時のことを、また今までどういうふうに体制がとられておったのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  176. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 松寿荘につきましては、先ほど申し上げましたとおり、避難指示というのは出されておりません。市は、七月二十六日の十六時三十分に湯谷団地の三十八戸に対しまして避難指示を出しまして、避難先を湯谷小学校と指示したところでございます。この際この三十八戸につきましては、七月二十一日、前回の小規模な地すべりがあった際に、一応避難をしたという経験等もございまして、湯谷小学校への避難、これは既に経験済みというようなこともございまして、誘導はしておりません。スムーズに避難をいたしております。  それから、その後十六時五十八分、団地上部の崩壊が起こったため、付近を警戒中の消防局の職員が付近一帯に避難を呼びかけるとともに、市長に直ちに報告したわけでございまして、市長はこれを受けまして、同日の十七時三十八分に湯谷団地一帯に対しまして湯谷小学校へ避難指示を発しております。この際には、対象が広い範囲にわたったわけでございまして、消防局職員を中心にいたしまして誘導をしております。  これが湯谷団地の対応ということで、一応湯谷団地については間に合ったわけでございますけれども松寿荘につきましては、御指摘のように、第一回目の避難命令が出された四時半から一時間ぐらい特段の措置がなされておりませんけれども、十七時三十分ごろ、松寿荘の職員等が松寿荘の裏側の異変に気づいて、直ちに入寮者の救助活動に当たったということでございまして、たまたまこの異変時に付近に居合わせた県、市の職員、それから消防、警察関係等も救援したということで、この関係の情報につきましては、そこに居合わせた消防職員が十七時四十二分、消防局に急報をした。消防局は、これに応じて緊急出動して救助に当たったということでございまして、その後松寿荘が全壊するに至った、そういう経緯の報告を受けております。
  177. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 続いてもう一点、それに関連して、予想されなかったから避難命令を出さなかった、こういうことですけれども、県知事の話を聞くと、松寿荘のある場所は、湯谷団地に比べると危険度が少なく、地すべ力が起こるとしてもゆっくりと考え避難命令は出さなかった、当時の状況で判断ミスはなかった、こういうふうに県知事は現地で言っております。きのうの衆議院では、この点について国土庁の見解として、県に判断ミスがあったと、こういう見解を述べておりますけれども、この避難命令のいわゆる判断ミスの点について、国土庁はどういう見解を持っておりますか。
  178. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) きのうの衆議院で御答弁を申し上げましたのは、先ほど私、鶴岡先生に御報告申し上げましたように、県におきましては、その地区においてそれほどの大規模な地すべりはないと、こう知事が判断した、したがって市長からの避難指示はなかったというふうに申し上げたわけでございます。ミスがあった、なかったという判断はいたしておりません。
  179. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 それじゃ、きのう衆議院であなたがおっしゃったことは間違いだと、こういうことですか。
  180. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 今回の事実につきまして、大規模な地すべりがないというような判断で避難指示が出なかったということを申し上げたわけでございます。事実関係のあれを言ったわけでございます。
  181. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 全然わからないよ。県知事は判断ミスはなかったと。あなたは今何言っているんだか、前と後ろが全然わからない。じゃ、あれじゃないですか、予想できなかったと言ったことは、これは判断ミスと考えるのか考えないのか、どっちなんですか。
  182. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 申しましたように、大規模な地すべりがあるであろうという予想ができなかった、したがって避難命令がなかったということでございます。それが判断ミスかどうかということでございますが、結果的にはああいった大惨事が出ましたことについて我々は非常に残念だと思っております。  ただ、あの段階におきまして、県あるいは市、それぞれの部局におきまして、災害対策にもそれぞれ最善の努力を果たしておるというふうには考えております。ただ、結果的に非常に残念なことになったというふうに考えております。
  183. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 先ほどもこの調査書、コンサルタントが出した調査書ですけれども、後で私申し上げようと思っていたんですが、ここには、あの地附山のいわゆる傾斜地、それを一地区、二地区、三地区、四地区と、こういうふうに区分けをしてあるんです。もちろんこれを見なかったというのは、先ほど国土庁もこれは見てない、それから運輸省も見てない、建設省も見てないと、こういうことでございますけれども、この中から見ると、三地区と四地区、いわゆる三地区は湯谷団地のすぐ上、四地区は老人ホームのすぐ上、これから見ると、予想できなかったなんということはこれは当然言えた柄じゃないんだ、この中身を見れば。そういう点からいって、県の判断で予想ができなかったというならそれまでかもしれませんけれども、そういうことは私は言い切れないと思うんです。  まあそれはそれでいいとして、それじゃ厚生省に聞きます。老人ホーム。ですけれども、先ほどもお答えありましたわけですが、この再建についではどういうふうに考えておりますか。
  184. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 松寿荘は定員約二百二十名の老人ホームでございまして、制度的には養護老人ホーム、家庭的な条件が悪くて入っておられる方の施設であります養護老人ホームというようなことと、    〔委員長退席、理事久保亘君着席〕 それからもう一つは、体の自由が非常に制限されておるお年寄りの特別養護老人ホーム、二つでございます。  これにつきましては、現在までのところ、百七十名ほどの被災者がおりますので、この方々につきましては、近在の老人ホームあるいは一部の方は病院にということで、とりあえずの応急的な収容措置をとっているわけでございますけれども、できるだけ早急のやはり本来的な老人ホーム建設というのは急がなきゃならぬ、こんなふうに私ども考えておりまして、まず一つは、現在これとは別に牟礼荘というものを計画しておりましたので、この計画というものの完成の時期を早めるというのが一つございます。当初六十年度、六十一年度、二年度で完成するということを考えておったわけでございますけれども、これを年度内に完成させるべく計画を変更したい、こんなふうに考えております。  もう一つは、これは七十名程度の収容人員でございますので、全体の収容には足りませんので、早急に代替的なホームの建設というのを急がなきゃならぬ、こんなふうに考えておりますが、ただ、現在位置での復旧というのはどうも困難だというふうに現地でも判断していますし、    〔理事久保亘君退席、委員長着席〕 私どももさよう考えておりますので、新しく代替地を求めなきゃならぬという事情がございまして、長野市を初め関連の十八市町村でございますか、現在その代替地の選定等について協議中であるというふうに聞いておりますが、できるだけ早い結論を待って私どもの対応をしたいと、こんなふうに考えております。
  185. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 もう一つ厚生省に聞きますけれども全国には老人ホーム何万カ所か私知りませんけれども、どこの市町村にもあるわけです。そこで、場所は大体山奥といいますか、山の景色のいいところ、また空気のいいところ、こういうところが選定されて老人ホームがあるように思います。そういったことで、今回の災害教訓にして、一点は老人ホームの総点検、どんな状況にあるのか、これをやるかどうなのか。  それから、恐らく日にちもたって老朽化しているのもあるでしょうし、また危険箇所にあるというのも多いわけですから、改善命令を出すなど強い姿勢で安全対策を考えてもらいたいと思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  186. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) お答え申し上げます。  今回の災害教訓にいたしまして、私ども反省すべき点、あるいは教訓として学ばなければならぬ点というのがまだ完全に整理されておる段階でございませんので、これについては若干の日時が要るのではないか、こんなふうに思っておりますけれども、やはり社会福祉施設といいますのは、入所している方々状況等からしまして、安全性というのが最優先されなきゃならぬというふうに考えております。  立地条件等につきましては、従来もそれなりに、どういう状況の立地条件で設置されるのかということにつきまして事前審査等に意を尽くしているところではございますけれども、ただ、今回の事故等を見ましても、結果的には必ずしも十分でなかった点も否定できない面があるんではないか、こんなふうに思っておりますので、改めまして、社会福祉施設全般だと思いますけれども、安全性について問題がないかどうか、あるいは情報伝達等の体制がどうなっておるのかというふうな点につきまして状況把握に努めまして、必要な点につきましては都道府県を指導してまいりまして、その辺について万全を期すようにしたい、こんなふうに考えております。  あわせまして、少なくともこれから新設するであろう社会福祉施設につきましては、災害の点だけにとどまらず、やはり老人ホーム本来のあり方からしましても、先生今例に挙げられましたように、山奥につくるというふうなことは本来あるべき姿ではないというふうに思っておりますので、そういう面からも、できるだけ安全かついわば市街地といいましょうか、通常の居住地に近いところの設置というものに方向づけとしては誘導してまいるように努力したい、こんなふうに考えております。
  187. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 次に、二次災害防止についてお伺いいたします。  七月二十六日の災害発生後、特に二次災害になるような大きな兆候というのはないようでありますけれども、あの災害の起こったその後八月二日、現地はかなりの雨が降ったようでございます。これから九月、十月、台風シーズンを迎えて雨が降り続けばまた地すべり面がどう動くか、雨や地下水などの外部的要因で二次災害につながると警告する地質学者もおります。今回の地すべりで九〇%はもう滑り落ちちゃったんだ、こういうふうにも言われておりますけれども、私は決して油断はできないと思います。二次災害を防ぐために一層の監視体制、この強化が必要でございます。この強化対策はどうするのか、これが一点。  あわせて、台風シーズン前に緊急に復旧工事、補修工事といいますか、今精力的にやっておおわけでございますけれども、二次災害を招きかねないと思いますので、台風シーズン前にぜひとも防止工事復旧工事、急いで進めていただきたいと願いますけれども建設省いかがですか。
  188. 井上章平

    説明員井上章平君) 第一点でございますが、二次災害防止と、それからあの被災地工事を進めておりますので、その工事の安全性等を確保するためにいろいろの観測を行っております。今後も観測体側を継続し、地すべり監視を行ってまいりたいと思っております。  次に、二次災害防止対策でございますが、ただいま先生御指摘ございましたように、九月には台風期の降雨も予想されるわけでございますので、まずは応急対策として、先ほど来お話のありましたH鋼による土どめ工、それから地表水浸透防止のためののり面整形及び表面排水路工、これらいずれももう工事に着手しておりますので、これらの鋭意進捗を図ってまいりまして、何とか八月中には完成させたいというふうに考えておるところでございます。  ただ、降雨と滑り落ちた土との関係につきましては、なお不明な点がございますので、何とも申し上げかねますが、しかし、ただいま継続しておりますこれらの工事を鋭意進めることによりまして、何とか二次災害防止を図りたいと考えておるところでございます。
  189. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 現在、地すべり危険地区を探す主な手段として地質図、それから航空写真、こういうふうに言われておりますけれども、特に緊急の危険が考えられる斜面には地すべり等防止法、先ほど村沢委員の方から話がありましたけれども、これを適用してその防止を進めている、こういうことですが、この防止法によるいわゆる指定危険箇所は現在全国でどのぐらいあるのか、これが一点。  それから、その整備の進捗状況、この点はいかがでございますか。
  190. 渡辺義正

    説明員(渡辺義正君) お答えいたします。建設省所管の地すべり危険箇所数は、昭和五十五年度の調査でございますけれども全国で五千七百七十七カ所あることが判明いたし保ております。このうち地すべり防止区域の指定箇所数は五十九年度末で二千七百二十四カ所になっております。  地すべりの概成箇所率でございますけれども、進捗率は、昨年度末で約二五%でございます。
  191. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 いずれにしても、財政的な面もあるし、いろいろな条件は私わかりますけれども、今回の大惨事教訓として、何か進捗状況は今二五%云々とおっしゃっていましたけれども、漸進的な検討はされるのかどうなのか、これが一つ。  それから、これも先ほど出ましたけれども、この地附山一帯が国の地すべり防止地域に指定されなかった理由、これを簡単にお願いいたします。
  192. 渡辺義正

    説明員(渡辺義正君) 第一点でございますけれども、現在地すべり危険箇所の見直しを進めておりまして、その精度の向上ということにつきまして、現在、各地方公共団体に指示をいたしまして実施いたしておるところでございます。  それから二点目の件でございますけれども、あの地附山の地域が指定されていなかった点でござ、いますけれども、これは昭和五十五年度の調査によりますと、あの地域地すべり変動の兆候が見えなかったということで、危険箇所として把握していなかったということでございます。
  193. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 次に、全国地すべり等危険箇所は、要するに林野庁に関係のあるところ、建設省関係あるとしろ、それから農水省に関係あるところ、たくさんありますけれども、この地すべり等危険箇所は早急に総点検を一遍するのかどうなのか。国民の生命、財産に直接関係する事業は、私は最優先に取り組まなければならないと思います。この危険箇所を洗い出すためのいわゆる点検も航空写真の分析、それから現地調査、さらに現在は新しい調査技術としてレーザー測定というんですか、こういうのを確立して一層の精密かつ正確な調査、これを進めていく必要があると思いますけれども、この点についてお伺いいたします。  それと同時に、確かに今言ったように、五十五年のときにはそういう予想は立てられなかった、また五十五年のときには健全な山というか、危険性はなかった、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、四、五年たつと安全の判定というのは、これは当然変わってくるんだと思います。いわゆる周囲の開発、それから当然その環境の変化、周囲の変化によって私は危険度は変わってくる、増幅されてくると思うんです。先ほどもバードラインをつくったときには、これはもちろん運輸省、建設省、これは認可をしたわけですから、当然法にのっとって、危険はこれでないということでつくられたとは思いますけれども、あのバードラインにしたって何十台、何百台という車が通れば、そこにドライブインもできるでしょうし、それからもちろん料金所もできるだろうし、またそこでおりていろいろ遊ぶ人もいるでしょうし、そういうことによって当然変わってくるわけです。事故のたびに繰り返されますけれども、まさかというのがいつも大事故にこういうふうになるわけです。二度と再びこのような事故を起こさないために、直ちに総点検をすべきだと思いますけれども、もちろん危険箇所は急傾斜地、それから土石流、危険渓流もあります。建設省、農林水産省、林野庁からも、その数が現在どうなっているのか、簡単にこの二点についてお伺いいたします。
  194. 井上章平

    説明員井上章平君) 地すべり危険箇所の総点検の見直しいかんということでございますが、危険箇所の見直しにつきましては、最近年では一斉調査として昭和五十五年に行っておりますが、その後、先生が御指摘のように、いろんな、土地利用状況等が変わってまいりますので、その都度危険箇所の見直しについては適宜実施いたしてきておる、しかも追加さしていただいておるところでございます。  本年当初におきまして、各県に対し地すべり危険箇所の一斉見直しを実は指示いたしておるところでありまして、現在鋭意作業が開始されておりますが、今回の災害にかんがみまして、先ほども大臣からお話ございましたように、大臣の御指示に基づいて、主として特に人家密集地帯におけるこれら地域の見直しを一層適切に行うように、再度周知徹底することといたしておるところでございます。
  195. 津田隆

    説明員(津田隆君) 農地及び農業用施設関係全国地すべり危険箇所は、昭和五十五年時点では二千三百三十七カ所でございまして、その後五十五年度から五十八年度までにかけまして総点検見直しをいたしました。その結果によりますと、危険箇所は三千七百四十三カ所でございますが、この危険箇所は、一部建設省、林野庁所管の危険箇所と重複するものもございますので、本年度中に省庁間の調整を行うことといたしております。
  196. 船渡清人

    説明員(船渡清人君) 御説明申し上げます。  山地災害にかかります危険箇所につきましては、五十三、五十四年の二回にわたりまして調査をいたしておりまして、それによりますと、地すべり発生危険箇所は三千二百九カ所というふうなことになっております。林野庁といたしましても、最近の山地災害の多発化傾向等を勘案いたしまして、地すべり発生危険地区を含めましたこの山地災害危険地全体の見直しを、今年度と来年度の二回にかけまして実施をいたしているところでございます。
  197. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 時間がなくなってしまったので、あと二点ほどお聞きしますが、この地附山について、先ほど地すべり防止区域にも指定されておらず、防災対策がおくれていたと、こういうことになるわけですけれども、そこで、この地すべり等防止法第三条第二項に、区域の指定について「必要な最小限度のものでなければならない。」と、こういうふうになっておりますけれども、この「必要な最小限度のものでなければならない。」という規定ですけれども、私は頭が悪いからよくわからないんですけれども、これをわかりやすく具体的にまず説明をしていただきたい。  それと、最近は住宅地が山の方へ山の方へと迫っていきます。これは国土が狭いということもあるでしょうし、山の上へ行けば景色がいいということもあるかもしれませんけれども、いずれにしても住宅事情がそうさせることも考えられるし、またいろいろ条件はあると思いますけれども住宅がどんどん山の方に迫りていっていると。事実この湯谷団地も、先ほど言ったように、県企業局が造成をしてそれを売ったと。売るときのふれ込みは長野県一の高級住宅地と、こういうことだったそうでございますけれども、こういった点から考えまして、地すべり等危険区域の指定のいわゆる見直し、これは当然私はしなければならないのじゃないかなと、こういうふうに思いますので、この指定基準を見直すいわゆる法改正、これを考えるかどうか、建設省にこの二点をお伺いいたします。
  198. 井上章平

    説明員井上章平君) まず、地すべり等防止法第三条第二項でいう「必要な最小限度」という意味でございますが、地すべりによる災害の発生のおそれのあるところを地すべり防止区域として指定するのが法律の建前でございます。これは、それによって災害の未然防止を図ろうとしているわけでありますので、この防止区域に指定されますと、当然のことながらいろいろと私権の制限が行われますために、多くの場合、指定されることに対して強い抵抗がございます。そのために、その範囲行政目的達成のための最小必要限にとどめなさいという項目が法律上定められておるわけでございます。  指定基準の改正の件でございますが、これについては現在特に改正という必要性はないものと考えております。
  199. 志苫裕

    委員長志苫裕君) ちょっとさっきの答弁と違うんじゃないですか、先ほど指摘がありまして。
  200. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 二点目の問題でございますが、私先ほど申し上げましたように、建設省関係だけでも、この地すべり危険区域の指定を受けておるところが約五千八百カ所近くあるわけでございます。そこで、特に先ほど局長は、経済社会情勢の変化によるということを表現いたしておりましたが、これは大変いい表現ですけれども、私は違うと思うんです。やっぱり見ておりますと、人々が何千年の歴史の中で、あちらでやられ、こちらで台風に遭うとか、いろいろな安住の地を求めていった、何といいますか、本部落のようなところは、地震の際でもそうでございますが、割合に被害が少ないわけです。例えば乱開発と私の立場から申し上げることはどうかと思いますが、端的に言えば、いろいろ開発をされたところが非常に被害が多いんです。それが例えば雨の問題、いろいろな水害関係一つとってみてもそうですが、最近の東京の三多摩とか、こういう地域ですね、今まで想像もしないような、梅雨期になって雨がたくさん降りますと災害が出てくるわけです。これは私はある意味では都市型の新しい災害だと言っても決して言い過ぎじゃなかろう、そういうふうに受けとめておるわけであります。  したがって、生命、財産を守るということが政治の終局の目的であるということも、私どもはそういう考え方の上に立つならば、総点検をしてみて、そして地域皆さん方、市町村やなんかで多少の抵抗があろうとも、これは生命、財産を守るという政治の要請の上に立って我々は政治家として判断をしなきゃならない、そう私は考えておるわけでございます。  したがって、先ほど来申し上げておりますように、今回のこういう教訓というものを我々はいかにして生かしていくかということが非常に大事でございますから、私は、住居とそういう危険地域の急傾斜のところを特に最重点にして総点検をして、そしてとらなければならないいろいろな制度上の措置その他について、前向きで結果を待って検討したいと、こういうふうに考えております。
  201. 井上章平

    説明員井上章平君) ちょっと答弁を訂正さしていただきたいと思いますが、先ほど私がお答え申し上げましたのは、第三条の地すべり防止区域の指定の法律条項の改正は必要ございませんが、これに基づいて三省申し合わせの地すべり防止区域指定基準というのがございますが、これについては時代の変遷に伴って見直しを検討いたしますということを申し上げたのでございまして、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  202. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 委員長、済みません、もう一点。時間が来てしまって大変恐縮ですが、一点だけ確認をさしていただきます。  こうするかどうかということですけれども、いわゆる県が専門家に依頼をして調査した結果ですけれども、ここには一冊しかありませんが、これはもう三回も四回も中間答申ですか、報告を含めて出ているわけです。しかし、先ほどから話を聞いていると、国土庁にしても建設省にしても、これは災害が起こってから私たちは知った、こういうことですけれども、知ったか知らなかったかということはここで議論するつもりはございません。知らなかったら知らなかった、今回に関してはこれで結構でございますけれども、こういうふうにいわゆる地元地元なりに、ここが地すべり危険性がある、こういうことならば、県なり市なり、地元地元なりに大変な財政の中を地元のために一生懸命何らかの手を打とうということで、これは金をかけて調査をしているんです。それを本省の方としては、これは御用聞きじゃないから、あなたのところ何かありますかというわけにはこれはいかないと思います。いかないと思うけれども、特に長野県、新潟県については地すべりの多いところです。そういった点から一年に一回なり二回なり、おたくの方では危険箇所が何カ所ある、また全体的に非常に危険性がある、こういうことで防災対策についてはどういう方法で今進めているのか、このぐらい私は本省として聞いても別に罪にはならないと思います。  そういうことで、地元ではこういったいわゆる詳しいデータ、地質学者に言わせれば、このデータのとおりにあの地すべりが起こった、これははっきり言っているわけです。これを知っていれば当然未然にあの事故も防げた、私はこういうふうに思うんです。そういった意味から、地元のやっていることに対して全国全部やればこれは結構ですけれども、特に長野県とか新潟県は多いところですから、一年に一回なら一回、おたくの県ではどういうふうにしているか、こういう調査もしている、結果としてこういう報告が出ている、こういうふうに危険性が高まってきている、こういうことになれば打つ手も早く打てると思うんです。そういった意味で何らかの形で、今言ったように御用聞きじゃありませんけれども全国できないけれども、特に大変だと思われるような県については何らかの形でそれを報告させる。これは法律をつくるわけにはいきませんけれども、そういった義務的にやるんではなくて、おたくの方から積極的にやることを考えられないかどうか、お伺いいたします。
  203. 杉岡浩

    説明員杉岡浩君) 先ほど建設省からも御答弁がございましたように、今回、その災害を契機といたしまして、各地におきまして総点検をなされるわけでございます。我々といたしましては、各省で行われる総点検、それを通しまして各省と連絡をとりながらそれについて必要な対策あるいはその事情、そういったものを把握してまいりたいというふうに考えております。
  204. 鶴岡洋

    鶴岡洋君 質問を終わります。
  205. 下田京子

    ○下田京子君 国土庁長官にお尋ねいたします。  建設大臣から、国民の生命と財産を守るのが行政の基本であるという趣旨の御答弁がなされました。私も同感で、災害のたびに、災害を未然に防止できなかったか、同時に、遭われた人々の救済を万全な対応でやること、それから復旧、同時に原因を明らかにすることなど、思うことであります。  お尋ねしたいことは、あの二十六人の松寿荘のお年寄りの皆さんです。私も現地に行ってまいりまして、あの状況を見まして、松寿荘が、そしてお年寄りがまさに人柱になったなという思いをいたしました。あの松寿荘がなかったら下の住宅がやられていただろう、そういう思いもいたしました。亡くなられた二十六人の方々の「埋もれた人生八十年」というマスコミ等の報道もありましたけれども、これでは余りにも気の毒だと思うんですね。避難命令が出されていたなら命を救うことができたのではないか、私は一番そのことが気になります。  お聞きしたい点は、生命と財産を守るという立場でお仕事をされているのが国土庁長官ですから、特に避難命令がなぜ出せなかったのか、ここの部分を中心にしながら御調査いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  206. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 御指摘の今回の災害におきましては、松寿荘の二十六名のとうとい人命を失ったことはまことに遺憾でございます。  松寿荘への避難命令につきましては、関係省庁から詳しく経緯を聞くことによりまして、今後の避難体制の一層の充実を図っていきたいというふうに考えております。
  207. 下田京子

    ○下田京子君 総点検教訓を生かす、同時にその中に避難命令の問題も加えて具体的に対応するというお話でしたので、建設省のこれは河川局砂防部になりますか、事実の確認だけいただきたいのです。  昭和五十六年の春に道路に崩落があったこと、五十七年から企業局がずっと調査をしてきた、六十年、ことしの七月六日、バードライン夜間通行どめをしたこと、十二日には終日通行どめをしたこと、七月二十日に夕方から激しい雷雨があったこと、二十一日から土砂崩壊がひどくなったこと、そして二十三日に県は災害緊急地すべりの申請をなされたこと、間違いありませんね。
  208. 井上章平

    説明員井上章平君) そのとおりでございます。
  209. 下田京子

    ○下田京子君 そういたしますと、消防庁にお尋ねしたいんですが、予想し得る情報がなかったような御答弁を繰り返し言われているんですね。まず確認したいんです。新聞やその他マスコミ等で、なぜこの避難命令が出されなかったのか、予期できなかったのか、いろいろ言われておりますけれども皆さん現地に出向いて御調査されたんですか、文書、それとも電話調査されたんですか。
  210. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) 電話並びに文書で照会しております。
  211. 下田京子

    ○下田京子君 それも私どもがきのう、きょうと衆参両委員会での質問があるということになってなさった行為じゃないでしょうか。私は、これだけ問題になっている中で、もう少し言葉だけでなくて積極的に責任を持った対応が今求められているというふうに指摘しておきます。  そこで、消防庁にお願いがあります。私は、昨夜担当の方にどういうふうに言っているか文書で持ってこいと言ったんです。この文書を見て、何て書いてあると思いますか。松寿荘避難命令が出なかった理由について、県の見解は公式のコメントはできない、こういうのを持ってきた。市の見解、県も専門家も、これほど急激な大崩落を予測することはできなかった、そう言っているので避難命令を出さなかった。文書で私のところへ持ってきました。  ところが、私は八月五日現地に行きました。現地に行きまして、七月二十四日の日に湯谷団地被災者の会と県と市と共同でもって現地踏査をしたり、それから避難命令の出し方、区域など打ち合わせしているんです。そのときの状況が朝の九時から夜六時四十分ごろまで克明に記入されている。しかも、夕方六時から六時四十分の自治会と県、市の現地踏査を終えて集会所に戻った段階で、実は被災者の会の内山さんというレストランを経営なさっている方みずからが、次のような要請と警告を発言しているんです。一つは、地すべり区域の地附山山腹からの大規模崩落が発生したとき、地すべりの深さと規模にもよるけれども土砂崩落の影響は湯谷団地内だけにとどまるとは思われない、そしてその中で大事なのが、土砂の流れは戸隠バードライン料金所老人ホーム松寿荘、そういうところにも向くと思う、ですから、老人ホーム避難は大変なので、警報、避難体制を準備しておくべきではないか、こう言っているんです。そのことについて、市が既に検討し、用意をしておると答弁しているんです。これは、その日この方が記者会見もなさって、翌日の新聞にも出ております。ですから、具体的にこの警報問題等も含めて避難体制がどうだったか、責任持って調査をして教訓として生かすべきだと思います。
  212. 石橋忠雄

    説明員(石橋忠雄君) ただいまの地元におきます市と地元住民との協議の内容については承っておりません。早速調査してみたいと思います。
  213. 下田京子

    ○下田京子君 承ってないというのは、皆さん責任持ってやろうということがないと、聞く耳持たずで聞こえないんです。笑い事じゃないですよ。責任持って対応してください。これは強く申し上げておきますと同時に、教訓として生かされるよう、これは責任問題にも発展することだということも指摘しておきます。  建設大臣に幾つかの点でお尋ねいたします。  大臣は、かなり今回の災害ではショックを受けたらしくて、非常に前向きに御検討される御答弁をされておりますが、まず最初にお聞きしたい点は、私が伺いましたのは八月五日午後なんですが、大臣は午前中に行かれて、被災をされた湯谷団地皆さんとお会いになりました。その際に請願書をお受け取りになっていると思います。この請願書を、今全部を申し上げるつもりはありませんが、   今回地附山に発生した地すべりによる災害について湯谷団地住民は一致してその原因と責任行政に帰するとの結論に達しました。   よって二度とこの様な災害を繰り返すことのないよう、左記の事項を早急に実施することを請願致します。  多岐にわたる項目がありますが、大きく言うと三点で、「地附地すべりの発生に至るまでの各種資料の科学的調査及び解析により発生原因を解明し、今後防災上の対策を迅速に実施すること。」、二つ目が、「地すべりの現況を科学的に調査湯谷団地及びその周辺地域における安全なる居住の可否に関する判断をくだすと同時に二次・三次災害の完全防止をはかること。」、それで具体的に幾つかあります。最後に、「被害に対する万全な補償」とありますが、これをお受けになって、大臣地元で、誠心誠意請願の趣旨を受けとめて対応いたしますというふうにお答えになったと言われ、大変期待されておりますけれども、この場でその対応するお気持ちをお述べいただきたいと思います。
  214. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 私、現地でそういう嘆願を受けましたので、私自身といたしまして、できることは誠心誠意努力をさしていただきます、それからまた、これだけの大きな地すべり災害でございますから、やっぱりこれを応急措置と恒久措置と、特に、また最近では台風シーズンになりますので、緊急対策についても全力を挙げて私ども努力したいと思います、しかし、やっぱりこれだけの大きな問題を二度と繰り返さないように努力をするということは、住民皆さん方と一緒になって取り組んでいくような姿勢が非常に必要だと思いますので、我々のできることは誠心誠意努力をさせていただきます、また住民皆さん方にも、二度とこうした災害を起こさないために、お互いにできることはしっかり努力し合いましょう、そういうことを私の感じとして厳粛に受けとめて、そういう考え方を申し上げさせていただきました。
  215. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、具体的に行政というのは対応しなきゃ、どこに誠心誠意があるかということはわかりませんのでお尋ねしますけれども、五十六年の八月、九月、十一月と地質調査報告書を株式会社中部地質に依頼して出されているんですね。これは皆さんのところに届いておりますでしょうか。
  216. 井上章平

    説明員井上章平君) 私は見ておりません。
  217. 下田京子

    ○下田京子君 これは地質調査報告で非常に重要なことが書かれております。これは三冊あります。ほかにもあるんではなかろうかと思いますが、これはかなり地元でも問題になりまして、一つずつ資料を出してきた。建設大臣が今言われた誠心誠意の中のあらゆる資料を公開せよという一つの具体的なことなんですよ。  実は、五十六年の八月時点で、県の企業局が中部地質に頼んで出された報告は何かといいますと、これは五十六年に、地すべり現象と見られる石積みブロックの擁壁の亀裂と道路陥没及びこの付近一帯に見られる道路構造物の変状があった。よって、地すべり発生の機構を考察、把握して、適切なる防止対策検討し、対策実施に関する基礎資料を得ることを目的として調査したということなんです。その中に、今も問題になっております松寿荘も含めて警告が発せられております。ですから、このことを企業局は知っているわけです、五十六年の八月時点で。だから問題になっているわけで、こういう点で、この資料も取り寄せで、そしてつぶさに分析し、必要とあらば専門家等の意見も聴取して対応いただきたい。大臣、よろしいですね。
  218. 井上章平

    説明員井上章平君) 企業局におかれまして五十六年以降、いろいろなそういった崩落、地すべり等の兆候に対応して御調査されておるようでございます。  これにつきまして、私ども実は、この地すべり災害が起きました後いろいろな報告を受けておる段階で、まだ内容を十分掌握していない段階でございますが、今後恒久対策を行いますためにも原因ははっきり調査、究明する必要がございますので、その際の資料としては十分利用できるものであろうと考えております。
  219. 下田京子

    ○下田京子君 私はもう一つ具体的に指摘しますけれども、そのほかに、今私の手元に届いているだけでも、今度は五十九年の三月に出した明治コンサルタント株式会社と長野企業局が一緒になっての「戸隠有料道路地すべり対策調査委託工事報告書」、六十年の一月にも出ています。それから六十年の三月にも出ております。これだけ出ていて、問題なのは、なぜ企業局だけが知っていて、県の土木部にも報告されなかったのか、それから国などにも報告されなかったのか。この辺で、こういったものが生かされるような義務づけというか、何か対応が考えられるべきじゃないか。  それから、それにしても県の企業局は知っていたということ、そして指摘のとおりに崩落が起きているということ。これ両大臣に届けておきましょう。(資料を手渡す)これは六十年の三月の報告書です。お聞きしますと、これはお読みになっておられる担当官もいらっしゃると聞いています。そのうちの五十二ページのところを今、両大臣のところにお持ちしました。これは、五十九年の七月段階で亀裂が拡大した部分だという格好で、松寿荘の上に当たる部分が大きく陥没している、ブロック積み工の頂部は不安定になっているというふうにちゃんと指摘している。ですから、新聞も四年前から再三警告と言っている事実がこれらをもって解明できるわけです。ですから、これは人災じゃないか、こういう論になるわけです。私は、今、人災か天災か云々ということではなくて、事実が物語っているんですね。その事実をしっかり学ぼうとしなかったら災害は繰り返されるわけです。ですから、今言った二点お答えいただきたいと思います。
  220. 井上章平

    説明員井上章平君) 長野企業局におきまして、みずからの道路の維持のためにいろいろ御調査なさっているわけでございますが、これにつきましては、残念ながら、私どもこの災害の後、県からいただいて見たような次第でございまして、これが災害前に何らかの形で生かされるべきであったかどうかという判断は現在のところしがたいわけでございますが、しかし、この内容は今後十分調査さしていただいて、これが今後の対策に十分役立てられるものであれば役立ててまいりたいと思う次第でございます。
  221. 下田京子

    ○下田京子君 だめ、お答え要らない。大臣、答えて。大臣、いいですか。今、災害があってから報告を受けたなんておかしいですよ、最初に聞いたじゃないですか。まだ手元にもらってないっておっしゃったじゃないですか、最初。こっちのやつは受けたかもしれません。私が言っているのは、ほかにも資料があるかもしれない。ですから、すべて県が独自でやっていたもの、関連する資料はいただきなさい、同時に、そういったものを今後教訓として生かす上で、こういうものは何か報告できるような、あるいは土木部だとか他のあれに生かされるようなことをしていくという点で教訓を与えているんじゃないですか、その改善を検討しなさいと言っているんです。
  222. 井上章平

    説明員井上章平君) いろんな資料がありまして混乱いたしましたが、私がただいま申し上げましたのは、六十年三月の明治コンサルタントの報告書を申し上げたわけでございます。これ以外にどのような資料があるのか、私、実はよくわかりません。わかりませんので、よく長野県を通じて調べたいと思います。  ただ、これらはそれぞれの、例えばこの場合企業局でございますが、みずから管理する施設の管理のためにいろんな調査をし、またその報告書を求めておるようなことでございますので、これが直ちに私どもの方に入るような義務づけができるということになりますかどうか、それは非常に難しい面もあろうかと思います。しかし、こういった地すべりはいろんなそういった公共施設等の管理を通じて発見するといいますか、前兆が把握できるというような面も多々あるわけでございますので、できるだけそういった報告書が地すべり対策担当官署に入って、そういう地すべり防止にためにこれが役立てられるというような体制につきましては、今後関係機関とも十分協議した上でそういう体制を整えるよう努力してまいりたいと思う次第でございます。
  223. 下田京子

    ○下田京子君 いろいろ言われたけれども、一部局だけのものに終わらせないで、他に生かせるように体制を整えるというところをはっきりお答えいただいたわけで、私はそれが大事だと思うんです。  なぜかといいますと、「地すべり危険箇所調査要領」というものをことしの五月、全国四十七都道府県の土本部長に配付されておりますね。五十二年につくったものを少し検討して加えたものもありますね。まだ検討中で意見は一致しないけれども、そのまま載せているものもありますね。ところが、これは地すべり危険箇所ですから、地すべり防止区域ではないわけで、防止区域に指定するかどうかその以前に、こういうところは危険箇所だという一つの判断資料をちゃんと出しているわけですね。ことしの五月にこれは出しているわけですから、会議も開いているわけですから、さっき言ったようにこういうものを土木部でつかんでいたなら、どうしてあそこが危険箇所だという認識に五月の段階で立てなかったのか。単純な話じゃないですか。  しかも、ここにはこういうことを言っていますよ。例えば判定のところにも、過去に災害があったかどうか、それから陥没、隆起の現象があるかどうか、亀裂が常時あらわれているか、たまにあらわれているか、崩壊現象はあるか、そういうことで点数制にまでなっているんですけれども、あの地附山の地すべり地域というのはみんな該当している。それからその前にもいろいろあるんです。例えば空中写真を撮りなさい、空中写真を撮って過去に地すべりによると見られる被害の発生したところ、古文書でもあるいは口伝えでも調査記録でも地元の人の話等によってもあったら入れろと言っている。明確に入るじゃないですか。二点目に入っているのが現地活動の兆候が見られると、五十六年からあったじゃないですか。全部該当する。  ですから、これが教訓として、生かされなかった、なぜ危険区域の指定が受けられなかったのか、防災区域に指定されなかったのかという点では、さっき既に建設大臣が都市型災害と言われるくらいに新造成地、開発されたところに被害が大きいというのはもう御認識されているわけですから、そういったところで起きた今度の問題については徹底的に調査をする、解明する、生かしていくと、この点で最後にここの部分は大臣がお答えください。
  224. 井上章平

    説明員井上章平君) 危険箇所を見つける努力につきましては、先生のお手元にございますようなことで私どもの姿勢は御理解いただけると思います。あらゆる資料を駆使してあらゆる兆候を見出すという努力を常にそういう形で続けておるわけでございますが、残念ながら当該箇所については、それらの報告書が数多く出されておりましたけれども、私どもの、あるいは長野県の地すべり担当部局と申し上げた方がよろしいんでございましょうか、そういうところには入っていなかった。いなかったために私どもとしてはここを地すべり危険箇所という認識を持ち得なかったということでございます。
  225. 下田京子

    ○下田京子君 これは大臣お答えくださいね。  ですから、今回のことははっきりしているんです。県の企業局は知っていたと、資料が示しております。」生かされなかった、これは事実が示しております。そこでそれをどう生かすかという点での姿勢と、もう一つ、これは大臣に通告していたんですから大臣お答えくださいね。H鋼のくい打ちやりましたね。その中の住宅補償というか、その辺についてとにかくいろいろな対応が考えられるはずです。英知を全部結集して補償問題について前向きに対策をとってください。
  226. 木部佳昭

    国務大臣木部佳昭君) 今の御質問の問題につきましては、県並びに長野市の当局と十分協議をして対応してまいりたいと、こう考えております。
  227. 下田京子

    ○下田京子君 最後になります。申しわけないです。  これは厚生省においでいただいていたので、本当にまとめて簡潔にでよろしいです。  今回、松寿荘はああいう被害に遭われました。防災上問題があるところは建設一つの問題になっているわけで、設置基準に照らしてどうかということで一つ点検していただきたい。それから二つ目には、防災体制の中に地すべり、雪崩、こういうのが入っていません。これは必ず入れてくださるように。それから一日も早い復旧をなされるように。三点簡単にお答えいただいて、質問を終わります。
  228. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 今回の社会福祉施設の場合には安全性が優先されるものでございまして、従前から立地する場合に立地条件のチェックをすることになっております。そういうことでございました。しかし、今回の災害教訓といたしまして、改めて安全性に問題はないかといったことを都道府県を通じて現況を把握するということをやりたいと思います。  それから、今回の場合は情報伝達の迅速化という点で問題があったというふうに思いますので、その辺を踏まえまして関係省庁とも協議しながら、また各県を通じて十分指導してまいりたいと思います。
  229. 下田京子

    ○下田京子君 地すべりを入れるか入れないか。
  230. 荻生和成

    説明員(荻生和成君) 今のお話の五十八年の通知には、地すべりだとかなんとか限定せずに、防災対策一般の問題として書いたわけでございます。ですから、明言はしてありませんけれども、当然こういった内容は含んでいると考えております。
  231. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 最後でございますので、重複は避けたいと思いますが、しかし、基本的な問題につきましてはあるいは今までの議論と同じようなことを言わなければならない点がありますので、そこから最初質問をしていきたい、このように思います。  今回のこの大災害の大きな特徴は、大規模な地すべりが起こるであろうと、その兆候というものが大分前から、数年前からわかっていたにもかかわらず、それを未然に防ぐことができなかった、こういうところにこの災害の大きな特徴がある。要するに、天災という要素を入れたといたしましても、天災と言うよりも明らかに人災である、これが今回の大災害の特徴である、こういうように私は思います。  先ほど来からいろいろお話がありますけれども、五十六年、五十九年にもう戸隠のバードライン地すべりがあったと、そこで県は民間のコンサルタントに依頼をして一年がかりで調査もやっている、その調査書は昨年から中間報告というような形でも出ている。その中には、湯谷団地の上の方あるいは松寿荘の上の方、ここの地すべりは極めて危険な状態である、こういうことも指摘されている。そして、水抜き工事をやれば防げるかもしれない、こういう対策まで書かれている。その調査報告書に従いましていろいろな要望が、あるいは警告が県並びに市に出されている。こういうことは事実なんですね。この報告書の中には、地すべりがこういう形で起こるという想像図まで載っている。そして結局は、このコンサルタントの調査のとおりに、全くそのとおりに地すべりが起きた、そして大災害が発生をしたということです。だから、松寿荘まで地すべりが及ばないと、そういうように思ったから避難勧告もしなかったということは、私は、これは責任逃れ、言い逃れにすぎないと断定してもよかろうと思うんですね。  問題は、事前の兆候、警告というものがこのように行われていたのにもかかわらず、どうして有効な対策がとれなかったのだろうか、こういうことだと思うんですね。そして、私が私なりに結論づけると、予算がなかった、企業局は赤字だと、だから、やりたくても結局はやれなかった、こういうことではないかと思うんですね。だから、金がないから意識的に避けざるを得なかった、対策を講ずることを避けた、こういうように言わざるを得ないんですね。  私は、小山先輩から先ほども最初にお話がありましたけれども行政側の防災対策に対する基本的な哲学、ここにちょっと問題がある。財政がいかに苦しいと言いながらも、やっぱり生命、財産に直接関係するような事業は私は優先的にやるべきだと思うんですね。そういう観点が行政側は確立されておれば、財政が苦しいと言いながらも、そこに優先的に資金を配分していくということが当然行われてこなければ。ならぬわけでありますが、それを予算がないからということで避けてきた。要するに、人間重視の姿勢が欠けている、人間軽視の行政が行われていると、こういうように言わざるを得ないわけですね。したがって、今回の災害は天災と言うよりも人災だと、結論的にはそう言わざるを得ないわけですね。  そこで大臣、せっかくの先ほど来の議論を聞きながら私はお尋ねをするんですが、そういうようなことが結局この大惨事を招いたのではないか、こういうように思うのでありますが、同僚議員がさまざまな形で質問をされておりまして、くどいようでありますが、まず大臣の御見解をお聞きしたいと思うんです。どうですか。
  232. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 人災、天災につきましての解釈につきましては、もうちょっと詳しく調査をする必要があると思いますが、私は、各省に報告されておることの取りまとめも不徹底であったということを反省しております。災害の情報につきましても、先ほども鶴岡先生がおっしゃいましたように、ただ機械的にどこどこへ報告したらいいという一方的なことでなくて、これをまとめていくという努力をしていかなきゃいかぬ。国土庁といたしましては、関係機関と緊密な連絡をとって、災害情報の把握に一層努めまして、災害対策の推進に努力していきたいという考えを持っております。
  233. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 どうもその辺が、私の質問をしている本旨に対してお答えがないんですが、そこが残念であります。  もう原因は、まさに、さまざまな情報を集約してみると明らかなんですね。豪雨によるのがその原因だと言うけれども、豪雨はそれは引き金になっただけであって、原因はもうさまざまわかっておるわけなんで、だから、それに対する真剣な反省というものが私は必要だと思いますし、そういう反省がなければ今後の有効な対策も成り立っていかないと思いますので、ぜひもう一度ひとつ大臣にその辺を私は、防災、いわゆる災害を防ぐための哲学というものに——建設大臣は先ほどから、大体、国民の財産と生命を守るために真剣にその点を最重点に置いて考えていくと、こういうことを答弁されておりますし、ぜひとももう一度御答弁をいただきたい。
  234. 河本嘉久蔵

    国務大臣河本嘉久蔵君) 私は、災害対策に対しましての関心は、先生御指摘のように、国民の生命、財産を守る非常に重大な責務であるという考えから、先般も閣議におきまして、非常に厳しい財政状況ではありますが、災害対策費の増額を各省に与えていただきたいという発言もいたしました。そういう観点に立ちまして、今回の事件を教訓といたしまして最善を尽くしていきたいという考えでございます。
  235. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 時間がありませんので、それ以上は言いません。  そこで建設省に、これは要望でございますが、地すべり危険地域といいますか、全国で五千八百カ所ある、こういうことで、それらの地域についての総点検をこれからもやるんだと、こういうことを言われました。この地域というのは五十五年の調査なんでしょう、五年たっている。その間に地域開発がどんどん進んで新たな危険地域が出てきている。したがって、総点検をやることは大いに進めていただぎたいんですが、問題は、五年。とくらいで総点検をやっても、その間に順次新たな危険地域がふえていくということなので、そういう五年なんていう期限を切りますとどうしても対策が後追いになっていくと私は思うんですね。だから、常時この危険地域の見直しといいますか、新たな危険地帯の調査、こういうものを継続的にやる必要がある、こういうように思いますが、そのような方向で対処していただけるのかどうか、その点をお伺いいたします。
  236. 井上章平

    説明員井上章平君) 地すべりの危険区域の総点検につきましては、昭和五十五年に一斉点検を行いまして、その後も随時見直しを実施いたしておりますし、また五年たちましたので、本年はたまたま一斉点検による見直し作業をただいま鋭意進めておるところでございます。  先生から御指摘ございましたように、五年間にはいろいろ土地の利用状況等が大きく変わることも予想されますので、これらについてはできる限りそういった掌握が速やかにできるように努力をいたし、また都道府県を指導してまいりたいと思っております。
  237. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 次に、厚生省にお伺いをいたしますが、松寿荘老人二十六名が犠牲になったという大変痛ましい結果に終わったわけでありますが、この施設の緊急避難体制というものに問題がなかったかどうか。例えば、災害の起こる数日前に松寿荘側から、これは市に対して、非常に危ないから松寿荘の少し下にある老人憩いの家雲上閣というところに避難をするように何とか考えていただけないかと、こういうことも松寿荘側から市に要望されているわけですね。そういう事実をつかんでおられるのかどうか。  それから、二十六日の朝から危険を察知して職員が警戒体制をとっていたと、そういうことも報道されておりますが、しかし実際に避難を開始したのはばらばらと石や砂がおっこってきた夕方の五時過ぎと、こういうことになっているわけですね。収容されている人二百何名、寝たきり老人も多いわけですからね、一般の住宅の人よりも避難体制というものは早くとらなければこれはもう当然だめなんでありますが、その辺の避難体制警戒体制、こういうものに欠陥があったのではないかと想像されますが、その点についてはどうお考えでしょうか。
  238. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) お答え申し上げます。  山の崩落が始まりました後の状況といいますのは、十五分ないし二十分前後で全体が押しつぶされてしまったというふうな短時間での避難救出ということでございましたので、ある種のパニック状態の中での救出ということでございましたので、個別的な一人一人がどういうふうに行動したのかということにつきましてなかなか確認等をとることは大変難しいのでございますが、その時点以降の問題につきまして私どもも、一般論でございますが、これは県を通じて施設長なりの聞き取りの結果でございますけれども、今のところの判断としては、崩落が始まった後の対応としては最大限の努力を払ったんではないかと、こう認識をしておりますけれども、ただやはり現実に二十六名の方の命を失っております。これは、この種の人たちの人命を預かる社会福祉施設としては、少なくとも結果としてはそこにこの事実を重く受けとめて、より事前の対応が万全であったのかどうかということについては、やはり状況を再確認した上で、今後の教訓として生かすべきものはなかったかどうかということについて再確認をしてみる必要があるんではないかと、こんなふうに考えております。  ただ、今、先生がお話しのような、事前に松寿荘の方から市に対して避難の要望等の事実があったというふうに私どもまだ聞いておりませんので、その辺については再確認した上で必要な対応をしてみたいと、こんなふうに考えております。
  239. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 そこで、もう一つ厚生省にお伺いしたいんですが幸いにして助かった老人たちが百七十二人おると言われておるわけですが、この人たちが一体どうなっておるのか。伝えられているところによると、家族に引き取られた人が四十人程度だと。その四十人も、これから以後家族と一緒に暮らせるという人は十人程度だと。中には、これ以上またさらに面倒をかけたくないからもう一度老人ホームに入りたいとか、そういう希望の方もおるようでありますが、家族が引き取りにも来ないと、これは悲しいことですけれども、そういうようなことも報ぜられておるんですが、百七十二人の方々が一体これからどうなるだろうか、今どうしているんだろうか、この辺のところが私は聞きたいわけでありますが、その辺についての現状をお聞かせ願いたいということと同時に、こういう方々の引き取りもしないという、そういう心の貧しさというものがこういう事件を通じてまた新たに実感として感ずるわけでありますが、この心の貧しさというものを、これは御答弁を求めるのは難しいかもしれませんが、そういうものを一体、これからも老人社会はどんどんふえていくわけですからね、こういうような悲劇がどんどんふえていくことは間違いないと思うんですよ。そういうことに対する厚生省の基本的な対策というか考え方がおありでしたらお伺いをしておきたい。
  240. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 大変難しい質問でございますが、まず前段の、現在被害に遭ったお年寄りの避難状況等でございますけれども、時点に若干のずれがあるかと思いますけれども、現在では百七十名余の方の中でほかの老人ホーム等に入っておる方が百三十二名、それからショック等で病院等に入らなきゃならぬ一というふうな状況にある方が十二名、自宅に引き取られているといいましょうか、におられる方が全体で二十八名というふうな状況になってございます。他の施設に収容している方につきましては、旧松寿荘の職員等も付き添いましてそれなりに対応しているというふうに聞いておりますし、病院等に入院の方も、これは医師の判断によりまして病院等に入院ということになっておりますので、現在までのところ特段の問題がないんではないかと思っております。  ただ、先生御指摘のように、御自宅で引き取られた方というのは全体の数からするとそう多くないというのも確かでございますし、私どもも一般論としますと、人情論としますと、こういったふうな緊急といいましょうか、こういうときであるからこそもう少し自宅等でという気持ちもよく理解できるところでございますけれども、ただ、もともとこういったふうな老人ホームに入所されるお年寄りといいますのは、いろんな事情がございますけれども、御自宅での生活あるいは療養といいましょうか、というものが非常に難しいというふうなケースのお年寄りの方々でございますので、一般通常社会の観念とはまた違いまして、被災者の中で御自宅への引き取りというのが総体的にやはり割合が低くなるというのもやむを得ない面もあるのではないか、こんなふうに思います。  ただ、お年寄りの気持ちからしますと、先生の御指摘のようなある種の心の貧しさといいましょうか、というものもやはり感ぜざるを得ない面があるわけでございますので、この点につきましては、人の心の問題でございますから、行政でどうということにはまいりませんけれども、少なくとも行政的な意味でもそういったふうなものを、お年寄りと親子、あるいは地域社会と余り切り離すようなことのないようにはやはり心がけなければならぬのじゃないか、こんなふうに思います。  従来、ともするとお年寄りといいますのを、例えば山奥の老人ホームとかいうことで、どうしても傾向的に収容施設中心でやってまいったということもありまして、どうも一般社会から切り離すような方向が傾向的にあったんではないかなということはやはり反省しなきゃならぬ点の一つではないか、こんなふうに思います。  先生御指摘のように、やはりこれから高齢社会といいますのは、お年寄りが通常の生活の中にたくさんおられるというのが常態でございますので、この方々を全部社会から排除してというふうな発想には本来なるべきではない。一般の社会の中にいかに吸収していくかというふうな発想で考えなきゃいかぬのじゃないか、こんなふうに思っておりますので、自宅におられながらでもいろんな手助けを得ながら自宅の生活が可能になるような、特に体の不自由なお年寄りに対する手助け、自宅での生活が可能になるような手助け、私どもはいわゆる在宅対策と言っておりますけれども、そういったふうな強化を図るとかというふうなことにこれから意を用いていくようにしなきゃならぬのじゃないか、こんなふうに考えておるところでございます。
  241. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 その点でございますけれども、例えば東京都立の養護老人ホームというものは、私の記憶によると九十カ所くらいあると思うのですね。しかし、東京都内に建てられている施設というのはもうごく少なくて、あとはみんな都外の遠いところに建てられている、こういうのが実態だと思うのですね。だから、今おっしゃっておられるように、やはりこれからのこの種の施設というのはできるだけ家族のいる近くとか、むしろ人里離れた収容所みたいなところに厄介者のような、おば捨て山のような感じで収容するのではなしに、やはり家族がいつでも行くことができる、そういうような地域に小規模でいいからそういうのを積極的に建てていくべきだと、こういうように思うわけでありますが、厚生省としてはそういうような方向でこれから進められていくのかどうか。恐らく中間ケア住宅というような方針も出ておられるから、そのような方向を積極的に進めていくだろうとは思いますが、その点についての考え方をもう一度お伺いしたいと思います。
  242. 阿部正俊

    説明員(阿部正俊君) 結論から申し上げますと、お説のような御趣旨に沿った政策の展開ということがこれからの私どもの一番大事なポイントではないかと、こういうふうに考えております。  ただ、東京都の例示がございましたけれども、東京都では在宅の施設だけじゃなくて、やはり都心部といいましょうか、特に二十三区内への収容施設そのものの不足というものもやはり否定できないわけでございますので、その辺については、従来型とは言いながら、やはり住居に近いところへの収容施設設置ということも進めていきたいと思っております。  なお、御参考までに申し上げますと、今回松寿荘崩壊したわけでございますけれども、再建を考える際にも、今、先生の御指摘のような点に配慮したような再建というものもやはり一つのポイントなんではないかというふうに考えております。
  243. 伊藤郁男

    伊藤郁男君 あと質問通告をしておりましたが、時間が参りましたので、この辺で終わりたいと思います。
  244. 志苫裕

    委員長志苫裕君) 本日の質疑はこの程度にとどめますが、各委員が共通をして、原因究明の問題と避難措置について判断ミスがなかったかどうかという指摘は各党共通でした。前段の方は、井上局長の答弁に象徴されますように、あらゆるデータを駆使して徹底的な究明に当たりたいということで了承できますが、避難措置について判断ミスがなかったかどうかという点について、避難ミスがなかったということをそのまま委員会としては了承するわけにはまいりません。  現に、話されましたように、十六時三十分の時点で松寿荘側への大規模な地すべりは予想しなかった、しかし、その直後に起きたわけですから、その限りには予想しないという判断のミスはあったわけですよ。しかし、それが不可抗力的なものであったかどうか、科学的に解明されなかったかどうかという点ではいろいろと市や県に童言い分があるようで、それをここで皆さんの方がどっちか言ったんじゃまずかろうという判断もあるんでしょうが、判断ミスはなかったということだけで、この委員会はそれを政府答弁として受け取るわけにはいきませんので、委員からも発言がありましたように、その辺のいきさつを詳しくただして当委員会に報告を願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十七分散会