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1985-03-08 第102回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月八日(金曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 小渕 恵三君       中島  衛君    原田昇左右君       野口 幸一君    松浦 利尚君       横江 金夫君    近江巳記夫君       小谷 輝二君    坂井 弘一君       柴田  弘君    兼務 上田  哲君 兼務 上西 和郎君    兼務 後藤  茂君 兼務 鈴木  強君    兼務 中西 績介君 兼務 水田  稔君    兼務 和田 貞夫君 兼務 薮仲 義彦君    兼務 山田 英介君 兼務 岡田 正勝君    兼務 小渕 正義君 兼務 菅原喜重郎君    兼務 塚田 延充君 兼務 工藤  晃君    兼務 山原健二郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         郵 政 大 臣 左藤  恵君  出席政府委員         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房会         計課長     近藤 憲輔君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省運輸政策         局長      山本  長君         運輸省国際運輸         ・観光局長   仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省海上技術         安全局長    神津 信男君         運輸省航空局長 西村 康雄君         気象庁長官   末廣 重二君         郵政大臣官房人         事部長     中村 泰三君         郵政大臣官房経         理部長     高橋 幸男君         郵政省郵務局長 塩谷  稔君         郵政省貯金局長 奥田 量三君         郵政省簡易保険         局長      大友 昭雄君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      澤田 茂生君  分科員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    河村  穰君         警察庁交通局交         通指導課長   山崎  毅君         環境庁企画調整         局環境影響審査         課長      加治  隆君         国土庁計画・調         整局計画課長  長瀬 要石君         大蔵省主計局主         計官      日高 壮平君         社会保険庁年金         保険部国民年金         課長      植西 常郎君         水産庁振興部開         発課長     河田 和光君         建設省道路局道         路経済調査室長 藤井 治芳君         自治省財政局指         導課長     平林 忠正君         日本国有鉄道総         裁       仁杉  巖君         日本国有鉄道技         師長      半谷 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     竹内 哲夫君         日本国有鉄道常         務理事     坂田 浩一君         日本国有鉄道常         務理事     岩瀬 虹兒君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     太田 知行君         日本国有鉄道常         務理事     岩崎 雄一君         日本国有鉄道旅         客局長     澄田 信義君         日本電信電話公         社総務理事   児島  仁君         日本電信電話公         社総務理事   岩下  健君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  高山  昭君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   北口  博君     中島  衛君   松浦 利尚君     横江 金夫君   近江巳記夫君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   横江 金夫君     武部  文君   坂井 弘一君     柴田  弘君 同日  辞任         補欠選任   武部  文君     野口 幸一君   柴田  弘君     西中  清君 同日  辞任         補欠選任   野口 幸一君     松浦 利尚君   西中  清君     古川 雅司君 同月  辞任         補欠選任   古川 雅司君     小谷 輝二君 同日  辞任         補欠選任   小谷 輝二君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   坂井 弘一君     近江巳記夫君 同日  第一分科員上田哲君、後藤茂君、第四分科員上  西和郎君、中西績介君、塚田延充君、工藤晃  君、山原健二郎君、第五分科員和田貞夫君、小  渕正義君、菅原喜重郎君、第六分科員鈴木強  君、水田稔君、薮仲義彦君、山田英介君及び第  八分科員岡田正勝君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算  (運輸省及び郵政省所管)      ――――◇―――――
  2. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  主査所用のため、その指名により私が主査の職務を行います。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算運輸省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。鈴木強君。
  3. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 お許しをいただきましたので、若干の問題につきまして質疑をさせていただきます。  まず第一番に、中央線甲府駅の近代化の問題についてでございます。  この問題につきましては、長年にわたり国鉄当局また運輸省の皆さんに大変お世話になっておりますが、おかげさまで昨年、橋上駅舎南北通路完成をいたしました。今残されておりますのは、駅ビル建設駅前広場整備の問題でございますが、御承知のように、六十一年は山梨県におきまして第四十一回の国民体育大会が開かれることになっております。こういうこともありまして、大変御無理を申し上げて、この開催までに近代的な駅舎にしようということで張り切って御協力をいただいてここまで参ったのでございます。ぜひとも、残されたわずかな期間でございますが、今建設中の駅ビルの問題につきましても、また駅前整備の問題につきましても、国鉄当局の御配慮をいただいて、これを速やかに完成をしていただきたいと思っておりますが、現在の進捗状況、それから完成のめど、これについて御説明をいただきたいと思います。
  4. 岩瀬虹兒

    岩瀬説明員 甲府駅の近代化につきましては、山梨県、甲府市、それから甲府商工会議所等関係機関の御協力のもとに、南北自由通路新設、それから橋上駅舎化並びに駅ビル建設を一体的に推進してまいりましたが、ただいま御発言がございましたように、南北自由通路橋上駅化は五十九年の八月に完成いたしまして使用開始をしております。駅ビルにつきましては、五十八年四月に甲府ステーションビル株式会社が設立され、昨年九月に工事着手し、鋭意建設を進めており、開業は六十年十月を予定しております。工事計画どおり順調に進んでおります。
  5. 岡田宏

    岡田説明員 南口の駅前広場につきましては、現在約八千六百平方メートルでございますが、それを約一万二千二百平米にということで、三千六百平米の広場を拡張するということで御計画がございまして、これは国鉄貨物跡地を使ってその部分に拡張するということで地元とのお話し合いがつきまして、五十九年十二月に山梨県において都市計画決定がなされたところでございます。現在、費用の負担等につきまして山梨県との間で広場造成協定を締結するということで協議を進めておりまして、幸いその地は更地になっておりますので、今お話のございました国体開催までに間に合うように造成が進められると考えております。
  6. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 順調に進んでおるようでありますが、なお一日も早く完成ができますよう一段の御協力をお願い申し上げておきます。  それからもう一つ、きのう地元の新聞に出ておったわけですが、塩山市が国の沿道区画整理型街路事業を導入いたしまして、甲府駅と同じように橋上駅舎南北通路、それからあそこを国鉄が今貨物ヤード廃止して土地を売りに出しておるものですから、そういったふうなこととの関連だと思いますが、甲府駅と同じような三点セットであそこを整備したい、こういう計画がございます。これは区画整理等の問題がございますから、それぞれの手続等も必要だと思いますが、国鉄当局に対してこの話は正式に来ていると思いますが、その経緯をちょっと説明していただきたいのですが……。
  7. 岡田宏

    岡田説明員 塩山駅につきましては、現在国鉄駅本屋となっております部分駅前広場として拡張したいという御計画がございます。それに伴いまして訳本屋が支障いたしますので、訳本屋橋上化する、同時に裏側にも口をつくる、かつそこにも広場をつくっていくという御計画がございます。そういうお申し出がございまして、現在いろいろお話し合いを進めさせていただいているところでございます。  なお、今お話申し上げました南北の両駅前広場につきましては、大部分国鉄用地を使用して整備をすることとなりますが、これらは六十年二月までに都市計画決定がなされているところでございます。したがいまして、この都市計画決定に基づきまして、現在細部について地元との間で協定を結ぶべく作業中であるという段階でございます。
  8. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これもやはり国体との関連がございまして、そういう理由をつけては大変恐縮ですけれども、急邊この計画が持ち上がってまいったのであります。あそこは駅前が非常に狭うございまして、不便をかこっておるわけでございますが、一応国体までにという目標で市当局もおるわけですが、工事に着工して、来年一月二十八日ですか、冬季のものがございますが、それにはちょっと無理だと思いますが、夏季、秋季には大体間に合うようにでき上がるものでしょうか、見通しでございますが。
  9. 岡田宏

    岡田説明員 ここの場合は、先ほどの甲府の場合と違いまして、現在木造の駅舎橋上駅化するということで、線路の上空におきましていろいろな仕事をしなければいけないということで、工程的にはかなりきつうございますが、六十一年十月の甲斐路国体にぜひ間に合わせてほしいという御要望が非常に強うございますので、私どもとしましても、鋭意その点に向かって努力するということで、現在お話し合いを進めておるところでございます。間に合うようにいたしたいと考えております。
  10. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 重ね重ね恐縮ですが、よろしくお願いいたします。  それから三つ目に、これは大臣も御就任以来、開業以来の難局に今逢着されまして大変な御苦心をなさっていらっしゃるものと思います。本当に御就任以来の御苦労に感謝を申し上げますが、国鉄再建というのは大変難しい問題でございまして、既に三公社のうち電電、専売は四月一日から民間に移行することになりましたが、この難問を抱えて一体これはどうなるのか、国民は深い関心と行方を見守っておるわけでございます。そういう中で、とにかく臨調答申以来いろいろとローカル線廃止問題等が俎上に上っておるわけでございまして、私も昨年もこの分科会質疑をいたしましたが、私の選挙区には御承知のように中央線身延線小海線三つあるわけでございます。中央線は幹線でございますから、いずれになりましてもなくなっていくというようなことはないだろうということで安心はしておるわけですが、問題は小海線身延線でございます。身延線は、特に身延線を守ろうという会ができまして、積極的に国鉄当局協力をして、その沿線市町村長を初め住民が何とかこの線をより立派なものにしてもらいたいということで頑張っておるわけでございますが、どうも再建監理委員会からのいろんな意見が出てきたりいたしますと、一体どうなっていくのかという心配をいたしておりますので、この際ひとつ小海線身延線はどのようになっていくのか、その見通しをひとつ踏まえてお話を承りたいと思います。
  11. 岩崎雄一

    岩崎説明員 再建法に基づきます基準に当てはめて申し上げますと、身延線の場合は輸送密度が四千人以上ございますので、存続をする地方交通線ということになります。これから国鉄が運営しながら効率化を進めていく、こういう線区でございます。  小海線につきましては、これは輸送密度が四千人に達しない線区でございますけれども、主として小諸側ラッシュ輸送人員が多うございますので、バス転換対象とはならない線区でございます。  しかしながら、どちらの線区も、この数年で一五%ないし二〇%ぐらい輸送量が落ちてきておりますので、その点はなかなか問題を含んでおる線区ではなかろうか、このように思います。
  12. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これは特定地方交通線の中に入っておらないわけですね。要するに、二千人以下と二千人以上ですか。これは四千人以上あったら存続をしていく、二千人以下の場合は第一次廃止路線廃止していく、それから二千人から四千人までですか、これが第二次の廃止路線、大体こういうふうに区分けをされておるわけですか。
  13. 岩崎雄一

    岩崎説明員 バス転換対象にしておりますのは、輸送密度で申し上げますと四千人未満の線区でございますが、小海線の場合にはラッシュ輸送量が多いものですから、バス転換が適当でない線区ということで区分けをしておるわけでございます。
  14. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 小海線八ケ岳のふもとをずっと通りまして、一番高度に駅があるというようなところでもありまして、いろいろ今まであそこを電化してくれというような意見もありましたが、これもなかなか難しかろう。したがって、蒸気機関車でも少し走らせてもらって、観光を兼ねたことを考えたらどうかというようなこともございました。それからあそこは高原野菜が大分とれるわけですし、山梨県といたしましても、富士吉田の方は残念ながら演習場があるものですから開発がおくれておりますので、どうしても八ケ岳方面に、茅ケ岳もございますが、あの方面開発に重点を入れざるを得ない状況にあるわけですから、あそこの開発はかなり進んでくると思います。したがって、小海線については、いろいろバス転換とかなんとかいう話が飛ぶものですから、住民としては非常に心配をするわけでありまして、沿線住民を初めみんなが小海線存続していこうということで努力をしているわけであります。幸い、今お話しのように、当面廃止とかなんとかということはないということでございますから安心をいたしますが、さらに今後とも存続の方向でぜひ御努力をいただきたい、こういうふうにお願いをいたします。  それから、昨年ここで、私は東海道新幹線富士駅を新設していただきたい、こういう要請をいたしましたが、その後幸いにして新駅設置が決まっておりまして、これは非常に感謝にたえません。  それで、今この富士駅の建設進捗状況、それから開業はいつごろになるのか、ぜひこれをひとつ聞かせていただきたい。これが早くできますと、身延線への乗り継ぎもできますので、身延線輸送量というものも上がっていく、こう思いますので、できるだけ早く開業ができますように願っておるわけでございます。これらの点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  15. 岡田宏

    岡田説明員 新幹線富士駅の設置の件につきましては、昨年の十月に富士市並びに静岡県に対しまして具体的な設置条件を御提示申し上げまして、それにつきまして、昨年末までの間にこの設置条件について了承をするという旨の御回答を市長並びに県知事からそれぞれいただいております。また市議会では、この工事費を御負担いただくための議決をしていただいたというふうにお伺いをいたしておりますし、そういたしますと、設置を御承認申し上げる条件が整ったということになりますので、今後の残されている手続といたしましては、設置承認を正式にするということと、設置に関しまして基本的な条件を取り決めました基本協定国鉄と市の間で締結をする、それから工事に関しまして、工事施行に関する基本的な条件を取り決めます工事協定書を締結する、その後におきまして、具体的な工事計画設計を盛り込みました工事計画書現地局から上申をしてまいりまして、それを承認をする、そういうことで工事の契約ということにかかるわけでございます。  今の段階におきまして、実際にその工事着手の時期がいつになるかということについては、まだちょっと明確になっておりませんが、工事期間につきましては、おおむね三年程度であるというふうに考えております。
  16. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 雲をつかむというところまでいってないですが、何かまだもやもやしているわけですね。これは全額地元負担でしょう。そして、この前の質問のときには、技術的にダイヤ関係で、あそこへ駅をつくることによってダイヤ全体に対する影響がどうなるかといったことも考えなければならないし、それから既設の在来線富士駅と新駅との関係をどうするか、そういったある程度技術的な問題だったと思いますけれども、いよいよ踏み切ってやることになっても、時期がまだわかっていない。しかも三年間ということであると、またこれはかなり先の話になるわけじゃないですか。今財政再建で大変御苦労いただいているときですから、私たちも言いづらいのですけれども、もう少しスピードアップをしてやることはできないのでしょうか。それで、概算としては、予算的にどのくらいかかるものでございましょうか。
  17. 岡田宏

    岡田説明員 例えば駅の設計等につきましてもいろいろ御注文がございまして、団体待合所を駅の中につくりたい、あるいは当初工事費節減をするということで盛り土を継ぎ足すということで考えておりましたのを高架橋にしてほしいとか、そういう御要望等がございまして、そういったものの調整に若干手間取ったという点があることを御承知おきいただきたいというふうに思っております。  それから、そういったことがございまして、工事費については、現在八十二億三千万ということで御提示を申し上げているわけでございます。  いずれにいたしましても、ダイヤ面の検討とかそういった問題は済んでおりますので、今後極力事務手続を早めたいというふうに考えておりまして、来年度早い時期には工事着手ができるのではないかというふうに考えております。ただし、資金的な準備が完全にできたという前提の上に立ってでございますが。  工事の中身につきましては、御承知のように、非常に高速で運転をしております新幹線のすぐわきで仕事をする。あるいは、例えば架線柱なども立てかえなければならない。それは全部非常な高密度運転を行っている中で立てかえるとか、すぐそのそばに接近をして土どめを打つとかあるいは高架のくいを打つというような仕事になりますので、どうしても作業時間帯が限られてくる、それから徐行等もそう多くとれないということもございますので、そういった観点から考えますと、かなり長期の工期がかかることになりますが、先生のお話にもございましたように、極力工期の短縮、並びに今後におきましても、工事費節減に最大限の努力をする所存でございますので、御了承いただきたいと思います。
  18. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 時間がありませんから、今のお話で一応了解をいたしておきますが、やはり我我も非常に難しい点もあると思いますから、これこれこういうためにまだ着工の時期が決まらない、三年間はちょっと長いと思いますけれども、これは今ちょっと一部触れましたが、そういったいろいろな要因があって三年かかるのですというようなことがわかれば、住民の方々にも話ができるわけです。それがわかりませんので、ひとつここではちょっと時間がありませんので、後刻そういったような内容をチェックして私のところへ資料として出していただくように、主査、ひとつ取り計らってください。いいですね、それは。
  19. 岡田宏

    岡田説明員 そのようにいたします。
  20. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 それでは、次に中央新幹線の問題についてお尋ねをいたします。  この中央新幹線建設につきましては、東海道新幹線ふくそう化に伴ってバイパス的な意味を持って新設をするというようなことで、話がここまで進んできていると思いますが、確かに基本計画の中には入っておると思います。そして国鉄はその建設のための調査を今日までやっていただいておるわけでございますが、昨年の質疑の際に、甲府から西の方、特に中央山岳部調査については大体終わった、そして三つルートについてはいずれも可能という結論が出ているという話を聞きました。  そこで、問題は東側の方に対してさらに調査を進める。さらにまた、中部山岳地帯はもう済みましたけれども、もっと奈良県とか三重県とか向こうの西の方ですね、こういうのもやはり調査をしなければいけないだろう、私はこう思ったのでございますが、その後、昨年からきょうまでどういう調査をされたのか。  それから、中央山岳部の三ルートについての建設可能ということについては、ますます自信を持たれたというふうに考えてよろしいかどうか。
  21. 岡田宏

    岡田説明員 中央新幹線につきましては、昭和四十九年七月に運輸大臣から、中央新幹線のうち甲府市から名古屋市付近に至ります山岳トンネル部分に係る区間についてのみということで、限定的な条件がつきまして、地形、地質等に関するところの調査を行うということで指示をいただいたものでございます。と申しますのは、この区間が大変三千メートル級の急峻な山岳地帯を通るということでございますので、技術的にも非常に大変である、したがって、この区間のみの調査を先行させるという御趣旨であるというふうに考えております。そういったことで、四十九年七月以降鋭意調査を進めてまいっておりまして、五十三年十月には、その結果を中間報告として取りまとめ、運輸大臣に提出をいたしております。  その後も引き続き残る調査をいたしておりまして、補足的なボーリング調査でございますとか、あるいは弾性波調査というものを補足的に行っておりますが、甲府よりさらに東の部分でございますとか、あるいは名古屋より西の部分等につきましては、調査の御指示をいただいておりませんので、その区間についての調査は行っておりません。技術的に今三ルートについていろいろ検討いたしましたけれども、この三ルートは、いずれにしましても、技術的な見地からは可能であるという結論をほぼ得ておりまして、それについては補足の調査段階におきましても、ますますその自信を深めているところでございます。技術的にはこの三ルートにつきましては可能であります。
  22. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 そうしますと、かなりその後詰められて、三ルートについては大体太鼓判が押せる、こういうふうに思います。  そこで、このルートのどれをとっていくかということは、西の方の調査と、それから東の調査もまた必要になってくるでありましょう。総体的な調査が進んでどのルートにするかということの決定になると思うわけですが、特にこの三ルートについて、特別にこのルートを通った場合にはどの程度の予算がかかる、このルートを通ったときにはどの程度の予算がかかる、どれが一番経済的に高価であるか、安全性あるいは輸送距離の問題等考えて、そういうふうなルート別の何か検討はしていらっしゃるのですか。
  23. 岡田宏

    岡田説明員 技術的な調査にとどめておりまして、どのルートが、例えばA、B、Cのルートのうちどれが一番有利であるかというような問題につきましては、当然、今先生お話しございましたように、全体のルートの全貌が明らかにならなければいけないと思いますし、それからまた全体の輸送需要あるいはその地域における停車駅の問題でございますとか、その停車駅周辺に住んでおられる方々の人口の問題でございますとか、輸送需要の問題でございますとか、いろいろな点から検討しなければいけないと思いますので、そういった意味でのA、B、Cルートの優劣の比較という点についではいたしておりません、技術的な検討のみを行ったというふう恒例理解をいただきたいというふうに思います。
  24. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 これは運輸省にお尋ねしますが、今御承知のような経緯でございまして、非常に財政困難の中で、ことしの予算の編成過程でも私たちよく理解をしておりますが、しかし、このルートは非常に大事なルートでありますし、どういう事態が起きましても、東海道が不幸にして何か事能があったときに、中央を通って関西への道が必ず行ける、こういう大事なバイパス路線だと私は思いますので、少なくとも調査は進めていただかなくてはいけない。  そこで、今お話しのように、基本計画には入っておりますが、山岳部分だけの調査に限っておるわけですね。したがって、西の方、東の方の残された部分に対しても、できるだけその調査は詰めなければいけない。六十年度の予算にそういう調査費は組んであるのですか。組んでないとすれば、これはぜひ組んで、全体的な調査をしなければこれは始まらないわけですから、その点ひとついかがでございましょう。
  25. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 御承知のように、新幹線には工事線、整備線、計画線とございます。工事線は御承知のように間もなく完成いたします東北、上越ということ、それと成田。それから整備五線がございまして、この整備五線につきましては、この工事費の計上をいたしておりますけれども、この工事費の執行についではいろいろ条件がついておりまして、まだ解決をしていない、こういう状況でございます。先生お話しの中央新幹線は、その次にございます計画十二線というのの中でございます。計画十二線を工事に向けて動かすためにばいろいろ調査が要りますが、この十二線のどれを優先して調査するかというような点については、まだ明確に決まっていないわけでございます。  ただ、中央新幹線と四国新幹線の海底部分につきましては、非常に技術的に困難な部分があるということで、その技術問題だけのその部分に限定したものを先行的に調査指示をしてある、こういう状況でございます。したがいまして、そういう意味で、中央新幹線調査費というものは、山岳部分に限って毎年度計上をして調査をしてきておる、こういうことでございます。したがいまして、その以外の部分についての調査を行うということになりますと、他の十二線との中においてどういうバランスで調査着手をするかということが必要になってまいりますので、現在の状況では、先ほど申し上げましたように、整備新幹線工事云々をめぐってまだいろいろ解決しなければならない問題がございます状況の中で、次の計画十二線全体について一般的な調査着手をするということはなかなか難しい状況でございます。したがいまして、中央新幹線については、アルプス周辺の山岳部に限った調査費というのを毎年計上してきておる、こういう状況でございます。
  26. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 大臣、これはやっぱり大臣の政治的な御判断によらなければならない点もあると思うのですね。たしか十二線がございます。それから整備線もございます。しかし、この中央新幹線というのは経緯があるわけですね。第二東海道新幹線をつくるかどうかという論議の中で、やはり非常事態の場合、バイパス的な役割を果たす中央新幹線の方が距離的にも短いし、経済的にもいいということで決まったいきさつがあるのですね。しかも、これは山岳地帯を通るということで、技術的にも難しい点があると思います。ですから、確かにこの十二線の中でどれをやるかということの選択については非常に難しいこと、私もよくわかりますけれども、その辺をもう少し経緯も踏まえて、その線々の重要性というものを考えながら、少なくともその調査は進めておいていただく、そして逐次各十二線にもやるというような形で進めていただくようにぜひ大臣の御判断をいただきたい、こういうふうに思うのです。そして、今のこういう状態ですから、さらにその先まですぐ整備線に入れるとか何とかということはちょっと無理なことですから、せめて調査費くらいは出して、そして調査をできるだけ人員をつけてやらしていく、そうすれば皆さんが理解するのじゃないでしょうかね。その点ちょっとお伺いしたい。
  27. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 中央新幹線につきまして大変な御熱意をお持ちいただいておることは私どももありがたく存じておる次第でございます。私は予算委員会でも申し上げましたように、これから航空等もますます発達してまいりますが、そういう複合的な新しい交通体系の中で鉄道の特性をさらに発揮していくとするならば、私は全国新幹線がやがて次の時代に中心となるべきものだ、かように理解をいたしております。しかも、今御指摘のように、東海道線にかわるという意味におきましても、中央新幹線の持つ意義は私も承知をいたしておるつもりでございます。しかし、何せ御承知のとおり、たった今の問題といたしましては、国並びに国鉄の今日の財政の事情でございますので、この点もひとつよく御理解をいただきまして、私どもとしては、やはり段階的にやるという意味におきまして、現在の整備新幹線見通しをつけた後にこの問題は取り上げていくべき問題だ、かように理解をいたしておるわけでございます。
  28. 鈴木強

    鈴木(強)分科員 残念ですが、時間が参りました。主査からも開会に当たって御発言がございましたので、残念ですが、やめたいと思います。ただ、中央新幹線にリニアモーターカーを導入するというお話が前からございまして、その研究開発を急いでいただいておるわけですが、もちろん中央新幹線に入れるということが決まったわけではありませんが、新しい高スピードの研究をしていただいているわけであります。そこで、きょうはリニアモーターカーの現在までの開発状況とかこれからの見通し等について、さらにこれがいつごろ実用化できるのか、そういったことについて実はお伺いするように通告しておきました。しかし、時間がございませんので、大変申しわけないわけですけれども、いずれまた資料等いただいて別途に御説明いただくことにして、ここで終わりたいと思いますので、国鉄当局の方には済みませんでした。お許しください。これで終わります。
  29. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。  次に、横江金夫君。
  30. 横江金夫

    横江分科員 私は、東海道新幹線の公害につきまして順次質問をしてまいりたいと思います。  昭和三十九年十月、東海道新幹線開設以来ほぼ二十年になろうといたしております。国鉄当局は世界一の技術水準で、しかもすばらしい新幹線なんだといううたい込みの中で、とりわけ名古屋の今一番問題になっております七キロ区間、その皆さん方の土地を買収して、そして新幹線を運行してまいりました。今この新幹線によりすさまじい公害、騒音、振動によって生活は破壊され、そしてまた睡眠、安眠は奪われて、精神、身体はぽろぼろになり、人口密集地帯のその地域におきましては、健康をむしばまれる中で、新幹線の音を聞くだけで、そして振動の中で新幹線をのろうという言葉はおかしいのですが、そういう形の中でもう二十年に原告の皆さん方は三十数人お亡くなりになったというふうにお話を伺っているのです。これが事実かどうかをまずお答えをいただきますと同時に、いまだにこのような大きな被害が出ておるにかかわらず、被害者が納得できるような根本的な解決ができない、どうしてできないのか、私はそこらあたり非常に不思議でなりません。今の日本の国鉄技術をもっていくならば、私は当然解決ができると思いますけれども、できていない。この深刻な被害は、長期にわたっているこの被害そのものは、失礼な言い方かもわかりませんけれども、運輸省国鉄は公害問題解決の能力が不足をしているのか、あるいは解決策の意思決定的なところに欠陥があるのかどうか、私はその辺を素朴に疑うものでございますけれども、まず第一に大臣、そして総裁からその辺につきましてお答えをいただきたいと思います。
  31. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 名古屋におきます公害問題、今先生の御指摘のように、非常に長い問題であるということでございまして、我々としてもいろいろと努力を重ねているところでございますが、訴訟等いろいろな事情がございまして、今日までまだ解決をしていないということでございます。被害者の皆様に対しましても、大変いろいろな問題がございまして、努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  32. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 けさも環境閣僚会議が閣議に先立ちまして開かれまして、環境問題について担当大臣から御説明を伺いながら、これからの日本列島における環境、公害を除去しながら住みよい日本にするということは我が内閣の一つの使命でもあり、大変に大切なことであると十分理解をしております。今後とも私の所管しております鉄道その他にっきましての環境保全につきましては、格段の努力を払ってまいりたいと思います。
  33. 横江金夫

    横江分科員 内閣の使命のもとに、ぜひこの苦しみから脱却をお願い申し上げておきたいと思います。  私は確認としてお尋ねいたしたいのですが、昭和五十五年七月に、国鉄当局の岡部達郎常務理事がおみえになるそうでありますが、名古屋にお見えになりまして、何かのあいさつのときに、東海道新幹線建設は、当時予算が少なくてきゃしゃだった、手抜きとまでは言わないが、環境問題などほとんど配慮されないまま着工された、しかもその上に、例えば今言われている東海地震が起きるならば、国鉄として一〇〇%責任を持つことができない、こんな大変心配するような発言をしておみえになるわけであります。私は、中部地方担当のこの常務理事、今おみえになるかどうか知りませんが、おみえになるならばぜひここでお答えいただきたいと思いますけれども、このような言葉は、総裁は信じられないかもわかりません。しかし、常務なんです。本当にこんなふうであったのかどうかということがまず第一点です。環境問題や防災問題を考えてなくて二十何年前に着工したんだ。当時を思い起こしますと、今総裁の仁杉さんは名古屋地方の新幹線工事の所長さんだったと伺っております。だから一番よく知ってみえると思いますが、この常務が言われますように、手抜きまがいの工事だとか環境問題に配慮をしていなかったとか、こんなことが本当にあったのかどうか、確認の意味でひとつお尋ねしておきたいと思います。
  34. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今御指摘のとおり、私は当時名古屋幹線工事局長としてこの建設に当たった者でございます。今先生から岡部常務、もうもちろん退任して、おりませんが、私はよく知っております。どうしてそういう発言をしたのかよく理解できませんが、私ども、当時としては予算の少なかったということも事実でございますが、その間で防災その他についてあらゆる配慮をしてつくったということでございまして、設計その他についても、本社の指示に従いましてきちっとしたものをつくってある、手抜きまがいであるというようなことは絶対ないということを断言申し上げる次第でございます。  環境問題につきましては、事実私どもも初めての新幹線でございまして経験がなかったということがございまして、その後の状態を見ておりますと、環境に対する考え方がちょっと甘かったかなということはございますが、それはそれなりにその後の対応をしているというふうに私は理解をしておるわけでございます。
  35. 横江金夫

    横江分科員 常務の話につきましてそれ以上追及いたしません。しかし、総裁の言葉を信じたいのですが、ただ、環境問題に甘かったということだけは今御理解というか認めていただきました。その上からまずこの問題の解決をしてもらいたいことが第一です。  そこで、環境庁にお尋ねをするわけでありますが、環境庁もこの新幹線公害につきましては主要な役割を果たしてまいりました。これは私もお認めいたします。例えば、新幹線騒音に関する緊急指針あるいは振動の緊急指針、そして運輸大臣に抑制を勧告してまいりました。そして運輸大臣の勧告のもとに国鉄は、先ほど甘えはあったのですけれども、それ以後努力をしておみえになります。この公害基本法に基づいて五十年七月二十九日にいわゆる新幹線に係る騒音の環境基準が設定されたわけです。この環境基準が期限どおり達成されていくのかどうか、そのためには当然環境庁自身でもって測定というのを主体的におやりになってみえると思うのです。何回かやってみえると思うのです。その測定をされながら、現実には今指摘をいたしております名古屋の七キロ区間において環境基準は達成されているのか、いや、ことしの七月までなんだ、八十ホン対策、七十五ホン対策、七十ホン対策、すべてに対してこの七月までに達成されるのか、私はその測定の調査とあわせて明確にしていただきたいと思います。
  36. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  十年達成期限が近づいてきているわけでございますので、達成の見込みについて環境庁がどのように考えているかというお尋ねかと存じます。そういうようなお尋ねということでお答え申し上げます。  御案内のように、東海道・山陽新幹線につきましては、本年の七月に環境基準の最終達成目標期限が到来するわけでございます。私どもといたしましては、新幹線鉄道沿線の地域におきまして状況調査をいたし、その調査結果を踏まえました上で新幹線鉄道騒音対策の推進につきまして、関係機関の方に必要な働きかけを行っておる、そういうような状況でございます。
  37. 横江金夫

    横江分科員 そうしますと、環境庁自身はいわゆる測定等は余りおやりになっていないのですか。私は、例えば環境基準の達成を図っていくためには、何回となく環境庁自身あるいは環境庁が委託するその場所でおやりになっていると思うのですが、それは行われていないのでしょうか。そうしましたら、果たして八十ホン対策や七十五ホン対策、七十ホン対策は全く手がつけられていないというふうに聞いているのです。じゃ、これは実際はどうなんですか。この点について僕は余り時間を費やしたくないのですが、どうなっているか、調査をしているのか。そして、その上で基準をオーバーしているのはどうなんだ。なければ私の方から申し上げますが、明確に答えてください。
  38. 林部弘

    ○林部政府委員 環境基準の内容につきましては、先生御承知と思いますので、私どもといたしましては、国鉄当局が、先ほど先生のお話にもございましたように、かなりの水準の技術を持っているわけでございますので、達成期限に向けて努力を重ねておられるというふうに受けとめておるところでございまして、達成期限が近づいてきておりますので、その時期を見計らいまして必要な調査を行い、私どもの立場で評価をいたしまして、先ほどお答えいたしましたように、必要に応じてさらに対策を進める必要があれば、その推進について働きかけてまいりたい、そういうスタンスでございます。
  39. 横江金夫

    横江分科員 必要があれば、実際の事実を指摘をして、これからどうかしようということでございますから、必要があればなんてあいまいな言葉になると私は思うのですが、名古屋市が七キロ区間、一番最後のものも持っておりますけれども、実際に騒音関係につきましては、新幹線軌道から十二・五メートルのところでは、測定地点が二十五で四点が達成している、一六%の達成率しかないのです。二十五メーター地点では一二%、五十メーター地点では六二%が達成をしておりますけれども、二百メーターになりますと大体一〇〇%なんですが、実際には二十五メーターあるいは五十メーターといいますと、まだ半分以下の達成率だということは、これは名古屋市が明確にしているのです。  そして今回、いわゆる発生源対策という中で国鉄は、東北新幹線等の実績を踏まえながら、今回七キロ区間において一部発生源対策を行われようとしております。一つは架線改良、二つは減音装置の設置あるいは緩衝マット等でございますけれども、そのような技術の粋を集めてここでひとつテストしよう。この前、現実には果たして七キロ区間はどうなんだ、名古屋市が調査をいたしましたのが去年の十二月であります。そうしましたところ、騒音関係、振動関係につきまして上下三十二本の列車の騒音をはかりましたところ――三十二本というのは、ほとんど全部なんですが、結果としては、騒音については、七月までに達成をしなくちゃいけない七十一ホンから八十一ホンというところまですべての列車がオーバーしているわけなんです。これはその十二月の検査の結果出ているのです。しかも十年たって、もうあと半年ぐらいで達成しなくちゃいけないのに、全部が全部オーバーしているのです。この事実、そういう意味合いの中からいきまして、環境基準達成期限がもう間近に来ておりますけれども、これが守られなかった場合、環境庁はどのように対応されるのか。これから調査をしますとかいうことでは、十年たっているのですよ、どのように対応されるのか、七月二十九日以降とのような対処をされるのか、ひとつお尋ねしていきたいと思うのです。  それから、国鉄の方には、このような発生源対策によって振動、騒音等がどのような効果があらわれるのか、技術の粋を集めていますから、どういう結果が出るのか、その効果についてもお尋ねをしていきたいというふうに考えます。
  40. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  確かに御指摘のように、あと半年足らずではないかということでございますが、国鉄当局におかれましても、達成期限を控えまして技術的にどのような組み合わせによって達成期限に向かって努力をし、また期限到達後もどのように対策を進めていくかということになろうかと思います。私どもといたしましては、先ほどお答えをいたしましたようなスタンスで臨んでいきたいということでございます。
  41. 岡田宏

    岡田説明員 国鉄といたしましては、音源対策につきましては、今先生御指摘ございましたように、名古屋の七キロ区間のほぼ中央部におきまして試験区間を設けまして、五十九年十二月から六十年三月までの間試験を進めるということで、その内容としておりますのは、新型の防音壁、新たに開発されました防音壁、それから架線、バラストマット、そういったものの組み合わせで、それによって発生源におきまして約五ホン程度の騒音の削減の効果があるというふうに考えております。
  42. 横江金夫

    横江分科員 環境庁、五ホン程度下がりましても八十一ホン、これは半年先を見なくてもはっきりしているのです。だから環境庁は、こういうスタンスでいきます、そういう甘い認識しかない。端的に私は、この七月二十九日以降とのような対応をしていくのかというのは、今までと同じようなスタンスであるならば全く解決できないと思うのです。とりわけ、例えば民間工場の大気汚染だとか騒音防止については、環境基準で網を張る、そしてその網を守らせるためには排出基準を設ける。工場については物すごく厳しく、そして国民、県民の健康を守っていこうという、網をかぶせた上に、排出基準で規制をしているのです。ところが新幹線の場合、環境基準でどうぞと言って網だけ張っておいて、あとは国鉄さんどうぞ、運輸省についてはどうぞ、勧告します。あなたのところは勧告行政とスタンスを構えながら見ているような――環境庁に対して皆さん方は大きく期待しているのにかかわらず、そんなあいまいなことで果たして今この新幹線で苦しんでいる――ほかの問題もそうなんですが、あなたは片がつくと思われますか。従来と同じようなスタンスでいいのか、私はしっかりと聞きたいのです。環境基準だけを網をかぶせておいて、しかもその上で解決できると本当に思ってみえるのですか。私は民間と同じように、当然に公共性はありますけれども、ある程度そこらあたりはシビアにしていかなければ新幹線問題についても解決がつかないと思うのです。その辺につきまして、環境庁からぜひもう一度お答えをいただきたいと思うのです。国鉄総裁も一緒にお答えください。
  43. 林部弘

    ○林部政府委員 先ほどから繰り返しお答え申し上げておりますが、現在の時点では、年内に私どもの手で測定をいたしまして評価を行い、その評価に基づいて国鉄当局の方に私どもの立場から意向を伝えたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  44. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今のお尋ねの問題につきましては、技術的な問題になりますので、担当常務からお答えさせます。
  45. 岡田宏

    岡田説明員 今先生からいろいろお話がございましたが、主として発生源対策について御指摘があったかと思いますけれども、国鉄では発生源対策を技術開発を行って進めるのと並行いたしまして防音工対策あるいは防振対策ということで家屋に対する対策も進めておりまして、今の問題の名古屋七キロ区間について申し上げますと、八十ホン以上の地域にございます家屋の防音工対策については九九%完了いたしております。七十五ホン以上の地域にあります家屋の防音工事につきましては八九%完了いたしております。これはお申し出のございました箇所については全部対策を完了しているということになるわけでございます。  なお、振動問題につきましても、七〇デシベル以上の地域にございます家屋の防振対策につきましては八五%完了いたしております。これもお申し出のございます方々に対しての対策は完了しているという数字でございます。
  46. 横江金夫

    横江分科員 私はその辺についても議論したいのですが、時間がございません。  家屋に起きる衝撃対策、環境基準等は実際に表ではかるものなんです。それから今七十ホン対策については全然一言も触れられていません。七十ホン対策については全く手が届いていないのです。だから、その意味合いから言うと、実際に今の国鉄の技術はすばらしいと思いますけれども、環境庁の甘い指導、そうじゃなしに、国鉄住民との関係でございますから厳しい姿勢でやっていただきたいということを強く要望してまいりたいと思いますが、今お話しのように、環境基準そのものが達成されることは非常に不可能だという中におきまして、名古屋市会において、御案内だと思いますけれども、新幹線公害の全面解決に関する意見書を、これは自民党から共産党まですべて一致して採択いたしました。もう時間がありませんから読み上げませんけれども、この中では、国鉄新幹線公害防止のため防音装置の設置及びレールの重量化等発生源対策の実施並びに民間防音工事の障害防止には対策を講じてきた、これは確かに認めます。しかし、六十年七月の新幹線騒音に係る環境基準達成のためには十分なものとは言えない、非常に穏やかな言い方ですが、言えない。先ごろ東北・上越新幹線が通過する東京都北区において沿線住民との間に環境基準の達成等を内容とした和解が成立しているわけなんです。だから、速やかに名古屋市は全面解決を見出すために自主的に請願、意見書でもって、市民総意の中でぜひ早く解決をしてくれという採択をしたわけです。技術的な問題はさることながら、東京の北区でこの新幹線について上野乗り入れ等の問題がございましたけれども、一応解決はいたしました。東京でできて名古屋でできないというのはあり得ないと私は思います。一番自然なのは、加害者である国鉄と被害住民とが直接話し合いの中で、ほかのすべての者の介入なしに直接話し合いの中で解決することが一番妥当だ。東京にはいろいろな事例、事実があると思いますけれども、この名古屋において話し合いによる解決を強く私はまた住民は望んでおりますが、総裁はいかがにお考えになってみえますか。
  47. 岡田宏

    岡田説明員 今先生からお話がございましたけれども、それにお答え申し上げる前に一言申し上げておきたいと思います。  いわゆる北区における東北新幹線の問題につきまして、これは騒音につきましては環境基準、振動につきましては環境指針を努力目標値として達成を図るということを申し上げているわけでございます。また速度につきましては、線形の関係上百十キロ以上の速度は出せないということを確認したということでございまして、騒音問題あるいは振動問題に基づいて減速をするといった趣旨ではないということをお断り申し上げさせていただきたいと思っております。  それから、今の話し合いしたらどうだというお話につきましては、私どもといたしましても、原告団の方々、被害者の方々と直接お話し合いをすることにつきまして決してかたくなに拒んでいるつもりはないのでございます。現に、第一審の判決の言い渡しがありました五十五年九月以降少し話し合いをしていこうではないかというお話がございまして、いわゆる名古屋テーブルと申しておりますけれども、そういったことでこの判決以降今までに三回にわたるお話し合いをいろいろさせていただいている。しかしながら、実態的に見ますと、そこでどういう議題を取り上げるかという出入り口で整理がつかないということで、事実上なかなかお話し合いが進展していないということはございます。
  48. 横江金夫

    横江分科員 東京北区の話についていろいろな事情があるが、私自身は、カーブだとか線形上の理由だとかいう特殊事情の話について今ここで指摘しようとか、そんな小理屈で議論しようと思っていないのです。スピードが新幹線の使命なんだ。しかし、この事実を入れて和解したことは、国鉄もある意味では方向転換を住民サイドでお考えになったということは事実なんです。その意味合いから、今名古屋テーブルとかなんとかという話がありましたけれども、根本的に前提は和解だという上に立って話し合いをする、それが一番ベターだ、自然だ、この意味で私は指摘しているのです。この辺については総裁いかがでございますか。
  49. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 建前論といたしまして、今先生の御指摘になりましたように、国鉄の騒音、振動が原因になっておるわけでございますから、被害者の方々とお話し合いで解決することは原則として結構なことだと私は思っております。しかし、先生御承知のとおり、長い間訴訟もございました。またもう一つ、今岡田常務から御説明しましたが、名古屋テーブルというようなことでいろいろなお話し合いをするチャンスもあったわけでございますが、なかなかうまくいかないということで、現在、訴訟が進行し、来月判決が出るような状況になっているわけでございますので、私ども今の立場といたしましては、原則論としてよく理解いたしますが、これから判決までの間にどうこうということはなかなか難しいと考えております。
  50. 横江金夫

    横江分科員 原則論として了としていただきました。私は、もう時間がございませんから、いろいろなことを言いたいのですけれども、仁杉総裁にまず一番言いたいのは、上野乗り入れでやむを得なくああいう話になった。ところが名古屋の場合は、国家的なオリンピックに協力をしゃにむに国鉄がやってきた。これで協力した。それで二十年苦しんでいるのです。その前提の上に、総裁一番よく御存じですが、二十数年前に、先ほど申し上げましたように、名古屋は実は当時、総裁は任地だったのですね。だから、一度その任地のふるさと名古屋へおいでをいただく。視察、実際七キロ区間を歩いてもらう。裁判は裁判なんです。原則はやはり守っていかなくてはいけません。そして名古屋へおいでいただく中で七キロ区間を歩いていただく。その住民の皆さん方に肩をたたいていただく。二十五年前を思い起こしていただきたいと私は思うのです。そういう総裁の誠意、真心、国鉄の誠意、真心、これが一番必要だと私は思うのです。小理屈や特殊事情は関係ないです。二十年苦しんでいるのは、あなたが工事局長のときにおつくりになったそこなんです。肩をたたいていただきながら、何とか話し合いで話がつけられるようにぜひ努力をしていただきたい、私はこれを強く申し上げるわけでありますけれども、まず現地の視察と、そして原告の皆さん方に肩をたたきながら二十五年前を思い起こしていただいて、話し合いで、原則論に立ち返ってもらう。それは判決までにどうのという意味ではありません。判決の話じゃないのです。私は純粋な気持ちで物を言っているのです。どうなんでしょう。
  51. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 ただいまのお話はよく理解をいたします。御承知のとおり、多忙をきわめておりますし、ただいま国鉄再建というような問題も抱えておりまして、地方に出ることの自由もなかなかないということもございます。しかし、今先生のお話のような御趣旨を踏まえまして、また努力をしてみたいと思っております。
  52. 横江金夫

    横江分科員 話し合いも含めてですか。
  53. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 お話を伺うことは、またその時間等の制約もあろうと思いますが、できるだけ努力をしてまいりたいと思います。
  54. 横江金夫

    横江分科員 私もその地域の住民の一人、代表者でございます。私も二十年間、もう新幹線の音を聞くだけで死んでしまいたい、苦しくなる、そういう本当に素朴な方のお話もよく伺っております。解決をしなくてはいけません。私は総裁の今の原則論の立場で、誠意のある、真心のこもった気持ちの中でいつでも原告の皆さん方にあっせんをさせていただく、話し合いをさせていただくその努力を最高にしたいと思うのです。この地元の私に対してぜひその仕事を与えてもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  55. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 先ほど御返事いたしましたように、いろいろ多忙な状況でございますが、またよく先生とも御相談をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  56. 横江金夫

    横江分科員 時間もないようでございますので、大臣、今お聞きをいただきました。大臣在任中の使命だ、良好な環境をつくる、新幹線公害、公が市民を、県民をいじめるということは相ならない、だからぜひ私がやっていきたいというお話でございましたけれども、こういう実情の中で、まず当面、名古屋の二十年間の新幹線公害をぜひ解決していただくために、大臣としての最高の努力を切にお願いして、その決意をいただいておきたいと思っております。
  57. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先生の切々たるお言葉、そのことによっても住民の皆さん方のお気持ちも私にはよくわかる気がいたします。そのことにっきまして、けさの環境閣僚会議のことも先ほど申し上げたとおりでございますが、今後ともそういう決意でまいりますとともに、ただ長い間のいきさつでございますので、今の時点においては、係争中の問題につきましては当事者間の成り行きを見守ってまいりたいと思いますので、この点はどうか御了承いただきたいと思います。
  58. 横江金夫

    横江分科員 質問終わります。ありがとうございました。
  59. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて横江金夫君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  60. 坂井弘一

    坂井分科員 昨年の十月に関西国際空港株式会社が発足をいたしまして、いよいよ来年の三月には工事に着工するということで、今諸般の準備が着々進められつつございますが、何と申しましても、日本で初めての二十四時間運用という本格的な空港でございますし、国家的な大プロジェクトということで、この空港の成否というものが我が国にとりまして大変大きな問題でございます。  そこで、この株式会社法案が成立いたしました段階で附帯決議がつけられました。環境問題あるいは地域整備等々五項目の附帯決議がなされたのでございますが、この五項目の附帯決議につきましてその後どういう措置をされておりますか。概略、要点についてまずお尋ねを申したいと思います。
  61. 西村康雄

    ○西村政府委員 昨年六月に関西国際空港株式会社を国会で御可決いただきましたわけですが、その際、両院の運輸委員会からそれぞれ附帯決議をいただいております。この附帯決議の御趣旨に沿いまして、運輸省といたしまして極力必要の措置を進めてきておりますが、概略申し上げますと、まず衆議院の附帯決議では、最初に、「関西国際空港の建設工事(土砂採取を含む。)に当たっては、事前に十分なる環境影響評価を行い、住民に不安のおきないよう配慮」しろという御趣旨のことが言われております。そこで、私どもこの空港の建設に当たりましては、環境影響評価あるいは環境監視というものを行うための組織として現在調整部に環境課というものを設けまして、会社の中ではそういう組織を生かしまして環境問題に専念させるということのほか、これから環境アセスメントを具体的に実施しまして会社がこの問題に取り組むように指導しておるところでございます。  それから二番目に、「関西国際空港へのアクセス等地域整備については、関係地方公共団体と協議し、空港と地域社会の調和が図られるよう十分配慮する」ということが言われております。この関連施設の整備につきまして、現在国土庁を中心といたしまして関係省庁で関連施設整備の基本的な方針を検討しております。本年一月末には関係地方公共団体の意見も聴取いたしましたところで、これからこの具体的な方針を確定すべく作業をしておりますが、今後とも空港と地域社会の調和という点に重点を置いて施策を進めてまいりたいと考えております。それから、「地方公共団体の会社への出資及び地域整備等については、その財政運営の健全性の確保に配慮する」ということが言われております。地方公共団体からの五十九年度の出資につきましては、地方債の起債が認められております。運輸省としては、今後とも地域整備に伴いまして財政運営の健全性について補助あるいは起債というような措置等によりまして、できるだけ健全性の確保ということに配慮されるように関係省庁と連絡していきたいというふうに思います。  それから、「会社の役員等の人事については、地元の事情に精通した人材など広く適材適所の人材起用に配慮する」ということが言われております。関西空港の役職員の構成につきましては、関係地方公共団体あるいは地元の経済界というところから人材をいただいております。現在は少数精鋭主義ということで、事業の効率的遂行ということに主眼を置いておりますが、今後ともその方針で適材適所の人材起用ということを大いにやっていきたいと考えております。  それから五番目に、「公共性の確保を図るため、環境監視のための体制及び地方公共団体等の意向を会社の経営に反映させるための仕組みを整備するよう会社を指導する」という御趣旨でございます。今後、環境監視につきましては関係地方公共団体とも相談いたしまして、環境保全に十分配慮をするように会社を指導していきたいと思います。  それから、空港と地域社会の調和を図るために、これは定款に基づきまして、関係地方公共団体を代表する者をメンバーといたします関西国際空港推進会議設置いたしまして、これが基本的な諸般の問題について検討し、御意見を賜っているということで、この附帯決議の趣旨の実現に努力させていただいております。
  62. 坂井弘一

    坂井分科員 運輸大臣にお尋ねをしながら、具体的に順次進めてまいりたいと思います。  関西国際空港は、成田空港のあの苦い経験を踏まえながら、何としても地域社会との調和なりあるいは共存共栄ということを一番大事な建設への構えとして取り組んでいこうというようなことで、必要かつ十分な地域整備をやって、単に空港が立地されるということではなくて、そうした地域社会との関係についてはとりわけ大事にしていきましょうということでもって、運輸省建設省あるいは国土庁など十省庁の関西国際空港関連施設整備連絡調整会議が設けられました。今申しましたような地域整備を強力にひとつ推進をしていこうということで設置されたわけでございますが、各省庁に伺ってみたりあるいはまた関係者の意見等を聞いてまいりますと、どうもそうした総合調整と申しますか、なかなかにこの地域整備を統一して推進していくという強力な構えになっていないのではないか、実はそんな気がするわけでございます。これは後ほど具体的に触れてまいりたいと思いますが、そういうことでありましたならば、せっかくの本格的な空港が所期の目的どおりにはなかなか進みがたいというようなことが実は懸念されるわけでございます。  特に、そうした地域整備等について、何といっても十省庁の空港建設の一番の衝たる運輸大臣でございますので、その辺遺漏のないように十分な体制でもって具体的に推進をしていただきたいということで、ひとつ大臣の御所見なり御決意を承りたい。
  63. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 私、大臣就任いたしまして今日まで、四回大阪に参りました。それは、何といってもこの関西新空港が関西地域における一番大きな懸案の問題であるということを認識しながら、多くの方々とお話し合いをしたりあるいは出先の官庁と連絡をしたりするためでございまして、これだけの大きなプロジェクトをやるためには、まず地元の御協力を得なければならぬ。御協力を得るためには、補償すべきものはきちんとやるというような体制をつくっていくということが第一でございます。しかも、タイムリミットがあるということでございますから、先生御指摘のように、この問題の解決には関係省庁が横の連絡をしっかりとることが第一でございますが、同時にまた、地方自治体、府県等の御協力、あるいはまた府との話し合いを十分緊密に連絡をとっていくということが大切であると理解をいたしておりますし、そのような方針でもって今後とも部下を督励しながらやってまいりたいと思っております。
  64. 坂井弘一

    坂井分科員 そう申しましたのも、例えて言いますと、道路整備一つとってみましても、近畿自動車道和歌山線と空港連絡道路をつくればそれは空港関連の道路整備になるのだというがごとき、これはまことに論外な話だと思うのですが、そういうことすら言われる。周辺整備はおろか、空港のアクセス道路整備一つを見てもそのようなことであっては、これはとてもとても本格的な国際空港全さを得ない。まあそんなことはないのだろうと思いますが。ですから、例えば第二阪和国道の和歌山延伸ということが地域整備なり空港のアクセスに関連して、そしてこれまた後ほど触れますが、土取り場の問題等々と関連して近畿自動車道和歌山線、空港連絡道路、同時に今申しました第二阪和国道の和歌山延伸、つまり阪和間の道路整備ですが、これはやはりどうしても必要な道路整備の一環であると思うわけでございますが、今申しました点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  65. 藤井治芳

    ○藤井説明員 お答えいたします。  大阪と和歌山とを結ぶ二本の大きな動脈として国道二十六号、通称第二阪和国道及びその延伸と近畿自動車道和歌山線、こういう複軸がございます。このうち第二阪和国道は、御承知のように堺市から泉南郡阪南町に至る一般国道二十六号のバイパスといたしまして五十八年十二月に全線供用しておりますが、これを阪南町から岬町を経まして和歌山方面へ延伸する計画、約十八キロほどの計画がございますが、現在、その路線とか道路構造等に関しまして、近畿地方建設局において調査をさせているところでございます。  何せ、関西新空港に関する交通を含む需要の見通しとか周辺地域の開発動向、こういったものを取り入れませんとうまくいかないことは御承知のとおりでございまして、今、和歌山県、大阪府、それから阪南町、岬町、和歌山市等関係地方自治団体と調整を図りながら、一刻も早く路線計画を策定して都市計画決定をしていきたい。こういうことで、私どもの第九次道路五カ年計画期間内を目途にできるだけ早く都市計画決定をしていこう、そしてそれをベースに次に事業化を図っていく、このように考えております。
  66. 坂井弘一

    坂井分科員 これまた今の道路にも関連するかと思いますが、同時にまた、周辺整備、地域整備との関連も大いにあろうと思うのですが、いわゆる空港埋立用の土砂、土取り場をどこに設置するか、どの地点を土取り場とするかということについて、随分今まで調査検討をされながらきたわけでございますが、土取り場はほぼ決まりましたか。  それから来年、いよいよ冒頭申しましたように工事着工は三月からということでございますが、この七月には公有水面埋立申請が出される。その一連の空港建設への土砂、土取り場の地点と、それから今後のスケジュール、手順等についてお答えいただきたいと思います。
  67. 西村康雄

    ○西村政府委員 土取り地の決定についてでございますが、具体的にどのようなところを土取りにするかということの全体の計画を取りまとめつつあるわけです。具体的には会社自身が土取り地を決めていくという場合もございますが、同時に、府県が土取り地を主体的に決めていくというようなやり方もあろうかと思います。そして、このような地方公共団体がお決めいただいた開発主体から、会社が土砂を購入するというような仕組みもあるわけでございます。現在は、このような点では土取りの跡地利用というものを十分考えてする必要がある。そういう点から、府県が主体となって土取り地をお決めいただいて、そしてまた、その跡地利用の計画を積極的にお考えいただいて事業主体を決めていこう、こういうことで土地の選定に入っておるわけであります。  私ども、今各府県からお伺いしているところでは、大阪府では、阪南町と岬町で府みずからが採取するという方向で御検討いただいているようにお伺いしておりますし、和歌山県にっきましては、加太で県の土地開発公社が土取り事業を行うということで御検討いただいております。また兵庫県につきまして似、淡路島全島公園化のための調整委員会というのが設けられておりまして、今後六地区で土砂採取するというようなことも計画されているようにお伺いしております。  こういう方向でこれから地方公共団体は土取りの計画を具体化していただくわけでございますが、現実には早く決まるところ、かなり地元のいろいろな問題が先に延びるところ、全体の工事期間もございますので、早く決まったところから順次採取するというようなことにもなろうかと思いますが、全体の工事の進捗を見ながら、会社と府県とよく連絡の上、円滑な土取りができるように今検討さしていただいている次第でございます。
  68. 坂井弘一

    坂井分科員 ですから、いずれにしましても、土取り場の地点の決定は、公有水面埋立申請がなされるまでに正式には決めないといけないと思うのですけれども、大体時期的なめどはどういうことになりますか。
  69. 西村康雄

    ○西村政府委員 今申し上げましたようなことで各県がやっておりますが、一応土取りの大まかな予定ができれば、公有水面埋立そのものの申請は可能ではないか。特に、これは県自身がまた別途やるという環境問題その他の問題に対処するということで、例えば兵庫の淡路から買うという場合に、これは従来からもそこの事業から買っているという事実で公有水面埋立の関係は足りるだろうというふうに考えております。しかし、いずれにしましても、土取りの全体の計画というのは早く見通しをつけたいということで、可能な限り府県が地元調整を急ぐということでやっておる次第でございます。
  70. 坂井弘一

    坂井分科員 まさに土取りそのものの問題、それから跡地の利用の問題、そのことが地域の開発の中で非常に重要な課題でありますし、同時にまた、交通アクセスとの関連も当然に出てくるわけですね。したがって、相互にそういう組み合わせというものが総合性を持ち、かつこの計画そのものの言うなれば整合性、効率性、それがまた空港の機能としても全きを得るというような、非常に視野の広い観点から取り上げてまいりませんと、部分的な問題でもしかそういうところに目が行ってしまいますと、大局を見失う。  これは随分専門的な運輸省の皆さん、あるいは関係の皆さんがいろんな知恵を絞りながらやっておられることでございますから、我々がといいますか、私がこんなことに対して口を挟むのはあるいは非常識かもしれません。しれませんが、しかし、あの成田の冒頭申しましたああいう反省も深刻にございますし、やはりこの地域、関係府県といいますと大阪、和歌山、兵庫、それから地域周辺整備ということになりますと、そうした地域の市町村、住民、こうした人々の意向というものが十二分に尊重される中で総合的にこの空港が組み立てられていくということでございますので、今の問題に関連して、冒頭この附帯決議のことで措置の状況をお尋ねしたわけでございますが、例えば第一項の「関西国際空港の建設工事(土砂採取を含む。)に当たっては、事前に十分なる環境影響評価を行い、住民に不安のおきないよう配慮して進めるよう会社を指導すること。」  そこで、この土取り場の環境アセスメントということが当然十分になされて、不安のないようにしなければならぬ、これはもう当然のことでございますね。そういう観点からどうでしょうか、環境庁もおいでいただいているかと思いますが、とりわけこれからの空港建設に伴う潮流の変化とか、あるいは海水の汚濁でありますとか、あるいは騒音でありますとか、今後の問題として、同時にこの土砂採取地点の環境影響評価、この辺はどうお考えになられておりますか。
  71. 加治隆

    ○加治説明員 お答えいたします。  この関西国際空港の実施に当たりましては、公有水面埋立法の規定に基づきまして環境アセスメントが適切に行われることになっております。したがいまして、環境庁としましては、その手続の中におきまして、主務大臣から同長官に意見を求められますので、その段階において所要の審査を行ってまいりたいと考えております。  また、土石の採取のことでございますが、これにつきましては、いわゆる三点セットの中で関西国際空港の環境影響評価案におきまして、土砂採取・運搬に関するアセスメントの実施要領が明らかにされております。したがいまして、この計画の実施に当たりましては、公有水面埋立法に基づき環境アセスメントを実施することになっておりますので、土砂の採取、それから運搬につきましても、環境保全上の問題が生じないように十分な検討が行われるものと考えております。
  72. 坂井弘一

    坂井分科員 なお詳しくお聞きしたいと思うのですが、時間がございません。  もう一つは、同じく漁業補償の問題ですね。この漁業補償につきましては、大阪、兵庫、和歌山、三県の関係の漁業者が対象ということになりますか。
  73. 西村康雄

    ○西村政府委員 漁業補償の考え方は、今回の空港の設置予定海域及びその周辺海域で現に漁業をし、あるいは漁業権を持っておる人たちが漁業を制約されるということに伴う補償というのがまず一つの考え方でございます。この海域で操業しておりますのが大阪、兵庫の漁業者でございます。  それから、そのほかに実際に建設工事の進め方あるいは現実に他の海域でも、その海域で一つの工事が行われるために他の海域での漁業に実質的な関連が生じてくるという場合に、それらが妨げられるということがまたはっきりいたしますれば、そういうものも入ってくるということになろうかと思うので、和歌山の漁業者につきましては後で申し上げたような関連で漁業補償の必要があるかどうか、現在会社が地元とお話し合いをするという態勢に入っております。
  74. 坂井弘一

    坂井分科員 和歌山の漁業者も影響がまずあるだろうということでもって、当然にこの補償の対象にという強い要請がございますし、影響があるとするならば、これまた当然のこと、補償と申しましょうか、そうした海域での漁業者の漁業、生計等々に支障を来さないような十二分なひとつ御配慮はいただきたいし、そういう観点で会社に対しても十二分にひとつ指導を運輸省はしていただきたいとお願いしたいわけでございます。  これに関連いたしまして、種苗、特にあそこで埋め立てが行われるということでございますので、水産庁がおいでになっているのでしょうか、種苗センターといいますか、及びまた漁業の振興、水産振興、これが不可欠と思いますが、どういうお取り組みになりますか。
  75. 河田和光

    ○河田説明員 お答え申し上げます。  水産庁といたしましても、漁業振興策、特に今先生御指摘の魚介類の種苗を大量に生産して放流するための施設整備、これは栽培漁業センターといいますけれども、こういうものの建設関係県にいろいろ助成しているところでございまして、特に今回こういう加太地区、その周辺の漁業振興という観点からも、有用な魚介類の放流、こういうものを関係の漁業者も期待しておりますし、県の方も非常に要望しておる、そういう実態もありますし、こういう種苗生産施設につきましては関係県の、回遊性の魚もございますし、特に大阪湾周辺では、従来大阪では府営の水産試験場が種苗生産していたのを、府営センターをつくるというような動きもございます。  水産庁としても、既存の助成、栽培漁業を推進する仕組み、システムというのがございますから、その中で地方公共団体あるいは漁協、こういうものが種苗生産の施設整備、こういうもので対応していくということが考えられるわけですけれども、どんな対応を今度施設整備でとっていくかということにつきましては、和歌山県とも十分協議しながら水産庁としても最大限の対応をしてまいりたいというふうに思っております。
  76. 坂井弘一

    坂井分科員 大臣、漁業補償の問題、これも恐らくはもう喫緊に交渉が妥結、結論を見い出すように今いろいろと御努力をされておるようでございますし、早くやりませんと、これもこれからのスケジュールに大きな影響を持つわけでございますので、漁業関係者もひとつ納得のいくような補償なり、あるいは漁民に不安を与えないような種苗育成のセンターでありますとか、あるいは海洋のさまざまな技術的なそうした研究も必要だとかというようなことで、例えば和歌山県におきましても地元民と関係の市町村、随分検討して進められつつあるようでございますので、どうかこの空港株式会社との交渉等に際しましては、運輸省もぜひひとつ監督官庁として、むしろある意味では指導的な立場に立って、言い方が悪いかわかりませんが、傍観者じゃなくて、せっかくの株式会社という新しい方式での、また民間活力も生かしながらということですから、そこにおのずから主体性がございますが、しかし、かといって運輸省自身が、大変悪い言い方で恐縮なんですが、いわゆる傍観者といいますか、手をこまねくようなことでありましてはこれまたなかなか進まない、またいろいろなところでそごを来すという心配もあるわけでございますので、そうした大事な地域の整備、地域からのいろいろな要請等々につきましては、漁業あるいは先ほど申しました土取り場の設定、またその跡地利用、あるいはそれらと関連いたします交通アクセス等々につきまして、運輸大臣が先ほどお述べになられましたが、ひとつ積極的なお立場でよきリード、また国としてこれに対する積極的な協力、援助ということをぜひお願いをいたしたいということで、最後にひとつ大臣からお答えをいただきまして終わらしていただきたいと思います。
  77. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほど申し上げましたように、これだけの大きな仕事をやり遂げるためには地元の御協力が第一必要でありますし、御協力を得る前段階に、やはり補償すべきものはするということが大原則であろうと思います。決して私も傍観をいたしておるのではなくて、新会社の社長もよく連絡をとってくれておりますので、また督励しながら協力するように頑張ってまいりたいと思います。
  78. 坂井弘一

    坂井分科員 ありがとうございました。
  79. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて坂井弘一君の質疑は終了いたしました。  次に、上田哲君。
  80. 上田哲

    上田(哲)分科員 まず大臣、かつておめでたい因縁がございまして、おくればせながら大臣就任を心からお祝い申し上げます。  さて、政府が今、戦後四十年、これもおくればせながら戦後処理の問題に真剣に取り組まれる趣でありますから、私もぜひその点について手厚く御努力をいただきたいという立場から、運輸大臣所管の羽田空港にかかわる問題をひとつお尋ねいたしたいのであります。  実は、あの羽田空港が戦争終結と同時に進駐した米軍によって接収をされ、周辺地域が強制立ち退きという事態になったのであります。戦後の混乱でありますから十分な資料もないのでありますけれども、大変な混乱の事態が現出された。あらかじめその辺の御調査をお願いしておきましたが、羽田の鈴木町、穴守町の二つの町が一挙に消滅したという事例について、どのような御調査の結果でありましょうか。
  81. 西村康雄

    ○西村政府委員 羽田の今日ございますのは、一つは、今先生お話しのような、終戦後の時点でアメリカ軍の命令によりまして急速な拡張が行われたという事実がございます。まだ私ども必ずしも十分な詳しい事情を承知しているとは申せませんが、昭和二十年九月二十一日に当時の米軍から、海老取川の東側の穴守町、鈴木町、江戸見町という三町の住民、約千三百二十世帯と承っております。住民の数は三千名の方々が四十八時間以内に強制的に退去を命ぜられたという事実がございます。そして、これらの方々は現在の羽田の空港の比較的周辺などに移住されたというように承っております。
  82. 上田哲

    上田(哲)分科員 九月二十一日に、アメリカ軍が進駐し、まさに四十八時間の期限つきですね。たった二日間ですね。今お話しのような大変な世帯、穴守町では五百五十四世帯、鈴木町では六百七十七世帯と私の方のデータではなっておるわけであります。二千八百九十四人、三百二十戸など、これが家を壊して、例の弁天橋から向こうへ追い払われたわけですね、橋一本ですから。当時は運搬手段というものは当然ないわけですね。本当に人間の背中で背負えるだけの家財を持って、たった二日で向こうに行ってしまえということで、これはいかに敗戦の直後とはいえ、実に惨めな事態があったわけですね。だから、これは今もその痕跡がいろいろあるわけであります。大臣、あそこへ行ってガードをくぐって駐車場がありますね。あそこに赤い鳥居が一つ残っているのは御存じですか。
  83. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 鳥居は承知しております。
  84. 上田哲

    上田(哲)分科員 あれは穴守神社という神社でありまして、鳥居はもっといっぱいあったのです。その鳥居を取り壊していくとそのたびごとにけが人が出る。たたりじゃないかということになって、ついに最後の一つは取り壊さないまま残ったというのがあれなんです。あそこには神社があって、あそこの周辺には広大な住宅があった。四十八時間で、今のように乗り物でもあればなんですが、一つの橋から追い立てられる姿というのは今でも胸が痛むわけですね。何とかこれは考えてやらなければいかぬなという問題が今も尾を引いていると思うのですが、御感想いかがですか。
  85. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 戦後、私もそういう姿を各地でさまざまと見ておりますし、今先生のお訴え、まさに痛ましい戦後のそれに対して私も胸が痛む思いがいたします。よく承知いたしておりますので、今後ともまたその趣旨をそんたくしながら考えてまいりたいと思います。
  86. 上田哲

    上田(哲)分科員 過大なことを言おうと思うのではありませんが、今政府の方が取り組まれようとしている戦後処理問題の中にやはり含まれる問題ですね。
  87. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 そのとおりです。
  88. 上田哲

    上田(哲)分科員 地元で何とかこれを復元しよう。空港をもう一遍取り戻すことができないのはわかっているのですが、こういう地図ができたのですよ。ちょっと見てください。ちょっとそれを見ながら、実にさまざまな職業、カフェーなんというものもありますし、おもちゃ屋さんだのいろいろな御商売、後で復元して、その三町に住んでおられた方々の名前がずっとあるわけです。不完全なものだけれども、何かこうその当時の人々の気持ちがここににじみ出ている感じがしていると思うのですけれども、こういう問題を当時、アメリカ軍としては何らかの補償措置というようなことが行われたやに聞くのですが、当然、どさくさの中ですから十分であろう道理がないが、何かそういう意味での措置がとられたというようなことがありますか。
  89. 西村康雄

    ○西村政府委員 ごくわずかの補償をしたという程度以上には、詳しいことを残念ながら承知しておりません。
  90. 上田哲

    上田(哲)分科員 そういうもので、これは法律的にといいましょうか、当時は日本国内法が制限を受けるわけではありますけれども、日本国内法の理解、解釈として、何かごの人たちに何らかの請求権といいましょうか、補償の義務といいましょうか、そうした手がかりというものは見つけ出せるものでしょうか。
  91. 西村康雄

    ○西村政府委員 一般的な法律制度から申しますと、現在の時点で直ちにそれが国に対する請求権として生ずるというものではないと思います。ただ、具体的なそういった請求権がないからといって、それがそういう人たちに対する対策をしないでいいということには当然にはならないわけで、その点については政治の問題として、あるいはそういった関連でいろいろな施策をするということは十分考えられることだと思います。
  92. 上田哲

    上田(哲)分科員 私も無理を言おうとは思わないのですが、それはもう少しく法的にといいましょうか、これはまさに政治の側が無理にでも手を差し伸べて何らかの道はないかと探る側のことですから、一種の拡大解釈とか援用とか、そういう範囲になると思うのですが、どういうふうな形が考えられるか、もう一歩踏み込んだ御見解はないものでしょうか。
  93. 西村康雄

    ○西村政府委員 まだこの場で直ちに有効なこういった方法はどうだろうかというような案を持ち合わせていないわけでございます。実際にこのときに立ち退かされた方たちの行方すら、私ども十分承知しておりません。この付近に彩られた方が多いとは聞いておりますが、実際にそういう事情も詳しく承知していないのが実情でございます。まず第一歩としては、そういう方たちがどういうことをしているかということをできるだけ知るということだろうと思います。この点につきましては、東京都あるいは大田区というところの御努力をぜひいただきたいというふうに考えます。
  94. 上田哲

    上田(哲)分科員 その方向で結構だと思うのです。実はそういう人たちがいるんですよ。大臣なんかも飛行機を御利用になると思うから、あの辺入りますね。そうすると、弁天橋の手前あたりというのは非常に人家が密集していますね。これはあのころ追われた人たちが、急に二日間で行くところはないわけですから、みんな軒下に雨露をしのいだり、本当に肩を寄せ合っていた、それがそのままかなりな部分残っているのです。だから、あの辺の小さな、それこそ地震でもあったらどうなるかと思うような町並みになっているというのが現実なんです。原因がそこにあるのですね。  したがって、この人たちは、亡くなった方もおられるけれども、まさに千三百二十世帯の方々のかなりな部分がいるんですね。ですからそういう地図もてきたわけで、そこに名前や昔の屋号などを書いた、おびただしい数になりますけれども、その方々は今でも把握できるのですよ。ですから、これは住民運動なんというものじゃありませんから、こういう人たちがそれぞれに今生活をされているけれども、あの鳥居を見ても、あるいは周辺に捨てがたい思い出があるわけですね。海老取川なんという名前も、これはおわかりと思うのですけれども、土砂やあるいは多摩川の上流から運んだ土、そういうもので多くの池や沼や鴨場、当時カモ猟の場なんというのがありまして、その一番北のところにあるでしょう、その鴨場なんというのも埋めて平らにして、コンクリートでつくってしまった。そのコンクリートの下にそういう思いがいっぱいあるわけですね。  したがって、今のお話で結構ですから、そういう方々が編成されるといいましょうか、話し合いできるわけですから、そうすると、その人たちと話をして何か考えるということはいいわけですね。
  95. 西村康雄

    ○西村政府委員 実際に住民の方々に今日の羽田があるために御苦労をかけたわけでございます。そういう点ではこれらの人々にどうしたらいいか、国としてその当時し足りないことを合して差し上げるということは何があるか、何が適切かということについては、これはこれらの方々のお話を直接聞くこともまたいいと思いますし、同時に、東京都なり大田区なりに具体的な問題についてよく御意見をお伺いするということも適切だと思います。そんなことで、まず地元の公共団体とよく連絡をしてみたいというふうに考えます。
  96. 上田哲

    上田(哲)分科員 それでいいんです。それでいいんですが、お役所的にまた東京都や大田区と、こういう話になっちゃうとこれは役所だけの話になっちゃう。その役所がなければできないことですから、ぜひやっていただくことにあわせて、その人たちがいるわけだから、この人たちの意見を吸い上げるというか、会って話を聞いてやる、こういうことをぜひ加えていただきたい、大臣、これはいいですね。
  97. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これは羽田沖展開後の跡地利用の問題と関連があるかと思いますが、そのことにつきまして先般東京都知事がお見えになりまして、三者協によって円満な跡地利用について、移った後は東京都が中心になるわけでございますが、その折の話に知事さんもそこらあたりよくお考えになっておるようでございますし、御理解があるようでございますから、私ども十分今の御趣旨は知事さんにもお伝えして、何といったって東京都が一番そういったいきさつを御承知でございますから協議をしてまいりたい。(上田(哲)分科員地元の実際に撤去させられた人たちと話し合っていただく」と呼ぶ)そうです、区の方も一緒になって。跡地は都が一応お決めになるわけでございます。
  98. 上田哲

    上田(哲)分科員 その場合、地元とも話をしてもらう。地元は東京都であり大田区であり住民の人たちということで結構ですが、今度役所の方は運輸省が跡地利用その他について三者協議の担当省でありますけれども、政府としての戦後処理ということになると、総務庁とかまたたらい回しになってもいけないのですが、その辺はどういうふうに取り扱っていただけるのでしょうか。
  99. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在の羽田空港の移転問題に伴いまして、その中でどういうふうなことを考えるかというのは、もっぱら運輸省が責任を持って対処すると考えております。
  100. 上田哲

    上田(哲)分科員 それで結構です、跡地の問題についてならば担当省は運輸省ですから。  この跡地利用についていろいろな意見がありまして、例えば人が住んでは絶対にいけない、そんなことでいろいろな制約が逆に出てきているわけです。だから、この問題に絞って言えば、この人たちが今さらコンクリートを掘り起こしてもう一遍あそこにうちを建てさせろと言っているわけでもないし、それは不可能なことはわかっている。せめてあのときのつらさや何かを、どこかで気持ちを回復させてもらいたいということなんです。  例えば、あのあたりに病院がないので、広大な跡地のどこかに病院を記念につくってもらうとか、記念碑でもいいじゃないかという声もある。記念碑というのはいかにももうおしまいということになり過ぎてしまうと思うのですが、さっきの御答弁のように、できるだけ手を差し伸べて考えてみたいというのであれば、人間の考えつくことには限度がありましょうけれども、総合病院をつくって子孫のために役立ててやろうとかいうことなどを、跡地利用とおっしゃるわけですから、跡地利用の中で考えていただくというような広い視野から一遍御検討いただきたいと思うのです。
  101. 西村康雄

    ○西村政府委員 跡地利用の基本的な考え方といたしまして、これは三者協議をしていく場で具体的な検討をするわけですが、できるだけ地元民の福祉と申しますか、そういう有効な使い方がまず基本にはなると思います。  ただ、国の立場から申しますと、沖合展開をいたしますものは、騒音対策の問題を抜本的に解決するということで、巨額の投資をして沖合へ移すということでございますので、今先生もおっしゃいましたように、再びそこに住宅ができて騒音対策をもう一度やり直すようなことでは、何のために移ったかわからないということでございますので、騒音対策を特に必要とするような施設は適当でないというのが国の基本的な考え方でございます。  そういうことは東京都あるいは地元の区の方もよく御理解いただいているわけで、そういった観点も含めまして、どうやれば地元のために一番有効になるか、そんなことでこれからの取り組みをしていくということで、今言われましたいろいろな方策も一つのアイデアだと思います。ただ、実際にはもっと多角的ないろいろな意見を出していただいて、その中で一番いい方法を選択することになるのではないかと思います。
  102. 上田哲

    上田(哲)分科員 余り防御的にならないでください。これは地元のものなんだから、政府のものだよというふうな形で上からやられてしまうと、前は米軍にやられたけれども今度は運輸省にやられたということになりますから、これは大臣からお答えをいただきたいと私は思うのだけれども、今当局の言われた考え方はよくわかるのです。まさに居住区との問題があるからこういうことにもなるのです。それはそうなんですが、私が今申し上げているのは、もう一遍コンクリートを掘り返してそこに人を住まわせろなんということをみじんも言っているわけではないのです。ただ、冒頭お答えいただいたように、そういう人々の気持ちをどこかで救い上げてやることは、戦後処理の当然の項目じゃないかと思うわけです。  そうすると、従来考えられていた跡地利用の原則が余りシビアに適用されるばかりであれば、このものが入っていく余地はないのですね。原則はそれでいいけれども、地元がこう思っていたという切実な気持ちなんかを生かしていく道をまた考えてもらいたい。だから、その中では記念碑ぐらい欲しいなという声があるのです。私は、記念碑ではちょっとつら過ぎると思うのです。我々は苦労したけれども、自分たちの子供や孫には、あそこは医療的に非常におくれているところだから病院の一つくらい建ててくれると気持ちがおさまるのだがという声もある。そうすると、いや跡地利用は居住区を許さないことが先にあるからなんて冷たいことを言ったのではならないので、その辺をやわらかく実情的に考えてもらうことが必要ではないかということを大臣に申し上げているわけです。
  103. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 この問題も残された戦後処理の一つだと理解いたしておりますし、羽田沖展開に伴う跡地の利用につきましては、一つの戦後処理の節目だと私は思っております。二度と来ない節目かもしれません。したがって、先ほど申し上げましたように、東京都がおやりになるにしても地元要望を十分にお聞きになる。例えば、地元が緑地帯をつくってほしいと言えば、私どももそのことについて助言をいたしましょう。私どもは、この問題につきまして当時を回想しながら、本当にお気の毒でした、この際皆様方のお気持ちに対して真心を持ってお手伝いいたしますという気持ちで進んでまいりたいと思います。
  104. 上田哲

    上田(哲)分科員 わかりました。ぜひその精神でやっていただきたいと思います。後ほどまたこうした具体的なデータを出して御配慮いただくようにいたしたいと思います。  それとはちょっと別なんですけれども、たまたま跡地の問題が出ましたが、跡地利用を将来を見通して、近視眼的ではなく、例えて言えば、何か大きな商社のビルが建ち並ぶなんというような、ニューヨーク・マンハッタンをあそこに現出するなんということではないものにしたいという気持ちがみんな強いわけで、地元大田区でも、区長が先頭に立っていろいろなことをやっております。これはみんなの意見を入れるということで結構なんですが、長谷川運輸大臣あるいは林厚生大臣当時から、病気の子供なんかをやって小児医療のメッカ、健康な子供のメッカをその中につくっていこうじゃないかということで、それは大変結構じゃないかと思う。大田区長も今プランの中に入れて頑張っておるやに聞いておりますけれども、それについての御理解も得ておきたいと思います。
  105. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 貴重な御意見として、東京都あるいは大田区にお伝えいたしたいと思います。
  106. 上田哲

    上田(哲)分科員 たとえ宿直がいることになっても、居住区だから宿直がいるような施設はみんなだめだみたいなことでしゃくし定規になりつつあるのですが、局長、これはないですね。とにかく、居住区がいけないというものだから、本当にロボットが住む以外にないようなものになりそうだ。そこに住宅をつくれとかアパートをどうしろなんということを言っているのじゃないけれども、防音なんというものは一定のものにはできるのですから、今言った健康小児センターとかいろいろな資料館であるとか、そうした問題を地元がやろうというときには、当然そういう意味で理解していただけますね。
  107. 西村康雄

    ○西村政府委員 今おっしゃったとおり、宿直まで居住だという考え方で接していこうとは思っておりませんが、今一番無難なものとして、実際には緑地帯等はもちろんですが、そのほかの施設としては例えば倉庫などというものは余り人も多くない、それでまさに宿直要員がいる、昼間は取り扱いがいるということで、ビジネスとしてやっているようなものにつきましては、それはそれで一つの騒音対策上の配慮は住宅ほどシビアなことを考える必要はないということでございますが、今、小児センターというものが具体的にどういう構想なのか評しく承知していないので、この場でどうこうということを申し上げられないのですが、ただ懸念いたしますのは、小児センターが昼間、戸外で子供たちが何かするというようなことですと、環境としては決してベストじゃないというように思います。ですから、そういう点では騒音下の施設として、ある程度の騒音がある環境というものを前提にしてどんな使い方ができるかということを本当に勉強していったらいいと思います。本当に地元の福祉対策として、今先生がいろいろお挙げになった施設というのも十分検討していくべきことだと思っております。
  108. 上田哲

    上田(哲)分科員 ちょっと感覚的に物を言っておられると、予算委員会分科会局長がこう言った、ああ言ったということは物すごい激震となるのですよ。気をつけなきゃ困る。  環境がよくないなんておっしゃるけれども、あんな大きなところ、日比谷公園の比じゃないのですからね。そこに緑がいっぱいできようというのが基本でしょう。建物よりは緑であり、豚や牛がいる方がいいじゃないかと言っているくらいなんだから。子供にとっては、牛肉というのは肉屋にあるものだと思っているのだから、そうじゃなくて、あれがううとかああとか鳴くんだということを見せることだって、大変なことなんですよ。そういうものはほかでできないでしょう。だから、そのことで言うとこれは環境がいいんですよ。上に飛行機が飛ぶからだけの話をしているのじゃない。航空局長というのは地面がわからないな。そういうところを、何も病院をつくれとか入院患者がいっぱいいるところなんて言っているのじゃない。だから、健康センターなんです。子供たちが体を大事にしていく。どうも発想が古い。病気の子供を治そうなんて言っているのじゃない。健康な子供をもっと健康にしようという予防医療のエリアの問題ですね。そういう方向へ向かって緑や青い空、おまけに、ああ飛行機も飛んでいるよと、これが二十一世紀の姿でしょう。その辺のところに理解を示すということが一つも言われていないと思う。このことは大変な激震になりますよ。
  109. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しいただきました小児センターの構想は……(上田(哲)分科員「健康センター」と呼ぶ)小児健康センターの構想は、きょう具体的に先生からお示しいただいたので、私どもも空の上だけでなく地面におりまして、十分勉強したいと思います。そして今お話しになった子供の像が、空の少々の騒音は苦にしない、いかにも都会風の、しかして緑の中で育つということであれば、私ども、それが実際の子供たちの姿ならそれはそれとして、大人がそういうことの将来について責任を持ってやるということであればいいのかもしれません。具体的な計画をひとつ大田区等とよく研究していきたいと思います。
  110. 上田哲

    上田(哲)分科員 よくわかりました。  では大臣もついでに、せっかく手を挙げていただいたから。
  111. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 同感でございます。
  112. 上田哲

    上田(哲)分科員 最後に、東京湾の向こうには伊豆諸島、小笠原があるわけですが、この切実な願いというのは自前の空港を持つことですね。ひとつこれに力を入れていただかないと、緊急事態の問題あるいは文化の問題としても非常に困るわけです。したがって鋭意御努力をいただきたいのだが、島によって順位だとかいろいろ問題があるわけです。その辺の具体計画はどうなっておりますか。
  113. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在、東京都が大島、三宅、八丈という空港を管理しているのは御承知のとおりでございますし、また、新島の空港が先般建設することになって、その運びになっておりますが、今おっしゃったように離島の住民の福祉という点は十分配慮していくべきことで、私ども、離島住民の対策の主となるのはあくまでも東京都ということで、東京都の具体的な御計画を我々お示しいただいて、それに国としては協力していくということで今後ともやっていきたいと思っております。
  114. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今の局長の答弁に漏れておりますけれども、伊豆関係の島で小笠原の問題でございますが、私も一月の九日、十日行ってまいりました。空港を持たない島というのはいかに孤島で、本当に涙ながらの訴えを聞きまして、これは東京都が既にある程度の調査をいたしておりますが、あと経済、それから利用度等の調査が若干残っております。私としては、これらの地元の訴え、とにかく船で行けば三十時間もかかる、しかもそれは一週間に一回しか通らない、先ほど羽田における小児病院の問題もありましたけれども、とにかく病人を運べないという状況等を見ますと、私はやはり大きく福祉の立場からも、しかも戦後取り残されて最も遅く日本に返ってきたというハンディ等も考えながら、これもあわせて東京都とよく話し合いながら実現に努力したいと思います。
  115. 上田哲

    上田(哲)分科員 大変結構な御発言だと思います。ちょっと私、正確でなかったのでもう一遍伺いたいのだが、伊豆諸島の小笠原の答弁なんですが、小笠原は今のお話でよろしいのだが、それらを含めて、もう少し具体的な年次計画とか見通しというのをお聞かせ願えませんか。
  116. 西村康雄

    ○西村政府委員 今新しく空港を建設しようとしておりますのは新島でございます。これにつきましては、六十一年度中に開港ができるというようなことで現在整備を進めることになっております。
  117. 上田哲

    上田(哲)分科員 神津はどうですか。
  118. 西村康雄

    ○西村政府委員 神津空港につきましては、現在東京都が調査を行っているということを聞いておりますが、まだ具体的な成案は得ていないのではないかというふうに考えております。
  119. 上田哲

    上田(哲)分科員 もう一つ、飛行場ができても受け入れの問題があるのです。羽田空港が沖合に行ったりなどすることを契機に、すぐ目の前にある空港から飛び立って全然違うところに行かなければならない、また東京まで帰ってこなければならない。羽田空港で受け入れるということの見通し、この辺はどうなんでしょうか。
  120. 西村康雄

    ○西村政府委員 羽田の空港は現在もう手いっぱいだということは、先生も十分御承知でございます。そのために沖合展開をやっておるわけですが、将来の問題として、沖合展開後これらの離島からの旅客をどうやって受け入れるかというのは、十分な検討課題でございます。ただ、羽田空港というのは全国の航空交通の一番の中心で、そういう意味で、全国的なネットワークのために国が全額負担するということでやっている空港でございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、地域住民との関連で私どもも、東京都民である各離島の方が東京都と直結したいというのはまた当然のお気持ちだというふうに思っております。そういう点で、実際に東京の首都圏の空港事情というのは非常に厳しい。そういう点では、今ちょうどコミューター航空というので、首都圏の各県も何とかお互いに小型の空港をつくって結びたいという動きも出ております。そういうものの一環として、東京都にもひとついろんな意味で多角的な御工夫を願って、何とか地域住民とうまい連絡をするようなことを、羽田の活用とあわせて一緒にどうやったらいいかと、これから少し皆で知恵を出し合っていったらどうかというふうに考えております。
  121. 上田哲

    上田(哲)分科員 ぜひひとつ、こうした離島で苦しむ人々の気持ちを、大都会が踏みにじらないで、受け入れるような形で御努力をいただきたい。  一番初めの問題に戻りますけれども、大変前向きな、戦後処理の問題として御努力いただくことをお伺いできたことは結構だと思います。どうぞひとつ、これを言葉だけとしないで、私、午後から総務庁の方でこの問題を同じように取り扱いたいと思うので、政府の窓口というのは向こうになるのかどうか知りませんけれども、大臣の方からも、その問題を担当していただいて一緒にやるんだということを、政府部内の連絡も密にしていただくように御伝言もしていただくことも確認させていただいて、御努力をお願いして終わりたいと思います。
  122. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 関係官庁と横の連絡を十分とりながら、これらの問題につきましてはとにかく誠意を持って当たるということをお約束いたします。
  123. 上田哲

    上田(哲)分科員 終わります。
  124. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて上田哲君の質疑は終了いたしました。  次に、塚田延充君。
  125. 塚田延充

    塚田分科員 私は、国鉄常磐線問題に絞って質問させていただきたいと存じます。  御承知のとおり、国鉄常磐線は、沿線の都市化が急ピッチで進んでおりますので、特に東京都内への通勤者が急増しているわけでございます。そのためにラッシュ時はすし詰めの乗車効率でございます。また、運転間隔が非常に大きいために、利用者にとっては大変不便をかこっているものでございます。  そこでまず、いわゆる中距離普通電車で日本一の混雑度、これはどこなのか、お答えいただきたいと思います。
  126. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  中距離電車という定義がいろいろあるわけでございますが、横須賀線型の三枚ドアの車両を使用しております中距離電車ということで限定して申し上げますが、今一番最高になっておりますのは、五十九年秋の交通量調査によりますと、東海道線のいわゆる湘南電車でございますが、とれの横浜-品川間の二六五%というのがラッシュ時一時間当たりの最高効率であろうと存じます。
  127. 塚田延充

    塚田分科員 それでは常磐線のケースですけれども、柏-松戸間及び藤代-取手間の乗車効率をお願いします。
  128. 須田寛

    ○須田説明員 前者の柏-松戸間につきましては、ラッシュ一時間当たり二五二%、それから我孫子以遠の藤代-取手間につきましては二二三%、いずれも五十九年度の秋の数値でございます。
  129. 塚田延充

    塚田分科員 三月十四日に行われますダイヤ改正でかなり大幅に輸送力が増強されるというように言われておりますが、私も時刻表を見てみたわけでございます。常磐線の場合、エキスポライナー、これはエキスポの観客のための特別臨時列車みたいなものでございますが、それを除いたいわゆる常磐線中電で、朝と昼間と夕、夜間に分けまして平均の運転間隔が現在はどうだ、そしてダイヤ改正でどうなるのか、いわゆる改善された様子を、取手-土浦間と土浦以北の土浦-水戸間に分けてお答えいただきたいと思います。
  130. 須田寛

    ○須田説明員 まず、取手-土浦間について申し上げますが、現在朝のラッシュ時間帯、一番混雑する時間帯は十分間隔でございます。これは今回も十分間隔でございまして変わりませんが、編成が十二両から十五両に伸びるという要素がございます。  同じく取手-土浦間のデータイム、九時から十七時まででございますが、これは現在平均四十分間隔になっておりますが、今回三十分間隔に変わります。  それから、夕、夜間、大体十七時半以降とお考えいただきたいのでございますが、現在これは、ちょっと時隔が不等時隔でございますので平均値になりますが、約三十三分間隔で電車が入っております。それが二十四分間隔ということに相なります。  次に、土浦-水戸間でございますが、朝の通勤時間帯は現在十分間隔、今回もほぼ同じ状況でございます。  それから、データイムにつきましては、現在一時間に一本でございますので六十分間隔でございますが、今回の改正によりまして約三十分間隔になります。  それから、夕、夜間につきましては、現在三十三分の平均間隔でございますが、これは現在どおり三十三分ということで運転する予定になっております。
  131. 塚田延充

    塚田分科員 今のお答えの中にもございましたけれども、ダイヤ改正で列車編成を十二両から十五両にするというような対策も講じていただくことになるようでございますが、それでは、先ほどお答えいただいた乗車効率がどのように改善されるのか。先ほどと同じように柏-松戸間と藤代-取手間、それからできましたならば、いわゆる土浦以北の乗車効率がどのように改善されるか、お示しいただきたいと思います。
  132. 須田寛

    ○須田説明員 中距離電車だけで申し上げますと、柏-松戸間の手前のところが一応二〇〇%に下がります。それから、先ほど二一三%ということを申し上げました区間につきましては一七〇%ぐらいに下がるものと考えております。
  133. 塚田延充

    塚田分科員 その運転間隔でございますけれども、首都圏の他の線区と比較してみたいと思うのですが、いわゆる西側、東海道とか横須賀とか、この辺は中距離であっても国電並みと申しましょうか、そのようになっているわけでございますので、高崎線、東北線と常磐線を比較してみたいと思うのです。  常磐線の土浦は、もう既に首都通勤圏に入っているわけでございます。といいましても、上野から六十九・六キロ、東北線で同じような地点を選んでみますと、古河が六十四・七キロ、高崎線の熊谷が六十四・七キロ、ここにおける一日当たりの本数ですが、私は時刻表で上り列車だけを見てみたのですけれども、常磐線は一日四十一本、それに対して東北線六十六本、高崎線六十七本で、同じような距離にあるにもかかわらず土浦の通勤者と比べると古河とか熊谷のような東北線、高崎線の利用者は六割も多い列車を利用することができるわけでございまして、これはひっくり返して言えば、それだけ常磐線の利用者が不利な扱いを受けているわけでございます。  さらに、この論を進めてまいりますと、完全な首都通勤圏とは言えないとしても、かなり東京への通勤者がふえております八十キロ台の都市、常磐線で言えば石岡市ですが八十五・八キロ、東北線の小山が八十・六キロ、これを比較しますと、さっき言ったように上り列車の本数は、東北線は六十六本だけれども石岡の利用者はその半分の三十三本しかない。半分なんですよ。国鉄としては今度のつくば科学万博対策としまして万博中央駅を巨費を投じて建設するとか、また、その観客輸送のためにエキスポライナーを新たに臨時的に走らせるとか、そのような努力に対しては敬意を払うものではございますけれども、いわゆる毎日使っておる恒常的な通勤利用者対策がまだまだおくれているのではないかというような気がするわけでございます。  乗車効率をさらに改善して、通勤者の苦しみを和らげる。実は、私は長距離通勤者の最たるもので、水戸の一つ手前の赤塚から国会へ通っているわけでございますけれども、大変なすし詰めでございます。このような通勤者の苦しみを和らげたり、また、日中一時間に一本とか、夜帰るときにこれまた一時間に一本とか、ひどい間隔で苦しんでいるわけでございますが、この本数をふやすことによって利用者の便を図ることが常磐線に対して急務だと思うのですけれども、国鉄総裁としては、この常磐線の現状に対してどのような認識をお持ちになり、また、どのような通勤者対策、万博じゃございませんよ、これを考えておられるのか見解をお伺いしたいと思います。
  134. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 常磐線の現状につきましては、東京付近でも混雑度が非常に高いということで、私も就任早々現地を見たりいたしております。  具体的に申し上げますと、我孫子-取手間の複複線化、柏駅のターミナル設備の改良というようなことを逐次やっております。それから今、須田から御説明をいたしましたが、土浦の電留の増設、ホーム延伸、中距離電車の十五両化あるいは千代田線直通緩行の増発、これは一本でございますが、十九本を二十本にするというようなこと、これらの改善策によりまして輸送力が増加し、混雑も緩和できるというふうには考えております。  しかし、今先生東北、上越等の線に比較していろいろお述べになりましたが、私の見ておりますのには、やはり線路容量といたしまして、東北、上越には新幹線ができているということがございまして、急直行がそっちへほとんど移ってしまっている、線路容量にあきがあるというようなこともありますし、それだからこそ便利になり、人も多いんだろうと思いますが、そういう面もありまして、常磐線の対策としましては、これ以上の対策をとりあえずするといたしまして、現在検討しておりますのは快速の十五両化、これは車両基地あるいはホームの延伸であるとか、車両の増備というようないろいろな問題点がございますが、これら約百億前後の投資かと思いますが、これらについてただいま詰めの作業をしているということでございます。  しかし、いずれにしましても、それでも常磐線というのはなかなか根本的解決にならないというふうに思っておりまして、やはり第二常磐というようなものを考えざるを得ないというふうになっておるわけでございます。国鉄でも運輸政策審議会の東京圏都市交通部会小委員会においても抜本的な輸送力が必要であるということを私どもからも申し上げているところでございます。この件については、運輸省の政策審議会で審議されておりますが、この答申で運輸省の御方針が決まると思いますが、国鉄といたしましても積極的にこれに取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  135. 塚田延充

    塚田分科員 今、総裁の方から、抜本的な対策として第二常磐線を考える以外にない、このような非常に前向きな御回答をいただいたわけでございますけれども、とにかく茨城県民としては常磐線が生活の動脈であり、その常磐線とともに栄え、運命をともにしていく、こういうような形になっているわけでございまして、その常磐線がパンク状態になっており、苦しんでおるわけでございますから、第二常磐線というのは県民待望、非常に強いものがございます。  そこで、運輸大臣に、この第二常磐線の建設スケジュールと申しましょうか、考え方につきまして、もうちょっと具体的に明示をお願いしたいとともに、その起点と申しましょうか、何とか茨城県側、すなわち利根川を越したところに起点を設けるように最初からぜひ御計画いただいて、現在の殺人的な混雑度及び不便に泣いております茨城県民におこたえいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  136. 服部経治

    ○服部政府委員 第二常磐線の建設整備の必要性につきましては、ただいま国鉄総裁の方からお答えがございましたように、同様に私どもも考えておるところでございまして、この問題は、現在運輸政策審議会の場で鋭意検討されておるところでございますが、そういう実情がございますから、恐らくその答申の中でもしかるべき形で茨城県内に向けての整備の確保が取り上げられるのではないかというふうに私ども考えておるところでございます。  それで、この運輸政策審議会の答申が得られました暁には、私ども、この第二常磐線の具体化に向けましてその次の段階へ進んでいかなければいかぬわけでございますが、まずその建設、運営の主体をどういうふうに考えるかという問題がございますし、またそれとの関連におきまして、整備方策をどう考えていくかという問題もございます。そういうものの詰めを関係者寄り集まりまして勉強してまいりまして、できるだけ早急にその具体化が図れるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  137. 塚田延充

    塚田分科員 今や完全な東京への通勤圏に入っております藤代-土浦間の住民は、取手まで来ております国電、直流電車、これを土浦まで延長してほしいというのはもうかねてからの宿願であるということは、国鉄当局も御存じじゃないかと思うのです。  ところが、それができない理由として、八郷町柿岡にあります地磁気研究所、これに直流電車だと影響を与えるから、北へ延伸することができないのだというふうに茨城県民は理解しているわけでございます。  それでは気象庁にお伺いいたしますけれども、学術的な立場と申しましょうか、科学的な立場で、藤代まで直流電車が来た場合に本当に影響を受けるのか、牛久まで行っても何とか大丈夫なのか、そのぎりぎりの科学的な限度がどこなのか、お教えいただきたいと思います。
  138. 末廣重二

    ○末廣政府委員 先生よく御存じのとおり、地磁気と申しますと、体にこそ感じませんが、地球環境を監視する上で大変必要な要素でございます。私どもは、大正二年から柿岡の地で世界的に最高水準の地磁気の観測を続けさせていただいておりますが、これには一定の自然環境の保全が必要でございます。  しかしながら、私どもは地域社会の発展と調和する観測所のあり方ということが非常に重要問題であると認識しておりまして、昭和五十七年の秋に茨城県のおつくりになった主に直流電気鉄道との関連における地磁気観測所問題研究会に気象庁からも委員を出させていただきまして検討をいたしてまいりました。また、その後も庁内で技術的な検討を続けております。これによりますと、決して頭からだめであるということではないようでございまして、何らか打開の方策があるということが現在まで検討結果として出てきております。  したがいまして、将来の問題ではございますけれども、仮に第二常磐線の整備あるいは現在の常磐線の直流区間の延長等が実現いたしまして地磁気観測所に影響を及ぼすおそれが予想される場合には、それまでに勉強しましたことを踏まえまして、その対策につき関係機関と協議しながら具体的な検討を進めることにいたしたいと存じます。
  139. 塚田延充

    塚田分科員 ちょっと抽象的なお答えなんですが、では私の方から単刀直入にお伺いしたいと思うのですけれども、直流電車を牛久まで延ばして柿岡の地磁気観測所、今のまま観測に影響がないのかどうか、今の時点でお答えになれるのか、それともそれについてはすぐ研究してくださるのか、この件についてお願いします。
  140. 末廣重二

    ○末廣政府委員 地磁気の観測には、短周期に変動する成分と、長周期に変動する成分がございまして、その長周期に変動する成分につきましては、筑波学園都市付近まで直流電気鉄道が通りましても、ある程度の配慮をしていただければ影響はない、ただ、単周期成分につきましては、やはり三十五キロ以内に直流電気鉄道が近づきますと影響が出ますので、これは例えば他の立地条件のいいところに移すというようなことでしのげるのではないかということが今検討の対象になっているところでございます。
  141. 塚田延充

    塚田分科員 今の気象庁のお話しのとおり、柿岡の地磁気観測所の問題が、移転するなり、もしくは別な意味での技術的な解決がついて直流電車を北へ延伸することが科学的に大丈夫になったという時点においてはそのところまで、例えば中間の答えの段階では牛久まで延ばすとか、ほぼ完全に解決したときには土浦まで直流電車を延ばすとか、このように国鉄としてはお約束いただけるでしょうか。
  142. 須田寛

    ○須田説明員 今先生御指摘のございましたように、直流電車の運行が可能になれば、確かに技術的にそういうところまで今の快速電車ないしはその他の直流電車を運行することができることになると思います。  ただ、問題点が一つございますのは、現在の直流の快速電車は既に我孫子とか柏付近でお客様が非常に多いものでございますから、北千住のところへ入ってまいります段階ではむしろ中電より混んでいるような状態になるわけでございます。したがいまして、牛久方面に延伸をいたしますためには、先ほど総裁も申し上げましたが、増結をいたしますとか、場合によれば増発をいたしますとか、そういうことを伴いませんと結果的に効果がございません。これには大変な工事をまた伴うわけでございますし、それから上野駅の実は発着容量にも若干制限がございますものですから、その辺も考え合わせましてやってまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、直流が乗り入れられるということは、それだけ融通性のある車両運用が可能になるわけでございますから、十分それは輸送改善に生かし得るものとは存じます。
  143. 塚田延充

    塚田分科員 今のお答えにもございましたように、常磐線利用者としては、とにかく本数増を願っておるわけでございますけれども、上野駅の条件とかいろいろなネックがあるということを伺っておるわけでございます。私なりにそれを整理してみますと、三つの理由があるのじゃないか。すなわち、第一は、需要がなければ本数をふやしてもしようがない、これは営業的な面しゃないかと思うのです。しかし、これはかなり高い混雑度ということで解決はしておるのじゃないか。それから二番目は、上野駅のネックでございますけれども、まだまだぎりぎりの容量までは使ってないのじゃないか。朝のラッシュはどうもそうらしいのですけれども、日中はまだまだ余裕がある。その証拠には、今まで全然なかったエキスポライナーを臨時で、それは一部は大宮から来るらしいけれども、上野駅ターンでどんどん使えるということですから、上野駅の容量もネックにはならなくなってきているのではないか。それから第三に、交直両用のために、あるいは全国的に使っている地域が少ないから車両数が少ないとか、または、つくるために価格が非常に割高になるとか言われておるわけでございますけれども、今度エキスポライナーのあれは交直両用車を持ってきたと思うのですが、どこからか持ってきたのか、新造されたのか知りませんけれども、臨時であれだけ使える。ということは、常磐線に本数増のために投入できる車両はあるのじゃないか。そうすると、三つのネックがある程度取れるのじゃないか、こういうような感じがするわけでございます。  そういうわけで、エキスポ終了後、恒常的な通勤対策として今の、余裕車両とは言いませんけれども、エキスポライナーの車両を例えば国電が走っておらない取手-水戸間に四両編成くらいでもいいからシャトルのごとくにあれする、線路容量は十分あるはずでございます。そうすれば、日中一時間に一本とかいうのをあれして、うたい文句にしているように、時刻表に頼らないでいつでも駅へおいでくださいというふうな常磐線になると思うのですけれども、その点につきまして、国鉄総裁いかがでしょうか。
  144. 須田寛

    ○須田説明員 ちょっと細かくなりますので私がお答えいたしますが、先生がおっしゃいました三つ条件の中で、お客様の需要があるかどうかにつきましては、私は常磐線は必ずあると思っております。  第二の、上野駅の問題でございますが、確かに東北・上越新幹線が上野に入ってまいりましたものですから、上野発着の上信越線あるいは東北線の特急、急行がなくなったものがございまして、その分だけ上野駅の容量はあいたわけでございますので、常磐線の電車もデータイムにおきましては若干上野に入れると思います。ただ、その場合、上野駅の高架ホームでなしに下の方のホームに入るとか、いろいろそういう問題がありますけれども、ゆとりが全然ないわけではございません。  ただ、車両につきましては、今先生おっしゃいましたエキスポライナーに使っております車両は、実はディーゼルカーを使いましたり、それから寝台電車を寝台をセットしないで使いましたり、あるいは客車を持ってまいりましたりいたしまして、かなりやりくり算段をしているわけでございまして、実は中距離電車に適合いたします車両につきましてはほとんどゆとりがないというのが実情でございます。  したがいまして、今後やはり今の直流化ができるかどうかという問題も大きなポイントでございますが、車両をどれぐらい持つかということでございます。ラッシュに車両をかなり持っておりますから全然増発が不可能だとは申し上げませんので、今後勉強はさせていただきますが、そういったいろいろな制約条件はかなりまだ車両を中心に残っているということはひとつ御理解おきいただきたいと思っております。
  145. 塚田延充

    塚田分科員 車両の問題について、エキスポライナーにディーゼルカーを使うということは存じてなかったのであれですが、しかし今度常磐線特急化によって急行の車両を全部使わなくなると思うのですけれども、あの車両はどこへ行ってしまうのですか。
  146. 須田寛

    ○須田説明員 大変みみっちい話で恐縮でございますが、これは仙台の方へ転用いたしまして、仙台の方で運転台を改造工事でつけまして、細切れにいたしまして、仙台付近のローカル電車、これが非常に電車化がおくれておりまして、今も数十年前の客車を使っているような状況でございますので、そちらの方へ実は転用することにいたしておりますので、これは嫁入り先が全部決まっているような実情でございまして、大変申しわけないのですが、そういう事情でございます。
  147. 塚田延充

    塚田分科員 嫁に出すには忍びないわけでございまして、何とか車両の増強をして、今言ったように取手-水戸間、編成は二両編成とか四両編成でもいいから、間を縫って運転間隔を詰めていただきたいと思っております。  さて次に、私、学生時代のころでしょうか、水戸から乗っても東京乗り入れとか有楽町乗り入れとかという電車があったのです。ということは、上野と東京の間も、聞くところによると南北縦貫線というのがあったわけでございまして、その南北縦貫線はどうなっているのでしょうか。
  148. 岡田宏

    岡田説明員 今御指摘ございました縦貫線につきましては、上野方から申しまして秋葉原までの間は回送線あるいは秋葉原に電留線をつくっております、それの引き上げ線という形で使用をいたしております。秋葉原から神田を挟みまして東京の入り口近くまでの間につきましては、新幹線の東京乗り入れの工事に伴いまして使用をいたしますので、現在使用を停止しているという状況でございます。  なお、有楽町までというお話がございましたが、これは大分昔の話でございますけれども、当時京浜東北線の電車と山手線の電車が分離をする以前の状態でございまして、その線路の余力を使いまして有楽町まで入っておりましたが、京浜東北線と山手線を分離をするという運転をいたしました時点で有楽町乗り入れというのは廃止しております。
  149. 塚田延充

    塚田分科員 その南北縦貫線が東京-秋葉原間ですか、そこを新幹線のために供用できなくなったということでございますけれども、今まで伝えられている情報によりますと、国鉄監理委員会か何かのあれでは、新幹線については収入は全然ふえないのに何千億だか知らないけれども使うことはないということで、東京-上野間の新幹線計画が凍結というふうに私は理解するわけでございますが、となれば、新幹線がなくなったのですから、もとの縦貫線に戻すのに少しはお金がかかるか知らぬけれども、縦貫線に戻すことができる、それができれば、その縦貫線を利用して、いわゆる横須賀、総武線が直通運転しているように、東海道線と常磐線をぜひあの縦貫線を活用して直通運転について研究していただきたい。そうなれば車両の転用とか営業効率とかもよくなるのではないか、このような気がするのですけれども、国鉄総裁、いかがでしょうか。
  150. 岡田宏

    岡田説明員 新幹線の東京―上野間につきましては、先生からお話もございましたけれども、監理委員会からの御提言もございまして、既に工事着手をいたしておりましたので、運転保安上でございますとか、あるいは河川管理者、道路管理者との協議上進める必要がある部分に限って現在仕事を続けている、ちょっと中途半端な状況にあることは事実でございます。これを今すぐ縦貫線という形で復活することにつきましてはいろいろ問題があるというふうに考えておりますが、なおいろいろ検討させていただきたいと思っております。  ただ、もう一つ、ちょっと申し上げておきたいのでございますが、常磐線を縦貫につなぐことにつきましては、上野駅の頭の配線上、大変細かい話になって恐縮でございますが、なかなか難しい問題がございまして、かつて常磐線を入れておりました当時から比べますと、何回か配線変更を行って、上野の発着能力をふやしたという事情もございますので、かなり乗り入れは苦しい状態にあるということをちょっと申し添えさせていただきたいと思います。
  151. 塚田延充

    塚田分科員 時間が終わりましたので、意見だけ申し上げてやめさせていただきますけれども、今の凍結されている新幹線予定部分にしても、凍結されておったら、その部分だけ坪何千万かするようなところが遊休地化されておる、それをいわゆる縦貫線みたいな形で営業用にすれば、それだけ国鉄としては活性化といいましょうか、有効利用につながるということでございまして、そういう面で表面的な技術的な難点、だからできないじゃなくて、何とかその技術的な難点を乗り越えて営業に結びつけ、利用者の便利につながるように、ぜひ前向きに御検討をお願いして、私の質問を終わります。
  152. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて塚田延充君の質疑は終了いたしました。  次に、野口幸一君。
  153. 野口幸一

    野口分科員 私は、選挙区が滋賀県でございますから、当然今廃線の予定にされているところの信楽線の存続問題等があるわけでありますが、私が今大蔵委員会に所属をいたしておりまして、今日の国の借財が非常に多くて財政危機に直面をしているという立場から考えてみましても、そのことも非常に大事なことではありまするけれども、全体的な問題を少しく詳しくお聞きをして、今後の国鉄再建と申しますか、当局が考えておられるような民営・分割という考え方にどのような形でこれを処理しようとされているかという課題を少しくお聞きをいたしたいと思います。  今日の国鉄が抱えていらっしゃる累積債務の総額、私がちょうだいをいたしております資料ではおよそ二十兆円、こういうことを言われておるのでありますが、詳しくその内容をお聞かせいただきたい。
  154. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 お答え申し上げます。  国鉄が現在持っております累積債務は、ただいま先生からお話がありましたように約二十兆円に上っております。  その内訳でございますけれども、このうち資金運用部資金にかかわりますものが五十九年度末残高で申しますと六兆二千八百億円でございます。それから簡保関係で七千二百億円、それからその他の一般会計で約八百億円、それから民間からの借入金といたしまして約一兆円、それから鉄道債券といたしまして、これは市中の金融機関あるいは共済組合その他国鉄関連の会社等にお願いをして調達をしているものでございますけれども、これが八兆六千五百億円、これらを全部合わせますと十六兆七千五百億円でございます。このほかに特別勘定という仕組みの中で処理をいたしております部分につきまして、これらが合わせまして五兆三千二百億円。  ただいま約二十兆円と申しましたけれども、これは五十八年度末ということでございまして、五十九年度末ということで予定をいたしておりますものはさらにそれが約二兆円程度ふえまして、今年度末には約二十二兆七百億円程度ということになろうかというふうに考えております。
  155. 野口幸一

    野口分科員 この特別勘定五兆三千二百億という内容ですが、これはどういう形で今日借財しておられますか。
  156. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 これは過去五十年並びに五十五年と二度にわたりまして国鉄の債務負担を何とか軽減しようという政府の御配慮によりまして、これは別勘定に立てまして、これを、この別勘定に属します利子負担を国が助成という形で御面倒を見ていただくということになったものでございます。
  157. 野口幸一

    野口分科員 そこのところをもう少し詳しく言ってください。五兆三千二百億に対して、本来ならば支払い利息はどれだけだが、国が補助をしてくれる利子補給金は一体幾らになっているか。
  158. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 この特別勘定につきましては、利子補給金といたしまして六十年度で三千四百五十七億円というものをちょうだいをいたしているということでございます。
  159. 野口幸一

    野口分科員 だから、この五兆三千二百億を特別勘定という形の中で国が面倒を見るという形になってから、本来ならば支払わなければならないいわゆる支払い利息の総額、ところが国の補助によってそのことを軽減された額、その総額は幾らになっていますか。
  160. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 この特別勘定につきましては全額をちょうだいをいたしておるわけであります。
  161. 野口幸一

    野口分科員 だから総額幾らですか、
  162. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 これはただいま申し上げました六十年度の予算案でまいりますと、三千四百五十七億円でございます。
  163. 野口幸一

    野口分科員 それは六十年度でしょう。毎年そうなんですか。
  164. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 これは毎年三千四百五十七億円は、均等と申しますか、同じ額で年々ちょうだいをいたしておるわけでございます。
  165. 野口幸一

    野口分科員 資金運用部から借りておられます六兆二千八百億並びに簡保等の利息、利率は幾らで借りておりますか、支払い利率。
  166. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 この利息につきましてはそのときどきの金利の情勢によりまして異なってございますので一律に幾らということではございませんけれども、おおむねこれまでの平均的な金利といたしましては大体七%前後であろうかと思っております。
  167. 野口幸一

    野口分科員 きのうお越しになったときに、きょうは累積債務のことについて詳しく御説明がいただけるようにと申し上げておいたはずです。そんなおよそというようなことを聞きたいのではなくて、累積債務がどのような形で今日推移してきているかということについて私どもとしては詳しく知りたいと考えまして、特にこの問題に絞ってきょうは三十分間を費やしたいと思っているわけでありまして、今のおよそというような形で御答弁いただくということははなはだ不愉快であります。もしも口で言わないのならあらかじめ表をお示しいただいてこのようになっておりますと言って私どもの手元にいただくならば別でございますが、口頭でおっしゃるのにそのような御答弁では私どもは納得をいたしかねます。
  168. 竹内哲夫

    ○竹内説明員 利率につきましては先ほど申し上げましたように変動があるわけでございますが、ある時点でどうなっておるのかということでございますと、現在の六十年一月という時点でとりますと、資金運用部関係につきましては七・一%となっております。それから簡易保険局からの借入金につきましては六・六%、鉄道債券につきましては七%、このような利率になっておるわけでございます。
  169. 野口幸一

    野口分科員 それでは、お願いをいたしておきますが、その特別勘定をもう少し早い時期からいただいた方がいいと思うのです。これは累積債務と簡単に言ってしまいますけれども、いろいろなものが中に入っているわけでありまして、どういう理由で累積債務が今日のような膨大な額になったかということは後ほどお聞きしてまいるといたしましても、借財の経緯――どの年度においてはここからこれだけ借りてこういう利息を払うことにした、その明くる年はどういうぐあいにやったという経緯を詳しく書面でもって後ほど私どもの方にいただけませんか。
  170. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 はい、承知いたしました。事務当局から提出させます。
  171. 野口幸一

    野口分科員 そこで、先ほどから言われておりますように、二十兆を超えた――二十二兆になっているようでありますが、この元利払いに今日運輸収入の七五%程度が支払われてしまっている。そして、単年度赤字が一九八三年度、五十八年度には一兆六千六十四億円になる。そうすると財政危機という問題が今日の国鉄問題の最大の問題点と言ってもよろしゅうございますか。
  172. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 先生の御指摘は非常に大きな要素であるというふうに考えております。
  173. 野口幸一

    野口分科員 この累積債務がこのような額になってまいったということについてはたびたび恐らく運輸委員会等でもお聞きになっていらっしゃると思いますが、私もう一度お聞かせいただきたいと思います。  このような膨大な額になってきた主たる原因は複合的な原因があるということは私もよく存じておりますが、例えば今日の国鉄の輸送シェアは昭和三十五年度ころは旅客では約五一%であった。ところが、五十八年度では二三%になってしまった。あるいは貨物は四〇%から七%というふうに激減した。こういった背景があるというだけではなくて、いわば原因の最たるものとして私どもが考えるのは、総合交通政策の中からおよそ想定し得るであろう今日の国鉄の姿、あるいは流通機構の変化等から考えますならば基礎施設に対する政府の投資、もちろん投資といいますと国鉄の場合は鉄道敷設になるかもわかりませんが、そういった問題が余りにもずさんではなかったのか。そういったことから今日の二十兆円という大きな金額が出てまいったのではないだろうかということが頭にあるわけであります。また、新幹線ができて、私も利用している一人でありますから、新幹線で便利になったわけでありますが、新幹線ができたことで例えば東海道本線も赤字になる。ましてや今度東北新幹線ができ、上越新幹線ができた場合にはそれに直結している従来の在来線が赤字に転落をしていく。もちろん昔から赤字だったかもしれませんが、さらに拍車がかかるといったことなどが目立っているようでありますけれども、いずれにしましても、国鉄当局としてはこの累積債務は何が主たる原因で今日ここまで来たとお考えですか。
  174. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今先生の御指摘になった点が大部分でございますが、いわゆるシェアの変化、交通競争、輸送機関の発展に追随できなかった、方向変換ができなかったということでございましょう。また、四十年代においてどうも運賃値上げがおくれたという問題もございます。それから、今シェアが減ってくるのに対して減量していくというような体制が不備であったというようなこともございましょうし、また貨物等の対応する施策が十分でなかったこともございましょう。もう一つ大きいものとしまして、終戦時にたくさんの人を抱えましたが、この人たちの退職金とか年金とかいうものが今我々のところにかぶさってまいっておりまして、いわゆる特定人件費でございますが、こういうものも一つの大きな原因であったと思っております。それから、今御指摘がございましたように、投資に対する採算の考え方が甘かったというような点もございましょう。もう一つ大きいものとしては、赤字が出るとそれを借金で埋めていった。このようにいろいろな点が複合して今日に至っていると私ども理解いたしております。
  175. 野口幸一

    野口分科員 それは二十兆を分析してこれだけはこれによって出た赤字だということは恐らく数字にできないであろうと思います。恐らくそういったことがあると思いますが、私はここで問題にしたいのは、今日までの借金のあり方が不明確といいますよりも非常に場当たり式な借財の仕方が目立つような気がしてならないわけであります。  資金運用部なら資金運用部の六兆二千八百億というのは七%の利息だとおっしゃっていますが、その他民間あるいは債券等の支払い利息等いろいろあるわけでありますけれども、その一部だけはいわば利子補給として政府が肩がわりしているわけでありますが、この国と国鉄とがそれぞれ分担すべき累積債務、しかも元利の問題も含めまして今後どのような返済のあり方を国との間で明確にしていこうとされるのか、あるいはまた例えば借財を抱えたまま、これは国鉄の借財として民営という形に移していこうと考えておられるのか、その点はいかがですか。
  176. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 長期債務の問題は今先生の御指摘のように大変な問題でございまして、これ以外にも、先ほどちょっと触れましたが、要員の問題であるとかあるいは年金の問題であるとかございますが、こういう二十兆を超える長期債務、五十九年度で二十二兆になりますが、こういうものを抱えたままで合いろいろ言われております分割・民営化と申しますか民営化をするということでは、とてもこれが採算に乗る――民営にしたところで赤字がまたふえてしまうということで、民営化するというわけにはまいらないということでございましょう。これにっきましては、御承知のとおり国鉄再建監理委員会が、ただいまこういう問題とともに経営形態のあり方も含めて御審議をいただいているということでございます。  ただ、私ども自身といたしまして考えておりますことは、ことしの一月十日に経営改革のための基本方策というものを出しておりますが、その中のことをごく簡単に申し上げますと、六十一年度末でございますが、このときに二十五兆二千億というふうに推定をしております長期債務といたしましては、そのうち投資に使いましたもの九兆六千億ぐらいございますが、これは新しい民営化した企業体で負担をしていこう、その負担の仕方としては三兆円ほどは用地を売ろう、あとの六兆六千億につきましては四十年賦くらいの長期にわたって返済をしてまいりたいということを我々は考えております。これは年間にすると大体五千二百億くらいの負担になりますが、そういうことを考えております。それから、残りました十五兆何がしという数字になりますが、これにつきましては既に五兆円が棚上げと申しますか今利子補給をいただいておりますが、それ以外に十兆ぐらいのものの利子補給はしていただかないとうまくいかないというふうに基本方策では考えております。ただ、これは国鉄の考え方でございまして、これから監理委員会あるいは政府が最終的にどういうふうに案をおまとめになるかということにつきましては、私はよくわかりませんが、今申し上げたのは国鉄としてはそういう考え方をしているということでございます。
  177. 野口幸一

    野口分科員 仮に今国鉄が考えておられるようなもので十五兆の分は利子補給という形の中で国がやる、それでは元金は一体どのようにして償還をするのですか。
  178. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 先ほど申しました九兆六千億の中の六兆六千億については元金もお返しするというつもりでおります。それ以外のは今どういうふうになるかわかりませんが、私どもとしては、政府で元利ともにお世話を願わないとどうもうまくない、こういうことでございます。
  179. 野口幸一

    野口分科員 今、国は百三十三兆余の累積赤字を持っているわけです。それをさらに上回って十五兆をもらうということになるわけですね。それは国の方でもまた別の分野で検討しなければならぬと思いますが、仮にそれはそういった形にして済んだとします。今現在においては単年度赤字が一兆円余を超えておるわけですね。これは六十五年度ですか、民間に仮に移すという年度においてはその単年度赤字というのはなくしてしまった上で移していけるのですか。
  180. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今の状態のままでは移せない、消すわけにまいりません。したがいまして、今申し上げました六十一年度末の負債をそういう時点で整理をするということを前提にして六十二年度から民営にしていく、そのときには、今申しましたように、現在五十九年度で一兆一千億くらいの利子負担がございます。これ以外に建設費の仮勘定がございますがこれは別として、六十年度になると恐らく一兆三千億ぐらいになると思いますが、これが六十二年度になりますと恐らく一兆七千億ぐらいになると思いますが、それを持ったままではとてもだめだという感じで、今言ったような御処理を願わないと国鉄を民営化すると言っても難しいというのが我々の考え方です。
  181. 野口幸一

    野口分科員 そうすると、先ほどちょっと六十五年と間違えましたが、六十二年ということでありますけれども、仮に今そういうことにいたしますと、民営化民営化と簡単に言いますけれども、その借財をしょったまま、あるいはまた先行き、今日において一兆円余のいわば赤字が出ている、そういった状況のままで仮に民営に移したところで、その経営が急邊好転するとは思えないと思いますが、どうですか。民営にした途端に赤字が黒字に変わっていくのですか。
  182. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今申し上げたように、十五兆の棚上げとかしても、実は要員の問題の解決をどう考えるかとかいろんな問題がございますが、そういう問題にいたしましてもなかなか経営基盤が固まるというふうには考えにくい点がございまして、私どもはそれを大体六十五年ぐらいまでの間にぴっちりしたものにしてまいりたい。六十五年には収支バランスできるようにするという考え方で今やっておるわけでございます。
  183. 野口幸一

    野口分科員 時間がもうなくなってまいりましたから、もう少し詳しくこの借入金の返済の問題について話をしたいのでありますが、仮に今国鉄が望んでおられるように十五兆を国が肩がわりするということにいたしましても、六十五年までに果たして、ことしや去年もずっと出ておりますいわゆる単年度赤字が簡単になくしてしまえるとは思えないのでございます。しかし、それは努力なさるのでありましょうけれども、仮にそういった形で、いわゆる収支面においては何とか民間移行の際に格好いいといいますか形づけられるようなことができたといたしましても、今度は公共性の立場から考えますと、今日の国鉄の利用者の公共的恩恵といいますか利益といいますか、そういうようなものが引き続き民間に移行されてもそのままサービスダウンというようなものがない、こういうことが確約できますか。
  184. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 その点についてはいろいろ問題点があるかと思いますが、例えば安全性というようなことについては十分確保するということになります。ただ、今の計画の中で要員といたしまして現在三十二万前後、今度退職しまして多少変わるかもしれませんが、大体三十二万前後と考えております。それを十八万八千人にまで六十五年に減らすという計画をいたしております。この辺のときにっきましてもサービスの問題、いろんなことがあると思いますが、これらについては大体私鉄並みということ、これにもちろん国鉄としては私鉄と違う要素がございますが、これらも組み込んで考えておりますが、こういうようなことをいたしてまいるということ。あるいは年金問題が非常に大きな問題でございますが、これは実は民営化をいたしました後でも七千億から五千億くらい、六十五年で言うと五千億くらいの補助をちょうだいしたいということを言っておるわけであります。これは利子補給と別に補助を欲しいということを言っておるわけであります。その補助のうち、三千五百億、七〇%くらいが年金に対する補助ということになります。あとの三〇%が地方交通線の補助とかそういうもので、大体二千億足らずというふうな感覚でおります。したがいまして、やはり赤字になってどうにもならない線路を運営していくとすれば、今先生の御指摘になった公共性につきましては、今の補助からいうと非常にわずかになりますが、そういうものはちょうだいしたい。  それから年金問題に関しましては、これはどうにも方法がございませんので、そのぐらいのものをちょうだいしたいというような計算にしてございます。
  185. 野口幸一

    野口分科員 時間が来ていますので質問をやめますが、今私はお聞きしておりまして直感いたしますことは、財政的にはある程度の処理ができても先行きの見通しが立たない。しかも、財政的に維持をしていこうとするならば当然公共性がダウンしてしまう、現在の公共性というものを維持していこうとするならば当然また国の補助あるいは援助というものが必要になってくる。今日の国鉄とほぼ変わらないような状況が民営化されても続いていくのではないか。このような状況ならば何も民営化する必要というのはないのではないかというふうにさえ考えるものであります。しかし、今日各方面で議論されておりますことでございますので、私はここでその議論をやる時間はございませんので一応終了いたしますけれども、累積債務の問題一つをとってみましても、非常に甘い考え方で、国に十五兆円の肩がわりをしろとか、あるいは今後とも国のある一定の補助を計画をした上に立っての民営ということになりますならば、私は、本来言っておられるところの民営化という問題の意味は、全く、その半分以上が意味がなくなってしまうのではないかという気がしてならないのであります。大臣がお見えにならなかったので最終的に御返事をいただけませんけれども、いずれまた機会を得まして、この問題については承りたいと思っております。  終わります。
  186. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて野口幸一君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  187. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 私は愛知県の選出でございまして、今、愛知県を中心といたします中部におきまして、新しく中部新国際空港を伊勢湾上に早期に建設をしようではないかということで、御案内かと思いますが、一月九日に愛知、岐阜、三重、三県知事を初めといたしまして、政官財挙げての建設促進期成同盟会も発足をいたしました。そしてきょうたまたま早朝から東海三県選出の国会議員が集まりまして、何とか国の第五次五カ年計画の中に組み入れていただきたい、あるいはまた四全総の国家計画の中に何とか位置づけていただきたいという趣旨を込めまして、この建設の早期促進に向けまして超党派の議員連盟も発足をいたしました。大臣はたまたま経済閣僚会議があるということで御出席いただけませんでしたが、政務次官の御出席をいただきまして、力強い激励もちょうだいをいたしたわけであります。まさしく官民挙げて、ひとつ中部新国際空港を建設しようという、こういった地元の機運、盛り上がりというものは、これは初めてのことでございまして、私どもも地元選出国会議員として大変高い評価をいたしているわけでございますが、これにつきまして大臣の御所見、評価を、簡潔で結構でございますから、まず最初にひとつお聞かせをいただきたい。
  188. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 過去におきます陸海空の交通の伸びを見ておりますと、航空を除いて第二次石油ショック後かなりダウンいたしておりますが、ひとり航空のみが順調な伸びを示している。私はこの伸びは今後とも順調に伸びるものと存じております。これは日本の国土の均衡ある発展あるいは地域社会の活性化のために極めて必要なことであると存じておりますが、とりわけ名古屋の空港は、我が国の中部経済圏の一つの中核でございますから、私は、大変結構なことであり、地元における活発なる御論議を期待いたしておる次第でございます。
  189. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 非常に御理解ある御答弁をいただきました。今大臣の御答弁にありましたように、我が国の国際航空の需要というのは、四全総の長期展望の作業におきましても今後ますます増大が予想されます。こういった国際航空需要の増大に対して、首都圏あるいはまた近畿圏のみの国際空港では対応し切れないときが来ると思います。中部のいわゆる活性化あるいはまた国際化の促進ということは当然でございますけれども、そういった全国的な日本経済の活性化あるいは国際化というものをより一層推進するために、何も三年先、五年先ということではございませんで、十年、二十年先、いわゆる二十一世紀を展望した立場に立てば、当然中部の新国際空港というのは必要になってくると思っております。今ちょっと答弁をいただきましたが、簡単で結構でございますので、その必要性について御答弁をいただきたいと思います。
  190. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 おっしゃったとおりでございます。現在の名古屋の空港は、離着陸の回数あるいはまた滑走路の長さからいたしましても、ジャンボを初めとして十分対応し得る現状になっておりますし、一口で申し上げますと、まだ余力がございますので、そういう点から中部経済連におきましても、二十一世紀へのビジョンとして掲げられておりますし、私は大変時宜に適したものだと思っております。何分空港の工事等につきましては、かなりの年月を要しますので、今この問題につきまして提唱され始めるということは、まことに結構だと思っております。
  191. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そこで、空港建設というのは一大プロジェクトでございますから、やはり地元というものが一番大事だと思います。適地の問題もありましょう、それから資金面の調達をどうするかという問題もありましょうし、あるいは需要性の問題等々もあります。こういう点はよく承知をいたしておるわけでありますが、そこで、地元が何とかしなければいけない、立ち上がらなければいけないということで、地元の自治体におきましては、調査費を計上いたしまして一生懸命調査をしていこう、こういうことを考えているわけであります。私がお願いしたいのは、この調査に対しまして、運輸省として、専門的な立場あるいは技術的な立場でひとつしっかりと御支援、御協力をいただきたいということが一つでございます。  もう一つは、私がこの問題を国会で取り上げたのは二回目でございまして、一昨年、昭和五十八年三月に当時の長谷川運輸大臣に質問をいたしましたときに、やはり大臣も、長期的な展望に立って結構なことだから、運輸省内部においても研究をしていこうとおっしゃっておりますし、これは航空局長も、たしか中日新聞との対談では、内部的に運輸省においても研究を進めてもいいよというようなことをおっしゃっていると思いますが、どうかひとつ被術的、専門的な支援、協力をいただきたい。何も早急な建設ということを言っているわけではなく、二十一世紀を展望してのことでございますから、どうかひとつ運輸省内部においても検討を進めていただきたい。きょうもたまたま小里政務次官が、こういった一大プロジェクトは非常に結構なことだ、検討に値する、こうおっしゃっておりまして、我々も地元の人たちも運輸省の御支援に非常に心強く思ったわけであります。  この二点について、簡単で結構でございますが、いかがでございますか。
  192. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しの新国際空港を中部につくるということにつきましては、これは大変大きなプロジェクトになろうと思いますし、そのための調査というのは非常に周到なものであることが必要だと思います。御承知のように、関西の国際空港が今日に至るまで、国はもちろんでございますが、地元の方でもいろいろな御協力をいただきまして、ようやくここに至ったわけでございます。そういった点から申しますと、今回の中部の国際空港につきまして、地元の方が非常に積極的に調査をしようというような動きをしておられることは非常に結構なことだというふうに思います。  ただ、調査の内容となりますと、非常に広範な問題がございます。例えば、先ほど申されましたような、まず空港の必要性というところは、これから長期の展望を今運輸省も航空審議会の場を通じていろいろやっております。そういった国全体の国際交通の見通しというものも一つございますし、また中部圏自身がどうやってこれから国際化をするかというようなプロジェクトを煮詰めていくということもあろうかと思います。そしてそういったプロジェクトの中で、一体国際空港あるいは国際交通というものがどんなふうな役割を果たすんだということもひとつ十分に御議論いただき、具体的な構想をお示しいただきたいというようにも思うわけでございます。  具体的なまた建設の技術的な問題に入ってまいりますと、実際には二十四時間空港ということになりますと、これは周辺に公害を及ぼさないということが大変重要な配慮になると思います。その点では関西空港をつくるときも非常に苦労いたしました。どこに立地させるかということがその極めて重要なポイントでございますが、それにつきましては、地元の合意というものをぜひおつくりいただきたい。その合意をつくるためには、もちろん専門技術的な調査が大前提になるわけで、そういう点から申しますと、具体的には、例えば伊勢湾の中に立地するというようなことでも、伊勢湾の中のどこら辺にやったらいいかというのは、地盤の問題もございます、あるいは工事費の問題もございます、さらにはこの空港を生かすためにもアクセスの問題には十分配慮しなければならない。具体的なそういった各般の問題をやって、一番いい場所に空港というものをつくる。こういった点についてはかなり専門的な問題がありますので、運輸省といたしますと、まず地元がいろいろな調査をし、御結論を出されるというのに側面から大いに協力はさしていただきたいというように思うわけでございます。  そしてまた、これらの技術的な問題と同時に、どんな構想で空港をつくるか、どういうふうな資金負担をするか、どういう事業主体が当たるかという点についても地元の合意形成が必要でございますし、そういった点についても、また地元でいろいろ御議論をなさるときに、私どもも一生懸命取り組んでいきたいというように思うわけでございます。  そういった地元の御調査というものが進み、それを受けて国もいろいろとやっていくというような体制でこれから処していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  193. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そこで、今航空局長の答弁、その次の私の質問に対する一歩踏み込んでいただいた答弁であるわけでありますが、これだけのプロジェクトをやるというのは非常に大変だと思っておるのです。確かに六十一年度から始まる五カ年計画の中で何とか調査費を、あるいはまた四全総の中で位置づけを、こう思っても、非常にこれは難しい問題があろうかと思いますよね。だから、そういった難しい問題、もちろん必要性の問題が第一でありましょうし、あるいは将来どれだけの旅客があるかという需要性の見通しの問題もありましょうし、それから事業主体をどうするんだという問題もありましょうし、今お話しがあったように、適地がどこか、あるいは地元住民の合意、こういったいろいろな問題が条件的にあろうかと私は思うわけであります。  ところが、せっかくここまで機運が盛り上がってきて、何とかひとつこれを建設、早期実現に向けて頑張っていこう、こういう地元の盛り上がりでありますので、そういったひとつノーハウをしっかりと教えていただくと同時に、やはり運輸省としても内部的な検討を進めていただきたいし、あるいはまた、こういったいろいろな悪条件をどう具体的に乗り越えていったらいいか、やはり建設に向けてこういった条件をきちっと地元にしていただければ、運輸省としても取りかかっていきますよというものをひとつここでお教えいただきたい、こういうふうに思いますが、局長から答弁いただきまして、それから検討の問題については、大臣から簡潔で結構でございますが、一言御答弁をいただければありがたいと思います。
  194. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほど検討すべき多くの問題点を申し上げたわけでございますが、そういった多数の問題点につきまして地元の合意がまずできる、その結果、具体的な空港の構想というものがつくられてくる、それは地元の限りでは極めて現実的な構想というものをおまとめいただくという段階を受けまして、国が初めてここならやれるかということで、これを調査対象に具体的に取り上げていくというような段階に入っていくんだろうと思います。したがいまして、空港整備のこれからのあり方としますと、私どもお願いしたいのは、環境問題等を初めとしたいろんな問題に十分御配慮された空港計画というものを、まず地元が具体的におつくりいただくというところからスタートしていきたいということでお答えにしたいと思います。
  195. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 こういった大プロジェクトで、しかも長期な完成までの工事を要するような問題につきましては、まずやっぱり地元の合意形成というのが第一でございます。その段階において十分地元で検討に検討を加えられて、合意形成の暁には、私ども積極的にまたそれに対して裏打ちをしていく、こういう形であろうかと思います。
  196. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 どうも御理解ある答弁をいただきまして、ありがとうございます。  地元としても、先ほど申しましたように、何とかひとつ成功させたいという機運が今盛り上がってまいりました。調査もこれから進めてまいると思いますし、何とか六十一年度から始まる第五次五カ年計画の中に、こういう願いでありますが、また一生懸命頑張って運輸省の御指導を仰ぎたい、こういうことでございますので、よろしくひとつお願いいたします。  空港問題はこれで終わりまして、次はまた、今地元で問題になっております――その前に簡単で結構ですが、既存の名古屋空港、中国への便が今ないわけなんですよね。どうかひとつこれ前向きに大臣、検討いただくと同時に、中国との航空交渉等もあるわけでございますが、この辺も地元としても何とか、愛知県も江蘇省と都市提携しておりますし、名古屋市が南京と都市提携しておりますし、中国との航空交渉において積極的な対応をしていただいて、定期便の開設に向けて御努力を御要望したいと思いますが、一言簡単で結構ですが、御答弁をいただきたい。
  197. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 一般論として申し上げますと、新規の国際空港開設に当たりましては、航空輸送の需要がどのくらいあるかというようなことと、また両国との間の航空関係はどうだとか、航空検疫の空港はどうだということを二つの目安にしながら開設すべきかどうかということを判断しているわけですが、名古屋と中国の場合には、私どもも御要請を地元から受けておりますし、いろいろなそういう客観情勢が整えば、それを前提といたしまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  198. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 じゃ、積極的にひとつお願いいたします。  岡多線の問題、国鉄総裁も来ていただいておるわけでありますが、昨年総裁は愛知県、地元四市に対して第三セクターでということでおっしゃった。ところが、ことしに入って一月十日、国鉄独自の再建案というものを出された。そのときに国鉄としては、これは子会社でやっていくんだというようなことで、地元としてはどぎまぎしちゃって、せっかく第三セクターへの考え方で検討しておったのを中断しちゃったわけです。きょうも愛知県の知事にちょっとけさ会ったわけですね。そうしたら、やはり気配りを国鉄の方として欠かれたのではないか、何とかひとつ第三セクターでの検討を再開をしてもいいから、やはり文書で正式にもう一回もらいたい、こういうことを愛知県知事は言っておりました。この点、どう対応されるか。  それからもう一つは、地元としては、国鉄が経営難だから放棄したということは大変けしからぬことだが、要は利便に供するために、地元住民としてはもう一日も早く早期開業してくれという声が強いわけです。国鉄がやろうが第三セクターがやろうが、それは構わぬということなんですが、この早期開業見通し。この辺の二点についてどうでしょうか。
  199. 岩崎雄一

    岩崎説明員 先生おっしゃいましたように、地元に現在第三セクターでのお引き受けをお願いし、昨年来折衝中でございます。「基本方策」発表の際に、第三セクターを前提に折衝中であるということを配慮いたしまして、第三次の廃止線区にしなかった、こういうことで多少誤解を招いたという感じがあったかと思いますが、地元説明を行い、了承を得て、現在愛知県並びに関係の四市で協議をいただいて知り、近く方向づけがなされるものというふうに期待をいたしております。国鉄といたしましても、ただいま先生は文書とおっしゃいましたが、もちろん文書で要請することは当然のことでございまして、現地にも赴きまして説明するなどあらゆる努力を払ってまいりたい、このように思います。  なお、開業の時期につきましては、まだ残っておる課題が幾つかございまして、そういうものをこれから解消していく必要があるわけでございます。その一つは、工事でございまして、御承知かと思いますが、高蔵寺の連絡設備あるいは車両基地、CTC化工事、こんなものを完成させるということが一つでございます。それから二番目には、第三セクターの地方鉄道業者としての免許取得の問題。それから、車両の調整の問題。四番目には、要員を配置する、そしてそれを訓練する。こういうような問題がございますが、それぞれがかなり準備期間を要するものでありますので、これに今後取り組んでまいりたいと思います。今までの例でいいますと、第三セクターの会社設立をいたしましてからおおむね一年ぐらいを要しておりますので、その程度の期間は最小限必要かと思いますが、国鉄といたしましても、早期開業に向けてできるだけ努力をいたしたい、このように思います。
  200. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そこで、第三セクターで引き受けるということに恐らくなってくるだろう、こう思いますが、しかし地元としても、それについてはいろいろな条件がある。一つは、借損料はゼロ。何とかこの問題を国鉄あるいは運輸省あるいはまた大蔵省、とにかくゼロになるように政府で解決をしてもらいたい。それから二つ目には、今の国鉄の岡崎駅を貸してもらいたい。それから三つ目には、一日十三往復でありますが、これを一時間三往復ぐらいにして、要するに地元住民の利便の用に供してもらいたい。その他いろいろ細かいこともあろうかと思いますが、そういった問題を解決していただければ、第三セクターで前向きに検討してゴーサインを出してもいいというような気持ちを愛知県は持っているわけです。運輸大臣に、今の借損料の問題、これは政府内部でこれから進めていかれると思いますが、国鉄に持たせたり、第三セクターに持たせるということは大変だ、こう思います。その辺ひとつ簡単で結構でございます、今ちょっと本会議の予鈴が鳴ったそうですから。この借損料の問題をいつ解決するのか、どうするのか、それから今の国鉄の岡崎駅を貸してもらいたい、それから利便に供するように一時間三本、こういった問題。地元側の要求を受け入れていく意思があるかどうか、簡潔で結構でございますので、それぞれ御答弁をいただきたい。
  201. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 岡多・瀬戸線は鉄道建設公団で有償資金で建設をいたしておりますので、何らかの形で鉄道建設公団には有償資金が返済されませんとならない、こういう事情にございます。それをさらに第三セクターにお引き受けいただいて貸し付ける際にどうするかという話は、貸し付けの条件の問題でございますけれども、これは現段階では、まだ国鉄地元との間で引き受けるという話についての結論を得ておりませんので、現段階で借料を云々するという段階ではないと思いますので、今後もう少し具体化いたしてきた場合に、過去の経緯その他を勘案しながら政府部内で決定をしょう、こういうことになっております。
  202. 岩崎雄一

    岩崎説明員 第三セクターの長所というのは、やはり地域に密着した地場運営ができるということかと思うのですが、岡多・瀬戸線につきましても、第三セクターが地元要望を吸収して、列車運行にしてもあるいはサービス改善にしても対応していくものと考えております。また国鉄といたしましても、できるだけ協力をしてまいりたいと考えております。  具体的な問題として岡崎駅の共同使用等の問題がございますが、これらについても十分に地元の御要望を踏まえてよく御相談をしてまいりたいと考えております。
  203. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 それからもう一つ、今度国鉄瀬戸線というのですか、高蔵寺から枇杷島まで行く路線、これは今鉄建公団が遅々として建設進まずということで、私も実はこの一角に住んでいるわけであります。毎日もう雨ざらしになった橋脚を見ながら、一体いつここを電車が走るのだろうかと思っている。これは聞くところによると、勝川から西枇杷島町までは昭和六十七年度に供用開始しますよ、それから高蔵寺から勝川までは七十年度になりますよ、それから勝川の西のところで短絡線をつくって、将来中央本線とこの国鉄瀬戸線がいわゆる環状線のような役割を果たしますよ、こういうことでありますが、もうちょっと早くならぬか、こう思いますが、この辺のところをどう考えていらっしゃいますか。
  204. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生御指摘のように、瀬戸線はさらに高蔵寺から勝川を通って枇杷島につながる、こういうことになっておりますが、そのうち勝川と枇杷島の間の工事は先生も御指摘のようにかなり進んでおるわけでございます。ただ、その工事につきましては、これはここばかりではございませんけれども、全体といたしまして国鉄再建監理委員会から、現在の国鉄の財政状況から見て必要最小限の工事というものに限定をしろ、こういう厳しい御提言をいただいております。そのような関係で勝川から枇杷島間につきましては、公共事業との関連で同時施行しなければならないというような部分に限りまして限定的に予算をつけて鉄道建設公団で工事をしておるところでございます。その他は一応凍結したような形に現在なっております。  それから勝川と高蔵寺の間は中央本線が通っておりますので、当面ここについては新しい線で並行した線を新設するということは考えておりません。中央本線を利用する、こういうことで考えております。そういう状況でございますので、これを循環線としてどうだというような構想が地元にあるということは承っておりますけれども、現在の情勢では、これを早めて実施するというようなことは極めて困難な状況でございます。
  205. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そうすると、勝川-高蔵寺間は凍結しているわけですね。これは工事はやらないわけですね。それから勝川-西枇杷島町間は開通して中央本線とのとりあえずアルファ型にする、こういうことですか。これはどうなるのですか、雨ざらしにしていて。
  206. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 当面高蔵寺までの瀬戸線の開業というので、それから先は必要最小限公共事業等との同時施行のものに限るということで工事を凍結しておるということとお受け取りいただきたい。したがって、勝川-枇杷島間につきましても、原則としては必要最小限の工事だけを打っておる、こういう状況でございます。
  207. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 これはちょっと私は納得できぬのです。時間がありませんからもうやりませんが、これはひとつ大問題なんです、地元住民にとっては。こんな勝手なことはないわけでありまして、聞くと予算も本当に三十億程度で微々たるものだ、こういうことで本当にこれは何のために地元住民協力を求めて用地買収したりやったかということを私は言いたいのですね。これは後でがっちりやりますからね。  それから最後に、名古屋市の上飯田と平安通、この地下鉄建設ですね。今名古屋市は六号線の地下鉄建設を一生懸命進めているわけでありますが、何とか、名鉄小牧線が上飯田でストップしているものだから、この上飯田から平安通、一キロぐらいのものですが、結んでやったらどうだ、味鋺からこれを潜らせて上飯田から地下で平安通まで結んでやったらどうだと、これに対する国の補助、地下鉄の補助方式もありましょうし、鉄建公団の補助方式もありますが、何とかひとつ名古屋市と愛知県がまとめてやりたい、こういうことなんですが、これについての対応をお聞きして、時間が参りましたのでやめますが、簡潔にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  208. 服部経治

    ○服部政府委員 上飯田と平安通を地下で結ぼうというお考えでございますけれども、これにつきましては、先生ただいま御指摘のとおり、名古屋市が六号線の建設等で手いっぱいの状況もございまして、そういう状況を踏まえまして第三セクター方式でということが考え出されてきておるようでありますけれども、これにつきましては、そういった名古屋市の状況を踏まえますと、建設の促進という意味でそれなりに意味があろうかと思いますが、一方、第三セクター方式になりますと、現行の地下鉄補助方式には乗らないことになりますので、したがいまして、採算上非常に大きな問題を抱えることになります。  そういう事情もございますので、私どもとしましては、いまだに愛知県あるいは名古屋市当局からこの問題につきましての何らアプローチを受けておりませんけれども、御相談があれば、今申し上げましたような点も踏まえましていろいろ御相談してまいりたいというふうに考えております。
  209. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 ではよろしく。どうもありがとうございました。
  210. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  211. 中島衛

    中島(衛)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。山原健二郎君。
  212. 山原健二郎

    ○山原分科員 国鉄再建問題についてお聞きいたしたいと思います。  昨年の八月に第二次緊急提言が国鉄再建監理委員会から出されまして、輸送密度四千人未満の地方交通線対象とした第三次廃止計画線の調査が打ち出されました。引き続いて本年一月十日、国鉄当局は自主再建計画を発表されまして、ここでも第三次廃止対象路線が挙げられたわけでございます。同時に、この自主再建計画によりますと、北海道、四国を分離して民営化するとの含みを持った方針を打ち出しております。  まず四国分離・民営化問題についてお伺いをしたいのですが、私は高知県でございますけれども、きょうも四国四県の、私の党を含めまして、国鉄四国総局に対して、四国の問題について交渉申し入れをしておるところでございますが、過去を振り返ってみますと、国鉄が黒字基調の時代、二十年前、昭和四十年当時から四国は赤字経営であったわけです。今度の国鉄再建計画の中を見ましても、「北海道及び四国については、輸送や運営面の独立性が比較的強いという事情もあるが、将来の見通しからみて民営による安定的運営は至難」と書いてあります。極めて難しいというわけですね。採算がとれることを前提とする民営化は、まさに無理な話だというふうに思わざるを得ません。それをあえて強行しようとすれば、四国の鉄道の解体につながると言わざるを得ないと思うわけでございます。したがって、分割・民営は国鉄に対する国民の期待を踏みにじり、特に過疎に苦しむ地方を犠牲にするものになりはしないかということを考えますと、このような無謀なことはやってはならぬことだと私は思っておるわけでございますが、この点につきましての御見解をまず伺っておきたいのであります。
  213. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今先生お読み上げになりましたように、四国、北海道についての記述がございます。その前に、私どもといたしましては、六十二年に激変緩和というようなことを前提といたしまして、全国一本の特殊会社、民営化をするということを基本に考えておるわけでございます。そのときには四国も北海道も抱えるというと語弊がありますが、一緒に経営していくということでございます。ただ、北海道と四国につきましては、今先生がお読みになったように、将来の輸送見通しが非常に少なくなりそうだというようなことを考えますと、民営という立場でいく場合に非常に難しくなってくるということでございます。  そこで私どもとしては、国がこういう地帯の公共輸送を守るというような政策判断をされた場合には、それなりの経営基盤を確立するということが前提になりますが、それは補助金を出すか、あるいは相応の資金を渡すかとかいろいろな案があると思いますが、そういうようなことをして、北海道あるいは四国について「運営基盤が確立されるならば別経営とすることも考えられる。」というふうに述べたわけです。基本といたしましては、民営化した全国一本の企業を考えるということでございます。そういう意味におきまして、私ども四国を切り捨てるというような考えを全く持っているわけではございませんので、四国もそれなりに鉄道として維持していくことをいろいろと模索をした結果がこういうふうに出ているというように御理解を願いたいと思うわけでございます。
  214. 山原健二郎

    ○山原分科員 私も現在の国鉄が置かれておる政治的情勢というものが全くわからぬわけではございません。けれども、今お答えになりましたことを聞きまして、四国の住民としての不安というのは非常に多いわけです。今もお話がありましたが、国鉄という公共交通体系をどうするかということにつきましては、単に交通政策にとどまらず、国土計画と密接不可分な関係にあると私は考えております。政府の国土計画の最高の指針として現在ありますものは、国土総合開発法に基づいた昭和五十二年十一月四日に閣議決定を見たいわゆる三全総だと思います。この基本構想は、御承知のように定住構想という、つまり大都市への人口の集中、さまざまな機能の集中という流れを変えて、地方に国民が定住できるような方向に持っていく。そのためにもろもろの機能の分散あるいは地方の生活基盤の整備を促進するということであると思います。これが現在の政府の国土計画に関する基本的考えであるはずだと思いますが、国土庁お見えくださっておりますが、そのように理解してよろしいでしょうか。
  215. 長瀬要石

    ○長瀬説明員 ただいま先生から御指摘賜りましたように、昭和五十二年に策定されました第三次全国総合開発計画におきましては、定住構想を開発方式として提示をいたしたわけでございます。御指摘のように、大都市への集中を抑制し、地方を振興するというのが基本的な考え方でございまして、そのような定住構想の推進を図るためにあらゆる面で施策を推進していく必要がある、そのような観点から国土政策の推進を図ってきているというのが今日ただいまの状況でございます。
  216. 山原健二郎

    ○山原分科員 政府の基本的な国土計画というのは、今御答弁がありましたような方向なんですね。三全総では地方における鉄道を含めた「交通体系の整備」を位置づけておるわけでございまして、ここへも持ってきておりますが、三全総の七十四ページ、七十五ページにこのことが書かれております。  今、土讃線の窪川、この先中村までの中村線が今回の廃止路線対象になっておりますが、これと三全総との関係を見てみますと、中村線のある四国西南地方は三全総の定住構想のモデル定住圏に指定をされております。三全総で四国西南地域について言及しておるところがありますけれども、ここにも「交通体系の整備」、このことがはっきりと出ておるわけでございます。  山下大臣にお伺いしたいのですけれども、そういう点から見ますと、中村線の廃止というのは、こういう三全総、国土計画との関係において、しかもこれは法に基づく閣議の決定でありますが、この国土計画の基本方針に反することになりはしないかと思いますが、基本的にどのようにお考えでしょうか。
  217. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 三全総の考え方につきましては、国土庁の方から御答弁があったとおりかと存じますが、その中で具体的に交通というものについてどういうふうに考えていくかということは、三全総の中にも述べられておると思います。すなわち、交通機関にはそれぞれ特性というものがございますので、その特性に応じた交通体系の整備を進める。したがいまして、特性というのは、やはり利用者の選択によって、利用される交通機関、利用されにくくなる交通機関というものがあるわけでございまして、最も利用者のニーズに合ったような形で特性ある交通機関を効率的に配置していく、かようなことではないかというふうに考えております。そういう意味で、御指摘の四国の西南部につきましても、私ども基本的には特性に応じたきめの細かい交通体系を配慮していくべきではないかと思っております。  お断り申し上げておきますが、中村線は俗に申しております第三次線でございまして、第三次線の取り扱いにつきましては、ただいま基礎的な調査をしておるところでございまして、直ちにこれを承認をして転換に踏み切るということまで至っておるわけではございません。そういう段階でございますが、今申し上げましたようなことでございまして、そういう特性を持った交通体系を整備するという中で、中村線を鉄道として存続するのがいいのか、道路交通の方がより特性のある交通機関として整備されていくことがいいのかというような判断を具体的にしていくべき問題だというふうに考えております。  私どもは、地方交通線、一次線、二次線の転換を進めさせていただいておりますけれども、これは単に不採算の線を切り捨てるというような考え方で転換をお願いしているのではございませんで、不採算の路線をより効率的な交通体系にして、より便利な交通体系、地元に密着した交通体系に転換していただくということを考えながら転換を進めさせていただいておるわけでございまして、御指摘の線区につきましても、そのような観点で今後考えてまいりたいというふうに思っております。
  218. 山原健二郎

    ○山原分科員 今のお答えに対する一定の反論は後でちょっとしたいと思いますけれども、廃止が決まってから私が質問をしても役に立たないわけでございまして、そういう意味で、今から申し上げることは、十分資料として検討していただきたいという意味で私は幾つか申し上げたいと思います。  三全総の指摘では、この西南地域は、自然条件や自然景観などすぐれた条件を活用し、農林水産業、地場産業とともに観光レクリエーション等を振興することなどを強調しております。そして中村線はまさにその振興する上での一つの大きな命綱になっておるわけでございます。といいますのは、三全総を受けまして幡多モデル定住圏構想が県や自治体によって策定をされております。その一例として土佐西南大規模公園事業、これは総事業費が百三億でございますが、既に三十九億が投入をされております。景観地の入野松原あるいはキャンプ場その他さまざまな総合的レクリエーション施設がつくられるという計画になっておりますけれども、この計画の表玄関は土佐入野駅、すなわち中村線の土佐入野駅でございますが、この駅が不可欠の中心的要素であるというふうに県は判断をしておるわけでございます。そうしますと、中村線の廃線は決定的な打撃をこの地域に与えるわけでございまして、そのほかに、単に観光レクリエーションだけでなく、中核工業団地あるいは西南国営農地計画などにも否定的な影響を与えるわけでございます。  三全総はどう申しておるかと申しますと、国はこれらの地方の定住構想を積極的に支援しなければならない、こういうことがはっきりと、ここへ持ってきております国土計画あるいは三全総の中に書かれておるわけでございますが、もし中村線が廃止ということになりますと、国が支援するどころか、逆に地方発展に致命的打撃を与えることは明らかでございます。国が示したいわゆる国土計画あるいは三全総の路線の上を走ろうとしているのに、突然路線を百八十度曲げてしまえば、これはまさに国に対する信頼関係にももとりますし、そういう意味から考えまして、本当にこの中村線の廃止などはすべきでないということを重ねて申し上げたいと思いますが、この点についてはおわかりになるでしょうか。運輸省国鉄当局の御見解を伺いたいのであります。
  219. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 鉄道の交通体系におきます位置づけにつきましては、先ほど来申し上げたとおりでございまして、私ども、地域の交通の中でどうしても鉄道が利用者に望まれるのか、それとも他の交通機関が望まれるのかということが非常に大事だというふうに考えております。したがいまして、転換線というものを判断いたします場合にも、一定の期間の乗車密度のほかに、将来の増加要素、その他ピーク時の輸送密度とか平均乗車キロとか道路事情とか、種々の事情を判断いたしまして、総合的に他の交通機関への転換が望ましいかどうか判断するわけでございます。  中村線につきましては、先ほど申し上げましたように、まだその判断を最終的にしておるわけではございませんけれども、ただ御理解いただきたいのは、基準期間で二千三百人ほどございました利用者が、五十八年度では千七百人余に減少をいたしておるわけでございまして、そういうような種々の観点から、果たして鉄道というものが最も好ましい交通体系なのかどうかということを最終的には判断すべきではないかというふうに考えております。そして、そのような判断を仮にいたしました場合でも、先ほど申し上げましたように、新しい、そこに最もふさわしい交通体系というものを考えながら、地元の協議会等で御協議を重ねながら転換を進めていくという手段をとるわけでございまして、そういう意味で、先ほど先生御指摘の三全総に基づく中村線の位置づけとは決して矛盾をするものではないというふうに考えておるわけでございます。
  220. 山原健二郎

    ○山原分科員 もう一つ中村線について伺っておきたいのですが、国鉄再建特措法(五十五年十二月二十七日)の施行令第三条に「特定地方交通線に関する基準」がございます。この中で、廃線対象から除かれる場合の基準、条件が規定されておりまして、四項目あって、そのいずれか一つに該当する営業線は除かれることになっております。その四号に「平均乗車距離が三十キロメートルを超え、かつ、当該区間における旅客輸送密度が千人以上であること。」となっております。今ちょっとお話がありましたが、中村線の場合、密度は五十八年度で千七百八十一名となっております。平均乗車距離は五十八年度で三十キロでございます。この基準には「三十キロメートルを超え、」となっておりますから、中村線の三十キロというのが、小数点以下がどうなるかわかりませんが、微妙なところにあることは間違いありません。しかし、五十九年度以降は県、周辺自治体、関係住民一体となって乗車努力を払っておりますので、三十キロを超えるのはほぼ間違いないと思います。このように周辺の努力によって基準を超えれば、法令の規定に従って廃止対象から除かれると思うのでございますが、その点を確認をしてよろしいでしょうか。
  221. 岩崎雄一

    岩崎説明員 中村線は、基準時間におきまして一人当たりの平均乗車キロは二十九・二キロ、もちろん輸送密度は先ほど先生がおっしゃったとおりでございまして、第三次の特定地交線に該当をするものでございます。  特定地交線の選定はあくまでも基準期間の数値に基づいて行うものでございまして、今先生がおっしゃったような、その後の輸送実績が政令の除外条件に該当するに至ったというような。場合には、現在までは協議会を開きまして、その会議においてこの中身を確認の上、その取り扱いを協議会において協議をする、こういう取り扱いにいたしております。
  222. 山原健二郎

    ○山原分科員 そうしますと、協議の対象にはなりますが、千人と三十キロの線を努力によって超した場合、自動的に廃止対象から除外されるということはあり得ないということですか、どちらでしょうか。
  223. 岩崎雄一

    岩崎説明員 協議会の中でその数値を検討いたしまして、定着性というのが問題でございまして、一時的に除外条件に該当するということではなかなか評価ができない、こういうことで、その定着性等が確認されれば、とりあえず協議会の会議というものを中断をして、その後の輸送の動向というものを観察をする、こういう取り扱いにしておるわけでございます。
  224. 山原健二郎

    ○山原分科員 基準にはちゃんとあるわけですね。だから、定着性とおっしゃいますけれども、そうなってくると、私もちょっとわかりかねる面があるわけですが、「三十キロメートルを超え、かつ、当該区間における旅客輸送密度が千人以上であること。」というこの基準は厳として存在しているわけでしょう。この基準を超した場合でも協議の対象になる、あるいは継続性があるかどうかというようなことを判定をするということをおっしゃっているわけですか。
  225. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 ただいま国鉄の常務理事の方から御説明を申し上げましたのは、こういうことでございます。  一応法令の規定によりますと、基準期間というものでその線を転換線として承認するかどうかということを定めるということになっておりますので、したがいまして、その線を転換線として運輸大臣承認をする場合には、基準期間を標準として承認をいたします。  ただ、承認した後の協議会において、今先生の御指摘のように、基準期間ではそうだったけれども、基準をオーバーしておるじゃないかというような場合には、その協議会においてそれを確認の上、一時的に協議会を中断するということになっております。ただ、中断するというのはどういうことかと申しますと、協議会開催後二年を経過いたしますと、国鉄は場合によっては廃止の申請ができるということになっておりますけれども、そのような期間に算入しない、こういう取り扱いでやっておるわけでございます。  ただ、先ほど岩崎務理事が申し上げましたように、定着性という問題がございますので、半年ごとに一応確認をいたしまして、依然として基準をオーバーしているかどうかという確認を行う、こういう取り扱いを過去において行っておるわけでございます。そういうことを申し上げたわけでございます。
  226. 山原健二郎

    ○山原分科員 この三全総に四国西南地域の場合、恐らく先ほどおっしゃった中に、例えば鉄道だけでなくてバスその他住民のニーズの問題とか、そういうことが話されたと思うのですが、この三全総に基づく四国西南地域の開発、この中に、しかもこれは積極的に優先的に支援を国はしなければならぬということになっているわけですが、その中に宿毛線建設事業が特別事業として入っております。これは今宿毛線は第三セクター論であるとかいろいろな問題で、皆本当に悩んでおるわけでございますけれども、宿毛線がいかなる形態であろうともモデル定住圏計画の中には入っているわけです。全国四十余力所あるわけですが、その一つとしてこれが入っておりますね。ところが、この宿毛線というのは中村線の向こうにあるわけですよ。向こうの計画が残って、そして中村線が廃止などということになりますと、これはもう全く鉄道としての意味をなさないものですよね。そういう点もお考えになっておるのかどうかを伺っておきたいのです。
  227. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 宿毛線のみならずその他多くの線がこの地方交通線の転換を決めましたときに、それとのバランスと申しますか、均衡の問題で、従来鉄道建設公団において工事をしておりました工事を、四千人未満の乗車密度しか予想できない線区については全部凍結をいたしております。宿毛線もその一つでございます。そのような線というものに接続しておる線が、中村線の場合はまだ必ずしもそういうように決定したわけではございませんけれども、その他の線で、例えば一次線、二次線等におきましても、その同じような事情で根っこの方が廃止線に指定されるというケースは、全国幾つもあるわけでございまして、そのような場合には、その根っこになる線の転換のときに、場合によっては協議会において新線の取り扱い等もお決めをいただいておるというようなことで、多くの線は新線部分も含めて第三セクターに転換するというような形で新線の建設は進めるというような形で解決をされておりますけれども、必ずしも中村線と宿毛線だけではなく、同じような関係が全国に多々あるわけでございます。先ほど申し上げましたように、宿毛線自体も建設を凍結しておるということでございまして、そういう意味では、私どもある程度やむを得ないというふうに考えております。
  228. 山原健二郎

    ○山原分科員 どうも納得できませんけれども、時間の関係もありますので、予土線はかつて地崎運輸大臣がおりましたときに、私も質問しまして、予土線は四国を循環する鉄道の一環であるということで解釈をされてきておりましたが、これはどういうふうにお考えになっていますか。
  229. 岩崎雄一

    岩崎説明員 予土線は、第二次の特定地交線の選定対象として調査をいたしたわけでございますが、代替輸送道路になります国道の三百八十一号線の一部に幅員不足の箇所がありましたために、バス転換が適当でないということで第二次の特定地方交通線としては選定しなかったものでございます。  六十年度に入りますと、先ほどもお話が出ておりますように、第三次の選定に着手するわけでありますが、その中で重ねて道路条件調査を行いまして、その後、代替輸送道路としての要件が具備されたかどうかということをチェックし、その上で取り扱いを検討したい、このように考えております。
  230. 山原健二郎

    ○山原分科員 もう時間がなくなりまして大臣にもお聞きしたいのですけれども、高知空港の騒音の問題について、おいでいただいておりますので、一言お聞きをしたいと思います。  これはジェット化されまして、大変県民はその意味では喜んでいるわけでございますが、しかし、予想以上の騒音の問題が出てまいりまして、恐らく当局に対しても自治体の方からも要請があったと思います。一つは飛行コースが当初の説明と大きく変わったということが言われております。また民家に対する防音工事も道一つ、溝一つ隔てて線引きが行われて、その意味でのいろいろな不都合が起こっている。それからコースの問題と絡みまして、コースが変われば騒音地域も広くなるのではないか、そういう意味での見直しが必要ではないかという問題。また騒音の実態調査をぜひ綿密にやってほしいという要望もあります。また周辺には学校がたくさんございまして、そういう公共施設の防音対策について最大限の対応が必要だという要請があるわけです。また低騒音機の導入も要求として出されておりますが、恐らくこれらにつきましては、運輸省の方はよく把握しておられると思いますが、これに対する対策を簡明にお聞かせいただきたいのです。
  231. 西村康雄

    ○西村政府委員 今のお話のように、高知空港がジェット化されたわけですが、その離陸コースにつきましては、確かに地元に対しまして協議会の報告書に基づきまして説明したコースと現実に採用したコースが若干違うということでございます。  ただ、現在のコースから申しますと、当初予定していました第一種区域、騒音のため民家防音工事等を必要とするような区域につきましては、この飛行コースの変更によって区域の変更を必要としないという範囲内で定めたものでございまして、その点は十分配慮しております。実際にまた、その後騒音測定をいたしましたところ、この区域の変更の必要がないということが確認されているわけでございます。それで現在防音工事はおおむねこの第一種区域につきましては終わっております。  そこで、今後あと地元の対策の問題といたしますと、低騒音機の一層の導入ということで、さらに音源を減らしていくということをこれから研究していきたいというふうに考えております。
  232. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間が参りましたのでこれそおきたいと思いますが、大臣、一言ございませんか。四国を切り離すなどということはけしからぬことでございますが、いかがでしょうか。
  233. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これは毎回申し上げておりますが、一月十日に出されました国鉄の再建対策につきましては、分割につきましては、私ども考えておりますこととかなり遠いものであったということでございます。その中における四国一つを取り上げて、今の段階で私どもがどうこう申し上げるべき筋合いでない。これは国鉄再建監理委員会で最終的には分割・民営の線でお出しになるのではなかろうかというふうに予想しておりますが、いずれにいたしましても、その答申が出た上で、私どもはこれに対して検討してまいりたいというふうに思っております。
  234. 山原健二郎

    ○山原分科員 終わります。
  235. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、中西績介君。
  236. 中西績介

    中西(績)分科員 私は、国鉄における当局の不当労働行為及び人権侵害と思われるような実態について、二、三の例を挙げながら確認をしていただきたいと思っています。  と申しますのは、国鉄が今置かれている現状を考えてみた場合に、職場の中でこうした事態が次次と発生をしてくるということは、私たち見ておりますと全く心外でありまして、今進めなくてはならない再建にとっても大変大きな問題を残す結果になるのではないか、いや、むしろマイナスの要件がそこにはあるのではないか、このことを一番私は恐れています。したがって、私は、こうした細かい点でありますけれども、一つずつ挙げながらそれを確認した上で、こうした措置をいち早くなくしていく、そうした手だてにしていきたいと思っておるからであります。  そこで、まず第一に、ある職場で出てきた事件でありますけれども、ビラ張りを実行したということを駅長が主張いたしまして、それを捜すために、駅長の権限でもって指紋採取を強要したという事態が起こりました。私は、ビラを張ったということのその中身は別にいたしまして、そうした権限などを駅長に国鉄は付与しておるのかどうか、この点どうでしょう。     〔中島(衛)主査代理退席、松浦主査代理着席〕
  237. 太田知行

    ○太田説明員 具体的に今おっしゃっておりますが、その状況がどうも詳しくわからないのでございますけれども、ビラ張りに関連した御指摘と存じますが、ビラ張りにつきましては掲示板の設置につきまして、これは便宜供与の一環でございますので、いろいろな条件を付して許可をしている、こういうやり方がございまして、その許可のいわば条件と実際の運用との間がどうなるかということが一つの問題点としてあろうかと存じます。  今御指摘のケースのそのビラ張りの態様、掲示板の態様、よく存じませんが、それに関連しましたポイントとして御指摘になりました指紋採取問題については全く聞いておりませんし、どういう状況のもとで行われたのか詳しくわかりませんので、ただいまこの席でコメントすることは差し控えたいと存ずるのでございます。
  238. 中西績介

    中西(績)分科員 指紋採取の権限を駅長に与えているかということを聞いているわけです。
  239. 太田知行

    ○太田説明員 現場の管理上に必要と思われる事柄につきましては、かなり広範な権限を与えているのでございます。具体的に駅長の権限の中で指紋採取をしてよろしいとかいけないとか、そういう決め方はしていないのでございます。
  240. 中西績介

    中西(績)分科員 このような権限まで駅長というのは持っているのですか。現場の駅長が、ビラを張ってないと言うのに、それをビラを張ったと言ってわざわざ出てきて指紋採取をしたという事情があるわけです。こうしたことを日本国有鉄道法か何かによって規定してあるのかどうか。少なくともこの指紋採取というものは刑事訴訟法によっても限定されておるわけでしょう。それをこうした駅長が、権限もない者が指紋採取までしたということは、今言うようにビラを張る云々、これとは別ですよ。どうですか、与えているかどうか。
  241. 太田知行

    ○太田説明員 今申しましたように現場長、駅長にはかなり広範な管理上の権限を、いわば総裁の権限を分権しているのでございますが、その権限規程あるいは管理規程の中に表現されているのでございます。その中に、もちろん指紋採取してよろしいという条項はございません。包括的な権限を与える、こういう仕組みでございます。
  242. 中西績介

    中西(績)分科員 そうした権限があるような言い方を依然として続けておるようでありますけれども、広範な権限を与えておると言うけれども、それじゃその条項、条文を出してください。
  243. 太田知行

    ○太田説明員 指紋採取という権限を与えているわけではございません、こういうふうに申し上げているのでございます。
  244. 中西績介

    中西(績)分科員 それじゃ、この指紋採取をしたということは、これまでエスカレートして国鉄職員を平気で、違法な行為までやって措置をしていく、こうした指示などはおたくの方から出しているのですか。
  245. 太田知行

    ○太田説明員 先ほどちょっと申しましたように、その掲示板の問題ないしはそれの運用の問題等につきましては、それぞれの管理者によってルールを決めておりまして、そのルールの決め方についてはそれぞれの長に権限を与えております。先ほどから申し上げておりますように、権限規程の中に指紋採取をしてよろしい、あるいは指紋採取が権限の中に包含されるというような与え方はしておりません。
  246. 中西績介

    中西(績)分科員 ということになりますと、刑事訴訟法的にこの駅長はやり過ぎをやったということを認めますね。
  247. 太田知行

    ○太田説明員 先ほど申し上げましたように、その状況が全くわかりませんので、具体的な状況に即してこれは判断する必要がございますので、事の是非、当否その他についてのコメントは差し控えさせていただきたい上思います。
  248. 中西績介

    中西(績)分科員 これはちょっとおかしいですよ。指紋採取はしてはならぬわけでしょう。それを実際に強要し、二名に対してやらした。こうした事態が出てきたということは、これはもう本当に驚いた。こんなことまで平気でやる管理職、現場における管理職をつくり上げておるという一つの事象だというふうに私は思っております、どんないい答弁をしようと。だからこそこの問題は大変な抗議になりまして、最終的には本人は陳謝までしておる事象ですよ。しかし、これは私は陳謝をしたから済むという問題ではないと思うのです、このことは。  それから、もう一つ聞きますが、日本国有鉄道法によって三十三条を発動いたしまして、勤務時間が八時間を超えたために十五分の休憩時間を追加して、この休憩十五分を超過勤務時間から差し引いて、超勤時間が三十分に満たなかったとして超勤手当を支払いをしなかったという、こうした事態がまた出ていますね。私は、そうした事例をここにたくさん持っていますけれども、常識的に考えて本当にしてはならないということだけを今言っておるのです。これはどうですか。こういうように超勤三十分に満たないという判断ができますか。
  249. 太田知行

    ○太田説明員 今御指摘の事案も内容が具体的にはわからないのでございますけれども、御指摘の三十三条は、例の災害とか事故などの場合の条項かと存じます。何らかのそういう事態が発生して超過勤務を命じた、こういう事例のもとでの勤務の処理の問題かと存じます。具体的な対応、その他を掌握いたしかねますので、その取り扱いについての当否のコメントをやはり差し控えさせていただきたいと存じます。
  250. 中西績介

    中西(績)分科員 ちょっとどうもこの前から国鉄の皆さんの答弁を聞いておると、おかしいんじゃないですか。今私は具体的に言ったのですよ。超勤を命じられて、十五分の休憩時間を超勤ですからその間命じて、その後今度は勤務したその結果が、休憩した十五分を差し引く、そのことによって時間数に達しなかったからこの超勤は支払いをしない、こうした判断をしたというのですよ。これが今言うように事案がわからぬからどうだこうだという中身じゃないでしょう。これは実際にあった問題を、職場のあれを一々挙げるとなんですから挙げずにやっているのです。実際にあったことですから。
  251. 太田知行

    ○太田説明員 一般的には賃金規程でありますとか勤務・休暇規程でルールをもちろんつくって運用、適用しておるのでございますが、三十三案発動のケースというのは通常の状況ではございませんので、かなり特異なケースになろうかと存じます。業務の実態、それに対する勤務の当てはめ方、適用でございますが、その辺を具体的に伺いませんとどうも的確な解釈なりコメントというのは難しかろうと存じますので、その点はお許しいただきたいと思います。
  252. 中西績介

    中西(績)分科員 じゃ、言います。これは特殊な例ですから、私も今まで大抵、いろいろなところを歩いてきましたけれども、こんなことは聞いたことがございません。この人は日勤だそうですからね。だから本当に聞けば聞くほど驚いているのですね。ですから、この点も、これも労働組合なりの抗議で後日追給しているのです。だから、私はあえておたくのそうした考え方がどうなのかということを聞いたわけです。現場で認めざるを得なくなって、それは追給をしておるのです。しかし、これも前例と同じように、あなたたちのかたくなな態度と同じように現場の長がここまでなっているということですね。もう全然、法律だとかなんとかを理解しようという、そういう態度がどだいなくなってしまっているという事例だと思うのです。余りにも単純明快、あってはならないことを平気でやるという事象です。  それから、もう一つお聞かせいただきたいと思うのですけれども、それは高齢者が、本年度退職予定者です。ところが、この方が全く知らない間に、日にちを言いますと、二月二十日から二月二十八日まで年休計画が組まれておったそうです。本人は全然知らぬのですよ。そしてそれを知ったために、いや私は出勤したいと思います、こう言ったところが、出勤しても本来の業務にはつけぬと言ってこれを強要してきた。だからこれも問題になって、そういうことはあってはならぬということになったのですけれども、本来年休権というのは労基法三十九条におきまして認められておる事態を、このようにして勝手に、しかも一週間ですよ、組んでそれを強要する。こんなことが許されますか、国鉄では。どうでしょう。
  253. 太田知行

    ○太田説明員 背景がどうも詳しくはわからないのでございますけれども、今先生御指摘の高齢者とおっしゃいましたところから拝察いたしますと、いわば年度末の時期でございますので、年度末のいわゆる特別退職、勧奨退職に関連のある事象かと存ずるのでございますが、一般的な慣行といたしましては、年度末になりまして退職をする意思表示をした職員に対しましては、何がしかの年休を持っているのが普通でございますので、退職するまでの間に、以前において年休を消化できるようにこういう措置をしているのでございます。  今御指摘のケースについて、本人の意思の点がよくわかりませんので、これ以上のコメントは差し控えさしていただきたいと思いますが、本人の意思表示があるならば、それはかなりな勤務操配をした上での措置かと存じますし、あるいはまだ意思がはっきりしていないで予定というようなことであれば、これは少し早まった措置か、いずれにいたしましても具体的なケースに応じてこれは判断、コメントを申し上げるべきことかと存じます。
  254. 中西績介

    中西(績)分科員 私は、その回答がまた気に食わぬですね。本年度の例えば退職予定者であろうとなかろうと、本人に相談もなしにそれがなされて、抗議したところが、勤めるところないよ、こんなことをやられたのでは、この人だけじゃありません、そこにいる他の職員に対する影響などを考えたことがございますか。私はこんなことは絶対あってはならぬと思うのです。予定者であろうと何であろうと、高齢者であろうと、必ず相談をしてすべきだと私は思うのですが、それは間違いですか。
  255. 太田知行

    ○太田説明員 今も申し上げましたように、これはやはり具体的な対応に即して判断すべきことだと思いますけれども、退職勧奨はかなり長期にわたって行われますし、いわゆる勧奨期間というのは協約で設けておりますのも長期でございますので、ある程度時期が来ないと明確にならない。一方、勤務の方は毎日これは行われておりますし、操配も毎日行われているということでございますので、管理者としてはある程度心づもりというのはございます。ですから、この人は大体やめそうかな――はっきり意思表示をしていれば別ですが、大体去年、おととしあたりの感じからいって、やめてくれそうかなというような感じもつくわけでございます。その場合に大体、この人の残りの年休はこのくらいだからこの辺に当てはめておいたらどうか、全体の操配がうまくいくな、そういう判断はあるわけでございまして、したがいまして、どういう対応がに即してこれはやはり考えていくべきことかと存ずる次第でございます。
  256. 中西績介

    中西(績)分科員 もう私は論議するのが嫌になるのですね。こんなことが率直に言えなくて、そして働いておる職員の皆さんにこうした事態が、私先ほども申し上げましたようにこれはほんの一、二の例であって、ここにたくさん持っているけれども、特に通常的にだれもが考えられないようなことがあるので、ほかに法律でどうだこうだと言えばまだたくさんあります。しかし、今言うようにそれに対して本人は抗議したのですから、本人は納得どころか相談も受けていないのに、抗議したところが出勤しても本来の業務につけないということまでこの人が言っているわけです。それは今あなたがおっしゃるようなことと全然違う。  そのほか、答弁は要りませんが、一つの例を申し上げますと、例えば机の上に組合の関係の書類だとか書籍が置いてあると、それを全部撤去していくのです。私もこれを聞いて、書籍も置くことができぬ状況だというその職場の雰囲気は大変だと思います。  それから、今度は人事問題で、例えばAという職場にいたしますと、学園入学の試験を受けて、二十五名が一つの検査なら検査科というところの試験を受けた。別の組合の人は全員上がるけれども、二十五名一人も上がらないわけです。それからBという職場の場合、十一名受けまして一人も通っていないのです。だから、こうした先ほどの三点の問題点、そして今挙げたような問題を考えていくと、いかにこの職場が暗くなっておるかということを見ずとも、私、行ってみたけれども、これは大変なものだということを感じました。  それともう一つ最後に、特別退職の場合、今出たのは全部門鉄局なんですけれども、門鉄局で出てきた問題として指導文書なるものが出されているわけです、五十九年度の特別退職について。ところが、この文書を見ますと、ちょうどこの前松浦さんが予算委員会の質問のときに労基法問題でいろいろあったようですけれども、それと全く同じような文書が出されているのですよ。五十五歳以上が一人でも残るようなことが絶対にあってはならぬという指導文書です。ところが、この中身というのはいろいろありますけれども、五十九年の九月十六日に五十五歳以上云々というようないろいろな協約的なものを全部取り交わしておるわけです。そしてさらにまた、総裁おりますけれども、本年二月八日には中央交渉などを行いまして、そして本当にこうした事態にならないように労使間の正常化を遂げていこうというあえてそうした状況がある中で、このようにしてまた文書が出されているのです、秘密文書か何か知りませんけれども。  ですから、これを見ますと、管理者の体質がそこまで全部なってしまっておる。ですから、今度は現場ではどうなっているかというと、助役さんだとかその中間におって、今までと全然違いますから大変な悩みを持っておられるという実態等が、私たちが知っている人たちから訴えられています。ですから、このことが今の国鉄の労使なり、特に使用者側の姿勢が端的に出ておると私は思うのです。ですから、そのことが結局、労使間の正常どころか、逆に今何をなすべきかということを再建策を考える場合に考えなければならぬ。私の隣に多賀谷さんおりますけれども、長いことそういう経験をしてきておるだけに、もう聞いて物を言う気がしないというのですね。こういうような状況というのはいち早くなくしていかなくてはならぬと私は思うのですけれども、総裁、その点どうですか。
  257. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 今先生からもお話がございましたが、私どもといたしましては、今の国鉄の置かれている立場を考えました場合、労使協調してやっていくことが一番望ましいわけでございます。その中において、御承知のとおり国鉄は幾つかの組合がございまして、なかなかかじのとりにくい点もございますが、先日、労働大臣あるいは特に運輸大臣から私、各労組の委員長もお呼び出しがございまして、大事なときだから労使協調を十分やっていくようにというお話もございました。それを受けまして、その翌日に国労初め各労働組合の幹部とお話し合いをしまして、今後いろいろ難しい問題点はあるけれども、お互いに胸襟を開いて話し合いをしながら、何とか今の国鉄の難局を乗り切るようにお互いに協力しようという合意を各組合としておりまして、その後も、いろいろ事情はございますが、団体交渉等におきましては努力を重ねており、幾つかの前進があるのではないかと期待しておるところでございます。  ただいま先生から伺いました事象につきましては、具体的なお話でございますけれども、私どもといたしましてはその雰囲気はよくわかりませんので、よく調べました上でいろいろ御連絡申し上げるというふうにしたいと思います。
  258. 中西績介

    中西(績)分科員 運輸大臣、大変失礼なことを申し上げて恐縮なんですけれども、大臣は専門家ではないといたしましても、今私が申し上げたようなことは、戦後の教育を受けた者はだれしもが日常的に常識的にみんな知っていることなんです。そのことが今のように絶えず厚い皮をかむった中でしか物を言えないという格好で、明確な答弁になってこないのですけれども、ここに一つの体質があるし、それを強要していった現場の皆さんに、今度は変えろということが強要しただけになかなか言えぬ。ちょうど二階に押し上げておいてはしごを外すみたいになってしまって、言えないからああいう答弁になってきたのではないかと私は思います。私もかつてそういう経験をしてきましたから、そうしたことを考えますと、常識的に考えでもこうした事態はいち早くなくさなければならぬと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  259. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 ただいま御指摘のような点があるとすれば、これはまことに残念なことでありますが、国鉄の再建について最も必要なことは、労使がお互いに協力し合うということであります。協力の前提になるものは信頼関係だと私は思います。そういう意味におきまして、先ほど総裁からお話がございましたように、双方の代表においでいただきまして私からお願いいたしておきましたが、今後とも国鉄再建という大変大事な時期に差しかかるわけでございますから、信頼関係に基づく協力が行われますように私から特に指導し、お願いもしてまいりたいと思います。
  260. 中西績介

    中西(績)分科員 私、大臣にお願いですけれども、ぜひこうした事態でどうだこうだということでなくて、本当になごやかな職場になる条件、今言われました信頼です。ところが、こういうことをやりますと、これは到底できっこないわけです。回復どころじゃありません。そのことはまた将来にとって大変な不幸でありますから、特にそういう立場に立ち得るかどうか知りませんけれども、人間的に常識的に考えさせるという態度だけは国鉄にとらしていただきたいと思います。  最後になりますけれども、この前松浦さんが質問なさっていろいろ確認をしていきましたね。その際に最終的には、いろいろございましたけれども一々は申し上げませんけれども、自制したり自粛をする、こういうことを言ったと思いますし、労基法違反の点については是正の措置をとるということも、総裁の口から答弁があったと思います。  そこで、今言われるような労基法違反の点について是正の措置をとるということになりますが、例えば先ほど総裁言われましたように、団交の中なんかでそうした回復措置をとるための手だてを遂げていかなくてはなりませんね。そうしますと、先ほど言ったように、下部末端の管理職の皆さんは二階にみんな上がっちゃっている、そういう中ですから、何らかの措置を、下部に向けて徹底させる措置をとらなくてはならないと思うのです。そのためにはこの前こうして、先ほど私が申し上げたような、してはならぬような文書だって出すわけですから、そのような事務連絡をするための文書なり何なりを出さぬと、これは本当に徹底したとは私は思いません。こういう措置をとったかどうか、この点どうでしょう。
  261. 太田知行

    ○太田説明員 先般来御論議いただき、かつ御指摘をいただいておりますのは、いわゆる派遣と休職にかかわる問題でございます。先ほど御指摘があり、また今お話のございました事柄は、いわゆる特退にかかわる事柄でございまして、若干分野が違うのでございますが、特退にかかわる事柄につきましては、ずっと長い間、労使の間で協議が成立し、したがって協約を整えて実施をしてまいっております。現状につきましてはその改定問題をめぐりまして団体交渉しておりますが、実は昨日、国鉄労働組合からは仲裁申請ということでまた新たな局面に入ります。これは別といたしまして、現状においては協定が生きておりますので、これの運用に当たっていく、こういうことでございます。その中で強制、強要にわたらないそれぞれのやり方も定めてあるのでございまして、それに基づいて実施、推進をしている、そういうところでございます。前半の就業規則の問題につきまして、いわゆる派遣、出向にかかわりを持った問題として、これは今早急に是正すべく準備をしているところでございます。
  262. 中西績介

    中西(績)分科員 私が言っているのは、一つの例として先ほど私が言った特退の問題と同じように、そうした文書なんか出されているから、今例に挙げたように、今度は労基法違反で前回松浦さんの質問等でいろいろ混乱しました。そのときに、いろいろありましたということを言ってあるわけですね。最終的にその間の労働基準法違反の点については是正措置をとりますということを答弁してあるのだから、しかもその後の団交だとかいろいろあったでしょう、そういうところでそうした是正措置なり何なり、自粛をするということをしておると思いますから、二階に上がっている連中をおろさなくてはならぬわけですから、そうした事務的な連絡なり何なりを具体的にとったのですか、それを言っているのですよ。
  263. 太田知行

    ○太田説明員 ちょっと、お言葉でございますけれども、速やかに是正の措置をとると申し上げておりますのは労基法違反の手続面につきましてでございまして、これはくどくは申し上げませんが、質量ともに大変膨大なものでございまして事務手続が遅滞しておりますが、大分峠を越しまして、速やかにこれをやるべく今準備をしているところでございます。  労使関係全般、信頼関係に基づく協調関係の確立、これは再建にとって極めて基本的な事柄でございまして、それは常に意を用いているところでございまして、いろいろな機会にいろいろな形でこれを指導し、徹底しておりますし、これは今後とも続けてまいりたい、こういうことでございます。
  264. 中西績介

    中西(績)分科員 私は、少なくとも大臣も指導し、そして国鉄に対していろいろなこういう答弁まで含めまして出てくるという経過があった。それに基づいて出てきた中身、自粛をするとか自制をするとかいろいろある、その点が団交の中でそれぞれ確認をされていったと思います。でなければ、こうしたことを皆さんが一般質問の中でやったことが何にもなっていないということになる、労使間において全然これが流れていないということになると。そうしたら自粛なり自制をするということ、そのことは上がっている連中をおろさなくてはならぬわけです、やるわけですから。そうした事務連絡や何かしましたかと、こう聞いているわけです。大臣、今私が聞いていることがおわかりいただけませんか。これは大変重要なことですから。(太田説明員「事実関係をちょっと」と呼ぶ)いや、私は答弁を求めていませんから。大臣
  265. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これは事実関係の判断の問題だと思いますので、国鉄から答弁なさった方がよかろうかと思います。
  266. 中西績介

    中西(績)分科員 経過があって、しかもこうしたことがなされておって――松浦さんは何回も経験なさっているわけです。段階を経ていろんなものが出てきたと思うのですよ。そのことが具体的に下部の方に事務連絡なり何にもされずに依然としてやられているということになれば、これは少なくとも今まで予算委員会一般質問の中で確認されてきたことが全部パアになっているということになるわけですから、この点、私は絶対に引くわけにいかぬですよ。これは今主査席に座っておる松浦さんだって、今までのあれは全部パアだということにはならぬでしょう。大臣、どうですか、指導した建前から。
  267. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今申し上げましたように、これが下の方に流れているかどうかという事実問題だろうと私は思うのでございます。したがって、そういう立場からするならば、国鉄の方がお答えすべきであるということを申し上げておるのです。
  268. 太田知行

    ○太田説明員 労使の間でいろいろやりとりをしているのでございまして、特に一日にストを構えておるという背景のもとで、二十八日は完全な徹夜体制をしきまして真剣な討論をしたところでございます。  一々のやりとりは省略させていただきまして、本当は労使の間のことをこうやって申し上げるのはいかがかと存じますが、事実関係でございますのであえて御報告いたしますと、私どもの方から最終回答として一日の未明に組合側に申しました話は、諸懸案事項については円満に解決を図るよう誠意を持って交渉する。これは労使間にまたがる問題がたくさんありまして、国労闘申五十号というもので問題点の列挙がされております。それを受けた話でございまして、諸懸案事項について円満に解決を図るよう誠意を持って交渉する、なお、その間、いわゆる別紙二、三、というのは派遣と休職の別名でございますけれども、別紙二、三については強制、強要にわたらないこととして自粛し、対処する、こういう回答をいたしまして当局のスタンスを明示し、これを協約化するとか覚書にするとかいう扱いは決まっておりませんけれども、そういうスタンスを明示して、事実として、これは延期と言われておりますが、ストの延期、諸懸案事項は今引き続き交渉している、こういう状態であるわけでございます。
  269. 中西績介

    中西(績)分科員 時間を超えて大変恐縮ですけれども、この前の一般質問のさなかからずっと出てまいりましたその経過とあれを経て、そうして私たちが報告を聞いている中では、自制をするとかいろんなこと、労基法違反、これは認めているでしょう。手続上の問題について、基準法違反の行為があったことはまことに遺憾であるということまで言っておるわけですから、その上に立ってどうしたかということです。先ほどから申し上げるように、違反をしてやらしておったわけですから、それを今度やめさせなければならぬという、この前の論議と同じですよ。少なくとも二階に上がって踊っている人たちを引きおろす手だてというのが絶対必要なんです。その措置をしなければ、この前から何回となくやったあの国会を完全に無視しているということになるから、この点、私は許されぬと言うのです。
  270. 太田知行

    ○太田説明員 それはもう一度整理して申し上げますと、今私が読み上げましたような形で問題点の集約をしているわけでございまして、労基法の手続違反の問題につきましては、これは早急に是正をする。ただ、これは本社が主体となって手続をする性質のものでございますので、これは今本社がプロジェクトチームをつくって準備をしている、こういうことでございます。これは一連の、予算委員会その他から発生してきている問題点の一つの結末でございます。  先生が前段におっしゃいましたのは、いわゆる特退協定の……(中西(績)分科員「いや、特退協定を私は言っているのじゃないというんだ」と呼ぶ)これは今、労組と協約を締結すべき問題の運用の問題でございまして、これは労使関係一般として理解と協力に基づいて進めてまいりましたが、引き続き協調を旨として進めてまいりたい。それはしばしば指導しているところでございますし、早速、三月二日の土曜日にも総務部長を集めて事の経緯も話し、今後の労使関係の運用、管理体制の進め方についても注意をしたところでございます。これは土曜日でございましたが、全員集めまして、急遽説明をしているところでございます。
  271. 松浦利尚

    松浦主査代理 この際、主査から中西君に申し上げます。  予定した時間が既に過ぎております。次の質問者も来ておりますので、この問題は別の場所、別の機会にお願いをして、中西君の質疑はこれで終わらせていただきたいと思います。
  272. 中西績介

    中西(績)分科員 終わります。
  273. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。  次に、小渕正義君。
  274. 小渕正義

    小渕(正)分科員 私は、軽貨物のタクシー類似行為について、これは昨日参議院では運輸委員会で、議員立法という形の中でこの問題に対する取り扱いについて新たな立法措置についての合意が行われたようでありますが、そういう意味では、そういう動きにありますのであえてという気もいたしたのでありますが、今日までのこの問題に対する当局としての行政のあり方といいますか、そういうことについてかなりこれは問題なしとしないという感じが強くいたしますので、これからの行政のあり方等を含めて、この問題に対するそれぞれ関係当局の意向をただしながら、これからの新しい行政の中で生かしていただくように、そういう意味でひとつこの問題をとらえて提起していきたいと思います。  まず最初に、現在非常に問題になっておりますが、届け出制による軽トラックの営業をやっているのは全国的にどれくらいの数量になっておるのか。それから、そういう中で実際にこういうタクシー類似行為をやっているようなものがどの程度なのか、その点についての実態をひとつお示しいただきたいと思います。
  275. 服部経治

    ○服部政府委員 軽貨物運送事業に使用されている車両の数ということでございますけれども、大変申しわけございませんが、私どもが今手元に持っておりますのは、その中でタクシー営業をやっている疑いが極めて強い車両数という数字でございまして、これならばこの場で御説明できるのでございますが、それで御容赦をいただきたいと思います。  現在、私どもが把握いたしております限りでは、全国で約千六百八十余両ございます。
  276. 小渕正義

    小渕(正)分科員 これは要するに、今世上問題になっておりますタクシー類似行為をやっていると見られる車両数がこれだけだという意味ですね。
  277. 服部経治

    ○服部政府委員 さようでございます。
  278. 小渕正義

    小渕(正)分科員 そうしますと、これは届け出制になっておりますので、実際問題として軽トラックによる運送事業として営業行為をやっているのは、その上なおどれくらいあるのかということは把握できないわけですか。
  279. 服部経治

    ○服部政府委員 大変申しわけございません。相当数に上るということは承知しておりますが、現在手元にその数字を持っておりません。
  280. 小渕正義

    小渕(正)分科員 これは届け出制ということなので、全体的なそういう実際の実数を把握しかねる、そういう状況なんですか、それとも今ここで資料がない、こういう意味ですか。
  281. 服部経治

    ○服部政府委員 申しわけございません。後者の意味でございまして、私ども旅客輸送等を所掌しております局でございまして、この軽貨物トラック自体はちょっと所掌しておらぬものでございますから、タクシー行為を行うという範囲内でかかわり合いを持っておりますので、そういう状況でございます。
  282. 小渕正義

    小渕(正)分科員 このタクシー類似行為は、今さら私が申し上げるまでもなく、沖縄を中心にして行われてお力、それが奄美大島へと移り、大体この二つの地点を中心にしてかなり長い期間やられておったわけでありますが、それが逐次九州のそれぞれの方に移りまして、現在全国的な方向にだんだん広がっていきつつあるという状況であることは間違いないと思います。そういう意味で、これが明らかに道路運送法第四条違反だというこで、当局として警告ないし行政指導というものを最初に行ったのはいつなのか、それから今日までどれぐらいそういう点でやられたのか、そこらあたりの実態をお聞かせいただきたいと思います。
  283. 服部経治

    ○服部政府委員 先生も既に御承知のように、この軽貨物自動車を使用いたしまして有償での旅客運送行為を行うという違法行為が初めて見られましたのは、四十七年沖縄の本土復帰の直後の時点でございました。それがすぐ奄美の方に広がってまいりまして、本土の方で初めてこういう違法行為が見られるようになりましたのは長崎県の佐世保市でございますが、これが昭和五十八年十一月ごろでございます。  私どもが、こういった違法な行為に目を向けまして、最初に取り締まりに当たったのは、既に沖縄に最初にこれが出てまいりました四十七年からでございます。
  284. 小渕正義

    小渕(正)分科員 要するに、こういう行為が沖縄をスタートして出てきておるわけであります。これがそれぞれ各県に、現在九州では長崎、大分、宮崎、逐次四国その他にも広がりつつあるわけでありますが、それぞれの県においてそういう意味においての警告並びに行政指導はずっと逐次行われておった、こういうふうに理解していいですか。
  285. 服部経治

    ○服部政府委員 まず、私どもといたしましては、特にこれは本土を中心に申し上げてみたいと思いますけれども、そういう軽貨物自動車を使用して旅客運送行為を行うおそれがあるというふうに認められる者に対しましては、そういった者が事業の届け出をしてまいります機会をとらえまして厳重に注意をするという強い指導方針で一貫して臨んでまいってきております。それが一つでございます。  それから、そういった車が事業の届け出をいたしまして、それから事業活動に入っていくわけでございますが、旅客の有償運送を行うというそういった事実を把握した場合には、まず警告を発するというような格好で対応をしてまいっております。
  286. 小渕正義

    小渕(正)分科員 私が長崎の事例等をお聞きしました関係からいくと、必ずしも強力に行政指導が行われていなかったという感じがいたしますが、これはまた後ほど触れることにいたしまして、今日、五十八年の後半から五十九年にかけて非常に急速な勢いでこういうふうに広がりつつあるということは何に起因するかと考えますならば、その行政指導といいますか、そういう意味で強力な指導が徹底的に行われなかったがゆえに、そういう実績をつくればいけるのだという形の中でこんなふうになってきたのじゃないかという感じもするわけでありますが、そういう意味で強力な行政指導がなぜにできなかったのか、この点についての見解をお伺いいたします。
  287. 服部経治

    ○服部政府委員 少し長くなるかもわかりませんが、その点、御説明をさせていただきたいと思います。  この軽貨物運送事業者によります有償での旅客運送行為というものは、先ほど申しましたように、昭和四十七、八年にかけまして沖縄で発生したものでございますが、私どもといたしましては、その当初から警察当局の大変な御協力をいただきながらその強い取り締まりに当たってまいりまして、四十八年に約六千両ございましたこういった車両が、その後昭和五十年には約半減いたしまして二千五百両余になりました。それからさらにその二年後の昭和五十二年には、千両を割り込むというところまで激減してきたわけでございます。それはなぜかと申しますと、今申しましたように、私ども警察のお力をかりながら鋭意この違法行為の取り締まりに当たったからでございます。  ところが、それをやっております期間のことでございますが、昭和四十九年の秋に、福岡高裁那覇支部のこの件に関します判決が出まして、こういった行為につきまして道路運送法百一条の規定の適用はないという見解の表明がございました。これはどういうことかと申しますと、確かに貨物事業者が営業に使う車でありますから青ナンバーでございます。青ナンバーでございますけれども、それは貨物を運ぶという意味での青ナンバーでございまして、それが旅客を運ぶというようなことであれば、その面ではもう白ナンバーと全く同じだということで、自家用自動車によります有償での旅客運送行為を禁止しました百一条という規定を適用して取り締まりに当たっておったわけでございます。  それが今申しましたように、福岡高裁の判決によりましてできなくなった。ということになりますとどういうことかと申しますと、私どもはこの問題に適切に対応する行政手段を奪われてしまった。あと残された道は何かといいますと、そういった者が有償で旅客を運送するという行為を反復し、継続してやっているという事実を確実につかみまして、その事実をもとに告発をいたしまして裁判所にかけるという手段しかなくなってしまったということによりまして、それ以降この取り締まりが十分行い得なくなったという事情があるわけでございます。
  288. 小渕正義

    小渕(正)分科員 今のお話のように、取り締まりが徹底して行えなくなったという法解釈の問題がありますが、そういう点で法に不備があるとするならば、当然いち早くそこらあたりの補完というか、改正といいますか、そういう形で取り組みながら、早くこういった問題がきちっとできるようにするのが行政当局の一つの責任ではないかと思うのですが、今まで全然、当局としては取り締まりがなかなかできないということだけにとどまってしまって、何とか法改正してでもやらなければいかぬという形になぜそこまでいかなかったのか、何が原因でそういうことなのか、そこらあたりはいかがですか。
  289. 服部経治

    ○服部政府委員 先生も御承知のとおり、最近におきます我が国での大きな流れと申しますのは、自由化の方向であり、民間活力の活用という方向であり、これを行政に当てはめますと、その裏腹の関係として規制の緩和、行政の簡素化ということでございまして、そういう大きな流れ、風潮がございます中で、いわば規制の強化につながります法改正を行うことがいかがかというあたりの配慮がまず先行し過ぎたということであったかと思います。  これはまた先生御承知のことでございますが、こういうことではいけないということで、昭和五十七年に、今回と同様の内容を盛りました規制のための法律改正を議員立法という形で国会に提出したわけでございますが、いろいろな事情からこれが廃案になりまして今日に及んだという実情でございます。
  290. 小渕正義

    小渕(正)分科員 お話をお聞きしますと、確かに規制を自由化していくとか、行革の中でなるべく許認可事項を少なくしていくというような流れの中でどうかということのようでありますが、そういうふうに聞きますと、なかなか聞こえがいいわけですけれども、しかし、現実に法の盲点というものを突いて不法な活動、営業行動をやっていることについて、ただそれだからということだけで放置、放置という言葉はちょっと問題があるかもしれませんが、いわば放置したような形の中でただ議会の動きだけに成り行きを任せておるということでは、これは明らかに私は余りにも行政の怠慢ではないか、こういう気がするわけです。  特にことしになりましても、これはもうビラでみんなありますが、公然として軽荷タクシーとかいろいろこういう形で明らかにタクシー行為をやるんだということを大っぴらにした、こういうビラ、広告による募集等が行われておるわけですね、こういうことに参加しないかという形で。しかも何といいますか、いろいろの説がありますが、最近こういう動きの中に、一説では暴力団関係が絡んできたとか、右翼関係の方たちが絡んできて、これを一つの大きなこれからの資金源その他の中に活用するんじゃないかという説さえあるような、公然どこういうものが堂々と行われてきておるわけです。だから、そういう点からいきますならば、私は、やはり行政がいち早くこれに対する機敏な対応の姿勢を示すような動きがないところに、こういうものをますます助長していった大きな要因があるのではないか、こういうふうにも言わざるを得ないと思います。  そういう点で、私も長崎の関係者の皆さん方から、これは単なるタクシー業界だけじゃなしに、そこに働いているタクシー関係の労働者の人たちにとっても、これは死活問題でありますし、現在、そういうタクシーの運転手の人たちが、そういう軽トラック行為運送事業という形式の中で、実質的にタクシー類似行為がやれるならばということで運転手をみんなやめて、車両を借りてこれを広告に行きますと、どこかが車両を保証金つきで貸して、あとはやらせるようになっていますけれども、そういう形なのか、実質的には個人タクシー的なことが野放しに法の網目の中でどんどん広がりつつあるというのが現状であるわけですね。  だからそういう点で、実は陸運局も最初はかなり努力されたようでありますが、なかなか後を絶たないということで、強力なことができないということで、これはタクシー業界の人たちが自分たちだけの手でみずから実際に実態というものをはっきり確証を握って確かめて、そしてこういう事例であるということを含めて告発してもらうように陸運局等にやっても、うんともすんともそういうことに対しての動きがないということも言われているわけですね。そういうこと等がいろいろあるからこそ、今日こういう形の中で大きく広がってしまったのではないかというふうに言わざるを得ないわけであります。  したがって、そういう意味で告発をしたということは大体何件ぐらいあるのか、その点、今までにこれは明らかに違反だということで警察の方に告発まで踏み切ってやったような事例はどの程度あるのか、その点だけお尋ねいたします。
  291. 服部経治

    ○服部政府委員 こういった行為が全国的に蔓延してきていることの最大の要因が、行政の対応の立ちおくれであるという御指摘は甘んじてお受けせざるを得ない、遺憾ながらそういう状況だと思っております。  この問題につきましては、昨年の夏以来警察御当局といろいろと協議を重ねてまいりまして、昨年の暮れ近くにようやく取り締まりの方針につきまして両者間で合意に達しまして、それ以来告発等の行為を含めまして厳しい対応をするということで臨むことにいたしてきております。先生も御承知のように、先般、高知県、広島県、大分県におきまして、私どもの陸運事務所の告発を前提にしまして警察が強制捜索に入ったということもございます。それで、ただいま告発の件数はどれぐらいかということでございますが、これは今後の警察当局の捜査との関連もございますので、ひとつ答弁の方は御客赦いただきたいというふうに思います。
  292. 小渕正義

    小渕(正)分科員 長崎では佐世保の方にかなりこれが出てきまして、それが長崎県下へだんだん広がりつつあるわけでありますが、そういう点で、まず告発される出発点は長崎じゃなかったかという感じもするのでありますが、長崎は告発まではされなかったのですね。
  293. 服部経治

    ○服部政府委員 その点については、大変微妙でございますので、ちょっと答弁を差し控えさせていただきます。
  294. 小渕正義

    小渕(正)分科員 これは「市民の皆様へのお願い」という九州運輸局と陸運事務所名のビラなんです。これをことしになってから、問題はやはり一般市民の人たちにも理解していただかなければいかぬ、こういう類似行為は違法であるということをまず市民の皆さんにもわかってもらわなければならぬということで、これを何万枚か刷ってひとつ市民にもアピールしていこうじゃないか、呼びかけていこうじゃないかという話にまとまっておったにもかかわらず、いや、ちょっと配布を待っとってほしいとまた陸運事務所の方から中止の話が出て、いまだにこれはお蔵入りしたままなんですね。そういう形の中で、そういう一連の動きといいますか、流れを見ますと、今当局が言われているように毅然とした態度できちっとやってきたということにはどうしても思えないわけですね。ことし一月は特に警察とも連携をしながらいろいろ取り締まりを強化しようという矢先で、こういうものをせっかく準備までしたのをなぜとめたのか、そこに何らかの不可解なというか、そういう疑問を持たざるを得ません。そういう点についてはいかがですか。
  295. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生御指摘のビラの件につきましては、私、必ずしも事情をつまびらかにいたしておりませんけれども、先生御指摘のような事実がもしあったとすれば、それは先刻私が答弁申し上げましたような警察当局との緊密な連係プレーのもとでの内偵活動その他にかかわり合いがあったという判断のもとに、そういうことで差しとめたのではないかというふうに推測するわけでございます。
  296. 小渕正義

    小渕(正)分科員 内偵活動と、市民の皆さん方にこういうのは不法な営業行為であるということをわかってもらうことと別だと思うのですよね。だから、そういう形の中で、何か取り締まりをこれからやる点についてちょっと待っとってくれ、打ち合わせ中だとかいう形の中でずるずるとして、一つも実効ある行為をやらなかったということに実は結果的にはなっておるわけですから、そういう点で今までの陸運当局といいますか、陸運事務所の対応が、何かしらんいま一つすっきりしないものを実は私は感じざるを得ないし、そういう意味で、関係者の皆さん方は非常な疑念を持っていることは間違いございません。そういう点でこの問題を提起しておるわけであります。  そこで、警察関係の方、おられますね。警察としてはこの問題について過日広島では逮捕もしたとか高知では強制捜査に踏み切ったとか、いろいろ新聞報道されておりましたが、警察関係としては、この種の行為に対しては大体どの程度のものが現在警察の中で取り上げられてやられているのか、その状況を御説明お願いしたいと思います。
  297. 山崎毅

    ○山崎説明員 お答え申し上げます。  警察としてこの問題に取り組む基本的な考え方でありますが、いわゆる軽貨タクシーの問題につきまして問題の根本的な解決を図るためには、第一次的には所管行政庁の行政措置というものが先行するものであろうというぐあいに考えておるわけですけれども、所管行政庁の指導監督に従わないなど非常に悪質なもので事実関係の立証ができるものについては、その所管行政庁との連絡を十分とりながら検挙措置を講じていくということで対応しておるわけでございます。  お尋ねの全国で今どの程度ということでありますが、現在、先ほどお話もありましたように、広島、高知、大分で強制捜査を含む捜査を鋭意推進中でありますが、その他につきましては、捜査活動にかかわることでありますので答弁を控えさせていただきたいと思います。
  298. 小渕正義

    小渕(正)分科員 私たちから見ました場合、明らかにそういった行為が各地で行われているわけでありますから、そういう点では一斉にそれぞれのところでそういう警察の強い姿勢を、動き出した姿勢を示されてもいいのではないかという素朴な疑問があるわけですね。しかし、警察の立場から見ればまたいろいろな関係があるわけでしょうけれども、ただ一つ、こういうことも私は耳にしているのであります。  長崎の方でも、県警以下それぞれこの問題についてやる態勢はいつでもあるんだけれども、陸運事務所の方がひとつ頼むと告発するような姿勢を示さぬものだからどうしてもやりにくいというような、これは一つのあれですけれども、そういう話もかなり業界の中では言われているわけです。だから、特にこの問題については深刻に考えまして、関係者の皆さん方、警察にも何回も足を運び、陸運事務所にも何回も足を運びながらいろいろな人たちと接触した感じの中では、そういう感触をいろいろと受けているわけです。  だから、そういう点いろいろ見ますならば、今回広島とか高知等ではきちっとした厳しい姿勢が示されたわけでありますが、ああいう姿勢をもっと――例えば、長崎でも佐世保に初めてこれが出てきたとき、パトカーが跡をつけて実態調査等をやられたときもあったわけでありますけれども、最初のときにもっと芽を摘むような行為をきちっとしておれば、ここまで公然化して堂々とこういう不法行為的なものが当たり前みたいな形で出てこなかったのではないかということがどうしても悔やまれるわけですね。そういう点で、先ほどから申しますように、陸運局自身が結果的には法改正の動きもしない、そうかといって現在の中においての毅然たる態度も警察の対応の中でやらない、そういうことが結果的にこれだけ全国的に千幾らも大きく広がるようになってしまったのではないか、かように私は断ぜざるを得ないと思うのですが、その点について何か見解がございますか。
  299. 服部経治

    ○服部政府委員 過去を振り返ってみますと、今思いますと行政の対応のおくれということを厳しく御指摘いただきましても、まことにやむを得ない状況があったということはそのとおりでございます。しかし、私ども昨年の夏以来は警察当局と綿密な打ち合わせを重ねてきておりまして、先ほども申し上げましたように、この問題につきましては両省力を合わせまして厳しい態度で臨む対処方針を確立いたしまして、現在その問題に取り組んでおるところでございますので、ひとつ御理解を賜りたい、こういうふうに考えます。
  300. 小渕正義

    小渕(正)分科員 時間も参りましたので多くを申し上げませんが、これだけ全国的規模で広がってきますれば、また今度は利用者側の立場からもいろいろな意見が出てくるわけですね。それと、きのう参議院の中では、特に沖縄と奄美大島での転業対策についてのいろいろな配慮をしなければいかぬということが出されておりましたが、そういうような関係等いろいろと配慮していかなければならぬ問題等々出てくるし、そういう点では非常に行政の立ちおくれが結果的にはますますこの種問題の解決を困難にしてしまう、こういういい事例が今回のこの問題だと思うのです。そういう意味で、いよいよ議会としては参議院で動き出しましたので、恐らく衆議院に、議員立法ですからこの問題が回ってくると思いますが、ひとつ大臣にもお願いしたいのは、そういう行政のいろいろな兼ね合いがあって遠慮なされる面もありましょうけれども、やはり行政が問題のポイントだけはきちっとして、必要によっては機敏な対応、毅然とした態度を示すということが何よりもまず大事なことではないかと私は思うのです。そういう意味で、非常に残念ですけれども、今回のこの問題に限っては、陸運局としては何かしらん煮え切らない中途半端な、陳情者の皆さん方、局長に合ったり所長に会ったりしたその雰囲気その他をお伺いずれは、のらりくらりとしておったとかなんとか、いろいろな話を聞くのですよ。そういう意味で大臣、これからの運輸行政の中でも二度とこういうことがあってはならないという点で、今後の行政に対する大臣の厳しい御指導をお願いしたいと思うのですが、その点、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  301. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これは松くい虫と同じで、どうも九州、西の方からだんだん東の方に及ぼしてきて、私も九州に住んでいて何か責任を感ずるような気持ちがするのでございますが、これは九州でも佐賀だけはないのですね。ですから、私も肌に余り感じなかったわけでございますが、率直に申し上げて、やはりこの種の法の許容限度の限界すれすれの違法行為というものは、なかなか取り締まりが後追いになることはやむを得ない面があると私は思うのです。それがしかし社会の秩序を乱すという点において断固としてやらなければならぬ。法の裁きを受けたら、一回ではだめだよ、反復しなければということになった。もう一つは、沖縄や奄美大島にはもうこれがかなり蔓延しておったということで地域社会に密着しておる。これを法でもって一つの規制をするには、地域性というものが非常に難しい問題があった。そんな問題が重なってこうなってきたと思うのでございますが、きのう参議院の委員会において議員立法でこれが満場一致で通過いたしまして、これから私ども毅然たる態度で臨みたいと思っております、
  302. 小渕正義

    小渕(正)分科員 終わります。
  303. 松浦利尚

    松浦主査代理 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。御苦労さまでした。  次に、山田英介君。
  304. 山田英介

    山田分科員 間もなく新幹線の上野駅が開業されるわけであります。所期の成果を上げられますように念願をいたしております。  関連をいたしまして、東北新幹線、上越新幹線の埼玉県大宮駅停車についてお尋ねをいたします。なお、この分科会における国鉄の御答弁を、五百六十万埼玉県民が非常に高い関心を持って注目をすることになろうかと思っております。  そこで、第一点目でありますが、国鉄では旅客流動の動向などを検討の結果、上越・東北新幹線の上り下り合計で十本の列車を大宮駅通過することを決めた、こういうふうにされているわけでありますけれども、旅客流動の動向と言われてもなかなか専門家の方でなければ私どもは判断できない次元のものでございますし、なお、この国鉄の文書の中には「流動の動向等」と「等」という言葉を使っておられますので、そのほかの十本大宮駅を通過させることを決定をされました理由について御説明をいただきたいと存じます。
  305. 須田寛

    ○須田説明員 先生御指摘のように、三月十四日から十本、大宮通過の列車ができるわけでございますが、実は今度のダイヤ改正に当たりまして、東北・上越両新幹線ともスピードアップということに大変力を入れまして、上越では途中の二駅停車の列車、それから東北におきましては仙台までの停車駅を二駅に絞った列車、こういうふうな非常に速いタイプの列車を、「やまびこ」ないしは「あさひ」でございますが、つくりまして、盛岡まで二時間、それから仙台、新潟一時間台ということでサービス申し上げよう、こういうように考えたわけでございます。  その場合に、やはり停車駅の数がどうしても制限をされてまいりますものですから、それをどうするかということでいろいろ考えたわけでありますが、たまたま大宮の停車列車がこの際、大幅にふえる、列車全体を約六割増発をいたしておりますので、大宮の御利用の方々にも今まで以上の列車本数として御利用いただける機会でございましたものですから、そういった速い列車の停車駅を途中のほかの駅とのバランスをとりましていろいろな駅に割り振ったわけでございます。  その結果、十本の列車が大宮を通過することになったという次第でありまして、沿線の各駅の皆さん方になるべく速い列車をあまねく御利用いただくように考えたということでございます。大宮駅の御利用の方々にも、そういった列車の増発で、さほど御迷惑をかけずにこの通過ができるという時期であったこと、この辺を考え合わせまして、通過列車を設定するに至ったような次第でございます。
  306. 山田英介

    山田分科員 全列車を大宮駅に停車をさせるということは、埼玉県側が両新幹線を受け入れる転機となりました四つの条件と言われておりますが、その中の一つでありますことは、国鉄の皆さんよく御承知のとおりでございます。  特に、全列車停車可能な構造で新幹線の大宮駅を建設完了されておるわけでございます。ホームが三面、線路が六本という形でございますが、それが最近になりまして、両新幹線を一部通過させるということのためにホームを改造なされました。ホームと列車との間七センチというものを、ホームを四センチ削って十一センチにしたわけでございます、通過の横の振れがあるというような安全基準の関係だと思いますが。この改造工事には大体どのくらいの予算が使われたのでございますか、おおよそで結構でございます。
  307. 須田寛

    ○須田説明員 ちょっと取り調べまして、後刻御報告申し上げます。
  308. 山田英介

    山田分科員 その改造費というものがどのくらいの規模になりますか、御報告を賜りたいと思いますが、その額の多寡にかかわらず、結局、結果的には予算のむだ遣いということに私はなるのだろうというふうに考えます。  それからもう一つは、埼玉県に新幹線の受け入れを早めさせる、条件を整える、あるいはまた、建設工事の円滑化を図るために全列車停車を印象づけるなど、意地の悪い言い方になってしまいますけれども、予定された国鉄の県民対策ではないかとさえ受け取られるわけでございますが、この点はいかがでございますか。
  309. 須田寛

    ○須田説明員 埼玉県の皆様方から大宮全列車停車ということが、工事関係いたしまして非常に強い御要望があったことは承知をいたしておりますし、当方が現地で地元の皆様方にそういったいろいろお話を申し上げる中で、大宮につきましては全列車停車可能な構造になっていることはこれは事実でございますし、今も可能なわけでございますが、そういうことを御説明いたします過程で、あるいはそういう御印象を与えたことがあったかということは必ずしも否定をいたしません。  ただ、やはりその後のいろいろ列車のダイヤを考えてまいります中で、どうしても今申し上げましたようなことで、東北・上越新幹線全体として一番効用の高いダイヤというものを考えました中で、御案内のようなことになった次第でございますので、いろいろそういうふうなことで誤解を与えたりあるいは御説明のまずかった点は、これはおわび申し上げなければいけないと思いますが、何とぞ御理解をいただきたいというふうに考えます。
  310. 山田英介

    山田分科員 常務の御答弁でございますが、先ほどもございましたように、大宮駅を通過させることによりましてどの程度時間的に短縮をされるのでございますか。
  311. 須田寛

    ○須田説明員 大宮駅は通過と申しましても、二百十キロで通過をすることは考えておりませんので、五分内外、まあ数分程度というふうに考えております。
  312. 山田英介

    山田分科員 私の方でちょっと調べてみたのですが、例えば東北新幹線について言いますと、やまびこ二一号の下り、上野―仙台間が一時間五十四分かかるだろうという数字になります。上野―盛岡間が二時間四十六分、その中の数分短縮ということでございます。上越新幹線で見ますと、あさひ三九〇号上り、これは大宮駅通過でございますが、新潟―上野間で二時間九分でございます。その中の数分、五分あるいはその前後ということだと思いますけれども、そういうことでその数分ほどをなぜ、見方によれば埼玉県側と国鉄との信義とかあるいは約束にもとるような受け取られ方もするそういう危険を冒してまで、二時間何分の中の何分を縮めなければならなかったのか、この点について御所見を伺いたいと思います。
  313. 須田寛

    ○須田説明員 先生御指摘のように、確かに数分でございますのですが、列車ダイヤを組みます場合にその数分というのは、かなり重大な意味を持つわけでございまして、接続する列車のダイヤを一番遠い列車同士つなぎました場合に、その数分、やはり五分でも大変生きてくるわけでございます。私どもいつもスピードアップをいたします場合に、一分一億と言うわけでございますけれども、ほんの数分のスピードアップのために大変ないろいろな投資をしたり努力をした経緯もこれまであったわけでございます。  今先生御指摘ございました新潟-大宮間で二時間以上かかっております列車というのは、ちょっと使命の違う列車でございまして、私ども地域間急行と言っているのでございますが、新潟県内各駅にとまりまして、あと高崎から大宮を抜きまして上野まで入ってくるというような列車でございましたので、ちょっとこれは使命が違っておりますけれども、数分は私どもといたしましては相当重みを持って考えておりますので、先ほど先生おっしゃいましたような、地元の皆様の期待を裏切ったことは大変心苦しく存じますけれども、私どもとしては数分もダイヤ構成上、かなり意味合いを持っている数分だと思っております。
  314. 山田英介

    山田分科員 国鉄の皆さんにとられましてはその数分、一分とか何秒というのが大変重要な意味を持つと言われておりますけれども、それはわかります。ただ一方におきましては、県民、国民があるわけでございまして、その皆さんの理解あるいは支持をしっかりと取りつけて業務を遂行なさる、政策を展開なさることが私は大事だろうと思いますので、その点も踏まえていただきたいと思います。  全列車を大宮駅にとめるかあるいは一部スルーさせるかということにつきましては、何か営業担当部局と工事担当部局と意見の食い違いがあったやに私、聞き及んでおりますけれども、その点はいかがでございますか。
  315. 須田寛

    ○須田説明員 今御指摘のございましたような営業担当部局と工事担当部局の意見の食い違いというのは、私は承知いたしておりません。皆一丸となって今回のダイヤ改正を計画したわけでございますので、そういう事実は私どもは承知いたしておりません。  それから、先ほど先生から御指摘ございました大宮のホームの改良に伴います工事経費でございますが、ホーム二面、四線でございまして、八百万円でございます。
  316. 山田英介

    山田分科員 問題は、今後どういう対応をなさるか。例えばこの新幹線上野駅開業でもって地方公共団体と国鉄との関係が終わるわけではありませんで、今後ともに各公共団体と国鉄との一将来的にどうなるか、経営形態はわかりませんけれども、いずれにしても、理解をし合いあるいは協力をし合って国策の進展を図るということが継続していくわけでありますので、今後の対応をどうなさるかということが私は一番大事なポイントだろうと思っています。三月十四月の開業を目指して昨年組み立てたダイヤを、どうこうしろなんてむちゃなことを私言うつもりはありませんが、今後将来においてどういう対応を国鉄がなさるのかということは、極めて重要な意味を持つのだろうと私は思いますもので、伺うわけであります。  ここに「五十九年五月二十一日 埼玉県知事畑和殿」という形で国鉄からの正式な文書がございます。この中に「「大宮駅の全列車停車について」の要望の御趣旨は、十分認識いたしております」という文言がございます。また、「大宮駅については、幹線鉄道網の重要な結節点であり、今後ますますその機能を増大することが予想されますので、国鉄としても、大宮駅の停車につきましては、十分配慮してまいりたいと考えております。」とございます。それからもう一つ、国鉄の文書でございますが、これは昨年の十月五日付でございますけれども、「今後の新幹線列車運行計画作成に際しましては、御要望の趣旨を尊重して対処してまいりたいと存じます。」とございます。  それでは、配慮するあるいは御趣旨を尊重する、尊重して対処してまいります、こういうことになっておりますが、具体的にどうなのかということが埼玉県民の立場に立って知りたいポイントでございます。  まず、最初に伺いますが、今後将来、東北新幹線、上越新幹線の全列車を大宮駅に停車させていただけますか、お約束をいただけるでしょうか、それを最初に伺っておきます。
  317. 須田寛

    ○須田説明員 特急列車その他の停車駅を選定いたします際に、お客様あっての列車でございますので、お客様の御利用の実態をよく考えていかなければいけない。大宮の場合は、今先生もおっしゃいましたように、私どもも考えておりますように、交通の結節点でございますから、大宮駅を御利用の新幹線のお客様はこれからもふえると私どもは思いますし、またそれを期待いたしておりますので、ふえればふえただけの対応はしなければいけないと思います。  ただ、その場合、今ある列車をとめるという方向のほかに、今ある以外の列車をふやして大宮の皆様方により御便利な列車をつくる方法もあり得るわけでございますので、そういった広くダイヤを考えます中で、大宮の皆様方に御利用いただきやすいダイヤにしたいというのがその文書の趣旨でございますし、私どもそう考えておりますので、今ある列車をとめる、とめないという議論とは違った判断で私どもその文書はお送りしたつもりでございます。したがって、今ある列車を全部とめるかどうかという判断につきましては、これからのお客様の流れを見て決めさせていただきたいということでございまして、現時点で明確にお答え申し上げかねる段階でございます。
  318. 山田英介

    山田分科員 新幹線のみならず、総合的な鉄道輸送の中で大宮駅停車という問題をとらえてまいりたい。その次元では、ぜひまた真剣な対応をお願いしたいと思いますし、もう一点、県民にはあるいは県議会と申しましょうか、必ずしも常務が今おっしゃったような趣旨で理解されていない部分もあるかと思いますので、今後その辺の御説明もしっかりとやっていただきたい。それから、そういう総合的なということではなく、今後新幹線そのものが増発されることも予想されるわけでありますので、そういうことも展望いたしまして、大宮駅全列車停車に限りなく近づけていくような御努力はしていただけるのでございましょうか。
  319. 須田寛

    ○須田説明員 今議会の皆様方あるいは県民の皆様方に対する御説明がまだ不足しておるという御指摘をいただきましたが、これからも御理解をいただくように、私ども管理局も協力いたしまして精いっぱい努力することをお約束いたします。  ただ、今後段で先生からお話ございました全列車停車というその全ということに、私どもちゅうちょを感ずるわけでございますが、大宮の皆様方に一番御利用いただきやすいダイヤにしてまいるということは、もし御利用がふえればそれに合わせて大宮の方々に御利用いただきやすい列車をつくってまいるということは、私どもこれから精いっぱい努力してまいりたいと思っております。その中にとまらない列車があるかどうかにつきましては、これから最適なダイヤを追求していく中でどうあるべきかを考えてまいりたいと思っておりますので、その辺につきましては今確約申しかねますけれども、いずれにいたしましても、大宮の皆様方にこれからも大いに新幹線を御利用いただくために、沿線の皆様方の足としてよりよく機能するための新幹線にするために、全力を挙げて努力することはお約束申し上げます。
  320. 山田英介

    山田分科員 問題を次に移させていただきます。  特に首都圏の鉄道輸送網の整備が急務であることは今さら申すまでもないところでございまして、国鉄御当局におかれても、大変な御努力をされておることは承知いたしております。とともに、運輸大臣御出席でございますが、国鉄といわゆる民有鉄道といいますか、民間にあります鉄道との組み合わせといいますか、総合的な整備を図る中で、首都圏の鉄道輸送網を整備しなければならないと考えております。  そこでまず、運輸省におかれては、首都圏の鉄道網を整備する上で民有鉄道の果たす役割、民鉄につきましてどのような位置づけをなされているのか、基本的な問題でありますので、最初に伺います。
  321. 服部経治

    ○服部政府委員 まさしく先生ただいま御指摘のとおりでございまして、首都圏を初め我が国の大都市におきます交通体系のあり方は、都市高速鉄道を中心に組み立てられるべきものであると私ども考えておりまして、特に首都圏におきましては、これまで民鉄の占めてまいりましたウエートは非常に大きゅうございまして、六〇%を超えております。そういう状況でございますので、今後とも首都圏におきます都市高速鉄道の整備に当たりましては、民営鉄道の占めていくべき地位、役割は非常に大きいものだと考えておるところでございます。     〔松浦主査代理退席、中島(衛)主査代理着席〕
  322. 山田英介

    山田分科員 そこで、今の御答弁では六〇%を超えるような大きなウエートを民鉄が占めておるということでございます。それに関連いたしまして、具体的な問題になりますが、現在、埼玉県の南東部を縦貫いたしております東武鉄道伊勢崎線というのがございます。日本鉄道建設公団により現在、この東武伊勢崎線の高架複々線化の建設事業が行われておるわけでありますが、この事業の促進のために財政投融資資金の増額など所要の工事資金の確保に努めるべきである、私はそのように思いますが、いかがでございましょう。
  323. 服部経治

    ○服部政府委員 都市圏におきます民鉄線の整備に当たりましては、先生も特に御承知と思いますけれども、いわゆる鉄道建設公団によりますP線方式というのがとられておりまして、これが都市圏の鉄道整備に当たりまして非常に有用な役割を果たしてきております。私どもはここ数年の間、こういったP線方式によります建設費の枠の拡大ということに特に力を入れてきておるところでございます。こういう大変厳しい財政状況の中ではございますけれども、ここ数年、このP線の工事費の枠というのはどんどんふえてきておりまして、六十年度に即して申し上げれば、対前年四二%の増というような大きな伸びを示しておるところでございます。
  324. 山田英介

    山田分科員 この伊勢崎線の沿線は大変な開発が進みまして、百数十万の鉄道利用者がおりますものですから、乗車率が二〇〇%に近いというような実情もありますので、ぜひともひとつこの事業につきましては、特段の推進をお願いしたいと思っております。  二つ目でございますけれども、北千住の混雑というのは特に最近またひどくなってきておりまして、皆様も御案内かと思いますが、例えば小菅と北千住間、ラッシュ時午前七時から八時の一時間をとってみますと、ちょうど五十八年の数字でありますけれども、混雑率が一八六%、大変な状況であります。具体的に、日常茶飯事とでも言っていいかと思いますけれども、ホームの規制を職員の方がなさっておられますが、それでも大変なホーム上のあふれ返りといいますか、仮にこの人波が何かのはずみで揺れたなんということになりますと、ホームの下、線路に転落をするというようなおそれなしとしない、私はそう受けとめております。事故が起こってからでは大問題であります。  それから、例えば御婦人のハイヒールだとかあるいは靴でございますが、北千住乗りかえのときに物すごい圧力、人波でありますので、必死になって皆さん乗りおりしているわけでありますが、ハイヒールや靴が脱げる、線路に落下する、あるいは電車の中に脱げて残ってしまって、それはそのまま浅草の方に行ってしまうというようなことが頻々として起きているわけであります。それから御婦人のベルトであるとか、男性も一部そうですが、あるいはブローチ類、こういうものもおりるとき、乗るときに取れてしまい、後で気がつく、こういうようなことが実際問題としてもう頻頻と起こっているというのが実態であります。  したがいまして、人命を守るという意味からも、この北千住駅のホームなり駅の構造なりの改善というのは極めて急務な大切な仕事である、対策である、私はこのように考えておるわけでありますけれども、これはどういうことになっておりますか。
  325. 服部経治

    ○服部政府委員 北千住の駅というのは先生も御承知のように、東武伊勢崎線、それから営団の日比谷線、国鉄の常磐線、こういったものが全部平面で駅が連担しているというような状況でございまして、朝のラッシュ時におきますこの駅での乗りかえのための混雑というのは、確かに先生御指摘のとおり、大変な状況にあることは私どもよく承知をしております。これは利用者の利便の向上を云々する前に安全問題に立ち返りという先生の御指摘は、非常によくわかるわけでございます。  そこで、現状どうかということでございますが、この一月に東武伊勢崎線の上りホームを六十五センチ拡幅したわけでございます。無論それだけで事態がどうなったというわけではございませんが、現状ではそれが精いっぱいでございます。そこで現在、東武鉄道といたしましては、駅の立体化というのでしょうか、日比谷線と東武伊勢崎線が上下になって駅に入ってくるという方策がとれないかということで、営団と鋭意検討を進めている段階でございます。
  326. 山田英介

    山田分科員 これは首都圏にある一つの駅ということではありますが、大臣、北千住の駅の混雑の問題は極めて重要な問題であります。今御答弁伺いますと、東武鉄道と営団地下鉄と立体化をするための検討作業に入っておるという御答弁がありましたものですから、これは山下大臣におかれても、ぜひひとつ運輸大臣という立場で、これら営団あるいは民鉄東武に対しまして、しっかりやりなさいという特段の督励をいただきたいと思っておりますが、一言御答弁を賜りたいと思います。
  327. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 北千住駅にたくさんの線が集中しておって、今の駅舎、ホームその他施設では不十分であるということは、私も局長からかねがね聞いておりました。しかし今あなたから伺いますと、これはもう大変なことですね。――ですねというのは人ごとみたいでございますが、ブローチであるとかペンダント、ベルト、ハイヒール、これはすべて女性の物ですが、御婦人に対して大変に被害を与えている。そのことはともかくといたしまして、これはとにかくこのまま放置するわけにいかぬということは、今あなたのお話でさらに私もよくわかりました。さらに指導して、速やかなる解決を図るよう努力したいと思います。
  328. 山田英介

    山田分科員 よろしくお願いいたします。  もう一点、具体的にお尋ねをいたしますけれども、御案内のとおり、経済社会の急激な変化とかあるいは生活様式の複雑多様化ということで、鉄道を利用する時間帯が拡大をするといいますか、早朝とか深夜に広がってきておることは事実でございます。今後ますますそういう傾向は強まるでありましよう。  そこで例えば、首都圏における人口急増地域では、そういう現象が各地で見られることもこれまた事実であります。埼玉県の南東部もそういう地域の一つなんですが、南北に縦貫する鉄道はこの東武線のみ、先ほど申し上げたとおりでありますが、一つの運転距離がありまして、都心に極めて近い途中駅で最終列車がとまっているという状況があるわけでございます。これは当面の、そしてまた実現可能性の高い一つの対応策といたしまして、この途中駅どまりの最終をそれからもうちょっと先に運転区間を延長するというような対応が必要なんだろうと私は思っております。  もうちょっと具体的に言わせていただきますと、この東武線の関係でいきますと、ちょうど首都圏二十五キロあたりに北越谷という駅があります。ここが東武線の最終電車のとまる訳なんですね。したがいまして、この二十五キロ圏の北越谷以遠におきまして、例えば最終電車を運転区間を延長していただくというような形で、といいますのは、二十五キロ圏内で最終電車はとまりますけれども、五十キロ圏、六十キロ圏あるいはそれ以上が完全に生活圏といいますか、通勤圏に組み込まれている実情がありますので、そういう一つの社会の変化というものに対応した私鉄なり国鉄なりの対応があってしかるべきだろうと思っておりますので、この北越谷以遠の最終電車の運転区間の延長ということを、運輸省におかれてもひとつぜひ実現をさせていただきたいと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  329. 服部経治

    ○服部政府委員 終電車の時刻の延長に対します利用者の要望は、各線区にわたって非常に強うございます。それは御指摘のとおりでございます。私どもも一般論的に申しますと、そういった方向で対応するように各私鉄に対しまして指導を強めているところでございますけれども、ただ、これは単純ではございませんで、終電車の時刻を延伸することになりますと、車両の運用の問題とか運転要員の確保の問題とか線路の保守作業の時間の確保の問題とか、いろいろな問題が派生してくるわけでございまして、なかなか口で言うほどには簡単でないという事情があるわけでございます。  しかしながら、今先生御指摘の東武鉄道の北千住駅におきます終電車の時刻というのは、東京周辺の各副都心におきます国鉄及び各私鉄の終電車の時刻と比較してみますと、必ずしも良好な状態であるとは決して言いがたいわけでございますので、せっかく先生の御指摘もございましたので、今後東武鉄道に対する指導を少し強めてまいりたいというふうに考えております。
  330. 山田英介

    山田分科員 最後に、リニアモーターカーの関係で何問かの質問を予定していたのでございますが、大分時間が迫っておりますので、一問だけお尋ねいたしまして、御答弁をいただいて終わりにさせていただきます。  先ごろ埼玉県で、リニアモーターカー導入可能性の研究に着手をするということで、州知事が座長になりまして中枢都市圏首長会議というものが開かれまして、埼玉県の中枢都市圏構想の中で導入可能性の研究に着手するということを決められております。それで、浮上式鉄道につきましては各地からいろいろな御要望があるのだろうと思います。せっかく埼玉県の方で導入可能性の研究を始めるということでありますので、ぜひいろいろと特段の御協力を賜りたい、このように私からも要望したいのでございますが、一言御答弁いただきまして、終わらせていただきます。
  331. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 先日御答弁を申し上げましたように、現在リニアモーターを開発中でありまして、八〇%ぐらいまできているということでありますが、実用化ということになりますと、やはりこの試験研究、開発研究を完了させることが先決でありますので、私どもとしてはあと数年要するかと思いますが、これをなるべく早く完成させまして、実用化に際しての諸条件を世間にはっきり明示できるようにしたいというふうに考えております。  埼玉県で畑知事さん以下いろいろ御勉強だということを私も聞いておりまして、前に既に私どもの方の専門家に対しまして、リニアモーターの説明を求められたような経緯もございますが、まだ開発途上でありますからすべてがわかるわけではございませんけれども、今後も私どもでお答えできる範囲内で御協力は申し上げていきたいと考えている次第であります。
  332. 山田英介

    山田分科員 終わります。
  333. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて山田英介君の質疑は終了いたしました。  次に、和田貞夫君。
  334. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 昨年の十一月三十日に、さきの国会で関西新国際空港の事業主体として関西国際空港株式会社というのが設置されて、五十九年度の事業計画の認可申請に対しまして運輸省が認可を与えたわけでございますが、この認可に当たりまして、新聞紙上にも異例の措置という言葉が使われたほど、工事費を削減しろということが一つ、漁業補償については、公共用地の取得に伴う損失補償基準を厳守して漁業補償を行え、こういう指示というか条件つきというか、そういう認可をおろされたわけであります。  もちろん、この経費を節減せよということは当然の話でございますが、やはり空港建設工事を進めるための前提として、水面の埋め立ての手続のためにはどうしても漁業補償が必要になってくる。にもかかわらず、この漁業補償をいわば補償基準どおりにやれというような指示であれば、この交渉に当たる事業主体の空港会社が自主性というのは全くないし、それから、この機会に他に転職をして漁業をやめなくてはならない者も出てこようし、あるいは一時休業しなくてはならないというような者も出てこよう、あるいは漁獲量が少なくなって非常に漁業が縮小されるというもろもろの五千人近くの漁民が、大阪、兵庫を含めてその対象になるわけですが、そういうような指示つきの異例の認可ということになりますと、現地に非常に問題をつくり出しておりますし、まして漁民にとっては何をぬかすかということになってしまうわけです。それでは交渉ではなくて押しつけです。  そういうことが大きく原因いたしまして、年末に説明会さえも流会したというような結果を生んでおるわけでございますが、一体運輸省としては何を考えてこういうような異例の措置をとったのか、お聞かせを願いたいと思います。
  335. 西村康雄

    ○西村政府委員 ただいまお話しのように、関西国際空港株式会社の事業計画の認可に当たりまして、昨年十一月末に運輸省からは会社に対しまして、工事費の削減に努めるということと、公共用地の取得に伴う損失補償基準を遵守して漁業補償を行うという二点について留意するようということを指示いたしております。  この趣旨は申すまでもなく、関西空港会社がいよいよ事業を開始するに当たりまして、非常に巨額の投資でございますし、徹底的な経費の削減ということをやりながら工事を進めていかないと、一方では非常に厳しい状況にございますので、将来またこの空港を運用していくのに大きな負担になるということがございますので、工事の実施についての合理化を特に要請しているわけでございます。ただ、今お話しのような公共用地の取得に伴う損失補償基準の厳守ということは、これは極めて当然のことを念のために申しただけのことでございまして、すべての公共事業がこれに基づきましてやっているわけでございます。関西の空港会社もまたその例外ではございません。  ただ、今申し上げたことが会社の自主性を損なうのではないかというような御指摘ではございますが、この基準に従いながら会社がやるということについて、別に何ら矛盾することではないので、この公共用地の損失補償基準というのは一般的な原則をうたっているわけでございまして、具体的な額の押しつけというような問題ではないわけでございます。そういう点で当然、損失補償基準の考え方というのを前提にしながらひとつこれからやるということを言ったわけでございます。
  336. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これは当然のことながら、公共用地を取得するについては一定の基準がある、その基準要綱によって、別段運輸省に限ってじゃないわけです、自治体も含めて同じことです。別段そのことを指示をしなくても、今までからそのとおりこれは者やっているのでしょう。今までからそういうような指示を当然のことだと言うけれども、そういう指示を与えて、例えば成田の場合にそうしたですか、あるいはほかの点についてもこの基準を厳守してやれというようなそういう指示をして従来認可をしたのですか。
  337. 西村康雄

    ○西村政府委員 成田の場合にこういう指示を特にしたかどうか、ちょっと今記録がないので私も記憶しておりませんが、この事業計画の認可の今回の場合は、特に従来決めておりました第一期の計画の法線を基本的な法線の中ではございますが、実際には陸地側に若干移した工事、事業計画を認めたということで、そのねらいはやはり工事費全体を圧縮する、そして将来の飛行場の可能性を大きく残すという趣旨で、ここで数百億の工事費の縮減ができるというようなことを考えて指示したわけでございます。そういうことの一環でございますので、最初に当たって合理的な工事をやろうということを特に宣明したということでございます。
  338. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私は工事の場合はいいと言うのです。これは当然のことながら、工事をできるだけ経費を節減してやりなさいということは、これは内輪の問題ですから、これはいいわけです、事業主体に対する指示ですから。しかし、漁業権を補償してもらう側から見れば、そういうようには受け取りませんよ、当然のことだというふうに受け取りませんよ。これは新聞紙上でも異例の措置ということが当時表現されて報道されているわけです。漁民にとったらこの漁業補償が全く四角四面の姿の中で抑え込まれる、こういうようにとらざるを得ないのです。  私は工事のことを言うておるのではない。それがためにこの説明会も流会しているわけでしょう。そんなことでこれから交渉がうまく進むと思いますか、相手のあることですよ。それはやはり交渉というのは、現地の事業主体の窓口と、それから五千名近い漁民の代表との間に自主的にこの交渉をゆだねるべきであって、あなたの方はそういうような指示を別段する必要が何もないわけです。それでなぜそういうような現地を混乱さすような指示をつけて認可をしたのかということを私は聞いておるわけです。  当然のことと言えば当然のことでしょう。それは別段指示しなくても、どの諸官庁の公共事業の用地を取得するに当たりましても、この基準を念頭に置きながら交渉してきているのですから、別段する必要もない、要らぬ誤解を与えているのです。今さら撤回せいと言ったところで、これは撤回しないでしょう、もう既に文書で書かれておるのだから。したがいまして私は、これからの問題として、漁民に安堵感を与えるために、あるいは現地で交渉をスムーズに進めるために、それは役所の考えておったことをたまたま指示したまでであって、あくまでも現地におけるところの漁業交渉というものは、漁民の代表、いわゆる漁連あるいは単協と事業主体である空港株式会社の自主性に任せるのだというように受けとめてよろしいですか。
  339. 西村康雄

    ○西村政府委員 現在、関西空港株式会社は大阪府漁連と兵庫県の漁連と、それぞれ話し合いの場を持って交渉を始めておりまして、今の段階では非常に、最初のスタートがややぎくしゃくしたところがございましたが、十分にお互いの話し合いをするという場がつくられて、会社側と双方誠意を持って話をするという軌道に乗っているというふうに聞いております。したがいまして、これから会社の交渉を私ども見守っていきたいと考えております。
  340. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 枠をはめたのではないということですね。
  341. 西村康雄

    ○西村政府委員 枠をはめる、はめないの問題ではないと思っております。本来、準拠して行うべきものでございますので、そういうふうに考えております。
  342. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これは交渉というものはあくまでも自主的に行われるべきものであって、要らぬ誤解を生むような指示つき、条件つき認可というのは、これは本来の姿としておかしいと私は思うわけです。  時間がないので次に進みますが、この漁民というのは、一人一人の漁民が泳いで魚をとるのじゃないのですね。おのずから大工さんにはのこぎり、かんな、のみというのが道具としてあり、左官屋さんについてはこてという道具があり、したがいましてこの漁業をやっておられる漁民というのは、漁具というものが当然つきまとってくるわけですね。したがいましてその漁具を携えて、漁具を伴って漁民の皆さんが漁業をやっておるということは、これは当然のことながら理解できますね。
  343. 西村康雄

    ○西村政府委員 漁業を行うにつきましては、いろいろな道具を用いてやっておることは御指摘のとおりでございます。
  344. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 そうすると私は、漁具には漁船があり、それから網があり等々ですが、この網というのは、あるいは燃料もそのとおりでございますが、その漁民に対してだけの問題じゃなくて、不特定多数の漁業をやっておられる方々に網も売るし、燃料も売るわけですが、しかし漁具の一つであります一番大きな漁具の漁船、この漁船は、大阪の漁船をつくっておるいわば船大工ですか、あるいは造船所といいますか、そういう人たちがこれから裏日本へ行って、造船をやったり船の修理をするというようなことはまだないわけなんですよ。しかも大きな造船所じゃないのですからね。漁船を日常いわば漁民の皆さんの裏方になって修理を伴っておる、そういう業者なんです。そういう船大工なんです。  私は当然のことながら、この漁業補償という中に、この範疇に入れるべきだと思いますが、そこまでいかなくても、その漁民に漁業補償をやる原因というのは、やはり休業に値するか、あるいは廃業に値するか、あるいは漁獲量が減るための減収に相当する補償をするかということは、それぞれケース・バイ・ケースであるわけでございますが、しかし漁民に対して船を修理をする、あるいは注文によって新造船をつくるという船大工、漁船をつくっておる、修理しておる人たちにとっては、これは収入減になる、営業面におけるところの収入が少なくなっていくということがそれに伴って生じてくるわけですが、これは直接漁業補償ということでなくても、先ほども申し上げましたように、全くこの船の場合は漁民と密接不可分の、いわば漁業をやる裏方の仕事をしている営業者でありますので、当然のことながら、これは補償対象ということになるのでなかろうか、またなるというように私は思っておるのですが、その点についてのお考えを聞かせてもらいたい。
  345. 西村康雄

    ○西村政府委員 先ほども、今回の工事に伴います損失補償の問題というのは、公共用地の取得に伴う損失補償基準によって行っていくということを申し上げたわけですが、この基準から申しまして、また損失補償の考え方一般から申しまして、現実に空港の予定地で漁業を行っている方あるいはそこに漁業権を持っている方、漁業権の収用に伴う損失の補償、あるいは事実上漁業をそこで行えないことによりまして漁業による利益を失うという部分について損失を補償しようという考え方に立っておるわけでございます。そういう点から申しますと、今お話でございますが、漁業に関連し漁船を製造されているという方は、当然にはその補償の対象にならないということになるわけで、その点は、今回の関西空港株式会社がこれからの工事をやっていきます場合にも、この基本は変えるわけにはいかないだろうというふうには考えているわけでございます。  とは申しながら、具体的な影響があるではないかという御指摘もございます。現実にこの大阪あるいは兵庫の漁業者のための漁船の製造をやっていらっしゃる方たちの生業がどういうふうに影響を受けるかということについては、私どもまだ具体的にその大きさについては存じておりません。大阪、兵庫の漁業の受ける損害も、漁業そのものが廃業になるというようなものはほとんどございません。これは大阪の前島の部分で漁業権の収用がございますが、それ以外、この空港の場所におきましては漁業権はございません。許可漁業でございますので、そういう点はございません。またしたがって、漁業の減収という問題は若干生じてまいりますが、漁業そのものをこのためにやめるという方々が出るとは聞いておりません。  ですからまだ私ども、漁船の製造等に従事されている方にどういうふうな影響があるかということは十分に予測はできないわけでございますが、実際に漁業者の収益が減ったことに伴いどういう産業連関が起きて、その結果どこら辺にどういう影響があるかという連鎖の糸をたどっていけばどうなるかということについては、なかなか難しいことだろうと思います。実際にそういった点について大きな影響を受けるような方たちがあれば、それは地域全体のためのプロジェクトのためでございますので、ひとつ地域全体としてどうするんだということでお取り上げいただくということが重要ではないかということでございまして、今回のプロジェクトの推進に当たりましては、関係地方公共団体には、そういった点の御配慮をつとにお願いしているところでございます。むしろ地域整備関連問題としてこの問題を取り上げていくということが適当ではないかというふうに考えております。
  346. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私は、時間がないのでなんですが、先ほどもちょっと申し上げたように、漁具の中でも網の製造、販売をしている方々は、これはその地域の漁民だけに売っているのではないのですね。そうでしょう。漁獲量が減ったからということで、魚屋さんの窓口が減ったから――これは魚というのは全国から集まってくるのですから、あるいはすし屋さんのネタが減ったから、こういうことにはならないわけで、そのこととこのことと違うでしょう。  漁業をやる漁民と裏腹なんです。そこでその地域の漁民の皆さんと直接それぞれ結びついて、日常の漁業をやるについて、さあ直してくれ、修理をする、こういういわば飛行機の整備、汽車の整備と同じことなんですよ。これはいわば整備です。これがそこを離れて別の遠隔地に行って同じようなことをするということにはならない。そこにはそこの、やはり漁船をいらっておられる方々がおるんですから。だからその性格が違うんだ、全く裏腹のものなんだということを大臣も十分認識してもらいたい。  したがいまして、漁業補償をやる限りにおきましては、今局長が言いましたように廃業はないかもわからぬ。しかし漁獲量が減るというために、この工事をやるについて一定の補償をするということであるならば、漁民の皆さんが減収になる、漁獲の場が少なくなるということであれば、当然のことながら、その漁船の修理も少なくなっていく、裏腹の関係にあるんですから。だからほかの業種と違って、この点については、直接漁業補償の対象にはならなくても、裏方の仕事をし、商売をやり、営業をやり、その収入源をもとにして食っている漁船の製造、修理をやっておる人たちについては、別段の眼からながめてこの点についてひとつ考慮し、空港会社やあるいは当該の自治体に指導するという約束はぜひともやってもらいたい。
  347. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話いただきましたように、漁船あるいは漁具の製造業者というものが漁民の生活に深くかかわり合っているし、また、そう他に販路があるというような性格のものでないのもよくわかります。  ただ、実際にどういうふうな影響が生ずるのか、これはなかなか難しいことでございます。それでまた今後、実際にこの関係漁民の漁業活動というのはどんなふうに行われるか。場合によったら新しい漁場を求めてもっと動き回るというようなことがあれば、かえって漁船の需要もふえるということもあるかもしれません。実際にどんなふうになるかは、これからよく皆様の実態をお伺いしてやるということが必要だろうと思うので、そこら辺の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、地方公共団体が全体の地域振興の中で、地域整備の中で考えていっていただきたいということで話し合いをしているところでございますので、きょう先生から御指摘のあった問題点については、地方公共団体によくそういう点を話をしておきたいと思います。
  348. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間がありませんので、あと二、三あったのですが、大臣もぜひともひとつ今のことを御認識いただきまして、あくまでもやはり漁民の裏方の、いわば航空機や汽車の整備をやっている、そういう立場であるんだということで、ほかの業種と違って、関連といっても幅広いのですから、これは特段の配慮をやるという認識に立ってもらいたい。  それから、いよいよこの工事が着工するということになりますと、この空港の本体、前島は自治体がやりますけれども、この工事に伴う地域の、これは進入路の問題も含めてでございますが、この工事に対する環境の整備というのは、住民からいろいろ小言が出てきやすい問題でありますので、そういう点は十分に工事に当たって、あるいはこの工事中に地域住民から環境問題について小言が出ないよう、ひとつぜひともその対応策を講じてもらいたいと思います。  それから、直接あなたの方の事業じゃありませんが、これは間接的にあるのですが、埋め立て用の土取り場、これは最終決定をもしもしておるのであれば示してもらいたいと思いますし、また、土取り場の跡地利用というのは非常に大事なことでございまして、大阪というところは全国の各県の中で一番緑の少ないところなんです。だから、跡地をそのままほったらかすというようなことじゃなくて、緑を回復して、それでなくても少ない大阪のことでございますので、ぜひとも跡地には緑が回復する、そういうような配慮の行政指導というものを事業主体あるいは自治体にぜひともひとつやってもらいたい、こういうように私は希望するわけであります。  時間がありませんので、ひとつその点について大臣の方から決意のほどをお聞かせ願って、質問を終わりたいと思います。
  349. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 空港も将来にわたって一つの経営ということを考えて出発するわけでございますから、そのために一つの基準ができる、これはもう当然のことですし、基準というのは一つの物差してありますが、この物差しを一ミリたりとも変えてはいけない、そんな窮屈なことでは政治ではないということは、私は先生と同じ意見でございます。  ただ、付随した問題、例えば今の漁場を完全に何月何日からなくすあという方々に対する補償、あるいは橋ができたためにもうあしたからフェリーは動かないよという場合と違いまして、漁場を失った、船を持った人たちが近くにまた新しい海域を求めて近海における栽培漁業をおやりになるのか、あるいはまた船団を組んで沖合に出られるのか、そこらあたりの関連を見なければ直ちに影響があらわれないという面があるものですから、そこらあたりはよく見ながら、お互いに話し合って、特に地方公共団体等が中心になってお話し合いの上、善処していこうという気持ちで私はおるわけでございますから、御理解いただきたい。(和田(貞)分科員「緑」と呼ぶ)開発の問題は局長から……。
  350. 西村康雄

    ○西村政府委員 これから工事を行っていくに当たりましての環境問題というのは、会社に対しましては特に重視するということを指示してございます。アセスメントの実施もこれからいたします。さらに、環境を汚染しないようないろいろな対策もこれから講じていくというつもりでございますが、そしてまた跡地につきましては、現在府県が、大阪府あるいは和歌山県がそれぞれ跡地の利用計画というのを立てながら、土取り場の決定を急いでいる段階でございます。まだ土取り場としてこうだということの結論が出ているわけではございません。この跡地の問題は、それぞれの地域開発にも非常に役に立つということでございますので、両府県とも非常にいろいろな配慮をしている。その配慮の中では、跡地利用の住宅等の有効な利用もございますし、また、今お話しの緑という問題も十分に考慮に入れながら今やっているわけでございまして、きょうのお話はまた、両府県の方によく連絡をさせていただきたいと思います。
  351. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 終わります。
  352. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君。
  353. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 まず、国鉄総裁の方から質問していきたいと思うわけでございます。  昭和五十八年十二月に、新幹線上野乗り入れ時のダイヤ改正素案がまとまったというニュースが流れました時点で、大宮、福島、仙台、盛岡、別ダイヤでは大宮、郡山、仙台、盛岡に決まりそうだというニュースの記事がございましたので、これがきっかけになりまして、私たちの方の住民もスーパー「やまびこ」の停車駅陳情を始めたわけでございます。つきましては、このスーパー「やまびこ」の停車駅決定までの経過と、この決定がなされるに当たっての基準となるものがそこにあったのかどうか、あったなら、その設定基準なるものの説明を求めたいと思います。
  354. 澄田信義

    ○澄田説明員 ただいまの御質問に対しまして御説明申し上げます。  東北新幹線の列車の設定に当たりましては、今回の上野開業を契機に、上野-盛岡間の「やまびこ」を上下合わせまして二十七本から十九本ふやしまして四十六本の列車本数を計画しております。この結果、現在は非常に運転本数は少のうございますけれども、これと比較いたしまして、今までよりもバラエティーに富んだ、より多様な停車駅を持つ列車の設定が可能となったわけでございます。そういった中で、今回増発となります部分の中で、直接新幹線の恩恵を受けない盛岡よりもずっと以遠の、例えば青森とか秋田方面の方々にとりまして、そういった方々と東京地区、上野との需要が一体どの程度あるのか、またそれぞれの停車駅の駅別の乗降人員がどの程度あるのかといったようなことを勘案いたしまして、上野から盛岡まで途中に三駅とまる「やまびこ」を六往復計画をしております。そういったような考え方で停車駅を決めたわけでございます。
  355. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 そうすると、これは盛岡北以遠の地区を首都圏に幾らかでも早く連結しようという趣旨が第一点でございますか。
  356. 澄田信義

    ○澄田説明員 それが第一点でございまして、それと同時に、途中停車駅の乗降をされる方々の人数、それから先ほど申しました、先生御指摘の以遠の方々の利用チャンス、そういったものを総合的に勘案いたしまして決定させていただいたようなわけでございます。
  357. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 乗降客の人数といいますと、これは経済性だと思うわけでございますが、その経済性の基準にはどういうところを置いたわけでございますか。
  358. 澄田信義

    ○澄田説明員 それぞれの各駅の乗降人員にはもちろん先ほど御指摘の経済性もございますし、あるいは観光地の状況、その他お客様にはビジネス客もございますし、観光客もいろいろございます。そういったいろいろな要因がございますものですから、そこらを総合的に勘案して決めさせていただいたといったような実態でございます。
  359. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 今の答弁ですと、これはもういろいろな点を勘案すると、政治的配慮も入って決定できるように聞こえる答弁なんですが、そういうふうに受け取っていいですか。
  360. 澄田信義

    ○澄田説明員 私どもはできるだけそういった利用客の数、そういったものをできるだけ公平に勘案いたしまして決めさせていただいているといったような状況でございます。
  361. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 利用客の状況を公平に勘案するというのですが、これはあくまでも経済性のものですから、どこか基準がないといかぬじゃないですか。その基準というものがあったわけですか。
  362. 澄田信義

    ○澄田説明員 今の基準と申しましても、先ほど来御説明申し上げておりますように、過去の輸送量、それから今後の伸びの想定、いろいろ私どもの方で調べさせていただきまして、それをもとに決めさせていただいておるというのが実態でございます。
  363. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 総裁にお聞きしますが、そういたしますと、そういう状況になってくれば一ノ関にもスーパー「やまびこ」がとめられる可能性があると受け取っていいわけですか。
  364. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 一ノ関の上りの乗車のチャンス、機会は「やまびこ」、「あおば」合わせて十五回から十八回に今度のダイヤでふえていく次第でございます。
  365. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 総裁、私はスーパー「やまびこ」のことを聞いているわけですから、このことについてお答え願いたいと思うのです。
  366. 澄田信義

    ○澄田説明員 「やまびこ」につきましては、一ノ関におきましては、現在下り十三本、上り十四本、合わせて二十七本とまっております。これが今回の改正で下りが十七本、上りが十七本、計三十四本で、合わせまして七本の増でございます。
  367. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 私の質問しているのはスーパー「やまびこ」でございます。スーパー「やまびこ」が郡山と福島とに、交互にとまっております。郡山からどのくらいスピードアップになっているかというと、我々の「やまびこ」に比べて五分です。福島からは十分。盛岡からは三十六分のスピードアップになりますから、盛岡北以遠の地区と中央との連係を考えると、これは大変なスピードアップでございます。しかし、こういう五分、十分のところに交互にとめているということを見ますと、これはやはり経済的配慮がここにあったのじゃないかというふうに私判断できるわけでございます。そうなりますと、一ノ関にも経済的な人員、乗降客の数がある程度満たされてくれば、スーパー「やまびこ」も停車できる可能性があるかどうかということを聞いているわけです。
  368. 澄田信義

    ○澄田説明員 今後のお客様の需要の伸びその他を勘案いたしまして検討させていただいた上で、次のダイヤ改正等々でいろいろとその辺を調査の上、お客様の数が非常にふえるといったような状況がございますれば、またその時点で検討させていただきたい、かように考えております。
  369. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 どうもありがとうございました。  次に、総裁、この東北新幹線の東京乗り入れは、いつ、どのように見通されているかお伺いしたいと思います。
  370. 仁杉巖

    ○仁杉説明員 東京乗り入れにつきましては、前に上野乗り入れより二年おくれるという表現をしておりました。しかし、その後国鉄再建監理委員会等で、東京に入るというのは、上野に入れば大体の目的を達するのではないかというような御意見もございまして、少し抑制すべきであるということで、もし間違いがあったら後で訂正いたしますが、昨年あたり六十五億くらいの予算に落としております。それを落としましたのは、地元との協議その他危険箇所というようなことをほうりっ放しにしておくというわけにまいりませんので、必要最小限の予算を使っておるということでございます。したがいまして、現時点におきまして、六十年度の予算でも、これははっきりはいたしませんが、見当として六十五億くらいを考えておりますので、今この時点でいつということを申し上げかねるというのが実態でございます。
  371. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 東京乗り入れと青森までの東北新幹線完成時、その時期を大体どのように見通されておりますか、お伺いします。
  372. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 まず、東京乗り入れにつきましては、今総裁からお話がございましたように、まだ非常に巨額の追加投資が要るという関係で、地元との関係で必要最小限度の工事に抑えております。したがいまして、これについては新しい国鉄の経営形態が明確になりました時点で判断をせざるを得ないということかと存じます。  それから、盛岡から青森までの見通しでございますが、これは御承知のように、来年度とりあえず五十億ということで工事費を計上しておるわけでございますが、これにつきましては、八月を目途に監理委員会の答申との関連その他を勘案して具体的な事業実施方式などを決めるということになっておりますので、ただいまの時点で何年で完成させるというようなことはちょっとお答えできない次第でございます。
  373. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 総裁も忙しいようですから、総裁には要望にしておきますが、東北新幹線が青森まで開通した時点には、スーパー「やまびこ」の停車駅陳情運動のような、地域住民にある過大な期待をかけて騒がせることのないように、スーパー「やまびこ」は私たちの要望に対応するようにさせまして――先例がありますから、東海道新幹線の「ひかり」のような形態をイメージに持っているわけですが、北海道その他北の方々を中央に運ぶための路線は、やはり青森、仙台、東京を通すんだ、そういうはっきりした姿勢をいつも打ち出しておいてもらいませんと、私たちの方の運動その他を見ましても、これは大変な住民運動でございます。新聞を見てもわかりますが「一ノ関駅を利用している五人の国会議員が〃停車が実現しないとお国入りできない〃という状況をつくり出すつもりです」なんというような活発な記事も出るほどハッスルしているわけです。五人の国会議員といいましても、大半が与党議員でございますが、その点、こういうハッスルぶりの住民運動を起こすことのないような配慮をお願いしたい、こう思うわけです。時間がないようですから、総裁にはこれで質問を打ち切ります。  なお、総裁には、先ほど答弁いただきました経済性の面での配慮で一ノ関駅に停車の可能性もあるということをしかと御記憶いただきたいと思います。  次に、山下運輸大臣に御質問申し上げます。  実は私、二十年前に北欧の方に農業の勉強に行っていたわけでございますが、その際、欧州を回ってみたりいたしまして、当時ヨーロッパにおきましてはモータリゼーションが進み、鉄道の支線がどんどん廃止になっておりました。その後、帰ってきまして、私、一地方自治体の首長にもなったのですが、これからのモータリゼーションは鉄道まで食ってしまうのじゃないか。現にヨーロッパがそうなっているので、鉄道もトランスポーテーションの一手段にすぎないなら、日本のこの鉄道、殊に支線問題もこういうモータリゼーションの方向でこれを代替していくことを考えるべきだということを主張してきたのですが、なかなかこういう案が取り上げられませんでした。これも一つ時代の流れでもありましょうが、まだ文明開化の象徴というのは鉄道とか電信柱というのをイメージにしております。ですから、これはやはり住民が悪いのではなくて、むしろ外国をも調査なんかしている国会議員が指導性を持つべきだ、こういうふうに考えていたわけでございます。  現に、私たちの方におきましても、支線が敷設されてから数年で赤字で廃止路線の俎上にのるような、そういうぶざまなことも起きているわけでございます。そこでモータリゼーション時代にこれと競合できない鉄道の在来線、殊に支線は、やはり道路を整備してバス輸送に切りかえる方針と計画を鮮明に打ち出すべきじゃないか、こう思うわけでございます。第三セクターということもあり、岩手県では一応成功はしたのでございますが、しかし、将来のモータリゼーションのこれからの発展を考えますと、これは非常に不安要素を含んでいるわけでございます。この点に対する大臣の御所見をお伺いしたいと思うわけでございます。
  374. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 これからの新しい交通体系につきましての御意見、私もごもっともと賛意を表するものでございます。同時に、何かこれからの運輸省の行わんとする新しい交通体系の指導について御助言をいただいたような感じで、大変感謝申し上げる次第でございます。  今御指摘のとおりでございまして、今日まで鉄道の特性を生かせないまま長いこと、放置という言葉はどうかわかりませんけれども、現状維持できたところに一つ問題があるということで、移り行くモータリゼーションの推移にっきましては、これは対応しなければならぬ。その対応というものが複合化する新しい体系であり、それはバスであり、航空であり、船舶でありいろいろな問題であろうと思います。そういう意味におきまして、路上交通におきましては、これからバスがさらに多く新しい路線等を開発しながら張りめぐらされることが一つの新しい体系であろうと思っておりますし、そのようにまた現在進めつつあるし、今後も私どもはそのように指導してまいりたいと思います。
  375. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 今回、東北新幹線にも北陸新幹線同様に五十億円ずつの予算化がされたわけでございます。一応盛岡以北着工のゴーサインが出、これが青森まで完成することは、これは既定の事実ということになったわけでございますが、その完成、完了時後に在来線の東北本線はどうなるのか。一部では赤字がこのまま増大するようだと廃止もやむなしという声もちらほら語っている方もあるようでございますが、このことについて、ひとっこの対応に対する御所見をお伺いしたい、こう思うわけでございます。
  376. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生御承知のように、来年度とりあえず五十億の予算を計上し、建設着手するということを決めました際に、そのような整備新幹線建設いたしますと、並行在来線の収支が大幅に悪くなる、その結果、国鉄に大きな負担になるのではないか、こういうことで政府と与党との間の了解によりまして、建設着手するに当たっては所要の立法措置を講じて、並行在来線廃止を決定する、こういうことを決めたわけでございます。ただ、その具体的内容、どういうふうなものが並行在来線なのか、どういうふうなステップでこれを行うのか、そういう問題については今後事務的に詰める、こういうことになっておりますので、今の時点で東北新幹線の全通後、盛岡-青森間の東北本線をどういうふうにするかというようなことは、まだ具体的には決めていないということでございます。
  377. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 並行在来線は、結局東北本線にしろ、ローカル線的な地方の通勤輸送に現在利用されているわけでございますので、私は廃止がどうのこうのじゃなくして、これに対応できるところの、いわゆるモータリゼーションで対応するならモータリゼーションで対応するところの対策を同時に進めていかないと、その時点になって地域住民に不要不測の動揺を起こさせるようなことになるのではないか。だから、それに代替できるところの計画というものを今のうちから策定していかないと手おくれだということで、私はこのことを要求しているわけでございます。  そこで、このようになりますと、運輸省単独では到底対応ができないわけでございますから、やはり建設省等あるいは政府が責任を持ってこのプラン作成に当たるべきだ、こう思うわけでございます。このことにつきまして大臣のひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
  378. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、並行在来線廃止というものの取り扱いにつきましては、今後詰めることになっておりますが、いずれにいたしましても、東北新幹線が全通、青森まで行きますまでにはまだかなりの日時があるわけでございまして、その開通の後の、先生おっしゃるように、新しい交通体系、これは既に現在の東北新幹線の開通部分についても、従来の交通と違った体系がだんだんでき上がりつつある、新幹線の駅を中心にした新しい駅勢圏というものができて、だんだんそれに合った交通の体系に変わりつつあると私ども思います。そういうふうなものを十分参考にしながら開通までの間に新しい交通体系を考えていく、先生御指摘のように、単に運輸行政の面からのみでなく政府全体の立場で考えていくべきだ、かように存じております。
  379. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 ぜひそのことをお願いしたいと思うわけでございます。  ついては、こういう将来モータリゼーション化の必至なことが予測される時点に、先般の新聞紙上に国鉄バス部門の分離ということがニュースになっておりました。国鉄再建監理委員会意見でこれが公式に打ち出されたようになっております。今私はちょっと概算いたしましても、一列車走らせるあの費用で五、六台ぐらいのワンマンバスは走らせられるのではないか。またヨーロッパの事情からいたしまして、二車線あるいは四車線の道路が鉄道を廃止してそれにかわる交通路線として整備されますと、かえって鉄道で輸送できない巨大な荷物、それから重量物あるいは容積の大きいものもトレーラーバスでこれが簡単に戸口から戸口まで輸送できているわけでございますから、ひとつそういう交通網路線、それからモータリゼーション化になぜ積極的に国鉄の持っている国鉄バスを活用することに計画を立てないのか。ちょっとこういう時代にこの部門を切り離してしまうことはおかしいんじゃないか、こう思うわけでございます。このことについての御意見をお伺いいたします。
  380. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 せんだって新聞に載りました国鉄のバス部門の分離の話というのは、先生御指摘のように監理委員会がそういうふうに答申すると決めたということではないと承っております。分離したらどうだろうかということで御議論が行われ、検討が進められておる、こういうことだと思います。  そういう前提で考えてみますと、国鉄バスというのは、今全国一本の国鉄バスとして運用されておりますけれども、実態的には各営業所単位の営業が行われておるわけでございまして、また私鉄等の例を見ましても、鉄道会社が必ずしもバス部門を直営はしていない。子会社として持つとか関連会社として持つという形の持ち方もあるということもございまして、国鉄の将来的な管理能力の限界からいって、極力切り離せるものは切り離した方がいいという観点から考えますと、必ずも直営のバス部門として持つというよりも、関連会社とかそういう形も検討すべきではないかという意味での御検討がなされているやに聞いております。したがいまして、私どももそれもまた一つの考え方であると思います。  また、先生ただいまお話しのように、鉄道とバスというのは密接不可分な点もございます。そういう意味で、直営というのも一つの考えですし、いろいろな面からの検討がこれから行われるべきだと考えております。
  381. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 いずれにいたしましても、在来路線の交通体系は、これは地域住民にとっての一つの既得権でございますから、将来こういう在来線がモータリゼーション化していく際に廃止になるとしても、これに代替できるところのトランスポーテーションの確かな確立ができないうちは、やはりどんな赤字路線であっても廃止していってはいかぬ。これを廃止するならば、これにかわるものを早急に政府また運輸省が、国鉄が責任を持っていわゆる代替を実現していくべきだ、これは私の強い意見でもあり、また要望でもございます。  この点を申し上げまして、一応質問を終わります。
  382. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に、小谷輝二君。
  383. 小谷輝二

    小谷分科員 最初に、国鉄関西線の湊町駅周辺整備のことにつきましてお尋ねをしたいと思います。  この湊町駅周辺は、大阪市の南部の玄関口とも言われる中心地の難波に接近した地域でございまして、今地元ではこの再開発が非常に大きく期待されておるところでございます。この駅地区、ここは昭和二十二年に区画整理事業が開始されておりまして、今日まで三十八年経過しておるわけでございますが、四十三年に湊町駅地区、このように区画整理事業が認証事業として採択されておりますが、その後今日まで一向に事業は進んでいないようでありますが、現在とのような状況になっておるのか、お答えいただきたいと思います。
  384. 岡田宏

    岡田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のございましたように、昭和二十二年に区画整理事業が行われたわけでございますが、当時の区画整理事業で国鉄が仮換地を受けました地域の中で不法占拠をしておられる方たちがございまして、そういった問題の解決が大変長引いております。そういったことから、今お話しございました四十二年の時点におきまして、今宮に近い地区に湊町の貨物駅を移すという計画で、もう一遍先ほどの二十二年の区画整理の換地計画を見直しするといった意味での区画整理の変更が行われたわけでございますが、この当該の今宮に近い貨物地区の用地を市がお買い上げになりまして、それで国鉄と換地をするという計画になっておったのでございますけれども、そこの土地の用地買収が思ったような形では進みませんで、そういったことから区画整理全体の事業が進捗をしなかったということでございます。
  385. 小谷輝二

    小谷分科員 湊町駅の貨物の取り扱いの廃止が五十九年に決まって発表されておりますが、これもあわせてこの跡地利用はどのようにお考えになっておるか。
  386. 岡田宏

    岡田説明員 湊町駅は現在旅客と貨物を取り扱っておりますが、六十年三月のダイヤ改正におきまして、貨物取り扱いを廃止するということを決めたわけでございます。これに基づきまして、今御指摘のございました一とんざを来しておりました区画整理事業を今後どのように進めていくか、またこの地区を周辺地区を含めましてどのような使い方をしていくかということを検討いたしますために、大阪市の関係部局の方と国鉄関係部局の者が集まりまして、湊町駅周辺地区整備計画調整会議というものを五十九年十月に設置をいたしまして、今申し上げましたような点につきまして検討を進めるということにしたところでございます。
  387. 小谷輝二

    小谷分科員 五十九年十月に今おっしゃいました駅周辺地区整備計画調整会議設置されて、第一回目の会合をされたと聞いておりますけれども、これはどのような期間と時期をめどに進められていくのか。現在のところ我々としましても、青写真的なことは地元としても全く聞いておらぬわけでございますけれども、まず国鉄の意向が中心になって、それに地元の大阪市の方は検討を加えて意向を申し上げていきたい、こういうふうな話を地元では言っておるわけでありますけれども、国鉄の意向をまず示してもらいたい、こういう考え方が強いようでございますが、これはいかがでございますか。
  388. 岡田宏

    岡田説明員 この地区は、何分にも先生御指摘ございましたように、大阪の都心地区におきまして用地といたしましては非常に貴重な用地でございます。それから湊町駅が全部廃止になるということじゃなしに、旅客駅としては残るわけでございます。それと天王寺の方から湊町の旅客駅を結ぶ線協につきまして、かつて高架化事業の計画もごさいました。それを高架化事業のままにするかあるいは大阪市におきます他の交通網計画との調整をとりながら、例えば地下にするかというような問題もございます。  そういったもろもろの問題も含めながらこの調整会議の中で不案をつくりましてたたき台をつくっていこうということで、ただ、取り上げております事柄が何分にも非常に幅広い事柄でございますので、それとまた会議設置いたしましたのが五十九年十月ということでございますので、現在の時点ではっきりした結論が出ておりませんが、いずれにいたしましても、国鉄といたしましては、貨物取り扱いを廃止するということは決定をしたわけでございますので、今後地元の方々の御意見もよくお伺いしながら、財政の再建に寄与する観点から、また都市の整備にも役立つようにということから利用計画を詰めてまいりたいと考えているところでございます。
  389. 小谷輝二

    小谷分科員 よくわかるのですが、この地域は大阪の都心の南部に当たりまして、関西新国際空港ともいろいろ関連がある地域でございますから、これにあわせて計画も促進してもらわなければならないと思うわけです。先ほどお尋ねしておりますのは青写真のめどですが、これはいかがでしょう。
  390. 岡田宏

    岡田説明員 現在、まだいつごろまでにはっきりした計画ができるというめどを立てられる段階になっておりませんが、今の空港に絡めまして、例えばシティー・エア・ターミナルのようなものをこの地につくりたいという御希望が大阪市の地元の方にもあることは十分承知いたしておりますし、そういった御要望も含めてなるべく早急に検討して結論を得たいと考えております。
  391. 小谷輝二

    小谷分科員 いずれにしましても、今シティーエア・ターミナルの計画もありますし、候補地にもなっておりますし、地元のニーズにかなった再開発の促進を図っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。それから次に、関西国際空港関連のアクセス並びに施設について質問したいと思いますが、大臣初め運輸省の皆さん方には、関西国際空港の建設促進について、地元の大きな期待にこたえて鋭意努力していただくことにつきまして敬意を表する次第でございます。  関西国際空港は、大阪の南部の方にございまして、現状におきましてはアクセス面では非常に不便なところにございます。したがって、東海道、山陽の国土軸とでもいいますか、新幹線の新大阪駅と空港を結ぶアクセスが最も必要であり、また検討されておることと思いますけれども、ます第一点は、新大阪-梅田、さらに在来線国鉄環状線に乗りかえて、そこから天王寺、天王寺から阪和線、そして阪和線の日根野駅から前島-空港ターミナル、こういうような路線が一時報道されておりますけれども、これは経費も非常に少なくて、在来線を活用できるということで、我々にとっても一つの案としては非常にいいのではなかろうかという意見も持っているわけでございますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  392. 西村康雄

    ○西村政府委員 今のお話でございますが、関西国際空港が本当に関西の名に恥じないようにその機能を生かすためには、関西全域と結ぶ、関西のかなめである新大阪から空港へ直結することが何より肝心でございまして、こうすれば関西全域とのつながりが非常に容易になるということは御指摘のとおりでございます。私どもそういう観点から、今お話のありました路線に従って国鉄の列車を直通で関西空港まで乗り入れてもらうという計画をぜひ具体化したいと考えております。今の路線につきましては、国鉄ともお話をし、具体的に北の方はそういう形でまずやろうということにしているわけでございます。全体としては、この計画を今後何とかして具体化したいということで今検討している次第でございます。
  393. 小谷輝二

    小谷分科員 経費も今のところでは細かいのは別としまして、二十億前後でできるのではなかろうかということですが、これはいかがですか。
  394. 岡田宏

    岡田説明員 今先生が二十億ぐらいとおっしゃいましたのは、恐らく国鉄部分、すなわちどこかで阪和線に取りつけていただく――日根野で取りつけていただくといたしますと、その日根野から阪和線で天王寺に参りまして、天王寺から環状線に乗りまして西九条へ参りまして、西九条から貨物線で梅田を経由して新大阪へ入るという計画国鉄部内では具体的にいろいろ検討いたしております。これにも若干の工事費がかかります。例えば天王寺の駅におきまして現在阪和線は高架に入っておりますから、それを環状線に乗せるようなことをしなければいけないという一例を申し上げた数字がございますが、それに要する工事費が三十億弱くらいではないかというあらあらの見当をつけているところでございます。これには空港のターミナルと阪和線とを結ぶ鉄道を建設するのに要する工事費は入っていないということでございます。それらの点につきましては、今運輸省の御指導も得ながらどういう形でどういう事業体でどういう経営をしていくのかということを御相談申し上げるという段階でございます。
  395. 西村康雄

    ○西村政府委員 今の路線のうち日根野から空港までの間でございますが、ここがこれから具体的に直通列車を運行するという点で一番問題になる区間でございます。本来、今申し上げましたように、国鉄の列車運行ということでございますから、この区間も当然国鉄工事していただく、国鉄線として整備していただくことが最も望ましいことでございますし、できるだけそのようなことを私ども希望している次第でございます。ただ、現実の問題としまして、現在は国鉄再建ということで国鉄を今後どうするかということが問題になっていますし、また、そのような額の投資をこの時点で予定することにもなかなか難しい問題があるということでございます。  これから空港ができますまでに若干の時間がありますが、何とか関係者の中で知恵を出して、この区間建設を空港開港時に間に合わせるようにやっていかなければならぬ。ちょうど一緒に空港へ入ってまいります道路は都市計画ということでこれから決めようという段階でございます。この時期を外して別々にやることになると非常に割高なことになります。そういう点ではできるだけ早く工事の考え方を決めて、その建設も考えてやっていくということでございますが、いずれにせよ、直通列車の運行でございますから、この路線の経営をするところが将来ともそれを責任を持って経営するという形が基本の考え方で、それまでの間どうやってうまいことやっていくかということを一つの工夫としてこれから我々考えていきたいということでございます。
  396. 小谷輝二

    小谷分科員 現在、国鉄再建監理委員会の意向も十分組み入れて進めなければならぬ事情はわかるわけでございますけれども、この件については監理委員会の意向はどうなんですか。
  397. 西村康雄

    ○西村政府委員 まだ具体的にこの路線についてどうだということを聞くような段階でないということで聞いておりません。ただ、この投資をいたしますと、二百億前後の金額になろうかと思いますが、現状では直ちにこれだけの投資をするような余裕と申しますか、そういうことは非常に考えにくいことなので、実際にどういう形でどういうふうに処理したら一番いいかということを今研究中でございます。
  398. 小谷輝二

    小谷分科員 阪和線の日根野駅から前島-空港ターミナル、これは国鉄の方では新線部門ですから免許の申請がかなりかかるのじゃなかろうかとも考えられるわけですけれども、さらにこれの計画決定をしなければならぬ。この経過から見ましたら余り余裕がないんじゃなかろうか、このようにも考えられるわけですけれども、ここらの準備は今どのように進めておられますか。
  399. 西村康雄

    ○西村政府委員 さしあたって、時間的に一番急ぎますのは都市計画の中へ入れるということでございます。地方鉄道として準備をするということになりますと、地方鉄道の免許という問題が出てまいります。未来永劫地方鉄道ということではなくて、一つのやり方として、とりあえず鉄道を敷設するのに地方鉄道という形で敷設をしておくというのも一つのやり方ではあるわけで、そうすれば、その場合は免許ということの手続は必要になるということでございますし、その他の国鉄の新線ということでやれば、それはそれの手続でやるということになるわけですが、今の段階では国鉄の新線ということでやるような運びを考えるのは非常に難しい状況でございます。したがいまして、どんな工夫ができるか、今研究を急いでやる。ただ、全体としては都市計画の中には早く考えを入れておきたいというふうに思っております。
  400. 小谷輝二

    小谷分科員 国鉄でやることが難しいということになれば、例えば空港株式会社がとりあえず免許申請をするとか、またそれに基づいて都市計画決定、これを進める、こういうことですか。
  401. 西村康雄

    ○西村政府委員 厳密に申しまして、都市計画決定と事業主体をどうするかということの前後は必ずしもはっきりはしておりません。事業主体を決めないまま都市計画で路線を決めることも可能でございますので、一応はそういう方向で進めたらいかがかと考えております。
  402. 小谷輝二

    小谷分科員 もう一つのアクセスとしまして、地元大阪市あたりで非常に陳情等が出ております新大阪から梅田、在来の貨物線で梅田駅まで通して、梅田から、大阪市内の中心道路で一番大きい幹線道路として難波筋というのがあるわけですけれども、この難波筋を地下に入れて、そして南海本線の岸ノ里、それから泉佐野、それからターミナル、こういう計画、これは南海電車から見ますれば、和歌山から即新大阪まで乗り入れるということについては非常に魅力もあるわけですし、特に現在岸ノ里から汐見橋まで在来線が南海本線はございます。ただし、これは全く支線に等しい状況でありまして、乗客も少ないわけでございますが、ここに上げれば、この線の活性化、またこの地域の一つの整備にも大きく変化があり、また期待されているところでありますけれども、この計画についてはいかがでしょうか。
  403. 服部経治

    ○服部政府委員 先生御承知のように、新関西空港の鉄道アクセスといたしましては、国鉄の阪和線のほかに南海本線の乗り入れが予想されるといいますか予定されるといいますか、そういう方向で具体的な検討が進んでおる段階でございます。これらの構想と相前後する形で大阪市当局の方から、今先生具体的に御指摘のございましたいわゆる難波筋新線というような構想が非常に強い要望の形で私どもの方に上がっております。私どもといたしましては、こういった新関西空港と国鉄の新大阪駅を結ぶことの有用性についてはよく理解できるところでございますけれども、この難波筋新線と申しますのは、同時に大阪市の中心部を循環して通ります都市鉄道としての性格も当然のことながらあわせ持つわけでございまして、いずれにいたしましても、現在話題に上りかかってきております大阪地区につきましての都交審の十三号答申、これの見直しの問題とも密接な関連を持つことになりますので、そういった関連を踏まえまして今後検討していくことが必要な問題だというふうに認識しているところでございます。
  404. 小谷輝二

    小谷分科員 次に、空港機能を高めるためにシティー・エア、ターミナル、これの建設は必要であろうと思いますし、成田の場合も東京都内の玄関口として箱崎にあるわけですけれども、こういうふうな形のものがぜひとも必要であるということで、いろいろ候補地が検討されておるようでございますが、これは交通条件、また空港旅客のサービスというふうないろいろな条件が適さなければならぬところでございますから、候補地としては、新大阪とか梅田とか難波、先ほどの湊町、また阿倍野、こういうふうに言われておるわけでございますけれども、要するに、この候補地の決定等についてはいつごろをめどに進められる予定なんですか。これはいかがでしょうか。
  405. 西村康雄

    ○西村政府委員 今おっしゃったCATというのが非常に空港の利用のために有効だというのはお話のとおりでございまして、関係航空事業者あるいは旅客の輸送機器事業者等関係者ともCATをぜひ有効な場所につくりたいということでございますし、また大阪府、大阪市もそういうことで非常に注目をしている。ただ、実際にCATをいつまでにどうしなければならないということを、空港の本体の決定と時期をびたっと決めてやらなければいけないというものだとは考えておりません。CATというのはそれぞれの地域で一番便利なところにつくるということでございますので、そういった場所の問題、適地の問題も、もちろん具体的に用地その他の問題もございますし、あるいは関係者はどういう人がどういうふうに運用するかというような点も含めまして、これから広く関係者の意向調整ということで入っていきたいということで、運輸省といたしますと、近畿の運輸局を中心にそういった問題に今取り組んでいるわけでございます。
  406. 小谷輝二

    小谷分科員 もう一つ、航空貨物輸送のシステムの合理化といいますか航空貨物基地、これを荷物の発着地に最も近いところに重要な基地として建設されることが必要であろうかと思います。したがって、この基地については、今どのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
  407. 西村康雄

    ○西村政府委員 いわゆるACCTと申しますか、その施設が空港にとって、これはどうしても実際に飛行機に積むためには、航空貨物としての荷姿で取りまとめておく必要があるわけでございます。また実際に航空貨物というのは混載で出てくるものが多いということになりますと、どうしても航空貨物として仕立てる場所というのが必要なわけですが、それが空港に近い場所であることも必要ですが、同時に早い段階でそういうものにまとめることが、市内でやることがまた事業者にとって便利だという場合もあろうかと思いますが、いずれにしましても、航空貨物自身の扱いというのは、各貨物事業者がそれぞれのシステムの中で最も便利な形でやればいいわけで、ACCTそのものとしてはどこでなければならないということはないんで、単一の事業者が自分の手蔵としてのACCTをおつくりになることも結構だし、複数の事業者が連合しておつくりになることもいいということでございます。ただ問題は、通関との関連のある場所になりますと、これは空港機能そのものと直結いたします。現在、成田の場合に原木というところに別にございますが、それが円滑に動いているかどうかという点になりますと、かなりいろいろな問題があるのも御承知のとおりだと思います。したがいまして、通関との関係のある施設としてどうするかということになりますと、できるだけ空港機能に密着した形で整備していくことが望ましい。そういう意味では、現在の大阪湾の南岸の整備構想を大阪府がお持ちになる、いわゆる前島についてお持ちになっているのをまず機軸として考えていくということがその方向ではないかと考えているわけですが、いずれにしましても、これも地元関係者で将来にとって遺憾がないような形で十分討議をした上で計画を煮詰めていくということを期待しているわけでございます。
  408. 小谷輝二

    小谷分科員 前島もこの構想の基地の一つであろうと思いますけれども、あわせて大阪市内の南部にあります南港、これは税関、検疫、このような機関も現在整っておるわけですし、また上屋とかトラックターミナル、フェリーターミナル等あらゆる荷物の集積状況、また環境は、現在そのものが活用できるような状況にもあるわけですから、大阪市の方はここに候補地として、用地として約十ヘクタール準備もしておるというように承っておるわけでございます。まだ拡張の余地も持っておるようでございます。十分御検討いただきたい、このように思います。  以上で質問を終わります。
  409. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて小谷輝二君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。
  410. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 私は、国鉄問題について運輸大臣並びに国鉄総裁に伺いたいと思います。  まず第一に、国鉄の車両検査のいろいろなやり方、体系を今度変えるという問題です。周期の延伸、それから特に台車検査は三月三十一日から廃止するというわけでありますが、どうしてこういうことをやるのでしょうか。
  411. 坂田浩一

    ○坂田説明員 国鉄は現在、全社挙げて効率化に取り組んでいるところでございます。車両の保守につきましては、安全性の確保を図るためにかねてから、先ほど先生がおっしゃられましたように、検査程度の異なる数種類の検査の種別をあらかじめ定めまして、これを一定の周期で組み合わせて実施しておるところでございます。  現在の検査体系及び周期につきましては、昭和四十五年に車両構造の新性能化を背景といたしまして従来のものと変更して以来、いわゆる新しい検査方式ということを定めまして今日十五年を経過しているところでございます。この間、検査技術なりあるいは車両の構造なりいろいろな面の進歩と、それから今回もそういった中で安全の確保を前提としましていかに効率的な検査体系にするかということで、今回の車両検査周期の設定に当たりましては、日常行っております車両故障の内容の詳細なる分析のほかに、これまでに起きました車両故障のデータにつきまして故障発生時の統計的な分析を行うとともに、先ほど申しました各種別ごとの検査時の検査の部品その他各機器の損耗状況、いわゆる摩耗状況なり損傷状況なりそういったことを詳細に分析いたしまして、その可能性の検討を進めてまいりました。  その結果、車両検査につきましては、定期検査後の時間及び走行キロの経過とともにその発生は減少または横ばいとなってきておるところでございます。一方、部品の摩耗の劣化による故障の生ずる機器につきましては、検査時の修繕状況から判断いたしましてその耐用寿命を推定いたしまして、各検査ごとにそれぞれ耐用できる期間を考慮して周期を設定して予防的に保守し得るというふうに判断しまして、今回の検査の延伸を図ったところでございます。
  412. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 いや、私、聞いておるのは、安全第一か、それとも人減らし第一か、今度どっちでやるのかということを聞いておるわけなんですけれども、そのことは後でいろいろ事実を出していきます。  これで、特に何人くらい余剰人員が生まれるわけですか。
  413. 坂田浩一

    ○坂田説明員 一応五千人程度の合理化を考えておるところでございます。
  414. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 わかりました。  今回の措置は、昨年六月二十八日付運輸大臣承認を受けております。手元に文書があります。この中に、これは運輸省の鉄道監督局国有鉄道部長名で、「承認について」という文書がありますけれども、「車両の検査周期の延伸により重大な支障が発生し、又は発生するおそれがあると認められるときは、直ちに承認の全部又は一部を取消されることがあることを了知されたい。」と書いてあります。これは重大な支障が起こってしまってからでは遅いのではないですか。これは運輸大臣にお願いします。
  415. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生御指摘のように、昨年の六月二十八日付で大臣承認いたします際に、国鉄部長名で文書を出しております。実は、これは昭和四十五年の承認のときも同じ文書が出ておるわけであります。  それは、理由といたしましては、国有鉄道運転規則に定めてあるわけでございますけれども、運輸大臣承認を受けた場合にはそれによらないということで、特例承認の形でこれをやっておりますので、もし基本的に何か問題が起きた場合には、改めて国鉄から特別承認の申請を出させてこれを変更するということではなくて、一方的に、もし問題があったら変更できるよ、こういう念のための規定でございます。基本的には承認でございますから、行政行為としてもし何か問題があったら取り消しはできると思いますけれども、念のため、そういう事態があった場合を想定して書いてある文書でございます。
  416. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 なるほど、前回の文書にもあります。私も見てまいりました。しかし、前回も一つ国電の事故がありまして、たしか三〇一系ですか、ねじり軸たわみつり手というのがぼんと床を破って天井を貫くようなことがあって、それについては特認というのを取り消したことがありましたね。  それで、前回あろうがなかろうがということにもなるのですが、私、今度の文書、前回と比べて非常に気になるのです。何が書いてあるかといいますと、そもそも国鉄の方で申請の中に、さっき言ったように周期を思い切って延伸する、それから台車検査も廃止してしまう。そうでしょう。そういうことをやった上に、これに対して運輸省の側は何と書いてあるかと思うと、「車両及び検修施設の改善等新たな設備投資を行わないことを前提として、」もっと作業能率を高めなさいということが書いてあるわけですね、これを見ますと。前の文書にはこんなのはないですよね。そんなことは書いてない。国鉄が出す今度の申請そのものが、台車検査なんかをもうやめてしまえというのでかなり無理があるその上に、運輸省は、もう安全のための設備投資はだめですよ、しかしともかく人減らしはもっとやりなさいというのですから、さっき言った安全第一なのか人減らし第一なのかという疑問は当然出てくるわけなのであります。  そこでもう一つ、この点で伺いますけれども、特に台車検査廃止の問題で、一体台車検査というのはどういうことをやっているんだろうか、私いろいろ調べてまいりました。これはモーターを積んだ車についてだけ行うものでありますけれども、上の車体を外してしまって、そして車輪とかモーターを一つ一つ分けてやって、大体十二カ月に一回やったわけですね。それで、工場内でやる要部検査が、これまでは大体二十四カ月以内、それから全般検査が四十八カ月以内ということです。今度は、さっき言った十二カ月以内でやる台車検査は廃止、そして、工場内でやる要部検査二十四カ月以内が三十六カ月以内に、全般検査四十八カ月以内が七十二カ月以内ということでありますから、台車検査は廃止してしまって、今度検査を受けられるのは三十六カ月以内ですから、三年という周期になるわけですね。一年の周期が三年になってしまうわけです。  先ほどいろいろデータがあると言いましたけれども、私は、例えば三鷹電車区とか中野とか豊田とかその他の資料を調べました。ここ一年、二年の資料を調べてまいりました。しかし、これも全部挙げたらなかなか大変でありますので、特に三鷹電車区の五十八年度分、五十九年度分について見ますと、例えば五十八年度で、百三十一台について、モーター関係で指摘されたことが三百七件、車輪、台枠関係で指摘されたのが二百二十四件、これは相当な数ですね。特に、車輪関係で一番怖いのは車輪直径差、左右の直径がだんだん違ってくる。これは一対の場合は一ミリ超えたらかえなければいけないとか、いろいろあります。それが五十八年度のさっき言った百三十一台の中で八件あった。それから、車輪踏み面フラットというのも、これもひどくなると怖いのですが、四件あった。  五十九年度は、これはまだ三月まででない、二月までのデータでありますが、九十一台でモーター関係が六十一件、車輪、台枠関係が百三十六件。さっき言いました一番怖いと言われる車輪直径差は十一件。九十一台中ですよ。それから車輪の踏み面フラットは三件、それからフランジ直摩、端の出たところがどんどん減っていく、これも六件あった。これは、一年周期の検査でこれだけ出てくるのに、三年もの周期になっていいのですか。非常にこれは危険なことだと思います。
  417. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ただいま先生の御指摘のあった件でございますが、今先生おっしゃった特に台車あるいは車輪あるいは主電動機といった分野につきましては、走行キロによる劣化というのに原因しているということでございます。  今回の検査周期の延伸につきましては、先ほど御説明いたしましたように、いわゆる月数、年数、そういった分野について周期の延伸を図ったものでございます。したがいまして、いわゆる従来タイムということでございますが、そういったタイムに起因するというところは、主として車体の外板塗装でございますとか、あるいはゴムとかパイプとか、あるいはそういった床敷物とか、そういった分野が大半でございます。  一方、先ほど先生も御指摘ございましたが、電車は一編成の中で、いわゆる主電動機を持った動力車と、それから一緒に一編成の中に四両程度、六M四Tと称しておりますが、付随車がペアで走っておるわけであります。付随車につきましては、台車検査を現在行っておりません。したがいまして、それの違いは何かといいますと、先ほど先生おっしゃいましたように、主電動機等のところが違ってくるという結果になるわけであります。したがいまして、今回の周期延伸に対しましては、トレーラーと一緒の台車は同じ回帰になったというふうに御理解賜りたい。  と同時に、主電動機につきましてもいろいろ御指摘がございましたが、私どもの分析結果によりますと、やはり整流子面のブラッシとかあるいは軸受けの給油部門といったような分野でございまして、最近の技術なりそういった面で十分カバーし得るというふうに考えていますし、車輪のフラットにつきましては、回帰と直接に関係なくフラットが起きるというふうに考えられますので、これはそれなりに研削盤なりあるいはその部分だけ別に取りかえるというような形で対処することによって、十分安全は確保できるというふうに現在判断いたしております。
  418. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 全く今の説明はわけがわからないですよ。要するに、一年でやっていたのが今度は三年になるわけでしょう。その点はそうでしょう。三十六カ月以内でしょう。だから、それはいいですよ、そのことは全体なんですから。それならばさっき言った、ブラッシとかなんとか言いましたけれども、私は車輪の直径差とかもっと重大なことを聞いているわけでしょう。一年の周期の検査でもこれだけ出る。それで、台車検査のときだったら、きれいに直径を全部そろえるとか、そういうことをこれまではやるわけでしょう。これをやるからいろいろ安全だったのを、三年も延ばすということになるわけだから、これは重大問題です。  では、モーター関係でも私は伺いますけれども、それならば、私が聞きたいのは、ことしの二月二十日九時五十九分、東京南局京浜東北線で発生した事故は一体どういう事故か、説明していただきたいと思うのです。
  419. 坂田浩一

    ○坂田説明員 ちょっと今、その何月何日の件について、調べさせていただきたいと思います。
  420. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 こんな重要な事故がこの場で答えられないということは、非常に大事なんです。  私は、この検査結果を持ってきております。これはどこが重要かといいますと、この車は全般検査が五十九年二月二十七日、大井工場です。したがって、ことしの二月二十日というのは、台車検査の寸前の事故ですね。それで、これはM一〇三-五六三号、浜松町駅発車の際、前から三両目付近で異音がするとの連絡を受けて、それで原因が判明しなかった。その後、いろいろ省きますけれども、M一〇三-五六三号車ナンバー二のモーターの側板損傷を発見し、そして回送して蒲田打ち切り入区をしたという事故であります。  それで、原因について何と言われているのか。ねじり軸とねじり軸継ぎ手の差し込み部分、これはモーターから動力を続ける一番大事な部分ですね、これが継ぎ手から抜け出してしまったんですよ。そしてキーの面、キーというのはあそこの回りどめみたいな、それが剪断されてしまった。それで継ぎ手の方は空転する。それで、ねじり軸どめナット及び折り座金が脱落損失し、たわみ板のたわみにより側板のいろいろなびょうが車輪フランジと接触して破損したため側板が脱落したという事故なんです。  それでこれは、この調査をもっとしていったところが非常に驚くべきことが出てきたのは、大臣も御存じだと思いますけれども、この軸ですね、動力、これが物によると百度もねじれていたのです。そういうことがこの検査で出てきたのですよ。それで、特にこれは、M一〇三-五六三号車のねじり軸のねじれが、三番モーターでは反時計方向で百度もねじれている。  つまり、私が言いたいのは、全般検査をやってまだ台検に入っていない、寸前である、そのときにこのモーターの決定的なこういう事故が現に起きている。これは台検を三年も延ばしたら一体どうなるのですかということなので、これこそ極めて重大な事故ではありませんか。これはまさに、以前の例の特認が出された後、床を突き破るようなことにはならなかったかもしれないけれども、重大な事故ではありませんか。なぜこれがすぐに答えられないのですか。
  421. 坂田浩一

    ○坂田説明員 二月二十日に発生のこの事故については承知いたしております。私もこの事故につきましていろいろ関係局と調査いたしてまいりました。  一応この事故の主原因と思われるのは、非常に車輪が空転いたしまして、空転によって逆にねじり軸の方がねじられたというふうに現在判断いたしております。先ほどおっしゃられましたねじり軸のテーパー嵌合部分と、それからキーが入っているということにつきましては御指摘のとおりでございまして、これにつきましては、ちょっと技術的で恐縮でございますが、嵌合というところできちっとやっているところでございます。いわゆる空転による異常回転力、トルクがかかってこういう事故が起きたというふうに判断いたしておりまして、この事故そのものにつきましては、検査の回帰キロと直接結びつくというふうには、私どもは今のところ判断いたしておりません。
  422. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 なぜ空転するんですか。雨が降ったときでしょう。雨が毎日降るとは限らぬけれども、降るときは降るわけでしょう。そういうときにこういう事故が起きるわけなんですが、このM一〇三-五六三について言うならば、もっとあるんですよ。去年の二月二十七日全検出場以後の主な故障歴といって、その前があるんですよ。御存じですか。これは、出てからまだ五カ月しかたってない七月十七日、主制御器R二一カム軸接触器焼損のためユニット不動及びナンバー一からナンバー八までのモーターから火が出て、それで結局、四つまでは直したけれども、五から八までは交換したのです。出てから五カ月かそこらでこういうことが起きて、それからまた一年もたたないのにこういうことが起きているわけでしょう。  それで、なぜ百度もねじれたかというときは、実はこの前歴と関係があるわけなんですね。そういう分析をしているわけですよ。この七月十七日主制御器故障時に過大な力が加わり、各ねじり軸にねじれが生じ、二月の雨の中で空転が発生して応力に耐えずということが起きたわけなんですから、本当に全般検査をやってから一年もたたないうちに二度も重大な事故を起こしている。それを、今度一年でやっていた検査をやめて三年に延ばしましょうという、こんなおかしな話はないし、それからもう一つ、これはこういう事故が現に起きているのですから、さっき言った運輸省の特認の中でもある重大問題にやはりかかわってくるんじゃないですか。これは運輸大臣、どうでしょうか。
  423. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 ただいま国鉄の方から御説明を申し上げましたように、この事故の原因というのが検査周期を延ばしたためのものであるというような明確な説明を私どもは受けておりません。今先生から御指摘のあったように、検査を受けてからそう間がない間の事故であるというお話でございましたが、検査周期の延伸ということを認めましたのは、御承知のように、最近の車両の材質とか技術とか、そういうものが昭和四十五年のころからはかなり変わっておる、それから、車両の運用方法も従来と随分変わっておるというような諸点を勘案して延伸の承認をしたものでございまして、そういう意味で、私どもは国鉄の方から、そういうことを延伸したがゆえに起こった事故であるというふうな説明を受けておりませんし、そのようにも考えておりませんので、ただいまのところはこの取り消しをするとか、そういうことの必要性はないものと考えております。
  424. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 それはへ理屈ですよ。というのは延伸はまだやってないんだから、三月三十一日からやるんだから。そうでしょう。これは二月に起きたことなんだから、確かに延伸したがゆえになんて言えないでしょう。しかし、同じことじゃないですか。だって、去年全般検査をやってから一年もたたなくて、いよいよ台車検査のときが来る、その前にこういうことが起きている、しかも二度も起きているということは、こういう三年周期にしたら何かいろいろ重大な事故が起きるのと全く同じことなのでありまして、雨の降ったのがたまたまこの日であって、これが四月の三日になるか五日になるかわかりませんよ。同じことが起きますよ。そういう問題が起きてなぜ考えないのですか。そこがあなたたちはやはり少し安全ということを考えてないのじゃないかと思いますよ。どうでしょうか。
  425. 坂田浩一

    ○坂田説明員 この原因につきましては、私どもももう少し詳細に検討いたしますが、工場出場時にモーターに流れる電流、いわゆる限流値と称しているこの調整が必ずしも十分でなかったというふうに判断しているわけであります。したがいまして、いわばそういう面では工場における全般検査に若干問題があったのではないか、かように判断しておりまして、先ほど先生御指摘のように五カ月目に起きた、それからその次起きたというのは、いずれもそういった兆候のあらわれでありまして、したがいまして、直接、しかも五カ月ぐらいで起きた、あるいは台検の直前に起きたということは、まさにそういった偶発、アクシデントというような形で起きた摩耗、いわゆる走行キロが延びたことによって起きたということと若干異質なものではないかというふうに私ども判断しております。
  426. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 そんなしどろもどろのことを言われたら、こちらもわけがわからないんですよ。だって、あなたの最初の説明は、もうこういう事故は起きなくなった、だから延ばしましたと言っているでしょう。一年たたないうちに現に起きているじゃないかということなんですよ。何ですか。だから、この原因をもっとはっきりして、これが重大なというのに当たるか当たらないか考えてほしい。少なくとも私の手元にある二月二十七日作成の故障報告によりますと、現行検査内容では予防保守が困難というふうに分類してあります。前の検査が悪かったなんて書いてありません。ですから、これは国鉄としてはっきりさせてください。  次の質問になりますけれども、では仮にこれと同じような事故が四月三日か四日に起きたとすれば、これによる重大な支障が発生したというふうに判断しますか。もし判断されないとするならば、一体どういう事故が起きたら重大な支障の発生あるいは発生するおそれがあると認めるわけですか。
  427. 坂田浩一

    ○坂田説明員 先ほども申しましたように、台車あるいは車輪が割損するとかあるいは車軸が折損するとか、そういった問題の中で統計的にといいますか、判断いたしまして、確率の中でその事故の原因について、これが明らかに走行キロによるものであるという判断をしたときにはそういうふうに判断したいと思います。現段階ではそういったことで申し上げるしかないと思います。
  428. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 だって、この前は、いわゆるねじり軸のたわみつり手というやつですか、あれがボーンといったので、車輪とかなんとかじゃなしに、やはりあれで見直さなければいけなくなったわけでしょう。特認の取り消しをやったわけでしょう。大体、モーターの継ぎ手とこれが外れちゃうなんて、極めて重大ですよ。しかも、お客さんは大変な迷惑じゃありませんか。朝のラッシュ時に電車が動かなくなって、蒲田かどっかに入ったわけでしょう。だから、なぜ台車検査するかというのは、そういう安全もありますが、それと同時に、朝のラッシュだけでなしに乗客を確実に時間どおり送るという任務、それを果たすために検査をやるんじゃないんですか。だから、こんなことぐらい大したことないなんて言われたら、国民こそ大迷惑じゃないですかね。ですから、あなたの言う重大なというのは、まさかあれじゃないですかね、だれか人が死ぬとかけがをするとか、そういうことが起きなければそれまでは見逃す、大体そういうふうに判断せざるを得ないのですが、それでいいですか。
  429. 坂田浩一

    ○坂田説明員 先ほどの三〇一の件につきましては、これは明らかに構造的に欠陥があったということで後ほど改修いたしました。したがいまして、これにつきましては特認を取り消されたのはやむを得ないかな、かように考えているところであります。  重大な影響ということで、私どもは、基本は安全で安定輸送ということを基盤にして、いかに車両故障を減らしていくかということで取り組んでいるところでございます。その中で、原因について、先ほどから何回か申し上げておりますが、走行キロに起因する問題なのか、あるいは材質に起因する問題なのか、あるいは構造に起因する問題なのか、そういったことを詳細に検討した上で、逆に回帰キロに関係するとすれば、それは改めなければならぬ、あるいは改良しなければならぬ、こういうことでございます。
  430. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 今みたいな答弁だったら、私たちもう安心して車に乗れなくなってしまいますよ。ともかくさっき言いましたように、各電車区のこれまでの台車検査でも、車輪の直径差がどんどんこれだけ多く出るということもありますし、モーター関係でも一年たたないうちにこんなにひどい事故が起きる。しかも、構造とかなんとかいったって、同じような車がいっぱい走っているわけでしょう。同じようなモーターを使っているわけでしょう。三菱電機のモーターでしょう。そういうことがあるわけですから、運輸大臣、今度の、特にことしに起きましたところのM一〇三-五六三号の事故について運輸省としても真剣に検討して、これからの車両の検査のあり方がこのままでいいかどうか、ぜひ検討していただきたい。  それと同時に、いろいろな検査がありますけれども、特に台車検査について実際どういう結果になっているのか。これは国鉄に任せるのではなしに、運輸省としても、こういう大臣の認可を出している以上、真剣に検査して検討してほしいと思いますが、いかがでしょうか。大臣、お願いします。
  431. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先ほどから先生のうんちくを傾けての御議論、私もよく承っておりましたが、結論から申し上げまして、いわゆる安全度の絶対性ということは、ここで結論を出せといったってなかなか無理なような気がいたします。日本国有鉄道の技術陣は世界に冠たるものであり、そういう面からして大丈夫と、こういうことに対してお任せせざるを得ない。したがって、安全性を無視するのか、あるいは人員整理かというような王手飛車での問題と若干違うのではないかと思っております。  例えば、御承知のとおり、去年でございましたか、私、当時は運輸委員でもございませんでしたから私の認識が若干違うかもしれませんが、少なくとも人を運ぶ乗用車の新車の検査期限を二年から三年に延ばしましたね。あるいはその他法律を改正して車体検査の期間の延長をやったと思うんですよ。ですから、そういうふうに過去の実績等にかんがみこれなら大丈夫という自信、そしてまた、例えば今度再建監理委員会からも、この国鉄の現状にかんがみ設備投資はまかりならぬよ、しかし安全については十分やりなさいということを言われているにもかかわらず、国鉄としては大丈夫とおっしゃるならば、私はお任せしていいのではないかと思っております。
  432. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 今私が大臣に伺ったことは、今度のこの事故というのはまさに二年たたないうちに起きた事故でありますから、この事故そのものを運輸省も関心を持って内容をよく調べることと、台車検査そのものはどういうことが明らかになっているのか。これを簡単に延ばしていいのか。今言ったような自動車の一般論で片づけられたらたまったものじゃない。いいですか、十両編成の満員電車だったら、国民が二千人も二千五百人も乗っているでしょう。そういう車の運転ですよ。だからそういう検討をぜひやるべきだと言っているわけですから、それに対して答弁していただきたいと思います。
  433. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生おっしゃるように、事故というものがあってはならないと私どもも思っております。したがいまして、事故につきましては、事故があるたびにその原因について十分事情を聴取し、いろいろな調査をし、そういうことが再び起こらないような対応をとるべきだということは先生のおっしゃるとおりでございまして、今後ともそういう対応をしてまいりたいというふうに考えております。  本件事故というものが、先ほども申し上げましたように、今回の延伸そのものに起因したものではないというふうに私ども判断をしておりますが、中身については十分検討して、事故の再発がないよう十分検討し、国鉄を指導してまいりたい。(工藤(晃)分科員「台車検査そのものもちょっと……」と呼ぶ)  台車検査の問題につきましては、先ほど来坂田常務理事から御説明申し上げておりますような諸般の検討の結果、現在こういうふうな特認をしたわけでございます。そういう点では私どもは問題がないというふうに考えております。
  434. 工藤晃

    工藤(晃)分科員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、何といっても台車検査前にこういうことが起きているわけですから、台車検査に問題なしというのは全く通用しない。ですから、この問題の検討をすることを強く求めまして、私の質問は終わります。
  435. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて工藤晃君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  436. 水田稔

    水田分科員 私は、本四連絡橋の岡山-香川ルートの中の岡山県側の鉄道ルートの問題についてお伺いしたいと思うのです。  一つは、海峡部の工事も陸上部の既に決まったところについても、目に見えて工事が進んでいるわけですね。ところが、新しくできる児島の駅というのは塩田の跡地ですから、市が区画整理事業をやっている。そういう点で、鉄道のルート部分はできても駅舎がどうなるか、そこの設計がどうなるかによって例えばバスストップをどうするかとか、細かい点が決まってないために非常に困るという問題があるわけです。この児島の新しい駅舎についての設計までできぬでもいいのですが、平面で使う部分は大体こういうぐあいになるということくらいは早く地元へ示してもらわぬと関連事業が進まない、こういうことであります。その点についてどのような段取りで今進んでおるのか、伺いたいと思います。
  437. 高山昭

    ○高山参考人 児島駅の駅設備の計画でございますが、これはこれから決めていく開業関係設備に含まれておりまして、現在ただいま決定されておりません。今後国鉄とも協議を重ねまして具体的な計画を固めていきたい、かように考えております。それにしましても、先生おっしゃるように、私どもの事業と同時に児島地区の土地区画整理事業などが進められておるわけでございまして、私ども、今後とも地元のそれらの諸計画と整合を図るとともに、駅関係の具体的位置問題につきましても関係機関関係者と十分協議を重ねてまいりたい、かように考えております。
  438. 水田稔

    水田分科員 これは公団の責任じゃなくて、地元にも責任があるわけですが、新しいルートが開設することに伴って地元におけるいろいろな関連仕事をやろうということでやっておりますが、駅前の再開発については地元で少しトラブルがありました。しかし、駅舎の決定と駅前の区画整理事業がこうなるということが早くできれば、またそういう点ではその部分での促進が可能ではないかという点もあるわけです。今の御答弁では、鋭意関係機関と協議してやるということですが、とにかく六十三年三月というのは、それを目指して全体がやっているわけですから、そういう点では、公団の方は間に合っても地元の側が間に合わないということにならぬようなタイムリミットがあると思うのです。それはまさに来ておるのじゃないか、こう思うのですが、その点ではどの程度のところでそういうことが明らかに地元へ示されるのか。大体このくらいじゃないかということを私どもが想像できるくらいの御答弁をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  439. 高山昭

    ○高山参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、構造物ができまして、列車を走らせる開業設備と私ども専門的に申しておるのでございますが、この開業関係設備の協議がこれから国鉄と進められていくという段階でございまして、いろいろと国鉄にも問題がございまして、それらにちょっと時間がかかっておるのでございますが、先生の御意向もよくわかりますので、鋭意この協議を進めてまいりたい、かように考えております。
  440. 水田稔

    水田分科員 何回も言うようですが、鋭意で例えば来年の末くらいまでかかるのでは全く地元は困るわけです、実際に事業をやっているわけですから。そういう点では、全体の駅舎の設計までこうだという協議ができなくても、平面でこの形で駅は使いますよ、だから地元ではそれに応じた対応をしてくださいというくらいのことが言えるのはもっと早い時期じゃないかと思いますが、そういう意味での地元との話ができる内容を言えないものか、こういうぐあいに思うのですが、言えませんか。
  441. 高山昭

    ○高山参考人 先生がおっしゃいましたように、私どもの工事完成して開業するべくやっておる時期は六十三年の三月、まさに余すところ三年でございます。自然とそれまでには今の開業設備も決めまして準備もしなければならないわけでございますので、本当に私どもとしましてもそろそろ時期に来ていると思いますが、きょうのところははっきりといついつというまでには申し上げられませんが、先生の御意向を酌みまして、早急にそういう話ができるように準備をさしていただきたい、かように思っております。
  442. 水田稔

    水田分科員 これ以上無理だと思いますが、申し上げましたように、地元関連整備が実はおくれておるわけです。ですから、さらにそれに輪をかけて全体がおくれるということであれば、せっかくできても単なる四国への通過路線になってしまうじゃないかという思いがみんなさらに強くなるものですから、そういう点では今御答弁いただきましたように、最大限、地元がやりやすいような条件をつくるための協議を早急に進めていただきたいということを要望して、この点は終わりたいと思います。  それからもう一つは、実はこれは茶屋町の駅をどうするかという問題があっておくれたんだろうと思うのですが、この茶屋町から林の大体一番地くらいになるのですか、そこからトンネルに入るわけですが、その間のルートが実施計画の認可が大変おくれたわけですね。今地元では、そのために六十三年三月というのは事実上もう無理なんではないか、ほかにも若干ありますけれども、それはだんだんだんだん年数をかけてますから相当努力をしていただいておるのですが、この部分についてはこれからなものですから、大変難しいんではないかという心配をしておるわけです。そういう点では、この茶屋町から林に至る区間ルートについてはそういう心配はないのかどうか、どういうぐあいに進められておるのか、お伺いしたいと思います。
  443. 高山昭

    ○高山参考人 今先生が御指摘のとおり、この部分は本四備讃線の中で最後まで計画の決定がおくれておりまして、そのとおりでございますが、現在、いろいろと地元の協議が大分おくれておったのでございますけれども、今の当該区間のセンター測量、中心ぐいは通りました。それから、一部の区間を除きまして幅ぐい建値も地元の了解を得てやっております。今後鋭意用地買収を進めることによって、私ども六十二年度中の完成はできるというふうに考えております。
  444. 水田稔

    水田分科員 それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、鉄道なり高速道路が通る場合、インターチェンジとかなんか、そういうところになるところは非常に利便になる。そうでないところは単に排気ガスなりあるいは騒音なり、そういうものをまき散らされるんじゃないかという思いが、これは全体ルートを通じてあるわけです。ですから、これは単なる狭い範囲じゃなくて、全体として考えるべき問題ですが、特に実施計画の認可がおくれたということで、植松地区というところなんですが、その地区でもいろいろな要望が出ておると思うのですね。そういう点では、できるだけ地元が納得できる、単にそれは時間が迫ったから強制執行でもやってやろうかということじゃなくて、十分な理解と納得が得られるそういう話し合いが必要だと思うのですが、そういう点ではどういうあれでこれまでの折衝の中で取り組んでおられるのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  445. 高山昭

    ○高山参考人 先ほど申し上げましたように、当該の植松地区でございますが、地元と協議を重ねてまいりまして、大方の基本的な了解のもとに、現在、ただいまのところ中心ぐいの測量が終わりまして、用地買収の前提となる幅ぐいの打ち込みも終わりまして、関係者の皆さん方と用地の価格の具体的な交渉に入る段階に参っております。というようなことで、基本的な問題につきましては、非常に関係者の皆さんにも御迷惑をおかけしておるのでございますが、日夜お話し合いのもとに、大体基本的な了解に達しつつあると私ども思っております。
  446. 水田稔

    水田分科員 その言外に、いろいろ地元からの要望も単なる単価とか買収のあれだけじゃなくて、地域的ないろんな要望も、これは環境問題等含めてあると思うのですね。そういう点については、十分地元の意向というのを酌み取ってもらいたいと思うのです。その点についての御答弁がないわけですね。ですからその点を、私も若干含みのある質問をしておるわけですから、そういう点を含めてひとつお答えいただきたいと思うのです。
  447. 高山昭

    ○高山参考人 今先生のおっしゃった環境問題その他につきまして、十分な話し合いのもと一応の住民の了解のもとに、現在、現地はそのように進んでいるということでございますので、よろしくお願いいたします。
  448. 水田稔

    水田分科員 それからもう一つは、先ほど申し上げましたように茶屋町からのルートの実施計画がおくれたわけですが、これは茶屋町を出てから複線になるわけですね。茶屋町の駅がどうなるかというのは、これは御承知のように児島というのは旧児島市という市があります。それから倉敷は倉敷市があって、そしてもう一つは、西に玉島という市があって、三つが合併してできた町ですが、茶屋町というのは今の倉敷駅、新幹線の新倉敷駅というのは玉島というところにあります。倉敷の表玄関は倉敷にあります。今度こういうぐあいに四国への玄関口にまた変わっていくことになれば、茶屋町というのはいわば東の倉敷の玄関口になるということで、本当を言えばここの駅の状態はどうなるのか、そしてそれに基づく、本来ならば早い時点で決まって、そして市もそれに対応する、そこからいわゆる市の中心街まで車で十五分ぐらいのところですから、本来ならば有効に使える場所なんですね。そういう点では、これがおくれたために地元の対応も本当におくれてしまっておるだろうと思うのですね。そういう点で、茶屋町の駅がまずどういうぐあいになるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  449. 高山昭

    ○高山参考人 宇野線の今の茶屋町駅に本四備讃線は高架橋で乗り入れる計画でございまして、位置は現在の宇野線の地平ホームの東側に入ってまいります。それで駅本屋の位置でございますが、これは現在の地平駅本屋を利用する計画でございまして、もちろんそうしますと、地平の駅と高架ホームの高さが差があるわけでございますが、これらにつきましては、今後、利用客の利便を配慮した計画を立ててまいりたい、かように考えております。
  450. 水田稔

    水田分科員 そうすると、この在来の宇野線は、路面をそのまま行くわけですね。そして、その茶屋町に入る前から四国へ渡るのは高架になって、その東側ですから、そのままくっつくのか少し離れるのか、それ全体が駅舎になるわけです。そして、あの四国へ直に入るのと宇野へ行くのとは高低差がある形でこれから駅のプラットを使う、こういうことになるわけですか。
  451. 高山昭

    ○高山参考人 私どもの本四公団関係の本四備讃線は、茶屋町駅に高架橋で乗り入れる、それは現在の地平の宇野線の東側に高架橋で入る、こういう格好になっております。
  452. 水田稔

    水田分科員 それから私は、当初、岡山から四国へ橋を渡って鉄道が入る、これは今までのローカル線からいわば幹線になる、当然岡山から四国まで複線、場合によったら四国の主要なところは複線になるのかなど思っていたところが、茶屋町までは宇野線で単線で入ってくる。それから橋を渡るまでは複線なんです。向こうへおりると、これは予讃線は単線、こういうことですね。これは利用の利便から言えば、いわゆるダイヤの組み分け方からそういう点から言えば、当然幹線になるところぐらいまでは、せっかく茶屋町から複線なら、茶屋町から岡山というのは、これは倉敷市には入りますが、あの地域は岡山、倉敷一帯の都市化が進んでいるところですから、そういう点ではあの周辺が岡山に対する通勤圏に完全に入っていくということですから、できることなら複線でやった方が国鉄の収支の点でもよくなるし、それからもう一つは、ダイヤの組み方も楽になるだろうし、あるいは地域の利便にもなる、こういうぐあいに思うのですが、なぜそういうことになっておるのでしょうか。
  453. 岡田宏

    岡田説明員 先生御指摘のように、今宇野線に関しましては、岡山から単線でございまして、今のところこれを複線化する計画がございません。  その辺について、ちょっと専門的になりますけれども、事情を説明させていただきますと、単線と複線の場合の大きな違いと申しますのは、一時間単位にいたしましてもあるいは一日単位にいたしましても、何本の列車が設定できるだろうかという能力の点において違いがあるという点でございます。その能力と申しますのは、対向列車と行き違いをする必要があるわけでございまして、その対向列車と行き違いができる距離、キロ程が、要するに待避駅の間隔がどれくらいの間隔があるかということによって大きくまた違ってくるわけでございます。そういたしますと、岡山から茶屋町までの、まあ宇野までと申し上げてもよろしいわけでございますが、茶屋町までの間につきましては比較的短い距離に駅がございまして、しかもそういうところで待避できる設備がつくられております。ところが、茶屋町から分かれまして、今度児島と四国の間、宇多津と申しましてもよろしゅうございますし、坂出と申しましてもよろしゅうございますが、この間につきましては、海を渡る部分でございますので待避設備がないことになるわけでございます。したがいまして、仮にここを単線にいたしますと非常に列車の設定能力に制限ができてしまうということもございまして、海峡部分につきましては複線にしてあるわけでございますが、宇野線の部分につきましては、先ほども申し上げましたように、待避できる距離程が非常に短いということから、かなりの列車の設定能力がございます。そういった意味で、今本四架橋が完成をいたしました時点、備讃線が開業いたしました時点での輸送量から想定をいたしますと、この区間は単線にいたしましても十分なダイヤが設定できるというふうに考えているわけでございます。
  454. 水田稔

    水田分科員 そうなりますと、今の説明で言うと、岡山から大元、それから妹尾、茶屋町と来るわけですね。それから今度の、仮称ですが、木見、上の町、児島、みんな違わぬわけですよ。橋の区間には島があるのですよ。単線でそこだけ待避をつくることは極めて簡単なんですよ。そうすると、今の説明からいうと、むだな投資じゃないかと思うのですよ。僕は逆に、国鉄が客にできるだけ乗ってもらって、みんなの利便を図りながら稼がしてもらおうという姿勢がなきゃならぬと思う。  岡山で、御承知だと思うのですが、サイクル電車というのを岡山-三原間に去年一年間にやったのです。これは今まで一時間に二本しか通らないから、同じところを、車両を少し小さくして、もう常時それが走る。それで一年間で七%客がふえたのですね。今申し上げる宇野線が電化されておりますから、複線でずっとそこまで入ると、これは今の山陽本線の岡山以東、それから以西を含めたそういうところと同じような形の住宅地も形成される。使う側も便利だし、また国鉄にとっても、せっかくこれだけの投資をするなら、それで有効に客が――何も四国に行く客だけを乗せなきゃならぬ路線ではないわけですから、国鉄は長距離よりもむしろ中距離とか短距離の中で稼げるものがあるわけですね。そういう発想がなぜ出てこないのか、それが残念でならぬのですが、その点はいかがですか。  今の答弁だったら、茶屋町から向こう複線をずっとやらなければいかぬというのはむだな投資ということになるのですよ。私は、決してそうではなくて、そこまでやっておるんなら、あそこの茶屋町から岡山までもやる方がむしろ国鉄にとってプラスになるのじゃないか。国鉄がいろいろ今言われておるけれども、国鉄が自立するためには、そういう発想が出てくるところに初めて国鉄が再建できる、こう思うのです。いかがですか。
  455. 岡田宏

    岡田説明員 ちょっと御答弁が足りないで大変失礼を申し上げました。  もちろん複線の方が、例えば細かい列車、編成の小さい列車を頻繁に運行できるというような利便は当然あるわけでございます。しかしながら、単線区間を複線にいたしますためには、用地買収を初めといたしましてそれなりの工事費がかかるわけでございます。それで、この岡山-茶屋町間のようなかなり大都市の近郊に近い部分におきましては、相当な工事費がかかると考えられます。キロ程にいたしまして約十五キロぐらいございますから、何十億という工事費を要するわけでございます。それが今の国鉄の経営状況の中では、まず工事費の捻出ができないということと、それからこの五十億あるいは数十億といった金を投じたことの効果、経済効果ということについても慎重に考えなければいけないという問題がございます。いずれにいたしましても、岡山-茶屋町間の複線化の問題につきましては、本四備讃の橋梁ができ上がりました後の輸送の状況をいろいろ見きわめました上で検討させていただきたいと考えているわけでございます。
  456. 水田稔

    水田分科員 今の答弁は納得できない。私は、国鉄は大変だということを十分理解しておる。それなら、今説明されたように茶屋町までは短区間に駅があるからと、こう言うのですが、同じなんですよ。児島へ行くまで全部同じ。それなのに、それじゃそこから向こうを複線にするというのはむだな投資じゃないですか。それでこれができて、国鉄は橋の使用料が払えぬわけでしょう。四国全体の収入が四百億に足らぬのでしょう。それで一年間の橋の使用料を五百億払わなければいかぬ、こういう事態が起こっておる。それで、陸上部門で少しでも稼ぐことを考える、投資できるものならしたらいい。それほどつらいんなら、茶屋町から向こうを複線にしたというのはおかしい。橋の使用料さえ払えぬというのに、茶屋町から児島まで複線にするというのは、してほしくないという意味じゃないんですよ、それはおかしい。  だから、今答弁でちょっと言われましたように、これは今の計画はそれでやらざるを得ぬでしょが、将来に向かってはやはりそういう発想が国鉄になければ、国鉄は稼ぐということにならない。損なことを考え、マイナスのことばかり考えておる。今の言われ方だったら、あそこは責任問題になりますよ。それはむだな投資をしたと、私が監査するんだったらそう言いますよ。ですから、将来に向かってはそういうことをぜひ考えるということで、要望しておきます。  それから、最後ですが、今、上の町というのと木見というのが、途中、児島までの間に駅ができるということで、仮称でこうなっておるわけです。これは、正式の名前を決めるのはどこなんですか。それで、いつの時点で決まるわけですか。
  457. 須田寛

    ○須田説明員 一般的なルールといたしましては、やはり地元の管理局が駅名を、地元の御意向を踏まえまして大体決定をいたしまして、本社に上申をして承認をするということでございます。これは、開業いたします遅くとも半年以上前、できれば一年ぐらい前が望ましいのでございますが、大体それぐらいのタイミングにそういうふうな手続をとることになっております。  こういった公団の施行されております工事の場合、特にまだどこの管理局に属させるかということも決めておりませんが、常識的に申し上げまして、岡山県側でございますれば岡山の管理局が、本四公団の方と御相談を申し上げて、地元の御意向を十分踏まえました上で本社の方に連絡をしてまいって決めることになろうか、かように存じます。
  458. 水田稔

    水田分科員 それじゃ、地元でも話をいたしますが、国鉄本社の方へも話が来ておると思うのですが、実は上の町というのはもともとは上村というところで、そこから車で約四、五分で由伽山という山があるわけです。これは昔から金毘羅さんと由伽山と並び称せられた場所なんです。これは、海上交通が陸上交通にかわって、片一方は栄えたけれども片一方は衰微していったという典型的なところなんですが、最近大変人もたくさん来るようになりました。地元としては由伽という、これは地名なんですけれども、こういう駅名にしてほしいという要望が強いわけです。  そうすると、その点は、例えば一つは、地名にあればそういう点では可能性があるわけですか。例えば由伽山というのはお寺さんでも有名なわけです。そういう点では、宗教関係ではなかなか難しいというあれもあるけれども、これはこの図面にも載っております。昔の郡で言いますと、児島郡琴浦町大字山村と言う。今の上の町というのは上村ですからその隣で、同じ町の中にあって、そこの小字に由伽というのがある。そして由伽という山があるわけなんです。これは地名なんですが、そういう点では可能性はあるわけですか。
  459. 須田寛

    ○須田説明員 原則といたしましては地名をつけることが望ましいのでございますが、沿線の皆様方の御要望等もございまして、それ以外の例によっていることもございます。したがって、現地の皆様方の御意向がどこまでまとまり得るかということでございますので、可能性がないことはないと思いますので、公団側ともこれからよく御相談してまいりたいと思います。
  460. 水田稔

    水田分科員 現地の意向というのはどういうところですか。例えば地方自治体ということなのか、あるいはその地域の、上の町という地域の住民の自治会組織といいますか町内会がありますね、そこらの代表という意味ですか。
  461. 須田寛

    ○須田説明員 原則的には地方の自治体の御意向を中心に考えてまいりたいと思っております。
  462. 水田稔

    水田分科員 終わります。
  463. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田正勝君。
  464. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣、連日にわたりましてお疲れでございましょう。きょうは、私は質問と申しますよりは、むしろ広島県出身の衆参両国会議員二十一名おりますが、みんな県のことにつきましては志を同じくする友達ばかりでありますので、その二十一名を代表してお願いをしよう、陳情を申し上げよう、こういうことでございますから、どうぞゆったりした気持ちで、局長さんも部長さんも皆ゆったりした気持ちでお聞き取りいただきたいと思うのであります。  さて、きょう私がお願いを申し上げたいと思うことは、時間の関係もありますので、三つに絞らせていただいております。一つは新空港の問題、一つは新幹線の停車駅、請願駅といいましょうか、この問題、それから造船不況の問題、この三つに絞ってお願いをするのでありますが、まず冒頭に新空港の問題についてお願いをしたいと思うのであります。  新空港のことにつきまして、大体の規模とかあるいは工費とか工期とかいろいろな情報が流れておりますけれども、まずその点からひとつお教えをいただきたいと思います。
  465. 西村康雄

    ○西村政府委員 今お話しの新広島空港でございますが、これにつきましては、運輸省も必要性という方向で認識しておりますために、これまで県が絞られております本郷町の候補地につきまして、県と御一緒に調査をさせてきていただいているわけでございます。現在までの調査では、一応大型ジェット機が就航できるような飛行場ということでフライトチェック等をいたし、実際にまた気象条件等を精査して、滑走路の方向というのをおおむね東西ということで決めてきているわけでございますが、まだこれから調査の結果を受けまして、いずれは具体的な計画策定をすることになろうかと思うのですが、しかし、現空港との関係で、いつごろどんなふうに空港をつくったらいいかということは、これからの検討課題になるわけでございますし、そういう点では、今お尋ねの規模というような点につきましては、まだこの段階では申し上げるような計画はつくられておりません。
  466. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 いろいろとあるわけでございますから、よくわかりますので、ぜひとも早く進捗していただきたいと思います。運輸省の御配慮というものは、広島県人の私どもには痛いほどよくわかっておるのでありまして、大体基本計画が策定されておらぬのに、おおむね東西方向というようなことをお示しいただけるなんというのは格段の御配慮というふうに受け取っておりまして、ただひたすらに感謝申し上げておるような次第でございます。  さて、そこで今おおむね東西方向ということでございましたが、いよいよ気象条件その他の調査も終わりを告げるわけでございますので、滑走路の位置決定というのはおおむねいつごろになるものでございましょうか。言いにくいことでしょうが、もしできることならお漏らしいただきたいと思います。
  467. 西村康雄

    ○西村政府委員 これまで県からお示しいただきました用倉池の台地で県としての候補地が絞り込まれてきたわけでございますし、運輸省としても、これを具体化するとすれば、結局そこについてどうかということでこれから計画を具体化していくわけでございますので、滑走路の位置という点では、今申し上げたように、おおむね東西方向ということでございますが、細目の問題になりますと、周辺の諸問題を具体的に解決しながらやっていかなければならぬことになろうかと思います。用倉池の周辺では地元の受け入れ態勢もまだ一〇〇%という状況には至っておりません。反対の方もいらっしゃいますので、そういう点では、地元の合意形成ということをぜひとも進めていただきたいし、実際に場所を選定しますときは、具体的な位置を正確に決めていくというような段階に入りますと、環境上の配慮というのが最大の問題になってくる。環境対策を最も効率的にやるということで考えていかなければなりませんので、そういう点の具体化のためにも、地元との調整ということがさらに今後の課題かと思います。
  468. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 よくわかります。地元でも一部の反対があることもよく承知しておりますが、これらをおさめて合意に達することは、当然県の責任でございます。県当局も一生懸命頑張っておるところでございまして、私どもはうまくいくと信じております。  さて、そこでそれがうまくいくといたしまして、承るところによりますと、六十一年から五カ年計画が始まるということでございますので、この六十一年からの五カ年計画の中へぜひとも取り込んでいただきたいという切なる気持ちを持っておるのであります。これは県民ひとしくでありますが、いかがでございましょうか。
  469. 西村康雄

    ○西村政府委員 私ども今度五カ年計画の中へ取り込んでいくに当たりましては、需要の問題あるいは地域開発効果の問題、そういったことと同時に、もう一つは投資の効率がいいということでございますので、具体的にいかに合理的な工事をやるかということで、工事費の圧縮を考えられたそういうプランができるところを優先せざるを得ないということでございますし、また先ほど申し上げましたように、地元の合意が進んでいるということで工事着手して、そのうちに工事がとまってしまうというようなことでは何ともなりませんので、そういった意味でのいろんな条件が熟しているというところから絞り込んでくるということが一般的なことでございます。そういう点でも、先ほど申し上げましたようないろんな点について地元が大いに準備を進めるということで、地元側の対処ぶりとしてはそんなことを考えていただければと考えております。
  470. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。よくわかりました。  地元でやらなければならぬことは、当然これはもう知事以下責任を持ってやらなければならぬことでありますから、御期待に沿うように懸命に頑張らせていただくのでありますが、幸いにいたしまして、この地域というのは標高三百三十ぐらいのところでありますが、手前みそを申し上げて恐縮でありますけれども、全国的に考えてみても非常に安上がりでできる、しかも短期間完成ができ得るような候補地ではないかと自負をいたしております。地元で整えねばならぬ諸案件については、これは私どもの方で責任を持って一生懸命解決をさせていただきますので、いやしくも途中でとまるなんというようなことが絶対にないように、そういう要素が残らないように懸命に頑張りますので、ぜひともひとつ六十一年からの五カ年計画の中に広島の用倉地域の新空港というのをぜひ取り入れていただきたいと再度お願いを申し上げるのでありますが、いかがでございますか、大臣から。
  471. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 いろいろお話を伺いました。新空港をつくりますには、やはりまず採算性、利用度でございますね、それから合意性が必要でございますが、採算性につきましては、現在の地方空港で広島の採算性は最優秀ではないかと思っております。したがって、これは新しい空港で能率が上がればもっといいと思っております。  それから、合意性につきましては、私のところに知事さん初めたくさんの国会議員の方がいらっしゃいます。先生第何区ですかと私が聞きますと、おれたちはそんなけちなことじゃないのだ、みんな合意して、何区であろうとそんなことじゃなくて、広島県は全部要望しているということですから、最上部の指導層の方は恐らく合意できているが、今局長が指摘しましたように、まだ末端までは完全な合意ではないという点もございますので、早くその点をひとつお願いいたしておきたいと思います。  それらの条件の具備次第、私どもは先生方の御要望に沿うように努力してまいりたいと思います。
  472. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大変はっきりした大臣の御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。何とぞひとつくれぐれもよろしくお願い申し上げます。  それでは次に、新幹線停車駅でございますが、御承知のように、広島県は昔から造船と鉄鋼と木材と繊維というような産業で生きてきた県でございますので、御承知のとおり大変な不況に追い込まれているのですね。造船は今まで持っておった設備能力を、全体的に言えば三五%カットして、そのカットした分で、なおかつ今回の御指導でも七割あるいは六九%ぐらいのところでやったらどうやという御指導を受けなければいかぬくらい落ち込みに落ち込んできておる広島県でございます。  そのために、県の予算の編成にいたしましても、この六十年度に至りまして初めてちょぼっと前年度比プラスという予算がようやく組めるようになった、そういう非常に苦しい思いをしております県でありますだけに、新空港と新幹線の二つの停車駅にかける県民の期待は非常に大きいのでありまして、これをもって何とかして県勢の活性化を図りたい、こう思っておるのであります。  今、空港はお答えいただいたのでありますが、新幹線停車駅の問題で、これは請願駅でございますが、尾道と東広島、これは御承知のように、尾道というのはもう長年の歴史を持つ、日本で知らぬ人がおらぬような古い古い港町、しかも文化の町、造船の町でございますが、とにかくこのごろの落ち込みはひどいものであります。何としても活性化を図りたいというので市長以下皆さん懸命に頑張っているわけです。また東広島の場合は、ちょうど三原との中間にありまして、広大という大学が全面移転をするというので学園都市にまさに今生まれ変わりつつあるというようなところでございまして、この両駅の建設の一日も早からぬことを祈っているのでありますが、この両駅のそれぞれの工費あるいは工期、これをちょっと最初にお知らせいただきたいと思うのであります。
  473. 岡田宏

    岡田説明員 お答え申し上げます。  駅設置に要します工事費、尾道は約六十二億円、東広島は約四十七億円ということで考えております。ただ、この中には駅設置に必要な用地費については含まれておりませんで、駅設置に必要な用地にっきましては、別途地元で確保していただいて、国鉄の方に御請求をいただくということで考えさせていただいております。また、工事期間につきましては、両駅とも約三年ということで考えております。
  474. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。  大臣、今お聞きのように、用地費を除く駅本体だけで実は尾道が六十二億円、東広島というところが四十七億円かかる。これはもちろんお約束のとおり地元の市長以下議会もみんな挙げて一〇〇%負担させていただきます、もう一〇〇%負担するからつくってください、こういうことでお願いをして、気持ちよく国鉄当局に受け入れていただいたところでございます。  そこで、実は今こんな苦心談を話したって、それはおまえさんの方が引き受けたんだから勝手にせいと言われればそれまでですけれども、例えば尾道の場合、何と一つだけの会社で中田組というのですが、わかりました、尾道の活性化のために駅は必要だ、五億円出しましょう。三年間ですよ、五億円。これは本当にたまげたですね。そうかと思えば関係の市町村が、私のところでは三百万、私のところでは六百万というふうにして、本当に小さな小さな町や村がみんな一生懸命になって財源捻出をしてくれるわけです。これは近隣市町村で公共団体ですから当たり前といえば当たり前でしょう。ところが、今度尾道の地元におきましては、各世帯ごとにみんなが我が町のためだからというので、強制ではありません、強制ではありませんが、それぞれ何万円かずつを負担しようじゃないかといって皆さんの申し合わせがどんどん今できていきつつあるところです。それからある老人クラブなんかに行きますと、これは全然職がありません、家で孫のお守りをしているようなおじいさんおばあさんであります。そういう老人クラブなんかでその苦心談をお話しすると、これはわしらも何かひとつ役に立たせてもらわなければいかぬといって、その場で千円ずつカンパをしていただいたり、本当に孫のあめ代にと思っていらっしゃったんでしょうが、それほどまでして市民の端々に至るまで懸命な努力をしているのです。  だけれども、大臣、考えてみてください。一〇〇%やるのだということで一生懸命そうやって市当局以下みんな市民挙げて頑張っていますが、世の中時にはままならぬことがありますね。そうすると、これ以外に、正直に言いますと、尾道なんかで言えば、約四十億円にわたる周辺整備駅前のエプロンだ取りつけ道路だあるいはその駐車場だなんというのが要ります。それから駅の用地費も要ります。そういうのはある程度都市計画事業に取り入れてくだされば、建設省の御配慮で五割の補助金が出ることになりますけれども、それにしてもやはり地元負担というのは半分要るわけです。それやこれや考えると、尾道にしても東広島にしてもなかなか大変な金額ですよ。だけれども、一〇〇%つくりますといって頑張っているのですが、これでももし万が一そのお約束の期限までに金が集まらぬとなると、例えばそれぞれの市でわずか三億円とか五億円、これだけ足らなんだということがないとは限らぬですね。そんな三年先のことを今言うてくれるなと大臣思われるかもわかりませんが、やっている当局は必死なんですよ。目の色変えているわけですよ。もしそういう不測の事態が起きたときには、わずかな金額だと思います、三億か五億ぐらいだと思いますが、そういう不足が起きたときには一体どうなるんだろうか。すると、それはもう自治省も知らぬよ、運輸省も知らぬよ、国鉄も知らぬよ、こうなると、結局行き着く先は高利貸しじゃありませんが、短期の高い利子を借りかえ、借りかえして借りなきゃならぬような状態に追い込められます。それで市の方は泣き言一切言っておりません。市民も泣き言一切言っておりませんが、新規の事業は一切ばっさりやめて、そして市の職員の人件費も総人件費を抑制してというようなことをやって、大なたを振るってやっているのです。だけれども、そこまでやっているのに、一切の事業もとまったと言っていいぐらいのつもりでやっておるのに、なおかつ金が足らぬ、その分もまた高い利子で借りにゃいかぬというような形になると、まさに踏んだりけったりという形になるので、そこまで九七%の努力をしたら、残りの足らざるところの二、三%というものは、きょうは内治省からもお見えいただいておるわけでありますが、それはぜひぜひそういうときには長期の低利のいわゆる起債というものも配慮してやらなきゃなるまいなという親心が出ぬものでしょうかということです。実はきょうそのことで自治省の方からもお答えをいただきたいと思って来ていただいておるわけです。自治省の方、どうぞ。
  475. 平林忠正

    ○平林説明員 先生のお気持ちは大変よくわかるわけでございますけれども、地方債を起こす場合には、御承知のとおり、地方財政法の規定によりまして地方債を起こすことができる事業が列挙されております。この事業は、その事柄の性格上限定的な列挙であるというふうに解されておりまして、新駅建設費に充てる財源を地方債という形で賄うことが現行法律上できない仕組みになっておりますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  476. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 そこで課長さん、重ねてお願いをするのですが、国鉄の事業のために金を地方自治団体が起債でつき込むということは、それはできませんよ、それはもう絶対あかぬのや、これは古屋さんでも絶対許しはせぬ、こうおっしゃる。それはわかるんです。そうじゃないんです。本駅の本体の部分についてはこれはもうゆっくりできるんです。だけど、それ以外にいわゆる附帯工事関係がありましょう。都市計画事業なんというのは市本来の仕事でございますね。しかも、建設省の御指導をいただいてやるわけでしょう。そこで、その分の地元負担金がありますよね、都市計画事業に認定されたら一〇〇%国庫補助が来るんじゃないんですから。せいぜい来ましても半分でございますよね。そうすると、あとの残りの半分、例えば尾道で言うたら約二十億円、東広島で言うたら約十二、三億というものが当然足らぬ前が出てくるわけです。それも地元負担で全部やろうとして頑張っていなさるんですよ。頑張っていなさるんですが、そこへ穴があいたという場合は、起債の対象に、当然列挙された条件の中に入るんじゃありませんでしょうか。
  477. 平林忠正

    ○平林説明員 関連事業の内容というものをつぶさに承知いたしませんので、ここで断定的に申し上げることができないわけでございますけれども、その中に適債事業があって、事業の必要性なりそれから後年度に及ぼす財政負担の状況とか、そういうような点を勘案の上、認められるものがあれば、それは対象として認めることもできるというふうには思います。
  478. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。非常にいい答弁です。もうそれで満足であります。恐らくそういうことにお願いが行くと思います。三年ぐらい先になると思いますが、ぜひひとつよろしくお願いします。そのころは部長さんになっておるでしょう。財政局長ぐらいに行っておるかもしれませんね。ひとつよろしくお願いを申し上げます。  さて、そこでもう一つのお願いは、大臣、これは当局にもお願いするのですが、何せこの六十二億、四十七億――土地代のけてですから。そうすると、ああ大きな金だな、特に田舎の者はびっくりするんですよ、こんな億なんて金がついたら。無理なことを申し上げませんが、まあ地元の老人に至るまで孫の小遣いの千円まで出して集めてきよるわけですから、できるだけいわゆるこの工事費を節約をしていただくということに格段の御努力をひとつお願いしたいんですよ。その点はいかがでございましょうか。
  479. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 先生、まあえらい陳情になりましたな、これは。最初、質問じゃなくて陳情だとおっしゃいましたけれども、こういう陳情になろうとは私も予期していませんでしたよ。まあ先生、弱音を吐かないで、先生の馬力で集めてくださいよ。  いずれにいたしましても、この答弁はやっぱりこちらの方だと思いますから、どうぞ。
  480. 岡田宏

    岡田説明員 先生の御指摘のとおり、本駅は大変大きな額を地元に御負担いただきまして国鉄の設備をつくっていただくということでございますので、私どもといたしましても、すべての技術力を結集いたしまして、工事費節減に万全の努力をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。
  481. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。大臣は頑張れとおっしゃいました。勇気づけていただきましたが、頑張ります。一生懸命やります。それで当局の理事さんは、ひとつ趣旨を理解して万全の努力をさせてもらう、こうおっしゃっております。これは地元民にとっても大変うれしい言葉です。結果的に一銭も節約できなかったとしても、きょうこの委員会で、万全の努力を払って節約したいという決意を表明されたということは、非常に地元民にとってはありがたいことであります。厚くお礼を申し上げます。  さて、時間がありません。第三点目でありますが、御承知のとおりの全国不況であります。造船不況の問題について広島の問題だけを取り上げて言うというのはちょっとおこがましいんじゃないかなという御注意もありましたので、全国規模で教えていただきたいと思いますが、世界でナンバーワンと言われるこの造船王国の日本で、今日ぐらい落ち込みのひどいことはもうすごいと思うのですね。そこで、今当局といたしましては、日本のこの造船界の現状をどう見ていらっしゃるのか、将来の見通しをどう持っていらっしゃるのか、その対策はどうやろうとしておるのかということを、この機会にお教えいただきたいと思います。
  482. 神津信男

    ○神津政府委員 お答え申し上げます。  まず、ちょっと広島県の造船業の現状を御説明申し上げますが、広島県には大小合わせまして百二十の造船事業者がございまして、従業員数でも建造量でも全国の二〇%を占めておる状況でございまして、地域経済に大変大きな影響力を持っておるということを十分認識しております。  ただ、造船業全体が、ただいま先生から御指摘ございましたように、オイルショックの後、大変海運市況が低迷をしておりまして、新造船の建造需要が減少しておる、また韓国の造船業が急成長してきたというようなことから、我が国の造船業全体が仕事量が減少し、また船価も非常に低落をしておるという厳しい状況に置かれております。  最近の新造船の受注量を見ますと、四十八年度には三千四百万総トンの受注量がございましたが、これをピークといたしまして、その後大幅に減少しておりまして、本年度五十九年度も六百五十万から七百万総トン程度にとどまるものと見られております。したがいまして、操業量につきましても、設備能力の七割程度、七百万から八百万総トン程度で推移しておりまして、こういう情勢を反映いたしまして、造船関係の従業員数もピーク時の四〇%減、全国で約二十一万人に減少をしておるわけでございまして、このような状況が今後当分続いて、需要の回復も期待できず、操業度も現状程度を継続するものと思われております。  このような状況を踏まえまして、私どもといたしましては、先ほど先生お話ございましたが、オイルショックの後三五%の設備能力の削減をいたしまして、その後も造船能力の拡張を極力抑制をしてきております。また過当競争を防止するために、操業調整を行っておりまして、五十八年度、五十九年度は大臣勧告によりまして操業短縮を実施し、引き続き六十年度、六十一年度につきましても、操業ガイドラインを公表いたしまして、企業の適切な対応を求めることにしておるわけでございます。このほか需要創出のために輸銀資金であるとか開銀資金の確保を図ること、また世界的な過剰船腹を解消するために、船舶解撤の促進を積極的に図るというようなことを目下計画をしております。また不況産業業種指定をいたしまして、雇用対策あるいは中小企業対策等の諸措置も講じておるわけでございます。  しかしながら、このような状態が長く続きますと、徐々に産業が活力を失ってくるということも憂慮されておりますので、二十一世紀といいますか、将来に向けて造船業が活力を取り戻すための造船業の長期ビジョンの作成を現在作業をしておりまして、なるべく早い時期にこのビジョンをつくり上げまして、再活性化を図るための政策をとりたいと考えております。
  483. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 ありがとうございました。二十一世紀へ向けての造船界の活力を出すための対策までいろいろと考えていただいておる、今作業中だという非常に心強い御発言をいただきまして、ありがたく思っております。  何と申しましても、日本の造船界というのは、世界一の造船国であり、世界の半分を日本がつくり、そのうちの二割を広島県がつくる、こういう形でございますが、私どもが一番心配するのは、せっかく今確保しておる造船界のいわゆる専門技術者、これがだんだんどこかへ転職しなければならぬという、これは単に造船産業の損失のみならず、日本の将来のために大変な損害をうけるのではないかというふうに私は心配をしておるのであります。世界で余っておる四億一千万トンほどの船腹、それを三億トンぐらいに縮めようではないかという国際協力を初めとして、いろいろな対策を解撤事業等にも講じていただいておることを非常に感謝しておりますが、何せ技術者の流出ということが大変なこれからの問題になってくると思いますので、しかも、中小企業の造船所は、ほかの仕事をやろうと思ってももう全然切りかえがきかない構造になっておりますので、これを称して構造不況と言うのじゃないかと思うのですが、それであるだけに、大変運輸省には御迷惑をかけるのでありますが、日本の造船という観点から、ぜひともひとつ大臣にも格段の御配慮をいただきますようお願いを申し上げ、大臣の御意見を伺って終わりたいと思います。
  484. 山下徳夫

    ○山下国務大臣 今局長から御答弁申し上げましたように、広島県は大変な造船国でございます。先生の選挙区の尾道にも二つございますね。実は、尾道造船所の社長さんは造船工業会の副会長、これは中小造船の代表としてお入りになっておりまして、しばしば私も御懇談をいたしております。と申しますのは、実は、私が現在居住いたしております伊万里という市の、私のところからわずか二キロのところに、この尾道と同じような中小の名村というのがございます。伊万里というのは小さな市でございますけれども、これはもう伊万里の代表的産業でございますので、この浮沈というものは、私の地元の市全体に大変な影響をもたらすということで、私は、今のような職務になる前から、この問題については微力をささげてきたつもりでございます。御指摘のとおり、我が国の代表的産業、一つの総合産業的なものだと私は理解いたしております。これが活力を失うということは、日本全体に大変な影響を及ぼすということで、局長以下部下を督励いたしておりますが、そういうことを局長初めよく承知しておりまして、私は、本当に涙ぐましい努力局長たちは――やはり苦しいだけに担当者は非常に苦労をしていると思いますが、そういう気持ちで打って一丸となってやりたいと思っております。どうぞ先生もたまにはひとつ運輸省に来て激励してください。  きょうは先生、和やかにいこうとおっしゃるから、私もざっくばらんに申し上げました。
  485. 岡田正勝

    岡田(正)分科員 大臣、どうもありがとうございました。出席者の皆さん、本当にありがとうございました。大変親切な御答弁をいただきまして、これで県民の諸君も大変元気を出すことだと思います。お仕事大変でございますが、どうぞ頑張っていただきますように心からお願いをしまして、質問を終わらせていただきます。委員長、ありがとうございました。
  486. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、運輸省所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  487. 中島衛

    中島(衛)主査代理 次に、郵政省所管について政府から説明を聴取いたします。左藤郵政大臣
  488. 左藤恵

    左藤国務大臣 郵政省所管各会計の昭和六十年度予算案につきまして、御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は二百四十四億二千七百万円で、前年度予算額に対し八千五百万円の減少となっております。この歳出予定額には、ニューメディア、先端技術の開発振興と宇宙通信政策の推進に必要な経費を初め、電波資源の開発と利用秩序の維持など、多様化する情報社会と増加の著しい通信需要に対応した施策のほか、国際放送の充実を含む放送行政の推進、国際協力の推進に必要な経費等を計上いたしております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入歳出とも予定額は四兆四千六百十億七千一百万円で、前年度予算額に対し一千四十七億四千六百万円の増加となっております。  この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便サービスの改善と需要の拡大に必要な経費を初め、郵便貯金の推進、簡易保険、郵便年金の普及推進に必要な経費、郵便局舎等施設の整備及び事業経営効率化のための機械化を推進するのに必要な施設費、その他所要の人件費などを計上いたしております。  なお、郵便事業財政につきましては、昭和六十年度単年度で三百五十五億円の欠損を生じる見込みで、年度末では過年度のものと合わせて七百十一億円の累積欠損金が見込まれております。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、歳入歳出とも予定額は七兆一百七十三億四千四百万円で、前年度予算額に対し一千四百三十億一千一百万月の増加となっております。  次に、簡易生命保険及郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は六兆三千六百七十二億七千八百万円で、前年度予算額に対し五千一百二十九億一千九百万円の増加となっており、歳出予定額は四兆二千九百二十八億七千五百万円で、前年度予算額に対し五千一百二十七億一千七百万円の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額は一千四百二十七億二千四百万円で、前年度予算額に対し三百一億四千五百万円の増加となっており、歳出予定額は二百五億五千六百万円で、前年度予算額に対し五十二億三千四百万円の増加となっております。  以上をもちまして、郵政省所管会計の昭和六十年度予算案の概略につきまして、御説明を終わらせていただきます。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  489. 中島衛

    中島(衛)主査代理 以上をもちまして、郵政省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  490. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。後藤茂君。
  491. 後藤茂

    後藤分科員 最近、国電あるいは地下鉄等に乗りますと、「今、郵便が面白い」、こういうキャッチフレーズの広告を郵政省が出しておられる。左藤郵政大臣になられてからのアイデアかと思います。持ち込まれた郵便物を届けてやるんだ、こういうような姿勢が今まではあったのではないだろうか。そういうところへ 「今、郵便が面白い」、そして電子郵便だとかあるいは小包パック、そういったいろいろなメディアが紹介をされていて、国民の皆さん方が郵便に愛情を持ちながら利用していくということは非常に結構だと思うのです。しかし、まだこういったアイデアだけがどうも先行いたしておりまして、幾つかぜひ改めていただきたい、あるいはこれから取り上げていただきたいという課題がございますので、以下幾つか問題を提起して、郵政省また大臣の英断を求めたい、こう思うわけであります。  最初に、郵政省が郵便貯金の共用カードをつくられる。これは一般企業やあるいは信販会社のカード等々とドッキングさせて、郵便貯金をしておる利用者が、そのカードを使って一般企業やあるいは信販会社の商品を購入していく、こういう制度で、最近利用が高まっているんだと思うわけでありますけれども、その利用状況等、簡単で結構でございますから、これは郵務局長の方でおわかりでしょうか。大臣の方からお答えいただいても結構でございますが、状況をお答えいただきたい。
  492. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お尋ねの郵便貯金キャッシュカードの機能拡充をどういうふうに考えておるか、こういうことだと思いますが、技術革新の進展に伴いまして、今後は一枚のカード、いろいろなサービスを付加した多機能のカードを利用する社会に移行していくものと考えております。そうした一つの情勢のもとで、郵便貯金のキャッシュカードにつきましては、そういった情勢に対応するように、現在発行しておりますカードの機能をさらに拡充して、郵便局の各種のサービスの利用を含めて、一枚のカードでいろいろなことができるような便利なカードにするように検討を進めておりますが、これを使用するようにいたしましてからまだ日がたっておりませんので、実態としましては、こういった面につきまして検討しなければならない、努力しなければならない問題をまだまだたくさん抱えておる、このように思っておるわけでございます。
  493. 後藤茂

    後藤分科員 大変結構だと思うわけです。ただ、どうも足元を忘れていはしないかと思うことがあるわけです。信販会社の加盟店の商品を買うと自動的に郵貯の方から引き落とされてくる、結構なアイデアでありますけれども、郵便局は「今、郵便が面白い」ということでいろいろなメディアを販売しているわけです。それがこのカードで購入することができない。これは大変奇異に感ずるわけですね。今郵便局に行きましても、切手あるいはこういう小包等を出す場合には現金で購入をしていかなければならぬ。そしてそのキャッシュカードは商店へ行ったらそれが利用できる。一体何をお考えになっているのかなということを私は非常に奇異に感ずる。まず自分の商品が預けた郵便貯金の中から引き落とされてくる、このことが真っ先に思い浮かばなければならぬと思うわけです。きょうは貯金局長がいらっしゃらないので、郵務局長の方からもお答えいただきたいと思うのですが、これはぜひ両方使えるように、まず足元の自分のところの商品といいますか、切手なりあるいは郵便小包なり電子郵便なり、そういういろいろなものに利用できるように、これは今すぐに答弁ができるだろうと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
  494. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 私ども切手はいろいろなルートで売れるといいますか、利用者の皆様からすれば、いろいろな方法で切手を入手しやすいということが、切手の売れ行きの面からいいましても大変結構なことでございまして、先生御指摘のとおり、同じ郵便局の窓口で、しかも郵便貯金はカードで出している。私ども切手が大いに売れてほしい立場からすれば、そういったルートで切手が売れる仕組みを考えることも大変重要だと思いますし、またカードを発行している方からも、そういう効用がカードに備わっているということもまた大変プラスするのではないかと思います。いずれにしましても、御提案の件につきまして、これは時代の方向にも大変合っていると思われますので、そういったことが可能なシステムをこれから研究してまいりたいと思います。
  495. 後藤茂

    後藤分科員 ありがとうございました、そういう方向でぜひ早急に、技術的なものが若干あるかと思いますけれども、すぐにできると思いますので進めていただきたい。  そのことと関連して要望しておきたいのですが、一般向けのカードと同時に、企業なり団体なりこういう大口のところのカードなんかは一体どうだろうか。例えば料金別納なんて持ち込まれてくるということに対しても、カード引き落としということになっていきますと大変利便だろうと思うのです。このことについてお考えはいかがでしょうか。一言で結構です。
  496. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 個々の利用もさることながら、確かに先生おっしゃるとおり、大口の場合は一括引き落としということでメリットも多いわけであります。ただ、大口の場合、国の売掛代金ということで債権でございますので、そういった面でそれがちゃんと確保できるような仕組みもあわせて検討した上で、そういったことも考えていきたいと思っております。
  497. 後藤茂

    後藤分科員 その検討をぜひ早急にしていただきたい。省力化にも役立つと思いますし、利用も高まっていくだろうと思います。せっかくのアイデアで、しかも今全国的にいろいろなカードが普及して、カードを持つということにそう抵抗がなくなってきているということでありますから、ぜひそれは進めていただきたいというふうに考えるわけであります。  それから、関連いたしまして、電電公社はこれから民営になるわけですけれども、電電公社もいろいろなアイデアを出しながらテレホンカード等が非常に人気を呼んできている。やはり一枚、二枚それを持っていることは大変便利であります。ところが切手の方はどうもそういうような利便性がない。封書の場合は六十円、あるいは葉書の場合は四十円。封書の六十円の切手はつり鐘ですか梵鐘。それから四十円の方は菜の花にチョウ。この二種だけですね。いや、それは両方とも一種類ずつあればいいではないかと皆さんは思われるかわかりませんけれども、これからの時代というのは、手紙を出していくような場合に、それだけということじゃなしに、若干多様な切手が発行されていっていいんじゃないか、六十円についても四十円についても。そして郵便局の窓口で、これはきれいだから菜の花じゃなしにこっちのチューリップのでもというようなことになる方がいいだろうと思うのです。この点はぜひ検討してみる必要があるだろう、こういうように考えますが、いかがですか。
  498. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 先生おっしゃるように、六十円ないし四十円の通常切手でございますが、確かに正直言って季節感に乏しいような、年がら年じゅう菜の花でもございませんので、余り細かくなりますと、また切手の種類が多様化してどうかということもありましょうけれども、せいぜいそういった単一的な季節感のないようなことはないように、もうちょっとその辺の多様化について考えてみたいと思います。
  499. 後藤茂

    後藤分科員 それと関連するわけですけれども、「ふみの日」の切手、私もこの予算の分科会で提案をいたしまして、早速郵政省の方もそのアイデアを散り上げていただいて大変結構だと思うのですが、今のこの季節感を持った種類を発行していくこととあわせて、「ふみの日」の切手は一年に一回だけデザインが変わっていくわけですけれども、これなんかももう少しデザイン等を考えていって、そしていろいろな手紙を書いたり送ったりすることに役立つようなものもぜひひとつ二、三種類出していくことも考えたらどうだろうかというように思いますので、これはひとつ要望をしておきたい。  それとあわせて、特に「ふみの日」の切手等は毎月の二十三日にキャンペーンをしておりますし、また文月の七月の二十三日に切手を発行されているわけですが、こういうのを切手帳に、ちょうど電電公社の方のテレホンカードと同じように、十枚つづりであるとか三十枚つづりであるとか五十枚つづりであるとか、その辺の枚数はともかくといたしまして、そういう切手帳をつくって、常時持って、旅先なんかでもすぐにも手紙を出して、ポストへ投函できるような、そういうこともぜひ考えていくべきじゃないかと思いますが、この点いかがでしょうか。
  500. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 小型切手帳の調製につきまして、これは私ども、そういう小型切手帳で、一つのテーマである程度の枚数が一つの帳面に載っているということで、量的に一遍に売れるということもありまして、大変いいことではないかと思っておりますので、この調製についても検討してまいりたいと思っております。
  501. 後藤茂

    後藤分科員 今までも私はこの分科会でもよく申し上げているのですけれども、切手帳は案外、それほど熱意が今までの郵政省の態度にしてはないように思うのですけれども、外国ではそうではないのです。大変頻繁に切手帳が出てまいりますし、私たちも外国の友人なんかに会うと、ポケットからすぐに切手帳を出して、そして友人に手紙を書くということになっているわけですね。ですから、これは余り利用が少ないということで出さないのではなしに、出すことによってまた利用が高まっていくということが大切だろうと思いますので、ぜひひとつこのことを要望しておきたいと思います。  それから、東京中央郵便局の切手普及課で、新しい記念切手なり特殊切手等が発行されていく場合に通信販売をされているわけです。これが発行日の二週間前には予約が締め切られている。しかも、申し込み単位はシート単位だ、ばらの申し込みはいかぬ。これもどうも郵政省の方は、切手売りさばき所なんという言葉がまだ生きているようですね。  大臣、ちょっと聞いておいてください。明治以来長い間の切手売りさばき所、売りさばいてやるんだという姿勢がこの言葉にもあるわけです。したがって、この名称を変えてほしいと私は思いますけれども、これはすぐにということは申しません。ただ、そういう姿勢があるために、国民のために郵政省はやってやっているんだ、こういう姿勢があるから、煩雑だから二週間前に締め切るだとかあるいはシートでなければならぬだとか、ばら売りはけしからぬ、こういうことになると思うのです。この辺はぜひその姿勢を変えていくべきだと思うのです。  確かに、五十円のを一枚とか六十円のを一枚とかという申し込みは、これは大変でしょう。しかし、例えば仮に下限を五百円以上にしてもらいたいとか千円以上にしてもらたい、しかしそのかわりばらででも結構ですという親切な窓口サービスをぜひこれからは進めていくべきではないかと思いますが、局長、いかがでしょうか。
  502. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 切手売りさばきという言葉に象徴されますように、私どもお客様へのサービスの姿勢にこういうものは今日あってはならないわけであります。私どもいろいろ商品をその多少にかかわらずお買い求めいただくお客様をやはり大切にして、きめの細かいサービスを窓口でも心がけていくということがこれからの郵便事業の発展あるいは郵政財政の安定ということにもつながると思いますので、先生の御指摘の点を十分踏まえまして、私ども窓口の職員に至るまでその辺の趣旨を十分指導させていきたいと考えております。
  503. 後藤茂

    後藤分科員 この通信販売は記念切手と特殊切手だけなんですね。普適切手はなされてないのです。普適切手は、私たちの常識からいきますと、どこの郵便局でも一円の前島密から千円に至るまで全部そろえているというように私どもは思いがちなんですよ。これが案外ないんです。地方に行きますと、欠けている切手がたくさんある。国内では四十円のはがき、六十円もしくは少しオーバーしますと七十円ということで一般的には済む。あとは速達とかで済むわけで、そう何種類も要らないのですけれども、例えば外国に出すとかあるいは変形のものを出すとか、いろいろなことで困る場合がある。ですから、郵便局に行きますと、全部種類がそろってほしいのですが、仮にそれが管理上難しいような場合に、やはり普適切手、つまり通常切手も通信販売ができるような形というものはぜひとってやってほしいなと思うのです。せっかく「今、郵便が面白い」ということでいろいろなメディアを提起してきているときに、例えばロール切手であるとかあるいは切手帳であるとかあるいはまた航空書簡であるとか、こういったいろいろなものがあるのです。こういうものをもっともっと利用させていくようにするためには、この普及課が、記念切手、特殊切手だけの通信販売ということではなくて、通常切手も、来れば、そんなに遠いところの倉庫までとりに行くわけじゃない、すぐそばに皆あるんですから、それを欲しい者に通信販売で送ってやるという親切が欲しいと思うのです。大臣、いかがでしょうか。
  504. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、確かにそういった点について今までの配慮は少し足らなかったのじゃないかと私は思います。そういうことで、通信販売も始めたらいいと思いますし、また今お話しいただいた姿勢の問題としまして、郵政事業で例えば売りさばき所というような言葉に象徴されるように、明治以来郵便が独占であったということについての、今日独占ということが非常にいろいろ問題ありますけれども、そういうことについての弊害といいますか、そういうことが論議されていると私は思いますが、やはり新しい情報化時代に適合した郵便ということになりますと、私はサービスというものを考えた問題でなければならないと思いますので、今御趣旨の点だけでなくて、今回の郵便法の改正にもそういった点をできるだけ配慮しなければいかぬという線から御提案申し上げたりして改めていこう、こういう考えでおるわけでございます。
  505. 後藤茂

    後藤分科員 ぜひ大臣に期待しています。私どものところへ外国から手紙が参ります。例えば封書の場合でも、国内の場合仮に六十円なら六十円で済む、外国の場合百二十円なら百二十円で済む。そうすると一枚だけ張るということをしないのです。多様な切手が張られてくるのです。それほど友人に対して、その国が発行している切手をたくさん張ってやることによって、その国の印象、それからまたその友人の印象を深めていくようにするわけです。それが郵政省がやっていると、封書六十円ならそれでよろしい、はがき四十円ならそれでよろしいという姿勢があり過ぎるわけです。  お聞きしたいのですけれども、例えば八十円とか九十円とかあるいは百五十円の切手というのは、一枚としてはどうも利用度が少ないようですね。そこで、利用者が少ないということで製造中止というような動きを仄聞しているのですけれども、こういうことはないでしょうか。今私が申しましたようにいろいろな切手を混張りしていきながら通信しているということからいきますと、ただ利用度が少ないからこういうのは外していいということはいかがかと思うのです。外すのはもう全く流通しないという判断が十分になった段階でやっていくべきだと思うのですけれども、この点いかがでしょう。
  506. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 製造中止をいたします考えはございません。
  507. 後藤茂

    後藤分科員 それから、先ほどの通信販売と同じようにもう一つ。  記念切手というのは、何月何日どういう行事が行われる、その日が発売日ですよね。ところが、一日の場合もあるでしょうし、あるいは一週間くらい行事が続くという場合もあるでしょうけれども、切手が発売されたときにはもう終わってしまうとか、あるいはそのせっかくのキャンペーンが実はキャンペーンの用をなしていないということがあるわけです。これを大変私は奇異に感ずるわけです。事前発売を考えていったらどうだろうか。一週間前がいいのか一カ月前がいいのかよくわかりませんけれども、例えば東京オリンピックの場合は、これは付加金で資金調達ということもありましたでしょうけれども、事前キャンペーンがずっと行われてまいりましたですよね。ところが、最近は事前発売というものが全くなされていないわけです。ですから、行事が三つ四つ重なってまいりますと、出したい行事があっても、印刷局あるいは窓口業務の都合がありまして出せない場合があるわけです。せっかく国民にキャンペーンをしていきたいものが行事が重なることによって出せない。もし事前発売等のことも考えていけば調整ができるだろうと私は思うわけです。大臣、お答えできましょうか。大臣に言ってもらってしっかりやってもらった方がいいんです。
  508. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、記念切手の発売日というのは、一般に今までは記念行事の開催日に合わせているという傾向があったと思います。私も、記念行事のPRといいますか、切手発行の趣旨をできるだけ早く国民の皆様に理解していただいて、その行事に対します参画といいますか、趣旨も理解していただく、切手を発行するのはそういった目的も一つあるのじゃないかと思います。記念行事の趣旨を理解していただく、そういう意味からしますと、事前に発行する方がそういった目的を達成する上においてより効果があるんじゃないか、私はこのように思いますので、御趣旨の点について今後検討し、改めていきたい、このように思います。
  509. 後藤茂

    後藤分科員 ぜひその点は早急に検討して調整をされていくといいと思います。せっかく出すのですから、国民がそんな切手が出ていたのかとか、そういうことがあったのかということがなるべくないようにしていただきたいと思う。  もう一つは要望ですけれども、特殊切手の年間発行計画が、一月から十二月の予定の発表が、四月から三月という形で、暦年じゃなしに年度で出されているわけですね。これは外国を見ますと、ほとんど暦年で計画が発表されているのですよ。この点は技術的にはそう難しくないと思うのですけれども、局長、いかがでしょうか。暦年で一月から十二月という形でやる方がわかりいいと思うのですけれども、ぜひこれも検討してみていただきたい。そんなに難しくないと思うのです。
  510. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 検討させていただきたいと思います。
  511. 後藤茂

    後藤分科員 私は、黒活というのですか、今までずっと流通しておりましたくし型の消印、これがどうも外国の消印に比べてやぼったくて太くて、さらにくし型がつくものですから、せっかくの切手が真っ黒になってしまう、どうも美的感覚を損なうというようなことで、これまでも日付印を直して変えていくべきではないかという提案をいたしました。それが今、試行印がずっと続けられていて、もう二年ぐらいたちましたでしょうか、この試行印を見ておりまして、私は書体なりが少し太いように思うのですけれども、それはともかくとして、これはまだしばらく試行印を続けるのでしょうか。それとももうこれを採用して、今度は全国に実施をしていくということになるのでしょうか、いかがでしょうか。
  512. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 現在郵便局で使用しております日付印の改良につきましては、先生からも御指摘いただきまして、試作品を作成して五十七年度から七十一局で試行を続けてきたところであります。試作品は日付印の中央部のくし型を削除したほか、周りの線を細かくする等改良を加えてきたものでありまして、試行の結果、郵便への押印も鮮明なものとなっておりますので、六十年度更改のものから新しい型式のものにしていくこととしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  513. 後藤茂

    後藤分科員 時間がなくなってまいりましたが、あと二つばかり申し上げておきたいのです。  一つは、大臣、ことしの一月二十八日の朝日新聞に「おくれて届いた年賀状」という記事が出ておりまして、これは二人の少年が二千枚ばかりそれそれの郵便受けから盗んだ。その盗んだ理由というのは、お年玉の小型シートが欲しいということです。あれはわずか二枚ですから、八十円のものが欲しい。少年あるいは一般の家には百枚も二百枚も年賀状というのは来ませんから、当たる確率が非常に悪い。しかし、欲しい。わずか八十円でこういうことがあった。もちろん少年の本当にささいな行為でありますから、別に大きな事件にはしていませんけれども、新聞記事としてはそういうものが出ておったということです。  そこで、あれは抽せんをされまして、七月の半ばころまで一応引きかえができるわけですが、これに対して二つばかり検討をしていただきたい。  一つは、これが当たらなければ引きかえられない。これはいいアイデアではありますけれども、今のような問題がある。これに対して、二十一日からですか、引きかえをしていくと同時に一般販売ができるかどうか。それがもし大変難しいとすれば、七月の全部引きかえた後それができるかどうか。あるいはまたそれが非常に難しいのだ、いろいろな条件があるんだとするならば、オーダーキャンセルとして、これを一般に販売できないか。あれはつぶしてしまっているわけでしょう、大臣。これはもったいないことだと思うのです。資源のロスでもある。しかも、市場があるとするならば、それに対してこたえてやることが必要だと思う。  これはぜひ大臣、時間がありませんので、ひとつ簡単にお答えいただきたいと思います。
  514. 左藤恵

    左藤国務大臣 お年玉シートの残をオーダーキャンセルとして販売することにつきましては、会計法上の問題とかいろいろございますけれども、今御趣旨の線に沿ってひとつ検討してみたい、このように考えております。
  515. 後藤茂

    後藤分科員 それから、初日用の通信日付印の中で、絵入りハト印は終日印になったわけですけれども、機械ハト印が午前中だけで午後は行われないのです。これがわからないのですね。なぜ午前中だけで午後やらないのか。これは午後までも使えるようにぜひしてやってほしい。これはもうそうしますということになれば済むことでありますから、ほかの何もあれはないのです。ぜひひとつお願いします。
  516. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 御趣旨に沿って検討してまいりたいと思います。
  517. 後藤茂

    後藤分科員 時間がなくなりましたので、ひとつ……。私のところへもたくさんの手紙が参りますけれども、せっかく今度は大蔵省の方も大英断で福沢諭吉、新渡戸稲造、夏目漱石にお札を変えたわけです。ところが、何回も私は申し上げるのですけれども、いわゆる歴史的に道を開いてきた人々を、お札では三種類か四種類しかできないのですが、切手の場合はもっとたくさんできるわけですから、今日経済大国、一割国家だなんて言われておりますけれども、それをつくり上げてきた多くの学者だとか科学者だとかあるいは芸術家だとか、こういう人々をぜひ顕彰切手で顕彰してやるべきだ、その選考等は文化庁等にも依頼してやればできるじゃないかということがありますので、これは大臣、ぜひそういうことを、毎回私は申し上げているのですけれども、いかがでございましょう。
  518. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しのような、文化の面で日本の歴史を切り開いてきたといいますか、そういうふうな貢献をされた方々を顕彰するという意味でシリーズ切手を発行したらどうか、こういう御趣旨だと思いますが、私は十分その意義があると思いますし、現在昭和六十年度末までに、高山植物とそれからもう一つは伝統工芸品のシリーズ、これが一応終わるわけでございますし、そうしたことでもございますので、文化庁等関係方面で十分協議いたしまして、こういった問題について検討させていただきたい、このように思います。
  519. 後藤茂

    後藤分科員 時間が参りましたので最後に一点だけ。  同和対策なりあるいは被差別部落等の実態等がまだ幾つか差別事件等も起こっているようであります。郵政業務の中におきましても、大臣ひとつこういう実態も十分につまびらかにして、郵政業務に反映させていただきますように、これは要望いたしまして、時間が参りましたので、終わりたいと思います。  大臣、ひとつその点だけ。
  520. 左藤恵

    左藤国務大臣 郵政省といたしましても、今後適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  521. 後藤茂

    後藤分科員 終わります。
  522. 中島衛

    中島(衛)主査代理 これにて後藤茂君の質疑は終了いたしました。  次に、薮仲義彦君。
  523. 薮仲義彦

    薮仲分科員 私は、今度電電三法案が改革されまして、いよいよ四月から電電公社が日本電信電話株式会社として民営化の第一歩をしるすわけでございますけれども、私は国民の一人としてしっかり頑張れよと激励をする気持ちに立ちながら、以下句点か大臣にお伺いしたいことがあるわけでございます。  この新電電の規模は、従来言われておりますように、従業員が三十二万、資本金も原案では七千五百億、五十八年度の決算でございますけれども、売上高四兆五千億、総資産十兆五千億。総合的に見ますと、国民総生産世界第二位と言われる日本の国の企業としてはナンバーワンでございます。超マンモス企業であることは間違いございません。この電電公社の民営化ということは第二臨調の方向でもございましたし、コンピューター等の発達によってニューメディア、高度情報化社会というのは避けて通れないことでございますので、電気通信事業を公社が独占することは、自由な競争ということが存在しないので、この事業の発展のためにも民営化が必要であろうということで、今日の新しい段階を迎えたわけでございますが、複数の企業で競争する、それによって国民はより良好なサービスをより低廉な単価で受けられる、これはやはり電気事業の活性化や効率化を促すであろうということはわかります。  でも、ここで最初に大臣に伺っておきたいのは、このように民営化によって自由な競争を生んで、国民によりよきサービスをと言いますけれども、そこで一番我々消費者の側から確認をしておかなければならないのは、電電公社というのは国民の共有財産であり、明治から百年間の歴史の中で国民が債券を求めてこの公社を育ててきたわけであります。ですから、このことは法案審議の中で何回も取り上げてきた問題だろうと思いますけれども、改めて四月一日からスタートすることによって一番忘れてならないのは、国民が不利益をこうむってはならない、また要らざる混乱を生じたり戸惑いがあったりしてはいけない、やはり国民生活を守り、よりよき社会生活というものを享受できるような、そういう方向で指導していかなければならないと思いますけれども、国民生活を守るという観点で、まず大臣の御決意を伺っておきたいのです。
  524. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、電気通信事業法によりまして、今までの公衆電気通信法と違って電電公社、国際電電の独占事業ではなくなって、そして国民の皆さんのための電気通信を確保するというための法律として四月一日から実施されるわけでございます。  そうした意味におきまして、何をおきましてもまず大切なことは、公共の福祉といいますか、そういうようなものを完全に確保するという上に立っていろいろな自由な競争が行われることによって、さらに国民の皆さんにより高いサービスをより低廉な料金で提供することができる場をつくっていこう、こういうことがこの法律をつくった趣旨ではなかろうか、私はこのように考えております。
  525. 薮仲義彦

    薮仲分科員 では、重ねてお伺いいたします。     〔中島(衛)主査代理退席、主査着席〕  これは五十七年九月に端末機器問題調査研究会が「電気通信における端末機器問題に関する調査研究報告書」というものを出しておるわけでございます。そこの中で「公正な競争条件の確保に努め、」というところがあるわけでございますが、「公社はその役割に照らし、基本的な機器、技術先導的な機器、福祉機器の提供に重点を置くことが調和のとれた発展を図るための一つの基準になるものと考えられる。」こういう提言があるわけでございますが、今大臣おっしゃられたように、新しい電気通信事業法という法律の中で民営化が進んでいくときに、この端末機器の販売を実施していくときに公社は、今までは公社、これからは会社になるわけでございますが、一つの方向として、これを法律の中でどう取り組み、また今後民営化されていく公社がそういう方向というものを十分踏まえながら附帯業務を遂行するということになるわけでありますが、その辺をちょっとお伺いしたいのです。
  526. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 昭和五十七年九月に先生おっしゃられました端末機器問題調査研究会の報告書というのが出ておるわけであります。その中でいろいろな提言がございますが、今先生のおっしゃられたような提言を重点にして法律がどう取り組んでいるかということについてお話を申し上げたいと思います。  競争の活発化に備えるために、技術基準、適合認定あるいは工事担任者のあり方、こういったことについてそれぞれ公平な決定方法などについての提言がなされているわけであります。本電話機の開放ということを初めとしまして、電気通信事業法の中にこういったものを取り込んでおります。技術基準につきましては、郵政省令でこれを定めるということにいたしておりまして、端末機器の認定あるいは工事担任者の試験につきましては、郵政大臣または公正中立な第三者の機関というものがこれを行うということにいたしております。また報告書につきましては、電電公社の売り渡し方式については、保守責任のあり方、それから価格の設定方法、あるいは収支の明確化、事業部制の導入、こういったことについていろいろ多岐にわたって提言がなされているわけであります。これらにつきましては、端末機器の売り渡しが新電電の附帯業務として位置づけられ、その「業務に関し必要な事項は、郵政省令で定める。」ということが法律で決められております。この業務にかかわる収支というものを明確にした上で収支相償うようにこれを営むことにいたしております。  なお、当該業務の概要を郵政大臣に届け出をさせるというような内容の省令を定めるべく今準備をいたしておるところでございます。  このように、報告書の提言の内容につきましては、それぞれ措置されているわけでありますけれども、四月一日以降におきましては、一層の適切な運用というようなことを考えてまいりたいと思っておるところでございます。
  527. 薮仲義彦

    薮仲分科員 具体的なことは順次聞いてまいりますので、私が申し上げたのは、方向としては「基本的な機器、技術先導的な機器、福祉機器の提供に重点を置く」ということが提言されておるということ、この三つの方向はどうなのかということ、これは大臣に答えていただきたいと思うのですけれども、時間がないから質問しないことまで答えていただくと時間がもったいない。  大臣にお伺いしたいのは、私が言いたいのは、今この中で言っているのは、そういうように方向として三つが出されているわけです。と同時に、これから民営化されたときに一番困るのは、民間の中小零細の端末機器販売業者との競合になってくるわけです。そのときに今言ったような三つの方向性というものは守られるかどうかということをひとつ伺いたい。  と同時に、やはり民営化されたこの新電電に望まれるのは、巨大な企業ですから、公正な競争、そして今まである零細な企業との共存共栄、調和ある発展というこの三つは当然守られなければならないし、重要な事柄だと思うのですね。と同時に、弱小なそういう業者であっても、今まで公社の発展のために営々と努力を積み重ねてきたことは事実なんですから、やはりそういう零細な端末の民間業者も守っていくということも大臣の行政の指導の中にあって当然だと思いますが、いかがですかと聞いているんです。
  528. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、そういった問題について十分配慮しなければならないと考えております。そういった今御指摘の三つの問題につきましては、今局長から御説明申し上げましたその法律を具体化いたします省令、政令の中におきまして、特に省令の中におきまして、そうした問題を、今の精神を生かすように、現在準備をして努力をしているところでございます。
  529. 薮仲義彦

    薮仲分科員 重ねて伺っておきますけれども、私は公正な競争というのは非常に大切なことだと思うのですけれども、大臣、これは守っていただきたいと思うのですけれども、重ねていかがでございますか。
  530. 左藤恵

    左藤国務大臣 そのとおり公平な条件で公正な競争が行われる場をつくり上げるということが大切だ、このように考えております。
  531. 薮仲義彦

    薮仲分科員 公取来ていますか。公取、呼んだと思うんです。来ていますね。委員長、ちょっと資料を渡したいのですが、よろしゅうございますか。
  532. 小渕恵三

    小渕主査 どうぞ。
  533. 薮仲義彦

    薮仲分科員 今大臣が公正な競争ということをおっしゃったし、私もスポーツを愛好する一人ですが、やはり競争というのはフェアじゃなければならない。アンフェアな競争というのは決して好ましいものじゃないと思うんです。  今お渡ししたプリント、これは電電公社が管内に配布したプリントでございますが、これは電電公社も一生懸命民営化に対して努力なさっているということで私は一定の理解はしておりますので、名誉のために、どこの電話局がなどということは削ってございます。私は原本持っておりますから、原本にはどこがやったかわかるのでございますけれども、これを見ますと、例えば電電公社と末端の端末業者の差がずっと出ております。例えば故障の修理は電話局、一一三番は無料です、末端の業者の場合は修理費は、保守は、すぐ来ますかというように疑問が対比されて出てくるわけです。  また、こちらの方の人間が二人かいてある絵の方も、セールスマンの身元の証明が大事ですよ、電電公社は身分証明があるけれども、端末を売っているどんな業者が来るかわかりませんよという表紙がついています。  その次に、どちらが有利かという大きなポイントがイラストで出ているわけです、七項目。これを見ますと国民は、さっき大臣は、戸惑いとか不安とかいうものがあってはいけませんよと言うけれども、私は、公社と民営とどう違うんだろうか、公正な競争に該当するのかな、こう思うのです。これにはこう書いてあるのです。「毎度ごひいきにあずかりありがとうございます。さて、最近民間業者の電話機販売が活発に行われておりますが、これら業者の言動は極めて巧みで、中には悪質な場合もあり、いろんなトラブルが発生しておりますので、十分御注意願います。公社は民営化を控え、今後いろんなサービスを提供することになりますので、万一民間業者が訪問しましても早急に決めることなく、電話局へます御相談ください。」こうなっているのです。  そうしますと、現に電話機を今度自営の業者が入れましょうというのにトラブルが起きてくる。これは私、公正な条件であるかどうかいろいろ問題があるし、こういうことがあってはいけないかなと思っています。この資料は先に公取に意見を聞いております。今渡したわけではないのですけれども、公取さんはこれが公正な競争条件に関してはどういう見解が、ちょっとお伺いしたいのです。
  534. 河村穰

    ○河村説明員 御説明申し上げます。  一般論として申し上げたいと思いますが、あるメーカーが競争メーカーの製品の性能やアフターサービス等について中傷、誹謗することにより競争メーカーと顧客との取引を妨害する、そういうことで公正な競争を阻害するおそれがある、そういうように認められる場合には、不公正な取引方法の一つの類型でございます競争者に対する不当な取引妨害に該当いたしまして、不公正な取引方法を禁止しております独占禁止法十九条の規定に違反する、そういう問題があろうかと思います。またあるメーカーが、ビラ等によりまして、自社製品の価格、その他の取引条件について、競争メー力ーのものよりも著しく有利であるというふうにユーザーを誤認させることによりまして、不当に顧客を誘引する、そして公正な競争を阻害するおそれがある、そういうように認められる場合には、景品表示法第四条で不当表示を禁止しておりますので、その規定に違反する。あるいはまた不公正な取引方法の一つの類型として、欺瞞的顧客誘引を禁止しておりますので、それに該当いたしまして、やはり独禁法の十九条に違反する、そういう問題が発生する場合があろうかというふうに考えております。  したがいまして、公正取引委員会といたしましては、ただいま申し上げました独占禁止法または景品表示法に違反する、そういう疑いのあるような行為が行われているという具体的な情報に接しました場合には、必要な調査を行う等適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  535. 薮仲義彦

    薮仲分科員 私はこの問題、これ以上公取さんにどうのこうのということは言う気持ちはないのです。やはり電電が初めて民営化するのに、やる気満々でいろいろその勇み足であったかもしれませんし、私は事柄は善意に解釈したいのです。でも我々から、国民から見ておると、ある意味では混乱を生じますし、疑惑を生ずるし、こういうことがあってはいけないと思うのですね。やはり国民が不安を感じないように、電電になっても、民営も育てていかなければならないのが郵政省のお立場でしょうし、また公社が今度電電株式会社になっていろいろな御苦労があるわけです。今までセールスをしたことのない方がセールスをしなければならない。私の地元は静岡ですけれども、静岡でもデパートヘ行っておじぎの仕方から訓練しています。私は、大変だな、頑張れ、こう激励をする立場ですけれども、しかし、スポーツマンという立場からいうと、これは私は余り好ましいことではないと思うのです。超マンモスが余りおやりにならない方がよろしいのではないかな、こう思います。これはこれだけにしておきますけれども、大臣、こういうことは余りやらない方がいいと思いますけれども、いかがですか。
  536. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話しのように、そうした行き過ぎというものは私は適切でないと思います。具体的な営業活動につきまして、あくまで商道徳、社会通念あるいは公正取引上の要請といったものに沿った適切な活動が行われることが必要であって、こういった問題につきまして、今お話しの点につきましては、パンフレットを見せていただきました感じでは、不適切な表現が見受けられるのではないか、私はこのように思いますので、今後あくまで良識ある営業活動ということを期待いたしたい、このように考えております。
  537. 薮仲義彦

    薮仲分科員 どうかなれない民営化ですから、公社も大いに激励し、民営も育てていただきたい。それはこのぐらいにしておきます。  それから、今後の方向として一つ確認しておきたいのは、民営、自営の方が今度加入電話を、例えば公社の電話をかえますよというときに、「加入電話等附属設備自営届書兼審査申請書」というのを電話局へ持っていくわけでございますが、これが意外と今トラブルの原因になっております。これは大臣も先刻御承知だと思いますが、これを持っていくと、どこの会社がどういうビジネスホンにかえるか、機器に種類までわかるわけです。これが悪用されるというと表現は悪いのですけれども、どこの会社がかえるのかとすぐわかることによって、公社が、おたくは電話をかえるのですか、なぜですかというようなことになりまして、また要らざるトラブルの原因になっておりますし、私の耳にも多少入っております。でも、きょうはやめます。これ以上まだ出発前の電電を余り苦しめるような発言はしたくない。でも、あることは事実です。  ですから、この申請についてはもっと簡略に、いわゆる自営の方が安心して公社へ、あるいは今度できるであろう第二電電、あるいはいろいろなところが出てくるかもしれませんけれども、それは届けて、いわゆる交換機や何かどの接続を見て、適正な機種であればいいですよというような簡単な手続といいますか、簡単でありますけれども必要な条件は十分備えるような様式にかえていただきたいし、余りそれで神経を使わなくていいようにしていただきたいと思うのですが、その点いかがでしょう。
  538. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 いろいろ公社がこれから新電電になって営業をやる、今先生からおっしゃられたような、まさにフェアな立場に立って営業活動というものをやっていくよう私どもも指導してまいりたいと思うわけであります。  ただいまの様式等は、私ども、今法律に基づく諸手続をいろいろ検討いたしているところでございまして、先生の御趣旨というようなものも踏まえながら検討させていただきたいと思っております。
  539. 薮仲義彦

    薮仲分科員 今度はもう少し具体的なことでやりますけれども、大臣、御承知のこれがビジネスホンEというものです。新しく十二月二十六日に公社がビジネスホンとして発売した機種でございます。  ここの中を簡単に申し上げますと、レンタル、リースのような形になっておるわけでございますが、これはもう大臣承知のように、一年でお支払いいただく場合には月額四千円で結構です、一年過ぎてそれ以降は三百五十円の継続使用料でいいです、こういうパンフレットでこのビジネスホンEが売られているわけです。民間では、これは日通工の機種でございますが、こっちは岩通の同じような性能を備えたものを売ろうとするのですね、こういう機種を。  ここで一番問題は、御承知のように、今までこういうのは付加使用料という形で計算されているわけです。これに対して末端の業者はどうするかといいますと、今税法上決まっておりますのは、電話機というのは耐用年数が十年ですから、これは六年以上のリースを組まなければなりません。そうすると、七年間で今ほとんど自営の方はリースを組んでいるわけでございます。このリースを組むときにどういう事柄が行われるかといいますと、現行のビジネスホンですと千五百円、千六百円の付加使用料が十二月二十六日から千百円になるわけです。この千百円に対応するリースを組まなければならないわけです。千百円でリースを組みますと、仮に私が十台ビジネスホンを入れたとしますと、計算式はこれは局長がもう先刻おわかりですからお聞きいただきたいのですが、それをさらに七年間ですから八十四カ月、私がその端末業者に払う総計金額は九十二万四千円です。これはリース会社に行きますと、リース料率は一・七二ですから、千百円を一・七二で割り戻しますと、リース会社が買ってくれるのは、六十三万九千五百三十四円で買ってくれるはずです。それはさておいて、私が端末業者に払う金額は間違いなく九十二万四千円です。ところが電電がこのビジネスホンEというのを四千円で出しますとどういうことになるかというと、四千円で十台、一年間十二カ月、ざっと計算して四十八万円なんです。そうすると、私がもしも会社の経理担当者であれば、公社のこの四千円の機種の方が、端末を売っていらっしゃる業者から買うよりも約半値で買えるなという計算ができます。消費者側から言えば安ければ安いほどいいんだ、それはもう国民の側の判断です。でも、このことによって一番苦しむのは、今まで公社の最先端においてビジネスホンを売っておった端末の零細な業者、公社のように、金額はちょっと差し控えますけれども、一挙にどっと大量に電話機を購入できるところは安くたたけるわけです。でも、小さなところは値段をたたけない。そうすると、競争するために、千百円のリースをどうしなければならないかというのを計算すれば、これは局長も御承知のように、五百七十一円の月額で出さなければならないのです。半分近い値段で出さないと競争に勝てないのです。  国民は安ければいいということはわかるのですけれども、大臣に知っておいていただきたいのは、やはり零細な端末機器を販売している業者の方は、十二月二十六日以降――私は郵政に関係ないというか逓信委員じゃないのですが、私のところへも飛び込んできて、薮仲さん、聞いてくれと、こういう訴えを受けているわけです。やはりこういう実態があるんだということ、零細な端末業者が苦しんでいるということ、こういう事態は知っておいていただきたいと思うのですね。  それで、どうやったらこういう人も育成できるか考えていただきたいと思うのですけれども、我我は安ければいい、でも、零細な業者を守っていかなければならない、この実態を大臣に御理解いただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。
  540. 左藤恵

    左藤国務大臣 今御指摘のような、やはり安定して供給できる仕事、そしてそれにかかわる方々がある特定の問題について、例えばダンピング的な料金によって流通経路を混乱させられるということによって非常な大きなショックを受けられる、混乱を来すということは、私は適切ではないと思います。やはり競争の中で低廉であれば低廉であるだけいいわけでありますけれども、そしてまた利用者の利益になると考えますけれども、長い目で見て、適正な競争が行われなければ、安定したそういった供給が将来とも確保できないのではないか。そういう点について、我々は十分こういった問題について判断をしていかなければなりませんし、今後端末機器使用料の認可に当たっても、こういった点について十分留意していくということをしなければならない、このように考えております。
  541. 薮仲義彦

    薮仲分科員 きょうは、これを余りやりますといろいろな問題が出てくるので、この辺でとめますけれども、意のあるところは、今の大臣の御答弁の中にあると信じておりますので、どうか我々国民の利益と同時に、関係の業界も温かく見守ってお育ていただくということを重ねてお願いをいたしておきます。  それから、次の問題に移りたいのでございますが、この法案の審議の中で、いわゆる「日本電信電話株式会社及び新規参入者、中小企業との間に、公正かつ有効な競争が確保されるよう努めるとともに、問題が発生した場合の相談窓口の設置等について検討すること。」ということが参議院の逓信委員会で附帯決議としてついているわけでございます。  今後電電が民営化されたときに起きてまいりますのは、新電電を含めていわゆる第一種の電気通信事業者の間に発生するトラブルというのがあろうかと思います。しかし、第一種電気通信事業者というのは巨大な企業でございますから、当事者間で、これは郵政省も当然解決はできる事柄だと思います。  問題は、その二番目に出てくると考えられますのは、第一種通信事業者と今申し上げた端末のボタン電話等を売っている業者との間でトラブルが発生したとき、やはり双方の言い分を聞いてあけて、納得できる解決をしてあげるような機関がどうしても必要じゃないか、こう思うのです。  それからもう一つは、今度民営になったときに、端末の機器の業者と消費者、国民との間でトラブルが発生しないという保証はないわけですね。特に今度の法律の中では端末の業者については何の網もかぶせられておりません。行政改革の折、行政が法律で網をかぶせるのは余り好ましくないということがあって、規制を外そうということはわかります。でも行政改革は行政改革として、生命、財産にかかわる部分は行政がきちんと責任を持たなければならない部分があると思うのです。例えば私が土地を買う、家を建てるときには、建設省の中には建設課長がおります、不動産業課長もおります。また自動車だって、整備振興会をやるためには運輸省がきちっと監督しております。またプロパンにしても液石法できちっと規制されております。命や財産にかかわる部分というのは非常に大事だと思うのです。ところが電電というのは、秘密漏えいから、今後高度情報化社会になってどうなるかわかりませんし、やはり業界の規制と同時に、そういう業界を育成する責任は大臣に持っていただくことがある部分では必要かなという考えを私は持っております。  というのはなぜかといいますと、さっきのパンフレットの今度は逆じゃありませんけれども、だれでも端末機器というものを売る事業を起こせるわけです。設置するときに工事担任者というのがあれば、この事業はだれでも自由にできるわけです。ところが我々国民は、先端機器に対しての知識が全然ないわけです。ノンガードです。どういう業者が売り込みに来てどんな機種をやられるのかということについてだれも保証してくれないわけです。消火器でも消防庁がきちっと認定しております。消えない消火器を売られたのでは大事件です。このように機器については、さっき局長が御答弁なさっておりましたけれども、機器の技術基準というのはちゃんとあると思うのですが、それがそうして末端に来たときにいろいろな不安とかトラブルが起きないとも限らない。これが民間個人との契約だからもう裁判をやりなさいという事柄になってしまうと思うのです。でも、これは国民にとっては非常に不安だと思うのです。なれない業者が来て、いいからと言ってかえた、ところがトラブルが起きたら法制では何もできない。ですから裁判に訴えなさいというのでは、百年間電電公社を育ててきた国民が不安や不利益をこうむることは、ある意味では目に見えると思うのです。私が、不動産売買で悪い取引をやる業者だったら、建設省の不動産業課長にこれはどうですかと聞けば、業界、業者を適正に指導して、国民が不当に不利益をこうむらないような話し合いの場はあるわけです。今後端末業者と第一種の業者との間もありますし、我々国民と端末機器の業者とのトラブルもあると思うのです。この二つはやってみなければわからないことかもしれませんけれども、ないと断言できない非常に大事なことだと思うのです。なぜかならば、今端末業者はビジネスホンのところへ集中しています。しかし、これからホームテレホンに入ってくると思うのです。私の静岡は今度テレトピアになります。テレビや新聞でこれからの高度情報化社会のことを言いますと、家庭の電話機にどんどん入ってくると思うのです。今シェアは公社が八割、自営は二割かもしれません。あるいは逆転するかもしれません。そうなってくると、個人の家へ入ってくるわけです。こういうトラブルというものが想定されますので、こういうトラブルを何とか未然に、あるいはまた生じたときに適切な機関で指導していただくことがとりあえずは郵政省の必要な行政責任であり、大臣のお立場ではないかと思うのでございます。これについてどういう機関をつくってどう解決していただくか、お答えをいただきたいと思います。
  542. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先生からいろいろ御指摘いただきました。私どももこれからの運用に当たりましては十分考えていかなければならない問題でございます。御指摘がございましたように、事業者に対する仕組みというのは、今回の法律ではつくっておりません。したがいまして、冷たい言い方をすれば、先生のおっしゃられたように裁判でというような形になるわけでありますけれども、個人の通信、こういったものを円滑に、また活性化させていこうというのが法の趣旨でございますので、もちろん法律上通信の秘密を侵すというようなことについては手当てはいたしておりますけれども、ただ、それだけではなしに、いろいろな形でトラブルが起こった場合には、国会の附帯決議も踏まえまして、前回の法案の審議の過程におきましても申しましたが、私どもの局の方へいろいろな苦情なりはお持ち込みをいただきたい、そしてそこで一緒になって問題の解決をしていきながら、私どももいろいろなことを考えていきたいと思っているわけであります。同時に、それぞれ関連するメーカー、業界もございますので、私どももそういったところとも十分連絡をとりながら、しかるべく指導、徹底がいくように、いろいろ知恵を出し合いながら努力してまいりたいと思っているところでございます。
  543. 薮仲義彦

    薮仲分科員 最後に大臣、合いろいろ申し上げました。やはり我々消費者、国民大臣に守りていただきたいと思う。トラブルを何とか好ましい形で解決していただきたい。端末の零細な業者を守っていただきたい。この二つについての大臣の御決意を伺って終わりたいと思います。
  544. 左藤恵

    左藤国務大臣 例えば電話設備協会とか通信機械工業会とか、そういった関係の団体を通じていろいろ指導し協力を求めていきたい。いろいろな方法が私はあるだろうと思います。相談の窓口というようなものをつくっていくことも大切だと思います。今お話のございましたように、そうした零細な業者、それからもう一つ大切なのは利用者の保護という点を十分念頭に置いて、そういった問題について努力をしていかなければならない、このように考えております。
  545. 薮仲義彦

    薮仲分科員 終わります。
  546. 小渕恵三

    小渕主査 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。  次に、上西和郎君。
  547. 上西和郎

    ○上西分科員 私はまず、国民年金の支払い金融機関の問題について、大臣以下それぞれ関係の方方の御見解をいただきたいと思うのであります。  既に御承知のことと思いますが、国民年金の老齢年金並びに通算老齢年金はどこででももらえます。たたし、都道府県庁所在地を除く社会保険事務所所在地では、特定金融機関でしかもらえないのが国民年金の障害、母子、遺児、寡婦並びに準母子、この年金であります。私は昨年初当選のときに、このことを厳しく言いましたら、厚生省は完全にどこの金融機関でももえるようにいたします、こう答えたにもかかわらず、昨年十二月一日一定程度の拡大を行われましたが、故意か偶然か郵便局はこの中に入っていないのであります。百年の歴史を持つ日本政府の金融機関がなぜ年金の支払いを拒否しているか、そのことについて明快にお答えいただきたい。
  548. 奥田量三

    ○奥田政府委員 もろもろの国の支払い事務につきまして郵便局で取り扱っておりますものは、例えば恩給など個別の法令で郵政大臣が取り扱うように定められているもののほかは、日本銀行、代理店等を含みますが、日本銀行の所在地以外の御承知のいわゆる隔地の場合に限られているというのが現在の法令の仕組みになっております。したがいまして、国民年金のうち今御指摘の障害年金等につきましては、社会保険事務所が日本銀行を通じて支払うことになっておりまして、郵便局で支払いますのは、日本銀行の所在地以外の地域の受給者ということになっているわけでございます。  御指摘のとおり、受給者の利便を考えますれば、日本銀行の所在地内にある郵便局でも取り扱われることが望ましいと私どもも考えておりますが、会計法令の関係、またこれらの年金等の所管庁の事務手続等の関係等もございまして実現を見るに至っておりません。なお検討してまいりたいと考えているところでございます。
  549. 上西和郎

    ○上西分科員 厚生省、社会保険庁どちらか見えていると思いますが、そちらの方はどういう御意見なんですか。
  550. 植西常郎

    植西説明員 ただいまのお話でございましたように、郵便局の支払いにつきましては、社会保険事務所の管内の郵便局では支払いを受けることができないということに現在なっております。我々としましては、受給権者の利便を考慮いたしますと、これらのすべての郵便局で支払いを受けることが望ましいというふうに考えておりますけれども、いろいろ法令上の関係もございますので、郵政省ともよく相談の上、できるかできないかにつきまして検討させていただきたいと思っております。
  551. 上西和郎

    ○上西分科員 問題はそこなんですよ。五十万人超えるのです。障害年金の方は体にハンディがある。遺児年金は高校三年生以下だ。母子年金は御承知のとおり母子家庭だ。寡婦年金は六十から六十五歳までの未亡人だ。こうした身体的に家庭的にハンディがある者をなぜわざわざ遠いところにやるのですか。間近にある郵便局をなぜ使わせないのですか。法令これありといっても、それをやるのが行政改革じゃないですか。そのことを抜きにして、法律がこうだからああだからと言って、郵政省は何を考えている。大臣、このことについてあなたはどのような御見解をお持ちですか。利便を考えてください。
  552. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話しのように、受給者の利便を考えればそういったことについてできるだけ郵便局で扱うべきだ、このように考えておりますが、今お話ございましたように、今までの各省庁との話し合いの中におきましてこういったことがなかなか実現できないのを私は非常に遺憾に思っております。
  553. 上西和郎

    ○上西分科員 遺憾に思っておるとおっしゃいましたが、昨日、私は竹下登大蔵大臣に、創政会で勉強するのも結構だが、こうした方々を救済することも総理・総裁への最短の道ではないかと申し上げたところ、快くお引き受けになり、若干の時間をかしてください、おこたえをしたい、こういうお答えをいただきました。  大臣は郵政省のエリートコースをまっしぐらに走ってこられた方、その方が、行政改革というのは、ここをやらなければいかぬわけでしょう。縄張りを越えろ、お役人のたるんでいることを直せ、これが土光さんが言っていることじゃないですか。それが電電の縄張り争いなどに血道を上げてとは言いませんけれども、そういったことに比較的熱心な皆さんが、わずか五十数万人といっても、なぜこうした方々に不便を与えて恬然としているのですか。ですから、今検討したいとおっしゃったことを私はかたく信じて、このことについて早急に大蔵あたりと協議の上、一刻も早くすべての年金がすべての郵便局を含む金融機関で受給できるようにぜひしてほしい、このことを重ねてかたくお願い申し上げたいと思います。よろしいですね。  第二点は郵便年金の課税方式です。御承知かと思いますが、郵便年金はできてまだ日が浅うございます。私ごとを申し上げて恐縮ですが、私は約三十年もろもろの年金、社会保障の相談をやってきた男です。だから、性格が違うのですが、郵便年金も私のところに来るのです。何が来たか。今度やっともらえるようになった、年額七十二万円だ、ああよかった、うれしいですね。その舌の根も乾かないうちに、約四年分に匹敵をする税金の徴求が税務署からがんと来て、そのお方はそれこそ目先真っ暗ですよ。そういうことを郵政省は結果としてやっているわけだ。郵政省が、庶民の年金だ、小口の年金だ、老後の楽しみだと盛んに何十万という職員を動員してPRして、やれうれしやと思ったら、大蔵大臣の方でがぼっと持っていく。こういうことを許していて、郵政大臣、何のかんばせあって加入者とまみえるのですかと私は言いたいのです。このことについてきのう大蔵の方では法理的な見解をいただきました。私は、日本の国家公務員は優秀な集団、昼夜を分かたず、日本のため国民のために精励いただいておることはよく承知いたしております、しかし、法律を守ることを優先し過ぎて、本当にこれで老後の楽しみと思っていた方々に頭から冷や水をぶっかけるようなことを郵政省はなぜ、私に言わせると、座して見ているのですか。このことについてどのように大蔵省とやっているのか、そうしたことを含めて、御見解なり現状について御説明いただきたいと思います。
  554. 大友昭雄

    ○大友政府委員 先生御指摘のとおり、郵政省では新しい郵便年金制度を五十六年九月から創設をしております。現在まで約三十万件弱の普及を見ておるところでございます。新しい郵便年金制度の創設に当たりまして、重要な課題というものが幾つかございました。もちろん年金制度の内容をどのように組み立てていくかということが一番基本でございますけれども、それとあわせて資金運用制度の改善充実ということ、さらに個人年金の普及のために、税制についても詳細な研究を行いまして、年金の普及のためには税制上の支援というものが極めて重要であるという結論に達したところでございます。  それらの研究の結果を踏まえまして、新しい郵便年金制度の創設に当たりまして、五十五年度、五十六年度の予算の要求に合わせて、個人任意年金の掛金の別枠所得控除、それからもう一点、年金支払い時に、年金契約者と受取人が異なる場合に贈与税が年金受給権評価額に課せられるという問題に対して、他の贈与財産とは別枠控除を考えていただきたいという、この二点について税制改正の要求を行ったところであります。残念ながら実現を見なかったところでございます。  このため、この二つの重要な課題につきまして今日まで毎年引き続き改善方要求を続けております。既に御承知いただいておりますとおり、この二つのうち個人任意年金の掛金の別枠所得控除ということにつきましては、五十九年の税制改正の中で道が開かれたわけでございますが、もう一つの年金支払い時に課せられる贈与税の問題につきまして、他の贈与財産との別枠控除という点については、まだ実現に至っておりません。私ども、引き続き鋭意この問題について、これから先の高齢化社会というものを踏まえて、自助努力による年金の充実というものが極めて重要な課題、問題であるという認識のもとに、実現に向けて努力を重ねてまいりたいということで考えております。
  555. 上西和郎

    ○上西分科員 事実の経過はわかるのですよ。しかし、それは僕に言わせると無責任なんです。そのことを知っていて勧誘したということについては、道義的責任は免れないと思いますよ、大臣。そうでしょう。ああうれしやと思って七十二万円と思ったら、その四年分ぐらいがばっと来たら、一体どうなるんですか。贈与税は年金給付決定と同時でしょう。そうでしょう。そんなことを気がついていて、やったけれどもだめだった。そうしていて片一方では、そのことを知らぬ顔して、そう言ってはちょっと言葉が過ぎるかもしらぬが、結果としてはそうなんだ。国民大衆はどの金融機関よりもやはり郵便局を信頼していますよ。数も多い。長い歴史も伝統も持っている。簡易保険がそうだ。そして郵便年金、ああうれしや、こうなっていったら、何ですか。そしてそれは、あなた方は重大な欠陥が二つもあったというならば、これが自動車会社なら全部回収ですよ。損害賠償だ。そのお年寄りの心の痛みをどうとらえるのですか。こうしたことを放置している郵政大臣、あなたの責任は極めて大きいですよ、社会的道義的に。そのことについて大臣はどうお考えですか。
  556. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話しのように、高齢化社会の到来を迎えまして、今の郵便年金の普及を図るために、個人年金の税制改善をどうしてもしなければならないというのは重要な問題であると私は考えております。それで毎年そういうことで、お話しのように、大蔵省と税制の問題につきまして予算の際に交渉はしておるわけでありますけれども、現実、贈与税の横並びの問題とかいろいろなことがありまして、なかなかこの実現ができないということは非常に残念でありますけれども、今後ともこれは強力に、今の先生の御指摘のようなことで、この問題に取り組んでいきたい、このように考えておるわけであります。
  557. 上西和郎

    ○上西分科員 大臣の御決意、わかりました。  私はここで声を大にして言っているのは、要するに、日本政府がやっている郵政事業、これには目に見えない、それこそ満腔と言っていいでしょう、信頼がありますね。そのものを結局足げにするような郵便年金の贈与税の問題、そう言われたってあなた方は返す言葉がないんだ。まさに羊頭狗肉ですよ、このやり方は。そこで座っていて平気でおられたら、もらう方あるいはそれを一生懸命まじめに売ってきた方々の立つ瀬はどうなるんですか。  だから大臣、今の御決意を少なくとも――大蔵省は日本で最強最古の官庁がもしらぬけれども、あなたも何といったって郵政省のトップを走ってきた方だ。痛いほどわかるはずです。こうしたことをないがしろにしておって職員の士気も上がりませんよ、大胆に言わしてもらうならば。ですから、一刻も早く、少なくとも竹下さんをねじ伏せてでも、この課税方式について改善を取りつける、それくらいの意気込みでやっていただきたい、このことをお願いしておきます。  次は、角度を変えまして、郵政省の職員の中に人工透析患者は何名いるか、その方々は現在夜間透析を受けているか、昼間か、勤務、服務、そうしたことについて現状どうなっているか、簡潔に御説明いただきたいと思います。
  558. 中村泰三

    ○中村(泰)政府委員 お答えいたします。  現在、郵政省の職員の中で人工透析を受けている人数は、全体で約百三十名でございます。そのうち主として昼間に人工透析を受けている者は約六十名でありまして、夜間に受けている者は七十名でございます。
  559. 上西和郎

    ○上西分科員 詳しいことを部長さんがそうつまびらかに御存じじゃないと思いますから、私は少しく皆さん方に、特に郵政の皆さんに申し上げておきたいのです。  つい先般、私の選挙区のあるところで立派な郵便局ができ上がりました。その新築祝いに出てこいというお招きをいただきましたから出ていってごあいさつを申し上げた末尾で、もちろん当局もおられた、二つの労働組合代表もおいででしたが、私は率直に申し上げたのです。すばらしい局舎ができた、しかし、この局舎の中から局長さんを含む職員間の不協和音が聞こえてくることだけはやめてほしいと私はごあいさつをしました。手前みそですが、これが結果として大変好評でした。というのは、今、夜間と昼間とおっしゃいましたが、私は先ほど申し上げたように、三十年来やっているものだから、当選するはるか以前から随分あちこち回りました。人工透析患者と直接会った数は三けた、何百名といるわけです。男女を問いません。随分見て回った。その中で胸を打たれたのは、郵政省の職員の中で外勤その他のことをやっている方々の中で、その地域に夜間透析の設備なり病院がある、夜間透析を受けよう、医者もそれでいい、それなら仕事もできる、こう言うと、だれとは言いませんが、上の偉い方から電話が来て、夜間透析はなるべくやってくれるなと無理やり昼間透析に追い込んで、週二回ないし三回だ、病休病休の連続だ。結果としてその人たちを退職に追いやるような仕打ちが見えてしょうがない。  私は、自分が電力の出身で随分長いこといろいろなことをやってきていますが、電力というのは、民間でございますけれども、例えばいろいろな事情があってやめようとすると、本店の人事の管理職が飛んでいって、思いとどまってくれ、何か不満があるなら解消しよう、そうしてやっている。採用試験を実施し、長年訓練をし、教育をし働いてきてもらったかけがえのない働く人間、社員は宝だという形で一生懸命やりますよ。これは総評系でも同盟系でもないわけだ。ところが見ていると、大臣の前でずばり申し上げますが、余りにも人間関係が乱れてしまって、へえそうか、やめていけ、幾らでも国家公務員希望者がいるわと言わんばかりの仕打ちが随所にかいま見える。その中で典型的なのが人工透析だ。私は人工透析患者の実態を知っているがゆえに非常にその点嘆かわしいのであります。それが家族、親族、友人を含めて郵政省は冷たいところだと。サンダルで、みずから二流、三流だとおっしゃった次官もおられたようだが、そういうことが週刊誌に出ると、あんなことをやっているんだからなあ、東京の偉か人もそうだろう、こうなっちゃうんです。それがどれだけ郵政省全体にマイナスをしていますか。  私は、ここで人工透析患者の具体的ケースを、どこのだれかなんてことを言いません。必要なら後からでもお知らせしますけれども、私がこのことを通じてお願いしたいのは、郵政事業の中に働く者が、仲間だ、職員同士だ、立場は別にしてもともに仲よくやっていこう、助け合っていこうという気持ちで、もし仮に夜間透析できる者があればどんどん認めていったらどうですか。そうして昼間きちっと働いていただく。そうしたことがざっくばらんに言って今までやや、全国的にアンバラはあるでしょうが、欠けていた向きがあるのじゃないか、私はこう考えます。人工透析のことについてこれ以上私は追及しようとは思いませんが、部長、ぜひもう一遍実態を洗い直し、夜間透析で仲間と一緒に昼だけでも仕事ができるような方がおるならば、三人でも五人でも助けてくれぬですか。中には子供さんがまだ義務生だ、未就学だという方もたくさんいるわけだ。このままでいって、局長さんから言われた、偉い人から電話がかってきた、どうなるのでしょう、お父さん、と言って一家が悲嘆のどん底に暮れることがないように、この人工透析問題を含めて、ぜひ大臣が、言うならばホープでありますから、左藤大臣のもとに新しい気風をおつくりくださることをお願いをし、この問題を終わり、最後に簡易郵便局の問題について簡潔にお尋ねをしたいのであります。  郵政省は簡易郵便局をどのようにお考えになっているのか、ぴしっと簡潔にポイントを御説明いただきたいと思います。
  560. 奥田量三

    ○奥田政府委員 簡易郵便局につきましては、地域の方々の中から適切なしかるべき受託者をお願いいたしまして、経済的にかつ簡便に郵政の窓口事務を、そしてこれをへんぴな地域まで、国の隅隅まで広めることを目的として設置をされている。そういう意味からいたしまして、簡便性と普遍性を達成するために、地域の方々の御協力を得ながら運営されている貴重な窓口機関であると考えております。
  561. 上西和郎

    ○上西分科員 簡易郵便局の数は、五千まではないけれども、全国では相当な数がありますね。私の選挙区なんかも、比較してみますと随分多い方なんです。さらに鹿児島県は全体としても結構多うございます。ところが大臣、あなたは郵政の生え抜きでございますから、具体的なことを少し申し上げましょう。  交通違反にひっかかった。びっと赤い旗を振られた。これは嫌らしいですが、これを毎日受ける人はいない。何年に一回。あれは運が悪かったという説もあるのですから。世界に冠たる日本の警察の交通違反にひっかかった。そうした方々はどうするか。中小零細、いろいろな職場の方がいます。農家の方は農繁期だ。簡易局は原則として職住一緒ですから、朝七時ごろ、おい頼むぞ、ぽんとほうり込まれる。それも反則金の通知と現ナマをほうり込んでいく。その日に届かなかったら運転免許停止だからほうり込む。ところが受ける方は受けられませんね。そうでしょう。受けられないからだめよと追っかけていったって、相手はバイクなんかで走っていく。そうすると、あっ、これをきょう届けておかないと、あしたからあの人運転できなくなるわと言って、その簡易郵便局の方々は一定の契約料しかもらっていないのに本局まで持っていくという過剰サービスを余儀なくされている。電話料しかりだ。先ほど来電信電話の問題もいろいろ論議されているようでありますが、電信電話業務について盛んにいろいろおっしゃる。その電話料金を受けつけないのが簡易郵便局だ。持ってこられた、これをほうっておくと通話停止だ、またかわいそうだ、こういうことでしょう。年金、恩給扱えぬ。そんなばかなことがありますか。このことを改善しようとする腹ありや否や、大臣、お答えいただきたいと思います。
  562. 奥田量三

    ○奥田政府委員 簡易郵便局につきましては、先ほども申し上げましたように、比較的少ない人手で、かつ簡便、経済的に郵政事務をやっていただくという性格からいたしまして、事務の取り扱い範囲につきましても比較的容易なものに限る、また取り扱い事務量についてもおおむね一人を標準とするという考え方をいたしております。  特に、ただいま御指摘の交通反則金につきましては、御承知のように、納付期限が極めて短い、仮納付について七日、本納付十日というようなことがございます。また納付期限内に納付をしない場合には、いわば自動的に刑事裁判手続にまで及ぶというようなこともございまして、これの受け入れ、取り扱いに当たりましては、納付期限に特に注意をする必要がある。また万一にも納付後の事務処理に遅延等が生じてはならないというようなことからいたしまして、この事務の取り扱いについては、でき得れば複数の人間でチェックをするというような慎重な扱いが必要であろうと考えております。したがいまして、そういった意味で、おおむね一人を標準としている簡易郵便局で、この事務を取り扱うことについては、私ども慎重を期しているところでございます。  また、第二点の電話料金の御指摘がございましたが、電話料金の収納事務の受託につきましては、まず第一に電電公社の意向によることとなるわけでございますが、電電公社においては簡易郵便局に電話料金の収納を委託する意向はないというふうに承知をしているところでございます。
  563. 上西和郎

    ○上西分科員 私は再三申し上げておりますように、常に質問の前提は地域の庶民大衆がどう便利になるかということで、このことを抜きにした行政だから土光さんにねらわれるわけでしょう。そうでしょう。縄張り根性だ、規則だ、法律だということでやるから。簡易郵便局というのは郵政省の出先の一つですよ。中身は別ですよ。だれがこうだと言いませんよ。むしろ無集配特定局よりか預金量の大きいところがあるでしょう、ざっくばらんに言って。僕は幾つか知っていますよ。オンライン入っているでしょう。数は全部じゃないけれども、入れているところがあるでしょう。あなた方は入れているじゃありませんか。そこまでしていてなぜ反則金だめなの、なぜ電話料だめなの、年金だめなの。だれも計算しませんよ。これは持ってきた通知書どおりの金額を受ければいいのだ。むしろ預貯金よりか簡単かもしらぬ、引き去る計算も何もないのだから。電話料もそうだ。年金もそうだ、給付決定通知が行くだけなのだから。それをあなた方が言を左右にして逃げるから僕たちは非常に不満なんです。どっちが大事か。国民が大事か法律が大事か。だから大臣、私はこのことについて大臣の見解を承りたいと言っているわけです。
  564. 左藤恵

    左藤国務大臣 確かに国民の皆さんの利便ということから考えると、簡易郵便局でできるだけのものを取り扱うということは必要だと思います。ただ、今いろんなことにつきまして、例えばオンラインが全部入っていくという段階整備されたらそういった問題も当然考えていいんじゃないか、このように思いますが、なかなかそういったことで、要員の問題とか事務的な手続の問題とかというようなこともありまして、現段階ではまだできていないということは事実で、方向としては、私はそういったことで機械化をし、そして時間的にもそうしたものが適切な時期に早く連絡することができれば、納付期限に間に合うような保証もできるわけでありますから、そういったことについて努力をしていくことが必要じゃなかろうか、このように考えます。
  565. 上西和郎

    ○上西分科員 大臣から大変前向きのお答えをいただきました。さすがは郵政省全職員の信望を一身に集めている左藤大臣だ、こう申し上げたいのであります。ぜひそのことを一刻も早くと思うのでありますが、例えば簡易郵便局の中でも資金量の大きいところは既にオンラインが入っている、機械化していますね。そういうところだけでも逐次認めていく。地域に根が生えているのですよ。ざっくばらんに言いますと、僕の選挙区は大隅半島だ、種子島だ、屋久島だ。こういうところでは、その小学校区内に簡易郵便局しかないところがたくさんあるわけですよ。そうするとどうなりますか。雨が降ってきた、例えば働きに行っている父ちゃんが風邪か何かで倒れた、母ちゃん雨の中で車の運転もできない、どこまで持っていっていいのか。こういう方々のために簡易郵便局をつくったわけでしょう、言うならば。  ですから、私はここで参考までにあと申し上げておきたいのは、大臣が今おっしゃったから、私はちょっとほっとしているのですけれども、警察庁から私取り寄せてみた。金融機関の強盗事件はどうか。特定局と簡易局だけを見てみますと、五十八年で特定局が六十一件、簡易郵便局五件なんですね。五十九年は特定局がやや減って、逆に簡易局は八件なんです。銀行強盗は簡易郵便局に公平に入っているわけです。そうでしょう。何の差別もしてないわけですよ。銀行強盗がちゃんと入ってくれているところを、向こうがそれだけ社会的に認知しているなら、大臣、ちゃんと国庫金は全部よろしい、年金も扱わせましょう、年金課長さんいらっしゃるけれども。そうしておいて、福祉年金いいのでしょう。福祉年金よければなぜ厚生年金や国民年金だめなんですか。理屈が通らぬのですよ。この点について局長どうなんですか。福祉年金はいい、他の年金はだめだということは。明確にしてください。
  566. 奥田量三

    ○奥田政府委員 先ほどもお答えしたとおりでございまして、障害年金等御指摘の各種の年金につきましても、国民の立場からすれば郵便局で取り扱うことが望ましいと私どもも考えております。先ほど大臣もそのようにお答えをいたしました。そういった考え方で検討を進めてまいりたいと存じております。
  567. 上西和郎

    ○上西分科員 では、残り少ない時間でありますから、あと一つ具体的に問題を指摘しておきます。  先ほどやりましたけれども、郵便年金の窓口新規払い込みは簡易郵便局もよろしいのでしょう。ところが窓口掛金の受け入れはだめになっているんだ。こんなばかなことはない。これは僕が調べた結果です。間違っていればおわびしますけれども。郵便年金の新規の払い込みはオーケー、しかしその後掛金の受け入れはだめだ。こんなことが事実とすれば、一体郵政省というのはどこか狂っていませんか。だから私は先ほどから言うように、国家公務員の宣誓をし、極めて優秀な頭脳の皆さんが集まっていて、法律から何から裏表やってきている方が、こういうことをすぱっと見逃していて、それで簡易郵便局じゃいかぬので、こうしたことを挙げて、後は大臣の賢明な御判断と大英断を御期持したいと思うのですが、今の事実だけは確認してください。どうなんですか。
  568. 大友昭雄

    ○大友政府委員 実際の簡易局の事務の取り扱いの中でどの範囲の事務を扱っていただくかというふうなことにつきましては、事務量それからお客さんに対するサービスの内容が基本になりますけれども、内部的な手続等々いろいろな角度から検討して決めております。今御指摘の点につきまして、さらに内部で、貯金局との間でも十分詰めてまいりたいと考えております。
  569. 上西和郎

    ○上西分科員 あと時間がないから私が指摘したことは事実かどうか、そのことを明確におっしゃってください。
  570. 大友昭雄

    ○大友政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  571. 上西和郎

    ○上西分科員 だから大臣、あなたのように本当に郵政の中で働いてきて、そうして今政治家になり、しかも位大臣をきわめている方は、こういうことが郵政の中に残っていることだけは明確に御認識くださいよ。だれが見たっておかしいでしょう。郵便年金の新規の受け入れはよろしい、払い込みを受けますよ、あとの掛金はだめですよ。そんなばかげたことをまかり通していて電電の問題に血道を上げる――まあ言葉は悪いけれども、そんな暇があればまずみずからの襟を正す、簡易郵便局の制度について抜本的な見直しと、その周辺居住者の利便を図る、この目的のために簡易郵便局制度の抜本的な再検討、このことを重ねてお願い申し上げたいと思います。  最初から年金関係その他いろいろと申し上げましたが、要は、私が申し上げているのは、国民大衆の目から見た郵政事業のあり方について、現実具体的に欠落している部分が幾つかあるから、それをあえてここで声を大にして訴え、そうして今や最もすばらしい大臣を迎えた郵政省が、大臣を中心に鋭意英知を絞っていただいて、これらの問題の改善、解決のために、それこそ昼夜を分かたず御奮聞いただくことを心から御希望し、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  572. 小渕恵三

    小渕主査 これにて上西和郎君の質疑は終了いたしました。  次に、松浦利尚君。
  573. 松浦利尚

    松浦分科員 いよいよ私が本分科会の最後になりました。できるだけ簡単に質問をして、簡潔に大臣初め皆さんから御答弁をいただいて、約一時間ですけれどもなるたけ早く終わりたいと思います。  まずその一つは、当面の問題事項であります日米間の通信機器の問題であります。  きょういろいろ報道するところによりますと、ドル減らしのためにアメリカ側が衛星を我が国に購入させる、河本特相も早急に受け入れ態勢をつくるというようなことがきょう関係閣僚会議で決まったようでありますが、御承知のように、アメリカの周波数はKuバンドで、我が国の周波数はKaであります。Kuバンドの十一ないし十四ギガヘルツのものを輸入いたしまして、我が国では結果的に使いものにならぬ。およそ商売というのは売る側が合わせて、我が国なら我が国の状況に合わせて売り込むというのが通常だと思うのですが、そういう点については一体どのように今日の日米間でなっておるのか。莫大な金を出して使いもしない衛星を買っては大変問題があると思うのです。その点が疑問。  もう一つの疑問は、この光ケーブルの伝送ロスが我が国の場合はO・六五デシベル、アメリカは一デシベル、こういうふうに聞かされておるわけですが、アメリカの伝送ロスの方が我が国よりも高い。そういうものを輸入して日本の伝送路というものが一体確保できるのかどうか、こういう点も疑問。  そういったことを考えますと、これは技術的な問題ですから、余り黒字減らし、黒字減らしということだけが先行してしまいますと、買ったけれども使いものにならぬということになりかねないんです。その点について局長からでも結構ですが、お答えいただきたいのが一つ。  それからもう一つは、御承知のようにATTが分割をいたしまして以降、我が国の端末機器というのが大変にアメリカに輸出されていった。総合的な輸出バランスではアメリカが初めてマイナスになっておる。そのことはもちろんドル高ということもあるでしょうが、しかしいずれにしても、アメリカの市場で我が国の製品とアメリカの製品がATTの分割に伴って競争したけれども、日本の端末機器が勝った。その結果が御承知のように我が国のアメリカに対する輸出増大、こういう形になっているわけですね。仮に我が国が門戸を開放してアメリカからどんどん入ってきても、現在のアメリカの市場から見る限りは、我が国の市場というのはそう恐るるに足らない。にもかかわらず、どこかその辺で、端末機器の基準・認証制度のところでアメリカが一生懸命もんでおる。もんでみたところで、結果的に開放してみたらアメリカと同じような状況が出ることは当然だ、輸入したって売れないんだから。ですから、今アメリカの最大のねらいというのは端末機器じゃなくて、ネットワークの中枢部分にあるんじゃないか、そういう気がしてならぬのでありますが、その点についてまずお聞かせをいただきたい。  それからもう一つの問題は、これは新聞の報ずるところでありますけれども、電電が民営化されたときの資本金は、郵政、電電原案というのは七千五百億円、これに対して大蔵省は三百億円の上乗せを迫っておる、こういうことが言われておるわけですが、この郵政省、電電原案というのは資本金七千五百億円だ、こういうふうに理解をしていいかどうか、この点について、質問をたくさん申し上げましたが、御答弁をそれぞれお願いしたいと思います。
  574. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 句点かございますので、私の方から概括的に御説明申し上げまして、また補足してまいりたいと思います。  まず一点の通信衛星のKuバンドの取り扱いの問題でございますが、今さら申し上げるまでもなく、電波の周波数の割り当てというものは国の国益にも大変深くかかわり合いを持っておるものでございますし、全世界的に割り当てがなされたその許容範囲の中で、国の主権に基づいて割り当てを行うことになってきております。  ところで、国内衛星通信用のバンドでございますけれども、日本におきましては世界に先駆けましてKaバンド、つまり二十ないし三十ギガヘルツのものを開発いたしまして、既にCS-2において利用していることもあまねく周知のところでございます。ところが、今先生御指摘になりましたKuバンドの方は、日本におきましては地上の公共用の各種の業務に広く使われておりますので、これの衛星による利用というものはなかなかいろいろな制約条件があることは事実でございます。つまり、地上回線と混信しないような措置を検討した上でこの周波数帯の利用については可否を検討しなければならないというふうに考えでございます。したがいまして、当面Kuバンドの使用を認めることは基本的には困難であろうと思っておりますが、今後はユーザーの需要動向なり地上回線と混信しないような措置について検討していく必要があるものというふうに考えております。  それから、第二点の光ケーブルの伝送ロスの問題でございますが、米国と日本とこの点について比較いたしました場合には、先生御承知のとおり、ベル研で開発いたしましたMCVDという方法と電電公社が開発いたしましたVADと言われる方法がよく対比されますけれども、確かにVADの方式によりますと、キロメートル当たりのデシベルによる伝送損失は〇・五あるいは〇・八というような値が出ております。それに対しまして、ベル研で開発いたしましたMCVDの方法も、近着の向こうのカタログ等によりますとほぼこの値を達成することができるような数値が示されておりますので、この点につきましては、双方の伝送損失の差というものはほとんどないというふうに理解をしております。  また、ATTの分割に伴います端末機器の米国に向けての洪水輸出というものが日米間の電気通信機器の貿易インバランスを拡大させたことも周知のところでございますが、これに関連いたしまして、単に端末機器についての貿易インバランスのみではございませんで、その他周辺機器あるいは無線機器あるいは伝送路等々含めまして、貿易のインバランスというものはギャップが拡大している状況でございまして、特に端末機器だけについて日米間の交渉の論議が行われているわけではございません。つまり、言葉をかえて申し上げますと、今回の日米間の交渉におきましては、個別の対象を絞りまして端末とかあるいは中枢機器とかいったようなことをあげつらっているのではなくて、四月一日からの新しい電気通信体制に即応した中での貿易の障害がないような形で基準・認証その他の問題を片づけてまいりたいということで、現在日米間で交渉を精力的に進めているところでございます。
  575. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 電電の新会社になった場合の資本金の問題でございますが、これを、資本金を幾らにするかということを決めるのは、制度上は設立委員会で定款作成の一環として決定するということでございまして、去る二月二十七日の設立委員会において定款の御審議というものをお願いいたしたわけであります。今後の予定といたしましては、三月二十日ごろ次回の委員会を予定いたしております。そこで資本金の額を含む定款全体について決定していただけるものと期待をいたしております。したがいまして、私ども今幾らという案をお示ししてそこで御論議をいただいているということでもございませんので、新聞等に載っておりましたような数字というものは固まったものではございません。
  576. 松浦利尚

    松浦分科員 これが本意ではありませんから余り深くは申し上げませんが、我が国の対アメリカ輸出の七割は端末機器なんですね。ですから、アメリカ側からの端末機器の問題については、そう我が国内で恐るるに足らぬ。結果的に問題は、先ほど後段で言われた、すべてを包含しておるというけれども、ネットワークの中枢機器というものをやっぱりアメリカとしては戦略の中心に据えておるんじゃないかという気がしてならないんですね。これは我が国の通信行政にとっては非常に大きな問題になってくるんじゃないか。ですから、その点についてどうなのかということについてもう一遍お聞かせをいただきたい。
  577. 奥山雄材

    ○奥山政府委員 端末機器あるいは中枢機器あるいは周辺機器等それぞれの機器の貿易のインバランスがどのように推移するかということにつきましては、それぞれの製品の持つ競争力等によるところが大であろうというふうに理解をしております。当省といたしましては、端末機器のみならず中枢機器等も含めて、これまでも内外無差別の原則で対処をしてきたところでございますし、今後とも低廉で良質の機器が我が国の市場に提供されることが利用者たる国民の利益に合致するものと考えておりますので、内外無差別、簡素、透明な市場開放に向けてこれからの折衝を続けてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  578. 松浦利尚

    松浦分科員 将来の問題、仮定の問題ですから、余りここでいろいろ議論をしてみてもわからないと思うのですが、要はアメリカ側が言っておる、要するに貿易摩擦の解決手段として我が国の通信主権である非常に重要な部分についてごり押しがされる。使いもしないものまで持ってくる、あるいは中枢部分について新電電なり何なりに買えと、買わないのはけしからぬ、こういうふうな出方をされたのでは我が国では大変に問題を生ずるのですから、ただ単にバランスをさせればいいという発想だけでこの問題は対処していただきたくない。ですから、将来の問題として毅然たる態度で臨んでもらいたい、このことを強く主張したいのです。  アメリカ側は、御承知のように、もしアメリカの言うことを聞かなければ通信相互主義法案、これを用意しておりますぞ、そういったことがちらちらあらわれてきておるのですから、恐らく、先ほどの上西委員の御説によりますと、大変な大臣、郵政の役人の皆さん方でありますから、いやしくもそういった一方的なごり押しに押されるということはないと思いますが、大臣のお考えを承って次の問題に移りたいと思います。
  579. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話しのように、アメリカに対しまして、今局長の方から御説明申し上げたようなことで、内外無差別、簡素、透明、そして市場開放の原則というものは、そういう条件づくりは我々はいたします。そしてその上で、向こうの方がどのくらいのものをアメリカから日本に輸出することができるかということにつきましては、これはアメリカの方の問題であって、我々はそういう場をつくるということだけは責任を持ってやらなければなりませんが、それ以上の問題につきましては、これはコマーシャルベースの問題であり、今のお話のようなことで、お互いにそういった点についてもまだまだ理解が足らなかったところもあったわけでありますから、相互理解の中で努力をしていって、市場参入できるような条件づくりということだけが基本的な交渉の問題だろう、このように考えておるところでございます。
  580. 松浦利尚

    松浦分科員 要するに、米通商代表部あたりが市場障壁を認定すれば、全通信機器の輸入についてもストップするだろう、こんなことを新聞で見たことがありますが、そういうことのないようにぜひ大臣の御配慮をいただきたいと思います。  それから、いよいよ電電民営化の具体的な質問に入っていくわけですが、御承知のように、この電電民営化法案というのは、百一特別国会の重要法案でありまして、与野党を通じて大変な議論がありました。そしてまた、与野党間の約束がありましたから、百二国会を十二月一日に召集いたしまして、十二月に法案を通過、成立させる、言えば、もう電電民営化というのは国会挙げて徹底的な議論をして通過させた法案だ、こういうふうに思うのです。  そこで、今株の問題について局長の方から、いや、これはまだ決まっておりません、こういうようなお話ですけれども、そんなことはないので、我々は素人じゃないのですから。そして、そのことで、これが新聞に出たことが逆にマイナスになるとかなんとかということではないのですよ。大体、この株が幾らなのかというのは、百一特別国会でも百二国会でも非常に大きな問題だったのですよ、電電の株の問題は。ですから、新聞記者に教えぬで、我々与野党の国会議員が来ておるのだから、教えたからといって別段――後で変わることだってあるのですよ、今はこうだと。幾らくらいに見積もっておられますか。
  581. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 いろいろな計算方式はあろうかと思いますが、そういうものを踏まえながら設立委員会の方でお決めいただくということになっておりますので、私どもが今その数字についてとやかくと言うことは差し控えるべきであろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  582. 松浦利尚

    松浦分科員 それでは、こういうふうに決まりましたといって国会にはかけないでしょうね。我我が知ったときにはもう決まったという形じゃないでしょうね。なぜそれを言うかというと、大蔵省と意見が違うでしょう。すっきり一本でいくという姿であればいいのですよ。私が心配をするのはそういうことです。なぜかというと、この前の百一国会でもこの株の問題というのは大変大きな問題になったのです。株の放出の問題、利益の使途の問題、いろいろなことで議論があったことは、もう局長が一番御存じです。  それで、一つお尋ねをしますが、基本的には国の一般会計の赤字補てんのために今度の民営化をするんじゃないんだということだけは物の考え方として考えておいていただかなければならないんじゃないか、この資産形成の経緯というようなものも考えた上で、ひとつ電気通信の利用者というものの立場に立って株の処分というものも考えたらどうか、こういう主張が出ているのですよ。それが、そのようにするということで進んでおるわけですよ。ところが、国民の側には知らされない。幾ら我々が国会で議論したって知らされない。一体どれくらいの株が発行されるんだか、さっぱりわからない。そういうのがわからなければこういう議論は通らないのですよ。  これを言っておられるのはだれだと思いますか。郵政大臣です。今の郵政大臣が逓信委員会で、六月二十日に言っておられます。その方が大臣になっておられる。これはまじめに議論したらこういうことになるのですよ。  ところが、民営化が通ってしまったらもうつんぼ桟敷で何にもわからない。それは設立委員会が決めるから私はわかりません。新聞にはちゃんと出ている。問い合わせが来る。与野党を通じてさっぱりわからない、どうなっているのか。それでは一体国民にどのようにして議論に参加をした我我会議員が説明をするのか。皆さんだけが知っておって、我々議員は全然知らない。与党の方は裏の方で知っておるかもしれない。(原田(昇)分科員「いや、知らないよ」と呼ぶ)原田先生は知らないそうです。局長、どうですか。それは、新聞に出たって我々に知らせないというのはけしからぬですよ。そして、大臣が言っておられるこのことだって、国民は期待して待っているのです、どうするのだろうかと。どうですか、ひとつもう一遍。
  583. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 資本金の額につきましては、私ども、固まったものがあって新聞にどうこうというような事実はございませんので、その辺はひとつ御理解を賜りたいと思うわけであります。制度上の仕組みとして設立委員会でお決めをいただくということになっておるわけでございますので、私どもは、設立委員会でお決めいただくのをお待ちをしているというところでございます。
  584. 松浦利尚

    松浦分科員 どうも局長は、なかなか国民の皆さんに知らせようとはしないんだね。我々国会議員だってつんぼ桟敷なんだね。  それでは大臣、株が幾らになるかというのはわかりませんが、例えばこの株の発行、七千五百億か七千八百億か、これはわかりません。これは今度の予算委員会等を通じまして、財政赤字に補てんをするというようなことがもう盛んに言われておるのですよ。ですから、財政赤字補てんのために今度の民営化をするんじゃないのでしょう。まずそのことをはっきりしてください。大臣、どうですか。
  585. 左藤恵

    左藤国務大臣 もちろん今のお話のように、今回の電電公社が新しく日本電信電話株式会社になるということ、この電電の民営化ということの目的は、一応私は、公社として、公共のサービスというふうなもののシビルミニマムと申しますか、というものを達成することができた、それから先、高度情報化社会へ発展していくときにおいて、電気通信事業に競争原理を導入して、そして、電電公社であれば、当事者能力といいますか、そういったものも十分発揮することができないような、自主性を発揮することができないような形でありますから、民間の会社にして、そういった経営形態にすることによって、さらに活力を持って、今申しました新しい高度情報化社会に対処する国民に対するサービスができるような形に持っていくということが目的であって、国の財政再建だけのことを考えて行うものではございません。
  586. 松浦利尚

    松浦分科員 今大臣が言われたように、財政赤字を補てんするためにだけではないんだ。民営化するというのはそれじゃないんだ。だからそういう意味で、大臣質疑されたときのとおりのことを今御答弁なさったわけです。それじゃ、今大蔵省の方で赤字補てんのためにということが盛んに言われておりますね。そのことは民営化の方針としては主たる目的ではない、主たるものではない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  587. 左藤恵

    左藤国務大臣 そのとおりでございます。
  588. 松浦利尚

    松浦分科員 そうすると、もう一つは、電気通信の利用者というものの立場に立って処分というものはやれ。ということは、五カ年間は上場できませんからシンジケートをつくってそこに引き受けさせる、そういうことじゃなくて、どういう形であれ株というものが電気通信を利用をした国民に広く配分されていく、渡っていく、そういう努力はされるのだ。財政赤字を補てんするということになれば、シンジケート団に引き受けさせた方が一番簡単なんだ。しかしそうじゃなくて、今言ったようにそれが目的じゃないんだということであれば、財政赤字の補てんにもなるだろうが、一般の国民にも株が放出されていく。大企業とかなんとかじゃなくて、あるいは証券会社じゃなくて、一般の国民の皆さん方に広く行き渡っていく、こういう手続をとる努力をする、そういうふうに理解してよろしいですね。
  589. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 この電電の株の売却に当たりましては、国民に疑惑を抱かせないような公正、適切な売却方法についていろいろ御議論があったことは、私ども十分承知をいたしております。そういう点を踏まえて十分検討されるべきものであろうと思うわけであります。株主は、大蔵大臣が普通財産としてこれを処分するということでございます。私どももそういった点を踏まえながら大蔵省とも協議をしつつ、深い関心を持って対処してまいりたいというふうに考えております。
  590. 松浦利尚

    松浦分科員 郵政大臣が、私が申し上げた主張に立って議論をなさってこの法案は通っていった法案ですから、大蔵大臣とぜひ話をされてそういうことをしていただきたい、御努力をお願いしたい。――うなずいておられますから理解されたものというふうに承知したいと思います。  先に進めさせていただきたいと思います。  それからもう一つは、国会で慎重に議論をして、附帯決議とかあるいは経過の中で答弁がありました。それは絶対守られるわけでしょう。原則として、国会で出されて政府が答弁をして了承した、あるいは附帯決議が出た、そのことは省令、政令をつくる段階では守られていく、大臣、こういうふうに理解してよろしいですか。
  591. 左藤恵

    左藤国務大臣 国会におきます御審議、そしてまた附帯決議、そうしたものは政省令をつくる上において十分配慮していかなければならないものだ、このように考えております。
  592. 松浦利尚

    松浦分科員 きょうは予算の理事をしておられます稲葉委員もおいでになっておりますが、あした総括があります。決して嫌みを言うつもりではありませんが、総理も御出席いただいて議論するのですから、ぜひお聞かせをいただきたいのですが、私がどうも不思議に思いますのは、附帯業務に関する省令要綱案骨子というものが既にあるんですよ。これを見ますと、通常、公社の料金で認可は不要だというふうにるる説明のあった内容、ここに会議録を持ってきておりますが、その中で、国会で答弁したが省令に該当せず、認可対象となるものなんというのがあるのですよ。それが何だということは言いませんよ、恥ずかしいですから。少なくとも国政の最高機関である国会で政府が答弁をした、これは附帯業務だから認可不要ですと言ったものが、国会で答弁したが省令に該当せずに認可対象となるものなんといってここに出されて要綱骨子がつくられておるのですよ。これ大臣、どう思われますか。
  593. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 料金のうち認可を要するもの、要しないものというような御議論がございました。その点について、現在公社の行っている業務のうちでどういうものが当たるであろうというような御答弁を申し上げております。ただ基本的な、原則的な話を私ども申し上げておりまして、そういったものの基準に当てはめて政省令をつくる段階において、私どもも今その作業をやっておるわけでありますけれども、そういたしますと当時御答弁申し上げたものの中でそういう基準に合致しないような実態が現時点において認められるということで、そういったものが認可の対象になるというようなものも出てまいりました。と同時に、認可の対象であった、認可対象でないということが明確でないものについても、実は認可不要であるというようなものも数多く出てきておるわけであります。したがいまして、問題はそういう基準というようなものをできるだけ実態に即したようなものに私どもは考えてまいる。その中で国民のための、利用者のための料金のあり方について適切な省令基準というものをつくってまいりたい、こういうように考えております。
  594. 松浦利尚

    松浦分科員 それは局長、おかしいのじゃないですか。局長がかわったら変わるのですか。当時、小山局長が七月十九日に全部挙げているのですよ。「基本的なサービスの料金は認可を要しますが、付加的、オプション的なサービスの料金は認可を要しないこととしたいと存じます。」主な料金はと、ここにだあっと言っている。その中に短縮ダイヤル、付加専用料、閉域接続、ダイレクトコール、ファクシミリ通信網関係の短縮ダイヤル、無線電報、こういったのは認可不要。これじゃ国会は議論するところじゃないですよ。国会がどうあろうともう知っちゃいない。官僚が勝手につくればいいんだ。しかも、その政令、省令をたまたま私、入手したからいいのですよ。入手しておらなかったら、このまま政令、省令が出て、後からこれは我々が国会で議論したことと違う結果が出たぞといって騒いでみたって遅いのですよ。そのときには議論した我々が責任をとらなければいかぬですね。国会で議論して決めたことは責任を伴うと思うのですよ。大臣、どうでしょう。――もういいですよ、大臣で。
  595. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 認可を要する趣旨といいますのは、今申し上げましたように利用者の利益の保護を図ろうというわけでありまして、料金認可の範囲というのは国民生活、国民経済に大きな影響を与える基本的なサービスの料金に限定する。そしてそれ以外のサービス、すなわち利用者の範囲が限定されているもの、それから利用頻度の少ないもの、手数料的なものという三つの基準に該当する料金は、利用者に与える影響が小さいので認可を要しないという答弁を行っておるわけでありまして、その当てはめとしていろいろな実態的なことを申し上げております。その基準に当てはめていま一度私どもも精査をいたしております。そうしますと、その基準に当てはまらないものがいろいろ出てまいったということで、その一部が認可対象になるもの、あるいは認可が要らなくなるもの、こういうものが出てきておるということでございます。
  596. 松浦利尚

    松浦分科員 それはあなた、重大なことを言っているんだよ。それじゃ国会で議論した我々に、逓信委員会にこの政省令を出しなさいよ。百一特別国会では間違った答弁をしました、この省政令についてはそれじゃ審議してください、もう一遍やり直してくださいとあなたやるべきだよ。それをやりますか。それをやってくれるなら私はいいですよ。それをやりますか。省政令は隠しているのだから、見せないのだから。はっきりしてください。
  597. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 基準についてもお話し申し上げておるということでございまして、その考え方に沿って私どももいま一度、政省令をつくるという段階において見直しをしているということでございます。政省令、その省令自体まだ固まったものということではございませんで、今私どもいろいろ検討いたしておるところでございます。
  598. 松浦利尚

    松浦分科員 大臣、あなたも逓信委員会で一緒に議論に参加したのですよ。大臣を私は責めるつもりはありませんよ。今度は立場が変わられた。しかし、今言っておることは国会議員としてみたらおかしいでしょう。我々が国会で議論して、これは会議録にちゃんと残っている。この会議録というのは永遠に保存されるのですよ。しかも、この会議録は全然修正されないまま、一方的に省政令が違った形で出てくる、こんなことは国会議員として見過ごすわけにはいきません。大臣としてその処置についてお答えいただきたいと思います。
  599. 左藤恵

    左藤国務大臣 確かに、局長が前にお答えいたしましたけれども、基本的には、今澤田局長が御説明しましたような三つの原則というものは私は変えていないと思います。ただ、それが実際、こういうことが多分こうなるんじゃないかということで御報告したものが、具体的なものとして見直した段階で、原則からあるものは外れ、あるものはまた加わったというようなことではなかろうかと思いますし、現段階におきましてはまだ、最終的にはこの省令を出します段階で各省庁ともいろいろ協議する必要のあるものもございますし、いろいろ検討しておる段階でございます。今お話し申しましたようなことで、基本的な物の考え方につきましては間違っていないと思いますが、そういった見直しの段階で、一、二、幾つか入れかえ、何といいますか、変わったものが出てきたということは、その当時におきまして御説明申し上げたときに十分の検討が至っていなかったと私はこのように考えております。
  600. 松浦利尚

    松浦分科員 それは大臣、正直に言われたから、言葉じりをとるつもりはありません。しかし、その当時法案が未熟な状況で議論されたというのであれば、それは大変なことだと思います。ですから、それはそういうお気持ちで言われたのではないと思います。しかし、少なくともここで、具体的な例示でございますとちゃんと言っているのですよ、当時の担当局長が。しかし、それが変わっていくということになれば、当然修正するためにこの省政令は国会に出されるべきですよ。これは内容とかなんとかじゃなくて、私は国会の審議権にかかわる問題だと思いますよ。ですから要するに、国会の議論が修正されるときには、省政令を決定される前には逓信委員会等に省政令案を提出いただけますね。そのことだけは確認しておきましょう。どうですか、変わるときは。
  601. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 政省令の手続等につきましては、これはもう先生十分御承知のとおりでございます。政令につきましては各省との関係、閣議でも決めるというふうなことでございます。そういう通常の手続によって処理をさせていただきたいと思います。
  602. 松浦利尚

    松浦分科員 この問題は稲葉委員もお聞きになっておりますから、国会の審議権にかかわる重大な問題ですから、あした総括質問等で改めて議論をさせていただきます。これは非常に大きな問題を抱えておると思います。  それから次に、大臣にお尋ねいたしますけれども、電気通信事業法というもの、省政令というもの、これは少なくとも民活を利用する、電電公社を二十一世紀に向かって活力あるものにしていくという意味が、電電の民営化というものには先ほど大臣が言われたようにあったと私は思うのですよ。そうすると、民活を活発にする。今、公正取引委員会からも、政府の経済規制にかかわる分野については全部取っ払いなさい、そういうことで世界各国が、政府の規制から民活を活用するために外していこうという段階ですよ。  そこで、今度の省政令を見ますと、これも案ですからまた変わるかもしれませんよ。先ほど局長さんが廊下でお話しになったとき、これは松浦さん、変わるかもしれませんからと言われたから、余り言うつもりはありませんが、ぜひ知っておっていただきたいのは、この事業法の第九条第一項の申請書に記載すべき同条第二項第四号の事項は次のとおりだと、交換設備に関する事項――御承知のように交換設備というのは七千五百個あるんですよ。この七千五百個、一生懸命報告するために、それは今までより以上に複雑なことをせぬといかぬ。  さらにおかしいのは、その新設備、同軸ケーブルなら同軸ケーブルを新しい同軸ケーブルにつけかえるときには、六〇%以上つけかえるときには届けなさい。これはわかります。ところが、このニューメディア時代に沿って電気通信事業、情報産業はどんどん進歩していく。同軸から光ファイバーになる。そうすると、同軸から光ファイバーにつけかえた途端に報告しなければいかぬ、こういう省令案がつくられておる。これじゃ、一々お伺いを立てて設備変更していかなきゃいかぬということになるわけですから、これも大変な問題になるんですね。民活どころか、逆にこの報告に追われていくのじゃないかという気がするのです。  こういう内容が、大臣、必要ですか。――いや、局長はこれをつくっておられるのだから、あなたがつくったやつだからもういいですよ。大臣、こんな煩雑なことをやって、先ほども冗談で話しましたけれども、今まで電電におったこういう担当者の人を全部郵政省に引き抜いて、三十人ぐらい置いておって、そしてやらなければこれはできませんよ、七千五百局とか。  まだひどいのですよ。電気通信事業会計規則案というのがあるんです。これもまた内部資料ですから表に出てはおらないそうですが、これを一つ一つ見ますと、固定資産明細表を出せ。大体、民営化されて商法の適用を受けて、証券取引法に従ってちゃんと有価証券報告書を出す。にもかかわらず、それ以外に固定資産明細表を出せ。あるいは固定資産明細表の中で建設仮勘定を再掲せよ。工事途中のやつをみんな再掲して出せ。それから、固定資産明細表の中で工作件名、工事件名を別再掲せよ。現在でも電電公社は六万件の工事をやっているんですよ。これを工事件名ごとにずっと、再掲しなければいかぬ。  それから、電気通信事業営業費用明細表。労務費とかなんとかかんとか、だあっと出さなければいかぬ。果ては、試験研究費等明細表を出せ。試験研究というのは企業の秘密。新電電、第二電電が競争して新しい技術を開発する。新電電も第二電電もみんな試験研究費というのは明細表を出せ。企業秘密が筒抜け。あるいは給与等明細表を出せ。役員給与は幾らで、役員手当が幾らで、基準内賃金が幾らで幾らで幾らでと。  これは、この会計規則を見る限りは、まだ決まっておらぬそうですから、私はあえてこの問題についてさらに厳しく言うつもりはありませんが、こういうことを新しい、新電電あるいは第二電電といったところに強制して、一体何のプラスがあるんですか。これはむしろ企業の活力をそぐだけじゃないでしょうかね。それは、サンダルから靴にかえろというような前の守住さんのお話もあったけれども、それは私はいいと思います。言葉の表現は悪かったけれども、現業官庁から政策官庁に脱皮することは私は賛成、大いにやってもらいたい。しかし、その政策官庁が、指導分野じゃなくて監督権限ばかり強める。その監督権限を強めるために省政令というものがつくられる。これで一体、冒頭大臣が言ったように民活にプラスになるのですか。  電電公社の人たちに聞いてごらんなさい。こういうことをやられたら今よりも大変だ、むしろ民活という芽をそがれてしまう。我々は何のために電電民営化法案を議論したのでしょう。何のために十二月に百二国会を召集して年末に通したのでしょう。そんな必要はなかったんです。それはいちずに大臣が言っておられるように民活、二十一世紀に向かって電電事業をもっと飛躍させる、あぐらをかいているんじゃなくて競争させる、そして国民の皆様方によりよい生活を享受してもらう、そういうことで民営化というのがなされたと私は思う。それに何かブレーキをかけるようなこういう政省令については、絶対に理解ができない。この際、何か言いたいことがあれば局長からおっしゃっていただいて、その後大臣から御答弁いただきたいと思います。
  603. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 政省令のことについていろいろお話がございました。  冒頭に先生おっしゃいました九条の関係でございますが、これは報告ということではございませんで、許可の申請に当たっての申請書の記載事項でございます。これは電電だけということではなくて、他の一種事業者も同じく、そういう許可を受けるときにはこういうことを申請してくださいよということで、一般的にいろいろある事業の許可申請の範疇のものであろうと思うわけであります。  特に、電気通信事業というのは設備産業でございます。まさに第一種はみずからが電気通信設備を持つというところに特色があるわけでありまして、空の第一種の許可をもらおうと思ってもだめなわけであります。どういう設備を持っているか、そしてそれでどういうサービスをしますよということであって初めて事業者としての許可が得られるわけでありまして、こういうサービスをしますよ、しかし設備はございませんということでは、事業者として保証するというこの法の建前とは相入れないものでございます。したがいまして、必要最小限度のものを申請のときには提出いただいて、そして事業者としてのこういうサービスが確実に確保できますよという観点からの対処というものが考えられているところでございます。  個別にいろいろ申し上げますとあれでございますが、会計規程の点につきましても、内容等についてはともかくといたしまして、規程自体が一般の会社の財務状況というものを明らかにするという観点からではございませんで、第一種事業者の料金の決め方、この料金というのは極めて公共性の高いものでございますので、それは原価に照らして合理的な料金ということでございますので、そういうものを決めるに当たって必要な内部での会計処理というものはしっかりやってくださいよ、その基準はこういうものによってくださいよというものを決めようとするものであることについて御理解を賜りたいと思うわけであります。私どもも関係の向きといろいろと勉強しながら固めてまいりたいと考えておるところでございます。
  604. 左藤恵

    左藤国務大臣 今局長からお話し申し上げましたが、極めて公共性の高い事業であるということから、第一種電気通信事業として必要な書類というものを、出していただかなければならないものは出していただかなければ正しい判断ができないということもございます。そういうことでもございますけれども、今お話がございましたように、民営化するために必要最小限度のものは確保することにいたしましても、そういうことについての労力といいますか、そういうことによって活力を失うことにならないような配慮はしなければいかぬ。しかし基本的には、民営化されましても非常に公共性の高い事業であるという点から見て、国民の皆様に対する責任といいますか、必要なものはとらなければならない、このように思います。
  605. 松浦利尚

    松浦分科員 大臣局長の言われることもわからぬじゃないですよ。しかし、現実今の電電公社は交換設備を七千五百持っているわけです。その七千五百を全部報告しますか。先ほど言ったように第二電電と競争するために交換機もどんどん新しいのにかえていく、ディジタル交換機にかえていく。そのたびごとに報告するのですか。しかも、それをかえていくたびごとに、工事途中のものまで報告しなければいかぬ。毎年毎年六万件工事をやっているのですから、六万件会計処理規程上報告しなければいかぬ。  これじゃ、電電公社が一生懸命民活だ、もう少し人を減らして国民によりよいサービスを与えようなんて言ったって、むしろ人をふやさなければならぬ。今の電電公社よりもっと人をふやさなければやれぬようなことを強制することが民活になりますか。それはお互いに今までは官僚だったのでしょうから、やれと言えばやるでしょうな。しかし、七千五百を報告したときには、もう片一方では設備が変わっているわけですよ。そうするとまた報告をせぬといかぬ。それを報告しておる間にまた工事が変わっているのです。また報告せぬといかぬ。大臣、そんな煩雑なことをするエネルギーがあったら、もっと国民に向かって――先ほど公明党の先生が言っておられたでしょう、国民のためになる電電公社であってもらいたいと。そういうことであれば、こういうところにこそもう少し配慮していくべきじゃないですか。  そして、郵政大臣なり局長は大どころを、勘どころを、あなた方、特に局長なんか頭がいいんだから、大どころをぱんとつかまえておって、おい、これはどうなっておるか、これはどうなっておるかという、そういう政策官庁である方がより国民のためになるのじゃないですか。何か重箱の隅をつつくようにして、あれも知りたい、これも知りたい、結局最後になったら報告受けただけ。何のチェックもせずに積んである。郵政省の書類を十年間保存せぬといかぬのでしょう。どこの倉庫に置いておきますか。そんなことを考えるよりももう少し前向きに、まだ決まったことじゃないのだそうですから、郵政大臣、ぜひお願いしたいと思うのです。当初の目的どおり政省令というものをつくっていく、会計規則というものをつくっていく、これは原則ですよ。そのことについて大臣から御答弁いただきたいと思う。
  606. 左藤恵

    左藤国務大臣 御趣旨の点についても十分配慮いたしまして政省令の作成に努力したい、このように思います。
  607. 松浦利尚

    松浦分科員 最後に、電電公社にも来てもらいましたけれども、質問する時間がありませんから申し上げませんけれども、監督する郵政側と監督される電電なりこれから出るであろう第二電電、こういったところが十分話し合いをして、ただ郵政省がこうして押しつけるのではなくて、これは一体どうだろうかというふうなコミュニケーションを経た上で、新しい電電がやらなければいかぬ、第二電電がやらなければいかぬ省政令というものは決めていただきたい、一方的な押しつけはぜひやめていただきたい、そのことをあわせて大臣にお訴えを申し上げて、もうそろそろ時間が来ておりますから私の質問を終わらせてもらいたいと思いますが、大臣、どうでしょう。
  608. 左藤恵

    左藤国務大臣 現在の日本電信電話公社と郵政省と十分打ち合わせをして、そうしたことで目的が達成できるような方向を検討いたしまして省令をつくっていきたい、このように考えております。
  609. 松浦利尚

    松浦分科員 大変遅くまでありがとうございました。終わります。
  610. 小渕恵三

    小渕主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、郵政省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位の熱心な御審議と格別の御協力によりまして、本日ここに本分科会の議事がすべて終了することになりましたことを深く感謝申し上げます。  これにて散会いたします。     午後八時五十分散会