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1985-04-18 第102回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十八日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 竹内  猛君    理事 青木 正久君 理事 佐藤 信二君    理事 金子 みつ君 理事 浜西 鉄雄君    理事 草川 昭三君 理事 田中 慶秋君       伊吹 文明君    尾身 幸次君       工藤  巖君    二階 俊博君       武部  文君    中村 正男君       元信  堯君    小谷 輝二君       駒谷  明君    塚田 延充君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 利部 脩二君         公正取引委員会         事務局審査部長 佐藤徳太郎君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁国民         生活局長    及川 昭伍君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   上野 浩靖君         警察庁刑事局保         安部保安課長  清島 伝生君         総務庁統計局統         計基準部統計審         査官      伊藤 彰彦君         総務庁統計局統         計調査部消費統         計課長     小山 弘彦君         科学技術庁計画         局国際科学技術         博覧会企画管理         官       沖村 憲樹君         文部省体育局学         校給食課長   小西  亘君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 玉木  武君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         厚生省生活衛生         局食品化学課長 市川 和孝君         農林水産省畜産         局牛乳乳製品課         長       伊藤 礼史君         農林水産省食品         流通局食品油脂         課長      増田 正尚君         水産庁漁政部水         産流通課長   高木 勇樹君         水産庁振興部沿         岸課長     窪田  武君         水産庁振興部沖         合課長     中村 晃次君         水産庁海洋漁業         部遠洋課長   今井  忠君         通商産業省貿易         局輸入課長   奈須 俊和君         通商産業省産業         政策局サービス         産業官     菅野 利徳君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      糟谷  晃君         通商産業省基礎         産業局非鉄金属         課長      松田 憲和君         労働省労働基準         局賃金福祉部長 高橋 伸治君         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 竹内猛

    竹内委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜西鉄雄君。
  3. 浜西鉄雄

    浜西委員 ただいまから四項目について質問をいたしますので、その順序冒頭に言っておきたいと思います。  最初は、内需拡大問題、アルミ業界関係をちょっと触れておきたいと思います。それから二番目に、筑波万博物価の問題、三番目に、日本海の漁業問題、さらには魚転がしの問題について少し、捕鯨の関係ももちろんであります。四番目に米の関係、こういう順序でお尋ねいたしますので、関係者はそのことで準備をお願いいたします。  まず冒頭に、今、内外ともに問題になっております国際貿易摩擦関係について大臣から基本的な考え方をまずお聞きしたいわけですが、我が党は従来から、輸出偏重ではなくしてやはり内需を拡大するということの政策をとらないと財政問題は必ず矛盾を来すということを主張してきたわけですが、特にアメリカからは、日本がどんどん品物アメリカ輸出する、アメリカはそれを買う、結果として対日貿易赤字が累積をしたということで、今度は日本アメリカ製品を買うようにということ、これらが迫られておるわけですが、二つの側面が私はあると思うのです。  一つは、今言ったように品物を買うといっても、安くてよい品物であれば黙っておいてもこれは買うと思うんです。そうすると、関税の引き下げその他ということで安くするということが当然手法として考えられるわけですが、その方法国内での生産業者にまた新たな一定の圧力を加えることになる、そういう一つ矛盾。それから、従来から私ども主張してきた、消費活動を活発化する、購買力をつけるという減税中心とした施策を施しておいて、購買力をつけて国内平和関連産業を興していく、つまり消費活動を活発にしていく、そういう二つの問題が、内需拡大といいますか、今回の貿易摩擦の問題であると思うのです。  経済企画庁長官としては、現在のそういった国際的な問題並びにこれから我が国景気動向も含めていかようにお考えか、ひとつその辺のことを最初聞いておきたいと思います。
  4. 金子一平

    金子国務大臣 今御指摘経済摩擦解消のための内需拡大についての考え方ですが、黒字がたまり過ぎた根本的な原因の一つは、やはりアメリカドル高、高金利にあると思うものですから、今度のOECD会議におきましても真っ先にこちらが主張いたしましたのは、アメリカ財政赤字を圧縮して、ひとつ極力ドル価格を適正なものに持っていくように努力をしてほしいという主張でございまして、これはもう各国ともそういう主張をいたしておりました。私はやはり根本はここにあると思うのです。  ただ、既にたまった黒字をどうするかという問題が第二弾の問題としてございますから、これはひとつ日本でももっと買うように持っていってくれよ、こういう主張が出てきておるわけでございますが、御指摘の問題につきましては、去る四月九日に発表いたしました対外経済問題諮問委員会報告書に取り上げられておりますように、今後の経済摩擦解消のための具体的な対策といたしましてはやはり内需中心経済発展を図らなければいかぬ。それには、一つには公的規制をもっともっと緩和することを考えたらどうかということ、一つには週休二日制の一層の普及なり労働時間の短縮を図れということ、三つ目は公共的な事業分野への民間活力の導入による重点的な、しかも効率的な社会資本の整備を図れということ、それから四つ目には貯蓄、消費、投資のバランスを図る観点から税制改正考え直したらどうか、この四つの点の提案をいたしております。  今の先生の御指摘減税の問題もこの四つの中に含まれておるわけでございまして、今政府として取り上げておりますのは、こういった対外経済問題諮問委員会報告書に盛られた内容のアクションプログラムと申しますか、具体化をどういうふうにしてやるかという作業を早急にひとつ片づけよう、こういうことで、各省手分けをして今せっかくこれから取りかかろうという段階でございますが、ことしの問題といたしましては、これはもうたびたび申し上げておるのでございまするけれども減税につきましては財政事情が非常に悪いものですから今すぐこれを取り上げるわけにはまいりませんけれども、これからの経済の成長の状況等をにらみ合わせながら、来年度の税制改正におきましてはぜひひとつ減税の問題も取り上げていきたい、こういうふうに考えておることを率直に申し上げておきます。
  5. 浜西鉄雄

    浜西委員 お考えはわかりました。大変前向きの検討をされておるようですから、その方針で進めてもらいたいわけですが、一言つけ加えておきますと、週休二日制の問題は長い間の働く者の念願でありますが、私が個人的にその辺を聞いてみますと、休みがふえても行くところがない、行っても懐ぐあいが悪いから大型のレジャーが楽しめないという率直な意見がはね返ってくるわけです。したがって、やはり購買力をつけるということになると、当然、税制全般的なこともさることながら、当面がなり大型減税をやっておかないと、幾ら口の先で内需拡大といっても、それこそ我が国経済の中で消費経済というものは六〇%ぐらいを占めると思うのですが、そういう人たちがやはり財布のひもを緩めるという状態をつくっていかない限り、国内における経済、今言ったように消費経済中心とした動きは活発にならない。大体こういうことになるわけですから、やはりそれらと整合性を持って、休暇もふえる、余裕ができてくる、それに裏打ちされた、何といいますか購買力、つまり消費経済というもの、これを十分考えておいてもらいたいと思うのです。これは要望ですからいいです。  それから、かなり派手な宣伝アメリカ製品を買おうじゃないか、アメリカ外国製品を買おうということですが、総理大臣の写真、私はまだ見たことがありませんが、これらの効果のほど——効果を聞くというのは変ですが、私ども考えると、冒頭言いましたように、いい品物で適正な価格、つまり安ければ、これはポスターを出さなくたって買う力がだんだん出てくると思うのですけれども、その点、ポスターだけに頼るような派手な、線香花火と言っては悪いのですけれども、そういうコマーシャルだけで実効性が上がるだろうか。それ以外に何らかの方法考えられて、まず宣伝、その次にかくかくしかじかという一つの道筋というか、そういうものがあれば、そのことをちょっと教えてください。
  6. 金子一平

    金子国務大臣 先般OECDの会合でアメリカベーカー財務長官に会いましたときも率直に申したのでございますが、いい品物ならば、しかも値段が安ければおのずから売れるんだよ、日本は、とにかく外国語のしゃべれる商社員が、しかもアメリカならアメリカヨーロッパならヨーロッパ趣味嗜好を十分調査して、市場調査をやって売り込んでいるから伸びたんだと私は思うんだ、アメリカでつくってアメリカで売れるから日本も当然買えると思ったらそれは大間違いなんだ、その努力をしっかりやってもらうことが一番大事なことじゃなかろうかと思う、中曽根総理も今度の問題については非常に大きな関心を持って外国品をひとつみんな買ってくれよという宣伝をしておられるけれども、まずその前提になるのはアメリカ人努力だと私は率直に申し上げておきたいということを伝えたんですが、それは向こうも全く同感でございまして、両々相まってということだろうと思います。
  7. 浜西鉄雄

    浜西委員 そういう申し入れ、大変結構なことであります。そのうち、それこそ外国製右ハンドルの車が入ってくるんじゃないかと期待をしておきますが、やはりそういう企業努力というものも相手側の国に対して、日本人はそのようにきめ細かい配慮で外国に売れておるんだということでこれからも主張していく必要があると思いますが、そういう考え方は結構だと思います。  そこで、この問題に長く時間をとるわけにいきませんが、一つだけ、実はまだ後日別の場所でいろいろ質問しなければならぬ問題に関連をいたしまして、これからの国内需要を創出していくという立場から一つの例として取り上げてみたいと思うのですが、アルミ業界関係であります。  これが一面には何か不況業種だと言われておるし、それからそうでもない部分もあるわけですが、アルミ業界現状、これをわかっておる範囲内で聞いてみたいと思うのです。現在の国内における需要状況、それから輸出をしておるのかどうなのか。アルミ業界そのもの国内需要に頼っておるのか、輸出部分もあるのか、あればどの程度かというような現状を、大体わかりやすくちょっと説明してもらいたいと思うのです。
  8. 竹内猛

    竹内委員長 今課長、こちら側に向かっているそうですから。
  9. 浜西鉄雄

    浜西委員 わかりました。それじゃ後ほど、この問題だけはちょっと留保しておきまして、到着されたら質問することにします。  それでは、それこそ外題をかえまして科技庁関係にお尋ねします。  筑波物価と言われるくらいに大変高いということを聞いております。私はまだ行っておりませんから、近々現地へ行って実態をつぶさに見てくる必要があるというふうに考えておりますが、聞くところによると、これはあくまで聞くところによるとですが、それこそ御飯のおかわりが五百円もするとか、あるいはラーメン一杯が八百円もするとか、もちろんホテルあたりはべらぼうな値段だというふうに聞いておりまして、したがって日帰り客の方がむしろ多い、泊まる人は余りおらぬというようなことなどいろいろ聞いておるわけです。  そこで、この万博運営、それから機構、どういうふうな機構運営されておるのか、まず骨組み部分説明してもらいたいと思います。
  10. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  博覧会運営につきましては、財団法人であります国際科学技術博覧会協会が、営業全般につきましては観客の衛生の問題でありますとか利便の問題でありますとか、そういうことを念頭に置きまして営業施設の配置、それから数、そういう基本的な事項を定めまして、それに基づきまして営業者の方に応募をいただきまして決めておるわけでございます。  それで実際に契約を結ぶ際には、参加いただく営業者の方から、販売される品目でありますとか価格でありますとか、そういうものを御提出いただきまして、それを審査いたしまして、その上で正式に契約を結ぶという骨組みになっております。
  11. 浜西鉄雄

    浜西委員 そこで問題なのは、そういう営業者が応募して、審査をいろいろ、今言われたような品目だとか価格だとか、そういうものを一応のふるいにかけて業者にオーケーを出すのだろうと思いますが、問題は、その運営をする資金が当然要るわけですね。これの納付金というか、営業納付金と言った方がわかりやすいと思うのですが、これはどのような決め方で、現在それは業種によって違うと思うのですが、代表的なものを二、三、その営業納付金金額というか、それもちょっと説明してもらいたいと思います。
  12. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  御参加いただいた食堂売店の方からおっしゃるとおり売り上げ納付金というのをいただいておりますが、売り上げ規模等によって違いますけれども、過去の大阪の万博でありますとか海洋博でありますとか、そういう過去の万博の例に倣いまして、若干高目なんでございますが、食堂につきましては売上金額の大体八%、それから飲食売店等につきましては売り上げに応じまして七%から一〇%の納付金をいただいております。
  13. 浜西鉄雄

    浜西委員 これは売り上げ関係売上納付金というか、そこへ入る、そこの位置を占めるについて、わかりやすく言うとちょっと言葉が変なんですがショバ代というか、これは一般的な適切な言葉が私はすぐ頭に来ぬのですが、わかりやすく言えばショバ代、こういうものなどが高いために、結局元を取る、こういう焦りが全部物価にかかってくると私は思うのですが、ショバ代、その辺のことをもうちょっと詳しく聞いておかないと話が整理できませんので、それもひとつ教えてください。
  14. 沖村憲樹

    沖村説明員 今先生質問にございましたように、売上納付金のほかに施設使用料といいますか、そういうものをいただいておりまして、一平米当たり十四万九千円をベースとしていただいておるということであります。
  15. 浜西鉄雄

    浜西委員 この十四万九千円という施設費と申しますか、これは最初それだけ納めておけばいいのか、それとも月なのか一日なのか、その辺がよくわからぬのです。高いのか安いのかちょっとわかりません。もうちょっと親切に説明してください。
  16. 沖村憲樹

    沖村説明員 言葉足らずで失礼いたしました。  最初平米当たり今申し上げた金額をいただきますと、会期中全般営業していただけるということになります。
  17. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、一平米でやると——それぞれの店の規模によって違いますから一概には申せませんが、ちょっと計算してみないとこれが売る品物に、それこそ物価にどの程度上乗せされるか、ちょっと正確な数字が今ここの場でははじきかねますので、これは参考として後日検討させてもらいますが、抽象的に言えば、つまりこういった施設費だとか、あるいはさっきも言われたように食堂なら売り上げの八%、飲食関係では七%から一〇%、いろいろ差があるようですが、それらをひっくるめてこの協会が、簡単に言えば、国際万博協会ですか、それが少し取り過ぎておるのではないかというふうに、これは直観的です、計算していませんから今この時点では何とも言えませんが、取り過ぎておるために、マスコミで報道されるような、あるいは実際に行ってきた人が高かったと言うので、結局はそこで余り物を食べない、その話を聞いた人が次に行くときには弁当持ちで行く。そうすると持ち込みはお断りという図式になっておるように思われます。私はそう思うのですが、その点どうですか。
  18. 沖村憲樹

    沖村説明員 御説明申し上げます。  先生今御指摘ございましたように、開幕当初一部の店で非常に不適正な物価があるということで御批判がございまして、その後協会の方で営業指導員立入調査をさせまして、各営業参加者価格につきましてずっと調査をさせておりまして、不適正な価格につきましてはその場で厳しく指導をしまして適正な価格に直していただくというようなことをやっております。  一方、営業者で組織いたしております営業参加者協議会というところがございまして、そこで自主的な監視委員会を設けまして、そこでも監視していただいておりまして、現在では適正な価格営業が行われているというふうに思っております。
  19. 浜西鉄雄

    浜西委員 監視委員会——まあ同じ仲間内の監視委員会ならば、その辺が非常にあいまいになると私は思うのです。この監視委員会はどの程度権限、あるいは顔ぶれですね、消費者を代表する部外の者も入っておるのか。監視委員会という名前だけれども、中身的にどうも私は臭いと思うのです。というのは、今の答弁でいきますと、もうずっとよくなったように見えるのですが、きのう、おととい行った人の意見を聞いてもよくなっていないような印象があるわけですから、今の答弁実態とはかなり違うように——大変想像の世界でまずいのですが、私も近々行ってきてから改めて物を言いますけれども、その監視委員会なるものはどの程度権限があるのか。  それから、科技庁としてその協会に対しての指導体制というか、どの程度物が言えるのか。協会にほとんど任せて、協会運営だから余りそういった厳しいことは言えないという状態なのか。言えるのであれば、どのような言い方をいつどういう形でやったかということを聞いてみたいと思うのです。
  20. 沖村憲樹

    沖村説明員 最初監視委員会の点でございますが、監視委員会の方は、営業参加者協議会という営業者の集まりがございまして、その中に、悪い評判が立ちますと営業全体に響くということでみずからの監視委員会を設けられまして、そこで自主的に規制を行っておるということでございまして、営業者の自主的な団体ということでございます。  協会の方は、今御説明申し上げましたように、営業指導員というものが巡回して、そういう不適正な価格を適正な価格に直すように指導しております。  それからもう一つ先生の方から役所としてどういうふうな措置をとったかという御質問だと思いますが、博覧会協会は正式には財団法人でございまして、個別の協会活動に対しまして法律措置をとれるというような構成になっておりませんけれども、私ども大臣の方から事務総長に対しまして、こういうような不適正な価格状態を少し是正してくれるような要請を行っております。それで協会の方は、それに基づきまして、そういう今申し上げましたような措置をとっておりますし、また引き続き今検討を進めておるところでございます。
  21. 竹内猛

    竹内委員長 沖村管理官に申し上げますけれども今浜西委員質問の中に権限の問題があって、どういう権限を持っているか聞いているわけですから、その権限について。
  22. 沖村憲樹

    沖村説明員 権限につきまして今御説明申し上げましたが、財団法人でございまして、基本的には財団法人は自主的な活動ができることになっておりまして、役所法律上いろいろな活動規制できるということはございませんが、大臣の方から事務総長の方にこの問題につきまして検討するように要請を行っております。
  23. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、わかりやすく言えば権限はないわけですね。あくまで一つの建物、敷地の中における催し物協会、そしてそれを指導したりするのは事務総長、そしていろいろなことがあれば、大臣から今言うように要請をするという程度だというふうに理解できますし、その点では行政の権限がない状態になっておる。基本的にやりっ放し、値段つけっ放し業者の好きほうだいというふうな図式になっておるとしか私には思えません。まだ九月まであるわけですから、今後もこれは手を入れていかないと、このまま野放しにはできないということを痛感をいたしました。  そこで、協会権限が仮にあるとして、協会が自主的にやっておる権限範囲内の、敷地内は大体そういう状態でわかりましたが、敷地外、私行ってないから想像でまずいのですが、周辺ホテルとか駐車場で一もうけしようとかいろいろあると思うのです。ガソリンスタンドも、ガソリンが高いか安いか知りませんが、そういう周辺便乗物価というのがあると思うのです。代表される駐車場だとか、それからホテル、これらの料金がどの程度になっておるか把握しておるのか、それを聞いてみたいと思うのです。
  24. 沖村憲樹

    沖村説明員 協会の外におけるそういう物価につきましては、申しわけありませんが、私どもは把握しておりません。
  25. 浜西鉄雄

    浜西委員 利用者は、そこへ行く国民皆さん方と言った方がいいと思うのですが、どこまでが役所権限でどこがどうなっているかわからないままに、周辺駐車場ホテルも含め科学万博というものを一つとして見ておるわけですが、そうするとそういう人たちに対して、言ってみれば規制をするようなところがない、そういう機能が動いてないということになるわけでありまして、これは私は問題だと思うのです。  そうすると、周辺のことについては極端に言えば科技庁責任ではないと思うのですね。科技庁は、そこの敷地の中でこれこれかくかくしかじかの催し物をやりますよというわけですから、この限りにおいては大臣から事務総長要請という程度のものであっても一応の責任範囲にある。しかし、それの外は、これらのそういう通常の常識では考えられないような料金物価というものに対して、一体どこがこれを規制をしたり、そういうことをしてはならないという指導をするのか。  これはどこに聞いたらいいかわかりませんが、ここは物持ですから、関係皆さんがおられるわけですから、その点の関係について、ひとつ説明ができればしてください。
  26. 斎藤成雄

    斎藤(成)政府委員 全般物価につきましては、御存じのように経済企画庁が、いろいろ消費者モニターとかそういった格好での物価の掌握というのはいたしておりますけれども、この科技博につきましては、茨城県の方で茨城県の職員を使いましてその周辺地域についての生活必需物資価格需給動向調査というのをやっております。これは別に茨城県だけということでなしに、全国的に生活必需物資価格需給動向調査という事業がございまして、私ども経済企画庁から補助金を出して実施をしているわけでございます。したがいまして、茨城県はこの事業を利用いたしまして、博覧会周辺地域について調査を行っておる。それからまた、これは別個に茨城県で県単事業、県の負担で消費生活モニターを使いましてこの周辺地域の生鮮食料品の動向調査もやっております。  こういった調査事業は始まったばかりでございますから、内容についてはまだ私ども聞いておりませんけれども、いろいろ新聞などに出ることもございますので、県と連絡をとりまして、実態を掌握していきたいと思っております。
  27. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、周辺の、茨城県の県負担のものも含めて、総体的には経企庁の方でそういう動向というか実態調査中だということはわかりました。これは急いでもらわないと、事が大体わかってからさあ何か一つの手当てを行おう、指導をしようというときには、万博はもう終わる、高いものを皆食わされて飲まされて泊まらされてということになるわけですから、できるだけ早くこの万博物価の問題については何らかの手を打つ必要がありますので、現在そういった現地での経企庁の職員の調査あるいは県負担での生鮮食料品などの調査を急いでもらって、早急にそれに対する手だて、必要な措置、これをとるべきだと思いますが、その点ひとつ、大臣の方からその辺のけじめをお願いいたします。
  28. 金子一平

    金子国務大臣 浜西先生指摘のとおり、新聞でこの問題が取り上げられておりまして、私も大きな関心を持っておったのですが、実は開会後なかなか現地へ行ってみる暇がないのですよ。それで、今局長からも御答弁申し上げましたように、第一段階としては県が中心になってやってくれておりますから、十分連絡をとって、ひとつおかしなことのないように、今後十分必要な対策をとるように努力してまいりたい。万博相場というようなことで各方面から非難、攻撃されるようなことでは、これはみっともない話でございますので、ぜひ適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  29. 浜西鉄雄

    浜西委員 この問題は今の大臣答弁で一応締めくくっておきたいと思うのですが、大臣も忙しいでしょうが、やはり現地へ行って、私どももできるだけ現地へ行って実態をつかんで、早急に手を打つように考えたいと思いますが、大臣みずからつぶさに見てもらって、適切な処置ということでお願いしたいと思います。  そこで次へ移りますが、今さっきちょっと留保しておきました、国内におけるところの一つ需要の問題と申しますか、内需拡大にも一つ関連として質問をして、関係の回答者がまだ……
  30. 竹内猛

    竹内委員長 見えました。
  31. 浜西鉄雄

    浜西委員 見えられたそうですから、そこで繰り返す時間がもったいないですからやりませんが、内需拡大という観点から見た場合に、アルミ業界というものが国内需要にどの程度シェアを持っておるのか。それから、輸出するという道を今までとってきたのならば、どの程度のそういう輸出量があったのか。不況なのか、あるいは不況とそうでないところもあると思うのですが、その辺、私どもにわかりやすくアルミ業界に限って現状説明してもらいたい、こういうことです。
  32. 松田憲和

    ○松田説明員 遅くなりまして申しわけございません。先生の御質問についてお答えさせていただきます。  御承知のように、第二次石油危機以降世界のアルミの需要というのは非常に低迷をしておりまして、国際的な地金価格も今現在で千百ドル日本円にいたしまして三十万円弱という状態でございます。これは主といたしましてアメリカヨーロッパ及び日本がアルミの需要中心でございますが、それらの国の経済成長といいますか、が鈍化しておりまして、それに伴いまして需要が伸びないという状況でございます。それに伴いまして世界のアルミ産業というのは非常な不況になっております。  貿易のことについて言いますと、まずアルミの産業体系といいますのは、地金をつくります製錬業、それからその地金を利用いたしまして板でありますとかあるいはサッシのような形材といいますか、あるいは自動車のラジエーターの部品のような、そういう加工品に大きく分けられます。その中で特に需要の低迷の著しいのは、御承知のように住宅建設あるいはビル建設の鈍化に伴います形材の部分でございます。日本の総需要が大体二百五十万トンございますが、そのうちの三分の一弱の約七十万トン強がその形材の部分でございます。ここの部分が極めて伸び率といいますか、マイナスの成長に五十六年にはなっております。その後若干の回復がございますが、伸びがとまっているという状態でございます。  そのような状態でございまして、今後も世界の需給の回復というものに期待をかけておるわけでございますが、ある意味では非常に遅々として進んでないという状態価格の低迷を続けております。我々としてもそういう観点に立って、昨年十二月末に産業構造審議会から今後のアルミ産業のあり方ということで答申をいただいておりまして、日本においては製錬業を縮小し、海外からの地金の輸入をふやし、安い地金を供給していく、そして加工品あるいは板等をつくっていきます圧延業というものについては、経営基盤を確立して体質を強化していくという方向で指導するようにという答申をいただいております。その対策に今年度から積極的に取り組んでいるという状態でございます。
  33. 浜西鉄雄

    浜西委員 大体状況はわかりました。世界的不況ということですから、今ここで日本だけがじゃ好況に転ずるというのは大変難しいような状態にあるということはわかりました。  そこで、今回答にありましたように、構造改善という方向へ今から向かわんとしておるようでありますが、技術の高度化も含めた構造改善、あるいはそういった意味では一つの設備投資が必要になってくるかもわかりませんが、その点について、政府としてそういう方向へ引っ張っていく、行政指導していくというようなことをこれから具体的にやるのか、まだ研究の段階なのか、その辺ちょっと、わかりましたらはっきりしてもらった方がいいと思います。
  34. 松田憲和

    ○松田説明員 圧延業につきましては、今言いましたように製品をつくっているところでございますが、そのところが今現在では若干設備過剰状態にある。そして、現在の需要の分野というのはほとんど伸びないということから、今先生の御指摘にありましたように、高度技術製品といいますか、例えばエレクトロニクス用のディスクですね、メモリー用のディスクだとか、そういった分野への研究開発及び製品の転換というものが現在板を中心といたします圧延業には行われているわけでございます。  それからまた形材につきましては、現在製品の高度化といいますか、高付加価値化という方向の転換が進められている段階でございます。ここのところについては、現在産業界の活力と自己努力というものをより発揮できるような状況をつくろう、こういうふうなことで進めておるわけでございます。
  35. 浜西鉄雄

    浜西委員 じゃ、この物持委員会の中では現状を把握するだけという意味で質問を終わりますが、また改めて、これはどうせ商工委員会問題でありますから、私の地元の問題もありますので、このアルミ関係についてはまだ後日場所を変えまして詳しく質問をしたいと思っております。そういうことでこの問題はここでおいておきます。  次は漁業関係でお尋ねしたいと思っております。  百一国会で私も、それからほかの議員も言われたと思うのですが、日本海の漁業問題について、つまり北朝鮮、人民共和国との協定が切れたままになっておる状態の中で質問したわけですが、その後政府努力で漁業協定が結ばれまして、大変私ども喜んでおるわけです。そこで、とかく言いっ放しといいますか、質問しっ放しで、その後どうなったかということ、検証が行われない向きがありますので、私はあえて、せっかく協定ができて漁業者が喜んで操業できておるわけですから、その後の状態、言ってみればいい状態と言った方がいいと思うのですが、現状どうなっておるか、ひとつ総括的にお願いしたいと思います。
  36. 中村晃次

    中村説明員 日朝民間漁業協定、昨年の十月十五日に再締結をされまして、北朝鮮水域にイカ釣り漁業が昨年の十一月八日から出漁しております。五百九十三隻が許可証を得まして出漁しておるわけでございますが、ただ残念ながら、昨年の場合、イカの魚群の南下が早かったというようなこともございまして、この北朝鮮水域での漁獲量は比較的少ない数字で終わってしまっております。ただその後、現在三月、四月というのはイカが禁漁期になっておりまして、五月からまた始まるわけでございますが、六月ごろ、イカの北上期にかけまして北朝鮮水域にいい漁場のできる可能性がございます。したがいまして、私どもといたしましても大いに期待をして待っているというような状況でございます。  それから、あわせまして、この協定に基づきまして日本海でのベニズワイガニのかご漁業というものがございまして、これも現在二十隻ほど許可証を北朝鮮から受けております。現在までのところ十隻前後が現実に操業しておりまして、百二十トン余りの漁獲を上げているというような状況でございます。
  37. 浜西鉄雄

    浜西委員 大変結構なことであります。やはりこうしてまず漁業者が近いところでそういうふうな操業ができるということ、私もともども大変喜んでおるところであります。今後ともこの種の問題については、国際的な条件というものを絶えず注視しながら、お互いに漁業者並びに、これは漁業者だけではなくして、それを念としておる日本人のみんなの願いでありますから、そういう配慮をお願いしておきたいと思うのです。  そこで、その当時も問題になったのですが、北朝鮮との関係はうまくいきましたが、韓国漁船が網を切ったり荒らすということについて、その当時私も指摘をいたしましたが、現在どうなっておるか。これも一緒にそれなりきに努力をされて、そういう実態がなくなっておるのか、続いておるのか。それぞれ報告があると思うので、現状を把握されておる範囲内で、正直にその辺の点について実態だけを知らしてください。
  38. 窪田武

    ○窪田説明員 お答えいたします。  日本海におきます韓国漁船の操業につきましては、日韓漁業協定が締結されました四十年以降操業隻数というのはだんだん増加しておりまして、昭和五十年ごろからその増加が始まりまして、操業海域も、先生指摘の山口県とか長崎県というところの沖合水域であったわけですが、最近では、これらの水域に加えまして島根なり鳥取、山陰沖といいますか、それから北陸沖にまで拡大しているところでございます。  これに伴いまして韓国漁船と我が国沿岸漁船あるいは漁業との関係で競合関係が生じております。これは先生指摘のとおり被害は決して減っているわけではございませんが、被害の形態といたしましては、漁船なり漁具の間の競合なりあるいは余剰利用の面、同じ海面を使いますので、その余剰利用の面で影響を受けているというふうに各県からの報告で承知している次第でございます。
  39. 浜西鉄雄

    浜西委員 そうすると、やはりあの当時から余り状況は好転してないということになるわけですが、それに対して韓国側とどのように話をしておるのか、これから先どうしようとしていくのか。その辺のとっておる措置、方針について、考えがあれば教えてください。
  40. 窪田武

    ○窪田説明員 今御説明いたしましたように、日本海の、特に西日本周辺日本海水域における韓国漁船の問題につきましては、第一義的には日韓漁業協定というのがございまして、その間で毎年交互に共同委員会というのを開催しております。  本年もその共同委員会におきまして、韓国漁船の取り締まりなり指導の強化という点について強く韓国側に申し入れておりまして、全体の数といたしましては昨年から比べまして若干減少傾向が見られておりますが、なお相当数に達しておりますので、今後ともそういう機会、あるいは日韓間のそれぞれの部局間の担当者の会議とか、そういう点、あらゆる機会を通じましてそういうことがないように努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  41. 浜西鉄雄

    浜西委員 考え方はわかりましたが、実際にそういったことがあって被害をこうむった場合には、それに対する補償を韓国側に対して求めるとか、そういう網を破られた、被害をこうむった漁業者に何らかの補償というか、補助的なことも含めて、そういう具体的な措置があるのかどうなのか、それをちょっと教えてください。
  42. 窪田武

    ○窪田説明員 お答えいたします。  特に今先生指摘の漁具なり漁業被害につきましては、これは民事問題でございますので、政府間協定とは別に民間取り決めというのがございます。これは両国の民間団体間、日本側は大日本水産会、韓国側は韓国水産業協同組合中央会というところがございまして、この間の協議により毎年毎年被害額の認定なり賠償金の解決ということになっておりまして、これは韓国の水域で日本側が支払う場合もございますし、韓国側が日本側に支払う場合もございます。これらの民間におきます解決が円滑にいきますように、政府といたしましても、先ほどの政府間の協議の間におきましても積極的に支援してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  43. 浜西鉄雄

    浜西委員 この問題は、それじゃ我が方もといってはおかしいが、日本漁船も多少荒らしておるということになるのかな。やったりとったりの話ではおもしろくありませんから、この問題はまた実態をもう少しつかんで、後日に回します。  さて、魚転がしの問題が新聞に載っておったのです。私はちょっとびっくりしたわけですが、冷凍技術がよくなって、大きな冷凍庫を利用してそこにサケ、マスをほうり込んで、魚は動かさないで卸というふうに転売してまた買い戻すというふうな、つまり技術的な操作をやってもうかっておるという新聞記事を見まして、私はびっくりしたわけです。事のついでですから、一体この実態をどのように水産庁の方では把握をし、それに対する解明、指導、これについて説明をしてください。
  44. 高木勇樹

    ○高木説明員 お答え申し上げます。  先生今お話しになりました新聞報道が、二月十八日付以降の新聞に出まして、それに対しまして私ども調査をしたわけでございます。特に新聞で事実とされている報道の対象が五十九年が中心であったということ、それから冷凍のサケについての報道であったということで、特に冷凍サケ関係中心に五十九年の水産物の需給、それから価格の動向について私どもチェックをしてみたわけでございます。  サケにつきましては、日本での消費量は大体二十五万トン前後でございまして、国内が大体十五ないし十六万トン、輸入物が八ないし十万トンというのが大体の構成でございます。そこで、五十九年の状況でございますけれども一つは、ソ連の漁業規制が強化されたということでいわゆるベニザケを中心に北洋物が三割ぐらい減少したということ、それから、その前の年の五十八年に非常に輸入が多くて在庫が多いという状況から、輸入を手控えたということがございます。また、実際に入ってきた輸入量を見ても、前年よりもかなり下回っておる。それからもう一つ日本に来ます秋サケの来遊尾数でございますけれども、これは全体としてはふえたわけでございますが、いわゆる低級魚であるブナ毛がふえたということで、中高級魚と言われる銀毛が減ったということがございました。それから、在庫の状況も、今申し上げましたような状況の中で五十八年に比べて非常に低い水準というようなことで動いてまいりました。そういうようなことから見ますと、需給、それから価格の動向につきまして特に問題とする点はないという判断をいたしているわけでございます。  それから、今ちょっとお話が出ましたいわゆる最近の冷凍冷蔵技術、それから大規模な冷凍庫の問題でございますが、確かに最近の技術の進歩は非常に著しいものがございまして、かつてのような生鮮、生きたままの流通よりは、冷凍ないしは冷蔵流通というものが水産物の場合特に過半を占める状況になってきております。したがいまして、私ども倉庫全般権限というものはございませんが、私どもとしても、特に産地を中心にして適正な流通を確保するということで冷凍冷蔵庫に対する補助もやっております。そういうものにつきましては五十五年に通達を発しまして、在庫の状況を半年ごとに報告をし、それをチェックして、おかしければ都道府県を通じて事業主体に注意を喚起するというような指導もやっております。  そういうようなことと、もう一つは、やはりいろいろな思惑による取引というものは好ましくないわけでございますので、特に冷凍水産物につきましてはその在庫の状況、生産の見込み、そのほか価格が今後どうなるだろうか、まあそう正確なものは出ませんが、強含みか横ばいかという、そういうような情報を、実は冷凍水産物需給情報検討会というものを私ども設置いたしておりまして、二カ月に一度公表をいたしております。そういう情報を流すことによって思惑的な取引というものがなされないようにしているわけでございます。  この新聞報道に関しましては、そういう各種の、いろいろな面からのチェックをいたしましたけれども、水産物の需給、価格の動向という面から見る限りにおいては特に問題とする点はございませんでした。  以上でございます。
  45. 浜西鉄雄

    浜西委員 どうも調査と新聞に載っておるのと大分違うようです。この問題は深く掘り下げるのはまた後日に譲りますが、金額的には千二百億円に上る利益を上げておる。トン数とすれば、サケが今言われましたように二十万トンの中の四千トンですから、数字的に大したことはないというふうに言えるかもわからぬが、これは明らかに一%の手数料を取っているわけですから、結局は消費者価格として上積みされてくることは理の当然であって、これは二カ月に一回調べて公表しておるということなんですが、それをもっと厳密にやっておれば新聞種になるようなことはなかったと思うのです。これはさかのぼって五十五年にも千七百億円に上るような北海道での空取引の問題もあったくらいですから、少し油断をすると、目を離すと、冷凍技術が進めば進むほどそういうことがやりやすいような状態になるわけです。ましてや政府の倉庫を使っておるとは思いませんから。しかし、民間冷凍庫であっても、それは補助金を出したりして少なくとも純粋に民間で勝手にしてよろしいというわけにいかないのですから、政府が金を出してまでもそういう空売り、インチキをするようなことに手をかすことのないように、これから厳重なチェック体制をやっていかなければならぬと思っておりますが、これはまた後日、具体的な事実をつかんで問題提起をすることにいたしまして、この問題は一応、ちょっとそちらへのけておきます。  そこで鯨の問題ですが、これは私の地元下関では大変反響を呼んでおりまして、かつて鯨の町で栄えたわけでありますが、鯨がこれから三年の後には全く食べられなくなるということで、いろいろなことでわあわあ言っておるわけですが、これは簡単に言えば、結局年間の捕鯨収入とその他の魚介類、つまりアメリカの二百海里の問題との差し引きどちらをとるのが得策がというふうに考えての結果だと思うのです。だから、そういう単純な判断の問題以外に、何か具体的に鯨を三年たったら全くとらないという結論を出さざるを得なくなった理由があればここで教えてください。単純な計算でどちらをとるか、鯨漁業者を泣かせるか、その他の漁業者を助けるため漁獲高の多い二百海里水域に入れるようにするか、私は簡単にてんびんにかけた問題だと思うのですが、それ以外に何か説明すべき問題があったら教えてください。
  46. 今井忠

    ○今井説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおりに、現実の話、鯨の金額につきましては年間の水揚げ額は百三十五億円くらいということでございます。それから北洋、特にアメリカの二百海里水域の中でやっている漁業ということになりますと、その水揚げ金額は約千億くらいになりまして、単純に比較いたしますと先生指摘のとおり経済的にかなり違うというふうな状況にありました。  また、その理由として何か説明があるかというお話でございますが、その点につきましては、米国にはパックウッド・マグナソン修正法というのがございまして、国際捕鯨委員会の決定した事項と違う形の捕鯨を行いますと米国の二百海里水域の中の漁業の割り当てをしませんよ、初めの年に五〇%カットアウトしまして、それで一年たってもさらに事態が変化がなければ残りの五〇%につきましてもゼロにするという法律がございます。最初に申し上げましたとおり、北海道を初めといたしまして米国二百海里水域の中でかなりたくさんの数の漁業者が働いておりますので、PM法の発動を避けるためにはやむを得ない措置であったということは事実でございます。  また、もう一つ考えていただきたいのでございますが、アメリカ日本の方と妥協いたしまして、商業捕鯨が二年間続けられるということになりました。もうちょっと丁寧に御説明申し上げますと、昭和五十七年の国際捕鯨委員会で商業捕鯨の全面停止が決定されまして、ただし三年間の猶予期間を置くということでございました。そのとおりでありますと、南氷洋の捕鯨につきましてはことしの秋から出漁できない、それから沿岸の捕鯨につきましては来年の春から操業できないということでございましたが、水産庁、外務省がアメリカと交渉いたしまして一つの妥協ができました。その妥協どおりに運んでいきますと、商業捕鯨が二年間さらに継続してもPM法の発動がない、こういう妥協でございます。私どもといたしまして、商業捕鯨を可能な限り長く続けるということと北洋のPM法適用を避けるという二面から考えまして、残念ではございますが、いたし方のない措置であったというふうに理解しております。
  47. 浜西鉄雄

    浜西委員 そこで現状の中で最大限いい方法、妥協ということで、商業捕鯨も二年間はオーケーということで、これは気持ちなり意味はわかりますが、実際に三年後には全く鯨肉というのを食べられないのかどうなのか。多少種類によっては小型の鯨は除外だと思いますが、その程度では胃袋を満たすには少量だと思うので、三年後の見通しというか、その辺の見込み。長くなじんできた鯨の肉、鯨は肉だけではなくして皮も骨もほとんど捨てるところがないわけですから、これに参加しておるいろいろな業者は大変困っておると思うのですが、今、当面それでいくが将来何とかなりそうな希望があるのかどうなのか。これは一つの見通しですから大変難しいと思いますが、全く暗闇、一〇〇%だめなのか。一つは、何とかまだ努力の余地があるのかということですね。  二つ目は、PM法、パックウッド・マグナソン修正法というんですか、アメリカのその法律が今回強く作用しておると思うのですが、我が国においてもそれに対抗するといってはおかしいんですが、ある程度法案を準備をして一つの外交のてこにするとか、そういうことをなぜやらなかったのか、あるいはやれなかったのか。私はやるべきだったと思うのですが、その二つについて考えがあれば教えてください。
  48. 今井忠

    ○今井説明員 お答えいたします。  職務の担当の点がございますから、私からは先生の御質問の第一点につきまして御説明いたします。  先ほど申し上げました昭和五十七年の国際捕鯨委員会で三年をめどにしました商業捕鯨の全面禁止を決めたのでございますが、それに条件がついております。その条件というのは、昭和六十五年をめどに捕鯨につきまして包括的な評価をしましてモラトリアムの見直しをするということになっております。包括的な評価というのは、鯨の資源そのものについて、もう一つは鯨の資源の評価方法について、この二つを合わせて包括的な評価といっております。くどいようでございますが、昭和六十五年までにその包括的な評価を行いまして商業捕鯨の全面禁止が適切であったかどうか見直しする、こういうことでございます。したがいまして、水産庁といたしましては、過去五年ほど南氷洋とか日本沿岸の水域におきまして鯨の資源調査をしてまいりましたけれども、今後はさらに懸命の資源調査に対する努力を傾けまして、モラトリアムの見直しに科学的なデータを蓄積いたしまして対抗いたしたいと考えておるわけでございます。  また、それと前後いたしますけれども、モラトリアムそのものが不当である、大体科学的な根拠がないじゃないか、それから国連食糧農業機構、フード・アンド・アグリカルチャー・オーガニゼーション、FAOと言っておりますが、FAOでさえもそういうことを言っておる。いわゆるモラトリアムの不当性につきまして、国の内外、それからIWCその他の国際会議におきまして不当性を強く主張し続けまして、先ほど申し上げました包括的な評価の時期とは別にモラトリアムの見直しについて努力していきたいと思っております。  三つ目でございますが、国際捕鯨委員会が決めましたのは商業捕鯨の全面禁止でございます。それで、昨年各界の有識者を組織しまして御検討いただきました捕鯨問題検討会の答申というのがございまして、それにおきましては、商業捕鯨のモラトリアムが仮に発動された後でも関係国と協議を重ねまして意見交換をしました上、日本の捕鯨が何らかの形で続くように頑張っていけ、その道を模索しるというのが答申の内容でございます。水産庁といたしましては、その答申を十分踏まえまして何らかの形で日本の捕鯨が続くように、先ほど先生からも御指摘ございましたが、捕鯨の火が消えることのないように努力してまいりたいということでございます。  前段の説明だけで終わらせていただきます。
  49. 高木勇樹

    ○高木説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃられましたいわゆる対抗立法措置についてでございますが、例えば向こうの漁獲割り当てなりとリンクをいたしまして私どもの方で水産物の輸入について制限ないしは調整措置を課するということになりますと、ガットの十一条「数量制限の一般的廃止」の規定に抵触いたしますし、それから十三条「数量制限の無差別適用」という条項がございますが、これにも抵触することになりかねないということでございます。また一般的にいいまして、両国関係全般に悪影響が及ぶということは避けられないことになるのではないかということでございます。  そういうような点から、ただいま例として申し上げたような輸入制限措置と漁獲割り当てとリンクさせるというようなことになりますと、ただいま申し上げましたような非常に難しい問題があるということでございます。
  50. 浜西鉄雄

    浜西委員 時間が来ましたから終わりますが、この種の関係は、国民感情としても少し、何といいますか説得不足の点があるような気がするのです。今回のアメリカ製品を買おうじゃないかという総理の呼びかけ、それから、アメリカのために日本国内法律その他が左右される、アメリカの属国ではないんじゃないかというふうな意見もあるように、それではアメリカ人たちが牛を殺して食べるのは別段悪いことじゃないのか、鯨は、資源のこともあるけれども、かわいそうだというのはどうもというようなこともプラスアルファとしてあるわけですから、この問題は今ここで直ちにいい結論が出るとは思いませんが、歴史的に長い間捕鯨は続いておるわけですから、今後とも関係者の最大の努力をお願いいたします。  最後に米の問題、忍者米その他一体どうなっておるかということについてあったのですけれども、これはまた後日ゆっくり時間をかけて、今回はそれは留保いたします。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  51. 竹内猛

    竹内委員長 次に、中村正男君。
  52. 中村正男

    中村(正男)委員 時間の関係で予定していた質問の順番を変えまして、最初消費者物価指数と国民のこれに対する生活実感とのずれの問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  まず、五十九年十二月に総理府が実施をいたしました「物価問題に関する世論調査」を見てみますと、今一番値上がりしている項目は何かという問いに対しまして、第一位は保健医療費、第二位は交通費、第三位は酒類、第四位は光熱水道費、第五位は米、こういう順番になっておるわけです。  さらに、具体的に物価の上昇感と統計数値のずれに対する調査の結果では、結論からいうと、五十九年十一月の物価指数について前年に比べて実感としてどのくらい上がっていると思うかという設問に対して、物価指数とほぼ同じという答えは四人に一人しか出しておりません。四〇%以上の人は、実際の消費者物価指数よりも高目の実感を持っておるわけであります。  さらに、いま一つ「生活費の増加意識」、これを見てみますと、生活費は前年に比べてふえた、こういうふうに答えた人は六〇・八%、こういう数値になっております。さらに生活費がふえたという人全体の中で、それじゃ前年同月に比べてどのくらいふえたのかということで数字を拾っていきますと、一〇%以上ふえたという人は三六・四%、一五%以上が八・六、以下二〇%七・四、三〇%という人はわずかですけれども二・六、合計すると五五%もの人が一〇%以上前年に比べて生活費がふえた、こういう答えを出しておられるわけです。しかし、実際の消費者物価対前年上昇率は、五十九年は二・四%、六十年の見通しも二・八%。政府は、鎮静をしておる、世界に冠たる物価の一番落ちついた国であるということを盛んにおっしゃっておられるわけですね。時間がありませんので、一問一答というよりもまず全体的な考え方なり状況を申し上げて、総括的にお答えをいただきたいと思います。  発表されておる消費者物価上昇率と一般の国民が毎日の生活の中で実感として感じておる物価の上がり方には極めて開きがある、そういうことを端的にこれはあらわしておると思うのです。  同時に、それじゃ今の消費者物価指数に対する関心度を見でみますと、関心のある人はわずか三人に一人しかない。関心がない者、これは五八・九%にも上っておるわけです。これは、勤労者、国民物価に関心がないことはないのです。とにもかくにも暮らしの中で物価というものが日ごろ一番頭にあるわけです。しかしここでは、物価に対する関心じゃない、政府の出しておるこの消費者物価指数に対して関心が極めて薄い。それは、政府が発表しておる数字が自分たちの生活実感をあらわしてない、したがってそういうものに関心を示しても意味がない、私は、こういう端的な国民の反応といいますか考え方だと思うのです。  これは、昨年も私この委員会で質問をさせていただいたのですけれども、昨年以上に国民消費者物価指数離れ、現実の生活費の上昇という状況がさらに高まっているのではないかと私は思うわけですが、まず、ずれの原因が一体どこにあるのか。経済企画庁並びにきょうは統計局の方からも来ていただいておると思うのですが、両者からそれぞれ見解を出していなだきたいと思うのです。
  53. 斎藤成雄

    斎藤(成)政府委員 お尋ねの国民の実感と消費者物価指数とのずれでございますけれども、今回の調査というのは実は十回目ぐらいでございまして、この過去の推移、その中で関心度の推移というのは、御指摘のように今回は関心があるというのが三六・三%と低いのでございますけれども、過去の十回の調査でやはり上がり下がりがございまして、一番上がっているときというのは五十四年の暮れでございますか、これは大体毎年暮れにやっておるのでありますけれども、五十四年の暮れは四六・六ということで五〇%近い人が関心があった。この関心の度合いの動きというのと、それから消費者物価指数の動き、つまり物価が上がったというときには関心が上がっている、物価が落ちついてくると関心が薄くなる、どうもそういう感じがあるんじゃないかというふうに私どもは受けとめるのでございます。ですからそういう意味で、関心が下がったのは、指数そのもののできがどうこうというよりは、むしろ物価についての関心の度合いのあらわれじゃないか。ただこれは、その理由を調べる方法もございませんので、はっきりしたことは申せませんけれども、そういうことではなかろうかという感じを持つわけでございます。  それから、今の御質問の、ずれがあるというところでございますけれども、これは御指摘のように毎回の調査でいつもずれが出るわけでございます。これも御存じのように、物価指数をつくります場合には、全国の平均的な家計というものを前提にいたします。そして、御存じのように、ウエートをつけて、かつ、そういった平均的な家計での支出を基準にしてつくりますので、どうしてもその平均から離れておる家計とは開きが出てまいります。  例えば、地域が違いますとそれぞれの地域の物価にずれがございますが、平均的なところの数字しか物価指数には出てこない。それからまた、家族構成の問題がございまして、特に、例えば教育費の負担などが多い家庭というのは大変深刻でございますけれども、平均的な家庭の場合には、教育費の負担であえいでいる人たちの分は平均の中にある程度薄まりますから、そういう意味で、どうしても個人差というものと平均とのずれが出ざるを得ないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。  その場合に、それじゃ物価上昇より実感が高く出るのはなぜであろうかということが次に問題になろうかと思いますけれども物価消費者として受けとめるときの感じというのはどうしても値上がり品が中心になりがちであるということ、あるいは生活水準が上がってまいりますと家計支出もふえてまいりますけれども、それと物価上昇による支出とがどうしても混同されやすいこと、あるいは社会保険料その他非消費支出がふえますけれども、それと家計の負担増とがやはり混同されがちである。そういったような、実感の場合とそれから一定の物差しをつくりましてそれに合わせてはかる場合に、ずれが出るのはどうしても避けられないんじゃないか。  ただ、私どもとしましては、そういった実感とのずれができるだけ生じないように統計のつくり方に配慮をしてまいりたいと考えておるわけでございまして、統計を作成しております総務庁の統計局の方でも、この家計支出のウエートを五年ごとに見直しをいたしまして、そして家計実態にできるだけ合わせる努力をしているわけでございます。そういう意味で、できるだけ実感を反映させたい、反映させるべきであるという点については、私どもも同感でございますけれども、現在の統計指数あるいは統計のつくり方というのは、やはり統計学というか、そういったセオリーに基づいてつくっておりますので、ある程度はやむを得ないんじゃないかと考えるわけでございます。
  54. 小山弘彦

    ○小山説明員 ただいま先生の御質問消費者物価指数とそれからいわゆる実感との差という点を中心に多少説明をさせていただきます。  ただいま経済企画庁から御説明がありましたように、実感につきましては、個々の立場から見れば最近時に値上がりしたもの、あるいは購入が世帯においてかなり頻繁に行われるもの、こういうものにつきましては上昇感が実感としてかなり強いということは言えるのであろうと思います。逆に値上がり幅が小さいものとか、物によっては値下がりするものもございますけれども、そういうものに対しては、個人の消費意識としては実感としてそう感じないというような一つの心理的な面があろうかと思います。  これに対しまして消費者物価指数の方は、一応先ほどの説明にもありましたように、全国の平均的な物価の水準、これを示していく。したがいまして、その中には物価が上昇しているものもあれば、それから物価が下がっておるものもあるわけでございますけれども、それらを平均的に統計的に処理しまして一つの数字にまとめていく、こういうふうにしているものでございますので、いわゆる個々の立場から来る実感から見れば、合わないという面があろうかと思います。  それから、いわゆる物価指数といいますと物価の平均的な数値ということで説明されるわけでございますが、もう一点、先生の御質問の中にいわゆる家計消費が増加している、この点がございましたけれども、これは物価指数をつくる立場といたしましても一つ考えなければいけないと思いますのは、考えなければいけないといいますか、出てくる事象でございますけれども、家計におきましては知らず知らずのうちに消費の内容が質的に向上しているということがあろうかと思います。それから商品につきましても、生産する側、供給する側としましては始終品質のいいものを出そうというようなことで、品質の変化いわゆる質の上昇が価格の上昇というふうにとられている、すべてがかなり物価の上昇ということに押しつけられてきているという面はあろうかと思います。供給する側、それから受ける側からは商品の質の向上、このようなものもあろうかと思います。
  55. 中村正男

    中村(正男)委員 時間がございませんので、この中身の論議はまた次回以降に譲りたいと思います。  先ほど答弁の中で、物価が高いときには関心がある、今鎮静しているから関心度が低いんだ、こういうことをおっしゃったわけですけれども、しかし、それにいたしましても、もうここ五十四年をピークにしてずっと関心があるというのは減ってきておるわけですね。これはもう事実なんですよ。関心がないというのが高原状態で、もう五〇%以上が十年近く続いている。こういうことを見てみますと、単に物価が上がったときだけ関心があるというのではなしに、もう指数そのものが自分たちの生活実感をあらわしていないんだという庶民のあきらめですよ。それが私は関心がないという最大の理由じゃないかと思います。しかし、それは一度その理由について、なぜ関心がないのか、これはひとつ調査項目として設けていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  そこで、このずれの原因、個人差、それぞれの家庭の差があるとかおっしゃいました。確かに教育費一つをとりましても、一般的な現実の教育費の支出は、政府の発表しておるような数値ではもうないわけですね。実態は、もうその倍以上それぞれの家庭では教育費の支出が行われているわけです。住宅にいたしましても、公営の賃貸住宅に入っている人なんというのはわずかであって、高いローンを組んで、そのローンの返済にもう収入の三〇%以上、ひどい人はもう五〇%もローンに追われている、そういうありさまなんです。  だから問題は、私は、今消費者物価指数というものが単に統計上の一つの費目というんじゃなしに、今の国民の、あるいは社会の大きな役割といいますか位置づけになっている。現に春闘で労働組合は、低成長下でせめて物価上昇分だけは最低維持しなければならぬということで、これを基盤に置いている。その基盤の数字が生活実感をあらわしていないのであれば、これは大変な問題なんです。そういうことで、ぜひひとつ消費者物価指数の見直し、統計項目の品目の見直し作業、これを思い切った視点でやってもらいたいと申し上げたいと思います。  特にことしはちょうど見直しの時期でございます。見直しにつきましては、いわゆる統計審議会の経済指標部会の方で論議をされると聞いておるわけですが、ごく簡単にこの手続、プロセス、それから日程的な問題をひとつ説明していただきたいのです。
  56. 小山弘彦

    ○小山説明員 ただいまの消費者物価指数の改定、見直しに関するスケジュールでございますけれども、データとしましては小売物価統計調査、それから家計調査、その結果がまとまるのがこの六十年を過ぎた時期、来年の三月でございますので、そこで実際の作業に入る、そして新しい指数につきましては来年の秋ごろ公表するということでございます。先生指摘のありましたいわゆる実感との相違ということも含めまして、品目の見直し、それからウエートのつくりかえということをやっていく予定でおります。
  57. 中村正男

    中村(正男)委員 審議会、部会の人選はどのようにしてやられているのですか。
  58. 伊藤彰彦

    伊藤(彰)説明員 御説明申し上げます。  統計審議会の経済指標部会は、各種の経済指数に関しまして非常に統計の技術的な審議をする部会でございまして、具体的には品目あるいは銘柄の選定ですとか、品目のウエートの決定ですとか、それらを総合します算式の問題ですとか、また基準時を五年ごとに変えてまいりますと各統計系列の接続の問題とか、極めて専門的、技術的な審議を行う部会でございまして、物価指数の専門家を中心に構成しているところでございます。
  59. 中村正男

    中村(正男)委員 今回の部会のメンバーがいつ決められるのですか。
  60. 伊藤彰彦

    伊藤(彰)説明員 経済指標部会は、消費者物価指数ばかりではありませんで、卸売物価指数、鉱工業生産指数等いろいろな経済指数を扱っております恒常的なものでございまして、既にメンバーは決まっておるところでございます。
  61. 中村正男

    中村(正男)委員 長官、昨年も私この委員会で、こういった国民生活にとって極めて重要な消費者物価指数を決める部会に消費者代表をぜひひとつ入れるべきだ、国民生活に実感としてより合わせていくということを考えますと、専門家のそうした技術的な論議も大切ですけれども、むしろ一般の庶民の生活実感をやはりその指数を決める部会に反映させていかなければいかぬ、そういうことを主張いたしました。前の河本長官は、私の主張に対して、大変貴重な提言だ、ぜひひとつ前向きに考える、こういう答弁をいただいたのです。私は、かなり専門的だということもよく存じております。そういうことを考えますと、一般の消費者代表と同時に、むしろ労働組合の専門家——皆さん方はどういうふうに見ておられるかわかりませんが、今日の労働組合は社会全般の問題に対して極めて日常的に研究をしておりますし、有識者がたくさんおられます。またむしろ、労働組合のそういった面での社会参加をこれから考えていかなければいかぬと思うのです。その点について長官、昨年河本長官のそういう回答があったわけですからここでぜひひとつ約束をしていただきたいのです。どうですか。
  62. 金子一平

    金子国務大臣 今の御提言は大事なことでございまして、物価統計をとる際に十分庶民感情を反映させたい、これは、私どももそういう気持ちでおります。  今の人員の構成がどうなっておるのか、私も実はまだ全くの素人でございまして、十分検討いたしておりませんが、労働組合の代表を入れるかどうかという具体的な問題は別にいたしましても、庶民の感情を極力物価指数に反映させて、実際の物価と公表された物価との乖離のないような努力をすることは全く必要であると考えておりますので、十分検討させていただきます。
  63. 中村正男

    中村(正男)委員 重ねて申し上げておきますが、経済指標部会のメンバー一覧表を見せてもらったのですが、一般的に大学の教授あるいは政府関係の統計関係人たち、そういう範囲なんです。そういう偏ったことではなしに、労働組合の代表者を具体的に入れる措置をぜひとっていただきたい。かなり人的な異動もあるようであります。指名をされた年月日を見てみますと、直近では五十八年十二月、まだ一年ぐらいしかたっていないような人たちもおられるわけですから、この部会のメンバーの差しかえあるいは追加を強く要望しておきたいと思います。  次の質問に移ります。先ほど同僚議員も少し触れたのですが、景気の先行きと内需拡大の問題について、時間がございませんので、要点に絞ってお尋ねしたいと思うのです。  まず率直に長官にお聞きいたしますが、今日国民の多くは毎日極めておもしろくない感情を持っていると思うのです。連日の報道では、アメリカから、日本の四分野に対する市場開放を急げ、さらには日本国民は貯金が多過ぎる、内需拡大を図れ等々、まじめに働いている勤労国民にとっては、なぜこれだけ外国から文句を言われなければいかぬのか。政治に対してこういうところからも不信感を持っているのじゃないかと私は思うのです。おまけに、そんなにゆとりもないのに、金もないのに、総理大臣外国製品をどんどん買え、一人百ドル買えば国際収支はこれだけ改善されるとか、チャートを使ってやる。一体そんなお金がどこにあるのですか。しかも、外国製品で買える物は、庶民の側から見ればそんなにないのです。せめて食肉くらいは国産品よりも安いですから庶民は買うかわかりませんが、日常身につける物あるいは生活用品どれ一つとっても、品質的にも価格的にも、そんなに飛びついて買えるような物がないわけです。そういった国民感情を逆なでするように総理大臣が得々としてそんなことまで言う。私は、こういう今の状況国民は本当におもしろくないと思うのですね。そういう国民感情に対して、長官どういうふうに受けとめておられますか。
  64. 金子一平

    金子国務大臣 先生おっしゃる気持ちはよくわかるのでございますが、OECDの閣僚会議なんぞに行ってみますと、世界各国がやや景気が軌道に乗ってまいりまして、一時に比べたら見違えるようになりつつありますけれども、それでも世界各国が大量の失業者を抱えて、企業活動もなかなかうまくいってない。一方においでは、アメリカも失業者はございますけれども景気がぐっと伸びたものですから、アメリカの景気を契機にいたしまして日本だけが世界最大の黒字を抱えておる。もう少しその黒字を世界に再分配して、失業を輸出するようなことをしないでほしいというのが案外私は世界各国の率直な気持ちのようにどうも受け取られました。  これはいつも言っておりますように、日本側は貿易でやっとの生活ができる国なんですから、貿易を伸ばさないでどうやっていくんだ、こう言いたいのですけれども、向こうに言わせればそれはほどほどにしてくれよ、黒字がたまればそれは輸入をふやして、お互いにもっと自由貿易ができるようにしてくれ、それに非関税障壁を十重二十重に張りめぐらせてなかなか簡単に日本市場にアクセスできない、これを何とか取り除いてくれというのが率直な気持ちだろうと思います。  先ほど来申し上げておりますとおり、これは何も日本が悪いことをしているわけではございませんで、問題は、アメリカ財政赤字がもとになって高金利を呼び、ドル高を呼んでいる。これを片づけぬことにはこの問題は片づかないのですから、声を大にしてこの点を主張したわけです。これに対してはアメリカの代表も、財政削減はしっかりやりたい、増税ではなくて歳出カットでこれにこたえたいということで率直に言っておりましたし、各国も日本と同様の主張をぶっつけておりましたから、私は漸次アメリカ考え方も変わってくると思っております。  それにしても、今たまっている日本黒字をどうしてくれるかという厄介なことを言っておるものですから、これは、工業製品につきましては東京ラウンドによる前倒しによりまして——先進国では日本が一番関税の税率は低いのです。むしろ、それをさらに一歩進めて、ニュー東京ラウンドを始めようというくらいの提案をしておるわけでございます。  それから、問題はやはり非関税障壁と申しますか、行政上の認可許可事務がなかなか難しいとか輸入手続を厄介なことにしているとか、そういうアンフェアな扱いを外国品にしているじゃないか、これを片づけてくれというような主張が案外強いように見受けました。私ども、今のような日本の立場を大いに主張いたしましたし、しかも四月九日でございますか対外対策を一応決定いたしましたので、こういうこともこれからやるんだよという話をいたしますと、日本努力は大いに評価をする、問題は、一体どれだけの効果を上げるのかこれからじっと日本のやり方をフォローしてみましょう、こういったのが率直な各国の気持ちではなかろうか、こういうふうに考えてきた次第でございます。
  65. 中村正男

    中村(正男)委員 これから核心に触れる論議をしたかったのですが、残念ながら時間が来ましたので、最後に、四分野市場開放を仮にしたとしても、日米の貿易収支がそんなに改善されるとは私は思わない。一番目玉である通信衛星を仮に一つ二つ買ったところでせいぜい五億ドルぐらいでしょう。そういうことを考えますと、私は内需拡大を早急にやらなければいかぬ。特に今世界全体は、日本内需拡大というのは世界経済に対する新たな日本の牽引車、いわゆる機関車論として期待をしてきておると私は思うのです。だからこの内需拡大には、今政府部内でも相当論議をされておりますけれども、早急に閣内意思統一をされまして、今までの緊縮財政一本ではなしに、もう財政が始動するときだと私は思うのです。とりわけ、民間活力というふうにおっしゃっていますけれども、一体何で民間活力をやるのか、公共投資は抑えたままだ、減税もやらない、国有地の払い下げぐらいでは民間活力にならないと私は思います。特に減税の問題については、三月六日の与野党合意がございますが、あの時点と今日ではもう状況は大きく変わっています。春闘の結果もそんなに期待できないわけでありますから、これはもう減税しかない。この減税問題については経企庁長官の立場からぜひ強く主張をしていただきたいということを要望いたしまして、もう答弁をいただく時間がございませんのでまたの機会に譲りたいと思います。  これで終わります。ありがとうございました。
  66. 竹内猛

    竹内委員長 次に、金子みつ君。
  67. 金子みつ

    金子(み)委員 きょうは時間が大変短いですから、質問をまとめてして、答弁もまとめてしていただきたいと私は考えています。  きょう取り上げます問題は、牛乳に現在ついている公正マークのほかに、新たなマークをつけようという動きがある問題についてでございます。今の時点ではまだ直接経企庁の御所管にかかわりませんので、長官は話を聞いておいていただけば結構だと存じます。そこで厚生省と公正取引委員会と、最後に農水省に質問したいと思います。  この問題は、チャンスがなかったものですから少し遅くなったのですが、先月の初めに新聞発表がございましたし、テレビでもニュースの時間にちょっと出ました。現在、牛乳には「公正」と書いたマークがついております。ところがそのほかに、ある表示マークで「生乳一〇〇%」ということをつけたいということが中央酪農会議考えられて、そのことをいち早く新聞発表されたのかスクープされたのか、その辺はわかりませんけれども、とにかく公表されてしまいましたので消費者は大変心配しております。  と申しますのは、消費者は既に公正マークに大変なじんでおりますから、これが牛乳なんだというふうに解釈いたしております。そこに「生乳一〇〇%」なんという字が入りますと、このごろ例えば果汁なんかでも果汁一〇〇%入っているとか五〇%とか三〇%とかというふうに表示がございますので、それと同じように考えで、そうすると「生乳一〇〇%」とマークがついていればこれが本物の牛乳であって、そのほかのものはそうじゃないんだなというような惑いを消費者が持つというのは非常に危険なことだと思うのです。この問題についてまず厚生省に伺いたいのですが、厚生省では乳等省令で生乳と牛乳の定義が規定されていると思うのです。そういたしますと、ここに「生乳一〇〇%」なんというようなマークがつくことについてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。定義に基づいてお考えいただいて、厚生省のお考えをまず聞かせていただきたい。
  68. 難波江

    ○難波説明員 お答えいたします。  牛乳につきましては、食品衛生法に基づきます乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で「直接飲用に供する目的で販売する牛の乳」というふうに定義をされているところでございます。したがいまして、同省令におきまして牛乳は生乳をろ過、殺菌、小分け、密栓等の処理を行ったもので、生乳以外の原料の使用を禁止をいたしているところでございます。  先生指摘の生乳マークについてどう考えるかということでございますが、ただいま申し上げましたように、牛乳につきましては生乳以外の原料を使ってはいけないということになっておりますし、一方、生乳につきましては、同じ同省令におきまして「さく取したままの牛の乳」というふうに規定をされておるところでございます。したがいまして、先生指摘のように、牛乳に「生乳一〇〇%」等の表示をすることにつきましては、「生乳一〇〇%」を表示しない牛乳があった場合に、生乳以外の原料を使っているのじゃないかというようなことを消費者に誤認を与えるおそれがあるということ、また、厳密に申し上げますならば、牛乳は先ほど申し上げましたように生乳を殺菌等の処理をしたものでございまして、「生乳一〇〇%」という表示を牛乳にすること自体にも問題があろうかと考える次第でございます。  いろいろそういう観点から、「生乳一〇〇%」の表示につきましては、乳等省令の上からも問題あろうかというふうに考えているところでございます。
  69. 金子みつ

    金子(み)委員 今の御答弁によりますと、「生乳一〇〇%」というマークが仮につけられるとすれば、それは誤りだというふうに解釈してもいいわけですね。生乳そのものじゃないわけですから。そういうふうにも理解できますか。その点ひとつ。
  70. 難波江

    ○難波説明員 厳密に申し上げるならば、先生指摘のとおりでございます。
  71. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは、次に公正取引委員会にお尋ねいたします。  公正取引委員会の御指導では、この牛乳に関する表示については公正競争規約というのがあって、そしてその規約に基づいて全国飲用牛乳公正取引協議会ですか、こういうものを設置して、そしてそこで処理をするようにというふうな指導をしていらっしゃると思うのですけれども、今回の件については、その点のかかわり合いはどうであったのかということが知りたいと思います。あるいは新聞発表以前にしたのかもしれませんけれども、その辺はどうなっていたのかが知りたいと思いますことと、それからもう一つは、この協議会で協議をしてすべでのことを進めできているんだというふうに私は理解しているのですけれども、もしそうであるとするならば、今度の場合はそのことをしたか、しなかったかというのを今お尋ねしたわけです。  それから続けてお尋ねいたしますが、この協議会は生産者それから処理業者、販売者、この生処販の三つの人たちの集まりの会で、そこで話し合ってするものだというふうに理解していますが、仮に一つのところで生産もし、処理もし、販売もしているというような場合には、この協議会から抜け出して、脱会して独自に単独で進めていくようなことができるのかどうか。そうすると、今度のマークなんかは単独でやったんだから、協議会に関係ないんだからいいじゃないかというふうな言い方ができるのかどうかということについてお尋ねをいたします。
  72. 利部脩二

    ○利部政府委員 お答えいたします。  御質問のありました公正取引協議会は、牛乳の製造業者、販売業者の団体でございまして、表示、広告の基準をみずから定めて実施しております。その定めております基準というのは、法規なり先ほどありました乳等省令なりに定めのありますものはそれを遵守する、確実に遵守することで基準を定めておりますし、そのほかに、一般消費者にとって非常に重要な商品であるということにかんがみまして、正確な表示をし、仮にも消費者に誤解をされないような表示をするということで基準を定め、かつその基準が実行されますように自主的な検査もし、検査に合ったものに先ほど御指摘のありました公正マークなどを付しまして、消費者が正しい商品選択ができるようなやり方をしております。  今度の中央酪農会議からの提案がありましたことにつきましては、本来牛乳に「生乳一〇〇%」等々の表示をすることの当否は、今までのそういう実績があり、かつ、そういうものを総合的に表示基準を定めている公正取引協議会がまず考えるというのが適当だと思いますし、一部のものが行いましてもかえって混乱をするということ、それから、何よりもそういう中央酪農会議が提案するような「生乳一〇〇%」の表示をだれがするかというと、これは中央酪農会議の会員ではなくて、公正取引協議会の会員である事業者がやることですから、それはほかの、よその家の表示の問題について何かいろいろ注文をつけたごときで、甚だ割り切れない感じを業界というか公正取引協議会は持ったと思います。  事前にそういう御相談はなかったようでございます。それを実行しますと、先ほど厚生省からお答えがありましたように、一般消費者に牛乳の内容について誤解を与えるおそれがある。場合によりましては、景品表示法の不当な表示に当たることもあろうかと思います。少なくとも一般消費者に内容について誤解を与えるものであることは確かなようでありまして、提案のような形で実行するのは甚だ好ましくないというふうに考えております。  それじゃ公正取引協議会に加盟している一部のものが、つまり牛乳の生産、販売をしているものの一部のもので中央酪農会議関係のある方が脱退してそういう表示をしたらどうかということでございますけれども、中央酪農会議の方から聞いたところによりましても、どうも本当に目的とするところは、消費者に生乳が使われているものだということを訴えてそれを選択してもらう、消費者にそれを選んでもらう、それによって生乳の需要の拡大を図りたいということが真意であるように聞いております。そうであるとしますと、一部のものが脱退してそういう表示をしましても、需要の拡大になるものでもありませんし、また、中央酪農会議の系統の牛乳生産販売業者の人でも一般消費者にそういう牛乳の表示について混乱を巻き起こすことを本意とするものではないと思いますので、そういう点をよく公正取引委員会の方からも、農林省とも協力して指導、説得していきたいと思います。しかし、どうしても強行するということになりますと、そういう表示には景品表示法の問題が出てくることは否定しがたいところであります。
  73. 金子みつ

    金子(み)委員 それでは最後に農水省にお尋ねいたしますけれども、農水省は中央酪農会議の監督官庁としての責任もおありになると思いますが、そこでお尋ねしたいのは、牛酪がどうしてこういうことを考えたのかということなんですね。そのよって来る原因と申しますか、理由があるだろうと思うのです。何も理由なしにすると思いません。そこで、その理由は何なのかということをつかんでいらっしゃるかどうかということでございます。  そしてそのことについては、なるほどもっともだと農水省はお考えになるのかどうか、それはもっともだけれどもやり方はよくないぞというふうにおっしゃるのか、そのことは納得できないというふうにお考えになるのか、その辺も聞かせていただきたいと思うわけでございます。  仮にそうであるとしても、今回のこのようなことで、結末はまだついておりませんけれども、今後どのように農水省としてはこの問題について解決の方法をとっていらっしゃるおつもりであるのか。そして、言葉をかえて申し上げれば、私はこれは避けてもらいたいと思っているわけですから、そのことが実施されることを未然に防ぐためにはどのように措置されるのか、私はそのことを要望したいと思いますのでお願いします。
  74. 伊藤礼史

    伊藤(礼)説明員 お答えいたします。  中央酪農会議が今度のような生乳マークを提案しているという背景でございますが、昨年から生乳の需給が相対的に引き締まってきたわけでございますが、飲用牛乳等の生乳の需要は伸び悩んでおりまして、伸び悩んでおる理由といたしまして中央酪農会議が次のようなことを言っております。食品市場全体が飽和状況下にある。その中で、牛乳と誤認されやすい牛乳タイプの乳飲料でございますとか乳酸菌飲料でございますとか、こういうものの方が急増いたしまして、牛乳自体の消費の伸びが鈍化しておる。あるいは還元乳が増加いたしまして、牛乳以外の牛乳関連製品の中で生乳を使う度合いが低下している。こういうような背景の中で生乳の価格の引き上げというのはまた困難な状況にあるわけでございますが、その中で、生乳の使用率を高めれば生産者の手取りが向上する、こういう見方をいたしまして、生乳の使用率を向上するためには、牛乳とそれ以外の製品との区別を明確化するためにマークを制定する、あるいはそれの使用を普及するということを進めたい。また、飲用牛乳等加工乳でございますとか、乳飲料、発酵乳、乳酸菌飲料というようなものがいろいろ飲用牛乳以外等としてあるわけでございますが、これらの表示の適正化を推進したいというようなことを検討いたしました結果、これを各県に一つずつございます指定生乳生産者団体の会長会議というものにことしの二月、緊急生乳需要拡大計画という形でまとめて諮ったというふうに承知しているわけでございます。  これらの生乳の表示につきましては、関係者の合意がございませんとうまく進むものではないというふうに私ども考えておりまして、生産者団体、処理業者、販売店というもので構成しております全国牛乳普及協会という組織がございます。公正競争規約を議論する場といたしましては、先ほど公取さんがお話しになりました公正競争規約の協議会がございますが、直接生産者だけがこの協議会に入るということはできないわけでございまして、処理業者中心の協議会になるわけでございます。生産者も入れる場といたしましては牛乳普及協会というのがあるわけでございますので、ここでいろいろと話を進めてもらっているということでございますが、一部のメーカー、中央酪農会議の系統のメーカーが単独にいろいろな行動をするというようなことでは、小売、消費段階にいろいろ問題が出てくることは今も御指摘のあったとおりでございます。  消費者向けの表示制度が円滑に機能するためには、処理業者と販売業者、生産者三者が理解と協力して進めることでなければならないわけでございまして、先ほど申しましたような生乳の使用を拡大したいという生産者団体の意向も考えなくてはならないことは当然でございますから、農林水産省といたしましては、生乳の使用拡大のための対策をいろいろ進める一方で、表示につきましては、消費者意見も参考にしつつ生産者、処理業者、販売業者の間で十分な意見の疎通を図りながら検討を進めるべきであるというふうに考えておりまして、この間、厚生省、公取事務局等と十分相談いたしまして指導してまいりたいと考えております。
  75. 金子みつ

    金子(み)委員 もう時間も参りましたので質問はやめますが、農水省に申し上げておきますが、今の問題は指導したいと思っていますとおっしゃっていましたから、どうかできるだけ早い機会にきちっと解決がつくように処理していただきたいと思います。このことを要請いたしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  76. 竹内猛

    竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  77. 竹内猛

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小谷輝二君。
  78. 小谷輝二

    ○小谷委員 最初に、経済企画庁長官にお尋ねいたします。  この物価問題特別委員会で長官からあいさつのありました第一点に、国内の民間需要中心にした景気の持続的拡大を図っていく、このようにごあいさつがございました。  ところで、今日、日米間の貿易摩擦が深刻化いたしておりますし、これに伴って総理大臣も、市場の開放、また輸入関税の引き下げ等々の措置を講ずるよう今まで発表もあったわけでございますが、さらに国民に対して一人百ドルの買い物をと、このように呼びかけ、訴えもあったわけでございます。  そこで、これらの一連の問題に関連して、日本の景気の持続的拡大、これがどのようにつながるか。また、その影響はどのような影響が起こってくるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  79. 金子一平

    金子国務大臣 日本の景気は、御承知のとおり、設備投資の拡大が単に輸出産業関連施設だけでなくて、内需中心のもの、あるいはその他のものにまで伸びるような末広がりの状況にございまするし、消費も、去年の暮れまでは必ずしも我々の期待したようにはかばかしくございませんでしたけれども、漸次上昇の機運にございますし、その他一連の状況を見ますと、一時アメリカの景気が急速に落ち込むと心配されておりましたけれども、それもございませんので、比較的順調に伸びておるかと考えておるのでございます。特に物価が安定しております。ドルが今ちょっと下がりましたようなこともございまして、先行きの不安が、一時的かもしれませんが解消されたということでございますので、まず心配はなかろうかと考えるのでございます。  今御指摘の市場開放と関連して、国内の景気、国内の産業がどうなるかという御心配の点、これは我々としても十分心しなければならぬ点だと考えておるのでございまして、例えば木材製品につきまして、アメリカからいろいろ注文が出ておりますけれども、我々といたしましては、やはり国内の林業の育成ということを中心考えなければいけませんから、その方面の対策を五年間かけて十分とる。そういう中で、例えば合板の関税の引き下げも三年目くらいにはある程度実現したい、こういうような段取りで今進めておることを申し上げておきます。  内需の振興につきましては、十分考えながら諸般の対策を進めておる段階であることを申し上げておきたいと思います。
  80. 小谷輝二

    ○小谷委員 さらに、物価の安定は国民生活安定の基本要件である、こういう観点から長官からあいさつがあったわけでございますけれども、高齢化社会が急速に進行する中で、物価問題は国民の非常な関心事でもございますし、生活に及ぼす影響も非常に大きいわけでございます。  そこで、昨年十二月に総理府の方で実施されました物価問題に関する世論調査、これが最近新聞紙上で発表されておりますが、国民の間で非常に物価が高いという上昇感、これが非常に強いという世論調査の結果が出ております。  そこで、最近の情勢にかんがみて、大臣が今後の物価の動向について当初述べておられました卸売物価の一・一%それから消費者物価の二・八%程度の上昇、これは今の段階で守れる、またこれが今後もそのまま進むのかどうか、この点についてはいかがでございましょうか。
  81. 金子一平

    金子国務大臣 物価の安定は生活の基本でございますので、私どもといたしましては物価の安定だけはぜひ守り抜きたいという気持ちで今政策を進めておるのでございますが、御指摘のとおり、例えば子供の教育費にうんと負担のかかる年齢層とかあるいは住宅ローンの支払いに追われる層におきましては、物価といっても、むしろ生活費の方でしょうけれども、大分違うじゃないかという感覚を持っておられる方もあるのかもしれませんが、物価指数自体としては、今お話のございました卸売、消費者物価につきましても、当初申し上げましたような線をぜひ守り抜きたいし、またそれは可能であると私ども考えておる次第でございます。
  82. 小谷輝二

    ○小谷委員 第三番目に、調和ある対外経済関係の形成と世界経済への貢献ということでの内容がございましたが、貿易摩擦解消にしましても、国内景気の持続的な拡大にしましても、せんずるところ、我々思いますのは、思い切った内需の拡大策、これが図られること以外には解決方法はないのではなかろうか、このように思うわけです。この点は大臣いかがでしょうか。
  83. 金子一平

    金子国務大臣 その点につきましても、やはり私ども重点的に進めたいと考えておるのでございます。  ただ、いつも話に出ております、本年度予算でそれじゃ思い切った減税がやれるか、あるいは思い切った公共事業の投資ができるかというと、これは正直言って財政的に簡単にできるような段階ではございませんので、そのかわりディレギュレーションをうんと進めるとか、民間の資金の公共部門への思い切った導入を図るとか、いろいろなことを今、先般四月九日でございましたか、経済諮問委員会からも河本長官の方へ提案が出ております。それから特に減税につきましても、投資、消費その他を総合的に勘案した税制改正考えるべきだというような提案が出ております。  私どもは、そういった一つ一つをいかに具体化するか、これから急ピッチで、それこそ景気の動向をにらみながら、概算要求の取りそろえられる七月、八月をめどに、こういったことの具体化につきまして、研究を関係方面と進めてまいりたいと考えておるような次第でございます。特に減税につきましては、前々から申し上げておりますとおり、来年度におきましては、税制改正においてやはり所得税の減税をある程度思い切ってやりたいなという気持ちでおることは、率直に申し上げていいと思います。
  84. 小谷輝二

    ○小谷委員 長官の考えは大体わかりますが、いずれにしましても、今国内景気の上昇にしても、また外国製品日本国内での消費にしましても、一般国民のふところぐあいが、購買力というのが強くなる以外にないことでございますし、その面から見まして、かつての予算審議の終末で与野党間の合意もあったようでございますが、大幅な所得税の減税、さらに人勧の完全実施、また労働時間の短縮とか週休二日制の実施、また年次有給休暇の消化処置とか、いずれにしましても消費機会の拡大を図る、こういうことをまず基本的に考えていかなければならないのではなかろうか、こう思うわけですが、長官はいかがでございましょうか。
  85. 金子一平

    金子国務大臣 今お話しの点は、基本的には私もそのとおりだと思いますし、特にまた、労働時間の短縮とか週休二日制の実施等につきましても、諮問委員会の答申にはっきり出ておりますので、どの程度早く具体化するかが問題であろうと思います。  ただ、内需振興を図ります場合に、私どもとしてやはり一番気をつけなければいかぬと思うのは、機関車論的に、日本が世界の景気の機関車になれよというような勢いのいい声に乗っかって物価を上げるような対策をとったんでは、今まで日本政府努力した努力が本当に水の泡になりますので、物価を上げない限度において今おっしゃっておるような内需の振興はぜひ図りたい。それには何が一番有効であるか、これを模索している段階であると申し上げた方が正直なところじゃなかろうかと考えております。
  86. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、消費者保護の問題につきまして二、三お尋ねをしたいと思います。  最初に、健康食品に関するものでございますが、例えば街頭で声をかけて、いわゆるキャッチセールスとでもいうのですか、近くの喫茶店へ誘い込んで、若い女性にはビタミン剤とかまた低カロリー食品、こういうのを売りつける。また、子供さん、乳幼児を連れた若いお母さんにはカルシウム、ビタミン入りとか、こういうふうな食品を子供の健康のためにと、このように巧みに、非常に高価なものを売りつける。また、特に中年層や高齢者を対象に、訪問販売や展示販売またはキャッチセールス等で万能的な効果をうたって、ローヤルゼリー等、また高麗ニンジンエキスとか、こういうものの売りつけが非常に多いわけでございます。いずれにしましても非常に高価なものでございまして、また販売方法も強引で、しかもセールスマンが販売話術を巧みに、そのまま薬事法にも触れるような表現でどんどん売り進めておる。購入した後に解約とか返品とかいう苦情問題が直ちに続出するわけでございまして、また我々のところにもいろいろな相談が数多く来るわけでございます。  そこで、この問題について具体的に一つ一つお尋ねしたいと思いますけれども、まず、健康食品の品質について、厚生省ですね。厚生省の方は対策室を設置しておられるようでございますが、健康食品が粗悪品であるために健康を損ねたりするような実例もあるわけです。そこで、まず、この健康食品に対する品質、これを対策室はどのように今後対策されていくのか、この点、お答えいただきたいと思います。
  87. 玉木武

    ○玉木説明員 お答え申し上げます。  健康食品に関します公衆衛生上の問題点としましては、一つが安全衛生の問題と、それから栄養成分、用途等に関する医学的、栄養学的な問題と、この二つに大別されると我々は考えております。  まず初めに安全衛生の問題についてでございますが、医薬品に該当するものを除きまして、すべて食品衛生法に基づく規制の対象となっておりまして、有害有毒な物質を含むものなど人の健康を損なうおそれのある食品につきましては、販売禁止等の所要の規制を行っているところでございます。さらに、食品衛生上の問題の発生が予測されるものにつきましては、安全衛生に関する実態調査分析して、緊急度の高いものから順に必要な対策について検討することとしております。このため、昭和五十九年度におきましては、セレン含有食品とかシアン含有食品等四種類について全国調査を行っているところでございます。昭和六十年度におきましても引き続き調査を行いまして、健康食品の衛生対策を実施いたしたい、このように考えております。  二番目の医学的、栄養学的な問題でございますが、現在この問題につきましては事業者から一方的に情報が提供されているのみでございまして、国民が健康食品を適切に選択し利用していく上での混乱が生じている場合も見られますために、厚生省におきましては、昨年十月健康食品対策室を設置しまして、健康食品の栄養成分または用途に関し医学的、栄養学的観点からの調査研究や情報収集を行いまして、国民が健康食品を適切に選択し利用できるように、知識の普及、啓発に努めることにいたしております。  以上でございます。
  88. 小谷輝二

    ○小谷委員 また、健康食品に対する販売方法ですね、これは通産省にお伺いするわけですけれども、先般指定商品に盛り込まれた、このように伺っておるわけでございますが、通産省の方のこれらの被害対策についてはいかがでしょうか。
  89. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 健康食品につきましては、かねてから訪問販売法の指定商品には加えてございまして、それに伴ういろいろな規制がかかっていたわけでございますけれども、健康食品を大量に買うような場合にはクレジットを利用することがございますので、クレジットを使った健康食品の訪問販売につきまして、昨年の割賦販売法の改正、それに伴う施行令の改正ということをやりまして、健康食品を新たに指定商品として追加した、この改正は昨年の十二月から施行をされている次第でございます。
  90. 小谷輝二

    ○小谷委員 要するに割賦販売、クレジット販売ということで健康食品の被害対策を今どのようになさっていらっしゃるか、これをお尋ねしておるわけですけれどもね。
  91. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 健康食品には限らないわけでございますけれども、訪問販売の場合には、消費者のところへセールスマンが積極的に働きかけて契約を進めるというところから、他の商法に比べまして比較的トラブルが起こりやすいところがあるわけでございます。したがいまして、この訪問販売法あるいは割賦販売法の網をかぶせることによりまして幾つかの消費者の救済をやっております。一つは、例えば契約をしたときに書面を交付するという問題がございます。それから、クーリングオフと申しまして、契約から七日以内であれば無条件に消費者の方から契約解除ができる、こういう規定もございます。  そういうことでいろいろ法律的な手当てをしておりますけれども、それと同時に、やはり消費者によく考えた上でこういう契約を結んでいただく必要があるということから、いろいろな形で消費者に対する啓発、啓蒙といった指導もしているわけでございます。こういういろいろな法律による手当であるいは啓発活動、こういったものを組み合わせて、トラブルを減らすように努めているところでございます。
  92. 小谷輝二

    ○小谷委員 警察庁にお伺いしますけれども、このような悪質なキャッチセールス、これの取り締まり対策は、現在警察庁の方でどのような対策をとろうとされるのか、またどのような対策をとる方法があるのか、この点いかがでしょうか。
  93. 清島伝生

    ○清島説明員 街頭等で通行人相手に商品購入を勧誘するいわゆるキャッチセールスに関しまして、私どもの方にも、しつこくつきまとわれて強引に契約をさせられたというような苦情がたくさん寄せられておるわけでありますが、警察といたしましては、消費者保護の観点に立ちまして、悪質な事案については訪問販売法あるいは場合によっては刑法その他の各種法令を多角的に適用いたしまして、検挙に努めているところであります。また、事案によりましては、販売業者等に指導警告を行いまして、あるいはあらゆる機会を通じて被害に遭わないように広報する等々の施策を講じておりますが、今後とも被害防止のためにこういった施策を講じてまいる所存であります。
  94. 小谷輝二

    ○小谷委員 さらに警察庁にお伺いしたいわけでございますけれども、この悪質なキャッチセールス、これは学生が被害を受ける場合が非常に多いわけでございます。特に過日、東京の蒲田の駅周辺で、区民センター、民間団体やらまた蒲田警察署、商店街、これが協力をして街頭のキャンペーンを行った。非常に注目された点でございますけれども、この地域の商店街の人の言葉では、この駅周辺に二、三十人、若い男女が集団で出没をして、そしてアンケート調査をいたしております。このような巧みな、客に関心を持たせながらレジャー会員権とか化粧品とか健康食品などを売りつけているという状況が毎日起こっておったのでこのようなキャンペーンを行ったと報道されておりますが、最近特に大学生、中でも新入生の被害が多発しておるように承っております。そこで、このような街頭キャンペーンを地元の所轄の警察署、また行政機関、商店街等と協力して、今後も全国的に、被害防止のために、頻繁に街頭でのキャッチセールスの行われている、また悪質なこういうことが行われているところに対しては行うべきではないか、このように思うわけでございますが、これはいかがですか。
  95. 清島伝生

    ○清島説明員 お尋ねのキャンペーンにつきましては、新入学の時期を迎えまして、蒲田駅近くに所在する学校からの要請によりまして、生活センターや地元の商店街等の協力のもとに、悪質な事犯の取り締まり、被害防止を訴える、そういう趣旨で行ったものであると聞いております。その結果、消費者啓発、中でも青少年に対する啓発という面における効果と悪質業者への警鐘という面で、それなりの効果が得られたようであります。  そのほか、ある私どもの近県の警察では、訪問販売による被害、苦情が多いというようなことで、市町村に働きかけをいたしまして、悪質訪問販売防止協議会というものを発足させまして、一体となった指導あるいは監督、取り締まりをやりまして、トラブルの未然防止を図っておるという報告もいただいておるわけでありまして、こういうことで、警察といたしましては今後とも関係省庁なり団体等と協力いたしまして、それぞれの地域の実情等に応じまして、御指摘の施策を含めた防犯対策を講じていきたいというように考えております。
  96. 小谷輝二

    ○小谷委員 警察の方で昨年六月にこのような悪質なキャッチセールスに対する化粧品の販売会社の関係者、これを訪問販売法違反等で摘発された、このように報道されておりますけれども、その後の経過はどうなっておりますか。
  97. 清島伝生

    ○清島説明員 お尋ねの件は、駅周辺あるいは繁華街で、若い女性に対してアンケートに答えてくださいというようなことで、喫茶店に連れ込んで、キャッチセールスによりまして、あなたの使っている化粧品は動物性で、長く使っていると顔に大変な障害が起こり病院通いになる等々の巧みなセールストークで高価な化粧品を強引に売りづけたという事案かと存じますが、これについては二法人六名を警視庁で訪問販売法違反で検挙したわけでありますが、その後二法人に対しまして罰金十万円、そのほか三名に罰金十万円というふうな処分が決まっています。
  98. 小谷輝二

    ○小谷委員 通産省は五十二年の六月一日ですか、「マルチ商法にかかる学生啓発について(依頼)」、こういう文書を文部省の大学局長に依頼をされておりまして、これは夏休み等を控えてマルチ商法による学生の被害が非常に続発しているときでもございましたし、また、それが予想される時点でもあったので、マルチ商法の手口とかあるいは業者名、PR文を添えて啓発を依頼された経緯がございます。この割賦販売、訪問販売またキャッチセールスについて、このマルチと同様に文部省を通じて学生の啓発依頼をするような方法をとるとか、こういう考え方はいかがでしょうか。
  99. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 先生指摘のように、五十二年にマルチ商法についてそういう大々的なPR活動をやったことは事実でございますが、私どもキャッチセールスにつきまして、確かにこの商法は非常にトラブルが多いことは事実でございますので、例えば法律の厳正な運用を図るとかということをやると同時に、私どもは業界に対して自主的にキャッチセールスをやめるように、こういう指導をしておりまして、化粧品の訪販化粧品工業協会では、キャッチセールスをお互いにやめようというような申し合わせもしているところでございます。したがいまして、私どもは当面はそういう業界の自浄努力と申しますか、そういうことであるとか、あるいは私どもが直接消費者に働きかける啓発活動ということを重点に考えていきたいと思いますけれども、キャッチセールスの被害がさらに広がるというようなことであれば、いろいろ関係方面とも御相談の上、より適切な、より有効な方法考える必要はあろうかと考えております。
  100. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、レジャークラブの会員権、旅行のクーポン券、また物品の購入会員券、また英会話の教室とか学習塾、これの入会契約に関する件で、これはキャッチセールス、訪問販売等で行われておるわけでございますけれども、これらの会員権の購入を勧められて、消費者の欲目もあったりして、この会員権を購入しておけば一年後には倍近くなるとか、また必ず値上がりするとかいうふうなことで、二十万とか、また大きな金額で百五十万とか、いろいろな分類に分かれて販売されておるわけです。特にレジャーに関するサービスを無料だとかまた低料金で受けられるとかいうふうにして売りつけが行われておるわけですけれども、実際に購入した場合に、契約書、約款等を見れば、解約は十年間できない、また預託金は十年間据え置きとか、また理事会の承認を受けなければできないとか、こういうふうな内容になっておるということでございます。  ここで通産省の方に伺いたいのですが、要するに役務についてです。役務についての法規制を受けられるのか受けられないのか。被害者のこういう面での救済策、この点はいかがでしょうか。
  101. 菅野利徳

    ○菅野説明員 ただいま御質問ございましたように、近時会員制のレジャークラブあるいはその他教材等々に関して、役務に絡むトラブルが生じているということは、当省の消費者相談窓口の方にも寄せられておりまして、当省としても認識しているところでございます。ただ、役務取引につきましては非常にその態様が多種多様でございまして、その実態把握というのが必ずしも十分になっているということではございません。そういうことにかんがみまして、通産省におきましては昨年の十一月研究会を設置いたしまして、その辺の実態把握ということに努めて、関連いたしまして対応策についても検討しようということで努めているところでございます。この研究会の結果を踏まえまして対応策等についても検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
  102. 小谷輝二

    ○小谷委員 役務についての法規制は、現在はないわけでしょう。どうなんですか。
  103. 菅野利徳

    ○菅野説明員 レジャー会員権取引等については現在のところございません。ただ、先般の割賦販売法等の改正におきまして、商品に附帯して提供される役務等につきましては、それが割販法等の対象品目である場合には、そのいわゆる契約条件の中に附帯役務等についても明記させて、その関連法律でカバーしていくというような対応策がとられているところでございます。
  104. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは訪問販売法を改正して、役務の件についてもそのような規制の枠にかかるように検討すべきじゃないのですか。これはいかがですか。
  105. 菅野利徳

    ○菅野説明員 先ほども申し上げましたとおり、役務取引については非常に多種多様でございまして、その辺の実態把握を踏まえて検討してまいるということで、今、先ほど申しましたように、研究会で検討しているという状況でございます。
  106. 小谷輝二

    ○小谷委員 次に、通産省の訪問販売トラブル情報提供制度、これが四月からスタートしたやに伺っておりますが、この内容は全国の通産局が受理し、苦情相談を受けたその内容等を、販売の意図を隠して接近して勧誘する、また消費者を強迫したり心理的に不安を与えるような言動で勧誘する、こういうふうな項目、九項目を基準として悪質な事例等について情報を公開する、さらにトラブルが多発するような企業名を公表する、こういうふうな二段構えになっておると聞いております。  そこで私は、この情報提供制度はいいことであろう、また、これは直ちに実行してもらいたいことでございますけれども、一般消費者、特に高齢者とか御婦人とかこういう人たちにこのような情報をどんな形で提供するのか、これが問題であろうと思います。この点についてのお考えはいかがですか。
  107. 糟谷晃

    ○糟谷説明員 ただいまお尋ねの訪問販売トラブル情報提供制度の仕組みは、今既に先生がおっしゃったとおりでございます。私ども、この提供制度を動かすことによりまして、トラブルの未然防止を図りたいわけでございますが、それが実効あるものとなるためには、先生ただいま御指摘のように、いかにしてそういうトラブル情報を被害に遭いやすい方に伝えるかというところが一番難しいところでございます。  こういうトラブルは不特定多数といいますか、どこで起こるかわからないところでございますので、その効率的なやり方というのは非常に難しいわけでございますが、私ども現在考えておりますのは、関係行政機関あるいは地方自治体に情報を流すということと同時に、やはり新聞、テレビ等のマスコミ、マスメディアにも御協力をお願いしなければならないだろうというふうに考えております。  それから、先生が御指摘になりましたような高齢者であるとかあるいは学生、主婦といった者が被害に遭いやすいということであれば、そういうところに一番効率的に情報を提供するにはどうしたらいいかということで、実はこの点はまだ私ども完全に詰め切っているわけではございませんけれども、できるだけ幅広く、多くの人の目に触れるような形で情報を流さなければいけないということで、その詳細を今詰めているという段階でございます。何とかして全国から集まってまいりましたトラブル情報を、そういう被害に遭いやすい方に確実に届くようにするということで、私ども考えでまいりたいと思っております。
  108. 小谷輝二

    ○小谷委員 学生向きには大学を通してとか、またひとり暮らしの青年寄りにはホームヘルパーとかまた地域の民生委員とか、こういうふうな地域の最末端でいろいろ接触のあるお年寄りとか御婦人、そこらに周知徹底していくというふうなことで、問題はこういう被害者を救う、未然にそういうふうな悪質なのを見きわめるだけの知識を与えてあげる、こういうことが今一番大事であり、またそれが要するに訪問販売トラブル情報提供制度の趣旨であろうと思いますので、これは意欲的に検討していただいて徹底していただきたい。希望いたしておきます。  さらに、先ほど申し上げましたように消費者相談、これは大阪府の消費生活センターからの資料を見てみましても、最近非常に高齢者がふえてきておるということでございます。高齢者に今後さまざまな消費者問題が起こってくることが予想されるわけでございますけれども、民法では未成年者の契約に対しては取り消し権を認めるとか、また未成年者が不利益を受けるようなことのないような施策はあるわけでございます、防止することができるわけでございますが、高齢者の場合はこうした保護はないわけでございます。高齢者間の格差、これは一律にはできないということで保護策は非常に困難があろうかと思いますけれども、社会的弱者である、また最近お年寄りの痴呆症とかいろいろ問題がございます。冷静な社会的判断が困難な状況にある人たちがだまされたりするような場合も起こってくるわけでございます。したがって、消費者を被害から守るという立場で、高齢者を被害から守ることは消費者全体を守ることにも通じるわけでございますから、消費者の意識を高めることが大事であると同時に、お年寄り向け、また判断力の低下している人たち、ここらとの契約についても、何らかの法的な検討を行うべきではないか、抜本的な対策を行うべき時期が来ているのではないか、このようにも思うわけでございますが、企画庁長官、いかがでございましょうか。
  109. 金子一平

    金子国務大臣 御指摘のとおり、この問題だけは何とかひとつ考えなければいかぬ、真剣に取り組む必要があることを痛感いたします。
  110. 小谷輝二

    ○小谷委員 以上で終わります。
  111. 竹内猛

    竹内委員長 次に、草川昭三君。
  112. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  一番最初に、少し日程を変更いたしまして、悪徳商法の問題を一つ挿入をいたします。  私は、実は前回のこの物価問題特別委員会あるいは予算委員会の場あるいは昨年の予算委員会の分科会あるいはこの委員会で悪徳商法、なかんずく豊田商事の金まがい商法を取り上げてまいりました。しかも対象者は、先ほどもお話がございましたけれども、ひとり暮らしの老人にその被害者が多い。金のまがい商法が行き詰まってくるや、今度はダミーというのですか、関係の鹿島商事というのを使いまして、ゴルフの会員権を売りつける。しかもそのゴルフの会員権は全国共通会員権と称して、市営住宅に住んでおみえになるおばあさんに売る。もちろん当事者はゴルフができませんから、そのゴルフの会員権を預かり証という形で相手側に置き、年一二%の預かり賃を置いてくる。こういう一種の非常にあくどいやり方をしてきておるわけでございます。  豊田関連グループは、私が調査をいたしました昨年のデータでは、十一月でございますけれども、月に百二十億前後の売り上げというのですか、回収金額を持っておる。ただいま申し上げました鹿島商事は八億、九億という金額を毎月取り上げている。こういう事件を取り上げたわけでございます。  そこで、きょうは警察庁においでを願いまして、ただいまのところ、警視庁において鹿島商事株式会社の社員を詐欺罪で検挙し、本日この関係でこの企業の事務所の捜索を実施をしているようでございますけれども、本件についての捜査状況と今後の対応について特別にお伺いをしたい、こう思います。
  113. 上野浩靖

    ○上野説明員 お答えいたします。  お尋ねの件につきましては、警視庁に被害者の方から四月十一日の未明被害届が出されまして、その後所要の捜査を実施いたしまして、四月十一日に鹿島商事の飯田橋第一支店の社員一名を逮捕いたしております。さらに四月十五日、同支店の社員一名を同じ詐欺事実で逮捕の上、これまでに両名を東京地方検察庁に送致いたしまして、本日同社の捜索を実施するなど、事犯の解明に努めているところでございます。  なお、逮捕事実の概要でございますが、ただいま申しました鹿島商事社員二名は、今年四月十日でございますが、区役所職員を装いまして、新宿区内の被害者方に、年金のことについて説明するから職員を差し向けるなどと電話をいたしました後、被害者方を訪れ、六十一年度から銀行や郵便局の金利も下がるし年金も出なくなる、私のところの知っている銀行に金を入れておくと利息もそのままだし年金ももらえるなどと申し向けまして、その旨被害者を誤信させ、定期郵便貯金証書二十通、額面金額合計九百万円でございますが、これと印鑑の交付を受けてこれを受取したというものでございます。  ただいま申し上げましたように、まだ検挙の緒についたばかりでございますが、今後事犯の糾明に努めてまいりたいということでございます。
  114. 草川昭三

    ○草川委員 これも長官にお伺いをいたしますけれども、前回の委員会でも、こういう悪徳商法の流通ということについて我々も十分対応したい、非常に明確な御答弁をなすっておられるわけでございますし、ただいま警察庁の方からも非常に積極的な対応をしておみえになる御答弁がございましたが、国民生活を守る上に立っての長官の御見解を賜りたい、こう思います。
  115. 金子一平

    金子国務大臣 前回の委員会でも、草川先生からこういう問題に関する御指摘がいろいろございました。私も、率直に、こういう悪徳商法がまかり通るような社会にしておいてはいかぬ、何らかの具体的な対応策を立てなければいかぬという気持ちでいっぱいでございまして、目下事務当局においても、こういった問題に対する対応策を具体的に検討中でございます。
  116. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひ今のような基本的な姿勢で、警察庁の方もあるいはまた経企庁の方も、国民生活を守る上での御指摘をしていただきたいと思うわけでございます。  ちなみに、もう一回申し上げておきますと、たまたま私どもが手に入れました五十九年十一月の鹿島商事の売り上げの対象者は、契約件数だけでも一カ月間五百八十九件あるわけでございます。しかも、これは北海道から九州の福岡まで全国的に散らばっております。この五十九年十一月度の鹿島商事株式会社の売上報告書の内訳を見ますと、今申し上げましたように五百八十九件の売り上げでございますし、金額は九億八千万円ということでございます。本来ならばこれは預かり金として計上をすべきものを、この会社の売上報告書の内訳として、いわゆる売上金として計上しておるわけであります。売り上げても何でもないわけであります。預かったわけであります。預かった金額売り上げということで計上されている資料が私の手元にもあるわけでございます。しかも一その対象者が全くの独居老人、こういう方々が多い。今の警察庁の御答弁でも、区役所の職員をかたって売り上げをふやしていく。こういうことは、我々近代法治国家において許すべからざる存在だと思うわけでございますので、ひとつ警察庁におかれましても、また警視庁におかれましても、一層の糾明を行っていただいて、国民生活の安定に寄与をお願いしたいということを申し上げて、この特別の質問を終わりたい。警察庁の方、結構でございます。  そこで、きょうの本来の質問に入るわけでございますが、先ほどもどもの同僚の小谷さんの方からいろいろとお話がございましたが、今、日本のたくましい経済力が非常に国際的にあだになっておるというのでしょうか、非常に批判を受けておるわけでございます。私どもも戦後育ちでございますから、どうも個人の生活からの実感にはそぐわないわけでございますが、日本の力というのは、世界の国民総生産の一〇%、一割を占めるような経済大国になっておるわけであります。そういう立場に立って、私どもは国際的な協調、こういうことも大きな柱として進めていかなければならないと思うのでございます。  近く西ドイツのボンで先進国首脳会議、いわゆるサミットが五月に開かれるわけでございますけれども、その足固めとも称すべきOECD経済協力開発機構の閣僚理事会が十一、十二日パリで開かれたわけでございまして、金子長官も御出席なされて、大変御苦労なことだと思います。そこでいろいろな経済問題、貿易あるいは発展途上国対策、その他いろいろな問題もあったわけでございますけれども、ひとつ忌憚のない、コミュニケの要旨、あるいは長官の新ラウンドに対する前向きの姿勢も随分評価をなされておるわけでございますが、問題点の報告をお願い申し上げたいと思います。
  117. 金子一平

    金子国務大臣 先ほど来もOECD状況につきましてはごくかいつまんで申し上げたところでございますけれども、やはり一番の問題は、日本の貿易黒字をいかにして世界各国に還元し、世界貿易の均衡を図るかという点に議論が集中されておりました。これに対して、私どもの立場といたしましては、日本黒字は自然にでき上がったわけではないので、やはり一番の問題はアメリカ財政赤字に伴う高金利、それがドル高を呼び、急速にアメリカに対する輸出貿易の黒字ができたのだ。黒字貿易罪悪論はもってのほかだ。黒字貿易を抱えておるのは日本だけではなくて、西ドイツもカナダも、大概みんな持っているのですから、基本的にはアメリカドル高の是正をすることが必要なので、そのためにはアメリカに、ひとつ世界各国が協調して赤字是正を要請しようじゃないかということで、これは各国とも皆私と同じような主張をしておりました。それに対してベーカー財務長官は、財政赤字の削減をしたい、レーガン大統領自身も言っておるとはっきりと申しておったのでございます。  ただ、現実の問題として、日本の大幅貿易黒字のために、あるいは日本の貿易攻勢のために世界各国の輸出がなかなか伸びない、日本勢にやられる、むしろ失業を輸出するような日本の貿易のあり方に何らかの対策が必要であるという、これはもうほとんどの国が一致した厳しい目で、日本がどういう対策をとるかを考えておったのでございますが、これに対しまして私どもは、去る四月九日に決めました対外経済対策、並びに昨年の十二月に決定し、既に実行に移しております、例えば東京ラウンドによる関税の前倒しの問題ですとか、その他、あるいは電電公社、専売公社の民営の問題でございますとかを具体的に説明すると同時に、今回も市場アクセスのために、例えば基準・認証制度についてこういう対策をとるんだとか、非関税障壁についてのアンフェアだという感触を一掃するためにかくかくしかじかの対策をとろうとしておるんだという具体的な説明をいたしますと同時に、極力今のディレギュレーションによって民間活力を盛り上げるような努力をしておる最中であるということを説明いたしましたが、この点につきましては各国とも非常に高く評価してくれたようであります。  スピーチをやっておる間、ああそこまでやっておるかというようなうなずき方を率直に各国代表者やっておりまして、安倍外務大臣が前日貿易問題についてスピーチをやったときは、日本黒字に対する非難を各国相当強烈に浴びせたようでございますが、私はマクロの経済中心のスピーチでございましたものですから、名指しで日本を非難するような国はございませんでしたが、やはり気持ちとしては皆、日本黒字を何とか一日も早く減らしてくれ、それについては私の説明しましたような対策をしっかりフォローしてもらって、それが一体どの程度効果を上げるか見守ろうという気持ちであるということを、後で各国代表が口をそろえて言っておりましたような状況でございます。
  118. 草川昭三

    ○草川委員 同じく出席されました安倍外務大臣が記者会見の中で、各国は最後まで「テンション」の字句明記に非常にこだわった、日本黒字問題で多くの妥協案が出されたけれども、「テンション」の字句だけは消えなかった、それだけ日本の置かれている現状が厳しいものだ、こういうような感想も述べられておるわけでございます。率直に申し上げて、九日に発表されました市場開放政策、今長官はこれは評価をされたやに御答弁なすっておられますが、九日に発表された日本の市場開放政策というものが各国に本当に好感を持たれているのか、なおそれだけでも不十分だというきつい態度があったのか、率直なところをお伺いしたいと思います。
  119. 金子一平

    金子国務大臣 「テンション」の文字はコミュニケの草案にあったものであります。日本黒字が貿易上のテンションを引き起こしているという表現がございましたので、先ほどもちょっと触れましたように、あの黒字は何も日本だけの責任ではないし、同時にまた日本だけの問題でもないので、その問題を片づけぬ限りはテンションという言葉を使うのは不適当だということを主張いたしまして、これは外しました。それは申し上げておきます。  それから、今御指摘の、四月九日の対策だけで効果が上がると向こうは見ておるのかどうかということにつきましては、そう簡単に一遍に黒字が吹っ飛ぶとは向こうも考えていないのではなかろうか。ただ、日本は今関税の障壁はほとんどなくなっております。しかも日本は新ラウンドを提唱することによって、工業製品については一〇〇%関税無税のところまで持っていったらどうだというような主張もしておるのですから。昨年やった東京ラウンドの関税前倒しも、アメリカやECはまだやっていないことなので、関税は日本が世界一低いことは認めておるわけですが、問題は日本のアンフェアな輸入制限に対する不信感を非常に持っておることでございまするけれども、それを除くことに今最大限の努力を傾けておるということについては、向こうも高く評価してくれでおると思うのでございます。  私は、今度の席ではいつも言ったのでございまするが、これは日本経済計画、ソビエトのように国家計画をやっておるわけじゃない。自由貿易なんですから、統制経済をやっておるわけじゃございませんので、あれ買うよ、これ買うよと言って黒字を一遍に減らせるものではない。やはりそれを買う人は民間の消費者なんですから、消費者が喜んで買えるような安い、いいものをしっかり売り込んでもらう、これが大事なんだということを繰り返して言っておるのですが、向こうもまた同時に、それはよくわかっている、要するに日本がアンフェアな、不透明な扱いをしてくれなければいいということにまず最大の重点があるんじゃなかろうかと私は見受けてまいりました。  しかし、もちろん黒字が一日も早く減ることを期待しておることは事実でありまするが、これは草川先生、統計をごらんになるとおわかりいただけますけれども、一昨年から昨年にかけて対米黒字が急速に伸びております。ECに対する黒字はむしろ減っているんですよ。そういう点を、おまえさんたちは日本が世界各国に輸出をうんと伸ばして黒字を稼いでおると言うけれども、実は違うんだ、ドルが高いからアメリカへずっと伸びておるんだという具体的な説明も、十分納得する程度にしておきました。
  120. 草川昭三

    ○草川委員 大変御苦労なすってみえる長官にこういう質問をするのも恐縮でございますが、今ECに対する黒字関係は改善されておるというような御答弁でございますが、EC、欧州共同体のドロール委員長は十六日に、日本に市場開放を迫るため米国と欧州諸国が共同で圧力をかけるよう呼びかけた、同委員長は、日本がその経済力からしてもっと開放的な姿勢をとらなければいけないことを理解するよう、米国と欧州が圧力をかけるための条件は整っていると述べた、ドロール委員長は二十二日から一週間の日程で訪米の予定、こういうニュースがあるんですね。  せっかく長官がOECD努力をなされても、その後でECの委員長が全然承知をしていないかのごとき発言をするのもいかがなものかというより、これはECの主体の問題ですけれども、逆に言うならば、我が国の説得力が不足をしておったのではないだろうか、こういうことにもなるわけでありますし、たまたま、この十三日の韓国の通信、ソウルの連合通信によりますと、韓国政府日本政府の市場開放策に遺憾の意を表するというようなニュースが後追いのように出てきておる。これが非常に現実の姿と言えば姿でありましょうし、本音かもわかりません。  そこら辺について、せっかくの御努力ではございますけれども、長官としてはこのECの委員長の対日圧力へ米欧が協力をしようということについて、大変遺憾だと思いますけれども、どのような御見解がお伺いしたいと思います。
  121. 金子一平

    金子国務大臣 これは日本黒字が出まする限り、各国の日本に対する反発というものはそう簡単に消えるものだとは私は思っておりません。同時にまた、日本は貿易によって稼いできて、とにかく国民生活を支える国でございますから、その努力を放てきするわけにはまいりません。問題はやはり、どしゃ降り的な輸出を一国に集中的に浴びせて失業者をふやすということではなくて、やはり秩序ある輸出を伸ばしていくことが必要であるし、また、これだけ大きな黒字を抱えている以上は、その世界経済における国際的な責任というものを日本が果たしていかなければなりません。  それは、日本は例えばODAの問題にいたしましても、一方においてはこういうこともやっているのですよ、あるいは一方においては各国に対する直接投資もやっておるのですよと、いろいろな説明はそれなりにやっておるのですが、そういう問題はこれは別だ、現実の輸出上の黒があって、そうして我が国の産業がそのためにこれだけの打撃を受けているのだ、これをどうしてくれるのだというのが、アメリカを初め関連する各国の日本に対する不平の種でございまして、とてもそれはECの委員長——これはECの委員長がどこまでEC全体を代表しているか、ECの各国が皆同じ気持ちかどうかは別といたしまして、そういう気持ちを持っておることは否定できないと思います。しかし、それをうのみにして、もう一切やめたというわけにも、これは我が国の国益上まいりますまい。できるだけの努力はしながら、しかし世界的な責任を別途果たしていくということが大事なことであろうと思います。
  122. 草川昭三

    ○草川委員 今の御答弁現状の姿だと思いますけれども、そこで私ども我が国の中でどのように対応したらいいのかということになっていくわけでございますが、たまたま四月の九日に、先ほども触れました対外経済対策を総理が御発表になる。その中で総理は、国民一人百ドルずつで舶来品を買えば、百二十億ドルの輸入が実現をする、こういう一見非常にわかりやすいような呼びかけをなすっておみえになるわけであります。  通産省の方も早速、百ドルのイメージ、夢を描いてみませんかと称しまして、例えば女性が舶来のブローチを買うとか手袋なんかを買えば百ドルになりますといったようなPRを始めておるようでありますし、十四日から東京、大阪の国鉄や私鉄に、総理の顔写真入りの舶来品愛用呼びかけの中づり広告が十万枚用意をされたという。その費用が一億五千万円だ、こういうことで、非常に活発な呼びかけでございます。私ども率直な言い方をすれば、それは御結構なことでございます。御結構なことでございますけれども、一人百ドルといいますけれども、赤ん坊から寝たきり老人までみんなが購入をすれば、確かにトータルでは百二十億ドルの輸入になるかもわかりませんが、その中にはマージンも入っておるわけでありますし、流通経費も入っておるわけでありますから、必ずしも百ドルの呼びかけが百二十億ドルということの結論にはならぬと思うのでございますけれども、本当に何となく具体的な提案としては、こういう呼びかけは問題点をそらすようなPRのやり方ではないだろうか、こう思うのでございますが、この百ドル購入についてのプランというのは、経済企画庁が参与なすってこういう総理の提案になっておるのか、お伺いをしたいと願います。
  123. 金子一平

    金子国務大臣 私、留守中の話でございますので、調整局長からお答えさせまするけれども、物が安くて品物がよければ、これはほっておいたって日本人、買わないはずばないと思うのですよ。その点は私も向こうで会った代表団の諸君には口を酸っぱくしてしゃべりまして、アメリカで売れるから日本人も買うのは当然だという物の考え方は間違いなんで、やはり日本の貿易がここまで伸びたのは、市況調査市場調査日本人が十分にやり、しかも現地語で売り込み作戦をやって成功したんで、やっぱり日本へ売り込むには日本の市場を十分に研究して日本語で売り込まぬと、なかなか売れませんよ。買うのは民間なんですから、それに対して私どもは押さえつける気持ちは毛頭ないんで、原則自由でやらせよう。それを邪魔しておった障壁があるとすれば、それは思い切ってやめさせるように努力いたします、こういうことを申してきた次第でございまして、その今のキャンペーンの決定につきましては、私の留守中でございましたから、担当局長からお話しいたしますけれども、総理自身もそういうお気持ちで努力しておられると考えております。
  124. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 四月九日に対外経済対策が発表されました際に、総理が直接テレビで国民に訴える、この企画が行われましたけれども、この企画自身は総理御自身の発案でございます。それに当たりまして、経済企画庁もいろいろな資料あるいはアイデアを提供するように要請されたことは事実でございまして、御記憶かと思いますけれども、テレビに映りましたグラフ、そのパネルなどは私どもで用意をして作成をしたものでございます。  また、この百ドルという数字自体につきましては、今先生が御指摘になりましたようなマージンの問題はどうか、そういったような問題はあると思います。ただこの場合、百ドルというよりは、百ドルを二万五千円と計算をし、一家族四人ということで十万円が即百ドルになるというところに問題があるわけでございまして、必ずしもマージンがあるから百ドルにならないということではないと思います。  それはともかくといたしまして、国民の皆様方に外国製品を受け入れていただく、しかも外国製品の中には国民生活を豊かにする、国民経済の発展に役立つものも当然ある、こういうことで意識を変えていただくと申しますか、そういったような方向で考えていただく。こういう意識の変革と言えばやや大げさでありますけれども、そういうことを訴えたい。それには一人当たりドルというのはいわばキャッチフレーズとしてもいいのではないか、こういうふうにお考えになったことだろうと思います。現にその後もこれだけ話題になっておるわけでございまして、この企画の効果というのはあったのではないか、こういうふうに思っております。下請をいたしまして下働きをした者としては、そういうふうなことで効果があったなというふうに感じておる次第でございます。
  125. 草川昭三

    ○草川委員 私は、今貿易摩擦の問題は中身が非常に深刻だと思っておるのです。ですから、総理自身が一人百ドルという呼びかけ、百ドルとにかく外国製品を買えという呼びかけを直接国民に訴えられるということは、一つ間違いますと、お上の言うとおりに我々の個人生活のパターンを変えなければいけないのかということにもつながりかねないわけでございまして、私としてはもっと本質的なところに総理は努力をしてもらいたい。例えばいろいろな補助金行政等についての日本に対するアメリカの強い態度もあるわけでありますから、それがなかなか解決されないところにもどかしさがある。そういうところにもっと力点を置くべきではないか、こう思うわけであります。  さらにアメリカのシュルツ国務長官は、日本の大幅な貿易黒字は、貯蓄率が高い反面、これが国内投資に使われないことによるものである。日本の高貯蓄率というものは消費の低さを物語っているという、経済構造の批判までしてきておるわけです。これは逆に言うならば、まさしく日本国民考え方をもっと変えると外から注文がつく。我々にしてみれば、将来の社会保障の不安だとかさまざまな要件があるからこそ老後の心配を持って、これが日本人の美徳という形になるのかわかりませんけれども、そういうものを持っているわけです。内外からそういう日本人の置かれている条件というものを覆すことは非常に重要な問題ではないか、私はこう思うのでございますが、この点については長官、どう思われますか。
  126. 金子一平

    金子国務大臣 昔から勤倹貯蓄が日本一つの生活の目標でございましたし、貯蓄率が高いからといって消費が伸びなかったわけでもないのでございまして、それは貿易の黒字、赤字と関係なく、今日まで同じような水準をたどってきたんだろうと思うのです。  ただ、シュルツ長官がああいう発言をいたしました背景には、やはりもっと貯蓄を消費に回せよという願望が含められておったんだろうと思うのであります。コミュニケの草案を議論をいたしました際にも、アメリカ代表から、補助金を出して貯蓄を奨励しているそうじゃないかという話もございましたから、とんでもない話だ、あれは零細所得者が老後の備えをするための零細貯蓄に優遇税制をやっているだけで、貯蓄自体が日本の税法の優遇の対象になっているわけじゃないぞという論争までやりまして、きょうはそんな話はやめておこうやということになったわけですけれどもアメリカとしてはなかなか細かいところまで調べて、大いに日本攻略の武器にしようという努力をしていることは率直に認めざるを得ません。
  127. 草川昭三

    ○草川委員 何回もて申しわけございませんが、また長官にお答え願いたいのでございます。  シュルツ発言と相前後して、アメリカ政府から、飢餓国への食糧援助用に米国の穀物の大量輸入の打診が持ちかけられているわけです。これは本会議で私どもの代表が触れておるところでございますけれども、総理は緊急輸入は無理だというような御答弁をなさっておみえになるわけです。それに対して河本特命大臣は、理屈の上から言うとできないと言って差し支えないが、総合的な立場からできるかできないかは検討してみるべきだと言って、ニュアンスが違いますね。河本さんの方は、穀物の輸入についても前向きの御答弁をなさっておみえになるわけでございまして、この日米摩擦の問題について政府の中でも意見が違うのではないか、こう私どもは受けとめているのでございます。事は非常に重要な意見対立にもなると思うのでございますが、経済企画庁の代表としての長官はどのように御判断なされるのか、お伺いをしたいと思います。
  128. 金子一平

    金子国務大臣 私の理解に間違いかなければ、飢餓国に対する食糧援助の際にはまず発展途上国から、例えばASEAN各国から食糧を購入すべしというのが大前提になっている、こういうふうに考えておるのでございまして、アメリカから大量の食糧を購入することは、その点から見ても必ずしも適切ではないと考えております。
  129. 草川昭三

    ○草川委員 河本さんの御意見に対してどのような御評価をなさっておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。
  130. 金子一平

    金子国務大臣 河本さんの答弁、実はまだ読んでおりませんので、後刻答弁いたします。
  131. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 河本大臣の御発言について直接伺ったわけではございませんけれども、前々から河本大臣は、経済援助の一環として、特に最近のアフリカにおきます人々の窮状にこたえるということ、こういうことも一つのアイデアということで食糧援助をふやすべきだ、こういう御主張がございました。そういうところへアメリカ側から一千万トンというような要請があったということを契機といたしまして、もう一回そういったような問題についてもやはり検討していいのではないかということをサジェストされた、こういうふうに理解しておりますけれども、その問題につきまして、政府としては食糧規約などの関係からこれ以上のことはこたえられない、そんな大きなものはこたえられない、こういうことではないかと思っております。
  132. 草川昭三

    ○草川委員 長官からの見解を聞きたいのですけれども、それは続いての質問の中であわせてお伺いしたいのでございますが、食糧の緊急輸入の問題は今の程度にとどめておいたとして、問題は日米の経済摩擦関連して、政府の中でも内需拡大論というのが日ごとに強まってきておると私どもは承知をしておるわけであります。ところが、総理はこの内需拡大論について、一番大事なのは赤字国債をまず出さぬことだという基本的なスタンスというものがある、財政再建ですね。それから物価の安定である、政治で非常に重要なのは物価の安定だと述べておられるわけですから、これは結構なことでございますけれども、私はその後、新聞等でいろいろと各実力者の方々の意見を拾ってまいりますと、やはり民活論というのですか、民間の活力をこの際出していきたいというような御見解を持つ大臣もお見えになるようでございますし、経済企画庁長官はどちらかといえば財政再建を優先にしたいというような御意向のようにもお伺いをしておるわけでございますが、一体どちらを私どもは国の基本的な政策として理解をしたらいいのか、非常に注目をしておるわけであります。  特にここは物価問題特別委員会であり、長官もお見えになるわけでございますから、ひとつ長官としてどういう景気対策を今後打ち出したらいいのか、あるいは内需拡大論、それぞれの御意見があるようでございますが、どういう批判をなされるのか、お伺いをしたいと思います。
  133. 金子一平

    金子国務大臣 ことしの問題としては、財政情勢が御承知のとおりのところでございますので、今すぐ公共事業費を大幅に増額するとか、あるいは減税をこの際、年の途中でやれるというような状況では、率直に申し上げましてないと思うのでございまして、私どもといたしましては、これから七月、八月と景気がどんなふうに上向いていくのか、また、アメリカの景気がどんなふうになっていくのか、一時アメリカの景気は相当急ピッチで落ちるのじゃないかというような見通しもございました。それはどうもそれほど心配したことはないようでございますが、ただ、輸出が最近相当顕著に鈍化しておることは事実でございます。それに伴いまして、またドル高もある程度是正されつつありますので、やはりこれからの世界経済、それに伴う日本経済の動きというものを慎重に見きわめながら、内需拡大の方途をまさぐっていかなきゃいかぬと考えておる次第でございます。  ただ、四月九日に河本長官に提出されました対外経済問題諮問委員会報告書にも、明年度の税制改正の問題につきましては一項目特に挙げて触れておりまするし、これはやはり緊急の研究課題であると考えておる次第でございます。総理自身が、来年度は相当所得税重点の減税をやりたいということを言っておることは、先生も御承知のとおりでございます。私どももぜひこれはひとつ何とか考えたい。  要するに、ある程度ごとし日本の景気を、今申し上げましたような民活論やらディレギュレーションやら、あらゆる手を講じて、とにかく財政をある程度身軽にして、その上で今の公共事業費をふやすならふやす、あるいは減税をやるならやるというように、そういった財政に頼るにいたしましても、まず現在の財政の状況を身軽にすることがこれはもう先決でございまして、一部に言われるような、日本は世界の機関車になって大いに景気浮揚、世界のために景気を上げろなんということにうかうか乗りますと、これは物価を上げることになります。私は、物価を上げたら本当に元も子もなくなるので、我々の生活、これからの先行きに対する不安というものが高まりますから、これだけは避けながら、それじゃどううまく景気の浮揚を続けながら市場開放策をとっていくか、そこら辺を実はじっくりと今、方向をまさぐっておる段階であることを申し上げておきたいと思います。
  134. 草川昭三

    ○草川委員 先ほどの質問者にも、何が有効か模索中だという御答弁があったわけでございますが、私は、所得税の減税また逆に間接税の増大、こういう形では内需の刺激は残念ながら実現をしない、こう思うのであります。私どもは今本当に冷静に考えるならば、日本が対米で来年度末には四百億ドルを超すだろうという貿易黒字を本当に解消するには、私は、いま少し日本の産業構造あるいは価格の構造というものにもメスを入れる必要があると思うのです。例えば自動車であろうと電機であろうと、相当大幅な利益を上げるわけでありますけれども、その利益がそのままアメリカに流出をするわけですね。  ですから、その利益を上げたものの分配、例えば分配率の問題、労働者に対する分配率、あるいは今自動車産業でも電気製品でも、近代工業国家と言われる製品を支えておるのは中小零細企業であります。中小零細企業の取り分という堺労働者が賃上げすればしわが寄って、合理化をしなければいけない。社長が今まで営業をやっておったのですが、営業をやる暇もなく、一工数として働かなければ、中小企業の存続というのは許されていないわけであります。そういうところにこそ利益を落としていく。あるいはその結果として若干のコストアップになっても、それは逆に集中豪雨的な輸出につながらないわけでありますね。  ところが、肝心のこの種の議論というものが政府部分でも行われていない。あるいは総理自身が、国民皆さんドル買いなさいという形ですりかえられていくわけであります。私は、そういう意味ではもう少し全員が知恵を働かせるならば、今日的な問題の解決は十分なされるのではないかと思うわけであります。きょうはこれはまだあと大分議題が残っておるのであれでございますが、時間の関係もありますので、何が有効か模索中かもわかりませんが、ひとつぜひ私どもが今指摘をした形で、真の意味での内需刺激ができるような経済政策を行うべきではないかと思います。  それで、これは長官に最後になりますけれども、今度の新しいサミットの経済宣言の素案というのが発表されておるようであります。これは十六日に明らかになったと言われておりますけれども、ここの中では日本の名前を名指しで批判を避けておるというようなことでございますが、これなんかはどういうふうに理解をしたらいいのか。ボン・サミットが今後どういう形で取り組まれていくのかわかりませんが、ひとつ最後に長官の御意見を賜って私は終わりたいと思います。  きょうは、あと建築物価の生コンクリートの価格問題とか流通問題を取り上げようと思っておりましたけれども、時間が来ましたので、その質問は終わりたいと思います。関係省庁の方々、申しわけございませんが終わります。最後に、今の私の質問に長官に答えていただいて終わります。
  135. 金子一平

    金子国務大臣 今草川先生からお話しの素案なるものは、実はまだ私ども見ていないのでございますけれども、恐らく物の考え方といたしましては、世界経済のバランスのとれた発展を図るためには、お互いに先進国が名指しで悪口を言い合っておったのじゃうまくいきませんので、やはり協調態勢をとって自由貿易を伸ばしていく、保護貿易主義だけはぜひ抑え込むような努力をしておく、そのために必要な財政金融政策、お互いに共同でやろうじゃないかということに主力が置かれるんじゃなかろうか、こういうふうに私ども考えておる次第でございます。
  136. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  137. 竹内猛

    竹内委員長 次に、塚田延充君。
  138. 塚田延充

    ○塚田委員 対外経済摩擦問題は、特に日米間におきましては日米貿易戦争という物騒な言葉が使われていることでわかるくらい、大変な国際問題になっているわけでございます。アメリカの議会の動きは、日本に対して、経済面において宣戦布告をするに近いような状態にまでそのいら立ちが高じていると伝えられているわけでございます。しかし、日本の側から見ますといろいろ言い分やら言いわけがあるわけでございまして、例えばそれはドル高が大きな要因である、そしてその原因もアメリカ側にあるんじゃないかとか、または、今までかなりいろいろな面で市場開放の策を講じてきたけれども、結局のところ、アメリカを初め外国側の輸出努力に問題がある、だから日本への輸出が伸びなかった、このような言いわけができているわけでございます。だからといって、現在のアメリカの議会の動きであるとか、また、議論になっております、アメリカから穀物を飢餓国への輸出用として、援助用として輸入してほしいというような提案もあるわけでございますが、これは、アメリカ側が感情論ばかりで押しまくっているとか、不当な内政干渉または日本に対する圧力である、このように私たち日本側も変に感情論で受けとめてはいけないんじゃないか、このように考えておるわけでございます。  ところで、翻ってみますと、このような対外経済摩擦というのは最近急にぽっかりと起きてきたわけではございませんで、大分前からいろいろな形で摩擦は起きていたわけでございます。そのゆえもあって、政府におきましては、過去において六回にわたり市場開放措置を行ってきているわけでございます。  そこでお尋ねしたいのですが、その六回のいわゆる市場開放措置につきまして、そのそれぞれの場合、まず主な具体的な措置の内容と、そしてそれを発表したとき外国側はどういうような反応を示したのか、そして、そのとき目標とした輸入増の目標値と実際に効果を上げた実績の数字、この辺をおさらいの意味で挙げていただきたいと存じます。
  139. 金子一平

    金子国務大臣 塚田先生の御指摘、これは具体的にタッチいたしました政府委員から答弁をさせます。  それぞれそのときには一応の評価をされたものと考えておるのでございますが、特に今回のアメリカ側のいら立ちは、御承知のとおり、議会を中心としてこれが国民的なムードに高まろうとしておるという点に一つの、今までと違った空気があると私ども考えでおるのでございまして、大統領府自身は、日本側の立場はよくわかるけれども、なかなか議会側を抑え切れないので、その点はよく考えてくれよということを口を酸っぱくして言っておるような次第でございます。今までと違った点がそこに一つあるということだけは申し上げておきたいと思うのであります。  それから、累次いろいろな対策を講じておりまするけれども、やはり一つは、関税の方はだんだんと下がってまいりましたけれども、非関税障壁の問題が外国人には理解できない点が多いのではなかろうか。その非関税障壁の撤廃をできるだけやらなければいかぬという気持ちで、今度の対策でも取り上げているという点だけを私から前もって申し上げておきたいと思います。
  140. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 日本政府は五十六年以来、つまり八〇年代に入って以来過去六回の市場開放策をとったわけでございますけれども、主としてその内容は関税の引き下げとか輸入制限の緩和、基準・認証制度の改善あるいは輸入検査手続の簡素化、改善、それから製品輸入の促進あるいは金融・資本市場の自由化、さらには投資交流の促進、こういったような措置をとりまして、それぞれの個別の措置によりまして意味合いは若干違いますけれども、全体として見ますと、これは直接輸入金額を幾らふやすといったようなことを目的とするのではなく、輸入のための市場アクセスを改善をする、こういう措置がとられたわけでございます。市場アクセスが改善されますと、それだけ日本の市場へのアプローチが容易になるわけでございますから、これは当然輸入の拡大に役に立つ、こういうことでありますけれども、実際の輸入というのはそれ以外にもいろいろな要因がございます。そういうことで、これらの効果が、それぞれの措置によりましてどれだけ輸入拡大の金額に結びついたのか、黒字がそれによって、もしそれがなければもっとふえていたのがどれぐらい減ったのか、こういったようなことは計算ができない、こういうふうに考えております。  しかしながら、全体として見て、諸外国から我が国市場に対するアクセスはかなり改善されているものと、このように評価しておりますし、先日発表になりました諮問委員会の評価におきましても、市場アクセスの改善という面で相当の効果があった、こういうことを評価していただいております。ただ、そうは申しましても、先ほど大臣がお答えになっておられましたように、日本黒字が大きい限り、あるいは外国の赤字が大きい限り、日本に対する批判、不満というものは厳しいものが続いている、こういう状況であろうと認識をしております。
  141. 塚田延充

    ○塚田委員 過去の処置におきまして市場アクセスがかなり改善された、それもそれなりの評価も与えられていいのじゃないかというような御答弁でございます。しかしながら、やはりそれが細切れ的に——六回もやったということは、これは細切れの象徴じゃないかと思うのですけれども、いわばせっつかれてどうにもならなくなって小出し的に対策を打っていく、言うならば泥縄的な対策が続いてきたのじゃないか、このような感じが強いわけでございます。そういうことで、これではいかぬぞということでもございましょうか、この前の中曽根内閣の改造におきまして、河本国務相が特別にこの任に当たれというようなことで任命されたわけであり、それだけ泥縄以上のやり方をきちんと責任者を決めてやろうじゃないか、そこまで追い込まれているのだという認識が高まってきたということは評価されてしかるべきだと思うわけでございます。  そこで、政府部内において現在対外経済問題の最終的な調整機関、ひいては最終的な意思の決定などはどうなっているのか、この辺の問題についてお尋ねしたいと思います。  まず、昨年十二月二十日に発足して、このたび四月九日に報告書を提出いたしました対外経済問題諮問委員会、これはどういう機関のもとに設置された委員会でしょうか。
  142. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの対外経済問題諮問委員会というのは、対外経済問題関係閣僚会議に対する諮問委員会として設けられたものでございまして、対外経済問題関係閣僚会議、これは経済対策閣僚会議の中に設けられたものですから、言葉をかえて申しますと、上部委員会であります経済対策閣僚会議、その中で特に対外経済問題に対する問題を取り扱ういわば小委員会、こういう形で設けられたものということになっております。対外経済問題関係閣僚会議を委員会といたしまして、小委員会の議長として河本特命大臣、これを座長として会議運営されたわけでありますけれども、これの上になります上部委員会、いわばアンブレラとしての委員会であります経済対策閣僚会議の方は、経済企画庁大臣が座長として会議運営を進める、こういう関係になっております。対外経済問題諮問委員会は、この下部委員会でありますところの閣僚会議に対する諮問委員会、こういう形になっております。
  143. 塚田延充

    ○塚田委員 しかし、言葉の解釈でございますが、対外経済問題関係閣僚会議ということですと、読んで字のごとしということになりますと、対外経済問題というのはすべてこの会議において調査を行い、また各省庁との調整を行い、その上で関係閣僚が集まって決めれば、対外経済関係のことはすべておさまってしまう、このような義務及び権限があるのではないかと私は考えておったのですが、これはやはり経済対策閣僚会議の下部機構というのが実体なのでございましょうか。
  144. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 御質問のとおりでございます。  もうちょっと敷衍をいたしますと、経済対策閣僚会議というのは、激動する内外の経済情勢に対処し、効果的、機動的な経済運営を期することを目的として設置されている。これに対しまして対外経済問題関係閣僚会議は、対外経済問題の処理を円滑に推進をする、これを目的として設置された。対外経済問題関係閣僚会議におきましていろいろ審議されまして、こういう方向で対外経済問題を処理すればいいだろう、こういうことが決まりましたところで経済対策閣僚会議に報告をし、経済対策閣僚会議として決定をしていただく、こういうことになっておりますので、決定機関は上部委員会である経対閣、こういうことになっております。
  145. 塚田延充

    ○塚田委員 マスコミの報道で、ほんの一部だったのですけれども、九日の件の報道について、大来氏を座長とする対外経済問題諮問委員会報告書を、M9と言われております対外経済問題関係閣僚会議の座長に提出した。ここまではよろしいのですけれども、それを受けてすぐ経済対策閣僚会議が決定を行った、私はそういうふうに読んだものですから、となると、対外経済問題関係閣僚会議というのは一体どういう役割をしたのだろうか。今度のこの諮問委員会の報告書をきちんと検討して、しかも調整を行い、検討し、その上で経済対策閣僚会議に出したのかどうか、疑問を持ったわけでございますが、ちゃんとこれはその順序、手続は踏んでいるのでございましょうか。
  146. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 諮問委員会の答申でございますけれども、この答申をまとめるために、諮問委員会としては十一回にわたって会議を開いて討議をなさいました。それぞれの話間委員会の会議におきましては、対外経済問題関係閣僚会議のメンバーである各省庁の代表も会議に出席をいたしまして、会議の模様をフォローさせていただくとともに、また、委員からの質問に対してもお答えをする、さらには委員から要求がございましたいろいろな資料を作成する。主たる作業部隊は、特命室というのがございまして、この特命室の職員が当たったわけでありますけれども、それ以外にも、関係の省庁といたしましても資料を整える、こういったようなことで全面的に協力をしたわけでございます。  発表は四月九日でございましたけれども、四月二日ぐらいには最終稿が作成完了していた。その後、英訳をいたしますとか、あるいは発表のための印刷にかけるとか、こういったような物理的な時間が一週間ぐらいございました。その間にも経済対策閣僚会議の下部機構といたしましての、M9と言っておりますけれども、対外経済問題関係閣僚会議においてこれを検討した、こういうことでございます。  大変重要な答申を受けたわけでございますから、政府としてこの答申に対してどういう受けとめ方をするのか、こういうことを決定することが、九日の経済対策を決める上での重要な要素ではないか、こういうふうに考えまして、その日の経済対策の第一項目として、諮問委員会の答申に対する受けとめ方というのを決定していただいた、こういうことになっております。十分検討する時間もあったということでございますし、また、検討の過程で、下部機構であります関係各省も参加をしていた、こういうことでございます。しかしながら、執筆はあくまでも委員会の責任においてなされたものである、こういうことでございますので、その点は申し添えさせていただきます。
  147. 塚田延充

    ○塚田委員 一部のマスコミの報道によりますと、中曽根総理は、市場開放の具体的推進のために、新たに内閣官房に直結する形で対外経済対策推進本部の設置を考えていると伝えられていたわけですけれども、さらにけさのテレビの報道などによりますと、中曽根総理がみずから本部長となって設置を決めた、しかも第一回の会合を明日にでも開こう、こういうような報道があるわけでございます。となりますと、今まで——私もちょっとわからないから今お伺いしたわけで、対外経済問題関係閣僚会議とそれから経済対策閣僚会議との担当分野の別といいましょうか、今のお話としますとそうじゃなくて、もう上下みたいな関係にあることがよく理解できたわけでございますが、いずれにせよ、そのような二つ会議体がある。そこにまた屋上屋を重ねるような形になりはしないか。そして先ほど指摘しましたように、こういう問題については、特命を受けた特別部隊が、きちんと処理しなければいかぬぞという意味から河本大臣がその任に当たっており、特別対策室も政府部内に実動部隊として存在しておるわけでございます。そのような、いわゆる非常に込み入った関係になりそうな気がするのですけれども、実際のところそうではなくて、それはきちんと整理された形でこの推進本部というのができるのではなかろうかと私は期待しているわけでございます。  実際、この推進本部というのは、一番最初の報道は、内閣官房に直結するという形になっていたけれども、そういう形じゃなくて別な形になるのか。そして今言ったような特命室との関係であるとか、二つの閣僚会議との関連であるとか、そして推進本部というからにはこれは実動部隊、昔の経済安定本部とかいうような名前と同じような響きを持つわけでございまして、実施機関じゃないかという感じがするわけでございます。となりますと、それには別途新しくスタッフ部門を設けるのか。例えば行政改革審議会の場合、また臨教審の場合、それぞれ特別に部隊が、各省庁からかどうか知りませんが、えりすぐられてスタッフを構成したというケースがあるわけでございますが、それと同じように新規にスタッフが構成されることになるのでしょうか。それとも今ある、例えば経済企画庁がその事務局を担当されるのか。または現存の別な、どこそこの部隊というのがそのままそれをもあわせ引き受けていくというような形になるのか。その辺の事情について御説明いただけたらと存じます。
  148. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 お答えいたします。  けさほどの新聞などでも報道されました対外経済問題推進本部、これは対外経済対策推進本部という名前になるわけでございますけれども、これにつきまして現在部内で検討していもことはそのとおりでございますけれども、まだ検討の段階でございまして、最終的に細目まで決定したということではございません。しかしながら、ただいま仰せになりましたように、できるだけ早く発足させたいということで最終的な詰めを急いでいるということもそのとおりでございます。まだ細目まで決定しているわけでないものですから、余り確定的なことは申し上げられませんけれども、全体として総理大臣を本部長とし、それから与党の役員なども含めまして、大体全閣僚をカバーした政府と与党一体として対外経済対策の推進に取り組む、こういうことでつくられるものでございます。  ただ、新しくそこへスタッフを設けるような組織がつけ加わるということはない、こういうことでございまして、これまでM9あるいはその諮問機関でございました諮問委員会に対するサポートをする組織といたしまして、作業部隊のような形でいわゆる河本対策室、特命事項対策室でありますけれども、そのスタッフもおりますし、さらにはM9あるいはその上部機関であります経対閣に対する事務方でございます関係局長会議というのがございます。これの事務局と申しますか、運営に当たっておりますのが経済企画庁の調整局長ということになっておりますけれども、そういうふうな既存のスタッフを利用して本部の推進を進める、こういうことになるわけでございます。  今検討されております案で申しますと、この本部はむしろ実動部隊という性格づけでございまして、経済対策閣僚会議がいわば政府経済政策経済対策の政策決定機関であるのに対しまして、むしろ実動部隊として、政府部内あるいは与党におきましてもそれぞれ対外経済対策に真剣に取り組んでいただいているわけでありますけれども、それをさらに応援し推進をする、督励をするということで日本政府努力というものを一層盛り上げたい、またそれを内外に評価もしてもらいたい、こういうことで検討が進められているということでございます。
  149. 塚田延充

    ○塚田委員 事務局と申しましょうか事務スタッフのあり方についてはわかりましたが、この推進本部が政府部内で組織図上位置するところはどこなのか。いわゆる上下関係と申しましょうか、先ほど私が申し上げたように内閣官房に直結する形になるのか、先ほどの経済対策閣僚会議のところに横並びか何かで設けられる形になるのか、そういうような組織図上のあり方はどうなるのでしょうか。
  150. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 組織図上でどういうふうに位置づけるのか、こういう御質問でございますけれども、私ども相談をしておりますところでは、本部の庶務ということになりますと当然これは内閣ということになるだろう。しかし、実際の仕事ということになりますと、本部をサポートする意味での関係局長会議、こういうところの取りまとめをやります経済企画庁調整局、これが実際の仕事を進める上で下部機構として大いに働く、こういう形になります。したがいまして、関係局長会議などの庶務は経済企画庁がやる、こういうことでございまして、多少入り組んでいる点はありますけれども経済企画庁自身もまた総理府の一部でございますし、内閣全体としてこれを推進をする、それをサポートするための機能分担という形で、内閣審議室あるいは経済企画庁がそれぞれ協力をし合ってこの本部の仕事を支えていこう、こういうふうな考え方になっております。そういう方向で相談をしている、こういうことでございます。
  151. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは、次に通産省関連事項についてお尋ねしたいと思います。  この経済摩擦問題について、通産省独自で、貿易黒字減らしのための輸入促進対策の具体的計画を決めたようでございます。これは大変に意欲的な発表を行っているようでございまして、結構なことだと評価したいわけでございます。まず民間企業数千社に文書を発送し、製品輸入の拡大に努めてほしい旨要請するそうですが、その数千社というのはどういう基準で発送先を選定して、結局は何社ぐらいになり、いつ文書を発送し、そしてその内容としては、単に頼みますよ、ぜひ輸入拡大にあなた方も頑張ってくださいねというようなお願いのしっ放しなのか、それともその中にはかなり具体的な指示事項であるとか、もしくは輸入に関する実態調査的なものも含めるのか。さらには、お願いしたからにはどうなったのか、答えを求めるような形になっているのか、その辺について御回答いただきたいと思います。
  152. 奈須俊和

    ○奈須説明員 お答えいたします。  私ども、現在展開しつつあります製品輸入拡大対策、これは先ほどの経済対策閣僚会議の決定に基づきまして、それをさらに敷衍して実施しようとしているものでございます。先生お話しございました関係企業への働きかけ、対象といたしましてはできるだけ広く訴えたいと思っておりまして、そういう意味で現在通産省関係の諸団体を検討いたしまして、どれだけ訴えるべきか、鋭意調整しているところでございます。  先生の御指摘にもございましたように、単にお願いするだけじゃなくて、さらにもっと強力な働きかけを行うべきじゃないかという点でございます。そういう観点から、私ども二段階で考えておりまして、文書を発送するというのをできるだけ多く、先生お話しありましたように数千というようなことになるよう頑張って、今調整しておるところでございます。そういう広範な企業の模範といいますか手本となっていただけますように、主要な企業を約六十社選びまして特に重点的にお願いしたい。六十社につきましては、それらの企業の責任者の方々に、実は四月二十二日、来週月曜日を予定しておりますけれども、通産省においでをいただきまして、通産大臣から直接輸入拡大への努力をお願いする。さらに、でき得れば何らかの社内体制の強化とか、これからどういうふうなことをやろうということとか、そういうお考えをまとめていただきたいというようなことをお願いしようと思っております。したがいまして、六十社についてこういう具体的なアクション、フォローアップもできるだけやりたいと思っておりまして、それ以外の企業につきましても、可能な限りあらゆる機会をとらえて、十分に輸入拡大の努力状況をフォローしていきたいと考えております。
  153. 塚田延充

    ○塚田委員 今御答弁いただいた中で、主要な企業六十社ほど特別により抜いて、その責任者の方々に、特に輸入促進についてお願いするプロセスを考えておるということでございまして、非常に結構なことだと思います。  この六十社の選び方でございますが、もう大手輸出企業、自動車であるとか鉄鋼であるとか電機とかいうようなところを選んでおられますし、これは商社とか、いわゆる小売業もこの六十社の中に入っておりますけれども、こういう流通業界を別として、こういう輸出に非常に力を入れ、また、実績を立てておる会社を選んだということはユニークじゃないかと私は思います。そして、それらの会社に対して、特に輸出企業に対しては、あなた方はこんなに輸出しておるんだから、その見返りとして、できる限り輸入について、今からでもいいからプロジェクトチームをつくって、考えてくださいよというお願いをするわけでございますけれども、個別企業というのはそうは簡単にいかぬわけですね。いわゆる企業というのは、その利益にかなえば、通産省の行政指導がなくたってどんどん輸入するわけでございます。しかしながら、輸入することによって何のメリットもない、もしくは難しいことに手を出して赤字でも出すということになれば、これはもう絶対に手を出さない、これが企業としての行動原理じゃないかと思うのです。  ということで、輸出企業そのものに輸入を頼むということは、非常に困難な、また難しい仕事だと思うのです。その難しい仕事をあえてやろう。消費者に頼むのは頼みやすいかもしらぬけれども、自動車メーカーとか電機メーカーに頼むのは大変難しいと思う。となりますと、やはり彼らの企業利益に合うような何かくすぐりをしなければ、うまくいかないのじゃないか。すなわち、何らかの報償策があるとか、もしくは逆に、あなた方はそれだけの義務を、道義的かもしらぬけれども、負っているんだから、その道義に反した場合には、こういうマイナス面を受けるかもしれませんよというような誘導をしないと難しいのじゃないかと思うのです。これは簡単に言えば、何か事をやらせるためには、あめかむちかどちらかがなければだめじゃないか、こんな気がするのですけれども、そのような頼みっ放しては無理だと私は思うので、何か具体的な報償策みたいなのがあるのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  154. 奈須俊和

    ○奈須説明員 私ども今やろうとしております各企業へのお願い、これは基本的な考え方といたしましては、まず日本の企業全体に認識していただきたい。すなわち、自由主義経済体制というのをとっております我が国におきまして、我が国の置かれた現在のこういう国際貿易をめぐる状況、これを十分認識していただく、これが第一じゃないか。  第二に、そういう認識を踏まえまして、輸入拡大のため、各社がそれぞれの英知を発揮して、輸入拡大のための計画をつくって、どういうことをやるかというプログラムをつくって、最大限の努力をしていただきたいということを求めたいと思っております。したがいまして、まず一番重要なのは、各企業自身にこういう認識を持っていただいて、経営の基本方針に反映していただくこと。こういう働きかけを私どもが若干やっておるということは広がりつつありまして、幾つかの企業の方でも真剣に検討を開始されたというふうな若干の情報もございます。そういう意味で、具体的な、先生がおっしゃいましたあめとかむちというのは現在考えておりませんけれども、私どもとしては、企業の方は必ずや私どもの期待、または国民各位が企業に持たれている期待にこたえていただけるのじゃないかと思っております。  もちろん政府としましても、こういう企業の努力を応援するために、製品輸入金融を拡充するとか、国民大衆へのこういう努力を理解していただくようなキャンペーンをするとか、そういう側面からの協力は十分したいと考えております。
  155. 塚田延充

    ○塚田委員 確かに自由主義経済でございますから、事の性格上個別企業に対して輸入目標額を割り当てるというようなことなどは、これは到底できる話じゃございませんし、また、やってはいけないことだと私は思っております。しかしながら事の重要性を認識してもらって、それぞれの会社の英知を集めてもらうということを呼びかけるだけでは、結果は後のお楽しみというだけでは、これだけ大問題になって国家的な見地から解決しなければいかぬ、その窮余の一策なのか、それとももっと前向きの一策か知りませんけれども、大変な意気込みでこのような企画を立てたわけでございますので、その込もう少しきちんとした見通しのもとに指導しなければ、責任ある官庁の一つとして通産省がおやりになることとしては、ちょっと芸がなさ過ぎることになっては困る、こんな心配を表明しておきたいと思います。  これらの輸出企業に対しましては、ちょっと厳しい見方にはなりますけれども我が国経済発展、特に雇用の維持増進という面では大変な貢献をしておることは評価しなければいけないわけですけれども、その裏返しとして、今回のようなこの対外経済摩擦の震源地そのものがそれらの会社の周辺にあるんだというようなことは、言いづらいことかもしれぬけれども、はっきりしなければいけないと思うのです。しかしながら、だからといって、この自由主義経済のもとで、例えば輸出課徴金のような制度で対外経済摩擦のもとである輸出そのものを減らそうなどという考え方にもし立ってしまうと、「角を矯めて牛を殺す」ということになってしまうわけですから、これにはくみし得ないわけでございまして、何とか牛そのものは丸々太ってもらわなければいけない、私はこう思うわけでございます。  しかしながら、繰り返しになりますが、よほどきちんとした打ち合わせもしくは指導方針がないと、結果は後のお楽しみというのでは、この緊急の事態には何の役にもならない、こういう気がいたしますので、どうかこの件につきましては、要請する側である通産省と、また頼まれる側である輸出企業の間で、いろいろな面で話し合い、また合意をし、そしてやはりプログラムと言うからには目標がなければいけないと思うのです。ベストを尽くして後は天命を待つというのでは、お役所がやるものとしては私は本物ではないと思う。となると、やはりこれで百億ぐらいは新規輸入増が、今の六十社の手によって上積みされるんだというくらいのことをやろうじゃありませんか、なぜできないのか、こうすればできる、お役所としてはこういうことをやってほしい、このようなやりとりができるくらいにぜひ持っていってほしいと思うのですが、この六十社に対して例えば新規輸入増の目標額など考えられるでしょうか、内々でございますけれども
  156. 奈須俊和

    ○奈須説明員 お答えいたします。  まず、輸出企業を多く対象に取り上げている点につきまして、輸出に対する見方について先生も御指摘ございました。私どもとしましては、輸出をしているからといって、罰すべきものとか抑えるべきものという考えは全く持っておりません。むしろ先生指摘のように、拡大均衡で貿易を持っていくべきだというふうに考えております。  ここで輸出企業をたくさん取り上げてお願いしておりますのは、こういう企業は非常にいろいろな面で、人的な面、組織の面等々相当企業としての力が強いわけですから、そういう企業の力を今までよりももっと輸入に向けていただけないかという意味でのお願いをしたいと思っております。そういう意味で、先ほどちょっと申し上げたと思いますが、やはり各社でそれぞれ知恵をお出しいただいて、最大限の努力をしていただく。目標ということにつきましては、基本的にはこういう自由経済体制で幾ら輸入しろということは言うべきではないと思っておりますし、さらにこういう知恵の出し方ということにつきましては、各企業がそれぞれの置かれた状況で最大限の努力をする、一律なものにはいかぬのじゃないかと考えております。  先ほど、この六十社につきましては実行計画をおつくりいただきたいという要請をすると申しておりますが、早急にこの実行計画をおつくりいただいて、私どもにも十分見せていただく、そういう過程で対話というものを進めさせていただきたいと考えております。
  157. 塚田延充

    ○塚田委員 通産省は、輸入促進キャンペーンとして大規模なインポートバザールを年内に東京、横浜、北九州で開く計画があるようですが、特に消費財を中心考えるならば、規模は別としましても、全都道府県で実施して、ほぼ全国民が身近に外国製品を知る、そういう機会をつくってやる必要があるのじゃないかと思うのですが、そのような場所をもっと拡大するというような計画はないのでしょうか。
  158. 奈須俊和

    ○奈須説明員 輸入拡大のため、特に国民の各位に輸入品に親しんで、かつ、関心を持っていただくという観点から、インポートバザールといいますか、輸入品展は非常に効果がございます。できるだけ多くの地点で開催されるということは、輸入促進の観点から結構なこと、ありがたいことだと思います。ただ、政府がどの程度関与するかということにつきましては、もちろん資金的な問題等々ある程度の限度があるわけでございますので、そういう各地での輸入博の効果、限度を踏まえまして、私ども、その範囲内で最大限の振興といいますか、したいと考えております。
  159. 塚田延充

    ○塚田委員 やりたいけれども、予算面での制約があるというようなことになろうかと思います。  そこで、一つの提案みたいなことですが、先ほどから話題になっております輸出関連企業に、見返りといってはなんですけれども、この辺の資金的な御協力、参加をいただくなんという考え方はいかがでしょう。
  160. 奈須俊和

    ○奈須説明員 この六十社を初めとします広範な産業界の企業に、輸入促進への努力をお願いしておるわけでございます。そういう各社がお考えになる行動といいますか努力の中身で、各社の御判断で、フェアというものを活用するのは好ましいという状況であれば、ぜひ各企業にも御活用いただきたいと思っております。しかし、基本的には、この辺は企業の判断にゆだねるべき事項がなというふうに考えております。
  161. 塚田延充

    ○塚田委員 大変な話題になっておる件として、去る九日に中曽根総理が、国民皆さんが一年間に外国製品を百ドル余分に買ってくれれば百二十億ドル日本の輸入がふえます、このように国民にテレビを通じて呼びかけたわけであります。それを一番まじめにすぱっと受けて協力体制をしいたのが通産省でございまして、即十二日には「百ドルのイメージ」と称して、どんな買い物をしたならば百ドルになるのかというモデル的なメニューを、多分これは輸入課長あたりが頭をひねってつくり出したんじゃないかと思うのです。  そこで、輸入課長じきじきに、個人的なことで申しわけないのですが、お聞きしたいと思うのです。あなた自身、昨年一年間振り返ってみて、あなたのつくったリストの中で、どのくらい適用というか買っておるか。これは今までの分ですよ。そして今から、ではまた同じようにそれを率先して実行しなければいかぬ役職にあるのじゃないかと思うのですけれども、そうした場合、自信があるというか、どういうものを買ってどういう達成をされようとしておるのか。個人的なケースで済みませんけれども、その場合も百ドルじゃなくて、御家族四人だったらば四百ドル相当の件について、達成のめどについて自分の分析をお答えいただきたいと思います。
  162. 奈須俊和

    ○奈須説明員 大変難しい御質問をいただきまして、このリストは私どもの課で取りまとめましたが、もちろん背景としましては、専門家の方々の御意見も伺って取りまとめたわけでございます。さらに、このリストは決して限定的なものではございませんで、このほかにも輸入品として適当なものはたくさんあるかと思います。  こういうのをまとめました趣旨は、総理が百ドルとおっしゃったもの、これは輸出入総額を言うよりももっと身近にということかと思いますが、それをもう一歩国民の方々に身近に感じていただくためには、こういう例を出したらどうかなという目的で出したわけでございます。私自身、こういう職にございますので、ショッピングに行くと常に輸入品に目が向きまして、それだけここにある品目、それ以外の品目、個人的な行動としては輸入品に最近かなり手が伸びておるということかと思います。
  163. 塚田延充

    ○塚田委員 大変結構でございます。この百ドル購入運動を初め、要は内需の拡大がポイントとなるわけですね。ところが、その担い手たる一般消費者は、今の課長の御答弁のようなわけにはいかず、ここ数年来実質可処分所得がほとんどふえていないので、なかなかそういうような舶来品にまでは手が出ないというのが実情ではないかと思うのです。  十四日発表されました総理府の物価問題に関する世論調査結果によりますと、一年前に比べ、実感としてどのくらい上がっていると思うかとの問いに対しまして、五%くらいという声が二三・三%、七、八%くらいというのが八・三%、一〇%くらいというのが九・四%、一〇%以上実感として上がっていると答えた者が三・八%という回答で、合わせますと約四五%の方々が、私たちの実感では五%以上物価が上がっているよ、こういうふうに答えており、ほとんど上がっていないという答えをした方は五%にすぎないということになっているわけでございます。さらに今後の見通しとして、物価が上昇すると考えている方が約八割に達しているわけでございます。そんな中で、皆さんも御承知のとおり、ことしの春の賃上げの相場は五%ちょこちょこでございます。これでは、元手なしに百ドル相当買いなさいよと無理強いするような形になるわけでございます。  そこで、減税問題について私は金子長官に訴えたいと思うのですけれども、確かに現在の財政逼迫のもとでは、公共事業などの財政主導型の政策がとり得ないことはよく理解できるわけでございます。しかしながら、所得税減税というのは、もう百も御承知のように、かなりのパーセンテージで内需の拡大につながって、そうなればまた今論議の中心でございます輸入の増大の可能性が出てくる。となれば外国が納得するという形で、特にアメリカのいら立ちなどが少なくなるというような形で、経済摩擦がある程度鎮静化する可能性そのものを秘めているわけでございます。そうなりますと、日本全体としては産業界が安心して企業活動ができる。  こういうことで、これは、野党が勤労者の立場から単に所得を増してほしい、可処分をふやせというだけの要求としてこの問題を取り上げるのではなくて、今申し上げたような国家全体のためになり、世界の経済の安定につながる基本的な一石になるのじゃないか。このような観点から、政府・自民党の中で所得税減税について大きな意味でぜひ旗を振っていただきたい、このようにお願い申し上げたいと思います。これは、今までですと、赤字財政のもとなのだから減税なんてとんでもないという考え方でおるわけですが、そんなことでおって外国から報復措置を受けるようなことになった場合には、国家利益そのものも失ってしまう。このような大切な時期に来ておりますので、大臣の大英断、旗振りをぜひお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  164. 金子一平

    金子国務大臣 先生のおっしゃるお気持ちは十分わかるのです。私もあなたと同じように所得税の減税論者なのですが、率直に言ってことしの財政事情はもう身動きならぬところに来ておるのでございまして、赤字国債を発行して減税したって、これは意味のないことでございますし、本年度の問題としましては、与野党間の合意によりまして幾つかの減税問題を取り上げておりますから、これは必ずや実現できると思うのでございます。  来年度の税制改正において、やはり所得税中心減税を何とか実現さしたいという切なる要望を私どもも持っておるわけでございまして、それには財政がもう少し身軽になってもらわなければ困るものですから、先ほど来申しておることでございますけれども、これからの国内景気、世界景気が一体どうなるのだろう、日本経済の改善がどの程度進むか、これから六月、七月、八月にかけての動きを今慎重に見守っておるような際でございまして、先ほどもちょっと触れましたが、総理に出されました対外経済の諮問委員会の答申にも明年度の減税の問題を取り上げておりますので、思い切った対策がとれないかということで、今せっかく検討している段階であることを申し上げておきたいと思います。
  165. 塚田延充

    ○塚田委員 財政面の制約については私もよく理解しておるつもりでございますけれども、そんなことを言っているうちに、本当にアメリカから報復措置すなわち輸入課徴金とかなんとかということになった場合、日本経済そのものが肺炎を起こしてしまう、危篤状態に陥る、こんなことにならないように、大局を見誤らないように、ぜひお願いしたいと思います。  次に、間接税の問題でございますが、これも財政上の理由ということで、場合によったら大型間接税を導入しようかなどという動きもあるようでございますけれども、これをするとさらに消費面が冷えてしまう危険性もあるわけでございまして、間接税の増税については慎重を期すべきであるし、大型間接税は絶対にやってはいかぬ。これは、単に国内の問題じゃなくて、今言ったように対外経済摩擦のためにも、大変に国家利益を損なう危険性がある、このような立場から大臣としても頑張っていただきたいと思うわけでございます。
  166. 金子一平

    金子国務大臣 大型間接税の導入につきましては、一時どういう関係か、大型間接税を導入させるぞという大型間接税のひとり歩きの時期がございましたけれども、これは総理自身が先頭に立って、自分はそういう気持ちがないということをはっきり言明しておられますので、この問題は消えたと考えていただいていいのじゃなかろうかと思います。  ただ、現在やっておる間接税のバランスをどうするかという問題は当然取り上げてしかるべき問題でございまして、それを例えばことしの酒やビールのように、上げ過ぎて途端に消費が減ってしまうというようなことでは本当に元も子もなくなるわけでございますから、そこら辺のことを十分考慮しながら、課税範囲等についてあるいは税率等について考えていかなければいかぬというふうに考えておる次第でございます。
  167. 塚田延充

    ○塚田委員 最後に、この経済摩擦問題に関連して、労働問題について労働省にお尋ねしたいと思います。  海外からのこの問題に対するいろいろな批判の中に、非関税障壁という面も極めて強い響きを持っているわけでございますが、そんな中の一つに、日本労働時間が長過ぎる、これは労働力のダンピング、労賃のダンピングじゃないか、突き詰めて言えば、これそのものが非関税障壁の一つである、このような指摘もあるわけでございます。労働団体としては、今までみずからの労働者保護という立場から、より豊かな人間性を回復したいという意味からの労働時間短縮、もしくは生産性が上がった分の配分としての労働時間短縮、もしくはILO条約とかいうような海外との条約上の義務としての労働時間短縮、いろいろ叫ばれてきているわけでございますが、この経済摩擦解消のためにも、労働時間の短縮というのが非常に大きな役割を果たすポイントを握っておる、このように感ぜられるわけでございます。  この面から、労働省として、単に労働時間短縮問題は労使双方の問題であって、行政としては介入できないんだとか、お任せするとかいう域を踏み越えて、国家的な見地からも労働時間短縮が必要であるということ、そしてその短縮ということ自体が、海外から報復を受けないためにも——報復を受けた場合には、資本家側そのものが打撃を受ける危険性がある。だから、労働時間短縮は資本家側の利益にもつながるんだという意味において、ぜひとも指導いただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  168. 高橋伸治

    ○高橋説明員 お答え申し上げます。  労働時間を国際的に比較いたします場合に、いろいろ考慮しなければならない要因がございますけれども我が国労働時間が欧米先進国に比べて長いという事実は否めないと思います。  労働時間の短縮につきましては、技術革新が急速に進展し、高齢化が本格化する中で、労働者の生活を充実し、長期的に見た雇用の維持確保を図るという観点に加えまして、国際化に対応し、国際協調をさらに図っていく上でも、また消費機会を増大させ、内需を拡大するという側面からも必要であると考えて対策を進めているところでございます。  今後とも、先生の御趣旨を踏まえまして、労働時間の短縮に一層努めてまいりたいと存じます。
  169. 塚田延充

    ○塚田委員 終わります。
  170. 竹内猛

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。
  171. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私も貿易摩擦問題について、先ほどからの議論とは少し違った観点からお伺いをしていきたいと思います。  四月九日の経済対策閣僚会議で決められました対外経済対策で、その取り扱いを、政府としては、これらの提言を十分尊重して今後の政策運営に当たる、といたしました対外経済問題諮問委員会報告書で、原則自由例外制限といった大胆な発想が必要であるという考え方が打ち出されております。大臣も先ほど来、原則自由という言葉を繰り返しておられますけれども、原則自由例外制限。日本国内法は、当然のことですが、日本国民の暮らしや安全を守るために制定されているのでありまして、輸入品といえどもその国内法に従うということは、これもまた当然の原則であるかと思います。そういう考え方と、それから原則自由、例外制限ということにつきまして、この関連政府としてはどう考えておられるか、まず長官にお伺いしたいと思います。
  172. 金子一平

    金子国務大臣 各国の日本に対する批判の一番大きい点は、関税の税率の問題もさることながら、先ほど来申し上げておりますように、輸入に関するアンフェアな取り扱い、行政上のいろいろな許認可事務に関する取り扱い等に対して不明朗な点が多くあり過ぎやしないかということでございまして、そういう意味において輸入は原則自由でございますよというところまでぜひ持っていかぬと、各国の理解はなかなか得られないのじゃなかろうかと考えておるのでございまして、諮問委員会で原則自由と打ち出したのもそういう趣旨からだろうと思うのであります。  ただ、やはり例外はあるわけでございまして、それは国家の安全保障の問題、あるいは国民生活を脅かすことのないように、あるいは健康に対する安全性とか、そういった当然国の法律で守るべき限界があります。環境の基準についても同じでございます。そういう問題は例外でございますよという意味の言葉を取り上げたことと御理解いただけば結構でございます。
  173. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そういうお立場なら、昭和四十七年に食品衛生法が改正されましたときに、国会で、食品添加物は極力抑制すべしという決議が行われております。以降、これが食品衛生行政の基本になっているわけですが、この決議につきましては、五十八年五月十九日の当委員会でも厚生省は、「私どもは、昭和四十七年の国会の決議、食品添加物を極力制限する方向で措置していくという考え方については現時点においても妥当だと考えておる次第でございます。」こういうふうに答えておられるわけですが、そういう考え方は当然政府としても守っていかれる、こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
  174. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の昭和四十七年の食品衛生法改正時の附帯決議につきましては、私どもとして現在でも尊重すべきものと考えております。食品添加物につきましては、安全性の確保ということが最も重要な問題でございますので、我が国の食生活ということを考慮しながら、安全性それから有用性というものが認められるものに限りましてその使用を認めるという考え方のもとで対処してきたところでございます。
  175. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ことしの二月四日に経団連から内閣総理大臣を初めとする関係閣僚、与党その他関係者に「輸入円滑化に関する意見」という建議が出されております。これはどういうふうに取り扱われたでしょうか。
  176. 赤羽隆夫

    ○赤羽政府委員 経団連が政府に対しまして建議をいたしました「輸入円滑化に関する意見」につきましては、四十四項目にわたりまして具体的に改善についての建議をしておられるわけでありますけれども、そのうちでOTO、つまり市場開放問題苦情処理推進本部に対する申し立てという形で処理ができるものがかなりある、こういうことでございまして、経団連の方から四十四件のうち二十九件につきましてOTOに対して改善の要請という形で申し立てが行われてきたわけでございます。  これらにつきまして現在検討中でございますけれども、もう既に、改善をするに値する、こういうことでできましたものが幾つかございます。そのうちの主要なものにつきまして、先般の対外経済対策、つまり四月九日の対策におきまして、基準・認証あるいは輸入検査手続の改善の例として取り上げて対策に織り込んだわけでございます。まだ審査中のものもございますけれども、できるだけ合理的な改善という方向で処理をしたいと考えておる次第でございます。
  177. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 具体的にお伺いしますが、この建議の中に、七番目に「食品添加物の許容範囲を欧米なみに拡大するべきである。」こういうふうに出されております。もしこれが実施されましたら、もちろん食品添加物は一挙にふえまして、国会で先ほど御確認いただいております決議、食品添加物は極力抑制すべきであるという決議内容に明確に反するということになっていくわけなんですが、この点は政府として厳格に対応することが、国会の権威を守るという点からも非常に大事だと思いますが、その点の御見解はいかがでしょうか。
  178. 市川和孝

    ○市川説明員 各国で認められております食品添加物は、それぞれの国の歴史的な経緯あるいは食習慣というようなものを踏まえまして、必ずしも各国間で共通していないことは確かでございます。昨今のように、食品の国際的な流通が非常に増大してまいりますと、新たな添加物についての要望というものが出てくることは考えられるところでございます。  このような場合、私どもといたしまして、例えばFAOあるいはWHOにおいて安全性の評価が行われておるというだけで、無条件にこれを受け入れるというようなことではございませんで、指定するかどうかという問題につきましては、我が国の食生活ということも考慮しまして、食品衛生調査会におきまして安全性等を十分科学的に審議していただきまして、先ほど私申し上げましたように、安全性及び有用性というものが確認されたものに限ってその使用を認めるという考え方で対処してまいるつもりでございます。
  179. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 新たな要望があれば、FAO、WHOで認められているから無条件に受け入れるということではなしに、食品衛生調査会で科学的な審議を求めていくのだ、これはある意味では当然のことなんです。しかしながら国会では、それを極力抑制するという方向でやっていくべきだ、したがって輸入食品の有用性を優先するべきではない。まさに国会で決議されているそういう立場を優先するべきだという姿勢が大事だと思うわけです。  そこで、この問題と関連いたしましてもう一点厚生省にお伺いしておきたいのです。  昭和五十七年十月三十日から十一月十九日まで、ジェトロが厚生省の環境衛生局食品化学課の課長補佐の山本さん、もう退職されましたが、山本さんを講師にして、新食品開発現地交流ミッションというのを実施されているわけです。この私が手に持っております報告書は、山本さん御自身が執筆しておられます。この間何げなくこれをずっと読んでおりましたら、大変驚くべきことを言っておられるので、私はここでひとフ、これが厚生省の考え方なのかということで念を押しておきたいわけです。  この「輸入コンサルティング・セミナーおよび個別コンサルティング」というのは、ロンドン、ミュンヘン、ローマ、そしてパリの四都市で実施されまして、このセミナーには百十社、そして山本さんはその講師として講演をされておられます。その講演の後コンサルティングをされまして、これは五十六社を相手に四都市で開かれているわけです。  その中でロンドンのコンサルティングでこういう質問を受けているわけです。先ほどから問題にしております国会決議ですが、「一九七二年の国会決議は改められると思うか。」と聞かれたのに対して、「改められることを技術系の者の一人として希望している。しかし高度な政治的問題であり、この種の問題解決のための時計のスピードは、予測出来ない。」こういうふうに言っておられるわけですね。私は、それが厚生省のお考えなのかということを聞きたいわけです。
  180. 市川和孝

    ○市川説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘報告書を私、今手元に持っておらないのでございますが、先ほど御説明申し上げましたように、私どもといたしましては、昭和四十七年の国会における附帯決議というものは当然尊重すべきものというふうに現在でも考えております。食品添加物の使用は必要なものに限るべきであるという考え方が、この国会の御決議の中に精神として入っているのではないかというふうに私ども考えているわけでございますが、この考え方は特に日本だけに固有ということではございませんで、国際的にも共通する考え方だと思います。
  181. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 このジェトロの会議に肩書をつけて厚生省の役人が行っておられるわけです。そして外国の企業に対して、国会決議は改められるべきだなんという発言をされるというのは本当に軽々に過ぎる。しかも国会の中では、今のこの時点でも、国会決議の問題については変えればよいなどと言っておられるわけじゃないわけですから、以後こういうことのないように。こういうことを言うから、外国の企業が、一層やかましく圧力をかけていけば何ぼでも門戸が開かれるというふうに思っていくわけですから、そういう点でも、こういう場に厚生省の役人の肩書で派遣される場合には、あくまでもこういう問題に対してははっきりと、山本さん個人でどう考えられたか知りませんが、肩書をつけての立場というものをちゃんとわきまえて発言をされるべきだというふうに私は思うわけです。  もう一つ、経団連の「輸入円滑化に関する意見」の中で、青酸化合物含有、シアン化合物含有の雑豆について触れているのでお伺いをいたします。  まず、青酸化合物含有の雑豆は、これを摂取いたしましたら消化器の中で酵素などの作用を受けまして分解されて、青酸を生じ、激しい食中毒を起こすことになります。これは昭和二十三年、忘れもしませんが、あれはビルマ産ですか、青酸化合物の雑豆の配給がありまして、それを食べた大勢の人が食中毒を起こし、かつ四人の子供が亡くなっております。こういうことから、豆類の成分規格は、青酸化合物が検出されてはならないというふうにし、ただ特定の豆類については百グラム中五十ミリグラム以下の含有量のもののみその輸入を認め、しかもそれはあんこにしかしてはいけませんよ、業者さん用のあんこの原料にするのですよと特定をして、厳しい流通管理をしているというふうに理解をしておりますが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  182. 玉木武

    ○玉木説明員 先生の御指摘のとおりでございます。
  183. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ところが、経団連は、北米産の雑豆は青酸化合物の含有量が少ないから販売報告を免除するべきであるというふうに言っているわけです。この販売報告を免除いたしましたら、流通の中間段階で豆が横へ流れていくおそれというのは十分あるわけですし、このことは、厚生省の輸入食品衛生監視員協議会が編集しました「食品輸入の実務」の中でも、「これら豆類の輸入に際しては、シアン化合物含有の有無が厳重にチェックされねばならないし、ことにシアン化合物は微量でも致命的な毒物であるだけに、輸入者側も、あらゆる点に万全を期すべきである。」というふうにされているわけです。こうなりましたら、経団連側のこういう主張を絶対に認めるわけにはいかないというふうに思いますし、また、こういう要望を意見の中に入れられるということは、私は本当に非常識だと思いますが、この点はどうでしょうか。
  184. 玉木武

    ○玉木説明員 ただいま御指摘にございましたように、青酸が含有されます雑豆が煮豆等値の用途に流用されないように担保するために求めております販売報告は、免除することを考えておりません。
  185. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 国民が心配するのはこういうようなことになっていくからであります。国民の命にかかわることを、輸入の円滑化と称して要求してこられる。私はそこに、今回の貿易摩擦問題の一つの本質があるというふうに思うわけです。だから、政府は原則自由、例外制限というふうに言っておられますが、貿易摩擦の圧力のもとでこの例外制限がどんどん狭められて、安全が脅かされてしまうのではなかろうか、こういうふうな危惧を町民は今持っております。貿易摩擦がどうであれ、国民の命と暮らしを断固として守っていくのだ、そういう決意が改めて求められていると思います。恐れ入りますが、もう一度長官の御意見をお伺いしたい。
  186. 金子一平

    金子国務大臣 藤田先生御心配のようですけれども国民生活の安全を守るのは私どもの仕事でございますので、どうかその点は御心配なくお願いをしたい。むしろアンフェアな、不透明な関税障壁が置いてあるために、せっかく日本が自由貿易を旗印にして経済を促し、生活を向上させていかなければいかぬのが、かえって逆に保護主義のとりでを築かせるようなことになることを、私どもといたしましては一番心配しておるわけでございまして、そういうことのないための原則自由であるというふうにお考えいただいたら結構でございます。
  187. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それでは、次の問題に移ってまいります。  FAO・WHOの合同専門委員会の報告で、「多量に投与すると、成長不良や、心臓、副腎、肝臓の病変などを起こすことが多数報告」されておりますエルシン酸含量の高い菜種油の問題についてお伺いしたいと思います。  このFAO・WHOの専門家委員会の報告は一九七七年に出されておりますけれども、そこではブラシカ油、つまり菜種油などもその一つですが、その菜種油のエルシン酸含有量を少なくすること、これが一つ。それから、菜種油を他の油脂と混合して使用していくことが非常に大事である、この二点が勧められております。特にこの勧告は「小児にとっては重要」である、こういうふうに勧告の最後でうたっております。一九七七年といいましたら大分前になるわけですが、この勧告を受けて、農水省、厚生省、文部省はどういうふうに対応されてこられましたか。特に文部省にお願いしましたのは、この勧告の中心である小児への影響として、学校給食でどのような対応をとったのかということをお聞きしておきたいと思います。
  188. 小西亘

    ○小西説明員 学校給食用物資の購入につきましては、従来からできるだけ良質のものを選択するよう常に配慮するとともに、特に有害なもの、またその疑いのあるものは避けるように留意するように指導しているところでございまして、今後ともそのような方向で指導してまいりたいと考えております。
  189. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私の質問にまともに答えてください。  一九七七年にこういう勧告が出たのに対して、どう対応したかと言っているのです。一般的に聞いていません。
  190. 小西亘

    ○小西説明員 今御指摘の勧告につきましては、文部省として特にこれに対する対応はなかったようでございます。
  191. 玉木武

    ○玉木説明員 御指摘のエルシン酸の問題でございますが、一九七七年、報告当時でございますが、各国で低エルシン酸菜種への品種転換が進んでおりまして、我が国におきます菜種油の原料菜種の九九%は、低エルシン酸化が進んでいたカナダ産業種であったことから、食品衛生法の見地から特段の措置をとる必要はないと考えられていたと聞いております。  以上でございます。
  192. 増田正尚

    ○増田説明員 先生指摘の一九七七年のFAO・WHOのことについては、私どももよく承知しております。  今、厚生省の方からもありましたけれども我が国の菜種油のほとんどはカナダから供給を得ているわけでございまして、私どもといたしましては、毎年カナダとの間でやっております定期協議の中におきまして、品質問題について絶えずカナダと協議しておりまして、その中で低エルシン酸についての品種の開発とその普及ということについて、絶えず要望してまいってきた次第でございます。
  193. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 文部省、一般的には子供たちの食品が安全であるように指導していると言われながら、こうした具体的な問題になりますと何もしておられなかったということは無責任だと私は思うのです。特に子供のことについて勧告しているときは、もっと神経質に対応していただきたい。そうでなければ、これから文部省は民営化ということで学校給食を自校方式から変えようかなどと言っているときに、私はそのことはちっともいいことじゃないし、自校方式でやるべきだと思っていますけれども、文部省がそういうことを言っているなら、なおさら文部省としてもっと子供の給食に厳重な責任を持った対応をするべきじゃないかと考えるわけです。今後のこともありますので、もう一度その点だけははっきりしておいてください、
  194. 小西亘

    ○小西説明員 先生今御指摘の子供の安全衛生の問題は極めて重要でございまして、文部省といたしましても、先ほど申し上げましたような方向で指導してまいっておりますし、今後とも非常に重要な問題として重視しながら指導してまいりたい、かように考えております。
  195. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 九九%がカナダ産、つまり低エルシン酸の菜種油であったがゆえに、特段の措置をとることもなかったというふうなお話でございました。  ことしの二月一日の新聞報道によりますと、エルシン酸を三〇%も含むサラダ油が、学校給食あるいは家庭用油として出回っていたということが明らかになりました。このこと自体、勧告が出て以降何ら対応してこられなかった農水省、厚生省の責任が問われるべきだと思いますし、文部省もまたしかりであります。このエルシン酸三〇%というのは非常に高いもので、健康への影響も懸念されるわけですが、その経過とその後の措置についてお示しをいただきたいと思います。
  196. 増田正尚

    ○増田説明員 お答えいたします。  エルシン酸につきましては法的な規制はないわけでございますけれども、ただいま先生指摘のように、FAO・WHOでの検討の経緯もございますし、また、先ほどお答えいたしましたように、これまで国内の製油メーカーが低エルシン酸菜種油の搾油に努力してきた、私たちといたしましてもカナダにそのような働きかけをしてきた、そういう実態を踏まえまして、それをより確実なものにするために、高エルシン酸含有菜種についての情報を得た以降、業界の全国団体でございます日本油脂協会に対しまして、食用油のエルシン酸に関する自主管理基準の作成とその徹底方について指導を行ってまいった次第でございます。
  197. 玉木武

    ○玉木説明員 ただいま農水省の方からお答えがあったわけでございますが、先ほどから何度が御指摘がございますように、ヒトに対する実験のデータといいますか、身体に及ぼす影響のデータは現在のところ報告がないわけでございますけれども、各種の動物実験に基づきますものから類推しましてヒトに対する影響も考慮する必要があるということで、油脂中のエルシン酸量を低下させることが好ましいという観点から、先ほども農水省の方で御答弁がございましたように、日本油脂協会を呼びまして、菜種油におきますエルシン酸の量を極力少なくするよう指導してまいりました。これを業界の方では素直に受けられまして、本年二月に、菜種油中のエルシン酸の量を五%以下とするという自主基準を作成されまして、現在関係企業はこの基準に従ってすべて製造されている、このように伺っております。  以上でございます。
  198. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今回問題になりましたサラダ油に使われておりました菜種油というのは、中国産の菜種油と聞いておりますけれども、それは間違いありませんか。
  199. 増田正尚

    ○増田説明員 新聞で報道されました後、新聞報道にありました企業を呼びましていろいろと事情を聴取いたしました。そのときに、原料といたしましては中国産の菜種であったという話を聞いております。
  200. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 業界が自主規制を大変素直にされたということでしたけれども、そうすると、他の食油業界でもやはり中国産の菜種油を使っておられるというふうに考えていいんでしょうか。
  201. 増田正尚

    ○増田説明員 我が国の菜種油の原料はほとんどがカナダ産業種でございますが、昨年油糧種子等が国際的にも非常に逼迫いたしましたということもございまして、昨年は中国の菜種が二万トンばかり輸入されたということでございます。私どもといたしましては、中国産の菜種はエルシン酸が高いわけでございますが、食用に供する場合にはほかのものと調合いたしまして五%以下とするように、業界の方を指導いたしております。
  202. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はここに「油脂」ということしの二月号の業界誌を持っております。この二月号の業界誌の中に、中国糧油食品進出口総公司、その張という中国の代表の方がここで書いておられるわけなんですが、ここのところで「日本輸出しているのは高エルシン酸ナタネで工業用。」こういうふうに言っておられるわけです。そして「エルシン酸の低いナタネは、日本の商社から種を供給するから作ってみないかという話もあり、近いうちに生産も軌道に乗ると考えている。」これは中国の菜種油は工業用とはっきり言っておられるわけですね。工業用とはどういうもので使われるのかということでこの中をずっと見ていましたら、石けんとか、アメリカあたりは印刷用のインクの何かに使うとか化粧品の何かに使うとかといろいろ出てまいりまして、なるほどなと思って読んでいたのですが、これはどういうことになるんでしょうか。
  203. 増田正尚

    ○増田説明員 我が国の菜種油、今約五十万トンぐらい消費がございますけれども、そのうち工業用に向けられているものが大体一万トンぐらいございます。中国産業種につきましては、先生指摘のように、この大部分が工業用だというふうに私ども思っているわけでございますけれども、完全に全部が工業用かどうかということについては、私どもとしてそこまでの把握を行っておりません。したがいまして、仮にそれが食用油に回ったような場合にでも、食用に回ったものにつきましては、全体としてとにかく五%以下にするようにという指導をしているということでございます。
  204. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 全部が工業用なのかどうかということは把握していないとおっしゃいますが、おかしいですよ。これは中国の代表の方が、日本輸出しているのは工業用どこう言っているのです。そしてさっきお尋ねしたら、問題になったサラダ油は中国産でしょう。そうしたら工業用でしょう。業界の方でも中国産の菜種油を使っている、他の油脂会社でもこの中国産を使っている。その中国産の菜種油は工業用、こう言っているんです。これは納得できませんね、そういう答弁では。
  205. 増田正尚

    ○増田説明員 エルシン酸の高い菜種油は工業用に使われるわけでございますけれども、一部食用の方に回る可能性もございますので、その点については五%を超えることのないように指導いたしたいというふうに存じております。
  206. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 はっきり聞いておきますが、五%以上にならないように指導をする、指導してきたのじゃなしに、これから指導するということなんですか。
  207. 増田正尚

    ○増田説明員 日本油脂協会が自主管理基準をつくりまして業界、関係企業に流しましたのは二月八日付でございます。それ以前につきましては、五%という自主基準にしろ何にしろそういう基準はなかったわけでございまして、そういう自主管理基準が作成されましたので、その徹底方について今後指導していきたいと考えております。
  208. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうしますと、今まで中国から入っておりました菜種油というのは、統計で見てみましても、八二年からずっとふえてきておりますね。その八二年から今日までずっとふえてきて、現在市場に出回っているものは、その自主基準ということになっているかもしれませんが、しかしこの間までは自主基準というものがないままで、さっきはたまたま一社だけだとおっしゃいましたけれども、一社だけとおっしゃるのは、しかと調査をされた上なんですか。
  209. 増田正尚

    ○増田説明員 新聞に報道されました関係企業は一社であったということでございます。御指摘のように、確かに中国からの菜種は八二年六千トン、八十三年一万一千トン、昨年は二万六千トンというふうに増加したわけでございまして、この二万六千トンのうち、ほかの企業で幾つかの企業がやったかどうかということについては、私どもちょっと今の時点ではつかみがたいと思っております。
  210. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それは大変無責任だと思うのです。せめて食用にどれほどの中国産の菜種油が回っていったか、それぐらいのことはちゃんとチェックして調査をしてしかるべきじゃありませんか。私は、ここで改めて、どれくらいの中国産業種油が食用に回されていったかということを調査していただきたい、そのことを要請したいと思います。
  211. 増田正尚

    ○増田説明員 データ等の制約があろうかと思いますので、完全にどこまでできるかわかりませんが、できるだけ調査するよう努力をいたしてみたいと思います。
  212. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 努力じゃなしに調査をしてください。  それから、先ほど日本油脂協会が自主基準を決めたとおっしゃいました。それは大変積極的でいいことだ。しかも、中国産がこれからどんどん入ってこようという傾向は十分うかがえますので、大いにやってもらわなければいけないと思いますけれども、問題は日本油脂協会に加盟をしていない、そういうアウトサイダーの業者さんもたくさんおられます。だから、消費者にしてみれば、これで本当に基準が守られるのかどうかという心配もあるわけです。  アメリカは、少なくともこの菜種油は、低エルシン酸、高エルシン酸にかかわらず、実にことしの二月まで食用油として使用することを認めていなかったのです。そして初めてFDAが一月二十八日に食品安全基準を改定して、エルシン酸二%以下、日本よりももっと厳しいです、二%以下の菜種油の食用使用を許可した、こういうことが報じられております。私はその点では日本はもっときちんとした基準をつくっていくべきであると考えますが、この点はどうお考えでしょうか。
  213. 玉木武

    ○玉木説明員 御指摘の点につきまして、現在エルシン酸の毒性に関するデータが我が国では十分にそろっておりません。先ほどもちょっと申し上げましたように、エルシン酸の毒性については、一部の動物実験で心臓に障害を発生させる、そのほか幾つかの成長阻害とかそういうことも言われていますが、ヒトに対する影響は現在のところ報告がない。また、心臓における障害は心臓の細胞内に脂肪が蓄積することによる間接的な障害と考えられている、こういうようなことも、先生指摘の本にも書いてあるわけでございまして、それで直ちにその食品衛生法第七条に基づく規格、基準をつくって規制をすることは難しいのじゃないかという議論もございますので、今後エルシン酸毒性に関するデータの収集にひとつ努めて、国が基準をつくるべきかどうかという必要性について検討を進めていきたい、このように考えております。
  214. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 先ほど私が言ったことは間違いじゃないでしょう。アメリカはようやく菜種油そのものを食用として使用することを許可した、しかも厳しい基準を設けて許可した、そういうような措置をとっているのです。そうであるにもかかわらず、なぜ日本にその基準を設けることができないのか。  しかも、事情は大変変わってまいりました。今まで低エルシン酸菜種油であるカナダに九九%まで頼って、そうして輸入をしてきた。しかし、価格問題もあって、これからはもっと中国に門戸を開いていこう、そういう点では中国に低エルシン酸の菜種ができるように働きかけをしていこうというような措置もずっと動きが始まっているわけです。そして、工業用と呼ばれる高エルシン酸の菜種油、中国から入ってきたのが一部もう転用されていっているわけです。  FAO・WHOが出した勧告というのは、相当の資料をもって、そして結論を出したものです。ヒトへの影響についてということになりましたら、これはもう大変な問題ですから、動物実験をもとにして、特に子供に影響が強いということで結論を出して、そして勧告をしているわけです。そういうことなら私は、一九七七年に出されたから八年にそれに従わなかったらけしからぬとは言いませんよ。さっきから聞いていると、大半がカナダの菜種なんだから、そういうふうな事情の中でこの勧告が少しのんきに受けとめられたということ、わからないでもありませんよ。しかし、今日こういう事情の中では、その辺をもっと真剣に考えないといけない。現にアメリカでもそうしているじゃありませんか。
  215. 玉木武

    ○玉木説明員 アメリカがつくりましたGRASの基準というものは、これは一種のリコメンデーションでございます。罰則がついておりません。先ほどから先生指摘のように中国産が漸増しておる、また工業用に使うということは言っておるが、一部食用にも転用されているかもしれない、こういうような農水の方の御答弁もございましたので、どういうような中国産のものが一般的な食用として使用されているかの情報を農水の方からいただきたいと考えております。  さらに、このエルシン酸の含量についてガイドラインを作成しまして、都道府県を通じて食用油脂製造業者指導してまいるということを近々のうちに検討してまいりたいと思います。
  216. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、大臣、輸入の問題というのは常にこういうことがつきまとうのだということを、ひとつ肝に銘じておいていただきたいと思います。ありがとうございました。
  217. 竹内猛

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十五分散会