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1985-07-23 第102回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年七月二十三日(火曜日)    午前九時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  七月十七日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     下村  泰君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         丸谷 金保君     理事                 出口 廣光君                 林  ゆう君                 松尾 官平君                目黒今朝次郎君                 服部 信吾君     委 員                 後藤 正夫君                 斎藤栄三郎君                 杉元 恒雄君                 曽根田郁夫君                 仲川 幸男君                 夏目 忠雄君                 福田 宏一君                 星  長治君                 矢野俊比古君                 梶原 敬義君                 菅野 久光君                 本岡 昭次君                 田代富士男君                 佐藤 昭夫君                 井上  計君                 下村  泰君    国務大臣        法 務 大 臣  嶋崎  均君        外務大臣臨時代        理        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 藤波 孝生君        大 蔵 大 臣  竹下  登君        文 部 大 臣  松永  光君        厚 生 大 臣  増岡 博之君        通商産業大臣   村田敬次郎君        運 輸 大 臣  山下 徳夫君        郵 政 大 臣  左藤  恵君        労 働 大 臣  山口 敏夫君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    古屋  亨君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君     ―――――――――――――        会計検査院長   鎌田 英夫君     ―――――――――――――     事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君     説明員        人事院総裁    内海  倫君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁交通局長  太田 壽郎君        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        法務省刑事局長  筧  榮一君        外務省北米局長  栗山 尚一君        外務省国際連合        局外務参事官   村田 光平君        大蔵大臣官房審        議官       尾崎  護君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        大蔵省理財局次        長        足立 和基君        国税庁直税部長  冨尾 一郎君        文部省教育助成        局長       阿部 充夫君        文部省高等教育        局私学部長    國分 正明君        文部省体育局長  古村 澄一君        厚生省保険医療        局長       大池 眞澄君        厚生省保険局長  幸田 正孝君        林野庁長官    田中 恒寿君        通商産業大臣官        房審議官     松尾 邦彦君        自治省税務局長  矢野浩一郎君        会計検査院事務        総局次長     西川 和行君        会計検査院事務        総局第一局長   竹尾  勉君        会計検査院事務        総局第二局長   天野 基巳君        日本国有鉄道総        裁        杉浦 喬也君        日本国有鉄道常        務理事      岡田  宏君    参考人        日本たばこ産業        株式会社代表取        締役社長     長岡  實君        日本電信電話株        式会社代表取締        役社長      真藤  恒君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算昭和五十八年度特別会計歳入歳出決算昭和五十八年度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十八年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書内閣提出) ○昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る七月十七日、喜屋武眞榮君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君が選任されました。
  3. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十八年度決算外二件の審査のため、本日の委員会参考人として日本たばこ産業株式会社代表取締役社長長岡實君及び日本電信電話株式会社代表取締役社長真藤恒君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 昭和五十八年度決算外二件を議題といたします。  まず、昭和五十八年度決算、すなわち一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書につきまして、大蔵大臣から概要説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  6. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書会計検査院検査報告とともに国会に提出し、また、昭和五十八年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額につきましても国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十八年度予算は、昭和五十八年四月四日に成立いたしました。  この予算は、臨時行政調査会による改革方策の着実な実施を図るなど、歳出面においては、経費の徹底した節減合理化によりその規模を厳しく抑制しつつ、限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択を行い、質的な充実に配意するとともに、歳入面においても、税外収入等につき極力見直しを行い、これにより、公債発行額を可能な限り抑制することを基本方針として編成されたものであります。  さらに、補正予算が編成され、昭和五十九年二月二十四日その成立を見ました。  この補正予算では、昭和五十八年の年内減税等に対処するとともに、特例公債の増額を行わず、既定経費節減予備費の減額、税外収入増加、前年度剰余金受け入れにより、義務的経費追加等通常追加財政需要を賄うこととし、災害復旧費追加については、建設公債追加発行によることといたしました。  この補正によりまして、昭和五十八年度一般会計予算は、歳入歳出とも五十兆八千三百九十四億四千百七十四万四千円となりました。  以下、昭和五十八年度決算につきまして、その内容を御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして歳入決算額は五十一兆六千五百二十九億四百五十七万円余、歳出決算額は五十兆六千三百五十三億七百十万円余でありまして、差し引き一兆百七十五億九千七百四十七万円余の剰余を生じました。  この剰余金は、昭和五十九年度へ繰り越しました歳出予算財源等に、充てるものでありまして、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和五十九年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和五十八年度における財政法第六条の純剰余金は二千五百六億二千三百七十三万円余となります。この純剰余金の二分の一を下らない金額は、財政法第六条第一項の規定によりまして、公債または借入金の償還財源に充てることとなるわけであります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額五十兆八千三百九十四億四千百七十四万円余に比べて八千百三十四億六千二百八十三万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額、五千五百四十億五千七百九十八万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十八年度歳入の純増加額は二千五百九十四億四百八十五万円余となるのであります。その内訳は租税及び印紙収入における増加額四千五百六十三億二千七百八十二万円余、専売納付金における増加額百五十九億五千六百六十八万円余、官業益金及び官業収入における増加額八億六千二百五十七万円余、政府資産整理収入における増加額六十一億九百七十二万円余、雑収入における増加額八百三十八億八百十一万円余、公債金における減少額三千三十六億六千七万円余となっております。  一方、歳出につきましては、予算額五十兆八千三百九十四億四千百七十四万円余に、昭和五十七年度からの繰越額五千五百四十億五千七百九十八万円余を加えました歳出予算現額五十一兆三千九百三十四億九千九百七十二万円余に、対しまして、支出済み歳出額は五十兆六千三百五十三億七百十万円余でありまして、その差額七千五百八十一億九千二百六十二万円余のうち、昭和五十九年度に繰り越しました額は六千百九十一億二百五十七万円余となっており、不用となりました額は千三百九十億九千五万円余となっております。  なお、昭和五十六年度決算上の不足に係る国債整理基金からの繰入相当額二兆二千五百二十四億九千二百七十一万円余につきましては、法律規定に従い、同基金に繰り戻しております、  次に、予備費でありますが、昭和五十八年度一般会計における予備費予算額は二千百億円であります。その使用額は千八百四十七億千百七十七万円余でありまして、その使用内容につきましては、別途国会に提出いたしました予備費使用調書等によって御了承願いたいと存じます。  次に、一般会計国庫債務負担行為につきまして申し上げます。  財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は二兆四百十三億二千九百六万円余でありますが、契約等による本年度債務負担額は一兆九千八百十四億六千六十三万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額二兆八千二百十八億七千七百二十二万円余を加え、昭和五十八年度中の支出等による本年度債務消滅額一兆七千八百六十六億五千四百九十八万円余を差し引いた額三兆百六十六億八千二百八十七万円余が翌年度以降への繰越債務額となります。  財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は一千億円でありますが、契約等による本年度債務負担額はありません。また、既往年度からの繰越債務額もありませんので、翌年度以降への繰越債務額はありません。  次に、昭和五十八年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は三十八でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  次に、昭和五十八年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は三十三兆千二百八十四億七千四百六十四万円余でありまして、この資金からの一般会計等歳入への組み入れ額等は三十三兆千八十三億九千百三十七万円余でありますので、差し引き二百億八千三百二十六万円余が昭和五十八年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和五十八年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。  次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十八年度末における国の債権総額は百十一兆三千七百四十四億二千三十万円余でありまして、前年度末現在額百二兆四千四百六十六億七千百六十七万円余に比べて八兆九千二百七十七億四千八百六十二万円余の増加となります。  その内容の詳細につきましては、昭和五十八年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十八年度中における純増加額は三千九百三十八億千八百九十万円余でありますので、これに前年度末現在額三兆四千四百五十八億九千三百六万円余を加えますと、昭和五十八年度末における物品総額は三兆八千三百九十七億千百九十六万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十八年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。  以上が、昭和五十八年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書政府関係機関決算書等概要であります。  なお、昭和五十八年度予算執行につきましては、予算の効率的な使用、経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、百五十七件の不当事項等について指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえたいところであります。  予算執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書並び昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書につきまして大蔵大臣から概要説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  8. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書並び昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書を、会計検査院検査報告とともに第百二回国会報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書概要について御説明いたします。  昭和五十八年度中に増加しました国有財産は、行政財産一兆六千百二十九億四千六百三十八万円余、普通財産一兆七千二百四十四億三千六百四十三万円余、総額三兆三千三百七十三億八千二百八十一万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産四千百六十一億八千四百三十一万円余、普通財産三千九百八十七億六千七百四十三万円余、総額八千百四十九億五千百七十五万円余、でありまして、差し引き二兆五千二百二十四億三千百六万円余の純増加となっております。これを昭和五十七年度末現在額三十七兆七千六百二十三億千二百四十三万円余に加算いたしますと、四十兆二千八百四十七億四千三百五十万円余となり、これが昭和五十八年度末現在における国有財産総額であります。  この総額内訳分類別に申し上げますと、行政財産二十三兆四千六百十七億四千八十二万円余、普通財産十六兆八千二百三十億二百六十七万円余となっております。  なお、行政財産内訳種類別に申し上げますと、公用財産十五兆二千百五十六億千五百八十九万円余、公共用財産四千二百八十億四千百六十万円余、皇室用財産五千四百七十六億二千九十四万円余、企業用財産七兆二千七百四億六千二百三十七万円余となっております。  また、国有財産総額内訳区分別に申し上げますと、土地十兆七千二百四十四億二千五百一万円余、立木竹四兆二千七百四十六億五千八百四十万円余、建物五兆千二百八十三億九千五百七十九万円余、工作物四兆四千三百七億七千百二十一万円余、機械器具八億四千八十九万円余、船舶一兆百五十二億五千六百二万円余、航空機八千九百六十四億八千七百六十二万円余、地上権等十五億千七百八十一万円余、特許権等三十九億二百四十一万円余、政府出資等十三兆八千八十四億八千八百二十八万円余となっております。  次に、国有財産増減内容について、その概要を申し上げます。  まず、昭和五十八年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は三兆三千三百七十三億八千二百八十一万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加しました財産は二兆八千二百九十二億四千六百三十五万円余、第二に、国の内部における異動によって増加しました財産は五千八十一億三千六百四十六万円余であります。  次に、減少額について申し上げますと、その総額は八千百四十九億五千百七十五万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少しました財産は三千三百九十一億三千八百三十一万円余、第二に、国の内部における異動によって減少しました財産は四千七百五十八億千三百四十三万円余であります。  以上が昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書概要であります。  次に、昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書概要について御説明いたします。  昭和五十八年度中に増加しました無償貸付財産総額は千八百八億二千九百七十三万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産総額は千六百九十八億二千百五十八万円余でありまして、差し引き百十億八百十五万円余の純増加となっております。これを昭和五十七年度末現在額六千二百四十一億三百三十一万円余に加算いたしますと六千三百五十一億千百四十六万円余となり、これが昭和五十八年度末現在において無償貸し付けをしている国有財産総額であります。  以上が昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書概要であります。  なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。  何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
  9. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、昭和五十八年度決算中、日本専売公社決算につきまして大蔵大臣から概要説明を聴収いたします。竹下大蔵大臣
  10. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 昭和五十八年度日本専売公社収入支出決算書につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、たばこ事業概況につきまして申し上げます。  昭和五十八年度製造たばこ販売数量は三千百三十三億本余、金額にして二兆七千二百六億八千六百六十万円余であり、予定に比較いたしますと、数量においては十五億本余の減少金額においては百三十六億六千八万円余の増加となっております。  また、葉たばこの購入数量は二十一万六千トン余、金額にして三千四百五億八千百五万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において一万千トン余、金額にして四百三十四億九千二百五十六万円余の減少となっております。  次に、塩事業概況につきまして申し上げます。  昭和五十八年度塩販売数量は、一般用塩百四十六万九千トン余、ソーダ用塩五百八十八万七千トン余、金額にして合計九百三十億七千十万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百十八万五千トン余、金額にして二百二十一億九百二十七万円余の減少となっております。  また、塩の購入数量は、国内塩九十二万トン余、輸入塩六百四十万二千トン余、金額にして合計六百四十二億八千二百三万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百二十四万九千トン余、金額にして二百二十六億八千四百三十一万円余の減少となっております。  次に、決算内容につきまして御説明申し上げます。  まず、収入支出につきまして申し上げます。  昭和五十八年度における収入済み額は二兆八千二百七十一億二千百七十七万円余であり、収入予算額二兆八千二百九十億九千八百四十六万円余に比較いたしますと十九億七千六百六十八万円余の減少となっております。  これに対しまして支出済み額は二兆七千四百五億三千四百八十万円余、翌年度に繰り越した額は百九十二億四千九百九万円余、合計二兆七千五百九十七億八千三百八十九万円余であり、支出予算現額二兆九千二十一億六千七十八万円余に比較いたしますと、差し引き不用額は千四百二十三億七千六百八十八万円余となっております。  次に、損益計算につきまして申し上げます。  総収益二兆八千三百二十九億千七十三万円余から、総損失二兆七千三百九十七億八千四百十八万円余を控除した利益は九百三十一億二千六百五十五万円余であります。この利益につきましては昭和五十九年度財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置等に関する法律第五条の規定により三百億円を臨時国庫納付金として納付し、残額六百三十一億二千六百五十五万円余を日本専売公社法第四十三条の十三の二第一項の規定による利益積立金として整理しております。  最後に、専売納付金につきまして申し上げます。  専売納付金は、小売人等に売り渡した製造たばこにつき小売定価数量を乗じて得た額に納付金率を乗じて得た額から、納付したたばこ消費税の額を控除した額九千九十一億四千七百四十万円余及び日本専売公社法附則第四項の規定により納付する額九百七十四億八千百十三万円余の合計一兆六十六億二千八百五十三万円余であり、予定額九千八百二十七億六千七百十四万円余に比較いたしますと二百三十八億六千百三十九万円余の増加となっております。  以上が、昭和五十八年度日本専売公社決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、昭和五十八年度決算中、日本国有鉄道決算につきまして運輸大臣から概要説明を聴取いたします。山下運輸大臣
  12. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 昭和五十八年度日本国有鉄道決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十八年度における日本国有鉄道運輸成績は、前年度に比し、旅客輸送人キロは約一%の増加となりましたが、貨物輸送トンキロは約一〇%の減少となりました。  運輸収入においては、旅客収入は約二%の増加となりましたが、貨物収入は約一四%の減少となりました。  以下、収入支出内容勘定別に御説明申し上げます。  まず、損益勘定におきましては、収入済み額は四兆五千九百九十七億二千三百一万円余、支出済み額は四兆五千九百八十七億二千七百七十四万円余でありまして、収入支出を上回ること九億九千五百二十七万円余でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では、一兆六千六百三億九千九百十八万円余の純損失となっております。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入予算額四兆七千五十三億三千九十一万円余に対しまして、一千五十六億七百八十九万円余の減少となっております。  他方支出予算現額四兆八千三百億三千百七十二万円余に対しまして、支出済み額は二千三百十三億三百九十八万円余下回っておりますが、そのうち九百二十七億九千三百七十四万円余は翌年度への繰越額であり、残額一千三百八十五億一千二十三万円余は不用額となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆八千五百三十五億八千四百五十六万円余、支出済み額は二兆八千四百七十六億一千二十三万円余であります。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入予算額二兆七千三百八十億二千五百万円に対しまして、一千百五十五億五千九百五十六万円余の増加となっております。  他方支出予算現額三兆一千六百八十七億六百十一万円余に対しまして、支出済み額は三千二百十億九千五百八十八万円余下回っておりますが、そのうち三千百三十七億九千七百五十一万円余は翌年度への繰越額であり、残額七十二億九千八百三十六万円余は不用額となっております。  次に、工事勘定におきましては、収入済み額は九千十五億三千八百九十三万円余、支出済み額は八千八百九十二億四千九百八万円余であります。  この決算額予算額と比較いたしますと、収入予算額七千八百六十五億四千六百十九万円余に対しまして、一千百四十九億九千二百七十三万円余の増加となっております。  他方支出予算現額一兆二千八百六十一億五千七十五万円余に対しまして、支出済み額は三千九百六十九億百六十六万円余下回っておりますが、そのうち三千百三十八億五千三百八十七万円余は翌年度への繰越額であり、残額八百三十億四千七百七十九万円余は不用額となっております。  なお、主要施策別の設備投資額内訳は、輸送設備の維持更新三千七百八十一億五百七十一万円余、経営の体質改善一千二百十四億八百二十五万円余、輸送力整備一千五百八十九億八千八百五十七万円余、新幹線建設一千五百九十億四千六百十四万円余、建設関連利子七百十七億四十万円余、合計八千八百九十二億四千九百八万円余となっております。  また、特定債務整理特別勘定におきましては、収入済み額は三千四百五十六億七千百九十九万円余、支出済み額は三千四百五十六億七千百九十九万円余であります。  最後に、昭和五十八年度予算執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾に存じております。今後は、この種の事例の発生を未然に防止し、予算の効率的運用を図るべく、より一層の努力をいたすよう指導監督してまいる所存であります。  以上をもちまして、昭和五十八年度日本国有鉄道決算に関する説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  13. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、昭和五十八年度決算中、日本電信電話公社の決算につきまして郵政大臣から概要説明を聴収いたします。左藤郵政大臣。
  14. 左藤恵

    国務大臣左藤恵君) 昭和五十八年度日本電信電話公社決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十八年度の事業運営は、引き続き順調に推移し、損益計算上三千八百四十億一千五百六十七万余円の当期利益金を計上するところとなり、昭和五十二年度以降黒字決算を続けているところであります。  なお、この当期利益金のうち二千億円は、昭和五十九年度財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律に基づき、臨時かつ特例的な措置として、国庫に納付されました。  収入支出決算内訳を各勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済み額は、四兆四千九百九十四億四千四百八十九万余円で、予算額に比べ一千七百十億八千五百八十九万余円の増収となりました。一方、支出済み額は、四兆二千九百六十七億一千四百三十七万余円でありまして、支出予算現額四兆三千五百二十六億二千六百二十九万余円に比べ、五百五十九億一千百九十一万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆五千三百六十九億一千四百五十四万余円、支出済み額は、二兆五千三百六十九億一千四百五十四万余円であり、この中には財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律に基づき臨時かつ特例的に昭和五十六年度から昭和五十九年度までに納付する臨時国庫納付金総額四千八百億円のうち昭和五十八年度納付額一千二百億円と昭和五十九年度分の前倒し納付額一千二百億円が含まれております。また、建設勘定におきましては、支出済み額は、一兆六千八百二十一億二千二百六十万余円であり、これにより一般加入電話百三十五万一千余加入の増設を初めとする各種の建設工事が実施されたところであります。  なお、昭和五十八年度予算執行につきまして、会計検査院から職員の不正行為に関する指摘を受けたことは、まことに遺憾に存じます。  今後の事業運営におきましても、この種事例の発生を未然に防止するよう、日本電信電話株式会社に対し引き続き指導監督を行ってまいる所存でございます。  以上をもちまして、昭和五十八年度決算概要についての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  15. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 次に、昭和五十八年度決算検査報告並びに昭和五十八年度国有財産検査報告につきまして会計検査院長から概要説明を聴取いたします。鎌田会計検査院長
  16. 鎌田英夫

    会計検査院長(鎌田英夫君) 昭和五十八年度決算検査報告につきまして、その概要を説明いたします。  会計検査院は、五十九年十月十二日、内閣から昭和五十八年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十八年度決算検査報告とともに、五十九年十二月十日、内閣に回付いたしました。  昭和五十八年度一般会計決算額は、歳入五十一兆六千五百二十九億四百五十七万余円、歳出五十兆六千三百五十三億七百十万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において三兆六千五百十六億二千三百六十四万余円、歳出において三兆三千九百二億四千三百三十九万余円の増加になっており、各特別会計決算額合計額は、歳入百十九兆千九百五億三千九百五十七万余円、歳出百六兆二千七百六十六億三千四十万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において七兆四千五百三十一億六千八百四十七万余円、歳出において八兆三千九百六十九億五千九百四万余円の増加になっております。  また、国税収納金整理資金は、収納済み額三十三兆千二百八十四億七千四百六十四万余円、歳入組み入れ額三十二兆七百九億四千百八十一万余円であります。  政府関係機関昭和五十八年度決算額の総計は、収入二十四兆五千八百四十三億五千四百二十二万余円、支出二十四兆二千五百三十億五千七百四十六万余円でありまして、前年度に比べますと、収入において一兆千五十九億六千七百十九万余円、支出において九千九百四十八億二千九百七十五万余円の増加になっております。  昭和五十八年度歳入歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十四万余冊及び証拠書類六千五百五十六万余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等四万千二百余カ所のうち、その八・四%に当たる三千五百余カ所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い、関係者に対して九百余事項の質問を発しております。  このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を説明いたします。  まず、不当事項について申し上げます。  不当事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計百五十七件であります。  このうち、収入に関するものは、九件、二十一億四千百八十八万余円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが一件、十一億九千六十八万余円、保険料の徴収額に過不足があったものが三件、九億二千三百万余円、職員の不正行為による損害を生じたものが五件、二千八百二十万余円。また、支出に関するものは、百八件、五十三億千四十万余円でありまして、その内訳は、工事に関するものとして、設計が適切でなかったため不経済になったもの、予定価格の積算が適切でなかったため契約額が割高になったものが二件、三千百八十万余円、役務に関するものとして、予定価格の積算または委託費の精算が適切でなかったため支払い額が過大になったもの、契約処置が適切でなかったため不経済になったものが三件、五千四百四十五万余円、保険に関するものとして、傷病手当金や保険給付金の支給が適正でなかったものが四件、二億三千六百七十八万余円、補助金に関するものとして、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが七十四件、四十一億千八百五十六万余円、貸付金に関するものとして、貸し付けの目的を達していなかったもの、貸付額が過大になっていたものなどが二十三件、八億六千四百二十四万余円、職員の不正行為による損害を生じたものが二件、四百五十四万余円であります。  以上の収入支出に関するもののほか、自作農創設特別措置特別会計所属の国有財産について、管理が適切を欠いたため土地が無断で使用されているものなどが一件、五億七千八百六十八万余円、郵便貯金の払戻金、簡易生命保険の貸付金等について、職員の不正行為による損害を生じたものが三十九件、三億五千三百八十三万余円ありまして、これらの合計は、百五十七件、八十三億八千四百八十万余円となっております。これを前年度の百八十一件、六十二億六千七百七十三万余円と比べますと、件数において二十四件の減少金額において二十一億一千七百七万余円の増加となっております。  次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。  五十九年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは四件、また、同法第三十六条の規定により意見を表示いたしましたものは三件であります。  このうち、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは、厚生省の船員保険の失業保険金の支給の適正化に関するもの、農林水産省の漁港整備事業の計画と実施に関するもの、日本国有鉄道の旅行センターにおける乗車券類の発売に関するもの、日本電信電話公社の電話中継所における多重変換装置の設置に関するものであります。  また、会計検査院法第三十六条の規定により意見を表示いたしましたものは、農林水産省の国営かんがい排水事業及びこれに附帯する道県営、団体営事業の施行に関するもの、集団育成事業の実施及び効果に関するもの、日本電信電話公社の電話運用業務の運営に関するものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について説明いたします。  これは、検査の過程におきまして、会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発遣するなどして検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記しましたものは十五件であります。すなわち、総理府の戦車道の舗装工事の設計に関するもの、農林水産省の国内産米麦の買い入れ代金の決済及び自主流通米に係る概算買い入れ代金の返納の事務処理に関するもの、郵政省の郵便物の運送業務における託送船舶に係る船舶請負料の算定に関するもの、建設省の住宅新築資金等貸付事業における貸付目的を達していない期限前償還金の取り扱いに関するもの、日本国有鉄道のマルチプルタイタンパーの軌道強化工事への活用に関するもの、業務委託または役務請負契約に係る労災保険料の算定に関するもの、自動車乗車券類の発売等の委託に関するもの、日本電信電話公社の業務関係資料の運送作業の請負契約における運送方法に関するもの、住宅金融公庫の公庫貸し付けを受けて購入したマンションの第三者賃貸等の防止に関するもの、日本道路公団の高速道路等の通行料金の本社への送金回数に関するもの、遮音壁等の支柱用H形鋼の仕様に関するもの、道路土工工事におけるボックスカルバートの設計に関するもの、阪神高速道路公団のテレビジョン電波受信障害改善施設の維持管理業務における保守費の積算に関するもの、住宅都市整備公団の長期保有に係る道路等の移管予定施設に関するもの、年金福祉事業団の被保険者住宅資金の貸し付けを受けて購入したマンションの第三者賃貸等の防止に関するものであります。  最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  この事項は、事業効果または事業運営等の見地から問題を提起して事態の進展を図るために掲記しているものでありまして、昭和五十八年度決算検査報告には、次の三件を掲げております。すなわち、農林水産省蚕糸砂糖類価格安定事業団の繭糸価格安定制度に関するもの、建設省の多目的ダム等建設事業に関するもの、水資源開発公団の多目的ダム等建設事業に関するものであります。  以上をもって概要の説明を終わります。会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対して、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう、望んでいる次第であります。  次に、昭和五十八年度国有財産検査報告につきまして、その概要を説明いたします。  会計検査院は、五十九年十月十二日、内閣から昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十八年度国有財産検査報告とともに、五十九年十二月十日、内閣に回付いたしました。  五十七年度末の国有財産現在額は、三十七兆七千六百二十三億千二百四十三万余円でありましたが、五十八年度中の増が三兆三千三百七十三億八千二百八十一万余円、同年度中の減が八千百四十九億五千百七十五万余円ありましたので、差し引き五十八年度末の現在額は四十兆二千八百四十七億四千三百五十万余円になり、前年度に比べますと二兆五千二百二十四億三千百六万余円の増加になっております。  また、国有財産の無償貸付状況につきましては、五十七年度末には、六千二百四十一億三百二十一万余円でありましたが、五十八年度中の増が千八百八億二千九百七十三万余円、同年度中の減が千六百九十八億二千百五十八万余円ありましたので、差し引き百十億八百十五万余円の増加を見まして、五十八年度末の無償貸付財産総額は六千三百五十一億千百四十六万余円になっております。  検査の結果、昭和五十八年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十八年度国有財産無償貸付状況計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、昭和五十八年度決算検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項といたしましては、農林水産省の国有財産の管理が適切を欠いているものの一件であり、また、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項といたしましては、総理府の戦車道の舗装工事の設計を適切なものに改善させたものの一件でございます。  以上をもって概要の説明を終わります。
  17. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 以上で昭和五十八年度決算外二件に関する概要説明を終わります。     ―――――――――――――
  18. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) それでは、これより全般的質疑第一回を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  19. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 今の会計検査院報告をもらいますと、合計百五十七件の不当事項があったということで、大体傾向としてはここ二、三年変わってない。しかし、この問題点については、各省別の審査の際に具体的にやりたいと思っております。  ただ、この中で補助金に関する件が七十四件の七〇%を占めているという点で、まあ関心を持ちながら、この補助金に関する問題でひとつ日本大学の法学部大宮校地問題について御質問いたします。  本件問題について文部省に私が資料要求いたしました。四十三年の八月から五十一年三月にかけて買収された合計が、文部省からもらいました、二百六十七筆、実測面積十六万八千百九十七・七五平方メーター、取得価額九億二千七百六十五万二千七百円となっておりますが、この資料どおり、文部省まず冒頭間違いありませんか。
  20. 國分正明

    説明員(國分正明君) 間違いございません。
  21. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 間違いないと。それで、日本大学の財産目録によれば、大宮校地の、これは目録です、実測面積は同じでありますが、取得価額は十六億六千四十二万二百六十円となっておりますが、文部省が提出した資料はこの台帳から移したものと思われますが、その差額、七億三千二百七十六万七千五百六十円の差額があります。しかしこの資料を見ますと、文部省の提出資料では、造成地その他は含まないと、「ただし、取得価額には造成費、附帯費は含まない。」と、こういう言葉を使っておるんですが、これはどういう意図でこういうふうに書いたか、私はちょっと理解に苦しむんですが、何かの逃げ口上をつくるために、文部省はこういう逃げ道をつくったんではないかなと。なかなかやり方が汚いと、そういうふうに感ずるんですが、第一この造成費というのはどういうかかわりがあってここにわざわざこういう関係をやったのか、この辺を含めて今の差額とこのただし書き、その関連を含めて御説明願いたいと、こう思うんです。
  22. 國分正明

    説明員(國分正明君) お答え申し上げます。  お尋ねの資産にかかわります財産目録では、御指摘のとおり、十六億六千万円程度となっておりますが、資料を提出いたしました際に、この土地の取得価額はどのくらいかという御要請でございましたので、お手元にお届けいたしました資料については購入価額を記載したわけでございます。で、購入の価額が九億二千七百六十五万円でございまして、通常、財産目録に取得価額を記載いたします場合には、その後に要しました土地造成費、あるいは土地の取得に要しました不動産鑑定料でございますとか仲介料でございますとか、それらを加算いたしまして財産目録に記載するのが通例でございますので、そのような数字になっておるわけでございます。
  23. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 しかし、なかなか九億で買ったやつが十六億というね、私もまあ小ぢんまりながらサラリーマンらしい土地を持っていますが、あなたが申し上げた造成費とか鑑定料とかそんな、そんなと言っちゃ語弊がありますが、そういう手数料的で七億という金がかかるんでしょうか。  私は現地に行ってまいりました。文部省、よく見なさい。これは荒れ放題、四十三年から現在まで。ことしは何年ですかね、昭和六十年ですね。十七年もほうっておいて、こういうところでどこを造成したんですかね。コンクリートをとことこっとやっただけ、これ。このコンクリートに七億もかかるんですか。せいぜい一千万じゃないですか、これは。私も大宮へ住んでおりましたから、ちょっと今のことについては私は信用できませんな。だからあなたが言ったことを裏づけする具体的資料について御提示願いたいんです。そうしないと、少なくとも私学助成をもらっておる日大が九億で買って帳簿には十六億なんというこのやり方については、遺憾ながらこの前の日大の問題もこれあり、私は了解できない。この辺についていかがですか。
  24. 國分正明

    説明員(國分正明君) 若干内訳的なことを申し上げますと、一部繰り返しになりますが、土地の購入に要しました経費が、先ほど申し上げましたように、九億二千七百六十五万円余りでございまして、また土地の取得に要しました補償費が四千九百六十五万余り、それから不動産鑑定に要しました評価料が二百五十万余り、それから仲介料、いわゆる手数料でございますが千八百九十九万余り、それから土地の造成費、これが多うございまして、六億六千六百五十万余りという数字でございます。なお、購入しました後に道路用地として市に売却いたしました四百八十八万はさらに引きましたので、十六億六千万余りと、こういう数字になっておるわけでございます。
  25. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この土地はですね、何回かボーリングして、まあ我々の調査では三十二回ボーリングをしたけれども、なかなか答えが出てこない、したがって、これは理工学部が三十二回ボーリング調査やった結果、買収不適格の用地という決断を下したと。買収不適格の用地という決断を下しておりながら、九億で買って六億の造成費を使ったとこう言うんですが、これは図面です。これは私も知っておりますからね。いわゆる湿地地帯です。どうにもこうにも使われないから。この青が排水溝ですよ。排水溝つくって水流す。ここのところに池をつくると。こういう自分たちがボーリングやって不適格で、現地へ行ってみてもどうにもならなくなって、こういう排水溝をつくっている。ここに小高い丘に家がありますがね、私も見てきました。この赤。この小高い丘も地盤が悪くて傾いている。地震も何もないですよ。地盤が悪いんですよ。  こんな土地を四十三年に買って十七年間もぶん投げておって、いまだにまだ使い道が決まってない。これは何やってるんですかね。日大というのは国からあんな百億近い助成をもらっておって、こういうふうに皆ぶち込んでおって、それで土地転がしでもやってるんですか、これは。そう見ざるを得ませんね。したがって、私はこの今の問題についてもう一度、もう時間がありませんから、あなたはそういうことを日大側から受けたんでしょうから、私の方では全部この土地を売った人の名前、用地、坪当たり幾ら、これは全部持ってますね、これは十何枚。ですから、造成費に六億を使ったなんていうことは到底私は信用できない。造成したことによって、別の方を造成しているんじゃないですか。政治献金の方を造成したり、大学の総長のポスト争いに造成してみたり、いわゆる人間的造成をやってるんじゃないですか。それじゃ困るから、いわゆるどぶろくに金つけたということになっているんじゃないかという疑惑を私は持っているんです。何といっても私は現地を見ているんですから。  昭和四十三年の六億といえば大した金でしょう。ですから、造成費に六億を使ったというなら、その明細書、事業計画、だれがこの工事を施工したか、この施工工事費もこれは私は持ってますわ。この施工工事費も疑惑があるんですよ。何で特定の土建屋さんだけが出てくるんですか、これは。特定の土建屋、赤線を引いているのは特定土建屋さんです、これ。とっとことっとこ出てくる、皆。この土建屋さんのパイプを通じて造成費が人間の造成に行ったんじゃないですか、これは。どうしても腑に落ちない。だから、そこのところをもう一回あなた方については三十二回のボーリングの資料、それからその造成費六億かかったというなら造成費の計画書、工事やったならだれが工事やったか、どこに六億の金を使ったか、そういうことについて資料をぜひ要求したい。  そして、このピンク色ね、これは不適当だと言っていながらまた後で買い足しているんですよ、これ。追加購入して、また今現在投げているわけですね、これは五十一年です。このピンクは五十一年、買ったの。こっちの大枠は四十三年。日大というのは国民の税金で私学助成をもらって、こっちの方の土地転がしに金使ってるんじゃないですか。そういう疑惑を持ちます。したがって、これらについて文部省で責任を持って資料提示をお願いしたいとこう思うんですが、いかがでしょうか。
  26. 國分正明

    説明員(國分正明君) 御指摘の大宮校地は、日大の法学部が校地基準等に足りませんために、校地の狭隘を解消するために取得したものでございまして、現在、法学部一般教養課程の教育に、一年生だけでございますが使っているわけでございます。ただ、御指摘のように一部地盤が軟弱な部分がございます。また、取得した土地の中に公有地、大宮市の所有の市道、水路等がございまして、それのつけかえ、払い下げについて大宮市に折衝しているようでございますが、今日解決も見ないということで全面的な利用になってないという状況にあるわけでございます。  ただいま御要請がございました点につきましては、日大当局に資料の提供を求め、また説明を聞いてみたいと、かように存じております。
  27. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 会計検査院に要請しますが、日大は日本では一番私学助成をもらっておる大学であります。しかし、大学全体から見ますと、この前のテネシー大学の約二億円の疑惑、これはテネシー大学の問題を私が取り上げて、最終的には大学もこれを認めて、堺という生産学部長を首にした。そういう措置をとったことは通知がありました。しかし、どうもやっぱり私学助成をもらっておる割合にやり方がずさんだと、こういう気がします。したがって、今回のこの問題も含めて会計検査院でもう一回日大の助成について洗い直してほしい、見直してほしい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  28. 鎌田英夫

    会計検査院長(鎌田英夫君) 私立大学いろいろございまして、全部で五百以上あります。私どももそれを検査しているわけでございますけれどもおっしゃるように学校の財産の保有といいますか、財産のバランス上の内容を見ますとおかしい、不思議だなと思うようだ点がある学校があることは事実でございます。ただ、我々が経常費補助金を検査するという段階で、そこまでなかなか突っ込めるかどうかという非常に難しい問題がございますけれども、御指摘の点は重々踏まえまして検査をやっていきたいと思います。ただ、この日大、大きな大学でございますが、今のところ計画的には当年度四年サイクルでやっておりまして、二年前にやっておりまして、ことしは計画がないわけでございますが、なお、私学振興財団並びに文部当局の御説明を聞きながら、状況によりまして検査において経常費補助金とのかかわり合いを確めたい、こういうふうに考えます。
  29. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大蔵大臣、けさも行革の答申があったんですが、私学助成は学校の先生の授業料とかなんとかかんとかという私学助成の基準ありますね。それは私はそれなりに承知します。会計検査院がタッチするのはその範囲だけだと、こうやられると私ちょっと今不満なんですよ。こっちの方で、大学の先生の給料で赤字になって国から助成もらっている、別な同じ法人の大学で、こっちの方ではもう十何年前に土地を買ってずっと値上がりを見てて、こっちは土地転がしやりながら別なポケットに入れている。そういう使い分けをやっているということについては私は非常に不満なんです。ですから、国民の税金を投入するなら、日本大学の事業全体を点検して、土地転がしでもうかったら、やっぱりそっちの学校の方の給料に入れるとかなんとかということも含めて、やっぱり大学助成のあり方ということについてもう一回財政の責任者として、国民の税金を預かるあなたですから、今の大学助成のルールだけでなくて、もう少し全体を見て助成の中身を検討する、そういうふうに範囲を広げないと、今会計検査院一生懸命やっても結局は大学当局、文部省当局にいくと、いわゆる会計検査の範囲内ということで食い逃げされてしまう、こういう危険性があるんです。ですから、大蔵大臣は、すぐはいきませんが、大学助成のあり方について大学全体のやっぱり経営のあり方を見た上で是か非かと、こういうことについてやはりメスを入れてもらいたいなと、こう思うんですが、大臣の考え方いかがでしょう。
  30. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず一つは、学校法人等の収益部門と収益でない部門と、こういう分け方が一つこれは税務上の問題等からはございます。今私も私学助成の基準等薄々は承知しておりますが、目黒さんおっしゃいました概念は私にもわかりますので、いま少し私に勉強の時間を与えていただきたいと思います。
  31. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、お願いします。会計検査院が会計検査をやりやすいようにお願いします。  それから警察庁と法務省お願いしておるわけでありますが、私が今文部省から聞いて、造成費に六億も使うということは到底私は考えられません、現地を見ておる者として。したがって、警察庁なり法務省の皆さんにも、この財産登記に疑惑というか、あるいはごまかし、というか、そういう点があるんではなかろうかなという疑惑を私は持ちます。したがって、警察庁、法務省おのおのこの疑惑について調査方を要請したいと思うんですが、おのおのいかがですか、法務、警察。
  32. 筧榮一

    説明員(筧榮一君) ただいま御指摘の事実につきましては、具体的な事案関係がいまだ明らかでございませんので、その間にどういう犯罪の疑いがあるかどうかという点については、現段階ではちょっとお答えをいたしかねるかと思います。ただ、今後の推移によりまして、何らかの違法行為あるいは犯罪の疑いが生じました場合には、検察当局において適切にこれに措置するものというふうに考えております。
  33. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 警察といたしましても現在の段階ではまだ詳細について把握をいたしておりません。ただいま法務省の方からお答えがありましたように、いろいろと実態の把握ということをやってみまして、その結果刑罰法令に触れるような事実があるかどうか、その辺のところを踏まえて今後適切に対処していきたい、かように考えております。
  34. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 行政一体の原則ですから、文部省の方でも十分に法務、警察が調査しやすいように、データの整備なり事実関係については協力してもらいたいということを文部省に要請しておきます。  じゃ、今度自治省、土地取得はしたんですから、土地取得税とか固定資産税というのは一体何にかかっているか今わかりますか、わかれば教えてもらいたいし、わからなければ、この土地取得税と固定資産税はどの金額をデータにして、基礎にして課税されているかどうか、それをお教え願いたい、こう思うんですが。
  35. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 所得税につきましては国税の方の御所管でございますので、固定資産税関係を所管いたしておりますのでお答えを申し上げたいと存じますが、ただいまのお尋ねでございますが、日本大学のこの種の買収につきましては、もともと地方税、これは課税主体は地方団体、この場合具体的には大宮市ということになろうかと思いますが、個別の各地方団体において課税する問題でございますので、自治省といたしましてこの個別の納税者の課税標準等については、これは先生御案内のように、直接知り得る立場にはございませんし、また地方税法上個々の課税に当たっての調査等によって知り得た事実というものは地方団体側においても公にしないという点がございますので、その点を御了解を賜りたいと存じます。
  36. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 御了解って、そんなこと、国民の税金がむだに使われたかどうかという視点からの問題提起ですから、一般の税務の講習受けているわけじゃありませんから、だから私に教えなくても警察とか法務の方に、いや大宮市としてはこの問題についてはこういう不動産取得税をやっています、こういう固定資産税も納めていますというように、行政内部で連携し合って、私が指摘したいわゆる疑惑に該当するかどうかというぐらいの私は自治省の協力態勢はあってほしいと。そういうふうでないと、国民全体がせっかく納めた税金を、こんなところにむだ遣いされるなんてたまったものじゃないと、そう思うので、そういう意味でのあんた方の協力ということを警察、法務あるいは文部省側と十分連携をとって、私の意図するところは那辺にあるかということはわかっているんですから、そういう配慮については努力してほしいなと、こう思うんですが、いかがですか。
  37. 矢野浩一郎

    説明員矢野浩一郎君) 地方税法上の立場から申し上げますと、ただいま申し上げたとおりでございます。いろいろ捜査上あるいは公務上、そういった問題について調査をする必要があるというケースもあろうかと存じます。この点に関しましては、実は私どもも大宮市当局にいろいろいきさつについては少なくともこれは尋ねてみたところでございます。何分に古いことでございますので関係の台帳等も実はないようでございます。また、学校用地ということで、実際問題としては非課税の扱いになっているというような点がございますので、詳細は知れないわけでございますが、大宮市側にはまたよく連絡をし、また必要な場合には関係省庁ともよく連絡をとってまいりたいと存じます。
  38. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まあ要請しておきます。要請にこたえなければ、私は自分で足を運んで大宮を調べるしかないと思いますがね。あそこに四年住んでいましたから裏も表も知っていますから、大宮へ私行ってきます。  それでは、まあ時間がありませんから、最後に資料の要求をします。  文部省。一つ、大宮校地に対する理工学部の、さっき言ったボーリング調査の結果並びに結果に対する学内の意見、特に、三十二回やっているそうでありますから、三十二回分の分析結果をひとつ資料として提示願いたい。二つ、現在の日大所有全土地のうち未利用、現在使用していない、――この前船橋の問題も私が提示しました。あるいは今岩槻の問題もあるそうです。きょうは時間がありませんから言いません。岩槻は約六千平方メートルとありますけれども、そういうものを含めて、現在日大の所有であって現在使われていない土地の全リスト、地番、地積、契約年月目、契約金額、契約した相手、土地を購入した理由、購入目的、それらについて御提示願いたい。それからもう一つ、五十七年度から六十年度までの財産目録、私は財産目録一部持っていますが、正式に国会財産目録を提示してもらいたい。  以上、三点を資料要求しますが、いかがですか。
  39. 國分正明

    説明員(國分正明君) 日大当局に御要請してできるだけ趣旨に沿うようにいたしたいというふうに考えております。
  40. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その問題については、できれば、次回の決算の質問は九月の十九、二十日ときょう理事会で決まりましたから、九月の五日ころまでに御提示願いたいと、こういうことを要請しておきます。  次に林野庁お願いします。林野庁一つだけ。  六十年度の営林署の統廃合について、現在の考えとしていつごろ具体的におたくの方で詰められますか。そういう実施の問題など含めて、現在の林野庁の考え方を簡単に御提示願いたいと、こう思います。
  41. 田中恒寿

    説明員(田中恒寿君) 営林署の統廃合につきましては、昨年暮れの閣議決定におきまして、昭和六十二年度までに十九カ所を統廃合することを含め、要員の縮減、抜本的な事業運営の合理化等に対応して相当数の統廃合を行うこととし、昭和六十年度においては九カ所を統廃合することとされておるところでございます。  これまで行いました際には、事業規模が小さい営林署、あるいは互いに近距離に所在しておりまして、一体的管理が可能であるものなどで、そういう統廃合を行いましても、その後国有林野の管理、経営に支障がない、管理が確保される、あるいは能率的な事業運営が図られるものについて、これまで総合的な判断のもとに統廃合を行ったところでございます。本年度の統廃合を行うことといたしております九営林署の選定につきましても、これまで十六署の統廃合を行いました経緯、あるいは経験等を踏まえまして、現在慎重に検討いたしておるところでございますが、このスケジュールと申しますか、今後の予定につきましては、統廃合対象営林署をいまだ確定いたしておりませんで、言及する段階にはございませんけれども、地方公共団体等へ説明する手順、あるいは配置がえ対象職員への意向調査等を考えますと、秋口ごろには固めなければならないというふうに考えております。
  42. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 林野庁、御苦労さまでした。秋ごろね、はい、わかりました。  次に国鉄問題です。  中曽根さんが仁杉総裁の首をぶった切って、私も昭和十二年の国鉄職員でありますが、私も初めてであります、ああいうことは、戦前、戦中、戦後を含めて。しかし、それは中曽根さんと山下運輸大臣と事務次官しか知らなかったと、こういうことでありますから、もうそんな過去について私はとやかく言いません。ですから、まあ大したもんだなと、昔の東条英機以上だと、こう思っております。どんなきれいごと言ったって東条英機以上だと、山下将軍でありませんがね。  それで、具体的に聞きます。まあ、運輸省の官僚が国鉄を占領したというのがマスコミの一致したところでありますが、私も国鉄の一兵卒として占領されてしまったわけでありますが、杉浦総裁にお伺いします。あなたは四十九年六月から国鉄部長、そうして鉄監局長、運輸事務次官五十九年七月まで。途中、二、三年抜けておりますが、この経過をずっと計数的に追ってみますと、四十九年の六月の段階では長期債務が五兆五千三百八十一億円、運輸事務次官をおやめになった五十九年には十九兆九千八百三十二億円。三・五倍になっているんですがね。だから私は、いろいろ参考人を呼んでやったんですが、国鉄の赤字けしからぬと言っていたから、最高責任者は大臣でありましょうが、いわゆる実際上運営したのは鉄監局長であり、事務次官であり、鉄道部長というふうな方々が、大体国鉄の運営の主導権を握っておったと、こう私は理解するわけであります。したがって、あなたは在任中に三・五倍の長期債務を国鉄に残したわけでありますが、これに対してどういう自己反省をしていらっしゃるのか。あなたは聞くところによると、中曽根さんの推進する分割民営の推進者だと。分割民営すれば長期債務はなくなるんだと、こういう論者だそうでありますが、この三・五倍の借金を残したあなたの自己批判と、今分割民営すれば三十六兆円なくなるんだと、この発想とどこで接点があるんですかな。この接点が私はわからないんです。ですから、新総裁として過去の評価と今後の接点をどこに置くのかということを、まず新総裁の国会における第一声として目黒議員に聞かしてもらいたいと、こう思うんですが、いかがでしょう。
  43. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 先般国鉄総裁を命ぜられました杉浦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  御質問にお答えいたします。  私は、経歴上先生おっしゃるように長く国鉄再建問題に関係をしてまいりました。まあいろんな問題につきまして解決策を講じてきたことは事実でございます。まあ何遍も再建策を講じましたが、当時の経済情勢あるいは輸送の構造上の問題等非常に激変の時代でございました。再建策と現状との間に乖離が生ずる結果に相なりました。その都度曙光を見ずに終わったということは事実でございます。そうしたことにつきましては、その計画に参画いたしました一員といたしまして私も精いっぱい努力をしたつもりではございますが、その間の結果につきましてはまことに残念でありまして、深く反省をしておるところでございます。  いよいよ再建監理委員会が最後の国鉄改革案といたしまして、近くその意見をおまとめいただくことになっておるわけでございますが、こうした中身につきましては御答申後に詳細にお伺いをしなければわかりませんが、今御連絡をとりながら詰めをやっておる最後の段階でございますが、その段階におきまして申し上げますと、やはり国鉄の徹底した効率化、合理化というようなこと、あるいは国鉄自身の赤字体質の抜本的な改善、こういうようなものにつきまして深くメスを入れられ、さらにまた長期債務、年金問題等につきまして国鉄自身では解決ができないそういう問題につきましても、十分御検討の上メスを入れておられるやに聞いております。こうした御意見を賜りまして、それによりまして具体的な施策を講ずることによりまして、国鉄の改革が可能であるというふうに私は確信を持っておる次第でございます。
  44. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 まあ自信の根拠がさっぱり明らかでないんですがね。  参考までに国鉄占領の先頭軍に立ったと言われる住田元事務次官の経歴を拾ってみたら、この人も四十七年の六月に国鉄部長、あなたの先輩ですな。そして次官をやめたのが五十四年の七月。この人の罪悪は、四十七年国鉄部長当時三兆七千百九十一億、次官をやめたときは十二兆六千八百九十四億、在任中にやはり長期債務を三・四倍にやっていると。三・四倍と三・五倍組が組んで分割民営すれば何とかなるんだなんと言ったって、これどうなるのかね。私はちょっと、ここに瀬谷先輩がおりますが、参議院の運輸委員会で各先生方を全部呼んだわけでありますが、一つだけ新総裁にお伺いします。  あなたの先輩かどうか知りませんが、角本良平という方が参議院の運輸委員会で、総裁というのは、今日の国鉄になってしまったのは運輸大臣も悪いかもしれぬ、あるいは事務次官も運輸省も悪いかもしれぬと。悪いかもしれぬけれども、総裁が巨大な投資で採算が合わないということがわかっておったならば、そのときに総裁はノーと、それは国鉄はできませんということを言えるだけの権限、立場にあったはずだと。それを歴代の総裁が政府に向かって、大蔵省に向かってノーと言わなかったから、今日の莫大な赤字になったんだ。労使問題も確かに一半であろうけれども、労使問題よりも巨大投資だと。そういうことを角本先生なり自民党推薦のサンケイ新聞の山本論説委員、皆議事録ありますから読んでください。そう言っているんですが、あなたが亀井委員会からもらう中身とそれから国鉄職員全体を考えた場合で、まあ一致すればいいわね、ところがどうしても一致しないという場合には、この角本さんの言うとおり政府に向かってもやはりノーの場合はノーと、意見言う場合は半分なら半分わかったと、そう言うだけの勇気があなたに国鉄総裁として、全職員を抱えておる総裁としてそういうことが言い得るかどうか、角本さんの言うとおり。そういうことはいかがでしょうか。
  45. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 国鉄が長い歴史を持っていることはもう先生御承知のとおりでございまして、長く国民の足といたしまして、いわば公共性の高い交通機関として重要な役割を果たしてまいりました。そうした公共性という観点から、いろいろな立場でいろいろな御要請があり、それにお答えをしてきた歴史がございますし、最近までそうした事態が行われたことも事実でございます。しかし、現在の国鉄は昔のような公共性一点張りでこれを貫くことができない非常に弱い体質になっておるわけでございまして、そうした面ではむしろ企業性に観点を置き、抜本的な経営形態を含めまして改革が必要であるというふうに考えておるところでございます。  したがいまして、今後のあり方といたしましては、御指摘のように国鉄がなすべきことあるいはできること、それから国鉄ができないこと、この両方のけじめを明確にやっぱりつけていく必要があるというふうに思うわけでございまして、こうした過去のいきさつもございますが、その点につきまして明快な区分をしながらでき得ることはやると、できないことはしたいと。また、あるいは今後の改革案につきまして政府、国鉄の緊密な連携が必要なものもたくさんございます。そうした場合におきましては十分に連携をとって改革案を実施すると、このような明快な態度で進んでまいりたいというふうに考えております。
  46. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 その明快な態度について、監理委員会は第二次提言の際に実行責任者である国鉄に対して再建――あなたが今言った公共性、企業性の問題も含めて、当事者である国鉄は何を考えているかということを十分に内部討議をしながらまとめなさいといって長い時間かかって、私も再三ここで三回ほど決算でも聞いたし運輸委員会でも聞きました。少し時間をかしてくれということで時間をかけて、そして一月十日の私は国鉄の態度というものを出したものだと、こう理解しております。したがって、その理解に従って六月二十日、ここに出ております輸送関係、旅客関係、貨物関係、人事労働関係、財務関係、組織、その他、こういう実務面も国鉄としては、総裁としてはこうだと。これは私の質問に対して前の総裁は、本社の常務理事はもちろんのこと、副総裁をセンターにして研究をしたと。全国の管理局長の意見も十分聞いたと。賛成、反対はありましたと。ありましたけれども、やはり討議の結果、地方の管理局長も含めて満場一致で決めたのが一月十日の案でありますということをこの国会ではっきりと明言されました。そしてあなたが今度はかわってやるわけでありますが、全管理局長、全常務理事、総裁、副総裁全体が満場一致で決めたこの一月十日の案について、あなたは基本的にどういう考えをお持ちなんですか。否定するんですか、パアにするんですか、守るんですか、一部守るんですか、そこのけじめを、あなたはけじめをつけると言ったんですから、全管理局長が、現場の第一線の管理局長がオーケーと言った一月十日の案について、どういうふうに新総裁としてはお考えなんですか。
  47. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 御指摘の一月十日の基本方策につきましては、国鉄再建のための自助努力の及ぶ範囲内につきまして、その限界まできわめる、各部門の効率化を徹底するというようなことを内容とし、あわせまして今後の経営形態については民営化を進めるべきである、こういうような内容であるというふうに承知をいたしております。  そこで今後の考え方といたしましては、この中に盛られております、当面全国一本で行うといういわば経営形態論の一部の問題につきましては、私はより厳しい姿勢で対応していかなければならぬというふうに考えておるところでございますが、前半の申し上げました自助努力の及ぶ範囲の限界をきわめる内容、あるいは職場規律の改善等等、十分に今後も我々参考にすべき価値のあるものがなおあるというふうに考えておるわけでございまして、国鉄側自身でできることは、こうした基本方策の一部の問題につきまして、今後も徹底して行いたいというふうに考えておるところでございます。
  48. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 きょうは時間がありませんから、あなたが今言った問題で一月十日と六月二十日のこの問題、両方をチェックして、この点は新総裁はやります、この点は遺憾ながら同意できません、そういうふうにきちっと整理をして目黒委員に出してもらいたい。七月二十六日答申、それから八月の二日、運輸委員会でやると、そういう準備をしていますから。時間のロス上、あなたの今言ったことを具体的に、この項目はこう、この項目はこうということを整理して提示願いたい。時間がありませんからそういうふうに要求しますが、いかがですか。
  49. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 整理をいたしまして御提出いたします。
  50. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それからもう一つは、俗称三本柱、動労提言ということで、職域の開拓を含めて、今多くの職員が出向したり、あるいは弘済会とか交通会社と競合しながら職域の拡大なり、まあ三千五百名、約四千名近く行っていらっしゃるということを聞いておりますし、その半分程度は動労の組合員が行っている、こういう現状であります。  それであなたにお伺いしますが、前の総裁は、残って仕事をしておる方も出向して働いておる方も、国鉄職員としての取り扱い、賃金上の取り扱い、一切合財、職員として退職金も含めて、いわゆる一切の差別をしない、国鉄職員としては同等だと、こういうような発言を繰り返しここで述べておるんですが、この問題についてはいかがですか。
  51. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 余剰人員対策の一環としましての現在の三本柱につきましては、今後も大変有効な施策といたしまして、組合員の皆さん方にも御協力をいただきながら実行してまいる所存でございますが、今先生がおっしゃいました、派遣の職員と残された職員との間のいろんな意味での不公平、こういうことがあることはない、あってはならないというふうに考えまして、私は皆様方に安心をしてくださいというふうに申し上げているところでございます。
  52. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ、それは差別をしない、職員としては同格であるということを確認します。  それからもう一つは、派遣した職員はやはり一定の期間派遣すればもとの職場に戻ってまた派遣と、こういうことで、いわゆる管理局長が全部派遣する際に受け入れますと、派遣の一定の期間が終わったら受け入れますということを管理局長が出しております。この件について私は、当時の運輸大臣あるいは労働大臣にもお願いしたわけでありますが、そういう俗に言う往復切符、この問題については保証すると。この点についてもいかがですか。
  53. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 派遣をするときにおきましては通達によりまして、帰ってくる場合におきまして派遣前の所属、職名に復帰させるということを前提といたしまして派遣をお願いをしておるところでございます。そうしたことの不安を持つことはないというふうに思う次第でございます。
  54. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると労働大臣、この労働者の労働債権ですね、今言ったこの問題については、これは前の総裁では確認してあるんですな。新たな総裁ですから、この派遣者の労働権といいますか、労働債権といいますか、これは法律的に保障されるわけですな、今の総裁の答弁で。
  55. 山口敏夫

    国務大臣(山口敏夫君) 総裁からも御答弁がございますように、再建委員会の答申の後、政府は一体となって国鉄の余剰人員対策に対して取り組む、こういうことでございますので、法的な立法化等の問題も含めまして、どういう経過また内容が国鉄の職員の方々、また国民の再建に対する大きな期待等から、適切であるかということを十分協議して進めたいと、かように考えております。
  56. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで総裁、この三本柱の延長線上にいわゆる十一月の雇用安定協定の関係があるんですがね。私はこの問題については国鉄総体が判断するのか、各組合別に判断するのか、いろいろあろうと思うんですが、お互いに労働協約を結んでいるわけでありますから、労働協約当事者の中では、私は動労の場合には動労提言などをやりながら一定のクリアをしてきたわけでありますから、雇用安定協定というものについてはきちっと提言する用意がある、こういうふうになると思うんですが、延長線上の雇用安定協定については新総裁は前の総裁と同じかどうか、見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
  57. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 雇用安定協約につきましては昨年来、各組合との交渉の場におきまして調整策の早急な整備あるいは有効な活用が図られることを前提としまして、当面各組合と結んでおります雇用安定協約は存続することとしたいということを、当局から考え方を述べてきたところでございまして、今後もこの考え方に変わりはございません。
  58. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それからもう一つ。私はこの前、大会で旭川に行ってきました。旭川から東京と静岡に七十五名の職員が、いすずその他に派遣になっています。この奥さん方と会いまして、二つ言われました。  一つは、総裁がどんなに国会で答弁しても、あるいは労働協約で労働組合の委員長と結んでも、中曽根さんのツルの一声で当事者がパアになっちゃう。だから杉浦総裁とか山下大臣どんなに国会できれいごとを言っておっても、うちのお父ちゃんもう東京とか静岡に行ったきり帰ってこないんでないか、というよりも帰されないんじゃないか、中曽根さんのツルの一声で、そういう戦前以上の恐怖感を持っていますよ、恐怖感。こんなことは私はあってはならないと思うんですがね。これは亀井委員長もこの前、参議院の参考人で、少なくとも国会で約束したことは公人として、大臣がかわろうと、総裁がかわろうと、個々の職員に対しては公人として守ってやる義務があるということを亀井さんが言っておったですがね。この考え方は今、杉浦総裁はああ言っておるけれども、あなたがまたちょこっとつまずくとポンとこうやられるかもしれぬからね、そういうことがないことを期待しますが、現にあったんですから。そういう際には絶対に職員については、国会を通じて、労働組合を通じてやったことについては守り抜く、守る義務があるということを天下に公約すべきだと思うのですが、これは総裁よりも山下運輸大臣が監督官庁の大臣ですから、そういう異変があっても国会で約束したこと、労働組合の委員長に判こを押したこと、個々の職員に約束したこと、それはきちっと答申を目の前にしても守り抜く、職を賭しても守り抜く、こういう決意を全職員に明らかにすべきだと思うんですが、山下大臣いかがですか。
  59. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 派遣職員の職場復帰等につきましては、国鉄再建に非常に御協力いただいている。したがって必ず、またもとの地位でもって帰っていただくということは、今、総裁から御答弁があったとおりでございまして、あえて私からつけ加えることはございませんし、またそうなければならないという、私の立場から固く信じておる次第でございます。
  60. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それはそれで職を賭しても守ってくださいね。  それから、もう一つ、参議院の運輸委員会でも民営分割問題は、莫大な国鉄の土地問題に甘い汁を求めておる偉い方々の策謀ではないかということをよく言われております。私も一部そんな気がします。ところが、今回いみじくも月刊「宝石」八月号、これを読ましてもらいました。いろんな雑誌の本とかいっぱいありますが、ここにこんなにあります。週刊誌から何からかにから、山下運輸大臣の顔は出てこないですね、残念ながら。この顔見ても中曽根さんと杉浦さんと仁杉さん、いろんなのありますが、全部総括してこの本をひとつ 私は素材にしたいと思うんですよ。きょうは時間がありませんから、レクチャーのときに申しました。この中で出てくる土地の分布図、平方メートル、坪当たり幾らと、こう出てきます。自民党の国鉄問題小委員会で岩瀬理事と三塚小委員長のやりとりも、うそか本当か知りませんがここに書いてあります。国鉄の現在の財産は七十兆円の土地がある、こう書いてあります。うそか本当か知りません。でありますから、この本が国民の目の前に全部これは公になっているわけでありますから、この国民の前に公になっている東京周辺、大阪周辺、全国のこの問題、それから東京・杉並区の国鉄の土地転がしの実態などなどについて、これはそのとおり、これは誤りだ、誤りであればこれが正しいというふうに全部区画整理をして委員会に出してもらいたい。化け物国鉄の実態がわからない、遺憾ながら。これが化け物だのか、国鉄が持っているのが化け物なのか、どっちが化け物ですかね、これは。化け物の正体を暴くために、この本に基づいて否定された事実関係について資料として分析をして私に出してもらいたい、こう思うんですが、いかがですか。
  61. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 先生からただいま御要求のありました資料につきましては、資料として整えられるものとそうでないものとあると思いますけれども、いずれにいたしましても先生にお伺いをいたしまして、御要求の趣旨に極力沿いまして資料の提出をいたしたいというふうに考えております。
  62. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それは要請します。  最後に、もう時間がありませんから答弁要りません。  能登の事故が発生しました。国鉄としては大変な事故だと思います。しかし、これにかかわるいろんな同じ問題、例えば運転保安面で手抜きされている、あるいは要請があってもなかなか金がなくて直せない、あるいは予防、そういうような問題についても問題がある、こういうふうないろいろなのがありますが、この能登線の事故の問題について、再び繰り返さないために、万全の措置をとってもらいたいということを、乗務員のOBの一人として要請をして、その具体的な対応について、後ほどでいいですから、きょうはもう時間がありませんから、私の方に御説明願いたいということを要望だけしておきます。答えは要りません。  これで私の質問を終わります。
  63. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 まず、人事院総裁に人事院勧告抑制問題について、一問だけお伺いしておきます。  総裁も昭和五十七年の人事院勧告凍結以来、五十八年、五十九年の値切りと三年越しで人事院勧告が完全実施されていないことを異例の事態としてその解消を強く求められていることは私も多とします。  今年も八月の人事院勧告の時期が近づいてきました。ある新聞記事ではもう既に公務員ベアは六%弱であるとか、いろいろ報道されていますが、しかし政府はもう既に昨年残三%を値切って、六十一年度にならないと完全実施はできないという基本方針で人事院勧告に対応しようとしておるわけで、実にけしからぬと思います。  人事院勧告制度がこのように完全に機能しない状態が続く中で、公務員の人事院勧告制度に対する強い不信が今出されています。人事院なんか要らぬではないか、不要ではないか、頼りにならない人事院勧告制度など廃止して、政府と直接公務員賃金を決定する別の方法を要求しようではないかといった声が出てくるわけで、私はこれは当然だと思うんです。  人事院総裁としての決意をお聞かせ願いたいんですが、この段階ではまさに総裁の地位をかけてもことしの勧告は完全実施させねばならないと私は考えますが、総裁の決意をお聞かせ願いたい。
  64. 内海倫

    説明員(内海倫君) 五十七年に凍結、要するに見送られまして以来、抑制が続いておりますことにつきましては私どもといたしましても甚だ遺憾に存じておりますし、またそういうことがこれを受ける公務員諸君に非常に大きな影響を与え、またその士気にも非常に影響していることは、私どももこれを認めるにやぶさかでございません。その意味におきまして、私どもは非常な決心を持って今日までも努力をいたしておるわけでございますが、もとより本年の勧告におきましてもそういう面を十分頭に置きながら勧告をいたす所存でございます。  先刻御存じのように、人事院勧告制度というものは公務員における労働基本権の制約に対する代償措置としてこの制度が設けられておるものでございますから、そういう意味からも人事院が行います勧告というものは単なる数字の提示というふうなものではなくて、代替機能を営んで、代替措置としてこれが我々が勧告をいたしておるわけでございますから、ぜひともこれは国会におかれましても内閣におかれましても最大限の尊重をして、完全実施をしていただかなければならないものと、かように存じております。  今回の今年の勧告におきましても目下鋭意作業をいたしております。非常に膨大なる資料に基づく作業でございますし、精緻なる分析を行っておる最中でございますので、我々としましてもできるならばなるだけ昨年よりも遅くならないような時点で勧告ができますように努力をいたしておりますが、その勧告におきまして、私どもも我々の決意というふうなものも盛り込みまして、勧告をぜひ国会及び内閣において実現していただきますようにお願いを申し上げたいと存じております。どうか大事な時期でございますので、国会におかれましてもぜひ我々を激励していただきまして、これが完全実施されるようにぜひ御支持をいただきたいと、かように思っておる次第でございます。
  65. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 総裁、御苦労さまでございました。御退席いただいて結構です。  それでは文部省に伺います。  本年もまた六十一年度予算の概算要求の時期が近づいてきました。七月十八日の日経に「文教予算、国庫負担を削減」という記事があり、大蔵省が義務教育費国庫負担法を改め、事務職員、栄養職員への人件費国庫負担をやめることを検討しているという記事が出ていまして、私は本当に腹が立ちました。また、別の意味で私は、この記事は間違いだというふうにも確信をしています。なぜなら、百二国会における補助金等に関する臨時特例法の審議の際、衆参両院で松永文部大臣が質問者に対し繰り返しこの問題についての答弁を行ってこられたその中身から、私はこの記事は間違いだと、こう思うんですね。一番最後に文部大臣はこのようにまとめておられます。しばしばお答え申し上げておりますようにという前置きを置いて、義務教育費国庫負担制度の中で国が負担する経費の中核をなすものは教職員等の給与費、いわゆる人件費である、学校というものは直接教壇に立つ教員だけで成り立つものではないのでありまして、事務職員や栄養職員も学校の基幹職員であると、学校の基幹職員であるというふうにここで言い切っておられます。そういう立場から、義務教育費国庫負担制度の中核をなす人件費の関係について、これを国庫負担の対象から外すことは極めて困難である、その中核的な事項についてあくまでこれを守っていくよう最大限の努力をする、このような意味を繰り返して申しておられるんですね、文部大臣が。にもかかわらず、大蔵省がこれを外すというようなことを検討する、一体これ政府というのはどうなっているのだと。大蔵省は文部大臣なんてこれはもう完全に無視してやっているやり方、私はもう言語道断だと、こう思うんですね。文部大臣、私はこれは大蔵大臣に聞きたいんですが、大蔵大臣にはもう聞きたくない、腹立っているから。なめておる、大体。文部大臣、あなたの立場からここまであなたが誠心誠意込めて問題の本質、核心に触れた答弁をしてもなおかつ大蔵省がこういう態度に出てくる、このことについてあなたはやっぱり抗議もしないから、現場では非常に動揺する、こういうものが出たときに。義務教育費国庫負担法の改悪という問題は文部大臣の責任において絶対これはさせない、ここ でひとつ断言してもらいたいと思う。
  66. 松永光

    国務大臣(松永光君) 先般出されました臨教審の第一次答申にも明確に示されておりますように、我が国の義務教育の水準、世界最高の水準であって、かつ日本全国どの地域であっても均等な水準が確保されておる、これは世界に誇るべきすばらしい義務教育の実現がなされておるわけでありまして、そうした教育水準の高さ、しかも財政力の豊かな地方も財政力の貧しい地方も教育水準において均一な水準を保っておるそのもとをなすものは、学校の教職員についてその給与費の二分の一を国が負担するという義務教育費国庫負担制度が、今申したような教育水準の高さと全国的な均一の水準を実現しておる基本的な制度、仕組みが義務教育費国庫負担制度であるというふうに私は確信いたしております。また、財政当局もそういう点は御理解いただいているものと私は思っておるわけでありまして、さようなことでございますので、国の財政事情は極めて厳しゅうございますけれども、義務教育の重要性にかんがみ、しかもその水準の高いという状態を今後とも堅持していきたい、しかも日本全国どこでも均一な水準の義務教育がなされておるという状況を堅持していきたいという考え方に立つならば、学校の職員の給与費について二分の一を国庫が負担するというこの制度は、今後とも堅持していくべきであるというふうに考えておりまして、今後ともそういう考え方で努力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  67. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、努力していきたいで、努力しましたがだめでしたということになるんで、あなたは、やはり先ほど示したようだ義務教育費国庫負担法の持つ法の趣旨そのものからして絶対に事務職員、栄養職員を外すということはできない、もしそれを外すなら一般の教員も外すということも同じような形でこれはやっても何らおかしくないということになるわけで、だから法の趣旨に照らしてこれは認められないと思う、当然文部大臣としてそれだけのことは明言しなければ文部大臣としての資格はないんじゃないですか。
  68. 松永光

    国務大臣(松永光君) 明言したつもりでありますけれども、重ねて申し上げますが、日本の教育制度の中で最も重視すべきは義務教育である、しかもその教育水準を高く維持する必要がある、全国的に均一な水準を確保していく必要がある、それを支えておるのが義務教育費国庫負担制度である。でございますから、私どもはこの制度をあくまでも堅持していくべきであるというふうにかたく信じておるわけであります。  なお、学校の職員の中には直接教壇に立つ先生のほかに、栄養職員あるいは事務職員とあるわけでございまして、この栄養職員や事務職員も学校の基幹的な職員であることには変わりがないわけでありますから、この人たちの給与費に関する分も含めて、今申したとおり義務教育の水準の維持、向上、全国的に均一な条件を確保するということのために極めて重要な制度、仕組みでありますから、それを堅持するために今後ともかたい決意を持って進んでいく覚悟でございます。
  69. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ひとつよろしくお願いします。  それから次に、四十人学級と第五次教職員定数改善計画についてお伺いします。  この計画は昭和五十五年から発足しました。しかし昭和五十七年から五十九年までは行革関連特例法で抑制をされまして計画が大幅におくれました。そして六十年度までの改善増を見ても、全体計画で七万九千、約八万人の教職員を増員するという計画の中での進捗状況は一万人をわずかに上回るという現状であります。この計画はその趣旨からいっても当然この計画期間である昭和六十六年度までに達成すべきものであると思っていますが、この点で間違いございませんか。
  70. 松永光

    国務大臣(松永光君) 四十人学級の実施を含む第五次教職員定数改善十二カ年計画、これは今先生御指摘のとおり昭和六十六年度までに達成するその期間については変更はありません。今後文部省としては各年度における諸般の状況を総合的に判断しながら昭和六十六年度までに円滑に実施できるよう努めてまいる所存でございます。
  71. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは来年の六十一年度実施の問題について伺っておきます。  四十人学級については、児童減少市町村以外の残りの小学校及び中学校について、学年進行方式で実施を検討していると聞いています。小学校及び中学校をどのような方法で四十人学級にしていくのですか。例えば小学校は六十一年四月から必ず四十人学級に全国的に実施して、学年進行で昭和六十六年に一学年から六年生まで全部四十人学級にする、中学校は六十一年から減少市町村をまずスタートさせて六十三年で完成し、六十四年から残りの中学校を六十六年までということで、六十六年には完成するという方法もありましょうし、また当初の計画というものに忠実に従っていくなら、六十三年度に小学校を完成するということであれば、六十一年に一、二年、六十二年に三、四年、六十三年に五年、六年というふうに学年進行を二学年ずつでやって、昭和六十三年に当初計画どおり小学校の四十人学級を完成するという方法もあると思いますが、いずれにしましても六十一年の四月から必ず四十人学級を実施するということをこれは文部大臣の責任においてここで明言をいただきたいと思います。
  72. 阿部充夫

    説明員(阿部充夫君) 昭和六十一年度以降の四十人学級を含みます定数改善計画の進め方についての御質問でございますけれども、もちろん文部省内部におきまして四十人学級等を具体にどう進めていくか、いろいろと試算等を行っておるわけでございますが、いずれにいたしましてもこの具体の予算措置は毎年度予算でそれぞれ決めていくという性格のものでございますので、今後どういう手順で進めるかということを明確に定めておる段階に至っておりません。  なお、来年度の具体の要求につきましても現在作業中でございますので、現段階でのお答えはお許しいただきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、大臣からお答えいたしましたように六十六年度までに完成ということを目指して進めていきたい、かように考えておるところでございます。
  73. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それでは答えになっていないのですよ。六十一年の四月、来年の四月から四十人学級をスタートさせるのかどうかということについて文部省がまだわかっていないというようなことでは、一体六十六年にどうやって完成するのかということも、これもはっきりしないことになるのですよ。今、現場では、あるいはまた地方の教育委員会では、六十一年四月から本当に文部省がやってくれるのだろうかどうだろうか、そのことは教員の新規採用の問題あるいは学校の定数配当の問題等々重要な問題がありまして、このことで文部省が優柔不断な態度をこれからとり続ける限りにおいて、現場の文部省不信、これはますます募ってくるんじゃないか、こう私は思っているんですよ。大体もっと早く実施せにゃいかぬものを、政府の財政上の問題のとおくらせてきたんですから、ここではっきり六十一年の四月からスタートさせるようにという、はっきりとしためどを示すべきだと思うのです。
  74. 阿部充夫

    説明員(阿部充夫君) 六十一年度の概算要求につきましては、八月末までに文部省としての考え方を固めるわけでございますので、現在鋭意検討中という段階にあるということで御理解をいただきたいと思います。
  75. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 鋭意検討中はよろしいけれども、六十一年四月から四十人学級をスタートさせるべく鋭意検討しているのか、そうでないのか、これはどうですか。
  76. 阿部充夫

    説明員(阿部充夫君) 四十人学級問題につきましては着実に前進させなければいけないと思っておりますので、そういうことを念頭に置きながら現在検討しておるところでございます。
  77. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 この問題について文部大臣から一言。
  78. 松永光

    国務大臣(松永光君) 今、局長がお答えしたとおりでございまして、目標達成年次である六十六年度に四十人学級を完全に全部終わるということでやっておるわけでありますけれども、具体的に六十一年度はどの部分をどうするか、六十二年度はどうするかということは、その年その年の予算編成の時点で決まることなんでございまして、先ほど局長が言いましたように、なるべく早期に達成できるようにそれを念頭に置きながら細かい検討作業に入っている、こういうことでございます。
  79. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 どうも文部省の今のような考え方では、これは六十六年の――そこに大蔵大臣おられるから、大蔵省としては非常に強い態度でこれ臨んでくると思うので、きょうはこれ大蔵大臣に聞きたし聞いて要らぬこと言われたら困るし思って、私はどうも……まあこの辺でおいておきます。また別の機会にこの問題譲ります。  それでは次、精神障害者の問題に移ります。  我が国の精神障害者の人権問題について政府の見解を伺います。これについては昨年の宇都宮病院事件を契機といたしまして、同年八月の国連人権小委員会などで国際人権連盟、国際法律委員会、身体障害者インターナショナルなどのNGOから、日本の精神衛生行政は国際人権規約に反するなど厳しい批判を浴びたところであります。ことしもまた八月にスイスのジュネーブで開催される国連人権小委員会で日本問題が俎上に上るわけであります。私も調査団としてジュネーブヘ行く計画を今持っております。そこで、これまでこれらについてどう対応をされてきたのか、また今後どう対応されるのか、まずこれは官房長官、厚生大臣にお伺いしておきたいと思います。
  80. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 宇都宮病院事件を契機といたしまして、今御指摘がございましたように、国際的に日本の障害者に対する対策として非常に批判が出ているということは御指摘のとおりでございます。その中で我が国の精神医療を正しく理解をしてもらうということが非常に大事であるというふうに、政府としては考えておるところでございます。  先般来日をいたしました障害者インターナショナル及び国際法律委員会の訪日調査の際には、厚生省、外務省両省が協力をいたしまして、政府として積極的に対応を行ってきておるところでございます。宇都宮病院事件のようだ事件が再発をしないように、そういう防止に対して積極的に取り組んでいるということを正しく理解してもらうということは何よりも大事なことでございますが、国連の場におけるいろんな御意見等もございますので、我が国の精神衛生行政について、もし御指摘を受けるような、批判を受けるようなことがあれば、やっぱり謙虚に反省をして、そしてその上に立って再発をしないようないろんな対策を講じていく、こういうことが大事であるというふうに考えておるところでございまして、これらの考え方に立って、今後さらにその考え方を前向きに施策として進めていくにはどうすればいいか、政府部内連絡を取り合いながら努力をしてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  81. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) ただいま官房長官からもお話がございましたように、調査団がお見えになりました際にも正しい認識をしていただくように、宇都宮病院事件はまことに遺憾なことであることは当然でございますけれども、まじめに運営をしていただいております精神病院もあるわけでございますので、その点の御認識をいただきたいというふうに思っておるわけでございますけれども、しかし反面、そういう一つの事件にいたしましてもそれが発生したということについては、今後それをどのように対応し、発生しないようにするかということは常に反省をしなければならない問題でございます。また、その二つの調査団の最終的の報告書が届いていないわけでございますので、その提出がなされた段階におきまして内容をよく吟味いたしながら今後の精神医療の改善に対処してまいりたい、参考としてまいりたいというふうに考えております。
  82. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 この昨年の宇都宮病院事件のほとぼりが冷め切らないうちに、今度は千葉県の大多喜町で医療法人社団白百合会大多喜病院において、これまた入院患者に対する暴行致死の疑いと不法入院問題が表面化しております。これについて政府はどう受けとめるのか、これはひとつ国家公安委員長に伺っておきたいと思います。
  83. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) ただいまの点につきましては、警察としましてはこの種の病院においての暴行傷害など刑事責任を追及すべき事案を認知した場合には、従来から厳正にこれに対しまして処理をしておるところでありまして、今後とも同様の方針をもって対処してまいりたいと思っております。
  84. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 外務省に伺います。  我が国は通称国際人権B規約に加入していますが、この規約の選択議定書に加入がないのですが、これに加入する考えをお持ちでしょうか。
  85. 村田光平

    説明員村田光平君) B規約選択議定書につきましては、個人の通報に基づく国際的な検討という制度が、この主権国家の併存します国際社会におきまして、果たして国際的にも普遍性を有する実際的な制度として有効に機能するかどうか、こういう点が必ずしもはっきりしなかったのが従来の経緯だったわけでございますが、現在まで、昨年夏の時点では百七十四件の通報がございまして、本件の運用状況についておおむね問題ないという我々判断に達しておりますので、人権両規約が批准されました際の国会における附帯決議をも十分踏まえまして、今後締結に向けまして前向きに積極的に対応していきたいと考えております。
  86. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 官房長官に先ほど答弁いただいたんですが、いま一度お伺いをいたします。  私は、宇都宮病院事件のようなことが再度起こってはならない、強くこの再発の防止を昨年の本委員会でも何度も求めてきました。前渡部厚生大臣はこれに対して、二度と再びこのような事件が起こらないように最大限の努力をすると、また繰り返し約束をされました。  ところが、今月の十六日、私どもがこの大多喜病院に調査に参りまして、本当にびっくりいたしました。三局長通達が去年出されたのですが、病院は以前とほとんど変わっていない。私も中に入ってみましたが、これから調査すれば宇都宮と同じような問題が出てくるんではないかという感触を持ったのであります。そしてまた、問題なのはそういう病院の実態があっても、入院をしていた人が退院をして訴えなければ事実がわからぬと、入院中は何もわからぬ、こういう仕組みになっているんでありまして、精神病院で今何が起こっているのかさっぱりわからぬというのが言ってみれば実態であるわけなんですね。  こういう状態を、官房長官も積極的な態度で答弁をしていただいておりますが、厚生省任せでなく、やはり政府として精神衛生行政のあり方を根本的に再検討していただかなければならぬのじゃないかと思うんです。きのうの新聞ですか、厚生省がアル中患者を調べたら、病院に入っているのは二万人だけれども潜在患者は二百万とか三百万とかいうことなんですね。アル中患者の行き先は精神病院なんですよ。これを一体考えていったときに、僕は大変な問題があると思うんですね。だから、そういう意味で厚生省任せでなく政府として精神衛生行政ですよ、これをどうするかということをやっぱり根本的に考えていただかなければならぬのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  87. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 御指摘のように、非常に陰にこもると申しますか、表面に出ないでこういった患者がどういう実態にあるかということにつきましては、よほど調査してみないと本当に実態がわからないという問題をやっぱり潜めておると思います。  現代社会の中で一人一人どういうふうな状況で生活をしておるのか。しかも、発病した場合に病院に行っていろいろ治療を受けていくわけでございますけれども、それらの実態が今おっしゃるように、実際に患者が外へ出てみなければ患者の実態はわからないというような問題を含んでおりますし、一方、人権問題として考えますと、これは決して患者の問題だということじゃなしに、社会全体として放置しておけない問題をたくさん抱えておるのではないかというふうに考えるわけでございます。  従来も事柄が非常に難しいだけに厚生省も大変苦慮しながらいろんな対策を講じてきており、全国の病院に対しましてもいろんな指導をいたしてきておるところでございますけれども、今、御指摘でもございますので、厚生省を中心にいたしまして政府全体でさらにこの問題について積極的に対策を講じていくように努力をしてまいりたい。今どういうことをするかということにつきましては、具体的に私も資料も持っておりませんけれども、厚生省を中心にいたしまして政府として取り組んでいくということだけお答えを申し上げておきたいと存じます。
  88. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 人権問題として法務大臣にも一言聞いておきたいんですが、ここに厚生省が出している「我が国の精神衛生」の五十九年度版のハンドブックがあるんですが、ここにもやはり「精神障害者の人権」という項目がありまして、そこにもはっきりと「定められた手続きを経ていない入院や医学的に必要がないにも拘らず入院させられている状態、また許容される範囲をこえて行動の制限を患者に課している場合などは違法であり、人権侵害となる。」、こう書いてあるんですね、こういうところにはっきりね。  ところが、今言いましたように、中のことが全然わからぬ、わからないような仕組みにしてあるんですからね、一体どんな人権侵害が起こっているのかと。しかし、その人が訴えたとしてもその人は精神障害者でしょうと、こうなったときに、その人の発言というものがどれほど正当性があるのかということになってしまって、やみからやみへ葬り去られるというのが実態なんです。法務大臣の立場からこの精神病院が超法規的な形で置かれている状況について、一言ひとつ答弁をいただきたいと思います。
  89. 嶋崎均

    国務大臣(嶋崎均君) 精神病院の入院患者の行動制限というようなことを御指摘になりました。なかなか外へ出てからしかわからないというような状態では困るわけでございまして、医療または保護に欠くることのできないような限度においては別でございますが、極力その通信あるいは連絡ができるようなことが必要であるというふうに考えておりますし、またそういうことが阻害されてはならないというふうに思うのでございます。特に、精神病の入院患者の院外にある者との通信、面会というのは、ぜひとも患者と家族あるいは地域社会との接触を保っていくという上においても非常に人権上も重要な問題であるというふうに思っておる次第でございます。  したがいまして、厚生省の方でもいろいろ御検討いただいておる過程にあるわけでございますが、我々もその過程でいろんな意見を申し上げるような機会を得ているように聞いておるわけでございます。   いずれにしましても、今問題になっておるような宇都宮の場合、あるいは今御指摘になっているようだ大多喜病院におけるような事案につきましては、どうも我々の方でも十分な情報を早くキャッチをして適切な処理ができるような対処をしていかなければならないのではないか。そういう意味で精いっぱい情報収集に努力をして適切な処置をとってまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  90. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 適切な処置の問題については、法務省の決算委員会のときにまた具体的にやりとりをさしていただきたいと思います。  それから、次の問題に入りますが、私も先ほど調査に参ったと申し上げました。  大多喜病院に参りまして、院長や主治医あるいは看護職員の方に暴行があったかなかったかという事実をただしましたが、昨年五月十二日には暴行の事実はないと。患者は自分でスライディングしてふろ場に腹ばいになり、ついに浴槽にダイビングしたということでありまして、どうも発想そのものがおかしいんですが。ところが、これに先立ち、患者が死亡した同年の五月十五日に同患者を受け入れた川崎病院、これは外科病院ですが、そこの院長先生に会いました。この院長先生は、患者が大多喜病院から運び込まれてきたときは一日見てこれはだめだと思ったと。もう開腹手術の麻酔に耐える力もない仮死状態。連れて来た大多喜の職員によれば十一日からお腹が膨れ上がっていたということで、死因は腸管の閉塞であろうが内臓に挫傷があり、通常の挫傷では起こらないはずの吐血あるいは尿の中に血液が混入していた等等の話がありました。また、死亡診断書に内臓の挫傷というのを書かなかったのは、大多喜病院が腸管の閉塞といっていたからということで、お医者さんの仁義のようなものがあるんでしょうが、そういうようなことで死亡診断書には内臓の挫傷と書かなかったと言われました。それでまた、浴場を見せてもらいましたが、その構造上患者がそこでスライディングするとか、浴槽にダイビングするとかいうようなことはもう絶対できない状態でありまして、そんなことでスライディングしたらお腹の皮がむけてしまいますし、ダイビングしたら狭い浴槽ですから必ずお腹を打つか頭を打つか、大きな打撲傷を当然受けるのでありまして、私ども素人で、一体そういうことができるのか、これはもう警察の方で一度ダイビングしたとかスライディングしたとかいう状況を一遍再現さしてほしいなというふうに思い、大変不自然な状態であると思います。  それで、私たちはそれ以上のことを追及できませんから、政府としてぜひこの問題の真相を解明していただきたいし、これは暑い夏でございますが、警察の方に特に御協力をいただきたいのであります。宇都宮事件でも大変解明に力をかしていただいたことを感謝しておりますし、大多喜病院についてもひとつよろしくお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  91. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 大多喜病院の件につきましては、現在千葉県警察が資料の収集、関係者からの事情聴取、こういったことを含めまして実態調査のいろいろな活動を精力的に今進めておるところでございます。その結果、刑事責任を追及し得るような事実、これを把握をいたしましたならば厳正に対処してまいりたいと、こういうつもりで現在やっておるわけでございます。
  92. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ひとつ厳正にやっていただきたいということを強く要望しておきます。  それから次の問題に入りますが、この大多喜病院の同意入院患者の保護義務者の選任状況、厚生省どうなっていますか。
  93. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 大多喜病院の同意入院患者の保護義務者の件につきまして、昨年の十月末の状況を掌握しているところで申し上げますと、同意入院の患者数二百九十四名ございました。その中で、配偶者、後見人、親権者等、選任の不要な者が七十三人、それから法に定める選任を行った者が百五十一名、それから同じく市町村長が保護義務者となっている者が十六名、その他が五十四名、このように相なっておりました。その後、その他ということについて調査をしましたところ、本年の三月末では、その他の者は三十六名というふうな状況になっておるというふうに承知しております。
  94. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 その他というのはどういう状態の人をその他と言うのですか。
  95. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 細部はさらに調査を要するわけでございますが、端的に申し上げまして、選任手続を未了の者ということでございまして、いずれにせよ、法に定めた同意入院におきます保護義務者のための必要な手続を踏んでいたいことは事実でございます。まことに遺憾に存じております。
  96. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 手続を踏んでいないときはどういう罰則があるんですか。
  97. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) そのような手続を至急とるように強い指導を行う必要がございます。
  98. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そのときはどういう罰則があるんですかと聞いておるんです。
  99. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) お答え申し上げます。  罰則という観点では罰則はついておりません。
  100. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 過料があるでしょう。届け出の義務を怠っているんでしょう。  それじゃ言いましょうか。精神病院の管理者は、精神衛生法第三十六条による届け出の義務があるんでしょう。この届け出には同意を得た者の同意書を添えて届けることになっているわけで、同意者、つまり保護義務者の不明な患者が入院しているということは、これはどういうことになるんですか。
  101. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) ただいまの御指摘の点は、同意入院を行った場合に病院の方から届け出をしてもらう、これを義務づけておるわけでございまして、その届け出が怠られた場合にはそのような罰則が適用がございます。選任の手続というのはその場合の保護義務者としての手続でございます。
  102. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 保護義務者がいない人が入っている場合は届けできないでしょう。保護義務者がいない人は同意する人がいないのですから、届け出ができないのでしょう。
  103. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 形としては御指摘のとおりだと思いますが、届け出の際には保護義務者ということで届け出が来るわけでございまして、これを確認するという問題であろうかと思います。
  104. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いいかげんなことを言わんとけよ、あなたは。保護義務者がいない人を届け出ているんでしょう、これ。届け出には保護義務者を書かないかぬのでしょう、保護義務者の書いてない届け出を県が受けた場合は、これは差し戻さないといかぬのでしょう。
  105. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 届け出には当然保護義務者ということを記載しなきゃならぬわけでございますが、その保護義務者が、先ほど申し上げましたような手続を経た選任を受けているかどうかを確認すると、これが行われていなかったというふうに考えております。
  106. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ということは、その届け出には保護義務者をちゃんと書いて届け出た。ところが、その届け出た人が選任されているかどうかわからぬと、こういうことだと言うのですか。
  107. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 確認できておらないという意味においてはそういうことでございます。
  108. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そうすると、虚偽の届け出をしているということになるわけです。だから私は、精神病院に入院している患者が全部そういうふうに保護義務者がおり、そして、いえばその保護義務者がいることがその一つの患者としての保護をされている状態なんでしょう。それがだれかわからぬというような人がここにもこれだけの人がいるわけなんですよ。しかも県はそれを患者の数として認めているわけです。そういう実態が全国にたくさんあると思うんですよ。これは人権上の問題として、法律には患者の人権を守るにはこういうふうにいろいろ書いてあるけれども、全然そのことが実行されていない。それでここにも堂々とその他というようなものを出してくるこの無神経さ、私は驚くんですよ。県から調査が入ったらその他五十四人と書いてくる。保護義務者がだれかわからぬという人を現に入院させていて何ともない。県は監視に入っておるんでしょう。入っていてもそのことが全然明らかにならないままこの問題を放置しているというような事実を、全部よく聞いてください、官房長官も今みんな答弁された方ね、こういう事実があるんですよ。今いろいろ言いわけしていますけれども、これは実態なんです。これは厚生省の関係のところでまた追及しますが、要するに、こういうことがあるということなんです。私はこれは届け出の義務を怠っているのと同じことだと思うんですよ。虚偽の届け出をやっている。過料五千円以下の、罰則ではないけれども、当然行政罰を受けるべきだ、義務を怠っているんですから。それはこの精神衛生病院の管理者であるのか、あるいはまた知事であるのかどちらかです、こういう状態のまま放置されてあるということは。これは別の段階で厳しくやりたいと思いますが、要するに、事実をもっと詳しく詳細に一人一人の名前を挙げて、この段階で五十四人がどういう状態であったのかということを名前を挙げて、そして報告してください。よろしいですか、局長
  109. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 内容の詳細についてはよく調べて御報告申し上げたいと思います。
  110. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 それから、関連して、質問通告していなかったんですけれども、千葉県は大多喜病院に対して医療監視をずっとやっているんですが、その中で連続改善命令を出していますが、それはどういう内容ですか。私は本来このことも出てこなければいかぬと思ったんですが、これを出していないわけで。
  111. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 毎年定例的に行っております医療監視におきまして、当該病院につきましては入院患者数等からの算出いたしました標準に満たない、私の記憶では約七割強だというふうに記憶しておりますが、そのような指摘はその都度行って、それを改善する旨の指導を行っているというふうに承知しております。他の局の所管でございますので、具体的な数値は私手元に今ちょっと持っておりません。
  112. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 資料としては私の方はいただいておるんですが、質問通告してなかったので仕方がないと思いますが、五十七、五十八、五十九いずれも今言いましたように医師、看護婦、薬剤師の不足というものを連続指摘をして七〇%しか充足をしていない。そのほか特徴的なのは食品等の衛生的保管、取り扱い、食事運搬車の衛生的保管、それから給食従業員の作業服の清潔の保持、ハエを防ぐ設備が不備であるとか、これは全く不衛生な病院であるという指摘が連続三年されているわけですね。それに加えての医療従事者の七〇%しか充足していないという状況。また、この問題の起こった第三病棟のうち、これも看護者が八人いるんですが、正看はゼロなんです。正看が一人もいない。准看が六人と助手が二、こういうまことにお寒い介護体制であるわけなんですね。だから、こういう状況の中で、一体どういう医療と看護が行われているかということはいろいろな想像ができるんです。  そういう問題点のあることをここではっきりとさせておきたい。こう思うんですが、今の点について、厚生省からもらった資料なので確認できますな、これは厚生省からもらった資料を私は読んだんですが。
  113. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) ちょっと局の違う中身でございまして、私手元に今資料を持っておりませんけれども、中身としてはそのようなことであるというふうに聞いております。
  114. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 次に、大多喜病院にかかわる不法入院の訴えの件ですが、二人の方が家庭内のトラブルから入院をさせられております。ところが、この同病院から出された後、著名な精神科医師などの診断を受けたところ、一人の方については精神衛生法第三条に該当する精神症状は認めがたいという診断書があります。私も見ています。もう一人の方も五日間にわたり数回にわたって面接、診察を行ったところ、何ら精神障害は認められないという診断書が出されています。これは本当にゆゆしきことなんであります。それでなぜこういうことが起こるか、ということなんでありますが、厚生省にちょっとお伺いしておきます。  精神衛生法の二十九条の五第三項に患者の調査請求権というものがあるようであります。この調査請求というものは、措置入院あるいは同意入院の患者が自分の病状は精神病ではないんではないかという疑いを持ったとき、あるいはもう治っているんではないかというふうに判断をしたときに、調査をしてもらいたいということを知事に請求できる権限のようでございます。もしこういうものがちゃんとあれば、先ほど言ったように、退院してからあなたは精神病でなかったんだというようなことがなくて、患者でいる間に調査請求というものができるはずでありますが、ところが私の知る限り、今の精神病の患者がこの調査請求を行えるような状況には絶対ないと思うんですね。そういうことが行えるような状況下にあるのかどうかという問題、厚生省はどう考えていますか。
  115. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) これまで精神衛生法二十九条の五によって調査請求が行われたという件数は、非常に数は御指摘のとおり少ないと思います。実態上、保護義務者等が問題を感じた場合に申し出るというようなことはあり得るかと思いますけれども、この措置に基づいて行われた実地審査というのは、件数は非常に少のうございます。
  116. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 患者が知らないんですよね。知っていてもやらせない。このあなたのところが出しているハンドブックを見ますと、ここにちゃんと書いてある。この制度の周知徹底を図るため、病棟で掲示すべきだと。あなたには調査請求というものができますよと、知事に対してね。だからこれを活用しなさいというふうなことを、やりなさいと書いてあるよね。だけど、今の精神病院、あなたの知っている限り、そういうようなことはきちっと掲示がしてあって、入院患者が自分のそういった疑義について知事に再度、もう一遍診断をし直してくださいという請求をする権利があるというようなことはきちっと行き渡っているとあなたは思いますか。ここに掲示等をしてきちっとやりなさいと、あなた方の通達の中にはあるようですが、どうですか。
  117. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 御指摘のようだ問題点があり得るという判断に立ちまして、最近出した通達においてもその点を指導を強化するように徹底を図っておるところでございます。
  118. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 指導の強化を厚生省が通達を出したからってできるものじゃないでしょう。僕は、これは非常に重要な問題だと思うんですよ。そうしたら、全病院内に掲示をしなさい。掲示の紙は厚生省でつくればいいじゃないですか。これを病院の中に張りなさいと。精神衛生法二十九条の五第三項は、患者の調査請求というものができますということを、これはあなた方が法の解釈としてポスターをつくって病院に掲示をして、患者に皆知らしたらいいじゃないですか。そんな、通達するのに紙一枚つくるより、精神病院何ぼありますか、全国に。何万もないでしょう。どうですか、それやりませんか。
  119. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 御指摘のようだ方法も含めまして、いろいろと適切な有効な方法をさらに徹底を図ってまいりたいと思います。
  120. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 そういうことがやれていないから、患者の側の主張なり言い分が何一つ外へ出ない。三十八条の行動制限の中で全部抹殺されてしまって、それで人権の問題がそこで侵害されている。犯罪を犯した刑務所よりもまだひどい状態がなぜ起こるかというのは、結局こういうところに僕はあると思うんです。  そこで、最後に厚生省に次のことをひとつ約束してもらいたい。緊急にこの大多喜病院入院患者全員、これ三百人、その実地審査を宇都宮病院のようにやってもらいたい。そして、今言いましたように、一人一人が精神障害者としての患者なのかどうなのか、あるいは同意入院の状況の問題も克明にひとつ調べていただきたい。この問題は、去年の私の質疑の中で渡部前厚生大臣が、新しく予算をつけて全国の精神病院の中で実地審査ができるように対応していきたいということもあったわけでありますから、そこで私としては、この大多喜病院の入院患者全員について実地審査をしていただきたいと思う。いかがですか。
  121. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 実地審査は、御指摘のとおり、大変人権を確保する面からも重要な手続でございますので、私どもといたしましては、昭和六十年度予算におきましても、従前よりも一層強化すべく予算の裏打ちもしているところでございます。そのような方針で指導に臨んでいるわけでございますが、当該大多喜病院の件につきましては、現在密接に千葉県とも連携をとりながら、千葉県の手によって具体的な調査を今行っておるところでございます。その事実関係の解明を見ながら、千葉県ともよく相談し、前向きに検討してまいりたいと思います。
  122. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 いや、前向きに検討はいいですが、厚生省としてこれから実地審査を千葉県にやってもらうように指導する、こういうことが前向きということだというふうに確認してよろしいですか。
  123. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 必要の度合いに応じて実施するということで、今御指摘のように私どもは考えております。
  124. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 あなたに必要だからじゃなくって、今言ったようだ事柄が起こっているんでしょう。それで警察の方もこの事実の解明をすると言っているんですよ。それで既にもう捜査に入っておられるんです。それに対してあなたが必要であるかないかというようなことを、これからじゃなくって、必要だから私が今ここで言っているんで、実地審査をすることについて、厚生省としてはそれをできれば全国の精神病院を一律にやりたいという考え方も持っておられるんでしょう。だけれども、予算等いろいろなことが、制約があってできないということなんだから、大多喜病院一つ、三百人と、こう言っているんだから、そんな中途半端なことじゃなくてはっきりさせてください。
  125. 大池眞澄

    説明員(大池眞澄君) 重点的な実施の一環といたしまして、前向きに千葉県とよく相談したいと思います。
  126. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 厚生大臣、今厚生省所轄の問題、ここに法務大臣も、それから国家公安委員長も、また官房長官もおられるわけで、そして昨年から、宇都宮病院以来、人権問題として精神病問題はやはりもっと具体的に一つ一つ解明していかなきゃならぬ課題がいっぱいあるんですよ。国際的にも問題になってきている。そういう中にあって、厚生省の態度として、千葉県に相談してからどうこうじゃなくって、やっぱり厚生省の態度として、これは実地審査をやりますということをやっぱり明言しなければ、結局、臭い物にふたをするという表現が適切かどうかわからないけれども、結局厚生省自身が、一番肝心の厚生省が一番このことについて抵抗し、消極的であるという印象がぬぐえないじゃないですか。厚生大臣のひとつ判断で、この前は厚生大臣がはっきり実地審査をやらせますというようなことを言い切りましたよ。あなたの方でこれひとつはっきりさせてください。
  127. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) このことにつきましては、県知事がかなりの権限も持っておられるわけでございますから、そういう意味合いで県知事と相談をしながらという意味合いだろうと思います。私どもの方といたしましては、人権問題を含むいろんな手段、方法がございますけれども、それが有効に機能していないということが先生の御指摘だと思いますので、その点については今後特段の措置を講じてまいりたいと思います。
  128. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 もう終わりますが、厚生大臣、あなたまた歯切れ悪いんだな、これ。特段の措置というのは、私の厚生省に要求したことは理解して、その方向でやっていくということが特段の措置という中身に私が解釈してよろしいか、厚生大臣。
  129. 増岡博之

    国務大臣(増岡博之君) まず、現行法制度のもとでも人権を守る等のために一応の体裁は整っておるわけでありますけれども、それがややともすると有効に機能していないというところにまず第一の問題があろうかと思います。その点も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
  130. 服部信吾

    ○服部信吾君 まず初めに、官房長官並びに自治大臣にお伺いしたいんですけれども、去る十七日に最高裁が、現行の衆議院議員の定数配分は違憲であると、こういう判決を下したわけであります。我々も、今までの広島、東京、大阪、札幌、こういう高裁判決によってある程度の予測はしていたものの、これほど明確に、五十八年の総選挙当時の定数配分というのは、憲法の選挙権の平等の要求に反し、全体として違憲である、こういう厳しい判決が下ったわけでありますけれども、まず初めに、官房長官並びに自治大臣のこの判決に対してのお考えをお伺いしたいと思います。
  131. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 昭和五十八年総選挙に関する定数訴訟につきまして、去る七月十七日に最高裁は、選挙そのものは無効とはしないが、現行の衆議院議員の定数配分規定は違憲であるという判示をしたところでございまして、今、先生から御指摘がございましたように、非常に厳しい判決になっており、政府といたしましてはこれを厳粛に受けとめておるところでございます。  従来も、この定数是正の問題は緊急かつ極めて重要な問題であるというふうに政府として考えまして、いろんな角度からこの是正のための努力をしてきておるところでございますが、先般の百二国会におきましては、自民党並びに野党四党からそれぞれ御提案の出たところでございますけれども、是正をするところまでいかないうちに国会が終わったということになっておりまして、いずれにいたしましても、これは各党、各会派でよく話し合っていただいて、国会として非常に大事な問題だというふうにお取り組みをいただいていくということが極めて大事で、政府といたしましても、その各党間のいろんな御論議、一緒に勉強させていただいて、そして是正に向かって努力をしてまいらなければならぬ、こう考えておる次第でございます。  非常に厳しい受けとめ方をしておるということを申し上げたいと存じます。
  132. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) 今、官房長官からお答えになりましたように、私ども、この最高裁の判決は、選挙そのものは無効としないが、現行の衆議院議員の定数配分規定は違憲である旨判示されたところでありまして、選挙を所管いたします自治省としては特に厳粛に受けとめておるところであります。  さきの百二国会におきまして、自民党並びに野党四党におきましてそれぞれ定数是正案がまとめられまして提案されておりますが、残念ながら成立に至らず、継続審議になっているところでございます。今後国会におきまして鋭意検討を続けていただき、次の国会において早急に定数是正が実現いたしますように念願しておるところでありまして、自治省としても最大限の努力をいたしてまいりたいと思っております。
  133. 服部信吾

    ○服部信吾君 この問題の重要性を考えますと、これはやはり次期国会前にある程度各与野党の党首会談を設けてそして煮詰めでおかないと、これは早急に改善しなくちゃならないことはもうわかっているわけでありますから、その場で、次の国会を待つなんというんじゃなくて、とりあえずこの各党首会談、こういうものを早急に設けるべきだと思いますけれども、官房長官、どのようにお考えですか。
  134. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 私から党首会談がいいだろうということをお答えを申し上げる立場にありませんけれども、今申し上げましたように、やはり国会において各党、各会派がいろいろこの問題について御協議をいただいて、論議を深めていただくということが非常に大事である。従来も幹事長・書記長会談でございますとか、あるいは国対委員長、政調・政審会長だと、いろんなレベルでいろんなお話し合いをいただいてきておるところでございますが、それらの一環といたしまして党首会談というような機会が得られれば大きく前進するというようなことになれば、それはとってもありがたいことだというふうには思います。しかし、重ねて申し上げますが、私が党首会談がいいとか悪いとかいう立場にありませんので、政府といたしましても国会の各党、各会派のそういった御論議に対しまして一緒にひとつ勉強もし、努力もしていくようにしなければならぬ、こういうふうに考えておることを申し上げたいと存じます。
  135. 服部信吾

    ○服部信吾君 時間ありませんので次に移りたいと思いますけれども、今回のこの判決ですけれども、判決は現行の定数配分が違憲である、このように言っておるわけでありますけれども、当然、ことし行われる国勢調査に基づいて衆議院の定数是正を行わない限り次の選挙はこれは行われないと、こういうことになろうかと思います。つまり選挙の実施について実質的な拘束をこの判決によって受けたと、こういうことになると思うんですけれども、官房長官のお考えをお伺いしておきます。
  136. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 判決が出ました後の記者会見でも質問がありまして申し上げたところでございますが、今の先生の御指摘を解散権との関係でお話があったのだといたしますと、定数是正をいたします前に衆議院の解散権の行使ができるかどうかということにつきましては、本来、解散権は憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与した基本的に重要な機能である。また、憲法上、解散権の行使を制約する規定はないといったことが理由で法律的には制約されない、こういうふうに今考えておるところでございます。  ただ、全く何の制約も受けないのかということにつきましては、最高裁が違憲である、現在の状況は違憲であるという判決が出ておるわけでございますから、解散権は拘束されないというふうに私ども法律的に考えておりますけれども、何とか一日も早くやはりこの定数是正の措置が講ぜられるように国会における御努力が願わしい。政府としてもそのようにぜひお願いをしてまいりたいと、こういうふうに考えておることを申し添えたいと存じます。
  137. 服部信吾

    ○服部信吾君 実質的には、解散権は拘束されないと、法的にはね。しかし、実質的には拘束されるんじゃないかと、こういうふうに思うわけですけれども、そこでちょっと具体的にお伺いしたいんですけれども、例えば内閣が解散権を行使したとする。しかし、現在の衆議院議員の定数配分が違憲である。これを是正しない限り総選挙はできない、こう思うわけです。こうなりますと、衆議院を解散したものの総選挙ができない状態になる。政治的には非常に空白が生じると、こういう可能性があるわけですけれども、こうなりますと、やはりこれはいわゆる事実的に解散権は行使できない、こういうことになろうかと思うんですけれども、この点について官房長官、どのようにお考えですか。
  138. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) ただいま申し上げましたような理由によりまして解散権は制約されないというふうに法律的に考えておるところでございます。ただ、最高裁の判決に違憲という非常に厳しい状況の指摘があるわけでございますから、一日も早く定数が是正されることでなげればならぬ、こういうふうに考えておりまして、国会でのいろいろな御論議の深まりと同時に、政府としても自治省を中心にいたしまして、あらゆる努力をしていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  139. 服部信吾

    ○服部信吾君 もう一つお伺いしたいんですけれども、憲法第九十八条では違憲の法律は効力を有しない、このようになっているわけですね。そういうことで定数是正ができなければ公選法は効力を持たないもの、総選挙はできないと、こういうことになろうかと思うんですけれども、総選挙が行われる根拠法がなくなってしまう、こういうあれもあるわけですけれども、この点については官房長官はどのようにお考えですか。
  140. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 解散権は制約されないということがまず前提として一つ申し上げて、くどいようでございますが、申し上げておきたいと存じます。  それから、選挙がやれないということはないだろうと思うんです。問題は、選挙をやりました場合に、それが訴訟が出て、さらにその訴訟がどういうような判決になるかと、やった選挙が無効になるかどうかといったようなことを非常に含んだ選挙になるであろうことは想像にかたくないわけで、従来の経緯からいたしまして。そこにいろいろ問題は生ずるであろうということは考えざるを得たいかと思うのでございます。ただ、選挙はやれるかどうか、あるいはその選挙が無効になるか有効になるかということよりも、もっと私どもは一日も早く定数が是正されるように努力をしなきゃならぬというところに政府、国会の努力目標がなければなるまい、こういうふうに考えておる次第でございまして、法律諭よりも、これだけ最高裁の厳しい判決が出て、国民注視の中で定数問題というのが今日議題に上っておるわけでございますから、一日も早く解決されるように努力をしてまいらなければならぬ、こういう姿勢をむしろ申し上げたいと思う次第でございます。
  141. 服部信吾

    ○服部信吾君 この問題もいろいろ論議してもあれですけれども。最後に、次期国会で、これは当然いわゆる六増六減案が焦点になろうと思う。この案は格差を一対三を想定しておる。当然これから人口変動はさらに進んでおる。この案による是正が実現しても格差は既に三倍以上に開き、次期選挙後もこの是正を求める訴訟が全国的にやはり起きていくことは明白であると思うんです。ですから、やはり小手先の是正ではなくて、もっともっと抜本的な改革をしなくちゃならない、このように思うわけですけれども、この点について。それから、私は当然、諸外国等で行っておりますけれども、第三者機関等を設けて、そしてこの定数問題についてはやっていくべきじゃないか、このように思いますけれども、官房長官並びに自治大臣のお考えをお伺いいたしましてこの問題については終わります。
  142. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) この問題が最高裁で判決が出まして、政府といたしましても、あるいは与党の自由民主党、新自由クラブといたしましても非常に厳粛にこの判決を受けとめている。きょうも十二時三十分から政府と与党とのこの問題についての協議を第一回をすることにいたしておりますが、早速に緊急かつ最も重要な問題として取り組んでいかなければならぬというふうに考えておるところでございます。  先国会におきましては六・六増減案を中心にいたしまして自民党の案がまとまり、かつ野党各党におかれましてもいろいろ御論議の上、自民党の六・六増減案を中心にいたしましていろいろ御検討もなされて野党案というものがまとまった、こういうふうに思っておりますが、抜本的にやらなければならぬ問題でございますし、できれば、国会議員がいろいろ心配して自分たちのそれぞれ政治生命がかかった最も難しい問題を論議しているよりも、第三者機関ですぱっと原則を決めてもらったらどうかという意見もございますけれども、これだけ厳しいやっぱり判決が出て、国民感情としても一日も早い是正をというふうになっております今日を考えてみますると、やはり、国会に出て継続になっております六・六案あるいはそれを中心とした野党案といったことを中心にして、当面、一日も早くやっぱり是正をするということが望ましいのではないか、私どもの立場ではそんなふうに考えておる次第でございますが、そういった流れを中心にいたしまして各党間の論議が深まると非常にいいが、こういうふうに考えさせていただいておるところでございます。
  143. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) 今の問題、官房長官と結論は同じでございますが、国会議員の定数に関する問題は選挙制度の根本にかかわる極めて重要な問題であることは申し上げるまでもありません。このような問題については第三者機関の意見といえども最終的なものではなく、結局国会の御意思によって決定されるものでありますので、やはりその点も含めまして、まず各党間で十分論議を尽くしていただきたいと考えております。
  144. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、今たまたま甲子園の予選でたけなわな高校野球の問題について若干お伺いしたいと思うんですけれども、いわゆる金属バットの問題が今大変に問題になっておるということで、私今ちょっと委員長にお許しを得まして金属バットを持ってきまして、これは美津濃で発売された金属バットですけれども、発売禁止になった折れたやつなんですけれども、我々国民に非常に親しまれているスポーツ、若人の祭典だとか、あるいは汗と涙の結晶とか青春をこれにかけておる、そういう高校野球の予選のときにこういうような問題が起きてきた。それがまた、通産省の特殊法人と申しますか、特殊認可法人の製品安全協会のいわゆるマル通マークというものを、SGというのが入っているんですけれども、これがマル通、安全だという証拠になっているこのバットがどんどん折れておる。こういうような、今実際にプレーしている青少年に対しても非常に大きな影響があるわけですけれども、文部大臣のお考えと、また認可されておる通産大臣のお考えがありましたらこれをお伺いしておきます。
  145. 松永光

    国務大臣(松永光君) マル通マークがついておるバットが高校野球の予選の試合で折れるという事故が発生したことは、大変遺憾なことだというふうに受けとめております。  そもそも、私は思うのに、高等学校の野球、何が目的であるのか。これは、高校生の選手の心身を錬磨するというのが目的だろうと思います。その点、プロ野球は、その主たる目的がお客さんにこれを見せるということなんでありまして、プロ野球と高校野球とはその目的において本質的に異なる。高校球児の心身の錬磨ということを考えますと、一番大事なのは安全性だろうと思います。ところが最近は、ややともすると、余り高校野球の熱が過熱してまいりまして、そうして勝たんがためにというふうなところから、飛ぶバットなどというものがはやってきたわけでありますけれども、そのために、金属バットの場合にも飛ぶためには少し薄くした方がいいんだなどということがありまして、そして折れたということなんでありますけれども、やっぱり高校野球というのは心身の錬磨ということを中心に考えますと、飛ぶ飛ばぬという道具の問題よりは、基礎基本の技術をきっちり身につける、あるいは心身を鍛錬する。ひどく言えば、多少飛びぐあいは悪くとも、十分心身を錬磨して、そうして技術を向上さしていけば、その方がむしろ高校野球らしくて望ましい。余り飛ぶというと基礎基本がおろそかになりますから、かえって、高校野球を終えてプロなどへ入った場合には、基礎基本ができていないからその人はなかなか一流になれないなどという欠点も実はあるわけでして、私は、この問題は日本高野連も相当考えていただいておりまして、金属製バットの使用認可基準の内規をつくったりしていろいろなことをしていただいております。相当な努力をしていただいているんですけれども、さらに今申した高校野球の本来の目的に照らして、安全性確保ということは極めて大事なことである。そして基礎基本を重視しながら心身を錬磨することが大事であるという、そういう本来のあり方に立ち返って、より一層のこの安全確保のための努力をしなきゃならぬというふうに思うわけでありまして、文部省としても、日本高野連に対してそういう点をもっと的確な指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  146. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 通産省の場合はSGマークでございまして、御承知のように、先生が御指摘になりました特別認可法人である製品安全協会が消費生活用製品の中から選定をした製品につき自主的安全基準を作成いたしまして、製造業者等の申請に対して検定または工場登録、型式承認を行った上で、基準に合格した製品にSGマークを貼付をする。一般消費者がSGマーク貼付製品につき被害を受けた場合には最高二千五百万円の範囲で賠償金を交付するというような制度になっておるわけでございますが、御指摘の金属製バットにつきましては、昨年来よく飛ぶけれどもひび割れがしやすいといったような耐久性に問題があるバットが非常に出回ったために、日本高等学校野球連盟の要請もありましてことしの三月にテストを実施したところ、安全基準に合致しないものが確認をされたわけでございます。このため、通産省といたしましては、製品安全協会を通じて基準不適合品の回収を命ずるとともに、企業に対する検査を強化するなどして、安全性の確保に万全を期してきたところでございますが、そのやさきに今回金属製バットの折れる事故が相次いで発生いたしましたことは遺憾であります。現在、関係者から事情を聴取いたしまして、原因の究明に努めているところでございまして、原因が判明し次第、適切な措置を講ずる所存でございます。
  147. 服部信吾

    ○服部信吾君 今、文部大臣からも、野球を通して人間をつくるんだと。私も全くそのとおりだと思うんですね。その中で団体訓練だとか、あるいはお互いの仲間同士の間とか、いろんな礼儀作法、こういうものをつくると。その中にやはり物を大切にしなさいと、大事にしなさいと、こういう問題も教えているわけですね。ですから、例えば自分のグローブがあればもう毎日毎晩グローブを磨いているとか、スパイクを磨いていると。当然自分の愛用のバットなんというのは人に貸すのも嫌だというようなのもあるわけですよね。  実際に今こういう試合が行われておる。そういう中で、自分の一番大事なバットが、これが要するに不適合だということで、簡単に言えば持っていかれちゃうと、使えないと。握りなんていうのは非常に、私も野球をやっていましたからよくわかるんですけれどもね、この握りが太いのが好きな人と細いのが好きな人と、自分の愛用バットがあるわけです。よく言うように、川上さんは赤バットとか、大下さんは青バットと、有名なことですけれども。やっぱりこのバットというのは選手にとっては大変愛着があるわけです。ですから、こういうものをみんな試合前に持っていかれちゃったときに、やっぱりこれは本来なら自分のバットだったら打てるのにというようなこともあろうかと思いますけれどもね。やはりこういう問題に対して、今、高校野球の予選をやっていて何か混乱が起きるんじゃないかと、私はそう思いますけれども、文部大臣、この点についてもう一回御答弁をお願いしたいと思います。
  148. 松永光

    国務大臣(松永光君) 高校野球の本来のあり方や目的、先生と私、同じ考え方のようでございますが、そしてまた、野球を通じていろんなことを学び、身につけさせるということが大事であることも、先生、私、同じ意見でございます。そしてまた、その中においてはやはり自分の使う道具、これを大事にするような選手でなければまず物にならぬと。やはり立派に成長する選手はそういったものも大事にするということなんでありますが、しかし、やはりこの安全性というのは考えなきゃならぬわけでありまして、幾ら愛用しておっても、どうもこれは安全性が危いというならば、これはもう使うのは禁止せざるを得ないと、こういうことであろうと思います。問題はどこにあるかというと、やはり高校野球の本来のあり方からいって、道具その他についても安全性が大事だということで、安全なバットをつくってもらいたいと。そのことのために通産省でも大変御苦労いただいているようでありますけれども、私どもとしても、日本高野連、それから、それを通じて都道府県の高野連に対して、安全性確保の立場から、より一層の配慮をし、指導をしてもらうようにお願いをしたいところでございます。
  149. 服部信吾

    ○服部信吾君 次に、通産省にお伺いしたいんですけれどもね。当初この金属バットの安全性ということについては、昭和五十一年当時は政令ですね、要するに政令である程度認められていたわけですね。それが安全と決まったときにはSマークをつけていたわけですね。ところが昭和五十八年にはこれをSGマークに変えたわけですね。政令からこのSGマークに、民間に変えた。そういうことによって急にこういうような事件というか、問題が起きてきたと、こう思うわけですけれども、どうして昭和五十一年からずっと今まで約一千万本ぐらいつくって、九年間で。大体年間百万本ですわ、この金属バット製造がね。そうなったときに、ずっと無事故で来たこの金属バット、これを政令で定めていた。そういうSマークをつけていたのを、なぜ五十八年にそれを変えたのか。この辺に何かいろいろ問題があるように思うんですけれども、この点についてちょっと簡単に、もう時間ありませんから、御説明願いたいと思います。
  150. 松尾邦彦

    説明員松尾邦彦君) 御指摘のとおり、金属バットにつきましてはいわゆるSマークからSGマークに変更を五十八年にいたしましたけれども、ちょうど消費生活用製品安全法の施行後十年を経過いたしまして、いわゆるSマーク製品、特定製品の全品目について見直しをいたした結果、最近の事故の発生状況、検定不合格率の動向などにつきまして審議をいたしたところ、金属製バットにつきましては、そのような点においてSGマーク制度に移行いたしましても特段の支障を生ずることはないという判断に立ち至りまして、SGマークへの移行をいたしたわけでございます。  その後、先ほどいろいろ両大臣からお答えございましたように、飛び過ぎる、ホームランが出過ぎるようなバットの問題との関連におきまして、この問題が具体化いたしてまいりましたので、私どもといたしましては高野連の御要請も受けまして、早速ことしの初め各種の調査を行い、テストを行いまして、そのような問題の再発のないような新しいマークの貼付等によりまして対応してまいったところでございましたけれども、今回このようなことになりましたことは甚だ遺憾でございますけれども、この点につきましては先ほど大臣がお答え申し上げましたように、早速関係者から事情を聴取する等、対応を今急いでいるところでございます。
  151. 服部信吾

    ○服部信吾君 ということは、はっきり言いまして今まで政令で定めたSマークということからSGマークに変更したと、五十八年。これはやはりある面から言えば安全性からいって間違いだったと、こういうことをお認めになりますか。
  152. 松尾邦彦

    説明員松尾邦彦君) 今回の事件の実態につきましては、早急にこれから調査をして判断しなければならない問題でございますけれども、ただいままでのところ関係者から事情を聴取したところでは、最初は加工薬品による腐食の問題かという見方もございましたけれども、昨年新たに材料の開発が行われた、それに伴いまして生じたことではなかろうかということでございます。この材料はちなみにほかのメーカーでは全然使っておらない新しい開発材料だということでもございますので、私どもとしてはその関係者の言い分も念頭に置きながら早速折れたバットの現物、市販されております同種のバットを取り寄せまして、製品安全協会において早速検査を行うよう指示したところでございますので、この検査の結果を踏まえて早急に適切な措置を講じてまいりたいと考えておりますが、そのような経緯で起こったことでもございますので、特にSマークからSGマークへの変更に伴う問題というふうには理解いたしておりませんが、いずれにいたしましてもこれから製品安全協会に設置されております金属製バット基礎調査検討委員会におきまして、専門的な観点から安全基準の見直し等を含めて技術的検討を詳細にかつ早急に行うようにいたしておりまして、それに応じました対応をいたしてまいりたいと考えております。
  153. 服部信吾

    ○服部信吾君 もう一つ、これ具体的にお伺いしたいんですけれどもね。SGマークの検査制度、こういうものがありまして、一つはロット認定と、二つは工場等登録型式確認、こういう形でこの検査制度が設けられているわけですね。このロット認定というのは簡単に言いますといろいろな危険品があると。それを一つ取り出して、これ見て、これは悪いと、これがよければSGマークを配付すると。二つ目のこの工場等登録型式確認、こういうのはその中の幾つかを、まず工場を検査する。これが適合しているかどうか、そして大量生産の場合はそのうち幾つかを引き出して、これがよければじゃSGマークを適合として渡しましょうと、こういう二つのあれがあろうかと思うんですね。それで特にこの金属バットの場合はこの二番目になろうかと思うわけですね。調べてみたところ、大体今回の場合美津濃が非常にいろいろ言われているわけですけれども、他のメーカーもほとんどが全部と言っていいぐらい下請の工場でやらしているというような観点があるわけですね。ですからこの下請の工場、こういうところにもう少しきちっとしたあれができてなかったのじゃないか、こういうふうに思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  154. 松尾邦彦

    説明員松尾邦彦君) 先ほど申し上げました本年五月から新しいSGマークの貼付に切りかえました際にも、先生御指摘になりましたような検査体制についての検討を行ったところでございますけれども、今回の事件の検討に当たりましても、その基準そのものの見直しとあわせて、このような検査体制のあり方についてもあわせ検討さしていただきたいと考えております。
  155. 服部信吾

    ○服部信吾君 最後ですけれども、文部大臣と通産大臣にお伺いしたいんですけれども、先ほど文部大臣もおっしゃっておりましたけれども、やはりあくまでもスポーツというのは人間をつくるんだと、そういう面からいって飛ぶバットだとかあるいはいい音がする、非常にカーンという音がする、そういうことで非常に経済性に走っているのじゃないかと、本来の目的から逸脱しているんじゃないかという面が、こういう面からあらわれているんじゃないか。我々みんな国民が高校野球等に対しては非常に見守っているわけですから、そういう面で今後どのようにこれを指導していくのか。  それから通産大臣、やはりこれもう十年たっていますから、SGの特に金属パットに対する安全基準あるいは検査制度、こういうもののやはり見直しを早急にやらなくちゃいけないと思うのですけれども、この点についてお伺いいたしまして私の質問を終わります。
  156. 松永光

    国務大臣(松永光君) 先生も少し御指摘になりましたように、高校野球が大変な国民の関心を呼び熱が高まってきたのは私はいいことだと思いますけれども、ややともすればそれが商業主義的な面からの汚染もないわけではないわけでありまして、ホームランがたくさん出れば非常に有名になる、そういったことから飛ぶバットがはやってきたりしたわけでありますが、しかしホームランが余り余計出ますというと、野球の基礎、基本をおろそかにするわけですね。  私は、それは野球を通じての青少年の心身の錬磨等の面からいえば望ましいことではない。やはり野球の本来のあり方というのは、内野守備にしろ外野守備にしろ、やはり基礎、基本をきちっとやっていく。次から次にホームランが飛ぶ、あるいはまた相当な訓練をしても打球が速いものだから、したがってどうせとれない球ならば、守備はおろそかにして打つ方に走るかというふうになってくることは、私は高校野球として本来の姿からいえば望ましくない。そういう意味では私は飛ぶことに専念するようなことじゃなくして、野球の基礎、基本をきっちり指導できるようた道具にするのが望ましい。なかんずく安全性の確保が大事であるということで、高校野球の本来のあるべき姿に立ち返って、そして安全性も考えたがらこの金属バットの問題はより安全性を重視する立場で対処していかなきゃならぬというふうに思っておるわけでありまして、日本高野連も相当なことをやっていただいておりますけれども、文部省としてはさらに安全性確保という立場から指導を的確にやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  157. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 服部委員御指摘のとおりでありまして、また文部大臣からもお答えのあったとおりでありまして、純粋な高校野球の場において金属バットが七月二日以来たびたび折れる事故が発生するという事態が発生いたしましたことは、まことに遺憾と申し上げるほかございません。  現在製品安全協会で、ことしの六月に設置をされました金属製バット基礎調査検討委員会において安全基準の見直しなどを含めて技術的検討を行わせているところでございまして、早急に結論を出す所存でございます。
  158. 田代富士男

    田代富士男君 私の質問時間が随分短縮いたしましたから、まとめて御質問をいたしますから、要領よく御答弁の御協力をお願いしたいと思います。  最初に防衛庁長官にお願いいたしますが、五十九年の十一月の自衛隊・防衛問題に関する世論調査についてこの結果が出ておりますが、まず長官の所感をお伺いいたします。
  159. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 今回の調査結果につきまして総括的に申し上げますならば、自衛隊の必要性とか日本の防衛体制のあり方、それから日米安全保障条約に対する評価など我が国の防衛のあり方の基本に関する項目につきましては、現状を支持する意見が前回、昭和五十六年度のときの調査よりもさらにふえてきておると思っております。このことは我が国の防衛のあり方について国民の大多数の方々が理解をし、支持してくださっているものとして私たちは受けとめておる次第でございます。
  160. 田代富士男

    田代富士男君 今、長官は率直に所感を述べられたのでございますが、長官も御存じのように宍倉官房長が発言されていることが報道記事に出ておりました。時間がありませんからこの内容について私が申し述べてから質問すればよろしいのですが、御本人も御出席でございますから、発言されたことは事実であるのかどうか、ひとつお願いいたします。
  161. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) 今回の世論調査の結果につきまして報道機関数社からコメントを求められまして、私がそれに対しまして発言をしたことは事実でございます。内容につきましては、報道機関によって若干異なった表現をされておりますけれども、申し上げましたことは次のとおりでございます。  まず、我が国の防衛のあり方の基本に関する項目につきましては、国民の大多数の方が理解を示し、支持をしてくださっておるということが一点でございます。  それから二点目に、しかし防衛予算や自衛隊の規模といった防衛政策の具体的な面につきましては、必ずしも十分な理解が得られているとは言いがたい面があるということが二点でございます。このことにつきまして国民の理解と協力を得るための努力が私ども必ずしも十分でなかったのではないか。防衛庁といたしましては、我が国の防衛力整備に当たって、国民の理解と協力をいただくことが基本であるということにかんがみまして、今後とも最大限の努力を払ってまいりたい、こういうことを申し上げた次第でございます。
  162. 田代富士男

    田代富士男君 今、官房長が申されましたけれども、私はあの報道記事を読みまして、官房長の認識に疑問を持たざるを得ません。その理由は、この世論調査によりますと、国民の防衛への関心の高さがそれなりに高いということが示されていることからも言えるのではないかと私は思うのでございます。  ところが、官房長はなお防衛について理解を求める努力をしたい、こういうように言われておりますけれども、この国民の健全な意識の高さこそが最も尊重されなければならないと思いますけれども、報道記事を読んだ私の考えからいいますと、官房長のこのような発言は健全な国民の意識を軽く見ているのではないか、このように言わざるを得ません。  そこで、この結果を防衛庁はもっと真摯に受けとめるべきであって、単なるまだ説明不足であったというような、そういう次元ではとらえてはならないと思うんです。そういう意味から、責任者であります防衛庁長官、いかがでございますか。
  163. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 先ほど申しましたように、国民の皆様方の防衛に対する関心は非常に最近高まっておると思います。そしてまた、私たち政府・自民党がとっております防衛政策といいますか、戦後約四十年にわたって追求されてきました防衛政策に対する理解が、私たちから見れば徐徐に上がってきているということも事実だと思います。  しかし、一方非常に重要なことは、田代先生御指摘のように、防衛というものは国民の理解がなければ決してしっかりとした土台になるものではないと思います。そして、その中で例えば防衛力のあり方、防衛費のあり方につきまして、国民の多くの皆さんが、できるならばできるだけ少ない防衛費であってほしいと思われるのは、私はごく自然の気持ちなのではないだろうかな、こう思って宿ります。  しかし、そういう中で私たちは厳しい国際情勢とか、それから現在、私たちが目標としております防衛計画の大綱の達成の必要性ということを、私らなりに考えを述べるべきなのではないか。そういう意味で、私たちはその御理解をいただく点につきましては今後とも努力をし、そしてあくまでも国民の御理解がなければ防衛政策の遂行はできないものだという視点を忘れてはならないものだと思っております。
  164. 田代富士男

    田代富士男君 この調査によりますと、国民の防衛力増強に対する懸念が高まっていることはお認めになっていることと思いますが、そこで、これ以上の増強に反対ないし慎重の意見というものが、昭和四十年ごろから三年置きに実施されてまいりましたこの調査によりまして、この調査が始まって以来初めてという七〇%を超えていることが明らかになったわけなんです。ところが、再度申し上げますけれども、官房長は防衛費については年々六ないし七%の増強が行われていることを評価されているというふうに曲解なさっていらっしゃいますが、その突出ぶり、聖域扱いが懸念されている折から、極めて私はこういう考え方は疑問だと思うのでございますが、再度加藤防衛庁長官のお答えをいただきたいと思いますが。
  165. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) このアンケートでは、防衛費については現状の程度でいいという方々が五四%いらっしゃるわけでございます。それで、現状でいいということが現在の規模でいいということなのか、それとも現状程度のふえ方ということでいいと言っているのか、アンケートでは明確な問い方にはなっていないと思っております。しかし、いずれにしてもできるだけ国民の皆さんとしては防衛費のアップというものは穏健な形であってほしいというふうに思われているということは事実だろうと思います。私たちとしてはそういう国民の声を念頭に置きつつ、それから防衛計画の大綱の実施、それから現在の国際情勢等を総合的に勘案しながら、国民の皆さんに理解いただける防衛力整備に努めてまいらなきゃならぬ、こう思っております。
  166. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、次に防衛費のあり方についてお尋ねをいたしますけれども、政府はこれまでGNP一%の枠内において防衛費を単年度ごとに決めてこられましたけれども、これを改めて、例えば五年間の総額で防衛費を明示するという方式に変更すると、こういうような報道がありましたけれども、そのような検討を行ってきた事実はあるのかないのか、もし仮にこのような考え方をとるとするならば、これまで毎年度予算をGNP一%という枠内で行われていたことを改め、現在の防衛費の歯どめは撤廃ということになるのではないかと思いますけれども、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  167. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 現在の私たちの立場は総理大臣も私も国会開会中累次申し上げておりますように、一%の枠は守りたい、そして将来仮に一%の枠の中におさまらないようた事態が生じたときには、従来の国会におきます答弁とか、それから国会におきまして諸先生方の御論議いただいたこと等を踏まえて対処してまいりたいというふうに申し上げてきたわけでございますが、その方針に変わりはございません。ただ、仮に万が一将来そういう事態、つまり一%の枠の中におさまり切れないようなことが将来仮にあったと仮定するならばどうするべきかという議論が、政府部内の中でいろんな形で非公式に議論が行われているのも事実でございまして、私はそれはいろんな意味での論議があることは、私は論議としてはいいことなのではないかなとは思っておりますが、しかし、私たち防衛庁とか、それから政府全体で現在どのような方針を定めるかというようなことにつきまして、正式に議論をいたしていることはまだございません。
  168. 田代富士男

    田代富士男君 これも報道によりますと、GNPの算定基準が改定されることによって、このGNPの見通しが大きくなるということが言われておりますけれども、もしこのように伝えられるとおりとするならば、これまでの一%の枠の論議が白紙に戻ってしまうと思われるわけなんですが、防衛庁が一%の枠を守ると、このように強調してこられた背景には、このようなことが大きな根拠になっているのではないかと思わざるを得ない面があるんです。今そういう議論をすることは悪いごとではないと長官も言っていらっしゃいますけれども、もしも超えた場合にはということは、もうその心の中には超えようとしている。私はそう見ざるを得ない。その背景にはこういうこともあるんじゃないかと、このように懸念しておりますが、どうでしょう。
  169. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) GNPにつきまして、従来私たちはその数値がどうなるかは不確定でございますということを言ってまいりました。そして、それはそういうこととはまた別に、GNPの算定基準が五年に一度改定されることになっておりまして、その準備が現在経企庁内部で行われているということも私たち聞いております。しかし、このGNPの算定基準が変わりました場合に、それがプラスとして働くのか、マイナスとして働くのか、それも私たちまだわかっておりませんし、また正式に経企庁が明確におっしゃる前に私たちがとやかく推測してはいけないことだろうと思っております。仮にそういう事態がありますと、なかなか複雑ないろんな論議になってしまうと思いますけれども、私たちとしては現在はそれはまだわからない要素であるということで、現在の基準で論議していくべきことなのではないかなと、こう思っております。
  170. 田代富士男

    田代富士男君 この経済指標の変更によりまして、一%枠とのいわゆるすき間が大きくなることを前提にいたしました防衛庁の防衛費の増額をもくろむことは、断じて私は許すわけにはいかないと思います。これはもう明確に申し上げておきます。今日御承知のとおりに行財政改革という美名のもとに、国民福祉やあるいは教育等の重要施策が抑えられてきていることは事実でございます。  長官も御存じのように、五十六年度を一〇〇とするならば六十年度までの五年間に防衛関係費は実に一三〇・七%と三〇%以上も増加をしているのでございます。これに対しまして社会保障関係費は一〇八・三%、わずか八・三%のアップ、文教関係は一〇二・一%、わずか二・一%のアップ、公共事業費は九五・七%、これは実にマイナス四・三%になっているわけなんです。これに関連して前の伊藤国防会議事務局長が、雑誌の論文の中で自衛隊も行革をすべきなどの趣旨の発言を行っていらっしゃるのには、注目に値するのではないかと思うのでございまして、防衛政策を熟知した立場の人でさえそういう認識である以上、防衛費の抑制をもっと行うことができるはずではないかと思いますが、この重要な指摘に対しまして、ふやす方だけでなくして、今私が申し上げましたこういうことに対する加藤防衛庁長官の所見を伺いたいと思います。
  171. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 私たちが防衛力整備を考える際に、決して忘れてはならないのは、行政改革というものに聖域はないのであって、防衛力整備の分野もその例外としてはあり得ないということだと思います。私たちも常に我々の防衛力整備、人員の配置等がこの厳しい財政事情の中で国民の批判に耐え得るものかどうかということは、常に検証していなければならないことだと思っております。そういう意味で委員御指摘のとおり、また伊藤前事務局長が言っておりますように、私たちも行政改革については努力をしていかなければならないと、こう思っております。  そこで、防衛費の分野につきまして言うならば、現在防衛計画の大綱の水準に達しておりませんので、その達成を期するために努力をいたし、また、五九中業の策定などをいたしておりますけれども、その作業の中で、本当にそれぞれの装備が必要なのかどうか、そして、費用対効果というものが本当に国民に納得できるものなのか、また、専門的に見てそれも納得できるものなのか、しっかりと考えて合理化に努めていかなければならない、こう考えております。  ただ、一つだけ敷衍させていただければと思うのは、先ほど委員の方から五十六年度から六十年度までの主要経費の伸び率で言うと、防衛費は三〇・七%伸びているではないかと、それは社会保障関係費では八・三しか伸びてないのに、という御指摘がございました。その数字はそのとおり事実であります。私たちが計算いたしてもそのようになっておりまして、防衛費はそういう意味では伸びております。ただ、昭和三十年の我々の防衛庁ができたときと現在までの期間で、少し期間のとり方を変えてみますと、実は社会保障関係費は九十一倍もなっておりますし、それから文教関係費は三十七倍にもなっておる、公共事業は三十九倍にもなっておる、私たちの防衛費は二十三倍程度に進んでいるということも数字としては事実でございますので、御記憶いただければありがたいと思います。
  172. 田代富士男

    田代富士男君 防衛庁長官ね、そういう古い数字を出されましたらまた古い数字でやらなくちゃなりません。余りそういうことを言ったら理解する人も理解しなくなりますから、それは言わない方がいいと思いますよ。あえてその問題には触れませんけれども。  GNPの伸びあるいは人勧等、今後の推移によりましては防衛費が一%を超えることも十分あり得るが、もしそういう事態になったとするならば、装備関係経費を削ってまでも一%枠を守るべきであると思料いたしますが、仮に一%を破ることになりますと、今まで言い続けてまいりましたが、国民への重大な背信となる、そういう意味におきまして具体的にどのように対応されるおつもりなのか、今理論的にはいろいろ検討しているということでございますが。そこで、手続として一%の枠を決めた国防会議及び内閣の決議というものを変えさえすればよいと思うのは思い違いも甚だしいのではないかと思うんです。もし政府が一%突破の直前になりまして、今私が質問してまいりましたいろいろな問題を勘案いたしまして決定を変更するようなことになりますと、これはまさしく土俵際に詰まった横綱が土俵を広げてくれと言うような醜態を演じているものと同じではないかと思うのです。だから、来年以降におきまして一%枠を広げてから防衛費を決めればよいという考えであるならば、今一番最初に私が質問をいたしましたこの世論調査を無視することになりまして、それは人気と体力を無視して土俵に上った力士のようなものであります。そういうことから、私はもう一度長官の所感を伺いたい。  そこで、殊に防衛政策が国民世論の支持なくしては遂行することが難しいということも今言われましたことから、こういうことは危険なことと言わざるを得ないのでございまして、再度長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  173. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 現在、防衛費につきましては、今後のGNPの実質的な推移がどうなるかということと、それから本年度予定されておりますベースアップに関する人事院勧告、それにつきましての政府の扱い方、こういうことでまだ不確定な要素が多いものだと思っております。ただ、累次申し上げておりますように、GNPが現在の見通しのように推移し、なおかつベースアップが昨年程度のものが実施されるということになりますと、数字上はGNP一%の中に防衛関係費がおさまらないということもこれは事実でございます。  一方、私たちは、累次防衛計画の大綱の早期達成ということを過去十年間総理大臣も防衛庁長官も一つの公約としてこの国会の場で申し上げてまいったわけでございます。これらとの関係もございまして、私たちは今後非常に慎重な対処を必要だとは思いますけれども、私たちは防衛計画の大綱の水準の達成ということを防衛庁としては考えるべきなのではないだろうかな、こんなふうに思っております。具体的にその一%の問題がおさまり切れないときになりましたならば、そのときはまた国会において、従来の答弁、そして従来の諸院の御議論、従来の経緯等を踏まえて慎重に対処してまいりたいというのが総理大臣ないし私たちの従来の立場でございますが、それについて私たちも変わっておりません。もし万が一そういう場合になりましたら、よりすっきりとした形で一つの政策の問題として国民の皆さんに議論をいただかなければならないのではないかなと思っております。
  174. 田代富士男

    田代富士男君 防衛庁長官は、去る七月の十日、山形県の東根市の陸上自衛隊神町駐屯地で記者会見をされております。今月二十六日予定の六十一年度予算概算要求基準決定に向けまして、五九中業の初年度にも当たるので、一定以上のシーリングを確保したい、このようにお述べになっていらっしゃいます。これは前年度の概算要求基準七%、そして決定は六・九%、御存じのとおり、これを上回る防衛費の伸び率確保に強い意欲を示されたというふうに思うんですけれども、防衛庁は例年以上の大幅増額を要求する方針を固められたんですか、ここらあたり記者会見のあれとあわせてお答えいただきたいと思います。
  175. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) 来年度予算のシーリングにつきましては、先生お尋ねのように、来年度は五九中業といいますか、次の新しい五カ年計画の初年度でもありますし、かねがね申し上げておりますようにおくれております大綱達成をこの五年間に期するということで、その初年度がつつがなくスタートできるようにということで、最小限のものでございますが、必要な経費は要求をいたしたいということで、私どもといたしましては現在のところ八%ぐらいの伸びのものをお願いをしたいということで現在大蔵省と折衝いたしております。
  176. 田代富士男

    田代富士男君 長官のお考えどうですか。
  177. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 先ほど申しましたように、五九中業で私たちは大綱の水準の達成を期したい、こう思っておりますが、その初年度に当たりますことと、それから後方、正面とのバランスのとれたいろいろな防衛力整備等も考えたければなりませんし、隊舎等におきましても隊員の生活状況はかなり他の業種の人に立ち射ぐれておるところもございますので、私たちとしては来年度は八%の伸び、約二千五百億になりますけれども、それを概算要求のシーリングとしてはお願いしたい、こう思っておる次第でございます。
  178. 田代富士男

    田代富士男君 そこで、竹下大蔵大臣もきょうは御出席でございますからお尋ねいたしますが、六十一年度の防衛予算についてでございますが、先日の報道によりますと、六十一年度予算は一般歳出の伸びを一・五%にとどめるという緊縮型予算であると言われておりますが、けさの新聞報道によりますと、防衛予算は例年より抑制ぎみの四・一%であれ前年度よりも上積みして要求することを認めているようでありますけれども、また、行革審の六十一年度予算に関する意見によりますと、一切の聖域は認めていないようでありますけれども、概算要求基準の骨格を固めつつある現段階の方針をお聞かせいただきたい。  それと同時に、大蔵省が防衛費を例外扱いにする合理的理由は何であるのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  179. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず、六十一年度予算編成に当たりましては、今御指摘がありましたように、あらゆる分野に聖域を設けることなく歳出全般にわたりまして徹底的な節減、合理化を図っていく必要がございます。したがって、防衛関係費についてもこのような考え方のもとで一層の効率化、合理化を図っていかなければならぬ、基本的にはそのように今考えております。  いつもこの防衛予算につきまして申し上げますことは、まさに十二月になりますと、この他の国全体の諸施策との調和のぎりぎりの調和点を求めて編成をしたという実感をいつも持つわけであります。したがって、これからもそういう考え方で対応していかなきゃならぬというふうに思っておるところであります。  ただ、基本的にはそういう考え方で折衝中でございますが、今おっしゃいましたこの大蔵省が増加額、いわゆる四・一%増の防衛費概算要求基準案を防衛庁に対して打ち出したという問題でございますが、そのような数字を防衛庁に提示したことは事実でございます。基本的に中身で御説明申し上げますことは、あるいは事務当局の方がより正確かと思いますが、例年この経常経費部門、投資部門、そして例外部門、その例外部門の中に防衛費の場合のもとより人件費、それからいわゆる国際取り決めに関するもの、すなわちいろいろ前年度に契約しておりますものの当該年度歳出を伴うというようなものが積み上げられて、それら防衛費そのものが聖域とか例外でなく、防衛費の中を構成します人件費でありますとか、当年度財政支出を伴うもの等々から、ぎりぎりの今調和点を見出そうというのでこれから折衝しようということになっておるわけであります。
  180. 田代富士男

    田代富士男君 時間が私の持ち時間はもう間もなく終わりでございますが、防衛庁関係にもへし折った質問になりましたが、村田通産大臣も御出席でございますから、まとめてちょっと御質問を、ほんの短い時間でございますけれども。  それで、通商摩擦についてお尋ねする予定でございまして、今政府が進めている一連の中で、私は市場開放について取り上げていこうと思いました。その中で、この関税の引き下げについて尋ねようと思いましたが、例えば千八百五十品目の関税が一律二〇%引き下げが行われるように今作業が進みつつございますけれども、これ具体的に数字を申し上げたかったんですが時間がありませんが、このようにやられても不均衡の是正に寄与しないのではないかと私は思います。また、この千八百五十品目の輸入品関税の引き下げによりまして、輸入品の価格が安くなるとは、期待できるのは疑問ではないかと思います。その理由として高い流通経費、我が国特有の商習慣の例が挙げられます。ウイスキーの例なんか小売価格七千円のウイスキーは輸入が八百五十円で、こういう流通マージンが六割ぐらいであるというようなこういう実態も出ておりますし、今とろうとしていられる措置が貿易不均衡の是正の上で十分に効果をあらわすためには、この最終の小売価格の引き下げによる需要の喚起がなければならないじゃないかと思いますし、そのためには、流通機構の簡素化、合理化などを進めなくちゃならないと思いますが、このように、まず関税率の引き下げに伴う諸問題に対しまして、思うとおりにはいかないのではないかと私が懸念している問題と、通産大臣は先日、四極通商会議に、ヨーロッパ、アメリカを訪問されたのでございますけれども、このようなアクションプログラムに対する海外の評価をどのように肌で感じてお帰りになったのか。そういう問題点を細かく聞きたかったんですが、時間がありませんですから、今私申し上げた範囲内で結構でございますから、お答えいただきたいと思います。
  181. 村田敬次郎

    国務大臣村田敬次郎君) 田代委員の御質問は、まさに現在の貿易摩擦問題の核心をついておられるわけでありまして、実は年間四百億ドルにも上るような黒字を上げておるということから、現在日本に対する欧米の要望というものは非常に強いものになっておることは事実でございます。したがって、まず四月の九日に対外経済対策を中曽根総理が決定をされまして、そして内外に対してそのことを発表なさったわけでございますが、その後、関税の引き下げ、これは御指摘のように千八百五十品目にも上る非常に、今大蔵大臣おられますが、画期的なものでありまして、大蔵省の試算によれば七百億円にも上るという大変に大規模な、そしてまたかつ深いものでございます。そして現在は、アクションプログラムを七月末までに作成するということで、総理を中心に各省がこれに真剣に対応しておるところでございます。  今般私、御指摘のように、四極貿易大臣会合がカナダでございました。それからその後でアメリカに参りまして、ブッシュ副大統領、またボルドリッジ商務長官、ヤイター新USTR代表等と会いまして、今後の進め方についての、現在のアクションプログラムの進め方その他を相当詳細に説明を申し上げまして、理解を求めたところでございますが、アメリカのブッシュ副大統領以下の要望は、今、日米関係は基本的には非常にうまく推移をしておる、しかし貿易問題は言うなれば一番頭の痛いところであって、特に保護貿易、保護主義的な対応が米国議会を中心に非常に台頭をしておるので、このアクションプログラムについてはひとつ抜本的に思い切った措置を講じてくれ、もし中途半端なものならばやらない方がいいぐらいであるというような、非常に厳しい表現もお使いになっていた面もございます。したがいまして、帰ってまいりまして、きょうの閣議でそのことを御報告をし、そして中曽根総理にも直接的にその米国の空気等を伝えまして、アクションプログラムもいよいよ大詰めでございますから、ひとつしっかりとやってまいりましょうということを御報告をし、そしてまた今後の対応を急いでおる、そういう現在段階でございます。
  182. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ―――――・―――――    午後一時十一分開会
  183. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十八年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  184. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 去る七月の九日に我が党は、米軍が横浜市上瀬谷基地にフリート・オペレーショナル・コントロール・センター、艦隊作戦統制センターとでも言いましょうか、こういうものを建設する計画を持っていることを発表し、以来いろいろと反響を呼んでおります。これは、アメリカの国防総省の一九八六会計年度軍事建設計画、この文書の中にはっきり記載されているものであって、予算二千百四十九万ドル、五十三億八百万円。八六年一月からの着工を目指して、設計を本年一月から始めると、こう計画書に書いておりますけれども、この点は外務省としても確認をしておられますね。
  185. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 委員御指摘の計画につきまして、国防総省の資料に御指摘のような記述があるということはそのとおりでございますが、私どもの把握しておりますところでは、右の計画に必要な二千百万ドル何がしかの予算については、今年度につきましては議会の承認が今日まで得られておりませんので、計画が今後どういうふうになるかということについては不明な現状であるというふうに承知をいたしております。
  186. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 計画は事実だが予算が議会で承認されていないということでありますけれども、日本政府として米軍がこの計画を今後とも断念をしたというふうに確認をしているわけではありませんね。
  187. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 国防省の方で今後この計画をどういうふうに取り扱っていくかという考え方については、現在承知をいたしておりません。
  188. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 とにかく断念をしているということではないと思うんです。  そこで、この艦隊作戦統制センターの機能、内容の問題でありますが、私どもとしては明らかに従来の上瀬谷通信基地の機能を超えるものではないかというふうに思っているんですが、このセンターの機能、内容等についてどういうふうに外務省としては認識をしていますか。
  189. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 私どもの方でアメリカ側に国防省の資料に基づきまして照会をいたしましたところによりますと、これはもともと委員御承知のように上瀬谷には第七艦隊の哨戒偵察部隊の司令部がございます。これは従来から明らかにされておるところでございますが、その司令部の諸施設、これが老朽化したためにその更新、建てかえが必要であるというのが国防省の認識であって、それに基づいて議会に対して行われた予算要求というふうにアメリカ側は説明しております。したがいまして、施設の機能が従来のものと異なってくるというものではないというのがアメリカ側の説明でございます。
  190. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 現在あるこの施設の老朽化したのを建てかえる、こういうものなんだという今の御説明でありますけれども、そういたしますと、現在でもこの報告書に名称として出てまいりますフリート・オペレーショナル・コントロール・センターというものは現在もある、こういうものがあるというふうに外務省としては早くから認識をしておったんですか。現在あるんですか、現在も。
  191. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 名前をどういうふうにつけるかということは別問題といたしまして、先ほども御答弁申し上げましたように、従来から上瀬谷には哨戒偵察部隊の司令部がございます。この司令部はこれも委員御承知かと思いますが、主としてP3C哨戒機の運用をコントロールする司令部でございまして、その関連で第七艦隊全体との通信統制機能というものを同司令部が持っておるということは容易に想像されるわけでございますが、そういう性格のものとして従来から存在をしており、今後もその機能が格別に変わることはないというのが米軍の私どもに対する説明でございます。
  192. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私は現にある施設の老朽化したのを建て直すと、そんな簡単な生易しいものではないというふうに思っている。そのことはおいおいこれから明らかにしていきますけれども、少なくともあなたが米側の説明だということで今ここでおっしゃっていることによりますと、現にある物の建てかえにすぎないというわけですね。そうすると、ただ名称のいかんにかかわらずと、しかしあなたも実物ごらんになったと思いますけれども、これが計画書ですね、この議会の報告の関係の。ここには仮称というようなことがついていない、フリート・オペレーショナル・コントロール・センターというふうなきっぱりした名称をつけている。こういう名称のついたものは現在あるんですか、上瀬谷に。
  193. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) ここに出ておりますフリート・オペレーショナル・コントロール・センターという名前がついておるかどうかということについては、私ども必ずしもつまびらかにしておりません。
  194. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 もう一つ聞きましょう。  このオペレーショナル・コントロール・センター、頭にフリートと、艦隊と、こうつくんですが、このフリートは第七艦隊を指すのか、太平洋艦隊を指すものですか。どういう認識ですか。
  195. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 一応第七艦隊ということで御理解いただいてよろしいんじゃないかと思います。
  196. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それは米軍に確認したんですか。
  197. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 私どもが米軍に照会いたしました結果はそのように理解をいたしております。委員が持っておられます国防総省の資料にもそのように書いてあるというふうに理解をいたしております。
  198. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 この機会に一言だけ言っておきましょう。この計画書、ここに任務あるいは主要機能ということで、太平洋艦隊及び第七艦隊のための艦対陸通信及びポイント・ツー・ポイント通信、こういうふうに任務を定めていますから、その点ははっきりしないんです。しかしこれは単にはっきりしないという単純なことじゃなくて、第七艦隊を指揮コントロールするのかあるいは太平洋艦隊を指揮コントロールするのかというのは、これは重大な違いが出てくるということで、私どもの理解の限りではというあいまいなことを言っておられますけれども、これは大いにこれから問題になってくる点だと思うんです。  そこで、老朽施設の建てかえにすぎないというふうにおっしゃいますけれども、この米軍側の計画書、これを見ますと、明らかにプロジェクトをやる、フリート・オペレーショナル・コントロール・センターというプロジェクトをやる、こういうふうに正面から打ち出しているわけですね。このプロジェクトの内容はどういうものか、備えるべき条件はどうか、現状から見てなぜこのプロジェクトが必要になってくるのかということをるる書いている。単なる今ある施設の老朽化したのを改築するというような程度のことじゃないということは、これを読めば読むほど歴然としてくるじゃないですか。この計画書のどこかに老朽施設を建てかえる、これが目的だというふうなことを書いている箇所がありますか。あったら挙げてください。
  199. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 委員お手持ちの国防省が議会に提出しました資料、予算要求額の数字が出ております表の下の方に、この計画を必要とする理由を説明しておるくだりがありますが、そこにおきまして、現存の施設というものが十分なスペースがない云々ということで、老朽化という言葉は特に使っておらないかと思いますが、いろいろ手狭で、スペースが十分足りないとか、その他の理由から施設を新しく建てる必要があるという説明書きが記載されておりますので、そこで御理解いただければ、一応米軍の予算要求の理由というのは明らかになっておるところだろうと思います。
  200. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 とにかく老朽化したものを建てかえるにすぎないというふうにおっしゃっても、現にこのコントロールセンターなるものが今もあるのかと言えば、その点についての答弁というのは非常にあいまいだ。名称までは確認をしていませんと、こういう言い方ですね。あなたは、今、この計画書の中の一部を挙げられましたけれども、その前段に、このコントロールセンターの内容、危機状況下における第七艦隊の作戦の指揮・統制を行うため、艦隊作戦統制センター、無線受信棟、通信自動交換センター、電子・通信修理工場、電子機器部品倉庫、緊急時用兵員宿舎、及び、上瀬谷受信施設に付随する支援施設を建設すること、こういうことで、必要条件としていろんな特別保安対策、機密の漏えいを防ぐための遮へい、安定した電源、明らかにこれは核爆発に備えての問題だと思いますけれども、電磁波パルス(EMP)防護設備、こういうものを備えることが必要だと、詳細に書いているわけですね。  もう一つ角度を変えて聞きますけれども、フリート・オペレーショナル・コントロール・センター、こういうものは日本のどこかほかの基地にありますか。
  201. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) ほかの基地にあるかどうかということは委細承知しておりません。  いずれにしても、私どもアメリカ側に照会をいたしまして、アメリカ側の説明として基本的に理解いたしておりますのは、従来から上瀬谷に存在しております第七艦隊の哨戒部隊の司令部というものが今後も上瀬谷に引き続き存在をする、その司令部の機能というものは従来のものと変わらない、したがって国防省が議会に要求をしております予算というものも、そういう司令部の機能というものを今後とも果たしていくために必要な施設の建設である、こういうふうに御理解をいただければよろしいのではないかというふうに考えております。
  202. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そのようなことを繰り返されても、アメリカの説明をうのみにして、日本の将来にとって、とりわけあの地域、神奈川県上瀬谷、あの地域の住民にとって大変なことが起こるかもわからない、こういう心配を含んでおるそういう施設のあれについて、アメリカの説明を全くうのみにして、ここの国会で繰り返しておるということは、私は、これは無責任きわまると思うんですよ。  どこか日本のほかの基地にあるかと言えば、よくわかりませんという言い方だけれども、ないでしょう。アジアにありますか、どこか世界にありますか。問題は、日本に初めてこういうものがつくられようとする、ここが当面の焦点です。  参考に聞きますけれども、アジアか世界のどこかにありますか。
  203. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 私、承知しておりません。  私は、委員がどういうふうなことを御念頭に置いて御質問がわかりませんが、私どもはここで名前がついておりますフリート・オペレーショナル・コントロール・センターという名前そのものに非常に重要な意味があるというふうには理解をいたしておりません。実態は哨戒部隊の司令部でございまして、哨戒部隊の司令部として、先ほど御答弁申し上げましたが、主としてP3C対潜哨戒機を運用している司令部でございますので、そういうものであれば当然それなりの機能を上瀬谷の司令部の施設が持つというのは当然のことであり、これは特に新しい要素を上瀬谷の基地に持ち込むものではないというふうに理解をいたしておりますので、委員の方におかれても、そのように御理解いただくのがよろしいのではないかというふうに考える次第でございます。
  204. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 そういう無責任なことを、何回も何回も同じことを繰り返してもらったら迷惑だよ。とにかく、日本の他のどこの基地にもまだ置かれたことのない施設。アジアにあるか、世界にあるかと言えば、そのことについてきちっと答えることもできないような新しい名称の施設でしょう。そして老朽施設の建てかえにすぎないと言ったって、それならば現に今そういう施設があるのかと聞けば、これもはっきり答えられない。そういう名称の施設が現在あるのかと言えば、それも答えられない。  しかも、私が引用したように、危機状況下における第七艦隊の作戦の指揮統制を行う、これが目的の施設だと。危機状況下と言えば、今日のアメリカ軍が使う用語としては核戦争を念頭に置いているということは明瞭じゃないですか。だからこそ、このプロジェクトというか、この施設でつくるべき内容に特別保安対策、そのための施設が要る、あるいは電磁波パルスの防護設備が要る、こういうふうに書いているじゃないですか。  私は、いろいろ挙げてお尋ねをしたわけでありますけれども、もう一つ念のために聞いておきましょう。  もしこの施設の中に、弾薬庫のようなものができるとすれば、これは明らかに今までの通信施設の機能を超えた重大な変更になるということは当然ですね。
  205. 栗山尚一

    説明員(栗山尚一君) 上瀬谷の施設区域は、一つは御承知のように通信専門の受信施設でございます。  それから、もう一つは、先ほど来御答弁申し上げております哨戒部隊の司令部がある、こういうことでございますので、そういう機能を有しておる施設区域ということでございますので、委員御質問の弾薬庫云々という話は私どもつまびらかにいたしませんが、何らかの理由で弾薬庫が設けられるというようなことは私ども今のところ想定しておりませんが、そういう事態になった場合にその施設区域の性格が非常に変わってくるかどうかをいうのは、やはりちょっとその時点で判断してみないと何とも申し上げられないと思います。
  206. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 私どもがいろいろ調査をした限りにおいては、この計画の中にパイロテクニックマガジーンという言葉が出てくるんです。このマガジーンというのは倉庫とも訳せるし弾薬庫とも訳せる。だから、これは一体どういう内容かということをもっともっとよく調べていく必要がある。外務省に対してアメリカ側は、何かいろいろな秘密文書を廃棄をするために、特別高熱が出るそういう物質の貯蔵庫だというようなことで説明したらしいけれども、こんなものをうのみにしておったら後でえらいだまされたということになりかねないんですよ。  しかもあれでしょう、今こういう形で日本の政府も含めて日本の国民をだましたがら、実際は核戦争を想定をしたその作戦のコントロールセンターを新たに上瀬谷に持ってこようとしている。今まで日本のどこにもつくってないです。しかも、これがアメリカで予算はまだ承認をされてないと言いつつ、ことしの春からボーリング調査を既に開始をしているわけですね。これも外務省に私聞きますと、それは老朽化をした隊舎などの改築をするんだというんですけれども、そんな程度の生易しいものかという疑問が依然として残る。しかも、この隊舎の改築に至っては例の思いやり負担でやろうというんですから何をか言わんやということでありますけれども。  そこで、きょうは外務大臣がこの委員会出席ができないということでありますので、特別に藤波官房長官に外務大臣臨時代理ということでもありますのでお出ましを願いました。いろいろ問題を提起をいたしましたけれども、本当に日本のどの基地にもまだ置かれたことのない新たな施設、そしてその内容を見ていきますと、核戦争を想定をして、それに備えて第七艦隊、それにとどまらず太平洋艦隊の指揮コントロールを行っていくようなそういうセンターとなる施設をつくろうという。こんなものがもしつくられたら、一たん事が起こったら軍艦なんかはぱっと逃げて散るわけでしょう。ところが上瀬谷という動くわけにいかぬ陸上にこんなような施設がつくられたら、それこそ報復攻撃の最大の目標になるじゃないですか。文字どおりあの地域が核戦争の足場になる。核報復攻撃の足場になる。こういうことをアメリカのごく表面だけの説明をうのみにして、はいそうですか、それなら結構、どうぞどうぞ、思いやり予算もつけてひとつ歓迎しましょう、こんな無責任な態度というのはこれはもう断じて許されない。  そこで、藤波さんにお願いをしておきたいと思いますけれども、るる私がきょう申し上げましたことを外務大臣にもひとつ正確にお伝えをいただいて、一つは、もっともっとこの内容がどういう内容かということを正確にまずはつかんでいただきたいということと、私が言っておりますように幸いにアメリカで予算が通ってないですから、そういう時期ですから、こういう危険な施設は日本としては御免だと、こういうものはひとつ撤回をしてもらいたいということを強力にアメリカ側に外務大臣とひとつ力を合わせてやってもらいたいというふうに求めますが、藤波さん、どうでしょう。
  207. 藤波孝生

    国務大臣(藤波孝生君) 先生のお手による調査に基づく御所論は今お伺いをしたところでございますが、政府といたしましてこの問題について入手をいたしております情報としては、上瀬谷の通信施設の既存の施設が老朽化をしたので非常に手狭になっており、これの改善を図るために計画を立てる、しかしその予算がまだ国会で通っていないので今後実現するかどうかはまだわからない段階である、こういうふうに伺っておるところでございまして、このことにつきましては先ほど来政府委員から御答弁を申し上げたところでございます。   ただ、きょうの先生からいただきました御質疑につきましては、外務大臣が帰りましたならばよくそのままお伝えをすることにいたしたいと思います。私は臨時でございますので、帰りましたらよく伝えるようにはいたしたいと存じます。
  208. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 あなたも老朽施設の改築にすぎないという言い方を繰り返しているんですけれども、そうであればプロジェクトというような言葉が出てくるはずないんですよ、アメリカの予算書に。新たなこういうプロジェクトをやりますということが、従来あったものの建てかえだったらそんな言葉が出てくるはずないでしょう。常識じゃないですか。ということでよくひとつ認識を改めて、資料は外務省が持っていますからあなたもひとつ目を通して、外務大臣とよく相談をしてもらいたい。  それで官房長官はこれで時間らしいので、あと五九中業問題で官房長官にも一緒に聞きたいと思っておったんですが、官房長官どうぞ。  防衛庁長官、五九中業問題は一番最後に回しますのであしからず。  国鉄問題に入ります。七月の十一日、能登線の古君――鵜川間で発生した列車の脱線横転事故について、その直後私も党を代表して現地調査に行ってまいりました。そういった関係で、いろいろ見聞をしたことをもとにしながら幾つか質問をいたします。  土砂崩れ、しかも路盤崩壊による今回の事故は極めてまれなものでありまして、この事故の内容については多々報道もあり、もう時間も極めて限られていますのであえて説明は求めません。この事故の原因、特にその責任が国鉄のどの部門、保線か運転か、この点についてはどういう認識ですか。
  209. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 七月十一日に発生をいたしました能登線の災害の事故のために亡くなられました方々、おけがをされました方々並びにその御家族の方々に対しまして心からおわびを申し上げる次第でございます。  今先生からお話もございましたけれども、今回の災害を起こしました区間は軟弱地盤上につくられました高盛り土区間でありまして、長期間にわたって断続をして降りました大量の雨のために基盤と盛り土中の間隙水圧が上昇し、盛り土の強度並びに基盤の強度が減少して基盤もろとも滑ったという国鉄の災害史上でも大変に珍しい事故のわけであります。  したがいまして、この点に関しましては、今軌道保守上の問題があるいは路盤管理上の問題か、どこに責任があるのかということでございますけれども、私どもの現時点までの調査の結果によりますと災害であるということを申し上げるわけでございます。
  210. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 国鉄では災害発生のおそれのあるときに運転規制を実施することになっておって、連続雨量、時間雨量、その両方の組み合わせによって、時間当たり三十キロ以下の速度制限または運転中止などを行うということになっています。当日この地域では雨量がこの運転規制の基準以下だからということで規制をしなかったわけでありますが、この基準自体が金沢の管理局では六月の一日から緩和されていたことを総裁は御存じですか。
  211. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 当時の私といたしましては具体的に承知しておりませんでしたが、その後、担当者からの説明で承知をいたしました。
  212. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それならば具体的に、六月一日付でこの金鉄局の規定改正によって基準の緩和をしているわけですが、能登線についてどういうことになっていたか、ポイントだけ説明してください。
  213. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 能登線について申し上げますと、まず三十キロの徐行をかける基準でございますが、在来の規定におきましては、時雨量二十ミリ以上、連続雨量百五十ミリ以上、それからもう一つ、連続及び時雨量の両方の加算という意味でございますが、連続雨量が百ミリ以上で時雨量が十ミリ以上、降雨強度が十ミリ以上の雨が降った場合には三十キロの徐行をかけるということといたしておりました。六月一日の改正におきましては、これを時雨量三十ミリ以上、連続雨量二百ミリ以上、並びに連続及び時雨量の加算におきましては連続雨量百ミリ以上、時雨量二十ミリ以上という内容に変更をいたしております。運行の停止をいたします条件につきましても、六月一日以前の規制におきましては時雨量三十ミリ以上、連続雨量二百ミリ以上、連続及び時雨量の加算におきましては百ミリ以上プラス二十ミリとございましたものを、六月一日以降におきましては四十ミリ以上、二百五十ミリ以上、百ミリ以上プラス三十ミリということに規制値を直したわけでございます。  なお、これらの規制値を直すに当たりましては、これらの規制値は四十年四月に制定をされていたわけでございまして、以降二十年間見直しがなされていなかったわけでございますが、今回の見直しに当たりましては、過去十カ年の運転規制並びに災害歴の調査、それから現場におきます再点検、要注意箇所の洗い直し、これを現場をグループをつくって歩きましてそれぞれ個々に検査をしました結果、この程度に基準を緩めても実質上支障がない、安全面における問題はないという判断で緩めたものでございます。
  214. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 今説明あったようなことで、今回の場合、事故当日の雨量が鵜川駅で連続九十五ミリ、時間で五ミリであったから、基準以下であったので速度の制限をやらなかった、こういうことでありますが、しかし改正前の基準でいきますと、速度制限を行うべき百ミリプラス十ミリ、この基準に照らしてさっきの九十五ミリ、五ミリということですから、かなりぎりぎりの状況にあった。しかも十日間五百ミリの長雨が降っている。もしも基準改正をしないで前の基準のままであったら、相当注意をしたはずです。ところが、安易にこういう改正をやってきているということから、今回はしなくもこういうことが起こったということになっているわけですけれども、この点についての反省と、今後この連続雨量と時間雨量だけで判断するというこのやり方、これについて、長雨の影響、土質の問題、こういったことを考慮に入れる基準の見直しを検討すべきじゃないかというふうに私は思いますが、どうですか、総裁。
  215. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今、先生御質問がございましたけれども、今回の基準緩和と今回起きました災害との間に直接の関係はないというふうに私どもは考えております。当日におきましても、雨が降りやんだ後でございますが、午前九時ごろの時点で保線管理員が現場を巡回をいたしております。巡回して目視で見ておりますが、このときには何ら異常が発生をしていなかったわけでございます。事故の原因は、先ほど私が申し上げましたように、断続的に降り続きました長雨が、集水の機構と申しますか、水の集まり方、それから降った雨の流れ出し方、そういったもののタイムラグが集積をいたしまして、盛り土されております下の基盤あるいは盛り土の中の間隙水圧が上昇したということが原因であったというふうに思われます。  そういった意味におきましては、先生先ほど後段で御指摘されました、むしろ連続降雨量をどのように考えるかという点の方に問題があったのではないかというふうに考えられるわけでございまして、実はこの地点におきましては、八日の十六時から十日の八時までは雨が全く降っておりませんでした。したがいまして、災害の規制の発動も十日の八時もしくは十六時から降りました雨に対して規制を考えていたわけでございますが、今回の大変珍しい事故、希有な事故だと考えておりますが、こういったことの反省の上に立ちまして、断続して降る雨の場合におきましてもとりあえず四十八時間以内、その断続の断の時間が四十八時間以内の場合につきましては、その前回の雨についても連続降雨量の中に加算をする。ただし、これは条件がございまして、今回の災害現場におきますように下の地盤が軟弱である、かつ盛り土の高さが非常に高い、地形的に見ても集水地形であり、かつその水の出方がタイムラグがあり得るというような地形の場合の盛り土につきましては、今のような降雨量のカウントをすることにしたいというふうに考えておりまして、この点につきましては当面七月二十二日付でそのような規制の暫定的な見直しを行うことにいたしたいということに考えております。  なお、ほかの点につきましても、例えばこのような類似の地形の危険箇所につきましても全国総点検を行っておりまして、これは七月三十日までに完了をする。その上で警備体制等についても見直しを行いたい。  なお、長期的な問題につきましては、恒久的な対策といたしましては、このような大変珍しい事故が起きたということでもございますので、学識経験者を含めました委員会を早急に設置し、来年の雨季までにこのような長雨の影響が考えられる箇所の選定でございますとか、今御説明申し上げましたような断続的長雨に対する運転規制、警備の基準について再検討をする所存でございます。
  216. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 このいろいろ今後に向けての改善は検討をしているということで、その点はさておいて、問題は今回の六月の基準改正が何の関係もありませんと言ったって、前の基準であればかなりすれすれと、だから相当警戒を持って眺めておったはずですよ。しかし、大丈夫だというふうに判断をして、実際には事故が起こったじゃありませんか。論より証拠じゃないですか、事故が起こったということが。だから、やっぱりそこに警戒心が薄れておったんではないか。あの改正についても、今にして思えば少し反省をすべき点があるのではないかということを言っている。  ほかの問題で聞きましょう。あなたも言ったこの巡回検査の問題ですが、これも巡回検査をやって別に問題がなかったというんですが、しかし、十分な巡回検査がやれているかといえば、今のこの国鉄の民営化、減量方針、このもとで、現行のこの巡回体制極めて不十分じゃないか。例えば今回の場合甲保線管理室、ここで管理室長以下四人の職員で十八キロ四百メートルの保線を担当しているわけで、これでおよそ十分なことができるというふうには思えません。しかもその上さらに、巡回検査の周期を引き延ばそうという動きがあります。これには運輸省も一枚かんでいるから大臣に聞きますが、要するにパトロールをする回数をこれを引き延ばそうという、こういう動きがあるということを大臣知っていますか。
  217. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 承知しておりません。
  218. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 だから重大なんです。  巡回周期、今まで毎日一回のを四日に一回に延ばす。徒歩巡回の周期、十日に一回のを十四日に一回に延ばす。こういう方向へ、これもかかって減量方針、人減らしのためにこういうことをやろうということが今出かかっているじゃないですか。事実、イエス、ノーだけでいいです、確認してください。
  219. 岡田宏

    説明員(岡田宏君) 今、先生がおっしゃいました巡回点検の周期の延伸の問題につきましては、いわゆる軌道の検査の周期点検のことをおっしゃっておられると思います。確かに、軌道の巡回検査につきましては、延伸を計画をいたしております。しかしながら、この今回の災害のような、路盤、すなわち土構造物の全般検査の周期等については変更を加えておりません。軌道の検査につきましては、最近、線路の構造でございますとか、あるいは保線の方法が著しく改善されたということで計画をしたものでございます。
  220. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 ともかく最も大切にすべき安全確保のこの分野、ここでの安易な人減らしがやられているということであります。でありますから、あの事故が起こりました直後の毎日新聞だったと思いますが、その社説で、今国鉄の存在そのものを根底から揺さぶっているこの再建問題の中で、安全がなおざりにされているのではないか、国鉄がいかなる経営形態をとるにしても、公共輸送事業にとって、安全こそすべてであると、こう書いておったと思います。事故や災害を防ぐためには、的確な状況把握と慎重で入念な対策が何よりも必要なことを、これが今回の事故の一番の教訓であろうというふうに思うんでありますが、減量方針を強調するが余り、人命にかかわる安全対策、保安対策を切り捨てるということは断じてしないというこの基本的立場を、総裁も大臣もしっかりとひとつここに確認をしておきたいと思うんですが、その点についての所見はどうですか。
  221. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 安全確保は、公共輸送の最大の使命であると思っております。したがって、そういうことがあってはならないし、私はないと思っております。ただ、先ほどからおっしゃっておりますように、これは念には念を入れるという立場から過剰防衛的にやるといったらば、またそれも一つの方法かもしれませんが、限られた予算、今日の国鉄でございますから、先ほど常務理事からも希有という言葉がございましたけれども、予測し得る範囲内においては念には念を入れてやるということで私は足りるんじゃないかと思います。
  222. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 運輸に携わる者といたしましては、安全の確保ということが最大の使命であるというふうに私どもは自覚をしております。また、職員をそのように徹底的に指導をしているところでございます。今後も合理化、効率化の必要性がございますけれども、この安全の原点だけはしっかり守っていきたいというふうに考えるところでございます。
  223. 佐藤昭夫

    ○佐藤昭夫君 それでは、もう時間が切迫をしていますので、総裁と大臣にそれぞれつづめてお尋ねをします。  総裁、同僚委員からもありましたように、七月の二十六日、国鉄監理委員会の答申が出されるであろうということで、その内容についてももうおおよそのことが多々報道されているということで、当事者の責任者である総裁の見解を聞くんでありますが、一つは北海道、四国、九州を本州から分離、分割して、その赤字対策として一兆円を投入をするということに言われておりますけれども、これで果たして経営の見通しは立つというお考えかどうか。相当の赤字がここらの三島の関係について出ているということで、それで経営の見通しが立つのか。  それから財源対策として六兆円の用地売却が打ち出されると言われておりますけれども、これはことしの一月お話ありましたように国鉄自体のるる討論の結実としての再建案、ここでは三兆円、それをあなたは国鉄のそういう論議の結晶というか、結末、これは十分尊重をして今後対応をしていくつもりだとおっしゃったが、こういう再建委員会の予想される方向に対してどういうふうに対応されるのかという問題についてです。  大臣には、監理委員会は三十六兆円の負債のうち十七兆円、国民に負担をさせるという方向を打ち出すというふうに言われています。これは四人家族一世帯では年六万円を三十年間負担をするということの大変なことであるわけで、このようにして国民に莫大な負担を押しつける、国鉄の財産を次々切り売りをするとしながら、一方ではこの間の投資に次ぐ投資、開発に次ぐ開発で大もうけをしてきた大企業に対しては一指も触れない、こういう方向であるわけですけれども、こんな一方的なやり方を国民が納得できるはずはありません。  そこで、再建委員会のいかんにかかわらず、政府として政府の責任で大企業に対しての適切な社会的その責任を負担をさせる、大企業に対して。こういう方策を政府として積極的に打ち出すべきではないかというふうに思いますが、この点についての大臣の御意見を伺いたい。
  224. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 二十六日の答申を前にして、最終的な取りまとめがおおよそ終わった段階だろうかと思っております。今お話しの点につきましても今後の改正の重要なポイントでございますから、おおよそ終わっているとは思いますけれども、まだ私の手元に参っておりません。これは抜きにしてとおっしゃいますけれども、私どもはこの答申を得てこれらに対処するという建前から、答申を待って慎重に対処していきたいと思っております。
  225. 杉浦喬也

    説明員(杉浦喬也君) 答申はいずれ出されると思いますが、また我々も監理委員会と密接な連絡はとっておりますが、まだ最終的内容としまして承知をいたしておりません。ただいま先生の御指摘の北海道等の三島の問題あるいは六兆円の用地売却等の問題等もおおよそ聞いてはおりますけれども、またその対応につきましては、今後答申をいただきまして十分に検討をしていきたいと思います。
  226. 井上計

    ○井上計君 最初に大蔵大臣に伺います。  伝えられるところによりますと、五十九年度の税収はまことに好調で、細かい数字は省きますけれども、最終的には千七百五十億円程度の剰余金が出る、こういう見通しのようであります。ところが、既に六十一年度予算編成の準備が行われており、各省に対しては概算要求について非常に厳しい大蔵省の方針が示されたと、このように伺っておりますが、もちろん現在の財政状態でありますから、剰余金等についての処理につきましては、赤字国債の償還に充てる、いろいろとお考えがあろうと、こう考えます。ただ、今年度下期はアメリカの景気はかなり低迷すると、こういうふうに伝えられておりますし、またその影響を受けて当然我が国の経済もかなり成長率も減速するんではなかろうかというふうな点から、来年度予算編成について随分と多くの人が重大な関心を持っておるということであります。  そこで、冒頭お伺いいたしますけれども、簡単で結構でありますが、六十一年度予算の編成方針についての大蔵省の基本的なお考え、それらをひとつお伺いをいたしたいと思います。
  227. 竹下登

    国務大臣竹下登君) まず最初、五十九年度税収のことについての御意見を交えての御質問がございましたが、補正予算額にいたしますと七百二十九億円、すなわち〇・二%の増収でございます。それから当初から言いますと約一%ということでございますから、よく委員に申し上げておりますように一%以内は誤差のうちといいますか、その範囲でございますので、大変いいというわけでもございませんが、当初見込んでおりましたのと大きな乖離が生じなかったということが言えると思うわけでございます。  それからそれをどうするかということにつきましては、やっぱりこれは原則どおり、法律に基づいて言えば半額以上を国債整理基金に入れるということになっておりますが、可能な限りそれは大平大蔵大臣当時の答弁に立ち返りまして全額入れるという方向で進めたいと思っております。  それから六十年度につきましては、おっしゃいますとおり下期の経済の減速の問題、御心配のようでございますが、この間アメリカの指標が出ましたが、あの指標の中身をよく説明を聞いてみますと、下期必ずしも大きな減速はしないじゃないかという見方も一方にございます。いずれにいたしましても六十年度税収は、今五月税収が入っただけでございますので、まだ何も見通しのようなことを申し上げる段階にはございません。  そこで、それに伴いまして六十一年度予算編成ということでございますが、従来に倍して格段厳しいという環境の上に立ちまして、引き続き聖域を設けることなくあらゆる経費にわたって制度、施策の根源にさかのぼった見直しを行って対応していかなきゃならぬ。そこで、今一番近いところにございますのがその第一歩としてのいわゆる概算要求基準設定というものがございますが、これにつきましても大変厳しいものにならざるを得ないという認識で今作業を進めつつあるという段階でございます。
  228. 井上計

    ○井上計君 景気の見通しあるいはまた六十年度の税収は現在始まったばかりでありますから、また次回それらの点についてはいろいろとお伺いをし、私の考えを申し上げたいと思います。きょうは時間がありませんから端的にひとつ次に入ります。  財政再建の途上でありますから当然厳しい予算編成がなされることについては、これはもちろん異議がございません。当然であろうとこう考えます。ただしかし、昨年度もこの六十年度の例の補助金の一括削減等でも随分問題になりましたけれども、画一的なカットということについてはいささかどうであろうかというふうな面、これについては考えさせられるという点が多々あります。大臣も、また大蔵省御当局も当然お考えであろうと思います。削減する項目等についてはひとつ大幅にカットする、しかしやはり必要な面については増額をするというふうな重点主義がもっと貫かれていかなくてはいけないというふうに思いますが、そこで財源難を理由、したがって厳しい予算編成等々でありますから、カットすることによって起きるマイナスの方が大きいという問題が随所にあるわけです。きょうはそれらの点についてひとつ一、二私の考え方を申し上げてお伺いをいたしたい、こう思います。  最初に、これは警察庁並びに国家公安委員長にお尋ねをし、またお伺いをするわけでありますけれども、交通事故による死者が年々激増をしております。大変憂慮すべきことであるわけであります。    〔委員長退席、理事目黒今朝次郎君着席〕 いただきました資料等を見ますと非常にふえておるということでありまして、五十九年度は九千二百六十二人の死者が出ておる。六十年度は現在既に前年度比約三%増と聞いております。そうすると約三百人ぐらいふえるわけであります、このままでいくと。したがって一万人近くになるというふうなことが憂慮されるわけであります。五十五年度が八千七百六十人でありますから約六年間で千人ばかりふえていく、こういうことになろうかとこう思うわけであります。死者が約一万人というとこれは大変なことだと思うんです。炭鉱災害等によって六十人、七十人という犠牲者が出る、国としては大変な問題だといって非常に大きな政治問題になります。あるいは先ほど同僚委員からの御質問がありましたが、国鉄事故等によっての死者、いろいろと問題になりますけれども、交通事故死が約一万人ということが余り大きな問題にされていない現状を私は大変憂慮するわけであります。  御参考に申し上げますと、明治二十七年の八月から二十八年の四月、約一年足らず、八カ月ばかりでありますけれども、その日清戦争の外地における戦死並びに戦病死が千四百十七人なんです。戦争と比較することは大変不穏当かと思いますけれども、それにしても現在一万人になんなんとする交通事故死という大きな問題を、もっと重要視して考えていかなくてはいけないんではなかろうか。人命尊重ということがよく言われておりますけれども、この点をぜひ考えていかなくてはいけない。  そこで、またいただいた資料によりますと、道路延長はこの十年来ほぼ横ばいの状態である。ところが車両台数は四十五年を一〇〇とすると、五十九年度は約二・三倍になっておる。免許保有者の数は約二倍になっておって、今後とも車両台数もあるいは免許保有者の数もともにますます増加するという予想が警察庁によって示されておるわけでありますが、そうすると自動車がある限り仕方がないんだとか、このような交通事情ではある程度の死者が出ることは仕方がないんだというふうな考え方がもしあるとするとこれは大変なことだと思います。もちろん事故を絶滅するというふうなことについては、これは不可能ではありますけれども、しかし、これらのことを考えでできるだけ交通事故を減らしていくというふうなことを、もっと大きな政治課題として考えていかなくてはいけないというふうに思います。  ではそのためにどうするかという問題であります。私はそこで、特定交通安全施設等整備事業計画を拝見をしますと、第一次五カ年計画、四十六年度から五十年度以降達成率が年々減少して、第三次五カ年計画は今年度、六十年度で終わるわけでありますけれども、六九%という達成率しか見込まれないというふうなことを聞きますと、やはりこの交通安全施設の整備、これが非常におくれておるということが交通事故死のふえてくる大きな原因ではないだろうか、こんなふうに考えるわけでありますが、警察庁はどのようにお考えになっておられますか。同時に、その原因の大半が私はやはり予算が年々削減されておる。したがって、この交通安全施設の整備計画の達成がおくれておるということに大きな原因があるんではなかろうか、こう思うわけでありますが、警察庁いかがでありますか、お伺いをいたします。
  229. 太田壽郎

    説明員(太田壽郎君) ただいま御指摘のように、交通事故の死者数は昭和四十五年をピークにいたしまして、このころは一万六千人台でございましたけれども、官民挙げての交通事故対策というものが実りまして、九年連続して減少ということになったわけでございます。昭和五十四年にはピーク時のほぼ半数まで減少いたしましたけれども、五十五年以降反転いたしまして、ただいま御指摘のような増加傾向が現在も続いている、ここ三年ばかりは毎年九千人を超える死者を出しておる状況でございます。  増加内容を見ますと、従来のいわゆる交通弱者といいますか、歩行者あるいは自転車というものから四輪車等の車両乗車中のものに移行している傾向が顕著でございます。これはただいまお話がございましたような車の増加あるいは運転免許保有者の増加というようなものを反映してこういう事態になっておるわけでございまして、最近の交通事故による死者数の増加の主たる原因は、基本的には四輪車あるいは原動機付自転車等の車両台数の著しい増加、それから免許保有人口の増加等によるかなり構造的なものというふうに見ているわけでございます。  それで交通安全施設の整備との関係でございますけれども、これまで交通安全施設の整備がいわゆる交通弱者保護を最重点に進めてきたという事情があるわけでございまして、車両相互の事故防止の面の施設整備あるいは具体的には信号機の高度化等の対策が必ずしも十分でなかったというようなことも、最近の交通事故の実態に必ずしもマッチしてないという面が出つつあるんではないかというふうにも考えているところでございます。  予算の面でございますけれども、御指摘のとおり、昭和四十六年から五十年までの第一次五カ年計画の達成率は一〇五・二%、第二次の五カ年計画の達成率は九四・九%でございましたけれども、本年度で終わります第三次の五カ年計画におきましては六九%の達成率にとどまる見込みでございます。私どもといたしましても厳しい財政事情のもとで最善の努力をしてきた結果でございますけれども、この限られた予算の範囲内におきまして最高度に人命尊重というものを重点にいたした有効な活用方法ということに努めているところでございます。
  230. 井上計

    ○井上計君 警察庁は今お答えいただきました。  遠慮されたんでありましょうが、予算が少ないから相当明らかな因果関係があるというふうなことは言っておられませんけれども、しかし明らかにそれが大きな年々事故死が激増しておるやはり要因ではなかろうかと考えますが、大蔵大臣どうでしょう、やはりこういうふうなものはもっとやはり予算をふやすということでお答えいただいたらどうかと、こう思いますことは、これまた伺いますと、六十年度の警察庁の全体予算が約千六百億円、そのうちで交通安全施設に対する補助金は約百億円程度であると、こう聞きますと、余りにも少ないのに実は私驚いたんですが、これは警察庁を援護するわけじゃありませんけれども、大蔵省、いかがですか。
  231. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 確かに昭和五十六年度を初年度といたします第三次の交通安全施設等整備五カ年計画が、当初の事業費ベースにおきまして実績を下回ったことは事実でございます。ただ、委員御指摘の数字は六九%という数字をおっしゃいましたけれども、これはいわゆる交通安全施設の五カ年計画の中には道路管理者分と公安委員会分と両方ございまして、確かに警察庁の所管しております公安委員会分は六九%進捗率。ただ建設省で行っております道路管理者分につきましては、これもやや下回ってはおりますけれども八八・八%ということでございまして、全体として八五・四%という達成率になっているわけでございます。このほか地方単独の事業というのがほぼ国と匹敵する程度の規模で行われておりますが、これにつきましては交通反則金等が財源になっているとかあるいは起債が充当されているという事情もございまして、これについては国よりもかなりいい進捗率になっているんじゃないだろうかというふうに推定しているわけでございます。いずれにいたしましても、現在の厳しい財政事情のもとで計画が事業量を達成できなかったということはあるわけでございますけれども、先ほど警察庁からも御答弁いただきましたように、その財源の範囲内ではありますけれども、当面緊急に交通安全のために必要とする箇所につきましては、重点的に予算を配分する等によりましてできる限り交通安全については配慮してきたということであろうかと、こういうふうに思うわけでございます。
  232. 井上計

    ○井上計君 私の申し上げんとすることについては、もう大臣も十二分におわかりいただいていると思います。    〔理事目黒今朝次郎君退席、委員長着席〕 また、今説明員御答弁で、暗にそういうことについてはお考えいただけるというふうに、そのように感じますので、ぜひその点について六十一年度予算編成の中で十二分にひとつ御配慮をいただきたい、これは要望しておきます。  そこで交通事故死の問題を考えるときに、やはり予算あるいは財源だけでなかなかこの事故を減らすということはもちろんこれは不可能であろうと、こう考えます。そこで同時に必要なことは、交通安全教育をもっと積極的にやっていかなくちやいけないというふうに思います。  聞くところによりますと、警察庁では老人会等等についてもかなりやっておられるということでありますけれども、まだ十分でなかろうという面もありますし、それからもう一つ、学校教育の中で交通安全教育というものをもっと積極的に行うことが必要ではなかろうかというふうに思います。ある高校によりますと、生徒がバイク免許を持つともう事故に必ずつながる。だから、高校生在学中は一切バイク免許を取ってはいけないという禁止をしているというふうな高校がかなり全国的にあると、こう聞いております。私ども実は地元であります愛知県名古屋市においてもそういう高校がありますが、そこであるときに生徒から聞いたんでありますけれども、バイク免許を取らしてくれないからついいろいろないわば非行に走ると。それと直接関係ないようでありますけれども、そういうふうなやっぱり傾向もあると、こう聞いております。ところが、二、三日前テレビで見ましたところ、バイク通学を認めておる学校、ここでは交通安全教育を実施をしているせいでありましょうか、ほとんど事故がないということなんですね。だから、学校教育の中にもっとそういうふうな教育を重点的にやるということが私は必要ではなかろうか。しかもそれは高校だけじゃありませんで、やはり小学校あるいは中学校等を通じてそういうふうな教育をやったらどうかと、こう考えますが、文部省はどのようにお考えでありましょうか。  なお、けさの新聞で見ますと、ある県の小学校の校長が飲酒運転で事故を起こしたなんという記事を見ますと、やはりこれは学校の中でのそういう交通安全教育がほとんどなされていない。なされておれば、仮にも校長が飲酒運転で事故を起こすなんということは起き得ないであろうと考えますと、その緊急必要性というものを改めて痛感しているわけでありますが、それについて必要な施設あるいは講師をどうするとか、いろいろ問題があるでありましょうが、文部省はどのようにお考えでありますか、お伺いをいたします。
  233. 古村澄一

    説明員(古村澄一君) 学校におきます交通安全教育は、児童生徒の心身の発達状況、それから地域の実情に応じまして交通安全に関する知識を深める、あるいは交通社会の一員として安全に行動することができる実践的な態度と能力を養うということを目的といたしまして、学校教育活動全体を通じて組織的、計画的にやるようにという指導を強くいたしておるわけでございます。  そこで具体的に文部省といたしましては、いわゆる交通安全を指導する教員といいますか、指導者に対する研修授業、それから教師用の指導する場合の指導資料というものをつくりまして配付いたしておるというのが現状でございますが、なお、これにつきましては強く指導をしてまいりたいというふうに思うわけでございます。  それから先ほどお触れになりましたバイクの免許の問題でございますが、これは地域によりましてバイクを禁止しているところと、あるいはそれについて禁止しないで、乗らした上である程度積極的に正しい乗り方という指導をしているという地域がございます。二つに分かれると思いますが、禁止している地域におきましても、ある程度そのことによって子供の交通事故が減っていったという実例もございます。この辺はその地域におきます学校のPTAの、もちろん親の意見といいますか、というものを十分に取り入れた上でやっていくわけでございますが、そういった行き方としては生徒にバイク免許を取らせて、そしてその正しい乗り方を教えるやり方と、それから禁止をしてある程度効果を上げているという地域があるわけでございますが、いずれにしても基本的には交通安全についての基本的な考え方というものを強く子供に教える必要があるというふうに考えております。
  234. 井上計

    ○井上計君 時間がちょっとあとの質問も限られておりますから、今お答えのことについてのさらにまた突っ込んだお尋ねはきょうはやめます。また別の機会にいろいろとその点について私の持っておる資料からお尋ねをしたいと思います。  そこで今文部省からお答えがありましたけれども、警察庁としては、現在文部省が指導しておられる学校教育の中での交通安全教育について、もっとやはりやるべきだとお考えか、あるいはそうだとすると、どういう面についてどうとかというふうな御希望あるいは御要望、お考えがあるのかどうか。  またもう一つ、今お答えの中にありましたけれども、教員に対する交通安全教育を行う教員の指導というふうな面もありましたが、学校のそのような指導の中に警察庁がもっと積極的に乗り出して、そういう教育をおやりになることによって効果がさらにあらわれてくるんではなかろうかと思いますが、それらについて警察庁どうお考えでありますか。また警察庁のお考えとまた文部省のお考えとの相違点等々ありましたらお聞かせをいただきたいと、こう思います。
  235. 太田壽郎

    説明員(太田壽郎君) 今御指摘のように、学校教育の場における交通安全の問題というのは、非常に生涯にわたる交通安全教育のいわば基礎を形づくる意味から重要なものでございます。そういう意味におきまして、警察といたしましても文部省の方とも十分御連絡をさしていただき、基本的に学校における交通安全教育というのは学校等でおやりになることでございますけれども、要請等がございました場合には警察官を派遣する等によりまして、その効果的な推進を図っているのが現状でございます。  ちなみに、昭和五十九年中に警察が学校等と協力いたしまして実施いたしました内容をちょっと簡単に申し上げますと、小学校の関係では交通安全教室等を約二万七千回ばかり行っております。中学生関係についても同じような交通安全教室等を約四千六百回、高校生については五千五百回程度行っております。そのほか高校生につきましてはバイク教室というようなものも二千四百回程度行っているような状況でございます。  私どもといたしましては学校等との連携を一層緊密にいたしまして、それぞれの地域の実情に即した効果的な交通安全教育を実施してまいりたいということで、今後とも努力していく所存でございます。
  236. 井上計

    ○井上計君 かなりおやりになっているようでありますが、しかし、今回数等をお聞きしますと、高校五千五百回、中学校四千六百回、小学校二万七千回、多いようでありますが、全体の学校数から見るとまだ余り多くない、むしろ少な過ぎる、こんなふうな感じもします。  そこで、国家公安委員長のお立場から、このような問題につきまして今後積極的に御努力をいただき、また文部省との間でこういう面についての申し入れ、お話し合いを十分していただきたいと思いますが、お考えいかがでありますか。
  237. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) お話の交通等による事故の問題でございますが、やはり死亡者をできるだけ少なくするということが交通関係のあらゆる施設の一番基本だと思っております。死亡者やあるいは負傷者は自分がそういう目に遭うことを予期しておられる方はほとんどないわけでありまして、突発の事故でございます。でございますので、交通関係の施設につきましては、先ほど先生のお話がございましたが、去年は率直に申しますと、警察庁の中におきましてディジタルとかいろいろな問題がありまして、その重点の影響を受けまして交通施設の方が暫定的にちょっと減ったわけでございまして、これはぜひ私は回復するように努力をし、また大蔵大臣ともお願いしてまいらなければならぬと思っております。  それから、学校教育の中の問題は私も大賛成でありますが、やはり開かれたこういう交通の免許証とかそういうものは、私はもう学校におろうがおるまいがそういう免許証を取ることは自由であり、あるいは免許証を取ったからといってこれを罰するというようなことはおかしいみたいに私は考えております。  それから、一番私は人命尊重の点でいろいろ考えておりますのは、こういう無法なスピードを出すようなそういう車なりを、そういうものを私はつくらせぬようにする方法が何かないだろうかといろいろ考えておりまして、私はそうすればうんと減らせると思うんでありますが、それは業者のいろいろなあれもありますので、極端な話かもしれませんが、私は母を失いまして、やっぱりそういうような凶器、文明の中における凶器というような感じがいたしまして、そういうものをつくる、若い人がそういうむちゃなスピードを出すことに関心を持たせる、そういうむちゃくちゃなスピードを出させるというものをつくることが、私はもっと関係方面と十分接触しまして考えていかなきゃならぬと思っておりますから、そういう点につきましても十分あれいたしますし、また学校教育につきましても、今のように警察官の派遣その他につきましては御意見がありますように、一層積極的に進めてまいりたいと思っております。
  238. 井上計

    ○井上計君 時間がありませんから、実は国家公安委員長の今のお答え等についてはまたもっとお尋ねしたいことがありますが、また次の機会に譲ります。ぜひ国家公安委員長、今お話しいただきましたけれども、関係各省庁と十分緊密な御連絡のもとに、交通事故死の減少についての最大限の御努力をお願いをいたしたい、要望しておきます。警察庁、それから文部省は大変御苦労さまでございました。  次に、これは予算が少ないからというだけの理由ではないかと思いますけれども、最近こんな例がありました。岐阜県の大垣市で起きた問題でありますけれども、大垣市の小中学校約二十五校で使う複写機を二十五台、一校一台ですから二十五台、これを購入のための入札を行った。定価が一台八十万円の複写機だそうでありますけれども、ふたをあけたら、驚くなかれ、たった一円という入札があったということなんですね。これは自治大臣は地元のことでありますからお聞きになっておると思いますけれども、幾ら何でも、定価どおりではないにしても、定価八十万円なら二十五台で約二千万円になりますが、二千万円のものが一円で入札された。最低が一円で、二番札が三百万円だというふうな新聞報道があります。この結果市当局はびっくりして、果たして一円に落札を認めていいかどうかということで慎重に検討して、一時保留したそうでありますけれども、県とも相談し、当然自治省にも問い合わせがあったというふうに思いますけれども、しかしいずれの検討した結果も法的にはオーケーであるということで、先般市は一円で二十五台の複写機の購入の契約をした、こう新聞報道にもはっきり出ております。  確かに地方自治法の二百三十四条の三項には最低の価格で契約云々という条項があります。したがってそういう意味では合法だと思いますけれども、しかし非常に考えさせられる問題であるということであります。  私はこれと直接の関係があるとは言いませんけれども、最近商業モラルあるいは商取引の秩序というものを全く無視して、とにかくどんなことでも商売のためには許されるんだという風潮が非常に強くなってきておる。それらのものが豊田商事等の悪質商法の、直接関係はないようでありますが、やはりそういうふうなことがはびこる一つのやっぱり原因、風潮にもなっておるんではなかろうかというふうに考えますが、そこで時間もありませんから具体的なことを抜きにしてお伺いいたしたいのは、まず大蔵省にお伺いいたしたいのは、予決令、予算決算会計令の七十二条、七十三条、八十四条、八十九条等々からいくと、やはり工事あるいは製造の請負以外のもの、すなわち物品購入については最低価格というはっきり項目があり、条文があって、したがってこれは合法である、また地方自治法の二百三十四条の③、地方自治法施行令の百六十七条の十等々からいっても、こういうふうなことが許されるということになっておりますが、しかし先ほど申し上げましたような商取引の秩序あるいは商業モラル等々から考えていくと、そこに何らかの規制といいますか、そのようなものを考えていかなくてはいかぬだろうというふうに思います。今予算決算会計令あるいは地方自治法等を改正をするとか云々というふうなことでなくても、考えるべきまた点があるし、また可能ではなかろうかというふうに思います。またきょうは公取委員会には来ていただいておりませんけれども、独禁法の不公正取引ということにも当てはまりますが、今後ますますこういう問題がふえてくるとすると、やはり経済秩序を混乱さすということにさらに大きくなってくるわけでありますから、これについてはひとつぜひその対応策を考えていくべきだと思いますが、大蔵省、自治省両省からこれらについてのお考えをひとつ承りたい、こう思います。
  239. 角谷正彦

    説明員(角谷正彦君) 国の会計制度におきまして国の契約というのは御承知のように公正確保の点、あるいは受注者の機会均等確保の点から一般競争入札ということを基本といたしまして、予定価格の範囲内で一番有利な価格を、国にとって最も有利な価格を提示した者を落札者とする、こういう制度にいたしているわけでございます。ただ、他方におきまして今御指摘がございましたように、国の場合には、一千万円を超えますところの工事または製造の請負契約につきましては、不当に低い価格で入札した場合の入札者を排除するという制度ができております。地方自治体の場合には、これにつきましては最低制限価格制度というものがとられているわけでございます。国におきましては、一番低い価格であっても排除できる制度をつくっておる。この趣旨は、これは御案内のように、工事または製造の場合ですと、売買契約の場合と異なりまして、契約締結後において資材とか労務を調達していろいろ工事を実施するわけでございますが、その場合に、余り低い価格でございますと国の期待しているところの適正な工事内容が確保されないといったこともあるわけでございまして、その結果国に不測の損害を与えることもあり得るだろう。したがって、余り低い工事あるいは請負についてはこれを排除できるということにしているわけでございます。  他方、今お尋ねの物品の場合についてどうかと申しますと、この場合には、仕様とか規格を表示いたしましてこれを入札にかけるわけでございますから、一般にテレビとかゼロックスとか、そういうものにつきましては物の認識がはっきりできる、しかもそれが規格に合うかどうか十分検査しました上で買えばいいわけでございますので、今の工事請負のような形での問題は生じないといったふうなことから、やはり国民の税金でなるだけ安い価格で調達するという趣旨から申しますと、一般の物品の売買契約につきましてまで一番札を制限する、こういう制度はとっていないわけでございます。  そこで、今お尋ねの大垣市のようだケースが果たして国の契約についてあるかどうかといったことについては何とも言えないわけでございますけれども、仮にそのようなケースが生じたといたしましても、今おっしゃったようないわば業界秩序の維持といったふうなことに当たるようなことについての規制といったものを、会計法あるいは予算決算及び会計令というふうな、国の契約担当官に対しましてその事務処理を画一的にそれに当てはめるといった、いわば手続法である会計法、予決令という、そういった性格からいいまして、そういったものを法的に規制するというのはなかなか困難な点がある。例えば、一円ならだめだけれども十万円ならいいということをなかなか判断しがたいわけでございますし、しかも、物それぞれのマージン率、市場の状況、それも違っておるものでございますから、なかなかそこを一律に契約担当官ベースで判断させるというだけの事情にもないといったふうなことがあるわけでございます。そういった意味では、手続法である会計法でこういったことを一律に規制するというのはおのずから限度があるんではないか。そういう意味では、業界の秩序あるいは不公平な取引の問題として関係方面でいろいろ検討されるのがまず第一次的に筋じゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。  それじゃ、果たしてそんなことが起こったら一体国はどうするつもりだということでございますけれども、これも先生御案内のように、昔、東宮御所について一万円という入札事件がございまして、それにつきましては、その一万円で入札したものについて辞退をしてもらいまして、辞退を受け入れまして、そして全体で共同のジョイントベンチャーという形で東宮御所を建設したというふうなケースもございます。したがいまして、極めて非常識なケースにつきましては、その契約の実態に応じまして、入札者にあるいは錯誤があったんではないかとか、あるいはそのような非常に非常識な価格で入札した場合の状況、そういったものを十分に調べまして、そういった中で総合勘案しだから適宜適切に対応していくという以外にはないんではないだろうかというふうに考えているわけでございます。
  240. 井上計

    ○井上計君 今、角谷次長からのお話を、全く私もそのとおりだということ、これは理解できる。ところが、そのとおりというふうなことが通じなくなった現在の風潮からして、今後ますますそういうふうなことが起きるであろう。今度のような二千万円の定価のものが一円という極端なことは余り今まで聞いたことはありませんけれども、しかし、中央省庁の入札等についても、大体市場適正価格の半値、三分の一なんというような物品購入の入札が従来でもしばしばあるわけですね。それは、やはりいろんな政策的な面からそういうふうに入札するということがあることを随分今まで聞いています。実例も知っています、きょうは時間ありませんから言いませんけれども。だから、それを法律がこうであるからこのまま放置しておいていいかどうかという、現在の社会風潮から考えてそういうふうなことを憂慮する、こういうことであります。法律云々というふうなことについてとやかく私は今申し上げるつもりはありませんし、またこれを法律によって規制云々ということはなかなかできませんけれども、行政指導という中で、今たまたま東宮御所の問題がございましたけれども、物品購入等についても商業モラルあるいは秩序等を維持していくために辞退をさすとかというふうなことが考えられてもいいんではなかろうかと思いますが、そこで自治大臣と大蔵大臣からお考えを簡単にお示しいただければ結構でございます。
  241. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 先ほど井上さんもおっしゃっておりましたように、商業モラルあるいは受注業者側の秩序というのが一番第一次的だと思います。が、現実、あの東宮御所のときは別といたしまして、その後物品購入で、また必ずしも今の極端な一円というふうな事例が国の側にもないということ、じゃ起こったらどうするかと。せっかくの質問趣旨をお伝えいただきましたので、ちょっと部内でも議論をしてみましたが、行政指導の範疇の中でこのことに当たれる部分は十分それで対応しなきゃならぬ問題じゃなかろうか、しかしその場合、また一方独禁法違反とかいう問題には触れないような注意もしなきゃならぬというふうに考えました。
  242. 古屋亨

    国務大臣(古屋亨君) 今、井上先生のお話のように、本当に商業モラルといいますか、とんでもない話であります。法令の点いかにありましても、私はこういうような問題につきましては、やはり先生のお話しになりました線に沿いまして、前向きにひとつ慎重に検討させていただきます。
  243. 井上計

    ○井上計君 あと厚生省にお尋ねをしたいと思っておりますが、私の時間が四十一分までですから、もう四、五分しかありませんので、また詳しいことは次の機会に譲るといたしまして、簡単にひとつ私の考え方だけを申し上げまして、簡単にお答えをいただければ結構であります。  新聞報道等によりますと、政府管掌の健保が、五十九年度は千九百億円、六十年度は二千億円以上の剰余金が出るというふうなことが伝えられております。この主たる理由は、昨年十月の健保法改正によって本人が一割負担をするようになったことが大きな原因だと考えます。しかし、このような状況が、いわばこういうふうな剰余金が出る状況が今後これからも続いていくというふうにもし考えられておるとすると、私は大変な誤りを犯すんではなかろうか、こういう憂慮をするわけであります。大蔵省においても、健保の剰余金が出たから、したがってもっと一般会計からの国庫負担を減らすとか、あるいは医療費がもっと減るであろうとかというふうな安易なお考えで予算編成についての厳しい査定といいますか、これらについてはひとつお考えをいただく必要があるというふうに思います。  そこでもう一つは、黒字が五十九年度千九百億円出たといっても、一般会計からの負担が約六千億円あるわけであります。それを差し引きすると、事実上は健保収支だけで考えると約四千億円近い赤字であるというふうなこと、これを考えて、今後のやはり保険財政、健保、国保等々を含めた保険医療行政ということについては、この際もっと抜本的な考え方も必要であろうということを私は考えるわけであります。私は、厚生省がいろいろと政府管掌の健保の医療費の抑制等についても努力されているということは伺っておりますけれども、失礼だがまだまだ努力が足りないんではなかろうかというふうな面を実は感じる点があります。  私事を申し上げて恐縮でありますが、私が創立以来ずっと関係しておる全国印刷健保、約十二万八千人の被保険者、これは中小企業の総合健保であります。健保組合といっても必ずしも大企業だけのいわば単一組合ではありませんで、このような中小企業の総合健保が約七百五十ぐらいあると思いますが、この総合健保というのは比較的政管と似たような状況にある。まあ標準報酬が若干高い、年齢構成が若干低いというふうな面はありますけれども、それらの資料と比較してみると、もっと政管健保についての剰余金が出てもいい。それには何が必要かとすると、やはり民間の経営感覚というものを入れなくてはいかぬではなかろうかというふうに思いますし、またそうしてもっと剰余金を出すような形に持っていかないと、今問題になっておりますが、老人医療費の拠出金の問題、これらがさらに大きな赤字になってくるおそれがあるというふうに思います。時間がなくなりましたから、それらの点をひとつ要望して、また次にいろんな具体的な問題等については次の機会に詳しく申し上げていろいろとお答えをいただきたいと思いますが、そういうまず民間活力をこの際健保あるいは国保も含めてでありますが、政管健保あるいは国保の運営の中で民間の経営理念といいますか、そのようなものを導入することについてお考えをいただきたいと、こう思いますが、厚生省並びに大蔵大臣、時間がなくなって恐縮でありますが、簡単にお答えをいただければ結構であります。
  244. 竹下登

    国務大臣竹下登君) この医療保険制度全体の基本的な問題につきましてはいろいろな問題がございます。が、究極的には統一的な物の考え方で制度化すべきだという議論もございますが、今おっしゃいました政管健保、国保等に対してその運営に当たって保険制度の仕組みと可能な限り民間的経営感覚と調和さすということは私も賛成でございます。
  245. 幸田正孝

    説明員(幸田正孝君) 健保問題につきまして民間活力を導入するということは、私ども現下の極めて重要な事柄であると考えております。御指摘のようだ総合健保の育成の問題も含めまして、そういった方向で今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  246. 下村泰

    下村泰君 私は障害者の施策を基本にして大蔵省並びに運輸省にお伺いをしたいと思います。  私のこれからお尋ねすることは、大蔵省の大きな予算編成の中で根底から覆すような大それたことは質問いたしませんから、どうぞひとつ御丁寧にお答え願いたいと思います。殊に身体障害者の日常生活について必要なことをお伺いいたしますのでよろしくお願いをいたします。  まず、所得税における障害者の関連控除についてちょっと伺いますけれども、視覚障害者にとりましては点字の申告書がないと承っております。その点字申告書がないためになかなか控除申告ができない、こういう弊害があるんでございますけれども、どうなんでしょうか、点字申告書の作成についてそういうことをなさる意思がおありになるのかないのか、今後とも点字申告書などというものは一切使わないのか、そばにいる介護者に任せればいいというふうなお考えなのか、あるいはこういう障害者の側に立ってそういったことを親切に考えてくださる意思があるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  247. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 点字の所得税の申告書の問題でございますが、私ども国税当局といたしましては、目の不自由な方はもちろん、いろんな意味で身体に障害のある方に対しましては、従来から確定申告に際しましては御不便をおかけしないように種々御説明や御指導をいたすように配意しておりますし、また必要に応じて代筆等をするということで第一線の職員に徹底しているところでございます。職員もこのような方の申告相談の際には、ただいま申し上げましたような方針で代筆を行って申告書を作成すると、目の御不自由な方にははっきりと内容を申し上げ、介添え者の方に確認していただくなどの方法で対応しているところでございます。先生御承知のように、確定申告というのは単に申告書を出せば済むという問題ではございませんで、申告書はいわばその方の納税者の一年の御事業のいろんな過程を書類としていろいろ点検をした上で、答えとしての所得ないしはそれから導き出されます所得金額等を申告していただくわけでございまして、申告書一枚だけで済む問題ではございません。しかしながら、やはり私どもとしてこういう方々に御不自由をおかけしてはなりませんので、今後ともただいま申し上げましたような基本的な考え方で御不自由な方に御不便をおかけしないよう十分に配慮してまいりたいと、このように思っております。
  248. 下村泰

    下村泰君 そうしますと、いわゆる点字による申告書というものをつくるお気持はないということですね。
  249. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 目の御不自由な方々に対しまして実質的な御不自由をおかけしないということで対応さしていただくということで、当面私どもとしては点字の申告書ということはなしでもやっていけるような体制ということでやらしていただきたいと思っております。
  250. 下村泰

    下村泰君 そうしますと、実際問題として窓口の方がよほど親切にしてくださらないと、そういう方々が二度と税務署の窓口に行きたくないという心境になるのもやむを得ないことだと思います。ですからよほど、ここでおたく様が御答弁なさったことを実際に窓口の方々がやってくれるのかやってくれないのか、そちらの方が本当は問題なので、ここで取り上げて私の言っていることが実際におたくもおっしゃっているように窓口の方方がやってくださるくらいならば、私はこういうところでこんなことを申し上げる必要もない。そういう視覚障害者の方々からそういう不満の声が出てくるから私はここで取り上げてみたんです。お約束できますか。
  251. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) ただいま私が申し上げましたように、目の御不自由な方の申告につきまして十分な配意をいたしますことにつきましては、既に第一線の方に十分指導しているつもりでございますが、先生のお言葉でもございますので、再度その点については徹底いたすように私どもの方で手配をさしていただきたいと思います。
  252. 下村泰

    下村泰君 よろしくお願いします。これしか私の方は言えませんけれどもね。  それから、精神障害者の控除申請についてお伺いしますけれども、身体障害者、精神薄弱者の方は身体障害者手帳や養育手帳の提示でもよろしいんですが、精神障害者の場合ですね、医師の診断書が必要とされております。しかもその診断書の様式もはっきりしない。そのためにせっかく診断書を書いていただいても、税務署の窓口で控除の対象になるかどうかわからないために手続をしない人も多いんだそうです。もっと申請しやすいようにすべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  253. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 先生御指摘のように、精神障害者の方が障害者控除を受けられる場合の手続の問題につきましては、その方がいわゆる申告納税をなさる場合につきましては税務署の窓口で一応申告書の中で精神障害者であるという意味の記入をしていただいた申告書を出していただければ、それに基づいて事実上私どもとしては実情に合った取り扱いをいたすように指示をいたしてございます。例えば先生御指摘のように、手帳等があればそれを見せていただければ簡単でございますが、それ以外につきましても極力納税者の方の御負担にならないような形で事実を確認さしていただければそれで十分でございます。そのような形で実態に合った取り扱いということで、これも私どもとしては一線に従来から徹底をしているところでございます。
  254. 下村泰

    下村泰君 次に、障害者に関してはいろいろと控除される利点もございます。また控除してくださる面もいろいろございます。それを一々細かく申し上げる必要もない、おたく様の方がよく御存じでしょうけれども、そのPR不足ですね、そのPRが不足しているために適用を受けられない人がたくさん出ているんだそうです。どういうふうにPRをなさっていらっしゃるのか、どういうふうな徹底のさせ方をなさっていらっしゃるのか、それをひとつ聞かしてください。
  255. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) 障害者控除がある旨のPRにつきましては、私どもは従来から確定申告書の確定申告につきましてのPRをテレビ、ラジオ、それからいろんなパンフレット類を税務署や各所にお配りをしておきまして、PRをする際にこの問題についても必ず内容の詳細な説明をするということで周知に努めておりますが、今後とも私どもとしてはこれらの施策の中でこういう障害者控除につきましても十分に納税者の方に御納得いただけるように広報に努めてまいるつもりでございます。
  256. 下村泰

    下村泰君 その件に関してもよろしくお願いします。  それから、相続税の減免についてお伺いしますけれども、現在障害者が相続する場合、障害者七十歳から現在の年を引いて掛ける三万円、それから特別障害者は、七十歳から現在の年を引いて残る年に六万円、これは控除されておるんですけれども、障害者の場合、遺産を受けるのはともかくも、親が亡くなればより一層生活が厳しくなるんですね。もちろん稼ぎ手を失った場合はもっとひどくなるわけです。したがいまして、配偶者控除並みにしていただけないだろうかというのが私らの希望なんです。  例えば、ちょっと計算してみたんですけれども、障害者の方が、現在四十歳で親が亡くなったとすると、七十から四十を引きますと三十、三十に掛ける三万で九十万、それから特別障害者の場合には、同じような年齢にしますると三十と六万円で百八十万と、これもそれほどの金額じゃないんですよね。三百万、四百万もし親が財産を残したとする、そうしますと、これを今度引いた額が課税対象になるというようなことになりますると、お体の不自由な人に、親御さんが亡くなられて自分を介護してくれる人たちがいない、面倒を見てくれる人たちがいなくなった、その残されたわずかな金額にまたこういう相続税がかかるなんというのは、ちょっと我々には考えにくいことなんですけれどもね、こういうのはどうでしょうか。
  257. 尾崎護

    説明員(尾崎護君) ただいま先生からお話のございましたとおり税額控除の制度がございます。これは税額控除でございますので、ただいま先生の計算なさいました数字は、その金額は税金の額でございます。したがいまして、その相続した遺産の額としてはその税率で割り戻した額になるわけでございますので、今の御計算の九十万とか百八十万とか、それだけの相続財産があると、それがそれでおしまいという意味ではないわけでございます。仮に、特別障害者の場合、今の先生の計算で百八十万というお話でございましたが、相続税の税率が、もし適用が一〇%のところでありますと、百八十万というのはその相続した額の一〇%に当たる部分でございますから、相続財産としては千八百万になると、こういうことになるわけでございます。  それからもう一つ、特別障害者の場合でございますが、特別障害者を受益者とする特別障害者扶養信託契約というのがございまして、つまり、親御さんが不幸なお子さんのために特定の金銭とか有価証券とか財産を信託銀行に信託いたします。そして、この子のためにそこから出てくる受益をその人にやってほしいと、こういうような信託契約を結びました場合、その贈与について三千万円まで贈与税を免除する、課税しないという措置もございまして、したがいまして、その親御さんが生前中に無税でそういう手当てもできるような制度になっております。
  258. 下村泰

    下村泰君 ありがとうございました。私はそこまで知りませんでした、正直に申し上げて。  そうしますと、その親御さんがそういうことを知っているか知っていないかということもこれは大きな問題になりますな。その親御さんが死んだ時点で、その残されたお子さんに対してそういう措置を果たして税務署の方でやってくださるんでしょうか。それとも知らぬ顔の半兵衛で、そういう措置がとられていないからこれだけの税金はいただきますと、こういうことになるんですか。そこのところをちょっと聞かしてください。
  259. 尾崎護

    説明員(尾崎護君) 特別障害者扶養信託契約に基づく課税の免除措置と申しますのは贈与税でございまして、親御さんが生前にそのような措置をとって税務署に届け出ていませんと適用になりません。相続税じゃございませんで、贈与税でございます。
  260. 下村泰

    下村泰君 結局、いろんな措置がなされているんでしょうけれども、それに対する親御さんの方の知識がない、あるいは保護者の知識がないというと、そういった問題に理解がないためにいろいろな障害が出てくるんじゃないかなという気が私はするんですけれども。例えばそういうことを親御さんにPRなさる、これはPRすることかどうかわかりませんけれども、どうなんでしょうかね、そういったお子さんを持っていらっしゃる親御さんはほとんどそういうことを御存じなんでしょうか。私は知らないと思うんですがね。だからこそ、こういう問題が起きて私のところにも障害者の方々からこういう声が出てきているんですね。ですから、そういうことをそういうお子さんを持っていらっしゃる親御さんの方々に施設を通してお教えするとか、あるいはそういったもろもろの関係者がいるんでしょうから、そういうことで指導するというようなことも、これはやっても別に大蔵省として恥ずかしいわけでもなげれば何でもないような気がするんですが、行政機関として当たり前のようだ気がするんですが、いかがですか。
  261. 冨尾一郎

    説明員(冨尾一郎君) ただいま私どもの方で所得税の申告や相続税の申告の際のPRをいろいろ申し上げましたが、実は、私どもがそのためにつくっておりますパンフレットの中に、ただいま尾崎審議官から御説明を申し上げたように、特別障害者が特別障害者扶養信託契約に基づいて受ける信託受益権の非課税の取り扱いにつきましても、贈与税の項で説明をしてございます。私どもとしては、相続税、贈与税を含めまして「障害者と税金」というパンフレットもつくっておりまして、このような手続ないしは方法がございますというPRをいたしてございます。
  262. 下村泰

    下村泰君 結局、そういった点、一応手は打ってあるんでしょうけれども、何回も申し上げて耳ざわりかもわかりませんけれども、そういうことでお役所のやっている仕事を一般の方々というのは意外と知らない方が多いんですよ、正直に申し上げて。私自身が税務署に申告に行きます、私は目黒区に住んでおりますので目黒税務署へ。その目黒税務署の庶務課長が、この税金の申告書類何とかなりませんかと言うんですよ。納税期が来ると一々研究会が開かれる、そこで講義を受けないとことしはどうなるかというのはわからぬと言うんです。この書類はもう少し何とか簡便になりませんかねと。おれにそんなことを聞くなど言うんだ。そんなもの大蔵大臣に言えと言うんだ。大蔵大臣がわかっているかどうか試してみると言うんだ。私もわからないと言うんです、一回聞かないと。そのくらい難しい、つまり、出されているものがですよ。末端の方の国民というのは皆様が考えているほど頭はよくないんです。私自身だって大してよくないんだから。私を基本にして考えてくだされば一番物がわかると思うんです。ですから、もう少し一般庶民がわかりやすいような方法をとっていただきたい。おたくの方ではやっていると言うんですからこれ以上聞く必要はないと思うんですけれどもね。  さて、大蔵大臣、失礼ですが、今紙幣をお持ちですか。千円札と五千円札と一万円札あれば結構ですが、もし、なければ私のをお貸ししますけれども。お貸ししたって返してくれなきゃ困るけれども。(笑声)  これ、視覚障害者に伺うとまこと評判悪いんですよ。大蔵大臣、もし一万円札お持ちでしたら左の下の方をさわってみてください。わかりますか、これ、手ざわり、ひょいとさわってみてもわからない。これ新しいお札ですよ。ちょっと古くなったらこれわかりませんよ。委員の皆さんもさわってみてください、念のために。五千円もわからなくなっちゃうんです。私ども、ちょっと古くなったら千円なんか全然わからないです。千円が一つで、五千円が縦に二つで一万円が横に二つある。これで視覚障害者が支払いをするときにわからないんですって、これが。今まではわかっていたんだそうです。どこでわかったかというと、お札の大きさなんですよ。今までの方々は縦をこうやるんですってね、縦をこうやるとこれがわかるんです、長さが違うから。今のは横だけです、こっちなんです。これしか違わないんです、二、三ミリしか。ですから、障害者の方もこうやって、千円札と五千円札と一万円札を持っていて、しかもこれ、点字の部分がはっきりわかる場合には、これをこうやればわかるんですね。花札じゃないけれども。ばちばちとはじけばわかるんです。ところが、これ三枚なかったら、対照するお札がない場合にはこれはできないわけです。今までのは縦でわかった。どうも、夏目漱石さんとか新渡戸さんとか福沢諭吉さんになってからおかしくなっちゃったんだ、これ。やっぱり聖徳太子の方がよかったような気がするんですが。何とかなりませんか、これもう少し。点字をもっと深くするとか。今厚生省のお役人さんは全部、名刺でも点字が入っていますね。しかも、ぶつぶつでよくわかるんです、あれは。あすこまでお札を厚くしたらとても財布が膨らんじゃってどうしようもないと思いますけれども、何とかなりませんかね、これ。それをちょっとお伺いします。
  263. 竹下登

    国務大臣竹下登君) 専門家からあるいはお答えした方が適切かと思いますが、五十四年に私が大蔵大臣をしておりますときに新札の問題が起こりまして、それから、ちょうど私がまた再度大蔵大臣をしておりますときに発行することになったと、こういう私なりの歴史がございます。  その際にですね、いわゆるこの識別マークについては、紙の厚さ、大きさなどの制約の中で、現在の技術水準で最善のものをつくるようということで努力した結果がこれなんですが、先生おっしゃいますとおり、当局に対しましても日本盲人会連合等から識別マークのでこぼこが不鮮明で、指感――指の感性が悪いという等の陳情はあっておりますので、やっぱりこの問題については、今後とも引き続いてこの印刷技術というのは錬磨して研究を重ねていかなきゃいかぬというふうに思っております。そういう問題が起こりましたので、余計熱心になでていただきますのでだんだんなれも出てくるんじゃないかなと、こんな感じでございます。
  264. 下村泰

    下村泰君 それは大蔵大臣、これね、私でもこうして新しいやつはね、目つぶってこうやると何となくわかるような気がするんですよ。ところが、実際の視覚障害者に言わせると、ここの左の隅だけでございましょう。これが傷んできて中にはちぎれているやつもある。そこまで面倒見切れないというような顔しないでくださいよ。事実傷むんですから、これは、紙である以上はね。そうしますと、これだんだん薄くなってきて、しまいにはわからなくなると。これでこういう問題が起きてきておるわけですね。ですから、研究をなさるのは結構ですが、じゃ研究した結果がうまくいくんですかね、この今の厚さで。そこのところ、専門家のちょっと聞かせてください。
  265. 足立和基

    説明員(足立和基君) 今、大臣から御答弁申し上げましたように、大変技術的に難しい問題でございまして、いかんせん紙幣の厚さそのものが〇・一ミリ程度の厚さ、その中ですき入れによりまして凹凸をつくるということでございますので、現在の技術水準のもとにおきましては最善のものをつくったということでございますけれども、なお一層引き続いていいものをつくっていきたい、そういう努力をしていきたいと思います。  なお、従来外国では印刷、インキによりまして盛り上げるという方法をとっておったわけでございますけれども、盛り上げる場合には、これはやはり手で感触をとるたびに摩耗していくということがございましたので、世界で初めてすき入れによる凹凸というものを我が国で採用したわけでございます。なお一層今後とも改良に努めていきたいと思います。
  266. 下村泰

    下村泰君 私はわかるんですけれどもね、視覚障害の方々からそう言われておりますので、ひとつなお一層よろしくお願いします。  時間がなくなりました。本来は運輸大臣の方にも伺わなきゃならないんでございますけれども、時間がありませんので運輸大臣に一つだけ伺います。いろいろとお尋ねしたいことが出ておるんでございますけれども、これは一言で済みます。  障害者が今乗り物で利用して割引になるのは急行だけなんですね。新幹線はいまだにされておらぬわけです、特急は。それで、こちらに資料もございます。本当はこれを読んで運輸大臣に聞いていただいて、こういうふうに新幹線もできるならば半額にしてもらいたいと、障害者が。そういう切なる願いもあるんです。五十三年の一月の三十一日の予算委員会で前の福永運輸大臣にもお伺いした件がここにございます。そのときからずうっと伺ってるんですけれども、何とかならないものでしょうか、障害者の半額というのは。それだけで結構です。
  267. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 国鉄の財政、御案内のような状況でございますので、現在割引につきましては見直しをやっている最中でございます。したがいまして、身体障害者の方々にさらに拡大するということは現在の状況ではなかなか難しい面があると思います。いろいろ議論があると思いますが、やはり施設、例えばホームであるとか、あるいは階段であるとか、トイレであるとか、そういう問題に対して身体障害者に十分ひとつ施設の面で考慮をし、改善していくということは当然でございますが、運賃になりますと、むしろ私はこれは所得に関係する問題だと思っております。そういう意味から、今後やはりいろいろまた議論があることだと思いますけれども、まず施設については私ども今後とも十分配慮をしていかなければなりませんが、そのようにひとつ御理解いただきたいと思います。
  268. 丸谷金保

    委員長丸谷金保君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は九月十九日午前十時に開会し、本日に引き続き全般的質疑を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五分散会