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佐藤(徳)
分科員 同じく「高等
教育機関の
地域配置の在り方」にも触れているわけでありますが、「各
地域ごとの整備の目途」では、これが御承知のとおりかなり具体的に提起をされているわけであります。報告書が述べておりますとおり、「
地域の
実情に応じたよりきめ細かな高等
教育の整備を行うため、」とあるわけでありますが、私にとりましては、極めて有効的であり、評価もしたいな、こう実は思っているところであります。そういう前提に立ちまして、これからの問題でありますが、その実現を強く望むものであります。しかも、具体的なケースがこの中には記載をされておりまして、特に南東北、宮城、山形、福島この三県でありますが、その整備の目途は三千人と明記をされているわけであります。
さて、私の県でありますが、私の県の福島県は、御承知のとおり面積においては
全国第三位であります。人口におきましては
全国第十七位、東北では第二位でありますけれ
ども、また県内の総生産、県民所得も
全国第十七位に位置づけられています。いわば四十七都道
府県中ほぼ上位の三分の一のところに位置する
比較的大きな県である、こう実は思っているわけであります。ところがその反面、国立
大学の学部の数は、
二つの学部きりありません。しかも、収容定員は一学年八百七十名、これは
全国最低のランクに位置しているという
実情に実はあるわけであります。福島県の
大学進学率は、五十八年度
調査で
全国平均三〇・一%に対しまして二一・九%にしかすぎないのであります。しかも、その
地域残留率は一六・二%、これは
全国第三十七位でありますが、
地域収容規模は〇・四二倍、これまた
全国三十二位という極めて低位な現状に置かれているわけであります。したがいまして、既設の
大学では、学部学科が限定されているために県内の
大学等にない学部学科を希望する者は県外の
大学へ流出をする、率にしまして実に八三・八%も流出をしているわけであります。これらの帰結が、父母や学生に物心両面で多大の負担をかけている結果になっていることは言うまでもありません。
先般、二月八日、NHKがテレビで放送いたしました世論
調査の結果によりましても、苦しくなる理由は何かという設問に対して、その第一位が物価の三二%、第二位は税金の三〇%、第三位が
教育の二〇%なんであります。したがいまして、福島県内からいわば東京の
大学に、私立
大学あるいは国立
大学等に入学をする、在学をするという場合には、毎月の大変な仕送りが必要であることは御承知のとおりであり、そういう反映がNHKの
調査の中でも実は明瞭に打ち出されているわけであります。あるいはまた、全くの専門分野であります医科
大学であるとか
教育大学であるとか、工学
大学等の一学部は別といたしまして、
二つの学部しか設置されていない県というのは福島県を含めまして五県、福島、福井、山梨、滋賀、和歌山なんであります。幸い、福島
大学には六十年度予算の中に
調査費をつけていだだきましたし、さらにまた、修士課程、
大学院
教育学研究科の四月一日開設の運びとなったわけでありますが、
文部省の御
努力に、この点については深く感謝を申し上げたい、こう思っておるところであります。県内では知事を会長といたしまして、福島
大学学部増設期成同盟会が何年か前に組織をされております。そして、その実現のために鋭意
努力をされているわけでありますが、同時に、これは県民の期待と明心は極めて大きい、こう言わなければなりません。
そこで、
大学、短期
大学及び高等専門学校の整備は地方に重点を置くという観点に立って、今私が申し上げました
実情をどのように理解をされ、学部増設等をどのように発展させようとしているのか、文部
大臣並びに
関係の
皆さんの所見、そして今後の展望についてお伺いをいたします。関連いたしますから、次の点についてもあわせて
質問をいたしますので、同時にお答えをいただきたいと思います。
福島
大学の中に学部増設委員会が構成されています。従来の学部増設案は
幾つかありましたが、現在の人文学部構想との
関係から見まして、
行政社会学部案の方が望ましい、こういうことが最終的にまとめられまして、
行政社会学部案を改組型増設学部案として
確認をするに至っているわけであります。これは
先ほど局長からの
答弁の中で、財政上の問題も触れられましたけれ
ども、そういう点についても大変考慮されている中身であります。既に
文部省に対しましては、陳情としてこれが提出をされているはずでありますから、お目通しかとは存じますけれ
ども、念のために申しておきますと、いわば私から言えば、利点であります。
つまり、その第一は、新学部の原資となり得る教員定員、現在の人員が現存するということであります。しかも、
行政学、政治学、地方
行政法、
行政基礎法、社会経済法及び社会学等の学問領域をカバーするものであり、全くの新設の場合と
比較をすれば格段に有利であるということであります。これが第一。第二は、現在の経済学部において、行財政、地方行財政コースを志向する学生が非常に根強い比重を示しているわけであります。したがいまして、新学部への学生定員の移動による財政負担の軽減を盛り込んでいるということが第二であります。次は、
大学の附属図書館の既存蔵書が、数量と質において新学部設置に有利な条件となっているということが第三であります。そして、講義室など設備施設についても、既設のものがかなり利用あるいは併用が可能であるということが第四であります。つまり、このことは、官民双方で
地域社会創造の中核的人材養成を理念としておりますし、しかもこの課題は、日本国内ではとりわけ東北地方において重大であると言わなければなりません。しかし、東北地方全体での既設
大学学部の構成は、御承知のとおり理工科に非常に厚く、人文社会系学部は教員養成学部を除けば極めて手薄な
状況であり、東北の
地域発展の大きな障害となっていることもこれまた事実なのであります。したがいまして、私
どもの福島県においてもこれは例外ではありません。今日
教育問題が、臨教審を通してもおわかりのとおりあるいは国会の論議を通してもおわかりのとおり、政治的にも社会的にも極めて重要視されておりますし、特に高等
教育の
充実強化のためにも、いかに臨調
行政、行革審の締めつけがあるとはいいながら、しかも財政的考慮の上の提起であるということを考えましても、十分このことは検討に値するのじゃないか、こう思っておるわけでありますが、前段の項とあわせまして
文部省の御見解を承りたいと存じます。