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国務大臣(
安倍晋太郎君) 今おっしゃいましたようないろいろな
原因がやっぱり積み重なって
一つの欲求不満といいますか、
日本に対する反感ということになったんじゃないか。その象徴が三百三十億
ドルという
日本の
アメリカに対する
貿易黒字、
アメリカから言えば三百七十億
ドルと、こう言っています。統計上の差もあるわけですけれども、そうした
アメリカから言えば
日本は三百七十億
ドルの
貿易の
黒字が出てきている。そして、
日本に対しては
アメリカの製品が思うように入っていかない。これは
日本から言えば三百数十億
ドルの
黒字の背景には、やはり
アメリカの
ドル高だとか
高金利だというのがそういう背景にあるということは、我々はしょっちゅう
アメリカにも言っているわけです。
アメリカは、それは識者はちゃんとわかっていますけれども、しかしやっぱりこの
黒字の
圧力は耐えかねられないと、今言われるように、なぜこう
日本に負けているのか。それはやはり
一つは
アメリカの議会なんかで非常に
議論されているのは、
日本のやり方が不公正だ、アンフェアだというのが、どうも
アメリカの議会で九十二対〇まで追い込んだんじゃないだろうか。それは、
日本がこれまで六回も市場アクセスの改善をやりながらちっとも成果が上がっていないじゃないか、だから
日本は幾ら言ってもだめだ、もう
日本に対しては制限立法で
日本からの
輸出を制限する以外に道はないというふうな、そういう議員が随分ふえてきて、いわゆる知日派と言われる議員までがそういう
考え方を持ってきているというのは、大変危険な
状況だと私は思うわけであります。
アメリカがそういう
措置を本格的にとってきますと、これは
アメリカにも問題が出てきますが、
日本自身もやはり一番大きな打撃を受けるわけですし、世界の自由
貿易体制というものが根底から崩れるおそれがあるわけですから、その辺のところは
日本としても理屈ではいろいろと言い返して
議論のあるところは多いわけですけれども、やはり
貿易の
黒字がどんどんこれからも
伸びていくということについて
日本自身もいろいろと対策を講じて、これを縮小するように、一遍にはいかぬとしても、努力をしてその実が上がらなきゃいかぬと思います。
アメリカの製品の買えるものは、やっぱり買う努力もしなきゃならぬ。特に不公正だと言われる問題については、今の基準だとか認証
制度とか、あるいはまた
輸入手続とかいろいろなことがあるわけです。これは随分改善してきたわけですが、そしてまた、
アメリカにも随分誤解がこれはあると思います。これはやはり先ほどからも
お話が出たように、やっぱり文化とか習慣とか、そういうものの差にも
一つの根源があるようにも思うわけですが、しかし少なくともアンフェアだと言われないような、そうした
日本としての国際水準、そういうものを
一つの基準にして努力をしていかなきゃならぬのじゃないか。余り理屈で言い合っても結論が出ないわけで、これは
ヨーロッパにもそうした空気があるわけで、現在、私もOECDの閣僚
会議へ参りましたけれども、去年までの空気と違いまして、大変
ヨーロッパの
先進国の空気も
日本に悪くなっている。これは
黒字の問題、それからやはり
輸入がふえないという焦り、その背景には
日本が何か障害をつくっているんじゃないかという
一つの疑惑ですね、
アメリカはまさにそれを端的に議会で表明しているわけです。
そんなことをいろいろと見ますと、なかなか
日本も重大な関頭に立っておるということをつくづく思います。したがって、
政府の方も総理大臣を中心にいたしまして、本部長ということで、七月までにアクションプログラムを初めとしていろいろな政策をこれから打ち出していこう、そしてこの
危機を乗り切って自由
貿易体制というものを前に進めていこうという決意でおるわけでございます。