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1985-03-08 第102回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月八日(金曜日)     午前九時開議 出席分科員   主 査 葉梨 信行君       大西 正男君    船田  元君       大出  俊君    左近 正男君       佐藤 徳雄君    松前  仰君       渡辺 嘉藏君    池田 克也君       石田幸四郎君    兼務 上野 建一君 兼務 大原  亨君    兼務 関山 信之君 兼務 中西 績介君    兼務 細谷 昭雄君 兼務 和田 貞夫君    兼務 新井 彬之君 兼務 遠藤 和良君    兼務 中村  巖君 兼務 安倍 基雄君    兼務 伊藤 昌弘君 兼務 菅原喜重郎君    兼務 滝沢 幸助君 兼務 小沢 和秋君    兼務 中島 武敏君 兼務 林  百郎君  出席国務大臣         文 部 大 臣 松永  光君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     古屋  亨君  出席政府委員         臨時教育審議会         事務局次長   齋藤 諦淳君         警察庁刑事局審         議官      於久 昭臣君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房審         議官      菱村 幸彦君         文部大臣官房会         計課長     坂元 弘直君         文部省初等中等         教育局長    高石 邦男君         文部省教育助成         局長      阿部 充夫君         文部省高等教育         局長      宮地 貫一君         文部省高等教育         局私学部長   國分 正明君         文部省学術国際         局長      大崎  仁君         文部省社会教育         局長      齊藤 尚夫君         文部省体育局長 古村 澄一君         文化庁次長   加戸 守行君         自治大臣官房長 津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房審         議官      井上 孝男君         自治大臣官房審         議官      吉住 俊彦君         自治大臣官房会         計課長     大島  満君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁長官   関根 則之君  分科員外出席者         警察庁警備局審         議官      鳴海 国博君         総務庁長官官房         地域改善対策室         長       佐藤 良正君         法務省刑事局参         事官      馬場 俊行君         法務省矯正局総         務課長     関場 大資君         大蔵省主計局主         計官      田波 耕治君         大蔵省主計局主         計官      武藤 敏郎君         国税庁徴収部管         理課長     高橋 博之君         文部大臣官房審         議官      倉地 克次君         厚生省社会局生         活課長     大木 知明君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 木本 忠男君         農林水産省畜産         局競馬監督課長 嶌田 道夫君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     川田 洋輝君         気象庁予報部業         務課長     門脇俊一郎君         自治省財政局地          方債課長    柿本 善也君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   大出  俊君     松前  仰君   池田 克也君     石田幸四郎君 同日  辞任         補欠選任   松前  仰君     佐藤 徳雄君   石田幸四郎君     森田 景一君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 徳雄君     左近 正男君   森田 景一君     吉井 光照君 同日  辞任         補欠選任   左近 正男君     渡辺 嘉藏君   吉井 光照君     福岡 康夫君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 嘉藏君     大出  俊君   福岡 康夫君     池田 克也君 同日  第一分科員滝沢幸助君、第二分科員細谷昭雄君  、  新井彬之君、中村巖君、小沢和秋君、中島武敏  君、林百郎君、第四分科員上野建一君、中西績  介君、第五分科員和田貞夫君、菅原喜重郎君、  第六分科員関山信之君、遠藤和良君、第八分科  員大原亨君、安倍基雄君及び伊藤昌弘君が本分  科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算  (文部省及び自治省所管)      ――――◇―――――
  2. 葉梨信行

    葉梨主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算文部省所管について、昨日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
  3. 中西績介

    中西(績)分科員 私は、ここ数年にわたりまして同和関係教育政策についていろいろ質疑、討論してまいりましたけれども、その中で、時間の関係もございますから、特に二点程度確認をいただければと思っています。  特に、全国的にこうした問題を論議する際に実態調査をすべきではないかということを申し述べまして、調査をし分析、検討する、その結果が制度的変更あるいは内容充実、こうしたことを求めていくということを確認してきたわけでありますけれども、例えば、こうした奨学問題についてあるいは識字学級の問題その他たくさんございますけれども、こうした点の実態把握調査の結果進んでいったのかどうか。特にまた、この調査に当たってなかなか発表しにくいということもございまして、各関係府県意見あるいはそうした多くの皆さん意見を聞いて対応したいということを大臣あるいは局長がそれぞれ言ってきたわけでありますけれども、この点はどのようになったか、簡単にお答えいただければと思っています。
  4. 高石邦男

    高石政府委員 まず初中局関係から申し上げますと、高等学校進学率につきましては、四年に一回実施していたものを毎年実施をするということで調査を行っているわけでございます。その結果、五十八年度では、対象地区進学率は八六・六%ということで全国平均を下回っております。
  5. 宮地貫一

    宮地政府委員 かねて予算委員会分科会あるいは文教委員会等先生から御質疑をいただいている点でございますが、対象地域同和関係者の子弟の大学進学率の問題でございますけれども実態を正確に把握することはなかなか困難でございますが、地域改善対策進学奨励費受給者を基礎とした関係府県市の調査によりますと、一般地区に比べまだ全国的に低い状況にあるわけでございます。五十八年度やや落ち込んだ点について先生からも御指摘があったわけでございますが、五十九年度においては前年に比べほぼ横ばい、若干微増というような状況になっています。
  6. 齊藤尚夫

    齊藤(尚)政府委員 識字学級につきまして御説明を申し上げたいと思います。  このことにつきましては二回にわたりまして調査を行いました。一回目は昭和五十六年七月に昭和五十五年度間の実情調査したものでございます。その結果、九十九市町村が三百一の学級を開設しているという実態、それから実施場所といたしましては集会所が四二・六%、隣保館が一六・一%、この二つを中心に行われているということ、それから約六千七百人が参加しているということ、それから一学級当たり生徒数平均で二十二・五人であるということ、それから年齢別では四十歳代が一番多いというようなことがわかりました。  それから第二回目は、昭和五十八年の十月に昭和五十七年度間の実情を十府県を抽出して実施をいたしました。その結果、識字学級開設数は四百七十七学級、それから一学級当たり平均指導者の数でございますが、これが四・五人、その指導者のうち四七%が教員となっている等々の実情がわかったわけでございます。  以上でございます。
  7. 中西績介

    中西(績)分科員 今お答えいただきましたけれども、この前から討論をしてまいりました素材になるものが全体的にまだまだ非常に少ないわけですね。ですから、私、この問題について一つずつ指摘をしながらお答えをいただきたいと思っています。  例えば大学奨学資金の問題でありますけれども、これは先ほど局長言われましたけれども同和地区一般の場合の比較は、五十四年当時が同和地区一四・二で一般全国の場合が三七・四で、その差は二三・二%あったわけですね。ところが、それが給付制によって五十七年までは一七・六%まで一%ずつ伸びまして、そのときは全国一般が三六・三でありますから、一八・七までその差が縮まってきたということは事実です。  ところが、五十八年になりまして同和地区は、残念ながら貸与制に変わってから一六・五%に落ち込み全国一般も傾向としては少なくなっておるということもありまして、このときには三五・一ですから一八・六%の差になってきています。これが最低になりまして、五十九年は一六・七ですから横ばいあるいは微増だという答弁が今ありました。ところが、全国一般の場合には三五・五になって、また一八・八と差が拡大をし始めている。しかもそれだけではありません。同和地区は一六・七と言っておりますけれども、最も部落の多い主要な県を見てまいりますと、例えば大阪の場合は五十七年が一九・七、五十八年が一七・一、五十九年が一五・○と落ち込みました。奈良に至っては二六・七から五十九年は二一・四に落ち込みました。高知が二五から一七・五に落ち込んでいます。熊本は一一・二から一〇・二に落ち込み福岡は一七から一四%に落ち込んでいます。  このように挙げてまいりますと、今言われた平均というのは、単純な各県のあれを平均したのではないかと思っています。というのは、非常に数の多いそういう地域におきましては、逆に落ち込みが厳しくなってきておるという実態が出てきたことをまず第一に私は確認をしたいと思います。その上に立って私は、これからは質問でありますけれども、上昇し続けた五十七年、この年に論議をいたしまして、もし悪影響が出た場合には検討さしていただくとか、あるいは納得する資料原因究明を行って、行政の一方的な調査だけでなしに、積極的な調査をすることによってその内容を検討していくということになっています。したがって、この落ち込みと停滞、その原因が何であったかということが的確に把握されたかどうか、これが一つです。  二つ目に、こうした私が今示した実態に基づけば、大臣はかつて、これは瀬戸山大臣だったと思いますけれども大学、考え直す、あるいは作業をし直すということを言いましたし、宮地局長は、大学進学率がさらに伸びるよう対応策を考えなければならぬということを答えています。したがって、この点どのようにお考えなのか。  そして三つ目に、そのための具体的な向上策はどう求めていくかというこの三点についてお答えください。
  8. 宮地貫一

    宮地政府委員 先生指摘のような点があるわけでございますが、先ほども御答弁申し上げましたとおり、なかなか実態の正確な把握ということ自体が大変困難な状況にあるということもまず御理解をいただきたい、かように考えておるわけでございます。私ども先ほども申しましたように、関係府県市の調査をもとに申し上げたわけでございますけれども、従来からも関係府県市の協力によりましてそういう調査を進めておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、まず実態把握が必要なことは御指摘のとおりでございます。  そこで、このことをどう考えておるかというお尋ねでございますけれども進学率要因というのは、私から申し上げるまでもなくいろいろ複雑な要素がそれぞれ絡み合って結果として出てきている点もございまして、その要因がどこにあるかということを的確に把握をすることがなかなか困難な点はございます。既に何度か御質疑いただいた際にも申し上げたわけでございますけれども、この事業が従来の給付制から貸与制に切りかわったことによる影響というものをどう把握するかということも難しい問題でございますし、また、例えば実際に経済的な困難によりまして返還の困難な方々には返還免除制度というような仕組みを組み合わせるというようなことで事業実施をいたしておるわけでございます。御指摘の点は、私どもかねてこの分科会あるいは文教委員会でも申し上げているような線に沿って今後とも施策は進めていかなければならないと考えておりますけれども、まずは私ども関係者協力を得ながら実情把握に努めるということが第一点でございます。  さらに進学率向上のための具体策現実にどうするのかというお尋ねでございますけれども、その点も私どもとしては、現状について、進学率の全体の動向というものは短期間の姿だけではなかなか判断しにくい点もあるわけでございます。それらの点を十分踏まえまして、さらにきめ細かな実態把握にも努め、それを踏まえて具体策についても今後よく検討をさせていただきたい、かように考えております。
  9. 中西績介

    中西(績)分科員 私、この点大変不満なんです。と申しますのは、今まで地域改善対策特別法なるものの目的の中に、「教育充実」等を含めまして幾つかの問題があるわけですね。私はその中で教育というものは大変重要視しなければならぬということを再々にわたって主張し続けてまいりました。これがこうした問題を解決する主要な幹になるんだということ、私は、このことの確認の上に立った場合に、局長が必要な特別の措置を講ずるということを今まで言ってきているわけですから、貸与制であるということは特別な措置にはなっていないのですよ。文部省は今までとってきた貸与制ということを考えていけば、指摘しましたように私立学校の場合には逆転した場合だってあったじゃないですか、これは是正したかもしらぬけれども。  いずれにしましても、五十四年以降のものだけを見ましても大変伸びてきた。今あなたが短期間では把握できないという言い方をしますけれども、既に五年をはるかに超える実態の中で私は物を言っておるということなんです。こうした伸びがなければ私はこのことを指摘をしません。ところが、これが落ち込み、しかも今申し上げたように、実態としてはなかなか把握しにくいと言うけれども、私たちがあらゆる手だてを通じて知った中身は、大阪奈良高知熊本福岡というような特に多い地域におきまして大変な落ち込みを依然として続けておる、これをどう把握するかということになれば当然このことを認めなくちゃならぬと思うのです。全国的なものと比較をしますと、ようやく縮まりかけたこの差がさらにまた大きく開く可能性が明らかになってきたとしか言いようがないわけです。したがって、何としてももう一度この点についての具体的な方策を早急に確認をしなくちゃいかぬのじゃないか。局長言葉の中に同じことがここ三年間返ってきているわけです。ですから、この点は短期間ということだけで無視するのでなく、あくまでも実態把握に努めるということを約束しているわけですから、この前も私が指摘をいたしましたように、少なくとも学校基本調査をやるくらいの熱意と方策を持って当たってもらいたいと思うのです。これが一つ。  その中で今実態把握ができてないとするなら、私が申し上げたような内容で、少なくともこの三年間言い続けてきたことを少しでも前向きに進める体制をいち早くとっていただくことが今一番大事ではないかと私は思っております。そうしなければこの法律にある目的を果たすことはできないし、今まで局長なり大臣答弁をしてきたその内容を十分満たすことにはならない。この三十分あるいは文教委員会における私の質問の時間だけを一時期しのげばいいということをやってもらっては困ると思うのです。この点もう一度お答えください。
  10. 宮地貫一

    宮地政府委員 お言葉でございますけれども、私そういう気持ちで接しているつもりは毛頭ございません。先ほど指摘にもございましたように、単価の点の改善についても、こういう場の御指摘を受けまして五十八、五十九、六十年度と私ども現実努力をし、その面ではその単価改善一つの大きな要素につながるものというぐあいに考えているわけでございます。  それから、例えば御指摘で言われている点でもございましたが、進学率の中の設置者別の内訳について申し上げれば、国公立進学率については五十八年度二・〇%でございましたが、五十九年度二・四%に伸びてきた。これは過去の例から見ても、五十九年度の姿は国公立のシェアが高まってきておるという点では、そういう一つのあらわれが出てきているものというふうに私ども考えておるわけでございます。  したがって、まずは実態把握が必要なことは御指摘を受けて私どもそれに努めておるわけでございますし、さらに今先生指摘のあった幾つかの落ち込みの非常に大きい府県については、どういうようなところに事情があるのか、それぞれの府県担当者ともよく協議を尽くしまして、特に落ち込みが大きい原因が那辺にあるかということの原因把握に努めるなど、それらの点についてはよりきめ細かく対応するということで、私どもも御指摘を受けて、さらに関係者だけではなくて、実際の現場の対応している人たちの御意見も聞くというようなことで、現実に私どもとしては御指摘を受けて、きめ細かく実態把握に努めるということについては従来においても努力をしてきたつもりでございますし、それらの点については今後とも私どももよりきめ細かい実態把握に努めて、その上で対応策を検討してまいりたい、かように申し上げているわけでございます。
  11. 中西績介

    中西(績)分科員 全く前と変わってないのです。それではそうした資料をお出しいただければと思うのだけれども、その点については、依然として把握できる資料がないからとみずから肯定しているわけなんですよ。ここに問題がある。今最後に言われましたように、原因把握についても対応し、現場皆さんと十分そうした話はされておるということを言うわけですけれども、それであれば、今私が申し上げたこの資料なりこういうことによって、では具体的にどういう対策なりを立てていくかということが既になされておらなければならない。ところがこれがないのです。先ほど言ったように、金額が増枠されたと言っておりますけれども、しかしこのことは、一般の場合だって増枠が毎年されておるわけですから、そのことは何ら異なってないわけです。したがって、ぜひこの点を十分御勘案いただければと思っています。  そこで、時間がありませんから、識字学級の問題について一、二お答えいただきたいと思うのです。  先ほど調査をした結果をいろいろ述べられましたけれども、特に今回の場合この実態把握が、二回にわたって調査をされたと言っております。  そこで一番の問題は、私はここで指摘をしたいと思いますのは、何といっても学歴の構造がどうなっておるかということを調べた資料が出てまいりました。これを見ますと、例えばこういうことになります。一九八四年、部落の場合には未就学が六・一%です。それから大卒の場合が三・四%です。これは三万八千三百四十名からの調査になっています。そして一般の場合をちょっと見ます。一九四〇年の場合に全国で八・一%が未就学です。大学が一・七です。それから一九五〇年になりますと未就学がうんと減りまして二・一、そして大卒は二・九、それから一九六〇年になりますと〇・八になり、片一方は四・○になるわけですね。  ということになりますと、先ほど申し上げましたこの八四年における部落実態調査、こうしたものの中から、未就学部落実態というのを一般の場合に比べますと、大体三十年から四十年の差になっておる。それから大卒の場合が二十五年から三十年程度の差になっています。おくれておるということですね。その結果が、今度は就学実態読解力との関係を見るとこのようになっています。調査をした結果ですから、特に低いところを見ますと、県名は言いません。A県の場合が一四%不就学ですね。それからB県が一七・二%、それからC県が一四・五%、これは後で資料は差し上げます。ところがその結果はどうなっておるかというと、全く読めないというのがA県の場合が七・七%、それからB県の場合が七・五%、それからC県の場合が五・八%になっています。そのほか不就学の、一〇%切りますけれども、九%から七%程度のところになりますと、やはりそれと同じように全く読めない人たちがそれに続くわけですね。  今度逆に、よく読むことができるということを見ますと、最も不就学の少ない県あたりになりますと、よく読めるというのが九〇%を超えています。それからその次に続いておるところあたりが八六・五%あるいは八〇%を超えるという状況になっています。こうした相関関係が明確になっておるときですから、こうした実態把握の中で物をとらえてまいりますと、識字学級の持つ意味、重要性というのが私は非常に明確になってくると思うのですね。したがって、今これを見ますと、五十七年に六十八、五十八年が七十四、そして九十一と増加しています。人員は、国の補助の関係では大体横ばいでずっと推移していますけれども先ほどの報告を聞きますと、市町村がまだ相当受け持っておる分があるわけですわ。  したがって、私はここでお答え願いたいと思いますのは、一つは、学級数をどう増加させていくかというその対策として、百時間という限度の時間がございましたけれども、この前、私は時間数を七十時間程度に下げるべきだということを申し上げました。そしてそれをどう徹底させていくかということを申し上げましたけれども、この点がどうなっているのか、それが一つ。  二つ目に、この学級増をしてもよろしいけれども、一学級三十名程度ということが一つの目安になっています。先ほど全国のあれでは二十何名か、二十四名ぐらいになっていると思いますけれども、こうしたものを切り下げないと、今度は来ておる人たちの中に学力差がみんなあるわけですから、これは細分された体制でもってやらないと不十分だと思いますね。小人数でそれを受け持つというのは到底困難です。ですからこうした点についてのみお答えください。あとはまた次の機会にいろいろお願い申し上げたいと思います。  以上です。
  12. 齊藤尚夫

    齊藤(尚)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、識字学級学級数の増を図るべきであるという観点から、昭和六十年度から今まで年間の学習時間数を、百時間程度を国庫の委嘱の対象としておりましたのを、先生ただいま御指摘ございましたように、七十時間以上、百時間程度に改めることといたしておるわけでございます。そういうことで、対象識字学級の数がふえていくように努めているところでございます。  それから、学級における数の問題についてはとりわけ制限を設けているわけではございませんので、できるだけきめ細かな対策がとれるようにいたしたいと考えております。
  13. 中西績介

    中西(績)分科員 そこで、私は大臣にぜひお答えいただきたいと思いますけれども先ほどからわずかの時間でありましたので十分な討論ができませんでしたけれども識字学級なんかの問題にいたしましても、本当に実態調査をすればするほど、やはり手を施さなければならぬということがだんだん強まるばかりですね。ですから、先ほども申し上げましたように、一つ実態調査をぜひ強めていただきたいということ、それからもう一つは、文部省における皆さんが、教育の原点と言われる同和教育問題を含めてぜひ研修会を強めていただく、このことをひとつお願いをしたいということ、そして三つ目に、大臣局長を含めまして、同和地区実態を、足を直接運んでいただきましてぜひ調査をしていただきたいと思うのです。  この三つの点だけ、もう時間が参りましたから、以上、お願いしたいと思うのですが、どうでしょう。
  14. 松永光

    ○松永国務大臣 人権尊重、法のもとの平等を大原則とする新憲法が施行されて三十八年たちまして、なおかつ法のもとの平等が実現してない面があるということを私甚だ遺憾に思っておりまして、そのために地域改善対策事業は極めて大事な施策と思いますので、先ほど先生も御指摘になり、局長答弁をいたしましたように、実態把握をいたしまして適切な対策の推進に努めてまいりたい、こういうふうに思います。  そしてもう一つは、これは各人の心の問題もあるわけですから、学校教育、社会教育の場を通じて人権尊重、法のもとの平等、この精神をすべての人々に徹底するように、そしてその新憲法の精神に反する行いをするということは人間として恥ずべきことだ、こういったことが周知徹底するように、教育の場を通じて努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  15. 中西績介

    中西(績)分科員 調査ですね、直接足を運んでいただけるかどうか、この辺どうでしょう。
  16. 松永光

    ○松永国務大臣 国会が終わり、体に自由ができて、そして関係の方々とも相談をいたしまして、できることならばそれもやっていきたい、そういうふうに思います。
  17. 中西績介

    中西(績)分科員 ぜひ大臣、そうした実態を知った上で施策を練っていただくよう最後にお願いを申し上げて、終わります。
  18. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。  次に、石田幸四郎君。
  19. 石田幸四郎

    ○石田分科員 私は、現在の小学校、中学校におきます生徒児童の社会的な動態の変化と申しますか、それに伴って教員資格を取得されている人たちの就職が大変困難になっておりますので、そこら辺の問題を中心にして若干御質問を申し上げたい、こう思うわけでございます。  大臣も御存じのとおり、日本はいわゆる老齢化社会へ突入をいたしておるわけでございます。そういう社会的な大きな問題と裏腹に、逆にこれからの日本の将来を担う生徒児童というのは減少傾向が顕著になってくるわけでございます。そういうことを考えますと、これからの小学校あるいは中学の学級編制などの問題を含めてどう対応していくかというのはかなり深刻な問題ではないか、こんなふうに私は受けとめておるわけでございます。  申し上げるまでもなく、特に小学校、中学校の生徒の動態の一覧表を見てみますと、小学校においては五十六年度がピークになっておるわけでございまして、中学校は、第二次ベビーブームの影響が出てくるのが、一番ピークが昭和六十一年、こんなふうに言われておるわけでございます。その後の推移をずっと見てみますと、現在六十年でございますので、小中学校の合計が千六百七十六万一千人、それが昭和六十六年になりますと、合計数で千四百一万五千人と推定をされておるわけでございますが、両方合わせてのピークが五十七年ですか、千七百二十二万五千人、こんなふうになっております。それから考えますと、実に三百二十二万人ほど児童生徒数が減っていく、こういうような流れになっておるわけでございます。  そこで、まず最初に御質問を申し上げたいのは、第二次ベビーブームが小学校から中学校に移ってくるわけでございます。必然的に教員数に余裕が出てくるわけでございまして、四十人学級との関係はどうなっていくのか、現在既に大都市圏におきましても、このデータをいただきますと、東京都で昭和五十九年五月のデータで、一学級当たり三十五・八人というふうになってきております。全国平均が三十二・三人というような状況であるわけです。これが生徒数の大幅減というような状況になっていくわけでございますが、この四十人学級というものをさらに小さくして三十五人とか三十人とか、そういう学級の編制の方向にいくのか、あるいは現状はやはり一つの基準があるからそれを維持する方向にいくのか、そこら辺の問題からまずお伺いをいたしてみたいと思います。
  20. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 御指摘にもございましたように、昭和五十七年度をピークといたしまして小中学校の児童生徒の総数が減ってまいりまして、先生からお話があった数字のとおりでございます。三百万程度の減少ということになるわけでございます。こういう時期に、教職員の定数がそれに伴いまして自然減で減っていくということになるわけでございますので、この時期にぶつけまして、お話にも出てまいりました四十人学級を含む教職員定数の改善計画というのを、全体が減っていく中でそういう改善措置を講じて教員の需給のバランスも考えると同時に、教育充実向上に資するようにいたしたい、こういうことで、昭和五十五年度から昭和六十六年度までの十二カ年計画ということでスタートをしたわけでございます。  その後、国の財政等が大変厳しいというような状況になりました結果、昭和五十七年度から昭和五十九年度の三年間は行革特例法によりまして抑制というようなこともいたされました関係上、四十人学級問題につきましても、従来の続きで学年進行で措置をしておりましたもののほかは、新しくはやらないということで、いわばストップをしたような状態になっているわけでございます。  しかしながら、児童生徒数の減少等が従来以上に多数見込まれるというようなこと等の新しい事情もございまして、そういったこと等を含めまして、昭和六十年度におきましては、児童減少市町村の中で、今まで手がついてなかった学校全部について一遍にこれを処理するということで、総数にいたしまして千八百人余りの新たな教職員定数措置をするというようなことにいたしたわけでございます。もちろん法律上、昭和六十六年度までにこの第五次の定数改善計画は完成をするということになっておりますので、なお今後数万人の定数増ということが必要になっておるわけでございますが、私どもといたしましては、この四十人学級実施ということを計画どおり六十六年度までに達成するということを当面の最大の目標といたしまして、その方向に努力したいと思っておるわけでございます。先生指摘のございました三十五人学級というようなことにつきましても、あるいはその後いろいろ教育的な論議を重ねてどうするかという検討がなされる時期が来ようかと思いますが、当面は、とにかく六十六年度までにやるということでやっております計画を達成するということに全力を注ぐようにいたしたい、こう思っておるわけでございます。
  21. 石田幸四郎

    ○石田分科員 それから、先ほど申し上げましたように、中学の方に六十一年度にピークがくるわけですね。そうしますと、生徒数の増加に伴って教員採用をふやさなければならぬというようなこともございます。教員増を実施するに当たっては、現在、小学校、中学校はそれぞれの立場で教員採用をいたしておるわけでございますので、中学校の生徒の増加に伴う教員の必要増というものを新規採用という形でやっていくのか、あるいはまた多くの人々が小学校の教員免許、それから中学校の教員免許を同時に取得しておられるような傾向が強いわけでございますので、小学校の教員の中からスライド的に中学に移行させる方法も、各県の教育委員会の実態を聞いてみますと考えておるようでございます。文部省としてはどういう方針でいくのか、そういうスライド方式をとっている各県の実情、そのまま各都道府県の教員委員会にその方針はゆだねていくのか、そこら辺の問題について少し伺ってみたいと思います。
  22. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 お話にございましたように、小学校の方が先にピークが来まして今もう減少期に入っている、中学校は六十一年度まではまだ上昇いたすわけでございますけれども、また六十二年度からは減少してくる、こういうような状況にあるわけでございます。     〔主査退席、大西主査代理着席〕 一つに、教員の需給が小中合わせて全体としてどうなるかということがあるわけでございますが、片方で五十七年度以降は小中合計のそういう数字が減ってきており、六十一年度から中学校も減るというようなことに伴います教員の定数の自然減というのが相当数出てくるわけでございますけれども、また他方におきましては、今後も教員の年齢構成から見ましてかなり高齢のところにあるグループがございますので、その人たちが退職期にそろそろ入ってきているというようなこともございます。退職教員が相当数出てくるだろうということが予想されておりますし、また先ほど申し上げました第五次の四十人学級で、片方で定数の改善をして需要の方の増加を図っていくということもございます。さらには、これは特別な措置がございまして、前年度に比べまして定数が自然的に非常に激しく減るというような県の場合につきまして、現在いわば最低保障制度というものを設けておりまして、つまり前年度の九八・二%以下には、計算上それ以下に下がる場合であってもそこまでしか下げないということで激変緩和の措置をとっておるわけでございます。  そういったいろいろなことがございますので、小中合わせて、そしてまた全国的な状況といたしましては教員の需給が著しく難しい状態になるというふうには考えておらないわけでございますけれども、御指摘にもございましたように、各都道府県それぞれにまたそれぞれの事情がございます。子供の減り方等もそれぞれ随分アンバランスに減ってまいるというようなこともございますし、それから小学枝の方の減り方が激しくて中学枝の方はそれほどでもない、あるいはまだ若干ふえていくというような状況がございますので、そういった中でそれぞれの県が、これからは全体としてはさして問題がないと思うわけでございますけれども、具体の採用等の大事については大変難しいケースが出てくるだろうと思っております。  ただいま御指摘がございましたように、小学校教員の方が余ってくると申しますか、そういうような部分を中学校に回していくというようなこと、確かに複免と申しまして、小学校の免状のほかに中学校の免許状を持っているという方もかなりおられると思います。実際の人事としてはそういうことも一つの望ましい手段であると思うわけでございます。ただ、それぞれの県によっていろいろ事情もございましょうし、年齢構成の問題でございますとか、あるいは男女別の配慮とか、いろいろなことがあろうかと思いますので、そういった中で具体にどうこなしていくかということにつきましてはやはりそれぞれの県で御判断いただくのがいいことではなかろうか、こう思うわけでございまして、個別に御相談等があれば、私どもも相談に乗るようにいたしてはまいりたいと思っておりますが、そのようなことで、御指摘のような新採もある程度行うけれども、小中間の交流もある程度考えていくというような方式は望ましい方式であろうと思っておるわけでございます。
  23. 石田幸四郎

    ○石田分科員 ある新聞に潮木名大教授の予測の数字がいろいろ出ておるわけでございますが、こういう傾向は免れがたいというふうに思っておるわけでございます。しかし、事態は教員採用という面から見ますと非常に深刻なわけですね。例えば大阪教育委員会などは、小学校教員を中学に移すようにして、小学校でも毎年八十人から百人の新規採用を行うことにしておる。しかし、五十年度には実に五千十四人の新規採用を行っておったというような状況から見ますと、小学校の教員になるということは大変な狭き門になってしまうわけでございます。中学の方に生徒数がふえたから教員数を新規採用で賄うというようなことにいたしますれば、これは財政との絡みがありますから、それぞれの県そう簡単にいかないと思うのですが、もし小学校教員から中学校の教員に移行させるというようなことが頻繁に行われるとするならば、これはある程度研修機関とかそういうようなものを設けて、やはり再教育をしながら新しい中学校教員なら教員になってもらう、そういう措置も必要なんじゃないか、こんなような考え方を持つのですけれども、ここら辺についてはいかがですか。
  24. 阿部充夫

    ○阿部政府委員 移行する場合の研修についてのお話でございましたけれども、その前にちょっと潮木さんの資料のお話がございました。私も十分検討をしておりませんので、どういう手法で推計をされたのかよくわからないわけでございますが、非常にアバウトに全国的な傾向で申し上げますと、昭和六十年から六十六年までの計画達成期までを一応推定しておるわけでございますが、自然の増減と改善措置による関係で、定数そのものの増減が二万人の減ということに相なるわけでございます。これに対しまして退職見込みが十八万人程度というようなことで、差し引き採用の見込み数が十六万くらいというような推計をいたしております。それによりますと、毎年度の実際の新規採用者というのは二万三、四千名ということになりまして、これは実は最近の二十年間ぐらいの状況をみてみますと、五十二年から五十四、五年ぐらいまでのいわゆる急増期のピークのときに毎年の採用が三万を超して三万数千というときがございましたけれども、それ以外の時期は大体二万人台というのが普通の時期でございますので、これからの状況というのは、採用見込み数を見ますと大体普通の時期に戻る程度の感じというふうに私どもは思っておるわけでございます。  ただ、潮木先生資料にもあるように、各県ごとによって非常に事情が違ってきますので、そこのアンバランスがいろいろな格好で出てくるということでございますので、それで先ほど申し上げました最低保障制度というようなことで激減しないように、三・六%ぐらいの自然退職が毎年見込まれておりますので、九八・二と申しましたのは、その三・六%の自然退職の半分ぐらいの数字は新規に採用が必ずできるようにというようなことも考えてそういう仕組みをつくっておるわけでございますので、将来のことはまだわかりませんけれども、とりあえず来年度の状況につきましては、最低保障に引っかかってそういう措置をしなければならない県もまだ出てきていないということでございまして、それほど悲観は私どもはいたしておらないわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、それぞれの県でいろいろ難しい問題を抱えるわけでございます。先生おっしゃいましたように、小学校から中学校へ行く。中学校の教育というのは実際は今までは全然やったことがなかったというケースもあるかと思います。純粋に新規採用で中学校へ採用する方もあるわけでございまして、そういった方々に対して新任職員の研修というようなことがあるわけでございますけれども、私どもも、具体にできるかどうかあれでございますけれども、できることならば、各県の配慮の中におきまして、小学校から中学校へ移る人につきましても、中学校で新採用する人と一緒にまずは研修をちょっとしていただく。一週間、二週間という程度の研修でございますので、できることならば各県の配慮でそんなことをしていただければありがたいと思うわけでございますが、その辺は今後各県に助言等はしてまいりたいと思います。
  25. 石田幸四郎

    ○石田分科員 これは特に大都市圏において非常に顕著な減少傾向が出てくるわけでございますので、ここら辺、きめ細かい対策を立てられることを要望いたしたいと思います。  時間が余りありませんので、この教員採用の問題について特にお伺いをいたしてみたいわけでございますけれども、いずれにしても大変な減少傾向になることは間違いないわけですね。これからの状況を考えてみて、生徒数の減少傾向、それに現在教員一人当たりの生徒数が、小学校、中学校で二十名から二十五名近くの間になっているわけですが、そういうものを換算して考えてみると、実に昭和六十六年度には教員数が相当減る。単純推計いたしてみますと、十二万人ぐらい減るんじゃないかというような、そのくらいの教員で十分賄っていけるというような数字が出てしまうわけですね。これは単純計算ですから必ずしも正確な数字とは言いがたいわけでございますが、それだけに、せっかく教育界で活躍をしたいと願っている現在の学生、これからもまた登場してくるであろう教員志望者、そういった人たちが大変狭き門になってしまう。教育関係の国立大学を卒業しても、昔と比較してみますと、三分の一程度しか就職ができないというような傾向が出てくるわけですね。  そういうようなことを考えてみますと、現在、例えば医師が大変多くなってきているので、新しい大学の医学部の設置等は行政指導によってかなり厳しく抑えられておるようでございますし、また、定数をふやすことについても大変厳しい行政指導があるというような傾向になっておるわけでございます。これはいろいろなところでそういう傾向が出てくるわけなのですけれども、教員資格を取得しようとしている人たちのいわゆる大学あるいはその他の学校においても、せっかく教員資格を持っても就職できない、そういう時代が来てしまったらこれはまたえらいことなんですね。ここら辺は今後のいわゆる高等教育の面から考えてみて、どういう措置をとられようとしておるのか、お伺いをいたしたいわけです。
  26. 宮地貫一

    宮地政府委員 教員養成学部の将来のあり方といいますか、そういうようなことについてのお尋ねかと思うわけでございますが、六十一年度以降の高等教育の計画的整備の中におきましても、医師と教員養成関係については今後拡充ということは考えないということは打ち出しておるわけでございます。  なお、現在の国立の教員養成大学学部でございますけれども、これの小中学校教員の入学定員は全体で一万六千百名ということでございまして、五十九年度当初の公立の小中学校教員の採用者数二万五千六百人に対して約六三%というような状況になっております。これは必ずしも特に大きな定員とは考えていないわけでございますけれども、教員養成学部の今後のあり方については、いろいろ各大学においても具体の取り組みをしておられる大学もあるわけでございまして、例えば教員養成学部で日本語教育の教員というような分野、教員養成学部の特色を生かしたそういう分野のコースを考えるとか、いろいろな面で既存の教員養成学部自体についても、改組を図るべきものについては改組を図っていくというような形で積極的な対応をしていくことも必要ではないかかように考えているわけでございます。
  27. 石田幸四郎

    ○石田分科員 大臣、もう時間がございませんので、最後に所感を承りたいわけでございますが、私は、狭き門というのは、逆に言えば優秀な先生が集まるという意味においては大変結構かと思うのですけれども、しかし、明治百年を経過して、日本が文化的にもあるいは工業的にも非常に大きな発展をしてきたのは、やはり教育制度の充実というものが欠かせない問題であったであろう、こういうふうに思うわけでございます。そういうふうな社会の状態に合わしたこれからの教員養成なりそういうものを考えていかなければならない、こんなふうに思うわけです。  それからもう一つは、こういった生徒数の減少という問題を考えますと、いわゆる小中学校の建物、これ自体もやはり変質をせざるを得ないのではないか。主として教育的な問題でこの施設を十二分に活用していかなければならないわけでございますけれども、同時に、やはり義務教育という問題を考えますと、周辺の社会環境との対応というのは非常に大事じゃないかというふうに私は思っているわけでございます。そういった意味で、これは私の本来の持論なのですけれども、やはり小学校、中学校のそういった施設というものも、もう少し地域のいわゆるコミュニティーの一つの軸になっていくべきではないのか。そこからむしろ教育効果というものも上がってくるのじゃないかなということも考えているわけでございますが、先ほど質問を申し上げている点と合わせて大臣の所感を承って、終わりにしたいと思います。
  28. 松永光

    ○松永国務大臣 児童生徒教が減ったことによって余ってくるというか余裕の出てきた学校施設をどうするかという問題でございますが、それぞれの地域の特性に応じて、あるいは特別教育や多目的スポーツスペースに転用して、学校教育そのもののゆとりを持たせ、あるいは充実した学校教育ができるような施設に転用する、あるいはまた地域社会への学校開放のための施設、例えば成人教育のための施設、こういったことに積極的に転用を進めることによって、全体としての学校教育充実、社会教育充実に活用していくということが望ましい、そういう考え方で文部省はかねがね指導してきたところでありますが、これからもそういう方向で進めてまいりたい、こう考えるわけでございます。
  29. 石田幸四郎

    ○石田分科員 それでは終わります。
  30. 大西正男

    ○大西主査代理 これにて石田幸四郎君の質疑は終了いたしました。  次に、松前仰君。
  31. 松前仰

    松前分科員 文部省大臣初め皆様方には、ふだんから文部行政について大変な御努力をされて、臨教審というようなことが起こっている中においてもいろいろと御努力されていることに対して、まず敬意を表したいと思う次第でございます。  きょうは、私、そういう文部行政の大きな問題にならないので大変恐縮でございますけれども文部省の管轄というところで、いろいろと細かい点についてお伺いを申し上げたいと思う次第でございます。やはりこれは地元住民といいますか末端の方の不満といいますか、文部行政の中での大きな枠の中で、管理体制というかそういうものが多少問題になって不満が大きく出てくるというような状況になりかねない、少しずつ出てきておるものですから、その辺について少し姿勢を正していただくというようなこともあってお伺いをいたしたいと思う次第でございます。  非常に細かいので恐縮でございますが、静岡県の清水市に三保半島というのがございます。小さなところでございますが、ここが名勝の三保松原規制区域というところに入っておる。これは環境庁かと思っていろいろ調べましたら違うのでありまして、名勝となると文部省の方だということでございますので、そちらの方の話をいろいろ聞いてきたわけでございます。恐らく、名勝ということになれば全国各地みんなそういうことになろうと思うので、代表的に、ここを私は非常に知っていたものですから取り上げてみたい、そういうふうに思う次第でございます。  実は、ここの名勝三保松原規制区域は、特別規制区域と第一種規制区域、第二種規制区域、第三種規制区域、こういうぐあいに分かれておりまして、特別規制区域というのは何もつくってはいかぬよというようなことになっておるようでございます。そこで、第一種の規制区域というところは少しはいいのではないだろうか、こういうふうに思うのでありますが、いろいろ地元の人がそこに地元の活性化ということで話を持ち込むと、これはなかなかイエスとは言わない、ノーという答えの方が多いという状況でございます。単純に規制区域を開放するということになればこれは大変な問題になりかねないのでありまして、自然の名勝というものを破壊するということになりかねないので、そういうことではなくて、この名勝を生かしながら地元の活性化というものに寄与をしていくというような方向で地元の人たちが一生懸命考えておるわけでございます。  一端をちょっと御紹介させていただきたいのですが、三保松原の羽衣の里構想というのを地元の人は一生懸命、何年かかかってつくり上げてきております。まだ完全ではございません。それの中で、地元清水市というのは大変不況でございますから、その活性化の一番の目玉というと、やはりこの地域を開発して活性化させていくということが重要だというのを地元の人たちは認識いたしまして、何とか規制区域のところを多少緩和をしてもらって、そしていろいろな触れ合いの広場とか、触れ合いの宿とかいうような宿泊所ですか、そういうようなものをつくっていきたいというふうに考えているようでございます。  そこで、第一種の規制区域。特別は一応計画も入っておるけれどもこれはさておいて、第一種規制区域というところを少し開発していきますと、非常に立派な地域開発という形になっていくように、私も案を見ましたら、そういうふうに見えるわけなのでございます。そこのところがどうも県の方に話してもノー。それでいろいろ、最後はやはり文化庁の方ではないか、文化庁の方に話をしなければどうしようもないというようなことになっておりまして、そういう意味で文化庁の方に、この第一種規制区域というものはもう全くだめなのか、それともある程度、どういう条件があればこういうところの開発というものを考えていけるのかということについてまずお伺いをいたしたいと思うわけでございます。
  32. 加戸守行

    ○加戸政府委員 先生から今お話のございました三保松原は、日本のすぐれた名勝地として大正十一年に指定された地域でございまして、現在、松原として指定されております六つの中でも一番古いものでございます。ここの名勝地につきまして現状変更という形が行われるわけでございますが、昭和五十一年に、地元の管理団体でございます清水市が静岡県並びに文化庁と三者協議をいたしまして作成いたしました管理計画書というのがございまして、これに基づいて具体的な現状変更の基準を定めまして、その基準に従って現状変更の許可、不許可という措置がとられてきているわけでございます。  今先生お話ございました第一種規制地区につきましては、現在その管理計画書の中の基準といたしまして原則として三つの有為を認めないということになっているわけでございまして、第一が景観を損なう地形の変更、第二が松の立木の伐採並びに松に悪影響を及ぼす行為を認めない、それから第三に簡易な工作物以外の工作物の設置を認めない、この三つの基準があるわけでございまして、私どもまだ十分市及び県から聞いておりませんが、文化庁が概略承知しております今の構想段階のものを拝見いたしますと、この第三の基準でございます簡易な工作物以外の工作物を設置するというところに抵触するというぐあいに考えている次第でございます。
  33. 松前仰

    松前分科員 大体そういうようなお答えを県の方もされているわけでありまして、それは意思統一をされているということであると思うのですが、第三番目の簡易な工作物。その前の二つにつきましては、これは地元の方でも十分考えて、いけるということでありますけれども、第三番目のところ、これは簡易なということになるとどこまでが簡易かということになってくるわけでありますが、その議論はまずここではいたしませんけれども、ここにどういうものをつくるかというと、ペンション村というような、ペンションですね、そんなようなものをつくっていくというような計画を持っておるわけでございます。そこで、第一種という格好になっているとどうしてもそういう基準になってくるということになるので、これは第二種とかそういうように緩和していくことができるかどうかということがあるわけでございます。  私は、いろいろとそういうことで地元の方から話を聞きまして、余り管理がルーズになりますと外からの業者が入ってきてもうめちゃくちゃに環境を破壊してしまうということになるものですから、それでは地元の人で、やはり地元で管理をするというような格好。どういうつくり方をするかというと、地元の人が景色を阻害しないと一番知っているものですから、そういう管理の方法というものを考えていかなければいかぬだろうというようなことを指導してやってきているわけでございますが、その方向で今進んでおるわけでございます。  そういうように地元の人たちの熱意が非常に強くて、地元でもって景観を損なわないような管理の仕方というものを考えてここを開発していこうというような考えが、そういう計画がきちっとできてきた段階において、この第一種を第二種に持っていくというようなことの可能性というのはあるわけでしょうか。     〔大西主査代理退席、主査着席〕
  34. 加戸守行

    ○加戸政府委員 私ども聞き及んでおります現在の構想でございますと、この三保の松原地区として指定されております百ヘクタールの中でも、現在構想が立てられておりますものが、ちょうどその三保松原のいわゆる景観の中心と申しますか、松林に囲まれた地域でございまして、土塁状のそういう境界線の中、つまり松林と松林に挟まれた中にいわゆるペンション村といいますか宿泊施設をつくるというような方向で動いているのを聞いておりますので、いわゆるその三保松原の中心となるような地域であるという点におきまして、軽々に第一種から第二種あるいは第三種に切りかえるというようなことにつきましては、かなり難しい問題があろうかと考えております。
  35. 松前仰

    松前分科員 今の最後の難しい問題があろうかというところでちょっと救いがあったように思います。これは具体的に本当の状況というものを、現場のところはどうなっているのかということを見ていただかないと話がかみ合わないと思うわけでありまして、現時点で緩和しろと私は言っているわけではございませんので、可能性があるならやはりこの計画を進めて働きかけをしていこう、そういうように思っておるわけでございます。  そこで、地元の人たちがちょっと不満に思っているところがあるわけなんでございます。こちらの方はそういう規制という問題でかなり厳しいことを言われておるわけなんでございますけれども、そのすぐ隣りにあります三保場外離着陸場というのですか、通称三保飛行場、こういうのがあるわけなんでございます。日本飛行連盟が文化庁の許可を受けて、国際航空輸送、これは調布にあるそうなんですが、そこに運営を委託したのですけれども、そのときに、三保の飛行場の地域は特別規制区域に入っておりますので、特別規制区域だからこれはやたらなことに使ってはいかぬよということで、文化庁の方からの指示で、災害救助活動とか日赤飛行隊の訓練とか、こういうものに限定して使うということで許可を与えたということなんでございます。  これがどうも使われ方がおかしいという地元民の話が聞こえてまいりまして、私もちょっと調べてみたけれども、まだ具体例がよくつかめなかった。具体例としてどれが訓練なのか、どれが普通の遊覧飛行なのかわからぬという状況でありましたので別に問題にしておらなかったのでありますけれども、残念なことに、ついことしに入って、二月でしたか、そこから飛び立った飛行機が墜落してしまった、すぐそばの海岸のちょっと先の海の中に。その飛行機は明らかに普通の日赤飛行隊とか救助活動に使うような代物じゃなかった。何かと言うと超軽量の飛行機なのですね。まるでライト兄弟が運転していたような手づくりの飛行機だったのです。よくわかりませんけれども、免許は要らないらしいのですね。それがそこから飛び立って一周しているうちに落ちてしまった、こういうようなことで、そういう飛行も許していたというのがわかってしまったわけなんです。  ですから、こういうようなことをほかのところでも同じように遊覧飛行みたいに使っていたのじゃないかとすぐ類推されてしまう。この落ちた人は自分は罪が全然ないと思っております。免許を取らなくてもいいというのは確かにそうらしいのですね。そこから飛び立って練習したって構わぬ、こう思っておった。ということは、こういう問題がありますよということがその人には知らされていなかったからその人に罪はないと僕は思う、はっきり申し上げまして。その管理の方が悪いような気がしてならないわけでございますけれども、そういうことに使われておる、特別規制区域の中で。同じ文化庁の管轄の中で、こっちでは特別規制区域の中でそういうことがやられておる、それなのにこっちの開発の方の話をすると規制だ規制だ、だめだだめだ、こういうことを言う、これは地元民としては大変不満があるということなんでございます。そういうことで、この地元民の不満というのがうんと高まってしまうと、これはちょっと大変な問題になるものですから、その前に文化庁の方としてこの飛行場についてまずはきちっと管理を行き届かしていただきたい。  それで、これをコミューター航空とかそういうものに変えようということで今話が進んでおるようであります。このままずるずるやって変えていってしまうというやり方をとっていこうとするらしいのですが、やはりこれはきちっと一度戻して、そこからスタートしていくというような形にしていただかないと、片方は規制が強く、片方がルーズにやっているということで、ほかの人の要望が物すごく強いものについては聞くという格好になっている、そういうことなんで、その辺について文化庁の方でどのようなお感じを持っておられるかということをお聞きしたいと思うのです。
  36. 加戸守行

    ○加戸政府委員 ただいま御指摘のございました飛行場使用の件でございますが、この三保飛行場につきましては、昭和四十三年二月十六日付で災害救助以外の目的では使用しないという条件つきで使用の許可を与えておるものでございまして、アスファルトによります簡易飛行場の設置を認めたわけでございます。先ほど申し上げました管理計画書というのは昭和五十一年、つまりおくれてっくったわけでございますが、その中でも特別規制地区に該当するものでございまして、そこでは原則として新規現状変更許可は認めない、ただし人命の安全を確保するためのものについてはこの限りでないという取り扱いに該当するわけでございます。  ところで、先生の今の目的外の飛行があったのではないかという御指摘でございますが、確かに最近の一時期、と申しますのは昭和五十五年から五十八年ごろにかけて救難目的以外の目的で使用されたということがあったようでございます。そこで文化庁といたしましては、県を通じて目的外使用についての厳しい規制を指導いたしまして、静岡県が海岸の占用許可というのを三年更新で与えておるわけでございますけれども、その期限が切れまして昭和五十八年四月一日から三カ年にわたる飛行場の使用許可を行います際に、いわゆる目的外の使用を厳正に規制するということで、静岡県もその占用許可の条件としてそれを付したということでございまして、その後はいわゆる救難目的以外の利用には供されていないと了解しているわけでございますが、なおその後にそのような具体的な行為があったかないかにつきましては、再度静岡県に確認をさしていただきたいと考えております。
  37. 松前仰

    松前分科員 そちらの方はそういうことできちっとやっていただくということでありますが、この三保の地元民の要望といいますか、そういう地元の人たちが活性化ということを真剣に考えているということについては、これから案も出てくるわけですから、文部省、文化庁の方にそのタイミングをはかってまた御説明に行って、その規制緩和というような方向についての御要望もさしていただきたい、そういうようなことを考えておるわけでございます。  今までの議論について、大臣御感想なりありましたら、簡単で結構ですが、一言。
  38. 松永光

    ○松永国務大臣 名勝というのは、清水市民、静岡県民あるいは国民の貴重な共有の財産だろう、こういうふうに思いまして、これにつきまして現状変更を認めるということになりますと、貴重な財産が失われるということにもなりかねませんので、私どもの考え方としてはあくまでもその名勝を保存をし、保護をしていかなければならない、こういうふうに考えるわけであります。  一方、名勝の保存というものは地域人たち協力をしていただかぬとうまく保存ができません。そういうことで地域人たち意見、要望は極めて大事であると思いますので、それとの調整ということが大切である、こういうふうに思うわけであります。
  39. 松前仰

    松前分科員 完全にだめという御意見ではなかったように私受けとめております。地域の要望といいますか、考え方というものがしっかりわかればそれなりの対応の仕方もあるというように受けとめてよろしゅうございますか。
  40. 加戸守行

    ○加戸政府委員 現状変更を認めるか認めないか、主点は第一にはやはりその地域の名勝としての価値を損じないかどうか、あるいはその現状を大幅に変えることにならないかどうかという点を主点にいたしまして具体的な管理計画というのが定められるわけでございまして、一般的に申しますと、文化財を保護する、名勝を保護するといった基本的な方針につきましては、ある事情が出てきたからといって軽々に短期間に変更するということは好ましくないわけでございまして、この計画自体も五十一年に定められまして、その規制基準が一応立てられているわけでございますけれども、現在までの間に文化財保護上そのことによって特段の支障が生じたということは聞いていないわけでございますが、今回のような構想が出てまいったということでございますけれども、少なくとも現時点で文化庁としては見直しの必要があるとは考えておりません。ただ、地元の御要望あるいは清水市の意見、あるいは静岡県の意見等もこれから計画が具体化します段階で聴取しながら、いわゆる名勝としての保護にどの程度の支障が出るのか、それはあくまでも絶対的に認められないものであるか、あるいは若干の緩和によって、あるいは計画の変更等によって構想の考え方が少しは実現できるものであるかというような具体に即して判断すべきことであろうと思いますが、基本的な方針は、計画あるいは規制基準というものは文化庁としてはなるべく強く守ってまいりたいという考え方ではございます。
  41. 松前仰

    松前分科員 計画が未熟な段階でございますから、ここでは何も議論できないと思います。また具体的なものが出ましたら御相談に乗っていただきたい、そういうふうに思うわけでございます。  ちょっと主査に御許可いただきたいのですが、この分野じゃない運輸省関係なので申しわけないのですけれども、ほかの分科会に持っていくともったいないものですから、ちょっと時間を数分いただいて気象庁に議論させていただきたいと思うのでございますが、よろしゅうございますか。  最近気象の問題につきまして天気予報、気象情報というものは地元住民の文化的な問題につきまして非常に重要な事項でございます。それが最近地域の気象情報、天気予報というものについて大変正確度を欠いておるというような事項があるわけでございまして、気象庁の方といたしましてもいろいろ御努力いただいておると思うのですが、何とか地方気象台とかその他地方予報中枢以外のもっと末端のところにおいて、もっともっと密度の高い情報収集とかそういうものをやってもらいたいというような要望が出てきておる。これについて私どもも将来を考えると、もっと綿密な気象予報、気象情報その他地域の災害に関するような気象庁に関係する情報というものが必要になってくるのじゃないだろうか、そういうふうに思うわけでございます。私は、将来の問題であるかもしらぬけれども、その辺についてしっかりと地方を守る、地方をもっと大事にしていくというような方向での整備というものが必要と考えるわけでございます。その辺について気象庁の方から御意見をお伺いしたいと思う次第でございます。
  42. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  先ほど先生から御指摘がございましたように、最近では日本国内でございますとか国外でございますとか、気象の観測設備あるいはそれを伝送いたします情報伝送網といったものが非常に高度なものが整備されてきております。そのために、天気予報を出すためのデータの量でございますとかその処理方法というものが非常に高度なものになってきております。そこで、こういったものを実際の防災あるいは日常の生活にお役に立つような情報に加工するにはどういった方法が最も有効適切であるかということになるかと存じます。  先ほどから申し上げましたように非常に大量のデータを処理いたしますので、例えば気象衛星のデータというものを考えてみますと、生の画像を末端まで即座に届けるのは必ずしも有効な方法ではないということが考えられるわけでございます。私どもといたしましては、まずそういった生のデータを、例えばコンピューターなどを駆使いたしまして、実際に現場で有効適切な気象情報を出す材料となるようなものに加工いたしまして、それを適時に配信するといったようなやり方で、予報の精度向上でございますとか情報の充実に努めたいと考えているわけでございます。
  43. 松前仰

    松前分科員 ローカルの天気予報その他災害関係の情報とか、そういうものはこれからますます綿密に細かくなっていかなければならぬわけでございまして、それに対して技術面でもってカバーをしていくというようなことを気象庁の方は考えておられると思うのであります。しかしながら、将来ずっとこういきますと、今どんどん合理化を進めておるというような方向で果たしてこれが全うできるかどうかという点については、私はいささかまだ疑問を持っておる。人がどんどん減ってしまって、本当にいい気象業務がローカルの気象でもできるだろうかという点については大変疑問を持っておるわけでございます。それが技術の進歩で本当にカバーできるかということはまだ十分検討してみなければわかりませんけれども、いずれにいたしましても、ローカルの情報についてはもっと綿密に、もっと地域住民に密着した形のものにしていく、片方で晴れていて片方はどしゃ降りであるというようなところまでわかるような方向でやっていかなければならぬと思うわけでございます。  そういう意味で、技術でもっていけるか、人で人をカバーしていくかという点についてはもうちょっと十分に考えて、ただ全部人を減らしてしまった方がいいという方向がいいかどうかについては気象庁の方で十分考えていただきたいと思うわけでございます。時間がないものですからこれ以上は議論ができないわけでございますが、全体の行革といいますか、人の問題につきましてはまた別のところで大きな議論としてあるわけですが、きょうはこの辺でやめさせていただきたいと思います。  大変お忙しいところ議論に参加していただきまして本当にありがとうございました。これで終わりたいと思います。
  44. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて松前仰君の質疑は終了いたしました。  次に、細谷昭雄君。
  45. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は三つの問題についてお伺いしたいと思っているのですが、時間の関係三つ目はともすればできなくなるかもしれませんので、大変申しわけございませんがあらかじめ御了承いただきたいと思っております。  第一の問題は学校給食の問題でございます。  昭和二十九年の六月に法制化されましてから学校給食は三十一年間経過をしているわけであります。したがいまして、現在教育の場ではもちろんでございますけれども、いろいろな社会変化の中で、社会的にも既に学校給食というものがなくてはならない存在になってしまっておるというふうに考えるべきであろうかと思います。学校給食法の第二条に四つの目標が掲げられておりますけれども、この四つの目標に照らして、現在の学校給食は五段階評価でいいますと、文部省はどの程度まで達成されておるというふうにお考えでしょうか。
  46. 古村澄一

    ○古村政府委員 御指摘のとおり、二十九年に学校給食法ができまして、現在、学校給食の普及率そのものは世界で一番進んだ国というふうに言われております。この学校給食法におきます学校給食の目標でいきますと、これについてはかなりいいところまで進んできているのではないかというふうに思っております。
  47. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 五段階評価というのは文部省の評価ですから、一、二、三、四、五のうちのどの程度までいっているというふうにぜひ評価してくださいよ。
  48. 古村澄一

    ○古村政府委員 これ、マクロで評価するわけでございますから、学校によっては給食指導がなかなかうまくいかないところ、あるいはうまくいっているところとありますが、まあいってみれば、上の部ではないかというふうに思っております。ですからそうなりますと、四か五かと言えば、そこまでの厳しく五段階の五あるいは四というところまではちょっと私も自信が持ちかねますが、上の方であろうと思っております。
  49. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は、マクロ的に見ましても、三になったというふうに認識をしております。ようやく三になった。したがって、今局長、上の部で五まではどうか、四の上のような話をしておるのですが、これはまことに甘いと言わざるを得ないと思うのです。  といいますのは、例えば施設面の一つをとりましても、学校給食法の第二条の四つの目標の中で、この目標に照らして一体到達度がどうだかというのが評価でございます。どこをとっても、四つの目標で、あなたの言われるように四か五かなんというそういう甘い考えてあれば、私はこれは大変だと思うのですよ。したがって、この点は厳しく局長、評価を訂正していただかなければならぬというように思うわけでありますが、施設面一つとりましても、あるべき姿といいますのは食堂形式でございます。そうでないと、自分の生活する教室でそのまま食べておるというのが実情でございますので、これで豊かな食生活とか楽しい学校、こういう面で、これ一つとりましても到底四という評価はできっこない。マクロ的に見ましても、そういうように思うわけです。  栄養士の配置の面でありましても、例えば東京都内の学校の実態を私は調べてみました。都内はほとんどがセンター方式でなくて、文部省の通達に基づいた学校内の給食施設でございます。そういう点では、まず多くて二校に一名の配置というのが現在せいぜいでございます。  調理員につきましても、基準にようやく到達するかどうか、個々の学校によって違いますけれども、調理員の人数につきましても、東京都は比較的多い方でありますけれども、これについても不十分であるというふうに言わざるを得ないと思いますし、ましてや質におきまして、メニューにおきましてもまだまだこれからというところでございます。これは皆さん方、お認めであろうかと思うのです。本来でありますと二、三品のメニューがありまして、子供のそれぞれの嗜好なり、子供の発達段階におきまして、小学校の一年生と六年生六段階ございますので、当然量や質、嗜好、こういうのが違うわけでありますが、今のところはいろいろな面から一品でございます。メニューは単一でございます。こういう点で考えましても、これはようやく三十年になって目標のやや三に近づいた、むしろ三に入ったのではないか、こういうふうにお考えになるのが妥当ではないかと思うのです。その点、どうでしょうか。
  50. 古村澄一

    ○古村政府委員 この法律ができましたのが昭和二十九年、その当時から考えますと、この当時の法律をつくったときの給食におきます状況と今の状況を比べますと、隔世の感だろうと思います。そういった、だからどこに視点を置くかという角度で考えますと、先生のおっしゃるとおり、一つ高い視点を持てば、三に入るぐらいであろうかということも一つの評価であろうと思っております。私は、学校給食法ができた当時からこう流れた中を見れば、ああかなり当時よりもよくなってきただろうというふうに思うわけでございます。
  51. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 それは局長の立場では言えないことなんですよ。文部省以外の評価であれば、それはいいのです。少なくとも、学校給食法という法律が現在改正しないでそのまま現存しているわけであります。その法律にのっとって、その法律の実態に近づくための努力を今まで傾けておったはずなんですよ。したがって、当面の責任者である局長が、あの当時ひもじい、その日の食をどうするかという状況の中で、その基準で今の学校給食法を評価するとすれば、これはまことに私は的外れだと思うわけでございます。そういう評価はありますよ。しかし、それは少なくともあなたが言う評価じゃない。文部省当局の責任者があの昭和二十九年の当時の評価をして現在こうだというのだったら、それは間違いだと私はそう指摘せざるを得ないのですよ。その点、いかがですか。
  52. 古村澄一

    ○古村政府委員 例えば学校栄養士を置いていくとか、そういった努力がその時点その時点で、そのときの社会情勢において目標というものが変わっていくだろうというふうに思います。したがって、私が先ほど先生から五段階でどうだと言われたときの素直な感じは、学校給食は、二十九年当時にできたときから比べればかなりよくなってきたという評価を持ったわけでございまして、なお、これは私自身も、学校給食の施設設備あるいはそういった学校栄養士の配置の問題、これについて問題がないというふうには思っておりません。なお、努力すべきことがあるというふうに思っております。
  53. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私はなぜしつこく局長の評価を聞くかというと、次のところに問題になるから、そういうふうに聞いているわけです。  私は昨年、この委員会におきまして学校給食の安全性についてお尋ねをいたしました。その際に、文部省のお答えでは、材料そのものについては、例えば農林省とか厚生省とがそれぞれ関係機関の、これは検査規格、こういうことでやっておるので安全であるという前提に立って、あとは調理については昭和四十六年の、これは学校給食実施基準、これによって確保されておるというふうにお答えいただいたわけでございますが、これは現在もお変わりありませんか。
  54. 古村澄一

    ○古村政府委員 昨年、私がお答えいたしましたのは、学校給食用の物資についての安全性の御質問でございました。したがって、そのときにお答えいたしましたのは、昭和四十六年の「学校給食における衛生管理の徹底について」という体育局長通達をもって今も守っていくべきだというふうにお答えいたしたわけでございまして、今も変わっておりません。
  55. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は、この学校給食の安全性という点で、特に最近、重要になってきているのだというふうな認識に立って昨年、質問したわけでございます。現在も局長は、その点は変わっておらない。問題は、一月二十一日に古村体育局長名によって「学校給食業務の運営の合理化について」というものが出されたわけです。私は、これまでに積み上げてこられました学校給食の成果、これをこの通達は突き崩すことになるのではないか、このように心配している者の一人でございます。  その第一は、昭和四十六年の「学校給食の食事内容について」という体育局長通達、これと、昭和三十五年十二月十四日付の「学校給食に従事する職員の定数確保および身分安定について」、この二つの通達がこれまで設置者であります市町村長の学校給食の指針であったわけでありまして、いわば学校給食の高い理念として学校給食を支えてきた行政上の極めて重要な歯どめであったと思います。これは、例えばここに総務庁の調査が、監察結果に基づく勧告というのがございますが、この中にもその点は指摘しておるわけであります。この通達が持っておる重要性、これによって市町村長、設置者が今まで文部省のこの通達を守ってやってきたんだ、その結果、大変にむだだという指摘であります。これは、総務庁の言うところのむだと我々の言うむだとは違うわけでございまして、文部省もそのところが、私はさっき言った評価という点で重要な問題だというふうに指摘しておきたいと思うわけですよ。総務庁の言うむだというのは、このような短時間労働に対して常勤職員をやっているのは何だという言い方や、そういう調理、調達の問題にしましてもまことにむだだという言い方、こういう言い方をしていきますと、結局、行き着くところは何なのかというと、これは民営化ということに早とちりするのではないか、こういう危惧を持つのが第一点でございます。  第二の問題は、結果からして合理化が民営化の突破口になっていく、そして教育的な面よりも、事案処理等のたくさんあります市町村のお荷物、この一つとして位置づけられてしまう、そういう危険性を感ずるのであります。いわば、事案処理とは基本的に違う、いわゆる学校給食法で言うところの教育活動の一環、教育としての面、これが事案処理と同じように見られたのではたまったものではございません。そういう意味で私は、質的な面、さらには外国輸入食品が外食産業の主流になっておるという現在の状況から、学校給食の本来の安全性を著しく危険に陥れることになると考えて、第二臨調の見解ないしは総務庁の勧告、これに引き込まれて、目をつむって文部省は通達を出したのではないか、文部省の態度を厳しく糾弾しなければならない、こんなふうな立場に私は現在立っておるわけであります。私は、局長が全体の水準をさっき四ないし四の上だと言っておるところにその認識の甘さというのを今言ったことで指摘したいと思うわけですよ。ですから、総務庁の言うようなこんなことにずるずると引き込まれてしまう。私は何としても残念でなりません。確かに局長の通達の中には、そうはいってもこれは教育的な一環であるので昭和三十五年ないしは昭和四十六年に出した通達、これの趣旨は損なうものではないとつけ加えておるのですが、こんなものは、これを出したら一遍に終わりなんですよ。私は、子供たちに安全な食品を提供するということにとどまらず、学校給食の持つ教育という一環、これを文部省自体が放棄するのじゃないかということで極めて大きな憤りを持っているものであります。  これについて、これは文部大臣からもちゃんとした所見をお伺いしなければならない、こんなふうに思いますが、いかがでしょう。
  56. 松永光

    ○松永国務大臣 学校給食というものは、先ほど先生おっしゃいましたように、昭和二十九年に法律ができたわけであります。しかし、学校給食そのものはその前からあったわけであります。その前からあった学校給食をよりよいものにするために法律ができたというふうに私は理解しております。  なぜ学校給食がその前から、すなわち終戦直後から始まってきたのかと言えば、その当時は、日本という国が非常に貧しかった。貧しゅうございましたけれども、育ち盛りの子供たちには昼食はみんな平等に食べさせてあげたい、貧しいがために弁当も持ってこれない家庭もなきにしもあらずであった、それは教育上よろしくないということもありますし、また次代を担う青少年であるからしっかりした昼食を食べさせて、そして健全に育てたいということから学校給食は始まったものと私は理解しております。  今、日本という国が大変豊かになってまいりまして、いわゆる飽食の時代になってきた。一方、家庭の教育機能が低下しつつある。こういう状況のもとにおいては、むしろ、子供の健全育成のためには、昼の弁当はお母さんがつくってさしあげた方が教育上よろしいんだという相当の意見もあることも事実なのであります。しかし、私どもは、今日まで関係者努力によって学校給食が日本の小中学校で定着をしてきた、そして教育上大変いい効果を上げてきているという点に着目をいたしまして、そして学校給食というこの制度はあくまでも守っていきたい、こう考えておるわけであります。  どういう点に教育的な効果があるのか。一つは子供の体位の向上という点であります。豊かになって、飽食の時代になってきたからといってそれだけで子供の体力がつくものではありませんし、体位が向上するものではありません。むしろ、飽食の時代になってきましたから、栄養が偏ったりあるいは必要なカルシウムが不足する、ビタミンが不足するなどという食生活が一般的に行われかけてきておるという実情があります。  例えば、私どもか子供のときには、食べる魚は目刺し、イワシ、そういったものを骨ごと食べておったわけでありまして、知らず知らずのうちに十分なビタミンを我々は吸収することができた。今では、豊かになってきましたから、魚を食べる場合にも、実は目刺しとかイワシは食べずにほかのものを食べる、骨のないものを食べる。その結果、ビタミンが不足するという事態も出てきておるわけですね。  ところが、学校給食におきましては、栄養士の先生方が大変な研究をして、そしてカルシウムやビタミンの補給その他栄養のバランスのとれたものを昼食として子供が食べることができる。これは大変いいことである。あるいはまた学校給食の現場で教師が子供と一緒に食事をする、あるいは子供同士も一緒に食事をする。人間同士の触れ合いをより深めていく場というのは、実は食事の場であります。学校給食の食事の場で教師と子供、子供同士、これの触れ合いが大変深まっていく、これも教育的な効果としては非常にすばらしいことであろう。あるいは学校給食の場で食事を配る、あるいは後片づけをする、それを子供自身がやることによって勤労体験もできてくるわけでございます。そういう教育的なすばらしい点に私どもは着目をいたしまして、飽食の時代といえども、むしろ飽食の時代であればこそ、学校給食の場で子供の健全な育成を図るという意味で大変大きな効果を上げておるのであるから、ぜひともこの制度、この仕組みは守っていきたい、そういう考え方で行政をしておるわけであります。  しかし、とは言うものの、この事業運営につきましては、むだは省かなければならない、そういう見地から、先生御承知のとおり学校給食の運営に当たってのむだを省く、そのことの指導を実はしたわけであります。学校給食をあくまで守っていくためには、そういう指導をしてむだを省いていかないと国民一般の支持を受けることができません。そこで、この通達に当たりましては、「学校給食が学校教育活動の一環として実施されていることにかんがみ、これを円滑に行うことを基本とすること。」あるいは「学校給食の質の低下を招くことのないよう十分配慮すること。」等々をまず最初に掲げまして、それを前提にして経費のむだを省きなさい、そのための必要な点等につきまして通知を出したということなんでございまして、御理解を願いたいと思うのでございます。
  57. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 松永大臣の立派な抱負をお聞きしましてやや安心はしましたが、ことしの一月一日の文部省体育局学校給食課長小西さんの「学校給食広報」の中に、今の通達の中のいわゆる運営の合理化についてという細目があるわけでございます。「学校給食業務の合理化が学校給食内容の質の低下をもたらしてはならないし、調理員の解雇につながらないことは当然のことである。」というふうに明記されております。私どもも、この点を非常に心配しておる。特に安全性という点が損なわれるのではないかという一貫した危惧を私は持っているのでありまして、今、大臣がお話しのとおり、いわゆるむだ、総務庁の言うむだと我々が教育的に考えるむだとは違いますので、その点を市町村の設置者に対して誤解のないように今後とも十分留意していただきたい、このことを特に要望しておきたいと思います。  第二点でございますが、時間がございません。私は、実はフランスのパリ大学における第三大学に社会学者を派遣する問題についてやろうと思いましたが、この点は省きたいと思います。実は、第三大学については隣の第二分科会で今外務大臣から非常に前向きの検討をしていただく、そして文部省とも協力をしてぜひひとつ検討してみたい、こういうふうにおっしゃっておりますので省きたいと思うわけです。幼児教育の方で残った時間お伺いしたいと思います。  第二の問題は、幼児教育の方向性についてでございます。  現在、都市も農村も共通の問題として、いわゆる家庭で保育する人間がおらなくなった、このことが極めて深刻な問題になってきております。乳幼児の保育と教育をどうするかということでございますが、幼保一元化論というのがずっと議論されてきておりまして、五十六年六月に幼保懇談会の報告が出ておるわけであります。これは私も拝見いたしました。この幼稚園及び保育所に関する懇談会報告によりますと、今までのあり方、いわゆる保育に欠けるのは厚生省、そして幼児教育の部面は文部省、これをそれぞれさらに充実するということが今後の方向であるということを結論づけたというふうになっているわけであります。しかし、現在臨時教育審議会のもとで新たに幼保一元化のプロジェクトチームが編成され動き出そうとしているやに聞いておるわけであります。  文部省の今までの考え方、昭和五十六年六月にこの懇談会で出された報告と変わりがないかどうか、これが第一点。  臨教審でプロジェクトチームがつくられ、その現在の検討の方向はどういうものなのか、これが第二点。  第三点は、実際問題としてこの懇談会報告におけるように、それぞれ充実していくといいましても、これは皆さん方から資料をいただきましたら、はっきりしておることは、地域によって幼稚園の多いところは保育所が極端に少ない、保育所の多いところは幼稚園が少ない、こういうアンバランスの問題がございます。したがいまして、それぞれ充実するといいましても、これは建前論でございまして、現実にはいわば年齢の若い子供、それからある程度学齢期に近づいた子供、こういう発達段階に応じてどうしても幼稚園、保育所という区別をなくした全体の幼児教育の一環として新たに考えるべきじゃないかという観点を私は持っておるわけでありまして、こういういわば現実に則した社会の変化に対してどう対応するつもりなのか、これは大きい立場でございますので、明確な解答というのは出てこないにしても、この第三点も含めまして、ひとつまず局長からお考えをお聞かせ願いたいと思うわけであります。  さらに最後に、こういった一つの社会の変化に応じて幼児教育をどう考えていったらいいのか、大臣の所見もあわせてお願いしたいと思います。
  58. 齋藤諦淳

    ○齋藤(諦)政府委員 臨時教育審議会におきましては、今四つの部会がありますが、その中の第三部会、初等中等教育というのがあるわけでございまして、この第三部会で就学教育という問題につきましてプロジェクトチームをこれからつくって検討しよう、こういうことになっております。まだ具体的な検討には入っておりません。ただし、文部省の幼稚園課長並びに厚生省の児童家庭局の課長等からいろいろ事情を聴取し、先ほど先生が挙げられましたそういう懇談会の資料につきましても徐々に第三部会として勉強しておられる、こういう状況でございます。
  59. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 文部省にお聞きしておるのですが、五十六年六月の懇談会報告の結論に今も変わりがないかどうか。
  60. 齊藤尚夫

    齊藤(尚)政府委員 幼稚園教育につきましての直接の所管ではございませんけれども臨時教育審議会でこれから審議をされるわけでございますが、その結論が出るまでの間は今までの施策を推進していくというのが文部省の立場でございます。
  61. 松永光

    ○松永国務大臣 私に対する質問は社会の変化に応じて幼児教育をどう考えるかという御質問であったかと思います。  先生指摘のとおり社会の大変な変化が進んできておりまして、婦人の社会進出、大変進んでまいりました。また共働き家庭も大変ふえてまいりました。そういう状況下で幼児教育をどう考えるべきかということであろうかと思いますが、そういうふうに社会は大変変化をし、家庭環境も変化してまいりましたが、しかし、変化してないものがあります。それは何かというと、幼児、特に乳児期の子供というものはできる限り生んだ母親が抱き締めておっぱいを飲ませ、母と子供との間の肌の触れ合い、その中で育つことによって初めてその子供は人間らしい心を持った人間に育ってくるんだという昔から変わらざる子育ての原則があろうかと思います。しかし一方、社会の変化に応じてより高い収入を得たい、あるいは住宅ローンの支払いもしたい、あるいは子供の教育費をためたい、こういったこともありますし、婦人の能力が大変向上してまいりまして、その向上した能力を婦人が社会で発揮したい、こういったことから共働き家庭あるいは婦人の社会進出という社会情勢の変化が起こってきておるわけであります。これは、それぞれの母親の、あるいはそれぞれの家庭の選択の問題でありますが、むしろ長い目で見れば、自分の生んだ子供を手塩にかけて育てた方が結局は子供の幸せになり、あるいは家庭の本当の幸せになるという考え方で行動なさる家庭もあるでしょう。あるいは住宅ローンその他の支払いもこれあることであるから、あるいはより高い収入を得る必要もあるということから、共働きという、そういう選択をなさるうちもあるでしょう。いずれにせよ、社会の変化の実態を見ますというと、この共働き家庭というものがふえてきている。そういう中で、次の時代を担う子供をどう健全に育成するかというのが我々に課せられた課題だというふうに認識をいたしておるわけでありまして、その意味で、家庭教育学級の開設や家庭教育相談事業を奨励すること等を通じまして、家庭の教育機能を活性化して、そして、社会は変化してまいりましたけれども、乳幼児はきちっと健全に育てていく、こういうことがなされるように、私どもは真剣に取り組んでいきたい、こう考えている次第でございます。
  62. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 今言った大臣の基本的な考え方というのは私も賛成でございます。社会の進展に伴いまして、こういう子供たちが健やかに、しかも家庭の中でもやはりしっかり肌のぬくもりのある教育ができるような、そういう施策というのをぜひ前進させていただきたいというふうに思います。  どうもありがとうございました。
  63. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。  次に、新井彬之君。
  64. 新井彬之

    新井分科員 若干の質問をいたしたいと思います。  本当に、国にもいろいろな行政がございますけれども、何といいましても一番大事なのはやはり教育ではないか、このように考えるわけでございます。戦前、戦中、戦後、今までずっと来たわけでございますけれども、やはり今の日本の国がここまでなったのも、基本的に教育に力を入れたということが大きな原因になっていると思いますし、私自体も現在までいろいろな先生方に教えをいただきまして、それで現在があるということでございます。  そういうわけでございますので、確かに今の日本の国の財政は大変な赤字ではございますけれども、何といいましても一番削ってはならないのはやはり教育費である、このように思うわけでございます。各家庭におきましても、教育費というのは非常に高くつく、このようにデータも出ているわけでございますが、やはり教育に力を入れることがその家庭を今後発展させることになりますし、何といいましてもその本人の一生を通じての本当の幸せというのは、立派な教育を受けて、そして社会に活躍のできる人になる、こういうぐあいに考えるわけでございます。したがいまして、文部大臣も、この教育論議というのはもうあらゆる角度からございますし、決して百人が百人。それはいいことだというのではなくて、その反対意見も多々あろうかと思いますけれども、今後とも日本の国の基本的な発展のために教育予算をとるとともに、そういうあらゆる御意見を聞きながら、間違いのない教育行政をやっていただきたいと思いますので、まず初めにその件についての御所見を承っておきたいと思います。
  65. 松永光

    ○松永国務大臣 先生の御意見に私も全く同感でございまして、でありますからこそ厳しい財政状況でありますが、四十人学級を六十年度からその実現に向けて再スタートさせる、そういう予算を確保し、あるいは私立の大学、高校、小牛校、幼稚園に至るまでのいわゆる私学助成の予算も、他の補助金等は削減を受けたわけでありますけれども、私学に対する経常費助成の予算は、五十九年と同額の予算を確保する、あるいは科学研究費補助等につきましてはむしろ増額する、こういった予算を努力をして編成をしたわけでありまして、今後とも厳しい財政状況が続くと思いますけれども、必要な予算は確保するように最大限の努力をしてまいりたい、こう考えているわけであります。
  66. 新井彬之

    新井分科員 これから二十一世紀に向かって今絶え間なく進んでいるわけでございますが、二十一世紀というのはまだ未知の世界だ、このように考えるわけでございます。これは、日本の国におきましても高齢化が世界の最高に進む時代でございますし、それからまた情報化社会、いろいろあるわけでございまして、こういう中で今後の教育問題というのは、先ほどは幼児教育それから義務教育、ずっとあるわけでございますが、今後の社会を見通して、本当の生きがいのある一生を暮らせるためにはどうしたらいいか、やはりこういう一つの学問といいますか、そういうものが必要ではなかろうか、こういうぐあいに考えるわけでございます。  私も、健康問題についてはいろいろな本を読むわけでございますけれども、例えて言いますと、ジョギングが非常にいい。ところが、ある方に言わせると、走っていい人と悪い人がいるんだと。あるいはまた、健康食品におきましても、もう昆布一枚食べていればいいとか、あるいは米酢がいいとか、あるいはレシチンがいいとか、いろいろその本を読むと、それだけしていると非常に健康になるのじゃないか、こういうぐあいに思うわけでございますけれども、そういう中で総合的に一つの健康を管理する、これはストレスをなくすことであるとか、あるいはまた運動を適当にするとか、あるいは食べ物をきちっと好き嫌いなく食べるとかいろいろのことがあるようでございますけれども、そういうようなことは断片的には取り入れられますけれども、全体的にわたってそういうことを教えていただける方というのは非常に少ないように思うわけでございます。そういう中で、御承知のように兵庫県の坂井知事が、とにかくこれからは日本の国は老齢化が進むんだ、その老齢化の中で、やはり年が六十五になったら仕事を一切しないとか、それから老後を楽しむんだとかいうのではなくて、やはり若いときも、年がいつでも適当な仕事、適当な休暇といいますか、そういう中で本当に一生を楽しく暮らしていくためには、やはり病気になって病気だけを治すようなことではなくて、健康をずっと維持していく、こういうものが非常に必要である、こういうことで、たしか五十二年でございましたか、予算委員会でも、当時の砂田文部大臣でございますけれども、それは非常に結構なことである。しかし厚生省にもまたがる問題でございますし、文部省だけではどうしようもないということで神戸大学の須田学長に。一応そういうことを研究したらどうか、こういうことで調査費といいますか研究費がついた、こういうぐあいに記憶をいたしているわけでございます。  その後、何回か研究経過というものが報告をされていると思いますけれども、今までの報告の中でどのようにその研究経過を御認識なさっているか、まずそれをお伺いいたしたいと思います。
  67. 宮地貫一

    宮地政府委員 健康科学についての新しい構想の大学について、かねて先生からもこの問題について御質疑をいただいておるわけでございますが、御指摘の、神戸大学における健康科学大学のための調査の中身、どういうことかというようなお尋ねでございますが、五十四年度から文部省の予算の、全体の中では教育方法等の改善経費という経費でございますけれども、その経費を神戸大学に配分をいたしまして、五十四年、五十五年、五十六年と三カ年にわたって調査をお願いをしたわけでございます。  調査内容につきましては。やや専門的なことで、私必ずしも十分に御説明をいたしかねる点もあるわけでございますが、ただいま先生からもお話がありましたような、いわば従来の医学が疾病の治療といいますか、そういう観点に重点があるのに対しまして、予防を中心にしてと申しますか、健康を守るというような観点から、新しい学問体系をどう考えていくかというような基礎的なところかも始まりまして、その健康科学の教育研究のあり方については従来の学部の壁を破った学際的な教育が必要だというようなことなどが言われておりますし、またその研究の実証の場としては、地域医療との関連についてもそういうことに配慮をし、そういう実証的な場での研究ということが必要であるということも言われております。また、その応用研究のためには、例えば健康科学の技術の開発センターというようなものを設けることが必要であるし、人間と工学的な先端技術といいますか、そういうものとの結びつきというような問題があるというようなことなど、過去の神戸大学における健康科学大学のための調査の中身としては以上のような事柄が、私どもとしては大学から報告を伺っているところでございます。
  68. 新井彬之

    新井分科員 局長の方には、この「健康科学大学大学創設試案」として、昭和五十九年の三月、国立健産科学大学構想研究協議会ということで、お手元に本が届いているわけでございますが、私、この中身を少し読ましていただいたわけでございますけれども、今までの大学で一生懸命に専門的な勉強をされまして、なお総合的な、本当に役に立つと申しますか、そういうことではこれはもうなくてはならない一つ大学大学ではないかな、このように強く感じたわけでございます。これは、ある方が、健康に留意しよう、それで自分はどのように生きていこうか、こういう方を一人一人対象にいたしますと、どうしても断片的では解決のできないような状況というのが今も大分出ておりますし、今後ともやはり、その方が希望に満ちた生活をするためには、こういう大学大学で総合的な勉強をされた方が指導をする必要があるんではないか、こういうことを非常に感じたわけでございます。  健康科学学会、大島正光理事長さんのところでも、これは厚生省とか通産省にわたるそうでございますが、非常に画期的なことであるという認識もされておりますし、また森下健康科学振興財団、ここでは二年前から。これは大したことであると言って実行されている、こういうようなこともお伺いをするわけでございます。したがいまして、財政的にも今大変なときではございますけれども、これをやっていますと時間が非常にかかりますので、これ以上きょうは申し上げませんけれども、今後この試案に対して文部省としてどのように対処をされていくのか、そのことだけをまずお伺いをしておきたいと思います。
  69. 宮地貫一

    宮地政府委員 先生指摘のように、この構想の目指しておりますところは大変目新しい点でもあり、また学際的な教育研究ということでございまして、趣旨そのものは私どもも十分理解をいたしているところでございます。問題は、構想の具体化に当たってどう考えるかという点についての問題点もいろいろ、例えば健康科学という学問の概念の問題から始まりまして、あるいは設置形態の問題でございますとか、卒業者の進路の問題、それから従来の医療技術者との関係、いろいろな点で検討課題がなおたくさん残されている点があるかと思います。そういうような点で、私どもとしてはそれらの問題点を今後なお十分煮詰めて検討しなければならない課題だというぐあいに考えているわけでございまして、具体的にこれらについて、今後そういう趣旨の――今は構想は大学大学という形になっているわけでございますが、この構想を煮詰めて異体化を図っていくためには、なおそれらの問題点として挙げられております点について私どもとしても今後十分に煮詰めた検討を必要とするのではないか、かように考えております。  なお、もちろんこのことについては厚生省の考え方とか、そういうようなものについても十分意見調整をする問題点もあるのではないか、かように考えております。
  70. 新井彬之

    新井分科員 今後とも、そういうことで大変な御苦労だと思いますけれども、今出ている試案としてはいまだかってない画期的な試案でございますし、いろいろ問題点もあろうかと思いますけれども、そういうものも、やめる方向で検討するのではなくて、やはり今後のことを考えてひとつ漸進的な御検討をお願いいたしたいと思うわけでございます。  それから次に、文部省として地元の要望といいますか、あるいは国民の声を聞くというか、いろいろあるわけでございますが、そういうことに対する対処の仕方についてお伺いをしたいと思うわけでございます。  これは学校を建て直してほしいとか体育館をつくってほしいとかいろいろなことについては、そのときの耐用年数とかいろいろなことがありましたり、生徒さんの増減とかいろいろありますので、基礎的にはそういうことできちっと順番を追って解決をされると思うのでございますけれども一つの例を挙げますと、兵庫県から要望しております西播磨学園都市、これは地域産業の研究機能等の発展を目指した学園都市、これは姫路市、夢前町、福崎町、こういうようなことで、県としても、五百二十万の県民の中でどこにどういうものを張りつけて今後の県の発展を図ろうか、一生懸命に、知事は知事、県会議員の方は県会議員、そしてまた地元の方々もいろいろ協議をして、こういう一つのものを提出するわけでございます。こういうものを提出されて、今後こういうぐあいにしてほしいという要望等がありましたときの対処の仕方はどのようにされるのか、まず基本的な考え方だけお伺いしたいと思います。
  71. 宮地貫一

    宮地政府委員 それぞれの地域がその発展を図るために全国各地でいろいろな計画、地域を中心にしました計画が持たれているわけでございまして、その中に地域全体の開発なり発展のために、例えば教育研究機関というようなものも必要であるというようなことも多くの場合盛り込まれていることが通例でございます。そういうようなケースがあります際に、私どもとしては、もちろん地域の方々からそれはいろいろな機関を通じましてお話を承る機会があるわけでございます。地域のそういう発展の中におきまして、文部省教育、学術研究機関あるいは社会教育施設等いろいろな機能を果たすべき施設等の整備というような問題も出てくるわけでございます。当然に、その地域の開発計画等と国全体の計画、それらが密接にかみ合いまして、整合性を持って地域の発展に寄与するような形で国の施策としても進めていくことが基本的には必要なことだ、かように考えております。
  72. 新井彬之

    新井分科員 総合調整機能といたしましては、国土庁等もございますし、いろいろ各省との話し合い、いろいろなことがあろうかと思いますが、そういう中で、国全体の動きというものも当然あるわけでございますけれども文部省としてはこういう方向性でいきたいというようなことで一つのお考えの中で進めておられることと思います。そういう要望なり陳情がございましたときは、非常に多くの方々が長年かかって検討した結果のことでございますので、したがいまして、そういうことは一番大事にしていただきたいと思うわけでございます。  姫路市におきましても、前々からそうでございますけれども、どうしても大学を誘致をしたい。姫路高等学校というのがございまして、それが前の旧制高枝で、今の大学のない地域というのは姫路だけでございますし、特に教育の非常に熱心な地域でございます。そういう中で、とにかく西播磨四市二十一町、八十五万住民の今までの願いとして何とか大学をと、しかし、今は国立大学というのは予算の関係とかいろいろでもうできません、そういうことで市長を初めそれこそ多くの方々が御苦労なさいまして今回独協大学を誘致ができるように契約が締結したわけでございます。そのときに公私協力方式という――文部省では、公私協力方式というものができて全国でまだ一カ所もその方式をしたことがないとお伺いしているのですけれども、この方式についてちょっと説明をお願いしたいと思います。
  73. 國分正明

    ○國分政府委員 姫路市におきます私立大学の設置に関連いたしまして、公私協力方式による大学の設置のあり方についてでございますが、先生御案内かと思いますが、昨年の六月に大学設置審議会におきまして「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」の報告、いわゆる新高等教育計画でございますが、これにおきまして「今後、地方における高等教育機関の整備を図っていくためには、国、地方公共団体、学校法人の間の協力が重要と考えられる」というふうにいたしまして、その一例として、ただいま御指摘がございました「地方公共団体と学校法人の協力によって設置・運営することが一つの適切な方法と考えられる。」というふうに述べておるわけでございます。  私どもといたしましても、このような国公私協力方式によりまして大学等が設置、運営されますことは地方における高等教育機関の整備を進めるための一つの適切な方法である、かように考えております。     〔主査退席、大西主査代理着席〕
  74. 新井彬之

    新井分科員 姫路市におきましても、この件で文部省の御指導を賜りながらこういう契約の締結になったわけでございますが、とにかく費用と大学設置基準に見合う用地は姫路市が提供しましょう、そして大学側がノーハウを提供してそこで立派な大学をつくります、こういうようなことでございます。とにかく姫路市だけでも署名が三十九万人、早く誘致をしていただきたいと。また、今兵庫県では全世帯アンケート調査というのをやっているわけです。何を一番皆さんは望みますか、その第一番の要望もやはり大学の誘致、こういうことでございます。そういうことで、市民の要望、県民の要望を担いまして、市当局を初め独協大学関係者の方々も今本当に全力を挙げてその基本的なものをつくっておりまして、本年の七月には大学設置申請をするということで今努力をしておるところでございます。文部大臣、ひとつこういう申請がございましたときには、そういうような地元のみんなの要望等もございます、またそういうことでひとつ鋭意速やかに検討していただきまして、よろしくお願いしたいと思いますが、文部大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  75. 松永光

    ○松永国務大臣 地域に高等教育機関ができるということは、その地域の文化の発展にあるいは地域住民の知的水準の向上に極めて有効な結果をもたらすわけでありますから、その意味で地域と学校法人が協力して大学を設置するということは望ましいことであると考えております。具体的に設置の申請が出てきた場合には、関係部局とよく相談をして適切な対処をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  76. 新井彬之

    新井分科員 どうもありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。  もう時間がありませんので、最後にこれはもうお願いだけにしておきますが、いよいよ放送大学が開設をされるようになっております。昨日も資料をいただいたわけでございますが、やはりこれからの時代というのは通信の時代でもございますし、テレビ、ラジオ、本当に今活躍しているわけでございます。そういうことで、放送を聞こうと思いましても、電波の関係で関東なら関東しか聞こえないというようなことがございます。したがいまして、今後これを日本全国公平に受講ができるように、同じ放送であれば当然同じビデオを使ってできるわけでございますし、費用もかかろうかと思いますけれども、受講料とかそういうものも考慮いただいて、やはり多くの方々が参画できるということをお願いしたいと思うわけでございます。  そういうことで、放送大学はこれから始まるわけでございますので、今後どういう成果が出てくるかわかりませんけれども、これは大変な成果になろうかと私は思うわけでございます。そういうことで、この件につきましても文部大臣の御高配をひとつ賜りたいと思うわけでございます。その件の御答弁を聞きまして、質問を終わりにいたします。
  77. 松永光

    ○松永国務大臣 いよいよ四月一日から長年関係者努力が積み重ねられてきた放送大学の授業が始まるわけであります。当面は、この放送大学の第一期計画を着実に進行させるということが我々の使命であろうかと思いますが、同時に、この放送大学をできることならば全国的に広げていくということも大切であろうかと思いますので、それにつきましてはいろいろな問題点もありますし、またいろいろな方法論もあろうかと思いますが、十分研究をして放送大学の成功、そして発展を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  78. 新井彬之

    新井分科員 ありがとうございました。終わります。
  79. 大西正男

    ○大西主査代理 これにて新井彬之君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤徳雄君。
  80. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 私は、国立福島大学の学部増設問題と私立大学の誘致問題についてお尋ねをいたします。  まずその第一は、昭和五十九年六月六日付の発行でありますが、大学設置審議会大学設置計画分科会がこの本を発行しているわけであります。「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」、こういう報告をまとめて発表しているわけでありますが、私も詳細にこの内容について目を通してみました。大変立派なことが載せられているわけでありますが、当然文部大臣並びに文部省もこれらに基づいて今後のそれぞれの計画を立てられると思いますけれども、この報告に対する感想なり評価について文部大臣の御見解を伺いたいと思います。
  81. 松永光

    ○松永国務大臣 御指摘大学設置審議会大学設置計画分科会の「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」という報告は、昭和六十七年度をピークとする十八歳人口の急増、その後の急減という社会の変化に対応しながら、同時に高等教育の量的水準を確保したい、あるいは高等教育の質的充実を図っていく必要があるという考え方等に基づいて適切な対応を図るための一つの目安として出された報告であるというふうに思っておるわけでありまして、文部省としてはこの報告に示された内容は適切なものと考えておりまして、今後この報告を指針として高等教育の整備充実を図っていく所存でございます。
  82. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 それでは、一定の評価がありましたから、中身について若干申し上げて、次の質問に移りたいと思います。それは報告書の中に記載をされておりますが、その第二編に「高等教育機関の整備の規模の目途」の項には次のように述べているわけであります。すなわち「この期間中に大学、短期大学について、四万四千人程度の期間を限った定員増が必要と想定される。」とあります。さらに引き続いて、「全国的に昭和六十年度から六十一年度にかけて急激な十八歳人口の増加を生じること等にかんがみ。期間を限った定員増については特に計画期間の初期に重点を置くことが必要と考える。」という一節がございます。これに対する文部省の見解をお尋ねいたします。     〔大西主査代理退席、主査着席〕
  83. 宮地貫一

    宮地政府委員 量的な整備についての考え方の基本はそこに述べられているとおりでございますが、全体的に七十五年度までの十八歳人口の急増急減といいますか、それに対応するために六十一年度以降六十七年度までにいわば恒常的な定員で約四万二千人、さらにその後十八歳人口が減ってまいりますことを前提にいたしまして約四万四千人の臨時的なといいますか期間を限った定員増を行うことにいたしておるわけでございます。特に、期間を限った定員増につきましては、いわば期間の前段階において積極的に対応するということを基本にいたしておるわけでございます。  具体的には、国公私立大学があるわけでございますが、現在の国公私立の大学別のシェアと申しますか、大まかに見まして二対八程度の比率でございますので、私どもとしては少なくともそれぐらいのシェアで期間を限った定員増についても国立としても対応することが必要ではないかと考えております。現実に、この計画そのものは六十一年度からのことでございますが、財政措置その他のこともございますし、現在の施設設備等を前提にして、どの程度入学定員をふやすことができるかということについては既に各国立大学に一応調査をいたしまして、今申しましたほぼ二割程度、八千人程度でございますが、それぐらいの数についてはこなせるのではないかという目安の数字は持っておるわけでございますが、問題はその際の教官組織をどうするかの問題があるわけでございます。それらの財政措置の問題もあるわけでございますので、私どもは六十年度予算で現実に東京工業大学、長岡、豊橋の技術科学大学について期間を限った定員増を、これは大学から要求が出てまいりまして盛り込んでおるわけでございます。定員措置としては常勤の定員も措置をするけれども、従来どおりの措置ではございませんので、それらについては非常勤講師の措置などでカバーをするというようなことで対応することにいたしております。国立大学については六十一年度以降それらの点については本格的に対応しなければならないことになるわけでございます。  問題は、私立大学のケースでございますが、いわば期間を限った定員増という問題は初めてのケースでございますので、現時点では明確な見通しは持っていないわけでございますけれども、この報告の趣旨に沿いまして、期間を限った定員に関しましては設置基準の取り扱いについて弾力的な取り扱いを図るということで、この点は、例えば校地の基準等については新たな校地を求めることは必要としないというような考え方、それから建物についても、現在の設置基準そのものがいわば最低基準というような定め方になっておるものでございますから、ほぼ基準を上回っている状況になっておりますが、建物についても弾力的な取り扱いを考えるというようなこと、さらに教官組織につきましても、教育研究上その質を落とさないことは必要でございますけれども、質を落とさないということが見込めるならば教官組織の取り扱いについても弾力的にいたしまして、専任教員の配置でなくとも、非常勤の教官の配置等で対応をし得るような形で全体的に設置基準の取り扱いについては、この期間を限った定員増については弾力的な取り扱いをするというようなことで対応をいたしておるわけでございまして、私どもとしてはそういう私立大学の積極的な対応も期待をいたしているところでございます。
  84. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 同じく「高等教育機関の地域配置の在り方」にも触れているわけでありますが、「各地域ごとの整備の目途」では、これが御承知のとおりかなり具体的に提起をされているわけであります。報告書が述べておりますとおり、「地域実情に応じたよりきめ細かな高等教育の整備を行うため、」とあるわけでありますが、私にとりましては、極めて有効的であり、評価もしたいな、こう実は思っているところであります。そういう前提に立ちまして、これからの問題でありますが、その実現を強く望むものであります。しかも、具体的なケースがこの中には記載をされておりまして、特に南東北、宮城、山形、福島この三県でありますが、その整備の目途は三千人と明記をされているわけであります。  さて、私の県でありますが、私の県の福島県は、御承知のとおり面積においては全国第三位であります。人口におきましては全国第十七位、東北では第二位でありますけれども、また県内の総生産、県民所得も全国第十七位に位置づけられています。いわば四十七都道府県中ほぼ上位の三分の一のところに位置する比較的大きな県である、こう実は思っているわけであります。ところがその反面、国立大学の学部の数は、二つの学部きりありません。しかも、収容定員は一学年八百七十名、これは全国最低のランクに位置しているという実情に実はあるわけであります。福島県の大学進学率は、五十八年度調査全国平均三〇・一%に対しまして二一・九%にしかすぎないのであります。しかも、その地域残留率は一六・二%、これは全国第三十七位でありますが、地域収容規模は〇・四二倍、これまた全国三十二位という極めて低位な現状に置かれているわけであります。したがいまして、既設の大学では、学部学科が限定されているために県内の大学等にない学部学科を希望する者は県外の大学へ流出をする、率にしまして実に八三・八%も流出をしているわけであります。これらの帰結が、父母や学生に物心両面で多大の負担をかけている結果になっていることは言うまでもありません。  先般、二月八日、NHKがテレビで放送いたしました世論調査の結果によりましても、苦しくなる理由は何かという設問に対して、その第一位が物価の三二%、第二位は税金の三〇%、第三位が教育の二〇%なんであります。したがいまして、福島県内からいわば東京の大学に、私立大学あるいは国立大学等に入学をする、在学をするという場合には、毎月の大変な仕送りが必要であることは御承知のとおりであり、そういう反映がNHKの調査の中でも実は明瞭に打ち出されているわけであります。あるいはまた、全くの専門分野であります医科大学であるとか教育大学であるとか、工学大学等の一学部は別といたしまして、二つの学部しか設置されていない県というのは福島県を含めまして五県、福島、福井、山梨、滋賀、和歌山なんであります。幸い、福島大学には六十年度予算の中に調査費をつけていだだきましたし、さらにまた、修士課程、大学教育学研究科の四月一日開設の運びとなったわけでありますが、文部省の御努力に、この点については深く感謝を申し上げたい、こう思っておるところであります。県内では知事を会長といたしまして、福島大学学部増設期成同盟会が何年か前に組織をされております。そして、その実現のために鋭意努力をされているわけでありますが、同時に、これは県民の期待と明心は極めて大きい、こう言わなければなりません。  そこで、大学、短期大学及び高等専門学校の整備は地方に重点を置くという観点に立って、今私が申し上げました実情をどのように理解をされ、学部増設等をどのように発展させようとしているのか、文部大臣並びに関係皆さんの所見、そして今後の展望についてお伺いをいたします。関連いたしますから、次の点についてもあわせて質問をいたしますので、同時にお答えをいただきたいと思います。  福島大学の中に学部増設委員会が構成されています。従来の学部増設案は幾つかありましたが、現在の人文学部構想との関係から見まして、行政社会学部案の方が望ましい、こういうことが最終的にまとめられまして、行政社会学部案を改組型増設学部案として確認をするに至っているわけであります。これは先ほど局長からの答弁の中で、財政上の問題も触れられましたけれども、そういう点についても大変考慮されている中身であります。既に文部省に対しましては、陳情としてこれが提出をされているはずでありますから、お目通しかとは存じますけれども、念のために申しておきますと、いわば私から言えば、利点であります。  つまり、その第一は、新学部の原資となり得る教員定員、現在の人員が現存するということであります。しかも、行政学、政治学、地方行政法、行政基礎法、社会経済法及び社会学等の学問領域をカバーするものであり、全くの新設の場合と比較をすれば格段に有利であるということであります。これが第一。第二は、現在の経済学部において、行財政、地方行財政コースを志向する学生が非常に根強い比重を示しているわけであります。したがいまして、新学部への学生定員の移動による財政負担の軽減を盛り込んでいるということが第二であります。次は、大学の附属図書館の既存蔵書が、数量と質において新学部設置に有利な条件となっているということが第三であります。そして、講義室など設備施設についても、既設のものがかなり利用あるいは併用が可能であるということが第四であります。つまり、このことは、官民双方で地域社会創造の中核的人材養成を理念としておりますし、しかもこの課題は、日本国内ではとりわけ東北地方において重大であると言わなければなりません。しかし、東北地方全体での既設大学学部の構成は、御承知のとおり理工科に非常に厚く、人文社会系学部は教員養成学部を除けば極めて手薄な状況であり、東北の地域発展の大きな障害となっていることもこれまた事実なのであります。したがいまして、私どもの福島県においてもこれは例外ではありません。今日教育問題が、臨教審を通してもおわかりのとおりあるいは国会の論議を通してもおわかりのとおり、政治的にも社会的にも極めて重要視されておりますし、特に高等教育充実強化のためにも、いかに臨調行政、行革審の締めつけがあるとはいいながら、しかも財政的考慮の上の提起であるということを考えましても、十分このことは検討に値するのじゃないか、こう思っておるわけでありますが、前段の項とあわせまして文部省の御見解を承りたいと存じます。
  85. 松永光

    ○松永国務大臣 私の方から総論的な部分について考え方を申し上げ、より正確な各論的な部分は局長から答弁をさせたいと思います。  今、先生から福島県の大学、短大等、いわゆる高等教育機関への進学率の問題等についてお話がございました。私の埼玉県とほぼ同じくらいで、後ろの方から数えて何番目というところだなという印象でございまして、私と同じような悩み、御心配を先生もお持ちだ。実は、私の場合には東京の隣接県でございまして、同じ条件でありながら、神奈川県は四〇%であり、千葉県が三三%、我が埼玉県が二七%程度でありまして、なぜ神奈川県あるいは千葉県よりもはるかに低く残されておるのかなというのが私の方の悩みなのであります。ただ、私の方は埼玉県でありますから東京への通学ができます。しかし、先生の場合には下宿をして行かなければならぬということがございますので、県民の負担が大変だな、そういう点の差はあろうと思いますが、その他の点は大体私と同じような悩み。今日の国の財政状況を考えると、私の場合には、埼玉大学の拡充よりはむしろ私立大学にお願いする方が手っ取り早いなという考え方を私は持っているわけでありますが、福島県の場合はなかなかそうもいかぬのかなという感じがいたします。  学部の増設の問題でございますが、実際問題からすれば新たな学部を増設するよりはむしろ既存の学部の改編の方がスピーディーにいくのじゃなかろうかという感じもいたしますが、いずれにせよ、既存の国立大学が学部の増設あるいは学部の改編等々によって発展を図っていこうとする場合には、その大学自身で検討していただいて、そして結論を出していただくということが前提でございます。そういう方向で福島大学の方で検討していただいていると承っておりますが、その検討の結果を待ちまして、文部省としては適切に対応していくように努力をしたい、こう考えておる次第でございます。
  86. 宮地貫一

    宮地政府委員 地域配置の問題については、基本的に従来から大都市における新増設を抑制しまして、地方に重点を置いた整備を進めるということで進めてきておるわけでございます。  先ほどいわゆる地域残留率について御指摘があったわけでございますが、御指摘の福島県の場合、大学への自県内入学率は、五十年度が九・八%でございましたものが、五十九年度が一六・六%、短期大学の場合で申しますと、五十年度四二・八%に対して五十九年度五二・一%と、年度的に見ればそれらの点は私どもとしては施策の結果改善に向かってきているということは言えるのではないかというぐあいに考えております。  また、例えば東北地方全体で見ますと、十八歳人口に対する地域内の入学者の割合の点で見ましても、五十年度一二・三%でありましたものが、五十九年度は一八・三%というぐあいに上昇しておるわけでございます。ちなみに、関東・甲信越地方でとりますと、五十年度五九・三%でありましたものが、五十九年度は四六・二%というぐあいに下降しているということは、全体的に、大都市での設置を抑制しまして、地方の整備に重点を置くという施策のあらわれが、そういうことで出てきておるかと思うのでございますけれども、特に福島県の状況について、高等教育機関全体から見れば、なお整備を要する状況にあるということは御指摘のとおりであろうかと思います。  具体的な点では、先生からもお話が出たわけでございますが、六十年度予算においても、福島大学の場合には、教育学部の大学院の修士課程について、増に応じて六十年度から設置をするというようなことで、福島大学充実整備については私どもとしてもまず手の届きますところから着手をして進めてきておるということでございます。  問題は、学部増設の問題でございます。この点は、従来から調査費を計上して対応してきておるところでございまして、今お話のございましたいわば改組型の増設学部といいますか、既存の学部からそれぞれ教官組織も対応をして、新たな学部をつくるという考え方については、今日の置かれている状況から見れば、そういう考え方で対応するということについては、私どもも確かにそういう対応をしていただきながら、既存の学部のいわば改組転換も図りながら、新たな需要のあるものについて対応していくということは、考え方としては、基本的にそういう考え方に沿って対応すべきものだというぐあいに考えております。具体的に今後なお、既存の学部とのいろいろな関係もございましょうし、それらをこれからさらに煮詰めていただくということも必要ではないかというぐあいに考えます。  私どもとしては、それらの大学の中での今後の計画の練り方といいますか、それらが十分練られた上で対応をせねばならない課題というぐあいには考えておるわけでございます。ただ、現下の財政状況からすればそのことを、もちろん今日まで相当な調査期間を既に経てきておるわけでございますけれども、学内全体の取り組み、もちろん既存の学部との対応もございますので、それらを踏まえながら対応をしてまいりたいと思いますけれども、短兵急にその点をということを申されても、なかなかその点は、必ずしもそうまいらない点もあるという事情もひとつ御理解を賜りたい、かように考えます。     〔主査退席、大出主査代理着席〕
  87. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 総括的には大臣からの御答弁をいただいたわけでありますが、期せずして大臣の出身県と類似しているということでありますけれども大臣も説明の中で申されているとおり、東京に近いか遠いかという条件の違いももちろんあるわけであります。大臣在任中は自分の県のことを優先にやるわけにもなかなかまいらないでしょうから、その前にどうぞひとつ東北のことに目を向けていただいて頑張っていただきたい。そして今局長答弁の中にもありましたとおり、一定の評価はされたと私も認識しているわけでありますが、ぜひひとつ、福島県が置かれている実態というものを十分さらに認識をしていただいて、県民の期待や要望にこたえられるような御努力をお願い申し上げ、要望をしておきたいと思うわけであります。  最後に、今まで申し上げましたとおり、私の県の実情全国的にもかなり低い段階にあるということは御承知のとおりであります。ところが、私立大学の誘致問題も実は今日進行しているわけでありますが、具体的には郡山市における東海大学、それからいわき市における明星大学の誘致であります。特に郡山市に誘致される東海大学は、受け入れる立場から財団法人郡山地方高等教育振興事業団が組織されてその対応を実はとっているわけであります。設置される新学部は、医用理工学部とその他一学部の二つの学部でありますが、これは昭和六十三年四月新学部開設が予定されておりまして、昭和六十一年七月三十一日までに文部大臣の設置認可の申請手続を行うことになっているわけであります。これは昭和五十九年七月五日に東海大学理事長、総長松前重義氏と高橋堯郡山市長による署名捺印された基本協定の中にも実はこれがこのとおり明記されているわけであります。  あるいはまた、いわき市におきましても明星大学の誘致が決まりまして、当面いわき市は理工学部系一学部三百名と文科系一学部の新設が予定されているようであります。これは昭和六十年、ことしでありますが、七月三十一日までに設置認可の申請手続を行うことになっているわけであります。  前の国会の文教委員会でもしばしば文部大臣から私立大学の果たした役割、そしてその重要性というものが強調され、評価もされてきたことは既に御承知のとおりであります。同時に、郡山、いわき両市とも大学誘致についてはこれまた他の県と同じように大きな熱意と努力を重ねてこられましたし、市民あるいは県民はこれまた大きな期待を実は寄せているわけであります。いずれ両市とも期限内に文部省に認可申請の手続をとるわけでありますが、当然文部省の御協力をいただかなければなりません。したがいまして、申請を出す過程の話になりますけれども、事実進行している状態でありますから、いずれ認可申請手続はとるわけでありますから、それに当たりましての文部省の御見解と前向きの御答弁をひとつお願い申し上げたい、こう思います。
  88. 宮地貫一

    宮地政府委員 お話の郡山市に東海大学、それからいわき市に明星大学を誘致するという構想につきましては、地域関係者からの陳情等によりまして私どもも承知をいたしているところでございます。  現在のところ、構想の具体化につきましてなお検討中というようなことも伺っておりまして、もちろん現時点では文部省への申請がなされていない状況にございます。構想が具体化をされ、申請が行われました場合に、これは制度上で申し上げれば、大学設置審議会及び私立大学審議会の判断にゆだねられる問題でございまして、申請が出された段階でそれぞれの審議会の判断に基づいて対応するというのが私どもの基本的な対応でございます。  ただ、お話にもございましたように、地域に高等教育機関を整備するということについては地域協力と私立大学側とのいわば協力関係で積極的に対応していこうということ、そのものについては、私どもとしても、いわば望ましい形と申しますか、そういうぐあいに考えているところでございまして、それらについてなすべき必要な助言と申しますか、そういうようなことについては積極的に考えてまいりたい、かように考えております。
  89. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)分科員 限られた時間でありますから、これ以上は時間がありません。まだ幾つか問題が残っておりますが、私も文教委員会の一員でもありますので、いずれその際に十分また意見の開陳をしたいと思います。  以上で質問を終わります。
  90. 大出俊

    大出主査代理 これにて佐藤徳雄君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤昌弘君。
  91. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)分科員 御苦労さまでございます。質問が少し変わって申しわけありませんけれども、日本人の教育に関する常識問題ですから、大臣、ひとつ腹で答えていただきたいのでありますが、まず教育基本法についてです。  中を見ますと、国家の文字が一つしか入っておりません。文化国家建設、この国家の文字だけでは子供たちに国を思う真心を教えようと思っても無理であります。伝統の文字は一つも入っていません。日本の国民をつくるには日本の国の伝統というものを持たせなければ日本の国民とは言えません。家族の言葉一つも入っておりません。子供に民族の文化的遺産を伝達する仕事、この仕事が欠けていたらそこには教育はないと思うのです。文化的遺産の伝達をするということが教育者の命でもあります。したがいまして、こんなおかしな教育基本法を後生大事に持っておるということはまことにおかしいことだと思うので、私の考え方に理解ができたら理解ができたということだけの答弁でも結構ですから。  以前、清瀬一郎元文部大臣はこの問題については検討しなければならぬということをはっきりおっしゃった。また松永東元代議士も実に腹のあるお方でありました。恐らくそういう方々ならばこのような教育基本法はおかしいですよとおっしゃるに決まっておると私は思うのですが、大臣、御見解をひとつ、恐れ入りますが、時間がありませんので簡明に。
  92. 松永光

    ○松永国務大臣 教育基本法に日本の教育の目標、基本的なあり方が明記されておるわけでありますが、その中で「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」、そしてまた「普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす」こういうことがうたわれており、第一条に、教育は、人格の完成を目指す、そして平和的な国家及び社会の形成者となるよう教育するのが教育目的であるということが書かれております。この第一条の「平和的な国家及び社会」という場合には、平和的な日本国家及び日本社会の形成者というふうに読むべきものと私は理解いたしておりますし、また「人格の完成」という言葉、極めて高邁な考え方でありまして、人格の完成の中に国を愛する、あるいは日本の伝統、文化を尊重し、それを後世に引き継ぐ、そういう考え方を持った人が言うなれば人格の完成者、そう私は見ますので、この「人格の完成」の中に十分読み取れるというふうに私は理解をしておるわけであります。
  93. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)分科員 お父様だったら、恐らくそんなお答えはなさらないと思います。やはり日本人をつくる大臣らしい御答弁をなさるはずです。  もう一度申し上げまするが、なぜ伝統ということを書かないのか、なぜ家族という文字を入れないのか、これなくして日本人をつくることはできません。  その次に、社会科教科書について申し上げまするが、まずどこの国の国民をつくるのか全くわからない。権利の主張一点張り。これは子供が悪くなるのは子供が悪いのではありません。教える側が間違っていると私は思います。家族の問題はどう書いてあるかといいますると、親子、兄弟といえども、かけがえのない人生なんだから自分のために生きても差し支えないと書いてあるのです。家族の問題で個人の権利なんか教えることはないです。恩と愛だけ教えればいいのです。御先祖様ありがとうございます、お父さん、お母さんありがとうございます、私たちをつくってくれたのは御先祖であり、お父さん、お母さんなんだからみんなで仲よくいたしましょうねと、恩と愛だけ教えればいいと思うのです。ところが恩と愛が書かれておる教科書がないのです。     〔大出主査代理退席、主査着席〕 小学校の高学年になりますると、どんな子供ができているとお思いでしょうか。まず自己主張の強い、反抗心の強い――いい子供がいたとするならば、お父さんとお母さんか、おじいさんかおばあさんが立派であったか、あるいはまぐれ当たりで先生が立派である、それ以外の子供は、恐らく今私が申し上げましたような子供しかできないと思うのであります。  また、自衛隊は憲法違反、日米安保条約は戦争に巻き込まれる、何にもわからない子供にお国を守るということを教えなかったらどんなことになるか、だれが考えてもわかります。  また、天皇についてだってひどいことが書かれているんですよ、私、持ってまいりましたが。ちょっと簡単に申し上げまするが、教科書ですよ、仁徳天皇の御陵、その中に四階建ての校舎が入っております。そして次に、天皇と皇后と豪族のような絵が載っておる。その前に奴隷が石を運んでおる。これを見ますると、仁徳天皇の御陵をつくるには、天皇と皇后それから豪族の前で奴隷たちが石を運んで、そして仁徳天皇の御陵をつくったんだと。その上に、四軒家が並んでいる。一番立派な家は豪族の家、その次の家は家来の家、その次の家は穀物の倉庫、一番貧弱なのは農民の家と書いてあります。そして、天皇が豪族の争いの中から生まれたものととられるような書かれ方になっているのであります。こんなことで、日本の国の伝統を、日本の国の大生命を無視するような教科書って一体あるんでしょうか。原子力の問題だって、原子力は恐ろしいと書かれておったり、また、一党支配の政治は無責任だと、いわゆる自民党を攻撃しておるわけであります。そうかと思うと、アメリカが日本を痛めつけたことはちゃんと書いてある。ソビエトが日本を痛めつけたことは何にも書いてない。  外務省が、北方領土は日本国有の領土であるという副読本を出してくれました。これは外務省が出している。何で外務省が読本を出すんでしょうかね。文部省が出さなければいかぬでしょう。要するに、文部省の教科書を見ますると、北方四島を返還要求するということは筋が通らないと思われるような書かれ方をしておるから、今の子供たちは、北方四島はソビエトのものだと思っている。だから、外務省がこういう読本を書かれて、そして北海道の子供たちに配っているのでございましょう。  また、進出と侵略の問題にしたってそうです。戦争というものは一方が悪いんじゃないです。両方とも正義の戦いだと思ってやっているわけです。個人のけんかなら感情でぱっとやるから、どっちが悪いかわかるけれども、戦争なんというのは一方が悪いんじゃない。それを、侵略というものは人道上の大犯罪、日本人は人道上の大犯罪を犯したということを、何にもわからない後世の子供に教える。一体こんな文部行政があるんでしょうか。  時間がありませんから先に進みまするけれども昭和四十五、六年生まれ以後に生まれた子供、この教育は非常に悪い。こんな教科書を使っているんですから。かてて加えて、学校の先生のすべてとは言わないけれども、学校の先生も若い。お国を大切にするという教育よりも、自分の方が大切ですよという教育を受けた先生が教えているんですから、今の昭和四十五、六年生まれ以後に生まれた子供というものは、これから十五年、二十年たって、そしてちょうど我々のような国を大切にしようという者がもう死んだころ、間違った教育を受けた子供たちが大きくなって、総理大臣になったり、役人になったり、政治家になったり、学校の先生になったり、裁判官になったり、事業家になるんです。これは実に危険であります。その源はどこにあるかといいますると、学習指導要領をいわゆる日教組が好むように変えてしまったというところであります。ぜひ学習指導要領を変えて、そして本当に日本人らしい、世界の国民から尊敬を受けるような、そのような学習指導要領に直ちに変えていかなければ困ります。本当に日本の国は危険であります。  学習指導要領について一つ、これも短く、もう一度検討するとかいうことだけで結構ですから、時間がないので私も早口でやっておりまするから、どうか簡明に答えていただきたいと思います、重要な問題ですから。
  94. 高石邦男

    高石政府委員 学習指導要領の改訂は大体十年に一回ぐらいの見当で行っております。現在行っております学習指導要領は、基本的事項について精選をするということで簡素化したわけでございます。しかし、従来からの基本的な性格、基本的な基準、それは変えていないつもりでございまして、量的なものを軽減するという形でやっているわけでございます。
  95. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)分科員 そんなことを局長は心から言っておられるわけじゃない。大臣、学習指導要領の解説を、後日、よければどなたか私の方によこしてくださいませんでしょうか。それをよく読んで検討していただかなければ困ります。  ここに、モスクワ放送と日本の教科書の関係を私が調査したものがありますので、ちょっと聞いてください。  一、日本が平和を望むならば、「日米安保条約」をやめて、その代わりに「ソ日友好条約」を締結しよう。  二、日本の自衛隊は、憲法違反であるから認められない。日本政府は、アメリカの指示に従って軍事費をふやそうとしている。自衛隊の増強はいけない。  三、「非核三原則」は忠実に実行しなさい。日本が「非核三原則」を忠実に守るならば、ソ連は日本に対して核攻撃はしないという「特別の条約」を結ぶ用意がある。  四、今の日本にとって、きわめて重要なことは、もっと広範な住民層や政治勢力を反戦闘争(日米安保反対、自衛隊反対、軍縮、反米運動等)に引き入れることである。 これがモスクワ放送の内容です。このとおりのことが教科書に書かれておるのです。後でこの解説書も差し上げますから、ひとつよく読んでください。日本はだめになりますよ、こんなことをやっていたら。私は、また近く「モスクワ放送えんま帳」という本を出します。私がえんま様になってモスクワ放送の謀略を暴くから、これにもモスクワ放送と日本の教育、教科書の関係をよく書いておきましたから、ぜひひとつお読みになっていただきたいのであります。  さて、高等学校の教科書、大臣、これは五十七年が古い教科書、それから六十年は新しい教科書でございます。昨年、新しい教科書の検定が終わりました。そのときにマスコミは一斉に、検定強化、検定強化と新聞に出しました。一体だれがマスコミにこんないいかげんなうそを教えたのでありましょうか。こんなうそをマスコミに何で教えたのでありましょうか。検定強化ところじゃないのです。逆に左翼偏向がひど過ぎる。そういう教科書になってしまったのでございます。そこで、そういったことは御存じありますでしょうかね。簡単に答えてください、知っているとか御存じないとか。
  96. 高石邦男

    高石政府委員 いろいろな見方がございますけれども、そういう一定の方向に教科書が急速に傾いているというふうには考えておりません。
  97. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)分科員 そんなことを文部省がおっしゃっていたのでは、日本の国はだめになる。ちょっと読みますが、お国への誇り、お国を大切にする、それから伝統の尊重、それから自由主義社会擁護の必要性、それから義務の履行、規則の遵守、それから国際的役割と責任の記述が、大臣、ほとんどありません。読んでください。逆に現体制破壊、共産主義革命へ誘導するための教育を行おうとしている。後でこの本を差し上げますから読んでいただきたいが、高校の社会科というのは現代社会、日本史、世界史、政治・経済、倫理、地理、このうち現代社会だけが必修であります。ほかは自由選択。日本人をつくる学問とは一体何でしょうか。これは歴史でしょう。それから国語でしょう。我々のころは漢文がありました。それから倫理、それから地理。日本人をつくる学問が自由選択、それじゃ日本人ができないじゃないですか。いつまでこんなおかしな制度を残しておくのか。これは国民のだれが聞いたって伊藤の言うとおりだとおっしゃるに決まっておりますが、さてそこで、あるいはそのとおりだとしてお答えいただけますか。いただけなければ、またはぐらかしたようなことだと何にもならないから、じゃ、次。知識を持っていただくという考え方で聞いてください、質問したってかみ合わないから。  昭和六十年度高枝社会科「現代社会」について申し上げます。  一、偏向は全く改善されず、むしろ逆に悪化している。  二、この偏向が是正されないのは、ほぼ全ての教科書(二十二冊中二十一冊)において、執筆の基本姿勢が次の五本柱(A―E)で貫かれており、いかなる検定作業によっても、この根本解決を図ることは不可能になっているからである。 これはまたじっくりお話し合いましょう。  この根本作業がどう難しくなっているかということを、まずAとして、左翼の政党が現在展開している政治運動を正当化し、これを推進すべきとして記述している。  ①すなわち、「反核運動」 この反核運動も、核廃絶の本当の反核運動じゃないのです。反米、親ソ、そしてその反核、反戦運動、これを何もわからない子供に教えたら、これは害があるに決まっている。私は核廃絶運動の先頭に立っておるものですから。それから、「消費者運動」「労働組合運動」。この「労働組合運動」だって、教え方がまともな労働組合運動じゃない。「反公害運動」それから「護憲運動」「情報公開運動」「反自衛隊運動」「反安保条約・反米軍基地運動」。  ②朝日訴訟、公害訴訟、冤罪訴訟等、これらの政党が推進したものを絶讃する。  ③戦前の日共等の日本の社会主義化革命運動を英雄視する。  B、ソ連及び共産圏諸国の現実の隠蔽。  ①ソ連の国内における国民生活の困窮、極端な階級制度、そして人権抑圧の諸事実を一切隠す。ソ連などでは、反核軍結運動などできないが、このことを隠す。  ②ソ連等の軍拡等の実態(軍事費はソ連GNPの一一―一五%、北朝鮮は約二五%)とその侵略性については一切言及しない。(七十年代にソ連だけが核軍拡と化学兵器の生産をしたこと、北方領土への陸・空軍基地の建設、ソ連のアフガン侵攻やベトナムのカンボジア侵攻、……)  ③ソ連の政治体制があたかも民主的であるかのごとく記述する。  C、日本の防衛を弱体化させる記述をすること。  ①自衛隊の違憲性の強調と、自衛隊の予算が、作為的グラフ等をもって巨額であるかの如き誇張をする。  ②「非核三原則」の絶讃と「反核運動/反米軍基地運動/反日米安保条約運動」の正当化をする。  ③「軍縮=平和」の非学問的ロジックを強調する。  D、日本の経済的基盤を弱体化(破壊)する運動の美化と推進。  ①公害運動  ②消費者運動  ③反原発  ④社会保障費の増大の必要性の強調 常識的ならいいです。そうじゃない。一方的なことです。  E、革命へ向かおうとする心をつくる。  ①過去の日本の全面否定及び日本の歴史・伝統とのつながりの切断 これが一番恐ろしい。昭和四十五年以降に生まれた子供にお話ししてごらんなさい、まず、どこの国の国民か全くわからない国民ばっかりできている。教えないのですから。逆に、日本は悪いんだという意識の方が強くなってきた。  ②さまざまな形で、事実を歪曲してまで、日本はまだ劣っているとする。 例えば、社会保障なんか最低に見えるような図がかかれておる。これは私、昨年の三月の予算委員会でも明らかにして、厚生大臣にもお示ししたことがあるけれども。  ③日本の現代社会を「暗いもの」「いやなもの」「大変革を要するもの」「非人間的なもの」として描写することに腐心する。  三、故に、当然のこととして、日本への誇り・愛国心を初め、自由主義社会への誇り、自由の尊さ、人間としての義務履行・規則遵守等の道徳、二十一世紀に向かっての政治、経済等の、日本の国際的役割と責任、などについてはほとんど触れないことになる。 これが本当だとしたら、大臣はどのようにお思いになるか。これはひど過ぎる、これは日本はだめになる、まともな人ならみんなそう考えると私は思うのです。何かお答えいただけますか。
  98. 松永光

    ○松永国務大臣 貴重な御意見を開陳していただきまして、ありがとうございました。先生の御意見は参考にさしていただきまして、今後の文教施策を進めていく上で参考にさしていただきたい、こういうふうに思います。  なお、私も時たま、私の後援会の集会等で若い奥さんから質問を受けて、はっと感ずることがままあるということを申し添えておきます。
  99. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)分科員 そこで、今臨教審が検討している事項、これは私はだめだとは申し上げませんが、そんな先のことを言っておる余裕はない、今の日本の義務教育現場は。先のことを言っている余裕はない。今直さなければいけない。それは、こんなおかしな教育を個人の身に置きかえるということはいかぬことかもわからない、こんなおかしな教育大臣局長さんのお孫さんたちも受けているのですよ。そして、お二方は日本のいわゆる教育行政の大もとですもの。したがいまして、臨教審の先生方におっしゃってください。先のことも大事だけれども、今改めていかなければならない問題がある。それは何かというと、これは教科書問題だ。したがいまして、教科書について研究をしておるところの専門家を早く呼んでいただいて、そして現在の教科書の中身がどうなっているかということを早く知っていただけるように、呼んでください。それは日教組の先生たちを呼ぶことも、これは必要ないと思う。私が東京都会議員のころ、自民党にお願いをして、そして日教組の間違いを国民に知らせてください、――僕は、当時は自民党でしたからね、都会議員のころは。知らせてください、そうでなければ国民は日教組を正しく批判できない。そこで文部省が衆議院の文教委員会に出してくだすったのが、あの、日教組は社会主義革命に参加している団体だとみずから規定していると受け取られる資料、これをせっかく出してくれたにもかかわらず、自民党の文教部会はそれを徹底的に検討してくれないものだから、宝の持ちぐされ。あれを検討してくれておったら国民にはもう理解させられたはずだ。自由主義の国の学校の先生たちの労働組合が、日本の国を社会主義革命にしよう、そういう目的を持った労働組合が日教組ですよということをわからせれば、国民の世論によって日教組に反省をさせることができるのです。そうでしょう。日本の憲法は資本主義の憲法ですよ。資本主義の憲法を守りますと言って判こを押して学校の先生になったその先生たちが、今度学校の先生になったら、反憲法思想丸出しの綱領並びに運動方針を持った日教組の中に入って、反政府、反政府、資本主義はいけないんだ、資本主義はいけないんだ、文部大臣から使命を受けた教育委員会は間違っているんだと反対をしている。そしてこんなおかしな日本の教育現場にしてしまったのでしょう。そういう人たちを臨教審は呼ぶ必要はない、最初からわかっているんだ。もっともっと大事な問題があるわけです。  その一番大切な問題というのは教科書の問題であります。そこで、教科書を正す前提としては、学習指導要領を変えなければいけない。学習指導要領に書かれていることは教科書に書かなければならないとなっているわけです。したがいまして、学習指導要領を変えるに当たって、今局長がおっしゃったが、約十年と言われている。ところが、永井元文部大臣それから海部元文部大臣は、あれは七年か八年か九年で変えているはずだ。もうできるのです、それは。大臣の腹一つてできる。議会にかける必要がない。大臣の腹一つでできるのです。こういう優秀な局長が見えるのだから、これは本当に命をかけて日本の国を救おうという考え方で学習指導要領に手をつけなければいかぬ。これは最も重大な問題だと思うのです。  それから、先ほど教育基本法についても、あれをまともな国民に聞かせてごらんなさい、どこの国の国民をつくるのか全くわからない。今大臣がお述べになったようなああいう体裁のいい言葉の羅列、道徳その他においてああいうことは必要だけれども、日本人をつくることを考えなければいかぬ。せっかく二千六百年も続いて――こんな不思議な国はないですよ、局長。二千六百年も続いて、外国の侵略も一遍も受けたことがない。万世一系の天皇、平民が天皇になったことはない。あの道鏡だって、それからあの盛運をきわめた将軍だって自分が天皇になったことはない。自分の娘を天皇に嫁にやって威張ったということはあるけれども。幕末のころだって日本はとられなかった。第二次世界大戦でも、あの極東軍事裁判という勝者のいいかげんな裁判でさえも――外国だったら王様はどうされているかわからぬです。それを外国人がつくった憲法の第一条天皇象徴ということが残っている、こういう不思議な国ですよ。いろいろな文化というものをつくった。我々の祖先の文化という伝統がただ一回の敗戦だけで全部断ち切られたらどういうことになりますか。伝統というものは、栄光も屈辱もみんな伝統なんですよ。その栄光も屈辱も、伝統を背負ってその重みに耐えて初めて民族の永続性というものがあるのでしょう。これが教育基本法に盛り込まれなくてはだめじゃないですか。みんなに聞いてごらんなさい。みんな相づちを打っている、局長。もう時間ですね。時間ですが、もう一度覚悟のほどをお伺いいたしまして、またひとつ後でゆっくりお話し合いをさせていただきたいと思いますから、どうか日本の国を救うということでお願いを申し上げます。
  100. 松永光

    ○松永国務大臣 貴重な御意見の開陳ありがとうございました。先生の貴重な御意見はこれからの文部行政を進めていく上で参考にさせていただきたい、こういうふうに思います。
  101. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)分科員 ありがとうございました。
  102. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて伊藤昌弘君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  103. 大西正男

    ○大西主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  文部省所管について質疑を続行いたします。遠藤和良君。
  104. 遠藤和良

    遠藤分科員 教員の養成大学といたしまして三つの新しい教育大学が誕生したわけでございますけれども、三大学の定員並びに最近の受験状況を教えていただけますか。
  105. 宮地貫一

    宮地政府委員 御指摘のとおり兵庫教育大学、上越教育大学及び鳴門教育大学が新しい構想の教育大学として設置をされたわけでございます。兵庫教育大学は五十五年度から受け入れをいたしまして、大学院の方でございますけれども、五十五年度が入学定員百五十名、以後学年進行で定員をふやしまして、五十七年度からは三百名の入学定員となっております。上越教育大学は五十八年度に設置をされまして、当初入学定員が百四十名、五十九年度以降は三百名の入学定員でございます。鳴門教育大学は五十九年度入学定員百五十名で発足をしまして、六十年度二百名ということになっております。これは大学院の状況でございます。例えば兵庫教育大学の場合で申しますと、五十九年度入学定員三百に対して応募者三百十八名、実際の入学者は二百四十名ということになっております。上越教育大学の場合は、五十九年度入学定員三百名でございますが、応募者が二百二十五名、入学者が百六十二名ということになっております。鳴門教育大学は五十九年度新しい設置でございますが、定員百五十名に対して応募者百三十八名、入学者百四名というような状況になっております。
  106. 遠藤和良

    遠藤分科員 ただいま御報告がありましたけれども大学院の方、かなり定員割れを起こしているわけでございますね。生徒が集まらないという状況でございまして、私、徳島県でございますが、鳴門教育大学の学長さんにもお会いしましたところ、いろいろ問題があるような気がいたします。文部省といたしましては、この定員割れの現況というものをどのように分析をしていらっしゃいますか。
  107. 宮地貫一

    宮地政府委員 現実問題として以上のような状況になっておるわけでございますが、鳴門教育大学の場合はまだ設置をされまして新しいわけでございまして、その点では今後学年進行で完成をさせていく学部段階についてもそういう問題があるわけでございます。応募者の少ない点について私どもとしては、例えば一つ原因としては当該大学の学部の卒業生を出していないというようなことがございまして、ほかの大学並びに――もちろんこの新しい構想の教育大学は現職の教員の再教育というような観点から現職教員を主として受け入れることを目的といたしておるわけでございますけれども、例えば鳴門教育大学の場合、まだ学部段階が完成をしていないというようなことがございまして、その学部の卒業生から来る大学院学生がいないというようなこと、あるいは新しい大学の場合にはいわばその大学に対する社会的な評価といいますか、そういうようなものがまだ十分固まっていないというようなことなどが原因ではないかと私どもとしては把握をいたしております。
  108. 遠藤和良

    遠藤分科員 現地での分析は若干違っているようでございまして、例えば教師の再教育に対してその地域教育委員会の方々の協力が十分に得られないとかあるいは生徒が希望しない、授業内容に魅力がないのではないか、あるいは行っても十分な資格が得られないとか、仲間の教師から行くことについてそねまれるといいますかそういうような感情的なものもございまして、この教育大学が当初の構想に沿って充実していかない問題が出ているのではないか、こういうふうな指摘も若干あるようでございますが、そうした点についてはどういうふうにお考えになりますか。
  109. 宮地貫一

    宮地政府委員 例えば兵庫教育大学の場合でございますけれども、現職教員が入っておるわけでございますが、それらについては、現職教員については例えば入学前の勤務校に復帰したケースあるいは勤務校を異にして同一県内の学校に復帰した者、そのほか教育委員会等に勤務した者等ございますが、いずれも修了後そういうところへ一〇〇%復帰をしているというぐあいに把握をいたしております。  御指摘のこの新構想の教育大学については、現職の教員の指導力の向上といいますかそういうようなことを観点として置かれたものでございまして、もちろん現職教員をこの大学へ派遣するために教育委員会がそういう教員を派遣するということについて理解を深めていただくことも大変大事なことでございますし、そういうことがなければ、ただいま考えておりますような現職教員を主として受け入れる大学大学としての機能を果たす上でその点が非常に大事なことは申すまでもないことでございます。私ども関係教育委員会に対してそういう理解を深めていただくようなことももちろん努力をいたしておるところでございますが、基本的には今日の全体的な財政の非常に厳しい状況があるということなど、そういうような状況も影響している点もあるかと思います。しかしながら、現職教員が再度大学院においてこういう実践的な指導力を身につけるということは、今後の教員の資質の向上のためにも私どもとしてはぜひとも必要なことだというぐあいに考えておりまして、私どもとしてはこういう三つの新しい教育大学をつくったわけでございますけれども、当初の計画ではこれら以外にもということもあったわけでございますが、当面この三教育大学にとどめまして、これらをまず充実をさせていくということで対応いたしておるところでございます。
  110. 遠藤和良

    遠藤分科員 設立の趣旨というのは大変立派でございますし、今教育改革という意味で教師の再教育というのは大変重大な関心を持つ問題ではないかと思うわけでございまして、この教育大学が所期の目的を達成しますように格段の御努力をなお一層要望したいと思います。  ところで、少し具体的なお話になりますけれども、鳴門に教育大学ができまして、そこに大学院だけではなくて初等教育教員養成課程が来年の春いよいよ学生の受け入れを始める、こういう段取りになっております。これに伴いまして徳島大学教育学部が教員養成面で競合を避けるために一般学部に改組しようということを昭和五十五年五月に決定をしておりまして、その準備を進めまして、いよいよ来年の春総合科学部として新しくスタートする計画であると承知をしております。こうなりますと、徳島県におきましては、いわゆる国立大学における中学校教員の専門的な養成を行う課程を持たない全国でただ一つの県になるわけでございます。この問題について文部省としてはどういうふうに対処するお考えなのか。特に鳴門教育大学に中学校教員養成課程を新設するお考えがあるのかどうか、この点を、大事な問題でございますし県民の要望でもございますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  111. 松永光

    ○松永国務大臣 中学校教員の養成問題は実は午前中も公明党のある先生から御質問があったわけでありますけれども、中学生が急激に減少するという状況が出てくるわけであります。そういう状況を考えますと、現在中学校教員の免許状取得者が国立大学出身者、教員養成大学の出身者、その他の大学の出身者等合わせまして非常に多いわけでありまして、その人たちが実際には中学枝の教員として仕事につけないという問題の指摘があったばかりでございます。  徳島県において中学校の教員としてこれからどれだけ需要があるのか、それほど大きな需要はないという状況も実はあるわけでありますし、それに中学校の教員免許を取得できる四年制大学が、私立てありますけれども大学あるという状況もありますので、鳴門教育大学に中学枝の教員養成課程を設置することについては慎重に検討しなければならぬと考えておるところであります。
  112. 遠藤和良

    遠藤分科員 慎重に御検討してくださることはよくわかりますが、国立大学でどこの課程も中学の教員を養成できないという、中学教員養成については空白県になるわけでございまして、ぜひ熱意のある御検討をお願いしたいと思う次第でございます。これは設立する方向で御検討いただけるのでしょうか。
  113. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほども言ったように、中学生が減少してくること、私立の二大学で中学校の教員免許を取得できる学部があるということを考えると、これだけでも徳島県内における中学校の教員の需要に対しては非常に過大な中学校の教員免許状取得者が出てくることになるわけであります。それにまたもう一つ、国立大学で中学の教員養成をしていくということになりますと、教員の免許を持っておりながら先生になれないという人が非常に多くなるという計算にもなるわけでありまして、国立大学で中学校の教員養成課程がないというのは県民感情としては理解できないわけではありませんけれども、将来の需要等を考えますとこれは大変厳しい問題である。国立大学の教員養成課程を卒業し教員免許状を持った人が相当数徳島県の中学校の教員として任用されないという状況が出てまいりますと、これはまた別な問題にもなってくるわけでありまして、そういった点を勘案しながら検討しなければならぬ問題で、相当厳しいというふうに受けとめていただきたいと思うのです。
  114. 遠藤和良

    遠藤分科員 教育というのは国家百年の大計に立ちまして考えるべき問題だと私は思います。現在の財政事情等も考える材料としては大変大事な現実問題でございますが、徳島県の中学教員を国立の大学できちっと養成していくことは将来十年先、二十年先、百年先を考えまして大変重大な問題ではないか、そこに一つの空白をつくるということは文部省として十分慎重に考えていただかなければならない問題であるということを強く要望しておきたいと思うわけです。  話は少し変わりますけれども、子供さん、児童生徒の方々の健康問題についてお伺いいたします。  最近、子供の体が傷んでいるという声が深刻にあります。虫歯、近視、肥満、貧血、側わん症、骨折に加えて高血圧、心臓発作、糖尿など若年性成人病も見られますし、自律神経失調症、自閉症など心の健康も心配でございます。このままだと現代の子供は五十歳くらいまでしか生きられないのではないかと言う医学者さえいる状態でございますが、こうした状況について大臣はどういうように御認識をされておりますか。
  115. 松永光

    ○松永国務大臣 子供を心身ともに健全に育てる、なかんずく乳幼児期あるいは少年期において健全に育てることは非常に大事なことであります。しからば、それに最も責任のある者、最も大きくかかわる者はだれかというと、家庭であり母親であると私は思います。  最近、ややともすれば子供の育て方について正しい知識あるいは自分自身で勉強した知識あるいは先輩、自分の親から受け継いだ知識等々が十分でない母親もなくはないという状況等がございまして、そのことも児童生徒の健康な発育を阻害している面もあろうかと思います。乳幼児期から栄養バランスのとれたものを食べさせて育てていくことが何よりも肝心なことであろうかと思います。  学校に入った後におきましては、教育の場を通じてバランスのとれた食生活がなされるように、あるいは運動不足などという状態が起こらぬように学校教育の場で十分な配慮をしていかなければならぬわけでありますが、これは学校だけの問題ではなくて家庭との関連も出てくるわけでありますので、バランスのとれた食事を食べるように、あるいは運動不足にならないような生活慣習を身につけるように学校と家庭とが十分連携をとりながら、そうした正しい食慣習それから運動の励行といったことを通じて家庭と学校の双方が力を合わせて健康な青少年の育成を図っていくことが肝心なことであると思いまして、そういう施策を今後とも推進してまいりたいと考えておるわけであります。
  116. 遠藤和良

    遠藤分科員 私は国側の施策として一つ御注文したいわけですが、例えば子供さんの健康を守るために健康診断をやっておりますけれども、保健所、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校とやっているわけですけれども、どうも流れがないのです。ばらばらでございまして、大きい意味からいくと、厚生省と文部省協力して子供の成長に合わせて個人的なカルテが用意されるように健康診断に継続性を持たせるべきではないか、特に文部省所管の学校教育の場における健康診断についてはぜひとも連動性を持たせてもらいたい、小学校と中学校の間にきちっと連携を持たせるべきではないかと私は考えますけれども、どうでしょうか。
  117. 古村澄一

    ○古村政府委員 子供の一生を通じた健康管理が必要であることは、確かにおっしゃるとおりだと思います。  そこで、学校教育におきましては、小中高と行きますときに、健康の記録というのを小学校から中学校へ送り、中学校から高等学校へ送るということで、一応学校教育の中では一貫性を持つわけですが、あと、それでは乳幼児との間のつながりをどうするかということは一つの問題になろうかと思います。したがいまして、ここのところは片方厚生省との関係がございます。乳幼児の問題になりますと厚生省との関係がございますので、厚生省と今その問題をどういうふうにつなげるかということについて両省でもって研究しているのが現状でございます。もうちょっとお待ち願いたいと思います。
  118. 遠藤和良

    遠藤分科員 これは大変子供の健康がむしばまれているわけですから、ゆっくり検討するのではなくて、早く、やはり子供さんの健康管理を国として責任を持ってやる。特に健康診断についてはきちっと子供さんの個々の状態が一目瞭然とわかるような健康診断の方法というものをお考えになっていただきたい、こう思いますが、大臣、どうですか。
  119. 松永光

    ○松永国務大臣 文部省、厚生省、双方が協力しながら、子供の生育段階に応じて健康診断をやり、それに基づいて子供たちの健全な発育を図っていくということが極めて大事なことであるということは承知いたしておりますが、健康診断で病気がわかる前の子育ての問題が基礎にはあるわけであります。その子育てをそれぞれの家庭で乳幼児期にきちっとやっていく、これが大事なことなのでありまして、そのきちっとした子育てをする一つ資料として健康診断という問題が起こってくるわけでありますが、出てくる前にまずやっておく。そして健康診断の結果、欠陥があれば、それに対する対応策を、学校教育はもちろんでありますが、それぞれの家庭できちっとやっていく、こういうことで健康な子供が育ってくるんじゃなかろうか、こう思いまして、いろいろな分野でそれぞれが責任を果たし合っていくということが肝心なことであろう、こういうふうに思うわけであります。
  120. 遠藤和良

    遠藤分科員 よくわかりました。  ここで一つ、こういう方がいらっしゃいます。御紹介しておきたいのですが、徳島市の津田中学校の校医でございます渡辺健二さん、医学博士ですが、子供さんの病気を現場で観察をしておりまして、子供の生活リズムに合わせてこういうふうに原因を分析していらっしゃるわけですね。例えば、最近の子供は大変睡眠時間が短くなった。それで余りよく寝ていないから、レム睡眠の状態にありまして、目覚めが悪い。だから、朝御飯を半分ぐらいしが食べていない。それで、昼御飯も給食を大変食べ残しまして、偏食する子供が多い。あるいは夕食になりましても、家族の団らんで一緒に食べる機会が少なくて、子供さんは子供さんで食べているので、勝手に、偏食が進んでおりまして、総合的な栄養が補給できない、あるいは夜食になりますと、今度はインスタント食品で、酸化脂肪の害毒が大変憂慮される。こういうふうな例を挙げまして、子供の健康についてこういうふうに警告をしております。「単に危険な諸症状にとどまらず、すでにその一部は不可逆性の疾病に罹している生徒もいるが、その予備軍がいかに多いか、まさしく目を覆いたくなる現象である。可逆的な段階において諸政策を速やかに実行可能な案件より強力に対処することをおこたるならば、国際化のますますはげしくなる八〇年代、九〇年代、ついては二十一世紀に向けてわが民族が日本病とも称すべきいたましい国民病にさいなまれ、世界の落伍国に一挙に転落するようなことがあっては断じてならない。」こういうふうに警告をされているわけでございます。こういうふうな現地のお医者さんの考え方につきまして、文部大臣はどういうふうに感想をお持ちでしょうか。
  121. 松永光

    ○松永国務大臣 そのお医者さんの警告ですか、私はもっともだと思う点が多々あるように思われます。今御指摘になりました睡眠不足あるいは晩御飯を家族一緒に食べない、そしてインスタント、これはいずれも堅実な、健全な生活慣習のもとに育てられていないということになろうかと思うのでありまして、テレビの見過ぎ、これは子供をほうっておくというとテレビの見過ぎになる傾向があるわけでありまして、やはり子供であるならば夜八時あるいは九時になったらちゃんと休ませる、あるいは寝るという生活慣習が私は大事だと思います。その生活慣習があれば、睡眠不足になるなどということはないのだろう。それから晩御飯を一緒に母親と食べる、これも日本の伝統的なよい生活慣習なんでありまして、それをきちっと幼児期から身につけさせるということが大事なことであろう。私は、インスタント物を食べさせるということは、私個人の見解でありますけれども、実は反対であります。なぜかならば、インスタント物は、少なくとも母親の心のこもった食べ物でないからでありますが、もう一つは、先生指摘のような点もあろうかと思います。  いずれにせよ、この三つのことはいずれも良好な、あるいは健全な生活慣習のもとに育てられていないということの現象じゃなかろうか、こういうふうに思うのでありまして、今先生指摘の警告はまことにもっともな点があると思いますので、そういう警告が実際のものとならないように、学校でも社会教育でも、あるいは家庭教育でもやっていく必要があるというふうに思う次第でございます。
  122. 遠藤和良

    遠藤分科員 もう一つ御紹介しておきますけれども、青少年白書なんかを読みましても、子供の健康問題について積極的な記述が少ないように私は思うわけです。数字の羅列に終わっているような感じがいたしまして、今ここに一冊の本をお持ちしました。  これは「徳島の子どもたち――徳島・子ども白書」という小さな粗末な本でございますが、この本は丸山尚子さん、中安紀美子さん、久米隆子さん、瀬尾クニ子さんという四人の女性が、ある方は六歳、五歳、二歳という三人の子供さんを育てながら、ある人は四歳と一歳、あるいは六歳と三歳というふうに小さな子供さんをみずから育てながら、徳島県の三十二の小学校、それから二十二の幼稚園、五つの保育所、合わせて約七千人の子供さんにお会いをしまして、直接生の声を浮き彫りにした白書でございます。大変まじめな、子供の息遣いが伝わってくるような本でございまして、大臣も一回ぜひ読んでいただきたい。  この本の中で私が特に印象づけられましたのは、子供の食べる物ほど粗悪なものが多いという指摘なんですね。大人が食べる物よりも子供用の食品、それは大変粗末である。こういうところから、砂糖漬けとか塩漬けとかあるいは食品添加物漬けなどに子供さんの食環境があるわけでございますが、こういった面も十分に大臣としてよく指摘をしていただきまして、地域や家庭にまで浸透するような食生活の指導のようなものを文部省としてやっていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  123. 松永光

    ○松永国務大臣 私は、子育てに関する書物は好きでありまして、何冊も読んでおりますが、その書物ももし読ましていただければありがたい、こう思いますけれども、私が今までに読んだ子育てに関する本の中で、数年前でございましたが、「母原病」という本を読んだことがございます。その本によりますと、乳児期における子育ての母親のミスが結局は子供の病気となってあらわれるという本でございました。また、その本の中に、人間というものはすべての生き物の中で、少なくとも動物の中で最も未熟な状態でこの世に生まれてくる。人間とほかの動物と比べるのは大変比べ方が問題でありますけれども、例えば牛でも馬でもヤギでも大でも全部、ほとんど成熟した状態でこの世に出てくる。だから物の食べ方を知っている。しかし、人間は全く未熟な状態でこの世に出てくるわけであって、その子を健全に育てるのは、第一義的には生んだ母親である。またその母親が、実は書物を読むのではなくして、本来ならば自分を生んでくれた母親、子からいえばおばあさん、そうした子育ての知恵、これは長い歴史と伝統で立派に培われてきた知恵なんでありますけれども、そういうものを見つけて、そしてきちっとした子育てが大事だというふうなことを私はその本で読みまして感心したことがあったわけでありますが、先生先ほどから御指摘になっておりますように、乳児期、幼児期における子育て、これが非常に大事であると思いますので、先ほど指摘になった警告が実際のものとならぬようにこれは努力をしていかなければならぬ問題だというふうに考えておるわけであります。
  124. 遠藤和良

    遠藤分科員 大変大臣の御親切な御答弁で、時間が参りましたが、最後に一問だけお願いしたいのですが、今高齢化社会になりつつあります。文部省としましていろいろな行政をやっていらっしゃるわけでございますが、高齢者の生きがい促進事業並びに高齢者スポーツ活動推進事業、これはどういうふうに進めていらっしゃいますか。
  125. 古村澄一

    ○古村政府委員 高齢者が健康な体をということで、高齢者に対するスポーツを奨励いたしておるわけでございますが、五十七年度から高齢者に対するスポーツとしてどんなものが適切なものがあるかということで、いろいろな市町村に向かって開発をお願いしました。  例えば、普通のバレーボールではなくてワンバウンド・バレーボールとか、いろいろなものが出てまいりましたので、来年度からこれについての高齢者事業、高齢者のスポーツについて、生涯スポーツができるような一環として、市町村に対する助成事業としてそういったスポーツが振興されるような予算を計上いたしておるわけでございます。
  126. 齊藤尚夫

    齊藤(尚)政府委員 先生指摘のように、高齢者の生きがいをどうつくり出していくか、教育の面からも大変重要な課題であるわけでございます。このため、文部省といたしましても昭和四十八年から公民館等で行います社会教育のための学級や講座、この中に高齢者教室というものを設けていただきたい。それから、五十三年度からは、高齢者の持つ知識や技能を活用するための人材活用事業、これを実施していただきたいとお願いをしてまいったわけでございますが、各市町村で高齢者の生きがい対策を総合的に実施していただくということで、本年五十九年度から新たに高齢者の生きがい促進総合事業というものをお願いをいたして、各県で着々と実施しているわけでございます。その成果を十分確かめながら、さらに前進をしていきたいと考えております。
  127. 遠藤和良

    遠藤分科員 大変ありがとうございました。
  128. 大西正男

    ○大西主査代理 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、文部省所管についての質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  129. 大西正男

    ○大西主査代理 次に、自治省所管について、政府から説明を聴取いたします。古屋自治大臣
  130. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 昭和六十年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。  第一に、一般会計予算ておりますが、歳入は二千二百万円、歳出は九兆七千七百十九億八千七百万円を計上いたしております。  歳出予算額は、前年度の予算額九兆一千五百五十七億一千七百万円と比較し、六千百六十二億七千万円の増額となっております。  また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省九兆七千五百四十億八千九百万円、消防庁百七十八億九千八百万円となっております。  以下、主要な事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、説明を省略さしていただきたいと存じます。  よろしくお願い申し上げます。
  131. 大西正男

    ○大西主査代理 この際、お諮りいたします。  ただいま自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 大西正男

    ○大西主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔古屋国務大臣の説明を省略した部分〕  以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。  最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。  まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、九兆六千九百億八千万円を計上いたしております。  これは、昭和六十年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額九兆五千九百億八子万円と昭和六十年度の特例措置額一千億円を合算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。  次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。  これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。  次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。  これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。  次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費として、九十五億七千八百万円を計上いたしております。  これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。  次に、地方公営交通事業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、七億六千三百万円を計上いたしております。  これは、地方公営交通事業の再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するためのものであります。  次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、七十二億八千三百万円を計上いたしております。  これは、公営地下高速鉄道事業債の支払い利子に相当するのとして発行を認めた特例債の利子の一部について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。  次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、百五十五億九千二百万円を計上いたしております。  これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するためのものであります。  なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。  次に、広域市町村圏等の整備の推進に必要な経費でありますが、九億一千七百万円を計上いたしております。  これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設の整備計画の策定に対する補助及び当該施設の整備に対する助成交付金の交付に必要な経費であります。  次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、八億二千五百万円を計上いたしております。  これは、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動等を推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。  以上が自治本省についてであります。  次に、消防庁について、御説明申し上げます。  まず、大震火災対策施設等整備に必要な経費として、三十六億九千五百万円を計上いたしております。  これは、震災等大規模災害に備えるため、消防防災無線通信施設の整備及び耐震性貯水槽、コミュニティ防災センターなど震災対策のための諸施設の充実を図るために必要な経費であります。  次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百二十四億一千百万円を計上いたしております。  これは、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽などの消防施設を地域実情に応じて重点的に整備するとともに、林野火災等に対する防災対策の推進を図るために必要な経費であります。  第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。  自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計があり、交付税及び譲与税配付金勘定と交通安全対策特別交付金勘定があります。  まず、交付税及び譲与税配付金勘定の歳入予定額は十五兆八千九百三十八億四千八百万円、歳出予定額は十五兆八千四百九十二億四千八百万円、となっております。  歳入は、交付税及び譲与税配付金特別会計法に基づく一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十二分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。  次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は七百五十六億九百万円、歳出予定額は七百億三千二百万円となっております。  歳入は、交通反則者納金の収入見込み額等を計上いたしております。  歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。  以上、昭和六十年度の自治省関係一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  133. 大西正男

    ○大西主査代理 以上をもちまして、自治省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  134. 大西正男

    ○大西主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷昭雄君。
  135. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 私は、昨年の本委員会におきまして、投票制度の問題、それから衆議院の定数是正の問題について、前の大臣に対してお尋ねをしたわけでございます。大臣も、田川大臣から古屋大臣におかわりになりましたし、それから中央選管を担当されております選挙部長もおかわりになりましたので、改めて同じような問題について御質問をいたし、その後の経過を含めまして皆さん方のお考えをお尋ねいたしたい、こういうように思うわけでございますので、よろしくお願いしたいと思います。  第一に、現行の公職選挙法では有権者の権利が十二分に行使できるような配慮をされておらないというふうに私は思うわけでございまして、その最たるものが不在者投票だというふうに思っておるわけであります。昨年私は、出稼ぎ者を中心にいたしましてこの不在者投票制度が現状でいかに適応しなくなっているか、このことについて述べましたけれども、結果としては、第三十七回総選挙の出稼ぎ者の投票率が極端に悪かった。不在者投票の制度そのものの中に制度の欠陥があるのではないか、または、もしも制度が変えられることができないとすれば、運用について十二分にこれは検討を加えるべきではないか、このことを私は申し上げたつもりであります。前の岩田選挙部長は、出稼ぎ者の投票率が悪かったということも、第三十七回選挙の投票率が下がった原因というものも、昨年の時点ではまだデータがそろっておらない、したがって分析もしておらないということを前提にしながら、制度を変えるわけにはいかないという答弁があったわけであります。田川前自治大臣も、私的ではございますけれども、委員会終了後の私との話の中では、出稼ぎ者の不在者投票の余りの低さにびっくりした、これは実態調査をする必要があるだろうというふうにおっしゃっておられたわけであります。  自治省または中央選管といたしまして、昭和五十八年十二月十八日実施の第三十七回総選挙のデータが恐らくそろったと思いますし、投票の実態というものの分析も済んだと思われますので、私の指摘いたしました出稼ぎ者の不在者投票の結果について報告をお願いしたい、このように思います。
  136. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 ただいま御指摘のありましたように、昨年の予算委員会分科会で出稼ぎ者の選挙権の行使について御指摘なりお尋ねがあったわけでございます。  私ども、その後調査もいたし、また検討をしたわけでございます。ただし、出稼ぎ者の選挙権の行使の問題について調べる際に、私どもいろいろな問題にぶつかったわけでございます。といいますのは、出稼ぎ者の全体の正確な把握というものがなかなかしにくいということがございます。それから特に、いろいろな統計はあるわけでございますけれども、選挙時という特定の時点に果たして幾らぐらいの出稼ぎの方がおられるのか、これについては正確に把握することは非常に困難だという問題があるわけでございます。さらに、そういう出稼ぎ者の中で、特定の方が投票に行かれたかどうかということを調べるのは、これまた投票の秘密というようなことにも関連をしてまいる問題でございますので、調査に非常に困難を来したわけでございます。  しかしながら、労働省によります年間出稼ぎ者数の調査というのがございますし、また一部の県で実施しているだけではございますけれども、そういうところで行われております業務地における不在者投票者数を勘案いたしますと、出稼ぎ者の不在者投票については御指摘のようにかなり低調ではないかと推測されるわけでございます。市町村選挙管理委員会においては、選挙に際しまして、不在者投票制度についてパンフレット等を配布したり、あるいは出稼ぎ地の住所地あるいは事務所に対する市町村の広報をしたり、不在者投票用紙の請求書の郵送あるいは出稼ぎ先の事務所に対する便宜供与等の依頼等、それぞれ工夫を凝らしてできるだけ出稼ぎ者の方に投票していただくようにやっておると聞いておるわけでございます。  今後とも、都道府県選挙管理委員会や市町村の選挙管理委員会と協力をいたしまして制度の周知徹底等に努めまして、不在者投票制度ができるだけ活用されるように努めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  137. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 古屋大臣にもひとつよく認識していただきたいと思うのです。古屋大臣は御出身が岐阜というふうに承っておりますし、私は秋田二区でございます。私の方は出稼ぎの供給県でございまして、十一月の初めから四月の中旬まではもうほとんどれっきとした農家の主人はおらないというのがここ二十年続いておるわけであります。現在老齢化をして出稼ぎが減ってはおりますけれども、まだ秋田県全体としては一冬大体二万七千人、私どもは三万人と見ておりますけれども、常時その程度の人間が出ておるわけであります。北海道が一番多い、その次が青森県であります。したがって、労働省自体でも、今部長がお話しのとおり実態をつかめない、それが実情でございます。大体四十万人だろうというように言われておりますけれども、年間を通じましてこれが大きく夏場と冬場に分かれるわけでありまして、四十万人の中の大体二十五万と十五万というふうに冬場が多いのではないか、私どもはこういうふうに思います。北海道ではそのほかに北海道内の出稼ぎが別におるわけです。私どもはこれを出稼ぎと言わないで季節労働者と言っておるわけです。したがいまして、郷里を離れまして、そのように俗に出稼ぎ者と称する方々は私どもは年間六十万人と見ておりまして、選挙が夏場に当たるか冬場に当たるかによってその地域に大きな差が出るわけであります。岐阜ではそういう現象はございません。恐らく大臣としましても初めて聞く話じゃないかというふうに思いますので、あえて昨年の復習をしておるわけであります。  三十七回選挙で秋田県二区の私どもの地元ではどの程度の出稼ぎ者の投票があったのかということを、私どもが町村の選管に足を運びまして具体的に調べたデータがございます。一番投票率のいいところが仙南村というのが投票率が二四・二三%であります。これは出稼ぎ者のです。一番悪いところが千畑村というところで一三・九七%、大体この中に十四市町村が入っているということでございます。私の方は十四の市町村がございます。私ども秋田県二区で出稼ぎ者の投票率が一番いいのが私どもの大曲、仙北郡というところでありまして、その他に三市三郡があります。三市三郡はそれよりも悪い。どの程度かというと、ほとんどが五%前後であります、投票率が。百人中に投票する人が五人、六人という程度だというふうに考えていいのではないかと思います。  私どもの市と郡がなぜ高いのかというと、これは日本でも一番高いと言われておるのですが、私どもの出稼ぎの運動があるからであります。私もこの十五年間毎年冬、首都圏それから大阪周辺の関西、それにことしは名古屋・中京、この地区を私どもの仲間と一緒に、私の先輩であります栗林さんという方はもうここ二十五、六年にわたって出稼ぎの現場訪問をしておるわけであります。そういう運動があるから皆さん方がある程度政治的な関心も高い。ですから投票率が高いわけでありますけれども、全体としますとまさに低くなっておるというのが実態であります。  なぜこのように低いのかということで、去年も私は問題点を四つ挙げたわけであります。  第一は、不在者投票という手続が面倒だということであります。  第二は、選挙期間が短いということです。しかも第三十七回選挙から国政選挙も期間が短くなりましたし、市町村段階においては五十九年三月一日から非常に短くなったわけであります。御案内のとおの、町村の長並びに議員の選挙は五日間、市の選挙は七日間というふうに極めて短くなった。したがいまして、その間に複雑な手続が必要でありますので、到底間に合わない。  第三には、出稼ぎ者の働く場所とそれから居住しておる飯場の距離が次第に遠くなっておるという現状であります。したがいまして、簡単に仕事の合間に行くというわけにいかなくなっている。したがって、平日八時三十分から五時までの投票時間では間に合わないということであります。日曜しか行けない。したがいまして、国政選挙において十五日間ありましても休みは一日しかありません。日曜日、しかも隔週日曜日しかありません。そのときにしか行けないということからしますと、これは大変な問題になってきます。  第四には企業が無理解であります。投票に行くと言うと笑われるというのが実情であります。おまえら選挙ばかじゃないかというふうに言われるというのです。それが実態であります。特に土木建設に多く働いておるという出稼ぎ農民の場合はよほどの意識がなければ、その間賃金を払われない、旅費をかけなければならない、こういう中で投票に出向くということはいかに困難であるかということを皆さん方よく御理解願いたいと思うのです。私昨年もそれを言いましたけれども、どうもぴんとこない、これが自治省の現状でないのかというふうに思うわけでありまして、そういう意味で制度そのものに欠陥があるのじゃないか、したがって郵便投票なりそういう制度を設けるべきではないかということを去年は言いましたが、それは選挙制度の根本にかかわる問題なので制度を変えるということはできないと明言をしたわけであります。だとすれば、当然これは運用の面で、私が指摘しましたように複雑さを簡単にするとか、なぜ選挙期間を短くしまして、投票制度、しかも不在者投票の制度は変えないのか、これはせっかく有権者の投票権を保障するとは言いながら、実際は片手落ち。期間は短くしておいてその不在者投票については相応の対応をしておらない。明らかにこれは片手落ちであります。私はその点を指摘しまして、少なくとも検討をし、これらの人たちの投票権を保障すべきであるというふうに言ったわけでありますが、これに対して再度部長の見解をお聞きしたいと思うわけであります。
  138. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 不在者投票をできるだけしやすくする必要があるのではないか、それを妨げておる理由として四つお挙げになったわけでございます。  まず不在者投票手続が非常に面倒ではないかということでございます。確かに現行の不在者投票手続というのは非常に手続が複雑になっております。しかしながら、これは我が国の選挙制度というものが公正の確保ということに極めて神経を使っておるもとで、不在者投票制度についてもあくまでも選挙当日に投票する場合の例外である、したがってそういう不在者投票制度についても不正あるいは乱用を防止しなければいけないという配慮から、手続を非常に厳格にまた複雑にせざるを得なかったわけでございます。しかしながら、不在者投票手続につきましても、いろいろな方面の御意見もありまして、従前と比べますと次第に利用しやすく改められ、また運用もされてきておるわけでございます。  具体的な例を申し上げますと、従来は不在者投票事由に当たるかどうかということにつきまして、例えば疾病の場合は医者の証明が要るというふうにしておりましたし、いろいろ業務に従事するというような場合でございましても、事業所の証明が要るというようなことを要求しておった時代もございますけれども、現在はすべて選挙人の宣誓書で、そこに一定の事由で当日投票できないということを書いていただいて、右相違ないと宣誓をしていただくことによって不在者投票手続がとれるようになっておるわけでございます。  一例を申し上げたわけでございますが、確かに複雑にはなっておりますけれども、徐々にできるだけ活用できるように手続、運用を改めてまいっておるつもりでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように我が国の選挙制度自体がどうしても選挙あるいは政治の実態から公正の確保ということを非常に念頭に置いた手続になっておりますので、不在者投票もその一環といたしましてそういう面があることはひとつ御了承いただきたいと思うわけでございます。
  139. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 時間がないので先を急ぐわけでありますが、昨年も実態はわかるけれども簡略化すると不正が起こるということを田川さんも言っているわけです。皆さんもそう思っているわけですね。選挙の公正は厳しく守らなければなりません。しかし、それと同時に、それよりもむしろ考えなければならないのは民主主義の根底を支えておる有権者一人一人の権利をいかに保障するかという点だと思うわけであります。要はどちらに軸足を置いてそれを調整するかという問題だと思うのですが、去年挙げましたけれども、ベルギーだとかイタリアとかそういうヨーロッパの国々はほとんど後者なんです。多少の不正は、長く深い歴史を持っておりますのでそういうふうになったと思うのですが、日本の場合はまだ不正を軸足にして考える。ですから、このように一面、せっかく行使できるはずの選挙権を行使できないでおるということでありますので、次第に軸足を移してこれらの人々を救済するということが絶対必要と思うのです。このことについて後からで結構ですので、大臣からも御所見を伺いたいと思います。急いでおりますので、部長の方いろいろ答弁あろうかと思うのですが、その点は来年また聞きますから、どれだけ検討したかということ、来年までの課題として十分事務当局としては練っていただきたいと思います。  第二は、衆議院の定数是正の問題でございます。端的に申し上げまして、田川前大臣は、この問題では各党各派の合意を見なければ事実上実現できない問題だ、したがって各党各派の御協力をお願いしたいということをおっしゃいました。ことしの一月の中曽根総理の施政方針演説でも、重要施策としてこれは挙げられておるわけであります。各党各派の協力を得まして今会期中に提出をして実現を図りたいということ、そしてそれに対する我が党の石橋委員長を初め各党の党首の皆さん方もこの点については一様に早期実現を要望しておるわけであります。このように各党が一致して最高裁判決を前にしましてこの是正をうたっておるということでございますが、問題は、自民党のプロジェクトチームが考えておるのが一対三、社会党の考えておるのが一対二・五、公明党は一対二、新自由クラブは一対一・五というふうに各党がばらばらであります。自民党の皆さん方の中でもこの一対三という中で六増・六減ということに対してははっきり反対だという会派がございますし、そういうグループもございます。社会党の我々はいわゆる六増・六減には絶対反対、これは認めるわけにいかぬ、こういうふうに言っておるわけであります。  そこで、大臣にお聞きしたいのですが、総理大臣は政府自身が提出するとは言ってないのですね。昨年の田川さんもそのことは言ってないのです。ことしは、自治省としては一体どういうふうにお考えなのかということが第一点。  第二点としましては、いわゆる六増・六減ということは、プロジェクトチームとしては、十数人の議員という少数範囲で事を決めていけば足りるというふうなこそぐな考え方であります。これはすぐにも矛盾を生む、それは六十年十月一日に行われる国勢調査、この国勢調査によってその比率が完全に変わります。ですから、この六増・六減という案はまことに根拠のない案だと言わざるを得ないわけでありまして、これに対して現在の自治省としてはどういうふうにお考えなのか、この点も、これは大臣でなくても結構ですけれども大臣としましては、前の投票権の確保の問題とあわせまして、今回の衆議院是正問題についての基本的なお考えを、御所見を賜りたい、こう思います。
  140. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 まず第一の不在者投票の問題で東北地帯における特異の事情、北海道がどうかということは承りました。何といっても不正が行われるから投票をというよりも、投票権を持っておる人は本当に投票できるように、今の話に面倒くさい、手続が厄介だという点は私も十分承知しております。したがいまして、こういう実態調査いたしますと同時に、どうしたら投票してもらえるかということを中心に私どもは考えさしていただきますし、そういうように検討さしていただきたいと思っております。  それから、第二番目の定数の問題でございますが、御指摘のとおり定数をどういうふうにするか、定数是正ということは選挙の基本的ルールだと考えております。今、政府提案にしようか議員提案にするか、こういうことは根本が決まっておりませんので、まだ私どもはそこははっきり上司からも何とも言われていないところでございます。  ただ検討しておりますことは、最高裁の御承知の判決がありますので、できるだけ判決に合うように措置するにはどうしたらいいか、根本ルールは、議会制民主主義の基本でございますから、まず私どもでも、自民党の中でもよく話し合ってその基本をつくる、それができませんと、また各党ともそれに基づきましていろいろお話をしていただく。これはあくまでも党を中心として、何といいましても外部の者がいろいろの考えを出すとかいうよりも、自分で、一番よく知っておられます党の方で十分検討していただきたいという私どもの考え方でございまして、最高裁の判例も何とかしなければならない。しかし、まず党において各党と話し合って、まず自民党がそういうきちっとした態度を、どういうふうになりますか私もよく、六・六がいいとかいろいろ言われておりますけれども、これも党としての決定ではございません、御承知のとおりでございます。そういう点も構えまして、今後どうしたら早くなるか、どうしたら党の方といろいろな話ができるかということも基本にして、積極的に検討さしていただきます。
  141. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 部長にお聞きしたいと思うのです。  今、大臣の御所見は伺いました。要するに、各党各会派の合意に基づいて実現をしたいというふうなお考えのよってございますし、私もそういうふうに承知をしておるわけでありますが、問題は、十月一日に国勢調査が行われます。そしてこの定数是正につきましては、今までもそうでありましたが、人口比、大体これを基礎として一応十年ないし十五年に一回ずつの是正をしてきたという歴史を持っているわけであります。その十月一日が間もなくやってくるわけでありますが、これと、いわゆる選挙事務を具体的に進める自治省なり、中央選管の責任者といたしまして、いつの時点をとることが望ましいとお考えになっているのか。現在、いわゆる自民党のプロジェクトが盛んにやっておりますのは、あくまでも六増・六減というのは前の国勢調査を基本としているわけでありますが、その点でいかがでしょうか。
  142. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 公職選挙法では衆議院議員の定数是正を行うに当たりましては、その国勢調査人口をもとにして行うということになっておるわけでございます。これは公職選挙法の別表第一の末尾に、「五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」という規定がございますが、この規定やそのほかの規定からそういうふうに考えられるわけでございます。  ところで、先ほど大臣がお答えいたしましたように、現在、最高裁の判決もございまして、一日も早く定数是正をやらなければいけないという時点にあるわけでございます。したがいまして、現時点で一日も早く定数是正をするということになりますと、直近の国勢調査である昭和五十五年の国勢調査によるほかはないというふうに私どもは考えておるわけでございます。  参考まででございますが、前回の定数是正でございますが、昭和五十年の法改正におきましても、法改正は五十年の七月に行われたわけでございますが、その年の十月の国勢調査を前にして、その直前の昭和四十五年の国勢調査人口によって是正が行われたわけでございますので、御参考までに申し上げておきます。
  143. 細谷昭雄

    細谷(昭)分科員 時間になりましたので終わりますけれども、ぜひお願いしたいのは、今の国勢調査の時点の問題でありますが、今までは総数をふやしてきたということです。しかし、今度は五百十一名を各党とも――共産党さんは違うようですけれども、大体今のところ、各党とも現状の五百十一名をふやさないでという是正です。したがって、これは大変重大な問題を含んでおりますので、今までと違って、今まではそうだったからということは許されない矛盾を抱えておるわけでありますので、これは事務当局としても十二分に厳しくこの点は対応してもらいたい、このことを強く要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  144. 大西正男

    ○大西主査代理 これにて細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。  次に、上野建一君。
  145. 上野建一

    上野分科員 私の方からは「地方公共団体における行政改革推進の方針」、いわゆる地方行革大綱について、これを中心にしてお尋ねいたしたいと思います。わずか三十分の時間でありますので、私の方も端的にお伺いしますので、それに直接ぜひお答えいただきたい、こう思います。  まず、地方自治ということを考えますと、地方住民の意見、その意思が地方行政に反映されておるかどうか、そして、その地方行政というものが住民の意思によって動かされているかどうか、このことが非常に重要だと思います。憲法にも地方自治の本旨ということで、その点が明らかにされていると思うわけでありますけれども、そういう立場から考えますと、今自治省がとっておるこの行革、中央の行革は、これはもう中央の責任でやるのが当然でありますけれども、地方自治体に対する、いわゆる地方行革というものに対する態度が少し行き過ぎているのではないだろうか、こう思われます。地方には地方の議会もありあるいはそれに関連する住民団体あるいは諸団体があるわけで、それに対してこの大綱を見ますと、少し行き過ぎているのではないかと思うのですけれども、この点は大臣はどうお考えか、まずお伺いします。
  146. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 お話でございますが、やはり地方の行革というものは地方住民の意思というものが相当基本になっていかなければならぬことはお話のとおりでございます。自治省がこの大綱を決めましたのは、一つは、地方によりまして行革を自発的に進められる、例えば国が五%五年間でやっておるのを、広島県なんかのように一〇%やるというような決意を持ってずっと年次計画で進められるところもありますし、またそうではなくて、国と地方とが並行して行革というものを進めるべき時代に、余り動いてないところも残念ながらあるようでございます。  私どもは、二つの意味におきまして地方行革を推進しておりまして、一つは、地方の住民の意思に基づいてやる行革を邪魔している中央の関与とか必置規制の廃止だとか、今後出てまいります権限移譲の問題だとかあるいは許認可の問題、こういう問題が地方の自律性を阻害していることが非常に多い。これが一つ。もう一つは、地方によって非常にアンバランスがありますので、特性を生かしてもらうことは当然でございますが、やはり足並みそろえて地方行革を進めていただきたい。この二つの理由から私どもは地方行革を推進しておりますが、最初に申し上げましたような地方の特殊性、自律性ということは一番基本であると考えております。     〔大西主査代理退席、主査着席〕
  147. 上野建一

    上野分科員 大臣がそういうふうにおっしゃるなら、いわゆる地方自治ですから、これは一律になるなら地方自治体じゃないので、当然ばらばらになる、アンバランスがあるのは当然だと思うのですね。だから、そこら辺も含めて自主性にまつということでなければ自主性にならぬだろうと思うのです。そういう意味ではこれは問題が多いのです。  そこで、それなら、ここには地方分権というようなことも書いてありますけれども、そういう地方分権という意味では、まだ膨大な機関委任事務が残っていますね。これについて、一昨年わずか四十件余りやっただけ。そこら辺との関連で、中央はやるべきことをやらないでただ下の方にだけやれやれと言う。しかも、後で申し上げますが、財政的なしわ寄せがどんどん行っているわけですね。そこら辺のことはもうちょっと考えないといかぬのじゃないか。この大綱なんかも、その意味ではそこら辺のところは何も言わないで、中央の責任は言わないで、地方のおまえらけしからぬ、もっとちゃんとやれというような意味のものになっているわけで、これは大臣少し考えなきゃならぬのじゃないかと思うのです。  そこの中で、特に具体的な問題でもう少しそれとの関連でお伺いいたします。  まず、給料、賃金の問題。これは、中央と同じ役人でありながら給料が違うというのもおかしな話ですけれども、ただ、地方の公務員にはいろいろな仕事があるのですね。現場がありまして、いろいろ嫌な仕事、汚い仕事、職業には貴賎はないけれども、実際の仕事にはいろいろやりたくないのもやっぱりあるでしょう、同じ人間ですから。そういうことなどを含めますと、当然給料についても差が出てきます。ところが、今まではそれは労働組合、職員組合のあるところはそういう交渉の中で自主的にいろいろやってきた。そういう意味で労使の交渉というものも重視していかなければならぬだろうと思うのですけれども、ここら辺を今度の場合にはどうも無視しているのではないか。最近のおまえのところはまだ給料高いよと時折新聞に載りますけれども、けさも何か一つ載っていたようですけれども、それはやはり労使の自主的な交渉尊重という意味では行き過ぎじゃないかと思うのです。それが一つ。  それから、この地方行革大綱に従わないところは、何かどうも起債の問題とかいろいろな個別指導の問題を通じて事実上の制裁を加えているというように考えられるのですけれども、この点はどうなのか。またこれからもそういうことをやるつもりなのか、現在やっていることを明らかにしていただきたいし、これからどうするのかを明確にしていただきたいと思います。
  148. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 地方団体の職員にかかわる給与の問題でございますが、これを決定する過程におきまして労働団体の意見を地方として十分聞いて、その上に立って決定していくということは非常に重要なことだと思います。ただ、そうした結果、現在地方公務員の給与の水準というのは非常に高いところにきている団体がある。退職手当につきましても国家公務員を非常にオーバーして退職手当を出しているところがある。そして、そのことに対して国民一般から厳しい批判が寄せられておるということも事実でございます。したがいまして、私たちは、そういう国民の考え方というか住民の意思といいますか、そういう考え方というものを背景にして、地方団体がそぞれ自覚をして給与を適正化していただく、これが基本でと思います。そういう自覚をして給与を適正化していく過程におきまして、先ほど先生がお話しになられました地方行革大綱の中にそういうものを盛り込んで計画的に自主的にやっていただく、こういう考えております。  そういうことで先生御了解をいただきたいと思いますが、ただ、非常に高い団体の中でなかなか自主的に自覚してやっていただけない団体が私たちの過去の経験からしてもございます。そういうところは個別指導団体ということで指定いたしまして、そして私たちの方でそれぞれの団体の給与制度、運用上の問題というのを個別に分析いたしまして、それを地方団体に御認識いただいて給与の適正化に取り組んでいただくということが個別指導団体でございます。起債の制限の話もありましたけれども、もともと起債というのは借金でございまして、後々の住民というか納税者が負担するものでございますので、それぞれの地方団体の財政運営の実態というものを見ながら、やはりこの団体については後年度に借金を残すというのは望ましくないというところについては起債を遠慮していただくというか、許可するに当たって調整措置がとられているということでございまして、先生が御心配になられるような、不当な介入だとかあるいはまた干渉であるとか、そういう面は避けながら、地方団体に自主的に自覚して給与を適正化していただくという趣旨でやっておるものでございまして、御了解いただきたいと思います。
  149. 大林勝臣

    ○大林政府委員 給与に関します措置につきましては、先ほど務員部長からお答え申し上げたとおりでございます。ただ、一般論としまして、今回の地方行革大綱に基づいて自主的に行っていただきます地方公共団体の措置について、その結果によって、先ほど質問があったような制裁云々ということは、私どもは全く考えておりません。
  150. 上野建一

    上野分科員 答弁漏れの機関委任事務、これからどうするのか。
  151. 大林勝臣

    ○大林政府委員 前段の機関委任事務の問題、これは一番大切な問題でございまして、今回の行革大綱は地方団体に対して御努力をお願いする問題でございますから、そこには記載してございません。ただ、この問題はむしろ、私どもの立場といたしましては、国全体、国の各省に対してこれを推進するという立場にございます。臨時行政調査会あるいは現在やっております行政改革推進審議会におきましても、終始これを主張してまいりました。臨調におきましてもいろいろ意見が分かれて、時間がないから今後行政改革推進審議会で結論を得ようということで、現在推進審議会において議論が展開されておるところであります。  私どもとしましては、住民に身近な事務はできるだけたくさん地方団体の方に事務移譲する、権限移譲する、機関委任事務を団体事務化する、こういう方向で審議会の方に意見を申し上げ、各省に対しても御協力をお願い申し上げておるところであります。
  152. 上野建一

    上野分科員 中央でやる仕事の方はずっとおくれておるわけで、それは総理大臣が約束していることなんで、これはやはり進める必要があると思うのですね、機関委任事務その他含めて、それは財政も含めてですけれども、それを明確にしてもらいたい。  それから、給料の問題については、私はちょっと意見が違うのですね。国家公務員より高いというのがけしからぬなんてばかなことはないと思うのですよ。それなら国家公務員の方を高めたらいいじゃないですか。人勧凍結以来ずっと給料はそれらの影響を含めて高くなっていませんよ。凍結しておった期間を含めて考えたら相当なマイナスになっていますよね。それに合わせて地方も安くしろというのはどうもおかしい。先ほども言いましたように、いろいろな仕事によって給料というのは違うのですよ。現実に、特に中央の関係でしょうけれども、例えば防衛庁の職員なんかは飛行機に乗るたびに手当が出ていますね。ああいうのはどう考えているのですか。今は戦争中でも何でもないのですよ。あれは戦争手当みたいなものでしょう。飛行機に乗るのが仕事の人たちが飛行機に乗るのに手当が出る。それなら地方だっていろいろな仕事によって手当が出たっておかしくないでしょう。そういうことについてはどう考えられておるのか、ひとつお伺いしておきたい。  それから起債の問題ですが、これは中央集権的な考え方ですよ。地方が地方の責任で借金をするならいいじゃないですか。中央でやるときの借金はどんどんたまっていって――地方はいろいろなことをやらなければならぬ。むしろ中央の言いなりになっていると金がかかってしようがないのですよ。今度だって補助金をカットされればその分を自主的に出さなければいかぬわけです。実は今までもそうだったけれども、制裁措置はしないと言いながら、起債を通じてなどいろいろな形で干渉し、制裁措置をとってきた。これが事実だろうと思うのです。やはりこれはやめるべきですよ。起債は公正な立場でやるべきであって、地方が仕事の面でどうしてもやらなければならぬというなら、多少借金になってもやっているわけだから、やはりそれはそうでなくしてもらいたい、こう思います。その点、二つ目にお聞きしたい。  それからこの大綱の中に審議会についていろいろ整理しろと書いてあるのですね。特に、法令に基づかないものはけしからぬと言っているのですけれども先ほども中央でやるべきことをやらないと申し上げましたが、ところが中央では審議会みたいな諮問機関をいっぱいつくっているのですね。だから、下の方だって上を模範にしているんじゃないですか。官房機密費か何か使うのでしょうけれども、とにかく中央では審議会とか諮問機関をいっぱい作っておきながら、今度は地方に対してはやめろと言っている。条例に基づくものですら整理しろと書いてあるのですけれども、ある意味では、そういうことは中央が言うべきことじゃないのではないでしょうか。これは地方に対する干渉であり抑圧ですよ。  それからもう一つ、地方議会の合理化というのがあるのです。これはこの中でも一番重要な干渉になるだろうと私は思うのです。地方議会の議員定数を減少することは既にかなりの努力が払われていると自治省は喜んでいるのですね。地方議員の定数を減らすことを自治省が喜ぶようでは困りますよ、しかもそれは地方自治法に基づいてやられていることなんですから。むしろ逆じゃないですか。減らしてはいかぬのです。民主主義の立場からいっても、住民の意思を反映させるためには議員の数は重要なわけですから。その立場から、まだ人口の少ない時期に考えられたのがあの定数でしょう。地方自治法に基づく定数なんですから。ところがその定数、もう人口がその何倍にもなっておるようなところでも、それに基づいて改正をしようとするとむしろ待ったがかかる。現実に文書になって出てきておりますけれども、やはりこれも行き過ぎだろうと思うのです。特に民主主義は地方自治が一つの根幹でありますから、その意味では民主主義に対する干渉であり介入であると言っても言い過ぎではない、私はこう思います。したがって、その点についてもどう考えておられるのかお伺いしたい。  ひとつ最後には大臣からもこれは御答弁いただきたいと思います。
  153. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 給与の問題について再び御質問いただきましたのでお答えいたします。  最初は人事院勧告の問題でございます。  非常に厳しい財政事情のもとにおきまして、必ずしも先生の御満足いただけるような結果にはなりませんでしたが、最大限に尊重してこれを完全実施するという方向で五十九年度も取り組んでまいりましたけれども、その結果は御存じのとおりでございます。また、六十年度におきましても、いろいろな厳しい条件の中にあってもこれを完全実施するために、政府として最大限の努力をするということをたびたび官房長官も総務庁長官も申し上げておりますので、私たちもその線に沿ってこれからも努力をさせていただきたいと思います。ただ、その問題と給与水準の問題というのは若干異なっておりますので、地方公務員の給与水準の是正についてはこれとは違った観点で取り組んでいかなければならないという認識でございます。  先生がお話しになられました第二番目の問題でございますけれども、確かに地方公務員が行っておる業務というのは国の業務と違ったいろいろな業務がございます。したがって、それに対応して給与が異なっていいのじゃないかという議論は、議論としてございますけれども、そういう業務につきましては地方団体の方はそれぞれ特殊勤務手当というような手当で対応しておりますので、給与水準を比較するときに、現在本俸で比較しておりますが、その方法はやはり御納得いただける方法ではないだろうか。特別な不快な仕事とか困難な仕事とか、そういうものにつきましては住民の納得される線において特殊勤務手当で対応していくべき問題だろうというふうに思います。  最後の、起債の問題でございますけれども、これは先生も地方で御活躍されておりましたのでよく御存じだと思いますが、やはり当該団体の将来の財政運営というものを考えた上での調整措置というふうに私たちとらえておりますので、そういう線でひとつ御理解いただきたいというふうに思います。
  154. 大林勝臣

    ○大林政府委員 行革大綱の関連で、審議会あるいは地方議会の問題についての御質問でございます。  審議会の問題につきましては、仰せのとおり、法令に基づく審議会あるいは法令に基づかない審議会、それぞれの地域実情に応じて多数設立をしてまいっておるわけであります。もちろん国におきましても非常に多くの審議会がございまして、最近におきましては、現在の実態に応じて既に不要になっておるもの、あるいは事務事業の洗い直しに応じて今後不要となるべきもの、あるいは必要ではあっても類似の審議会が併立、併存しておるケース、こういったものを中心として整理合理化を図るということにいたしております。地方団体におきましても同じ問題があるわけでありまして、事務事業の洗い直しに並行いたしまして、審議会の現在のあり方をもう一度考えていただく、既に時代おくれになっておるもの、あるいはそうでなくても、一つの審議会で十分に審議可能なもの、こういったものは統合を考えていただく、こういう意味で行革大綱の一つの題目として掲げておるわけであります。もちろん必要なものは今後とも残ってまいると存じます。  それから、地方議会の定員の問題でありますけれども、御指摘のように確かに従来から長い間の沿革がございます。それぞれの地方団体の規模に応じて一応の法定数基準というものが地方自治法で定められております。したがって、この定数をどうするかということは、その地域地域の議会の実情に応じまして、その議会の機能を十分発揮し得るかどうかといった点を十分考慮して考えていただく。地方自治法におきましても一応の定数基準というものは決めておりますけれども、同時に地方団体の組織運営の合理化という一つの大きな目的がございますので、地方団体の議会の議員につきましては、その法定数を「条例で特にこれを減少することができる。」こういう条文もございます。それぞれの地域実情に応じて自主的な努力を続けていただいておるわけでございますし、私どもは今までのそういった自主的な努力は評価をしておるところでございます。
  155. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今の先生のお話でございますが、私どもは地方の自治を干渉してどうこうしようなどという意思は一つもございません。行革大綱では、地方でどういうふうにやっておられるか、例えば委員会なんかをどういうふうに進められるか、その審議の状況はどうであるかというような報告はとることにしておりますが、あくまでも内容につきましては基準を示したものであります。ただ、今政府委員答弁いたしましたように、新聞でもときどき出ておりますが、幾ら地方自治でも余りにも国民の常識というものを外れたようなことは、これはおもしろくないということを私は考えまして、別に制裁という意味ではないが、特別の指導をすべきところは指導して話し合いで改善のできるところは進めていきたいということでございます。  それから、最初に言いましたように地方行革をやりますについては地方の一般的な御努力は十分評価しております。ただ、地域によってはまだまだ進められていないところもあります。足並みそろえてやっていただきたいということでございます。ただ一番問題は国の関与、国の覊束の問題、あるいは六月ごろ答申が出ると思います機関委任事務の問題、許認可の問題、これが進められませんと本当の地方自治、地方行革というものはできないと思いますので、こういう面につきましては自治省としても十分努力させていただきます。
  156. 上野建一

    上野分科員 もう時間が残り少なくなりましたので、最後に申し上げておきます。  今の行政、政治含めて法治国家ですから、憲法なり地方自治法なりに基づく運営を期さなければいかぬと思うのです。だから、いかに第二臨調といえども、これはそういうものの上に立つものではないはずなんです。したがって、自治省はそういう観点に立って、しかも自治省というのは地方自治体を守る立場が本来の姿だろうと思うのですね。地方自治体をいじめたり抑圧したりするのが自治省の仕事ではなくて、自治省は今でも非常に弱い立場にある地方自治体、財政的にも特にそうですけれども、それを守ってくれるのが自治省でなければならないわけで、そういうことからいくとこの地方行革大綱は行き過ぎているし一道に圧迫する側に立っている、私はこう思わざるを得ないので、その点をひとつ地方自治法なりをもう一度検討してもらって、これはぜひ再検討してもらいたい、こう要望しておきます。  特に地方議会の合理化なんというのは自治省が言うべきことじゃないですよ。それこそ自主的に、選ばれた地方自治体の議員が自分たちで検討すべき問題であって、そんなに合理的にできるわけないでしょう。この国会見たってそうですけれども、そんなに合理的にやり過ぎてしまったら民主政治が死んでしまいますよ。それならコンピューターでやっていればいいので、そういう意味では一番行き過ぎているのは地方議会の合理化の問題だと私は思うのです。文章の受けとめ方が全部違います、これだけの簡単なものではなおさらそうですから。そういう意味でその点では私は要望して、これから地方自治を発展させる方向に努力してもらいたい、こう思います。  最後に、実は公営競技の収益金の均てん化を図るために公営企業金融公庫納付金制度の改正というのが自治省の関係で出ていますね。これは内容を見ますと、前進面もありますし、それから赤字団体からは取らないということですからこれは理解ができるのですが、問題はこれと関連して、これは自治省の管轄じゃないわけなんですけれども、しかし交付金というのがあるのですね。農水省、通産省、運輸省との関連で各振興会が金を集めている。ところが出す方は同じなんですよ、交付金も納付金も。出すのは皆開催の団体が出すわけで、片っ方は赤字であろうと何であろうと自治省の関係ない方は、交付金の方は赤字であっても取られるのですね。今公営競技は非常に赤字の状態がひどくなってきています。関東近辺の馬の関係は特にひどい。例えば私の地元の船橋なんかは一年で六億ぐらいの赤字になってしまうのですね。これは合理化して人をやめさせた退職金ももちろん入っていますけれども、そういう形になっています。そういうところからも相変わらず交付金というのは召し上げてしまうのですね。  その点は後で別のところでやらなければなりませんが、そこで自治大臣にお願いしたいのは、これは一本化するのが本当じゃないでしょうか。いろいろな行き方はありますよ。行く場所はいろいろと違っていたりなんかしますけれども、これはぜひ一本化して、そして補助を出さなければならぬのは補助を出す。どこでやるのか、大蔵省でやるのかどうか知りませんけれども、むしろ自治省が主導権をとって地方自治体のために努力をするということがあっていいのじゃないか。今すぐというわけにいかぬかもしれませんが、ぜひ自治大臣に少し発言をしていただいて、各閣僚の了解も得て、赤字団体からまで金を取って、しかも集まった金が必ずしも所期の目的どおり使われていない。非常に政治的な使われ方をしている、補助金のつけ方がされている。補助金も二つに分けてやっているような状態で、したがって、自治大臣が地方自治体に理解があるという立場からこれをやってみられることがいいのじゃないだろうか、ぜひそうお願いしたい、こう思いますので、最後にその点を自治大臣からお答えいただきたいと思います。
  157. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今お話しのように、交付金は畜産、機械工業等の振興、体育事業その他の公共事業の振興に寄与するために、競馬法、自転車競技法に基づいて競技の施行者が各振興会に交付するものであることは御承知のとおりでありまして、自治省のやっております均てん化を図るために公営競技の益金を一部そこからもらうということは全然趣旨が違っております。したがいまして性格は全然違っておりますので、これを一本にするのは――地方の側から言えば一本に絞った方が面倒くさくもないし、いいかと思っておりますけれども、ただ現在の制度がそういうふうに全然違っております。ただ、そうかといって、地域の納める人の考え方は今お話しのとおりでございます。ひとつ宿題として、これは関係省に事務的にもまた政治的にも私の方でリードといいますか、音頭をとりまして研究をさせていただくようにしたいと思います。
  158. 上野建一

    上野分科員 終わります。
  159. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて上野建一君の質疑は終了いたしました。  次に、大原亨君。
  160. 大原亨

    大原分科員 最初に、きょうはこの分科会質問するのにちょっと無理があったらしいのですが、自治大臣は国家公安委員長ですから警察関係の方に出ていただきまして、暴力団問題を質問いたしたいと思います。  今山口組や一和会の抗争問題等が国民の大きな関心事になっているわけですが、日本の暴力団の団体数やそれのメンバーの数や、そして第二の問題は暴力団の資金源につきまして警察庁はどのように把握をしているか、お聞かせをいただきたい。
  161. 於久昭臣

    ○於久政府委員 私ども把握をしております全国の暴力団の数でございますけれども、約二千三百団体、人員にいたしまして約九万八千人というふうに承知しております。これはピークを記録いたしましたのが昭和三十八年、このときには団体の数で約五千二百、頭数にいたしまして約十八万五千人でありましたのに対しまして、ほぼ半減という状態になっております。  それから、お尋ねの資金源でございますけれども、暴力団の資金源はいろいろございます。ございますが、中でも覚せい剤を密売するあるいは賭博をするあるいは公営競技場等におけるのみ行為、それから飲食店だとか遊技場等からの用心棒料あるいは恐喝、こういったことが主な資金源でございまして、私どもは大体このところ毎年五万人前後の暴力団員を検挙しておりますけれども、その約半数がこれらの犯罪によるものでございます。このほか、最近の傾向といたしましては民事事件に介入いたします、私どもはこれを民事介入暴力と称しておりますけれども、こういった民事介入暴力の分野の拡大、こういった傾向もあるわけでございます。
  162. 大原亨

    大原分科員 わかっておったらお聞きしたいのですが、現在九万八千名の暴力団の生活や資金ですね、そういうものの資金量は大体どのくらいで、今挙げられました資金源について、その内訳等についてわかる点があれば説明してください。
  163. 於久昭臣

    ○於久政府委員 正確にはなかなか把握しがたいわけでございますけれども、いろいろな推測、推計を加えまして全体の資金量は大体一兆円ぐらい、そんなものではないかと思っております。  それから主な資金源といいますのは、先ほど申し上げました覚せい剤の密売、賭博あるいはのみ行為、恐喝、そういったものを私どもは主要資金源と言っておりますけれども、こういったものによる資金が大体半分ぐらいではないかというふうに思っております。
  164. 大原亨

    大原分科員 資金源の中で、銀行とか会社、そういう経済団体や企業等から金を取るということはないのですか、金を出すと言ってもいいけれども
  165. 於久昭臣

    ○於久政府委員 最近は、中には五十七年の商法改正によりまして総会屋崩れみたいな形の暴力団もございまして、そういったものが銀行そのほか企業に対して恐喝まがいの行為をする。私どもはそれが犯罪になれば断固検挙するという姿勢でおりますけれども、そういったものもあるわけでございます。
  166. 大原亨

    大原分科員 暴力団と総会屋、それから右翼ですね、そういう重なりがあるのですか。つまり、商法改正以来資金源として、それから活動を合法化するために政治資金団体に登録しまして、そして会社や企業を恫喝して金を取る、広告料を取る、こういう形の暴力団、総会屋、右翼、そういうような重なりぐあい。ある場合には政党、政治家、自民党に多いと思いますが、そういう政治家との関係があるのかどうか。そして、そういう財界や政治家との背後関係、自民党だけではありませんよ、いやつまり、政党との関係があるかどうか、個人的に。
  167. 於久昭臣

    ○於久政府委員 暴力団と政治家という最後のお尋ねにつきましては、私どもはそういうことについては承知をいたしておりません。  総会屋あるいは右翼、暴力団、ここらの関連につきましては、私どもの最近におきます資金源を何とか断っていこうという検挙活動、あるいは先ほど申し上げました、五十七年の商法改正によって総会屋が総会で活躍する場をだんだん断たれてきたといったことで、私どもは総会屋のたぐいは特殊暴力というふうな表現で対象にしておりますけれども、そういったものが右翼団体を仮装する形で、そういう右翼団体まがいの看板を出したり名刺を使ったりするような形で実態は暴力団であるというふうなものは若干ございます。
  168. 大原亨

    大原分科員 自治省は政治資金団体の届け出なんかを受けているはずですよね、政治資金規正法の適用官庁ですから。最近は人数が少なくなったとはいいながら、半減したといわれますが、九万八千名もいる団体ですから、例えば政治家の後援会に入って、そして政治家と癒着をしたりいろいろな圧力をかけたり、それを政治家が利用されるという場合もあるし利用する場合もあるだろう。そういうことについて実態があるかないかについて聞きたいことが一つ。  それから、警察庁は暴力団の取り締まりについて、これは民主主義の基本にかかわる問題ですね、これについてはどういう基本方針で国家公安委員会はやっているのですか。
  169. 於久昭臣

    ○於久政府委員 最初のお尋ねの問題は、私、警察庁でございますので、自治省の関係についてはお答えをするわけにはまいりませんけれども、後段の問題につきましては、ともかく暴力団というものはどういう名目でどういう仮装をしていても一般市民生活に大変害をなすものである、社会的に容認できないものである、そういう認識を持っておりまして、これについては徹底的な取り締まりをやるという姿勢を貫いておるわけでございます。先ほど、暴力団の数がピークの昭和三十八年には十八万人いた、それが最近では九万八千名に減っておる、約半減になったということも、警察を中心にいたしました――もちろん警察だけではありませんけれども関係各方面と一体となった粘り強い活動、取り締まりの結果であると思っております。     〔主査退席、大西主査代理着席〕
  170. 大原亨

    大原分科員 政治資金規正法との関係はわかれば後で、もし時間が切れたら私の方へ資料としてもらいたい。  それから、私がきょうあえて質問をいたしたいのは広島の暴力団のことであります。最近暴力団が、言うなれば民間人ですよ、暴力団以外の、縄張り以外のところへ手を出す。風営法等の関係ありますけれども、飲食店に対しまして、出入りを断りますと汚物を持っていって投げたり、おどかして、金を出さなかったらおどかし続けたり。広島で特にひどい例としましては、数十万部発行している中国新聞の社長宅に散弾をぶち込む、それから報道部の責任者に対しまして、警察のキャップなんかをずっと務めているときに暴力団追放のキャンペーンの第一線に立った人に対しましても、自宅の玄関や壁面などに黒い塗料を塗りまくったり、嫌がらせをする。縄張りのけんかが外に出て、そしてやっているというようなことは、私は、右翼とか政治活動とかに関係したことであるだけではなしに、民主主義の基本にかかわる、例えば言論機関に対しましてピストルで圧力を加えるとかそういうふうなことではないか。これは民主主義の基本にかかわる問題であって、警察の基本にかかわる問題であって、広島は五日市問題その他非常に警察もやったと思うのですけれども、いろいろなことで私どももやり方について意見は持っております。おりますが、その暴力団についての警察の姿勢はどうなんだ、一体どういうことなんだと。ですから、そういう私が申し上げたような事実があったかないか、あるいは警察はこれに対してどう対応しておるかという点を、あらかじめ通告してありますからお答えいただきたい。     〔大西主査代理退席、主査着席〕
  171. 於久昭臣

    ○於久政府委員 お尋ねでございます中国新聞社に対する事件でございますけれども、最初の事件は本年の一月八日に発生をいたしております。これは広島市内の中国新聞社の報道部長の御自宅の塀などにコールタールのような塗料が散布されるということで、これは器物損壊の事件でございます。さらに、一月二十七日の早朝でございますけれども、同じ広島市内にございます今度は中国新聞社の社長の御自宅の二階の居室に対しまして猟銃が発砲される、こういう第二の事件があったわけでございます。広島県警といたしましては第一事件の発生とともに、これが当時中国新聞社が行っておりました暴力追放キャンペーンに対する妨害である、こういう判断のもとに、犯人の検挙と事件の発生防止のために、中国新聞の社長宅ほか数カ所につきまして機動捜査隊や警らのパトロールカーなどによります重点的な警戒をしていたわけでございますけれども、一月二十七日にこの間隙をついて第二の事件、社長宅の襲撃事件があったわけでございます。  警察といたしましては、言論機関に対するこの種の攻撃というものは言論に対する暴力団の挑戦であるという厳しい認識を持っておりまして、捜査本部を設置して現在共政会を中心といたしました暴力団の集中取り締まりを強力に展開をしております。これまでに百七十三人を逮捕しております。また、中国新聞の社長宅を含めた五カ所につきまして二十四時間態勢で警察官を張りつけて警戒をしておりますし、また関係箇所につきまして機動警ら等を実施して犯人の逮捕と事件の再発防止に全力を投入しているところでございます。
  172. 大原亨

    大原分科員 共政会というのはメンバーは大体どの程度であって、資金源やあるいは他の暴力団との関係、そういうものについて御承知であればお答えいただきたいと思います。
  173. 於久昭臣

    ○於久政府委員 共政会と申しますのは広島市内を大体根城といいましょうか、活動の中心にしておる暴力団でございまして、傘下の暴力団の数といたしましては十三団体約四百人を私ども把握をしております。資金源でございますけれども先ほど暴力団の主要な資金源について申し上げましたけれども、そういったことを共政会についても同じことが言えるかと思います。それから他の暴力団との関連でございますけれども、関西二十日会という関西を中心にいたしました暴力団の主要な八団体を中心にして、これは今抗争を起こしております山口組とある意味では対抗しようということのためにできた親睦的な仕組みがございますけれども、その関西二十日会に属しておるということが指摘できるかと思います。
  174. 大原亨

    大原分科員 その暴力団の活動で私どもが不安に思ったり不審に思ったりするのは、警察との関係一つあるのですが、警察はどこかで癒着をしておるのではないか、お礼参りの話もございますから、すぐ出てくる、こういう話があります。私はあえてこれは問題にして民主主義を守るという観点でするのですが、問題は、従来は暴力団というのは、政治に口を出しましたり、あるいは暴力団以外の人に、素人というか一般市民には手を出さないのが不文律であったわけですね。危ないけれども、市民も不安に思っているだろうが、そういうように私どもは理解しておったわけです。そこで合併問題で、統合、リコール問題で最近大問題になりましたが、五日市という一番大きい町ですが、そこへ共政会の事務所を設けるということで、超党派的に市民の反対運動が起きまして千名くらい集会してデモをしたりしておりました。事務所の設置状況なんかはどうなっているのですか。
  175. 於久昭臣

    ○於久政府委員 五日市におきます事務所の設置問題については、これを阻止をしたというふうに承知をしております。
  176. 大原亨

    大原分科員 素人へ手を出すとか市民に手を出すというのは、そういうふうに日本の暴力団は変質しているのですか。一見政治活動団体みたいな、選挙になったら支持者の名簿を集めて恐喝まがいにして票を集める、こういうふうに暴力団が非常に資金源等も拡大をする、総会屋を一部やりながら政治活動をやるということを通じて市民に手を出してきたのか。それとも暴力団の統制がきかないでそういうことを突出的にやっているのか、そういう議論も一つあるわけです。あれは統制きかないのです、こういう議論もあるわけです。暴力団は変質しつつあるのかということについて厳重な分析が必要である。組の指示を聞かない、それでやっておる、抑えようと思っても抑え切れぬというふうな議論まであるということは活動の分野が変わっているという一つの反映にもなると思うのですが、この認識はいかがですか。
  177. 於久昭臣

    ○於久政府委員 暴力団が変質をしてきたのか、もともと何でも悪いことに手を出す、金集めのためには何でもやるのが暴力団の本質であった、その本質というものが最近露骨に出てきたのか、それがよくわからないところでございますけれども、最近の暴力団はともかくいろいろな金になることに手を出して、それが多くの場合犯罪に間擬できるということで、我々も積極的に検挙活動をやっているわけでございます。昔の暴力団、大昔のことはわからないわけでございますけれども、映画等で大変格好のいいような姿で登場してくるあのいわゆるやくざと今の暴力団はそこにどのような質的な変化があるのか、私自身必ずしも十分につかんでおりませんけれども、最近の山口組あるいは一和会の抗争における彼らの姿を見ましても、親分、子分というふうなやや血縁を擬制したようなつながりよりも、利益を主体にした動きが見られるような気がどうもいたします。例えば子分ともが親分を放逐して一和会から山口組に復帰するというふうな姿も散見されるわけでございまして、暴力団もそこに露骨に利益中心的な動きが出てきたのかなという感じもいたしますけれども、ともかく私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように暴力団という組織は社会的に絶対容認できない組織である、これがおることによって市民生活に大変大きな害毒を流しておる、日本の法秩序に非常に大きな害を及ぼしておる、そういう認識で徹底した強い姿勢で臨まなければいかぬと思っておりますし、従来もそういうようにやってきましたし、今後もやっていくつもりでございます。  ただ、先生がさっきから御指摘をされておる中で、いわゆる政治と暴力団とのつながりについては私ども把握をしていないわけでございます。右翼を標榜しておる暴力団、これはそういう仮面をかぶっただけで、実態においてはまさに普通の暴力団と変わりのない姿、そういった右翼を仮装しあるいは標榜する暴力団については私どもは若干把握しておりますし、犯した行為については普通の暴力団と同様に徹底して検挙するという強い姿勢で臨んでおります。
  178. 大原亨

    大原分科員 右翼の政治集団をつくりましてがなり立てて歩いても、言論の自由という問題があるから取り締まりは非常に難しいわけですよ、政治資金の規正法にいたしましても。一般の人々は風営法の関係ありますけれども、歓楽街等が自粛をしようという気持ちが一部あるわけですから、暴力団の出入りを拒否しようという意向もあるわけです。あるわけですが、百数十名広島で検挙されたという話ですが、検挙された人がすぐ出てきて嫌がらせをするとか、俗にお礼参りと言いますが、そういう姿を見ると、もう大体良心的な住民は手を引くわけです。それは私は、非常にいろいろな問題がありますが、学生の非行化の問題等その他たくさんありますけれども、民主主義社会の基本にかかわる問題だと思う。特に、キャンペーンを張った言論機関に対しましてやる。私がここで発言しますとどこかで反応があるだろうと思うのですが、どういう反応があるかということが私は問題だと思っていますけれども、しかしそのことを避けて通ると民主主義というものは絶対に守ることはできないと思います。  この件については、法務省も御出席いただいておると思いますが、検察側の方針として、暴力団に対処する方針は、一応はここに、新聞にも出ておりますけれども、いかがなものであるか。
  179. 馬場俊行

    ○馬場説明員 お尋ねの暴力団犯罪につきましてですが、最近いろいろな事件が発生いたしておりまして、この種事犯の取り締まりの重要性ということは検察当局といたしましても十分承知しているところでございます。  従来からでもございますけれども、暴力団構成員等によりますいわゆる暴力団犯罪につきましては、警察御当局その他関係御当局とも十分協力をいたしまして厳重な取り締まり、犯人の早期検挙、それから起訴した後におきます厳正な科刑の実現ということで努力してまいってきていると思いますし、昨今の状況も踏まえまして、今後ともさらに一層そういうことに努力してまいりたいというふうに承知しておるわけでございます。
  180. 大原亨

    大原分科員 暴力団が政治資金規正法団体として届け出て、そして何らかの名前で活動しているというふうな状況等が把握できる資料については、別途私の手元に出していただきたいと思います。  これは最後でありますが、国家公安委員長である古屋長官の暴力団の問題に対するこれからの対処の仕方、決意を含めて所信を表明してもらいたいと思います。
  181. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 先生のお話を伺っておりまして、暴力団の一掃、これが壊滅するまで警察の総力を挙げて徹底的に取り締まっていかなければならないという決意を強くしておりますし、そういう決意を警察庁長官を通じまして全警察官に徹底するようにいたしまして、特に言論機関に対する暴力の問題あるいはまたお礼参りの問題、正常な市民生活を害するような行為につきましては、今後警察力を総動員いたしまして、壊滅いたすまで取り締まりを続けるという決意を十分警察に徹底するように私努力をさせていただきたいと思っております。
  182. 大原亨

    大原分科員 以上で終わります。
  183. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。  次に、左近正男君。
  184. 左近正男

    左近分科員 私は、各都市が経営しておる都市交通の問題について若干質問をしたいと思います。  今、地方公共団体が経営している交通事業、これは軌道法、地方鉄道法、自動車運送事業法に基づいてやられているわけですが、大変な経営危機に瀕しているわけです。このことについて、自治大臣としてどういうような認識を持っておられるか、お答え願いたい。
  185. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 公営交通事業は大都市を中心にいたしまして、一日大体千八十万人、年間四十億人を運んでおりまして、公共交通機関として重要な役割を果たしていることは御承知のとおりでございます。  この公営交通事業の経営状況でございますが、五十八年度の決算によりますと、バス事業では約半数の事業が経営赤字を出しております。また地下鉄事業におきましては、ほとんどの事業が大きな赤字となる大変厳しいものとなっております。こういう事態に対しましては、まず第一義的には事業者におきまして経営の効率化と料金の適正化を図ることが肝要でありまして、さらに、一定のルールのもとに一般会計等による適切な経費負担を行うことが必要であると考えております。自治省といたしましても、今後ともこれらの事業が健全な経営を行い、その使命を果たせるように必要な指導を行ってまいりたいと思っておる次第であります。
  186. 左近正男

    左近分科員 今大臣の方から今日の公営交通の現状について的確な見解の表明があったわけですが、このようになった原因は何なのか、どうお考えですか。
  187. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 ただいま御指摘の件でございますが、御承知のようにバスや路面電車のような路面交通事業につきましては、モータリゼーションの急激な進行が公共交通機関の乗客をマイカーへ移行させるというようなことがございました。その結果といたしまして生じます道路混雑がバス、路面電車の運行速度を低下させ、また定時性を喪失させるというようなことによりまして、乗客の逸走に一層拍車をかけたところでございます。このような乗客減という傾向に対応いたしまして、事業体側の経営の効率化あるいは事業規模の適正化等の対策が適時適切にとられなかったような事業が、特に現在厳しい経営危機に陥っているというように考えられるわけであります。  また地下鉄でございますけれども、大都市におきます交通需要の急増に対処いたしまして、路面交通の混雑緩和を図りますために、かねてから地下鉄の整備を積極的に進めてきておるわけでございますが、その建設には御承知のとおり莫大な建設費を要しますし、その金利負担や減価償却費等の資本費負担が現在過大なものとなっておりまして、これが極めて大きく経営を圧迫しておるというように認識いたしております。
  188. 左近正男

    左近分科員 今御指摘のとおり、私大阪出身ですが、大阪の交通事業昭和三十年代の前半までは大体黒字であったわけです。それが三十五年くらいから赤字になってきた。これは今御指摘のように、やはり日本の経済の高度成長とともにモータリゼーション、自動車が社会的に非常に急増した。今日、免許を持っている方が五千万人、自動車台数が四千三百万台、こういう異常な状況になってきているわけです。そういうことで、自治省も昭和三十年ぐらいからいろいろと対応をしてきたわけですが、今日まで健全化問題について具体的にどういう方向で対応してこられたのか、お尋ねをします。
  189. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 路面交通事業につきましては、昭和四十一年度から地方公営企業法の一部を改正いたしまして、いわゆる第一次の財政再建を実施してまいっております。この第一次再建に引き続きまして、昭和四十八年度から公営交通経営健全化法といういわゆる特別法を制定いたしまして、第二次財政再建を実施いたしております。現在、進行中でございます。  現在実施いたしておりますこの第二次財政再建は、再建の指定を受けました二十四団体に対しまして、不良債務を棚上げいたしますための財政再建債の発行、当該財政再建債の利息の全部または大部分を国が補給するといったような措置をとっておりますし、さらに当該財政再建債の償還金につきましては一般会計が助成をするというようなことを行ってきております。  また、地下鉄でございますが、建設費補助金、これは運輸省の所管の補助金でございますけれども、両省共同いたしましてその拡充に努めてまいっておりまして、現在七〇%補助方式にまで補助率を改善いたしております。さらに、改善されませんでした補助率の適用を受けてまいりました期間の資本費負担の軽減を図りますために、企業債利息を対象といたしまして特例債の発行を認めておりますし、その特例債の利子の一部につきましては国が補給するというようなことをいたしておりますし、また、特例債の償還元金につきましては一般会計が助成するというようなことをやっております。さらに、五十九年度からは、地下鉄事業の稼働初期における多額の資本費負担を長期にわたって平準化いたしますために、その企業債利息を対象にいたしました起債措置を講じておるところでございます。  なお、先ほどまで申し上げました交通事業の経営健全化のための一般会計が行います財政援助につきましては、地方交付税等におきまして所要の財源措置を講じてまいったところでございます。
  190. 左近正男

    左近分科員 今御指摘のとおり、昭和四十一年の第一次再建、四十八年の第二次再建ということで、自治省としてもかなりいろいろと努力をされている点については私は認めてもいいと思うのです。一方、当該の事業、これは管理者も含めまして職員はいろいろ大変な苦労をしておるわけです。その点についても自治省も大方お認めをいただいておるのではないか、このように思います。  そこで、今日までとられてきた自治省のいろいろな努力について、総括的に見まして今日それがうまくいったという判断をされておるのか、今のような状態ではこれはもうどうにもならぬ、壁にぶち当たっているというような判断をされておるのか。どうですか。
  191. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 お尋ねの点につきましても、路面交通と地下鉄に分けさせていただいてお答えさせていただきます。  まず路面交通の関係でございますが、先ほど申し上げましたように、自治省としましても一生懸命財政再建措置を講じてまいったわけでございます。これらの措置によりまして、累積しておりました不良債務、これは計画どおり解消に向かっております。さらに再建計画の実施を通じまして事業運営を効率化しまして、経営体質の改善を図ってまいっております。国の財政援助措置等と相まちまして、それぞれの事業間には若干の差は見られますけれども、一応所期の成果は上げておるというように考えております。しかしながら、今なお路面交通事業を取り巻きます環境は極めて厳しいものがございます。引き続き、交通需要に即応しながら事業経営の効率化、利用者負担の適正化等、それぞれの事業体におきまして経営の健全化に努めてまいる必要があろうと見ております。次に、地下鉄事業でございますが、これまでとられました建設費補助制度の改善、利子補給及び地方債措置等は地下鉄建設の促進に大きな役割を果たしてきたところであると認めております。一方経営面を見ますと、御承知のとおり、地下鉄事業はおおむね三十年という長期間で採算をとり得る性格のものであるということ、それから当面の資本費が極めて大きいということのために、現在地下鉄の収支はかなり悪化しているところでございます。引き続き今後とも地下鉄事業の経営健全化に自治省としては努力してまいりたいと考えております。
  192. 左近正男

    左近分科員 私は公営交通の出身でございますので、長くその事業に携わってきたわけです。今日までの状況を見てみますと、私は悪くなってきたのではないかというような判断をしているわけです。なぜか。やはり今自動車社会というか自動車の洪水で、公営交通、大量輸送機関というのはもう瀕死の状況です。したがって、一部財政的な側面だけではなしに、社会的な政策アプローチを私はしていくべきではないか。特に自動車総量をもっと規制をさしていくということが公営交通、特にバス事業の復権のためにはどうしてもやっていただかなければならぬことだ、このように私は思っておりますが、いかがですか。大臣、どうですか。
  193. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 交通規制の問題につきましては、私ども直接所管しておるところではございませんが……(左近分科員「所管とかということではなしに、再建するためにどういう考え方かということや」と呼ぶ)警察庁その他関係当局と、例えばバス専用レーンあるいは優先レーンの延長等につきましてはかねがねいろいろな申し入れをいたしまして、御協力をいただいてまいっておりまして、かなりの整備が進んできておると思います。  しかし、現在のところは道路の構造そのものにもやや限界が出てまいっておりまして、ごく最近、専用レーン、優先レーン等の延長が図られているという事態ではございません。私どもといたしましては、路面交通の総量規制というようなことが行われますならば、公共交通機関にとりましても大変有利な状況になろうかと思います。企業環境は改善されるわけでございますけれども、一方で、マイカーその他によります自動車交通需要というものも社会の進展に応じて出てまいっておりまして、それとの兼ね合いが非常に難しいという状況であろうかと思っております。このために、都市に流入する自動車の総量規制ということは、なお現時点では極めて難しい問題ではなかろうかと私どもの立場なりに観測しておるところでございます。
  194. 左近正男

    左近分科員 私は、そのことを手がけなければ公営交通の財政的な側面からの再建も難しい、このように思っておりますが、きょうは時間がございません。  一言だけ。この第二次再建、六十二年でほぼ終わると思うのですが、その後第三次再建というような考えを自治省としてはお持ちですか。
  195. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 一部に、第二次再建が終了しました後第三次再建をやるべしという御意見も聞いておるところでございますけれども、現時点では、なお第二次財政再建が六十二年度まで進行いたしますので、この第二次財政再建制度を有効に活用して着実に再建を進めていくべきであろうと思っております。六十三年度以降につきましては、現時点では必ずしも明確な対策等考えておりません。しかしながら、御承知のように地方公営企業法には準用再建という制度もございますので、必要な団体におきましてはこの活用を図っていただくことによりまして対処できるのではないかという考え方もございます。
  196. 左近正男

    左近分科員 わかりました。  大臣大臣は国家公安委員長もやられておるわけでして、今、特に大都市では自動車の不法駐車が物すごいのですよ。大臣、各都道府県大臣からびしっと通達を出していただけませんか。
  197. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今のお話は全く私も同感に思っております。毎日通う道におきましても、ちょっと注意すれば不法駐車というものは随分少なくなる。ほかしておくとすぐまたふえておるというのが私の実際見た経験でございます。それで交通の円滑を阻害して交通能力を違法駐車は妨げておるわけでございますが、交通事故の誘因ともなっておりますので、私は交通への妨害性、危険性等を勘案して、重点施行の取り締まりを一層強化していかなければならぬと思っております。  それで、先生も御承知と思いますが、指導取り締まりの一環といたしまして、今度道交法の改正をお願いすることになっておりまして、シートベルトの問題、それから今違法駐車がありますとそれを引いて一定のところへ持っていくということになっておりますが、そのままでとりに来ない人をどうするかというと、今はそれだけでございます。今度の改正法案におきましては、一定の場所に置いて一定期間とりに来ない場合には、それを売却処分してその金を保管する、こういう形にすることも考えておるところでございまして、法案成立の暁にはそういう点も加えまして、違法駐車の問題は一層指導取り締まりを強化してまいりたいと思いますが、現在におきましてはお話のとおりでございます。十分その点は警察の方へ、駐車についての指導取り締まりを徹底的に強化するように指示をいたす決意でございます。
  198. 左近正男

    左近分科員 それでは次に、ローカルな問題で申しわけないのですが、大阪市の行政区の再編を近く行っていくというような方針が出されたわけですが、このことについて自治省に事前に説明がございましたか。
  199. 大林勝臣

    ○大林政府委員 去る二月十六日に、その問題についての報告書が市長に提出された時点で御報告がございました。
  200. 左近正男

    左近分科員 地方自治法の第二百五十二条の二十ですか、これで指定都市における区の設置を規定されておるわけであります。したがって、当該指定都市は住民の総意に基づいて条例を改正して行政区の再編成が独自でできるだろう、私はこのように思っております。  そこで、行政区の再編を行うことにより衆議院議員の選挙区の線引きに影響が出る場合、具体的にどうするのかということであります。確かに公職選挙法の十三条では現在のままでもいけるというような規定になっておりますが、大都市における合区をした場合、現実問題として今までのような形で選挙をやりなさいということにならないだろうと私は思うのです。したがって、例えば大阪市が合区をする、それによって衆議院の選挙区が二以上にまたがる場合、当然自治省として何らかの線引きをしていかざるを得ないだろうと私は思うのです。この場合どういうような基本的な考え方でこの線引きを行われるのか、この点をお聞きをしておきたいと思います。
  201. 小笠原臣也

    ○小笠原政府委員 お答えを申し上げます。  指定都市の区の設置及び境界変更につきましては、公職選挙法の施行令の第百四十一条の二第二項によりまして区を市とみなすこととされておるわけでございます。お尋ねのような合区がなされた場合は、公職選挙法上は新たな市の設置があったものとして取り扱うことになるわけでございます。したがいまして、合区が衆議院議員の二以上の選挙区にわたってなされました場合には、公職選挙法の第十二条三項、あるいは同法施行令の三条一項の規定に基づきまして、当該合区によって新しく生まれた区が所属すべき選挙区については、関係選挙区における議員一人当たりの人口あるいは合区前の旧区のそれぞれの人口、その他の事情を勘案いたしまして自治大臣が定めることとされておるわけでございます。  指定都市の区をどのように定めるかは、御指摘のように当該指定都市の判断にゆだねられている問題でございますが、今申し上げましたようにいろいろ影響する面がございますので、関係者の理解を得ながら進められることが望ましいと考えておるわけでございます。
  202. 左近正男

    左近分科員 わかりました。  次に、指紋押捺の問題で少し大臣の見解をお聞きしたいのですが、外国人登録法に基づく指紋押捺制度について、これは人道上も人権上も好ましいことではないと私は思っておりますが、大臣の見解はいかがですか。
  203. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 在留外国人の公正な管理は、公共の安全を保護する上に必要であることは先生も御承知のとおりであります。  ちょっと横道にそれるかもしれませんが、実はこういう考え方を私はしておるのであります。  今時に韓国人の問題がやかましく言われております。こういう問題につきまして、もし指紋押捺をなくす、あるいはまた登録証をなくしてしまった、そういうようなときに私ども日本人が、この方は韓国の方である、この人は北鮮の方であるというような区別はできないわけでありまして、この十五年間に大体百五十人ぐらい北鮮と思われる者が密入国されて、日本で検挙された者の大部分が指紋または登録証の偽造とか、そういうことによって検挙されておるわけでございます。韓国の状況から見まして、私どもはお互いに韓国の正常な発展を期待しておりますが、ただ、こういう方がもし登録証がなくてどんどん韓国の方へ入っていくというようなことになりますと、これは思い過ぎと言われれば思い過ぎかもしれませんが、私は大変おもしろくないという考えでございます。  そういう意味におきまして指紋制度を三年から五年にしちゃって、登録証のあれを変えて二年半ばかりたっておりますが、そういう制度を根本的に廃止することは、今のところでは先ほど申し上げた見地で私は反対でございます。ただ、それをどういうふうに緩和するかということはまた別の問題として考えていい、これが私の考え方でございます。
  204. 左近正男

    左近分科員 今の大臣の見解はちょっといただけないところもあるわけですが、いずれにしても大阪府も含めて約六百の自治体から、この問題について何とか善処してもらいたいという要望があり、各地方議会で議決もされているわけです。この辺の状況について、自治体の責任者である自治大臣も十分理解を示してもらって、柔軟な対応をしていただくように私は特に要望しておきたいと思うのです。  この問題は、本来各自治体からの告発を受けて初めて捜査をしていくというようなことになるのだろうと思いますが、大阪府において、自治体が告発しないのに警察の方で書類送検をされたというようなことを聞いておるのですが、こういう事実はございましたか。
  205. 鳴海国博

    ○鳴海説明員 お答え申し上げます。  外登法違反の事件について告発が捜査の条件になるかという問題でございますが、従来この種の事件は告発を端緒として捜査を行う場合が多いわけでございますけれども、告発は捜査条件であるということにはされておりませんので、告発がなされておらなくても捜査を行う場合はあり得るわけでございます。
  206. 左近正男

    左近分科員 それは法的には可能だと私は思いますよ。しかし現実に当該人と幾度も話し合っておるわけですね。そういうような進行中の状況の中で警察が、強権と言えばおかしいですけれども、そういうことをやられることについては、私は少しおかしいんじゃないかと思うのですが、この点どうですか。もう簡単でよろしい。
  207. 鳴海国博

    ○鳴海説明員 この種事案は、ただいま申し上げましたように、市町村からの告発を待って捜査することが多いわけでございます。ただ、公然と指紋押捺を拒否することを宣言した上で違反行為に及んだ者であるとか拒否後相当期間が徒過いたしておる事案、こういったものについては告発がなくても捜査いたすことになるわけでございます。
  208. 左近正男

    左近分科員 私は法的な解釈では今御答弁になられたことについて全く否定するものではありません。しかし、国民感情的にあるいは民族的な問題も含めて、やはり今日社会的に大きな問題になっておる本件について、もう少し警察庁も十分耳を傾けて対応すべきではないか、このことを強く申し上げておきたいと思います。もう見解は結構です。もう見解は出ないでしょう。  次に、私は大阪ですので、先ほど大原先生の方からも暴力団問題が出ましたが、大阪のミナミの繁華街を先日夜歩いたんですが、風営法の関係もあるかもしれませんが、もう九時過ぎには閑古鳥が鳴くぐらいなんですよ。いろいろ取り締まりについては厳格にやられておるらしいですが、法に触れない、例えば同じビルの中に暴力団の事務所がある、それでもうお客さんも寄りつかないということで喫茶店なんかがつぶれておるとか、大変な副次的な影響が出ているわけですね。先ほど公安委員長として毅然たる答弁をいただきましたが、大阪の町は大変ですよ。この点、ただ単に発生した暴力、法的な違反だけを摘発していくというようなことではこれはかなり長期化するだろうし、いずれいつかの時期には市民を巻き込んでいく、このように私は思うのです。したがって、もっと効果的な手だてがないのか。また裏で、裏と言えばおかしいですけれども、法的以外の面で非常に市民が迷惑をしている事例がたくさんあるわけです。ここらの問題について何の手も打てないわけですよね。これは非常に遺憾なんです。この点について大臣として、国家公安委員長として、ひとつどういうような考え、決意を持っておられるのかお聞きをしておきます。
  209. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今のお話のようなことから、あるいはまた暴力団の対立抗争によりますいろいろな問題、あるいはまた暴力団の存在により安全な市民生活が邪魔されておるということは、看過できない善良な市民生活を害する行為でありますので、いやしくも暴力団につきましては、法のあらゆる面を活用いたしまして徹底的に取り締まっていく、こういうように改めて私からも警察庁長官を通じましてその趣旨を徹底するように努力をさせていただきます。
  210. 左近正男

    左近分科員 もう終わりますが、自治大臣、事前に言っていなかったのですが、京都の古都保存協力税について自治大臣としてあっせんするお考えはございませんか。
  211. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今は実は第三者あっせんが行われるところでございます。その経過を見守っておりますので、私は、この条例を決められたのですから、税源が確保できるように話し合いがつくことを期待しておるわけでありまして、それがつかなった場合にはどうするかという問題だろうと思いますが、法律の上では条件がそろっておればこれを許可しなければならないということになっておる。それで、今留保しておるのは、税源が確保できるかどうか話し合いを続けておるからこれを見守っておるつもりでございまして、いつまでもこのままでは許されませんので、その話し合いの結果を見ながら適正に対処をしてまいりたいと思っております。
  212. 左近正男

    左近分科員 ありがとうございました。
  213. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて左近正男君の質疑は終了いたしました。  次に、滝沢幸介君。
  214. 滝沢幸助

    滝沢分科員 委員長、どうも御苦労さまです。大臣初め皆さん御苦労さまです。  最初に、ちょっと細かいことかもしれませんけれども、各市町村からの要望でございますので、一言要望してお考えをただしておきたいと思います。  実は各市町村が起債の許可を府県から受けるわけです。御存じのとおりです。しかし、府県は国の対応によってその姿勢ないし計算上の基礎が決まるでしょう。そのような意味で、各市町村はもっと早く決めてちょうだいしないと仕事に取りかかりにくい、こう言っているわけでありまして、いわば許可の手続が早く、合理的に、簡素に進むようなぐあいの工夫はなされないものかどうか、まず簡単なことでありますが、一言お伺いさせていだきます。
  215. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方債の許可手続の簡素化につきましては、先生承知のように、昭和五十三年度以降毎年度改善を図ってきておるところでございます。現在では枠配分方式によりまして起債の許可予定額を配分する事業の範囲が大幅に拡大されておりまして、五十八年度の普通会計債で見ますと、市町村分の許可額の九九%、それから都道府県、指定都市分の許可額の八九・五%というものが枠配分方式によっておるところでございます。また、市町村分のうち補助裏債とか全額民間資金債につきましては、大蔵省の財務事務所や財務局への起債申請書の写しの提出やヒアリングをなくするといったことで、その関与をできるだけ廃止あるいは縮小してきております。また、資金運用部の借り入れに当たっての提出書類につきまして一部の廃止あるいは簡素化が図られるというふうなことで、できるだけ地方団体の手続の簡素化を図っておるわけでございますが、この起債の許可手続を早めるということにつきましても私どもはできるだけ努力してまいってきておりまして、市町村の財政運営に支障のないようにやっておりますし、またできるものはさらにその方向で努力してまいりたい、このように考えております。
  216. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大変理解あるお答えですが、今なおその状況の中で市町村は盛んにこのようにおっしゃっているわけですから、最後のくだりの今後ともということでどうかひとつ、地方の時代と言われているわけです。しかし、負担の地方の時代であってはいけません。また、一律補助金カットだけの地方の時代であってはいけません。地方地方がそれぞれ地方自治の本旨を全うできるように、中央において温かい施策をいただかなければならぬわけでありまして、どうぞひとつ先ほどの最後のお答えのようなぐあいにお願いしたい。大臣、どうぞお願いしたいと存じます。
  217. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 そういう点、今の先生のお話に十分留意をいたしまして、一層促進を図ってまいります。
  218. 滝沢幸助

    滝沢分科員 次に、これは自治省にとっては変なとばっちりとお考えかもしれません。そうお考えいただくところに私は過ちの根源があろうと思っていることなのでありますけれども、最近新聞、テレビで話題になっております東京中野区の教育委員の候補者の準公選のことであります。このことにつきましては、あれは任期は四年ですか、ですと四年前になりますが、その時点でも大変議論になったことでありますが、きちんとしないまま、また改選期を迎えたということになるわけでございます。実はこれにつきましては文部省が五十九年三月五日に次官通達の形で勧告文のようなものを出していらっしゃる。ここに写しをちょうだいしておりまするけれども、せんじ詰めればこれは好ましくない、やめてちょうだいというものと拝見するのであります。文部省から見えていただいているわけでありますけれども、この通達の趣旨、そして通達を出しなさって以来今日まで、これは五十九年三月ですから、それ以来の御努力の跡をお伺いしたいと思います。
  219. 倉地克次

    ○倉地説明員 お尋ねの中野区の準公選の問題でございますけれども、私ども、この問題につきましては、法律の規定に違反すると同時に、教育行政の政治的中立性の観点から極めて好ましくないものであるというふうに考えておる次第でございます。  それで、今先生からお話のありましたように、五十九年三月五日に地方自治法の規定に基づきまして事務次官から勧告をいたしまして、条例について適正な対処が行われると同時に、教育委員の選任についても適正に行っていただくよう勧告した次第でございます。  その後の経過を申し上げますと、五十九年度の予算などにつきましては、中野区の議会の中においてもいろいろ御議論されたように承っておる次第でございます。それで、六十年の二月になりましてからいわゆる準公選といたしまして郵便投票などが実施され、その結果、昨日一名の委員につきまして教育委員の選任が行われた次第でございます。  私ども、こうしたことにつきましては極めて遺憾であるというふうに考えているわけでございますが、今後とも機会をとらえまして、適正な任命が行われるよう粘り強く指導してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  220. 滝沢幸助

    滝沢分科員 実は大臣、私は、二十六歳だったと思うのですけれども、往時茫々、その年さえも忘れましたけれども、町の教育委員制度ができましたときに立候補して当選したものでした。そして三年ですか二年ですか過ぎまして再選されまして、その次に、三十一年に公選制が廃止になります。そのときはいわば日本じゅうを揺るがすところの教員組合等が中心となりました反対運動が展開されました。しかし、この三十一年にいわゆる任命制という地方自治の路線が厳然と引かれたわけですね。以来、今日に至っているわけでありますけれども、今の状況を見ますると、任命というふうに法律になっている、文部省からそれは好ましくない、おやめなさいと言われているこの準公選、いわゆる公職選挙法によらざるところの公職の実際的な選挙というものが行われている。このことはゆゆしきことと私は思うのであります。  例えば農業委員、これは全国非常に無競争地区が多うございまして、必ずしもこれに対して有権者が情熱を燃やして選ぶという姿勢にはなっていない。これは任命制でいいのじゃないかという声も一部にありますけれども、これはしかし公選制が厳存しているところであります。しかし、もしある町村がこれを省略するような条例をつくった、ないしは民生委員等は民意を尊重すべきであるということでいわゆる準公選みたいなことをしたというようなことに数々なってくるならば、あれは大阪府の高槻市でありますか、これなんかも中野区に見習おうという姿勢もあるわけでありまして、こういうことになりますれば、地方自治のルール、根幹というものが大きく揺らぐであろうと私は心配いたしまして、今のような時期に政府がきちんとした一つの方針と不退転の決意でこれらのことを整理されるべきだと思うのでありますけれども、いかがでありますか。
  221. 大林勝臣

    ○大林政府委員 中野区の教育委員の準公選制をめぐっての御質問でございますが、この問題につきましては、従来から地教行法違反であるというようなお立場から文部省がそれに対する是正の指導勧告をされてこられたところでありまして、私どもも法律と条例との関係につきまして、それぞれの個々の法律についての趣旨なりあるいは条項なり、そういったものに具体の条例が抵触するか抵触しないかというような問題については、現在の組織におきましてはその所管省であります文部省の立場を私どもも尊重してまいるというつもりでございます。  先生がおっしゃっております法律による公選制、これをとっておるものととってないものが現在一応区分けされておりまして、とっていないものについて、事実上そういう選挙制度にするというようなこと自体が個々の根拠法律に違反をするというような事例も出てまいろうと思います。ただ、そういう場合にどういうふうな取り扱いをするかという問題につきましては、昔と違いまして現在におきましては地方自治の原則というものがございますので、少なくともその団体の事務であります限りは、昔のような強権的な是正措置というものは制度上は現在はとっておりませんし、また今後もそういうことをとることは難しかろうと考えております。結局は、そういった個々具体の問題につきましては、現在の段階におきましては、息長く両当事者に指導、是正の努力を続けていただくという以外にないかと存じます。  お答えにならないようなことでございますけれども、結局これが国と地方団体との関係の根本的な原則ということでございますので、御了解いただきたいと思います。
  222. 滝沢幸助

    滝沢分科員 中野区がこの準公選のために使っている予算というか公費というか、これは幾らですか。
  223. 倉地克次

    ○倉地説明員 予算上は三千五百万というふうに承知している次第でございます。
  224. 滝沢幸助

    滝沢分科員 地方自治団体の予算の組み方等については、ないしは使い方等については自治省は何か指導とか助言とかあるんですか、ないんですか。
  225. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方団体の経費、公金、こういったものの支出につきまして、不当な支出であるとかあるいは違法な支出につきましては、国として当該地方団体に対して指導あるいは勧告をする、是正要求をする、こういったシステムになっております。
  226. 滝沢幸助

    滝沢分科員 法律にない行為をするために三千五百万が支出されている。これは例えば自治省からの強い指導がありまして、なお服さざる場合は交付金のカットというような措置がよそのことだったならばとられるんじゃなかろうかと思うのですが、いかがでございましょうか。あわせて、いわゆるこの中野区の準公選、このことをめぐって自治省は具体的な指導に乗り出すべきだと思う、そういう責任があると私は思う。これを文部省の分だと言っているところに私は自治省の姿勢の足らざる点があると思うのだけれども、これはいかがですか。
  227. 大林勝臣

    ○大林政府委員 自治省といたしましては、一般的な地方団体の財務運営、そういったものについては指導をしてまいりましたし、今後も指導する立場にあるわけでありますけれども、個々の事務事業が具体の法律の根拠に基づいて行われておるというものにつきましては、その法律を所管しておられる省庁が結局一番の所管省ということになるわけでありまして、そういった所管省による御指導というものを前提といたしておるわけであります。
  228. 滝沢幸助

    滝沢分科員 指導する気はないですか。
  229. 大林勝臣

    ○大林政府委員 文部省におきまして今後も御指導いただくと存じますし、自治省として、結局他省の所管の問題につきまして個々の地方団体を指導するということは差し控えておるところであります。
  230. 滝沢幸助

    滝沢分科員 文部省はどうしますか。このままにしておくのですか。
  231. 倉地克次

    ○倉地説明員 今お話しにございましたように、五十九年の三月の段階におきまして、いわゆる準公選のための予算が計上され、それが議会に提案された次第でございます。それで私どもといたしましては、そうした予算が計上され提案されたことは極めて遺憾である、そして条例については適切な対処を行うように、また教育委員の選任については、地教行法の規定に基づいて選任を行うようにということで三月五日に勧告をした次第でございます。その結果、中野区の議会におかれましては、いろいろ議論をされた次第でございますけれども、結局におきましては五十九年度予算案は可決されたということになっている次第でございます。  私どもといたしましては、大変現在の事態は遺憾ではございますけれども、機会あるごとに粘り強く指導してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  232. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そうして文部省と自治省が文書を出したとか出さぬとか言っていれば、どんどん見くびられてこの地方自治の根幹は揺らぐのです。どうかひとつ、両省力を合わせ責任を分かち合ってきちんとこれを整理してほしい。大臣どうですか。
  233. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 御指摘につきましては、文部大臣ともよく連絡をいたしまして適切なる措置をとりたいと思っております。
  234. 滝沢幸助

    滝沢分科員 どうぞひとつそのようにお願いしたい。そうでありませんと、自治省のこけんにかかわる、文部省の権威にかかわる、こういうふうに私は警告を申し上げておきます。文部省御苦労さまです。なお、今の議論のことは大臣にもよくお伝えになってきちんとしてちょうだい。  次に、固定資産税の評価のことであります。  この固定資産税の評価につきまして、今ちょうど作業がされている時期かと思うのでありますが、申し上げたいことの一つは、この評価のたびごとにこれが上がってくるのです。これは諸物価が上がるからというようなことでありましょうけれども、御存じのように、五十七年の評価がえのときは二四%上がりました。伝えるところによりますと、ことしの評価がえにつきましては、一九%ないし二〇%くらい上がるだろうと予想されているというのでありますけれども、これはどういうことですか。上がりっ放しのような姿でいいのかどうか、所見を承りたいと思います。
  235. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 昭和六十年度、固定資産税の土地、家屋の評価がえの年でございます。現在評価が大詰めに来ておる段階でございます。特に土地につきましては、お示しのように全国の基準地の価格、各県ごとの基準地の価格で、宅地の場合特に一九・九%という数字になっているわけでございます。  固定資産の評価につきましては、地価の動向等を定めまして、各団体におきましてそれぞれ適切な評価をしこれを自治省において調整をする、そして基準地価格を決めていくということでございますが、三年前と比較いたしますと、確かに地価の上昇の割合は毎年少しずつ下がってきておるわけでございますが、今回の評価につきましては、五十七年の評価の前提となったときの地価からの上昇ということになりますので、地価公示価格その他の数字から見てみまして、一九・九%くらいという数字が出てまいっておるわけでございます。これに基づきまして各市町村で評価を進めておるところでございますが、ただ、宅地につきまして一九・九、大体二〇%前後ということになろうかと思いますが、実際の税負担につきましては、これを一度に二〇%ということは負担が重過ぎると考えておりまして、そのために負担調整措置をもちまして、通常の二〇%前後の土地であるならば、初年度は税負担としては一〇%程度ということに現在地方税法の改正案で御審議をいただいておるところでございます。
  236. 滝沢幸助

    滝沢分科員 何か昔から風が吹けばおけ屋がもうかる、固定資産の評価がえがあればだれがもうかるのでしょうかな。これひとつ考えてちょうだいよ。土地で生産をして土地で金を上げる人はいいですよ。だけれども一般の家庭なんというのは、去年もおととしも、来年も再来年もただ住もうているわけです。その住んでいるのが、一晩夜が明けたら市役所さんが見えてくださって調べていただきましたならば二〇%上がる、これは大変なことです。住まいというのは御存じのように生産しませんからね。そこでこれはちょっと考えてみましても、家を建てるときにはそれなりの土地代が上がってくるし、また都市計画税というものも上がるでしょう。そして特に大事なことは、健康保険であれ所得税であれ、一切合財のその積算の基礎が上がるということですから、これは大変なことです。ここにマンションを建てれば入居料が上がるでしょう。借地をする者には借地料が上がるでしょう。家を借りる者にとっては家賃が上がるでしょう。そういうことになるわけですから、今一〇%とおっしゃいましたけれども、これは極力税負担の軽減という線に沿って努力してもらわないことには、あなたの家はきょうから評価がこう変わりましたよと言ってもその人の所得はふえないわけですから、これは大臣どうかひとつ親切な目でこのことを見ていただかなければ、おけ屋はもうからなかったけれども、上がる、上がる、このように上がったけれども中曽根内閣の評価だけが下がるということになりはせぬか、こう思うのであります。どうかひとつ経験豊かな大臣の賢明な判断を期待したい。一言お願いします。
  237. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 御意見のあるところを十分私も考えまして、固定資産税が上がればおけ屋じゃなくて恐らく貸し家の家主だとか、あるいは地代が上がる、そういう点もよく考えまして適正な措置をとるように努力をしていきたいと思います。
  238. 滝沢幸助

    滝沢分科員 どうぞひとつお願いします。  そこで、ところがさっきの評価ですよ。この評価をめぐりましてこれまた市町村から大変な不満といいますか、かなわぬという言葉が出てくるわけであります。固定資産評価補助員というものがあるのですね。これは評価員というものがありまして、それを補助する意味の補助員というのでありましょうか。ところが、その規程の第二条に、「固定資産評価補助員は、地方自治法に言う事務吏員、技術吏員などと並ぶ市町村一般職員である。したがって、その昇任については地方公務員法第十六条の欠格事項の規定が適用される。そしてずっと書いてきまして、とにかくこれを義務づけているわけでありまするけれども、どうしてこういうことを市町村の吏員の義務に、いわゆる市町村の義務にするのでしょう。これは国の責任でやるべきだろう、それはちゃんと一切合財法律に基づいて、これだけの税金は取りなさい、これだけ取ってはいけませんということになっているのですから。今地方行革と言われるときに、地方の市町村は職員をどうかして減らしたいと思っているのです。ところが義務設置のことばかりが多くて実際減らせないじゃありませんか。いわば土地家屋調査士とかないしは不動産鑑定士というようなものがあるのですから、立派な知識人、技術者があるのですから、ただ一つ問題点は、プライバシーといいますか機密保持のことでありましょうが、これはお医者さんだって同じで弁護士だって同じなんですから、そういう民間の仕事がたくさんあるのですから、どうかひとつこれを民間に委託できるような道を講じてほしいというのでありますが、大臣どうですか。
  239. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 固定資産の評価に当たりまして膨大な事務が必要であるということ、お示しのとおりでございます。ただいまお示しの、評価員のもとでこれを補助いたします評価補助員でございますが、これは今お読み上げになりましたように、私どもの方ではこれは一般職の公務員だという位置づけをしておるわけでございます。したがいまして、通例は市町村一般の事務職員の中からこれを選任してくる例が多いわけでございます。そのためにその評価がえの年にはそれだけ事務が余計ふえるということはまさにお示しのとおりでございます。ただ、固定資産の評価という課税の基礎になる仕事、いわば公権力の行使でございますので、私どもの方としては行政改革の推進の見地から民間活力を大いに活用していく、これは大変大事なことでございますが、固定資産評価という性格からいって民間委託という形にはなじまないものだと考えておるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、一切合財評価に関する直接間接の事務のすべてを役所で、市町村でやらなければならないということでは必ずしもないと思うわけでございます。不動産鑑定士等の民間の専門家の知識を評価がえのための基礎資料、あるいは売買実例価額の収集などに大いに活用して、できるだけ役所の人間の手間暇は減らす努力をする必要があろうと考えております。  いずれにいたしましても、市町村の固定資産税の評価でございますから、これはやはり市町村自身の仕事ということになるわけでございますけれども、その場合においてできるだけ行政改革の見地から手間暇を減らしていくような指導は引き続きやってまいりたいと思います。
  240. 滝沢幸助

    滝沢分科員 そういうお答えをなさるから私は大臣と言ったんですよ、あなた、いつから大臣になったか知らぬけれども。失礼だけれども、役人さんは民間の方々の、地方自治の本当の肌のぬくもりを知ってないんです、役所のビルの中で六法全書と取り組んでいらっしゃるわけですから。しかし大臣は政治家です。市町村の苦労というのはよく御存じだと思うのです。そういう立場に立っての今後の大臣の温かい配慮を期待しているわけでありまして、お役人さんの説明は文書を見ればよくわかるわけですから、そのとおりです。  とにかく、それはあなたのおっしゃるように市町村が固定資産税を取るんだ、だから市町村が見なさいと言うんだけれども、しかしそれを基準にして、市町村が取る税金以上のものも国がちょうだいしているでしょう。そうでしょう。とにかく国と地方というものは一心同体なんですよ。そういう意味で、私は大臣が長年政界で苦労されて、そして地方自治の苦労もよく御存じの立場であるということを尊敬しまして、今後の温かい施策というものをひとつ大臣からお約束をちょうだいしたい、このようなことについても、何らかのいい方法を工夫してちょうだいしたいというふうに申し上げておるわけです。
  241. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 御意見もあり、今後とも評価の適正化に配慮しながら、同時に評価事務の合理化、民間専門家の活用等を通じまして、評価がえに伴う事務の軽減をするようにぜひ努めさせていただくように研究してまいります。
  242. 滝沢幸助

    滝沢分科員 私の知っている一つの例としましては、人口三万くらいの市が、四人の正規職員と四人の臨時職員をこれに充てて日夜この作業を急いでおるというのでありますけれども、それを民間に委託するならば民間もいわゆる経済活力になるわけですし、その経済活力はすなわち所得税やその他の税金によって政府の方にも返ってくるわけですから、公権力の行使だからこれは民間に委託できないなんというようなことではなしに、そこが臨調の精神なんですから、民間に委託するように――それじゃお医者さん、全部あれは国がやっているかといったって、民間のお医者さんがやってその診断書はきちんと公権力の間を通る文書になるんですから、これはひとつ英断をもって民間に委託できるように、これが機密保持というようなことで、先ほども申し上げた弁護士も、医師も、その他すべての人が公のことに携わるときは機密保持の義務があるわけですから、違反したら違反した措置があるわけです。では市町村職員が機密を絶対保持する、決して漏らさぬという保証があるかといったって、毎日中央、地方で役所の不祥事が出ているじゃありませんか。どうかひとつそういう点から重ねて前進的な方向をお約束できますように、大臣に大変恐縮でありますが、いま一言だけお願いを申し上げたいと思います。
  243. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 御意見のあるところを十分考えまして、適正な措置につきましては私どもも十分検討をさせていただきます。
  244. 滝沢幸助

    滝沢分科員 大臣皆さんどうも御苦労様です。ありがとうございました。
  245. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。  次に、林百郎君。
  246. 林百郎

    ○林(百)分科員 古屋さんは、地方自治の大臣であると同じに国家公安委員長でございますので、両方を兼ねて大臣お尋ねしたいと思います。  例の暴力団の問題でございますが、大阪で起きまして、山口組と一和会との間で抗争が起きて、山口組の組長である竹中が射殺されたというようなことがありまして、大阪地方はもう非常に恐れおののいているという状態でございますし、また二月二十三日には高知市の市営競輪場の中で発砲事件がありまして、一和会系の中井組の三人が死傷いたしました。しかし場内には約二千五百人の観客がおりまして、一歩近づけば一般市民も暴力団関係者の巻き添えを食うような状態で、こういう一般市民の集まりやすい公営競技場というようなところで起きた事件、高知市でも市民は戦々恐々としているわけでございますが、こういう事案について自治大臣でもあり国家公安委員長でもある大臣はどういうふうにお考えになっておりますか、またこれに対してどういう対策をとろうとしておりますか、それをまずお聞きしたいと思うのです。
  247. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 一般の問題といたしましては、暴力団に対しましてはその存在そのものが民主社会にとりまして大きな害悪であるという基本的認識のもとに、暴力団を根絶することを究極の目標といたしまして、警察力の総力を結集しましてその取り締まりを徹底してまいりたいと思っておりますし、またそういうように警察庁長官を通じまして、私どもはその決意を全国の警察官に徹底をしてまいりたいと思っております。  高知市の公営競技場の問題につきましても、大変残念な事件でございました。こういうようなところで大衆健全娯楽、そのための明るい環境というものをこれで壊してしまったというような状況でございます。詳細はまだ私ども知りませんけれども、しかし、さきに申し上げましたようにまことに残念な事件でありまして、こういうような事件がこういうところで再発することのないように、競技場の内外の環境整備やまたその推進につきまして、施行者や主務省である通産省に対しても十分要請してまいり、一般には、私が先ほど申し上げました暴力団取り締まりについての決意を十分全警察官に徹底するようにして頑張ってまいりたいと思っております。
  248. 林百郎

    ○林(百)分科員 警察が解体作戦をとるというようなことも言っておりますね。警察庁のどなたですか言っております。事が起きるたびに解体作戦、解体作戦と言うんですけれども、全然解体はせなんで依然として暴力団が残存しているわけです。このたびの事件での皆さんの言う解体作戦というのはどういう手段を講じようとしているのか、ちょっと説明願いたいと思います。
  249. 於久昭臣

    ○於久政府委員 暴力団につきましては、ただいま大臣からも御答弁がありましたように、私どもは社会的に認めることのできない存在であるということで、かねてから強い姿勢で徹底取り締まりを行ってまいったところでございます。その中で、例えば今回抗争を起こしております山口組を初め巨大暴力団等を中心とした広域暴力団に対する集中的な取り締まりも行ってきたわけでございますけれども、我々が非常に中心的に力を注いでまいりました大規模暴力団については、残念ながら今日までなかなか思うように所期の目的が達せられていなかったのが実情でありますが、全体の暴力団の数といたしましては、ピーク時が三十八年で、このときは十八万余の数でございましたけれども、昨年の末といいましょうかことしの初めに至りましてその数が九万八千というふうに約半減になったことは、私どもを中心とした、私どもだけではありませんけれども、いろいろな関係方面の力を結集した暴力団対策の大きな成果であろうと思っております。  私どもの中心的な暴力団に対する施策といたしましては、一つは一幹部等に焦点を据えた頂工作戦を含めた大量検挙。ともかくできるだけ一般市民生活と暴力団員を隔離する、できるだけ犯罪を摘発して懲役等によって刑務所に送り込む、隔離をする作戦、それから一つは、けん銃等の武器を徹底的に摘発すること、いま一つは、いろいろな覚せい剤あるいは賭博、のみ行為、資金源犯罪と申しておりますけれども、そういった摘発、あるいは国税等に対する課税通報に基づく課税等によって資金源を断ってしまおう、そういう金の面からの干し上げというふうなことを中心に、警察は彼らの分断、解体あるいは究極的には絶滅を目指した活動をやっております。  ただ、この暴力団に対する打撃は警察の力だけでは十分ではございませんで、その大きな背景として一般市民が暴力団にやや甘いといいましょうか利用するといいましょうか、そういった意識が全くないではないことも事実であります。そういった面をなくしていく、目覚めさせていくという意味での暴力団排除意識への目覚めといったことについてもっと力を入れていく必要もございましょうし、あるいはそういった活動での先頭としてのマスコミの役割も大きいわけでございまして、従来からこういったことはいろいろ協力してやっておりますけれども、今後も関係方面との連携を含めて十分徹底してやってまいりたいと思っております。  今回の山口組と一和会との抗争につきましては、そういった従来からの基本線は当然でございますけれども、非常に血なまぐさい抗争が現に起こっておりますので、私ども一般市民をこの抗争に巻き込まないことを大変大きな前提といたしまして、あわせて彼らの潜在犯罪の掘り起こしを含めて徹底して彼らを検挙すること、それから抗争の大きな武器になっておりますけん銃を摘発する、そういったことを当面の方針として、この機会に山口組、一和会に徹底した打撃を加えて彼らの分断、解体を図るべく精力的にやっているわけでございます。
  250. 林百郎

    ○林(百)分科員 それでは、もう少し具体的にお尋ねいたします。  竹中組長を暗殺した実行犯たちは、事前に奈良や三重県境で短銃の特訓を行っていた、奈良の香芝町の西名阪高速道路でも、時速百キロメートルの車の中から道路標識を的に実弾発射を繰り返していた、こういうような殺人組織、殺人部隊と言ってもいいようなものでありますが、この事実を警察はつかんでいたのでしょうか。高速道路で標識を、百キロメートルの速度でピストルで撃つ練習をしていたというのです。
  251. 於久昭臣

    ○於久政府委員 事前には把握しておりませんでした。
  252. 林百郎

    ○林(百)分科員 一和会会長の山本広については事情聴取はしているのですか。
  253. 於久昭臣

    ○於久政府委員 現在、所在不明でございます。
  254. 林百郎

    ○林(百)分科員 所在不明ということは事情聴取もしていないということですね。
  255. 於久昭臣

    ○於久政府委員 そうでございます。
  256. 林百郎

    ○林(百)分科員 そういたしますと、竹中組長を襲った犯人たちについてはどうなっているのですか。
  257. 於久昭臣

    ○於久政府委員 既に四名を逮捕し、二名を指名手配中でございます。
  258. 林百郎

    ○林(百)分科員 残りの二名というのは全然目当てがないのですか。
  259. 於久昭臣

    ○於久政府委員 現在、所在を鋭意追及中でございます。まだ逮捕には至っておりません。
  260. 林百郎

    ○林(百)分科員 一和会にいたしましても、組の末端の者を取り調べしても実情はよくわからないので、さっきあなたの答弁にもありましたけれども、トップクラスを逮捕して取り調べしないと組の壊減はできないと思うのですが、そういう方向へ警察は目をつけているのですか、どうですか。
  261. 於久昭臣

    ○於久政府委員 先ほども申し上げましたけれども、組員の大量検挙はもとよりでございますが、幹部クラス、なかんずく組長等の有力幹部を検挙することは打撃を与える大変大きな手段でございますので、現在そういったところに力を入れておるわけでございます。  現に、この事件が、抗争が起きましてから、古い事件ではございますけれども、射殺された山口組の四代目である竹中山口組組長の兄弟であります竹中武、これは竹中組のその後の二代目組長でございますが、これを賭博罪で逮捕するなど首領級の追及を精力的にやっているところでございます。
  262. 林百郎

    ○林(百)分科員 高知市の競輪場での射殺事件については、犯人はどうなっていますか。
  263. 於久昭臣

    ○於久政府委員 十六名を逮捕して、現在取り調べ中でございます。
  264. 林百郎

    ○林(百)分科員 これもそのトップクラスについてはどういうようになっているのですか。
  265. 於久昭臣

    ○於久政府委員 豪友会の二代目の会長を逮捕してございます。そういったことで鋭意追及中でございます。
  266. 林百郎

    ○林(百)分科員 新聞やマスコミの報道するところによると、高知市における豪友会系の事務所について警察官がその事務所を警戒していて、そこを通る人があれば、いつけん銃弾が飛んでくるかもわからないから立ち寄らないようにと言っている。したがって、近所の人たちは薬屋さんもラーメン屋さんも店を締めているというのですが、なぜいつけん銃弾が飛んでくるかもわからないようなところを銃砲等の不法所持によって捜査はなさらないのですか。捜査したのですか。これではまるで組員を警察が守ってやっているようなものじゃないですか、その事務所の周囲を守って、そばへ寄りなさんな、そばへ寄りなさんなと言っていれば。だから、銃砲刀剣類所持等取締法という法律もありますが、これはむしろ組の事務所を捜査して、そういう不法なけん銃等を押収し、そしてそれを追及していけば捜査の端緒になると思うのですが、どうなんですか。
  267. 於久昭臣

    ○於久政府委員 先生御承知のとおり、けん銃を何とか摘発してしまおうというのは、抗争を防ぐ上で、あるいは市民の被害を未然に防ぐ上で大変有力な手段でございまして、私どもは、先ほど申し上げましたように、ともかくけん銃の摘発ということを今回の抗争の対策一つの大きな柱にしているわけでございます。それで、ともかくいろいろな手がかりをもとに精力的な捜索活動は続けております。また、組事務所、あるいは彼らがけん銃を隠匿したであろう場所に対する捜索のほかに、いろいろなところで彼らの行動を情報収集しておりまして、ともかく街頭での職務質問なり、あるいは検問による捜索なりを精力的にやっておりまして、それらの結果、この一和会と山口組の抗争発生以来、この関係では五十一丁のけん銃を既に押収をしておりますし、高知では十四丁になるわけでございます。そういったことで、決してけん銃の摘発について手を抜いているわけじゃなくて、むしろこれを大変大きな眼目の一つとして精力的にやっている。ただ、彼らが恐らくまだ相当持っているであろうけん銃について、なかなか巧妙に隠しておるであろうがために、まだまだ十分な成果は上がっていないという御指摘はあろうかと思いますけれども、さらにこれについては積極的にやっていきたいと考えているわけでございます。
  268. 林百郎

    ○林(百)分科員 山口組なり豪友会なり一和会なりのそういう会あるいは組の事務所の捜査をしたところはどことどこですか。それで、けん銃の押収なり何なりしたというのはどこですか。組の本部を捜査したことはあるのですか。
  269. 於久昭臣

    ○於久政府委員 ただいま正確な資料は持ち合わせておりませんけれども、組事務所と名のつくようなものはほとんど捜索をやっていると言ってもよかろうと思います。ただ、資料が手元にございませんので正確には申し上げられませんけれども、一口にそう申してもまず間違いないようなことであろうと思います。ただ、その事務所にけん銃をなかなか置いていない、要するに、警察が捜索をしそうなところにはなかなかけん銃を置いていないというのもまた一つ実情でございまして、何とか彼らのけん銃の隠し場所を発見して、それを摘発すべく日夜努力をしているのが実態でございます。  それから、先ほど先生お尋ねの中で、組事務所を警察が守っているのではないかという意味のお尋ねがございましたけれども、暴力団の事務所を守る気はさらさらないわけでございます。ただ、こういうふうな抗争事件が起きますと、彼らが襲撃をする、またその仕返しをする、そういった対象に多くなりますのが組事務所等の目ぼしい拠点でございまして、そういったところの近くに民家があるといったようなことになりますと、警察が全然ほうっておきますと、彼らがそこに襲撃をする、発砲をする、流れ弾が一般の民家にあるいは一般人に当たるというふうなことがあってはいけないということで、市民保護の観点から、大変大きな犠牲を割きながら組事務所等について警戒を行う、あわせてそれが抗争の未然防止につながる、こういう観点で行っておるものでございます。
  270. 林百郎

    ○林(百)分科員 私がそういう質問をしたのは、実は過去の例を見ますと、警察と暴力団の癒着と思われるような事例がたくさんあるわけですね。  五十七年の七月には愛知県警の刑事部長が、その妻が経営しているマンションを暴力団の事務所に使わしていたというような事実が新聞でも報道されておりますね。  それから署長や本部長が転勤だというと、多額の全員が、千万とも言われるようなせんべつが、あるいは口きき料ですか、そういうものがやったりやられたりしている、これは警察の先輩の「山口組壊滅せず」というのを書きました鈴木さんがそう書いておりまして、また、世間でも専らそう言っています。  それから、ことしの二月十九日は大阪府警のゲーム機の汚職事件の控訴判決もありましたし、また、五十九年の十一月二十六日には静団地裁の沼津支部で銃刀法違反、覚せい剤取り締まり事件で、警察と暴力団がなれ合ってけん銃に関する事件をでっち上げたというようなことも続々とあるわけですね。だから、この警察と暴力団の癒着と世間で言われるようなことを断ち切らなければ、思い切ったせん滅作戦とかなんとか言葉では勇ましいことを言うけれども、できないと思うんですよ、長い間のそういう癒着がありまして。  それから、矯正局もおいでになっておりますが、刑務所の中へ入っても、刑務所の中であだ討ちをしてやるとか、あるいは刑務所の中で特別な扱いをしているというようなことが世間で言われていますが、そういう暴力団が刑務所に受刑者として入った場合どういう措置をとっているか。また、警察と暴力団との癒着と言われる数々の事例がありましたが、これに対してどういう措置をとっていくつもりか。これは古屋国務大臣、大事な問題ですから、この問題についてどういうお考えを持っているか。それから、警察当局はどういうことを言おうとしておるか、それから矯正局の課長さんはどういう考えを持っているか、それをひとつ三人とも御説明願いたいと思います。
  271. 於久昭臣

    ○於久政府委員 巷間いろいろなことが言われておることは承知しております。根拠に乏しい憶測めいたこともその中にはあろうと思います。ただ、過去におきまして、暴力団と警察の癒着という形で指摘されていたし方のないようなことが全くなかったわけではない、非常に残念なことでございます。ただ、現在におきましては、私どもは、暴力団については、徹底した厳しい対決姿勢を持っておりまして、言われるようなことは全くないというふうに確信を持っております。
  272. 関場大資

    ○関場説明員 刑務所内におきます暴力団の処遇でございますが、処遇の方針といたしましては、厳正な態度をもって処遇すること、保安及び警備を厳重にすること、人間関係、特に派閥関係には十分注意することなどの方針で運営をいたしております。現在のところ、関係者の情報収集等に努めまして、また暴力団受刑者の分散等に努めまして、派閥によると認められる対立抗争は起こっておりません。  以上でございます。
  273. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 暴力団と警察の癒着ということについてどういう決意を持っておるかという御質問だと思っております。私ども昔、警察と暴力団の関係につきましてもいろいろのことを言われたことはありますが、しかし一般の治安を担当する責務を有する警察官が、社会の平和を害するような暴力団とそういう関係を持つということは絶対に慎むべきものであり、またそうなければならぬと思っておりまして、こういう不祥事件につきましては、私も自分の胸を打たれるような感じでございますが、今後とも綱紀を粛正いたしまして、絶対にそういうことがないように、十分監督指導を強化してまいりたいと思っております。
  274. 林百郎

    ○林(百)分科員 警察に申し上げますが、私が引用した例は、全部公になっている事件ですし、判決で出ている例です。またきょうのあるマスコミによりますと、写真まで撮られて、警察が取り調べは済んだとは称していますけれども、暴力団の愛人を警察の取り調べ室の中に入れて、すしやいろいろごちそうを山のように並べている。何で一体こんなことを、被疑者が警察の中でこんな待遇を受けたなんということは、暴力団以外に恐らくないと思うのですよ。写真まで出ているのですからね。だれが見たって警察と暴力団が癒着している、だから手が出ないんだというように世間では思っているわけですよ。これはあなたの耳に痛いかもしれませんが、率直に申し上げますが、皆さんに言わせればそれは捜査の端緒を得るためには接触もやむを得ないというのですが、これは接触以上のものだと思うのです。癒着と言ってもいいと思うのですよ。  先ほど申しました、私が引用しました鈴木さんですね。これは四国や中国の管区警察局長もやった鈴木達也という人ですが、皆さんの先輩ですね。これが「山口組壊滅せず」と言っているんですね。わざわざそういう題の本まで書いているわけです。この中に引用はしませんが、「黒い霧」だとか、それから「腐敗」というようなことで、長々といろいろ書かれているわけですね。なぜ山口組は壊滅しないかというと、このままで行けばミイラ取りがミイラになる、暴力団との対決姿勢をとって厳しい態度で暴力団に接することがだんだんなくなってくる、ミイラ取りがミイラになり、暴力団との対決姿勢を捨てて、厳しい態度で暴力団に接することがなくなっているような傾向が顕著だ、最近の警察の内部情勢では、こう書いてあります。あなたは苦い顔をしてこっちを見ているようですけれども、世間ではそう言っているし、あなた方の先輩までがこういう本まで書いているわけですからね。ここのところをしっかりしなければ、とても言葉では壊滅作戦なんと言ったってできない。  そこで私はもう一度最後にお尋ねしますが、組の幹部級、末端でなくて幹部級を至急取り調べるということと、それから事務所に対して厳重な捜査をしてけん銃などを押収するということと、それから地下に潜っている暴力団員、これを至急逮捕する。皆さんいろいろ捜査の糸口をつかんでいると思いますからね。これを逮捕しなかったら、一和会の会長もまだ取り調べもしていないというようでは、殺人団体みたようなこの会長をまだ捜査もしていないというようでは、とても暴力団の壊滅なんというのはできないと思いますね。ですから、そういう点を最後に一括して警察の決意のほどもお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  275. 於久昭臣

    ○於久政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは山口組、一和会の今回の対立抗争を、この組織を分断、解体する絶好のチャンスと考えて、積極的に現在取り締まりを推進中でございます。  御指摘の組事務所等に対する捜索につきましては、先ほども正確なお答えではありませんけれども、概してほとんど全部の事務所についてやっているということを申し上げたわけでございますけれども、今後ともいろいろな情報を入手して、捜索はもちろんやるつもりでございます。また、地下に潜っている組員なりあるいは幹部級なりについて、徹底して捜査をしろという御指摘でございますけれども、もとより私どもはその決意で捜査をやっておるわけでございます。  ただ、現在の我々の活動というものは、あくまでも刑事訴訟法を初めとする法律に基づいて仕事をするというのが鉄則でございます。そこで、我々の一番苦心いたしますのは、その犯罪の捜査の端緒をどこで得るか、どうして掘り起こしていくかということが非常に我々の苦心を要するところでございまして、いささかなりともそういった犯罪の端緒を見逃すことなく、それを機に、首領級を含めた組員の積極的な検挙につなげていく、そういう決意で今後ともやっていくつもりでございます。
  276. 林百郎

    ○林(百)分科員 警察庁、要望しておきます。組の事務所を捜査したけれども、ここでは詳しいことがわからないと言っていますから、それを後で結構ですから、私の部屋へ、もう捜査済みのところですから、ぜひひとつ届けてもらいたいと思います。  それからもう一つ。暴力団が右翼団体に変身しているということがあります。これも右翼団体というと一つの団体になりますが、暴力団系の右翼団体の名前をもし警察で把握しているなら、要するに暴力団が合法性を獲得するために右翼団体として、あるいは政治団体として転身している例がございますので、そういうのをもし把握していたら、その資料も、時間もありませんので、私の事務所へ届けていただきたいと思う。このことを委員長を通じてお願いしまして、私の質問を終わります。
  277. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて林百郎君の質疑は終了いたしました。  次に、関山信之君。
  278. 関山信之

    関山分科員 少し細かい問題でありますけれども、地方公営企業の公営電気の売電単価の問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  なぜこの問題を取り上げるかについてあらかじめ公営電気というものの置かれております特徴と申しましょうか、特異な存在について申し上げておきたいと思うのでありますけれども、電気の関係で言えば、公営電気の占める位置は、現在水力電気におけるシェアは事業所の数で一二・五%、発電量で九・四%と、大体一割ということでありますから、日本全体の水力発電の中に占める位置も決して低くないということはまずあるわけであります。ところで、公営企業は法適用、非適用たくさんあるわけでございますけれども事業の中でも一番安定的な黒字体質でありまして、企業債の残高なども少なくて、財務内容がいいという状況にあるということはおおむねお認めをいただけるのじゃないかと思うのです。しかし、にもかかわらず、企業のサービスが直接住民に還元されないという存在になっておりまして、いろいろございます公営企業、水道にいたしましても、あるいはバスや乗り物の関係にいたしましても、それはそれなりに赤字であれ黒字であれ、住民サービスというものに直接的に結びついている、あるいは間接的に工業用水なんというものもその地域の産業誘致あるいは雇用の問題と結びついているというようなことがあるのですが、このサービス提供による福祉の増進という観点について言えば、公営電気だけはそういう道が閉ざされているということがあるわけです。しかも、これはおおむね黒字とはいえ、売電単価は極めて低い。何と比較して低いかということにもなるのですが、いずれにしろ、私どもが地方の立場から見ますと極めて低い。一般電気事業者の供給単価との価格差はまさにはさみ状に拡大をする方向にあるわけです。例えば昭和四十八年と五十七年の比較で見ましても、供給単価は三・五倍になっておりますが、公営電気の方は一・六倍でしかないという状態なわけです。  申し上げましたような公営電気の存在なわけなんですけれども大臣も御案内のとおり地方自治体の財政は年ごとに厳しい状況にあるわけでございます。とりわけ公営企業の関係も各県いろいろと事情はあると思いますけれども、これまた厳しい。特に私ども新潟県の場合は、電気と工水と有料道路と、全国ワーストワンと言われております新潟東港の用地造成事業。そうすると、電気を除きますとみんなめちゃくちゃな状態なわけなんです。こういう状態の中で言いますと、企業のサービスの住民への還元という一般的な意味合いもございますけれども、地方財政全体からとりましても電気は見直すべきじゃないかという議論がしょっちゅうあるわけでございます。つまり、公営企業法の建前は直接企業の利益を目的といたしておりません。これはまあ建前としてそうなんですが、したがって、料金の徴収の規定なども、公営企業法によれば徴収ができる、できるという言い方でありますし、しかも、その算定の原則も原価主義をとっているわけです。電気以外は先ほど申し上げたような観点でそれはそれでいいと思うのですが、電気の独特な性格にかんがみまして、今申し上げましたような地方財政の状況から考えますと、電気については全体的に後ほどお伺いをいたしますが、法的、制度的な再検討が求められなければならないんじゃないだろうか、こう思うわけです。公営企業法あるいは電気事業法の中身については後ほど申し上げたいと存じますが、冒頭大臣からお答えを――後ほどいただきましょうか。ひとつそういう状況だということを御承知おきの上少しく議論を聞いていただきたいと思うのですが、この辺の御認識はいかがでございましょうか。
  279. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 御指摘のとおり公営電気事業は、水道、交通、病院のような他の地方公営企業とは若干性格が異なっております。御承知のとおり戦前におきましては、公営電気事業一般需要家への配電を行ってまいったわけでありますけれども、戦後はもっぱら九電力への卸電気事業でございます。その結果、公営電気事業のサービスが直接住民に及ばないという性格を持った特殊な事業でございまして、この点につきましてはほぼ御指摘のとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましては、公営電気事業の収益を通じて一般的に地方団体に貢献するという方向で今後いろいろ努力をしていくべきだと考えております。
  280. 関山信之

    関山分科員 収益を通じていろいろと努力、こうおっしゃっていただくわけなんですけれども、問題は、制度上、法律上がんじがらめになっている。そこできょうは、これはむしろ通産省に多く物を言わなければならないのかもしれないのですが、自治省サイドとして、料金算定についてはこれは電気事業法第二十二条というのがございまして、ここでは地方公営企業の売電単価については事業法第十九条第二項を準用することになっておるわけでありまして、この中身というのは、「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」、こうなっているわけです。そこで問題は、適正な利潤といいましょうか公正報酬というものが、この制度の中で、今御答弁がありましたようないろいろと還元をするというものとの見合いの中で、十分実現を見ているのかどうかということになりますと、いささか私はそうはなっておらぬのじゃないか。また、公正な報酬とは一体どういうものなのかということについて、今までの料金算定について自治省としてはどんなお考えを持っているのか。また、この関係については通産のサイドにどんな働きかけをなさっていらっしゃるのか。総じて、算定要領、後ほど通産の方にもお伺いしますけれども、法律的な根拠のない、いわば通産省の内規というのでしょうか、料金算定の基準に従って決められておるわけでありますけれども、この算定基準、算定要領全体についてもあわせお考え方をお聞かせいただければと思うのです。
  281. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 公営電気料金の算定につきましては、御指摘のように電気料金算定要領に定められておるわけでございます。特に御指摘事業報酬的な部分に限って申し上げますと、その算定要領の中にこういう定めがございます。自己資本による投資額の五%以内を特別積立金として、また、企業債による投資額の二%以内を減債積立金としてそれぞれ原価に含めることができるとされておるところでございます。しかしこの数字につきましては、昭和五十七年度におきまして減債積立金の算入率が従来の企業債による投資額の二%以内から三%以内に引き上げられたところでございまして、また、算入額を定める際に考慮すべき要素といたしまして中小水力発電開発及び改良のための積立金というものが積立目的に加えられまして改善が図られておるところでございます。公営企業の料金の決定に当たりましては、原価主義を基本としながらも、適正な率の事業報酬を含ませることが適当でございまして、公営電気事業におきましてもその例外ではないと私どもといたしましては考えておるところでございます。五十七年度の改正は実質的に事業報酬が充実されたものと認められるところでございますけれども、まだ関係者の間におきましては十分でないという意見もございますので、今後とも私どもといたしましては、企業としての継続的な発展と実体資本の維持を図るためにも、事業報酬のあり方につきましては検討してまいりまして、必要に応じ関係省と協議をいたしたいと考えております、
  282. 関山信之

    関山分科員 いろいろ通産省の方と細かな規定に従って出されている数字でありますから、そこをおっしゃられれば、そういうメモによる御答弁ということになってしまうのだろうと思いますが、しかし現実に、例えば今自己資本に対する五%というものがございました。しかし売っている供給の方は八%を見ているわけですね。これは少し性格が違いますから一律に言えませんけれども。要するに事業報酬というものに対するパーセントの見方は五%と八%の差がある。あるいは、これはもう率直に言いまして、今新潟県では一キロワットアワー六円九十八銭ですよ。しかし九電力の平均の供給単価というのは二十三円四十四銭ですね。これはいかにも開きが大き過ぎるのですね。これは大きかろうと大きくなかろうと、これが一定の位置づけをもって――位置づけというのは、国の電力需給のために、それは国の立場からやらなければならないものだというならわかるのですよ。しかし地方自治体が公営企業として電気をやるのは、その自治体の地域住民に対するサービス、福祉の増進というものを絶えず念頭に置いてこの問題を見ておるわけですから、これはそういう質問の仕方はいかがとも思いますけれども、率直な感じとしていかがですか。やはり低いという感じがなさいませんか。さっき申し上げましたように、四十八年当時でいえば供給価格の六〇%ぐらいだったのが、今では供給価格の三〇%ぐらいに売電価格がなってしまっているのですわ。その辺はいかがですか。
  283. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 公営電気の卸単価は、全国平均で、昭和五十八年度におきましてキロワットアワー当たり七円七十銭でございまして、その原価は三円八十七銭ということでございます。したがいまして、公営電気の原価自身も大変安いわけでございまして、この原価の算定要領といたしましては、原価主義プラス先ほど申し上げましたような減債積立金あるいは特別積立金というものを加算するという制度でございますので、この制度が維持される限り、コスト主義によって供給価格を決めるということにならざるを得ないのでございます。
  284. 関山信之

    関山分科員 そこで、この際自治省としてもその辺は、僕はもう最初から原価主義なんというのはこのことに関してはやめちまえというようなむちゃなことを言ってもなかなか御答弁もいただけないわけですが、しかし置かれておりますような地方財政との絡みで言えば、この辺は十分やはり強く通産に働きかけていただかなければならない事柄じゃないかなという感じがします。  それからもう一つは、この利益処分についてですね。先ほどお話ございましたように、いろいろと住民サービスへ還元と、こう言われましても、仮に決算で利益剰余金が出ても、公営企業法上これはどうなんでしょうか、公営企業法上は、欠損金を埋め、法定積み立てをして、残余は議決を経て、これはそこから先なんですね、任意積み立てということに事実上なっているわけですけれども、これは法律的には他会計への繰り出しというものは可能だというふうに考えてよろしいのでしょうか。この第三十二条の規定でいけるのかどうか、自治省としての御見解をお伺いをしたいと思いますし、また逆に通産サイドからも縛りがかかっているわけですな、利益が出てもこれは積み立てるという。この辺についても、今までどのように通産に物をおっしゃっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  285. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 地方公営企業法上、経営の結果利益剰余金が生じました際には、議会の議決を経まして、利益剰余金処分といたしまして企業外に流出するということは差し支えのないものでございます。なお、お説のような形でできるだけ利益剰余金が当該地域地域振興のために寄与できますように、一般会計に対しまして繰り出しをしたいという希望が地方団体サイドには大変強いものがございます。私どもといたしましては、その意向を踏まえまして、関係省にかねてからいろいろ働きかけをいたしておるところでございます。
  286. 関山信之

    関山分科員 これはちょっと、通産から来ていただいていますので。申し上げたような事情にあるわけですね。今の制度的な枠組みからいえばそういうことになってしまうのですが、申し上げているのは、最前から申し上げておりますような状況、かつ特殊な公営企業という実態について、通産としてはどのようにお考えになっているのか。それで公営電気事業者の電気料金算定要領、これは法律的な根拠はないと私どもは承知をしているのですけれども、それでよろしいですね。それが一つ、  それから、これは自治省サイドでもいろいろと通産の方へ話をしておる経過があるようですけれども、例えば水利使用料の二分の一減額の見直したとか、あるいは地域振興に寄与するため必要な他会計繰出金の料金原価への織り込みといったようなことが、自治省財政局長の名前で要望が出ている。ですから、今までの経過を踏んでも、通産としてもそういう考え方に立てればこういうものを受け入れるいわば制度的な余地はあるのでしょう。原価主義を見直せなんて言いませんけれども、その辺はいかがですか。
  287. 川田洋輝

    ○川田説明員 公営電気事業者の件でございますが、先生指摘のように、いわば小売を行います一般電気事業者に電気を供給する即事業者として位置づけておりまして、その健全な発達を我々願っておるわけでございますけれども、まず御質問の第一点の料金算定要領でございますが、これは先ほど来出ておりますように、適正な原価に適正な利潤を加えたものというのが法律上の原価の基準になっておるわけでございまして、これを具体的に展開いたします際の目安というような意味で用いておるものでございます。大体これに基づいていろいろ料金の決定が行われておるというような基準でございます。  それから、利潤が出た場合の扱いの件でございますが、私どもとしては、公営の電気事業者も事業者としてできる限り次の発電所の建設とか、そういうことで企業の維持発展、積極的な事業展開というものを期待いたしておりますので、電気事業以外への流出という点につきましては立場上できれば好ましくないというふうに考えておるところでございます。  それから、水の問題での二分の一というお尋ねでございましたが、これは五十六年からたしか二分の一算入をいたしてきていると思いますが、当分の間ということになっておりまして、私どもとしては、まだ中小水力の開発などにつきまして財政資金を使ったりしていろいろ御努力をいただいているところでございますので、いましばらく現在のままでお続けいただけないものかというふうに考えておるところでございます。
  288. 関山信之

    関山分科員 これ以上あなたに見解を求めてもしようがないのでしょうが、大臣、お聞きをいただきましたような状況にあるわけですね。審議官おっしゃったように、確かに原価安いのです。安いわけですよ、戦中、戦後を通じて一番電気が足らない時期に地方が一生懸命つくった発電所が多いわけですから。もうほとんど減価償却してただみたいな電気ですから。ただに幾ら値段つけろといったって、原価がただになっているものを上げてみようがない。そうしますと、問題を全然別な視点から考えて、少しでも地方財政の手助けになるためにはやはり通産に対して強く物三言っていただかなければならぬということだと思うのですが、どうかひとつ大臣、そのことについて、お聞きをいただいた限りで結構でございますけれども、御決意のほどをお聞かせいただきたいと思うのです。
  289. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 ただいまの公営電気事業の利益金、剰余金等の取り扱いの問題でありますが、地方財政も非常に厳しい状況にありますので、私ども通産とはよく話し合いをいたしまして、今後通産大臣とも打ち合わせまして、地方振興のために何らかの措置ができますようにひとつ努力をしてまいりたいと思います。
  290. 関山信之

    関山分科員 ありがとうございました。  それでは、時間も余りございませんが、次の問題で一、二お伺いをしておきたいと思うのでございますけれども、今申し上げました公営電気の問題などとも間接的にかかわりのあることで、先ほど特に新潟ワーストワンと申し上げた東港臨海造成事業というものをやっておるようですけれども、新産・工特を初めとして地方自治体の関与する工業団地造成事業というのは、文字どおり時代の変化といいましょうか産業構造のトラスチックな変化の中で大変な状態になっておるわけです。新産・工特にいたしましても、当時は地方自治体もそれこそ陳情合戦を繰り広げだというような形でありますから、引っ張った自治体も責任なしとはしないのですけれども、しかしそれはそうは申しましても国の重要な産業施策として誘導してきたわけであります。しかし現実は、これはもう数字がなかなか的確に押さえられないのですけれども、全体で二万ヘクタールを超す未売却地がある。あるいは最近自治省などでもおやりになっている、自治省というか、自治省が委託でいろいろ御調査をいただいております臨海型の工業団地、とりわけ一番売れ残って困って、しかも先行き見通しがつけにくいというような土地も五、六千ヘクタールというような大変な数字になっておりまして、一つは数字の面で一体どのような状態になっておるのか、お聞かせをいただければありがたいと思うのですが、特にこの時期、四全総の策定の時期に入ってきておりますし、また工業再配置計画の見直しの時期にも来ておるわけでございますね。  そこで、自治省としては、地方自治体のこうした事業に対するいわば指導監督をする立場もあるんでしょうが、この膨大な未売却地の対策については今後どのように考えていらっしゃるのか。とりわけ私どもの身近な問題として言えば、新潟だけじゃございませんで、日本海側の臨海が非常に悪いわけでございますけれども、この辺の対策についてどのようなことをお考えになっていらっしゃるのか、この機会に承っておきたいと存じます。
  291. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 若干数字を申し上げますと、地方団体が造成を行っております臨海工業用地、これの面積でございますが、既造成面積一万七千三百ヘクタールございますけれども、その約四分の一に当たります四千三百ヘクタールが未売却の状況にありまして、その大部分は日本海沿岸の臨海埋立事業でございます。極めて大きな収支不足を出しておることは御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましても、これに対処いたしますために、昨年来学識経験者によります研究会を設置いたしまして、既に中間答申も得ておるところでございます。この答申を踏まえまして、昭和六十年度の地方財政計画におきまして必要な資金措置も講じておるところでございます。  なお、先ほどの研究会におきまして、この三月末までに具体的な企業誘致策、その他の資金対策につきましての最終的な提言をいただく予定でございますので、この提言も参考にさせていただきながら、今後とも地方団体の臨海土地造成事業の経営健全化に努力をしてまいりたいと考えております。
  292. 関山信之

    関山分科員 今お話のございました研究報告、私もちょっと中間報告は拝見をさせていただいておりますが、これは本答申というか、最終報告が出ますと、その扱いは事務的にどういうふうに処理されていくことになるのでしょうか。
  293. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 この研究会は私どものいわば一種の勉強会でございます。学識経験者によりますいろいろを御意見を賜りまして、それを今後の執務上あるいは財政措置上参考にしていただくという性質のものでございます。
  294. 関山信之

    関山分科員 もう一つ、工業再配置計画ですね。これは四全総とのかかわりもございますけれども、これに対しての自治省としての今申し上げたような問題意識に立っての注文というのは今後どのような形で展開をされていくのか。
  295. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 現在、四全総の策定作業が進められておるところでございますけれども、自治省といたしましては、従来から一貫して地方分散を引き続き進めるという考え方をとっております。そういう中で、地域経済の振興策といたしましてこの臨海工業用地が極力活用されますようにいろいろな手段が講ぜられることが計画上できるだけ織り込まれるように、今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  296. 関山信之

    関山分科員 時間も参りましたので、最後は大臣に要望いたしておきますが、問題はもう既に御承知のとおりでありまして、やはり臨海でいろいろと制約があるものですから、かなりこれまた通産とのかかわりや国土庁とのかかわりも出てくるわけでございますけれども、事は自治体にかかわることでございますので、かなり思い切った財政的な措置やらあるいは今日の産業構造の変換に見合った形での工場誘致が可能なようなさまざまな手だてだとか、ひとつぜひとも積極的に御対処をいただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  297. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて関山信之君の質疑は終了いたしました。  次に、安倍基雄君。
  298. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 ちょっと事務方にお伺いしますけれども、実は私、今大蔵委員会におりまして、国税三税が三分の一ぐらい地方にいくということでございまして、増税しても増税しても相当の部分が地方にいく。これは地方自治体としては必要な経費かと思いますけれども、ただ、よく見ますといわゆるメガロポリス地域に財源が非常に固まっているのじゃないか。私どもの地方に行きますと、市町村は意外と苦しくてふうふう言っているのでございますけれども、メガロポリス地区の市町村は非常に裕福な感じがするのでございまして、お伺いします。  東京、大阪、神奈川などにおける地方税が全地方税中に占める割合はそれぞれ何%か、人口は何%か、一人当たりはどのくらい要するに納税額があるのか、平均値と比べてみてどうなのかということを簡単に数字だけお知らせ下さい。
  299. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 東京都、神奈川県、愛知県それから大阪府、この四都府県の道府県税、市町村税の収入額が全地方税収入に占める割合は四〇・四%、これは昭和五十八年度でございます。なお、これらの四都府県における人口一人当たりの税額で比較をいたしますと、これらの四都府県につきましては一人当たり二十三万九千七百七十三円でございます。全都道府県平均一人当たりの税額は十六万六千二百九十一円。約一・四倍でございます。
  300. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 参考までに、全国との比較で東京都だけでいくと人口比税収は幾らになりますか。
  301. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 東京都における人口一人当たり税額は二十九万五千四百十三円でございます。
  302. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 私の聞いておりますのは、東京都の人口が全国で何%か、税収が全国で何%か、もう一つ、最後の四つを足した四〇・四%の税収に対し、人口は全国の何%か。
  303. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 税収の占める割合は全国の一七・一%、人口の占める割合は九・六%でございます。
  304. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 この四県を足した税収が四〇・四%、それに対して人口は全国の何%ですか。
  305. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 二八・〇%でございます。
  306. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 いろいろ論議されますけれども、東京でございますが、一〇%ぐらいの人口で税収が全地方税の一七・一%というのは、えらいけた外れに多いのじゃないか。この四県だけでも、いわば人口が四分の一ぐらいだけれども、税収が半分近く。これは地方税のいわば偏るという事実について余りにも論議されてないけれども、ここで大きく指摘したいと思うのです。  というのは、いろいろ各地区において、例えば東京二十三区の中のどこかの区が百億円の庁舎をつくったとか、東京都はこれから一千億ぐらいをかけて庁舎を移転するとか、黙っていても自然に収入が来るようになっている。これを放置しておいていいのだろうかという疑念が非常にある。その意味で、このように税源が非常に偏るような地方税というものでいいものかどうかという疑念があるわけです。これについて自治省の見解をお伺いしたいと思います。
  307. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 御指摘のように、地方税につきましては、地域的な経済の格差がございますので、税収そのものについてもかなり差がございます。本来地方税につきましては、限られた地域社会の財政需要を賄うためのものでございますので、できるだけ地方税の税目としては普遍性の高いもの、あるいは応益性を重視したものを採用しておるところでございまして、いろいろな税画を組み合わせて、全体としてできるだけどの地方団体にも余り差のない税収が得られるよう仕組むように努めておるところでございます。  国税を地域別に見た場合と地方税を見た場合には、地域的な偏在性は地方税の方が小さくなっているとは思いますけれども先ほど申しましたように、地域的な経済力の格差が存在する限りは、どうしてもある程度の税源の偏在は避けられないところでございます。したがいまして、こういった点を地方交付税等の財源調整制度の活用によって必要な財源が得られるよう制度的に仕組んでおるところでございます。我々としては、今後ともできるだけばらつきの少ない普遍性に富む税目を組み立てるように努めていきたいと考えておるところでございます。
  308. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 国税の場合にはばらつきがあっても、それは国民全体に使うわけです。国税のばらつきというのは当然の話です。地方税の場合にはそのばらついたお金がその地方にだぶつくわけです。ですから、交付税というものが貧困な地方公共団体に行くということはわかります。しかしもっと税目の検討を行って、地方にちょうど均等になるような税目にして、もう一つ、今私は地方の行革が非常に大事だと思っていますけれども、地方と国とが何と何とを事務的に分担するのか、それに対して税源はどれとどれだということをびしっと決めて、しかも税目についてこれだけの――サンケイ新聞あたりには、いろいろの地方自治体の、乱脈ぶりと言っては言い方は悪いけれども、むちゃくちゃに使っているケースが出ています。これはすべてメガロポリス周辺の公共団体です。でございますから、そういうものを放置しておいて、それに合わせるような形で交付税を渡すというのは、実は私は今大蔵委員会におりますけれども、国税三税の三分の一ぐらいを交付税として渡しておる、幾ら増税してもどんどんそっちへ持っていかれてしまう、片っ方のメガロポリスではしたいほうだいしている、こういったことは全くおかしい。でございますので、税目の検討を大蔵省ではやっていただきたい。実は大蔵委員会の参考人への質問のときに私は小倉税調会長にこの点を指摘しました。どう思うかということをお話ししましたら、それは一つの問題点であるなというようなお答えを得ましたけれども、これについて大臣はどうお考えでいらっしゃいますか。
  309. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 税源が大都市に集中しているということは今お話しのとおりであると思うのです。税目について検討したらどうかという御意見、今のままでは済まされないので、近く中央、地方の税の問題につきましても改革が行われると聞いておりますので、その前に十分検討いたしたい。正直に言いまして、例えば大阪の堺だとか大阪周辺というのは一般の地方自治体と非常に違うような運営がされておる、あるいは神奈川県等においても、新聞によれば、今度の年度末の給与について一人何ぼかを出すというような状況がありますので、そういうところのバランスをどうしていくかということは交付税の今の方法だけでは足らないことはお話しのとおりでございますので、そういう税目の問題をあわせましてこの機会に十分検討をしてみたいと思っております。
  310. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 結論が先に出たような感じなんでございますけれども、私は中央の行革の次には地方の行革であると考えています。行革の一番の基本は、この辺の事務の再配分と税目、税源の再配分ではないかなと思っておりますが、これは非常に時間のかかる話でございます。私は率直に申しますと、税目の再配分によっては、困っているところには割合に行って――交付税をむしろなくしても、と言っては言い方が悪いけれども、交付税の三十何%というのが、ある意味からいうと非常に中央、地方のもたれ合いみたいな形をつくっている。でございますので、税源あるいは税目の選定にはよほど注意しなければいけないけれども、それがうまいぐあいに配分されれば、その中でどうやってそれぞれの自治体がうまくバランスをとっていくかということにそれだけ真剣になるのじゃないかと私は考えております。  それまでの間、自治省が地方の行革についてどういう手段を講じるのか。それまでの間と言うといかにもそこまで皆さんが決意したような言い方でございますけれども、今私が申しましたような国の事務と地方の事務、例えば国民健康保険でしたか、保険料などが地方自治体によって若干違ってくるというような話がございました。こういったものこそむしろ国が全部やらなければいけない。ところが、物によっては地方だけでやるべきものがある。そういった、国が本来やるべきもの、地方がやるべきものというのは、冷静に考えれば幾つかに分かれてくる。それに応じてどのくらいお金を取るかということが正しいと思っています。私は結論を先に言ったような感じでございますけれども、そういったような方向に前向きに検討されるのか、そうではないのかということをお聞きしたいと思います。
  311. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方行革に関連をしまして、一番基本的なことは国と地方の事務分担ということであります。この問題は、いみじくも今御意見にございましたように、戦後長い間言われておりながらもなおかつ今日まで解決しない問題でありまして、これから遅まきながらということになりましょうけれども行政改革推進審議会の方でそのあたりの沿革を考えながら、国として残すべきものはどんなものか、地方にどれだけの事務をおろすかというようなことを一生懸命検討して、ことしの五月あるいは六月ぐらいまでに結論を出すという段取りになっておるわけであります。  同時に、この事務配分の問題と関連をしまして、機関委任事務の見直しという大きな宿題もあわせて並行的に行われるわけでありますが、その間、一方において地方団体自身が行政改革に努力する必要があるわけでありまして、先般行革大綱を策定しまして、遅くともこの八月までには各地方団体が足並みをそろえて行革の体制を整備していただきたい、こういう要請をいたしたわけであります。自治省といたしましても行革大綱の策定について個別の御相談に乗るなり、あるいは給与問題につきましては引き続き個別指導を強化してまいろうと存じておりますし、さらに事務改善、経営改善の問題につきましては、学識経験者を中心としますアドバイザー制度を設けましてまた個別の御相談に乗ってまいりたい、できるだけ地方の行革を、従来以上にさらに一層推進してまいりたいと考えておるところであります。
  312. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 今の検討の中に税源の検討は含まれておりますか。
  313. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 国、地方間の行政事務の配分の問題、それからこれに見合う地方税源との関係は極めて密接だと思います。当然そういったものに合わせて税源の見直しを行っていかなければならないと思います。ただ、先ほど来申し上げましたように、地方税源の偏在性という観点から見まして、現在でも地方団体が経費を賄うのに必要な一般財源のすべてが地方税で賄われているわけではございません。地方交付税制度の活用はどうしても必要になってくると思うわけでございますが、そういった地方財政調整制度の活用を前提といたしまして地方税源の検討も行っていきたいと考えておるところでございます。
  314. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 自治大臣はかつて内務省におられた方と思いますが、そういった関連で、別に内務省がどうのこうのじゃございませんけれども、今言ったような考え方で事務及び税源の再配分ということを前向きにというか最終目標として、しかもその際にもう少し偏在しないような税源を選んでいくということについて前向きにお考えであるのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  315. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 まず初めの問題は、自治省で自治体が行うべき事務、国が行う事務というものについてどういうふうに検討しているかということでございますが、国と地方とは国民福祉の向上という共通の目的があることは御承知のとおりでございます。したがいまして、それぞれの機能を分担して相互に協力し合う関係でありますが、その際国、地方を通ずる行政の簡素効率化とそれから地方分権の推進の観点から、住民に身近な事務は身近な地方公共団体で扱うことが適切と考えております。機能分担のあり方につきましては、現在臨時行政改革推進審議会で機関委任事務の見直しと許認可の権限の地方団体への移譲につきまして、大体六月をめどとしまして審議をされておりますが、私ども先ほど申し上げましたような考えに立ちまして行革審に対して意見を申し述べているところでございます。  それから税源配分は、さっき研究しなければならぬということを申し上げたのでありますが、国、地方を通ずる事務配分など地方行政全般のあり方と関連する問題でありまして、私どもは税制調査会、地方制度調査会等の御審議を煩わしつつ、地方税源の確保ということを観点に十分今後検討してまいりたいと思っておるのであります。先ほどの大都市周辺の税と全国一般の比率等も申し上げましたとおりでございますので、税源の配分は今のような観点から私ども早急に十分検討を進めなければならぬと思っております。
  316. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 そういう最終目標に進んでいただけるということは私は非常に心強いのでございますけれども、その間に現在の地方における、特に放漫な地区の自治体についてどういう是正と申しますか、どのような措置を講じていかれるおつもりでございますか。
  317. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御承知のように現在の地方財政は五十年度以降大幅な収支不足が生じておりまして、地方債の増発あるいは交付税会計の借り入れで対処したために五十六兆円にも上る借入残高を抱えておるというふうな状況でございます。また個々の団体にとってみましても、公債費負担比率は急激に上昇してきておるというふうに財政が非常に硬直化しておる状況になっております。こういった中で御指摘のように一部の団体におきまして財政の運営に極めて不適切なことをやっておるところが見受けられるわけでございまして、こういうふうな団体がおりますと、地方団体全体が国民から不信の目で見られるというふうなことでございます。  そういうことから、私どもも従来から厳しくこの財政運営について指導しておったわけでございますけれども、こういう団体につきましては、具体的に申し上げますと、財政に余裕があるというふうな考え方のもとに、例えば期末手当とか高給与を支給しておる団体等につきましては、特別交付税の配分あるいは起債の許可に当たりまして制限をいたしております。こういうふうなことで厳しくこの財政運営の指導をやっておるところでございます。
  318. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 私、ちょっと海外に行ったことがあるのでございますけれども、そのとき非常に感心したのは、あるアメリカの町で新しい発電所をつくるかつくらないか、今の発電所ではどうも煙ばかり出る、ところが、つくるためには税金を払わなければいかぬ、最終的に住民がいろいろ討議した結果つくらないで済ました。つまり税金と近代的発電所とどっちを選択するかということが行われたということを耳にしまして、これが本当の意味の地方自治じゃないかという気がしたのでございます。  日本の場合にはそういう真剣な討議が行われないままに、国に要求していけば要するに幾らかもらえる、あるいは周辺の町と一緒、横並びでなくては困るということで、そこに税源の配分――さっき言いましたように、富裕な地方団体というのは決して本当に行革をやっているから富裕なのではなくて、自然に集まるようにできているから富裕なのでありまして、私は、税源をある程度分けたら、その中で一体増税する、減税するを彼ら自体の選択にゆだねたらどうだという気持ちまで持っております。とするならば、今の新しいものを建てようというそのときに、ではひとつ税金を払ってやるか、あるいは税金を払わなければ我慢するかという選択をさせるということまでいけば本当の意味の地方自治でもあるし行革もできるのじゃないかと考えておりますが、これがすぐ実現するかどうかわからないけれども、私は一つの考え方であると思っております。この点、大臣も同じような意見であるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  319. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 貴重な安倍委員のお話は、今後の地方行財政の上におきまして極めて傾聴すべき御意見と私は拝聴しております。御意見のあるところを十分検討いたしまして、また私どもも、そういう特定の神奈川県とか大阪周辺とか東京周辺の状況先生御承知のとおりでございますが、そういうものをこれからどういうふうに持っていくか、あるいはまた財源の乏しいところの町村の合併とか広域化という問題についても同時にあわせ検討して、財源の再配分はもとより、こういう行政事務のあり方につきましても今のような県、市、町でいいかどうかということもあわせ考えながら、ひとつ検討を慎重に、早急に進めてまいりたいと思います。
  320. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 ちょっと細かい問題、細かくもない話なんですけれども、私どもの大蔵省の先輩で、地方自治体が徴税に使っている職員の数と国の徴税に従事している職員の数というのを比較対照させまして、しかもやっている中身は地方の場合には国の徴税におんぶしているのが大部分ではないかというような議論をした先輩がおりました。それは本に出ております。それについてどういう実態なのか、自治省はどう考えるか。それから国税庁も来ているようでございますから、その御意見を承りたいと思います。
  321. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 今御指摘の点は、国税と地方税の中に課税の基礎を同じくするようなものがございます、そういったものについて国税の方での例えば所得の計算というようなもの、それを地方税の方に用いるというような点で地方税の課税の仕事がその分だけ国におぶさっているのではないか、こういうような御趣旨かと思います。もちろん、地方税固有の課税の事務、固定資産税あるいは料理飲食税の徴税、こういったものはかなり細かい税目でございますので、それなりに地方税色が強いかと思いますが、しかし国、地方を通ずる全体の効率化の見地から、私どもといたしましても制度、運営の両面にわたりましてできるだけ重複がないように配慮しておるところでございます。特に、国、地方を通ずる行政の効率化、適正な税務執行の確保という観点から、さらに一層の協力関係の確立を図るために、昭和五十七年十二月でございますが、国税庁と自治省の両方の合意に基づきましていわゆる三税協力、所得税、住民税、事業税といったような観点から、市町村における所得税の申告書の閲覧の合理化などの課税事務の効率化を図る一方で、これは市町村においても従来から一部やっておりましたけれども、全面的に所得税の申告を市町村で受け付けることもできるようにするといったことで、国と地方団体相互の税務行政の簡素効率化に努めておるところでございます。地方団体の税務職員、約八万五千人ぐらいでございまして国税の場合よりもこれは多いわけでございますけれども、そういった面での協力関係はより一層密接になっておるところでございます。また、地方税固有の税務執行につきましてもできるだけの簡素合理化を図っていって、税務職員ができるだけ縮減できるように手間暇を節約してまいりたいと考えておるところでございます。
  322. 高橋博之

    ○高橋説明員 国と地方団体との税務行政上の運営の協力につきましては、先ほど自治省の方から御説明がありましたとおり、昭和二十九年及び昭和五十七年十二月の自治省との了解事項に基づきましてその協力関係の拡充推進に努力しております。私ども徴収事務関係におきましては、納税貯蓄組合の普及育成、これらのことを通じまして正しい納税の呼びかけあるいは納期限の周知徹底、さらには振替納税の勧奨等を行っております。そのほか、徴収におきましては、同じ納税者につきましての徴収上の調整の問題がございます。さらには細かい問題になりますけれども、例えば公売公告の掲示等もございますし、また滞納処分におきます立ち会いの問題等もございます。そういう問題につきましても相互に協力しながらやっていくという形をとっております。  いずれにいたしましても、地方団体との協力関係を推進していくことは適正公平な税務行政の確保及びその効率化に資するところが非常に大きゅうございます。それはまた納税者に対するサービスの向上にもつながると考えております。そういうことで、具体的には国税局及び税務署で税務協議会を設置しておりまして、ここでさまざまな問題を地方団体と十分協議をいたしまして、そして地方の実情に即しまして了解事項の着実な実現に対して努力をしております。今後ともそういう協力関係を進めていきたいと考えます。
  323. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 時間もございませんから、最後に自治大臣の地方行革についての決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  324. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 国の財政も非常に厳しくなっております。地方の財政も先ほど局長から申し上げましたように大変厳しいものがあるわけでございまして、そういうところにありまして、特定の地域に特定の税源があるということで特別の措置がわずかでありましてもそういう地域でとられておることは、私は今後行財政の改革推進ということからいたしまして国としても何らかこういう問題については対処していかなきゃならぬ。今のところ自治省としては起債の制限をしたりあるいはまた交付税の問題、若干はありますが、先ほどのお話のような富裕の団体ではそういう措置についてもほとんど効果がないということでございますので、私どもは粘って、とにかく国と地方の厳しい両輪の状況でありますので、先ほどから申し上げておりますような行政事務の相互の配分の適正化、そうしてまた税源の配分という点につきましては十分今後調査をし、また検討いたしまして、身近なものは地方でやる、国でやるものはどういうものだということについてもあわせて検討いたしまして、本当に心豊かな地域社会ができますようにひとつ頑張ってまいりたいと思います。
  325. 安倍基雄

    安倍(基)分科員 終わります。
  326. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて安倍基雄君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺嘉藏君。
  327. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 公営競技場、そこで働く労働者の問題その他について御質問いたしたいと思います。  昨年も本件については質問いたしたわけですが、昨年はそこで働く公営競技場の労働者の労働条件を切り下げる、そういう方向で自治省から介入と疑われるような行為があった、こういうことで御質問いたした次第です。私は今日、重ねて申し上げますが、賃金が高いとかいろいろ言われておりますが、何回も言いますが女性が九割以上占める職場で、そして月に六日間と限定せられ、その六日間も土曜、日曜、祭日あるいはまた盆暮れ、正月、こういうところに集中した開催をいたしております。それに有給休暇があるわけでなし、各種の保険の裏づけ等があるわけでなし、文字どおり修羅場のごとき競走事業場で働くこれらの従事員の賃金は、私はそういう意味から今日決して高くはない、こう思っておるわけです。特に、この二年ないし三年は賃金は一切上がることなく、むしろ下がる。一時金は額で大体前年度の一割ないし一割五分、一時の半分近くにまで一時金は低落をいたしておるのが実情ですが、そういう中で自治省は、昨年私が質問指摘いたしましたような労働条件そのものに介入されるごとく、そういうようなことがその後どういうふうに推移せられたか、この点をまず承りたい、こう思います。
  328. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御指摘のように、近年公営競技の経営が悪化の状況にあるわけでございますが、五十八年度におきまして、施行者から提出されました経営改善計画について相談に応じて必要な指導助言を行ったところでございます、本年度におきましては、再度改善計画につきまして指導助言を行うといったことは特にいたしておりません。なお、公営競技施行団体の経営の実情把握するためには調査を行っておるということでございます。
  329. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 それでは、そのときに労働賃金の切り下げ等を中心と私どもは眺めておりまするが、そういう改善計画を各職場に提示するように指示されたわけですが、その後は提出をさせていない、こういうふうに承ればよろしいか。
  330. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 そのような指導はいたしておりません。     〔主査退席、船田主査代理着席〕
  331. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 それではいま一つ。かつて森地方債課長の名前で各主催団体に賃金手当等を調査する、そういう指示をいたしておられるわけですが、私は改善そのものには反対は当然しません。合理化することは必要であると思っておるわけです。しかし、こういう賃金手当のみを調査対象とした、そういうことは今でも進めておられるのかどうか。
  332. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 先ほど申し上げましたように、公営競技を施行している団体の経営状況というのを把握するために本年度におきましてもこの調査を行っております。それは売上額あるいは開催経費、こういった公営競技の歳入歳出の主な項目について調査いたしておりますけれども、もちろん賃金につきましてもその一部として中には入っていることは事実でございます。
  333. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 そうしましたら、ここに自治省の名前でこういう様式で出されたわけですが、こういうものを今でもとっていらっしゃる、こういうことですか。これは前に森地方債課長の名前で臨時従事員賃金等支給額の調査、こういうものを出せ、こういうことでずが、今はもうとっていない、こういうことですか。
  334. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 森君が地方債課長をしておったのは大分昔でございますので、ちょっとそういうふうな様式は今の地方債課ではとっておらないと思います。
  335. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 私は改善計画その他につきましては全般的な資料をとるならとって、そして改善の実のあることをやっていただきたい。  これは私の地元でもあるわけですが、その競技場のお客様のための駐車場を八万坪用意した。その八万坪に坪五千円の賃借料を払っておる。べらぼうなんですね。普通なら二千円でも高いと言われる、それが五千円も払っておる、それで八万坪用意している、四億払う、こういうまだまだ改善しなければならぬところが多いのに、賃金だけに集中して改善させるようなことは厳にやめていただきたいわけです。この際、今申し上げたような全般的な目配りをすることが当然あってもいいのではないか、私はこう思いますが、賃金に集中する、こういうことはないようにしていただきたいのですが、どうですか。
  336. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 私ども、公営競技の経営悪化ということは地方財源が減ってまいるということでございますので、公営競技をやる趣旨から申しまして大変問題であろうということで、全般的に経営改善のための指導助言を行っておるところでございますけれども、特に賃金についてだけ指導をするというふうなことではございません。先ほど指摘のような競技場の施設の使用料等の問題もございますけれども、そこら辺の細かなところにまで私どもも立ち入って指導しているということではございませんけれども、ともかく御相談がありますればいろいろなことにつきまして御相談に応ずるという姿勢でございます。
  337. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 地方財政の均てん化ということでかねてから公営競走事業の収益を全般に配分、恩恵を及ぼす、恩恵といいますか、プラスの要因を及ぼすということでそれぞれ一号交付金並びに二号交付金あるいは三号交付金、こういうふうに均てん化の施策を講じていらっしゃるわけですが、それにあわせて今度自治省関係では公営企業金融公庫の納付金を徴収する、納付させることになっているわけです。これらを一応上限でトータルいたしますと、もう百分の二・四に達しておるのが実情なんです。今日、均てん化のために売り上げの二・四%近い額を売り上げから取っていく、公営企業金融公庫の分は差し引いた後になっておりますけれども、一応そういうような全体のシステムになっておるわけですが、それぞれの公営競走事業場が不況のあおりで赤字に転落しているところがありますし、転落寸前で大変な苦労をいたしておるのが実情なんです。競馬、競輪、競艇あるいはまたオート、それぞれが各省庁に分かれておりまするけれども、そういう交付金を集めておるのは限界だと私は見ておるのです。そういう意味で、この際これを見直して、むしろ実情に合わした必要な軽減を含めた見直しを考えていただいたらどうか、こう思うのですが、どうでしょう。
  338. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御指摘のように各種競技につきまして各競技市関係者から交付金が交付されておるわけでございますけれども、公営企業金融公庫に対する納付金につきましては今回法改正によりまして基礎控除額の引き上げとか、売り上げが小さくて収益率の低い団体に対する配慮をする、例えば二百億円までの売上額に収益率を乗じて得た額の二分の一に相当する収益は最低限施行団体に確保されるというふうな措置も講じたところでございます。御指摘の他の交付金につきましてはそれぞれの法律に基づきましてそれぞれの所管省がございますので、私どもこれについて一緒にして軽減をするというふうなことまで持っていくのは現在の各事業の所管との関係でなかなか困難なことではないかと思います。
  339. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 二つ問題が出たわけです。まず一つは、後の方の、各省庁が扱っておるので自治省そのものが云々、こういう話ですけれども、もちろんこれは大きな目的で、地方財政に寄与するために公営競技場をやっておるわけですね。そういう意味から地方財政そのものに非常に圧迫を加え始め、あるいはまた地方財政への寄与が低下しつつあるときなら、当然この一号交付金、二号交付金をそれぞれ通産、運輸、農林等に対して適正に見直すことを自治省としては進めるべきだと思っております。この点について御答弁承りたい。  それからいま一つは、地財法の改正で今おっしゃったように見直しをすると同時に引き上げをする、こういうことですが、この見直しによって今までの百分の一を将来は百分の一・二にしていきたい、そのかわり売上額が小さく収益率の低い施行団体に対しては配慮した、こういうことですが、本当に実態がそういうふうになっておるかどうか、承りたいと思うのです。
  340. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 公営競技は、競馬の場合には畜産の振興、あるいは競輪の場合ですと機械工業等の振興とかその他体育事業などの公益事業の振興に寄与するというふうな考え方がございまして、この地方財政の健全化というふうなことも目標ではございますけれども、それぞれの各法律につきましては各省庁が所管しております。そういったことでございまして、すべてこの地方財政ということに集約されておるわけではございません。そういったことがございますので、先ほど申し上げましたように、これを一本化するのはなかなか難しいわけでございます。  それから、今回の改正によりまして、売上額が小さくて収益率の低い団体、こういうところについて配慮をする規定を設けたわけでございます。これまでは、赤字でなくても収益率の低いところでは、一%相当額をいただいたら収益が一切残らなかったというふうなところも出るわけでございます。例えば石川県の場合の例を引いてみますと、売上高が……(渡辺(嘉)分科員「ちょっと時間がたちますので」と呼ぶ)ともかく今度の改正によりまして、いわゆる収益率の低い団体につきましてはむしろ収益が手元に残る、軽減されるという形をとっておるところでございます。
  341. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 そういう趣旨で私どもにも改正に当たっての政令を聞かせていただいたわけですが、しかし、これをつぶさに計算いたしますと、仮に五十億の売り上げがあって利益が二%のところですと、従来公庫の納付金は四千二百万円であった。そして五千八百万円がその市町村に入っていたわけです。今度新しい制度になりますると、その五十億の売り上げを上げたところは、従来どおり二%の収益を上げますると、四千八百万円納めることになるわけです。今度は市町村には五千二百万円しか入らないのです。そういう形になるわけです、これがもし百億になりますると、公庫へは九千二百万円入る、市町村には一億八百万入っておった。ところが、今度の新しい制度によりますると、公庫に一億入れて市町村には一億しか入らない。市町村は八百万円下がる。そのかわり公庫は八百万円ふえるのです。  こういう一つの仮定から考えましても、ひとつ聞きたいわけですが、一%程度の利益、収益を上げておるところは下がりますよという説明をしていらっしゃるわけですが、これをずっと全部計算をし直してみますると、その収益が低いがために恩恵を受けられる限界は、仮に五十億円で計算をいたしますと一・九二%の収益以下は恩恵を受けられる。ところがそれ以上の利益率を上げているところはみんな上がるのです。百億になりますると二・一六、三百億になると二・三二、七百九十億になりますると、これは最高の売り上げを上げているところですが二・三七%、ということは、上にいくほどその限界率は上がるのです。下ほど限界率が下がるのです。ということは、下ほど恩恵が少ないのです。こういう計算が実際に出てくるのです。この点計算されましたか。
  342. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の改正によりまして、基礎控除額八億円を十億円にしておるということもございます。今度の改正につきましても、いわゆる売り上げが小さくて収益率の小さいところについてそういった措置がきくようにしておるわけでございますから、今御指摘のような下ほど重くなるということは私どもちょっと考えられないわけでございまして、むしろ収益のあるところからいただくような形になっておると思います。  細かい計算のことでございますのでちょっとその辺、担当課長答弁いたさせます。
  343. 柿本善也

    ○柿本説明員 数字的にはただいま御指摘のとおりかと思いますが、ただこれは御承知のように基礎控除という制度がございまして、現行制度では八億円までは全団体納付率をかけないで納付金はいただきません。今度これを十億円に上げようということでございますので、端的に申し上げますと、例えば売り上げが二十億円のような団体を考えた場合――一番簡単なのは、十億円の団体はその基礎控除を引き上げることによって納付金は要らなくなります。二十億円のような団体であれば、基礎控除が十億円先に引かれますので、納付率がかかる分は売り上げの半分について問題になる。そうするとそういう控除が先にかかっておりますので、いわば売り上げが少ない団体ほどその控除は先にきいておりますので、一見その効果が、いわゆるそれからの効果としては低く見えますが、軽減率としてはやはりその二分の一の効果が――以前に基礎控除が働いているという意味でございまして、特に売り上げが低い方が冷遇されている、こういう話にはならないかと存じます。
  344. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 十億ぐらいの売り上げをやっておるところはないのです。あってもそれは、いわゆる主たる競技場の十分の一とか十二分の一を借りてやる、本当のひさしを貸してももっておるところは別なんです。こんなものは別なんです。全体としてはそういうことはあり得ないのです。大体三十億なり五十億あるのです。だから、五十億、百億と計算をしていきますと、今申し上げましたように純収益の二分の一までは保証してあげますよ、こういう制度ですから、あたかもいいように見えるのです。  ところが、今度この制度を逆に見直していきますると、よく計算してもらいたい。五十億以下のところは、一・九二%以下の収益率を上げたところは恩恵があるけれども、一・九二%以上の収益率を上げたらもう恩恵は及ばない。それから百億を上げたところは、二・一六以下は恩恵がある。四百億上げたところは、二・三四%以下も恩恵があるのです。二・三四以上は恩恵がなくなる。ということは、大きな売り上げを上げて収益が大きいほど今度の低減は恩恵は多く受けられるのです。  この逆算でいきますると、私が計算をすると、五十億のところは一・九二が限界ですから、五十億のところと七百九十億の最高のところと計算しますと、その負担額はむしろ大きなところの方が下がるのです。これは間違いないのです。だから、そういう実態を無視して、そしてここに書いてある、売上額が小さく、収益率が低い施行団体には恩恵があるがごときこういう施策によって、実態を無視して、むしろ上がる。だから、仮に今申し上げた二%の利益が上がっておる場合には、五十億のときには六百万円ふえますが、百億のときには八百万ふえるだけで済むのです。ということは、下の方ほど多くふえておるのです。多くの数の中で、たまたま組合をつくって主たる競技場から借りておる、こういうようなところだけは下がるのです。これはもう極端なところなんです。そういう中身から見て、五十億の場合には収益率が一・六八%で前の制度と同じなんです。一・六八%収益を上げておるところは前と同じなんです。百億のところは一・八四%で同じだということは、売り上げが大きいほど、収益が大きいほど比率にして今度の負担は少ないのです。こういう計算が出るのですが、その点はどうです。
  345. 柿本善也

    ○柿本説明員 今回の各団体の負担軽減策は、基本的には、一つは基礎控除の引き上げと、それから今先生が御指摘になっている収益額の半分は手元に残るようにしょう、こういう二つの軽減策があるわけでございまして、今の御指摘は、その基礎控除の部分の効果の後の計算をおっしゃっているのだろうと思います。したがいまして、基礎控除はどの団体も、例えば二億円上げますと、一・二%でありますと二百四十万の効果が出ますが、売り上げの小さい団体ほど率としては高く効果が出ているわけでございます。その上の、それが終わった後の、確かにおっしゃるような今度は二百億以下のものの半分を残そうという制度ですから、その差の点におきましては、基礎控除の効果が割合として大きく出ない団体についてはある程度先生の御指摘になるようなことにもなるかと思いますが、もともと同じ収益率でその売り上げに対する納付金の率を全部結果としてはじいてみれば、やはり低い団体の方が軽減されるはずでございますので、そういうふうに御理解賜りたいと思います。
  346. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 それは私も全部計算したのです。競輪場九十事業所のうちでその恩恵を受けるのは数カ所しかない。あと全部上がるのです。いいですか、間違いないです。やってごらんなさい。そして、そういう負担率はむしろ大きなところほど軽くなりますから。ですから、そういう実態を無視して、こういう政令を出したから、だからいいんだというようなことの、これを指摘しておきますから、この政令は見直しをしてもらわなければいかぬと思っておるのです。そういうような意味で、私はこれは強く申し上げておきます。時間がありませんので、これは後日で結構です。  それからもう一つは、今度は一号交付金、二号交付金等の行方を探ってみるわけですが、時間がありませんので多くを申し上げませんが、地方競馬全国協会に当てはめましてもこの収益がどえらい入るわけですが、二十四億がこの協会の運営費に充てられております。ところが、そのうちで人件費が大部分を占めておる。人件費のうちで役員手当が約一億、厳密に言うと九千九百万円払われておるわけですが、この払われておる役員を調べてみますると、現在の会長は元食糧庁長官である、あるいはまた前の会長もこれまた農林省の次官である、あるいはまた局長である、こういう方々なんですが、こういう方々に払われておる賃金は月額において大体どのくらいですか。
  347. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 地方競馬全国協会の役員の給料でございますが、これは他の同種の公営競技の役員のそれと比べましてもほぼ同水準にあると考えております。理事クラスでもってほぼ七十万程度ではないだろうかというふうに考えております。
  348. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 地方競馬の会長が九十七万一千円の月額です。それにその他の手当を入れれば千四、五百万円に近くなってくるわけです。大変な高給です。これだけえらい経営をやっておる地方競馬場から上げておるその一号交付金、二号交付金の中から繰り入れをしてやっておるわけですが、こんなべらぼうな高い賃金を農林省の前の役人の方々がそこに天下りになっていってもらう。その退職金は本俸の一カ月の百分の三十六に在任期間を掛けて計算をされるわけです。そうすると何千万という金額になるわけですね。こういう大変な出し方、これは前に指摘があってそして軽減されたそうですが、それでも私どもから見ると、二千万、三千万、四千万というような額に達するのです、この計算方式でいきますと。これは当然改めさせる必要があると思うのですが、どうですか。
  349. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 退職金についてでございますが、これは今先生からお話のありましたように、昭和五十二年に他の公社公団と同様に支給率を百分の四十五から百分の三十六というふうに引き下げたところでございます。その結果、現在地全協の役員に対します支給率でございますが、これは他の公社公団等と同じになっておりまして、特に高いというふうにはなってないと考えております。
  350. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 時間がありませんのでこれ以上言いませんが、よそと一緒だというよそとの感覚、よそも下げるべきなんです。それぞれの中央官庁で局長なり次官までやられた方ならかなりの地位の方で、かなりの年齢なんです。その方がまたこういうところの会長、副会長等をおやりになって月額百万に近い俸給をもらって、そして五年、十年勤めて何千万という退職金をもらう、こういう制度はもう変えなければいけないと私は思うのです、これだけ厳しい世の中なんだから。この点について本当は大臣に聞くつもりだったのですが、今いらっしゃらないのでやむを得ません。全体的にこれについての御所見をひとつ承りたいのですが、だれから言ってもらったらいいかな。
  351. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 公庫公団その他の外郭団体、いろいろと元公務員であった方が役員をされておられるわけでございますけれども、公庫公団等につきましては、内閣におきましてこういったことにつきまして統一的に民間とのバランスをとって適正化しようというふうなことになっておりますし、それが行われた場合には、政府の直接監督下にないその他の外郭団体につきましても、そういったことに倣ってこれらの適正化をするというふうなことで各省庁において指導しておるのが現状でございますので、今後ともそういった方向で適正な額が支払われるようになるものと私ども考えておる次第でございます。
  352. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)分科員 では時間がありませんので以上で終わりますが、どうか、なると思うではなしに、やはりそういうふうに指導をしていただきますようにお願いして、終わります。
  353. 船田元

    ○船田主査代理 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  354. 中島武敏

    中島(武)分科員 私、きょうは消防行政についてお尋ねしたいと思っている次第であります。  まず第一は、消防予算に関してお尋ねしたいのですが、最初に消防力の基準の充足状況についてお伺いをいたしたいと思います。率でお答えくだされば結構ですからお答えをいただきたいと思います。
  355. 関根則之

    ○関根政府委員 消防力の基準に対する充足率は項目によりまして異なりますが、消防ポンプ自動車におきましては昭和五十六年四月現在の数字でございますが、八七・九%、小型動力ポンプで六六・一%、はしご自動車で五七・七%、水利につきましては六五・九%、こういう形でございます。
  356. 中島武敏

    中島(武)分科員 現有車両に対する消防職員の充足率はどうなっておりますか。
  357. 関根則之

    ○関根政府委員 七七・九%となっております。
  358. 中島武敏

    中島(武)分科員 今充足率について伺ったのですが、率直に言って非常に低い充足率だということが一言で言えると思うのですね。  それで、恐縮ですけれどももう一つ伺っておきたいのは、消防予算の中で消防施設等整備費補助金というのがありますが、これの昭和五十六年度から六十年度に至る毎年の額についてはどうなっておりますか。この点も最初に伺っておきたいと思うのです。
  359. 関根則之

    ○関根政府委員 補助金の金額は大きな項目が二つありまして、通常の消防施設等整備費補助金と大震火災対策の施設の補助金とに分かれております。これを両方合わせまして消防補助金と言っておりますが、昭和五十六年にはその額が二百五億ございました。その後毎年のように減少をしておりまして、五十七年が百八十八億、五十八年が百七十七億、五十九年が百六十六億、今御提案を申し上げております六十年度予算案におきましては百六十億ということでございます。
  360. 中島武敏

    中島(武)分科員 今長官は合わせて答えられたのですけれども、私は消防施設等整備費補助金というのについてお尋ねしたのです。私の方から申し上げてもよろしいのですけれども昭和五十六年度が百五十九億、五十七年度が百四十五億、五十八年度が百三十七億、五十九年度が百二十八億、六十年度が百二十四億という数字なんですね。つまり、毎年毎年下がってきているのが実態だということが大変はっきりするわけです。  それで、何で私がこんなことを伺っておるかということなんですが、消防力の基準の充足率も非常に低い、そこへもってきて毎年の予算も昭和五十六年度をピークとしてだんだん下がってきている。私、特に問題だと思いますのは、現有車両に対する消防職員の充足率が、今長官が言われましたように七七・九%、こういう実態なんです。ですから、いろいろな施設も大変不足しているが車両も不足している。ところが、不足している車両を動かす人員はさらにまた不足しているという、率直に申しまして大変お寒い状態なんですね。私はこういう状態を見ておりますと、消防の皆さんは大変とうとい仕事をしていらっしゃる、国民の生命、身体、財産を災害から守るというのがその任務なんですね、こんな状態のもとで果たして国民の命や財産あるいは身体を守ることができるのだろうかということを危惧せざるを得ないわけであります。そういう点から言って、率直に申しましてもっと消防施設を充足する、それから人間もちゃんと充足をするということをやらなければいかぬと思うのですね。そういう点で私は長官のこの問題についての決意を最初に伺いたいというふうに思うのです。
  361. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘をいただきましたように、消防の使命というのは極めて重大でございまして、国民の身体、生命、財産の確保に直接影響を及ぼす行政作用でございますから、私どもは国民の期待に沿うべく万全の消防体制を準備し整備していく責任があるものというふうに考えております。国の方で消防施設の整備のために交付いたしております国庫補助金というのは、先ほど申し上げました、また先生からも御指摘のありましたように、昭和五十六年をピークにいたしましてだんだんと減ってきております。これはしかし、国の財政が極めて厳しい状況に置かれておりまして、予算編成におきましてマイナスシーリングなりそういう手法をとらざるを得ないというまた別の要請から来ておりまして、残念ではございますが、こういう結果になっておるということであろうと思います。しかし、そういう国の厳しい財政状況の中に置かれましても、私どもといたしましては最小限必要な国庫補助金につきましてはできるだけこれを確保していく、そういう考え方のもとに大蔵省との折衝にも臨んでいるわけでございまして、例えば昭和六十年度の予算要求、今計上されております予算案におきましては事業量につきましては前年度を多少上回る程度事業量が確保できたというふうに考えておるところでございまして、今後とも必要な国庫補助予算につきましては確保していくよう最善の努力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  362. 中島武敏

    中島(武)分科員 大臣にも私は決意を伺いたいという気がするのです。今私質問申し上げて実態はわかったと思うのです。長官の方からも決意が述べられたのですけれども、これは自治大臣としても相当力を入れなければならぬという問題ではないかと思うのです。その点で、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  363. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 消防が現下の時節におきまして防災という点につきまして極めて重要な役割をしているということは先生のお話のとおりであると私は思っております。率直に申しまして、どうしてこんなに減ったかということを考えてみますと、例の補助金を減らすということで各省に割り当てが来ておったのと、自治省に対しては自治省の中でやりくりをするということで、基地交付金だとかそういうものの関係もあって消防の方がその余波を受けたのではなかろうか、いいことではないのですが、事実を私は申し上げているわけでございます。  そういう点から考えますと、自治省全体として消防力をどうして強化するか、本年度は、六十年度の案につきましては、若干減っておりますけれども、実質は昨年以上のものを確保することができると先ほど消防庁長官は言っておるのでございますが、自治省全体の消防であるという意識を強くいたしまして、今後消防力の確保あるいは各消防団の活性化につきましては国の災害を守るという見地から一大決意を持って頑張ってまいりますので、御了承願います。
  364. 中島武敏

    中島(武)分科員 今長官及び大臣からの決意を伺いました。私どももこの点では大いに努力をしたいと思いますが、どうかひとつ国民の生命、身体、財産を災害から守るというとうとい任務でありますから、これが果たされるようにさらに頑張っていただきたいと思うのです。  次に、大地震のときには火災が発生するというのが常でありまして、これにどうしてもやはり備えていかなければならないという問題があるのですね。この点で、耐震性の貯水槽を全部準備をするということになっているのですけれども、これがまたどうも、私の見るところ年々予算が減っているんじゃないかと思うのです。昭和五十六年から現在に至る状況は一体どうなっているかということを、この点に関して長官に伺いたいと思うのです。
  365. 関根則之

    ○関根政府委員 耐震性の貯水槽、これは百トンのものでございますけれども、国庫補助金の予算の推移につきましては、昭和五十六年度が九億七千四百万、五十七年度が同じ金額で九億七千四百万でございます。五十八年度がちょっと減りまして、八億五千二百万、五十九年度が七億三千九百万、六十年度予算案におきましては七億二千万を計上しているところでございます。
  366. 中島武敏

    中島(武)分科員 これも残念ながら年々減ってきているのですね。私は東京なんですけれども、東京、それから関東各県、この場合を見てみますと、直下型地震あるいは南関東地震、これは学者によりましてはいつ起きても不思議はない、あすにも起きるかもしれないということを言われるのです。大変予測しがたいという面もあるのですけれども、しかしあす起きても不思議はない、こういうふうに言われております。東京でもこの問題は随分と努力をして、東京都防災会議が、昭和五十三年だったかと思いますけれども、「東京区部における地震被害の想定に関する報告書」というのを発表いたしました。御存じだと思うのですが、この被害想定報告書によりますと、関東地震程度の大きさの地震が発生をする、条件としては冬の夕方、風速六メートル程度の風が吹いているという条件のもとで地震が起きたという場合にどの程度の被害が出るかということが述べられているのですけれども幾つかの指標が述べられておりますが、その中の一つである地震火災、これについてみますと、焼失面積で東京二十三区の三二・五%が焼失をする、それで人的被害についても罹災者三百五十万人、死者三万六千人、負傷者六万三千人、こういう想定がなされているのです。  それで、今お尋ねをしました百トン耐震性貯水槽についても、東京都も努力しております。おりますが、しかし一〇〇%達成するのにはまだほど遠い、そういう実情なんです。これは東京だけじゃございません。地震対策を強化しなければならない地域についても同様でありまして、実態的に言いますと大変お寒い状況になっております。ぜひひとつ、この耐震性防火貯水槽、これについても長官の方で一層の努力を望みたいというふうに思うのですけれども、長官の見解を伺いたいと思います。
  367. 関根則之

    ○関根政府委員 御指摘をいただきましたように、大地震が起こりましたときの人命の被害等で一番心配されるのは、地震に伴って起こります火災であるわけでございます。したがって、第一に地震が起きましたときには火を消すというようなことによりまして火災を起こらないようにしていただく、住民の方々にも御協力をいただくということでございますが、火災が一つも起こらないということはなかなか、神様ではございませんから難しいだろうと思います。不幸にして何件か発生しました火災に対して的確な消防力を投入してこれを防御する、そういうことができておりませんと、これは大変なことになるわけでございますから、そのためにはどうしても地震に耐え得る防火水槽というものがきちんと水利として確保されていなければいけないわけでございます。そういう意味におきまして、私どもも、地震に備えての耐震性能を有する貯水槽の必要性というものを非常に強く考えているわけでございます。東京都を初め、各地方団体、特に東海大地震の予想される強化地域の地方団体に対しましては、そういう意味からも耐震設計の防火水槽の整備をお勧めをし、強力に指導をしているところでございます。したがいまして、それに必要な国庫補助金の額の確保につきましても、私どもとしては最善を尽くしていかなければいけないものというふうに考えております。今後とも最善の努力を尽くしていきたいと思います。
  368. 中島武敏

    中島(武)分科員 私、次に消防力の基準に関連してお尋ねしたいことがあります。  それは最初にお尋ねしたいのは、消防力の基準を見ますと、その第一条に、「この基準は、市町村が火災の予防、警戒及び鎮圧並びに救急業務等を行なっために必要な最少限度の施設及び人員について定めるものとする。」こういうふうにあります。これはつまり、必ず守らなければならない基準あるいは必ず達成しなければならない基準であるのか、それとも単なる目安にすぎないのか、この点をまず一つ伺いたいのと、もう一つは、この基準は全国一律の基準ではないかと私は解しているのですけれども、その点はそのように解してよろしいかという点について伺います。
  369. 関根則之

    ○関根政府委員 消防力の基準は、お読み上げいただきましたように、必要な最小限度の基準を定めたものということでございます。必要なものである以上、最大限の努力を払ってそれを達成する、そういう性格のものであろう、こういうふうに考えます。  それから、基準そのものは一応全国を通じて適用できるような一そろえの基準を用意してございます。ただ、内容的には、御承知のとおり人口を基準として一応人口の大小に応じてそれぞれ対応できるようにいたしますとともに、非常に風の強い地域と風の余り強くない地域とに分けておりますとか、あるいは集落と市街地というものを分けておりますとか、そういう地域実情によってそれぞれ対応できるような形で中身は定めてあるということでございます。
  370. 中島武敏

    中島(武)分科員 実はこれも東京のことなんですが、東京は、昭和四十二年に中期計画で東京独自の消防力配備の基準をつくりました。それで実は、それまで消防力の強化という点に関していいますと大変おくれていたのですね。それで猛然とこの問題に力を入れようというので、東京の配備の基準というのを設けたわけです。これは全国的な基準と比較しますと、ちょっと難しいのですけれども、ざっと九〇%程度というふうに考えていいかどうか、何かそんなような感じを私受けております。しかし、これはあくまで、考え方としてはシビルミニマムなんですね。早くシビルミニマムを達成して、それをステップとして国の基準を達成する、そういう考え方で設けられたものでありまして、大変な努力で消防力の強化が図られたのです。ところが、これは率直に言いまして、非常に残念なことにここ数年は余り強化されていない。臨調、行革が声高に言われ出してから、やはり東京都でも、ぱっとせぬのですね。ぱっとしないというか、余り予算もつけられていないし、施設、人員、いずれも余り伸びていないのです。私、計算してみますと、このままの状態で推移しますと、数十年かかってしまうのです、この東京都の消防力配備の基準を達成するのは。国の基準を達成するのはさらにもっと時間がかかる状況なんです。ところが、御存じのとおり東京は日本一のマンモス都市であります。人口当たりの火災の発生率も大都市の中では大阪に次いで高いという状況のところなんです。交通事情も悪いのです。率直なところ、いざ火事といっても交通混雑がひどくて消防自動車が思うように進めないとかあるいは鉄道等の立体交差がされていないところが随分ありまして、目の前で火が燃えているのに遮断機がおりてしまって横手傍観、切歯扼腕というふうに、こういう状況が出てくるわけなんですね。それで、先ほども申し上げましたように、大地震にも備えなければならない、そのためには消防力をもっと強化しなければならない、こういうところにあるのですけれども、私は、さっきから長官の決意や大臣の決意というものを聞いて、やはりみずからも相当な努力をしなければいかぬと思うのですね。やはりこういう大切なところには全力を挙げてもっと予算をふやすということをやって、そういうことをみずから範を示しながら、しかしこの状態では、東京は国会もあり政府機関もあるのです、そういうところですから、東京の方にももっと消防力強化をせにゃいかぬということを要請すべきじゃないかという気が僕はするのですね。長官、それから大臣にこの点についても見解を伺いたい、要請したいというのが気持ちなんですけれども、私伺いたいと思うのです。
  371. 関根則之

    ○関根政府委員 全国的な消防力の整備の必要性というものは先ほども充足率が低いという説明の中で申し上げたつもりでございますが、特に東京の場合は、田舎の消防に比べますと格段の整備がなされておりますけれども、これだけの大都市であるわけですから消防に対する負荷量、一たん大災害、大地震等が起こった場合の消防負荷量というのはまたけた違いに大きいわけでございますから、それに見合うだけの消防力というものを整備していかなければいかぬ、そういう負荷量との兼ね合いにおいてはまだまだ東京の消防力というものは不足しておると私は考えております。その整備が急がれるわけでございまして、東京も一生懸命やっていると私は思います。いろいろ与えられた条件の中で非常によくはやっていると思いますが、私ども、全般といたしましてさらに消防力の充足、拡充強化のために御努力をいただきますよう東京都にも事あるごとに要請をし、国と地方と一緒に協力し合いながら消防力の整備拡充をやっていくべきものというふうに考えております。
  372. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 お話しのように、首都の特性、それから都内におけるいろいろの重要官公庁、国会あるいはまた地域によって最近随分状況が変わり、高層的な建物も出てきております。しかし、地震に対するどれだけの備えがあるかというと、まだまだでございます。そういうような諸点を勘案いたしまして、私も鈴木知事初め関係者に対しまして、国はもとよりでございますが、東京都の消防力の強化充実につきましてはひとつ一層努力をさせていただきます。
  373. 中島武敏

    中島(武)分科員 私は次に、消防署員、消防団員の待遇改善問題について伺いたいと思うのです。  最初に消防団員の報酬と出動手当、これは現在どんなふうになっているかについてお尋ねします。
  374. 関根則之

    ○関根政府委員 消防団員につきましては報酬を一応わずかではございますが支払うことを指導いたしておるところでございまして、通常そのよりどころとしてよく指摘されておりますのが財源措置としての交付税の基準財政需要額でどう見ているかということでございますが、昭和五十九年度におきましては団長で年間五万一千円、それから団員で一万五千円という単価で報酬は積算をいたしております、また、出動手当につきましては、これは団長も団員も全部同じでございますが、込みで一回につき四千三百円という単価を使っております。昭和六十年度におきましてはこれを多少増額するように考えているところでございます。
  375. 中島武敏

    中島(武)分科員 率直に言って低いですね。私はこれをさらにもっと引き上げることを要請したいと思います。といいますのは、私も消防団員の人たちがどんなふうにしてふだんから苦労してやっているかという実態をよく知っているからなんです。家業が終わってから訓練をやらんければいかぬとかあるいはかなりの日数警戒活動に当たらんければいかぬとか、あるいはまた機材の整備のために時間を費やさなければならないとかなかなか大変なものであります。家族の方の支えがなかったらとてもやっていけないと思われるような仕事をやっているんです。ですから、これはもっと引き上げるようにひとつこの際要請をしておきたいということと、それからもう一つは、東京の場合には消防署は三交代制を採用しているんです。しかし、全国的に見ますと、まだまだ三交代をやっているというところはありません。東京も三部制が完成はしていないのです。まだ一部残されている地域がありますので、これをやらんければなりません。なりませんが、そういうものを、全国的にはほとんど採用されておりませんので、少なくとも似たような条件にある大都市ですね、こういうところはやはり三部制を採用するべきじゃないかということが一つであります。  それから、時間もありませんので、私の方からもう一つ申し上げて答弁をお願いしたいと思うのは、救急車と救急車の人員配置の問題なんです。     〔船田主査代理退席、主査着席〕 これは、長官、実態をどの程度つかんでおられますでしょうか。これは東京の実態なんですけれども昭和五十九年一月から十二月までの出場件数は三十万七千四百二十件であります。一隊当たりの出動は千九百九十六件、一隊で一日約六件の平均になるんですね。六回の出動です。ところが、ターミナル付近は大変なものなんです。実は一隊当たり年間三千件を突破しております、年間三千件。例えば渋谷消防署の場合には三千百九十四件、一日一隊当たり九件という状況なんです。ですから、これは休息の時間も何もあったものでない。もう救急隊員はくたくたであります。これは大変なものであります。しかも、非常に大変なのは何かというと、ここの渋谷消防署の場合には五隊あるんですが、全部出払っている、そこへまた一一九番が入ってくる、もうこのときは何ともしがたいんですよ、こうなりますと。事は人の命にかかわる大問題なんですけれども何ともしがたい、こういう実態なんですよ。それで、これはやはり何としても改善しなきゃならない。必要に応じて救急車はふやすということ、それから同時に、今言ったような実態なんですから、これも必要な箇所に関してなんですけれども、三人で一組というような状況を改めて、もう一人補助要員を置くというような措置をとって幾らか余裕のあるようにしませんとこれは重大な問題だということを非常に痛感しておるのです。ぜひ必要なところは台数もふやすし、同時に、人間に関しては、規定のものだけじゃなくて補助要員も設けるというようにぜひしていただきたいということであります。  以上二つについてお答えをいただきたいと思うのです。
  376. 関根則之

    ○関根政府委員 団員の手当の引き上げにつきましては、これは逐次やってきております。他に生業を持ちながら、まさに義勇消防として消防団はやっていただいております。我々もいつも本当に頭の下がる思いをしておるわけでございますが、これは、もともと本質が義勇消防でございますから、余り報酬だけで動いてくるというような性格にしてしまうということは非常に問題があろうと思います。ただしかし、それにいたしましても費用弁償的なものをちゃんとしてやるということは必要でしょうし、それから今の水準そのものが、団員は一年一万五千円ですから、月千円ちょっとなんですね。たばこ代にもならないというようなことでございますから、報酬といったって報酬の名に値しないと私は考えております。しかし、本来消防団というものの持っている麗しい伝統といいますか、かくあらねばならぬ伝統というものをきちっと守りながら、必要な待遇改善については私ども努力をしていきたいというふうに考えております。  二番目の大都市におきます三部制を、少なくても大都市程度のものについてはすべて採用すべきではないかということでございますが、何せ行革の時代でございますし、三部制を全部とりますと大変な人員増、経費増というものがあるわけでございます。しかも、その実態に応じて各都市ごとにそれぞれ経緯があって、いろいろ職員の意見も聞きながらローテーションが組まれてきている、そういう経緯もありますので、なかなか、これは直ちに三部制をすべての大都市にということは実際問題として難しかろうと思います。ただ、もちろん必要な消防需要というものが片一方にあって、労働強化が起こらないように必要な人員配置をするということは、これは管理者として当然考えていかなければいけないことでございますから、まさに住民の需要にこたえて、それにこたえられるような、そういう消防体制というものをつくるために必要な人員なり機材なり、そういうものの配置はしていくべきものというふうに考えておりまして、これは東京についても同じことでございまして、救急車の配置、人員の配置等について、今確かに東京の、署によりましては大変なオーバーワークといいますか、一日に相当回数出るというような隊もあるようでございます。ただ、一度にかかってきて手に負えないというようなことは、これは東京の場合には集中指令方式を採用いたしておりますから、やや遠くはなりますが、全体を動員して中央で指令を出しまして、お互いに消防署同士で助け合うような形をうまくとることによって何とか対応をしていってもらいたい、こう思っております。しかし、そういう中で大変過重な勤務になっておるというような面がありますれば、当然それに対応して必要な人員配置というものは考えていかなければいけないものだというふうに考えます。
  377. 中島武敏

    中島(武)分科員 終わります。
  378. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。  次に、菅原喜重郎君。
  379. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 古屋大臣には遅くまで御苦労さまでございます。一応大臣の方から質問をさせていただきたいと思います。  臨調の答申を待つばかりでなく、政府も赤字財政の再建に鋭意努力しているところでありますが、地方自治体の財政も、総額五十兆五千二百七十億円余の年度予算に対して、昭和六十年度末には借入金残高が五十六兆円を超えるまでになっております。今や行政改革は中央地方を問わず日本政治の最大課題でありますので、まずこれに取り組む大臣の所信と決意をお伺いしたいと思います。
  380. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 地方公共団体におきましては、先生も恐らく御存じのとおり、国に先駆けて行政改革に取り組んでかなり成果を上げたところも見られるのでございます。私ども非常に感激してそういうのを見守っておりますが、中には行政努力が足りないために住民の激しい批判を受けているところがあることも、これまた事実でございます。地方行革を推進するには、まず第一には、国において、地方の行革を阻害し、地方財政の膨張をもたらしているような制度、施策の思い切った見直しが行われることが必要でございます。最近、そういう意味において、地方行財政をめぐる極めて厳しい環境に置かれ、先生お話しのように五十六兆以上のマイナスがあるというような状況でございます。そういう意味で、この際すべての地方公共団体が足並みをそろえてさらに積極的に行政改革を進めることが必要である。このために、地方公共団体における行政改革の指針として先般行革大綱を策定いたしまして、給与・定員管理の適正化、組織・機構の簡素合理化など、行革の重点事項を示しますとともに、同時に、各地方公共団体においては行政改革推進本部を設置し、それぞれの行政改革大綱を策定し、これを公表して自主的、総合的な行政改革を推進するように要請したのがこの大綱でございます。私は、地方公共団体が地方行革大綱に従いまして行政改革を推進するように今後とも強力に指導してまいる決意でございます。
  381. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 大臣の決意を聞いた次第でございますが、国家公務員に準ずるはずの地方公務員のラスパイレス指数の問題でございますが、昭和四十九年度全地方公共団体平均が一一〇・六、昭和五十八年度にはこれが一〇五・九と下がっているわけでございまして、この是正方に対する努力というものは一応認めるわけでございますが、しかし、今なおこういう差があるわけでございます。この現状と今後の対応について所信をお伺いしたいと思います。
  382. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生今お話しになられましたように、昭和五十八年四月一日現在で一〇五・九と改善されてきましたけれども、なお高い水準にあるということは事実でございます。したがいまして、この給与水準というのを納税者の皆様方が納得してくださるように是正していかなければならないというふうに思いますが、私たちは、基本的には各地方団体の方で自主的にこれを改善すべく取り組んでいただくというふうに考えております。具体的に申し上げますと、当該地方公共団体の長とかあるいは議会とか納税者がそれぞれの実態というのを十分把握した上で、これの是正にそれぞれの役割を果たしていただくというのが基本だと思いますが、そういう基本的な自主的な取り組みというものだけによってはどうしても是正が進まないというところにつきましては、私たちは、個別的にそういう団体を指摘いたしましてそれを計画的に是正していただくべく現在指導しておるところでございますが、これからも世論を背景に、こういう指導というものを継続して強化していかなければならないというふうに考えております。また機会を見まして先生方の御指導をいただきたいというふうに考えております。
  383. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 このラスパイレス指数のでこぼこは、さらに勤務手当とか特殊勤務手当の実態等を加えるとまだでこぼこが出てくるのじゃないか。殊に福祉費とか厚生費等の名前で支出されている面に対するチェックというもの、こういうことをも、実態はどうなっているのか、このことについてお伺いしたいと思います。
  384. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 給料本体につきましては先ほど御説明申し上げたとおりでございますが、それ以外にいろいろな手当というのが実は出されております。先生は、恐らく主として特殊勤務手当等を頭に置いておられるのだと思いますが、この特殊勤務手当というのは、もともとは非常に不快な仕事とか困難な仕事とか危険度の高い仕事をするときに出すべきものでございますけれども、一部の地方団体におきましてはその制度の趣旨に合わない手当を出しておるところがあるというふうに私たちも知っております。  そこで、給与の実態調査をする過程におきまして、そういうことをしておる団体に対しましては、個別にそれを指摘をいたしまして是正をさせておるというところでございまして、私たちがそういうことを始めましてから、是正をしておる団体が毎年着実にふえてきております。しかし、なお現在、先生が御指摘になられますように、そういう団体があることも事実でございますので、制度の趣旨に沿わないそういう手当を廃止して、納税者からとかく批判が出てこないように、私たちも全力を挙げて取り組んでいかなければならないと考えておりますので、よろしくお願いします。
  385. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 さらに、類似町村における定数のでこぼこ、定数の不均衡といいますか、さらには退職手当あるいはわたり等を見ますと、やはりこれも随分でこぼこがあるわけでございます。こういう点に対するところの指導はどのようになされていくのか、お伺いしたいと思います。
  386. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 地方公務員の数の話は、先生先ほど質問になられました給与の問題と並びまして非常に重要な地方団体が取り組むべき課題だというふうに私たちもかねがね考えております。一口に地方公務員と申しましても、学校の先生もおりますし、警察官もおりますし、独立採算で経営しておる公営企業の職員もおります。そこで、私たちの方でそういう部門別の職員の増加状況というのを見てみますと、地方団体が比較的自主的に管理できるいわゆる一般行政部門は、私たちの最近の指導というものもこれ手伝いまして、ここ数年毎年減ってきております。しかし、全体としましては、警察官がふえ、教員がふえますので、若干増加ぎみに来ておりましたけれども、五十九年四月一日現在では、全体としても九百十人減になりました。  ただ、こういう結果に満足することなく、なお地方団体が自主的に取り組むべき分野もございますので、計画的に定員管理をしていただくという意味におきまして、定員適正化計画というのを各地方団体につくっていただきまして、それぞれの地域実情に応じた定員管理を適正にやっていただくということが必要だと私たちは考えております。その地方団体の取り組みに資するために、私たちの方では、定員モデルというのを開発し、また類似団体別の定員の状況というのも資料として提供しておりますので、そういうものを地方団体の方で勘案しながら十分取り組んでいただくように指導していかなければならないと思います。  なお、先生がお話しになられました退職手当とかあるいはわたりという問題は、給与に関する問題の一環でございますので、先ほどお答えいたしました趣旨に沿いまして、退職手当とかあるいはわたりの是正というものもしっかりやっていく所存でございます。
  387. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 答弁の趣旨は、やはり各地方自治体の首長、議会、住民が自主的に是正してもらわなければいかぬというのが自治省の方の考えのようでございますが、今の地方公務員の定数条例は、各地方自治体の権限でございますから、一応自治法の立場からは当然なんでございます。しかし、現実は、現在の首長制度、これは四年に一度の選挙で出てくる。選挙で出てきますと、どうしてもそこにはいわゆる選挙対策的な考えが走ってくる。それから、必ずしも行政の専門職にたえ得るような職種からの人々がこの選挙に出てくるとは限らないわけでございますから、自主的な是正ということを一応主眼とした指導をやっていたのでは、いつまでたってもこういう不均衡というものが直っていかないのじゃないかというのが私の心配しているところでございます。この点に対してはいかがな所見でありますか、お伺いしたいと思います。
  388. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生がお話しになられますように、地方団体のもともとの自律的な機能によっても十分やっておるところもございますし、それだけでは不十分なところもございます。そこで、私たちの方では、法律に基づく指導助言というのを可能な限り行っておるわけでございますので、そういう地方団体につきましては、先生が御指摘になられ、また御心配になられておる、そういうことがないように、私たちの方では、地方団体の自律的な機能がさらに十分に機能できるようにできるだけ指導助言というものを強めてまいりたい。せっかくの御指摘でもございますので、今後の仕事の過程におきまして十分参考にさせていただきたいと思います。
  389. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 実は、今までくどくどしくいろいろ追及してきたのは、もう既に日本の地方自治の改革は、現在の制度、機構の中では不可能じゃないかということを感じるからでございます。幸い、二月にサンケイが「税金の使い方」ということで、アメリカのシティーマネジャー制度その他のいろいろな情報を記事にしておるわけでございますが、何かこのような抹消的な是正では、もはやこの新しい時代に対するチープガバメントの実現、そういうシステムにはどうにも改革できないのじゃないか、ここいら辺で思い切ってアメリカのシティーマネジャー制、委員会制等の制度を参照にして、日本版制度を考えられないのか。私も五期の地方自治体首長の経験者でございますので、そういう経験からもこのことを今質問するわけでございますが、この点に関して、大臣、いかがお考えなのか、答弁をお願いしたいと思います。
  390. 大林勝臣

    ○大林政府委員 一つ市町村行政のタイプとしまして、仰せのようなアメリカで発達をしましたシティーマネジャー制度でありますとか委員会システムでありますとかいうものが、従来からも提言として述べられたことはございます。確かに、日本の国は明治以来、同一民族、同一言語、同一宗教ということもあったのでありましょう、全国押しなべて一律の組織形態をとって今日に至っておるわけでありますけれども、アメリカのようなところは、むしろ最初に州ができて、それから合衆国になった、したがって、各地の実情に応じてそれぞれの創意工夫が加えられ、地域に応じて多種多様な執行形態というものができ上がったのであろうと思います。  もちろん、従来、日本におきましても、地方団体の規模というものは千変万化と申しますか、非常に種類が多いわけでありますので、それぞれの規模等に応じまして類型の変わった組織形態というものも考えられるではないか、そういう議論が地方制度調査あたりにもございました。これは一つの御意見とは存じます。今後そういった変わった組織形態というものが考えられるかどうか、一つの大きな検討課題であるとは思いますけれども、シティーマネジャーという制度が日本の風土としてなじむものであろうかどうか、同時に、前提としましてはシティーマネジャーというものにどれだけの権限を与えるのか、その権限を与えた場合に選挙で選ばれた首長の責務というものが一体どういう形になるのであろうか、非常に大きな議論になろうと思います。最近数年間、ある研究機関においてもこういったことが研究をされておりましたけれども、まだ結論が出てないという状況でございますので、私どもも時間をかけて勉強してまいりたいと考えております。
  391. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 大臣資料によりますと、十四万七千人のグレンデールという市では議員定数が五人でございます。ロサンゼルス、七百五十万の大都市でも議員が十五人でございます。こういう日本の議員数から比べましても考えられないくらい少数の議員体制でもりっぱに運営ができているわけでありますし、また憲法そのものは私たちは欧米から学んだ憲法でございますから、日本でこういう制度を取り入れられないということはないはずだと思っているわけでございます。  先ほど大臣は制度、施策の思い切った改革をしなければならぬと言われた。事実私も、制度、施策の思い切った改革をしない限り現在の日本の税金あるいは公務員のふえている現状を本当に新しい時代に合ったシステムに改革していくのは難しいと思っているわけでございます。大臣大臣の任期中にもし地方自治体が何かこういう新しい制度を実現してみたいと名のりを上げてくればそれに指導できるような対応を考えてもらいたいと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  392. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今の菅原先生のお話、私も日本の状況等を考えながら非常に感銘深くお伺いいたしたのでございますが、今の日本の実情は大都市から小さい町村まで同じ地方自治法一本で進められておる。ところが、各地域の経済バックボーンというものも随分変わっております。また老齢化あるいはOA等の進歩というものも随分新たなものが出ております。そういう意味におきまして、私もこういう問題を大胆に検討させていただき、今のお話の新しいあり方につきましてはひとつ十分検討を加え、またまともにそういう問題にぶつかって、地域実情に沿った、住民の気持ちを酌んだそういう組織につきましては真正面から検討させていただきたいと思っております。
  393. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 前向きの答弁で大変心強く思っています。  先ほど、シティーマネジャー制を日本に導入した場合シティーマネジャーに委任できる権限の問題で日本の現在の制度に合うかどうかという不安な問題点が指摘されているわけでございますが、私は、アメリカのシティーマネジャー制をそっくりそのまま導入するというのではなくて、あくまでもこれを参照にして日本の現風土に合う制度を考えるべきだと言っているわけでございます。  と申しますのは、今の地方自治法に基づくところの首長の権限は大変なものでございまして、あらゆる地方自治体の権限行使は市町村長あるいは知事に一手に集中しているわけでございます。少なくとも金の執行の面だけは、あるいは入札だけは分離すべきだ、私はこういうような確信に立っているわけでございます。  現在、この問題につきましては、収入役に対しても歳計現金の保管権限、いわゆる出納の出し入れ部門の権限は法で分離しているわけでございますから、この点の分離を専門的にまた中心に考えれば、これは地方行政改革の基本となる大きな骨ができてくると思うわけでございます。この点について今後ひとつ十分に検討していっていただきたいと思うわけでございます。  さらに政府といたしまして、今地方自治行政も専門化しているわけでございます。こういう点で、県からあるいは本庁の方から管理職、助役等の出向も実施されているわけでございますが、行政の専門家の派遣、供給できる対応システムをもうちょっと積極的に考えていかれないかどうか、この点をお伺いしたいと思うわけでございます。
  394. 大林勝臣

    ○大林政府委員 確かに地方行政もこの十数年来、非常に複雑多岐になりました。しかも、高度化、専門化を続けております。これに対応するためには何と申しましても職員の資質の向上が必須条件でありまして、特に専門家の養成ということが前々から叫ばれておるわけであります。  御提言のそういった専門家の派遣制度というものも今後十分に考えていかなければならないとは考えますけれども、その前提といたしまして、専門家をできるだけさらに多く養成してまいる必要があると思います。地方行政一般につきましては、自治大学校において長い間研修制度を続けてまいったわけでございますけれども、今後さらにこの自治大学校を補充するような研修機関も現存考えられております。まず現在の段階におきましては、そういった専門家の養成に力を注いでまいり、さらにシステムとして御提言のようなものが考えられるかどうか検討してまいりたいと考えております。
  395. 菅原喜重郎

    ○菅原分科員 大臣、日本の現行政の改革というのは、中央地方を問わず、今日本の政府に与えられている最大の課題でございます。大臣も、先ほど前向きの答弁をしていただいたわけでございますので、何としてでもぜひ大臣の在任中に思い切った制度、施策を変えられるような法律の実現に着手していただきたい、こういうことを要望いたしまして質問を終わります。
  396. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて菅原喜重郎君の質疑は終了いたしました。  次に、小沢和秋君。
  397. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私は、同和行政の問題についてお尋ねをいたします。  これまで私たちは、公正で民主的な同和行政をということをここ十年ぐらいにわたって要求してまいりましたけれども、これがなかなか進まないわけであります。昭和五十七年三月に地域改善対策特別措置法が制定をされました。これは従来の施策の反省の上に立って制定されたというふうに言われているわけですが、具体的にはどのような反省の上に立っているのか、まず最初にお尋ねをいたします。
  398. 佐藤良正

    佐藤説明員 昭和五十七年に従来の同和対策事業特別措置法が地域改善対策特別措置法に新しく生まれ変わったわけでございます。内容といたしましては三点ほどございまして、施策の進め方自体が地域住民の理解を得ながら行われなかったということが一点、それから行政機関がややもすれば団体の要望をそのままに取り上げたというようなことが二点、それから周辺地域状況に比べて地域の整備が必ずしも均衡がとれてなかった、こういうことを踏まえまして、具体的には地域改善対策特別措置法二条二項でございますが、「国及び地方公共団体は、地域改善対策事業実施するに当たっては、対象地域とその周辺地域との一体性の確保を図り、公正な運営に努めなければならない。」という新しい規定が入った、こういうことでございます。
  399. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 この第二条二項の中に地方公共団体の責務もうたっていることは、私は非常に重要だと思うのです。同和施策はその大部分が地方自治体を通じて実施されるわけでありますから、地方自治体がこの法の趣旨を十分理解して従来のやり方を改善するかどうかということが私はこの地対法が真に正しく実施をされていくかどうかのかぎになっていると思うのです。  そこで、さらにお尋ねをしたいと思いますけれども、この法律が実施されて以後、地方自治体に対して具体的にどのような指導をされてきたでしょうか。
  400. 大林勝臣

    ○大林政府委員 御案内のように、この法律ができまして五十七年四月一日に関係各省の次官の連名通知が出ておるわけであります。そこにおきましても、「法施行に当たっての配慮事項」といたしまして、地方公共団体におきまして独自に実施する関係施策についても、運営についての十分な検討なり適正化及び効率化を図るように、こういう通達が出ておりまして、この通達に基づきまして、地方自治体に対しましても特別措置法の趣旨の徹底に努めてまいっておるところであります。
  401. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 自治省だけでなく、各省もそれぞれこの指導をされてきたと思うのですけれども、厚生省はどうでしょうか。
  402. 大木知明

    ○大木説明員 厚生省関係につきましては、今自治省の方から答弁がございましたように、五十七年四月一日付の各省事務次官通知、これは厚生事務次官も含まれておるわけでございますが、これに基づきましてそれぞれ地方自治体の単独事業についても地域改善対策特別措置法の趣旨に基づいて行われるべきである、そういう形で指導するということにいたしております。
  403. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 では、そういうような程度の指導で地方の同和行政というのが大きく改められた、先ほど総務庁の方が言われたように、民間の運動団体の要望に押しまくられて地方の自治体が主体性がないようなことをいろいろやってきたというような状況は克服されたと言えるのでしょうか。
  404. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方団体のやっております事業も多種多様にわたっておりまして、それぞれの地域実情に応じて事業を選択して執行しておるわけでありますけれども、その執行の仕方におきまして、従前の同和事業と新しい法律に基づきましてその精神を酌みまして行っておる執行状況といったものの比較を今直ちに全部直ったと自信を持って答える自信は現在のところございませんが、私どもはこの新しい特別措置法ができまして以来、この次官通達に基づきまして、その精神を体して地方団体が努力していただいておるものと存じております。
  405. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 自信がないというふうに割合に正直に言われたわけですけれども、そういう自信がないと言うぐらいの状態だったら、例えば実態を、この法律が出てからでも、五十七年ですから既に三年ですか、もう三年になりますし、改めて実情をつかんで、この法律の趣旨と合っていなければ早急に是正させるように強力な指導をするとか、そういう積極的な構えが必要なんじゃないですか。
  406. 大林勝臣

    ○大林政府委員 個別の市町村事業の執行につきましての指導と申しますのは、私どもは地方自治の原則というものに立ちまして地域の自主的な努力を尊重してまいっておるわけであります。これは同和事業に限らず、あらゆる事業についても言えることでありますけれども、個々の地域事業につきまして一つ一つ実情調査するということもなかなか難しゅうございます。市町村自身がこの新しい法律の精神を体してやっていただくように指導を継続いたしますとともに、県にその指導をまたお願いするというのが現在の実態でございます。
  407. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私が住んでおります福岡県というところは、御存じのとおり同和地区全国でも非常に多い地域一つであります。ですから、私は地元で同和行政がどのように行われているかということについてはよく承知をしておりますけれども、この法律ができたことによって実態はほとんど変化がないというふうに言ってよいと思うのです。地域改善対策協議会の諸先生方もこの点についてはよく御存じだとみえまして、五十九年六月十九日に今後における啓発活動のあり方について内閣総理大臣関係大臣に対して意見の具申が行われております。この中でも「行政としての主体性の欠如から、民間運動団体がその固有の立場から行う要求は要求としてそれを未整理のままで取り上げ、結果として周辺地域との一体性を欠くような事態を発生させることも、国民に同和行政に対する不信感を与える以外の何物でもなく、厳に戒めねばならない。」というふうに指摘をしております。この同和行政の姿勢を正さなければ国民の中にさらにこの同和問題についての差別感を助長するというようなことになって、この国民的課題である同和行政の正しい解決の前提ともいうべき条件が欠けていることになるんだ、これを正させることが今非常に重要だということをこの意見具申の中で強調しているわけであります。私の理解に間違いはありませんか、総務庁。
  408. 佐藤良正

    佐藤説明員 おっしゃるとおりでございます。
  409. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 この同和問題を真に正しく解決していく上で、地方自治体の主体性を確立すること、今までのそういう主体性がない時代にたくさんつくってしまった間違ったやり方を改めることが今もう緊急の重要な問題だということがこれだけこの意見具申の中で言われている、これは私は今の行政に対する最大級の批判ではないかと思うのです。これが出されてからでも既に一年近い日にちがたとうとしているわけですけれども、これが出されてから以後、何か特別の指導を強化されたようなことはありますか。
  410. 大林勝臣

    ○大林政府委員 この通達というものが関係省庁の事務次官の連名で出されておる一番基本通達でございます。私どもいろんな会議等の席上におきまして議題になるたびにこの通達についての趣旨の徹底を県の方にお願いをしてまいったというのが今日までの実態でございます。
  411. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 だから、この通達が出ても特別の手だても考えないというような状況だから、地方自治体の方もほとんど変わってこないわけですよ。私、地元のごく具体的な事例を出しながら、さらに質問をいたしたいと思うのです。  私の手元に昭和四十六年七月十二日に部落解放同盟福岡県連合会中間支部と中間市長との間で交わされた覚書その他幾つかの資料があります。この四十六年に部落解放同盟中間支部が中間市長あるいは議員などに対する大がかりないわゆる糾弾闘争をやって、もう市長などが長期に市におられなくて逃げてしまうというような状況の後、市長側が全面的に屈服をして交わされたのが今私が手元に持っている覚書であります。これを見ると、もう全く大変なことが書いてあるのです。部落解放運動については部落解放同盟の運動方針が正しく、同和会の運動方針が間違っているという声明書及び同和会を粉砕するという意思表示をそれぞれ市長、助役、収入役及び全課長連名連署の上、中間市広報及び朝日新聞、毎日新聞全国版に掲載する、こういうことを手始めにして、一々読んでいたらもう大変ですからごく要点を申し上げてみると、同和問題を解決するための長期の総合計画を実施をしていく、そのために起債ができなければ他の一般事業費を削り、それでも不足する場合は銀行より借用して実現する、そんなことも書いてありますね。それから、部落解放のためのスローガンをアドバルーンその他で同市内に掲示し、市が発行する文書及び用紙に印刷する、以上の各項の一つでも実現できない場合にはみずから市長の職を辞しますとまで書いてあるんですよ。こういうとんでもない覚書については、最近も我が党の市会議員団が市長に対してきっぱり破棄をすべきだということを提案したのですけれども、市長は破棄をし切らないんですね。これはちょっとひど過ぎるんじゃないでしょうか。こういうようなものについてはきっぱり破棄させるような指導を、これは大臣、いかがですか、させるべきじゃないでしょうか。
  412. 大林勝臣

    ○大林政府委員 今御指摘になりました事実については私ども具体的には存じないわけでありますけれども、確かに先ほど来おっしゃっております行政の主体性、公平性というものの反省の上に立って新しい法律ができたものでありますから、まず現実の問題としては個々の問題につきましてこの二つの理念というものを基本にして進めるべきことは当然でありますし、地域におきましてもそのように努力をしてきていただいておるものと私どもは考えております。
  413. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 今御存じがないというふうに言われたんですけれども、だから私がここで持ち出しておるわけです。今あなたにこういうふうに公の場所でお知らせしたのですから、あなたの方もこれはほっておけない重大な内容を含んでおるというふうに御認識であれば市の方に照会もして、そういう約束はやめた方がいいというふうな御指導などあってしかるべきじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
  414. 大林勝臣

    ○大林政府委員 市町村におきます行政につきましていろいろ御意見がございました場合には県に照会をしていろいろ報告を受ける、これが現在の私どもの指導の一つの基本になっております。御意見にございましたことにつきましては、県に照会をしてみたいと思います。
  415. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 これは十数年前に起こった事件じゃないかというふうに私はほっておけないと思うのです。どうしてかというと、中間市の現実の同和行政を、私はさっきも申しましたようによく承知をしているわけでありますけれども、実際にこの覚書に沿って行われているわけです。  私はきょうは一つの事例として保育所の問題を挙げてみたいと思うのです。この保育所のことも覚書の確認の中に入っておるんです。保育所については、ここに書かれているとおり、寿町という同和地区の中に解放保育所という名称で、部落解放同盟の同盟員の子弟だけが入れる保育所として建設をされたわけであります。その後若干同和地区の子供さんが減ったこともありまして最近では幾らか一般の地区の子供さんも入ってはおりますけれども、しかしそこでは子供さん全部が解放同盟のマークである荊冠旗が胸についた制服を着ております。そして、解放同盟の子供は保育料は一切無料ということになっているわけです。ですから、ここの保育所の分だけで市は一億円を超す単費の負担を行っておるのです。その後市はもう一つひまわり保育所というものをつくりました。これには一般の子供さんも入れてはいるんですが、こちらの方は同和会の子弟をまず優先的に入れるということになっているわけです。結局、市が建てている保育所というのはこの二カ所、解放同盟用の保育所と同和会用の保育所と二つしかないのです。幾らか余裕があるからということで一般の子供さんが入ってはおりますけれども、これは余裕があるからたまたま入れているという考え方であって、一般の子供さんは設備が悪い私立の保育所にみずから保育料を払って入るということになっているわけです。私はこれは同和行政というようなことで見逃すことができないようなひどい内容じゃないかと思うのですけれども、これについては厚生省にお尋ねをしたいと思いますけれども、厚生省はこういう実態は御存じでしょうか。また、これについてどういう見解を持ち、あるいは指導をされたか、お尋ねをします。
  416. 木本忠男

    ○木本説明員 お尋ねの件につきましてはつまびらかには承知しておりませんが、保育所の運営というものはその適正化及び効率化を図りつつ、市町村長の判断によりまして地域実情に応じて関係法令の趣旨を十分踏まえ、公正な運営に努めるよう配慮すべきである、かように考えております。
  417. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そんな一般的なことを聞いているんじゃないのですよ。今私が申し上げたようなことを承知しているか、知っているとしたら何か指導をしたかと言ってお尋ねしているわけです。
  418. 木本忠男

    ○木本説明員 つまびらかには承知しておりません。
  419. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 そうすると、あなた、保育所行政の責任者として、こういうようなことがやられていることについて、それは確かに同和行政として適正な内容であるというふうにお考えですか。いわゆる地対法の精神というのは、こういうようなものを許すという考え方だというふうにあなた自身がお考えになりますか。
  420. 木本忠男

    ○木本説明員 児童福祉法あるいは地域改善対策特別措置法の趣旨を踏まえて運営されていくべきもの、かように考えております。
  421. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いや、だから、これが地対法の精神にかなっておるか。先ほど地対法の二条二項について総務庁の方が読み上げられた。「国及び地方公共団体は、地域改善対策事業実施するに当たっては、対象地域とその周辺地域との一体性の確保を図り、公正な運営に努めなければならない。」というふうに書いてあるわけですね。同和地区の子供だけしか入れないような解放保育所というようなものをつくって、そこに入るのはいやだといって同和会の人たちが言ったら、同和会の人たちの保育所をもう一つつくって、この二つしか市がつくらないで、一般人たちは私立の保育所に行けと。一方は無料、一方は高い保育料を払っておる。  私どもが調べたところでは、この同和地区の父母の中にもいわゆるD12という一番高い所得階層の人もいるのですよ。この人たちは無料なんですよね。ところが、D12の階層なら、ゼロから二歳児の場合だったら中間市でも四万七千円取るのですよ。一方は四万七千円払う、一方はそれと同等かそれ以上にはるかに高い収入があってもゼロ、一体これがこの地対法の精神にかなっておりますか。
  422. 木本忠男

    ○木本説明員 保育料につきましては、御存じのとおり国で保護者の負担能力を勘案いたしまして基準額を定めておりまして、それに基づきまして各市町村に対する国庫補助金を算定しておるわけでございます。国の定めた基準額は、所得に応じ無理のない範囲で御負担いただけるものと私どもは考えております。  実際の徴収に当たりましては、市町村が独自の財源によりまして保育料を一部肩がわりし、国の基準額より低く抑えているというところがあることも承知しております。(小沢(和)分科員一般的には」と呼ぶ)  一般的には、これらの保育料の軽減措置自体は、地方の事情やあるいは財政状況を考慮してそれぞれの自治体の自主的判断に基づいて実施しているものでございまして、厚生省としてとやかく申し上げるつもりはございませんが、やはり適正な水準に定めることが適当である、かように考えております。
  423. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 適正な水準に定めることが必要であるというふうにあなたは最後におっしゃったわけですけれども、その適正な水準というのは、所得に応じて、それぞれ皆さんがその能力に応じて公平に保育料を払うということをあなた方が指導するという趣旨だと思うのですよ。特定の同和地区の父母の方々はどんなに高額の収入があっても一銭も取らないということを、これを適正だというふうにあなた方は言えますか。
  424. 木本忠男

    ○木本説明員 今申し上げましたように、保育料の軽減措置ということ自体は、地方の事情や財政状況を考慮してそれぞれの自治体の自主的判断に基づいて実施しているものでございまして、厚生省としてとやかく申し上げるつもりはございませんが、当該市町村全体との均衡も考慮することは必要である、かように考えております。
  425. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 私はそういう答弁には全く不満ですが、あなた方の方はそうすると、今私が申し上げたような事態は放置しておくのですか。それとも、これはほっておけないということで何か考えるのですか。
  426. 木本忠男

    ○木本説明員 先ほど自治省の方からのお答えにございましたように、私どもの方も、県に照会していろいろの報告を受けるというのがルールでございますので、県に照会してみたいと思います。
  427. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 では、もうぜひこれは是正をさせるようにしていただきたい。  それから、私がもう一つ挙げたいと思いますのは、今度は若宮町という、この中間市のまたすぐ近くにある町の例なんですけれども、ここでも保育料は無料なんです。私が特にここで言いたいと思いますのは、それこそ解放同盟の言いなりになって、やたらに単独事業をやっているわけですね。町営住宅の家賃は、解放同盟の判こをついた書類を出しさえすれば無条件で三分の一にする、こういう単独事業もあります。それから固定資産税も、解放同盟の会員でありさえすれば六〇%減額する。それから、同和地区の農民や業者などがお金を借りた場合の利子補給とか就学奨励金とか、その他、とにかくいろいろなこういう単独事業というのがあるわけです。  私は、この地対法は、地方単独事業であってもこういう一般の人々と逆の差別になるような事態は許されないということが、これを審議した衆議院や参議院の内閣委員会の議論の答弁の経過からもはっきりしておると思うのですけれども、これは自治省にお尋ねしましょう、どういうふうにお考えですか。
  428. 大林勝臣

    ○大林政府委員 法律の精神は、地方単独事業についても同様であろうと思います。
  429. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 いや、だから、同様であれば、私が申し上げたようにこういうふうにいろいろな単独事業をやって、そのために、小さい町ですよ、そこで同和関係の予算がどれぐらいかかっているかと聞いてみたら、予算全体の中で二割ぐらいの比重がかかっておって、もうほかのいろいろなことなんてまるっきりやれないぐらいにこれが重圧になっているんですね。こういうような、もう全くバランスも何もとれないような状況になっているということについて、これもぜひ実態を調べて適切な指導をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  430. 大林勝臣

    ○大林政府委員 あわせて県に照会してみたいと思います。
  431. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 では、ぼつぼつ時間が参りましたから、私は最後に大臣に一言お尋ねをしたいと思います。  私は十年近く、不公正、乱脈な同和行政を正せというふうに今までずっと要求をしてきたというふうに申しましたけれども、なかなかこの是正が進まないわけです。先ほどからも、議論の経過を聞いていただければおわかりじゃないかと思いますけれども、どうも各省庁ともこれについては逃げ腰だという感じがして仕方がないのです。本当に、さっきから私が事例として挙げたようなことが事実だと――私は事実だから申し上げているのですけれども、これは本当に国の立場から見てもほっておけないようなゆゆしい内容を含んでいるのじゃないかと思うのです。大臣の立場からもぜひ強力に是正について指導するということをお約束いただくように、大臣質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
  432. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 いろいろの事情につきましてお話がございました。地方団体が実施します各種の施策につきましては、その主体性を確保しなければならないことは当然でございまして、法の趣旨に沿って十分指導をしてまいりたいと思います。
  433. 小沢和秋

    小沢(和)分科員 終わります。
  434. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて小沢和秋君の質疑は終了しました。  次に、和田貞夫君。
  435. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 地方団体の公営競技の収益金の均てん化を図るという目的のために公営企業金融公庫納付金制度というのがあるわけですが、これが今回改正されるわけです。そのことによって公営競技の売上額が非常に少ない、そして収益率が非常に低い施行団体等に対する影響がありはしないか、またそのことによりまして公営競技場で働いておる各種の労働者に対するところの賃金を初め労働条件というものが劣悪化を押しつけられるということが起きてこないかという点についてお答え願いたいと思います。
  436. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回納付金の率の引き上げに伴いまして、納付金算定に用いられる売上額からの基礎控除の引き上げをまずいたしております。それから、売上額が小さくて収益率の低い団体に対する配慮の措置といたしまして、二百億円までの売上額に収益率を乗じて得た額の二分の一に相当する収益が最小限施行団体に確保されるというふうに納付金の額を調整する仕組みにいたしておりますので、お尋ねの売り上げが小さい、収益率の低いという団体についてそういった引き上げによる影響の軽減を図っておるところでございます。  また、こういうことで率を引き上げることによって賃金なり労働条件に影響しないかというお尋ねでございますけれども、確かに公営競技の収益金というのは最近減少傾向になっております、しかし、私どもといたしましてはこういった団体につきまして、このような団体がちゃんと公営競技ができるようにということで先ほど申し上げましたような措置をしながらやっていくわけでございますから、特に御指摘のような賃金に対する影響あるいは労働条件に対する圧力というふうな影響は生じない。我々としましては、まず赤字が生じておる団体からは納付金は取っておりません。しかも、先ほど申しましたような売り上げが小さくて収益の小さい団体は軽減をするという考え方でございますから、言ってみれば収益の高いところからいただこうという形にしておりますから、そういった御心配はないと考えております。
  437. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 公営競技というのは、御案内のとおり運輸省、通産省それから農林省ですか、この開催権を持っているわけです。そして、今御答弁にありましたようにこの売上額が非常に少なくなってきておる。この売上額を何とか増加させるために、設備の改善を計画したりファンの魅力が満たされるような運営の仕方に改善しようとか、開催権を持っておる各省が各省なりに今努力をされつつあるわけです。あなたの方は、公営競技をやっておる自治体、やっておらない自治体、あるいは公営競技を開催できる団体とできないところの均てん化を財政的に図ろうということで公営企業金融公庫に、いわば公営事業の利子補てんということで、悪い言葉で言うならばこの売上金からかっさらっていく納付金制度ですね。ところが、各省は各省でそれだけの努力をしておるんだけれども、あなたの方はとにかく今度は売上金から千分の一余計に納付してもらうということだから、どちらかといえばこれは地方財政を預かる役所としてこれは必要なことだということで今までやってこられたと思いますが、そのような中で自治体あるいは施行団体に対して、開催権は持っておらないのだけれども開催権を考えるよ、これから開催催を与えるか与えないかということを一応参考にするぞというようなことで調査をやったり、あるいは文書では出ておりませんが、担当者が施行団体に対して、あるいは施行団体に直接やらなくても少なくとも県には電話で経費を節減せい、そのためには人件費を削るように努力せいというようなことを自治体あるいは県を通じて施行団体に昨年、おととし指導されたわけですね。そのことは事実ですか。
  438. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 私どもが公営競技の収益の均てん化を図るという趣旨は、一部の施行団体に偏在しております財源を均てん化したいということでございまして、この点につきましては、最近におきましては臨時行政改革推進審議会の意見におきましても指摘されておるところでございますし、また十年前、五十一年でございましたか公営競技の率を引き上げました。このとき衆議院及び参議院の地方行政委員会におきまして地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議ということで、公営競技に係る収益の均てん化については引き続き強化を図ることというふうな附帯決議があるわけでございます。こういったことから、この納付金制度が公営競技の収益金を全国的な見地から均てん化するための最も有効かつ重要な仕組みであるという観点からこの引き上げをやるわけでございまして、特に召し上げるとかいうふうなものではございません。むしろ地方団体間のそういった収益、財源を均てん化したい、これだけではなかなか大した額にはなりませんけれども、そういった考え方でやっておるわけでございます。  それで、開催権を考えるぞとか人件費についてもっと抑制せよとかいう指導をしたではないかということでございます。確かに、五十八年十二月でございましたか、自治省といたしましては、公営競技の売り上げが非常に悪くなってきたというふうなこともございまして、やはりこの公営競技をやる理屈の一つには地方財政の健全化ということが目的でございますので私どもも公営競技の収益のあり方については重大な関心を持っております。したがいまして、その経営の内容がどうであるかというふうなことについて御相談を受けたことがございますけれども先ほど指摘のようにそういった人件費についてこれを減らせとかいうふうな個別の指導をいたしたことはございません。
  439. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 しかし、画一的には全国の施行者団体が、穴場で働く労働者の基本給を毎年五%ずつ五年間でカットせい、五年の後には七五%になるようにせい、夏、冬あるいは年度末手当を含めて一時金を毎年一〇%ずつカットしていけ、五年間で五〇%になるようにしていけ、その他の手当は廃止してしまえ、退職金を昭和六十二年まで削減するようにせいというような具体的なことを統一的に昨年の春闘において労働組合に回答になっておることから見ても、これはここまで微に入り細にわたった自治省の指導があったものと理解せざるを得ないわけであります。  私はこの公庫納付金制度を否定するものじゃございません。しかし、開催権は各省が持っておって、その各省が、先ほど申し上げましたように、何とか売上額をふやしていくために今いろいろ検討し、努力もしておりますし、施行者団体もできるだけ経費を切り詰めて何とか赤字にならないように売上金を伸ばそう、そして言うならば納付金をできるだけ納めようという努力はしていると私は思うのですよ。けれども、また働く労働者も同じ気持ちだと思うのですよ。  そこで、この人件費に目をつけた具体的な指導というのがあっては私は全くけしからぬ話だ。あくまでも施行者団体と労働組合が対等な立場に立って、交渉の中から答えというものは出てくるわけですから、それを自治省が労働条件、賃金問題について介入するということは全くけしからぬ話だ、こういうように思うのですが、なかったとすればこれからもそういうことがないということは断言できますか。
  440. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十八年度に施行者から提出されました経営改善計画につきまして、相談に応じて必要な指導助言を行ったわけでございますが、先ほど指摘になりましたいろいろな統一的な考え方というのは、施行者がそれぞれお集まりになってお決めになったことだと伺っておるわけでございます。  それで、設備の改善なりファンサービスの問題等につきましても、私どもやはりこの経営の改善の一環として自治省としてもこの御相談にあずかって、できるだけの努力をしておるわけでございます。もとより開催権の問題につきましては、これはっぶれてしまっては何にもならぬわけでございますので、私どもやはり経営の改善ということには力を入れていただきたいという考え方のもとで指導しておるわけでございます。  そういったことで、今回この改正をするに当たりましても、先ほどちょっと申し上げましたけれども、売り上げの小さな団体とか収益率の低い団体、これらにつきましては売り上げの一部が手元に確実に残るようにという配慮をしながら均てん化を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  本年度におきまして、こういった経営改善計画につきまして指導助言は特に行っておりません。
  441. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これはあなたの方から電話をかけて、それから県の方から施行者団体に対して、自治省財政局地方債課生嶋主査より下記のような電話連絡がありましたので報告しますということで、県の財政課が施行者団体へこういうメモを送られている中に、今申し上げましたような具体的な人件費をこうすべきであるということが出ているんですよ。だから、先ほども申し上げたわけでございますが、自治省としては施行者団体に対しましてそういうような人件費を具体的に指示をするということは今後はあり得ないということをもう一度明確に答弁してもらいたい。
  442. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 公営競技の収益金が減ってきている、いわゆる売り上げが減ってきているわけでございますが、そういった中で地方公共団体の財源確保ということも公営競技施行の一つ目的になっておるわけでございますから、これが何のためにやっておるのかというふうな状況になってもいたし方のないことでございますから、私どもやはりこの経営の改善ということには努力していただきたいと各地方団体、施行者に申し上げておるところでございます。したがいまして、そういった経営の改善の中にはそういった問題も含まれるわけではございます。やはり人件費の問題というのは大きなウエートを占めておるわけでございます。しかし、個別に人件費について幾らぐらいにしろとかあるいは期末手当をカットしろとかそういうふうなことを指導するつもりはございません。
  443. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これから労働者自体も施行者と協力をして売上金を上げるように、もちろん各省もやられますが、そしてあなたの方に納付金を十分納められるように努力しますので、少なくとも人件費の問題については差し出がましいことはやってほしくないということをさらに強調しておきたいと思うのであります。  その次に私は、自治省所管行政書士法についてひとつお尋ねしたいわけであります。  時間がありませんので、長くしゃべれないわけでございますが、特に車庫証明業務について、これは行政書士会としての長年の懸案事項であるわけなんですが、今日に至りましてもなかなかこれが解決できておらないわけであります。  昭和五十二年の十月六日に、日本自動車販売協会連合会と日本行政書士会連合会との間で、行政書士法に違反するような車庫証明業務はそれぞれのディーラーが職業的にやるということでなくて、行政書士の古来の業務の一環であるということの同意が基本的にできておるわけでありますし、また昨年の九月二十六日には、両者がさらに「車庫証明業務の取扱いについて」ということで確認をし合って、そして具体的には、行政書士法の違反にならないように、ユーザーが証明申請の記載を自分でやらない場合は、セールスマンが書類をつくるんじゃなくて行政書士の方に回すということが取り決められて、それの具体な手続、内容については各県の単会と自販連の支部との間でさらに協議をしていくという合意ができておるのです。今日まで約半数の二十三の県では行政書士会の単会と自販連の支部とが話がついておる、半分がまだついておらないという状況であります。しかし、そのように話がついたところでも、現実的にこの車庫証明業務を行政書士の方にディーラーの方から回してくるというのは全体量の約二〇%程度のものじゃないかというように言えるわけであります。あとの八〇%というのは依然としてセールスマンが代行業務をやって、そしてその費用を取っておる。それは会社の収益になっておるのかセールスマン個人の収益になっておるのかわからぬけれども、明らかに行政書士法の違反事実というものが今日なお続けられておるわけです。行政書士法の所管の自治省としてこの事実をどういうように解決するために努力してもらえるのか、ひとつ御意見を承りたいと思います。
  444. 大林勝臣

    ○大林政府委員 車庫証明をめぐりまして、行政書士会連合会と自動車販売協会連合会との間で今お述べになったような合意が取り交わされたということは承知しておりまして、その後の推移を見守っておったわけですが、まだ全都道府県の半分ぐらいしかなかなか具体的な協議が成立していないようであります。したがいまして、できるだけ早く具体的な解決ができますよう、自動車販売協会連合会を所管の関係省庁にもお願いをしまして推進をしてまいりたいと考えておりますが、こういった協議が成立してもなおかつ具体的なケースにおいてその協議が守られないというような事例がございました場合には、またこれは取り締まりの問題でございますので、書士会からの御連絡がございますれば警察庁に対しましても善処方のお願いをしてまいったい、かように考えております。
  445. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これは私がある販売店から自動車を購入した方から預かってきた書類ですけれども、自動車の車の代金以外に、申込金預かり証というのがセールスマンから手渡されているわけですね。そこで、自動車税あるいは取得税、重量税、自動車の保険料、これは手続上当然のことです。そこに車庫証明費用一万三千五百円という金額が入っておるのです。ここまで来ればこれはもう行政書士法に違反しているという事実が証明されているわけですね。これは正々堂々と販売店がセールスマンを通して購入者に対して渡しているんですよ。これは印刷しておるのですから、ここの会社は全部やっているということです。こういうような事実があっても、行政書士法という法律がせっかくあるのですから、その法律に違反しているということで販売業者に対してやってはいかぬという指導はできないのですか。
  446. 大林勝臣

    ○大林政府委員 自治省としまして行政書士法を所管はいたしておりますけれども行政書士の業務と考えられる範囲の業界というのは非常に広うございます。例えば自動車販売協会連合会、こういったところも車庫証明問題で今一番問題になっておるところと承知をいたしておりますけれども行政書士法違反の具体的な事実一つ一つについて、違反がございました場合には、これは一つの罰則の対象にもなる問題でありますので、結局関係者間のお話し合いがつくのが本当は一番いいんでありますけれども、どうしてもそれがつかずに違反行為が長く行われておるということであれば、これは関係者の連絡に基づいて取り締まり当局が適切な対応をしていただく以外にはないのではないか、かように考えております。
  447. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 本来ならば行政書士会側がこういう事実が明らかになればこれを証拠として告訴すればいいわけです。けれども、せっかく行政書士会側と自販連側とがここまで話し合いを煮詰めてきつつあるわけで、そういう中でこういう問題が起こってくれば、今後の各県の単会と自販連の支部との話し合いもこれあり、行政書士会側からこれを告発するというようなことは今の時期ではなかなか難しいわけなんです。  それで、ひとつ戒める意味で所管官庁として自販連の方にあるまじきことじゃないかというおしかりはあってしかるべきだ、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  448. 大林勝臣

    ○大林政府委員 自販連に対する要求でありますとか注意でありますとかこういったものにつきましては、私どもというよりはむしろ自販連を指導する立場にある関係省庁の方から言っていただくのが本当は一番いいのだろうと思うのです。そういう意味で、冒頭にちょっとお答えいたしましたように、関係省庁の方にそういう依頼をいたしたい、こう考えております。
  449. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それじゃ、ひとつぜひとも、えらい靴の底から指でかくようなことになるかもわかりませんが、所管官庁として通産省なり運輸省の方にやかましく言ってほしいと思います。  そこで自治大臣、公安委員会を兼ねておられるわけでございますので、きょうは警察庁に来てもらっておりませんが、行政書士法の違反を事実問題として、大体警察のOBが中心になっているんですが、各警察単位に交通安全協会というのがあるんです。この交通安全協会には別段雇い入れの行政書士がおらなくても、そこで免許の切りかえ手続をやったりあるいはいわば警察に届け出るその他の書類を作成するということをやってのけておられるのですよ。これも明らかに交通安全協会自体が行政書士法違反行為である。  それから、警察の窓口ではこの車庫証明手続を受け付けているのですからね。これは自動車販売店のセールスマンであればすぐにわかりますよ。個人が自分の車を買って自分が車庫証明手続をしに行く場合とセールスマンが行く場合と、人間ですから、顔かたちは一緒であっても、風体等からこれは商売人であるということはわかるわけですね。行政書士会の方がこれを引き受けてやる場合は、必ず行政書士の職印を押して代行しますから、これまたわかるわけです。  したがいまして、警察の窓口の方で、ひとつ各警察署長を通しましてこの点をやかましく言ってもらえば物の見事に排除することも可能ではないか、こういうふうに私は思うのですが、ひとつぜひともその点の配慮をしていただきまして、公安委員長という立場からそのような指導というものを各県警本部にやってもらえるかどうか。私はやってもらいたいと思うのですが、その点の御意見をちょうだいいたしたいと思います。
  450. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 御意見のありますことは大体私もわかりました。ひとつ十分お話しの趣旨を伝えまして、適正に処理してまいるように措置をいたしたいと思います。
  451. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 ありがとうございました。終わります。
  452. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。  次に、中村巖君。
  453. 中村巖

    中村(巖)分科員 本日私は、特別区について自治省のお話を承りたい、こういうふうに思うものでございます。  最初に、大変大ざっぱな話で恐縮でございますけれども、地方自治法の二百八十一条一項の特別区、つまり東京都の二十三区であるわけでありますけれども、この二十三区というものは、これはかって最高裁の判例でもって普通地方公共団体ではないんだ、特別地方公共団体なのだという、こういうことが出されたことがありますけれども現実的には今二十三区に住んでいる人にとりまして、この特別区というものは大変に身近な、いわば直近の庄治体であるわけでありまして、現実的に昭和四十九年から区長も公選になっておりますし、議会もあるわけでありますし、あるいはまた事務事業につきましても大幅にこれは所管をしているわけでございます。こういうような状況になってまいりますれば、やはりこれは特別区というような形で、特別地方公共団体であるというふうに把握をすること自体が大変におかしい状況ではないか、これは普通地方公共団体というふうに理解ができる事実的な実態というものがあるんではなかろうかというふうに思うわけでありますけれども、この点について自治省はいかがお考えでございましょうか。
  454. 大林勝臣

    ○大林政府委員 地方自治法上は、特別区は今日まで特別地方公共団体として位置づけられておるわけであります。御指摘の最高裁の判決におきましても、いろいろ特別地方公共団体であるという理由が述べられておるわけでありまして、現在におきましても、なお行政上の自主立法権あるいは自主財政権等につきまして、いわゆる普通地方公共団体、一般市町村の機能とは異なった立場にあるという位置づけが行われております。確かに過去二回、特別区の方に都の方から事務移譲が行われてきたわけでありますが、今日におきましても、確かに区長公選あるいは議会というものが置かれて仕事をしておるわけでありますけれども、なおその仕事の範囲あるいは財政上の機能、これは税法上の機能を含めまして財政上の措置、そういった問題を総合的に考えました場合には、現在なお普通地方公共団体という地位にはまだない、私どもはこういうふうに考えております。
  455. 中村巖

    中村(巖)分科員 御承知のように憲法九十二条では「地方自治の本旨」ということがあるわけでございまして、「地方自治の本旨」に従うということであれば、実態として普通地方公共団体であるというものは、これは普通地方公共団体として取り扱わなければ、これは憲法違反になってしまうという、こういう構成になっているんだろうというふうに思うわけでありますけれども、その意味で、やはり実態として普通地方公共団体であるならば、今地方自治法上で特別地方公共団体という取り扱いがなされているとしても、これはやはり実態に即したものに、普通地方公共団体に法を改正して改めていくという、こういう考え方については自治省はいかがお考えでございましょう。
  456. 大林勝臣

    ○大林政府委員 東京都という独特の地方公共団体の組織として、独自の法人格を持つ二十三区ができておるわけでありますけれども、結局は東京都制というものを考えます場合に、できるだけこの複雑多様化した住民の要望に応ずるためには、現在都が持っておる事務をできるだけ特別区の方に今後も移譲していく、つまり、特別区の機能、地位というものをできるだけ高めていくという要請が片方にございます。と同時に、その二十三区というものが過去の沿革から見ましても、一体性を持って今日までまいっておるわけでありますから、結局二十三区の一体性を今度はどう確保するかという要請がまた一つございます。この要請というのは必ずしも並行いたしません。片方を重視すればどうしても片方がおかしくなる、こういう関係になるわけであります。  先般来特別区の方ではいろいろ研究をされ、むしろ普通地方公共団体並みの機能、地位というものを確立すべきだ、こういう御意見を出されておりますし、片や東京都の調査会ですか、こちらの方からはそういう方向に進める必要があるとしながらも、なおかつ二十三区の一体性というものを頭に置いた特例というものを存置した方がいいんじゃないか、こういうニュアンスの差がございます。  これは、先ほど申しましたように、一体性というものを考えて、どの程度特別区の地位を高めていくかという問題について意見が分かれるのは当然だろうと思います。現在都と区の間でこの二つの報告書、調査結果に基づきまして具体的な詰めをされておるようであります。私どももこの東京都制の問題というのは大変難しい昔からの一つの大きな宿題と考えておりまして、都と区の事務的な詰めの状況を見ながら、地方制度調査会の方に意見を求めて、制度改正についての準備をしてまいりたい、こう考えております。
  457. 中村巖

    中村(巖)分科員 今、局長お触れをいただきましたけれども昭和五十六年の八月二十八日に特別区制度調査会というものが特例市構想、「特別区制度の将来」という答申を出しているところであるわけでありまして、この特別区制度調査会の答申というものは、特例市ということで二十三区それぞれを一つの特例としての市に昇格をさせるというか、そういうことによって、それぞれの自治権の拡充というか、独立性を確保すべきである、こういうような見解であるわけでございまして、まずとりあえず、これについて自治省としては受け入れがたいという考え方なのかどうか、お伺いをいたします。
  458. 大林勝臣

    ○大林政府委員 特別区調査会の答申それから都制度調査会の答申、二つが出そろっておるわけでありまして、具体的な点につきましてはいろいろ違いが出てまいっているようでありますけれども、少なくとも特別区を普通地方公共団体とするという点、それから一般の廃棄物の収集運搬等の事務は特別区に移譲するという点、それから都と区の間の財源配分、こういったものの明確化、財政調整に関しましては、いわゆる現在は垂直調整と言われるような措置をとっていもわけでございますが、今度は垂直調整を廃止をいたしまして、特別区相互間の水平調整だけにとどめる、この三つの点につきましてはおおむねこの二つ調査会の報告というのが一致をしておるわけであります。  ポイントは、先ほど指摘のありましたように、特別区を普通地方公共団体にするかどうか、そのする前提として、特別区に対してどういう地位を与えるか、つまり、どういう事務処理の権限をどれだけ拡大するか、あるいはどれだけの自主財政権というものを与えるか、こういうことにかかってくるわけでありまして、結局、その内容によって普通地方公共団体とするかしないかということが決まってまいるだろうと思います。したがいまして、今後の都と区の間の事務配分の内容を見守りながら、特別区の法的な位置づけというものを考えてまいりたい。現在の段階におきまして、私どもの立場として、どうこうしたいとか、するのが適当であるというような点は控えさせていただきたいと思います。
  459. 中村巖

    中村(巖)分科員 今都制度調査会の報告につきましてもお話しをいただいたわけでありますけれども、この都制度調査会というものの中身を見ますと、これは立派な学者の先生で構成をしているわけでございまして、地方自治のいわば専門家の学者先生、そのほか実務家というか、そういう方が集まってつくられているわけであります。ここでは新しい都というものと狭域自治体というものを設定をして、狭域自治体というものを区に相当するものだということで新しい構想というかそういうもので臨んでいるわけで、局長お答えのように若干特別区のサイドの主張とは違っているところもあるわけであります。しかしながら、こういうような二つの考え方が出そろっている現段階におきまして、やはり自治省としての考え方というものがなければならないというふうに私どもは考えるわけでございます。  例えば地方自治法の二百八十二条四項というものの中には、都と区の事務事業の配分あるいは都と区の財政調整制度等の条例に関して自治大臣は都に対する助言または勧告をすることができる、こういうことになっているわけでありますけれども、一定の考えを持って臨まなければならぬということであろうというふうに思うので、その意味で若干のニュアンスの相違があれ、現在の都区制度の改革について出されている方向性について自治省御自体の意見がなければならぬと私は思うわけで、それを意見を差し控えさせていただきたいというのはちょっと理解がいたしかねますけれども、いかがでございましょう。
  460. 大林勝臣

    ○大林政府委員 都と特別区の間の問題というのは、先生御承知のように何も今に始まった問題ではありません。数十年間の大きな問題になり続けてきたわけであります。東京都あるいは特別区それぞれの立場で特別区の将来についてのお考えを調査会の答申として報告されておるところでありまして、結局は東京都の中の特別区の地位をどうするかというのは東京都と特別区のこの話し合いというものがどういう方向に進んでいるかということを見きわめて私どもはやはり判断をすべきであろうと思います。国の立場としまして、東京都と特別区の間で現在具体的な事務的な考え方の詰めということが行われております段階で自治省の意見というものを申し上げるというのは適当ではないと存じます。しかもなおかつ、この問題は、地方自治法の中でも東京都という日本の玄関でありますから、非常に大きな地位を持った極めて重要な問題になってまいりましょう。私どもは当然に、さらに地方制度調査会の御意見を拝聴してまいらなければならない、こう考えておるところであります。
  461. 中村巖

    中村(巖)分科員 重ねてお聞きをするようでありますけれども、今局長のお話で、都と区の間に話し合いというものがこれから進められてくるんだ、こういうことでございましたけれども、自治省としては、それはどういう日程で、どういう方向性で進められてくるのかということについてお聞き及びになっておりますでしょうか。
  462. 大林勝臣

    ○大林政府委員 現在、本年十月を目途に協議が進められておると伺っておりまして、私どももその都度事務レベルサイドではお話を伺いながらやってきておるところであります、
  463. 中村巖

    中村(巖)分科員 同じような質問になるのですけれども、話し合いの中身の問題としては、都区間の事務事業の配分の仕方を変えるということと、やはり財政調整制度についても考え方を変えていくということが中心になるのでございましょうか。
  464. 大林勝臣

    ○大林政府委員 事務レベルの段階でいろいろお話し合いが進んでおるようでありますので、その具体的な内容についてはまだ報告を受けておりません。
  465. 中村巖

    中村(巖)分科員 現在の都と区の財政の関係でございますけれども、都の方では、特別区の置かれている部分については自治法上市町村税というふうになっている事業所税、都市計画税など、さらに調整三税というふうに言われている市町村民税の法人分、固定資産税、特別土地保有税、こういうものを都側が徴収しているというか取っているというか、そういうふうになっているわけで、その上で調整三税については財調で分けていく、こういうことになっているわけでありますけれども、こういうような市町村税というふうに本来されているところのものを都の方で徴収をしていくという、このこと自体について自治省としてはいかがお考えでございましょう。
  466. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 ただいま委員御指摘になりましたような都と区の場合の地方税の特例があるわけで、都が今御指摘になりましたような税目を直接賦課徴収しているわけでございますが、その根拠に相なりますのは、やはり何といっても、先ほど来の答弁にもありますように都と区の一体性の問題でございますとか、あるいは税源そのものが、税目によっては偏在するというような問題もございますし、あるいはまた都と区との間の機能分担と申しますか事務の配分、こういうものが前提になって、首都としての特殊性からそういう都が直接賦課徴収する、そしてその一定部分は調整財源として再び区に還元してくる、こういう仕組みになっているわけでございますので、現在の事務配分などを前提といたしますれば、今の制度そのものにはそれなりの妥当性あるいは正当性というものがあるというふうに私どもは考えているところでございます。
  467. 中村巖

    中村(巖)分科員 それについては異論もあるわけでございまして、殊に固定資産税というようなものにつきましては、これは当該税を納付する住民が住んでいる住宅、土地に課せられるものでありまして、自治体に対して負担と受益というものを非常に感じる、そういう課税項目であろうということであるわけで、また特別土地保有税についても同じようなことであるし、あるいは最近におきましては、都市計画税といいましても、都市計画そのものが一部、かなりの部分を区で行い得る、こういう状況になっておるわけでございまして、そういう現実の上に立ってこの固定資産税というものは区が直接徴収すべき税目にすべきではないかという意見が最近非常に強いように思うわけですけれども、これについてのお考え方はいかがでしょうか。
  468. 吉住俊彦

    ○吉住政府委員 確かに御指摘のように固定資産税の性格からいたしますとそのような考え方もあるいは成り立ち得るのかもしれません。ただ、現実問題といたしまして、例えば都心三区における固定資産税の割合と申しますか、ほかの区との間に極めて格差がございまして、固定資産税というのはほとんど都心三区に集中してしまうというような問題も一つにはあるわけでございまして、その意味ではやはり調整財源の原資とすることにもそれなりの妥当性があるのではないかと考えるわけでございます。  また、都市計画税におきましては、これまた機能分担、事務配分の問題と関連してまいるわけでございますが、現状におきましては、例えば街路に例をとりますと区がおやりになれるのは原則幅員十六メーター未満の比較的小規模の都市計画事業ということになっておりますので、規模の大きいものにつきましては、都で直接おやりになるということであれば都市計画事業の財源として都にもそれなりの財源が必要であろうと考えられますので、今の制度でもそれなりの合理性は保っているものというふうに考えているわけでございます。
  469. 中村巖

    中村(巖)分科員 そうやってそういう税目配分がなされて調整三税というものがあるわけでございまして、その調整三税を、現在の時点では先ほど局長のお言葉で要するに垂直調整というようなことが行われているわけでございます。これだけ調整三税の総額が大きいということになれば、それだけの理由じゃないのかもしれませんけれども、やはり都の取り分というものもなければならない。都が取った上でそれを水平調整というような形で各区に交付をしていくという形態になっていくわけでございますけれども、垂直調整の部分をなくして水平調整だけに必要な財源を調整財源にし、そのために必要な税目だけを都側が吸い上げる、こういうような制度を考えるということについてはいかがですか。
  470. 土田栄作

    ○土田政府委員 ただいま御論議にありましたように都は特別の税制をとっているわけでございまして、また行政事務の面で見ましても都は特別区の区域の中で清掃、消防さらには下水道といった本来市町村が行う仕事をやっているわけでございます。それから公営住宅、公立病院、高校、都市改造といった、普通でございますと道府県市町村といずれもやれるという仕事につきましてもその多くを都がやっているという実態があるわけでございまして、ある意味では本来市町村のやるべき仕事を都がかなりやっている、そういうことから本来市町村が徴収すべき税というものも都の懐に入っているという面があるわけでございます。委員御指摘のような形での調整というものを考えるといたしますと、それでは二十三区だけにフィットした税というのは何があるか、それから割り当てる財源総量をどうするかという議論をした上で決めるべき問題かと存じます。
  471. 中村巖

    中村(巖)分科員 財調、財政調整制度において現在都と区の配分比率というものが都サイドが五六%で区サイドが四四%というふうになっているわけで、これは一定の歴史的変遷があって現在その辺のところへ落ちついているわけでありますけれども、この四四%という率はやはり特別区の側からすると大変に不満があるということでございまして、本来的に都と区の都区協議会で決定されるわけでありましょうけれども、非常に都側の圧力のために特別区は損をしている、こういう見解があるわけであります。それにつきましてのお考えはどうでございましょう。
  472. 土田栄作

    ○土田政府委員 これはただいま御指摘がございましたように非常に長い歴史のあるものでございまして、ただ経過的に申しますれば昭和四十年度は二五%でございましたものが、昭和四十年代に急速に上がってまいりまして、昭和四十八年度には四〇%にまでなったということでございます。それから五十年度に四三%になり、五十一年度以降四四%という率で続いてきているわけでございます。この率につきましては都区間のコンセンサスというものがありまして、この率でこの十年間続いているという歴史的な重みのあるものでございます。今委員御指摘のように特別区の側からすればもっと上げてもらいたいという希望があることも事実でございますけれども、今度は都側から申しますとやはり高過ぎるという気持ちを持っているという面もあるわけでございまして、そこのところの調整をされた結果現在の四四%という率で固定されているということでございます。この率が妥当であるかどうかという問題でございますけれども、これは中長期的に見まして都側の財政需要、それから区側の財政需要というものを計測して、特別区側の必要かつ十分な財政需要というものを四四%で維持することができればこの率というのは妥当であろうということでございますけれども、単年度だけではなくて、中長期的に見まして特別区側の持っております行政需要にフィットしているかどうかということで判断すべき問題である、このように考えております。
  473. 中村巖

    中村(巖)分科員 もう一点特別区サイドで非常に望んでおりますことは区の起債の問題でございまして、今区の起債の許可権者というのは自治大臣になっているわけでありますけれども、これはそのために起債が非常にやりにくい部分がある、東京都知事を起債の許可権者にするような改正は考えられないのか、あるいはまた起債そのものが現在の制度のもとでは非常に条件がきついではないか、こういうことがあるわけですけれども、この点についてのお考えを承りたいと思います。
  474. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 現在特別区につきましては地方自治法、同法の施行令、また内蔵令の規定するところによりまして自治大臣が起債の許可を行うことになっておるわけでございます。これにつきましては先ほど来いろいろ御説明申し上げておるところでありますけれども、特別区は通常の市町村とは性格を異にする特別地方公共団体とされておる、特別区の存する区域にわたって統一的に処理をする必要があるものにつきましては都で処理すべきものとされているように都と区との一体性というものが極めて強い、またそういったことで税制上も市町村民税の法人分や固定資産税等の税源配分の特例が設けられている、また都区財政調整交付金制度を通じた特別な財政調整が行われている、こういうふうなことから見ますと、地方債によりまして財源措置をするに当たりましても特別区につきましては東京都と同様な取り扱いをすることが合理的であるというふうに考えられますために、現状において起債許可を自治大臣が行うということが妥当なものではないかというふうに考えております。また、特別区の起債につきまして地方財政法五条二項において、東京都がその普通税を標準税率で課税していることを前提としておるわけでございます。これは先ほど申しましたような特別な税源配分とか都区財政調整交付金制度を通じて財源調整が行われるというふうに、特別区は東京都と財源上一体性が強いというということに起因しておるわけでございまして、現在の制度、都制のもとにおきましてはこれを変えることはむしろ適当ではないのではないか。何か先ほどちょっとおっしゃいましたけれども、このために起債がやりにくいということは必ずしもないのではないか。私は、そういう支障があるということは現実に各区の方からも聞いたことはございません。
  475. 中村巖

    中村(巖)分科員 時間がなくなりましたので、最後に大臣に一点だけお伺いをいたしておきます。  私はいろいろお尋ねをいたしましたけれども、東京のことを大臣御承知かどうかわかりませんが、東京都の二十三区といたしましては何とかしてもっと自治権を拡充したいという強い希望があるわけでございます。今日の制度を何とかもう少し特別区に独立性が強いような形に改変ができないかということでいろいろ模索をしているわけでございまして、自治省におきましてもこれについて相応の考え方で御協力をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。そういう方向性そのものについてどういうふうに大臣がお考えになられるか、一点最後に伺っておきたいと思います。
  476. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 ただいままで先生から詳細に都、区の関係についてのいろいろの御意見やまた御質問を承っておりまして、確かにこういう問題は私も区会議員の方からるる意見は聞いておりますけれども、この秋までにいろいろな調整の話が進むということも聞いておりますので、そういうものも参考にしながら、また今の御意見も十分に頭に置きながら、この問題を慎重に検討してまいりたいと思っております。
  477. 中村巖

    中村(巖)分科員 どうもありがとうございました。
  478. 葉梨信行

    葉梨主査 これにて中村巖君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、自治省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員の各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十三分散会