○林(百)
委員 私は、
日本共産党・革新共同を代表して、
政府提出の
裁判官の
報酬等に関する
法律の一部を改正する
法律案並びに
検察官の
俸給等に関する
法律の一部を改正する
法律案に対し反対、民社党・国民連合提案の修正案に対しましては賛成の討論を行います。
我が党が
政府提出の両法案を含む給与
関係法案に反対する大きな理由は、本法案は
人事院の給与改善勧告を、一昨年の凍結、昨年の切り下げに引き続いて三年間にわたってさらにこれを値切ろうとしている点であります。
この
人事院勧告の値切り措置は、
政府がILOなどで表明してきた公務員労働者の労働基本権の剥奪を合理化する
制度として実施されておるべき公務員の給与に関する
人事院勧告
制度をみずから破壊するものであり、憲法の労働基本権保障
規定への真っ向からの挑戦と言わなければなりません。しかも、この三年間にわたる人勧の凍結または抑制措置は、戦後最悪といわれる中曽根
内閣の国民生活の破壊、あるいは軍事費の増大、大企業奉仕のにせの行革の名のもとに強行しようとしている反動的な諸政策の一環として行われるものであり、我が党としては断じて許すわけにはいきません。
とりわけ、
裁判官は
独立して職務を行うものであり、憲法でも「定期に相当額の報酬を受ける」べきこと並びに「この報酬は、在任中、これを減額することができない。」と
規定されているところであります。ところが、
政府の一方的な判断のもとに不当に人勧を無視して報酬を低く抑えるということは、物価の値上がりに比例いたしませんので、この憲法で
規定されている「報酬は、在任中、これを減額することができない。」という
規定にも実質的には違反することになり、これは
司法の
独立を
裁判官の処遇の面から抑圧するものと言わなければならないのであります。
次に、我が党は従来から一貫して、上に厚く下に薄い給与体系を改めよと主張してまいりました。その点から見ましても、例えば本法案では
最高裁判所長官の報酬月額は百六十三万二千円でありますが、
判事補の十二号は十六万四千五百円でありまして、
最高裁判所長官の一割にようやく該当するかしないかというような上厚下薄の給与体系であります。また一方、その率は、
判事補の一、二号などは三・二%の増額率でありますが、
最高裁判所長官等上級特別職相当の増額率を見ますと三・三%ということになって、
判事補の一、二号は三・二%とこれを下回っているのであります。これは上原下薄を改善しようという我が党の主張に全く反するものであります。
以上が両法案に対する反対の理由でありますが、我が党は、三年前の本
委員会において、
政府に対し、今後再び
人事院勧告を値切るという不当な措置をとることがないように重ねて強く要求し、また警告もしてまいりました。ところが、あえて本法案のごとく三たびこれを繰り返す今度の暴挙は、断じて容認できない点であります。
我が党は、軍拡と大企業奉仕を聖域とした中曽根
内閣の臨調行革路線には断じて反対し、その一環としての今回の不法、不当な人勧値切り法案を厳しく糾弾するものであります。
最後に、我が党が本
法律案に対して修正案をあえて提出しなかった理由を一言述べておきますが、我が党は
内閣委員会で審議されております一般の
政府職員の給与改正案に対し、
人事院の給与改善勧告に沿った改定額に修正するとともに、三年間の凍結や抑制を回復する措置をとるべきことを柴田
委員等が
内閣委員会で修正案を提出しているのであります。本法案の基礎となる
内閣委員会で提出する法案に対する修正が実現されるならば、
政府は必然的に本法案の手直しもせざるを得なくなるという給与
関係法案の性格から申しまして、我が党の
考え方は明白に示されており、あえてこの法務
委員会で提案されている本法案に対する修正はいたさなかったのであります。
以上のごとく我が党は
政府提案の法案には反対でありますが、他党の提出の人勧を完全に実施するという趣旨に沿った修正案に対しては、前述のごとく、我が党としては賛成の意を表し、あえて当
委員会に提案しなかった我が党の
立場も明らかにしまして、これに賛成する意思をここで表示し、この
政府提案の法案に対する
考え方も表明いたしまして、共産党・革新共同を代表しての反対の討論を終わらせていただきます。(拍手)