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1985-04-18 第102回国会 衆議院 地方行政委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十八日(木曜日)     午前九時三十四分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君 理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    大村 襄治君       工藤  厳君    小杉  隆君       坂本三十次君    中川 昭一君       中村喜四郎君    長谷川 峻君       林  大幹君    細田 吉藏君       松田 九郎君    五十嵐広三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    山下八洲夫君       小谷 輝二君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 古屋  亨君  出席政府委員         警察庁刑事局保         安部長     中山 好雄君         厚生省保険局長 幸田 正孝君         自治大臣官房長 津田  正看         自治大臣官房審         議官      石山  努君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治大臣官房審         議官      井上 孝男君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計企画官    藤井 誠人君         大蔵省主計局主         計官      田波 耕治君         大蔵省主税局税         制第三課長   津野  修君         文部省教育助成         局財務課長   菴谷 利夫君         厚生大臣官房政         策課長     末次  彬君         厚生省保険医療         局管理課長   羽毛田信吾君         厚生省保険局国         民健康保険課長 近藤純五郎君         厚生省保険局調         査課長     鎌形 健三君         通商産業省貿易         局輸入課長   奈須 俊和君         運輸大臣官房国         有鉄道部日本鉄         道建設公団・本         州四国連絡橋公         団監理官    梅崎  壽君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部業務課長   品川 萬里君         建設省道路局道         路総務課長   真嶋 一男君         自治省財政局地         方債課長    柿本 善也君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         長       佐々木建成君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十八日  辞任        補欠選任   江崎 真澄君    中村喜四郎君   山岡 謙蔵君    林  大幹君 同日  辞任        補欠選任   中村喜四郎君    江崎 真澄君   林  大幹君    山岡 謙蔵君     ――――――――――――― 四月十七日  重度障害者固定資産税非課税に関する請願  (工藤巖紹介)(第三一一五号)  同(熊川次男紹介)(第三一一六号)  同(佐藤誼紹介)(第三一一七号)  同(安田修三紹介)(第三一一八号)  重度障害者電動車いす速度制限に関する請  願(工藤巌紹介)(第三一一九号)  同(熊川次男紹介)(第三一二〇号)  同(佐藤誼紹介)(第三一二一号)  同(安田修三紹介)(第三一二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二四号)  住民基本台帳法の一部を改正する法律案内閣  提出第七三号)      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬治君。
  3. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 最初にお伺いしますのは、去年のこの地方行政委員会で私が質問し、その後で社民連の菅委員が質問し、またその後で連合審査で私が厚生大臣に質問してきた問題ですけれども、一時大変問題になりました健康保険医療費減額査定をした分、患者減額査定された分の差額ですね。一万円医療費があって、それが例えば五千円に査定されたとすると、今まで三千円だったのが千五百円、国保に入っておりますと納めた分の差額分の三割が返ってこなければいかぬですね。その当然返ってくるべき差額分患者に返らないで、病院がそのまま猫ばばと言ってはおかしいがぼろもうけしておった。医者の側にはそれだけの理屈があるのかもしれませんけれども、この点についていろいろ質問をいたしました。  その結果、この委員会に出席した人は当時の国保課長でありましたけれども国保課長は、「患者個人負担額差額が生じれば、当然、患者請求する権利を持つだろうし、請求があれば保険医療機関は返すべきだ。積極的にPRしていないが、市町村社会保険事務所に問い合わせれば、減額されたかどうか、患者側も確認できるはずだ」、こういう答弁をしておったのですね。そこで私は、患者は一体どうして自分のが減額されたかどうかわかるのか、通知が来なければわかりません。特に命を担保に取られている医者との問題で、おまえさんが過剰診療したから金返せと医者に行くなんということは事実上できるはずがないじゃないか。だから、当然そういう分については、あなたは過剰診療でこれだけ戻りますからといって通知して患者に取りに来させるようにすべきではないか。  これに対しましては保険課長頑強で、そんなことをしたら金がかかってしようがないというのでなかなか承知しなかったのですけれども連合審査でもって当時の渡辺厚生大臣は、これは払うのは当然である、したがってこれに対しては患者通知するように必ずやります、こういうかたい約束をしたのです。聞いてみますと、どうもその約束余りうまく実行されていないのではないかと思いまして、きょう幸いこの交付税法審議の中で、この前は国保税審議をやりましたし、またいろいろな問題で交付税大変関係がありますので、きょうおいでを願って御質問するわけでありますけれども、この話につきまして今どういうふうになっているのかお聞かせいただきたい。できればこんな実績もありますよという話をひとつ聞かせてもらいたい。
  4. 幸田正孝

    幸田政府委員 いわゆる減額査定の問題、支払基金審査委員会におきまして医療機関レセプトを審査いたしました結果減額査定になった、その患者負担をどうするかという問題、ただいま佐藤先生からお話のございましたように、昨年の四月二十四日の当委員会でいろいろ御指摘がございまして、それを受けまして社労と地行の連合審査におきまして当時の渡辺厚生大臣がお答えを申し上げました内容は御指摘のとおりでございます。私どもその後、昨年の夏御答弁を申し上げまして以来、関係方面といろいろ協議を重ねているのでございますが、残念ながら現在までのところまだ患者に対して通知するというところまでいっていないというのが実情でございます。  なぜそんなに手間取っているかということを簡単に御説明を申し上げますと、レセプトの枚数が実は一年間で約八億枚ございます。支払基金あるいは国民健康保険連合会等請求が出てまいりますレセプトが八億枚ございまして、そのうちで減額をされるものがどのぐらいあるのかという、そういったものを抜き取りをいたさなければならない、そういった事務量が非常にかかる問題がございます。減額査定されましたものの中にも、極めて少額の減額査定のものもございますが、かなり多額のものもある、そういったものの分布がどうなっているかというような問題、そういった事務量の取り扱いをどうするかというのが一つの大きな問題点でございます。  関係団体、主として支払基金を中心に話し合いを進めました結果、どうやらこの問題につきまして現在話し合いがまとまりつつある状況でございます。私ども、できましたならばこの新年度、四月からでも実施をいたしたい。少なくとも患者さんがどのぐらい過払いになっているかということを知り得るような医療費通知を、保険者の方からするようなことをこの四月から実施をしたいと鋭意努力をしてまいったのでございますけれども、どうやらこの話し合いがまとまりましたので、ごく近々のうちにそういった状況になり得るのではないかと私ども考えているわけでございます。  ただ、この問題につきましては、もう一言申し述べさせていただきますと、いわゆる不正請求とは違うわけでございまして、お医者さんが、例えば診療もしていないのに架空に請求をする、あるいは五本の注射しかしていないのに、さらに五本注射をしたことにして十本請求をする、そういったようないわゆる不正請求ではございませんで、現実診療をいたしました診療内容につきまして支払基金等審査委員会査定をするという問題がございますので、お医者さんと患者さんとの信頼関係という問題も若干ございます。そういったことで、医師会も含めました関係団体と現在話し合いを続けている最中でございますが、先ほど申し上げましたように、ごく近い将来に、患者が知り得るような格好通知をするということで取り運びをいたす所存でございます。
  5. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 膨大なレセプト、その中から減額査定をされた分、これもまた膨大な数になるだろうと思いますけれども患者からいえば、通知をされなければ、金の大小にかかわらず一切わからぬのです。だから、どのくらいの程度のものを返すのか、何かコスト関係からいろいろ問題も出てくるだろうと思いますけれども金額が大きくなりますと、患者被害というのは莫大な被害になるのです、三割といえども。還付される金が何万円という金になる場合が、高額医療費になりますと莫大な金になってくるのです。それが還付されないままに放置されておくということは、患者になってみれば大変な問題なんですね。  ここに一つ例があるのですが、五十万三千七百五十七円が戻ってくるはずのものがある。こういう莫大な金額のものがあるのです。こうなりますと、あるいは患者の方では、それこそ借金をして医療費を払っているのかもしれないんですよ。それが、こんな莫大な金が返ってこないでそのままとまっているということは、大変な人道問題みたいなものなんですよ。もう一年もたちますから、例えばこの前の厚生省答弁では、千円以下のものは返さないつもりだ、千円以上のものは返すつもりだ、こんな答弁がありました。しかし、千円以下だといえども、これは当然患者権利であるから返さなければいかぬじゃないかと言って追及しましたら、理屈としては当然返さなければいかぬ、しかしコストが高いというので何とかかんとか言っておりましたけれども、例えば高額医療になって負担して返る分がかなり金額になるのです。こうなりますと、かなり大きな問題になりますので、どこかで一応のめどをつけて、患者負担で大変大きな負担になるようなものは、それだけでもいいから選別をして返すべきじゃないか。どのくらい助かるかわかりません。その点はいかがですか。早急に何か、あなたは四月中にやると言いますけれども、これは四月中に本当にできますか。大丈夫ですか。
  6. 幸田正孝

    幸田政府委員 確かに御指摘のとおり、最近、医学進歩等がございまして、非常に高額なレセプトがふえてまいっております。一件一千万円を超えるようなレセプトも、数はそう多くはございませんけれども出てきている、こういう実情でございますから、それの三割の一部負担、あるいは本人でございましても一割の一部負担、相当の額に上るわけでございます。もちろん、高額療養費制度がございますから、患者さん御本人負担は最高五万一千円にとどまるわけでございますけれども、それにいたしましても相当な金額でございますので、どの程度から通知をするかという金額の問題も含めまして、現在関係方面と寄り寄り協議中でございます。  先ほど来申し上げておりますように、できますならばこの新年度から実施をしたいと思っておりましたが、若干延びている、こういう状況でございまして、近々のうちにそういったことができるように、一定の金額以上ということにもちろん当初はなると思いますが、発足をさせたいと思っておるわけでございます。
  7. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ぜひひとつこれを早急に実施するように、できれば今局長お話のように、新年度から実施するようにひとつ頑張っていただきたいと思います。  それはそれで終わりまして、この間から参議院予算委員会あるいは社労委員会、衆議院の社労委員会等で取り上げられております国保財政は今軒並みに危機状態にありまして、ほとんどどこの国保財政も今大変なピンチに見舞われまして、赤字対策にどうしたらいいかわからないような大苦慮をしている市町村が多い。極端に、極端でなくてもいいのですが、今自治体の国保関係者の間には、国保財政赤字に対するちょっとしたパニックみたいな感じが起きてきております。御承知のように、何か厚生省予算が成立するまでは余り騒がないでくれ、こういうふうな要請をしたようでありまして、全国市長会あるいはまた国保中央会あるいは全国町村会、みんな鳴りをひそめておりましたが、この間予算が通ったので、一遍に今、危機突破大会だとかいろいろな大会を開いてやっておるようです。この問題についてこれから少しばかり御質問したいと思います。  御承知のように、自分でやったのですから御承知のようにと申し上げる必要はありませんが、昨年の十月に、医療費国庫負担を削減するために健保本人医療費の一割の自己負担を導入し、退職者医療制度を創設する、こういうような一連の医療保険制度改革実施いたしました。国民健康保険への国庫補助の大幅引き下げ、それから退職者医療制度への移行、こういうものが、厚生省が当初、創設当時見積もったのと大きく変わりまして、どうも退職者医療制度への移行者が随分少ない、そういうことで、市町村国保財政は軒並みにその影響を受けて危機的状態を迎えている。それで、私もこの間地方を随分回って歩きましたが、このままでは保険料を三割、ひどいところでは五割ぐらい引き上げなければやっていけないのではないか、こういうような訴えを随分聞いてまいりました。今申し上げましたように、地方団体は泡を食って、全国市長会では三日、国に対して十分な財政措置を求める決議を行い、さらに五月二十九日には国保財政危機突破全国大会を六団体主催で開くなど、厚生省に対して善処を求めているのは御承知のとおりでございます。  この問題は大変大きな問題になりまして、あるいは厚生省の単なる見込み違いではなくて、制度改革を急ぐ余り行政上の大失態ではないか、こういうようなことを指摘する関係者もありまして、去年あるいはことしだけではなくて、来年、六十一年をどうするかというかなり長期にまたがった大きな問題になってきておるわけであります。したがって、この問題に対しまして厚生省は一体どういうふうに考えておられるのか、まず厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  8. 幸田正孝

    幸田政府委員 国民健康保険問題について、ただいま佐藤先生から御指摘のございましたように、退職者医療制度発足をめぐりましていろいろ問題が生じていることはお話しのとおりでございます。  その一番大きな問題は、当初私ども退職者医療制度発足いたしますときに、その対象者が四百六万人いるであろう、こういう推計をいたしたのでございますが、これが二月末現在で二百六十四万人、約三分の二程度把握がとどまっている、退職者医療制度への加入者数がその程度にとどまっているというところが一番大きな問題点であると私ども考えております。  この問題については、各市町村にもそれぞれお願いをいたしまして、制度発足いたしまして半年近くなりますので、さらに一層加入者把握に努めてもらいたい、こういうことでお願いをいたしておりますけれども、やはり現実に二百六十四万人程度加入者しか出ておりませんから、私ども、これからの国保の特に財政問題については、この二百六十四万人という実態を踏まえて今後の対策を検討していく必要があると考えております。国保財政にどの程度影響があるか、私ども四月から五月にかけまして調査をいたしている最中でございますから、その結果を見まして、二百六十四万人という実態の上に立ちまして、国民健康保険事業が健全に運営がいくように私どもとして努力をいたす所存でございます。
  9. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 皆さん御承知のとおりだろうと思いますけれども、例えばある県の例は、市町村一つ残らず全部赤字に転落する、こういうようなところが出てきております。私も随分長い間国保に携わってきておりますけれども、これは初めてじゃないか。全市町村がそろって赤字に転落する、こういうようなところが出てきております。厚生省激変緩和措置として負担増分の三分の二に適用する、こういう特別調整措置を見込んでも七十億も負担が出る、こういうようなことを言っておりまして、五十九年度はもちろん、六十年度も六十一年度もこのままでいけばますます、まして六十一年度特別調整措置などというものは廃止されるという予定であれば、これから国保というものは一体どうなるか。六十一年度になりますと、この県では百九十八億円の赤字が出るのじゃないか、これは一つの予想ですが、こんな膨大な見通しさえ持っておる。  特に私どもは、当初退職者都会には多いから都会の方が楽じゃないか、農村には余り退職者がいないから農村の方が苦しいのじゃないかと思っておりましたが、東京都は大変な負担増でありまして、五十九年度区部負担増が二百五十六億円、制度改革による負担減が六十一億、負担増が三百十七億、また市町村負担増が五十六億、こういうふうに出ておりまして、六十年度区部が二百三十四億、市町村が五十九億、それぞれこれぐらいの膨大な負担増が予想されております。このために東京都は、今予算を組んでおりますが、六十年度負担増の二分の一を単独で補助しようじゃないか、こういう話まで出ております。これは一つや二つの県あるいは東京都だけでなくて全国市町村とも大体大差がないだろう、こういうふうに考えられております。  それで、先ほども申し上げましたように、これを担当しております国保中央会全国市長会全国町村長会が、三月から一斉に各市町村実態調査に乗り出しておるわけであります。赤字総額について調査結果を取りまとめるのが各団体とも今月の下旬ごろになるのではないかと言われまして、なかなか口を黙してはっきりしたことを言っておりません。しかし、制度改革影響がたった半年だけ、五十九年度だけで約五百億満年度影響をこうむることになり、六十年度特別調整減額があっても一千数百億円に近いような負担増になるのではないか、あるいはそれ以上出るかもしれないというような大変な状態が現出しております。  各団体市長会なり町村長会なり国保中央会、こういうようなところがいろいろな調査をしておりますけれども、大抵抜き取り調査なのですね。ところが、今度は全市町村対象にしてこの退職者医療制度実態調査を行う。これは異例なことなのです。大抵の調査は引き抜き、ランダムでやっているのですけれども、全市町村対象にする。本当に異例なことで、各市町村がどのくらい大きな衝撃を受けて重大な関心を持っているか、こういうことがよく知られるわけでありまして、厚生省としても絶対にこの負担増はかけない、むしろ減るのじゃないか、こういうことも再三にわたって言明しておるわけでありまして、これに対していかなる感想をお持ちか。
  10. 幸田正孝

    幸田政府委員 ただいまいろいろと例を挙げてお話がございました。  東京都でございますけれども東京都の退職者医療加入者数把握いたしております数字が本年二月現在で五・二%でございます。それに対しまして例えば広島県では一〇・二七%、山口県では一一・四六%という一〇%――私ども当初見込みました四百六万人は、おおよそ全国健康保険保険者の一割に当たるわけでございますけれども、それに比べまして東京都の場合はもう少し把握ができるのではないか、こういう気持ちを持っておりますが、この把握が進みますならば、それに応じて国保の財政問題もかなり軽減されるのではないかという見通し気持ちを持っております。  ただ、いずれにいたしましても、国民健康保険財政の問題につきましては、この事業が健全に運営ができるように措置をいたすのが私どもの務めでございます。もちろん国民健康保険につきましては、大体例年八%前後の保険料引き上げをしていただいております。過去五年間の平均で申し上げますと、八・四%の保険料引き上げでございます。やはり国民健康保険の被保険者高齢化をする、全体的に年齢が高まってまいりますから、それに応じて疾病率なり医療費も上がってくるという問題、あるいは全体的に申し上げまして医学、医術の進歩もございますから、そういった意味での医療費の増というものは当然御負担をいただかなければならないものと思っております。  ただ問題は、今回の制度改革退職者医療制度発足によりまして、市町村については、全体としては保険料水準を上げる必要はないということを昨年来申し上げておるわけでございまして、そういった意味合いでの調査をこの四月から五月にかけまして、今お話のございました全市町村について現在実施をしているところでございますので、その結果をもちまして対策を考えてまいりたい。少なくとも国保事業が立ちいくような格好での措置が必要である、こういう気持ちでございます。
  11. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 たくさん聞くことありますが、何か局長は御用があるそうで、十時十五分にどこかへ行かなければいかぬらしいので、局長に先に結論めいたことをお聞きしたいと思います。  既に衆参でいろいろ議論されてきたので、中身についてはある程度論じられてきております。そこで、局長にその対策等についてお伺いしたいのですけれども、このままでいきますと恐らく六十年度国保予算で、既にこれは組まれてしまっておりますけれども、さっきも申し上げましたように軒並み二〇%、三〇%から、ひどいところは五〇%ぐらいの保険税の値上げをしなければいかぬじゃないか、これはあちこち聞いてみますとほとんど皆やっておるようです。この間ここで地方交付税参考人の陳述をお聞きしました。そのときも京都の八幡の市長さんが、この退職者医療制度加入はおれのところは六%しかない、約五千万の赤字が出たので二〇%保険税を上げました、こう言っておりました。二〇%というのは少ない方なんです。  それで、国は財政欠陥は絶対起こさせない、保険税を上げるような負担増になることは絶対起こさせないと再三にわたって発言をしてきておる。今こういうふうになったら、各市町村とも同じだからぜひひとつ責任を負ってもらいたいという発言をしておりました。  そこで、私は特調あるいは音調をせめてどういうふうにしてやっていくのかまた後でお聞きしたいと思いますけれども、今各市町村では予算議会が終わりました。三月議会が終わりました。そして、国保の本賦課するのは六月議会なんです。このとき本格的に値上がりするのか、いろいろなものが決まってくるんです。だから、この六月までに手を打たないと、確実に今言いましたように少なくとも二〇%あるいは多いところでは五〇%も患者負担になる。  そうなりますと、まさに厚生省が各団体に絶対に保険料の値上げなど負担増にすることはないと約束したものが真っ向からみじんに砕かれてしまうのですね。だから、負担をかけないためにも、六月の地方議会の前に、本賦課しない前に何らかの特別の対策を打って、そして軒並み保険税の増税を抑えて政府の信用を回復すべきだ、こういうふうに私は思います。本格的にできなければ何か特別に手を打って信用回復して、増税につながらないようにしていくべきだと思いますけれども、何かその用意はございますか。
  12. 幸田正孝

    幸田政府委員 お話がございましたように、実際の保険料の賦課は六月の市議会なり町村議会で条例改正をいたすということになるわけでございます。この問題は国と市町村との信頼関係の問題でございますから、できる限り何らかの道を見出せないかという心組みではございますけれども、何分にも実態をまだ十分に私ども掌握をし切っていないということ、それから財政当局と十分な話し合いをいたしませんとこの問題は解決をいたさないわけでございますので、市長会、町村会とも十分連携をとり、また自治省とも話し合いをいたしまして、どういった方策をいつの時点でとることができるかということを検討してまいる考えでございます。
  13. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今局長からこの問題は国と市町村信頼関係だという言葉が出ましたけれども、まさにそのとおりなんです。大変な不信感を持っております。  全国町村会はこの前こんなことを決めているのですね。「国庫補助の削減等制度改正にもとづく五十九年度国保会計の赤字については、市町村の一般会計からの繰入金によって補てんしないこと。」  二番目は、「五十九年度の決算に先立って、上記の赤字を積立金(基金)の取り崩しによって補てんすることは、制度改正の影響実態を不明確にし、今後の財政対策を曖昧にするおそれがあるので、こんなことをやるな、赤字決算にせよ」、はっきりそう言っている。  三番目は、「五十九年度会計の赤字は、当面、六十年度会計からの「繰上げ充用」によって処理すること。」これは普通の常識から言うと、繰り上げ充用をやれなんということを町村会が出すなんというのは財政運営上からいくととんでもない話なんですが、こんなことをはっきり言っている。  四番目には、「積立金(基金)の取り崩しについては、六十年八月以降の時点で国の責任ある措置を確認してから検討しなさい」、これはまさに厚生省、政府に対して国保の財政を全く隠すことなくあからさまにぶつけなさいということなんです。今までこれほど峻烈な不信感をあらわしたことはないと思いますよ。あるいは厚生省を信用したら一杯食わされた、私は聞きましたけれども、はっきりそんな発言をしているのですよ。  あるいは全国市長会はこう言っていますね。四月三日の全国市長会国保対策特別委員会で会長が、今回の法改正の過程で、全国市長会制度改正が国保保険者、被保険者負担増にはならないとの約束に基づいてこれを推進する推進力になった、そして成立に尽力した。市長会の立場としては、厚生省の推計が狂ったことについて市長会を欺いたとは受け取っていないと言っている。欺いたとは受け取っていないとわざわざこれはつけているのです。これは裏を返せば欺かれたと言っている、一杯食わされたということですよ。はっきりこういうふうな政府に対する全面的な不信感というものを端的にみんなあらわしているのです。  だから、これに対するあなた方の信用回復というのは、これからの国、地方の間におけるいろいろな仕事をやっていくに対して非常に大きな問題になってくると思います。いろいろなことがあるでしょうけれども、ぜひひとつ適切な手を打ってこの不信感を排除するように努めなければいけないのではないかと思います。  それと同時にお伺いしますけれども、今まで衆参で討論したものを見ますと、すべて皆さんの答弁は、今実態調査をするところだ、この実態調査が終わってみないと何とも言えないということで、全部そこで逃げているのです。一体この皆さんの調査というものはいつ始まっていつ終わるのか、この見通しもひとつ教えていただきたい。
  14. 幸田正孝

    幸田政府委員 市町村国保財政、特に退職者医療制度実施に伴います影響がどのくらいあるかということにつきましては、この四月から調査を始めているところでございまして、来月にかけまして調査実施いたしまして、六月中にはその調査を終了いたしたいということで現在鋭意作業をしているところでございます。  いずれにいたしましても、市町村におかれましても現在の非常に財政事情の厳しい折でもございますし、医療費の適正化対策でございますとかあるいは保険料の徴収対策でございますとか、いろいろ市町村で御努力を願わなければならない分野も多々あるのではないか。それから、私ども自身でも、制度的な問題でいろいろ工夫をいたしますほかに行政的に努力をいたすべき分野もあるのではないか。そういった国と市町村挙げて、厚生省市町村を挙げていろいろな努力をいたしました結果、なおかつ退職者医療制度実施に伴いまして市町村国保財政にどのくらいの影響があるのかということを把握をいたしまして、少なくとも国保事業が健全に立ち行くように私どもとしては措置をする、こういう考え方でございます。
  15. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 市町村国保財政が立ち行くように努力したい、こう言っておるのです。ところが、今申し上げましたようにあなたがそう言っても、もう信用しないのです。そこのところが問題なんです。厚生省に一杯食わされた、だまされた、今まで一般会計から繰り入れてきたんだ、もう全部一般会計からも何からも一切繰り入れないで裸のまま厚生省にぶつける、大変な不信感を持っているのです。あなたがここで、国保財政が立ち行くようにやりますと言って約束したってだれも信用しませんよ。去年この制度をつくるとき、後で申し上げますけれども、私が言ったとおりになってしまったのです。各保険者が心配したとおりになっているのです。国保財政が立ち行くようにやりますとあのときも言った。そして何もやってきていない。今も同じことを言っている。だれがそれを、あなた方の言うことを信用できると思いますか。思わせるには何をやらなければいけないか。具体的に国保財政が立っていくようにやってみせなければもうあなた方をだれも信用しませんよ。口じゃだめなんだ。  今みんな調査に逃げ込んでいる。今あなたが、四月にやって五月にやって六月になれば終了する。しかしなぜ四月でなければいけないか。もう容易でないことは去年のうちにわかっているのです。十二月に入っている率というものはほんの少ししかない。十月、十一月、十二月の三カ月で二十五万人くらいしかないのでしょう。もう既にこうなることがわかっている。それを何の手も打たないで、そうして四月になってから調査を始めて、それの実態調査がわからなければ何もできません、こんなことをやって市町村のどこが信用しますか。  市町村はおくればせながら三月に調査を始めて、私は何遍も聞きましたが、みんな四月には終わると言っているのですよ。それを、最もそれに敏感で手を打たなければいけないあなた方が、四月というのはこれからの話ですよ。それをやらないで、そうして六月にならなければ結果がわかりません、結果がわからなければ何もできません、これでは皆さんますます不信感を持ってしょう。  私はさっきも言いました、六月というのは国保にとって本賦課するときの一つのポイントなんです。もう一カ月早めれば、せめて二月あたりから調査をしていれば間に合うのです。現実に大蔵省や自治省やいろいろなところで財政調整その他の調整をしなければいけないかもしれないけれども実態がわかれば、今度はこういうようにしますよ、しかしその調整がつかないから八月まで待ってくれとかなんとか、そういうことが言える。しかしあなた方、実態がわからなければやみくもでしょう。手の打ちようがない、はっきりそう言っている。手の打ちようがないのです。こんなことで、あなたが言ったように国保の財政が立つように一生懸命誠意を持ってやりますと言ったって、一体だれがあなた方の誠意を信用しますか。  さっきも言いましたようにこれは大ピンチなんです。私も国民健康保険は組合時代から関与してやってきています。百も承知です、どんなに苦しくてやってきているのか。皆保険でないときからやってきている。だけれども、こんな事態は初めてですよ。全市町村が全部赤字になるなんという事態は初めてです。あなたは退職者医療だけではないと――後から申し上げようと思うけれども、ほかの要素がいっぱいあるでしょう。例えば健保でもってどんどん、あるいは充当率を一〇〇にしないで、今四十何ぼ、五〇にもいっていないでしょう。あるいはまた老人健保の補助率までみんな切り下げてしまった。いろいろな問題がありますよ。市町村国保にとってむだなんか一つもしていません。どのくらい苦しい経営をしているかわからない。  我々は長年、国保赤字に大変大きな影響を与えているのは老人だ、何とか老人を国保から切り離して財政を楽にしようと思った。そうしてようやく三年ばかり前に老人健保ができました。やれやれと思ったけれども、みんな持っていっちゃって何も財政は楽にならない。もう一つは、健康なとき会社で使って、そうして年をとれば掃きだめのごとく、ごみ箱のごとく国保にみんな入れてしまう。収入が低くて病気にかかる、だから国保赤字だ、何とか退職者医療制度をつくってくれ、これがようやくできました。やれやれ、これで国保の財政がようやく楽になるかと思ったらとんでもない話だ、ますます苦しくなってきているのです。  考えたって、一番財政負担になっている老人と退職者国保から出ていけば、国保財政というものはうんと楽にならなければいかぬ。なぜ念願が到達されてもこの国保財政というのがますますやっていけないほど厳しくなって落ち込んでくるか、そこに大きな問題があるのです。あなたは国保をやっていけるようにと言ったって、やっていけるようになっていないじゃないですか。何ぼ口で言ったってだめです。まずこの調査を、あなた方が逃げ込むところの調査を、四月にやったら五月くらいに、今コンピューターの時代なんだから、調査さえしてしまえばあとはすぐできるのですよ。国勢調査だって今まで年を越していたのが十二月になればできるというのだから、すぐできる。  六月の本賦課までにこの実態をきちっと出して、そして、その時点でこれを救うことはできないかもしれませんが、実態はこうであるから、厚生省は大蔵省や自治省とよく協議をして、これをこういうふうにしますという方策だけでも六月以前にあらわして国保関係者を安心させるようなことをしなければ、あなた方をだれももう信用しませんよ。やる気がないですか。
  16. 幸田正孝

    幸田政府委員 ただいまいろいろ御指摘がございました先生の御趣旨を踏まえまして、私といたしましても精いっぱいの努力をいたす覚悟でございます。調査の問題につきましても、できる限り急いで調査をするように私ども取り運びを進めている最中でございます。
  17. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ぜひひとつやってください。本当にあなたの言うように、これは信頼感を取り返さなければもうあなた方が何を言ったってだれも信用しなくなりますよ。――御用があるならどうぞお帰りください。  今度は国保課長にお聞きします。  現在のこのような状態になった原因、これはもう何遍も指摘されておりますけれども、去年の秋に実施された医療保険制度改革というものが、健保など被用者保険本人医療費に一割自己負担を導入する。それから、それで浮いた財源をもとにして、国保加入しておりましたサラリーマンOBを対象とした退職者医療制度をつくる。それから、退職者医療制度の創設で国保負担が軽減されることから、国保への国庫補助を四五%から三八・五%に引き下げましたね。こういうことをこの制度の柱にしておるわけです。  厚生省はこの一連の制度改革でもって、五十九年度十月から三月までの半年で約四千五百億円の医療費負担を削減しているのですね。しかし、厚生省国保から退職者医療制度に移るサラリーマンOBを、御承知のように四百六万人と見込んで補助額を算定したのに対しまして、実際の移行者は一月末現在で二百六十二万人、この見込みが六五%しか達成してない、ここのところに最大の問題があったわけでありますけれども、これがなぜこういうふうになったのか、その理由を説明してください。
  18. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答え申し上げます。  退職者の数の見込みでございますが、私ども、厚生年金でございますとか共済組合の年金といった年金の受給者をもとにいたしまして、その人たちの国保への加入率といったものを勘案いたしまして四百六万人という推計をしたわけでございます。  この辺につきましては私ども誠心誠意推計したつもりでございましたが、現在対象者が出ていないという原因の一つとしまして、制度内容がまだ十分知られていないということ、それから年金の保険者のリストで認定しておりますけれども、この年金のリストができた後に住所異動があった人たちがつかまらないとか、あるいは五十九年度に初めて年金受給者になった新規の方、こういう人たちの年金リストは大分遅く出しておりまして、これが六十万件程度あるわけでございますけれども、こういう人たちのリストが関係市町村に行きましてまだ間がない、こういったいろいろな要因が考えられるわけでございます。私どもといたしましては先ほど局長から答弁いたしましたように、実績は実績として踏まえて、いろいろな対策を考えたいというふうに考えております。
  19. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 退職者医療制度発足のときに皆さんは、さっき言いましたように三八・五%に補助率を切り下げました。あのときいろいろ問題が出ましたけれども、常に厚生省は、保険税負担増には一切ならない、こういうふうに答えておりますけれども、今でも、補助率を切り下げても一〇%の移行者があれば保険税負担増にはしなくてもいい、こういうふうに思っておりますか。
  20. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 私どもの当初の推計では御指摘のとおりでございまして、一〇%の加入者を前提といたしまして、さらに各市町村の方で私どもと協力いたしまして医療費の適正化を一生懸命やってもらう、こういうことをいたしますれば、従来見込まれていた水準以上の保険料の値上げというのはないであろう。この従来見込まれていた水準と申しますのは、医療費の自然増というのがございますので、こういったものでございますとか、いろいろの老人保健なんかの精算分というのもございますので、こういったものも含めまして、従来見込まれた以上の水準にはならない、そういうふうなことを申し上げてきたわけでございます。
  21. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 いやいや、申し上げておったのでございますじゃないよ。そのとき申し上げておったのでございました、今もそう思っているかと聞いているのですよ。
  22. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 現在のところ私どもの当初どおりの見込みには必ずしも動いていないということでございまして、その辺の実態というものを私どもとして精査いたしまして、その上で対策を検討したいと考えております。
  23. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 違うんだよ。補助金ぶった切った、しかし、一〇%の移行者があれば絶対に保険税負担増にはなりませんと再三にわたってあなた方が言明しているのですよ。今でも一〇%の移行者があれば保険税負担増にはならないか、そう思っておりますかと聞いているのです。
  24. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 この退職者医療制度につきましてはいろいろな要素があるわけでございまして、人数の問題でございますとかあるいは医療費の問題でございますとか、こういったいろいろな要素がございますので、その辺の要素を全部調べ上げて、その結果を踏まえて対策を考えなければいけないというふうに考えております。
  25. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 違うんだっては。対策を考えるのじゃなくて、補助金を削っても一〇%退職者医療制度移行すれば国保保険税の値上げをしなくてもいいとあなた方は言っているけれども、今でもそう考えているかと聞いているのです。
  26. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 当初の推計どおりに退職者医療制度が動くという前提に立ては、私どもも当時と変わらない考え方を持っております。ただ、これは医療費の適正化努力というのが入っておりますので、この辺も踏まえた上のことでございます。
  27. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ところが、一〇%を超しても赤字のうんと出ているところはあちこちの市町村にあるのですよ。一つの例を申し上げますと、これは場所を言うとあなた方はそこへ行って怒るかもしれない。実際に怒られた人がいるんです。どこだかの例を具体的に挙げたら、そこの町にいきなり行って、何でそんなことを言ったって怒られた例があるから、場所は明かされない。そうなんですよ。すぐ圧力をかけて怒られるので場所を言われない。だけれども、一四%の移行者があって七百万円という赤字が出た。あなた方から言わせると、これは退職者医療じゃなくてでたらめだから出たと言うのかもしれないけれども、そういうところもあるのです。  だから、必ずしもあれが一〇%を超したから絶対負担増にはなりませんというだけでもないと私は思う。だから、その点もやはり再検討する必要があるのじゃないか。一体どのくらい移行者があればいいのかもう一遍再検討してみる必要があると思いますよ。あなた方は一〇%あればいいと言っているけれども、この退職者医療制度対象数というものは、スタート直後にたちまち二百五十万人になったのです。約六〇%。その後さっぱりふえない。今あなたは、よく制度がわからない、PRが足りなくて制度内容が十分知れていない、こういうようなことを言っているけれども、掘り起こしをしている保険者というものは必死ですよ、大赤字が出るんだから。知らないところじゃない、もう十分知っている。何とかしてふやしたいと思って必死になってかき集めているのです。それでも二百五十万以上ふえてこない。七十歳に到達した人の老人保健に移ったり、何かそういうのを差し引きして、あれ以来三カ月でたった十万人しかふえていない。現在約二百六十二万人ぐらいしかいないのですね。これで私はほとんど定着すると思うのです、六十何%ぐらいで。  国は、あなた方は、掘り起こしをすればまだ大丈夫だと芋を堀るように掘り起こしに期待をかけておるけれども、もう芋は出てこないと私は思うのです。ほぼ掘り起こしは終わった。こういう実績から見まして、目標の四百六万人というもののギャップは歴然としてあるのです。何ぼこれをやったって四百六万人なんか出てこないと思う。だから町村会の会長でも、信用して一杯食わされたと言っているのですよ。一体この四百六万人という数字をどこからどういうふうにしてはじいたのか、それをひとつ教えていただきたい。これはもう一遍見直す必要があるのではないか、こう思いますよ。
  28. 鎌形健三

    ○鎌形説明員 お答えいたします。  退職者医療制度対象者は、現在国保加入していらっしゃる七十歳未満の方で、各被用者年金の受給者のうち老齢退職年金の受給者、それから通算老齢退職年金の受給者のうち四十歳以上の被用者年金の期間が十年以上ある者、そういう年金受給者とその被扶養者ということになっております。  それで、その四百六万人を推計いたしました推計方法の概略を申し上げますと、まず年金受給者の本人の方でございますが、厚生年金、船員保険、それから共済組合の年金受給者の、これは五十七年度末の年金受給者七十歳未満でございますが、それを基礎といたしまして、過去三カ年間の伸びを用いまして、五十九年度の七十歳未満の年金受給者数を推計いたしました。  そのうちどれだけ国保加入しているかということでございますが、国民健康保険加入している加入率につきましては、厚生省でやっております厚生行政基礎調査という調査がありまして、この調査は、年金の受給状況と医療保険の加入状況とをとっている調査でございますが、その調査から国保加入率を推計いたしまして、さきに推計しました年金受給者数に掛けまして、退職者医療の本人の受給者数を推計いたしました。それから被扶養者につきましては、厚生年金の加給年金対象者数というものを参考にいたしまして、現在健康保険加入している同じ年代の被扶養者の扶養率というものを用いまして被扶養率を出しまして、それにさきに推計いたしました退職者本人に乗じて推計したというのが概略でございます。
  29. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 まあやった本人ですからあなたは正しいと思っているかもしれないけれども、しかし実態余りにも大きな違いがある。四割くらいの違いがある。こんなに大きな違いというものは私は出てくるはずはないと思いますから、これはやった本人のあなたに大変失礼だけれども、もう一遍この数というものをはじき直してみた方がいいと思います。そうでないとあなた方、数でうそをついてこのぐらいいけば間に合うといって、出なければその責任をとらなければいかぬことになりますよ。もう一遍やり直ししてみた方がいいと私は思いますよ。このぐらい出るか出ないか、私は大変疑問だと思っています。  時間がないから大至急あれしますが、国保課長にお聞きしますけれども、あなたは二月十二日の参議院の地行委員会で大変珍しい言葉を使っているのですね。私は何ぼ考えてもわからないのですけれども、二年間特例療養費というのはどういうことなんですか。よくわからぬけれども、一年しか病気しないのに二年分の療養費を支給するということですか。
  30. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 特例療養費制というのを設けてございまして、この特例療養費につきましては、例えば、五十九年度退職者医療として把握漏れがあったといたしまして、その方が六十年度になりまして把握された、その方が退職者としての医療ではなくて一般の国保の被保険者として医療を受けたという場合につきましては、これは七割給付になるわけでございますが、八割給付になってございますので、あとの一割分は特例療養費という形で給付をする形になっているわけでございます。  それとともに、その財源につきましては、これは退職者のものにつきましては被用者保険からの拠出金によります交付金に頼っておりますので、今まで国保の方でかかっていたものをその交付金の方に振りかえるという制度を仕組んでいるわけでございます。これのさかのぼりの限度が二年間であるというものでございます。
  31. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 委員長わかりましたか。私はさっぱりわからないのだけれども、あと四分しかないからやめましょう。後でまたもう一回聞きます。  厚生省は近く調整財源の範囲でもって苦心の特別調整配分を行う予定、こういうふうに言っておりますけれども、最初私どもが聞いたところでは、一〇%を下った団体には影響額の七〇%を補てんする、こういうふうに言っておったようですけれども、そういうふうにやるつもりですか。
  32. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 調整交付金の配分につきましては既に、五十九年度の話でございますが、終了しております。退職者につきます調整交付金といいますのは、これは退職者制度の創設、それから国庫補助の引き下げ、これによります影響分のうち一定の割合を補てんしようというものでございますが、調整交付金というのは、前は医療費の五%、それから現在の制度では医療給付費の一〇%になってございますが、その枠内でどう配分するかという問題でございまして、退職者特別調整交付金は、財源といいますか、財政力の有無にかかわらず出すという性格のものでございますので、この辺は、この退職者特調がふえますと一般の普通調整交付金が減るという関係にあるわけでございまして、財政力がある団体を優先するか財政力のない団体を優先するかというふうな選択の問題であったわけでございますが、私どもといたしましては、調整交付金というのはやはり財政力に応じて配分すべきものであるという考え方に基づきまして、もちろん富裕団体につきましてもショック緩和という点では必要な措置でございますけれども、この辺は速やかに解消いたしまして、全体が普通調整交付金の方で調整すべきものという考え方のもとに、五十九年度は三分の二といたしまして、六十年度は三分の一というふうな考え方をお示ししたわけでございます。
  33. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 時間がないのでこれは詰めるあれはありませんから、もう一遍あなたにいつか来てもらって詰めますけれども、去年これをつくったときに補助金を切られた。それで皆さんから補助金なんか切って大丈夫かという声がいっぱいあったのですよ。そのとき厚生省から、今度は調整交付金を増額したから大丈夫だ、そういう答弁があったのですね。  私は今あれしてみたが、この間からの答弁、ほかの委員会答弁を聞いていても、何かだんだん後退して、あり金配分すればそれで終わりだというような感じに考えているのですが、これは去年約束して、今度は調整交付金増額したから大丈夫だと言って大分自信のありそうな答弁をしておりましたけれども、今あなた方がやろうという措置で、これだけ日本じゅうの各市町村が大赤字になっておるのに、私は調整交付金の調整などというのは焼け石に水みたいにしか考えないけれども、これであなた方は十分にやれると思いますか。
  34. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 私どもの当初の考え方では、確かに調整交付金の枠が広がりましたし、かなり退職者の数が出てまいりますればこれは何とかなるというふうな考え方をしてきたわけでございますけれども、現在のところ、もう退職者特別調整交付金というものの額がふえてまいっておりますので、普通調整交付金に回る金というのが、したがってその分だけ減ってきているという関係でございまして、確かに見込みどおりにはいっていないということでございます。
  35. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そこにもあなた方の大変な間違いがある。私は質問したんだけれども、調整交付金ふえているから絶対に迷惑はかけませんと言って何遍も答弁しているのですよ。ところが、私はその当時から、もうこれは一〇%の移行があったって間に合わないと言っているんだけれども、間に合わないところか、もうそれさえもみんな崩れてしまっているのですね。もうあなた方が言っている前提が全部崩れてしまっている。さっきも局長に言いましたけれども、不信感を取り戻すというのは大変難儀なことですよ。よくそこらあたりを心して対処してください。  国保というものは、大変収入が少なくて病気の多いあれで、運営に大変みんな苦労しているのですよ。ほかの健保と違うのです。だから、やはりこれを十分面倒見てやらなければ崩壊につながってくると思いますよ。あなたは今富裕団体はやらないような話をしているけれども、これは財政力のあるところにはやらないという問題じゃないのですよ。財政力のあるところにはやらないと言うけれども、それは一般会計から繰り出せということなんでしょう。時間が来ましたのでこれでやめますけれども、どうかひとつ十分な対処、特に調査をできるだけ早くやって、そしてその結果に基づいて的確な対策をぜひひとつ立てていただきたい。これをお願いして終わります。
  36. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、宮崎角治君。
  37. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 私は、昨年の二月二十八日の衆議院本会議、そしてまた去年の四月、そして今回、三回にわたりまして、一部は交付金化になり、一部は相当改正の方向へ進んでいるようなものもあります超過負担の問題につきまして最初にお伺いしたいと思います。なお、その後いろいろと厚生省関係、あるいはまた、委員長の御了承を得て、いろいろな資料をもとにしまして、より具体的な問題を取り上げて当局の誠意ある答弁を求めたいのでございます。  初めに超過負担の問題でございますが、これは御承知のように指定されている事業、例えば警察活動費あるいは農業改良普及費、林業あるいは高等学校の産振の問題、保育所その他、八つの事業をもとにいたしましての超過負担というのが一向に解消できていない。極めてゆゆしい問題でありまして、私も、地方と国とのこういった問題に対する小委員会でもつくったらどうか、あるいは、財政逼迫の中にさらに二重パンチも受けているという最近の地方財政の逼迫からいたしまして、国の方でもっと真剣に地方とのいろいろな問題の解決に奔走していただきたい、こういうことで再三申し上げてきたわけでございますが、具体的には全国的にどのようになっているのか、どうつかんでいらっしゃるのか。  一例を挙げますと、私は長崎県でありますが、今申し上げましたように、指定事業の八事業の中に、トップでは警察諸費というのが出てくるわけであります。これは非常に多い。一長崎県の場合でも三十二億という金額が警察の関係費が出てきているわけであります。数量の問題あるいは単価の問題、あるいはまた対象の問題等々がこれの大きなポイントになるわけでございますが、こういう日夜治安維持に頑張っている警察のそれぞれの活動費に対する超過負担というのがまことに大きい数字を出しておるわけであります。保育所にいたしましても、職員の場合でも、これは三十九億八千八百三万円というトータルになっておりまして、また農業改良普及費の問題にいたしましても三十二億という、八事業におけるいろいろな超過負担金額というのは二けたにも及んでいる。これはどうなんでしょう、四十七都道府県にこのトータルを求めたときに、国としてはどのように掌握なさっていらっしゃるのか、この辺についてまず定かに答弁を求めたいのでございます。
  38. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 国庫補助金等に係るいわゆる超過負担につきましては、国と地方との間の財政秩序を適正に保つために是正に努めるべきものでございまして、自治省といたしましても四十二年度以来実態調査をして是正に努めてまいったところでございます。最近におきましては、全国知事会等関係団体で構成いたします地方超過負担解消対策特別委員会というのがございまして、ここから、こういったものについて超過負担がある、これを実態調査して解消してほしいというふうな要望をいただいておるわけでございまして、こういったことに基づきまして私ども関係省庁とその事業ごとに実態調査を行って今解消を図ってきているところでございます。  ただいま御指摘の長崎県の例がございましたけれども、私どもが行います超過負担実態調査というのは、給与の格付がどうであるかというふうな非常に細部にわたって調査するわけでございますが、一般に、地方団体からこれだけの超過負担があるというお示しをいただく場合には、その関係事業に係る決算額から国庫補助負担事業対象事業費を除いたすべての地方負担額、これを超過負担というふうなことで出されているのが多いわけでございます。この中には継ぎ足し単独というものも含まれておりますし、給与の差とかいろいろなものが入っております。したがいまして、決算から補助対象基本額というものを差っ引いただけで超過負担と言えるかどうかというのは非常に難しい問題がございます。  したがいまして、各団体におきましても調査は非常に難しいということでございまして、かつて知事会におきましては数千億の超過負担があるということを出されたことがありますが、その後はやはり問題があるということでそういった調査もなさっておりません。私どもとしましても、そういうものを全国的に統一的な方法で調査するという方法がございません。したがいまして、全国の規模で本当に超過負担と見られるべきものがどれだけあるのかということは把握しておらないわけでございますが、先ほど申し上げましたように地方団体の方でこういった事業、例えば職業訓練あるいは保育所、こういったものについてどうも超過負担が著しいと思われる、調査してほしいというふうな要望に基づきまして関係省庁とそれを取り上げて解消を図っていくという方法をとっておるところでございます。
  39. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 調査の方法がないというお話でもあるし、相当ファクターが錯綜しているから難しい問題等々もあるわけでありますが、今六団体からの要望を合わせますと数千億という数字も出てきているやにおっしゃったわけでありますけれども、そういう国の基準と実勢の数量、単価、対象、こういったのが地方と国の考えているものに非常に乖離があるという考えを私は持っているわけなのです。そこで、国庫負担基準の経済社会情勢の推移等に対応した見直しを行わねばならぬのじゃないか。そして、地方の超過負担を早急に解消していかねばならぬというのは当然でありますけれども、多面的に複合施設の建設を進めざるを得ない地方自治体の現状があるわけなのです。  そこで、この基準どおりにさらにまたもう少しここに複合してつくった方が、より地域住民に大きな利便を図っていくであろう、そういったことで、複合施設の補助制度というものも今後の大きい検討問題ではないかと思うわけでありますが、地財法の二条でいきますと、基本原則にのっとっていかねばなりませんし、十八条でいきますと、「国の支出金の算定の基礎」、こういうことが規定されているわけでありますが、今申し上げましたように、負担区分がもう区分化されている。そこで国の補助の基本単価の問題とか、今申し上げました対象の問題あるいは基準面積、定員の数量の問題などがあって超過負担というのが生じてくるわけでございます。  一つは保育所の例を今おっしゃいましたけれども、保育所の場合の措置費の超過負担にいたしましても、今回は大蔵、厚生、自治、この三省による実態調査で次のように超過負担というのが解消のめどになったやに聞き及んでおりますけれども、これは職員の給料の格付といいますか、例えば一般保母さんば二カ年で一号俸アップする、それから施設長の方は逆に二カ年で一号俸ダウンする、これだけなんですね。あとは保母の定数基準についてはどうなんですか、きちっと是正が図られているんでしょうか。その辺についてひとつ答弁を求めたいのであります。
  40. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 保育所の措置費につきましては、御指摘のように五十九年度におきまして、大蔵、厚生省とともに給与格付について共同実態調査を行ってその結果解消するというふうな措置を講ずることとしたわけでございます。  御指摘のように超過負担の生ずる原因と申しますか、どういうところに国の考え方と地方の考え方の差がある、いわゆる超過負担が生ずるかと申しますと、単価の差、それから対象の差、数量の差、さらにもっと言いますと、これは超過負担と言えないかもしれませんが、水準の差というものも考えられるかもしれません。私ども取り上げて調査をいたしておりますのは御指摘の単価でございまして、非常に地方と国との単価の差があるというところに着目して実態調査いたしておるわけでございます。  このうちなぜ数量の点についてやらないのかということでございますが、これは一応現在国の方で配置基準というものを設けておりまして、これが適正かどうかということはなかなか政策論争も絡んで難しい問題でございます。こういった問題につきましては、時代の推移とともに変わってくる問題もあろうと思いますけれども、なかなかこの配置基準そのものについての議論というのは難しい点がございます。そういったこともありまして、非常に把握が簡単――簡単と申しますか、だれが見てもこの分はおかしいと言われるようなものを取り上げる、そういう意味で単価の差というものが非常に顕著でございますので、この点について調査をして解消を図っておるのが現在の状況でございます。
  41. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 この項の最後に古屋自治大臣にお尋ねしたいのですが、今局長の御答弁にあって方向そのものが、国とのまた地方とのいろいろな接点、特に単価についての問題というのが今出てきましたので、確かにこの辺に大きな超過負担の問題、悩みがあるわけであります。これについて自治大臣として、大蔵、厚生、自治省、この三省によるいろいろな話し合い、接点、この進め方についての御決意を、この項の最後に自治大臣の答弁お願いしたいわけであります。
  42. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 超過負担の問題は、補助金制度と関連いたしまして自治省でも一番重要な問題として、毎年予算編成の前には各省にそういう超過負担ができるだけないようにという申し入れをしているところでございます。各省もそれぞれの立場で、こちらの意見が必ずしも通るとは限っておりませんが、少なくとも三省で調査をいたしますと、やはりそれだけの効果は出ておると私は考えておりまして、今お話を伺っておっても、この超過負担の基準といいますか、あるいはそのもとの単価ということについても、できるだけ地方の意見を自治省が十分関係各省に申し入れまして、地方としてこういうものの一番の相談相手は自治省でございますので、自治省がどうしても中心になって関係各省にそういうことをしつこく繰り返し申し入れて、そしてそれを改めてもらうことが一番大切だと私も考えておりまして、今後そういうような点に重点を置いて措置をいたしたいと考えております。
  43. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 次は、実は自治医大の問題につきましてしっかりと答弁お願いしたいわけであります。  御承知のように自治医科大学は、医療に恵まれない離島、僻地、その医療の確保と向上及び地域住民の福祉の増進を図るために昭和四十七年四月に設立されたのでございます。この建学の目標あるいは理念は非常にすばらしい文言をもって世に発表されました。自治医大の発足に当たって「医の倫理に徹し、かつ高度な臨床的実力を有する医師を養成することを目的とし、併せて医学進歩と、地域住民の福祉の向上を図ることを使命としています。」、こういった見事なる自治医科大学の概要がございます。  また、具体的な例を引いて申しわけないのですけれども、私は全国的に離島を一番多く持つ県の選出といたしまして、離島医療問題などのまことに多くの問題を抱えているわけでございますが、関係者の方も大変努力をしていらっしゃる、いろいろな厚生省との接点、自治省との接点を通して鋭意進めているわけであります。自治医大が医療に恵まれない僻地等における医療の確保と向上を一つの目的としている以上、私は自治医大の健全なる発展を願うものでありますけれども、本年でちょうど八期にわたる卒業生を送り出すことに相なります。再来年、昭和六十二年には第一期生が九年間の義務年限を終えようとする今日、その存在の特殊性ゆえに、当初予想し得なかったいろいろな問題がクローズアップされていることも事実でございます。これらの幾多の点につきまして各省にお伺いしたいのであります。  まず、今までの卒業生の勤務の状況はどうなっているのか。各県、四十七都道府県から二名という問題があります。東京のように広いところでも二名ということであります。その卒業生の勤務の状況、そのうちいわゆる僻地や離島等に勤務している医師の数はどうなっているのでしょうか。この辺についてひとつデータをお示し願いたいのであります。
  44. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 自治医大卒業生の勤務の実態でございます。  自治医大は、御承知のとおり五十三年に第一期の卒業生を出しまして、本年三月には第八期の卒業生百八名を出したところでございます。しかし、この第八期百八名につきましては、つい先ほど医師国家試験が終了したばかりでございまして、まだその合否が判明しておりませんので、昨年七月一日時点の第七期生までの卒業生についての実態を御報告申し上げたいと思います。  第七期までの自治医大卒業生は総勢七百五十名でございます。このうち、現在臨床研修中の者二百二十五名及び後期研修中の者八十九名でございます。その他、現在までのところ医師国家試験に合格しておらない者等合わせまして十名おります。ただいま申し上げました三者合計が三百二十四名でございます。七百五十名からこの三百二十四名を控除いたしました四百二十六名が昨年七月時点で第一線医療機関に勤務しておるわけでございます。このうち、僻地、離島におきまして医療業務に従事いたしております者は三百二十一名でございます。したがいまして、その割合は七五・四%に上っておるというところでございます。  なお、私がただいま申し上げました僻地、離島の意味でございますけれども、この中には、過疎地域振興特別措置法、山村振興法、離島振興法及び豪雪地帯対策特別措置法に指定されました地域にございます病院、診療所、保健所と僻地中核病院のような第一線の病院、診療所に勤務いたしております医師を指すものでございます。
  45. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 三百二十一名、七五・四%の派遣率ということでございますが、卒業生のいわゆる義務年限の九年、これの二分の一は僻地勤務をしなければならないという一つのおきてがあるわけであります。  現在、私がお尋ねしたいのは、各県ひとしく自治医大生を送り込んでいるのでありますけれども、その必要性は都道府県間でかなり差があるのではないかと思うわけであります。二年早くして人口十万に対する医師の充足率は達成したというものの、私の調べた範囲では、例えば長野県の場合は、県から自治医大に学生は送り込むのですけれども、六期生、七期生が卒業しても県の医療機関には派遣しないという事態が生じている点もあるやに聞いているのですが、この卒業生の勤務先は都道府県の枠を超えまして、広域的に日本全体を見たときの派遣というものがなされてもいいのじゃないか、なされる方向であるのか、いやそういうことは絶対ならぬのか、その辺の見解を定かにしておきたいと思います。
  46. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 自治医科大学の入学定員の問題でございますが、御承知のとおり、自治医大は各都道府県によりまして共同設立されております。そしてまたその管理運営費が各都道府県すべて均等で負担されておるというような事情がございます。このために、一都道府県当たり二名ないし三名の入学定員と定められておるところでございます。  一方、ただいま御指摘がございましたように、僻地におきます医師の充足状況は地域によって差があることは事実でございます。さらに、御指摘のような各都道府県におきます医師の充足状況を考慮いたしました入学定員の見直しあるいは卒業生の勤務先の広域化等の問題につきましては、現在、自治医大におきましていろいろ基本的なあるいは長期的な問題を検討いたしておりますが、その検討課題の中にただいま御指摘のような問題も含めましていろいろ議論を重ねておるところでございます。  自治省といたしましても、この検討におきます今後の内容あるいは関係地方団体の意見、こういうものも踏まえまして必要な助言あるいは協力を行うなど適切に対処してまいりたいと考えております。
  47. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 一県一医大の政策の実現によりまして、相当県内で医師が養成されてまいります。その医大や医学部が県の医療施設をバックアップする、こういう体制をとれるところは、今申し上げた事例のようにかなり自治医大離れという傾向が見られるわけであります。  そこで、この問題は、地方自治体の財政負担の問題とか、受け入れのあり方の問題とか、あるいはまた自治医大生の派遣先での身分の問題とか、その身分についても他の医大生とのあつれきなど、さらには自治医大生自体の建学の目的から外れた専門医志向の問題等があるのではないでしょうか。この専門医志向という問題も、プライマリーケアの重要性の認識がまだまだ低い状況にあっては、九年間という義務年限の後の職場のことを考えると無理もないような感じもするわけでありますが、今後自治医大が標榜いたしております総合臨床医を養成するためにも、自治医大のあり方を根本的に考え直す時期に来ているのではないかと思うので、その点二、三点お尋ねしたいわけであります。  一つは、卒業後の臨床研修期間の身分あるいは給与はどうなっているのですか。それから、九年間の義務年限の後の自治医大出身の医師の扱いについてはどうなっているのでしょうか。また、地域医療に従事するのに現在の教科課程、カリキュラムの問題とか研修制度は現行どおりでいいのか、そう思っていらっしゃるのかどうか。また、プライマリーケアの定義について、その重要性についてひとつしっかりと見解をお述べいただきたいと思うわけでございます。
  48. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 まず第一点の自治医大卒業生の卒業後の身分、取り扱いの関係でございますが、御承知のとおり卒業生は、卒業後各出身都道府県の職員といたしまして臨床研修あるいは後期研修を受けまして、さらにまた第一線の医療機関に勤務するわけでございます。この間の身分は、研修中は主として都道府県の職員、それから第一線医療機関に勤務いたします間は、当該医療機関を設置いたします主として市町村等の職員として勤務することになるわけでございます。したがいまして、自治医大の卒業生の給与につきましては、それぞれの勤務先の地方団体の定めます給与及び勤務条件に従うということになっております。ただいま問題になっておりますのは、その結果、これらの卒業生に若干給与あるいは勤務条件に差が生じておるという問題が出ておりますけれども、このような格差は、先ほど申しましたような勤務の制度からいたしましてある程度生ずることはやむを得ないと考えております。  それから、第二点の義務年限終了後専門医を目指す傾向が出てきているのではないかという御指摘でございます。  確かにそのような希望を現在漏らしておる人たちもいるようでございます。御承知のように、この義務年限終了後の卒業生は必ずしも僻地におきまして地域医療に従事する必要はないわけでございます。九年間は義務年限でございますが、その後は僻地に必ず勤務しなければならないという実態ではございませんので、本人の希望によりまして、あるいは専門医としての道に進みまして総合病院等に勤務するということもあり得ると考えております。しかし、私どもといたしましては、できるだけ義務年限中の期間を生かしていただきまして、さらに僻地医療としての勤務をしていただくことを希望しておるところでございます。  それからその次に、第三点が今後の自治医大のカリキュラムのあり方とか研修制度についてのお尋ねがございました。  自治医大は御承知のように十年近い経験を経てまいりまして、いろいろ新しい地域医療の需要に対処するために設立当初考えられておらなかったような事態にも直面しております。そのゆえに、これらの問題を解決するためにカリキュラムのあり方についても見直す必要があろうというようなことでございます。特にこの際重点を置いておりますのが、先ほど御質問にもございましたように総合医療化と申しますか、包括医療あるいは家庭医療と申しますか、いろいろ定義には差があるようでございますけれども、要するに地域におきましてプライマリーケアのすべてを全うできる医師を極力養成してまいりたいという方向で、この面のカリキュラムに特に重点を置いた充実を今後図ろうとしておるところでございます。  以上でございます。
  49. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ひとつ自治医大の健全なる建学の精神にのっとった方向で鋭意努力されんことを要望するわけであります。  さて、次に片通話という問題について、非常に今全国的な国民が知らない部面が数多くある日本の社会機構の中に、片通話という問題をきょうはしっかりとお尋ねをし、方向づけをし、そして国民の理解の方向へと持っていきたいわけでありますが、初めに火災の覚知方法について消防庁にお伺いしたいのです。  昭和五十九年版の消防白書によりますと、火災の覚知方法としましては、火災報知専用電話と加入電話によるものが八二・四%と相なっているようであります。あとは警察電話によるもので二・七%。覚知方法の分類から事後の聞知、後で聞いたというのを省きますと、電話によるのがほとんど火災の覚知状況の事例じゃないかと思う。その他交通事故や水難事故などで電話による通報は年間どれくらいあるのか、一一九番に占める火災やこれの事故の割合というのはどれくらいなのか、ひとつデータを教えていただければと思いますが。
  50. 関根則之

    ○関根政府委員 消防用の一応通報のための専用電話といたしまして、御承知のとおり一一九番があるわけでございます。火災につきましては、昭和五十八年の出火件数をとってみますと、全体で五万九千七百四十件あるわけでございますが、そのうち今申し上げました一一九番で通報がなされました件数が四万六千四百五十二件でございまして、出火件数に対しまして七七・八%のものが一一九番で通報がなされておるということでございます。通報手段として極めて重要なといいますか主体的な部分を一一九番が占めておるということでございます。
  51. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 七七・八%と大変多い数字であります。  さて、消防や警察などへの出動要請、これは電話によるものが大きな割合を占めているようであります。いわゆる公衆電話からの通報というのはそのうちどれくらいの割合を占めているのか、消防庁、警察庁、両方にお伺いしておきたいと思います。
  52. 関根則之

    ○関根政府委員 一一九番は公衆電話からも当然かけられるようにはなっているわけでございますけれども、一一九番に入ってきた電話のうち、いわゆる普通の家庭用の加入電話ないしは事務所用の電話から入ってきたものがどのくらい、公衆電話から入ってきたものがどのくらいという分類は、受け付けのサイドで分類しておりませんので、消防としては正確なデータをちょっと持ち合わせていないわけでございます。
  53. 中山好雄

    ○中山政府委員 一一〇番の受理件数は年々増加しておりまして、昨年中全国で約三百三十三万四千件の通報がございます。しかし、ただいま消防庁長官からのお話があったと同様、このうち公衆電話からの通報がどのくらいの割合であるかというのは、そこまでは把握しておりません。
  54. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは郵政省の方にお尋ねしたいのですが、この公衆電話の種類が、赤電話、青電話、黄色、緑、たくさんあるんですね。これはそれぞれ全国で相当の数だと思うのでございますけれども、よく喫茶店なんかのカウンターなどに置いてありますピンク電話、これは公衆電話じゃないわけです。店内に設けるサービス電話というらしいのですけれども、こういったものからして、私は相当の電話が全国に設置され蔓延しているのじゃないかと思いますが、そのデータをひとつお示し願えれば幸いであります。
  55. 品川萬里

    ○品川説明員 お答え申し上げます。  最新の数字は五十八年度末でございますが、ピンク電話の数は全国で百十七万五千台ございます。
  56. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 これが間違っていなかったら、百十七万五千四百六台と私はキャッチしているわけでありますが、これはピンク電話じゃございませんか。ピンク電話は全国的にどんどんふえているわけです。今、百十七万五千台というのはどうなんですか、赤電話なんですか、ピンク電話なんですか。そこら辺の数字がちょっと私の調査と違う。定かに願いたい。
  57. 品川萬里

    ○品川説明員 今先生の御質問が、ピンク電話の台数は何台がというお尋ねでございましたので、ピンク電話の台数を申し上げました。
  58. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは、これは間違いありませんか。公衆電話の赤電話約四十二万九千台、青電話が十四万六千台、黄色電話が三十五万二千台、緑が三千台、これは間違いありませんか。
  59. 品川萬里

    ○品川説明員 これも五十八年度末の数字でございますが、先生が言われた電話の種類とちょっと順序が合わないかもしれませんけれども、街頭公衆電話というものを見ますと、黄色電話が十四万一千台、それから青電話が二万八千台、それからまたちょっと種類が違う黄色電話でございますが、これは卓上型といいまして、二十一万三千台、それから青電話が十一万八千台ということで、街頭公衆電話というのは全体で五十万二千台でございます。
  60. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは、街角にあります電話ボックスなどの電話ですね、緊急通報用ボタンがついているのが最近多くなっております。しかし、公衆電話のうちに、よく店先で見かける赤電話には、この緊急通報用ボタンというのがついていない。この赤電話に十円玉を入れて一一〇番、一一九番に通報しても片通話になるんですね。これはピンク電話も同じことです。長官、私は国会の中を一巡し、国会周辺をずっと通って見てきたわけですが、一度やってみたら、ああそうか、こうなるわけです。  衆議院の第二議員会館の裏の、お店の名前は掛川商店という商店がありますが、そこの店には旧式の赤電話があるんですね。十円玉を入れて一一〇番をかけていくと相手は出るんだ。例えば一一九番だと、こちらは消防局ですという声は聞こえてくる。だからかけた人は、つながった、このように錯覚するわけです。どこどこに火事です、急いで、こうなる。せっぱ詰まった声なんだ。そういう声で訴えるわけなんですけれども、どこそこで火事ですと幾ら叫んでも、このかけた人の声は消防局の人には聞こえないのです。消防局の司令室の人は、また赤電話か、このように言って、ぴんときて、赤電話からはあなたの声は聞こえません、お店の方にかぎを回してもらってからかけ直してください、このように返ってくるわけです。  普通は、ちょっと落ちついて一一九番などにかける人はいないはずなのです。よもや、相手の声は聞こえるのに、こちらの声が聞こえていないと思わずに、何のことかわからないこともたくさんあるわけですね。伝えることは伝えたからと思って、がちゃんと切る人もおるわけであります。しかし、何にも消防局には伝わっていない。火事などが手おくれになって大惨事になるかもしれない。また、店の人がいつもそのそばに、たばこのところにおるとか、時には新陳代謝のために向こうに行かなければならないこともあるわけですから、そばにいるとは限らない。そんなことで、一刻を争うときに通報がおくれるということもあるんですよ。果たして、こんな例は年間どれくらいあるのか。消防庁や警察庁、事例をつかんでいられたら、先ほどの事例のようになかなか難しいかどうかわかりませんが、お示し願えればと思うわけであります。
  61. 関根則之

    ○関根政府委員 私どもも、片通話の問題については重大な問題として考えておりまして、特に現場の消防署を預かっております各市町村の消防長は、この問題を大変な問題として、何とか解決策はないかということで、全国の消防長会議等におきましてもいろいろと討議を重ねてきているところでございます。実際に片通話になったような件数がどの程度あるかというお話でございますが、全国的な統計は残念ながらないわけでございますが、東京都の消防庁がサンプル的に、昭和五十八年度におきまして調査をいたしました。その結果によりますと、一一九番での受け付け総件数のうちに三%ほどのものが片通話であったという調査結果がございます。
  62. 中山好雄

    ○中山政府委員 先ほど、全体で三百二十三万件の一一〇番通報があったと申し上げました。これは有効な通報の数でございまして、まずこれに含まれてはいないわけでございますが、昨年の七月に私どもで行った全国調査によりますと、通報があってさらに引き続いての応答がなくて内容が聴取できなかったというのが全国で約七万件ございました。このうち赤電話等の片通話によるものがかなりあると思うわけでございますが、どの程度が赤電話等によるものかは残念ながら把握しておりません。
  63. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 何とかならないんですかな。電電公社に、また本年四月一日より日本電信電話株式会社、NTTになったわけでございますが、この機会に、日本の粋を集めた三十二万人も擁するNTTの発足に当たって、もう少し国として十分な指導というものをやっていかなければならぬのじゃないか、改善要望というものは出すべきじゃないか、このように私は今強い憤怒の念でいっぱいでありますとともに、国としての対応をここでお尋ねしておきたいと思うわけでございます。
  64. 関根則之

    ○関根政府委員 今までは電電公社であったわけでございますから、いわば役人の中のつき合いでいろいろの問題が打ては響くような形で連絡がとれたわけでございます。そんなこともありまして、正式に電電公社に対して要請をしたとか文書で出したとかいうことはないようでございますけれども、我々の気持ちとしては、電電公社もこの問題については取り組みをしていただいてきているものというふうに考えておったわけでございます。  今回、民間に移管をされてNTTが発足したわけでございますから、また先生からのこういう御指摘もございますので、消防庁といたしましては正式にNTTに対しまして、この問題につきまして片通話にならないようなそういう措置を何とかとっていただけないかということを要請、要望をしてまいりたいというふうに考えます。
  65. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 郵政省、来ていらっしゃいますね。今も消防庁が御決意をお示しになったわけでありますが、郵政省、天下のNTTの技術陣が改善できないはずがないと思うのですよ。一刻も早く解決の道を探すべきではないかと思いますが、この旧式の赤電話に対する郵政省の見解はいかがですか。
  66. 品川萬里

    ○品川説明員 先生から御指摘ございましたように、公衆電話、現在十種類ございますけれども、赤電話は御指摘のように片通話ということになっております。そこで、現在まだ三十八万台ばかりございますけれども、年々五、六万台のペースでこれを緊急通話が可能な電話、すなわち受話器を上げまして、緊急通報用のボタンを押して一一〇番あるいは一一九番とダイヤルしていただきますときちんと緊急電話できる、そういう公衆電話の方に切りかえてございます。  これはこれまで電電公社としてやってきましたけれども、四月一日以降株式会社に変わりましてもこの考え方は変わっておりませんで、どんどんこのペースでできるだけ早く緊急通報に十分対応できる公衆電話に切りかえていくという方向でNTTも臨んでおりますので、私どももその方向をさらに推進するように指導してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  67. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 年間五万台か六万台のペースでやっていくというわけですが、実は今私に反論されると思って、私もまたもう一丁反論を持ってきたのですけれども、この「テレホンガイド」、これには小さくどこかに出ているようです、この片通話の問題、赤電話の問題が。しかし、キーがないと通じませんなんてそんなことは書いてないのです。店のおばさんに聞けというのです。それでは何か不親切ですわね。  これは電電公社から来ている「ダイジェスト東京」。きょうは委員長にお許しを得て、これはそこの下の写真です。ちょっと郵政省、見えますか。――張ってあるとかなんとか言うけれども、どこにも張ってないです。張ってあります、張ってあります、こう大変言われるのですけれども、張ってあったんでしょうね、全部消えてしまって現実にないわけです。こういう重大な一刻も先を争うという問題のときにこんな不備な行政指導ではちょっと首をかしげる問題で、全国的に数多い台数を年間五万、六万ぐらいのペースでいくならば、これは相当かかって時間的に遅延していくのじゃないか。遅延ということは否定に通じるなんというすばらしい言葉があるわけであります。私は、大変なおくれをここに指摘をしておきたいと思っております。今言われた線でこれからいかれるということでございますけれども、そんな簡単なPR不足も甚だしい。店のおばさんに聞けという――。  もう一つは、こういうのがある。(資料を示す)これは各家庭にはないわけです。キーまでかいているのがあります。こういう不備が今の日本の郵政行政の中にあると思うとまことに嘆かわしい問題がある。日本の物的な損失、人的な損失、取り返しのつかない大惨事の過去のデータを考えましたときに、この辺のところから、今消防庁長官お話にあったような、または警察庁長官、部長等のいろいろな御答弁もあったような、そういうNTTに対する強い、そして的確な要望を再三でも私はお願いをするわけでございます。この問題についてはまだ次回にシリーズでやることにしておきたいと思っております。  それから消防庁にまた答弁を煩わしたいと思うわけでありますが、「適」マークというのがありますね。その「適」マークの交付状況についてですが、現在の交付状況を見ますと、全体的に非常に低いようでございます。どういう状況か、対象別にまとめてあれば御答弁願いたいと思うわけであります。
  68. 関根則之

    ○関根政府委員 「適」マークは、昭和五十六年から旅館、ホテル等にまず手始めとして開始をしたわけでございますが、五十九年三月末現在におきまして旅館、ホテル等につきます「適」マークの交付率は七八%となっております。その後、昭和五十八年度から劇場、百貨店等につきまして追加をいたしまして「適」マーク交付制度をとってまいりましたが、これはスタートがおくれた関係もございまして、五十九年九月末現在では約四〇%の交付率になっております。まだ低い状況にございます。
  69. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 低いその状況は、交付できないという理由が幾つかあると思うのですけれども、それを一つ。厳重に指導しまして交付率を高めることは当然でありますが、今後どのような対策をとっていかれるのかということですね。  それから「適」マークの有効期限というのがわずか一年のようであります。交付を受けていない施設というのは大多数同じところではないのか。結局何年もそのまま交付を受けていないところがあるのではないかという心配をするわけです。このような施設に対して今後どのような指導をしていかれるのかということが一つ。  もう一つは、この「適」マークの違反の公表というのをすべきかどうか。違反をしている人たちの公表についてどう考えていかれるのか。公表は今までされたことがあるかどうか、公表ができないというときの理由というのには何があるのか、その辺についてひとつ定かにしておきたいと思います。  もう一つは「適」マークのチェック項目についてでありますが、二十四の項目がもう定められているわけでございます。現在はこの項目のあるかないか、その有無だけをチェックする、そして判定をしているという方向のようであります。東京都の火災予防審議会におきましては、防火対策を例えばA、B、C、Dとか一、二、三、四、五という五段階に分けて評価する方法というものを答申しているというようにありますけれども、「適」マークについても、このやり方の方がより実態を正確につかめるのではないか、こういった感じがするわけでありますけれども、実効あるこういったチェックの方法あるいは違反の公表、あるいは今後の徹底の問題もあわせまして長官に答弁を求めたいのであります。
  70. 関根則之

    ○関根政府委員 「適」マークは、私どもは主として一般の公衆が出入りをする機会の多い施設につきまして、何も知らずに入ってきた一般の人が、消防設備等が不十分なためにけがをしたり、最悪の場合には命を捨てたりする、そういう事態が起こらないようにする観点から設けているものでございまして、これの普及促進を図るということは大変重要なことであろうというふうに考えておりますので、その方向に向かって努力を続けてまいりましたし、これからも最善の努力をしていきたいというふうに考えております。  ただ、低いと申しましても、劇場、百貨店等先ほど申し上げました資料では、開始後約一年ちょっと程度で四〇%でございます。現時点においてはまだ的確な数値がございませんけれども、相当程度上がっているのではなかろうかというふうに考えておりまして、できるだけ早く交付率を上げていきたいというふうに考えておるところでございます。  交付できない理由につきましては、やはりいろいろ消防設備等相当高度なものを備えつけなければならないというようなことがございまして、例えばスプリンクラー設備などを必要とする建物につきましては、一たん建物ができ上がってしまってから、後から工事をするということになりますと、結構経費もかかるわけでございます。そんなことから経営的な問題、財源の問題、資金難といったようなものが、私は非常に大きな理由になっているのじゃないかと思います。  ただ、不思議なのは、数字をとってみますと、消防訓練をしなければならない、防火訓練をすべきであるという規定が要件となっておるのですけれども、それが実施をされてないために交付がされてないというような例も結構あるわけでございます。そういうところはそれほど金がかかるわけでもございませんし、お客さんに協力を得なければならないという問題もあると思いますけれども、それほどやってできない話ではないと思いますので、そういうふうなところはできるだけ訓練を濃密に実施していただきまして、まあ濃密といったってそう何遍もやれというのではございません。多分、年に二回程度ではなかったかと思いますが、その程度でございますから御協力をいただいて、交付できるような条件を施設の側でもつくっていただきたいと思いますし、私どももそういう指導を引き続きやっていきたいと考えております。  また有効期間につきましては、一年で更新をするということにいたしております。これは査察に参りまして、設備等が整っておりましても、一年たちますといろいろ老朽化するなり機能が当初のとおり果たされていない、機能の劣化という問題が起こるものでございますから、一年ごとにやっていくということにしているわけでございます。  公表の問題につきましては、これは前からの懸案事項でございますけれども、やはりその経営主体にとりましてはいわば営業の秘密と申しますか、そういうプライバシーの問題も絡んでまいりますので、物事の考え方としては、公表ということも何とかできないかという考え方は私どもの中にもあるのでございますが、しかし一方で経営上の余り知られたくないというような、そういう設備の設置者のお気持ちなり事情というものも行政というものは考えながら、うまい妥協案といいますか、妥協点を見出して行政を進めていくということが必要ではなかろうか、その辺の観点からまだ公表制度というものを取り入れるところまで完全には踏み切れていない、引き続き検討してまいりたいというふうに考えます。  それから二十四項目につきましては、現在それが条件を満たしているかいないかということで区分けをしているわけでございます。私どもは適合していれば百点だ、適合していなければ、たとえそれが九十点あってもだめよという形で取り扱うのはやはりやむを得ないかなというふうに考えておりますが、東京都で現在先生御指摘の五段階評価というような問題を検討しているということも聞いてはおります。いろいろな消防機関で、いろいろなところでいろいろなよい方法についてよりよくこれを実施するための方法について研究されるということは結構なことだと思います。また、そういう研究成果につきましても耳は傾けていきたいと思いますが、今直ちにこれを、こういう方法の方がいいからこれに変えていくということは考えておらないところでございます。
  71. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 消防庁長官に残余の問題についてはまだ後に譲ることにいたしまして、雑居ビルの問題とか、あるいはまた一般質問のときにいたしたいと思います。  最後に、私は厚生省の方に、「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」についてお尋ねしたいのです。  このごろ厚生省は、国立病院とか療養所の再編成とか合理化、こういう基本指針を策定して発表されたのです。その基本指針を地方の立場から見ましたときに、非常に懸念される問題をはらんでいると私は思うわけであります。  この基本方針を見ますと、例えば統廃合の対象となる国立病院とか療養所の要件として、「近隣に類似の機能を有する相当規模の医療機関がある場合で、病床数等からみて国立病院・療養所としての機能を果たすことが難しいもの。」とあるのですね。その規模としては、「通常、病床数三〇〇床を下廻る程度の規模の施設を検討の対象とする。」こうある。現在国立の施設は二百五十三カ所あるようでありますが、そのうちの三百床以下となったらどれくらいあるのか、その三百床とした根拠は何ですか。その辺をひとつ定かに答弁を求める次第であります。
  72. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えを申し上げます。  先生今御指摘のございました「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」と申しますものを三月二十八日に厚生省決定をいたしまして、翌日の閣議で報告をし、関係各省庁の御協力をお願いしたという経緯にございます。  この国立病院、療養所の再編成につきましては、新行政改革大綱という閣議決定に基づく作業として行おうとしておるものでございますけれども、その趣旨は、現下のこの厳しい情勢の中で、国立病院、療養所が国立医療機関としてふさわしい機能を備えた病院としていわば育て上げていく、充実していくということのためには、やはりその担うべき役割を明確にしました上で、一方におきまして統廃合すべきものはする、あるいは他の主体が経営をするのが適当だ、こういうふうに考えられるものは経営移譲といったようなことも考えていくといういわゆる再編成が必要であろう、こういう考え方に基づくものでございます。  このような基本認識に立ちまして、先ほど先生御指摘のございました基本指針を作成いたしたわけでございますけれども、その中でいわゆる統廃合という形を考えて、今後の国立病院、療養所をより充実していく一つの手段として、その統廃合の対象といたしまして検討すべき施設の一つの指標といたしまして三百床という先生の御指摘の今の目安を設けたわけでございますが、これは、一つは国立病院、療養所の果たすべき機能という側面と、もう一つは経営効率という側面と両方の視点から一つの目安として考え方を出したものでございます。  すなわち、果たします機能という側面からいたしますと、今後国立病院、療養所は、地域の基本的、一般的医療というよりはより広域的な、より専門的な高度の医療を行うという方向に持っていくべきであろう。こういう視点からいたしますと、専門性は医療の特殊性からいたしまして同時に総合性と申しますか、そういった医療スタッフの面、あるいは症例等を考えますと病床規模の面、こういったものについてある程度の規模が必要になってくるであろう。また、今後の国立病院、療養所は、医師等の生涯教育あるいはそのほかの医療関係者の教育研修というような側面が非常に大事になってまいります。そういったことを考えますと、臨床研修のためにも、あるいは医科大学の関連教育病院といったことを横ににらみましても、三百床というようなものが一つの線になっております。そういったことから、機能の面からも一つの目安といたしまして三百床ということを考えました。  あわせまして、経営効率という側面からは、これも機能の差異によりまして一概にはなかなか言いがたいところはございますけれども、やはり病床規模が余り小さいと極めて非効率になります。また、逆に余り多いとかえって非効率になるというのが国立病院、療養所の実態からも出てまいっておりますので、こういったことを総合的に勘案をいたしまして、一つの目安としておよそ三百床を下回るという数字を示したところでございます。しかし、これは担うべき機能、あるいはそれぞれの実情というようなものをある程度考えなければいかぬという要素も別途あるわけでございますので、その個々の施設の機能等によりまして、この三百床というものはある程度弾力的に考えていかなければならないであろうというふうなこともあわせてその際に付言をいたしておるわけでございます。  こういう三百床未満というものは、今申し上げましたような位置づけにある一つの指標でございますけれども、その数についてのお尋ねがございました。国立病院で四十二カ所、国立療養所で七十一カ所、計百十三カ所が現在のところはいわゆる三百床未満の施設になってございます。  ただ、百十三カ所の施設ではございますけれども、これを今度再編成という形で具体的に統廃合等をどのような数で、どのような対象でやっていくかにつきましては、具体論は六十年度、今年度中に検討して決めていくというスケジュールに相なっております。したがいまして、この中で個々にこれから詰めていかなければならないということでございますので、目下のところはこの百十三は直ちに統廃合をするというような性格のものではございません。これをそのほかの要素も含めまして今後検討をいたしていく、こういう位置づけに相なるものでございます。
  73. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 最後に、今百十三カ所ということでございますが、今後の一つの大きなめどとして、こうしてアドバルーンを上げた、さらに今年より精査をしてその方向づけをするということでございますが、内容を見ますと、どうも赤字病院の切り捨てといった色合いが強いのではないか、今の御答弁からすると。ある調査からいきますと、全国三千三百二十四自治体の七六・二%に当たる二千五百三十三の県、市町村が存続の決議をやっておりますね。また、合理化反対の決議をしているようでございます。単なる財政的見地から統廃合とか経営の移譲を進めていくことは絶対に避けなければいけないと思うのでありますけれども厚生省の考えを聞きたいと思いますし、今後、地域医療に対する方策はどうやっていくのか。  私は冒頭に申し上げましたように、二年前に充足率の基準は達成したとはいうものの、私どもは離島によって医師が来ない、だから首長は外国まで行って三顧の礼で韓国や台湾の方々、ドクターを招聘して莫大な金額を出して来ていただく。三百床というめどだけれども、私の県では三百床のベッドの数は、厚生省の大村の国立中央以外にないのです。国立小浜が二百床なんです。川棚、ここで筋ジストロフィーの非常な成果を上げている、それでようやく三百十五、あるいは韓国の見える、一衣帯水の対馬の国立病院が百五十なんです。また壱岐の療養所がベッドがジャスト百なんです。これはもう本当に存続していかねばならぬ、重大な地域医療の中核といいますか、貢献しているという大きな問題をひとつ御認識の上、これはぜひ存続してほしい。  なお、この点についてはまだ今後論陣を張る機会もあろうかと思いますので、今申し上げました厚生省のお考え、また地域医療に対する方策、これを最後にお尋ねをしておきたいのでございます。
  74. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。  先生御指摘のございましたとおり、我が国の医療供給体制全体の問題を考えました場合に、僻地医療の問題等大変重要な課題であることは今日も変わらない状況にありますことは御指摘のとおりでございます。ただ、我が国の医療供給体制の中で、それではその中の国立が何を担い、公立が何を担い、あるいは私的医療機関が何を担うか、こういう点につきましては、私ども今回のこの再編成を考えるに当たりまして、国民の税金をつぎ込んでやっておる事業に相なっておりますこの国立病院、療養所につきましては、やはり地域の基本的、一般的な医療は地方公共団体あるいは他の民間医療機関、こういったところに極力ゆだねまして、国立につきましては、この国家財政の厳しい状況あるいは定員等についての厳しい状況の中で質の面と申しますか、より高度の、より広域の、より専門的な医療の部分に、あるいは研究でございますとか研修という部分に重点投資をしていくという方向を考えるべきであろうというようなことで今回の再編成を考えて、現在そのようなことで進めておるわけでございます。  ただ、先生御指摘のとおり、そうは申しましても、現に国立病院、療養所二百五十三カ所がそれぞれの地域に立地をし、それぞれの地域の医療システムの中に組み込まれながら現実に今日に至っておるという側面が当然ございます。したがいまして、そういった中での地域の医療をどうするかという側面につきましても、この再編成を進めるに当たりまして、地元の地方公共団体でございますとかそういう関係者の方々と当然十分協議をしながら進めていかなければならないもの、このように認識をいたしております。そのようなことで今後取り進めをさせていただくということで考えておるところでございます。
  75. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 いろいろと多岐にわたって問題を提起し、答弁を求めたわけでありますが、どうかひとつ国民の福祉向上のために鋭意御検討と御決定をいただきますことを心から御要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 高鳥修

    高鳥委員長 午後零時三十分から再開することとし、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十分開議
  77. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田正勝君。
  78. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大蔵省、お越しになっていますか。――大蔵省関係から先にお尋ねをしてまいります。  今回のような補助率の引き下げという手法をとる限り、補助金の一層の削減のためには補助率引き下げの対象を拡大するか、補助率をさらに引き下げるか、それしか方法がない。高率補助率のカットが六十年度限りの措置と明言をしている以上、六十一年度予算編成に当たって、補助率引き下げの対象の拡大や補助率の一層の引き下げの措置は講じないと大蔵省は約束できますか。
  79. 藤井誠人

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  御承知のように、補助金等の整理合理化という問題につきましては、従来臨調答申あるいは行革審意見等でも指摘されておるところでございますし、かつまた地方公共団体の方からも、補助金等の整理合理化というのは押しなべて推進すべきである。申し上げるまでもございませんが、先生も御案内のように、補助金等というのは特定の国の施策を推進、奨励するための手段でございます。他方、やはりともすれば弊害と申しますか膨張傾向にあるとかというような観点で、補助金等の整理合理化という点につきましては、やはり毎年毎年、従来からも鋭意努力を重ねてきたわけでございますし、今後ともやはりそういうような弊害を踏まえて、できるだけ整理合理化をさらに推進するという必要性があるところは、特に御異論のないところかと思われます。  ただ、先生先ほど御指摘いただきましたように、現在、参議院の特別委員会でいわゆる補助金の一括法ということで、その中に高率補助率の引き下げというようなものが盛り込まれておるわけでございまして、これは六十年度における暫定措置ということで関係方面の理解が、合意が得られたわけでございます。  御質問の六十一年度以降どうするかということにつきましては、御案内のように、厚生大臣、自治大臣、大蔵大臣三大臣のいわゆる合意事項がございまして、六十一年度以降の補助率のあり方というものにつきましては、国と地方公共団体との事務役割分担及び費用負担のあり方というものを踏まえまして、今後政府部内において一年間検討を進めていく、一年以内に結論を得るものとするということで、今後関係方面との相談を進めていくということでございます。  したがいまして、単に国の財政が苦しいからやみくもに補助金を、いわば一種の性悪説的な見方で削減するというものではございませんで、やはり先ほど冒頭に申し上げました補助金等がともすれば陥りがちな弊害、あるいは高率補助につきましてもいろいろ問題点等が指摘されておることを踏まえまして、今後政府部内で鋭意検討させていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  80. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ただいまの大蔵省の答弁を承って、その上で自治省はこれについてどうお考えになっておりますか。また、こういう問題が起きてきた場合、今後どう対処されようとしておられるか、決意をお尋ねいたします。
  81. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 一般に補助金の整理合理化ということにつきましては、自治省としてもこれはできるだけ推進すべきであるという基本でございます。ただ、今回の一括法にございますように、一律に見直しをしないで引き下げるというのは問題であるということで、いろいろ議論があったところは御承知のとおりでございますので、これに関する六十一年度以降の国庫補助負担率のあり方につきましては、六十年度におきまして国と地方の間の役割分担、費用負担の見直しとともに政府部内で改めて検討を進めて、一年以内に結論を得るというふうにされておりますので、この点についてはそういう扱いになろうかと思います。  それから補助率引き下げの対象の拡大等の問題につきましては、これもやはり国、地方の機能分担及び費用負担のあり方の見直しを行うことなく行われるということはないように私どもは対処してまいりたいと思います。
  82. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 先ほどお答えがありました補助金の整理合理化のためには、国と地方の事務配分のあり方、国に偏り過ぎた税源配分のあり方などの今日の行財政制度について中長期的な視点からの見直しが不可欠でありますが、来年度予算編成に当たっては、この基本的視点からの補助金の整理合理化を進めるおつもりでありますか、大蔵省の見解を問います。
  83. 藤井誠人

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  先ほど御説明いたしましたように、補助金の整理合理化につきましては、行財政改革を推進するという見地から、従来から鋭意努力を重ねてきておるわけでございます。  御質問のいわゆる国と地方の事務配分のあり方とか、あるいは国に偏り過ぎた税源配分のあり方などの問題等を踏まえて、中長期的観点からの見直しが不可欠ではないかということでございますが、現在、これまた御承知のように、例えば国と地方の事務分担のあり方というものにつきましては、行革審というような場におかれましても、例えば、国の関与のあり方とか、あるいは必置規制の見直しとか、また機関委任の整理というようなこともやられておるわけでございます。もちろんそれがすべてというわけではございませんで、先ほど申し上げましたように、今後私ども関係省庁との検討過程におかれましては、今申し上げましたような事務事業のあり方というようなものを踏まえまして検討を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  84. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今お答えが漏れておりました関係でお尋ねをいたしますが、税源配分のあり方ですね、これについては何か大蔵省ではお考えがあるのでありましょうか。あるならある、なければない、こうおっしゃってください。
  85. 津野修

    ○津野説明員 お尋ねの国と地方の税源配分の問題でございますけれども、これは単に地方税だけではなくて、地方交付税制度とかあるいは地方譲与税制度あるいは国庫支出金のあり方、さらには国と地方との行政事務配分のあり方等も総合的に勘案いたしまして、国と地方の財政状況等を踏まえながら慎重に検討していくべきものであると考えております。  なお、地方税につきましては、地域間の経済力の格差等がございますので、税源の地域的偏在を生ずるという問題もございまして、この点にも十分留意する必要があるというふうに考えているわけでございます。いずれにいたしましても、原則的に、国と地方の税源配分の考え方といたしましては、以上の考えでございます。
  86. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ただいまの大蔵省のお答えを受けて自治省はどう思われますか。
  87. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 国庫補助金等の整理合理化につきましては、基本的な考え方といたしましては、御指摘のように国、地方の事務配分それから税源配分を含めて総合的に検討を加え、また国、地方を通ずる行財政の簡素効率化を図りますとともに、地方団体の自主性、自律性を強化するという見地から進められるべきものと考えておるわけでございます。当面、具体的にはまず事務事業の廃止縮減を前提とする国庫補助金等の整理縮減、それから地方団体の事務事業として同化定着したものに係る国庫補助金等の地方一般財源への振りかえ、その他補助金の統合メニュー化等補助方式の改善とか零細補助金の整理、こういったことを進める必要があろうと存じております。
  88. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 来年度予算編成におきまして、補助率のカットに引き続き地方交付税率の引き下げ措置を講ずることはないか、先ほどもお尋ねしたのでありますが、確たるお答えがありませんので再度重ねてお尋ねをいたします。それとも行政事務の再配分及び税制の抜本改正を行って、地方交付税率の見直しを図ろうという考えがあるのか、大蔵省の明確なお答えを願います。
  89. 田波耕治

    ○田波説明員 お答え申し上げます。  私ども行政をやっていく上で、その行政が総合的、効率的に行われるためには、国、地方がそれぞれの機能とそれぞれの責任を分かち合いながら相協力していくことが必要であるということは当然のことだろうかと思います。そこで、国と地方との関係は、先ほど来御質問にございましたように、交付税あるいは税源配分、さらには補助金等によって結びつきがあるわけでございまして、具体的に交付税の問題をどうするかということになりますと、そういった幅広い問題、さらには国と地方の役割分担をどうするか、費用負担をどういうふうに考えていくか、そういったものの一環として考えていく問題だと思います。具体的に来年どうするかということになりますと、現段階では、大臣からもお答え申し上げたと思いますけれども、具体的に考えているものはございません。
  90. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで自治省にお尋ねいたしますが、地方交付税率の引き下げというようなことがちょこちょこ新聞に出てまいりますので、仮にそういうものが出てきたら自治省はこれに対してどう対応する覚悟ですか。
  91. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 絶対に応ずる気はございません。
  92. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 実にはっきりしたお答えで結構であります。  中曽根総理がシャウプ税制以来の戦後税制の見直し作業に着手するということを表明されたのでありますが、地方税体系についても大蔵省は抜本的に見直していくおつもりでありますか。
  93. 津野修

    ○津野説明員 税体系の見直しに当たりましては、税制調査会の答申の趣旨を踏まえまして、税負担の公正化、適正化を推進する観点に立ちまして、国税、地方税を通じ、また直接税、間接税を通じた税制全般につきまして、今後税制調査会を中心として国民各層各方面において広範な角度からの論議と検討が行われるというふうに承知しております。
  94. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ただいまの御答弁を受けて自治省の見解はいかがですか。
  95. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 シャウプ勧告に基づく戦後税制の見直しということが大きな課題になってきておるところでございます。また、そういった時期に到達しておることは、政府税制調査会の御答申等を承りましてもそのように考えるところでございます。シャウプ勧告の地方税財政に関する基本的な考え方は、御承知のように、日本の民主化を推進するために地方自治、特に市町村の基盤を強化することが必要だということ、そのためには地方財源の充実を図る必要があること、さらに地方税の自主性の強化、国庫補助金の整理、新しい地方財政調整制度の創設を行うべきである、こういう考え方が示されているわけでございます。こういったシャウプ勧告に示されました考え方は、今日の地方自治においてもやはり基本とされるべきものだと考えておるわけでございます。  現在大変厳しい財政状況にあるわけでございますが、その中で地方財政の健全性の回復、地方団体の自主性、自律性を高めながら地域社会を充実したものにしていくためには、今後とも地方税源の充実は必要であろうかと思います。ただ、全般的な地方税制をどうやっていくのかということにつきましては、これはもとより税制調査会の御意見、御審議、そのお考えを十分踏まえながらやっていかなければならないわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもは先ほど申し上げましたような観点から、地方自主財源の充実強化を図るという方向は常に考えておるところでございます。
  96. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大蔵省に最後の質問をさせていただきます。  さきに一般消費税の導入が論議されました際、一般消費税の一部を地方交付税として地方に配分することが検討されたと聞いておりますが、政府がこれから検討しようとしているいわゆる大型間接税の導入に当たっては、これを地方交付税対象税目として検討されるおつもりかどうか、お考えください。
  97. 津野修

    ○津野説明員 政府といたしましては、税制の見直しにつきましては直接税、間接税を通じた税制全般にわたりまして広範な角度から議論と検討を行う必要があると考えております。税体系のあり方いかんにつきましては、究極的には国民の合意と選択によって決められるべき問題でありますので、今後、税制調査会を中心といたしまして、国民各層各方面の広範な論議を踏まえ、幅広く検討していくべき問題であると考えております。政府として現段階で直接税、間接税を含め税体系のあり方につきまして予断を与えるような議論をすることは差し控えるべきであると考えております。  したがいまして、先生の御質問は大型間接税の導入に当たりというふうなことでございますけれども、そのような仮定の問題につきまして、現段階におきましてお答えをお示しし得る状況にないということでございまして、御理解を賜りたいと存じます。
  98. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 わかったようなわからぬようなお答えでありますが、賢明な自治省は今のお答えを聞いてどう思われますか。
  99. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 税制調査会の答申でも指摘されておりますとおり、現在国税、地方税を通ずる現行税制の抜本的検討が必要な時期に来ておるわけでございますが、その際には、直接税、間接税のあり方を含めまして地方税体系のあり方が重要な検討課題になるものと考えておるわけでございます。しかし、現段階では具体的な内容につきましては白紙の状態でございます。ただ、御指摘のように五十三年十二月の税制調査会の一般消費税に関する答申でございますが、その中には「新税のうち地方団体へ配分される額の一部を新たに設ける地方消費税とする。」というふうに出ておったわけでございます。すなわち国と地方がそれぞれの責任を十分に果たしていくためには、税収の相当部分が地方財源として確保されるべきであると考えていたわけでございますが、その場合に独立財源であります地方税が基本となるべきものでありますけれども、税源が地域間で偏在するという問題があることから、地方財源のすべてを地方税という形で確保することは適当とは言えない。したがって、一般消費税のうち地方財源とされる部分につきましては、独立財源たる地方税と、すべての地方団体の財源補助機能を持つ地方交付税、財源調整機能を持つ地方交付税とが組み合わせられること、これが適当であるというふうに考えていたところでございます。
  100. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大蔵省の皆さんありがとうございました。どうぞお引き取りください。  それでは、続いて自治省の方にお尋ねをさせていただきます。  中曽根総理は、シャウプ税制以来の戦後税制の見直しを表明しておりますが、地方税体系の見直しということについて自治省としては何をどのように見直すべきであると考えておりますか。
  101. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先ほどもお答えを申し上げたところでございますが、シャウプ税制の基本、特に地方自治、地方税財政制度にかかわる分については、これはやはり今日でもその考え方というものは十分尊重さるべきものだ、こう考えておるところでございます。  ただ、社会経済情勢がいろいろ変わってまいりました。今日までも、シャウプ勧告以来、これに基づいてできました税制の見直しはそれなりに行われてきたところだと思います。しかしながら、例えば直接税の比率、ウエートがかなりふえてきておる、そういったことが今日の社会経済情勢などに果たして適合するのかどうか、税負担の公平等の観点から見て適合するかどうかというようなこと、こういった点はもちろん検討課題になろうかと思います。  私どもとしては、一つは税制の公平化の推進という観点から、税制改正の課題をやはり考えてまいりたいと思います。いま一つは、もとより地方税源をどう充実をしていくか、しかもその際、地域的に偏在があるという制約を持っておる地方税でございますので、そういった点も十分考えながらこれは検討していく必要があろうかと思います。ただ、いずれにしても税制調査会の御意見、これは十分承らなければならないことでございますので、現段階ではまたしかるべき具体的なお答えを申し上げる状況にないところでございます。地方税源充実のために今後とも努力をしてまいる所存でございます。
  102. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 重ねてお尋ねをいたしますが、どうも今のようなお答えを聞いておると、すべて国の税調の答申待ちというような感じに受け取られてしようがないんですが、この地方税、いわゆる地方の財源というものは私は相当なものだと思うんですよ、三割自治とは言われておるものの。それから地方の財源充実という問題を考えたら、これはますます大きな問題なのでありまして、国の税調が抜本的に税体系についてメスを入れようとしておることは今日間違いない情勢ですね。  そういう情勢の中にあって、自治省としては、税調に対してこういうことを物を申すというものは持ってないんですか。全然、税調から何か聞かれればお答えをする、しかし聞かれぬ限りは自治省の方から地方財源の充実についてかくあるべしということを、税制体系の抜本的な見直しの中で自治省の方から持ち上げていくというような、そういうお気持ちも用意もさらさらない、こう受け取っていいのでしょうか。
  103. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 税制の問題、これは国税、地方税を通じまして究極には国民の租税負担という問題でございます。そういう意味で、まさに税制調査会、各層各界の代表の方々でもって構成されているわけでございますので、この御意見が非常な重みを持つということは当然だと思われます。しかし、もとより私ども地方税制をお預り申し上げる立場にございますので、自治省当局におきましてそれなりに地方税制のいろいろ見直すべき課題というような点、これをふだんから勉強し、またその考え方をいろいろまとめていくという準備はもちろん怠りないところでございます。  ただ、現段階におきまして、そういった具体的な内容をまだ申し上げられる状況にないということをお答え申し上げた次第でございまして、もちろん税制調査会の場を通じまして、地方税に関して所管をいたしております自治省の立場としていろいろ御意見も伺いながら、かつ当方からも御意見を申し上げていく、考え方を申し上げていくということは当然だと思いますし、またそのつもりでおるところでございます。
  104. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この税制度の抜本的な改革という問題については国民が非常な関心を持っておることでもありますし、それからこの国会の討論を通じまして、中曽根総理あるいは大蔵大臣が、早くも国会にある程度約束したような形になっておる場面もあるわけですね。これは例えて言いますならば、サラリーマンの皆さんたちの所得税のあり方というものは、まさにこれは酷税である。これはもう何とかしなければいかぬ。それはどういう方向に何とかせなければいかぬのかといったら、下げる方向で頑張らなければいかぬ。法人税も世界で有数な税率になっている。これも高過ぎる。これも下げる方向で検討しなければならぬ。もう大分具体的に出てきているんですね。  ただ、その税制の改正を来年度六十一年度に決めるか六十二年度に決めるかということは、これは総選挙の関係もありまして、選挙の前にこの税制改革を打ち出して、多段的、網羅的、投網的というようなことをやったら自民党が大敗を喫するかもしれぬので、総選挙済んでから後となると六十二年度施行かなというような程度でございまして、だから実施の時期が六十一年度になるか六十二年度になるかという程度でありまして、私は、もう税調の中では随分先行的にいろいろと検討が行われておる、税調会長の頭の中には相当なものが入ってきているんじゃないかと思うのです。  こういう時期に自治省が、これは全国地方自治団体三千三百の代表なんでありますから、かくあるべしというような具体的な問題をどんどん提起していって遅くないんじゃないかというぐらいに思っておりますので、ぜひともひとつ税調の言いなりほうだいにならぬように頑張っていただきたいと思うのでありますが、大臣どう思われますか。
  105. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 岡田先生の御意見にも私は賛成だし、また私どもの今後の取り扱いについては、今のような御議論を基本にしてまいりたいと思っております。  要するに地方税源の充実強化ということを一番基本にしながら、その間におきまして、物によりましては不公平、不公正と申しますか、そういうものの打破とか、あるいはまた今の地方税制というものが多分に義務的で幅が少ないということでありますし、それからまた富裕なところとそうでないところ、いろいろな問題なんかを考えますと、そういうアンバランスもやっぱり税の上でも何らかの措置を、交付税はありますけれども考えていかなければならぬと思います。  個別的な問題につきましては、この前ここで申し上げました利子配当課税だとかあるいは事業所税とか社会保険診療報酬とか、そういうことはもちろんでありますけれども、やはり地方の立場から地方税源を充実するということを一番基本にしながら、また地方の御意見を聞き、また国会における先生方の御議論を頭に置きましてこの問題に対処していきたいと思っております。
  106. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。どうぞひとつ頑張っていただきたいと思います。  次に、六十年度地方財政計画におきまして、自主財源比率が五二・四%と五〇%を超えています。また一般財源比率は六四・二%となっています。この現状を一体どのようにごらんになりますか。また自主財源比率がこのように五〇%を超えたということは、地方財政計画において歳出を厳しく抑え込んだからではないのか、その結果五〇%を超えたのではないかと私は見ておりますが、いかがでありますか。
  107. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 六十年度地方財政計画におきましては、御指摘のとおり一般財源比率は六四・二%、自主財源比率は五二・四%となっておるわけでございまして、歳入構造はある程度改善の方向に向かう見込みとなっているわけでございます。これは主として歳入面におきまして地方債の抑制に努めますとともに、地方税、地方交付税等の地方一般財源のほぼ順調な伸びが確保されたことによるものと考えておるところでございます。  ところで、これは歳出を抑制し過ぎたからではないかというお尋ねでございます。歳出につきましては、現下の行財政改革の要請にかんがみまして、おおむね国と同一の基調によりまして抑制されたものとなっておりますけれども、一般行政経費につきましては三・八%増加しております。また投資的経費につきましても一・五%ふえているというふうな状況でございます。こういった所要額の計上には努力しておるわけでございますが、確かにかつてのようにゆとりを持って需要額を計上するというふうな状況にはなかった。これは影響していると言われればそれはそういうことであるかもしれませんが、現在の厳しい財政状況の中では可能な限りの歳出の計上に努力をしてきておるところでございます。
  108. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ゆとりを持って需要額を計上できたとは言いがたいでしょうなというふうに素直におっしゃいますので、これ以上は申し上げないことにいたします。  次に、地方交付税率についてどのようなお考えを持っていらっしゃるか。自治省は五十年度以来巨額の財源不足に対応いたしまして、昭和五十二年から五十六年まで交付税率の引き上げを先頭に立って要求してきていただきましたね。現在ではどのようなお考えでございましょうか。
  109. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 現在の地方財政の現状から見まして、今後とも地方税源の充実強化とあわせまして地方交付税の所要額の安定的確保に努めなければならないわけでございますが、当面は五十九年度交付税制度の改正の経緯にかんがみまして、地方交付税総額に不足を来した場合には、地方交付税法附則第三条の規定によりましてその特例加算を要求することになるものと考えます。
  110. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 臨調答申では、地方交付税の基準財政収入額の算定に当たりまして地方団体間の財政力の均てん化を図るため、留保財源比率、すなわち都道府県二〇%、市町村二五%の引き下げを求めておられます。これに対する自治省の御見解はいかがでございますか。
  111. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 基準財政収入額の算定に当たりまして基準税率を用いておりますのは、一つには基準財政需要額の算定に当たりまして地方団体のあらゆる財政需要を完全に捕捉し、算入することが技術的に困難であること、二つ目には自治体としての地方団体が、それぞれの地域の特性に応じて自主的に独自の施策を展開していく余地を残しておくことが必要であるということでございます。また、もう一つ申し加えますならば、税源の多少が地方交付税によって完全に均等化されることになりますと、地方団体の税源の培養の意欲を摘み取ることになりかねないということもあるわけでございます。  したがいまして、この基準税率を引き上げますことは、地方団体間の財源を一層均衡化させる効果を持つことは事実でございますが、一方、地方団体の財政の弾力性の幅を狭めることにもなるわけでございます。御承知のように五十七年の九月に地方制度調査会から答申をいただいておりますが、この答申では「基準税率の引上げ等による地方公共団体間の財源の均てん化については、地方公共団体の財政運営の自主性、自律性を損なうおそれが少なくないこと、」から慎重に検討せよというふうな答申を受けているわけでございます。  自治省といたしましては、基準財政需要額のあり方とともに今後検討してまいりますけれども地方団体間の影響も多いことでもございますので、慎重に対処してまいりたいと存じております。
  112. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 次に進ませていただきます。  六十年度は財源対策債が廃止されたため、土地改良事業等については原則として地方債が充てられず、地方団体はその財源確保が困難になっているという声を聞きますが、地方債で何らかの配慮はできないのでありますか。
  113. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 六十年度地方財政は、先ほど申し上げましたように地方税、地方交付税等一般財源の伸びと、それから国の予算と同一基調によります歳出の抑制によりまして収支が改善されまして、国庫補助負担率の引き下げを行わない前提では地方財政の収支見通しは均衡したわけでございます。これに伴いまして、従来のいわゆる財源対策債による財源措置を講じないこととしたわけでございますが、このために、一つには財源対策債を充当してきた公共事業等について地方債の充当率が引き下げられたということ。それからもう一つは、今御指摘地方債の対象にならなくなったものもあるということでございまして、これらに伴いまして地方団体が一般財源で負担すべき額が増加するわけでございますが、これにつきましては財源対策債相当分の財源措置、これは交付税の基準財政需要額に算入することにより措置されるわけでございます。  したがいまして、原則としましては事業の執行や地方団体の財政運営に支障が生ずることはないと考えるわけでございますが、個別の団体におきましてはその変動が非常に大きい。また事業も継続しておるというふうなこともございましょう。そういった点から、その財政状況を考慮しながら、個別にこの地方債枠の配分に当たりまして配慮を行って、事業の執行に支障が生ずることのないように御相談に応じてまいりたいと考えております。
  114. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それに関連してでありますが、地方財政法第五条では、公共事業については地方債の発行を認めております。同じ公共事業の中でも土地改良事業のように、通常の場合には地方債を許可しないとしておる理由がどうもようわからぬのですよ。これはお困りになるところもあろうから、しかし基準財政需要額の中には算入できるようになっておるので、それでも困ればまた個々具体に相談には応じることにはしたいと先ほどお答えがありましたけれども、基本的にいわゆる公共事業というものは地方債の発行を認めておるのに、土地改良事業については地方債の発行を認めない。何かおかしいな。どうも基本的に考えがわからぬのですが、そこのところを説明してください。
  115. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 これはいろいろ歴史もございますけれども、自治省としましては、従来からできるだけ地方債というものは抑制的に考えていくべきだ。これは三十年以前の地方財政の大赤字といいますか大変な時代があったわけでございまして、その当時の経験もありまして、公共事業等につきましても起債の充当率というものは二〇%ないし四〇%、国が公債政策を導入いたしましてからもそういった基本的な考え方は貫いておったわけでございます。  そういったこともありまして、道路とかその他の事業は、その地域の振興に直接結びつくと申しますか、そういった地域の産業基盤を整備することによりまして生み出されるであろう税収というものがある程度期待されるわけでございますが、農業関係のこういった事業につきましてはそういったものが期待されないと申しますか、税源の涵養による間接的な公債償還費財源というものは生み出せないのではないかというふうなこともありまして、できるだけ一般財源で措置しようということで、これはこれまでも手厚く地方交付税の中に算入してきたわけであります。そのようなことから、結果として地方債は、まあ通常の場合には許可されない、特別の、いわゆる財源対策というようなときでないとこういったことは行われなかったということでございます。  結局、そういった理由でございますけれども、先ほど申し上げましたように、個別の団体につきましてはいろいろ問題も生ずるわけでございますので、例えば他の事業に対する起債の配分について考慮するとかいうふうなことも考えまして、できるだけ適切に対処してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  116. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、次に進ませていただきます。  自治省は地方団体の単独事業を奨励するために、五十九年度からまちづくり特別対策事業というものを創設しましたね。それで、このいわゆる対策事業地方自治団体がやっておられる、その事業の実績、地方債の許可の実績というのはどうなっていますか。
  117. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十九年度のまちづくり特別対策事業の財源に充てるための地域総合整備事業債の特別分の許可予定額は千三百六億円となっております。地方団体事業規模につきましては現在集計中でございますが、この地域総合整備事業の特別分の許可予定額から推測いたしますと、二千百億円前後となるのではないかと見込んでおります。
  118. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、このまちづくり特別対策事業に係る地方債の元利償還費については普通交付税措置すると言うが、具体的な措置の方法はどうするのでありましょうか。
  119. 土田栄作

    ○土田政府委員 まちづくり特別対策事業債の地方交付税への算入方法でございますけれども、これは、当該起債の元利償還費というものを、投資的経費のその他の諸費の人口分というところに算入するということにいたしております。  算入割合でございますけれども、これは地方団体の財政力に応じまして、財政力の強いところについては四分の一、二五%でございます。それから、財政力の弱いところ、財政力指数が〇・三五以下といったところにつきましては二分の一、五〇%算入ということで、財政力の弱いところについては算入率を高めるという配慮をいたしておるところでございます。
  120. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 自治省は四月五日付で「地方公営企業の経営健全化の推進について」という通達をお出しになりましたが、その趣旨は何でございますか。
  121. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 四月五日付で出しました通知の趣旨でございますが、御承知のとおり、現下の地方公営企業を取り巻きます環境はまことに厳しいものがございます。したがいまして、各地方公営企業におきましては、民間企業を含めました企業一般に通じます経営原則としての合理性と能率性の発揮を通じまして経営の健全化を推進し、もって公共の福祉の増進を図る必要があるわけでございます。今回の地方行革大綱の策定を契機といたしまして、各地方公営企業におきまして、今後における企業経営のあり方について総点検を行いまして、より一層経営の健全化の推進を図る必要があるわけでございます。その場合の留意事項をまとめて先般通知したものでございます。  この通知におきましては、全般的事項といたしましては、組織の簡素合理化、定員管理や給与の適正化、民間委託、OA化、機械化等によります効率的な経営の推進、建設投資の適切な実施、料金の適正化等によります収入の確保、経費負担区分の適正な運用等いろいろございますが、それらの留意点を示しますとともに、事業別の事項といたしまして、水道事業、交通事業、病院事業、下水道事業のような主要な事業に関します個別的な留意事項を示したものでございます。
  122. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 国におきましては、電電、専売の両公社がこの四月一日で民営化されまして、さらに国鉄も民営化されようとしているなど、事業の効率化を図るために民営化がどんどん進んでいるわけでありますが、地方公営企業の中でも民営化が望ましい事業があるのではないかと思うのでありますが、自治省としてはどうお考えになっていますか。
  123. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 御指摘がございましたが、地方公営企業の民営化に関します問題につきましての自治省の見解を申し上げたいと思います。  例えば、上水道事業あるいは下水道事業のように、その強い公共的性格にかんがみまして、法律上、原則として地方団体が経営すべきものとされておるところでございます。あるいはまた、交通事業、病院事業等民間と競合している事業が幾つかございますが、これらの事業は、それぞれ各地域におきます歴史的経緯や、民間によりますサービス供給の状況ないしその可能性等を踏まえました上で、民間の事業を補完いたしまして、住民の日常生活に不可欠なサービスを供給するというような観点から実施されているものでございます。このような理由から、主要な地方公営企業につきましては、一般的には民営化が困難な場合が多いと考えられるわけでございます。  しかしながら、住民の日常生活や地域振興等の面から、必ずしも不可欠であるとは言えないような事業、例えば観光施設事業等のようなものにつきましては、行政の守備範囲の見直しあるいは民間活力の活用といった観点から、民営への移管を検討すべきものというように考えておりますが、具体的には、当該団体が地域の実態に応じまして自主的に判断すべきものと考えております。  なお、地方公営企業におきましても、先ほど申し上げましたように、組織の簡素合理化あるいは定員管理や給与の適正化、民間委託、業務のOA化、機械化等によります効率的な経営の推進につきましては、引き続き積極的に指導してまいりたいと存じております。
  124. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは予定外の質問になりますから、答えたくなかったら答えなくても結構であります。  地方公営企業は、今お答えいただいたのでありますが、水道事業、交通事業等さまざまなサービスを提供しておりますが、民営を含めた公益事業全体に占める地位はどのようになっているか、お答えください。
  125. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 水道事業につきましては、全水道事業で一億九百四十万人に対しまして給水いたしておりますが、そのうち公営企業分は一億七百二十万人分、九八%でございます。圧倒的なウエートを占めております。  工業用水道につきましては、年間総配水量四十五億六千四百万立方メーターが全事業で供給されておりますが、そのうち地方公営企業分は四十五億五千二百万立方メーターでございまして、九九・七%を占めております。  軌道・地方鉄道事業でございますが、これは年間輸送人員について申し上げますと、全事業では百十七億四千百万人輸送しておりますけれども、そのうち公営分は二十億六千百万人でございまして、一七・六%のウエートを占めております。  自動車運送事業は、総輸送人員が年間七十八億六千万人でございますが、うち公営分は十九億五千八百万人でございまして、二四・九%を占めております。  電気につきましては、年間発生電力量六千百八十一億キロワットアワーのうち七十九億キロワットアワー、約一・三%、これは水力発電だけでございますので、こういう小さなウエートになります。  ガスにつきましては、年間ガス販売量が全国で百七億八千二百万立方メーターでございますが、公営分は四億八千八百万立方メーターで、四・五%でございます。  病院は、病床数で申し上げますと、全国の全病院で百四十万二千床ございます。うち公営分は二十一万四千床で、その割合は一五・三%でございます。  以上のような状況でございます。
  126. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 いろいろと予定外の質問もさせていただきましたが、非常に詳細な資料をお持ちになっていて感心いたしました。ありがとうございました。さすがだと思います。そのように地方自治団体の財源の充実化についても思いやりと配慮が徹底したものになることを希望いたしながら、時間を八分ほど供出をさせていただきまして、終わらせていただきます。
  127. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、細谷治嘉君。
  128. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 最初に、せんだって補助金一括法案の連合審査の際に、我が党の関山委員の質問に対する自治大臣の答弁の真意といいますか、あるいは言葉不足といいますか、そういう点がございますので、まずその辺からはっきりして決着をつけていただきたい、こう思います。  この間の関山委員の質問に対して古屋国務大臣は、速記録によりますと、「今のお話を聞きまして、五十九年までの例によりまして八〇%とおっしゃる。ただ、地方は困るかもしれませんので、この八〇%でいいか、もっとふやすかということは、ひとつ私も大蔵省と十分析衝いたします。」こう言っております。  自治省が出しました地方財政白書の百四十八ページを拝見いたしますと、六十年度のことについてはぴしゃっと書いてあるわけです。「昭和六十年度においては、」云々として、そして「残りの千二百億円について前述の千六百億円と合わせて建設地方債を増発する」いわゆる二千八百億の問題ですね。連合審査で問題になったのは、二千八百億円というのは、言ってみますと、交付税か何かの財源措置で完全、完全とおっしゃるが、一〇〇%なのかどうかということを言えば一〇〇%ではありません、八〇%だという土田審議官答弁に対して、これは問題になったわけです。そこで自治大臣の答弁が少しおかしい。白書に書いてあるのは六十年度のことでありますけれども、六十一年度以降の問題も含めてどうなのか、大蔵省と折衝をおやりになるのか。後で大蔵省も来ておりますからお聞きいたしますけれども、まず大臣のお考えを聞かせていただきたい。
  129. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 あのときの二千八百億の問題は、私は初めは全部財源対策費のようなものでいくと考えておりました。しかし、いろいろ考えてみますと、いってもいいものもあるし、また全部やった方がいいものもあるというようなことでございましたので、それでまた関山先生があのときに、大蔵省と協議して、大蔵大臣は何とかそれでいいかというようなお話でございましたので、私は大蔵省と協議をいたして善処いたしますということを申し上げたのであります。  今細谷先生の御質問に対しまして、これは交付税をいろいろ決めますときに大蔵省と協議するということはもちろんあるわけでございますが、それを自治省としてどういうふうにやっていくかということにつきましては、千六百億の問題については、これは経常的経費の分であるから、何とかこれは全部補てんできればというような感じでございまして、それから、あとの千二百億については、従来の例もあり八〇%でどうだろうという、今私の感触でございますが、そういうことを私の気持ちの上に置きまして、この問題を解決していきたいと思っておりますが、これはまたいろいろ御意見もあると思いますからお伺いいたしまして、私はそんな気持ちでおるということだけちょっと申し上げておきます。
  130. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 田波さん見えておりますが、この連合審査で平澤次長が、大蔵大臣の言葉なり自治大臣の言葉を受けてこう言っているのです。   技術的なお話ですので、私からも発言させていただきたいと思います。   元利償還費でございますので、六十一年度以降の交付税の問題になるわけでございます。その際の基準財政需要額をどう見るか、こういうことでございますので、基準財政需要額の算定は原則として自治省がおやりになるわけでございますが、その際に、今自治大臣から御発言がございましたように、この問題について何らかの検討を加えるというふうに私は理解しておるわけでございます。こう言っております。  「何らかの検討を加える」というのは、それは基準財政需要額の方で全部片づくべきであって大蔵省は知らぬ、こういうことなのか、何らかの検討を加えるということになりますと、自治大臣が積極的に答えたのに対して何らかのこたえをしようとしているのか、お答えいただきたい。
  131. 田波耕治

    ○田波説明員 先生御指摘のとおり、連合審査の場におきましてそういうやりとりがあったということは私も受けとめております。その趣旨は、今度の六十年度地方財政の関係で高率補助率の引き下げを行ったわけでございますけれども、これは交付税措置、それから建設地方債の増発ということで補てんをいたします。そこで、建設地方債の増発に伴いまして後年度の元利償還費がどうなるかということが問題になるわけでございますけれども、次長がお答えいたしましたのは、地方財政計画をつくる上におきましては、元利償還費を全体として歳出にカウントした上で所要の地方財政対策を講じてきておる、その先、基準財政需要にどう入れるか、そういう個別の、言葉があるいは不正確かもわかりませんが、配分の問題につきましては大蔵省が余りとやかく言う問題ではないけれども、自治省の方からもし御相談があれば遺漏のないように対処してまいりたい、そういう趣旨だというふうに考えております。
  132. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 なかなか意味深長な言葉でよくわからぬ。それは基準財政需要額の問題じゃないか、そして利子等も含めてカウントしてあるんだから、それはもうあの両大臣の合意事項で尽きておるんだ、それ以外何もつけ加えることもないしマイナスすることもない、こういうことなんですか。そうじゃないでしょう、平澤さんの答弁は。話があって、必要ならば――金は大した問題じゃないと思うんですよ、筋の問題なんだから。完全、完全と、本会議でも委員会でも完全、完全、そして中身は一〇〇%と言ったところに問題が出てきたわけですから、そうすると、もうカウントしてありますから、それは自治省だけでおやりなさい、そのとき相談があったら、こういうふうにやりますと言えばオーケーしますよ、これはそんな問題じゃないでしょう。どうですか。
  133. 田波耕治

    ○田波説明員 私どもの立場として余り突っ込んだお答えをすることもいかがかと思いますが、御質問でございますから私の理解しているところを申し上げますと、基準財政需要への算入の仕方につきましては、いわゆる投資部門における影響額のうち二千億というものは直接に補助率が切られてしまう。したがって、これは一〇〇%後々の元利償還費を基準財政需要に算入いたしましょう、残りの二千八百億につきましては、これは従来財源対策債というのがございましたけれども、それと同様の取り扱いをしようではないかというのが自治省の方のお考えであり、そのお考えについては私どもとしては特に異存はない、そういうことでございます。
  134. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 少しもわからぬ。私の聞いているのは、カウントしているんだから事は済んでいるんですよ、しかし一〇〇%というからには、八〇%という答弁もあったわけで、その問題については解決しますよといった場合に、相談にあずかりますと言ったら、場合によっては口だけじゃなくて、リップばかしじゃなくて、財布の方にもちょっと指を突っ込みますよということもこれは含んでいるのだと思うんですよ。そういう意味で自治大臣はおっしゃったのではないかと思うんですよ。そうじゃないのか、ただ相談にあずかりますよというリップサービスなのか、私はそれを聞いているんですよ。きょうは平澤さんがおりませんけれども、あなた、そこにおったわけだから。
  135. 田波耕治

    ○田波説明員 この問題は、全体としての地方財政対策上の措置といういわばマクロ的な問題と、それから基準財政需要に今後どういうふうに元利償還費を入れていくか、そういう問題と一応分離して考える必要があると私ども考えておるわけでございます。  それで、前段の問題につきましては、我々は、地方財政対策をいたしますときに、地方財政計画というのを自治省と御相談してつくるわけでございますけれども、そのときには元利償還費をきちんと見ておりますということを申し上げておるわけです。  後段の問題につきましては、これをどういうふうに算入するかという問題があることはわかります。わかりますが、それは基本的には自治省の方で措置されるべきものでございますので、その段階でもしお話があれば、これはあればの話でございますけれども、遺漏のないように対処をしてまいりたいということでございます。
  136. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 田波さんの言葉は、私はそれが正解だと思うのですよ。両大臣の覚書に基づいて地方財政計画ができた以上は、自治大臣が改めて大蔵省と交渉しますかのようにとれる言葉があるのは、少し言葉が足らなかったと冒頭私は申し上げておるわけです。  そこで自治大臣、基準財政需要額の問題として解決するのならば、残りの千二百億円について前述の千六百億円――千六百億円というのは経常的な経費の部分ですよ。千二百億円というのは投資的経費の部分です。二つ一緒にしているんですよ。そうしてそれは建設地方債を増発することにした、それが八〇%だとなっているわけですよ。あなたの方で図面に書いたように、二千八百億円というのは財対債でありますから八〇%、一〇〇%には二〇%足らぬのですよ。二千八百億が財対債となっているが、千二百億円と千六百億円は違うのです。千六百億円というのは生活保護費等カットした経常的経費です。千二百億円というのは投資的経費の部分です。どれも玉も石ころも一緒にして財対債八〇%というのは少し理屈が通らないのじゃないでしょうか。せいぜい理屈を通すとするならば、この二つを分けることです。千六百億は経常経費をやられているわけですから、財政局長も今度に関する限りは地方に一文も損がいかないようにいたしますと言っているんです。そうなってないところに問題があるわけです。  この地財白書に関する限りはいいのです。冒頭「六十年度においてはこと書いてありますから。六十一年度以降については二千八百億を八〇%にするのか、あるいは、二千八百億のうち千六百億というのは経常的経費ですから、これは需要額で一〇〇%カウントする、千二百億は財対債で八〇%ということにするか、いずれかだと思うのです。そうでないと、連合審査の際の両省の言ったことが締めくくりがつかないのですよ。ここではっきり言いにくいなら別として、大臣、そのくらいのことは大蔵省がうんと言わぬでも基準財政需要額でカウントすべきです。それ以外にないと思うのですが、この際、大臣の決意のほどを承らぬと先に進めないのです。
  137. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 六十年度におきます二千八百億円の建設地方債についてでございますが、この地方債は国庫補助負担率の引き下げに関連して生じた財源不足額を補てんするというために発行される意味からいきますと、従前の財源対策債と性格は同じであろうかと思います。  見方が二つございまして、この千六百億円につきましては、生活保護費等経常経費の補助率カットに伴う措置であるではないか。そういう意味では財対債と若干ニュアンスが違うじゃないかというお考えが出ることも事実でございます。ただ、交付税の算定からいってみますと、六十年度交付税で完全に経常経費については補てんはされたわけでございまして、その交付税を確保するために発行いたしました地方債の元利償還費をどの程度算入するかという問題になってくるわけでございまして、ここら辺になると、財源対策をぴしっとやったかやらないかという問題とは若干違ってくるのではないかという気がするわけでございます。そういうこともありまして、検討を申し上げるというふうなことになったと思います。
  138. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 財政局長がああいうふうに答えちゃうと、大臣は答えられなくなっちゃう。千二百億と千六百億は種が違うのですよ、種が。一つは経常経費ですよ、これは投資的系統のものが千二百億です。連合審査で問題になったのは、関山委員の主張というのは、今回の五千八百億という問題は一年限りの特例措置としてやった以上は、来年度以降やはり一〇〇%になるようにやるべきであって、四千八百億の残りの二千八百億だけは八〇%ということはいかぬではないかということで、とうとう速記録には結論が出てないのですよ、そうでしょう。  ですから大臣、やはり基準財政需要額のカウントの問題ですから、少なくとも千六百億は経常経費を削ったものであって、地方は逃れることができないわけですよ。投資的経費と違って選択権が全然ないわけですよ。ですから、これは完全に一〇〇%見ましたと言っている以上は、六十一年度以降このことで起こった問題は、これはやはり対応すべきだと私は思います。私に対してこの公開の席上で答えられないのならば、そういうことに前向きで努力しますくらい言ってもらわなければいけませんよ。
  139. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 先生も十分そこは御承知だと思いますけれども、六十年度で経常経費につきましては完全な措置をしておるわけでございます。それのためによこした国庫補助を確保するための起債でございますので、それはまた別個のものになってくるわけでございますけれども、ただ先生のおっしゃいますように、千六百億円につきましては、その原因というものは経常経費の補助率のカットによるものであるというお考え方が出るのも自然であろうと私も思います。  そういう意味合いにおきまして、私ども今検討いたしておりますけれども、方向といたしましては国会での御議論のありましたような考え方、例えば千六百億円については一〇〇%見る、それから千二百億円については従前の財対債と同じでよろしかろう、こういった方向で検討をいたしてまいりたいと存じております。
  140. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今財政局長が言いましたように、千六百億については一〇〇%、それから千二百億については従来の財源対策費というような方向でひとつ私検討をさせますから、検討させるということはそういう方向でやりたいという私の意思でございますので、一応御了解いただければと思っております。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私は今の自治大臣なり財政局長の言葉で理解いたします。  そこで、大蔵省はああいうふうに言っているわけですよ。それで自治大臣と財政局長は決意したわけです。決意したけれども、経過からいって、それは自治大臣、自治省に全部任してある、カウントすべきである。しかしカウントするに当たって重大な支障ができるのならば、金額上の問題か、あるいは形式上の問題か知りませんが、できたらば相談に乗りますと言っているわけですから、カウントして、その上でどうにもならなかったときには主計局に言えばいいのですよ。それは両省の問題ですから私は知りません。  この問題は、白書は「六十年度においてはここう書いて切れておりますけれども、六十一年度以降についてはこうだという行が白書の中にないのですから、六十一年度の白書の中ではこのことを、行をつけ加えてもらわなければいかぬ、そういうことですわ。実際、措置してもらわなければいかぬ、そういうことです。田波さん、何かありますか、ないはずはない。
  142. 田波耕治

    ○田波説明員 基本的には、これは基準財政需要への算入の問題である、しかも六十一年度以降の問題である、この点については私もそのとおりだと思いますけれども、ちょっと最後の段につきましては、まあそれで不都合が生じたら、トータルとしての地方財政対策をその分だけ特別に見るというところだけちょっとひっかかりますので、そこのところはそのとおりでございます、ということは今の段階ではちょっと申し上げられない。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 田波さん、九兆五千億の交付税を扱っておって、細かいことを言うと、従来は借金を、地方債を起こすという場合に利子が要るわけですよ。ですから三月一カ月分とかの利子を計上しておった。今度はないのですよ、利子が。その辺も細かいですけれども、それはまあ九兆五千億のやりとりの中で大したものじゃないじゃないか、今度自治大臣がやってどうにもならぬということになって、一兆円ひとつ大蔵省出してくれなんということになりませんよ。それは恐らく億の二けたの低いところじゃないかと思うのですよ。そういうことですから、余り言葉を言いますと私も終われないんだよ。いいですか財政局長、あなた数字の責任者だから、もう一遍答えてください。
  144. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 まあせっかくのお勧めでございますので、大蔵省に申し込んでみようと思います。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大蔵省に申し込みに行って、自分の責任を果たした上でやってくださいね。  それでは、次に進みます。  財政局長、今度の一括法案を受けて、今交付税審議が大体終わりに近づいてきているわけですけれども交付税の総額が足らなくなりますと、必ず投資的経費をカットしてくるのですよ。そこで経常的経費というのは、これは食っていけませんから、自治体の最低生活を保障する財源賦与の、財政調整ばかりじゃなくて、財源賦与の役割も交付税は持っておるわけですから、私はちょっと表をつくってみました。  例を申し上げますと、四十七年、四十八年というのは、これはおおむね財政が順調に近いところでいっておった年です。そのときの交付税構造というのを見てみますと、全体の交付税でカウントされる基準財政需要額のトータルを一〇〇といたしますと、大体において四十七、四十八年は都道府県が五三・一、市町村が四六・九、こうなっております。それから少しおかしくなって、しかも財源不足額が一番マキシマムになった五十四年度を見てみますと、基準財政需要額が五一・二、そして市町村が四八・八、こういうことになって、市町村の方に配り方がシフトしていますね。六十年度は、全体計画から一応算出いたしますと、大体において府県五〇、市町村五〇、こういう格好になっております。そんなあんばいでしょうか。
  146. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 大体御指摘のとおりと思います。市町村分の方にウエートが寄ってきた傾向があるわけでございます。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 その原因は何だと思いますか。
  148. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 まず、経常経費につきましては、例えば四十七年度の需要額と五十九年度の需要額を比べてみますと、都道府県が三・七倍になっております。市町村が四・三倍。これは、市町村分におきまして生活基盤整備関係の公園費とか下水道費とか、こういった費目に係る需要額が増加した。一方、都道府県におきましては、五十年代の後半、需要額のうちに高いウエートを占めます人件費、これが抑制基調にあったことによるのではなかろうか。  それから、投資的経費につきましても、都道府県が、この期間を比べますと二・六倍であるのに対しまして、市町村分は三・四倍となっております。これは小中学校の建設に代表されますような人口急増に伴う需要額を、市町村分に重点を置いて措置してきたということでございます。また一方、都道府県分におきましては、財源対策債の発行によりまして、投資的経費の一部が縮減されたことの影響市町村分よりも大きかったということであろうかと思います。  それからもう一つ、公債費におきましても、都道府県が二十・四倍となっておりますが、市町村分は二十四・九倍ということになっております。これは、市町村分におきましては過疎対策事業債の償還費等の公債費の増高が多いこと、こういう原因でこういった傾向があらわれているのではないかと考えております。
  149. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 随分立ち入って分析結果を御披露いただいてありがとうございます。私は余り細かく入ると大きなところが見えなくなっちゃうから、大きなところで、マクロのところでちょっと申し上げたい。  それでは、そういうように市町村に配分がシフトしていっておる中において、都道府県の経常経費と投資的経費はどうなっているのか、市町村ではどうなのか、これを見ますと、これはまたおもしろいのですよ。おもしろいというか悲惨ですよ。そういう言葉を使っておきます。四十八年は、都道府県は経常経費が七二です。投資的経費が二七です。では、五十九年度は実績がありますから、五十九年度はどうかといいますと、経常経費が七五、投資的経費が一八。大きく落ちているんですね。一〇%も投資的経費が落ちているのですよ、都道府県は。その落ちた原因は何かといいますと、その他という公債費が、五十九年度では大体八%近く占めておるのですね。その他という八%を加えますと二六ぐらいになりますから、四十八年と同じくらいの構造になってくるのです。  市町村はどうかといいますと、四十八年は六七、投資的経費が三二・一。そして五十九年度はどうかといいますと、経常経費が六八・七、六十年度は六八・一。投資的経費が二五です。これも四十八年と比べますと、投資的経費のシェアが七%程度減っていっているのですよ。七%程度減った、どこへいったかというと、これはその他の公債です。従来は災害対策の元利償還ぐらいしかなかったのが、どんどんふえていって、今や八%になっているわけですね。これがなかりせば、構造は四十七、八年ごろと同じような構造になっているはずでございますが、私の分析は間違いでしょうか、読みが間違いでしょうか。どうでしょう。
  150. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御指摘のように、五十年度以降財源不足に対処するために、投資的経費に係る基準財政需要額の一部が財源対策債に振りかえられたことによりまして投資的経費の額が変動する、同時に、この元利償還費のための公債費が次第に増大してきたということはそのとおりでございます。
  151. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大蔵省、田波さん、私の構造、ちょっと苦労して出した数字ですが、そう思いますか。
  152. 田波耕治

    ○田波説明員 お答え申し上げます。  今、先生の数字を承りまして、それはやはり事実だろうと思います。四十八年にオイルショックが起こりまして、その後不況があったわけでございますが、御存じのとおり、国も地方もその間約十年大変な借金財政を続けてきた。その結果がそういう形になっているんだということがマクロ的には言えるのではないかと思います。  ついでに蛇足を申しますと、国の方はもう少し急激に公債費が上がってきているということもございますし、さらには、やはり地方の方も国の方も何とかして借金のウエートを落としていくということ以外にそういう問題を解決していく方法はないわけでございまして、六十年度地方財政対策につきましてはそういうことも考慮して、かなり大幅に建設地方債を減らしているということを御理解願いたいと思います。
  153. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 財政局長、総額が三二%でふえてない。そして借金を返す元利償還を交付税で見てやる、それが雪だるまのように太っていっている。そういうことで市町村あるいは県の基準財政需要額の構造というのが激変しておるわけですね。その原因は法律的には何でしょうか。財政局長、どうお思いですか。――わかりにくいのならばいいけれども、本法に従ってないところに問題があるんでしょう。交付税法六条の三の第二項、これにのっとってない、緊急避難ばかりやっているところに問題があるんでしょう。例外ばかりやっているところに問題があるのでしょう。そうじゃないですか。私はそう思うのですが、大臣、どうですか。
  154. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 確かに、五十年度の補正のときから地方財政は大きな赤字を抱えることになりまして、その後、緊急避難的な措置というおしかりを受けておりますけれども、それぞれの制度改正を行って現在に来たわけでございます。現在の状況におきまして、国の財政状況もございますので、交付税の率の引き上げというふうな点は極めて難しい状況でございます。  そうした中で、とにかく地方財政の運営に支障のないように地方交付税の確保を行ってきた。これが暫定的なといいますか、緊急避難的なということのおしかりがございますけれども、ともかく運営に支障のないような措置を講ずることとしてまいったわけでございますので、御理解賜りたいと思います。
  155. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 運営に支障ない、確かに五十年のオイルショック以降今日まで十年間やってきたわけです。そのとおりでございますけれども、それでは今私が申し上げた経常的経費と投資的経費、交付税の総額が足らないので投資的経費ばかりカットしてきた、経常経費についてはカットした例はございますか、お答えいただきます。
  156. 土田栄作

    ○土田政府委員 私の存じている限りでは、節約等のことをやったことはございますけれども、経常的経費をカットしたということは記憶にございません。
  157. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 おっしゃるとおり、経常的経費はカットしたことないのですよ。単位費用の測定単位のあれで変更がありまして、五十七年に社会福祉と衛生費、老人医療の問題で変えただけですよ。あと経常経費は一貫して、交付税は減っておっても経常経費だけは見てきた、そのしわ寄せが挙げて投資的経費に来ているわけです。投資的経費に来ているのでどういう結果が起こっているかというと、ちょっと例を申し上げます。  五十八年に河川費とか港湾費とかその他の土木費をめったやたらに切ったのですね。三分の一、多いものは半分、単位費用でカットしております。したがって、ほぼそれにアナログに基準財政需要額そのものが落ち込んでいっておるわけですね。ところが、それでは五十七年にはどうかといいますと、五十七年には五十八年に落としたとほぼ同じぐらいのあれをふやしておるわけです。五十六年度から五十七年度とやっておりますね。その限りにおいては、毎年思いつきで、今度は河川費でいこうや、港湾費でいこうやということで需要額をぶった切っておる、あるいはそれで足りないと、高等学校とか社会福祉あるいは労働、農業行政費、こういうものを切ったかと思うと、翌年ふやしていっております、これは表を持ってきておりますから。そうすると、極めて不安定ということですよ。毎年毎年計算してみなければわからぬということです。  この間参考人が来まして、こんなばかげた不安定な交付税ではどうにもならぬ、地方は法律ができてからでないと安心できぬ、予算も組めない、こう参考人は言っておりました。中央大学の一河教授もあるいは横浜国大の教授も言っておりました。どうしてこんなことをやるのですか、わざわざ不安定になるように。ある年は河川費で、ある年は社会福祉で、これはおかしいと思うのですよ。ですから、ああいう批判を受けると思うのです。いかがです。
  158. 土田栄作

    ○土田政府委員 ただいままでの御論議にございますように、私どもとしては、一つは経常経費は守る、経常経費系統については国のように赤字公債を持ち込むということをしないということで、これはまず最優先として行っているわけでございます。  それから、投資的経費の中では、起債と交付税とである程度その年度その年度において調整できるものにつきましては、財源不足が非常に大きいときは地方債を持ち込むという対応をしているわけでございまして、地方債を全体として持ち込むことが困難な、例えば道路橋梁費につきましては、そういうふうな単位費用の操作というものをやりませんで、一貫して引き上げを図ってきているということでございます。  それから、今御指摘がございましたように、河川とか港湾とかいろいろ割り振りをする場合がございますけれども、これは財源不足が多くなりまして財源対策債を非常にたくさん出さなければいけない年度におきましては、切り出しを余計いたしますためにそういう操作が行われます。それから切り出しが比較的少ないときにはその逆のことが行われるわけでございまして、ある意味では交付税の投資的経費と地方債と通じて、両方で足して地方財政運営ができるような形での財源措置も行い、また、そういうふうに地方団体についても財源計算ができるように指導していることでございまして、こういう厳しい地方財政の状況、起債を抱えて財政運営をしなければいけないという状況では、まことにやむを得ない措置であったというふうに考えている次第でございます。
  159. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 まことにやむを得ない措置だったということは私は認める。けれども、こんなに不安定にやる必要はない。交付税の単位費用が五〇%も落ち込んだ、あるときは五〇%も単位費用が上がる、並行的に需要額が変わっていく、そしてその次に、もらってみなければわからない地方債の充当率というのは毎年毎年変わってくるわけです。交付税の需要額は変わるわ、地方債の充当率は変わるわということになりますと、作業をやっている人は毎年毎年変わって夢があって楽しいかもしれませんけれども、受ける方はこれはたまりませんよ。どうですか、大臣。そのとおりなんですよ。  ですからこの間参考人の大学の先生が、余りに不安定だ、精緻、巧緻と言うけれども、今や交付税は精緻、巧緻の中におぼれておる、こういう言葉を私は使ったのだけれども、同じような言葉を大学の先生が言っておりましたよ。何とかならぬものでしょうか。
  160. 土田栄作

    ○土田政府委員 かつての昭和四十年代のように、非常に交付税総額というのが豊かにありました時期におきましては、私も若いときの経験でございますけれども地方団体に対してそういう不安定なことをしなくてよかったわけでございますけれども、やはり財源対策債を抱えてやるということになりますと、そこのところにつきましては、ただいま委員指摘のように不安定になるということはやむを得ない面があるわけでございますが、そこにつきましては私ども地方団体とよく連絡をとりまして、地方債プラス交付税では一〇○という形で対応できるというように指導しているところでございます。  おっしゃられるように、ある年、交付税が五〇で地方債が五〇、それから今度は逆に交付税が六〇で地方債が四〇、その逆になる場合もございますけれども、ひとつ両方足して見ていただきたい、そういうことで、こういう厳しい地方財政の状況のもとでは御辛抱いただきたいということでここ十年ほどお願いしている次第でございます。
  161. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 困っているのだから御辛抱いただきたい。  大蔵省はこう言っているのですよ、今田波さんも言った、交付税というのは地方の固有財源であります、ですから九兆五千億が決まった段階ではどういうふうに分けるかということは自治省にお任せしますよ、それに手を突っ込んだり指を突っ込んだりはいたしません、こう言っているわけです。そうしますと、毎年毎年合わせて一〇〇%だ、こうおっしゃいますけれども、不安定きわまるですよ。これを何とかならぬのかと私は言っているわけです。私は前に、三十八年までやってきた交付税地方財政計画というのは、府県と市町村とが構造が違うんだから分けたらどうですかと言ったがこれもやらない。今度は地方が受ける需要額、交付税地方債、もらってみなければわからぬというような姿は少し工夫したらどうですかと言っているけれども、これは万やむを得ないんだ、合わせて一〇〇%だから辛抱しろ、こう言って今日まで十年やってきた。何とかならぬものでしょうか。大臣、どうでしょうか。
  162. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方財政、六十年度におきましてはやや改善されましたけれども、まだまだ五十六兆の借金を後年度に送っておるわけでございまして、おっしゃいますように現在この交付税の確保ということに非常に私ども努力してまいりますけれども、これを特に大きくふやすというふうな状況には現在のところないと考えておりますものですから、これは私どもも、地方におきましてもできるだけ行革を促進いたしまして、と同時に歳入の安定的な確保を図っていく、そして財対債の減と申しますか、地方債の抑制に持っていきたい、そういうふうなことで財政構造の健全化、そして交付税あるいはその他の一般財源の確保、現在の苦しい状況の中でもできるだけ確保してまいりたいと存じております。
  163. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 この問題については、今度はもう少し下の方から、単位費用の決定の中身の問題、この間、参考人として京都府の八幡の市長さんが来てここで述べられた。そういうものを掘り下げた論議をして、自治省も、よくなったらよくします、これはだれでもできることです。こういう苦しいときにもっと信頼できるような、安定さを増すような方途をとってくれというのは、私の意見ばかりじゃない、地方の人が叫んでおるのですよ。その辺の議論は、時間がありませんからきょうはミクロのところは議論いたしませんけれども、大臣、どうするのか決意のほどをひとつお聞かせください。
  164. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 大変答えにくい問題でございますが、今お話しのように、こういう時代においては何としても安定的な姿でなければなりませんので、地方財源の充実強化ということと、行財政の整備ということと、地域の自律性ということを頭に置きまして、また、先生方の御意見や地方団体の御意見を聞きまして、今お話しのような状況をできるだけ早く解消できるようにひとつ頑張らせていただきます。
  165. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 責めるばかりでなく、少し明るくなるような問題に話を移してみたいと思います。  「都道府県展望」というのがありまして、ことしの二・三月号の中で、全国知事会の会長である東京都の知事と古屋自治大臣が対談しておるのです。なかなか結構で、そしてビジョンに富んだ談話がありまして、私も感銘して読ませていただきました。それに関連して質問をしてみたいと思います。  今の「都道府県展望」に出ていた中身は、最近私のところへ送ってまいりました「野田経済通信」というのにも、かなりのスペースを割いて古屋さんの補助金一律カットに対する姿勢とかいろいろな問題が出ております。これも同じようなことです。それについて少し逆のサイドから質問してみたいと思うのです。  最近、やれテクノポリスだ、アクアポリスだ、あるいはボランティアのあれでボラントピアですか、覚え切れないほどいろいろなことが出ております。一言で言えば地域振興です。そして自治省も、地域経済活性化対策の推進、こういうことにかなり重点を置いております。この「都道府県展望」の中で自治省の担当官も「地域経済活性化対策の概要」という紹介をしております。この基本理念はどういうものなんですか、ちょっとお答えいただきたい。
  166. 石山努

    ○石山(努)政府委員 地域経済活性化対策の基本理念についてのお尋ねでございますが、申し上げるまでもなく、最近の社会経済が非常に大きく変化をいたしている中で、地域経済は非常に多くの問題を抱えております。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕 今後の問題を考えます場合には、安定的な地域経済基盤を確立するということが地域にとっても非常に大きな問題でございまして、各地方団体の当面する非常に大きな課題となっているわけでございます。  そういうことから、このような地域経済社会の振興を図りますために、原則として広域市町村圏単位、そういう形で広域的にこれを取り上げる、さらに地方公共団体の自主的な施策を地方単独事業を中心に総合的に展開することを主眼といたしているわけでございまして、それぞれの地域におきますところの人材でありますとか技術、資源、そういうものを十分に効果的に活用いたしました自発的、独創的な各種の振興施策、農林でありますとか商工でありますとか観光でありますとか、そういう各般の分野にわたって総合的にこれを推進することによって地域経済の活性化を図ろう、こういう考え方で進めているものでございます。
  167. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ごく最近発表になりました「過疎対策の現況」という国土庁から出ているものを読んでも、地域づくりということでかなりのスペースを割いて言っておるわけです。自治大臣の考えを伺いますが、これは六十年度における自治省の重点施策でしょう。どうですか。
  168. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今の活性化対策は、五十九年から広域市町村圏、そういうことを中心にして各県と相談して推進地域を選びまして、その地域地域の実情に応じて、例えば畜産の振興とかあるいは観光だとか、その他地域の独創性のあること、こういうものによって地域の活性化を図っていくということで、たしか今までに八十数個の団体を指定したところだと考えております。
  169. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 重点施策だ、これはわかりました。そして地方債計画でも一般のものと特別と、今度は一割ふえている。特別というのが今度できた大きな枠でありますけれども。それを見ますと、重点だ、重点だと言っているけれども、何のことはない、地方債計画に載っておる地方債を消化し切っておらぬじゃないですか。どうなんですか、これは。重点だと言うんなら地方債の枠が足らぬ、それほど要望があるんだ、こういうことにならなければいかぬはずでありますけれども、だめですよ。  ちょっと例を引きます。地域総合整備事業債、五十九年度から本格的でありますけれども、五十八年度は千六百億の地方債計画に対して許可額は千七十億。五十九年度は二千五百億という地方債計画に対して千九百十八億、最近これに十億ぐらい加わったそうでありますから千九百二十八億くらい。消化し切っていないのですよ。六十年度は二千七百五十億円です。これで一体重点と言えましょうか。努力が足らないのですか、計画が熟していないのですか、どうなんですか。
  170. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御指摘のように、地域総合整備事業債につきましては計画額の約八割にとどまっておるわけでございますけれども、これは一つには、五十九年度地方債計画の策定が国の予算と同様に一月末になったこともございまして、各地方団体にまちづくり特別対策事業、いわゆる地域総合整備事業債特別分の創設の趣旨と申しますか、内容が十分に伝わるのがおくれた、各地方団体の当初予算の編成後になったというふうなこともかなり影響しておるものだと思うわけでございまして、私ども六十年度におきましては地方団体に対してできるだけこの趣旨を徹底してまいりたいと考えております。
  171. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 趣旨徹底と言いますけれども、地域政策課から出ておる各種の地域政策状況という本があります。その本を拾ってみますと、一つの県に十五ぐらいを指定して地域づくり、町づくりの計画を出さしているはずです。それがまとめて出ております。まとめて出ておるのは「生活環境」「社会福祉」「保健医療」「環境保全」「産業振興」「教育・文化・スポーツ」「その他」ということです。出ておるのは五十九年度では九千二十五件、金額にして二千四十二億、五十九年度のこれによりますと、四百二市町村を指定しているはずです。これは計画にも達してないでしょう。ですから私は、熟しておらぬじゃないか、自治省の努力が足らないじゃないか、重点にしては。そのことを言いたいのです。私は数字的に物を言っているわけです。  立ちおくれはあるでしょう。PR不足もあったのでしょうけれども、私はこの自治省が今進めている理念に非常に賛成なんですよ、これをぜひやってもらいたい。一村一品運動とかいろいろありますね。地域特有のものを生かしていく、これは結構なことなんですから推進していただきたいのですが、その実が上がらない。後ほど、ちょっと地方債の計画と実績の乖離ということについて時間があったら質問したいと思っているのですけれども、それを見ますと、一番へっこんでいるのは重点である地域総合整備事業債ですよ。これはどういうことなんですか。これは数字が、規模が、フレームが足らない。その足らないフレームを消化もし切っておらぬ。それで重点政策と言えますか、どうでしょうか。
  172. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 率直に言いまして、私は周知徹底といいますか、五十九年は少し遅く始めまして、自分の県のことを言ってあれですが、そういうところを見ておりましてもやっとこのごろわかったというような状況で、計画もつくり始めだというような段階でございますので、私はこのPR、またそんなものがあることを知らぬというところも随分あるようでございますので、そういう点をもう少し徹底されるように努力をしてまいります。
  173. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 財政局長はそんな細かいことは御存じないかもしれない、地方債課長見えているでしょう。この地域総合整備事業債は、私が千九百十八億円と五十九年度申し上げたのは、一次、二次の許可額です。三次もあるらしいのです。十億ぐらいと聞いているのですが、大体五十九年度どのくらい消化できそうですか、お聞きいたします。
  174. 柿本善也

    ○柿本説明員 お答えいたします。  地域総合整備事業債の現在までといいますか、年度を終わりまして許可予定額を配分しておる額を申し上げますと、特別分で千三百六億余りでございます。それから一般分で六百四十一億余りでございまして、合わせて千九百四十七億七千万円という配分額になっております。
  175. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 わかりました。私の申し上げた千九百十八億と大体差は三十億ぐらいしかないわけですね。そんなものなんですよ。  そこで、時間がありませんから私は突っ込んだことを申し上げませんけれども、自治省得意のラスパイレスが高いというわけで地方債をカットしましたね。これは何市町村で総額幾らですか。
  176. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 十六団体で大体十一億円でございます。
  177. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 十六団体ですか、三十三団体じゃありませんか。  この五十九年度指定された四百二市町村のうち、地域づくりの計画の中に織り込んで地域総合整備事業債を要望したところが、おまえのところは給料が高いぞといってカットされたところはありませんか。
  178. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 一団体ございます。
  179. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 その一団体というのは五十九年度の指定に入っておりませんか。
  180. 石山努

    ○石山政府委員 延岡は指定地域の中に入っておりません。活性化の地域の中には入っておりません。
  181. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私は具体の名前を出したくないから少し時間をかけて遠回しに聞いていった。それをずばり言ってきた。個々の名前を出すのが嫌だから聞かなかったのです。大分時間を損したけれども、しようがない。はっきり物を言っていただいて、ありがとうございました。  幾らカットしましたか。
  182. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 四千万円でございます。
  183. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 計画に対して何%になりますか。
  184. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 当該年度の計画に対して一割程度でございます。
  185. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 重点政策で、そして具体に出ましたから、延岡というところですね。広域市町村圏のまさに中心ですよ。延岡の四億数千万円、これは確かに箱物ですよ。箱物を切った、四千万、一割近く。ここまでやらなければいかぬのですか。これはほかにやりようがあったはずですよ。何の重点ですか。給料が高い、だから何でも後から切るぞ、後へ延ばしていい箱物とかなんとかいうものはいいけれども、これは地域づくり、町づくりの、地域総合整備の中心ですよ。それまで切らなければいかぬのですか。
  186. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 いわゆる給与に係る個別指導団体でありまして、計画に基づく給与是正のための必要な努力を払っていないと見られる団体につきましては起債の抑制を行っておるわけでございますが、その場合には、例えば災害復旧とか義務教育とか、あるいはその他国民生活の安定等に必要不可欠な事業はできるだけ避けるという考え方で、任意性の比較的高い事業を選んでやっておるわけでございます。そういった意味で地域総合整備事業債についても、このような考え方から抑制の対象にしたわけでございます。
  187. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 今任意性だと言う。任意性で地域総合整備をやっていくところに自治省の考えがあるのですよ、これは。地域づくり、町づくり、中央からの抑えつけじゃなくて任意性に基づいて、地方の自発的な計画に基づいて、そして努力を払っていこうというところにこの地域づくりがあるのじゃないですか。  私は冒頭言ったように、この趣旨には大賛成です、こう言っているのです。新産都市の指定とかなんとかいって大変な指定争いをして過去やったけれども、ああいう式じゃなくて、自治省らしいものでやったところにこの将来性があるのじゃないか、こう私は思っておった。その将来性の重点をぶった切っていったのですから、あなたの方は、足は残しておくけれども心臓だけは突き刺すぞ、こういうやり方でいいのですか。大臣、いいのですか。
  188. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 確かにこの事業というものは、地方団体の自主的な発想によりましてみずから魅力のある町づくりをするということを助長するためのものでございまして、私ども大いにそれを推奨しておるわけでございますが、ただそれは給与の問題とは別個の話でございまして、給与を是正していただければそういったカットをするということはございませんで、そういった財源に余裕があるという場合には起債の制限もやむを得ないと考えております。
  189. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 とにかく給料を直さなければいかぬといったって、去年の発表とことしの発表は、どの団体もあなたの方のやり玉に上がっているところはみんなラスパイレスは一ぐらいずつ下がっているのですよ。給与の構造上、ことしは一二〇だったけれども、来年になったら一〇八になるなんということはないでしょう、給料を一年か半年ぐらいやらないなら別として。そんなのはないでしょう。どんなに努力したって一〇〇%給与を上げないでも大体ラスパイレスは三ぐらいしか下がらないのですから、一か一・五下がったらこれは大変な努力ですよ。にもかかわらず、しかも省の重点である地域総合整備債というのをカットする。ほかにちゃんと地方債あったはずですよ。ただ、地域総合整備事業債で箱物になっているところを目をつけたんでしょう。そうして、私の聞いている範囲では――きょうは四月の何日ですか。答えてください。
  190. 土田栄作

    ○土田政府委員 四月の十八日であると承知いたしております。
  191. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 四月の十八日というのは五十九年度じゃないでしょう。五十九年度じゃないのにいまだにまだ通知が行っていないというのですよ。残りの九〇%許可しているのですよ。そんなばかなことがありますか。給料は高いからとことん切っていくんだという姿勢を持つのならば、そこまで、年度が過ぎたときに地方債の許可なんてどうしてやるのですか。おかしいよ。
  192. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 全部三月の末に終わっておるはずでございます。
  193. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 間違いありませんね、財政局長が保証するから。私の耳には、おととい県の地方課長からは、まだ許可のあれはありませんと来ていますよ。
  194. 柿本善也

    ○柿本説明員 五十九年度地方債につきましては、自治省として許可予定額等の通知は三月二十九日が最終でございまして、お尋ねのような問題についても三月二十九日付で全部事務を終了しております。
  195. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこまで言うと、三月二十九日付でその手紙が来るのは、通知が来るのはいつでも四月の二十日ぐらい、十五日ぐらいになって来るんだよ。そんなことは私も知っているんだよ。これはしゃくし定規の答弁じゃないんだよ、あなたの方もそうだろう。三月二十九日、間違いなく届いていますか。そうじゃないでしょう。そこが弾力性ということですよ。弾力性だから何でもやっていいなんということを言っているんじゃないですようそをついているのは困っちゃう。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  196. 柿本善也

    ○柿本説明員 細かいお答えになりますが、三月二十九日付ということに意味があったわけじゃなくて、我々としては三月二十九日に地方財政審議会の決裁並びに大臣の決裁を得て文書を発送しております。そしてその場合には、おっしゃるような問題が起こっては困りますので、東京事務所の方に全部連絡いたしましてお渡ししております。そういう形をとりますので、後日付でやるということは我々はいたしておりません。御理解賜りたいと思います。
  197. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 後日付でやったら大変だよ、年度が過ぎちゃう。そんなばかなことはだれもやっていない。日付はちゃんとその年度内に入っているけれども、受ける方がちゃんとわかるのは年度が変わってからというのが多いんだ。あなたのときはやってないかもしらぬ、私などは経験があるんだよ。まあいいや。  そこで大臣、私が言うのは、重点なら重点らしく地方債計画で負ったものを完全消化する、そして枠がまだ足らないならば、重点なんだからこれはもう少し枠をふやすとかそういうことをしていただきたい、そういう努力をしていただきたい。私は将来性計画と決算の乖離ということをよく聞いて、地方債計画と許可額の乖離というものを少し議論したかったのですけれども、ちょっと時間がありませんからそれはやめておきます。  それで、これもまた時間がないのですが、一生懸命資料をまとめてきたのですけれども、大臣、地方債の自由化、金融自由化というものが進んでおりまして、今日政府資金は質がいいのだと一点張りで言えないような時代になってきているわけで、そういうことで資金コストの問題が非常に大きく金融自由化という問題とともに起こってきております。そういう中において、国立国会図書館で出している「レファレンス」でもかなり詳しい議論が地方債問題について書いてあります。  もはや地方債については自由化の方向に一歩進むべきじゃないでしょうか。一件審査という形じゃなくて枠で与えるとかそこまでいく、それではいけませんからさらに一歩進める。十年一日のごとく、法律では「当分の間こと書いてあるから、当分の間とあるのは一世紀でも二世紀でもいいのだということにならぬと思うのですよ。金融自由化と同時にもうその時期に来ているのじゃないか。どこまでも完全自由化ということを私は今ここで主張しようとしておりませんよ、その方向をとるべきではないか。ところがそうではなくて自分が重点だ、重点だ、一生懸命やるよと言っておるところへもってきて、その地方債の許可制を権力的に利用するということはよろしくない、そう思います。大臣のしっかりとした答弁をいただいて、時間が来ましたから終わっておきたい。
  198. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今の先生の話で権力的にというお話がございました。これは話し合いとか個別指導くらいで、私は権力的にやることはどうかと思いますけれども、今の先生のお話のように、一方で活性化をやり、一方でそういうようなことがあるということはやはり考えていかなければならぬという感じでございます。
  199. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 済みません。私は先ほど岡田さんから時間を少し、八分ばかりもらったんで、大体四十分くらいで終わるのじゃないかと思って良心的にやめようとしたのですけれども、これを見ましたらまだあるようです。済みませんでした。  それで、大臣からちょっと結論だけ聞いたんですけれども、この議論の中でもありましたね、さっきもちょっとそれらしい田波さんの言葉があったのです、よく国と地方の財政状況を比較する場合に、借金の累積額が地方は半分じゃないかとかなんとか言われますが、もう一つの例として、国は赤字国債をうんと持っているけれども赤字国債がなければ、特例債がなければ予算の編成はできないけれども地方赤字地方債が一文もないじゃないか、これで国と地方の財政の状況が一目瞭然だという議論をする人がおります。これはどうですか。この議論に何かなるほどなと思うような節がございますか。
  200. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 この前の委員会佐藤先生から、百万の借金のあるのと二百万の借金のあるのとどっちが金持ちだと思うかという御質問がございました。運輸大臣はそのときに答えて、預金があるかないかによって違うでしょうということを言いましたが、私は結論を申し上げますと、国は一つでございます。地方はいろいろの形のものが三千三百近くある。私はこれは根本的に数字だけで比較することが間違っているのじゃないだろうかと自分では思っておるわけであります。  だから佐藤先生に対して運輸大臣が答えたときに、預金があるかないかによって――百万借金があっても二百万借金があっても借金があるのは同じでございます。ただ、実際上その借金が返せるような預金があれば私はそれは余裕があると考えますけれども、とにかく三千三百と一つを比較されてもこれはとても比較できないことで、数字で国が幾ら借金がある、地方が幾らあるという総計だけの比較は地方自治の上からはまずいと考えております。
  201. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大蔵省、田波さん、何で地方財政の中では赤字地方債というのがないのですか。全然発行した例がないということじゃないのでしょう。それが国と地方の財政力の比較の一つの物差しになるならば、なぜ地方の財政の中では赤字地方債というのがないのですか。
  202. 田波耕治

    ○田波説明員 五十年度以降地方財政対策として建設地方債の増発措置が行われてきたわけでございますけれども、その措置は、先生も先刻御存じでございますけれども、いわゆる地方債の充当率、地方負担分に対する起債の充当率でございますが、その充当率が通常の事業で五十七年度当初では二〇%から四〇%ぐらいと私どもは理解しておりますけれども、その充当率を引き上げることによって措置されてきているということだろうかと思います。
  203. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 充当率を引き上げた。通常の場合ですと、四〇%の充当率を九五%に引き上げれば赤字地方債というのは生まれないでしょう。それをやってきたのです。そして、地方財政法五条で救えない分だけ五十一年か五十二年に特例をちょっとやったぐらいですよ。大蔵省はそれを知っていて、地方の方は赤字地方債がないからおれの方が悪いのだとどうしておっしゃるのですか。あなたは言ったことがないかもしらぬけれども、それらしいことを大蔵官僚はときどきおっしゃる。どうですか。
  204. 田波耕治

    ○田波説明員 私は積極的にそういうことを申し上げたつもりはございませんけれども、国は御存じのように財政法四条のいわゆる建設国債をほとんど限度額いっぱい発行しておる現状でございますので、もしそういう話が出るとするならば、国との比較におきましてそういうような形の議論がなされることがあるいはあり得るのではないかと考えております。
  205. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 財政局長、さっき地方債と交付税で合わせて一本だとおっしゃいましたね。通常充当率が四〇であったのを九五にしてしまって、そして地方にいく、あなた五億円の金を持っておったら百億円の仕事ができますよ、これはおかしいでしょう。それは、拡張解釈も極端にきていますけれども、地財法五条の規定の中で大体おさまる、これでやってきたのです。そのやってきた十年間の実績をねらって、地方の方は赤字地方債が一つもないじゃないか。私もおかしいと思うのです、この不安定さは。もらってみなければわからぬ、充当率はこの仕事については来年は七〇なのか八〇なのか九五なのか四〇なのかわからぬ、ことしは少し財政がよくなって下がっておりますね。これを改めて、五条債でないようなものは、経常経費的なものについてはできないわけですから、五条債は使い分けたらいかがですか。国の方だって四条国債、そしてそれでできないのは赤字国債、特例債として法律で決めておるでしょう。これもきちんと法律でおやりになったらいいじゃないですか。そういう御意思はございませんか。
  206. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 これは先生も御承知のように、二十九年以前地方団体が経常経費にも起債を充てるというふうな実質的な状況がございまして、三十年に財政再建法ができて地方団体が大変苦労してきたわけでございます。そういった意味で、これから先も地方団体につきましては、起債というものはできるだけ節度を持って発行できるような状況に持っていかなければならぬという考え方で進んでおります。そういったことで、赤字地方債を起こすようなシステムは私どもは考えたくはないわけでございます。
  207. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 赤字地方債を起こすような事態は考えたくはない。考えたくはないと言っても、五十四年度あたりは財源不足額四兆一千億円もあれば、考えたくなくたってあろうたって、九五%の充当率というのはめちゃくちゃですよ。まさしく常識として、従来四〇%だとするならば、五〇%というのはやはり赤字地方債ですよ。ですから、それは国と同じように特例ということになれば攻撃の弓矢が一本減っておったのじゃないか、大臣、こういう感じがしてならないのでありますが、私の思い過ごしでしょうか。あるいは田波さん、思い過ごしでしょうか。(「禅問答だな」と呼ぶ者あり)
  208. 田波耕治

    ○田波説明員 大変難しい御質問でございますけれども、私どもといたしましては、先生のお言葉の中にございましたように、地方の方が赤字公債を出していないから地方を攻撃するというような気持ちは毛頭ございませんということだけ申し上げさせていただきたいと思います。
  209. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今のお話地方の税源といいますか、自律性を確保しようとする先生の強いお気持ちのあらわれと思いまして、十分私どもも検討してまいります。
  210. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私の発言でそれは禅問答じゃないかという不規則発言があったのですけれども、これは禅問答じゃないと思うのです。国の方でも特例債、それを赤字国債と言っているのですから、赤字なら赤字国債と言った方がいいでしょう、きちんと仕分けした方が。そして財政再建の方向は、赤字国債があるかないかということで財政再建が緒についたかつかないかという形で今やられているわけでしょう。毎年一兆円の赤字国債を減らそうと今努力、アイエヌジー中でしょう。なかなかそれができない、そういう状況なんです。真剣な問題として御検討をいただきたいと思います。  そこでお尋ねいたしたいのは、借金をすると利子がかかるわけです。私はかつてシャウプ博士が勧告の際に言っておることを思い出すのです。さっき自由化の問題を言いましたけれども、シャウプ博士は地方債は自由化すべきだ、その場合何が物差しになるかといいますと、限界というのは何かというと利子だと言うのですよ。支払うべき利子というのが幾らになったかということが問題であって、そして予算の総額に対して一割ないし一割五分ぐらいまでが限界になるべきではないか、こういうようなことをシャウプ博士は言っておるのですよ。私もそういう気がいたします。  そこで、その利子負担というのがまた容易ならぬことであって、大体において元金よりは利子の方が多くなりますね。十年物ぐらいですと、十億円借りますと利子は大体十二、三億円ぐらい支払うことになっておるんじゃないでしょうか。その利子を下げる方途について財政局長のお考えを聞きたいんです。というのは、もう最近は、この間も新聞で書いてございましたけれども、政府資金は良質だ、良質だというのは神話になりかけておるというのです。そういうことなので、何か工夫をするべきじゃないか、こう思いますので、財政局長どうですか。
  211. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 できるだけ低利の資金を借りるということは地方財政運営の上の要請でございます。こういう意味で、私どももできるだけそういった地方団体に対する指導または現在持っております資金の運用、いろいろ指導しておるわけでございます。  御指摘のように、確かに最近政府資金は割高となっておるわけでございますが、ここら辺は公定歩合との関連もございますし政府資金のコストの問題もございますので、私ども限りで大蔵と話をしてもなかなか難しい問題であろうかと思いますが、利子全般を引き下げると申しますか、交渉によって下げ得るものにつきましてはできるだけ下げていく。私どもも市場公募債等、中央におきまして関係機関と話のできるものはできるだけ引き下げを図ってまいりたいと考えております。
  212. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私は地方債課から、「最近の公社債発行条件、利回り及び政府関係機関の貸出金利の推移」というものを一枚紙っぺらいただいたんですが、それを見ますと、公営企業金融公庫貸出金利、これは五十九年二月。五十九年二月というと、金融業界でいきますと一年前ということでございますから、これは随分古い話ですよ。そのときに特利と言っておって、七・二ですよ。特利、特利と威張っておるんですけれども。そしてギャンブルの金をつぎ込んで利子を下げている。七・二でしょう。それから特別金利で七・二五。  ところがこれを見てみますと、利付国債、割引国債、政府保証債、こう見てみますと、みんな六%台になっていますよ。そうしますと、何かしらぬ、政府資金でお世話になっておった、公営公庫の資金でお世話になっておったけれども、かえって利子の高い金をお世話になっておった、こういうことになりかねないと思うのですけれども、その辺はどうお思いですか。
  213. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 確かに公庫資金は、政府保証債のコストもございますものですから若干高くなっておるわけでございまして、これを利子補給、いわゆる国庫補てん金と公営競技の収益金で補てんをして、今特利制度を設けておるわけでございます。御指摘のようにかなり高いわけですから、そういった措置も講じております。しかし、この公庫資金のメリットというのは、大きなロットの額を長期間にわたって借りられるという点においては、若干そういった面はございましても一つメリットがあるというふうに私どもは考えております。  なお、これらの引き下げの問題につきましては、公庫の経理の問題もございますし、できるだけ低利なコストの資金を集めたい。ということで、外債を起こすとかあるいは七年債というものを考えてみるとか、いろいろな努力を払っておるところでございます。
  214. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 四月十二日の日本経済新聞に「経済教室 公的金融の抜本改革急げ」という松田先生の論文が出ております。その金利を下げる下げないの一つ問題点で「一般会計からの出資金・補助金等の繰り入れ」こういう一覧表が出ております。これを見ましても、公営企業金融公庫の方はギャンブル――ギャンブルは今度の法律の中に入っているわけですが、それから政府出資というのは少ないんですね。非常に少ない。国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、こういうものと比べると非常に虐待されているんではないか、こう思うのですよ。虐待されるのは、ずばり言うと、田波さんおるから大変言いにくいけれども、大体大蔵省というのは金融機関を一手に握っておらなければいかぬ、公営企業金融公庫というのは少しとらなければいかぬということで、これは余り力をつけるとろくなことはないということで、大蔵省が拒否的な態度にいっているところに問題があると思うのです。  こういう金融自由化の時代になってきますと、もっと積極的に公営企業金融公庫――なかなか苦しい地方公営企業、先ほど来議論がありましたが、そういう問題について、ギャンブルだけで金利を下げる、特利だ、特利だという時代だけではもはや解決できないんじゃないか、こういう感じがいたします。白書の付表の方を見ましても、地方団体を見ますと、これは何年度と書いてありませんけれども、六十年度地方財政白書を見ますと、都道府県の一番大きなウエートを持っているところは七・五%以下というのが三〇・六%、市町村は五五・八、地方団体突っ込みで四四・三ということで、この辺に一つの山があるわけです。六・五%以下というのは都道府県は一六・六、市町村は二一・九で、確かに市町村は金利の安いところを特に配慮していただいているということはわかりますけれども、全体としては私はこの白書に掲げた数字では満足できないようなのが今日の状況じゃないか、こう思います。  大臣、この辺に大いにひとつ力を入れていただきたい。金利というのは、金を借りるときは金利なんて考えておりませんけれども、一番問題はやはり金利ですよ。だから高利貸しの問題ということで世の中の悲劇が起こっているわけですね。この辺についてしっかりとした対応を、利子などは大したことはない、本当は大きいんですよ、地方財政で。その辺についてひとつ御意見をお聞かせいただきたい。新聞も特にこの問題を取り上げておりますから。
  215. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 金利の、今のお話のような高いというものにつきましては、何とかして普通の状況に持っていくようにひとつ検討させていただきます。
  216. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私の時計の読み違いで、途中ジグザグになってしまいましたけれども、あと二、三分あるようですけれどもこれで終わらしていただきます。
  217. 高鳥修

    高鳥委員長 加藤万吉君。
  218. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 地方税から始まりまして、一括法案、そして交付税、いわゆる今回の国会で税にかかわる質疑あるいは国会の論議の一区切りをつける段階でありますから、今までのいろいろな質疑を通してやや締めくくり的な質問をいたしたい、こう思っております。  私は、連合審査をやりまして日本語の難しさというのを非常によく感じたのであります。それはいわゆる三大臣の覚書、特に一項にかかわって二項の問題で、自治大臣の御発言と大蔵大臣の御発言が大変ニュアンスが違うのであります。例えば私どももそうでありますけれども、「くも」という言葉を発言をするときに、空の雲と地上をはう昆虫のクモ、同じ「くも」という言葉でも天と地の違いがある。同じように今度の場合に、自治大臣が極めて強調されるのは、一年間の暫定措置です、したがってこの一年間、六十一年に向かってその検討、調整を行います。ところが大蔵大臣の発言は、暫定措置ではありますがというところから実は大変語尾が強くなるのであります。この一年間検討した結果と、そとに大変力が入りまして、どちらに力を強く入れるかによってこの覚書の見方、あるいはこれからの扱い方が極めて変わってくる。このことだけは恐らく各議員の方、先生方もそういうニュアンスで受けとめられたのではないか、こう思うのであります。日本語の難しさといいましょうか、あるいはこの覚書条項そのものの難しさというものを実はつくづくと感じたのであります。  そこで大臣、私ども一番心配いたしますのは、一年間の暫定措置がやがて暫定ではなくなり、さらに恒久化をする。昭和五十八年度交付税の論議をしましたときに、例の利子の地方と国との負担区分の問題を論議いたしました。当時山本自治大臣の御答弁がここに載っておりますが、これは実は自治大臣がここずっと述べられた言葉と全くよく似ているのであります。それはこういうことであります。「これは、五十八年度ということでこういう措置をしたわけでございますから、五十九年度以降については決まっていない。しかし、私どもは、この措置は五十八年度限りにするように折衝もし、努力もしたいと思っております。」ところが、五十九年には御承知のようにこれは制度化をされました。そして今日、六十年度予算では、御案内のように地方と国との利子負担は明らかに区分をされて交付税から差し引きをされるという状況になっているわけであります。ですから、何回も皆さんがおっしゃっておりますように、単年度と言い、それは暫定であると言い、やがてそれは自動延長になり、さらには恒久化をする、法制化をする、そういうパターンが続いているのであります。そこでこの覚書条項二項の信頼性というもの、あるいは大臣の答弁をそのまま信用するわけにはいかない。  私は、大臣の答弁で幾つか歯どめがかけられたことがあると思うのです。例えば二項に基づいてこれからは大蔵省と折衝します、その過程で六団体の意見も取り入れるようにします、これも一つの歯どめでしょう。あるいは先ほど我が党の細谷委員が二千八百億円、なかんずく経常経費分に対する千六百億円に対して一〇〇%需要額としてカウントする、これも一つの歯どめだろうと私は思うのです。いわゆる暫定化、さらに恒久化――恒久化という場合には、当然この問題は大蔵省としても財政的な措置としては長期のものとして今度は考えなければならぬ。そういう意味では一つの歯どめになるわけです。だがしかし、暫定であります。暫定措置でありますということに対する担保要件というのは、率直に言いまして一つもないわけです。この間いろんな意見の開陳はありましたけれども、担保要件は一つもありません。  そこで、これが本当の意味で二項の、地方団体も含めて意見を聴取しながら、最終的に決着がつくものだろうかどうだろうか。たしか財政局長はこの四月四日当委員会で、この問題に対しては極めて、技術論的に言えば今年度以内に結論を得ることは難しい。私はその言葉を引用しまして、大蔵大臣どうでしょうか、財政当局者は地方行政委員会ではそう言っておりますがどうでしょうか、やれます、自治大臣どうでしょうか、やれます、こうおっしゃいました。  そこで最初に花岡財政局長にちょっとお聞きしますが、あなたの当委員会での発言を両大臣は、いや八月まで、いわば概算要求ができるまでの間に決着をつけます、二項に基づく負担区分の問題を含め、あるいは将来展望も含めて、六十一年度予算に向かって検討と調整の結果決着をつけます、こういう御答弁なのでありますが、どうでしょう、あなたの立場から見て、両大臣の言葉を実行可能にするには今からどういう作業と手順ならばできるとお考えですか。
  219. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 私も大蔵委員会連合審査でございますから、御答弁を聞いておりましたのは、やはり概算要求時までにできればそれにこしたことはないが、やはりこういったものは来年度予算編成に間に合うように検討するというふうに私は伺ったように思うわけでございます。  概算要求までにこの結論を出せ、それを仮にやるとした場合に、どういう手順でやれるかというお尋ねでございますが、現在各省間で話が進められておりますところのものは、関係閣僚のもとにいわゆる検討会というふうなものを設けて、各方面の方々の御意見と申しますか、学識経験者あるいは地方団体の方々、そういった方々に入っていただいて議論を詰めていただこうというふうな考え方で意見交換をしておるところでございます。そのようなことになりますと、その議論というものが、お忙しい方ばかりがお集まりになるわけですから、そう毎日毎日議論を闘わせていただくのは極めて難しいのではなかろうか。精いっぱいやっていただきまして、できるだけ急いでその結論をいただいて、また関係閣僚において結論を出す、この手順しかないわけでございますけれども、物が物でございますし、そう右か左かというふうな扱いで済ませるようなものではないんではないか。私はそこが若干ひっかかるわけであのように申したわけでございますけれども、とにかく夏までということであれば、それをとにかくできるだけ精力的に御審議いただくという以外には手はないと思います。
  220. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今出ております週刊読売に、自治省のOBの人は、かつて権力にこびることなくみずからの所信で、できないものはできないときちっとおっしゃった、そう書いてすばらしく褒めていらっしゃいますよね、花のニッパチと言われておる皆さん方ですから。要するにできないのでしょう。概算要求の段階までにはできないというふうにおっしゃった方がいいと私は思うのです、事務的には。そこで前の言葉が生きてくるのですよ。今花岡財政局長がおっしゃったように、予算編成時までとおっしゃったのは総理なんです。大蔵大臣と自治大臣は、あくまでも予算の概算要求までにやります、それは両大臣がおっしゃったことですから、まさか財政局長がこれを否定するわけにはまいりませんから、極めて歯切れの悪い御答弁なのですが、要するにできないのだろうと私は思うのです。  そこで大臣、私は、それを総理は見越していると思ったのです、あの答弁の経過は。したがって、予算編成期までにこの問題は決着をつけます、こうおっしゃったのだと思うのですよ。予算編成期までに決着をつけるということは、いわばこの第二項で書いてありますように、負担区分の問題であるとかあるいはその中身の精査だとかあるいは財源の付与の問題はどうだとかという、いわゆる技術論的な、あるいは政策的な要素を全部決着をつけて、概算要求あるいは予算編成時までにということではもうない。できないものですから、結果的には予算編成時、いわば政治決着をつけます、こういうことだろうと思うのですよ。大臣、ここまで来た論議の中では、その政治決着について大臣はどういう態度でおられるのですかという質問の方が私は正しいと思うのです。やりますと言ったって、できないことをいたずらに論議してもこれはむだですよ。したがって、政治決着をされようとする大臣、総理の発言、恐らく十二月段階でしょう。  そして、私はさらに気になったのは、竹下大蔵大臣の予算編成権という言葉です。六十年度のこの社会保障関係の扱いにつきましては、いろいろな意見があったので、それ自身については合意ができませんでした、したがって、予算の編成権を持つ大蔵省としてこうこうこういうことで一割カットをし、それを各大臣にお願いをし、覚書を結んで、結果的にここで合意をしました。  自治大臣が前からおっしゃっておりますように、自治省としてはやむを得ず、あるいは、厚生大臣も大分責められましたけれども、それは厚生省もそうだろうと思うのです。やむを得ずというのは、経過を合意したのではなくして、予算編成という編成権の段階として政治決着をつけてやむを得ぬ。私は、今度はそれがあってはいかぬと思っているのですよ。六十一年度予算編成段階では、恐らくその政治決着の段階までこの問題は決着がつかない。内容的にも精査と合意が得られない。結果的には、六十一年度予算の編成期、すなわち今年度の十二月でしょう。そのときに、自治大臣がこの問題についてはどのように体をお張りになるのか。  先ほども議論がずっとありましたように、それならば補助金全般について対象にするのか、あるいは社会保障のその他の部分についても切り込みをされるのか、いろいろな議論があります。議論がありますが、問題は、そういう経過というものを一切抜きにして、さらに来年度も何千億、何百億という負担転嫁をすることを政治決着として自治大臣がお認めになるかならないか、私はそこだと思うのですね。大臣がそこに対するどういう担保を当委員会を通して国民にお示しになるのか、まずこの決意をしっかりとお聞きしたい、私はこう思うのです。
  221. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 これは私ども予算編成の立場から、一年限りで、しかも交付税ないし地方債で補てんする、つまり地方に迷惑をかけないということで、もうやむを得ず、これでは予算編成ができないからということで――正直に言いますと、その裁定といいますか、そのときにも、ちょうどサンケイ新聞なんかで、社会保障の十一カ月予算を組むというようなこともありました。そういうようなことも事務当局からもいろいろ考えてくれました。私もそういうような点をそこで自分の立場として、私の意見として言ったのでございますが、予算編成上やむを得ない、それで私は、予算ができないのでは大変だから、一年限りで、それを補てんしてもらうということで最後の決着がついたわけでございます。だから、その決着をつけた人も、まあかわればどうかと思いますが、恐らくそういう最高幹部の人もおられると思いますし――。  私は、できれば概算要求に間に合わせたいが、今のお話のように、最後の政治決着で、暮れになるのではなかろうかと思っておりますが、とにかく去年のそのときにおきましては、もう予算編成上やむを得ないからここで返事しろというようなことでございまして、私は大変つらい立場であって、これは自分のあれにはなりませんけれども、了承したのでございますが、やはり大蔵大臣は、国会の論議も聞きつつということをはっきり何回もこの問題については、この検討期間においては国会の論議の場も構えて、こういうことを言っておられました。  私は、そういう場合には、もちろん国会の意見も大事でありますが、同時に、地方団体の意見もまともに話を聞きまして、そして特に福祉関係については、国会の論議で、国の責務であるという立場を基調とし、地方団体の意見も聞きながら、また国会の今日までの論議を聞きながら、その決着に向かって措置しなければならないという、自分を叱咤しているのが私の率直な気持ちでございます。
  222. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、恐らく相当厳しい各省間の、争いなんという言葉はいいかどうかわかりませんが、対立事になると私は思うのです。地方団体では恐らく、大臣の真っ正面にぶつかる姿勢、それから、それを支える財政局あるいは自治省のいわゆる官僚の皆さんの姿勢をきっちりと見ていらっしゃると思うので、ぜひそういう姿勢を貫いてほしい。古い言葉じゃございませんけれども、まさに辞表を懐に入れられてけんかしてみる、合意を求めてもみるというくらいのお気持ちをぜひ持っていただきたいと思います。  それから、覚書の自治大臣と大蔵大臣とで結ばれた条項、これについてはほとんどの方が余り触れられておりません。そこで一つだけ聞いておきますが、まず大蔵省にお聞きをします。  自治大臣、大蔵大臣とで締結された二項です。一千億円に相当する額については、昭和六十六年度以降に精算する地方交付税の額に加算されるものとし、ここで切れておれば問題はないのです。いわゆるこの三省の覚書と同じように、「暫定措置とする。」ここだけで切れていれば問題はないのです。二項がついたから今でも問題になっているのですね。後段のこの分はどういうように読むのですか。  「六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、検討の結果を踏まえこというこの「検討」というのは、三省で結びました第二項のところの検討を踏まえにひっかかるとするならば、私は先ほど大蔵大臣のことは言いましたけれども、六十年度は暫定措置であるけれども、六十一年度以降もその暫定措置を法制化することもあり得るかもしれませんよというニュアンスが大蔵大臣の答弁にはあったと同じように、この自治大臣、大蔵大臣の締結の二項、検討を踏まえ、いわゆる六十一年度以降もその検討を踏まえた結果、暫定から法制化になった、その取り扱いについては両省間で調整するものとする、こうなってきますと、一千億円を加算をするという問題は、加算をしないこともあり得るということを後段では読み取れるようになるわけです。この辺はどう大蔵省としてはお読みになっているのですか。
  223. 田波耕治

    ○田波説明員 お答え申し上げます。  ことしの補助率の問題についての経緯でございますけれども、財政当局といたしましては、補助金の整理は何としてでもやっていかなければ現在の財政状況には対応できない、その補助金の整理をしていく場合に、補助率に着目をする整理のやり方というのもかねてから行革審その他で言われていることでございますから、どうだろうかということで補助率の削減というような話が出てきたわけでございます。それに対しまして片一方で、補助率の見直しについては、国と地方の役割分担や費用負担のあり方とあわせて検討する必要があるという御意見が、特に地方制度調査会等から強く言われてまいったわけでございます。その結果どういうことになりましたかと申しますと――(加藤(万)委員「経過はいいです」と呼ぶ)はい。  先ほども先生おっしゃったとおりでございまして、問題は大蔵大臣、自治大臣の覚書でございますが、先生が先ほどお読みになったときにちょっと飛ばされましたけれども、全文を読ませていただきますと、「昭和六十年度における建設地方債の増発額のうち、一千億円に相当する額については、昭和六十年度における補助率が、検討期間中における暫定措置であることに鑑み、暫定的に、昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、検討の結果を踏まえ、その取扱いについて両省間で調整するものとする。」ということでございます。  したがいまして、まさに先生おっしゃいましたように、この検討というのは、いわゆる三大臣の覚書で、「高率の補助率の引下げ措置を講ずるに当たり、」「この措置は、昭和六十年度における暫定措置とする。」とともに、「昭和六十一年度以降の補助率のあり方については、国と地方の間の役割分担・費用負担の見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得るものとする。」したがいまして、この検討の結果を踏まえまして、自治省とよく相談をして結果を出すというふうに考えておるわけでございます。
  224. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうすると、簡単な答えでいいのですが、加算しないこともあり得るということですか。
  225. 田波耕治

    ○田波説明員 私どもは、検討の結果、そういうこともあるというふうに考えております。
  226. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長、ここも実は相当質問の過程にあったところなんです。先ほどの細谷質問の中にもありましたけれども、私が聞いている範囲では、財政局長は、この分も含め交付税でカウントされておりますので、したがって加算をされる云々の問題よりも、交付税で財政需要額として算入されておりますから問題がありません、こういう答弁だったのです。大蔵省がおっしゃっているように、検討の結果、補助率をいわゆる一割カットしたことがやや恒久的なものとして、あるいはほかの補助率も含めての検討なのかもしれませんけれども、そういう結果を得たとしたならばこの一千億円は加算をされない、そういうように自治省も見ておられたのですか。  私は自治省なりあるいは地方自治体がそれぞれ発行しているいろいろな文書等を見ますと、六十六年度以降加算をされるという前提でそれぞれが受けとめ、また財政措置を講ずる、こういうように見ているのじゃないですか。いかがですか。
  227. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 この一千億円の問題につきましては、自治省から地方団体お話ししておりますときも、国会で御答弁いたしておりますときも、これは当面国の方で六十六年度以降に加算することにしております、しかし、これは補助率について六十年度が検討中でございますので、その検討結果を踏まえて両省間で調整することになっておりますということをお話しなり御答弁いたしておるわけでございます。御承知のように、この点につきましては、先ほど大蔵省の方から御答弁がありましたように、検討の結果を踏まえて両省間で調整するとなっておるわけでございます。  いきさつを申しますと、結局その一千億円の交付税の加算が行われたわけでございますが、後の一千億円の措置をどうしてくれるんだ、国が持つべきではないかということを私どもは大分主張し、大蔵省の方ではそれはだめだとかなり激しい議論の結果、当面、現在の段階では六十六年度以降国が持つ形にしよう、しかしこれは検討をするのだから、検討の結果また話し合いをしようではないかという形でおさまったのがそのまま覚書になっておるわけでございます。
  228. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 大臣、お聞きのように、これも大変な問題です。六十一年度以降仮にこの補助金が、生活保護の場合、七、三に分けたという場合には、それ自身が今度はこの一千億も含め、あるいは交付税に加算されている一千億も含め、どうするかという問題も出てくるでしょう。しかし、この一千億については六十年度分についてもなお不確定要素なんです。いわんや六十一年度以降七、三という問題が決まった場合には、この一千億に相当する六十一年度以降の支払い、まあ一千億になりますかどうですか積算してみなければわかりませんけれども、一千億と見てよろしいと思うのですが、これは恐らくいわゆる交付税に加算をされる額などという言葉はなくなってしまうと思うのです。まさに先ほどの決意を実効的なものにしませんと、先ほどの細谷議員とのやりとりで、確かに六十年度財政措置は全部済みましたと、しかし、それ自身も加算されるかされないかを含めてまだ問題がこれだけ残っているということもぜひ念頭に置いていただきたい、こう思うのです。これは余り議論のなかったところです。  かつてどなたからか、この一千億円については後年度法制化してはどうか、いわゆる法制化をしてきちっと担保すべきではないか、こういう意見がありました。私も、本来はこの自治大臣と大蔵大臣で結ばれた覚書条項の二項の一千億円については、何らかの形できちっと担保すべきだという意見を持っております。いずれ調整段階で御議論のあるところでしょうから、ぜひひとつ私どもの意向を酌み入れて自治省と大蔵省の最終折衝に臨んでいただきたいと思います。  そこで、たまたま先ほど二千八百億の問題で細谷議員からお話をいたしまして、経常費系統に係る千六百億円については、財政需要額として一〇〇%交付税に算入するというお話がございました。地方財政富裕論、私どもは余裕論という言葉を使っておるのですけれども、そういうものに対する自治省側の反撃の姿勢が私はどうも弱いような気がするのです。先ほど花岡財政局長お話を聞いておりますと、三二%の交付税率を上げるというような状況にはございません、そういう御答弁でした。周囲の状況は確かにそういう状況でしょう。交付税が一〇%以上伸びている、地方税も十何%伸びている、しかも国の財政と比較をしてという世論操作の面も含めた構造は、交付税をこの際引き上げるべきだというような意見にはなかなかなりにくいということはわかります。  しかし、三二%を仮に死守をするという御決意ならば三二%を上に上げることが難しいという意見ではなくして、本来三二%以上の額を取らなければいかぬのですが、今日、国との財政で三二%で我慢をしているのですといういわば防御は、守ることは攻撃をもって最大の手段だ、こういうことわざがございますね、そういう姿勢にならなければいかぬと思うんですね。先ほどもお話しありましたように、五十七、八、九と地方財政計画そのものは落ち込みましたね。三角に立ったわけです。その結果として、例えば後で御質問をしますけれども、重量税などオーバーフローになってしまって使い切れない、そういう状況も生まれてきたわけですね。恐らく地方団体から見れば、本来、地方財政計画にこれも取り込んでほしい、あるいはこれも入れ込んでほしい、そういうものがあったと思うんですね。しかしそれを国の財政抑制その他の計画からいってどんどん抑え込んで、結局三角に立った。たまたま五十九年度の税の収入、そして六十年度、六十一年度の景気展望の見通しから見て地方財政の豊か論が出てくる。そういう余裕論が出てきて、どうも受け身の姿勢の中で、いやその分は自然増収の面でカバーしなければしようがないのかな、その分だけこっちへ吸収しておかなければ三二%を切り込まれるのかな、そういう発想がどうもあるのではないか。むしろ三二%では入り切れないんですよ、そういう主張を財政局長あたりを通して強くされる必要があるのではないかと思うんですね。  時間がありませんから細かくは言いませんけれども、例えば地方債の元利償還を交付税にカウントするときに、単位費用の中にどう繰り込んでいくのか。従来の単位費用からはどう見ていくのか。先ほど細谷議員が個別の例を挙げまして、この部分がラスパイレスとの関係で、新しい構想というものそれ自身の予算を削減するというのは、その地方あるいは自治省が持っている政策の充実という面から欠けているのではないか、こういうお話もございました。  財政局長、私は、地方財政計画をもっとこの際膨らませる、同時にいま一つは、地方交付税の財政需要額の算入の方法について、先ほど例が幾つか出ておりますから申し上げませんけれども、少なくとも公債費等の元利償還額の償還の方法等も含めて、この交付税では率直に言って足りません、あるいは八幡の市長が言ったようなことも含めて、例えば単位費用を実勢価格に合わせて需要額として算入していく、算定していく、こういう方法等をとるべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  229. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 交付税の率の問題でございますが、私ども、もともとはっきりと物を言うわけでございますので、大蔵省にも余り吹っかけたり何かはしないで、だめなものはだめ、要るものは要るという態度でやっておりますものですから、先ほど岡田先生にもお答えいたしましたように、交付税率の引き下げという問題が起これば絶対に引き下げには応じないわけでございます。ただ、今度逆に交付税率を上げるかということになりますと、現在の状況では極めて難しいのもまた事実であろうと思います。  今度の補助金の一般財源化に当たりましても、かねてから申しておりますように、国庫補助負担率を引き下げる前には地方財政としては収支を均衡した。このときには、実際問題といたしまして国の法人税制の改正等に伴うかなりな増がございまして、それに伴う地方財政へのはね返りと申しますか交付税の増加もあったわけでございまして、無理やり中に入らないものを私ども引き取ったということではございませんで、入らないようであればそれはまた別途の財源措置をして引き取らなければならない、一般財源化を進めなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それで御指摘の、もっと計画を膨らませばいいではないかということでございます。確かに、今後地方の行政を進めていくためには、地方のこういった財政基盤を強固にするためにできるだけ計画規模を膨らませる、これはやり方でございますけれども、現在やはり行政改革ということが国、地方を通じての重要な課題となっておりますので、地方だけが余りに膨らませるということも困難なわけでございまして、基本的には国と同一の基調に立って抑制せざるを得ない。しかし、その中にあっても、地方財政計画におきます単独事業等につきましてはできるだけの配慮をして伸ばしていっておるわけでございますので、そういうふうに計画をできるだけ増加させまして、それによって財源が足りない場合におきましては必要な財源措置を講ずる、そしてその上で基準財政需要額の拡大も図るというふうな手法になってくるというふうに考えております。
  230. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これは大臣の政治姿勢にもかかわる問題ですから、大臣からもひとつ御答弁をいただきたいと思うのです。  ついでに、これまた連合審査で大変問題になったところですが、公共事業投資をいま少し拡大してみたらどうか。二千億をカットして、地方団体で千二百億円別につけて、そして全体の量として公共事業を多くする、それはわかった。しかしそうでなくて、従来の補助率をもってさらに地方財源を今日の条件で加えていけばもっと公共事業が拡大をして、外圧も多少吸収することができるのではないか、そういうやりとりをしたときに、竹下大蔵大臣が、いや、それでも日米間の経済摩擦で吸収できるものは十三億ドル程度です、こんなお話をされたことをかすかに記憶に持っているのです。  今財政局長の、国の行政改革の面もありますからと言うその行政改革の問題と、公共事業投資を拡大して内需を強めるという課題とは少し違うと思うのですよ。したがって、投資的経費の削減という課題と、今の地方財政計画の拡大という問題と、さらに今日的な話題ではありますけれども日米間の経済摩擦をそこでも吸収できるというならば、むしろ地方団体、それから国のそういう投資的経費の補助金の問題も含めて検討し直す、そういう内需拡大政策をとってもしかるべきではないか、私はこう思うのですが、前段の問題を含めてどうでしょうか。  それから、財政局長、いま一つ答弁漏れがあるのは、交付税の中で公債費の元利償還について、単位費用の改定等も含めて、先ほどの細谷先生のいろいろな要素、それから八幡の市長さんの参考人としての意見等も含めて、交付税の基準財政需要額への算入の基礎的条件を再検討してみたらどうかという提言もしているのですが、これが一つ答弁漏れですから答弁してください。最初に大臣からひとつ。
  231. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 最初の交付税率の問題につきましては、山下先生にも私の気持ちはこの前、御質問でお話ししたのでありますが、こういう地方の財政で、しかも交付税会計でまだ五兆以上、六兆近い返さなければならぬ金が残っている、それから地方財政の状況を見ますと五十数兆という借金がまだある、そしてまた三千余の団体の中には硬直化している団体も相当多い、四分の一以上あるというようなことから考えますと、交付税を現状において切り下げるということは到底私はできない、自治省としてはできないというふうに考えます。  もちろん税の体系が根本的に変わって、いろいろの税源の点で手当てするとか、そういう状況があれば別でございますが、今の状況では下げるようなことは毛頭考えておりませんし、むしろそういう点では山下先生にお話ししたように、私も機会あるごとにこれをどういうふうにしたら上げられるか。国も地方も厳しいけれども、どうしたら上げられるかということをむしろ考えるべきでありまして、私は下げるということは、今言ったように現在の地方財政の実情からいたしまして、税制等の根本的な改定がない限り、私はそういうことは不可能に近いことだと考えております。  それから、日米摩擦の問題につきまして、公共事業費の数量をふやしてそれを地方負担地方に残るという問題、これはやはり日米関係の今の状況で私もいろいろ考えておりますけれども、これはやはり世界的な状況でございます。ただ、日本の弱い経済部分に対する補てんということは、別途国内的に考えてもいいが、内需の振興は、とにかく世界的な状況に対しては、日米もそれから逃れておるわけにはいかないだろうという感じがございます。
  232. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 公債費を単位費用に入れて基準財政需要額を増加させるべきであるという御指摘でございますが、結局、基準財政需要額は交付税と税の七五%ないし八〇%を合わせたもので決まるわけでございますので、まず地方財政計画そのものを大きく伸ばさなければこの算定はできないわけでございます。そういった意味で、計画をできるだけ伸ばし、その中で財源が足らないということになれば、交付税あるいはその他の財源を何らか確保しなければなりませんけれども、結局その中で税収が伸びてくるか、あるいは交付税をふやすかというふうなことになって、その場合に初めて基準財政需要額の拡大が図れるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、この計画そのものをそう大きく伸ばすというふうな点につきまして、現在の公債費は財政計画に全部算入いたしておりますので、その意味におきましては、そのためにさらに計画が伸びるという要素はございません。
  233. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今度の一括削減法案の中で二千八百億、経常経費系統にかかわる千六百億については細谷委員のやりとりで明確になりました。私は、一〇〇%カウントされたということもさることながら、不交付団体の六百億をこういう形で見たということは大変意義があるというふうに、実はあのやりとりを聞いておりました。  というのは、これはきょう時間がありませんからちょっと入り切れないでいるのですが、不交付団体余裕論のバックグランドをどう見るかということを参考人もおっしゃっておりましたが、所得が高いところ、経済力があるところ必ずしも生活が豊かではないというその議論というものを、数字的にも相当私は実証ができるのですね。特に私どもの神奈川県あるいは大阪あるいは兵庫等人口が急速に増加するところは、どうしても教員であるとか警察官であるとか消防であるとか、そういう要素というのは非常に強くとられますから、結果的に人件費というものが相当大きくなる。したがって、片方で投資的経費が極めて少なくなる、結果として環境整備がおくれてくる、そういう面が出てくるわけですね。これは後で数字的に、もし時間があればと思っています。  したがって、この不交付団体に対する財政が余裕があるという見方から来るあらゆるカットの問題を含めまして、あるいは例えば指定都市、政令都市と普通都市と下水道の補助率なんかも違っていますね。最近、川崎なんかはどちらかというと過疎の町ですよね。結果的には社会資本投資がおくれていますから、産業の撤退だけが起きてしまいまして、人口だけが残ってしまっているというような状況があるわけですね。あるいは福岡なんかを見ますと、財政の中で通常経費の九%ぐらいが生活保護関係費用にとられている。したがって人口が多い、あるいは経済力が豊かだから、必ずしも生活が豊かだというとそうではない。いわゆる価値観の物差しというものが非常に変わっている。その価値観に合わせて、それぞれの都市は都市なりの社会資本投資が必要だ。したがって、そういう面を見た上で、不交付団体に対する扱いをどうすべきかということを考えるべきだと思うのです。これは後で私の意見として、そういう視点からもひとつ財政当局で大蔵省との折衝のときに考えてほしい、こう思います。  そこで、文部省の方、見えていますね。今度、教材費と旅費が一般財源化されたわけですけれども、昨年の十月に人事院勧告に基づきまして給与費が上がった際に、全体として大蔵省では予算をプラス・マイナス・ゼロのシーリングにするということの観点から、義務教育の国庫負担に対する、もう少し削減をすべきではないか、あるいは一般財源化をすべきではないか、こういう話がございまして、例えば教材費あるいは学校の栄養の職員、事務職員、あるいは不交付団体に対する教育費の一〇%削減の問題等々があり、単年度とは言いませんけれども、長い時間の間で総額がたしか四千六百億だと思いましたが、それを対象にして一般財源化あるいは国庫負担行為の削減を求められたと聞いておりますが、これは間違いないでしょうか。
  234. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 お答え申し上げます。  昨年の十一月ごろであったかと思いますが、そういうお話が非公式にあったことは事実でございます。
  235. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 教材費について言えば、今文部省が十カ年計画を持っていらっしゃいますね。この十カ年計画、年度で言えばまだ六十年、六十一年、六十二年、大分その計画自身もおくれているということは、この連合審査の中で明らかになったわけでありますけれども、これを一般財源化をした場合に、今の地方自治体の財政状況から見て、今おくれた段階で計画を遂行されようとする計画と、一般財源化をされてその結果生ずる計画との差というのができますか。
  236. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 お尋ねのその教材整備計画でございます。  これは文部省独自でいわゆる教材を充実していこうということで、従来の負担制度の中でどういう目標で国庫負担金の予算を年々確保していくか、あるいは要求していくか、こういう立場に立ちまして、毎年毎年のことよりも少し見通しを立ててやった方がいいだろうということで、実は現行の計画の前にさらに十年ぐらい前に第一次というものがございまして、そこで基礎的に必要な教材、共通的にどこの学校でもこのぐらいあったらいいだろうというものについてやりまして、大体それは文部省として考えた目標どおりに進んだわけでございます。  そこで、第二次でございますが、これについては確かに金額等を一応目標を立てました。そして、その点に関して先生のお尋ねの点から申し上げますと、五十九年度までには目標に対しては約五割ということに数字としては相なっております。それで、そのもととなります教材基準というものを、一応負担上必要なものですから持っておるわけでございますが、それは第一次当時の基準から大幅に膨らましまして、かなり理想的なものも入れたりしてやっております。したがって、学校ではいろいろな教育指導上のそれぞれの特徴をもとにして、それ全部というのじゃなくて、その中から必要なものを整備していただこう、こういうのが基礎にあっての数字でございますが、計数的に言うと半分になっております。  そこで、あと六十二年までを一応目標にしておる関係でそのままいくのかということでございますが、これは物理的に、この数年予算が非常に厳しいという中で減額になっておりますので、先生お尋ねの点でいけば、最初立てたような目標ではなかなかいかないのかな、こう思っております。
  237. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 要するに、現在の第二次計画でも現行遂行率は五〇%。したがって、六十二年度までの国が負担をすべき約千百六十億円と聞いておるのですけれども、この額が、もちろんこれは延びておるわけですが、それを一般財源に振りかえても、なおその本来求めておる計画を遂行することは困難だ、こういうことですね。  それから、いま一つお聞きをしますが、先ほど大蔵省が、昨年の段階でそういう話がありましたか、ありました、こういうお話ですが、その際に不交付団体国庫負担、この場合に一〇%、約百七十億円、ひとつ国庫負担対象から除外してほしいという話があったと言いますが、この場合に義務教育にかかわる給与も含まれていますか。
  238. 菴谷利夫

    ○菴谷説明員 その百七十億は、私ども計算したわけじゃございませんので、根拠が正確にはわかりませんが、多分東京都のものに対する額であろうと想像できます。そうしますと、単純に言いますと、そういうことも含まれる可能性があるのではないかと思います。
  239. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 松永文部大臣は、私が読んだ限りの両院の答弁では、義務教育負担にかかわる問題で、特に教職員――教職員といいますか、教員の給与は、まさに国が義務教育に負担する中核的な負担行為である、その他旅費だとか教材費というものは事によったら地方負担ということもあり得る、しかし、これについては国がいわゆる二分の一負担を変えるべきではない。しかし、今のように、不交付団体一〇%削減という問題や対象から除外ということになりますと、財政局長どうですか。今年度は不交付団体幾つぐらい府県段階でなりますか。神奈川、愛知、兵庫、東京もそうですね。それ以上なりますか。
  240. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十九年度におきましては、東京都と愛知県でございますが、現在試算をいたして見ておりますと、不交付になる可能性が強いのは神奈川と大阪ではなかろうかと思います。
  241. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 だんだん拡大しますよね。  大臣、先ほど言ったように、その基準財政需要額というものは抑えられできます。しかも、これは五年後の、先の話になるかもしれませんけれども、専売と電電公社も民間になるわけですから、これの法人税もリンクされてそれぞれ入ってくる。聞くところですと、電電公社だけで大体日立製作所ぐらいの地方税の環流があるだろう、こう言われている。これはわかりませんよ。しかし、そういう要素を含めていわゆる地方税が全体としてふえてくる。したがって、不交付団体がふえてくる。  しかも、今言いましたように、国が本来国庫負担行為として最も中核に据えている教員の人件費の部分については、不交付団体についてはもうカットする、削減の対象になってくる、こうなってきますと大変なことですよ。一般財源化がいい、いわゆる交付金を一般財源化しなさい、臨調でもそういう答申をしておりますし、私ども地方制度調査会に行ったときも、できる限りメニュー化をしなさい、あるいは一般財源化をして地方の弾力的な財政の運用をするようにさせてやった方がよろしいという提言はしておりましたけれども、そのうちの、政府側といいましょうかいわゆる中央官庁にとって一番都合のいいところだけをつまみ食いしますとこういう状況が起きてくるのですよ。  なお、財政局長は先ほど、自然増収の範囲内で一般財源化をしても、それは自然増収で吸収ができますから、こうおっしゃいましたけれども、今の一般財源化の対象になる金額が、これはおたくの課長さん、小林さんですかが本に書かれている内容ですけれども、その金額は、私の計算では四千三百億です。先ほど少し数字が違いましたが、四千三百億円。それに、今言いました不交付団体の分が一〇%カットということで今度拡大をしてきますと、これは幾らプラスアルファがつくかわかりませんけれども、それは何年かにもよりましょう、あるいはさらに、よく言われておりますように、教科書の無償配付をこの際考え直してみてはどうかという問題もこれは重なってまいりますと、交付税で税収が伸びた、あるいは先ほど言いましたように地方財源が全体として一〇%以上拡大した、だから一般財源化してもそこで吸収ができるという限界を超えるのじゃないでしょうか。  財政局長、一般財源化という問題について自治省ではどこで歯どめをかけるのですか、どこで一定のラインを引くのですか。
  242. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今年度一般財源化いたしましたのは四百二十三億円でございまして、この六十年度地方交付税の増加の中には国税の改正による増加分が約千六百億円ぐらいあるわけでございます。ただ、人件費などを引き受けられるかというふうな問題でございますが、これはやはりかつてのいきさつと申しますか、平衡交付金で全部見ておった時代があったわけでございますが、義務教育という性格にかんがみまして、二分の一はそういった不交付団体でも国が持つというふうにしたいきさつがあるものでございますので、そこら辺との兼ね合いというものはなかなか難しい議論があろうかと思います。  今後どれだけ一般財源化を引き受けるのかというお尋ねでございますが、これは私どもとしましては、地方団体の事務事業として同化定着したものにつきましてはできるだけ一般財源化を進めるべきであるという建前をとっております。これがどれだけが限界になるかということでございますが、いろいろの補助金を洗い直してみなければその辺わかりませんけれども、全部引き受けるといいましても、やはり同化定着しているものについての引き受けでございますから、おのずからそこには限界がございます。と同時に、引き受けますときには地方財政計画にその所要の財源措置をしなければならないわけでございますので、当面、その時点におきまして地方交付税あるいは税収、そういったものが不足するということでありますならば、新たなる財源手当てをしてこれは引き受けなければならないということになるわけでございます。
  243. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうですね。前段の解釈はいわば抽象論ですから、同化定着していると言っても、これは同化定着しているんだ、こう言われれば言葉のやりとりで、ああそうですか、そうじゃない、こういう話になるでしょう。  問題は、財政局長が後段に言われたことだと思うのです。一般財源化をすることによって自然増収と言われているものの中に吸収ができ得ない限界にまで来たときに、いわゆる財源的な措置というものを一方に常に配置をする。ですから、私が先ほど言いましたように、今の状況の中では三二%を守ることが容易じゃないんですよという姿勢ではなくして、よほど三二%では足りないのですよという攻撃的な姿勢でなければ、一般財源化という中で、上からは利子負担が押しつけられると言ってはおかしいですけれども、先ほど議事録を読みましたけれども、五十八年度は単年度と言いながら、五十九年度制度化された。結果的に、五十九年度交付税は三一・三%、今年度は三一・五%、今度は下からは一般財源化によって地方財源を食われていく、しかも、投資的経費等に見られましたように、千二百億の投資経費を地方自治団体は生み出さなければならぬと同時に、実勢単価として計上された面は、今度は単独の自主財源でこれを補てんしなければならぬ、こういう要素ですね。  もう一つ重要なことは、やはり昭和六十七年度になりますと交付税特会の借り入れの返済、償還がピークになってくるわけですね。恐らくは地方団体地方起債の償還もそのころが私は山になってくるのじゃないかと思うのですけれども、等々を考え合わせてまいりますと、今年度交付税のあり方あるいは一括削減の条件をどのような形で受けとめていくのか、この一年間が極めて勝負になるのですよ。いわば峠の分水嶺の、どちらの山に水が転がっていくかというその境目まで来ている。  そこで、私は先ほどから何回も言うようですけれども、まさに自治省がかつて、先ほどの引例じゃございませんけれども、週刊読売じゃございませんけれども、そういう戦後築いてきた地方の自治権、あるいは地方制度調査会その他を通して、先ほど財政局長が言いました、確かに地方に定着したものは交付金から一般財源化しなさい、こういう主張は私は正しいと思うのです。  その正しい主張を逆手に今度はとられた形で今一般財源化になり、もし義務教育負担などで四千三百億円、さらに不交付団体では給与費に至るまで削減の対象になってくるということになったら、これは無限大でしょう。どこかで最後の歯どめをかけなければどうにもならなくなる、こういうふうに私は思うのです。そういうことが今までの皆さんの議論の中で集約した意見ではないかと私は思うのです。それだけに、私どもは自治大臣にも毅然たる態度をとってほしいし、これをしっかりと支えていただく自治省のいわゆる官僚の皆さんによほど性根を据えて立ち向かってもらわないとどうにもならぬ、こう思っているのですよ。  ですから、花岡財政局長が、もしも夏までの間にこの調整が無理だというなら無理だと言えばいいのですよ。言った結果、閣議で政治決着しましょうというなら、それは挙げて今度は内閣の責任ですから、その責任を私どもの立場で問題を追及してまいりますよ。そういう姿勢が私は財政局長にあってほしい。また、大臣はそれをぜひバックアップをしてほしい、こう思うのです。財政局長と大臣、もう一遍今の教育の義務負担行為の問題に関連して、それの延長線上にある話としてどういうふうに決意を持っておられるか、お聞きしたいと思うのです。
  244. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 私ども国庫補助負担金の整理合理化に当たりましては、かねてから申しておりますように事務事業の廃止縮減が基本であるということを考えておるわけでございまして、また、仮にこういった補助率を見直す場合にも、事務事業の見直しをしなければならないという前提に立っておるところでございます。  ただいま先生から御激励いただきましたけれども、私ども常に地方団体の自主性、自律性尊重の観点から、この点につきましてははっきりと物を申してまいりたいと考えております。
  245. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 私は、特に義務教育費の人件費の話が出ましたが、やはりこれは責任官庁はどうしても、私ども、もちろん国務大臣で応援していきますが、文部省の意向ということが一番中心になるかと思っております。文部省がもしそういうものを地方へ移管してもいい、定着しておるからと言いましても、財源がなければできないわけですから、そこに定着化の限界があると私は思います。  そういう意味で、今度は教材費と旅費だけを一般財源化したのでございます。あのときにはもっといろいろなものを持ってきたのですが、文部省の意向もいろいろ聞きまして、地方実情から、もうこれ以上は大変だというような、つまり財源がふえればいいのですが、そういうことのない限り、文部省の意向を尊重しながら、同時に地方の自主性というものを考えながらどこで調和するか、そしてそれの限界点はやはり費用といいますか、財政の問題になってくるかと思っておりますが、私は、あくまで教育は文部省が主宰すべきものだと考えておりまして、一番その意見を聞いてやらなければならぬと考えております。
  246. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 文部省の方も私のお話を聞かれたものと思うのですが、私は今、自治省に対しては主として財政面からの問題提起をいたしました。これはかかって文部省の教育の機会均等の問題まで含めての課題でありましょう。しかも教育臨調の第一部会では、教材費を含め、地方と国との分担をどうすべきかという結論が出ていない問題ですよ。私はそれからでもこの教育の問題については手を触れてもよかったと思っているのですが、残念ながら大蔵省の予算編成権というものに押し切られたような形であります。  先ほど、一般財源化した場合に、教材費が実際問題としてはなかなか困難でしょうというお話も聞きました。今日これだけ科学の進歩が激しいときに、過疎の地域、離島等においてその教材費がないということになりますれば、今の社会には通用できないのです。私はそのくらい、特に私は科学関係のエンジニアですから余計そういう心配をするのかもしれませんが、そういう面も含めて、単に財政的な視点ではなくて、教育の機会均等という面から文部省もこれまたどういう立場で大蔵省と接触をするのか、折衝するのか、ひとつしかと腹に据えてかかってほしい、こう思います。  最後に、これは前回の質問の残りでございますが、道路特会について御質問を申し上げます。  先回私は、道路特会に千百十億円の地方道路整備臨時交付金が計上されておる問題について御質問をしました。これについては、実は地方財政計画の中で地方負担をするという財政計画がありません。したがって、この千百十億円は地方の単独事業に建設省がそのまま配分をされるのですか、こうお聞きをしましたところが、いまだもってまだ閣議でそれは決まっておりませんので、閣議で決まり次第、どういう張りつけ、いわゆる配分をするかお答えをしますという御答弁であったわけであります。しり切れトンボになっています。  ただ私は、自民党の政調会で公共事業投資が少ない、したがって道路特会に金を、いわゆる重量税のオーバーフローの金も含めてあるのだから、千百十億円を足してということだと当時新聞で書いておりましたが、この千百十億円についてはその後両省間でどういう話し合いがついたのですか。まず建設省からお聞きしましょうか。
  247. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 お答えいたします。  千百十億円の地方道路整備臨時交付金事業は、第九次道路整備五カ年計画のバランスのとれた進捗を図るという観点から、進捗のおくれております一般道路事業のうち、地方道に係る事業で一体的に緊急に実施することが必要とされるものに対しまして交付するという考えで設けられたものでございます。  私どもの道路整備五カ年計画上の区分は地方の単独事業とは考えておりませんが、しかし、対象となりますのは、本制度がなければ補助事業としての採択がおくれるとか、あるいは急ぐならば県単独事業、または市町村事業として実施せざるを得なかったような事業がこの結果推進されることになると考えております。
  248. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、一般道路事業の拡充に必要な道路財源としてこれを地方団体に交付するというのではなくして、地方の単独事業で、それがあることによって一般道路事業が促進をされるという対象事業に張りつけをする、こういうことですか。
  249. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 私どもの考え方は、五カ年計画上は一般道路事業であると考えておりますが、ただ、現在の五カ年計画はなかなか予定どおり進捗しておりませんので、ぴたっと計画どおりいくという情勢にはございません。でございますから、一般道路事業の中でおくれがちなもの、このままでは採択がおくれていくようなものを対象にしているという意味でございます。
  250. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 財政局長、そういう形になった場合に、地方財政計画によれば地方団体負担、裏負担といいましょうか、財源措置はどうなりましょうか。
  251. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 建設省の方では道路整備五カ年計画において進捗の思わしくない一般道路に充てられるということでございますが、これを単独事業として実施してもらうということでございます。私どもとしましても、この地方道路整備臨時交付金につきましては、地方財政計画の上では単独事業に計上いたしておるものでございまして、したがいまして、補助事業のような場合の意味での地方負担、いわゆる裏負担が当然に生ずるものではないというふうに考えております。
  252. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 わかりました。それで建設省と自治省との間では合意ができている、こういうように理解してよろしいですか。局長でいいです。
  253. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 合意ができております。
  254. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 道路財源の余剰解消策ですが、大臣、これは地方財政計画でも一遍確かに予算の三角を立てましたから、今度は道路財源でどのぐらい、一般財源でどのぐらい補助率が下がったか、私、つまびらかにはわかりませんけれども、いずれにしても自動車重量税の収入の四分の三を国の財源に取り、同時にまた地方の財源を四分の一にする、その結果としてのオーバーフローが三年間で四千百億ですか、これはどう見ても不自然ですよね。  ですから、私はどういう場でどういう審議がされていくのかわかりませんけれども地方と国と配分比率を検討してみる、そういうことをして道路財源が余ったから、今度は千百億円一般会計を通さずに道路会計にだけのせて、一般会計の予算はプラス・マイナス・ゼロです、何もそんな形で地方財政は抑制するのだという世論操作に使わぬでもいいと思うのですよ。従来どおりちゃんと一般会計に入れて道路財源として千百億円計上されて、そしてこれだけ予算が伸びていますという形にされてやるか、それも一つの方法。そういう形にされるか、もしもそれだけの金が余っているならば、余っているというかオーバーフローになっているならば、まず財源配分について再検討されるということがあってしかるべきではないかと思うのです。これは私の意見です。これは実務の関係でしょうから、財政局長から私の今の質問に対するお答えをいただいておきたいと思うのです。
  255. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 道路整備五カ年計画におきましても地方単独事業に対する事業は相当伸びておりまして、これに対する特定財源比率というものは極めて小さいわけでございますから、私どもはできるだけこれを拡充強化いたしたいと考えておるところでございます。
  256. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これは大蔵省がやるのでしょうか、あるいは建設省がやるのですか、あなたがお考えになっているだけじゃなくて、具体的なディスカッションをされる場をつくられるように検討されることをぜひ私は進言しておきたいと思う。  大臣、私はきょう最後にやや締めくくり的な御質問をさせていただきました。特に私が一貫して申し上げておるのは、いわゆる補助金の削減法案を頂点にいたしまして、交付税も含めて今年度がまさに地方と国との行財政の全体を通しての分水嶺になっている。もしもこの分水嶺を間違って国の支配の中に地方団体を置く、行政上も財政上も置くということになりますと、戦後における国と地方との関係、もっと強く言えば日本の民主主義の存在にかかわる問題として重要な時期に来ていると思いますので、それだけに大臣の任務は非常に重い、肩に重い荷がかかっているということを御認識をいただいてこれから対応していただく、このことを強く要望して、私のきょうの質問を終わらせていただきます。
  257. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、柴田弘君。
  258. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私がいよいよ最後ということであります。できるだけ重複を避けて御質問をしたいと思います。答弁も要領よく誠意を持ってしていただきたいと思います。そうすれば時間も早く終わります。  今まで緊張した議論が続いておりますので、私はちょっと趣を変えまして、地方の時代を迎えて、一つ地方の活性化という観点で、大臣は岐阜県の選出であります、僕は愛知県の選出でありますから、ひとつ中部圏の地方の活性化という問題について、大臣と恐らく意見はそう変わらぬと思いますけれども、御質問をしたい。  御承知のように中部圏というのは近畿圏あるいは首都圏、このはざまにありまして、名古屋を中心としての地域でありますね。北は日本海に面し、南は太平洋に面しまして、平野もよく開けておりまして緑と水も豊かである。こういった自然の豊さというのは非常に国際的にも誇れるものであるわけであります。また一方、高度な産業の集積がありまして、自然と産業のバランスのとれた発展も、持っていき方によっては可能であると私は思います。そこで、何とかひとつ中部を活性化したいということで、いろいろと各県の皆さん方が相寄って知恵を働かして頑張っているわけであります。  私は、そういった面から一つは道路網、名古屋市が中部圏の中核でありますから、やはり中部圏の経済、文化、こういったものが一体的に動くようにする道路網の整備というのが第一ではないか。今環状二号線とかあるいはその外側の東海環状道路、あるいは東海北陸自動車道などがいろいろ計画をされ、環状二号線は着々と建設をされておりますが、こういった交通網の整備、これがまず第一だと思うのですね。  二つ目には、いわゆる二十一世紀の中長期の将来というものを踏まえまして、中部新国際空港というものを建設しよう、こういうことで議員連盟も発足いたしまして、大臣も私も議員連盟の一員であるわけであります。  三つ目は、何といいましても産業、文化の促進も必要でありまして、先端技術産業の誘致ですとか研究開発機能、高度な文化機能、研究学園都市としての情報機能など中枢機能を高めていくということも必要であろう。このファインセラミックスセンターの設立が今計画をされまして、財団法人も五月には認可になると思います。こういったこと。  それから第四点目は、各種のイベントですね。名古屋港を中心にしてインポート・フェアというのは御承知ですね。これも行われましたが、万博よりも人気が出ているこういったイベント。あるいは来年以降ですか、岐阜県、大臣のおひざ元で中部未来博、これも行われるのではないか、こう言われておりますね。こういったイベントをどんどんやって人と物と金を動かしていく、それが活気、活力につながってくるのではないかと思っております。  総論的にお聞きしたわけでありますが、こういったことを中心にして、私は国、県、市が一体となって中部圏の活性化に取り組んでいくべきである、こういうふうに考えてやっているわけでありますが、大臣のひとつ概括的な御意見でいいわけでありますが、お聞かせいただきたいと思います。
  259. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 柴田先生のお話、一般的に私も同感でございます。やはり道路網の整備ということは地域で一番重要な問題の一つだと私ども思っております。特に、中部圏というのは過密の地帯も、名古屋みたいなところもありますし、また飛騨の高山やあっちの方のような過疎地域もあるわけでございます。そういう意味でどうしてもこれから道路を含めた交通網の整備が一番必要だ。  今のお話にありましたように、東海北陸自動車道路につきましても、岐阜県の郡上部の美並までは大体建設省の具体的計画に入っております。それ以降は、早く基本計画はできておりますが、具体的計画は、山の中を富山や石川へ行く道路が冬凍結するというような問題もありまして、まだそういうような具体的な計画になっておりませんが、これは今の日本の技術でございますので早晩進めていかれると思いますし、それから環状道路につきましても相当今度は具体化するように進めております。  また、国鉄についても、国鉄がどうなるかあれでございますが、北陸新幹線あるいはまた中央新幹線というもの、私幹事長をやっておりまして、どうも努力が足らぬで申しわけないと思っておりますが、リニアモーターカーを使うにはここしかないというあれで、運輸省にも財源がどうなるかといろいろ聞いておりますが、ここはプラスになりますよというのが大体私の知っている国鉄当局の話でございますが、そういう問題。それから空港、空港の問題は、先生も私も国会議員は全部参画しております。  やはり中部圏というのは、近畿あるいは関東と違いましていろいろのこういう要素が入っております。特に今政府が一番、緑と花の運動という――緑というのは、岐阜県なんかも半分以上は緑の地帯になる可能性があると思っておりますが、そういう意味で実は中部圏の整備委員会、あれは昔私も役人時代から大変熱心でございまして、江崎先生なんかにいろいろ言われまして相当動いたこともございますが、とにかく東京や大阪の中心の地域と比べると劣っておることは歪みがたい、否定できないところでございます。  お話しのように、交通網、道路網あるいは空港もあわせて、そういう問題につきましては、やはり山岳地帯でありますので過疎過密、いろいろの問題がございますが、今のお話のような先端技術を活用した工場もじゃんじゃんできておりますし、また、私の方は名古屋大学のプラズマの問題で今度文部省からも具体的に買収費をいただきまして、今土岐市というところを中心にして、このプラズマの大きな施設を具体的に調査に入っているような状態でございます。文化的にも、岐阜県も未来博ということで、県の議員を初め知事さんも大変熱心になっています。  こういうような計画がありましても、財源が乏しいから国である程度までそれを取り上げるようにしなければなりませんので、これが私ども中部出身の議員のお互いに重要な使命ではないかと私は思っております。そういう点におきまして中部圏の、これからの国のいろいろの四次総やそういうものに入れるとかいう問題につきましては、やはり県だけではできない問題でございますので、私も、国の力を相当こういう方へ盛り込まなければいけないということで、ぜひこれは中部の出身者といたしましてお互いひとつ一生懸命に努力して発展に邁進したいと思っております。
  260. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 意見の一致を見るわけであります。  そこで通産省にお伺いしておきますけれども、インポート・フェアですが、三月二十一日から四月十四日ですか、二十五日間名古屋港を中心にして金城埠頭で行われました。予想を上回る百八十八万人の入場者がありまして、即売品も二十八億円売れた。これは活性化、国際化、そして貿易摩擦の解消というものを目指して企画をされたわけであります。実はこれの発案者が、私の学生時代の友人であるある大学の経済学部の教授でありまして、私も相当評価をしているわけであります。  確かに人が多過ぎて商談が余り進まなかった、こういう嫌いもあるわけでありますが、しかし、四十三カ国、一地域が参加したわけでありますが、やはり参加国の大半が評価をしている。それからそういった多くの人が入った。やはり地元の住民がこういった大型のイベントを待望してきた、あるいはまた貿易摩擦ということが新聞あるいはテレビでしょっちゅう報道されますので外国製品への関心も高まった、そういったことで、やはりこれは相当評価されてしかるべきであると思います。貿易輸入商社にとっても、輸入関税の引き下げの問題とかあるいは流通経費の軽減というものをしていく、あるいはまた、売り込み方によっては今後販路もますます開いてくるんじゃないか、こういったことなども再認識をしたのじゃないか、こういうことを私は感じているわけであります。  この辺の、まず一つはそういった評価の問題、通産省としてどうされているか。それからもう一つは、やはりこれは少なくとも国の輸入政策というものが一歩寄与したんじゃないか、こんな考え方を教訓として持ってもいいんじゃないかと私は思うのですが、その辺ひとつ率直な御意見を、私は褒めてはかりおるのですけれども、何かあれば聞かせていただきたい。
  261. 奈須俊和

    ○奈須説明員 お答えいたします。  ただいまお話がございましたワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85、本フェアは、世界各国産品を展示しまして取引の促進を図るということを目的としまして行われました。特にこれは中部経済界のイニシアチブ、中部の各位の方々の努力のもとに開催されまして、先生お話しのように、通産省としましても輸入の促進にとって非常に意義が深かったと考えております。  特に会期中の総入場者数百八十八万人、これだけ多数の方々に輸入品に直接接触する機会を与えていただいたということ、逆に申せば輸入品にこれだけの方々が関心を持っているということが示されたこと、これはまさに我が国の人々が外国製品に関心を持っているんだということを示したという意味でも、輸入政策上非常に高く評価されてしかるべきものだと考えております。
  262. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 簡単に聞きますから。  やはりこれを教訓にして、私は今名古屋方式というのが評価されているとちょっと聞きますけれども、これを一つの教訓にして、東京とか神戸とかいろいろ通産省も企画されていると思います。全国のそういったできるところからどんどんと実施をして広げていくというのが一つ。それから、名古屋で来年もやったらどうだという話も実は正直に言ってありまして、継続性ということも大事だ、こういうふうに私は思うわけです。  その辺の、今後のいわゆる輸入政策という問題に関連をして、私はこういったことは非常にいいことだと思いますから、何か中曽根さんが、予算措置をしてもどんどんひとつやっていこうなんということをちょっと新聞でおっしゃっておったわけでありますが、そういう点も含めて、通産省としてもひとつ前向きに取り組んでいくべきじゃないか、こういうふうに思いますが、この点をお聞きしておきます。どうですか。
  263. 奈須俊和

    ○奈須説明員 先生お説のとおり、輸入の促進を図りますためには輸入品に対します国民の意識の高揚、輸入の商談機会の拡大ということが非常に重要でありまして、こういう観点からインポート・フェアというのは重要な役割を果たすと思います。このために、通産省といたしましては、さきの対外経済対策の決定に基づきまして、ジェトロ等を活用して輸入消費財の展示即売を行う大規模インポートバザールを全国三カ所で開催する、さらに我が国ビジネスマンとの商談会促進を図るための大規模輸入見本市等を開催したいと考えております。  先生、開催場所として神戸等というお話もございました。まさに検討中でございましてまだ決まっておりませんが、大規模インポートバザールにつきましては、東京、横浜、北九州。大規模輸入見本市、神戸というようなことが有力候補地に上がっているということは事実であります。こういうふうな輸入博を広範に開かれることが輸入促進のために好ましいと存じます。  ナゴヤ・インポート・フェアの場合には、まず全部の費用負担を地元で御苦心をいただいたわけでありますが、政府としてどうするか、政府の関与につきましては財源的な問題等もございますので、それぞれのインポート・フェアの効果、私どもでどこまでできるか、そういったことを十分考えて、できる限りの見本市が開催されるよう輸入促進策として進めてまいりたいと考えております。
  264. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 最後に地元の国鉄の問題でちょっとやってまいりますが、国鉄岡多線、これは第三セクターという問題で今地元では国鉄側からの要請を受けまして検討しているわけであります。  検討の結果はまだはっきり出ていませんが、いろいろと聞いておりますと、第三セクターとして経営していくには六十億円の借損料をゼロにしてもらいたい、岡崎駅とか高蔵寺駅の国鉄の駅舎をお借りしたい、あるいはまた地元の住民の利便に供するために、今一日十三本であるのをラッシュアワー時は一時間三本程度のあれにしてもらいたい、こういうことを言っているわけであります。特に借損料の問題は、運輸省あるいは大蔵省との相談ということになるのですが、無償譲渡ということもあり得るのではないか、また借損料がゼロでなければ第三セクターとして運営していかれない、これが絶対的な条件であるわけでありますが、簡単で結構でありますがその辺の見通しはあるかどうかお聞きしていきたいわけであります。どうですか。
  265. 梅崎壽

    ○梅崎説明員 使用費の問題に関しまして運輸省から御答弁申し上げます。  先生御指摘のとおり、岡多線につきましては有償資金を投入して建設をしてまいっておりますので、鉄建公団の経営上の観点からも、この有償資金の償還というのは何らかの形で行わなければならない事情にございます。そこで、この第三セクター化につきましては、現在国鉄におきまして地元と調整が行われているところでございまして、現段階で私どもの方で具体的に申し述べることは非常に困難でございますが、私どもといたしましては、この第三セクター化に関する調整がもう少し進みました段階で、今までの建設の経緯、それから第三セクターの経営上の問題等も含めまして検討調整してまいりたいと考えております。
  266. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうすると借損料ゼロということも考えてもいいんですね。それから今の駅の問題、そういった点ですね。
  267. 梅崎壽

    ○梅崎説明員 借損料に関しまして、一応法制度上は日本鉄道建設公団法二十三条の規定がございまして、原則的には有償ということになっておりますが、運輸大臣が特別の必要があると認めて指定した鉄道施設につきましては無償で貸し付けることができるという規定がございます。具体的にどの線をどういう取り扱いをするかというのは個別に判断すべき問題でございまして、この線に関しましてどのような取り扱いをするかは今後の問題であろうと考えております。
  268. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  第三セクターで鉄道を経営していきます場合に、地元に密着した運営を行うということが非常に大事なことであろうかと思うわけでありますが、岡多・瀬戸線つきましても、地元の利用者の意見をできるだけ反映するということが一番肝要なことであろうと思います。現在愛知県あるいは関係四市でもって具体的にどのような形でやるかということを検討中でございますので、そういうものができました場合には、国鉄としましても第三セクターにできるだけ協力してまいりたいと思っておるわけでございます。今御指摘の駅の共同使用というような問題とかそのほか実務上の問題があるかと思いますが、それの取り扱いにつきましては、第三セクターが設立されましたら、地元の御要望を十分踏まえた上で御相談させていただきたいと思っております。
  269. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 最後にもう一つ、国鉄瀬戸線の問題です。これは完全に私の地元なんです。私の家の上を高架が走っております。ところが工事がストップ、凍結されまして橋脚が雨ざらしになっている。高蔵寺―勝川間は昭和四十二年三月に工事に着手されまして八・七キロ、勝川-枇杷島間が昭和五十一年三月、十一・四キロでありますが、五十八年末までで用地買収費、建設費総計三百五十七億円かかっております。これがたなざらしになっておる。私はこの国家的損失は非常に大きいものであると思っております。今開業の見通しもさっぱり立っていない。ところが、よく聞いてみると、国鉄が運営していければ一日に四、五万ぐらいの乗客があって、環状線にしていけば相当人間が乗るのだ、採算も合うのじゃないかと言われている。これが今まで莫大な資金を投資して凍結されている。一部の工事はやっていることはやっていますが、今言いましたように開業の見通しが全然ない。これは一体どうするのですか。
  270. 梅崎壽

    ○梅崎説明員 お答え申し上げます。  瀬戸線の高蔵寺-枇杷島間につきましては、先生御指摘のような建設の状況でございます。この建設についてでございますが、この中で勝川-枇杷島間につきましては、五十八年八月に国鉄再建監理委員会の方から第一次緊急提言が出され、国鉄の設備投資抑制が指摘されまして、これを踏まえまして、当面私どもの方では公共事業、例えば河川改修事業とか下水道の整備事業あるいは道路整備事業、区画整理事業などというようなものと一体となって行わなければならないような工事に限定して進めておるところでございます。  それで今後のことでございますけれども、私どもとしては、当面国鉄の財政状況等を勘案しますと、工事費の節減も必要な措置でございますので、現在のところはこのような措置を続けてまいりたいと考えておりまして、開業の時期等につきまして具体的に申し上げるような段階にございませんことを御説明申し上げます。
  271. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私、これ以上言いませんが、いずれにしても確かに赤字路線になる可能性があるならばそれは大変でありますけれども、これは恐らく持っていき方によっては黒字路線になる可能性も十分あるわけです。だから、国鉄が運営しろということなんです。それが凍結されているということについて、住民の一人として私は納得できない。これは指摘をしておきたいと思います。三百五十七億円、莫大な国家的な損失になっています、今までやってきたものは。それは感じていらっしゃるでしょう、全然感じてませんか。再建委員会がそう言っているからやむを得ぬよという考え方ですか。それだけ聞かしてもらいましょう。
  272. 梅崎壽

    ○梅崎説明員 ただいま申し上げましたとおり、他の公共事業等と一体となって進めなければいけないものに限定して進めておりますけれども、この線自身の取り扱いに関しましては、中央線の状況とかという観点も踏まえまして今後検討すべきことであろうと思っておりまして、現在私ども完全に凍結しているわけではございませんので、既に今までかなり投資してきた経緯もございますので、もろもろの状況を勘案しながら今後検討してまいりたいと思っております。
  273. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 奥歯に物のはさまった言い方ですが、これ以上言いません。どうぞお帰りください。これはまた改めてやりましょう。  そこで、財政局長、自治大臣、今後地方自治体は高齢化社会にどう対応していくか、国際社会にどう対応していくか、高度科学技術社会、高度情報化社会にどう対応していくか。それにつれていわゆる行政サービスに対する住民のニーズも多様化してくるわけです。そういった観点からいいまして、抽象論でありますが、一つ地方自治体の行政サービスの自主性の確立、二つ目には、こうした住民のニーズを的確に把握し、効率的にこれを充足するための行政能力を向上させていかなければならぬ、三つ目には、今日まで議論が続いてまいりました安定的な財源の確保が必要であろうということを考える。  だから私は将来展望に立って、こういった観点から国から地方に対する交付金をどうすべきか、あるいは補助金制度を根本的に見直していかなければならないということなんです。だから、何の節操もない高率補助金の一律カットは大問題である。それから今財界等で起こっている交付税の引き下げ問題も大反対である。そういった一つの哲学、理念を持った将来の地方自治を構築していく責務が自治大臣あるいは自治省にあろう、私はこういうふうに思うわけでありますが、その辺はどうでしょうか。
  274. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 六十年度予算編成の焦点となりました国庫補助負担率の引き下げの問題につきましては、何回も申しておりますが、国と地方との間の機能分担のあり方を見直すことなく一律に補助金をカットすることは、国の財政負担地方に転嫁するだけでありまして、行財政改革の基本理念にも反しておると思っております。このようなことから、自治省といたしましては、地方団体の御意見を承りながら、国庫補助金の整理合理化というような問題につきましてもそういうような考え方で十分大蔵省と折衝してまいりたいと思っております。  先般の閣議で、大蔵大臣から来年度予算編成についてのお話がありましたときに、私は自治大臣として、こういう地方負担、補助金の場合には十分考えてやってもらいたいという御要望を申し上げたところでございます。したがいまして、国庫補助金の引き下げの問題につきましては、地方の立場と国の立場には食い違いがありまして、予算編成のぎりぎりの線まで解決を見なかった、それがやっと解決を見たのでありますが、やはり地方の事務事業として定着している、同化している、あるいは職員設置費の国庫補助金につきましては、自治省の今まで考えておりますような状況も踏まえながら一般財源化、あるいは交付金化という整理合理化を図っていく必要があると思っております。  国庫補助金の整理合理化につきましては、臨時行政調査会や地方制度調査会においていろいろの提言を行っておりますが、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化、一方におきましては地方の自主性、自律性を強化する見地から施策を講じていかなければならぬと思っております。具体的には事務事業の廃止とか縮減とか補助金の整理、いろいろな問題ございますけれども、今後とも地方団体と連絡を密にしながら、この地方住民のいろいろ変わっておりますニーズにもこたえながら、そしてまた一方において地方の活性化ということも図りながら、私は行革の理念にこたえる整理合理化を進めていかなければならぬという感じでございます。  そういう点におきましては、先生のただいまの御意見等もありましたように、何といっても地方の住民の仕事は地方の住民の手でという昔からの言葉、そういうのが実現できるような地方の自治あるいはまた財政的基盤ということにつきまして、交付税の問題につきましても、先ほどお話しになりましたように引き下げということは、これだけの借金があり、苦しい財政状況でありますので夢にも考えておりませんし、そういう場合は、私どもも徹底的にそういう措置には応じないというような観点から地方財源の充実確保に向かって努力をしてまいります。
  275. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 財政局長、財界に今地方交付税を引き下げるという意見もあるんですね。地方交付税法第一条の趣旨からいいまして、やはりこれは、私先回も申しましたが、「財源の均衡化を図り、」「地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」これが地方交付税法の第一条の精神であるわけですね。地方は国に比べて非常に富裕であるから、車の両輪であるならば、国が財政難に陥っているときは地方はやむを得ないじゃないか、そういった地方財政好転論、富裕論からこういう議論が出てくると私は思うのですね。だから、一律カットの後には地方交付税の問題をどうするかという問題は、そういったことが財界から今出ている以上、政府部内でも議論されてくると私は思いますね。  今自治大臣は、地方交付税は引き下げない、こういうお話でありましたが、決意は決意として結構なことでありますが、理論的な側面からこれはきちっとやっていかなければならない、私はそういうふうに思うわけでありますが、その辺ひとつ簡単で結構ですが、明確な理論づけをしていただけませんか。
  276. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 現行の地方交付税というのは、国と地方との間におきます行政事務配分と費用負担のあり方、あるいは地方税制及び国庫負担制度を総合的に勘案して定められておるわけでございます。そういうふうな交付税でございまして、しかも先生先ほど御指摘になりましたような目的を持ったものでございます。現に、一部の現象をとらえて地方団体富裕論ということも言われておりますけれども実態はそうでないことは十分御承知のとおりでございます。私どもも、この点につきましてはしっかりした理論構成をいたしまして、これは絶対にそういうふうなことはさせないという考えで臨んでまいります。
  277. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それでいよいよ補助金の問題ですね。今後六十一年度予算編成に向けての最大の焦点になってくる。三大臣覚書もあるわけでありますが、やはり各省は、これはどのように対応していくかというのが、私は一番お聞きをしたい。  まず、厚生省にお聞きをしておきますが、特に生活保護を含めた社会保障費、これが六十年度の一律カットの最大の標的になったわけでありますが、本当に一律カットは一年限りなんだ、六十一年度には必ず戻すんだ、概算要求においてももとに戻した概算要求をしていくんだ、それにはこういった考え方なんだ、こういう毅然たるものがあるわけですか。厚生省いらっしゃいますか。
  278. 末次彬

    ○末次説明員 お答えをいたします。  今回の措置は、先生御案内のとおり一年の暫定措置でございまして、今後の六十一年度以降の補助率のあり方につきましては、三大臣合意にもございますように、国と地方の役割分担、費用の見直し等とともに、政府部内におきまして検討することといたしております。厚生省といたしましても、社会保障あるいは社会福祉に対する国の責務、この点も十分踏まえながら、ただいま申し上げた点を含め、関係方面とも十分に相談しながら今後真剣に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  279. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 関係方面とよく聞いてやるというのですが、どうなんですか。概算要求ですね、恐らく私は、先ほど来お話がありましたように概算要求までにはこの結論は出ないと思う。予算編成の時点、私はそこでも結論が出ない、だから最後は、いわゆるまた昨年の年末と同じような経過の決着になってくるだろうという予想を合しているわけです。  そこで今もお話がありましたように政治決着だ、自治大臣はどういった決意で臨むんだ、こういうことですが、私は、その場合に厚生省も、一つは概算要求の時点においてはもとへ戻した要求をするのかどうか、それからどういった態度で理論構築を行って、いわゆる三大臣覚書の協議に従ってやっていくのか、そこのところを具体的にお聞きをしているわけです。どうも今の答弁ではしっくりしない。どうですか。
  280. 末次彬

    ○末次説明員 三大臣の申し合わせにもございますように、今後一年かけて検討していくということでございまして、現在の時点におきましては、概算要求につきましてはまだ白紙の状態ということでございます。検討の基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございまして、国と地方との役割分担、費用負担の見直し、この観点と同時に社会保障、社会福祉に対する国の責務という点、これもあわせ考えまして結論を出したいというふうに考えております。
  281. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そんなあいまいな態度では大蔵省にやり込められてしまうですよ。要するに憲法二十五条がどうか、生活保護法第一条がどうかという、そういったものはきちっとして、大体一割カットをやられたということについて、これはどういうふうにあなたたちが切歯扼腕をして、今度はこういうふうに臨んでいくんだというものが今なければ私は極めて不十分だ。まあ課長さんですからこれ以上申しませんけれども、本当に私は心配です。心配で聞いておるわけなんですよ。厚生省の立場を思い、社会保障費の充実、こういうことで私は心配して聞いている。どうもそこら辺のところが私は不安でいっぱいであります。  大蔵省へ聞きますけれども、大蔵省というのは私もよくそのやり方は知っているわけでありますが、とにかくこの一割カット、一律カットというのは恒常化したい。来年以降の「財政の中期展望」を見ましても、とても一割カットを恒久化をしていかなければ予算を組める状況じゃない、こういうふうに大蔵省は考えていると私は推察をいたしておるわけであります。  そこで余り新聞のことを言いたくないのですが、いろんな新聞に、大蔵省はいわゆる不交付団体から逆交付税を徴収し、財政の苦しい自治体に回して財政調整をしようとか、あるいは全国一律の補助金について、交付税と同様に自治体の財政力に応じて配分する、これを今度の三省間で開く補助金問題協議の場で提案するとか、あるいは六十一年度予算編成で地方自治体の財政事情が来年度以降余裕が生じるとして、その余裕金を一時的に借り上げる特例措置実施する方針、いわゆる地方への交付金特例措置で減算、借金ですかね、こういうことをいろいろ画策している、こういうことでありますが、それに対してどうだと言うと、検討していません、まだ決まっていませんという答弁が必ず返ってくるのが今までの通例です。  あるいはまた省内ではいろいろな議論もされているかと思うわけでありますが、一律カットというものについて本当にこういったことが議論されているのかどうか。あるいは、されていないとすれば一体どういった方針で――三大臣合意でありますからこういうふうにやりますという答弁が返ってくるかもしれませんが、あなたの方は来年度予算編成に対してどういった態度で臨まれるのか、この辺もあわせてお聞きをしたいし、それから財政局長に、今私が言いましたね、大反対だと思いますが、そういうことがあったらこういう理由で絶対承服できぬとはっきりと財政局長と大臣から答えてもらいたい。まず大蔵省。
  282. 田波耕治

    ○田波説明員 お答え申し上げます。  国の財政の状況につきましては、先生本当にお詳しくていらっしゃいますので今さら申し上げる必要もないかと思いますけれども、例えばことしの全体の予算規模というのは五十二兆円でございますが、そのうちの十兆以上が国債費、しかもこれはほとんど全部が金利分でございます。それから地方交付税が約十兆弱ございますので、それを除いてしまいますと三十二兆円にしかならない。それを我々は一般歳出と呼んでいるわけでございますけれども、そのうちの四割以上、十四兆円が補助金という名前がついた歳出項目になっている。したがいまして、予算を何とか削っていかなければいけないというときには当然補助金をどう削っていくかということが一つの大きなテーマになる。あるいは交付税一つの歳出項目として大きな項目であるということは否めないところでございます。  そこで、補助金をどういうふうに切っていくかについてはいろいろなやり方があるわけでございますが、たまたま六十年度予算におきましては補助率の引き下げ、あるいはそのほかにも一般財源化であるとか交付金化であるとかいろいろな切り口でやっていったわけでございまして、補助金をどうにかしてこれから縮減していかなければいけないという問題意識は私どもとして非常に強く持っておるわけでございます。  それから交付税の問題につきまして新聞紙上でいろいろな問題が出ているようでございますけれども、率直に申し上げまして現在私どもは、今参議院に回っております補助金の一括法案、あるいはそのほかにも大蔵委員会に非常に多くの予算関連法案があるところでございまして、まず六十年度予算関連法案を何とか早目に成立させていただいて、六十年度予算の執行を円滑に進めたいというところが精いっぱいでございまして、本当のところ、そういったものを具体的に検討しているという段階ではないということでございます。
  283. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 補助率が一律でなく、自治体の財政力に応じて差を設けることにつきまして御質問がございましたが、私どもは一律カットがいけないと言っておるのは、見直しをしないでやるのが悪いと言っておるわけでございまして、財政力で差をつけるのがよろしいと言っているわけでは毛頭ございません。一般論といたしまして、財政力等によって国庫補助負担率に差を設けることにつきましては、地方団体間の財源調整は地方交付税制度によって行うということにしておることにかんがみまして、国庫負担制度において行うべきものではないと考えております。また逆交付税制度につきまして、西独等でそういった事例も見られるわけでございますが、これはやはりそれぞれの成立のいきさつなり地方制度の問題、いろいろよって立つ基盤が違ってくるわけでございます。  先ほど申しましたように、現在地方団体間の財政力格差というものは、これを調整するには地方交付税制度というものがございます。その配分を通じて財源調整を図れば十分であるというふうに考えております。また現在の地方財政は、不交付団体といいましても、これは相対的に財政力が強いというだけでございまして、こういった問題も含めて、不交付団体も含めてこの地方財政基盤を強化すべきものであろうと私は現在でも考えているわけでございます。  このような問題につきましては、これを議論するとすれば地方制度そのもの、あるいはまた事務配分、財源配分全体について根本的な見直しをするというふうなことが行われなければ議論できない問題でございまして、そういう問題につきましては私どもは賛成はいたしません。
  284. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで大臣、いよいよこれから概算要求の時期、それから年末を控えての予算編成になってくるわけですね。それで、費用負担のあり方だ、役割分担を見直す、閣僚会議を設置する、あるいは実務者による懇談会、あるいはまた地方制度調査会だとか地方自治体の代表者、知事会、市長会町村長会、代表を集めてやられると思いますけれども、やはりそう簡単には結論は出てこないと思うのです。最終十二月に予算編成の時点で政治決着といいますか、そういったところに昨年末と同じような方向で来ると思うのですね。  だから私がお願いしたいのは、先ほどちょっと棒読みで答弁いただいたわけでありますけれども一つは必ず一律カットは六十年度限りにするんだという大臣の強い決意、そしてそれに対して、こういった方途でやれば本当に行政改革の趣旨に沿った、あるいは自治体関係者にも賛同が得られる補助金の削減ができますよという理論づけをした、だれが見ても納得ができる補助金の整理合理化案、これをひとつきちっとまとめなければならぬ。それから、その根底には決意も大事だし、そういう具体的な方途も大事かもしれませんが、やはり地方自治体、地方自治というのはこうあるべきではないか、それに従って補助金というのはこうあるべきだという理念といいますか哲学というものがなければならないと私は思います。この理念、具体的な方途、そして決意があって賛成が得られると私は思います。  私ども国会としても、やはりそういったものがあれば全面的に後押しをしてやっていきたいと思っております。今のうちにそういったものはきちっと策定をしていかなければならぬ、持っておらなければならない、こう思うわけでありますが、この決意と具体的な方策、そして理念、一遍ここできちっと披瀝をしていただきたい。足らざる分は財政局長の御答弁をいただいても結構だと思いますが、どうでしょうか。
  285. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 何といいましても地方自治体におきまして一番大事なことは税財源の確保ということ、地方の自律性、地方自治の確立を図るためにはどうしてもそういうような財政的な確立がなければできないと思っております。  そういう意味からいたしまして、補助金の問題につきましても、率直に申しますと各省が持っておる補助金につきまして、これはいい、これは悪いというような、自治省にはそういう立場もなかなかありませんけれども、そういうような点も十分頭に置きまして、地方の実際の状況から見てこういう補助金は定着化している、こういう補助金はもう廃止してもいいというような点もこの間に十分私どもで検討いたしまして、いつになるか知りませんが、この補助金カットの問題に対する来年度の問題につきましては、ことしじゅうに不退転の決意を持って頑張りますことを私ははっきり申し上げておきたいと思います。
  286. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 補助金の合理化案につきまして、私どもは昨年度補助金の整理合理化に関するメモをつくりまして、例えば人件費補助につきましてはこれを廃止しよう、あるいは、既に地方公共団体の事務事業として同化定着しているものにつきましては一般財源に振りかえること、また、集会所等住民に身近な施設の整備に対する補助金については廃止するようにというようなことを、具体の事例も若干挙げながら大蔵省に申し入れをしたわけでございまして、個々の補助金等につきましても十分議論を行ってまいったわけでございます。  本来、こういった補助金の合理化といいますものは、我々あるいは地方団体が申すまでもなく、その補助金を所管している省庁におきまして常に見直しをされるべきものだと私どもは考えておるわけでございます。またこれは、財政当局においてもそういった考え方は常に持たなければならぬものだと思います。それが、地方自治体と変わったような見方でそういうことをされるということに問題があるのではないかと思います。私どもは、引き続き地方団体とも十分お話し合いをしながら、具体の案につきまして大蔵省に対して、また関係省に対しても要請をしてまいりたいと存じております。
  287. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣から不退転の決意ということも聞きましたし、財政局長からも、確かにおっしゃるとおり各省庁がやるべきなんです。ところが、なかなか補助金の整理合理化というと、総論は賛成だけれども各論は反対ということで難しいと思う。だが、やはりやっていかなければならない今の財政状態だ、こう思いますし、行政改革の理念に照らして、これはきちっと断行していかなければならないと思いますね。ひとつそういったことできちっとしたものを出していただいて、また国会の場でも議論をしてまいりたい、こんなふうにも思っておりますし、どうかひとつ今の大臣の決意のようにしっかりやってください。  それから最後に、大きな問題で、時間があと五、六分ということでありますが、中曽根さんは戦後政治の総決算を決意されておる。地方自治というものを考えた場合に、昭和二十二年の地方自治法の制定以来、町村合併の促進とかあるいはいわゆる政令都市制度というのができた。それ以来、余り地方自治法についての抜本的な改正というのがなされていない。先ほど来私が申しましたように、都市化の進展ですとかあるいは住民意識の変化、ニーズの変化、交通、情報分野の技術革新、あるいは高齢化社会の到来、地方はこういった大きな節目にかかっている、こう思いますね。  今こういった問題で、地方自治法の改正というもの、これがいよいよ次の大きな議題、議論をしていかなければならないときに来たのじゃないかな、こういうふうに私は思いますが、ひとつその辺のお考えと、それから最後に行政局長から、具体的にはそういった指摘についてどう考え、制度をどういうふうに改革していくか、御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思うのであります。
  288. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 住民のニーズの変化、人口の高齢化、また先端技術の進展、地方の生活にはいろいろの新たな要因が加わっております。そういうものに対処いたしまして本当に自治を確保してまいるということになりますと、まだまだ権限の移譲とかいろいろの問題が残っておるのでございまして、そういう点も国においての施策を進捗させますと同時に、私どもは、必要によりましては地方自治法の改正、検討ということも、時代のニーズにどういうふうにしたら合うかというような点につきましても、十分ひとつ慎重に検討いたしまして、地方自治の確立のために一生懸命に頑張ってまいりたいと思っております。
  289. 大林勝臣

    ○大林政府委員 今後の地方自治行政を展開してまいりますための課題についての御質問でございますが、御指摘のような最近におきます住民の価値観の多様化に機動的にこたえてまいりますためには、検討すべき問題としては、大きく分けて二つの問題があると思います。  一つは、もう戦後長い間言われてきた国と地方関係の見直しの問題であります。結局は、価値観の多様化に機動的に応じ切れずにおりますのは、やはり住民に身近な事務が住民に身近な団体におりていないということ、さらには、仮におりておりましても、機関委任事務という枠がはまっておる事務が大半を占めておること、こういったことが一つの大きなチェックになっておると思います。こういった事務移譲あるいは機関委任事務の見直しの問題、さらには、国と地方が車の両輪と言われておりますように、機能分担という立場から考えました場合には、やはり地方の施策に関する国の政策につきましては、地方の代表者から適切な意見が反映されるような仕組みというものが今後考えられてしかるべきであろうと思います。  二つ目の大きな問題は、地方団体自体の組織運営の改善の問題でございます。もちろん、住民の多様な意思を吸い上げてこれを着実に行政に反映し得るように、地方議会の活性化を図るべきではないか、こういう御意見もございます。国と同じように議会運営委員会、こういったものを設けたらどうかとか、あるいは参考人制度、現在ございませんけれども、こういうものも新たに設けたらどうかとか、さらには、公正な行政執行という前提で、監査機能の強化ということが当面の一つの大きな問題にもなっております。今後さらに、民間の機能の活用という面から申しましても、現在の財務管理全般についてやはりもう一度見直していくべき問題があろうと思います。  最後に、これだけの日常生活の広域化というものに対応しますための行政機構としまして、広域行政機構、これを法的にどう位置づけていくかという大きな問題がございます。国と地方関係地方自体の問題、この両面に分けて、いろいろな御意見、地方制度調査会、六団体あるいは当委員会の御意見を承りながら勉強してまいる所存でございます。
  290. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 時間が参りましたのでやめますが、今最後に行政局長から地方自治体関係者の意見を聞きながらやる、こういうお話がありましたので、これ以上申しませんが、我々が地方議会関係者と接していますと、将来二十一世紀を目指して、高齢化社会、医療、福祉、年金の問題をどうしていくんだ、あるいは高度情報化社会だ、あるいは国際化社会だ、こういった進展に果たして地方自治というのはどうあるべきかということを真剣に今地方の人たちは考えているわけでありまして、私は、こういったことを踏まえて問題を提起したわけであります。地方自治法の改正をする、こういうことでありますが、どうかひとつ、そういった自治体関係者の意見も、あるいは各界各層の意見も聞きながら、万遺漏なきことを心から要望いたしまして、私の質問を終わります。
  291. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  292. 高鳥修

    高鳥委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。糸山英太郎君。
  293. 糸山英太郎

    ○糸山委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案に対して賛成の意見を表明するものであります。  今回政府によって提出された地方交付税法等の一部を改正する法律案は、第一に、昭和六十年度分の地方交付税の総額について所要の加算を行うとともに、地方交付税の単位費用を改正すること、第二に、当せん金付証票の収益金の使途の弾力化、公営競技を行う地方団体の公営企業金融公庫に対する納付金制度の延長及び拡充を図ることなどを内容とするものであります。  まず第一に、昭和六十年度分の地方交付税の総額については、国庫補助負担率の引き下げに伴う地方の財源不足を補てんするため、千億円を加算することとしております。  また、地方財政対策において、後年度地方交付税の総額に加算することとした千三百五十五億円について、既に交付税の総額から減額することとされている三百億円を控除した千五十五億円について、昭和六十六年度から昭和六十八年度までの地方交付税の総額に加算することとしております。  さらに、昭和六十年度の普通交付税の算定については、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げに伴い増加する経費に対し所要の財源を措置し、あわせて生活保護基準の引き上げ等に要する経費の財源を措置することとするほか、地方債による措置の縮減に伴い必要となる投資的経費を基準財政需要額に算入するため単位費用を改定することとしております。  第二に、地方財政法、当せん金附証票法及び公営企業金融公庫法の改正についてでありますが、まず、当せん金付証票につきまして、その収益金の使途を弾力化するとともに、最高賞金の倍率制限の緩和を図る等の改正を行うものであります。  また、公営競技を施行する地方団体の公営企業金融公庫に対する納付金につきまして、納付期間の延長、納付率の上限の引き上げ等を行うとともに、同公庫の債券の発行に関する規定を整備することとするものであります。  これらの措置内容とする政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢、国及び地方の財政状況等を考慮しつつ地方財政の円滑な運営を図る適切なものであると認められますので、これらの法律案に賛成するものであります。  なお、地方財政は引き続き巨額の借入金残高を抱え、今後とも厳しい財政運営を余儀なくされるものと見込まれますが、政府におきましては、地域社会の健全な発展と地域住民の福祉の向上に果たす地方団体の重要な役割にかんがみ、今後とも地方行革の積極的な推進を図るとともに、地方団体に対する財源措置の一層の充実に努めるよう強く希望するものであります。  以上をもちまして、政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の討論を終わります。(拍手)
  294. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、安田修三君。
  295. 安田修三

    安田委員 私は、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、日本社会党・護憲共同を代表し、反対の討論を行うものであります。  昭和六十年度末の地方財政の借金残額は約五十六兆円と推定されております。数字だけを比較すれば、国の赤字国債百三十三兆円に比し約四〇%少ないように見えますけれども地方税と国税の比率は三対七と圧倒的に地方税の比率が少ないことを考えれば、実質的な借金の比重は、むしろ地方財政が重いと言わなければならないのであります。  地方交付税を含めた租税総額に占める自治体への実質的な財源配分は、昭和五十二年の八〇%をピークに、今日は六九・九%に低下し、昭和四十年代前半の水準に逆戻りしているのであります。また、行政事務においては、約四百を超す機関委任事務の存在によって地方には過重の負担になっているのであります。したがって、地方が国より豊かであると言われる余地は全くないのであります。  以下、本案の反対の諸点について申し上げるものであります。  第一は、六十年度地方財政計画五十兆五千二百七十一億円は、極度の支出抑制と、地方税収の伸び及び地方債でようやく収支の均衡を図るようにしたものであります。これは国の歳出抑制のつじつま合わせの結果であります。  第二は、補助金の一律削減による五千八百億円の国の補助負担金の地方への肩がわりは、まことに無責任と言わなければなりません。極度に切り詰めて、形式的には地方財政計画の赤字を出さないようになったにもかかわらず新たな借金を背負わされ、その補てんは不完全であります。今回の措置は、国と地方との財政秩序を乱すものであります。また、削減された経常的経費の財源補てんを一般財源によらず地方債で行うため、基準財政需要額算定のやりくりで取り繕うなど、交付税算定のあり方も問われるのであります。  第三は、昨年、交付税特別会計からの借入金をやめ、今日の方法に変えましたが、今年は現状の本則による措置によらないで、地方債償還の一部を国が交付税特別会計に繰り入れるという処理の方法をとりました。全くその場当たりの財源方式と言わねばなりません。標準行政という名のもとに地方自治が抑えつけられ、その操りの道具に交付税が変質する危険が出てまいっております。財源保障という交付税の本質をぜひとも確立しておかなければなりません。  第四に、本年度交付税交付金は、前年度当初に比し一〇・九%の伸びとなっております。しかし、昨年度に決定した特別会計の地方分担による本年度利子充当分三千六百九十四億円が差し引きされ、既往利差臨特など一千三百五十五億円が六十六年度以降に加算されることにより、著しく減額されました。しかし、前年度繰越分によってようやく体面を整えたものであり、本来の交付税総額に著しく不足し、三税の三二%分の九八・五%を満たしたにすぎないのであります。  地方交付税総額の安定的な確保を図ることは、自治発展のため急務であります。また、行政需要の変化と増大に対応し適切な行政需要を見積もるため、基準財政需要額の算定方法の簡素化、適正化を図ることが必要であります。  第五に、地方財政法の一部改正による公営競技の公営企業金融公庫納付金制度の納付金額引き上げは慎重にすべきであります。公営競技収益金の均てん化を図るという趣旨はもっともとしましても、国が行うべき地方公共団体への財源確保の努力地方公共団体間に転嫁するようなことになってはならないのであります。今回の措置によって弱小施行団体に過重な負担をもたらし、その自治体及び関係労働者の雇用や労働条件に圧迫を加えるおそれがあるのであります。  改めて申し上げるまでもなく、地方公共団体の公債費比率は年々上昇し、危険信号と言われる二〇%を超える団体が、昭和五十八年度決算ベースで八百二十団体を超え、財政の硬直化が進んでいるのであります。自治省が閣議決定を盾に進めようとする地方行革の押しつけだけでは、今日までみずから行革をなしてきた地方自治体に、今度は画一化、中央集権化をもたらし、地方自治は死んでも財政の好転はあり得ないのであります。今こそ財政構造の健全化を図るため、地方の独立財源である地方税の充実及び地方交付税引き上げを行うべきであります。  以上をもって反対討論といたします。(拍手)
  296. 高鳥修

    高鳥委員長 小谷輝二君。
  297. 小谷輝二

    ○小谷委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行うものであります。  以下、その主な理由を述べます。  まず初めに、昭和六十年度地方財政対策についてであります。  昭和六十年度地方財政は、福祉、医療、教育費等のいわゆる高率補助金について補助負担率の一律カットが行われようとしておりますが、これは地方財政にとって極めて重大な問題を提起しております。  すなわち、現在の補助負担率は合理的根拠に基づき定められたものであり、仮に補助率を変更するには、その前提として、国と地方の機能分担のあり方が検討されなければなりません。ところが、今回の削減措置は、国の財政再建だけを理由に、そのしりぬぐいを一方的に地方に押しつけたものと言わざるを得ないのであります。  また、今回、経常経費部門の補助率削減は生活保護費、児童福祉等社会保障関係費であり、これらは本来国の責務により行われるべきものが大半であります。これらの点についての検討もなされず、一方的な削減措置は国の責任の放棄につながるものであります。  このように、今回の高率補助負担金の一律カットは、地方への負担転嫁が強要され、分権と自治の精神に反した財政措置と言わざるを得ないものであります。  さらに、今回の国庫補助負担金の地方転嫁により、地方財政は地方債の増発を余儀なくされております。これが後年度における借金返済のための公債費率を一層押し上げる結果になり、六十年度地方財政対策は今後の地方財政に重大な支障を来すものであることは言うまでもありません。  これが反対の第一の理由であります。  次に、国、地方を通じての行財政改革についてであります。  政府は、既に地方行革大綱を発表し、地方自治体みずからの手による地方行革の推進を強力に指導することとしております。  しかしながら、このような地方自治体みずからの行革の結果として生じた余裕財源が、その地方自治体によって住民のために使用されるのではなく、今回の高率補助金引き下げによる国の負担転嫁の財源に充てられてしまうことになれば、地方自治体の行革に対する熱意を奪う結果になりかねないのであり、大きな疑問を抱くものであります。  地方行革の現状を見るとき、地方においても改革すべき点が少なくないのであります。しかし、地方自治体における事務の大半は、国の機関委任事務を初め厳しい規制が加えられ、また団体委任事務についても、職員配置などの必置規制や国の関与などによってがんじがらめに縛られているのが実情であります。地方行革を進めるならば、まずこのような国の規制を外すことが前提となることは言うまでもありません。  しかるに、今回、政府が行おうとする国の関与の是正や必置規制の是正案は、地方自治体の要望とはほど遠いものであり、これによって地方行革の実が上がるとは到底考えられないのであります。したがって、政府は、国、地方間の行財政の簡素合理化等について一層の努力をすべきであります。  これが反対の第二の理由であります。  次に、地方財政計画についてであります。  六十年度地方財政計画は、五十年代以降の財政危機に伴う借金返済のための公債費が急増し、計画の一一・二%を占めております。また、給与費等の経常経費が四〇%を占めるなど、財政の硬直化が著しくなっております。このため、自治体の単独事業は抑制されるなど、六十年度地方財政は依然締めつけが厳しく、地方財政の自主性が望めないものとなっております。  地方自治体は、高齢化、都市化、国際化、高度情報化など、新たな時代への変化に対応し、個性的で心豊かな活力ある地域社会の実現に取り組んでいかなければならないのであります。そして、一口に地方財政といっても、三千三百余の大小の自治体があり、その態様は千差万別であります。各自治体が実態に即した財政運営を進めるためには、どうしても交付税率の引き上げによる一般財源の確保が必要であると考えますが、これに対しても十分な措置がとられておりません。  また、地方の現状を考えたとき、現行の国主導型の地方財政制度では、地方実態に即した行政運営に十分対応することができず、制度実態に追いつかないというのが実情であります。  したがいまして、この際、事務財源について大幅移譲を断行すべきであると強く要求いたしまして討論を終わります。(拍手)
  298. 高鳥修

    高鳥委員長 岡田正勝君。
  299. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、反対の討論を行います。  その主な理由の第一は、今回の法改正は地方富裕論、すなわち金持ち論の観点に立ち、大なたを振るった補助金一律カットを背景とした地方財政の硬直化を招く大改悪であります。  第二は、補助金の整理合理化に名をかりた補助金一律カットはまことに乱暴きわまりないものでありまして、その中身は行財政改革のかけらもなく、事務事業や権限の移譲もなく、ただ単に国の負担地方へ転嫁させるというだけの施策でありまして、この法案はそのための裏づけにしかすぎません。よって、強く反対を表明するものであります。  さて、きょうは発明の日、百年目であります。百年前の明治十八年のきょう専売特許条例太政官布告が出たのであります。しかもその第一号の免許は、何と皮肉なことにさびどめ塗料でありました。願わくは、私たちのこの反対討論が三千三百有余の地方自治体の硬直化を防ぎ、活性化と財源確保のために有効なさびどめとして役立つことを期待して、反対討論を終わります。(拍手)
  300. 高鳥修

    高鳥委員長 経塚幸夫君。
  301. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました政府提出地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、財源保障に対して国が負うべき責任を放棄しておるばかりか、逆に負担地方に転嫁し、地方財政の危機を一層促進しているからであります。  今日、地方財政は五十六兆円の借入金残高を抱え、危険ラインと言われる公債費比率二〇%を超える団体は、全体の四分の一を上回る八百二十団体に達しています。これは、四年前の実に六・四倍に当たっておるのであります。  ところが地方交付税は、相次ぐ制度の改悪により、伸び率は臨調行革以前の四年間の伸び五二・八%から実に八・四%へと大幅に抑制され、実質交付税率は五十六年度の三四・五%から三一・五%へと三ポイントも引き下げられているのであります。  国庫支出金に至りましては、四二%の伸び率であったものが、わずかに四・五%とはいえマイナスとなっているのであります。  とりわけ、都道府県のすべてと市町村の八割以上が反対したにもかかわらず強行されようとしている生活保護費など国庫負担金と補助金の削減は、地方公共団体負担を転嫁するような施策を行ってはならないと地方への負担転嫁の禁止をうたった地方財政法に反するとともに、国民の生存権と国の社会的使命を明記した憲法二十五条、さらに憲法九十二条の地方自治の本旨に反するものと言わなければなりません。  補助率引き下げによる地方への負担転嫁は、地方財政の危機を一層激化させるばかりか、さらに生活保護費の受給抑制や地方単独の福祉施策の切り捨てを招くことは必至であります。  第二の反対の理由は、国の責任放棄、地方への負担転嫁は、地方財政の危機促進とともに、住民への負担を一層増大するからであります。  地方財政収支試算と地方財政計画を比較するならば、歳出面では、住民生活に欠かせない諸需要額の抑制や人勧を無視した地方公務員の給与の抑制など、五千百億円の圧縮が行われております。また、歳入面では、住民税の減税見送りや固定資産の評価がえ等による地方税の大増税、使用料、手数料の引き上げなど住民負担は一層強められようといたしております。  昭和六十年度地方財政計画は、第二次臨時行政調査会設置後四回目の計画でありますが、この四年間の推移をそれ以前の四年間と比較をいたしますと、歳出規模の大幅な圧縮と歳入面での住民負担の一層の強化が歴然としておるのであります。  財政規模の伸び率は、五四・五%から一三・四%に抑えられ、一般行政経費は、五三・六%から何とわずか八・七%に、投資的経費は、六四・七%から〇・六%と住民のための事業が大幅に抑制されておるのであります。  しかも、歳入面では、地方税が三一・四%、使用料、手数料は二五・一%と、いずれも地方財政計画規模の伸び率一三・四%を上回る高い伸び率に見られますように、住民の負担は急増しているのであります。  百一国会に提出されました地方財政収支試算では、財源不足額は一兆五千百億円とされておったにもかかわらず、年末の地方財政対策の中では、補助率引き下げを前提としない場合、財源不足額はゼロ、収支は均衡したとされたのであります。しかし、これは明らかに、財政需要額の不当な圧縮と住民負担増によってつくり出された収支均衡と言わなければなりません。  最後に、国は口を開けば、国と地方は車の両輪を強調しております。  しかし、臨調行革、四年間のGNPに対する国と地方の歳出規模は、地方はマイナス二・九%と大幅に抑えられ、国の抑制率を上回っておるのであります。しかも、国の歳出内訳は、社会保障費が昭和五十五年の三・三一%から六十年度は三・○四%に、教育費は一・七七%から一・四五%といずれも下がっておるにもかかわらず、防衛費は〇・九〇%から〇・九九七%へと上昇し続けておるのであります。  その上、国民が納めた租税の実質的配分は、地方が六・八%減らされ、その分国への配分がふやされておるのであります。まさに、車の両輪と臨調行革とは、軍事費突出、地方と国民犠牲以外の何物でもないと言わなければなりません。  以上が、本法案に対する反対理由であります。  今日、地方財政再建のために求められておる方策は、第一に、地方交付税率の引き上げと事務権限の民主的再配分に立った税源の移譲など国が十分な財源を保障すること、第二に、産業用電気に対する非課税や固定資産税の課税標準の特例など大企業優遇税制を改めること、第三に、交付税、起債、補助金を通じての介入、干渉をやめ、財政自主権を強化すること以外にないと考えるものであります。  さらに政府は、今日地方の行革なくして国の行革の成果は上がらない、地方行革元年などといって臨調地方版を強行しようとしております。  しかし、むだを省き、住民本位の行政を効率的な機構で進めるための真の行政改革は、住民の福祉、サービス向上を第一義的に、地方公共団体、特に住民の創意と創造性によって下からつくり上げられるものであり、上からの強要は、逆に真の行革、地方自治の発展を阻害する結果となるということを申し上げまして、討論を終わります。(拍手)
  302. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  303. 高鳥修

    高鳥委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  304. 高鳥修

    高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  305. 高鳥修

    高鳥委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して平林鴻三君外三名より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。平林鴻三君。
  306. 平林鴻三

    ○平林委員 私は、この際、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四党を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきます。     地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、厳しい地方財政の状況等にかんがみ、次の諸点について善処すべきである。  一 国と地方の事務・事業の見直し及び補助金の一般財源化、交付金化等その整理合理化に当たっては、国の行政責任の明確化、地方制度調査会の答申の尊重、地方公共団体との十分な協議及び地方財源の確保について特段の配慮を払うこと。  二 地域行政の一層の推進に資するため地方交付税総額の安定的な確保を図り、公債費比率の上昇、一般行政費の増大等に適切に対処するため基準財政需要額の算定方法について検討し、地方交付税制度の拡充に努めること。  三 高率補助率の一律引下げに伴う建設地方債の増発分の元利償還金については、後年度において補てんする措置を講ずるとともに、今後、制度の見直しをすることなく国の財政負担を一方的に地方に転嫁しないこと。  四 公営競技納付金の率の引上げに当たっては、小規模開催団体に対して配慮を加えること。  五 退職者医療制度の創設に伴う市町村国民健康保険事業会計における負担増加については、国において完全に補てんすること。  六 公営交通事業、特に中小交通事業の交通環境の整備を促進するとともに、一般会計との間の経費負担区分の適正化等により、その事業基盤の強化を図ること。  七 地方公共団体実施する行政改革の推進に当たっては、その自主性を尊重するとともに、地方団体等の意見を尊重し、機関委任事務の廃止等地方の行政改革の障害となっている事項の解消に努めること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  307. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました、  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  308. 高鳥修

    高鳥委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、古屋自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古屋自治大臣。
  309. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して、善処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  310. 高鳥修

    高鳥委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  311. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――     〔報告書は附録に掲載〕
  312. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、内閣提出住民基本台帳法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。古屋自治大臣。     ―――――――――――――  住民基本台帳法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  313. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 ただいま議題となりました住民基本台帳法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  住民基本台帳制度は、市町村において住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務処理の基礎とするとともに、住民の住所に関する届け出等の簡素化を図るため、昭和四十二年に創設されたものであり、市町村長は住民基本台帳を備え、住民からの届け出等に基づき、住所、氏名、生年月日、性別、本籍、続柄等個々の住民に関する事項を記録することとされ、これらの事項は原則として何人に対しても公開されているところであります。  しかし、近年における社会一般のプライバシー意識の高揚や情報社会の進展等の社会情勢の変化に伴い、国民のプライバシー保護に対する関心が高まりつつあり、現行の住民基本台帳制度についてもさまざまな問題点指摘され、閲覧等の制度の見直しを含め、住民に関する記録の適正な管理を求める声が強くなってきております。  このため、こうした情勢に対処し、住民基本台帳制度における住民に関する記録のより一層の適正な管理を図ることを目的として、住民基本台帳法について所要の改正を行おうとするものであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。  次にこの法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、目的規定の改正についてであります。これは、住民に関する記録の適正な管理を図ることが住民基本台帳制度の目的の一つであることを明確にしようとするものであります。  第二に、住民に関する記録の適正な管理についての市町村長等の責務の明確化についてであります。これは、市町村長に、住民に関する記録の管理が適正に行われるように必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨の責務を課するとともに、何人に対しても、住民基本台帳の閲覧等により知り得た事項を使用する場合に当たっては、個人の基本的人権を尊重するよう努めなければならない旨を定めようとするものであります。  第三に、住民基本台帳の閲覧及び住民票の写しの交付等に関する規定の整備についてであります。これは、現行法の公開の原則に対して、最近における社会情勢の変化に即し、住民に関する記録の適正な管理を図る観点から、一定の合理的な制限を加えようとするものであります。  まず、住民基本台帳の閲覧につきましては、請求者はその請求事由等を明らかにすべきものとし、市町村長は、請求が不当な目的によることが明らかなときまたは閲覧により知り得た事項を不当な目的に使用されるおそれがあること等の当該請求を拒むに足りる相当の理由があるときは、当該請求を拒むことができるものとするとともに、閲覧対象事項の制限を行おうとするものであります。  次に、住民票の写しの交付につきましては、戸籍の謄抄本の交付に準じて、請求者はその請求事由等を明らかにすべきものとし、市町村長は、請求が不当な目的によることが明らかなときは、当該請求を拒むことができるものとするとともに、住民票記載事項証明書の制度化、住民票の写しの交付に際して省略できる記載事項の追加等を行おうとするものであります。  さらに、戸籍の附票につきましては、戸籍に準じて閲覧を廃止するとともに、写しの交付につきましては、住民票の写しの交付の規定を準用しようとするものであります。  また、住民基本台帳の閲覧及び写しの交付等の制度の改正に伴い、偽りその他不正の手段により住民基本台帳の閲覧等をした者に過料を科する旨を定めようとするものであります。  以上のほか、住民基本台帳制度における住民に関する記録の適正な管理を図る観点から、住民基本台帳事務の電子計算機等による処理のために必要な規定の整備を図ること、市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿を閲覧等に供する場合における責務を明確にすること、市町村長の委託により住民基本台帳に関する事務の処理に従事する者等の責務を明確にすること等関係規定の所要の整備を行おうとするものであります。  以上が住民基本台帳法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  314. 高鳥修

    高鳥委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十五分散会      ――――◇―――――