○小沢和秋君 私は、
日本共産党・
革新共同を代表して、
国民年金法等の一部を
改正する
法律案に対し、
反対の
討論を行うものであります。(
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この
法案が、現在だけでなく今後数十年に及ぶ
国民の
年金水準、
負担等を決定する重大な
内容のものであるにもかかわらず、
政府・
自民党は、まだ
審議開始後わずか三週間にもならぬ今日、スライド分の年内成立を口実に、十分な
審議もせぬまま
採決に持ち込もうとしております。私は、まず、この暴挙に対し心からの怒りを込めて抗議するものであります。(
拍手)
また、この機会に申し上げます。我が党は、スライド部分の年内
支給は当然と考えていますが、それは二%でなく四・四%とすることを強く要求いたします。
さて、今や人生八十年の時代を迎え、
年金、医療、雇用等にわたる総合的な
老後保障対策を
確立することは、
国民の最も切実な要求の一つとなっております。しかし、中曽根
内閣が現実に進めている政策は、この要求に全く逆行しております。昨年の老人医療費有料化、今年の雇用保険法
改悪による六十五歳以上の労働市場からの締め出し、失対打ち切り、今回の
年金水準大幅引き下げ、
負担の大幅増など、すべて、せっかく実現した
老後の
保障と福祉を次々に後退させ続けています。これでどうして高齢者が安心して
生活できるでしょうか。私は、まず、このような中曽根
内閣の姿勢を根本的に改めることを要求いたします。
我が党は、当面の最大の
年金問題は、
受給者の七割を占めるわずか二万円台の低
年金者、数十万人の無
年金者をどう救済するかにあると考えます。しかし、この
法案は、これらの
人々には何の手も差し伸べないのであります。
政府の言う五万円
基礎年金は、今後四十年間高い
保険料を完全に納めた人にだけ六十五歳から
支給するというものにすぎません。この
水準は、これまでに比べ三割以上の
切り下げであります。もし
保険料の
負担にたえられなければ、何の
保障もありません。現在でも全国で六人に一人は
保険料の免除を受けております。
滞納者も約百四十万人に達しております。将来、今の二倍以上、一万三千円の
保険料まで上がったとき、日々の
生活に追われる勤労者が果たしてこのような重い
負担にたえられるでありましょうか。今後さらに大量の低
年金者、無
年金者が出てくることは必至であります。このような
制度がおよそ
基礎年金の名に値しないことは明らかであります。(
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厚生年金も同じことであります。現在の平均十一万五千円、五十年後でも平均十四万六千円にしか達しないのに高い高いと攻撃され、
水準を三割以上引き下げられ、
保険料は二倍以上になります。特に問題なのは、夫が六十歳になってその
切り下げられた
年金を受け取るようになっても、妻の
年金は妻自身が六十五歳になるまでもらえず、約十年は夫の分の
年金だけで
生活しなければならぬ超大幅
切り下げとなることであります。
政府の言う
婦人の
年金権確立は、これが大部分のサラリーマンの奥さんにとっての現実的な意味なのであります。
障害者の
年金については、これまでの我が党の要求が一定程度取り入れられていますが、
福祉手当の打ち切りなど
障害者の自立に新たな脅威を生み出している点もあります。
政府は、このままでは
年金財政の破綻が避けられないかのごとく宣伝しています。しかし、これは
我が国が世界第三位の
経済力を持ち、実質年四・三%程度の
経済成長を遂げつつある現実を無視した議論であります。この点については、厚生省の試算が
国民一人当たり実質
所得が全く伸びないという非現実的な前提のもとに計算されていることを私が指摘し、当局もその
不当性を認め、現に翌年のパンフレットからその部分は削除されているのであります。もうこのとおり決着がついているのに、厚生省がその後も同じような宣伝を繰り返しているのは全く言語道断であります。
今回の法
改正によって国の
年金財源負担は大幅に減るのであります。このことは厚生省自身が
委員会の中で認めざるを得ませんでしたが、これはまさに
年金に対する国の責任放棄であります。これについて当局は、国の財政危機を持ち出して合理化を図るかもしれません。しかし、本当に
政府に金がないのか。この財政危機のもとでも、
政府は日本を危険な核戦争に巻き込む軍備拡大の予算は最優先で増額しているではありませんか。これが日本民族を破滅に追いやることを我が党は繰り返し警告してきました。なぜ、このようなとんでもない戦争の準備に予算を湯水のようにつき込みながら、その一方で
年金などの
財源は削るのか、私は断じてこれを認めることはできないのであります。(
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大企業の
年金財源負担についても同じことです。私は昨日の
委員会で、過去十八年間に
我が国の企業の
社会保障財源に占める
負担割合が四二%から二九%へと低下し続けていること、サミットに参加している先進七カ国の中で企業の
負担割合が最低であることを明らかにし、せめてこれら諸国並みに企業
負担をふやすように要求いたしました。ところが総理は、各国の国情や個性の違いを理由にこれを拒否したのであります。
我が国には世界的な大企業がずらりとそろっているのに、どういう国情や個性の違いがあって大企業の
負担を世界一軽くし、その分を
生活に苦しむ勤労
国民に押しつけねばならないというのか、こんな総理の弁解には
国民はだれ一人納得しないことは明らかであります。
軍事費や大企業奉仕の予算を削り、不公平税制を是正するなどして国の
年金財源をふやし、大企業からもせめて諸外国並みに
年金財源の
負担を求めれば、すべての六十歳以上の老人と
障害者に対し、
単身者七万円、
夫婦十万円の最低
保障年金を直ちに実現することができます。
政府の
基礎年金とは天地の差であります。
国民年金や
厚生年金は、この無拠出の最低
保障年金に上積みする
年金制度として維持し
発展させれば、
年金水準は底上げされ、全体として大幅に
改善することができるのであります。国や大企業の
年金負担をふやすことなしには、どんなに
制度をいじくり回しても、二十一世紀に希望の持てる真の
年金制度を構築することはできないのであります。
最後に、私は、改めて
政府に対し、本
法案を撤回し、以上述べた方向で根本的に練り直すことを要求いたします。あわせて、我が党が真の
年金制度確立のため引き続き奮闘する決意を申し述べ、
反対討論を終わります。(
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