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1985-07-09 第102回国会 衆議院 農林水産委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年七月九日(火曜日)     午前十一時十一分開議 出席委員   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 玉沢徳一郎君 理事 小川 国彦君    理事 田中 恒利君 理事 武田 一夫君    理事 神田  厚君       大石 千八君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    菊池福治郎君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       野呂田芳成君    松田 九郎君       山崎平八郎君    若林 正俊君       五十嵐広三君    上西 和郎君       串原 義直君    島田 琢郎君       新村 源雄君    日野 市朗君       細谷 昭雄君    松沢 俊昭君       駒谷  明君    斎藤  実君       水谷  弘君    吉浦 忠治君       稲富 稜人君    菅原喜重郎君       津川 武一君    中林 佳子君  出席国務大臣         農林水産大臣  佐藤 守良君  委員外出席者         外務省経済局国         際経済第一課長 小川郷太郎君         大蔵省主計局主         計官      竹内 克伸君         農林水産政務次         官       近藤 元次君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房長      吉國  隆君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         農林水産省経済         局統計情報部長 大坪 敏男君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省農蚕         園芸局長    関谷 俊作君         農林水産省畜産         局長      野明 宏至君         食糧庁次長   山田 岸雄君         農林水産委員会         調査室長    門口 良次君     ————————————— 委員の異動 七月九日  辞任         補欠選任   松沢 俊昭君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     松沢 俊昭君     ————————————— 六月二十五日  一、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正    する法律案内閣提出第八三号)  二、農産物の自給の促進及び備蓄の確保のため    の農業生産振興に関する法律案安井吉    典君外八名提出、第百一回国会衆法第二八    号)  三、総合食糧管理法案安井吉典君外八名提    出、第百一回国会衆法第二九号)  四、農民組合法案安井吉典君外八名提出、第    百一回国会衆法第三〇号)  五、流通食品への毒物の混入等防止等に関す    る特別措置法案宮崎茂一君外四名提出、    衆法第一八号)  六、地域林業振興法案島田琢郎君外八名提    出、衆法第二〇号)  七、鶏卵の需給の安定に関する法律案島田琢    郎君外四名提出衆法第三八号)  八、採卵養鶏業への農外企業者等の進出の規    制等に関する法律案津川武一君外一名提    出、衆法第三九号)  九、農林水産業振興に関する件  一〇、農林水産物に関する件  一一、農林水産業団体に関する件  一二、農林水産金融に関する件  一三、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(昭和六十年産米  穀の政府買価格等)      ————◇—————
  2. 今井勇

    今井委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、昭和六十年産米穀政府買い入れ価格米価審議会への諮問及び昭和五十九年産米生産費統計調査結果について政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長
  3. 山田岸雄

    山田説明員 それでは、昭和六十年産米穀政府買い入れ価格につきまして、本日米価審議会諮問させていただきましたので、その諮問内容につきまして説明させていただきます。  お手元資料をお配りしておりますが、その資料の「諮問」と「諮問についての説明」につきましてまず朗読させていただきます。      諮  問  昭和六十年産米穀政府買価格について、米穀需給均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考慮し、農家経営事情にも配慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める。  昭和六十年七月九日         農林水産大臣 佐藤 守良次に、「諮問についての説明」でございます。  米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産確保を図ることを旨として定めるしとになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式により行ってきたところであります。  米穀政府買価格につきましては、近年の米穀需給事情を考慮して、昭和五十三年産以降抑制的に定めてきたところであります。また、一方で水田利用再編対策及び米消費拡大対策を中心とする各種施策を通じて米需給均衡を回復するための努力が続けられております。  しかしながら、米の需給は、米の消費が依然として減少傾向にある一方、潜在生産力は高水準で推移しており、生産調整を行わなければその需給均衡を図れないという状況にあります。  また、米管理にかかわる財政負担につきましても、これまでその節減合理化に努めてきましたが、今後とも努力していく必要があるものと考えられます。  今後の米の管理におきましては、以上のような事情を踏まえ、ゆとりある米管理と三度の過剰の発生防止との両面に留意しつつ、米の安定供給を図っていく必要があるものと考えております。  一方、特に本年においては、昨年は豊作となったものの、農家経済を取り巻く厳しい諸事情の下で、四年連続不作農家経営意欲に及ぼしている影響に配慮するとともに、米穀価格水準安定性確保することも必要であると思われます。  本年産米穀政府買価格につきましては、現下米穀需給事情に即応しつつ生産費及び所得補償方式により算定し、これに以上の事情総合勘案の上決定することとしてはどうかということであります。次に、お手元にお配りしました「昭和六十年産米穀政府買価格試算」、それについて説明させていただきたいと思います。  資料説明に入ります前に、算定基本的な考え方についてお断りしておきたいと思います。  基本的な考え方として、本年産米におきましては、昨年五月の米価審議会において採択されました米価算定に関する米価審議会委員会報告の趣旨及び前広米審での御論議をも踏まえまして、基本的に昨年と同様の方法により算定を行っております。  すなわち、算定方式といたしましては生産費及び所得補償方式によることといたしまして、対象農家平均生産費について、物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえをし、この評価がえ生産費平均単収で除して、後ほど説明させていただきます求める価格算定しております。  具体的な算定につきましての主要な点について申し上げますと、まず、生産費対象農家につきましては、生産調整を行わなければ需給均衡が図れないという現下の米の需給事情米価算定に反映させることとし、生産費対象農家として、農家生産費の低い順に並べて、その累積生産数量比率潜在生産量に対する需要量比率、この比率は八三%になりますが、になるまでの農家をとっております。ちなみに、昨年適用いたしました比率は八二%でございます。  その場合、この比率を求める際の需要量につきましては、主食用等生産予定量千九十五万トンをとっております。  また、潜在生産量につきましては、第三期対策における潜在生産量は千三百七十五万トンでございますが、この潜在生産量から、昨年と同様に、生産が定着したものとして、永年性作物等について、転作奨励金が支払われなくなった後においても転作面積としてカウントする面積、いわゆる転作カウント面積と呼ばれておりますが、こうしたものや、転作定着性の高いものとして永年性作物、林地、農業生産施設用地などの面積相当分を控除しております。さらに本年は、かんがい施設が既になく、かつ客土によって形状が既に畑状になっている、いわゆる転換畑相当分も控除することといたしました。これらの合計は全体で二十七万トンに相なります。また、他用途利用米の取り扱いにつきましては、昨年の政府試算と同様に、潜在生産量から差し引いております。  次に、主な算定要素について御説明いたしますと、まず、家族労働費評価に用います都市均衡労賃とり方でありますが、基本的には五十六年度以降のとり方と同じように、常用労働者数五人以上千人未満事業所規模製造業賃金について、都道府県別米販売量ウエートにより加重平均した賃金という考え方に立っております。  その場合、この賃金をそのままとりますと、本年についても昨年と同様、比較的低い伸び率となりますので、賃金の低い伸び率をそのまま米穀に反映させますと農家所得等にも影響を与えますので、これを緩和するため、昨年の場合と同様に、米販売量ウエートとする平均賃金について労働者数ウエートとする平均賃金上昇率を用いまして調整するという方法をとっております。いわゆるこれは賃率調整と私ども呼んでおりますが、このような調整をやりまして算出されました家族労働費適用アップ率は、昨年に適用したものに対しまして二・四六%の上昇となっております。  また、自作地地代評価につきましては、昨年と同様に、固定資産税評価額元本とする土地資本利子という考え方に立っております。  その場合、六十年度は三年ごとに行われます固定資産税評価額の改定時期に当たりますことから、全体の正確な数値は来年にならないとまだわかりませんが、本年の算定では、指定市町村基準円価格の五十七年度に対する六十年度の全国平均上昇率により六十年度評価額を推計いたしまして、これを元本として算定しております。また適用利率は、昨年と同様十年利付国債応募者利回りによっておりますが、最近の利回りが低下していることを考慮し、昨年と同率としております。  このような地代についての考え方計算いたしますと、昨年の適用自作地地代は十アール当たり五千七百七円でありましたが、今年は十アール当たり六千二百三十七円と相なる次第でございます。  以上のような方式によりまして試算いたしました結果につきましては、今お手元に配付させていただいております「昭和六十年産米穀政府買価格試算」に見られるわけでございます。  第一ページの「1、基準価格」をごらんいただきますと、(1)の真ん中辺に、求める価格運搬費を足しまして計算されたものが一万七千九百十四円に相なっております。この基準価格は、前年の基準価格が(2)に書いてありますように一万八千三百九十八円でございましたので、前年を四百八十四円下回ることになりますし、率にいたしますと二・六%下回る率に相なるわけでございます。  こういう結果になりますが、私どもといたしましては、昨年は豊作となったものの、農家経済を取り巻く厳しい諸事情のもとで、四年連続不作農家経営意欲に及ぼしている影響に配慮するとともに、価格水準安定性確保することも必要であると考えまして、本年の基準価格は昨年と同額の一万八千三百九十八円とするよう試算をした次第でございます。それが第一ページの冒頭にございます基準価格一万八千三百九十八円でございます。  2で見ていただきますように、この基準価格からウルチ軟質類一等裸価格算定するわけでございますが、この価格は個別の価格を算出する際のベースとなるものでございますし、私ども通常これをへそ価格、このように呼んでいるものでございます。その計算は、昨年と全く同じ計数を使っておりまして、基準価格から一−三等の一−五類平均と三類との格差四十四円を引きまして、次に一−三等平均一等との格差を加え、歩どまり加算を控除して計算をするわけでございまして、一応計算上一万八千五百五円、こういうことに相なるわけでございます。  こうしたウルチ軟質類一等裸価格をまずベースといたしまして、二ページでごらんいただきますように、ウルチ一−五類、一−二等平均包装込み生産者手取り予定価格を算出するわけでございますが、その価格算出方法及びそれに用いました計数等は昨年と全く同じでございます。これはいわゆる基本価格と言われるものでございまして、六十キロ当たり一万八千六百六十八円に相なっておるわけでございます。  三ページにおきましては、(参考)といたしまして「類別等級別政府買価格」を掲げております。先ほど申し上げましたように、これはウルチ軟質類一等裸価格類別格差等級別格差で開いたものでございまして、その結果は昨年と全く同じでございます。  以下四ページ以降におきまして、先ほど申し上げました今年の求める価格算定につきまして具体的に説明をしておるわけでございますが、これにつきましては、時間の関係上、省略させていただきたいと思います。  以上、簡単でございますが、諮問内容につきまして説明させていただきました。
  4. 今井勇

  5. 大坪敏男

    大坪説明員 昭和五十九年産米生産費調査結果を取りまとめましたので、その概要につきまして御報告申し上げます。  お手元関係資料が配付いたしてございますので、ごらんいただきたいと存じます。  まず、十アール当たり生産費でございますが、第一次生産費につきましては十三万五千三百五十七円でございまして、対前年比で〇・五%の減となっております。また、この一次生産費資本利子地代を加えました第二次生産費につきましては十七万四千二円でございまして、対前年比〇・三%の減となっております。次に、六十キログラム当たり生産費でございますが、第一次生産費につきましては一万四千九百三十四円でございまして、対前年比一〇・七%の減となっております。また、第二次生産費につきましては一万九千百九十八円でございまして、対前年比で一〇・六%の減となっております。  このように五十九年産水稲生産費が十アール当たり、また六十キログラム当たりいずれも前年を下回っているわけでございますが、その主たる要因といたしましては、まず、従来から機械化進展等によって省力化が進んでおるわけではございますが、これに加えまして、昨年の場合、気象条件に恵まれたために、稲作の全作業過程を通じまして作業時間が減少したことが挙げられると思います。次に、肥料価格燃油価格が下がっておりますなど、資材価格が総じて安定的に推移したということもその要因として考えられるわけでございます。  さらにまた、六十キログラム当たり生産費減少率が十アール当たり生産費減少率を大幅に上回っている点につきましては、御案内のように、昨年は過去最高の数字に達しました収量増加ということによるものでございます。  次に、収益性でございますが、まず、十アール当たりの粗収益につきましては十七万七千九十六円でございまして、対前年比で一二・二%の増でございます。また、十アール当たり所得につきましては八万八千五百九十五円でございまして、対前年比で二五%の増となっております。  次に、生産費費目構成主要費目動向について御説明申し上げます。資料の二ページと三ページをごらんいただきたいと存じます。  まず、生産費費目別構成比についてでございますが、労働費が三八・三%と最も高く、次いで農機具費二九・四%、肥料費七・七%、賃借料及び料金六・二%となっておりまして、この四費目費用合計の八一・六%を占めております。  次に、十アール当たり生産費主要費目動向についてでございますが、労働費は五万四千二百十四円でございまして、前年を三・七%下回っております。これは十アール当たり投下労働時間の減少労賃単価上昇を上回ったことによるものでございます。  農機具費は四万一千六百円でございまして、前年を一・五%上回っております。これは自説型のコンバイン、乗用型トラクターなど高性能機械の導入、更新等によるものでございます。  肥料費は一万九百十二円でございまして、前年を二%下回っております。これは主として肥料価格の下落によるものでございます。  賃借料及び料金でございますが、八千七百七十二円でございまして、前年を九・九%上回っております。これは主として十アール当たり収量増加に伴いますライスセンターカントリーエレベーター等利用増加したことによるものでございます。  農業薬剤費でございますが、七千百三十三円でございまして、前年を二・四%下回っております。これは田植え期以降気象条件に恵まれまして、病虫害の発生が少なかったために、殺虫剤使用量減少したことによるものでございます。  地代は三万一千八十四円でございまして、前年を〇・四%上回っております。  次に、作付規模別生産費でございますが、十アール当たり第二次生産費作付規模別に見ますと、三十アール未満階層が二十二万四千七百四十円と最も高く、三十アールから五十アール階層が二十万一千四百十三円、五十アールから百アール階層が十八万三千二百三十六円というふうに、作付規模が大きくなるにつれまして逓減しておりまして、三百アール以上階層では十四万八千五十四円と、三十アール未満階層の六六%になっております。  このような階層間格差は、主として規模の大きい階層ほど農機具効率的利用等が行われ、稲作労働省力化が進み、労働費農機具費賃借料及び料金等費用が低下することによって生じているものでございます。  最後に、水稲作収益性でございますが、まず、昭和五十九年産水稲の十アール当たり収益は十七万七千九十六円でございまして、前年を一二・二%上回っております。これは十アール当たり収量が前年を大きく上回ったことと価格上昇によるものでございます。  また、十アール当たり所得は八万八千五百九十五円でございまして、前年を二五%上回っております。  このように所得増加率が粗収益増加率を大きく上回った要因といたしましては、費用、これは物財費雇用労働費合計になるわけでございますが、この費用増加率が一・七%程度にとどまりまして、粗収益増加率を大きく下回ったことによるものでございます。  また、一日八時間当たり所得は、労働時間の減少によりまして一万二千八百四十円と、前年を三五・六%上回っております。  四ページ以下につきましては統計表でございますので、説明は省略させていただきます。  以上でございます。
  6. 今井勇

    今井委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  7. 今井勇

  8. 今井勇

    今井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
  9. 松沢俊昭

    松沢委員 いよいよことしの米価決定の時期を迎えて、きょうから米価審議会が開かれ審議が行われることになったわけであります。米価審議会に対しまするところの諮問、先ほど説明してもらいましたが、本来的に言うならばむしろ昨年の豊作が作用して米価は引き下がるべきところを、総合勘案をして昨年と同様の価格諮問した、こういう説明でありまするが、考えてみますと、生産費及び所得補償方式という方程式で米の価格決定をやることを決めたのが昭和三十五年であります。それ以後その算定方式の中身をときどき変えながら、あるときにおいては引き上げなければならない、あるときにおいては引き下げなければならないという、政治意図によって上げたり下げたりしてきたというのが今までの歴史であるわけであります。  これは農協の資料によるわけでございまするが、昭和五十二年から他産業賃金は四七%も上がっている、そして物価は三〇%上昇しています。だけれども米価は昨年までには八%しか上がっていない。だから、今、去年の作がよかったということによって米価引き下げが行われたり、あるいはまた、それじゃ気の毒だからといって据え置きをやるというのは、私たち生産者の立場から見ますとはなはだ理解に苦しむところでございます。  そういう点で、責任を持って諮問されましたところの大臣のお考えは一体那辺にあるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  10. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松沢先生にお答えいたします。  本年産米政府買い入れ価格につきましては、四つの考え方基本に総合的に勘案したということでございます。  その一つは米の需給の問題でございます。これは米の需給均衡努力がされておりますが、米の消費は依然として減少傾向にございます。また、潜在生産力は高水準に推移しておるということでございまして、生産調整を行わなければその需給均衡を図れないという状況にあるということです。  それから、米管理に係る財政負担につきましても、これまでその節減合理化に努めてまいりましたが、今後とも努力していく必要があると考えております。  また、本年においては、昨年は豊作となったものの、農家経済を取り巻く厳しい諸事情のもとで、四年連続不作農家経営意欲に及ぼしている影響に配慮し、また米穀価格水準安定性確保することも必要である、そういうことを総合的に勘案しまして据え置くこととしてはどうかと考えておるところでございます。  今後、本日及びあすの米価審議会意見を十分お聞きして、関係各方面と調整の上、適正に決定してまいりたいと考えておるわけでございます。
  11. 松沢俊昭

    松沢委員 私はそういうお話を聞こうとして質問しているわけでございませんで、要するにほかの賃金が四七%も上がっており、物価も三〇%も上がっておる、こういう統計もあるわけであるにもかかわらず、米価だけがなぜわずかに八%しか今まで上がっていないのだ。  結局、具体的に申し上げますならば、稲作後継者なんというのは、ほとんど今は新卒の中には出てこないというところの状態ではないかと思われるわけです。政府統計からいたしましても、四百六十万戸を切りますか、そういう農家戸数があるにもかかわらず四千七百人ぐらいしか新卒後継者にならぬという状況になっているでしょう。それは、稲作ということになるともっと薄くなってしまうのですね。  それは一体どういうことかということになりますと、今のように、よその産業労働賃金が上がっておるにもかかわらず、幾ら汗をかいてやっても米価だけは上がらないということになれば、それで食べるというわけにいきませんから、みんな兼業化の方向に行ってしまうということじゃないのですか。しかも日本農業というのは米作が一つの屋台骨になっているわけでありますから、これがつぶれるということになりますと農業全体がつぶれてしまうということになると思います。  それからもう一つの問題は、よその国の穀類自給率比較をしてみましても、サミット参加国との比較からいたしますと、最低が日本ということになっているわけですね。でありますから、自給率を引き上げるという意味からいっても、今のような価格政策というのは大変問題があるのじゃないか。  そこへもってまいりまして、きょうもまた副本部長会議を開かれるということをテレビ、新聞で聞いているわけでありますけれども自由化品目をもっと拡大するとか、あるいはまた関税の引き下げをやっていくというようなことになれば、これは米だけでなしに、その周辺が全部弱くなっていくわけでありますから、全体的には日本農業というのが壊滅的な状態に入るという見通しさえつけられるところの状態になっているのじゃないか。  だから、ことしの米価というものは、ただ単に何%上げるとかという問題ではなしに、根本的に今までの農政というものを振り返って検討して、あしたの日本農業というものが再建できるような諮問をすべきなんじゃないか。今のような据え置きのような状態ではその役割を果たさぬ、私はこういうふうに確信を持っているわけでありますが、大臣は私の考え方についてどのようにお考えになっているか、それを聞いているわけなんであります。
  12. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松沢先生にお答えいたします。  農政という大きな問題については、先生の御卓見をいつも承っているわけでありますが、私は、基本海には今の農政につきまして、特に土地利用農業につきましては、価格政策、それから構造政策では、正直、不十分じゃないかと率直に思っております。そういう形の中で、私、いつも言っておりますが、バイオテクノロジー、ニューメディア、こういうものを駆使した生産性向上を図るということで、明るい農業の展望を築くという方向へ持っていきたいと言っているのです。  それから、先生の今おっしゃる点につきましては、一応米の需給関係が大きな基礎になっている、こういうふうに理解しておるわけでございます。
  13. 松沢俊昭

    松沢委員 もっと今までの農政の経過というものを具体的に数字で申し上げますと、国家予算は、昭和五十六年から見ますと、昭和五十六年では四十六兆七千八百八十一億円、その中で占めるところの農林予算というのが三兆六千九百二十五億円、こういうことになっておりまして、これが七・九%という割合になっているのですね。それが今度六十年になりますと、総予算というのは五十二兆四千九百九十六億円、農林予算というのが三兆三千八億円ということで、これは六・三%。だから毎年下がってきて、とうとう六十年におきましては六・三%まで下がっている、こういう状況であるわけですね。  その中で食糧管理状況を見ますと、食糧管理は、過剰米の補てんだとか水田再編の対策費、これは一たん棚上げをしまして、純粋な食糧管理の面だけを取り上げてみますと、これは昭和五十年では農林予算の中で三四・六%だったのですね。それが昭和五十六年になりますと、約半分の一五・四%。それから順々に減ってまいりまして、ことしの予算なんか見ますと一〇・五%ということになっているわけです。  結局、これを説明すれば、国家予算は緊縮緊縮と言っているけれどもやはりふえておりまして、その中で農林関係の予算というのは縮小されている。そうすると、農林関係の中で、農林省の中でどうするかということになりますと、結局食糧管理の方に全部しわを寄せて、そして今までやってきたわけなんでありまするけれども、もうここまで来るとそれもできなくなってきているというところに問題点が私はあると思います。これがやはり今までの日本の農政の経過であったのじゃないか。これをまだ進めていきますと、結局今度は食糧管理という制度そのものの根幹に触れるということになってくるのじゃないか、こう思うわけであります。  今、赤字の解消ということが盛んに言われておりまするけれども、もう既に一・九%になっておるのじゃないですか。でありまするから、ゼロないし順ざやという状態になれば、実際上もう食糧管理というのはできなくなってしまうのじゃないか、私はそう思うのです。既に山形のやみ事件というのがございましたですね。あれは山形の、あそこだけの問題ではないわけなんでありまして、あれば氷山の一角で、日本全国どこにもああいう状態というのが出ていることは、食糧庁の皆さん一番おわかりのはずなんであります。  だから、今の状態ではやはり食糧管理が非常に困難になってきている、そういうことでありまするから、食糧管理をちゃんとやれるような、そういう体制をつくるためにも米の値段というのは考えていかなければならぬじゃないか、こんなぐあいに私は考えておるわけなんであります。そういう点で、大臣はどうお考えになっているのか。
  14. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 松沢先生にお答えいたします。  近年の農林水産関係予算におきまして食糧管理減少額は他の項目に比べて大規模となっておりますが、これは私は基本的には四つの理由によるものと思っています。その一つは、米の売買逆ざやが縮小してきたこと。それから、五十−五十三年産米に係る過剰米処理が計画的に進展し、これに要する金利、保管科等が順次減少したこと。三つ目は、事務、人件費等の管理経費の節減合理化に努めたこと。もう一つは、水田利用再編対策転作奨励金の見直しを行ったこと等に加えて、五十五年から五十八年産米不作による買い入れ数量の減少があったことによるものであり、農林水産関係予算全体の編成のために食糧管理の経費を特に削減したということはございません。  また、食糧管理制度は、これは先生も御存じのとおりでございますが、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによって、国民の必要とする米を消費者に対し安定的に供給するという重要な役割を果たしてきておるわけでございます。したがって、今後とも管理経費の節減合理化に努めつつ、食糧管理制度の円滑な運営に必要な予算につきましてはこれを確保してまいる所存でございます。
  15. 松沢俊昭

    松沢委員 大臣、あなたは一番まじめに仕事をおやりになっているというふうに私は理解しておるわけでありますが、今御答弁されたのはやはりお役人さんが書いたものを読み上げられているような気がしてならぬわけです。私が腹を割って質問しているわけですから、もっとあなたの方でも腹を割って答弁してもらわなければ、これは話にならぬと思います。  そこで、時間がありませんからあれですけれども、米の価格という問題が、私が申し上げましたような状態で推移しているということだけはひとつ本当に腹の中におさめて考えていただきたいということであります。  それから、今米価とともに生産農家が関心を持っているのは良質米奨励金、これが一体どうなるんだろうかということがやはり非常に気にかかっているわけでございます。そこで、良質米というのは、いろいろここに計算した例がございますけれども、奨励金があれば良質米はつくるけれども奨励金がなければつくりにくい、単収もないところの良質米よりも多収穫米をつくった方が結果としては反当たり収量が余計になるということになるわけですね。でありまするから、やはり国民のニーズにこたえるというためにはどうしても良質米奨励金というものを今まだ確保していかなければならぬじゃないか、こういうぐあいに考えます。  それからもう一つは、自主流通米というのは間接管理なんでありまするが、しかしそういう奨励金を政府の方で出しているからその自主流通米というのは政府に登録されるわけでありまして、もしもこれを切ってしまえば、これは政府に登録しないで勝手に売りまくるという問題も出てくると思うのです。そうなった場合、先ほども申し上げましたように、この食糧管理というものは全く守ることができない、こういう状態にも入ると思いますので、その点、奨励金はことしはどうするのか、はっきりしていただきたいと思うのです。
  16. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  良質米奨励金につきましては、経費がかかるとか、また単収が少ない、こういう実態もございまして五十一年から交付されるようになったことは御案内のとおりでございますし、また、良質米奨励金の奨励が今後とも必要だというふうなことにつきましては、私どもも変わりない、こういうふうに思っておるわけでございます。  今、先生御指摘のような、例えば多収穫の品種に移行するとか、また、不正規流通が増大するとか、こういったことはぜひとも避けてまいらなければならない問題だ、こう考えておるわけでございますが、特に近年、自主流通米の生産者の手取り価格が着実に増大しておるということとか、また、五十九年産につきましては需要よりも供給が多少オーバーぎみになっておりまして、五十二年、五十四年に値引き売却をするといったような状態が見られましたけれども、そういった状態までいっているかどうか、そこまではいってないんじゃないか、こういう見方もあるわけでございますけれども、一部荷もたれもしておる、こういったいわば自主流通米の流通につきまして事情が変わっておるようなことでもございますので、私ども、先ほど先生御指摘のようないろいろと問題に至らないような方向で、良質米奨励金につきまして現在いかように取り扱えばいいか、こういうことを検討さしていただいているような次第でございます。
  17. 松沢俊昭

    松沢委員 もう時間がございませんから終わりますけれども、良質米奨励金というのは米価審議会諮問事項ではございませんですけれども、しかし毎年、米価審議会が開かれているうちに政府の態度ははっきりしてきたわけです。  それで、今回の場合におきましては、今、山田次長が答弁されましたように、検討中だ、こういうことでございまするけれども、全国の生産者が、どうなるかということで大きな関心を持って米価審議会の会場に集まっている、こういう状況でございますので、米価審議会で答申が行われるまでの間に、大臣の方としてはことしの良質米奨励金等はこのようにしてやるんだという方針を明らかにしてもらいたい、こう思いますのですが、大臣どうでしょうか。
  18. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  大体きょう、あしたに米価審議会基本米価の答申をいただくことになっております。答申が出ましたら、十一日に基本米価と並行して良質米奨励金の問題を決めたい、こういうように考えております。
  19. 松沢俊昭

    松沢委員 とにかく私が申し上げましたように、今、日本の米作は本当に倒れるか起きるか、その岐路に立っているわけでありますから、大臣からしっかりとして価格問題につきましても取り組んでいただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  20. 今井勇

    今井委員長 次に、田中恒利君。
  21. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣松沢委員の方から御質問したのと同じような趣旨になる面が多いと思いますが、今、全国の農業者を中心に、ある意味ではことしの生産米価決定をめぐって国民が注目をしておるわけであります。しかし私は、この委員会でこれまでしばしば大臣ともさまざまな農業、農政問題についで議論をしたことを通しで御承知のように、異常な事態、我々農村問題に携わる者としては深刻な危機感というものを持っておるわけであります。  そういう事態の中で米価決定しようとしておるわけでありますから、あなたの置かれた立場はよくわかりますが、ひとつ腹を割って率直に農林大臣意見というものを私どもにお示しをいただきたい。  あなたは今まで、米の値段は安い、こういうふうに言われておった。私も何遍かお聞きした。私も全くそう思うのですよ、正直言って、米の値が高いと昔言っておったが、今私たちが新幹線や汽車に乗ったら、米をごっぽり盛っておってあれは百五十円ですね。食堂車で飯を食ったら大体二千円くらいかかりますけれども、野菜は四百五十円から五百円、肉は七百円、米は百五十円。我々がその食事をする胃袋の価値観というのは、米が半分なり六割なりというのが気持ちの中にはあるのですよ。価格はべらぼうに安いと思うのですね。  私は、米は安いということを農林大臣はもっと大胆に強くこの機会に国民に対して訴えていただきたいと思っておりますが、農林大臣がきょう出された審議会に対する諮問米価は昨年と同じ、こういうことのようでありますが、このことについて大臣はどういう気持ちで出されたのか、お気持ちをまず伺いたい。
  22. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 田中先生にお答えします。  実は今度の基本米価諮問案につきまして、昨年と同じ生産費所得補償方式でやればマイナス四%、四%引き下げである、それは私の持論としては——というようなことで、特にこの点についてはかなり厳しい状況でございましたけれども、みんなで一緒に努力しまして据え置きに決めてきょう諮問したということでございます。
  23. 田中恒利

    田中(恒)委員 今話を聞きますと、あなたのところで諮問説明をやっておるけれども、これは作文としてはすらすらと書いておりますけれども、私はこういう形には受け取っていない。  例えば、「米の需給は、米の消費が依然として減少傾向にある」、こう書いておりますね。減少傾向にあることは統計上は出てきておりますけれども、一昨年から昨年、昨年からことしにかけて、米の消費減少傾向が非常に微減、今までのような方向で下がっていないですね。正直言って、あなた方食糧庁の専門家に聞くと、大体この辺で底だ、これからはむしろ日本型食生活を農政の手法として上向きに持っていく、こういうことを我々はしばしば聞いておるのです。そういう意味では、必ずしも今までと同じような論調で考えられては困るということはあります。  潜在生産力が多いと言っておるが、潜在生産力という言葉をあなた方使われたわけだけれども、何だ、これは。こんなものはないのでしょうが、現実に減反をやっておるわけですから。米の収量はあるので、米価計算を下げなければいけないということであえてこの潜在生産力というものをとったので、今、潜在生産力というのは一体どうだと言われたら、あなた方は千三百七十何ぼですか、正確な数字まで覚えていないけれども計算しておるけれども、そんなものの根拠はないのですよ。これは架空のものなんですよ。そんなものを諮問説明の中に出していくことも私は納得いかないのだ。  財政負担の問題も出されておるけれども財政負担はどうですか。生産米価を据え置いて消費米価を上げていったから、食管の財政負担は急速にあれして、逆ざやなんかは実質的にもうなくなってきておるじゃないですか。そういう状況の問題を「諮問についての説明」の中に麗々しく載せて納得させようといっても、なかなか納得できないですよ。  今もお話がありましたけれども、実際問題としての米価計算は、私ども大変長い間取り組まさせてもらったけれども、わからなくなってきたのです。そのときそのときで数字をいじってくるものだから非常に複雑怪奇な算定方式になってきておるわけですね。  大きく言えば、長い間、この数年間続いてきた稲作の不安定な状況の中で不作ということが言われてきたけれども、たしか昭和五十六年であったと思うが、賃金とり方を根本的に、根本的とは言いませんけれども、相当変えましたね。これでたしか一一%以上上がる米価を〇・四、五%台に抑え込んできた。翌年もまたいけないということで、五十七年産米のときに対象農家をまた切りかえてきたのですね。それで、一〇%上がるものをこれまた〇・何%と抑えてきた。そういうやり方で、今さっきお話があったように、物価が三〇%上がり賃金が四七、八%上がって、米価は八%しか上がらない、こういう状態がこの七、八年続いてきたでしょう。そういう状態を見て佐藤さん、あなたは米価は安い、こうおっしゃるのだと私は思う。私どももみんな同じなんですよ。  だから、ことし生産費が一〇%上がれば諮問は一〇%上がらなければいけないけれども、そうじゃなくて据え置きになった。それは今までの経過を見て考えたら、今二・六%、四百八十四円というのが生産費の正確な数字ですね。それは当たり前なことで、今まで都合の悪いときには、抑えるために削るところを削っておって、生産費がちょっと安くなったということで米価をまた下げる、こんなことをやったら一体何をよりどころにして米の値段を決めてきたのかということがはっきりしないと思うのです。  いずれにせよ、私は、こういう形で毎年毎年米の算定方式をいじっていく、こういうやり方はまずいと思う。極めて単純明快に、生産費が上がれば米は上がっていくし、生産費がもし下がれば下がっていく、こういうルールをつくっていいと思うのです。そういう意味で、米価算定方式というものをこの際根本的に初めからやり直すというか、今までのルールにとらわれないでもう一遍考え直していく御意思があるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思うのです。
  24. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  先生御存じのとおりでございますが、米価算定方式につきましては、一昨年の十月から昨年の五月にかけまして米価審議会の中に設けられました算定委員会の場で検討が行われ、生産費及び所得補償方式を維持するという考え方に立ちましてその安定的な運用を図っていくことが適当であるとの結論を得ました。そんなことで、本年も昨年と同様、この報告の趣旨を踏まえて米価算定を行っているところでございます。
  25. 田中恒利

    田中(恒)委員 米価審議会の中の算定委員会でいろいろ議論されておることは承知しておりますけれども、実際問題はやはり食糧庁の方で細かい数字をはじいて算定方式を含めて進めておるわけなんで、これまでの米価の——きょうは時間がないから細かいこと昼言えぬわけですけれども、労賃のとり方にしても対象農家とり方にしても、私は基本的に大きな問題があると思うのです。そういうものを団体などの方からも毎年毎年こういうふうにしてくれと言ってきておるわけですが、そういう要素を取り入れていくような気構えで臨むという気持ちになっておりませんか。
  26. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 今先生が申されたとおりでございまして、やはり算定委員会で出ました結論に基づきまして、ことしも御報告の趣旨に沿って米価算定を行いたいと考えております。
  27. 田中恒利

    田中(恒)委員 今、一・九ほど売買逆ざやがあるということになって、非常に縮まっておるわけですけれども、この逆ざやはこれから大臣はどういうふうに考えられますか。  この逆ざや、大分縮小してきたのですけれども、実質は恐らく政府管理米以外の自主流通米なり自由米なりを入れるともう逆ざやはなくなっておると思う。政府管理米でも多分一類などは逆ざやは解消していると思うのです。だから、逆ざやがこんなに縮まってきておるというところに、これから若干申し上げたい自主流通米なりやみ米の問題と絡んでくるわけでありますけれども、逆ざやの問題についてはどう考えておられますか。
  28. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  売買逆ざやは、それ自体、財政負担要因となるばかりでなく、物の価格のあり方として本来不自然な姿である、こう考えております。そんなことで、食管制度を健全に運営していくためには、その解消に努める必要があると考えております。  ただ、本年二月の政府売り渡し価格の改定によりまして、先生御存じのことですが、一−五類、一、二等米の売買逆ざやは六十キロの場合は三百四十一円となり、類別に見れば一類は順ざやでございます。二類はほぼ解消、三−五類においてなわ逆ざやが残っているという状況にあり、売買逆ざやはおおむね解消の域に達している、こう考えております。  そんなことで、今後は改正食管法の趣旨を生かした適正な制度の運用を図ることが重要であると考えております。
  29. 田中恒利

    田中(恒)委員 逆ざやをどうしていくかということが——今の米の流通は政府管理米が半分、自主流通米が大体半分ですね。実際はそのほかに自由米、つまりやみ米がありますから、恐らく政府管理米は半分以下で、やみ米を入れると過半数は自由米と自主流通米になっておると思うのですね。この自主流通米とやみ米の関係は逆ざやの問題と絡んで価格形成が出てくるわけでありますよ。ですから、逆ざやをこういうふうに圧縮していくということが果たして新しい食管法の建前からいって妥当なのかどうか、これは十分検討してみなければいけない、逆ざやをどうしていくかという問題についてこれから究明をしていかなければいけないと私は思っているわけです。  この際、自主流通米と政府米とやみ米、この関係、そしてこのウエートをどういうふうにこれから米流通の問題点として握っていくというか取り組んでいくという考えに立っておりますか。
  30. 山田岸雄

    山田説明員 今先生の御指摘は、政府米と自主流通米さらには不正規流通米、やみ米のウエート関係をどういうふうに考えるかということではなかったかと思うのでございます。  政府米と自主流通米につきましては、先ほど御指摘のように、自主流通米は主食用の大体四割強に現在なっておるわけでございまして、この辺の自主流通米のシェアにつきましては、ときどきの流通の事情需給事情、こういうものによって多少変動があろうかと思うのでございます。今年の場合を見てみますと、現在、先ほど申し上げましたように、自主流通米の供給が多少オーバーぎみになっておりまして荷もたれしておるといった実態から見ますと、自主流通米の需要量といいますのはやはり三百万トンを下回ったような状態がふさわしいのではなかろうか、こう見られるわけでございます。  なお、やみ米につきましては、事の性格上、これがどの程度かということが非常に把握しにくいわけでございますけれども、こうした不正規の流通につきましては、私どもできるだけ流通秩序を回復し、またそれに関係するところの集荷業者なり販売業者なり、両面にわたりまして活発な商活動を通じて適正な流通面にすべてのお米を乗っけていただく、こういう方向で今後とも指導し、またそういう措置を講じていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
  31. 田中恒利

    田中(恒)委員 私は、食糧管理制度、食管制度というものが、今のこの形で、あなた方が進めてきたような方向で行ったら実質的に空洞化してしまうのじゃないか、こういう心配を持つものであります。食管制度をきちんと守っていくためには、今のように、米の流通組織というのが、極端に言えば今申し上げた政府米、自主流通米、自由米の一つの混合流通、こういう形になって、しかも類別に品質別のメカニズムというものがつくられて、そこに競争原理というものを導入してあなたの方で米の需給操作をやっていらっしゃる、こういう形がいつまで現行制度堅持といったような言葉と結びついていくのか、非常に不安に思っております。そういう意味でも重ねてこの際、政府管理米と自主流通米の相関関係というものについて十分検討していただきたい。  最近、特に昨年豊作ということで自主流通米が卸段階で荷もたれをして、極端に言えば値崩れがするのじゃないかという心配もあるし、現実に全農と業者団体との間で、自主流通米取り扱いの問題で若干対立というかトラブルのようなものも出てきているという状況ですね。こういう中でことしの自主流通米の奨励金を削減する、こういう方向が投げかけられてきておるわけです。そういうものをやっていくと、今の形ていけば、やみ、不正規米流通の方向へ恐らくこれはなだれ込んでいくと私は思いますよ。  ですから、不正規流通という問題を、相当多いと思っておりますが、このままにしておくと食管制度は実質的に崩れてしまいますし、さらに良質米志向という一つの国民の志向の方向にも対応しなければいけないわけでありますから、奨励金の削減の問題については私どもの党もことしの米価決定の問題の中で非常に重要な視点で取り上げているわけですよ。  大臣は、十一日ごろまでにこの問題も一緒に決着するという意味の御発言があったわけですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
  32. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 良質米奨励金につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、昨年の米価決定時の経緯を踏まえまして、今後とも協議、調整し、基本米価決定とあわせて決定することといたしたいと考えておるわけでございます。
  33. 田中恒利

    田中(恒)委員 昨年の米価決定の経過にちなんでとはどういうことですか。
  34. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  昨年の米価決定時におきまして、今後の自主流通米の健全な発展を図る観点から、流通の実態を十分見きわめながら、その節減合理化について検討するということもございますし、また臨調あたりからも、御案内のようにいろいろと論議や答申が出ておるわけでございまして、そういう点を踏まえまして、さらに最近におきます実情をも勘案して私ども結論を出したい、こう考えておる次第でございます。
  35. 田中恒利

    田中(恒)委員 それはどこでそういう検討をするということを言われたのか。私らが聞いておるのは、政府と与党との関係で何かそういうものがあったというふうに聞いておりますけれども、御承知のように、昨年に比べてことしは自主流通米が非常にやりにくくなってきておる、これが実態ですよ。自主流通米に対する生産を拡大していくというような方向は厳しくなって、自主流通米の伸びがとまってきておる。逆に値崩れの可能性があるし、この奨励金は農民の手取り米価になっておるわけでありますから、そういう諸君に対しては非常に大きな影響を与えるという状況になっておるわけですね。それが実態だと思うのです。ですから、これをことしいじるとかどうするということはあり得ないことだと思いますが、大臣、どうですか。
  36. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、自主流通米にかかわります生産者手取り額は着実に増加している一方で、その流通量も増大しているという状況にございます。五十九年については、特に先生お説のように、作柄がよかった等の理由から、いわゆる需給環境も大きく変化しまして、一部荷もたれの状況も生じております。  このような事情を踏まえまして、自主流通米については需要に見合った供給を安定的に維持し、自主流通米制度の健全な発展を図るという観点に立って今回良質米奨励金の見直し検討を行っておるところであり、これにより不正規流通が増加するようなものであってはならないと考えております。
  37. 田中恒利

    田中(恒)委員 大臣の今の計数は去年までの計数なので、ことしの自主流通米の動きは今までとちょっと様子を変えておるということだけをこの際指摘しておきたいと思います。  時間が参ったそうでありますから、量後に一つだけ大臣の御意見をお聞きします。  他用途米でありますが、これは去年大分こたごたしたわけでありますけれども、やはり他用途米用の規格を設定すべきではないか、こういう声が非常に強かったと思うし、そのための必要な研究をされたやに聞いておるわけでありますが、本年度の他用途米についてはどのような規格なり基準なりで進められていくのか、最後にお尋ねをしておきます。
  38. 山田岸雄

    山田説明員 技術的な点もございますので、私から答えさせていただきます。  他用途利用米の新しい規格をつくれ、こういう御要望は昨年他用途利用米制度を導入した時点から非常に強いものがございましたので、私ども生産者団体、流通関係の団体の方々、広範な学識経験者ということで関係者に集まっていただきまして、適切な規格ができるかどうか、またその規格が、生産者及び実需者双方が非常に便利なものとして、円滑な流通を図り得るものとして期待され得るかどうか、こういう点について技術的な面またほかの実務的な面、こういった各般の検討をいたしてまいったわけでございますが、現在におきましては、なおそうした規格というふうなものにつきまして結論が得られなかったような状態でございまして、今年度におきましては昨年と同様に扱わざるを得ないのじゃないか、こういう結論に達しておるわけでございます。  なお、将来の問題といたしましては、新しい超多収穫の品種等も出回るというふうなことも期待されますので、新しい規格をつくり得るかどうかについては今後ともいろいろと検討を深めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  39. 田中恒利

    田中(恒)委員 時間がなくなりましたから終わらせていただきますが、大臣、いずれにせよ米価はこの数日中に決定をするのだと思う。諮問米価は昨年同様という諮問をせられたわけでありますから、おおよその見当も立つ。そして、現実に生産農家の皆さんは、毎年毎年繰り返される米価運動の結論を、正直言って田んぼの中や地域の中で知っておるのですよ。私は、そういう形の米価の取り組みというものは余り好ましくないと思います。正々堂々と米の生産費とその他を勘案してすっきりと決めていく、本来こういう仕組みをつくらないと、正直言って米価劇とか、また芝居をやっているとか、我々も含めてそんなふうに言われる、こういうことのないような米価決定の筋道をつくるということは非常に大切な問題のように思います。この点を強く主張いたしまして、質問を終わります。
  40. 今井勇

    今井委員長 次に、武田一夫君。
  41. 武田一夫

    ○武田委員 大臣に質問します。  今回の諮問大臣、これで満足に思うか、私は大臣とずっとおつき合いしてきて、農家をだれよりも大事にして、日本農業をだれよりもおもんばかる発言や態度にいつも接してきたのでございますが、今回のこの諮問を見て、私、これは大臣の本心でないと思うのですよ。大臣、これで農家の、特に稲作農家、そして専業中核農家の皆さん方が果たしてこれから安心して必置きなく生産に励めると思っているかどうか、まず最初に所見を聞きたいと思う。
  42. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 武田先生にお答えいたしますが、ことしの米価算定につきましては大変厳しい状況であるということは、先生も御存じのとおりでございます。  そんなことで、いろいろな意見がございましたが、私はいつも言っている二つの点に配慮した。一つは再生産確保すること、もう一つ農家の皆さんに明るい展望を開くような米価をつくりたい、こんなことで最善の努力をした結果がきょうの基本米価でございます。
  43. 武田一夫

    ○武田委員 これが最善だとすれば、力出し惜しみの最善だと私は思うのですよ。今まで私は毎年のように米価の運動に、あるいはこの委員会で質問してきたのでありますが、苦しい中で大変な苦労をしてきた方々に対する配慮というのが全くない。  その証拠に、米審が始まる前からとにかく新聞で随分書かせましたね、据え置きあるいは二、三%引き下げ大臣も相当この委員会で厳しく指摘された。そしてもう世論を構成しちゃって、米審委員の皆さん方の頭の中には、もう恐らく多くの方々にはそういう理論、思想構成がしみついている。私は、これから米審というのは都会でやらぬで、農村の現場に来てやってもらった方がよほどいいと思う。  その証拠に、これまで大体六、七年、事実上米価は据え置きです。例えば一番上がったときでも、五十五年から五十九年まででわずか二・三%です。過去四年間の冷害不作のとき、米がとれない、もう天候にやられ、冷害にやられたとき、そのときでさえも〇・五%や一・一%、一・七五%ですよ。こんなのは上げたことにならぬ。現地では据え置きでなくて引き下げ。  ところがどうですか、わずか去年一年ですよ、豊作になったからといって、途端に鬼の首でもとったように引き下げ。何でこういうときに、今までの四年間の苦労、農家経済の厳しさを踏まえたときに、一年くらいそういう収量が多くて農家経済をよくしたとしても、これは次の農業へのステップとしてそれくらいの余裕は持たしておくのだ、ことしも多少でも上げてやって、そしてそこに活力を与えて、それでもっと頑張ってもらうという考えが出てこないのか。  すべて臨調や大蔵省の言い分に従って、食管赤字を解消せよとか、逆ざやを全部なくせとか、財源の不足の三兆七千億、その分を補うために農林予算が一番の手ごろなカット部分であるということを平気で言わせていることが、私はまことに、農林省として最善の努力を尽くしたとはいえない。新聞に、そういう厳しい抗議をして、総理に食らいっき、大蔵大臣に食らいついたという話は一言も出てない。どうですかその点、それでも最善だと言えるかどうか。  私は、大臣のこれまでの言動からいって、これはまことに残念至極、この際、この諮問は撤回して、農家が要求している、本当に昨年よりも少ない米価要求ですよ、四・九五%といっても実質昨年の要求よりもぐんと少ない。それは農家の皆さん方も昨年は豊作であったということを考えての、要するにきちっとしたそういうデータの中から出しているわけです。それをこんなに低い値で、問題じゃないでしょうか。  私は、農家の皆さん方に本当にこれから一層頑張っていただかなければならない。これから三期以降の政策もございます。こういうことを考えたときに、農政不信ここにきわまって、もう三期以降のいろいろな対応に重大な蹉跌を来す心配がある。もう一度重ねてこの点について大臣の考えを聞かしてもらいたい。
  44. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  先ほど言ったのは、一昨年の十月から昨年の五月まで米価審議会の中に設けました算定委員会の結論に基づきましてやれば、御存じと思いますが、約四%引き下げ、一%百三十五億で五百四十億、実は削減されるという状況であったわけです。そういう状況の中で、ここで詳しいことは申し上げませんが、今先生が御指摘のあらゆる努力をしてこういう諮問に落ちついたということでございます。
  45. 武田一夫

    ○武田委員 算定の要素がまことに今までくるくる変わってきた。米価に対する一定の決まった方式というのはないわけ。もう皆さん方もそういう考えで——私は特に労賃の問題について申し上げますけれども、これまでも何回も要素の中身が変わっている。四十六年、四十八年、四十九年、五十六年と、労賃一つとってみましても、都市均衡労賃などと言っておりますが、昨年の賃金を見ると千四十八円三十九銭。これはどんなに考えたって、こういうような賃金の低さではとても労働評価をしているとは言えない。  この五十九年の実態で見ますと、五十九年産米適用労賃の算定の基礎になっている都道府県別一時間当たり賃金を見ますと、昨年の家族労働評価として政府が出した賃金が千四十八円三十九銭、これに見合うようなそういう県がわずか七県しかないのです。あとは大体千四、五百円から千八百円ですよ。これはもう五人から二十九人と、一番低いとこるでしょう。都市均衡労賃、要するに都市の勤労者と均衡するような労働評価をするなんと言ったって、全然その約束を破っているじゃないですか。今回のこの出した算定もこれに準じて同じ。この点、どう考えますか。
  46. 山田岸雄

    山田説明員 ちょっと技術的な問題も入りますので、私から答弁させていただきます。  家族労働費評価の問題につきましては、生産費所得補償方式の中でも最も根幹をなす部門でございまして、それの安定的な評価、こういうことを算定委員会からも意見としていただいておるような次第でございますし、また、その評価をする際に都市均衡労賃をどのようにして把握するか、こういうことに相なろうかと思うのでございますが、一つには製造業規模、まあ企業の規模といいますか、事業所の規模をどの程度のものにするかという点が一つございます。それからもう一つは、各都道府県のそうした規模の労賃をどのようにして平均化するか。こういう二つの問題があろうかと思うのでございます。  現在、先ほども説明させていただきましたように、実情といたしましては、やはり生産調整をやらなければ需給均衡が図れない、こういった実態にもございますし、一応製造業の事業所の規模といたしまして五人から千人未満規模の労賃を採用させていただいているような次第でございます。これは事業所の規模でございますので、地方に大企業の事業所がございますれば、そうしたものの労賃部分も評価の対象には相なるわけでございます。  もう一つの問題、平均化する場合に、先生今御指摘の、従業の員数に基づくところの平均方法と、もう一つには、お米の販売量をウエートとした平均方法とあろうかと思うのでございますが、私ども、お米の生産者が、その都道府県におきますところの先ほど申し上げましたような事業所規模の方々の労賃と均衡することが、まずもって国民的な理解等を得る場合におきましても非常に理解されやすいのじゃないか、こういうことも考えまして、東京都のお米がほとんどつくられていないようなところの、またそういったところでは製造業の従業員数は非常に多いわけでございますから、そうしたものの労賃を強く反映させるよりも、先ほど申し上げましたようなお米の販売量ウエート、お米との関連を十分反映させた方がいいのではないか、こういうことで算定させていただいておるわけでございまして、これは五十六年からとらしていただいておるような次第でございますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  47. 武田一夫

    ○武田委員 それは東京あたりは、一時間当たりでは二千五十円です。かなり高い。けれども、全国平均しますと千二百三十六円。もう福島県とか茨城県、あるいは栃木県、宮城県等々を見たって、労賃は大体千二百円くらいですよ。単純に考えてもぐんと低い。これでは働きがいかないわけです。まして地代は、固定資産税ですから実勢の半分くらいしか見ていない。資本利子に至ってもかなり低い。こういうようなことで、算定要素があくまでも米価抑制のための道具に使われている。  とすれば、こういうときに、私が最初に申し上げましたように、算定票粟は大臣あるいは農林省が変えようとすれば幾らでも変えられるという一つの証拠です。そして、しっかりとした資本の蓄積をさせて、農家にしっかりした経営の中で次に向かって仕事をさせる、していただく、そういう米価決定がなぜできないかというのです。下げるときは一生懸命下げ、上げるときは全然上げる努力をしてないじゃないですか。こんなような米価をこれからしていったら、重要な日本の基幹産業である稲作農業は、ますます専業農家が減って、そして崩壊の方に行くということになったら、日本の食糧はまことに重大な危機に到達すると私は思うのです。この点は重大な反省を持って最後の決定をしてほしい。農林大臣米価は最終的にどなたが決定するわけですか。
  48. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 諮問米価につきましては、農林水産大臣であります私が、関係各方面の意見を聞きまして、それを踏まえて決定したものでございます。
  49. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、大臣の責任で最終的に米の値段が決まるわけです。大臣の双肩にかかっているわけですから、農業を守る農民の側に立つ大臣のこれまでの強い信念を私は信じて、その結末を見たいと思っています。  次に、時間の関係で良質米の問題でありますが、良質米についてとかく大蔵関係の皆さん方が、これは定着したから奨励金はもう必要でないとかカットせよなどという話は論外だと私は思うのです。  確かに、これまで十何年間かかって今日ある良質米を定着させた努力というのは並み大抵のものではないのです。風の吹きぐあいによって田んぼに飛び出し、毎年のように技術向上のために努力する。病気にも弱い、災害にも弱い、これは自分の子供を育てる以上の苦労があったわけですよ。しかも、場所によっては標準米よりもいい地域も最近できた。これは技術の向上のたまものです。農家努力です。しかし、全般的に二俵ないし一俵くらいは収量が少ない、こういうのが良質米の特徴です。  その良質米をまた一面から考えますと、消費拡大、良質米志向の消費者に対してどれほど貢献しているかわからないと思うのですよ。こういうようなもろもろの利点を持った良質米がここまで来たのは、奨励金というそういう支えがあったからじゃないですか。これを削減しようなどと言ったら、もしもとに戻ったらどうしますか。今は政府米と自主流通米と、政府負担を考えたら、一万円ぐらいは政府米の方が負担が大きいのでしょう。それが自流米を減らして標準米をふやすということは、負担がますます大きくなって、かえって御苦労なさるのじゃないですか。  こういうようなことも考えますと、財政云々ということだけで良質米の奨励金の削減などということに一つたりとも手をかけたら、これは、二十数県にまたがる良質米の皆さん方の怒り心頭、私は暴動が起こると思うのです。これほどの我々の苦労、努力というのを農林省は認めてくれないのか、私はその思いを思うときに、これは今後の大臣の腹一つ、農林省の決意一つだと思う。自民党の皆さん方だって結束していまして、一生懸命この良質米を守ろうとして頑張っているでしょう。だれが削れということに賛成しているのですか。その削るということに賛成しているのがあったら言ってください、我々はここ二、三日の間に、全部それを壊滅するだけの結集をしますから。  その点の大臣の考えをひとつ聞かせてもらいたい。
  50. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  良質米奨励金は、先生も御指摘のとおりで、昭和五十一年から交付されました良質米の生産を奨励するための制度で、そして、良質米の供給増大の大きな役割を果たしてきたと考えております。また、消費者の根強い良質米志向を考慮すれば、良質米生産の奨励が今後とも必要で大切であることは変わりないと考えております。  そんなことでございますが、近年寸自主流通米に係る生産者手取り額は着実に増加しておる一方でその流通量も増大しているという状況にあり、五十九年産につきましては特に作柄がよかった等の理由から、需給環境も大きく変化し、一部荷もたれの状況が生じております。このような状況を踏まえまして、自主流通米について需要に見合った供給を安定的に維持していく観点に立って、また、臨調からの御指摘の趣旨にも沿いまして、良質米奨励金について合理化を図るため、今回の見直しを行っているところでございます。
  51. 武田一夫

    ○武田委員 それは最近の一時的な現象から判断しているわけです。だから、来年どうか、ことしはどうかという、やはりある程度いいときの状況をもう少し見なければならぬでしょう。ただここ一、二年だけで判断されたのではたまったものではない。  例えば、これはどこの県ということはないのですが、A、B、C、H県というその各県の過去三年間の平均生産者手取り額を見ましてもそんなに多くないですよ。六十キロ当たり、場所によっては四千六百八十五円というのもあります。これは収量がいい、ここの場合はササニシキが三年平均五百四十キロですから。それからD県というところは、三千百八円の六十キロ当たりの手取りです。ここも五百十六キロといいわけです。しかしほかは、千八百円、千六百円、千八百四十三円、九百六十五円、千六百三円、一番最低では八百三十四円ですよ。こういうようなところの苦労というのは、良質米を一生懸命育てここまで持ってきたという、そういう支えとしての奨励金としても最低ぎりぎりのところでいっているのじゃないでしょうか。これを削減などされたら、収量の多い標準米の方に行きかねない。二俵、三俵、ふやそうと思えば何ぼでもふやせる。こうなりましたら、せっかく今消費減少というのも鈍化しているのでしょう、消費拡大のために頑張って、我々だって、大臣御承知のとおり、米消費拡大議員連盟というのをつくって、毎年議員が三百名近くが頑張って消費拡大に努力して、最近も大臣に申し入れしたでしょう、そういう努力も水の泡になってしまうのじゃないですか。どうですか。  そういう総合的なことを考えたときに、やはりおいしいものを安く提供したいという農家の皆さん方が、農協を中心にして二割生産費のコストダウンをするという運動にもこれ努めているわけでありますから、そういう懸命な努力をバックアップするためにも、奨励金はしばらくこの状況を見ながら、これはこの程度でいいなと農家の方々も安心して政府の言う方向へ持っていけるような話し合いができるまで、カットなどと手をかけるものではない。これは大蔵大臣や総理大臣に農林大臣がしかと首をかけても進言をして阻止してほしいと私は思う。  いや、おれは内閣改造で大臣になれないかもわからないと言うかもしれないけれども、私は農林大臣にまた続けてなってもらわぬと困る。今まで大蔵大臣は続いてきているけれども、農林大臣だけなぜかえるんだ。私は、いい大臣は三、四年はやはりちゃんとしっかりとしたいすに据えつけて立派な農政をしてもらう、これは必要だと思う。それをしないでくるくるかわるものだから大蔵省なんかにばかにされるのじゃないですか。毎年毎年やっている大蔵大臣と、くるくるかわってそのときどきに懸命に頑張っても、その力の差というのは私はどうしようもないと思う。せめて三年、四年はしっかりと、日本農業の重要性を考えるならば、政府としても立派な佐藤農林大臣のような方をこの席にきちっと置くべきだと私は思っている。  そういう意味で、私はこの問題については最後まで、二十数県の良質米にかける農家の皆さん方の決意のほどを心の中にきちっとたたき込んで、最後の決定大臣、あなたでございますから、これはしっかり守ってほしい。そのことについての御決意を聞きまして、時間が来ましたので質問を終わります。
  52. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  良質米奨励金につきましては先ほどもちょっと申し上げたところでございますが、昨年の米価決定時の経緯を踏まえまして今後協議、調整し、基本米価決定とあわせて決定することとしたいと考えております。そして、先生のおっしゃる御趣旨もよく理解できます。私はいつも言っておりますが、二つの観点からすべてを決めたい。一つは再生産確保する、もう一つ農家の皆さん方が明るい展望を持てるようなお米の価格をつくりたい、このように考えております。
  53. 武田一夫

    ○武田委員 その最後の言葉、私は信じます。農家の皆さん方も信じてこの米価闘争で頑張ると思うのです。どうかその期待にこたえられるように最後まで頑張ってほしいことをお願い申し上げます。大変ありがとうございました。
  54. 今井勇

    今井委員長 次に、稲富稜人君
  55. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、米価のときになりますと約二十年も同じ嫌みを政府に言わなくてはいけないということを情けなく思っております。しかしながら、問題はまだ片づいておりませんので、いささか失礼なことがあるかもわかりませんけれども、農林大臣に対しまして今後農政に対して新たなる決意で臨んでいただきたいということを冒頭にお願い申し上げて、以下質問をいたしたいと思います。  大臣にこういうことを申し上げますことは甚だ失礼でございますけれども言わせていただきたいと思いますが、農政というものは、農民に希望を与え、農民が農民としての誇りを持つような農業経営者になる、これによって国民の食糧を確保できるようにする、これが農政の基本である、かように私は考えております。大臣もそうだろうと思うのでございますが、これに対する大臣の決意のほどをまず承りたいと思うのでございます。
  56. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 稲富先生にお答えいたします。  全くそのとおりでございます。
  57. 稲富稜人

    ○稲富委員 大臣も私の申しましたような決意でなさっているということと承りますので、私はお願い申し上げたいと思いますが、まず私たちは、そういうような希望を農民に与えるためには、主食でございます米、これは国民の食糧としての最も重要なる生産物でありますが、この米の生産当たりましても農民が希望を持って農業生産に当たれるような対策をやることもまた当然必要じゃないか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
  58. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりでございます。
  59. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではここで申し上げたいと思いますが、御承知のとおり、生産米価決定するに当たりましては、食管法に基づきまして、生産費及び物価並びに経済事情を参酌してこれを決定する、こういうことになっております。一番必要なことは、すなわち米の生産費が幾らかかるかということが一番大きな問題でございます。生産費が幾らかかるかは生産者が一番知っております。それで生産者としては、本年度の米価生産費がこれほどかかっているのだということを毎年政府に要求されております。こういうような生産者の要求を政府は今日までどのように考え、どのように対処されておるか、承りたいと思うのでございます。
  60. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  米価算定当たりましては、先生御存じのとおり要素のとり方につきまして農業団体等から種々意見があるところでありますが、算定当たりましては米の需給事情消費者の理解、それから財政負担等に十分配慮する必要がある、こう考えております。  そんなことで、本年の米価算定に当たってはこのような観点を踏まえ政府として試算を行ったところでありますが、米価審議会におきまして十分御議論いただいた上で適切に決定したいと考えております。
  61. 稲富稜人

    ○稲富委員 今、大臣、適切な価格米価審議会諮問するとおっしゃいますが、その米価決定、要求米価に対しましては、生産者の方で生産費はこのくらいかかっておるのだということは要望されておるはずなんだ。もちろん政府はこれによっていろいろ検討されておると思います。その生産者の要求する米価政府の解釈される米価との間に誤差があるということが生産者の希望を満たさない大きな原因になると思うのでございます。その点、生産者の要求する米価というもの、どのくらい生産費がかかっているかということは政府は十分検討されるべきである。そして生産者と協議の上で、本年度の米価はこのくらいの生産費がかかっているんだということを米価審議会諮問すべきである。  もしも意見が違うとするならば、生産者からこんな米価の要求があっているんだ、ただし政府としては経済事情その他を参酌して本年度の米価はこのくらいであらなければできないだろうというのが諮問だ。この点を明らかにして米価審議会諮問をすべきである。そうしませんと一般の人は、農民から本年度の生産費はこれほどかかっているんだという要求米価があっている、これを全然無視してあなたの方で米価審議会諮問される、そうすると一般の人は、いかにも農民の生産費要求というものは不当な要求をしているような解釈をされるということ、これは農民のためにも非常に残念であると私は思うのです。  本当に生産費はこれほどかかっているけれども日本経済事情その他によって今年度の米価はこのくらいで我慢してもらいたいんだ、もしもあなた方が諮問されるならばこういうことをやれば、農民といえども生産費政府は認めてくれるんだという希望を持てると思う。この点は、意見が違うのは、生産者の意見はこうなんだと米価審議会諮問をする、そして米価審議会で十分意見を言ってもらって、それで答申を出してもらう。こういうような順序でやるべきであると多年言っておりますけれども、なかなかこれが実行されないのです。  政府米価審議会諮問するのに、生産者の意見を聞くことよりも自民党の意見を先にお聞きになる。もちろん、政党政治でございますから与党の意見をお聞きになることが悪いとは申し上げません。しかしながら、与党の意見を聞かれると同時に生産者の意見というものも十分重んじながら、生産者はこういう要求であるけれども経済事情その他によってこれはこれだけで我慢をしてもらわなければいけない、これを明らかにして、生産者の立場というものを尊重しながら諮問すること、これが最も必要である、かように私は考えます。  これは多年私が主張しておるのでございますけれども、一向に実行されません。重ねて私はこの点を、理解ある農林大臣と思いますので、この際ひとつ十分承りたいと思うのでございます。
  62. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  実は、これは先生も御存じのとおりでございますが、一昨年の十月から昨年五月まで米価審議会の中に算定委員会をつくりまして、そこで米価をどう決めたらいいかといういろいろな議論をされました。その結論の出た方向に基づきましてことしの算定方式をやっておるということでございます。そんなことで、農業団体の意見は十分聞いております。また各党の意見もいろいろな機会を通じて聞いておりますし、それからまた、実は先生御存じのことで、やはり与党でございまして、意見に食い違いがあってはいかぬということで、最終的な決定に至るまでの間においては与党との話し合いを行っておるというのが実情でございます。  ただ、先ほどから言っておりますことでございますが、ことし、実は算定委員会方式でやれば四%引き下げになるという結論も出たのですが、それではいけないということで、実はいろいろな努力をしながら据え置きのきょうの諮問に持っていったという点は特に先生に御理解を願いたいと思うわけでございます。
  63. 稲富稜人

    ○稲富委員 ところが、今までは実はそうでないのですよ。やはりまず自民党と御相談なさって、諮問される場合に、このくらいの諮問をしておけばこのくらいの答申が来るだろうということをまず政府は予想して諮問される。そうして今度は審議会から答申が来ると、その答申によって与党と相談なさる。そして自民党のおかげでこれほど米価が上がったんだというような政策をおやりになる。これは、私は非常におもしろくないことだと思うのです。  御承知のとおり、食管法においては、米価審議会政府諮問をする、米価審議会から答申がありましたならば政府がこれを決定するということになっておる。与党と相談して決定するということになっておりません。これは与党だから相談なさるのはやむを得ないかもわかりませんけれども、法律は政府決定するということになっておるのだから、政府の自分の信ずるところによって米価審議会の答申を聞きながら米価決定する。そうせぬと、自民党のおかげで米価が上がったんだ、こういうような気持ちを持たせるということは、私は農民に非常に不快の念を与えるゆえんではないかと思いますので、この点をひとつまず大臣意見を聞きたい、かように考えております。
  64. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えします。  今先生御指摘のとおりでございまして、実は自民党は与党でございます。そんなことで、食い違いがあってはいげないということで、最終的な決定に至るまでの間において与党との話し合いを行っているわけですが、政府としてはあくまでも米価審議会における審議及び答申を尊重して米価決定を行いたい、こう考えております。
  65. 稲富稜人

    ○稲富委員 その点はやはり農林大臣として、政府決定するという法律になっておりますので、それを守ってもらいたい。  特に私は本年度の米価に対してお願い申し上げておきたいと思うことは、本年度は基準米価は据え置きだ、良質米の米価は考えるのだ、こうなってきている。これはやはり基準米価決定すべきであって、基準米価はこのままにして良質米の価格だけ決めるんだということは、ややもしますると、これは生産者である農民を分断する謀略であると言っても差し支えないのですよ。良質米をつくるところの農民はそれでいいかもわからない。良質米をつくらないところの農民は不安を持つ。同じ農民の間に両方を分断させるような謀略というものを政府は選ぶべきじゃない。  生産費はこれほどかかっておる、これは決まっているのだ。さらにその上にいい米に対しては、それはいいんだから良質米の価格というものを決めるんだ、こういうような方法をとることが私は最も妥当であって、これを最初から二つに分けてやるということは、これは農民を分断する大きな謀略だと言っても差し支えないと思うのです。こういうことは慎んでもらいたいということを特に私はお願いしたいと思うのでございますが、これに対しての大臣のお考えを承りたい。
  66. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  良質米奨励金の扱いにつきましては、私が先ほども言ったようなことですが、昨年の米価決定時の経緯を踏まえまして今後とも協議、調整し、基本米価決定とあわせて決定することにしたい、こう考えております。
  67. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、大臣、何らかの形において生産費の実際というものはこのくらいかかっているのだということをやはり国民に知らせる必要がありますよ。そうしないと、一方には農業に対しては過保護だなんという問題が出てくる。農民が犠牲を払っていることを一つも認識されていない。生産費が上がったものを高く買われている、こういうことは一つも認識されていない。これは非常に残念なことなんですよ。それだから政府が本当に農民に希望を与えるとするならば、生産費はこれほどかかっているけれども、国内の経済事情においてそれだけ応じられないからこういうことにするのだ、こういうことを明らかに何かの機会においてやられることが非常に必要である、これが農民に希望を与えることである、私はかように考えますが、これに対してはどういうようなお考えを持っていらっしゃるか承りたい。
  68. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、生産費につきましては、毎年私ども統計情報部の方で調査をして発表しておるところでございますし、またその生産費を用いまして、生産費所得補償方式によりまして、家族労働なり自作地地代なり自己資本利子、こういうようなものを評価がえをいたしまして、その内容でもって一応諾問案をつくり、米価決定のための基礎を私どもつくっておるわけでございまして、生産費動向は常にそれを見きわめながら的確な米価算定に努めたい、このように日ごろから考えておる次第でございます。
  69. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは最後に一つお願いしたい。  御承知のとおり、今申しましたように、米価決定を見ましても、本当に農民は今日農業に対する希望さえ喪失しておる。しかも、一方におきましては貿易自由化によって日本農業は圧迫されようとしておる。このまま放任するならば日本農業はあるいは壊滅するかもわからないという状態であるのであります。  それで、ここで私が特に農林大臣にお願いしたいことは、我々は今日崩壊しようとする日本農業をどうしていけばいいかという一つの位置づけをするということが最も必要ではないか。そうしなければ、農民は、果たして日本農業は将来どうなるだろうか、後継者がなくなるというような不安な状態に置かれている。私はいろいろな政策を論議する前に、日本農業を今日どう位置づけるか、どうして日本農業を守っていくか、これを政府が大局に立って打ち立てる、そうして農民に希望を与える、これが今日最も必要な問題であるのではなかろうかと思うのでございますが、これに対しては大臣はどう考えていらっしゃるかということが一つ。  さらに、今日まで御承知のとおり農業基本法によって農政審議会というものがつくられている。こういうときこそ農政審議会におきましても、日本農業をどうするかということに対する結論を諮問機関として十分出して政府に答申すべきであると思う。この農政審議会も余り開かれておらぬ。何年か前開かれて、八〇年何とかと決まっておるけれども、本当に真剣に日本農業をどう位置づけるか今日決めなかったら、日本農業はつぶれますよ。日本農業をつぶしてはいけないというならば、このときこそ政府は英断をもって、日本農業の最後の線はここまでは守るのだ、こういうものを確立することによって日本農業を守り農民に希望を与える、これが私は最も必要であると思うのですが、ひとつ大英断をもって大臣がこの問題に取り組んでもらいたい、かように考えますが、大臣意見を承りたいと思うのでございます。
  70. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 稲富先生にお答えします。  二つの質問、一つ日本農業の将来でございますが、農業には土地利用農業と施設型農業がございます。特に問題は土地利用農業をどうするかという問題、そういうことの中に今までは価格政策、構造政策、二本の柱がありましたが、構造政策は土地改良その他で、経営規模の拡大ですが、これは予算その他でなかなか進まない。それが現状。じゃ一体どうして生産性を上げるかということで、技術開発を、バイオテクノロジーをどう活用するかによりまして日本農業は非常に明るくなってくると思います。そのような気がして、やはり価格政策、構造政策に技術開発、いわゆるバイオテクノロジー、それにニューメディア等、そういう形の中に農家所得確保を図る、そういう形の中に農業の明るい展望を開きたい、私はこのように考えておるわけでございます。  それからもう一つの農政審の報告等の問題でございますが、農政の基本方向に関しましては、五十五年の農政審答申及び五十七年の農政審報告に示されておりますと同時に、農産物需給の長期見通しが決められております。これにつきましては、例えばミカンとか生糸につきましてはかなり狂っておるということで見直しもいろいろ求められておるのが現状でございますが、こういう中に日本農業の位置づけは一応明確に示されておると考えております。  今先生御指摘のとおり、現下農業、農政を取り巻く諸事情に応じまして、施策のあり方については各方面の御意見を伺いながらよく検討してみたい、このように考えておるわけでございます。
  71. 稲富稜人

    ○稲富委員 今大臣がおっしゃったように、農政審議会におきましても昭和五十五年、五十七年当時において意見を発表されたことも承知しております。このときこそこれをひとつやるべきじゃないか。そうせぬと、農民が日本農業は一体どうなるかという不安を持っておる。恐らく農民だけの問題ではないと思うのです。この点を私は特に申し上げたいと思うのです。  いろいろ申し上げたいことはありますけれども、時間がないそうでございますからこれをもって私は打ち切りますけれども、機会がありましたらまた大臣とひざを交えて、特に日本農業の将来に対してはひとつ意見を聞きたい、かように考えておりますので、農林大臣として日本農業を確立するための御努力を特にお願い申し上げ、そういう意味から申し上げましても、本年度の米価決定に対しましても、農民が希望を失わないような米価決定をしていただきたいということを重ねて私はお願いしまして、私の質問を終わることにいたします。
  72. 今井勇

    今井委員長 次に、津川武一君。
  73. 津川武一

    津川委員 私は、農民が要求している米価実現や農業政策確立、こういう立場から若干の質問を展開してみます。  まず第一は、大臣、この諮問を撤回していただきたいということ、農民の要求を入れた新しい諮問を出していただきたいということでございます。  これまでの政府の低米価政策によって稲作農家の経営は非常に困難になっております。今全国で農民の大会が開かれておりますが、私の青森県での大会でも、農業資材は昭和五十二年以来四二%値上がりした、物価は三〇%値上がりした、都市労働賃金は四六%値上げした、それなのに生産米価はたったの八%。これでは大臣がどんなに日本農業に未来がある、明るく未来を語っても何にもなりません。その結果後継者ができない、お嫁さんが来てくれない、もうお米はあきらめたと言って農業をやめる、こういう農家が出てきます。  私のところには今一千枚からのはがきが来ていますが、これは鰺ケ沢町中村の石沢賢一さんという人のたどたどしいはがきでございます。私は一人の農夫です。農業を守ることに生きがいを感じています。それなのに政府農家に制度によるお金の貸し付けで事をごまかしております。真の農政ではありません。諸物価に比し米の価格はこれでどうなるのだろうか。農産物市場開放を断固阻止してほしい。農業あっての国政であることを私は望み、若い農業後継者に望みある農業政策を出してほしい。要求米価の実現が真の国政のような大事さがあるのではないでしょうか。お忙しいけれども頑張ってください。これが農家の手紙の一つでございます。  そこで大臣、私たちは、日本農業は工業と並んで国の経済を支える二つの柱と考えております。この農業の中で稲作は中枢でございます、基幹でございます。稲作があるから畜産との複合農業ができる、野菜との複合農業もできる、兼業農家でもやっていける。この稲作に何らかあったときに日本農業は明らかに衰退していく。稲作がつぶれて畜産が残る、これでは事は済まない。そこで、日本農業を本当に未来あるもの、国民の生産意欲が出るものにするためには、稲作を守らなきゃならぬ。稲作を守る根本は生産米価。したがって、今度のあなたの諮問によって農民が生きがいを覚えて米づくりに今まで以上の情熱ができると思っているのかどうか。私は、諮問は撤回して新しい諮問を出すことだけが問題解決になると思いますが、いかがでございますか。
  74. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 津川先生にお答えいたします。  本年産米政府買い入れ価格につきましては、四つの観点から結論を出した。その一つは米の需給関係でございます。それからもう一つは、米管理に係る財政負担につきましてでございます。特に本年においては、昨年は豊作となったものの、農家経済を取り巻く厳しい諸事情のもとで四年連続不作農家経営意欲に及ぼしている影響に配慮しつつ、また米穀価格水準安定性確保することも必要であるということで、総合的に勘案し、実はいろいろな意見を先ほどから言われておりますけれども米価審議会で一昨年十月から昨年五月まで算定委員会をつくりまして、米価のいろいろな算定方式を出されました。その結論に基づきました生産費所得補償方式によりますと、実は四%引き下げということでございますが、そんなことはいかないというようなことで、内容は申し上げません、いろいろ最善の努力をして据え置き諮問に持っていったということでございます。そんなことで、特にこの点は御理解願いたいと思うわけでございます。
  75. 津川武一

    津川委員 そこで大臣生産米価を決める基本は、あなたがのっとるべき法律はたった一つ、食管法。食管法の三条で何と言っておるか。こうなっております。「政令ノ定ムル所ニ依リ生産費」、これが第一の基準、第二は「物価」、これが二つの基準、「其ノ他ノ経済事情」、このことを抜きにしてあなたがあれやこれやの要素を持ち込んでくるのをやめて、法律どおりに再生産費を賄うような米価を実現しなければならない。  そこで、もう少し聞いてみます。  昭和五十五年、五十六年、五十七年の米価について、それぞれ前年と同じ方式試算したときのアップ率と実際のアップ率を見ると、五十五年、前年方式でいけば四・七%の生産米価のアップになる。それを政府は二・三%に抑えた。五十六年、前年方式適用すると一一・七%のアップ、それを政府は〇・五%に抑えた。五十七年、前年方式でいくと九・四%のアップになる。それを一・一%に抑えたのです。これがあなたたちのやってきたこと。そのときどきで適当に数をいじったり方式をいじったりしたのです。  そこでお尋ねします。五十二年以後算式の改悪を行わずに、五十二年の基準で六十年米価計算してみると、六十キロ当たりどのくらいになりますか。去年と比べてどのくらいのアップになりますか。簡単に、答えだけでいいです。
  76. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  基本価格で六十キロ当たり二万二千三百五円になろうかと思います。
  77. 津川武一

    津川委員 大臣、聞きましたか。皆さんが一貫した方針で食管法どおりやるとことしの米価は二万二千三百五円になる。結局この数年間の改悪によって三千六百三十七円も農家、農民は削られておる。ことしは、昨年の豊作を理由に、本来なら引き下げることになるだろうとのキャンペーンを盛んに行っておりますし、現在も大臣がそう言っている。こんなやり方を農民が受け入れられると思いますか。やはり生産費所得補償方式できちんと計算してやらないといけないと思います。そこで、例えば諮問を撤回していただいて、二万二千三百五円という諮問を新しく提案してみてほしいのです。いかがでございます。
  78. 山田岸雄

    山田説明員 今、先生御指摘の、過去の算定方式及び要素のとり方でやればどうか、こういうことでございますが、過去におきまして、それぞれの年における経済事情なり需給事情その他各般の事情に配慮いたしまして生産費所得補償方式算定しておるわけでございますし、今年におきましては今年のもろもろの事情に配慮してやる、こういうことでございます。私どもも、生産費を基礎としながら、物価等につきましては物価スライド等もやっておるわけでございまして、一応食管法の規定に基づきまして算定しておるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
  79. 津川武一

    津川委員 大臣に重ねて農民の要求する生産米価を実現するように要請して、次は、先ほどから問題になっている良質米の奨励金。  これは、良質米、消費拡大してくれたことは武田さんが言っているとおりだ。そして、労働者にとってみて普通の賃金と並んでボーナスは生活給になっている。良質米奨励金、これはここまでやってきたら農家にとってみて生産米価なんだ。それ以外の何ものでもないんだ。あなたたちは、据え置き、これで米価引き下げないと言っている。ところが良質米奨励金という生産米価を削る。ここに問題があるわけです。良質米は本当につくるに大変だ、薬もかかる、苦労される。良質米をつくらないでアキヒカリなんかつくっていれば生産量はうんと上がるけれども、さあどこを勘定したらいいかとなってくると、耕作面積が少なくて労働力の多い人は良質米をつくる、耕作面積が広くて労働力が少ない人はアキヒカリをつくる。この良質米奨励金、生産米価引き下げという、大蔵省はやっと出さないで済んだものをあなたの手で実質上の生産米価引き下げだ。だから良質米奨励金は今までどおり出していただきたい。どうでございます。これで終わります。
  80. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えします。  先生の御指摘のとおり、実はこれは昭和五十一年から良質米の生産を奨励するために交付されたわけです。そんなことで、良質米の供給増大には大きな役割を果たしてきたというのは間違いございませんし、また今後とも良質米の生産の奨励が必要であることには変わりないと考えています。  そんなことでございますが、いわゆる良質米奨励金は、年々の需給事情による自主流通米の価格の変動とは別の観点から一定額を交付するものであって、そういうことで農家手取り額を形成するものではありますが、米の価格とは区別すべきものであると考えています。したがって、その奨励金の縮減が直ちに価格引き下げにつながるものではございません。  近年、自主流通米に係る生産者手取り額は着実に増加している一方で、その流通量も増大しているという状況にあります。五十九年産については特に作況がよかった等の理由からいわゆる需給環境も大きく変化し、一部荷もたれの状況を生じています。こんなことで、こういう状況を踏まえながら、自主流通米について需要に見合った供給を安定的に維持していく観点に立って、また臨調からの御指摘の趣旨に沿って良質米奨励金について合理化を図るため、今回見直しを行っているところでございます。御理解願いたいと思うわけでございます。
  81. 津川武一

    津川委員 終わります。理解はできません。
  82. 今井勇

    今井委員長 午後一時四十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時二十五分休憩      ————◇—————     午後一時五十九分開議
  83. 今井勇

    今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。衛藤征士郎君。
  84. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 まず政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。  私は、米というのはすなわち、イコール農業、農政、そして農村、このように理解をしておりますので、この基本的な立場に立ちまして今回の生産米価の件につきまして質問をいたしたい、このように考えております。  御案内のとおり、これから高齢化社会に進むわけでございますが、ただいま厚生省の統計によりますと、六十五歳以上の人口が十人の中で一人という比率であると思いますが、十五年後はこれが一五%になり、西暦二〇二〇年には二六・五%になるだろうと言われておるわけであります。つまり西暦二〇二〇年、今から三十五年後のことではありますが、その時点には六十五歳以上のいわゆる高齢者が四人に一人、こういうことになるわけであります。また、この統計によりますと、人口のいわゆる構成比率、六十五歳以上の人口が占める町村の比率で、町村によっては八七%も六十五歳以上の人口が占める、そういう町村が出てくるということが予測されておりますが、これも御案内のとおりであると思います。  さて、政府は基礎年金をつくりまして、これからこの熟年者、高齢者に対しまして、年金で温かく守っていこう、こういう施策を打ち出しておるわけでありますが、高齢社会になればなるほど、農村、そして山村、漁村のいわゆる地位というのはだんだんと高くなっていくのじゃないかな、私はこのように思っております。  わかりやすく言いますと、高齢化社会のこれからの受け皿というものは農村であるのか、あるいは都市であるのか、こういうことでありますが、年金をいただいて、そして、わかりやすく言いますと、非常にせかせかとした、慌ただしい、また活力に満ち満ちたこの都市の中で、熟年者、高齢者が果たして生活し得るだろうか、能力にふさわしい年金を保障し、それだけの生活ができる環境が保障されるだろうかということを考えたときに、難しくなっていくのじゃないか、このように私は思うのです。  そうすると、必然的にかつてのふるさとである農村あるいは山村あるいは漁村に自分たちの余生を送る場を求めて移動していくのじゃないかな、私はこのように思うわけであります。そういうときに、十五年後移動してみたら、農村は完全に過疎になり、あるいは漁村も過疎化され、また山村も壊滅状態にあったということであってはならないわけでありまして、ここに農林水産省の誘導的な施策、政策というものが求められるゆえんである、私はこのように理解をしておる次第でありまして、こういう二十一世紀社会を展望したときに、つまり私の言う農政・米、農業・米、農村・米、こういうことを考えたときに、いわゆる各種政策に占める誘導政策としてのこの米農政は非常に大切だ、私はこのように思っておる一人であります。  また、ただいま我が国は先進諸国の中で大変工業立国としての地位を守り続けておる。外国から見れば、日本農業国ではなく工業国だ、このような位置づけをされておると思うわけでございますが、今日まで我々が歩み続けてきた加工貿易立国、工業立国、外需依存型のこの我が国成長経済社会、こういうものはこれから十五年間、果たして持続、継続していくものだろうかどうかということであります。必ずしも現在のままのこのパターンというのは十五年間も保証できないのじゃないか。  わかりやすく言いますと、今はIC、集積回路、コンピューター、こういうことで、ハイテクノロジーの社会が二十一世紀も待ち構えているような錯覚に陥っているようなことがはんらんしておりますが、私はそうじゃないと思う。アメリカにおきましても、ハイテクノロジーについては、御案内のとおり陰りが出始めておる。つまり、軽薄短小型の思考といいますか技術というものに陰りが出て、かつてのいわゆる重厚長大型の技術、あるいはそういう一つの物差しをもって見ていくような経済、社会あるいは産業構造というものはむしろ見直されつつあるという時期、また見直されなければならない、こういうときであると思うのです。  私は、今回出されましたこの諮問は、ややもするとそういうような背景から逸脱したような状況に置かれて、この米農政、あるいは米価生産米価というものが、経済原則にのっとった、つまり縦横の予算の計数の詰めによるところの整合性の結果としてもたらされてきた、そういうふうな感じがしてならないわけでございます。  農林水産省がただいま私が申し上げましたような二十一世紀社会を展望して、また、日本経済がこれから間断なく成長し続けるという今日の第一次産業、第二次産業、第三次産業の構造がこのまま続いて、しかも世界の中で冠たる先進国としての地位を保ち続けるというような保証がない限り、これからの農業というものはもっともっと真剣に見直される必要があるのではないか、私はこのように考えておる次第でございます。  そこで、今回の諮問米価が、農村にとって、農村はすなわち山村であり漁村でありますが、どういうような受けとめ方をされただろうかということであります。そして、これはこれからの二十一世紀社会を守っていく農村の守り主である農業後継者にとってどういうような受けとめ方をされただろうかということであります。この点につきまして政務次官の率直な御意見を承りたいと思います。
  85. 近藤元次

    ○近藤説明員 お答えいたしたいと思います。  今、衛藤先生から二十一世紀の農業に対するお考え方が述べられましたけれども、全く同感でございます。農業は、言うまでもなく、生命産業であると同時に、米はその中でも基幹の作物でございます。そういうことを踏まえ、そして今農村における現状についてるる先生から吐露がございました、まさにそのことを踏まえながら、過疎対策、あるいは山村振興、モデル事業、あらゆる政策的な面で先生方から御理解と御協力をいただきつつ行政も努力をしてきたところであります。残念ながら、まだ若い後継者から歓迎をされる状態にもなりませんし、また過疎の悩みが解消するまでに立ち至ってないわけでございます。  その種のことを考えると、今回諮問をいたしました米価で、また、生産者の経済との関連性から見れば必ずしも満足のできるようなものであるかどうかということに対しては、諮問をしつつも、また一面私どもも考えさせられるところがあるわけであります。しかし、今日の現状を見て、また昨年の豊作というようなことも相関連をいたしまして、潜在生産力等考えてみて、水田再編成対策等のこともお願いをしながら、他方、国際価格等のことを考えてみると、価格もまた生産意欲をもたらす重要な役割をいたしております。  また構造政策、コストの面で、私ども我が国における財政の事情等を総合的に勘案した場合には、構造政策でコストを安くするということで、農家所得維持拡大という面でまた行政的にも御協力を進めていかなければならない、そのような時期であるということも認識をして、今日据え置きでいかがかということで御諮問をさせていただいておるところであります。
  86. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 昭和四十五年のいわゆる繊維交渉におきまして、通産省にあっては二千億を超す財政措置をいたしまして繊維工業界を救済したことは御案内のとおりでございます。  私は今回のこの据え置きというものが、生産農家にとりまして、特に今日の環境が環境であるだけに、御案内のとおりいろいろの農産物についての開放の認証・基準であるとか、あるいは自由化に向けての足取りであるとか、こういうことから見ますと大変なショックを覚えておるのではないかな、このように思うわけでございます。  農林省は、米あるいは野菜、園芸花卉、畜産、いろいろな問題に取り組んでおるわけでございますが、農林水産省全般の行政における米の位置づけ、米をどのように位置づけておるのか、それを政務次官からお聞かせいただきたいと思います。
  87. 近藤元次

    ○近藤説明員 農業は生命産業であると同時に、その中でも米は基幹作物であるということは先ほどお答えを申し上げたところであります。  今、現状でも米を中心にして複合経営を農家全般で努力いたしておるところでもございますし、また米自体が過剰ぎみの傾向、二度にわたる過剰米の処理、そして水田再編の対策努力をいたしておる今日の現状として、米はあくまでも農業の中の中心作物で、需給のバランスを一日も早く安定させていく、そのためには、いろいろ当委員会でも諸先生から御意見を賜り、消費の拡大等についてまた一層努力をいたしておるところでもございますし、また、稲作技術の水準の向上と技術指導等のことについて、消費の拡大にふさわしい良質米の生産性を上げていくというようなことで、技術から経営努力、そして中核的な農家を、生産組織をもって今後とも推進をしてまいりたい。  あくまでも米は生命産業の中の中心の作物であるという位置づけをして、農業の中の作物の中心として今後農政を展開していきたい、こう思っておる次第であります。
  88. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 ただいま政務次官から、いわゆる米農政、まさに農業は生命産業であり、また米はその根幹であるというような御答弁がございました。私もそのとおりだと理解しております。  私はまた、米が持っておる、大げさに言えば物としてではなく、米の持ついわゆる人格というものについて政務次官の御見解を承りたいわけであります。  私は、米というものには人格がある、このように思っております。それは何か。つまり、農村社会の自由とか民主主義とか、あるいは農村社会の素朴な相互扶助の精神とか、そういうものがこの米に込められておるのだ、私はそのような理解をしておる一人であります。  私は、米というのは、何千年の歴史の中で今日まで脈々として、我々の主食ということではなく、御飯、この御飯に感謝するということで我々は米づくりをやってきた、このように理解をしておりますから、確かに朝から晩まで農水省の御指導で合理化され、構造改善事業が進められ、消費拡大が行われ、あるいは流通機構の改善が行われる、その努力は認めるものであります。しかし、これを据え置くことによって、結果としては、あらゆる物価が上がり、労働賃金が上がり、そして公務員の給料が上がり、一般会社の社員の給料も上がる、そういう中で、ただいま私が申し上げました米に込められました米のいわゆる人格、そういうものからして、私は農村の人にしてみれば、生産農家にすれば、据え置かれたということは削られたというような、そういう受けとめ方をしているんじゃないかなと、極論すれば、いい農村社会の共存共栄の精神や、いわゆる自由主義の自由や農村主義や、あるいは田園都市構想と言われるようなこの田園のよさを、生産米価を据え置くことによってむしろ後退させてしまう、削ってしまう、そういうことになりはしないかということを非常に懸念をしておる一人でございます。  私はほかの農産物についても同じような気持ちは持っておりますが、特に米についてはそういう認識を持っておる次第でございまして、それだけに、こういう側面を持っている米価、米について、そして今回据え置きになったこのことについて、政務次官の御答弁をいただきたいと思います。
  89. 近藤元次

    ○近藤説明員 米と日本民族とのかかわり合いについては、先生御案内のように、戦後の米が大変な不足の時期に、学校給食がパンで支給をされました。にもかかわらず、今日、米がこのような生産力をもたらすような状態になって、学校給食にパンを利用しながらもパンに移行しなかった日本の民族の傾向から見ても、当然日本民族に米というものは欠くことのできないものであり、かつ今日、世界の長寿国になり、我が国の日本型の食生活というのが世界の国から研究をされるようになってまいりました。そういう意味合いからしても、米は日本の民族にとっては欠くことのできないものであるという位置づけは証明をされてきたところであろうかと思います。  今お話を申し上げましたように、米は農業の基幹作物であるとすれば、また農村を守る基幹作物でもあるということを今先生から御指摘があったのだろうと思うわけであります。まさに同感であります。今我が国の中で、私どもが狭い国土を均衡ある発展をさせていく、そして日本民族の心のふるさとでもあると言われておる農村を守り、より発展をさせていくということについては、まさにありがたい、我が省としても大変貴重な御意見をお聞かせをいただいたわけでありますし、またその方向に向かって努力をいたしておるところであります。  このような環境の中で、昨年大豊作であるというようなことで、米価そのものについて据え置きで諮問をするというところについても、我が省としてはまた最善の努力をいたしてきたところでもございます。生産農家からはもちろん米価引き上げの要求、諸先生方、そして先生の所属する自民党からも値上げの要求をちょうだいいたしておるところでありますけれども、昨年の、生産性が上がってきた、豊作という背景の中で、据え置きという部分についてはかなり努力をさせていただいた、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  90. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 食糧庁次長にお尋ねをいたします。  今回、農業団体が四・九五%の生産米価引き上げ要求を行っておるところでありますが、御案内の諮問が出たわけでありますが、政府として、この要求を食糧庁次長はどのように受けとめておりますか。
  91. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  生産者団体の今年の政府買い入れ価格要求米価、対前年四・九五%のアップ、こういう要求を私どもいただいたわけでございますが、その算定の中身につきまして、私たちがお聞きしているところでは、算定方式としましては生産費所得補償方式、こういうもので一応算定はなされておるわけでございまして、私ども算定方式と同一であることには間違いないわけでございます。  しかしながら、要素のとり方等におきまして、私ども米価算定当たりましては、当面のお米の需給が多額の財政負担をして生産調整をやらなければ均衡しないというふうなことでございますし、また、財政的な問題といたしましても、できるだけの節減合理化には努めておりますものの、さらに縮減合理化もしていかなければならないといった事情等もございまして、生産者の要素のとり方とは私どもの考えは多少違うところがあるわけでございまして、いわゆる需給事情をいかに反映するか、こういうことが、対象農家の選定とか、家族労働費評価がえするに当たりましても、その要素のとり方に若干の相違があるわけでございます。  私どもは、今のお米の置かれておりますところの、日本民族にとりまた日本の農村にとり最も重要である、こういった先生の御指摘については擬問を差し挟まないわけでございますが、その他の事情におきまして、算定において配慮しなければならない事情もございまして、今回のような諮問をさせていただいた次第でございます。
  92. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 次長にお伺いいたしますが、それでは、今の答弁によりますと、この四・九五%要求というものは生産者団体のやむにやまれぬ要求であるな、このように理解をしている、そのように私の方で受けとめてよろしいですか。
  93. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  生産者団体の方から、売る立場から見ますればそういう要求なり考え方もあろう、こういうふうには思うわけでございますが、政府がそれを買い、かつまたそれを消費者に売り渡す、こういった場合におきましては、私ども、国民的な理解を得ながら米価政策もやっていかなければならないのじゃないか、このように理解しております。
  94. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 どう見ても米価は抑制基調に今日まで持ってこられたのではないか、私はそういう疑念を感じておる一人であります。例えば、昭和五十二年以降、消費物価は三〇%は上がっておりますし、また製造業労賃は四七%と大幅に上昇していると思います。こういう中にありまして、先ほど既に野党の議員の皆さんからも出ておりますが、米価はわずか八%しか上がっていない。これが現実だと思うのです。これはどう見たって抑制基調にあると言わざるを得ないわけでございます。  例えば、構造改善事業をどんどんやる、そして合理化もする、そして農作業機械のそれぞれのコストも抑えられて、この機械の値段もどんどん落ちてくると仮定いたします。そして、天気がどんどん続いて豊作になる。これはどこをどう見たって、努力すれば努力した分だけ、ただいまの生産費所得補償方式をもって算定すれば、結果として生産米価は間違いなくどんどん落ちていくということになると思うのです。これは間違いないでしょう。  そうすると、他の産業部門ではそういう知恵を出して努力して、本当に額に汗して働けば働くほど、どんな零細企業でも、どんな中小企業でもその果実は働いた者に報われていくという中にあって、弱者と言うと表現は悪うございますが、本当に弱い立場に立っておるこの生産農家の皆さん方の立場というものは、大枠の中でどんどん狭められていく、そして生産米価は据え置きあるいは低減、後退していくということになると思うのです。これでよろしいのですか、次長の御答弁をお願いします。
  95. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  生産性を向上し単収を上げることによって、だんだんとそれを織り込んで米価というふうなものも算定されれば、生産性向上メリット等について農家に帰着するところが少ないのではないかという今の先生の御指摘だと思うのでございますが、私ども農家生産性向上努力といったものについては日ごろから感謝もいたしておりますし、また、そのように大いに実績を上げていただきたい、こうも思っているわけでございます。  と申しますのは、私ども食糧管理をしていく場合におきまして、お米については現在なお四千数百億の財政負担も持っておることでございまして、その大きさがどういうものであるか、またお米の重要性から見て当然かどうか、いろいろ問題のあるところではございますけれども、相当の財政負担をしながら、かつまた海外の農産物価格の面から見ても相当の乖離のあるところでございますから、生産性を向上していただきながら、私どももそれがあればすべてもぎ取るということではなしに、といいますのは、今年の場合におきましても、昨年の豊作についても一応生産費の中で生産費所得補償方式算定においていろいろと算定はしてみましたものの、全体の総合判断で据え置きの諮問をさせていただいておるようなことでございまして、今後とも生産者と消費者の御理解をいただきながら食管制度の健全な運営に努めていかなければならないのではないかと考えております。
  96. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 私は農水省の方でできるだけ生産米価の上がる方向に御努力されておると理解しております。例えば、「米価算定安定性確保するという観点から、算定方式及びその運用は一定期間できるだけ変えないようにすることが必要である。」このようにうたわれているわけでございます。  当面三年間程度となっておるのですが、農家にとって、この三年間の平均がよろしいのか、五年間の方が生産者、農家にとってより利益が生まれるのか、あるいはもっと長くした方がいいのか、この辺のところ、いかがですか。
  97. 山田岸雄

    山田説明員 非常に難しい御質問かと思うのでございますが、一応私ども米価算定いたします場合のそれぞれの要素、経済変動と申しましょうか、ある場合には価格の変動というものがございますでしょうし、ある場合には労働生産性の変化率、こういったものもございますでしょう。したがいまして、三年固定といいますか、固定的に運用するということの方がいいのか、経済変動等著しい場合にございましては、やはり五年ということよりは三年で見直しをしながら算定をしていく方が農家にいいのか、その辺はそのときの条件の変化によりまして違うのではなかろうかと私考えます。
  98. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 そういう経済指数のとり方、それは三年というのがいいのかどうかということもありましょうが、私が言っておりますのはいわゆる作況指数、毎年毎年変わるわけでありますから、この三年間の作況指数の平均、それとも五年間という、極めて自然、天候に影響される稲作づくりでありますから、その辺がメリットがあるのか。要するに生産農家にとって有利な方向を見出してやってもらいたいという私の考えです。その点いかがですか。
  99. 山田岸雄

    山田説明員 今は失礼しました。先生の御指摘の点の、三カ年の生産費平均生産の単収その他につきましてもそういったものを平均して算定しておるわけでございますが、五年といいますのも、より安定性という面で考えられるかもわかりません、安定性という面を重要視すれば。しかしながら、その平均の中にもいろいろと数字がでこぼこするわけでございましょうし、一概にどちらが有利かということは申し上げかねるかと思うのでございますが、私ども、昨年の米価審議会価格算定委員会におきまして御議論いただき、その後結果をいただきましたものでは、三年平均でやるのがいいんではないか。  なお、私先ほど申し上げましたような生産費及び所得補償方式の根幹となるような家族労働費評価がえ、こういった問題につきましては、その運用面において三年間程度は安定的にやった方がいいんじゃないか、こういう御意見もありました。
  100. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 今回の生産米価の最も直撃を受けるのは、いわゆる中核農家といいますか、専業農家の皆さんだと私は思うのです。こう言うと失礼でありますが、兼業、一種兼業、二種兼業の皆さん方はさほどそういうことではないかもしれません。しかし、一番泣いておるのは専業農家であり中核農家である。この専業農家、中核農家のための生産米価をやはりこれから、極論すればそういう面を描出してでもこの対応を考えていかざるを得ない、私はこのように思っておりますが、この点について、次長並びに近藤政務次官殿、いかがでございますか。
  101. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  確かに米作にウエートの高い農家につきましては、やはり販売数量等も多いわけでございますし、そこで形成される価格による影響も他の二種兼業等とは違って相当大きい、こういうことは考えられるわけでございますが、私ども価格政策で運用する場合におきましては、やはり特定の階層、こういったものに着目いたしまして、それにどうこうする、こういうことが非常に難しいものではなかろうか、こうも思うわけでございまして、決して価格政策でやらないということではございませんが、価格政策のほかにもいろいろと対応する政策を展開することによりまして、今先生御指摘の、そうした階層の今後の発展を期待するようにやっていかなければならないと考えております。
  102. 近藤元次

    ○近藤説明員 今農業政策の進むべき方向では、中核農家育成の方向であらゆる政策を進めているわけでありますから、当然今次長からお話しのように、今のところ各界各層のような状況でございますので、一部に焦点を合わせてというのはなかなか困難な状態でありますけれども、中核農家育成の方向で進んでいくことによって、先生のおっしゃるように中核農家に焦点が合う米価決定ということになっていくだろう、こう思っております。
  103. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 ただいま政務次官の御答弁がございましたが、ぜひそういう方向に進められるように強く要望しておきます。  さて、米の消費拡大につきまして、生産米価絡みがありますからお伺いをしておきたいのであります。  つまり米をたくさん消費してもらう、そのためにはどういう方法がいいかということでございますが、私はやはり学校給食だ、このように思っております。この学校給食の頻度につきましてどのようになっておるのか承りたいわけでありますが、私の知る限り、たしか一週間にまだ二回もやってないというような数じゃなかろうかと思うのでございますが、この辺のことにつきまして、また、この学校給食をするにつきまして、委託方式をとったりあるいはみずから学校が炊飯施設を持ってやっておるところもありますし、またアルファ化米されたものを使っておるところもありましょうし、その辺の概況につきまして御説明いただきたいと思います。
  104. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  米飯学校給食につきましては、関係者の御努力もございましたし、また私ども助成措置を実施したこともございまして、着実に伸びてきた、こういうふうに理解しております。  その普及率について申し上げますと、現在九六%くらいになっておるわけでございますが、米穀の使用実績につきましては、五十一年で一万三千トンくらいが五十九年におきましては十万二千トンくらいになっておるわけでございます。大都会等での推進がおくれておる、こういうこともございまして、今先生御指摘の一週間当たりの実施回数につきましては五十九年度で一・八回、こういうことで伸び悩みの傾向と申し上げてよかろうかと思うのであります。  大都市等において米飯学校給食の推進がおくれておりますのは、米飯給食のための設備や人件費に対しますところの財政負担が相当かかるということ、また給食施設の設置のための用地の確保が難しいとか、調理従業員等の労働量が増加するとか、いろいろこういうふうな問題もございましておくれておるのが現実でございます。  食糧庁といたしましては、当面六十年代の初期に週三回の米飯給食を実施するという現在の文部省の目標がございますので、それの推進なり目標達成のために、文部省とも今後とも協議を行いながら積極的に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
  105. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員 ただいま次長から六十年代の前半には文部省と協力の上米飯給食を週三回は実現をしたい、こういうような答弁がありましたが、ぜひそれは貫徹してもらいたい、このように強く要求しておきます。  私が心配いたしますのは、いわゆる委託方式です。委託方式に対しまして、市町村の方で、市町村長とそれから市町村職員組合とで委託はしないでくれというような、そういう労使の協定書が入っているところが多いわけであります。そういうことは当然でありましょう。そこで、財政的な対応ができないということで、市町村長は頭をひねって、職員組合の方にも理解を求めながら委託方式にしているところもたくさんあると思うのです。  しかし、この問題は非常に大きな問題ではありますが、文部省、またその方面の関係団体ともじっくり腰を据えて協議をし、その積み上げをしなければ、六十年代前半に三回というのはなかなか難しいのではないか。かといって、文部省の方、学校の方にたっぷりと財政措置をして施設を全部つくらせることができるかというとこれも難しい。その辺のところをよく精査されまして、文部省との詰め、団体との詰めもしながらひとつじっくり取り組んでもらいたい。このことを強くお願いしておきたいと思うのです。  御案内のとおり、パンを食っていけば将来ずっとパンを食うようになる、当たり前のことであります。飯を食えば一生飯を食う人間になることは当たり前のことであります。人間は、人間の中に育つから人間になるのでありまして、人間が動物の中で育ったら動物になるそうであります。これは臨教審の会長のお言葉です。ここだと思うのです。米を食う人間をたくさん訓練する、トレーニングする。本当においしい、体にいい、米を食って頭がよくなる、内臓の調子がよくなる、美しくなるわけですから、この米を多くの児童生徒たちに食べさせてもらいたい。そのことを強くお願いしておきたいと思うのです。  なお、基本米価を引き上げる問題あるいは良質米奨励金の維持の問題につきましては、同僚の鈴木議員また松田九郎議員から、特に私の関連質問として質問を要求されておりますので、持ち時間一時間の中で政務次官並びに食糧庁の方に質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
  106. 今井勇

    今井委員長 関連をして、鈴木宗男君。
  107. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 近藤政務次官にお尋ねをいたしますけれども、政治家、衆議院議員近藤元次として、米価は据え置きが適当であるかあるいは引き上げが適当であるか、お答えをいただきたいと思います。
  108. 近藤元次

    ○近藤説明員 政治家でもあり個人でもありますけれども、今政務次官の立場でここで答弁をせざるを得ないわけでございまして、昨年まで、政務次官に就任前までは、鈴木先生それぞれまたともに行動してきた立場でございますので、今の据え置き諮問は私の心情としては必ずしも心情どおりというわけではございませんけれども、諸般の事情を勘案してやむを得ないものと承知をいたしております。
  109. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 極めて胸の内は苦しい答弁であったかと思うのですけれども基本的には、政治家としては近藤先生も農民のことを考えたらもう少し何とかしてやりたいというお気持ちでしょうか。
  110. 近藤元次

    ○近藤説明員 御案内のように、先ほど衛藤先生にも米を取り巻く情勢なり米の位置づけなりについてそれぞれお答えも申し上げ、御意見もちょうだいをいたしたところでございます。  米そのものが今必ずしも価格だけで対処できない事情にもありますし、また米は、御案内のような今の方式でずっとやってまいりましたけれども、先ほどの御質問にもありましたように三年がいいのか五年がいいのか、あるいはまた労賃のとり方についてもいかがなものなのか、あるいは米の過剰ぎみの状態においてそれの消費需給バランスをどうとるべきか。生産農家にとっては自分の持つ田んぼ、農地という財産をフルに活用できない現況にあるわけでありますから、そういうことを勘案をして、今あらゆる社会構造、教育から産業からすべてのことを国会でも重要な審議をいたしておるところであります。  米についても、私は算定方式その他について検討する時期に来たのではないかな、こういう感じが実はいたすわけであります。
  111. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 農民にしてみれば、公務員の給与も上がった、民間の賃金も上がっている、当然米価も上げてくれるのではないかという素朴な期待感や希望があると私は思うのです。また、ちょっとアバウトな計算でありますけれども、ことしの予算は五十二兆四千九百九十六億円、この中で例えば米価を一%上げても百三十五億円しかかからないのです。金額から見れば私は大した金ではないと思う。しからば農民の要望にもう少しこたえてもいいのではないか、私はそんな気持ちを持っておるのですけれども、政務次官いかがですか。
  112. 近藤元次

    ○近藤説明員 先ほど申し上げましたように、三年平均か五年平均かということは、一昨年まで四年連続冷害ということで、過去の歴史にないような連続性の冷害があったり、あるいは昨年のように一〇八という突如としての大豊作があったりというようなことで、やはり安定性、一定性という所得が何よりも大切なときに、余りにも変動が大き過ぎるのではないだろうか、実はこういう感じがいたしておるわけであります。  そういう意味合いからして、算定方式その他も改めて検討してみる時期にあるのではないかということをお答え申し上げておるわけであります。
  113. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 まだ二、三日時間がありますので、米価については十分配慮をしていただきたいと思います。  米価の場合、やはり消費の拡大というのも十分考えなければいけないと思っております。先ほども衛藤先生も言っておられましたけれども、今一人当たりの年間の消費が七五・七キロ、一日当たりにしますと二百五グラムですから、軽く茶わんに四杯ですかの消費なんですね。これをもう少し消費をふやしてもらうと、あるいは生産調整も緩和できるし農民としても営農意欲もわいてくる、好都合になると思うのです。そのためには、消費拡大には学校給食も必要だし、またいろんなキャンペーンも必要だと思うのです。  その点ちょっと食糧庁は努力が足りないのではないか。またこれは農業団体にも言えるのではないか。米どころの農協でパンだとかインスタントラーメンを置いておる、こんなことはけしからぬことだ。行政指導で、米どころの農協は米はかり置けというぐらいのきちっとした指導もしなければいけないし、また農林省は農林省で消費拡大のキャンペーンも張らなければいけないと思うのですけれども、その点、次長さんどんなお考えですか。
  114. 山田岸雄

    山田説明員 消費拡大につきましては従来から多面的に展開しておるわけでございます。  今先生御指摘の、農業団体等といいますか、農協等におきましてそういった面をより強力に実施するように行政指導等も必要なんではないか、こういうことでございますが、やはりお米の消費拡大、これは食生活の中でも国民の嗜好の問題でございますので、それを食べてはいけないとか食べる、こういうのはなかなか……(「いけないじゃないけれども、進めればいいのだ」と呼ぶ者あり)はい。  そこで、私どもも、日本型食生活の長所、またこういったところがいい、そういった面から、お米の消費拡大といった面からも積極的に進めていく方がいいのではないか、こう考えております。
  115. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 次長、食生活というのは小さいときからなじませないといけないのです。そのためにはきちっとした教育の一環としても考えなければいけないのですよ。今の次長の話を聞いていると、これは消費拡大というのは絶対できない。前向きできちっとそこらは仕切りをつけてやる。農協がインスタントラーメンなんか置いて、嗜好です、そんなことをやって、米価は上げなさい、消費はふやしなさいと言ったって、そんなことができるか。そこのけじめをきちっとつけろと言うんだ。もう一回答弁してください。
  116. 山田岸雄

    山田説明員 今先生御指摘のように、インスタントラーメンを規制ということは、やはりそちらの面からよりはお米の消費拡大、需給均衡させるということにつきましてやはりメリットがあるわけでございますので、特に食管法堅持、それからまたいろいろと健全な運営をやる、こういう御要請の向きでもございますし、率先垂範、御協力いただくような方向を今後もとってまいりたいと考えます。
  117. 鈴木宗男

    ○鈴木(宗)委員 それでは最後に、改めて米価の問題については十分配慮してもらうことと、消費拡大についても十分指導してもらうことをお願いいたしまして、時間ですから、残余の時間を松田議員にお譲りをいたします。
  118. 今井勇

    今井委員長 松田九郎君。
  119. 松田九郎

    ○松田委員 限られた時間ですから簡略に申し上げますが、政務次官、あなたと私は個人的には大変親しいので言いにくいのだけれども、これは言わにゃいかぬですね。  ところで、政府が今度諮問をした。どうですか、気持ちいいですか。恐らくきょうの米審の中でこの諮問は撤回をしろという意見が既に出ておると私は思うのだが、そういう空気のあることを事前に感じられましたか、感じられませんか。
  120. 近藤元次

    ○近藤説明員 米審では説明の段階で委員会に呼ばれて参りましたので、意見の開陳前に退場いたしておりますので、まだ承知をいたしておりません。
  121. 松田九郎

    ○松田委員 これは自民党の中でもほとんど大勢が、現在の諮問は承知まかりならぬ、まだ党内の意見さえ固まっていない、そういうところに見切り発車をしたような形の諮問だな。そういうものが一体政府として妥当であるかどうか。少なくとも、去年豊作だったからという理由だけで、ことしの諮問では据え置きである、事前には既に四%を引くなんということを言っておった。  お互いが食べておる米、大きな茶わん一杯二十八円しかしないんだ。二杯食べてみる、一日どれだけのエネルギーが出て、そして力がついて、おいしくて、そんな食糧が百円未満で今の世の中にあるかどうか。そのささやかな米価をいま少しく、五円程度でも上げてくれぬか、二円程度でも上げてくれぬか、そういう農民の切実なる気持ちをどういうふうに考えているか。  神にとにかく豊作を祈り、無事息災を祈り、天変地変のないことを祈って節くれ立った手で両手を合わせて拝んでおる、毎朝「明るい農村」でもお互いがテレビで見ておる、あの純朴な、今日まで何千年という長い間支えてきた日本農民のすばらしい伝統的な信仰までの生産意欲を、今度の諮問というのは一片の愛情のかけらもなく踏みにじったものであると私は言わざるを得ない。  そういう諮問をなぜあえて自民党の中でさえも全く思想調整ができないままに見切り発車をしたのか。今後相当に議論を呼ぶところだが、時間が気になってなかなかうまい言葉で表現できないけれども、とにかく政務次官、どうでしょうか、この諮問が拒否をされるという趨勢になったときにあなた方はどう対応されるのか。——これは次長に聞いた方がいいか、事務的なことだから。当然の機能でやった、職権でやったと言うから。だからこれは政務次官よりあなたに聞こう。
  122. 山田岸雄

    山田説明員 けさほど御説明させていただきました諮問につきましては、本日からあすにかけまして米価審議会におきまして御議論いただき、その答申を得ました上で、それを尊重し、関係方面とも協議いたしまして決定する運びになろうかと思います。
  123. 松田九郎

    ○松田委員 農業というのは言うまでもなく保護政策というのが原則だから、あなたたちのように、数字だけをまやかし半分にあっちからとりこっちからとって、ひねくってみて、つじつまを合わせてみたってどうにもならぬ。  特に、農業は保護政策だから、少なくとも保護政策と言うならば、米価についてはまず政治決着以外何物もないんだよ。政治加算以外ないんだよ。そうでしょうが。数字だけでいけるなら、政治も要らなければ行政も要らない。コンピューターを一丁持ってきてぽんぽんとはじきさえすればいいんだよ。過去二年間、去年はどうだった。あなたたちを煩わせたり高い給料で雇わぬでいいんだよ。コンピューターを一丁持っておってぽんぽんとやればいい、ことしの米価幾らでございますと出てくる。そんなことでは愛情も、真の政治も行政も、まじめにやっている者もふまじめにやっている者も一緒くたになるから、それではいかぬということで政治があり行政があるんだろう。だからこそそこには政治的配慮が必要である。従来そういう米価決定を我々はしてきたはずだ。それなのに、ことしに限ってはそんなことをしておらぬ。どういうわけなのか。  世界がやっておるんだ。先進農業国は皆保護政策だ。どんなに生産コスト高になろうと、スカンジナビアのあのスウェーデンのような白夜の国でさえも、国家財政の中で相当の負担をして自給自足体制をとっておる。世界には全部、戦略物資備蓄法があるんだよ。ないのは日本だけだ。我が党としてもあるいは政府としても、十分まだ行き届いていない、そういう政策の中に野放しにされておる日本の農民というものを考えれば、もっと愛情のある、もっと行き届いた米価諮問というのが必要だったと思う。それがないことはまことに遺憾である。  時間がないから最後に申し上げるが、さっき言ったように、国民の嗜好だから我々強制もできなければ指導もできません、そんなこと言っておったら需要拡大運動ができるものか。  あなた知っておるか。あなたの子供はどうか知らぬけれども、うちの親戚の手あたりは、はしがとり切らぬのだな。はしが持てない。それが日本人の今の少年たちの実態だろう。みんな、笑い事じゃないぞ。そういう日本でどうなるのか。米を食わぬということでいいの、日本は。小麦でいいのか、パンでいいのか、ラーメンでいいのか。米しかないんだ、日本の伝統の。米の中にこそ日本民族の三千年の歴史と将来の盛運というのが期待されるんだよ。その次代を受け持つ子供が、はしも握り切らぬなんという子供がどんどんできておる。それは米を食わせぬからだ。  さっきあなたは、いや拡大運動が進んで九〇%はいっておる。冗談言うなよ。九〇%といったって、一カ月にたった一回食わせるか食わせぬかまで入れておるんだよ。冗談じゃないよ。そういうことでは需要拡大運動になっておらぬよ。文部省、そんなことでどうするか。あなた、ああいう施設は、月一回食べさせようと一週間一回食べさせようと施設は同じだよ。食器をそろえて、戸棚をつくって、かまどをつくって、費用は同じだよ。何で同じ費用をかけておって、一カ月に一回やるところと一週間に一回やるところと三回食べさせるところと五回食べさせるところというふうに違うの。  それはなぜ違うかというと、日教組の教員とものおるところは食べさせないんだよ。頭が悪くなるとか痔になるとか肋膜になるとか、そういう思想的な指導をやっておるような学校がえてして需要拡大運動に不熱心、教育委員会もそれを野放しにしておる。文部省にもっと積極的に指導する用意はあるの。通り一遍のことじゃいかぬよ。本当にやりなさいよ、頼むから。
  124. 山田岸雄

    山田説明員 学校給食の米飯の推進につきましては、先生御指摘の御意見も十分踏まえまして、今後とも積極的に推進してまいりたいと思います。
  125. 松田九郎

    ○松田委員 時間がないから、これで終わる。
  126. 今井勇

    今井委員長 次に、串原義直君。
  127. 串原義直

    ○串原委員 大蔵省来ていますか。——それでは私は大蔵省から伺ってまいります。  大蔵省は、米価の値下げをするためにだけ作成したと思われるような資料をもとにいたしまして関係者に説明をして回って、値下げのための根回しあるいは環境づくりに汗を流したというのであります。その資料を見ますと、私をして言わしむるならば、農民の汗を知らない官僚のメモと断じたいと思うほどでございます。この程度の認識を持った大蔵官僚が、我が国存立の基本である食糧、農業を考え、予算のチェックをしているのかと思いますと、戦慄を覚えると表現をしてもいいほどの驚きを持ちます。  あなた方は、我が国の穀物自給率が三〇%、先進国の中で極端に低い日本になってしまったこの事実を、大蔵省としてどう受けとめているのですか。お答え願いたい。
  128. 竹内克伸

    ○竹内説明員 御指摘の自給率自給度等の問題につきましては、私どもも必ずしも専門家ではございませんが、農水省等と議論し、あるいはほかの方々と意見交換等をいたす過程におきまして、食糧の安定供給を図ることの重要性、その点につきましては私どもとしても十分認識しているつもりでございますし、そういう観点から予算等の問題についても勉強さしていただいているつもりでおります。
  129. 串原義直

    ○串原委員 時間の関係から大蔵省と私とで長い時間をとることはできませんけれども、私は、改めて機会を持って食糧についてぜひ大蔵省と徹底した質疑をしてみたい、こう思っているのです。しかし、それは別な機会に譲るといたしまして、あなた方が説明をして回ったと言われるその資料の中から一、二伺ってまいりたい、こう思うのであります。  その中で、資料一つとして「生産米価は過去三年間のデータに基づいた生産費及び所得補償方式により算定される。現在のところ、データがそろっていないため、」前ですから無理もないわけですが、「そろっていないため、確たることは言えないが、賃金物価等の押し上げ要因はあるものの、これらは比較的安定的に推移している。」次が問題なんです。「五十九年産米豊作であったため、平均単収がアップし、これが算定価格引き下げ要因として働くことになる。」こう書いてあるのであります。  つまり伺いたいと思うことは、あなた方の論理に基づくならば、それでは不作になったときには、大蔵省は上げてやりましょうという論理になるのですか。いかがです。
  130. 竹内克伸

    ○竹内説明員 最初に、先生の御指摘になりました資料につきましては、私どものいわば部内用の勉強資料という趣旨でつくったものでございまして、大蔵省の公式見解というものでつくったものではないという点をまず申し上げさせていただきます。  そこで、今御指摘になりました、五十九年産豊作の点が単収の引き上げ要因になって、算定価格引き下げ要因として働くというふうな点につきましては、これは御案内の生産費所得補償方式算定の構造を表現しているわけでございまして、前三年の十アール当たり平均生産費を前三年の単収の平均で割って算定するということになっておりますので、分母にございます単収が、昨年の算定に用いられました五十六年、七年、八年の単収平均比較いたしまして五十七年、八年、九年の単収平均が上がるということが、この算定の構造上引き下げ要因として働くということを指摘しているわけでございます。
  131. 串原義直

    ○串原委員 だといたしますならば、作況指数が下がったときには値上げ要因としてはね返ってくるようにあなた方は理解しておりますか、こういうことを聞いておるんだよ。
  132. 竹内克伸

    ○竹内説明員 生産費所得補償方式計算の構造上は、おっしゃるとおりに値上げ要因となるということと理解しております。
  133. 串原義直

    ○串原委員 今の点は了解をいたしました。また機会を改めて議論をいたしましょう。  そこでその次の問題でございますが、つまり米は過剰傾向である、過剰傾向であるから値上げということは考えられないような意味のことをこの資料の中にも指摘をされている。したがいまして、伺いたいと思いますことは、過剰傾向だからこそ幸せなんですよ。過剰傾向だから米暴動も起きないで幸せなんですね。  関連してちょっと触れますけれども、昨年は米不足が深刻となって、五十三年米の臭素米というのが食用に提供されたことは大蔵省も御存じでしょう。さらに韓国米を緊急輸入した。これも時間があれば申し上げたいけれども、詳しくは申し上げません。とんでもない話だというので国会で大議論になった。こういう現実を踏まえた場合に、若干過剰傾向だから値上げということは考えなくてもよろしいような考え方というものは、つまり昨年の経験を踏まえて考えてみますというと、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」、この理屈に通じはしないか、こういうふうに私は強調したいのであります。  私の地元は、決して米作農家面積が大きいところが多いとは言わない。言わないが、二戸百俵を出荷をするという農家はまあまあ中の上であろう。そうなりますと、昨年の例を引きますというと、昨年は一俵当たり二・二%の値上げであった。二・二%ということは一俵四百二円の値上げなんですよ。四百二円の値上げで、百俵出して四万二百円でしょう、所得がふえたとしても。その程度の所得のふえ方では二・二%米が上がったからそれでは米づくりに精を出しましょうという情熱を燃やさないような経済状態なんですよ。一・三ヘクタール、一町歩以上つくって百俵出荷をする、そういう米作農家が、一年に四万円所得がふえるようになったからぜひ米づくりにもう一度熱意を示しましょう、そんな簡単な情熱じゃない。  そういうことを私は強調いたしますだけに、あなた方の感覚というものは、農家の皆さんの収入増加になるなんということは、去年の実績から踏まえて大したことはないということを申し上げたいわけでございますから、その点で理解をいただきますというと、あなた方の理解と農家の皆さんの受け取る理解とはずれがある、大変に大きい、こういうふうに考えているわけでございまして、過剰傾向だから値上げをして生産意欲を刺激するようなことは考えなくてもよろしいというあなた方の考えに対して、私は異論を挟みたいわけだ。いかがですか。
  134. 竹内克伸

    ○竹内説明員 先生御案内のように、現在の米の需給の状態は、昨年の例はまさにそうだったと思いますが、短期的な需給上の問題がございますけれども、基調といたしましては、御案内のように約二割の減反を行っているということからも過剰基調にあるわけでございます。  もちろん、生産米価決定当たりましては食管法の趣旨にのっとって適正に決定していくわけでございますが、その背景としてこういう需給の問題もお考えいただく必要があるのではないかということを書いたつもりでございます。
  135. 串原義直

    ○串原委員 この点は時間がないから深く掘り下げることはできませんが、過剰傾向にあるから値上げをするということで生産刺激を与えてはいけないという発想は間違いであることを、この際強調しておくことにいたしましょう。  その次に、あなた方の資料の中に「農家世帯と勤労者世帯を比較すれば、総じて農家世帯の方にゆとりがみられる。」こう書いてあるのであります。「また、農家所得に占める米代のウエイトは徐々に低下し、六%未満となっている。」こう書いているのであります。  そこで伺いますが、あなた方は本当に農家世帯の方が現状勤労者世帯よりも賄いがよろしい、ゆとりがある、そうお考えなのですか。時間がないから詳しくは触れませんけれども農家世帯といっても農外収入がほとんどなのですよ。これはあなた方が御承知のとおりだ。だから農業経営、特に専業的農業の場合は大変な経営危機にある。そういう立場から申し上げますと、この資料はまさに理解不足甚だしい、こう言わざるを得ない。いかがですか。
  136. 竹内克伸

    ○竹内説明員 ただいまの点につきましては、先生御案内でございますので具体的な計数を申し上げることは省略させていただきますが、先生おっしゃるように、全体として、農外収入も含めて、しかも全国平均でとってみた統計上の数値を書いているわけでございまして、中を分析していきますと、確かに農外収入のウエートが非常に大きいということは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、こういう点について一体どういうふうに考えるべきかというのはなかなか難しい問題を含んでいると思いますし、各方面の方々の御意見もよく拝聴いたしまして理解を深めてまいりたいと考えております。
  137. 串原義直

    ○串原委員 あなたもそれをお認めになった。つまり、この短絡した書き方は大変誤解を生む、これは正しい表現ではない、こういうことですね。これは大事なところだから確認しておきましょう。
  138. 竹内克伸

    ○竹内説明員 私どもとしましては、部内の勉強食科ということでございますのでそういう趣旨でごらんいただきたいと思うのでございますが、総じてゆとりがあるというような表現を使いましたのは、先ほど申し上げましたように、全体を含めて、統計上、例えば世帯単位の収入であれば三割ぐらいの差がある、そういう事実を指摘したわけでございます。
  139. 串原義直

    ○串原委員 あなた方の部内資料と言われるけれども、この資料は一般に相当配付されているのですよ。回っているのですよ。さっき私が申し上げたように、あなた方は、関係者にはちゃんとこれを持っていって、こういう理由でことしの米価は下げざるを得ませんよということを説明している。そういう事実もあるのだ。それは否定しないでしょう。こんなことで私はあなた方を詰めようとは思わぬ。思わぬが、事実なのだ。  したがいまして、部内資料としてつくったということを私は一〇〇%否定するものじゃないけれども、こういう短絡した書き方をして間違った理解をさせてはいけない。これは私のきょうの質疑に基づきまして、そうだということを考えなければいけませんよ。今後こういう資料をつくるとするならば慎重に考えなければいかぬ。この活字だけで見るならば、ああそうかというふうに感じる人もおるでしょう。そうじゃないのです。農家所得なんてそんなものじゃない。農業所得というものはそんなものではない。農家所得農業所得とは分けなければいけません。いいですか。このことを強く要請をきょうはしておきます、時間がありませんから。  もう一つだけ伺っておきましょう。この資料の中で、米の「単収の向上、労働時間の短縮等生産性の向上を図ることにより、実質所得増加するものであり、米の供給過剰構造の下では生産コストの低減を図ることによる所得増加をめざすことが適切である。」こう書いてあります。  机の上の話としてはできるでしょう。しかし現実に日本農業を考える場合に、これ以上米の生産コストをどうやって下げようと大蔵省は考えているんですか。そんなことは農林省が考えることだ。農林省がお考えになることでしょう。大蔵省は、具体的にこうすればコストが下がってまいりますという手だてはあるのですか。ちょっとこれはあなた方の資料としては書き過ぎだと思う。どうやれば下がるのですか、教えてください。
  140. 竹内克伸

    ○竹内説明員 私どもとしましては、農林省とふだんからいろいろ議論しておりまして、農政の方向の一つのあり方として、構造改革、生産性の向上あるいは規模拡大ということが大きなテーマの一つであるというふうに考えておりますし、また農林省もそうお考えのように私どもは理解しております。  具体的な方策として、どういう方法によってそれが達成できるのかというのはなかなか難しい点もございますけれども、そういう点も含めまして農林省と議論しつつ勉強をしてまいりたいと考えております。
  141. 串原義直

    ○串原委員 ここであなた方を追及していって困らせようと私は思わぬ。思わぬが、余り簡単なことを書いてはいけないということを言っているのです。コストの引き下げをやると言ってみたところがそう簡単なものではない。これは農林省のやることである。  したがって、私は最後に申し上げておきたいと思うことは、この種の問題は大蔵省と議論すればするほど、あなた方と私どもの感覚のずれもあるでしょう、あなた方の認識不足もあるでしょう、現実に現場の実態を知らないということもあるでしょう。したがって、私の強調したいことは、この資料を出して若干の箇所へ行って説明したことは余りいいことだと思わない。今後こういうことはやめた方がよろしい。  と同時に強調したいのは、日本農業、食糧を考える省庁は農林水産省だ。あなた方は、財政の立場からそれに早くからいろいろ物を言うということは間違っているんですよ。いいことではない。時によれば相談しなければならないことはあるでしょう。しかし資料をつくって新聞社に配付するようなことをやっちゃいかぬ。強く私は強調しておきたいと思う。日本の食糧を守り農業を守るのは農林水産省だ。米価の問題を徹底的に審議するのは米価審議会ですよ。大蔵省が一歩先に出ることはない。ぜひこのことは強調をしておきたいと思う。  この資料に示された大蔵省の姿勢に対して、農民の皆さんは大変に不満をお持ちである。とんでもない話だというふうに言われておる。どうかこのことを謙虚に受けとめて、今後この種の資料の取り扱いについては慎重の上にも慎重に取り扱われるように要請をして、大蔵省に対する質疑はこれで終わっておくことにいたします。  次に、農林省に伺うことにいたしますが、まず初めに、五十八年度、五十九年度の若い農業後継者は新たに何人くらいずつ誕生したのでしょうか。
  142. 大坪敏男

    大坪説明員 ただいまお尋ねの、五十八年と五十九年におきまして農家の子弟が農業にどのように就業したかにつきまして、私どもで実施しております農業就業動向調査から見ますと、大要次のようではないかと考えておるわけでございます。  まず、新規の学卒者でございますが、この農業就業者の数は五十三年に一万人を割りまして以降、傾向的には逐年減少してまいっておりまして、五十八年には六千五百名、五十九年には四千七百名となっておるわけでございます。ただ、五十九年の高校卒業者につきましては、四十一年のひのえうまの早生まれの方が入っておりますので、出産状況から見まして当然この年代は卒業者の数自体が小さくなっているという点について御留意いただきたいと思うわけでございます。また、家を離れまして他の地域で学業を終えまして家に帰ってきた、そして世帯員になって農業に従事するようになったという者につきまして、五十八年は二千七百人、五十九年は千六百人になっているわけでございます。  したがいまして、この両者、要するに学業を世帯員として行ったか、それとも世帯を離れて学業にいそしんだかという区別でございますが、いずれにいたしましても卒業後当該世帯の中で世帯員として農業経営に従事することになるわけでございますので、この両者を合わせますと、五十八年には九千二百名、五十九年には六千三百人の方が若い担い手として農業に従事したと見ていいのじゃないかと考えております。  さらにまた、このような方のほかに、五十九年の場合を見てみますと、五十九年に学校を卒業し直ちに他産業に就業した者は約十九万人いるわけでございますけれども、この中で当初から通勤の傍ら農業に従事するという方が二万一千人いるわけでございます。また、自営兼業や家事等に従事する傍ら農業にも従事するという者が三千四百名いるわけでございまして、合わせますと二万四千四百名となるわけでございますが、これらの方は自家農業に補助的に従事しているというようなことではないかと思うわけでございます。将来農業経営でどのような役割を果たしていくかにつきましては不明ではございますけれども、いずれにいたしましても、新規学卒者の中で農業に補助的に従事する者が二万四千四百名いることをあわせて申し添えさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  143. 串原義直

    ○串原委員 次官に伺いますけれども、今私は若い農業後継者がどのくらいできたのでしょうか、そういう立場で伺いました。お聞きのとおりです。情勢についての詳しい説明もあったわけでありますが、私が非常に心配いたしますことは、例えば、今、若い学卒の農業後継者は五十九年で四千七百人という答弁があった。大問題だと思っています。  これは比較の問題であえて申し上げるわけでありますけれども、聞くところによりますと、今医師が一年におよそ八千人くらい新しく誕生される。多くの医師が誕生することは国民の健康のために大変にうれしいことではある。しかし一方で、国民の命を保持する食糧生産の若い担い手が医師の誕生の六〇%しか日本の国にできないという現実、これは重大問題と受けとめなければならぬ。将来ともに日本の中核農家は百万戸を要すると言われておる。そういたしますと、世代交代二十五年のサイクルを考えて、毎年四万人の若い後継者ができなければならぬ。にもかかわらず、去年は学卒の場合四千七百人誕生しただけである。そういたしますと、必要後継者の一〇%余でしょう。  この現実を踏まえて考えます場合に、ことしの米価据え置きは農業後継者を生む原動力になると思いますか。次官、答弁をお願いします。
  144. 近藤元次

    ○近藤説明員 農業後継者の面からとらえての米価諮問についての御質問でございましたけれども、先ほど先生の御質問を聞きながら、算定方式の中に数値を入れるとすれば、今のようないろいろな客観情勢で価格にはね返ってくるわけでありますけれども、現実の農村の実情というのは農家所得農業所得比較をした場合に、農外所得が年々増大をいたしておるわけであります。ただ、すべて全国の農村、山村にもそのような農外所得を求められる場所があるかというと、大半はなかなか求めることが困難だろうと思うのです。  そういう場合に、投下労働時間を短縮したときに、それによって価格にはね返ってきたときに、農家全体の収入減が生まれてくるという現実の問題が片方であることを承知をしながら、農村に対してどのように農家全体の収入を上げていくかということと米価との絡まりで、私は実は苦慮いたしておる一人でございます。  そのような環境の中で後継者が生まれてこないのも、一つは当然の結果として今日農村にあるのではないか。ここのところに焦点を合わせて、これから農村をどう守っていくか、その中で中核農家をどう育てていくか、こういう関係規模拡大等を進めていく政策を推進していかなきゃならぬ、こう実は全般に思っておるわけであります。  今日の算定方式の中で、四年連続の冷害の中から農家経済は極めて苦しい状況にあり、農業所得が大変農家経済を圧迫をいたしておるとき、たまたま去年が大豊作であったというようなことで据え置き諮問そのものを現実に諮問させていただいておるわけでありますが、そういう算定方式の中で据え置きにするまでの努力というのは、かなりそれなりの努力を私どもいたしたところでありますけれども農家の実情からすれば、そのことで後継者が意欲を持つというところまでは至らないだろうと感じております。
  145. 串原義直

    ○串原委員 次官はやはり率直に答えられた。あなたは立派だと思う。ことしの据え置き米価諮問では農業後継者になろうという意欲は生まれないだろうと思うとお答えになられた、立派だと思う。それでは困るのですよ。ともかく日本農業を育てていくということは、いろいろ条件があるけれども、まず後継ぎができないで日本農業は将来ともに守られない、だれでも承知しておることだ。次官は、農林省は、今の答弁を踏まえて今後より一層日本農業を守るために力いっぱい頑張ってもらいたい。  そこで、不満足な据え置き米価諮問をした。今米価審議会審議中でありますから具体的には触れることはできないだろうけれども、その審議を踏まえて、あした、あさってになるかもしれません、全力を挙げて、幾らなりとも、一足でも二足でも前へ進むことにいたしましょう、こういう答弁ができますか、次官。
  146. 近藤元次

    ○近藤説明員 昨年一年の大豊作は別としても、先ほど申し上げましたように、それ以前の四年の冷害で農家経済が苦しい状況になっておる、こういうことを踏まえて、全体的には、昨年の数値だけの中で米価にはね返らせるとすると必ずしも据え置きまでに到達しなかった部分もありますけれども、全般を見渡して、私ども最大限の努力をして据え置き諮問ということにさせていただいたわけでありますけれども審議会に今諮問をさせていただき、当委員会でもまた諸先生方の御意見をちょうだいをしながら、最終的には調整をさせていただいて適正なものにつくっていきたい。こう思っております。
  147. 串原義直

    ○串原委員 次に、これも次官に伺いましょう。  七年前といいますか、五十二年以来諸物価がずっと上がってきた。物価は大体三〇%強上がったと言われる。それから、労働者の賃金は五〇%近く上昇してきた。にもかかわらず米は八%しか上げてもらえなかった。こういう現実ですね。それから、昨年の消費物価も上がった。仲裁裁定と言われる賃上げも、一応四・二六%程度でしょうか、裁定が出た。これも低いですよ、まことに低いと思うけれども、そういう実態である。しかし米は据え置きである、農民の賃上げと言われる米価は据え置きである。これでは何とも農家の皆さんが納得しようがない、農業団体も納得しないということになります。  いま一つ、今次官が答えられた方向であす、あさっての努力を私は見守っておりますけれども、そこで、それにつけ加えまして伺っておきたいし強調したいと思いますことは、ここに内閣総理大臣官房広報室が調査をいたしました「食料及び農業、農村に関する世論調査」があります。相当分厚いものだ。私も詳細に検討して、貴重な資料だと思いました。  時間が迫ってきたから、これに詳しく触れることができないのはまことに残念ですけれども、ここで一口に言いますと、世論調査に答えられた皆さんは、将来の日本の食料事情に不安をお持ちですかどうですか、こういう質問をいたしましたら、三人に二人が、心配です、こう答えているのであります。次官もごらんになったでしょう。恐らく次長もごらんになったと思う。  さらに、日本の食料は国内で生産することの方がよろしいかどうか、国内で生産すべきだと思うかどうかという質問に対して、四人に三人、七五%の人が日本の国でぜひ生産してくれというふうに答えられているわけだ。これは厳然たる国民の声ですね。  そうであるといたしますと、ことしあなた方が諮問された米価というものは、この世論調査にも逆行するという方向ではないか、この世論調査の期待にこたえないものになっているのではないか、こういうふうに私は言いたいわけですよ。  でありますから、この世論調査にこたえるという立場でも、先ほど答弁をしてくださったわけでありますが、より一層この世論調査の期待にもこたえて、農家のためにも考えなくてはいかぬが、消費者という立場におけるこの世論調査にもこたえていきます、こういうことをお答え願いたい。いかがですか。
  148. 近藤元次

    ○近藤説明員 もう言うまでもなく、食糧は、世界各国が自給力の向上のためにあらゆる手段を講じて今日まで行われてきておるのが歴史的な経過でございます。  今農業を取り巻く情勢が、関税問題、いろいろな問題で各国から要請が強いわけでありますけれども、それを踏まえて、農林水産省としては、関税の引き下げその他についても極力自国産に影響力の少ない状況努力をいたしておるところでもあります。  そうしてまた、今価格政策というものを長年続けて生産意欲を持たせてまいりましたけれども、もう一面では、国際価格において、国内の農産物の価格というものは決して安いものではないわけであります。しかし、農業を取り巻く情勢は、先ほど先生からいろいろ環境その他の御意見もちょうだいをいたしたわけでありますけれども、他方、農家農業所得等を考えるときに、それでまた農家所得の維持拡大という面でも考えて、もう数年来、構造政策を積極的に進める方向で一面では進んでおるわけですが、御案内のような財政状況もこれありというような現況でもございます。そういう面で、私ども努力をいたしておりますけれども、期待に沿えるような結果がまだ生まれていない途上であることも、先生からひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。  今後、両面相まって、そして農家所得の維持拡大を図りつつ生産に意欲を持たせるようなことに極力努力をしていきたい、こう考えておる次第であります。
  149. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから、算定方式につきまして三点ほど伺いたいと思ったのですけれども、時間がありませんから一点だけ伺います。  家族労働賃金評価についてでありますが、ことしあなた方が米審諮問をした資料によりますと、一時間千七十四円二十三銭とさっき御説明をいただきました。私の手元にありますところのある資料によりますと、これは昨年のもののようでございますけれども、五十九年産米適用労賃の算定の基礎となっているものを、各県別にずっと計算した一覧表がある。これを見ますと、千七十四円二十三銭以下の県は、全国各県の一覧表ですよ、それ以下の県は青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、鹿児島、たったこれだけなんですね。したがいまして、この七県は千七十四円二十三銭以下になっておられるようでありますが、この県以外の県は、一時間当たり労働賃金評価については政府算定方式に比べるとすべてマイナス、こういうことになるわけですね。  これは、いま一度再点検をすべきときに来ているのではないか。これは重大問題だと思っているのです。農民も、勤労者と同じ賃金計算をされなければいかぬ、これは当然のことですね。また、農家の要求でもあり、農業団体の要求でもある。これは長い解説は要りませんけれども、あなた方の基本的な考え方について、この際伺っておきます。
  150. 山田岸雄

    山田説明員 今、家族労働費評価がえの点につきまして御指摘いただいたわけでございますが、私ども評価がえに当たりましては、製造業従事者の事業規模におきまして五人から千人未満、こういうことでやっておるのが一つと、また、今先生御指摘の点でございますが、各県のお米の生産とかかわりのある製造業賃金、こういうことをより反映させることの方が、かかわり合いの非常に少ない東京都等の賃金、これは製造業の従事者が非常に多いわけでございまして、また、そこにお米の生産が余りないというふうなことでもございますし、私どもが採用しております事業規模の中でも、事業所の規模でございますので、例えば大企業でございましても、その地方にありまして千人未満の事業所でございますれば、そこの賃金も、製造業の労賃も一応含まれておるわけでございます。これが一つございます。  それで、よりお米の生産に関連のある賃金算定するために、私ども、今度は全国平均をとるに当たりましては、お米の販売量との関係でもって、それをウエートとして加重平均させていただいているような次第でございます。  この両方でございますが、加重平均する方法においてお米の販売量を使っておる、また現在のお米の需給事情が、やはり生産調整をやっていかなければならない、こういった事情の中で、各地方の製造業者の方々の十分なる御理解もいただきながら考えるという点から見まして、事業所の規模についても考えてやらせていただいておる次第でございます。
  151. 串原義直

    ○串原委員 時間が参りましたから、最後に要請だけしておきます。  次官、食管制度が大変に形骸化しつつある、私は非常に心配している。どんなことをしても守っていくという決意を改めてこの際してもらいたいことを強く要請をしておきます。  そこで、私は委員長にお願いがあります。  論議をしてまいりましたように、ことしは米価据え置きなどまことに重大な米の情勢、時期を迎えているわけでございます。農家の期待にこたえると同時に、日本農業を守る、それから我が国の食糧自給率向上に向けて頑張る、こういう立場から、この際、当委員会において米に関する決議をぜひまとめていくべきである、こういうふうに私は考える。委員長におかれましては、ぜひ各党の理事の皆さんと御相談の上で決議をおまとめいただきますことを強く要請をして、これで私の質問を終わることにいたします。
  152. 今井勇

    今井委員長 次に、上西和郎君。
  153. 上西和郎

    ○上西委員 私は、まず基本的な問題について、二つのことをお尋ねしたいと思うのであります。  その第一点は、米価審議会のあり方についてであります。率直に言って私は当選一回のまだ経験浅い一代議士でありますから、過去のことは直接つまびらかにいたしません。しかし、ことしほど米価はどうあるべきだ、据え置くべきだ、あるいは引き下げるべきだ、寄ってたかって、米審の日程すら決まらないうちからマスコミがあおり、各方面からそうした声が集中的に出てくる、大変嘆かわしいことではないか、農林水産省は一体米価審議会をどのように位置づけ、その権威をどう守っていこうとされているのか、私は極めて素朴な疑問があります。この件に関してまず次官から、米審に対する農水省の基本的な姿勢というものを明らかにしていただきたいと思います。
  154. 近藤元次

    ○近藤説明員 若干長いこと携わってきた一人として、米審の前の論議がことしは例年より御指摘のように多かったと思うわけであります。それは、昨年の豊作等との絡み、また今の時代が情報化時代というようなことであろうか、マスコミがもう五月ごろからいろいろなことのニュースを流しておったという傾向もこれございます。  私ども多くの人たちから議論を聞いて、御意見を聞いて判断をし、それをまとめて、専門である、あるいは各方面の利害相反する関係者、また米審の諸先生方に御諮問を申し上げるというのが過去の例でありまして、御指摘のように、事前の情報というものが若干多過ぎた感じはしないわけでもございませんけれども、そのことで米審委員の先生方が権威を失するようなことはなかったように思いますし、前広米審でもまた従来どおり真剣にそれぞれの立場で御意見をちょうだいいたしたところでもございます。  なお、私どもはそのような情報を流しておるわけでもございませんけれども、それなりに影響のある官庁でございますので、それぞれ御注意をしていきたい、こう思っております。
  155. 上西和郎

    ○上西委員 次官のお答え、それなりに私評価できますけれども米審に対する信頼が揺らいだら、農政に対する農家の皆さん方の信頼はまさに失われる、私はそのように考えます。したがいまして、所管庁である農水省、食糧庁が自戒自粛することはもちろん、必要とあらば他の省庁に対しても、あるいは有力政治家であろうと政権党と自負される方々であろうと、必要な注意はきちっとしていただきたい、米審の権威を守るがために、私はまずこのことを強くお願いしておきたいと思うのであります。  二つ目にお尋ねしたいのは、大蔵省の極めて不可思議な動きについてであります。  先ほど我が党の串原委員の質問に対して、大蔵省からは、部内用討議の資料だとおっしゃった。ところが、それが麗々しく、大蔵省の算定によれば米価引き下げるのは至当である、こうマスコミにどんどん出てくる。入手した資料を見てみると、明らかに大蔵省が米価決定する権限を持っているかのようなことが平然と書き連ねられている、私は極めて不審な気がするのであります。  一点厳しくお尋ねしたいのでありますが、勤労者の世帯と農家の世帯の実態を見るときに、農家の方がゆとりがある、こうおっしゃっているが、その科学的根拠を簡潔明瞭にわかりやすく御説明いただきたいと思います。
  156. 竹内克伸

    ○竹内説明員 御指摘の点につきましては、農林省の統計あるいは総理府の統計によりますと、例えば農家所得と勤労者の世帯の実収入を比較いたしますと、昭和三十五年では農家世帯が四十四万九千円、勤労者世帯が四十九万一千円という関係にございました。したがいまして、勤労者世帯の方が数字が大きいという関係にございましたが、昭和四十五年に百五十九万六千円と百三十九万一千円というぐあいに逆転をいたしております。最近の数字では、昭和五十九年の概算でございますと、農家世帯が六百六十四万三千円、勤労者世帯が五百十三万五千円という関係になっております。比率をとりますと約一対一・三というような数字に相なっております。  それから、もう一つの例で申し上げますと、貯蓄残高で見てみますと、昭和三十五年の世帯当たり農家の貯蓄残高が三十三万四千円、勤労者家計の貯蓄残高が二十九万七千円という関係でございましたが、昭和五十九年の最近の数字で見ますと、農家世帯は千四百五十八万五千円、勤労者世帯が六百四十八万九千円というようなデータになっております。
  157. 上西和郎

    ○上西委員 日本で一番優秀な頭脳の集団である大蔵省がこうした数字をお出しになり、そうしてあたかも農家の生計実態が勤労者より極めてゆとりがある、こういう御答弁をなさいますと、何もわからない一般国民の皆さんは、お上を信頼しておりますから、とりわけ最強にして最古の歴史を持つ大蔵省の言うこと、これは一番信頼性が高い、こうなるでしょう。  しかし、私はあえて反論したいのであります。あなた方は収入だけ言っているが、では健康保険はどうなるのですか。一家の大黒柱が病気になった、農家の方は国民健康保険だ、三割は完全に自己負担だ。サラリーマンなら何とか一割負担でいける。共済組合や健康保険組合に入っておれば家族を含めて付加給付がある。収入とは別個に支出はどうなるのですか。国民年金の保険料はべらぼうに上がっている、農業者年金も上がっている、国民健康保険料もウナギ登りだ、そうしたことについてあなた方は一顧だにしてないんじゃないですか。字面だけじゃいかぬです。  農協の総会に行ってごらんなさい。農協の預貯金の何十%が部外預金じゃありませんか。それをあなた方は知っていてやったのですか。あなた方はどういう統計に基づいてやっているのか。部内預金か部外預金か、そういうことは日本を背負って立つ大蔵省の皆さんはどう分析をしているのか。  まず預貯金のことだけお尋ねしましょう。この一人当たりの預金の中に、部外預金はどうなっているのか、これは部内預金で純然たる農家の方々だけの預金なのか、その点だけ厳しくお尋ねしたいと思います。
  158. 吉國隆

    吉國説明員 私、先生の言及しておられます大蔵省の資料については詳細を承知しておりませんが、農家の貯蓄なり借入金につきましては、農家経済調査、これは農林省の統計情報部でやっておる調査でございます、これのデータについての御議論であろうと思いますが、農家経済調査におきましては、今、五十八年度の数値でございますが、農家平均で貯蓄全体が千三百二十八万円、このうちで農協貯金が四百九十八万円、それから、それを含めます預貯金が九百二十九万円という数値になっております。先生のただいまおっしゃいました部外貯金というものがどういう性格のものがよく存じませんけれども農家経済調査におきますデータとしてはそういう状況になっております。
  159. 上西和郎

    ○上西委員 だから、統計とり方ではそういうものが出てくるのですよ。しかし、農協の総会に行ってごらんなさい。純然たる組合員がしている預金と、準組合員といいましょうか、農協を一種の金融機関として利用するために加入をし、出資をし、預金を利用している方々は結構おられるのです。農業と無関係の方が農協を一つの金融機関として利用しておる。その方々の言うならば員外預金、それらを含めて出しますと、農家の方がたっぷりお金を持っているようになってしまうのです。  それはそれでいいでしょう。そこで優秀なお二方が頭をひねっているから、限られた時間ですから、それ以上のことは私は申しません。  ただ、お尋ねしたいのは、これは農水省にもあわせてお尋ねしますが、農水省の資料によれば、農家の方の生活実態というものは勤労者に比べて八二%にしかなっていない、このデータの中ではこう出ています。ところが、今大蔵省はぴしゃり農家の方がはるかにゆとりがあると言っている。このことについてはお互い農水省と大蔵省は資料の突き合わせをしたのですか。それとも日本には政府が二つあるのですか。そのことについて、これだけの違いをどうとらえているのか、それぞれの立場で明確にお答えいただきたい。
  160. 竹内克伸

    ○竹内説明員 ただいま先生の御指摘のございました八二%という数字はちょっと私も確信を持って申し上げられませんが、私の手元資料では、就業者一人当たり所得というふうにとらえますと八二%になります。先ほどは一部のデータを御紹介したわけでございますが、こういうデータにつきまして、いろいろな観点からいろいろな見方、御意見があるのは事実でございます。その中に、就業者一人で見た方が公平ではないか、あるいはそういう観点も当然必要ではないかという御指摘もあります。そういう点から見ますと八二%、そういうふうに理解しております。
  161. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  私どもが持っておりますところの農家世帯と勤労者世帯との所得比較におきまして、世帯員当たりで見ますと、農家の場合にありましては五十九年の概算で九十四万八千円程度になっております。それから勤労者世帯につきましては世帯員一人当たりにおきまして八十五万九千円程度になっております。いずれもこれは全国の平均でございます。
  162. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  限られた時間でございますから、私がきょう特に大蔵省にお尋ねしたかったのは、なぜ今までやらなかったこんなことを、意図的か、故意か、偶然かわかりませんが、おやりになったのか、僕は不思議でしょうがないのです。部内の検討資料なら、なぜ外部に出たのか。農水省や食糧庁と綿密に照会をして、数字その他もチェックをして、そうしてお出しになったのか。  このままの生の資料を私も目を通しましたけれども、あたかも農家の皆さんはゆとりがあって、食管会計の上に安住をして良質米奨励金などをいただいておると言わんばかりのやり方で、今のままでいくと三%下げても何にも構いませんよということを、さっきから言いますが、最強最古の大蔵省、最も優秀な頭脳の集団であるあなた方がされたら、それは大変な悪影響を受けますよ。そして、まじめに働いている農家の皆さん方は一体何を信じていいかわからなくなる。  そうした与える影響の重大さを考えて、少なくともこういった軽はずみな行動は断じてことし限りにしていただきたい。間違っても来年度はやってほしくない。所管庁である食糧庁、農林水産省をかたく信頼し、そして、やはり農家のことは、日本農業行政はすべて農林水産省が束ねていく、責任を持っていく、こういう姿勢を日本政府全体として確立をしていただきたい、このことを強く要望して、次の質問に移らせていただきたいと思います。  以下、具体的な算出基礎について若干お尋ねをしていきます。  まず第一点は、潜在生産量の問題に含めて、永年性作物相当分とか、他用途利用米その他、いろいろ出ております。ただ、私はここで一つだけお尋ねしたいのです。六十年度も減反やりましたね。現にことしもやりましたね。これらは一体この基礎の中にどのように計算をされ、はじき出されておるか、そのことをずばりお尋ねしたいのです。
  163. 山田岸雄

    山田説明員 今私ども計算に用いました数字は、六十年度の転作の推計等を利用いたしまして一応数字を求めたものでございます。
  164. 上西和郎

    ○上西委員 わかりました。  次々にお尋ねしていきましょう。  次に、労賃のとり方。あなた方は、都市労賃をとりたい、こういうことを表ではおっしゃっておるけれども、今の米の販売量の加重平均なんというやり方は、結果としてはどうしたって都市周辺部よりは低くなる。そうしたところのローカル労賃といいましょうか、地方労賃を結果として取り入れておることになるのではないですか。その辺についてはどうなんですか。
  165. 山田岸雄

    山田説明員 結果といたしましては、地方の都市があるわけでございますし、そこの賃金、特にお米の販売量の大きいところの賃金ウエートが高いわけでございますので、全国平均をする場合におきましてはお米の販売量が反映される、こういうことになります。
  166. 上西和郎

    ○上西委員 次長、こういうことになりますとあなたが断言されると、私は質問しにくくなるのですけれどもね。極めて数字に強い国家公務員の皆さん方ですから、では、それはそれで行きましょう。  次は、利率のとり方。郵便貯金といいますか、それと農協の定期預金との利率を足して二で割るようなやり方。私も農協の総会に、農林水産委員ですから時々出るのですけれども、質疑応答の中で農家の皆さん方がざっくばらんに言っておるのは、出資配当が少ない、定期預金の金利をなぜ保証しないかと、がんがんやるのですよ。百万円出資して表彰をもらう。そうすると、年間収入は半分になってしまうのですね、定期預金にしたときと出資配当では。ということは、逆に言えば、農家の皆さん方は御自分の入っている農協にほとんど圧倒的に預金しているのですよ。なぜ郵便貯金を持ってこなければならないのですか。科学的根拠をお示しいただきたいと思う。
  167. 山田岸雄

    山田説明員 自己資本利子評価の問題であろうかと思うのでございますが、私ども今回採用させていただきましたものは、農協の一年定期の貯金利率によるという考え方をとっておりますが、農協の一年定期の貯金の利率が借入資本利率を上回っていることを考慮いたしまして、やはりそれは借入資本の利率が、これは実績を調べてみますと五・二九ぐらいでございます。農協の一年定期の預金利率が五・六でございます。こうした一応自己資本利子として評価をする場合に、その借入資本利率の実績の五・二九よりも大きい数字を採用するのはいかがなものであろうか、こういうふうに考えまして、基本は農協一年定期の預金利率というふうなことに準じて採用したい、こうは思ったわけでございますけれども、やはり借入資本利率の実態というものにも思いをいたさなければならぬわけでございますので、今回は、自己資本利子評価当たりましては、その金利は五・二九、これを採用させていただいているわけでございます。
  168. 上西和郎

    ○上西委員 その五・二九、これはことし農林漁業金融三法を改定しましたね。そして次官、あなた方の御努力にもかかわりませず、制度資金、系統資金その他を含めて金利は大体上がった方が多いわけでしょう。確かによくなったところもあるけれども、それらはこの金利の中にはどうなっているのですか、今度の法改定による分は。五・二九とのバランスというか、関連は。
  169. 山田岸雄

    山田説明員 今御指摘の点、今年の政策金融におきますところの金利の改定部分はまだ入っておりません。私どもは実績を調査いたしまして、それの加重平均したものが五・二九ということで把握されておりますので、今後また来年以降におきましてその辺の実態が把握されますれば、そうしたものにも配慮いたしまして適正に決めてまいりたいと考えます。
  170. 上西和郎

    ○上西委員 次は、固定資産税というか土地の評価の問題です。これもどうも摩訶不思議なやり方をあなた方はされておりますので、優秀な頭脳であればこういうすばらしい計算をおとりになるのかなと思うときもあるのですけれども、やはり素朴に、田畑を持ち一生懸命頑張っている農家の皆さん方から見るとわかりにくくて納得がいかないということになるのですが、あえてこういう方式をおとりになる科学的根拠をお示しいただきたいと思う。
  171. 山田岸雄

    山田説明員 自作地地代評価につきましては、従来は最低の、決まっておりました地代をとっておったのでございますが、そうした取り決めもなくなりまして、その後いかような方法評価をするか、こういうことにつきまして昨年いろいろと米審価格算定委員会等におきましても御議論いただきまして、土地資本利子ということでひとつ地代評価したらどうか、こういうことに相なったわけでございます。  その土地資本利子という評価の仕方をします際に、元本を何でとるかということが問題に相なるわけでございますが、私ども採用させていただきましたのは、固定資産税を課税いたします際に、農地につきましては、固定資産税評価額といいますものは正常売買価格に五五%という比率を掛けましてその固定資産税評価額をつくっておるわけでございます。  そのほかに、考え方といたしまして、一般の土地につきましては正常売買価格そのままが固定資産税をかけられる際の評価額に相なるわけでございまして、農地はそれだけ固定資産税等についても安く評価されておる。  これは、正常売買価格といいますものが、農地の場合におきましては、やはり農地の売買というものが農場単位という大きな規模で行われるのではなくて、非常に切り売りをするとか部分的なものを買うとか、こういうふうなことでございまして、経営を可能にするような単位で売買がなされてない、したがって、比較的割高に売買がなされている、こういったものを評価の対象にするのはいかがなものであろうかということもございまして、収益性等から正常売買価格に五五%を掛けて固定資産税評価額にしているということもございますので、私どもその考え方によって元本を採用しているわけでございます。  なお、この元本にいかような利率を掛けるか、これも一つの問題でございます。この点については、資本として考える場合に、土地というものは安定性の非常に高いものでございますので、私どももその金利としては十年の利付国債利回りを一応採用させていただいておるわけでございます。今年は、その利回りについては昨年採用したものよりも実態はなお下がっておるわけでございますが、農家生産意欲に及ぼす影響等にも配慮いたしまして、昨年採用した利率そのままを今年も適用するということで考えております。
  172. 上西和郎

    ○上西委員 以上四点がことしの米価算定基礎の中で特にお尋ねしたかったことでありますが、過去のいろいろなデータ等を見ますと、私のように日が浅い者にとってはどうしても合点がいきませんので、あと二つお尋ねしたいのです。  一つは附帯労働費とり方。附帯労働費というか、例えば農業自体、米作のためだけに使われる労働力以外に、極端なことを言うと、農協に肥料を買いに行くわ、農協に銭を借りに行くわ、あるいは土地土地によってグループで川の上流から次々に田植えをやるから、集まってちょっと飯でも食いながら順番やら労務提供をどんなふうに決めていこうとか、いろいろなことをやりますね。言うならば間接経費ですな。こうしたものをずっと調べてみると、何で入らないのだろうか。  私の乏しい調査結果でありますが、四十二年から四十四年まで三年間はこれが米価算定基礎に入っている、私はこう理解しているのですが、このようなことは今回は一顧だにされなかった。私はそれについて、わかりやすい根拠といいますか、そういうものはもう一切無視しているのだ、入らないのだ、こういうことはどうしてなのかお尋ねしたいと思います。
  173. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  今先生御指摘の附帯労働費、私ども企画管理労働と言っているものではないかと思うのでございますが、これについては過去、ちょっと年次ははっきりいたしませんが採用したこともあるのではないか、私もそのように記憶しているわけでございます。  しかしながら、この企画管理労働というものについて実態をどのように評価し把握するか非常に問題がございまして、過去においても事例的な調査をやったこともあるわけでございますけれども、どういう定義でどのような区分をして把握するかということが一点ございます。  それと、この種の労働内容でございます。今先生御指摘いただきましたように、私どもの現在の労賃の計算においては、直接労働と間接労働ということで、統計情報部の方でも調査をしていただいてそれを一応算定しているわけでございますが、その間接労働部門に入るものもあるでしょうし企画管理労働といった部門に入るものもあるでしょうし、一般の企業においてはどちらかというと本社の管理部門の経費というものでございまして、一般の圃場における生産コスト部門とは若干異なるものじゃなかろうか、こういう点があるわけでございます。  それともう一つは、稲作規模によって、企業の管理労働的なものと非常に小さな経営における管理労働というふうなものをどう評価するか、こういう評価上の非常に難しい問題もございまして、いろいろと議論はされるのでございますけれども生産費調査等においても、圃場コストを把握するということで、そういう企画管理労働は一般的に労賃評価の対象になってない、こういうこともございますし、現下転作等をやらなければならないという実態もございまして、今回はこれについては一応採用されてないということになっております。
  174. 上西和郎

    ○上西委員 今のお答えでいくと、圃場関係といわゆる本社の企画管理費的なものはと、こうおっしゃるのですが、農家の皆さん方にとってはそれがなければ実際できないわけですね。だから、過去せっかく英知の結集でそういうものをお認めになったのなら、やはりそういった配慮もなければ農家の皆さん方は納得できないのじゃないか。  それと同じことで、私は民間の出身ですから、いわゆる職場で働く者の賃金を決めるときに、会社側、経営者側と労働組合といろいろやっていきますが、最終的に賃金が決まったときに、我々の働いた、努力した結果、例えば収益がこれだけ上がったから今度はボーナスこれだけだったぞとか、今度は賃上げが、世間水準はこうだけれどもこれくらい闘い取ってきたぞ、これでみんな納得するわけです。ところが見てみますと、あなた方の資料では、低コストだ、低コストだと言って、一生懸命努力して規模拡大その他をやってコストが下がれば、結果として米価が下がっているじゃないかという素朴な疑問をここで提起したいのです。  これも同じように、四十二年、三年、四年の三年間は、そうして努力した結果コストが下がった部分の何十%かは米価にはね返しているわけですよ。働いて頑張ってもうけたら、それはちっとは返してもらわなければ——農協だってそうでしょう、役員、理事者側、働いている職員、加入している組合員、民間だってそうだ、いわゆる株主の皆さん、社長以下の役員、働いている社員、従業員、こうした方々三者に均等にそのバックがなければ、本当の意味の生産意欲、勤労意欲は高まらないと思う。にもかかわらず、低コストだ、頑張れよ、規模拡大だとあおり立てておいて、せっかく努力してコストが下がったら、それに連動した形で米価が下がっている、こういうやり方ではどうしても納得できぬのですが、せっかくおやりになっていたことを復活する意図はありやなしやということでお尋ねしたいと思います。
  175. 山田岸雄

    山田説明員 四年続きの不作の後で、昨年は天候にも恵まれ、かつまた生産者の御努力もいろいろとございまして、単収が相当上がり、生産費は大幅な引き下げ効果を出しておる、こういう実態でもあるわけでございますが、私どもも、こういった生産費を今回の算定の基礎として使います際、四十七年、四十八年、四十九年と三カ年分を採用しておりまして、四十九年も一応入るわけでございます。  そのまま昨年と同じような方式でいきますと四%程度の引き下げ、こういうふうなことにも相なるわけでございますが、今先生御指摘の生産性の向上メリット、こういうふうな面とか、また豊作によってもなおかつ農家経済というものが非常に厳しい環境に置かれておる、こういう実態でもございまして、今回諮問をさせていただきましたように、試算の段階では昨年よりも二・六%くらいのマイナスということもあったわけでございますが、全体を総合勘案いたしまして据え置き、こういうようなことでやらせていただいておるような次第でございます。  今後も、いろいろと生産事情なり需給事情なり変わっていく段階におきましてはそうした事情をも十分配慮いたしまして適正な算定を行っていかなければならない、こういうふうに考えております。
  176. 上西和郎

    ○上西委員 次長のそうした説明なりお答えは、それなりに私はわかるのです。ただ問題は、極端なことを言うと、最初に財政ありき、後に算定方式ありきという感じがしてしようがないのです。そうでございましょう。  私はここで原点に返りますけれども、先ほど大蔵省に申し上げたあれと同じことを、今度は次官、あなたにお尋ねしたいのですよ。大蔵省が極めて横暴に、農水省なんか無視した形で、僕に言わせればあんなやり方は暴走ですよ、そのことについて大臣以下農水省の皆さん方は腹をくくってけんかしたのですか、このことについてまず最初にお尋ねしておきたいと思うのです。
  177. 山田岸雄

    山田説明員 済みませんが、今、生産費所得補償方式によって生産費を採用いたしました年次につきまして、四十七、四十八、四十九年と申し上げましたが、間違えました。五十七、五十八、五十九年でございますので、訂正させていただきたいと思います。
  178. 上西和郎

    ○上西委員 次官、ちょっと答えてください。
  179. 近藤元次

    ○近藤説明員 事前に大蔵省の資料が出回り、あるいは説明をしたというようなことで御指摘がございました。  腹をくくってけんかしたかというお尋ねでありますけれども、別に腹をくくってけんかはしませんでしたが、そういうものを顧みず昨年来の方式計算をすると、ややマイナスの部分がありました。しかし、今次長の言うように、そのようなこととは関係なしに、精いっぱい農水省としては努力をして大蔵と折衝させていただいておるところでございます。
  180. 上西和郎

    ○上西委員 次官、私は日本の国家公務員の皆さんを深く信頼しております。とりわけ農林水産省の皆さんには全幅の信頼を置いております。  二つ理由があるのです。  一つは、山村新治郎前大臣がおやめになった後、私たちにある場所で述懐なさったことがある。あの厳しかった昨年四月の対アメリカ農畜産物輸入自由化の交渉のときに一緒に行ってくれた農水省の高級幹部は、全部辞表を懐にしていた、私はそれに打たれて、支えられて交渉ができたとおっしゃった。私は何も昔の武士が切腹覚悟でやったなんて、そういうことまで言いたくありませんけれども、それだけ悲壮な決意でおやりになった、大変厳しい中をしのいできた、このことが一つであります川  もう一つは、昨年、佐藤農水大臣が就任後日浅いときに、閣議でめったやたらにやられましたね。集中砲火を浴びた。そうしたら農水省一丸となって抵抗し、事務次官連絡会議をボイコットした。私は本当に自分一人で拍手喝采しましたよ。やれやれと思った。  あなた方が頑張ることが農家の利益につながるから私は頑張ってほしいと言うのです。私は何度も申し上げますが、当選後日は浅いけれども、この一年間そうしたことを目の当たりにしているし、直接聞いている。  そのあなた方が、大蔵省のあんな傲慢不遜なやり方に一矢も報いずして何だと言いたい。あなた方が値下げ妥当だと言うなら上げてやるぞ、農家生産費はこんなにかかっているんだ——先ほど串原委員からあったように、この八年間、賃金アップ率はトータルで四六・九%ですよ。物価が三〇・二%上がっている。米は八・三%でしょう。こんなばかげたことがあるか。どんなに科学的な数字をいじくったところで、結果としては明らかに農家の皆さん方を抑え込んでいる。そして生産意欲を停滞させる。後継者は育たない、出てこない。それでいて、何かあるとまずお金だ。  私は別にここで防衛費のことは言いたくありませんけれども、中曽根さんが財政窮迫だから全部犠牲を払ってくれと言って全部抑え込んだらこんなことは言いませんよ。一カ所だけはぐんぐん伸びていくのでしょう。日本国民すべての希望でも何でもない。ただひたすらに太平洋の向こうのレーガンさんと仲よくしよう、悪く言えばごまをすろうとばかりのやり方としか見えないようなやり方でそちらの方は野放しにどんどんふやす。片や日本の数千年の伝統があるこの米作を中心とする農業には極めて冷酷非情なやり方をする。これでは心ある国民は納得しないと思うのです。こうした数字が具体的に出ている。  懸命に働いている農家の方々の労苦に報いるためにも、将来にわたって日本農業を本当に守り抜き、国民に安全な食糧を安定して供給するという決議が、昨年七月五日本委員会で決まりました。これは七月二十日本会議で採択されました。この決議に基づいて、農林水産省は大臣以下胸を張って行動していただきたい。とりわけ、きょうから開かれている米審では、委員の皆さん方の意見を謙虚に耳を傾けて聞きながら、国民の負託、とりわけ農家の皆さん方の期待にこたえる答申がぜひ出るようにあなた方の御努力をお願いしたいと思います。  そのことに関し、次官から決意なり見解なり所感の一端をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  181. 近藤元次

    ○近藤説明員 先生からるる御意見、御質疑等がございましたが、私ども農林水産省の職員に対して大変ありがたい評価をちょうだいをして、まさに私も短い勤務でありますけれども、そのとおりだ、こう思っております。関税問題等についても、新聞紙上あのような御批判はいただきながらも、我が国の食糧、また農家経済自給力等を、それぞれ職務を守る立場での努力をしてきたことでございます。なお、今後ともまた引き続き御指導のほどをお願いを申し上げたいと思うわけであります。  米価の問題につきましては、おっしゃるとおり、それがゆえに米審の諸先生方から御意見をお聞きをいたしておるところでありますので、十分尊重して、またなおその過程においての本委員会の御意見等も勘案をさしていただいて、適正に決定をさしていただきたいと思います。
  182. 上西和郎

    ○上西委員 次官のただいまの見解を私は素直に言葉どおり受けとめまして、そして、私帰りましたら選挙区のすべての農家の皆さんに、農水省はこういう姿勢でやった、このことは正確に伝えて、そして働く農家の皆さん方が深い信頼を農水省に、日本政府に寄せるように努力をしたいと思います。  どうか次官以下関係ある皆さん方の一層の奮励努力を心から重ねてお願いを申し上げ、終わらしていただきます。ありがとうございました。
  183. 今井勇

    今井委員長 次は、五十嵐広三君。
  184. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 ことしの米価諮問で連日大変御苦労いただいておりまして、御苦労さまと申し上げたいと思います。  そこで、米価問題に入る前に、私は北海道なものですから特に強く感じているのでありますが、ナチュラルチーズあるいはチョコレートなどの関税引き下げの問題なのであります。  政府・与党の対外経済対策推進本部ですか、これの第三回の会議が六月二十五日にあった。ここで一律二〇%引き下げの方針が示されたわけでありますが、この折に中曽根総理が、この折の関税引き下げに除外されていた幾つかの品目を挙げながら、これをアクションプログラムの三年の期間内に引き下げる方向で努力をするように、こういう考え方を示したというのであります。  これはまず、そういう事実がどんな格好で総理から示されたのか、農水省はそれをどういうぐあいに受けたのか、その辺の事実関係だけ、まず最初にお伺いしたいと思います。
  185. 後藤康夫

    ○後藤説明員 お答えを申し上げます。  今お尋ねの中にございましたように、六月二十五日の政府・与党対外経済対策推進本部におきまして、関税に関します行動計画の骨格が付議をされまして決定をされたわけでございますが、そのときに、今回関税の引き下げの対象にいたしませんでしたナチュラルチーズとチョコレート菓子につきまして、総理から、これは農村にとっても大きな問題であるけれども、そしてまた、今すぐどうこうといってなかなか難しい問題であるけれども、行動計画の今後の三年間の中で将来展望を開いていく必要がある、そのための検討をしてほしいという旨の御発言があったわけでございます。  これらの問題につきましては、私ども、総理からの検討の御要請でございますので、これを受けとめて検討しなければならないというふうに考えておりますけれども、いずれも現在のところ関税引き下げにつきましての展望が描けるような状況にはないわけでございまして、私ども、この点につきましては、今申し上げましたように、現在のところ、引き下げるということは非常に困難であるというふうに考えておるところでございます。
  186. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 この前の一律二〇%引き下げの折にも、その対象品目に入れないということのために農水省は大変な御苦労をなさったわけであります。あのときも最後までもめにもめた中でともかくも守り通してくれたというふうに生産者は思っていたのでありますが、あのときの御苦労の状況、あるいはなぜそうやって頑張ってあれを除外させたかということなどについて、ひとつ率直な畜産局長などのお考えを伺わしてください。
  187. 野明宏至

    ○野明説明員 お答えいたします。  ナチュラルチーズにつきましては、これは関税の一律一括引き下げの問題とはまた別に、いろいろな国からの関心品目でもあったわけでございます。ただ、御案内のように、酪農は、我が国の土地利用農業の基軸として位置づけられておるものでございますし、また、北海道などにおきましても地域の経済の上で非常に重要な産業というふうになっておるわけでございます。それからまた、ナチュラルチーズにつきましては、乳製品の中で今後とも需要が増大すると見込まれる品目でありまして、今後の酪農の安定的発展の上からも重要なものであるというふうに考えておるわけでございます。  我が国の酪農、乳業の歴史というのはまだまだ欧米諸国に比べて浅いわけでございますし、土地条件の制約もある中で、合理化を図り、コストの低減に努めておるわけでございますが、国際競争力という点ではまだまだ十分ではないわけでございます。そういう状況の中で関税を引き下げるということは極めて困難な状況にあるわけでございます。したがいまして、これにつきましては対象に加えないということになったわけでございます。
  188. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 そういうことで頑張っていただいたわけであります。ところが、さっきもお話があったように、総理はそういう重大なことを、しかもそういう基本方針を出した直後に、にわかに発表した。  これは官房長官が、六月二十五日に午前と午後に記者会見しているのですが、午前の記者会見の後、ちょっと午前の記者会見とニュアンスの違う感じで午後に改めてこの問題について記者会見をして、説明をしている。そこでこう言っておるわけですね。「関税に関するアクション・プログラムの骨格に関連して、総理指示のありましたところについて、今後次のような考え方で取り組みたいと思っております。」四点述べている。一つはバナナの点、二つ目にチョコレートで、三つ目にナチュラルチーズでありますが、四つ目は合板について。  その関係のところを言ってみますと、「チョコレートにつきましては、今回関税率の引下げは見送られましたが、市場や業界の状況をみながらアクション・プログラムの三年の間に引下げにつき前向きに努力することと。ナチュラルチーズについては、今回関税率の引下げは見送られたが、アクション・プログラムの三年の間に引下げにつき前向きに努力すること。」こう発表しているわけですね。  その後、記者団からこれについて質問があった。「骨子に追加されるという趣旨でいいんですか、受けとっていいんですか。」という質問に対して官房長官は、「今日の総理の指示を受けて、今後そういう考え方でいくということにするということですね。」こう答えておるわけですよ。これは大変なことじゃないですか。どうですか、局長さん。
  189. 後藤康夫

    ○後藤説明員 推進本部の席上でございました総理の御発言は先ほど申し上げたようなことでございます。  ただいま官房長官の記者会見のときのお話がございましたけれども、私はそちらの方まで直接には承っておりませんけれども、私ども農林水産省といたしましては、このアクションプログラムの三年間という期間の中で、諸外国から非常に要請の強いこの二つの品目について総理から検討の御要請があったというふうに理解をいたしておるところでございます。  その検討の結果ということは、私ども、今改めてもう一度、そういうお話がございましたので検討をいたしておりますが、先ほど申し上げましたように、またこれらの品目につきまして関税を引き下げ得る状況にはないというのが現在のところの私ども考え方でございます。
  190. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 外務省来ていますね。——外務省は、この当日の官房長官の記者会見の発言をそのまま関係国に直ちにお知らせをしているわけですね。二〇%一律引き下げについてはああいうような品目であったが、しかし関連してこういう官房長官の発言があり、そういう展望でいるのだということを知らせたということなんだろうと思うのだが、外務省は、これを各国にお知らせをしたというようなことはあるのですか。
  191. 小川郷太郎

    小川説明員 お答え申し上げます。  事実としましては、官房長官の記者会見がありましたときに、その発言内容について東京にあります関係国の大使館に知らせた事実はございます。  他方、この経緯について申し上げますと、いろいろな国との経済摩擦がございまして、従来より各国から関税引き下げその他について非常に強い要請がございます。したがいまして、これまでとられた場合もそうでございますが、市場開放措置をとりました場合には、通常、日本としてこれだけの措置をとりましたということを関係国に知らせていることがございます。  この間の六月二十五日の関税引き下げにつきましても同じような措置をとったわけですが、午前中には、東京にあります関係国の大使館に対しまして、関税引き下げのアクションプログラムにつきまして、千八百品目くらい、こういった品目を引き下げたという説明をしております。それから他方、外国にあります我が国の大使館に対しても、そうした措置がとられたということは通報しております。ただ、その時点では、今度の対象の中にはナチュラルチーズ、チョコレート等は入っていませんものでしたから、それについては入ってなかったという事実を説明したわけです。  そして、午後になりまして官房長官の記者会見があって、そうした内容説明されたということでございますので、後から補足的に説明したということでございます。
  192. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 二十五日に、これは外務省からお聞きをしたところでありますが、今お話があったように、在欧各公館、EC代表、それからイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ギリシャ、アイルランド、デンマーク、スイス、オーストリア、こういう関係各国にこれを通報した。その際に、ナチュラルチーズ等に関する官房長官発言内容についても付言、補足した。これはそれぞれ知らせたわけですね。また、別途、二十五日、在京欧州各国大使館にも同様の説明を行った。  こういうことをしたとすれば、各国が向こう三年のうちにこういうことになるなという期待を持つことは当たり前でしょう、総理がそういう方針を出したということは。しかも、それを外務省がそれぞれ官房長官の記者会見の内容というものを関係の国々に知らせた。総理が十二日からヨーロッパへ行く、恐らくEC代表は待ち構えているに違いない。ECのドクレルク委員ですか、これがこの間のあの発表の直後に直ちに声明を出している。あるいは、行かれた折にはECのドロール委員長とも総理は会うという話でありますから、当然これらは出てくることになる。向こうは、いやおかげさまでこの問題も三年以内には片づくことになるんですねという期待を持って待ち受けているに違いない。まさか総理が手土産にこれを持ち込んでいって、向こうで決めてくるというようなことはないとは思うが、どうなんですか、そんな協議でもあるのですか。断じてそんなことはないですか。さっき上西議員が農水省の皆さんのしっかりした仕事ぶりをほめておられた、私たちも同感であります。農水省としては何を賭してもこれは断固として阻止するという決意があるに違いないと思うのだが、しかし、事はこうやって進んでいる。次官、どうですか。
  193. 近藤元次

    ○近藤説明員 先生御案内のように、今日まで問題になりましたけれども、酪農は我が国の土地利用農業の基軸でございます。特に、北海道を中心とする地域産業の基幹産業でも実はございますし、ナチュラルチーズは乳製品の中でも今後とも需要の増大が見込まれておるわけでありますから、生産振興は我が国の酪農の安定的な発展のために欠くことのできないものでございます。欧米に比しては我が国の酪農の歴史は大変浅いわけでありますけれども、土地条件の制約もある中で合理化に努めてきておるところでもございます。乳製品の国際競争力は十分でない現況の中で、欧米諸国においてもナチュラルチーズ等の乳製品は輸入制度上手厚い保護を受けておるわけであります。そういう状況からして、関税の引き下げをするというようなことは今考えられる状態ではないわけでありますから、最善の努力をして今日までも守ってきたところでもございますし、私ども全力を挙げてこのことは阻止していきたい、そういう方針で今農水省は当たっているところであります。
  194. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 次官、簡単でいいのですが、今のようなお話ではあるが、しかし、事実はさっき言ったようなことで進んでいるわけですね。十二日から総理は行くんだ。次官、やはり総理と、もちろん大臣を含めてしっかりお話をして、全力を挙げるということだけでなくて、農水省としては——冗談でない、これはあなた、実際こんなことになったら北海道は大変ですよ。それは、酪農なんていうのは壊滅ですよ。ビートだってそうでしょう。ですから、それはそれこそさっきの話じゃないが、職を賭してでも総理絶対だめだよということをきちっと歯どめをかけてもらわなければいかぬと思うのですよ。  それから、農水省自身もこれは一体どう対策をとりますか。各国に外務省からそういうものが通報されているわけですよ。向こうはみんなそう思っていますよ。これはどう措置をとりますか。それについてはまだ局長意見も聞きたいが、次官、まずどうですか。
  195. 近藤元次

    ○近藤説明員 厳しい関税引き下げのときにも私ども徹底的に現状を理解してもらう努力をして今日まで回避してきたところでもございますし、今でもその気持ちには全く変わりはございません。ただもう一点、昨日自民党の方からも総理に対して、特にこの問題を取り上げて、このことは了承できない事項であるということを官邸の方に申し入れをしたようでもございます。私どもは今日までの態度といささかも変わってないことだけは申し上げておきたいと思います。
  196. 野明宏至

    ○野明説明員 お答え申し上げます。  ナチュラルチーズをめぐる事情につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。したがいまして、現段階において展望の描けるような状況にないわけでございますので、この問題については関税の引き下げというようなことにならないように我々も努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  197. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 時間がないようで申しわけないのですが、間もなくやめるようにはいたしたいと思います。  外務省の小川課長さん、こういうような状況ですから、これは諸外国に間違った印象を与えては大変なことになると思うのです。これは外務省、やはり農水省と協議をして善処してくださいよ。こんなことではだめですよ。一番問題な、できもしないことをやるかのごとく知らせるということは大きな不信を後に残すだけですよ。これは絶対だめだ。——発言ありますね、どうぞ。
  198. 小川郷太郎

    小川説明員 私どもとしましても、ナチュラルチーズその他に関しまして国内事情の厳しさというのはいろいろ農水省その他の方々から聞いておりまして、外国からの要請に対してできるだけ対応したいという気持ちはありますが、国内の事情を無視してできないということは十分承知しております。  それで、今度の六月二十五日の引き下げに至る間でも、いろいろな関係方面、農水省の方々ともいろいろ話し合いをしてきたわけですが、それは非常に難しいという感触を我々得まして、関係国には事前に、これはだめだよ、難しいということも伝えております。それで、たまたま官房長官の記者会見がありましたことと、我々が説明をしたときにその問題は今度の対象にはまだ入らないということ、質問なんかがあってそういうふうに答えたこともありまして、実は後になって記者会見があったということを補足的に伝えたわけですが、今後につきましても、私どもとしまして国内の事情というのはよく承知しておりますので、農水省の方々、その他の方々とよく相談して外国に対してどういうふうに説明していくか、我々の困難な事情はこれまでも再三各国に対して説明しておりますが、そうした国内の事情を踏まえて、農水省の方々とも相談しながらやっていきたいというふうに思っております。
  199. 五十嵐広三

    ○五十嵐委員 小川課長さん、ひとつよく外務大臣とも御協議いただきながら、本当にあなた、今ちょっと調子のいいことをほのめかしたけれども、あなた今、外務省を代表して答えているわけだから、いいですか、お帰りになったらよく報告してきちっとしてくださいよ。ぜひ農水省としても外務省と連絡をとりながら、間違いのない方途を決めてほしいというふうに思います。間違ったって、向こうへ行って手土産がわりに調子のいいようなことを独走して総理が話をしてくるようなことのないように、次官、頼みますよ。重ねてお願いしておきたいと思います。  もう時間がございませんが、米については、何といったって四年間も不作続きの後、去年ようやく豊作ということであったわけでありますから、これはもう実際には農家の経営の実態というのは、今例えば北海道あたりで、この間の北信連の去年年末の調査でありますが、これは前の年から比べて負債が減ってないですよ。むしろちょっとふえている。だからそれは負債が膨れるのをやや抑えたという程度のことであって、それはその四年間の不作状況というものが一年の豊作でいえたというようなものでは全くないわけでありますから、ぜひひとつこれからも、今までの低米価の政策なんというものは見直して御努力をいただきたい、こういうぐあいに思うところであります。  なかんずく一番被害を受けていると思うのは、これは中核農家、専業農家の皆さんであろうというふうに思いますので、そういう対策につきましても十分な御配慮をお願い申し上げて質問を終えたいと思います。どうもありがとうございました。
  200. 今井勇

    今井委員長 次に、水谷弘君。
  201. 水谷弘

    ○水谷委員 公明党の水谷弘でございます。  各委員から、ただいま行われております米価審議会に対して政府諮問をいたしました六十年産米米価について種々議論があったことと思いますが、私も何点かにわたって質問をいたしたいと思います。  先ほども話がありましたように、たまたま昨年、四年連続不作の後豊作になった。不作のときは全く振り返ってももらえない。たまたま豊作になるとすぐ米価引き下げという方向に政府は向かうということについて、生産者の農家の皆さん方は大変なお怒りを持っていらっしゃるところでございます。私はそういう皆さん方の声に真摯に耳を傾けて、やはり豊作を喜べるような米穀政策が我が国において確立されなければならない、このように指摘をまず申し上げておきたいと思うわけであります。  これから二十一世紀を目指して我が国の農林水産業をより堅固なものにしていくためにも、その農林水産業の基盤であります米作、これは農家の皆さんにとって本当に希望のある、見通しのあるものにしていかなければならない。ところが、昭和五十三年度の水田利用再編対策以降、常に財政論議が先にあって、そして生産米価の抑制政策がこの七年間とられてきたわけでございます。生産費は約四〇%上昇しているにもかかわらず米価はわずか八%しか上がっていない。そのほかに生産資材価格製造業賃金消費物価、こういうものに比較いたしますと、極めて米価が低く抑え込まれている。このような政府による生産米価の抑制策、稲作収益性の悪化、また農家経済にも重大な影響を与えているわけであります。  農水省はそのことを一番よくわかっておられる当事者だと思うわけでありますが、皆さん方から提出していただきました資料の中に、昭和五十五年から五十八年、四年間を比べてみた農業所得の推移がございますが、北海道では昭和五十五年から五十八年、この四年間では農業所得はマイナス二九・二%、また東北においてもこの四年間でマイナス三・八%、北陸でも四年間で六・七%と、農業所得は実質的に大きく減ってきている、こういう厳しい状況になっているわけです。  さらに、生産米価は五十四年以降第二次生産費を下回る水準で決定をされてきていることはよく御存じのとおりであります。そこで五十九年産価格と同じ価格に据え置く、こういうことになりますと、第二次生産費をカバーし得る範囲は生産量、販売量で一体どの程度これがカバーできるのか、現在では第二次生産費ところかわずかの差で第一次生産費に近づいている水準になっているわけであります。地代資本利子は全く無視されている、こういう状況でございます。  さらに申し上げれば、五十八年の生産農業所得、これは冷害の影響も大変ございましたけれども、四兆四千七十九億円にとどまり、五十年の五兆二千五十四億円よりも七千九百七十五億円も少なく、物価上昇分を差し引いた実質所得では五十年の五八%にしかなっていない、こういう厳しい状況になっているわけです。  また、稲作の反当たり所得について全体的に見ますと、五十八年では反当たり七万八百九十六円、五十年では九万一千五百三十四円、二万六百三十八円も少なくなっている。実質所得では五十年の五四%にしかすぎない、こういう状況であります。  そこで、今回生産者の皆さん方が要求をされております基準価格で一万九千三百八円、これは本当にわずか四・九五%の引き上げを求められたものであり、ぎりぎりの要求でございます。私どもの竹入委員長は、ことしの米価については二万円を割るような米価ではしようがない、本当に苦労されている農家の皆さんにおこたえできない、こういうことで、少なくとも生産者の皆さんが要求されておりますこの要求米価は最低ぎりぎり、今諮問されておるものは五十九年産米米価と同じ据え置き価格ということになっておりますが、私は、こういうときこそ本格的に米価算定について明確なルールを確立して、そして生産者におこたえできる確たる政府価格決定していくべきである、このように考えるわけでありますが、政府諮問における考え方を伺って最初に私の質問といたします。  やはり生産者があって国民食糧の自給が確立されるわけでありますから、その生産者の願いを真摯に受けて政府が対応していかなければならない。きょうは次官がおいでになります。次官はもうそれこそ米どころの代表でありまして、一番切実にお感じになっているわけでありますので、その決意といいますか、お考えを、私と同じ考えに立っておられると思いますけれども、最初にお伺いをいたしたいと思います。
  202. 近藤元次

    ○近藤説明員 農家の、あるいは農村の現状を踏まえて先生からお尋ねでございます。  私も政治家として、農村を取り巻く状況後継者状況その他、農業状況については、極めて厳しい環境に立っておることを承知をいたしておるつもりでございます。ただ、価格政策、構造政策、それぞれ政策には幾つかございますけれども価格政策でかなりの時を過ごしてまいりましたけれども、数年来、構造政策で農家所得の安定を図っていこうという方針も出されたことは御案内のとおりであります。過剰状況で、まだ米の消費の減退がとまらない状況でもございますし、財政事情でやってはいかぬといっても、これまた全く無視をするわけにもいかないことは御案内のとおりであります。  その種のことを考え、また、そういう状況であるがゆえに、昨年大豊作ということで、四年連続の減収の中に豊作が生まれてまいりました。それを素直に計算をすると、必ずしも前年どおりという数字に至らぬような状況でございましたけれども、先生の御発言のような環境でもございますし、また、心情としても同感の私どもでございますので、精いっぱい計算をさせていただいて、昨年並みという諮問をいたしたところであります。受ける農家からすれば必ずしも十分ではございませんけれども、今の算定方式の中ではそれなりの努力をさせていただいたところでございます。
  203. 水谷弘

    ○水谷委員 先ほど申し上げた数字、わかりますか。この政府価格でカバーできる生産数量と販売数量はどのくらいになりますか。
  204. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  五十九年産米につきまして、第二次生産費をカバーいたしますところの、生産数量におきますところのカバー率は四九・四%程度でございます。それから、販売数量に対するカバー率につきましては五二・二%程度でございます。
  205. 水谷弘

    ○水谷委員 今答弁がございましたように、政府生産価格では、半分以上の数量についてはいわゆる生産費を補うことのできない価格になっているわけであります。  今次官が、昨年豊作であった、過去のいわゆる政府計算方式によれば本来引き下げるわけであるが、それを据え置くためにいろいろな手当てをした、こういうお話でございます。そのことそのものは私もよくわかるわけでありますけれども、元来、昨年決定をした価格そのものが既に生産費を割っている。この世の中で、自分のつくるものを自分が値段を決められない、これはほかの産業の中にはそれほどございません。みずから生産をし、製造をし、そしてみずからが価格決定することができない。ちょうど公務員の皆さんのようでございます。みずからが賃上げ闘争ができない、そのために人事院勧告がある。この勧告は適正でなければならないし、完全実施をしなければならない。生産米価も同じです。みずからその価格決定できない。であるならば、少なくとも生産費を割るような米価というのはもう最初から議論の対象にならない。  このように考えるのは私だけではないと思う。消費者の皆さん方だって、農家の皆さんが本当に自信を持って、希望を持ってお米を生産してくださることを願っているわけであります。今どき生産費を割って物を生産する方は農家の皆さんしかいらっしゃらない。そういうことを抜本的に直していかなければならない。昨年に比べてことしはこうだという議論は、それはおっしゃるとおりでありましょう。しかし、半数以上の生産量が政府生産米価では生産費を割ってしまっている。私は今回の諮問については到底承服することができないわけでございます。  総論はこのくらいにいたしまして、具体的な問題についてお伺いをいたします。  今回の算定方式、従来からの対象農家、家族労働賃金評価、自己資本利子自作地地代評価、重要な算定要素がございまして、それに基づいて算定をされているわけでありますが、今日までの米価算定の動きを見てみますと、昭和三十五年からでございますけれども、よくぞ変わるものだなと思うほどこの算定の要素が変わっております。変わらないということもそれはあり得ないことでありましょうけれども、どうもその年その年いろいろ苦労しながら、正当な理由をつけながらその算定の中身に手をつけておられるような気がしてなりません。それほど激減したり激増したりということがあるわけでございませんので、少なくとも農家の皆さん方が事前に推定できる、いわゆる農業経営が長期展望に立って推定できるような生産米価算定ルールというものが確立されてなければならないと思います。  特に五十六年からまたいろいろ手をつけて、潜在生産量に対する必要量の比率、こういうものが表に出てきております。五十九年産決定米価では、その潜在生産量に対する必要量の比率が八二%、こういうふうになりました。本年は八三%となっておりますけれども、この具体的な数値をお伺いいたしたいと思います。
  206. 山田岸雄

    山田説明員 それでは、八三%になりましたその数値の基礎につきましてお答え申し上げます。  私ども、まず分子に需要量を置いておるわけでございますが、その需要量といたしましては、主食用等生産予定量とされておりますところの千九十五万トンを分子に置いておるわけでございます。  それから、潜在生産量につきましては、第三期対策における潜在生産量千三百七十五万トンでございます。その潜在生産量から昨年と同様に、転作が定着したものとして永年性作物等について転作奨励金は支払われなくなったものもあるわけでございますが、そうしたものにつきましても転作面積としてカウントしておるものがございます。いわゆる転作カウント面積と言われておりますが、こうしたもの、さらに、転作定着性が高いものといたしまして永年性作物とか林地、農業生産施設用地等の面積相当分、これも控除しようということでございます。もう一つ、本年は、かんがい施設がなくなりまして、かつ客土によって形状が既に畑状になっている、いわゆる転換畑と申しておりますけれども、この転換畑相当分も控除するということにいたしております。今申し上げました定着性の非常に高いもの、このトータルが二十七万トン相当に相なるわけでございます。このほか他用途利用米生産量として予定されておりますところの二十七万トンでございますが、昨年の政府試算と同様に潜在生産量から差し引く、こういう計算をさせていただいておりまして、それを分母にいたしておるわけでございまして、その結果が八三%という数字に相なるわけでございます。
  207. 水谷弘

    ○水谷委員 他用途米の数量は分母に入るのですか。
  208. 山田岸雄

    山田説明員 さようでございます。
  209. 水谷弘

    ○水谷委員 そうしますと、分母は幾つになりますか。
  210. 山田岸雄

    山田説明員 分母の方は、千三百二十一万トンに相なります。
  211. 水谷弘

    ○水谷委員 私、昨年もちょうどこの米審委員会のときに、この潜在生産量に対する必要量の比率の問題についてお伺いしたわけでございますが、ことし、こういうふうに積極的に見直しをされた御努力評価をいたします。しかし、このような見直しというのは、何もことし行われるべきものでなくて、既にこういう状況は続いてきているわけであります。昨年これができないわけではなかったわけでありますね。こういうところに、そのときそのときの状況に応じて算式に手をつけて、おれたちの米価政府が勝手にいじくっている、こういう議論が実は出てくる。  そういう意味で私はもう少し、こういうことは何もことしになってやらなくても、これだけの理由づけといいますか根拠というのは前もってきちっとできているわけでありますので、今、ことしの諮問をされている最中でございますけれども、これに準ずるような見直しをしなければならない部分はたくさんあるわけであります。次長、どうかひとつ、食糧庁が生産者を大切にしながら、我が国の大事な主食であるお米を安定的に消費者の皆様にも広く提供し、その使命を果たしていただくためにも、明確な論拠といいますか方向をつくり上げながらルールをしっかり確立していっていただきたい、私はそう思います。昨年は、分母が千三百八十マイナス十一でございました。このマイナス十一が二十七になり、五十四にふえたわけでございます。これは大変な数でございます。こういうことは一つの例でございますけれども、今申し上げたとおりでございますので、ひとつしっかりした積算といいますか、算定のやり直しを行うくらいの気持ちで取り組んでいただかなければ困る、私はこのように考えているわけでございます。  次に、家族労働賃金評価の問題でございます。  これも各委員から厳しく指摘があったと思いますが、五十六年から製造業五人以上千人未満、九百九十九人の賃金を県別米販売数量で加重平均して算定をするというふうに変わりました。その結果、五十九年産評価では一時間当たり千四十八円、製造業規模別全国賃金比較すると五人かも二十九人の規模賃金と同水準になってきている。非常に低く評価されていると思わざるを得ないわけです。五十五年には千九十三円だったものが五十九年では千四十八円と下がっている。ほかの一般の労働者の賃金は十分ではありませんけれども上昇いたしておりますし、そのほか物価上昇もある、そういう中で政府米価適用の一時間当たりの労賃がこういうふうに四・一%もマイナスになってくる。これは一体どういうことなのか、私はちょっとわからないのでございます。教えていただきたい。
  212. 山田岸雄

    山田説明員 家族労働費評価がえでございますが、これにつきましては今先生御指摘のように、平均の仕方を米の販売数量にウエートを置くか、従業員数に置くかによりまして相当のギャップが出るわけでございます。私ども、従来は従業員の数のウエートによりましてとっておったのでございますが、年々におきますところの需給事情がだんだんと厳しくなってまいりまして、生産調整等もさらに強化していかなければならなかった時期であろうと思いますし、さらには過剰米の累増といった問題もあるわけでございまして、そうした米をめぐる事情につきまして、特に需給事情等を重要視しておりまして、要素のとり方におきましてもある程度勘案せざるを得なかったという事情があるわけでございます。  したがいまして、この問題につきましては、昨年の米価審議会に設けられておりました米価算定委員会の御検討をしていただきました結果におきまして、家族労働費生産費及び所得補償方式の根幹をなすものであるのでできるだけ安定的に取り扱うように、こういうふうな御意見もございまして、私ども、そういった御意見も踏まえまして今算定を行っておる次第でございます。
  213. 水谷弘

    ○水谷委員 ことしは幾らだったですか。
  214. 山田岸雄

    山田説明員 今年の場合、家族労働費につきましては、都市均衡労賃一時間当たりといたしまして、男女込みにおきまして千七十四円二十三銭でございますし、男子におきまして千三百九十一円五十六銭でございます。
  215. 水谷弘

    ○水谷委員 年々ほかの労働賃金が上がっていく中でこういう非常に低い労働賃金評価をされるという、これは大変な問題だと私は思います。都市均衡労賃という言葉がなければ結構です。しかし、そういう明確な位置づけをしておきながら、ことしにおいても千七十四円という、こういう本当に低い評価、これは農家の方に対して大変失礼だな、一体おれたちを何だと思っているんだという御議論が出ても不思議ではないと私は思うわけであります。製造業全体の賃金が年々上昇しております中で、どうしてこういう評価になるのか。  私は、わからないと言ったのは、そういう根拠がわからないのじゃなくて、このように抑え込む、そういう姿勢がわからないということを申し上げたのでございます。やはり正当に評価をしていかなければならない。もちろん需給事情という問題がございます。財政負担という問題もある。しかし、こういうことが長く続いていきますと、農家の皆さん方の生産意欲というのはどんどん衰えてしまうし、これを見たら、新たに農業に携わろうという若い方々がどうして頑張る気になるでしょうかね。私はそう思わざるを得ない。  先ほど米審からのお話がございましたけれども、安定的にというのは、何も低位で安定すればいいということだけではないと僕は思う。本当に、少なくとも一生懸命とうとい汗を流して働いておられる皆さん方に、それにふさわしい労働賃金評価が行われなければならないと思うわけであります。これについても見直しをしていただかなければ承服をできないところでございます。申し上げておきます。  次に、自己資本利子算定についてでございますけれども、五十九年は自己資本についての利率は五・〇四%でございましたが、これが今回五・二九%とされました。これは生産者団体の皆さん方が、少なくとも農協の一年定期の預金利率、五・六に引き上げるのが妥当ではないか、こういうふうに要求されていることからすれば、それを下回っておりますが、昨年の五・〇四を五・二九に引き上げられた根拠は何でございますか。
  216. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  自己資本利子につきましては、これまた米価算定委員会の報告におきまして、「農家の通常の確実な資金運用利回り適用することが適当」であろう、そういうことが一応うたわれておるわけでございますし、また、その「運用に若干の幅をもたせることも考えられる。」とされておるわけでございます。  こうした報告内容を踏まえながら、本年におきましては、農協一年定期貯金利率が借入資本利率を上回っていることにかんがみ、確実な資金運用利回りが借入資本利子を上回ることは理論的に矛盾するのではないか、こう考えまして、借入資本利率と同率にさせていただいたような次第でございます。なお、借入資本利率と申しますのは実績でございまして、それが五・二九%に相なるわけでございますし、農協の一年定期貯金利率は五・六でございます。
  217. 水谷弘

    ○水谷委員 今の利率の改定でございますけれども、これについても、こういう方向というのは、私はどうもつじつま合わせのような気がしてなりません。ここまで前進されたその御努力評価をいたしますけれども、冒頭申し上げましたように、その都度その都度こういうふうに変わっていく。明確な論拠はちゃんとつけていらっしゃいますけれども、これについても本当に首をひねるところでございます。生産者団体の五・六%の要求、私はこれは決して法外な要求ではない、こう思っております。ぜひそのような方向で明確な論拠を組み立てていっていただきたい、このようにお願いをしておきたいと思っております。  そのほか、自作地地代評価についても、固定資産税評価額元本として土地資本利子を付与する、こういうことになっておりますけれども、この固定資産税決定する前提になる正常売買価格、これを元本として土地資本利子を付与することが適当ではないか、こういう議論はもうずっと起きてきているわけでありますが、これが採用できない理由についてお尋ねをいたします。
  218. 山田岸雄

    山田説明員 お尋ねの正常売買価格適用でございますが、一般の土地につきましては固定資産税を課税するに当たりましてこの正常売買価格が基準に相なるわけでございます。しかしながら、農地におきましては、この正常売買価格そのものではなくて、この価格に土地の収益性等から計算されました五五%という積数を掛けまして、それで固定資産税評価額にされているわけでございます。  なぜそういうふうな方法がとられておるかということにつきましては、一般の土地につきましてよりも農地の売買におきましては、農場単位といいましょうか、経営が可能になるような大規模な単位で売買されるケースが非常に少のうございまして、切り売りだとか買い足したとか、こういったケースが多いわけでございまして、取引価格比較的割高になっておる、こういうこともございまして、正常売買価格に五五%を乗じたものが固定資産税評価額に相なっておるわけでございます。  私どもも、課税される際にはこういう低い率になっておるのだけれども地代評価に当たってはそれよりは非常に高い正常売買価格をとる、こういうことにつきましては国民的な御納得がとれにくい、こういうふうにも考えられますので、今申し上げましたような農地の固定資産税評価額を採用さしていただいているわけでございます。
  219. 水谷弘

    ○水谷委員 それから、今生産者の皆さん方が生産性の向上、コストダウン、こういう目標を掲げられまして大変御努力をされておられるわけでありますが、今回の諮問の中身を見ましても、いわゆる生産性が向上する、というのはその陰に技術が向上する、それで労働時間が短くなる、そうなると価格が下がる、こういうふうな形になっている。いわゆる一生懸命努力をして工夫をして技術を向上させて、そしてそういう御努力をされている方々がどこでそれが報われていくのか、価格体系の中で一体どこにそういうものが評価されていくのか。私はそういう技術の向上とか、大変な御努力をされている努力、工夫、こういうものにやはりこたえられる、価格の中でも当然評価されるような形でそれが参酌されなければまずいな、このように考えておるわけでありますが、どこでそういうことが評価されているのでございましょうか。次長、教えていただきたいと思うのです。
  220. 山田岸雄

    山田説明員 今、生産性の向上によりまして単収等が上がった場合においてそのメリットが全部取られておるのではないか、こういう御指摘ではなかったかと思うのでございますが、私ども、今回の算定におきましても、そういったものを全部織り込みまして算定し、それを諮問米価とすることには——四年間の不作なりを経過いたしまして農家経済をめぐる事情が非常に厳しいというふうなことも考えまして、今回はゼロ諮問、こういうふうにやらしていただいておるような次第でございまして、生産性の向上されるものにつきましては、農家ももちろんのこと、また財政負担等の面におきまして消費者にもそういった均てんされる部門があるのではないか。  といいますのは、現在の食管の運営におきまして、お米の場合四千数百億の財政負担もあるわけでございますので、そうした面にも配慮しながら、今後価格政策は運用されるべきものと考えております。
  221. 水谷弘

    ○水谷委員 米価につきましてまだまだ議論を申し上げたいところでございますけれども、冒頭種々申し上げましたように、どうかひとつ米作農家の皆さん方が、特に農水省も政府も力を入れて育てていこう、守っていこう、そして真剣に日本農業の柱となって取り組んでいただきたい、こう願っている中核農家の皆さん、こういう皆さん方が本当に報われるような米価決定一つのルール、ぴしっとしたものを早急におつくりをいただきたい。私は今回の諮問は全く不満でございます。そのことを申し上げて次に移ります。  この審議会の中で議論になってくる問題として良質米の奨励金の見直しの問題がございますが、政府と自民党との間で昨年の米価決定のときに縮減合理化について検討するというような取り交わしが行われたようでありますが、我々は全くそのことについてはあずかり知らぬことであります。いずれにしても、今日までこの十年間続いてきた良質米奨励金、これは既にもうその使命を果たしたとお考えになっているのかどうかお伺いをいたします。
  222. 山田岸雄

    山田説明員 良質米の奨励金につきましては、良質米を生産する場合におきますとこうのかかり増し経費だとか、単収が低いという実態もあるわけでございますし、そうした点を奨励するためにはある程度の助成を行っていかなければならない、こういう観点からなされておるわけでございまして、その役割というものは非常に重要であろうと考えておるわけでございますし、また現在におきましても、そうした助成措置が全然なくていい、こういうふうには決して考えていないわけでございます。  しかしながら、最近におきます良質米の流通の実態、また生産者に享受されますところの良質米のメリット、こういったもの、それから流通の実態といたしまして良質米の消費者の志向というのは非常に強く、今まで伸びてきたわけでございますが、最近時点におきましては、特に五十九年産米につきましては供給の方が少し過剰ぎみになっておるのではないか、こういうこともございまして、最近の販売業界におきましては荷もたれがあって値崩れもしておる、こういうこともございます。  今後とも、消費者の需要に即して良質米が安定的に供給されるようにするためには助成をどのようにしていけばいいか、こういう観点から、私ども良質米奨励金が要らないとかという立場では決してございませんので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
  223. 水谷弘

    ○水谷委員 良質米奨励金については、今お話しがあったとおり、それは全部要らないのじゃない、需給を考えて、余り過ぎているから少しカットする必要がある、こういうふうにお考えになっているわけでございますが、この十年間消費者においしいお米をということで本当に大変な努力をしながら、非常に耐病性も弱い、収量も低い、そういう中で皆さんの期待にこたえようということでおつくりいただいてきたわけでございます。それは良質米奨励金という明確なものがあればこそ、その努力に見合うものとして頑張っていただいたわけであって、今そこに少しでも手をつけるようなことになれば、これはもう大変なことです。そういうふうにくるくるこちらの事情だけで手をつけて、生産者には一方的にこうなったよと伝えるような、そういうあり方はいけないと私は思う。  ですから、この良質米奨励金については、今回は断じて手をつけるべきではないし、将来も存続をさせておかなければ、生産者は、もう政府米とほとんど変わらないところまでいっておるわけでありますから、今は逆ざやがほとんど解消されて政府生産米価消費米価の差がなくなってきた、こういう中で、いわゆる価格がこういう状況になりますと、収量が上がるお米をつくる、計算をすればそれの方が当然いい、こういうふうになったときに消費者の需要にどうこたえていくか。これはもう当局で大変御努力をされておられる次長ですから、私が申し上げるまでもなく大変心配される部分だと思うのですよ。カットしたらどうなるか、状況はどうなるか、非常に御心配されていると思います。財政当局の諸要求等によってこれの存続は非常に問題があるということでそういう判断に立っておられるのでしょうけれども、どうかこれはしっかりと守っていっていただきたい、そう考えるわけです。既にもう米価の一部になっているという考え方でいていただかなければならないと私は思うのです。いかがでございましょう。
  224. 山田岸雄

    山田説明員 良質米奨励金の役割につきましては、先生も御指摘のとおりでございますし、その奨励金の役割、かつまた生産者の御協力、御努力等もございまして今日まで良質米が順調に拡大されてきたということはあるわけでございますが、過去におきます例としまして、五十三年、五十四年におきまして良質米の供給が需要を上回っておった、こういった場合におきますところの価格形成でございますが、最終的には指定法人である全農等も値引きの売却をせざるを得なかった。その年におきましては農家の手取りが前年よりも下がった、こういうことも見られておるわけでございまして、今後、農家の手取りを少なくするようなことになってはいけませんし、また、そうした価格の変動といいますものは、良質米に志向を強く持たれておりますところの消費者にとっても非常に不信感を招くおそれもあるわけでございますし、今先生御指摘の良質米の単収が低いことから、より単収の高い、しかもそれが余り需要のないような方向に供給が向けられますと、またまた過剰といった問題も出てくるわけでございまして、消費者の需要するものをいかにして安定的に供給していくか、こういう観点に立ちながら、自主流通米制度の健全な運営を図るという点を重視して今後とも運用していかなければならないと考えております。
  225. 水谷弘

    ○水谷委員 今、次長おっしゃった供給過剰という傾向が見えつつあるというお話でございます。それは私もよく存じております。しかし、それは少し違う、こういう良質米奨励金のカットという形じゃなくて政策的にやっていかなければならない問題ではないのですか。カットすることによってつくる人が少なくなっていくだろう、今のお話はそういうことでしょう。生産が過剰になっている、なぜ過剰になっているか、この現在の水準の良質米奨励金があるから生産が過剰になっているんだ、これをカットすればそっちに回るだろう、その分減るだろう、そうすれば需給のバランスがとれるんだ、こういうことですか。     〔委員長退席、衛藤委員長代理着席〕
  226. 山田岸雄

    山田説明員 自主流通米につきましては、特に良質米の場合におきまして相当の生産者メリットも出ておるわけでございますし、かつまた自主流通米に対する財政負担につきましても、特に良質米の中でもA1ランクと呼ばれるものにつきましては政府買い入れの一類の財政負担よりも多くなっている、こういう実態もあるわけでございまして、カットして値段を不利にすればそれで直ちに需給調整できてどうといった問題ではなくて、今申し上げましたようなほかの面もあるわけでございますし、多面的な自主流通米の奨励金の役割、こういった面につきまして十分検討してみなければならないというふうに私どもは考えております。
  227. 水谷弘

    ○水谷委員 どうもその辺のところがはっきりしません。先ほども申し上げたとおり、良質米奨励金が果たしてきた役割は非常に大きなものがあり、それは必要だから今日まで存続してきたわけであります。その削減は断じて行ってはならないと思います。今、いわゆる予約限度数量を超えている超過米は、自主流通米で見込みでどのくらいですか。——私の方で調べてありますので申し上げます。三十五万九千ですか。
  228. 山田岸雄

    山田説明員 今先生御指摘の数量は、超過米全体の数量だというふうに私も理解します。
  229. 水谷弘

    ○水谷委員 現在、確かに卸の皆さん方が大変御苦労されている実情についても私もよく存じております。しかし、これは良質米奨励金をカットしてやるのじゃなくて、総合的に自主流通米制度の問題をもう少ししっかりと手当てをして、そしてこのような豊作のとき、これは豊作があれば必ず不作があるわけでありますから、うんととれるときもあればとれないときもあるのですから、両方しっかり手当てをして、制度を完全に維持し、食管制度の中でこういう制度を発足させた目的があるわけですから、対応していくべきであって、過剰だから良質米奨励金をカットする、これはとんでもないことだと御指摘をしておかなければならないと思います。  次に、大蔵省の方がお見えになっておりますので、財政の基本的なことをお伺いしておきたいと思いますが、食管制度、これがいろいろなことを言われております。確かに、現在のままでいったらどうなるのだろうか、非常に大きな問題になっております。しかし、この成立、この制度がつくられた昭和十七年、国民の主食である米の安定供給のためにどうしても必要であるから発足をし、今日まで四十三年間、必要な制度として、守り通していかなければならない制度として存続をいたしております。  そして、その制度の根幹は、何といっても二重価格制でございます。さらにはまた全量管理、これが制度の根幹でございますが、ことし二月十五日、政府の売り渡しの米価は六十キロ当たり一万八千三百二十七円に引き上げられる。政府の買い入れ価格一万八千六百六十八円との差、いわゆる売買逆ざやは六十キロ当たり三百四十一円、わずか一・九%まで縮減をされる。このように売買逆ざやの縮減、一体これはどういうことで起きてきたのか。食管が赤字だから、赤字を解消するために生産米価を抑え消費米価を上げていく。過去七年間で生産米価はわずか八・一しか上昇しないにもかかわらず、消費米価は二四・一も上昇した。  こういう財政問題、需給の問題、そういうものだけにウエートを置いて、生産費所得補償方式、さらにまた、消費者には安定的に良質の安全性のあるお米を提供する大事な使命というものが少し損なわれているのではないのか。常に財政が先にあって米価が決まっていく。私は決して財政を無視して議論をしようなどとは思っておりません。ひところは国民一人当たり一万円にも匹敵するような食管の赤字でございました。今はそれが六十年度予算では、七千億ですから、多分五千九百円だと思います。ここまで、農林予算の中の食管の予算が二一%まで落ちてきた。そうすることは、財政当局として見事なものでしょう。  しかし、食管制度そのものの二重価格制という基本、根幹というものを守った上でそうなるのであれば見事と評価をいたしますけれども、そうではない。何としても抑え込んでいこう、その分は消費価格にもはね返さなければならないという、やはり我が国の主食であるこの米、食管制度を守っていくという観点から、財政が先にあって、そして後に米価が決まっていくような、こういう形だけは考えていただかなければならない、私はこのように財政当局の方に申し上げたいわけでございます。  この食管全体の約七千億という予算、このうち売買逆ざやは今申し上げた六十キロが三百四十一円でございます。いわゆる管理費と言われている経費が相当あるわけです。これは生産米価消費米価の純粋な逆ざやではなくて、いろいろな議論があります、本来一般会計が持つべきものであるとか。そういうすべてのことを考えて、今回の良質米奨励金の問題もそうですが、今次長のお話を聞いておりますと、どうも大変苦労していらっしゃる答弁であります。決して食糧庁御自身がそうすることを最もいい方法だという確信のあるお話ではないように伺っているわけであります。  やはり財政当局の強い要請とまた臨調の方針、そういうものを受けて、ぐすぐすと、こう方向を変えなければならない、残念だというふうに聞こえてならないわけであります。先ほどから私は大蔵省の方によく聞いていただきたいと思って、るる今回の米価諮問内容について質問をしてきたわけでありますが、決して妥当な諮問ではない、そういう意味で、今後もこの食管のいわゆる財源に対して切り込みをされることは間違った方向であるということを申し上げながら、今後の取り組みについてお伺いをしておきたいと思います。
  230. 竹内克伸

    ○竹内説明員 ただいま先生から食管制度につきまして堅持していく必要性がある、そういうお立場から非常に次元の高いお話がございました。私どももややもすれば財政的観点だけからこういう問題を扱っているのではないかというふうに見られる場合がございますが、それは私どもの本心ではございませんで、もちろん財政事情が非常にきついということも背景としてあること、これは率直に申し上げて事実でございます。しかしながら、それだけではなくて、農政のあり方、それから食管制度を守っていくためには、財政事情もありますし、それからいろいろ農村の諸事情、あるいは米であれば需給事情、もろもろの事情を勘案しながら、その中で健全な運営を図っていくということがまた食管制度を守るということにつながっていくのではないかというようなこともあると思います。  そういう議論も含めまして私どもは臨調でも御議論をいただいているというふうに理解しておりますし、また実際問題として厳しい予算編成の中で農林予算をどういうふうに編成していくか、将来に向けてどういうような内容の農林予算を編成していくかということも、農水省とも大いに議論をしているわけでございまして、そういう中の一つの問題として逆ざやの解消ということも必要であるということで考えておるわけでございます。
  231. 水谷弘

    ○水谷委員 時間がございませんので、先へ参ります。  水田利用再編ポスト第三期についてここで伺っておきたいのでございますが、第三期における在庫積み増し、年で四十五万から五十万、これが六十二年の十月末百五十万トン程度、百四十五万トンになるか、備蓄水準が確保された場合。その場合、いわゆる備蓄のあり方も含めて、転作目標の面積は拡大をしなければならないのではないかという不安を持っておられるわけでございまして、その点については、いわゆる持ち越し、一部棚上げ等、備蓄の方向性をまず伺っておきたいわけでございますけれども、いかがでございますか。
  232. 山田岸雄

    山田説明員 今お尋ねの件でございますが、私ども第三期の計画といたしましては、需給の問題も詰めておるわけでございますし、そこで第三期におきまして積み増しをどのように図っていくかということにつきまして、先生今御指摘のとおりでございます。  その後におきましてどのようになるか、こういうことになりますれば、備蓄ないしは積み増しという観点から申し上げますと、やはり今後の積み増ししたものの処理が円滑に行われるかどうか、こういった面にも配慮していかなければなりませんし、また消費者の需要の動向といいますものが、品質面につきまして低温保管したものであってもなおかつ新米を好む、こういうこともあろうかと思われますし、そのほかに財政負担、こういう点もあるわけでございまして、今後の積み増しをいかように運営していくか、こういうことにつきましては、数量が余り大きくなりますればいろいろと問題を起こすのではないか、こう考えておりますし、そうした点も踏まえて、三期以降の水田の再編対策といいますか転作をどのようにやるかというふうなことは検討していかなければならないのではないかと考えております。
  233. 水谷弘

    ○水谷委員 最初に申し上げた、ずっと積み増しをしていった場合に転作面積を拡大しなければならないのではないかということについて、これは農蚕園芸局長ですか。  それから、時間がございませんのでまとめて御質問しますが、転作の定着化、これもいろいろ厳しい問題がございます。特に転作作物を取り入れる場合、田畑の輪換を可能とするような集団化、団地化、水田の転作、こういう問題もございます。それから具体的な問題ですが、ポスト第三期、これもまだここで明確にはできないと思いますけれども潜在生産量また需要量生産調整必要量、平年収量、潜在作付面積、こういうものについてはもうそろそろ方向づけがなされていると思いますけれども、それをあわせてお伺いをいたします。
  234. 関谷俊作

    ○関谷説明員 ただいまの第三期は六十一年産米で終わりまして、六十二年産米からポスト三期ということになるわけでございますので、時期的には来年の秋までにはいわゆるポスト三期の構想、計画を固めなければいけないわけでございまして、今私どもも、お尋ねの中に出ましたような諸点も含めまして内々検討を始めておりますが、先ほど食糧庁次長も答えましたような、まだまだこれから一、二年の作柄あるいはその間の米の備蓄の状況、その備蓄されたものの処理の見通し、この辺のところもありますので、相当具体的なことには入れないわけでございますが、全体的に申しますならば、単純に単年度の需給均衡で申しますと、どうしても七十万ヘクタールぐらいの転作も考えなければいけないというようなギャップがあるわけでございます。  そこが、現在四十五万トン、面積にして約十万ヘクタール分ぐらいが備蓄にということで米をつくっておりますので、実際には六十万ヘクタールの目標でございますが、ポスト三期になりますと、その積み増しがどうなるかということによりまして転作規模が大変変わってまいります。また、それとの関係でどういう転作をするか、その転作内容についても議論しなければなりませんので、この辺の問題になりますと、今官房の方でそろそろ進めておられますいわゆる六十五年の農産物の生産と需要の長期見通し、これの作業結果とも非常に関連するわけでございます。  一方、財政的な問題としましては、転作奨励金からの早期脱却という方向づけもございますし、財政負担の問題、さらにその中で、限られた財政の中でどうやって転作の定着を進めていくか、こういう問題いろいろございますので、これから約一年がかりの間で今申し上げました点、また、御指摘のありました諸点、これらを十分慎重に検討して、できるだけ早く方向を出したい、かように考えております。
  235. 水谷弘

    ○水谷委員 時間が参りまして、もう少し何問か御質問したかったのでありますが、最後に、今の問題でございますけれども、制度として備蓄を確立すること等を含めてしっかりした対応をしていっていただきたいと思います。  それから、次官、先ほど私の前に御質問された委員が市場開放の問題について議論を詰めておられました。私もこれについて触れたいと思っておりましたが、時間がございませんので触れませんが、先ほど議論がございましたように、ひとつ日本農林水産業を守るために、先般六月二十五日、関税の引き下げを六十一年の早い時期に行うということで百六十品目おやりになったわけでございますが、断じて輸入制限品目や一次産品に手をつけない、そして、日本農家の人にこれ以上の負担をかけないという御決心でお取り組みをいただきたいと思います。  そのことを申し上げて私の質問を終わります。
  236. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 菅原喜重郎君。
  237. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の米審諮問されました昭和六十年度産米の政府買い入れ価格は、一応その試算根拠の資料手元にいただいたわけでございますが、私は去年も質問いたしまして非常に不思議に思うことは、計数とり方がなぜ農業団体と政府とり方で違っているのか。それは売る方と買う方でございますから、お互い違ってもいいわけなんでございますが、しかし、この今回の算定を見ましても、公課請負担とか十アール当たり収量とかあるいは運搬費、そういうところは一緒に数字が合ってもいいのじゃないかと思われるところまで違っているわけなんでございますが、一応こういう根拠がどういう資料をもとの算定であったのか、まずお伺いしたいと思います。
  238. 山田岸雄

    山田説明員 農業団体の要求額の算定の基礎と、私どもが今回米価審議会諮問さしていただきました際に使用しました、いわゆる算定の基礎になっておりますところの生産費といいますか、その原データ等がお互いに異なっておるわけでございます。農業団体独自で調査なさいました生産費が使用されておるのに対しまして、私ども、けさほど統計情報部長から御説明いただきました生産費をもとに算定はしておるわけでございます。  そのほか、生産費とり方、これにつきましても、農業団体の場合にありましては一俵以上販売農家平均生産費がとられておるのに対しまして、私ども試算におきましては、潜在需給ギャップ反映必要量平均生産費、例の八三%の比率を使いまして一俵以上の販売農家生産費を低いものから順に並べて八三%のところまで、これは累積生産数量比率においてでございますが、そこまでの農家をとりまして平均したものを生産費としているわけでございます。  こうした点が違いますほか、家族労働費評価、また自己資本利子評価自作地地代評価、いわゆる所得の付与的な性格の強い要素でございますか、そうしたものの評価方法におきまして多少違っておる次第でございます。
  239. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 一応生産費とり方は、あるいは家族労働評価、これもある程度やむを得ないと思うわけなんでございます。しかし、租税公課負担とか十アール当たり収量、これは三カ年間の平均なわけでございますが、あるいは運搬費等までが違ってくるとなると、どうもお互い意図的に資料をつくり、試算しているのじゃないかというふうに考えられるわけなんでございます。こういう点については、農業団体の方で出した試算に対して政府はどのようにお考えですか。
  240. 山田岸雄

    山田説明員 先ほどお答えいたしましたように、原データの相違から単収等が違ってくることは避けられないものだと考えております。
  241. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 原データが違うといいましても、こういう租税公課だなんというものは違う方がもう変な話でございます。それから、今米価は一応生産費所得方式をとっているわけでございます。この生産費所得方式ということは、これはやはり年々米価が上がっていく一つの宿命にもあると思っているのですよ、この米価算定の仕方。  そうなると、やはり再生産を考慮した分も一応米価算定していくこと、これは当然差し支えないわけだと思うのですが、ただ、いつもこのような基礎的になるところの、そして法治国家で当然数字が合わなければならぬようなこういう細かいところまで違ってきて主張し合うとなると、国民が見ますとどうも政治不信を起こしていくわけでございますから、その原データもやはりもうちょっと政府の方で国民に宣伝する、そういう姿勢がないと、米価というのは結局政治のなれ合いで決められていくというふうになっていっては、これは結局大変な政治離れを起こす問題でもあるし、こういうことはこれから何とか国民に納得のいただける試算方法、そして政治加算なら政治加算とはっきりできないのか、この点に対する見解をお伺いいたします。
  242. 山田岸雄

    山田説明員 原データの採用につきましてある程度調整して使えないものだろうかという点につきまして、私ども統計情報部の生産費調査の結果につきましては公表されておるものでございますので、それは団体側でもお使いいただけるものではなかろうか、こう思うわけでございます。しかし、団体は団体の方で今までも調査をされておりますし、その調査統計上の連続性、こういうこともあろうかと思うわけでございますが、できるだけそれぞれのデータにおきまして一致したものが使われ、第三者に見ていただき、かつそれを検討していただく際にも理解されやすい方法がとれればいいのではないか、私個人的にはそのように思うわけでございますけれども、過去の経過等もございまして、現在はそれぞれ独自のデータによりまして、生産費所得補償方式の中におきましても、先ほど申し上げましたような所得付与的な要素、例えば家族労働費評価がえであるとか自己資本利子評価であるとか、自作地地代評価、こういったところにつきましては多少違った方法がとられているわけでございます。
  243. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、農業生産者の要求価格一万九千三百八円、四・九五%アップに対しまして据え置きになったということは、やはり農業生産者の側から見ますと大変な諮問でございます。何とか今後政府でも、まだ決定されているわけじゃございませんので、要求米価に、幾らかでもアップするように努力されんことを私からも強く望む次第でございます。  次に、良質米奨励金の取り扱いについてでございます。  佐藤農相が事前米審でも述べたように、良質米生産のあり方を再検討中であるようにも話しておられますが、この良質米奨励金の取り扱い方、再三質問されているわけでございますが、これが今後一体確保されていくのかどうか。  実は、良質米奨励金は前回も質問いたしましたが、今、一類一等と三類一等格差は六十キロで四百円の差しかないわけでございますね。そして三類一等は整粒歩合が七〇%以上、三等が四五%以上となっておりますと、整粒歩合の整粒キロ単価を試算しますと、一等が一キロ当たり三百七十六円三十一銭になり、三等が反対に四百五十三円十五銭になる、こういうことを指摘していたわけでございます。  ですから、今の政府価格では、三等米をつくった方が、そして多収穫米をつくった方が率がいい、こういう現状なんですよ。だから政府米を上の方を上げてもいいじゃないかということを質問しましたら、いや、そういうことを言うと大蔵省の方からは下の方を下げられるというような答弁でございましたね。これも売る方の主張と買う方の主張でみんな都合よく受け取られるものだなということで、私はまたそのことについて反論したのですが、うまい米ほど単収が何%か平均的に減る、それからいろいろな自然災害にもかかりやすい、そういう苦労をしても全然報いられないのが今の政府価格です。  ですから、そういう点では良質米奨励金がこういう政府価格の矛盾、欠点をカバーしているようなものでもあります。こういう点で良質米の奨励金、これだけは今後とも続けていってもらいたい、こう思うわけなんでございますが、このことについて政府の見解をお伺いいたします。
  244. 山田岸雄

    山田説明員 良質米奨励金の据え置き、存続問題の御要請でございますが、現在、良質米の流通の実態なりまた機能なりを考えまして、今先生御指摘の、政府の買い入れておりますものと需給操作等におきましてはいずれも一体的に取り扱う、こういうことで、私ども消費者に円滑な供給を図っていこうということで努めているわけでございまして、現在自主流通米の流通実態が従来と相当変わってきておる、今後その健全な発展を図っていくためにどうあるべきであろうか、こういう観点から現在検討させていただいておるような次第でございます。自主流通米の助成につきましては、特に良質米奨励金、その部分だけが現在残っておるようなところでございまして、現在の助成水準がそのままでいいかどうか、こういう点にも十分留意して検討し、早急に結論を出さなければならないと考えております。
  245. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 早急に結論を出さなければならぬと考えているようでございますが、米を滅ぼしてはいかぬわけでございまして、さらに今後外国からの米輸入の圧力も加わってきますと、こういう良質米をつくっておかない限り、これは大変な問題でございます。ですから、この良質米奨励金は、今言いましたように政府価格の欠陥を補っている、私はこう見ているわけでございますので、ぜひこの良質米が今後とも農家によって守られるような、そういう対策の方向で検討を加えていっていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、他用途利用米についてでございます。今後ともこれを続けるのか。緊急避難的な他用途利用米はもう打ち切ってしまうべきじゃないか、私はこう考えております。  なぜなれば、政府買い入れ米、自主流通米、他用途利用米価格区分は、同一規格物に三重の価格をつけているようなものであります。さらに作付計画から出荷に至るまで、産地の混乱を惹起し、物流の複雑化、操作のミス、それよりも不正便乗による横流しや不正混米などの好ましからぬ問題も生ずる原因になります。さらに、生産者個々の対応におきましても、品種、品質の問題、作付調整、出荷検査等、余りにも問題を多く抱えているわけでございますし、事務の煩雑も、作付、生産、売り渡し目標の設定、産米検査手続、精算事務加算等、政府、地方公共団体、生産指導集荷団体それぞれ、全く無益な業務を増加させているわけでございます。さらに、国家財政の負担としても、やはり各機関の経費負担にもなっておりますし、流通奨励金支出等の財政負担増加も伴うわけでございますから、私はこの他用途利用米は自主規格の設定による何か政府の買い入れ米対策を考えるべき時点じゃないか、問題ではないか、こう思うわけでございます。このことについてひとつお考えをお伺いいたします。
  246. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  他用途利用米につきましては、先生御案内のように、主食等の需要を満たす、こういうことでは供給量に既に限度がございまして転作を進めなければならない、こういうことであったわけでございますが、従来過剰米をもって対応しておりましたみそ、せんべい等加工原材料用の用途につきましては、それ相応の価格でございますれば需要がある、こういった面もございましたし、また全体の生産量を拡大できるということから、新規の設備投資等なくしてもやれることでございますし、また生産性の向上にも役立つといった面もございまして、昨年発足させていただいたような次第でございます。  本年ようやく二年目に至りまして、ある程度御理解もいただき、その御理解が深まってまいりまして、生産もだんだんと定着するような段階に来ているのではないかと私ども考えておる次第でございますし、やはりこの他用途利用米につきましては、加工原材料用のお米につきましても国内生産で充当するという観点からも、ぜひ定着していかなければならない問題だと考えております。
  247. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は米の備蓄の法制化を私たちは政府に要求しているわけでございますが、この備蓄制度と相まって、他用途利用米も今回一つの自主規格の設定による方法を考えるべきだ、こういうふうに私は政府に要望するものでございます。  それで、米の備蓄の法制化についてお伺いするわけですが、このことは前にも質問しておりましたが、もみ貯蔵をいたしますと、二倍の容積があっても、冷温倉庫料と比べて四、五%増の倉敷料で貯蔵ができるのであるから、ぜひ米の備蓄化をもみ貯蔵でやっていただきたい。  さらに、もみ貯蔵をいたしますと、二年米あるいは三年米でも早ずり米にいたしますと味落ちしない米が食えるわけでございますから、二年米は当然新米と同じ価格でも流せます。こういうような利点と、さらに国民に与える食糧安定供給への安心度、そういうことを考えまして法制化の要請をしてきたわけでございますが、この点について政府はどう考えておりますか。
  248. 山田岸雄

    山田説明員 最初にもみ貯蔵の問題についてお答えしたいと思います。  御案内のように、もみで貯蔵する方式は現在カントリーエレベーター等では既に採用されておるような次第でございます。ただ、カントリーエレベーターの場合には何年間も保管するということはなくて、取り秋に新しいものが入ってくるまでの間の貯蔵ということに相なろうかと思うのでございますが、それにいたしましても、梅雨期以降においては我が国では、特に内地では温度も高くなり湿度も高くなることから玄米の品質が劣化するということで、低温貯蔵をさせていただいておるような次第でございます。  したがいまして、もみ貯蔵ということにつきましても、御指摘のようなかさばるとか多少保管料が割高になる、こういうふうな問題はあるわけでございますけれども、ある程度カントリーエレベーターでやっておる、こういった点はひとつ御理解いただきたいと思うわけでございます。  全体の数量といたしまして、今後積み増しの数量等がふえてまいりました際に、もみ貯蔵で対応し得るかどうか、また出荷の都度そういったものを今ずり米ということで調製していただくわけでございますが、需給操作の段階で搬出してくださいといった場合に、直ちにそれぞれの時期におきまして対応していただけるかどうか、いろいろ問題があるのではないかと私は考えるわけでございまして、大量に保管をするためには現在私どもがやっておりますところの低温保管というのも一つ方法ではなかろうかと考えております。  なお、全国的な低温保管施設の数量といいますのも三百万トン程度現在既にあるわけでございまして、政府の指定していないものも含めてでございますけれども、そうした低温倉庫が利用されれば品質においても劣化をある程度防止することもできますし、また安全性の確保といった面からも非常に有意義ではなかろうかと考えておる次第でございます。  あと、この備蓄との関連でございますが、今先生御指摘の、二、三年でも保管した後、先ほどの他用途への流用等少し御指摘いただいたかと思うのでございますが、この点につきましては、主食用で一応保管しておるものを最終的に他用途等の工業原材料用に回すということになりますれば、それ相応の価格差、財政負担ということにつながるわけでございまして、私ども過去に二回の過剰の累積というふうなものを経験いたしておりますし、それに莫大な負担をいたしまして処理した経過もございますし、過剰というふうな面に結びつくことにはいろいろ問題もあるのではないか。  したがいまして、現在私どもが考えております積み増しといいますものは、夏場以降に持ち越されるものは原則としてできるだけ低温保管するということで対応しておりますし、また低温保管されたものにつきましても回転備蓄ということで、回転しながらできるだけ新しいものを持って積み増しをしていこう、こう考えておるわけでございます。
  249. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 もみ貯蔵の他用途利用米という対応は、保管料が高くなりますし、割高になる、そういうことは目に見えてはっきりしていますから、私も賛成しないわけでございます。ただ、他用途利用米については、備蓄米と同時に自主規格の設定ということは、農民に納得させるためにもぜひ今後考えていただきたい、こう思うわけでございます。  次に、流通機構への競争原理の導入について、このことについても今まで質問してきたわけでございますが、やはり山形県の業者の不正やみ米事件もありまして、政府の方でも流通機構の改革には前向きな気持ちになっているところじゃないか、私はこう思うわけでございます。  殊に、米価問題で今回据え置き諮問になったわけでございますが、米価格の中で生産者に全然還元できない機構なのかというと、現在の流通機構は生産者も消費者も犠牲になっている、そういう機構になってしまいましたね。  といいますのは、現在関東相場は、新潟のコシヒカリが六十キロ二万四千五百円、富山県のコシヒカリが二万三千三百円、それからササニシキが二万一千二百円くらい、高い方でもこういう相場になっておりますが、小売価格は三万四、五千円にもなっているわけでありますね。そうすると、この流通価格の中で、さらにブレンド米から見ますと、こういう良質米の生産量とブレンド米で出回っている量、大変な暴利を占有できる体制になっているわけでございます。やはりこういうようなことは許されてよいものじゃないわけでございまして、このことにつきましては石川食糧庁長官にも質問しておりました。  過般長官が、この件に関しましては全国米穀協会でのあいさつで流通自由化について大胆に発言して、いろいろな品ぞろえをして消費者の需要に対応できる生き生きした政治に変えていける良案を求めたことは、やはり長官の良心的行動であったと私は高く評価するわけでございますが、政府はこのことについてどのように対処していくのか、今度はひとつ次官の方にお尋ね申し上げます。
  250. 山田岸雄

    山田説明員 先生御指摘の流通機構の活性化といったことにつきましては、私どももできるだけそれを活発化して、適正かつ円滑な流通が行われるように今後も努めていきたいと考えております。  先生今、主として販売業者の関係にお触れになったと思うのでございますが、この点につきましては従来、卸売業者と小売業者一対一の関係で結びついておりまして、一つの小売が二つの卸さんと結びつくというようなことはなかったわけでございますが、私どもの長官が一応案としていろいろ発案され、かつまた関係業界とも相談するようにということで現在協議を進めております問題は、小売さんのうちで特定の小袋等いろいろな銘柄のものもあるわけでございますし、品ぞろえということから見まして、複数の卸さんに一応主と従という関係で結びつくことによりましてより品ぞろえをやりやすくする、こういった点も一つの競争条件の整備ということにつながる問題ではなかろうかと考えられますし、その辺につきましては、関係業界の方々と今、私どももその具体化についての問題点等をいろいろ議論させていただいておるような次第でございます。  そのほか販売面につきましては、政府の売却面につきましても、供給事情ないしは卸さんなり小売さんの需要される側の事情等にも十分配慮いたしまして、より実際の需要に見合った売却操作をしていくとすればどのように改善していったらいいかということについて現在勉強しておるところでございます。  また集荷業者につきましても、不正規流通防止といった観点もございまして、限度数量内のものはもちろん集荷していただくということでございますが、そのほかにも、農家に余裕があるようなものにつきましては、すべて正規の流通ルートに集荷していただくためにはどのような対応策をとればいいか、現在検討もいたしております。集荷業者といろいろと協議を重ねながら、より効率的、活発な集荷が行われるようなことをやっていきたいと考えておる次第でございます。
  251. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにしても、ブレンド化というのは、私は当然消費者の反撃を食う結果を招来すると思っています。やはり羊頭狗肉的な面を持っております。そしてまた、米離れの原因にもなるのじゃないかと危惧しておりますので、流通機構に対する競争原理の導入に対しましては積極的に対応していっていただきたいと思う次第でございます。  次の質問に移りますが、もう時間もなくなってきました。現在のような格好で果たして将来日本の米作農業が維持できるか、私は大変このことも心配しております。  例えば、第二種兼業農家が今どんどん高齢化しているわけでございます。岩手県でも、昭和四十五年当時には農業専従者のいない農家、つまり半農が四万戸、三一%ぐらいだったのが現在五万四千戸、四七%になっております。全国四百四十七万三千戸の総農家のうち無後継者農家というのが四八%、二百十五万四千戸もありまして、また、このうち世帯主が六十歳以上の農家というのが百三十八万五千戸、五十歳台の農家が百六十六万九千戸、三百万戸以上の農家がここ五年、十年に急激に農業離れをしていく現状でございます。こうなりますと、今の米作専従農家で果たして、基盤整備もできていない、現在まだ四〇%に満たない基盤整備、こういう状態で日本農業を維持できるのか、こういう点でも私は大変心配しているわけでございます。  私はそういう意味で毎回、農地の、殊に水田の基盤整備は、ほかの土地所有と違って、水田は食糧しか生産できないし、さらにこの水田を豪雨のときなんか守るというのは、これは国土保全あるいは地下水の保水関係、いろいろな機能があるわけでございますが、とりわけ食糧は一たん緩急あるときはいつも国家統制になる対象でございますから、基盤整備だけは国と県と市町村とで一〇〇%責任を持って、強制執行かけてもいいからやれということを言っているわけなんですよ。今のような兼業農家の高齢化の実態を見まして、ここ十年以降には大変な事態が出てくる。こういう点どのように政府は取り組もうとしているのか、ひとつこれは次官の方から見解と対応の仕方をお願い申し上げる次第でございます。
  252. 近藤元次

    ○近藤説明員 先生も御案内のように、農業基盤整備事業は農政の最重点施策として第三次の土地改良長期計画に基づいて推進をいたしておるところでございます。今御指摘がございましたように、費用負担につきましては農家経済その他を勘案して、あるいは一たん緩急あるときの統制物資であるから国が全額負担をということでございますが、農家経済あるいは高齢化社会に入る環境からすれば、御指摘の面もあろうかと思うわけであります。  しかしながら、食糧という最重要の作物を生産をする、そういう面の、ある面での公的性というものも御指摘がございましたけれども、また一方では、特定の土地を受益地として個別農家としての利益にもつながる事業でもございまして、負担の限度内で受益者に負担をしていただくということにしておるわけであります。国と県との負担、市町村も含めて地方公共団体の負担とするようなことをすべてとするわけにはなかなかまいらぬのではないかというふうに判断をいたしております。  しかしながら、山村あるいは過疎山間地というような極めて生産性の低いところでも今日の環境からして基盤整備を進めていかなければならぬ実情もこれあり、生産性の向上や農業生産の再編成等のことを重点として事業も実施をして、また財政事情も若干関係もございますけれども、工期をなるべく短縮していくということで、従来のように新規の着工というよりは、むしろ抑制をしながら、一たん着工をしたら完成を早めていくというようなことに留意をして今努力をさしていただいておることであります。そのことがまた一方では、短縮をすることは農家の負担の軽減にもつながっていくというようなことで努力をしておるところでございますので、御理解願いたいと思うわけであります。
  253. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間が来ましたので、この専業農家への資金対策を要請いたしておきまして、質問を終わります。
  254. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 津川武一君。
  255. 津川武一

    津川委員 午前中の質問に引き続いて、諮問の具体的中身と生産米価を決める農水省の職員といいますか役人の態度、こうしたものを若干質問してみたいと思っております。  米価は食管法の規定に基づいて再生産確保する、そういうふうに食管法は決めておりますが、昭和五十二年以降生産費がどんどん上昇している中で米価は実質的に据え置かれ、米価生産費を償える農家はどんどん減っています。  そこで聞きますが、昭和五十二年以降米価が二次生産費を償っている農家の戸数の割合、いわゆる戸数カバー率はどうなっているか、明らかにしてください。
  256. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  各年の米価生産費がカバーされている戸数カバー率について申し上げますと、第一次生産費におきましては、五十二年七八でございましたが、五十三年七七、六七、五四、五一、四九、四七、六一ということで、五十九年は六一に相なっておる次第でございます。  さらに、第二次生産費について五十二年以降の戸数カバー率を申し上げますと、五十二年が五八でございますが、四九、三八、二三、一八、一六、一六、五十九年が三一%のカバー率に相なっております。
  257. 津川武一

    津川委員 今の答えでもわかりますように、生産費がカバーされているのは、第二次生産費で五十八年一六%、五十九年三一%。そうなると、食管法はどこのだれの米の生産費を補償しているのでしょうか。ここに大きな疑念と問題が出てくるわけであります。今の数字でも明らかなように、五十九年度は史上最高の豊作に恵まれ、生産費が一定の低下を示し、カバー率が若干上昇したが、それでも七割の農家生産費が償われていません。  また、先日発表になった五十九年度産生産費調査によっても、六十キロ当たり平均生産費は一万九千百九十八円、今据え置こうとしている米価一万八千六百六十八円と比べて二・八%上回っております。まじめにお米をつくる農家のすべての農家生産費は償われなければなりません。これが食管法でありませんか。食管法に基づく米価というつもりでこの諮問米価を出したのでございますか。明らかにしてください。
  258. 山田岸雄

    山田説明員 食管法に規定されております生産米価につきましては、先生も御案内のとおり、生産費物価その他の経済事情を参酌して再生産を旨として定めるように、こういう規定に相なっておるわけでございまして、私から申し上げるまでもなく、最近におきますところの米の需給事情と申しますものは、やはり多額の財政負担のもとで転作等も実施しなければ需給均衡しないような情勢でございますし、そうした面にも配慮していかなければならないような状態でございます。  また、私ども財政負担面におきます軽減、こういうことにつきましても最大限の努力は今までもしてまいったわけでございますが、今後とも縮減合理化に努めてもいかなければならない、こういった観点もございますし、もちろん農家生産意欲に及ぼす影響といった面につきましても配慮しながら米価決定をしていかなければならない、こういう事情もあるわけでございまして、今申し上げましたようないろいろの事情総合勘案して米価決定していかなければならないと考えておる次第でございます。
  259. 津川武一

    津川委員 いろいろな事情を総合判定するなどと言っていますが、これはへ理屈です。去年のとおりいっていても三割しかカバーされない、残りの七割はカバーされない。食管法できちっと、すべてのお米をつくる農家生産費を補償するよう要求して、質問を進めていきます。  大臣は、午前中、昨年どおりの方法でやれば引き下げになる、それでは農家がかわいそうだ、そこで農家経営を考えて据え置いた、こう言っております。農民に恩を売っている、こういう考え方です。とんでもない恩着せでございまして、私はこういうことは絶対に認めるわけにはいきません。さきの大臣質問のときに私が明らかにしたように、五十二年方式でことしの米価計算したら二万二千三百五円、一九・五%アップになります。  そこで、もう一つお尋ねします。最近の方式で、五十五年、五十六年のやり方で計算したら、ことしの生産米価はどのくらいになりますか。
  260. 山田岸雄

    山田説明員 お答え申し上げます。  米をめぐる諸事情につきましては全然度外視いたしまして、今先生御指摘のような五十五年なり五十六年の方式を使いまして算定いたしますと、五十五年につきまして二万一千八百九十二円になります。また、五十六年につきましては一万九千三百六十円になります。
  261. 津川武一

    津川委員 五十五年方式でいくとことしは二万一千八百九十二円になる。そうすると、これは一七・三%の値上げ、五十六年方式でいくと一万九千三百六十円になると答えてくれた、これは三・七%のアップになります。引き下げるどころではないんじゃありませんか。どうして一定の決まった方針で、間違いないだれもが納得する方式で決めていかないのですか。  皆さんは国家のかなり重要な役人です。皆さんがなりたいと思っている役人だ。月給も決して少なくない。その皆さんが作業した作業の仕方は、初めに低米価ありき、初めに据え置きありき、これを決めてからこれに合わせるような方式をしているのでありませんか。臨調などの指摘を受ければぐらつく、ここで一貫したものが出てこない。農協運動の指導者は、今のあなたたちに預けておくと米価がどういう方向に進んでいくのか明示できない、これでは農民を指導していけないと言う。農学者は、農水省の決める生産米価には理論的根拠がないんだ、子供たちを、子弟を、大学生を、生産米価についてどう教育すればいいのか、ここいらで迷っている。この混乱を、こうして農民を苦しめている行政的、政治的責任は皆さんにある。皆さんが一回じっくり考えてみてください、生産米価の決め方、これでいいのか。  そこで皆さんにもう一回、農家が、農民団体が要求している一万九千三百八円、五十二年方式で言う二万二千三百五円、どちらでも結構です。これなら理論が通る。諮問を撤回してこれに諮問の出し直し、まだ遅くありません。あしたも米価審議会があります。このつもりありませんか。答えていただきます。
  262. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  私ども、現在、けさほど御説明いたしましたような算定方式によりまして米価審議会諮問させていただいておるような次第でございまして、その御意見を尊重しまして今後米価決定していかなければならないと考えております。  今先生御指摘の、五十二年の方式等によってやったらどうかという御意見でございますが、やはり五十二年当時と事情がいろいろ異なっておりますし、その後におきまして第二次過剰といった問題も招いたような次第でございます。現在、多額な財政負担をしながら生産調整も余儀なくされておるような事情にありますので、この点につきまして配慮いたしますと、今諮問させていただいた米価算定が、現在の諸事情の中で最善の方式ではないかと私ども考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  263. 津川武一

    津川委員 説明を聞いていると何かあほらしくなって、何のために国会議員になったのかという感じさえ受けるわけであります。  そこで、もう少し質問を続けていきますが、六十年方式でいくと戸数カバーされないのが一七%、残った八三%の農家のすべてに生産費を補償するかといえば全く別で、八三%の農家平均生産費しか補償しないという考え方であなたたちはやっております。結局一七%どころか、かなりの農家生産費が初めから償われないような仕組みをつくっております。  そこでお尋ねします。今回、米価算定の対象から外す一七%の農家生産するお米は、需給計画からも外されるのですか。また、生産費を償う対象から外している農家の人たちが生産するお米は、政府は国民の主食として当てにしていないのですか。この二点を答えていただきます。
  264. 山田岸雄

    山田説明員 生産費を割っておる農家におきまして生産されたお米につきましても、需給計画の対象としておるわけでございまして、一応全生産量を需給操作上どのように対応していったらいいか、対象にさせていただいております。
  265. 津川武一

    津川委員 生産費を償わない米、これは国民の主食として生産してください、こう言っているのだ。しかし、その米価は補償しません、これが今度の米価。これで国政が、行政がいいか。憲法違反でありませんか。同じ米づくり農家で、片一方には生産費を補償して片一方には生産費を補償しない。今あなたに憲法違反かどうか答えると言っても無理だろうから、次の機会にあなたから憲法違反かどうか、この答えをいただきます。本当に皆さんのやり方は誠意もなければ義理もない。こうして農家を差別する、こういう形になっております。  そこで、現実に転作が目標を達成しているのであり、潜在需給ギャップ反映方式は直ちにやめて、米生産農家のすべての生産費は償うように、そういう米価を決めるべきだと思いますが、米価本来の姿についてお答え願います。
  266. 山田岸雄

    山田説明員 今御指摘の方法によりましていわばあらゆる米生産者の生産費を補償する、こういうことに相なりますと、その生産量といったものにつきましても相当過剰というふうな問題にだんだんと影響が出てくるのではないか、こうも考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、やはり米価算定委員会の報告にもありますような対象農家というふうなものにつきましても、現在の需給の実勢を織り込んだ生産費対象農家を選定いたしまして、適正に米価算定させていただきたい、このように考える次第でございます。
  267. 津川武一

    津川委員 次長、あなたの答弁に対して今応援席から、何しゃべっているんだ、むちゃくちゃじゃないか、こういう話が出ているのです。この声はたまたまこの席から出たけれども、全農家の声なんです。このことはやはり指摘しておかなければならない。  そこでもう一つ、今度の米価を決めるための問題点は、農家の自家労働評価が他産業と比べるとどうなるかという問題です。政府都市均衡労賃により評価するとしながら、実際は全国平均賃金を二五%以上下回る賃金評価しております。製造業の五人以上の全国平均賃金は一時間当たり千四百七十六円、ことしの皆さんの適用している賃金は千七十四円、二五%以上低くなっております。なぜこのように低い水準に決めるのか。稲作労働価値は低くても当然と見ているのか。後継者に希望を示す意味からも他産業と同等の賃金水準を保障すべきであると考えますが、どうでございますか。  農家の生活する経費、子供を育てていく経費の根源はその労働賃金、これが基本的な問題だ。この労働賃金に対する評価が間違うととんでもないことになってくる。工場労働者と農業労働者は我々に対するサービスとして、責務として同じ労働をしている。片一方には千四百七十六円、片一方には千七十四円、このように農家労働者の賃金を区別する。どうしてこんな結果になったのか、ここに決定的な問題があるわけです。したがって、まだ遅くありません、都市の労働者並みの賃金に書きかえるべきだと思うのですが、この点はいかがでございますか。生産米価を決める上において、農民の生活を保障する上において、農民の自家労働という評価をどのようなウエートで考えているか、この点も明らかにしていただきます。
  268. 山田岸雄

    山田説明員 お答えいたします。  生産費所得補償方式におきまして家族労働費評価がえするということは最も重要な問題でございますし、従来から私どももいろいろと検討もし、また米価算定委員会の御意見等も踏まえまして現在の方法を採用さしていただいておるような次第でございます。  それぞれの企業につきましては、企業の従業者数五人以上千人未満、こういうことでやらしていただいておるわけでございますし、その結果を採用しているということではあるわけでございます。また各都道府県別の企業の平均を山さしていただきます際に、米の販売量を採用さしていただいておる次第でございまして、今先生御指摘のような青天井の企業の賃金、また全国の従業者数に基づくウエート平均、こういうものとは異なっておろうかと思うのでございますが、現在の米価をめぐる諸事情のもとで、一応こうした評価を行いますのも適当ではないか、こう私どもは考えてやらしていただいております。
  269. 津川武一

    津川委員 私は頭が悪いのか何のことを言っているのか答えがよくわからないのです。  そこで、農政における労働者の自家労働評価、生活を維持していく上に根本的に重要なもの、この労働力の報酬評価なしにどんな農政だって農民を救うことはできない。したがって、国政における、生産米価における労働賃金の意味、役割というものをここでもう一回明らかにしていただきます。そして労働者の賃金と農民の賃金を区別する理論的な根拠、これを示していただかなければ農民は納得しません。もう一回答弁をお願いします。
  270. 山田岸雄

    山田説明員 私ども労働者の賃金と区別して今回評価がえを行おう、こういう考え方ではございませんで、一応先ほど申し上げましたような従業者数の平均賃金をとりまして、お米の生産と強い関係のあります販売数量のウエート算定さしていただいておるような次第でございます。  労働者の中にもいろいろと企業によりまして賃金の水準は異なっておるわけでございまして、それの平均化されたものが、今先生御指摘のように青天で従業者数の総平均、こういったものではなかろうかと思うわけでございまして、一応私ども計算は今申し上げましたような考え方のもとに算定さしていただいております。
  271. 津川武一

    津川委員 これも納得できません。労働者の賃金と農民の労働賃金はなぜ差別するのか、その理論的な根拠、これも次の機会にお伺いしますから、きちんと理論づけておいてください。  質問を続けます。政府は臨調の指摘などを受けて生産米価を据え置く一方、消費米価を年々引き上げ、売買逆ざやをほとんどゼロに近いところまで圧縮してきました。六十キロ平均で三百四十一円の逆ざや、一・九%になっております。一類は既に四百八十一円の順ざやとなっております。これ以上売買逆ざやを縮小するならば、今日以上にやみ流通が横行し、米の全量管理の責任が果たせなくなります。政府は、やみ米流通の土壌となりかねない売買逆ざやの解消、文字どおりゼロまで持っていくつもりなのか。逆ざや解消を口実とした消費米価の引き上げはないのか。この二点を答えていただきます。
  272. 山田岸雄

    山田説明員 売買の逆ざやにつきましては、今先生も御指摘のとおり、おおむね解消の域に達しておると私どもも考えておる次第でございまして、今後は改正食管法の趣旨を生かしまして適正な制度運用を図っていく、こういうふうに考えておりますが、今後の問題としまして、より慎重に、今先生御指摘のように不正規流通が行われる条件といたしましては逆ざやがない方がよりやりやすい、こういうようなことでもございますし、なお流通の両面、集荷、販売等につきまして活性化することによりまして不正規流通等の防止にも配慮してまいりたいと考えております。
  273. 津川武一

    津川委員 農民の間では、据え置いたならば消費米価は上がらないだろう、これが常識だし、食管法も二重米価の建前になっております。ところが、政府の中には、据え置いても逆ざやをゼロにするまで消費米価を上げようじゃないか、こういう機運がありませんか。据え置いたから消費米価は上げるべきでないと思いますが、その点ここで明言してください。
  274. 山田岸雄

    山田説明員 御案内のように、消費米価につきましては家計の安定を旨として定めるということに相なっておりまして、現在、今後の消費米価をどのようにするかということは全く白紙の状態でございます。今後家計の状態なり、諸般の情勢を見ながらこうした問題は検討されるべき問題だと考えておる次第でございます。
  275. 津川武一

    津川委員 午前中大臣に質問しようと思っていた市場開放の問題ですが、少し諮問がむちゃだったものだからそちらに時間を割いてしまって質問できなかったので行政当局にお伺いしますが、これが最後の質問です。  大臣は、農産物は市場開放の例外と繰り返し強調してきました。しかし、骨なし鶏肉について昨年の暮れ大臣が、農業を守る立場から断固として関税の引き下げには応じなかった。ところが、今回結局、農業を守るという昨年十二月の立場を放棄して関税引き下げに応じてしまいました。一体これをどう説明されるのか。外国の圧力に抗し切れなかったというのでは無責任だと思いますが、この間の経過を説明してください。  もう一つ、たまたますチュラルチーズなどの関税引き下げがヨーロッパへの中曽根さんの土産になるのではないかという心配がまた出てまいりました。そこで、六月二十五日の関税引き下げではこれを拒否した。しかし、十二日にヨーロッパに行く中曽根総理の土産として、外国や首相から言われてこのナチュラルチーズの輸入は腰砕けになるのではないでしょうか。腰砕けにならないで頑張っていくという方針をここで示していただきます。
  276. 野明宏至

    ○野明説明員 お答えいたします。  骨なし鶏肉の問題でございますが、骨なし鶏肉につきましては、国内の需給事情あるいは最近価格が低迷しておるという厳しい状況にあることは事実でございます。そういう中で鶏肉の関税につきましては、一方でいわゆる骨つきもも肉につきましては一三・八%から逐次下がっていっておるわけでございます。そういう状況の中で骨なしの鶏肉につきましても、国内へ与える影響等も勘案いたしまして、国内への重大なる影響を及ぼさない範囲で先般の決定をしていただいたわけでございます。  それから、ナチュラルチーズにつきましては、酪農、これは我が国の土地利用農業の基軸でございますし、また地域経済上も重要な産業になっておるわけでございます。また、ナチュラルチーズ自体今後需要の増加が見込まれる、酪農にとっての主要産品でございます。こういったようなものでございますので、関税の引き下げが困難であると私ども考えておるわけでございます。
  277. 津川武一

    津川委員 これで終わりますが、私、この質問で国家公務員の姿勢、政府の姿勢を問題にしたのはこのためなんです。去年の十二月、骨なし鶏肉は関税引き下げしないと言明した、そして今にわかに変わる、この変節、このモラルの喪失、この一貫性の放棄が国政を、行政を毒している根本になる。農政に対する農民の不信がここから出てくるので、この点のはっきりした国政に対するまじめな態度を皆さんに要求して、私の質問を終わります。
  278. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 島田琢郎君。
  279. 島田琢郎

    島田委員 米価が今最高の局面を迎えて、非常に熱気に満ちているこの永田町かいわいでありますが、この米の問題にすっかり気持ちがとらわれているというそのすきを縫ったように、アクションプログラムの追加発表があった。これは私は、やり方として非常にひきょうではないかという気さえ中曽根総理に対してするのであります。  さて、農林当局はこれに対して真剣に防戦しているようであります。しかし、今も津川さんから御指摘がありましたように、骨なし鶏肉は絶対やらぬ、こう言ったのが、最終的には期待を裏切る結果になったという点では、行政に対するあるいは政府に対する信頼というのは決して高くない。同僚の五十嵐議員も質問しているようでありますが、私はもう一遍ここでこの点をただしておきたい、こう思います。  特に、チーズは、関税割り当て制度のもとでは国内産チーズとの抱き合わせで無税になっております。御承知のとおりであります。二次物として三五%の税がかけられておるわけですが、現行でキログラム当たり五百円程度であるのに対して、関税割り当て制度によるプール価格は六百円と、その差は百円近くも開いている、こういう状態でありますから、この上関税の引き下げによって一次物と二次物との差が開くというような状態になりますと、これはまさにこの制度の破綻を意味するものになります。それを承知の上でなお政府が関税の引き下げをやろうとしている意図が私たちとしては理解に苦しむところなのです。  こういう事実を前にして、なおこうした要求に応ずるということについて私は納得ができませんので、この際、畜産局長から私の今指摘した点についての心構えや決意のほどを伺って、ひとつぜひ強い態度で今後これに対処してもらいたい、決意を促す意味でお尋ねをしておきたいと思います。
  280. 野明宏至

    ○野明説明員 お答えいたします。  先生今お話しございましたように、酪農は我が国の農業にとりまして米に次ぐ基幹作目でございます。また、北海道等の地域の経済にとっても極めて重要な産業であるというふうに考えておるわけでございます。  そういう中にありまして、ナチュラルチーズにつきましては、全体としてかつてのような需要の伸びが期待できないという中で、今後とも需要の増大が見込まれるいわば酪農の主要産品であるというふうに考えられるわけでございまして、今後の酪農の発展を考える上でも極めて重要な作目であると考えておるわけでございます。  また、ナチュラルチーズにつきましては、欧米諸国におきましても輸入制度上非常に手厚い保護のもとに置かれておるわけでございます。  こういったような状況の中にございますので、関税の引き下げにつきましては極めて困難であるというふうに考えて対処いたしておるわけでございます。
  281. 島田琢郎

    島田委員 ところで、チョコレートもその対象になっているわけでありますが、昨日の日本農業新聞によりますと、例のブロック書簡で大騒音をいたしましたあの再現を思わせるような事実が明るみに出てくるなど、まことに不明朗きわまりない、絶対にこんないわゆる魔手に屈するようなことがあってはいかぬ、こう思っておりますので、チョコレートの問題にも触れておきたいと思います。  砂糖は御存じのように、これまた輸入調整金による糖価安定制度がとられておるわけでありますが、しかし、チョコレート菓子や加糖ココア調製品、これらには課徴金がないのであります。この状態のもとで関税引き下げを行えばどういうことになるのか、これは余りにも自明でありまして、チョコレートなどの国内競争力というのはこれによって非常に高まってまいります。反面、砂糖の競争力は急速度に落ちてまいります。  これまた沖縄の砂糖、北海道のビート、また粗糖がどんどんキャパシティーが小さくなっていく。パイが小さくなって、国内の精製糖業界も今苦しい体質改善が強いられているところに、またもろにこのリスクがかけられる。やがては糖価安定制度そのものが存亡の危機にさらされるということになりかねません。これは断固として守り抜いてもらいたいが、政務次官、いかがです。
  282. 近藤元次

    ○近藤説明員 ただいま乳製品並びにチョコレートのことで御意見がございましたけれども、今日まで農林水産省は徹底抗戦というような形で、御理解をいただき、今後のことをなお引き続き御心配をいただいておるわけですが、終始一貫本委員会等の決議を踏まえて努力をしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  283. 島田琢郎

    島田委員 さて、きょう本番米審第一日目が終わったわけであります。  ことしの生産米価は非常に厳しいという予想が早くから出されており、また政府も意図的なのか故意なのか、ことしは米価は上がらない、下がるというようなことを早くから宣伝これ努める、実に巧妙ないわゆる逆米価攻勢をかけてきた。私たち野党側としても、こうした状況のもとで非常に危機感を持ちました。だれ言うことなしに、野党五党が相寄りまして、米価その他に対する共闘を組みました。今日まで一糸乱れぬいわゆる野党の共闘が進められてきたわけであります。  きょうは衆議院の農林水産委員会における審議があり、あすはまた参議院で集中審議が行われる、こういうタイミングをとらえて国会の意思を天下に明らかにするということで、五野党はこの米価に関する決議文を作成をいたしました。その合意のもとで、自民党与党の皆さんにこれを提示をし、ぜひひとつ全会一致で国会の意思を明らかにしょうではないかと呼びかけてきたのでありますが、残念ながら応じられないというつれない返事が返ってまいりました。  私は、先ほど与党の人の質問を聞いておりましたが、与党の中にも我々と足並みをそろえてやっていける人がたくさんいるわけですね。自民党というのは不思議な党でございますな。片方では物すごいあれをしながら、片一方では僕らと一緒にやれるという人もいる。そこのところでひとつまとめてもらえばよかったと思うのでありますが、残念ながら返ってまいりましたそのつれない返事は、一つは、この七年間ほとんど据え置き同然だという我々の主張に対して、まあ八%上げている、こういうことだから、この決議のいわゆる第一番目で賛成できないとしているわけであります。  七年間で米価を八%程度上げたからといって、逆に米を生産する諸資材がこれを上回るようないわゆる値上がりをしているとすれば、経営自体は立ち行かなくなるのは当たり前でしょう。この七年間で資材費がどれだけ上がったと思っていますか。
  284. 関谷俊作

    ○関谷説明員 七年間ということに直接お答えになるかどうかでございますが、昭和五十五年度を一〇〇としました指数がございまして、これで見ますと、五十五年度を一〇〇としますと、五十九年度農業生産資材総合というのは、五十九年度概算で一〇二・七、六十年五月時点では一〇一・九となっております。  なお内容的には、特にこの二、三年間、肥料、農薬等についてはやや下がりぎみでございまして、まあ農機具が若干、二%程度の増加がございますが、この二、三年については資材価格等は比較的落ちついた動きを示している状況でございます。
  285. 島田琢郎

    島田委員 局長、それはどこの資料で言っているんだ。正確なの、それ。
  286. 関谷俊作

    ○関谷説明員 ただいま申し上げました指数は、農林水産省統計情報部調査の農村物価賃金指数に基づく指数を申し上げた次第でございます。
  287. 島田琢郎

    島田委員 七年間で言えば、一八・三%上がっている。これは農村物価指数の公的な発表なんです。  ついでに申し上げますと、政府のこの統計とり方で私たちが納得できないもう一つの問題があります。つまり我々農家にとって大事なのは、交易条件が整っているかどうか、私はよくここで交易条件、交易指数という問題を言うのであります。これは私が造語しているのではありませんよ。農業白書でもそこを明確に告白していますね、交易条件は近年悪化をしていると。  しかし、残念ながら交易条件のとり方が非常に納得できない。今、五十五年を一〇〇とするというお話がありました。交易条件、交易指数のとり方も、政府がとっているのは五年たつとゼロになるのですね。こんなばかな話はないのです。農業は継続されている、経営は継続されているのです。五年たってゼロになるのなら、こんな楽な話はないのであります。ですから、少なくとも十年ないし十五年という長期にわたって交易指数の動きを見るということでないと正確でないと私は思うのです。  今の局長説明はそれに類するものでありまして、そういういかがわしい納得のできない数字を振りかざして、物価は上がっていない、資材費は上がっていないと言われたって納得できません。きょうは時間がないからこの問題は改めてまたやり直しますが、ともあれ、一つの例を挙げますとそういうことであります。  しかも、我々の共同でつくりましたこの決議案の原案に対して、二番目には、試算では実際には下がるんだけれども、まあこの前の不作の年もあったからと、恩着せがましく据え置きをきょうは諮問したというのであります。  これは、けさほど来各党の委員の皆さん方がこの点について反論を加えておりますから、もう時間がなくなってしまいましたので私はここで反論をすることは避けますが、しかし、経営が継続されている、あるときいいときもあるだろう、しかし、悪いときそれではどうなるんだということもあるのだから、ここも、農業経営そのものを長期的に見て価格というものを考えていくことが必要だと思う。そのために据え置きにしたと言いたいのでありましょうが、据え置きというのは、農家の受ける心理的なプレッシャーというのは極めて大きいのです。またことしも据え置きか、この心理状態を解消してあげるのが政治や行政のまたもう一つの責任だと思うのでありますが、これは据え置きだと言う。残念なことであります。  そして、財政事情とか供給過剰基調に依然としてあるので、米の値段は上げられないと言う。しかも、上げられないということについて玉沢さんのところから返ってまいりましたのは、したがって、決議をするという必要がない、決議については賛成できないという返事であります。私はまことに残念だと思うのであります。  そこで、私たちは、せっかくここに原案を持っておりますから、五野党で何回も確認をし検討してまとめ上げましたこの案文だけは議事録にとどめてもらいたいと思っておりますので、私は読み上げていきたいと思います。     昭和六十年産生産米価決定に関する件(案)  政府は、本日米価審議会に対し、本年産生産米価について据え置きの諮問を行った。  この諮問米価は、財政事情を先行させたもので、物財費、労賃等生産費上昇を正当に評価しておらず、食糧管理法の定める米価決定方式を逸脱したものである。まことに遺憾である。  稲作は我が国農業の基幹作目であり、米は国民の主要な食糧である。  我が国農業の再生を通じ、国民食糧の安定供給確保することは、農政の最も重要な課題であることは論をまたないところである。  黙るに、政府は米の減反政策を長期にわたって強行し、生産米価を実質七年間も据え置き、生産農民の生産意欲を極度に減退させるに至っている。  よって政府は、農業政策の転換を図り、本年産生産米価決定に当たっては、諮問米価を見直しその引上げを図るとともに、良質米奨励金については現行水準を維持し、もって稲作農家所得と米の再生産確保し、稲作農業の活性化を図るべきである。  右決議する。  日本社会党・護憲共同  公明党・国民会議  民社党・国民連合  日本共産党・革新共同  社会民主連合  こういうことで私たちは意思を明確にしておきたいと思います。  この際、政府当局の所見があれば承りたいと思います。
  288. 近藤元次

    ○近藤説明員 ただいまの御意見につきましては、本日も委員各位から種々の御議論を賜りました。目下米審に御諮問申し上げて審議をしていただいておることでもございますので、答申があり次第、適正に決定をさせていただきたいと思います。
  289. 島田琢郎

    島田委員 以上で終わります。
  290. 衛藤征士郎

    ○衛藤委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後七時三十四分散会