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1985-09-20 第102回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年九月二十日(金曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         丸谷 金保君     理 事                 倉田 寛之君                 出口 廣光君                 林  ゆう君                目黒朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 石井 道子君                 後藤 正夫君                 斎藤栄三郎君                 曽根田郁夫君                 仲川 幸男君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 刈田 貞子君                 田代富士男君                 佐藤 昭夫君                 安武 洋子君                 井上  計君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  後藤田正晴君        国 務 大 臣        (沖縄開発庁長        官)       藤本 孝雄君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総局民事局長        兼最高裁判所事        務総局行政局長  上谷  清君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        内閣審議官    本多 秀司君        人事院総裁    内海  倫君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        日本国有鉄道再        建監理委員会事        務局次長     林  淳司君        警察庁刑事局捜        査第一課長    藤原  享君        沖縄開発庁総務        局長       小谷 宏三君        沖縄開発庁振興        局長       小林 悦夫君        法務省刑事局参        事官       松尾 邦弘君        外務省アジア局        審議官      有馬 龍夫君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        文部省高等教育        局私学部学校法        人調査課長    伊藤 博之君        厚生省保健医療        局長       仲村 英一君        林野庁業務部長  松田  堯君        通商産業長生活        産業局長     浜岡 平一君        自治省行政局公        務員部公務員第        二課長      安田 達男君        自治省財政局財        政課長      湯浅 利夫君        会計検査院事務        総局第一局長   竹尾  勉君        会計検査院事務        総局第二局長   天野 基巳君        会計検査院事務        総局第三課長   小川 一哉君        会計検査院事務        総局第五課長   秋本 勝彦君        日本国有鉄道常        務理事      長谷川 忍君    参考人        沖縄進行開発金        融公庫理事長   岩瀬 義郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十八年度特別会計歳入歳出決算昭和五十八年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十八  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十八年度決算外二件を議題といたします。  本日は、内閣総理附本府、行政管理庁、沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  3. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 官房長官、何かいろいろ忙しいようですから、ちょっと前もって二、三。  きょうは行管関係でありますから、国鉄亀井委員会は所管が行管ですね、総理府。その関係でちょっとお伺いするんですが、この亀井委員会答申で、一つ累積債務関係、それから要員関係土地関係、いろいろあるんですが、おのおの関係委員会でやっておりますが、今まで亀井さんなどから聞いてはっきりしないのは、累積債務処理について政府部内にはいろんな要員対策プロジェクトとか、あるいは新会社移行プロジェクトとかいうものをつくって、運輸省労働省がやっているらしいということは、それなりに運輸委員会などで聞いてわかっております。ただ、一番避けて通れない累積債務処理、それと因果関係のある土地の問題、この問題については一体どこが中心になって、だれがやっているのか、どうしようとするのか、遺憾ながら中曽根内閣全体としてわからないんです、我々。だから累積債務については大蔵省中心になってやるのか。運輸省には当事者能力なし、土地問題は幾らかあるかもしれませんが、この当面の累積債務の問題は中曽根内閣のどこがセンターになってやろうとしているのか、現在どこまで進んでいらっしゃるのか、今後どうしようとするのか。この累積債務の問題とこれの関連する土地売却の問題、これについでは政府のどの機関でやるんでしょうか、お答え願いたいと思います。あるいはなかったら官房長官でも結構です、政府のどこがセンターなのか。
  7. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 国鉄累積債務をどのようにするか、どのように今後運んでいくかということは非常に大きな問題でございます。国鉄の問題を考えますときに、一つは今御指摘のありました累積債務の問題と、もう一つは雇用の問題、全く御指摘のとおりでございます。非常に重大な関心を持って政府としても亀井委員会のいろいろな御審議を見守ってきたところでございます。亀井委員会から報告がございました。政府といたしましては、これを具体化をしてまいりますために、法律案整備などを中心にいたしまして、国鉄再建の具体的な計画というものをこれからずっと確立をしていかなきゃいかぬ、こういう構えで取り組んでおるところでございます。  どこがやっておるのかということにつきましては、これはもう政府全体でこの問題に当たらなきゃいかぬというふうに考えておりますので、当然運輸省あるいは大蔵省、大きな関心を持ってこの問題を取り運んでいくために折衝を始めているというところでございますが、政府全体でやはりこの問題に対処していくというふうにお答え申し上げるのがいいかというふうに思うわけでございます。したがって当然責任者内閣総理大臣であり、それぞれの関連する省庁がそれぞれ協議しながら進めていくというふうに御理解をいただきたいと思います。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、国会運営のルールとして亀井委員会の問題を専門的に議論するのは運輸委員会ですよ。では運輸委員会総理大臣でも来なければ、運輸大臣に聞けば、私はそこまでわかりません、国鉄総裁に聞いても、いや私には当事者能力ありません、大蔵大臣運輸委員会には出てこいといったって、私は主管外でありますから運輸委員会には政府委員を出しますと。こういうのが運輸委員会実態なんですよ。どなたに聞いてもこの亀井委員会が出した累積債務の問題、土地売却の問題、この銭この問題がある程度見通しがつかなくて新会社をつくるとか、あるいは二万人の希望退職を募集するとか、あるいはローカル線をどうやるかといったって、全然金の目安のない、当事者能力のない政府委員だけ集まって運輸委員会で議論したって毎日毎日空転。だから亀井委員長なんていいことにしてきのうも出てこない、きょうも出てこない、どこを歩いているか知らぬけれども。言いたい放題言っててめえはあちこち歩いている。一体我が国会は、政府全体でやりますと今、じゃ国鉄問題をやる際必ず中曽根総理運輸委員会に出席させますか。銭の問題ですから、累積債務どうするんですかと。そうなればちっとも国会は、国鉄問題は分割民営あれだけ先行しちゃって、中身の問題は全然進まない。進まないところか進めようとさせない、政府は。そして来年になったら一気がせいに法案を強行突破する、こういう戦略だけが一人歩きをしているんじゃありませんか。  ですから、あなたはそんな無責任なことを言わないで、少なくとも累積債務は銭この問題であるから、大蔵大臣プロジェクトキャップにして、そして運輸省とか国鉄とかそういうことできちっとやりましょうと、あるいは土地問題についてはだれだれをキャップにして土地問題を、亀井委員会言い分国鉄側言い分運輸省言い分、我々社会党言い分あるいは国民全体の言い分というものを吸い上げながら、一体国鉄財産は幾らあって、売却可能の土地は幾らあって、では国民に負担をかけぬためにこれだけの土地は売りましょうや、売る方法はこういう方法で売りましょうと、そういうふうな格好で具体的に提示しないと、ちっとも亀井答申は生きてこないんですよ。そこのところをあなたは全体の番頭役としてやはり見きわめてもらわないと、結局あなたのところへいくしかないんですよ。あの後藤田大物長官に言ったって、おれは主管外だとこう言われればそれっきりですから。  だから累積債務土地問題、要員問題は今労働省が相当積極的にやっていますから、これはこれとして、私たちは労働運輸でやります。でも土地の問題と金の問題だけは依然として焦点が合っていない。だから社会党提案としては、大蔵大臣プロジェクトキャップにして金の問題についてやってもらいたい。土地の問題はあなたの方のどういう格好か知りませんが、土地の問題もプロジェクトを持ってこれを公開しながら、やはり国鉄財産は幾らおるということをきちっと国民にわかるように、国会にわかるようにやりながら、再建を同じ土俵に立って議論できるように環境づくりをしてもらいたいなと、こう思うんですよ。きょうできなければ次の機会また要請しますが、早い機会にこの累積債務土地の問題について政府内の対応条件整備をきちっとしてもらいたい、次の運輸委員会あたりでこうしましたという格好でやってもらいたいなということを、あなたが担当ですからお願いしておきたい、こう思うんですが、いかがですか、きょうができなければ。
  9. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 国鉄の問題は、昨日もお答えをいたしましたように、今次行革の最も大きな課題であるというふうに考えておりまして、亀井委員会からの答申を受けて、政府全体でこの問題に対処する、政府を挙げて国鉄問題の解決に当たる、こういうことでその具体化に向かっていろんな作業を進めておるところでございます。  進め方について具体的な御提案をいただきまして大変恐縮に存じておりますが、今申し上げたような意味で、いろいろな観点から国鉄問題の具体化を進める。その中に雇用問題があり、累積債務問題があり、土地問題があるという認識を持っておりますが、それぞれ国政の御審査に対しましては、政府といたしましてそれぞれの委員長理事さんともよく相談をいたしまして、政府の方の責任者がはっきりしないので国政審査が進まないというようなことのないように、対応には十分心得まして作業を進めていくようにいたしたい、こう考えておりますので、しばらくは、いずれにいたしましても、作業が、いろいろ政府部内でキャッチボールしながらだんだん熟していくという形で解決に向かって進んでいくことになりますので、それらの点につきましては十分委員の御指摘を頭に置いて今後取り組まさせていただきたい、このように考える次第でございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 要望しておきます。  この問題を並行しないで、国鉄運輸省は、職員いじめと言っちゃ語弊がありますが、今回の民営分割に賛成しないやつはやめて勝手に出ていけと言わんばかりにびりびり現場職場でいじめつけている。私は全国区ですから北海道から九州まで歩きますからわかるんですが、今までは国鉄問題黙っておりましたが、最近の国鉄やり方運輸省やり方は目に余るものがある。ですから、そういうことについて非常に問題があるということを官房長官に通告して、官房長官から運輸大臣国鉄総裁等関係者注意を喚起してもらいたい。一定程度条件は我々も理解します。理解しますが、余りむちゃくちゃにやりますと、国鉄職員だってばかじゃありませんから、第二の日航機事故でも起きかねないことになりますよ。起きてから大騒ぎしたってどうにもならぬ、毎日毎日新幹線が秒単位で走っているんですから。やっぱり働く者は大事にして、意見は聞くと、言うことは言えと、そういう秩序おる職場体制の中で国鉄業務が執行されるように、運輸省国鉄側注意を喚起しておきたい、こういうことを一応警告しておきます。  それから、たくさんの方を呼んでいますから、小さい問題から入っていきます。  林野庁もこの行革の一環として、営林署統廃合を進めておることを私も存じております。第一回目、第二回目、今回は第三回目の営林署統廃合を、この前の決算委員会で、林野庁長官が、九月あたりをめどに作業を進めていると、こういう見解表明があったんですが、きょうは九月の二十日、営林署統廃合について一体現在どのような作業が進められているか。聞くところによりますと、私も地方を歩きますから、何か関係の都道府県の知事さんとか関係町村長さんとかというふうに水面下でいろいろ折衝されておるような情報も私も聞いておりますし、現場も確認しております。そういう問題を含めて林野庁は現在どういう作業を進めて、今後のスケジュールの大まかな目安はどうか、この辺をひとつお聞かせ願いたいなと、我々の心構えもありますから、こう思います。
  11. 松田堯

    説明員松田堯君) お答え申し上げます。  営林署統廃合につきましての現在の検討状況いかん、もう一つは今後のスケジュールいかん、こういう御質問でございます。  営林署統廃合につきましては、昨年の十二月二十九日の閣議決定におきまして、昭和六十二年度末までに十九カ所を統廃合することを含め、要員の縮減、抜本的な事業運営合理化等対応いたしまして相当数統廃合を行うこととし、六十年度におきましては九カ所を統廃合するということを決定されておるわけでございます。  また、先生今御指摘ございましたように、営林署統廃合につきましては、これまで五十三年度及び五十六年度の二回にわたりまして、事業規模が小さいものあるいは互いに近距離に所在いたしまして一体的管理が可能であるもの等で、統廃合を行った場合でも森林の適正な管理が確保され、能率的な事業運営が図られるものについて総合的に判断して統廃合を行ってきたところでございます。昭和六十年度におきましても、この九営林署選定につきましては、これまでの経緯等も勘案しながら対象営林署の特定につきまして現在最終的な詰めを行っているところでございます。  今後のスケジュールでございますが、対象営林署につきましては、地元地方公共団体等への説明や配置が文対象職員意向調査等もございますので、統廃合実施時期を勘案いたしまして早急に署名を特定してまいりたい、このように考えているところでございます。  以上でございます。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 だから、我々も素人じゃないから、まあ詰め詰めでいいんですが、ただ社会党として要望、要求しておったのは、第一次、第二次の統廃合をする際に、営林事務所あるいは連絡事務所などを置いて関係地域住民等へのサービス、自治体との連絡、山の管理あるいは林政相談などなどについて十分に皆さんサービスを低下させないということについていろんな約束をしておるわけですね。中身は時間がありませんから省略します。だけれども、私自身も廃止になった後の町村を回ってみても、一年ぐらいはまあまあ何とかサービス林野庁とか営林局が面倒見てくれる。二年になると半分、三年になるとさらに半分、四年目ぐらいになるとほとんど影も形もなし、残るのは寂れた農村の姿だけ、こういうのが今までの一、二次、この日で見て、この足で歩いてきた営林署統廃合実態なんです。ですから、その辺のやつをもう一回点検し合いながら、この最終の詰めということについては対応してほしいなと。単に事務的に、県内に二つあるからとか自動車の便利がいいとか、そういう事務的なことじゃなくて、第一回、第二回の実績を点検した上で、さらにそれを繰り返さないことを含めてやはり選定などについては慎重にやってほしいなと、そういうことを要望しておきたいんですが、いかがでしょうか。
  13. 松田堯

    説明員松田堯君) 六十年度の九営林署統廃合につきましても、これまでの経験、実績を踏まえまして実行をいたしたい、このように考えておりますが、御指摘ございましたように、地方公共団体の御理解と御協力を得るよう、また地元皆さんの御協力もいただきますように最善の努力を払いながら円滑な実施を期してまいりたいと考えております用地元の御要望に対しましては、統廃合の影響を極力緩和するための方策を講じるなど十分配慮してまいる考えでございます。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大体目安として、今九月ですが、大体いつごろその具体的な名前といいますか、九つの営林署、いつごろを目安に我々社会党なら社会党組合なら組合関係市町村なら関係市町村に提示ができると。そういう作業過程からいって、大体いつごろということぐらいは明示できませんか。まあ、我々も逆算するとこの辺がなとわかりますがね、もう何回もやっていますから。あなた方はやっぱり今回はいつごろを目安作業を進めていると、それは結果的に見込み違いがあってもやむを得ません。いつごろを目安に具体的な営林署名を考えることができると、その時期だけはあなた方の現在の作業過程から御提示願いたいなと、我々もそれに対する対応の仕方、取り組みがありますから。いつごろになりますか。
  15. 松田堯

    説明員松田堯君) いろいろ手続手順等事前に進めてまいらなければならないわけでございまして、現在作業の段階におきましては十月中に公表できるようなことにいたしたい、そういう方向で検討をいたしているところでございます。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 十月中旬ね、いいですか。十月中旬目安
  17. 松田堯

    説明員松田堯君) 十月中でございます。よろしくお願いします。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんな、お互いに若干役人の経験あるんだからね。十月一日から十月三十一日までこの期間内、そんなとぼけたね、それこそとぼけ答弁というの。だから山がすたれていくの。少なくとも十月の中旬とか下旬とか上旬とか、その辺を目安にやっています。質問する私が多少ずれても責任は問いませんと、ただお互いの腹づもりがありますからどの辺ですかと、こう言っているんですから、気楽に答えたらどうですか、そんなにかたばらないで。目黒さんに一回言ったらかみつかれるなんて言わないで、十月のどの辺、大体。
  19. 松田堯

    説明員松田堯君) お答え申し上げます。  なかなか手続手順等ございますし、最終的な詰めもございますので、極力早くやりたいとは思っておりますが、十月中ということで現在進めておるわけでございます。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ、あなたがそういうことであれば、こちらはこちらで腹構えがありますからかえってマイナスになりますぞ、そういうふざけた答弁。きょうは十二時から集まって対策会議やるんだから、社会党の。まあいいでしょう、それ以上言いません。林野庁いいです。  それからもう一つ、きょうは沖縄やりますから、今までの懸案事項で二つだけ聞きます。  沖縄バス統廃合についてはもういろいろ経緯がありました。決算委員会調査もやったんですが、このバス統廃合について組合側会社側労働協約はいろいろありましたが、我々も中に入ってまとめてやりました。まとめてやったんだけれども、肝心かなめ会社同士の話がちっとも進展しないということを我々の方に連絡が入っておるんですが、なぜ会社側同士作業が進まないのか、その辺は沖縄開発庁なり運輸省はどの程度把握しておるのか。同時に、新会社の設定は予定どおり発足できるのか。余剰人員対策についてはうまくいっているのか。このバス問題をめぐる最近の情勢なり見通しについて、やはり懸案事項ですから明らかにしてもらいたい、こう思うんです。
  21. 小林悦夫

    説明員小林悦夫君) ただいま目黒先生おっしゃられましたとおり、労使間の交渉が七月三十日、基本的合意に達しまして、合併計画は一歩前進したわけでございます。そこで、沖縄開発庁といたしましても各省庁バス問題連絡対策協議会、これを八月七日に開きまして、合併までの手続タイムスケジュール、これを早急に詰める、また離職者対策、また合併後の財務計画、ダイヤの再編の問題、そういう問題につきまして早急に取り組む、こういう申し合わせをして会社側と接触をしておるところでございます。しかしながら、その後両社経営者間で新会社体制につきまして協議がなされ、また労使交渉も九月九日に持たれたわけでございます。残念ながら会社間におきます合併形態また合併条件等具体的な内容についての調整が必ずしも進んでいない、こういう状況でございます。  確かに具体的な合併計画というものになりますと、合併後の新会社経営基本となるものでございますから、慎重に検討協議する必要があると思うわけでございますが、この両社において合併計画が合意されない限り、合併に伴って派生する諸問題、こういうものにつきまして具体的に対応することが難しい状況になってございます。このため両社経営者が新会社の発足に向けまして最大限の努力をする必要があると存じます。  そうは申しましても、両社合併というものはバス輸送の持つ社会的使命、また今までの労使交渉推移等を考えますと、できるだけ早く実現させる必要があるわけでございまして、沖縄開発庁といたしましても関係省庁連絡をとりながら、両社長また関係者と積極的に対策に取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 開発庁長官合併というのは四百二十六名の余剰人員も絡んでおったものですから、随分難航しました。私も沖縄にこの問題で何回行ったことか。三年、四年絡みですよ。しかし、そうは言っても沖縄の交通を整理するにはやっぱり合併以外はない、同じところを空車で空気を運んで三つも四つも会社国際通りを走っておったって何にもならないんだから、これは。どんどんマイカーがふえるだけ。そういうことを考えると、多少涙をのんで私は組合側を説得して合併について労使調整をしたんですよ。余り延びてしまうと、私も現地から、目黒のやろうペテンにかけやがった、こういうふうなことまで言われつつあるんですよ。私はやっぱり、今、振興局長が苦労される気持ちわかります。あそこは非常にややこしいところでね。ですが、やっぱりややこしいけれども、それを乗り越えないことにはしょうがない。ですから、これは銀行筋、あるいは業界筋、あるいは県庁筋などを含めて相当やっぱり政治力を持った決断、場合によっては運輸省がもう両社長をリードするというぐらいのやっぱり行政指導の、介入と言えば変でありますが、強化といいますか、そういうことをやって何とか九月中ぐらいにめどをつけてやらないとこれはどうにもなりません。組合からこの協約は破棄だと言われたら、もうどうにもなりませんから、ひとつあなたにはちょっと酷かもしれぬけれども、最後のチャンスですから、最大の政治力を発揮してもらいたい、あるいは大蔵大臣を含めて協力をお願いするということで、何とかしてあなたの最大の努力をこの問題について、社長と社長ですから、社長と組合じゃないんだから、社長、社長なんだから、これはやっぱり体制側の代表としてあなたの努力を要請する以外にない。できれば今月中ぐらいにはやっぱり新会社のめどをつけて、組合側とさらに余剰人員対策を含めて交渉に入るという態勢をしてもらいたいな、こう思うんですが、大臣の見解をひとつ聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  23. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) ことし一月の参議院決算委員会におきまして目黒先生の御発言、拝読させていただきました。御指摘のように沖縄の抱えております問題の中で交通問題は極めて重要な問題でありますし、中でもバス問題、この合併問題は非常に重要な問題である、私もさように考えております。  今までの経緯につきましては先生十分御承知でございますし、今、小林局長説明申し上げたとおりでございます。  そこで、今後の問題といたしましては、私どもは当事者がまずバス事業の持つ公共性にさらに深く思いをいたされまして、合併が成功するように一層の努力を払っていただきたいと心から期待しておりますが、同時に私どもといたしましても合併に伴ういろいろな問題の解決のために最大限の努力を傾注していきたいと。最近、近々に当庁の事務次官、藤仲事務次官が座長をしておりますバス問題協議会、これを近々に聞かすことにいたしておりまして、そういう点を含めまして今後必要な努力をやってまいりたいと思っておりますので、今後一層の御鞭撻をお願いできれば幸いだと思っております。
  24. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ぜひそういう点で最大の努力をお願いします。  それからもう一つは、軽自動車の生業対策の問題もあるんですが、これはもう時間がありませんから削除します。運輸省、どうも御苦労さんでした。  じゃ、次は、この前の委員会で提起しました日大の大宮の校地の問題について若干質問をいたします。  この前の質問に応じてこういう資料を、文部省どうもありがとうございました。心から感謝します。この資料をもらっていろいろ検討したわけでありますが、一つは、文部省にお伺いしますが、やはり私が前回指摘したとおり、この土地はどう考えても学校の土地として使うには、絶対できないとは言いませんが、極めて疑問いっぱいだと、こういう感をさらに深くしました、この資料をもらえばもらうほど。  それで、具体的にお伺いしますが、日大の法学部は、大宮の校地の問題について、第一期土木造成工事をやってみたらなかなか問題があるということで、理工学部に地質調査をお願いしたと。この記録によりますと、昭和五十三年七月から三カ月間、三十五カ所をボーリングして、この土地の検査を日大の理工学部がやったと、こういう記録になっております。この記録によりますと、やはり理工学部の調査の結果として中央の排水路、この前は図面を見せましたが、もうきょうは図面は見せません。中央の排水路の問題について、どうしてもこの問題を解決しなければこの土地は不適格じゃないかと、こういう意味の勧告書を出しておるようでありますが、この問題については文部省側で確認されておるかどうか。特にこの問題について、調査に当たった理工学部に、法学部大宮校地第二期土木造成工事地盤調査委員会という非常に長ったらしい委員会ですが、これは略称大宮校地委員会と、こう日大では呼んでおるそうであります。この委員会を五十三年七月十一日から八回にわたって会合を開いてもやっぱり結論は思わしくない、こういうことに学校内部で答申しておるということでありますが、文部省、これは確認できますか。
  25. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 理工学部が実施しました地質調査及び調査委員会の検討経過につきましては、ただいま御指摘のとおりと承知しております。
  26. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、御指摘のとおりということは、やはりこの土地は学校の校地としては不適当だと、そういう答申を文部省当局も確認しているということと受け取っていいですか。
  27. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 理工学部の調査報告書によりますと、この調査土地利用の可否について直接判断を示したものではないということで、御指摘のようにこの問題につきましては、報告書によりますと当該土地状況から、造成工事を実施した場合の周辺地域に及ぼす影響と対策については十分検討を要する必要があるという指摘がなされたというぐあいに理解いたしております。
  28. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ここに私、これは五十三年八月十四日、日大のマル秘文書、都外秘密、この都外秘密の文書を入手いたしました。これによりますと、五十三年八月十四日、下に日本大学理工学部、部外秘と書いてある。題名は法学部大宮校地第二期造成工事に伴うグラウンド盛り土計画に関しての一考察。こういうことで出ているんですが、これをずっと、もう時間ありませんから要点だけ申し上げますと、いわゆるこの土地は昔はアシが繁茂した凹地だと。したがって、大雨が降ると常にダムのような機能を果たしておる土地であるから、大宮市役所は中央排水溝をつくってかろうじて水害を、洪水を防止してきた地区だと。したがって、新幹線を建設するというので土砂が余る、その土砂をもらってここを埋めようとする考えはあるけれども、これをやったと仮定すればいわゆる近隣周辺に大洪水を起こす、水害を起こす、そういう可能性が十分ある土地だと。最後には、ただより高い物はないと。したがって、この土地の、いわゆるグラウンド、学校校地としては環境整備それから水害関係、地域住民との関係、水害を発生した場合には大学側に大幅な責任が転嫁される。したがって、慎重の上にも慎重に対応することが適当ではないか。こういうマル秘文書ですが、これは文部省認めますか。いわゆる、あそこを埋めてしまえば大変な事故になりますよと、したがって大宮市役所とも十分打ち合わせをした上で賢い取りの問題については対応した方が賢明でありますよということまで触れているんですよ、これ。これは認めますか。あなたの方に、秘密文書ですからこれは文部省に入っていませんか。〔大のこれは秘密文書です。どうですか。
  29. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) ただいま御紹介ありました文書については、私どもその存在は承知しておりませんが、その調査に当たりました理工学部から正式に大学本部の方へ出された報告書によりますと、この調査計画盛り土高さを中央排水路スラブの大端――一番高いところからさらに三十センチ高いものとしたときの地盤改良工法の検討等を加えたものである。その検討の中で、工法につきましてはある特定の工法を採用するのが最適であると、土量計算もいたした上で。ただ、今お話にありましたことに関連しまして、排水に関する問題としまして、この地域は過去には洪水時遊水池的な機能を有していたと考えられるが、この盛り土工事によって地盤面が上がると遊水池的な機能を失うおそれがある。その結果、この現象は周辺住宅地に影響する可能性があり注意を要するということで、別途排水計画検討する必要があるということで、この計画盛り土高さについてはただいまお話ししましたような多少の問題点を含むため、新しい盛り土高さ及び排水路下流の状況について調査検討する必要があるというような内容の正式報街着が出されているというぐあいに承知しております。
  30. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃあ、あなたがそれを読み上げたんだから、その大学からあなたの方に出した正式文書、今の読み上げたコピーを資料としてください。その資料と私が持っているマル秘文書と照らし合わせてみて、どこが違ってどこがうそをこいているか後の質問で出てきますから、とりあえず資料として出してください。それを要求します。いかがですか。
  31. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 承知いたしました。
  32. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それからもう一つ、やはりこの大宮校地委員会の第八回の会議、一番最後の会議で、中央排水路ということに対してもこれもマル秘文書で見解を出しております。これは二番目のマル秘文書をコピーとったもの、原文のコピー。このコピーの前段は読みません。一番最後に、これは埋めるとやっぱり先ほど言ったダム的な、遊水池的機能という言葉を使っています、遊水池的機能が失われ、その過剰流量が洪水となって周辺の低地住宅、あそこはずっと開発されていますから、低地住宅に流入する、流れ込む、水害になってしまうおそれが十分あるというように指摘しているんですが、こういう文書は確認していますか。この第八回委員会の最後の勧告文を確認しているかどうか、文書を。
  33. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 私が承知しておりますのは、ただいまお話し申し上げました概要報告書において承知をしているところでありまして、詳細につきましてはまだ承知しておりません。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 承知していなければ結構です。私の方で後で見せますから。  したがって、結論から言うと、この地盤は非常に軟弱な地盤だと、こういうことは結論として言えると思います。  それで次は問題は、こういう土地でありますから、この土地を買う際に、これを管轄しておる大宮市の方に排水路の関係を含めて当然買収する前に大宮市役所と折衝する、大宮市役所の了解を得る、地域住民の了解を得るということが必要だと思うんでありますが、学校側はこの手続をしたかどうか、どういう確認をしていますか。やったと連絡を受けているか、やらなくて一方的にやったと、こうなっているんですか。文部省はどう掌握していますか。
  35. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 大学の説明によりますと、大宮校地の買収交渉進行中の昭和四十二年の十一月におきまして地元大宮市に対しまして、校地内に介在します公共用地、道路あるいは遊水路数等でございますが、その払い下げあるいはつけかえの申請を行いまして、これに対しまして大宮市から翌年の十月、大学用地買収完了後に行いたい旨の回答がなされたものでございますが、その後この公有地の払い下げ、つけかえ問題と関連いたしまして、近隣住民から校地周辺の道路整備及び排水路の整備等の要望が出されましたため、まずこれらの問題解決のために大宮市及び近隣住民等との協議を続けてきたということでございます。  現在は大宮市との間で特にこの校地周辺道路の整備の問題を中心としまして、公有地のつけかえも含めまして話し合いを進めているということで聞いております。
  36. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そうすると、今長々言われたのですが、結論から言うと、この排水路の問題について接触はしたけれどもまだ完全に了解をとって買ったわけでないと、現に折衝を進めていると、こういう現在進行形ですか、排水路の関係は。
  37. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) そういうように承知いたしております。
  38. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 次にいきます。この前、第一期工事の問題についてあなたの方から説明を受けました。しかし、この第一期工事の問題については最初の請負代金が七億八千万円、その後一回目二千五百五十万円、二回目に三千八百万円、対象地域が減少になったので減額になって、最終的に第一期工事については七億一千六百五十万円、これで契約していますね、ここに契約書あります。これは確認できますか、この契約書、七億一千六百五十万円、これ大学側いかがですか。
  39. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) はい、そのとおりでございます。
  40. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、先ほど大学側からあなたの方に土地の報告があったと言うけれども、これだけの契約をしていながら、今日現在結果的には一万平米の第一グラウンドだけができて、他は全然手がつけられないというのはこれはどういうことなんですか。この総面積は、この図面にあるとおり十二万五千平米。十二万五千平米の土地を買って、七億一千六百五十万円の金をかけて契約をして、そして工事を始めた。工事を始めたけれども、今日現在で一万平米の工事しかできていない。この契約書によりますと、四十六年の十二月二十三日ですか、契約、工事着工が、契約の完成は二十カ月、約二年近い、二年弱で完成すると、こういう契約書を結んで金を七億一千六百五十万円払っている。昭和四十六年から今何年ですか、昭和六十年、十四年間もほっておくというのは一体どういうことなんですか。これは、真相はあなたの方には大学側から適当な土地だという報告をもらっていると言うけれども、実態は十二万五千のうちたった一方、残っているのは十一万一千平米、これは全部現在そのままほっている、これが大学の土地買い取りの実態なんですよ。一体この責任はどっちにあるんですか、大学側がずさんなのか、工事の請負を結んだこの請負会社がずさんなのか、どっちがずさんです、これは、十四年間もほっておくというのは、しかも、七億以上の金をかけて。この前あなたの方は大部分はもう工事が終わって、残っているのはちょっぴりだと私に答弁しました。それは真っ赤なうそであって、整理したのはちょっぴりであって、大部分は十四年間もほっぽらかしている、そういうことになっているじゃありませんか。いわゆる答弁にうそがあった、こういうことになりませんか、いかがです。
  41. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 当初計画しましたところの段階では、全体地域を盛り土するという計画で取り組んだわけでございますが、同時に並行しまして土地の取得も行われておりました状況にございました。その中で、一部土地の取得が交渉中のため工事との関係で直ちに着手しがたいということで、その部分の割愛、さらにはその後の工事の中途におきまして予想外の地盤沈下等の部分も出てきたということもありまして、その部分については未了のままという形で他の工事を遂行したということで理解をしております。
  42. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんなきれいごとで大学をかばう必要ないんです、あなたは。私はここに資料がある。文部省あるいは総務庁長官、見てください、こういうやつ。(資料を示す)この黄色いところと桃色のところ、これが現在もう買った土地でありますけれども、そのままほってあるんです。かろうじて使っているのはこの赤丸、いわゆる一万平米、あとの十一万というのはこれは全部十四年間ほってあるんですよ、七億一千万払って。それで、なぜこんなことが行われているのか、私は変なことを開きました。大学側に確認しましょう、これもおもしろい、おもしろいというよりもおかしなことですね、学部長報償金制度、これは土地購入価額の五%を裏金として支払う。支払い対象は学部長または学部の事務局長。だから、七億一千万で五%掛けますと三千五百万だ。この土地に関与した当時の学部長さんは三千五百万の報償金をもらっているんですよ。報償金をもらうから土地なんというのは余り関係ないんだろうね、いわゆる大学側と契約さえすればいい。こういう形で学部長報償金制度というのが、土地を買えば、日大には存在した。こういうことを我々は相当有力な情報源から確認したんですが、こういう制度について文部省側はわかっておったんですか、どうですか。
  43. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 御指摘の点につきましては、そのようなものがあった、あるいはあるということにつきましては聞いておりません。  ただいま御指摘がありましたことでもございますので、なお日大当局に確かめてみたい、かように存じます。
  44. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、この問題についての最後ですが、この大宮校地の問題に携わった産業は大居産業という会社。それで、日大と直接交渉に当たったのは日大のOBでありました鈴木峯三郎さん。大学側の担当者は、現在の常任理事の池田健次さんが当時大宮校地の売買に携わった学校側の責任者であります。この鈴木峯三郎さんは、その後大居産業を退職して法学部事務局の職員となり、池田さんが医学部に転じると同時に医学部にまた移り、現在は日大の板橋病院の庶務課長をやっていらっしゃる。こういうことで我々は追跡調査をしてわかりました。したがって、文部省に要請いたしますが、この大宮校地を購入するときに関係したいわゆる大学関係者の名前と当時の役職のリストを大学側に照会して提出願いたい、こう思うんですが、いかがですか。
  45. 伊藤博之

    説明員(伊藤博之君) 承知いたしました。
  46. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それから、後藤田総務庁長官にお伺いいたします。  私学助成ですね、毎年毎年私学助成、我々も非常に苦しい私学の経営皆さん国民の税金を使って私学助成をするということを否定するものではありません。大いにやってもらって結構。ただ、現在の文部省が我々に説明している私学助成の算出の方法、これが大学の先生の数とか生徒の数とか、そういう単純なファクターだけで算出をして文部省が助成をしている、こういうことを再三この委員会でも説明を受けているんです。しかし、私はこの大宮校地の問題、あるいはこの前は海外研修生の問題、あるいは千葉の土地の問題、ずっと点検していきますと、私学助成というのは、大学経営全体を洗った中で必要があれば助成するというふうに、やっぱりシステムを変えるべきじゃないか。日大というのはここ五年間ぐらい最高、トップですね、助成額は。最高の莫大な助成をもらっておって、陰で土地転がしをやっておって、それで学部長が大宮のような十四年間も使えない土地を買っても五%の三千五百万円のリベートをもらう。こんな仕組みの中に私は私学助成があってはならない、有効に私学助成を使うためにはやはり学校全体の経営を点検し合ってその中で必要であれば大いに助成をする、そういう方向にやはりシステムを変えるべきじゃないか、そう思うんですよ。ですから私学助成のあり方についてひとつ総理府あるいは総務庁を中心に見直しをしてもらいたい、そのための行政側の具体的な努力をしてほしい、こういうふうに私はやはり結論として考えざるを得ない、こう思うんですが、最後はあなたのところにいくのです。後藤田長官の見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  47. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 六十年度の予算を見ましても二千四百三十八億円ばかり私学助成の補助金が出ておるわけでございます。この補助金は申し上げるまでもなく教育条件の維持向上、学生の経費負担の軽減、経営の健全性、こういうことで助成をしておるわけでございますからこういう目的にかなったような配分方法でなければならぬ、こう考えるわけでございます。とかく私学経営について従来からいろんな批判がございましたので、先年総務庁といたしましては日本私学振興財団の業務運営に関する文部省の監督指導のあり方について監察をいたしまして、それによって勧告をいたしております。  それは私立大学等経常費補助金の配分方法、これについて見直しをやるべきではないのか、こういう勧告をいたしておりまして、現在私が承知しているところでは、文部省はこの配分の実態について改善方の検討を今進めていらっしやる、かように承知をいたしております。したがいまして、私どもとしては何よりもこれは経営者それ自身が適切にやってもらわなきゃならぬのが第一ですけれども、やはりそれを監督する文部省が合せっかく改善方法検討しておりますから、その結果を注意深く見守っていきたい、かように考えておるわけでございます。
  48. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ひとつ適切な助言をお願いしたいと思います。文部省には、もう答弁は要りませんが、今長官の答弁したように検討中だそうですから、次回の文部省管轄の決算委員会の段階で、その検討の全貌あるいは問題点などについて質問をしたい、こう思っておりますから、さよう心得て文部省側で対応に励んでもらいたいということを、答弁は要りません、要請をしておきます。  もう一つの問題は、日本撚糸工業組合連合会、これはレクチャーで聞きましたら通産省が関係しておって、通産省、中小企業事業団、その下に商工中金、その下に連合会がありまして、不況産業に指定されておるいわゆる繊維産業のいろんな諸機械のスクラップをしながら業界の再生を図ろうという任務を持っておる日本撚糸工業組合連合会、こういうのがあるわけでありますが、九月十一日の東京近辺の夕刊、九月十二日の地方版のローカル新聞も含めたのを見ますとこういう新聞が出ております。使途不明金十七億円、先月初め懲戒免職、こういうような新聞が一斉に出ております。そうして最初通産省にお伺いしますが、これは通産省の管轄の一指導機関ともいいますか、通産省が扱っている連合会であるということについては確認できますか。
  49. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 御指摘の日本撚糸工業組合連合会は中小企業団体の組織に関する法律に基づきまして通産大臣の認可を受けて設立をされました商工組合連合会でございまして、私どもに監督責任がございます。
  50. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これには財投資金から無利子、四年間据え置き、返還期間十六年というとてつもないといっては語弊がありますが、我々庶民から見ればうらやましいなと思うくらいの、無利子だからね、まず。国鉄のようにじゃんじゃん利息取られるんじゃないですよ。無利子、四年間据え置き、十六年間均等返還、いい金だね、これは。こういう恵まれた条件でやっているということに間違いありませんか。
  51. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 先ほど目黒先生御指摘ございましたように、繊維産業全般的には非常な不況状態にございます。需要が伸び悩んでおりますし、また発展途上国の追い上げを受けておりまして、全般的には大変な過剰設備が存在をいたしておるわけでございます。この過剰設備を処理するということは、中小企業が圧倒的に多い菜界でございますから、かねてから非常に大きな政策的課題になっております。この過剰設備の処理やり方につきましては、例えば補助金を出すとかいろいろな方法があるわけでございますが、中小企業事業団から連合会に御指摘のような無利子融資を行いまして、その資金で過剰設備を買い上げて廃棄をするということでございます。条件は御指摘のとおりでございます。
  52. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私も、これは誤解があったら直しますが、日大問題も、私の次男坊は日大卒業生ですから、日大増しでやってるんじゃありません。  それから今のこの繊維問題も、うちの妹はもともと長岡の機屋に嫁に行って、あなたが言っているいわゆる繊維の不況の第一番の波をかぶった転業者で、新潟県の長岡の在です。ですから、私が今言ったこの条件なり、あるいはけさの新聞ではありませんが、アメリカ議会の繊維に関する輸入制限の小委員会可決という厳しい状況がありますから、私は機織りの現状も、そんな関係で何回か妹の家へ行っておりましたから機織りの現状を知っています。ですから恵まれたとは言いましたが、そういう点でこの条件については私はそれなりに子としておるところであります。  これだけの大事な連合会がなぜ十七億円も使い込みになってしまったのかというところがむしろ私は問題だと、こう思うんです。それで取り上げている。決して中小企業の諸君の皆さんにどうこうという気持ちはさらさらありませんし、今後さらに手厚い対応をしてもらいたいということを前提に、ただ十七億も使い込みがあったということになりますと、これはどこかにやっぱり欠陥があったというように言わざるを得ないんです。欠陥があるから使い込みがあった。  それで、まず手始めに法務省にお伺いしますが、この報道によりますと、いわゆる連合会は経理幹部を告訴した、こういう報道があるんですが、告訴されているかどうか、一応事実確認だけ法務省御答弁願いたい、こう思うんです。
  53. 松尾邦弘

    説明員(松尾邦弘君) 先生お尋ねの件につきましては、九月の十四日東京地方検察庁におきまして告訴を受理したと聞いております。
  54. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 告訴を受理したんですから、今から法務省で調査されるんですから、私の方でもこのニュースをキャッチすると同時に十二日と十四月、私たちの秘書を中心にいろいろ、ずばり言ってこの告訴された三谷さんですか、告訴された元経理課長三谷さんにお会いをしていろいろ事実関係を聞かしてもらいました。どこにそんな穴があったのかということを調査しました。これは法務省が今から調べるのですから、先走ってやるというのはきのうの日航職員のあれじゃありませんが、検察調査に介入すると言われるかもしれませんが、私のところで調べたのはこういうことを言ってました。  一つは、この人は連合会の経理担当である、この使い込みをしたおっさんは。確かに使い込みはしましたけれども、私は十七億使っておりませんと言うのですね。何ぼ使ったんだと言ったら十二億、五億はわかりません、だから十二億は認めます、こう本人が言っていました。  二つ目は、なぜばれたんだと聞きましたら、今回のばれたのは、中小事業団の代理貸付業者である商工中金内の連合会の口座に本来あるべき連合会の利付商工債権が大幅に穴があいた、商工中金にどうしたんだと再三催促されたんでついばれちゃったというのがばれた発端と正直に答えておりました。なぜこんな格好でやれたんだと言ったら、ここがちょっとおもしろいんですね。本人の申し分によりますと、金を借りる際に、後で証拠物件出してもいいですが、最初から証拠物件出すと法務省に対して申しわけないから、また進展ぐあい見て出しましょう。いわゆる借りる公式の受領書、そこへ連合会の理事長さんの判こだけぽんと押して、金額は空白なんですよ。だから、スクラップになった機械を買い上げるために仮に一億必要だという場合に、一億の金を落とすために理事長さんがここに一億と〔分でサインして、これを三谷持っていけと、こう言えば余り間違いないやつを、どっちがどっちか知りませんけれども、いわゆる理事長の公印だけ押して、金額の欄は空欄、それをポケットヘ入れていって、そうだな、きょうは一億だけれども、まあ少し、きょうは一億一千万にするか、一億五千万と書くかと、自分の任意で一億のところを一億五千万と書いて銀行からもらって、それでスクラップの業者には一億払って、五千万は自分で別な口座をつくっておく、銀行をかえて。そういうことがどうも悪魔が入った出発点だと、こういうことを本人は陳述していました。まことに申しわけありませんでした、でも白紙をくれられたんでね、金額が入っていればそんなこともなかったんでしょうがと言わんばかりです。なぜ白紙を渡したのかというその事実関係はわかりません、遺憾ながら。大事な金を扱うのに。ここが一つの問題点です。わかりますね、通産省。  それからその次、いつごろからそういうことを覚えたんですかと説いたら、五十三年ごろからだと。だれに教えられたと言ったら、だれだれさんと書いています。五人の偉い人の名前が書いてありますよ。これは公開の席ですから、だれだれさんということはきょうは言いません。五人の相当のスタッフの皆さんがその手口を教えてくれたと、こうなっている。ここも問題ですな。問題の二つ目、手口。こういうことでこれは大分やっているんだと、こういうことで今回の問題になったと。それ以上言うとまた人権侵害になりますから言いません。  ただ、私たちがこの三谷さんという人に接触して知り得た問題点はこのほかにも幾つかあります。幾つかありますが、しかし十七億円にしろ十二億円にしろ使い込みがあったということは、やっぱり連合会の会の運営なりあるいは金銭の取り扱いなりというところに組織的な欠陥があったんではないかということを指摘せざるを得ないと思うんです。したがって、この問題については告発されておりますから、法務省は法務省で調査されて、また我々聞きましょう。  ただ、通産省にお願いしたいのは、中小企業を決していじめるんだということではありません。大いに活用して結構ですが、こういう組織的な使い込みができるような仕組み、運営、運用、やっぱり欠陥があったんではないかということを私は注目する必要がある。これは国民の血税ですから、これはやっぱり決算委員会でやる以外にやる場がない。したがって、この問題について通産省はどういう考えを持っていらっしゃるか、現在の心境を脚かせてもらいたいな、こう思うんです。
  55. 浜岡平一

    説明員(浜岡平一君) 御指摘のように、大変重要な責務を持っておりますこの団体でこういう問題が起きましたことを、大変遺憾だというぐあいに思っております。  どういうプロセスで問題が発生したか、告訴状によりますと、必ずしも白紙ということではなくて、本人が適宜金額を書き込んだものに勝手に印を押したという経過をたどっておるようでございまして、私文書偽造、行使、詐欺ということで告訴が行われておるようでございますが、その辺の御判断は司直の御判断にまちたいというぐあいに思っておる次第でございます。  なお、当然のことでございますが、私どもにも大きな監督責任があるわけでございまして、プロセスはいかにあれ、こういう事態が発生をいたしましたことにつきましては非常に責任を感じております。非常に多数の関係者も存在をいたしておる事業でございますので、私どもといたしましてはこういうことが二度と起きないように、関係団体の内部チェック体制等につきましてはこの段階で改めて十分チェックをいたしたいというぐあいに考えております。  また、私どもの監督体制につきましても遺漏のないように十分点検をいたそうということで取り組んでおるところでございます。御理解を賜ればと思います。
  56. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 十分お願いします。  ただ最後に、国税庁にもレクチャーでお願いしたんですが、我々の調査では五十五年ごろ一千万以上の使途不明金があるということも確認しています。国税庁は答えられないそうですから、もう答えは要りません。その一千万がどこに行ったのかということについても追跡調査をしたら、特定の政治家に政治献金が流れているということも我我は情報なりあるいは証拠物件で確認しております。ですから、今後法務省がこの告発問題をやる際に、この一千万の使途不明金、それから政治家に流れておるいわゆる政治献金、こういうものについても法務省は目を向けてほしい――答弁要りません。ということを要請して、次回の法務委員会でゆっくり法務省から見解を聞かしてもらうということで質問を終わります。
  57. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 まず初めに、臨時教育審議会のあり方の基本にかかわる問題について官房長官に一点伺っておきたいのです。  九月十八日の読売新聞の朝刊に、臨教審の第一部会が今後の審議において日教組活動も審議対象にする、こういう記事があります。その日の朝、NHKのニュースでも報道がされたようでございます。  私は、この報道は何かの間違いであろうと信じています。臨教審が日教組を審議対象にするはずがない、こう考えているからであります。マスコミの一方的な勝手な解釈だと考えていますが、念のために官房長官のお考えを聞いておきたいんであります。  臨教審の設置目的なりあるいは特に第一部会の任務、役割からしても、労働組合であります日教組のあり方や活動内容を審議対象にすることは、労働組合に対する不当な政治的行政的介入であり、干渉になる、やり方によれば憲法違反ということになると私は見ています。絶対こういうことはないと信じているんですが、官房長官の明快な判断をひとつ伺っておきたいと思います。
  58. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 臨時教育審議会では第一次答申を出していただきまして、その後第二次答申をぜひ来年の春というような御相談で、だんだんと第二次答申に向けてのいろいろな審議の段取りなどを話し合われてきている、こういうふうに私ども開いておるところでございます。九月十七日に第一都会が、学校の管理運営のあり方の検討課題の一つといたしまして、教職員及び教職員組織のあり方というのを検討課題の一つとして揚げたというふうに聞いておるところでございます。  この審議会の進め方につきましては、審議会を設置いたします際に国会でいろいろ御審議をいただきまして、そのときにお答えをしてきておりますことの非常に大事な一つは、審議会の自主性を尊重する、こういうことでございまして、政府が自分の何らかの意図を持ってある方向に審議会を誘導していくのではないかといったようないろいろ御質問等もございました。審議会の運営についてぜひ自主的に運営していただくようにお願いしていきたいと思っている、そのことを政府としても十分心得てまいりたい、こう申してきておるところでございまして、したがいまして、このことの是否等につきまして私から今触れることはかえってこの審議会の自主性を損ねることになるのではないかというふうに思いますので、差し控えさせていただきたい、こう思う次第でございます。  今度の臨時教育審議会では、やはり教育万般にわたりまして、教育の制度やあるいは内容や教育を進める形やあるいは教育の環境などにつきましても、これはどうしても学校が中心になってまいりますけれども、学校の中、学校の周辺、環境、すべてにわたりましてやっぱりお取り組みをいただいて御論議いただくということに大体この審議会の空気はなっておりまして、したがいまして、例えば教育にかかわっていただいておる方々の教育行政の進め方であるとか、あるいは校長会であるとか教頭会であるとか、いろいろなそういう組織もございます。したがいまして、その内容がどうだということは別にいたしまして、それらの問題につきましてもやっぱり御論議をいただく際にいろんな課題になってくるのではないかというふうには、私どもも審議会のいろいろ御論議の様子を見守りながらそんなふうに審議会の感じを受けておりまして、いろいろと御論議が広げられ深まっていくものと、こういうふうに思うわけでございます。  ただ問題は、その中でどういうふうに第二次答申に向かって建設的に改革の案が進められていくかということであろうかと思うのでございまして、くどいようでございますけれども、審議会の自主性を尊重しづつ論議の行方を見守ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  59. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 臨教審の自主性を尊重する、それはそれなりにいいんですが、しかし、私は臨教審の守備範囲、論議の範囲というのはおのずからこの臨教審を設置されたという経緯から限界があると見ています。いわゆる国家の教育行政の責任の及ぶところでこれは論議するんであって、その枠外のところまで審議の対象にする、例えば労働組合というのは基本は国家とか行政とかあるいは使用者、そういうところから全く離れて自由に存在するものであるわけですね。そして、いかなる干渉、介入も受けないということがその基本にあるわけで、そこの組合に対して臨教審という国家が教育行政の責任に及ぶ範囲の中で論議する中に持ち込んでくるということは、憲法に言う結社の自由とかあるいは表現の日出とか、あるいは労働基本権にかかわる問題にこれは触れていくので、論議の中で日教組の存在そのものがいろいろ論議されることは当然いってはならぬとは言えない。ところが、そのものを審議の対象にするということは、今言いましたように、臨教審の性格なり成り立ちから言えば、これはもうあってはならぬことだということは、当然臨教審をまとめられる官房長官として発言がそうあってしかるべきだ、こう思うんですが、きょうはそのことについて多く諮る時間を私持っておりませんので、一言私の方から注意を喚起をさせていただくということにとどめておきたい、このように思います。  それでは次に、内閣の大番頭であられる官房長官と、行政を監察する立場にある総務庁長官がここにおられるわけですが、このお二人に対しまして、我が国の人権、特に精神障害者をめぐる国際環境を含めて伺うことにいたします。  なぜこうした内閣官房あるいはまた総務庁長官、総務庁関係のところでこういう話をするかといいますと、私は社会労働委員会あるいは厚生省の関係のところでも集中的にこの精神陣害者問題を取り上げておりますが、しかしその根っこにあることは、私的精神病院がみずから収益を上げていくという前に、人間が基本的に持っている人権というふうなものを度外視していく体質と、そしてそのことは人道上そういう人権侵害があってはならないんだということがわかっていても、これを是正する力を持たない担当官庁任せという関係では、どうしてもこの問題の解決はできないし、最近のように国際的な問題になっているということの中では、さらにその答えを出すことができないというふうに考えるので、ひとつお二方の協力をいただきたいんであります。  昨日の決算委員会でも申し上げましたが、私は先月アメリカのニューヨークでこの精神障害者問題について視察をいたしました。また、ジュネーブにも参りました。精神障害者の人権の問題で、国連の人権委員会の議長あるいは同人権センター所長あるいは同人権小委員会の議長、また国際法律家委員会、国際人権連連盟、身体障害者インターナショナルといったNGOの皆さんとも意見を交換してまいりました。そこでわかったことは、私たちも非常に勉強になったのでありますが、デモクラシーの基礎、基本として人権をとらえていて、したがって人権保障のないところにはデモクラシーはないと、こういうふうに考えておられるわけで、日本はデモクラシーの国であります。したがって、人権保障というものは十分過ぎても十分でないというぐらいのやはり政府としてのかかわり合いが必要であろうと思います。しかし、残念ながら日本のこの担当官庁はそうした認識に非常に欠けていると言わざるを得ません。  昨年の国連人権小委員会でも、国際人権連盟と身体障害者インターナショナル等が日本の精神衛生行政は国際人権B規約に違反すると批判をいたしました。それに対して、この担当官庁の意見をジュネーブ代表部が代弁をさせられて、宇都宮病院など暴力病院は特例なんだ、全くごくまれなんだ、あるいはまた強制入院は措置入院の一二・四%、救済制度は機能している、宇都宮病院の暴力行為は確認されていないなどとこう言って、結局、最終的にガイドラインを昨年中につくると言いながら、ついに今になってもそれはつくられていないという、うその上塗りをやってしまっていると。まあことしはことしで担当課長がジュネーブヘ行きまして答弁をしましたが、本質的には昨年と何にも変わりありません。ただ国際的批判をかわすために日本の精神衛生法を改正するとその場で言いましたが、しかし昨日私がそれについて質問しましても、いつ改正されるのやら、どのようにして改正するのやらさっぱりわからぬと。ただ国際的批判をかわすためにまあ当面改正すると言っておけばいいじゃないかという、その場しのぎとしか受け取れないという状況であります。先進国と言われて、日本がですね、NGOの調査団が二つも来た。このこと自身が異例だと思うんです。  それからまた、ことしの人権小委員会で二つの議題にわたり三つの世界のNGOが日本政府を批判したということも異例であります。私はそれを見てきたんでありますが。さらにこうした状況の中で日本の調査の最終報告が年内に一つ、来年の人権小委員会までにさらに一つ出される。つまり、日本政府が今日までいいかげんなその場しのぎや日本の特殊性などといった言いわけに終始している中で、来年の二月の国連人権委員会でまた批判を浴びるような状況になりましょうし、また来年の八月の国連人権小委員会ではもっと多くのNGOから批判を集中的に浴びるんではないかと想像されます。したがって、私は前から申し上げておりますように、もうこの辺で担当官庁である厚生省に任せるのでなく、政府自身が本気になってこの問題に乗り出さなければならぬ状況にあると思います。本当に国際的に孤立しないようにするために、政府のしっかりとした対応が必要であります。官房長官政府を代表する立場でございますんで、こうした一連の問題についての見解をここで伺っておきたいと思います。
  60. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) しばしば国会の委員会等におきまして、あるいは委員会の審議を離れた場所でも、この精神障害者の人権問題につきまして強い御指摘をいただいておりますことに敬意を表し、また恐縮に存じておるところでございます。  精神障害者の問題につきましては、先般開催されました国連人権委員会の差別防止及び少数者保護小委員会で、日本政府といたしまして我が国の精神医療の実情及び今後の方針として精神衛生法の改正について説明をいたしまして、理解を求めたところでございます。精神障害者の人権問題、御本人にとってもその周囲の方々にとっても極めて深刻な問題でございますが、それだけにこれをぜひ直したいというふうに考える立場のそれぞれの方々につきましては、人権問題という言葉は十分頭には入っておる、知識としてはあるはずでございますけれども、実際にその精神障害者を指導しこれを治療していこうということになります場合に、ともするとその人権問題というのが頭ではわかっていても実態としてこれをおろそかにするというようなことになるということは非常にまあありがち――あってはならないことですけれども、そこのところが非常に難しいところだと思うのです。それだけに、関係者の方々もいろいろ御苦労もいただきながら、精神障害者の問題に取り組んでおられることであろうと思うのでございます。  しかし、御指摘のように、精神障害者の人権問題は今日特に日本の場合に国内問題のみならず、御指摘のように、国際的ないろんな組織での大きな問題にもなっておることでもございますので、もちろん責任のある立場として窓口を厚生省に置きつつも、厚生省を中心にいたしまして政府全体で関係省庁よく連絡をとり合いまして、政府を挙げてこの問題に対処していくと。非常に重要な問題であるという認識に立ちまして今後とも一層取り組んでいくようにいたしたいと思いますので、引き続いての御指導を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  61. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の御答弁に関連しましてお伺いしておきます。  ことしの七月三十一日ジュネーブで公表された日本における精神障害者の人権及び治療に関する国際法律家委員会及び国際医療従事者委員会連合調査団の結論及び勧告について伺います。この勧告は六月に政府に送付されたと聞いていますので、よく御存じのことと思います。この結論と勧告では、精神衛生法の改正、精神衛生サービスの改革及び再検討、精神衛生分野の教育及びトレーニングの改革についての変革を求めています。これは当時の新聞が大々的に報道しております。同時に、これらの変革は国家的優先課題とみなされるべきものと考えると述べた上で、これらの検討のために広範な人々の参加をする緊急委員会を内閣総理大臣が設立すべきだと結んでいます。私は非常に重要な提言だと思うんですが、この内閣総理大臣が緊急委員会を設立するというこの問題について、政府は現在どのように受けとめておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  62. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 精神保健行政の推進につきましては、政府といたしましても非常に重要な課題であるというふうに認識をしており、今もお話がございましたように、いろいろな政策課題の中で非常に優先度の高いものとしてとらえなければいかぬと、こういうふうに考えておるところでございます。精神衛生法の見直しも含めまして、精神保健対策のあり方につきましては、我が国の実情、国際的な動向など、幅広い検討を行っていく考えでございまして、政府といたしましても厚生省を中心として関係省庁十分連絡をとってその具体化について検討を重ねてまいりたい、今のところそんな感じで取り組みつつあるところでございます。
  63. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 緊急委員会設立について具体的に答弁なかったのは残念ですが、また別の機会にお伺いをすることにします。    〔委員長退席、理事目黒朝次郎君着席〕  新聞報道によりますと、昨日下関市で十一人に及ぶ殺傷事件が起こっています。この事件について官房長官にずっと先ほどの関連で政府としての認識を私は伺いたいと思います。なぜこのような事件が起こるのか、新聞報道でしか私わかりませんが、私は、政府の先ほどから言っておりますように、精神衛生行政の怠慢から起こるんだと、いわば政府責任だと、こう考えたいのであります。  この事件に対して平井富雄東大医学部分院神経科医長は神戸新聞に次のような談話を載せています。「こうした犯罪は保安処分などでは防げない。家族がおかしいと思ったら、保健所のソーシャルワーカーや保健婦に相談し、訪問援助をして、内的抑圧を発散させることが大切だ。病歴者も含め、保健所活動を充実させてフォローしていくことが必要だ。」、私は極めて当を得た指摘だと、こう思っているんです。今問題にしているICJやICHP合同調査団の提言、これもきめ細かく平井先生が指摘されていると同じような地域医療問題に触れております。要するに、精神障害者に対する地域医療及びリハビリティーのプログラムを大規模に発展させるべきだと言っています。つまり、精神衛生センターに併設されている外来のクリニック、共同作業所、看護者及びソーシャルワーカーによる家庭訪問、危機介入サービス、継続医療の指導、患者クラブ、その他退院患者に対する必要な援助、指導に関する一切の活動、雇用促進計画具体化等々を述べています。    〔理事目黒朝次郎君退席、委員長着席〕さらに、慢性的な障害を持つ精神障害者も、身体的障害者に対する制度と同様に、社会福祉とリハビリテーションを享受する権利を持つようにしなければならないとした上で、多くの精神障害者に対する地域精神医療システムの進歩は、精神障害者に対する市民の対応を変える保健教育を伴わなければならぬとしております。  私は、この東大の平井先生の話や、NGO調査団の提言が政府責任において積極的に今日まで進められておればこのような事件は防ぎ得るんではないかと思います。現に精神衛生法の第二条はそうしたことをきちっと国や地方自治体の責任でやるようにと定めてあります。それだけに私は緊急を要する国家的優先課題としての認識を一層政府として持っていただいて、精神衛生法改正なり、あるいは精神衛生医療行政の改革に取り組んでいただきたいと強く新聞報道から感じたわけですが、官房長官いかがでございますか。――いやいやこれ官房長官政府の認識だ。
  64. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 具体的にまた後から補足をしていただく必要があれば補足をしていただきたいと思いますが、率直に議員の御質問にお答えをいたしたいと思います。  精神保健行政が非常に大事である、精神障害者の問題というのは非常に重要な国にとっての優先度の高い課題であるということは今申し上げたところでございます。ことしの夏もいろいろ精神障害者によります犯罪などが起こっておりまして、私も新聞などを見まして非常に胸の痛む思いをいたしております。一般の市民にそのことによって非常な迷惑をかける、しかも生命さえ奪われるといったような事態も起こっておりますので、その中でどのように精神障害者をうまくリードしていくかというのはまた非常に大きな問題だろうと思います。それは国にとっても緊急にかつ抜本的な対策が必要だろうと思いますし、それから今いろいろ御指摘をいただきました地域といたしましても、いろいろそれらの方々の人権問題なども十分頭に置きつつ、どのように安定した状態で、しかも治療を進めるかということは非常に大きな問題だろうというふうに思うわけでございます。こういう民主社会におきましては、すべての人々の人権が確保されるということは一方で非常に大事であることは言うまでもありませんけれども、一方でそれだけに政府や公共の立場からいろいろな配慮がなされていくことによって、すべての人の人権が守られたり生命の保全が図られるということになろうかと思いますので、ことしの夏以来起こりましたいろいろな事件なども十分参考にいたしまして、政府としてこの問題に対する緊急かつ抜本的な取り組みをしていくように、厚生省を中心にいたしましてさらに検討努力をいたしてまいりたいと、このように考える次第でございます。
  65. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 引き続き官房長官に伺います。  私どもは先月の二十三日、ジュネーブの代表部を通じまして、名古屋の紘仁病院で病没をされた方の入院患者代表という肩書きの投書の処理内閣総理大臣である中曽根康弘氏にお願いを申し上げました。この件の処理はどうなっていましょうか。  また、大分前ですが、この決算委員会で宇都宮病院事件について質問をさしていただいた際、厚生省だけではこの問題の根本的な解明ができないので、厚生省あるいは国税庁、警察庁の三省庁による合同の対応が必要ではないかと申し上げましたところ、検討をしてみようという答弁をたしかいただいたと記憶しております。また、さきの千葉県の大多喜病院、また、これからずっと私どもが問題にしていこうと考えております名古屋の紘仁病院といい、それぞれ不法入院あるいは同意入院制度の乱用などがあり、そういうところでは必ずといっていいほど患者に対する暴行、それに伴う致死、傷害、医療過誤による死亡などがあるんですね。そういう意味で厚生省だけの対応ではどうしても医療という面ですからそれに対する解決ができない。そういう意味でもっと総合的な対応をしていただきたいということをお願いしたんでありますが、こうした点も含めてひとつ政府としての処理方針を承っておきたいと思います。
  66. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) ジュネーブからお問い合わせ等のございました名古屋の紘仁病院につきましては、現在厚生省と愛知県でなお調査中であるというふうに聞いております。調査がどのように進んでおるかということにつきましては、厚生省からもこの席に来ておりますので、もし必要があれば中間報告があろうかと思いますが、なお結論を得ていないというふうに聞いております。  それから、宇都宮病院の事件に関しましてもいろいろ御指導いただいてきたところでございますが、法人の人事の刷新など、その改善につきまして、できる限り所要の指導を行ってきたところでございます。関連企業等との問題もありまして、国税局なども含めて総合的に対処する必要があるではないかという、そのとき御指摘もございました。これらにつきましてもそれぞれ関係省庁連絡をとりながら対処してきておるところでございます。現在のところ医療法人の資産運用の面から特に問題となるような事実は確認はされていない。なお、関連企業と言われていた会社のうち、現在取引関係のあるのは三社のみであるというようなふうに私ども聞いております。今後とも医療法人の資産運用等の面から不適切な点があれば、必要に応じ関係省庁連絡をとって対応措置を講じていくようにいたしたいと、このように存じておるところでございます。各地の病院で非常に問題意識を同じようにして考えなきゃならぬといったような事件が起こっておるということを、たびたび御指摘をいただいてきておるところでございますが、十分関係省庁連絡をとりまして、厚生省を中心にいたしまして政府を挙げてこの問題に対処していくと、こういう姿勢だけきょうはお答えを申し上げたいと思う次第でございます。
  67. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 姿勢とその中身が問題なんですが、また別の機会にお伺いしますが、ぜひひとつ政府を挙げてこの問題の解明をお願いし、また精神医療全体の解決をしていただきたいと思います。  それで、警察に伺いますが、名古屋紘仁病院では、暴行による致死、傷害あるいは医療過誤による死亡など、私どもが今見ているところでは宇都宮病院を上回るという状況になるんではないかというようなことも考えられます。また、それから千葉の大多喜病院の暴行致死容疑もあって警察にお願いをしております。国内ばかりでなく国際的にもこうした問題の関心が集まっておりますので、今後一層公正で厳正な処理をしていただきまして、できるだけ早くこの事件の解明をお願いをしたいと思うんですが、改めてひとつここで答弁をいただいておきたいと思います。
  68. 藤原享

    説明員(藤原享君) 警察としての措置でございますが、この種の病院内におきます認知されます暴行、傷害、監禁などでございますが、そういったもので刑事責任を追及すべき事案につきましては、これまでも厳正に対処してきたところでございます。したがいまして、今後ともそのような捜査を必要とする事案を認知いたしますれば、従来どおりの方針をもって厳正に処理してまいりたいと考えております。
  69. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 次に、総務庁長官に伺います。今も長々と精神障害者の人権問題についての論議を聞いていただいたんですが、それを前提にした上でお願いします。  私どもは、ここ数年にわたり民間精神病院のやり方をいろいろ調べてまいりましたが、実に問題が多いのであります。例えば、既に御存じだと思いますが、京都十全会病院では患者をざぶっと一分間水に漬ける。しかもそれは無資格者が患者を水漬けにして、お一人様五百円。一人水漬けしたら五百円です。そしてそれを一日置きに千人から千二百人もやって、それが水治療であるということで医療費をどんどん請求をしている。そしてたくさんの利益を上げていった。また、昨年問題になった宇都宮病院では、院長が一人で千人の患者を診る。そして横でゴルフのアイアンを持って脅迫しながらテープを回して、元気ですか、はい、大丈夫か、はいと言いながら一人一、三秒でやって、それがいわゆる精神療法で、お一人様の値段が六百円といって請求をしていく。こうなってきますと、これはまさに詐欺のようなものだと、こう思うんです。ところが、また最近では、病気でない人を病気だというふうにして、正当な適正な手続もせずに入院をさせてしまって、そして長期に不法監禁をするというふうな状態にしていくんですね。そうすると、御存じのとおり一人当たり月十八万程度の入院費というものが支給されるんです。そうすると、病気でない人が病気だとして入れられて、結局医療費としてそこに十八万円がおりていくという仕組みになるんです。あいているベッドがあればあけないで、だれでもいい、いっぱい集めてきて寝かせれば一人当たり十八万円と、こういう仕組みになっているのですね。  それで、私がことしの七月に調査した千葉県の大多喜病院でもそういう問題があると、こういうふうに見ているのですが、八月二十日の朝日新聞によると、同意入院制度を悪用して、いわゆる適正な手続を抜きにして四人も不法入院をさせている、こうなる。適正な手続を経ないで入院している人に対して医療費がおりていくということは、これは不法だと私は思うんですね。間違っていると思うんですよね。それで四人でありますとたちまち八百六十四万円というふうな形で一年間にその病院に病気でない人に対する金が入る。名古屋の紘仁病院では、私たちが今問題にしている一つとしては、自分で働いて八人の家族の生活の糧を得ていた人を、家族の同意すらとらずに二十年間もこの病院に入院させていたと。いわゆる同意入院という手続において全く不法入院であった人に、二十年間もその病院に生活保護その他お金を支払い続けてきたということなんです。二千万円、三千万円もの金が不当に、税金が医療費として使われたということになると見ているんですが、こういうのはほんの氷山の一角でいろいろなところに、我々の知らないところにあると思います。  今、行政改革だ、何だと言って医療費が高過ぎるとか、いろいろな面で論議があるんですが、こういうでたらめがこのまままかり通るというふうなことでは、やはり正しい厚生行政とも言えないし、国民の大きな僕は不信がここに集中すると思うんです。そこで、民間精神病院に対して徹底的にひとつ特別監察をやっていただいて、こうした不正な医療費というものをむさぼっているような状況を絶対になくすべきだと、こう考えるんですが、それにはひとつ行政特別監察というふうな形でもって、総務庁の方の積極的なひとつ対応をお願いしたいと思うんですが、いかがでございますか。
  70. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 従来から精神病院の治療のあり方とか、あるいは経営のあり方、いろいろな問題が出ておることは承知をいたしております。これらの厚生省も精神衛生法を初めいろいろな面についての改善を御検討なさっておるように聞いておるんですけれども、ただいま御質問の医療費の請求等についてもまたいろいろな問題があると、これも承知をいたしております。  ただ、私どもの立場は、民間病院に対して直接行政監察というわけにはまいりません。しかし、こういった精神病院等の指導監督ということは、これは当然厚生行政として適切に行なわなきゃなりませんので、いろいろな問題点があるわけでございますので、必要とあれば厚生行政が適切に行われているのかどうかという観点で、それとの関連で個人病院に対する指導がどのように行われているか、こういう点について監察をやるということについては検討してまいりたいと、かように考えております。
  71. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ぜひこれはひとつお願いをいたしたいと思います。  それでは、厚生省が来ておられますので、具体的な問題を厚生省にお伺いをしていきたいと思います。  それは名古屋の紘仁病院の件であります。これに関しまして、八月二十五日の新聞に「精神病院に連れ去り20年名古屋の駅頭から理由なく入院、出さず」といった報道になっています。ところが我が党の調査団が、ジュネーブで新聞社の皆さんと話をしてから少し後になったのですが、この間に愛知県なり名古屋市が、私から言わせれば、自分の都合のよいように調査をして、八月二十七日に、不法監禁をしていた事実はなかったと言って調査を打ち切ってしまいました。私どもは実にあきれています。あいた口がふさがらぬという表現をここで申し上げたくなるような実態なんです。一体何を行って見たのかということであります。  そこで、厚生省に聞きますが、これでいいのかということなんですね、私どもとしては。もう一度厚生省の立場から県と市に調査をやり直させる意思というものは今のところあるのか、ないのか。それをまず伺っておきたいと思います。
  72. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) ただいまお尋ねの件でございますが、八月二十五日付の新聞で報道されました紘仁病院の件でございますけれども、愛知県と名古屋市が昭和六十年の八月二十六日、午後一時から地元の保健所長を含みます精神衛生及び医療監視を担当いたします九名の吏員を派遣して実情について調査したところでございます。  その際、同意入院の手続や信書の取り扱い等に関する調査についての内容を私ども報告を受けておるところでございます。  先ほど官房長官からもお答えいただきましたように、現在もさらに幾つかの点については調査実施継続中でございます。今後さらに調査が必要と判断される状況が生じた場合には、もちろん私どもといたしましても愛知県及び名古屋市と連絡をとり、改めて調査実施するよう指導してまいる所存でございます。
  73. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 この件で私どもはジュネーブから在外公館を通して資料要求もいたしました。若干のものはいただきましたが、二十年間不法に監禁されたと私どもが言っているこのAさんの件で、肝心なところは個人のプライバシーにわたるので御容赦願いたいと言って、さっぱり事実が明らかにならないのであります。  そこで聞きますが、カルテなどを資料として出せないというのは、本人のプライバシーを守るためということがこの理由になっているのですか。
  74. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) お尋ねのとおりでございまして、紘仁病院の現状及び御指摘の患者等についての資料要求、確かにございました。承知しておりますけれども、特定患者個人につきましての病状にかかわる部分につきましては、精神障害者のプライバシー、人権という点を含めまして提出を差し控えさしていただいたということでございまして、その点御理解を賜りたいと思います。
  75. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは本人ですね、精神障害者であるその本人がもうカルテを見ることを了承をする、つまり本人が特定の人ですね、自分以外の人にこの人に見せてもらってもいいということを了承すればいいということになるというふうに考えていいですか。
  76. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) その点、法的に非常に難しい点もあるように考えられますので、検討させていただきたいと思います。
  77. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いやいや、先ほどあなたはやっぱり本人のプライバシーを守るんだと言うでしょう。その本人が構いませんと、どうぞ特定のその人に、この人に見せてもらっても結構ですと言った場合でもまだ難しい法律があるんですか、その周辺に。
  78. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 医療に関しましては医師が職務上知り得た秘密を守らなくちゃいけないという守秘義務もございますので、そういう点を含めまして法的にさらに検討しませんと、今の想定にお答えできないということで答弁させていただいたわけでございます。
  79. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それは今のあなた、最初は本人のプライバシーだとおっしゃったでしょう。本人のプライバシーというのは本人がカルテを見られることはプライバシーを侵すことになるのかどうかということを判断するんだから、本人がいいと言えばそれでいいという理屈になるでしょう。ここではほかにたくさんあるのでこのことをやりとりする時間ないんだが、もう一遍はっきりやってください、それ。おかしいですよ、それ。
  80. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 医療記録、カルテというのは、御承知のように医療機関に属するものでございますので、その部分について本人に了解を得ても、医師その他守秘義務をかぶる人がある場合にはやはり提出できないのではないかと考えます。(「前の答弁と違うじゃないか、どっちが本当だ」と呼ぶ者あり)
  81. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると初めの答弁は訂正されるんですか、最初の私のに対して。
  82. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) お尋ねの医療機関のカルテについては、ただいま申し上げたようなことでございますし、先ほど答弁申し上げたのは個人のプライバシー、精神障害者の人権ということを考慮いたしまして提出を差し控えさしていただきたいというお答えをしたわけでございます。
  83. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 またあとこれで厚生省と別のところで議論さしていただきますが、私は最初はカルテなど資料を出せないというのは本人のプライバシーを守るためということが理由なのかと質問したら、あなたはそのとおりですとこうおっしゃったんで、それで本人がそれではいいと言えば出せるんですかと聞いたら、いやそれは医者がノーと言えば出せないと、今度はこうなってくるわけなんで、またこれは別のところで議論をいたしますが、私は最初の方の答弁からずっとこれから類推して論議をさしていただきたいと思います。とにかく、カルテが見られるように、我々資料として見ることができるように厚生省として一つ対応を求めておきます。  それから、かつてこの病院には通信や面会の自由がなかったんですが、最近はどうなんですか、通信と面会の自由というものは完全に確保されておりますか。
  84. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 先ほど申し上げました愛知県の調査の結果でございますけれども、まず信書につきましては、各病棟の看護婦詰所に私設のポストが設置されておりまして、病院職員が毎日集めて郵便ポストに投函をしておる、制限を行っていないということでございますし、受信につきましても制限を行っていないという報告を受けております。  また電話でございますけれども、公衆電話を外来に二台、閉鎖病棟の入り口外側に一台設置してございまして、開放病棟の患者は外来に設置された公衆電話を利用しておるということでございます。閉鎖病棟の患者につきましても、病棟の看護婦詰所にある電話が利用できるほか、看護婦に申し出をいたしまして病棟入り口外側の公衆電話を利用することができるということで報告を受けました。  また面会でございますけれども、病状が著しく不安定な場合には医療上の必要から面会を差し控えてもらうことがあるわけでございますけれども、それ以外は制限せずに面会をさせているということでございます。  なお、親族以外の方の面会でございますけれども、家族の了解のない場合には面会を差し控えてもらうことがあるということでございまして、そのような現状で、私ども現在、通信、面会の自由は確保されているというふうに考えておる次第でございます。
  85. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると今の面会の自由ですが、家族、親族の同意ということですが、そうすると保護義務者が市長である場合は、市長の了解をとれば面会ができるということになるんですか。
  86. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 面会を申し出る方の種類がいろいろあるわけでございまして、病状に悪影響を与えるとか、そういう場合で先ほど申し上げたような医療上必要があって制限するということはあり得ますけれども、広く一般的に申しまして面会の制限も一般的には制限していないということでございます。
  87. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 どうもよくわからぬ。あなたはまだ勉強不足ですな。またこれはここの場ではなく別のところではっきりさせていただきましょう。  とにかく面会はできるというふうに考えてもいいようですね。医者との関係だけですね。  それから次、私どもが問題にしている二十年間不法監禁をされたこのAさんの件です。入院届けを四十年十一月二十三日、つまり入院、その日のうちに知事に届けたと言いますが、同意入院の場合は同意書というものが添付されていなければならないのです。この四十年十一月二十三日、このときに同意書が添付されていたのかどうか、このことが不法監禁であったのかどうかということの出発点でありますが、あなた方の調査の中では問題はなかったと、こうおっしゃっているので、恐らく同意書の添付ということの確認をされていると思います。したがって、その同意書を添付したところのその届けの写しを私どもに見せていただきたい。いかがですか。
  88. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 御指摘の患者さんについて、入院の日でございます四十年の十一月二十三日付で病院管理者から愛知県知事あてに同意入院の届け出が出ておりますけれども、これには保護義務者でございます名古屋市長の同意書が添付されていなかったということを愛知県から聞いております。  ただいまお尋ねの届け出書の写してございますが、これは後刻提出させていただきたいと考えております。
  89. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 必ず提出をひとつしていただきたいと思います。  それで、今あなたはまた重大なことをおっしゃったわけですが、このAさんは、この同意入院の手続のときに名古屋市長の同意書というものが添付されていなかった、こうおっしゃいました。その後のずっと新聞の報道によりますと、例えば八月二十六日、朝日新聞の夕刊の記事を読みますと、こう書いてあります。「入院から三カ月後の四十一年二月二十六日、病院から中村保健所に「患者は精神薄弱。名古屋市長に保護義務者になってほしい」という入院同意を求める申請書が出された。」ということで、この三カ月後に申請書を出しておるんですよね。そして保健所は福祉事務所に照会して、住所不定で身寄りがないことを確認、これを受けて名古屋市長は四十一年四月二十五日、五カ月前の入院時にさかのぼって入院同意。書を病院に提出したというんですよ。五カ月前にさかのぼって同意したんですよ。これは事実なんでしょう。  そうなってくると、これ五カ月間、だれの同意もなくこの人は入っていたということと、市長が五カ月もさかのぼって同意をするという、そのことですね。こんな重大な人権侵害はないと思うんですよ。これは事実なのかどうかだけ、ひとつお答えいただきたいと思います。
  90. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 先生お尋ねの前半の部分については、私ども愛知県から報告を受けておりませんが、この患者さんにつきまして保護義務者の届け出が出ましたのは、同意書が出ましたのは、四十一年四月二十五日付でございます。
  91. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 だから、五カ月間も同意書がないまま入院をしていたということ、そしてもう一つは、市長が五カ月もさかのぼってこの同意書を出したというこの問題が極めて重要な中身になってくるのであります。  そこで最高裁に一点、参考までに伺っておきたいんですが、この人身保護請求事件において、精神病院に入院中の者につき、保護義務者の同意があったことが認められないとして釈放請求を容認した判例を紹介をしていただきたいと思います。
  92. 上谷清

    最高裁判所長官代理者(上谷清君) 最近十年間のケースについて調べてまいりましたので御紹介申し上げますと、一番新しい分は、これは本年の三月八日、新聞にも報道されましたので皆さん御存じのケースかと思いますが、医療法人報徳会宇都宮病院の事件でございます。これが宇都宮地方裁判所六十年三月八日の決定で釈放になっておりますが、この事案は、被拘束者が過去三回入院しているわけですが、最初の入院については保護義務者の同意を得ているのですが、その後二回目、三回目の入院、特に問題になりました三回目の入院につきましては、保護義務者の同意を得ていないということで、手続に違反があるということで釈放を認めております。  それから、昭和五十六年五月二十一日に青森地方裁判所の決定で釈放された例がございますが、これは青森県十和田市にあります高松病院というところのようでございます。これはちょっと決定書きを見ましても具体的な手続中身は余りよくわかりませんが、結論といたしましては、保護義務者の同意があったと認められる証拠がないということで釈放になっております。  それから昭和五十五年三月四日に東京高等裁判所で釈放が命ぜられた事案がございまして、これは東京都の東久留米市にあります久留米ヶ丘病院というところの事案でございますが、これは被拘束者の扶養義務者のうちから家庭裁判所が選任した保護義務者の同意を得なければいけないのに、そういうふうな家庭裁判所が選任した保護義務者の同意があったとは証拠上認めることができないということで釈放になっております。  さらに昭和五十一年の三月十九日に徳島地方裁判所で釈放の決定が命ぜられた事案がございまして、これは徳島県にございます医療法人春田会、春秋の春と田んぼの田ですが、春田会というところの事件でございますが、これもさきに申しました事案と同じように、家庭裁判所によって保護義務者に選任された扶養義務者の同意が必要であるのに、そのような同意が認められないということで釈放を命ぜられまして、これはその後、最高裁判所に上告になりましたが、昭和五十一年の五月二十四日付で最高裁判所が上告を棄却いたしまして、原審の釈放命令が確定した。このような四件の事案がございます。
  93. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 どうもありがとうございました。  今聞いていただいたように、同意入院の場合、同意する人が確認できない、はっきりしていない場合は、人身保護法に基づいて釈放されるという状況にあるわけであります。したがって、精神衛生法上から、あるいはまた、そのほかの法律から見ても、極めて違法な状態で五カ月もこのAさんの場合は入院をしていたということになり、そのことを市長が、家族が現にいるにもかかわらず、その家族の同意をとることなく、暫定的に市長同意でいって、そのまま二十年も来てしまったということですね。家族がわからぬわからぬとこう言うんですが、我が党の地元の網岡衆議院議員がその調査に入った、その一日、その日のうちに母親に会って、そしてその問題についての連絡がとれているんですよね。だから二十年も精神病院に入っていて、母親がいて、そこに対して連絡もとらぬ。市長はどんな人か全然わからぬまま自分が保護義務者になって、しかもそれは暫定的な保護義務者になったまま、ずうっと継続しているという。市長も非常にこれは考えてみたら恐ろしいことだと思うんですよね。責任のないところで、法律的には責任をかぶらなければいかぬという状態が続いているんですから。どう考えてみても、こうしたことが堂々と行われていること自身、非常に私は怒りを持つし、一体この保護義務者の選任という問題について、厚生省が本当に厳格な指導をしているのかどうかというところに結局戻ってくるのであります。  その点について一九八四年の八月二十六日、去年ですが、同じようなことが八王子市に起こって、そのときは十六日間おくれたということですね。それでもやっぱり問題があるといって弁護士会が八王子市に警告した。十六日間ですよ、同意がおくれたのは。そのときに、当時の厚生省の課長、精神保健課長の野村さんは、新聞に談話として、「入院後、しかも機械的に同意を与えるなど、あってはならないことだ。精神衛生法上、違法であることは明らかで、早速、実態を調べてみたい。」というふうにここでおっしゃっておる。文字どおり、このとおりでありまして、同意を与えるということはそう簡単にできることではないのであります。  そういうことが今、名古屋市で堂々と行われているのでありまして、このことについてひとつ厚生省、名古屋市長はここ二十年間、何件のこの同意をしたのか、あるいは同意ができないと言って拒否したこともあるのか、あるいはこのように五カ月もさかのぼって同意をするというふうな、こういうさかのぼっての同意というのが何件ぐらいあるのか、これは名古屋市長さんの問題じゃなしに、私は厚生行政の問題だと思うんですが、そのことを調査をして、同意という問題、保護義務者選任という問題についての厳正な対応をぜひお願いをしたいと思うんですが、名古屋市のこの種の問題についての調査をしていただけませんか。
  94. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 本作の患者さんにつきまして、御指摘のとおり四十年の十一月二十三日に入院をしておりまして、保護義務者でございます名古屋市長の同意書が作成されたのは四十一年の四月二十五日付ということは先ほどお答えしたとおりでございますが、市町村長が保護義務者となって同意をする場合に、手続のためにどうしても時間がかかるということの事情は理解しなくちゃいけませんが、私どもといたしましては、本件のように同意書の作成までに長期間を要したということは、非常に不適切であったというふうに考えておりまして、今後このようなことがないように十分指導してまいりたいと考えております。  また、本件の患者さんの場合でございますが、入院当時、家族が不明であったようでございまして、その後、母親の所在が判明した段階におきましても、子供さんであります患者の保護を忌避したという経緯もあったようでございまして、引き続き名古屋市長さんが保護義務者となったということを愛知県から報告を受けているところでございます。  もちろん、従来から私ども保護義務者の選任につきましては、その適正な運用を指導してきたところでございますが、昨年六月に「精神病院に対する指導監督等の強化徹底について」という公衆衛生局長、医務局長、社会局長、三局長の通知をお出しいたしまして、入院に際しての同意者が配偶者または親権者以外の扶養義務者である場合には、家庭裁判所の選任を受けた者であることを確認すること、また家庭裁判所が選任するまでの間の保護義務者は市町村長であるので、市町村長の同意を得るに際しては迅速に対応することを改めて強く指導してきたところでございますし、本年の八月三十日に臨時の全国精神保健主管課長会議を招集いたしまして、その席におきましてもこの三局長通知の徹底励行につきまして、再度強く指導してきたところでございますし、今後もこうしたことがないように引き続き努力をしてまいりたいと考えております。  今先生御指摘の、名古屋市の市長さんが保護義務者として何件同意しておるかというふうなことのお尋ねにつきましては、私ども調査をして、後刻御報告させていただきたいと思います。
  95. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 今の局長答弁では、結局精神衛生法三十六条、同意書を添付して十日以内に届けなければならないという事柄について明らかに違反をしているということを今認められたのです。とすると、三十六条に違反をし、精神衛生法に反する形で少なくとも五カ月間Aさんが入院をしていたということは、愛知県と名古屋市が調査をした結果、不法な拘禁をしていた事実はなかった、間違ったことはなかったというふうに言ったということと完全に食い違うわけで、もっとほかにいろんな問題があろうと思いますが、同意入院というものが適正な手続で行われていたかどうかという一点に限ってみても、このAさんの問題は明らかに違法な状態で入院をさせたということはまぎれもない事実だということになったと思います。その点局長の方から明確に、精神衛生法三十六条とのかかわり合いで不法な拘禁事実はあったということだということを言っていただきたいと思います。
  96. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) 同意入院の手続につきまして、行政上不備があったということと判断しております。
  97. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 したがって、名古屋市と愛知県が事実はなかったといって打ち切ったという状態ですが、ひとつ厚生省としても再度事実関係を今後調査をする必要があるという立場でこれから臨んでもらいたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
  98. 仲村英一

    説明員(仲村英一君) その点も含めまして、再度調査をしたいと考えております。
  99. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 官房長官、長々とどうも済みません。一つの問題を取り上げて、紘仁病院の二十年間も長期にわたって入院されていたAさんが、最初どのような形で入院したかということの論議をやったんですが、とにかく適正な精神衛生法上による手続を経ないまま二十年間ずっと入っていたんですね。こういう状態というものがたくさんあるんです。これが、言ってみれば国際的に見て人権侵害だという批判になっている一つの大きな部分でございます。まだそのほかにたくさんあるんですが。私どもは今後この紘仁病院、このことを手がかりに、具体的にその中で行われた患者の虐待とかいろんな問題についても調査をしていきたいと思っているんですが、再度、もう既に政府としての態度を表明していただいておりますが、この紘仁病院問題を終わるに当たって、ひとつ官房長官のいま一度お話を伺ってこの問題は終わりたいと思うんですが。
  100. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) いろいろと御質疑を聞かせていただいておりまして、実際に障害者の人権ということから焦点を合わせでいろいろ調べてみるといろいろな問題があるんだろうなと、率直に今もそんな思いでいたところでございます。それでいいかどうかということになれば、これは人権問題から見て是正をしていかなければいかぬし、そういうような過ちを犯さないようにいろいろ指導をしていくようにしなければならぬというふうに考えるところでございます。  冒頭にお答えをいたしましたように、精神障害者御本人並びにその周囲の方々は非常に深刻な気持ちでこの病気と闘っておられると思います。社会の側ではそれをどういうふうにうまく守っていったらいいのか、人権も守りながらどのように障害者の悩みを解決をし、実際に病気を治療していくという構えをつくっていったらいいのか、あるいは社会へ出られてからでもいろいろなその後の対策というのは必要だろう、総合的にやはり取り組んでいかなきゃならぬ、それでないと障害者の人権の問題も解決していくことにならぬなと、こういう相関関係を思わせていただいていたところでございます。  厚生省を中心にいたしまして、さらに政府部内、各省庁連絡を取り合って、総合的に政府全体でこの問題に対処していくということを改めてお答えを申し上げたいと存じます。
  101. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 最後に、質問の通告はしてなかったんですが、きのうも靖国問題等でいろいろ官房長官に、政府責任者として質問もしたかったんですが、時間がなくてできませんでした。それで官房長官は、中国で今、日本の靖国問題についていろいろ声明が出たり、あるいはまた学生のいろんな行動が行われたりしているんですが、それについてけしからぬのではないかというふうな発表をされたというふうにも聞いているんですが、官房長官、そういうことについてけしからぬということだけでは済まぬ事柄だと思うんですね、問題は。そういう点で、官房長官の真意をちょっと聞かしておいていただきたいんですが、いかがですか。
  102. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 靖国問題につきまして、中国などでいろいろデモがあったりいろんな御意見が出ているというようなことについても、非常に心配をして事態を見守っているところでございます。そういったことなどもございます。今、少しお時間いただきまして記者会見に参りましたときに質問が出まして、そういった中国の動きなどについてもどう考えるかという御質問がございましたので、靖国公式参拝問題については正しい御理解をいただくように、外交ルートを通じて八月十五日前後の段階でもよく努力をしてきたところである、しかしいろいろ御意見もあるようで非常に、事態を心配をしておる、そして今後、外交ルートを中心にいたしまして、この問題の真意が理解をされるようにさらに御説明もし努力をしていかなければならぬと考えている。それはどういうことかということでございましたので、国のために亡くなった方々に対し、国を守りあるいは家族を守り同胞を守り、そういう目的で自分の命をなくされた、そういった方々に対して心から追悼をする、公の立場で追悼をする。しかし同時に、二度と戦争のような悲惨な事態に陥らないように日本自身も平和の国として進んでいくことができるように、さらに世界全体も平和な環境が維持されるように努力をしていく。それは戦没者に対する追悼であると同時に、平和への願いを込めたそういう気持ちで靖国神社に赴いて追悼をしたのである、こういう気持ちをぜひ御理解をいただきたい。日本がそのことによって軍国主義の時代に入っていくとかあるいはどんどんと軍拡路線に進んでいくかというようなことではなくて、むしろ後段の平和を誓う、平和を心から祈願する、そういうところに大きな目的があるので、あくまでも特に近隣諸国とは友好関係を維持しながら進んでいきたいと思っているんだということを御理解をいただきたいと思うのだということを、今説明をしてきたところでございますが、それが今日の私どもの気持ちでございまして、外交ルートなどを通じてその努力をしていきたいと思いますし、また国内におきましてもいろいろ御意見があるところでございますけれども、憲法との関係も十分頭に置いて検討してきたところでございまして、形の上で十分宗教色などを排しまして憲法の条項と抵触しないようにいろんな角度から配意をしてきたところでございまして、これらの真意がよく伝わるようにさらに政府といたしまして御理解をいただきますための努力をしてまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  103. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十二分開会
  104. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度決算外二件を議題とし、内閣、総理府本府、行政管理庁、沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  105. 服部信吾

    ○服部信吾君 まず初めに、昨日ちょっと官房長官にもお伺いしたんですけれども、中岡において靖国神社等いろいろな理由で我が国に対しての学生のデモが起きておると、こういうようなものが報道されておるわけでありますけれども、その状況について、まず外務省、どのようにこの状況を把握しておられるか、この点について説明していただきたいと思います。
  106. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) お答え申し上げます。  私どもが承知いたしておるところでは、去る十八日にいわゆる九・一八事件、柳条溝事件を記念する学生集会が北京大学で開催されております。そして、報じられているところによりますと、その日の午後、北京の天安門広場において約千名の学生が参加したデモ行進が行われたということの由であります。
  107. 服部信吾

    ○服部信吾君 それで、その抗議のデモの、何を目的としてその抗議デモを行っておるのか、その辺についてお伺いしておきます。
  108. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) これも正確な事実関係を捕捉しているわけではございませんけれども、報じられているところによりますと、一部の日本人による軍国主義の復活であるとか、あるいは靖国神社公式参拝の反対でありますとか、そのような趣旨が掲げられていたというふうに聞いております。
  109. 服部信吾

    ○服部信吾君 それで、我が国政府がいわゆる靖国神社公式参拝を決定したと。そのとき、当然外務省としては大使館を通じてその趣旨をやはり中国側にも伝えたと思いますけれども、その辺のところはどのようになっておるのか、そのときに中国側の態度はどうであったのか、その点についてお伺いしておきます。
  110. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) 外務省といたしましては、北京におきまして先般の参拝の趣旨を中国政府に対しても説明しております。すなわち、これは戦没者に対して追悼を行うものであるということを十分説明いたしますとともに、我が国は、過去においてアジアの国々を中心とする多数の人々に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚していて、このようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って平和国家としての道を歩んできており、かかる反省と決意にはいささかも変化のない旨を改めて強調したいというふうに中国側に説明いたしております。
  111. 服部信吾

    ○服部信吾君 そのとき向こう側の態度ですね、要するに靖国神社を、いままで歴代の内閣が靖国神社公式参拝をしなかった、今回こういう形でするんだという形で中国側に説明したときに、向こうの態度はどうだったわけですか。
  112. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) これに対しまして説明を受けました人は、これは中国人民のみならずアジアの人たちの感情をも害するのではないかといった趣旨のことを述べております。
  113. 服部信吾

    ○服部信吾君 ちょっと具体的にお伺いしたいんですけれども、何か昨日、学生がデモを行いながら総理に電報を打ったと、こういうようなことも報道されておりますけれども、どんな内容だったか、また大分壁新聞等でいろいろなことが書かれておると、そういうことについての内容がわかれば少し詳しく説明していただきたい。
  114. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) 北京大学の壁新聞の中に、先ほど申し上げましたような趣旨を、抗議の公開状を発出すべきだということが掲げられておりますけれども、私どもが承知しておりますのは、そういう壁新聞があったということでございます。そのほかの壁新聞の趣旨としましては、例えば日本が経済侵略を行うのではないかとか、あるいは、まさにこれのための記念集会があったわけでございますけれども、九・一八事件等を忘れてはならないといったようなものがあったと聞いております。
  115. 服部信吾

    ○服部信吾君 まあ、学生のデモというのは常にその時代の、あるいはその国の情勢の世論づくりというか、先取りをすると、こういうことがよくあるわけでありますね、これ。そういう面からいって、外務省としてはこのデモが、デモというか、これが発火点となって、これから中国の我が国に対する批判というものがもっと拡大するんじゃないかと、こういうようなこともみんな心配するわけですけれども、この辺の状況はどのようにお考えですか。
  116. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) 大切なことは、現在日中関係は極めて友好的な内容をもって安定的に進展しているわけでありまして、これを引き続き促進させていくということであり、先ほども申し上げましたけれども、日本政府が過去についていかなる認識を持っているかということは中国政府にきちっと説明しているわけでございまして、その辺のことを理解してもらいたいということかと思います。
  117. 服部信吾

    ○服部信吾君 何だかよくわからないんですけれども、大変苦しい立場にあるようですけれども、一つ具体的に、これも新聞報道ですけれども、この中曽根政権打倒を叫ぶデモを取材していた日本人記者が三名の方々が五時間半ぐらい拘束された、そしてフィルムを没収されたと、こういう事件があったようでありますけれども、これはどのように把握されているのか。と同時に、もしこういうようなことが本当にあったとすれば我が国政府としては何らかの措置をとるのか、この辺についてお伺いしておきます。
  118. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) 実は申しわけございませんけれども、まだこの点についての事実関係を捕捉しておりませんのでコメントは差し控えさしていただきたいと思いますが、一般的に申しまして、中国では大学構内へ部外者が入るときには許可が事前に必要だということだそうでございます。しかし、事実関係をまだ捕捉しておりませんので。
  119. 服部信吾

    ○服部信吾君 これは仮定の話で、もし許可を得ていて、そうしてそういうような事態に遭ったと仮にした場合、これは何らかの抗議――抗議と言っちゃおかしいでしょうけれども、政府としては何らかの処置をとるわけですか、もしそうであったならば。
  120. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) 申しわけございませんけれども、どのような状況のもとで、今、委員がおっしゃられました、例えば許可を得ていたのかどうか、その辺をきちっと承知してから考えさせていただきたいと思います。
  121. 服部信吾

    ○服部信吾君 非常に私恐れるのは、こういう、非常にこれからいよいよ中国と経済問題なりいろいろな問題でこれからやっていこうと、そういうときでありますし、そういう中で学生のこういう大きなデモがあったということに対して、これがまたもし国内に広がり、またこれがアジアの方に広まっていった場合、例えば靖国神社公式参拝ということを契機として、そしてアジアにどんどん広まっていった場合に、ある面から言うと、アメリカあるいは西側と中曽根総理は一生懸命外交問題でやっているわけですけれども、余りにもそっちに目を向け過ぎているんじゃないかというような批判もあるかもしれないし、そして、経済摩擦でどうのこうのと大変なところに来ているわけですけれども、なおかつこれでまた、我々の友邦というか、アジアでこういうような問題が起きて、またこれがよその国へ飛び火していったりした場合には、これは大変なことになるんじゃないかと思うんですけれども、こういうような問題については外務省としてはどのようにお考えですか。
  122. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) 繰り返しになりますけれども、アジア各国は、日本が過去についてどのような認識を持っているか、日本政府がいかなる認識を持っているかということは理解していてくれるはずでありまして、現在基本的には好ましい関係がアジア諸国との間では存在しているわけでございますから、その面を促進するよう努力していくということではないかと思います。
  123. 服部信吾

    ○服部信吾君 外務省としては今後の対策として、いろいろ聞くところによりますと、十月中旬に訪中する予定も、安倍外務大臣がこの問題について説明をして理解を求めると、こういうような考えであるようでありますけれども、これはそのとおりですか。
  124. 有馬龍夫

    説明員(有馬龍夫君) 大臣の訪中の際、どのような内容の会談を先方とするかということはこれから考えてまいることでございますが、基本的には、必要に応じて従来から日本政府が申しておりますようなことは言われる場面があるかもしれないと思います。
  125. 服部信吾

    ○服部信吾君 言っていることがよくわからないんですけれども、いずれにいたしましても、官房長官ね、私は、中国がこのようなことで非常に、学生だけでなくて、既に自民党さんの方の代表団が行かれているわけですね、そのときにはっきりもう言われているわけですよ、この靖国神社の参拝に対しておかしいということは中国側政府も、学生だけじゃなくて政府自体がはっきりともうとんでもないと。要するに、中国の人々の心を全く逆なですると、今度の公式参拝は。こういうことを全人代の常務委員長が会談したときに長田団長に言っているわけですよね、これ。ですから、単なるこれは学生がデモやっていると、そういうんじゃなくて、やはり中国側の厳しい態度じゃないのかと、こう思いますけれども、官房長官ね、きょう、何か午前中に記者会見していろいろお話ししたようでありますけれども、官房長官のこの問題に対する取り組みと、今後、じゃこの靖国神社公式参拝をどうするのか、今までどおり続けるのかどうか、この点について、やはりこれがなければ外務大臣が行っても困るんじゃないんですかね、これ。そういう面も踏まえて官房長官の御意見をお伺いしたい。
  126. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 靖国神社の公式参拝につきましては、長い間にわたりまして国民の各層、また特に御遺族の方々などを中心にいたしまするいろんな団体、強い御要請がございました。国のために命をささげて、同胞を守り、家族を守り、国を守る、そういう場でお亡くなりになった方々に対して内閣総理大臣あるいは閣僚が公式の立場で追悼をしてもらいたい、そういう強い御意見がございまして、それらのお声を背景にいたしまして、いろいろ検討を重ねてきたところでございます。これらの経緯につきましては従来もよく御説明を申し上げてきたところでございまして、懇談会などの御意見も伺い、特に憲法との関係に十分配意をいたしまして、いろいろ検討検討を重ねまして公式参拝を行ったところでございます。  特に、最近、中国におきまして、この問題についていろんな御意見があり、また北京大学で学生デモが行われているということにつきましては、今、外務省審議官からお答えをいたしましたように、何といいましてもアジアの諸国との友好関係を維持しながら我が国は進んでいかなきゃいかぬ、そういうふうに従来考えて、いろんな努力を積み上げてきておりまして、非常に安定した日中関係を築いてきておるところでございます。そのような中で、そういった意見が強く出ているということにつきまして、なお実態などの把握に今、外務省も努めていただいておるところでございますけれども、従来も外交ルートを通じていろいろ靖国神社公式参拝の真意を御理解をいただくようにと、こういう立場から御説明をしてきておるところでございます。それは、今申し上げましたように、国のために亡くなった方々に対して追悼する、そして二度と戦争のような悲惨な事態に陥らないように平和への努力を重ね、平和国家として進んでいくんだと。むしろ平和を心から祈願する、そういった気持ちを込めて公式参拝を行ったものである、こういうことや、また一部にございますように日本が再び軍国主義化して、かつての日本のようなそういう近隣の諸国に御迷惑をかけるようなことになるのではないかといったような御懸念に対しましても、我が国が憲法のもとで非常に平和国家を志向して努力を重ねてきておる、そのことを非常に重々しく感じて国の営みを進めていくんだと、国民もみんなそんな気持ちで生活を営んでいる、そういう日本の国民の気持ち、国の姿勢というものを正しく御理解をいただきたい、そのように御説明も申し上げてきたところでございます。さらに、その努力が足りないのかという面もございますので、一層その真意が御理解いただけるように努力をしてまいりたいと、こう考えておるところでございます。  今後どうするかというお話がございましたが、八月十五日の戦後四十年という日に当たりまして公式参拝を実施したところでございますが、今後どのように進めていくかと、いろいろ検討していかなければならぬかと思いますが、いろいろな角度から検討して、こういう形であるならば憲法上にも、またよく御説明をすれば各国の御理解も得られる、こういう気持ちで公式参拝のあの宗教色を排除した形での追悼をするという形をとらせていただきましたので、どういうふうなときに公式参拝するかというようなことについてはいろいろ検討していくことになるかと思いますが、公式参拝の姿を正しく理解をしていただくようにむしろ努力をしていくというところに主眼を置いて進んでまいりたいと、こう考える次第でございます。
  127. 服部信吾

    ○服部信吾君 ひとつ、大変な問題ですので慎重に取り組んでいただきたい、このようにお願いいたします。  それでこれは総理にひとつアドバイスをしていただきたいというような質問ですけれども、最近、政治不信が言われて、非常にあれですね。まあ選挙をやるたびに投票率が下がるとか、それはいろいろな原因があるわけであります。その一つとしては、やはりロッキード事件みたいな金権腐敗とか、そういうような問題もありますけれども、その中で、選挙に出たいと、有能な人もいる、しかしなかなかいわゆる選挙で言う地盤、看板、かばん、そういうものがない、この三バンがない、こういうことでなかなか出たい人が出られないという面も今の状況ではあるような気がするわけです。そういう面から言うと、ある程度この三つをクリアしないとなかなか当選できない。そういう面は、ある面から言うと政治の世襲化につながるんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、官房長官、この点についてどのようにお考えですか。
  128. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) お互いに選挙をやる者といたしまして、選挙場裏に臨んで戦いに勝つというにはどういうものがクリアされなければいけないか。まあ、従来もよく地盤、看板、かばんなどという話がございます。しかし、長い間言われてきたような形からしますると、割合に各党もそれぞれ新人などの発掘にもお努めになられて、従来言われてきておるような地盤、看板、かばんというような、非常にもうそれがないと全然立候補もできないか、当選もできないかというふうに言われてきた、そういうような感じの時代から見ると、今やっぱり若い人が立候補して当選をしていったり、有権者の御支持を得れば、具体的には個個に相当クリアしていっている面があるんじゃないかというような感じはいたしますけれども、そういう中で、やっぱり選挙はどんなふうに行われるか、そして、そこでどういう方が当選をしてくるか、そういうことが、有権者、国民から見れば、政治への信頼と非常に連なっていく面はありましょうから、各党ともそんなことを頭に置いて御努力になられるのではないかというふうに今思っておるところでございます。
  129. 服部信吾

    ○服部信吾君 ひとつ、具体的に一国の現職の総理、その総理が自分の御子息を今度選挙戦へ出す、こういうお話を聞いているわけですね。これは法的に言っても問題ないと思います。いいんでしょう、これは。しかし、総理という公職であり、ある面から言えばオールマイティー、こういうような立場にある、そういう中で、この現職期間中に自分の御子息をというのは、よく言うように親の何とかとか、ある面から言えば親の七光りとか、いろいろあろうかと思います、これは。法的には問題ないと思いますけれども、やはり現職の総理という重み、そういうことを考えたときに、これはどうかなという面もあろうかと思うんですけれども、官房長官、どのようにお考えですか。
  130. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 総理大臣であり、自由民主党総裁である中曽根康弘氏につきまして、群馬県の来年の参議院選挙をめぐってのお話のことかと思います。  私は官房長官でございますので、その総理大臣としての部分をよく、大体仕事柄連絡とっていろいろやっておるわけですが、自由民主党総裁としての中曽根康弘氏の側で、群馬でどうしても候補者を出さなきゃいかぬと、いろんな人に働きかけをして、そしてなかなかうまくまとまらない、もう一人どうしても候補者が要るというような選考が随分重ねられて。まいりまして、そして、どうしても中曽根康弘氏の子息に候補者になるということにならぬだろうかという働きかけが群馬県連から随分強くあったと。したがいまして、随分ちゅうちょし、お断りをしておられたようでございますけれども、結局、受け身の形でその話を受けとめざるを得なくなったというようなところに追い込まれて、立候補という運びになるのかなというような状況になったというように聞いておるようなことでございます。  今先生前半にお話しになりましたように、法的には別に問題はないわけですし、新しい人が立候補して戦いに臨むということは、今申し上げましたように、それぞれ各党でもいろいろあるわけでございます。問題は、内閣総理大臣という地位を利用をいたしましたり、そのことによって有権者に正確次判断をしていただくということを惑わすような、そういうようなことのないように。そういうことがありますと、今御指摘のように、政治不信というようなところへ連なる材料にもなろうかと思うのでございますが、そういったことを十分気をつけて当然やっていくでございましょうし、まだ来年のことでございますから今からとやかくどうかと思いますけれども、政治がその信頼を得ていくということは非常に大事であるということを十分頭に置きまして、今後進んでいかなければなりますまい、そう考えておる次第でございまして、御助言をいただきましたことは中曽根総理にもよくお伝えを申し上げたい、こう考える次第でございます。
  131. 服部信吾

    ○服部信吾君 法的には問題ないし、総理としての公人としての立場としてはいろいろ問題が残る面もあるかと思います。  今群馬ということでありますけれども、政治は一寸先はやみと言われておりまして、今後の政治日程はいろいろ非常に不明確ですけれども、今、何というんですか、巷間言われているところは、何か衆参め同時選挙じゃないか、こういうこともあるわけですね。仮にこれが同時選挙になった、こうしますとこの群馬というところは大変なことになってしまうわけですね、これ。国民からすると非常に注目するわけですね。それは総理と元総理が衆議院ですごい選挙をやっている、御子息と弟さんがまた参議院で大変な選挙をやる、こういうふうになったときに大変国民は注目をすると思うんです、どうなるかなと。いい面から言えば、選挙はすごいなという面もある半面、何か、元総理と現職の総理、そういうことでやっぱり政治というのはさっき言ったように地盤、看板、そういうものがなければなかなか無理じゃないのかなという、かえって反対に冷ややかに見る目が出てくるんじゃないか、こういうようなことを心配するわけです。そういうことで、もしこういうような場合になったときにどのように考えますか、官房長官。と同時に、きょうは総務庁長官後藤田さんもいらっしゃいますので、後藤田さんのお考えもお伺いしておきます。
  132. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 来年は参議院議員選挙があるというふうに私ども心得ておるところでございます。それは、国民の御判断を仰ぐために参議院選挙が厳正に執行されることを期待をいたしておるところでございます。衆議院議員選挙があるかどうかということは、これは総理大臣の解散権にかかわることでございまして、一切私どもの関知しないところでございます。どういう選挙でもそうでございます。本当に公明で、そしていろいろ所信を述べて有権者の判断を求めるということで、どういう戦いでも正々堂々と公正に選挙が執行されるということになればいいがと、一般論でございますがそんなふうに考えておる次第でございます。
  133. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 官房長官のお答えのとおりでございます。
  134. 服部信吾

    ○服部信吾君 そんな目くじら立ててやる問題じゃありませんけれども、やはり総理となれば、少し細かいこともというか、こういうこともやはりいろいろと言われるということであると思いますので、ひとつよく総理にお伝えしておいていただきたい、こんなように思います。  次に、中曽根内閣の最大の政治課題である行革、特に国鉄改革について若干お伺いしたいと思います。  去る七月二十六日に国鉄再建監理委員会が国鉄改革に関する報告書を提出しました。この報告書を見てみますと、国鉄再建に際しまず解決しなければならないのは、これは約二十五兆円の長期債務問題、こういうことがあると思いますけれども、しかしもっと私は大事なのは、国鉄再建の成否、これはやはり国鉄再建によって出る余剰人員問題ではないのか、このように思うわけでありますので、きょうは、その余剰人員対策に対してお伺いしたいと思います。  現在国鉄職員は三十二万六千人、国鉄が新事業体に移行する六十二年度には二十七万六千人、このような予想になっているわけですけれども、今回の監理委員会のあれによりますと、新事業体の適正要員はもっと少ない十八万三千人、こうなっておりますけれども、最初にこの根拠を監理委員会から述べていただきたい。
  135. 林淳司

    説明員(林淳司君) ただいま先生から御質問の新事業体の適正要員規模十八万三千人でございますが、この要員体制というのは、私どもの監理委員会の方で私鉄の約六十社の実績をとりまして、その実績に基づいて一定の回帰式というものをつくりまして、さらに国鉄の現在の約二万キロの路線を五百近い単位に分けまして、その各それぞれの単位ごとにこの回帰式に当てはめて、そして積算をした。さらに、そのようにして必要な私鉄並みの現場要員というものを計算した上に、国鉄の場合もろもろの特殊事情がございますので、そのような特殊事情を加味しまして二割要員を上乗せする、こういう形で十八万三千人という要員数を試算をしたということでございます。
  136. 服部信吾

    ○服部信吾君 その中で約九万三千人が余剰人員になる。これに対する対策はどのようにお考えになりますか。
  137. 林淳司

    説明員(林淳司君) 十八万三千人は、昭和六十二年四月移行時点における、まあ本来ならば私鉄並みで行うべき要員数でございますけれども、実際にはあと一年半強でございますけれども、それまでの間に現在の国鉄の合理化の進捗状況等から見まして、いきなり私鉄並みというのも若干無理があろう、こういうことで三万二千人上乗せをいたしまして、実際に新しい事業体に移行するのは、移籍するのは二十一万五千人、こういうふうに見ております。  一方、その時点での在籍職員数が約二十七万六千人というふうに見込んでおりますので、その差は九万三千人ということになります。その九万三千人がいわゆる余剰人員ということになるわけでございます。
  138. 服部信吾

    ○服部信吾君 その中で、はっきり言えば、実際にこれから就職先のない職員といいますかね、それが四万一千人、こういうことになると思うんですけれども、そこで、再就職対策として旧国鉄に所属させ三年間職業訓練を行う、こういうようになっているわけですけれども、この四万一千人の職種別内訳あるいは運転士などの現場職員が何名とか、事務部門職員が何名とか、少し具体的にわかれば、いわゆる職業訓練、こういうものを受ける方の明細がわかればひとつ述べていただきたい。
  139. 長谷川忍

    説明員(長谷川忍君) お答えします。  ただいま監理委員会の方からお話がございましたように、これからの余剰人員対策の重要な柱が二つございまして、二万人の希望退職並びに四万一千人の旧国鉄での特別対策ということなんでございまして、ただいま国鉄といたしましては、この方向に沿いましてこれを具体化すべく検討中でございます。ですから、その内容につきまして、現時点におきましては職種別に四万人の内訳がどうなっているというところまではまだ内容が詰まっておりません。  以上でございます。
  140. 服部信吾

    ○服部信吾君 新事業体になりますと、これはタイムリミットがあるわけですな、これ、六十二年。それまでにやはりある程度きちっとしないと、それまでには新事業体になるわけですから、今この段階でまだそういうものが詰まってないということはこれはどうかな、ちょっと本当にこの問題に対して取り組んでいるのかという気もするわけです。  そこで、ちょっとお伺いしたいのですけれどもね。六十二年度には現国鉄がなくなり新事業体が発足すると。この新事業体が発足するまでに、この国鉄で言うところの約二万五千五百人及びこの六十一年度新たに出るであろうこの余剰人員はある程度すべて解決しなくちゃならぬ、こういうふうに思うわけですけれども、解決した上でまたこの新事業体になれば九万三千人の余剰人員が出ることになる、このようになると思うんですけれどもね。まだそういうものがはっきりわからないというようなことでは、六十二年度本当にできるのかなと思いますけれども、この点についてはどのようにお考えですか。
  141. 長谷川忍

    説明員(長谷川忍君) 先生御指摘のとおり、六十二年四月一日新事業体に移行する直前におきましては、六万人を超える余剰人員が顕在化してくるわけでございまして、これにつきまして御指摘のとおり、私どもといたしましてはそれまでにはきちんと解決しなければならない。特に私どもといたしまして、職員の生活の安定あるいは雇用の安定につきまして最大限努力してまいりたいというふうに思っておりまして、そのためにはこの六万人を超える余剰人員の再就職先の確保といいますか、雇用の場の確保が最も大事なことだというふうに考えておりまして、まずそれには国鉄自身がどこまで関連事業挙げてこの再就職先の確保ができるかということが大事である、このように考えておりまして、今総裁初め全社学げましてこの関連企業、大体七百社ばかりございますが、関連企業の新規採用のストップ等をお願いいたしまして国鉄余剰人員の受け入れ方等お願いしておるような状況でございまして、そういうことをまず第一に我々自身の努力でやりまして、その上で政府初め自治体あるいは一般経済界等々にさらに余剰人員の御支援方につきまして理解を仰ぐと、このような対策を今順次進めつつあるところでございます。
  142. 服部信吾

    ○服部信吾君 九万三千人のうちやっぱり一番大変な問題なのは四万一千人、これが一番今後どうするかという大きな対象になろうかと思うんですね。この四万一千人というのは、この数は大変な数ですね、これ。例えば電器メーカーのトップである松下電器、全社員数が三万七千八百四十三人、あれだけ大きな会社ですら三万七千人と。そういう中で四万一千人をどのように雇用を確保するかということは非常に大きな問題だと思うんです。  そこで、政府としてもこの余剰人員対策については、労働省においては国鉄余剰人員対策推進本部、国鉄内においては職員局に雇用対策室、職業訓練室、政府としては中曽根総理を本部長とする国鉄余剰人員雇用対策本部、それぞれ設けられているわけでありますけれども、総務庁長官、これそれぞれ全体挙げて散り組んでいるという姿勢は見えるわけですけれども、その反面、何となくみんなでわあわあやっていてどこに本当の所在があるのか。中には一本化した方がいいんじゃないかというようなそういう考えもあるようですけれども、この点について総務庁長官、どのようにお考えですか。
  143. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 国鉄の改革が行政改革の最大の大きな課題であるというふうに理解をしておるんですが、それで一番考えなきゃならぬのは、やはり雇用対策と、それと午前中御質問に出ました過去債務の処理の問題、こういった大きな課題をクリアしなきゃならぬわけです。そこで政府としては八月の七日でございましたか、余剰人員対策の本部を設けまして第一回会合をやったわけでございます。  今御質問の、やはり政府全体として取り組む姿勢をまず決め、国鉄国鉄運輸省運輸省あるいは労働省労働省、こういったことで、それぞれ対策を推進していただくことになるわけで、これはやっぱり一本にするよりはその方がいいんではないかなと私は考えておるわけでございます。基本はやはり政府全体が対策本部で決めていく、こういうことになるわけでございます。  六十二年の四月発足後、三年間に再就職のためのいろんな教育訓練等もありまして、三年間の猶余があるわけですが、それまでの間二年間あるわけですね。そこで、旧国鉄から移るのが四万一千人、それまでの間の希望退職が二万名ということで六万一千人の雇用問題を解決しなきゃならぬ。その際に、第一回の会合でも私から特に運輸省、それから何よりも国鉄に対して御注文を申し上げたのは、この問題はやはりまず国鉄自身が最大限の努力をしてもらわなければならない。その上でやはり関連企業あるいは民間にも御協力を願うし、また地方団体へも御協力を願うし、そしてまた政府自身も最大の努力をすべきであると考えるんだと。その際に、今日地方団体あるいは国も行政改革の厳しい定員管理の中にあるからなかなか難しいんだといったような声を、私も耳にするわけでございますが、何よりも政府地方団体も、それから民間会社も、やはり国鉄労働者の立場に立って親身に協力をするという姿勢を求めたい。  そこで、厳しい定員管理の中にあっても、政府各省はともかく今から考えれば五年間、実質は四年間ぐらいになるかと思いますけれども、毎年毎年新規採用があるではないか。例えば五十八年を見れば、地方団体が六万二千人ぐらい採用しています。それから、国が三万四、五千名ありましたか、約十万人弱でございますが、毎年新規採用がある。ならばその新規採用の際に、これは四年間の猶予がありますから、これらの年次別も考えて、そしてやはりでき得べくんば最大限努力していただいて、国鉄の職員をその中に入れてもらいたいんだということでございます。  ただ、その作業をするのについて肝心なことは、国鉄からそういうように移ってこられる人の職種別、それから年齢別、それから地域別、これの数がはっきり出ないとなかなか作業のしょうがないわけでございますから、それらについての作業をぜひひとつ国鉄当局は急いでもらいたい、こういうお願いをして、国鉄組合とのいろいろな難しい話もありましょうが、私は作業は進めていただいておるのではないかなと、かように考えるわけでございます。そして、先ほど言ったように、なかなかそれぞれの民間も地方も国も厳しいということはわかっておりますけれども、政府としてはこの問題は国鉄改革の成否を決する重要な課題であるし、何よりもやっぱりこの国鉄職員の立場に立って親身に協力をしてもらうということが必要だということで、先般都道府県知事会議でもいやいやそう簡単に言ってもなかなか難しいですよという御意見がございましたけれども、それは困る、これはやっぱり協力してもらわなきゃならないのだ。その協力のしようは、先ほど言ったような新規採用その他の問題もあるのだから、そこらは十分ひとつ配慮してもらいたいということを特にお願いをしておいたんですが、いずれにいたしましても具体的な作業はできる限り急いで取り組んでいかなければならぬ、かような考えのもとに準備を進めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  144. 服部信吾

    ○服部信吾君 長官のお話でよくわかったんですけれども、これはなかなか大変な作業になると思うのですね。その作業をやっている間にもう六十二年が来ちゃうんじゃないかというような、これは実際雇用の問題ですからそういう気もするわけですね。  そこで、再建監理委員会にちょっとお伺いしたいのですけれども、今回余剰人員の再就職先として地方自治体が挙げられているわけですけれども、これはどういう理由なのか。いろいろ議論のあるところだと思いますけれども、そのお考えをお伺いしたいと思います。
  145. 林淳司

    説明員(林淳司君) 先ほどの余剰人員、非常に膨大な数でございますが、その余剰人員対策で一番重要なのは雇用の場の確保、これはもう言うまでもないことでございます。その場合に、非常に膨大な数でございますので、全国民的な課題として取り組むことがどうしてもこれは必要だというふうに私どもは認識をしておるわけでございます。  その場合に、特に国鉄は従来の国鉄という企業体の生い立ち、現在までの経過、そういう経緯等にかんがみまして、やはりまず公的部門というのが――もちろんその前に国鉄自身が関連事業等含めまして最大限努力することは、これはもう当然でございますけれども、さらに国がその支援をしていくという場合に、やはり今申し上げたような事情から公的部門にまず御協力をしていただくということが重要ではなかろうか、こういうことで国家公務員あるいは政府関係機関、さらには地方自治体というところでぜひひとつまず率先して御協力を願いたい、こういうことを考えておるわけでございます。  さらにそれだけでは十分でないとするならば、一般産業界においてもひとつ御協力をお願いする、こういうことで全国民的に取り組んでいく、こういう考え方でございます。
  146. 服部信吾

    ○服部信吾君 国家的見地、こういうことであると思いますけれども、今地方自治体においても行革に対しては大変努力をしているところでありますね。自治省もことし一月に地方行革大綱を出し、一層の地方行革の推進を求める、こういうことでありますし、自治省が昨年八月四日にまとめた地方自治体における行政改革の実施状況というものを見てみますと、都道府県全体で二百七十課、二百九十出先機関。市町村でも二千九百五十一課を廃止統合。職員削減など、都道府県では一万三千七百八十人、こういうようなことで減員をしている、一生懸命やっているところですけれども、その辺のところで自治省も今一生懸命やっている、なおかつその上でというようなあれもあるようですけれども、自治省はこれをどのようにお考えですか。
  147. 安田達男

    説明員(安田達男君) お答え申し上げます。  国鉄再建監理委員会の再処に伴います余剰人員対策についての意見、これに対しまして政府としては最大限に尊重するとの基本方針を決めております用地方公共団体としても、それぞれの事情の許す範囲内で自主的にこれに協力することが望ましいものと考えております。しかしながら、御指摘賜りましたように、各地方公共団体地方行政改革を推進するため定員の適正化に努力しております。その結果、職員の採用数も年々減少してきております。また、地方公務員の中には、採用に当たりまして一定の資格を必要とする職種も多うございます。そういうような事情からすれば、種々の問題点が受け入れに当たりましてもあるものと考えております。したがいまして、余剰人員対策検討するに当たりましては、地方公共団体の自主的な協力を得るため、これらの地方団体側の事情についても十分配慮していく必要がある、そのように考えております。
  148. 服部信吾

    ○服部信吾君 総務庁長官にちょっとお伺いしたいんですけれども、要するに、片一方で行革やれやれと言いながら、またそれを押しつけると言ってはおかしいんですけれども、何とか対策を講じろ、こういうようなお話で、ちょっと矛盾するんじゃないか、こういうことがあるようでありますけれども、長官としてはこれをどのようにお考えでしょうか。
  149. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほどお答えしましたように、五十八年度、地方団体が六万二千、国が三万五千ばかり新規採用しているわけでございます。厳しい定員管理をやっていることは事実ですけれども、新規採用がそれだけある。ただし、それぞれの職種が違いますから、例えば地方団体で言えば一番多いのが学校の先生だろうと思いますから、学校の先生に国鉄の職員を持っていくわけにもいきませんし、お医者さんもありますから、今の数が分母の母数になるとは私は考えておりません。それらを除いても新規採用は相当あるんですよ。ならば、その新規採用の中の一定の割合というものは四年間なら四年間に分けて私は温かい配慮をしていただいてもいいんではないか。それには何よりも間がまずお手本を示すことだ。それと同時に、その次は地方団体にお願いをしなければならない。したがって、定員管理が厳しい状況であるからといって、ともかく今日置かれている国鉄職員の立場に立って考えれば、私はそれができないということはないのではないか。もちろんそれは具体的な突き合わせ、突合も要りますから、単なる分子、分母の関係でそれを押しつけるといったようなことはこれはできない相談でございますけれども、やはり気持ちの底に本当に協力するという気持ちを持つのか持たぬのかということによって私は相当解決すると。  なお、地方団体も、それは資格試験が別ですから。しかし、それは国だって同じなんです。国鉄の職員の試験採用の資格と国家公務員の採用の資格はこれは違っておりますね。しかし、それは法律的に私は十分検討をいたしております。それらはクリアできるという私は考え方でございますので、国はみずからの立場ですから努力いたしますが、地方もそれからまた民間もぜひひとつ御協力を賜りたい、これは私の切なるお願いでございます。
  150. 服部信吾

    ○服部信吾君 自治大臣が八月二日、仙台市での記者会見で、国鉄余剰人員の自治体受け入れについては、地方が自主的に受け入れるべきで押しつけはできない、こういうような発言がなされているのでありますけれども、この記者会見について自治省としてはどのようにお考えですか。
  151. 安田達男

    説明員(安田達男君) 先ほどお答え申し上げましたように、地方公共団体といたしましてはそれぞれの事情の許す範囲内において自主的に協力していくべきものと私ども考えております。そして、そのような条件が整うよう十分対処してまいりたいと存じます。
  152. 服部信吾

    ○服部信吾君 最後に総務庁長官にお伺いしたいんですけれども、国鉄余剰人員対策、これは非常に大きな問題であることは間違いないわけですけれども、これは国鉄はもとより政府及び国民も真剣に考えなければならないと思います。ところが、この報告書を読む限りでは、何らこれといった対策がまだまだできていないんじゃないか。また、本当に六十二年までに今のままで進んでいってこの余剰人損対策がきちっとできるのかということを非常に心配をするわけです。いわゆる六十二年には新事業体ができるわけですから、それまでにやはりきちっとした雇用対策というものができていなければ、これは大変路頭に迷うというか、この計画自体が大変な問題になってしまうんじゃないか、こういうふうに思います。  そこで、私はこの余剰人員対策は新しい発想で対処しなきゃならないと思います。それは新事業への、例えば国鉄とは全く関係のない事業の開発による余剰人員の吸収であるとか、既存の殻を破り積極的に新事業開発を行うべきである、例えばこれからはいわゆる高度情報化社会に向かってますます進んでいく、こういう面に優秀な頭脳を持っている研究職員を活用していくのも一方策じゃないか、こう思いますけれども、最後に長官の御決意をお伺いいたしましてこの質問は終わります。
  153. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) おっしゃるとおり、そういった方向でのできるだけのやはり処置を講じていかなきゃならぬ、みんながやはり努力をして解決しなきゃいけない。そして同時に、これは六十二年四月という期限が切られ、あと三年という期限も切られているわけでございますから、その間に必ずこれはなし遂げるというだけの強いひとつ政府としての心構えで対処していきたい、かように考えております。
  154. 服部信吾

    ○服部信吾君 では次に補助金カット。六十年度に国の財政負担分を、まあ言っちゃ悪いんですけれども、押しつけられたと言っちゃおかしいんですけれども、一律カットをした、そういうことで現在地方財政状況というのは大変厳しい状況にあると思うんです。五十八年度末における地方債残高が三十八兆六千億円、交付税特別会計における借入金が五兆七千億円、企業債のうち、その償還を地方公営企業による経費の負担区分の原則によって普通会計が負担する分が約七兆五千億円、合計五十一兆九千億円の財政負担として将来大きく地方財政にのしかかっているわけですけれども、地方財政は借金依存体質からできるだけ早く脱却をして、そうして財政構造を健全化することが急務だと思いますけれども、厳しい財政状況の中で地方自治体は借金体質から抜け出せるのか、こういうような問題について自治省の見解をお伺いしておきます。
  155. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) 地方財政は、ただいま御指摘のとおり昭和五十年度以降毎年度多額の財源不足に見舞われまして、交付税特会で借り入れて交付税を配分するとかあるいは財源対策債の発行などで、いわば借入金に依存した財政運営がずっと続けられてきたわけでございます。このために、ただいま御指摘のような巨額な借入金が将来の地方財政にとって大きな負担になっているわけでございます。この巨額の代人金を抱えている現状を考えますと、早急にこのような借入金の依存体質から脱却いたしまして財政の健全化を図らなければならないという事態に来ているというふうに認識しているわけでございます。
  156. 服部信吾

    ○服部信吾君 地方財政について、よく地方公務員の給与等一部の資料がありまして、大変地方財政が裕福だなんていう議論もあるようでありますけれども、これは違うと思うんですね。例えば地方債を見てみますと、公債費の負担率がいわゆる危険ラインと言われる二〇%を超えている団体が五十八年度八百二十団体、全団体の二五%を占めているわけです。公債率が一五%を超える団体の数は実に千七百八十七団体、実に五四%に達しているわけですね。そういう面から言って、個々の団体にとって地方債への依存はもう限界に来ているんじゃないか、こう思いますけれども、自治省のお考えはどのようになっておりますか。
  157. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) ただいま御指摘のとおり、個々の地方団体の財政状況を見てまいりますと、財政運営の指標になっております公債費負担比率が年々著しいスピードで上昇しているわけでございまして、昭和五十八年度の決算におきましては、ただいま御指摘のように、危険ラインと称されている二〇%を超えている団体が既に全団体の四分の一という数に達しているわけでございます。そういう点から考えてみますと、この地方債の償還など含めましたこの公債費の負担をできるだけ早い時期に低めていかなければならないということを強く感ずるわけでございます。  ちなみに、昭和四十八年度、ちょうどオイルショックの前後の統計を見ますと、二〇%を超える団体の数はわずか五十七団体しかなかったということを考えますと、この十年間にこの公債費の負担の増加の状況がよくおわかりになろうかと思います。そういう意味で、今後のこの課題といたしまして、公債費の負担をいかに少なくしていくかということが地方財政に課されました一番大きな課題ではないかというふうに考えるわけでございます。
  158. 服部信吾

    ○服部信吾君 地方税の収入ですけれどもね、これの実態をよく見ても、やはりその伸び率は大変伸びてない、こういうふうに思いますけれども、地方税が伸びない原因ですね、これをどのようにお考えですか。
  159. 湯浅利夫

    説明員(湯浅利夫君) この地方税も国税と同じように税制の一環といたしまして、毎年度各種の税制改正を行いながら地方税の確保を図ってきているところでございますけれども、御案内のとおり、昭和五十年度から景気が非常に低迷してきているというようなこともございまして、地方税がなかなか伸びなかったというような状態でございます。昨年度からやや景気が上向いてきたというようなこともございまして、五十九年度、六十年度におきましては、やや地方税の税収も上向いてまいりましたが、この十年間をとってみますと、御指摘のように、非常に伸びが悪いということが言えようかと思います。やはり経済のこの立ち直りというものに反映して地方税というものも確保をされるわけでございますので、そちらの方面からのいろいろな対策もまた必要ではないかというふうに考えるわけでございます。
  160. 服部信吾

    ○服部信吾君 地方財政の大変この困窮している状況ですね、よくわかりました。そういう中において今回、九月五日に総理が全国知事会でいろいろあいさつをされたと、六十年度の暫定措置として実施した補助金の補助率カットに関して「(今後とも)協議、協調のもと国と地方の適切な財政秩序の維持確立に努める」、こう述べられているようでありますけれども、官房長官、ちょっと今御質問、例の全国知事会での総理発言でありますけれども、六十年度の暫定措置として実施した補助金の補助率カットに関連して「(今後とも)協議、協調のもと国と地方の適切な財政秩序の維持確立に努める」、こう述べているわけですけれども、これはどういう意味なのか、官房長官にお伺いしておきます。
  161. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 全国知事会議で総理が御発言になりましたのは、結局、国といい地方といいましても、全体として国政あるいは地方で行政をされる、いわば車の両輪であるというふうなことから、それぞれの間にはやはり適正な財源配分、あるいは適正な事務事業の配分、負担関係の確立、そういったことを通じましてそれぞれが円滑に機能して国政を円滑に推進していくことが必要であろう、こういう基本的な心構えを述べられたものだと理解しております。
  162. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 今大蔵省から御説明をしたとおりでございまして、国政を進めていく上で、地方自治体との関係というのは非常に重要である。今お答えをいたしましたように、車の両輪のようにして動かしていかなければならぬ。その中でそれぞれの機能が十分に果たしていけるようにいろいろ工夫をしていく。それは適正なやっぱりお互いの負担ということもなければなるまい。そういったことを頭に置いて、ひとつ自治体と一緒になって進んでいこうということを呼びかけたものであると、こういうふうに考えております。
  163. 服部信吾

    ○服部信吾君 車の両輪ということですけれども、このことは非常に慎重な言い回しですけれどもね。当初、この補助金カットについては六十年度限り、こういうことであったわけでありますけれども、その車の両輪という国と地方との関係、こういうことを考えますと、これは来年度以降も続ける、これを示唆した、こういうふうにとる方もいるわけですけれども、官房長官としてはどのようにお考えですか。
  164. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 六十一年度以降の補助率のあり方につきましても、幅広い各方面の御意見を承りながら検討を重ねて適切に対処していきたいと、こういう考え方でございまして、今まさにその検討を進めておるところでございます。先入観なしに各方面の御意見をよく承るようにして、そしてその検討を重ねてまいりたいと、こう考えておる時期に当たっております。
  165. 服部信吾

    ○服部信吾君 自治省の「昭和六十年度地方財政対策の概要」、これによりますと、「経常経費系統については暫定措置として昭和六十年度に限り行われる。」、また大蔵、厚生、自治の三大臣覚書でも、社会保障関係への補助率カットは六十年度限りの暫定措置、こうなっているわけですけれども、要するに補助率カットは六十年度限り、六十一年度は行わないと、こういう趣旨のものだと思いますけれども、この点については官房長官どうですか。
  166. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) この問題を検討いたしますために、補助金問題関係閣僚会議を設置をいたしまして、そこで検討する、同時に学識経験者等からなる補助金問題検討会を随時開催をいたしまして、その検討を進めておるところでございまして、六十年度予算を御審議をいただきます中で、今後のことにつきましてはよく検討したいという姿勢でお答えを申し上げておるところでございまして、慎重に各方面の御意見を伺いながら検討を進めている、こういうことでございます。
  167. 服部信吾

    ○服部信吾君 その検討委員会をつくって検討、これが一つの逃げ道になっているようでありますけれども、この検討委員会の人選についてのこの基準とか、それについてはどのようになっているのか。また、現在まで何回かごの検討委員会が開かれているようでありますけれども、その状況はどうなっているのか。最終的にこの検討委員会からこの問題について、これはどういうのか、報告書ですか、何か出ると思いますけれども、どういう形で出るのか。また、いつこの最終報告が出るのか。この点についてお伺いしておきます。
  168. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) まず、補助金問題検討委員会のメンバーでございますが、これは木下和夫大阪大学名誉教授を座長といたしまして、全体で十一名から構成されております。その中には、財政学者を初め、学識経験者、それから市長さんあるいは村長さん等地方関係の代表者あるいは社会保障あるいは財政問題に詳しい各省のOBの方方、地方財政問題を含めまして。OBの方々、こういった方々から構成されているわけでございます。  それから検討委員会の状況でございますけれども、この検討会は五月三十一日に第一回会合を開きまして、これまで五回開催されております。これまでの審議では、まず国及び地方の財政の現状、それから社会保障制度の概要等にわたりまして各省庁から説明を受け、ヒヤリングを行いました。それから地方公共団体の代表の方々からの意見を聴取するということが行われまして、それから委員の方から社会保障分野における検討項目の整理がなされた、これに基づきまして現在社会保障のいろんな分野におきます国と地方との間の役割分担、費用分担等の検討が開始された、こういう状況でございます。  そこで、この補助金の検討会につきましては、先ほど官房長官が御説明申し上げましたように、補助金問題の関係閣僚会議に対しまして補助金問題について意見を取りまとめて報告するというために設けられたものでございます。その閣僚会議自身は五十九年十二月二十二日の大蔵、厚生及び自治大臣の三大臣覚書によりまして、「一年以内に結論を得る」というふうなことになっておりますので、その一年以内というその前に検討会の結論が得られるものと期待しているわけでございます。
  169. 服部信吾

    ○服部信吾君 一年以内ということは予算が決定する前ということですか。
  170. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 昨年、五十九年の十二月の二十二日ということでございますので、本当に字句どおり解釈しますとその前ということでございます。したがいまして、六十一年度の予算編成がどのようになるかという問題があるわけでございますが、六十一年度予算編成前に何らかの結論をいただくことを私どもは期待しているわけでございます。
  171. 服部信吾

    ○服部信吾君 それじゃちょっとお伺いしますけれども、六十一年度予算の概算要求が出ていると思いますけれども、この要求は補助率をカットして要求を出してきたんですか。
  172. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 七月末の閣議で概算要求基準というものをお決めいただきまして、それに基づきまして八月三十一日、各省庁から概算要求が出されたわけでございます。その概算要求の段階におきます補助率の取り扱いにつきましては、これは厳しいシーリングではございますが、その中におきまして各省、各庁が自主的に判断してやっていただくということにいたしております。したがいまして、出てきた結果を見ますと、これは全体の整理がついておりませんけれども、中では、何といいますか、補助率を引き下げられた後の姿でお出しいただいたところがかなり多うございますが、各省庁によりましては補助率を復元するといいますか、カット以前の数字で要求していただいたというところもございます。それが現在の状況でございます。
  173. 服部信吾

    ○服部信吾君 ばらばらなんですか、これは。補助率カットの要求を出してきたというところは。それをもう一回はっきり。
  174. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 各省庁が要求段階において自主的な判断において要求を出されてきたというふうに理解しております。そういう意味では統一的な方針をこちらから指示したということはございません。
  175. 服部信吾

    ○服部信吾君 それでは六十年度に補助率がカットされた補助金を見てみますと、要するに福祉、文教関係中心だ、特に生活保護、義務教育など本来国の負担として行うべきものがカットされているわけです。補助率カットによる節減額は五千五百億円、このうち四九%の二千七百億円が生活保護関係、児童保護関係など社会保障関係で占められている。これは国がみずからの責任、憲法第二十五条の生存権、こういうふうなものを放棄しているんじゃないか。それを自治体に押しつけ地方財政を圧迫したことに対し、これは非常に厳しいことじゃないかと思いますけれども、官房長官、どうですか、これは。
  176. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) この問題につきましてはなお現在先ほど申しました補助金問題につきましての検討会等でいろいろ議論が行われているわけでございます。したがいまして、その結論が得られる前の段階におきまして、特に財政当局の段階で概算要求基準を設定する段階におきましては、具体的にどのように扱うかということにつきましては基本的に各省庁において検討して、それぞれの責任と判断においてやっていただく、こういうことで対処したことは先ほども申し上げたとおりでございますが、具体的にそれじゃ今後どうするかという問題につきましては、今後補助金問題検討会等での検討状況を踏まえながら、予算編成段階で必要に応じ適切に調整してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  177. 服部信吾

    ○服部信吾君 一般に補助金と呼ばれているのはいろいろな種類がたくさんあるわけでありますけれども、一口に補助金と言ってもその中にはいわゆる義務教育とか社会福祉とかいわゆるナショナルミニマムを保障する負担金あるいは国勢調査、外国人登録などの委託費、一般に国の政策を推進するための補助金、いろいろこうあるわけですね。  問題は補助金で奨励的補助金とも呼ばれるいわゆる政策推進の意義が薄れても惰性的に続いているもの、手続の煩雑さに比べ補助額の零細なもの、こういうものが非常に目立つわけですけれども、この政府の言うようにただ財源対策の観点から一律にカットするというのは乱暴ではないのか、こういう議論があるわけですけれども、現在の補助金をよく吟味して不要になったものから廃止、これを整理統合していく、これが先決課題ではないかと思いますけれども、これは官房長官、この補助金についてのお考えを述べていただきたいと思います。
  178. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 今日の財政の考え方につきまして、当初は財政再建というふうな考え方で今日五三十兆にも及ぶ国債発行しているという状況の中で、どのように再建をしていくかという観点から取り組んできたところでございますが、率直に言って財政の体質、財政の中身についていろいろ検討して、そうして一つ一つその仕組みについてもあるべき姿に向かって努力をしていかなきゃいかぬというふうなことから、一般的に財政改革という呼び方でいろいろ検討を進めてきておるところでございます。その中には非常に大きな部分が補助金の問題についてウエートを持ってきておりまして、従来補助金についてはそれぞれ役割を持って時代時代大きな役割を担って進んできておるところではありますけれども、それらをいろいろと点検をしてみたり整理をしていくということは、非常に大事な課題になって今日まできておるところでございます。  問題はそれらがただ補助金であるから整理するというのではなくて、やはり時代的な役割を果たしているのではないか、その補助金を設定した当時の目的を果たしておるのかどうかといったようなこともいろいろ点検の対象になりますし、それから同時に、この地方と国というような関係となりますと、それぞれがどのような機能を果たしておるか、どういう役割を担っているか、それに対してどのように経費負担をしているかといったようなことを根本的に一回よく検討してみようということでこの作業が進んでおるわけでございまして、ただ削っていく、特に福祉や教育にしわ寄せがいくという御批判もございますけれども、そういうふうに財政の仕組みとしてひとつ思い切って検討してみようということや鋭意前向きの作業が進んできている、こういうふうに考えておるところでございまして、それらについて各方面の深い御理解を賜るようにぜひお願いをしたい、こう考えておるところでございます。
  179. 服部信吾

    ○服部信吾君 最後にお伺いします。  これは補助金問題検討会、これが最終的に報告するようでありますけれども、私はこれはどういう方法になるか、これはあれでしょうけれども、昨年の総理のお考え等聞いておりまして、私はこれは今年度はどういうあれがあろうともこの補助率カットは認められない、このように思いますし、先ほど言いましたけれども、不要な補助金をすべて整理合理化あるいは廃止、こういうふうなことをいろいろやった上で補助率のカット、やるとしてもそういうふうな措置をしなければいけないと思いますけれども、官房長官、六十一年以降補助率のカットはしない、こういうふうに明言はできませんか。
  180. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 検討会の方では財政学者など非常に学識の深い方々にいろいろ御検討いただいておるところでございますので、その報告を受けて、そしてまた閣僚会議もあることでございますから、政治的にもいろいろ検討をして最後の判断をする、こういうことに持っていきたい、こう思っている次第でございます。
  181. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 最初に、七月の二十二日提出をされました行革審の答申と意見について幾つか質問をいたします。  まず、今回の答申と意見に対する政府基本態度についてでありますが、これを積極的に受けとめ具体化をするというのが基本態度でしょうか。長官、どちらでも結構です。
  182. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 行革審の答申につきましては、政府としてはこれを最大限尊重するということを閣議決定をしているところでありまして、提言されておることを具体化をしていくために前向きに今検討を進め、かつ努力をしているということでございます。
  183. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 答申をごらんになって、この部分はもっとよく検討する必要があると、慎重に考えている問題だというような問題はありますか。
  184. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 時間をかけ、回を重ねていろいろ検討をいただきました結果の御答申であるというふうに考えておりまして、最大限に尊重して進まねばならぬと思っておりますが、具体的に各項目にわたってはそれぞれの関係省庁検討している最中でございますので、それらの検討がどのようにまとめられるかということを内閣全体としては今見守っているところでございます。
  185. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 特にここは問題だということで受けとめているものが今の段階ではないというようなニュアンスで受け取るわけでありますけれども、そうなりますと事柄は重大であります。この答申内閣総合調整機能のあり方の重要な内容として「緊急事態の対処体制の確立」という項目を挙げていますが、その中で緊急事態の対象範囲としてこの答申のパンフレット十三ページ、「緊急事態には、直接侵略等の軍事危機を除いても、大規模地震のような自然災害のほか、大停電、通信網の断組等のような人為的事故、エネルギー危機等の経済的危機、さらに、領空・領海侵犯や他国による航空機撃墜、政治的意図を持ったテロ・ハイジャック事件、騒擾事件等が考えられる。」というふうに、いわば緊急事態には軍事的緊急事態と非軍事的緊急事態、大きく二つが考えられ、この双方についての対処のあり方を検討していく必要があるんだということを述べた上で、この行革審の結論として危機に対処する内閣機能の強化のために安全保障会議(仮称)、これの設置を提唱しているわけであります。そして、この安全保障会議には今までの国防会議の任務を継承をする、したがって軍事的緊急事態、そして非軍事的緊急事態、この双方に対する対処をこの安全保障会議なるものは検討をしていく、これを任務とする、こういうことになるわけですね。これは行革審の事務局説明してください。
  186. 山本貞雄

    説明員(山本貞雄君) 今回の答申の緊急事態対処体制に関します提言につきましては、これは政府から検討要請が昨年五月にございまして、その際大災害、ハイジャック、大韓航空事件のような緊急事態に対しまして、有事に至らしめないための見地から迅速的確に対処する仕組みについて検討要請があったわけでございます。したがいまして、広義におきましては緊急事態に軍事的な危機は含まれる場合もあると存じますが、行革審といたしましては、あくまで今回の政府検討要請にかんがみまして、有事を除きまして専ら非有事の緊急事態の対処体制につきまして答申を御提出いたしたという次第でございます。
  187. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そこで答申は、この安全保障会議の補佐機構、事務局機構としてこれも仮称ですが安全保障室、こういうものを提唱しているわけであります。  ところで官房長官にお尋ねをします。いわゆる有事法制研究の問題、これについては防衛庁所管の第一類、他省庁所管ないしは防衛庁との共管の第二類、所管不明の第三類、こういう三つの分類で研究をするということが以前から言われてきておったということでありますが、この第三類についての研究の進行状況、これはどういう状況でしょうか。
  188. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 御指摘の有事法制第三分類の研究につきましては政府全体として研究を進めるべきもの、そういう性質のものと考えて従来研究を進めてきておるところでございます。なお、これにつきましては防衛庁がその内部的作業といたしまして自衛隊の行動との関係という観点から、独自の立場で種々検討を行ってきているというところもございまして、自衛隊がそういうふうに防衛庁で研究をしているのを中心にいたしまして、それを連絡とりながら政府全体で検討を進めてきている、第三分類につきましては、というのが従来の検討の経過でございます。
  189. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それで、私がお尋ねしているのは、第三類についてはどういう組織がどこまでの研究を今やっているんですか。
  190. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 今申し上げましたように、防衛庁で防衛庁の所管をする分、他の省庁と関連立てて検討すべきもの、そしてそれは一類、二類。したがいまして、それ以外のものはこういうものがあるという当然この問題意識はあるわけでございます。それらを中心にいたしまして、政府全体でこの第三分類についての検討を進めるというのが従来政府が取り組んできた組織といいますか、考え方、取り組みの姿勢でございます。
  191. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それがどこまで進んでいるんですか。
  192. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) これはいろんな部分にわたりますので、いろいろと検討を重ねてきておりますが、なおどれぐらいのところまで検討が進んできたかということを明確に御報告申し上げるようなところまで至っておりません。なお検討過程でございます。
  193. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この今回行革審が提唱しました(仮称)安全保障会議、その事務局としての安全保障室、ここが今後この有事法制第三類の研究をやっていくということになるんでしょうか。
  194. 山本貞雄

    説明員(山本貞雄君) 行革答申におきましては、安全保障室の設置については提言をいたしておりますが、有事の問題についての議論は行革籍では行われておりません。
  195. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この答申を受けとめておる政府の側としては、今後の第三類有事法制研究、これは安全保険室、ここで日常的にやっていこう、こういう考え方があるんじゃないですか。
  196. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 答申を出していただくに当たっていろいろ御審議をいただいてまいりました行革審の方でも、そのようなことは今までに論議の外になっているということでございまして、そのような考え方は持っておりません。
  197. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そうすると、今後の時間的推移のいかんにかかわらず、安全保障室でこの第三類の研究をやるということは金輪際ないというふうに言明できるんですか。
  198. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 答申によりますと、安全保障室の役割といたしまして、一つは安全保障会議に関する事務、それから二つとして国防に関する重要事項及び緊急事態対処にかかわる施策の総合調整を行うもの、そのようにされておりまして、それらが所掌事務の中でどういうふうに答申の趣旨を生かして安全保障室というものを運営をしていくか。これはまさに今答申を受けて検討しておる最中でございますので、なおいろいろ検討してまいらなければならぬというふうに思いますが、有事法制云々に関しましては、非有事を対象として考えてきたという今行革審事務局次長答弁からいたしましても、答申そのものの中にも含まれていないというふうに理解をいたしておりまして、それにいたしましてもなお検討中でございますので、今ここで明確にお答えすることを控えたいと思いますけれども、そういう構えで行われるものと理解をいたしております。
  199. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ともかく第三類の有事法制検討がおくれているわけですね。しかく進んでいない、こういう状況のもとで、今行革審の答申が出た直後だという段階で、この行革審の審議のそういういきさつに照らしても安全保障室が第三類の日常的研究、これを任務とするというのは、そういうことは今の段階では言わない。しかし将来どうかということをこれ私確かめますと、大変その点については濁った答弁になっているということで、私はそもそも今回のいきさつがおくれておる有事法制の第三類研究、これを促進する目的でこういうものが、機構が考え出されてきているんではないかという疑いを強く持つんであります。  次の問題に移ります。  この安全保障会議の構成についてでありますが、現行の国防会議に比べますと若干の変動がありますね。国防会議には経済企画庁長官が入っていた。この国防会議を引き継ぐとしているこの答申に言う安全保障会議、これになるとなぜ経済企画庁長官が外れるのか、引き継ぐと、こう言っていながら。私別に経済企画庁長官の肩を持つわけじゃないけれども、この理由を明確にしてください。
  200. 山本貞雄

    説明員(山本貞雄君) 御案内のとおり、答申によりますと安全保障会議の構成員は、内閣総理大臣を議長といたしまして外務大臣、大蔵大臣内閣官房長官、国家公安委員長、防衛庁長官及び内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣、こうなっております。これは会議の性格上、迅速的確な対処がとりわけ重要でございまして、したがいまして、可能な限り少数を旨といたしまして、国防並びに新たにつけ加えられまする重大緊急事態への対処の任務に常時関係する国務大臣に限定されたという次第でございます。  もっとも構成員以外の国務大臣の所管にかかわります問題につきましても、必要に応じまして当該国務大臣審議に参加することができるというふうにいたしておりまして、現行国防会議の構成員でございます経済企画庁長官も、経済政策との関連におきまして審議すべき事項に関しましては安全保障会議審議に参加することができるということになるものと考えております。
  201. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 依然説明になっていないと思うのですよ。国防会議を引き継ぐとしておる、この国防会議には経企庁長官というのは入っておった。これを引き継ぐわけでしょう、任務を。ところが、引き継ぐその途端に経企庁長官はどこかへ消えるわけでしょう。少数を旨とすると言うんだけれども、なら安全保障会議、新しく官房長官と国家公安委員長が入ってくるじゃないですか。何も少数になるわけじゃない。人数はトータルにおいてもふえている、レギュラーメンバーは。しかも安全保障会議の二つの任務のもう一つにエネルギー危機などの経済的危機にいかに対応するかという、こういった問題を任務としての、二つのうちの大きな一つの任務としての安全保障会議になるわけでしょう。依然としてこの説明がそれではついてないと思うのです。  この関係についてはかって去年ですか、五月、後藤田さんが行革審にも諮問というほどの大げさなものじゃないというふうに、ことしの一月の説明でしたけれども、問題提起をされてきた、この関係での経過の問題で。今日のこういう答申が出てきたといういきさつですけれども、後藤田さんは今の構成問題、国防会議のときと比較しての、この答申を受けられて何の矛盾も感じられませんか。
  202. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は別段矛盾とは考えてはおりません。今度の構成メンバーについての行革審の御答申の理由については、今次長がお答えしたとおりでございます。例えて言いますと、緊急事態ということになれば実際はこれたくさん関係者おるわけですよ。極端に言えば全閣僚関係ある、こういったようなことでして、この種のものをつくろうとすると各省みんな入ってくるんです。それではなかなか適切な緊急対策が間に合わぬといったようなこともあるわけですから、できるだけ構成メンバーは少数にしようというのが行革審の御意見であったと思います。しかし、事柄によって、関連が深い事案があれば当該大臣を審議に参画させるということで処理していこう、こういう御趣旨であろうと思いますので、特別矛盾はない。従来からも国防会議の構成メンバーも、今御質問にありましたように、構成メンバー以外で審議に参画しておるのが通産大臣、それから官房長官、科学技術庁長官等が審議に参画しているわけですね。これはいわゆるメンバーではない。こういったようなことがあるわけですから、それぞれの緊急事態のいかんによって、私は関係国務大臣が出てくることは一向差し支えないではないか、こう思います。  ところで、緊急事態を中心にしての御答申でございますから、そうなってくれば、やはり直接、一番関係深いのは国家公安委員長であることだけは間違いがない。ならば、これを一応メンバーの中に入れておこう、こういう措置になっているわけでございますから、別段矛盾をしておるというふうにも考えませんし、安全保障会議運営上、将来これでは差し支えがあるというふうにも考えておりません。ただ、御意見のような点もあることは私も承知しておりますから、いずれにせよ、これは最大限尊重するという閣議決定がございますから、この線に沿って政府としては準備を進めていきたい、こう考えておりますが、御意見等も踏まえまして、審議過程において十分さらに詰めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  203. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 長い答弁をなさいましたけれども、事務局が答弁をした、それの繰り返しにすぎなくて、あなたの御説明も何の説得力もありません。  構成メンバー以外の参加の問題は後から取り上げましょう。  とにかく、警察庁長官をなさってきた後藤田さんだから、国家公安委員長の位置が非常に高く位置づけをされておるということで大喜びをしておるというのだったら、これはとんでもないことです。非軍事的危機、この対処の問題についても、今のレギュラーメンバーからいきますと、防衛庁長官がしゃしゃり出てくるわけでしょう。私はここに、全体として見たときの安全保障会議の問題についての危険性が明白になっているんじゃないかということを強調しておきたいと思うんです。もうこの問題で問答をやっても同じですから、次に進みましょう。  今のレギュラーメンバー以外の参加の問題で答申は、安全保障会議は、議長が必要と認めた場合、構成員以外の者でも出席して審議に参加できる、こういう答申の表現になっています。  今までの国防会議の場合は、必要と認めるときは、関係者会議に出席させ、意見を述べさせることができると。審議に参加するということと、会議に参加をさせて意見を述べさせることができるというのは、私は明白な表現の違いがあると思うんですね。この理由は何ですか。
  204. 山本貞雄

    説明員(山本貞雄君) 御指摘のように、「構成員以外の閣僚等も出席し、審議に参加することができる」、こういう表現になってございます。「審議に参加する」という言葉は、いわば法令上の用語ではございませんが、具体的に法令上の用語といたしまして、臨時の構成員として議決権を有するような場合、新たに委員を追加するとか、臨時議員とするとか、そういう場合がございます。それからまた、単に出席して……
  205. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私が聞いているのは、表現の違いが出た理由は何か。
  206. 山本貞雄

    説明員(山本貞雄君) 承知いたしております。  もう一つは、出席し、意見を述べるにとどまる場合と、この両方のケースがございます。  したがいまして、この行革審の答申では、特に追加される構成メンバーにつきまして具体的にどちらのケースであるかは言及はいたしておりません。具体的な扱いは政府にゆだねた、こういう趣旨でございます。
  207. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 依然として、なぜ表現を変えたか、安全保障会議審議に参加させると、国防会議の方は会議に出席をして意見を述べることができると、なぜこういう違いが出ておるかというこの説明は全然出ていない、明らかじゃない。説明できるんですか。きのう私が行革審事務局から事前の説明を聞いたら、頭を抱えておったじゃないですか。ここのところはさして深く行革審では審議になりませんでしたと言っていたじゃないですか。
  208. 山本貞雄

    説明員(山本貞雄君) ただいま申し上げましたとおりでございまして、例えば現行の構成メンバーでございます経済企画庁長官につきまして、新たに議員として追加されました場合に、いわゆる議決権を有する形でメンバー追加をするのか、あるいは出席して単に意見を述べるだけにするのか、ここら辺は政府に具体的な取り扱いをゆだねた方がいいと、こういうふうな判断で法令上の用語でございません包括的な表現として審議に参加させることができると、こういう表現にいたしておる次第でございます。
  209. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 説明になっていません。  とにかく審議に参加をするということは、審議権を持つということですから、常識的に審議権と言えば、決定権を含む審議権を持つというのが常識じゃないですか。その場合に、経済企画庁長官が入ってきたときに、それが審議権を持つのかどうか、ここを私は問題にしているんじゃないんです。今度の安全保障会議は、必要と認めた者については審議権を持たせて参加させると、こうなったらどういう事態が想像されるか。自衛隊の制服がどんどん入ってきて審議に参加するんですよ。そういうことが必要と認めればできるようになる、あるいは警察の情報や治安の担当者、これが審議に参加して審議権を持つ。こんなようなことになれば、それこそ国政のトップが制服や警察によって支配をされていくというようなことになれば、これは恐るべきことが起こると思うんですね。答申がどのように書いていようとも、正規の構成員以外は審議権は認めない。こんな制服や警察、これがどんどん入ってきて公式の審議権を持つ、それによって国政のトップが壟断される、制度的にそういうことは来さないと、こういうふうに約束できるんですか、官房長官答申審議に参加させると、こう言っているんだから。
  210. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 答申をいただきまして、政府としてはその答申を最大限に尊重する、そして具体化するにはどのような手順を踏んでどうまとめていったらいいかということを今検討しておるところでございます。  例えば具体的に申し上げますと、内閣官房でも藤森副長官を中心にいたしまして事務的に今一つ一つ検討をいたしておるところでございます。私もよくまだ勉強するに至っておりませんが、その際に意見を述べることができるという従来の規定と、それから審議に参画するということとは、やはり意味が違うということは、もう普通の国語の問題として今理解をいたしているところでございまして、今お伺いをしたところでございます。したがって、よく今後検討してまいります中で、それらをどのように整理をしていくか、どういうふうに参加者を位置づけるか、いろいろと答申の中には、少しここは大事なところだからといって、本当に論議も深めてお決めをいただいてあるところもありますし、今、次長から御答弁がありましたように、政府にその方針をゆだねるというようなふうにしていただいてある部分もあろうかと思いますので、よく検討するようにいたします。
  211. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 政府にゆだねるということにしてますというふうな、それはもうこの場限りで勝手に言っていることにすぎないんですよ。問題は、私が安全保障会議の今後の運営が極めて危険な状況になるんじゃないかということで提出をしておるこの危惧ですね。いや断じてそんなことは起こさせませんというように、その保障として正規の構成員以外には審議権を持たせない、こういうことを政府責任で明言をいたしますというふうにここで言えないわけでしょう。あなたが言うのは今後よく慎重に検討しますということなんです。ということであると、これは依然として私のそういった危険な事態が起こるんじゃないかというこの危惧はぬぐえないです。そのことを強調をしておきたいと思います。  次の問題ですが、答申の十四ページの末尾のところで軍事的危機への対処、いわゆる有事対処、それと非軍事的危機への対処を安全保障会議が統一的に扱うことによって有事に対しての、有事対処問題の適切なシビリアンコントロールが確保できる、こういう表現が出てきます。これはきのうの説明を聞きますと、本答申に先立っての小委員会報告、このときにやはりこの安全保障会議運営をめぐってのいろんな心配がマスコミでも有識者の段階でもいろいろ起こったということで、ちょっとそこに対するオブラートをかけるためにシビリアンコントロールが確保できるという文章を入れただけなんですよ。一体どういう仕組み、どういう仕掛けてこのシビリアンコントロールができるのかということは一つも内容がない。むしろ、さっき私が言いましたように、構成メンバーをめぐる問題、必要と認めたときには幾らでもどんどん入れて審議権を持たせる、こうなったらシビリアンコントロールどころか制服と警察による国政支配、この心配をさっきシビリアンコントロールどころかそういう問題が重大だということを指摘をしたところでありますけれども、この安全保障会議がそういう軍事的危機、非軍事的危機、この双方への対応を統一的に扱うということによる別の角度からの危険が生まれるということを私はもう一つ指摘をしたいんです。  この冒頭に触れました非軍事的危機の幾つかの例ですね、ハイジャックだとか何だとかこう挙げていました、この報告でも。その中の一つに「騒擾事件等」というのがあります。それに対していかに対応するかというこの問題を安全保障会議が取り扱うというんですが、ここで私が思い起こしますのは、六十年の安保条約改定のあのときです。あのときに安保条約改定に反対をするストライキやデモや集会、国会請願デモも含めて、これに対して自衛隊の治安出動、こういう動きがあったということを私は思い起こすわけです。今回のこの安全保障会議が、さっきから言っているようなそういうことで労働運動や平和運動、こういうものを騒擾等と称して治安出動をするその足場にされる、この安全保障会議が。こういうおそれ全くなしとしないという危惧を私は大いに思うわけであります。いやそんなのはあなたの思い過ごしたと言うんだったら、そういうことは一切あり得ません、やりません、絶対にやりません、今後ともというふうに約束できるんだったらしてください。それも今後の検討でしょう、どうなるか。
  212. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) これは委員に御質問して恐縮でございますが、それは安全保障会議でそのことを、権限を認めるかどうかということでございましょうか、それとも治安出動ということがあり得るかどうかということでございましょうか。恐縮でございます、安全保障会議で。
  213. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 過去に、六十年安保のときにそういう動きがあったと。そこから類推をしても今度の安全保障会議が、とりわけさっきから言っていますような運営でしょう、必要と認めた場合にはどんどんと入れて審議権を持たせると。非軍事的危機に対しても防衛庁長官がレギュラーメンバーに座って非軍事的危機に対する対応策をいろいろ審議、決定権を持つわけでしょう。こういう安全保障会議になるということになれば、なお一層労働組合運動や平和運動や、こういうものを騒擾等などと称して自衛隊が治安出動する、こういう危険が生まれてくるんじゃないかという問題を提起しているわけです。
  214. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 治安出動には自衛隊法第七十八条の規定に基づく「命令による治安出動」と、自衛隊法第八十一条の規定に基づく「要請による治安出動」というのがある。答申に言う「緊急事態」がこのような自衛隊法に定める治安出動の要件に該当する場合には、所要の手続を経て自衛隊に対して治安出動を命じることもあり得ると考えている。それは法律を中心にして、そういうことがあり得るかどうかということについては、あり得るということになると思うのでございます。  ただ問題は、今委員の御指摘は、検討しておる結果生まれてくる安全保障会議で防衛庁長官が、委員の使われました言葉をそのまま使わせていただきますと、防衛庁長官がどんと座って審議に参画して、そしてそこでどんどんと平和運動や労働運動の騒擾的な事態だということで出動していくという方向をとるのではないかという御心配でございます。出動の可否につきましては今法的に申し上げたところでございますが、安全保障会議は先ほど来申し上げておりますように、よく今後検討いたしまして、答申の趣旨を尊重しつつ、これをどのように具体化していくか、検討した結果をまとめていくようにいたしたい、こう考えておりますが、安全保障会議でいろいろ論ぜられますことが、これはいろいろな事態が国にとってあり得ますから、どういう事態にどういうふうに対処したらいいかということは事前になかなか想定しにくいところもございます。しかし、そういう中で絶えずやっぱり特に自衛隊の出動というようなことにつきましては、シビリアンコントロールということを十分頭に置いて、むしろ安全保障会議という場などは内閣総理大臣中心にいたしましてシビリアンコントロール的、そういう性格を一面持つということを私ども日常からも考えておるところでございまして、そういうことから考えましても、例えば一般市民の平和運動であるとかあるいは十分法的に認められております労働運動など、それを騒擾的な事態として自衛隊の出動を促すというようなことにつながるための安全保障会議になるだろうとは夢にも考えていません。やはりこういう日本の現憲法のもとで国の営みを進めてまいりますにつきまして、それぞれの節度のある、やっぱり秩序のある態度が決定されていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございまして、そういう方向に向かうのではないかという御懸念に対しましては、そういうような方向に向かうということはあり得ないことだというふうにお答えを申し上げたいと存じます。
  215. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そのように言われても、みずからの前段おっしゃったように理論上というか、自衛隊の治安出動の可能性、これは否定をされないわけでありますから、私はそういう可能性が現実性として加速をされるんじゃないかということを大きな危惧として表明をしているわけであります。  時間がありませんし、次の問題聞きますが、行革審は危機への対処措置について十四ページの③項でこう書いていますね。「緊急事態発生の際の対処は、その態様に応じ可能な限り、既存の法制あるいはマニュアルに従って行うが、内閣総理大臣は、重大緊急事態が発生し、かつ、必要があると認めた場合には、安全保障会議を召集して、対処措置等を同会議に諮るものとする。」と答申をしています。これはどうなんですか、首相が必要と認めれば、既存の法制あるいはマニュアルに従わない措置、すなわちいわゆる超法規的措置、これを含む対処を安全保障会議に諮ることがある、こういう意味だと政府はこれを受けとめてますか。私はそういう心配があるということで、もう事務局いいです、ちょっともう余り時間ありませんから、政府の受けとめ、どうですか、官房長官
  216. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 答申によりますれば、重大、緊急事態に対する対処体制整備などを推進するため、内閣に安全保障会議を設置することといたしておるところでございます。政府としては、これらの提言を受けとめまして、今どのように安全保障会議などを構えていくかということを検討しているというのが今の実態でございますので、何しろ検討中のことでございますので、いろいろなことを想定しながらどういうふうな事態にはどういうふうに対処するかといったことも今検討しておるところである、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。
  217. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 その問題も、いやそんな超法規的対処というのは一切考えませんというふうに言われない、何しろ検討中の問題でございますと、こう言われるとこれは本当に危惧がますます募るだけですね。  もう一つ聞きます。この答申は、緊急事態への対処体制整備の一環として十五ページの③項「報道・広報対策」というのを掲げてます。そこで「緊急事態の悪化を阻止し、国家と国民の安全を守るためには、情報の秘匿を含め慎重な対処を行う必要があること等にかんがみ、あらかじめ報道機関との調整や広報対策について政府部内の方針の統一を図っておく必要がある。」と提起をしているわけでありますが、これは何を意味をしているんでしょうかね。政府は、情報統制の必要な場合、報道管制、世論誘導をやれ、あらかじめそのため統一的な政府方針を確立をしておけと、こういうことを行革審は求めたものにほかならないという、こういうことでこの答申具体化をこれから検討するというんですか、官房長官
  218. 藤波孝生

    国務大臣藤波孝生君) 行革審の答申に対しまして、これをどう具体化していくかということを今検討しておるところでございます。ただ、今御指摘のところにつきましては、それが新しく報道を管制する、統制するといったような意味ではなくて、いろいろなことが考えられると思いますけれども、緊急事態が起こった場合に、それに対処をいたしますためにはどのように関係者の方々あるいは国民皆さん方に協力を求めていくかといったようなことがいろいろ起こり得ると思うのでございます。そういう意味では、報道機関にいろいろ緊急事態の情勢を踏まえまして御協力を求めていくということがあり得るということをここで示しておるものと思うわけでありまして、それで新しく報道関係者に統制をしていくなどということではなくて、積極的にこういう状態だからこういうふうにひとつ御協力を願いたいというようなことは起こり得る、これはいろいろなことが起こり得るわけですが、いろいろ想定してみてもそれでもなお想定できないことも起こってくるという、これは普通世の中はそういうものでございます。政治というものは、どういう事態にでも適切に対処できるということを日常からいろいろ考え、検討もしていくということは大事なことでございますから、緊急のことが起こってからそのことはまだ検討中でございます、準備ができておりませんでは責任を果たせないわけでございますから、いろいろなことを検討していく、そういう場合にそういう情報関係者に御協力を求めていくということもあり得ようということで、問題提起をしていただいておるものと、こういうふうに考えるわけでございますが、それらにつきましても今後検討をしていくようにいたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  219. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 とにかくこの問題については小委員会報告が出た段階、本答申が出た段階、新聞などマスコミ関係でも非常に大きな危惧が表明をされておるという問題、もう一遍ちょっとその時点振り返って、よくそういうことに耳を傾けるという態度をとってもらう必要があると思うんです。  限られた時間の中でしたが、以上幾つか問題を指摘しましたように、今回の、とりわけ内閣機能強化にかかわるここの部分の答申、いわば新しいファシズム国家体制を目指す重大な内容がメジロ押しに盛られているのじゃないかというふうに私は思うんです。しかも、冒頭質問をいたしますと、今度の答申おおむね結構、最大限尊重してその具体化を図りますと、こうなるんですから、これはこういう答申、その具体化、こういうものには断じて反対だということを改めて私としては表明をして、強く主張をしておきたいと思うのであります。  そこで、少し問題を変えまして、行革審の答申意見に関係して、ぜひこれは後藤田さんにお尋ねをしておきたい高率補助金カットの問題であります。さっきもちょっと出ていましたが、六十一年度予算の各省庁の概算要求で、これは補助金の扱いは仮要求ということでおおむね本年度据え置き措置、こういうことで編成されているわけでありますけれども、大蔵省はカットの継続はもちろんその他の補助金にも手をつける、自治体の財政力によって補助金に差をつけることも検討をすべきじゃないかということを言い始めている。七月二十二日の行革審の意見で、カットの継続、さらなる切り込み、それをやれと受けとれるような提起をしているのであります。そこで、行革担当大臣としての後藤田長官として、この補助金カットを六十一年度も継続するかどうかという問題について、あなたは閣議での協議に向けてどういう姿勢で臨むのか、大蔵大臣と同じ姿勢がどうかと、こういうことです。
  220. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御指摘行革審の意見は七月二十二日に御提案があり、政府としては最大限尊重する、こういうことを決めたわけでございます。これは六十一年度予算編成に関連しての意見書でございます。政府としては、当然したがって予算編成の際に行革審意見を反映させるように最大限の努力はしだい、かように考えているわけでございます。ただ、御質問の補助金カットの問題については、既に昨年の予算編成の際に関係大臣の間でさらに協議を進めて煮詰めていくということになっておるわけでございますから、私といたしましては当然関係大臣の間で補助金問題の検討をして結論が出されるものと、したがってその検討を見守っていきたい、かように考えているわけでございます。
  221. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この機会に、行政改革の名のもとに進めている政府の施策に関連して、最近の日航事故の問題で、これも後藤田長官にもう一つぜひお聞きをしておきたい。  参議院の運輸委員会で我が党の小笠原議員も明らかにしてますように、航空機の安全対策という点で、例えば年間経費のうちの整備費の比重、これは一九七八年度で見ますと日航は七・六%だと。全世界の航空会社平均一・三%と比べればもちろんのこと、国内の全日空一・五%、東亜国内航空九・五%と比べてみても最低だと。日航での人減らし合理化も、整備部門が一番大幅な人減らし合理化がやられているというこういう事実が示すように、今回の事故の背景に安全対策の手抜きがあったということはもはや今日では明白だと思うのであります。ところで、問題はこういう日航の経営のあり方にかかわって、臨調が昭和五十八年一月十七日の第四部会報告、ここで他の航空企業の模範となるような効率的経営を行うべし、しっかり合理化しなけりゃ経営形態を民営化するぞと言わんばかりのそういうおどしを後段でかけている。閣議としては、昭和五十九年の十二月二十九日の決定で、「今後とも、要員の効率的運用、人件費及び事務費の抑制措置等を強力に推進するとともに、増収に努め、効率的な経営の確立を図る。」、こういうふうに閣議決定をしています。それからさらに総務庁、昭和五十九年の十月、日航の行政監察に基づく報告として、「運輸省は、日本航空株式会社に対し、業務運営の効率化を図るため、要員配置・運用の一層の合理化及び乗務手当の在り方の検討等による経費の抑制について指導する必要がある。」と、こう勧告をしている。これを通して見ますと、一貫して中曽根内閣が公式の政府決定などで日航に対して指導してきたことは、経営の効率化、合理化にもっと力を入れよと、もっともっといわばもうけよと、こういうことだけであって、昭和五十七年の二月に羽田沖の事故があったというにもかかわらず、安全対策強化の問題については臨調答申でも閣議決定でも総務庁の勧告でも一言も触れてない。こういう状況で、今回大変な大事故を日本航空が引き起こしたという、こういう関係で見たときに、中曽根内閣政府の指導責任というのはこれは免れないというふうに私は思うんです。おまけに後藤田さんは閣議決定の一翼でしょう、構成員、総務庁の責任者。こういう点で、あなたは今日までのこういった経営効率化中心主義、こういう指導について深く反省をしておられるかどうか、この点を聞きたい。
  222. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今回の日航機の事故原因ですが、これは今後の究明にまたなければならぬと、こう考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、航空会社経営の根底にあるものは、これはもう当然安全確保だと、こう思います。これは大前提だと思います。その大前提の上に立ってやはり必要なことは経営の効率化、これだって私は必要だと考えるわけでございます。そこで、臨調答申もございまして、日本航空の経営体質、これについていろんな御批判があるということで臨調からの御指摘があったわけでございまして、これを踏まえて先般の監察で日航の業務改善について勧告の意見を出した、これはもちろん運輸省へ出すわけでございますが、運輸省へ出した、こういうことでございまして、私どもは別段、経営効率化の勧告そのものが日本航空のもうけ第一主義とは考えてないです。航空会社というのは安全を確保しなきゃとてもじゃないが経営の効率なんてできないわけですから、万一事故が起きたら経営そのものがおかしくなるのは当たり前の話でございますから、したがって、私どもは安全ということを第一義に置きながら、今日の日本航空の経営体質そのものについての勧告をした、かような私どもの考え方でございます。
  223. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういう形で私が端的にお聞きをしておる点の問題のすりかえをやってもらいたくないと思うんですよ。政府が、この文書を見ればはっきりしておるでしょう、臨調の報告、閣議決定文書、総務庁勧告、その文書を見る限り経営の効率化をもっともっとどんどんやりなさいという、ここは繰り返し出てくる、一貫して出てくる。しかし、安全対策強化をしなさいよという言葉は一言も出てこないじゃないですか。こういう状況で今回の事故が起こってきたというこの因果関係についていささかも反省がないんですか。いや、あんなものは何も反省することいささかもないですよというんだったら言ってください。そうしたら、それは今後徹底的に論争しなくちゃならぬわけですね。どうですか。もう一遍聞いておきます。
  224. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私がお答えしておるのは、日本航空の経営体質に問題があるんだと、したがって、そういう観点で監察もし、勧告を申し上げたんだと。当然それは航空会社というのはやはり第二前提が安全の確保なんですから、経営の効率化の勧告を受ければ、勧告に従ってまずやるべき処置はむだを排除するということで、そして同時に必要な部面を充実するんだということ、これが私は経営の効率化であろうと、かように考える。そういうことを考えますと、当然安全を手抜きをしてそれで経営の効率化を図るんだなんということは私はあり得べからざることだと。政府の勧告もそういうような点は履き違えないようにやってもらうつもりで勧告しているわけでございますから、そこらはひとつ誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。
  225. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 誤解も何もしてないんです。正式に文書を見て、文書に即してお尋ねをしている。しかし、あなたは安全対策の指導というのは当然やっていますと。しかし、今私が引用した文書を見る限り、その言葉は一言も出てこないというので、あなたは一言も反省がない。そういうことで、今この問題についての関係者国民的合意が得られるものじゃないですよ。今後またやりましょう。  そこで、沖縄開発庁、新大臣に来ていただいていろいろ聞きたいことがあったんですけれども、時間もなくなってきて困ったなと思っておるんですが、昨日同僚委員からも、防衛施設局が八月の五日、この米軍用地使用特別措置法に基づく土地取り上げの裁決を収用委員会に申請をしたこの問題についての質問がありました。  端的にお尋ねをしますが、今までは五年サイクルで、この五年という期限、これのサイクルでこれを繰り返してきたわけですね。これを今回二十年ということにする。二十年、その根拠は何かということで聞いていくと、民法の六百四条ですか、ここにこの二十年というのがありますので、それを参考にしたということです。しかし、これは民法というのは以前からあるわけですね、昔から。民法を使って二十年とやるというのはこれはむちゃだから五年刻みでずっとこの期限の更新をやってきた。それをなぜこの時期に二十年ということでやるのかというここの説明にはちっともならないという点で、これは喜屋武委員もおっしゃったように、事実上半永久的なこの土地の取り上げになる。しかも民法の六百四条という、これは同意を前提でしょう、同意契約でしょう。これを参考にして強制的な土地使用、いわばそれを押しつけると、こういうやり方がこれはもう絶対に許されるものではないということで、あの収用委員会にこの問題が持ち込まれていますけれども、新長官、新しく大臣に就任をされたことだし、一遍過去の経緯についてもひとつよく調べていただいて、これは防衛庁の方には言ってあるんですけれども、参考のために大臣に申しておきます。一九七一年の十一月十三日、衆議院の沖特委、ここで当時の西村直己防衛庁長官も五年が最大限だということをきちっと答弁をされておる、会議録もあります。それから、その直後一九七一年十二月四日、衆議院の同じ沖特委で高辻法制局長官が、五年というのも長いといえば確かに長い、できる限り五年ということに画一的にしない、短くできるものだったらもっと短くする、ここまで言ってたのが、二十年でしょう。ということでひとつ過去の経緯にもさかのぼってよく必要な調査をして、強権的に県民の土地を使用する、こういうことを何としても避けるための最大限の努力をひとつ大臣としてやっていただきたいということを特に質問をしておきます。
  226. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 裁決申請に対する意見につきましては、所管外でございますので差し控えさしていただきたいと思いますけれども、今委員の御意見につきましては十分今後勉強してまいりたいと考えております。
  227. 井上計

    ○井上計君 皆さん政府委員の方もお疲れだし、委員の皆さんも大変お疲れのようですので、質問時間を私十分間提供しますから休憩をしてください。いかがですか。
  228. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 暫時休憩いたします。    午後三時四十一分休憩      ――――◇―――――    午後三時四十八分開会
  229. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) それでは休憩前に引き続き質疑を続行いたします。
  230. 井上計

    ○井上計君 総務長官お急ぎのようでありますから総務長官に対する質問を前に行います。沖縄開発庁長官ちょっと後に質問を送りますので御了承ください。  老人問題についていささか私の考えることを申し上げまして、いろいろとお尋ねをいたしたいとこう思います。  老齢化社会が急速に進んできたことは、もう現実の問題として我々は受けとめておるわけでありますが、先般政府が発表されました資料によりますと六十五歳以上が千二百四十万人、総人口に占める割合が一〇・二%ということであります。さらにこれが、今後の推移予測としては十年後は一三%程度になるであろう、さらに二十年後は一七、八%程度になるであろう、このように予測をされておるわけであります。過去の伸び率を見ますと、昭和二十五年が総人口の五%、十五年前の四十五年が七・一%でありますから、この十年来の老齢化の伸び率というのはまことに著しいものがあるということを改めて実は痛感をいたします。  平均寿命も当然でありますが非常に伸びておりまして、女子が約八十歳、男子が七十五歳程度ということになっております。大変結構なことではあります。もちろんこのように非常に平均寿命が長くなったということの理由は、老人福祉法が、あるいは老人保健法あるいは健康保険法等とが有効に機能し、さらに医学や医療技術が進歩し、あるいはまた政府地方自治体それぞれ関係するいろんな諸団体の努力の成果等大変大きに評価をしておるわけでありますけれども、そこで私は、まず冒頭これは内閣にお聞きしたいのでありますが、政府は長寿社会対策関係閣僚会議を先般設立をされたと、こう聞いておりますけれども、その目的は何であるのか、またどのような検討をしておられるのか、これらについてまず内閣の方から先にお聞かせをいただきたいと、こう思います。
  231. 本多秀司

    説明員(本多秀司君) お答えいたします。  長寿社会対策関係閣僚会議は、我が国における人口の急速な高齢化に対応するための施策に関しまして関係行政機関相互の緊密な連絡を確保いたしまして、そしてその総合的な推進を図るということを目的といたしましてことしの七月二十三日に設置されたものでございます。八月十五日には第一回目の関係閣僚会議が開催されまして、その閣僚会議におきまして高齢者対策につきましては、現在関係省庁においてそれぞれ取り組んでいるところでございますけれども、人生八十年時代に対応するためには、長い人生全般を対象といたしまして新しい観点から政府全体として総合的な施策を積極的に推進する必要があると、こういう認識のもとに次の三点について関係閣僚会議において決定したところでございます。  一つは、長寿社会対策をより一層総合的かつ効果的に推進するために長寿社会対策大綱を策定すること。  二つ目は、大綱の原案は幹事会において作成することといたしまして、閣僚会議の議を経まして昭和六十一年六月を目途に大綱の閣議決定を行うこと。  三つ目は、関係閣僚会議において大綱の実施状況を適宜フォローアップすること。以上の三点について決定したところでございます。  今後この閣僚会議の決定に基づきまして大綱案の取りまとめ作業を進めまして、来年の六月を目途に大綱の閣議決定を行うこととしたいと、このように考えているところでございます。
  232. 井上計

    ○井上計君 このような問題に取り組みをお始めになったということ大変結構であります。そこでいささか私見を交えまして、総務長官にひとつお願いをし、あるいはまたお尋ねをいたしたいと、こう思います。  私的なことになりますけれども、先日私、名古屋市役所から老人用のバスあるいは地下鉄の無料パスを実はもらいました。最初手にしたときに、一体何だかちょっと見当つかなかったわけでありますが、老人用だと聞いて、なぜ私がもらうんだといって実はうちの者に聞きましたら、六十五歳だから老人だと、こう言われて実は大変なショックを受けたわけであります。私は全く老人だと今まで思ったことがありません。しかし、老人だと言われると、なるほど老人になったのかなという、こういう感じがいたします。これは老人だと思うと、これはもうこれからしけ込むと大変だなと、こんな感じを実は受けたわけであります。私と同じように、老人だと言われると老人でもないのに実は老人みたいになるような人が、人間、感情の動物ですから相当あるんではないかなと、こんな感じがするわけです。そこで私は六十五歳というのを、まあ定義とは言いませんけれども、老人福祉法等から見てもやはり六十五歳以上云々と書いてあれば、一般的には老人とは六十五歳以上であると、こういうふうなことにもう社会通念になっているわけですね、現在。だから、六十五歳を老人とすることが先ほども申し上げました御承知のようにこの人生八十年時代に果たしていいのかどうかなと、こんな感じが多分にするわけであります。千二百四十万人という六十五歳以上の人人の中で働いている人が二百九十万人いると、こういう統計が出ております。ということは、四・二人に一人が働いているわけでありますが、もしその六十五歳以上の人たちが働けるような職場環境が整備をされると、私はもっともっと働く人が多い。働きたい人はもういっぱいいるわけですね。ところが、六十五歳以上は老人だというふうな、いわばそういうふうな社会常識といいましょうか、社会通念をつくっておるところに、六十五蔵以上の働きたい健康な人の職場を閉ざしておるといいますか、狭めておるというふうなことも事実もたくさんあるんではないかなと、こんな感じもするわけであります。  きょうは委員若干欠席が多いわけでありますが、当委員会の委員の年齢をちょっと調べてみまして実はびっくりしたんでありますけれども、委員長以下三十人の委員中で七十歳以上の方が六人おられるんです。六十五歳以上の方が、私を含めてでありますが、五人でありますから、三十名中十一人はいわば老人なんです。総務長官も年齢からいうと、失礼でありますが、老人の部類に入るわけですけれども、委員長初め一委員長はどうでしたかな、恐らくこの委員の中でも六十五歳以上の人、七十歳以上の人も自分が老人だと思っておられる人、だれもないと思うんですね。長官はどうお感じか知りませんけれども、恐らく老人だと思っておられんと思うんですよ。それらを考えるときに、私は老人福祉法の第十一条の都道府県知事並びに市長及び町村長が、六十五歳以上の者について、福祉云々ということがありますが、これらを含めて、先ほど内閣の方からお答えいただきましたけれども、設置された長寿社会対策関係閣僚会議において、来年の六月を目途に大綱をおつくりになるそうでありますけれども、そういう中にいわばそういうふうな考え方を多分に入れていただく必要があるんではないだろうか。こういうことをきょうまず冒頭に提案をして、総務長官、ひとつ御所見を承りたいとこう思うんですが、どうでしょうか。
  233. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 確かに現在、いろんな施策を各省ばらばらに老人対策といいますか、高齢者対策を進めているわけですね。その中で五十五歳以上というのもあれば、六十歳以上もあるし、六十五歳以上もあるし、七十歳以上もある、それぞればらばらになっているわけですね。しかも、人生八十年時代ということになってきたわけだし、しかもこれは急速に進んでおるということですから、やはり年齢をどのように考えていけばいいのか。今おっしゃるように、確かに六十歳と決める、あるいは六十五歳と決めますと、それから以上の年齢の方で働く能力、意欲のある人が、かえって職場が狭くなるといったようなこともございますから、大変有益な御提言だと思います。そういうことで老人対策の大綱を決めたいということでございますから、これからの論議の中でこの年齢問題についても、私はやはり対象年齢の検討を十分問題意識をもってやっていかなければいけないのではないかと、かように思いまするので、御趣旨の点は十分踏まえながら、政府としても参考にさせていただきたいと、かように考えております。
  234. 井上計

    ○井上計君 参考にするということでありますから、大いに。期待をしております。  そこで、若干この問題、多少駄弁になるかしりませんけれども、私の考えを申し上げたいと思うんですけれども、この現行の老人福祉法が制定されたのが昭和三十八年なんですね。当時、六十五歳以上のいわば老人、この福祉法からいって老人に該当する人は六・一%であったわけですね。だから、先ほど申し上げましたように、現在は、先般の発表でいきますと一〇・二%というふうに非常にもう違ってきているわけです。当時の平均寿命は女子が七十二歳、男子が六十七歳。したがって、現在とも大幅に違っておる。そういうふうな点を考えても、私は、今総務長官はお答えいただきましたけれども、今後のいろいろと検討課題の中でどの程度の年齢を老人の定義というとおかしいですけれども、定義とするのか、あるいは老人対策とは何ぞやというふうなこと等の中にやはり含めて考えていただく必要があるんではなかろうか、こう思います。  それから、もう一つ感じましたこと、現行の老人福祉法等はいわば当時としては当然であったかと思いますけれども、保護的なことがほとんど主体になっておるわけですね。ところが、老後の幸せは何であるかということ、いろいろ言われておりますが、いろんな考え方があると思いますけれども、私はやはり、老後の幸せというのは絶対条件として三Kが必要だと言う方があるんですね。三Kとは何か、すなわち健康であること、家庭的に恵まれておること、経済的な安定があること、この三Kが老後の幸せに絶対必要だ、必要条件だ、こう言われておりますが、さらにそれに加えて私はもう一つ気力、やはり老人と思わないで、社会に役立つようなひとつ人生を送りたい、人間でありたいという気力がそれに加わる、すなわち四Kが必要だという考え方で、今後の長寿対策といいますか、あるいは老齢化対策といいますか、老人対策といいますか、そのようなものをやはりこの際見直していかなくてはいかぬ、こう考えます。それは同時にいろんな広範囲にわたるわけでありますけれども、やはり国の財政上の問題から考えても、いたずらに老人がふえることがいいことだというふうな考え方で、福祉という面ばかりが強調されていくと五年後、十年後、いわば財政的に大変な問題が起きることはもうこれは火を見るより明らかであるというふうに考えます。  年金の問題一つとってみましても、先般の年金法の改正によって、一カ月十七万円程度の年金を受給するためには、今後四十年間加入になりましたね、四十年間加入をして、しかも六十五蔵に受給資格をずらしても、今後サラリーマンの月収の二三・九%を厚生年金保険料として徴収しなくちゃいかぬという数字はもうあらわれているわけですね。現在は現行一〇・六%でありますからもう倍以上になる。そうすると年金の保険料だけでも二三・九%、約二四%というと、所得税あるいは健康保険料等々の公的負担を入れると六〇%を超えて七〇%程度になる可能性があるわけですね。現在のスウェーデン並みになる、こう思います。それこそ老人福祉どころか北欧三国、言われておりますようにもう勤労意欲が全くなくなる、老人の自殺がふえるというふうなことになるおそれがある。こんなふうに考えますと、今直ちにこういう問題、何も一年や二年で解決する問題ではありません。また一年や二年で結論出すべき問題でもありませんけれども、やはり五年、十年、長期にわたってのこのようなやはり計画をひとつ真剣に検討する必要がある、こう考えます。いわば先取り政策として非常に大事な政策である、このように考えたものでありますから、きょうあえて提言をし、また総務長官のひとつお考えを承りたい、こう考えて申し上げたわけでありますので、これについてのひとつ御所見を承りましてこの問題を終わります。
  235. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 極めて適切な御指摘であったと考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、やはりこれだけ長生きするという時代になれば、対象年齢等についても問題意識を持って検討しなければなりません。殊に、ともかく昔であれば人生五十年というときには、四十二歳になればもう隠居するとかあったわけですから、こんなにしかし長生きができるようになりますと、うっかりすると負担問題等をめぐってやはり世代間の争いとでもいいますか、そういうことすら考えられますね。あるいはまた卑近な話ですけれども、子供さんが多いときであれば、子供日当ての商売の方が繁盛するでしょうけれども、これだけ老人が多くなってくれば、老人を対象にしたいわば何といいますか、健康産業とでもいいますか、そういったものへの切りかえも要るかもしれません。いずれにいたしましても、今度高齢化対策問題を政府が取り上げましたのは、やはり社会システム全体に関係をする大変重要な政治課題だということで、しかもこれは長期にわたって、日本の将来に関係する問題ですから、ひとつ真剣にこの問題を取り上げて、今ばらばらに各省やっていますから、それをもう少し整合性のある総合的な対策基本を決めようじゃないか、こういうことでございますので、御指摘の点等も含めまして重要な参考にさしていただいて、勉強さしていただきたい、かように考えるわけでございます。
  236. 井上計

    ○井上計君 長官、もう一つ。  このようなこと、私も同感でありますよ。大いに期待をいたします。  お年寄りの方と言うと失礼ですけれども、七十過ぎても非常に健康な方が多いですね。私は先日も七十過ぎたある人と話しをしたんですが、実は用事がないんだと、もう毎朝ゲートボールに行く以外に用事がない。若干経済的にもある程度安定しています。うちの中にも用事がないうちの何か商売手伝おうと思っても、実は遠慮して、隠居しているものだから、なかなか恩子に気兼ねをしてうちの商売も手伝えない。だからもっと世の中に役に立つようなことをつくってもらえぬであろうか、そうすれば喜んでいろんなところへ奉仕に行きたい、こういう人があるんですね。私随分そういうふうな方が多いんじゃないかと思うんですよ。ですから、老人だから云々ということではありません、それは六十でも健康でない人もありますし、五十代でも病身の人もありますけれども、七十過ぎても健康な人があるわけですね。だからそういう人たちに対してもっと生きがいのあるような、職場という何も収入を目的としたという意味だけじゃありませんが、そういうような場所をつくることも今後の対策としてぜひひとつお考えをいただきたい。これは広範囲な問題になります。また別の機会にひとついろいろこの問題について私見も申し上げて、いろいろと提案もしたいと思っておりますけれども、当然そうなってまいりますと、三世代同居と言われるような時代、住宅の問題から、あるいはいろんな問題まで広範囲になりますけれども、私はやはり生きがいのある生活が営めるような、そのようなひとつ社会構造といいますか、施策というふうなものが絶対必要である。だから老い込まないようにするためにそういうものをぜひお考えの中に入れていただいて、今後の恒久的なひとつ施策、対策をお考えをいただきたい、再度ひとつ要請をしておきます。  藤本沖縄開発庁長官にお伺いをいたします。  御就任になりましてまだ日が浅いわけでありますけれども、大変精力的にいろいろと御努力いただいていることを伺っておりまして、特に御就任されましてから二回にわたって、非常にまだ短い期間でありますのに沖縄を御視察になったということも開きまして、まことに実は御苦労でございます、敬意を表しておきます。  そこで沖縄を視察をされ、特にまた今月に入って離島も御視察になった、こう聞いておりますけれども、私ども参議院の沖特委員会におきましても御承知のように去る九、十、十一と三日間沖縄、特に石垣島をいろいろと視察をしてまいりました。非常に得るところがあったわけでありますが、そこで大臣は沖縄視察からどのようなことをお感じになっておりますか、今後の沖縄の振興開発等々につきましてどのような認識をされましたか、どういうふうなまた方針、抱負をお持ちであるか、まずそれをお聞きをいたします。
  237. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 沖縄は本土に復帰をいたしまして約十三年を経過しておりますが、その間本土との格差を是正するために昭和四十七年には第一次沖縄振興開発計画、また昭和五十六年には同第二次振興開発計画をつくりまして、これまで約二兆円の国費を投入いたしまして振興開発を推進してまいりました。県民の御努力と各般の施策の実施によりまして学校教育施設、道路、港湾、空港等の公共施設の整備につきましては大きく前進をいたしておりまして、本土との格差は大幅に是正されているように先般参りまして拝見いたしました。総体的に申し上げますと、沖縄の経済社会は着実に発展をしておるものと拝見いたしました。しかし一方ではまだ整備解決を要する問題もあるわけでございます。御承知のように全国一巡最後の国体が六十二年沖縄で開催されるわけでございまして、ことしはその国体を控えましてその問題、また二次振計の後期の展望をこれから考えていかなければならない極めて重要な年であろうかと思っておりますので、与えられた責任を果たすためにこれから全力を挙げて取り組んでまいりたい、かように考えております。  それからまた、今、非上先生から申されました現状についてどう思うかという問題でありますが、現状につきましては幾つかの問題点が確かにあると思います。所得の格差の問題、それから企業立地がおくれておりまして製造業のウエートの低い産業構造であるという問題、また本土に比べまして約倍の失業率が高いという問題、さらには財政依存度の高い経済構造であるということ、また数多くの離島から構成されておりまして、いわゆる離島苦という問題がこれまた大きな問題としてありますし、本島の総面積の約二〇%が米軍施設区域が存在しておるということから、土地利用の問題につきましては極めて制約があると、こういう問題もあると思います。今後のこれらの問題を考えてみますと、今後特に最重点で考えなければならない点は、早急に財政依存型の経済体質を改めまして自立的な経済発展の基盤整備を図っていくということが緊急の課題であろうかと思います。  また今後の方向につきましては、一つは地域特性を生かした亜熱帯農業、それから地場産業の育成、それからリゾートを中心とする観光関連産業、これらを中心として経済の自主的な発展、これを図ることが一つの大きな方向であろうと思いますし、もう一つは離島県でございますので、この離島苦を解消するためにも交通、通信の体系の整備、これを図っていくことも重要であろうと思っております。交通につきましては特に住民の利便、輸送コストの軽減、観光面から考えますと、船経済から航空機経済に移行していくということを早急に考えていかなきゃならぬと思いますし、また通信の面では六十年度で全国唯一の全県指定のテレトピアの指定も受けておりまして、これらの問題が今後離島の持っております教育、それから医療、こういう問題に非常に効果があるのではないかと私は期待をいたしております。
  238. 井上計

    ○井上計君 就任後まだ日が浅いのにもかかわりませずいろいろと調査をされて、また抱負をお持ちいただくことを大変敬意を表します。ぜひ今大臣述べられましたような目的を達成するために、今後とも精力的なひとつ御努力をお願いをいたしたいと思います。  そこで、今お答えの中にもありましたけれども、何といってもやはり沖縄は本土と比べてあらゆる面において格差が多いわけでありますけれども、その格差を是正をしようとしても沖縄のいわば地理的な条件あるいはまたその他の条件等からして、幾ら本土と同じような方法で格差を是正しようとしてもそれは困難だというふうな面があるわけですね、現実的に。それはやはり沖縄の特性を生かしてという今お話もありましたが、沖縄の特性を生かしてぜひそれをやっていかなくちゃいかぬというふうに考えます。現在の所得格差あるいは失業率が高いという、現在でもいわば四十七都道府県中最高の失業率、それから最低の県民所得ということでありますが、六十二年の国体が終わったら、このままでいくともっともっと条件的に悪くなることはもう明らかなわけですから、したがって国体が終わった後さらにもっとよくなるような、これもやはり今年度あたりから真剣に検討していかなくちゃいかぬと、こう思います。あれこれ申し上げると切りがありません。  そこで、私は一、二提案をし、またお伺いしたいと思うんでありますが、やはり沖縄の特性を生かす一つ方法としては、今お話がありましたけれども観光開発、これは有利ないわば条件を持っておるわけであります。しかし、実際にはなかなか観光開発といっても年々若干伸びてはおりますけれども、さらに今後飛躍的に沖縄を発展させるためには、現状ではこれはなかなかそうはまいらぬというふうな問題があろうと、こう思います。  そこで、観光開発を進めさらにまた亜熱帯というふうな特性を生かした農産物等々のやはり振興といいますか、これらをやっていくために提案をいたしたいのは、既に沖特委員会でも前の河本長官にも提言をしておきましたが、現在は沖縄、那覇市で若干行われておる例の観光客相手の戻し税の物品販売ですね、これをもっと拡大をしたらどうであろうか。実際には戻し税といってもそう大して安くなっていないわけですね。これは丸々空港で売っているような免税というわけにいかぬかもしれませんけれども、これを戻し税の範囲をもっと拡大をする、一番いいことは私、提言したことがあるんですけれども、どこかの離島に、宮古なら宮古、石垣なら石垣に一定の地域を限定をして免税ゾーンをつくる。そうすると、そこへみんな観光存が行くというふうなことになりますと一番いいわけですが、これはいろんな問題からして困難であろうと思いますが、まずそれなら現在行われている戻し税の範囲を、那覇だけでなくて石垣だとか宮古だとかというところにもそういうふうな戻し税の商品を販売する店をどんどんふやしていく、ある程度。それから戻し税の率をもっと拡大をしていく、商品を拡大をしていく。このようなことも私は観光客誘致の有力な方法になるんではなかろうかとこう考えて、大分前になりますけれども前長官に提言をして、河本長官も検討いたしますということでありましたが、余りどうも検討されていないようでありますが、ぜひひとつ新長官にこれ御検討をいただきたいと、こう思うんですね。  それからもう一つは、やはりお答えがありましたけれども、離島の交通あるいは通信の整備というこれは絶対緊急の課題であろうと思います。  そこで、長官も離島視察に行かれまして直接見てこられた、あるいは聞いてこられたと思いますけれども、現在問題になっておる石垣の新空港の建設の問題です。私ども、まあ喜屋武委員も同様でありますが、先般参りましたときに促進派とそれから反対派と両派から大変保な歓迎を受けました、長官もそのようであったようでありますが。それから、双方からそれぞれやはり切実ないろんな陳情並びにお訴えを聞きました。それから私は、特に反対派の人たちの要望にこたえまして船へ乗り推して、埋立予定地の白保地区、白保の海を見てまいりました。私と一緒に社会党の委員それから公明党の委員、共産党の委員と私とで四人乗ったわけであります。率直に申し上げて、四人のうち二人は埋め立て、新空港絶対反対の人でありました。私は、沖縄のいろんな状況等を考えて促進すべきであると、こういう考え方で従来行動をしております。一人は中立てあったろうと、こう思います。  その四人が乗りまして、乗った結果、これは、いろいろとどういうふうなお互いが認識を持ったかは今後の問題でありますけれども、私は、実際に反対をしておる地域の人たちの話も聞き、白保地区を船に乗った結果、その印象は、確かに自然保護は大事である、また、地域の人たちの反対する声が全く理解できないわけじゃないけれども、しかし、沖縄の振興開発のためにはある程度は辛抱してもらわぬと仕方がない。むしろ、地域の人たちの反対をしているのは自然保護と。自然保護と言われますと、これはどこでもそうでありますけれども、まあ、あの程度なら辛抱してもいいではないかということが一つ。それから、生活上の問題については、埋め立てによって失ういろんな漁業等の問題がありますけれども、それにかわるべきものを考えてあげる必要があるけれども、しかし、それとて私は絶対的な反対理由ではないなと、こういう感じがいたしました。それからもう一つ反対派の大きな理由としては、現在の空港で事足りるではないかと。そうして、新しい空港をつくるということは将来の軍事基地にするんだと、こういうふうな反対理由がある、これは全くいただけないと、こういうふうに感じました。  そこで私は反対派の代表に、あなたたちは現在の新空港に反対をするのなら、どうすればいいと考えているかと言ったら、今の空港をもっと拡大すればいい。しかし、今の空港を拡大することができないと。じゃ、新しい地域にもし空港予定地をつくったら反対をしますかと言ったら、それは返事はできませんと、こういうことなんですね。だから、自分たちのところには反対だが、まあ、よそなら仕方がなかろうと、こういうふうに実は受け取れるわけですね。じゃ、それもだめだといったらどうするかと言ったら、今の空港のままでいいではないかと。とすると、現在千五百メーターの滑走路でありますから、御承知のようにいわば違反空港である、二千メーターに拡張しなければ違反空港だと、それは知っていますかと言ったら、知っていると。そうすると、今のままの空港だとこれ以上石垣島と東京、大阪等の直行便はできませんよと、そのためには石垣島のいろんな農産物の振興等々はできませんよ、観光客はふえませんよ、それでもいいんですかと言ったら、仕方がないと。個人的な受け答えてありますが、実はそういう答えが来たわけですね。  だから私は、地域の人たちの考えあるいは反対の理由はわからないわけじゃありませんけれども、地域の人たちをできるだけ今後とも説得をしてもらうことによって、やはり大所高所からこの計画を早く進めるように長官にひとつ格段のお骨折りをいただきたいと、こう思いますが、長官のお考えはいかがでありますか。
  239. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) まず、最初の観光の問題でございますけれども、現在一年間で二百万人の観光客が沖縄へ来ておられまして、一人平均十一万円ということでございますから二千二百億円の収入があるわけでございます。一方、沖縄の農業粗生産の価格を調べてみますと一千三百五十億円ということでございますから、沖縄の産業振興の面において観光という問題が非常に大きなウエートを持っておる、こういうことははっきりしておるわけでございます。しかも、第二次振計終了の六十六年には三百万人、年間三千五百億円の収入を見込んでおるわけでございまして、それを達成するための一つの方策としては、今先生言われましたように、沖縄へ観光に行くインセンティブをいろいろな面でつくっていくと、こういうことが大事だと思うわけでございまして、あすこへ行けば物価が安いとか、それから今おっしゃった、物を買って安いとか、その他いろいろインセンティブを考えていくということも非常に大事なことだと思います。貴重な御提言でございますので、私も十分に勉強さしていただきまして、努力いたしたいと思っております。  それから新石垣空港の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたように、沖縄の離島というハンディキャップを克服していくためには、早急にこの航空機経済に転換していかなきゃならぬと。それは八重山地域につきましても当てはまる問題でございまして、先般私が参りました際には、宮古におきましては本土との直行便、それから石垣につきましては新石垣空港の早期整備と、こういう陳情がございました。同時に、八重山地域の特性的な農産物、それから酪農関係、観光問題、これなんかを考えますと、これやはり、今先生御指摘のように、新石垣空港というのは石垣にとりましては将来の発展のために非常に大きな問題だと私も思っております。しかし、一方では反対とか環境問題があるということを承知しておりますけれども、私は、環境と開発という問題は、どちらをとるかという二者択一の問題ではなくて、これは調和、調整でき得る問題だというふうに考えておりますし、今現在開発を進めていく場合に、事前に、それが環境にどういう影響を与えるかという環境アセスメントの手法が非常に進んでおりますから、これを十分に行えば環境問題についての影響もはっきりするわけでございまして、そういう努力をぜひお願いして、大勢の関係者の方のコンセンサスをぜひ早くまとめていただくような努力をお願いしたいと、また、その努力が実を結ぶことを私どもは期待をしておると、こういうことでございます。
  240. 井上計

    ○井上計君 どうかひとつ、格段の御努力をさらに要請をしておきます。  終わります。
  241. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 開発庁長官にお伺いいたします。  十年を区切った第二次振計も峠に差しかかっておるところでありますが、沖縄にとってそういう大事な時期に御就任になられ、しかも、就任早々二度も現地を訪ねてくださった。今さっき井上委員からもございましたが、そのことに対して県民は、非常に長官の意欲的な、そして行動的な御誠意に対して大変重大な関心と期待を寄せておることをまず率直にお伝え申し上げたいと思います。  そこで、第一次振計が目的を十分果たせずして第二次振計に踏み切ったわけでありますが、峠に差しかかった昨今でありますけれども、その終着点に対する非常な不安が、暗い兆しが見えておるわけであります。  例えば人口規模が、百二十万人を意図したのが、現時点で、五十九年で百十七万人。それから、県民所得一人当たり二百万円を目標にしたのが現時点で百五十万三千円ですか、こういった格差からして、到底あと六年では目的は達成しないであろう、こういうことがもう叫ばれておるんですね。目標と現実とのギャップがあるということは、長官、その理由はどこにあるとお考えでしょうか。
  242. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) いろいろな理由があると思いますけれども、特に十三年間約二兆円の国費を投入いたしまして、先ほども申し上げましたように、社会資本の整備中心として進めてきたわけでございますけれども、今日その状況を見ますと、それなりに確かに効果は、本土との格差を是正するという点において効果は上がってきております。しかし、残念ながら一方において社会資本の整備を進めてきたということが沖縄の自立的な経済の発展にどれだけ結びついておるかと、こういうことにつきましてはいろいろな考えがございます。そういうことも、今言われましたような二次振計の計画目標と現実が差があるということの一つの大きな原因であろうかと思うわけでございます。  私どもといたしましては、当面は六十二年の海洋国体を成功させることに全力を上げておりますし、また六十一年度予算の内容につきましても、御承知のように、地域の特性を発揮するための農業のおくれている基盤整備を進めていこうといたしておりますし、また社会資本の整備も進めてまいりますが、ポスト国体という問題をこれから、つまり二次振計後期の問題をこれから真剣に検討をしなければならない、そういう大事な時期に来ておると思っております。今後後期の展望、戦略というものを十分に検討いたしまして、後期の進め方いかんによってこの第二次沖縄振興開発計画というものが成功するか成功しないか、このかぎを握っておるように思っておるわけでございまして、今後努力をいたしていきたい、かように考えております。
  243. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そのギャップを埋めるために精力的にひとつ頑張っていただきたいということを重ねて要望申し上げるわけですが、ところでその頑張りというのは六十一年度予算の、まず当面の予算の面で具体的にあらわれてこなければいけないと、こう思われるわけでありますので、その機算要求から見まして、例えばこの要求額は二千一百二十億円、前年度比一・一%の減になっておりますね。しかも、中身は振興開発事業費それから公共事業費、直接住民の所得につながる公共事業費、いずれも一・七%の減になっておるんですね。ところが、幸いなことに揮発油税と自動車重量税の財源としております道路整備特別会計から四十一億三千八百万円補足されておると。そういうことで〇・九%の増ということになっておりますね。ところが、これも概算要求でありまして、これが現年度予算として定着するにはまだ時間とそこには問題が残されておるわけなんですね。今長官がおっしゃった方向に第二次振を位置づけていくためには、どうしても予算の裏づけを基本線まで定着させなければいけない、こう思うわけなんです。  そこで、現年度予算として定着させるためには、これは大蔵省との問題も出てくるわけでありますね。そういうことで、十分そのことをお含みの上だと思いますが、重ねてお聞きしたいことは、まだ不安定である、そしてやっぱりそこに落ち込みの穴がまだあると。それをどうしても埋めて、アップしてもらわなければいけないと思うんですが、その点に対して長官、どういう御見解を持っておられるでしょうか。
  244. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 昭和六十年度予算につきましては、マイナスシーリングの厳しい環境のもとでございましたけれども、沖縄の持っております特殊な事情、それから本土との格差の是正を図るために、全国の水準に比べますとかなり配慮された内容になっております。六十一年度の予算につきましては、国の財政が一段と厳しい状況でございますけれども、沖縄につきましてまだ多くの問題が残されているということ、それから昭和六十二年開催の国体に関連する予算の確保が極めて重要であるということなどから、沖縄開発庁の予算につきましては特別の配慮が望まれますために、大蔵省を初めといたしまして関係省庁理解をいただくために最大限の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  245. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特にひとつこの予算面の獲得については頑張っていただきたい。落ちこぼれまするとまたそこに欠落をして、積み残さなければいかぬと、こういうことになるわけでありますのでよろしくお願いいたします。  じゃ次にですね、基地並びに戦後処理の問題ですね、その面からお尋ねしたいんです。  まず、箇条的に申し上げますと、一つには米軍施設区域の整理縮小、これは一貫した問題でありますね。二つにせっかく返還された土地の跡地利用の促進、三に基地被害の防止、四につぶれ地と言われる未買収道路用地の取得。このように申し上げますと、他県ではこれは考えられないことでありますので、何のことかおわかりにならない方方や、あるいは委員の方にも十分理解がいっておられぬのではないかと思いながら申し上げるわけですが、四番目にはつぶれ地と言われる未買収道路用地の取得、これは今申し上げました。五番目には位置境界不明地域の明確化。まだ土地の境界も不明確である、これを明らかにする。六に、不発弾の処理。まだ六十年かかると言われておりますね、不発弾の処理が。七、遺骨収集。これも今一生懸命に取り組んでおる最中でありますが、この遺骨収集は何よりも優先しなければいけないものだと思っております。このように本土にない特殊な問題を抱えている。ところが、このような問題をもう四十年も残して、その中からいろいろな後遺症が生まれておるわけでありますが、財政的な裏づけがないとすればこれまたむなしいものであります。長官にこのことでお願いしたいことは、この処理の裏づけの予算に対してどのような御見解を持っておられるかということをお尋ねしたいのでございます。
  246. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 戦後処理の問題でございますが、この問題は極めて多岐にわたっておりまして、沖縄が持つ最も厳しい問題であります。このような問題につきましては、従来より関係省庁協議の上種々の対策を講じてまいりましたが、今後も引き続き対策を進めていくために六十一年度につきましては所要の予算の確保に努めてまいる所存でございます。また、米軍施設区域は御承知のように本島の面積の約二〇%、我が国の安全保障のために県民の皆様方には御理解をいただいておるわけでございますが、同時に一方では土地の利用に大きな障害になっておることも事実でございます。そこで、第二次沖縄振興開発計画の中でも米軍施設区域をできるだけ早期に整理縮小するということといたしておりまして、施設につきましては復帰後今日まで八十七施設が四十七施設、それから総面積につきましては約一一%の返還が実現しておることは御承知だと思います。さらに、返還の跡地利用につきましては、特に沖縄本島の南部地域に集中しておるということもございまして、この跡地をいかに活用するかという、ことは沖縄にとりましては極めて重大な問題でございますので、この活用につきましてはいろいろと本土に比べましてより高率の補助をいたしておりまして、区画整理事業であるとか土地改良事業等を進めているところでございます。それから、つぶれ地の問題につきましては、これまた市町村が一番頭の痛い問題でございまして、助成の対象になるよう主要な道路は格上げをして今解決をしておるわけでございますが、その他の道路につきましても十分に検討いたしまして、また予算の点におきましては多少数字が違っておるかと思いますけれども、六十年度ですか、約百八十億円の予算も道路予算の中でつぶれ地対策予算として確保してまいっておるわけでございまして、今後も十分に沖縄の特殊な事情をよく承知しておりますので、大蔵省中心として関係機関の皆様方の御理解をいただいて対処してまいりたい、かように考えております。
  247. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これもまたひとつ特段の御努力をお願いしたいのですが、特にこの中で申し上げたい一つは、遺骨収集の件では、陸上で埋もれた遺骨のことが今まで一貫して述べられておりますが、私がここで特に長官によってこのことがもし実現するならば、もうこれだけでも長官になられた喜びがあるなと申し上げたいこと、それは何であるかと申しますと、実は遭難学童が乗った対馬丸という沈没船が一最近日本や世界の科学技術の進歩で、戦艦大和の発見やその他いろいろ引き揚げておりますね。ところが、学童の乗った対馬丸が、約八百名ですが、父兄と合わして千五百名の対馬丸が沈んでおりますが、それが悪石島付近で沈んでいるということは言われておりますが、はっきりどこに沈んでおるということはまだ確認されておらないのですよ。ところが、深海技術の進んだ今日の科学でそれがわからぬはずはないと思って、私は質問主意書やいろんな方法でたびたび要望しておりますが、いまだに明確な回答がないのです。だから、どこにその船が沈んでおるということを確実に見きわめてもらおう、そのことをぜひひとつ長官の、これは厚生省との関係が大きいわけでありますが、どうかひとつその点念頭に置かれるよう特に御要望を私は申し上げたい。その遺族は、波上の近くに小桜の塔がありましてそこで毎年八月二十三日慰霊祭がございますが、そのお父さん、お母さんたちは七十から八十のじいさん、ばあさんになって、自分たちの目の黒いうちにぜひ子供のお骨を入れて祭りたい、自分たちの手で祭りたいというのが一生の願いであるのです。ぜひひとつこのことを念頭に置かれて取り上げてもらいたい。  次に、復帰特別措置の延長の問題について申し上げたいと思いますが、沖縄県では三十項目について一応延長するかしないかを検討してその結果三つの項目を抽出しております。なぜ三つに決めたかといいますと、六十一年の十二月三十一日で期限切れになるのがその三つなのです。もう時間がありませんので三項目ということだけ申し上げまして、これは長たらしい項目で、ここに詳しい控えは持っておりますが、開発庁と通産省と大蔵省関係した期限切れの延長の願でありますが、ここで特に窓口であります開発庁としてどのようにこれに対処なさるのであろうか、このことをお尋ねしたいのです。
  248. 小谷宏三

    説明員(小谷宏三君) 喜屋武先生にお答えいたします。  県から参っております要請書、おっしゃるとおり三項目ございまして、簡単に目次だけ読み上げますと、一、青色申告者(または法人)の減価償却に関する経過措置、二、指定業種を営む中小企業者の機械等の割増償却に関する経過措置、三、特定業種を営む商工組合等の構成員たる中小企業者の機械等の割増償却に関する経過措置、この三項目でございます。  そこで、私どもの考え方でございますが、沖縄の復帰に伴いまして我が国本土の諸制度の円滑な実施を図るということを目的といたしまして制定されたものでございまして、沖縄の産業振興、県民生活の安定向上に大きく寄与しているものと考えております。  それで、特別措置、先生おっしゃるとおり三十項目近くございますが、この延長につきましては沖縄県の社会経済状況、県民生活の実態等を県庁ともども検討して対処したいと思っておりますが、ただいま先生御指摘の三項目の延長要請につきましては、地元関係者の意見を引き続き聴取いたしまして、関係省庁とも連絡をとりつつ沖縄県の御要望が実現されるような方向で検討してまいりたいと存じております。
  249. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 よろしくお願いいたしますよ。大蔵、通産省にもお尋ねしたいんですが、窓口は開発庁でありますから、そこからひとつつないでくださるように申し上げておきたい。  それじゃ最後に結びとして申し上げたいんですが、第二次振計は第一次振計が順調でなかった、つまずいた、それを受けて第二次振計も峠に差しかかったわけでありますが、どうも先行きこのままでは暗い。こういう見通しを私冒頭に申し上げたわけですが、そういったところへ長官が御就任になったと。まさにやりがいのある長官だなあ、天の時を得られたんだなあと、そう思って期待をいたしておるわけでありますが、ところが順調に進んでいない。いろんな要件があるわけですが、特に次の三つの点を申し上げておきたい。まず第一点は、県民所得は依然として全国の他府県の最下位であるということですね。びりであるということなんです。県民所得が全国で最下位であるということ。二番目に、企業立地がおくれている。製造業のウエートが低く、労働生産性の低い産業構造であるということ、これが決定的致命傷だと思うんです。第三点が、失業率が高率であるということですね。すなわち五十九年の完全失業率が五・二%、全国平均は二・七%ですね、約二倍。この三つの問題が、私はそれをどう解決するか、これは因果関係があるわけですが、どうぞその点を御認識、再認識いただいて――と申し上げますのは、この第二次振の目標にも県民の自立ということが非常に強調されておるんですね、自立の条件。ところが、このような状態では沖縄経済の自立の条件は極めて厳しいというもう一語に尽きると思うんですね、極めて厳しい。その厳しさをどう克服していくかという中からしか目標達成は順調にいかないわけであります。  そこで、県といたしましてもまた各団体といたしましても、その立場から善処を入れかわり立ちかわり要望するわけでありますが、その県並びに関係団体の要望に対して善処していただかなければいかぬと思うのでありますが、そのことについて最後に長官の御見解を伺いまして終わります。
  250. 藤本孝雄

    国務大臣(藤本孝雄君) 先ほどの遺骨の問題、これはよくお気持ちはわかりますので、所管外のことでございますけれども、十分に厚生省と相談して努力してまいりたいと思います。  それから所得、企業立地がおくれている、それから失業率が高い、この三つの問題でございますが、所得も御承知のように復帰時には全国の水準の約六〇%、それが今七三%のところまで来ておりまして、依然として全国最下位ではございますけれども、もうほとんど差のないところまで上がってきておりますので、今後なおいろいろな意味で努力をいたしまして、この問題は解決していきたいと思っております。  それから、付加価値の高い二次産業、中でも製造業のシェアが少ない。確かに沖縄一つの大きな問題点でございます。しかし、この企業立地を進めていくためには企業誘致をする条件を高めていくと、これが必要でございまして、水の問題であるとか地価の問題であるとか電気の問題であるとか交通の問題であるとか、そういう企業誘致を高めていく、そういう条件整備、これにこれからも力を入れてまいって、そして御意見のように付加価値の高い製造業のシェアを高めていくような努力をしてまいりたいというふうに考えております。  最後の失業率の問題につきましては、全国レベルの約倍でございまして、特に私ども頭の痛いのは若年層の失業率が高い。こういうことでございます。この間、沖縄協会の幹部が私どもの方へ来られまして、中高年の本土に向けての就職者、毎年大体五千人から六千人あるように承りました。早速私の知り合いの企業でも毎年三十人ほど採用しておりますので、頼み込みまして来年はもっと数をふやすと、こういうことも行いました。沖縄協会の人にもお願いしてあるわけでありますが、そういう本土の大口の就職先のリストを私どもの方へ届けていただいて、そういうところへは私どもの方からさらに就職採用者数をふやす、そういうこともお願いをしていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  251. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 他に御発言もないようですから、内閣、総理府本府、行政管理庁、沖縄開発庁及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十月二十二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会      ―――――・―――――     〔参照〕     昭和五十八年度内閣所管一般会計歳入歳出決算概要説明  昭和五十八年度における内閣所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  内閣主管の歳入につきまして、歳入予算額は、一千四百十七万円余でありまして、これを収納済歳入額五千五十三万円余に比較いたしますと、三千六百三十五万円余の増加となっております。  次に、内閣所管の歳出につきまして、歳出予算現額は、百三億九千七百九十四万円余でありまして、これを支出済歳出額百三億七千二十二万円余に比較いたしますと、二千七百七十一万円余の差額を生じますが、これは人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――     昭和五十八年度総理府所管一般会計歳入歳出決算概要説明  昭和五十八年度における総理府所管の一般会計歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  総理府主管の歳入につきまして、歳入予算額は、二百三十億三千三百九万円余でありまして、これを収納済歳入額二百四十五億九千四百二十九万円余に比較いたしますと、十五億六千百十九万円余の増加となっております。  次に、総理府所管の歳出につきまして、歳出予算現額は、五兆八千四百五十八億七千三百六十八万円余でありまして、支出済歳出額は、五兆七千二百九十八億四千九百十五万円余であります。  この支出済歳出額を歳出予算現額に比較いたしますと、一千百六十億二千四百五十三万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は、一千七十四億六千五百十一万円余であり、不用額は、八十五億五千九百四十一万円余であります。  総理府所管の歳出決算のうち、警察庁、行政管理庁、北海道開発庁、防衛庁、経済企画庁、科学技術庁、環境庁、沖縄開発庁及び国土庁については、各担当大臣から御説明申し上げることになっておりますので、これを除く部局、すなわち、総理府本府、公正取引委員会、公害等調整委員会及び宮内庁関係について申し上げますと、歳出予算現額は、一兆八千三百九十六億二千二十九万円余でありまして、これを支出済歳出額一兆七千六百五十八億三千八十八万円余に比較いたしますと、七百三十七億八千九百四十一万円余の差額を生じます。  この差額のうち翌年度繰越額は、七百三十六億三千三百十万円余であり、不用額は、一億五千六百三十万円余であります。  翌年度繰越額は、恩給費でありまして、これは文官等恩給及び旧軍人遺族等恩給の請求の遅延及び履歴等の調査確認に不測の日数を要したため、年度内に支出を終わらなかったものであります。  また、不用額は、人件費等を要することが少なかったため、不用となったものであります。  以上をもちまして、決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――     昭和五十八年度行政管理関係歳出決算     の概要説明  昭和五十八年度における行政管理関係の歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁の歳出予算現額は、二百十三億千五百九十八万余円でありまして、支出済歳出額は二百十二億二千四十九万余円、不用額は九千五百四十九万余円であります。  支出済歳出額の内訳は、人件費八十三億四千六百六十七万余円、事務費等二十六億九千五百六十一万余円、統計調査事務地方公共団体委託費百一億七千八百十九万余円であります。  不用額を生じた主な理由は、退職者が少なかったので、退職手当を要することが少なかったためであります。  以上をもちまして、行政管理関係歳出決算概要説明を終わります。     ―――――――――――――     昭和五十八年度沖縄開発庁歳出決算の概     要説明  昭和五十八年度における沖縄開発庁の歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁の歳出予算現額は、一千二百六十七億九千八十万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は一千二百三十二億九千七百八十五万円余、翌年度へ繰り越した額は三十二億七百十六万円余、不用となった額は二億八千五百七十八万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額二千百六十四億一千六百七十四万円、予算補正追加額二千八百十四万円余、予算補正修正減少額二億四千三百八十六万円余、予算移替増加額一千七百八十一万円余、予算移替減少額九百三十億八千九百三十五万円余、前年度繰越額三十六億五千四十二万円余、予備費使用額一千八十九万円余を増減しまして一千二百六十七億九千八十万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄の振興開発のための財源として、治水特別会計、国有林野事業特別会計、道路整備特別会計、港湾整備特別会計及び空港整備特別会計へ繰り入れた経費一千四十二億五千三百七万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額三十二億七百十六万冊余は、治水特別会計において、計画及び設計に関する諸条件、気象及び用地の関係、補償処理の困難により事業の実施に不測の日数を要したため、同特別会計への繰り入れが年度内に完了しなかったこと等によるものであります。  また、不用となった二億八千五百七十八万円余は、退職手当の必要額が予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして昭和五十八年度沖縄開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     ―――――――――――――     昭和五十八年度沖縄振興開発金融公庫の業務概況 一、沖縄振興開発金融公庫昭和五十八年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業の開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般の金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄の風民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者、中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係の営業者等に対する資金で、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。 二、昭和五十八年度の事業計画は、当初貸付けと