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1985-03-07 第102回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十年二月二十六日(火曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       相沢 英之君    熊川 次男君       小泉純一郎君    村山 達雄君       井上 一成君    神崎 武法君       瀬崎 博義君 二月二十六日  相沢英之君が委員長指名で、主査選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 昭和六十年三月七日(木曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 相沢 英之君       熊川 次男君    小泉純一郎君       村山 達雄君    井上 一成君       上西 和郎君    新村 勝雄君       神崎 武法君    日笠 勝之君       渡部 一郎君    瀬崎 博義君    兼務 五十嵐広三君 兼務 小川 国彦君    兼務 奥野 一雄君 兼務 水田  稔君    兼務 和田 貞夫君 兼務 渡辺 嘉藏君    兼務 水谷  弘君 兼務 青山  丘君    兼務 伊藤 英成君 兼務 小沢 貞孝君    兼務 横手 文雄君 兼務 柴田 睦夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         外務大臣官房長 北村  汎君         大蔵大臣官房会         計課長     朝比奈秀夫君         大蔵大臣官房総         務審議官    北村 恭二君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵大臣官房審         議官      角谷 正彦君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省関税局長 矢澤富太郎君         大蔵省理財局長 宮本 保孝君         大蔵省理財局次         長       亀井 敬之君         大蔵省理財局次         長       中田 一男君         大蔵省証券局長 岸田 俊輔君         大蔵省銀行局長 吉田 正輝君         大蔵省銀行局保         険部長     加茂 文治君         国税庁税部長         兼国税庁次長心         得       冨尾 一郎君         国税庁間税部長 山本 昭市君         国税庁徴収部長 緒賀 康宏君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 黒田  武君         警察庁刑事局暴         力団対策官   横尾 敏夫君         青少年対策本部         参事官     梅沢 五郎君         外務大臣官房在         外公館課長   平林  博君         大蔵省主計局主         計官      田波 耕治君         文部省体育局学         校給食課長   小西  亘君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 木本 忠男君         社会保険庁年金         保険部国民年金         課長      植西 常郎君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      阪田 彰夫君         中小企業庁指導         部組織課長   小林 盾夫君         運輸省地域交通         局自動車保障課         長       福島 義章君         建設省建設経済         局民間宅地指導         室長      深沢日出男君         建設省住宅局民         間住宅課長   鹿島 尚武君         国民金融公庫副         総裁      渡部 周治君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   熊川 次男君     宇野 宗佑君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     熊川 次男君 同月七日  辞任         補欠選任   井上 一成君     上西 和郎君   神崎 武法君     渡部 一郎君   瀬崎 博義君     瀬長亀次郎君 同日  辞任         補欠選任   上西 和郎君     新村 勝雄君   渡部 一郎君     春田 重昭君   瀬長亀次郎君     藤木 洋子君 同日  辞任         補欠選任   新村 勝雄君     井上 一成君   春田 重昭君     吉井 光照君   藤木 洋子君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   吉井 光照君     神崎 武法君   瀬崎 博義君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   神崎 武法君     日笠 勝之君   浦井  洋君     瀬崎 博義君 同日  辞任         補欠選任   日笠 勝之君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   岡本 富夫君     駒谷  明君 同日  辞任         補欠選任   駒谷  明君     神崎 武法君 同日  第一分科員小川国彦君、青山丘君、伊藤英成君  、小沢貞孝君、横手文雄君、第四分科員和田貞  夫君渡辺嘉藏君、柴田睦夫君、第五分科員水  谷弘君、第六分科員五十嵐広三君、水田稔君及  び第七分科員奥野一雄君が本分科兼務となった  。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算  (大蔵省所管)      ――――◇―――――
  2. 相沢英之

    相沢主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本分科会は、法務省、外務省及び大蔵省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省所管事項説明は、各省審査冒頭に聴取いたします。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算大蔵省所管について、政府から説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 昭和六十年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は、五十二兆四千九百九十六億四千三百万円となっております。  このうち主な事項につきまして申し上げますと、租税及び印紙収入は三十八兆五千五百億円、雑収入は二兆千百七十一億四千百万円、公債金は十一兆六千八百億円となっております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十一兆四千六百四十九億八千二百万円となっております。  このうち主な事項につきまして申し上げますと、国債費は十兆二千二百四十一億五千八百万円、政府出資は二千百二十億円、予備費は三千五百億円となっております。  次に、当省所管の各特別会計歳入歳出予算につきまして申し上げます。  造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも百九十二億五千五百万円となっております。  このほか、印刷局等の各特別会計歳入歳出予算につきましては、予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関収入支出予算につきまして申し上げます。  国民金融公庫におきましては、収入四千二百四十四億九百万円、支出四千三百十九億三千三百万円、差し引き七十五億二千四百万円の支出超過となっております。  このほか、住宅金融公庫等の各政府関係機関収入支出予算につきましては、予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。以上、大蔵省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。  なお、時間の関係もございまして、お手元に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
  4. 相沢英之

    相沢主査 この際、お諮りいたします。  ただいま竹下大蔵大臣から申し出がありましたとおり、大蔵省所管関係予算概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 相沢英之

    相沢主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔参照〕    昭和六十年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算に関する説明  昭和六十年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算につきまして御説明申し上げます。  まず、一般会計歳入予算額は、五十二兆四千九百九十六億四千三百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一兆八千七百二十四億二千九百万円の増加となっております。  以下、歳入予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、租税及印紙収入は、三十八兆五千五百億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、三兆九千五百四十億円の増加となっております。  この予算額は、現行法による租税及び印紙収入見込額三十八兆三千七百二十億円に、昭和六十年度税制改正による増収見込額二千八百九十億円を加え、揮発油税道路整備特別会計への振替見込額千百十億円を差し引いたものであります。  次に、各税目別に主なものを御説明申し上げます。  まず、所得税につきましては、十五兆四千六百八十億円を計上いたしました。  法人税につきましては、貸倒引当金の法定繰入率の引下げ、公益法人等及び協同組合等軽減税率引上げ等による増収見込額を加えて、十二兆五千四百六十億円を計上いたしました。  以上申し述べました税目のほか、相続税九千六百十億円、酒税一兆九千五百五十億円、たばこ消費税八千八百二十億円、揮発油税一兆五千五百四十億円、物品税一兆五千三百八十億円、関税六千八百八十億円、印紙収入一兆三千六百六十億円、及びその他の各税日を加え、租税及印紙収入合計額は、三十八兆五千五百億円となっております。  第二に、雑収入は、二兆千百七十一億四千百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、千五十二億七千九百万円の減少となっております。  この収入のうち主なものは、日本銀行納付金一兆二千四十八億円、日本中央競馬会納付金千七百六億三千九百万円、特別会計受入金三千七百七十六億四千九百万円、補助貨幣回収準備資金受入千百四十一億五百万円等を見込んだものであります。  最後に、公債金は、十一兆六千八百億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一兆円の減少となっております。  この公債金のうち、五兆九千五百億円は、建設公債発行によることとし、残余の五兆七千三百億円は、特例公債発行によることと致しております。  なお、特例公債発行につきましては、別途、「昭和六十年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律」(案)を提出し、御審議をお願いいたしております。  次に、当省所管一般会計歳出予算額は、十一兆四千六百四十九億八千二百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、一兆八百十一億八千万円の増加となっております。  これは、国債費が一兆六百九十億八千五百万円増加いたしましたこと等によるものであります。  以下、歳出予算額のうち主な事項につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、第一に、国債費につきましては、十兆二千二百四十一億五千八百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計負担に属する国債の償還、国債及び借入金の利子等の支払並びにこれらの事務の取扱いに必要な経費財源を、国債整理基金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  なお、先ほど申し述べました「昭和六十年度財政運営に必要な財源確保を図るための特別措置に関する法律」(案)に基づき、昭和六十年度において、前年度首国債総額の百分の一・六に相当する額及び割引国債に係る発行価格差減額年割額に相当する額の繰入れは行わないことと致しております。  第二に、公務員宿舎施設費につきましては、二百三十八億八千三百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国家公務員に貸与する宿舎施設整備に必要なものであります。  第三に、政府出資につきましては、中小企業信用保険公庫等機関に対し、一般会計から出資するため必要な経費として、二千百二十億円を計上いたしておりますが、その内訳は、中小企業信用保険公庫四百三十億円、海外経済協力基金千六百九十億円であります。  第四に、経済協力費につきましては、六百億九千七百万円を計上いたしておりますが、この経費は、発展途上国に対する食糧増産援助等に必要なものであります。  最後に、予備費につきましては、予見し難い予算の不足に充てるため、三千五百億円を計上いたしております。  次に、当省所管特別会計のうち主な会計につきまして、その歳入歳出予算概要を御説明申し上げます。  まず、造幣局特別会計におきましては、歳入歳出とも百九十二億五千五百万円となっております。  次に、印刷局特別会計におきましては、歳入七百七十九億五千四百万円、歳出七百五億四千百万円、差引き七十四億千二百万円の歳入超過となっております。  以上申し述べました各特別会計のほか、資金運用部国債整理基金外国為替資金産業投資、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計歳入歳出予算につきましては、予算書等によりまして御覧いただきたいと存じます。  最後に、当省関係の各政府関係機関収入支出予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、国民金融公庫におきましては、収入四千二百四十四億九百万円、支出四千三百十九億三千三百万円、差引き七十五億二千四百万円の支出超過となっております。  このほか、住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫公営企業金融公庫中小企業信用保険公庫、環境衛生金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各政府関係機関収入支出予算につきましては、予算書等によりまして御覧いただきたいと存じます。  以上、大蔵省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第でございます。     ―――――――――――――
  6. 相沢英之

    相沢主査 以上をもちまして大蔵省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 相沢英之

    相沢主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  8. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、最初に、六十年度予算が表面上は五十二兆四千九百九十六億円ということになっているわけですけれども地方交付税交付金あるいは国債費を差し引いて一般歳出の三十二兆五千八百五十四億円、これに対して、国民年金厚生年金国庫負担の繰り延べなど、いわゆる後年度への先送り分約八千六百七十億円、あるいは防衛費の後年度負担新規分としての一兆二千三百二十八億円、合計すると二兆一千億円近い多額のツケを後年度に残す、こういう予算編成になっているわけであります。  さらには、五十四年度価格での総額五兆円の整備新幹線、こういうことを考えますとき、六十五年度までの赤字国債依存体質の脱却、あるいは「増税なき財政再建」などの当初の予算編成方針を全く骨抜きにした、将来にすべての問題を先送りした予算だと言わざるを得ない。  さらに、内政の担い手である地方公共団体に対しては、国の財政負担を軽減するために、地方団体の強い反対にもかかわらず補助金等の一割カットを強行する、まさに地方自治体の存続を阻害していくという、巨額な負担の転嫁によって国の予算のつじつまを合わせた極めて不健全な予算案である。  こういうふうに認識をするわけでありますが、予算編成するに当たっての基本的な認識あるいは価値観、物差し、一体どういう考えで予算編成をされるのか、まず冒頭、それから承っていきたいと思います。
  9. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、ことしの予算編成に際しましては、私どもも種々検討いたしましたが、まず公債一兆円減額をしたい、これが一つございました。それから第二番目には、一般歳出を前年度以下にしよう、この二つを前提に置きましたところに、いわばぎりぎりの苦心の策ということが言えると思うわけであります。  その前提となります「増税なき財政再建」、これは理念としてそのかんぬきとか旗印はおろすわけにはいかない。一たびそれをおろしましたときには、いわば歳出削減に対する意欲が鈍る、あるいは逆に歳出圧力に対して抵抗し切れなくなる、こういうことがあったことも事実であります。そこで、そういう方針前提に置きまして工夫をいたしましたのが、今、井上先生おっしゃった、いわゆる先送りということの表現の中に幾つかのものがあることは事実であります。  ただ、これらの問題につきましては、厚年国年あるいは住宅金融公庫等々、それぞれ施策の成り立ちなり根本にさかのぼりまして、あるいはこれは特別会計一般会計とのいわば財源調整であるという認識、いま一つは後年度負担等に伴うところのいわば財政平準化措置であるというようなことで、それぞれ単純に包括して先送りだということは必ずしも当たらないのではなかろうか、こういう気持ちで行った措置であります。  さらには、地方へのツケ回しという表現補助率削減問題であります。  補助金というものは、従来、いわば義務的諸経費を引いたものの残りを額で一割カットというような方法を今日まで行ってまいりましたが、それに限らず、今度は、今御指摘になられましたように補助率の中へ切り込んできたわけであります。このことは、従来の仕組みからいいますならば、国の負担分地方負担に転嫁した、こういう御批判もあろうかということは十分承知しております。ただし、国と地方とは言ってみれば公経済を支える車の両輪という物の考え方で、それぞれの役割分担あるいは負担区分という角度から合意に達したものであります。しかしながら、なかんずく社会保障分につきましては、その過去の成り立ちからいたしましていろいろな議論もございましたので、一年かかって、可能な限りこの合意に達しに暫定措置でないものにしたいということを念頭に置きながらこれから検討をしていこう、したがってこれらの法律はまた暫定措置という形で今日御審議をいただこうとしておる、こういう中身でございます。  総括して申しますならば、ぎりぎりの工夫をいたしました結果が、今御指摘を受けたこの予算であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  10. 井上一成

    井上(一)分科員 弁解に努めていらっしゃるわけですけれども、やはり予算編成に当たっては、当然基本的な認識、これは私から指摘をするまでもないと思うのですけれども、限られた財源の重点的、効率的な配分、そのことが節度ある財政運営につながっていく、こういうふうに思うのです。  そのためにはどういうことを謙虚に受けとめていかなければいけないか。それは、単年度会計の中における予算執行後の執行についての客観的な情勢、実態把握が必要だ。いわば決算予算にどう反映させていくのか、そういうことについて大臣認識をさらに尋ねていきたい、こういうふうに私は思います。
  11. 竹下登

    竹下国務大臣 従来も、予算編成に当たりまして、決算につきましてのいろいろな決算委員会等指摘事項、あるいは会計検査院等指摘事項、あるいは私どもなりにそれぞれフォローアップの中で感じ得ておりますところのもろもろの問題に対する対応の仕方ということでは、厳しく対処し続けて今日に至っておりますが、やはり予算というものを執行するに当たりましては、過去の決算の中で指摘を受けた、あるいは我々自身が気がついたものをどのように是正の中に組み込んでいくかということは、いつも念頭にあらねばならない至上命題であるという認識を持っております。
  12. 井上一成

    井上(一)分科員 それじゃ具体的に、各省庁が検査院から指摘されたいろいろな指摘事項がありますけれども大蔵省としては、とりわけ検査院指摘された問題点について、六十年度予算ではどのようにそれを受けとめ、尊重し、かつ、予算に反映させたのか、そういうことをひとつ聞きたい。  さらに、私たちが決算を重視し、かつ、その決算の上に立って、次年度あるいは継続的な一つ予算編成のめどを立てていくべきだということを常々決算委員会でも指摘をしてきたわけですけれども、衆議院においては、政府の一方的な理由によって現在まだ五十六年の決算総括審議が行われない。これは大蔵大臣としてどう認識されているのか。私はけしからぬことだ、こういうふうに思うのです。だから、予算だけの審議じゃなく、要は効果的財政運営というものは何を指すのか。そういう意味で、検査院からの指摘事項に対しての大蔵省の受けとめ方、具体的に特にこういう関係については配慮したというもの、さらに五十六年度決算総括審議について、大臣から聞かせてください。
  13. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに今御案内のとおり、五十六年度決算総括も終わってない、御指摘のとおりでございます。これは私どももいつも感ずることでございますが、予算決算が、少し年度を追ってきた感はございますが、ややスムーズにこれが続いていないという感じは持っております。が、この問題は別といたしまして、これは政府の立場もございますし、また国会審議そのものの問題もございますので、その点についての問題は私から言うわけにもまいりませんけれども、本質的に、過去を振り返ってこそ初めて新しいものに対応していけるわけでございますから、決算というものにおいて指摘され、あるいは我々自身が気がついたものを根底に置いて予算編成に当たらなければならぬという原則は、私も承知をいたしております。  指摘事項に対する具体的な問題については、一年で解決しないもの、逐年かかるもの等もございますが、今たまたま整理したものを持っておりませんので、この点については、整理したものを持ってきておりますならば事務当局からお答えをさせます。
  14. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、きょう大蔵大臣質疑をしたい。大蔵大臣が、予算編成に当たって、何かそういう過去の、単年度の分ということではなく政策的な視点からも、このことについては今後の予算編成十分気をつけていかなければいけないと思った点、内政面での補助率一割カットに重点を置かれたわけなんだけれども、さっきの答弁では暫定措置だということですが、それはまた後で聞きますが、今の決算軽視の実情、実態、これは大臣が出席しないからなんだ。あなた、議運でも国対でも、総理あるいは政府所管大臣が出席しないから定例日にも開けないわけです。あなたは何を言っているのです。あなたは、開きたいなら開きたいと、開くべきだと言えばいい。五十六年の総括ができぬというような状況は不正常きわまりない。大臣から、あなたが六十年度予算で特に意にとめられたことが、なければないで結構です、あれば私は聞かしてほしい。
  15. 竹下登

    竹下国務大臣 国会運営の問題は別といたしまして、私が、六十年度予算に限らず、今日まで四回予算編成をさせていただいておるときに一番まず念頭にありますのは、不正使用という問題、これは、会計検査院からの指摘事項という問題については一つ一つ具体的に、大蔵省のみならず各省でもこれに対してその解決策を、対応策を立てるべきである。が、なかんずく私ども予算編成全体の調整権を持つ立場から申しますならば、いわゆる不用額というものに対しては非常な留意を払って、その不用額というのは、いわば見通しの誤りとかそういうことから出たのかあるいは現実予算の調整そのものが甘かったのか、そういう点は一番留意する一つの点でございます。
  16. 井上一成

    井上(一)分科員 私は、もっともっと政策的な問題としては、エネルギー資源の開発の問題だとか、日の丸石油を求めてのいわゆるリスクを伴ったそういう関連関係予算が相当額支出されている、結果的には、具体的にはドーム石油についてだって八百億円の大損失を余儀なくされておる、そういうことを今後の取り組みとしては慎重かつ冷静に判断していかなければいけない。地方自治体へのしわ寄せだけでつじつまを合わせた予算編成については、私は、非常に認識は間違っているし、物事の本末転倒である、こういうふうに思うわけです。  さらに、大平元総理が、八〇年代は地方の時代だと言われたわけなんです。私は、まさに、地方自治をより強く確立するための国の政策としては評価をし、大いなる期待をしてきたわけでありますけれども、今回の六十年度予算で全くそれがつぶされようとしている。これは何回となく予算委員会でも議論があるわけですけれども、今も暫定措置だというお答えがあったわけでありますが、一年かけて一応国と地方との負担区分を見直していって恒久的なものをつくっていくんだということを、予算の委員会の中で総理も大蔵大臣答弁をしているわけなんですが、一割カット暫定措置だ。暫定措置ということは、逆に、それでは一年たてば従前の、今までのような、もとの率に戻すのか。いわゆる一年間だけの特例というか特別な負担をお願いをしているんだ、こういう形でもとへ戻すということになるのか。一年限りという意味からはそう受けとめるのが通常である。しかし、見直して恒久的なものをつくりたいということになれば、新たにそういうものをつくっていく。そうなると、一割カットされた六十年度の分がベースとなって見直していかれるのか。そこらの点について、もっと極端に言えば、従前のもとに戻すということになるのかならないのか。ちょっとその点も聞いておきたいと思います。
  17. 竹下登

    竹下国務大臣 予算は御案内のとおり単年度主義であるわけでございますから、理屈から言いますならば、単年度における国と地方との負担区分がいわゆる一律一割、多少の違いはあったといたしましても、そういう負担区分の中にことしはこうしようというので合意をしたわけでありますが、その裏に、一年かかって可能な限り恒久的な措置になるような議論をして結論を得ていこうではないか、だから法律の形は一年限りというのはそれはまさに暫定措置ということになるわけでありますが、私どもとしては、制度、施策の根本にさかのぼってその負担区分のあり方についての議論を一年間かかって詰めていこうじゃないか、こういう申し合わせをいたしておるわけであります。  したがって、これは理屈から言うならば、その検討期間後いわばもとのままがいいという結論が出るのか、あるいは今の暫定でお願いしたものを恒久化した方がいいという結論が出るのか。中には、法律改正等を行いまして、一年後は当然制度の変わってくるというものもあるというようなことではなかろうか。したがって、やはり暫定の一年の間に、負担区分のあり方について、制度、施策の根本にさかのぼって、例えて申しますならば生活保護等は、昭和二十一年の議論から二十二年の議論、あるいは二十六年の議論等をも踏まえながら議論を積み重ねていかなければならない課題だという事実認識の上に立っております。
  18. 井上一成

    井上(一)分科員 今回の暫定措置は特例な措置であって、むしろ六十一年度以降に当たっては当然従来の補助負担率をベースにして財政運営に当たっていくべきである。先ほど地方と国とは公経済の両輪だと言われたが、まさに公経済の円滑な運営に支障を来さないためにも、あるいは財政民主主義の確立のためにも、地域住民、それはひいては国民でありますから、その国民に負担を強いることなく、国が公平かつ公正、そして国の負担義務を明確にしていくことが必要であろう、こういうふうに私は思うわけであります。  それで、さらに生活保護の話が出たわけでありますけれども、どうも言われていることと実際になさることに大きな隔たりがある、そう思うわけなんです。法律補助、予算補助、私はやはり法律補助については国の責任というものを十分明確にしながら論じていかない限り、財政という面だけでとらえていくとどうも間違った結果が生み出される、こういうふうに思うのです。  それで大臣にお尋ねいたしますが、社会保障関係で、あなたが、非常にこういうことはつらいんだけれども、しんどいのだけれどもやむを得ずやらざるを得なかった、何か心にとめられたことがあればひとつ聞かしてほしい、こういうふうに思うのです。
  19. 竹下登

    竹下国務大臣 やはり社会保障関係補助率が、いささか私が感覚的に違いますのは、公共事業の補助率というのは、一方、事業費を確保するないしは事業費を伸ばすという、財政の問題は別として、ある意味における住民サイドから見たメリットというのも幾らかございましょう。そして、過去においても公共事業関係は多少の補助率の変化が今日までもあります。ところが社会保障は、法律補助で決まったものが大きく変えられていったという経過はほとんど見当たりません。したがいまして、生活保護といわず、私どもといたしましては、末端の受益者と申しますか、末端の対象の方に対しての金額はもちろんそれなりのスライドをしていくわけでありますが、その負担区分が長い歴史の中で初めて変わったものがあるというようなところには、いわば社会保障というものの基本的あり方というものについての議論を本当に真剣に繰り返していかなければならぬ問題だという事実認識をもって対応してきたことは事実でございます。
  20. 井上一成

    井上(一)分科員 中曽根総理は、課税の公平、公正、簡素、選択、こういうことを言われていますし、大蔵大臣もそれに追随しというか、同じように言われているわけです。  私は、ここで少し、たしか昭和五十年に創設された事業所税というのがあるわけなんですが、この事業所税というのは、指定都市あるいは首都圏整備法の既成市街地、または近畿圏の整備法の既成都市区域を有するもの、あるいは三十万人以上の都市の事業所に課税がされているわけです。集積の利益に着目した課税をするといういわゆる課税の性格等から考えて、人口で一定の物差しを当てるということが本当に公平なのであろうか、そういうことも思うわけなんです。むしろ不公平、不公正あるいは複雑あるいは押しつけ、強制というのですか、全くおっしゃっていらっしゃることと逆な方向に行くんではないだろうか。これは地方税ですから、国税じゃございませんから私は存じませんとか、あるいはかかわりはございません、そういうことでは困るわけなんです。課税の公平、公正、簡素、選択、そういう立場に立脚して、この事業所税をただ単に人口数だけで割り切っていく物差しはむしろ間違っているのではないだろうか。むしろ集積の利益という税の性格に沿って課税をしていくべきであり、そうすることがそれぞれの事業所に対しての公平な課税になるのではないだろうか。これは検討に値する、これこそ見直していくべきではないだろうか、こう私は思うのですが、大臣、いかがでございましょうか。
  21. 竹下登

    竹下国務大臣 私も税の専門的な知識を持ち合わせておりませんので、今聞きながら、なるほどそんなものかな、こういう印象を受けたにすぎません。したがって明快にお答えするだけの能力を持っておらないわけでございますが、そういう議論を、予算委員会の場であろうと、政府税調等にそのまま正確にお伝えするということが、私のきょうお答えできる限界であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  22. 井上一成

    井上(一)分科員 最後に、何点か私の方から具体的な問題を指摘して、まとめてお答えをいただきます。  地方自治体へ財政負担を転嫁させていく、そのことについては基本的に私は反対の立場でありますし、これは間違った認識だということは再三指摘をしてきたところであります。  それで、今事業所税について申し上げたのですけれども、例えば障害者が自力でもって自立をするための働く場所を自分たちで持った。しかし、そのことも、一定の人数が集まらなければ制度の適用に合致しないということで、国からの補助対象から外されていく。これは厚生省の所管だと言って済まされる問題ではなく、たとえ小人数で小規模な作業場であろうとも国はそこに目を向けていくべきである、むしろ大蔵省はそういうところに温かい協力の手を差し出すべきである、私はこういうふうに思っておるわけなんです。このことが一つ。それについてどういうふうになさろうとしておるのか。  さらに、人生八十歳時代だと言われているわけです。口で言うけれども、では生きている老人たちに対してどういうような対応をされているのか。必然的に独居をせざるを得ないという独居老人、任意的な独居老人もありますけれども、必然的な独居老人あるいは任意的な独居老人、その区別は別として、独居老人に対しての国の予算的な、社会保障というのでしょうか、そういう協力の姿勢はどこに見受けられるのか。  さらに、補助率の一割カットの中で地方と国との事務分担の見直しということも言われていますし、権限の移譲も含めてそういうことが言われるわけなんですけれども、とりわけ、今回の一割カットの中で地方団体への事務委託費の問題があります。こういうことの実態をどう把握して、どのようにこの一割カットと絡ませていったか、連結させていったか。具体的にいろいろな生活保護費まで地方に対して負担を押しつけているのに、自衛隊の募集事務委託費、これは一億二千九百七十万ですか、額は別として、これには何ら手がつけられなかった。しかし、学校の義務教育の教材費だとかその他の問題については、容赦なく地方自治体に対して財政負担を押しつけていく、こんなことで本当にいいんだろうか、こういうことなんです。  さらに、最後にもう一点。国家財政財源を支えていく第一線で働いていらっしゃる方々、国税職員はどれだけその苦労をしているのか。あるいは定数。ただ人を減らせばいいという問題ではなく、必要なところにはどんどん人材を投入していかなければいけないし、あるいはもう必要でなくなったところについてはいろいろと検討を加えていかなければいけないんだけれども、第一線で徴収業務に携わっている人たちは大変な労働過重になっているんではないか。そういう実態に対しても、ただ辛抱すればいいんだということではなく、冷静に実態をつかんで、必要な人材はやはり補充をしていくべきである。  私は、これらのことを強く申し上げて、私の質問を終えます。
  23. 竹下登

    竹下国務大臣 まず地方財政への転嫁の問題でございますが、これは地財の審議会等の答申があることも十分承知をしておりますので、今後とも、あくまでも公経済の車の両輪としてのいわゆる役割分担負担分任、そういう考え方でもって対応して、ただ単なる転嫁であってはならぬということは私も心しておるつもりでございます。  それから、いわゆる障害者の自立自助の精神に基づくこの問題等につきましては、確かにあらゆるルールについてその基準というものは法定されるわけでございますが、それらの問題につきまして、細かいところに目の届くような、これは実態は厚生省の問題あるいは労働省の問題でございましょうが、予算調整に際してそういう心構えを持っていなければならないという御指摘は、私もそのままちょうだいをいたします。  それから、いわゆる必然独居、それは、あらゆる国民の生活状態を個別事情をしんしゃくすることによって対応していくということに対しては非常に複雑な問題もございますが、これらの問題につきましては、私も詳細には記憶しておりませんが、今度の予算の際にもそのことを念頭に置きながら調整をしてきたということを記憶いたしております。  それから、いわゆる一割カットの問題につきましては、権限移譲がそのままこれの引きかえになるものではないということは私も承知をしておりますが、大きく権限移譲あるいは事務分担、分野調整を含めて今後引き続き検討いたしてまいりたいと思います。  なお、義務教育国庫負担に基づく教材費等を地方負担していただくことになりました。これはまさに分野調整の一つであろうかと思います。自衛隊等の事務委託の問題等は、いわば国固有の業務をまさに委託してお願いしておるという立場でございましょう。  最後におっしゃいました国税職員は、たびたびの国会の御議論あるいは決議におきまして、これの増員につきましては大変応援をしていただいておりますが、予算編成になりますと、いつも大蔵省というのは、まず隗より始めよ、こういうことになります。しかし、その中でも、ささやかながら二けたの人員増の確保ができたということは、応援していただいた背景があったからこそだと、私も感謝をしておるところであります。しかし、この問題は、今後もそういう御趣旨を体しながら、厳しい環境でありますし、つらい立場でありますが、努力しなければならぬ政策課題だと考えております。
  24. 相沢英之

    相沢主査 これにて井上一成君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君。
  25. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、先般、予算委員会の一般質問の中で、大蔵省が等価交換を行いました旧船橋ヘルスセンター、現在、株式会社ららぽーとに対する一万一千坪の国有地の不正交換とも指摘されるような問題について質問をいたしたわけでありますが、時間の関係問題点の究明がなし得なかった点がございますので、きょう引き続いてその点の質疑をいたしたいと思います。  最初に大臣に、先般、私、この国有地としての等価交換のあり方について委員会の中で質疑をし、大臣もある程度この問題の輪郭はわかっておられるのではないかと思いますが、その後関係部局からの報告を受けまして、この問題に対して今大臣としてどういうような所感を持っておられるか、最初にその点をお伺いしたいと思います。
  26. 竹下登

    竹下国務大臣 私もあのときの問答を聞いておりまして、問答を聞きながら勉強させていただいた、こういうことでございます。  いわば、あのとき御指摘になりました評価調書とか民間精通者の鑑定評価書というような問題については、私もかつての経験でAとかBとかという記号を付してそういうものをちょうだいしたような記憶がございますが、個人のプライバシーに属する事項が含まれておりますものは問題といたしまして、プライバシーとかあるいは秘密とか、そういうものに抵触しない範囲では最大限の国政調査権に対する協力をすべきだという考え方に立ちまして、それで中田次長の方でそれから勉強しまして、きょうは十分に勉強してお答えをするつもりだという覚悟を承っておるというところであります。
  27. 小川国彦

    小川(国)分科員 私ども事務当局の方からその鑑定書の抜粋のようなものはいただいたわけでございますけれども地方自治体等においても、国有地あるいは公共用地、そういうものの払い下げ、等価交換等において疑念の持たれたときは、鑑定書というものをきちっと地方議会でも提出をして、そして判断を仰ぐということをやっているわけですね。いわんや国において、適正な措置としてなされた等価交換であるならば、かかる評価証明書に基づいて、鑑定書に基づいて行ったという全部は当然明らかにすべきではないか。今大臣の言われた個人のプライバシーに関するところであれば、それは氏名を秘匿されればいいことでありまして、私は、現地の周辺を見ましても、皆さんの方が、個人の土地を現実に評価の対象としたのかどうかもいささか疑念を持っているのです。個人の土地が非常に乏しいところでありますから。  ですから、その二点ですね。現物をきちっと出せないか。それから、その現物の中にある個人の土地というものはその隣接地に現実にあるのか。その二点をまず……。
  28. 中田一男

    ○中田政府委員 民間精通者の鑑定評価書の公表につきましては、実は私ども、不動産鑑定業者にいろいろな鑑定を依頼しておりますが、この鑑定業者の鑑定の基礎となっておりますデータに、いわば鑑定業者以外の第三者の取引の実情をその協力を得まして収集してきた資料、これらが含まれておりまして、鑑定書そのものを公表するということは、当該不動産鑑定業者の鑑定評価事務を円滑に遂行していくということからいって、いささか問題であろうと思っておる次第でございます。  特に不動産鑑定評価に関する法律では、不動産鑑定業者自体、正当な理由がなければ業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならないというふうな規定もございます。国に対しても、公表しないということを条件にいろいろな情報提供等で協力をしていただいておりますので、そういう実態を踏まえまして、鑑定評価書そのものを公開する、公表するということは私どもは必ずしも適当でないと考えております。  しかしながら、先ほど大臣もお答えいただきましたように、そういう問題に触れない範囲で、鑑定の実質的な内容についてできるだけ御理解いただけるような説明をするということは必要であろうかと思っております。したがって、御質問がございますればできるだけそういう点にも触れてまいりたいと考えておる次第でございます。  第二点目の、鑑定業者の鑑定評価の際にどういう取引事例をベースに考えておるのか、そこが言えるかどうかという話でございます。  今回のこの船橋ヘルスセンターの評価に当たりましては、鑑定業者二社に対しまして評価の依頼をいたしております。そしてその結果をいただいておりますが、そのうちの一つの社は、この鑑定評価をやります場合の基準の取引事例としましては、ごく近接した、すなわち船橋ヘルスセンターの今回私どもが買い取り交換をして相手方に引き渡ししました土地とごく近くの取引事例を参考にいたしておりまして、これは必ずしも個人の土地の売却事例ではございません。それからもう一社の方は、比較的広い範囲から同じような条件の取引事例を幾つか参考にいたしておるようでございますが、こちらの方は、私人の取引を参考にしてその評定をやっておるというふうな状況でございます。
  29. 小川国彦

    小川(国)分科員 皆さんは、評価業者名は出せますか。
  30. 中田一男

    ○中田政府委員 通常は出しておりませんけれども、評価を依頼いたしましたのは、先生の方でそこまで言えないのでは信用できないとおっしゃるのでしたら申し上げますと、一社は日本不動産研究所であり、一社は三菱地所でございます。
  31. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、いずれにしても、皆さんの評価をとられた場所が個人ではないというところで、隣接地であっても恐らく県の払い下げた土地ではないかというふうに思いますが、いかがですか。
  32. 中田一男

    ○中田政府委員 この同じ地域の隣接したところで払い下げた取引事例というのは、おっしゃるようなところでございます。
  33. 小川国彦

    小川(国)分科員 これは民間の取引ではないんですよね。千葉県の企業庁がこの船橋ヘルスセンターに払い下げた土地でありまして、私は評価の対象にならぬと思っているのですよ。そういうところにも一つ問題があります。ですから私は、この評価鑑定書というものを全部出さない限りにおいては、皆さんのこの評価鑑定にはかなり疑問を持っているわけです。  それから、周辺を集められたというのは何件ぐらい集められたのですか。
  34. 中田一男

    ○中田政府委員 五件前後だと思います。
  35. 小川国彦

    小川(国)分科員 それは浜町二丁目になりますか。
  36. 中田一男

    ○中田政府委員 五件と申しましたが、四件でございます。そのうちの一件は浜町二丁目に所在するものでございます。
  37. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、皆さん方は、ヘルスセンターに払い下げた土地以外に残っている土地がございますね、半分近く。これはどうなさるおつもりですか。
  38. 中田一男

    ○中田政府委員 この土地は、経緯は小川委員も十分御存じのとおりだと思いますが、三万七千平米ほどございましたうちの二万二千平米を五十九年の三月、船橋ヘルスセンターとの交換により処分をいたしまして、現在なお、約一万五千平米につきましては、船橋ヘルスセンターに貸し付け中でございまして、船橋ヘルスセンターは、我々が処分いたしました土地と合わせて、これと船橋市と協議の調ったスポーツ施設の用として、引き続き使用するということになっております。この貸し付け中の財産でございますが、これを国において直接利用するという計画はございませんし、また、私どもが先般県並びに市に確かめ直したところでも、県や市もこの土地について直接利用するという計画はございません。したがいまして、国にとってどんな処理をするのが有利か、いずれにしてもこれを処分していくということを考えておるわけでございます。
  39. 小川国彦

    小川(国)分科員 処分の相手はららぽーとということにまたなるわけですか。
  40. 中田一男

    ○中田政府委員 この土地は、御案内のとおり、周辺がららぽーとの土地に囲まれためくら地でございます。したがいまして、ららぽーとがこれを買い受けたいと言ってまいりました場合には、優先的に随意契約でもってこれを売り払うことができる、こういう立場にららぽーとはおる、こういう状況でございます。
  41. 小川国彦

    小川(国)分科員 いや、ららぽーとがそういう状況にあるということは、大蔵省の方もそこに払い下げるという考え方を持っているということですか。
  42. 中田一男

    ○中田政府委員 ららぽーとから要望があれば、そのようにいたしたいと存じております。  実際問題といたしまして、この土地をららぽーと以外の人に処分できるかどうかということになりますと、現に貸し付けをららぽーと当てにしておるわけですから、まず更地にしなければいけない。あるいはまた更地にいたしましてもめくら地でございますから、道路まで取りつけ道路をつけなければいけないというようなことを考えますと、この土地の値打ちがららぽーと以外の第三者にとってそんなに高いものになるとは思えないわけでございまして、やはりららぽーとでそういう気持ちがあれば、国としても、ららぽーとに処分するのがこの土地の値打を一番うまく引き出せる道ではないかと考えます。
  43. 小川国彦

    小川(国)分科員 そこに、開発行為の許可を受けないで、約四億二千万の金をかけて埋め立てがなされておる。皆さんの貸し付けておる国有地に二億二千万の開発行為の許可を受けない埋め立て行為が行われていますが、それは是認されての上ですか。
  44. 中田一男

    ○中田政府委員 本件が埋め立てられたということは私どもも承知しておりますし、埋め立ての許可は五十九年の三月にららぽーとに対していたしておるわけでございます。ただ、その埋め立て行為が――失礼いたしました。埋め立ての許可と言いましたのは適当な表現ではないようでございまして、五十九年三月現在で、その土地は御案内のとおり、もとは海水プールとして使っておったところでございまして、海水プールとしての使用はできておりませんで、海水のたまり場、ため池のような形状であったわけでございますが、それをららぽーとの方では船橋市と協議の調ったスポーツ施設、具体的にはテニスコート等を考えておったようでございますが、そういったものに使いたいということで、現状変更の承認を求めてきておりまして、それに対しては私ども応じておりますが、具体的に埋め立て行為を行うことが開発行為に該当するかどうかというのは、船橋市の判断するところでございまして、私どもが直接そこにかかわり合っておるということではございません。そのように理解しております。
  45. 小川国彦

    小川(国)分科員 現在は国有地でございますよね。これはお認めになりますか。
  46. 中田一男

    ○中田政府委員 当初、三万七千平米は国有地でございました。そして、現状変更の承認をいたしました時点では三万七千平米は国有地でございまして、そのうち二万二千平米は処分をいたしましたので、ららぽーとのものになっております。残りの約一万五千平米は現在も国有地でございます。
  47. 小川国彦

    小川(国)分科員 その国有地に、四億二千万ですから約二億円ぐらいの金をかけてこういうプールが埋め立てされたわけですね。皆さんの持っている土地に第三者が、おたくが貸している土地に借りている人が無断で二億二千万近い工事をしたという場合に、あなたの方はそれをそのまま認めていくのですか。
  48. 中田一男

    ○中田政府委員 その海水プールになっておったところを埋め立てるといいますか、現状を変更するということについては、私どもは承認をいたしております。
  49. 小川国彦

    小川(国)分科員 いかなる法的根拠に基づいて承認をいたしましたか。
  50. 中田一男

    ○中田政府委員 貸付契約に基づきまして、先方から使用目的変更の申請があったわけでございます。これまで海水プールないしはそういったスポーツ施設として使用しておったのを、そういう海水プールとしての使用ではなくて、船橋市と協議の調った何らかのスポーツ施設として引き続き使用したい、そのためには現状を変更する必要があるので、現状変更の承認を与えてほしいとの申請がございました。私どもは、本地につきまして我我自身が何らかの使用目的を持っておるとか、あるいは県や市が別の使用目的を持っておるとか、こういうことでございますれば、それとの調整が必要でございます。しかしながらそういう状況ではございませんで、この現状変更の承認をしても差し支えないと判断し、いわば契約に基づいて現状の変更承認をいたした次第でございます。
  51. 小川国彦

    小川(国)分科員 建設省いらっしゃいますね。開発行為の許可がここで行われているかどうか、それだけちょっと御答弁願いたいのです。許可の承認がなされたかどうかだけ、それだけ簡単に、一言でいいです。
  52. 深沢日出男

    ○深沢説明員 都市計画法上は、都市計画区域内において建築物の建築あるいはレジャー施設等の工作物の建設を主たる目的として土地の区画、形質の変更を行う場合には、開発行為に該当しまして、原則として開発許可を受けることが必要でございます。  本件の場合、具体的に都市計画法上の開発行為に該当するか否かにつきましては、開発許可権者でございます船橋市とそれから千葉県との間におきまして協議しました結果、都市計画法上の第二種特定工作物でございますテニスコートの建設を目的とした土地の区画、形質の変更であるというふうに判断されまして、都市計画法上の開発行為であるという結論が出されたというふうに聞いております。
  53. 小川国彦

    小川(国)分科員 その手続はいつ行われましたか。
  54. 深沢日出男

    ○深沢説明員 我々の聞いておりますところでは昨年度でございますか、昨年の秋だと思いますが、開発行為等の申請がなされておるというふうに聞いております。
  55. 小川国彦

    小川(国)分科員 許可はいつなされましたか。
  56. 深沢日出男

    ○深沢説明員 都市計画法上の許可につきましては、まだ現在審査中でございますので、これからなされるかどうかについても含めて判断されるものと考えております。
  57. 小川国彦

    小川(国)分科員 四億二千万もの埋め立て工事が開発行為の許可なしに行われたということについては、皆さんどう考えますか。これは適法な行為かどうかということです。まだ審査の決定を経ないのですから。
  58. 深沢日出男

    ○深沢説明員 私どもは、先ほど申し上げましたように、都市計画法上は開発行為に該当するのではないかという判断を許可権者でございます船橋市の方で現在はしておりますので、これから審査がなされるというふうに考えております。
  59. 小川国彦

    小川(国)分科員 この都市計画法に違反して行われた行為については、罰則規定がございますが、どういう罰則規定がございますか。
  60. 深沢日出男

    ○深沢説明員 都市計画法の九十二条では、第二十九条の規定に違反して開発行為をした者につきましては三十万円以下の罰金に処するという規定がございます。
  61. 小川国彦

    小川(国)分科員 許可を得ないでこういう行為を行った者に対しては、この法令が適用になると思いますが、いかがですか。
  62. 深沢日出男

    ○深沢説明員 今申し上げました第九十二条に該当する場合には適用があるわけでございますが、本件の場合あるかどうかにつきましては、これまたいろいろ検討をすることになろうと思います。
  63. 小川国彦

    小川(国)分科員 あなたの方も大変な怠慢ですね。この間の予算委員会で、その以前から千葉県議会では問題になって、開発行為の許可一切なしに四億二千万もの工事で鹿島建設が受注をしたと言われるのですが、こうした多額な埋立工事が開発行為の許可なしに行われて終わってしまった、これは重大な法律違反の行為が行われているわけですよ。いまだに許可を受けていない、そういう行為を是認した上で大蔵省は貸付行為を行ったのですか。
  64. 中田一男

    ○中田政府委員 貸付行為は、既に大蔵省といたしましては、昭和四十八年にこの土地が行政財産から普通財産として用途変更されまして、引き継ぎを受けまして以来、続けておることでございます。改めて貸付行為を行ったというわけではございませんが、先ほど申しましたように、五十九年三月の段階でプールの用であった場所を、現状を変更したいということについては承認を与えたというのが実態でございます。
  65. 小川国彦

    小川(国)分科員 重大な問題ですよ。あなたの方は、関東財務部長が普通財産の使用目的等変更の承認申請というのを五十九年三月三十日に許可を与えていますね。
  66. 中田一男

    ○中田政府委員 与えております。三月三十日付でございます。
  67. 相沢英之

    相沢主査 発言許可を受けてください。
  68. 小川国彦

    小川(国)分科員 そのとき現地はごらんになりましたか。
  69. 中田一男

    ○中田政府委員 現地を見ておると思います。私自身見に行ったわけではございません。担当は、当時は千葉財務部でございますが、確認はしておると思います。
  70. 小川国彦

    小川(国)分科員 そのときに、現在の用途は海水プールとその許可書に書いてあるのですね。海水プールがいつの間にか、四億二千万もの金をかけて、そして開発行為の許可も受けないで埋立工事が行われた。これは違法な工事じゃないですか。皆さんが貸しているのは海水プールなんですよ。そこに大変な土砂を、四億二千万ですから、皆さんがまだヘルスセンターに払い下げてない土地の部分まで埋め立てちゃっている。そういう違法な行為で埋め立てしたところの上に、今度はテニスコートをつくるということで貸付承認を与えているということは、現場をひとつも見ていないということじゃないですか。そういう違法な行為が、皆さんが、自分が持っている土地に第三者が勝手に埋め立てして土地にしてしまったら、貸し主としては当然文句を言うでしょう。今度は売るときにその分値引けと言ってくるでしょう、普通の商行為なら。そういうふうに、自分の持っている財産に売ろうとする相手が勝手に工事をしてしまって物をつくった、しかも開発行為という重大な法違反を犯してやっている、その土地に貸付承認を与えるというのは重大な問題じゃないですか。違法行為の実態というものをあなた方は確認されなかったのですか。
  71. 中田一男

    ○中田政府委員 私の理解をしていますところでは、この現状変更の承認を行いましたのが、あわせて使用目的を海水プールから別の、船橋市と協議の調ったスポーツ施設、テニスコートとして使いたいということで使用目的の変更の申請があり、それの承認を行ったのは三月三十日でございますが、その時点ではまだ埋立行為は行われていなかったというふうに聞いております。その時点で私どもは変更承認を行いましたが、これは、売り払いました二万二千平米並びになお貸し付け中の残りの一万五千平米についても、そのような承認をいたしておるものと理解しております。その承認によりまして行われました埋め立て自体が開発行為に該当するかどうかは、先ほども申し上げましたように船橋市当局の御判断なさるところであり、私どもはそれ以上その件についてはフォローしておらなかったというのが現状でございます。
  72. 小川国彦

    小川(国)分科員 ここの埋め立てが行われましたのは、もっとそれ以前なんですよ。五十九年の四月二十日から七月二十日に開発行為の許可なくして埋め立てが行われた、そういう事実があるわけですね。だから、あなたがおっしゃるのは、五十九年三月三十日の時点は埋め立てはなかったと言うのですが、現場はもっとそれ以前からそういう状況が行われていた。それからさらに、おたくの方は今度はこの土地の登記も行っているわけですね。ただ、いずれにしても、皆さんが五十九年三月三十日に許可を与えた以後に埋め立てが行われた、こういうことなんですよ。しかし、それについても、今もう六十年の三月、問題になって既に一年経過している。そういう状況の中でここが問題になって、しかもあなた方の土地が埋め立てられているという現状がある。これは追認なされるのですか。それじゃ今時点でどう判断するのか。
  73. 中田一男

    ○中田政府委員 開発行為に該当するかどうか、またその許可を得べきものであるか、許可を得たかどうかというようなことは、これからよく見守ってはまいりますけれども、私どもの立場としましては、埋め立てる、つまり現状を変更するということについては、そしてまたテニスコートに使うということについては、五十九年三月の段階で結構でございますという承認をいたしておるわけでございますから、これについて現時点で特にどうこうするということは考えておりません。
  74. 小川国彦

    小川(国)分科員 今、建設省の方は開発行為の許可を受けていないと言うのですよ。大蔵省の次長さんともなれば、開発行為の許可というのは、どんな小さな畑一枚、百坪、三百平米ぐらいあるいは千平米、ちょっとしたところ、俗に言う一反歩ぐらいの土地を動かしても、ちょっと土を動かしても開発行為の許可は必要だと言うのですよ。一般の人がうちを建てたい、土地をなにしたい、造成したいというのには、そういう許可なしには何もできないということは次長さんも常識としてわかっていると思うのですよ。それが、四億二千万もの大量な工事で埋立工事をやって、その許可が、申請は出したけれどもまだ許可を受けていないというのですよ。そういう状態の中で、おれの方はテニスコートの許可を与えたのだから開発行為の許可を受けてなくてもよろしい、こう言うのですか。
  75. 中田一男

    ○中田政府委員 私どもはよろしいとかいけないとか言う立場にはなくて、これがテニスコートとして使用されるということであればその承認の範囲内であると考えておるわけであります。
  76. 小川国彦

    小川(国)分科員 では、今の時点では違法行為なんですよ、許可を受けていないということは違法行為だと、あなた思いませんか。開発行為の許可を受けなくて四億二千万もの埋立工事が行われたという事実を、あなたは違法だとは思いませんか。常識的に答えてくださいよ。
  77. 中田一男

    ○中田政府委員 違法かどうかを判断するのは船橋市であり、建設省であろうかと存じます。
  78. 小川国彦

    小川(国)分科員 しかし、大蔵省の次長さんともあろう人が。今明らかに申請中でまだ許可を与えていないというのですよ。許可を与えていないということは、違法に行われた、手続なしに行われたということは、日本国じゅうどこにおいたって許される行為じゃないのですよ。たとえ大蔵省といえども許される行為じゃないのですよ、そういう違法行為を。それをあなた方は、貸し付けしちゃったのだから、貸したものは後どういじくろうとどういうことが行われようと、あなた方は、一遍許可を与えたら後のことについては監督指導の責任はないと言うのですか。
  79. 中田一男

    ○中田政府委員 それぞれの役所が、御案内のとおりつかさ、つかさで仕事をしておるわけでございます。私どもは、国有財産を管理し、これを貸し付ける、そしてその貸し付ける目的というものに違背してそれが利用されておるという場合には、当然行政指導をしてこれを是正させる、場合によっては違約金を取るというようないろいろな対抗措置を講ずるわけでございますけれども、開発行為そのものを許可し、これが違法であるかどうかというようなことを判断する官庁としては私どもではございませんので、この場でその今の問いにお答えするのは適当ではないんじゃないかと考えています。
  80. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、あなたは国有財産の管理者としては不適格だと思います。私個人にしても大臣個人にしても、自身の財産が、貸している相手が無断で勝手にそこの工事をしてしまって、こういう目的に使いたいからという目的で許可をしたけれども、本来なら貸す人が埋めて貸すのならわかるのですよ。貸したときには形状を全く変更してしまった。それを、これは建設省の所管だから私の方は関係ないというようなことを言ったら、自分自身の財産を守れますか。これは何の所管だから、これはどこの所管だからとは言いませんでしょう。一人一人が、自分の財産を守るときには、全部一つ一つの法的行為というものを自分自身総括することにならなかったら、自分の財産を守れないのですよ。あなたみたいに、これはこっちの責任、これはこっちの責任と言ったら、自分の財産は守れませんよ。そういう意味で、あなたは国有財産の管理者として不適格だと私は思いますよ。  大臣、いかがですか。私は、もう大臣にお聞きしますよ。こういう開発行為の許可なしに埋め立てが自分の土地に行われている。それは建設省の所管の問題だからと言うのでは、国有財産の管理者として不適格ですよ。少なくも現地を今直ちにでもこれから確認をして、違法行為があったらそれに対しての是正措置をとるとか改善措置をとるとか、そういうことがなかったら財産管理の能力なし、こう見るしかないですよ。いかがですか、大臣。これは大臣に、私は最高責任者としてはっきりその点の答弁を伺いたい。
  81. 竹下登

    竹下国務大臣 いわば国有地を一定の使用目的のために貸しておった。それで、それが貸しておる相手側から使用目的を変更したい、まあこれはいいでしょう、というところまでは私は普通の行為としてはあり得るような気がいたします。しかし、使用目的変更のために手を入れられるものが、別の相対のこの契約以外の法律の背景の中で違法であるという問題は、これは関心を持つべき問題でありますが、あるいはその実態においてはわからないかもしれません。したがって、そういう現状等については、直接の権限あるなしにかかわらず、現状に対しての注意を払う必要はあるのではなかろうかということは、今の問答を聞いておる限りの中で私が感得したことであります。
  82. 小川国彦

    小川(国)分科員 大臣、注意を払うということだけではなくて、常識的に判断していただけば、この開発行為の許可が行われていないという事態を踏まえて、大蔵省としてどうこれを処理すべきかというところまで、一歩立ち入ったこの問題の解決に対する姿勢を私は明らかにしていただきたいのです。
  83. 竹下登

    竹下国務大臣 結局、いわゆる開発行為、開発許可自体が出ていないという問題については注意を払うという言葉を私が使いましたのは、その中には、関係方面へ連絡し必要とあれば協議するということを含んだ上での言葉の選び方であったろうというふうに御理解いただきたいと思います。
  84. 相沢英之

    相沢主査 小川君に申し上げます。持ち時間を終了いたしました。
  85. 小川国彦

    小川(国)分科員 わかりました。あと一問で……。  必要あればということではなくて、これだけの問題を私はもう二回にもわたって指摘をしているわけですから、これに対して連絡し協議するということをもう一度明言していただきたいと思います。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、必要があればと申しましたのは、私自身実態を深く知っておるわけじゃございませんので、あえて用心深く使わしていただいたわけでありまして、趣旨は小川さんのおっしゃっている気持ちと変わりはありません。
  87. 小川国彦

    小川(国)分科員 そのようにひとつ改善を望みまして、私は、その経過をまた次の機会にお尋ねしたいと思います。  以上で終わります。
  88. 相沢英之

    相沢主査 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢貞孝君。
  89. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 大臣も十分御承知だと思いますが、今度は一転、大変易しい質問でありますので、ひとつどうぞ建設的な御答弁をお願いいたしたいと思います。  差し上げた資料の中にありますように、我々は大変ユニークな議員連盟をつくっているわけです。米消費拡大・純米酒推進議員連盟、こういうのをつくって約二百六十名が加盟をいたしております。差し上げた資料の中にも役員の名前が出ておりますが、つい最近までは根本龍太郎先生、今度は長谷川峻先生を会長に、副会長は会長代理で角屋先生、それから自民党から加藤六月、小渕恵三、羽田孜、林百郎、こういう超党派の議員連盟であります。いつもいろいろ会合を持って和やかにいろいろの要請その他をやってまいりまして、大変ないろいろの成果を上げてまいりました。  今からお尋ねしようとすることは、昨年の予算編成の後、我々は、反省やらこれから何をやるか、こういうことを決めたわけで、一ページの一番下に三項目あるわけです。予算委員会等でムードを盛り上げる、あるいはこれから夏、米価闘争があるときにその大衆団体からも要請させる、こういうようなことで、重点項目として一ページの下の段にある一、二、三項目を挙げたわけであります。そこで、第一項から逐次御質問をいたしたいと思います。  米飯学校給食について、さらに強力に進めること、また、日本型食生活に幼児期よりなじむため、幼稚園、保育園における給食についても学校給食同様なことをやっていく、こういうことであります。  米の状況は後で申し上げますが、だんだん消費が減って大変な事態ではないか、こう私は判断をするわけであります。我々長野県にいても、いや、もう減反だから野菜をつくれ、こういうことで野菜をつくれば、また過剰だ。それから、私の着物は絹の着物なんですが、もう養蚕は見る影もないような状態です。それから、今度は専売公社民営化で、せっかくたばこをつくっているところも、昨今の報道によればだんだん生産制限をやっていかざるを得ないような状態です。三日ばかり前に養鶏家が何か大会をやったようですが、これまた生産過剰でどうしようもない。それから、この間私の県で天皇杯をもらう矮化リンゴの総会がありましたけれども、これまた生産制限、こういう状態であることは大臣御案内のとおりであります。  したがって、私たちは、学校給食を早くから始めてもらうようにして、その面においては大変な成果が上がっておるわけですが、この役員会を開いたときに、会長の長谷川峻先生が言ったのを私は印象強く覚えているわけです。これは餓鬼の時分からと、こういう表現を使っておりました。どうしても餓鬼の時分から我が国の御飯を食べさせることをやらなければいかぬ、こういうような会長さんの強い表現でもあり、役員の皆さん方が一致した要望でもありますので、幼稚園や保育園、幼稚園は文部省であります、保育園は厚生省であります、そういう現状にかんがみてぜひ、まず厚生省からお尋ねをいたします。  これにはいろいろな問題点があることは百も承知でありますが、学校給食でやっておったようなことに準じて、一研究をしてこれに取り組んでいただきたい、こう思うわけです。まず厚生省の方から御答弁をいただきたいと思います。
  90. 木本忠男

    ○木本説明員 保育所での米飯給食につきましては、財政負担の大幅な増加等困難な問題がありますので、今後の課題であろう、そのように考えております。
  91. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 特に申し上げておきますが、この学校給食を始めるときにも、これを少数の希望のあるところから始めてだんだん大きくなっていったわけですから、全国一斉にばっとやれ、こういうことを私たちは言っておるわけではありません。これは希望のあるところで、施設のことも考えなければならない、その他いろいろのことを考えなければなりませんし、当初希望を募ってもそうたくさんは出てこないと思いますが、制度としてこれを進めていく、こういうようなことについてぜひ前向きに研究、お取り組みを特にお願い申し上げます。  幼稚園は文部省ですが、私は文部省にもそういうぐあいに要請をしたいわけですが、いらっしゃいますか。
  92. 小西亘

    ○小西説明員 米飯給食の問題につきましては、先生御存じのように、小学校及び中学校につきましては五十一年度から採用いたしておりまして、年々この数もふえているところでございます。  今、御指摘の幼稚園についてでございますが、幼稚園でいわゆる完全給食を現在実施しておりますのは二五%程度でございます。実は幼稚園の場合は就園時間が四時間を標準とするということになっておりまして、そういうことで給食の実施状況もさまざまでございます。そういう事情がございまして、一律に幼稚園給食の問題を取り扱うということは極めて難しい問題があるということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  93. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 いろいろの問題があるということは百も承知で我々はこれを提起をしているわけで、またこれも厚生省と同様に積極的な研究、お取り組みをいただきたい、こういう要望をしておきます。  大臣、この問題いかがでしょう。
  94. 竹下登

    竹下国務大臣 私も米作地帯の出身でございますのでこのことは承知しておりますが、聞いてみれば聞いてみるほど、厚生行政なり文教行政の角度からこれを集約していくというのは難しい問題が多いんだな、総体的な農政の中の米需要の拡大という別の国策の面から抱合して進めなければなかなかできない問題だな、こういう印象を持っております。それをやっていらっしゃるのが先生の団体だ、こういう認識をしております。
  95. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 また後で大臣に質問をいたしますが、第二項に移らせていただきます。  酒米の使用数量が減少をしている。昭和五十二年度に約六十二万トン、五十九年度は四十五万六千トン、これに対して使用量拡大の対策を図ること。  十五ページの表をごらんいただきたいと思いますが、酒米の実績をそこに書いてあるわけですが、上の段と下の段はつながっているわけです。五十二年の実績というところの一番下の欄をごらんいただくと、お酒にお米を使われたのが六十一万九千トン、約六十二万トンであります。五十九年は、一番下の段の右の端にありますが、実績の見込みは四十五万六千トンで、約十七万トン減ってしまっているわけです。この次の表にあるかどうかちょっとあれですが、学校給食で大変御厄介になって、二百何億の金をかけていただいて昭和六十年度の使用見込みが約十四万トン、五割五分の補助を出してくれるというようなことで、ことしも予算の大変な復活ぶりで御厄介になりましたけれども、六十年度の消費の見込みが約十四万トン、それに比べるとお酒に使われている量がこのわずかの間に約十七万トン減ってしまっておる、こういうのが偽らざる現実であります。  これはもう極めて簡単で、お酒の税金が高いこと、もう一つはお米の売り渡し価格が高いこと、その両方が原因だと思うわけです。酒造中央会の方からは、他用途米と同じような価格で払い下げてくれ、こういうような意見もあります。特に輸出用のお酒については工業用他用途米と同じような価格で払い下げてくれ、こういうような要望もありますが、これまた直ちに実現は困難かと思いますが、もし仮にお酒にたくさん米を使ってもらって多少なりとも増反できる、こういうようなことになれば、減反奨励金は多分一ヘクタール当たり約五万円かかるんではないか、こう思いますので、だから積極的に増反分を安く回そうという意思があれば、我々の計算によればトン十万円安く売っても予算的には何ら差し支えない。ちょうど十万円に行くかどうかわかりませんが、増反をすればそれだけ減反奨励金が要りませんから、一ヘクタール当たり約五万円要らなくなる、二ヘクタールで一トンですから約十万円安売りができる。これは大蔵省一つも腹が痛まぬわけです。どうでしょうか。
  96. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 他用途利用米を酒米として使うというお話でございますけれども、この他用途利用米ができました経緯は、御存じのように過剰の古米がたくさん出てまいりまして、その古米を従来使っていた方々に、過剰米の処理が終わりますと使用する原材料としての米がなくなるということから、こういう制度が発足したわけでございます。そういうことでやっておりますので、酒米につきましては、御存じのように古米は使えない、新米ということで従来からやってきている経緯がございます。  そのような経緯のもとで結局来ておるお話でございますので、酒米をこの他用途利用米の対象とするということについては、我々としては消極的に考えざるを得ないのではないかと思うわけでございます。
  97. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 私の質問は、酒造中央会の方からは、輸出用のお酒については他用途米並み、こういうことを要望してきているわけです。工業用のみそ、せんべいと同じ価格でいいじゃないかと。私は、輸出だけに使うならそれは合理的かな、こうも思いましたが、私の質問は、もっと現実的に、大蔵省は金が全然要らないで済むじゃないかということです。二万六千ヘクタール、減反を緩和したでしょう。ことしはその上に何万ヘクタールかやる。こういうことになれば、それはまた減反奨励金は要らないわけです。減反奨励金は一ヘクタール当たり平均約五万円だと思います。それが要らないで済む。二ヘクタールでもって約一トン取れるわけですから、約十万円だけは安く売っても、生産者も困らなければ、大蔵省、金の方も困ることはないし、農民は増反できる、お酒屋さんは三十万円のを二十万円くらいで買える、こういうふうに三者みんなが喜ぶことになりはしないかと思うわけです。ことしからというわけにはまいらぬけれども、これは大臣、研究していただく価値がある問題ではないかと思うわけです。  釈迦に説法みたいなのですが、私は醸造の代表で言っているわけじゃありませんが、そこへ表を入れておきました。こんな表ですが、「清酒製造業に関する諸統計資料」とありまして、四十八年度と五十八年度を比較しているわけです。特級のごときは三九・八%に減ってしまっていますから、四割におっこちてしまっているわけです。お酒の小計では八割一分、二割ばかり減少してしまっているわけです。それがしょうちゅうは小計二〇五%にふえ、ウイスキーは二一〇%にふえる。こういう状態になっておりますから、お酒の量が他の酒類に比べて余りにも少な過ぎないか。それから「清酒製造業等の特異性」で、中小企業が圧倒的である、九九・六%がそのような状態である。経営状態は、五十万円未満の者を赤字企業とすると千四百八十八者、約五七・六%のものが赤字。それから三番目の「主要酒類の原料価格比較」、この比率は、一番右の端でありますが、清酒は二一四・五%、しょうちゅうは二一〇%、ビール・ウイスキーは一六〇%、こういう状態になっておるわけです。  私がこの間、ある小さなお酒屋さんで話したら、大蔵省はお酒屋さんを見るのに税の対象としてしか見てくれないのです、おれたちは通産省にでも入ってそっちから指導してもらった方がいいかな、こういうような極端なことさえ聞かれるわけで、冒頭申し上げたように、それは税と、もう一つは米の価格が高いということからであります。国税庁の人はよく、若い者にはお酒はなじまないのだとか言って宣伝を一生懸命しているようでありますが、そうではない、もとはここにあるのではないかと思います。  大臣、くどいようですが、ことしからというわけにはまいらぬでしょうが、減反を多少緩和してやったならば、奨励金が一ヘクタール当たり約五万円少なくなる、一トン二ヘクタールですから十万円は少なくなる。流通経費その他のことも考えなければなりませんけれども、理論上はそうなるから、これは酒屋も喜び、大蔵省も何ということはない、農民も喜ぶ。大臣、ひとつ研究してもらいたいと思うのですけれども、どうでしょう。
  98. 竹下登

    竹下国務大臣 これは御案内のとおり、清酒業界の方も、酒米は自主流通米の方で大宗をかつては占めておった。ところが、これが、値段がそれなりに高いから、少なくとも元米は自主流通米でも、今度は多くのものがより安い政府米にしてくれぬか、さらに今度は他用途米ということになりますと、全体の農業から言うと、今度は自主流通米の酒米分野が徐々に食われ、あるいは今縮減しております政府米と言われておるのがまた食われていきますので、全体の米需要そのものからくる影響というのは単純にいかないのではないか、私はこんな気がいたしております。  それで、私も小さい田舎のメーカー出身でございますので関心は持っておりますが、確かに若い人になじまないということもかつては言われましたけれども、今やだんだん老人にも必ずしもなじまないような嗜好の変化みたいなことがきているのではないか。ただ、きのうも大蔵委員会で議論しておりましたが、小沢先生の分はかなり中長期に触れていらっしゃいますけれども、ちゅうハイブームみたいのが五十八年の十一月からのようでございますので、これが一過性のものなのか、あるいは本当に嗜好が将来定着してしまうのか、この辺は判断に苦しんでいるというのが現状のようでございます。  ただ言えますことは、酒類の税率は、先進国と比較いたしますと、昔からでございますけれども、確かに日本は比較的高うございます。そのことは事実でございます。そしてまた、今度の五十九年度税制改正における酒税改正というのがだんだん平準化してきたからというのでそれなりの工夫をいたしましたものの、全体的に税の占める比率の多いものが、単なる嗜好だけでなく、より影響を受けておるではないかという事実は認めなければいかぬではないかというところまでが、今部内で議論しておる大体の最大公約数でございます。  したがって、いわゆる他用途米問題というのは、全体の米需要の問題の中で、ただ清酒のメーカーだけのところで議論するわけにいかないところに難しさがあるのだな、これは毎度業界と国税当局がいろいろ意見交換をしておりますので、将来にかけて引き続き勉強していかなければいかぬ問題であるという問題意識は持っておるところであります。
  99. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 将来検討してもらうような問題意識を持っておられるということで、これは簡単にはいかない問題ですから、大変関係ある問題ですから、これ以上は申し上げませんが、酒造業界の方からこういう陳情が去年出ているわけです。やや安いカリフォルニア米を輸入させてくれないか、そして保税工場でお酒をつくらせて輸出させてくれないか。こんなことをやられたのではとんでもないことになるということで、そういう要請をはねつけたことがございます。自民党の財政部会の方は、何だか知らぬけれど、それもいいじゃないかということを何か言ったようでございますけれども、これは農民にとっては大変なことであります。したがって、酒造中央会は、国内産米であったならば他用途米並み、それで輸出をいたします、こういうふうに工業原料として見てくれ、こういう要請も私は無理からぬことだと思うわけでありますが、それとてまた財政上の問題があろうかと思っておる。  私は、今申し上げた点一点にしぼってお願いしているわけです。それは自主流通米、政府米、くず米をどういうような割合でやるかということだけで今まで大蔵省、食糧庁はやってきたのではないかと思いますが、ここでは、水田を多少なりとも減反緩和の方向にいって、三者だれもが喜ぶことなんですから、そういうのを積極的に研究してぜひ取り入れていただくように、これは大衆運動でも起こってまいります。どこも悪いところはないですから、自主流通米、政府米、くず米、これはもう事務的なテクニックだけの問題ですから、考え方の基本としては間違いないことではないか、私はこう思いますので、これらの問題についてはぜひひとつ、関係省庁に積極的に取り組んでいただくようにお願いを申し上げたいと思います。  一ページの一番下の三番目の問題は、「米麦価の価格差は広がる一方である。米消費拡大をはかるためにも格差の是正に取り組むこと。」これもお手元に表を差し上げておきました。別表であります。左側は食糧庁なんかの「消費者米・麦価の推移」であります。昭和二十七年のときには米はキログラム当たり五十四円、麦の方はキログラム当たり三十五円、それでその比は六四・八%であります。昭和六十年度は消費者米価を上げましたから、キログラム当たり米は三百五円、麦はキログラム当たり六十九円、その比は二二・六%であります。パーセントだけを見ると、麦の方は約三分の一に下がっておるわけです。右の方の資料は、総務庁から家計調査報告で出されたものであります。「うるち米価格(A)」について昭和三十年度は八十五円・キログラム、小麦粉の価格は七十二円・キログラム、その比は八四・七%であります。途中ずっと飛ばして、五十八年度を比較してみますと、四百四十八円対百九十三円、比は四三・一であります。麦の価格は半分。これは消費者のことも考え、対応が大変難しいことだと思いますけれども、この表を見る限り、一言で言うならば外国産の麦をたくさん食べなさい、国産米は食べるな、価格上からはそういうことを明確に物語っている、そういう形になるのではないか、こういうふうに考えます。  米をたくさん食べることは自国で作っている食糧の割合をふやすということにもなりますが、これだけの価格差、六十年度昭和二十七年の三分の一、麦の価格はそれだけ相対的に、国際価格も下がったとかいろいろの理由もあるでしょうけれども、お米の立場から見れば、これじゃ何だ、国内産米を食べないで外国産麦を食へる、こういうように見えるわけです。これを修正していただかなければなりません。どうでしょうか。
  100. 竹下登

    竹下国務大臣 この数字は、私もこのとおりだと思っております。ただ、麦につきましては御承知のとおりその大宗は輸入でございます。小麦の自給率が一一%でございます。したがって、米需要は構造的に供給過剰であって生産調整をやっておりますのに対して、麦につきましては輸入に依存しておる。こうした状況を踏まえたならば、米の消費拡大ということが重要な課題でありまして、麦の政府売り渡し価格の決定に際しましては、食糧と農業政策の観点から米価との関係を考慮する必要がある。というのは、私も、こういう現実的な推移は推移として、この米価との関係を考慮しないでやるわけにはいかぬ問題だという認識は持っております。  そういう考えを踏まえて、いま一つは、御案内のように国内の麦につきましては大幅な逆ざやが存在することを念頭に置いて、その両者から農水省と協議をして決めていく、こういうことにしておるわけでありますので、米の政府売り渡し価格念頭に置いていかなければならぬということを考えておることは事実であります。  米の政府売り渡し価格の改定ということになりますと、消費者家計の問題も先生が今おっしゃったように考えなければいけませんし、物価への影響を十分配慮しなければならぬ、そうして一方、米消費の拡大の影響というようなことを考えなければなりませんので、決めるときにこういう総合的な勘案の中で一番苦労することは事実であります。したがって、価格面からだけ見たときは国内産が高くて輸入が安い、されば価格政策から見たらいわば自給政策に反する政策をとっているのじゃないか、価格だけから見たらそういう論理は一応成り立つ論理であると思いますけれども、消費者に対する問題、そしてまた、麦の持つ大きな逆ざやの問題等々から総合的に考えて、その都度農水省と協議して決めていきたい、こういうことでございますので、大変難しい問題であることは私どもも十分承知しております。  先生は、私が子供のときは主食とは米であって、パンなんというものはあれはおやつじゃないかぐらいな感じで生き延びてまいりましたのと、それは若干今の時代との相違もあろうかと思いますけれども、私どもも、何だかいまだに、米を食べるから日本人は相撲が強いとか、そんな気持ちもございます。そういう問題と現実の食生活の実態との調和というものを、これはただ大蔵省だけあるいは農水省だけでなく考えていかなければいかぬ問題ではないかなという、これまた問題意識だけは、ゼネレーションが余り変わりませんから同じような認識を持っているのじゃないかな、こういう感じがしております。
  101. 小沢貞孝

    小沢(貞)分科員 時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますが、二百六十名の専門家が集まって、米の消費を拡大するには先ほど申し上げた三点である、これは外の運動をも含めてぜひ実現していかなければならない、こういう非常な強い決意で、この三項目実現に向かって我々はやっておるわけで、その点をぜひ御理解いただきまして、前向きに御検討いただくように最後にお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  102. 相沢英之

    相沢主査 これにて小沢貞孝君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部一郎君。
  103. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 二つの項目について御質問したいと存じます。  最初の問題は、外務省の予算の中身について、主計局並びに大蔵省並びに外務省の御答弁をいただきたいと思っているわけであります。  まず、私がこの問題を取り上げましたのは、最近、在外公館の職員のいろいろな要望を聞いておりますと、その中に特徴的に挙げられているテーマがございます。それは、一般館員の管内視察、調査並びに在留地域における現地法人、個人との接触における旅費、交通費のたぐいが非常に不足しているという要望がかなりあるわけであります。私は、そこで、外務省の方から今回の予算のリストをちょうだいして六十年度予算を拝見したわけでございますが、査定は非常に細かく行われておりまして、兼任国出張に幾らとか、駐在官事務所連絡に幾らとか、大使の一時帰国に幾らとか、忌引帰国については幾らとか、経済協力の評価調査に幾らとか、首脳会議に出席する費用は幾らとか、中には休暇帰国の旅費とか医務官の巡回費であるとか、非常に細かい項目で旅費が査定されているわけであります。ところが、その管内における視察、調査その他の費用については取り上げて査定されておりませんで、一般館務として計上されているわけでございます。大体三億六千万程度が計上されているようでございます。これを在外公館約百五十としてざっと割り算をいたしますと、一館当たり二百万くらいになる。これではやはり足らないのではないかなという感じがするわけであります。省員たちの説明によりますと、大体総領事あるいは大使が一週間くらい管内を視察いたしますと、一回りして、もう一回りするのにちょっと不十分であるという程度である。そうすると、非常にエリアが広い、例えばオーストラリアであるとかあるいはカナダであるとか、そうしたところを担当しているところでは、例えば総領事が一回出張なさると、あと館員としては行く旅費がなくなってしまう。あとは自転車をこいで行くかカヌーに乗って頑張るかなどという駄じゃれも流行しておる。これはまるで、我が貴重なる外交官を在外公館の管理人とするだけの話であって、せっかくの外交活動にとってマイナスではないのかというのが私の質問のポイントなのであります。  こうした実態を、少ないながらも非常にやりくりをしながら多くの仕事をしておられるのは十分認めた上で、また少ないのは当たり前なのだ、苦しいときは片道は自動車に乗っても、片道はジョギングして帰ろうなどという壮烈な精神でやっておられることも十分認めた上で、なおかつ少々少ないのではないか。今期予算については査定が終わったことでもありますが、来期予算については十分配慮されてはいかがなものかと思っておるわけであります。  したがって、まず大蔵省の方から御説明を聴取し、それから次に外務省の方から実情について御報告をいただきたい、こう思います。
  104. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 外務省のいわゆる在外職員旅費のお話でございますけれども、委員が今おっしゃいましたように、在外における外交活動を強化するという必要性から見まして重要な予算であるというふうに思うわけでございます。そういう観点等もございまして、五十九年度、旅費法で、従来随分単価が違っておりましたのを単価是正を行うとともに、大変厳しい財政事情の中ではございますが、この外務省の旅費につきましては財政当局としても格段の配慮をしておるわけでございます。そういう中で、今後とも査定に当たってはいろいろ配慮してまいりたいと考えております。
  105. 北村汎

    北村(汎)政府委員 在外公館が活発な外交活動を展開するに当たりまして、大使、館長あるいは館員が適宜、管内あるいは管外に出張いたしまして、そして効果的な外交活動を行う、これはもう本当に大事なことでございまして、ただいま渡部委員が御指摘いただきましたとおりでございます。また、大蔵省の方から御説明いただきましたように、財政事情非常に厳しいときにおいても、この旅費の予算においてはできるだけの配慮を得ておるわけでございますが、何分とも限られた貴重な予算でございますので、私どもその配賦に当たってはいろいろ工夫をいたしております。例えば、最初に定期の配賦をいたしまして、そしてその定期の配賦の中で、その使い方、必要性というものを見て、それが足らない、さらに必要な出張が予定されるというときには臨時にまた配賦をしております。  そういうことで、渡部委員御指摘になりましたような、仮にそういう事態が起こりましても、また臨時にその館員の必要な出張のための旅費は配賦をいたしておる、準備、やりくりをして努力をいたしておるわけでございます。
  106. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 やりくりはわかりますけれども、要するにこの項目の立て方も大体私はおかしいと思っておる。例えば忌引帰国というような決まったものに対してはきちんと充てられておる、しかも単価も改正した、それは認めておるわけですけれども、こういう項目に上げることのできない項目、つまりその担当地域におけるところの民衆と接触するために行かなければいかぬとか調査しなければいけないという部分が事実上お金がない。要するに一組出たら二組目はもう出られない、それは一館当たり二百万しかないというこの現状に明らかに示されているとおりなんです。そうした点、そういう項目を立ててその管内視察、調査のための費用として計上すべきである。その項目がないものですから、ただ一般館務としてぽんとやる、一番大事な部分に項目が立てられていない。これでは何のために査定をしたかよくわからぬということになるわけです。  確かに二百万では少ないですよ。私が海外出張をしようとしても五十万や百万はかかりますね。そうすると、現地外交官として駆け回るなんということは、あらかじめ予想されないから費用は要らぬのだという議論は、私は間違っておると思う。そうした項目については今後考え直しをされるべきではないかと思っておる。  それは、外務省はここに来て、今期予算を通すときに、今さら外国に比べて足らないとか少ないとか言えない状況にあることはわかっておる。したがって言う必要はない。しかし、この査定の仕方は穴だらけである。これは、現地の外交官たちが、自分で仕事をしたい、回りたい、視察をしたい、民衆と接触したいというポイントにおいてどうもお金が出ない。中には、館のよろしくない幹部が自分の嫁さんを連れて一回りしてゆっくり旅行してくると、あと館員の分は全然ないというような悲劇さえ起こっている。それでは外交活動はできないじゃないか。たくさんの人間を海外に派遣して、みんなが大使館の外に出られないような状況に置いておくということは、特定の意図があるとしか思えない。日本外交は仕事は何もない、本省からの電報だけ翻訳して黙って座っていればいいのだ、余計なことをすることはないのだよと言っているとしか思えない、こういう予算のつけ方は。だから自主的な、むしろその館独自のいろいろな活動を活性化するためには、ここに予算をつけなければいかぬ、その分がなさ過ぎる、私はそう思うわけです。この点を今後PRしていただきたい。私はわざわざ今後と言っているわけです。また、今期予算の中でもやりくりができるものならそちらの方へ少しお金を回すように御努力をいただけないかと思いますが、いかがですか。
  107. 竹下登

    竹下国務大臣 私、五十四年に大蔵大臣に就任しましたときに、最初、各省の予算のポイントのレクチャーを受けましたが、外務省予算といえば定員、ODA、日本人学校、この三つを覚えていれば大体よかったわけであります。その後五十九年度予算のときに、今御指摘になりました単価増をやりまして、それも今おっしゃいましたように外-内、日本から出張するとか外から内へ帰ってくる、あるいは外-外、それから外の国内でございます。その内容はつまびらかに私は承知しておりませんが、今の渡部さんのお考えはよくわかります。そしてことしの外務省の予算といいますと、日本人学校はある程度中期計画が立てられてきて、まず定員、ODA、足腰予算、この三つになっております。足腰予算というのは、今おっしゃったようにまさにオーソドックスな外交活動のことではないか、その中へインクルードされるものではないかというような認識でことしは対処していったつもりでございますが、きめの細かい配慮をこれからもしてまいります。そういう応援というとちょっと表現は悪うございますが、今のような鞭撻を受ければ、外務省との予算折衝の際大変なやりくり、あるいは知恵とでも申しましょうか、そういうようなものもまた出てくるではないか。将来にわたって、やはりオーソドックスな足腰予算というのがまず根底にあるという事実認識だけは、していなければならぬと思います。
  108. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 一館当たり足のために二百万しかないというのは、私は余り大声では言いたくないけれども、これは言わざるを得ぬ。というのは、少な過ぎてこれは何もできない。確かに、自転車とカヌーを買うぐらいしか金がない状況であるということはよくよく御理解をいただきまして、この辺を配慮して現実志向の上で直していただきたい。来期以降については、この辺を大々的に改善していただきたい。特にお願いしておきます。  次に、人件費の問題について触れておきたいと思います。実を言うと、人件費については、最近の為替相場が極端に乱高下をする状況を考えておりますと、その乱高下によって我が国外交官の給与というものに対して絶対に心配があってはならないと思うわけでありますが、どうやら現在までのルールによりますと、二五%以内ならば政令で直すことができるということになっておりまして、大体一年に一回、四月ごろ直しておるというような状況にあるようでございます。こういう制度ができたのは、これでも画期的なことなのでございましょうけれども、給与が二五%から下がるのをじっと待っておるのは精神衛生上余りよろしくない。また、日本国民としての外交官としての忠誠心を失わしめるもとになるのではないか。二五%は余りにも過大である。したがって、現実その法律には何も一年に一回でなければならぬとは書いていないのでありますけれども、一年に一回程度しかやらぬ変なルールができ始めておる。これはよろしくない。もっと細かく修正すべきなのではないか。ひどいときには月に二〇%から楽に乱高下をするような地域もあるように聞いておりますから、こういうのはもっと細かく修正するというふうにできないのか。  ただし、その法律の中には予算の範囲内でという枠がついておりますために、外務省単独ではできないようであります。これはどうしても大蔵省の方に、世界に散らばっている我が国の外交官の給与については特別に御配慮いただくことが必要なのではないか。そうしないと、この規定そのものがむだになってしまうと私は思うわけであります。したがって、これは一部の地域では確かにもうかって、うまくいったなと思って喜んでいる人もいることはわかる。一部で、日本の円が為替レートの上でプラスになっているというところでは確かに笑っておられる。ところが、マイナスに落ち込むときが必ずあるわけであります。そういうのを放置しているのは余りいい状況ではない。特に一番折衝を要するドル地域、もう言うまでもなくアメリカを担当される外交官の給与が極端に下っておる。しかも、日米摩擦の先端に立つ地域が特別に給与が下がっておる。そして、それに対する手当てが行われない。これは余りいい手ではないのではないか。むしろこういう地域こそ、早目、早目に取りかえていくことが大切なのではないかと私は思うわけですね。その点はどう考えておられるか。
  109. 竹下登

    竹下国務大臣 これはたしか五十七年にレートスライドの政令をつくりまして、それを最初適用しましたときに条件が、円安になったところだけでは大蔵省的感覚としてはいかにも、やはり上げ下げがあった方がいいと議論をしまして、それで円高になった地帯もありますから、双方にらんで、最初やったとき私も覚えておりますが、この問題、政令をつくりましたことそのものも今おっしゃったような趣旨で、政令で許容できる範囲につくったわけでございますから、それから三回ぐらいやったのではないかと思いますけれども、詳細に眼を光らせてそのことは配慮していきたいと思います。為替レートということになりますと、大蔵省、主計局を初めとしてこれも大変敏感でございますから、私は一番通じやすい話ではないかと思う。ただ、幾らか主計局といえば、上がるところもあれば下がるところもなければいかぬという思想があることも事実でありますけれども、ありのままを申し上げました。
  110. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私は、為替レートの変動で本人たちがもうかった地域は、日本国は強くなったなという実感があって彼らは元気よく働けると思う。そこはなるべくさわらないようにしていただきたい。あえて申し上げたい。しかし、それよりもっと大事なことは下がる地域、これは彼らにとって大きなショックであるというふうに申し上げなければならぬ。給与が二割も下がることを覚悟しながら任地に派遣される外交官に忠誠を強要することは一つの問題を生じてくるのではないか。個人の自発的な愛国心に頼るだけでは決してよろしくないというのは、衣食足りて礼節を知るというのはそのとおりなんだから、この辺は考えるべきではないか。  それで、もし本省側が一年に一回しか直さないというのだったら、これは抜本的に先物予約をつけて、そして給与について安定的な保障をするということさえ考えなければならぬのではないかと思いまして、私は大蔵省の皆さんにも御相談してみたところでございますが、問題点がかなり多いようでございまして、本日はその問題をたくさん議論しようとは思っておりませんが、いよいよになればそういう方法さえ考えなければならぬほど給与変動地域があるということは御勘案の上、下がる地域については一年に一回とは言わずさっさと直していただいたらどうなのか。そんなところでちびったとしても、日本の活力とか日本の行政改革とかあるいは財政再建に対してプラスになるものじゃない。支払うべき給与は節約しないできちんと支払っておくという方が、彼らが頑張って仕事をした方が日本の財政再建にはむしろ資するのではないか、日本の国のためにプラスなのではないかと思いますが、いかがですか。
  111. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的考え方は私もよくわかりますので、本当にその点は配慮しながら対応してまいるように。私の方からも指導をいたします。
  112. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 大変いい御答弁をいただきましたので、次に宿舎の話であります。  外交官の宿舎を私も今度思い切って何軒かのぞいて歩いてまいりました。非常な豪邸に住んでおられる方も確かにおられるわけでございますけれども、大半はえらい事情でやっておられる。そのプラス・マイナスがいろいろあるのは別にいたしまして、ドル圏以外においては日本の円レートが強い最中でございますので、なるべくこの時期、在外宿舎の所有権とリース権を確保するための手を打っていかれた方がいいのではないか。予算全体の緊迫の中ではありますけれども、むしろそういうことを考えるべきではないかと私は第一に思うのであります。  第二に、これは在外に派遣されている本省員たちに非常に問題なことが一つあるのです。それは、政府の命令で短期に異動させられるというケースがかなり多いことです。これは、通産省からも大蔵省からも外務省からも文部省からもいろいろな方が出られているわけでありますが、その方方が三年なり四年の駐在という予想でローンを組んで家を借りるというような操作をしておられる方がかなりおられるわけであります。今期予算では国が借り上げて、本人が後からローンで払っていくというやり方も数カ所執行されたようであります。つまり、ある時期を予想して借りているのに、優秀な人ほど、直ちに呼び返すとか隣の国へ行けとかという命令が出る場合がある。そのときの一番の問題は、何とその後始末ができない。頭金を取り返すとか違約金を払うとか、宿舎の場合には次の人を見つけるとか、そういうことのために若い館員が非常に困難を感じておる。しかも、仕事の多い館員たちに、後の仕事を頼むよということは言いかねるという状況にあるようであります。  したがって、これは私の案でございますけれども、ちょっと直された方がいいのではないか。つまり、どういうふうに直すかというと、指定された日本国の民間業者に対してこれを委託するというやり方をもうちょっと大幅に取り入れられたらいいんではないか。今個人的に探しておるわけですけれども、それをやめてしまって、西半球は何社、東半球は何社と決めてしまうということがいいのではないか。むしろ、もっと積極的には、我が国外交官が直に借り上げるのではなくて、そうした業者を経由して買い上げあるいは借り入れというようなものをやった方が得なのではないか。そうしないと、外交官が異動するたびに、要するに国際的に交渉に行く日本国政府職員が異動するたびにその問題で足をとられて、時間も何日か延びていくというような状況にあるのではないか、こう思うわけであります。細かい質問ですが、よろしくお願いします。
  113. 北村汎

    北村(汎)政府委員 ただいま渡部委員から、私どもの在外職員の宿舎について大変御理解ある御指摘をいただきました。国によりましては個人が長期のローンを払わなければならない、そういうケースが多々ございます。また、転勤の場合の個人の負担というものもございまして、私どももできる限り、そういう国における館員の宿舎は、これを国有化するかあるいは官費で借り上げて館員に貸すということを強化いたしてまいりまして、現在のところ、例えばアフリカ地域では国有化と官費借り上げを合わせますと約三〇%がそういうことになっておりまして、アジアと中近東では約二〇%の館員がそういう宿舎に入っておるわけでありますが、しかし、まだ御指摘のようにいろいろ問題がございます。ただいま先生の御指摘ございましたような、民間業者の協力を得て在外館員の宿舎の整備を図るという方途につきましては、私どももかねてから、非常にこの問題を探究したいという気持ちは持っておりました。きょう貴重な御示唆をいただきましたので、これを参考にしてまた検討させていただきたいと考えております。
  114. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 もっと細かい話をたくさん持っておるわけでありますが、きょうは当委員会の権威にかんがみてこの辺でやめておきまして、次は、投資顧問業務についてちょっとお尋ねをしたいと思うわけであります。  日本には、アメリカの投資顧問法のような投資顧問業務の根拠法は存在しないようでございまして、証券会社にいたしましても証券取引法四十三条、証券局長通達により証券会社の兼業として大蔵大臣の承認を得るということになっておるようでございます。しかも、公益及び投資家保護に支障がないものという制約がついておりまして、証券会社本体ではなく、関係会社の形態により行われていると承っているわけでございます。ところが、兼業承認を受けている証券会社は現在もございませんで、関係会社の形でやっておられる。証券系の投資顧問専業会社や経済研究所という格好である。  そこで、奇妙な事件が投資ジャーナルを初め続発しておるわけですね。最近特に目に余る。目に余るのは、私も身近なところで実感しているわけでありますけれども、研究所とかその他のものを名乗ってとんでもないことを教えている。それから、出版業の形をとりながら、インチキな情報をたくさん提供することによって奇妙なもうけ方をする。中には、お金を預かって直接証券会社まがいの業務をしながら実際には何も取引をしないで、そうして全部懐に入れてしまう。取り返しに来た人を逆に威嚇する。中にはベルギーダイヤなどと称して、これはダイヤモンドを絡ませてこのような行為をする。もうそのたぐいのものはいろいろな形態があるわけでございますが、私はこういうのを見るにつけて、現行法令の不備と申しますか、自由に活動できるという状況が悪用されておって、決して得ではないと実感するわけであります。  しかも、先ほど申し述べました認められている形態では、個人において二億、法人において五億というような巨額なものでないと、ほとんどその対象にはならない。また、信託業務でこうした問題を扱っておられるところが一部あるようでございますけれども、こうしたところは小回りがきかぬ。そうすると金額の少ない、ちょうど一千万とか二千万とか苦労してお金をためて年金をいただくような年ごろになった人とか退職金を運用しようとか、一番層の多い庶民に対して保護が全くない、まるでオオカミに食われるのを待つような状況の中に現行の状況がある。ただでさえお忙しいところに申しわけないのでありますが、こうした状況が一方で存在する。  もう一つはアメリカとの関係である。円ドル委員会でいろいろ御議論いただいているのはよくわかっているのでありますが、世界的な投資顧問業界が今や日本に進出しようとし、それに対する対応を一刻も早くおやりにならなければならぬお立場であることもよくわかっているわけでありますが、こういう日本的状況を考慮された上でそうしたことを考慮していただいて、スピーディーかつ効果的な投資顧問業に関するルールというものをおつくりいただけぬか。ただ法律とだけ言っているのではなくて、ルールをお決めいただかなければならぬのではないか。これは、ちょっと急いでいただいた方がいいのではないかと私はとみに最近思うようになってきたわけでございまして、非常に御苦労いただいている現在の状況を御説明の上、余り時間がございませんので、これからやろうとしている段取りその他お聞かせいただければありがたいと存じます。
  115. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 先生御指摘のように、投資顧問業に対しましては、現在我が国に法律がございませんので自由にやれる、それに関連いたしまして種々の問題が起こっているわけでございます。従来、悪質な投資顧問業者につきましては、証取法なり刑法を適用するということで対処をしているわけでございますけれども、これで参りますとどうしても事後的制裁という形になるわけでございまして、悪質な問題が社会問題となる前にこれを抑制するということで、現行法下では非常に問題があるということは否定し得ないところでございます。  ただ一方におきまして、先生御指摘のように、最近個人、法人の金融資産が蓄積をしております。国際化もございます。そういたしますと、内外の有価証券の運用につきまして専門的な助言を与えるというような、投資顧問業に対します一般的な関心も高まっている。すなわち、一方において制約といいますか規制、片方において育成というような両面があるわけでございまして、現下のこうした情勢を踏まえまして、投資顧問業者の実態の把握及び投資顧問業務のあり方というものについて掘り下げた議論を行うために、証券取引委員会の中に投資顧問業務に関する特別部会というのを設けまして、法律をつくるかどうかということを含めまして議論をいたしております。十二月に始まりまして、月一回のペースで議論をいたしております。現在の審議状況から見てまいりますと、半年というふうに考えておりましたが、どうも秋口ぐらいまでかかるのではないだろうかなということで考えておりまして、この審議会の検討の結果を踏まえまして、私ども法律にするかどうかということを判断し、適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  116. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 時間がなくなりましたので、今年の十二月ということでございますが、なるべく早い時点でこれに対する適切な御措置をいただくようにお願いしたいと思います。今までこうした金融資産の運用について関心のなかった我が国国民が、最近大量にそうしたものに進出中である。ところが、証券業界の中には、証券をただ売るだけの存在であるにもかかわらず投資顧問的な立場で応接をする。応接をするばかりか、自分の買い付けた証券を一方的に押し売りをして、そういう人たちの資産を奪うというようなケースも非常に多く見受けるわけですね。だから、現実をよく踏んまえられた上での御議論をいただいて、特に、最近こうした金融資産の運用に関して進出し始めている日本の老齢層あるいは婦人層に打撃を与えないような配慮だけは、偉い方々の御議論ですと比較的そんなのは飛んでしまって、プロ中のプロの御議論になるのはよくわかっておりますので、その辺をよく踏んまえた御議論にしていただいてひとつ適切な御措置をいただきたい。まだ十二月までの時間がありますので、その間の経過措置として適切な指導もやっていただかなければいけないのではないか、この辺もあわせてお願いしたいと思います。
  117. 竹下登

    竹下国務大臣 前から投資顧問業法をつくるべきだという議論をしますと、週刊誌で投資の進め方などと出ているのは顧問業法の範疇かどうかとか、そんな議論をしました。もちろん、先生おっしゃったように円ドル委員会のこともあります。急激に高まったから、さてというので、証取審にそれじゃ諮問して、特別部会をつくってもらってそこで議論しようと、そうしますと、今のようなことを素直にそのまま伝えます。メンバーを見ますと、そうプロ中のプロじゃございませんけれども、そういう議論を入れていただきながら審議をできるだけ急ごう。折々これは部内でも話しているところでございます。
  118. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
  119. 相沢英之

    相沢主査 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、奥野一雄君。
  120. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 大蔵大臣は、私どもの聞いている中では、いずれ我が国の国政の最高責任者にもなられる方ではないか、こういうふうに伺っておりまして、それだけに大臣の言動に対しては私は大変関心を持っているわけです。どうも大蔵省は、国会審議の意向とか経過というものを無視したり、あるいは尊重しないという態度をとっているように思われる、こういうのがあるのですが、その辺はどうですか。
  121. 竹下登

    竹下国務大臣 国会審議の過程、そして国会の意思、それはもちろん尊重しながら、予算編成なりあるいは執行なり、もろもろの業務に対応していくのは当然のことであります。先生、肌でお感じになるとしますならば、いわば各専門委員会、常任委員会制度がございますから、そこの議論と大蔵省の議論というのは時としてやや対立いたしまして、それが一〇〇%意図どおりにいかなかった場合というようなときに間々そのような印象をお与えするものではないかな、こういう反省をも含めながらいつも対処していかなければならぬ。ただ、何分財政というものを担っておりますと、事につけ厳しくなりがちな体質は本来的に持っておるのじゃないかな、こんな印象でございます。
  122. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 一般的に我々が聞いている中では、大蔵省というのは大変優秀な皆さん方がお集まりのところなものだからそういうのはあるのじゃないかな、そういうふうに聞いております。  例えば電電株の売却益の使途の問題について、これは今中身について触れようという気は私はございません。これは法案も出ていることですから、いずれ関係する委員会の中で議論があると思うのですが、大蔵省は、第一に株式売却の全額を国債償還に充てる、それから政府保有の三分の一については産投会計の方へ入れてその配当は別にまた使う、こういうふうに決めておられるわけであります。本会議においてもそうでありますし、それから衆参の逓信委員会におきましても、政府の一員であります当時の奥田郵政大臣あるいはまた中曽根総理大臣がそれぞれ御答弁をされているわけでございまして、その中では、財政再建のためには使わない、国の赤字解消だけで民営にするのだというふうに思われては困るというような答弁もされておりますし、あるいはまた中曽根総理なども国会審議の経過を踏まえて、全部国庫が召し上げるというのはいかがなものか、こういうふうに言われているわけであります。あるいはまた、これはもう大臣も先刻御承知だと思うのでありますが、今時間の関係から読むことについては省略をさせていただきますが、衆参のそれぞれの委員会におきまして、この使途の問題についての附帯決議がつけられているわけであります。こういう経過から見て、明らかに国会審議の経過というものについては無視をされている、私はこう思っているわけでありますが、その辺はいかがでしょう。
  123. 竹下登

    竹下国務大臣 今回の電電株の問題につきましては、国会審議の過程を見ておりましても多少のニュアンスの相違はございます。どうしても、逓信委員会におかれます御議論を聞いておりますと、いわば自分たちの蓄積したものだという意識が、顕在化する、潜在化するかは別として、多少あろうかと私は思います。したがって、これは政府内で統一いたしまして、今御指摘になりましたとおり国民共有の財産であるという認識で、そしてならば国民共有の借金である、いわば国債整理基金にこれを直入していこう、入れた場合、配当でございますが。そして一方産投会計を活用して、いろいろ議論なすっております先端技術等々の研究開発等に充てようということに合意したわけでございますので、あのような国会の議論なり附帯決議というようなものが、結果としてそういう始末になったではないかと御理解いただけたらというふうに考えます。
  124. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 私も、電電改革法案のときには随分勉強もさせていただきまして、そういう経過、それから衆参の逓信委員会における質疑の状況等ずっと読ませていただきまして、これは理解するということは非常に困難でございます。しかし、きょうはそのことの議論をするということが趣旨ではございませんが、これは私の今の判断の中では、何といっても民営化をしていくという目的が電電株を売り払って国の財政の一助にする、そちらの方がどうも優先化されてしまっているような感じがしてならないわけであります。私は、例えば新しい電電会社ができても、それでは現在の公社制度と比較をして、新しい電電株式会社というものが今までどおりの収益を保っていけるかどうか、非常に心配をしている一人でございます。  これはいろいろ報道されておりますが、今度は資本金七千五百億円、大蔵省の方では財政上からもう三百億上積みをしてくれ、こういうことをまた要求もされているそうでありますけれども、実際には負債額は五兆六千億抱えているわけでありますし、あるいはまたこれからは通信機器の市場開放という問題もアメリカあたりからは相当責められてくる、あるいはまた外国企業も参入をしてくる、第二電電との競争というものも行われてくるわけであります。さらにまた二種事業における競争もありますし、それから今まで電電公社が外国企業なんかとも太刀打ちできるくらいの力をつけてきたというのは、研究開発に相当な力を入れてきたということが大きな要素になっているわけであります。こういうものを考えていきますと、さらにまた株の配当ということも出てくる。これは新電電が、今まで公社時代にはなかった負担というものを負わなければならないわけであります。退職引当金というような問題もありますし、そういうものも内部としては用意をしなければならないということになるわけですね。  ですから、従来から電電公社あたりなんかは、せめて今国民の皆さん方から借りている五兆六千億を何とか始末をつけなければ、これが将来十兆円ぐらいにまで膨れ上がっていくのじゃないかという心配さえあるわけです。そうなったときに、それでは今の第二の国鉄にならないという保証があるのか。とにかく電電株の問題については、公社自体の方にそのことが使われていくということは何にもないわけですから。この第二の国鉄のような状況になったときに政府としてこれは責任をとれるのか、こういうのが一つ出てくると思うのですね。全部裸にしてしまうわけですから。そういう中で、新電電がもし経営につまずきを及ぼすというようなときには、政府としてそれに対してまず何らかの責任をとられるのか。それからまた、当然株の売却全部というふうに私は申し上げませんけれども、少なくともやはり一部借金の返済に充てていくとかあるいはまた研究開発の方に使うとか、そういう面での配慮があっていいのではないか、こう思っているのですが、その辺はどうでしょう。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 今後の問題は今設立委員会でだんだん、スタートに当たっての環境整備というのは急がれておるというふうに私も理解をいたしておりますので、それ以上私の主観を申し上げるわけには、その点は言ってはならないことだと思っておりますが、今おっしゃいますように退給の積み立てもなさらなければいけませんし、地方税、法人税、それに基本的に配当、こういうことになります。  ただ、私は今日まで見ておりますのに、今日のいわゆる電電公社そのものが果たしてきた役割、そしてあの持つ資産並びにあの借金、いわゆる債券にいたしましても、それを織り込んだ事業計画の中で、十分労使双方の努力によって立派な成績が上げ得られる環境を持っておられる公社だというふうに私は最初から事実認識を、少しおまえは甘い甘いといつも言われるのでございますが、そんな事実認識をいたしております。  まさに、私がサミットのときでございましたけれども、日本の労使問題についての質問がございましたときに、一つの例として電電公社の労使関係の問題が出ましたときに、それじゃ世界に冠たるものじゃないかと僕が言いましたら、世界に冠たるというのはどんな意味かと、ちょっと説明に困りましたけれども、そういう今日までの努力の集積というものが将来の問題を残しながらも新しい形態に移っていかれて、そこにはより自由な労使間の交渉があり、自由な競争意識の中に進んでいかれると、このままの姿で移っていかれることそのものが私は本当に世界に冠たる、その実績を上げ得る環境はあるのではないか。それに対して政府は、それはありがたいことだ、それは法人税と配当をもらうことだけを考えてはいけません。が、私どもとしても絶えず注意を払いながら、基本的にはこの民営によってより効率が上がっていくであろうという物すごい期待を持っておるということをお答えとして、いささか私見を述べ過ぎましたが、申し上げておきます。
  126. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 私も、電電公社には長い間在職しておりまして、それだけに将来のことについて随分心配をしているわけです。今、電電公社の職員の皆さん方は、初めて直面をする民営ということについて大変な苦労をされているわけです。今まで逓信省時代からあるいは電気通信省から、そしてまた電電公社、こういう経過をたどってみんな一生懸命やってきて、今日までの形態をなしてきたわけですね。政府の方では全額出資と言っていますけれども、実際に電電公社設立のときに出されたのは百八十八億円、それは今の資産の総額からすれば全くスズメの涙どころではないわけですね。新しく電電株式会社になろうとするときに、職員はもちろん大変張り切って対応するための努力をしているわけですが、そういう矢先に、表現は余りよくないかもしれませんけれども、寄ってたかって食い物にされるというような感じを率直にこれは持っておると思うのですね。自分たちが今まで一生懸命働いて、そしてまた多くの加入者、国民の皆さん方が協力をしてこれだけのものに持ってきたのですから。  電電公社が設立されたときに私どもが一番苦労したのは、申し込んだらすぐつく電話、こういうことのために全力を挙げて取り組んできたわけです。そういうふうなことに対して、さてこれからというときに新しい電電公社の場合にはすべてがもぎ取られてしまう、こういう感じを持たせたのでは、これから新しい電電株式会社として運営していくというときに、今大臣が言われておりますように民営になったら一層活力が出てきてうまくいくんではないか、こういうことでございますけれども、そのために努力はしていると思いますけれども、もっと励みのある、そういうような態度というものをやはり国としては見てやるべきだ、こう私は思っているわけでありまして、これはいずれ法案の中で、また我が党の各委員の方からも論争があると思いますから、私はきょうそのことが目的ではございませんので、経過の点について一言だけ申し上げさしていただいた次第です。  時間の関係がありますから次に入らしてもらいますが、これは率直に申し上げまして私もよくわからないものですから御説明を願いたいと思っているのですが、所得税というのは、あれはいつ納めるというのが原則になっているんですか。
  127. 大山綱明

    ○大山政府委員 お尋ねの点でございますが、予定納税制度についてのお尋ねかと存じますが、所得税は確定申告のほかに予定納税制度の仕組みがございまして、それにつきましては年の途中においてもその間に発生した所得について概算的に納めていただく、こういう趣旨のもとに前年税額の三分の一相当額を七月、それから十一月、それぞれ予定納税していただく。それから、三月十五日までの一カ月の間に最後の確定申告をしていただく。それぞれの時期が納めていただく時期であろう、こういうふうに考えております。
  128. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 年の途中でも所得があればそのときで納めていただく、それは何で把握されるということになるのですか。
  129. 大山綱明

    ○大山政府委員 所得税法の規定でございますけれども、こんなふうになっております。居住者は、計算の方法もございますが、その額が十五万円以上である場合には、先ほど申しましたとおり第一期七月、それから第二期十一月、それぞれの時期におきまして、その金額の三分の一に相当する金額の所得税を国に納付しなければならないということでございます。結局、前年の納税額を基準に、この額は計算をされるということになっております。  長い歴史がございまして、昔は一々計算をして申告をしていただくというような時期もあったのでございますけれども、納税者の便宜というようなことも考えまして、前年の納税額を基準にその三分の一、三分の一というものを予定納税していただく。しかし、もしもその十五万円を下回るときには納めていただく必要はございませんし、また前年の納税額を下回るような場合には、別途減額の申請というような制度もございます。基本は前年の納税額でございます。
  130. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 ここに書いてある十五万円というのは税額ですか。
  131. 大山綱明

    ○大山政府委員 税額でございます。
  132. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 これは、前年の納税額が十五万円以上ある場合には予定納税として納めなければならない、こういうふうになるわけですか。
  133. 大山綱明

    ○大山政府委員 仰せのとおりでございます。
  134. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 そうすると、私が余りよくわからないのは、所得税というのは、これはいろいろな階層がありますね、普通のサラリーマンの方もあるだろうし、そういう方々というのは、原則的に今、毎月サラリーマンの場合には源泉徴収ということでやられています。ちょっとうまい表現ができないのですけれども、所得に対して税金をかけるというのは、サラリーマンの場合には毎月取られているんだけれども、取られていると言うと表現が悪いですな、納めているのだけれども、毎月納めるということが所得税の場合には原則なのか、いわゆる所得が発生したときに所得税を納めるのが原則になっているのか、あるいはまた一年間の総所得に対して所得税がかけられるのが原則なのか、これはどっちなんですか。
  135. 大山綱明

    ○大山政府委員 サラリーマンのような場合でございますと、毎月毎月給与収入を得ます。そういうふうな方々につきましては源泉徴収の仕組みがございますので、毎月毎月給料が支払われますときに源泉徴収を源泉徴収義務者においてしていただきまして翌月の十日に払う、こういう仕組みになっております。今、予定納税制度の適用になります方々というのは、主として事業所得者などを念頭に置いていただいたらよろしいかと思いますが、そういう方々の場合には源泉徴収ということもございません。それで、いわばサラリーマンの方々、源泉徴収を受ける方々とのバランスなども考慮いたしまして、確定申告、その前に二回予定納税、そんな仕組みになっているわけであります。サラリーマンのように毎月毎月給料をもらえる、そこに所得を得る、そういう方々と、例えば事業所得者のような場合で、今のように納税の仕組みが違っているということでございます。
  136. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 私も北海道の議会議員をやっておりましたときに、初めてこの予定納税というものにぶつかったのです。それまでは、税法なんというのはなかなか目を通すことはありませんので、もらってびっくりしたわけです。予定納税を払ってくれ、そういう通知が来て、全然わからぬから吹っ飛ばしておきましたら後からまた督促状が来て、払わなければ差し押さえだ、延滞料を取る。最終的に確定申告のときに払うものを、何で途中で払わなかったら延滞料だとか差し押さえまでするのか、大変疑問に思って税務署にどなり込んでいって、いや、実はこういう法律があるのでございますというようなことでこれは承知をしたわけですけれども、どうもその辺のところが私はぴんとこないのですね。私は、今でも予定納税で納めておりますが、どうも疑問に思うのは、もらっておる所得はいずれも税金は引かれていっておるわけです。事業所得者のように引かれてないということではありません。今、国会からいただいている歳費は、もちろん税金を引かれております。年金は、もちろん税金をちゃんと引かれて来るわけです。  ですから、最終的には三月の確定申告のときに、一年間の総所得を通して最終的な税金を納めればいいんじゃないか、こう単純に私は思っておったのですが、もしそうだとするならば、仮に予定納税として私どもの場合などは納めているわけなんですけれども、それぞれの所得からはちゃんと税金を引かれておるんだから、最終的に三月の確定申告で払うのが本来の姿でないのかなと。そうした場合に、七月、十一月に予定納税で納めているわけですから、延滞金や差し押さえまでするというのなら、こっちの方に先に払っているのだからむしろ利子ぐらいつけたらどうか、こういう率直な感じがしたわけなんですが、それはどうですか。     〔主査退席、熊川主査代理着席〕
  137. 緒賀康宏

    緒賀政府委員 先生の御指摘のいろいろな御質問は、私ども税務署でよく出るお話でございます。これは確かに、給与所得者の場合には常に源泉でちょうだいしておるわけですけれども、しかし、その額が非常に多い場合には、三月十五日に三期でかなりたくさんの税金が出る場合もございます。そういう意味で、その税金を改めて納めていただく。つまり、ある意味で毎月毎月もらう税金というのは、本当はその所得者についてはたくさんいただかなければいけないのですけれども、給与を支払う段階では一割とか二割、そういう少ない税金をちょうだいしている。したがって、三期に払うものを前もってお支払いしていただく、そうすれば三期にまとめて払う額が少なくなるのではないか、実はそういう納税者の便宜といったものを考えた制度でもあることを御理解いただければありがたいと思います。
  138. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 それはわかるのですよね。三月になってから一遍に五十万、六十万の税金を払え、こう言われるよりは、三分の一ずつ払っていればそれは納税者にすれば楽だということはわかるわけですね。しかし、私がさっきから言っているし疑問に思っておりますのは、事業所得者の場合は私は実態をよく承知しておりませんから、こっちの方は言及する気はないのですが、我々のようなサラリーマン、サラリーマンというのかどうかわかりませんけれども、そしてほかの年金なら年金の所得がある、だからこっちの方でもきちんきちん定められたとおりの税金は払っている、それは一つの基準があってそういう税金を取っているのだと思うのですね。だから、そういう恩恵的な気持はわかるのですよ。しかし、我々の場合だったら、実際には三月の確定申告でもって払うのが原則ではないのか、こう言っているのです。  そうだとするなら、それが原則でないと言うなら別でございますよ、それだったら税の取り方だって少し考えてもらわなければならないということになると思うのですが、原則だと思っておりますから、そうすれば、じゃ六月に払った分について利子つけたっていいんじゃないか。我々、予定納税をやらないと延滞料を取られるわけですよ。あるいは、差し押さえも何か対象になるというようなことですから、それぐらいだったら先に払っているんだから、その分ぐらいの利子をつけてちゃんと税金から差っ引くのが当たり前じゃないかという感じがするのですが、どうですか。
  139. 緒賀康宏

    緒賀政府委員 原則は、その所得が発生するときにできるだけお支払いいただく、こういう原則が実はあるわけでございます。したがいまして、通常、配当、利子、給与等の場合には、支払う都度税金をちょうだいしている。しかし、そもそも所得の全体は年度を締めてみないとわかりませんから、そのときに幾らもらうかはいろいろな決め方があるわけでございます。暫定的に払うときに源泉で徴収する、こういうことになっているわけですね。しかし、全体の給与が多い方というのは、三月にきちっと払っていただかなければいけない。そういう意味では、年度途中に払える方についてはたくさんいただくというのが実態に即している、給与所得者につきましても。そういう、やはり支払うときにできるだけ正確な税金をちょうだいする、こういう課税の原則、納税の原則がある、それが根幹にあることに御理解をいただきたいと思います。
  140. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 それはわかっているわけですね。だから私が先ほどから申し上げておりますのは、給与所得者の場合はそれぞれ支給されるたびに税金は払っている、しかしなおかつ総合的な所得をやって、確定申告でもって最終的な税額が決まるということでしょう。そうすると本来ならば、最終的な税額が決まったときに支払いの義務が発生するんだろうと思うのですよ。だから、予定納税というのはそういう人方のために――給与所得者の場合には、今言われているように一遍に払うのは大変でしょうと。もしそういう趣旨だということになったら、先に税金を納めているんだから、そうしたらその分利子ぐらいつけるのは当然でしょう。これ、納めなければ延滞料を取るというのだから、延滞料取らないというのなら別ですよ。本来なら、三月の確定申告になって払うべきものを予定納税として先に納める、それを納めなければ延滞料を取るというのだから、延滞料を取るぐらいの姿勢であったら、先に払った者については、三月でもってその分の利子も税額からちゃんと差っ引いてくれるのが本当ではないかということを私は言っているわけです。
  141. 緒賀康宏

    緒賀政府委員 それはつまり七月、十一月、そのそれぞれ、一年間を三つに割りまして、その四カ月間で、事業をしていらっしゃる方、それから給与をもらっている方も、ずっと引き続いて所得がある方というのは、その時点で、つまり最初の四カ月で幾ら所得が発生しているのか、それに対して幾ら税金を払ったらいいのか、そういう計算をして納めていただく、そういう趣旨なんです。それは確定申告する方につきましては、サラリーマンにつきましても事業をやっていらっしゃる方についても、四カ月、つまり一年の三分の一で一応の税額の計算をする、それは同じになっているわけです。したがって、四カ月について正確な計算をして、それは本当はその正確な計算というのは納税者がやっていただければいいのですが、事業をやっていらっしゃる方もサラリーマンもそんな計算は面倒くさくてできません。したがって、便宜去年と同じ所得があるという前提で、七月時点で四カ月間の計算をこちらでさしていただいてそれを御連絡申し上げて納めていただく、こういうシステムになっているわけであります。
  142. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 時間があれば、その辺で私も少し議論してみたいと思っているのですが、今言われたことで私はまだ納得はしておりません。先ほどからも申し上げておりますように、だから事業所得者の場合別だ、それだったら四カ月四カ月ですか、本来ならそれは確定申告しなければならない。それは難しいとかなんとかということですけれども、私がさっきから言っているのは、原則的にサラリーマンの場合には給与所得が出るたびに源泉で税金が引かれて、ただそれを二つ三つよそから収入があるとかあるいは高額な所得を持っているという人は、三月に最終的なトータルを出して正式な税金を出すということなんだから、そこのところに税金を払うべき義務が発生してくるんだ、こう私は思っているのですよ。年の途中のものというのは、一応の便宜的な扱いだというふうに私は思っているのですね。それだったら、予定納税をしないから督促状を出してそれを差し押さえをするというのは、納める側からいけばこれは一つのおどかしみたいに思われるのですね、税務署から差し押さえなんといったらびっくりするわけですから。初めて予定納税にぶつかった方は、必ず一回税務署とけんかをやっているわけですよ。  だから、この辺のところはもっと将来検討していただきたいな、こう私は思っているわけでありまして、時間が来ましたので終わらせていただきます。
  143. 熊川次男

    熊川主査代理 これにて奥野一雄君の質疑は終了いたしました。  次に、上西和郎君。
  144. 上西和郎

    上西分科員 私は、まず国民年金の支払い金融機関のことについて若干の事実を申し上げ、大臣以下それぞれの方々から見解なりおとりになっている措置についてお尋ねをしたいと思うのです。  御承知かと思いますが、国民年金の老齢年金並びに通算老齢年金、さらには厚生年金の老齢年金、通算老齢年金、障害年金、遺族年金、こうした厚生省の所管にかかわる年金は、すべて受給者が希望する金融機関で今受給できるようになっております。ただし、社会保険事務所所在地における国民年金の障害年金、遺児年金並びに寡婦年金、母子年金、準母子年金は、特定金融機関一カ所に絞ってしか給付をしない、こういう明らかな不公平が行われている。年金を統合し、百年に一回のことをやろうと中曽根内閣が全力を挙げ、片やそれを支える総理・総裁の道をひた走りに走っておられる竹下大蔵大臣がおられるにもかかわらず、こうしたことが平然とまかり通っている。私は、昨年三月十二日予算分科会で、社労の分科会でこれをやりましたら、当時の渡部厚生大臣以下、大変申しわけありません、早急にすべての金融機関で受給できるようにいたしますと、明快にお答えがあった。一向に作業が進まない。八月一日に社会労働委員会で重ねてお尋ねしたところ、厚生省は決意をし決定をいたしました。しかし、諸般の事情これあり、言外に日本で最強にして最高の大蔵省これあり、さらには日本銀行これに介在をし、一向に自由化が進まないと私は伺ったのであります。これは言葉の上は別であります。  したがいまして、そうなれば総理・総裁の道を走る、創政会をつくるのも結構、勉強になってください。しかし、そうした障害年金、母子年金、遺児年金、寡婦年金を受給されている大変ハンディのある方々――障害年金受給の方々は立ち居振る舞いが不自由だ、遺児年金は満十八歳未満の児童生徒だ、母子年金は完全な母子家庭、寡婦年金は満六十歳から六十五歳までの五年間の未亡人に限られている、こうした方々に、なぜ特定の金融機関まで受給に行くことを大蔵省は求めるのか。そうしたことではいけない。やはり血も涙もある竹下登さん、こうしたことについては御英断をいただきたい、こう考えるのでありますが、いかがでしょうか。
  145. 竹下登

    竹下国務大臣 今おっしゃいましたこと、先生昨年三月十二日に衆議院予算第四分科会で、当時の渡部厚生大臣、議員の趣旨に沿うようにしたい、何分相手方があるものですから、こういう答弁があったということを承っております。  御案内のように、国庫支出でございますから、日本銀行の代理店の取り扱います国民年金の母子年金等につきましては、五十九年十二月一日から、したがって先生が言いなさってから七、八カ月たったわけでございますね、日本銀行が国庫金振込先金融機関の範囲を拡大いたしまして、それで労働金庫とか等もその支払いを行うことが可能になった。したがいまして、その限りにおきましては、ほとんどの金融機関国年の母子年金等の支払いを行うことができるように今日なっておるということでございます。
  146. 上西和郎

    上西分科員 それでは重ねてお尋ねしますが、その際郵便局、簡易郵便局はどうなっているのですか。
  147. 植西常郎

    植西説明員 お答えいたします。  簡易郵便局につきましては、現在のところ支払うことはできないということになっております。
  148. 上西和郎

    上西分科員 いや、僕は郵便局と言っていますよ。いわゆる社会保険事務所所在地における郵便局、これは集配局、無集配局を含めてたしか国民年金の、僕が言っている老齢年金、通算老齢年金を除く残りの年金については支払いが不可能じゃないのですか。その辺を明確におっしゃってください。
  149. 植西常郎

    植西説明員 郵便局につきましては、預入制度というものがございまして、希望された方につきましては振りかえ預入の制度を利用してもらいまして、そういうふうな措置をとっているわけでございます。この振りかえ預入の制度につきましては、社会保険事務所の管内の受給者は利用できません。管外の隔地にあります郵便局については利用ができることになっておりますけれども、社会保険事務所の管内の受給者についてはできないことになっております。
  150. 上西和郎

    上西分科員 だからおかしいのですよ。今大臣がおっしゃった十二月一日から、確かに労働金庫、漁協、農協、信組その他のところはよくなったのです。それはやはり、さすがは竹下大蔵大臣と私は高く評価をしたいと思います、迅速果敢にやられたんだから。そのことは評価をしますが、片一方で同じ中曽根内閣の所管である日本国政府の行政機関である郵便局がだめだというのは、一体何だと僕は言いたいのです。目の前に郵便局がある、やっと広がったけれども遠くの農協とか銀行まで行かにゃいかぬ、こういうことが社会保険事務所所在地にまかり通っている。一体どこがネックなんですか。だれが悪いのですか。受給権者をいたわらずして年金統合法を急ぐなと僕はあえて言いたい。何がネックなんです。
  151. 植西常郎

    植西説明員 いろいろ法律的な問題もございますので、大蔵省ともよく協議いたしまして、できるかできないかについて検討してみたいと思います。
  152. 上西和郎

    上西分科員 大蔵省だけなの。郵政省は関係ないのですか。どうなの、大蔵省。明確に答えてくださいよ。今言った方々は、郵便局でもらえないのですよ。何度も念を押しますよ。大蔵省の方々は、障害年金、母子年金、遺児年金、寡婦年金、家庭的に、身体的にこれだけハンディがある者を特定金融機関一本に絞っていた、ようやく十二月一日から広げた、しかしその中に郵便局、簡易郵便局は入ってないのだ、だれの責任なんですか。
  153. 亀井敬之

    ○亀井政府委員 法律の所管のお尋ねでございますが、直接的な関係がどれほどの問題かという点がございますけれども、先生御指摘のような、厚生省がお答え申し上げました件につきましては、郵政省の法律、省令もございますし、また大蔵省関係する政令、省令等もあるようでございます。ただ、この郵便局のところで御指摘のようなことができるものがあり、できないものがあるかという点につきまして、若干事情をつまびらかにいたしませんけれども、今、金融機関を広げてまいりまして、国民の方々がお支払いを受けるときにできるだけ便益に供するという努力を重ねてまいったわけでございます。  なお、郵政省、厚生省、今の政省令に関係します点につきましては、引き続き勉強させていただきたいと思っております。
  154. 上西和郎

    上西分科員 私は一年生ですから、法律も行政のこともよくわかりません。私が大事にしたいのは、せっかく日本政府が始めて加入をさせ、そうして保険料を徴収して、受給資格を持った方々には年金を払っている。私が調べたところでは、障害、母子、準母子、遺児、寡婦、この五つの年金でざっと五十万人近い日本国民がおられる。その方々に、従来、大蔵省、日本銀行の責任で特定金融機関を一カ所に絞っていた。ようやく自由化をしたようだが、郵便局を認めなければ画竜点睛を欠いているのではありませんか。今の答弁、僕は不満ですよ。検討いたします、そうじゃなくて、郵便局もできるように前向きに取り組みます、それが竹下大蔵大臣が総理・総裁へ最短距離で走る最も近い手段じゃないでしょうか。
  155. 竹下登

    竹下国務大臣 今おっしゃいました問題、今一年生だとおっしゃいましたが、私も知識水準は別に変わっておりません。それは私も同じような知識でございます。郵政大臣の所管します、恐らく郵便局ということになれば簡易郵便局もついていくでしょう。簡易な貯蓄手段を国民に提供できるということとしての生い立ちがあって、そういう支払い業務がどういう格好でできるのか。恐らくオンラインの問題等もあるのでございましょう。信組やなんかも、一生懸命工夫してオンラインをつくっておられるわけでございますから、その辺全く不勉強でございますし、そしてまた、我が方の銀行、理財もこの問題に特定して勉強したことはございませんので、今の御提言に対して勉強して、あるいは本委員会でとは申しませんが、個人的にも説明に行かせますから、しばらく勉強の時間をお与えください。
  156. 上西和郎

    上西分科員 大変親切なお答えをいただきましてありがとうございます。ただ、私は正直言って、大蔵省というのは、私が当選するまでよく聞かされていたのは、日本で一番優秀な方々の集団であり、国家公務員の皆さんは日本国のために、国民のために日夜御奮励をいただいている、こう承っておりますので、そうした観点からしますと、郵便局がなぜできないのかということについて、所管がどうあれ、大蔵としては、厚生省を含め、郵政省を含めて、利便を図るために郵便局でも給付ができるようにしたい、こういう御決意を秘めたお答えと受け取りますので、よろしくお願いしたいと思います。  二つ目は、郵便年金の問題なんですが、郵便年金の中身を私は申し上げようとは思いません。郵便年金は、これは年額七十二万円なんです。これをもらおうと思って受給手続をとったら、国税庁といいましょうか税務署といいましょうか、年金額をはるかに上回る税金をがばっと課税されて途方に暮れているという実例があちらこちらに出ているのですが、なぜこんな冷酷非情なことが行われるのか、その辺について若干の御説明をいただきたいと思います。
  157. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 今御指摘のケースは、郵便年金をもらいます本人が受給権者になる場合にはそういうことは起こらないわけでございますが、郵便年金の給付に関しまして、恐らく奥様とかあるいは掛金を負担した人以外の方が年金の給付を受けることができる権利といいますかその地位を取得した場合におきまして、年金の給付が生じましたときにおきまして、例えば妻の場合、夫から年金受給権を贈与してもらったというようなことで贈与税が課税される、こういうケースをおっしゃっているのではないかと思います。そのことは、なぜ贈与税が課せられるかといいますと、年金受給権の取得といいますのは、結局その事実が、預金あるいは株券をもらったということと経済的な意味において実質的に全く同じであるというふうなことから、負担の公平を図る観点で贈与税を課せられるということになるわけでございます。
  158. 上西和郎

    上西分科員 私は、先ほども申し上げましたように、皆さん方は優秀な頭脳を持っておる方々の集団で、法律、行政その他で万遺漏がないということはかたく信じております。ただ問題なのは、営々として掛金を納めて、ああこれで年金をもらえるぞといって受給権を受給権者に渡したら、その年金額をはるかに上回る贈与税ががばっと来て途方に暮れている。そういうことは一体、所管はどうあれ、日本政府全体としてやっていいことなのかどうなのかという素朴な疑問があるのです。  具体的に言いましょう。農業者年金の経営移譲年金の受給をする場合に絶対的な条件の一つに、あらかじめ指名した直系卑族の一人かつ農業経験三年以上を有する者にすべての耕作反別の名義を書きかえ譲渡すること、こうなる。ところが、この譲渡に当たっては、農林水産省と大蔵省ともいろいろ話があったでしょうが、現実に非課税になっていますね。贈与をするが非課税になっている。そして経営移譲年金はその譲った方に支給される。こういうようなことが政府の中では現に行われている。なぜ郵便年金、極端に言えば最も金額の低い零細な年金と言っていいでしょう。年間七十二万円です。それは法律は間違っていないと思いますが、そうしたものに贈与税をがばっとかけて、何年分にも匹敵するようなものを、極端に言えばお召し上げになるのですか。竹下さん、あなたは心温かき方と私は本当に信じておりますので、この辺について何らかお考えがあるならお示しをいただきたいと思います。
  159. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 さっき、預金あるいは株券をもらった場合と全く同様な実質的な経済効果があると申し上げましたけれども、郵便年金を考えた場合におきますと、例えば七十二万というケースで考えてみますと、四十五歳加入の場合に年間掛金というのは六十六万ぐらいであります。五十歳に加入すると百十万ぐらい、五十五歳で加入したときには二百五十七万ぐらいを払わなければいけません。そういうかなり高額の掛金を夫に負担してもらうことによって、初めてその郵便年金の受給権を取得するわけでございます。そういったようなこともあります。  それからもう一つは、郵便年金の実際の運用を見てみますと、月々あるいは年掛けでその掛金を郵政省に払い込むわけでございますけれども、郵政省はそれを運用部等に預けまして運用しまして利子を得る、その元利合計をいわば年金という形で分割して払っていくということでございまして、実質的な意味におきましては、預金を奥さんに贈与した場合と全く同じような経済的機能を持つわけでございます。  そういったことから、贈与税の課税対象にすることが公平の観点に合うということでございまして、このことは特に年金だけではございませんで、例えば保険料を別の人のために掛けて、満期保険金を与えるというケースについても同様に課税しております。それから民間の場合におきましても、最近年金型の保険というものも出てきております。それについても、郵便年金と全く同様に課税いたしております。あるいは、委託者以外の者が受益者でありますところの信託財産、そういうものについても課税しているわけでございまして、そういったものとのバランスからいいまして、御指摘の点について非課税ということはとりづらいと思います。  それからなお、農地につきましていろいろお話がございましたけれども、農地というのは、均分相続しますと土地が細分化いたしまして農業の自立経営ができない、したがって、なるたけ一人の者に贈与させることが望ましいということが農業基本法等で指摘されております。そういったことからも、特別な措置として、生前に農業の経営権を移譲するといったふうなことにつきましては、これは贈与税をその時点においては課さないで、相続時点まで贈与税を猶予しようということでそういう規定が設けられておりますが、それは農地の特殊性に基づきます、農地の規模拡大によって日本の農業を相当程度近代化していきたい、こういった特別の政策上の配慮でございまして、今申し上げたケースとはちょっとケースが違うのではないかと考えます。
  160. 上西和郎

    上西分科員 お答えはそれが正しいのですよ。問題は、末端にある本当の庶民金融機関の郵便局にその地域の方々が来て、ああ、ありがたいといって多額の保険料を納めてもらったら、頭から給付が始まる前にまず贈与税だ、こう来てしまう。そうしたことを平気でやっていていいのですか。私は、何も免除しろとは言わない。少なくとも何らか便法が講じられて、ああ、やはり日本政府が始めたものに入っていてよかったという信頼感を与えるか、政府がすることは看板に偽りありだ、羊頭狗肉だという形で失望感を与え、やがて生まれるであろう竹下政権に対する不信感まで招くようなことに、大蔵省は今のうちにガードラインを固めておいてほしい、こういう要望を申し上げておきたいと思います。  次の質問、国家公務員全体を知りたかったのでありますが、大蔵省の共済組合に所属している方方の中で人工透析患者は、本人・扶養家族でどれだけいるか、まず数字を明らかにしてほしいと思います。
  161. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈政府委員 全体の数字は把握しておりませんが、大蔵省の職員につきましては約三十名程度と承知いたしております。
  162. 上西和郎

    上西分科員 約三十名でございますね。その方方は、現在勤務状態はどうなのか。透析は平均して週何回なのか、入院中なのか、昼間夜間の別はどうか、その辺について明らかにしてほしいと思います。
  163. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈政府委員 先生の御質問のような詳しい調査をしているわけではございませんが、人工透析につきましては、大体週に二回ないし三回ということが普通のやり方であると承知しております。御質問の昼間か夜間かという点は、これも統計は実はないのでございますが、大蔵省本省に属している職員につきましては、昼間の方と夜間の方と両方ございます。
  164. 上西和郎

    上西分科員 あと少しきめ細かなお尋ねをしますが、昼間の方々の服務条件その他、いわゆる病気扱いその他、具体的にどうなっているのか、夜間透析の場合、超過勤務、出張その他、どういう取り扱いをされているのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
  165. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈政府委員 昼間透析の方につきましては、非常に過激な職場をできるだけ避けまして、人事配置等に十分配慮しているということでございます。また、勤務時間中の透析でございますので、その際病気休暇というような申請を出してもらって、その申請を承認しているという形になっております。病気休暇でございますから、いわゆる有給休暇よりは有利な扱いになっているわけでございます。  それから、夜間の透析につきましては、特に配慮をしているというわけではございませんが、例えば夜間の超過勤務ができるだけないようにするとか、あるいは勤務の開始時間を早めて病院に行く時間が夕方できるようにする、このようなきめの細かい配慮をしているところでございます。
  166. 上西和郎

    上西分科員 大変温かい御配慮があるようでありますが、各省庁を見ますと、この人工透析患者に対する健康管理、服務管理、こうしたことについてばらつきがあるように思えてしようがないという実態を私、幾つか知っているのであります。したがいまして、日本で最強にして最古の大蔵省がそれだけの温かい配慮をしていただいているならば安心です。今後、国家公務員共済等の迎合的な協議の場、そういうときにあっては大蔵省がとっている正しい姿、指導方針というものを他の省庁にも広げていっていただきたい。そうして、国家公務員の宣誓をし、先ほど申し上げた日本のために、国民のために昼夜を分かたず御精励いただいている方々に、少なくとも安心して療養ができる、こうした措置をすべての省庁に広げていただくことを心からお願いして、最後の質問に移らせていただきます。  簡易郵便局は金融機関としてどういう位置づけにあるのか、大蔵省の見解を承りたいと思います。
  167. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 簡易郵便局でございますけれども、そもそも簡易郵便局は郵政大臣の所管しておるところでございますので、大蔵省としては基本的には意見を申し上げることは差し控えるべきであると考えております。  ただ、私どもの一般的な認識あるいは一般論として申し上げますと、簡易郵便局も含めまして郵便貯金制度というのは、全国津々浦々で簡易な貯蓄手段を国民に提供できるという特性を生かしておりまして、これまで個人貯蓄の分野で重要な役割を果たしてきていると考えます。ただし、官業でございますので、民間金融機関とはおのずから異なるところがあると認識しておるわけでございます。
  168. 上西和郎

    上西分科員 それじゃ賢明なる大蔵省の皆さんに若干の実態を私からお話し申し上げて、今後簡易郵便局についての基本的な認識を変えていただきたい、そうして郵政とタイアップして簡易郵便局を社会的にもっと大きく認知していただきたい、このことをお願いしたいのです。  と申し上げますのは、今お話があったように預貯金は扱えるわけです。ところが日本電信電話公社、間もなく民間になりますが、電話料を持っていきますと、受け付けられないのです。ぴいーっと赤旗を振られて罰金を課せられるのは交通違反の反則金、ああ、きょうまで持っていかないと運転免許停止だといって慌てて持っていくと、簡易郵便局だめなんです。年金も一切扱えない。福祉年金は別でございます。そうしたことがまかり通っているわけですね。  具体的な例を少し挙げますと、例えば農繁期になる、すると、簡易郵便局というのは職場と住宅が一緒でございますから、同じ部落内、近辺だからわっと朝七時ごろバイクで通りながら、おい、きょうまでだからなと袋に入れて反則金をほうり込んで、受け付けられないと言う暇がないのです。そのすると、それをほうっておくと免許停止になる。やむを得ぬから、そこのおやじさんあるいは奥さんがバイクで、車で本局まで持っていくということが日常茶飯事でまかり通っているわけですね。しかも片一方では、もうマイコンが入っているわけです。簡易局も結構コンピューターが入っているのですよ。そうしたことの実態を見ますと、簡易郵便局――郵便局というのは、明治の初めから日本の官業制度でしょう。それなのに、簡易という二つの字がついただけで反則金も何も一切だめ、こんなばかげたことが今まかり通っている。  ざっくばらんに言って、東京都内には簡易郵便局はないと聞いておりますから、皆さん方は直接お感じにならないかもしれませんが、私の選挙区の大隅半島なんというのは何十という簡易郵便局があるのです。地域に密着しております。親代々やっておる。一番手っ取り早い。そこに持っていけば、だめよ、こうなったら一体どうしたらいいのですか。たまたまそこの方々が、いろいろな事情があって本局まで持っていかなければその人はみすみす、簡易郵便局を信頼して持っていって安心しておったら突然免停、こう来てしまう。そういう国民の利便性を全然無視して、簡易郵便局のことは郵政省の所管だとか、そこらは露骨におっしゃらないけれども、大蔵も一声かけて、郵政省しっかりしなさい、大蔵省は支えますよ、簡易郵便局よくしましょう、そういう姿勢を私は求めているのです。その点いかがでございますか。
  169. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 やや繰り返しになりますが、郵政省御所管の簡易郵便局を大蔵省の者としまして、こういう公式のところで議論申し上げるのは差し控えたいとは思いますけれども、簡易郵便局の法律によりますと、簡易郵便局は「郵政大臣が郵便局の窓口で取り扱うべき事務地方公共団体その他この法律で定める者に委託して行わせることにより、経済的に、郵政事業の役務を辺ぴな地方にまで広め、国民が簡便にこれを利用できるようにすることを目的とする。」ということでございます。  なおその場合に、私先ほど申し上げましたような官業であるということにつきましては、臨調などでは、「今後とも簡易で確実な少額貯蓄の手段である官業としての立場を守りつつ適切な運営を行っていく必要がある。」こういうものが法律あるいは公式な意見としてあると思います。  そこで、今先生が言及されました国庫金等の支払いのことでございますが、国庫金の支払いあるいはNTTの問題等は、広範な各省あるいは大蔵省の中でもいろいろな分野にわたりますので、私が全部お答えするわけにいきませんけれども、感じで申し上げますならば、年金とかNTTのあれとかというようなものにつきましては、例えば国庫金で申しますならば、やはり国民の大切なお金を確実にということでございましょうから、事務的にはきっちりできるということが、便宜だけではなくて最低必要であるということが一つ。それから、官業としてどこまでやるかというような限度の問題等々が、とりあえずは今後の考えていくべき課題である。いずれにいたしましても、国民のニーズを認識していかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。  とりあえずのやや個人的な見解で恐縮でございます。
  170. 上西和郎

    上西分科員 やや前向きのお答えをいただきましたから安心ですが、さらにそれを具体的に進められることを重ねてお願いしたいのです。というのは、悪いけれども、簡易郵便局は金融機関ではないみたいな扱いを現に受けていますね。ところが、銀行強盗はちゃんと入ってくれるのですよ。私の選挙区では、ある奥さんが代理業務をやっている。そうしたらばっと来て、それこそ猿ぐつわをはめられて押し入れにほうり込まれて、あり金かっさらわれた。僻地だから何時間かたって人が行ったら、どうもおかしい。がたがたいうのであけてみたらごろっと転がり出てきた。銀行強盗は簡易郵便局を差別してないのですよ、公平に取り扱っている。この実態大蔵省に御認識をいただいて、簡易郵便局におけるそうした各種国庫金の取り扱いについて万全の御配慮をいただくよう、郵政省とも十二分に御協議をいただきたい。そして、簡易郵便局が本当に全国津々浦々でその機能を発揮し、地域の庶民大衆のために利便を提供するその機能が十二分に生かされることを重ねて心からお願いをし、質問を終わらせていただきます。
  171. 熊川次男

    熊川主査代理 これにて上西和郎君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  172. 水田稔

    水田分科員 私は、佐賀県の暴力団に宮地組というのがあります、この事件について伺いたいと思います。  この宮地組というのは、全国版で報道されましたから御存じだと思いますが、人間をヒョウのおりに入れておどす、あるいはまた佐賀相互銀行の社長、私どもが調査に行ったその日にちょうど社長が監禁をされる、そういう事件を起こしてきた暴力団でございます。この宮地組というのは、資金源としては福光物産という会社があります。これを中核にして全体で十三の企業、いわゆる企業経営の中で資金を賄っている、こういうような団体であります。こういう暴力団の経営しておる企業に対する税の調査とかあるいは課税客体の把握とかあるいは課税、徴収というのは、一般的にどういう場合に行われておるのか、また、今申し上げました十三の企業に対する課税はこれまでどういうぐあいになっておるのか、まず伺いたいと思います。
  173. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 お尋ねの宮地組ないしは宮地組の関連企業に対しまして、税務上どのようになっているかにつきましては、個別にわたる事柄でございますので御答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げさせていただきますと、私どもとしては独自にいろいろな資料、情報を集めておりますし、また警察当局からもいろいろな情報をいただいておりまして、それらを総合的に検討した上で、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどして、適正な課税に努めておるところでございます。  なお、宮地組の関連企業の中で、申告所得金額につきまして公示になったものはございません。
  174. 水田稔

    水田分科員 私どもは現地へ調査に参りまして、税務署の署長にもいろいろ聞きました。もう一つは、県議会の中で県税の課税、徴収との絡みで、国税当局との関係をいろいろ調べてまいりました。  これによりますと、一般の中小零細企業というのは、三年に一遍ぐらいは調査に入るわけであります。そして、ささいなところも、とにかく重箱の隅をつつくような形でミスをつかれて徴収されておるわけでありますが、これは五十六年、五十七年、五十八年は全く調査をしていない。これは税務署長が私どもに答えたわけであります。それから、県議会の論議で言いますと、国税に準拠しなさいということで、主体的に課税する県の調査権あるいは調査を国に求めるという制度的な確立がない、こういうようなことが言われております。第一義的には税務署が決定する、それに従っておる、こういう言い方です。これで調べてみますと、均等割だけしか払っていない、全部払っていない。ということは、所得皆無というようなことで税務署が扱っておるということは厳然たる事実であります。  そして、この企業は、福光物産について言いますと、五十八年度の県の工事だけで――これは問題があるのは、県がその土しか県内ではないという真砂土を指定しておるわけです。ですから、これは県工事の中では真砂土を二割使っておる。市町村を入れるとどれだけになるかわからぬ。県議会の論議で一立米二千円と計算しても、ここで入っているものを五十八年で計算すると三億六千万円県工事で入れているわけです。市町村を入れると幾らになるかわからぬという事業をやっておるわけであります。  そして、税務署が調べる。例えば外車を持っておる、あるいは億ションと言われる大変高いマンションを買えば、当然そこに調査に行くというのですね。この暴力団は、どこの会社の名義になっておるか知りませんが、一機七千万円のヘリコプターを三機持っている。そして、警察がこの暴力団の組長を逮捕に行ったときには、ヘリコプターで逃げて捕まらなかったという。これは厳然たる事実なのです。これは客観的に見れば、相当な金を動かして事業をやっておる。それが三年間にわたって所得が皆無ということで挙げられておる。そんなことが常識的にまかり通るわけですか。その点いかがなのですか。そういう調査をされているのですか。内部的にはされておるはずです。
  175. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 繰り返すようでございますけれども、個別の申告の内容についての答弁になりますので差し控えさせていただきたいと思いますが、先生御指摘のように、私どもとしては暴力団に対しましても一般の納税者と何ら変わることのない課税をするということを基本に、先ほど申し上げたように私どもとしても独自の資料収集をするとともに警察等からの情報もいただいて、総体として適正な申告をしているかどうかということを常にチェックしている体制にございます。そして、課税上問題があれば、私ども調査するということでやっているわけでございますが、一般に暴力団の課税ということは、相手方の協力がなかなか得られないという問題もございますので、実態を把握するのは極めて容易でない面もございます。税務署の担当者としては大変苦労しておりますが、その中で基本的には課税の公平ということが私どもの一番大事な仕事だということで頑張ってくれておる、このように私どもとしても理解しております。
  176. 水田稔

    水田分科員 私が今申し上げたように、この会社がこれだけの事業をしておるというのは、税務署は知っておるわけです。現実に五十六、七、八というのは全く調査もしてないということを、税務署長が私どもにはっきり言っておるわけです。向こうから出した申告に基づいて所得皆無。三年間ですよ。そして、そこは県の事業、市町村の事業を莫大にやっておるわけです。十三も関連の企業を持っておるわけです。そして、県もはっきり言いませんが、こちらが計算しても単年度で県の事業だけで、真砂土だけで三億六千万円もの仕事を出しておる、こういう事実がある。所得皆無というのは――じゃ、一般論としてですが、それは調査もしなくてもいいほど通常のことだ、そういうぐあいにお考えですか。私が今言ったことで、例えばそういう事業体があった場合に国税としてはどうされるのですか。
  177. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 個別の法人なり、個人の申告の内容について云々することは差し控えさせていただきたいと思いますが、収入、金額が片方であるからといって、それが即所得に結びつくかどうかは、これは一概になかなか私どもの立場からいっても言えない面がございます。
  178. 水田稔

    水田分科員 それは言われるとおりなんですよ。だけれども、これだけの事業をやっているというものに対して調査さえしてないというのは、一体どういうことなんですか。もっと言いましょうか。税務署の姿勢で問題は、一つは、私は署長にも会いました。県警本部長に会いました。そして県警本部長は、税務署から今押さえた資料を見せてほしいという要望があればお見せします、こう言ったのです。税務署からそういう要望が出ていますかと言ったら、出ていませんとこう言うのですよ。いいですか。それからもう一つ、これは県との間で、県は早急に連絡協議会を税務署と持ってやりたい。こういうことを税務署は言っています。参加します、こういうことを言っている。実際には、この協議に税務署は乗ってこないのですね。そういう姿勢で、今答弁のように、差別せずに実際に暴力団関係の企業でもやっておるということが言えるのですか。私は、言えない事実を調べてきたから申し上げるのです。おかしいじゃないですか、どうですか。
  179. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 私ども、この問題について個別にどうこうということは、先ほどから繰り返しておりますように差し控えさせていただきたいと思いますが、私どもとしては、この問題について関心を持ち、いろいろな立場で検討しているということにつきましては事実でございます。ただ、どういうことをやっているかということにつきましてこの席で御答弁することは、差し控えさせていただきたいというふうに思います。
  180. 水田稔

    水田分科員 個別の内容について私は言っているのじゃないので、現実に五十六年、七年、八年は調査をしていないということは一体当たり前なのですか。あるいはまた、警察本部が押さえた、普通なら押さえられぬ、なかなか帳簿を出さぬ、しかしこの暴力事件で逮捕して、そのときに家宅捜索して押さえた資料は税務署へ全部、申し出があれば見せますよと言っているのに、私どもの行ったときには税務署からそういう申し出はなかった。そういうことまで答えられぬわけですか。答えられるでしょう。それは本来やるべきでしょう。いかがなんですか。  もう一つ言います。あるいは県が協議機関を持って協議しながらやろうじゃないか、こう言っているのに対して乗ってこない。それは税務署の国税の姿勢として、一体どうなのかというようなことは答えられることなのですよ。そういうことをきちっとやれば、それは暴力団に対する、暴力団の経営している企業に対する課税もきちっとできるはずなんだ。あるいは、私はこういうことも聞いたのです。署長さん、この三年間で税務署の職員が調査に行って、向こうから脅迫されたり、恐ろしいという、そういうような返事が返ってきたことがあるのですかと言ったら、全くない。調べぬのですからそれはないですよ。まさに野放しの状態にあるということを聞いておるわけですよ。個々に、あそこへ今どういう調査をやって、いつどういう課税をする、そんなことを私は聞こうと思っていない。国税の姿勢の問題を聞いておるわけです。それは答えぬというなら、委員長、答えさせてください、内容は違いますから。守秘義務の問題とは違うのだから。
  181. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 私どもとして、基本的に守秘義務の範囲として、先ほどから個別の納税者の問題につきまして調査をすることを含めて、今私どもの方でそうしているということの内容について個個に申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに申し上げておりますが、私どもとしても納税者の一般の、特に暴力団に関しましても、いろいろな資料、情報につきましては、私どもの判断で独自にいろいろ動いております。そのことは、私どもとしても十分に申し上げるわけでございますけれども、特にこの件についてどうこう、どうするんだということにつきまして、いろいろ御答弁を個別の問題につきましてすることはお許しをいただきたい。
  182. 水田稔

    水田分科員 例えば今申し上げました県との協議について応じていない、そんなことは個々の問題で守秘義務の中に入るのですか。入らぬでしょう。あるいは警察は、押さえた資料を申し出があれば見せますよ、こう言っておる。見に行かない。姿勢の問題でしょう。それから、県の事業でいわゆる真砂土で三億六千万だけでなくて、例えば佐賀農協は十億の融資をしておるわけですよ。あるいはまた、佐賀相互銀行は三億五千万の融資をしておる。これは確定的に言えませんが、そういうような事業活動をやっておる。それに対して三年間も調査をしない。具体的に私は署長に聞いたのです。あるいは事件が起きて、押さえようと思えば資料が見られるのか、警察が押さえておる資料も見に行かない。やる気がないじゃないですか。  大臣、こういうことなんです。それだけの、だれの目にも見える具体的な数字がありながら、税務署は全く何も手をつけない。今国民の中で不満があるというのは、一つは税制上の不公正に対する不満がある。もう一つは具体的な徴税に対して、目に見えるわけですから。先ほどから私は申し上げておるのですが、この八年間でこれだけになったのですよ。そして農協が十億貸し、銀行が三億五千万貸し、そして県の事業、市町村の事業、公共事業に食い込んで税金で太ってきたこの暴力団関係の企業に対して、この三年間全く課税をしていない。所得皆無で受け付けておるわけですね。そうして警察本部がいわゆる監禁事件、そういうもので逮捕してそのときに家宅捜索をやって帳簿を押さえた。だからこの資料は、税務署から申し出があれば見せてあげますよ、こう言っておるのに、それに対して一つも答えない。こういう姿勢は、国民に納税上の不平不満をさらに助長させると思うのです。そのことについて、こういう問題については、今までの取り組みが甘かったけれども、これはきちっとやりますというのが答弁で出てくるべきだと私は思うのです。大臣、これはそのことを今さっきからこうやっておるわけですから、基本的な姿勢の問題ですから、御答弁いただきたいと思います。
  183. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 ちょっとその前に……。  繰り返すようでございますが、私どもとして、暴力団の問題を決して課税上見逃しているわけではございません。本件も含めまして暴力団の問題につきましては、常に関係のところと緊密な連絡をとりながら対応しているという実態にございます。ただ、個別の問題についてどうだこうだということにつきまして御答弁をすることだけは、差し控えさせていただきたいということを申し上げているわけでございます。
  184. 水田稔

    水田分科員 僕は、個別の内容についてじゃないのです。具体的な姿勢として、例えば三年間調査もしていない。これだけの事業活動をやっておるというのはだれが見ても明らかなんです。それに対して、所得皆無で出たものを全く手をつけていないという姿勢の問題を言っておるのですよ。それは何も向こうの内容を言えと言っておるのじゃない。これは守秘義務じゃないでしょう。これは怠慢じゃないですか。あるいは警察が資料を押さえておる。のどから手が出るほど税務当局にとっては欲しい資料を見せてあげます、こう言っておるのです。見に行っていない。県が課税で困るから、協議体をつくって一緒にやりましょう、こう言ったら、しましょうとは言っても出てこぬ。その姿勢はまともなんですか。国税庁、私はそのことを聞いているのですから、個別の問題が答弁できぬというのは、それは答弁にならぬです。
  185. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 私どもとして調査を行っております一般的な状況を申し上げますと、平均的に会社の場合には一〇%程度の実調率を現在やっておりまして、この中で問題がある場合その他につきましては、もうちょっと手厚い調査をするということでやっております。したがいまして、私どもとしてはいろいろな情報を総合いたしまして、問題があるというふうに認めればどのような納税者であろうと調査をいたし、かつその段階で関係方面ともいろいろ御相談をしながら、協力態勢を整えてやっていくということは変わりはございません。税務の調査というのは、毎年必ずやるとか何年に一遍とか、このようにあらかじめルールが決まっているわけではございません。私どもとしては、納税者の状況については常に最大の関心を払いながらいろいろな情報を集め、調査の端緒を探しているというのが、いろいろな事案についての共通した姿勢でございます。その点をひとつ御理解いただきたいと思います。
  186. 水田稔

    水田分科員 これは時間がむだになりますので、委員長から――私は個別の内容を聞いておるのじゃない。やってきた税務署のやり方に怠慢がある。だから、これは今言われるように全部きちっとやるならやったらいい。三年間調査をしてない。だれが見てもすごい事業活動をやっておるこの企業に対して、全く調査もしないし課税も全くしてないのは事実なんです。これは何も認める、認めないじゃなしに、県議会の論議の中でちゃんと公に出ておるわけですからね。それに対して、警察が、端緒を与えます、資料を見に来られるなら見せますよ、こう言っておるわけです。それさえ見に行ってない税務署の姿勢は、それさえ守秘義務になりますか。私は許されぬと思います。それから、県も課税に困る、だから協議をしてやりましょう、こう言っておるのに協議にも実際には出てこないという税務署、国税当局の姿勢の問題を言っておるのです。それは誤りなら誤りとして、それらを正して厳密にやるならやるということを答えるのが国税の立場じゃないですか。     〔熊川主査代理退席、主査着席〕
  187. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 本件につきましては、先生からいろいろと御指摘されておられますが、私どもとしては、佐賀県警察本部を初めといたしまして、関係の方面とは十分緊密な連絡をとって対応しているつもりでございます。ただ、どういう内容についてどういうようなことを今やっているかということにつきましては、恐縮でございますが、内容にわたりますので御勘弁をいただきたいと思います。
  188. 水田稔

    水田分科員 さっきからそんなことを私は聞こうと思って言っておるのじゃないのです。税務署が今まで、これだけの事業活動をやって三年間も課税しない、所得いわゆるゼロで受け取っておる姿勢、そして、警察が押さえた資料さえ見に行こうとしない姿勢、あるいは県が協議をしようと言ってもそれに出ていかない姿勢でやれるのですか。そのことの反省と、そういう暴力団関係の企業でも、この事件を含めて全体的に厳重にやりますという姿勢でなかったら国民は納得しないですよ。そのことを申し上げておるのです。これはもう大臣答えてください。
  189. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり答えにくい問題であろうと、私も短時間でございますが問答を聞かせていただきながら感じた問題といたしましては、暴力団関係等の事犯の問題についての水田委員からの御質疑については、私どもとしては、重大な認識をいたしますというのが限界じゃないかな。といいますのは、宮地組という個別の名前のもとに展開された議論でございますから、やはり個別案件そのものに対する調査を約束するとか、あるいはどうするかとかいうとこれは限界を超すと思いますので、およそ暴力団関係企業等の課税問題についての水田委員の御指摘等については、重大な関心を持つべきであるという認識をいたしましたというのが限界かなという感じでございますね。
  190. 水田稔

    水田分科員 個別の内容についてよりむしろ私は、これまでの税務当局の対応が十分でなかったということは十分反省してもらいたいことだけ、申し上げておきたいと思うのです。  時間がありませんから次へ進みたいと思いますが、一つは、先ほどもちょっと触れましたように、大蔵省関係で言いますと佐賀相互銀行、これは社長以下今度の事件で総退陣して疑いも持たれておったわけですが、これは県が七億四千八百万円を五十九年九月の段階で預託しておるわけです。そういう銀行。そして、はっきりわかりませんが、この宮地グループなどへ大体三億五千万以上融資をしておると言われておるわけですね。ですから、こういう銀行の融資というのも暴力団の企業を太らす大きな役割を果たしてきた。こういう点では、銀行の指導監督というのをもう少し総合的な暴力団対策の中では当然考えるべきじゃないかと思いますが、どういう指導をなされたのか、伺いたいと思います。
  191. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 御指摘のとおり、佐賀相互銀行で御指摘団体について貸し出しを行っていたことは事実でございますが、それが幾らであるかとか、そういうような個別的な内容については御容赦いただくといたしまして、御指摘のとおり金融機関は社会的公共性の高い企業でございます。したがいまして、暴力事犯のような社会的に批判を受けている企業の営業を助長するような融資は自粛することが当然でございまして、そのような方向で指導してまいりたい、かように考えております。なお、本件につきましては、昨年九月末、佐賀相互銀行においても、宮地組関係者に対する融資は今後行わない旨をはっきり言明して内外に明らかにしているわけでございます。
  192. 水田稔

    水田分科員 同じようなことで、農水省おいでになっていますか、佐賀農協が十億円、全体の融資残が百十六億円に対して十億ですから約一割というのが暴力団関係に流れておる、この点について、どういうぐあいに調査され、指導されるのか、お伺いしたいと思います。
  193. 阪田彰夫

    ○阪田説明員 お答えいたします。  御指摘の件は、佐賀市農業協同組合の貸し付けの件と思います。確かに、宮地忠美外関係者に貸し付けを行っているという実績があるというふうには聞いております。ただ私どもとしましては、農業協同組合の貸し付けでございますので、しかるべき農協の資金の債権の確保、あるいは適切な資金の貸し付けという基本線に立ちまして指導いたしてまいりたいと思っております。本件につきましては、いわゆる社会的批判のある団体あるいは個人につきまして融資を自粛すべきであるという見地から指導いたしております。また県庁も、そういう線で指導いたしております。今後とも、県庁を通じまして適切に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
  194. 水田稔

    水田分科員 農水省、ちょっと甘いと思うんですがね。この企業というのは、銀行から莫大な金を借り、農協からも借りて、そして太らしていった。そうして、公共事業の仕事で赤字決算ばかり出しているような形で税務署をごまかしてきているわけです。債権の確保も、百十六億に対する十億で、大変な額です。債権確保ができない可能性があるわけです。それに対しての今の答弁では、ちょっと指導のあり方が甘過ぎるのじゃないかと思います。もう一遍お答えいただきたいと思います。
  195. 阪田彰夫

    ○阪田説明員 御指摘のように、佐賀市農協は現在貯金が二百九十三億円でございまして、貸付金が全体で百十億円になっております。私ども、個個の貸し付けについてここで明らかに申し上げるわけにはいきませんが、県庁を通じて調査をいたしましたところ、しかるべき担保あるいは保証人があるわけでございまして、社会的批判を招いておるという点も考慮いたしまして、極力農協資金の債権の確保には努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
  196. 水田稔

    水田分科員 今後貸すのですか。暴力団関係企業に貸すのですか。
  197. 阪田彰夫

    ○阪田説明員 さらに追加融資の希望があることは、私ども伺っておりません。ただ、いわゆる社会的批判があるという団体あるいは個人でございますので、当然、追加融資その他の話があれば厳重な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  198. 水田稔

    水田分科員 それではもう時間がありませんから……。警察庁おいでになっていますか。  この宮地組の問題については、私は、昭和五十二年だったと思うのですが、川上川、嘉瀬川の水質汚濁の問題で、山肌をはいで川を汚すという事件がありまして調査に参りました。これはその当時、採石法、森林法、河川法、あるいは不動産侵奪などで、私帰りましてから四名逮捕されたのですが、一名だけが処分されてあとは全部処分保留になったという事件があったわけです。そのときは、まだ非常に小さい福光物産一つだったのですが、それがこの八年間に十三もの系列企業を持ち、さっきから申し上げるように、ヘリコプターを三機持つような、そういうような暴力団に大きく成長したわけですね。ですから私は、そのときの取り締まり、若干甘かったのじゃなかったかなという感じがします。そして、先ほど来ずっと申し上げていますように、一つは公共事業で県民の税金なり市町村民の税金が暴力団の資金源に渡る、そういうことが起こった。もう一つは銀行、農協が莫大な金を貸している。そして、税務署は税金の点では全く事実上手をつけていないというような状態の中で太らしたわけですね。ですから、これらを取り締まる場合、もちろん警察は今度の場合大変努力いただいておるわけでありますけれども、やはり総合的な、そういう横の連携を十分とりながらやらない限り、警察だけが幾ら逆立ちしたところで資金源はどんどん金が入る、あるいは県民の税金で暴力団が太っていくようなことがまかり通るわけですね。こういう点について、今警察としてはこの事件についてどういうぐあいに対処されておるのか。また、私が申し上げたようなそういう体制ができなければ、本当の意味での――これは全国的には今山口組、一和会の問題が出ていますけれども、暴力団が佐賀で大きくなっていく典型的なモデルのような感じがするわけですね。ですから、そういうことではひとつモデルケースとしてもきちっとした対処をしていただきたい、こういうぐあいに思うのですが、いかがでしょうか。
  199. 横尾敏夫

    ○横尾説明員 まず第一点の御指摘でございます。五十三年に一度宮地組の手入れを行ったけれども、そのときもっとやればよかったのじゃないか、こういうような御指摘かと思います。その点につきましては、五十三年の宮地組の取り締まりにつきまして、五十三年の十一月に採石法違反で四名を逮捕いたしました。引き続き強力な取り締まりを推進した結果、翌五十四年の一月に採石法の第二次検挙に着手いたしまして十一名を検挙したほか、さらに継続した取り締まりによりまして恐喝その他の罪名で九名を検挙しております。したがいまして、一連の取り締まりによりまして二十四名を検挙したわけでございます。そのようなことで、当時警察としては、宮地組の取り締まりに全力を尽くしているということで御理解を賜りたいと思います。  暴力団一般の取り締まりにつきましては、今後とも全警察力を挙げましてやっていきたいと思います。警察は暴力団の根絶を期しまして、首領、幹部を含む構成員の大量検挙、それから資金源の封圧、けん銃等武器の摘発の三本柱を基本に、強力な取り締まりを展開しているところでございます。この結果、暴力団の勢力は、昭和三十八年の十八万五千人から現在十万人を割るところまで縮小しておりますし、去年は千七百丁を超えるけん銃を押収する成果をおさめております。しかしながら、先生御指摘のように、警察だけではどうにも暴力団を壊滅するというわけにもいきませんので、暴力団の存在する社会的基盤を排除するということが不可欠の条件でございます。このために警察は、国、都道府県それから市町村等の行政機関や地域住民などと緊密な連携のもとに、暴力団排除活動を活発に展開しているところでございます。  佐賀県におきましても、県議会に働きかけて暴力団排除決議の採択、知事部局と協力して行政面での宮地グループの排除等、各種の施策を講じておりますし、今後とも強力にやっていきたいと思います。
  200. 水田稔

    水田分科員 時間がもう終わりましたから多くを申し上げませんが、ヘリコプターで逃げた組長、いまだに逮捕されていないということがあります。ですから、今御答弁ありましたように、これはきょう自治省はおいでになっていませんけれども大蔵省も含めて全体がとにかく対応しなければどうにもならぬということを特に最後に申し上げまして、終わりにしたいと思います。
  201. 相沢英之

    相沢主査 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時四分開議
  202. 相沢英之

    相沢主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  大蔵省所管について質疑を続行いたします。伊藤英成君。
  203. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 自動車の賠償責任保険についてお伺いをいたします。  まず最初に大蔵大臣にお伺いしたいのですが、私の非常に素朴な疑問なのですけれども、今回の大臣の認可ということについてちょっとお伺いしたいのです。  今回のこの自賠責の問題では、運輸省所管の自賠責特別会計に計上されているわけでして、今回の認可の内容は料率の引き上げの問題、さらには保険金の限度額のアップの問題等含まれているわけでありますけれども、そういうふうに考えますと、予算審議を終えてから正式に認可される方が妥当なのじゃないだろうか。要するに、予算審議が始まろうとする前に認可をするというのはむしろ逆なのじゃないのかなという気がするのですが、どうでしょうか。
  204. 加茂文治

    ○加茂政府委員 お答えいたします。  自賠責保険保険料率を認可するに当たりましては、自賠法で規定されております手続は、自賠責保険審議会に対する諮問と運輸大臣の同意でございます。今回の保険料率の変更も、自賠法の規定に従いまして、昨年十二月十九日の審議会の答申を受け、運輸大臣の同意を得た後、一月二十二日自動車保険料率算定会に対し認可を行ったものでございまして、手続上の問題はないと考えております。
  205. 竹下登

    竹下国務大臣 手続上の問題は今御説明申し上げたわけでありますが、去年の十二月十九日にこの答申を受けました。諮問のときも私が出かけました。そして、それを受けて一月二十二日に認可した。限度額改定のための自賠法施行令等を改正する政令も、一月二十二日に公布されたわけであります。料率限度額の改定は四月十五日から実施すべきとの答申が出ておりますが、新しい保険料、それから限度額の具体的内容を、今度は関係者に周知させて、改定に伴う混乱を避けて、それで、新体系の円滑な移行を図るためにはできるだけ早く認可等の手続を済ましておく必要があるという考え方に立ったわけでございます。  そこで、理屈になりますが、保険料率の変更は、法律の規定に基づいて審議会の議を得て大蔵大臣が認可するということになっておりますので、可能な限り円滑な移行を図るためには、むしろ今、――私は専門家じゃないから、伊藤さんは専門家で私は非専門家ですからきょうはちょっと困ったなと思いながら、予算というものがある限りにおいては、それの幾らかでも土台となる各種審議会は事前に全部行いまして、それに基づいて、法律であるならば、予算案とともに、若干おくれますけれども予算関係法案なら大体二月の第三金曜日ですか、そういうような形で国会審議に出していく。だから、そういう意味においては事前に政令等が整備されるのがむしろ手続上は妥当かな、私はこんな感じでございます。
  206. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 今の件は、現在の形式上の認可だけの手続、今決まっている手続からすればいいのかもしれない。ただし、基本的にはこの予算が通ったならばという条件つきじゃないかなと私は思うのです。しかも、非常に急いで認可をする必要がある場合にはそういうこともいいのかもしれない。ところが、今回のこの自賠責の問題について言えば、現実に、例えばリトンベーシスでいきますと、お金は一兆円近く余っているという状況もありますし、それこそ運用益をばさっと累積赤字に持っていけばそれでも余りがあるというくらいの状況であります。  そういうふうに考えると、要するに予算に関連する問題についてそんなに急いでその前に認可してしまう必要があるんだろうかという意味なんですがね。できるだけみんながわかりやすく、できるだけ意のあるような形のものにしようとしたときには、むしろその後に認可をしてもいいのではないだろうかということですが、御意見があればお願いいたします。
  207. 加茂文治

    ○加茂政府委員 今回の改定はたまたま予算審議の時期に前後して行われる結果になったわけでございますが、過去の改定のタイミングは種々でございまして、過去においては、予算の問題と関係なく答申を受けて、大蔵大臣が認可を行っておるわけでございます。そういうことで、今回はたまたま予算の時期にぶつかったということでございます。
  208. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 大蔵大臣、御意見ございませんか。ある意味からすれば、特に今日の前に予算審議をしようとしている、予算に関連する問題、しかもそれが、そんなに急ぐ必要がないということであるならば……。
  209. 福島義章

    ○福島説明員 お答えいたします。  予算審議の前に認可する必要性につきましては、先ほど大蔵大臣から答弁があったとおりでございます。また、手続的な面におきましては特段の問題がないというふうに私ども考えております。  ただ、先生御指摘のように、今回の料率改定によります増収というものは自賠特会の予算の中に一応織り込んでございます。これは料率改定が四月十五日からなされるという答申が既に十二月十九日の段階で出されておりましたので、私どもとしては、予算編成するに当たりまして、そういう増収分というものを見込んでやったということでございます。  なお、自賠特会の増収分につきましては、保険収入の再保険部分ということでございまして、六割部分でございまして、保険収入が上がるということの反射的な結果といたしまして、自賠特会にも再保険収入の増収というのを見込まざるを得なかったという事情でございますので、何とぞ御理解を賜りたいと思います。
  210. 竹下登

    竹下国務大臣 ちょっと素人でございまして……。認可が行われ、そうして政令等が公布されていないままで予算審議をお願いいたしますと、基礎的データ、基礎的背景が整っていない、だからそれが出るまでは予算審議はしない、こういう論理も成り立つわけであります、これが法改正のときなどであったならば。したがって、予算関係法案というのは、そうは言ってもすぐはできぬから、いつも予算審議が始まる二月の、ことしは何日でしたか、第三金曜日とか第四火曜日とか何かに最終日を設定しまして、それでなおそのときまでに部内がまとまらなくて法律ができなかったり、それに基づく政令、基礎となるべき政令ができなかった場合は、予算委員会に頼みまして参議院の段階まで待ってくれとかというような例も今までございますから、やはり予算書に、自賠責特会に関係があるものでありますならば、その前に認可し手続を終えておくというのが自然ではないかな、私の体験ではこんな感じです。  法律の専門家ではございませんので、いささか心配しながら答弁をしておりますけれども……。
  211. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 私の感じでは、予算を組むときにそれなりのものが必要だからそれを前提にして組むということはあると思うのですが、こういう場合には予算が修正される可能性もあるわけですね。今回の場合ですと減額される可能性もある。可能性としてはあるわけですね。そうしたときにどういうふうになるのだろうかということもありますし、最初に申し上げたように、本当に急いで認可をしなければ後の事務処理上ないしはその制度の運営上支障を来すという場合には許されるかもしれませんけれども、今回のような場合に、しかもそれなりにいろいろな議論があった中で来ているわけですから、そんなに急いで決めなくていい。言うならば、予算がそのまま通ったらという条件つきで認可をするよというくらいのものになっていいのではないかということがそもそもの私の素朴な疑問なんですよということです。
  212. 竹下登

    竹下国務大臣 予算書に反射的に影響が出てくるものについては、それの説明になる資料は全部そろえて出すというのが建前ではないかな。修正の場合がございますよね、実質修正あるいは形式修正、なかんずく実質修正の場合だったら、並行審議法律――その場合法律だったとしますならば、法律の一部修正をやれば済むことでありましょう。形式修正をする場合だったら、法律政府が撤回して、修正して再提出するということになるのでございましょう。だから、理論的に予算案に修正等があった場合に対する対応の仕方としては、それは後からでも対応の仕方はあり得ると思います。しかし建前としては、伊藤さんの言っていらっしゃる意味、私も感覚的には理解しますが、予算の場合、平素我々窮屈に言われつけておりますから、反射的であれ予算に関連するものはすべて事前にそろえるというのがオーソドックスな考えかな、それは私がそう思っているだけでございますが……。
  213. 加茂文治

    ○加茂政府委員 ただいまの大臣のお答えを若干補足させていただきますと、今回認可をいたしましたのは、要するに元受けの保険料でございます。これについては法律上も大臣の認可ということになっておるわけでございます。特会予算は、そういう元受け保険料を認可した結果、反射的に再保険料に反映されていく、こういうことであろうと思います。
  214. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 先ほど大臣からも、私の気持ちはわかるというお話がございましたけれども、それは素直な気持ちだと思うのですね。例えば大蔵大臣の認可事項だよと決まっていることも、それなりの意味があるからそういうふうにさせている。もしもそれが意味を十分に発揮させるのに不十分であるならば、その認可の仕方について変えた方がいいかもしれないということを考えるから、私は質問をさせていただいたわけであります。私もまた勉強はさせていただきますけれども、申し上げた趣旨は、大臣も言われるとおり御理解をしてくださっておるようですから、今後ぜひよろしくお願いします。  次に、診療報酬基準の策定について質問をいたします。  去年十二月の自賠責審議会において、医療費支払いの適正化のためにということで、診療報酬基準の策定をすべきであるということが答申をされました。この問題は昭和四十四年の答申の中でも出ております。あるいは四十八年の答申の中にも出ておりました。ところが、実際には実行されずに今日に至っていると私は理解をしております。それで今回、この答申を受けて、どのような方法で、いつまでに策定をするのか、お伺いいたします。
  215. 加茂文治

    ○加茂政府委員 診療報酬基準案は、損害保険業界が、日本医師会の協力を得つつ、医療費統計等を参考に作成していくことになっております。  時期につきましては、日本医師会の協力が必要不可欠な事項でございますので、具体的にいつまでとお答えすることは極めて難しいということを御理解いただきたいと思っております。また、この問題については国も側面から全面的な協力を行い、できる限り早期に実施できるよう最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  216. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 最大限の努力は払っていただきますけれども、いつまでにやりたいとかそういう目標もなくてやられているとすれば、本当にいつまでにできるかなと非常に不安になります。そういう意味で、大体自分たちとしてはいつまでにやりたいというふうに考えているわけですか。
  217. 加茂文治

    ○加茂政府委員 日本医師会との協議を必要とするわけでございますので確約はできませんが、六十年度中を目途に最大限の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  218. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 では、そのときの診療単価についてお伺いしたいのですが、現在は自由診療単価が平均して二・一八と非常に高くなっております。今考えられている、その策定されようとする診療単価の基準というのはどの程度に考えられているのか、それは健保並みと考えていいでしょうか、お伺いします。
  219. 加茂文治

    ○加茂政府委員 診療単価の基準につきましては、診療報酬基準案が、医療費統計等をもとに個別の診療行為ごとに技術料等を加味しながら積み上げていく、それを日本医師会と協議して決定していくということでございますので、現時点で診療単価の基準がどの程度になるかということをお答えすることは、極めて難しいということを御理解いただきたいと思っております。  この交通事故の医療につきましては、従来から言われておりますけれども、緊急性を要すること、あるいは診療時間も無限定であるということから、通常の健保の診療報酬よりも高いコストがかかるというのが従来からの医療機関側の主張でございますので、一律に健保並みの基準を適用することは必ずしも現実的ではないというふうに考えております。
  220. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 ところが、昭和四十三年だったと思いますけれども、厚生省が通達を出しておりまして、それによれば、自動車も一般の保険事故と何ら変わることがないということ、だからしかるべくやってくださいというふうに通達を出しているわけです。そういう意味では、厚生省も健保並みで処理されてしかるべきものだというふうに思いますが、いかがですか。
  221. 加茂文治

    ○加茂政府委員 確かにどちらを選択してもいいということでございますが、先ほど申しましたように、交通医療の特殊性ということで医師会側が強い反発を示しているということもございまして、現在、自由診療が八六%であるというような状況でございます。  しかしながら、そういう自由診療であるという建前はそのとおりでございますが、基準というようなものが必要であるというような空気が、最近、こういう世論等の問題もございまして、できてきつつあるわけでございますので、そういう観点から今回、医師会と協議しながらそういう診療報酬基準をつくってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  222. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 ひとつ積極的に進めていただきたいですが、ちょっと提案並びにそれについての意見を聞きたいのですけれども。  一たん基準を作成いたします。そして、それについてのより適正なものをつくっていくというフォローのためにも、あるいは基準そのものをつくるためにもという意味で、交通事故専門の総合病院というか、あるいは交通事故について十分に研究ができるような機能をも備えた総合病院、そういうものをつくったらどうなんだろうか。私がかつて聞いたところによりますと、例えば損保会社とか協会かもしれませんが、そういうところで病院をつくりたい、あるいはつくったらどうかというような話を聞いたことがございますけれども、もしもそうだったら、そういうところでぜひ進めたらどうか、こういうふうに思うのです。要するに交通事故を専門とするような総合病院という構想についてはどういうふうに考えるのだろうかということ。  それからもう一点。今度、診療単価を健保並みで設定をして、それを超える金額についてはいわゆる任意保険の方で支払うというようなやり方も考えられるのではないかと思いますが、いかがですか。
  223. 加茂文治

    ○加茂政府委員 御指摘のように、診療報酬基準案を作成するための方策として、そういうような交通事故専門の総合病院をつくるという考え方もあろうかと思いますが、病院設立のための費用をどうするかということなどいろいろ難しい問題があるわけでございます。いずれにいたしましても、医療費に関する統計を充実させているところでございまして、医療費統計を参考にしながら、医師会の協力を得て、診療報酬基準案の作成に向けて努力をしたいと思っております。  そこで、診療単価を健保並みにするということでございますが、仮に健保並みの診療単価として、診療単価を超える部分については一律に自賠責保険からの支払いを拒否するということになりますと、被害者保護の観点から異論があるということであろうかと思います。  いずれにしましても、先ほど申しましたような形で診療報酬基準案を作成し、そして、この診療報酬基準案が将来全国的に定着をした段階で、この算定診療報酬基準の制度化を図っていくということになれば、先生のおっしゃるような趣旨になっていく、このように考えておるわけでございます。
  224. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 さっき私が、診療単価を健保並みにしてそれを超える分について任意保険でと、こう言ったんですね。それは、先ほど言われた被害者を守る云々という意味においては、それはそういうふうにすればできると私は思うのです。だから、それは一つの方法としてはあり得るのではないか。そういうことをすれば実態もよくわかるでしょうし、その改善のためにもこういうことは役立ってくる。要するにシステムとして、そういうよりいいものをつくり上げていくものがビルトインされると私は思うのですね。こういうことをやった場合にはどうかという意味でお伺いしたんですけれどもね。  ちょっと大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、この診療基準の問題については、先ほど申し上げたとおりに、今まで四十四年のときの答申もあるいは四十八年の答申もということで、しかも四十四年のときには、まず暫定的にはどういうことをやったらいいか、あるいは将来の問題としてはこういうふうにやったらどうかというようなことまで、事細かに書いて答申がされてきたりしております。そうして今日まで至っているわけです。だから、よほどの心構えで取り組まなければなかなかできないだろうと私は思うのです。簡単にできるんだったら今までやっていたはずだ。にもかかわらず今日に至っているわけなんで、そうした強い決意でやらなければいかぬ、こういうふうに思うのですが、大蔵大臣の決意をお伺いいたします。
  225. 竹下登

    竹下国務大臣 今おっしゃいました問題につきましては、これはいわゆる日本医師会の御協力をいただくという問題が前提一つございますが、私どもは今度、この審議会の議論を聞いておりましても、よほど強い、強い姿勢という表現が適切でありますか、真剣に対応をしていかなければ日にちのたつのが早くなってしまうじゃないかという印象は持っておりますから、御趣旨を体して対応していくべきものだと思っております。
  226. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 ぜひ、決意もより新たにして強力に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。  次に、運用益についてお伺いいたします。  答申によれば、運用益は収支の改善に充当をする、こういうふうになっておりますけれども、今回この運用益を会計年度ベースでどのように充当をしていくのか、明確に示してください。
  227. 加茂文治

    ○加茂政府委員 今回の自賠責保険料率の改定に当たりましては、料率引き上げ幅の圧縮を図る一つの方法としまして、五十九年度末に予定されております累積運用益の全額、約六千五百七十億円を活用することとしております。この累積運用益の活用は、六十契約年度から六十四契約年度までの五年間にわたる契約年度保険収支の改善のために行うこととしております。この累積運用益の保険収支の改善のための充当は、自賠責保険の収支が累積で赤字に転落する五十七契約年度の収支が確定いたします六十一年度から、六十四契約年度の収支の確定する六十八年度までにわたって必要になると見込まれております。
  228. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 私は、従来からの審議会での論議の内容等からしても、今回の処理はややおかしいのではないかな、わかりにくいやり方をしているなと思う。それは、基本的には、五十九年度までの累積赤字四千七百六十億円を消すためにまず運用益六千五百七十億円を充当すればいいではないか。実は、四千七百六十億円ですから、六千五百七十億円との差額分はまだ運用益としては余分がある状況にございます。それと料率の引き上げでもって、これからこの制度を正常な形で運営をしていくために使うというふうにするのが本来であろうと思うのです。なぜ今回こういう形でしたのであろうか。  そして、さらにお伺いいたしますけれども、今回の料率の引き上げに当たっては、六十四契約年度までの損害率に現在の一三七%というのをそのままずっと使っているわけですね。これは六十四契約年度、実際には六十八年ぐらいまでということになるのでしょうか、そのくらいを一三七%の損害率がそのまま維持するというふうに推定の前提として置いておる。これも非常にわかりにくい。なぜそういうふうに前提を置くのだろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  229. 加茂文治

    ○加茂政府委員 五十九年度末予定の累積の運用益六千五百七十億円、これの全額を五年間で活用いたしますと二〇・五%の料率引き下げ効果がございます。これを先生おっしゃいましたように累積赤字償却のための料率引き上げ率約九・八%に充当いたしまして、残りの約一〇・七%を、六十契約年度収支改善のための引き上げ率三七%、それから限度額引き上げによります引き上げ率七・六%、それから限度額引き上げによる経過措置のための引き上げ率一・三%の合計約四五・九%に充当をいたしますと、約四五・九%から約一〇・七%を差し引いた三五・一%、これが今回の自賠責保険の純保険料の引き上げ率になるわけでございます。この五十九契約年度末の累積の赤字額は実は四千七百六十億円ございますが、本来ならば、先生御指摘のように、累積運用益の活用と同様に五年間で全額償却すべきものと考えておりますが、これを七年五カ月程度で償却するという計算で料率への影響を約九・八%にとどめておるわけでございます。  今回の料率の改定に当たりましては、料率検証の結果、六十契約年度の損害率を一三七%と予測し、さらに保険金額の引き上げ、累積運用益の活用及び、先ほどから申しております過去の累積赤字の解消等を勘案いたしまして料率を決定されたところでございます。損害率につきましては六十契約年度の予測値一三七%を用いておりますが、その後におきます交通安全対策の強化、医療費適正化対策等の収支改善の努力によりまして、保険事故率等の低下がもたらされるものと予想しております。他方、六十一契約年度以降、賃金、物価等の上昇による支払い単価の上昇が予想されるところでありまして、そのための財源手当が必要とされるところでありますが、今申し上げましたような保険事故率等の低下を勘案して、この財源手当を行わないこととし、また過去の累積赤字の解消も、累積運用益の活用よりも緩やかな速度で、より長期にわたって行うというふうにしております。  料率の改定幅につきましては、以上のようないろいろな要素を総合勘案した上決定されるところでございまして、六十一契約年度以降の損害率についての予測を行っているわけではございません。
  230. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 先ほど申し上げたように、私は、運用益というのは現在の累積赤字の償却にまずばさっと当てて、そして、その残った分及びこれからの料率の引き上げでもって、今後の収支の状況に対応をすればいい。それはできると思うのですね、本来そうすべき話でしょう。今までの論議を踏まえた対処の仕方というのはそういうことだろう、こう思うのです。  今、部長が言われた中で、診療単価の基準の策定だとかあるいは交通事故の防止策というのは、さっき大蔵大臣も言われましたけれども、これから本当に真剣になって強力な決意で取り組んでいくわけでしょう。そういうふうにしたときには収支の改善というのは私はかなり大きなものがあるだろう、こう思うのです。もしも収支改善が非常に図られた場合には、料率の引き下げはするのでしょうね。  もう一つは、さっき運用益の充当云々と言いましたけれども、運用益の充当の仕方を減額することはないのですねということをお願いいたします。  それからもう一つ、時間がちょっとなくなってしまいましたのでもう一つだけ追加して質問をいたしますけれども、今回、死亡保険金の限度額を上げました。現在の死亡保険金の支払い実績は、任意保険の分について言うと六百数十万円だったと思います。そしてそれが、今回五百万円引き上げたといたしますと、それに伴って任意保険は大幅な引き下げができるはずである、大幅な引き下げをすべきであろう、こういうふうに思いますが、その引き下げの時期並びに程度をどういうふうに考えているかをお伺いいたします。
  231. 加茂文治

    ○加茂政府委員 まず第一点でございますが、事故防止対策あるいは医療費の適正化対策等によって収支が改善されることを期待しているわけでございますが、そういう観点から、先ほど申しましたように、累積運用益の活用について行っていく場合に累積赤字の償却を延ばしてやっておると申し上げたわけでございますが、さらにもう少しつけ加えますと、六十契約年度の損害率一三七%を予測する際に、事故率の見通しにつきましては、低下傾向にありますところの死亡事故率はその傾向値をとって低下すると見込む一方で、上昇傾向にあります後遺障害及び傷害の事故率は傾向値をとって上昇するという見方もございますが、傾向値は採用せずに横ばいに推移するというかための予測を行っているわけでございます。それは、今申し上げましたようなそういう事故防止対策等への期待を含めておるわけでございます。  そこで……(伊藤(英)分科員「今の質問は、下がったら、改善されたらやるんですね、ということです」と呼ぶ)それで、いずれにしましても、先ほど申しましたような考え方によって料率の改定をいたしたわけでございますが、毎年度の自賠責審議会を、従来はこの自賠責審議会につきましては料率を改定する、あるいは限度額を改定するときにのみ開いておったわけでございますが、今後は毎年審議会を定期的に開催していくということで、この審議会におきまして、毎年度の収支検証結果について報告をし、審議をしていただくと いうことを考えておるわけでございます。(伊藤(英)分科員「それは引き下げもするんですね」と呼ぶ)その審議会でそういう御議論をいただくということでございます。  それから任意との関係でございますが、この自賠責保険保険金限度額を引き上げれば任意保険からの支払いは減少することになるわけでございますが、他方では、自賠責保険保険金限度額の引き上げにより賠償水準が全体的に引き上げられること、それから自賠と任意では過失相殺の適用が異なるということ等も考慮する必要がございます。  確かに御指摘のとおり、死亡保険金については自賠の限度額を引き上げたわけでございますから、その効果は任意の対人賠償自動車保険に及ぶわけでございますが、この任意の対人賠償自動車保険の総支払い保険金額に占める死亡保険金額の割合は、五十八年度において一〇%程度でございます。また、二〇%弱を占めます後遺障害についても自賠の限度額を引き上げたわけでございますが、現在急増しております下位等級にある後遺障害につきましては、据え置きまたは引き上げ率を抑えております。それから、この任意の対人賠償保険金の七〇%強を超える傷害保険金については限度額引き上げは行っておりません。  このようなことから、任意保険への影響はさほど大きなものではないと考えておりますが、いずれにいたしましても、自動車保険の収支につきましては現在自算会において検証中でございまして、制度の改善等多面にわたる検討を行っておりまして、対人賠償保険の料率を引き下げるかどうかということにつきましては、この検証の結果を見て判断することにしたいと考えております。
  232. 福島義章

    ○福島説明員 先ほどお尋ねの中で二点ほどお答えさせていただきたいと思います。  一つは、累積運用益の活用につきましてもう一度補足をいたしておきますと、今回の答申で六十契約年度から六十四契約年度までの五年間にわたって活用するといたしました趣旨は、この制度が三十年にできまして、いわゆる三十年間にわたって累積してきた運用益でございますので、ある特定の年度だけで消費してしまうといったような使い方ではなくて、ある程度中長期的な活用という方が望ましいのではないか。例えば六十年度だけに投入いたしました場合には、その年度保険料を納めます方につきましては非常にその保険料が安くて済むということになるわけでございますが、例えばその前の年度あるいは三年くらい前の年度に納められた方は、新車の保険期間、車検期間が三年でございますので、三年間くらいは次の保険料を納める時期が回ってこないということもございます。そういう関係で、五年程度の契約年度で活用するという形にしたわけでございます。  それから、もう一点申し上げておきますと、将来、収支が仮に今回想定いたしましたよりも好転した場合に、累積運用益の活用を減額することはないのかという御質問があったかと思いますが、これにつきましては、そういう収支予測につきましては、先ほど来保険部長から答弁いたしておりますように、非常にかためといいますか、かなり努力を要するような形で見込まれておるわけでございますが、もし仮にその予想に反しまして収支が好転するといったような形になりました場合に、その累積運用益の収支改善への充当に残が出てくるという問題があろうかと思います。そういう場合に、そういうものの累積運用益をどうするかという問題につきましては、具体的にはその時点において考えてまいりたいというふうに考えております。  いずれにしましても、こういう累積運用益は保険契約者の利益のために活用すべきものだというふうに考えておりますので、そういう方向で、その段階で自賠責審議会の意見等をお聞きしながら検討してまいりたいというふうに思っております。
  233. 相沢英之

    相沢主査 伊藤君、時間が来ました。
  234. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 ちょっと福島課長のお話ですけれども、その累積運用益を累積の赤字償却に使うということは、一時点で過去のものについて埋めるということにならない、長い間にわたってたまってきた運用益で、それこそ長い間に累積されてきた赤字を埋めるということであるわけですね。したがって、その累積赤字の償却のために運用益をばさっと使うということは何ら問題にならないし、それが本来の筋だろうという気がいたします。  それからもう一つ、後に言われたことについては、今回の答申書の趣旨は、累積運用益六千五百六十八億円を全額このために使うというふうに、答申書にははっきりと全額という文字も入っております。だから、たとえ一時期に累積赤字四千七百六十億円を償却するために全部使わないとしても、これからのあれに全額使いなさい、この間に使いなさいということが趣旨だと私は思うのです。だから、そういうふうにして余っているなら、むしろ料率の引き下げをするということが趣旨ではないか。今はこの制度ならこの制度について、必要なものはちゃんとそれが適切に運営されるということを図らなければいけない、ユーザーも必要なものはちゃんと払いましょう、だけれども、その制度というのは本当にみんなが理解できるように、より適正な方向に運営をされるということにぜひしていただきたいということを申し添えて、質問を終わります。もし御意見がありましたら、それぞれ一言だけ言っていただいて終わります。
  235. 相沢英之

    相沢主査 福島自動車保障課長。簡潔にお願いします。
  236. 福島義章

    ○福島説明員 累積運用益を累積赤字の償却に仮に活用するといたしますと、四千八百億ほどの累積赤字が五十九年度末で生じるという形になっております。そういたしますと、六十年度にさらに二千億強の赤字が生じる形になっておりますので、結果的には六十年度だけで使い切ってしまうという形になってくるわけでございます。したがいまして、五十九年度までに確かにその累積赤字に活用するといたしました場合には、それまでに保険料を納めた人に対しても還元したことになろうとは思いますけれども、五十九年度末までに既に保険料を納めている人に対して追徴して保険料を取るということはいたしませんものですから、最終的には、六十年度保険料を納める方にだけ還元された形になるのではないかということで、六十契約年度から五カ年程度にわたって活用するのが適当ではないかというふうに申し上げたわけでございます。
  237. 伊藤英成

    伊藤(英)分科員 どうもありがとうございました。
  238. 相沢英之

    相沢主査 これにて伊藤英成君の質疑は終了いたしました。  次に、五十嵐広三君。
  239. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 大臣、お疲れだと思いますけれども、しばらくおつき合いいただきたいというふうに思います。  この間、かなり有力な月刊経済誌で、どうも六十年度予算というのは党主導だというようなことが随分言われていたけれども、しかし、でき上がったものを見る限りやはり竹下予算であったというようなことを述べていて、党側は思い切り暴れたようだけれども、しょせんお釈迦様の手のひらで暴れた結果ではなかったかというふうに評していたのであります。どうも野党側から見ましても、野党も含めて多少そんな感があったのではないかという反省さえも出るわけであります。しかし、どうにか野党の足並みをそろえて実質修正をから得ることになったわけでありますが、そこで、その御了解をいただいた実質修正の一、二について御質問申し上げておきたいと思います。  単身者赴任の減税の問題でありますが、たしか、野党側のそういう要求が出たという時点で、大臣が、記者会見であったのではないかと思いますが、それなら出稼ぎ農民なんかは一体どうするんだというようなお話がございました。正直言って、私なんかもあれを見て、確かにそうだなという感じもしたわけなのであります。  そこで、大臣にお願いしたいのですが、私なんかも北海道ですね。出稼ぎの方々が大変です。これも二月二日の新聞の記事なんですが、北海道の美唄ですが、一家五人が焼死した。小さな子供たちを救おうというので、おばあちゃんあるいはお母さんが入って、これも一緒に亡くなられて、一家皆が焼け死んだのでありますが、その御主人は栃木県へ出稼ぎ中であった。帰ってこられて泣き叫んでおられるのをテレビでも見ましたけれども、そういうことは確かに随分多いわけであります。  単身赴任についてお声をいただいたわけでありますから、大臣のおっしゃるように、出稼ぎ農民等についてもこの際いろいろ考えてみる、検討してみるというようなお気持ちはございませんか。
  240. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる政策減税の問題でございます。実際問題として、単身赴任という問題について去年からいろいろ議論がございまして、税制調査会等にも国会の議論を正確に報告していろいろ議論していただきました。そのときにもやはり出ました議論が出稼ぎ問題、それからもう一つ、五十嵐さん北海道でございますが、寒冷地手当でございますね。これも手当でございますから税の対象になっておる。そうすると、最終的にはいわゆる雇用問題じゃないか、こういう議論に終始しまして、個別の事情をしんしゃくして税制上の措置をとることは、税をいたずらに煩雑にし、また基準を決めることが実際問題難しい、こんな答申になってしまったわけでございます。したがって、雇用問題としてもう一遍掘り下げねばいかぬぞよという気持ちになって、おいおい相談もしておりますが、出稼ぎ問題ということになりますと、私も出稼ぎ地帯でございますけれども、あれも、六カ月間の雇用契約にして、また帰ったら、ちゃんとその期間を終了いたしました後、雇用保険の受給者となりながら田んぼに入っている場合もあり得る。いろいろな雇用体系の中でいろいろな苦心が払われております。そういうことでございますので、税問題としてとらえるよりも、出稼ぎ問題というのはやはり雇用問題としてまず詰めてみなければいかぬなと、正直に今日の心境を申し上げただけでございます。  ただ、今度の幹事長から御返答申し上げましたことにつきましては、これから政調、政審の各党の権威者がお集まりになって議論されていきますので、その際に、政府が余り差し出がましく、これも一緒にちょっと議論してくださいませんかと言うことはいかがなものかな。当分はその御議論の推移を見守っていよう。ただ、雇用問題として限定するわけじゃ決してございませんが、私の念頭にもその問題は依然として存在しております。
  241. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 合わせて一遍にと言ったって、なかなかそういうものではないというふうには私どもも思いますので、ぜひひとつ引き続き、お話しのように出稼ぎ等についての御配慮というものも、いろいろな面でお忘れのないようにお願い申し上げたいと思います。  これは、言われておりますように六十年中、つまり年内に合意を得て、そして補正する、そして年末調整に間に合わせるということであろうというふうに思うのですが、それはそういうぐあいに受け取っておいていいのでございますか。
  242. 竹下登

    竹下国務大臣 これはあくまでも、政策減税についての口頭説明で、幹事長、書記長の責任で本年中に結論を得て実施するということでございますから、その結論は当然のこととして尊重しなければならぬ課題だという認識に立っております。
  243. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 それから今度の、きのうの結論の一つの、殊に私ども社会党として重要な政治課題なんでありますが、防衛予算のGNP比一%枠の問題なんであります。今度のこの予算審議を通じて、総理は守りたい、こういう表現であられた。きのうの幹事長の回答によれば、守るために最善を尽くすということに一歩踏み込んだお答えをいただいているわけであります。もちろん、この幹事長の回答をいただくについては大蔵大臣には御相談があったのだろうと思うのですが、そう受け取っていいでしょうか。また、その幹事長の発言の重みといいますか、そんなものをどうお考えになっておられるか、ちょっと御意向をお漏らしいただきたいと思います。
  244. 竹下登

    竹下国務大臣 これは大事な政党の最高責任者同士の話し合いでございますから、公表すべきものはあくまでも結果であって、その経過については公表すべきものではなかろうと思いますが、今御意見がありましたように、防衛費問題等について、私のみならず官房長官等も御承知いただきましてお話し合いしたことは事実でございます。そしてまた、幹事長のこの御回答というものは、これは大変に重みを持っておるものであるという認識は持っております。
  245. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 そこで、実は思うのですけれども、総理がおっしゃっている、あるいは幹事長もそういうぐあいにお考えになられ、大蔵大臣としても非常に重くこれをお思いになっていかれるということであれば、これは一%の枠内にとめるということは本当に不可能でない。それは総理や大蔵大臣がそういうお気持ちであれば、この執行に当たって当然調整すべきものは調整をしていくことになるわけでありますから、やはり防衛庁と協議しながら執行に当たってそういう配慮がなされるもの、もちろん不確定要素、成長率がどうなるかとか民間もどういうことになるか、そういう問題があるわけでありますから、今の段階でなかなか確定しにくいという従前のお答えはそれなりにはわからないわけではないのでありますが、しかし、そういう成長率の動向を見ながら、思ったより成長率が伸びて、予算を完全に執行しても枠内だということであれば問題はないにいたしましても、そうでない状況が見えてきたときには、当然それなりに執行を抑えていくというような執行上の配慮というものがあれば、枠内にとどめていくということは何も無理なことではない。財政当局が防衛庁と協議しながらそういう方針でお進みになればそれは可能なことだと思うのですが、先ほど来の総理あるいは幹事長の回答についてこれを重視するというお考えからいうと、そういうようなことで御努力いただけるならというふうに受け取りたいと思うのですが、いかがですか。
  246. 竹下登

    竹下国務大臣 普通の場合、執行面のことで大変困りますのは、いわばすべての予算はぎりぎりの効率化を行いながら調和を求めて提案した予算であります。それになお執行面で節約があるかということになりますと、議論の進展によっては節約分は初めから減額すればいいじゃないかという議論がございますので、この予算通過前に執行の方法について言及するというのは、財政当局としては非常に控えながらいつも対応する課題でございます。が、私どもとしては、引き続き予算執行に当たって適正化、効率化に努めていかなければならないという大原則をまず持っておるわけであります。  それからもう一つ、これもいつも矛盾を感ずることでございますけれども、GNPが五兆円も伸びれば成るじゃないかというような議論、それには四兆五千億ほど公共投資を追加すれば数字上出てくるではないかという議論もあるようでございます。今確かにGNPは見込みでございますけれども、見込みというものは予算編成したときに全く無縁なものではないわけですから、見込みが狂う可能性というものも、本当は余り大きな声で言えるものではないなという感じをいつも持っておりますが、そういう不確定要素がございますので、仮定の前提に基づいて種々な具体的な議論を行うのは、財政当局者として、五十嵐さんと私が二人でどこかで話すときにはいろいろな議論があり得ても、公式なところで議論するには差し控える議論だな、そういう感じを持っておるわけでございます。  それから防衛費は、とにかくいろいろなことがございましたが、ぎりぎり他の施策との調和をとったということで私どもは必要最小限の経費を計上させていただいて、現状においてはこれがベストでございますから、御審議いただいておりますという際に、ぎりぎりの調和の中に、まだ執行上切り込む問題が可能性としてあり得るというお答えも現実問題としてはできないことでございますので、やはり私どもは、これに最善を尽くすと言われた幹事長の発言の重み、また総理とて、ことしも守ってきました、今後とも守りたいということはおっしゃっているわけですから、その中で推移を見守りながら対処していくべき課題である。いつの場合でも、予算の通る以前に執行の問題、なかんずく節減合理化というのを含めて議論するのは非常に難しい議論で、むしろ公共事業なんかを傾斜配分するかとかしないかとかいう議論なら、当たっていっても別にそれが予算を拘束するものではないわけでございますけれども、その辺のお答えの限界は、その重みは十分に感じております。そして、推移を見る前に確定的なことは申し上げにくい段階にございますと言うのが限度がな、こんな感じでございます。
  247. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 そうですね、なかなかお答えしにくいことかもしれません。しかし、きのう幹事長がそういうお話をなさり、しかも職を賭してというような重い言葉まで出ておるわけであります。総理ないし幹事長のそういうことを、今お話しございましたように大蔵大臣として尊重する、重く受けとめていくということであれば、そのことは即財政担当者としてはどういうことかということになれば、つまり予算執行に当たってそれなりに配慮していくということになるのではないかというふうに思うわけであります。一つの思いといいますかお気持ちとして尊重していくということは、やはりそれなりに、大蔵大臣としての立場においてそういうものを受けとめて執行していくことだというようなことぐらいは、お話しいただけないでしょうか。
  248. 竹下登

    竹下国務大臣 まさに政府としても尊重していくこととしておりますし、なお、予算執行に当たっては引き続きその適正化、合理化に努めてまいるということまでは、何をどうするということになると難しい問題になりますが、申し上げられるのではないかと思います。
  249. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 GNPの問題というのは、日本社会党としても、石橋委員長が言うように、本年最大の政治課題という考え方で決意をもって臨んでいることでありますから、ぜひひとつ幹事長の答えというものが必ず実現を見るように、そうでなければ私どもとしてはまさに決定的な対決ということにならざるを得ない課題でありますので、ぜひその点お含みをいただいて、約束を守っていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  さて、実は北海道の問題なんでありますが、近年金国的には景気はかなり回復してきているわけでありますけれども、産業間あるいは地域間の格差から見ると、どうもなかなかそうはいっていない。北海道なんかの場合で言うと、むしろ立ちおくれは非常に顕著なものがございまして、今年二月に経済企画庁から出されています「地域経済動向」などを見ましても、むしろ格差が拡大をしているという感じがするのであります。  ちょっと見出し的なところだけ言いましても、北陸の景気は順調に回復している、東北の景気は着実に回復している、あるいは九州の景気は着実に回復している、そういうぐあいにブロックごとに言っているのでありますが、北海道に関しては「その足どりは鈍い。」こういう表現になっているわけであります。  鉱工業の動きを見ましても、このレポートによると十月から十二月期で前期比〇・一%減ということになっております。「一般機械の生産は、十一月、化学機械、農業機械を中心に上向いたものの、十二月は再び落ち込んだ。輸送機械の生産は、鋼船、船舶用部品の減少により再び落ち込んでいる。」あるいは「木材・木製品の生産は輸出用梱包材が好調であるものの、合板はなお不振であるため停滞している。」あるいは「建設工事の動きをみると、公共工事請負金額が十~十二月期、前年比八・〇%城となり、また、四~十二月累計でも前年を二・七%下回るなど低調に推移している。」  個人消費につきましても、「百貨店販売額は盛り上がりを欠いており、乗用車新規登録・届出台数は不振が続いており、十二月も前年を四・一%下回った。」「雇用情勢をみると、有効求人倍率は引き続き前年水準を下回っている。企業倒産は九月以降落ちついた動きが続いていたが、六十年一月、前年比三一・九%増と五か月ぶりに前年を上回った。」どのデータを見ても極めて悪いという状況が出ているわけであります。  そこで、こういう北海道の経済状況の中で、大蔵省で六十年度予算についても本当に格別な御好意、御配慮をいただいておって、こういう点はこの機会に感謝申し上げたいというふうに思うわけであります。  横路知事も、今、道議会開会中でありますが、そこで企業誘致に対する助成を従前の最高額、二億を十二億円と一挙に六倍に、全国一の最高額の提案をしたり、あるいは外資関係の企業等につきましても一生懸命その誘致に奔走しているのでありますが、なかなかそう簡単に経済構造自身は直っていかないわけでありますので、こういう点についての御認識と、それからこの北海道の現況に対してひとつ格別な御配慮をいただきたいと思うが、これについての大臣の見解をいただきたいと思います。
  250. 竹下登

    竹下国務大臣 今お読みになりました経済企画庁でまとめて御発表になりました二月十九日の「地域経済動向」、私どもとしましては、財務局長会議をやりまして、そのときの局長の管内経済情勢報告というのは私も出かけて聞くわけでございます。ずっとここのところ見ておりましても、要約して言っても、依然として停滞ぎみとか、停滞基調が続いておるとか、停滞の域を脱していないとか、停滞の底離れの気配がうかがわれるというのが五十九年の四月でございます。それからその後が、いわゆる豊作によりまして心理的な状態が少し九月あたりからよくなっておりますが、現実は、今おっしゃいましたように、財務局長会議の要約を見ましても、いろいろな地域、私いつも思うのでございますけれども、着実な拡大を続けておるというところと、緩やかながらも回復過程をたどりつつあるところと、大分心理的にも格差があります。  そんなことから、私どもとしてできることというのは、今はやはり、政策上からいってみますならば予算執行面じゃないか。執行の問題になりますと通ってからの問題ということになりますが、今言えることは、補正予算のいわばゼロ国債とそれから生の公共事業と両方を、ひとつどこから言われてもやや基準ができるような、鉱工業生産指数とかいうようなことを勘案しながら、結果として北海道へ、中のシェアからいえば相当なものがいくような配慮というのが現実的にとり得る施策ではないかという感じがして、補正予算に臨んだわけでございます。  ただ、執行が活力として出てくるのは雪がやまなければいかぬのだな、こういう感じを持ちながら期待感を持っておりますが、その他総合的な施策としての六十年度予算の事業費の確保でございますとか、あるいは今知事さんがおやりになろうとする企業関係の誘致の問題でございますとか、せっかくありました企業もどちらかと言えば素材、基幹の方で、先端の方ではないわけでございますから、これからも、これは私のみでやれることではもちろんございませんが、配慮していかなければならぬ課題だなと、いつも財務局長会議があるたびに、北海道がどう言うのかなというのを非常に関心と、ある意味で興味を持ちながら聞かしていただいております。
  251. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 ぜひひとつ、今後ともお願いしたいと思うのでございます。  そこで、この際ひとつ具体的なお願いを申し上げたいと思うのであります。  例の整備新幹線の問題でありますが、十二月二十八日に自民党・政府間の政治折衝で、幾つかの条件はついているとはいえ、北陸及び東北新幹線は昭和六十年度から建設に着手する、あるいはまた九州新幹線鹿児島ルートは建設に向けて直ちに着工準備作業所をつくる、あるいは長崎ルートは候補ルートを決めて環境影響評価などをするというふうに、それぞれ着工のための準備を進めることになったわけです。しかし、五線のうちの北海道だけが実はここに出てこないのであります。基本計画に入ったときはむしろ長崎は入ってなかったのでありますが、あとは一緒に指定された。その後の整備新幹線になったときには、長崎も含めて一緒に五線なっているわけであります。しかし、現状ではむしろ北海道が置かれた格好になっているかに見えるというふうに思うわけであります。これではどうも片手落ちではないか。北海道から見ておりますと、どうも南高北低といいますか、そういう感じがぬぐい得ないわけであります。  仄聞いたしますと、去年の十二月自民党さんが三菱総合経済研究所に委託調査なされたレポートがあって、これによりますと、新幹線建設の地域経済に及ぼす経済効果は極めて大きい、こういうことになっているようであります。先ほど来大臣にも非常に御認識をいただいております北海道の経済の現況を考えますと、どうしても北海道に新幹線を入れていくことが必要ではないか。しかもあと三日後、三月十日にはいよいよ青函トンネルも貫通することになっているわけでありますし、何とかこれについてひとつまた大臣の御尽力をいただきたい。  横路知事は、三月二日の道議会における代表質問に対する答弁で、北海道新幹線は重要な国家的プロジェクトであり、本道の発展に大きな効果をもたらすもので、実現促進に向けて努力したい、こう積極的な姿勢を示して、例の問題の地元負担の問題についても言及をして、これまでの経緯、他県の動向等を踏まえて考えると、道として協力できるものは協力するということを言明しているような次第であります。  ただ、今度の五項目の覚書を見ますと、五項目のところに「建設のための調査費として、国鉄および鉄建公団に十四億円ずつ計上する。」こういうことが書かれているわけであります。いろいろお聞きいたしますと、この調査費の対象となる路線についてはまだ確定を見ている模様ではないようでありますので、この際ぜひ、こういう北海道の景気の現状からいって、最も効き目のある、パンチのあるプロジェクトとして、これについて格別の御配慮をいただきたいと思うが、この覚書等につきましては大臣の名前も入っていたのではないかと思うのでありますが、この際御見解をお伺いを申し上げたいと思います。
  252. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに整備新幹線の問題につきましては、るる申し上げるまでもなく、今御指摘がありましたように、いろいろの議論を積み重ねた上、結局政府・与党といたしましての「昭和六十年度予算編成に当たっての整備新幹線の取り扱いについて」ということで、合意をしたわけであります。そこで、建設のための調査費として国鉄及び鉄建公団に十四億円づつ計上するということは、これは従来も予算の実行の段階で決定してこられておる問題でございますので、この問題については、別に政府・与党連絡会議の立場では何ら検討がなされないままに今日来ておるところでございます。いずれにいたしましても、これは運輸省の方で、いろいろ所管省の方と将来協議する問題になろうというふうに考えております。  ただ、この問題は、大前提が、いわゆる国鉄再建監理委員会の意見がおよそ夏ごろには出るだろう、何月何日に出るだろうというわけじゃありませんが、そこに大きな重点を置いておりますので、その前に余り具体的な論議は私ども財政当局の方としては特に慎んでおった方がいいのじゃないかな、こんな感じでございます。
  253. 五十嵐広三

    ○五十嵐分科員 よろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。
  254. 相沢英之

    相沢主査 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。  次に、神崎武法君。
  255. 神崎武法

    神崎分科員 初めに、国債地方債の地方証券取引所上場問題からお尋ねをいたします。  現在、国債地方債が上場されております証券取引所は東京、大阪、名古屋の三証券取引所でありますけれども、それぞれの上場銘柄と国債については一発行者一銘柄、地方債については一銘柄、このように限定している理由についてお尋ねいたします。
  256. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 証券取引所におきまして公社債を上場する目的は、現在大体九二%が店頭取引でございまして、非常に多種多様な公社債の中から、全体の指標となるような代表的な銘柄の価格動向を公示するというような観点から、一発行者につき一銘柄というふうにいたしております。  ただ、国債につきましては、個人投資家等の便利その他から、発行者側からの要請に基づきまして複数の銘柄を上場いたしております。
  257. 神崎武法

    神崎分科員 三証券取引所の上場銘柄数はどうですか。九二でいいですか。さっきのは店頭のでしょう。
  258. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 国債につきましては、現在六十九銘柄でございます。
  259. 神崎武法

    神崎分科員 東京、大阪、名古屋の三証券取引所で国債地方債を取り扱っているわけでありますけれども、その取引額の割合、三証券取引所の割合はどうですか。
  260. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 五十九年の国債の売買高でございますが、これは六百二十九兆円でございまして、公社債の総売買額の七百六十七兆円に対しまして八二%でございます。このうち取引所で売買をいたしましたのが四十九兆円、全体から申しますと七・八%になっております。それで、そのうち東京証券取引所では四十五兆円、九二%でございます。それから大阪証券取引所は四兆円で八%、名古屋証券取引所になりますと非常に少なくなりまして、百三十二億、〇・〇三%ぐらいという状況でございます。  それから地方債でございますけれども、これは公募の地方債だけ取り上げてみますと、五十九年度中の売買高は八兆七千億ございまして、公社債総額の一%という状況でございます。東京、大阪、名古屋の各取引所で取引しております額はそれぞれ六億円ずつで、全体で十八億という状況でございます。
  261. 神崎武法

    神崎分科員 他の五地方証券取引所で国債地方債の上場がなされていないわけですけれども、その理由はどうでしょうか。
  262. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 公社債でございますけれども、これは金利商品でございまして、機関投資家を中心にして売買が行われているわけでございまして、地域的に見た場合にはほとんど東京に集中している、これはそういう商品といいますか、そういうものの動きからかと思います。  先ほど申し上げましたように、売買の全体の九二%は店頭で行われている状況でございます。東京がこういうように非常に中心になっているわけでございますけれども、これはなぜそうかと申しますと、やはり地元の機関投資家や何かとか、証券会社のニーズの問題もございますし、また取引所の採算の問題というようなものも考えられるわけだと思うのでございます。
  263. 神崎武法

    神崎分科員 公社債市場につきましては、店頭市場と取引所の市場があるわけでありますけれども、ただいまの御答弁のように取引額の九二%が店頭で売買されている、しかもこの取引も東京に集中している、こういう実情からいたしますと、他の五地方証券取引所につきまして国債地方債上場の必要性が一体あるかどうかという点については、大蔵当局が消極であるという点も理解できないわけではないわけでありますけれども、ただ地方証券取引所の収支が最近よくない、こういう点も指摘されているわけでございますし、国債地方債を地方証券取引所に上場することは、地方の時代にふさわしい、地方の資本市場を拡大する有効な方策ではなかろうかと私は思うわけであります。その点が一点。  それからもう一点、地方の証券取引所の活性化対策としていろいろなことが言われているわけでありますけれども、その一つとして、地方証券取引所のブロック制というものが言われているわけであります。単独上場株だけではなくて並行上場株式も含めて、その地方発行された株式を全部その地方証券取引所単独上場とする、その売買もその地方証券取引所で行う、こういった内容が提案されているわけであります。  いろいろ問題はあろうかと思いますけれども地方証券取引所を活性化させる、こういった観点から国債地方債の上場という問題、あるいは地方証券取引所のブロック制の導入という問題につきましても積極的な取り組みをすべきではないか、このように私は考えるわけですが、いかがでしょう。
  264. 岸田俊輔

    ○岸田(俊)政府委員 国債地方債を取引所に上場いたします点につきましては、先ほど申し上げましたように、地元のニーズとか採算性とかございまして、私どもとしましては、振興策として果たしてどれだけかということになりますと、やや消極的と申しますか、検討はいたすつもりでございますけれども、なかなか難しいのではなかろうかなというふうに考えております。  それから、御指摘のブロック制の問題でございますけれども、これはいろいろな趣旨にとられるわけでございますけれども、御指摘のように国内を幾つかの地域に分けて、その地域に本社を有する企業について当該地域の取引所のみで上場を認めるというような制度であるというふうに理解をいたしますと、これはまたなかなか難しい問題があるのではなかろうかなというふうに考えております。  一つは、企業側に対しまして、やはり企業の発展とともに知名度だとか資金調達の便利性、こういうようなものでどうも地方から中央の方に移っていく傾向がございますので、これを一時的にちょっととめるということもいかがかなというふうに考えております。また、この問題は、各取引所の問題でもございまして、ここら辺の合意を得るということがなかなか難しいというような現状でございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘のように地方証券取引所の振興という問題でございますけれども、これは取引所が会員組織でございまして、また、地元の中堅中小企業の資金調達の場として、地域と非常に密接に結びついているわけでございます。まず第一に、これらの関係者の方々のコンセンサスということがまず前提になるのではなかろうかな、私どもはその成り行きを見守って対処していきたいというふうに考えております。
  265. 神崎武法

    神崎分科員 大臣にお尋ねいたしたいわけでありますけれども、この問題、問題点はいろいろ数多くあるかもしれませんけれども、やはり地方証券取引所の活性化という観点、それから地方の時代にふさわしい地方の資本市場の拡大整備という観点から、大蔵当局としても積極的に検討していただきたい、このように思うわけですが、いかがでしょう。
  266. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、今お話ししましたように、地方債、国債等の問題につきましては、これはまさに検討にやぶさかではございませんが、名古屋を見ましても、恐らく実質上余りメリットないのかなという感じはしないでもございません。  ブロック制の問題も、今お答えをいたしたとおりでございますが、これは私の私見でございまして、証券局長に勉強させてもらってのお話ではございませんけれども、結局私は、国際化の問題があって議論するたびに思うのでございますけれども、ああして時差がある国と全く時差のない国というところにいよいよもって一点集中的な傾向が出てくるな、こういう感じがしております。  そこで大阪で、僕は第三部上場などと言っておりましたが、新二部で活性化を図ろうというのが地元から出てきて、それには我々としても、行政当局としても可能な限りの協力をしようじゃないか。やはり証券取引所はそれぞれ会員制度になっておりますから、結局その地元の関係者がいろいろな工夫を出される。中には、もう採算性がなくても、証券取引所というノスタルジア、ちょっと表現がオーバーですけれども、そういうものにでも残しておきたいということをおっしゃいます古老、必ずしも古老ばかりじゃございませんけれども、そういう方もいらっしゃいます。  そこで、どういうふうになってその地域の取引所が活性化するかということになると、なお中心は地元の財界ということになりますが、それに我我も加わって検討していくべき課題だという認識は持っております。が、しかしアメリカの場合も、ああして時差でずっと大きくしましたら、今度はニューヨークが寂れて、またニューヨークの方へ移ってきたといういろいろな推移はありますけれども、注目して、地元の関係者の意見に耳を傾けてみなければならぬ課題だという認識だけは持っておるつもりでございます。
  267. 神崎武法

    神崎分科員 ひとつ、その認識を持ち続けていただきたいと思うわけであります。  次に、協同組合からの脱退組合員への持ち分の払い戻し問題につきまして、大変専門的にわたる問題でございますが、中小企業等協同組合法に基づきまして組織されました事業協同組合から脱退した脱退組合員が、定款に基づきまして持ち分全額の払い戻しを求めた民事事件で、これは一昨年の十月十二日に長崎地方裁判所で一審判決があったわけでありますが、その内容は、払い戻しに当たって法人税等相当額を控除することはできない、持ち分全額の払い戻しをしろ、こういう判決であります。要するに、この払い戻しの時点では法人税等の納付義務が発生してないから、それを控除することはできないという判決でありますけれども、この事件自体については、現在控訴審に係属中でありますから論議することは避けたいと思いますけれども、いまだ譲渡されていない不動産を時価で評価してその全額を持ち分払い戻し対象額といたしますことは、結局、将来その不動産を譲渡したときに支払うべき法人税等の相当額を残留組合員がすべて負担するということになるわけであります。要するにこういう考え方を突き詰めていきますと、ある程度組合財産が充実した段階で脱退した方が有利だ、残った方が負担が重くなってくるということになってまいりますので、組合を永続ならしめるという目的にはそぐわないように私自身は思うわけでございます。  そこで、まず具体的な事件が、これは中小企業等協同組合法に基づき組織された事業協同組合でございますので、その点からちょっと伺いますけれども、この協同組合の定款で、例えば持ち分全部から評価益に対する法人税等相当額を控除した残額の払い戻し方法によると規定した場合、そしてこれによって相当額を控除するということ、これは可能でしょうか。
  268. 小林盾夫

    ○小林説明員 脱退者の持ち分の払い戻しにつきましては、中小企業等協同組合法第二十条の規定がございまして、同規定によりますと、脱退組合員は定款の定めによりその持ち分の全部または一部の払い戻しを請求することができるということでございまして、定款の定めによるということになっておるわけでございます。  そこで、その組合の定款でございますけれども、この定款の規定は法令に違反しない限り組合の自主的な判断によって定める、こういうことになっておりますので、御質問のような計算方法を定款で定めることは可能というふうに考えております。
  269. 神崎武法

    神崎分科員 そうしますと、実際の事業協同組合の定款では持ち分全部の払い戻し方法というものを規定しているときに、この持ち分全部から法人税等の相当額を控除した払い戻し方法をとるということが可能かどうか。
  270. 小林盾夫

    ○小林説明員 組合の定款に脱退組合員に持ち分の全額を払い戻すことを規定するという場合の御質問かと思いますが、この場合におきましても、正味財産額に脱退組合員の出資口数比率を掛けましてそれを全額払い戻すというケースと、もう一つは、今争われている事件等で対象になっておりますように、将来生ずべき公租を控除して払い戻す、こういう二つのケースがあるわけでございます。この二つのケースのいずれが正しいのかということにつきましては、現状におきましては、従来から組合によって両様の取り扱いがされておるわけでございます。このどちらのケースをとるかにつきましては、個別組合の自主的な判断、また組合員の了解に基づいて行われているということでございます。
  271. 神崎武法

    神崎分科員 ただいまの御答弁からいたしますと、二つのやり方がある。その一つとして相当額控除も認められるという御答弁でございましたけれども、中小企業庁の出しております模範定款例によりますと、この脱退組合員の払い戻し方法としましては、持ち分全部の払い戻し方法と出資限度額の払い戻し方法の二つを挙げているわけであります。要するに、私が指摘いたしました持ち分全部から法人税等相当額を控除した残額の払い戻し方法というものを模範定款例に挙げていないから、組合の現場でこの払い戻しに際して混乱が生じているように思うわけであります。したがいまして、この判決の結果、これはどういう結果になるかわかりませんが、それはそれとして、中小企業庁としまして、組合の存続を図る方向で、こういう法人税等の相当額を控除した残額の払い戻し方法というものを模範定款例に含めて行政指導するというようなことも考えていいのじゃないか。要するに組合の現場の混乱を避ける必要があるのじゃないか。このように思うわけですが、いかがでしょうか。
  272. 小林盾夫

    ○小林説明員 今御質問にありましたように、従来本件につきまして特別な指導は行ってきておらないところでございます。この基本的な考え方は、先ほど来申し上げていますように、本来定款で定めれば定め得るものでございまして、そういった趣旨は、結局は組合の自主的な判断、組合員間の自主的な判断によって決めていただければ結構です、こういうことが基本になっておるわけでございます。  御指摘のような指導をすべきでないかということでございますけれども、中小企業庁といたしましては、従来から、そのような自主的な判断に任せておって比較的円滑に進んできておったという事態でもございますし、また一つ、この考え方の問題につきまして係争中の案件もあるということでございますので、どちらかを指導するということについてはやや慎重にならざるを得ないということでございますが、現場でいろいろ混乱が生ずるというような事態が生ずるということでもありますれば、これはやはり今後調査検討を進めまして、さらに、現在がかっております裁判等の判決等も十分参酌いたしまして、必要であれば指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  273. 神崎武法

    神崎分科員 実は、この長崎の問題だけじゃなくて、この判決があった後で、ほかの事業協同組合の方からも、一体これはどうしたらいいでしょうかというような、この問題についての考え方を専門家の方に問い合わせるというようなことがあっているようなんですね。したがいまして、中小企業庁といたしましても、この点は今後十分御検討をいただきたいと思うわけであります。  今度は大蔵省の方にお伺いいたしたいわけでありますけれども、この問題は、私は今事業協同組合につきまして例をとって申し上げたわけでありますけれども、すべての協同組合について同様の問題、脱退組合員に対する払い戻し方法という問題は起こり得るわけでございます。それぞれの法律の所管省庁で対応策を考えざるを得ないと思われるわけでありますが、他面、この問題は、払い戻しに当たって持ち分全部から評価益に対します法人税等の相当額を控除しないといたしますと、将来納付しなければならない法人税等相当額の留保ができなくなるおそれがある、そこに問題があるし、またそのことを考えて、協同組合の方でこの法人税等相当額を控除するという方法がとられる、そこで混乱が生じているわけであります。  この長崎の一審判決の考え方は、払い戻しの時点では法人税等の納付義務が生じないから、要するにこれを控除できないんだという考え方に立っているわけでありますけれども、税法上の措置でこういう将来の法人税等の確保措置、あるいは何らかの措置が一体とれるものなのかどうなのか。大変難しい問題だろうと思いますけれども、これについての大蔵当局のお考えをお聞かせいただきたい。
  274. 大山綱明

    ○大山政府委員 脱退組合員に対してどのような配分をするかという点につきましては、ただいま中小企業庁の方からお答えがございましたように、組合の自主性の問題だと存じております。  税の立場から申しますと、税は、発生いたしました法人の所得に対していかなる法人税を課するのが適正か、また配分された個人の所得に対してはいかなる課税をするのが適正かという観点から対応いたすのでございまして、その配分が公平かどうかというのは主務官庁の御判断だと思いますし、また仮に公平でないという観点がございましたとしても、それを税の立場からいかがいたすのがいいか、税がそこに介入するのがいいかという点につきましては、私どもそれはいかがかというふうに考えております。  なお、将来の法人税を取りはぐれることになるのではないかという観点でございましたかと思いますけれども、判決でも指摘いたしておりますように、まだ未実現のものでございます。土地とか財産はまだそのまま残っておるわけでございまして、それが換価されます将来において、取りはぐれるということは余り私どもの立場から心配することはないのかなという感じでございます。
  275. 神崎武法

    神崎分科員 時間がありませんので、次に地下経済、アングラ・エコノミーの問題について何点かだけお尋ねいたします。  この定義についてはいろいろな議論があるわけでありますけれども、税務当局に捕捉されない経済活動、これをアングラ経済と言われておりますが、麻薬、売春、賭博などの不法行為あるいはやみ取引、やみ市場、脱税などを原因として発生する。近年、世界的にアングラ経済が肥大化しているということが指摘されているのであります。  この規模についてはいろいろ異論がありますけれども、この問題につきましては、やはり国民の間にある重税感、これが、脱税によって資産を蓄積している者との税負担の不公平感に加わりまして、今後ますます問題化してくるのではないかと思われますし、また、金融市場の国際化が進みまして、大量の資金が国境を越えて移動していく、こういう条件ができ上がってまいりましたので、経済運営の面でも今後無視できなくなるだろうと思うわけであります。したがいまして、この問題につきまして税制上、所得が公平に把握されているかどうか、こういう面と、もう一面、国民経済としてその実態が把握されているかどうかという点と、両面から問題があろうかと思うわけであります。  各国のアングラ経済の規模についていろいろな説があるわけでありますけれども、一九八二年、西ドイツのケルンで開かれました経済社会学会で発表されました数字によりますと、対GNPの割合は、日本五%、米国八%、英国八%、西ドイツ八%、イタリア二五%、ソ連二〇%、インド五〇%。それから一九八三年十二月に、IMFのピトー・タンジ金融問題局長がIMF機関誌「金融と開発」に発表した数字によりますと、日本四%、米国二二%、英国七%、西ドイツ八%、イタリア二〇%、ソ連一〇%、インド四八%となっているわけであります。これらの数字からいたしますと、学者によってはGNPの一三・二%という数字を我が国のアングラ経済の規模について挙げる見方もありますけれども、これらのあれからしますと、GNPの五%前後、約十五兆円ぐらいというふうに見られるわけでありますけれども、我が国に果たしてこういう地下経済が存在するのかどうか。その規模について国税当局として数字の試算をやっているのかどうか。やっていないとすれば、今後試算をする予定があるのかどうか。この点についてお尋ねいたします。
  276. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 先生今御指摘の地下経済、いわゆるアングラ経済につきましていろいろ御議論があることは、私どもとしても承知をしております。  先生は今一応、アングラ経済の定義につきまして、課税当局の追及を免れている経済活動というふうに定義をされたわけでございますが、私どもとしても、国際的にいろいろな学者の方や政府機関が各国の地下経済の規模につきましていろいろな推計を行っているところは承知しております。ただ、やり方といいますか、地下経済の定義をどのようにとるかという問題であるとか推計の方法等につきましては、私どもとしても、拝見をいたしますといろいろと実はまだ差があるようでございまして、その結果、いろいろな割合等につきましても、各国でそれぞれ、また推計の発表されておりますデータに基づいても、いろいろと差があるようでございます。基本的には、このように地下経済の把握というのは大変困難であるということが基本にあるのではないかと私どもとしては思っております。  また、我が国にそのような地下経済が存在するかという御質問でございますけれども、私ども税務当局として、課税当局の把握を免れているということを地下経済というふうに定義をいたしますと、私どもの税務調査の過去の実績から見る限りは、過少申告を行う等の不誠実な納税者があることも事実でございまして、私どもが毎年行っております税務調査の段階でも、調査結果として、これは、私どもが何らかの過少申告をしているのではないかということで調査対象として選定をいたしました納税者についての調査、こういう限定はございますが、おおむね二〇%程度の申告漏れが見つかっているという事実はございます。  そういうことで、私どもとしては、基本的には、地下経済の規模がどうこうというよりも、むしろ課税の公平の見地から、納税者に適正な税負担をお願いしたいということが税務行政としても一番の課題だというふうに考えておりまして、まずはいろいろな資料、情報の蓄積、収集に努めまして、またこれをベースに適切な対象の選定を行いまして、大口不正を重点にした的確な税務調査を行うことによりまして課税の公平を期していく、こういう方針で今やっております。  私どもとしては、外国の税務当局が行っているような地下経済の規模の推計等につきましては、必ずしも国情その他から見て我が国で現在の段階で行えるような状況ではなく、それを日本で行うには非常な困難があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  277. 神崎武法

    神崎分科員 時間がなくなりましたので、質問はいたしません。  最後に申し上げておきますが、五十八年六月まで国税庁長官を務められた福田さんが「税とデモクラシー」の中で、アングラ経済が存在することを知っておかないと経済全体がわからないことになるという点が一つ、それからもう一つ、全体の経済をつかむときには表と裏があるということを知って統計の数字を判断する必要がある、また、裏の経済は税金を払っていないのだが、しかし、その関係者は道路を使い、子供を学校にやっているのであって、国の財政の世話になっているわけである、したがって、アングラ経済の存在は税負担の不公平の問題であるとともに、財政赤字の原因でもあるということができる、こういう指摘をしているわけであります。  こういう福田さんの考え方からいたしましても、経済全体の把握あるいは税負担の不公平、財政赤字の原因、こういった観点からも、アングラ経済の問題について国税当局としても十分検討をしていただきたい、このように思うわけであります。これは引き続き、また後ほど御質問したいと思います。  どうもありがとうございました。
  278. 相沢英之

    相沢主査 これにて神崎武法君の質疑は終了いたしました。  次に、青山丘君。
  279. 青山丘

    青山分科員 私は、現行税制における諸問題について、若干の提案を交えつつ、大蔵大臣、大蔵御当局の御見解を伺いたいと思います。  まず第一に、相続税及び贈与税における各種控除について相当程度引き上げる必要がそろそろあるのではないかということであります。相続税にかかわる基礎控除額、これは昭和五十年度税制改正において見直しをされましたが、このことは贈与税の基礎控除と同様でありまして、昭和五十年度税制改正以来今日まで、基本的な見直しがなされておりません。この十年の間に経済社会情勢の変化をどのように受けとめておられるのか。諸物価は相当上がってきておりますし、所得も伸びておりまして、遺産の総額というものがふえてきております。     〔主査退席、熊川主査代理着席〕 ところが、相続を受ける方の立場からしますと決してそうではない。相続の額が相当負担になってきておる。とりわけ課税価額の相当部分を占めるところの土地の価額は高騰著しいものがあります。そういう点から考えますと、相続税及び贈与税の負担というものが相当高くなってきておる。こうした観点から、相続税の遺産にかかわる基礎控除額と贈与税の基礎控除額、あるいは配偶者控除額等々の相当程度の引き上げをそろそろしなければいけない時期に来ておる、またその他の控除についてもそういう見直しの時期に来ておると思いますが、総括的に大臣の御所見、そして担当者の御見解をぜひいただきたいと思います。
  280. 竹下登

    竹下国務大臣 今国会になりましてから、初めて相続税議論というのをお伺いしました。どちらかといえば所得税、消費税議論ばかりに偏っておりました。  相続税問題につきましては、私どもが今日言えますのは、おととしの十一月の政府税調の中期答申が一応テキストブックになっておるわけであります。これにおきましても、「最近における課税の実態をみると、遺産の財産階層分布や平均的な実効税率等には格別の変化がみられないこと及び現下の厳しい財政状況等からみて、直ちに課税最低限や負担水準を見直さなければならない状況にはないと考えられる。」という答えが出ていると申しましょうか、国会の議論を報告した税調の五十八年の、三年に一回出していただく中期答申の中ではそういうふうに指摘されておるわけであります。  これは私見になりますけれども、今日までの日本の相続税は、どっちかといえば子孫のために美田を買わずといいますか、一定の水準までの教育その他について親たるものの責任を持ち、一定の水準になったならば、まさにその後は子孫のために美田を買わず、西郷南洲さんの精神が日本の相続税には流れているんじゃないか、こういうことをよく言われますが、その話はごく私的な感じを述べたわけでございます。  したがって、今日の財政事情からいいますと、税制調査会において税制全般の見直しの論議をしていただけるという、このときの御議論の対象問題ではなかろうかな、私はこんな感じで受けとめております。
  281. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 今、大臣からお話し申し上げたとおりでございますが、相続税はなぜ課税するかということについていろいろ学説もあるようでございますけれども、基本的には相続によって財産をただで取得するといいますか、偶発的な原因で財産を不労所得として獲得する、と同時に、多額の財産をもらった人ともらわない人との間の富の集中を排除する、そういったことであるというふうに言われているわけでございます。  そこで、今、大臣からも税調の答申を引いてお答え申し上げたわけでございますが、最近におきまして、亡くなった方のうちでどの程度相続税を払わなければならぬかというと、大体五%程度で推移してきております。それから相続税の一人当たりの税負担というものも、遺産に対しまして大体一四%程度でずっと推移してきておりまして、実額でいいましても千七、八百万というところで、特段数が増加しているとか負担がふえているという状況にも見られないといったふうな点から見ますと、税制調査会におきましても、こういった実態を踏まえまして、現在直ちにその負担水準を見直さなければならない状況にはないということを申し上げたわけでございます。  それから、先ほど青山議員の方から、土地の評価によって相続税負担が非常にふえているではないか、こういう御指摘がございました。この点につきましては昭和五十年以降、端的に言いますと、昭和五十八年に改正いたしましたときに、実際の評価について若干の緩和措置をとるということで、例えば、個人事業者の宅地のうち二百平米までの部分につきましては、相続税の課税上通常の方法によって評価した価額より、事業用の場合につきましては約四割相当額を減額する、居住用の宅地につきましては二割相当額を評価上減額するという形にしております。それから事業者以外の個人につきましても、居住用の宅地につきましては、二百平米までの分について三割相当額を通常の評価額から減額するという形で、若干実質的な意味での負担緩和を図っているということは御承知のとおりでございます。
  282. 青山丘

    青山分科員 私どもは、実は承継税制まで話を進めようと思って言っているわけではないのです。しかし、子孫に美田を残さずということは決してなくて、私どもが一生懸命働くのは子供たちのためであり子孫のためでもあるわけで、そういう人間が本来持っている考え方を抑え込んでいくというやり方は、私は政治として決してうまいやり方ではないと思うのです。  それで昭和五十年度税制改正のときに、これは贈与税も含めて相続税の納付税額が一千九百七十三億円、これを一〇〇%と見てまいりますと、五十七年度では六千三百二十九億円、この段階では三二〇%になっております。ちなみに昭和六十年度は九千六百十億円。昭和五十年度を一〇〇と見てまいりますと四八七、約五倍に伸びておるんですね。それだけ税負担が高くなっておる、強くなっておる、こういう状況なんです。いかがでしょうか。
  283. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 納税額につきましては、御指摘のとおりでございます。ただ、その間、物価、賃金あるいは全体所得水準も上がってきておるという状況もございますし、そもそも相続税が持っております先ほど申し上げました性格等からいいまして、今の程度の負担が特に過重なものであるかどうかといった点につきましては、私ども必ずしもさようなものであるとは考えていないという状況でございます。
  284. 青山丘

    青山分科員 限られた時間なので、この問題だけやるつもりはありませんが、しかし、昭和五十年度に比べて今日は納付税額ではおよそ五倍になってきておる、こういう実情をぜひ理解していただいて、現下の財政事情をよく理解しておりますが、やはり整合性のとれた税制度にしていただきたい、こういう声をひとつぜひ受けとめておいていただきたいと思います。  それから第二点目でありますが、同族会社の留保金課税制度についてであります。  留保金課税制度が現行税制の中では同族会社のみに適用されている趣旨というものは、一面では理解をいたします。同族会社というのは少数株主によって支配されておる、その人たちによって不当な内部留保が行われるのではないか、過大な内部留保が行われるものではないか、そのことによって税負担の軽減を図られやすいということであろうと思います。しかし、現実的には、大多数の同族会社というのは、大企業と違いまして、資本を外部から集めるということはなかなか困難です。結局、利益を上げて、その内部留保において資本の蓄積をしていかなければならない、そうして経営基盤の強化を図っていかなければならない、こういう事情にあるわけですから、同族会社の留保金課税制度というのはおかしい、ぜひひとつ早急に見直していただかなければならないのではないか。廃止も含めて、ひとつ合理的な見直しをぜひしていただきたい。  特に、例えば繰越欠損金を損金参入した場合に、当該事業年度においては所得の金額が実際は上がってこないというような場合になっても、当該事業年度の留保金額については同族会社の特別税率というものが適用される場合があるわけです。これは非常におかしい。現実的には担税能力を持たないという状況の中で課税がなされていくということは、大変不当であると私は思うのです。その点についての御見解はいかがでしょうか。
  285. 大山綱明

    ○大山政府委員 同族会社に対します留保金課税の制度の趣旨につきましては、先生、先刻御案内のことでございますので再度申し上げる必要もないかと存じますが、要するに、個人企業における所得税負担との不均衡が生じないようにといった趣旨が含まれているわけでございます。  そこで、先生御指摘の内部留保が急務の折からということでございますが、実際問題として、留保金課税を受けております企業の割合は、全体の同族企業の中の一・八%程度でございます。なぜこういうようなことになるかと申しますと、同族会社の留保金に対して全部留保金課税をいたしているわけではございませんで、所得等の金額の三五%相当額は控除をいたしますとか、これは一般の企業の留保の水準と見比べましてこんな水準を置いているわけでございますけれども、それから最低千五百万円は控除をし、その超えた部分に対してこの課税を行うとか、もう一つ期末資本金の二五%相当額から利益積立金額を控除した金額を控除いたしますとかいうような制度になっておりますから、実際にそれを超えます部分を持ちます企業というのが一・八%、かようなことになるんだろうと思います。  そこで、繰越欠損金の生じているような同族会社の場合にはさらに問題ではないかという御指摘でございますけれども、ただいま留保控除額として申し上げました第三点、つまり期末資本金の四分の一相当額から利益積立金の金額を控除した金額、これが控除対象になります。繰越欠損のあります会社は、これは利益積み立ての逆でございますから符号が反対になるということになります。したがいまして、繰越欠損金が例えば第一期目で二千万円か何か、幾らでもよろしいのでございますが、二千万円生じたような場合には、それは逆にその控除の金額を大きくするように働く、そんなような仕組みになっております。したがいまして、その繰越欠損金を抱えている企業には特に酷ではないかというような御指摘は、今申しましたような制度の仕組みからいって、さようなものではないというふうに私ども考えておるところでございます。
  286. 青山丘

    青山分科員 それでは、繰越欠損金を損金算入した場合に、当該事業年度で利益が上がらなくなったという場合は、留保金額に同族会社の特別税率が適用される例はない、こういうことですね。
  287. 大山綱明

    ○大山政府委員 それは、前からずっと積み立てられております利益積立金がたまりたまっておるような企業につきましては、先ほどプラスとかマイナスとか申しましたけれども、それがプラスに働いてまいりますので、そういう場合にはあると思います。そういった企業についてはそれだけの利益積立金があるわけでございますから、私どもその留保金課税をお払いいただく力がまだある、こんなふうに考えている次第でございます。
  288. 青山丘

    青山分科員 当該事業年度で利益が結局上がらなかったことになるのに、留保金に同族会社の特別税率が適用されるという場合があるわけです。これはやはりおかしい、こういうことを言っておるわけでありますので、その辺もひとつぜひ理解していただいて、当該事業年度に対する課税ということから考えれば、積立金に対する課税なら、これはまたこれで理解できます。そうじゃないでしょう。だから、こうした不合理があるということをひとつぜひ受けとめておいていただきたいと思います。  時間がありませんので急ぎます。  源泉所得税の納付期限を翌月末日とすることが妥当ではないかと思います。昭和六十年度税制改正において、給与等の源泉所得税の納期の特例適用者については、七月から十二月までの間に源泉徴収した税額の納期限を一定の要件のもとで翌年一月二十日に延長される見通してあります。現行は一月十日。現行の一月十日も大変だったのですよ。今までこういう制度だから大変苦労してやってきたのですけれども、それでも十日間延長されるということは、実は大変な前進だというふうに私は思っておるのです。しかし、本来は経済、社会の慣行というのはやはり翌月末日というものが多いわけですので、さらにまたこれを、一般の源泉徴収義務者の負担の軽減を図るためにも、それから源泉徴収制度の簡素化、合理化のためにも、納付期限を給与等を支払った月の翌月末日までとすることが妥当であろうと思います。また、酒税、物品税、社会保険料その他多くの公租公課の納付期限が月末となっている現状でもありまして、給与等を支払った月の翌月末日までとすることが本当であろうと思いますが、いかがでしょうか。
  289. 大山綱明

    ○大山政府委員 給与などの源泉徴収税額を翌月十日までにお払いいただくということといたしておりますのは、そういった源泉徴収税額というのは、たとえば給与がその月の二十五日に払われた、もうそのときに即時に源泉徴収されているわけでございます。給与が払われるときに源泉徴収されるわけでございます。そういったものであります。そしてその性格というのは、いわば国に対する預かり金といったような性質のものでございますし、手続的にそんなに複雑な手続を要する――源泉徴収義務者の方々に対しては御負担であることは事実でございますけれども、簡易な税額表によりまして税額をはじきます、そういうものでございますから、いわばその後の整理の期間があれば足りるのではないか、こういう観点から翌月十日ということにさしていただいております。ことしの税制改正で中小企業と申しますか、小企業の方々の源泉徴収の納付時期を延ばしましたのは、お正月という特殊性を考慮いたしたものでございますので、通常の月でございましたら、翌月十日というのは妥当なところだと私ども考えている次第でございます。  物品税とか酒税についての言及がございましたけれども、こういったものは、例えば今、三月の取引でございますと三月一日から三十一日までずっと取引が行われます。そしてそれの代金の回収というのは、小売業ならばいざ知らず、大分先になる場合があるわけでございます。そんなことを考慮いたしまして、やはり翌月の十日では無理だ、月末とかそういった制度を仕組んでいるわけでございまして、月給が支払われればそのときにすぐに取れる、徴収ができる、そういう給与等の源泉徴収とはちょっと性格が違う問題だと考えております。
  290. 青山丘

    青山分科員 やはり経済、社会慣行がありまして理屈どおりにはなかなかいってなくて、あなた、出身はどちらなのかよくわからないが、私の地元の方では、私の子供のころからお正月は十日ぐらい休むのですよ。そんな田舎は前近代的だとおっしゃるかもしれませんが、大臣の田舎の方はどうですか。話を横にそらすつもりはありませんけれども、年末まで一生懸命働いて、そのかわりお正月というのは随分たっぷり休んでいるところがあるのです。時間がなくなりますので、そういう事情をぜひひとつお聞きとめいただきたい。  それからもう一つ、更正請求をすることができる期間をぜひひとつ三年以内としていただきたい。納税申告書を提出した者、確定申告をいたした者が、納付すべき税額の過大等によりまして更正の請求ができる期間は、現行法では法定申告期限から一年以内に限ることになっております。しかし、これは税務署の更正制限期間との均衡を欠くものでありまして、納税者の正当な権利保護の見地からすれば、やはり確定申告書を提出した者も更正請求できる期間を三年以内とすべきではないかと思います。また、国税通則法第二十三条の第二項における特例によっても、更正の請求期間については現行は二カ月以内、こういうことになっておりますが、これも一年以内とすることが妥当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  291. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 申告納税でございますので、これはやはりちゃんと申告期限に自分の税額をきちんと計算して納めていただくというのがあくまで原則でございます。ただ、いろいろな事情でたまたまその計算額に誤りがあったといった場合には、これはある程度直す必要があるわけでございますが、この期間が、非常に長い間そういう更正請求がおくれた場合には、税額がはっきりしないという意味で法律関係が安定しない、あるいは国税当局としましてもなかなかきちんとした執行ができないといった問題から、やはり更正の請求にはきちっと一定の期限を決めておるわけでございます。この決めておる期間は、今青山委員御指摘のように一年ということになっております。実はこれは、四十五年に二カ月だったのを一年間に延長した、こういう経緯があるわけでございますけれども、この一年というのは、やはり申告が一年に一遍でございますから、その一年の間に自分が間違っていればそれを直していただく、これはその次の申告期までに直していただくというのが一つの原則になっておるわけでございます。ただ、例えば裁判でいろいろ事情が変わったとか取引が無効になったとか、そういったふうな後発的な理由で申告期限から一年以上たった場合であっても、そういうものにつきましては、その事由が確定した時点から二カ月ということになっておることは御承知のとおりでございます。  今御指摘になりました、税務署の方の更正決定の期間は原則三年ではないかということとのバランスでございますけれども、税務署の方につきましては、たくさん申告が出てくるわけでございまして、そういった事案についても、限られた人間で申告が適正にされているかどうかをいろいろ調査してチェックする必要がある、そういった期間からあの期間を定めておるわけでございます。それに対しまして、申告納税制度のもとにおきましての納税者というのは、やはり申告所得のもとになりますところの取引というものについては自分自身が知っているわけでございまして、それはやはり第三者である税務署とは立場が違うといったふうなことから、この期限はそれぞれの必要性に応じて妥当な期間を設定しているわけでございまして、そういった意味でこの期限を、税務署の方の更正決定の期間が三年だからといってこれを三年にするというのは、さっき申し上げました法律関係の安定性あるいは税務執行の効率性といった観点からいきまして、なかなか困難なことではなかろうかというふうに考えております。
  292. 青山丘

    青山分科員 けさの新聞に載っておったすごい脱税をした医者の肩を持つつもりもありませんからね。しかし、更正請求期間が何となく税務署に片寄っておる、税務署の方は三年で我々が一年だけだという、この均衡を欠く意識はやはりありますよ。  それから、税法の解釈、租税法規の解釈に関する手続の制度化についてお尋ねをいたしたい。  租税法規は、一般的、抽象的であることがある程度避けられません。したがって、その意味が正しく理解できない、その意義に対して疑問や見解の相違が生じます。租税法規が不明確な場合には、特にその可能性が大きいのであります。納税者が、取引に先立ってそれに関連する租税法規の解釈や適用上の問題点について税務当局の見解を求めたい、主張を求めることができると、その取引に伴う税務当局の解釈をあらかじめ知ることができて、そのために納税者はリスクを小さくして時間と費用を節約することができます。また、税務当局として、不必要な紛争を未然に防止することができると考えます。  実は、私自身こういう問題に遭遇したことがありまして、この辺の見解が不一致であったために地方議会が大問題になったことがかつてありました。きょうは時間がありませんからそのことは触れないで、このことについてだけお考えをいただきたいのでありますが、アメリカでは、納税者からの個別事案に関する質問に応じて内国歳入庁が発する公定解釈をルーリングと呼んでおります。そのうち将来の行為や取引に関するものはアドバンスルーリングと呼ばれて、正式な制度として採用されております。さらに個別事案の決定について、文書による合意としてのクロージングアグリーメントも、内国歳入法典及び内国歳入庁規則によって正式な制度として採用されているところであります。そこで、我が国においても、納税者の保護と経済生活の安定のために、法的安定性、予測可能性が著しく高められるこのようなアメリカの制度に準じた制度の実現が望まれるところでありますが、いかがでしょうか。
  293. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 御指摘のように、税法というのは非常に難しいし、また抽象的な面がございます。どうしても多数の納税者を相手に、一般的、抽象的にせざるを得ないという面がございますので、そういったことになるわけでございますが、解釈をきちんとするために、法令になるたけ具体的に定めるということを基本にしつつも、ある程度のものは公開通達ということでその解釈を決めているわけでございます。それから、通達で決め切れないような個別事案につきましては、事案によってその事実関係に応じできちんとした対応ができるように国税当局でそれぞれ税務相談を行っておりますし、またケースによりましては、いろいろな業界団体その他からの照会に応じまして回答を出すということによって、その取り扱いを明らかにしているというのが現状でございます。  ただいま青山委員御指摘の、アメリカの内国歳入法典にございますところのルーリングというのですか、アドバンスルーリングとかということでございますが、これは確かにアメリカにそういう制度がございます。ただこの場合に、そういうものを出していただくにつきましては、物の本によりますと、納税者からその取引に関係するすべての事実を明らかにしたものを、文書をとる。それはすなわち取引のすべての文書、取引に関係するすべての者の住所、氏名それから納税者番号、それからどうしてそういう取引をするかという理由を出してもらう、あるいはすべての詳細な契約書その他についても全部出してもらうということにいたしまして、それをもとにいたしまして内国歳入庁で判断いたしまして、いわゆるルーリングというものを出すということになっているわけでございます。  このルーリングの制度は、今御指摘ございましたように、ルーリングを出しました場合には、それがたとえ誤った場合でありましても、その納税者との関係におきまして、その判断の基礎になった事実関係が非常に相違しているとか、あるいは法律が変わったとか、そういった事情がない限り、ルーリングを出した相手方に対する関係では、これは不利益を遡及させないという扱いになっておるようでございます。これは先ほど御指摘ございましたように、納税者がそれを信頼したという関係で取引したというものを保護しようということでございまして、ある意味では納税者の保護になるという面は確かにあるわけでございますけれども、ただ、これに対する批判といたしましては、仮に誤った解釈に基づきましてルーリングを出したといった場合には、これはさかのぼって取り消すことはできないわけでございますから、これはそのまま間違いがずっと続いちゃうということになりまして、ある意味では租税法規をきちんと執行するという適正な租税法規の執行、あるいは公平な負担の原則というものを害するじゃないかという批判もございます。また、ルーリングの相手方以外の納税者から同じような扱いを求められたときにこれを断れないということになれば、ますます誤りが拡大するという問題も出てくる。それからまた、そういう制度化によって税務行政が非常に負担が過重になるというような批判もあるわけでございます。  そういったようなことからいいまして、例えば日本でアメリカのようなルーリングを制度化するとした場合に、アメリカのようにきちんとした格好で要求された資料を完全に出してもらうことが必要になるわけでございますが、仮に故意または故意でなくても不完全な資料に基づいてそういったことを行った場合には、むしろそれ自体の判断が間違ってしまって、かえって適正な課税ができなくなるというおそれもある上に、むしろそういった判断をしたことに伴いまして、それが正しいか、事実関係をきちんとしたものを出したか出さないかというふうなことを含めて、かえっていろいろ混乱を招くというおそれも出てくるといったふうな問題もございます。そういう意味で、そういったことの法制化につきましてはやはり慎重でなければならぬ、やはり現在の制度で運用していくのが、我が国の現状において最も適当なことではないだろうかと考えております。
  294. 青山丘

    青山分科員 時間が来ましたので終わりますが、決められた要件と決められた条件の中での一つの結論ですから、新しい条件が出てきて違った結果になるのは、これは当然のことですから、私はそんなことを言っているのじゃないのですよ。ただ、例えば税務相談の質疑応答事例集、これにのっとってやっても、現実にはそれと違った結論を税務署が出しかかって大変な混乱になった例が実はあります。時間がありませんので、その件はまた機会があったら改めてさせていただくかもしれませんが、こういう方向もひとつぜひ検討していただきたい、私からも申し上げておきます。  いろいろ御苦労のところでありますが、大臣、ひとつ頑張ってやってください。
  295. 熊川次男

    熊川主査代理 これにて青山丘君の質疑は終了いたしました。  次に、和田夫君
  296. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私は、所得税の申告の手続についていろいろ考えるところがございましたので、このことについてきょうは質問をしたいというふうに思っておったのですが、実は去る二十六日に、商工常任委員会で私の質問に対して剣持説明員が前向きに答弁してくれておったのですが、二日後にそれを覆すような発言をよそで行った、こういうことを聞きましたので、急遽質問の内容を変えまして、この機会にそのことを明らかにしておきたいという立場に立って質問させてもらいたいと思うわけであります。  内容は、輸入車の税関手続の問題であります。  大臣も御案内のとおり、貿易摩擦の解消の一助といたしまして、通産省が外国自動車の並行輸入を奨励して、五十年の七月三十一日に日本自動車輸入組合とは別に、並行業者で組織する外国自動車輸入協同組合の設立認可をしておるわけです。以来、並行輸入車がふえてきておるわけでございますが、日本自動車輸入組合との間に多少の摩擦等もこれありということを仄聞しておるのです。私は、断っておきたいと思いますが、この協同組合から依頼されたのでも何でもないわけでありまして、現実の問題として、この並行輸入業者が今の税関手続の中で非常に不利な状態に置かれておる、そういう内容から税関手続を本来の姿に改めなさい、こういうように私は言っておるわけであります。  私は、この間商工常任委員会の方でも言ったわけでございますけれども、要は税関が本来の業務を日本自動車輸入組合に業務委託をしておるために、輸入申請手続を受理して、そして自動車の通関証明書の発行を日本自動車輸入組合がやっておる。そういうところから、日本自動車輸入組合に加盟をされておる大手のディーラーが、この証明書には御案内のとおりいろいろと記載事項があるわけですが、私自身といたしましては、ここにあるシリアルナンバーを輸入組合が知ることになるので、それを根拠にしてドイツならドイツ、フランスならフランスのメーカーに対しましてクレームをつけておった、こういうふうに思っておったわけであります。ところが、もっとひどいことをやっておるわけです。そういう中で、現地では、並行輸入業者が自動車を輸入しようということで現地でかけ合っても、片方ではそういうところに売るのはけしからぬじゃないかということで、現地のディーラーがメーカーの方から押さえ込まれて売ってもらうことが非常に困難になってきておる、こういうところからの一業者の苦情なのです。これは一業者ではございますけれども、客観的な事実の中から私は指摘をしておるわけなのです。したがいまして、本来の税関の業務というのは、これは四十二年に業務委託したわけでありますが、そういういざこざがあるとするならば、本来の姿に返って、税関自体が輸入の申請書類を受け付けてそして通関証明書を発行する、こういうことに立ち戻るべきじゃなかろうか、こういうふうに私は言っておるわけでありますが、この機会にひとつお答え願いたいと思います。
  297. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 ただいま話のございました自動車の輸入証明の件でございますが、これは本来、道路運送車両法の新規登録の申請に当たりまして、各種の資料のほかに、輸入車につきましては輸入の事実を証明する書面を添付することになっているところでございます。  ところで、自動車の輸入は昭和四十年の十月に自由化をされました。その際、今後相当輸入が急増するのではないか、そこで一々税関に来ていただいて輸入証明を出すということは、輸入者の側にもまた税関にとりましても大変事務が煩雑であるという観点から、輸出入取引法のもとに設立されております日本自動車輸入組合が一括してこの輸入証明を出す、それが添付されますと、運輸省の陸運事務所では輸入の事実を証する書類であるということで受け取ろうということで、そういった扱いがずっと今に至るまで続いてきていたわけでございます。  しかしながら、ただいま先生が御指摘になりましたように、もしそのことが並行業者の輸入を阻害しているということでございますれば、御承知のように貿易摩擦問題と関連いたしまして、製品輸入というのは我が国の重要な課題でもございますので、私どもとしては改善をいたすことにやぶさかではございません。また、関税法上も、そういった輸入証明の発給ということは私どもの義務でもございますので、今後、税関が発給する輸入証明をもって、道路運送車両法上で要求されている輸入を証する書面として扱ってもらえるように、運輸省と協議をしてまいりたいというふうに思っております。  なお、最初に先生からお話ございました二十八日付の日刊自動車新聞の件でございますが、これは担当者は先生に御答弁したときと全く同じ気持ちで話したということでございまして、これによって態度が後ろ向きになったというようなことはございません。当初御答弁したと同じような気持ちで、前向きに対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  298. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 剣持輸入課長が商工常任委員会の席上で、私が今指摘したようなことの事実があれば、税関が通関証明書を直接発給することも含めて制度の変更を検討したい、こういう内容の答弁をしておるわけなんです。そこで、事実があればということになってくると、事実を示さなければならないわけなんです。  その前に、この自動車通関証明書というのは本来税関が発行するものである。これは公文書なのか公文書的書類なのか。あるいは輸入申告書、輸入納税申告書、これは公文書であるのか公文書的文書であるのか、これをひとつ明確にしてもらいたい。
  299. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 輸入申告書は公文書でございます。それから自動車輸入組合が発給する輸入許可証は、恐らくこれは公文書ではないのではないかというような感じがいたします。と申しますのは、自動車通関証明書、現在発給されておりますものは、日本自動車輸入組合という名前と判を押して出されております。一方、税関の方で出しております自動車通関証明書は、正真正銘の税関の文書番号を入れた書類であるということでございます。
  300. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうすると、その通関証明書は、税関の印が入っているものは公文書であって、日本自動車輸入組合が発行しておる場合は公文書でない、こういうことですね。
  301. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 ちょっと私、正確に、必ずしもこれが公文書なのかどうか、公文書に準じるものだとは思いますけれども、これを要するに正式の書類として認めるかどうかというのは、運輸省サイドの判断で行われているわけでございます。ただ、通関証明書というような私どもの仕事に関係をするものでございますので、私どもの方としても通達で、この自動車輸入組合がこういうものを出せるということを明らかにしているところでございます。
  302. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 この公文書か公文書でないかということですが、本来やはり税関が発行すべき証明書であるのですから、業務の委託を日本自動車輸入組合にしておるだけのことです。だから、日本自動車輸入組合が発行しても、これは確かに役所じゃないのですから公文書とは言えなくても、公文書的な性格の書類である、私はそのように思うわけです。そうすると、私の推測したところでは、先ほども申し上げましたように、外国車のメーカーにクレームをつけるに当たって、何台、どの並行業者の手に届いたかということがわかる事実としては、一つはこの輸入組合が発行している通関証明書のシリアルナンバー、これが漏えいする、漏えいされるということによってクレームをつける材料にしていっている。これが一つの問題だと思っておった。そういうことがあるがために、そのことを私は申し上げておったのです。それにしても、公文書的な性格のこの文書の中に記載されたものを他に、しかも商売上利益を追求する、そういうところに漏らすということはまかりならぬことであります。  それだけじゃないのです。実は、先ほど局長が申された輸入申告書、これは公文書だと言われておる。輸入申告書は公文書だと言われておる。ところが、私が推測したことよりもはるかに露骨な、悪質なことをやっている。その公文書の写しをつけて、そして日本自動車輸入組合に所属する一メンバー、株式会社ヤナセの別会社ウエスタンオートですね、その肩書なり、ウエスタンオートのどういう立場にある人かわかりませんが、H・アキグチという署名を入れた文書で、公文書である輸入申告書の写しを添付してきょうテレックスを送った、その証拠というのは、東京税関、横浜、神戸の税関それぞれがまさに証明された輸入申告書の直接複写コピーを同封しました、こういう文書を送ってクレームをつけておるのですよ。極めて悪質じゃないですか。今局長が言われた公文書である、その公文書をコピーしてクレームをつける材料にしておる、証拠にしておる、こんなことがまかり通っていいのですか。
  303. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 昭和四十二年に自動車輸入組合にこういった自動車の通関証明書の発給を委託したということにつきましては、日本自動車輸入組合が輸出入取引法に基づいて通産大臣の認可によって設立された団体である、そういう意味で日本自動車輸入組合は公的性格が非常に強い団体であるということから、そういった委託が行われていたのではないかと思います。したがいまして、この組合の監督は私ども大蔵省ではございませんで通産省でございますけれども、そういった公的性格の強い団体といたしましては、ここに申請に来られた方の輸入許可証の写しを外に漏らすというようなことが当然あってはならないというふうに思います。
  304. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 現実に漏らしておるのですから、漏らしている行為に対して何か対処をするということは考えないのですか。
  305. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 私どもとしてそういう事実関係があるかどうかを調べまして、先生がおっしゃっているのは恐らく事実だと思いますので、この輸入組合に対しまして厳重に注意をするということにいたしたいと思います。
  306. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これ一つじゃないですよ。今あなたが公文書と言われた、公文書の写しを商売に使うというようなばかなことをされておって、役所として黙っておれるはずがない。調査をするとか検討をするとかいう問題じゃなくて、これは事実問題です。こんなのは私の手元に入らぬですよ。こういうものが送られてきたということを現地のメーカーがさらに送り返してきているのです。この公文書が行ったり来たりしている。私は、この間の商工委員会のときにも申し上げたように、そういうようなことだけじゃなくて、さらにメーカーに対してクレームをつけるだけじゃなくて、いわゆるペナルティーの請求をやっている、この事実を――私は、家にあります。届きました。帰らないので持ってきておりませんが、このことにつきましても、そういうことがないとかそういうようなことは聞いてないとかいうことをこの前、あなたのところだけじゃなくて通産省も言っておったのですが、これは通産省の問題としてやりますけれども、きのう家に届きました。この証拠だけじゃなくて、ペナルティーの請求をしておるということまで明らかになったわけです。  ぜひとも、これはひとつ日本自動車輸入組合に、いかに法人であり通産省が認可したものであるとしても、そのことによって並行輸入業者が非常に迷惑千万な目に遭っておるということでありますから、これは到底許すわけにはまいりませんので、税関がせっかく業務委託したのだけれども、業務委託した結果こういう問題が出てきておるのですから、公文書さえも自分たちの商売に使われる、ペナルティー請求にまで公文書が使われるというようなことになっておるのですから、これはもう事実問題として、自動車輸入組合に委託をしておる業務を本来の姿に返って税関が証明書を発行する、こういうように立ち直ってもらいたいと思いますが、ひとつ明確に答弁をお願いします。
  307. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 ただいまの日本自動車輸入組合の問題につきましては、私どもには直接の監督権限がございませんので、先生の御指摘のような点を踏まえまして、通産省に対して適正な措置が講じられるように要請をしてまいりたいと思います。  それから第二点でございますが、日本自動車輸入組合が発給する自動車輸入証明書を全部やめるかどうかという点でございますが、現在この組合は約三万数千件の輸入証明を発給いたしております。また、税関で発給する自動車関係の輸入証明はほとんどこれに該当するというようなことでございまして、最近の厳しい定員事情のもと、しかも業務量の増大という中で対処するためにはこれを全廃するわけにはまいらないのではないか、むしろその辺は扱いを適正化するのが一つと、それからもう一点は、先ほど先生から御指摘がございましたように、私は税関で通関証明書をもらいたいんだという方には、そういう道を講じるような方向で検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  308. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間もありませんが、それがいかに業務量が多いからやむを得ないんだ、せっかく業務委託したんだから、実績もあり、これを急遽変えるということはできないんだと言っても、現実の問題として、公文書が商行為に使われているという事実は指摘したとおりなんです。そういう現実的な問題があって、片方では小さな並行輸入業者に迷惑がかかっておるという事実があるにもかかわらず、全く業務委託をせぬというわけにはいかぬというようなことは、このこと自体を、公文書を活用して商行為をやっているということを認めるということになるのですか。
  309. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 その点は別に認めているというわけではございませんで、そこはそこで適正化をするのが一つの問題でございます。  それから、並行輸入業者の方々が日本自動車輸入組合を通じて自動車の輸入証明を得るがゆえにいろいろな面で不利益をこうむっているという点につきましては、直接税関で通関証明書を発行する、そしてまた運輸省の方には、それを道路運送車両法の登録の際の必要な書類と認めてもらうということで解決を図りたいというふうに考えているわけでございます。
  310. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それでは、並行輸入業者並びに自分が輸入したいので通関証明書はひとつ税関の方で発行してほしいという申し出があれば、税関の方で発行するということになるわけですな。
  311. 矢澤富太郎

    ○矢澤政府委員 そういうことでございます。ただ一点、税関で発行した通関証明書をもって先ほどの道路運送車両法に書いております輸入を証する必要な書類というふうに運輸省の方でも判断をしてもらう必要がございますので、運輸省と協議をしていく必要もあろうかと思いますが、基本的には私どもとしては、税関で自動車輸入証明書を発行する用意があるということは申し上げられると思います。
  312. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間が来ますので、大蔵大臣、貿易摩擦の解消策の一つとして通産省が並行輸入業者を認めたわけなんです。そこにこういう問題が起こってくる。私は、大蔵省大蔵省の立場から、単に中小企業の問題は通産省に任せるということではなくて、たまたまこの輸入にまつわり、中小企業が大企業にこういう仕打ちを受けているんだという問題が出てきたわけですから、これは政府全体として、単に形式的に法律をつくったりあるいは融資をやったりするような中小企業対策じゃなくて、それぞれの産業、それぞれの業種、それぞれのグループ、そういう中で大小があるわけですから、やはり微に入り細にわたって温かい目を中小零細の企業に向けていく具体性のある中小企業対策の中から、中小企業者というものを守り育てていくという政府姿勢が私は必要であるのでなかろうか、こういうふうに思うのです。  したがいまして、きょうはこの問題だけではございましたけれども、今お聞きになったようなことでございますので、中小企業を守っていく、育てていくという立場に立って、この輸入業者の中でも並行輸入業者をこれからやはり守り育てていくというために、今局長の方から答弁があったわけでございますが、大臣として最後にひとつ締めくくりの決意を述べてもらいたいと思います。
  313. 竹下登

    竹下国務大臣 中小企業問題全体に対して、私と和田委員の間には隔たりはないというふうに思っております。そして、ただいまの一つの実例として申し出られました問題については、なるほどこの団体等は他省の所管団体でございましょう。しかし、私どもの方は関税という面からこれに参画し、しかもこの分科会において和田分科員が発言され、大蔵省に対して注意を喚起されたわけでありますから、私どもの分野の範囲内においては各省との連絡を密にしながら対応すべき課題である、このように考えます。
  314. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 終わります。
  315. 熊川次男

    熊川主査代理 これにて和田夫君質疑は終了いたしました。  次に、柴田睦夫君。
  316. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 中高層分譲住宅、マンションの共用部分の修繕問題について、関連してお伺いしたいと思います。  まず、建設省の方から、我が国における中高層分譲共同住宅の存在状況についてお知らせいただきたいと思います。それから、その中で特に人口急増地域であります千葉県はどういう位置を占めているのか、これもあわせてお尋ねしたいと思います。
  317. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 我が国におきます中高層分譲共同住宅、いわゆるマンションでございますけれども昭和三十年代から供給が始まりまして、その後需要が伸びてまいりました。四十年代後半から、大都市圏を中心にいたしまして飛躍的に増大を見たわけでございます。今日では、推計でございますが、百三十万から百四十万戸に達するというふうに考えております。  それから、二つ目のお尋ねでございました千葉県におきますマンションのストックの状況でございます。五十八年に行われました住宅統計調査の速報によりますと、非木造、共同建て、それから持ち家、これがいわゆるマンションの統計上の定義になっておりますが、これによりますと、千葉県内の戸数は十万六千四百戸でございます。県内の住宅総数の八%を占めるというようなことでございます。全国ベースにおきますマンションの割合は平均いたしまして三・三%ということでございますので、全国の割合に比べますと二倍以上というふうな状況にございます。
  318. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 引き続いてお伺いしますが、このマンションの大規模修繕は、一般的には十年ないし十二年を経過したところで必要であるというふうに聞いております。現在大修繕を必要とするマンションの問題ですが、そういう点から見まして、昭和五十年代までに建ったマンションの戸数は、推計でしょうが、どのくらいあるのか、お伺いしたいと思います。
  319. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 五十年代までに建てられたマンションのストックが全国でどのくらいかというお尋ねでございますが、住宅統計調査、それから建築着工統計等によりまして推計をいたしますと、約五十一万一千戸あると考えております。
  320. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 我が党は、マンション問題につきまして、欠陥マンションをなくするための必要な規制を強化しなければならないということ、あるいは業者の瑕疵担保責任期間を延長しなくちゃならないというようなこと、そうした政策を持っております。また、建物としての価値や機能を損なわないために計画的な補修や修繕が必要であるわけですけれども、マンション管理組合などでやっております修繕積立金の積立金額が現状は非常に少なくて、大規模修繕に間に合わないというのが実際の姿であります。将来の建てかえなんかを考えてみますと、これは大きな問題になってまいります。こういう問題の解決のために大規模修繕に必要な公的融資を充実して、低利でしかも借りやすい融資制度をつくらなくちゃならないということを我が党は主張してまいりました。  今度建設省が計画されておりますマンション管理センター、この構想についてひとつお尋ねしたいと思います。
  321. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 いわゆるマンションが、申し上げましたとおり、昭和四十年代後半から大都市圏を中心といたしまして飛躍的に増大をいたしまして、今日百三十万から四十万戸に達するというような推計であることを申し上げました。こういう状況ではございますが、我が国ではマンションが比較的短期間に急速に普及をいたしたわけでございますので、一棟の建物を区分して所有することに内在します権利関係の複雑性と相まちまして、共同居住のルールというものが確立されているとは必ずしも言えない状態にあろうかと思います。そこで、管理組合の活動あるいは相隣関係等、特に管理の面で問題点指摘をされているところでございます。  また、ハードの面から見てまいりまして、先生御指摘のとおり、マンションの経年によります劣化というものを防止し、その機能あるいはまた財産価値を保全していくというようなために、適時適切な大規模の修繕の必要性というものがあるというふうに認識をいたしておるところでございます。  そこで、建設省といたしまして、こうした問題に対処するために、公益的な総合的な機関といたしまして昭和六十年度に、仮称でございますが、マンション管理センターというものの設立を促進すべく、ただいま準備を進めておるところでございます。細部につきましては目下検討中でございますけれども、この法人におきましては、マンションの適正な管理への指導相談、大規模修繕の実施に係る指導、相談それから修繕積立金の効率的な運用、それから不足修繕費の融資に係ります債務の保証等々、いろいろ役割を担っていただきまして、マンション管理組合の運営、通常のメンテナンス、さらにまた大規模修繕の実施といったものが円滑に行われますように、お手伝いをさしていただきたいというふうに考えているところでございます。
  322. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 千葉県の船橋市にあります若松町団地、これは住宅公団の分譲住宅であるわけです。この団地の管理組合におきましては、一昨年、外壁の塗りかえ、屋根の防水、排水管の取りかえという大修繕をやりました。これは戸数が五百七十六戸、昭和四十四年八月から分譲が行われたもので、大修繕は十四年目に行っているわけです。管理費は現在月額九千六百円、うち五千円が修繕積立金になっております。管理組合の方から話を聞きましたが、屋根防水は十年から十二年ぐらいでやるのがいいというように言われている、そういうふうに判断している。しかし、予算関係で、修繕積立金が足りませんので、特別徴収で毎月一カ月一万円を各戸から徴収をして実行したということであるわけです。要するに、修繕費が一戸当たり三十万円かかった。修繕をしなければならないと思って、積立金が不足する分をそれから一年間特別徴収で積み立てをしてきた、そして実行したということであります。  この分譲住宅というのは、五階建てでエレベーターがありません。エレベーターなどがあるマンションになりますと、大修繕の費用ももっとふえてくるかというように思います。そうすると、一戸当たり三十万円、五百七十六戸分で約一億七千万円になるわけですが、この管理につきましては利率の高い相互銀行に定期預金をしているわけです。定期預金をしておりますと当然利息がつくわけですけれども、この利息についての税金は今どれだけ取られるのか、お伺いいたします。
  323. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 私ども承知しておりますのは、所得税法の規定によりまして、利子の所得といたしましてただいま二〇%課税されていると心得ております。
  324. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 今の二〇%は正しいのですか。
  325. 大山綱明

    ○大山政府委員 現在の税制を御説明申し上げますと、利子所得に対しましては、個人でありましても法人でありましても原則二〇%かかります。源泉徴収されます。ただし、民法法人でありますとか公益法人等の場合には、この源泉徴収はございません。ただいまの管理組合なり今度新しくできます管理センターの性格に応じて、いかような課税になるかということかと思います。
  326. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 管理組合の方で、分離課税で三五%取られた、こう言っておりましたが、どうでしょうか。それは間違いですか。
  327. 大山綱明

    ○大山政府委員 分離課税で三五%というのは、個人なんかの場合に源泉分離選択課税で三五%という税率がございますけれども、管理組合の場合には、私も実情を知っているわけではございませんけれども、通常の法人あるいは人格なき社団ということでございますと、二〇%であるはずだと思っております。
  328. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 私も、そこで三五%と現実に聞いてきたわけですけれども、いずれにしろ一億七千万円を定期預金しておりますと、年間に一千万円ぐらいの利息がつくだろうと思うのです。それを二〇%あるいは三五%、そういう形で利息に税金がかかってしまう。これが私はちょっと問題だと思うのです。そういう共用部分の大修繕のために積み立てた金から生まれる果実に対して、税金が一番節約できる、これはどういう方法があるわけですか。
  329. 大山綱明

    ○大山政府委員 税制の面から御説明をさしていただきますと、個人でも貯金をいたしますと二〇%の源泉徴収は受けるということになります。個人が一戸建ての家を修繕するために仮に積み立てをいたしますとすれば、二〇%の源泉徴収を受けます。それが集合体になりまして法人になりましても、同様のことでございます。したがいまして、今の御設問は、どうやったら税金を安く済ますことができるかというお尋ねでございますけれども、今の税制はそういうことになっておりますということしか、お答えのしようがございません。
  330. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 それは無理な質問をしたわけですから……。  実はマンション管理センターでは、今御説明がありましたように、修繕積立金の効率的運用という対処を考えておられるようですが、効率的な運用をして、さらに利息その他の利益が得られるということになりますと、これに対しても同じような税率で課税がなされるということになるのかどうか。せっかく修繕積立金を指導されて効率的運用をなされて果実を生んだ、その果実に対して、ふやしてもまた税金で持っていかれるということになりますと、意味がなくなってくるのじゃないかということを考えるのですが、いかがでしょうか。
  331. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 私どもは、現在金融関係の方々と御相談をいたしまして、安全で、かつまた有利な運用方法につきまして検討をさせていただいておるところでございます。
  332. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 その安全で有利というのは、今はともかく何か預金しておかなくちゃならないということになっておるようですが、そのほかにどんなことが考えられておるのでしょうか。
  333. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 ただいま銀行関係、それから保険関係の方々と相談させていただいておりまして、内容につきまして現在検討さしていただいている段階でございます。
  334. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 マンションの場合は、一戸建ての家といろいろ状況が違ってくるわけです。大蔵大臣は一戸建てのお家にお住まいのようでありますが、一戸建ての家のためには自治体の方で上下水道の家から出る部分、ここのところは一戸ごとに処理しなくちゃならないということになります。ところがマンションの場合というのは、そこにもう何十世帯、何百世帯、何千世帯、場合によってはそういう大きなものがあるわけです。一方ではそれだけの、何十世帯というところから多いのは何千までいきますけれども、そういうところから固定資産税が入ってくる。ところがそういう大きなところでは、防火施設だとかあるいは外灯だとか、みんな本人たちが、そこに住んでいる人たちが負担するわけです。それから排水施設にしましても、現状を見てみますと、一戸建ての家であればそこに一本ということになりますけれども、マンションなんかの場合には三棟くらいをまとめて一本で流す、こういうふうにやっているところがあります。大抵一棟ごとに一本、少なくとも一本で間に合わしているというのが現状であろうかと思います。それから、自治体には固定資産税が一定の地域からたくさん集まってくるけれども、自治体自身負担する部分は、一戸建てに比べてみますと非常に少なくて済んでいるというのが現状であります。  こういう性質を持つマンションに対して、その共用部分の修繕費用、いわばこれは大きなところから見ますと一つの町みたいなもので、その町の共同部分ですから、いわば公的な修繕、こう言ってもいいようなものではないかというように考えますが、そういう積立金に対して効率的な運用をしてもらってその利益に対する課税を現状から減免をする、そういうことの検討というのはどうでしょうか、できないことでしょうか。
  335. 大山綱明

    ○大山政府委員 やはり税の立場から申しますと、バランスということを重要視いたします。一戸建ての場合には、いろいろ別の面での配慮があるという先生の御指摘でございましたけれども、仮にそういうことであるならば、それはそういった面でマンションについても配慮がなされるべきかどうかというような、そのサイドの話でございまして、一戸建てを持っているあるいは住人で組合をつくっているとか、そういった方々の持ちます修繕用の預金利子に対して課税が行われている現状において、同じようにマンション管理組合なるものをつくって預貯金をいたします、それの利子所得が発生する、それについては源泉徴収が行われるというのはバランス上からいって当然と申しますか、ごく自然なことだと思います。  先ほど、一戸建てについては何かいろいろな有利さがあるというような御指摘だったかと思いますけれども、そういった側面で何か政策的な配慮がされるかどうかといったような問題は、そういった側面の建設行政の話になるかもしれませんが、そういった側面の問題だと存じます。
  336. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 おっしゃいますように、マンションが非常に急速に日本ではふえてきたという問題を踏まえて、建設省もこの管理センターの準備に入られているということでありますが、このマンション行政についていろんな主張がなされております。  例えば、読売新聞の去年の十一月七日、今の管理センターの問題に関連した主張がなされておりますが、「一定規模以上の修繕積立金には、税制、金融上の恩典措置を講じていくといった対策を進めていくべきだ。」というような主張がなされております。確かに今の税法からいえば、皆さんがお答えになられた問題だと思うのですけれども、このマンション、それが一つの町を構成する、たくさんの世帯を構成する、そこには政策的な問題で考えるべき問題が出てくると思うわけです。  そういう意味で、自分の懐に入れるものではなくて、そういう町のために使われる金という面を配慮していただいて、この読売新聞の主張でも言っておりますように、税制の面で、特にその積立金の利息に対する税の問題で、これを減免の方向で政治的に考えられないかどうか、ひとつ大蔵大臣に御検討をお願いしたいと思いますが、御感想をお伺いしたいと思います。
  337. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる民法法人など公共法人等の受け取り利息につきましては、源泉徴収が行われていないという現実はございますが、収益事業が営まれる限りは今度は法人税の課税があるということになりますので、いわゆる人格なき法人とでも申しますか、租税特別措置になりますね、その中で措置するというのは難しいだろうなと思います。ただ、私は小さなマンションに住んでおったことがございますけれども、先生の選挙区のようなところに住んでないものですから、私の田舎の全人口と同じぐらいなのが団地におるなどという状態がわかりませんので、そういう問題として都市政策とかいうようなことから、あるいは専門の建設省の皆さん方の意見は聞いてみる必要があるなどいう感じを今、話を承りながら感じておりましたが、その税法上の特別措置というのは難しい問題じゃないかな。感想を述べろとおっしゃいましたので、あえて感想を述べさせていただきました。
  338. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 大臣は、非常に物わかりのいい方でいらっしゃいますので、建設省もそういうマンション行政がうまくいくようにということでこういう構想を今練っておられる、そういう段階でありますので、ひとつそれを受けて、ともかく利息に対する税金の問題、修繕のために積んでいる、運用して利益を持つ問題について、建設省も積極的に意見を述べて、また大臣としても検討していただくことを要望して終わります。
  339. 熊川次男

    熊川主査代理 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、水谷弘君。
  340. 水谷弘

    ○水谷分科員 長時間大変御苦労さまでございます。大変厳しい財政事情の中で財政運営のかなめで頑張っておられる大臣に、私は所属委員会は農林水産委員会でございます、冒頭大臣に本年度の農林水産予算、このことを中心にお尋ねをしたいと思っております。大臣と農林水産予算のことでお話をする機会はなかなかございません。きょうは少し時間を割いて伺ってみたいと思います。  今、農業を取り巻く環境というのは大変厳しいものがある、これはもう大臣も先刻御承知のとおりであります。そういう中で、やはり今一番大切なのは、我が国の農林水産業を振興させる中で食糧の安全保障的見地に立って食糧の自給率を向上させていく、食糧の安定確保を図る、こういう取り組みが非常に重要である、このことについては大臣も全く同じ御見解に立っておられると思います。  そこで、五十九年の九月に総理府が行いました食料及び農業、農村に対する国民の意識調査がございます。その結果の中に、日本の将来の食料事情についてどう思うかという質問に対して、不安を持っているという答えが返ってきましたのが何と六四・一%。不安を持っているその理由は一体何だ、理由の問いに対しまして、日本の食料自給率が低く、外国からの輸入が多いからだ、これは一朝事があったらば大変なことになる、そういう御不安が根拠になって答えが返ってきているわけですが、それが何と六〇・四%。国民全体が我が国の食料については非常に不安を持っていらっしゃる。そういう中で、今国民の合意を形成して、国民に安心していただけるような食料自給率の向上は非常に急務であると考えるわけであります。  そのためには、農林水産業全体を振興させていかなければならない。それにも増して自給率が非常に低くなっておるのは、申し上げるまでもなく飼料穀物の自給率、小麦、トウモロコシ、大豆、この生産基盤の確立をしっかりしていかなければならない。コスト高の問題、それから規模拡大がなかなか進まない、こういういろいろな問題がありますが、やはりこれから特に力を入れていかなければならないのは生産性の向上であり、それを支えるためには、規模を拡大していくという方向は避けられない方向だと思う。  そういう中で規模を拡大していくためには、農地の権利移転はもちろんでありますけれども、賃貸借、作業受委託とか、そういう形での流動化が図られていかなければなりません。ところが、農地の流動化が阻害されている一番大きな要因の一つに、いわゆる耕地が点在しているという問題が出てくるわけなんです。そのために農業基盤整備事業、その中でも圃場整備は第三次土地改良計画の中で積極的に進めながら、農業生産の基盤を基幹的に整えていく、そういう意図のもとに組まれてきているわけです。既に工事も至るところで行われております。そういう中で、道路等の公共事業と違いまして面的整備の圃場整備、こういうものはやはり完成に近くなっておりませんと機能を全然発揮いたしません。そういうことで、この三年連続の超圧縮農林水産予算というものは、私どもが現場に参りますと大変深刻な問題となって、今地域社会にあるわけであります。  具体的な数字を挙げるまでもありませんけれども、圃場整備事業については、五十九年度予算での千二百五十九億が六十年度予算案には千二百二十五億となっております。農業基盤整備事業総体にしても対前年比が九八・五%、パーセントは非常に少ないように見えますけれども、実際は工事費は増高しております。いろんな要因がありまして、このマイナスのパーセントは現場ではそれがかなりの相乗効果を持って、非常なマイナス面としてあらわれてきている。確かにことしの農林水産予算を見ますと、先端技術の導入だとかジーンバンクだとかバイオテクノロジー、積極的に芽を出していただいている部分がたくさんあります。そういうことはもちろんでありますけれども、総体がここまで落ち込んできてしまいますと、農林水産業全体を振興していくということになかなかなり得ない。常に引き合いに出されるのが防衛予算でありますけれども、改めてここで挙げるまでもありませんが、過去五十六年から六十年、来年度予算の伸び率を見ますと一三〇・七%、三〇・七%の伸びを見せている。農林水産予算は過去五年でマイナス一〇・六%、このように非常に厳しくなっております。  その時代、その時代に国政の中で、限られた財源の中で重点配分をしていかなければならないという背景はある。ならばこそ、なおさら国民の不安をなくす上で、食糧安全保障、国の総合安全保障という立場から、私は今農林水産予算に対する大蔵大臣、また政府の取り組みについては非常に疑問を持たざるを得ないわけであります。ここまで他の省庁予算と全く違うかなり厳しい切り込みをなさったわけでありますけれども、そのお考えを大臣に率直にお伺いをしたいと思います。
  341. 竹下登

    竹下国務大臣 食糧の安定供給を確保するということは、今おっしゃいましたとおりいわゆる食糧安定、国家安全保障、まさにこれは国民だれひとしく持っておる基本的な物の考え方であろうと思っております。六十年度予算につきましては、これは厳しい財政事情のもとでございますので、それこそあらゆる施策、歳出に、制度の根本に踏み込んだ徹底した節減合理化を図るという方針で臨んだわけであります。  農水省の予算も、こういう考え方に基づきまして徹底した節減合理化を行っておりますが、私も出身はまさに農村でございます。内容面において今後の農政の展開方向を踏まえながら、農水省をめぐる諸情勢に対処してその体質強化を図るための新規施策、今評価していただいた点もございましたが、それらも含め質的充実ということに配慮しながら、予算の重点配分を農水省との調整において行わしていただいた、こういうことになろうかと思います。したがって、言いにくい言葉でございますけれども、いわばこの予算の縮減は、そういう観点からそれぞれの経費の所要額を念査して計上した結果でございますので、この予算額の増減のみを――言ってみれば、もちろん予算額の増減というものは重要度をはかる一つのバロメーターになるものではございましょうが、いわば単純に予算額の増減のみを比較して論ずるということは御容赦いただきたいものだというふうに考えます。  確かに、今お話のありました土地改良の問題につきましても、五十八年度予算が三千億という悲願を持っておりましたら、自分で三千億の悲願を達成しながら引き続き自分が大蔵大臣でそれの削減に当たるということは、これは私なりに非常に苦痛を感じました。が、言ってみれば補助率等で、地方にいわゆる役割分担を背負っていただくことによって事業費の確保をしていただくということが、私はそれなりに精いっぱいのぎりぎりの調整の結果ではなかったか、こんな印象を持っております。御批判は、あえて甘んじて受けなければならないと思っております。  それからいま一つは、補助から融資へという物の考え方をここ数年やらしていただいておりますが、その方向はそれなりに、私は定着とは申しませんが、そういう形で定着の方向へ行きつつあるのではなかろうか。  それからもう一つは、活力ある村づくりの推進とか、今まで林業構造改善とか農業構造改善とかいろいろおやりになっているものに、言葉だけでなく、言ってみればロマンのようなものがにじみ出ておるのではないか、私が好きでございますふれあいの森なんというのも出たりして、それは決して自画自賛で申し上げるわけでもなく、心の中で幾らかの支えになっておる。  それから今先生御指摘なさった、いわゆるバイオテクノロジーとかそういう問題が新規施策として伸びていきますと同時に、また国際協力の中で、ODA全体の中の農水省部分を見てみましても、それらの点については、将来どうしても輸入に頼らざるを得ないものについては、安定的供給源として農業協力を行うというかねての農水省の基本政策はそれなりに拡大しつつある。  こんな感じで、もちろんあらゆる批判に甘んじながらも、自分では対応してきたというささやかな自己評価を今行っておるという現状でございます。
  342. 水谷弘

    ○水谷分科員 時間があれば何点か、ここでまた行ったり来たり御議論を申し上げたいところでありますけれども大臣の今のお話を伺いまして次に移りたいと思います。  一昨日の与野党書記長・幹事長会談の中で、寝たきり老人、単身赴任、教育、この政策減税については実務者会談で検討するということで合意がされ、さらに金丸幹事長からは口頭で本年中に結論を得て実施する旨、合意がなされたわけであります。  大蔵大臣、これは自民党の幹事長が野党に約束したことだ、政府はまだそんなことは考えておらぬ、こういう態度はとれないと私は思っております。私は、その政策減税の中でも特に教育費減税についてお尋ねをしたいのでありますけれども大臣の今後の取り組み、これを具体的にどのように国民に誠意ある形として取り組んでいかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
  343. 竹下登

    竹下国務大臣 教育費減税の問題でございますが、金丸幹事長の口頭の発言の中の幹事長・書記長会談の責任で本年中に結論を得て実施する、したがってこの結論は十分に尊重していかなければならないという基本認識をまず持っております。  今日まで先生方と議論して、教育減税という問題を昨年税制調査会で御議論をいただいた答申では、結局問題になった点は三つでございます。一つは、教育行政というのは基本的には助成政策であるべきだ、税制の中でこれをやるということになれば基本的な助成政策の問題とどう調和をとるか、こういうことが一つ指摘でありました。いま一つは、言ってみれば課税最低限以下の家庭に何らの恩恵が及ばない、この問題が二つ目でございます。それから三つ目は、今五%程度でございますけれども、中学校だけを卒業した方が社会に出て九十七万六千円以上になりますと幾らかでも所得税をお払いになっておる、それとの不均衡の問題。こういうような問題が指摘されまして、税制上いわゆる個別の事情をしんしゃくしながら組み立てていくこと、そして基準をつくることは困難な問題だ、こういう答申がありましたので、その答申のことを国会等で説明してきたわけであります。  しかし、幹事長・書記長会談というのは、まさに議会制民主主義を構成する政党の最高幹部間のお話し合いでございますから、これから政策担当者の方々で結論が得られるような努力がなされるでございましょうし、それに対しては私どももいろいろな角度から、これに対して資料を出せとかこういう議論を詰めてみるとか言うことがございますでしょうが、今のところどういう運び方で進んでいくかはわかりませんので、その運び方についてまではコメントする立場にはございませんけれども、その最高幹部の合意には、政府としてもその結論を最大限尊重するということは、言うまでもないことではなかろうかというふうな事実認識をいたしております。
  344. 水谷弘

    ○水谷分科員 今、三つの問題について大臣が触れられましたけれども、これらの問題をクリアして、国民との重大な約束事でありますので、この実現のために大臣もぜひ特段の御努力をしていただきたいと思うわけです。今、教育費の問題はどこの家庭にとっても非常に大変な問題でありまして、それに対して少しでも政策的な配慮が行われていくということになりますと、これはまた一層より多くの効果をあらわしていくことになると思いますので、ぜひひとつお取り組みをお願いしたいと思います。  次に、これもまた減税の要求になって、口を開けば減税減税ということにもなりますが、私が次に申し上げたいのは、自賠責保険と自動車保険所得税控除の対象に繰り入れるべきではないか。  これも種々議論があるかもしれませんが、現在我が国の自家用自動車の世帯当たりの普及率は七〇%にまで達しておるわけです。免許証を持っていらっしゃる方は五千万人。そのように国民の日常の生活用具としても完全に定着してきております。もう一つは、交通事故が今なかなか減りません。急激な増加はございませんけれども、事故の内容が非常に重くなっております。そういうことから、死傷者に対する補償額も年々非常に高くなってきております。  そういう状況の中で、自賠責保険だけではだめで、高額な任意保険に加入しなければ万が一のときの補償責任能力を持てないということで、これは普通乗用車でございますけれども、自賠責が今回一万八千六百五十円から二万三千六百五十円に五千円、二六・一%のアップになっております。このことについてもきょうはいろいろ質疑したいのでありますけれども、時間の制限がございますので割愛いたしますが、六十年以降は二万三千六百五十円。任意保険補償額は最低一億、二十六歳以下で一年という期間で平均的に二万八千二百三十円。両方を足しますと五万一千八百八十円。これは家計の中ではかなりのウエートになってまいります。  片一方、生命保険、他の損害保険は、雑損控除の対象、いわゆる所得控除の対象に繰り入れられているわけであります。そういうことを考えますと、生命保険だって全員が入っているわけじゃありません。また、火災保険のような他のいろいろな損害保険だって、みんなが入っているわけじゃありません。それから、自分の生命を守るための生命保険よりも、どちらかといえば事故が起きたときに相手の生命を守るための保険ということになれば、これはもっと重要な位置づけがされてもいいのではないか。  こういうようなことを種々考えますときに、現在、自動車には大変な数々の税金がかかっております。そういうこともあわせながら、これは何とか所得控除の対象に入れられるべきものであり、また、いろいろ検討すれば何とかこれは組み込めるのではないか、そのように私は見解を持っているわけでありますけれども、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  345. 大山綱明

    ○大山政府委員 今お話のございました自賠責の保険料、これは先生も今の御発言の中でお言葉がございましたように、家事上の費用でございます。家事上の費用につきまして税制上個別にしんしゃくするということは、もう釈迦に説法でございますが、原則論としていたしておりませんで、これも御案内のように、基礎控除とか扶養控除とか配偶者控除とか、そういった諸控除で見ておるというのが現在の税制でございます。そういったところから、こういった家事上の経費一つ一つ拾って控除をしていく税制というのは、先ほど来大臣も中期答申をお引きになりまして、国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して税制上しんしゃくすることにはおのずから限界があるという御説明がございましたように、なかなか税制になじまないということで、御質問の点につきましては、税制上取り入れることは難しい問題でございます。  そこで、生命保険料あるいは損害保険料の控除はあるではないかという点の御指摘もございましたが、生命保険料控除につきましては、貯蓄の奨励でございますとかそういった趣旨で、ずっと長く設けられてきたものでございます。それから損害保険料控除、これは昭和三十九年でございましたか、創設をされましたが、やはり人間の非常に大事な命であるとか衣食住の中での住あるとか、そういったものについては、一般的にはしんしゃくできない中で何らかの配慮がなされてもしかるべきかというところから、長年にわたってそういう控除が認められているわけでございまして、自動車は大変普及はいたしましたものの、非常な便益品でございます。自動車を買う人、買わない人、いらっしゃるわけでございまして、強制保険ではございますものの、その保険料がまた高くなったというのも事実ではございますけれども、それを買う、そしてその便益を受けるかどうかというのは任意と申しますか、個人の選択でございます。やはり、自動車を持っている人の税金が安くなって、持っていない人の税金の方が高いという結果を来すようなこういう控除というのは、いささか問題が大きいのではないか、かように考える次第でございます。
  346. 水谷弘

    ○水谷分科員 時間がありませんので、いろいろ申し上げたいのですがくくっていきますと、生命保険料それから損害保険、そういうものとこの自賠責、任意保険、これが先ほどいろいろ理由を言われております、経過措置やら何やら言われておりますが、私の受けとめ方では、だからこそ入るべきではないのか、こういう感じでございます。今後ともひとつ御検討をいただきたい、このように御要望申し上げて次に移ります。  昨年の五九豪雪、これに大変大きな被害が出ております。私は、昨年も、また本年も二月一日、新潟県の上越市を中心に豪雪の調査に行ってまいりました。戦後初めてだ、史上でも二番目の非常な大雪だということで、本当に、山手であれば限られた地域かもしれませんけれども、上越を中心にしたあの地域は平場でございまして、すべてが雪の下に埋もってしまう。そういう中で、毎日一メートルずつ三日間降り積もったといいます。毎日雪おろしをした。こういう、本当に豪雪地帯でなければ感じられないような大変な中で、雪と闘いながら頑張っておいでになりました。  そういう地域に行って、いつも私どもが御要請を受けるのは、公共的な部分については、いわゆる豪雪対策ということで種々の手当てがある。しかし、例えば事業主、事業所、商店、こういうところが大雪のために収入ががた落ちをする、こういうことに対する手当て、何とかしてほしいのだ。それからまた、いわゆる豪雪地帯でなければ必要のないような、住宅もそうなっているし、さらにまた燃料費も違う。生活様式がすべて違ってくる。特に通常の雪ならばよろしいわけでありますけれども、豪雪が続くということになってきますと、そこにまたもっと多くの出費がかさんでくる。  私は、昨年の百一国会の災害対策特別委員会でも、いわゆる豪雪地帯に対する税の軽減措置、こういうことについてお伺いをしました。ぜひこれは取り組んで何とかできないか、こういう形でお取り組みをしていただかなければならぬということで申し上げてきたわけでありますけれども、再度、この豪雪地域、特に災害救助法まで発動して災害救助に当たらなければならぬというほどの豪雪をこうむったそういう地域、豪雪地帯の上にさらにもう一つ網をかぶして、いわゆる時期を限定して、恒常的にということではなくて、そういう形で何か手だてはできないのか、こういうことで私はお尋ねをするわけでございますが、お考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  347. 大山綱明

    ○大山政府委員 また同じような御説明になって恐縮でございますけれども、今御指摘のようなそういった個別の地域的な事情を考慮いたしまして、税制上、特別な控除を設けるということといたしますと、先ほど、基礎控除とか配偶者控除とかいったような控除をもちまして、生活上の費用というのは面倒を見ているわけでございますが、それをもって構成されますところの基礎控除というのが地域によっていろいろまちまちになってまいります。  また同じような答申を引用させていただいて恐縮でございますが、税制調査会の中期答申におきましても、そういった「地理的条件や社会的条件の差異等に着目して新規控除を次々に創設していく場合には、税制をいたずらに複雑にするし、そもそも様々な国民の生活態様の中から特定の条件や特定の家計支出を抜き出して、税制上しん酌するにはおのずから限界がある」、同じ言葉を再度繰り返して恐縮でございますが、そういった限界が税制にはございまして、個々に一つ一つ見ますと、例えば暑いところでは冷房代がかかる、寒いところでは暖房代がかかります。そういったことを見ていくことには税制上限界がございます。さようなところから一律的な課税最低限、控除ということで税制は対応しているということを御理解いただきたいと思います。
  348. 水谷弘

    ○水谷分科員 ありがとうございました。
  349. 熊川次男

    熊川主査代理 これにて水谷弘君の質疑は終了いたしました。  次に、新村勝雄君。
  350. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 先にマクロの問題について大臣にお伺いしたいと思います。  日本経済はおおむね順調に成長いたしておりまして、将来、仮に二〇〇〇年を一つの目標にいたしますと、それまでは平均三あるいは四あるいは五程度の成長を続けるのではないかというふうに考えられるわけであります。そうだとすると、二〇〇〇年ではGNPが約六百兆円あるいはそれ以上、総貯蓄が二百兆を超える、そして対外債権は、現在の調子でいけば二兆五千億ドルに達するだろうと言われておるわけであります。これは大変な成果ではありますけれども、そこには必ずしも全く問題がないというわけではないわけでありまして、現在の状況を伺いますと、現在の対外債権は、もちろんこれは外国に富が存在するということでありますけれども、巨額の貿易黒字の結果、富が蓄積をし、それが在外資産ということになっているということでありますけれども、その反面、財政は大変窮乏しておるわけであります。こういう巨額の富を一方では蓄積しながら、国内の行政は行革によって、特に社会資本の充実という面からいたしますと、そのルートは大変狭められているわけであります。  そうなりますと、将来ともにこういう傾向が続くとすれば、一方では巨額の富が蓄積されておるわけでありますが、それが海外に流出をして、その多くの部分が証券投資とか、そういうスペキュレーションに向けられておるということは、必ずしも経済大国日本にとっていい形ではないんではないか。そして、これだけの巨額の富を擁しながら、行政改革によって一方では社会資本の充実が大変狭められている、こういう状況が今後とも一定の期間は続くと見なければならないわけでありますが、そういう場合に巨額の、遊休とは言いませんけれども、直接社会資本の充実あるいは国民の福祉に役立っていない富、これを民間資本の充実に向けるような政策はとることができないのかどうか。もちろん、これは政府の金じゃありませんけれども、そういう民間資本の充実にこれらの富に参加をしてもらうにはどうすればいいかという点を、大臣はどうお考えでございますか。
  351. 竹下登

    竹下国務大臣 まさにマクロの、新村さんから決算員会でも一度そういう趣旨のお話を承ったことを想起をいたしたわけでございますが、一つの考え方として、要するに先進国というものの傾向としては、とにかく先進国全体の一人当たり所得とか、そうしたものと国家財政とは反比例するということを言う人がございます。確かにそういう傾向で、いわば経済諸指標を見てみますと、今おっしゃいましたように実質四%程度でいけば、今二〇〇〇年ということをおっしゃれば、計算上そんなことになろうかと見通されると思います。でございますが、財政はそういう状態にいっていないことも事実でございます。そこで、最近よく言われます経常収支の黒字を上回るものが資本流出となって出ておる、今おっしゃいましたこの問題は、ある意味においては在外資産を充実しておるということにもなろうかと思っております。  それで、よく言われますことの中に、私もその問題はいろいろ議論しておりまして、昨年でございましたか、貿易白書か何かの白書に出た文句があったものですから、それを私なりに今国際会議等ではいつでも主張しておるところでございますけれども、経常収支の大幅黒字、それから内外長期金利差、それから金融の自由化、国際化、こういうことから市場メカニズムに沿った自然な資産移動が起こっておる。ただ、私が申しておりますのは、この資本流出というのには、結果として国際機関を通じたりしたものは経済協力として、中進国には資本提供になり、開発途上国には大変な援助となって行っておるし、主としてアメリカへ流れておるものにいたしましても、これはアメリカを中心とする世界全体の高金利に歯どめをかけておる結果になるではないか、言ってみれば資本提供国としての立場を今日日本はとっておる、こういう説明をいたしておるわけでございます。これに対して個別的ないろいろな議論はございますが、大筋は私の意見を大体先進国はそれぞれ是認しておる、こういう感じがしないでもございません。  しかし、一方、民活等の活用をして、こういうときこそ社会資本の充実をすべきだ、こういう御議論でございますが、もっともな議論でございまして、確実に壁に当たります一つの論理は、どうせ貯蓄性向の最も強い国民である、そうなれば金を貸す先はどこか、いわゆる投資先はどこかと言えば、国か地方か個人か企業か外国か、こういうことになる。そうすると、国内の資金需要が高いときには政府は比較的安定した政策をとっておって、国内の資金需要が少なくて、むしろ外国へでも流出するような時期にこそこの国債発行なんかを積極的にやって、それによって社会資本の充実を促進していくのが一つの手ではないか、いわゆる貯蓄と投資のバランス論とかいう論理でございまして、一つ壁に突き当たりますのは、では公共事業を一遍それだけ建設国債なりを発行してふやしたとする、そうすると今度は民間需要が高まったからそれを二割なり三割なりに落とすことができるか、これが今までの我々の体験からして、年度ごとに波をつけて落としていくことは実際上困難な問題である、だからやはりそのときどきの財政事情に応じて国民のニーズに対応していかなければならぬということに結論として、むしろペースを落とせなくなるとそれによってなおのことこの公債の残高がふえて、そしてそれが後世代にツケを回すことになって、そのことがむしろスペキュレーションじゃないか、もう一遍引っ込めることができないだろう、こういうことが一つ壁に突き当たるところでございます。  しかし、おっしゃいましたように、民間活力をこの際使うための手法としましては、私は制度金融のようなものも全くあり得ないとは思っておりません。が、まずはやはり規制緩和じゃないかなと。そして、規制緩和をして、あるいは乏しい予算の中でも、都市再開発でございますとか、そのような環境整備の予算というものを充実することによって民間活力を誘導していく環境をつくる。国公有地の利用もその一つでございますけれども。だから、せっかく今、新村さんおっしゃったような民活というある種のムードが出たところでございますから、これを助長する環境をどうしてつくるかということに眼を向けるべきときではないかな。  少し長くなり過ぎましたが、素直に私の今の心境を申し述べたわけであります。
  352. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 いわゆる民活の構想というのは大臣初め現政府のお考えですよね。それについてはまたいろいろ議論があると思いますけれども、要するに、巨額の富それから一方の財政、その境には税制という関門があるし、またもう一つの関門としては起債。とにかく、こっちの富をこっちに誘導するには非常に難しい関門があるわけでありますけれども、その関門の検討もさることながら、いわゆる政府の民活の構想の中でそういう富を社会資本の方向へ向ける誘導的な政策はないのかどうか。今おっしゃったような規制の緩和というようなこともあると思いますが、そこらがちょっとなまぬるいというか、もっと明確な政策が打ち出せないものかどうかという点が一つあるわけです。  それからもう一つ、長期資本の流出ということでありますが、長期資本が海外に出る、それはアメリカの膨大な財政赤字あるいは貿易赤字、それを日本の資金が行って補っておるということだと思うのです。それは自然経済の論理に従ってそういう資金の移動が起こるわけでしょうけれども、アメリカの赤字のしりぬぐいをすることも結構ですが、日本の社会というのはまだまだ社会資本の不足が分野によってはかなり目立つわけですから、そういう方向へ誘導することができないのかどうかということですね。それに対して大臣、お答えがあったわけですけれども。  それからもう一つは、この長期資本の流出も、アメリカなり外国へ行ってそこで直接投資という形で資本が移動するということではないのですね。そうじゃなくて、主として大部分が証券投資であるとか、スペキュレーションと言うとおかしいのですけれども、いわゆるそういうことだと思うのですね。それで直接投資は非常に少ない。一〇%か一五%程度。あとは証券投資とかその他の投資に向けられている。ということになりますと、アメリカの赤字のしりぬぐいということであればいいのでしょうけれども、長期的に見れば経済大国としての日本の経済的なビヘービアとしては、これは余り感心したものではないんじゃないか。海外に富が出るのであれば、そこで直接投資による運用をもっと考えるべきではないか。これは政府が直接おやりになるわけじゃありませんけれども、そういう気がするわけであります。その点についてはどうお考えでしょうか。
  353. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに間接的にはアメリカ等へ参りました資金が世界全体の金利をそれなりに幾らか抑えておるという効果は果たしておると思いますが、今おっしゃいました直接投資に関する問題については、先進国へ直接投資していくという点は、これはそれなりに今進みつつあると私は思います。工場進出、企業進出あるいは合弁形式の進出。より多くの人口を抱えておる――先進国といっても、私もこの間人口を計算してみますと、国の数で百六十八カ国のうちの二十三カ国ぐらいがまあまあ先進国と言えるのかな。そうすると、人口七億ぐらいでございます。だから日本が貿易立国として成り立つためには、七億しか言ってみれば購買人口はないじゃないか。それ以上の人口というものに購買力もついていただかなければいけませんし、そしてそこから上がるものをまた先進国が買ってあげなきゃいかぬということからいたしますと、今度は経済協力の面、あるいは援助もございますけれども援助はしばらくおくとしまして、これは積極的にやらなければなりませんが、協力の面。そしてなかんずく中進国の面。五百ドル以下の一人当たりGNPの国が、人口で計算いたしますと下からずっと数えてみてちょうど二十四億ございました、多少の違いはございますが。そうすると、そういうところへは経済協力と資本提供、それについては相手国の受け入れ側も徐々には整ってきつつあるのではないか、そういう面に志向していった方が経済大国として世界全体から信頼される。僕はまだ資本提供国と言われるときには気持ちは余り悪くありませんけれども、何か資本を提供しているぐらいのところまではまだいいのですが、資本を提供することによって金利を稼いで、またぞろ結果としては巨額の富を日本へ集中しておるという表現をされるとやはり嫌な感じがいたすことは事実でございます。
  354. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 今お話が出ましたからですが、大臣はやがて日本のトップにお座りになる方だと思いますが、対外援助それから軍事費の問題でありますけれども、日本は一%枠を政府みずからが自分の政策に課していらっしゃるわけですよね、問題になっておりますけれども。ところが、先進諸国は少ないところでも大体三%程度の軍事費を使っている、これはGNP比ですね。そうしますと、日本は一%を守るべきである、これは国民もそう考えておりますし政府も努力するとおっしゃっているわけですが、経済大国日本が世界的な使命を果たそうとするならば、やはり非軍事的な面で対外援助を飛躍的に向上させる必要があるのではないか。ですから、数字的に言ってみれば先進国は軍事費に三%使っているわけですね。日本は一%。その差額ぐらいは対外援助に使うというくらいの大きな構想があって初めて、将来日本の地位が、あるいは日本の国際政治における発言力が増していくのではないか。日本の総理がサミットに出席をされて、そして記念写真を撮られる場合も、だんだんと中の方にいきますね。昔は一番端に立っておられたのですが、だんだん中の方に立っている。竹下さんが総理になるころはもう真ん中にお座りになるようにしていただきたいのですよ。そのためには、日本は防衛費ただ乗りというようなことを盛んに言われておりますけれども、そうじゃなくて、防衛費については日本は平和国家であるし、憲法の関係もあるし、政府の構想もそうだ、だから対外援助で二%ぐらい持ちましょうよ、こういうような発想は出てきませんか。     〔熊川主査代理退席、主査着席〕
  355. 竹下登

    竹下国務大臣 まずはいわゆるODA倍増というのを約束しまして、私はあのときに見てみますと、あのときは為替レートが百九十円ぐらいのときでございまして、それからその後国際機関等へ出資しますのは日本が一番大き目にいって、アメリカ等がそこまで出せないというので、日本はアメリカを超すわけにはいきませんから、二番でございますから、総じて下がっていく。そこで、あのときの約二百円の為替レートで、しかも日本がそう表明した額を全部国際機関が受け入れたとして、そして各国が、全部その計画どおり進んで金を使っておったとしたら、もう去年で倍になっているのじゃないかというのが私の言い分でございました。しかし、為替レートの計算を二百円にするわけにもいきませんし、現行でやらなければいけません。そういうようなことから、どうやらODAの面では一応倍近く、九八%実行することができたわけでありますが、新たなる目標がどういうふうにして議論されていくか。これからまた私どもとは違ったOECDとかいろいろな会合があると思いますけれども、その経済協力は、予算の際もまず経済協力ありきという感じで取り組んだ、厳しい中で私もそれなりに一生懸命でありましたので。それをやらなければ日本の国際国家としての役割は果たせないという認識は私にもございます。
  356. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 大臣の構想には敬意を表するわけでございますけれども、国民総生産の二%程度を対外援助に向けるくらいの構想を持っていただきたいわけです。  今、為替レートの話が出ましたけれども、円が今過小評価されているということが非常に問題になっています。この円安について大臣は基本的にどうお考えですか。
  357. 竹下登

    竹下国務大臣 これは毎日絶えず報告を受けておりますが、きょうの終わり値は二百六十一円三十五銭でございます。私が五十四年に大蔵大臣になりましたときには二百四十二円でございまして、五十五年にやめましたときには二百十九円でございまして、大変うれしゅうございました。それから今度なりましたときには二百七十円近くになっておりまして、それ以後少し円高傾向が出てうれしゅうございましたが、今またちょっと調子が悪い、こういう感じでございます。  だが、基本的に、ヨーロッパ通貨に対しては今でも円高でございますし、やはりドルの独歩高だ。それは何に理由があるか。それはいろいろありましょう。金利差が一番大きいかもしれません。それから、アメリカの景気が現在も意外と――意外という表現は適切ではありませんが、さらに堅調だという予測が多いというようなこともございますが、あらゆるファンダメンタルズから見たら私は円高がなお一層期待できるというところまでは言ってもいいのじゃないか。通貨当局者の一人でございますから、それによっていわゆるスペキュレーションが国際金融市場の中で起こってはいけませんけれども、少なくとも現在のファンダメンタルズからいってなお円高が期待できる状態にあるというふうに申し上げていいのじゃないかと私は思っております。
  358. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 そうなるべきであるし、そうなることがやはり世界経済の安定にはプラスであると考えるわけですけれども、なかなか円の実力が国際的に信認を得られないのではないかというふうな面もあるわけですね。  例えば貿易取引における円建ての比率は異常に低いわけですね。輸出では四〇%程度と聞いておりますけれども、輸入では二、三%しか円建ての決済が行われない。今、世界の総生産の二割を占める経済大国、その大国の経済を代表する円が国際的な信認を十分得られないという現状、これはどういうことなんでしょうか。  それから、大蔵省は円の国際化については非常に慎重でいらっしゃいますが、円の国際化等についてももっと大胆に、着々やっていらっしゃると思いますけれども、おやりになることが円の国際的信認の道ではないか。例えば、各国が保有している外貨にしても、その中における円の比率は非常に低いわけですね、マルクの半分もないわけですから。そこらの点はどうお考えですか。
  359. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、今の意見は全く同感でございます。  そこで、まずどういうところからやるかというのは、一つは、やはり国際化して実力そのものをみんなが認識する。円ドル委員会等で話しますときに、まだ残念ながら、戦争が起こったと言ったら円を持って逃げる国民はいないがドルを持って逃げる国民はおるだろうということをよく言います。そうすると相手は、そう言ったって円を持っていれば世界全体で通用するから実力はできているのじゃないかと言う。しかし、それがなかなか普遍化していない。したがって、円の国際化というのは日本のために基本的にいいことだから、今「着々」と言っていただきましたが、諸外国はその限りでは評価をしてくれております、スケジュールどおりに進めてきておりますから。これは日本のためになることだということでありまして、ただ将来、国内金利の問題になりますと、それは郵便貯金とかいろいろな問題が出てきますから、そういうところとの摩擦がないようにやっていかなければなりませんが、今は金利の自由化にしても大口からやってきておりますから、今のところはそう摩擦なく進んでおると思っておりますから、日本のためにいいことだという認識で御鞭撻いただいたことは大変私も感謝します。  そこで一つは、円建て貿易の問題でございますが、そうなりますと油が一番実効が上がりますけれども、長い間の油の取引で円建て取引というのはなかなか難しゅうございます。しかし、これらも努力していかなければならぬ問題だ。そこで、準備通貨の中で円の比率が、好むと好まざるとにかかわらず、よくなるような方向でこれからも、主体的にではもちろんございますが、国際化、自由化の方向は進めていきたいと思っております。     〔主査退席、小泉主査代理着席〕
  360. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 極めて大まかな質問ですけれども、今の勢いでいけば日本の経済はアメリカに――総生産でアメリカに追いつくなんて大変でしょうけれども、対外債権等は既にアメリカを追い抜きつつあるという状況で、円の将来は、例えば十九世紀におけるポンドあるいは二十世紀におけるドルに次ぐキーカレンシーになる可能性さえあるというふうに見られるわけですけれども、そういう点で円の国際化、それから円の国際的な信認は今後どういう形で進むのか、二十一世紀の初頭にはキーカレンシーになるかどうか、そこらはどうなんですか。     〔小泉主査代理退席、主査着席〕
  361. 竹下登

    竹下国務大臣 そこまで予測しますことはなかなか難しゅうございますけれども、ポンドのいわば範囲は狭まっておりますけれども、ただ、いわゆるポンド市場でありましたから、やはりイギリスの市場は、長い歴史がございますからなかなか充実しております。我々が見習うべきところもまだ残っております。が、いずれにせよいわゆるユーロの本拠地であるロンドン市場、そして日本、ニューヨーク、これが三大市場になっていくように。今度も先物取引とかいろいろな問題が出ておりますけれども、それに追いついていく努力をする中で、初めて、言ってみればキーカレンシーという感じの状態になっていくのじゃないか。御鞭撻本当にありがたいと思って承らせていただきました。
  362. 新村勝雄

    新村(勝)分科員 時間でありますので、今最大の問題になっておりますいわゆる政策減税の問題、あるいは将来の税制の問題については改めてお伺いしますけれども大蔵大臣の御健闘をお祈りいたします。終わります。
  363. 相沢英之

    相沢主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。  次に、日笠勝之君。
  364. 日笠勝之

    日笠分科員 長時間の質疑大臣も大変お疲れと思いますけれども、私の後、あと三人だそうでございますから、いましばらく御辛抱いただきたいと思います。  大変質問件数が多うございますので、ひとつ的確な、簡単明瞭な御答弁をお願い申し上げたいと思います。早速質問に入らせていただきます。  まず第一は、酒税法四十七条第四項によりまして、酒の小売屋さんは酒類の購入及び販売数量等の報告の申告義務がございまして、毎月月末、棚卸しをいたしまして、翌月十日まで税務署に報告をするように承っております。昨年の分科会、ちょうどこの部屋でございましたけれども、この申告義務、一年に一度ないし二度ぐらいにならないか、そのほかの緩和は考えられないか、こういうふうに御質問したところ、早速検討していただきまして、翌月十日までが月末までになりました。いわゆる二十日間の期間の延長緩和、こういうありがたい御処置をいただいたわけでございます。しかしながら、私もいろいろお酒をあちらこちらで買うたびに、皆さん御存じですかと聞きますと、ほとんどの方、一〇〇%でございますが、そういうふうな通達の趣旨は知らない、こういうふうにおっしゃっております。現実でございます。この点、昨年の六月二十一日の通達の再徹底方、ぜひひとつ、小売店の皆さん喜ばれるニュースでもございますので、どのようにお考えか、御答弁をお願いしたいと思います。
  365. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 昨年の三月十日のこの機会におきまして先生の御指摘を受けまして、私ども早速勉強いたしまして、一般業者の負担軽減の見地から月末まで延長いたしました。その通達を公開をいたしまして、私どもとしましては徹底をしたつもりでございます。それから小売の中央会を通じまして、そのルートからも御徹底いただいたのでございますが、ただいま御指摘のおしかりをいただくようなことがあって大変残念でございます。せっかくいいことでございますので、ひとつその両ルートを通じまして徹底を期したいと思っております。
  366. 日笠勝之

    日笠分科員 続きまして、酒税の税収見積もりの誤りについてお伺いしたいと思います。  昨年の分科会でも私は、昭和五十年度増税のときに当初予算より決算では百七十億円、五十三年度では七十四億円、五十六年度では一千六百六十一億円と下回っておる、そういうことから、この五十九年度の見込みも下回るのではないか、このように当委員会で申し上げたところでございます。先日の補正予算の方では、御存じのとおり五十九年度二千四百五十億円の減額見込み、こういうことでございます。私は、これは大変計算をされた大蔵省の方々――実は、そのときに政府委員の方はこのように答弁をされております。「過去の経験にも十分に照らしまして慎重な見積もりをしているところでございます。したがいまして、五十九年度の税収につきましては自信を持ってと申しますか、かたいところであろうと存じております」、できる限り「十分にいろいろなデータを集めまして本年度の見通し、税収の見積もりをいたしたところでございまして、かたいものだと私どもは確信をいたしているところでございます。」また、大蔵大臣はこのようにおっしゃっておられます。「現状において最善最良のものと信じた予算編成」であると。現実に一〇%以上の税収の見込み誤りがある。庶民の生活の感覚を知らな過ぎるというか、机上の空論で計算をしたのじゃないか、こういうことも考えられるわけでございます。一〇%以上の見積もり間違いということは、一般会社ならとっくに責任問題になっているわけであります。大蔵大臣、どうですか。
  367. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、そういう弁解は別といたしまして、おっしゃる議論に対しては深々とこうべを垂れて見通しの誤りをおわびしなければならぬ、素直にそう思います。普通、我々はよく一%は誤差のうちという言葉を使いますが、一%どころではございません。(日笠分科員「十倍です」と呼ぶ)本当にそうです。
  368. 日笠勝之

    日笠分科員 大変素直に謝られましたので、その点はカットしたいと思います。  続きまして、これは既に大蔵省方針ということで報道されておられますけれども、六十一年度税制改正を行う方向だそうでございます。特に酒税、この件につきましては政府税調の中に特別部会を設けて抜本的な見直しをしていきたいというやに聞いておりますけれども、特にこの酒税の抜本的見直しについて現時点ではどのようなお考えか。中曽根総理も先日の予算委員会では「最近の例でも、しょうちゅうが売れて酒が売れなくなったこれは恐らくウイスキーとか清酒特級のことだと思いますけれども、「その税というものが今でいいのかどうか。」という疑問を投げかけられました。新聞報道では、しょうちゅう値上げ間違いなし、このように出ておりますが、これに関して酒税の抜本的改正の中で特にしょうちゅうについていかようにお考えか。
  369. 竹下登

    竹下国務大臣 これは後ほど審議官からお話しさせますが、何分今歩いておる税制で、いわば平準化をやらしてもらったばかりで、この税制そのものの中でもうそういう議論が出るくらいでございます。嗜好の相違とか、いろいろございましょう。これがどこまで定着していくか。ただ、現段階においては、しょうちゅう、ちゅうハイ等を対象に着目して物を考え出したという段階ではまだございません。もう少し御議論を聞きながら、やはり御議論を正確に税調へ報告して、そこで議論してもらうということになるのではないかと思っております。
  370. 日笠勝之

    日笠分科員 来年これがもし値上がりになりますと、五十年から六十一年にわたりまして五回の酒税の値上げになるわけでございます。まさに酒税においては朝令暮改といいましょうか、こんなにもアップアップが激しければ、これは消費者の皆さん大変な負担を感ずると思うのです。また、酒税の税制は一体どうなっておるのか、こういうふうにも考えるわけでございますので、これから、今大蔵大臣おっしゃったように、皆さんの御論議をいただいてと言いますが、その裏にはもう明々白々として負担率が低いしょうちゅうというものにちゃんと焦点を合わせておられると私は思います。六十一年度もまたここでやる決意でおりますので、上がっておるじゃないか、上がる予定じゃないか、このように議論がまたされることのないように今からお考えをいただきたいと思うのです。  と申しますのも、私は決してしょうちゅうメーカーの味方じゃありませんけれども、これはちょっと古いかもしれませんけれども、五十八年の総務庁統計局の「家計調査報告書」、これを見ますと、しょうちゅうというのはいわゆる低所得者に好まれておる、こういうデータが出ております。例えば二百九十五万円未満の階級Ⅰの世帯でいきますと、これを一〇〇としますと、階級Ⅴの六百五十九万円以上は六〇でございます。それから反対に、ウイスキーの特級は二百九十五万円未満の階級Ⅰの世帯を一〇〇とすれば階級Ⅴは二九五、清酒特級も二百九十五万円未満を一〇〇とすれば階級Ⅴの六百五十九万円以上は二三八と、総務庁の統計によります「家計調査報告書」を見ましても、明らかに低所得者に好まれて飲まれておる。こういうことを考えますと、このしょうちゅうというのは大衆酒であり、経済酒である。最近しょうちゅうを飲まれる高所得者の方もいらっしゃるそうでございますけれども、いわゆる税負担の公平というものは応能負担の原則があるわけでございますので、ひとつこの点、しょうちゅう業界も甲類を例にとりますと、三十年前二十四万八千キロリットルが、やっと昨年二十四万キロリットル、このように回復した。シェアも、乙類を加えても全酒類の販売量の五・五%、やっと回復したところでございます。まだまだ税負担力のある商品に回復したとは思いません。そういう意味では、マスコミ等々を見ますと、しょうちゅうの値上げは既定の方針であるかのように言われておりますけれども、もう一度、しょうちゅうについての御感想、どうでしょうか。
  371. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 酒税の問題につきましては、五十九年の税制調査会の答申におきましても、酒類の動向の実態を踏まえながらやりなさい、こういうことになっておるわけでございます。昭和五十八年度の中期答申におきましては、酒類についての適正な税負担確保するための見直しを行う際には、「酒類間及び級別間の税負担格差の縮小を図ることが適当である。」こういう御答申をいただいております。この考え方の背景としましては、やはり五十八年度答申でございますが、今まで所得水準が上昇してきた、あるいは平等化してきたということで、酒類の消費が多様化しあるいは均質化してきたということで、いわゆる高級酒、大衆酒といった区分の持つ意味がだんだん弱まってきたということがあるわけでございます。  今、先生お話のあった数字は確かに事実でございますが、ただ、時系列でとってみますと、昭和三十年代におきましては、いわゆる高所得者である第五分位と低所得者である第一分位との間でしょうちゅうがどれだけ飲まれているかということになりますと三倍ぐらい差があったわけでございますが、今お話がございましたように、それが二倍弱にまでほとんど縮まってきているということで、高所得者であれ、低所得者であれ、しょうちゅうがかなり一般化してきているという事実はあろうかと思います。  大臣もお話し申し上げましたように、現在六十一年度改正そのものについてはまだ何ら具体的な検討はしておりませんけれども、今後いろいろ検討する場合におきましては、今申し上げました税制調査会の答申も踏まえながら、消費の実態等も見ながらいろいろ慎重にやっていく必要があろうか、こういうふうに考えております。
  372. 日笠勝之

    日笠分科員 続きまして、しょうちゅうの業界の健全な育成、発展ということも望まなければいかぬわけでございます。しょうちゅうの場合、酒団法の表示義務、いわゆる成分とか原材料の表示義務は一応今のところないわけでございますが、いかがなものでしょうか、これだけしょうちゅうもブームになり、商品としても行き渡ってきた、こういうことから、飲食品については材料ないしは成分表示というものを考えていかなければいけないのではなかろうか。その点、今後どういうようにお話をしていくのか、この点のお答えをいただきたい。
  373. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 確かに、御指摘のとおり大変なしょうちゅうブームでございまして、かつ、しょうちゅう乙類につきましてはさまざまな原料を用いております関係上、消費者からの関心も非常に深いわけでございます。しょうちゅう業界におきましては、こういったことを考えまして、業界内におきまして、消費者の商品選択にも資する、こういう観点から、原材料表示を行うべきではないかという機運が高まっておりまして、現在、不当景品類及び不当表示防止法に基づきますところの表示に関する公正規約を設定すべく鋭意検討中でございますが、国税庁といたしましては、こういった業界の動きに対しまして、積極的に指導していく方針でございます。
  374. 日笠勝之

    日笠分科員 それは甲類、乙類ともですか。甲乙混和のしょうちゅもありますので。
  375. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 ただいま先行しておりますのが乙類でございますが、甲類業界につきましても同じような機運が生じておりまして、甲類業界におきましても規約の設定の勉強会が設置をされたと聞いております。
  376. 日笠勝之

    日笠分科員 大衆酒であり、経済酒でありますけれども、成分表示または原材料表示をできるように、ぜひひとつ御指導をお願い申し上げたいと思います。  続きまして、未成年の飲酒禁止についてお伺いしたいと思います。  御存じのとおり、青森県の方では、泥酔の中学校三年生が教室で教師を殴り倒し、死亡したという事故もございました。また、つい先日の報道によりますと、京都の方では、卒業式を終えたグループ九十五名が洋酒、しょうちゅうを持ち込んでお別れコンパを開いた。未成年者飲酒禁止の法律に違反するということで、九十五名大量補導された、こういうこともございます。  また、最近の警察庁の調べによりますと、虞犯、飲酒による虞犯、不良行為による補導件数、昭和五十二年二万七千八十三人、これがずっと伸びまして、一昨年の五十八年ではございますが三万九千二百四十六名、ウナギ登りに伸びて補導をされておるところでございます。  また、これは私の地元岡山県の、ちょっと古いですが昭和五十六年の、岡山県青少年非行問題調査委員会というのがございまして、岡山県下の高、中学生三千七百六十六名のアンケート調査報告が手元にございます。これはいわゆる酒やビールを飲んだことがあるかというアンケートでございます。何と、中学生で「たびたびある」というのが一九・一%、高校生になりますと三九・四%。これは非常に貴重なデータだそうでございますけれども、こういうふうなことから、私がよく愛読をしております「政府の窓 時の動き」というのがありますが、これなんかの投書、「読者のページ」には、「酒は、薬にもなり毒にもなると言われ、大人の人間関係を円滑にしたり、疲れをいやしたりするが、アルコール中毒を誘発することもある。また、交通事故や病気、社会問題である未成年の非行の原因にもなり得る。」このように識者の方々からは大変心配をされておられるところでございます。  そこで、総務庁の青少年対策本部がございますが、特にこの未成年の飲酒ということについてどのような方策をとられておるか、簡単で結構でございますので、御答弁をお願いしたいと思います。
  377. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 総務庁といたしましては関係省庁の指導、対策の調整を行う、こういう立場にあるわけでございますけれども、未成年者の飲酒問題につきましてもこういった立場から関係省庁と十分連携をとりながら対処してまいりたいと考えております。
  378. 日笠勝之

    日笠分科員 そこで、対策本部の中に、非行防止対策推進連絡会議というのが定期的に行われておられますが、十二省庁ですか、これは大蔵省は入っていませんですね。これはどうしてですか、たばこもありますし、お酒もあるわけですけれども
  379. 梅沢五郎

    ○梅沢説明員 非行防止対策推進連絡会議でございますけれども、この会議は、青少年の非行防止等に関しまして関係行政機関相互間の事務の緊密な連絡を保つとともに、総合的かつ効果的な対策を推進するために設置されたものでございまして、青少年行政に携わる各省庁を幅広く構成員としておる、こういうことでございます。  したがいまして、直接青少年行政を担当しておりません大蔵省、あるいは酒の関係国税庁ということになるかと思いますけれども、これは構成員となっていない、こういうことでございます。しかしながら、従来から必要に応じまして、構成員となっていない諸官庁につきましても、関係がございませば連絡協議をさせていただいておるところでございまして、この飲酒問題に関しましても必要に応じて国税庁とも連終を密にしてまいりたいと考えております。
  380. 日笠勝之

    日笠分科員 文部省の方は、中学校の学習指導要領を見ましても、高等学校もそうでありますけれども、保健体育で酒、たばこについてはそれなりの生徒指導をしておるようでございます。ところが、副読本というようなものがないわけですね。たばこにつきましてはございます。それから、例えば林野庁なんかも、ことしは国際森林年であるということから、中学生向けの「国際森林年・森林とみんなの暮らし」という副読本を作成する。非常に積極的でございます。お酒の免許等等を含めた許認可、これは国税庁にあるわけでございます。税金を取るばかりじゃなくて、未成年の飲酒ということにつきまして積極的に対策をとっていただきたいと思うのですけれども、今のところどのようなお考えがございますか。
  381. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 おっしゃいますように、国税庁におきましては、酒類の製造業者、販売業者を監督いたしております関係で、致酔飲料でもございます酒類につきましてはその販売業者の社会的使命ということがございますので、平素各局面においていろいろと指導しているところでございますが、総理府の青少年問題の関係につきましても、その局面での関係があります場合にはその都度十分に連絡を密にいたしまして協調してまいりたいと考えております。
  382. 日笠勝之

    日笠分科員 具体的にもう少しお聞きしたいのですが、時間がありません。本当は予算をどれくらいとってやっているかまで聞いてみたいと思うのですが……。  専売公社、四月から日本たばこ産業株式会社になるわけでありますが、専売公社は未成年の喫煙について広報活動を酒に比べたら大変積極的にしているのではないかと思うわけであります。例えば未成年の喫煙は法律で禁じられている旨のポスター、ステッカー、こういうものを掲示して啓発を行っておりますし、また広告には未成年の喫煙防止の文言を必ず記入しております。いろいろなステッカーを持ってまいりましたけれども、こういうようなステッカーを自動販売機に張って未成年の喫煙はだめだとやっておられます。またリーフレットをつくりまして、これは集団指導といいまして、たばこの小売店さんを集めてこういうリーフレットで指導いたしまして、愛の一声運動とかということで未成年には売らない方向で徹底しておるところでございます。また、全国にも未成年喫煙防止協議会を組合単位で設けて、何か全国三百カ所ほどあるそうでございます。また非行防止モデル地区を選定してやっておられるし、そのほかにも億単位ぐらいのお金を使いましてそういう広報活動をやっておる。  それに比べて、国税庁、未成年の飲酒対策について、今後例えばこういうことはやってみたいとか、こういうことはできるのじゃないかと具体的にあればひとつお答えいただきたいと思います。
  383. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 私どもが未成年の飲酒防止につきまして酒類業界ともども従来から格段の努力をしてまいりましたことは先生も御高承のとおりと思うわけでございますが、最近の新しい話として御披露申し上げますと、昨年あたりから清涼飲料と間違うような、一見ジュースのような形の酒類が非常に出てまいりました。そういったものにつきましては、業界団体を通じまして、当該一見ジュースに見えるものが酒でありますこと、あるいはまた未成年者の飲酒が法律上禁止されておりますことを明確に表示しなさい、あるいは清涼飲料を販売する自動販売機では売らないようにときめ細かな指導をいたしております。  さらに目玉と申しますか、今後の対策でございますけれども、私どもといたしましては、お酒はやはりアルコール飲料ということでございますので、そういった致酔飲料としての酒のあり方につきまして、広報宣伝、あるいはまた未成年者飲酒の禁止問題といったものを広く取り上げて御検討いただくべく、中央酒類審議会にアルコール飲料部会というものを設けまして鋭意検討中でございます。その点を御理解賜りたいと思います。
  384. 日笠勝之

    日笠分科員 例えば具体例でございますが、これはある週刊誌の広告であります。たばこですね、ちゃんとここに未成年の喫煙は法律で禁じられていますと明確に出ております。しかし、お酒は何もないわけであります。酒、たばこと横並びという感じですね。そういう意味で、ひとつどうでしょうか、例えばビールであれ、空き缶をくずかごに入れましょうというのはあるのです。これに、書きにくいとは思いますけれども未成年の飲酒は法律で禁じられていますと書く。小さい記事中とか広告には書けませんけれども、せめてこういう大きい広告、週刊誌一ページ大であるとか新聞で言えば五段、三段広告であるとか、こういうものにはできる限り未成年の飲酒は法律で禁じられておりますと書いていただけるように業界に、指導とは言いませんが要請すらできませんか。どうでしょうか。
  385. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 先生ただいま未成年者の飲酒が禁止された趣旨の文言がない広告を御披露なさったわけでございますが、そういう文言が入った広告もかなりあるわけでございます。  そこで、この点でございますけれども、そういう文言があった方が未成年者の飲酒禁止の趣旨からいたしますと望ましいわけでございますが、片や企業にとりましても、広告宣伝をどのように行うか、あるいはどのような時期にどういった内容の広告を行うか、紙面の大きさもございましょうし、そういったことについて一律の基準を設けるとか、あるいは個々にそういう広告の内容に介入するとか、なかなか難しい問題もあろうかと思います。  しかしながら、先ほど御披露申し上げましたアルコール飲料部会におきましては、そういった点も公益委員の方々に広く御検討いただくというスケジュールになっております。御紹介申し上げた次第でございます。
  386. 日笠勝之

    日笠分科員 消費者の方々から日本の酒のコマーシャルは野放しであるという苦情が出ておることも御承知のとおりだと思います。その意味で、そういう苦情が出る前に業界の方で自主規制していく。例えばたばこなんかでありますと、人気スターは使わないとかゴールデンタイムには広告を打たないとか、自主規制をちゃんとつくっておるわけであります。あるメーカーさんは自主規制をされて、ほとんどの広告にそういう未成年の飲酒云々は出ております。ですから、もう一押し業界に要請する、これはできるのじゃないかと思うのです。大蔵大臣、どうでしょうか。
  387. 竹下登

    竹下国務大臣 たばこを比較的おほめいただいたというか感想をお述べいただいたというのは、あれは一社ということが特殊な要因でございます。しかし、今度自由化いたしますと、この問題については神経をとがらしていなければならぬということで協議をしておるところであります。  酒の問題につきましては、確かにメーカー別に見ると多うございます。しかし、私どももその御趣旨を体してそういうふうな要請等は極力繰り返していきたいと思います。
  388. 日笠勝之

    日笠分科員 大蔵大臣も出雲誉のあれがありますので言いにくいと思うのですが、ひとつ御尽力をお願い申し上げたいと思うのです。  もう一つ、きょうは公取の方に来ていただいておりますが、昨年、あるメーカーのキャラクター商品つきのものにつきましては、これは本来は国税庁が言うべき問題だが公取の方から御注意したと報道されておりますけれども、公取の方、それでよろしいのでしょうか。
  389. 黒田武

    ○黒田説明員 今御指摘のキャラクター商法につきましては、私どもの方で景品表示法の規定に照らして見ましたところ、景品関係あるいは表示関係については景品表示法上の問題はなかったわけです。しかし、公取委員会では、未成年者に禁じられている商品について未成年者が誘引されるような景品を提供する、ないしはそれをキャラクター商法として広告することについて問題が指摘されておるのであれば、業界の良識を促す意味で、しかもこういったものは一社がやれば他社も追随するという波及性の強い性格のものですから、当該業界全体で検討されたらどうですかという旨を応答した次第でございます。
  390. 日笠勝之

    日笠分科員 公取の方が本当に積極的にやっておられるのですが、本来は監督官庁の国税庁が先に立ってやるべき問題ではなかろうかと思うわけでございますので、いろいろと大変な立場にあると思いますけれども、今後とも青少年の健全な育成発展ということでよろしくお願いしたいと思います。  最後に、きょうは品物を持ってきました。別にここでバーゲンをするわけではございませんけれども、最近、日本酒で浴用酒、筋肉スプレーが出回っております。まさか大蔵大臣のところは出されていないと思いますけれども、日本酒もなかなか伸び悩みであるということで、健康と美容に、毛穴が開き有効成分が浸透しより体内の邪気が排出されるとか、またスプレーの方は、「酒マッサージ用として筋肉の凝りの部分にスプレーすると効果があります。」お酒というのは本来は飲むべきものでございます。そういうふうな需要の開拓が大変厳しいということでいろいろな商法もあるのでしょうけれども最後に公取の方から、これは不当表示とは言いませんけれども、その点問題があろうかと思いますが、いかがでしょうか。
  391. 黒田武

    ○黒田説明員 お答えします。  御指摘の浴用酒につきましては、私どもの方の景品表示法上、効能効果等につきまして事実に反して何か優良に表示しておれば問題があると思います。そういった意味では、私どもの方も昨年五月二十四日に、いわゆる健康食品等の効能効果表示に関する景品表示法違反事件関係事務処理細則というものをつくっておりますので、実は今御指摘の浴用酒がいわゆる健康食品に当たるとは直ちには言いにくいわけですけれども、この運用基準の趣旨に照らしまして問題があれば調査をさせていただきたいと思います。
  392. 日笠勝之

    日笠分科員 業界の健全な発展というものを私は願っておるわけで、あえて苦言を呈しましたけれども、今後ともいろいろな意味で御指導、また要請を含めましてお願いを申し上げて、時間になりましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。
  393. 相沢英之

    相沢主査 これにて日笠勝之君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺嘉藏君。
  394. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 まず第一に、交際費課税の強化について承りたいと思います。  交際費とは、広辞苑によりますと、「世間のつきあいのための費用。慶弔費や贈答品の費用など。」「官庁や会社などで職務上の交際のためにかかる費用。」となっているわけですが、法人税法、あるいはまた所得税法、租税特別措置法等において交際費とはどういう性格のものとして規定していらっしゃいますか。
  395. 大山綱明

    ○大山政府委員 交際費の範囲でございますが、租税特別措置法の施行令で具体的に定めておりますのをちょっと御披露いたしますと、これは大変具体的に、カレンダーとか手帳とかいろいろ書いてございます。それを大づかみに定義いたしますと、「交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう。」かような定義を法律に置きまして、具体的には施行令に移し、さらに執行面で対応しておる、こういう状況でございます。
  396. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 その趣旨から質問いたしますが、岐阜の駅前繊維問屋街で約千五百軒の人々が共同で大売り出しをやるのですが、これを社団法人岐阜既製服産業連合会と岐阜市の主催で年四回行っております。そのときに、現金売り上げが多いのでありますが、売り上げ増進のために原則としてその売り上げの一・五%相当分の景品引きかえ券をお客に渡すわけです。一万円につき百五十円の券ですが、お客はそれを連合会の本部に持参いたしましてそこで景品とかえる。これは交際費ですか、それとも販売促進用の経費ですか。
  397. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 先生御指摘の景品引きかえ券つきの販売という場合の扱いでございますが、二通りございまして、一つは一般の消費者、つまり小売の方が一般のお客様にお渡しをする景品引きかえ券つきの販売の場合でございますが、この場合には従来から交際費課税の対象としないという扱いにいたしております。問題は、景品引きかえ券等をお渡しして販売する相手がいわゆる小売業者、つまり卸業者が小売業者に対してそのような販売を行う場合の扱いでございますけれども、その場合には現在のところ基本的には「贈答その他これらに類する行為」ということで、いわば販売促進の意味ももちろんございますけれども、それに類する行為としての性格が強いものでございますので、扱いといたしましては、おおむね三千円以下の消耗品的なものを差し上げるということがはっきりしている場合を除きまして、原則としてこれを交際費課税の対象とするという扱いにしてございます。
  398. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今おっしゃったとおりなんですが、措置法通達によりますと、事業用資産か三千円以下の少額物品があるいはまた消費者に直接渡すか、こういうことで一つのルールをつくっておられるわけです。この大売り出しで景品を引きかえて渡しておる中身を調べますると、その景品はまず百五十円が最低でドロップだとかチョコレートだとかポリ袋あるいはまた多くなってきますると自転車だとかテレビだとか冷蔵庫、こうなっておるわけですね。お客が一枚百五十円の券をもらって三千円以下の物にかえておるのかそれ以上の物にかえておるのかは、券を渡してしまうから売り主の方ではわからぬわけですね。ですから、税務署に言わせますると、三千円以下なら確認できればいいのだと言うけれども、お客様は不特定多数でございますから、そんなことは一々わからぬわけですね。だから、こういう実態を見ますると、これでも交際費としてこの引きかえ券の代金が交際費課税を受けるということは少しおかしいのではないかと私は思うのですが、どうでしょう。
  399. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 先生今御指摘の少額の場合でございますけれども、私どもの扱いの基本的な考え方は、少額であり、かつどのような内容のものをお渡しするかということがはっきりしている場合に、引きかえ券つきのものについてはこれを交際費と見ない、こういうことでございます。何にかえてもよろしい、要するに一種の金券的な扱いのもの、例えば商品券もそれに当たるかと思いますが、そういうようなものでどういう物にかえられるかわからない、それをたくさん集めれば高額の物にかえることも可能であるというような場合には、一つ一つの券の額面が小さくても私どもとしてはそのような場合にはこの企業につきましては交際費とするという扱いで、この辺は区別してもよろしいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  400. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私が調査しましたところ、景品をもらった、ドロップをもらったりお茶をもらったりしたそういう方々が、それをまた今度自分の小売店で大売り出しをやるときにお客さんに配っておる。あるいはまた、この連合会はこういう引きかえ券を一枚ずつ渡すわけです。これが百五十円券なんです。非常に少額なものを渡していくわけです。しかし、これでも千五百軒からの問屋業者が集まってやる共同の大売り出してございまするので、これの収入は約三千八百万円ほどあるのです。その中で景品に引きかえまするのが約三千百万円、あとの七百万円は大売り出しに要する経費だとか人件費だとかに使われておる。普通なら連合会の経費負担をしたなら、当然こんなものは会費として損金参入されるべき性格のものなのですが、たまたま引きかえ券の中で一緒にグロスになって引きかえ券代金として納めますものだから、経費となるべきものまで交際費課税を受けておるのです。この点はどうでしょう。
  401. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 今先生の御指摘のように、卸売の業者の方が小売業者にこういう引きかえ券的なものをお渡しになって、かつ、それは小売業者の方の引きかえを対象として、先生御指摘のような例えばドロップであるとかなんとか、小売業者の方々がまた景品の品物としてお使いになるようなものを初めから事前に特定をしておられて、そういうものと引きかえますという形になさっておられますと、これはその限りで棚卸資産というような格好になります。事業用資産でございます。事業用資産としてお使いになることを明確な形にしてお渡ししていただければ、それはその限りで私どもとしては基本的に交際費という扱いにはしないということでよろしいんじゃないかというふうに思っております。  それからもう一つ経費分につきまして、これも損金にならないのはおかしいではないかということにつきましては、その分、分離できれば、その点につきましては交際費とならない扱いをする道もございますので、その辺は具体的に御相談をいただきたい、このように考えております。
  402. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 これはその場その場で解決する問題ではなくて、先ほどもおっしゃったように、通達で三千円以下のものは認めるけれども、しかしそれも合算されてそれ以上のものになる危険のあるものは全部交際費課税だというような通達によって縛られておるわけですね。そういうような通達で縛られれば、先ほど冒頭におっしゃった措置法における交際費とはこういうものですよという考え方から御判断をいただくと、先ほど交際費というものはこういうものだとおっしゃいましたね。「法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する」、こういうことに絞られておるわけですが、そうすると、売り上げを促進するためにいわゆる景品引きかえ券を購入して、そしてそれをお客に渡した、これはどう見たって一般的な贈答じゃないんですよ。売り上げを直接的に増進するために、売り上げの高に直接比例して一・五%、一万円について百五十円、こういうふうにして出す景品の引きかえ券の代金が、飲んだり食ったりするような、遊ぶように思われておる一般的な交際費の概念の中へ一緒に入れちゃって課税の対象にするというようなことはちょっと適当ではないんではないか、私はこう思うのですが、どうですか。
  403. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 私どもが先ほど申し上げましたように、物品引きかえ券等の扱いにつきまして、物品の品物を特定してかつ金額が少額であればよろしいということは、裏を返しますと、もらった相手の方が、一般の消費者はともかくとして、例えば小売店のような同じ業者の場合でございますと、例えばその業者がもう一度何らかの形でそれをお使いになるような形で棚卸資産になる、事業用の資産としてこれをお使いになるという場合には、それは片一方で経費として落としましても、当然相手方の、つまりお得意先の企業であればその分景品の費用は浮くとか、いろんな形で片一方の企業の収益上はプラスになるという形で、多くの場合、片一方で損で落としても片一方で収益として、全体としてはそれほど大きなあれはないじゃないかというような考え方が一方にあるわけでございます。  税務上私ども経費として見る場合には、相手はそれを必ず収入、利益として計上されるべきものということが税務の場合は大きな基本原則でございます。そういう点から申しますと、金券のような場合を販売促進としていわば贈答品的に扱いますと、場合によっては集まりますといろんなものにかわり得るという可能性がございますと、やはりこれは私どもとしては行く先々までどのような扱いになるか詳細にフォローすることは不可能でございますけれども、大きな割り切り方としては、そういうような可能性のあるものにつきましては、それは今私が申し上げたようなものではなくて、一種の贈答品、交際費に当たる支出というふうに割り切らざるを得ないのではないかという考え方でございます。
  404. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 今の答弁は私は余りにも考え方が小さいと思うのですね。この前から出ておるのですが、値引きならよろしいというのだ、値引きした分が小売業者のプラスになっておるからこれはいいというのです。ところが、値引きをするのもいい、しかし景品を配って、その商品を買って、商品が流通するのです。経済流通の中で、今度それによって景品の商品を売った人は利益が上がっておるのですよ。広い意味で見れば当然大きなプラスがあるのですよ。そういうような意味で、値引きなら認めてやるけれども、景品でやったらだめなんだ、僕はこういう税務行政の概念は直さなければいかぬと思うのです。そういうみみっちいやり方をすると、むしろ税収そのものの基本を枯らすような、売り上げ増加そのものが図れないような結果になるんじゃないか、むしろそう思うのです。  だから、そういう意味でこの交際費課税をするときに、これは少し古い解説書なんですが、国税庁の中村事務官がこの交際費課税を強化するときにその解説としてこういうことを述べていらっしゃるのです。「第二に値引、割戻と交際費等との区分であるが不特定多数の者に対して、それらの者に対する商品、製品等の売上高におおむね比例して支出される金銭又は物品は、原則として値引、割戻等に該当するものとしている。」こういうふうに述べていらっしゃるのですよ。これがいつの間にか今度は租税特別措置法の通達でこういう扱いをされるのですが、私はこれはこの際見直して、そして今申し上げたように、この販売促進によって得た法人等の所得は当然課税所得になってくるわけですから、むしろそういう大きな意味の税収を図るようなことを考えないと、いたずらに重箱の隅をつつくような通達行政で税金のみみっちい徴収を図ることによって大きなものを逃がす、こういう危険があると思うのですが、どうです。
  405. 冨尾一郎

    ○冨尾政府委員 先生がまさに御指摘なさいましたように、私どもとしては売上高に比例をいたしまして現金でお払いをするないしは商品をつける、例えば十個買えば一個差し上げるというような形で差し上げるようなものにつきましては、これはもう交際費という扱いではなくて、明らかに値引きとか割り戻しということで、これは必要経費に落ちるという扱いでございます。これはもう当然のことでございます。  ただ問題は、代金引きかえ券のように品物が特定されておらずに、それを集めればいろんな形のものに転化し得るというものにつきましてまで同じような扱いをすることは、交際費課税として、一方で接待とか贈答とかにつきまして課税をしていくという基本原則とのバランスから言いましておかしいのではないか。世の中にいろいろ事柄がございまして、ずっと一つ一つ隣同士つながっていることでございましょうから、一つ一つに線を引くのはなかなか難しい面もございますが、私どもとしてどこか合理的な納得のしていただける線引きをするとすれば、少額のもので品物を引きかえる相手が特定しておればこれはよろしいけれども、何にでもかえ得るというようなもの、一種の金券的なものを添付するという場合には、これはちょっと私どもとしては通常の扱いと違って交際費として取り扱うのはむしろバランス上至当ではないか、このように考えてこのような線引きをしておるわけでございます。
  406. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 僕はやはり単なる重箱の隅をつつくような税務行政ではいけないと思うのですよ。これはこの際見直していただいて、先ほど申し上げましたような経費に相当する部分もこの百五十円の中には入っておるのですよ。一般的な経費なんですよ。大売り出しのための経費なんです。僕は、当然こういうものは見直して、そして全体的な経済流通の増進、それによる税収の増大、こういうふうな大局的な税務行政に考え直していただきたい、この点については後ほどまた大臣からも承りたい、こう思います。  いま一つ、それと関連するわけですが、こういう通達がどんどん出まして、通達行政、通達税制とまで言われるくらいの今の状態なんです。中曽根総理も、できるだけ税制は簡素化したい、こういうふうに言っていらっしゃるのですが、どんどん出てくる通達は全く網の目のように広げられておるが、天網恢々疎にして漏らさずと言うが、案外、密にして漏れておるわけなんです。僕は、こういう通達によって基本的な考え方を曲げていくということについてはまずいんじゃないか、だからこの際、そういう通達によってどんどんと複雑化していくことを避けるために大臣はどういうような御所見が、今申し上げた点についてお答えいただきたいと思います。
  407. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、私は税の専門家ではもちろんございませんが、税というものをまずタックスペイヤーの方へ理解させるためにいろいろな指導が行われるわけでありますが、それの基本がよく通達になるわけでございます。その通達に基づいて指導したり勉強会を開いたり各種団体に集まっていただいたり、そういう意味において通達というものはそれなりの意味を果たしておると私は思っておりますが、今の問題ということになりますと、本当は私も問答を聞きながらそれを正確に判断するだけの知識が私に欠けております、あるいは能力の限界を超えておるとでも申しましょうか、したがって、私なりには受けとめさせていただいて、勉強させてみてくださいませ。私が聞いておると何だかそういうふうな気もするし、説明を聞いてみるとなるほどそうだとも思いますし、正確に、私は行司役じゃございませんけれども仮に行司役としたならば、軍配を上げる能力を持ち合わせでないような気がしましたので、しっかり勉強させていただきます。そのことだけお約束したいと思います。
  408. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 では、ひとつぜひ御検討いただきまして、可能なところからの見直しはぜひお願いをいたしたい。  それから、次にグリーンカード制度のことにつきまして、先日も本会議大臣の真摯な御答弁を拝聴して私も敬意を表したわけですが、では今日までに要した経費はどのくらいありますか。
  409. 大山綱明

    ○大山政府委員 申しわけございませんが、ちょっとトータルのそういった経費についてはつかんでおりません。――大変失礼をいたしました。官庁営繕費系統で約二十億使っております。これはコンピューター施設をつくる費用でございます。国税庁予算でございます。それ以外のものとして三十五億程度の予算が五十七年度に使われております。合わせまして五十数億といったオーダーの、施設費でございますが、使われております。
  410. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 多大な経費をかけて、そしてこのグリーンカード制度を今度は廃止する、こうなったわけですが、これにはいろいろな反対の声が多かったからやむを得ずにこういう措置をした、こういうことなんです。それでは今度は、今いろいろ論議されております、大型間接税がどうとか、あるいはまた一般消費税がどうとか付加価値税がどうとかいろいろ言われておりますが、これについては今からもう反対の声が強いのですが、グリーンカードは出てから反対が出たのです。大衆課税の大型間接税は今の国会でもどんどんと反対が出ておる。当然、グリーンカード制度でさえやめたくらいなら、このこれからの大型間接税について、グリーンカード制度のときに聞いたような声、これを今度はどういう機関で聞かれるつもりですか。
  411. 竹下登

    竹下国務大臣 グリーンカードは御案内のとおりでございまして、要するに「この制度について各層の理解と受入れ体制が十分に整っているとは必ずしも言い難い。」これは税調の答申でちょうだいした言葉でございます。そして、「法的安定性や税制に対する国民の信頼感を確保する見地からすれば、本制度の実施を再び延期することは適当でないと判断せざるを得ない。」そこで「やむを得ない」、こういう答申をちょうだいしたわけでございます。確かにおっしゃいますようにグリーンカード制度そのものは、答申をちょうだいしまして、そして日本共産党の反対を除き他の党は全部賛成で通りまして、通った後国民の理解が得られなかった、こうなったわけでございますから、やはりいかなる政策といえども国民の理解と協力を得ない限りにおいては実現できるものではないということをしみじみ感じました。  したがって、今度の税制は、まず大型間接税ありきという形で私ども税調に御諮問申し上げようとは思っておりません。この間の税調の答申で、要するにこの際抜本的に見直しなさいよ、それに基づいて抜本的税体系の問題として議論していただこう。ただ、あの答申にも直接税、間接税といわずと書いてありましたから、そういう方向に議論が走っておることは事実でございますが、私どもとしては初めにいわゆる大型間接税ありきとか、初めに増収措置ありきという形ではなしに、初めに税体系の見直しありきという形の中で税調の論議をしていただこう。その前に今国会等の議論がいわゆる国民各界各層の意見を聞く代表的な場でございますから、それを正確に税調にお伝えして、それから議論を始めていただこう。そして、出て、どう選択するかはそれからの問題であろうと思っております。
  412. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 時間がありませんので、この問題につきましてはぜひひとつ、そういう間接税等についての反対の声が強い今日でございますので、その点を十分前提に置かれまして政策選定をお願いしたい。同時に、今日の直間比率を見直す、こういうことですが、直接税方式の方が合理的であることはもうシャウプ税制勧告以来定着して今日に来たわけなのです。それにはまたいろいろ異論もあります。ありますけれども、しかしやはり大衆課税方式は避けるという観点からいけば私は直接税方式であっても決して不合理だとは思っておりません。そういう意味で、大衆課税方式にならないように、これはぜひお願いをしておきたい。  同時に、今度は先ほどのグリーンカードの問題とまた関連するわけですが、グリーンカードで想定をした、いわゆる預金のマル優制度の乱用、これをきちっとしたレールに乗せたい、こういう目的があったわけですが、これを今度限度管理でやろうとしておられますが、これについては万全を期し得るかどうか、これについても承っておきたい。
  413. 大山綱明

    ○大山政府委員 現在、租税特別措置法及び所得税法の改正案を大蔵委員会において御検討いただいているところでございますが、それによりますと、非課税貯蓄の三百万の限度額管理を適正化ならしめるために、公的書類などによる本人確認をさせていただくという条項を入れてございます。課税貯蓄の部分につきましては、そう大幅な改正を予定いたしておりません。グリーンカードのときには、総合課税をいたす、それから非課税貯蓄もグリーンカードによって把握していくということでございましたが、今度のものにつきましては、総合課税のところまでまいっておらないというようなことで、当時とは法案の改正の内容は違っております。したがいまして、さような御懸念の点はなきものと思い、御提案をさせていただいております。
  414. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 時間がありませんので以上で終わりますが、今申し上げました点についてのいろいろ御検討並びに推移を見守って、必要があればまた次回のときにやらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  415. 相沢英之

    相沢主査 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、横手文雄君。
  416. 横手文雄

    横手分科員 私は、所得税法、法人税法、相続税法及び租税特別措置法に関連し、大臣並びに関係者に御質問申し上げます。  まず所得税法に係る納付期限関係について、政府は今国会租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案を提出しておられます。その中で、納付期限の問題について、所在地の所轄税務署長に提出したときは十二月分について一月二十日まで延期できる道を開いておられます。これは中小企業の税務に携わっておられる税理士の皆さんの長年にわたる要求がようやくにしてかなえられたことであり、我々もその努力を評価するものであります。ただ、その対象事業所は、法二百十六条に規定する承認を受けているもの、すなわち納期特例適用者に限定されております。しかし、多くの中小企業は年末ぎりぎりに年末のボーナスの支払いが行われ、その後正月休みに入る関係で、せめて一月だけでも二十日まで延期してもらいたいという要望が強いのでございますが、これにこたえる用意はありませんか。
  417. 大山綱明

    ○大山政府委員 このたび手当てをいたしましたのは、先生御指摘のとおり従業員十人未満の源泉徴収義務者についてでございます。これによりまして源泉徴収義務者の約八割がカバーされるわけでございまして、私どもこの税制改正案をつくります際に各方面等の御意見もいろいろ承ったわけでございますが、これでカバーされない方々にいろいろな問題はもちろんあろうかとも存じますけれども、相当程度の問題は解決されるというふうに判断したわけでございます。  もともと源泉徴収した所得税をいつ納めるかというのは、いわば国の税をしばらく預かっていただいておるという性格のものでもございますので、余り長く納期を延ばすということは基本的に適当でないということでこのような案をつくりまして、今大蔵委員会において御審議をいただいておるところでございます。
  418. 横手文雄

    横手分科員 おっしゃる理屈はよくわかりますし、そういうことであろうと思うのですね。しかし、今回この法律を出されたことについてはそれなりの理解があって、大蔵省としても努力をされた、このように評価をいたしますが、今おっしゃるように、必ずしも一〇〇%このことによって適用されないという面もあるわけでございますから、これをなお広げる、こういうような意思はございませんか。
  419. 大山綱明

    ○大山政府委員 私ども、今御提案を申し上げております案が現時点においては最も適当なものと考えております。なお、いろいろな実情については御意見を承りたいとは考えておりますが、現時点においては今のが最適ではないかと考えております。
  420. 横手文雄

    横手分科員 私は、野放しにというのはやはり税制上いろいろ問題があると思うのですね。  そこで、今後検討の余地ありという答弁でございますけれども、例えば、納税者の企業が希望して所轄税務署長が認めた場合に限るというような、限定してでもこれを認めていく、この程度緩めるべきだと思いますが、いかがですか。
  421. 大山綱明

    ○大山政府委員 先ほども申し上げましたようなことでございますけれども、基本的に、この源泉所得税というものは給料が支払われます時点で、例えば月の二十五日なら二十五日に支払われますと、その時点で源泉徴収は既に行われているわけでございます。それからまた、国の預かり金であるという性格のものでもございますし、さらに手続そのものがそう難しい計算をいたすというものでもございません。簡易の税額表によりまして税額を計算して源泉徴収をしていただくというものでございますので、そう手続が複雑だということではございません。源泉徴収をしていただきました後、いわば整理の期間として何日かを要するということで翌月十日ということになっているものでございますから、そういった制度の基本から申しまして、先ほど先生もおっしゃっていただきましたように、今以上に広げるのが適当かどうかという点につきましては相当に慎重にならざるを得ないと考えております。
  422. 竹下登

    竹下国務大臣 今のは、大蔵委員会でも議論をしておりますと、中には、国の預かり金になった時点からの利率を計算したら、それによって、運用益というと少しオーバーでございますけれども、どこかに預けておけば利息がつくとか、それは納税者自体に還元すべきではないか、こういう議論があった。だから、私は、今ベターとおっしゃっていただいてありがたいのですが、いわゆる年末年始の繁忙を避けるための十日間延ばしというものが今審議されている段階でございますね、その間にそうしたいわば異質な議論も出ておりますので、横手先生、それはいいことですから直ちに次の改正でやりましょうとかいうところまでは踏み切れないと思うのです。ここでやりました議論はそのまま税調へ報告するわけでございますから、勉強課題として今日の時点では留保さしていただくということじゃなかろうかな、こういう素直な感じがいたしております。
  423. 横手文雄

    横手分科員 私は、税のあり方についてというようなことで別にここで理屈を並べてああだこうだと言うつもりはございません。ただ、この問題は、冒頭に申し上げましたように、税理士の皆さん方から十年来のずっと要望が出ていて、大蔵省としてもいろいろな理屈はある、おっしゃるようなことだろうと思うのですよ。だけれども、そういう理屈はあるけれども、この点については、この人たちについてはもう無理だということで月末までという要望が出ていたわけでございますけれども、そこまで延ばすと次の段階の確定申告なんかの問題もありますから、二十日が限度であろう、私もそれは理解するわけですね。ですから、こういう一定の人たちについては例外的措置をとりましょうということで踏み込んでもらったわけですから、これは評価します、努力に対して敬意を表しますということなんです。  ただ、おっしゃるように、年末の遅くとも二十五日ぐらいで賃金もあるいはボーナスも精算をされるところについては、これは私はそんなことを言っておるのじゃないのです。現地の声であります。私どもも福井県におって、多くの中小企業がございますが、年末に、もう三十日の午前中は会社の大掃除をして、そして昼帰るときにボーナスをもらって、そして社長にごあいさつを済んでことしは御苦労さんというのがたくさんあるわけです。ですから、そういったところについて、これは無理を言っておるのじゃないの。そこから申請が出されて、その地区の当該の税務署長がこの点についてはやはり認めるべきだといったようなところまで広げるべきではございませんかということを申し上げているわけでございますから、ぜひ検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  424. 大山綱明

    ○大山政府委員 大変恐縮でございますが、年末にボーナスが支払われる――源泉徴収義務といいますのは、給与が支払われたときにやっていただくというのが法律の建前でございます。それが一日延び、二日延び、三、四日延びということまで法律がいかぬということではないと思いますけれども、それじゃ、支払われたときにする源泉徴収というものをいつまでも遅くまで放置していただくという、今度はそういう問題にひっかかってくる問題でございますから、年末は確かにお忙しゅうございましょう、しかし源泉徴収というのは翌月の十日でいい、あるいは十五日でいいというものではございませんということをちょっと一点だけ、あるいは大臣からお答えがございます前に問題点として指摘させていただきたいと存じます。
  425. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほども申しましたように、今税法審議でいろいろな議論が出ております。したがって私も、もちろん専門家ではないという前提でございますが、感覚的にはおっしゃる意味が理解できて、そこで今度十日を二十日にして、それはベターだなと、こう言っていただいているわけですね。したがって、今ベターとおっしゃっている法律が今審議されておるわけですから、したがって、その段階において御議論のあった問題は正確に国会の論議として政府税制調査会に伝えて議論をしていただく課題でありますので、そういう意味において、私から見れば勉強させていただきたいと言うところまでが限度だなと。おっしゃる意味、私も理解しての上でございます。
  426. 横手文雄

    横手分科員 法律が出されてこれから議論するときに、あれもこれもひっつけてということは、これは委員会の議論上余りよくないということは承知をいたしておりますが、ただ、先ほど来言われておりますように、私はそういった今日までの税体制なりあるいは納付体制、こういったものを無視しなさいと、そんなことを言っておるのじゃないのですよ。十年間頼まれて、大蔵省としてもこれはやはり聞いてあげなければいかぬ、理屈の上からではいろいろあるけれども、せめてこの人たちの言い分は聞いてあけましょうということで、今度十日間延ばすということなんですから。おっしゃるように、これで八割ぐらいは大体網羅できると言われるわけですから、あとの二割の人なんかについても好きなようにしなさいというようなことを言っておるのじゃないの。その当該税務署長が認めた場合ぐらいのことはという幅があってもいいのじゃないかということを繰り返し申し上げているのでございますから、ぜひ大臣の頭の中に入れて今後進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、法人税関係で、同族会社の留保金の課税制度は、その発足のいきさつはいろいろ私も勉強させてもらって、なるほどなというような点もあるわけでございますが、ただ、同族会社は外部からの資金の調達が著しく困難であり、したがって経営基盤の強化を図るための資本蓄積は主として利益の内部留保によらざるを得ないというのが実情であります。さらに、これら会社の経営基盤の強化が急務である現状にかんがみ、本制度の抜本的な見直しを行うことが必要ではないかと考えますが、いかがでございますか。
  427. 大山綱明

    ○大山政府委員 同族会社の留保金課税の趣旨につきましては、先生御案内のとおりでございますので繰り返しませんが、同族会社の留保金課税制度、いろいろ戦後変遷がございますが、現在の制度は留保金のすべてにつきまして課税を行うということではございませんで、この点も御案内のとおりでございますが、具体的には所得の金額の三五%相当額、これは控除をいたします。留保控除額と申しておりますが、それとか、あるいは千五百万円あるいは期末資本金の二五%相当額から利益積立金の額を控除をする、こういったいろいろな控除をいたしました上で、それを超える部分について課税をいたす、こんな制度になっております。したがいまして、現在この留保金課税がされております企業の割合は、同族会社の中では約一・八%ぐらいでございます。そういったことで、通常の配当をする、したがって留保所得に課税をしないでも課税上のバランスの問題はないという企業は外れておりますし、資本蓄積が急務だという御意見でございましたが、一・八%でございますので、大部分の中小企業と申しますか同族会社についてはそういう問題はない。一・八%の企業というのは、先ほど来申しておりますような趣旨から見て、やはりバランス上課税をしてしかるべき企業ではないか、私どもはかように考えておる次第でございます。
  428. 横手文雄

    横手分科員 対象が多いか少ないかということも物事の判断のためには大変大事なことだと思いますが、一・八%だからいいじゃないかという議論にはならないと思うのですね、そんな意味でおっしゃったのではないと思いますが。ただ、おっしゃるように、内部留保の場合には三千万円あるいは利益の何%、こういうことになっております。この三千万円という一定金額あるいは利益の何%、こういうことでございますけれども、この三千万円というのは昭和三十七年以来据え置かれたままだということでございます。ちなみに、三十七年といいますと私がちょうど結婚した年でございまして、夫婦でたしか二万円足らずの月給でやっておったと思いますけれども、今日では恐らくやはり十倍ぐらいの金額になっておるんだろうと思うのでございますね。ですから、たまたま当時の給料と比較いたしましたけれども、当時の三千万円がそのまま今日も固定をされておるというのはいかにも常識外れだという感じがいたしますが、これはどうですか。
  429. 大山綱明

    ○大山政府委員 ただいま御指摘の改正の時期でございますが、手元にあります書類によりますと、昭和五十年に一千万円から一千五百万円に引き上げられておりまして、それ以降がそのままでございます。三十何年から引き上げていないということではございません。
  430. 横手文雄

    横手分科員 そうすると、ちょっとその資料が違うようでございますが、今あなたのおっしゃるのは三千万円を超えた分の課税対象じゃございませんか。三千万円は残しておく、それを超えた分の一千万円が何%かでというのを、それでは少ないということで千五百万円あるいは五千万、一億以上超えたら何ぼという、こういう税率の数字じゃございませんか。
  431. 大山綱明

    ○大山政府委員 定額の控除額が千五百万円でございまして、今先生おっしゃいました三千万円という数字はちょっと私の手元にございませんが、恐らくこれは、千五百万をもとに地方税の関係を入れまして課税最低限という数字を私ども出しておりますが、それが二千九百万円ぐらいになっております。その数字がちょうど三千万円に見合うような数字かなという気がいたします。――失礼いたしました。税率でございます。先生のおっしゃいました三千万円以下の金額、それから三千万円超一億円以下の金額ということで税率を切っております。三千万円以下の金額が一〇%、三千万円超一億円以下の金額一五%、こういうようなその数字かというふうにも思います。ちょっと、三千万円のところがかみ合いませんで、恐縮でございます。
  432. 横手文雄

    横手分科員 私が承知しておりますのは、三千万円があるいは所得の三五%までは課税をしません、それを超えた分については、その金額によって率が違う課税をします、こういうぐあいに理解しておりますが、私の理解は間違いですか。
  433. 大山綱明

    ○大山政府委員 その点につきましては、三千万円ではございませんで、千五百万円が法定の金額でございます。千五百万円を超えた部分について留保金課税がある。幾つか、三つばかりの選択基準のうちの一つとして千五百万円がございます。
  434. 横手文雄

    横手分科員 数字のやりとりをしておったのじゃわからぬのですが、これはまた後でやらせてもらいたいと思いますが、私の理解しておるのは、三千万円か所得の三五%までは非課税ですと、そうですね。(大山政府委員「そうです。三千万円は違います」と呼ぶ)千五百万ですか。それ以上について、金額によって課税の率が変わる、こういうことでございまして、同族会社に課税するかどうかということはいろいろ問題があるかと思いますが、したがって、これを引き上げていくという用意はございませんか、こういうことでございますが、これはどうですか。
  435. 大山綱明

    ○大山政府委員 私ども、毎年毎年、税制改正の際に種々の検討をいたしますが、現段階においてはこの水準でしかるべきだということで、ことしもそのままにさせていただいております。
  436. 横手文雄

    横手分科員 昭和三十七年にこの金額が設定をされて、途中の多少の手直しはあったけれども、この最低の非課税限度額は三十七年から据え置きだ、こういうぐあいに理解しておりますが、その点は間違いございませんか。
  437. 大山綱明

    ○大山政府委員 その点が先ほどからかみ合わないところでございますが、五十年に一千万円から千五百万円に引き上げられておりまして、それ以来はそのままでございます。三十七年以来でございますと、三十八年は百万円でございましたのが、四十一年に百五十万円に引き上げられるというようなことで、その後何回かの改正がございます。
  438. 横手文雄

    横手分科員 数字の突き合わせをしておったのでは遅くなりますから、また私も間違っておったかもわかりませんので、もう一遍確認いたします。そういうことで、仮に答弁どおりであったにしても、もう既に十年間その金額は据え置かれた、こういうような形で来ておるわけですが、据え置き、非課税の限度額の見直しというものもぼつぼつあっていいのではないかと思いますが、どうですか。
  439. 大山綱明

    ○大山政府委員 千五百万円という数字のほかに所得金額の三五%、それからその他のもう一つの基準などもございますので、千五百万円を何か常にインデクセーションしないとそれがどんどん減価していくというふうには私ども考えないところでございます。そんなことで、ことしは見送ったところでございますので、その辺御理解をいただきたいと思います。
  440. 横手文雄

    横手分科員 そういうことで、いろいろな形で非課税の限度額は、固定金額だけでなくして、率なんかの問題もあるだろうし、そうこだわるな、こういうことでございますが、こだわらないのだったら変えればいいわけですね。  五十一分までにやめろということでございますから、あと二問ほど残っておりますので、一遍、考え方だけお聞きをいたしたいと思いますが、二問続けて申し上げます。  次は、相続税関係であります。相続税及び贈与税における各種控除額を相当程度引き上げるべきではないかということであります。  相続税及び贈与税は、それぞれ法律によってその基礎控除額並びに限度額が定められておりますが、これは昭和五十年の税制改正以来、基本的な見直しが行われておりません。このことは、その後の物価上昇等を勘案してまことに不合理であり、結果として増税ということになっておりますが、これについて見直しを行う必要があると思います。  ちなみに、この法律ができました当時、死亡者百人当たりに対する被相続人の納税の割合でございますが、昭和五十年度に二・一人、五十七年度で五・一人、さらに、大蔵省からいただきました資料によりますと、五十八年で五・三%、こういうぐあいに対象が広がっているということは、よく給与所得税のときに最低限度額を据え置くと結果として増税になっておるというような議論が展開されるのと結果的に同じようなことがこの中でも行われているではないか、それならばこの数字の見直しが大切なことではないか、こう思いますが、その点はいかがでございますか。  それともう一つは、土地等の長期譲渡所得の課税についてでありますが、土地等の長期譲渡所得は分離課税になっております。その目的は、宅地供給だとかそういったものがスムーズに進むように、あるいはこれを累進課税にすると大変な税金になる、こういったいろいろなことが政治的に判断されてこれは分離された、いわゆる優遇的な形でとられたと思っておるのであります。ところが、譲渡額が少額な所得者においては所得税法三十三条の規定を適用して計算した方が税額が有利となることがあります。分離課税が低所得者に酷ということに結果としてなってしまいます。したがって、この矛盾の解消のために、措置法三十一条か所得税法三十三条のいずれか選択性を持たせる必要がありはしないか、それがより妥当ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  441. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 相続税の問題についてお答え申し上げます。  ただいま委員御指摘のような御意見がございまして、税制調査会においてもこの問題を議論したことがございます。一昨年の昭和五十八年十一月の答申におきましてはこの点につきましては、「最近における課税の実態をみると、遺産の財産階層分布や平均的な実効税率等には格別の変化がみられないこと及び現下の厳しい財政状況等からみて、直ちに課税最低限や負担水準を見直さなければならない状況にはないと考えられる。」こういうことで見送ったわけでございます。  今回、六十年度税制改正について見てみましても、先ほど委員御指摘の財産の階層分布でございますが、確かに昭和五十年当時二%強だったものが、最近におきましては五%程度に上がっているということは事実でございますけれども、特にその点につきましては、やはり一部の人に負担を求めるという事実には変わりはございません。それから、特に一人当たりの相続税の実効税率、これは昭和五十年当時は一三%程度でございましたけれども、現在でもほぼ一四%、ほとんど差がないといったふうなこと等から見まして、昭和六十年度改正におきましても、そういった実態あるいは最近の厳しい財政事情等を考えますと、これらの課税最低限を引き上げるということを行う余地はないのではないかということで見送らせていただいた次第でございます。
  442. 大山綱明

    ○大山政府委員 譲渡所得の問題についてお答え申し上げますが、土地譲渡所得に対する課税は、そのときどきの政策に応じましていろいろ変遷をいたしておりますのは御案内のことかと思います。経緯を御説明いたしますと長くなりますので省略をいたしますが、簡単に申しますと、昭和四十年代の初期には、むしろ土地譲渡の促進という観点から一〇%の分離課税で課税をいたした時期がございます。そのときには税率としては非常に安かった、それで吐き出し効果をねらった、それを二〇%まで持っていく、その間に吐き出させるというような趣旨でございましたけれども、その後土地成金というふうな問題も出てまいりましたものですから、一転して重課をする時期というのが四十四年くらいから来ております。それがまた重過ぎるということで現在の税体系になっておるわけでございます。  そういうように、普通の資産の譲渡が本則でございますけれども、それとは違った体系のもとで、そのときどきの政策的な要請などを反映して税制が形づくられているわけでございます。確かに本則と比較すると一部重いところがあるということがございますけれども、その部分部分をとらえるのではなくて、私どもといたしましては、何千万円控除というようないろいろな控除もございますが、それら一体として現行の税制、十年以上のものについては四千万円まで二〇%、それを超えると二分の一総合課税という姿を維持していく、土地税制については他の資産とは別の譲渡所得の体系が適当である、こういう判断のもとで、部分、部分についてどうこうという御意見は確かにございますけれども、全体として見ていただくという観点から現行制度を適当と考えておる次第でございます。  先ほど四十四年から重課と申しましたけれども、五十一年からの重課でございます。訂正させていただきます。
  443. 横手文雄

    横手分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、今の御答弁の中にありますように、私は土地税制そのものに切り込んでいくということで今申し上げておるのではないのです。少額の土地を譲った、あるいはその人の年収そのものは大変低い、それを合わせてみてもそれが課税最低限度額に合わないというような人についてはどちらか有利な方を――これは全体を変えるとかある部分、有利な方だけちぎってとるとか、そんな無謀な議論にはなっておりません、こういうことを申し上げておるわけでありますから、ぜひその点については御検討をいただきたいと存じます。  まだ食い足らない点がございますけれども、また次の機会にいろいろと御質問させていただきたいと思います。時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
  444. 相沢英之

    相沢主査 これにて横手文雄君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。
  445. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 中小零細企業にとって最もなじみの深い国民金融公庫の問題で質問したいと思います。  改めて言うまでもないことではありますけれども、昨年一年間の企業倒産二万八百四十一件、負債総額三兆六千四百四十一億円という史上最悪の事態になっているわけであります。政府は景気は着実に回復しつつあると繰り返し、大臣も言っておられるのだけれども、大企業や輸出関連のごく限られた業種ではそういうことが言えても、特に圧倒的な小零細企業は悪戦苦闘の状況にあるというのが現実だと思います。  例えば東京商工リサーチの調査報告等を見ますと、倒産の原因別についても統計分析を行っておりますが、販売不振、累積赤字、売掛金回収難など、いわゆる不況型倒産が全体の六三%、三年間で七%も上昇しているわけです。一方、よく言われます放漫経営が倒産の原因だとするのは、三年前までは二〇%台だったのが昨年は一三%程度に減っているわけです。言いかえますと、これは中小企業の経営者が長引く消費不況のもとで精いっぱい頑張っている、しかしみずからの努力だけではどうにもならない状況に追い込まれているということを率直に言って示しているのではないかと思うのです。  また、今後の見通しはどうかという点についても、同報告は、販売受注競争は激化して採算悪化による息切れ企業がふえる、また、金融が緩んでいるものの金融機関は利ざやの縮小で貸し出し競争の激化する一方、弱体企業に対する選別融資を一層強めると分析しているわけです。  そこで、改めて国民金融公庫の目的を見ますと、「銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な事業資金等の供給を行うことを目的とする。」そう定めているわけでしょう。そういう点では今こそ国民金融公庫がこの目的を発揮していただきたいとき、国民金融公庫の出番のときだと申し上げてもいいのではないかと思うのです。ところが、事態は全く逆であって、私も国金の貸し出しにはかかわる機会が多いのでありますが、審査がなかなか厳しくて、思ったように貸してくれない、あるいは取り立てが厳しいので何とか緩和のお願いをと、こういう相談が非常にふえているわけです。  そこでまず、国金の副総裁がおいでなので伺いたいのだけれども、国金の貸し出しの方針あるいは審査の基準、債権回収の方針等に変化が起こっているのでしょうか。
  446. 渡部周治

    渡部説明員 お答え申し上げます。  国民金融公庫の融資あるいは債権管理の姿勢に変化が出てきておるのかというお尋ねでございますが、これにつきましては、先生御指摘になられましたように、私どもの公庫の使命は民間金融機関から融資を受けにくい中小零細企業者に対して生業資金を融通するというのが公庫法に定められた精神でございまして、私どもはその精神に乗っかって融資あるいは債権管理に努めておるわけでございまして、そうかう基本的な態度については公庫創立以来変わっておりません。  ただ、実際の状況といたしまして、最近の不況の浸透の中で、例えば延滞債権が非常に増加してまいっております。私どもは金融機関の本旨にのっとり、とりわけ私どもの原資が国民の貴重な財産である郵便貯金等から成り立っているわけでございますから、その意味で延滞債権の増加に対しましてはこれに何とか歯どめをかけたいという意味で適正な債権管理に努めておるところでございます。
  447. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 今、基本姿勢は変わっていないというお話ですが、国金の社内報「こくきん」一月号に座談会「昭和六十年を迎えて」を掲載していらっしゃいます。きょう田中総裁が見えていると一番よかったのです。強く要望したのは、そこで田中総裁が発言しているからなんです。それは、今言われた延滞債権が年々ふえていることを「由々しき問題」と述べて、「ある程度の延滞債権は中小企業を育成するためのコストだとする考えもあったかもしれませんが、現在はとてもそんな考えが通用する時代ではないんですね。普通の金融機関よりも延滞率が高く、収支が悪化する。それを国民の税金で補てんして政策費だという考えは通用しません」「政策金融機関はもっと手堅く業務を運営していく必要がある。普通の金融機関以上に、気配りを厚くしていく必要がある」と言い切っているのです。これでは完全に基本姿勢の事実上の変更ではないかと考えざるを得ないのですが、どうでしょう。
  448. 渡部周治

    渡部説明員 お答え申し上げます。  延滞債権の状況でございますが、計数を申し上げさせていただきますと、十年前の四十九年度末の延滞残高は九十一億円でございましたが、五十八年度末では千四百十六億円ということで約十五・五倍に増加しておるわけでございます。その間、貸付残高の増加は二・七倍でございますので、延滞残高が増加してまいっておることに我々は大変頭を痛めておるわけでございます。  先ほど来申し上げましたように、私どもの使命は政策金融機関として零細中小企業者に対する貸し出しをいたしたわけでございますけれども、同時にやはり、国民の貴重な財産でございます郵便貯金等を原資として運用しておるわけでございまするから、そういう意味での債権管理の適正化というものには努めてまいらなければならないわけでございます。そういう意味で、総裁といたしましては座談会の中で、最近のそういう延滞の増加に頭を痛め、何とかそれに歯どめをかけたいというお気持ちの御表明があったのだと我々は承知をいたしておるわけでございまするが、基本的な姿勢につきましては、先ほど申し上げましたように、我々はそういう基本姿勢に乗っかって仕事をしておるということでございます。
  449. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 冗談じゃないと思いますね。民間金融機関以上に厳しい姿勢をもって臨まなければいかぬ、こう言っているわけでしょう。逆だよ。民間金融機関の相手にしないような中小業者を助けるのが国民金融公庫の目的だとされているわけでしょう。  大臣に伺いますが、今延滞債権が急増しているというお話でした。さて、この延滞債権の急増というのは小零細業者の努力の不足から起こったことなのか、それとも経済情勢の客観的な条件から起こったことなのか、どうお考えですか。
  450. 竹下登

    竹下国務大臣 それは、AかBかどちらかという判定は難しい問題だと思っております。私は両方にあるだろうと思います。
  451. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 副総裁、竹下大蔵大臣だから答え方が非常にうまいのですが、そういううまい人でさえ、少なくともこれがすべて個人の努力不足、業者の努力不足とは言い切れない。客観的な条件の悪化からきているわけですよ。それを、国民金融公庫は民間金融機関以上の厳しさで取り立てに向かうんだ。これは政策金融機関としてはあるまじき態度だ。これは基本姿勢の後退ですから、もしそうでないと言うのなら、まずこういう田中総裁の発言を次の社内報で取り消す、こういうことをちゃんとやりなさいよ。それを求めたいと思います。
  452. 渡部周治

    渡部説明員 田中総裁の座談会の冊子を私は今持っておりませんので、それにつきましての御答弁はちょっといたしかねるわけでございますが、基本的な姿勢といたしましては、総裁は常々、国民金融公庫の使命、公庫法に乗っかった使命というものを十分わきまえながら、同時に政策金融機関として適正な融資、適正な債権管理に努めよということを言っておられるわけでございまして、これは公庫創立以来全然変わっておらない。ただ、いろいろな情勢の変化というものを常に頭に入れながら我々職員としましては仕事をしなければならないということを言っておられるわけでございます。
  453. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 今手元にないとおっしゃいますから帰ってごらんになって、基本姿勢の変化に該当するなとお考えになったらこれはちゃんと訂正をしてほしいと思います。  そこで、直接私もかかわった具体的な事例で論争したいと思います。国民金融公庫の融資の中で一口といいましょうか、一件一千万円以上ということになりますとこれは相当大口の融資じゃないかと思うのですね。件数の比率で言えば何%くらいになりますか。
  454. 渡部周治

    渡部説明員 一千万円以上という御指摘でございますが、私どもの貸付金のうち一千万円以上のものの割合は全体の二・七%くらいだと思います。
  455. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 極めて少ないわけですね。  もう一つ、担保つきの貸出件数は全体の何%くらいに当たりますか。
  456. 渡部周治

    渡部説明員 私どもの融資は先生御案内のように保証を中心にやっておるというのが特色でございまして、零細中小企業者の担保力は弱いというところを念頭に置きまして、現在担保を徴求しております割合は全体の一割程度でございます。つまり残りの九割程度は無担保ということでございます。
  457. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 それでも一〇%前後は有担保でしょう。  では、協会保証つきはどのくらいありますか。
  458. 渡部周治

    渡部説明員 一%でございます。
  459. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 両方合わせまして少なくとも一割以上は担保または協会の保証をつけているわけですね。  それで、私の地元の滋賀県の甲西町に新日本プレコン建設という会社があったわけです。これはタイル、れんが、ブロックなどをつくっているわけです。これにたしか去年の四月ごろだったと思うのですが、国金が一千万円を融資したわけなんですね。ところが、この会社はたしか二カ月で倒産したと思うのですよ。そういう事実は調べておくように言っておったのですが、お調べになりましたか。その倒産したときの残債権は幾らだったのかな。
  460. 渡部周治

    渡部説明員 そういう事実は聞いております。それで、たしか残債権は八百万程度だったかと聞いております。
  461. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 いや、九百万に近いわけで、八百七十五万だったのですね。さて、この融資には担保がついていないわけなんです。保証人は二人とっているのですが、一人は倒産した会社の社長なんですね。だから、法人と同一人格と見てもいいでしょう。結果は、実質的な保証人はたった一人ということになるのですね。担保なし、実質保証人一人、これで一千万円を貸している。しかも、これは事実上無審査だったということも聞いているわけですね。なぜそういうことが可能になったのだろうか。
  462. 渡部周治

    渡部説明員 この案件につきましては、先生から昨日も御指摘がございましたので、早速案件につきまして調べてみたのでございますが、当該企業につきましては、昭和五十四年以来三回にわたりまして保証人二人、うち代表者一人ということで融資を行ってきております。いずれも返済ぶりが良好でございました。そこへ、五十八年十二月に一千万円の四回目の融資の申し込みがあったわけでございます。融資のときに提出されました資料等によりますると、当該企業の資産あるいは負債のバランスには特に大きな変化もございませんし、むしろ売り上げが増加しておるというふうな状況が見られましたことと、資金使途も従業員の年末賞与という非常に緊急性のあるものであったということから、前向きに融資をしたというぐあいに聞いております。結果的には不測の事態によりまして倒産したということはまことに遺憾に思っております。
  463. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 これは五十四年からたった四年間のうちに、しかも、たしか最初は二百万から出発して三百万、五百万、一千万と四回借りかえで、一度として完済して次に移ったのではないのですよ。まだ残債があるのに大きい額に乗りかえ乗りかえで一千万になったのですね。それでは、こういう借りかえ借りかえでふやしていく場合、このように担保もなしで必ずだれでも、要は過去の返済状況さえきちっとしておれば貸すと約束できますか。
  464. 渡部周治

    渡部説明員 一般論で申し上げますと、私どもの貸し出しの平均は大体四百万くらいでございます。一千万でございまするから相当高額な貸し付けになるわけでございますが、しかし同時に、我我のお客様といいますのは零細中小企業が多いわけでございまして、恐らくこの方につきましても担保力が乏しかったのであろうと思います。先ほども言いましたように、全体の貸し出しの九割が無担保で貸しておるということから、この方の場合も保証つきという格好の融資をいたしたわけでございます。この場合の保証人の数等につきましては、確かに代表者以外に一人しかおらないということでございまするが、これはできるだけその保証人の実態等を勘案いたしまして、必要であれば二人ないし三人という保証人をあれすることがございまするけれども、顧客の過去の返済ぶり等から見て心配がないと思われた事例につきましては代表者以外に一人で保証することも通常あり得るわけでございまして、我々としては特に異例の貸し付けであるというぐあいには思っておりません。
  465. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 これは大臣に質問する気はありませんけれども、一千万円以上の大口融資というのは件数で見て全体の二%しかないのですよ、さっきの話のように。ところが、担保をとっている融資の件数は全体の一〇%を占めるわけなんです。ということは、もっともっと額の少ない小口貸し出しに担保をとっておって、逆に、貸して二カ月ほどでつぶれるような危ない大口貸し付けに担保をとってない、こういう矛盾が起こっていることを如実に証明しているんです。私はこの背景には何かあると思っておりますが、実は直接私も大津支店に出向きましていろいろと話をして、問題が解決したからその点は深追いはいたしません。  問題はここから後なんです。金を借りた会社は、担保もとらないで実質一人の保証人でこれだけの金を借りて、社長は行方不明になっちゃったわけですね。さあ今度は保証人に対する取り立ての厳しいこと。これもお調べになったと思いますが、私のところへ保証人が相談に来られたいきさつというのは、もちろん倒産した後社長が行方不明というので、保証人のAさんに呼び出しがかかる。Aさんは仕方ないので、Aさんというのはつぶれた会社の取引先なんで、それで社長に頼まれてやむなく取引を切られたら困るから保証人になったという気の毒な立場なんですよ。そこで、この保証人のAさんは月々五、六万なら何とか返せますという話をしたけれども、国金は受け付けなかった。しかも大阪の河内長野市に親元の家があって、これは親類に貸してあったんだけれども、何とかこの自分の親元の家を有利に貸すことによって、その金で事業に影響のないように代位弁済をしていこう、こういうふうにしたんだけれども、国金は去年の九月この保証人の親元の家を差し押さえしたわけですね。そして、国金の言うとおりの返済をしなければ競売にかける、こういう連絡を保証人にしてきた。そこで保証人は困り果てて私のところに相談に来られて、仕方がないから私も同行して大津支店に行って融資課長とかけ合って、そしてようやく保証人の希望する返済額にしてもらって差し押さえを解除してもらった、こういういきさつがある。そういう相談に乗って解決してくれたから私は先ほど深追いはしないというふうに言った。  貸し出すときはろくすっぽ審査もしないで、四年間無事に返済しておったからといっただそれだけのことで貸しておいて、つぶれたら今度は保証人には二、三カ月たつかたたぬかのうちに財産は差し押さえるわ、五、六万ではいかぬ、もっと返せと言うわ、一体これが国金の法に定めた目的にかなった債権の処理の仕方かなと私は率直に言いたいね。何も私は審査を厳しくしろとはちっとも言ってないんですよ。しかし、小口の当然我々がすんなり貸してやってよいようなものにいろいろと面倒な条件をつけ、うるさい審査をして厳しくして、そしてだれが考えても、このプレコンというのはよそから来た会社なんで、地元の人はこんな危ないものはないと警戒しておった会社に一千万担保なしで平気で貸すわけでしょう。こんなずさんなやり方はないと思う。こういうことは私はおかしいと思う。  特に私が言いたいのは、せっかく歯を食いしばって経営を守っているそういう零細業者を本来なら盛り上げるのが国金の仕事なのに、頑張っている保証人に過酷な条件あるいはとらの子の財産まで差し押さえして、手足縛って営業をやれないようにする。つまり、言えば連鎖倒産を奨励しているようなものでしょう。これはいかぬと思いますね。副総裁、これはきちっと反省せぬといけませんよ。今度はせっかく健全に頑張ればやっていける保証人に対しては実情をよく酌んで本当に親身になって相談に乗る、債権の確保も大事だろうけれども、やはりそれ以上に法に定められた目的にかなった債権管理のやり方をきちっとやってもらう、相手の身になってやってもらう、このことはちゃんとしてほしいですね。
  466. 渡部周治

    渡部説明員 本件につきましては、貸し出しを行いました後、五十九年六月にその企業が倒産をいたしまして、代表者が行方不明になったわけでございます。我々としましては保証人から代位弁済をいただくしか債権回収の道はないわけでございますので、その後保証人と代位弁済につきましての交渉を重ねたわけでございます。その過程でなかなか話し合いがつかず、一時は難航したことは事実でございます。その後保証人の御希望も入れまして、先ほどお話がございましたように、割賦元金を低減した後、代払いの御協力をいただいておるわけでございます。公庫といたしましては、このように貸付条件の変更につきましてもケース・バイ・ケースで対応いたしておるわけでございます。そういうことで、我々は決して一律に厳しい債権管理を行ったものではございません。
  467. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 国金が自発的に差し押さえを解除し、そして保証人の希望する返済条件に合わせたのなら私は何もこんなところに持ち出しませんよ。私自身が電話してらちが明かず、本人に同行していって、相当時間話し合ったでしょうかね、その結果やっと今言ったような解決になったわけなんですよ。しかもその前、直前です、同じく彦根支店でも全く同じようなケースが出ておる。保証人に対して非常に厳しく、これも私が一緒についていっていろいろ頼んであげて、やっと保証人の返済能力の範囲内の返済をしている。今国金ではこういうことが次々起こっているから、何か基本姿勢に変化があったのではないかという心配が広がっているわけですね。この点は一遍、副総裁の態度が頑強ですから、大臣の方からよく調べていただいて、小零細業者の親身な金融機関としてその使命を果たすようにちゃんとしてほしいと思いますね。大臣答弁を求めたいのです。
  468. 竹下登

    竹下国務大臣 零細中小の業者に対する金融機関の使命ということは私もわかります。ただ、金融というものはケース・バイ・ケースの問題が非常に多うございますので、今御指摘されました個別案件そのものについて私が調査してどうしようかというお答えは避けるべきじゃないか、こういうふうに考えます。
  469. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 しかし、国会議員だから何の相談を受けても我々はやらなければならないと思いますが、我々がついて行かなければそういう保証人の要望を聞き入れない、こういうことはやはりよくないと思いますね。実質的、自発的に国金自身の判断でそういう保証人を引きずりおろすようなことのないようにやってもらいたいのです。  そこで、私は国金自身を責める気持ちできょう質問に立ったわけじゃないのです。応援しようと思って立ったのですが、国金の自己資本、資本金プラス滞貨償却引当金、これが昭和五十一年には七百四十七億円あったものが、今年度末には二百九十五億円程度に減少するのですが、これは大幅な減少だと思うのですね。時間が余りありませんので、ごく簡単にその理由を述べてください。
  470. 渡部周治

    渡部説明員 御指摘のように、自己資本は我々のところでは資本金と滞貨償却引当金の合計額としてとらえておるわけでございますが、その合計額はピーク時の昭和五十一年度末には七百四十七億円あったわけでございますが、五十八年度末には二百九十五億円と、その間四百五十二億円減少いたしておるわけでございます。その間に、昭和五十五年度から五十七年度までは毎年二十億円、計六十億円の増資を行っておったわけでございます。それにもかかわらずこのように自己資本が減少しております原因は、これは利ざやの縮小等によりまして損益差損が生じまして、これを補てんするために昭和五十二年度以降滞貨償却引当金を取り崩してきたということによるものでございます。
  471. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 つまり実質赤字経営になってきておる、こういうことなんですね。  現在の利ざやは何か〇・三%ぐらいと聞いているのですが、民間の金融機関の利ざやは現在とのぐらいになっているのでしょうか。貸出金利と預金金利の差額ですね。大体でいいですよ。
  472. 渡部周治

    渡部説明員 民間の金融機関の利ざやがどれぐらいかということは、それぞれの機関が発表いたしておりませんので、必ずしも私どもは定かに承知いたしておらないわけでございますが、例えば私どもと同じような長期プライムレートを適用いたしておりまする興長銀の利付債と長期プライムとの差は〇・九というのが従来からの利ざやであるというぐあいに承知いたしております。
  473. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 大蔵大臣、こういう状況で、国民金融公庫が本当に民間金融機関から見放された小零細業者に親身な融資をする、あるいは債権回収に当たってもできるだけ思いやりのある回収の仕方をしようとしても非常に無理がくるのじゃないでしょうか。どうお考えですか。
  474. 竹下登

    竹下国務大臣 したがいまして、私どもとしては絶えず資金量そのものに対しては機動的に対処しようということと、そして公庫に対しての融資差損を補てんするための所要の補給金というものをこの予算に計上して御審議をいただいておるということであろうと思います。あるいは、先ほど来おっしゃいました、もっと出資をふやしていくという考え方もあるいはお持ちかと思いますが、この問題はそのときどきの財政事情の問題もございましょう。そして、出資そのものも結果としてはこの利ざやを薄める役割を果たしていくわけでありますから、それはそのときどきの財政事情において勘案すべきことではなかろうかなというふうに考えます。
  475. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 国には国の財政事情があるでしょうが、国金の今の経営状況というのはやはり相当深刻な事態と見るべきではないかと思いますね。しかも、政府のいろいろな中小企業政策の中で小零細業者にとって最も役立っている政策と言えばあるいは国民金融公庫の存在ではないかとさえ私は思うぐらいなんですね。だからこれに対してはやはり特別な配慮があってしかるべきだろう、方法はいろいろ工夫を要するでしょうけれども。つまり、現在出資金はゼロになっちゃっていますが、現在程度の利子補給とそれから一般会計からの無利子の貸し出しの範囲では、このように年々急速に自己資本が減ってきているのは事実ですね。何か考えなくちゃいけないのじゃないでしょうか。
  476. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、無担保無保証制度、今は四百万だそうですが、最初は五十万円で無担保無保証制度ができました。あのとき随分議論したことを私も今思い出しておりますが、そしてそういうベースに乗っかって今日まで国金そのものが機能してこられたと私は思っております。それで、田中さんの座談会では、僕がよく使うような言葉を使っておられたので、そういう気配りが必要だという表現だったような気がするのでございます。いわゆる自立自助の指導もしながら、一方融資等に当たっていくというふうな意味に私は受けとめておりました。しかし内容は、考えようによれば、人によっては、構造的に赤字が出てくる金融機関だから、したがってそれに対してはそういう基本的な考え方に立って対応しなければいかぬよということは私も何度か言われたことがございますけれども、金融機関でありますだけに、やはりそこには気配りというものも必要であろうと思っております。これを抜本的にどうするかということになりますと、にわかに私が今構想を持っておるわけではございません。
  477. 瀬崎博義

    瀬崎分科員 今大臣も、抜本的な対策を持っているわけではないが気配りは必要だ、こう言われたのですね。そこで、大臣に気配りをしなきゃならないという気持ちがある以上は、国金の側もその使命を果たすためにこういうことを政府にやってもらいたいと要望が出てしかるべきだと私、思うのです。やはり国民金融公庫が小零細業者に親しまれるゆえんは、まず第一に低利長期の融資であるということ。第二点は、大分最近は厳しくなったとは言いながら、比較的簡単な審査で迅速に借りられるということ。三つ目は、職員の方々が、今言った例外的なケースは間々あるにしても、ただ単なる審査ということではなくて経営相談にも乗るという親切な対応をしていらっしゃるということ。大体この三点が挙げられると思うのですよ。これを守ってもらえなかったら本当に国民金融公庫の値打ちがなくなるわけです。そうしようと思うときに現在の経営状態のままで果たしてそういう期待にこたえられるんだろうか。国金としてそういう国民の期待にこたえるためには、政府にこれだけのことは今後考えてもらいたいということがやはりあると思いますね。それをおっしゃっていただいて、終わりたいと思います。
  478. 渡部周治

    渡部説明員 お答えを申し上げます。  先ほど来我々の公庫に対しましていろいろ御叱正なり御激励なりをいただいたわけそございますが、私どもといたしましても先生御指摘の公庫の使命というものを十分体しまして、今後御期待に沿うようにやってまいりたいと思います。  なお、これからの公庫の出資金等につきましての要望はないかというお尋ねであろうかと思いますが、この点につきまして、実は出資金につきましては先ほどちょっと申し上げましたように五十五年度から三年度、二十億円ずつでございますが出資金の増額をお願いいたしましてお認めをいただいたわけでございます。その後、昭和五十八年度に至りまして公庫の収支が大変悪くなってまいりまして、そこで補給金という格好でいただくかあるいは出資金の増額という格好でいただくか、そこら辺を我々としてはいろいろ協議いたしたわけでございますが、その利ざやの穴埋めを出資金ということにいたしますと、かなり多額の増資をお願いしなくちゃならないということでございますので、五十八年度以降、五十九、六十年度までは補給金という格好で収支差の補てんをお願いいたしておるわけでございます。我々といたしましてはしかし、毎年多額の補給金を必要とするというのもいかがかというぐあいに思っておりまして、経営基盤の強化あるいは中小企業者国対する良質な資金供給の確保というような観点から、出資金の増額についても実は深い関心を持っておるわけでございます。しかし、一方におきまして国の財政事情も大変厳しいということも踏まえながら、今後とも関係当局と相談してまいりたい、このように思っております。
  479. 相沢英之

    相沢主査 これにて瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして大蔵省所管についての質疑は終了いたしました。  次回は、明八日金曜日午前九時から開会し、外務省所管及び法務省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十八分散会