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1985-03-07 第102回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和六十年二月二十六日(火曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十六日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。      大村 襄治君     奥野 誠亮君      田名部匡省君     矢山 有作君      武田 一夫君     小平  忠君 二月二十六日  大村襄治君が委員長指名で、主査選任され  た。 ————————————————————— 昭和六十年三月七日(木曜日)     午前九時一分開議 出席分科員   主 査 大村 襄治君       奥野 誠亮君    田名部匡省君       天野  等君    川崎 寛治君       田中 克彦君    戸田 菊雄君       永井 孝信君    矢山 有作君       武田 一夫君    水谷  弘君       小平  忠君    中井  洽君    兼務 岡田 利春君 兼務 奥野 一雄君    兼務 佐藤  誼君 兼務 中村 正男君    兼務 馬場  昇君 兼務 水田  稔君    兼務 池田 克也君 兼務 木内 良明君    兼務 竹内 勝彦君 兼務 森田 景一君    兼務 岡崎万寿秀君 兼務 林  百郎君    兼務 山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤 守良君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 石本  茂君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       岡崎  洋君         環境庁長官官房         会計課長    八木 規夫君         環境庁企画調整         局長      山崎  圭君         環境庁企画調整         局環境保健部長 長谷川慧重君         環境庁自然保護         局長      加藤 陸美君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房総務審議官  眞木 秀郎君         農林水産大臣官         房予算課長   鶴岡 俊彦君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      野明 宏至君         農林水産省食品         流通局長    塚田  実君         農林水産技術会         議事務局長   櫛渕 欽也君         食糧庁長官   石川  弘君         林野庁長官   田中 恒寿君         水産庁長官   佐野 宏哉君  分科員外出席者         人事院事務総局         職員局審議官  森園 幸男君         警察庁交通局交         通企画課長   安藤 忠夫君         環境庁長官官房         参事官     杉戸 大作君         国土庁大都市圏         整備局整備課長 荒木  寛君         外務大臣官房外         務参事官    太田  博君         外務大臣官房外         務参事官    瀬崎 克己君         外務省アジア局         中国課長    浅井 基文君         外務省経済局海         洋課長     田中 謙次君         大蔵省主計局主         計官      吉本 修二君         大蔵省主計局主         計官      竹内 克伸君         大蔵省主税局調         査課長     薄井 信明君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       伊原 正躬君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     入澤  肇君         農林水産省構造         改善局農政部管         理課長     中須 勇雄君         林野庁林政部林         産課長     脇元 裕嗣君         林野庁指導部計         画課長     三澤  毅君         林野庁指導部造         林課長     依田 和夫君         林野庁指導部研         究普及課長   蔵持 武夫君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    廣瀬 定康君         通商産業省基礎         産業局化学品安         全課長     阿部巳喜雄君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部技術企画課長 福田 安孝君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         労働省労働基準         局補償課長   佐藤 正人君         建設省河川局水         政課長     小松原茂郎君         建設省道路局路         政課長     原  隆之君         建設省道路局道         路防災対策室長 寺田 章次君         自治大臣官房地         域政策課長   今泉 浩紀君         自治省税務局固         定資産税課長  鶴岡 啓一君         消防庁震災対策         指導室長    篠田 伸夫君         参  考  人         (首都高速道路         公団理事)   中谷 善雄君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   田名部匡省君     倉成  正君   小平  忠君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   倉成  正君     田名部匡省君   米沢  隆君     小平  忠君 同月七日  辞任         補欠選任   矢山 有作君     戸田 菊雄君   武田 一夫君     水谷  弘君   小平  忠君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   戸田 菊雄君     永井 孝信君   水谷  弘君     武田 一夫君   中野 寛成君     中井  洽君 同日  辞任         補欠選任   永井 孝信君     天野  等君   中井  洽君     小川  泰君 同日  辞任         補欠選任   天野  等君     川崎 寛治君   小川  泰君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   川崎 寛治君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     田中 克彦君 同日  辞任         補欠選任   田中 克彦君     矢山 有作君 同日  第一分科員木内良明君、第三分科員池田克也  君、第四分科員馬場昇君、岡崎万寿秀君、林百  郎君、山原健二郎君、第六分科員岡田利春君、  水田稔君、竹内勝彦君、森田景一君、第七分科  員奥野一雄君、中村正男君及び第八分科員佐藤  誼君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和六十年度一般会計予算  昭和六十年度特別会計予算  昭和六十年度政府関係機関予算  〔総理府環境庁)及び農林水産省所管〕      ————◇—————
  2. 大村襄治

    大村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました。よろしく御協力をお願いいたします。  本分科会は、総理府所管環境庁及び農林水産省所管について審査を行うことになっております。  なお、各省庁所管事項説明は、各省庁審査の冒頭に聴取いたします。  昭和六十年度一般会計予算昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算総理府所管環境庁)について、政府から説明を聴取いたします。石本国務大臣
  3. 石本茂

    石本国務大臣 昭和六十年度の環境庁関係予算案について、その概要を御説明申し上げます。  昭和六十年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は四百二十九億九千七百六十万七千円であり、これを前年度の予算額四百三十五億三千三百十八万円と比較すると、五億三千五百五十七万三千円の減額となっております。  次に、予算要求額の主要な項目について御説明申し上げます。  第一に、公害対策について申し上げます。  まず、環境保全企画調整等経費については、安らぎや潤いのある快適な環境を創造するための計画策定等経費環境の健全な利用を図るための「環境利用ガイド」の策定経費のほか、長期的、総合的視点に立った環境保全長期構想を新たに策定するための経費環境影響評価制度の効果的な実施を図るための経費、瀬戸内海の環境保全対策推進する経費公害防止計画策定推進する経費及び地球的規模環境問題に関する調査費など、これらをあわせて七億九千九百八十五万円を計上しているところであります。  次に、公害健康被害補償対策については、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るほか、水俣病認定業務を促進することとし、これらの経費として百七十一億七千百九十三万円を計上しております。  公害防止事業団につきましては、事業団事業運営に必要な事務費等助成費として四十億二千五百六十二万円を計上しております。  次に、大気汚染防止対策経費については、新たに未規制大気汚染物質のモニタリングを実施するなど未規制大気汚染物質の総合的な対策を進めるほか、従来に引き続き、窒素酸化物対策等各種大気保全対策策定するための調査等実施することとしております。  また、交通公害防止対策については、新たに新幹線鉄道騒音環境基準達成目標期間の到来する東海道・山陽新幹線について達成状況調査実施するなど総合的な交通公害対策の検討を行うとともに、自動車公害についても、従来に引き続き、自動車排出ガス騒音対策強化のための技術評価実施し、測定調査の充実を図るとともに、スパイクタイヤによる粉じん等対策のための調査を行うこととしております。  さらに、騒音振動及び悪臭についての対策推進するため、新たに住工混在地区における騒音改善のための調査実施するなど、七億五千七百二万円を計上しております。  水質汚濁防止対策経費については、新たに湖沼に係る窒素燐暫定排水基準適用業種に対する指導マニュアル策定するほか、窒素排水基準適用対象湖沼判定のための調査を行うこととしております。さらに、水質総量規制を引き続き推進するための経費生活雑排水対策推進するための経費赤潮防止対策推進するための経費など、八億二千五百五十五万円を計上しております。  このほか、地盤沈下防止及び廃棄物対策費として一億六百八十四万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億七千九百七十八万円をそれぞれ計上しているところであります。  次に、公害監視等設備整備費については、地方公共団体監視測定体制等整備を円滑に推進するために必要な経費として九億二千七百五十六万円を計上しております。  公害防止等に関する調査研究推進のための経費については、有害化学物質による環境汚染問題等について科学的な調査及び試験研究を促進するため、総額三十七億三千八百八十三万円を計上しております。  このうち、国立試験研究機関等公害防止等試験研究費として二十七億六千四百七十二万円を環境庁において一括計上し、各省庁試験研究総合的推進を図ることとしております。  また、光化学スモッグに関する調査研究費及び公害による健康被害大気汚染水質汚濁自然保護等に関する調査研究費についても八億八千四百十一万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として九千万円を計上し、関係省庁が所管する各種環境保全に関連する調査研究総合的調整を図ることとしております。  さらに、科学的な行政を推進するため、国立公害研究所の機能を充実強化することとし、これに必要な経費として四十三億六千六十万円、国立水俣病研究センター運営等に必要な経費として四億二千四百六十万円、公害研修所に必要な経費として九千七百七十一万円をそれぞれ計上しております。  第二に、自然環境保全対策及び施設整備について申し上げます。  まず、自然環境保全対策及び自然公園等維持管理等に関する経費については、自然環境保全施策を適切に推進するため、第三回自然環境保全基礎調査を初めとする調査研究実施するとともに、国立公園等保護管理強化を図るために必要な経費として十六億千三百十三万円を計上しております。  また、鳥獣保護については、新たにタンチョウ生息地特別調査事業を加えるなど国設鳥獣保護区の管理強化を図るほか、特定鳥獣保護事業及び渡り鳥の保護対策推進するなど、一億九千七百八十二万円を計上しているところであります。  さらに、自然公園等整備を図るため必要な施設整備費として二十七億九千四百三十三万円を計上しております。  以上、昭和六十年度環境庁関係予算案概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ本予算案の成立につきまして格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。  ありがとうございました。
  4. 大村襄治

    大村主査 以上をもちまして総理府所管環境庁)についての説明は終わりました。     —————————————
  5. 大村襄治

    大村主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
  6. 戸田菊雄

    戸田分科員 私は、今問題になっているスパイクタイヤ粉じん問題について質問してまいりたいと思います。  私は仙台なものですから、殊に仙台でこの粉じんに対する対策を立てていろいろ取り組んでいるわけでありますが、いろいろな研究結果によって、仙台地方の冬から春にかけて舞い上がる粉じん、これは実に目を覆うものがある。月にキロメーター平方当たり百四十トンというのですからね。そのくらい粉じんが上がる。その結果は人畜の、殊に小さいものに影響を与えているのですね。動物はもちろんです。犬や猫、それから子供たち、これが道路を削った破片を全部吸い込んでいるわけです。今専門医者を頼んで調査団を編成して健康調査をいろいろとやっているわけですが、その結果、じん肺による肺の侵食が非常に多いということで、これはあと一年でもって結果が出ますけれども、そのように非常に問題になっている。単に仙台ばかりではなくて札幌も、冬季間における北陸その他四十八都道府県対策会議などを開いて、新しい都市公害の典型として今非常に問題になっておるわけであります。  このいろいろな結果をやりますと、第一に、スパイクタイヤなしで走れる道路、これをひとつ検討しなければいかぬだろう。それから第二は、粉じん発生源であるタイヤスパイクピンをまず抜くことが先決ではないか。第三は、冬道の安全運転、こういうものを確保するために道路政策としてどうするか等々の、三本柱を立てていろいろと検討しておられる、そういう状況にあるわけです。  それで、問題は、いずれにしても原因スパイクタイヤによることがはっきりしてきているわけですね。こういうものに対して各省どういう取り組みをやっているかということが問題だと思いますが、環境庁としてはこれらに対する対応策をどういうように考えておられますか。
  7. 林部弘

    林部政府委員 環境庁立場で今まで実施した対策について簡単に御説明申し上げますと、一つは、環境汚染実態調べるということで、五十七年度が札幌市、五十八年度が仙台市、五十九年度は新潟市で粉じん等実態調査実施いたしております。  それから、関係省庁が多くにまたがりますので、五十八年三月以降スパイクタイヤ問題関係省庁連絡会議が設置されておりまして、現在までに既に五回開催されておりますが、私どもはその事務局立場にございます。  それから、五十八年九月に、実態から見て急ぐべき事態にあるということで、大気保全局長名通達を発しまして、関係道府県知事スパイクタイヤ使用自粛を中心としました当面の対策をとるように要請申し上げておるところでございます。  それからまた、御案内の生体影響ということもございますので、かなり厳密な動物実験が必要であるということで、五十九年から小動物を用いましての動物実験による生体影響調査実施しておるというのが私ども環境庁対策でございます。
  8. 戸田菊雄

    戸田分科員 これは二十二日の衆議院予算委員会で、「スパイクタイヤによる道路粉じん公害道路交通法道路交通障害に該当する」というふうに武田議員の質問に対して太田警察庁交通局長が答えておられるわけですが、その答えによりますと、「御指摘のとおり、粉じんも含まれる」。いわゆる道交法第一条「この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路交通に起因する障害防止に資することを目的とする。」同法第二条の二十三で、「交通公害 道路交通に起因して生ずる大気汚染騒音及び振動のうち総理府令で定めるものによって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」ということで、この第一条に該当するということで取り締まり対象になる、こういうことです。したがって、取り締まり対応について明言しているわけでありまするが、そういうものは、全国的に通達か何か出しまして、意思統一のもとにこれらに対する具体的な対応措置をやっているのかどうか、その辺の問題が一つ。  それからもう一つは、同法第二条の二十三に「総理府令で定める」と言っているのだけれども、まだそれには粉じん公害のこの項は入っていないのですね。だから、そういった面で法的な不整備があるのじゃないかという気がするのですが、もしあるとすれば、これらに対して具体的に挿入をし修正をするということにいかなければ実質的な効率は上がらないということになると思うのです。  この辺について、まず警察庁見解を承りたいと思います。
  9. 安藤忠夫

    安藤説明員 スパイクタイヤ粉じん問題、これは、先ほど御説明がありましたとおり、「道路交通に起因する障害」ということで、道交法対応できる問題でございます。  それから、現に総理府令で定めている交通公害定義には入っておりませんが、書き方としては、交通公害その他道路交通に起因する障害防止するため各種措置がとれるということで、法律上の定義にはなっておりませんけれども道交法上の措置は差異なく対応できるということで、確かに定義にはなっておりませんが、対応措置は別段そこで格差が生じることはございません。  それで、現在警察庁の方でとっている対策といたしましては、先ほど環境庁から説明がありました、五十八年の十月に通達を受けまして交通局長名都道府県警察に対しまして、不要期間使用自粛等を初めとする通達を指示いたしているところでございます。
  10. 戸田菊雄

    戸田分科員 そうすると、別に同法の第二条二十三に改めて修正その他挿入をしなくても現行法で十分対応できる、こういうことですね。
  11. 安藤忠夫

    安藤説明員 さようでございます。
  12. 戸田菊雄

    戸田分科員 それから、どうしても伺っておきたいのは、昨年の十二月三日の未明に浜松市内東名高速でありますが、釧路から名古屋へ新巻きサケ運送大型トラック保冷車ですね、冷蔵庫みたいに囲ったやつ、それが右後ろタイヤが一本破裂をして炎上した事故がある。それを見ますると、前後十本のタイヤをつけておるわけですが、そのうち六本はスパイクタイヤを履いておった。北海道から来たのですから、恐らく北海道からスパイクタイヤでやってきたのだろうと思うのですが、こっちへ来たらそんなものは関係ないと思うのです。しかし、いずれにしてもこういう事故発生した。  私は、きのう直接静岡の県警本部へ電話しまして、この原因は一体どういうところにあるのか、障害程度はどの程度だったかということで伺ったけれども、今資料がないものですからすぐ調べて後で連絡しますということでまだ来ておりません。  警察庁としては、どういう判断事故発生をし、障害程度はどの程度になっておるかお調べになっておられますか。
  13. 安藤忠夫

    安藤説明員 昨年十二月三日、東名高速道路上で発生しました事故概要でございますが、北海道から名古屋へ向けて保冷車が八・七五トンの最大積載量の車両に約二十四トンのサケを積みまして、それで三軸の後輪の一つがパンクいたしまして、そのまま数百メートル走行してストップしたわけですが、そこのタイヤの過熱から火災が生じたというふうに報告を受けております。
  14. 戸田菊雄

    戸田分科員 いずれこれから機会がありましたら、時間をかけて私も十分これらに対する対応策を考えていきたいと思っておりますが、よくお調べになっていただきたいと思います。  それで、建設省にお伺いいたしますけれども道路法の四十三条で道路においての禁止行為というのがあります。みだりに道路を損傷し汚損すること。乾燥路面スパイクを履くようなことは、今言った道路の損傷、汚損に該当するという見解を持っていますか、どうですか。
  15. 原隆之

    原説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、道路法四十三条には、みだりに道路を損傷してはならないというように個別の行為禁止いたしておりますが、スパイクタイヤ使用によりまして道路が摩耗するということは確かにあるわけでございますが、これが直ちに道路法四十三条で規定をいたしております道路を損傷する行為ということになるかということにつきましては、そこまでは言えないというふうに私ども判断をいたしております。
  16. 戸田菊雄

    戸田分科員 汚損はどうなんですか。
  17. 原隆之

    原説明員 汚損にも当たらない。と申しますのは、四十三条は罰則をもって個別の行為禁止するという趣旨でございますので、個々のそれぞれの行為が摩耗しあるいは汚損するということではありましても、それが道路を損傷したり汚損したりするという個別の行為禁止に当たるかどうかということにつきましては、そこまでは当たらないというふうに考えております。
  18. 戸田菊雄

    戸田分科員 あなたの見解ですと、非常に現実を見てないのですね。仙台市では四年前から粉じん公害についていろいろな調査をやっている。その結果を見ますと、まず街路樹が真っ白になってしまう。それから、道路の狭い密集地帯に行きますと、道路沿い商店は戸を閉めなければ粉じんがどんどん入ってきてだめだ。道路は十ミリぐらい摩耗してしまうのですよ。それが全部粉じんになるのです。ですから、商店街では商売ができない。それから乾燥路面に舞う粉じん洗濯物なんか干せないのです。そのくらい被害を与えているのです。さっき言ったようにキロメーター平方で百四十トンですよ。十トンの車の十四台分ぐらいを一気に噴き出すのです。こういう状況がある中で、道路見解についてそんな生易しいことを言っていていいのですか、どうですか。
  19. 原隆之

    原説明員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、道路法四十三条は道路の構造その他を守るために個々の行為につきまして禁止をする、その禁止に違反した場合には罰則をもって対処するということでございまして、個々の行為がその因果関係を持たなければならないというふうに考えておりますので、現象面では先生おっしゃいましたような現象がございましょうが、それはこの道路法四十三条の規定する範囲の外であるというふうに考えております。
  20. 戸田菊雄

    戸田分科員 時間もありませんから端的にお伺いしますが、道路法によって車両制限令というのがありますね。その第八条でキャタピラを有する自動車の制限条項があります。「自動車のカタピラの構造が路面を損傷するおそれのないもの」云々と、三項目を除いてそういうものはだめですよ、こう言っているわけです。この点については該当しますかどうですか。
  21. 原隆之

    原説明員 キャタピラの定義でございますが、私どもといたしましては、前後の車輪の周囲に取りつけました無端状の、端っこのない円形の帯状のベルトというふうに考えておりまして、スパイクタイヤというのはそのキャタピラには該当しないというふうに考えております。
  22. 戸田菊雄

    戸田分科員 粉じん公害については全世界的に問題になっている。諸外国の例で言うと、アメリカではアメリカ合衆国連邦道路局で、一九七四年、昭和四十九年ですか、もう既にスパイクタイヤ粉じん問題について、法で全面禁止をしている。西ドイツも十年かかって全面禁止に追い込んだ。そういう場合に一番問題になるのは道路その他取り締まりの問題です。  今は時間がありませんから、こういう問題について全部読んでいるわけにいきませんが、一、二申し上げますと、道路に対してわだち掘れになる。ハイドロプレーニングを起こす。水がたまったりなんかする。滑りやすい路面になって非常に困る。こういうことで、十何項目の被害があるから全面禁止をする、こう言っているのです。道路の部面からも都市の部面からも、多年の経験によって明確にこういう結論を出しているのです。西ドイツも十年かかってやったわけです。そういう状況の中で日本が、殊に道路政策の担当の皆さんがそんな安易な考えでいていいのですか。
  23. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  建設省におきますスパイクタイヤの基本的な考え方でございますが、スパイクタイヤの普及に伴いまして、道路の舗装の摩耗が著しく、道路管理上大きな問題となっておるわけでございます。また、粉じん生活環境への影響も問題となっているわけでございます。建設省におきましては、このような事態に対処いたしますために、昭和五十七年、五十八年度の二カ年にわたりまして調査を行いまして、その結果等に基づきまして、すり減りにくい舗装の活用、スパイクタイヤ装着の適正化等を内容といたします当面の対策につきまして、昨年十一月、道路局長より関係道路管理者に対しまして通達したところでございます。今後ともこの通達の趣旨を各道路管理者に周知徹底させますとともに、関係省庁と十分連絡をとりまして、道路の適正な管理、道路交通の安全確保等の観点からこの問題に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  24. 戸田菊雄

    戸田分科員 時間がありませんから項目的に伺っていきますが、建設省にもう三点ほど……。  雪害地域における道路の構造、管理、保守、こういう面についてどういう研究を今やっておられますか。これが一つ。  それから、例えば仙台市の場合には、清掃の面だけで五十八年度二億以上出費をしている。五十九年も同じくらい。六十年も予算としてそのくらいになっている。それから県が五億くらい出していますね。莫大な金をかけているわけです。そういうことについて補てん策を考えておるかどうか。その問題が一つ。  それから、雪寒地帯でもっていろいろな地域で一定の基準があって交付しておりますが、こういう問題については一体どういうふうに考えておるか。その点が一つ。  それから運輸省。今台数が約四千万を超える。そのうちスパイクタイヤの装着率は全国的にどのくらいになっていますか。安全上どういう指導をやっていますか。その点が一つ。  それからもう一つは、自治省でありますが、この対策にかけては四十八都道府県等の対策会議をやっていますが、もう地方自治体は限界ですね。どうしても国の段階で各般の立法措置その他総合的な政策を立てなければいけない。そういう中で、環境庁が中心になって各省連絡会議等をやっていろいろ対策をやっているというけれども、非常に生ぬるい。アメリカあたりでは四十九年に既に終わっているのですけれども、日本はそれ以後導入してこういう状態を招来しているのですから、これは早急に各省の関係を集めて明確な対応策というものをとっていく必要があるだろうというふうに考えます。その辺の所見について伺っておきたいと思います。  以上でございます。
  25. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  まず第一点目の、雪寒地域におきます道路の構造、舗装管理面等の研究状況についてでございますが、建設省におきましては、積雪寒冷の度が特に甚だしい地域におきます道路の冬季交通を確保し、産業の振興と民生の安定に寄与するため従前より努力をしてきているところでございまして、雪寒地域の道路のあり方についても調査研究に努めているところでございます。  それで、道路構造面においては、除雪のため幅員を広げたり、スリップ防止等のため合成勾配を小さくする等、構造上の配慮をいたしております。今後も雪寒地域における道路構造のあり方について研究を進めることといたしております。  次に、舗装についてでございますが、現在スパイクタイヤによる舗装摩耗が問題となっておりますが、従前よりタイヤチェーンによる舗装の摩耗問題が存在しておりまして、建設省においては従来から耐摩耗性舗装の研究を行ってきておるところでございます。また、維持、補修等の管理面については、凍結防止工法、舗装の補修工法等研究を進めることとしております。今後とも、雪寒地域における道路のあり方については、スパイクタイヤ問題も含め幅広く研究を進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、二点目の清掃に対する補助の考え方でございますが、道路の維持管理に要します費用は当該道路の管理者が負担することを原則としておりますが、補助国道及び県道の舗装補修につきましては、大規模であるなど一定の基準以上のものに限って国庫補助の対象といたしております。スパイクタイヤによる道路損傷につきましても、このような場合には同様の取り扱いをしておるところでございますが、小規模な舗装補修、清掃等についての補助制度は考えていないところでございます。  三点目の、雪寒事業の問題でございますが、国土面積の約六割、人口の約四分の一を占めます積雪寒冷特別地域における冬季交通を確保し、産業の振興を図り、民生の安定に寄与するため、従前より積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づきまして、除雪、防雪、凍雪害の防止に係る事業を実施しております。除雪事業といたしましては、重要な路線について道路上の積雪を排除し、交通の確保を図るため、国県道の除雪と国県道、市町村道の除雪機械の整備を図っているところでございます。防雪事業といたしまして、雪崩危険箇所に対するスノーシェッドの整備などを図っております。また、凍雪害防止事業としては、凍上により路盤が破壊されることを防ぐため、路盤の改良、流雪溝等の整備を図っているところでございます。  以上でございます。
  26. 福田安孝

    ○福田説明員 運輸省の方から説明させていただきます。  まず第一点の、装着率についてですが、気候とか積雪量、そういうようなところから一概には申し上げられませんけれども、最大装着率というような考え方で見てみますと、北海道、東北北部その辺で九五%以上、東北南部及び関東中部の内陸で九〇%以上、北陸で七〇%になっているということでございます。  第二点の、運輸省におけるスパイクタイヤ公害問題に対する対応でございますけれども、運輸省といたしましても、公害防止と安全の確保というような二つの面からの調和点を見出すための基礎的な調査といたしまして、自動車の装置としてのタイヤ構造のあり方について検討を進めるべく、五十八年度から各種スパイクタイヤ粉じん騒音発生状況、それから走行性能及びこれらの評価法の調査実施しております。  スパイクタイヤ公害はその対策が多岐にわたるということでございまして、関係省庁と密接な連携をとりつつ検討を進めておるところでございます。また、当面の対策といたしまして、先ほども環境庁の方から御説明いたしましたように、タイヤ使用の自粛につきまして運輸関係団体に対しまして協力するよう指導をいたしておるところでございます。
  27. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 スパイクタイヤにつきましては、各自治体におきましてその対策に非常に苦慮しておりまして、それにつきましては私ども重大な関心を持っているところでございます。  スパイクタイヤの問題につきましては、先生おっしゃいますように、自治体のレベルでは解決できない問題と私ども考えておりまして、国のレベルにおきましてその対策ができますよう、我々も関係各省と連絡を密にしながらその対応に対処したい、このように考えております。
  28. 石本茂

    石本国務大臣 先生のお説、十分に承知をさせていただきました。今後は、関係省庁と密接な連携を図りながら、一日も早く現状の改善に全力を尽くしてまいりたいと思います。
  29. 戸田菊雄

    戸田分科員 きょうは時間がありませんから、いずれ時間をかけて再度克明に対策を考えていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  終わります。
  30. 大村襄治

    大村主査 これにて戸田菊雄君の質疑は終了いたしました。  次に、永井孝信君。
  31. 永井孝信

    永井分科員 初めに、環境庁長官にお伺いいたしますけれども、カネミ油症事件について、ことしの二月十三日に第三陣の訴訟について一審の判決が出されました。その判決の中で、カネミ倉庫の責任それから製造元の鐘化の企業責任を認めて、国の過失も認定しているわけですね。環境庁や通産省としてはこの事態をどう受けとめていらっしゃるか、まずお答えいただきます。
  32. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 若干法律的な点についてまず御説明いたしまして、必要があればさらに大臣から御説明いたします。  今回の判決を拝見しておりますと、国の不作為と申しますか所管行政の範囲について非常に厳しい判決が下されているわけでございます。私ども、最近の裁判の動向といたしまして、こういう国が積極的に国民の安全あるいは健康のために配慮すべきであるということが裁判の経過を通じて非常に厳しく裁判所から求められている動向は十分承知しております。一般的な行政といたしましては、そのような点について十分配慮していかなければならない、かように認識している次第でございます。
  33. 石本茂

    石本国務大臣 国民の健康を守る私どもの任務でございますので、この裁判の結果につきましては心して対処していかなければならぬと決意をしております。
  34. 永井孝信

    永井分科員 その裁判の今後の展開というものは、控訴されるかどうかによってまた変わってくるわけでありますから、それはさておきまして、カネミ油症事件というのは社会的にも大変大きな問題になっているという御認識は間違いなくお持ちいただいていると思うのですね。  そこで、そのカネミ油症の原因となったPCBですね。このPCBは、御承知のように、昭和四十六年の一月に当時通産省が行政指導で全国からPCBの回収を命じたわけですね。そして、これが製造元である鐘淵化学——鐘化と呼んでおるのでありますが、この鐘化によって行われまして、それから十五年たっているのですね。その間、四十七年の九月には、環境庁がこのPCBの試験焼却を実施をしているわけですね。そして、大気汚染の許容基準もその当時一応定めているわけです。しかし、そういうことを手をつけてもらったのでありますが、その後現在に至るまで結果的に何の有効な措置もとられていないのです。  私、たしか一昨年だったと思うのでありますが、この問題を国会で取り上げまして、そのときに、この問題については一日も放置しておけない問題であって、環境庁や通産省が関係省庁連絡会議を設けて直ちにこの問題の処理について結論を出すように、処理ができるようにしたい、こういう答弁もいただいているわけですが、現実はいまだに五千五百四十一トンという液状のPCBの廃液が保管されたままになっているわけですね。その間私は環境庁へも毎年のように行きました。地元の市長さんあるいは市会の代表者の方々を連れて環境庁へも通産省へも関係省庁、厚生省も含めて毎年のように行っているのですよ。これは全然何にも結論が出てこないのですね。これは一体どういうことなんですか。まずそれをお答えいただきたい。
  35. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先生ただいま御指摘された事実はそのとおりでございまして、私の承知している限りでも、先生からは本件につきまして衆議院で三回御指摘をいただいております。特に、五十八年三月四日の予算委員会第六分科会では、山中通産大臣から、積極的に取り組む旨の答弁をしておりまして、にもかかわらず今日同じその御質問をいただかなければならない、まことに私ども遺憾だというふうに認識しております。  その間の事情につきましては、先生もよく御承知かと思いますのでくどくど申し上げませんけれども、当時最も有効であるとされた洋上焼却につきまして、私どもそれなりに準備を進めまして、処分基準も策定し、海域の指定をすればいいところまで行ったわけでございまして、鐘化自身も焼却船との契約も進めたわけでございますが、遺憾ながら関係者の御理解をいただけませんで、今日の状態を迎えているわけでございます。その点につきましては、まことに申しわけない、遺憾であるというふうに申し上げる以外にないわけでございます。
  36. 永井孝信

    永井分科員 せっかくいろいろな努力をしてきて実を結んでいないのだから、遺憾の意を表する、これは当たり前のことだと思うのでありますが、これは大臣、行政の怠慢と言えませんか、十五年たっているのですから。大臣、どうですか。
  37. 石本茂

    石本国務大臣 本当に、今先生申されますように十五年間も、放置しているというわけじゃございませんでしょうけれども、そのままであるということは、私もお話を聞いて残念だなと思っております。関係するところに対しましては、当方の序としましては何とか早く対処してくれということは言っておりますが、今局長が申されましたように、いろいろな事情もあるのだろうと思いますけれども、こういう御質問をたびたびちょうだいしなければならないということ、私も本当に残念だと思いますけれども、またいただきました御趣旨を十二分に体しまして何とか早く処置されますことを努力してまいりたいと思っております。
  38. 永井孝信

    永井分科員 今まで十五年間の経過をたどれば、いろいろなことがあったのですね。確かにあったのですよ。その過程では、例えば洋上焼却一本やりで、洋上焼却以外は考えることができないということで行政官庁としては対応してきたのですね。私が何回も環境庁へ行ったときもそういうお話でございました。私は、特に洋上焼却が時間の経過を経てもなおめどが立たないとするならば、陸上焼却も含めてもう一回検討し直してもらいたいという要望も出したことがありました。そのときに環境庁は、陸上焼却も当初環境庁がやってみたけれども、なかなかうまくいかないので、洋上焼却一本に絞りたいという御意向もありました。ところが、その洋上焼却について言えば、昭和五十四年には製造元の鐘淵化学がオランダのバルカナス号と一応仮契約を取り交わした。ところが、当時通産省からは、洋上焼却時にPCBの分解率を測定するグラフの、機器ですね、あるいは燃焼効率を測定するための計器、こういうものが洋上において正常に作動することの保証がないということで、わざわざその契約したものをキャンセルを命じたわけですね、契約の解除を命じたわけですね。だから、鐘淵化学はバルカナス号の契約を解除した。その後結果的にどうしたかというと、行政当局は、バルカナス号一本に絞って何とか焼却をしてもらいたいということをずっと毎年繰り返してきたのです。そういう経過があったらなかなかバルカナス号との契約がうまくいかないのは、これは素人目に見て十分わかるのですね。そうして、私が一昨年質問した当時、バルカナス号だけに頼ることができないとするなら焼却用の新造船も考えてみたいというところまで突っ込んだ答弁がなされているわけです。しかし、今現実は、言われたようにその後何の進展もされていない。これでは地方自治体だって、まあ県も市も含めて、行政当局にもう愛想も何も尽き果ててしまって、陳情どころか、腹を立てる気持ちにもならぬというのが今の現実の姿なんですよ。これはひとつ十分に認識をしてもらいたいと思うのであります。  そこで、お尋ねいたしますけれども環境庁あるいは通産省、厚生省、水産庁などそういう関係省庁は、県と市の合同連絡会議というのを持ちまして、昨年の六月十二日でありますけれども、この液状PCBの処理について、まず第一番に、洋上焼却については行き詰まってしまっているけれども、国、県、市とも断念するものではないということをまず確認した。そして二つ目には、その他の処理方法の検討を進めるということも確認した。そして、その他の方法の中のまず一つは、陸上焼却処理について、その試験焼却の必要性を確認した。これは大臣、昭和四十七年に、最初に環境庁が試験焼却をやっているわけですね。そして大気汚染の許容基準というものを設けた、そういう経過もあって、そして昨年に至ってなお試験焼却の必要性を確認した、こういうことになっているわけですね。そしてその二つ目に、試験焼却について、県、市から試験焼却に関する調査研究員会の設置を要望されて、その結果、具体的な計画案を作成し、国の各省庁間で協議検討することとなった、こういうふうに経過としてはなっているわけですね。四十七年に試験焼却をやってみて、そして今、十年以上たった現在で改めて試験焼却の必要性を確認したということ、これは一体どういうことなんですか。
  39. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 経過についてはほぼ先生の御指摘のとおりだというふうに認識しております。私どもとしては、非常に焼却に配慮を要する物質であるということは間違いないところでございまして、できることであれば洋上焼却が一番望ましいというふうに判断して、洋上焼却を進めてきたことは御承知のとおりでございます。しかしながら、既に五十九年度におきましては、遺憾ながら関係者のコンセンサスが得られず、しかし、さはさりながら、一方このまま放置しておくということは許されないわけでございまして、もちろん洋上焼却を断念したわけではございませんけれども、先生御指摘のとおり、陸上焼却の方途もやはりあわせて検討すべきではないかというふうに判断したわけでございます。  さらに、このPCBは御案内のように有機塩素系の化合物でございまして、その焼却の過程では、具体的にそういう可能性があるわけではございませんけれども、焼却の方法いかんによっては最近特に深刻に問題にされておりますダイオキシン等の発生が全然予想されないわけではございませんので、これはさらに技術的に念を入れる必要があるのではないかというようなことで、現在関係者が集まって協議、検討を進めている、こういうことでございます。
  40. 永井孝信

    永井分科員 検討は一日も早く進めてもらいたいのですけれども、私は、とにもかくにも残念なのは、同じことを何回も国会でも取り上げなければいかぬということなんですよ。毎年毎年同じことを関係省庁に陳情しなくてはいけないというこの実態は、国民の立場からすれば、関係する市民の立場からすれば、行政不信、政治不信ということにつながってくる。これは大変怖いことだ。大臣は御承知ないかもしれませんけれども、経過はずっと見てもらえばわかるのですが、この問題が起きたときは、私の地元ですけれども、パニック状態だったのですよ。魚をとってきても魚は売れないのです。PCBの廃液が流れ込んでいるということで大変なことだったのです。そして、地元も大変な負担をして用水路を含めて全部汚泥の処理もした。地元としては打てるだけの手を打ってきておるわけですね。そして、世間では、カネミ油症事件は今裁判が進行中でございますから、ある意味ではクローズアップされてくる。全国から回収したPCBの保管されている地元以外はPCBのことについては関心が薄れてしまっているわけですね。  しかも、問題なのは、消防法によって今保管されているPCBのタンクを遅くともこの二年以内には点検をしなければいけない時期が来ているわけです。これを点検しようとすれば、中のPCBを全部抜かなければいかぬ。五千五百四十一トンもあるのです。このPCBを全部抜かなくてはいけない。抜くためまた新たなタンクをつくるわけです。それは企業の責任だから企業がつくればいいと言えばそれまでだと思うのですけれども、企業にとっても大変なことだと思うのですよ。カネミ油症事件でもその責任を問われ、片方ではPCBの処理もしなければいかぬのだから。私は何も企業の味方をするのじゃないのだけれども、大変なことだと思うのですよ。ところが、そのPCBのタンクをつくりかえて、これを全部抜くときに不測の事態が起こらないとは限らないのです。鐘化という企業は瀬戸内海のすぐそばに、海際に建っているのですね。片方で瀬戸内海の環境を保全するための特別立法までした。関係省庁はそのために努力をしてくれている。前、私は天災地変と言ったのだけれども、もしもこのタンクからPCBを抜き取る作業のときに不測の事態が起きたとして、瀬戸内海にそのPCBが流れ込んだら瀬戸内海はまさに死の海なんですよ。そういう危険な状態も今日の前にしているわけです。だから、私は執拗に同じことを繰り返してきょうもわざわざこれを質問しているのだ。このことについて事実を、あるいは具体的な問題点を認識してもらえれば、それ以上のことはここで答弁を求めませんけれども、ただ一つ具体的なことをお聞きしたいのは、昨年の六月十二日に開かれた合同連絡会議の経過からして、昭和六十年の三月、ことしの三月を目途にいわゆる県、市から要望のあった調査研究員会を設置する、そうして窓口は通産省、この委員会の運営に関する予算は環境庁、そしてテスト焼却もそれに必要な予算は国が負担するという見込みであるというふうに地元では説明がされているんですが、これは間違いございませんか。
  41. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 間違いございません。
  42. 永井孝信

    永井分科員 通産省にお聞きしますけれども、通産省はこの問題についてどのように対応されようとしますか。通産省は企業との関係で言えば今まで一番中心的な役割を果たしてきてもらったわけですから、通産省はどのように対応されるのか。
  43. 廣瀬定康

    ○廣瀬説明員 先生御指摘のとおり、私どももっとに長い時間をかけているとはいうものの、努力をしているところは認めていただきたいのですが、先生のお話の中にありましたように、兵庫県高砂市の廃PCBの保管タンクにつきましては、ここ数年のうちに消防法の規定による内部点検、定期点検が必要となる事態になるかと思われます。そういったようなことを考えますと、できるだけ早い時期に適切な処理の方法について検討していく必要があるというのが現状でございます。  その方法の検討に当たりましては、先ほど試験焼却という話もございましたが、できるだけ念には念を入れるという形で専門家の意見を聞くこととしておりまして、これには国あるいは兵庫県が協力して実施することが必要である、肝要であると考えております。私ども通産省といたしましても、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く適切な処理方法が見出されるよう、今後とも特に兵庫県と密接な連携をとりつつ対処してまいりたいと思います。  以上であります。
  44. 永井孝信

    永井分科員 今までの経過からいって、何回も何回も、来年の夏ごろまでにはバルカナス号で焼却ができる見込みだとか、あるいは三年以内に処理ができるだろうとか、これは観測でありますけれども、そういうことを陳情のたびに聞いてきておるのです。この繰り返しは、大臣、もう嫌ですし、関係省庁の連絡会議も持ってもらっておるわけでありますから、新たに研究員会も設置をされるといたしましても悠長にしてもらっては困る。大臣は次々かわっていくかもしれませんけれども、住民はかわることはないわけですから、ひとつここらでどの程度のめどを置いて調査員会の結論を出し、処理をするのか、せめてその地域の住民の不安を除去するためにも、そのめどくらいは明らかにしてもらえませんか。ここでひとつはっきりと、今までのようにその場しのぎでなくてはっきりとしてください。
  45. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 これは技術的な問題が絡まりますので、なかなか判断しにくい、我々が軽々に判断できない側面もありますけれども、先ほどから先生の御指摘もございましたし、経緯もございます。それからまた、六十二年にタンクを新設して入れかえなければならない、消防法の規定でそうなっておりますので、やはりそれは一つの大きなめどになるのではなかろうか、かように判断しているわけでございます。  私どもも、これは先生から再々御指摘いただいておりますけれども、役所の権限だけでいきますと各省ばらばらになるわけでございますが、少なくとも、現在のままで放置しておくことはまことによくないことである、何とかしなければならないということでは関係省庁一致した認識を持っておりますので、とにかく最善の努力を払ってまいりたいというふうに考えております。
  46. 永井孝信

    永井分科員 六十二年にタンクをつくって入れかえなければいかぬという消防法の関係を私も今指摘しましたけれども、それは第一の最大の山だと思うのですね。少なくとも、この近代的な世の中でありますから、これだけの日本の科学技術力をもってすればそう時間はかからないのではないか、素人考えとしてそう思うのです。市民もそう思っているんですから、今局長がお答えになったように、少なくとも昭和六十二年のタンクをつくりかえなければいかぬというその時期ぐらいまでをめどにして、ひとつ積極的な対応をしてもらいたい。今局長の言われたように、権限的にはいろいろな省庁にまたがっています、あるいは自治体の権限もあります。ありますけれども、だからこの国会で問題にしてきたのです。そうして、前のときには直ちに解決のための具体的な手段について新しく検討を開始する、そのために各省庁がばらばらであっては御期待にこたえることができないので、関係省庁間に連絡会議を設けて横一線一つにそろえてやりますという大臣の答弁もいただいておるわけでありますから、環境庁長官としてひとつ決意を申し述べていただいて終わりたいと思うのです。
  47. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま局長が申しましたように、山場が目の前に来ておりますので、最善の努力を尽くしますことを先生お約束させていただきます。
  48. 永井孝信

    永井分科員 時間の進行に協力いたしまして、終わります。
  49. 大村襄治

    大村主査 これにて永井孝信君の質疑は終了いたしました。  次に、水谷弘君。
  50. 水谷弘

    水谷分科員 公明党の水谷弘でございます。  私は、環境庁、林野庁、外務省に逐次御質問をいたします。  本日は、広域の大気汚染現象であります降水の酸性化現象、いわゆる酸性雨についてお伺いをいたします。  もう既に酸性雨についてはその発生等についてはほぼ解明をされつつあるわけでありますが、大気中に排出された自動車排ガス中の窒素酸化物や工場排煙中の硫黄酸化物などが大気中でそれぞれ硫酸イオン、硝酸イオンに変換され、それが雨水の酸性化に大きく関与してできるものだ、このようにほぼ解明されております。  我が国の酸性雨の被害、これは昭和四十八年から五十一年梅雨期にかけて目や皮膚の刺激の訴え、こういう形で実は発生をしておるわけであります。その発生状況は約三万四千人弱、そのうち私の地元であります栃木県の方が約二万九千人、そういう意味では栃木県が我が国における酸性雨の最初の被害者というふうに言えるわけでございます。  また、昨年五月二十五日関東各県と新潟、山梨県、横浜市でつくる関東地方公害対策推進本部がまとめました酸性雨についての初めてともいえる広域的な調査で、非常に未解明の部分が多い酸性雨についてその発生のメカニズムの解明が一歩進んだ、このように言われているわけであります。それによりますと、関東で酸性雨の多いのは宇都宮、前橋と東京多摩地区を結ぶ地域、ここでもまた栃木県が登場してまいります。強い酸性雨が降りやすいのは前線が関東南岸に長時間停滞したときとなっておるわけであります。そういう立場で、私は私の住む栃木県に重大な影響が出てまいりますこの酸性雨に対して重大な関心を払わざるを得ないわけであります。これは単に一地方の問題ではなく、広域的な大気汚染でありますから、いつこれが日本列島全域に広がっていくかわからないわけであります。  また昨年四月十二日までに東京都の公害研究所、ここは我が国では最も権威のある研究機関の一つだと言われているところでありますが、そこで、都心に降る比較的強い酸性雨の原因が、欧米では石炭、石油の燃焼時に発生する硫黄酸化物が主たる原因とされておりますけれども、それとは異なって自動車の排ガスなどに含まれる窒素酸化物を主犯とする東京型である、こういうことが突きとめられたわけであります。  我が国の自動車排ガス規制は、米国で制定はされましたけれども実施をすることができなかったマスキー法をよりどころにしまして、さらにまた自動車業界の特段の御努力によって個別的には非常に厳しい規制になっております。しかしながら、環境基準の達成、窒素酸化物の総量規制、この問題については早期に実現をしていくことが急務になっているわけであります。このようなことを踏まえまして、我が国ではまだ欧州や北米、カナダ等の森林が枯れたりまた湖沼生物が死滅したりというような甚大な被害等は発生していないわけでありますが、環境庁では我が国の酸性雨の現状についてどのように把握をされているか、まず最初にお尋ねをいたします。
  51. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 酸性雨の被害状況については先生ただいま御指摘のとおりでございまして、被害といたしましても、湖沼、森林等に及ぼす被害、それから目や皮膚を刺激する被害、そのようなところがございますが、先生お話しのように国内では湖沼とか森林は、欧米ではかなりの被害がございますが、まだ顕著な被害には至っていないのでございます。しかしながら、四十八年から五十年にかけてお話しのような関東を中心といたします霧雨とか雨によります。そういう被害が生じたことはございます。  酸性雨に対しましては今後その被害を未然に予防していくことが非常に肝要かと私どもは考えておりまして、そのために私どもは検討会を設けましてこの対策に積極的に取り組んでおるところでございます。
  52. 水谷弘

    水谷分科員 今も答弁の中にございましたけれども、一昨年、昭和五十八年度から六十二年度までにかけて酸性雨対策検討会を設置をされまして、専門家の御助言を受けながら酸性雨に対する調査研究を進めるということになって今日まで取り組んでこられたわけでありますけれども、具体的にどのような調査研究を進められておるのか、また今後の方向性も含めてお尋ねをいたします。
  53. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  我が国国内でもかなりの酸性度の強い雨が観測されておりますが、これは気象条件とか地質とか、いろいろ国によっての相違もあろうかと存じます。そこで、酸性雨の発生のメカニズムの研究が基礎的には一番重要であるという認識を持っておりまして、五十八年度からはこのメカニズムの解明、それから実態調査を中心とした検討会を持っておるわけでございます。この検討会は六十二年度までの五カ年の計画で今進めておるところでございます。  内容を少し申し上げますと、その一つは、酸性雨の生成機構の解明のために、雨水の汚染物質の測定、それから汚染物質の高度分布などの実測調査をいたしております。また二番目には、陸水の影響調査といたしまして湖沼の酸性度の測定とか陸水生態系の影響調査、そのようなことを行っております。また三番目に、土壌の影響調査といたしまして、土壌の生態系等への影響の把握調査、そのようなことをいたしておりまして、このような調査を踏まえまして生態系への影響を把握し、そしてその結果を踏まえまして必要な対策を今後講じてまいりたい、そのようなことでございます。
  54. 水谷弘

    水谷分科員 そこで、ヨーロッパまたは北米等の大変厳しい酸性雨による被害については既に広く伝えられているところであります。ことしになってからウィーンの森も大変危なくなった、そういうような非常に危機的な状況になっていると伺っているわけであります。  例えば、西ドイツでは、一昨年の西ドイツ政府の発表した調査では、森林面積の全体の三四%、これが酸性雨の影響を受けている、こういう発表を行っております。ところが、一年前の調査では影響を受けている森林はわずか八%であった。わずか一年の間に酸性雨の被害が急速に進む。面積的には二百五十万ヘクタールが枯れているというようなことまで言われているわけであります。  こういうような状況の中で欧州や北米、そこにさらに東欧諸国までが参加をいたしまして、三十一カ国からいずれも閣僚クラスが出席をして、昨年の六月二十四日から二十七日まで四日間、西ドイツのミュンヘンで国境を超えた環境問題としての酸性雨問題に関する国際会議が開催をされております。また、同じく昨年の十一月十四日から十六日まで、これは我が国の代表も参加してフランスのベルサイユにおいて環境管理に関する世界産業会議、このようなことも開かれているわけであります。こういうように今日地球的な規模で環境問題に対する取り組みが行われているわけであります。  そこで、我が国は公害の面では大変苦労し、高度経済成長の時代は垂れ流しとまで言われ、日本はまるで世界の公害の元凶のようにまで言われてまいりました。しかし、そういう中から見事に、見事と言えるかどうかわかりませんけれども公害を克服をして、経済成長をなし遂げてきた。環境問題に対しては先進国、果たしてそう言えるかどうかわかりませんが、こういう立場にあるわけであります。そういう意味で、我が国の経験と技術を生かして国際環境問題に取り組んでいかなければならない、そのように考えるわけです。  そこで、特に日本がリーダーシップをとって取り組まなければいけない地域はアジア地域であろう、このように考えるわけです。このアジアにおいて欧州等のような酸性雨のあの甚大な被害をこうむることのないように、未然防止策という観点から、特に中国、韓国等と環境技術協力また研究協力を取り進めることが急務と考えております。これは環境庁も同じお考えに立っておられると思うわけでありますが、聞くところによりますと、環境庁環境交流団をこの五月ごろに中国に派遣して、日中の環境政策についていろんな意見を交換されるというふうに伺っているわけでありますが、アジア地域における日本の環境問題に取り組む基本的な姿勢、環境庁がどのように取り組もうとしておられるか、その点について具体的にお伺いをしておきたいと思います。
  55. 岡崎洋

    岡崎政府委員 ただいま先生お話しのとおり、私ども、アジア地域の環境問題につきましてはできるだけの協力なりアドバイスをしながら、アジア全体がよい環境のもとに発展ができるということを願っております。  やや具体的に申し上げますと、アジアの中でも、今の中国につきましては、環境問題全体についていろいろ交流を図りたいという希望が近年とみに中国で高まっております。工業開発とともに、環境問題については現実の問題としてかなり大きな問題が出つつあるやにも聞き及んでおりますので、そういう問題意識を踏まえまして、向こうからもぜひ来てほしいというお話がございましたので、多分、この五月には私どもの各局の識者をそろえました総合的な環境交流のミッションを中国に出しまして、いろいろ現実の問題について現状をよく認識さしていただく、あるいは中国がどういう点について一番関心を寄せられ、あるいは私どものアドバイスを求めておられるのかということも含めまして、十分な意見交流をまず図りたい、そういう現状認識を踏まえまして、さらに具体的な環境協力のやり方なり、部門を定めてまいりたい、こういうふうに思っております。  なお、東南アジアにつきましても、今後、工業開発等進みます上におきましても、あるいは環境問題について非常に重視をしなければならぬことが多々出てまいると思いますし、そういう点について関心も高まっております。従来からも技術協力あるいは研修ということでいろいろ協力を申し上げておりますけれども、今後も東南アジアの諸国につきましては、各国別にそういった問題につきましてきめ細かく御相談にあずかり、場合によっては技術協力を、例えば外務省の国際協力事業団等々とタイアップいたしまして努めてまいりたい、こんなふうに考えております。
  56. 水谷弘

    水谷分科員 ただいま環境庁のお取り組みについてはお話がございましたが、外務省の同地域に対する御見解についてお伺いをしておきたいと思います。  将来、広域多国間大気汚染協定、こういうものができるかどうかわかりませんが、そういう方向に向かって環境会議等が開催されていきますように、そういう方向に向かってのお取り組みを、ぜひ外務省がリーダーシップをとって環境庁と力を合わせてお進めをいただかなければならないだろう、このように考えるわけでありますが、外務省の御見解を伺いたいと思います。
  57. 浅井基文

    ○浅井説明員 先生の御指摘の点に関しましては、私、すべての地域を担当しておる者ではございませんので、一般論として申し上げますけれども、外務省といたしましても、この環境問題の重要性というのは十分認識しているところでございまして、今後、関係省庁とも十分御相談の上、そちらの方の協力関係を進めてまいりたいと思っております。  中国に関して一言だけつけ加えさせていただきますと、中国も経済建設だけではどうも不十分であるという認識がとみに高まっているようでございまして、先生御指摘のような、公害問題に関する先進国である日本の協力に対する期待が非常に高まっている、これは環境庁の官房長から申し上げたとおりでございまして、そういう面で日中協力を大いに進めていきたいという意欲は非常に高いということでございます。したがいまして、この面におきましても、日中間の協力関係というものを全般的に進めるという基本方針にも合致するものでございますので、その方向で努力してまいりたいと思っております。
  58. 岡崎洋

    岡崎政府委員 今先生の、外務省を中心といたしました世界的な環境に関する国際協力につきましては、国連のいろいろな場を通じまして、あるいはOECDのいろいろな場を通じまして会合を持ち、意見交換を努めておりますけれども、そういった国連の環境問題特別委員会でございますとか、あるいは環境計画等の諸機構につきましては、予算面におきましても、外務省を通じまして拠出金等を用意していただいておるところでございまして、そういう形での外務省の御協力を得ながら環境問題の取り組みが国際的に図られているということでございます。
  59. 水谷弘

    水谷分科員 ことしはFAOが定める国際森林年であります。  そこで、林野庁は我が国の森林を守っておられる当事者でありますので、先ほど答弁がありましたように現時点で森林が被害を受けている等の事例はないようでありますけれども、将来の問題としてこの森林被害に対して林野庁としてどのような対処をされるのか、今後取り組んでいかれるのか、基本的なことで結構でございます。お答えをいただきたいと思います。
  60. 蔵持武夫

    ○蔵持説明員 我が国におきます酸性雨による森林被害につきましては、ただいま先生からもお話がございましたように現在のところ報告されてございません。しかしながら、諸外国の被害状況にかんがみまして、林野庁といたしましては酸性雨について十分関心を払いながら見守ってまいりたいと考えております。
  61. 水谷弘

    水谷分科員 それぞれお伺いをしてまいりました。  最後に長官にお答えをいただきたいわけでありますが、先ほども私が申し上げましたように、現在は確かにほとんど被害も出ておりませんし、緊迫した状況の中にはないことは事実で、あっては困るわけでありますけれども、将来においてもこれはあっては困る。しかし、特にことしのお正月あたりから、昨年よりすごい勢いといいますか、マスコミ、報道関係で酸性雨の問題を取り上げてこられているようであります。学者の先生方の中でも、将来の日本の森林が果たして大丈夫なのか、そのためには研究会を持って政府に対しても積極的に提言をしていかなければならないのではないか、いろいろなことを予測をされまして、今真剣にお取り組みをいただいているわけです。  新聞報道によりますと、石本環境庁長官も酸性雨に対しては大変御熱心なお取り組みをなさっておられて、総理に対してもその対策については強く要請しなければならないだろう、こういうような御発言をされたと伺っているわけでありますが、これは私は起こってはならないことですけれども、日本の地理的条件、いろいろなことを考えたときには、今本格的に取り組んでいかないと取り返しのつかない事態がやってくるのではないかと考えていますので、その点についての長官の御決意といいますか、それをお伺いしたいと思います。
  62. 石本茂

    石本国務大臣 先生のお説のとおりに、国内にこういう大問題があっちこっち起きてはこれは大変なことになるわけでございまして、これはやはり今お言葉がありましたように、地球的規模環境問題でございますと私は思っております。先進国並びに開発途上国を問いませんが、共通の重要な課題であるというふうに考えている一人でございまして、その解決のためには緊密な国際協力が不可欠であるというふうにも考える次第でございます。  我が国といたしましても、先ほど官房長申しておりましたように、酸性雨問題を初めとした地球的規模環境問題の解決につきましては、国際協力に今後とも積極的に取り組んでまいる所存でございますので、よろしくお願いいたします。
  63. 水谷弘

    水谷分科員 大変積極的な御発言をいただいたわけであります。冒頭申し上げましたようにこれは差し迫った問題ではありませんけれども、もう少し本格的なお取り組みをしていただきたいな、こう思うのは、酸性雨に対する我が国の予算は六十年度の政府原案では三千七百九十八万円という予算が計上されておりますが、金額の多い少ないを論じるわけじゃありませんけれども環境庁としてもこの将来の対策に対して、必要なものはどんどん強力に要望を起こし、万全の体制で、予算面から、また人の配置から、体制から、研究分野から、どうか本格的なお取り組みをお願いしたいと思います。  先ほども申し上げましたが、外務省の皆さんには特段の取り組みをされますように最後にお願いを申し上げまして、若干議事進行上御協力をするようになりますが、これで私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  64. 大村襄治

    大村主査 これにて水谷弘君の質疑は終了いたしました。  次に、水田稔君。
  65. 水田稔

    水田分科員 昨年の七月に湖沼水質保全特別措置法が成立したわけであります。そして国は同法第二条の湖沼水質保全基本方針を作成したわけでございます。これからの具体的な指定湖沼をどこにするか、あるいはこれらを進めていくについてどういうスケジュールで今後これらの湖沼の水質浄化をやっていこうとしているのか、まずお答えいただきたいと思います。
  66. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 お答えいたします。  現在、湖沼水質保全特別措置法に基づきまして政省令の準備を鋭意進めているところでございまして、年度内には全面的の施行を図るように持っていきたい、かように考えているわけでございます。  さらに、施行されますと、今後、都道府県知事の申し出を受けまして順次湖沼法の指定に基づく指定湖沼の指定を行ってまいることになるわけでございます。当面、一両年、六十、六十一の二年間で十湖沼程度を予定しているわけでございます。指定が行われました後は、都道府県知事において湖沼水質保全基本計画を策定していただく、かようなことになってまいることを予定しているわけでございます。
  67. 水田稔

    水田分科員 これは法案の審議の過程で、環境庁が、今もお話がありましたように、琵琶湖等十ぐらいの湖沼を挙げてできるだけ早急に指定したい、そういう御意向を表明されておったわけです。手続上は、都道府県知事から挙がってこないとだめなんですがね。そうすると、政省令が年度内というのは三月の末とすれば、具体的にはそれから以降に都道府県知事からの申し出がある。その後に、例えば児島湖の問題ですが、そうしますと環境庁は具体的な指定というのはいつぐらいにお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  68. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 大体先生御指摘のとおりの運びになっていくわけでございますが、一応琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖等十湖沼を挙げておりまして、児島湖もその中に入っているわけでございますが、湖沼ごとに、各都道府県で従来の蓄積等に差があるわけでございまして、準備の手続に若干遅い早いがございますが、児島湖につきましては、岡山県も、当然のことでございますが指定を申し出る意向を持っておるというふうに聞いておりまして、現在必要な調査検討が進められている。したがいまして、六十年度末ごろに指定の申し出ができるのではないか、今のところかように見込まれているわけでございます。
  69. 水田稔

    水田分科員 六十年度末というのは、六十一年三月末までに申し出がされるということですか。  もう一つ。これまでの蓄積もあるということですが、政省令をつくる前に湖沼ごとにある程度事前のヒアリング等はやっておられるのかどうか、そこらもあわせてお伺いしたいと思います。
  70. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 六十一年三月ごろと、若干前後は出ようかと思うのですが、今のところは事務方としては都道府県も含めてそのような見通しを持っているわけでございます。  それから、それぞれのヒアリング等につきましては、予算の執行その他の必要性もございますので、これは当然やっているわけでございます。
  71. 水田稔

    水田分科員 そこで、ほかの湖沼はどうか知りませんけれども、児島湖について申し上げますと、これはどういう形でできたかといいますと、御承知のように児島湾という海を締め切り堤防で締め切って、干拓地に対する農業用水を供給する。岡山市の藤田地区というところ、あるいは玉野市、灘崎町の七区、こういう地区の農業用水を確保するためにつくったものです。昭和三十七年にできたわけですね。  そして、これは今までの海と違って締め切ったものですから、倉敷川とか笹ケ瀬川という川からいわゆる生活排水等も含めてずっと流入してくる。そういう中で、一時は人間の腕ぐらいある大きなホテイアオイができる。そして、それが出なくなってきてアオコが出てくる。そして、今やまさにアオコも出ないというほどに汚濁化が進んだわけです。これに対して地元としても、旭川とか高梁川という川の水をそこへ導入してくる、あるいは工場、事業所の排水の規制を行う、あるいは漁業組合等の船を出して清掃などをやってきたわけです。しかし、現実には汚濁はとまらないというのが現状なんですね。  そういうことを見てみると、これは一つは、湖として一元的な管理が実はこれまではできてない。なぜそうなったかというのが私どもにはわからぬわけですが、先ほども申し上げました倉敷川と笹ケ瀬川は二級河川であります。これは、河川部分については県管理の、いわゆる建設省所管になりますか、県管理の二級河川、こういうことなんです。締め切り堤防とかつての海岸線、湖岸でありますが、これは農水省の管理になっておる。湖水面、これはもとの海のままですから、公有水面ということになっておるわけですね。ですから、こういう点で一元的な管理者がいないということで、これまでもいろいろ取り組んできたけれども十分な効果を上げ得なかったというのは、そういう点に問題があるのではないか、こういうぐあいに私どもは思うわけです。  なぜそういうことになったのか、私どもも本当はわからぬし、これから環境庁の指定を受けたとしても今後に問題が残るのではないか、そういうことで、これができたとき、昭和三十七年ですが、そのときにいろいろな手続上の問題があったのだろうと思うのですけれども、そういう点ができてないからこういうことになったのか、あるいは締め切り堤防でつくられた新しい人工湖というのは全部こういうことになっておるのかどうか、その点を、農水省と建設省おいでになっておると思いますので、両省にお伺いしたいと思います。
  72. 中須勇雄

    ○中須説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生からお話がありましたとおり、締め切り堤防で締め切って淡水化をする、その目的が農業用水の利用と湖面を一定の水位に保つことによって沿岸地域の排水改良を図るというところにあったわけでございまして、その目的に従って農林水産省としては、具体的には岡山県に委託をいたしまして、締め切り堤防の水門の操作を行うことによって湖面を一定の水準に保つ、そういう意味で管理を行っているわけでございます。  したがいまして、ただいま先生御指摘のとおり、農林水産省が具体的に現在管理をしておるというのはその締め切り堤防及び湖岸堤防の部分である。もちろん湖の水については農業目的で私ども使っているわけでございまして、しかもそれは締め切り堤防をつくることによって淡水化されたわけでございますから、そこの使用の問題に関しては、将来多目的の使用の問題とか、そういうことが出てくれば、私ども当然御相談にあずかるというふうに考えておりますが、具体的な湖面の管理ということは、直ちには農林水産省では行っていない、こういう現状にございます。
  73. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 御質問の、そういう湖の状態になったことについて、当時はどういういきさつかということにつきましてはつまびらかでありませんけれども建設省で所管しておりますのは岡山県で管理をしております先生のお話の二級河川でございまして、その当時は海でございましたので、河川に影響のある範囲で御協議はあったと思いますが、建設省の特別の法令上の手続というものは必要なかったのではないかと思っております。
  74. 水田稔

    水田分科員 そうすると湖水面については農水省も直接のあれは持っていない。建設省は、河川についてはそのままですから、そのままの管理をしている。流れている先は公有水面で、いわゆる海のままなんですね。そこで汚濁が進んでいったわけです。それで実は困っているわけですが、そのままでいいとお考えなんですか。
  75. 中須勇雄

    ○中須説明員 率直に申し上げまして、私どもも児島湖の水を使っている立場でございまして、あそこの水がきれいな状態で農業用水として十分使える、そういうふうに保たれるということは私どもにとっても大変利益になることでございまして、児島湖の水質の保全を図る、浄化を図るということについては全く同じ立場に立っております。  今回湖沼法が制定されたのを契機に児島湖を指定湖沼として指定して、いろいろ計画を立てて水質保全のための事業を実施していくというような段取りになるんだと思いますが、私どもとしては、現在の農林省の立場として積極的にその方向に協力をしていく、こういう考え方でおります。
  76. 水田稔

    水田分科員 私がお伺いしたのは、問題は一元的に湖として管理する責任者というのがおらない、そのためにこれまでも困ったし、これから環境庁が指定しても困るだろうと思うのですね。その点はどうなんですか、責任を持つ省庁というのは、どこが持たれるのですか。
  77. 中須勇雄

    ○中須説明員 確かに先生おっしゃるとおり、現在は、例えば河川における河川管理者のように明確な一元的な管理者が存在するという状況にないのはそのとおりだろうと思っております。したがいまして、これから児島湖が指定湖沼の指定を受け水質保全計画を策定していくという段階で、具体的に一元的な管理が児島湖の浄化を図っていく上でどうしても必要であるということであれば、方法としては、率直に申し上げまして農林水産省が一元的に管理する、あるいは河川に指定をいたしまして河川管理者が管理するとか、いろいろ方法はあろうかと思いますが、そういうことを含めて関係機関と十分相談して私どもは対処してまいりたいというふうに考えております。
  78. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 建設省立場で一元的管理というものを考えますと、河川法の河川に指定するということが考えられておりますけれども、この指定の問題につきましては、地元の岡山県の意向というのが非常に強いと思います。それから、今農林省さんからお話ししましたように、現に関係省庁さんがそれぞれの権限に基づいて種々の管理をなさっておりますので、それらとの調整の問題もございまして、今後いろいろと関係方面と相談して慎重に検討しなければいけない問題だろうと思っております。
  79. 水田稔

    水田分科員 さっきの質問に答えられていないのですが、ほかのこういう人工湖ですね、例えば八郎潟はどうなのか知りませんけれども、そういういわゆる海あるいは湖水を締め切り堤防で農地をつくった場合も、みんなこういうぐあいになっているのかどうか、その点もお伺いしたのです。  それから、昭和三十七年にこれはできておるわけですから、それから言えば既に二十年以上の歳月を経ておる。その間全くほったらかされているわけですから、岡山県が言えば農水省なり建設省がそういう点では話をしてきちっと一元的管理を決めてくれる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。二つの点、お答えいただきたいと思います。
  80. 中須勇雄

    ○中須説明員 第一点目でございますが、例えば八郎潟あるいは河北潟その他干潟地の残った水面の部分の管理がどうなっているかという問題でございますが、これらはいずれも、そもそも埋め立て、干潟を行う以前から全体が河川として指定をされておりまして、その一部分が埋め立てまたは干潟が行われたという形をとっておりますので、したがいまして当然残った内水面部分も引き続き河川として指定されている、そういう状態にあるというふうに承知しております。  そういう意味では、全国的に見まして、小さいささいなものまで見たわけではございませんが、大ざっぱに言えばこのような状態にあるのは児島湖だけであろうというふうに私ども承知しております。
  81. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 河川として管理する場合には、河川管理者として想定されますのは岡山県ということになろうかと思いますので、まず岡山県の御意向が非常に強いと思いますが、先ほど申しましたように、現実にいろいろな権限に基づきまして農林省さん初め管理をやっておられますので、そこら辺との調整が必要になってくるわけでございまして、その意向を踏まえて全体として協議しなければならない問題だろうと思います。
  82. 水田稔

    水田分科員 それでは、その点は、今後の水質保全ということを考えた場合、一元的管理できることの方が湖沼水質浄化には大変条件としてはやりやすくなってくると思いますので、ぜひそういう御努力を願いたいと思います。県の方には私どもきょうの御答弁をそのまま伝えまして調整をしていただくようにお願いをしたいと思います。  それから、これまではいわゆる堤防をつくったのが農水省であり、そしてその水を使うのが農業用水ということですから、水質が汚濁してきたことについては環境庁の仕事でもあるけれども、本来言えば農水省がこれに対して的確な——例えば今申し上げました水利権のない、藤田、玉野、灘崎以外に岡山市の興除という地域がありますが、これらは水利権がないものですから本来はここの水は使えないのですが、高梁川から来る十二カ郷の用水を、余水を使って結構それでやっておるわけですね。児島湖の水を使うのは嫌がるわけですね。しかし、藤田の方はほかにとるところがないからこの水を使う。  それほど汚濁が進んできたのに対して、農水省が農業用水を供給するためにつくったこの水について、これまで全く水質の浄化について具体的な対策をとってないと私どもは思うわけですが、そういう点はどうなんですか。どうも無責任じゃないかという感じがして仕方がないのです。
  83. 中須勇雄

    ○中須説明員 先ほども申し上げましたとおり、農業用水を利用する側として、児島湖の水質浄化は私どもも強く希望している、望んでいる立場にあるわけでございます。ただ、具体的に児島湖の水質の悪化の原因、これはもちろん科学的にいろいろさらに究明されるべき問題を含んでいると思いますけれども、基本的には周辺地域の都市化によります生活雑排水等の流入、こういうものが非常に大きなウエートを占めているだろうというふうに一般的に言われているわけでございまして、そのためには、率直に申し上げまして、私どもといたしましてはまず周辺の地域での下水道の整備をぜひお願いをしたいという立場に立っておるわけでございます。  また、それと同時に、いささか規模は小さいわけでございますが、農林水産省の施策の中におきましても、生活排水というものを含めた排水が汚れている、こういうものを浄化していくという個別の事業がございますので、例えば山手村におきますところの農業集落排水施設整備事業でございますとか、あるいは岡山市の西川地区における水質障害対策事業、こういうものにつきましては積極的に助成をして、その促進を図っているわけでございます。  そのほか、間接的な話になるわけでございますが、先ほどちょっとお話が出ましたが、昭和四十七年度にホテイアオイが非常に大量に発生するという問題が生じました。これを契機といたしまして、翌昭和四十八年度以降は、このホテイアオイが発生した場合には、それを湖内で除去するという事業を県が行う場合には国としても助成をしていく、農林水産省としても助成をしていく、そういうような個別対策ではございますが努力をしているところでございまして、冒頭申し上げましたように、基本的にはあそこの地域で下水道ができるだけ早期に整備されて湖の水質が改善されるということを強く期待しておる、こういう立場にあるわけでございます。
  84. 水田稔

    水田分科員 今お聞きのように、ほかの湖沼と違って管理が一元化されてない状態。しかし、知事の方から申請されて、指定されれば当然保全計画の策定は知事が行うだろうと思うのですね。だけれども、私が申し上げますように、一元的な管理者がおるとそういう点では事業を進める上で大変やりやすいと思うのですが、今の状態ではこれは難しいのではないか、難しいというよりは煩雑になるのではないか、そういうぐあいに思うのですが、環境庁としてはこの点についてどのようにお考えになっておるか、伺いたいと思います。
  85. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 ただいまお話のございましたように、確かに一元的な管理主体があれば非常に手続がスムーズに運ぶであろうということは、そのように言えるかと思います。しかしながら、仮にその問題が片づかないといたしましても、水質保全計画は知事が立て、その計画に基づいてそれぞれ関係者がその実現に協力していく、こういう建前をとっておりますので、私どもは管理者が二つあれば、その建設サイド、それから農林サイド、両省の関係機関にそれぞれお話し合いをして計画を固めていきたい、かように考えているわけでございまして、支障のないように処理してまいりたい、かように思っております。
  86. 水田稔

    水田分科員 先ほども農水省の方から、下水道の整備その他についてもお願いをしておる、こういうことです。今、児島湖流域の下水道整備総合計画というのが流域下水道として整備を進められておるわけです。これの排水というのは児島湖の中に放流されるような計画になっているわけですね。これは窒素と燐の量の関係で考えれば、これまではほかの流域なりほかの方法で処理されておる。しかし、これらが全部それを伝って、水は見た目はきれいになる、きれいになるけれども、SSだとかCODとかBODというものはよくなっても、窒素と燐に関する限りはむしろふえてくる、水質の汚濁の中の大きな要素を占める窒素、燐はむしろふえるのではないか。そういう点から考えると、ここへ放流するというのは問題はないのかどうか、むしろ汚濁負荷がかかってくるのではないかというぐあいに考えられるのですが、これは環境庁の方でひとつお答えをいただきたいと思います。
  87. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 児島湾の流域下水道計画については第一期、第二期の計画があるようでございますが、第一期については種々の事情から湖内放流が予定されているというふうに私どもも承知しております。児島湾は大変汚れやすい湖沼でございます。全国的に申し上げましても、私どもが今のところデータを持っている中でいえば、一番汚れやすいのは千葉県の手賀沼、それからその次に汚れやすいのは児島湾。この容積当たりの負荷量とか表面積当たりの負荷量、こういうものを計算しますと非常に大きいわけでございます。  そのような意味で、確かに窒素、燐の動向についての処理については慎重の上にも慎重に取り運ばなければならないかと思うわけでございますが、この点につきましては下水道サイドでも大変重要視されて、既に五十四年以降岡山県では三次処理研究懇談会を設けられて、その成果に基づいて一部第一期計画でも燐の除去については事業計画の中に織り込まれているようでございます。さらにまた、第一期計画の処理場のそばで第二期以降の計画のために窒素及び燐除去のための実験もいろいろやられるようでございます。私ども、そのように慎重に取り組まれているところでございますので、その成果も見守ってまいりたいと思うわけでございます。  なお申し上げますと、確かに湖内放流はいろいろ問題であるという指摘がいろいろされていることは承知しております。例えば諏訪湖について申し上げますと、やはり湖内放流ではございますけれども、流域下水道が整備されて以来非常に水質はよくなっております。これは先般予算委員会でも堀先生からの御指摘がございました。そのようなことがございますので、一概に湖内放流であるから窒素、燐が、二次処理、それから簡単な燐の除去、凝沈処理ぐらいではかえって燐はふえていってしまうのではないかというふうに割り切ることもやや問題ではないか、かように現在の段階では考えているわけでございます。
  88. 水田稔

    水田分科員 三次処理というのはやればいいのはわかっておるわけですね。実際問題としてはコストの点でなかなかやれぬわけですね。ですから実験とかなんとか、例えば琵琶湖では既に三次処理をやっていますね。やろうと思えばできるけれども、コストの点でなかなかやらないのが実態なんです。これは今お話がありましたように、流入する汚濁負荷というのは計算されておるわけですね。これは流域下水道で入ってくる窒素、燐の量を計算すればわかるはずなんですね。単に諏訪湖は放流でもよくなったという、感じじゃなくて、例えば児島湖について、今の汚濁負荷がこうで、流域下水道が入れば窒素、燐についてはこうなる、SSとかCOD、BODはこうなる、しかし窒素、燐はこうなるというようなことは計算をやろうと思えばできるわけですね。時間がありませんから答弁結構ですが、これはぜひひとつ計画をつくる段階ではそこをきちっと押さえて、そして三次をやらなければならぬのならいつまでにやれということをつけなければ、本当の意味での児島湖の水質浄化にならない、こういうぐあいに思うことを意見として申し上げておきたいと思います。  最後に、今の論議を聞いていただきまして長官から、新しい法律ができてこれからやっていただくわけですが、それぞれ金の点からもあるいはそれぞれの地域の状態で、下水道といったってなかなかそう簡単には進まない地域もあるわけですが、そういうことについて、湖沼の水質浄化に対する長官の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  89. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま我が方の水質保全局長も申しておりますし、各省のお話もございましたけれども、やはり湖沼を守るということは、その地域だけではございません、上流を含めました住民の心構えと申しますか、一人一人が水を大切にしよう、そして、例えば児島湖なら児島湖を守ろう、そこの水を我々は飲むんだという意識の徹底が非常に重要ではないか、まことに身近な問題でございますが、私はそのように考えておりますので、今後また先生の御指導をいただきたいと思います。
  90. 大村襄治

    大村主査 これにて水田稔君の質疑は終了いたしました。  次に、木内良明君。
  91. 木内良明

    木内分科員 先ごろ米国政府の二〇〇〇年の地球報告というのがございました。国連環境計画報告あるいはFAOの報告等々、相次いで現在と将来の地球環境の危機について警告が発せられているわけでありますけれども、長官は、我が国初の女性の環境庁長官ということであり、思うに、女性の立場でのこうした地球の危機的状況に対するお考えというものも多々あろうかと思います。本質的に平和を志向しあるいは生命、母性を保護するという、こうした女性の本性というものがあるわけでございまして、そういう立場からの、こうした報告をどのように受けとめておられるかということをまずお尋ねしたいと思うのです。  例えば、これらの報告によりますと、森林の消失が年間一千二百万ヘクタールに今及んでおる、現在の陸地面積のうちの五分の一、これが二十一世紀には六分の一になってくるであろう、さらにまた砂漠化の状況というものが六百万ヘクタール、二十一世紀には陸地面積の三分の二に達しようとしておる、そのほかCO2の増加等々、種々のかなり信憑性の高い報告というものが行われているわけでございまして、こうした状況に対する長官の認識をまずお聞きしたいと思います。
  92. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま先生からいろいろなお言葉をちょうだいいたしまして恐縮をしております。  御承知のように、世界の人口はどしどしと増加をしておりますし、それから社会経済活動の拡大を背景にいたしまして、今お話のありました熱帯林の減少というような地球的規模環境問題に対する認識が非常に高まってきているところでございます。我が国は世界の資源に大きく依存をして今日の経済活動を営んでまいりました。しかし反面、環境政策の分野では相当の経験を有しているところであると私考えておりますが、この問題の解決に向けましても積極的に取り組んでいかなければならないのだというふうに考えておる一人でございます。
  93. 木内良明

    木内分科員 今長官の答弁にもありましたように、我が国は世界の資源や環境に大きく依存しているわけであります。したがって、世界のこの地球的な規模での環境の保全に重大な関心を持つべきでありますし、また、自由世界第二位の経済大国として世界の環境保全に力を尽くすことも、今の長官の答弁にありました環境政策での経験あるいは蓄積といったものを踏まえるならばこれは十分でき得る、こう考えるわけであります。  そこで、我が国の国際環境協力の現状と課題について幾つか質問したいと考えます。  まず、一昨年の世界環境デーに際しまして、国連環境計画は、世界的な環境緑化のため一人一人の子供が一本の木を植えることを提唱したわけでありますが、我が国はこれにどのように対応し、協力をしたかという点の確認であります。  昭和五十七年六月の環境週間の当時におきまして「「苗木一本」二〇〇万人めざす 政府方針六月の世界環境デー中心に 小学四年生、全員が植樹」この報道は四年生と限定してありますけれども、その全員が植樹と大きく見出しが出ています。これは一九七二年にストックホルムで開催された国連人間環境会議の十周年を記念して、ナイロビ特別会議に合わせて全世界的に繰り広げる「子供たちに一本の苗木を」キャンペーンの一環としてUNEPが日本政府協力を求めてきたことにこたえて、日本政府がこうした規模の小学生に対して植樹をさせることが決定した、実はこういう報道であります。こうした動きに対しまして林野庁等の協力の体制というものもあったわけでございますが、まず、この問題に関する経過について御報告を願います。
  94. 岡崎洋

    岡崎政府委員 先生今お話しの環境計画の提唱にかかわる緑化の推進につきましては、大変時宜に適したものと私どもも受けとめまして、そういった地球的規模環境問題に対しましてこういう形で国民の理解を深めるということの面から見ましても、大変意義の深いものであるというふうに受けとめた次第でございます。  かねてより緑化の推進につきましては私どももいろいろ心を砕いておったところでございますが、こういう話もございましたので、特に五十七年におきましては、環境週間等におきましてこういう趣旨を徹底させながら、いろいろな公益法人の御協力を得ながら各地で植樹を推進したということでございまして、例えばボーイスカウトあるいはガールスカウトの活動等の御協力も得たわけでございます。今、具体的に報道の中身をおっしゃいましたけれども、大変恐縮でございますけれども、それにぴったり即応した形でどういうことをしたかということはちょっと私フォローしておりませんでしたので、ストレートにお答えできなくて大変恐縮だと思います。  なお、林野庁に対しましても、大変結構なお話でございますので、ぜひひとつ趣旨にのっとって御協力をお願いしたいということをお話をいたしまして、林野庁からも植樹等につきまして積極的な御協力を得たというふうに承知いたしております。
  95. 木内良明

    木内分科員 特に二百万人という規模の植樹プラン、十分なフォローをなさってないということでございましたけれども、実際には、これは結果についての掌握はされておらない、こういうことですか。
  96. 岡崎洋

    岡崎政府委員 そのとおりでございます。
  97. 木内良明

    木内分科員 これはUNEPと我が国政府との信義の問題としてぜひ確認をしておきたいと思いますが、本来、こうした国際間における、あるいはUNEPとの約束というのはそうした程度のフォローでいいのかどうか。  特に、聞くところによりますと、具体的な当時のスケジュールは省きますけれども、林野庁に対する要請あるいはまた林野庁のいわゆる各都道府県単位の担当機関への通達、こうした点について大変にタイミングといいますか、短期間の措置であったために、十分な国際的な信義を守るための約束を履行する対応が行われなかったというようなことも実は聞いているわけであります。私は、こうした点のフォローがないとか、あるいは当時の拙速——拙速と申していいかどうか、拙速を指摘するつもりはありませんけれども、その趣旨から申し上げればこれは大変重要なことである。国際社会における我が国のこうした地球環境の保全、緑化の推進ということに対する姿勢がもろにこれは出るわけでございまして、これを大きなステップとして、このたぐいの運動の必要性もあわせて今考え持っているわけであります。  当時の状況は、簡単で結構ですけれども、林野庁はどういうふうに受けとめていただきましたか。
  98. 依田和夫

    ○依田説明員 木内先生から御質問いただきました内容、昭和五十七年、一九八二年でございますが、御質問のように、国連人間環境会議の十周年記念ということで、UNEPからのいろいろな要請の趣旨に基づきまして、また環境庁からもいろいろと要請をいただいたわけでございます。趣旨といたしましては、国民経済、生活環境に果たします森林の役割についての国民への普及啓蒙とか、都市または農村部におきます造林または森林保護の促進というようなことを目的といたしまして、すべての子供に一本の木を、英語でフォー・エブリー・チャイルド・ア・ツリーというような言葉で言っておられますが、これのもとに大いに児童等を参加させて植樹を推進するというようなキャンペーンが行われたわけでございまして、私ども林野庁といたしましては、先ほど先生御指摘のように、林野庁長官通達を各都道府県または営林局署に発しました。  主に二点でございますが、一点は、都道府県とか営林局、営林署に対しましては、従来植樹祭などを実施いたしておりますけれども、こういう植樹祭の実施などに当たりまして、可能な限りにおいて小学校の児童を招きまして記念植樹などを実施するように指導いたしたところでございます。また、二点目といたしましては、いわゆる国土緑化の推進の母体となっております社団法人の国土緑化推進員会、こういうのがございますが、この国土緑化推進員会に対しまして、従来から苗木の配布会とかいろいろなものをやっておりますけれども、こういう苗木の配布会等の実施に際しまして、可能な限り苗木を小学校に寄贈せよ、そういう中で校庭内に記念植樹などを行ってくださいというような要請を行ったわけでございます。  私ども、その後の成果等についてフォローいたしたわけでございますが、各営林局署等におきまして、先生御指摘のように準備の期間が非常に少なかったという面はございましたけれども、それぞれ児童の参加による緑化の推進が行われまして、私どもといたしましてはUNEPの要請にこたえ得たものというふうに考えておる次第でございます。
  99. 木内良明

    木内分科員 時間の関係で多くは申しませんけれども、この国際的な信義に基づく行政面での対応というものは今後さらに充実されなければいけないと思いますし、また、ことしは重要な意義を持った年でもございますし、未来からの使者と言われております児童、こうした児童の自然に対する、緑化に対する意識をさらに徹底するためにもこうした運動を推進していただきたい、このように思います。  特に、二百万大規模といいますと、これは年次ごとの計画を組み上げて行うことによって当初の目的が相当達成されるのではないか、こういうふうに思いますので、一言だけで結構ですからお願いします。
  100. 岡崎洋

    岡崎政府委員 今のお話、まことにごもっともでございまして、単発的、線香花火的な運動に終わることなく、持続的に着実に積み上げてまいりたい、かように思っております。
  101. 木内良明

    木内分科員 我が国の提唱で、国連の中に昭和五十九年九月、国連環境特別委員会が設けられたことをまず多としたいわけであります。  しかし、より重要なことは、我が国がこの委員会でどのような提案をし、決定をし、どう実行していくかである、こういうふうに思います。特に、この地球的規模における緑化、自然保護、環境保全、こうした問題につきましては、むしろ我が国がイニシアチブをとって先進的な役割を果たすべきであるし、そのためにまた具体的な提案等も種々行って世界世論をリードしていく、こうしたことが緊要であろうかと思います。この点、いかがでしょうか。
  102. 岡崎洋

    岡崎政府委員 この委員会はもともと私どもの元長官の原長官が設置を提唱いたしまして、それを契機として去年の五月に正式に発足を見たものでございまして、私どもといたしましてもこの委員会の積極的な活動にできる限りのバックアップをしていくべきものであるというふうに考えております。  この委員会は、御承知のとおり世界有数の学識経験者により組織されておりますけれども、我が国からは元外務大臣の大来先生を委員として指名されております。この機関、直接的には非政府機関でございますけれども、大来先生は私どもと密接なコンタクトをとりながら、私どもも全面的なバックアップをしながら、この委員会の実りのある活動を支えてまいりたいというふうに思っております。この委員会、昨年の五月に発足いたしましたけれども会議は、第一回の会合を開いて今度三月に第二回の会合を開くということで、これから本格的な活動に入りますので、今後の活動を私どもとしても期待し、また、大来さんを中心に全面的なバックアップを図る、こういう気持ちでおります。
  103. 木内良明

    木内分科員 今お聞きしておりますのは、今後具体的にどのような提案をなされるのか。これまでの経過はわかりました、第二回が三月ということですから。これは我が国が提唱し旗を振っている委員会ですから、この場で例えばこういうケースについてぜひ推進していくとかというものがあってもいいのじゃないでしょうか。
  104. 岡崎洋

    岡崎政府委員 政府としてあるいは環境庁として、行政府としてこういうテーマを取り上げていただきたいという形にストレートに物を申し上げるにはやや違った次元での委員会でございますので、私ども地球的規模の問題として、先ほどからの砂漠化のお話でございますとか熱帯雨林の問題でございますとか、いろいろな問題は頭に置いておりますし、実は大来先生には私ども環境庁の顧問にもなっていただいておりますので、私どもの問題意識をいろいろな角度で十分把握していただいております。そういうことを踏まえて、この会議は有識者のフリートーキングを中心に進められていっておりますので、今のところどのテーマを中心にという的を絞った形にはなっておりませんけれども、その中から、今後何回か会合を重ねていく間に方向が定まってくるのではないかというふうに思っております。
  105. 木内良明

    木内分科員 どうも私は答弁に隔靴掻痒の感を否めないのでありますけれども、しかし、何となく行って、何となく会議が終わって帰ってくるということではならないと思いますし、また、環境庁としては十二分なサゼスチョンを大来代表等に行われて、具体的な課題というものを絞られることも一つだと思いますので、これをまず期待したいと思います。  砂漠化や土壌流失、そして森林輸出国における緑化、植樹や砂漠化防止は今緊急の課題であります。特に東南アジアでの熱帯雨林の伐採による消失はすさまじいわけでありまして、この熱帯雨林の破壊には、東南アジアからその七割近くの木材を輸入している我が国も、最大の木材輸入国として大きな責任を感じなければならないわけであります。この東南アジアの熱帯雨林の保護に我が国としては積極的に取り組むべきである、こういうふうに思います。この対応が一点。  それから、我が国は林業技術の面では先進国であります。多くの林業あるいは植林技術者がいるわけでありますけれども、残念なことに、林野会計の赤字あるいは林業不振から多くの林業技術者が失職もしくはその貴重な技術を発揮できないでいるわけです。こうしたすぐれた技術者を砂漠化の進んでいる各国に派遣をするなど、具体的な新たな展開での対応を私はぜひ提案するものであります。この点、林野庁、簡単で結構ですから答弁願います。
  106. 三澤毅

    ○三澤説明員 東南アジア地域における森林の減少につきましては、先生から今伐採というお話も出たわけでございますけれども、かなりの部分が移動耕作等による減少部分、こういうような調査報告がなされております。  いずれにいたしましても、我が国といたしまして、東南アジア地域において熱帯雨林が減少するということはもちろん重大な問題でございますので、林野庁といたしましては、国際協力事業団等を通じまして、東南アジアあるいは中南米等において森林造成、維持管理等に関する林業の分野での国際協力を進めているところでございます。  さらに先ほどの先生の御指摘、さらに国連食糧農業機関における国際森林年の決議、こういうものもありまして、これらにおいても指摘されておりますように、森林の減少、荒廃が地球的な重大な問題になっているということでございますので、今後ともさらに林業の分野における国際協力を積極的に進めてまいりたいと考えております。  なお、私ども林業の分野におきましては、海外に相当数の長期の専門家を派遣し、さらに時と問題によりましては短期の専門家を派遣するというようなことを通じて、先進国として積極的に協力するという姿勢を現在も持っているわけでございます。今後とも、海外からの技術協力の要請に対しましては積極的に進めてまいりたいと考えておりますし、それから、昨今問題になっておりますアフリカ等についても今後十分検討を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  107. 木内良明

    木内分科員 六十年度予算案の中で海外経済協力費が前年度比七・八%増、最高の伸びを示したことを評価をいたしたいわけでありますが、もともと全体の予算額が少ないわけであります。しかし、こうした最高の伸びを示したわけであるならば、UNEPへの拠出金もそれに応じて増額をすべきであるという点が一点。  それから、圧倒的に開発援助が多いわけであります。これは相手国の事情によるところが大きいのでありますけれども、今後、開発援助のうち何割かを当事国における環境保全に振り向けるよう、援助国側として注文をつけるべきではないか。これは、国際関係あるいは当事国の内政の問題等あるでしょうけれども、そうした提案等を行ってしかるべきではないか、このように思います。外務省見えていると思いますが……。
  108. 瀬崎克己

    ○瀬崎説明員 お答え申し上げます。  ただいまのUNEPに対する拠出金でございますが、私ども一応いろいろな国際機関に拠出しているわけでございますけれども、その目安というのがあるわけでございます。この目安と申しますのは、現時点で日本が国連に支払っております分担金が一〇・三二%でございますが、大体各国際機関に拠出する場合、その機関の重要性等もございますけれども、一般的な方針といたしまして一〇%程度を念頭に置きましていろいろ予算をお願いしているわけでございます。  このUNEPに対しましても、一九七二年に当時の大石環境庁長官会議に行かれた際に、大体日本としてもUNEPに対して今後一〇%程度の拠出を行うという方針を明らかにされたわけでございますが、それ以降、一貫して大体一〇%程度の拠出をしているわけでございます。昨年の八四年の例でございますと、日本の拠出額は全体の一三・六%ということで、国際的な公約と申しますか、このUNEPに対する拠出の姿勢というのは一応堅持されているわけでございます。  他方、予算の方でございますが、これは昭和五十六年以降一貫して四百万ドルということで、一般の経済協力費が伸びている中でUNEPだけが据え置きではないかという御指摘かと思いますが、これにつきましては、UNEP全体の基金がおおむね三千万ドル程度で推移しているという中で、日本はとにかく一〇%の公約を少し上回る額を拠出しているということ。それから八二年に、先ほど先生が御指摘になりました国連の環境特別委員会、これが昨年からいよいよ発足いたしましていろいろな会合をやっているわけでございますが、この環境特別委員会が二年間に所要する額、この金額は五百九十二万ドルで約六百万ドルでございますが、この六百万ドルの二五%、百五十万ドルを日本が拠出することを約束いたしまして、昨年度も七十五万ドルの拠出をお願いいたしましたが、今年も七十五万ドル、予算要求の中でお願いしてございます。  こういうことで、UNEPそのものに対する拠出は四百万ドルで据え置きになっておりますが、その都度都度、日本といたしましては、長期的な環境行政の必要にこたえまして、この環境特別委員会に対する拠出のようにお願いしているわけでございます。  したがいまして、今後ともこの国際社会における環境の重要性を踏まえまして、人的な面での貢献あるいは財政的な面での貢献につきましていろいろ御配慮をお願いしていきたい、かように考えている次第でございます。
  109. 木内良明

    木内分科員 熱帯木材伐採による環境破壊を防ごうということで、生産国、消費国が合同で熱帯木材の研究開発、効率利用に取り組むため国際熱帯木材機関を設立しようという動きがあったわけであります。これまで申し上げました観点から、この機関の我が国への誘致をぜひ行うべきである、こう考えるわけであります。ジャカルタ、パリ、日本が立候補しているというふうに聞いておりますけれども、まず、積極的な誘致を行うべきであるという提案を一点申し上げて、この答弁を願うこと、それから、時間の関係でもう一問だけ申し上げて最後にしたいと思います。  私ども公明党は、地球的規模での自然保護あるいは文化的、歴史的環境の保全等を推進していく上から、ジャパン・グリーン会議というものを設置して、私もその一員として鋭意この推進に努力しているわけでございますけれども、こうした地球的規模における環境保全の問題に対する長官の御決意をお聞きしたいと思います。
  110. 脇元裕嗣

    ○脇元説明員 お答えを申し上げます。  一昨年、五十八年十一月に、熱帯木材貿易の安定的な発展を行うために、熱帯木材についての経済的な側面への国際協力ということを目的にいたしまして国際熱帯木材協定が採択をされたところでございますが、熱帯木材の大きな輸入国であります我が国にとりましては大変有意義であるというふうに考えておるところでございます。この協定につきましては、その効果的な運用並びに本部機関の円滑な運営に我々が努力していくということは大変重要であるというふうに考えておりまして、東南アジアを初めとする熱帯木材産地国との友好増進を図るという観点からもさらに有意義であるというふうに考えまして、我が国は五十九年六月に一番最初に本協定の受託国となりまして、現在関係各国が批准の手続を進めているところでございます。  さて、御質問のように、この協定が我が国にかかわる大変大きな役割を持っているということから、本部機関を我が国へ誘致するという努力を現在行っているところでございまして、本部機関の事務局の設置に要する経費並びに熱帯木材資源の研究開発プロジェクトの調査費につきまして、現在六十年度予算として審議をお願いしているところでございます。これらの措置につきましては、今後本協定の発効及び我が国への誘致実現に向けて一層努力したいと考えております。御指摘のように、本部の誘致につきましては、我が国のほかにもインドネシア、フランス、オランダ等が立候補しておりまして、必ずしも予断を許さない状況でございますが、我が国といたしましては、これら生産国並びに消費国との連携を心がけつつ我が国への誘致実現に努力をしたいと考えております。
  111. 石本茂

    石本国務大臣 先生の下さいましたいろいろな御提言と申しますか、いわゆる地球的規模環境問題は非常に重要な大問題でございまして、先生の御指摘を踏まえまして、今後とも国連環境計画などの国際機関への協力を進めますとともに、関係途上国への技術協力も積極的に取り組んでまいるつもりでございます。  また、この問題の解決のためには政府の取り組みだけではとても間に合いませんので、広く国民各位の御協力を心から願っておるところでございますが、先生御所属の公明党におかれましては、この推進に対しまして非常に大きな役割を果たしていただいておりますことを日ごろから高く評価しているところでございまして、今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  112. 木内良明

    木内分科員 以上で終わります。
  113. 大村襄治

    大村主査 これにて木内良明君の質疑は終了いたしました。  次に、中村正男君。     〔主査退席、田名部主査代理着席〕
  114. 中村正男

    中村正男分科員 私は、緑の保存に関する問題と水道水源としての河川の汚濁の問題、この二つの問題について、私の地元で起こっております課題を中心に幾つかの質問と要望をしていきたいと思います。  まず、緑地の保存に関する問題でございますが、関西の京都、奈良、大阪、京阪奈の丘陵地帯が新たな学術研究都市構想として今大変注目を集めておるわけですけれども、この一部の中にいわゆる北生駒山並みというのがございます。海抜三、四百メートルくらいの丘陵地帯でございますけれども、これは大阪府下全域にとりまして極めて貴重な緑の資源でございます。しかし、これが破壊をされたままで、しかもさらにその破壊が進行しております。この点について幾つか指摘をしていきたいと思うのです。  まず、この北生駒の山並みといいますと、大阪府下全域は極めて緑の少ない地域でありまして、そういった中で貴重な緑の資源として、歴史的にも古くから多くの府民に愛され、親しまれてまいりました。また、数々の史跡もあるわけでございまして、大変美しい自然環境に富んだ山並みであったわけでありますけれども昭和四十年代後半に国家的なプロジェクトとして開催をされました例の万国博覧会場の建設時に、多量の生駒の民有地が開発業者に売却をされ、そして大量の土砂取りが行われたわけでございます。面積にいたしまして約二百二十二万平方メートル、総量として四千万立方メートル、こういう膨大な土砂が削り取られたわけでございます。  この乱開発の跡地がそのまま放置されておるわけでございまして、とりわけ、地層の岩盤まで取られておりますので、その後いろいろ地元の方も手を尽くしてはおられるのですけれども、一向に緑が育たない、もう荒れた地肌そのままの状況が二十年近くも放置されております。しかも、ふもとには山のそばまで民家が密集しておりまして、一たび大量の雨でも降れば、土砂崩れあるいは大洪水というふうな災害の危険もいっぱいあるというふうな実情にあるわけでございます。  この点についてひとつ環境庁長官のお考えをお聞きしたいのですが、きょうは現地の写真と地図を持ってまいりましたので、主査の許可を得ましてちょっと長官に見ていただきたいと思います。  そこで、問題は、こうしたいわゆる国家的なプロジェクトの建設が行われると、そういうイベントそのものは大変結構なことなんですけれども、その結果自然環境が破壊をされ、土地の景観が損なわれ、地元被害だけが今日残されている、このような国家的な事業の跡地の問題について国の責任を一体どういうふうに考えるのか、その点について長官の御認識をまずお伺いしたいと思います。
  115. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 長官の御答弁の前に、ちょっと事務的に申し上げます。  先生がただいまお話しになりました地域につきましては、実はおっしゃるとおりでございまして、非常に荒れた状況のまま残念ながら残っておる。一部手がつけられたところもあるようではございますけれども、相当広範に、かつ乱雑に事業が行われたというああいう時期でございましたので、いろいろ事情があったかとは思いますけれども、非常に残念な状況になっておることは、私ども関係省庁と一緒にいろいろな調査もいたしておりますので承知いたしております。  したがいまして、先生、国としてとおっしゃいましたあの地域は、たまたま私どもの所管の関係で申し上げますと国定公園になっておる地域もございます、そうでない部分ももちろんございますけれども。したがいまして、これは主体は、先生御承知だと存じますが、大阪府が中心に考えていただくわけではございますけれども関係省庁相寄りましてその調査並びに今後の対策を、これはもう数年前になりますが、勉強しようということで勉強はいたしております。また御質問の趣旨に沿いまして細かい点については細部にわたって御答弁申し上げますが、国としても大阪府をバックアップしながらいろいろな対策は考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  116. 中村正男

    中村正男分科員 事業主体は大阪府だということ、私も百も承知なのですが、万国博覧会そのものは、国として、しかも世界規模でやられた事業なんですよね。大阪府は単なる地元ということで、それなりの仕事はしましたけれども、事業主体そのものは本来国なんですから、今そのままに残されていることについて、いや、あれは大阪府がやったものだから国は余り責任を感じないですよということでは私は済まされないと思うのです。しかも一番身近な地元の、例えば大東市だとか四条畷市、こういった市町村は何らこの事業について口を挟むこともできないし、関与できない、そのまま荒れたままにされている。被害だけは地元に残っているわけですから、これはむしろ国として私は明確な責任を感じていただきたい。長官、ひとつお願いします。
  117. 石本茂

    石本国務大臣 先生お話のございます、北生駒地域で大量の土が採取されまして、その跡地がそのまま緑化が十分進まないままに来ているということ、そして自然環境の保全及び防災上の問題も生じているということは聞いております。  今、局長が申しておりますが、都市化の進展によりまして都市周辺部の自然が次第に失われていく、その中で、大都市近郊に残されました緑は、市民生活にとりましては安らぎと潤いをもたらすという意味で非常に重要なものでございます。そうした意味を含めまして、いろいろな問題があるのだと思いますけれども、一日も早く緑化の回復と、それから地域の安全と申しますか、これを図っていかなければならないというふうに私は考えます。
  118. 中村正男

    中村正男分科員 大変長官は理解のある受けとめ方をしていただいております。ぜひひとつ、国として今後とも跡地の緑の回復について積極的な環境庁としての対応を要望しておきたいと思います。  具体的な問題について幾つか質問と要望をしたいわけですが、今国家責任について長官の方からお考えが示されたのですが、私は、そういう観点で具体的な国による助成策、これを幾つか考えていただきたいわけです。  そのまず第一点は、今局長が言われましたけれども、確かにその地域の中の一部は国定公園として指定をされておりますが、これはごく一部なんです。乱開発をされたそういうところは、これはもう見るべき姿ではないわけですから、公園の体をなしていないのです。むしろ、そういうところこそ新たに国定公園として、しかも上級のそういう公園として指定がされないのか、この点についてまずお聞きをしたいと思います。
  119. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 ただいま先生のお話の点でございますが、上級のという意味が、いろいろなお考え方があろうかと思いますが、現地の状況等もよく見せていただきませんと何とも申し上げかねるわけでございます。  基本的には、我が国を代表するようなあるいはそれに準ずるようなという、緑も含めましてですが、ほかの景観も含めて国立公園、国定公園、あるいはその区域の中でも保護の態様はいろいろ分かれております。そこで一概にはなかなか申し上げかねますが、今おっしゃったようなランク上げというのは、そのおっしゃる地域の規模の広さとか状況にもよりますけれども、直接的には難しいかと思います。  ただ、対応の仕方は、例えば県の段階ではいろいろな段階のものもございますし、さらには条例等によりまして、特に大阪を初め大都会地の近辺につきましては身近な自然というようなものを見直してきておりますので、いろいろな対応策はあり得るかと存じます。
  120. 中村正男

    中村正男分科員 私もいま申し上げましたけれども、確かに、今の荒れた地肌そのままの荒涼としたあの状況を公園だというふうには認定できないと思うのですよ。これはまさに逆の発想で、そういうことをしたのは国なんですよ。ですから、そういうところこそ国定公園に指定をして、そして総力を挙げて緑の回復を図っていくということをやっていかなければならぬのじゃないかということを指摘をしておきたいと思います。  同時に、今後緑を残していかなければいかぬわけですが、その施策として、財政厳しい折から具体的に今いい御回答は出ないかもわかりませんが、国としてこういった残された緑を買い上げる何か具体的な施策はないものか、その辺はどうですか。
  121. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 先生もう十分御研究されており、お詳しい先生に釈迦に説法で申しわけございませんが、国が買い上げという表現を先生はおとりになりましたけれども、買い上げということになりますと、これは国は制度を持っております。  御承知と思いますが、ちょっと念のため申し上げますけれども、国立公園、国定公園、本件の場合は国定公園が比較的身近なわけですけれども、例えて申し上げますと、その中でも非常に貴重とされ保護をしなければならない、反面非常にきつい規制をかぶせなければならないという地域、特別保護地区とか第一種特別地域と言っておりますが、こういうところについての買い上げ制度は現在ございます。ただ、そこまでいかない地域では、直接買い上げという制度は残念ながらとれません。  ただ、先生これも御承知のことと存じますが、県、あるいは市町村となりましょうか、地方公共団体におきまして税制上の恩典を、例えば固定資産税の減免であるとかそういうようなこと、あるいは市町村、県が買い上げた場合には、買い上げた代金のある一定額を所得税から基礎控除をする制度でございますとかいうものはございます。ただ、それも貴重な場所によるわけでございまして、どこもここも買えるというわけに、財政状況もございますのでまいりませんが、地域によりましては、そういうような地域も国定公園の中、あるいはその外でも、県立自然公園とか、先ほど申し上げました身近な緑ということで当該地域がお考えになることはあり得る話ではないかと存じます。
  122. 中村正男

    中村正男分科員 時間がありませんので、それはひとつ強く要望しておきたいと思います。  次は跡地の対策の問題なんですけれども、冒頭申し上げましたように、この京阪奈の地域には、今、学研都市構想がかなり進められておるわけでございます。きょう国土庁にも出席をしていただいておると思うのですが、地図で見ていただきましたらわかりますように、この京阪奈の学術研究都市構想、これとのかかわり合いでは、今第二京阪国道というのがこれも大きな国家的なプロジェクトとして進められております。ちょうど荒廃化されたこの跡地が学研構想のエントランスゾーンに相当するわけです。そういったそばに、まさに醜い地肌丸出しの荒涼としたところがそのまま残されるということについて、果たしてどうしたものか。また、近くには第九クラスターとしての大規模住宅の構想もあるというふうなことを考えますと、確かにそこを緑で回復するというのも一つの手なんですけれども、たまたま今学研都市構想が進められておるわけですから、そういう跡地に公共施設を誘致するということについて国土庁はどういうふうな考え方を持っておられるか、お聞きをしたいと思います。
  123. 荒木寛

    ○荒木説明員 ただいま先生がおっしゃいました関西文化学術研究都市につきましては、近畿圏基本整備計画において構想の検討が位置づけられているわけでございます。そこで、国土庁といたしましては、昭和五十七年にその基本構想を作成いたしまして公表しているところでございます。  御指摘のように、基本構想の中では、金剛生駒国定公園の中の国道百六十三号沿いの区域を文化学術研究都市のエントランスゾーンといたしまして、自然環境の活用、また緑の回復あるいは保全を図りながら、大阪からも学研都市からも双方から利用できるような、また国定公園にふさわしい、そういうような野外レクリエーションの場所として位置づけているわけでございます。それで、現在のところ地元の大阪府では、国土庁の構想を参考にいたしまして具体的な取り組みをしていらっしゃるところでございます。  今後でございますが、この学研都市の推進に当たりましては、国土庁といたしまして、関係する省庁あるいは地元の府県と密接に連絡調整をとりながら適切な対策を講じてまいりたい、かように考えております。
  124. 中村正男

    中村正男分科員 恐らくこれから高度技術のための研究所だとか国立図書館だとか、いろいろな施設がどんどん誘致をされると思うのです。膨大な面積が必要だと私は思います。仮にそういったものがここに集中した場合に、今のせっかく残されている緑をまた削り取ってそこへ建てるという、そんなことだけは絶対あってはならない。これは皮肉なことですけれども、今たまたま荒涼とした跡地があるわけですから、むしろそういうところに効率よく緑を守りながら公共施設を持ってくるということを、単に京都府だとか奈良県だとか大阪府だとか、そういう引っ張り合いじゃなしに、むしろ自然を守る中でどういう公共施設を持ってくるのか、こういう観点でぜひひとつ進めていただきたいということを要望しておきたいと思います。  最後に、たまたま今環境庁局長が言われましたが、緑の保存をこれからも進めていく施策として、地主あるいは自治体へのいろいろな配慮、これをぜひ考えていただきたい。  きょうは大蔵省にも来ていただいておりますが、特に、長官、こういうことなんですよ。あの万博のときに土地を売って、山を売って、そして土砂をどんどん業者に売った地主は極めて莫大な利益を得ているのですね。そして、先祖伝来の山を守って緑を守った、そういう地主は固定資産税を払い、相続税を払って、みずから懸命に、国民のため府民のため頑張っているわけですね。こんなばかげた話は私はないと思うのですよ。そういうことに対して、大蔵省はもっと血の通った税制、そういう土地を保有している人に対する優遇税制といいますか配慮、私はそういうものをぜひひとつやっていただきたい。そのことについてお答えをいただきたいと思います。
  125. 薄井信明

    ○薄井説明員 ただいまの御質問は、緑を守るという観点から税制上配慮すべきであるという御趣旨の御質問かと存じます。  私ども税制を持っておる立場から申し上げますと、まず、歳出を賄うための税ということで、基本的に公平公正な税制を持ち、その中で、個々の事情を考えて御配慮を申し上げるべきところは御配慮するという形でその辺の調和をとっているわけでございます。  そういう意味で税制上どういう点で配慮ができるかと申し上げますと、先ほど話が出ましたように、例えば地方公共団体が土地を買い上げたといったときに、一定の条件のもとで所得税の特別控除をさせていただいているとか、あるいは、ことしこれから動き出すものではございますが、ナショナルトラストといいますか、自然環境の保全を主たる目的とする特定の公益法人というものにつきまして、ここに寄附をされる場合には特別の配慮をさせていただくということを四月以降考えております。  こういったところが私どもぎりぎりのところでございまして、相続税というお話が今ありましたが、一生に一度の税金であるということと、税の性格からいうと、別の観点からいうとなかなか例外を設けにくい制度であるということでございまして、先生の御指摘の点については慎重な検討が必要であるというように理解しております。
  126. 鶴岡俊彦

    鶴岡説明員 固定資産税の関係についてお答え申し上げます。  固定資産税につきましても、先ほど国税から話がございましたように、税負担の公平との関連を考慮しながら軽減すべきものをやってきております。  自然環境の保全につきましては、固定資産税上においては、既に国立公園あるいは国定公園の特別地域のうちの特別保護地区や第一種特別地域内の山林等につきましては非課税措置をとるように、これは法律上決めております。  それから、さらに通達で、第二種特別地域であるとか都道府県立の自然公園の中の特別地域内の土地であるとか、あるいは自然環境保全地域内の特別地区等々につきましては、法律で非課税にしている土地とのバランスを勘案して、それぞれ土地の置かれている状況を勘案して市町村において固定資産税を軽減することが適当であるということで指導しております。  それから、同様な観点で、都市緑地の保全の観点につきましては、緑地保全地区内の土地に係る軽減措置につきまして、これは評価の面と税負担の軽減の面と両方の観点からの軽減の指導をしております。  それからさらに、先ほど国税の方でお答えがありました関連につきまして、私どもの方も、固定資産税におきましても、国税において寄附金控除の対象として認定された自然環境の保全を目的とする公益法人が所有する良好な自然環境の保全を目的とする土地等につきましては、固定資産税負担を軽減することが適当であると考えております。ただ、これは、現在行われております土地の保有形態等も、それから活動の形態等も非常にさまざまでございますので、一律という形ではなくて、市町村長にその軽減の程度なりはゆだねたいということで、そういうような指導を四月一日以降行いたいと考えております。そういうようなところでできる限りの配慮はしているところでございます。
  127. 中村正男

    中村正男分科員 特に大蔵省にお願いしておきたいのですが、一生に一度の相続税、そのときに売られるのですね。だから大変なんです。だから、ぜひそういう従来のことにこだわらずに前向きに検討をお願いしておきたいと思います。  時間もありませんので次の質問に移りますが、関西新空港の問題、これから進められますけれども、ぜひ土取りの問題については北生駒の教訓を環境庁としても心してやっていただきたいということと、石本長官に、お忙しいでしょうけれども、ぜひ一度現地へ足を運んでいただきまして、じかに実際に見ていただきたい。過去にそういうお願いを地元から何回もやっておるのですが、大臣も一回もお見えになってないということでございますので、これは要望しておきます。  次の水質の問題なんですが、これは細かなデータを持ってきていろいろただしたかったのですが、時間がございませんので要望だけ申し上げておきます。  実は、長官も御存じだと思うのですが、先日、超党派の議員懇談会として水質浄化懇談会が発足をいたしました。会長は稻葉修先生でございまして、私も副会長の一員に選ばれたわけでございますが、それほど今日河川の浄化については国民的な関心が高まってきております。ぜひひとつ環境庁の強力な行政指導をお願い申し上げておきたいと思います。  とりわけ、近畿の母なる川、淀川の水質も極めて今汚濁が進んでおります。例えば、大腸菌群の限界値が百ミリリッター中五千MPNになっているのですけれども、ごくわずかな実測データ、これは市民の人がやったのですけれども、百ミリリッター中何と八万九千MPN、二十倍近い数値になっております。また、この色度につきましても、限界値十度に対して二十度以上、また、一番大事な生物化学的酸素要求量でありますBODについては、基準値の三ppmに対して平均して四ppm以上、こういう実態であります。アンモニア性窒素についても基準値を大幅に上回っておる、どんどん水質の劣化、特に関東の水よりも関西の水が臭いというのはもう定評でございます。  いろいろな要因がありますけれども、何といいましても下水道の普及率が非常に低いという点だと思うのです。特に近畿圏、淀川左岸地域の下水道の普及率は全国平均から見ましても非常に下回っている、こういう実態であります。  これは所管が厚生省があるいは建設省になろうかと思いますので、具体的な答弁を今得られないと思いますけれども、こういう実情に対して、ぜひひとつ環境庁として、特に近畿の淀川の水質浄化に力を入れていただきたいということを申し上げて、長官のお考えをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  128. 石本茂

    石本国務大臣 先生のいろいろな御提言、今、水の問題でございましたが、十分心をいたしまして、そして対応できますように努力してまいります。ありがとうございました。
  129. 中村正男

    中村正男分科員 終わります。
  130. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて中村正男君の質疑は終了いたしました。  次に、岡崎万寿秀君。
  131. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 私は、公害問題について質問いたします。  大気汚染などを中心に公害問題が非常に新たな注目を集めていますが、環境庁長官、御婦人でもありますので、特にこの環境問題等については熱心に取り組んでほしいと思いまして、その気持ちを込めて率直にお尋ねしたいと思うのです。  我が国の大気汚染状況につきましては依然として深刻な状況でございますが、特に東京がひどい、これはいろいろなデータが出ております。七年前に二酸化窒素、NO2でございますが、この環境基準が緩和されまして、二倍から三倍に緩和されたのですが、しかし、新しい基準によりましても、学童の気管支ぜんそくの有病率が依然として高いというデータが発表されています。神奈川県の環境部複合汚染対策プロジェクト会議調査研究によるものでございますが、これは八一年の調査です、発表は去年の十一月でございましたが、全県をカバーした調査だそうです。それによりますと、昔の基準、つまり〇・〇二ppm以下のところ、ここでの有病率は男女平均一・三%なんですが、新しい基準値は年平均〇・〇四から〇・〇六になりますけれども、その〇・〇四以上になると有病率が男女平均二・六%、つまり倍になっているのですね。当然これは昔の基準を守るべきであった。新しい基準では、やはりこのようにぜんそくや気管支障害が生まれる条件があるということを示していると思うのです。  ほかでもいろいろな研究結果が出ていまして、現在のNO2、これは環境基準値内でも健康に影響を及ぼすのだ、そういうデータがあります。これは環境庁大気保全局にもあるはずなんですが、いずれにせよ、現在の環境基準値内でもそのように健康に影響を及ぼすことはないというふうに言い切れますか。これは環境庁の方、御答弁願います。
  132. 林部弘

    林部政府委員 もう先生御案内のとおり、現行の環境基準は五十三年に改定されたものでございますが、改定に当たりましては、専門家に御検討いただきまして、国民の健康が十分守れる水準ということで、考えられる判定条件のラインをベースにいたしまして環境基準を定めておりますので、現行の環境基準そのものは国民の健康を十分保持できる水準にあるものというふうに私どもは理解しております。
  133. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 十分に保持できるとおっしゃいますけれども、おたくの環境庁大気保全局のデータの中でも、これは健康に影響を及ぼすということはうたわれているのですよ。だから、そう言い切る状況じゃなくて、やはりNO2問題というのはかなり深刻な問題ということを御認識いただきたいというふうに思うのです。  ところで、石本長官、最近、新聞に石本長官自身の御発言として、NO2の総量規制、本来今月末で期限だったわけですが、達成するのは無理だというような御発言が載って、これが国や地方自治体やあるいは関係団体に大きな波紋を呼び起こしているわけでございます。もともとこれはNO2の基準を緩和するのとセットで七年後をめどに達成期限を設けたわけですね。それができないというのは重大問題だと思うのです。断念という言葉を使ってありますけれども、これはとんでもないことでありまして、やはりこれは期限内に全力を挙げて達成すべきだと思うのです。  焦点は自動車の排気ガス対策だと思うのです。おわかりだと思いますけれども、やはりこれについてあらゆる方法で達成するために努力する、どういう具体的な対策をおとりになるのか。そしてめどはどうお考えなのか。これは長官、ひとつお答え願います。
  134. 林部弘

    林部政府委員 ちょっと具体的な内容にわたりますので、先に答弁させていただきます。  御指摘のように総量削減計画に基づきまして達成をするということで計画が進められてきているわけでございまして、この四月以降、各関係自治体が定めて参りました計画に基づきまして、達成に向かって努力をしていくということになっておりますので、その結果につきましては、今後のデータ等の成り行きを見守りつつ評価をしていくという手順になっておるわけでございます。
  135. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 ちょっと発言と違いますので、どうぞ石本さん。
  136. 石本茂

    石本国務大臣 今、先生御指摘くださいましたように私が先日、記者会見の折にNO2の問題に触れました。これは東京、横浜そして大阪という非常に空気のよくない地域についての問題だったわけでございます。私なりに過去のデータの推移などを見て話を聞いておりましたものですから、本当に大丈夫なのかなというような気持ちを持っておりましたので、ああいう発言をしたわけでございますが、なお、この環境基準の評価そのものは、先生も御承知いただいておりますように六十年四月以降一年間のデータを見て判断するということにはなっております。今後これからの一年間、果たして基準内におさまるのか、おさめられるものならおさめてほしい、ぜひ、おさまってほしいという気持ちもございますが、ああいうことを申し上げました。  以上でございます。
  137. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 大丈夫なのかなというお感じでおっしゃったと思うのですね。これは正直なところだと思いますよ。環境庁の方がこれまでは、できるようなできないようなことを言ってきましたけれども、やはり実際のデータから見ればなかなか難しいのです。石本さんが大丈夫かなとお考えになるのは当然なんですね。ですから石本さんの御発言と環境庁のこれまでの発言とはかなり食い違っていると思いますが、石本さんの場合は、できればということなんでございましょう。環境庁の場合は、必ずこれはできると言えますか、そして、いつごろをめどにやりますか。
  138. 林部弘

    林部政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、総量削減計画の具体的な成果というものは、四月一日以降の一年間を通じて評価をするということになります。事実、現場におきましてはデータというものが把握されておりますので、そういう経緯を見守りつつ対策というものを進めて、達成に向かって努力しつつ達成を目指してまいる、こういうスタンスで取り組んでいくことになると考えております。
  139. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 いつごろをめどに——では、ことしをめどにできますね。単なる努力目標ですか、それとも必ずやりますということですか。
  140. 林部弘

    林部政府委員 現実に達成できるかどうかということは一年間の評価にかかるわけでございますが、現在の時点では達成を目指して努力をしていくことになろうかと思います。
  141. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 そうしますと石本さん、失礼ですけれども、この間の断念というのはちょっと言い過ぎでございましたね。達成を目指して努力するというところでございますか。率直なところだと思いますけれども、どうもこちらの言い分と違うようでして、その辺はどういうふうになさいますか。
  142. 石本茂

    石本国務大臣 今、局長も申しておりますように、私が現時点を踏まえまして、そして過去のデータなどから推量いたしまして無理かもしれないというようなことを申し上げたわけでございまして、一年先を私自身はつかまえているわけでもございませんし、現在ただいまの時点におきます私の考えを申し述べたわけでございます。
  143. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 長官ですから先を見てお答えになるのが当然だと思います。時間の都合で先に進みますけれども、これはやはり環境基準を緩和したときに、はっきり七年後にやるというふうに決めておりますから、全力を挙げて、NO2にしても基準内に総量を規制するようにやってもらいたいと思います。  そこで、大気汚染公害に関連して具体的な問題についてお尋ねしたいのですが、品川区の八潮地域です。ここは埋立地ですけれども特殊な事情がございまして、品川区全体は公害健康被害補償法に基づきまして全地域が公害認定指定地域に入っているわけでございます。ところが、この八潮地域の場合は大田区と品川区との間で境界争いがございまして、実際のところ最終的に決着がついたのが、つまり品川区に帰属が決定したのが昭和五十四年の三月でございますから、そのために指定地域に入っていないという実情にあるわけです。  長官、ぜひこの辺お考えいただきたいと思いますけれども、もともとこの問題の八潮地域というのは、昭和四十七年つまり公害補償法ができる前、東品川五丁目地先埋立地として、ここには大井清掃工場の職員など百九十九名が住んでいましたし、品川区の第二出張所もございましたし、税金も品川に納め、子供たちも品川の城南第二小学校や東海中学校に通っていましたし、選挙権もそこで行使したわけですね。つまり準品川区として扱われていたわけなんです。実際、品川について大気汚染調査をされたのは、豊町戸越小学校と北品川三丁目の中小企業センターでの測定によるもので、このポイントの調査で周囲二十五平方キロということで品川全域が認定地域に入ったわけなんです。ですから帰属さえはっきりしているならば、これは当然公害認定地域に入るべきところだったと私は思いますが、その点について、仮に境界紛争が早く決着しておれば、ここも当然指定地域に入るべきであったというふうな判断はなさいませんか。
  144. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お答えいたします。  先生御案内のとおり公健法に基づきます地域指定といいますのは、著しい大気汚染によりまして地域住民の間にいわゆる指定疾病が多発しているような地域を指定地域という形で指定いたしているわけでございます。ただいまの品川区の八潮地域といいますものは、先生のお話の中にございましたように、当時の状況を見ますと当時は清掃工場がありまして、その関係者が若干居住しておったというような状況でございますが、全体で見ますと、なお埋め立てが進行中であったというような状況であったというぐあいに思うわけでございます。そのような地域を私どもの方としましても当時もいろいろ勘案しながら検討いたしたわけでございますが、法律の趣旨からいいましても地域指定するには至らなかったというふうに考えておったというぐあいに聞いております。
  145. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 仮に、その紛争が早く処理されておるならば品川区にはっきり帰属していたわけですね。そうなった場合は、公害法の適用はその後ですから、その時点で公害法の認定を当然受けていたでしょう。そのことをお認めになりますか。
  146. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 品川区が地域指定されましたのは昭和四十九年の時点でございますが、その当時におきましても恐らくこの地域につきましてはいろいろ検討されたものと考えます。その時点におきましても、先ほど申し上げましたように著しい大気汚染によりまして疾病が多発している状態というのを着目して地域指定しているわけでございますから、そういう意味からいいまして八潮の地域といいますのは、四十九年の時点におきましても、そういう地域に当たらないといいますか、指定できないというぐあいに考えて判断されたというふうに聞いております。
  147. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 それはどなたから聞いたか知りませんけれども、かなり一面的なあれでありまして、品川区全体のところがポイント二つしか調べてないわけですよ。そして全体がひどいということで全区域を指定したわけなんですね。そこだけが多発地帯じゃなかったということは正確じゃございません。品川区長自身がなぜ入らなかったのかなというふうに言っているくらいなんですね。  そこで長官にもお考えいただきたいのは、大田区との間で境界争いがありましたけれども昭和四十五年十月に、はっきりと覚書が交わされまして、特別区の処理すべき事務としてはすべて品川区がやったのですね。先ほども言ったようにいわば準品川区であったわけです。そういう点で帰属は一時棚上げにはされていましたけれども、大田区も品川区もいずれも公害認定地域に入ったのです、争った親同士が。ところが争いになった子供が、帰属が決まったときにもう既に法律が施行されたために入らない、まま子扱いにされているのですよ。ここが私は問題だと思うのですね。そういう点では法のもとにおける平等ということに反するように私は思うのです。こういう例はほかにございますか、ないでしょう。
  148. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 お尋ねの直接のお答えになるかどうかわかりませんけれども、東京都の場合におきましては、現在指定をしております十九区につきましては先生も御存じのとおりでございますが……(岡崎分科員「端的に、今のようなケースがあるかということ」と呼ぶ)東京都以外の全国におきましては、それぞれの町の中で一部指定されてない地域というのがございます。
  149. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 ちょっとそのケースは違いますね。  それで、やはり帰属がはっきり決着した時点で自動的に指定地域に組み入れるのが当然であったというふうに私は思うのです。いろいろと法制局その他にも検討してもらっていますけれども、やはり私は、親同士は入って、境界紛争のためにまま子だけが指定地域に入らずに非常に不便をこうむっている、これはまずいと思うのです。準品川区でしたからね。帰属がはっきりしたときは品川区民同様この地域も認定地域に入れるべきだったと思うのです。そうじゃございませんか。
  150. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 先生お話がございましたように、品川区に帰属が決定されましたのは五十四年の時点でございますが、この第一種地域の指定といいますのは、どの行政区画に所属するかということで決めているわけじゃございませんで、あくまで当該地域におきます著しい大気汚染と疾病の多発というところに着目をして指定いたしているところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  151. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 前の答弁と同じですね。要するに品川区はポイントを決めて調査されたのですよ。そして二十五平方キロがそうだということに決められているわけです。二十五平方キロの中にちゃんとこの八潮地域は入っているわけなんです。例外的に、ここだけが多発地域でなかったということは絶対ないわけです。そこを考えなくちゃいけないと思うのです。  ですから長官お考えいただきたいのは、今言ったような歴史的な経過がありましてまま子扱いにされている。それだけじゃなくて現状におきましても、ここは湾岸道路が通っています。港湾道路も走っているのです。羽田空港からも、南風のときに飛行機が上を通ります。非常に大気汚染の激しいところなんです。これからさらに十四車線になりますか、昭和七十五年には一日六万三千台ぐらい通るだろうと言われている地域なんですよ。ここは産業道路ですから大型ディーゼルエンジン車両がどんどん入りますし、軽油を使いますからSO2そのものも非常に高い数値を当然持っていますし、その他複合の大気汚染状況があるわけです。私たちが住民へのアンケート調査をしましたら、回答者の約三分の一が現在でもぜんそくの状況とか、たんやせきが多く出るというふうに訴えています。また最近開かれましたクリニックのお医者さんに聞きましたところ、もう既に十名を超す人々がぜんそくにかかっているし、新たに三名もぜんそくとして都の指定にするようにした、今後ふえることが非常に心配だというふうに言われていましたけれども、こういう地域なんです。そういう歴史的な実情から見ても、今、公害状況がさらに進行していることから見ましても、これはやはり特殊なるケースとしまして補償法の適用地域にぜひする必要があると私は思いますし、また、してほしいと思うのです。ひとつ長官の御検討をお願いしたいと思いますけれども、長官、お願いします。
  152. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま先生から御提言いただいておりますように、いろいろと議論のあるところでございますので、現在、ただいまの地域指定の解除とか新しい指定とかいうことを含めまして中公審に審議をいただいている最中でございますので、こうしたことを含めまして審議が進められているところだと私は理解しております。環境庁といたしましては、その結果を踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えているところでございますので、お言葉は十分に心得させていただきます。
  153. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 言葉を十分考慮して、中公審の審議等も含めて具体的に検討するというふうに理解してよろしゅうございますね、八潮地域について。
  154. 石本茂

    石本国務大臣 あっちこっち、いろいろな問題が全国的にあるわけでございますし、東京都でもございますから、そうしたあれこれを含めまして検討をさせていただいております。
  155. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 では、具体的に検討してもらいたいと思います。  続いて、道路公害の問題についてお尋ねしたいと思うのです。  これは首都高速一号線でございますが、大田区羽田の一丁目から四丁目の沿道住民の苦痛が大変深刻でございまして、既に十数年に及んでいます。できたのは昭和四十三年ですけれども、その後、交通量がふえまして騒音振動あるいは日照権の問題、排気ガス、粉じん等々の問題で大変困り切っている、こういう状況なんです。私きょうお持ちしましたけれども首都高速道路公団のしおり」によりますと、「適切な施策を実施し、沿道の環境保全に十分配慮して事業を推進してまいりますので」「地元住民のご理解、ご協力をお願いいたします」というふうに載っていますね。しかし、決してそうはなっていないというのが実情なんです。  私も実地調査をいたしました。また住民の声も聞きました。これはなかなか深刻でございまして、特にジョイントの部分から、昼間は渋滞していますからそれほどでないのですけれども、早朝ずしんずしんという音が響いてきまして、これで安眠を妨害されて眠れない。あるおばあちゃんは心臓病になって本当に困り切って、怒り切っていましたけれども、こういうふうな健康被害があるし、さらに振動によって台所やふろのタイルが壊れるとか、壁にすき間が生まれるとか、絶えず窓ガラスや障子ががたがたしているという、低周波空気振動も伴っているのでございましょう、そういうあれこれの非常な被害があるわけなんですね。もう我慢できない状態だ。十数軒の方々は、こういう状態だったら住みなれた土地であるけれども立ち退きもしたいということもおっしゃっているわけですね。公団側が各種の努力をされたことは知っています。しかし、それはやはり住民の受けている被害からいうならば抜本的な対策ではなかったように私は思うのです。そういう点で、十分な生活環境を保全するために、もっと積極的な対策を講じるべきではないかと思いますけれども、どうお考えでしょうか。
  156. 中谷善雄

    ○中谷参考人 羽田地区につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたように四十三年に開通いたしまして、その後五十一年ごろからいろいろな問題が住民の方から提起されてまいりまして、それに対しまして日照の問題あるいは騒音の問題等それぞれの措置を講じてきております。ただ、今お話しのように抜本的な対策と申しますか、環境施設帯というような制度もございまして、それについても検討いたしたいと思っております。なお、この問題につきましては都市計画上の制度との関連もございますので、関係地方公共団体ともいろいろ御相談をしながら具体的な対策について検討をいたしてまいりたい、そのように考えております。
  157. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 環境施設帯の設置などをお考えになっているというのですが、それをいつまでにおやりになるのか。住民は困っていますから、住民がまとまるまでというのではなくて、進んですぐ協議して具体化すべきだと思いますけれども、そのめどはどうですか。
  158. 中谷善雄

    ○中谷参考人 先ほどお答え申し上げましたとおり、環境施設帯を設置いたしますには都市計画上の手続が要るわけでございまして、この点につきましては地方公共団体の手続になるわけでございまして、当公団といたしましては地方公共団体と密接な連携をとりながら手続を進めていく。なお、具体的内容につきましては、一帯の土地を環境施設帯にする必要がございますので、関係住民の方の合意ということも必要でございます。そういう意味で、できるだけ早く検討はいたしたいと思いますけれども、めどにつきましては今、公団といたしましては何とも申し上げかねる。いろんな資料の作成その他については当然御協力を申し上げていきたいと思っております。
  159. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 とにかく早くやってほしいと思います。  都市計画による環境施設帯をつくる場合ですけれども、これはグリーン地帯にするのか児童公園にするのかいろいろあると思うのです。これについては周辺住民の意見を当然ですけれどもよく聞いて、地域の実情に合った計画を、みんなの合意でつくるべきだと思いますけれども、当然そういう姿勢でございますね。
  160. 中谷善雄

    ○中谷参考人 当然そのようなことになろうかと思います。
  161. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 さて、移転する場合、長い間ここで生活されてきた人たち、そういう点ではみんなの生活がかかっているわけなのです。ですから代替地の問題、移転料の問題あるいは営業補償の問題等々が必ず起こってくるわけですけれども、これについても関係住民の声をよく聞いて、最大限努力するというのは当然だと思いますけれども、そういう方針でございますね。
  162. 中谷善雄

    ○中谷参考人 姿勢といたしましては、当然でございますが、全国的に、このような場合には一応の基準がございますので、私どもといたしましては、その基準の範囲内でよく御相談をしてまいりたい、このように考えます。
  163. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 最大限努力するのは当然だと思います。今うなずかれたので、最大限努力するという方向でやってもらいたいと思います。  それで移転しない周辺住民の人たちもいるわけです、広い地域ですから。「しおり」には、私、これはよく読みましたが、なかなかいいことが書いてあるんですよ。各種環境対策が書かれていまして、「積極的に対処し万全を期する」と書いてあるんですね。そうしてほしいんですよ。防音工事の問題とか日照権に係るいろいろな対策ということも、さらによく実情を調査して、もう苦情が出始めてから九年もたっているんですから、住民の要望を聞いて早く対処すべきだと思うのですね。そういう「積極的に対処」と書かれていることがなされてないことがまずいと思うのです。これはなさいますか。
  164. 中谷善雄

    ○中谷参考人 環境問題につきましては全国的に日進月歩と申しますか年々進んできておりますけれども、総体的な問題と申しますか全国的な一つの基準というものがございますので、私どもは先生御指摘のとおり基準の範囲内では最大限の努力をするということでやっておりますが、必ずしも具体的には個々の住民の方の御要望を全部賄えるということにも相ならないという悩みがございます。できる範囲で最善の努力をいたしたい、さように心得ます。
  165. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 最大限の努力とおっしゃいますので、基準もありましょうけれども、時間帯も、夜とか早朝というのは大変ひどいですから、よくそういうのを調べた上でやってほしいと思います。引き続き、そういう問題については私たちも要望を続けていきたいというふうに思います。  さて、時間の都合で最後に入りますけれども、今、大気汚染の中でNO2の問題が、冒頭申し上げましたけれども非常に大きな問題になっておりまして、これを指標に入れるべきだという声が強いのです。去年十二月に開かれました第五回の日本環境会議の方針もそうですし、日本科学者会議公害環境問題委員会の報告でもやはりそうなっていますし、SO2だけではなくてNO2も複合的な汚染要因として検討しなくちゃいけないというふうに思います。それはそれでよろしゅうございますね。
  166. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 先ほど大臣が御答弁なさいましたように現在、中公審におきまして大気汚染健康被害との関係についての検討を進められておるわけでございます。その中におきましては当然NOx、窒素酸化物あるいは浮遊粒子状物質につきましても、それと健康被害との関係について当然検討されておられるということでございまして、その大気汚染健康被害との関係において評価いたしておるわけでございますので、それが先生のおっしゃるように複合かどうかにつきましても、それは専門委員会の中で検討されるというぐあいに理解いたしております。
  167. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 検討されているのでしたら、沿道におけるNO2などの被害状況というのはかなり深刻でございますし、民間の調査等も出ているわけでございます。そういう点では、大気汚染状況健康被害との疫学的調査についても早急にすべきだと思いますけれども、それはなさいますか。
  168. 長谷川慧重

    ○長谷川政府委員 環境庁といたしましては従前からNOxと健康被害との関係についていろんな形での調査を行っているわけでございますが、特に五十八年の暮れに中公審に諮問いたしました時点におきましては、それ以前に環境庁がいろいろ集めておりました国内外の文献だとか、あるいは地域を全国的に選びまして個々の受診調査あるいは児童を中心といたしました呼吸器疾患の有症率調査といいますものを全国的に行いまして、その資料を提出いたしまして、それをもとに現在、中公審で先生のお話のようにNOxと健康被害との関係についてもいろいろ検討していただいているという状況にございます。
  169. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 最後に一問。ぜひ実地調査をよく踏まえて、このNO2問題を重視して、これを基準に入れるようにしてほしいと思いますけれども、この公害指定地域にかかわって、これも石本長官にちょっと嫌なことを聞くようになりますけれども、二十日の衆議院予算委員会で、大気汚染公害に関連して中曽根さんは「意味がなくなったものはどんどん解除をしていく」と述べられましたね。石本さんも、その前に指定解除の質問に対して「先生のお説ごもっともでございますので」という形でおっしゃいましたけれども、これは先ほど言ったようにSO2だけではなくてNO2もふえ非常に困っている状況がありますので、こういう御発言は適切じゃないというふうに思いますし、何か記者会見をその後されたようですね、今の御心境はどうでございますか。やはり公害患者の立場に立って、公害行政の責任ある者として、人情味ある御答弁を願いたいというふうに思います。
  170. 石本茂

    石本国務大臣 あの当時私がお答えしましたのは、その前に質問者の原田議員がSOx、硫黄酸化物が非常に減ったじゃないか、そしてこんなに状態が変わってきているのに、なぜというようなお話があったわけです。それから、あわせて、そのときありましたのは、この窒素酸化物とかいうものは横ばいなんだということを御自分が言っていらっしゃるわけなんです。ですから、そのおっしゃったことについて私はごもっともですということを申し上げました。ですから先ほど来お話も出ていますし、その後の経過もございますが、窒素酸化物が果たして被害がないものかあるものか、これは基準があるわけでございますから、そういうことを含めまして現在ただいま専門委員会で検討中でございまして、その後に中公審にこれが参りまして、そして、いつのことになるかわかりませんが結論が出てくるというふうに私は今考えております。  それから、中曽根総理がおっしゃいましたのを私なりに理解しましたのは、いろいろな検討をして、必要のあるものは、あるいはふえるかもわかりませんし、それから必要がなくなって、そこを消していくべきであるかもしれないという弾力のあるお答えであったというふうに思っております。
  171. 岡崎万寿秀

    岡崎分科員 では時間が来ましたので終わりますけれども、指定地域解除の問題については非常に反対が強いし、複合汚染という状況がありますので、慎重に住民の、あるいは患者の声をよく聞いて考えていただきたいというふうに思います。さらに、指定されない地域でさえも、東京特別区の区長さんたちが、指定されない四区あるいは埋立地においても指定地域を広げよと言っている状況ですから、その辺もよく考えて環境行政をやってもらいたいということを要望して、私の質問を終わります。
  172. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて岡崎万寿秀君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  173. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  主査が所用のためおくれますので、その間、指名により、私が主査の職務を行います。  質疑を続行いたします。馬場昇君。
  174. 馬場昇

    馬場分科員 私は、国立公園の公園計画変更についてお尋ねしたいと思います。  昭和四十八年、当時の公害対策並びに環境保全特別委員会におきまして、自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案が通過いたしますときに附帯決議がついております。これは衆議院におきましては昭和四十八年六月二十八日でございますけれども、その附帯決議の中に、公園計画変更にかかわって「国立公園等の地域において、自動車道、レジャーランド等の大規模な開発行為がすぐれた自然環境を破壊している現状にかんがみ、公園計画の定期的な見直しを行ない、保護管理の方針を明確にするよう検討すること。」こうなっておりまして、当時から私どもは、レジャーランド等の大規模な開発は抑制すべきものである、こういう趣旨でこの附帯決議がつけられたと理解しておるのですが、大臣、これをどう理解しておられますか。
  175. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 大臣がお答えされる前に、先生もう重々御承知のとおりのところでございますが、念のためお答えさせていただきますけれども、おっしゃるとおり、昭和四十八年の国会におきまして自然公園法及び自然環境保全法の一部改正がございましたときに附帯決議がございました。今、申されましたとおりの附帯決議がついておりまして、大規模な開発が、文書にも出ておりますが、当時の時点でございますけれども、「自然環境の破壊が進行している現状にかんがみ、」ということで、確かにそういう御決議をいただいておりますし、その趣旨に従いました公園計画の見直し等も、その後、行わせていただいております。
  176. 馬場昇

    馬場分科員 非常に時間が短うございますから、イエス、ノーでは余りそっけないでしょうけれども、そういうようなことで進行に協力していただきたいと思うのです。  さらに参議院の方では、これは四十八年七月十三日になっていますが、同じ法律が通りますときに「開発を理由とする公園指定の解除については、自然環境の保全の重要性にかんがみ、これを行なわないことを原則とする基本方針で臨む」、こういうぐあいに実はなっておりますね。だから、自然公園指定の解除は、自然環境の保全の重要性にかんがみて、これを行わないことを原則とする、こういう方針が附帯決議についておるわけでございますが、これについては今言った、このままそのとおり現在も遵守しておられますか。
  177. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 おっしゃるとおり、昭和四十八年に参議院におきましても同様の決議が行われまして、その十番目でございますか、ついております。これにつきましては、同年の十一月に国立公園計画の再検討要領というものを作成いたしまして……(馬場分科員「それは後でやります。やっておりますかと聞いておるのです」と呼ぶ)はい、そのとおりやっております。
  178. 馬場昇

    馬場分科員 これは国会の決議でございますから、大臣は国会議員でございますし当然のことと思いますけれども、今、衆議院の附帯決議、参議院の附帯決議を読み上げましたが、やはり自然保護という観点に立ちまして、開発のための公園計画の変更を余り行わない、抑制すべきだというのが衆議院、特に参議院では、開発のために指定の解除は行わない基本方針でいくんだ、こういう附帯決議がついておるわけでございます。大臣、これは全党一致の附帯決議でございまして、今後の自然公園の公園計画の変更については、この附帯決議の趣旨を完全に遵守して行っていただけるかどうかということを、大臣の決意のほどを聞いておきたいと思います。
  179. 石本茂

    石本国務大臣 昭和四十八年の国会の附帯決議などにつきましては、その趣旨を体しまして今後とも努力をしていく所存でございます。
  180. 馬場昇

    馬場分科員 今度は局長にお尋ねします。いまさっき触れようとなさったことですが、この附帯決議、こういう趣旨を生かしながら環境庁の方で国立公園計画の再検討要領というのを昭和四十八年十一月二十二日、自然保護局長の通知で出しておられますね。  この要領を見てみますと「目的」がございまして、「自然保護の強化を基調として」見直しをするのだという目的が書いてございます。そして「方針」として、その二項に「特に地域の開発を目的とする区域の解除は原則として行なわない。」旨を再検討要領に記載して、これを局長通知として出しておられるわけでございます。五年目ごとに再点検をやるわけでございますけれども、この方針で現在やっておられますか。
  181. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 ただいま先生の申されました四十八年の十一月の通知でございますが、その中の関係部分だけ申し上げた方がいいと思いますが、目的は、先生のおっしゃいました「方針」の中に先生のおっしゃった趣旨のことがございまして、その中で「公園区域については、区域線の明確化をはかるために必要な場合等特別の事情のある場合を除き変更しない。特に地域の開発を目的とする区域の解除は原則として行なわない。」旨を方針といたしておりまして、今後ともこの方針に沿って、公園計画の見直しはもちろん定期的にやってまいりますけれども、進めてまいる考えに違いはございません。
  182. 馬場昇

    馬場分科員 次に、同じく国立公園内における各種行為に関する審査指針というものを昭和四十九年十一月二十日、これも自然保護局長名で通知を出されております。この通知の中の第八に「土地の形状変更」についてということがございまして、その中でゴルフ場の造成については許可しないこととする、こうなっておりますが、その方針で現在やっておられますか。やっておるかやっておらぬかでいいですから。
  183. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 先生おっしゃいました審査指針におきまして、国立公園の特別地域内におけるゴルフ場造成を目的とした土地の形状変更はこれを許可しないことといたしております。
  184. 馬場昇

    馬場分科員 大臣、ちょうどそのときの環境庁長官は三木さんでございました。三木さんもこの国会で、今、局長が言われましたように国立公園、特に特別地域のゴルフ場転用については認めない、こういう答弁をなさっております。これは大臣もそういう方針でやっておられますでしょうか、ちょっとお尋ねいたします。
  185. 石本茂

    石本国務大臣 変わりございません。
  186. 馬場昇

    馬場分科員 今、少しくどくなりましたけれども、衆議院の附帯決議それから参議院の附帯決議、そして再検討要領の通知、各種行為に関する審査指針についてお尋ねいたしますし、三木さんの答弁まで引き合いに出したわけでございますが、五年ごとに見直すことになっておるわけでございますけれども、これらをずっと見てみますと、いわゆる保護をするということでございますから、この見直しに当たっては、特別地域の面積を減らさないという基本方針を堅持していくという精神が流れておるわけでございます。そういう意味で、かけがえのない自然の保護でございますし、これが環境行政の基本だと私は思っております。それについて、長官もそういう基本方針で環境保護の行政をやっておられるかどうか、重ねてですけれども、お伺いしておきたいと思います。
  187. 石本茂

    石本国務大臣 基本の方針に従いまして進めてまいりますし、現在、守られていると思っております。
  188. 馬場昇

    馬場分科員 そこで、具体的にちょっとお尋ねしたいのですけれども、阿蘇の国立公園について、これはもう長官も御承知のとおりでございまして、この阿蘇国立公園は昭和九年に指定されまして、我が国で最も古い、そして傑出した自然風景の国立公園であることは、もう御存じのとおりでございます。  そこで、これは事務的にお尋ねいたしますが、環境庁が昨年、この阿蘇国立公園の計画変更について必要があるかどうかということを熊本県に問い合わせをなさっておりますか、どうですか。しておる、しておらぬで結構です。
  189. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 計画をつくりました後、ちょうど五年目を迎えておりまして、昨年の四月でございますが、熊本県、大分県両方にまたがりますので、阿蘇国立公園事務所から点検の通知及び照会をいたしております。
  190. 馬場昇

    馬場分科員 これはお伺いしますけれども、熊本県それから大分県、そしてさらに言いますと熊本県には雲仙天草国立公園がございますが、問い合わせはそれにも文書でお出しになったのですか。
  191. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 阿蘇国立公園につきましての点検でございますので、熊本県と大分県この両方にはまたがっております、雲仙はまた別な国立公園になっておりますので。それから、これは文書で点検の依頼を申し上げるのが通例でございます。
  192. 馬場昇

    馬場分科員 その問い合わせにつきまして、熊本県からは回答があっておりますか。
  193. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 これは相当な期間をかけて行います作業になりますので、回答といいますか、途中プロセスの連絡は参っておるように聞いております。
  194. 馬場昇

    馬場分科員 その途中プロセスでも結構でございますから、その回答、検討の内容はどういうものか教えていただきたい。
  195. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 細部にわたっては、実は私どものところにはまだ参っておりません。ただ、そういう個別の検討、勉強でございますので、いろいろな連絡をしておるということは伺っておりますが、具体的に、こういうことでこれというところまで申し上げられるほどの内容は私、伺っておりません。
  196. 馬場昇

    馬場分科員 本庁の方で伺っておらぬとおっしゃいますけれども、実際、こういうことをやっているということが新聞報道もされております。そのときにおたくの方から熊本県の部長にもお尋ねになっておりますし、さらに私が質問をするというときも通告いたしましたし、連絡して問い合わせておられると思うのです。私どもが承知しておりますところでは、ちゃんとここにこういう新聞記事も大きく出ておるわけですね。それから、後で申し上げますけれども、こういう線引きまで出ておる。そして、いつ、どういう協定書を結んだということまで出ておる。そういう中で回答で今、来ておるのは、ちょうど国立公園の中に蛇ノ尾山という山があるんですね。これは第三種特別地域なのです。この中腹の山林約三十五ヘクタール、それから約一キロ北東に当たる原野三十四ヘクタール、合計六十九ヘクタール、これを第三種特別地域から普通地域に変更したいという回答が熊本県から出ておる。これを御存じじゃないですか。
  197. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 正式な話として先ほど申し上げましたので、申しわけございませんが、先生がおっしゃいました同じ新聞記事かどうかは別ですけれども、新聞記事の写しを情報として私、伺っておりますし、それから、もちろん担当の所長もその後も参っておりますので、どんな様子かというのはいろいろ伺ってはおります。ただ、正式の回答、これはずっと問い合わせを重ねていって詰めてまいるものでございますので、こういう結論というところは聞いていないという意味で申し上げました。  それから今、面積のことをおっしゃったようでございますが、境界線の明確化という問題で承っております。
  198. 馬場昇

    馬場分科員 これは所長からまだ正式に報告が来ていないのですか。熊本県は既に環境庁にこのことを陳情に来ておるはずです。今あなたがおっしゃいましたように、理由は、境界がはっきりしていないから境界をはっきりしたいのです、だから三十五ヘクタールぐらい減りますけれども、この部分の境界をこう変えたいのです、そういうようなことで熊本県から環境庁に陳情にも来ております。だから知らないはずはないわけでございますが、今おっしゃいましたように、正式に最終文書で来るとか、報告でないからとおっしゃるのじゃないかと思いますが、そういうことが今地元で言われておるわけです。  そこでお尋ねしたいのは、阿蘇国立公園は膨大に広いわけですよ。そして今、管理事務所と相談しておるのはただこの部分だけですか、ほかにも見直しをしたいという打ち合わせが行われておるのですか、どうですか。それは聞いておられませんか。
  199. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 まさにおっしゃるとおり膨大な区域、それから大分県両方にまたがるというようなところでございますので、全体つまびらかにというわけにもまいりません。これからもいろいろ追加もあり得ると思いますが、現在までのところ何カ所かの検討事項はあると思っております。
  200. 馬場昇

    馬場分科員 何カ所と聞いておられますか。場所はわかりますか。
  201. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 正確には存じておりません。
  202. 馬場昇

    馬場分科員 何カ所あるというのは管理事務所から報告してあるのですか。
  203. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 最初から申し上げておりますように、プロセスを経ていくものでございますから、どの時点で幾つというのを中間に私の方へ報告せいということにはなっておりませんので、ただ先ほど先生がおっしゃいました話は、新聞報道も添えて承っております。
  204. 馬場昇

    馬場分科員 私が調査した範囲では、見直しはここだけなのです。あの膨大な国立公園の中で見直してくれと言っているのはここだけになっております。そして理由の、境界線がはっきりしないなんておっしゃいますけれども、おたくからいただきました地図の、ちょうどここに当たるのですけれども、やはりこういう区域というのは公示しなければならないようになっているわけですから、きちんと境界線ははっきりしている。そして、土塁が災害で崩れたからというようなことも理由に言っているようですけれども、この土塁というのは、放牧のために原野組合が自分たちでつくった土塁なんですよね。そして災害で流れたというけれども、阿蘇は広いのですから、災害はどこでも起こっているのですが、ここだけが流れたとか、ここだけが区域がはっきりしない、ここだけ見直してくれ、こういうような話が現在行われております。まだ正式に公式文書で上がってきていないからということですが、しかし、そういうことはちゃんとおたくの方には県からも言ってきている。そして報道機関に出るときにも、おたくが調べて、県の林務部に問い合わせして、それで県から別の人たちが来て、こうやって特別地域を普通地域に変えてくれという陳情までしておる。知らぬ存ぜぬじゃいけないと私は思うのです。時間がございませんので次に進ませていただきますけれども、実に符節が合っておる話があるのです。  何でそこだけ出てきたかということについて、阿蘇町の永水地区というのですけれども、そこに、はっきり名前を申し上げますけれども西武鉄道グループが総合観光レクリエーション基地建設計画というものを去年の六月に発表しております。これは御存じですか。
  205. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 先ほどの新聞報道の写しと、それから事務所からの情報で承知いたしております。
  206. 馬場昇

    馬場分科員 その阿蘇総合観光レクリエーション基地建設計画というのを西武グループは出しているのですけれども、これに基づきまして実は五十九年六月二十二日に、熊本県と阿蘇町と西武鉄道三者によって総合開発についての協定書が締結をされております。それで、さらに同日、阿蘇町と西武鉄道の二者で用地買収委託契約書というのが結ばれております。この西武の基地建設計画、それとこの協定書、県、町、西武。さらに今度は町と西武の用地買収委託契約書、これをごらんになっておられますか。
  207. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 承知いたしておりません。
  208. 馬場昇

    馬場分科員 いやしくも自然環境保護を目的とする環境庁、そういうことが新聞にも載る、それからうわさにも出ておる、そういうときに、こういうのを集めて検討すべきじゃないかと私は思うのです。その協定書があるのはどういうものか、あるいは契約書はどういうものか、計画はどういうものかということをよく見るのが、検討するのが、環境庁の仕事じゃないかと思うのです。見ていなかったら、それを取り寄せて環境庁で勉強する、そして私にその契約書を参考のために見せていただきたい。これはいかがですか。
  209. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 私、承知しておりませんと申し上げたのは、新聞報道等を通じては話は承知しておりますが、その原文であるとか、どういう中身であるとかということは承知していないということで申し上げました。それと、実は必要な場合がもちろんあるかとは思いますけれども、常にそれを取り寄せてということが必要かどうかという点については、なおケース、ケースによるかと存じますので、あながち直ちにどうこうせねばならぬという問題ではないのではないかと思いますけれども、なおよく考えてみます。
  210. 馬場昇

    馬場分科員 局長のような行政をやっておったら自然保護はできませんよ。こういう内容になっているのですよ。ちゃんとその内容について言いますと、この計画の面積百八十八ヘクタールを西武が買うわけですよ。それで現在、既に四十二ヘクタールは買っております。そして、この契約書の中には、あと百四十六ヘクタールは今年度中に買うということになっている。そしてこの計画は五年のうちにつくる。こういう内容になっているのです。そういう契約が出て、ここに地図がございます。こういうのが県からも出ているのです。この計画面積というのはこんなに広い。地図もある。そして、その中で特別地域が三十五ヘクタール入っておるのです。ここも入れた計画ができておるのです。だから、そのために熊本県が言ってきておるのは、この特別地域を普通地域に変えてくれというようなことで言ってきておるのだから、その計画とか協定書とか契約書というのを見て、そんな開発のための、特別地域から普通地域にやるのはおかしいということが出ているのだから、それを調べるのは当たり前じゃないですか。  それで、もう一回申し上げますけれども、そういう西武の計画と、県と町と西武で結んだ協定書、それから町と西武が結んだ土地の委託の契約書、これをすぐ取り寄せて調査しなさい。そして、その結果を私に知らせなさい。どうですか。
  211. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 今、先生おっしゃった点は十分勉強いたしますが、それがいかにも符合しておるという意味合いでおっしゃいましたので、ちょっと私、気にしたわけでございますけれども、その中身は勉強さしていただきます。
  212. 馬場昇

    馬場分科員 こんなに具体的な資料を持って、これは危険じゃないか、開発のための特別地域を普通地域にやるのはおかしいじゃないかと、こういう資料を国民が、しかも私が公の場所で、この国会で追及しておるそういうときに、あなたはそういう調査もしないのですか。資料を持っても来ないのですか。事実、これはこういうことですよ。その西武の計画は六月に発表している。おたくが問い合わせたのは四月、それから県はこの計画を見て、こういうのを協定書なんかして、その後八月に、さっき言った線引きの見直しをおたくに言ってきているわけですよ。そんなのを見たら、おかしいと思わないのですか。それで地元は何と言っているかといいますと、これはちゃんと西武のあれがあって、ゴルフ場建設のための見直したとか企業に対する県の異常なてこ入れだとか、それからいろいろなことを言っておる。それからもう一つ、西武の不動産の人がこういうことを言っているのですよ。ここで、さっき言いました、今度見直してくれという約三十五ヘクタールの山林については、これは新聞には十ヘクタールと書いてございますけれども、事業上重要な場所で普通地域に変えてもらわないと困る。ゴルフ場の建設可能な地域変更をしてもらうように県にお願いをしておりますということを、計画した者がそれを発表しておるのですよ。そういうところまであるのに、それを調査もしないというのはおかしいじゃないですか。この計画書と、さっき言った協定書と契約書を直ちにここに出してください。再度要求します。
  213. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 最初の御質問でお答え申し上げましたとおり、公園計画の見直しと申しますか再点検は定例的にやってきておるものでございますし、今おっしゃいました計画というのは、一つの企業体あるいは会社の御計画でございます。それが新聞報道では、おっしゃいますような表現も出ておりましたことは私も間接的に承知いたしておりますけれども、その計画はあくまで計画でございまして、私どものやっております公園計画の見直しとは、絡む場合も結果的には出てくるかもしれませんけれども、私どもとしての立場で計画の再検討をいたしておるわけでございますので、それを調べてどうこう——勉強はいたしますけれども、それがどういう意味合いのものであるか、そういうものも確かめてみませんと、つまり中間段階のものということだと思います。
  214. 馬場昇

    馬場分科員 これは絡んでは困るのですよ。絡んではならないことが絡まっておるという疑惑があるから、そういうことをはっきり話しなさいというのですよ。それはきちっと調査して報告しなさい。  大臣、これは大臣が最終決定するわけですからね。だから、私はさっきくどく言いましたけれども、自然の保護があなた方の仕事の最大の目標で、自然公園の趣旨というのも御存じのとおりである。国会決議もあるのです。環境庁の通知もあるのです。そういうことで熊本県を指導しなければいけない。では、さっき言ったような一連のことで熊本県を指導なさいますか。局長に聞いてもわからぬ。長官の責任ある言葉をいただきたい。そういう方針で指導しますか。
  215. 石本茂

    石本国務大臣 初めてこういうお話を今お聞きしたわけでございますけれども、早急に県と西武に照会をいたしますことを局長に言います。
  216. 馬場昇

    馬場分科員 そこで大臣にぜひお願いしておきたいのは、くどくど申し上げるのですが、最終決定は、審査会の意見を聞いて大臣がするわけですから、線引きの変更は、そういう意味において、やはり特別地域は守らなければいかぬ、これがこの法の趣旨だし、国会の決議でもあるわけですから、ぜひ特別地域、自然保護を守るという態度で最終決定をしていただきたいということを重ねてお願いしておきますが、いかがですか。
  217. 石本茂

    石本国務大臣 ただ、申しましたように県並びに西武に照会をすぐしまして、またその結果を見まして、先生の御提言そのものを守ってまいりたいというふうに思っております。
  218. 馬場昇

    馬場分科員 時間が来ましたけれども、農林省ちょっと来ておると思うので、済みませんけれども、あと一分。  ここは実は農振地域になっておるわけです。農振地域になっておるわけでございますけれども、開発と農振地域の関係です。これを解除をしようという動きを、県とか町とかでもう何回か会合をなしております。だから、結論だけ申し上げますけれども、いわゆるレジャーランド、特にゴルフ場とかを農振地域に許可することはありますか、ありませんか、それだけお聞きしておきます。
  219. 入澤肇

    ○入澤説明員 そういうケースはございます。
  220. 馬場昇

    馬場分科員 農振地域をゴルフ場に転用することを認めるのですか。
  221. 入澤肇

    ○入澤説明員 農振地域も農用地区域と農振白地地域とございまして、農用地区域は、これは一定の場合に優良農地の確保という観点から農振法で規制をやっております。白地地域の場合には必ずしも転用規制ということに該当しません。農用地区域がかかっている場合でも、私どもとしましては、それが集団的な優良農地である場合には極力転用しないというふうに運用しますけれども、例えば……
  222. 馬場昇

    馬場分科員 私も中身は知っているのです。だから、ここの場合こういう動きがありますが、ぜひどういう農用地か農振地か調査をしていただきたいということをお願いします。いかがですか。
  223. 入澤肇

    ○入澤説明員 転用許可の申請が来ましたら、私どもそこで土地利用計画とか具体的内容を審査いたしまして、適正に対処をしていきたいと思っております。
  224. 馬場昇

    馬場分科員 ちょっと長くなりましたが、終わります。
  225. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて馬場昇君の質疑は終了いたしました。  次に、森田景一君。
  226. 森田景一

    森田(景)分科員 湖沼水質保全特別措置法、いわゆる湖沼法でございますが、これが昨年七月に成立しました。この湖沼法では、一つは、国が水質保全に関する基本構想などを含む湖沼水質保全基本方針を定める、こうなっておるわけです。第二番目が、現在水質環境基準が確保されていない、あるいはまたそのおそれがある湖沼を指定湖沼とする、こういうことになっております。第三番目が、都道府県知事は、指定湖沼について五年ごとに水質保全計画を定め、下水道を整備したり、工場、事業場、ホテル、畜舎などの排水をきめ細かく規制する、こういうことが柱になっているわけでございます。  この湖沼法が成立しましてから間もなく一年を迎えようとしているわけでございますが、環境庁のその後の対応はどうなっているのかお答えいただきたいと思いますし、もう一点は、環境庁では当面、琵琶湖、霞ケ浦、印旛沼、手賀沼、諏訪湖、宍道湖、中海、児島湖、相模湖、釜房ダムの十湖沼を指定する方針と聞いているわけでございます。これはこのとおりいくのかどうか、いつごろ指定する予定になっているのか、お答えいただきたいと思います。
  227. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 昨年七月湖沼法成立後、私ども鋭意その施行準備に取り組んでまいっておるわけでございます。先生のただいま御紹介のございましたまず第一の柱である基本構想でございますが、これを昨年十二月に定めたわけでございます。それから、年度内の全面施行を目途といたしまして、現在その全面施行に必要な政省令について関係各省と協議をいたしているところでございます。この協議を年度内に終了しまして、来年度からは全面施行に移したいと思うわけでございますが、これが済みますと湖沼の指定の手続に入るわけでございます。現在のところ、私どもは、ただいまのお話のございました十湖沼を、大体六十年度と六十一年度二カ年にわたって指定を完了したい、かように考えているわけでございます。各県の取り組みに若干テンポの差がございまして、非常に準備の進んだところとおくれているところがございますので、二カ年度にわたることになります。かような状況でございます。
  228. 森田景一

    森田(景)分科員 今お話がありました十湖沼のうち、五十七年度で汚染度全国ワーストワン、これが手賀沼でございます。ワーストツーが印旛沼でありました。この手賀沼、印旛沼、両方とも残念ながら我が千葉県にあるわけでございます。そして、昨年度におきましては手賀沼は依然として全国ワーストワンの地位を保っているという、表現は好ましくありませんが、ワーストワンでございます。  この手賀沼、印旛沼の汚染が回復されてきれいな湖沼になってくる、こういうことになりますと、本当にこれからの湖沼汚染対策というものに大きな光が差すのではないだろうかというふうに我々考えているわけでございます。それでは印旛沼、手賀沼について汚染が回復される手段がないかどうかということにつきましては、我々はあるというふうに考えているわけでございます。環境庁もそう思っていらっしゃるのではないだろうかと思っているのですけれども、ただ、浄化計画のかなめになります流域の下水道整備事業が大幅におくれているわけでございます。そういうことから地元の市町村では、湖沼法ができても余り期待できない、浄化は自分たちの手でやらなければならない、こういうふうに受けとめている向きもあるようでございます。まことに残念でございますが、そんな状況になってしまったら環境庁の存在価値はなくなるのじゃないか、私はこう思っているわけでございます。  そういう意味におきまして、環境庁の特段の御努力を私たちは希望しているわけでございますけれども、特に汚染度全国ワーストワンの手賀沼浄化対策につきましては、環境庁としてはっきりした手法をお持ちになっていらっしゃるのだろうか、あるいは千葉県に対して浄化対策の指導が環境庁としてできるのだろうか、こういう心配があるわけでございますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  229. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 確かに、印旛沼及び手賀沼は非常に汚れやすい湖沼でございまして、そのような意味で都市近郊の湖沼のこれはいわば試金石、これが浄化できるかどうか、私どもそのふうに受けとめているわけでございます。  ただいま下水道のお話がございましたけれども、確かに手賀沼二五%、印旛沼三七%でございまして、手賀沼の場合には全国平均よりもさらに普及率が低いということはございます。しかしながら、五十七年度から五十八年度にかけてでございますが、財政的に非常に厳しい中でございますけれども、全国平均では普及率の伸びが一%ぐらいであるものが、手賀沼では大体三%、印旛沼では七%ぐらいの伸びになっているわけでございます。建設省も重点的な予算配分をいたしているわけでございます。  これについて確たる手法をおまえたちは持っているかという御指摘でございますが、今後これは水質保全計画を知事さんが立てまして、承認に当たって私ども審査さしていただくわけでございます。その際に、現在千葉県では既に五十七年四月に手賀沼、印旛沼管理計画をつくられまして、物質収支を大体計算されて、七十年度で環境基準達成という目標を立てておられるわけでございますが、これを私ども具体的に一つ一つチェックいたしまして、先生の御指摘のような懸念のないようにしてまいりたい。この千葉県の水質管理計画は、私ども詳細に一つ一つ吟味したわけでございませんので、確実にここで七十年度で達成してみせると断言できるだけの材料は今ございませんけれども、非常に汚れやすい湖沼で難しい問題ではございますけれども、これは全国の湖沼の試金石でございますので、そのような意向でこれに取り組んでまいりたい、かように考えております。
  230. 森田景一

    森田(景)分科員 今の水質管理計画、それはそれでいいわけですけれども、手賀沼はほかの地域と違った計画が実はあるわけでございます。それは、御存じと思いますが、北千葉導水路事業というのがありまして、この北千葉導水路事業は、利根川から市街地を横断しまして江戸川まで利根川の水を毎秒三十トン流す、こういう非常に大きな計画でございます。それはいろいろな目的があるわけでございますが、その中で毎秒十トンを手賀沼に流す、こういう計画があるわけです。今状況御存じと思いますけれども、手賀沼の周りを囲んでおります我孫子にしましてもあるいは柏にしましても松戸にしましても、非常に人口急増地域でございまして、大堀川とか大津川といった今まで天然自然の水が流れ込んできた川の流域がびっしりと住宅が建ちまして、ですから、自然のきれいな水は流れ込みませんで、生活雑排水がどんどん流れ込んでいるわけでございます。それから、公共下水もまだ完全にできておりません。簡易し尿処理場、そういうところの水もどんどん流れ込んでいる。ですから、汚い水だけが今手賀沼に流れ込んでいる状況でございますから、どうしてもきれいな水を流し込むということが大事になります。その大きなよりどころといいますか頼りが北千葉導水路事業なわけでございます。  これは建設省の管轄でございますから、環境庁としてはいつも大臣初め皆さん切歯扼腕なさるのじゃないかと思いますけれども、やりたくてもお金がないところだ、そういうお話をたびたび聞くわけでございますが、しかし、同じ政府の中でやっている仕事ですから、それを特段に進めてもらうという、こういうことは十分可能であろうと思うのです。残念ながらほかの例に漏れませんで、北千葉導水路事業がおくれているわけでございます。そういう点は御承知なんでしょうか。
  231. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 私どもも、昨年、前上田大臣のお供をいたしまして手賀沼を視察さしていただきました。北千葉導水路事業の計画につきましても承知しております。具体的の進度について現在どの程度であるかということ、一々、おくれているかどうかということについては具体的な判断材料を今持ち合わせておりませんけれども、手賀沼のような性格の湖沼では、導水事業が非常に大きい役割を果たすことは先生が御指摘のとおりであろう、かように認識しております。
  232. 森田景一

    森田(景)分科員 大臣を前に置いて恐縮でございますが、前環境庁長官は、もともと建設省の御出身ということだそうでございまして、この導水路事業にもよく理解をしておられました。そしてまた、湖沼法成立の前にワーストワンの手賀沼をせめて見てきたいということで、わざわざ手賀沼にもおいでいただいたわけでございますが、そういうワーストワンがきれいになるということは、ツー、スリー、フォー、テン、これもよくなっていくということでございますので、お忙しいでしょうけれども、ぜひ大臣も手賀沼をごらんになっていただいて、ちょうど夏が一番よろしいと思います、アオコが発生したりひどい状況でございますから、ぜひごらんいただきまして、関係省庁とも十分な協議を進めながら、一日も早く手賀沼の浄化が実現できるように御努力をいただきたい、こうお願いしておきます。御視察の件、いかがでございますか。
  233. 石本茂

    石本国務大臣 先生今お話しなさいましたように、できますればもっと暑くなりましてから、一番湖の汚れのすぐ目に見える時期にぜひ寄せていただきたいと思っておりますし、それから、お話を聞いておりますと、北千葉導水路というような計画もあるわけでございますから、これが一日も早く促進できますようにまた働きかけてまいります。
  234. 森田景一

    森田(景)分科員 ぜひひとつ環境庁長官、おいでいただくのを我々もお待ちしたいと思っております。  また、北千葉導水路事業につきましても、建設省関係でもいろいろと質問したいと私思っておりますから、格段のまた御協議をお願いしたいと思います。  次に、環境アセスメント法案の制定についてお尋ねしたいと思うのです。  先ほどの湖沼法も、成立するまでいろいろな紆余曲折がありました。だめではないかと一時そう思われた時期もあったようでございますが、幸い去年成立したわけでございまして、環境庁としては、この次はこの環境アセスメント法案を法律として成立させなければならない、こういうことではないかと思うのです。  御存じのとおり、環境アセスメント法案は、五十六年の四月に国会に提出されたという経緯があるわけでございます。それがなかなかいろいろな事情があったようでございます。電源立地を削除したために、これは骨抜き法案だ、こういうこともいろいろと言われたこともあったようでございますが、解散、総選挙ということに伴いまして廃案になったという経過があるわけでございます。そういう事情で成立しなかったわけでございますが、少なくとも閣議決定されて一度は国会に出した法案でございますから、総選挙後の百一国会にまた提出されるのであろうかというふうに思っておりましたが、それもありませんでした。今度の百二国会ではこの環境アセスメント法案を提出なさる御予定はございますか。
  235. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 過去の経緯については、先生御指摘のとおりでございまして、いろいろな経過の中で、五十八年の十一月の衆議院の解散に伴いまして、政府が提出した環境影響評価法案が廃案の憂き目を見るに至ったわけでございます。その後、前国会、百一国会に再提出をしようといたしまして、各方面との調整に全力を挙げてまいったわけでございますが、各方面の十分な理解を得ることができませんで、前国会においても再提出が見送りというやむなきに至ったわけでございます。しかし、先生御指摘のように、環境汚染の未然防止ということは大変大事なことでありますし、その徹底のためには何としても環境アセスメント制度というものを確立しなければならない、実施に移さなければならない、こういう考え方でございますので、従来の経緯も踏まえながら、昨年の八月でございますけれども、法案がそういう姿になりましたので閣議決定という手段で、各省統一した、政府として統一したルールをつくろう、こういうことになりまして、閣議決定を、要綱という形をもって閣議決定で決めていただいたわけでございます。  そういうことで、各省庁その実施のための準備に全力を挙げておるわけでございまして、これが実施に移されるならば、統一的な環境アセスメント制度はそれなりに進んでいく、かように考えておるわけでございます。つまり、いわば次善の策としまして、法案提出の見送りのやむなきに至った現状を踏まえまして、そういう姿で今進ませていただいておる、こういう事情を申し上げました。
  236. 森田景一

    森田(景)分科員 環境庁でも十分御承知のとおり、この環境問題は地方自治体で今まで深刻な問題であったわけです。これからも同じだと思うのです。私の関係しておりますところでも、産業廃棄物処理場建設という問題に絡みましていろいろなトラブルがありました。しかし、これは県とかあるいは市町村がそれぞれ独自で、地域の環境アセスメント要綱といいますか、そういう形のものをつくっても、法的根拠がないためにいつも困っているわけでございまして、ただいま次善の策とおっしゃいましたけれども、国にきちんとした法律があるということが、地域の環境を守る、環境行政を確立するために非常に重要なことであるというふうに私も思いますし、当然皆さんも思っていらっしゃると思います。ですから、次善の策は次善の策として、進めないよりはいいわけであります。ぜひ、環境アセスメント法案、先ほど申し上げました電源立地を削除したという経緯もありますけれども、ないよりはあった方がいいわけでございますから、成立する前に法案を提出しなければならないわけでございますが、今国会に提出はお考えになっていらっしゃらないのですか。
  237. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 ただいま事情を御説明申し上げましたように、現在、閣議決定に基づきます要綱の実施準備のために関係省庁足並みをそろえて何とか早く実施をしていきたい、こういう段階でございます。そういうことでございますので、私どもは決して環境アセスメントの法制化を断念したわけではございませんが、なお引き続き検討は続けてまいりますけれども、今国会にと言われますと、一方の閣議決定の実施ということがありますので、今国会ということは申し上げることはできません。
  238. 森田景一

    森田(景)分科員 そうすると、閣議決定の要綱を周知徹底、実践させるということですけれども、これは時間的にはどのくらいかかるのですか。
  239. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 昨年の八月二十八日に閣議決定を行いまして、やや技術的、事務的なことで恐縮でございますが、その後三カ月以内に各事業に共通のいろいろなルール取り決めが必要になります。そういう意味で、これは私ども環境庁が主体となりまして、共通的な事項あるいは基本的な事項、こういうものを三月以内に定めるということで、十一月中に決めました。そして、あとは各省の指導通達という姿でこれが実際に実施に移されるわけでございますので、各省におきまして、例えば対象事業はどの範囲にするかというようなこと、あるいはまた、主務大臣が環境アセスメントの実際の指針、よるべきもの、こういう指針を決めてまいるわけでございますが、これも対象事業ごとに決めてまいります。今そういう作業を鋭意継続中でございまして、「できるだけ速やかに」という姿で、閣議では決まっておりまするけれども、そう遅くない時期に、この春、夏にかけまして各省そういう姿で準備から実施に移っていく、こういうふうに大体のめどをつけております。そういう状況であることを御披露申し上げたいと思います。
  240. 森田景一

    森田(景)分科員 去年の八月に閣議決定があったということでございますが、今の御説明を聞きますと、それからもう間もなく一年になるわけです。一年かかってやっとそれが実施に移るか移らないかという状況だというお話でございます。この法案が閣議決定されるまでいろいろな経過があったのを私も承知しております。実施に当たっても大変だと思うのですけれども、少なくとも実施をして一年とか二年、そういう経過を見た上でならば法案の提出ということになるのですか。
  241. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 考え方としましては、そういう閣議決定という、いわば広い意味での行政指導といいますか、こういうものの実際の運用の姿など実施状況というものをよく見た上で、なおかつ法案の提出が必要かどうか、これは引き続き別途並行して検討を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
  242. 森田景一

    森田(景)分科員 もう時間でございますから余り申し上げませんけれども、法案が必要かどうか見きわめてからというお話ですけれども、必要であったから前々回の国会に提出されたわけでございますから、私の前の質問にもありましたが、やはり環境庁としては、いろいろとそちらこちら制約されるところといいますか、制約をしてくるところが大変多いようでございますが、ひとつそういう状況に屈することなく、国民の生命と健康を守る大きなお立場でございますので、大臣を先頭に一日も早くまた環境アセスメント法案を国会に提出なすって、そして成立できるように格段の御努力をお願いしまして、質問を終わります。
  243. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて森田景一君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内勝彦君。     〔田名部主査代理退席、主査着席〕
  244. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 水質の問題で若干お尋ねをしておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  最初に、まず、ここのところずっと問題になりました琵琶湖の水位の問題、それと、湖沼法もいよいよ施行されていくという段階で、若干その問題に関して質問をさせていただきます。  まず、異常渇水ということで、ここのところ近畿一千五百万の水がめである琵琶湖あるいは全国的にも大変な水不足ということでいろいろ論議があったわけでございますけれども、特に琵琶湖の異常渇水、何か史上二番目とかというような大変な事態にもなって、なおかつ、現在回復はしたものの、ことしは雪が少なくて、果たして雪解けの水が近畿一千五百万の人たちにちゃんとなっていくのかどうかという面に関しても心配ではないかというようなことにもかんがみ、環境庁といたしましては、専門家検討会といったものまで設置をされて、そして本格的調査に乗り出した、こういうことでございますけれども、まず、今までの琵琶湖の水位の状況、この経過を述べていただいて、それからこの調査研究、いよいよどういうようにやっていくのか、環境庁として具体的に何をやるのか、それからまた手当てといったものまで含めて、ぜひ具体的な御答弁をお願いしたいと思います。
  245. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 琵琶湖の水位につきましては、一月上旬に九十五センチまで下がったというふうに記憶しております。現在回復しまして、最近はたしか六十数センチまで回復したというふうに理解をしておるわけでございます。  このように、ただいまお話ございましたように昭和十四年以来史上第二位というような渇水でございました。湖辺のいろいろな問題、水草の腐敗等が起きて地域の住民の方々が非常に御心配があるということで、大臣に直接御視察もいただいたわけでございます。その際に、滋賀県等から報告を受けたところによれば、琵琶湖自身については現在の段階では水質が特に顕著に悪化しているという状況は認められないということでございました。しかし、なお注意深く見守る必要があるということで、特に十分知見を集めるように大臣から御指示をいただきまして、そのような観点から、私ども、学識経験者とそれから滋賀県の担当者にも集まっていただきまして、検討会を先般開催したわけでございます。  検討会での議論につきましては、時間がございませんのでポイントだけ申し上げますと、特に今後水位が回復する過程で、渇水のために従来琵琶湖に流れ込んでこなかった汚濁物質が一遍に集中的に出てくるおそれがあるから、水位が回復する際に十分注意してこれを見るように、こういう御指摘が一点ございました。  それからまた、もう一点は、この水位低下による湖沼への水質の影響というものは、瀬田川の南郷ぜきの操作方法によって非常に影響がある、こういう御指摘がございまして、さらにその検討の経過を踏まえまして、現在、滋賀県において引き続き状況を観察しているところでございまして、その結果に基づきまして、さらに再度、適当な時期に諸先生にお集まりいただきまして、御議論いただこうかと思っております。  なお、ごく最近時点での水位でございますが、三月五日現在でマイナス三十六センチまで回復した、こういう報告が参っております。
  246. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それで、この調査研究を進めるというのは、それで結構でございます。  それから、水位の状況もわかりましたが、この水位は、近畿一千五百万の人たちの飲み水がやっていけなくなるというようなこともいろいろ聞かれるわけですが、環境庁としては、本当に危ないというか、ここまでは大丈夫なんだというようなものは持っているのですか。
  247. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 実は、この水位の低下につきましては、琵琶湖総合開発計画におきまして、過去の最大の一メーター強の水位低下は予定しているわけでございます。さらに、その影響、これは専ら水量の面の影響でございますが、それを考えて、二メーターまでの水位低下については保障措置を講じ、その結果、今回の水位低下によっても取水等に支障を生じなかったところはかなりあるわけでございます。ただ、問題は、水質面での検討が十分なされていたかということになりますと、若干当時の知見等の不足もございまして、必ずしも十分とは言えない。それからまた、現実に水位が下がったわけでございますので、ちょうど具体的に検討するには非常にいい機会でございますので、そういう意味で、私ども建設省あるいは国土庁とも御相談の上、せっかくの機会であるから皆さんに安心していただくためにも十分調査すべきである、こういうようなところから検討会を催したわけでございます。
  248. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 この水位が低下したために、今度また春先の雪の水が解けていってだんだんふえてくるだろう、そのときに水質悪化というものを非常に懸念しているようでございますけれども、その原因は一体どういうふうにとらえているのか。私どもは、多かろうが少なかろうが、こちらが本当に力を入れていかない限り、水質を浄化していくということは非常に難しいのではないか、こういうふうに考えておりますけれども、その辺の、水位それから水質の状況と、どういうように環境庁としてはとらえておるのか、御説明ください。
  249. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 一般的に申しますと、水量が減りますと、汚濁物質が一定ならば濃度が濃くなるのではないか、こういう想定ができるわけでございまして、現にこれは全国の主要な河川について見ますと、かつて五十三年が非常に渇水でございました。このときは、私ども環境基準を決めて、測定点について水質のモニターをやっておりますけれども、非常に水質が悪化したという事実がございます。そのようなところから、それと同じようなことが湖沼に起きるのではないか、かような御懸念をお持ちの向きもあろうかと思うのでございますが、一方、河川の場合と湖沼あるいは海域の場合とでは必ずしも同じようには論ぜられないのではないか。つまり、先ほども申し上げましたように、例えばせきの操作で回転がよければ、琵琶湖そのものにはそれほど影響が出ないのではないか、こういう御議論も一方にはあるわけでございまして、その辺について、せっかく諸先生に今御議論をいただいている、こういうことでございます。
  250. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、検討されますね、それから調査研究しますね、それじゃこういう手を打ったなら、この際、一番大事な水質をよくしていくためにはこういう手を打つんだというような具体的な対策、あるいは湖沼法がいよいよ施行されていくという中で、そういうものも含めてどう手当てをしていくのか、そこまでちょっと答弁してくださいよ。
  251. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほど申し上げましたように、現在琵琶湖の水質が悪化しているという事実はないわけでございます。それからまた、私どもは今後も、先ほど融雪期等に汚濁物質が一遍に出てくるのではないか、こういうおそれもあるということを申し上げましたが、それはあくまでおそれでございまして、その場合にも、せきの操作等を通じて水の回転を早くすれば、そのような事態は避けられるということもあるわけでございます。いずれにいたしましても、現在注意深く見守っているというのが現状でございまして、万一悪化の兆しが顕著であるということになれば、これは建設省あるいは国土庁あるいは滋賀県とも早急に御相談いたしまして、対策を考えていきたい。  具体的な対策としましては、先ほど申し上げましたように、これは南郷ぜきの操作方法ということになろうかと思うのでございますが、このせきの操作そのものについては、これはまた先生も御承知の非常に長い歴史がございまして、建設省で管理されているわけでございますが、しかし、いずれにしても、これは万が一のことでございますけれども、琵琶湖の水質が非常に悪化する可能性があって、そしてそのせきの操作によってそれが防げるということであれば、それは建設省もお聞き入れいただけるのではないか。これはあくまで仮定の話でございますけれども、そのように考えております。
  252. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 甘いものじゃないと私どもはとらえておりますから、その対策をぜひよろしくお願いします。  それから、湖沼水質保全特別措置法の全面施行、これは五十九年度内のはずでございますが、いつになるのか、明確にしていただきたい。それからまた、指定湖沼と、その決まっていく段階ですね。この面もあわせて御答弁いただきたいと思います。
  253. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 昨年七月法律成立以来、私どもは鋭意取り組みまして、まず、いわゆる湖沼対策の憲法である湖沼水質保全基本方針を昨年十一月に定めたわけでございます。現在、年度内の全面施行を目指しまして、政省令を各省折衝しているところでございまして、ほぼ三月中には全面施行できるであろう、かような見通しを持っているわけでございます。  全面施行されますと、今後は、まず第一に必要になりますのは、湖沼法に基づく湖沼の指定でございますが、この指定につきましては、琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖等十湖沼を一応念頭に置いていることは国会で御答弁申し上げたとおりでございまして、各府県ごとに取り組みの準備に若干早い遅いがございますので、指定は大体六十年度と六十一年度、二カ年にわたって行いたいというふうに考えております。二カ年で大体十湖沼程度の指定をしたい、かようなことを現在考えている次第でございます。その方向で鋭意検討を進めております。
  254. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは、地下水の問題を取り上げますが、外国におきましてもそうでございますが、トリクロロエチレン等の汚染、つまり有機塩素化合物ですね、この汚染というものが全国的に非常に大きく広がってきておる。そして、環境庁といたしましても、五十七年度に地下水の調査をされた。さらにまた追跡調査を五十八年度にされた。その辺の実態も含めて、この地下水の有機塩素化合物による汚染状況説明いただくのと、全部説明いただくと時間の関係で厳しいものがございますので、特に私の住んでおる近畿地方、その中でも京都などを具体的に言ってもらうのと、それからこの前、長野県の戸倉町で地下水汚染というものが非常に大変な事態になっておるというそういった報道もございましたし、その面のものもわかりましたら、この長野県の実態もあわせて説明をいただければと思います。
  255. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 地下水につきましては、五十七年度と五十八年度二カ年にわたりまして、全国約十五都市、五十八年度は十三都市につきまして、ただいまお話のございました有機塩素系の化合物を中心に十八物質につきまして調査を行ったわけでございます。  その結果、京都市について申し上げますと、まず、検出率の一般的に非常に高かったトリクロロエチレンでございますが、五十七年度の調査で五十一本中二十五本、約四九%の井戸で検出され、うち三本につきましては、WHOの暫定ガイドライン、これは飲用水の安全性を保障するための暫定ガイドラインを超えておったわけでございます。そこで、五十七年度におきましては、そのうち一本の井戸で追跡調査を行いましたところ、検出はされたもののガイドラインは超えてなかったわけでございます。また、その周辺の井戸五本について調査を行ったところ、四本から検出されたわけでございますが、ガイドラインは超えたものはございませんでした。  次に、テトラクロロエチレンでございますけれども、五十七年度調査で五十一本中二十六本、五一%になりますが、の検出を見ております。うち七本はWHOの暫定ガイドラインを超えていたわけでございます。そこで、五十八年度については、そのうち六本の井戸で調査を行ったところ六本とも検出され、うち五本が再びガイドラインを超えていた。さらに、その周辺の井戸二十本の調査を行ったところ十九本で検出され、十二本がガイドラインを超えていたということでございまして、これはやはりかなり広範に汚染が進んでいるということを判断せざるを得ないわけでございます。  なお、長野県の戸倉町でございますが、これは検出の報告を受けておりますが、詳細をたまたま手元に資料を持っておりませんので、そういう報告を受けているということだけをお答えいたしておきます。
  256. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 長野県の戸倉町は環境庁調査をされた。それにその後、町独自といたしましてこの調査をしたところ、基準の五倍のそういうトリクロロエチレンあるいはテトラクロロエチレン等そういったものが検出されていた。例えば、五十八年の十二月に十一カ所の井戸水を調査したところ、五カ所から検出された。そこで、今度は改めて五十九年七、八月にこの町だけで二十二カ所の井戸水を調査したところ、今度は十五カ所から検出された。今申し上げましたように、この水道水、暫定水質基準の五倍もの濃度のところもあった。それで、その原因としてどういうものか、もちろん原因があって結果があるわけでございますから、どういうものかということでいろいろと状況調べた中で、考えられるのは、トリクロロエチレンは金属、機械部品の脱脂洗浄剤として使用されているものでございますが、この汚染地域内で同物質の使用工場は二カ所ありまして、このうち一カ所は大量に使用していることがわかりました。また隣の町でも少なくとも四工場で使用しておったというような報告もございますが、何しろ次から次へと新しい化学物質が出てきますね。そこで、今度はそれの排出規制というものが後手に回っている。こういった非常に後追いのものになっておるということからも、私はぜひここで論議したいのは、まずこのトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、こういったものの主たる用途、そしてどのような業者に使われておるのか。通産省来ていますね、その面をあわせて御答弁いただきたいと思います。
  257. 阿部巳喜雄

    ○阿部説明員 御説明申し上げます。  トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンにつきましては、有機物質の溶解力が非常にすぐれている等、溶剤として非常にすぐれた特質を持っておりますので、機械、金属部品等の脱脂洗浄剤等、それからドライクリーニング溶剤等として幅広く使用されているものと思われます。
  258. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 では、そこから出る廃棄物でございますね。ドライクリーニングあるいは金属関係のそういったところから出てくるものといたしまして、あるいはIC、あるいは半導体、こういうようなところから、私が今申し上げましたようなものがそういう使用によって出てくる。こういう見地から考えてみましても、この廃棄物に対してどういう対策をしたのか。厚生省来ていますか。これはどういう形にしてきたのか、まず御答弁いただきたいと思います。
  259. 伊原正躬

    ○伊原説明員 お答え申し上げます。  廃棄物の方の対策でございますが、まず、トリクロロエチレンなどの有機溶剤を含みます廃棄物の排出形態でございますけれども、通常は単品で出てくるということではなくて、ほかの産業廃棄物、例えば汚泥とかあるいは廃酸、廃アルカリ、こういったものとの混合物という形態で通常排出されるわけでございます。  そこで、これについての廃棄物処理法上の取り扱いと申しますか、私どもの方の規制でございますけれども、そういった汚泥との混合物のような形で出てまいりましたこういった物質につきましては、当該汚泥を焼却という形の中間処理を施した上で、その燃えがらをいわゆる管理型の処分場と申しますか、遮水工を備えたそういった処分場に埋め立て処分しなさい、こういった格好の規制をとってございます。したがいまして、こういった規制が守られている限り環境汚染の心配はない、かように私どもの規制サイドからは考えております。
  260. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 今私が戸倉町の例を挙げたのは、何しろ汚染実態はふえているのですよ、ここの町で調べただけでこうですから。  この前京都市とも私は打ち合わせましたが、ことし実態調査をぜひやりたい、こういうように方針が出ておりますけれども環境庁は五十七年にやってあと五十八年に追跡調査をやっただけでなぜとまってしまったのですか。この原因は相当根深いものがございますよ。地下水がますます利用できなくなっていく。こういうような形で、今の戸倉町の例でも、横に流れている千曲川の地下水、あるいはそのところの地下水として今まで非常に利用されてきたものが、ここ最近になって、そういう工場ができる、クリーニングの関係やいろいろなものがあるということで事態が深刻になっていったということにかんがみて、なぜもっと調査をやらないのか、まずそれを御答弁いただきたい。  それと、この汚染原因究明の状況をどうとらえておるのか、それから飲料水についてどのような実態になっておるのか、それもあわせて御答弁ください。
  261. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 先ほども御答弁申し上げましたけれども、かなり広範に汚染されている可能性がございますので、私ども決して安心しているわけではございません。五十九年度から三カ年計画で汚染の機構等の調査を行うこととしておるわけでございます。  さらに、地下水のみならず公共水域にも同じ問題があるのではないかということで、調査調整費を五十九年度においてもいただきまして、補足的に公共水域の調査も行っておるところでございまして、これらの結果を見て遺憾のないように対処してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  262. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 そこで、厚生省なり環境庁でも結構でございますが、この排出規制をどう考えていますか。
  263. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 排出規制を行うことになりますと、まず水濁法で規制対象物質に指定するかどうかという問題があるわけでございまして、このためには、まず環境基準の策定ということからやらなければならないわけでございます。環境基準の策定をやるためには、いわゆるクライテリア、判定基準、どの程度の濃度があればどの程度有害であるかというようなことはかなり綿密な調査を必要としまして、これはかなり時間がかかるわけでございます。私どもは、三カ年計画でそのような方向の調査をするというふうに先ほど申し上げましたが、そのような方向の調査ももちろん継続するわけでございますが、かなり方々で濃度の濃いものが検出されているわけでございまして、これは放置できないであろうということでございます。  そこで、当面とりました対策としましては、厚生省の水道環境部におかれまして上水道の暫定基準をつくられたところでございまして、私どもはそれを受けまして、指導基準といたしまして、特に大口の排出源を持っておるというようなところは通産省等とも協力しましてある程度わかっておりますので、地下水あるいは地表水に排出する際の排出の指導の目安を定めたところでございまして、これを昨年八月二十二日に各都道府県通達したところでございます。通産省、厚生省におかれても同時にそれぞれの所管部局に通達されておるところでございまして、これに基づいて現在大口の排出源を中心に指導を行っているところでございます。
  264. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 厚生省、この排出規制の問題に関して御答弁ください。
  265. 伊原正躬

    ○伊原説明員 お答え申し上げます。  産業廃棄物処理法に基づく排出規制の基準でございますが、これは水濁法の排出基準とリンクして定められておりまして、原則的には、これを守っていく限り廃棄物が原因となるような汚染問題というのはまず考えられない、このように思っております。しかし、御指摘のトリクロロエチレンを含む廃棄物の適正処理につきましては、なおその徹底を図るために、五十九年八月二十三日付で各都道府県、政令市の担当部局長あてに「トリクロロエチレン等を含む廃棄物の適正処理の推進について」という通知を発しまして、排出事業者さらには処理業者に対しまして、このトリクロロエチレン等を含む廃棄物に関する適正処理の指導の強化を図ったところでございます。
  266. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 それでは通産省、ICあるいは半導体関係の先端産業で起こってくる懸念、この排水、廃棄物の処理といったものを含めて、あるいはまた、現在規制されてない物質についての問題が今後懸念される、そういったものに関してどのように指導していくのか、あわせて御答弁ください。
  267. 廣瀬定康

    ○廣瀬説明員 私どもがいわゆる先端産業と言っておりますものには、先生御承知のLSIとか超電導材料とか、ファインセラミックスとか複合材、その中にもまた高効率分離膜とかいったような新素材の面、あるいはロボットといったような種々の先端部門がございます。言いますれば、我が国の場合、その生産がまさに萌芽期に入ってきているということもございまして、扱う物質も多種多様でございます。私どもといたしましては、そのためにどのようなことがあり得るのかということで、現在実態把握を行っているところでございますけれども一つは、その実態把握の結果を踏まえ、実態に即した対応措置をうまくつくり上げ、それに基づいて指導してまいりたいと思います。  それから、先端産業ということで、先生御指摘の未規制物質といった側面もあるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、先端産業そのものの中には、例えば高効率分離膜の開発といったように、その膜自身が環境維持のための材料となり得るということで、そういった面も大いに今後勉強してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  268. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 時間ですので、最後に長官、今論議がありましたように、日本の大事な水が、どんどん河川がやられ、湖沼がやられ、そして今度は地下水が、世界に誇る日本の水がどんどん汚染されていく、そういった実態にかんがみて、さまざまな有害化学物質による環境汚染については事前の検討が必要でございますし、環境庁としての今後の対応方針について長官の御見解をぜひお伺いしておきたいと思います。
  269. 石本茂

    石本国務大臣 ただいま先生から、湖沼の問題、地下水の問題、いろいろ御提言をちょうだいいたしました。ただいま申されます有害化学物質の問題等でございますが、我が庁といたしましては、国民の健康を守るという観点からいたしまして、特に有害化学物質の問題に関しましては今までもいろいろと関心を払って対処してきているところでございます。このようなことから、環境庁としましては、この有害化学物質による環境汚染の未然防止というところに今後重点を置きまして取り組んでいくことにしております。今後ともいろいろと御指導いただきたいと思います。  以上でございます。
  270. 竹内勝彦

    竹内(勝)分科員 終わります。
  271. 大村襄治

    大村主査 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、総理府所管環境庁)についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  272. 大村襄治

    大村主査 農林水産省所管について、政府から説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣
  273. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 昭和六十年度農林水産関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  各位の御協力を得て御審議いただくに当たりまして、予算の基礎となっております農林水産施策の基本方針について御説明申し上げます。  申すまでもなく農林水産業は、国民生活にとって最も基礎的な物資である食料の安定供給を初め、活力ある健全な地域社会の形成、国土・自然環境の保全など我が国経済社会の発展や国民生活の安定のため重要な役割を果たしております。  翻って、今日の我が国農林水産業をめぐる情勢を見ますと、食料消費の伸び悩み、農林水産物の価格の低迷、経営規模拡大の停滞、労働力の高齢化などの諸問題に直面しております。また、行財政改革の一層の推進が求められるとともに、諸外国からの市場開放要求が依然絶えないなど極めて厳しい状況にあります。  このような状況のもとで、一億二千万人に及ぶ国民に食料を安定的に供給するためには、国会の食糧自給力強化に関する決議等の趣旨を踏まえ、国内で生産可能な農産物は極力国内生産で賄うという方針のもとに、農業生産の担い手の育成、農地や水資源の確保、技術の向上を含めた総合的な食料自給力の維持強化を図ることが肝要であると考えております。  この場合、私は、特に次の三点に力点を置き、施策を進めてまいりたいと考えております。  すなわち、第一には、生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業を実現していくことであります。  第二には、二十一世紀に向けて、バイオテクノロジー、ニューメディアなどの先端技術の開発・普及により魅力ある農林水産業を築くことであります。  第三には、農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいを持てるような「活力ある村づくり」を進めることであります。  特に昭和六十年は、二十一世紀まであと十五年という節目の年でもあり、新たな決意を持って農林水産行政に取り組んでいきたいと存じます。  そこで、昭和六十年度の主な農林水産施策について申し上げます。  第一に、農業につきましては、土地利用型農業の体質強化を中心として、農業構造の改善、生産基盤の整備、先端技術の開発等により、生産性の向上を一層推進するとともに、水田利用再編第三期対策や総合的な生産対策実施等を通じて、需要の動向に応じた農業生産の再編成を進めるほか、日本型食生活の定着促進と農産物の価格の安定などを図ることとしております。  第二に、林業につきましては、二十一世紀に到来が予想される国産材時代に向けて、国産材の大量安定供給体制を整備するとともに、林業生産基盤及び水源林の整備、間伐対策の拡充、木材の需要拡大や流通対策強化等を図るほか、国有林野事業の経営改善を一層推進することとしております。  第三に、水産業につきましては、二百海里体制の定着化等の諸情勢に対処して、漁業生産基盤の整備推進するとともに、栽培漁業の振興、沿岸漁場の整備開発等により我が国周辺水域の漁業の振興を進めるほか、漁業経営対策の充実、水産物の消費拡大や流通加工対策推進等を図ることとしております。  さらに、農林水産業にいそしむ人々が、意欲と生きがいを持てるような活力ある村づくりを推進することとしております。  以上申し上げました農林水産施策の推進を図るため、所要の予算を計上したところであります。  昭和六十年度一般会計における農林水産関係予算の総額は、総理府など他省庁所管分を含めて三兆三千八億円で、対前年当初予算比四・六%、千五百八十九億円の減額となっております。  本予算におきましては、厳しい財政事情のもとで、財政及び行政の改革の推進方向に即し、限られた財源の中で、各種施策について徹底した節減合理化に努めつつ、予算の重点的かつ効率的な配分により質的充実を図り、農林水産行政を着実かつ的確に展開するよう努めたところであります。  以下、この農林水産関係予算の重点事項につきましては、委員各位のお許しを得まして、説明を省略させていただきたいと思います。よろしく御審議くださいますよう、お願い申し上げます。
  274. 大村襄治

    大村主査 この際、お諮りいたします。  ただいま佐藤農林水産大臣から申し出がありました農林水産省関係予算の重点事項の説明につきましては、これを省略いたしまして、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 大村襄治

    大村主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔佐藤国務大臣の説明を省略した部分〕  以下、予算の重点事項について御説明いたします。  (土地利用型農業の体質強化を目指した構造政  策等の推進)  第一に、国土資源を有効に利用し、生産性の高い農業を実現するため、構造政策を推進することであります。  今日、土地利用型農業の規模拡大と生産性向上を実現し、その体質強化を図ることが、緊急の課題となっております。  このため、地域の実情に応じて農地等の有効利用と担い手の育成等を助長し、これと密接に関連させて土地基盤、農業近代化施設の整備等を行う地域農業整備総合対策を発足させることとしております。  また、補助から融資へとの観点を踏まえ、農業者の自主的な創意工夫に基づく合理的な生産方式の導入、経営規模の拡大等を促進し、農業経営基盤の一層の強化を図るため、農業改良資金制度を再編拡充するとともに、自作農創設特別措置特別会計を農業経営基盤強化措置特別会計に改組して、農業改良資金の管理及び農地保有の合理化を促進するための事業に対する助成を行うこととしております。  このほか、土地利用型農業の生産性の向上に重点を置いた新農業構造改善事業後期対策等関連施策を推進することとしております。  (需要の動向に応じた生産性の高い農業の展開)  第二に、需要の動向に応じた農業生産の再編成と生産性の高い農業生産体制の整備を図ることであります。  まず、五十九年度に発足しました水田利用再編第三期対策につきましては、六十年度の転作等目標面積を五十七万四千ヘクタールとして引き続き推進することとし、地域の実態に即した転作の一層の定着化と他用途利用米制度の円滑な推進を図ることとしております。  次に、耕種部門の統合・メニュー事業である新地域農業生産総合振興対策につきましては、新たに、地域特産果樹の産地整備対策等を事業種目に加え、その推進を図ります。  また、畜産関係の統合・メニュー事業である畜産総合対策につきましては、交雑種の雌牛を活用した低コスト肉用牛生産のパイロット的実施等肉用牛生産の振興に重点を置き、その推進を図ることとしております。(農業生産基盤の整備)  第三に、農業生産の基礎的条件である農業生産基盤の整備につきましては、食料自給力の強化、生産性の向上及び農業生産の再編成に資する事業等に重点を置いて推進することとし、八千七百八十九億円を計上しております。  (農林水産技術の開発・普及と情報システムの  開発整備)  第四に、農林水産業・食品産業等の生産性の飛躍的向上等に資するため、産・官・学の連携強化による総合的なバイオテクノロジー先端技術の開発を推進するとともに、その発展の基盤となる遺伝資源の総合的確保を図る等農林水産技術の開発・普及を推進することとしております。  また、最近の情報処理技術等の目覚しい発達に対処して、農林水産情報システムの開発・整備推進することとしております。  (活力ある村づくりの推進)  第五に、農林水産業にいそしむ人々が、意欲と生きがいを持てるような活力ある村づくりを推進するため、農村、山村、漁村のそれぞれにおいて、農林漁業に基盤を置いた農山漁村の建設を進めることとしております。  また、農業・農村整備計画の策定、生産基盤と生活基盤の一体的な整備、山村等における定住条件の整備等を推進することとしております。  (農林漁業金融の充実)  第六に、農林漁業制度金融につきましては、総合施設資金の貸付対象者の追加、新規用途事業資金の充実等新たな資金需要に対応した融資内容の充実を図るとともに、貸付条件の改定等を行うこととしております。  (農産物の価格・流通・消費対策推進等)  第七に、健康的で豊かな食生活の確保を図るため、農産物の需給と価格の安定に努めるとともに、日本型食生活を中心とする望ましい食生活の定着促進を図ることとしております。  また、地域食品の振興や食品産業の技術水準の向上を図るとともに、食品流通の合理化を進めてまいります。  以上申し上げましたほか、国際協力、備蓄対策推進するとともに、農業者年金制度の適切な運営、災害補償制度の円滑な運営、繭糸価格安定制度の健全な運営等に努めることとしております。  (森林・林業施策の充実)  第八に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。  来るべき国産材時代に備えて、国産材の大量安定供給体制の整備と森林の適切な管理を図るため、流域を単位とする広域の林業主産地における生産基盤、流通加工・展示販売施設の総合的整備と林業担い手の育成確保を図るとともに、間伐対策を拡充することとしております。  また、国土保全対策の充実と林業生産基盤の整備を図る観点から、治山、林道、造林の林野関係一般公共事業について二千八百十九億円を計上しております。  さらに、木材の需要拡大対策と流通対策の充実強化を図るほか、新林業構造改善事業、水源林等の整備対策、松くい虫対策等を推進することとしております。  (水産業の振興)  第九に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。  二百海里時代の定着に即応した水産業の振興と水産物の安定的供給の確保を図るため、漁港等の漁業生産基盤の整備を計画的に進めることとし、千九百五十一億円を計上しております。  また、我が国周辺水域の漁業の振興を図るため、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業、新沿岸漁業構造改善事業等を推進するとともに、沿岸域における計画営為の推進、沿岸地域活性化緊急対策の展開等により活力ある漁村の形成を図ることとしております。  さらに、海洋水産資源の開発、海外漁場の確保対策を進めることとしております。  このほか、漁業経営をめぐる厳しい状況にかんがみ、漁業生産構造の再編整備、中小漁業融資保証機能の確保、漁協信用事業の整備強化を図るほか、水産物の消費拡大対策、流通加工対策等を進めることとしております。  (特別会計予算)  次に、特別会計予算について御説明いたします。  まず、食糧管理特別会計につきましては、米の政府売り渡し価格の引き上げ、管理経費の節減等食糧管理制度の運営の改善合理化に努めることにより、一般会計から調整勘定への繰入額を三千四百七十億円にすることとしております。  また、過剰米の処分に伴う損失を計画的に補てんするため、一般会計から国内米管理勘定へ千九十億円を繰り入れることとしております。  国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業の経営改善を引き続き推進することとし、事業運営の改善合理化等の一層の自主的努力とあわせて、国有林野における造林及び林道事業並びに職員の退職手当に要する財源について資金運用部資金の借り入れを行うほか、一般会計から所要の繰り入れを行うこととしております。  また、現行の自作農創設特別措置特別会計につきましては、前に述べましたように農業経営基盤強化措置特別会計に改組しますほか、農業共済再保険等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。  (財政投融資計画)  最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫等による総額八千五百十億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。  これをもちまして、昭和六十年度農林水産関係予算の概要説明を終わります。     —————————————
  276. 大村襄治

    大村主査 以上をもちまして農林水産省所管についての説明は終わりました。     —————————————
  277. 大村襄治

    大村主査 質疑に入るに先立ちまして、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔、明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野等君。
  278. 天野等

    天野(等)分科員 実は私、けさ朝日新聞を見まして大変驚いたわけでございます。私、きょう質問をする事項につきましては、事前に私の問題とする事項を通告をいたしておいたのでございますけれども、やはりこの問題を一応政府にお尋ねをしておきたいと考えました。  それは、まず「全糧連会長系の業者摘発 やみゴメ大量売買」というような見出してございまして、この見出しだけぱっと読みますと、全糧連の会長系でやみ米を大量に売買をしている、全糧連というのは、もちろん政府が指定法人として認めている主食の販売法人でございます。ここが大量にやみ米の売買をやっているのかということでは、もう大変な問題であろうかと思います。この点について、まず政府の今までの状況等をお聞きいたしたいわけでございますが、時間が限られておりますので、私の方である程度整理をいたしまして質問いたしますので、それに応じた形でお答えをいただきたいと思います。  まず第一は、この新聞情報によりますと、食糧庁は山形県食糧株式会社に対して食管法所定の聴聞手続を行ったということが報じられておりますけれども、このような事実があるのかどうか。そうしてまた、これがあるとすれば、いつ、どのような方法でこの聴聞手続が通告をされたのか。また、この聴聞手続を通告されたと言われております山形県食糧株式会社という会社は、農林水産省あるいは食糧庁からどういう許可を受けて業務を行っている会社なのか。また、食糧庁が食管法所定の聴聞手続を通告したとすれば、当然この山形県食糧について食管法違反の事実を認知されているということだと思いますので、どのような食管法違反の事実を食糧庁としては認知されておられるのか。こういう点についてまずお尋ねいたしたいと思います。
  279. 石川弘

    ○石川政府委員 けさほどの新聞報道でございますが、まず公開の聴聞につきましては、山形県食糧、これは特定米穀の集荷業者、それから特定米穀の販売業者としての鑑札を持っている会社でございますが、こういう会社と、もう一つ矢萩商店という会社がございまして、この会社も特定米穀の集荷業者、特定米穀の販売業者の免許を持っているものでございます。この二つの会社につきまして、昨年末以来食糧管理法の規定に違反して不正に埼玉県下の無許可の米販売業者に米を販売している疑いがございました。そういう疑いが生じまして、その事実を我が方としてある程度承知をいたしましたので、食糧管理法第八条ノ二第五項によりまして処分を行うことにつきまして、不利益処分をいたすわけでございますので公開の聴聞の手続をとることといたしまして、三月二日にこれを相手方に通告したわけでございます。公開の聴聞は三月二十日を予定いたしております。
  280. 天野等

    天野(等)分科員 新聞の書き出しのところでは、まず「聴聞手続きを内密に通告していた」というような記述があるのでございますが、この通告は正規になされたものなのかどうか、この点いかがですか。
  281. 石川弘

    ○石川政府委員 公開の手続をやるわけでございまして、三月二日に食糧庁の山形食糧事務所に公示をいたしますと何時に両社に通告をいたしております。
  282. 天野等

    天野(等)分科員 この山形県食糧株式会社は今のお話ですと特定米穀ということですから、くず米とか砕米というようなものの販売の資格を持っておった業者かと思いますが、結局この事件は、今の長官のお答えでもございますように、山形県食糧株式会社が何らの許可を受けていない武蔵糧穀にやみ米を送り込み、そしてそこが東京一円のスーパーである丸正チェーンにまた米を販売していたというようなことが新聞に出ておるわけでございます。こういう事実については食糧庁も認知しておられるわけでございますか。
  283. 石川弘

    ○石川政府委員 新食管法以来、不正規流通等につきまして関係都道府県あるいは私どもの食糧庁がいろいろと指導してまいりました。かなりの是正が行われておりましたけれども、今先生御指摘の東京都におきます丸正チェーン、これは正規の許可を持っている小売の業者の方もあるのですが、店によっては正規の許可をお持ちになっていない、こういうところでかなり反復的に販売が行われていた。それにつきまして東京都あるいは食糧事務所等から再三にわたる指導あるいは警告等が行われてきたわけでございまして、そのような事実は承知をいたしております。
  284. 天野等

    天野(等)分科員 武蔵糧穀と丸正チェーンとの不正規米、簡単にやみ米と申し上げますが、やみ米の扱いというのはいつごろから行われていたものか、あるいは食糧庁としてはいつごろからこれを認知しておられるのか。
  285. 石川弘

    ○石川政府委員 私どもが比較的はっきりそういう流れておりますことの事実を確認できましたのは、そう遠いことではございませんで、今回の事案の端緒は昨年の末でございます。
  286. 天野等

    天野(等)分科員 昨年の末というのは、この山形県食糧と武蔵糧穀との関係なのではないのですか。武蔵糧穀と丸正との関係はそれよりははるか以前に認知されていたのではないでしょうか。
  287. 石川弘

    ○石川政府委員 今御指摘のような両社の関係をもう少し漠然とした形で、何らかの形でつながりがあるということはそれ以前の形でも承知いたしておりましたけれども、こういう事案でございますので、ある程度具体的な姿として私どもが特にそこに至る供給源も含めて事実を確認できたのは、先ほど申しました昨年の暮れ以降でございます。
  288. 天野等

    天野(等)分科員 この新聞の中にも「全糧連傘下のコメ業者が長年にわたって不正規米売買の大きな拠点となっていた」ということが言われているわけです。この中で書かれています。それに対して食糧庁としてもこれはどうだったのかということをお答えいただかなければならないと思うので、それでいつごろからこの不正規米の流通を突きとめていらっしゃったのかということで、いつごろという時期を私はお尋ねしているのです。いかがですか。
  289. 石川弘

    ○石川政府委員 こういう不正規流通のうわさはいろいろな姿で私どもの耳に入ってまいるわけでございますが、事柄をきちっと処理いたしますためにはそれを具体的に把握をいたしませんと——と申しますのは、これは不正規で流通をなさるわけでございますから、白昼堂々という話では余りないわけでございます。今回の事案もかなり時間をかけまして、いわば張り込みと申しますか、そういうことをやった上ではっきりさせた事案でございます。  したがいまして、今一般論としていろいろなうわさが飛び交っておったということ、それから現に丸正チェーンの方でそういうやみ米の扱いが行われたという事実はございましたけれども、特定の業者の方に結びつけるというのはなかなかできなかったわけでございます。したがいまして、今回はそういうことで比較的米の流れがはっきりした。そういう意味ではっきりしたのは今回の昨年末以来の私どものいろいろな調査の結果ということを申し上げているわけでございます。
  290. 天野等

    天野(等)分科員 この山形県食糧と武蔵糧穀との関係も、埼玉の食糧事務所の職員が張り込んでおったということですから、恐らくかなり前から予想はされておったと考えられるわけでございますが、こういうやみ米の流通についてのうわさあるいは事実をつかんだ場合に食糧庁としてはどういうふうに対処されてこられたのか。  また、この新聞によりますと、いつも新聞で申し上げて申しわけないのですが、一応情報ですから申しますと、「丸正については、食管法による処分ができない」ということが書かれておるのですが、これもおかしいのではないかと思うので、その点も含めてお答えいただきたいと思います。
  291. 石川弘

    ○石川政府委員 処分ができないということではございませんで、要するに許可を持っております業者についてはその許可についていろいろな是正をさせるという行政の仕方があるわけでございますが、全く許可を持っておりません者の処置の仕方といたしましては刑事的な訴追の仕方によるというわけでございます。こういういわば行政的な許可というものを前提にした事案でございますので、私ども司法当局ともいろいろそういう打ち合わせをしながらやるわけでございますが、行政的にできるだけの措置をとった上でなおかつ是正の見込みがないというときに司法の手続をとるというのが我々の行政のやり方だと考えておりますし、司法当局ともそういう話し合いをやっておりまして、極力行政的な措置としてやったわけであります。  まず、一つ一つ厳に違反の事実をつかまえて、これは都道府県知事の許可にかかわることでございますので、例えば丸正の場合だと都というのが一義的に指導していただき、あるいは我々もそれを応援することもやるわけでございますが、それと同時に、そういうところに流れ込んできております米の源をつかまえるといいますか、そこを把握するということで、今度そういういわば川上の方に我々としての行政措置が及んできたわけでございます。したがいまして、私どもも今までもそういうことでやってまいりましたし、そういうことの成果も徐々にではございますが現実に姿をあらわしてきておりますので、今後もそういう方法をもってやっていきたいと思います。  そういう意味で、さらに、いろいろな形での行政的な措置をとりましてもなおかつ事柄がやまないという場合には、司法的な手段に訴えざるを得ないと考えております。
  292. 天野等

    天野(等)分科員 実は問題なのは、この山形県食糧が扱ったやみ米の発生元、これが一つは農家から流れる未検査米、庭先から流れる未検査米というものと、それからその後が大変ゆゆしい問題でありまして、既に検査を受けて政府米あるいは自主流通米として売り渡された正規のものがもう一度不正規の流通ルートに乗っているのではないかということなのです。  まず、具体的に、この山形県食糧の問題についてはこういう点はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  293. 石川弘

    ○石川政府委員 具体的な事実になりますと、これは現在公開の聴聞を終わっておりませんので私からお答えするのはまだ差し控えさせていただきたいと思いますが、今回の事案につきまして明らかに正規ルートから還元したという事実を私ども確認するというようなことには至っておりません。しかし。個別具体的な事案については、今回の聴聞を終わりました段階で、そういう不利益処分をかけるということについての向こう側の弁明の機会を与えました後に御説明をさせていただきたいと思っております。
  294. 天野等

    天野(等)分科員 実は、従来もいわゆる正規の売り渡しを受けた米が不正規流通に紛れ込んできているという例があり、告発をされた例もあったと思いますけれども、こういう事態を黙って見過ごしておいたのでは米の正規の流通は本当に図れないだろうというふうに考えるわけでございますが、今後とも、この問題も含めて、そういうことのないような何らかの対処というものをお考えでございましょうか。これは大臣、いかがでございましょうか。
  295. 石川弘

    ○石川政府委員 不正規流通につきましては、これは御承知のように、発生する農家段階から関係して流通をいたさせます集荷業の段階、あるいは販売業の段階、販売も卸の段階、小売の段階と各段階であるわけでございますが、私どもといたしますれば、これは五十六年以来の新しい食管法の建前は、そういう業として行うところで違反がないようにしていこうということでございます。  正規の集荷、これは御承知のように農協系もございますし、商系もございます。そこで集荷をするようないわば太いパイプをつくってあるわけでございますので、それを育成してまいりまして、今回のような本来米を集められない方の方へ流れる道を捕捉するということがまず肝心かと思います。  それから、販売以降の段階につきましては、御承知のように、これは需要に応じた形で品質なり産地におけるいろいろな特色も含め、自主流通、政府米を通じて流れるようにしているわけでございまして、そういう業者の需要にこたえて政府が適切に米を流していく、そういうような今回の法改正の体系と申しますかそれを逐一実施してまいります。と同時に、不正規という問題があるわけでございますが、今回の場合のように不正規でありますものについては厳重な処断をしていくということで、この流通ルートをはっきりさせていきたいと思っております。
  296. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 私、これを長官から報告を受けました。未検定米を横流ししたということでございますが、これは事実をよく調査するということで、仮にこういう事実があれば厳しく処分するようにということを長官に言っておるわけでございます。
  297. 天野等

    天野(等)分科員 この問題についてもう一つお尋ねしておきたいのですけれども、これは新聞の中にも指摘がされておりますけれども、世上不正規流通米百万トンということが言われております。これが流通していることも農林水産省としては恐らく否定はされないだろうと思うのです。そういう中で、これを正規の流通ルートに乗せていくにはどういう施策が必要なのかということで考えていただかなければならないのじゃないか。  それはなぜかと言えば消費者の立場に立ちましても、この不正規流通米というのは悪い米を高く買わされる一つのルートになってくるのじゃなかろうかというふうにも考えるわけです。特に米の銘柄とか価格等についての表示が余り信用できないというような話も聞くわけでございまして、その根源はこの不正規流通米にあろうかと思うわけでございます。  その大もとをもう一つたどっていけば、今度はつくった米を農林水産省の方で全量買い上げてもらえないという予約限度数量というこの制度、これをそのままにしておいてやみ米をなくせと言っても、これは到底できないことじゃないかと考えるわけですが、本当に百万トン近い需要があってそれが不正規の流通であるとすれば、これをなくすために思い切った手段をとる必要があるのじゃなかろうか、この点はいかがでございましょうか。
  298. 石川弘

    ○石川政府委員 予約限度数量の制度につきましては、先生御承知のように米の生産調整を実効あらしめるという観点から、要するにごく普通につくっていただいて、それが普通の作の場合は限度数量の中で政府として買い入れるだけの余力は十分あるわけでございまして、ここ数年特に作の悪い段階では限度数量を超えないというところが多かったわけでございます。  しかし、ことしのように例えば作況が一〇八というようなことになりますと限度数量を超える米が出るわけでございまして、そういうものにつきましては超過米ということで私ども集荷を促進いたしておりまして、現にことしにおきましても相当量のものが超過米という形で正規のルートへ入ってくるわけでございます。正規のルートに入ってきましたものは、政府の操作の仕方の中で、農家の手取りにつきましてもそれなりのものは確保できるように私どもはやっているわけでございます。  私ども、食糧管理制度を守っていただきますためには、そういう限度数量を超えました場合でも、これは超過米という制度で現に我々が集荷をしていただいたものを動かすわけでございますので、それに御協力いただく、こういう制度を理解していただいた上でやっていただきませんと、今御指摘のように不正規流通の方に回りますといろいろな食糧管理制度を崩壊させるような形に動くわけでございますので、関係者の理解を得ながらそういう方向へ誘導してまいるつもりでございます。
  299. 天野等

    天野(等)分科員 限度数量の問題については、論じていますととてもこの時間ではできないと思いますので、また後の機会を持ちたいと思いますが、もう一言この問題で。  消費者の立場から考えて、我々が通常の米の販売店から買っている米がやみのルートを通ってきているのじゃないかという不安、したがって価格、銘柄等も余り信用できないのではないかという不安が生じるのは当然だろうと私は思うのですが、こういうことについて農林水産省としても今後どういうふうにお考えになっていくか、この辺は大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  300. 石川弘

    ○石川政府委員 お米の販売店につきましては、相当の数の正規の小売業者の方々をつくっておりまして、特に最近におきましても一種の販売の拠点を新たに設けさせるというような形で、消費者の方に御不便のない正規の販売店の整備をしてあるわけでございますが、そういうところをお使いいただくと同時に、そういうところでは表示も地方公共団体と一緒になりまして適切な表示をするように努力をいたしております。そういう形で正規のルートのお米をそのままお使いいただいて、しかも表示等についても内容と表示が食い違うことがないように今後も指導していくつもりでございます。
  301. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 天野先生にお答えします。  実は私は個人的に米屋さんと消費者というのは非常に信頼関係で結ばれておると思うのです。私の自宅でもそうですが、米屋さんとは三十年来のつき合いということで信頼しておる。そういう家庭が多いのではないでしょうか。そういう形の中に、今長官が言ったようなことですが、適切な流通ができるように十分措置をして、そして先生のおっしゃるような懸念をなくしたい、このように考えております。
  302. 天野等

    天野(等)分科員 実は私はほかの問題に移りたいと思ったのですが、質疑の時間がございませんので、この問題で質問を終わりたいと思いますのでもう一言お伺いします。  今の問題なんですが、大臣、確かに消費者と米の販売業者というのはかつてはかなり深いつき合いをしておったと思うのでございますけれども、今のこの都会生活、あるいは農村においてもそう違わないと思いますが、スーパーの存在とかその他のいろいろな条件の中で、必ずしも米屋と消費者がそう信頼関係で結びついているとは言えない。あのビニール袋の中に入っている米が本当に表示どおりであるかどうかについて、いつも疑いの目を持っているというのが消費者ではないかと私は思うのです。そういうことはないのだという信頼関係をもう一度つくり直していただかなければならない。その責任は農林水産省にあるのではないかと考えておりますので、今後ともひとつよろしく努力をいただきたいと思います。
  303. 大村襄治

    大村主査 これにて天野寺君の質疑は終了いたしました。  次に、川崎寛治君。
  304. 川崎寛治

    川崎分科員 大変限られた時間に少し項目が多いので、私も端的にお尋ねをいたしますから、答える方も明快な答弁をしていただきたい、こういうふうに思います。  アメリカの農業が今不況が大変深刻でありまして、金融危機というものが深刻に進行しておると思います。オハイオ州などは、州立大学の調査によりますと三軒に一軒は危ない状況にあるということも言われておるのでありますが、そういう中で日米貿易のインバラというのは、一方では農産物に大変大きなシフトがかかっているわけです。  ただ、ここで私は、最初であるし、また結論の方でも詰めなければいかぬ問題でありますけれども、つまり平均的な日本経済論というのをやりますと、自動車や鉄鋼や電気製品がどんどん出る、だから農産物を日本がどんどん買うのは当たり前だ、こういう議論がアメリカ側にもありますし、日本の財界にもあると思います。しかし、平均的な日本経済論でまいりますと、具体的に言えば私は鹿児島です。そうしますと、神奈川県が鉄や自動車や電気製品をどんどん出す、我が鹿児島県は牛肉それからオレンジ、でん粉あるいは骨なしの鶏、こういう問題を全部受けるのは鹿児島のような僻地ですね、後進県。これは、私は少しきちっとしたことを方針を立てていかなければ、現象が出たたびに対応するというようなことをやっておったのでは農家にとっては本当に不安だと思うのです。  ですからここは、平均的な日本経済論というのと地域経済というものをどうしていくかという国の基本方針が急いで確立されなければならないということを前提に置いて、具体的にお尋ねをしたいと思います。アメリカ農業の深刻な状況というのも説明を聞きたいと思いましたが、これは別の機会にいたします。ここで聞いておったら時間がなくなりますので。  冒頭申しましたような深刻な状況であるとすると、ことしから来年にかけ、特に来年は今休戦状態にあります十三品目の問題、来年の四月、そうすると秋ごろからは交渉の問題が出るでしょう。再来年はまた牛肉、こういうことになりますので、農業の不況が深刻になればなるほどいろいろな圧力が出てくると思うのです。  そこで、十三品目の中に、私の鹿児島県で言えば芋でん粉というのが入っているわけです。そうしますと、十三品目というのはどれをとってみてもその地域農業の柱になっているわけです。そこで具体的な秋ごろからの交渉というものも出てくるのでありましょうが、そういうものに対して農水省としてはどう対処しようとしておるのかというのが一つ。  もう一つは骨なし肉の場合も出てきますが、タピオカでん粉が東南アジアから猛烈に攻勢がかけられておるわけです。この二点について伺いたいと思います。
  305. 眞木秀郎

    ○眞木政府委員 最初に十三品目全体の問題について申し上げたいと思います。  御案内のとおり、この問題は昨年四月、日米間で合意を見たところでございまして、今後二年間は一応平穏な状態に置かれるということで現在も推移しているわけでございます。しかしこの問題、来年の四月以降の取り扱いが問題となるわけでありまして、これについては当然アメリカ側からも我々の方に対して何らかのまた注文と申しますか、要請が来るのではないか、しかるべき時期に両国間で話し合うことが必要であると考えております。  今先生御指摘のように、これら十三品目は我が国農業にとって地域的にも非常に重要な産品ばかりが残っておるわけであります。アメリカにおきます農業政策の変更等の問題もございまして、こういう問題を十分注意をして見きわめながら、その対応に当たりましては、これまでもるる申し上げておるように日本の農業を守りながら、そこに一番の基本を置きながら対応してまいるということで、慎重に臨んでまいりたいと思います。まだこの時点でございますので、何ら具体的なことはございません。
  306. 塚田実

    ○塚田政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、でん粉は南九州及び北海道においてなくてはならない重要な畑作物でございます。先般の日米農産物交渉におきましても、アメリカ側は輸入制限の撤廃または緩和について非常に厳しい要求を重ねてきたわけでございますけれども、御案内のような激しい交渉の結果、私どもとしては現行の制度を堅持することができたわけであります。これからも、東南アジアも含めて私どもに対していろいろな要求が出てくると思いますけれども、この現行制度を堅持するということが畑作農業を守る重要な道であると私は考えておりますので、今後とも慎重に対処してまいりたいと考えております。
  307. 川崎寛治

    川崎分科員 そういう慎重な態度で、特に外務省なり通産省なりいろいろあるでしょうが、そこはきちっと対処していただきたいと思います。  一昨年牛肉枠拡大、これはアメリカ並びにオーストラリア。そこで、それ以降の食肉流通統計というのを見ておりますと、五十八年の暮れ、特に五十九年の一月ころから和牛の雌の屠殺頭数が急速に伸びておる。ですから、これはつまり先の展望がなくなってきているという不安のあらわれであると思います。現にこの二月末の鹿児島の一番中心地である曽於郡の競りを見ておりましても、前回から比べてまた一万円下がっておる。雌で二十二万、去勢のものは二十九万、やはりとまっておらぬのですね。去年の夏ごろから少しとまったのではないかという見方もありましたけれども、そうじゃなくて、主産地である鹿児島を見るととまってない。雌の屠殺がふえておるということは和牛雌資源を長期に増殖をさせていかなければいかぬという農林水産省の基本的な方向とはずれていると思うのですね。  そこで、今現地でも非常に不安に思っておりますので、こういう育成用の雌牛についての意欲を失っている状況というものを支えてもらう、そして長期展望を持たせるということのためには、子牛生産拡大の生産奨励についてはこれまで規模拡大のために一頭二万、それから経営維持のために一万という奨励金がついておったわけでございますけれども、行革の中でいろいろと議論もありますが、しかし長期的な食糧自給率、特に今たんぱく資源の確保、そういう面から言いますならば引き続き継続し、さらに発展させるべきだ、私はこう思うのです。いかがですか。
  308. 野明宏至

    ○野明政府委員 肉用子牛価格につきましては、五十五、六年ごろ大変高騰いたしまして、その後五十七年の春以降下がり出したわけでございます。これは昨年の夏ごろまで続いたわけでございますが、こういった状況に対処いたしまして、肉用子牛価格安定制度によりまして補てんをいたしますとともに、いわば子牛の需要喚起をするということで繁殖雌牛を導入する、そういうものを促進していくための奨励金を出したり、それから肉専用雌子牛、この資源をやはり確保しなければいかぬということで、そのための事業を進めるとか、さらには肥育経営が素畜を円滑に導入しなければいけませんので、その導入の促進というふうなことをやりまして価格の回復を図ってまいりまして、その結果昨年の夏ごろから価格は回復に向かってまいっておるわけでございます。一本調子ということではなくて、ただいまお話しありましたように、鹿児島の場合には若干ペースを落としておるわけでございますが、方向としては全国的に回復の傾向で動いておると言ってよかろうと思います。  そういう中でございますが、繁殖経営におきます子牛の生産の拡大ということは大変大事なことでございますので、子牛生産の拡大意欲を向上していくというふうな観点から、今お話しございましたように、繁殖雌牛頭数の拡大ということと経営の維持強化というふうな観点から奨励金を交付しておるわけでございます。こういった問題につきましては、今後の子牛価格の回復の動向を踏まえつつ、我が国国内の肉用牛生産の安定的拡大を図っていくという観点からよく検討いたしまして、適切に対処してまいりたいと考えております。
  309. 川崎寛治

    川崎分科員 適切に対処ではなくて、さっき私は継続してくれと言ったのですが、そこのところは制度をこれからどうしますか。適切に対処しますなんてお役人の言葉というか、そういう答弁用語で言うのではなくて、具体的に聞いているのだから、その制度に対してどうしますと……。
  310. 野明宏至

    ○野明政府委員 これは畜産振興事業団の指定助成事業ということで毎年決めておる問題でございます。まだことしどうするかという点については検討中でございますので、先ほど申し上げたような事情を踏まえて対処していきたいと思っております。
  311. 川崎寛治

    川崎分科員 踏まえてということですから、してもらえるものというふうに理解をいたしまして、また確信をいたしておきます。お願いしたいと思います。  そこで、五十七年大変苦しくて赤字を受けたわけですが、赤字負債を抱え込み面倒を見てもらいましたね。しかし、それが償還期に来ているわけです。来ておるけれども、さっき言ったような日米農産物交渉というものも私は響いておると思うのですが、それと国内の消費不況というものと相まっておるわけでありますから、そういう中で償還期が来ておってもなかなか返せない。  具体的に細かく見ますと、延納の実態は肉用牛で二四%、養豚で二五%、ブロイラーで三〇%というぐあいに今既に払えないでとまっておるというのがあるわけです。ですから、これまで肉畜経営改善資金でずっと見てきてもらっているわけですが、このことについてもむしろここで抜本的に改善してほしい、そして新たな負債整理資金の制度をぜひつくってほしい、こういう要望が強いわけです。国に何もかも依存するな、自主自立というあれもありますけれども、しかし実際には今置かれた環境に追い詰められておるわけですから、そうした抜本的な負債整理のための資金制度をぜひつくってほしいと思うのですが、いかがですか。
  312. 野明宏至

    ○野明政府委員 この問題につきましては、急速に規模を拡大していった肉用牛農家の一部に、生産資材価格や畜産物の価格変動に加えてなかなか生産性向上もおくれておるというふうなことで、一部の農家で負債が固定化して借入金の償還が困難になる者が見られたわけでございます。  そこで、今お話しのございました五十七年度に、既に貸し付けてあるものについて地元の金融機関において償還期限の延長とか、そういったいわば自助努力をやっていただくとともに、肉畜経営改善資金ということで資金の貸し付けを行ったわけでございます。同時に大切なことは、農家みずからの経営や家計全般にわたる努力と関係団体による経営指導というものが伴っていくことが必要でございまして、そういう中で経営の改善向上を図っておるわけでございます。  その後の動向でございますが、肥育経営につきましては枝肉価格やえさの値段も安定して推移しておるわけでございますし、また肉専用牛につきましてはかってのような高い素畜価格ではない、大変低下しておる、これはまた一方では今回復しつつあるわけですが、そういう中で、経営状況を見ましても全般的には経営は改善されていると言ってよかろうと思います。ただ、先ほどもお話しいたしましたように、急速な規模拡大の中で素畜費とかえさ代なんかにつきまして借入金依存度の高い経営がございます。それから、過去素畜が非常に高いときにそれを導入した経営というふうなものもございまして、個別経営の中にはなお経営の改善向上が十分でないものがあると考えられるわけでございます。  こういった点につきましては、一定の要件に該当するものにつきまして、自作農維持資金の中に再建整備資金というのがございます。こういったもので対応しつつ経営改善をさらに図っておるわけでございますが、なお今後とも、先ほど申し上げました関係団体等によります経営指導を通じまして経営の改善を図ってまいるということが一つ。それから、同時に、枝肉価格なりえさ価格なり素畜価格、そういったものの動向を見ながら、また実態も十分把握いたしまして検討をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  313. 川崎寛治

    川崎分科員 いろいろとやりとりをしたいんですが、あともう十何分しかありませんからこれはなかなか詰められぬのですが、ともかく償還期に入っているんですけれども苦しいわけですから、負債整理ということについては、今言われたような、支えると同時に力をつけなければいかぬわけであります。と同時に、負債整理という具体的にぶつかっておる問題については、それをさらに整理資金の制度というか、制度と言うとすぐかたくなるんでしょうけれども、整理資金で見ていくということについてはよろしくお願いをしたいと思います。  先ほどもちょっと触れましたが、アメリカは骨つき、タイは骨なしで、関税の問題やいろいろありますが、しかし関税の問題はきょうは抜きます。これは両方のいろんな議論がありますが、また大蔵でもやります。  そこで、なかなか難しいんですよね。東南アジアは日本との貿易を伸ばしたいという要求が強いと思いますし、日本経済全体としてはその要望にもこたえてやりたいという、考えなければいかぬ問題もあるわけです。しかし、一方、我が鹿児島は日本一のブロイラーの産地、こうなりますともろに受けるわけですからね。しかもタイは九〇%以上が日本に向けている。ただ、ここで問題になりますのは、商社が出ていって向こうでやって、そしてどんどんこっちへ入れる、こういうのが非常にあるわけです。だから、私はこれは少し厳しく抑えなければいかぬ面もあるんじゃないか、こういうふうに思うのです。それが一つ。  それから、そういうタイからの要求、これは経団連が東南アジア視察団を出しておりますので、その視察団の帰ってきた人たちの要求というのはうんと入れたらどうだという方向ですから、これはまさに冒頭言った問題にぶつかるわけですけれども、私はそうしたことはさしちゃいかぬと思いますから、この点についてはひとつ毅然とした態度で対処をしてもらいたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  314. 野明宏至

    ○野明政府委員 骨なし鶏肉の問題につきましては、国内生産は大変過剰でございまして、生産者は計画的生産に努力しておる。それから、タイからの輸入も非常にふえておるわけでございます。したがいまして、決して関税が障害となっているとは考えられないのじゃないかということで、この問題については大変困難な状況にあるのじゃないかと思っておるわけでございます。  それから、もう一点の商社の関連でございますが、我が国の商社の中には国内で鶏肉生産に関与しておる者がございます。それから、合弁企業とか何らかの形でタイでの鶏肉の生産なり処理に関与をしている企業もございます。他方、タイに進出しております企業の中には、国内におきましても鶏肉生産をかなり行っておるという者もあるわけでございます。こういったことでございますので、このような商社の立場というものが関税の引き下げに積極的であるというようには必ずしも承知しておらぬわけであります。いずれにいたしましても、鶏肉の輸入に関しましては、食鳥協会というふうな場で国内の生産者のグループとそういった輸入に関与しているグループがよく相談をするようなことを指導しながら、国内生産に大きな影響が及ばないようなこともやっていきたい、こう思っているわけでございます。
  315. 川崎寛治

    川崎分科員 国内生産について相当努力をしてヨーロッパ並みにということで一生懸命やっているわけですから、そういうのをつぶさないように、ひとつよろしくお願いをしたい、こういうふうに思います。  次は、酪農関係の問題ですが、これはあるいは鹿児島県の独特なあれにもなるのかもわからぬのですが、昨年猛暑で生乳の生産が非常に落ちたのですね。生乳の生産が落ちながらも、鹿児島では乳飲料がすごい勢いで伸びましたが生乳が売れない。そして工場価格も非常に落ちるというふうな状況が生まれたわけです。これは具体的に言うとぐあいが悪いことでもありますけれども、熊本とか大分とかそういうところの乱売、廉売というものの集中を受けて、鹿児島側が体制が悪かったんだろうと思うのだが、がくんと落ちちゃった、こういう状況があるわけなんです。  聞くところによりますと、そういうブロックで会議もやり、そういう状態というものを立て直すために努力もしておると思うのです。しかし一方では去年の暮れ、脱粉の緊急輸入などもあったわけでありますが、これは韓国米と同じ問題だとも思われます。生産者自身が自主調整をやっているときに一方で入ってくる、こういうふうな問題も打撃を受けているわけですから、二つの問題があると思いますが、そうした乱売、廉売で地域的な混乱というのが起きることに対しては、指導官庁であります農林水産省が指導をして、こういう状況を改善するということについて適切な御指導を願いたい、こういうふうに思います。いかがですか。  私、あと五分しかないので、もう一問ありますからひとつ……。
  316. 野明宏至

    ○野明政府委員 簡潔に御答弁申し上げます。  飲用牛乳の流通の混乱の問題につきましては、これを是正していくということで五十八年の九月に飲用牛乳の流通に関する取扱指針を出しまして、それに基づきまして関係者の指導に努めておるわけでございます。それの一環といたしまして、各県あるいはブロックで協議会をつくりまして是正のための活動を行っておりまして、最近では、五十七年の十月が百八十円以下のものが四九%だったのですが、去年の十月ではそれが一五%程度になるということで、全般的には極端な安売りは減ってまいっておるわけでございます。  ただ、九州では今かなりな安売りも見受けられるというふうな状況が出てまいっておるわけでございます。この点につきましては、飲用牛乳の流通というものはかなり広域化してまいっております。したがいまして、そういった混乱を是正していくためには、一つは地域の需給実態を十分反映させながら、県単位ではなくてブロックごとにいろいろな調整をやっていく、それで間に合わない場合にはさらにブロック間での調整もやっていくということが大変大事だろうと思っているわけです。したがいまして、県の担当部局、それから各地方農政局とも連絡をとりながらこの問題にはきちっとした指導をやってまいりたいと私どもは考えております。
  317. 川崎寛治

    川崎分科員 私、最後に一問お尋ねをして、それからもう一つ最後に締めくくりとして農林水産大臣にお願いしたいのは、冒頭申しました日本経済論というものと地域経済というものを考えた場合に、農林水産省としてそうした基本的な、つまり長期的なものをきちっとしてほしいということについての農林水産大臣のお考えを伺いたいと思います。  最後にお尋ねしますのは、学校給食ですが、文部省が行革法の一環として給食の民営化を進めておりまして、ここはいろいろ考え方の違う点がございますが、これはこの席での議論にはいたしません。ただ、学校給食における牛乳給食は、私は日本の酪農にとっては不足払いの問題と同時に大変大きな柱だと思います。特に骨の弱い昨今の子供の状況を考えますと、カルシウムを補給していく大変重要な問題だと思うのです。  そこで、学校給食における牛乳給食という問題については、いろいろと補助金の問題等財政上の問題も出てまいりますが、酪農振興の柱として、つまり子供の健康の問題と酪農の柱ということで継続をし、振興ということについて農林水産省の考えを聞かせていただきたいと思います。
  318. 野明宏至

    ○野明政府委員 学校給食の問題につきましては、五十九年度に、厳しい財政事情の中で、また臨調答申も踏まえまして、基本単価を一円カットいたしますとともに消費拡大の視点での工夫を凝らした形で枠組みをつくったわけでございます。  六十年度予算の要求に当たりましては、やはりこの点いろいろな論議があったわけでございます。財政は一層厳しくなるという中ではあったわけでございますが、予算自体は前年度より減額して要求いたしておるわけでございますが、別途畜産振興事業団からの資金を充当することによって基本的な枠組みを確保することによりまして、事業の実施に支障のないような形をとったわけでございます。この点につきましては、やはり現在の事業の基本的な仕組みを維持しながら一層の消費拡大が図られるように努めてまいりたいと考えております。
  319. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 川崎先生にお答えしますが、時間の関係で簡単に抽象的に申し上げます。  実は、私は骨なし鶏肉等実例を挙げてお話ししたいと思ったのですが、基本的に食糧というのは我々の国民生活にとって最も基礎的な物資であります。食糧の安定供給と安全保障の確保、これは農政の重要課題でございます。そんなことで、実は国会で御決議になりました食糧自給力強化に関する決議の趣旨を踏まえ、基本的に国内で生産可能なものは国内生産で賄うということを基本方針にしまして、総合的な食糧自給力の維持強化に努めたい、このように考えております。
  320. 川崎寛治

    川崎分科員 ありがとうございました。終わります。
  321. 大村襄治

    大村主査 これにて川崎寛治君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤誼君。
  322. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 最初に、畜産経営、とりわけ肥育牛の経営についてお尋ねしたいと思います。  畜産、特に肥育牛の経営が極めて厳しい状況にあることは皆さん御案内のとおりです。したがって、その実態及び経営が苦しくなった要因が何であるかということをお尋ねします。  また、今後、経営の悪化している肥育牛経営を改善するため、大変評判がよかったのですけれども、肉畜経営改善資金のような特別の資金の融通を検討すべきではないかというふうに考えるのですけれども、その点どのようにお考えであるか、お尋ねしたいと思います。
  323. 野明宏至

    ○野明政府委員 肥育牛経営の問題につきましては、その経営内容が悪くなった要因は何かというふうなお話がございますが、五十五、六年ごろ子牛価格が大変上がったわけでございます。その後子牛価格は低落に入ったわけでございますが、子牛価格が高いころ、肥育経営は大変であった。逆に子牛価格が下がってまいりまして肥育経営は今度は改善の方向に向かっておるわけでございます。そういうふうな関係にあるわけでございまして、肥育経営自体は全般的にはよくなってまいっておるわけでございますが、今申し上げましたような高いときに素牛を入れたというふうな経営、それから素畜牛とか飼料代とかそういうものについて借入金の依存度が非常に高いというふうなものの中に、一部なお経営の改善が十分でないものがあるわけでございます。  これらにつきましては、一般的な措置といたしまして、自創資金の中に経営再建整備資金というのがございます。これについても今度の六十年度予算の中でその条件が改善されております。そういったものも活用しながら経営改善に努めていくということが肝要だろうと思っておるわけでございます。
  324. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 今答弁されましたように、数年前の素畜が高かったということが現在の経営を大きく圧迫しておる要因の一つだと思うのです。徐々に改善しつつあることは確かなんです。ただしかし、負債額が長期にわたってずっと焦げついているということも事実なんです。したがって、回ってみると、先ほど言いましたような肉畜経営改善資金で大変救われたという声が非常に強いものですから、これから大変な状況を迎えるかとも思いますので、何とかこういう有効な資金の制度を考えていくべきではないかというふうに思いますので、特にその点要望したいのです。いろいろ聞いてみると、経営上一番頭にあるのは金利なんですよ。それからえさ、素畜、こういうふうな状況で出てくるものですから、今のような答弁である程度理解しましたけれども、金利問題が非常に大きいものですから、ぜひそういう制度を前向きでさらに検討してほしいというふうに考えます。  次に、牛肉の輸入の交渉が昨年一応決着を見たわけであります。しかし、御案内のとおり一九八七年、昭和六十二年以降の輸入については一九八七年度中に協議をするというようなことが言われているわけであります。したがって、今後の牛肉の需要と今の輸入の将来にわたる見通し、それに伴う国内生産、この辺の関係をどうとらえているか、これをまずお聞きしたい。
  325. 野明宏至

    ○野明政府委員 最近の我が国の牛肉の需給でございますが、需要と生産、年によって若干の変動があるわけでございますが、五十五年に、六十五年を見通しました需要長期見通しというものを閣議決定いたしております。おおよそその長期見通しの線に沿って推移しておるわけでございまして、これからの牛肉需給につきましても、特別な経済変動というふうなものがない限り、年ごとに若干は変動しながら動いていくと思いますけれども、長期見通しの線に沿って推移していくのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  326. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 私の資料によりますと、国内需要量の大体国内生産が七程度で輸入は三ぐらい、将来需要が伸びるというこのことに合わせながら輸入も考えていく、これが大体考え方だろうと思うのですが、そういう観点から、今の比率を維持していきたいということであろうけれども、しかし、状況としてはかなり先行き厳しくなるのじゃないだろうか。今までの日米交渉や日豪の交渉等を見ましてもそういうことが感ぜられますし、これはこれから先の話ですけれども、この間の新聞報道によれば、レーガン大統領が一九八五年農業調整法案ですか、というようなものを提案し、これが可決されていきますと、かなり大きな影響を日本の国なんかにも与えてくるのではないか。内容は御承知のとおりだと思いますが、特に一九八七年七月まで、その辺がうまくいかなければそれなりの圧力を当該国にかけますよというような趣旨が盛られているわけですね。  ですから、その辺を考えますと、かなり牛肉の自由化に対するアメリカ側の圧力が強くなっていくという想定の上に立って、これからの国内の需給体制なりあるいはまた肥育牛の健全経営のあり方を今から追求し準備していかないと、これは大変なことになるのではなかろうか。  したがって、そういう点で大臣に聞きたいのだけれども、これからの国際環境が非常に厳しくなるということを想定の中に入れた場合に、将来の国際化時代に向けて、国内の畜産経営、特に肥育牛経営をどのように指導していくつもりなのか、あるいはそれに対する対応をどう考えているのか、その辺の基本的な考えをひとつお聞きしたいと思います。
  327. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 佐藤先生にお答えいたします。  今、先生がおっしゃったようなことで、肉用牛の生産というのは、我が国農業の健全な発展と農山村の振興のために非常に大切なものだ、こう考えております。  そんなことで、一昨年成立しました酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律に基づきまして、肉用牛生産を我が国土地利用型農業の基軸としてEC並みを目指して頑張りたい、そんなことで、実は五つの柱を考えております。飼養規模の安定的拡大、飼料自給度の向上、肥育期間の短縮等による経済的な肥育の推進、経営内、地域内一貫生産の推進、飼養管理及び経営管理、技術改善等を図って、体質強化と生産の効率化を積極的に進めてまいりたい、こう思っております。  そんなことで、先生御存じのことでございますが、六十年度予算においても肉用牛の生産振興対策に重点を置き、生産から流通に至る各般の施策を総合的に推進したい、こう考えております。
  328. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 考え方と政策の方向はわかりましたのですが、予想以上に牛肉の輸入をめぐる国際環境は厳しくなる、自由化の圧力が強くなる、こういうことを我々は厳しく見詰めておかなければならぬのではないか。  それから、今いろいろ肥育牛の経営のことがありましたけれども、実際現地に行ってみると、本当に厳しく頑張っているわけですよ。ですから、その辺を十分もう一度実態調査されて、しかも経営されている皆さんは先行き非常に不安な面を持っていますから、その辺を十分把握されて、健全なる経営のあり方について指導していただきたいというふうに思います。  それでは次に行きますけれども、第三次の土地改良長期計画についてお尋ねしたいのでありますが、この計画によりますと、農地五百五十万ヘクタールを確保するということを目指しまして、多額の事業費を投入して農地造成事業を進めておるわけであります。ところが一方を見ますと、相当の農地が壊廃というか農地転用というか、そういうで形で普通に言えばつぶされていっているわけです。資料等を見ますと、昭和五十八年から六十七年度にかけて見ますと、大体農地造成が四十七万ヘクタール、それから自己開田が四万ヘクタール、つまり造成が五十一万ヘクタール。それから壊廃見込みが四十二万ヘクタール。したがって、差し引き九万ヘクタールが五十八年度の五百四十一万ヘクタールに上積みされて、六十七年度には五百五十万ヘクタールになる、こういう農地の見通しになっていると思うのです。  ところが私が注目したいのは、資料によりますと、農地造成のために四兆六千百億ですか、このくらいの金をかけているわけですよ。一方、壊廃されるのは四十二万ヘクタールも壊廃されていくという、このことではもっとやり方があるんじゃないか。こういうやり方ではなくて、この際、金がないんだから、農地造成もそれなりに壊廃の部分をもっと考えなければならぬじゃないか。そうすれば農地の造成の差し引きの増加分がふえていくわけですから、この辺の基本的な考え方はどうなんだろうということで、ちょっと疑問に思うものですから。考え方はどうなんですか。
  329. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 今先生御指摘のように、農地の造成面積と壊廃面積を対比してみますと、壊廃の方が造成を上回っておりまして、漸次農地面積が減少してきているというような状況でございます。これからの見通しにつきましても御指摘のとおりでございます。せっかく造成した農地でございますので、できればこれを確保していくということが一番望ましいわけでございますけれども、日本のような非常な高密度の社会におきましては、優良農地を確保することは当然でございますが、他面、都市的な需要に対しましても、地域的に農地からそういった方に向けざるを得ないような状況かと思います。したがいまして、私どもといたしましては、そういう農用地としての利用と都市的な需要との調整をいかにうまくやっていくか、そこの問題だろうと思います。  そういうことで、ただいま農振法あるいは都市計画法によりまして、合理的な土地利用を通じまして優良農地を確保していく、あるいは都市的需要に対応する農地を出していく、こういうことをやっております。かつまた、地方によりましては転用規制を行っておりまして、農用地の無秩序な壊廃の抑制をやっているような現状でございます。そういうことでございまして、あわせまして、農用地開発事業につきましても、そういう土地を必要とするところにつきましては積極的に農地をつくり出していく、こういうことをやっているわけでございます。  なお、耕作の放棄地でありますとか不作付地がかなりございます。こういう土地につきましては、もう少し利用するようなことを地域の問題としてこれから十分取り上げていく必要があるのじゃないか、このように考えております。
  330. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 日本のような状況では、農地の壊廃、転用というのはある程度それはやむを得ない点があると思うのですよ。ただ問題は、造成の方にこれだけ金をかけているわけですから、もう少し知恵を出して、その辺のところはうまく調整がとれるように——全体の予算の中で農林省予算がどんどん減っているでしょう、全体的、総体的に見て。特に、私は米どころの山形県だけれども、それに関係ある食糧管理費なんというのは一五%近くも落ち込んでいるわけです。ですから、その辺のところを考えながらもう少し有効に予算というものを考えていってはどうかという気持ちがあるものですから、したがってその辺のところをもう少し考える余地はないか、こういう関係で質問をしておりますから、それをひとつ十分受けとめていただきたい。  それから次に、時間がありませんので続いて二つのことを御質問申し上げます。  今申し上げたように、昭和六十七年度には農地五百五十万ヘクタールということで考えているようでありますが、その場合に、諸外国からの食糧輸入が途絶した場合、その五百五十万ヘクタールを有効に使いますと国民一人当たり二千八十カロリーが供給できる、こういうことを言っておるようですけれども、二千八十カロリーというと何年ごろのカロリーになるか。ですから五百五十万ヘクタール、このことをもっとふやす必要があるのじゃないかということ、食糧の自給という関係や食糧安保という関係から。このことが一つ。  それからもう一つは、過剰ぎみの状態にあるあらゆる作目の中で、何に転換したらフル回転して二千八十カロリーになるのか、この辺まで具体的に検討しているのかどうか。  それからもう一つは、「昭和六十年度土地改良関係予算の概要」というのを見ますと、第三次土地改良長期計画の投資実績がずっと出ております。これで見ると、六十年度で進捗率が一六・四%。したがって、これを一〇〇%第三次計画の中で完成させるためには、予算の伸び率を約二〇%ずつこれから上積みさせていかなければならぬ、こういう趣旨のことが書いてあります。しかし、今のような財政状況と全体的に抑えられている状況の中で、計量的な意味はわかるけれども、実際にこれができるのかどうか非常に疑問を持たざるを得ないわけです。この辺についてどう考えるか。その二点。
  331. 田中宏尚

    田中(宏尚)政府委員 最初に、不測の事態における食糧供給の問題でございますけれども、先生御指摘ありました二千八十カロリーというのは、ちょうど昭和二十七、八年ごろの状態と思っていただければ結構かと思います。  それから、この二千八十カロリーを五百五十万ヘクタールで供給しますためには、どうしても単位面積当たりのカロリー効率の高い作目を選択する必要がございまして、米でありますとか小麦、さらにはカンショ、バレイショ、こういうものの作付を傾斜いたしまして、単位当たりの熱量効率の比較的低い、野菜でありますとかあるいは畜産物、こういうものの生産は現在より減らすというようなことで、初めてこの二千八十カロリーが実現できるという試算になっております。
  332. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 第三次土地改良長期計画の進捗率の問題でございますが、六十年度予算案を入れて考えますと一六・四%の進捗率に相なります。そういうことで、これも御指摘ありましたように、一〇〇%の達成には今後伸び率二〇%とする必要があるということが出てくるわけでございます。  果たして大丈夫なのかという御指摘でございますけれども、これは十カ年計画でございます。六十年度でちょうど三年目になるわけでございますので、今後我々といたしましてもさらにこの計画の達成のために努力をしてまいりたいと思います。今の段階ではこの計画を変更する必要はないのではないかと考えております。
  333. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 後で答弁されました第三次土地改良事業をパーフェクトに完成したい、これはそのとおりだと思うのですけれども、実際は私は厳しいと思うので、その辺どういうふうに知恵を出すか、知恵の出しどころだと思いますので、かなりこの点に対する期待は強いものですから、それだけ申し上げておきます。  それから次に、圃場整備事業についてですが、近年圃場整備事業の工事が非常に高くなっているわけですね。時間がありませんから今細かい数字は言いませんけれども、私の手元にあるだけで、昭和五十八年度十アール当たり九十一万五千円という数字です。九十万を超しているわけですね。ところが、農家は御承知のとおり大変収入が減っている、こういう状況の中で農家が将来安定的に償還金の負担を行うことができるのかどうか、これはみんな極めて不安に思っているわけです。むしろ極めて難しい事態になってくるのではないかということを考えますと、今から負担軽減策として、公共事業ですから、工事費つまり単価を何とかもっと落としていくという方法は考えられないのか。それから国、公共団体等の補助の割合を引き上げることはできないのか。あるいはまた、公庫資金の償還期限、今二十五年ですか、これをもっと延長する措置を講じられないのか。私は今端的に三つのことを申し上げましたけれども、この辺あたりは真剣に農家の皆さんは考えているので、なかなかどれをとってみても対応するとなれば厳しいと思いますが、何とか考えられないのか。このまま行ったらパンクするという状態になってしまうのではないか。  参考に申し上げますと、例えば農林漁業金融公庫の資料によりますと、圃場整備昭和四十七年、これはオイルショック直前ですか、これを一〇〇にした場合、指数で五六九と出ているのです。米価は二〇二ですよ。それから農外所得が三七三、農家所得が二八五、消費者物価が二二六、こういう数字ですね、ずば抜けて圃場整備の指数が高いわけです。そうなりますと、米価所得、農外所得、農家の所得というものとの見合いで払っていくわけですから、この辺非常に心配なわけです。どう考えますか。
  334. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 最近、圃場整備事業費の十アール当たりの単価といいますか事業費が上昇してきているわけでございます。これは工事費が上昇してきているということもございますけれども、最近の実施地域が平場から中山間地帯へ移ってきております。また、その中身につきましても、汎用水田をつくっていくというような中身になっておりまして、つまり水田整備水準が上がってきているわけであります。こういったことで事業費がかなり高まってきている状況にございます。  農家がいろいろな心配をしていることは我々承知しているわけでございますけれども、昨今のような財政事情でございますので、私どもとしては、基本的には工期を短縮いたしましてなるべく早く効果を出していくということが重要であるということで、これについては昭和五十七年度以降新規着工地区の採択を抑制いたしまして、継続地区の推進を図っているところでございます。また、これから事業をするところについては、計画の樹立なり設計、事業の実施等について、極力その地域のいろいろな条件に合わせて工事費の軽減に努めていく、そういうことをやっていきたいと考えております。  それから、国の負担あるいは融資の償還条件の緩和等についての御質問でございますけれども、これについても実現がなかなか難しい状況でございます。私どもといたしましては、この農家負担については農林漁業金融公庫の融資制度がございます、これは償還期間が二十五年で、うち据置期間が十年ということになっておりますが、個々の土地改良区ごとに、その地域の実態を考えましてそれぞれの地域ごとに据置期間なり償還期間というのは設定されておりますので、今後その地区ごとの状況をよく考えてこういった融資の条件についても適切に設定をしていくべきだろう、当面できるところはそういうことじゃなかろうかと我々は考えておるわけでございます。
  335. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 農業あるいは農家をめぐる状況は、どっちを見ても厳しいことは御案内のとおりです、私もそういうところに住んでおりますから。  ただ、今いろいろ言われましたけれども、私の資料によりますと、昭和五十八年だけれども、県営圃場整備で九十一万五千円、それから団体営で九十八万九千円という数字。これは例えば県営でとりますと、十アールあたりの償還、年二万六千円。そうすると、三ヘクタールで七十八万なんですよ。これを団体圃場でいいますと百八万になるのです。そうすると、昨年の米価のときに農林省が発表した農家の所得というのを見ると、十アール当たり九万円程度のものが、五十八年には七万くらいに落ちているのです。十アール当たりの農業所得です。そうすると、ざっと見ても、例えば三ヘクタールをとれば、三町歩をとれば二百十万でしょう。二百十万の所得で、例えば県営圃場整備というと七十八万払わなければならぬということになれば、これは考えてみれば大変な額じゃないでしょうか。ですから、これは私は極めて厳しいと見なければならないのではないかと思うのです。  特に、今御案内のとおりそういう状況で、三ヘクタール農家であっても、大体半分以上は農外収入に頼るという現状です。しかも出稼ぎでその分を稼いでくる。この辺のことを考えると、私は、かなり厳しい状況にあるということを十分御認識いただいて、さて長期的にどうするかということをぜひ考えていただきたい、このことを申し上げておきます。  もう一つの問題は、圃場整備事業の施行のときに一定割合の田を畑に転換するということがあります。畑に転換した場合、ほとんど今米以外のものだって生産調整していますし、普通の作目だってだぶついていますから、転換して畑で何かつくれと言っても、はて何をつくったらいいか、これがみんな頭を痛めていもところだと思うのですね。ですから、今のような圃場整備事業を考えたときに、将来金をどう返すかという問題や、畑に転換して何をつくったらいいかという問題が非常に山積みされているということをぜひ考えてもらいたいと思うわけであります。  そこで、私は最後に農林大臣にお尋ねしたいのですけれども、今のような状況で土地改良、とりわけ圃場整備事業に対する期待は大きいのだけれども、年々この経費は上がっていくし、農家の負担も先行き非常に重くなるし、不安だ。したがって、先ほど三つのことを述べたけれども、例えば、公共事業ですからその事業費を何とかコントロールできないかとか、補助率を上げられないか、あるいは償還期限を延ばせないか、こういう問題があるわけなので、この辺に対する大臣の所見を伺いたい。  もう一つは、土地改良、圃場整備全体そうなんですが、農業生産の効率性というか生産性を高める、そういうところに一つのねらいがあると思うのです。それはつまり省力化ということでしょう。省力化されて、例えば今まで三人なら三人働いていた、一人余った、その余った人が寝ていたのではどうしようもないのでありまして、省力化になったその労働力をどこで吸収するか、言うなればどこで働くか、こういう問題が必然的に出てくるわけです。ところが、例えば私の山形県の米どころである鶴岡、酒田の荘内というのは、働き場所がなくてみんなうろうろしている、みんな東京に出ていって出稼ぎしなければならない、こういう状況なわけですね。  ですから、こういう土地改良、圃場整備、言うなれば省力化、広い意味では農業の生産性を上げる、これは非常に結構なんだけれども、同時に、その省力化の問題と絡んで働き場所をどうするか、雇用の場所をどう確保するか、こういうふうな問題まで含めた地域政策全体の中に農業政策なり今の問題を位置づけていかないと、その部分は引っ張ったけれども、ほかのところはブレーキがかかっている、片一方はエンジンで片一方がブレーキでは、地域ではどうにもならないわけです。ですから、この辺を基本的に考えなければならぬのではないかと考えますので、そういう点について総合的に大臣としてはどう考えますか。
  336. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 佐藤先生にお答えします。  御指摘のとおり、二つとも極めて難しい問題でございます。圃場整備事業をやりますと労働生産性が向上する、そうすると余った人員をどうするかということですが、基本的には、農業経営の規模拡大ということ、また多角的な農業経営が好ましいと考えておりますが、実際にはそうはいきません。  もう一つは、農村地域工業導入促進法に基づいて工業を導入し、地場産業の振興に努め、農業従事者の働く場を設けるということが筋ですが、実はこれもなかなか難しいということが現状でございまして、なかなか先生の御質問のお答えにはなりませんが、今努力しておるということでございます。  それからもう一つは、農家負担の軽減でございますが、今の国の財政でございますゆえなかなか国の財政負担は求められないということで、今考えておりますのは、ただいま局長が言ったようなことで、例えば新規を抑えてできるだけ継続を中心にやって事業工期を短縮するとかして早期の効果を発揮する、そんなことで何とかひとつ負担を少なくする努力をしたい、こう考えておるわけでございます。
  337. 佐藤誼

    佐藤(誼)分科員 時間になりましたからこれで終わりますが、大臣の前向きな姿勢と意欲は十分わかります。私、山形で農業県におりますと、今のような地域政策、雇用問題が出てくるわけです。これは農業の分野だけで解決できないわけです。  きょう私は午前中、国土庁の第四次国土開発計画について意見も述べてきましたけれども、国土を有効に使って均衡ある発展をいかにさせるか、今のようなことをどう位置づけるか、そのためには幾つかの条件整備が必要なわけだ。例えば、高速交通体系の問題、高度情報化社会の参入の問題、技術集積の問題、ですからこれは農業分野だけではできないわけです。  これから二十一世紀に向けての地域づくりから言うと、農業の分野なり国土開発の分野に一つの大きなプロジェクトをつくって、はて財、エネルギー、人、物、金をどう使うかという総合的な政策の実現をぜひ考えてもらいたい。私はこのことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  338. 大村襄治

    大村主査 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。  次に、林百郎君。
  339. 林百郎

    ○林(百)分科員 大臣にお尋ねしますが、最近の農業協同組合の傾向なんですけれども、御承知のとおり農業協同組合法には、営利を目的とする事業を行ってはならない、組合員及び会員のために最大の奉仕をしろということが目的にあるわけです。この組合員のための最大の奉仕というのは、要するに生産農業にいそしむことのできるように考慮しろということだと思うのですが、最近、農業協同組合はいろいろな事業をしている、販売、購買、いろいろの保険だとか金融、営利事業的な色彩が非常に強くなってきているわけです。生産農民が生産農業のために農協を本当に信頼して御相談申し上げるということがだんだん困難になっているような傾向にあると思いますけれども、農林事業の最高の行政の責任者である大臣としてはどういうようにお考えでしょうか。
  340. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 お尋ねの点でございますけれども、農業協同組合は、確かに組合員農家の生産関係につきましていろいろな事業をやっておりますと同時に、生活関係についてもやっております。  お尋ねは、農協が、組合員の営農なり生活にかかわりの薄い事業への進出とか、あるいは非営利というような団体の性格にもかかわらず営利を追求するような傾向にあるのではないかというようなことを恐らくお尋ねだと思いますけれども、私どもは、農民の自主的な協同組織としての本来の使命を農協が果たしていくように、また、地域社会との調和を図りながら地域農業の振興なり組合員のニーズにこたえた事業運営、経営のやり方を推進していくべきであると考えておりまして、そのためにいろいろ指導もしてまいってきております。また、先生も御案内と思いますが、いわゆる大規模店舗法的な問題を農業協同組合の店舗が起こしたような時期も一時ございましたけれども、これにつきましても指導通達を出しまして、最近ではその種のトラブルとか大規模な店舗の出店というようなことも自粛をされているという状況でございます。
  341. 林百郎

    ○林(百)分科員 営利を目的とする事業を行ってはならないとあるけれども、私も全くするなとは言いません、農家から預っている金に対してある程度の利息もつけてやらなければいけませんから。  しかし、そのために、お話しのように、例えば大規模店舗をみずからやらないにしても、周囲にある大規模店舗が進出するというようなことで、それと対抗するためということで、職員に非常に過酷と思われるようなあるいは非常識な就業規則や労働条件が押しつけられるような傾向が見られて、職員の中からもそういう声が私の耳にも入っているわけなんですけれども、そういうことは余り好ましくないと思うのです。  考えてみますと、それぞれの農業協同組合、単位組合と職員との間の関係というのは、長い間のいろいろのいきさつもありますし、その組合が占めている特殊性もありますから、これを機械的に、例えば中央会なら中央会がモデル的な、就業規則を出してきまして、これを各単位農協が金科玉条的に単位組合に押しつけてくるということになると、歴史的な今までのいきさつが破壊されますし、今まで労使の間で円満にやってきたことが破壊されるようなことになるのですが、そういう問題について、私の方の議員である中川議員、津川議員、藤田議員もたびたび質問して経済局長からも通達は出ているけれども、少なくとも長野県に関する限り全然改善されてないわけですね。そういうことについて、何か局長御存じでしょうか。
  342. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 長野県下の農協におきまして、労働条件につきまして理事者側から、定年年齢の延長、それとあわせまして賃金カーブを修正をするというような提案、それからまた交代勤務制の導入、これも週休二日制の導入とあわせてでございますが、こういった提案が行われまして、労働組合との間に紛争が起こっておるということは承知をいたしております。  勤務形態等につきましては、それぞれ地域のいろいろな組合員の多様なニーズにこたえます事業運営を行っていくという観点から、通常の勤務時間と違った勤務時間を採用するということもやむを得ない面もあると考えておりますけれども、職員の勤務時間の設定というような問題は、基本的には労使間の問題として話し合いをしていただくべき事項だというふうに思っております。  それだけにまた、今御指摘ございましたように、労働条件なり労務管理につきましても、農協の系統組織の中の指導機関としての中央会がいろいろな指導は日ごろいたしておるわけでございますが、それが余り画一的になりまして、それぞれのいわば使用者と労働組合との間の話し合いの自治と申しますか、そういうふうなことが損なわれるようなことはまずいのではないかというふうに思っておりますので、私ども、一度長野県の担当部局にもそういうお話をしたことはございます。
  343. 林百郎

    ○林(百)分科員 お話をしているだけで、行政的な指導でそれを参考にして改善すべき点は改善するという点が見られなくて、旧態依然として役所の通達通達、御意見は御意見というだけで何ら改善されてないので、職員の方からいろいろ意見が出ているわけです。  具体的に一、二例を申しますと、例えば就業規則の点ですが、始業時間や終業時間を五時間の範囲内で業務上必要がある場合には繰り上げまたは繰り下げができる。それで、例えば夏には早番が五時という時間があるのです、五時から十四時。もし仮に五時というのが五時間の範囲内で上下できるということになりますと、夜中の十二時に出勤しなければいけないということになるわけです。それからさらに、一日八時間を超える特殊業務労働を命ずることができる。要するに、超過労働として八時間を特殊業務労働として命ずることができるということになりますと、これは例えば遅番として二十二時というのがありますけれども、二十二時というと十時ですね、これで八時間といいますと、これはもう夜明けまで働かなければならないということになる。これは、業務上必要ある場合はこういうことができる、命ずることができるというようになっているのですが、余りに非常識で、これはあらかじめそういうことがわかっていれば別として、こういうことが勤務時間の規定の中にあるわけなんですが、こういう就業規則が職員との間の了解を得ず押しつけられるということは、常識からいっても好ましくないと思うのですが、これはどうなんでしょうか。
  344. 菊地好司

    ○菊地説明員 御質問の点は、当該就業規則において、始業時刻、終業時刻、勤務を始める時刻と終わる時刻、それの変動制のことかと思いますが、労働基準法は、御案内のとおり各業種を通じまして最低の法定労働条件として罰則つきで強行法として定められております。したがいまして、法律的な問題があるかという観点でお答えをせざるを得ないわけですけれども、御承知のように、一日八時間、一週四十八時間制のもとで何組かのシフト制をしいて、事前に勤務割りを従業員に知らしめれば基準法上は問題がないということにならざるを得ないと思います。  それから第二点の、勤務の繁閑によってある日に一日の八時間を超えて労働させるという点でございますが、四十八時間を超えない範囲内で一日について八時間を超える業務を命令することができるというふうに就業規則でうたわれておりますので、基準法で規定しておりますところの変形労働時間制の一環だというふうに考えられます。  ただ、事前に特定の日について八時間を超えるということを基準法上は明定することを求めておりますから、いただいた就業規則を拝見した限りでは、日にちの特定制について規定の不備があるという問題点はあろうかと思います。
  345. 林百郎

    ○林(百)分科員 そこが大事で、労働基準法ではそういうことをはっきり特定しろ、そういうように規定があるのですね。  ところが、これを見ますと、「その旨を事前に当該職員に周知する」というだけで、「事前」と言ったって、一日なのか二時間なのか、一時間前に知らせるのかわからないわけですね。そうすると、家庭の主婦あるいは婦人の労働者などは、急に午前の五時が五時間早く勤めろということはないにしても、例えば早番で七時三十分を五時間早くなんと言えば、午前の二時三十分にもなりますが、必要上でできないということはないわけですね、それから、夜帰って子供や主人の世話をしようと思う場合に、八時間おまえはきょう働いてもらう、あす働いてもらう、急にそんなことを言われたって、婦人の労働者としては家庭の関係でできないわけですね。男子の労働者、皆さんだってそうでしょう。あした八時間余分に働いてもらいますよ、あしたの朝五時間早く来てもらいます、急にきょう言われたって、あしたそんなことできますか。皆さん、そんな非常識なことを、それは労働基準法でできないとは書いてないにしても、そんなことがここで決められて、それが職員に押しつけられるということは、あなたも言われるように、特定されていない点は不十分だと言うから、その点は注意していただけますか。要するに、日常の生活に支障のないように、あらかじめ知らせろというけれども、一定の期間を置いて、準備ができるような体制でそういうことを知らせるなら知らせろというようにしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
  346. 菊地好司

    ○菊地説明員 法律的な解釈として申し上げた次第でございますが、具体的には、事情を詳細に聴取しまして、この就業規則をもとにどのように勤務割りが行われているのか、事前の周知の方法がどうなのか、この就業規則を受けて具体的な細則がつくられているのかどうか、そこら辺を踏まえた上で、要すれば所要の指導はいたしたいと思っております。
  347. 林百郎

    ○林(百)分科員 それと同じような性格で法定休日、だれでも日曜は休めると思うのに、四週間を通じて法定休日は四日とする、これは「一週間前までに職員別に休日表を定め周知する。」とありますが、次の日曜が休めるかどうかということは一週間前でなければわからない。それから特定休日は、「国民の祝祭日数と同一の日数を一日、又は半日に分割し、その祝祭日を含む前後四週間以内の期間を単位として、予め職員別の休日表を定め周知する。」要するに日曜に休めるかどうかわからない。また、特定休日、国民の祝祭日等に休めるかどうかわからない。一週間前にどういうことが出るかわからないということになると、これもまた家族生活に、次の日曜は子供を連れてどこかへ行こうとか、あるいは次の祝祭日には、例えば今からいえば三月二十何日かに家族でどこかへ行こうと思ったって、これじゃ全然計画が立たないです。組合の都合によって、おまえは今度の法定休日の日曜はとれないよ、祝祭日は休みにならないよと言われたらそれで終わりですね。家族生活の計画などというのは全然立てられないですね。この点についてはどうなのでしょうか。
  348. 菊地好司

    ○菊地説明員 先生御専門なので甚だ恐縮とは存じますが、労働基準法は法定の最低労働条件ということでうたわれておりますので、基準法を上回る特別の休暇の取り扱いにつきましては労使の自治にゆだねられております。  基準法では、法定の条件として「毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」と明定されております。第二項で、「四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。」ということですから、四週間単位で見て四日の休日が与えられておればそれでもよしというふうに規定されております。具体的に何月何日を休日にするかということまでは基準法は規定されておりません。四週間を束ねてみたときに四日の休日が確保されておればよい、基準法の条件としてはそのように規定しているにとどまっているところでございます。  あと、休日をどのようにやるのかというのは、業種、企業に最も精通しているはずの労使で自主的に決めていただくということにならざるを得ない、かように考えております。
  349. 林百郎

    ○林(百)分科員 労使で話し合って決めるということは私も賛成ですけれども、しかし、職員に日曜も休ませない、あるいは法律で決まっている祝祭日も休めるかどうかわからない、必要によってはその日も出てもらうこともあり得るというようなことを、何で農業協同組合が就業規則で決めなければならないのか。原則として日曜には休む、あるいは法定の休日は皆休む、ただし例外でそういう日に出勤する場合には労使の合意によって行うとか、そういうことでいいと思うのですが、営利を目的としてはならないという農業協同組合が、何でこういう休日制度を就業規則に決めて、そして押しつけてくるのか。  労働組合をつくっているから、あの組合の幹部にはなるべく意地の悪いことをしようというようなことをもし考えるとすれば、これはあなたも知っているように、労働組合法の不当労働行為になるのですよ。そういうことも心配しているわけですよ。そういうことについて、局長と労働基準局の課長さんですか、答えてもらいたいと思います。むしろ不当労働行為になる可能性があるわけです。  次に退職規程の点について質問したいと思います。  退職規程の中にいろいろのことがあります。例えば、結婚すればどっちかやめなければならない。主婦及び同一世帯の親子が在職する場合は、職員のいずれか一方に退職を勧奨することができる、あるいは勤務態様が非能率の場合は勧奨退職をさせることができる、あるいは同一世帯で商行為を営んでいる場合はやめてもらう、あるいは他の公職を兼ねた場合はやめてもらうように勧奨する、そのほか「上記各号に準ずる者及びその他の事由で農協が適当と認めた者。」には退職を勧奨することができるというのですよ。だから、私は次の祝祭日には、春分の日には家族を連れてどこどこへ梅を見あるいは桜を見に行こうと思っていた、だからこの日はどうか休ませてくださいと言ったって、いやそれはだめだ、就業規則でそういうことはできないことになっている、もしそれを休むなら、勧奨退職制度の農協が適当と認めた者にするがどうかということになれば、これは明らかに不当労働行為じゃないですか。そういうことも含めているのだから、この適用については、あなたはただ法律の解釈だけ、そんなことは労働基準法の解釈で私は知っていますよ。知っているけれども、それが農村のそういう農協という職場の中では実情に合わないのだから、それをどう行政指導していくかということを聞いているのですよ。だから、局長課長、もう一度答弁し直してください。
  350. 菊地好司

    ○菊地説明員 私ども法律の厳正な履行の確保を最大の使命としておりますので、法律上の問題を一義的に考えざるを得ないところでございます。  就業規則が労働基準法に違反であるかどうかという観点で御説明をした次第でございますが、就業規則を拝見した限りでは、規定の内容をもって直ちに不当労働行為的な条文は見当たらない。問題は、それを具体的に履行する段階で、組合員であること、結成していたことのみをもって不利益に適用するというようなことがあれば、その段階で不当労働行為の問題は論ずることになるかと思います。
  351. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 先ほども申し上げたことでございますが、そしてまた労働条件につきまして直接御所管の労働省の方からもお答えがあったわけでございますが、この勤務時間の問題等労働条件につきましては、私ども、労働関係諸法令をよく守るということにつきまして、農協の常例検査の際などに他法令の遵守状況というようなことも一緒に見ることになっておりますから、側面的にそういう指導はいたしておりますが、その法令の範囲内でどういう勤務時間の設定の仕方をするかというのは、基本的にはやはり労使の間の話し合いあるいは交渉の自治の分野に属するものではないかというふうに考えております。  なお、農協が非営利法人であるから、例えば通常の勤務時間と違った勤務時間の割り振りをすることはおかしいということには直ちにはならないのではないか。逆に、一般論として申せば、組合員がやっております仕事は自然条件に左右される仕事でございますし、季節によって、例えば米の出荷が一時にどっと出てくる、組合員としてはその仕事を早くやってもらうことを希望するという場合に特別な勤務時間の割り振りをするというようなことは、農協本来の性格からしてあり得ることということが、一般論としてでございますけれどもあるのではないかと思います。
  352. 林百郎

    ○林(百)分科員 一昨年の四月十九日の局長通達で「定年年齢の延長等適切な対応措置を一層進める必要があるので、良好な労使関係を保ちつつ」とありますね。これはどういうことを考えてこういうことを言われたのですか。今のような、法律の解釈上はこうなります、法律の解釈上はこうなりますなら、こんな通達を出す必要はないということになりますね。しかし、それにはやはり農協本来のそれぞれの特殊事情もあり、長い間の慣行もありということですから、例えば中央会が一つのモデルをつくって、それを押しつけるようなことがあってもいけないし、それから労使の間で十分話し合いをするようにということは、しばしば津川議員や中川議員、藤田議員も話をしたのですが、この通達の「良好な労使関係を保ちつつ」というのはどういうことなんですか。
  353. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 今、農業協同組合を取り巻く経済環境も非常に変動しておりますし、金融自由化の進展というようなこともございまして、その中で適切な事業運営をやり、また効率的な事業運営をやっていくということが非常に重要だと私どもも思っておりますが、その際、農協の事業運営をいたします場合に労使関係が安定をしているということが非常に大事なことではないかと私は思います。そういう意味で労使の間で十分話し合いを尽くすということが必要だということで、その通達の今、引用されました文言も書かれたものというふうに私、理解をいたしております。  中央会の画一的な指導というお話がございましたけれども、この点につきましては中央会の立場でいろいろ指導はやるにいたしましても、やはり個々の農業協同組合の理事者側と労働組合との間で自主性を持った交渉が行われ、合意に達することが望ましいというふうに私は考えております。
  354. 林百郎

    ○林(百)分科員 労働省の課長さん、労働協約なり就業規則をつくる場合には、そこの職場の五〇%以上の職員が組合に結成されている場合はそれと話し合ってつくれとありますね。必ずしも完全な同意ではないにしても話し合ってということは、さっき局長も言われましたように、要するにとにかく労使関係の納得の上で、そういうものはつくった方がよろしいという趣旨じゃないですか、精神は。どう思いますか。何かあなたの解釈からいうと、農協のやることはみんな——法律的にはこういう規定がありますというようなことでは実情に合わないのですよ、実際はストライキまで起きているのですから。どういうふうにしたらいいのですか。
  355. 菊地好司

    ○菊地説明員 私ども、もとより労使が毎日円満に、円滑に関係づけられてあるべきであるということは考えておりますけれども、労働基準法の使命といいますか目的から、厳正に履行を確保するということを第一義に職務として持っているということを御理解いただきたいことも含めまして御説明したわけですが、就業規則については、お話のとおり過半数で組織する労働組合があればその労働組合の、なければ過半数を代表する代表者の意見を聞いて、監督署に届け出るということが義務づけられております。労働協約は労使で合意をされた文書ですから合意が形成されているわけですので問題はもとよりないはずですが、就業規則については意見を聴取することを法律上義務づけております。意見を聞くということの解釈ですけれども、合意を得るというところまでは求められておりませんで、十分に意見を聞いた上で届け出ていただきたいという趣旨でございます。
  356. 林百郎

    ○林(百)分科員 時間がありませんのであれですが、大臣、意見を聴取するだけで全然取り入れなくても使用者側の考えを就業規則にすることができるというようなことだったら、第一こんな、農協が適当と認めない者だとか同一世帯が商工業をしている者——同一家族が商工業をしたって、それは雇われている職員が商工業をしているんじゃなくて、その家庭が商工業をしているのに、おまえのうちで商工業をしていればおまえは農協の職員としては適当でない。あるいは、おれが見るところでは、おまえはどうも農協には適当でないというようなことで勧奨の退職適用者にされるというようなことが行われるとすれば——課長の言うのは、営利会社なんかの場合はそうですが、農協という特殊性を課長はよく知らないでああいうことを言っているのですけれども、農業協同組合というのは農民本来の立場に立って、そして農村の中で円満な農協の事業を遂行するという立場であって、こんなようなことが勤務時間だとかあるいは休日だとか、勧奨退職者適用の条件になるとすれば、これは大変なことになると思うのですよ。長野県で現にそういうことが行われて、それに対してストライキまで起きていますので、大臣としても将来よくこの点を長野県の農協中央会やあるいはストライキの起きている単位農協の実情を調べて、適切な行政指導をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  357. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 農協について今お話があったので議論をお聞きしておったわけですが、農協については先ほど経済局長が言ったようなことで、趣旨を踏まえて、取り巻く環境が非常に厳しいということで、農家組合員の期待にこたえた事業展開をどうして図っていくかということで、やはり事業基盤の強化とか経営の効率化に取り組むことが大切だと思っています。そんなことで今、先生と局長課長の議論を含めて、農協職員の労働条件の改善というのはやはり人材の確保とか経営の効率化にとって必要なことだと思います。私とすれば、労働条件の内容等につき十分把握するとともに、必要に応じて労働省とも連絡しつつ適切に指導してまいりたい、このように考えております。
  358. 林百郎

    ○林(百)分科員 時間が来ましたので終わります。
  359. 大村襄治

    大村主査 これにて林百郎君の質疑は終了いたしました。  次に、中井洽君。     〔主査退席、田名部主査代理着席〕
  360. 中井洽

    中井分科員 私は、国営総合農地開発事業について具体的な例を挙げて農林水産省にお尋ねをいたします。  現在、国の方で管理をいたしております農地開発事業はどのくらいの数が全国で行われておるのか。あるいはその予算的な規模、あるいは平均的にどのくらいの戸数あるいは面積がこういう事業によって受益をしておるのか。そういった数値的なものをおわかりの範囲でお挙げください。
  361. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 農用地開発事業につきましては国営、県営、団体営とございますけれども、国営につきましては百二十六地区でございます。一地区当たりの平均の面積でありますとか戸数等につきまして申し上げますと、受益戸数は全体で約六万戸でございます。全体の受益戸数でございまして、地区平均ではございません。それから面積でございますが、全体面積が約十万ヘクタールでございます。それから総事業費が約一兆三千四百億でございます。
  362. 中井洽

    中井分科員 期間はどうなっておりますか。
  363. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 期間につきましてはちょっと手元に資料がございませんので、いずれまた後ほど御説明いたしたいと思います。
  364. 中井洽

    中井分科員 大体十五年から二十年かかっておると聞いておりますが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  365. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 大体その程度の期間でございます。
  366. 中井洽

    中井分科員 そうしますと大半の地区で、当初計画したときの情勢と完成時の情勢とが大きく変化をしておる。その地域の変化だけじゃなしに日本全体のすさまじい変化のスピードに、計画そのものがついていけずに非常に苦慮しておる、こういうことを私どもは聞くわけでございます。農地の総合開発事業ということじゃなしに、例えば農林省のおやりになりました八郎潟の問題とか、あるいは宍道湖の中海の開発とか、私、環境委員をしておるときに何年か前に見に行ったこともございますが、もうお米をつくらないでおこうというときになっておるにもかかわらず開発をやらざるを得ない、こういうことが期間が長いがゆえに積み重なって大変な問題になっているわけであります。  きょう私は、そういうことを中心に具体的にお尋ねをしたいのでありますが、農林省自体としては、この時代の変化にどういうふうに計画そのもの、あるいは完成した農地というものを合わせて、有効利用を図ろうとされておるのか、そういった問題の基本的なお考えをお尋ねいたします。
  367. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 農用地開発事業も土地改良事業の一つの事業でございまして、土地改良事業につきましては他の一般公共事業と違いまして受益者負担がございます。そういう事業の特殊性から、この事業につきましては申請主義をとっております。しかもその関係地区の三分の二以上の同意がなければ、こういう事業は実施をしないということになっておりますので、いわば土地改良事業といいますのは地域の共同事業のような性格でございます。また、農地開発事業のような大きな事業になりますと、事業の完成までにかなり長期を要する工事が多いわけでございます、そういう意味でかなり先まで見越しまして計画を立てるわけでございます。もちろん計画を立てるに当たりましては受益農家あるいは市町村、県等と十分相談をした上で計画を立てるわけでございますけれども、ただ長期間の経過の間に農業事情なりあるいは経済事情が変化をしてまいります。そういうことでやむを得ず事業計画を変更せざるを得ないような場合がございますが、そういった場合には計画を樹立いたします場合と同様、受益農民でありますとかあるいは都道府県関係市町村とも相談をいたしまして計画の改定をいたしまして、極力そういう状況の変化に対応できるように我々としては考えておるわけでございます。
  368. 中井洽

    中井分科員 各地のこういった開発事業がなかなか時代、時代に対応できていないということと、あるいはまた十数年の時代の変化の間に農業を取り巻く環境あるいは農家を取り巻く環境がすっかり変わって、なかなか有効に使われていない。それを会計検査院等がおしかりになる。しかし、しかる方もそのとおりであろうかとは思いますが、先ほど局長さんのお話がございましたように三分の二以上の賛成をもってやる。実際は九〇%近い賛成でやっておられると開いておりますが、産業界の補助金と違いまして、産業界の補助金なら使う使わないは勝手みたいなところがある。それぞれの企業が使っても使わなくても、利用しても利用しなくてもいいというような格好がございますが、農業の問題の補助金というのは、間々、農家独特の発想もありまして、地域がやると言っているのに自分のところだけ反対できないよ、やろうかということでやる、しかし、やってはみるけれども本当は嫌々なんだという人も実はたくさんいらっしゃる。そういうこともありますし、また、いろいろと国のお金、県、市のお金、税金をつぎ込んでいただいても一遍に効果が上がるものでもない、そういう意味でも受益者と言われておる地元も大変苦慮いたしておるところでございます。そういったことも踏まえて柔軟に対応していただきたい。こんなことを中心に地元の問題で例を挙げて幾つかの点で質問をしたいと思います。  私の地元、三重県の伊賀地方と言われるところで青蓮寺パイロット事業というのが昭和四十三年から行われております。これは前、五十五年でしたか、この分科会で一度御質問申し上げましたときに、五十五年の時点で五十八年に終わる、こういう御説明をいただいたと思っておりますが、現在もなお実施がされております。何年度で終わるのか、あるいは事業規模等どのくらいの大きさになるのか、そういった点でわかっている範囲でお答えをいただきます。
  369. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 まず総事業費でございますが、最終的には百九十億円になる予定でございます。工事も本年度でほとんど終わるわけでございますけれども、完了は昭和六十年度、来年度に予定をいたしております。
  370. 中井洽

    中井分科員 当初この計画は、計画されましたときはたしか三十億円ぐらいでスタートをしたと私どもは承知をいたしております。その間、二度事業計画が行われまして、今お話のありましたように年数も延び、大変大きな金額の事業となりましたし、六百五十ヘクタールぐらいの面積がこれによって潤うわけでありますし、また千数百戸の農家が受益者として、これらの問題に対応をしていくわけであります。先ほどの日本全体のトータルを聞きますと大変大きな規模でありますが、その中でもこの青蓮寺パイロットというのは大変大きな規模になっておるし、事業の中ではわりかし順調に事業が行われておる地域だ、このように聞いておるわけでございます。  しかし、その地域でも先ほどから申し上げましたいろいろな時代の変化等によりまして難しい問題が出てきております。その一つに、既に償還が始まる前に農地を売却した農家があるわけでございます。大体どのくらいの戸数になるか、あるいは面積になるか、おわかりでございますか。
  371. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 関係の戸数は千六百二十八戸でございます。これは農用地開発だけではなしに、かんがい排水とか区画整理事業がございますので、これ全体をひっくるめておりますが、千六百二十八戸でございます。それから造成面積につきましては五百二十五ヘクタールでございます。戸当たりにいたしますと現況が〇・九ヘクタールが一・四ヘクタール、こういうぐあいに相なっております。  それから農地の売買でございますが、私どもとしては、その状況把握はいたしておりません。
  372. 中井洽

    中井分科員 大体私どもの聞いておる範囲では、県の開発公社に三十ヘクタールぐらい、あるいは県の内外の居住者に七十ヘクタールぐらい売られておる、このように聞いております。畑として五百五十ヘクタールぐらい、区画整理として二百七十ヘクタールぐらい、あるいはかん排事業としては六百ヘクタールぐらいということから考えますと、売られている割合は少ない、このように私個人は理解をしておりますが、農林省としてはいかがお考えですか。
  373. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 かなり細かい事実関係でございますので、その青蓮寺地区あるいは全国の他の地区、実際調査をした上でなければ何とも答えられないのではないか、そういうように考えます。
  374. 中井洽

    中井分科員 私どもとしては、地元のことでもありますし、大変すばらしい事業でもあるし、また受益者の人たちも売らずに頑張っておるわけであるから、何とか成功裏にこれをやっていきたい。事業を成功に終わらすということだけでなしに将来も長く、本来の目的の、効率のいいあるいは生産性の高い農業地域というものを、中核農家の育成と同時につくり上げていきたいと考えて申し上げているわけでありますが、その中で実は幾つか問題が出てきておるわけでございます。  その一つは、昭和五十一年度から国のお金が特別会計という形で財投資金を使って出されるようになりました。このことによって金額的にふえ、事業も飛躍的に早くなったのは事実でございます。しかし、それと同時に利子が大変高くなったわけでございます。この利子の高くなった分の負担が非常に大きい、このように地元では言われ、これから返還をしていかなければならない農家に大きな不安を与えているところでございます。大体七・一%ぐらいの利子、そうしますと従来の五・数%の利子と比べて二%くらいの差があるではないか、これが何とかならないかという形で、地元としても今、関係当局等に陳情をいたしているところでございます。これも実は七年くらいの計画で終わるのだ、後はまた一般会計からというようなお話で始まったように聞いておりますけれども、五十一年から七年といいますと五十八年になります、しかし、もう五十九年度。六十年度も財投資金という形での決定が、使用がなされておると聞いております。そういったことを踏まえて、これらの問題を農林省としてどのようにお考えか。何も青蓮寺だけではなしに全体かもしれませんけれども、どのように対応されようとするのか、お尋ねをいたします。
  375. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 農用地開発の負担金がかさんできている、多くなってきているという御指摘でございまして、その償還についてなかなか難しい問題がございます。ただ、これは地区ごとに相当事情が違っておりまして、なかなか一律にどうするということはできないかと思いますが、当青蓮寺地区におきましては特別会計制度でやっておりまして、今、御指摘のように金利がついてくるわけでございます。そういうことで最終的に十アール当たりどの程度の年間の償還金が必要なのかという、要するに毎年の償還金が最終的には問題になろうかと思うわけでございます。青蓮寺の場合は、我々の手元にある資料でまいりますと十アール当たり年六万円ぐらいになるわけでございます。これにつきましては国の補助金の方は七四%でございますが、あとの二六%につきましてどういうふうに負担をしていくかというのは、まだ最終的には決まっていないようでございます。したがいまして、この地区の負担金につきましては三重県及び関係の市町村等と十分協議をいたしまして、何とか負担金がもう少し軽減できるような、そういったことについて十分相談をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
  376. 中井洽

    中井分科員 局長から地元の受益者の負担金の問題が出ました。六万円くらいというお話でありましたので私も角度を変えて質問いたしますが、そもそも、これが始まった当時は私どもの地元では返すお金は米一俵くらいの値段でいいのだ、だからやろうじゃないか、こう言って始まったものでございます。当時のお米の値段は、昭和四十三年でありますから一万二千円か三千円ですか、そんな程度じゃないかなという記憶がありますが、今のお話ですと六万円、農家の方にとっては大変高い負担になるわけでございます。先ほども言いました昭和五十五年に私が質問をいたしましたら大体四万円くらいだ、こういうお話であったのでありますが、それから考えてももう二万円も上がっておる。その当時の農林省のお考えを聞きますと、いや、このかんがい用水あるいは畑を開墾することによって大体二十七、八万円生産性が上がるから十分やっていけるはずだ、こういうお答えでございます。それは確かに計画はそうなのです。しかし、なかなかそんなふうに一遍に生産性が上がるものでないというのは御承知のとおりだと思うのです。  そもそも、この地域は白菜、ブドウあるいはナシ、桑、花木といったものを中心にやるのだという計画でございましたけれども、白菜なんかはとっくに姿を消して野菜という形に変えておる。その野菜も今はグリーンアスパラかなんかをやっておるところが急遽ふえておるわけでありますが、これなんかも何でグリーンアスパラかというと、実は土地がやせているからグリーンアスパラの方ができがいいわけであります。堆肥をして、これから地味豊かな地方にしようと思うとなかなか時間がかかる。あるいはまた、この地域の農家は米づくりがほとんど専従でございまして、畑というものにほとんどなじんでいないわけでございます。  また、昭和四十三年当時は若い方々も随分おられました。その若い方々が、農業をやっていくのだ、こういう意欲にも燃えておった地域でございます。ちなみに、統計がちょっと違うかもわかりませんけれども、私どもの郷里で昭和四十五年当時、農家数は五千六十軒でございました。ところが現在もう四千四百軒、こういう形に農家数が減っております。専業農家も五百四十六戸ありましたのが現在は三百三十戸を割るという状況でございます。しかも当時は第一種の兼業農家が二千軒余りあったわけであります。しかし現在は第一種の兼業農家は八百軒であります。あるいは割っているかもしれない。それは、この十数年間に工場進出等が随分続きまして、農家の方々も農業外所得を求める二種兼業がうんと多くなった、こういう状態になっております。一戸平均大体年間五百五十万くらいの所得、そのうち五百万が農業外所得で五十万が農業所得という状況でございます。田は大体八反平均くらい持っておって平均五十万くらいの所得、こういう状況でございます。それを考えますと、そんなに簡単に、六万円というのを払えますよ、毎年毎年六万円というのは大丈夫ですよとは僕らは到底言えないし、また農家の人も返す自信がないわけであります。  しかも、畑ができます六十年度で農家全体を見ますと、やるのはだれがやるのだといったら、じいさん、ばあさんなんですね。若い人たちはもうほとんどやらない。じいさん、ばあさんが田んぼをやっているじゃないかとおっしゃるけれども、田んぼなら年間三十日か四十日で一町やれる。若い者が土曜、日曜、集中的に一週間か二週間機械を動かせば、おじいちゃん、おばあちゃんで十分一町の田んぼの収穫ができる。しかし、畑ならそんな三十日やそこらの手間仕事で、農林省がおっしゃるように三十万もの生産性を上げて六万円の償還が簡単にできますよというわけにはいかない、僕はこんなふうに思うのです。  そういう意味で、ひとつ県、市当局ともあわせて十分な協力体制をとって、できる限り償還というもの、負担というものを軽くしていただいて、外へ農地を売ってしまう、あるいは離農をしてしまう、こういうことにならないように御指導いただきたいと思いますが、もう一度御答弁を願います。
  377. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 青蓮寺地区につきましては割合と営農意欲が高うございまして、入っております作目も、ブドウでありますとか野菜等かなり収益性の高い作物だと聞いているわけでございます。そういうことで営農計画といたしましては、まずまず採算がとれるという計画のようでありますが、それにいたしましても六万円というのはかなりの負担でございます。今、先生のお話もございましたので、軽減対策について県、市と十分話し合ってまいりたいと考えております。
  378. 中井洽

    中井分科員 それでは、もう一つ違う角度から質問をいたしますが、御指導いただいて地元も含めて野菜や茶や桑や花木をやっておる。これら主要な品目がどのくらいの率でつくられておるのか、どのくらいのところで営農がやられておるのか、お答えをいただきます。何%くらい、率でいいです。
  379. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 ブドウが、これは大体計画でございますが、五百二十五のうちの二百二十でございますから四〇%くらいでございます。お茶が五十ヘクタール、これは大体一〇%。桑も同様に五十ヘクタール、花木が五十ヘクタール、野菜が百五十五で大体三〇%、(中井委員「現在やられている数」と呼ぶ)今これは計画でございまして、大体こういうところじゃないかと思いますが、現状については把握をいたしておりません。
  380. 中井洽

    中井分科員 ここに東海農政局でおつくりをいただいた資料がございます。この中にも、いわゆる基幹作物の定着率は極めて低いのが実態である、このように書かれているわけであります。これは怠けているとかいうことを申し上げているわけじゃないのです。一生懸命おやりいただいているのです。しかし、先ほど申し上げたように大変な時代の変化があって、なかなか農家が当初の目的のように意欲を燃やして取り組むという状況にないわけであります。しかし、お金は返していかなければいけない、こういう状況であります。  大臣、前に私はこの委員会でも質問しましたときに、その当時はつくる作物まで厳しく言われたんです。農家は自分でもうける作物をやるんだから自由にしてくれと言う。あるいは大阪や名古屋から車で一時間半で来れますから、貸し畑なんというのも許可をしたらどうかというようなことまで申し上げたこともございます。その後、地元では随分柔軟に対応をしていただいて、私どもはこのことに感謝を申し上げております。それから町の人で二、三、定年退職後この地域の畑を借りて、実は定年退職後の健康と趣味のために畑作をやるんだ、そういう変化も出てきております。しかし、そういう中であっても、一反当たり返していくのが六万円という金額は大変高い金額だと言わざるを得ない。こういう情勢を受けて農林省の方では、去年ですかことしですか、返還を、三年据え置きの十二年、十五年で返すのをさらに五年延ばしたらどうだ、こういうことをとれば少し軽減になるじゃないかということで御配慮をいただいたと聞いておりますが、実際はそれが本当に実現できるのかどうか、情勢をお聞かせいただきます。
  381. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 農用地開発事業は、事業の完了後十五年で負担金を償還することになっておりまして、そのうち据置期間が三年ございます。この十五年を二十年に延長すべく要求したわけでございますけれども、最近のような財政でございまして、そういう償還条件が認められなかったわけでございますが、我々といたしましては、やはり今の負担の実態から申しまして、さらにこういったことについては検討をしてまいりたい、このように考えるわけでございます。
  382. 中井洽

    中井分科員 先ほどからるる申し上げましたように、全国の事業の中でもこの地域は大変大きい規模で、しかも非常に熱心におやりをいただいておる。その地域でもなかなか難しい状況であるのが今日の日本の農業であり農家である、このように考えます。そういう中で、当初の目的どおり本当に効率のいい農業あるいは中核農家を育てるために、やはり時代、時代に応じたいろいろな手当てをしていただくのが行政であろうか、このように考えます。償還を五年延ばすことによって本当に負担が軽くなって農業に対する意欲というものがまた出てくるなら、これほど結構なことはないと考えます。地元でも当然県、市当局を含めて農家の負担を軽くするための努力をいたしますが、国としてさらにそのお取り組みをいただく、こういう決意をひとつ農林大臣からお述べいただきたいと思います。
  383. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 中井先生にお答えします。  今聞いておりまして大変なことだと感じたわけでございます。構造改善局長もこの実態をかなり認識し、だから六十年度予算におきましても実は償還期が十五年を二十年にしたいと努力したわけですが、結論として財政事情が厳しくてできなかった。そんなことで実は私、今聞いておって非常に大切だと思いましたのは、全国百二十幾つある国営農地開発事業のうちでこれが非常にいい方だ、いい方の姿でそうだというところに問題があると思うのです。そんなことで、局長も償還期限あるいは負担につきましていろいろ話しましたが、私も実は、償還期限ばかりではなくて利息が七・一%ということを含めて、国としてどう対応できるかをひとつ検討してみたい、こう思っております。
  384. 中井洽

    中井分科員 時間ですので終わりますが、最後に、こういう事業をやっておられるところが事業完成年度ですべての事務を終わるわけでありますけれども、しかし、昨今なかなか村落の個々の農家の団結というのは昔のようにまいりませんし、また農家も非常に権利意識というものがはっきりしてまいりました。したがって換地業務等に非常にトラブルが多く、時間がかかっておるというのが実態でございます。したがって、青蓮寺の事業も含めまして大きな事業については、終わりました後一、二年そういった事業の残務整理がきちっと終わる、あるいは営農指導というものも将来どういうふうにやっていくか、こういったことを含めた予算対策、こういったものを十分お考えいただくように、あるいはお取り組みをいただくように強く要望いたしまして、終わらしていただきます。ありがとうございました。
  385. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて中井拾君の質疑は終了いたしました。  次に、岡田利春君。
  386. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今般の日ソ漁業交渉で、水産庁長官また農林水産大臣が最終場面で訪ソする、大変御苦労さんでありました。二、三の問題についてお伺いいたしたいと思うのですが、もう二百海里になってから八年の時間が経過するわけです。また日ソ間は、毎年暫定協定でございましたけれども、昨年の暮れに三年間の協定でありますけれども自動延長をつけて日ソ漁業協定が成立をした。だがしかし、合同委員会のクォータの交渉、漁場の交渉については大変時間がかかった。年を越しての交渉になった。この一連の流れを考えてみて、やはり二百海里新時代に入ったなという感じが私自身もするのであります。したがって、従来の交渉とまた違った側面もあったのではないかと思いますので、これらに関する評価といいますか受けとめ方を率直にひとつお伺いいたしたいと思います。
  387. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 お答えいたします。  確かに今般の日ソ漁業委員会は、日ソ地先沖合漁業協定の締結によりまして、法的な枠組みといたしましては、従来に比較いたしましてはるかに安定した枠組みのもとで行われたわけでございますが、実体面の協議につきましては、先生御指摘のとおり大変厳しい協議になりました。これにつきましては幾つかの要因が指摘できると思いますが、まず一つは、何と申しましてもソ連側が経済水域に関する新しい幹部会令のもとにおきまして、自国二百海里水域内の漁業資源の管理のあり方につきまして、沿岸国の主権的権利に基づいて一方的に決定をして差し支えないものであるという立場を非常に強く前面に打ち出してきたということが挙げられると思います。さらに、このようなソ連側の態度は、新しい幹部会令に基づいたイデオロギー的な主張であるという面と同時に、ソ連の食糧計画に基づく水産物の増産が非常に高い政策的な優先度を持って課題として提起されておる。そういう中で、我が国二百海里水域内におけるソ連漁船の操業条件と、ソ連二百海里水域内における日本漁船の操業条件との間で均衡のとれたものにしていこうというソ連側の熱意が一層強いものとなって交渉の協議の表面に出てきたということが言えると思います。それからさらに、ソ連自身が二百海里時代の手痛い犠牲を受けている国であるということも、以上申し述べましたような事情をさらに強調する効果を伴ったであろうというふうに思われる次第でございます。そういう状況の中で大変厳しい交渉になったものというふうに認識をいたしております。
  388. 岡田利春

    岡田(利)分科員 私は、この交渉の中で二つの問題が残ったと思うのですね。一つは、北洋漁業の死活問題である五百メーター以浅の着底トロールの面については一応撤回になりましたけれども、これはやはり将来ともの課題として残っておるのではないか。したがって、もちろん従来の主張が認められるといいのでありますけれども、我が国としても、これにどう対応するかという点については十分検討しなければならぬ問題ではないか。もう一つの問題は、カニ、ツブ、エビのいわば大陸棚資源、この点については民間協定に任せるということで問題が残っておるわけです。これはトン数にすると一万五百トン程度だと思うのですね。  特に第二点のカニ、ツブ、エビは、民間団体すなわち大日本水産会がこれから交渉するわけでありますけれども、従来、民間ベースの経験はあるのですが、この見通しについて伺っておきたいと思います。
  389. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 御指摘のとおり、カニ、ツブ、エビにつきましては、大日本水産会と全ソ漁業船舶公団との間の協議にゆだねられることになりました。これにつきましては、従来からいわゆる共同事業という形で政府間協定の枠外で、この種操業が行われたという経験はございますが、率直に申しまして、従来ございましたその種操業の経験というのは、いろいろな意味で私どもに不安の念を誘発するようなところがございました。今般、民間の協議にゆだねるに当たりましては、そういうことも念頭に置きまして日本側としては窓口を大日本水産会にするということによりまして、従来の弊害を除去するように工夫をしたつもりでございますが、私どもといたしましては今般の協議のいきさつからしまして、引き続き、この協議の成り行きについて側面からお手伝いをしていかなければならないというふうに認識をいたしておりまして、先般も大臣から、今回帰国いたしますパブロフ大使にも、この点はくれぐれも念を押して話をしておいていただいたところであります。  それから、先生御指摘の五百メートル以浅の着底トロールの問題でございますが、これは私どもの認識によりますれば、ソ連側は日本の二百海里水域内の操業条件の緩和として今回の協議に当たり提起いたしました幾つかの問題点について、今回は今回でおさまりましたが、恐らく一九八六年の協議に当たっては再度また持ち出すということは当然予想されるところでございまして、それに対して日本側が否定的な反応をいたしますれば、それに対するはね返りとして、また五百メートル以浅の着底トロール禁止ということを言い出すであろうということは十分予想されるところでございます。この点につきましては来るべき一九八六年の協議の問題でございますから、私ども今から予断めいたことを申し上げることは差し控えさせていただきますが、私どもも問題の所在は十分熟知しておるところでございますから、慎重、周到に対処していく所存でございます。
  390. 岡田利春

    岡田(利)分科員 今回の大臣訪ソに当たって、国内の方も非常に大変な各階層の盛り上がりがあったと私は思うのです。そういう中でまあ一応、十分ではないけれどもああいう解決になったという側面も忘れてはならないような気が実はするのであります。しかし、残念ながら、最近またソ連側から五隻の北転船の操業違反について指摘があり、また福島漁業の北転船の第五十二惣宝丸が沈没をするという不幸な事態があって、これもまた操業水域外の事故であった、こういう点が言われておるのであります。今後、日ソの漁業協力協定もありますしサケ・マスの協定交渉も控えておる関係上、この事犯というものは極めて憂慮すべきものであると私は思うのであります。今後の漁業交渉の展望等を考えながら、これらの問題については一体どう対処するおつもりか、伺っておきたいと思います。
  391. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 水産庁といたしましては、従来から洋上、陸上を通じます取り締まりを行いまして、違反船に対する行政処分、あるいは経営者、乗組員に対する遵法操業を指導するための講習会を開催いたしますとか、違反防止のための措置をいろいろ講じていたところでございますが、本年に入りソ連水域に出漁する北転船の違反容疑が発生したことにつきましては、まことに遺憾に存じております。  ソ連側から許可取り消し通告のありました五隻の北転船につきましては、現在、漁業法違反の疑いで事実関係調査中でございまして、また、操業区域外で遭難をしたとされております第五十二惣宝丸に対しましては今後調査をする予定でおります。  私どもといたしましては、本年に入ってのソ連水域における違反容疑問題を極めて重大視しておりまして、水揚げ港に係官を派遣する等、取り締まり強化して、その結果により違反船に対する行政処分を行うつもりでおります。これらの漁業者に対する指導を従来にも増して強力に実施をいたしまして、違反の再発防止に全力を尽くしたいと考えております。
  392. 岡田利春

    岡田(利)分科員 特に今度の事故は単に違反操業というだけではなくして、あけぼの丸以来の極めて重大な災害であったと思うのです。北洋の厳しい海の中で、あけぼの丸の原因調査についても一応の報告がなされておるわけですが、今度の北転船のこういう事故が起きるということが考えられるということは、私は非常に大変な問題だと思うわけです。この原因究明については、もちろん水産庁だけの所管ではありませんけれども、あけぼの丸と同様の原因究明を強く期待をいたしておきたい、こう思います。  そこで次に、今月モスクワで引き続き行われる日ソ漁業協力協定の問題でありますけれども、これはもういよいよ最後の交渉だ、私はこう思うのでありますけれども、そういう認識でよろしいかどうか。同時にまた、この問題もソ連の最高幹部会令第三条、海洋法条約の六十六条を基礎にして今日、交渉が最終段階を迎えておると理解をするわけであります。もちろん我が国の、著しく経済的に影響を与えない、実績を尊重するという立場もわかりますけれども、大体国際的な常識というのはもう母川国に管轄権が及ぶ、そしてただし書きがあるわけでありますから、大体そういう意味では原則的なことの一致がなければ全体の解決がないわけでありますが、そういう原則的な一致について、今まで三回も交渉をしておるわけでありますから、その点についての見通しについて、もしお話しができれば伺っておきたいと思います。
  393. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 今の点でございますが、確かに日ソ間におきまして、遡河性魚種について母川国の有する第一義的な利益と責任という点につきましては見解の不一致があるわけではございません。お互いに第一義的利益と責任が母川国に存するということは認め合った上で議論をしておるわけでございます。何にいたしましても沖取りを前提にした二国間の取り決めを、新しい国連海洋法条約の当事国同士の間で締結をするというのは初めてのことでございまして、そういう意味では第一義的利益と責任について双方間に基本的な見解の不一致がないにもかかわらず、それをソ連側から見ますれば、いかに二百海里内の主権的権利に接近したものとして性格づけようかというふうに考えますし、私どもといたしますれば、できるだけ公海漁業自由の原則と調和のとれたものにしたいというところで、第一義的利益と責任については争いがないものの、やはり深刻な問題が伏在するわけでございます。  ただ私どもといたしましては、先生も御指摘のとおり本年の漁期も切迫をしておりますので、今回の協議で必ずまとめなければならない、まさに、そういう時期に来ておるというふうに認識をしております。私どもといたしましては、本件の協議を決着させることの重大性につきましては、先般、大臣が訪ソいたしました際、アルヒポフ第一副首相、カメンツェフ漁業大臣にも、その点は大臣からくどく話をしていただいたところでございます。先般パブロフ大使にもその点について改めてよく念を押したところでございまして、私どもとしても、そういう決意で今度の協議に当たるつもりでございます。
  394. 岡田利春

    岡田(利)分科員 去年ですか、クォータが七十五万トンから七十万トンになりましたね。今回六十万トンになったわけです。サケ・マスの場合も四万二千五百トンから四万トンになったわけですね。率で計算すると、若干違いますけれども六%なんですよ。今度七十万トンから六十万トンになるということになりますと、比率からいうと一四・五%くらいになるんです。サケ・マスで四万トンにダウンを掛けると三万五千トンくらいになるというのは、前のジンクスからいって非常に私は心配をしておるわけです。そうなってくると、これは相当な減船を伴う問題で、中部小型の分配が大変になるんではないかという心配があるわけです。そういう私の心配というものは、今までの交渉の過程の中ではサケ・マスは、協力協定で日本側からは入漁料じゃないけれども協力費を払っておるという関係もあって一応、今の四万トン程度は安定的に持続できるというような感触があるのかないのか。非常に難しいことだと思うのですけれども、言える範囲で率直にお話を聞きたいと思います。
  395. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 大変申しわけないのでございますが、現在まだ前段の協力協定をやっておる段階でございまして、私どもの視力では到底まだその先まで見通せる状況にはございませんので。
  396. 岡田利春

    岡田(利)分科員 サケ・マスはこれから交渉が残っている。来年もまた日ソ、ソ日の漁業協定があるわけです。私は、ソ連との漁業交渉についてある程度、発想を変えてみたらどうかという感じがするわけです。というのは、漁業交渉そのものも大きい面で言えば経済協力関係なんですね。そのうちの漁業の分野であるわけです。ですから、もうちょっと日ソ関係において経済の総合協力といいますか、枠を広めて、その中における日ソ間の漁業協定の安定化、こういう課題を模索してみる必要があるんではないか、こんな感じがするわけですね。これはなかなか、そうは言っても通産省があり外務省があるわけですから、水産庁サイドだけでは非常に難しい側面があると思うのですが、ここまで来ますと非常に重要な課題になりますので、この点はぜひ来年度の日ソ漁業交渉に向けて、クォータの決定に向けて大臣に検討してもらいたい、こういう強い希望があるのですが、見解を承っておきたいと思います。
  397. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今の御指摘の点につきまして、実は私が訪ソをしまして漁業大臣と第一次官と会ったときは直接出ておりませんが、私が総理の親書を持ちましてアルヒポフ経済担当副総理と会いましたときに、向こうからその話が出てまいりました。それで実は日ソの経済協力につきまして、かなり詳しく大変具体的に出てまいったということでございまして、この点につきましては、帰って総理、外務大臣に、それからまた特に財界人で稲山経団連会長、安西さん、永野重雄さんの話も出てまいりましたが、これは亡くなられたものですから、ぜひそういうソ連の親しい友人、特に私の親しい財界人に伝えてくださいということで出てまいったわけで、その努力をしてみたい、こう思っております。
  398. 岡田利春

    岡田(利)分科員 先般、一般質問でも安倍外務大臣にそのことを私、提起をしてあるわけであります。ぜひそういう側面も御検討願って、日ソ間の漁業協定がスムーズに安定化するという方向で御努力を願いたい、かように存じます。  そこでサケ・マスに関係しまして、これは近海の問題でありますけれども、大体サケ・マスの漁業というのは定置漁業で、定置でサケをとるというのが固定化されておるわけですが、さらに最近は延べ縄漁船でサケを採取をする、こういうことも試験的に行っておるわけです。根室の場合、十隻で、この成績が非常に顕著に出てまいりまして、昨年、釧路関係に五隻これが許可になる。いずれも五人共同でやっておるわけですね。非常に成績がいいわけです。ちょっと水温が上がりますとサケはずっと沖を通ってしまうものですから、そういう関係上、この共同の船というのは非常に成績を上げたという経過があるわけです。大体サケは索餌性の魚ではないというのが通説でありましたけれども、えさづけ、放流等もするせいか最近は非常にえさによく食いつく、こういう習性が出ておるわけであります。したがって、もちろんこれは定置それから特採のバランスの問題が考えられなければならぬと思いますけれども、いま少し、これはふやしていいのではないか。こういう積極的な政策をとるべきだ、こう思うのであります。これは、もちろん道知事段階でこういう特別採捕が認められるわけでありますけれどもサケ・マスでありますから水産庁としてもその点について一歩突っ込んで、この点について特採をある程度ふやすという方向で御検討願えないものか、こう思うのでありますけれども、この点、いかがでしょうか。
  399. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 先生御指摘のように、従来は定置漁業を主体ということで指導してまいったわけでございます。ところが、北海道におきまして、近年、計画を上回るサケ資源の来遊が見られ、再生産用の親魚の安定的な確保にも支障がないというところから、資源の有効利用及び多くの漁業者への利益の均てん化、そういう観点から五十六年以来サケの分布、来遊状況、本州系サケの混獲状況調査を主眼に置いた試験操業が道知事の特別採捕許可によって行われておることは先生御指摘のとおりでございます。五十九年度におきましては、十隻が試験操業を行い、約十三万尾の秋ザケを採捕しておりますが、道庁といたしましては、この試験操業を六十年度まで実施をいたしまして、本州系サケの混獲防止対策を十分見きわめた上で今後の対応について慎重に検討するということにしておられまして、水産庁としても試験操業による調査結果を踏まえて関係道県とも十分協議の上、今後指導をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  400. 岡田利春

    岡田(利)分科員 これは答弁は要りませんけれども、ちょうど今から五年前に北海道道漁連の魚の空売り事件がありまして大変な問題だったわけですね、かずのこ事件。最近また大阪の中央市場名門の会社が関与した、いわゆる魚取引の商品相場的事件が起きたわけですね。これは五年前にもあれだけ反省したことがあるにもかかわらず、今回またこういう事件が起きたということは非常に残念なことであるわけです。この点については、魚離れを防ぐという意味において、また水産資源の取引の安定化を図るという意味で、農林水産省の特段の指導方をこの機会に強く要請をいたしておきたいと思います。  それと、第二点の問題は減船問題でありますけれども、自主減船と言われて既に北転船の減船が行われ、今度は底刺し網の業界の減船が引き続き行われる。漸次自主的な再編成の方向というか安定化の方向を目指して減船が進められておるわけであります。従来の減船とは違って、政府はこれに対する一定の助成措置をとられておるわけであります。それには共補償、お金の融資制度、あるいはまた特定漁業の生産構造再編事業、こういう面からの助成が行われておるというのが今の政策の実態であります。しかし、今日の借金を抱えている漁家の状況というのはこれまた大変な状況になりつつあるし、最近は倒産事件もしばしば出ておるわけであります。そういう意味で、減船後の漁家の経営は一体どういう状況なのか。共補償を抱え、その前にもまた共補償を抱えておるわけでありますから、そういう点で、減船後の漁家の経営という問題について、ぜひそれぞれの系統機関を通じて御検討いただきたい。時間がありませんから、この二点は特にお願いをいたしておきたいと思います。  そして最後に、先ほど申し上げましたように、二百海里時代八年目を迎えた、もう一、二年で十年を迎えるという状況であります。したがって、我が国の二百海里の暫定措置について一体見直しはいつごろ考えられるのか。もちろんこれには我が国として、海洋法の批准はまだ十一、二カ国であるからそう急ぐ必要はないという感じもあるようでありますが、海洋国家としてできるだけ早く批准するというのが従来の内閣の方針でありますから、そういう意味で、これにはどういった対処をされようとしておるのか。同時にまた、二百海里問題は、対ソ漁業交渉のために暫定約二百海里法を制定したという経過があるわけでありますが、韓国あるいは朝鮮、朝鮮は国交がありませんけれども、中国、また台湾、台湾も国交がありませんけれども、いずれにしても、経済水域二百海里時代に向けてそろそろこれらの環境を漸次整備をして、我が国の二百海里体制も暫定措置から恒久立法化の方向にきちんと展望を定めて進まなければならぬのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  401. 田中謙次

    田中説明員 外務省の海洋課長田中でございます。  今先生御指摘の海洋法条約の批准の件につきましてお答え申し上げます。  先生御存じのように、この海洋法条約というのは、六十番目の批准書あるいは加入書が寄託されて後一年たってから発効するということでございまして、正式に国連が発表しておりますところによりますと、現在のところ十四の批准書が寄託されているようでございます。  我が国の批准というお話でございますが、我々といたしましては、この条約の性質から考えまして、国際社会の多数の国が、あるいは大多数と言っていいかと思いますが、この条約を受け入れるようなそういう状況が生まれることが最も望ましいことは言うまでもないかと思いますが、特に開発途上国あるいは先進国双方どもにこういう条約に入ってくることを望んでいるところでございまして、したがいまして、こういう国々が批准に対してどういう立場をとっているか、あるいは、現在この条約が発効するに備えまして準備委員会というのが行われておりますけれども、そこにおける審議の状況、そういうものを踏まえながら最終的な決定をいたしたい、こういうふうに思っている次第でございます。したがいまして、現段階で批准という見通しを立てることは非常に困難な状態であることは御理解願えるかと思いますが、にもかかわらず、我々といたしましては、条約を批准するという場合に備えまして種々の検討を行っている、こういう状況にあるところでございます。
  402. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 暫定措置法の関係でございますが、もちろん私どもといたしましても、当然批准する場合ということを想定いたしまして検討すべきものと心得ておりますが、ただ、御高承のとおり、現在の暫定措置法は海洋法条約草案を参考にしながらつくったものでございますので、基本的な骨格においては恐らく現状のままのものが維持し得るものというふうに考えております。  それから、暫定措置法の対韓、対中等の適用問題につきましては、これはもう御高承のとおり、慎重な検討を要する問題が余りにもたくさんございますので、十分検討させていただきたいと思っております。
  403. 岡田利春

    岡田(利)分科員 時間がないので終わります。
  404. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて岡田利春君の質疑は終了いたしました。  次に、池田克也君。
  405. 池田克也

    池田(克)分科員 公明党の池田克也でございます。よろしくお願いいたします。  私は、地元の問題なんですが、東京の世田谷区上用賀に馬事公苑という施設がございます。これは馬の調教その他いろいろ使われているように伺っておりますが、私がきょうお伺いをしたいのは、広域避難場所に指定されているこの問題についてでございます。  現在世田谷区には、人口八十万の東京でも一番人口の多い地域でございますが、十六カ所広域避難場所として指定をされているわけでございます。多摩川の河川敷とか世田谷公園とかあるいは防衛庁とか、広大なところがあるわけでございますが、住民からは遠いとかあるいは入り口がよくわからないとか、余り評判がよくないのが現状でございますが、それはともかくといたしまして、一朝有事の際に子供もお年寄りもここへやってくる、こういう状況から、最初に、きょう消防庁がおいでになっているというふうに伺いましたので、こうした指定をされている地域について、その後の使い勝手とかあるいは住民の評判とか、そうした問題について指導助言あるいはそれについての改善策等々、何らかの動きをしていらっしゃるかどうか、この辺からお伺いをしたいと思います。
  406. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 御質問の点でございますが、あらかじめ伺っておりましたものとちょっと違うものですから十分にお答えできないと思いますけれども、馬事公苑を含めまして東京都が広域避難場所として指定をしているものが百三十四カ所ございますけれども、その指定の判断基準というものが実はございまして、基本的には周辺市街地の火災に対しまして避難者の安全が確保できるスペースを有する場所を選ぼうということで、大震火災に対する避難というのが大きな目標でございます。  さらに、安全性の確保のためには大きく二つの条件を具備していることが必要であるというふうに、これは条例の施行規則の中にうたっておりますが、一つは、今申しました周辺の市街地構成の状況から、大震火災時の輻射熱に対して安全な面積を有する場所であるということでございます。それから、避難場所の内部において震災時に避難者の安全性を著しく損なうおそれのある施設が存在しないこと、この二点が大きく条件となっているわけですけれども、御質問の馬事公苑につきましては、昭和四十七年七月に指定されておりますけれども、この二つの条件をいずれも具備しているという判断をいたしまして指定をいたしているというふうに聞いております。  指定をした後の住民からのいろいろな評価ということでございますが、その点については詳しくは聞いておりませんけれども、ただ、東京都といたしましても、四十七年に第一回目の指定をしました後、大体五年に一回の割合で見直しというのをやることになっております。見直しの際には、その後の人口の増というものと照らし合わせて、計画避難人口というものが妥当かどうかというようなこと、いろいろと見直すべき基準があるようでございまして、実は五十九年度も現在見直しの作業中であるというふうに聞いております。その結果は、まだ作業中だというふうなことでございまして私どもも知りませんけれども、そういう点では十分見直しを図っていっているというふうに考えております。
  407. 池田克也

    池田(克)分科員 申し上げなかった点も加えてちょっとお尋ねをしたのでございますけれども、要するに、指定のしっ放しということであっては実際にいざというときに役に立たないのじゃないか。  きょう問題としておりますのは馬事公苑なんですけれども、後からお伺いをしたいと思いますけれども、公苑というから、普通の公園のように、たくさんの入り口があって常時あいていて、ベンチがあって、人々がしょっちゅう行ったり来たりして大体中の様子がわかっているというのと若干違うと思うのですね。したがって、お答えいただかなくても結構ですが、きょう私が今後の課題として御指摘をしておきたいのは、指定をされている地域が果たして有事の際に非常に適切に使い得るかどうかという問題についてやはりチェックしていかなければならない。これは当該自治体がやることだと思います。しかし、自治体にしてみますと、相手が国が所管をしている施設であるということになりますと、別に出入りできないということではございませんが、その改善とか要望とかについてはなかなか思うように物が言いにくい。よほどせっぱ詰まって、事故でも発生すればこれは当然やるのでしょうけれども、こうした問題というのは、大体人間はいよいよということになって、火事でも何でも実は警告を発していた矢先でしたなんということがよく問題になるわけです。私は地元におりまして、そうした点から、消防庁としても十分にこの問題について御研究をいただくべきではないか、そんなふうに思うわけなんです。  たまたまこうした話が出た機会に、例えば駒沢にオリンピック公園がございます。これは広域の避難場所に指定されておりますが、ごらんになったかもしれませんが、駒沢通りからオリンピック公園に入る一部地域でございますけれども、階段が、非常に幅の広い階段でありますけれども、かなりの高さについておるわけです。片方は普通の公園としてサイクルコースなどもできておりますけれども、一朝有事の際にはすべての地域が、そうした点が活用されていくわけでして、深夜あるいは雨のときというような場合もあるわけで、やはりそうした階段の有無とか塀の管理とか門扉の問題とか、こうした問題は折に触れてチェックをしていかなければならない問題ではないか、こんなふうに思っておりますので、ぜひとも要望として申し上げておきたいと思いますので、一言だけそれについて御答弁をいただきたいと思うのです。
  408. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 実は、馬事公苑につきまして先生から御質問がございましたので、東京都の方に問い合わせをいたしたわけでございますけれども、指定された後に、近年では昭和五十七年度から五十八年度、両年度かけまして、公苑周辺のブロック塀を耐震化するということを区の指導によって日本中央競馬会の方でやっているようでございます。五十九年度は厩舎地区の周辺に、大きな地震が起きた場合に馬が逃げてしまうので、放れ馬どめといいますか、その塀も完備したということでございまして、そういう点では、東京都あるいは区の指導によりまして、管理をいたしております日本中央競馬会の方も、避難時において住民が馬から危害を受けるというふうなことがないように配慮をいたしているというふうに聞いております。  さらに、一般的に、避難場所についての指導の点でございますが、実は、今回そういう点につきましても全国の実態はどうなっているかということを調査してみたいというふうに思っておりますので、その後またそういう点を踏まえて研究いたしてみたいと思います。
  409. 池田克也

    池田(克)分科員 ぜひひとつそうした点もよろしくお願いしたいと思います。  農水省にお伺いをしたいのですが、この馬事公苑は通常どんな運営——日常私ども休日しか出入りしてない状態なんですけれども、東京の郊外も最近では随分市街化いたしましたが、大変立派な、緑の濃い非常に貴重な自然を持った施設であるというふうに理解しておりますが、中の運営あるいは職員の数、管理の体制、この辺について明らかにしていただければと思います。
  410. 野明宏至

    ○野明政府委員 馬事公苑は、御案内のように、乗馬訓練とか競技会、そういったことが行われますので、そういうものに使用されます馬場がございます。それから遊園地とか庭園といったような公園の地区というものから成り立っておるわけでございます。  公園の地区につきましては、春は桜が咲く、また全体として非常に静かな場所でございまして、地域住民の憩いの場となっております。年じゅう一般に開放されておりますし、それから、春秋には園芸市とか、夏には世田谷区の区民祭りなどが開催されておるわけでございます。相当の入園者があるわけでございまして、いわば地域住民の交流の場にもなっておるわけでございます。  そういうふうな状況でございますので、馬事公苑は避難場所として指定されておるわけでございますが、昼間、これは九時から五時でございますけれども、馬事公苑長以下七十五人の職員がいまして、こういう人たちで管理しておるわけでございますが、夜はガードマンによって管理をいたしております。  入り口でございますけれども、昼間は正門と裏門、それから東側の通用門、この三カ所が開かれておりまして、人の出入りが可能になっておる。それから、ほかに四カ所入り口がございまして、有事の際にはこういった入り口を開くことができるようになっておるわけでございます。  それから、夜でございますけれども、正門にガードマンがおりまして、裏門には宿直者が常時待機しております。したがいまして、夜におきましても緊急時にはすべての入り口を開くことが可能なような状態になっております。
  411. 池田克也

    池田(克)分科員 よくわかりました。  今のお話で、例えば塀の改修であるとか緊急時の門のあけ閉めとかが明らかになったわけなんですが、この近所の人たちからもいろいろ意見を聞いてみたわけですけれども、いかんせん非常に広いわけです。したがって、一カ所、二カ所、三カ所、緊急時にあけるという門があるように伺っておりますけれども、これをあけるだけでも、一回りガードマンが走り回っても結構時間がかかるような状況でして、これは私の提案ですが、自治体もしくは近所の町会、こうしたところと連携をとって、緊急時にその人たちの手でここが開閉できるような体制というものはできないものだろうか。中へ入っても別に盗まれるようなものは、状況としてないはずでございますし、今フェンスが新しくできて馬の問題もおさまっているというようなこともございまして、大変素朴なことを貴重な時間を費やしてとお思いかもしれませんが、私は、住民の持っている非常に素朴な感情を代弁させていただいているもので、そうした点をもう一歩、ともかく管理は管理事務所があってしていらっしゃる、これは結構なことだと思うのです。ただ、問題は、いざというときにあそこはあくはずなんだけれどもあくのだろうかという問題をみんなが持っていまして、それから三カ所常時あいているというところなんですが、これも夜間とか、平時押せばあくというような状態ではもちろんないわけで、簡単なかぎはかけられているように私は聞いております。したがって、平時この問題を語ると何か随分遠い先を言っているような話に聞こえるのですが、緊急時の問題というのは平時からその気でもって考えていかなければならない問題なので、ぜひその点も一歩突っ込んだ御検討がなされていいのじゃないかな、そんなことを御提案申し上げるわけなんですけれども、いかがでしょうか。
  412. 野明宏至

    ○野明政府委員 貴重な御意見だと思います。例えば昼間は七十五名おるわけでございますが、夜も先ほど申し上げました正門と裏門のほかに全体としてガードマンが三人おりまして、宿直者も二人おるわけであります。したがいまして、広い中の入り口ではございますけれども、緊急時、有事の際にも入り口は速やかにあけるというふうな体制をとっておるというふうに聞いております。
  413. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 池田さんにお答えします。  おっしゃるとおりです。私は実は馬事公苑に行ったことがないのです。一遍視察に行ってみたいと思いますが、例えば今のかぎ等の問題も、門が三がいいかどうかの問題。今局長の答弁ですが、十八万平米の中で三人か五人じゃどうにもならぬです、ある場合。そんなことで、ある場合には緊急門をつくる、それでかぎを町会長へ預けておくとか何かそんなことで対応できるのじゃないかと思うのです。そんなことで一遍研究してみたいと思いますから、よろしくお願いします。
  414. 池田克也

    池田(克)分科員 ありがとうございました。大臣の御答弁は近所の人たちが聞いたら大変喜ぶと思うのですが、非常にみんなが大事にしている貴重な施設でございます。  そこで、ここに馬がそれぞれ調教されております。有事の際に馬がどういう反応をするだろうか、こういう問題もございますけれども、これは何か研究されているでしょうか。
  415. 野明宏至

    ○野明政府委員 有事の際の問題でございますが、厩舎地区については、先ほどもお話がございましたようにいわば防疫上、病気を防ぐあるいは危険防止という観点からきちっと隔離した形の状態にしておるわけであります。そういった観点から、馬が放れることを防ぐための塀とか馬どめのさくとかを完備して万全を期しておりまして、さらに有事の際には、厩舎地区以外におります馬については速やかに厩舎地区内に隔離収容するというふうな危険防止の体制を常日ごろとっておるわけでございます。
  416. 池田克也

    池田(克)分科員 馬の安全もこれまた考えなければならない面がございまして、私、実は災害の問題を考えましたときに、一つには、職員の方は馬の安全を最優先で考えざるを得ないお立場だろうと思ったわけです。と同時に、災害の避難場所として指定をされている、この両面を同時に満足するような緊急時の対応というのはなかなかできるものではない、こういう観点から私きょうこの問題について申し上げたような次第です。  実は、住民じゃないのですけれども、北先生とおっしゃる駒場学園の理事長さんですが、馬についての御専門で、文部省の嘱託もしていらっしゃる、獣医そして獣医以上の審査の任に当たっていらっしゃる方に御意見を伺ったのですが、馬は割と帰巣本能が強いので、災害時には余り馬房から出ない、こういう御意見なんです。非常に安心をいたしました。むしろ地震のときには馬房が倒壊してそのことによって馬に事故があることが心配である。関東大震災の折にそうした例があったそうです。  それから、外に出ているときには騎乗者あるいは調教師がいるので、これは心配ないだろう。問題は、音とか火とか人に非常に敏感な性質を持っている。したがって、ここへ大勢の人たちが大挙して避難してくるような事態に馬はかなり興奮をするのではないか。当然、フェンスもでき、馬房も完備しているけれども、一朝有事の際はそういうものがなかなか通用しない。倒壊するとか破損するとかいうような状態で、大勢の人が入ってきて、そういう状態でパニックが起きたときに、たしか百二十頭馬がおるように聞いておりますが、これとのお互いの安全ということになりますと、これは大変心配な面があるわけです。また、こういう状態をいろいろ考えてみますと、確かにいろいろ行事をなさって住民との融和も図っていらっしゃるわけですけれども、皆さん方の内容の案内ぶりというのはほかの公園ほどではないのです。  それからまた、申し上げたついでにお話をしますと、馬のトラックがございまして走るようになっております。非常に立派な施設ですが、私も中へ入って驚きましたのですが、砂が非常にやわらかく深く入れられております。馬の安全を考え、貴重な馬の足を保護するのでしょうけれども、私ども足をとられまして走れません。相当な幅でトラックが踏み切りになっておりまして、中へ入っていくのでありますが、ちょっとやそっとでは前へ進めないくらい深い砂の状態になっておりまして、私は行ってみましたけれども、夜中などにここをみんながどやどや通っていった場合に、これは何らかの安全施設というものも考えなければならないじゃないか。これは随分とぜいたくな注文だというふうに私自身も思ったりしたのですけれども、何らかの方法を考え、十分な夜間の照明もつけてこれに対応していかなければ、せっかくの避難場所として決めていながら効果が出ないのじゃないか、こんなことも、ちょっとオーバーぎみな心配ですけれども、思ったような次第です。  大臣、おいでいただいて御視察をいただければ事情は御理解いただけると思うのですが、そんなようなことを申し上げましたので、局長からでもこの辺についてのお受けとめ方を聞かしていただければありがたいと思います。
  417. 野明宏至

    ○野明政府委員 馬事公苑につきましては、日ごろ地域住民がかなりたくさん入園をいたしております。そういうこともございますし、それからまた、避難場所としても指定されておるわけであります。したがいまして、馬事公苑におきましては、所轄の消防署と打ち合わせを行いまして、その打ち合わせの結果をまた職員やなんかに周知徹底させる。それから、馬事公苑の職員で馬事公苑自衛防災隊というものを編成いたしまして、これは分担をそれぞれ決めておりまして、年に一、二度消防訓練をやりまして、その際に震災の際の訓練というものもあわせやりまして、有事への対応策を講じておるわけであります。したがいまして、これからもそういった震災時の問題も含めて所轄の消防署と打ち合わせをして、そういう際にもその機能を果たせるようにやってまいるように指導してまいりたいと思います。
  418. 池田克也

    池田(克)分科員 最後に、これは私の一つの願望なんですが、この馬事公苑のような施設を活用して、人間と馬の関係というのは大変古い歴史を持っておりますし、最近では都市の子供たちは馬について余り知識を持ちません。また、競馬のテレビを見るような状況だと思います。しかしながら、国全体から見て、さまざまな歴史を持ち経過を持つ動物ですし、私は、教育上の観点から見ても、博物館に類するような施設なども用意して、そして人間の最も近い位置にあった大動物として、子供に動物愛護あるいは命を大切にする、そうした教育をする施設としても十分にここは機能し得るのではないか。私は不案内で、農林省所管で馬に関する博物館や教育上の施設がどの程度あるか存じません。しかしながら、私は教育の問題を党として担当しておりまして、地元にありながら、あそこは遊園地として、あるいは桜、時にレジャー施設として行くことは承知をしておりますが、これだけの施設がありながら馬が走っている姿を見る機会も子供たちは少ないわけです。乗馬クラブの人たちが乗って普通に行ったり来たりは見聞できますけれども、ある意味ではさまざまな教育的な観点からこの施設は活用できるはずではないか、こんな感想を率直に持っておりまして、ぜひ、近隣との友好関係あるいは教育的な効果を考えて、一歩進んだ活用方法について御検討いただきたい。これについてのお考えをお伺いして終わりたいと思います。
  419. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 池田先生にお答えいたします。  いろいろ御指摘大変ありがとうございました。実は私、馬事公苑を見ていないものですから、所管大臣として大変申しわけないと思うのですが、この間テレビを見ておりましたら、馬事公苑で、月に一遍ですか、愛馬の日というのですか、馬事公苑に属する騎手の人が子供を乗せて、馬と子供との、何というか大変馬の理解を得られるようなことをやっておりまして、ああいろいろやっておるなと思ったわけです。そんなことで、馬事公苑を活用しながら、馬と人間ですか、いろいろ努力していると思います。これからも御指摘のように幅広く馬事公苑を活用したい、こう思っております。  また、先ほどの砂の問題ですが、避難場所というのは安全なところを中心に指定されたわけです。そうしますと、それはある意味では安全ではないわけで、そんなことをもちまして、緊急時にどうしたらいいか等含めて検討してみたいと思っております。またその結果を御報告したいと思いますから、よろしくお願いします。
  420. 池田克也

    池田(克)分科員 終わります。
  421. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて池田克也君の質疑は終了いたしました。  次に、田中克彦君。
  422. 田中克彦

    田中(克)分科員 大変限られた時間でございますので、はしょった質問になるかと思いますが、私は二つの点に絞ってお伺いをしたいと思っております。  一つは、二十一世紀を目指して科学技術の時代、この中で新しく脚光を浴びておりますバイテクの先端技術の開発についてであります。  御承知のように、ことしの農林予算は大変厳しい状況の中で大削減を受けておりますけれども、そういう中で、ただ一つ、バイテクの先端技術開発費というのが十二億七千八百万から大幅に十九億六千万と伸びているのが目立つわけであります。それだけに、私どもから見ますと、政府がこのことにかけている意欲というものは一応うかがい知ることができるわけであります。しかし、今の日本のバイテクの技術というのはアメリカ、ヨーロッパに比べてまだおくれている、こういう指摘がありますし、特に進んでいるのはアメリカだ、こう従前言われてきました。しかし、そういう中で最近は、いわゆる民間企業ペースの研究や開発が大変進んできておりまして、必ずしもそうは言い切れない。例えば、これはちょっと前の数字なんですけれども、一九七七年から八一年に世界じゅうから二千四百件ほどのこの種の特許申請があって、そのうち日本が六〇%を占めている、こういう数字に比べて、進んでいるアメリカが一〇、ソ連が五、こんな数字も実は聞いているわけであります。そうなると、必ずしもそうではない、こう言うこともできますし、さらにこの技術を伸ばしていかなければいけないというふうに私ども思うわけであります。  実際には、現在、三菱化成とか武田とか旭化成、協和発酵、味の素、サントリー、明治製菓、麒麟、サッポロ、カゴメ、日本冷蔵、タキイ、さまざまのメーカーが開発を競っている、こういう状況のようでありますし、そういう中でも、特に、既に抗がん剤の開発に成功している旭化成の例、あるいは味の素、サントリーは逆に米国にハイテクの技術を輸出をしている、こういう話もあります。  さらには、進んでいるアメリカの方では、ハイブリテックス社が細胞融合反応モノクロナールの開発で、いわゆる妊娠の診断薬というものを市販の状態に出してきている、こういう状況があります。  こういう非常に進んだ技術が開発されつつあるわけでありますが、要するに、今農水省が考えているいわば官産学一体のこのバイテク先端技術の開発について、農水省が現段階で持っている開発目標あるいは研究体制の整備、あるいは学園、大学等との連絡提携、人材養成、こういうものについてどういうふうに考えているか、そのことをまず最初にお聞きをしておきたいと思います。
  423. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今先生の御指摘のとおりでございまして、実は農林水産業は内外で大変厳しい状況でございますが、非常に魅力ある農林水産業を築くためにはどうしてもバイテクの力が必要である、そんなことで、生産力の飛躍的向上とか新しい生産工程の開発などで、これに重点を置いて頑張っているというような姿でございます。そんなことで、産官学の連携強化によりまして総合的なバイオテクノロジー先端技術の開発を積極的に推進しているところでございます。  そんなことで、六十年度の予算に粗いては、その基盤となる遺伝資源の確保を図る農林水産ジーンバンクの整備とか、細胞融合等による新しい品種の開発等、その強化を図ることで今努力しているわけでございます。
  424. 櫛渕欽也

    櫛渕政府委員 今大臣お答えになりましたけれども、バイオテクノロジー先端技術の研究の体制方面で、大体産官学の体制のポイントについて申し上げたいと思います。  まず、国の研究体制といたしましては、一昨年の十二月に、御案内のように筑波に農業生物資源研究所を設置いたしまして、従来かなりこの面の基礎的な研究をやっておりました農業技術研究所と植物ウイルス研究所という二つの研究所を廃止しまして、そういった研究所の中から、主としてバイオテクノロジーの方面の専門家をその新しい研究所に集中いたしまして、現在百二十三人の研究者がそこにおるわけです。そこが、遺伝資源関係研究から、分子育種といいまして組みかえDNA技術の開発、それから細胞育種といいまして細胞融合関連の研究、それから機能開発といったバイオテクノロジーの研究の、いわば中核となる研究所をつくったということが一つの大きな国側の特徴でございます。  それからさらに、そこを中心に関係の、例えば果樹、野菜、そのほか牧草とか、そういったそれぞれの研究所、あるいは食品総合研究所とか畜産試験場、こういうところのバイテク研究も、生物資源研究所を中心に全体が非常に活発に動いておるわけですけれども、もっと基礎的な研究の場面ということで大学の研究陣、こういったところと共同の基盤的な研究をかなりやっております。さらに技術開発という力、そういう点では、主として食品工業関係、種苗生産関係、あるいは生物農薬、こういったところの民間の関係のグループをつくりまして、そういうところに大いに助成をいたしておるわけでございます。
  425. 田中克彦

    田中(克)分科員 国として取り組んでいる姿勢についてはわかったわけでございますけれども、いろいろな分野にわたってこのバイテクの開発分野は分かれております。そういう中でも、これから開発がさらに進んでいく分野もあるし、一方では現実に実用化の段階にまで到達しているような分野もあるということで、さまざまだと思うわけです。したがって、国が一定のそういう先端技術の開発をしていくためには、未知の分野が多いわけでありますから、かなり専門的な立場、それから、進んでおると言われている民間の活力を導入するというような点も、現実問題としてはそういう形にならざるを得ないであろうというふうに思います。しかし、それと比べて実用化に向かっている段階や、そのことについて国は国として対応しても、その国の持っている開発の技術や情報、そういうものを一刻も早く地方へおろして、地方では地方なりの取り組みというものが既に始まっている、それで実用化の段階にまでそれが到達しているという分野もあるわけでありますから、そういう点で、これから開発していく極めて高度な分野というのは専門家に依頼する以外ないと思っております。そういうものを今度は地方の研究者や技術者におろしていく。それから、逆に言えば、地方からのそういう研修や成果も、国が吸収してきて、そこで国の方も研究開発した分野をより早く地方に伝達して実際の農林水産業に生かしていく、こういうシステムがなければいけないじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  実は、若干これは私のローカルの地域のことにも関係するわけでありますが、私は山梨でありまして、山梨の農業というのは御承知のように農業総生産の約半分は果実であります。あと蔬菜が三〇%ぐらい、畜産が二〇%ぐらい。いずれどの分野をとっても、バイテク産業に非常に農家も関心を持つ、農業指導に当たる県も勢いそれに力を入れていかなければならない、こういう条件に立たされているわけです。したがって、特にブドウなどにつきましては、私ども古い間から——まあブドウを食べておいでになる方は、いつでも日照りでもよければ甘いブドウが食べられると思っているわけでありますが、実はあれにもウイルスが感染しておりまして、ウイルスに感染しない苗をつくり出して、それを全ブドウ園について改植を進めていこうという広大な計画が県で立てられているわけであります。かつてはウイルスフリーの苗をつくるというのは、高熱処理でもって母樹をつくってそれから順次導き出してこないとそれがつくれない、それも完全なものとは言い得ない、こういうことでありましたけれども、バイテクの技術を使えば、私どもはランの成長点培養のときもそう思ったのですが、あの技術を使えればウイルスフリーの苗がつくれるんじゃないか、こういうことも考えておりましたら、私どもの素人考えも現実のものに今の段階でなってきているわけですね。  そうなりますと、このことについてもう少し農水省の方でも、積極的にそういう地方の状況を把握して、これを指導し、情報を提供し、技術者を教育、研修していく、こういう体制を強化すべきじゃないか、こんなように思いますけれども、今農水省の方で掌握されております地方のバイテク技術に取り組んでおります実態、それから今私が質問申し上げましたことについての考え方、そういうものについて若干伺っておきたいと思います。
  426. 櫛渕欽也

    櫛渕政府委員 実は、先生の今の御質問の全国各都道府県の最近のバイテクの実用化段階がどんな状況にあるかということについての私ども調査でございますが、昨年の十二月現在で各県にいろいろお願いをしまして動きを調べさしていただきました。それによりますと、もう全国各都道府県試験研究機関は、ざっと全体の機関の半分ぐらいは、いろいろな形でバイテクの研究を進めております。特に、その技術開発の分野を分けてみますと、先生今御指摘のいろいろな果樹とか野菜等のウイルスフリーを中心にしました、それとあとは種苗の大量増殖技術、こういった技術の関連、あるいは家畜の受精卵移植、この辺の技術は非常に各県の取り組みが進んでおりまして、大方の県で何らかの形で現在進めているという状況がわかったわけでございます。それから、いろいろ県によって違いますけれども、作物の品種改良の場面におきますバイテクの利用もかなり進んでいる。大体七割ぐらいの県がこれに手をつけている。そのほか、魚のバイテクというか、性転換でございますが、魚についても進めておりますし、食品の加工分野でも地場産業関連でやっておるというような状況がわかったわけでございます。同時に、最近の大きな動きとして、それぞれの県がバイオテクノロジーの県内の推進を図るための委員会というようなものを大概の県が持ち始めておりましたり、あるいは近くの大学とも連携をとり始めている、そういう状況が今のところ私どもがつかんだところでございます。  こういった県のバイテクを実用化する大変熱の入った状況にかんがみまして、私ども国といたしまして、都道府県のこういったことをいろいろな形で支援をしてまいりたい。今までもやっておるわけでございますが、それは大きく言って三つの点でもっていろいろとやっております。  第一点は、何といっても人材の養成といいますか、やはり非常に新しい分野でございますので、どこの県でもテクニックを持った人が非常に不足している。この人材養成に国としては積極的に協力しよう、そういうことで、御案内の制度としては、県の比較的若い研究者を大体六カ月、二カ月から六カ月ぐらいの間ですけれども、国の機関に受け入れて、そこでいろいろと国の人と一緒に研究をやってもらう、そこでいろいろ覚えてもらう、こういう依頼研究員の制度というのがございます。最近バイテク関係でそういう枠を設けましたので、この制度でかなりのたくさんの方が入っておりますし、それから、非常に短い期間、一週間ないし二週間の研修制度、こういう短期集合研修という制度も、最近非常にバイテクを中心にやるように心がけておりまして、大体七十人ぐらいの県の方が研修に参っております。こういったことを通じまして、よりスピーディーに効率的に国の持っているそういったノーハウを県の方にも大いに早く修得してもらおうということであります。  それから、次の点は、先生おっしゃいましたような、それぞれの地域の中で関係の機関の研究者の情報交換を積極的にやってもらおうということで、実は、それぞれの地域農政局を中心にしまして、地域バイオテクノロジー懇談会というのを昨年から開いておりまして、そこでそれぞれの地域の国の機関、県の機関、大学あるいは民間、こういった方々の情報交換をやっております。  さらにもう一点、これは、先生の御指摘にあります都道府県関係研究の助成でございますが、これにつきましても、主として果樹、野菜こういったものの組織培養関係研究でありますとか、ウイルスフリーの関係研究、あるいは牛の受精卵の移植研究、こういった技術開発に対する助成等は、今までもやっておりますけれども、県の方の要請に極力応じていきたいというふうに考えております。  こういったことを通じまして、今大変熱の上がっております現場の実用化の技術開発がいろいろな意味で効率的に推進されるように、私どもも努力をしてまいりたいと思っておりますし、さらに将来、新しいバイテクといいますか、非常に基礎的な遺伝子組みかえとか細胞融合とか、こういった技術が本当に現地で花が開くためには、今の現場のそういった組織培養等の技術が本当の意味で定着するということが基本ではないかというふうに考えております。
  427. 田中克彦

    田中(克)分科員 限られた時間で、もう時間がどんどん過ぎてしまって、私は気になっているのですけれども、実は、各都道府県などの取り組みの状況も今かなり掌握をされているようでありますけれども、私のいただいております資料によりますと、このように地方がやっているのだということをもっとたくさん持っていて、言いたいわけですが、時間がありませんから省略いたします。  そういう体制であるとすれば、ことしの予算を見る限り、国が取り組む姿勢についてはかなり前向きなものが見られますが、地方がそういう積極的な姿勢になっているのに、それに対していわばこの種の技術指導の面で予算の裏づけというのが非常に少ない、そのことがいわば地方の非常な期待外れになっている、こういう状況がありますので、そういう点に向かってぜひひとつ御検討いただきたい、こんなふうに思うわけであります。  それから、このバイテクの問題でもう一つここでちょっと一緒に伺っておきたいわけですが、これは、農水の分野は非常に広いわけですけれども、そのほかの分野にも広がると思います。しかし、そういう状況の中で、特に先ほど言いましたように、民間が非常に先行しているということですが、バイオインダストリー振興委員会、こういうものがつくられていて、これは通産省が所管しているようですけれども、基礎産業局長の私的諮問機関、こういうことで設置をされておりますけれども、この委員会が、その健全なる発展を図るための課題と対策についての報告ということでまとめて出しておりますが、それによれば、二〇〇〇年になればバイオ市場の規模というのは四兆二千億を超えるであろう、それを超えて六兆八千億にもなるかもしれない、こういう推計をしております。そういう状況の中で、一つには技術開発の推進、それから生物資源の確保、三つ目には人材確保、データの蓄積、整備、それから研究、実験から大量生産というようなことになろうと思うわけでありますが、その段階で、特に実験段階の遺伝子組みかえについての安全指針というものがやはり必要だという指摘をしております。それで、特に民間企業が積極的だという状況であるとすれば、一応この種の歯どめというものが何らかの形で必要じゃないかという学者の意見等も非常に強くあります。こういう点については農水省は現段階ではどのように対応を考えているのか、その点ちょっと聞いておきたいと思います。
  428. 櫛渕欽也

    櫛渕政府委員 今先生の御指摘がありましたようなことでありまして、バイオテクノロジーの開発を進めるに当たりましては、やはり安全性の確保ということに十分留意するという考えには全く変わりはございません。特に、今お話しの遺伝子組みかえ技術、こういった遺伝子組みかえの実験の関係では、これはほかの省庁も全く同様でございますが、内閣総理大臣が定めました「組換えDNA実験指針」というものがございます。この指針に基づいて私ども実施をやっておるわけでございまして、今私どものところではこういった実験指針でやっている実験が十数件ございますけれども、そういったことで、やはりこの種の実験は安全性の確保ということには十分慎重に留意しながら進めているわけでございます。
  429. 田中克彦

    田中(克)分科員 その点は要望にしておきまして、実は時間がありませんので次の問題に移らしてもらいたい、こう思うわけであります。  実は、これは土地改良事業の問題であります。具体的に申し上げますが 私のところでは、富士川の上流の笛吹川というのがございまして、その上流に広瀬ダムをつくりまして、これは約六十億かけたダムですけれども、多目的利用のダムでありまして、この水を利用して果樹地帯一帯に対する畑地かんがい事業が昭和四十八年にスタートをいたしております。事業費は三百八十一億六千九百万円ということでありますが、これは病虫害防除、凍霜害防止、それから肥液の散布というような多目的のために、国営については四十六年スタート、県営については四十八年スタートということですが、全体として十二年計画であります。国の方は現在八〇・八%の進捗率、それに比べて県営が非常におくれておりまして二〇・一%ということであります。そういうことからしますと、計画全体から見ますと、これは二市十一カ町村に及んでいるわけでありますけれども、山梨県の有数な果樹地帯、下流に若干養蚕地帯がありますけれども、をかんがいするわけであります。当初非常に期待をされておりまして、非常に大規模な畑地かんがい事業でございました。  しかし、私が言うまでもなく、この受け皿となっております農村の実態、それから農業経営の状態、それから農業そのものが置かれている条件、こういうものがここ数年大きく変わってまいりました。山梨では果樹農業というのはむしろほかの農業に比べては生産性が非常に高くて、生き残るために頑張っている地帯と言うことができるわけであります。それが現在は経営的にも労力的にもいわば限界に達した状況になりつつある、こういう状況があります。したがって、当初計画から見ますと、時間がずれればずれるだけ計画実行に狂いが生ずる。現に、この計画を中途変更をいたしまして、五千八百十二ヘクタールから五千四百二十ヘクタールに引き下げた事実も実は出ております。最近その現地の町村等の話し合い等を見ますと、さらに生産意欲の減退等に伴って農地の管理を怠る農家なども出てきたり、新たに農地の基盤整備にそれだけ投資をするということについて、いわばその必要を感じないというような農家も出てまいりまして、計画全体を進めていく上に大変憂慮をされておるわけです。  私どもは、これはいい事業でありますから実はやりたいわけでございます。しかし、そういうことのためには、時間が延びれば延びるだけそこの矛盾は広がっていくわけであります。したがって、できるだけ進捗率を高める。ところが予算の上から見ますと逆現象が今起こっておるわけであります。この差をどうしても埋めてもらわなければ問題の解決にならない、こういうことでありまして、特に果樹地帯が終わりまして養蚕地帯に入りますと、何かきのうは農水委員会で大分養蚕問題で議論をされたようでありまして、極めて厳しい状況にあることは大臣よく御承知のことだと思うわけです。そういう状況からして、今県の指導で桑を引き抜いているわけですね。そうなりますとなおのこと農地の基盤整備に、いわばここでもって畑地かんがいの投資をしていくという状況になるのかどうか、その辺も私ども非常に危惧されます。したがって、一刻も早くこの事業の進捗を図ってもらいたい。それと同時に、こういう状況実態というものを農林省の方はどういうふうに把握をして、これからの進捗についてどういう展望を持っているのか、その辺をちょっと聞かせてもらいたいと思います。
  430. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 笛吹川の土地改良事業でございますけれども、事業の実施状況についてはただいま御指摘のとおりでございます。大分期間もかかりまして、その間に農業事情、一般の経済事情も変わってきているわけでございまして、私どもといたしましてはなるべく早く事業を完成させなくちゃいけない、このように考えているわけでございます。現在、国営事業につきましては八〇%を若干超すところまできたわけでございますけれども、これからも極力工事を促進してなるべく早く完成をいたしたい、このように考えておるわけでございます。  昭和六十年度の予算案の中では、御案内のとおり農業基盤整備費につきましては対前年比九八・五%でございますが、当国営の笛吹川地区の事業費は一〇三・七%、事業費にしまして二十二億二千万円の傾斜配分をして促進をしていきたい、このように考えているわけでございます。現在、この地区につきましては計画変更をいたしたいということでございまして、私ども腹案は持っておりますけれども、現在、県の方と協議中でございます。その協議が調いましてから市町村土地改良区の方に御相談申し上げたい、このように考えておるわけでございまして、当初計画からいろいろな状況により変化いたしました分を織り込みまして変更計画案をつくってまいりたい、このように考えている次第でございます。  それから、この地区につきましてのもう一つの問題は、先生お触れになりましたように、国営事業に比べまして県営事業がかなりおくれております。事業費で見ますと大体三〇%くらいの進捗率でございまして、この点につきましても十分この跛行が是正されるようにこれから努力をしていかなくちゃいけない、このように考えておる次第でございます。
  431. 田中克彦

    田中(克)分科員 私、この問題を具体的に実例をもってお伺いしているわけですが、これは全国的に見てもやはり同じ条件の上に立っていると承知をいたしております。改めて議論する時間というものを求めたいと思っておりますが、それにつきまして、農業の経営の規模拡大あるいは農地の流動化、そういう面からの農政もたくさん行われております。しかし現実になかなかそれが進んでいない。しかも全国的に見ても九〇%は第一種、第二種兼業農家である、こういう実態の中から、兼業農家の所得を拡大をしていくという施策も農業政策の中の一つの重要な柱になるんじゃないかというふうに思います。かつては農村地域工業導入促進法などをつくりましたけれども、こういう計画に基づいて面積が決まり、受益農家が決まり、計画水路が決まり、それで農林予算を使ってという縦割り行政であるとすると、しかもこれに水利権が絡むということになると、一層もう本当に鋳型にはまったような目的にしかこの事業は生きない、こういうことになります。実際から見るとそういう農業の置かれている基盤、農村の基盤そのものが変わっているわけですから、それに応じた柔軟な対応ができるという方法を私は政策的に考えるべきではないか、こういうように問題提起をするわけです。  今直ちにお答えはいただけないかもしれませんが、いずれまた改めての機会に議論させていただきたい、こう思っておりますが、もしそのことについて考えているという、気持ちだけでもお示しいただけるならばぜひこの機会に聞いておきたい、このように思います。
  432. 井上喜一

    ○井上(喜)政府委員 大型の土地改良事業といいますのは、かなり長期の見通しをしっかり立てました上で事業計画を立てないと、後でいろいろな問題が起こってくるわけでございます。私どもといたしましては、極力、長期間にわたる期間で状況が変化した分につきましては、そういった要素を織り込みまして計画変更をいたしまして、その変更した計画に基づきまして事業を実施していくという建前でございますけれども、今御指摘がありましたように、既に実施をいたしました事業の分については、どうしてもその分について受益者の負担というものはあるわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては、一たん計画をいたしましたら極力それを早く完成をいたしまして、余り大きな変更がないような形で事業が完成するように努力をしなければいけない、そのように考える次第でございます。
  433. 田名部匡省

    ○田名部主査代理 これにて田中克彦君の質疑は終了いたしました。     〔田名部主査代理退席、主査着席〕
  434. 大村襄治

    大村主査 次に、山原健二郎君。
  435. 山原健二郎

    ○山原分科員 私は、最近最大の職業病といわれる振動障害、白ろう病、この問題について、今までもしばしば御質問を申し上げてきましたが、おさらいも兼ねまして質問をしたいと思います。  最初に、振動病の労災認定について、労働省が出しました基準局長名での「振動障害の認定基準について」、昭和五十二年五月二十八日付のいわゆる三百七号と呼ばれる通達でございますが、これに基づいて迅速公正に認定業務が執行されるべきものと思いますが、その点は間違いございませんか。
  436. 佐藤正人

    佐藤説明員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のありました通達に基づきまして現在運用を行っております。ただし、認定基準に該当しない個別の事案につきましても、個別に十分な調査を行いまして、あるいは必要な専門医の意見を聴するなど、慎重に業務起因性の判断を行っておるというような現状でございます。
  437. 山原健二郎

    ○山原分科員 最近、認定業務が時には六カ月もかかる、あるいはひどいケースでは一年、二年と滞る例がふえておると聞いております。これは労災法第一条の「目的」にも明記されておりますように、「迅速かつ公正」という点に反するのではないかというふうに思われます。これについての改善の必要があると思いますが、この点について労働省としてはどういう認識をされておるのでしょうか。
  438. 佐藤正人

    佐藤説明員 迅速公正な支払いといいますのは、私ども労災保険法の目的とするところでございまして、私どもその履行に地方を指導しております。ただし、最近、とりわけ振動病のように認定困難な事案もふえてきておりますので、事案によりましては若干時間のかかっておるのも事実でございます。
  439. 山原健二郎

    ○山原分科員 恐らく労働省としては、その後五十六年七月六日に出されました「振動障害総合対策推進について」という、番号で言いますと四百二十二号という通達がございますね。その中に留意事項として、一つは作業歴の十分なる把握とか、あるいは鑑別診断というのがありますから、それに基づいておっしゃっておられると思うのでございます。率直に聞きますが、この四百二十二号通達というのは、その前に出されておりますいわゆる三百七号通達、先ほど私が申し上げたのですが、これと同時に事務連絡として二十三号というのが出ておりますけれども、これを否定をしたりあるいはこれを修正するものではないと思うのですけれども、その点はそういうふうに理解してよろしいですか。
  440. 佐藤正人

    佐藤説明員 先生御指摘の二十三号といいますのは内簡事項でございまして、鑑別診断についても、認定要件を満たしている事案についてまで鑑別診断をする必要はないというふうに指導しておるところでございます。ただし、認定基準によりがたい事案も間々ございます。そういったものにつきましてはやはり鑑別診断は必要最小限の手続でございますので、そのために認定事務に多少の時間を要する場合もございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  441. 山原健二郎

    ○山原分科員 その意味はわかるのですけれども、だからといって認定業務、特に鑑別命令が、乱発と言っては語弊がありますけれども、多発をされる傾向にあるんじゃないかということをしばしば聞くわけでございまして、例えば三百七号と事務連絡の二十三号、二十三号はもう御承知のように実に細かく目安を書かれておりまして、判断をさまざまにする余地のないほど指示されておると思うわけですが、その中には、振動業務に明らかに一年以上従事し、かつレイノー現象のある者は直ちに認定されるべきものである、こういうふうに書かれておりまして、そういう明確な通達を出されているわけですね。それに基づいてやるならば、いわゆる鑑別命令の多発ということはあり得ないんじゃないかというふうに思うわけですが、それはそういうふうに理解してよろしいでしょうか。
  442. 佐藤正人

    佐藤説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、繰り返しになりますけれども、認定基準に合致するものまで鑑別診断をする必要はないわけでございまして、もしそういう事実がございますれば、今後行政指導を強めてまいりたいと考えております。
  443. 山原健二郎

    ○山原分科員 労働省十分おわかりのことでございますが、振動業務に相当期間、おおむね一年以上従事した後にレイノー、白ろう現象が発現したことが客観的に認められた者については、振動障害の認定要件を満たすものとして取り扱うこととされておるのでありまして、類似疾病との鑑別などは行うまでもない、こういうことになっております。こういう三百七通達の趣旨に反した鑑別命令を出すということは私はあり得ないことだと思いますが、この点の指導、これは労働省として適切にやっていただきたいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  444. 佐藤正人

    佐藤説明員 先生御指摘のとおり、そういう事実がございますれば行政指導としては残念なことでございますので、今後改めて指導を強めてまいりたい、このように考えております。
  445. 山原健二郎

    ○山原分科員 認定のおくれの要因は、今おっしゃる中にも出ておりますように、その一つといたしまして振動業務に携ってきた期間が正確につかめないということが大きな理由になりますね。山林労働者の場合、御承知のように職場を転々としておる者が多いわけでして、職歴を思い出せない。それからまた使用者の方でも、暴露時間を少く見せるために時には記録を改ざんをするというような例もございます。  私は四国の高知県ですけれども、私の隣の県、徳島県の例ですが、ここも山林で働いたり、あるいは出稼ぎ、トンネル工事等で働いておる人たちが随分多いのです。その中でいわゆる振動病、それからじん肺、恐らく私どもの推計では八千人潜在患者が徳島県でおるのではなかろうかというふうに考えられるわけです。十年、二十年と働きまして、そしていよいよ病気になって、さて事業主を捜してみても、それほど時間がたったのでは証明できないというような例にぶつかります。それからまた、特に振動騒音による難聴ですが、これが七十件というふうに報告されておりますけれども、難聴の場合は五年で時効である。したがって、不服申請をしましても大体一年かかる、またそれを中央に上げていきますと二年はかかるというようなことで、結局難聴問題についての解決がなかなかできないというような例もございます。これらもぜひ認識をしていただきたいと思うのですがね。  こういう実態にあるわけですが、しかし先ほど言いました二十三号の通達、事務連絡と呼んでおりますが、その事務連絡二十三号によりますと、振動業務への従事歴についてこういうふうに出ております。「詳細な事項については握が困難な場合には、は握した資料に基づき推定により判断して差し支えない。」こうされております。したがって、おおむね一年以上の暴露期間が推定で明白な場合には直ちに認定すべきものであるというふうにこの事務連絡は解釈していいんじゃないかというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
  446. 佐藤正人

    佐藤説明員 認定基準におきます要件でございますが、従事期間、先ほど先生がおっしゃいましたように一年ないしはこれを超える期間を要件という形にしております。十分な調査を行いましてもその中から正確な期間等が出てこないという場合には、おっしゃるとおり推定してよろしいということを指示しております。  しかし、おくれるケースの理由といたしまして、例えば振動業務の従事期間が認定要件に満たない場合、こういった場合につきましても、振動工具の使用時間が長い場合とか、あるいは未熟練のため振動工具を過度の握力によって保持しているときの場合、こういったような場合にはやはり振動障害が起こり得るということが予想されますので、こういったような場合にはやはり個別に業務起因性を判断せざるを得ないというようなことでございまして、そういったものについては若干の時間を要するのではないかというふうに考えております。
  447. 山原健二郎

    ○山原分科員 労働省がおっしゃることもわからないわけではございませんし、そういうことも当然あり得ると思うのですね。ただ、私の最近見聞しておるところでは、認定業務のおくれが次第にひどくなる、具体的に私はつかんでおりませんけれども、そういう声がありますので、これは指導上の問題として三百七あるいは二十三号事務連絡、これに基づいてぜひ適切な指導をしていただきたいということを要請したいと思います。  次に、振動業務の枠の拡大の問題についてお伺いしたいのですが、旧通達で五百一号通達というのがありまして、これはチェーンソー、刈り払い機というのでしょうか、それのみを振動業務としていたわけでございますが、三百七号によりまして大きく改善をいたしまして、削岩機やびょう打ち機などを含む十九項目に拡大をした、これは大変な改善であったと思います。しかし、その中には、最近問題になっておりますバイクやブルドーザーなどによる全身的振動に基づく振動障害や、あるいは最近縫製工場等に見られる業務用ミシンによる振動障害対象とされておりません。しかし、バイクやブルドーザーあるいはミシンによる障害が次第に大きな問題として現実に対応が求められている時期を迎えておるのではないかと思います。認定基準適用対象となる振動業務の範囲の中にこれらを含めるべきだと思うのでございますけれども、これについてはどのような見通しを持っておられるか、お伺いしたいのです。
  448. 佐藤正人

    佐藤説明員 現行認定基準におきましては、先生がおっしゃるとおり確かにチェーンソー等の振動工具に限定しております。これは、身体的局所への振動暴露によって生ずることが医学的に明らかにされております振動障害について認定要件を定めておるということでございます。したがいまして、振動業務の範囲につきましても、このような振動障害の発症の原因となり得ることが知られておる振動工具を例示しておるというような状況でございます。  御指摘のモーターバイクあるいはブルドーザーというようなものにつきましては、健康障害について医学的に必ずしも明らかにされておらないというような実態にあるわけでございます。しかしながら、モーターバイク等によります健康障害についての労災請求がありますれば、私どもは個々の事案について十分な調査を行って業務上外の判断を行いたい、このように考えております、  なお、御指摘の点につきましては、それらの振動が労働者に与える影響等について研究を進めてまいりたい、さらには医学的知見の動向にも関心を持って対応してまいりたい、このように考えております。
  449. 山原健二郎

    ○山原分科員 いろいろお考えになっていることがわかりました。  ちょうどきょうは人事院の方にもお見えいただいておりますが、郵政省に対しまして人事院が、昭和五十八年三月三十日付で「郵政省における外務職員の振動障害に関する公務災害の認定について」の通知を出しておりまして、主としてバイクによる障害を公務上の疾病として取り扱っている。その通知もここへ持ってきておりますけれども、この通知は、読んでみますと、基本的には労働省の出されている三百七号にのっとった規定となっております。そうしますと、郵政省でさえバイクによる障害を公務災害認定対象振動業務に含めているということになるわけでございますが、ここでひとつ人事院の方に、どういう関係でバイクを対象として取り上げられたか、一言簡単にお聞きしておきたいのです。
  450. 森園幸男

    ○森園説明員 お答えいたします。  昭和四十九年ごろからでございますが、郵政省におきまして職務上モーターバイクを使用する外務職員から、チェーンソー等の使用によります振動障害と類似の症状を呈するような疾病について公務災害認定の申し出がなされるようになりました。当初人事院では、郵政省からの相談に対しまして、先ほど先生が御引き合いなされました労働省の振動障害の認定基準などを参考にして個別案件ごとに公務起因性を判断するようにということで指導しておったわけでございますが、このようないわゆる振動工具によります振動障害類似の症状を呈する疾病の例が、職務上モーターバイクを使用する郵政省の外務職員に非常に集中して、しかも継続して発生しているという事情がございましたものですから、昭和五十七年になりまして、でき得べくんばこのような事例の公務上外の認定についての指針を郵政省に示すのが適当であろうということで、斯界の専門家から成りますバイク振動障害専門家会議というものを設置いたしまして、五十八年にその検討結果に基づきましてお尋ねのような通知を発したわけであります。
  451. 山原健二郎

    ○山原分科員 これは大変結構なことなんです。  郵政省の場合に人事院が通知を出すということですが、労働省の方に伺いますけれども、私が疑問に思うのは、郵政省でバイクについてのこういう事態が生じておりますと、労働省としてこれを労働行政一般に広げることは現実的しかも緊急な課題だと私は思うのですが、そういうことにはならぬのでしょうか。そこら辺の関係がちょっとわからないのですが。
  452. 佐藤正人

    佐藤説明員 振動工具等によりまして振動暴露を受ける、それによって振動障害になるということになりますと、当然振動障害として私ども認定しているわけでございますが、先ほど来からお話が出ておりましたようなオートバイ等による振動業務につきましては、いまだ医学的な知見が確立されておらない、未解明な分野も多いというようなこともございまして、私どもは現在は個別に判断をしておるというような状況でございます。先ほど後段にも申し上げましたとおり、いずれそういった医学的な解明を待って、先生がおっしゃるような認定基準の中に取り入れる時期が来るのではないかというふうに私どもは考えております。
  453. 山原健二郎

    ○山原分科員 確かにそうだと思います、そういう時期に来ておるんではなかろうか。例えば人事院の場合、医学的知見の問題としてもお考えになっておるんじゃなかろうかと私は思うのです。それは、そういうことではありませんか。単に郵政省ではそういう業務に携わる人が集中的に多いから出されたということではなくて、公務障害として、公務上の疾病として認めるという場合には、それらのことも総合的に勘案されて出てきたんではなかろうかと思いますが、その点はいかがですか。
  454. 森園幸男

    ○森園説明員 先ほど申し上げました専門家会議、これは医学の権威を集めた会議でございますが、その結論を得ましてそうしたわけでございます。  なお、専門家会議の結論の中でございますけれども、今のお尋ねに関連して申し上げますと、バイクのエンジンから発生する振動というのはチェーンソー等の振動工具と比べまして必ずしも同質とは言いがたい、また身体局所に与える負荷の程度は軽いと考えられるというような判断も示されております。しかしながら、いわゆるエンジンから発生する振動だけではなくて、不良な路面を走行中に車輪から伝播するような振動でありますとか、あるいは走行時の緊張、寒冷暴露等の多岐にわたるものが重複してなされておるというようなものを総合いたしまして専門家会議の結論が得られたというふうに認識しております。
  455. 山原健二郎

    ○山原分科員 今労働省の方の通達によりますと十九項目というふうに大きく改善されてきたわけですね。でも今人事院のおっしゃるようなことを聞きますと、例えば路面上の振動影響してくることも含めたお話でございますけれども、しかしそれを振動障害しかも公務災害の対象として認めるということになってまいりますと、当然労働省としてもこの十九項目についてさらに検討し、今日のようにいわゆる振動工具が非常に多くなった段階でこの範囲を、枠を広げる情勢に来ているんではなかろうか。先ほどから少し将来のことについてお答えになっておりますけれども、そういう段階の一つとしてこのバイクの問題が郵政省に適用されてきたんじゃないかと思いますが、私はそういうふうに見ますけれども、その辺の見通しはどうでしょうか。
  456. 佐藤正人

    佐藤説明員 先ほど人事院の方からもお話がございましたように、斯界の専門家にお願いいたしましてその医学的知見の確立されているものかどうかという検討がなされたわけでございますけれども、残念ながら現時点では未解明の分野があるというような結論が出されておりますので、私どももそれに倣って今後の研究課題という形で対応してまいりたいと思っております。
  457. 山原健二郎

    ○山原分科員 三百七号を出しましたときにも、いわゆる振動障害の認定基準の検討に関する専門家会議において検討を続けてきた、その結果としてあのような改善がなされたのがすなわち昭和五十二年五月二十八日の通達なんですよね。それから今日までかなりの日数がたっておりますから、そういう意味ではこういう枠の拡大といいますか、対象範囲を拡大していくということはぜひ検討していただきたいと思いますが、専門家会議というのはずっと継続されて存在しておるのでしょうか。
  458. 佐藤正人

    佐藤説明員 ただいまも振動障害の専門家会議という会議を常置しております。その中で今後検討されるであろうと考えております。
  459. 山原健二郎

    ○山原分科員 林野庁にお伺いしておきたいのですが、いわゆる振動病患者というのは山間僻地にも随分多くおるわけでございまして、しかもその中の軽快者、こういう人たちの社会復帰の対策でございますが、これは林野庁がやるというものでもないと思いますけれども、この人たちの生活をしておるところが国有林の近くにおる方が多いわけでございまして、その人たちの自主的な社会復帰の活動に対してこれを林野庁が援助するような方法は全くないのか。これは今まで各市町村において国有林または営林署に対するいろいろな要請がなされてきておりまして、私の県なんかでも村長が先頭に立って何とか国有林側からの援助が得られるようなものはないのかという話がなされているのですが、この点についてお聞きになっておりましたら御意見を伺っておきたいのです。
  460. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 現実の問題といたしまして国有林野事業の事業の基本となりますのは収穫量でありますけれども、国有林野事業の資源事情と申しますのが、戦後の造林地がまだ伐採の域に達していない、ここしばらくは非常に伐採量を縮減せざるを得ないというような事情が一つございます。さらに林財界の景況が不振のきわみでありまして、特別会計であります国有林野事業におきましても財務事情が非常に厳しいということから、各般の事業量がすべて相当期間縮小せざるを得ないというような状態になっておるわけでございます。したがいまして、既存の民間の事業体、これまで国有林野事業をいろいろと支えてまいりました既存事業体においてさえ、事業量を確保する、雇用量を確保するということが大変難しいような情勢に実はなってございまして、国有林といたしましては新たにそのような御希望のある方に対しましてもこれにおこたえするということは大変難しい情勢にあるということにつきまして御理解をいただきたいと思います。  しかしながら、一般林政施策の中におきましては、このような軽快者に対しまして復帰を促す施策と申しますか、そういうものを昭和五十八年ごろから実はいたしておりまして、そういう先進事例がありましたときにそれを調査研究する、また具体的な御希望、例えばキノコ類の栽培をしたいとか花木の栽培等々の軽労働に適した希望等があるわけでございますが、そういうふうな国有林について可能な、例えば原木の供給でありますとかそういうかなえ得るようなことがあります場合には御協力を申し上げたいということで考えておる次第でございます。
  461. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間が参りましたので、最後に農水大臣に一言お伺いしたいと思います。  今もお話がありましたように、山は林材の価格の低迷といいますか、宝の山を目の前にしながら全く貧乏しておるというのが今の実情です。しかも、そこで働く労働者の振動に伴う健康の破壊とか、それから振動作業の予防対策が残念ながら実効あるものになっていないとか、しかも振動工具の使用についても二時間の規制がありますけれども、実際にはひどいところでは七時間も八時間もチェーンソーを使っておるとかいうような実態があるわけですね。そういう意味での工具の改善あるいは健康診断、予防、これについては万全の対策をとる必要があると思います。これらについて、山林で働く農民あるいは労働者の健康、生活を保障するために農水省といたしましてもできるだけの措置を、手当てを講じていただきたいというのが私の願いでございますが、この三十分間お聞きくださいまして農水大臣のお考えがあると思いますが、いかがでしょうか。
  462. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 山原先生にお答えいたします。  山林労働者の健康で安定した生活を守るということは、林業の担い手を確保しその振興を図る上で最も重要な課題であると考えております。そんなことで、実は先ほど先生からも御指摘ありましたけれども、健康と作業の安全を図るために低振動機械の開発、これは先生御存じのとおり、五十年に比べて大体振動値四分の一くらいになりました。またリモコンで無振動のチェーンソーもつくっておるということでございます。それからまた、先ほどの使用時間の規制の徹底、これも実は一日二時間で、十分ぐらい作業すればあと十分ぐらい休む、こういうことで指導し、また不意の点検、巡視をしながら守ってもらうように努力しておる、そういう形の中で、特殊健康診断の実施等、各般の施策を講じております。  また、昭和六十年度においては、新たに労働安全衛生の指導あるいは必要な機器の整備等を内容とする林業担い生育成対策事業を実施することとしておりまして、今後ともこれらの施策の的確な推進に努め、山林労働者の健康と生活を守りたい、このように考えております。
  463. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間が参りましたから、終わります。
  464. 大村襄治

    大村主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、奥野一雄君。
  465. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 最初に水産庁の方にお伺いをしてまいります。時間の制約がございますので、一括してまずお尋ねをいたしたいと存じます。  一つは、日本海沿岸漁業振興対策ということでございますが、御案内のとおり北海道におきましては、ここ二、三年日本海沿岸というのは大変不振な状況でございます。特に、日本海の中でも檜山管内の北部地域は去年あたりもほとんど漁がないという状態でございまして、漁民の方々は大変苦しい生活に追い込められているわけでございます。また、そのことによりまして、漁協などもまさに倒産寸前と言ってもいいくらいの状況に今なっているわけでございます。そういう点で、今北海道におきましても横路知事あたりは大変心配をされまして、去年あたりから日本海沿岸振興対策事業というものを特別にやっていただいているわけでありますが、私も現地をつぶさに見てまいりまして、これは北海道だけで解決をするということは非常に難しい問題があるというふうに実は判断をしてきたわけでございます。そういう面では水産庁として、日本海の沿岸漁業振興対策について、恐らく道の方からも要請は受けているのじゃないかと思いますが、どういうような取り組みをされてきているか、あるいはまた今後どういう対策をとろうとされておるか、これをまず一つはお尋ねをしたい。  続けて申し上げますが、回ってみた中で一番困っておりますのは、日本海は大変栄養が少ないということでございます。海が非常にきれいだということは、逆に栄養が足りないということになっておりまして、磯焼け現象などももちろんあるわけでありますが、北部檜山管内の方は海藻もなかなか繁茂しない。したがって、ウニなりアワビなりの生息状況も悪いし、魚も余り寄りつかない、こういうことになっております。  地元の方ではこういう要望も出ているわけであります。例えば、そこで水産加工をやりたい、ホッケならホッケの水産加工をやりたいんだが、さて水産加工をやりますと残滓が出るわけであります。ところが、現在の環境基準の方からいきますとそのまま海に捨てるというわけにはいかない。そういうことのために、地元で仮に水産加工をやりますと十人でも二十人でも地域の雇用もできるわけてありますが、それができないということで函館市内の方で加工をやらなければならない。檜山管内というのは大変な過疎地帯でもありまして、そういう面でやりたいのだが、問題は残滓をどうするかということだ。昔は漁師の方々というのはそれを海に捨てておりまして、それが魚のえさになる、あるいは海藻類にいい影響を与える、こういうようなことがあったのでありますが、現在はそれができないというようなことになっているわけであります。  過日、環境庁の方からもちょっとお伺いをいたしまして、実験ということでやってみたらどうなんだろう、こういうことでいろいろお話も伺ってみました。一定の海域を区切って、一年やそこらでは恐らく効果は出ないと思うのでありますが、二年なり三年なり、実験という形でそういうことを仮にやってみて、効果がよければそれなりにまた対応の仕方もあるのではないか、こう思われるわけであります。しかしそれとても、地元の漁民の方々が実験をやれと言っても、これはなかなか面倒でありましょうし、当然そういうものは国全体としての一つ対策にもなろうと思いますから、水産庁あたりでそういう実験はできないだろうか、こういう点が一つあるわけでございます。  たまたま水産庁で検討されておるというマリノベーションの記事をちょっと読みまして、一部そういうようなものが含まれている。これは魚をまくということではございません、残滓をまくということではございませんが、似たような効果を上げるようなそういう構想もあるというふうに承知をいたしておりますし、地元の方でもそういうことについてやりたいという意向もあるようでございます。このマリノベーション、今はまだ検討中だろうと思いますが、そういう中で日本海の沿岸振興対策に適用できるようなものがあれば早急にやはり検討を進めていただいて、何とか日本海の沿岸漁業振興のために役に立てていただきたい、こう思っているわけでありますが、以上の点につきまして、ひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  466. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 ただいま先生から御指摘のございました北海道の日本海沿岸の漁業振興の問題につきましては、私どもも問題の所在はよく認識をしておるつもりでございます。したがいまして、当該地域の水産振興につきましては、魚礁の設置とか増殖場の造成等沿岸漁場の整備開発にも積極的に取り組んでいるつもりでございまして、例えば五十九年度について申しますと、北海道の漁場整備予算の五〇%強はこの海域に投入をしておるところでございまして、特にここを重点的にやっているつもりでございます。栽培漁業の推進あるいは沿岸漁業構造改善等につきましても、この地域に特に重点を置いて取り組んでいるつもりでございます。  今後とも、北海道の日本海沿岸地域における水産振興につきましては、漁場の整備開発あるいは栽培漁業の推進等を重点的に図っていく必要があると考えておりまして、道庁ともそういうラインで御相談をしているところでございます。特に北海道の日本海側における道の種苗量産施設の設置に対する助成につきましては、今後道の御意向も十分伺いながら検討してまいりたいと思っております。  それで先生、ただいま北海道の日本海沿岸の水域における貧栄養の問題について言及をなさいましたが、この問題は、かねてから水産庁と道庁などと連携をとりまして、五十七年度、八年度、檜山管内、後志管内の漁業振興について検討をいたしまして、その段階から話題になっておる問題でございます。先生ただいま御指摘のございました水産加工の廃棄物で栄養塩を補給していく、特に具体的にイカのゴロなどというのが話題になっておるのは私どももよく承知をしておるところでございます。現存の水質規制関係の法令がそういうことの障害になっておるということも私どもも十分承知をいたしておりますが、何しろああいう閉鎖水域ではないところで栄養塩をどうやって補給していくかということについては、技術的にも大変難しい問題でございますが、確かにそういうアイデアは出てきておるわけでございます。  これについては道庁においてもいろいろ検討されているように承知をいたしておりまして、先生御指摘の海洋汚染防止法とか廃棄物の処理及び清掃に関する法律などとの関係についても、道庁の御検討あるいは関係県との御相談を踏まえて、具体的な計画が明らかになった段階で、私どもとしては環境庁とか運輸省とかそういう関係省庁とも御相談をしながら適切に対処してまいりたいと存じておりますが、何しろこれらの法令は、制定の経過を見ますと、水産業関係者の海をきれいにしたいという要求にこたえてできたような経過もございまして、問題を持ち出す手順等につきましてもいろいろ心を用いなければならない点があるやに存じております。  それから、先生ただいま言及なさいましたマリノベーションにつきましては、私ども具体的に特定の水域を念頭に置いてマリノベーションということを検討しているわけではございませんが、その中に盛り込まれておりますいろいろなアイデアで、この水域について御利用いただけるものも当然あろうかと思っておりまして、その点はこの構想の検討の過程で十分心を配ってまいりたいと思っております。
  467. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 既に実験段階では、私の承知しているのでは檜山管内の大成町だと記憶していますが、イカのゴロ、これはもちろん脂は抜かなければいけないわけですが、脂を抜いて実験としてやっているわけです。実験のできない地域はどうしているかというとイカのゴロを山に捨てている。これは脂がついたままですからさてどうかなと思って別な面で心配はしているわけですが、実験段階でも例えばやれるということになりますと、イカばかりでなくてホッケなんかでも地元にとれば一石二鳥ということになるわけでありまして、そのことによって雇用もある程度確保できる、過疎化にも歯どめがかかる、それからまた、結果がよければ沿岸海域で養殖事業などもあるいはやれるということで、そういう効果が出てくるものであります。  もちろん海を汚すということについてはこれは控えなければなりませんが、たまたま現地の方では、私もまだ詳しくは承知しておりませんが、道内水産団体や道などで構成する日本海地域水産業振興対策協議会というのがありまして、海底に延長五キロメートルの人工山脈を築いて水の流れを変えてプランクトンを増殖させる人工湧昇流による超大規模漁場、あるいはまた、し尿を加工した海洋肥料を海に散布して栄養化を促進する海洋施肥システム、こういう構想などが実際にやられているわけです。大分前のまだ公害問題がうるさくない時代でありますけれども、室蘭なんかでは陸地から海にし尿を放流しておりまして、そこは昆布の繁茂が非常によろしいということ。それから、私は大阪湾を一回見てきたことがあるのでありますけれども、今はやっていませんが、大阪湾で昔は、肥船で湾の途中まで行ってぱっと捨てるとそこヘイワシがどっと寄ってくる、こういうようなこともございまして、そういう面では大変いいんだなと思ったのですが、今はなかなかうるさくなってきております。  ですから、例えば今こちらの方で考えているようなこと、これはマリノベーションの中にもこういう構想のようなものが含まれているようにちょっと私記憶はしておるのですが、そうだとすれば、こういうものなんかについての利用を考える、研究を進めていくということになりますと、比較的海を汚さないでいい効果があるいは上げられるかもしれない。ただ心配しておりますのは、やはり一つの地域とかそういうものだけでこういうのをやれと言ってもなかなか無理があるのではないか。もう一つは、水産行政全体としてそういう体制をつくっておく必要があるのではないか、こういう考え方があるわけでありまして、ぜひそういう面についての検討を急がれて、現地の方でそういうもので構想を持っているというのであれば、打ち合わせなどもしていただいて、何かいい方法をひとつ見つけていただいて対策をとっていただきたい、こう思っておりますが、その点についてだけお尋ねしたいと思います。
  468. 佐野宏哉

    ○佐野政府委員 ただいま先生お話しのございました人工的に湧昇流をつくる、これも確かに栄養塩に富んだ海水をあれする方法として魅力的なアイデアではあるわけでございますが、私ども率直に申しまして、現実的な技術開発についてはなお手法やコストの面でさらに長期の検討を要するものではないかというふうに存じております。人工的に湧昇流をつくるというアイデアはマリノベーションを考える際にもそういうアイデアが包摂されていることは事実でございまして、ただいま先生の御指摘にもございますので、今後ともよく検討はしてまいりたい、こういう段階でございます。
  469. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 水産庁の方はこれで終わります。  次に林野庁の方にお尋ねをしてまいりますが、これも時間が切迫してまいりましたので、まとめてひとつお尋ねをしておきたいと思うのです。  今度の国会で中曽根総理が国際森林年ということについて触れられておりまして、その中で、「地球環境の保全は、人類生存の基礎となるものであり、我が国は、これに積極的に貢献していきたいと考えます。」こういうふうに施政方針演説の中で述べられているわけであります。それは大変いいことだというふうに思うわけでありますが、この中曽根総理の発言をよく読んでみますと、日本も地球環境の保全のために積極的に貢献をしていきたいということは何を意味しているのだろう、地球全体のことを考えているのか。自分の国のことを考えているのか。私どもから言わせますと、もっと自分の足元を見てもらいたいという気持ちがあるわけです。  日本の今の山の状況はどうなっているか。私の方から申し上げるまでもなく、皆さんの方が専門家ですからおわかりだと思うのですが、私も何カ所か山は毎年歩いて見ておりますけれども、これは率直に申し上げまして余りいい状況ではございません。今一々それを指摘する時間的な余裕はありませんが、そういう状況であります。森林の持つ効用、公益的な機能というのですか、これは林野庁が一九七二年に発表されました緑の効用というもので金額に出しておりますが、これは八三年時点で換算をいたしますと二十七兆を超える金額になっているわけでありまして、これは大変重要な役目を果たしていると思っているわけであります。しかし、私どもはこうやって生きておって空気を吸っておっても空気のありがたみというものはなかなかわからないわけでありますし、水を飲んでおっても水のありがたさというものもなかなかわからない、そういう状況だと思うのです。したがって、今までの国有林に関する予算の状況を見ておりますと、どうも少し少な過ぎるのではないか。  特に、林野の会計というのは、単年度会計ということ自体私は疑問に思うわけでありまして、山は早い木でも三十年、普通であれば北海道あたりなんか五十年ぐらい見ないと一人前の木に成長しないということがございます。そうした場合に、単年度でもって計算をしていって赤字だということでもってやられるのはいかがかなと思っているわけであります。そういう面では林野庁はもう少し、あるいは林野庁長官の場合も農水大臣におかれましても、政府の皆さん方に対して緑の効用の重要性ということを積極的に訴えていって、それに対する適切な政策というものをとるべきでないか。こう思っているのですが、そういう面では非常に私はおくれているのではないか、こういうふうに思われてならないわけであります。  特に、政府の方では金にならないものについては何か余り手をつけたがらないという風潮があるように思われてならないわけであります。例えば、今の国会に法案として出ております基盤技術センターなんかの場合、産投会計の方から電電株の配当益を使ってこちらに投資をするわけでありますけれども、こういうようなところなんかは、民間に対して無利子というような金の貸し付けをするという状況になっているわけでありますが、では林野会計の場合はどうなんだ。今約一兆円に及ぶ借金を抱えて、この前の大臣のお答えでは七十年ごろには二兆円に及ぶであろう、こう言っているわけですね。そういう赤字財政になってきておりますから、林政審答申なり臨調答申で赤字を減らすための改善対策をとれということで、そこからいろいろな無理が私は地元、山元の方に来ていると思うのです。立木販売をして経費を節減するとか、実際に私も山を見ておりましても、間伐が手抜きになっている。枝打ちも余り行われていない。そういうような状況というのは方々で見ているわけでありまして、これでは立派な木が育つということにはならないのじゃないか、そういう政策について誤りがあるのではないかというふうに思っているわけですが、その辺はいかがでしょう。
  470. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 国有林野事業の経営管理万般につきまして、五十年ころまでは基本的な収支関係はほとんど相償ってまいったわけでございますが、やはりその後の長期低迷を続けます木材関係の景況の影響を受けまして、構造的な赤字要因が顕在化しておるといいますのは先生のお話のとおりでございます。  それで国有林の会計の仕組みでございますけれども、予算でございますので単年度で輪切った形にはなっておるわけでございますけれども、造林等あるいは林道等の長期的に経理すべきものにつきましては、投資経理ということで資産化していく計算をしておりますので、例えば造林等でありますと、実際の、五十年後に伐採されましたときに、それらのこれまでかかりました経費と売り上げとが対比される、そういうふうな、林業の長期性はその中に反映するような仕組みになってございます。ただ、単年度で輪切りをいたしますと、借り入れが多かったりあるいは利子が多かったりというようないろいろな問題点もございますけれども、そういう問題につきましても、すべて長期的な計画のもとにこれを解消してまいりたいということで、現在経営改善計画によりましてこれを進めておるところでございます。  その中で、お話のございました立木販売原則というようなことにつきましても、これは臨調あるいは林政審でも大変大きい問題として論議をされたわけでございますが、国有林の組織、事業活動、要員等を根本的に考えますときに、国有林野事業というのは、経営管理というものはどこら辺までを持つのがあるべきかということをまず基本に考えてみようか、生産販売をいたしておりますと、事業課がある、貯木場がある、販売係があるということを自明のことのように考える癖が私どもにあるのではないか、基本に立ち返って、経営管理を考える際に立木販売ということを考えるべきではないかというような御示唆もいただきまして、現状の組織形態を漫然と与件と考えないために、そういうものを頂門の一針として考えるということでございます。当然現在の事情に対応いたします素材の生産販売等は、必要な限りにおいてはこれを実行することといたしておるわけでございます。  また、林業の経営活動全般につきまして、これは民間もそうでございますけれども、非常に士気の落ちるような現在の事情ではございます。国有林は国土の背骨の部分を管理する一番大きな事業体でありますので、そうであってはならないわけでございますので、今経営改善を進める途上におきまして、職員一同心を合わせて士気を高めつつ、この問題に創意工夫を凝らして取り組んでまいりたい、そういうふうに頑張っておるところでございます。
  471. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 少し時間が足りませんのでまとめてお尋ねをしているわけですけれども、実際に先ほど申し上げましたように緑の効用ということを考えますと、仮に山が荒れてしまったら大変なことになるということは、理屈では皆さん承知しているし、国民の方々もある程度それは理解していると思うのです。しかし、実際にそのことによって災害か何かが起きてみないと森林のありがたさというものはわからない、こういうことになっておるのだろうと思うのです。  しかし、それでは立派な山を育てるのはだれかと言ったら、これは現場で働いておる人たちですね。私も山に登ってみて、これは大変な作業だというふうに感じてきているのですよ。林野庁の仕事というのは、国民の共有財産である森林というものを立派に育てて、そしていい値段で販売をしていく、こういうことの繰り返しをやるということだろうと思うのです。そうすると、今のような状況では絶対にいい山はできない、私はそう思うのです。今とられております改善事業というものは、名前は改善ですけれども、実際には、例えば現場の営林署等を統廃合していく、片方では人手が少なくなっていくわけでありますから、そういうことになりますと、やはり地域に与える影響も大きい。あるいは、林業の民間労働者というのは今大変な条件でありまして、普通の雇用労働者に比べますと収入は大体半分ぐらいです。そういう状況の中で働かされているわけでありますから、安いからそっちの方がいいのだということは、これは私は理屈にならないと思うのです。  たまたまことしは国際森林年ということでありまして、予算の状況を見ますと、わずか三千三百万より使えない。五千万の方は別な方へ出す金ですから、実際に使えるのは三千三百万。一体これで国際森林年といって、中曽根総理の我が国も積極的に貢献しますなんてことにはならないと私は思うのですよ。たまたま水源林の関係で、私の知っている限りでは何か委員会のようなものをつくって、あるいは基金構想や何かも考えて検討するような仕組みだというふうに承知をしておったわけでありますが、これは水源林ということだけに固定をしないで、もっと緑の効用というものを高めるためにあの基金構想というものを出すべきでないか。もちろんこれは、単に国民の皆さん方に金を出してくれということだけではだめだと思うのです。やはり政府みずからもそこにこれだけの出資をする、そしていかに緑というものが大事なのかということについての理解を求めていく中で、そうすると国民全体も、緑は大切だ、それを育てるための基金というものについてもお互いに供出をしよう、そういうことになっていくと思うのですね。そういうふうになりますと今の林野の会計の赤字なんというものは一遍に吹っ飛んでしまうのじゃないですか。私は、そういうようなことをやると国民の理解も深まっていくし、また現場で働いている人力も先行きに明るい見通しも出るわけですから、やはりそういう中で働いていってもらうということをやらないと、何でもとにかく赤字なんだから現場は統廃合してしまうのだ、山をつくるやつに手抜きをしてもいいのだ、こういうようなふうに見えてしようがないわけでありますから、そういうことのないような施策というものをぜひとってもらいたいと思うのですが、その辺はいかがですか。
  472. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 最初の、いろいろ局署の組織の統廃合についてもお尋ねがございましたが、国有林と申しますか、森林全般につきまして、そういう広範な公益的機能につきましての期待は大変大きいわけでございますので、特に国有林はしっかりした仕事をしなければならないわけでございますけれども、ただ、それを実行いたします管理手段と申しますか、組織、要員、予算等は、やはり世間の批判に耐え得る立派な、簡素化した合理的な能率的なものでなければならない。そのために、現在の交通通信手段でありますとかいろいろ経営管理の手法も進んでおりますので、そういうものを取り入れまして、組織、機構、事務処理方法等につきましてもやはり簡素化の歩みは進めてまいらなければならない。その過程で地域の方々にもいろいろ事業所あるいは営林署等の統廃合につきまして御心配をかけておるわけでございますけれども、十分御説明をして御理解をいただきながらこれはやはり進めていきたいと思っておるわけでございます。  なお、国際森林年につきまして、これは昨年急遽決まったような経緯もございましたが、決まりました後から大変世間の関心が高まったように私ども受け取っておりまして、それだけうれしい反面積任も痛感しておるわけでございますけれども、幸い緑化関係につきましては、全国の営林局署、さらに都道府県におきましてもずうっと長く続けておりましたいろいろな行事がございます。そういう目に見えた三千三百万は少ないわけでございますけれども、これまでずっとやってまいりましたいろいろな事業をことしに協賛させるべく協力をさせる、さらにはまた民間からもこの辺の協力の基金も仰ぎたいと思っておりまして、そういう方向はいろいろ最近の世論調査などを見ましても御協力をいただける下地があるようにも思いますので、これを機会に、広く次代の青少年への森林問題のPR徹底のためにことしを大いに活用してまいりたいと思っておる次第でございます。  それから、いろいろ応益分担と申しますか、水源林の造成のことなどでございますけれども、これも、これまで小さい流域とかあるいは県単位で、いろいろ水源の森基金でありますとか水源公社とか、そういうことで、いろいろ山元水源の造林を、利子を補給したり経費を補助したりというようなのが随分とございます。そういうものも、だんだんいいところ、問題点などを研究してまいりたい。  それからさらに、先生のお話のありました、そういうものをしっかりした全国的に及ぶものとして考えてはどうかというようなことにつきまして、本年は各界の有識者にその点についての御意見を伺う、そういうふうな場をしげく持ちまして、十分御意見を拝聴してまいりたいと思っております。その中で先生から御示唆いただきましたことにつきましても論議を深めてまいりたいと思っております。単発と言ってはちょっとあれでございますけれども、分収育林の制度などもそれに資する一つのあれとしてやったのでございますけれども、お話のように基本的なこともこの際検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  473. 奥野一雄

    奥野(一)分科員 時間が来ましたので、本当は大臣からも見解を聞きたかったのですけれども、最後に要請だけ申し上げておきますが、繰り返して申し上げてきましたように出づくりで一番大事なのは何といったって現場でございますから、現場をまず大事にしていただくということ、これが第一の条件でございます。  それから、いい山ができて、空気もうまくて水も豊富で、あるいはまた特産物もとれるし、レジャーにもというようなことがちゃんとそろいますと、国民の方々も理解してくれると思うのですよ。そのためにはやはりいい山をつくらなければならないわけです。ですから臨調の方からいろいろなことを言われて、いろいろなこともやらなければならない立場というものは私もわかりますけれども、それを無理押しをするというようなことはぜひ避けていただきたい。現場の人方ともあるいは地域の人方とも十分納得のいくような話し合いを進めてこれからの林野行政というものをやっていただくようにお願いしたいと思います。  終わります。
  474. 大村襄治

    大村主査 これにて奥野一雄君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前九時より開会し、農林水産省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十二分散会