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岡本参考人 私が、
臨時教育審議会会長の
岡本でございます。
先生方には、かねてから、本
審議会の
発足前からいろいろ御
高配をいただいてまいりました。また、このたび
出席して私が
皆さんの御
意見を聞く
機会につきましても、いろいろ御
高配があったと承っておりまして、その点、きょうここに参りまして、これから
先生方のお話がお聞きできること、まことにありがたいことだと思っております。
早速今の
委員長の御
質問に
お答えいたしますが、まず第一に、
教育の
現状と
問題点をどのように認識しておるかという
お尋ねでございます。
これに関しましては、従来の
我が国のこれまでの
教育が、
時代のそれぞれの
要請にこたえまして、そのことが
日本の現在の繁栄の基礎を築いておるということにつきましては、十分評価されておると
思います。このことは
世界からも高く評価されておるというわけでございます。しかし、同時に、その中に、
時代の推移とともに、今日に至りまして多くのひずみが生じておるということも否定できないと思うのであります。
それで、そういうものをこの
教育審議会は
改革をということでございますが、単にそういうひずみというものだけでございませんので、やはりこの
時代は大変大きな
文明の転換期と申しますか、特に
一般的に言われるのは、二十一世紀を展望した場合の
改革ということでございます。
それで、まず、現在の
教育のひずみといいますか、
荒廃というようなものでございますけれども、これはいろいろ
皆さんがおっしゃっています
教育の
荒廃の
内容というものがございますが、こういうものをしっかり見据えて、一日も早くこれを
改革しなければならないということ、これはこの
審議会が
国民の
要請として生まれた直接的な原因でございます。
それで、これを私は、そういうものも重要でございますが、最前申しましたように、単にこういうふうな
教育の
荒廃にあらわれるようなものが、
日本だけでなく、また
教育の
世界だけではないという
意味で、これはやはり広く近代の
科学技術文明の中でとらえなければいけないという気持ちも強く持っておりまして、その
意味では、現在の
教育の
現状と
問題点をどう認識しておるかということにつきましては、そういう二つの
観点を強く意識しておるわけでございまして、この両方をしっかり見据えて、これに対して
改革を進めていかなければならぬ、こういうふうに思っております。
その次、第二の
お尋ねでございますが、「
審議経過の
概要(その2)」をきょう
決定いたしまして発表いたしました
趣旨及びその第一次
答申との
関係でございますが、本
審議会の第八回
総会までの
審議の
状況は、既に御承知のとおり「
審議経過の
概要(その一)」として昨年十一月に公表したところでありますが、その後の
総会及び各
部会の
審議の
状況をとりまとめまして、「(その2)」として公表することにいたしたわけでございます。
それで、この
審議会の
経過の
概要は、各
部会四
部会ございますけれども、その
審議の
状況の中で一応
方向性の出たものを特に詳しく
改革の
構想として取りまとめるというようなことをしました。今後において、この中から第一次
答申に酌むべきものを
総会で
審議いたしまして、そして合意の得られたものにつきまして逐次
答申をする、できたものから
答申をするという方針に従いまして、第一次の
答申として取りまとめるということでございます。
それで、この「
審議経過の
概要」が出ますというと、これにつきまして各方面の御
意見を拝聴して、それに従って
総会の
審議は進めてまいりたい、そういうように思っております。
第三の御
質問は、これまでの
審議を通じ、
総会または
部会において具体的な
改革の
方向が示された
事項としてどのようなものがあるかということでございます。また、それら以外に今後
審議会として取り組むべき
課題についてどのように
考えておるかという
お尋ねでございます。
それで、
答申に向けての
具体化につきましては、もとより
総会で今後
審議されるところではございますけれども、これまでの
部会の
審議において一応
方向性が出された主なものといたしましては、第一は、
中学校教育と
高等学校教育を統一しましてこれを
青年期の
教育として一貫して行う
学校として、これは
地方公共団体または
学校法人等の
判断によって設置できる六年
制中等学校の
構想、これが
一つ。
その次は、生涯
教育の
観点に立ちまして、
学習歴、
生活環境等に応じまして
高等学校教育が容易に受けられるようにするための
単位制高校の
構想でございます。
第三は、
中学校卒業者に多様な
後期中等教育の
機会を提供する等のことから、
専修学校高等課程、これは
修業年限三年以上の
課程でございますが、その卒業生に対しまして
大学入学資格を付与する措置の
推進でございます。
第四が、
国公立大学の
共通一次試験を改めまして、国公私立の
大学が自主的な
判断によりまして自由に利用できます
共通テストの
制度を創設したいということでございます。
これに伴いましては、これにはいわゆる
大学入試センターというものがございますので、これの
設置形態等に
検討を加えまして、その
改善を図って、いろいろ
進学指導とか
高等学校、
大学との連絡などもいたすというようなこと、それと同時に、現在まで一発勝負といいまして
受験機会が一回であるということが問題になっておりますので、
国立大学の
受験機会の
複数化というものを実現するということも
期待しておるということでございます。
以上のようなことがこの「
概要」には載っておりますが、今後、これを今申しましたように第一次
答申に向かいまして
審議を進めていくと同時に、新しくこれ以外にも「
審議経過の
概要」の中には、それぞれ
文書に出ておりますことですけれども、
リカレント教育とか、
教育へのニューメディアの積極的な活用と、それよりまず第一に弊害というようなもの、それから
教員の
資質の
向上、就学前
教育、
障害児の
教育、
道徳教育、
学級編制等の
教育条件、それから九月
入学、
高等教育の
国際化等が
考えられますし、さらに、
教育行政の
あり方、生涯
学習の問題、それから
大学における
一般教育の
あり方というものも問題でございます。それから
大学の
学術研究の
あり方、こういうものはすべて昨年の十一月八日の
部会設置の際に各
部会の
検討課題例として取り上げたものでございますが、こういうものをただいまの時点においても今後力を入れて
検討いたしていきたい、そういうふうに思っております。
いずれにしましても、今後何をどのように
審議していくかということにつきましては、
審議会で十分
検討してまいりたいというふうに思っております。申すまでもなく、これと並行しまして総合的理念的なもの、そういうものをしっかり
検討してまいるということでございます。
それから、
最後に、これまでの
審議会での
審議の
途上の
意見や
委員の
個人的発言が、あたかも
審議会としてまとまった
結論であるかのように
一般に伝えられて、不安や
混乱を招いておるということの
お尋ねでございましたが、これは、もともとこの
審議会が
教育という
国民のすべてが
関心を持っておる
審議会であるということにつきまして、私が最初のころ、この
審議会の特徴としてできるだけ開かれたものにしようというようなことを主張いたしまして、また、各
委員もとにかく伸び伸び
検討してもらいたいというようなことを申しましたので、少し薬が効き過ぎたと申しますか、その点、
大変混乱を与えて御
心配をおかけしておるということにつきましては、深く反省しておりまして、過日の
総会でも、またきょうも、そういうことがいろいろ御
心配をかけておるようだから、決して言論の自由を束縛するものじゃないけれども、しかし
審議会の一員としてひとつよく注意してやってもらいたい、そういうことを
一同申し合わせといいますか、申したような次第でございます。
これまで、各
部会における
審議途上の
考え方や
検討の
方向等がこのような
機会を通じ明らかにされておりますが、ああいうふうないろいろな
意見はしょせんは各
個人または
部会の
意見でございまして、今申しますように、
審議会の
決定といたしますと、これはどこまでもやはり
総会で
決定したものである、それが
決定事項であるということでございますので、この点、今後十分注意してまいりたいと思っておりますから、どうぞひとつその点よろしくお願いをいたします。
以上で私の答弁を終わります。