運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-08-16 第102回国会 参議院 運輸委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年八月十六日(金曜日)    午後二時開会     —————————————    委員の異動  八月五日     辞任       補欠選任     杉元 恒雄君     安田 隆明君  八月十五日     辞任       補欠選任     高平 公文君     倉田 寛之君     安田 隆明君     石井 道子君     山崎 竜男君     大城 眞順君 八月十六日    辞任       補欠選任     江島  淳君     海江田鶴造君     大城 眞順君     曽根田郁夫君     内藤  健君     安田 隆明君     倉田 寛之君    大河原太一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長        鶴岡  洋君     理 事                梶原  清君                吉村 眞事君                瀬谷 英行君                矢原 秀男君     委 員                石井 道子君               大河原太一郎君                海江田鶴造君                倉田 寛之君                藏内 修治君                曽根田郁夫君                藤田  栄君                森田 重郎君                安田 隆明君                小笠原貞子君                伊藤 郁男君                山田耕三郎君    国務大臣       運 輸 大 臣  山下 徳夫君    事務局側       常任委員会専門       員        多田  稔君    説明員       警察庁刑事局番       議官       仁平 圀雄君       防衛庁防衛局防       衛課長      宝珠山 昇君       運輸省航空局長  西村 康雄君       運輸省航空局監       理部長      中村  徹君       運輸省航空局技       術部長      大島 士郎君       運輸省航空事故       調査委員会事務       局長       藤冨 久司君       気象庁長官    内田 英治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (日航機墜落事故に関する件)  (航空機事故絶滅に関する決議の件)     —————————————
  2. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  議事に先立ち、去る十二日に発生いたしました日航機墜落事故により遭難された方々並びに御遺族方々に対し、本委員会として謹んで哀悼の意を表します。  ここに犠牲者の御冥福をお祈りするため、黙祷をささげたいと存じます。  どうぞ御起立をお願いします。黙祷。    〔総員起立黙祷
  3. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 黙祷を終わります。御着席願います。     —————————————
  4. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) それでは、運輸事情等に関する調査のうち、日航機墜落事故に関する件を議題といたします。  この際、日航機墜落事故について山下運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山下運輸大臣
  5. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 私は、航空交通の安全の確保航空行政の最も基本的な課題であると確信して、従来から安全対策に最大限の努力を傾注するよう関係者を指導してきたところでありますが、去る八月十二日、日本航空一二三便、ボーイング747型機(乗客五百九名、乗員十五名)が墜落し、多数の死傷者が発生したことはまことに遺憾に存ずる次第であります。  この事故により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、御遺族方々に衷心よりお悔やみ申し上げる次第であります。また、負傷されました方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。  政府といたしましては、捜索救難活動を強力に推進するため、直ちに持ち回り閣議により日航機事故対策本部設置され、本部ではきのうまでに五回にわたり会議を開き、生存者救出遺体搬出全力を尽くすことを申し合わせるとともに、関係機関協力体制確立ヘリポート設置、その他緊急に措置すべき事項を決定したところであります。  現在、関係機関の総力を挙げて遺体、遺品の収容などの捜索救難活動に取り組んでおります。また、事故再発防止のため、事故原因究明を急ぐとともに、ボーイング747型機の垂直尾翼の一斉点検を指示したところでありますが、今後かかる事故が二度と起こらないよう航空機安全確保に万全を期してまいる所存であります。  事故内容及び対策実施状況につきましては当局より説明させますので、よろしくお願い申し上げます。
  6. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) それでは、引き続き日航機墜落事故についての概要説明を聴取いたします。西村航空局長
  7. 西村康雄

    説明員西村康雄君) 日本航空一二三便の事故概要及び対策概要について御説明申し上げます。  この事故は、昭和六十年八月十二日十九時ごろ発生したものでございまして、航空機墜落場所は、群馬県、長野県の県境三国山付近三国山北西部でございます。墜落航空機日本航空株式会社所属ボーイング式747SR100型、航空機登録番号はJA八一一九でございます。この飛行機日航一二二便として東京国際空港を十八時に出発し、大阪国際空港に十九時に到着する予定でございました。実際に同機は十八時十二分に東京国際空港を出発しております。同機搭乗者は、乗客五百九名、うち幼児十二名、乗員十五名、計五百二十四名が搭乗しておりました。乗員は機長が高濱雅己以下でございます。  事故に至る経過と捜索活動状況について申し上げます。  本航空機は、八月十二日十八時十二分に東京国際空港を離陸し、大阪国際空港に向け飛行中、十八時二十五分、伊豆半島東方上空東京航空交通管制部に対しまして異常事態が発生したという緊急連絡を行い、東京国際空港へ引き返すことを要求してまいりました。同管制部は、直ちに、大島上空を経由し同空港へのレーダー誘導を行うために右旋回して東方向に戻るよう指示を行いましたが、同機からは操縦不能との報告がございました。同機はさらに北西に向かい、駿河湾上空を横断して焼津付近上空で針路を北にとり、不安定な飛行を続けながら富士山の西側の上空を通過し北東に向かいました。大月付近上空では高度を下げながら北上し、十八時五十七分、東京国際空港から磁方位で三百八度、五十九海里の地点で羽田レーダーの画面から機影が消失したわけでございます。  この直後、関係機関は直ちに捜索業務開始いたしまして、夜を徹しまして、航空自衛隊を初め陸上自衛隊警察消防等関係機関が空と地上から必死の捜索をいたしました。その結果、八月十三日の払暁に群馬県、長野県の県境三国山付近墜落している現場確認したわけでございます。  事故対策概要でございますが、政府は、今回の事故重大性にかんがみまして、捜索救難活動を強力に推進するため、事故発生の八月十二日に直ちに運輸大臣本部長とする日航機事故対策本部設置いたしまして、昨日までに五回にわたり会議を開きまして、生存者救出遺体収容全力を尽くすことを申し合わせ、関係機関協力体制確立ヘリポート設置、その他緊急に措置すべきことを決定し、これを実施に移しております。  また、運輸省について申しますと、事務次官を長とする事故対策本部事故発生後直ちに設置しまして、関係機関との連絡体制をしいたわけでございます。  現地における捜索救助活動について申し上げますと、事故現場が確定されました八月十三日の午前十一時五十分に、群馬県の多野郡上野村には現地における捜索救助活動に当たる体制として現地対策本部が設けられております。現地におきまして捜索救助活動に当たりました要員、機材の出動状況について申し上げますと、昨八月十五日までの出動状況は、防衛庁延べで一万六百人、航空機が九十機、警察関係では延べで七千五百人、航空機十六機、消防関係では三万三千人、車両二百七十両、航空機二機、海上保安庁が四十五人、航空機七機というのが出動しております。  現場状況は、非常に山奥で、地上からは約五、六時間の行程を要する道のない山奥でございます。現場は三十度ないし四十度の急傾斜地で人間が立っているのも困難な場所でございます。この場所におきまして、十三日の早暁からヘリコプター人員が次々と降下しまして救助活動開始いたしまして、まず第一に生存者救出に努めたわけでございます。この結果、十三日の午前中には四人の生存者が発見されまして、生存者吉崎博子さん(三十五歳)、吉崎美紀子さん(八歳)、川上慶子さん(十二歳)、落合由美さん(二十六歳)、いずれも女性でございます。このほかには生存者は現在までに確認はされておりません。  それから遺体収容確認でございますが、現在、遺体収容確認には全力を挙げておりまして、本日十三時現在では、収容遺体総数は二百八十八体、身元確認がなされた遺体は百四十七体でございます。現在引き続き遺体搬出に努めておりますが、なお三百の遺体現場にあるわけでございまして、これらの遺体現場谷底にあるということで、非常に搬出が難しい状況がだんだんふえてまいりますが、現在のところ、さらに現場ヘリポートの増設をする等、可能な限り遺体引き揚げの速度を速めるように努力を続けているわけでございます。現在対策本部では、この遺体引き揚げにつきましていろいろな方策を引き続き検討して、全力を挙げてこれに努めていく所存でございます。  それから事故原因調査でございますが、航空事故調査委員会は、十二日の午前中に委員長ほか十二名の担当官現場に到着いたしまして調査開始しております。現在、墜落現場機体残骸海上からの揚収物件収容情報収集に当たっております。八月十四日の午後にはボイスレコーダーフライトレコーダーが発見されまして、その調査解析を始めたところでございます。  それから浮遊物でございますが、相模湾付近海域で八月十三日に垂直安定板前方上部、そして十四日には補助動力装置空気取り入れ口ダクト下部方向舵の表面、さらに八月十五日には垂直安定板前方上部の一部が発見されたわけでございます。海上保安庁では引き続きこの相模湾中心とする海域海上捜索を実行しております。  それから今回の事故原因につきましては、現在航空事放調査委員会調査中でございますが、これまでのところ、垂直尾翼損傷事故原因の端緒であるという疑いが非常に強くなってまいりました。そこで、とりあえず、八月十五日、ボーイング747型の航空機を所有しております航空会社四社、日本航空、全日本空輸、日本アジア航空、日本貨物航空の各会社に対しまして、この型の航空機垂直安定板方向舵について所要の検査を行い、ふぐあいがあれば修理するということを指示したところでございます。  現在の事故概要及び事故対策概要は以上でございます。
  8. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今回の飛行機事故で遭難をされた犠牲者に対して心から哀悼の意を表するものでありますが、このような痛ましい事故がどうして起きたのかという事故原因究明を徹底的に行う必要があると思います。  そこで、まず原因究明方法でありますけれども、事故調査委員会がいろいろと行動をしておるということでありますが、どういう方法事故原因究明が行われるのかということをまずお伺いしたいと思います。
  10. 西村康雄

    説明員西村康雄君) 事故調査の問題は、政府といたしまして、現在の生存者救出遺体引き揚げということと並びまして最も急ぐべき対策の一つでございます。そのために、事故調査委員会中心といたしまして事故調査体制を組むと同時に、関係機関物件収集に当たって努力しております。幸いボイスレコーダーフライトレコーダー収集されましたので、これで事故機飛行の態様が判明してくるということでございますが、これに加えまして、残された物件切断状況等中心としましてこれから事故対策に入ってまいりますが、FAAその他の関係官の到着もありましたので、具体的な調査開始はこれから進んでいくところでございます。  詳細につきましては事故調査委員会から御説明させていただきたいと思います。
  11. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) 航空事故調査委員会におきましては、日航機墜落現場機体残骸海上からの揚収物件収容及び情報収集等作業に当たっているところでございますが、その作業は、先ほど航空局長が申し上げましたように、現地環境条件が非常に悪く、困難をきわめているところでございます。現在までに、事故原因解明に重要な役割を果たしますCVRDFDR収容いたしまして、これの解析調査に努めているところでございます。また一方、相模湾等海上から同機尾翼の一部等も発見されておりますので、これらの残骸等につきましても解明努力しているところでございます。  それで今後でございますけれども、このDFDRCVRを初めといたしまして、得られた諸物件調査解析、あるいはレーダー航跡図管制通信などの通信記録関係者目撃者の口述などを広く収集いたしましてこれを解析し、できる限り早く原因解明に努めたいと考えているところでございます。
  12. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今の御答弁、具体的にはどんなものだか素人にはわかりにくかったんですがね。  そこでまず大臣にお伺いしたいんですが、伝え聞くところによると大臣はこの飛行機に乗ってこられた。この飛行機がもう少し早く事故を起こすと大臣も巻き添えを食うところだったということで、非常にその点で際どい思いを大臣もされているわけですね。こういう事故が起こるとは恐らくだれも想像しなかったと思うんです。しかしたまたまこういう事故が起こりました。そうするとお互いにこれは人ごとじゃないわけです。  そこで、こういう事故原因究明というのは隠し立てしないでやらなきゃいけないと私は思うんです。とにかく調査委員会という機関があって専門的な調査をやっているということだったら、私はその結果があらわれるということを期待をいたしておりますけれども、やはり大臣としても、事故原因究明、もちろん遺族に対する補償その他の処置も大事なことだし、遺体引き揚げも大事なことでありますけれども、事故原因究明があいまいで終わってしまったのではいけないと思うんですね。その意味では、行政責任者として事故原因の徹底的な究明、これは政治的判断を抜きにして行われるべきものだというふうに私は思うんです。その点についての大臣の今回の事件に対する所感と、それから究明方法等についてのお考え方をお伺いしたいと思います。
  13. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 全く瀬谷先生のおっしゃるとおりでございまして、実は私ごとで恐縮でございますが、今から十三年前にボンペイにおける日本航空事故でも私は重傷を負った経験がございます。四週間の重傷を負ったのでございますが、そのときだって、本当に自分でそういう事故に遭ってみますと、とにかく原因だけははっきりしてくださいということを切望したい。自分でそういう体験を持っておりますので、今度はさらに私は行政責任者としてこれはきちんとしなきゃならぬ、初めからそういう覚悟で臨んでおります。  したがいまして、事故調皆さん方にも翌朝早く現地に行ってもらいまして、いち早く現場検証から開始をされておるわけでございます。同時に、今回は四名の方が生存されているということは大変私は救いであったと思いますし、こういう方々の非常に貴重な御体験等も十分聞かせていただく。現段階においてはまだ精神的にも非常に不安定の御様子でございますから、そう長時間にわたって聞くことは不可能でございますけれども、こういう証拠、今の場合は証拠ではございませんが、いろいろ物的証拠等は一刻も早く調査をしていただくことの方がいいかと思っております。  なお、おっしゃいました、すべてあからさまにしてということで、私も基本的には同感でございますが、先ほど話がございましたCVRとかDFDR内容は私よくわかりませんが、特に音声記録装置というようなものは操縦室の私語もすべて入っておりますから、プライバシーに関するごく一部を除いては、私はこれは別に隠し立てするものではない、そして皆さん方が御納得のいくような方法でもって徹底的に図られるべきである、かように思っております。
  14. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そこで、ボイスレコーダーとかフライトレコーダというものが幸いにして回収をされたということでありますが、別にこれは機密にすべき事柄は恐らくないと思います。したがって、この内容も公表されても差し支えないものだというふうに思います。現在までに、ボイスレコーダーとかあるいはフライトレコーダー等解析の結果どの程度までのことが判明をしているのかということがわかりましたならば御報告をいただきたいと思います。
  15. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) これは事務局長から御回答申し上げたら適当かと思いますけれども、これらはすべて解読をしなきゃならぬ、コンピューター等を使って解読をしなきゃならぬ、しかも、相当損傷しておるということでございますから、解読にはかなり困難性があるというふうに伺っております。しかし、わかりやすい形でもって皆様方にこれをひとつ公開と申しましょうか、そういうことはできる限り、さっき申し上げましたごくプライバシーに関すること以外にはそういう方針でいくべきである、これは私の考え方でございますが、事故調局長からまた答弁があるかと思いますが、私は私の気持ちだけをお伝えしておきます。
  16. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) CVRと申しますのは、ボイスレコーダーと申しまして、操縦室の中の音声が収録される機械でございます。それからDFDRと申しますのは、航空機飛行状況を記録する装置でございます。この二つ装置につきましては現在回収をされたところでありますが、何分にもああいう事故でほうり出されたために回りが損傷をいたしております。そこでそういった部分の修復もやりながらその解読に現在入ったところでございます。したがいまして、今ここまでということをはっきりと申し上げられないのは非常に申しわけないところでございますが、作業に取りかかったというところで御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 高空から落ちたわけですから故障等があるということはやむを得ないと思いますし、それだけに解読に手間もかかるだろうと思いますが、これが内容がわからないほど壊れているのではなくて、十分にその内容がわかる状況にある、現在作業にかかっておるということなのでしょうか、それともほとんどわからないという結論しか出ないのかどうか、ある程度日数をかければ内容は判明するというふうに理解をしてよろしいのか。一体どの程度のものなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  18. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) 装置二つございまして、若干の差はございますが、全然再生不可能という状況ではないように私聞いております。ただ、それの再生解読には若干時間がかかるということでございます。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 不可能ではない、しかし時間がかかるということですが、今日まで判明したこともあるし、これからでないと判明しないこともあるということかと聞き取れるのでありますが、大体いつごろまでにその内容がわかるんですか。
  20. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) 実は、今日までにわかったところもあるのではないかというお言葉でございましたのですが、先ほど申し上げましたように、機器の装置修復等も鋭意徹夜作業でやっているところでございまして、まだここまでわかるというところまで参っておりません。  それから、先ほど大臣も申し上げましたところですが、解読には、すぐ人が見て聞いてということでわかるようなものでもございませんので、その点で今までどんな範囲がわかったということを申し上げられないのでございます。したがいまして、かなり専門的な機械作業等も入りますので、現時点でちょっと期間を申し上げられないのは残念でございますが、御理解をいただきたいと存ずる次第でございます。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それでは、ある程度の時間をかければ内容は明らかになる、このように理解をしてよろしゅうございますか。
  22. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) 機械のことではございますが、現在までの作業状況から、鋭意修復に取り組んでおりますので御期待に沿えるのではないかと考えております。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 わかりました。わかり次第ひとつ公表していただくようにお願いをしたいと思います。  それから捜索救難体制なんでありますけれども、当初三国山周辺墜落をしたのではないかというテレビ等の放送もございました。この三国山なんでありますけれども、私は一度林道を通ってこの峠まで行ったことがございます。長野県側は割合とこの峠から見た場合には平たんでありますけれども、埼玉県側、群馬県側は山が険しいんです。重なり合った山がずっと続いているところなんです、地形的に。それだけに、もし埼玉県側にでも墜落をしたらこれは大変難しいことになるなというふうに私は思ったんです。群馬県側も埼玉県とあそこは隣り合っておりますから、山岳が重なり合っているという事情は想像できるのでありますが、こういう困難な地形捜索救難活動をするというのはこれまた大変なことだと思います。  結局、一体どこが中心になって、どういう人たち動員をされてこの捜索救難体制をとっているのか。新聞等では自衛隊もたくさん出ておる、警察も出ておる、消防も出ておるというわけでありますが、消防等については限りがありますし、ある程度警察あるいは自衛隊等の人の力をかりないと動きがとれないというふうに思います。しかし、本来ならば会社側が行うべきことであっても、実際問題として会社の手に負えないような山の中であるということになると、政府自身が乗り出さなければならないというのはこれは常識でありますが、その場合のシステムですね、これは一体どういうふうになっておるのか。また、今日までその救難体制について問題はないのかどうか。いろいろな点で難しいこともあっただろうと思うのでありますが、その辺の救難体制システム等についてということをまずお伺いしたいと思います。
  24. 西村康雄

    説明員西村康雄君) 先ほど概要のところで申し上げましたが、政府全体といたしましては、事故発生の当夜直ちに運輸大臣本部長とします事故対策本部を設けたわけでございます。ここでは、現地救難活動に当たります関係機関責任者が全員参加して中央としての対策を検討いたしまして、逐次決定し現場に指示したわけでございますが、現場では御承知のように自衛隊警察消防、その他地元のいろいろな関係の方の御協力をいただいているわけでございます。  そこで、現場救難対策そのものは、各関係機関が多数出てまいりますので、現在のところ群馬県警本部長現地の総指揮をとっておりまして、そこで関係機関がどういう手順救助対策をやるか十分に打ち合わせをしまして、ヘリコプターの運営あるいは地上側人員動員等手順を決めまして連日活動しているということでございます。その点につきましては、現地では極めて関係機関が緊密に連絡をしておりまして、混乱はございません。現在のところ、考えられる限り効率的なかつ多数の能力が現場状況に応じまして投入されておりまして、政府といたしましてはこれ以上の救援体制はとれないというところまでやっている次第でございます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 地形からして救難活動は極めて困難であろうというふうに私も推察をいたします。ああいう場所ではヘリコプターなどというものがなかったらどうにもならなかっただろうと思います。運輸省にはこういう場合に対応できるようなヘリコプターは置いていないのかどうか。まあ恐らくないんじゃないかと思うのでありますが、あったとしてもそうはないだろうと思います。当然これは自衛隊ヘリコプターということになるわけでありますが、自衛隊ヘリコプターは入間基地等に置いてある自衛隊ヘリコプター動員して行われているのかと思いますが、航空自衛隊が主となってやっているのかどうか、このヘリコプター等の動員はどういう形でだれが指揮をとってやっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  26. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 御説明いたします。  救援体制でございますけれども、東部方面総監に災害派遣の要請がございまして、これを最高にいたしまして、第十二師団長を現場における指揮官として活動しております。航空自衛隊の方も御指摘のように関係ございますので、入間にございます中部航空方面隊の副司令をこの十二師団長の協力者として指示しております。場所といたしましては、十二師団隷下の松本、相馬原あるいは新発田、それから上越市の普通科連隊、それから航空部隊といたしましては、立川、木更津の部隊、それから航空自衛隊の百里、入間の部隊などを出しております。それから当初現場におりました習志野の空挺団が最初参加いたしております。  人数といたしましては、先ほど御報告ございましたように、延べといたしまして十五日現在で一万六百余人、車両といたしましては千五百六十六両、航空機としては九十三機。一日当たりとしましては、人間が約三千百名前後、車両が四百数十両、航空機といたしましては三十数機が先ほどのような指揮のもとで動いているという状況でございます。  現場は大変急峻なところでございまして、先ほど申し上げましたように、隊員はいずれも遠くから出かけていっております。非常食糧などを携行して現場に行っているわけでございます。大変疲れもひどいということで、逐次交代をさせながら、夜間は木の根っこなどに仮眠をするというような状況でございまして、そういうことから交代をさせながら精いっぱいの努力をしているという状況でございます。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初この遭難した場所について私なりに考えたことは、山が険しい、山林が生い茂っておる、そのかわりその山林がクッションになって、ひょっとしたら小さな子供なんかが助かるという場合もあり得るのではないかということを考えてみたんです。幸いにして四名の生存者がいたことは救いだったと思いますけれども、しかし場所がわからないと救援活動ができないわけなんですね。しかし、実際問題として、この飛行機が落ちたのは七時ごろでありますから、落ちると同時に火災を起こしているわけです。火災を起こしているということは、上空から捜索をすればどの辺で火災を起こしているかということと、それから地図の上でどの辺に該当するかということの見当もある程度つくのではないかという気がいたしました。  そうすれば、遭難者、まあ暗いうちは難しいとしても、夜が明ける早々に救難活動を展開すれば、あるいはある程度のけがをした人などがいれば救うことができるのではないかというふうにも思いましたけれども、常識的には飛行機墜落をすればこれはもう全員死亡というのが常識なんです。しかし、こういったまたま生存者がいたという事例から考えると、救難体制をとる場合にはなるべく早く、夜が明けると同時に可能な限りヘリコプター等を使って捜索をするということが必要だろうというふうに思われるんですけれども、その点、前の晩から翌朝にかけてどういう処置をなさったのか、どういう方法救難活動を展開されたのか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
  28. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 時間を追って若干御説明させていただきますと、当日の十八時五十七分でございますけれども、レーダーから航空機機影が消えたとの情報に接しております。そういうことで、緊急待機中の、領空侵犯等のために待機させております戦闘機二機を百里から直ちに発進を指令いたしまして、上空現場に誘導したわけでございます。これが十九時一分でございますから、十九時一分に指令を出しましてとりあえず発進させております。  十九時二十分ごろに現場に着きまして、先生が先ほど御指摘のような炎というものを確認しておりますが、何分戦闘機でございますので速度が速いということから現場の詳細な位置をつかむということはできません。それで、救難ヘリコプターでございますバートルmを直ちにまた発進させまして現場上空に誘導しましたけれども、真っ暗やみということで目標に当たるものが見つからないというような状況がございました。現場上空ヘリコプターを停止状態にさせるとともに、入間からタカンの電波を使いまして方位、距離を測定いたしまして概略の位置を得るとともに、関係機関に通報を申し上げたわけでございます。  こういう努力をするのとあわせまして、陸上自衛隊は災害派遣の準備をするというようなこと、その後、災害派遣の要請を得て夜を徹して現場に向かうという努力をいたしました。しかし、陸上からの詳細な位置の確認というのは、何といいますか、月がないというようなこともございまして不可能であったという状況でございます。そういうことで、夜、道をできるだけ啓開する努力を続けるとともに、夜明けを待って航空機を出動させる、夜のうちに準備をするとともに、夜明けを待って活動させるというようなことで、先ほども御報告のございましたような現場確認、それとそちらの方への誘導という努力を行ったものでございます。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今の御答弁で、ツキがないということがございましたが、それはついてないという意味ですか、お月様が出てなかったという意味なんですか、どっちなんですか。
  30. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 何といいますか、ムーンの方でございまして、明かりがないという意味でございます。
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そういう場合に、航空自衛隊等で照明弾のようなものを打ち上げて、あたりを照らして明るくするという方法があるんじゃないかという気がするのでありますが、そういう装置はないんですか。
  32. 宝珠山昇

    説明員(宝珠山昇君) 照明弾の方法もないわけでございませんけれども、火災を発生させるおそれがあるというようなことから行っておりません。それから、ヘリコプターも照明を持っておりますけれども、大体三十メートルぐらいまでが限界でございまして、しかも場所的に照明できますのは非常に限られているというような状況でございます。現場は非常に入り組んだ地形でございまして、かつ霧、それから気流も非常に悪いということで、夜間の比較的低高度での飛行というのは非常に危険が伴うという面がございまして、これも途中であきらめております。
  33. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今気象のお話がございましたが、気象条件のことについてお伺いしたいと思うんですが、この飛行機飛行に関連をして、途中の気象条件というものがどういう状況のものであったか。これは事故関係なかったかどうか、事故には影響はなかったかどうか、気象状況等は一体どういうものだったのか、この点もお伺いしたいと思います。
  34. 内田英治

    説明員(内田英治君) お答え申し上げます。  羽田から遭難地点付近までの状況を申し上げますと、羽田から伊豆の大島の間では、七千メーターぐらいの高度でございますが、弱い積雲、夏によく出る積雲でございますが、積雲が点在しておりました。一部に中層雲あるいは上層雲がございました。しかし、風は南寄りの風でございまして、毎秒五メーター前後の弱い風でございました。それから伊豆大島から遭難地点の付近までを見ますと、内陸部に入るに従いまして下層雲と中層雲が多くはなっておりましたが、レーダーに映るような降水を伴う雲はございませんでした。風でございますけれども、飛行機が七千メーターぐらいから三千メーターぐらいまで落ちてくるところの高度でございますが、七千メーター、三千メーター付近とも南西の毎秒五メートル程度の弱い風でございました。  特にこういうような飛行機事故のときに問題になるのは乱気流問題でございます。それで、いろんな乱気流の起こり方がございますけれども、山を越えたときの乱気流もございますし、それから雷雲に伴って起こるところの乱気流もございますが、いろんな気象状況を全部判断いたしまして、また、その事故のあった前後に飛んでおったところの飛行機からの報告によりましても、乱気流があったという記録はございません。また、当時の気象状況から見てそのようなことが起こったとはまず考えられないといったような事情でございます。  以上でございます。
  35. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 そうすると、気象条件は墜落とは直接の関係がない、このように理解をされるわけであります。  ではなぜこうなったのかということでありますが、当初は、後部の右側のドアが故障したんだというふうに伝えられました。テレビでも新聞でも私どもはそのように最初は受け取ったわけでありますが、どうもドアではなさそうだということであります。垂直尾翼が故障をしたんだ、損壊をしたんだ、このように今日までのところは解説をされております。垂直尾翼が取れてしまえば、これは飛行機が思うように飛べなくなるということは我々素人でも想像されるわけでありますが、操縦士の方ではなぜドアの故障というふうに判断をしたのか。操縦士の立場におれば、後ろの方で起こった出来事というのは確認のしようがないものなのかどうか、その辺のところは、推定の域を出ないかもしれませんが、どのように判断をされるのか、御説明をいただきたいと思います。
  36. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 事故の経過の詳細あるいは原因究明事故調査委員会で行われているところでありまして、私から、事故原因につながるかどうかは別にしまして、今御指摘のような事実についてだけ技術的な説明を申し上げたいと思います。  パイロットが、管制の記録によりますと、比較的早い、最初の緊急事態の交信の直後に操縦不能に陥ったということでございまして、場所的には三浦半島あるいは伊豆半島の上空付近かと思います。そういたしますと、まず、尾翼がなくなったというようなことがパイロットが判定できるであろうかどうかという点でございますが、通常、パイロットは、異常が起こった場合に、操縦系統、つまり機体の中の系統に何か異常が起こったのではないかと考えるのがまず常識と申しますか、第一ではなかろうか。そこで、尾翼がなくなったために操縦不能に陥ったというのは、やはりかなりのいろいろな判断を込めた上でないと想像ができないのではなかろうかと推察をいたしております。したがいまして、これは操縦席の記録等によってまたある程度はっきりするわけでございますが、現段階での推測で申しますと、操縦士が垂直尾翼がなくなったということを直ちにあの事態で判断できるとは考えられないと思っております。  それから、R5のドアが壊れたという情報でございますが、これは記録によりますと、最初の操縦不能という交信から数分時間がたってございます。たしか十分ほどあったかと思いますが、その十分ほどたったところで、操縦室内のR5という警報ランプがついた、そういうことが確認されたのではないかと想像しておるわけでございます。そうしますと、このR5という警報ランプがついたというのは、R5のドアが壊れたということ、あるいは機能不良を起こした、こういうことも考えるわけでございまして、そのときに使った言葉が、「R5ドア・ブロークン」という言葉で通信を行った、このように私ども解釈しておるわけでございます。最近の新聞情報によりますと、R5のドアは最後まで少なくとも機体とともにあったというようなことでございますので、そういう事実と突き合わせて考えますと、壊れたというのは飛んだという意味までは意味しないのではないかというふうに推測をしております。
  37. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 最初ドアが壊れたというふうに報道されましたけれども、それは操縦士からの通信連絡の結果そのようにマスコミも伝えたんだろうと思います。そうしますと、操縦士の受け止め方と、それから後部座席のスチュワーデス、生き残ったスチュワーデスの方の証言と比較してみますと、スチュワーデスの人は後部ドアが壊れていないということを承知していたわけですね、自分の席のすぐそばですから。ところが操縦士はてっきりあのドアが壊れたというふうに思っていた。こういう違いがあるわけです。  そうすると、この後部座席のスチュワーデスと操縦士との間にそういった連絡報告といったような方法、意思疎通の方法というのは現在の飛行機の構造上できないものなのかどうか。その辺はどうなっているんですか。
  38. 大島士郎

    説明員大島士郎君) スチュワーデスの証言というものは、私ども公式には詳細には承っておらない状況でございますので、目撃者がR5ドアが壊れたか壊れていなかったか、これを確認したことについてはまだ正確なところ明らかでない状態でございます。それで後部のスチュワーデス、これは目撃者は勤務外の、お客さんとして乗っていたわけでございますが、勤務中のスチュワーデスが前方に連絡したことは十分考えられるところでございます。
  39. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 後方に勤務していたスチュワーデスが操縦士に連絡をしていたとすると、操縦士の方でドアが壊れたという判断は出てこなかったのではないかという気がするのでありますが、この点はどうなんですか。
  40. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 目撃者の証言では、機内がかなり混乱状態に一時的になったというふうに承っておりますので、また、それ以上にコックピットの中は緊急事態への対応に忙殺された状態であったかと思います。このような連絡があったと思いますが、それに対応して機長がどのような行動をとったか、現在のところは明らかになっておりません。
  41. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私もジャンボ機を見てつくづく思うんですけれども、こんなでかいものに五百人もの人間を乗せてよく飛び上がるものだというふうに感心するんですよ。飛び上がるだけじゃなくて飛ぶんですからね。これは一体どういうものだろうと今もってその理屈はよくわからないんですよ、正直な話。しかし、ともかくあれだけの大きな入れ物があれだけの大勢の人を満載をして飛ぶということには相当無理があるという気がするわけです、常識的に言うと。五百人もの人、ちょうどたまたまお盆だったから満席になったんだろうと思うのであります。ふだんだったら年がら年じゆう五百名乗っているわけじゃないと思うんですね。  そこで、この飛行機が五百名もの人間を乗せるということには設計上は無理はないようになっているんでしょうけれども、それを繰り返し繰り返し休みなしに行うということに無理はないのかどうか、こういう疑問が一つ出てくるわけですね。  そこで、この飛行機は一体どういうふうな働き方をしていたのか。人間でいえば、あるいは牛でも馬でも、余り立て続けに働かせるというと、そぶりでもってくたびれたことはわかるんですけれども、飛行機なんというのは表情があるわけじゃないから、おれは働き過ぎだよといって別に訴える方法がないわけですよね。したがって、この飛行機を働かせる方の運用の面で無理がなかったのかどうか、こういう疑問も出てくるわけでありますけれども、その点一体この飛行機のいわゆる回転といいますか運用といいますか、その辺についてはどのような問題があったのか。幾ら精巧にできた機械でも、余り酷使をすれば当然これは無理が出てくるんじゃないか。極めてこれは素人の常識論でありますけれども、そういった無理はなかったのかどうかということも私の方では気になるところでありますから、その点についての見解をお伺いしたいと思うのであります。
  42. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 詳しいことはまた事務局の方からお答えすると思いますが、数字的に見ると、決して無理使いをしておらなかった。ということは、申し上げますというと、日本航空が五十八年度に747の一日に使用した時間が五・五八時間でございます。これに対して米国のユナイテッド社が一日に七・七七時間。あるいは世界のエアラインの平均、世界じゅうの飛行機会社の747の平均はさらに大きく九・四九時間、約九時間半ということになっておりますから、これに比べると五・五八ということは決して無理な使い方ではないと数字的には出てくるわけでございます。
  43. 大島士郎

    説明員大島士郎君) ただいまのを補足させていただきますと、航空機機械物ですので、使用時間によっていろいろな部品が劣化あるいは状況の変化をいたします。それに対して決められた時間に所要の整備を行っているわけでございます。この整備の方法については、747を使っております世界じゅうおおむね同じ内容でございます。そして、航空会社としましては、そのような決められた整備をしつつ、あるいはそのときどきに出てくる故障を修理、対応しながら全体の整備品質というものを常に注視しております。整備品質と申しますのは、飛行機の出発率あるいはエンジンの故障率、部品の故障率等々、いろいろな統計的な指標をつかんで注視しているわけでございますが、そのような整備品質をウォッチしながら整備を常に進めていく、こういうことでございまして、現在の整備品質で見る限り、日本航空は世界の航空会社の中でもまずトップのレベルにあると申し上げてよろしいかと思います。
  44. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今まで数字的にはかなり安全であったということは、今回の事件でもって話は壊れたわけですよ。今までが安全であっても一度事故を起こすとこういう五百名以上もの多くの人が一遍に亡くなってしまうという結果になるわけですから。  そこで、金属疲労といったようなことです。私は飛行機に乗っていて、飛行機から見えるのは翼が見えます。自分から見える翼は時によると揺れているんですよね、ふらふらと。あれがぼっきり折れたりしないものだろうかなんて余計な心配したことがあるんです。しかし、垂直尾翼というのは後ろの方にありますから垂直尾翼までは考えたことないんです、あれが取れるなんということは。操縦士にしても、さっきの話だと何が起こったのだかわからなかったらしいんですね。これが一番操縦士にとっては困ることだと思うんです。自分の思うように飛行機が動かなくなった、一体動かなくなった原因は何かということが自分にわからない。もっとも、わかったとしても、尾翼が取れたから上がっていって修理しようというわけにいかないんですから、これはどうにもならなかったかもしれないけれども、操縦士に一体自分飛行機に何が起こったかわかるような仕掛けは現在のところないものかどうか。  それから金属疲労という言葉があります。肉体の疲労はそれは人間のことですからすぐわかるけれども、金属疲労なんというのもこれまた難しいんですね、表情にあらわれるわけじゃないですから。そうすると金属疲労の診断の方法は一体どうするのか、今までどうしていたのかということが問題になると思うんです。その点またこの飛行機自体の点検の回数といったようなことも関連をしてくると思うのであります。その点専門的な立場からどのようにお考えになるかお伺いしたいと思うんです。
  45. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 初めにお尋ねの警報装置の件でございますが、飛行機は大型機になればなるほど複雑なシステム、電気、油圧その他システムがいろいろございます。このようなシステムにつきましてはいろいろ使っている間にまず故障も予想されます。それでこのようなシステム、先ほど申し上げましたドアの機能が正常かどうか等も含めましていろいろなシステムについては、壊れた場合に故障を示すランプあるいはブザー等の警報装置がついてございます。今回の垂直尾翼につきましては、垂直尾翼がなくなるというようなことはこれは航空機としての形をなさない状況になるかと思いますので、こういった大変異常事態、設計で予想されない事態につきましては警報装置を設けるということは行っていないことでございます。  それから次の金属疲労でございますが、金属は一定の強度を持っておることは御承知のとおりでございますが、この強度といいますのは、一般にはいわゆる静強度と申しまして、どのくらいの力に耐えるか、これが金属の強さということになります。しかし、金属には、その静強度よりも低い力であっても繰り返しこの力が加わりますと、あるサイクル、繰り返し数になりますと金属の内部に亀裂を生ずるという現象がございます。その亀裂は繰り返し回数の蓄積とともに広がってまいります。  航空機のような構造物、いろいろな板を組み合わせでつくられた構造物の場合、構造物としてとらえますと、空気力という力、これが繰り返しかかるわけでございます。この空気力には飛行することによって機体が受ける空気力、あるいは客室与圧という、客室内を地上に近い状態に保つために中の圧力を高めておるわけでございますが、このような客室与圧という中でつくり出した空気の力によって受けるもの、これらの力は金属の強度よりは大分低いところに設計で抑えるわけでございますが、何分繰り返しかかる状況でございます。そういたしますと、これが飛行機の寿命というのは二十年、三十年と飛ぶものでございます。その間にこの繰り返し荷重は何万、何十万サイクルという数に達するわけでございます。そういたしますと機体の構造の一部に亀裂が入ることも十分考えられるわけでございまして、航空機の設計は、その亀裂を早く見つけることと、それから亀裂が起こった後に、亀裂の進展速度というのがございますが、この進展速度を遅くするような設計をするわけでございます。亀裂が小さいうちに検査、点検によって発見し、亀裂が小さいうちに直す、こういうことが長時間、長年飛行する飛行機の設計あるいは整備の基本となっておるわけでございます。  この飛行機につきましても、該当部分、例えば後部の胴体等々につきましてそれぞれ点検の期間が決まっておるわけでございまして、日本航空もそのメーカーであるボーイングの点検の指示に従って整備をしている、こういう状況でございます。
  46. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この飛行機には前にも事故の前歴がある、大阪空港でしりもち着陸をしたとかいうようなことも聞いているわけでありますが、その種の事故の前歴があったとすれば、その事故と今回の事故との関連性があったのかどうか、その間における故障修理等において問題はなかったのかどうか、こういうことも気がかりになるところなのでありますが、そういったこの飛行機自体の故障前歴等については一体どのように考えてよいのか、その点もお伺いしたいと思うのであります。
  47. 大島士郎

    説明員大島士郎君) この事故機、JA八一一九でございますが、当機は、昭和五十二年六月二日、大阪国際空港において着陸の際に胴体後方下部を滑走路に接触させる事故を起こしております。事故調査が行われまして事故調査の結果も出ておるわけでございますが、この機体そのものについて申しますと、大阪において応急修理を行った後羽田空港へ空輸し、羽田空港で全面的な修理を行っております。修理の前に機体構造を広範囲に検査いたしまして、修理すべき部分を決定しております。  この修理に当たりましては、製造時のブロックと申しますか、製造時のブロックを使いまして、そっくり広範囲にかえているところでございます。したがいまして、このしりをこすりました事故、この損傷の影響はその時点では十分に修復されておると考えております。この修理は、特にメーカーであるボーイング社に委託して行っておるところでございます。ボーイングというのは、メーカーであると同時に、自社の航空機についていろいろな事故の後の修復作業をやっておる、そういう点では一番適当な会社であったかと思っております。その後航空法に基づく修理改造検査に合格して運航に復帰しております。七月十二日に修理改造検査に合格し運航に復帰したものでございます。それで、その時点では厳密な検査が行われておりますので、本件事故との関係について現在のところはあるかないかという点についてはわからないという実情でございますが、当時の状況において十分検査して運航に復帰しているということでございます。
  48. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これはしかし、言ってみれば病気の前歴のある人が今回それがまた突発をしたということになれば、病気の前歴の方も考えないわけにいかないんですから、今までやってきたことについて手落ちはないとおっしゃっても、結果的にはこういう事故になっているわけですよ。  そこで、この飛行機自体の構造上の問題あるいはこの点検の問題等についてですけれども、特に尾翼関係をした検査とか点検の体制強化、安全対策といったようなことで、事故調査委員会の立場からお考えになってどのような見解をお持ちになっているのか。調査途中であるからわからないと言ってしまえばそれまでなんですけれども、現在の段階ではやはりある程度この事故原因等について輪郭がはっきりしてきているわけでありますから、今後考えるべき点が当然あってしかるべきだと思うのでありますが、その点どうでしょうか。
  49. 藤冨久司

    説明員藤冨久司君) 航空事故調査委員会といたしましては、先ほど申し上げましたように、FDR、CVR解析を初めといたしまして、現在現場でいろいろ調査いたしております物件解析調査等を踏まえまして原因の正確な究明に当たるという立場にございますので、現在そういった物件調査中という段階で、云々、これが原因であるということは申し上げられない立場にございますので御理解をいただきたいと存じます。
  50. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 事故調査委員会について私の方から要望したいことは、余りもったいをつけないでもらいたいということなんですよ。この前北海道の中標津空港等の事故について何となく事故調の態度というのはもったいつけているような、何か隠しているような、そんな印象を受けたんですよね。だけれども、事柄が事柄でありますからいろいろと飾る必要はないと思うんです。これは徹底的に事故原因というものを究明してもらわないと、何しろ毎日のように飛行機が大勢の人間を運んでいるんですから、同じような事故がほかの飛行機に出てこないという保証はないわけです。それだけに、妙な飾り立てをしないで事故究明については我々の前に明確にしてほしいと思います。特に国会における今までの事故調というのは何か奥歯に物の挟まったような感じが強かったから、この点を特に要望をしたいというふうに思います。  それから、今日現在の遺体収容状況等がどの程度まで進捗をしているのか、主にどういうところでもし困難があるとすれば困難があるのか、ある程度これからの見通しをも含めて御報告をいただきたいと思います。
  51. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 私は十三日から昨日まで現地へ行ってまいりましたので、遺体収容捜索活動につきまして現地状況も交えましてお答え申し上げたいと思います。  御心配のように遺体収容活動は思うようにいっておらないのはまことに残念でございますが、何分にも現場場所的、地形的に見まして大変な難所でありますとともに、無線は不感地帯でありまして、通信手段も全くないといったところでございます。  まず場所関係で申し上げますと、現場現地対策本部の置かれております上野村役場から自動車で行けるところまで行きまして約三十キロでございまして、そこからはいわば道なき原生林の急斜面を徒歩で登るわけでございますが、速い人で約三時間三十分ぐらいかかりますので、都合約五時間ぐらいのところでございます。  また、現場は御案内のように標高千五百メートルほどの御巣鷹山の南南東の斜面ということでございますが、事故機が激突いたしました尾根はいわばのこぎりの歯のような大変急な尾根の一つでございまして、この尾根は御巣鷹山の山頂から東の方へ延びておるわけでありますが、事故機はその南側の尾根にバウンドするように機首から激突いたしました。その付近のカラマツの林でございますが、これをなぎ倒し、いわば丸裸のようにいたしまして、機体の頭部の方は主として尾根の上の方、方向でいきますと西の方向と南側の斜面へばらばらになって吹っ飛んだという状況でございまして、機体の後部の方は北側の斜面のカラマツ林、これまたなでるようになぎ倒しまして、土砂と一緒に尾根の稜線から約二百メートルから二百三十メートルぐらい下にありますスゲノ沢というところにばらばらとなって落下したわけでございます。したがいまして、遺体もその周辺にばらばらになって埋まったりしておるわけであります。  この急斜面は、角度は正確にわかりませんけれども、現場に行ってみますと、立っているのも容易でないというふうな大変な急斜面であります。そういうことで、現場確認されました十三日の日に現地に到達した者はヘリコプターで降下したほかは、地元の猟師すら余り入らないというようないわば人跡未踏のような急斜面を登って上がっていったということでありまして、この十三日には、したがって生存者救出というのもヘリコプターを使いましてつり上げてやったという状況であったわけであります。そこで、これは何とかしなきゃならぬということになりまして、十三日の日には、自衛隊中心になりまして、これに警察の機動隊も加わり協力しましてヘリポートを建設することになったわけであります。徹宵作業の結果、翌十四日の午前八時三十分ごろにようやく畳十四、五畳ぐらいのヘリポートができまして、さらに沢から遺体ヘリポート近くまで運ぶ運搬用の道もでき上がったわけでございます。  そういうことで、遺体収容作業というのは十四日に始まったわけでございます。前日の十三日に徒歩で上がりまして徹夜で待機していた検証班に、十四日の朝ヘリコプターで運ばれました検証班が加わりまして、約二百名の人員遺体の見分と検証活動を開始したわけでございます。毛布に包まれました遺体につきましては、自衛隊員とか機動隊員が斜面に並びましていわばリレー方式でヘリポートの近くまで運びまして、そこからヘリコプターを使いまして数体ずつを約六十キロぐらい離れました藤岡市の第一小学校の校庭へ運びまして、そこから近くの藤岡の市民体育館へ霊柩車でもって運び、そこで検視及び身元確認作業を行ったわけでございます。結局この日は収容されました遺体は百二十一体でございまして、身元確認作業が終了したのはもう翌日の午前二時になっておったわけであります。  いずれにいたしましても、遺体収容全力を挙げましたために、機動隊員とか検証班の下山は徒歩でほとんどしなければならぬという状況になりまして、徒歩で下山した者もございましが、かなり多くの者はまた山で徹宵をするという状況になりました。現場は、御案内のように、山岳気象でございまして、日中は大変暑いんですが、午後八時ごろになり良すというと温度が急激に下がりまして仮眠すらできないという状況であったというふうに聞いております。  こうした中で、十五日も早朝から遺体の見分、検証活動を開始いたしまして、本日も引き続き続行中であります。本日の午後一時現在収容いたしました死体の数を申し上げますと、完全死体、すなわち一人の人体と認められるものが二百九十八体でございまして、それから離断死体、これは人体の一部と認められるものでございますが、四百一包を収容いたしておりまして、これは御質問にございませんけれども、ついでにお答えいたしますと、そのうち身元の判明いたしましたのが百五十二体、御遺族に引き渡しを完了いたしましたのが百七体という状況になっておるわけであります。  しかし、現在使用しておりますヘリポートは、八人乗りか十人乗りのヘリコプターがようやく離着陸できるという程度のものでございます。どうしてももっと輸送能力を高めなきゃならぬということで、昨日は関係者が協議いたしまして、ほかにヘリポートをつくる場所はないかということで探しましたところ、現在ございますヘリポートの下の方にどうにかできるという場所が見つかりまして、現在は自衛隊中心になりまして本日中にバートル、三十人乗りの大型ヘリコプターでございますが、これがおりられるようなヘリポートをつくるということで現在作業中でございます。これが完成いたしますと、遺体の搬送はもとより検証班等の運搬も可能になりますので、収容能力というのはうんと上がるのじゃないかというふうに見ておるわけであります。  しかし、遺体の多くはスゲノ沢というところの、幅三十メートルぐらい、長さ百メートルぐらいの地域に埋まっておるわけでありまして、そこには機体の破片とか樹木の折れたようなものが土中に突き刺さるように埋まっております状態でございまして、本日からはエンジンカッターを使って切断したり、あるいはシャベルで掘り起こしたりという作業をやっておりますので、今後の活動が今までのようにいくかどうか疑問もあるわけでございます。そういうことで、今後この遺体収容にどのぐらいかかるかということにつきましては見通しが立たない状況でございますが、大方の遺体収容はここ数日間ぐらいで何とか終えようじゃないかということで懸命に努力しておるところでございます。  それからまた、収容しております遺体につきまして見ますと、損傷とか腐敗の状況というものもだんだんひどくなっておるようでございますので、検視とか身元確認作業というのは今まで以上に難航するんじゃないかということも心配されるわけでございます。  それから、先ほど通信手段のことについて触れましたので、これも蛇足かもしれませんが申し上げますと、ここは大変な無線の不感地帯であったわけでございますが、通じなかった無線につきましては、十四日の早朝、地元の藤岡署にリモコンを設けまして現地対策本部と通話できるようになっておりますし、また昨日にはパラボラアンテナを利用いたしまして移動警察電話等を設けまして、ようやく現地連絡がとれるという状況になったわけであります。  いずれにいたしましても、大変な悪条件の中で、現地におきましては不眠不休で活動しております。一刻も早く遺体収容すべく努力をしておりますことを御賢察いただきたいと思います。  以上であります。
  52. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 遺体収容作業はこの周辺の地形から推して非常に骨が折れると思います。それだけに、現在その衝に当たっている方々に対しては万全の措置をとってほしいということを私からも要望をしておきたいと思います。  それから、最後に大臣に、この事故から非常な多くの教訓を得たと思います。大臣自身が、どうもお伺いすると極めて飛行機事故ではいろいろスリルに富んだ経験をされているというふうにお聞きをいたしますので、この事故から今後我々としてはどうすべきかということ、特に監督官庁の責任者としてのお考えをお伺いをして私の質問を終わります。
  53. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 最初にごあいさつとして申し上げましたように、大変痛ましい、しかもかつてないような大きな事故でございます。私も、機体が発見されました当日早速現地に参りまして、先生、徒歩で登られたとさっきお話がございました。そのとおりに幾重にも山が重なっている。私が乗りましたヘリも、前方下高圧線注意というようなことを機長たちが言いながら、私自身が乗っていて物が言えないくらい実は物騒な感じをしながら現地を訪ねてまいりました。それでも地図を見ながらなかなか発見できなかったというぐらい折り重なっているという現状でございます。  今警察から詳しく話がございましたが、私も山の商売でございまして、もともとは、林野庁もメンバーに入っておりまして、聞きましたら、カラマツの二十二年生の人工林ということでございますから、営林署が丁寧に植えた二十二年ということならば、先生のおっしゃるように、場所によっては滑走的なショックどめというんでしょうか、何かそんなことができなかったかなと。現地に行ってみてとてもそんなことじゃないという感じが、そして歩いても何時間もかかる。えりもえってこんなところにと、率直にそんな感じがしたわけでございます。  したがいまして、今後の捜索につきましても困難はありましょうけれども、林野庁長官、業務部長にも申しまして、お互いに山の商売をやって、あのワイヤの索道というものを使っているが、あの索道でも張れる方法はないか。特に今警察が申しました一番谷のところに三百体といわれるかなりの方が眠っていらっしゃる。それから現在ヘリポートのところまで上に三百メートルあるのでございますが、それを担いで片手で上がれるような状態じゃない、こんなきつい傾斜していますから。そこに索道が張れないかということで、これも専門家がきのうからですか、張るのは不可能と言っていたんですが、不可能であってもとにかく現地をもう一遍見てこいということでやっておりまして、万全を期しているわけでございます。  そういう実情で、ヘリポートもふやせばいいんですけれども、ヘリポートといっても、半ばプロペラを回しながら着地しているまさに緊急的な、着地点を応急にこしらえている。ヘリポートに基準がございますが、とてもとてもそんな基準に合うようなものじゃございません。そういう状況で辛うじてやっておりますが、それでもなおヘリポートというものがつくれるか、着地点でございますね、そんなこともあわせて今後ともやってまいりたい。  航空事故の痛ましいのは私が身をもって体験いたしておりますし、御遺族のお気持ちなんか察するに、先ほど申し上げました事故調査等も急がなきゃなりませんけれども、それよりもまず身元の確認とか遺体収容、そして二度と起こらないように、また航空関係者も、十分私から今後また部下を督励いたしましてやってまいりたいと思っております。
  54. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今回の日本航空事故で亡くなられました方々の御冥福をまずお祈りを申し上げる次第でございます。また、御遺族方々に謹んでお悔やみを申し上げる次第でございます。  まず、私は捜索救難活動の件についてお伺いをするわけでございますが、先ほど防衛庁警察庁から克明な救援活動の実態を御報告いただきましたのでほぼ了解をしているわけでございますが、重ねて現地の指揮の中からお伺いをしたいわけでございますけれども、私たち公明党も鶴岡委員長、私、公明党の対策本部現地設置をしておりまして、昨日まで現地におったわけでございます。  先ほどもお話がございましたように、非常に険しい山岳地帯の中で、警察庁、防衛庁、また消防関係、地元の関係者方々が一生懸命救難活動努力をされているお姿を見て、本当に心から感謝をしているわけでございます。ただ、昨日も学校に遺族方々のお見舞いをしておりますと、そういう事情はわかっているけれども、一日も早く遺体を確かめ、そうして我が家に引き取っていきたい、こういう切なる御要望が多いわけでございます。そういう意味で、私も現地におりまして、先ほど御報告ございましたが、非常に険しい状況であっても、もう一基はヘリポートをどうしても早くつくらなくちゃいけない。困難な中できょうはその二基目のヘリポートができるという御報告をいただきました。  そこで見通してございますけれども、数日で遺体収容されるのではないかというように今私受け取ったわけでございますけれども、この点もう少し明確に、大体どの程度、何日ぐらいかかるのか、そういう点をもう一つ伺いたいと思うのでございます。
  55. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 先ほど申し上げましたのは、大部分の遺体収容はここ数日間で完了したいといういわば意欲といいますか希望といいますか、を申し上げたわけでございまして、全部の遺体収容を完了するまでにどのくらいかかるかというのは、正直のところ現段階では見通しが立たないという状況でございます。といいますのは、現在は主として、先ほど申し上げましたスゲノ沢に埋まっておられるであろう遺体収容というものを当面の目標に取り組んでいるわけでございますが、そのほかこの尾根の周辺部にあるいはまだまだ遺体が転がっておられるという状況かもしれないわけでございまして、この山全体を綿密に捜索いたしませんと本当の意味での遺体収容作業確認作業というのは終わらないわけでございます。
  56. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸大臣、今現地で指揮をとっていただいて非常に困難な状況を伺うわけでございます。今中学で控えていらっしやる御遺族の方も本当にもう疲れ切っていらっしゃいます。そして最初は何人がお見えでございますけれども、おうちの仕事の関係とかいろんな関係でもう本当に大変な様相にもなっているわけでございます。  今括伺いをいたしておりますと、やはり五百二十人の方々遺体を一切収容するための完了という時点が、この状況で、私たちもきのうまで現場のいろいろなお話を伺ったり、遠くからいろいろと状況分析をしながらも、この状態であれば一カ月もかかるのではないかなというような非常に心配もしているんですけれども、現地を視察され、そして本部長として指揮をとっていらっしゃいます大臣として、遺体の完全収容、これの日限というものをどこに見きわめていらっしゃるのか、お願いいたします。
  57. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 私は大きな問題は二つだと思っております。遺体捜索確認、それと遺体収容作業だと思っております。  捜索確認につきましては警察を初め寄ってたかつて皆さんでとにかくやっていただいております。現在その周辺を中心にやっておられますけれども、同時にまた、現在の機体等の散乱状況から推定し得る広範囲のところ、それは何キロの範囲がわかりませんが、それも再点検して非常に広い範囲から包囲してやっていただいておる。  それからもう一つは遺体収容でございますけれども、この遺体収容につきましては、さっきちょっと答弁申し上げましたように、一番深いところ、これはもうヘリが全く使いものになりません。したがってやや上のところにヘリの基地をもう一つつくる。しかも、このヘリの基地というのは、さっき申し上げたように、基準に合ったものではとてもございません。もうプロペラを回しながらしか着地できないような危ない状況の中でもそうやって作業をやっている。同時にまた、御案内のとおり、ヘリは有視界飛行でございますから、日没から夜明けまで使うことができなくなっておりますが、そういった一つの基準を抜きにしても、あとう限りやるということでございますが、一歩間違えば今度は捜索隊員による二次災害が心配なぐらい今のところやっていただいている。  それから今警察からございましたけれども、私が参りましたときも、もう捜索の人がへとへとになって、何度ぐらいありましょうかと言ったら、本部のすぐそばの物置みたいなところで三十七、八度ありましょうというぐらいの、まるでサウナみたいなところで仮眠をとっておられる。あれはよほど疲労こんぱいしなければとてもあんなところで眠れるものじゃないと私思いましたけれども、そういう非常に疲労こんぱいするぐらい精力的にやっていただいておる。  したがって、私は現状から申し上げますと、まずあとう限りのことをやっておられますけれども、さらに、さっき申し上げました、遭難された遺体を発見する範囲、そういうものについては、またきょうも第六回目の本部会議をいたしますので、先生方の御意向もそこでお伝えしてさらにまた皆さん方の御協力をお願いしたい、かように思っております。
  58. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 遺族方々は早く会いたいという願望を持っていらっしゃいます。また、大臣が今仰せのように、救援活動に従事をされていらっしゃる方々の疲労、そうして第二次災害のおそれ、こういうような点もよく注意をしていただいて決して二次災害を起こしてはいけない、そういう観点の中から努力をしていただきたいと思います。  それから、大臣に、先のことになると思いますけれども、遺族等に対する補償問題というものが近い将来必ずこれは起きてくるわけでございます。それに対する対応として運輸大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  59. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 私から申し上げることができることは、運輸省といたしましては、とにかく誠意を持ってこの問題に日航が当たるということについて既に私の方から社長にも申し上げておりますし、今後機会あるごとにまた私の方から日本航空に指示と申しましょうか、要請と申しましょうか、してまいりたいと思っております。  もちろん、今おっしゃるとおりこれはやや後の問題になると思いますので、その時点においてまた判断すべきことかと思いますけれども、日本航空には日本航空の一つのそういった災害のときの補償の規定というものがあることも私は承知いたしております。規定があることは承知いたしておりますが、その内容は実は私も詳しく承知いたしておりません。御必要でございますれば担当官からまた御説明申し上げたいと思います。
  60. 中村徹

    説明員(中村徹君) ただいま大臣からお話がございました遺族に対する補償の問題でございますが、これは日本航空の運送責任の中の問題でございまして、旅客との関係では運送約款に従って損害補償に当たるということになるわけでございます。  その内容は、簡単に申しますと、会社は、旅客の死亡または負傷その他身体の傷害の場合に発生する損害については、会社が損害を防止するため必要な措置をとったこと、またその措置をとることができなかったことを証明したとき以外は賠償の責めに任ずるということになっておりまして、会社側に責任がある場合にはこれに従って損害の賠償責任に任ずることになっております。
  61. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 その点もよろしくお願いをしたいと思います。    〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕  次に、事故原因でございますけれども、先ほどもいろいろと質疑がこざいました。報道を見る範囲におきましては、次々と証拠物件というものが出てまいりまして、総合すると、機体の異常の発生場所はアフターバルクヘッドが破壊したのではないかという説も出ているようでございます。また機体尾翼付近の金属疲労等の問題についても、先ほどの質疑をちょっと伺っていたわけでございます。こういうようなことを考えておりましそ、一つだけ私も、先ほどの質問と重複するかと思いますけれども、五十三年の六月二日に日航機が伊丹空港で起こした事故、これでボーイング社が一カ月の修理をしている。そのときに、垂直尾翼機体との接続部分とか垂直尾翼、その周辺というものについて修理はされたのか、それとも全然手はつけなかったのか、そういう点はどうなんでございましょうか。
  62. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 五十三年のしりこすりの事故は、機体の胴体後部の下側をこすったものでございます。それに応じまして、損傷部分あるいはさらに広い範囲で損傷を受けたと思う部分について調査をし、修復の範囲を決定したところでございます。修復の図面もございますが、主として申し上げますと、胴体の下部の外板でありますとか胴体後部の胴体フレーム等を中心としまして交換を行っております。お尋ねの垂直尾翼あるいは胴体の上の方の構造部分、これについては修理の前に検査をしたと承知しておりますが、実はそこまで細かい記録がございませんので、確認はできかねる状態でございます。交換等は行っております。
  63. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この重直尾翼はそのときに修理点検はボーイングはしたわけですか。今ちょっとあなたのお話を聞いていると、したようなというあれですけれども。
  64. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 実は七年前の作業でございまして、交換をした部分、修理した部分についての記録は残っておるわけでございますが、まず当然として考えられるのは、損傷の部分と、かなり広い範囲の調査が行われたと思いますが、御指摘の具体的な部分、垂直尾翼のここはどうかというような詳細な記録が残されていないということでございます。
  65. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先ほども金属疲労と力の関係等々のお話もちょっと聞いていたわけなんですが、やはりこれは素人、専門にかかわらず、すべての物体というものは、人間であろうとも金属であろうとも鉄や何であろうとも、使用される年限、そうして疲労の状況、これはピークと最低時というものは科学的には当然あるわけでございます。常時元気いっぱいのデータを持っていることはない。そういうふうな中で、この日航機が機体への衝撃事故を起こした後修理をし、またこれが再就航をして今日のこういうような事故になっている。私はここにはやはり明らかに関連的なものがあったのではないか、こういうふうに推察をするわけでございます。  そういう中で、各国が大型ジェットの近距離輸送というものについてある程度非難もしでいるわけですけれども、こういうふうな飛行機についても稼働率というものがいつも問題になります。今大臣から、五十八年度の調査では日本航空は五・五八時間、一日にですね、そして世界の平均が九・四九、こういうふうな数字というものを報告されておりますが、これは稼働率を報告されたと思うんです。このボーイングの場合も、日本航空の場合も、どの会社でもそうでございますが、やはり路線の長短や性格、空港の運用時間の制限、機材の性能、地上整備の能力や乗員はどうなのか、そして五番目には、いつも問題の営業上の理由、こういうものの五点が影響されて稼働率というものが飛行機の酷使になるのか、それともやさしい稼働率になるのか、こういうことが航空会社の常識になっているわけです。しかし、事故が起きて、そうしてそういう状況を我々は報道の中から知るわけでございますけれども、こういう五点が加味した中での稼働率の結果が、パイロットすら判断を誤るような思いがけない事故が起きている。事故の前提の中には、やはり機体にそれだけの事故の起きる前提がなければこういう大事故は起こらないわけでございます。  そういう点から考えてみますと、日本航空の場合、この稼働率の中で、これは運輸大臣にちょっと質問しますけれども、どこに問題があるのか。五番目の営業上の中で、とにかく稼いでいかなくちゃいけないという営業上の無理な分析があったのか、それとも四番目の私が申し上げた地上の整備能力、そういう激しい時間帯の中でできない、そういう地上整備能力に問題があったのか、それとも三番目の私が申し上げた機材の性能、品質の中に過去のそういう損傷の問題があってそういうものがやり過ごされたのではないのか、こういうふうな問題点も挙げられるわけです。    〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕 総括して、運輸大臣、結論から見て今回の事故原因の一部になり得るものはどれなのか。私が今申し上げた五点の中で、いやそんなものは何にもありませんというようなことは私はないと思います。
  66. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 先ほど技術部長からも前回の事故の処理については申し上げたのでございますが、私の手元にございます報告書をそのまま読んでみますと、前回の場合、ボーイング社の技術者により、直接メーカーから来まして、その技術者により詳細な検討を行った上で、損傷した部分を含み、より広範囲の部分を新品に交換する方法で修理が行われた、当局の修理改造検査にも合格したものである、こういうものが手元にございます。私も当時の模様はこうりう報告を申し上げる以外にないのでございますが、恐らくこの報告からいたしましても、そのとき不完全な修理をやったためということは考えられない。あるいは二、三等の問題につきましては、これは技術者でない私が申し上げるべきでもないし、これから調査が始まる段階に推定としてでも私が申し上げるのは差し控えなきゃなりませんが、その不手際とかあるいはそういう何か整備等に欠陥があったとは私は信じられないのでございますし、これはこれからの事故調の結果を待たなければなりません。  経営上の問題につきまして、日本航空はナショナル・フラッグ・キャリア、いわゆる日の丸を背負って世界に飛んでおります飛行機のことでもあり、IATAという協会があってその協定にも入っているということで、最近はIATAに入っていない飛行機会社が多くて非常に安い運賃で飛んでいる。それは結局満席で飛ばせば、利益率からいえば、例えば六割でペイするものならば、有料の座席を六割使えばペイするというならば、四割引きで満席になれば答えは同じ答えが出てくると思いますが、IATAでもって規定されている運賃を取っているということは、例えば六割で空席四割あってもそれでペイできるという非常に堅実な、最も理想的な方法で経営がなされておった、こういうふうに私は理解をいたしておるわけでございます。  荒稼ぎという言葉がありますが、そんな形で少なくともナショナル・フラッグ・キャリア、日の丸を持って世界に飛んでいる日航が決してそんな非常識なことはやっておらないし、私どもも日航の人々としょっちゅう会いながら経営の状況等についても常に聞いておりましたし、特に最近は利益も適宜出してきておりますし、そういう面からすると、経営上の理由からしりをたたくようなそんな使い方、人も機材もやっておらないと私は思っておるわけでございます。
  67. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先ほど大臣は、日本航空の五十八年度の稼働率は五・五八時間程度と言われておりました。これは間違いないですか。
  68. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) はい。
  69. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 じゃ担当の方に伺いますけれども、この事故機の稼働率は、大体この一カ月はどういうふうな稼働率でございますか。
  70. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 事故機、JA八一一九の最近の稼働率につきましては、手元に資料がございませんので正確な数字は申し上げられない状況でございますが、おおむね百五十時間程度かと思います。
  71. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 一日とのぐらいですか。
  72. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 失礼しました。一月にして百五十時間程度で、この平均値に大体見合うものであろう。実は飛行機によりましては、ちょうど整備にかかった、整備期限が来ているときは稼働率が低くなりますが、それ以外の場合には通常は平均して回しておりますので、一日当たりは五・五八、約五時間半程度と考えてよろしいかと思います。
  73. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 それで、代表的なジェット機の整備時間の間隔として、日本航空の場合、ボーイングの747の場合ですね、これは五十三年ごろですけれども、整備にはA段階、B段階、C段階、D段階とありますけれども、二百時間でA段階の整備をする。八百時間のときにはB段階の整備をする。C段階の整備は二千七百時間。D段階は出ていないんですけれども、これは何千時間ぐらい、何万時間になりますか。
  74. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 現在時点で申し上げますと、日本航空のA整備という、Aレベルの整備が二百五十時間でございます。それからB整備が千時間でございます。それからC整備が三千時間でございます。D整備がないとの御指摘でございますが、これは飛行機の設計そのものがオーバーホールを要しないようにつくられてございまして、メーカーの方で三千時間のC整備を繰り返してやることによって運用の安全が確保される、こういう飛行機でございますので、D整備というものは指定されておりません。  ちなみに外国の航空会社で見ますと、例えばオーストラリアのカンタス航空、これも事故のない会社で大変名の高いところでございますが、A整備は三百時間、B整備は二千三百八十六時間、半端な数字が出ていますが、二千三百八十六時間、C整備が六千五百四十六時間、大変長い整備間隔で運用しているわけでございます。ほかの外国の航空会社でもおおむね日本航空より長い整備時間になっておりまして、日本航空の整備間隔がよそより長いのではないかという点はございません。
  75. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 この事故機は、事故が起きるまで大体総計で何千時間になるんですか。
  76. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 事故が起こった時点での総飛行時間は二万五千三十時間十八分という記録でございます。
  77. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 機種の違い等がございますが、私古いデータを、五十三年の三月一日現在を言っているんで、今御報告聞きますとA段階二百が二百五十になっている。ちょっと違いはございますけれども、全日空がその当時で一万六千時間、東亜国内航空が一万四千時間、機種が小さい場合もあるでしょうけれども、そういうあれでD段階のオーバーホールをやっているというふうに数字では見るんですけれども、今回の起きた事故機が二万五千時間を飛んでいる。五十三年の伊丹で事故があったときに、一カ月ボーイングが来ておりますからそのときに恐らく検査やいろんなものをしていると思うんですけれども、それ以後になりますと何時間ぐらいになるんですか。
  78. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 申しわけございませんが、正確な時間は今手元にございません。
  79. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私がお伺いをしたいのは、事故が起きるまでこのボーイングは、全日空や東亜から見れば機種はでっかいし安全だし、まあ安全かどうかはこれは結果で見て大変なことだったんですけれども、ボーイングも検査をした。それからの時間がもし二万時間、また全日空や東亜国内航空のように一万六千時間、一万四千時間でオーバーホールをしていく、それよりはオーバーをしても、五十三年にあのボーイングが来てからは、まあ時間を言われていないから一概に言えませんけれども、オーバーホールを一切していないわけですね。事故機は、ボーイングの検査があってからこのA、B、C段階の整備のどの範囲のことをやったのか、それだけもしおわかりだったら。
  80. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 機体の整備の考え方が近年変わってきておりまして、昔はオーバーホールという、飛行機を一定の期間格納庫に入れてかなりの部分を分解して点検をしてまたもとへ戻す、こういう大がかりな作業をやっておったわけでございますが、最近の飛行機は設計の段階からオーバーボールをしなくても済むような、つまりシステムを分解しないで、システムをそのままの状態において良否を診断する、そのような技術が進歩いたしまして、わざわざ分解しないでも状況がよければさらに日常のウォッチをしながら運用していく、こういうような思想の機体が多くなっております。  この747も、そういったことでオーバーホールという概念を最初から、設計から入れていない機体でございます。したがいまして、世界との航空会社でも747の、先生がおっしゃいましたD整備といういわゆるオーバーホール作業というのはないのでございます。したがいまして、メーカー、設計者であるボーイングが指示します整備要目に従って点検間隔を決めてそこの点検間隔で整備をしていく、これの繰り返しをやっていくところでございます。それで日常の運用の状況を細かく見ながら整備をしていく、これが世界共通のやり方になっておるわけでございます。したがいまして、オーバーホールをしないこと自体が安全性の低下ということにはつながらないような機体であるということを御理解いただきたいと思います。
  81. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 でも現実にこのボーイング事故を起こして落ちているじゃありませんか。だったら、ボーイング会社の責任ですね、これは。途中で修理をしなくても設計段階の中で完璧なんだ、オーバーホールやなんかしたってかえって分解にお金がかかって、そんなことをしなくても、できたときに既に完璧なんだ。現実に事故が起きているんですよ。それでもなおかつこの飛行機の製作が完璧であるというのであれば、五百二十人の方々、生存された四名いらっしゃいますけれども、あんな不幸な目には遣われない。結果がそうなっているのに完璧であるとあなたは言われている。完璧なものが落ちたのであれば、これはボーイングの、今後まあいろんな原因究明されるでしょうけれども、ボーイングの責任なんですね、もうはっきりしていますね。しかしそうではないんでしょう。やはり原因究明してみないと結論は出てこない、科学的に。そういうことでしょう。しかし、事故が起きる前にやはりきちっと点検をしていくというのが、これはどの部門だって一緒じゃないですか。  運輸大臣、私は先般沖縄で飛行機の接触事故のときに安全をやかましく言いました。先般は国鉄の分割のときに、累積赤字が何十兆円とあるのに、私は安全問題に半分は時間をとったんです。しかし、公共輸送機関に対して私があれだけ真剣に航空機の問題や国鉄問題で安全がどれだけ大変かと訴えましたけれども、きょうの答弁を伺っておりますと、当局では、一切これは製作をしたときから飛行機は間違いがない、そういうふうに私は受け取る。現実には事故が起きて落ちているんです。私もかつて飛行機をいじっております。だからいろんなことを言われなくてもわかっておりますけれども、事故が起きて大半の人が亡くなっている。その事故原因の一つ一つというものについて、製作をしたときから世界有数のボーイング絶対間違いがない。間違いがなくても落ちているじゃないですか。大臣どうなんですか、これは。
  82. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) おっしゃるとおりで、私は今度の問題、まあすべてこれから解明されるわけでございますが、一般的に考えてみて、それぞれ起こり得る幾つかの原因があるでしょうが、それぞれについて現時点においてパーフェクト、完全無欠であったとは私は言えないと思います。構造上ももちろんであります。ですから、ボーイングとも常に連絡をとり、またボーイング社からも来ております。今後もこの事故調査の過程において、この責任者、いわゆる米国の連邦航空局に逐一連絡をとりながら、アメリカ当局としても十分この問題についてはひとつ調査をし究明をしてもらいたいということでいくわけでございまして、この747というものの構造自体が完全無欠ということは、神様がつくったんじゃないですから、特に現時点においてそれは私も言えないと思います。  幾つかの起こり得る原因をこれから解明していくわけでございまして、それらの問題についてかねがね安全を第一としなきゃならぬことは私も言っておりますし、先生からも御指摘をいただいたとおりであり、でき得る限りのことをやってきたつもりでございますけれども、やはりこういうことが起きたということに対してまことに遺憾であるということを申し上げておりますが、この上は、一つ一つ取り上げてどれでも完全無欠ということはこの段階ではそれは言い得ないということは、先生と同感でございます。
  83. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 とにかくこの事故原因については徹底的な究明をお願いをして、二度とこういうことが起きてはいけない。航空機だけは起きてはいけないんです。  そこで、最後になりますけれども、行政の対応について大臣に伺いたいと思います。  日本航空の経営姿勢でございますけれども、やはり一生懸命やっていらっしゃると思いますけれども、全日空や東亜国内航空は四十七年以来死亡事故は一件も起こしておらない。それに反して、日航では四十七年以来この十三年間で事件件数六件、約七百名以上の犠牲者を今日まで出しているわけです。全体の飛行量が他の二社と異なるとはいえ、なぜ日本航空がこのように事故を重ねていくのか、こういう問題の中で、運輸省として、運輸大臣として、また早く言えば総理大臣として、政府として、今回の事故を契機に、日本航空への経営姿勢、安全体制、これに対する行政指導、行政勧告、どういう具体的な、一、二は打っていらっしゃるようでございますけれども、どのように具体的にやっていかれるのか、最後に伺って終わりたいと思います。
  84. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 先ほど申し上げましたように、現時点におきましては、事故調査委員会の結論が出ていない段階で原因がどうであるということを申し上げることは、できませんが、先生のおっしゃるとおり、すべてが完全無欠であれば起こり得るわけがないのでございます。ですから、現時点においてそれは言えないということは今申し上げたとおりでございますが、ただ問題は、それが不可抗力であったかどうかということもあわせて検討してまいらなければなりません。すべてをとにかくこれから十分検討いたしまして、今後再びこういう事故のないようにさらに万全を期した行政指導をやっていかなければならない、現時点においては私はこのように考えておる次第でございます。
  85. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 亡くなられた方の御冥福を祈り、御遺族の皆さんに心からの哀悼の意を表しながら、具体的に伺っていきたいと思います。  まず、四人の方が生きていらしたということは大きな喜びでした。そして、落合さんが元気な子供の声なんかも聞こえたというようなお話が初めにございました。そしてまた、検視なすった医師団の方々も、約十五時間かかって救出されているけれども、もう少し時間が早ければ、十時間早かったら助かる人もうんと多かったのではないか、そういう証言もいただいているわけです。そうしますと、深山幽谷、傾斜が厳しい、いろいろなことはあったと思うけれども、五百人からの人の命を前にすれば、そういうことでそらすわけにはいかない。そして墜落してから翌朝まで、夜だったからというけれども、燃えていたとなれば明かりが見えたはずではないか。それからまた、傾斜が激しくて大変だというけれども、新聞報道によれば、全然登山の経験者がないような立命館大学の教授と四人の教え子たちが朝四時半に起きて現地まで行っているわけですね、もうはい上がって。そして救出に来た自衛隊なんかに、あなたは生存者なのかと聞かれたというくらい素早く行っているんですね。  そういうことから考えますと、私は、救出体制を、大変だろうと思いますけれども、もっと早くすることが、何人かの命にかかっているということになれば、これはいたし方がなかったということでは困る。やっぱりもうちょっと考えてもらわなければならない。  その救出体制がおくれた段階では、例えば小倉山だとかそれから御座山だとかというようなところが初めの場所だったと言われましたね。そのときに、またこれいろいろの情報を見ますと、地元の人たちはこう言っていますね。これは生存者を一番先に見つけた人です。この人は、墜落機が小倉山だの御座山と言っていたのは機動隊や自衛隊の連中だけだった、おれたち地元の住民は十二日の夜から南のスゲノ沢方向と確信していたんだと言ったんだけれども、自衛隊警察もおれたちの意見は聞いてくれなかったということを言っています。それからもう一人の猟友会なんかが先導させられたときも、こっちじゃないよ、現場はあっちだよ、スゲノ沢から北の方だよと口をそろえて言ったんだけれども、取り上げられないで、関係のないところに案内させられたというような証言があるんですね。  だから、緯度ではかってどこだどこだなんていうよりも、地元の住民が一番知っているわけです、どの沢のどうだということは。それをやっぱりきちっと尊重して聞くという判断がないと空振りしてこっちを捜査したというようなことが起きるわけですよね。私は思い出すんですよ。あの八甲田山の雪中行軍で、部隊が全滅したのと生き残ったのとある。あれは地元の住民の意見を聞いたのは全部生き残っていますよ。聞かないで軍隊の権威でもって行ったのは全滅しちゃっている。だから、そういうように住民の意見を聞くような体質ということがない。おまえらは知らなくたっていいんだ、わからないんだという考え方が今度の事故の一つの手おくれになったというふうに言わざるを得ないと思うんです。もっと早く尊重していれば、救出に向かい、何人かが生きられたのではないか、そう思うんですけれども、大臣いかがですか。
  86. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 先ほどある程度の御説明は警察その他からなされましたけれども、先生が今の問題について、初動捜査に遺漏はなかったかということで、詳しくということであればそれだけでも先生の持ち時間は足りないかと思いますが、いずれにいたしましても、本当に二次災害が起きる直前ぐらいまでみんなが努力してやっていることは事実でございます。  そして、それぞれ私がここでまとめて申し上げるだけの資料も持ち合わせておりませんけれども、あるいはまた立命館大学の方がどういう形でおいでになったか、また何の目的であったかどうだったかということは存じませんが、いずれにいたしましても、とにかく深い山で幾重にも重なっておって、どの辺だろうかということをよじ登りながらつま先立って行くということは容易なことではない。たまたま立命館大学の方が運がよかったと言えば大変しかられるかもしれませんが、方々でとにかくみんなが一生懸命模索しながら上がっている。その方が一番乗りされたかもしれませんが、だからほかのが悪いということは私は結論づけられない。みんなが誠意を持って、善意を持って一生懸命本当にやっているということはお認めいただきたいと思うのでございます。
  87. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は、やり方が悪いとか一生懸命やってないとは言っていない。こういう素人でも一生懸命になって行ったという事実があるし、こっちの沢だよと具体的に提起しているのを聞かなかったから手おくれになったのではないか。やっていることが間違いだとか、サボっているなんては言っていないですよ。そういうことで、地元のどの沢のどこだなんて一番わかっている人の意見を尊重しないという体質を、ボイスレコーダーフライトレコーダーを公開して、そして責任をみんなでもって究明しようという体質にしなければ本当の事故解明というのはできないと思うんですよね。そういう意味で言ったんです。地元の意見ももっと聞いてほしかった。  それで、ちょっと今ボイスレコーダーの公開のことも言いましたけれども、やっぱり事故なんというのは、みんなで衆知を集めなければならない。それでこれを公開する、資料を逐次公開するということはやぶさかでないというふうに大臣もお考えだ。だとすれば、中標津でも私は言ったけれども、一番責任を持って乗っていて具体的に問題を提起するのはパイロットの方たちですよね。そういう人たちも、この間の中標津みたいにおまえたちは関係ないんだよというのではなくて、専門的に関心を持って我が命の問題としているそういう乗員組合なんかの要求も考えて、そして一緒にこれを公開の場で知らされるということが必要だと思うんです。どうですか。
  88. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) ボイスレコーダーその他については、これは事故調査委員会が管理し解明されるべき問題、しかもこれには特殊技能が解明には必要であり、時間もかかる。特に損傷しているということは既に申し上げたとおりでございます。  公開とおっしゃいますけれども、公開というのはどういう意味でおっしゃっているかおかりませんが、とにかく包み隠さず言えるものは言う。しかし、さっき申し上げたプライバシーの問題も中にはあるかもしれません。これだけは亡くなった方々の名誉のために、あるいはそんなことないかもしれませんし、あるいはプライバシーが名誉に云々、名誉というのはちょっと私の言い過ぎかもわかりませんが、やはり公開しにくい面もあるかもしれません。そういう問題はやっぱり除いてということはこれはひとつ御了解いただかなければならぬかと思うのでございます。
  89. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 事故調査委員会設置法の制定された国会でも、事故を徹底的に究明するためにはプライバシーなんていう問題が優先するものでないと言われていましたよね。だからその趣旨としては、今大臣おっしゃったように事実を明らかにする。全くわからないのがちょっとそれ見せてくれなんと言ったってこれは役に立ちませんけれども、今言ったように、乗務員だとか、やっぱり非常に専門的な立場で考える人たちの窓は開いておいていただきたいというのが私の申し上げた趣旨でございます。その趣旨は御賛成いただけると思います。よろしいですか。
  90. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 公開というその場所の問題でございますけれども、何も国民全員にということではなくて、御納得のいく方々にみんな立ち会ってもらってこれを聞くということも一つの方法かと思っておりますよ。
  91. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 次に、先ほど同僚委員も言われましたけれども、日航に特に事故が多いということを私は問題にしたいと思うんです。  御承知のように、一九七二年のモスクワ事故、七七年のクアラルンプール、そして八二年の羽田沖というのがございましたね。たくさんの人が亡くなりました。それでまた最近を見まして、六月の十五日から七月二十八日までの間にこういうトラブルがあったというのを見ました。  六月十五日は、香港発バンコク行き七〇一便の離陸中第二エンジンがストップした。六月十九日はDC10。千歳が濃霧だった。そのときは全日空は濃霧だから着陸ができないというので休止しているんですね、飛ばさなかった。ところが出航の方は飛ばした。その結果着陸のときに滑走路のライト二つをつぶしてしまいました。そこで労働組合が、千歳空港着陸の当時の気象条件を見直してほしい、全日空でとめたのに何で日航は無理して飛ばしたかということや、滑走路の中心線のともしびですね、これを設置してほしいというような意見を出した。そしたら、千歳は軍民共用なんだ、中心線にそんな光を出すような設備をすると戦闘機のギア、タイヤに悪影響が起きるといってこれは拒否しているわけですね。これはやっぱり一つの問題。また後引き続いてやりますけれども、常に軍事優先ということがここで出てくると思うんです。  七月一日には、これもDC10の七四一便。エンジン故障が起きて、そしてこれを修繕した。修理後に乗員の要請でエンジンを吹かすテストをやってもらいたいと言ったけれども、これも危うくつぶされそうになったというような事件がありました。これもエンジン故障ですよ。同じ七月一日には、福岡発釜山行きの七七六便、これも第三エンジンが故障を起こしています。七月十六日にナンディ発の成田行き七七六便、第二エンジンの故障がありました。七月二十八日、羽田から沖縄へ行って、さっきもおっしゃっていましたフラップが落下したという事故。  私が聞いて調べてみたら、六月の十五日から七月の二十八日、この間に六回の故障というのが起きているんですよね。こういうことが運輸行政を監督なさるそちらの方に、大臣なんかのところにこういう事実が知らされていたのかどうかということですよね、まず伺いたいことは。乗務員の方たちがどんどんこれは大変だよと言っているわけです。それで乗務員の人たちがいろいろとニュースを集めています。  大臣は経済的な問題ということについていろいろおっしゃったけれども、私はこの航空機事故の問題を見ていて炭鉱災害と同じですよ。一月から炭鉱はこのままだったら大事故が起こりますよと言ったけれども、先生が言うそんな事故が起こるようなものがあったら爆発していますよと言ったんですね。だけど言ったとおりに爆発しちゃって、あの事故で九十三人死にましたよね。だから、一番自分の問題として抱えているそれらの乗組員だとかの意見というものを十分尊重しなければならない。  これらの事故についてそちらでは知っていらしたかどうかというのが一つの点ですよ。そして、こういうことがさっき言ったみたいにたび重なって日航に特徴的に出ているというのは決して偶然ではない。そこには何だといったら、やっぱり経済性優先という前から言っていた日航の体質がある。  そういうことはないとおっしゃるけれども、大臣ももうお読みになったと思います。この「おおぞら」というのを見ても、高木社長以下重役たちが言っている話を聞いたら、とにかくフライトなくして営業なしだ、利益志向は企業として当然のことなんだ、こういう考えですよね。まさに経営者ですよ。そろばんをはじいていかに収益を上げるかという立場で徹底的にここのところで懇談されているんですね。だから、これを読んだ乗務員の人たちが、こういう姿勢は羽田沖事故の教訓を何にも受けていない、だから事故が起こるという心配があるよと言っているのがこの事故の起こる直前ですよ。これは組合の記録、こういうのに出ているわけですよ。  そういうことを考えますと、日航の技術は確かにいいかもしれない、だけれどもそんな簡単なものではない。それについてはやっぱり運輸省としてしっかりした、甘く見てはだめなの、高木社長なんてしたたかなんだから。もう本当に私はあんなの首切ってやめさせたって、やめて楽になるだけですよ。もう日航の体質そのものがそうなっているという中でこういう事故が起こったということですから、甘く見てはだめ。厳しい行政指導と、今までのたくさんの血のあかないによる教訓というものを責任者としてきちっとした姿勢で指導していただきたい。いかがですか。
  92. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 前半の問題については私からお答えして、あと例のエンジントラブル等についての報告でございますけれども、これは行政官庁におきましてはそれらのものの処理について一つの基準がございまして、私が伺っていないものもあります。それは後で局長が御報告申し上げます。  ただ、今おっしゃる中で私がどうしても答えておかなきゃならぬ問題は、高木社長が言ったかどうか知りませんけれども、フライトなくして営業なし、つまり、しりたたいて危なくても飛ばせというような、そんなことは私はあり得ないと思うんです。ということは、さっきおっしゃいましたけれども、全日空との比較を私は存じませんでしたが、私の記憶では、カナダ航空だったかちょっと私も忘れましたけれども、羽田沖で事故が起きたとき、その直前にホノルルから来た日本航空は、やはり十分でないということで大阪に着陸をいたしたことは記憶いたしております。  何よりも、前々の社長の松尾さんの書かれた本にもあるし、私も直接聞いておりますが、憶病に対して勇敢であれというのは、あれは有名な言葉です。つまり、例えば、これもあったんですが、香港で日本航空がやや気象条件が悪いからというんでマニラに持っていった。その五分後に外国のある会社がそこに着陸をした。なに日本航空がここを避けて行ったのか、随分憶病だな、こう言った。しかしそういうことは憶病であってよろしい。憶病と言われるから非常に無理して着陸しようとする。憶病の方がむしろ勇気が要る。そこで憶病に対して勇敢であれということを常に口癖に言っておられる。  その気持ちは私は今日に生きていると思うんですよ。また、たくさんの命を預かるパイロットはそうでなければならぬし、そういうことを私は行政責任者としても日本航空に対して信頼をいたしておりますから、このことは一言だけお答えしておかなきゃならぬと思って申し上げた次第でございます。
  93. 西村康雄

    説明員西村康雄君) 整備に起因いたしますトラブルにつきましては、その都度逐一報告がまいっておりまして、私どももその原因についてはその都度これをチェックするということをいたしております。
  94. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣の姿勢はわかるの。私が言っているのは日航の姿勢ですからね。大臣は人がよ過ぎるよ。そんな考え方だとまた次に何が起こるかわからない。私はこの次また問題にしますけれども、事故が起こりますよ、今度また、それは空路の問題で今度やります。大臣が人のいいのわかったけれども、人がいいだけじゃ指導できないんだから、しっかりやってください。  時間がないので具体的に伺いますけれども、やっぱり何といったって安全があっての航空輸送ですよね。そうしますと、その安全の場合を考えて関係者にいろいろ聞いたんです。整備時間がだんだん減ってきている、五十分ぐらいになっちゃった、そしてだんだんこれが短くなってきている。軽微な故障や部品がない、修理時間がない場合は、基準を設けて、修理しないまま飛行してもよいというふうに基準そのものを甘くしているという中で非常に現場人たちは心配しているということがございますが、逆ですよ。基準を甘くしてそして飛ばすんじゃなくて、きちっと厳しくして、そして時間がかかるなら時間がかかることから問題をどう解決するかというふうに処理していかなかったら、本当の安全は守れない、そう思うんです。そういうことがありますから、それもひとつ大臣頭に置いていただきたいと思うんです。  それから、機体の破損と老朽の問題が先ほども言われたので、私は乗っている人間関係の問題についても伺いたいと思うんです。整備がだんだん時間が短くなったりというふうに伺っていきますと、日航というのは技術はいいですよね、だけれども、人を減らして、時間を金らして、よその飛行機の整備まで引き受けて収入を上げたなんということもあるわけですからね。だから、そういう意味で整備というものに、私はむだな金は使う必要ないけれども、必要なら十分に金を使ってもらいたい。  そこで各社と比べてみますと、これは世界定期航空会社と国内三社の経費構成を比較した航空統計資料なんだけれども、整備費について、世界の飛行機の場合は整備費は一二・三%、それから全日空は一二・五%、東亜国内九・五%となっている。ところが日航の場合は七・六%という数字が出ています、この統計表を見ると。そうすると、非常に整備を締めているということが一つの問題点としてこの表からは見えるということです。  それからもう一つは乗務員です。パイロットなどの乗務員を見ますと、日航の場合八四年三月では平均乗務時間が五十六・七時間になっていますよね。例えば一番短い英国航空は三十六時間で、日本の場合は五十六時間ですよ。パンナムでも約四十九・七時間、ルフトハンザ四十五・六時間ということから考えますと、日航の月平均の乗務時間というのは非常に長いということがここの数字でも出てきている。これはもう客観的な数字の事実だから、この点についても私はきちっと把握して日航というものを見ていただきたいということです。  それからまた、これは総務庁行政監察局が出した報告書ですけれども、これで日航職員数の推移というものを見ますと、この中で人減らししていますよね、二万人体制と。人減らし合理化をやっているんだけれども、この中でどこが一番大きく減らされているかというと整備関係なんですね。こういうふうに整備関係で、五十八年と五十四年を比べると百三十八名も整備関係が減っているという、これも行監の方から出てきている資料です。  そうすると、私が言いたいのは、整備関係の人が減らされています、そして労働時間というのは非常に長い。労働時間が長いから、例えばパイロットの方たちも五十代になると本当にもうつらくなるということですよね。それでいろいろ聞いてみたら、機長退職者六十二名、これは八四年だけれども、六十二名中三〇%の二十名が定年まで乗務はできないというふうに、非常に神経も体も疲れている、休みも十分とれないというようなことが事実として出されているわけです。だからそういう意味で私は大臣にお願いしたいわけです。大臣は一生懸命だというのはわかりました。だけれども、相手の日航は、きょうきちっと出てこないから、だから相手の日航に対して客観的な目を持って、そしてやっぱり人の命を左右する問題だから、それについて大臣としては行政の監督としてきちっとした厳しい姿勢で具体的な指導をしてもらいたい。このままでいってまた事故が起こって大臣やめますなんて、大臣やめればいいという、それじゃ済みませんから、そのことも十分に考えていただきたいということが私の再度の大臣に対する見解を求める問題です。
  95. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) せっかくの御指名でございますが、技術員が他社に比べてどうという資料を持ち合わせておりませんので、これは当局から答えさせます。  なお、乗務員の勤務状況につきましては、あらかじめ、運航ありというものを示された時期までに取って運輸省がそれは一々チェックをいたしておりますから、それと違った運航はやっておらないと思います。その私どもが認可いたしますものはそれは十分規定にかなったものでございますから、その点は御心配要らないかと思います。
  96. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大臣の姿勢がわかればそれでいいですから。もう時間がないからこれで終わるんだけれども、それは運航の時間だとかいろいろ話し合いがあると思うんだけれども、事実がこうなんだということをしっかり頭に置いておいていただきたいということを重ねてお願いします。  最後だからお願いなんですけれども、先ほどの事故機も、しりもち着陸をやったというようなことがありますよね。このときボーイング社が来て調査をして、そして修理をしたということです。そこで私はお願いしたいんだけれども、ボーイング社の修理をしたという報告書があると思うんです。それをぜひ出していただきたい、そのことについて。これはボーイング社にも私は責任があると思うんです。日航が悪かった、そっちが悪かったというのじゃなくて、みんながきちっとした体制を検討していかなければならないから、この問題に対するボーイング社の資料というのがおたくにあるはずだと思いますので、ぜひ出していただきたいということをお願いします。それの答えを言ってください。  それから大臣もう一つ。今度また国鉄の答申の問題でやりますけれども、だからこういう事故が起こるんだと言いたいのよね。総合交通体系というのがここで大事になってくるんです。東京−大阪なんというのはドル箱だからどんどん宣伝して入れるけれども、あれは新幹線を使えばいいんですよ、三時間で行くんだから。やっぱり長距離交通と短時間、もう国鉄からお客が離れて航空会社がもうかるようなのを黙認しておいて、そして責任を問われたら大臣の立場もないと思いますよ。やっぱり総合体系の立場から交通問題も考えていただきたいということをお願いして終わります。その答弁お願いします。
  97. 西村康雄

    説明員西村康雄君) 当時の、五十三年事故の際の修理の記録については直ちに調査いたします。
  98. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 今回の痛ましい事故犠牲者になられました多くの方々の御冥福を心からお祈りを申し上げつつ、質問をしていきたいと思います。  大臣、今回の事故を起こした同じ飛行機は全世界で一月に五百万人の人を運んでいるということだそうでございますが、したがいまして、この事故原因究明につきましてはかなり早急に徹底してやっていただかなければならない。しかも、それはさまざまな事故原因についての憶測はありますけれども、今後のことを考えて、予見を交えず徹底的に究明をしていただきたい、こういうように考えているわけでありますが、まずその点についての大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  99. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 先ほどからるる申し上げますように、私も体験者の一人として、こういう場合にこそきちんとした調査をやらなきゃいかぬ。そのために事故調査委員会も翌朝早速全員が現地に参って活動を開始している。非常に機敏に素早く対応をいたしております。さらにまた、海の方からいろいろ出てまいりましたし、これも小さなものなども全部集めまして事故調査委員会で御検討をいただいておる段階でございますし、おっしゃるとおり、これはもう誓って、私の在職中は徹底してこの原因究明についてはいいかげんなことをさせないでやらせるつもりでございます。
  100. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この飛行機は非常に安全性の高い、信頼性も高い、こういうことで乗客も安心して利用してきたわけでございますので、その点についても十分に考えの中に入れながらやっていただきたいと思います。  そこでまずお伺いをしたいんですが、英国の航空局の統計によりますと、このボーイング川型機は、四十五年から五十八年の十三年間に三十三件ぐらいの事故というか、トラブルといいますか、そういうものを起こしている。それでその都度ボーイング社はそれらのトラブルが起きたときには迅速に対応しながら、世界の各国の航空会社に対してその部分の修理を命令している、こういうことを聞いておるわけでありますが、そのことは事実なのかどうか。そして一体どのような種類の事故が今日まで起こっておるのか、この点についておわかりでしたらお伺いをしておきます。
  101. 大島士郎

    説明員大島士郎君) ただいま御指摘の英国の関係の資料が手元にございませんので、個別の点については私も知らない面が多いわけでございますが、ボーイングの747の事故ということになりますと、過去、機材関係の欠陥による事故は余り記憶にございません。大事故が幾つか記録されておりますが、運航上のパイロットの問題あるいは管制が絡んだ問題ということで、私の記憶でお答えしているわけでございますが、早速調べまして十分勉強したいと思っております。
  102. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 この点は英国の航空局が恐らく発表した統計だと思いますので、この資料がないわけないと思うんです。だからひとつ後でお調べいただいて私にもお示しをいただきたいと思います。  そこで今回の事故なんですが、結局垂直尾翼が何らかの原因によって最初に破壊された、そして墜落をした、こういうことなんですが、一体、破壊をされたということは、機体に構造的な欠陥があって破壊をされたのか、あるいはそのほかの何らかの原因があったのか、その辺のところは現在の段階でどのように推測をされておられるのかお伺いをしておきます。
  103. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 事故調査に現在取りかかられているところで推測というのは非常に難しいわけでございますが、私ども航空局としましては、八月の十五日に垂直尾翼関係の一斉点検を航空会社に対して指示したところでございます。この八月十五日の時点におきましては、それまでにいろいろ伝えられた情報あるいは回収された機体の部品等から考えまして、尾翼関係がこの事故に重大なかかわりがあると航空局が判断したわけでございます。その判断に基づいてとりあえずの安全対策を指示したわけでございますが、引き続いていろいろな事故を推測する状況が変わってまいっておりますし、また今後もどのような事実あるいは部品が揚収されるかもわかりません。そういった状況を踏まえて時を過たずさらに必要な緊急対策を指示していきたい、こう考えているところでございます。  決して事故のある原因を頭に置いて推測をして垂直尾翼の点検を指示した、そのような固定的なものではないわけでございます。
  104. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 その点航空局長にお伺いしますが、先ほどの調査報告にもよりますと、結局垂直尾翼損傷原因で、これが端緒になって墜落をしたんだ、そこで一斉点検に入っているわけですね。したがって、今後の事故調査の重点を一体どこに置くのかということ、ここがかかわりがあるんですが、私は垂直尾翼部分というように考えておるわけでありますが、ここに重点を置いて今後の調査活動をやっていくと今の時点では考えられておるのかどうか。
  105. 西村康雄

    説明員西村康雄君) 事故調査を具体的に進めてまいりますのは事故調査委員会でございまして、事故調査委員会運輸省の事務当局から独立した委員会でございます。ここが合議制で客観的な判断をして調査を進めるということでございますので、現在事故調査委員会がどういう調査のスケジュールを持っているか、どこに調査の重点を置くかについては私ども聞いておりませんが、運輸省の事務当局としては、このたび垂直尾翼の一斉点検をいたしましたように、少なくとも今回の事故との関連で、事故原因の蓋然性のあるような部分については他の航空機に対してそういうことが起こらないように、少なくともそういう問題についてはクリアにするような努力を重ねていくということをこれからいたしていきたいと思っております。
  106. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 事故調査委員会はこれからの話だと思いますので、時間がありませんのでさらに端的にお伺いしますが、七年前の大阪のしりもち事故というのは原因は何であったのか、この点を端的にお伺いします。
  107. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 原因は、パイロットの着陸に関する操作の誤りと、後ろに乗っております航空機関士がスピードブレーキの操作を誤った、こういうような要因が絡みまして起こったものというのが事故調査委員会の結論だったと思います。
  108. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこで、この事故ボーイング社がチームを組んで調査にやってきて現実に修理に当たったということでございますが、その修理に当たりまして、この損傷箇所はもちろん直した、しかもその際には水平尾翼も全部取りかえた、しかし、垂直尾翼、そして今度原因になったと言われるつけ根の部分、これらについては修理した図を見ますと全然手つかずなんですね。そうかといって、このことが遠因になって今回の事故が引き起こされたと即断することもまたできない。もし、落ちたときにそこの垂直尾翼に何らかの損傷があってそれがということになればもっと早く事故は起こっていただろうという、もう七年間飛んでおりますからね、そういう推測も成り立つということで、大変その辺世微妙なんですけれども、しかし、あの七年前の事故のときには、これは相当重いものが二百キロくらいのスピードで、しかも少なくとも十メートルくらいのところからどんと落ちたわけですから、だから垂直尾翼の部分についても疑いを持って調査をするということが当然ではなかったかと思いますけれども、しかしその辺はよくわかりません。  そこでお伺いをしておきますけれども、先ほども運輸大臣もお答えになったと思うんですが、七年前の事故が今回の事故の引き金になったということは言えない、こういうような発言もあったように私は思いますけれども、今の時点でそのように断定できるのかどうか、その点をお伺いします。
  109. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 現在のところでは、再々申し上げて恐縮でございますが、事故調査原因究明を待った上で判断するのが正しいことであろうかと思っております。現在のところでいろいろな推論はございますが、私どもとしては、当時の時点において安全を確認して運航に復帰した、こういうふうに思っているわけでございます。  なお、先生が今御指摘の中で、水平尾翼につきましてはこの事故の後の修復作業で取りかえてはございません。水平尾翼はもとのものがついておりますことを御報告いたします。
  110. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 その辺は、先ほども資料要求がありましたけれども、私の聞いている範囲では、そのときに、損傷部分のみならず、あれはブロック別にできていますから一カ所傷ついたらそこを直せばいいというものではない、ブロック別にできていますから、かなりの部分、相当広範囲に、損傷しない部分も修理しているんですよ、取りかえている、それで尾翼も水平尾翼は取りかえている、交換しているんです。そういうこともありますので、それは資料はまた明らかにしていただきたい、こういうように思います。  だからその辺のところが、今の話だと、これは完全に修理をしたのだから、しかもそれはボーイング社が責任を持って二カ月くらい、もっとかかってやっているんでしょうね、やって修理をして、その後も点検をしてこれは間違いないということで、その七年前の事故というものは今回の事故の引き金にはなっていないと必ずしも断定するわけではないんでしょう。その問題も含めながらこれからやっぱり事故調査委員会で徹底的な原因究明をやっていく、そういうことのように今の発言では受け取られましたが、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  111. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 私のただいまの答弁の趣旨は、現在は断定しない状態で、今後の事故調査の進展、原因究明を待った上で判断したいと思っております。
  112. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこでまた別の質問になりますが、警察庁おられますか。——本日の段階で、先ほどの御報告によりますと、完全遺体で二百九十八体が発見された、離断遺体というのは結局完全じゃないということなんでしょうが、それが四百一包収容されたというわけですが、そして全遺体収容できるのかどうかについては見通しが困難である。ましてやそうなりますと全遺体確認することはなおさら困難である。要するに、離断遺体という言葉を初めて聞いたんですが、そういう遺体が非常に多いわけですから、そうなると全遺体確認ということはなおさら困難であるということを先ほど聞きまして、そうなりますと、今回の事故で犠牲になりました全遺体というものを確認することは不可能であるというように私は受け取ったわけです。  それは大変不幸なことなんですけれども、果たしてそのように、私が受け取ったように、今の時点ですよ、ほとんどこれは全遺体をこれがだれ、これがだれということで完全に掌握するということは不可能に近い難事業である、このようにも思えるのですが、その点いかがでしょうか。
  113. 仁平圀雄

    説明員(仁平圀雄君) 先生御心配のとおりでございまして、まず全遺体収容し得るかどうかということも大変微妙なところがございますし、まして収容いたしました離断死体につきまして身元、が確認できるかどうかということになりますと、全部できるかどうかということについては極めて困難な見通しであると申し上げておきたいと思います。
  114. 伊藤郁男

    ○伊藤郁男君 そこで、これは最後になってしまいましたけれども、結局そういうような極めて難しい捜索を、しかもあのような山の中の険しいところで連日、野犬か何かが出て夜もあの辺のところから捜索隊が離れるわけにいかない。大変険しい中で、言うならば不眠不休の救援活動をされている。大臣はまさに疲労こんぱいの状況にあると言われました。私もそうだと思うんですね。片道五時間もかかる、交代要員も容易ではないというようには思いますけれども、しかし、これからなお相当の作業を続けてかなり時間がかかる作業をやらなきゃならぬということになると、交代要員も含めましてそういうことも十分に配慮しながらこれからの遺体発掘、機体収容、そういう作業をやっていかなければならないと思いますが、その辺の配慮というものはどうなっておられるのか。  それから、今なお本当に毎日悲しい思いで、何とかして一日遺体に会いたい、それでとにかく一日も早く引き取りたい、こう考えて現地におられる遺族方々もたくさんいるわけですね。しかし、こういう人たちもなおまだ何日かかるかわからない、こういうことですから、そういう遺族に対する対策は一体どのようになっておるのか。  この二点を最後にお伺いして、私の質問を終わります。
  115. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 今警察からお話があったとおりでございまして、全遺体収容は非常に困難であるということでございますが、それはお見通してございまして、確かに現時点ではそのような答弁しかできないと思います。私どもはとにかく目標としては最後の一体まで見つけ出して全部お渡しするという目標でやっておりますが、見通しとしてはそういうことであろうかということでございまして、決して私どもはいいかげんにやるということではございませんし、きのうも第五回目の本部会議を午後四時からやりまして、そのときやはりその問題についていろいろと真剣に協議をいたしました。非常に疲労こんぱいしておられる方々は適宜やっぱり交代をしていただいてでもやるということ、これは当然のことでございます。  また御遺族方々に対しまして、私が参りましたときも、四カ所にいらっしゃる御遺族方々にずっとごあいさつして回りましたけれども、やはり非常に暑いところでございますし、普通の者でも一日あそこにいたらもう本当に耐えられない、いらいらが起こるであろうというふうな状況でございますので、それは日本航空でもその後配慮されまして、まずお待ちいただく間の処遇について十分考えた処遇をした上で、とにかく御本人たちが待つとおっしゃればお待ちいただいて、御対面されるまでいろいろとまた私どもの方でできるだけのおこたえをいたしたい、かように思う次第でございます。
  116. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 質問の最後でございますので、重複する面は極力避けましてお尋ねをいたしたいと思います。  羽田沖日航機の忌まわしい事故の記憶がまだ消えておりませんままに、またしても日航ジャンボ機の大惨事でございます。その中でも生存しておられました乗客があったということは、全く奇跡でありますけれども、大変喜ばしいことであります。不幸にして亡くなられました五百二十名の皆様方の御冥福をお祈りをいたしますとともに、生存しておいでになります四名の方々の一日も早い快癒を祈るものでございます。  質問の第一点といたしまして、航空の安全についてでございます。  安全の確保は、日航のみならずすべての交通機関にとっての至上命題であります。それが航空機の場合に限って申しますと、最近は全日空でありますとか東亜国内航空に大きな事故が起きておらないのにかかわりませず、日航にまたしても大事故が起こりました。これはなぜなのか。日航の整備はこれまでも国際的にも高く評価されておると私たちは聞かされておりました。それだけに、けげんに感ずるものであります。もちろん、事故には偶然性もあるかもしれません。しかし、新聞が社説で指摘をしておられますように、一見偶然性の重なりの上に発生するように見えても、その基底には事故を招く必然的な要因が潜んでいることがあるものです。日航は我が国を代表するだけでなく、世界でもトップクラスの航空企業に成長した、それなのにこのような事故が続発するのは、経営のどこかに安全に徹し切れぬ面があるのではないかというように問題点を指摘をしておいでになります。安全運航の徹底を中心にした体質へ改善をしていくことが喫緊の要務だと私は思いますのですけれども、運輸省当局はどのように考えておいでになりますのか、まずその辺の所見をお尋ねいたします。
  117. 西村康雄

    説明員西村康雄君) 今先生からお話がありましたように、日本航空事故が頻発しておるというような点にかんがみますと、私どもも従来から日本航空の整備体制そのものは、先ほども技術部長が申しましたように、その技術の質そのものは非常にいいと世界的にも評判をとっておりますし、また統計的にもいい結果を得ているにもかかわらず、最近の事故というものとの関係にもどかしさを感ずるわけでございます。そういう点では、外部からいろいろな御批判を受けていることも十分私どもも考えまして、日航がどうやって安全な運航体制確立てきるか、この事故を契機にまた再度総点検をしていくという所存でこれからいろいろな施策をやっていきたいというふうに考えている次第でございます。
  118. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 航空の安全確保につきましては、今申し上げましたように、航空企業みずからの努力はもちろん必要であります。しかし、これに加えまして行政側の責任もまた重大だと私は思います。  今回の日航機の事故ではいろいろなことが示されております。そして、空の安全対策は果たして時代の流れに対応しておるのだろうかという疑問が素人の私にも感ぜられるようになってきました。さらにまた、世間では、運輸省はこれまでエアラインばかりに向き過ぎているのではないか、今や四千七百万人の方が航空機を利用される時代になってきておる、この四千七百万人の方々の方を向いた行政が必要なのではないかという疑問を提起をしておられます面もございます。例えばそれらの原因として次のようなことが言われております。  まず、これも既に同僚議員から指摘がありましたが、航空会社航空機使用の過密スケジュールや整備の問題があります。事故機の当日の運航は、既に御説明がありましたように、午前は東京−札幌を一往復、午後は東京−福岡間を一往復、そして最後の大阪へと旅立ちましたときのこの事故でございます。大臣からの御答弁にもありましたように、日本の飛行機の運航時間の平均は五・五八とおっしゃいましたが、この事故機は午前、午後、いわゆる札幌と福岡を往復をいたしましただけで五時間を超えておりますと思います。そのようなことで、各空港における整備の時間が極めて短くなっていくのは当然の帰結であります。この事故機の場合には、それぞれ一時間内外は確保されておりますけれども、しかしこういうことは今日珍しいことではないと言われております。日航以外の全日空にいたしましても東亜国内にいたしましてもよく似た状況であります。拾ってみますと、朝七時半に東京を出発したのが夜九時になって東京に最終便が帰ってくる。一日の酷使は大変なものだと思っております。  そういうことになりますと、整備のための滞留時間が四十五分というような極端に短くなっていくこともございますようでありますけれども、これらは珍しくないと言われておるところに何か異常さを感ぜずにはおれません問題であります。そういうことからいたしまして、短い滞留時間、当然のこととして整備の不十分、こういうことが生じできますが、これらはいずれにいたしましても機体の疲労を早めるという専門家の指摘もあります。  また、今回の事故に関しまして日航乗員組合は、日航事故が集中する背景には、安全よりも合理化を優先する営利優先姿勢があると述べておりますけれども、これらの点から見まして、運輸省として各航空会社に、確かに企業でありますからこれらは生きていかなければなりませんけれども、だからといって安全を無視することは四千七百万人という膨大な国民への負託にこたえることにはならない、このように思いますけれども、この面はどのようにお考えになりますか、御所見をお願いいたします。
  119. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 今御指摘のスケジュールの問題、機材と搭乗員の問題があるかと思います。機材につきましては、先ほど技術部長からも答弁をいたしておりましたとおりでございますが、さらにまた技術部長から答弁をいたさせたいと思います。私も、基準といいますと、機材の疲労と人間の疲労が感覚的にちょっとわかりませんので、専門家が答弁することにいたします。  搭乗員は当日確かに交代をして、搭乗員は当日のダイヤ、同じ者が乗ったのではないと思っております。特に機長は東京で交代をいたしております。ただスチュワーデス等はそのまま乗っていっておりますが、適宜そういう、人が疲労しない、特に機長なんかは十分な配慮が少なくとも今度の場合はなされたと思っております。  なお、先ほどからお話がございました、日本航空が多いということにつきまして、先生御自身もおっしゃっておりますように、それが不慮のもの、不慮というかいわゆる不可抗力のものであったかどうかという問題でございますが、これは今度の場合もさらに調査が進まなければわかりませんが、例えば羽田の事故等は明らかにこれは人災であった、これはもうみんなが認めておるところであり、その後の、私は個人的にも日本航空の社長には強く強く要請をいたしまして、いわゆる医療の面からの人事管理部門を強化しなければだめだ。諸外国においては、副社長と社長の間、つまり社長代理ぐらいにドクターの一番偉い人は位するところが世界の航空会社にもあるよということで、ただ部門を、何々部をつくった、何々管理本部ですか、健康管理の本部をつくっただけではなくて、常駐する医師のそういう体制というものを強化しなければならぬということまで、私ども再三にわたって言ってまいりましたし、そのとおりいたしております。したがって、今後はそういうことはございませんが、ただ、そういった医療的な管理、健康管理だけではなくてスケジュール等につきましてもさらに今後また検討してまいりますが、今までのところは、私がいろいろ調査いたしました結果ではルールに違反するようなことはなかったと思っております。  収益性の問題につきましても、先ほど申し上げましたとおり、日本航空がしりをたたいてもうけるために機材も人も無理に使ったということは、私の知る限りにおいてはなかった、かように存じております。
  120. 大島士郎

    説明員大島士郎君) 先ほどの過密スケジュールと申しますか、一日の飛行時間が長いのではないかという点でございますが、これにつきましては、私ども飛行時間あるいは飛行回数に応じた整備点検項目をきちんとやる、こういうことと、それから日常の運航記録、故障率等を見た上で常に指導を強めているところでございます。現在のところ、そのような点から見て安全上問題があるとは判断しておりません。  また、ステータイムにつきましては、ステータイムはダイヤの認可の場合に必ず見ているところでございます。特に整備関係につきまして、整備に十分な時間があるか、現在日本航空の場合大体五十五分を要しておるようでございますが、このステータイムと申しますのは、整備のほかに給油の時間、それからお客様がおりて新しいお客様が乗る時間等々いろいろな業務が行われます。その中で整備のためにこの五十五分を要している現状ではございません。整備の方は、通常、このような基地に、地方の空港でおりた場合の整備が決まっております。あるいはその土地によっては飛行中の故障を特別整備しなければならない、こういうような点も起こるかと思いますが、現在のところ五十五分で整備に時間が少なかったというようなことはございませんし、また、その点につきまして、私ども検査官をいろいろな地方の空港に安全性確認検査という形で実態を検査し、年間いろいろな基地の実情を把握して安全の指導を強めているところでございます。
  121. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 その次の安全に関する問題として、今回の日航事故とは直接関係がありませんけれども、この広い空域を旅客機、自衛隊機あるいは米軍機、訓練空域こそ区分はされておりますけれども、いわば共有をしておるということからしていろいろの問題が出てきております。そういった場合に、やっぱり私は旅客機が優先的に安全のための配慮をなされなければならない、このように思っております。けれども、先般の大韓航空機の事例をとってみましても、やっぱり軍事機密の名のもとに安全は妨げられておるように思えてなりません。そういったことからいたしまして、世の中の移り変わりの中で、常に乗客を乗せた旅客機が優先されるということが必ずしも守られていくという保証はないように思うところに心配を持つものでございます。  かつて戦争華やかなりしころ、大阪の土地において警察官と軍人とがゴーストップ事件を起こしましたことがあります。結局は当時権力の強かった軍隊の方がやっぱり赤を青にしてしまった結果のように思えてなりません問題もございます。  こういったことから類推をいたしまして、今は大変重要な時期に来ておるのではないか。旅客機の担当大臣でおいでになります運輸大臣こそ何よりも旅客の安全ということを優先したところの慣行の確立をきちっとしていただくことが私は大切だ、このように思っておりますのですけれども、本件に対してのお考え方の御表明をお願いいたします。
  122. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) この点もおっしゃるとおりでございまして、先ごろ沖縄における米軍の演習につきましても、民間機の航行にかなり影響を来すというような場合には極力私の方から抗議をいたしまして、抗議というより申し入れをいたしまして、そして中止をしてもらうとか万全の措置をとってまいりました。  あるいはまた空港、例えば千歳とか三沢あるいは沖縄の那覇とか、その管理の主体がどちらにあろうと、まず民間機の運航の安全について全く間違いがないように十分自衛隊の方にも私どもの方からお願いをいたし、また、現在のところ双方の話し合いによって別にトラブルも起きずに、その点については、例えば先般の那覇のような、まあ不注意による事故というようなことは過去においても起きたことがございますけれども、双方の話し合いによって意見が食い違って非常に困ったというようなことはなく、十分お互いに連絡をとってそのようにやっておるつもりでございます。今後ともまたそれは十分配慮してまいります。
  123. 山田耕三郎

    山田耕三郎君 時間がありませんから要約をさせていただきます。次の問題は捜索救難活動についてであります。  私は、この救難活動の初動の時期においてもう少し配慮をしていただけることができなかっただろうか、そのことは今も私の脳裏を去りません。きょうも三十五度の炎天下の中で、しかも、関係皆さん方がお答えをいただきましたとおり、極めて困難な地形の中で悪戦苦闘をしていただいております作業をなさる皆さん方に対しては、その御努力に敬意を表しながらも、人命ということを何よりも重く見ますがために、日没から日の出までの時間がいわば地上捜索が空白になされてしまった。その間は生命を見つけ出すことができた時間なのではなかったか、このように思うことが今も私の脳裏から去りません。  困難なことではあっただろうと思いますけれども、これは戦場以上の非常事態でこざいましたと私は思います。なれば、それに対応する措置が当然のこととして講じていただけなかっただろうか。そのことについては、いかに苦労が伴おうともやっぱり関係皆さん方は了解をし協賛をしてくださるのではないか。今後のこととしてぜひひとつお願いをいたしたいと思います。  もう一つの問題は、小さな問題でございますけれども、自衛隊機にはこういう装備がなかったのだろうかと思ってけげんに感じましたことが一つございますので、それについてお尋ねをいたします。  生存者の中に川上慶子ちゃんという十二歳の中学生がおいでになりました。その人が救出をされて救難ヘリにつり上げられる写真が報道されました。救難隊員がつり輪の中にぶら下がって、そして両手両足で幼いその子供さんを抱えてつり上げられました。私はこういうときの原則として、どのように肉体が傷んでおるかこれは現地ではわかりません、何よりも大切に扱わなければならない肉体であります。理想は担送をすることが一番よろしいのです。そういうことができるための担架の準備がそのヘリにはなかったのだろうか。  そして、こんなことはめったにないと思われるかもしれませんけれども、おっしゃるように、大変苦労をして捜索活動をしておいでになります。皆さんのお答えにありましたように、その関係者は疲労こんぱいの極に達しておると言われます。地上十メートルのところをつり上げられる間にだって、その人はひょっとして心臓麻痺にならないとも限りません。せっかく救出されたその幼い生命がそこでまた失われるというようなこともやっぱり考えて、何よりも慎重に取り扱っていかなければならない問題だと思いますのにかかわりませず、ああいった形でヘリコプターにつり上げられた。やっぱりあれは常道ではないし、もっときちっとした装備をそのヘリには備えておくべきだ。  事情がいろいろあったんだろうと思います。けれども、そのことだけを申し述べ、きょうは関係者の方の出席を求めておりませんので、運輸大臣が、あるいは運輸省関係の皆さんがこの問題でいろいろと御協議なさるときにこの意図を伝えていただき、その辺の整備を図っていただくことを希望をいたしまして、ちょうど時間が来ましたから私の質問を終わります。
  124. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  125. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) この際、吉村君から発言を求められておりますので、これを許します。吉村君。
  126. 吉村眞事

    ○吉村眞事君 先ほど来、日航機墜落事故につきまして熱心に質疑が行われてまいりましたが、その経過にかんがみまして、この際、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による委員会決議をいたしたいと存じます。  これより案文を朗読いたします。     航空機事故絶滅に関する決議(案)   去る八月十二日、日航機の墜落事故により、  単一航空機における事故としては世界最大の犠  牲者を出したことは誠に遺憾に耐えない。本委  員会は、この事故犠牲者に深甚なる哀悼の意  を表するものである。   政府は、特に次の事項をすみやかに実施し、  今後かかる航空機事故発生の絶滅を期すべきで  ある。   一 今回の日航墜落については、ボイスレ    コーダー、フライトレコーダー事故調査    に関連する記録を公表するとともに、関係    者の英知を結集することにより徹底的に事    故原因究明に努めること。   二 捜索救難活動については、遺族の心情を    勘案し、遺体及び遺品等の迅速な収容に努    めるなどその推進に万全を期すること。   三 遺族等に対する補償問題がすみやかに解    決するよう努めること。   四 航空運送事業者に対して、特に航空機の    点検整備等を指示するとともに、安全確保    体制を抜本的に見直すよう厳重に指導監督    を行うこと。   右決議する。  以上であります。
  127. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) ただいまの吉村君提出の決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。山下運輸大臣
  129. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) ただいま御決議を賜りました趣旨を尊重いたしまして、政府といたしましては万全の措置をとる決意でございます。
  130. 鶴岡洋

    委員長鶴岡洋君) 本日の調査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十一分散会