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田中(宏尚)
政府委員 四全総の作業につきましては、目標年次を七十五年といたしまして、現在、六十年にその基本構想というものを取りまとめ、六十一年に計画全体を閣議で
決定したいということで、内々の事務的な作業につきまして国土庁が中心になりまして
関係各省と鋭意詰めておるところでございます。
先生から御
指摘がございました中間報告でございますけれ
ども、ただいまございましたように、「二十一世紀への展望」という形で公表したわけでございますけれ
ども、この中で、
農業につきましては、高齢化による世代交代でございますとか、それから農地の流動化というものが進みまして、
農業構造は先進的な経営体と生きがい的営農を志向するものへと分化が進む、先進的な経営体は、高度な技術なり経営能力、それから高能率な機械施設、こういうものを備えまして、西欧並みあるいはそれ以上の低コスト化を進めつつ、我が国食糧
生産の大宗を担うであろうというような展望を
農業についてはいたしております。
それから、農村につきましては、農村に生活の基盤を持たない都市勤労者の増大、それから
農家も専業
農家から第二種兼業
農家まで各層への分化、こういうことで農村居住者の多様化というものが進む。それからさらに、ただいま御
指摘がありましたように高齢化が著しく進みますし、それからまた農村と都市との相互交流、こういうものもいろいろと強まってくるであろうということを展望いたしまして、特に農村と都市との
関係につきまして、両者が「融合し、またあい補っていくものとしてとらえ、その道を各地域の特性に応じて探ることが一層必要となろう。」というふうに農村の姿については結んでいるわけでございます。
こういう全体の姿を前提といたしまして、ただいま
先生から
数字の御
指摘もございましたように、二〇二五年におきます就業人口でございますとかあるいは農地面積、こういうものについてある程度ショッキングな
数字の展望をいたしておるわけでございます。この
数字につきましては、あくまでも高度成長を通じまして日本の農村が変貌してまいりました従来の姿をそのまま延長するとこうなるであろうという、非常に大胆な仮定に基づく試算値でございまして、これそのものを四全総の計画数値とするというふうには我々も
承知しておりませんし、聞いてないわけでございます。
それで、確かに今まで高度成長というものを踏まえまして農村が大きく変貌してきたわけでございますけれ
ども、今後の見通しといたしましては、高度成
長期に若年労働者が流出した後、
農業従事者がかなり高齢化してまいりましたし、それから世代交代というものも依然として進むということで、
農業労働力の減少というものは相当程度避けられないことは事実でございますけれ
ども、そのテンポというものは、いろいろな事情からいいましてこれからはかなり従来とは違って落ちてくるのじゃないか。
例えば今後の経済成長のあり方でございますとかあるいは雇用情勢、あるいは居住地に対する住民の選好の変わり方あるいは職業選択の変わり方というような、いろいろな価値観なり労働者の意識の変化というものもいろいろあろうかと思いますので、単に過去の推計のままで延ばすというような推計方式というようなものは必ずしも将来を的確に見通す材料ではないのではないかということで、我々は我々なりに、そういういろいろな社会情勢なり意識の変化というものを踏まえて、
農業就業人口なりがどうなるかということを、独自の作業として現在内々いろいろと進めているところでございます。
それと同時に、農地面積につきましても相当減るということになっているわけでございますけれ
ども、
先生御
承知のとおり、高度成長を終えましてから、農地の壊廃面積というものも三十年代、四十年代に比べますと大幅に減ってきておりますので、国土庁が現在計算しているような姿には必ずしもならないのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
そういう中で、四全総におきまして
農業なり農村のあり方というものをこれからどういうふうに位置づけるように我々として働きかけていくかということでございますけれ
ども、非常に基本的な問題でございまして、これからやるとしますと、農林省の中だけじゃなくて、いろいろ農林水産省
関係の
審議会でございますとか有識者、こういう方々の御
意見も聞きながら進めてまいりたいと思っておりますけれ
ども、いずれにいたしましても、今後人口の高齢化なり地方定住化等が進む中で、農山漁村地域は、食糧とか木材、こういう物的な供給の場だけじゃなくて、多数の国民が居住し就業するという生活の空間なり、あるいはさらに都市住民に緑なり小なり空気なりというものを供給する空間というような、両方の役割というものを大きく担っていくのじゃないかと思っているわけでございます。
こうした展望の中で
農林水産業の
振興とこれを基盤とする活力ある地域社会というものを建設してまいりますことが、単に
農業政策としてだけではなくて、日本国全体の経済政策なり社会政策、こういうものの上で極めて重要であるということで、四全総の作成に当たりましては、
農林水産業でございますとか農山漁村、こういうものの果たすべき役割というものが的確に位置づけられ、それから
農林水産業が健全に発展するという方向でいろいろと知恵を出しながら、これから注文をつけ、将来を間違わないように誘導できる四全総というものに心がけていきたいと思っておるわけでございます。