○島田
委員 まだ具体的には手をつけていないというお話でございますが、前二回の統廃合の際にも私
ども強く申し上げましたが、長い歴史そして伝統に支えられ、また地域の住民の皆さんとは非常に親密的な、また期待の大きい役所として、その存在の重みは筆舌であらわし得ない営林署もたくさんあるわけでございます。そこを生木を裂くようにしてやるということは断じてやるべきではない。だから十分な話し合い、
理解と協力が求められている。こういうことを大前提にして進めていく。私はこうした営林署の廃止に対しては断固反対であります。反対でありますけれ
ども、どうしてもおやりになるあなた方の姿勢を阻止できないとすれば、最小限、地元の
理解と協力が得られる、こういう前提を崩してまで強行することはもう許せないという気持ちを私
たちは今も強く持っておりますので、この点については念を押しておきたいと思います。
ところで、ことしは国際森林年、
総理初め国際森林年ということをスローガンにしていろいろなことをおっしゃっています。耳に新しいこともあり、あるいはまた言い古されたことの言い直しをおやりになったり、いろいろなことを言葉をかえておっしゃっているわけであります。しかし問題は、口で国際森林年を繰り返すだけではオウムと同じでございまして、これを実行に移すということが私は大事だと思うのです。もう半年になんなんとしておりますが、国際森林年の元年にふさわしい森づくり、あるいは森林の見直し、緑づくりが進められているのだろうかということになりますと、私はどうもいま
一つぱっとしない感じがいたしてなりません。
何といいましても国際的な森づくりという大変大事な初年度でございます。この大事なときに機構の縮小を行うなんというのは、本当は時代逆行も甚だしい、むしろ緑に背を向けたやり方だ、私はこう思うのです。国際森林元年にふさわしい地域振興を含めて国有林の
経営のあり方を問い直さなければならないだろう、私はこう思っているのでありますが、残念ながら国有林財政は厳しさを増すばかりであります。その認識において私は
大臣とそう大きく変わっておりません。いや、ほとんど認識を
一つにしているでありましょう。ただ、こうした大事な緑づくり、森づくりの中核的な、あるいは先駆的な、また模範的な
役割を果たさなければならない国有林が、今日、財政の危機を迎えているということは
国民にとって大変悲劇であります。ですから、私
たちは母川国有林の財政再建を具体的にも提言をし、またそのときのトップに立っておられる農林
大臣の決意を促してまいりました。
この際、
大臣の所信を伺っておきたいと思うのでございますが、たまたま五月十九日の毎日新聞でありますけれ
ども、東京の小平市に住んでおります八十七歳になるおばあちゃんが、自分でこつこつとためた二百万円の浄財を、私の北海道にトドマツの美林をつくる、こういうことで、「おばあちゃんの森」ですか、こういう名前でこの貴重なお金を拠出されました。これは東京小平市と同じ小平と書くのでありますが、北海道にオビラと読みます小平という町がございます。これは留萌にあるのでありますが、ここの町と姉妹関係を結んでおりまして、読み方が違っても名前が同じということで、おばあちゃんはそこに大変強い愛着を持っておられたようであります。
たまたまトドマツの森をつくろうという呼びかけが小平町民の間から起こってまいりまして、それを知ったおばあちゃんが、先ほど申し上げました自分のなけなしのとらの子二百万円を出しまして北海道に植林をしよう。特にこれは子孫に財産を残すためということではなくて、
日本の現状を見ていますと、世界の樹木を、森を切り尽くしている、これでは文明国
日本、あるいはまた世界の大事な仲間入りをしていこうとする
日本の姿勢としては間違っているのではないか。そうやって世界の森を切り尽くしながら、国内的には荒れほうだい、これではどうも情けない、こうした緑が衰えていく危機感に駆られたそうでございます。
それで、子供
たちにも孫
たちにも、緑こそ人間の友達だ、毎日そうやっておばあちゃんが教えておられまして、それを口先で言うだけではなくて、今度は実行に移そう、こうお
考えになった。ちなみに、この方は大変才媛の誉れ高い人でございまして、現在の青山学院大学の御卒業で、間もなく九十歳におなりになるという方であります。
しかし、こういう方が東京の真ん中に住んで、
日本の緑、世界の緑を心配されているということは、一面ではありがたいうれしいことではありますが、一面では
大臣、あなたに対して強い警鐘を鳴らしておる、忠告をしておる、こういう方
たちから警鐘を乱打されるなどというのは、本当は
大臣あるいは長官、
行政に携わっておられる皆さん、僕も含めて大変これは無念なことでございましょう。そういう
意味で、大変いい私
たちに対する、孫、子供に残す教訓ばかりではなくて、政治家や
行政に携わっている役人の
皆さん方にも与える大変とうとい教訓ではないかと私は思うのです。これはぜひ生かしていきたい、こう思っているのです。
昨日の私の隣の多田さんのおじいちゃん、おばあちゃんの話といい、きょうのこの八十七歳の田村さんというおばあちゃんといい、私
どもは本当にこうしたよい先輩からいろんなよい教えを受けながら、実はそれが自分の体にちっとも定着しないばかりか、口先だけはうまいことを言ってもなかなか行動に移すことができないでいるというのは、この際大いに反省すべきことではないか、こんなふうに思うのです。
国際森林年、どうかこの国際森林元年にふさわしい我が国の緑づくりに、たまたま時の
大臣におなりになった
佐藤守良という人の、今後、緑というものにかける情熱というものが明確に
国民の皆さんにわかるようにするということが大事だ、この際、大事な点ですからあえて
大臣に
お尋ねをしたい、こう思ってこんな事例な
ども申し上げながら、その決意を伺う次第でございます。