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1985-02-08 第102回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年二月八日(金曜日)     午前九時三十七分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君 理事 岡田 正勝君       伊藤 公介君    榎本 和平君       大村 襄治君    工藤  巖君       小杉  隆君    坂本三十次君       中川 昭一君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    松田 九郎君       山岡 謙蔵君    五十嵐広三君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       田中 克彦君    細谷 治嘉君       山下八洲夫君    渡辺 嘉藏君       小谷 輝二君    宮崎 角治君       吉井 光照君    藤原哲太郎君       経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 古屋  亨君  出席政府委員         警察庁刑事局長 金澤 昭雄君         自治政務次官  小澤  潔君         自治大臣官房長 津田  正君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治省財政局長 花岡 圭三君         自治省税務局長 矢野浩一郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計企画官    中島 義雄君         厚生省保健局国         民健康保険課長 近藤純五郎君         建設省道路局道         路総務課長   真嶋 一男君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ――――――――――――― 委員異動 一月二十九日  辞任         補欠選任   大西 正男君     長谷川 峻君   小杉  隆君     河野 洋平君 二月八日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     榎本 和平君   河野 洋平君     小杉  隆君   細谷 治嘉君     田中 克彦君   安田 修三君     渡辺 嘉藏君 同日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     江崎 真澄君   小杉  隆君     河野 洋平君   田中 克彦君     細谷 治嘉君   渡辺 嘉藏君     安田 修三君 同日  理事愛知和男昭和五十九年十二月十九日委員  辞任につき、その補欠として愛知和男君が理事  に当選した。     ――――――――――――― 一月二十九日  昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税  の総額特例に関する法律案内閣提出第七号  ) 昭和五十九年十二月二十五日  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願上草義輝紹介)(第三四五号)  同(上村千一郎紹介)(第三四六号)  同(衛藤征士郎紹介)(第三四七号)  同(大村襄治紹介)(第三四八号)  同外一件(小坂徳三郎紹介)(第三四九号)  同(塚原俊平紹介)(第三五〇号)  同外八件(葉梨信行紹介)(第三五一号)  同(原健三郎紹介)(第三五二号)  同(与謝野馨紹介)(第三五三号)  同(渡辺省一紹介)(第三五四号)  同(大西正男紹介)(第四〇三号)  同(小泉純一郎紹介)(第四〇四号)  同(林義郎紹介)(第四〇五号)  同(町村信孝紹介)(第四〇六号)  同(池田行彦紹介)(第四七三号)  同(沢田広紹介)(第四七四号)  固定資産税増税反対に関する請願原健三郎  君紹介)(第三五五号)  同(池田行彦紹介)(第四七五号)  地方財政対策に関する請願赤城宗徳紹介)  (第四〇一号)  料理飲食等消費税免税額引き上げ等に関する  請願正森成二君紹介)(第四〇二号)  小規模住宅用地固定資産税等凍結に関する請  願(松本善明紹介)(第四〇七号)  地方公共団体への財政負担反対に関する請願  (石原健太郎紹介)(第四七二号)  国庫補助負担率引き下げ反対に関する請願(北  口博紹介)(第四七六号) 昭和六十年一月十日  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願相沢英之紹介)(第六八五号) 同月十七日  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願石川要三紹介)(第七六四号)  同(大塚雄司紹介)(第七六五号)  同(田中六助紹介)(第七六六号)  同(与謝野馨紹介)(第七六七号)  固定資産税増税反対に関する請願田中六助  君紹介)(第七六八号)  同(浜野剛紹介)(第七六九号)  同(深谷隆司紹介)(第七七〇号)  同(与謝野馨紹介)(第七七一号) 同月二十二日  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願外四件(臼井日出男紹介)(第一〇六  八号)  同外一件(小此木彦三郎紹介)(第一〇六九  号)  同(三原朝雄紹介)(第一〇七〇号)  固定資産税増税反対に関する請願臼井日出  男君紹介)(第一〇七一号)  同(三原朝雄紹介)(第一〇七二号) 同月二十八日  地方財政拡充等に関する請願井上一成君紹  介)(第一一八九号)  地方自治体への国庫補助削減反対等に関する請  願(柴田睦夫紹介)(第一一九〇号)  地方自治体への国庫補助削減反対に関する請願  (野口幸一紹介)(第一一九一号)  固定資産税増税反対に関する請願阿部文男  君紹介)(第一一九二号)  同(岸田文武紹介)(第一三一二号)  国庫補助負担率引き下げ反対に関する請願(大  村襄治紹介)(第一一九三号)  同(近藤元次紹介)(第一一九四号)  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願外一件(岸田文武紹介)(第一三一一  号) 同月三十一日  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願外二件(鳩山邦夫紹介)(第一三五四  号)  同(甘利明紹介)(第一四一八号)  同(河村勝紹介)(第一四一九号)  同(浜田卓二郎紹介)(第一四二〇号)  同(渡辺朗紹介)(第一四二一号)  固定資産税増税反対に関する請願金丸信君  紹介)(第一三五五号)  同(鳩山邦夫紹介)(第一三五六号) 二月一日  地方公共団体への国庫補助削減反対等に関する  請願伊藤茂紹介)(第一四九三号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第一四九四号)  同(経塚幸夫紹介)(第一四九五号)  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願上村千一郎紹介)(第一四九六号)  同(宮下創平紹介)(第一四九七号)  同(志賀節紹介)(第一五八二号)  同外六件(葉梨信行紹介)(第一五八三号)  地方自治擁護等に関する請願外一件(藤田スミ  君紹介)(第一四九八号)  地方自治体への国庫補助削減反対に関する請願  (瀬崎博義紹介)(第一四九九号)  同(中島武敏紹介)(第一五八五号)  固定資産税増税反対に関する請願志賀節君  紹介)(第一五八四号) は本委員会に付託された。 一月三十一日  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願(第七六六号)及び固定資産税増税反  対に関する請願(第七六八号)は「田中六助君  紹介」を「三塚博君外一名紹介」にそれぞれ訂  正された。 二月八日  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願坂田道太紹介)(第三〇二号) は委員会許可を得て取り下げられた。     ――――――――――――― 一月三十日  国庫補助負担率引き下げ反対に関する陳情書外  五十件  (第一〇二号)  地方財政充実強化に関する陳情書外十四件  (第一〇三号)  自動車運転免許課税に関する陳情書外四件  (第一〇四号  )  地方都市税源充実強化に関する陳情書  (  第一〇五号)  航空機燃料譲与税に関する陳情書  (第一〇六号)  普通交付税算定資料早期通知に関する陳情書  (第一〇七号)  救助業務実施基準制定に関する陳情書  (第一〇八号)  暴力行為取り締まり強化に関する陳情書  (第一〇九号)  固定資産評価替え等に関する陳情書  (第一一〇号)  新産財特法期間延長に関する陳情書外一件  (第二五五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税  の総額特例に関する法律案内閣提出第七号  )  個人事業税にみなし法人課税制度適用に関す  る請願坂田道太紹介)(第三〇二号)の取  下げの件      ――――◇―――――
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。これよりその補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。  それでは、愛知和男君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、請願取り下げの件についてお諮りいたします。  本委員会に付託になっております請願中、個人事業税にみなし法人課税制度適用に関する請願(第三〇二号)につきまして、紹介議員であります坂田道太君から取り下げ願が提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 高鳥修

    高鳥委員長 内閣提出昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案議題とし、趣旨説明を聴取いたします。古屋自治大臣。     —————————————  昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税   の総額特例に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 古屋亨

    古屋国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  昭和五十九年度補正予算により、同年度分地方交付税の額が千四百九十七億円増加することとなりますが、このうち本年度において普通交付税調整額の復活に要する額二百二十五億円を除いた残余の額千二百七十二億円を昭和六十年度分地方交付税総額に加算して同年度に交付することができることとする必要があるので、昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律を制定することとし、所要の規定を設けることとしております。  以上が、昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  8. 高鳥修

    高鳥委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  9. 高鳥修

    高鳥委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  10. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ただいま大臣から提案がありました五十九年度地方交付税特例に関連をいたしまして、地方税にかかわる問題を御質問し、大臣の答弁をいただきたいわけでありますが、たまたまきょうは予算委員会で、大臣はそちらに赴くようでありますから、冒頭で大変失礼ではありますが、交付税にかかわる地方税との関係について最初に御質問を申し上げておきたいと思います。  新聞でも大変問題になっておりますが、京都市における古都保存協力税について最初質問申し上げ、大臣所見をお聞きいたしたいと思うのであります。  これは京都の市議会あるいは京都そのものにおいても大変多くの問題があるやに聞いております。古都税の是非の問題やあるいは寺社関係者との話し合い経過、その他たくさんの課題があるようでありますが、きょうは時間の関係でそれらの経過省略をさせていただきますが、古都税実施許可をめぐりまして問題になっている点のみ御質問申し上げてみたいと思うのであります。  京都市は、四月実施に向けて予算措置議会で可決をし、同時にまた、この法定外普通税の問題については既に二年を経ているようであります。そして進達が自治省に出され、今、自治省で検討中であるということを聞いておりますし、また、この問題をめぐりまして、京都市長自治大臣との間で電話でやりとりがあったということを新聞報道で私どもは知りました。  この際、私は大臣にお聞きをいたしますが、法定外普通税許可について大臣裁量権というのは一体どの辺にあるのでございましょうか。すなわち、今回のこの例をとってみますと、法定外普通税許可、そして知事を通します自治省に対する上申につきましては、それぞれ法定外普通税許可するに条件的には整っている、したがってこれを進達する、こういう経過になっているものであります。  この際、自治省として、法定外普通税許可する大臣裁量権というのは、いわばそういう許可をするにふさわしい条件が整っている場合には、これらを許可せざるを得ないという条件が私はあるのではなかろうかと思うのであります。すなわち、許可するについては大臣は自由にその裁量を持つのではなくして、一定条件下における裁量権大臣意思として、あるいは自治省のいわば許可権として存在をするのであって、その条件が整備されておれば法定外普通税に対する許可という問題は自治省大臣の権限として存在をする、こういうふうに私は理解をするのですが、いかがなものでございましょうか。  ついででありますが、これに伴って京都市では、この法定外普通税をできれば四月実施をしたい、こういう状況でありますが、聞くところですと、京都市の税を徴収する例あるいは税を徴収される側双方に、大分まだ問題が解決してないやに聞いております。したがって、もしこれを大臣裁量によって許可した場合に起きる将来の問題等を考えてみますると、自治省としては相当指導しなければならない条件があるのではなかろうか、実施については指示をする条件があるのではなかろうか、こう推察をされるわけであります。  したがって、自治省としてはこの問題に対するどのような指導体制、あるいは市に対する助言を行おうとされておられるか、ひとつ大臣所見をお聞きしたい、こう思います。
  11. 古屋亨

    古屋国務大臣 ただいま加藤委員から、京都におきます法定外普通税自治大臣許可につきまして、自治大臣としてこういうものの許可について裁量権があるかないか、またそれを今度の場合にはどういうふうに扱っておるかという御趣旨のお話でございますが、自治大臣としましては、地方税法規定に基づきまして、内容がこの法律に定める一定の要件に合致すればこれを許可しなければならない、こういうことになっているわけでございます。  昨年八月に申請が出されましたこの古都保存協力税につきましては、自治省におきまして現在その内容を審査しておるのでございますが、自治大臣として審査の結果に基づいて法律の定める判断を下さなければならない立場にあるわけでございます。しかしながら、京都市の条例におきまして、古都保存協力税特別徴収義務者として予定されております寺社相当数条例実施に強い反対意思を表明しておることは御承知のとおりでございまして、自治大臣許可を受けて京都市が条例実施しようとするならば、拝観停止を行うというような動きも出ておるところでございます。  このため、この条例をめぐる大きな混乱を避けましてこの税の適切な、円滑な実施を行うことが必要であると考えておりますので、申請者である京都市に対しまして、市長さんにも寺社との話し合いを強く行っていただきたいということを要請しておるところでございます。  現に、京都におきましては、第三者のあっせん動きも出ておると聞いておりまして、いましばらく地元のあっせん話し合いの成り行きを見守ってまいりたいと考え、本条例許可に関する判断を留保しているところでございます。
  12. 加藤万吉

    加藤(万)委員 議会でも多数で可決されているという状況でありますし、京都と言えば、何といっても神社仏閣をめぐって国民的な、まさに古都としての歴史的な遺産があるわけですから、そこで混乱が起きないような措置をぜひとも大臣でとられることを強く要請いたしまして、この問題に対する私の質問は終わります。  どうぞ大臣、結構でございますから……。  それでは引き続きまして、五十九年度地方交付税総額特例に関して二、三御質問を申し上げてみたいと思います。  この特例法律は、そのもの自身は極めて短い条文でありますが、問題は五十九年度の全体の予算、そしてまた六十年度予算及び交付税にかかわる問題を内包しておりますがゆえに、六十年度予算にかかわる問題の部分も含めて若干質問をいたしたいと思うのであります。  最初に、大蔵省にお聞きをいたしますが、五十八年度剰余金受入額、すなわち、端数は省略をいたしますが、三千九百八十四億円、このうちで交付税算定基礎となるべき三税の総額はお幾らでしょうか。
  13. 中島武敏

    中島説明員 三税のうち、法人税の増が三千三百五十億、酒税の減が二千四百五十億でございます。
  14. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、地方交付税の五十九年度交付税額千二百九億というのはその三税に基づく額ですか。
  15. 中島武敏

    中島説明員 失礼いたしました。  私がただいま申し上げましたのは五十九年度税収の増でございまして、今申し上げました税収の増に伴う三税分は二百八十八億でございます。そのほかに五十八年度交付税精算分が千二百九億ございまして、その基礎となります三税分は、法人税増加が三千二百七十四億、所得税増加が九百七十八億でございます。
  16. 加藤万吉

    加藤(万)委員 年度を五十八年と明確に申し上げたはずでございますので、初めの質問で数字が間違ったものですからちょっとぎくっとしました。  それを今年度剰余金、いわば歳入補正部分から一般会計に歳出をいたしまして、残りが、三千九百八十四億から今言いました千四百七十九億円ですね、千二百九億と二百六十九億を足しまして、それを差し引いて二千五百六億。本来はどうでしょう、今財政再建途上でありますから、この剰余金国債整理基金に引き当てをして、国債整理基金すなわち国債償還に充てるべきではないですか。いかがでしょうか。
  17. 中島武敏

    中島説明員 剰余金のうち、地方交付税算定基礎となっておりますうち、地方交付税に当然回すべきものはいわばひもつきのものでございまして、それを差し引きました純剰余金使途につきましては、ただいま先生の御指摘のとおり、本来でございますと全額国債整理基金に繰り入れるというのが基本であろうと私どもも認識いたしております。  その純剰余金使途につきましては、まず大原則財政法の第六条にございまして、そこでは二分の一を下らない額を公債償還財源に充てなければならないと書いてあるわけでございますが、政府といたしましては、昭和五十年度以来特例公債償還までの間は全額公債償還財源に充てるという方針をとっておる、その結果として本来は全額国債整理基金に繰り入れるというのが基本方針となっておるわけでございます。  しかしながら、五十九年度追加財政需要につきましては、まず災害復旧でございますとか義務的経費増加など、例年と同様の一般的な追加財政需要がございましたほかに、人事院勧告取り扱い決定、これは三・四%のアップでございますが、それに伴う相当規模給与改善費がございます。それに加えて本年度は、健保法の改正が当初予定よりもややおくれましたことに伴って相当規模追加が必要となるなど、追加財政需要の面で大変厳しい事情にございました。他方、その財源については、税の増収を見込みますとともに、既定経費の節減でございますとか予備費の減額など、その財源捻出のためにぎりぎりの努力を図ったわけでございますが、それでもなお多額の財源不足が残るという状況にあるわけでございます。  この財源不足を解消する措置といたしまして、災害復旧に要する経費につきましては、建設公債発行千八百五十億円によりまして確保することにいたしたわけでございますが、なお財源不足というのがございましたために、五十八年度に生じました純剰余金、これは二千五百六億でございますが、それについてその二分の一は財政法規定がございますので、公債償還財源として国債整理基金特会に繰り入れることにいたしたところでございますけれども残りの二分の一につきましては、特例公債追加発行を避けるという観点から、やむを得ず一般財源に充てさせていただいたという事情でございます。
  18. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私はおっしゃることはわかるのですよ。財政需要があり、そして追加需要額があり、同時にそれを新たな国債処理することが極めて難しいということはわかるのです。  しかし一方、国債整理基金が御案内のような大変な状況にあるわけですね。ですからこそ私は、閣議でもあるいは財政処理基本的な方向としても、剰余金についてはできる限り国債整理基金に繰り入れる、こういう措置をとられているんだと思うのですね。したがって私はこういう形、いわば剰余金が出たからその二分の一を一般会計に、五十九年度歳入に入れてそれで処理をするということが、結果的に国民の目から見ますとどのくらいの、いわゆる国債発行の中の重みといいましょうかあるいは重圧といいましょうか、そういうものがあるかということがしっかりとつかめてこれないと思うんですね。  剰余金剰余金処理はする、一方需要に対してはこれだけの国債を、例えば災害復旧で今度千八百五十億出すわけですけれども、そういう形を明らかにすることによって国債整理基金国債処理ですね、百二十二兆ですか、やがて来年度予算が通れば百三十三兆になるわけですが、そういうものに対する国民的関心と、それを何とかしなければならぬという国民的な合意が得られるんだと思うんですね。何か余った金が出た、これを一般会計に使って、帳面づらでいけば国債発行高は実はこれだけ減りましたよ、そういう手段をとるべきではないと思うのです。これは六十年度予算に係る問題ですけれども大蔵省としてもそういう原則を貫きながら、同時に、片方では国債発行せざるを得ないわけですから、国民にそういうものを明らかにすることによって、国の財政状況というものを国民に知らしめていくということが必要だろうと私は思うのです。私は、ぜひそういう措置をとるべきではなかったかということを重ねて申し上げておきたいと思うのです。  それからいま一つ。五十八年度剰余金がこれほど出たわけですね。五十九年度財政見通し、どういうふうに思いますか。世上では、新聞なんかによりますと、大蔵省は、今度の補正をやっても二千億ぐらい自然増収があるだろう、新聞などでは、五十九年度は景気の状況その他から見て、四千億から六千億くらいまでふえはしないか。そうしますと、同じような状況が六十年度補正に生まれてくるのか。それとも、六十年度国家予算あるいは地方財政を見ましても、率直に言って五十九年度よりも税の収入が多く見込まれるという状況にあるようですよ、経済的な展望から見ましてもあるいは大蔵省試算等を見ましても。  そうしますと、五十九年度剰余金を、今度は六十年度を超えて、六十一年度の当初予算一般財源として使うということも可能になってくるわけですね。五十九年度の決算が、恐らくこの六十年の八月ないしは九月のごく上旬にはできるでしょうから、それに基づいて六十一年度一般財源としてこれを取り込む、取り入れるということも不可能ではないわけですが、まず見通しと、そういう剰余金が出た場合にその剰余金の扱いがどうなるか、あるいは今年度補正と同じような形で処理されるのか、その辺の見解を大蔵省からお聞きしておきたいと思うのです。
  19. 中島武敏

    中島説明員 まず第一に、先生御指摘のように国債整理基金が今大変厳しい、六十年度末で一兆円を割り込むかもしれないというような厳しい状況に追い込まれているということから見ますと、ここにできる限り財源を充実させるような努力をすべきであるという点はまことにそのとおりであろうと思います。  したがいまして、私どもは今後とも剰余金処理につきましてはかねての基本方針を最大限守ってまいりたいと考えておるところでございますが、五十九年度補正につきましては、先ほどのような事情で、もし剰余金の二分の一を活用しなければその分は特例公債の増発に向かわざるを得なかった事情でございましたので、ぎりぎりどちらを選ぶかという選択のもとでとらせていただいた措置であるということをまず御理解賜りたいと思います。  それから、五十九年度剰余金でございますが、剰余金の発生がどうなるかにつきましては、まず第一は予備費の不用がどうなるか、第二はその他の歳出の不用がどうなるか、第三に税収など歳入の増減がどうなるかという大きく三つの要因によって左右されるわけでございます。このうち予備費の不用が確定いたしますのは三月末でございまして、その他の歳出の不用額について概数を把握できるのは五月の下旬ごろでございます。  それから、税収等の歳入増減の目途は七月初めごろにならないとなかなか把握できないという事情がございまして、全体を合わせました五十九年度の決算見込み額については、現時点では何とも申し上げられない状況にございます。  五十九年度剰余金が生じた場合にどのような処置をするかというお尋ねでございますけれども、これにつきまして、今回の措置はもうやむを得ない状況のもとで講じたぎりぎりの措置だという認識でございますから、私どもといたしましては、剰余金処理につきまして従来の基本方針を放棄したというつもりは全くございません。したがいまして、今後とも剰余金が生じた場合には、その全額特例公債償還財源に充てるという方針を最大限堅持してまいりたいと考えておるところでございます。
  20. 加藤万吉

    加藤(万)委員 おっしゃいましたように、国債整理基金の残高がまさに一兆円を切っておるわけですから、五十九年度剰余金についても、できる限りというよりもその原則に忠実にあってほしいと思うのです。もしも今回のような形が、私が後半述べましたように、六十一年度一般財源としてまさに取り込まれるということになりますと、今の財政運用の混乱をさらに増幅することになるわけですね。したがってそういう混乱はできる限り避ける、そういう方向をぜひ強く私は大蔵省に要請を申し上げておきたい、こう思います。  次に、今お話に出ました交付税ですが、六十年度にこの交付税額持ち越したわけですね。どうなんでしょうか、五十九年度、まだ三月三十一日は参りませんが、それぞれの地方団体はこの五十九年度交付税に対する財政需要というものはなかったんでしょうか。あるいはこれを六十年度に持ち越しても今の地方団体は影響がない、そういうふうに御判断をされたんでしょうか。自治省にお聞きしたいと思います。
  21. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十九年度地方財政の今後の見通してございますけれども、今回国の補正予算がございまして、それについての地方負担が若干ふえてくるものもございます。また、御承知のように、給与改定の財源等もございます。これらにつきましては、御承知のように、給与改定財源につきましては千百億円先組みをしておりますし、また追加財政需要額を既に交付税で配分しております。こういったもので措置ができる。  また、今回、国の補正予算に伴います地方負担の増加につきましても、この追加財政需要の範囲内におさまりますし、また地方債の増発で賄える。例えば災害等につきましては、これは全額地方債で賄えるわけでございますので、現在の段階では、このいわゆる調整戻しと申しますか普通交付税算定におきます財源不足額の差額、この分を二百二十五億円交付する。また、今後の税収増加見込みもある。そういうふうなことで、今後十分地方財政は賄えるというふうに考えておるところでございます。
  22. 加藤万吉

    加藤(万)委員 今度調整戻しが二百幾らですかございますね。最初にちょっとお聞きしますが、今度の調整戻し額は、それの対象になった財政需要額のどのくらいになるのですか、何分の幾つぐらいになるのですか。私は千分の一だというふうにお聞きしたのですが、どのくらいでしょうか。対象になるものがあったらひとつ教えていただきたいと思います。
  23. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 千分の一・一六程度でございます。
  24. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうしますと、財政戻しが二百二十五億ですか。ですから、千分の一・一を戻してみますと大体二十三兆ないしは二十四兆になるのでしょうかね、千分の一で二百億ですから。二百億で千分の一ですと二十兆ですから、数字的には二十二、三兆になるはずですね。  さてそこで、私は去年ここで審議をいたしました五十九年度交付税にかかわる全体の地方財政計画というものを、いま一遍見直す必要があるのではないかと実は思うのです。と申しますのは、去年は御案内のように交付税は全体で三二%を切りました。当委員会でも大変問題になったところであります。あるいは投資的経費などはマイナスの三・三%で、投資的経費を圧縮しました。結果的に地方財政計画そのものは大変圧縮をされたわけですね。その結果として、今言った交付税についてもあるいは地方の財政需要に対する対応についても、私どもはこの委員会を通しましても、それは大変じゃないか、地方にはもっと財政需要があったものをそこで圧縮をし過ぎてしまったんじゃないか、こういうお話をしたわけですよ。結果として五十九年度交付税の戻し、いわゆる交付税の額が再配分され、配分される額が今度出ました。これを六十年度に繰り越さずに、五十九年度に地方団体が財政を縮小したその額に引き当てることはできないのでしょうか。  例えば償還財源があります。あるいは去年は一兆五千二百億だったですか二十億だったですか、ちょっと数字的には明確ではありませんが、地方債の発行がありました。これなんかの残分については三月の末に発行されるというふうに聞いておるわけです。そうなりますと、ここで地方交付税千二百億のお金を地方に配分することによって、先ほど局長は財政需要がないとおっしゃいましたけれども、そういうものに引き当てることも不可能ではないと思うのですね。あるいは財政圧縮をしたために地方単独事業をそれぞれ見送りました。しかし、ここで交付税が来たことによって、単独事業をひとつ追加事業としてやってみようじゃないか、それは五十九年から六十年度にまたがる事業になるかもしれませんけれども、やってみようじゃないか、そういうことも考えられると思うのですね。  問題は、ここで地方交付税の配分される額があるとするならば、それは地方団体の中で財政の調整をやるべきであって、国が、五十九年度はこれだけあったけれども六十年度に回しました。そして今度は六十年度予算を見てみますと、確かに一千億特別交付税はついておりますけれども、一方では利差臨特とか特交の分が一千四百何がし、今度六十六年度に送り込まれているわけですね。こういうこと等を考えてみますると、いわゆる年度間調整という問題を地方団体に預けるべきであって、国の、自治省の側で年度間調整をすべきでない、こう思うのですが、これについての見解をひとつお聞きしたいと思うのです。
  25. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十九年度の当初におきましては、地方財政は国と同一の基調によりまして歳出の抑制等を行ったわけでございます。しかし、地方財政につきましては大変現在赤字を抱えておるというふうな状況でもございますので、いろいろの財源対策を講じたわけでございますが、その中で、先生先ほど御指摘の地方債の増発措置、一兆二千五十一億円ございますけれども、これを今度の交付税で返せないかということでございます。  理論的にはそういうことも考えられるわけでございますし、現在の地方財政全体として見ればそういうことを計算できますが、個々の団体にとってみますと、全国三千三百の団体がそれぞれ財政運営を行っておるわけでございます。仮に、交付税上再算定を行う、地方債の充当率を引き下げるというふうなことを現在やりますと、これは大変財政の運営上困難を生ずるのではないか。ではほかに、過去の起債の繰り上げ償還はどうかということも考えられるわけでございますけれども、これはやはり地方債といえどもかなり現在市場に流通しておりますので、債権者の利益を奪うような繰り上げ償還ということも問題がある。そういったことから、今回このような措置をとらしていただくことにしたわけでございます。  特に私ども考えますのは、六十年度地方財政、これはやはり、六十年度におきましても地方財政というものは大きな借金を抱えておるということもございますので、中期的財政の健全性を確保する意味から申しますと、五十九年度にこれを使わないで六十年度に使用した方がいいのではないか。もちろん、法律基本と申しますか、地方交付税でふえたものは、もともと建前からいえばこれは地方団体で繰り越して使うということが原則だろうと思います。しかし、先ほど申しましたように、地方財政が非常な困難にあるとかそういう状況におきましては、中期的な展望のもとに、この交付税を繰り越すということも許されるのではなかろうかというふうに考えて今回の措置をとることにしたわけでございます。
  26. 加藤万吉

    加藤(万)委員 交付税会計が単年度主義、そしてその重心——私はいつも当委員会でも申し上げているのですが、国の財政需要がまず優先してしまって地方財政を見ていくという、その見方が大変私は不可解なんですね。確かに五十九年度の各都道府県を含めて、地方団体の決算状況が好転していることは間違いないと私は思うのです。あるいは六十年度もそういう見通しが持てるような気がするのです。したがって、そういうことが大体見通せるから、国の財政需要がこういう状況なので、交付税を五十九年度に配分すべきものを六十年度に回すという見方はどうも私は納得がいかないし、そういうあり方で自治省交付税問題を取り扱ってはいかぬという気がするのですよ。まだ、例のオイルショックの後出した赤字地方債、いわゆる特例債ですね、抱え込んでいる都道府県あるいは市町村も含めてですが、あるはずですよ。  きょう私、神奈川県の財政予算新聞で発表になりましたから、あれを見まして、六十年度と六十一年度でようやく赤字特例債の償還をしてゼロにするのだという長洲知事の談話が載っておりました。そういう財源をまず地方自治体に確保してやる、そういう状況の上に立って国の財政をもう一遍見てみる、こういう見方をぜひしてほしいものだ、私はこう思うのです。先ほど私、一兆五千億と言いましたけれども、一兆二千億、確かに御指摘のとおり五十九年度の地方債の発行もあるわけですね。恐らく三月末現在で、そのうちの交付税の配分によって幾らかは現金で、地方債の発行なしで済む市町村や都道府県もあったのではないでしょうか。  そういうことを考えてみますと、交付税を六十年度に持ち越すということについてはどうも合点がいきません。むしろ、そういう財政状況を温かい目で地方団体を見てやる、そういう措置大蔵省自治省の間でぜひ交わされて、自治省はその側に立って今後の処理をしていただくようにぜひお願いをしたい、私はこうお願いをしておきます。  次に、今度の補正予算の中で、道路整備の特別会計に二百六十九億円。いわゆる揮発油税から前倒しで入っておりますが、この特別会計に入りましたお金二百六十九億円はどういう性格のお金でしょうか。建設省、道路会計の関係の方にひとつお聞きしたいと思います。
  27. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 お答えします。  五十九年度補正といたしまして、五十八年度の揮発油税等の収入額の決算額が予算額を上回った額、これを私どもは決算調整額と申しておりますが、これが二百六十九億円余でございます。このままでございますと、本来の道路整備緊急措置法上の制度そのまま適用いたしますと、六十年度分に充てるということになっておるのでございますが、これを五十九年度に繰り上げて充てることにいたしたい、そして現下の経済情勢にかんがみて景気の持続的な拡大に資するようにしたいということの特例措置をお願いしているものでございます。
  28. 加藤万吉

    加藤(万)委員 六十年度に戻入されるべき揮発油税を五十九年度の道路特別会計に入れて、現下の不況に対する——不況といいますか景気刺激に対する財源としてこれを使用する、こういうお話でございました。  どうでしょうか。重量税ですね、私いろいろ調べさしていただきましたが、重量税がオーバーフローの状況にありますね。この重量税のオーバーフロー、すなわちお金が、逆に言えば使い切れないという言葉を使っていいのでしょうか、我々世俗な言葉で言えばオーバーフローになったわけでありますが、この重量税が、五十七年度でオーバーフロー分が千四百十二億円ですか、五十八年度で千六百億円、五十九年度が一千九十六億円。四千百八億円オーバーフローになっている、こういうことですか。これはどうしてこういうオーバーフローの状況になっているのでしょうか。
  29. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、五十七年度以来三年間にわたるいわゆるオーバーフローが五十九年までに四千百八億ございます。これは申し上げるまでもないことでございますけれども、自動車重量税は法定の特定財源でございません。その成立の経緯、これまでの使い方等から、私どもは道路の特定財源ということでずっとお願いしておるわけでございますが、そういう性格と、それから国のいわゆるシーリング、国の財政事情ということから、これだけの金を大蔵省が、国の財政が苦しいから、ひとつしばらく預からせてくれということでお貸しした形にしておるということでございます。
  30. 加藤万吉

    加藤(万)委員 問題は、国の道路財源に見合う、地方団体なりあるいはその道路財源がこれをカバーすることはできないんじゃないですか。結局国の道路財源補助なり、あるいは対象あるものに対する交付金的な要素をもってやるんでしょうが、それをカバーするだけの地方団体における財源措置、すなわち地方財政計画でもそうですけれども、その中に出てくる数字でもそうでしょうが、投資的な経費としてこれをフォローすることができないという面から、その財源、今四千百八億、大蔵省がどうも一般財源が今日ありませんから、ひとつしようがない、貸してくださいというだけではないのじゃないですか。いかがでしょう。
  31. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 ただいまオーバーフローの原因につきまして、そういう地方財政上の理由があるのではないかという御指摘でございますが、私どもはそのようには考えておりません。
  32. 加藤万吉

    加藤(万)委員 少しこれは後でまた六十年度交付税のとき、あるいはまた税法のときに、ひとつ十分討議をさしていただきたいと思うのです。  そこでお聞きをしますが、五十八年度の揮発油税はそういう形で前倒しをされて、景気刺激策をおとりになりました。五十九年度は、これは六十一年度精算分がどういう形で、マイナスになるかプラスになるかわかりませんけれども、六十一年度に用意をされると思うのですが、六十年度予算を見させていただきましたら、揮発油税の税収が揮発油税等特定財源ですが、これが五十九年度より少ないのですね。五十九年度は一兆五千九百億円、六十年度は一兆五千七百億円です。これはどういうことですか。
  33. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 ただいまの数字でございますが、六十年度予算から地方道路整備臨時交付金という制度を設けまして、揮発油税の十五分の一を道路特別会計に、一般会計を通さずに直接入れるという制度を道路財源の安定的確保のためにつくったのでございますが、それをいたしましたためにそういう形に見えるということでございます。
  34. 加藤万吉

    加藤(万)委員 五十九年度補正では、従来になく五十八年度調整額歳入として繰り入れて前倒しをされました。六十年度の本予算では、今おっしゃられましたように、地方道路整備臨時交付金ですか、こういう形でお入れになった。これは予算書の説明には書いてありませんが、こういう措置をさらに三年続けるというように新聞で報道されたのを私は見たのですが、そうでございましょうか。
  35. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 お答えいたします。  現行の第九次道路整備五カ年計画の期間が六十、六十一、六十二と三年間ございまして、その間この仕組みをやらせていただきたいというふうに考えております。
  36. 加藤万吉

    加藤(万)委員 五十九年度補正では、今おっしゃいましたように、前倒しで景気を刺激する、六十年度予算では、揮発油税等いわゆる特定財源は、千百十億円を一般会計を通さずにこの道路財源に繰り入れた。しかもその手法は、予算書によれば地方道路整備臨時交付金、しかもそれを三年続けるというわけですね。いわゆる従来の揮発油税の税の扱いや財源の扱いと、この三年間は変わるわけですね。しかも一般財源は全体として歳出の抑え込みがありまして、一般会計は余り伸びません。防衛費だけは別ですけれども一般会計は伸びませんという中で、特定財源だけ、千百十億円だけ外に出しまして、いわゆる一般会計としては伸びは大変抑えました。したがって、地方団体は補助金もカットします、生活保護を初めその他も全部カットします、公共事業費も五%カットします、そういう繕いを表通りはしまして、裏ではこの千百十億円という道路財源一般会計を通さないわけですから、予算上には財政の伸びとして何%としては出てこないわけですね。そういう手法というのはよろしいのでしょうかね。  先ほど揮発油税の十五分の一という額は——額と言った方がいいのでしょうか率と言った方がいいのでしょうか、どこで決められたのですか。
  37. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 今、千百十億をなぜ道路特会に直接繰り入れることにしたのかという御質問でございますけれども、私ども道路整備を進める立場から申しますれば、国の財政事情に左右されることなく、安定的に道路財源を確保して、第九次道路整備五カ年計画の達成を図りたいということでこの制度を導入させていただいたということでございます。その他いろいろな仕組みを検討したわけでございますけれども、この制度が、現在の道路、地方に対するいろいろな需要に対応するに適切であろうということでこういう形にさせていただいたということでございます。  それで十五分の一の根拠でございますが、私どもが今イメージしております地方に対する道路の整備の状況を勘案いたしますると、残事業から見まして、おおむね千百十億を地方のそういう規模の事業に充てるのが適切であろうというふうな判断をさせていただいたということでございます。
  38. 加藤万吉

    加藤(万)委員 汗をかきかきの答弁ですから、気持ちはわからないことはございませんけれども、結局自民党さんの方から公共事業投資は少ないじゃないか、一般会計の方でもっとふやせ、こう言ったら、一般会計はそんな財政の伸びをそこだけはできません。したがって、一般会計を通さずにここで千百十億円を上げていった。しかも、先ほど重量税の問題を聞きましたが、道路特別会計で来年度は千二百億借り入れをするわけですね。合計で二千三百億の揮発油税を借入金で道路財源を全体として膨らませて、そして公共事業投資に向けた。しかも、それはいわば重量税の片方の見合い分、四千百億円ありますけれども、多少それの見合い分も含めてそういう財政措置を講じられた、これが本当のところではないのですか、私は、これは六十年度にかかわる問題ですからこれ以上申し上げませんけれども。  それと、十五分の一について明確なお答えがありませんでした。地方の財源は大体このくらいだろう、こういうお話ですけれども、これはあなたの御説明ですと無限大になるのですね。地方の道路を整備するには、ことしは千百億円でした。来年は二千億になるかもしれませんね。一般財源を通さずに揮発油税がこういう形で道路財源に入るということに対するどこかの歯どめが何かなければ、一兆五千億余の揮発油税の、事によれば、まあ全額とは言いませんけれども、そういう処理をされる可能性すらある。あるいはそういう道を開いたことになるのではないかと私は思うのです。地方財政計画の審議の際にもじっくりと議論をさせていただきますが、私はそういう感がしてなりません。  そこで、時間がありませんからいま一つお聞きをしておきますが、この地方道路整備臨時交付金という形で財政支出をされるわけでありますが、これは地方団体にどういう配分をされるのでございましょうか。
  39. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 交付金の配分方法につきましては、目下検討中でございます。
  40. 加藤万吉

    加藤(万)委員 目下検討中ということでありますが、財政局長、地方財政計画を二月一日にいただきました。これを見て、今の道路財源の問題を見ましたら、千百十億円それぞれ地方財政計画として載っているわけですね。そして歳入に地方交付金で、国庫支出金で入ってくるわけですが、同時にそれを財源として使用する面もある。どうでしょうか、国が補助金という形でもし出すとするならば、これは裏負担を地方団体はつけなければなりません。結果的にはこの財政計画に裏負担、いわゆる地方の団体負担額が表示をされなければなりませんし、伝え聞くところによると、これは、千百十億円のお金は直、地方団体への交付です。したがって、地方負担というものはこれによって生じないというお話も実は聞いておるわけです。  そこで、今建設省からもお話がありましたように、目下これは調整中だ。恐らく自治省大蔵省、建設省、当事者間の話はいろいろあるでしょう。これは私は聞きません。しかし最終的には、お聞きするところですと閣議によって決定をする、こういうことだそうでありますから、私は自治省の側としてはこの地方財政計画、すなわち地方団体がそれによって財政需要が生じないような折衝をぜひされるべきだと思うし、また建設省の側もそういう立場でこの問題の扱いをしていただきたいと思うのであります。  今のやりとりをお聞きした上で、今建設省からお話がありましたが、これは十五日前後の閣議でその取り扱いを最終的には決めるということでありますが、自治省側としては、私の言ったような意向を受けて調整に臨まれる気持ちがあるかどうかお聞きしておきたいと思うのです。
  41. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 この交付金は、他の交付金と同じように地方単独事業に充てるものであるというふうに私どもは考えておりますので、地方財政計画上も単独事業の長期計画事業費の中での道路整備事業に計上しているところでございます。したがいまして、これについて補助金と同じような裏負担があるものとは考えておりません。
  42. 加藤万吉

    加藤(万)委員 建設省の方、今そういうお話がございました。私は客観的な基準をぜひ設けまして、地方負担がなくこの処理ができるような措置をぜひ講ぜられるように、閣議もそういう方向で決定をされるように、事務当局、担当者の方からも強く要請を、建設の担当——大臣の方になるのでしょうかあるいは財政局になるのでしょうかよくわかりませんが、要請をしていただきたいと思うのですが、最後にひとつ御意見を聞かせてください。——ちょっと無理ですか。
  43. 真嶋一男

    ○真嶋説明員 この交付金につきましては、これまでの補助金制度とは異なった地方の自主性を尊重したものとして考えていきたいと考えております。
  44. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ありがとうございました。終わります。
  45. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、吉井光照君。
  46. 吉井光照

    ○吉井委員 質問が若干重複するかもわかりませんが、お許しを願いたいと思います。  まず初歩的なことをお尋ねをしておきます。地方交付税は国税三税の三二%、このように決められておりますが、これは地方の固有財源ととらえていいか、まずこの点からお尋ねしたいと思います。
  47. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方交付税は、おっしゃいますように地方団体の固有財源であると考えております。
  48. 吉井光照

    ○吉井委員 であるならば、ある年度に発生をした国税三税に対応する地方交付税というものは、当然その年度に地方団体にすべて配分しなければならないのではないか、このように思うわけですが、いかがですか。
  49. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回補正予算に伴います地方交付税増加額は千四百九十七億円でございます。このうち五十八年度の精算に係る分千二百九億円がございます。これは通例でありますならば六十年度の当初予算に計上されるべきものでございまして、国の方で今回五十九年度補正に組み込まれたということでありますけれども、本来的にはこの千二百九億円というものは六十年度当初予算に計上されるべきものということで、私どもも概算要求のときにはそのような考え方でおったわけでございます。  それから、この補正に伴います交付税の増額から、五十九年度普通交付税の調整減額分の復活財源に充てるべき二百二十五億円を除いた千二百七十二億円を、地方公共団体へ今回交付しないで六十年度に繰り越すこととしたわけでございますが、それの理由の第一番目といたしましては、五十九年度地方財政につきましては、当初地方財政計画に計上しました追加財政需要額四千億円がございます。また、地方債の増発によって対応ができる。  それから第二番目には、五十九年度におきましては地方税につきましての自然増収がかなり見込まれる。そういったことから、この五十九年度に増額された地方交付税を交付しなくても、五十九年度地方財政全般の運営には支障がないであろうと考えられます。  それから第三番目には、地方財政というのは、御承知のように巨額の借入金を持っておる、これを中長期的な観点に立って地方財政の健全化につながる措置を講ずる必要があるのではないか。結局、もしこれを配ってしまいまして、また来年度大きな借り入れをするというふうなことになりましては、地方団体としても非常に困ったことになるということもございます。  四番目には、今回の補正予算が執行されるのが年度末近くでございますので、五十九年度の新規の財政需要に充てるということは非常に困難でございますし、また交付税の再算定を行うというのも大変難しいというふうなことをいろいろ考えまして、本来でございますならば御指摘のようにこれは地方固有の財源でもございます、法の建前もこれは全額特別交付税ということになっておるわけでございますので、できるならばその地方団体においてこれを繰り越すということを考えるのが筋であろうかと思いますけれども、先ほど申しましたようなことから、この六十年度に繰り越して使用いたしたいというふうに考えたものでございます。
  50. 吉井光照

    ○吉井委員 今いろいろと御説明をいただいたわけでございますが、くどいようでございますけれども、仮に年度間調整のためだとしても、やはり地方交付税というものはそもそも地方の固有財源ですから、その使途については地方団体自身がやはり決めることではないか、このように思うわけでございます。したがって、年度間調整の必要があるとしても、それはまず交付税を地方団体に交付した上で地方団体自身に行わせるべきではないか。  それにもかかわらず、今回の特例法によりまして交付税を翌年度へ繰り越すという方法で政府自体がその使途を決めて調整するということは、地方団体の固有財源である地方交付税制度の趣旨に反するのではないか、こういう気もするわけですが、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
  51. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 これはおっしゃいますように基本はそういうことであろうと思います。また、財政が健全な時期におきましてはできるだけそのような措置をして、各単年度ごとに交付税を使い切っていくということも可能であろうと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、地方財政というのが非常な借金を抱えておりまして、この健全化を図っていかなければならない中で、これを全額交付して来年度また大変な借金をする。  また今回、これは六十年度の対策にも係ることでもございますけれども、こういった措置をとりましたために、いわゆる利差臨特とか地域臨時とか財対臨時、こういった千三百五十五億円というものを六十六年度以降に精算すべき交付税に加算するということもできておるわけでございまして、現在抱えております交付税の借入金、こういったものもできるだけ減らしていくことも考えながら行った方が地方財政全体のためにいいのではないかというふうに考えたわけでございます。
  52. 吉井光照

    ○吉井委員 おっしゃることも理解はできるわけでございますが、御承知のように現在地方団体は、今も御説明がございましたように財源対策債等多額の借り入れをしておりまして、五十七年度末でも既にその公債費負担率が、自治省が警戒ラインとされております一五%を超えている市町村、これが全体の四五%の千四百七十五団体に達しております。この中でも特に町村においてはこの比率が非常に高いわけですね。  そこで、来年度交付税を繰り越すくらいなら、少しでも地方団体の財政構造の健全化を図るために、このような地方団体の財源対策債の繰り上げ償還費として基準財政需要額を再算定して、そして交付税を地方に交付したらどうか、このように思うわけでございます。  先ほど答弁をお伺いしますと、短期間に大量の繰り上げ償還をやることは、事務的にも、また実際的問題として非常に難しいのではないか、こういうようなこともありましたが、繰り上げ償還費を基準財政需要額に算入したからといって地方団体はそれを償還しなければならないわけでもございませんし、また実際に地方団体がいつ返せばよいか、こういうことは諸般の事情を見て問題が生じないようにやはり自治省が指導すればいい問題ではないか、このように思うわけですが、この点いかがですか。
  53. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 いわゆる繰り上げ償還についての指導のお話でございますが、先ほども少し申し上げましたけれども、現在の地方債は、縁故債でありましても非常に大きく流通をいたしておるわけでございます。これを繰り上げ償還するということになりますと、債権者の方は、期間の利益と申しますか、そのまま持っておりたいというふうな希望を持っておりますものですから、繰り上げ償還をするということはそういった債権者の方々の利益を損なうという問題が起こってまいりますし、ひいては今後の地方債の借り入れについて銀行等とのトラブルといいますか、借入条件も悪くなってくるというふうな点もございます。  したがいまして、私どもも、利率の高い過去の借入金についてはできるだけそういった措置をとるのが地方財政のためには望ましいというふうな考え方は持っておりますけれども交付税需要に算入をいたしまして全国的に指導することはいかがなものかというふうに考えておる次第でございます。
  54. 吉井光照

    ○吉井委員 わかりました。  それでは次に、特交の追加財政需要についてお尋ねをしたいと思います。  地方交付税法の第十五条によりますと、特交は、普通交付税の基準財政需要額の算定方法によっては捕捉されなかった特別の財政需要等の事情をもとに算定し、交付する、このようになっているわけでございます。そこで本年度の特交、いわゆる五千百十五億、これは、二十五年ぶりに前年度より減少した五十八年度に引き続いて二年連続の減少という交付税制度始まって以来の事態となっておるわけでございます。これで本当に本年の特別の財政需要を十分に算定できるのかという問題があります。  しかも、五十八年度の特交は五十七年に比べまして三百億も減少をした上に、豪雪に伴うところの除排雪費を初めとして災害対策費が六百億を超えております。そのために、本来なら五十八年度の特交に算入をされるはずの経費が相当に圧縮されてしまっております。また、本年度は五十八年度に比べてさらに二百億減じておる。これでは、ことし災害が少なかったとは言いながら、五十八年度に圧縮された経費を回復するのには不十分であると思うのです。  さらにくどく申しますと、本年度の特交は四年前、すなわち五十五年ですね、それから三年前の特交とほぼ同じ程度。この間の特別な財政需要の物価上昇分を考慮しただけでも、本年度の特交五千百十五億では足りないということは明白だと思います。さらに二年前、いわゆる五十七年に比べれば一割も減じておる。しかし、来年の特交は本年度に比べ六百億近い増加となっているわけでございます。  このように、本年度の特交額は最低と言わざるを得ないわけですが、財源がないのならともかく、千二百七十二億あるわけですから、これを特交として使用すべきではないか、このように思うわけですが、いかがでしょう。
  55. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十九年度の特別交付税総額は御指摘のように五千百十四億円でございます。このうち千百十八億円を十二月分として交付いたしました。したがいまして、三月分の交付予定額といたしましては、前年度の三月交付額、これとほぼ同水準の三千九百九十六億円を保留しておるわけでございます。  本年度の特別交付税総額は、御指摘のように前年度より二百九億円減っておりますが、五十九年度は現年災関係算定額が昨年度を大きく下回っておりますので、この総額によりまして本年度における地方団体の財政需要に対応できるのじゃないかというふうに考えておるところでございます。  十二月の交付分におきましては、現年災害関係とか病院、水道の公料金対策等の経費算定いたしたわけでございます。  今後、三月分につきまして現在いろいろ事情を聞いておる状況でございまして、御指摘のように例年と異なりますのは、除排雪費が多額に上るのではないかという点を私どもも注目して見ておるわけでございますが、この点につきましても、現在の留保額で十分に対応できるのではないかというふうに考えておるところでございます。また、この特別交付税に限らず、いわゆる地方税自然増収等もございますので、今年度地方財政の運営には支障はないのであろうというふうに考えております。
  56. 吉井光照

    ○吉井委員 特交の五十八、五十九年度の減少は交付税総額の減少によるものと思うわけですが、しかし交付税総額が減少しても、そのうちの普通交付税の減少は財源対策債の発行でカバーされているわけです。しかるに特交は何らカバーをされていない。本来、財源対策債は六%分は特交であるべきなのにそうなっていない。つまり、特交額が普通交付税分と比較して相対的に少なくなっているわけでございまして、実質的に九十四対六、この比率になっていないのではないか、このような気もするわけでございます。これでは特別な財政需要を見切れないのは当然ではないかと思うわけでございますが、この点、いかがですか。
  57. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 確かに特別交付税総額は減っておりますし、地方団体の需要というものも種々あるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、一応現年災関係の特別交付税需要は減っております。私どもも今回の措置をとりますときに、特別交付税の額に不足を生じないかどうか、こういうことも検討したわけでございますが、災害の減等を見込んでおりますし、また雪につきましても昨年との状況をいろいろ比較しておりまして、昨年を超えることはまずないのではないかというふうな考え方もしておるわけでございまして、一応現在保留しておる額で三月分のそういった需要については十分賄えるものというふうに考えております。
  58. 吉井光照

    ○吉井委員 本年度は、大きな災害としては長野県の西部地震程度で、五十八年度よりも災害対策費は少ない、このように言われておるわけですが、しかし、本年度はグリコ・森永事件によるところの警察関係費、また西日本を中心とするところの渇水対策費、こうした本年限りの需要が発生しておるわけでございます。また、越後、北陸、青森等では、これも地域によっては昨年以上の豪雪に見舞われているわけでございます。  先日、我が党の調査団が、五十六豪雪を上回る異例の豪雪に見舞われているところの新潟県上越地方の実態調査を行ったわけでございますが、その被害状況を踏まえて、また地元住民や各自治体からの要望を踏まえまして、国土庁長官に二十二項目にわたって制度、対策の改善を強く要望したわけでございます。これに対して長官は、豪雪被害は緊急を要する問題であり、申し入れ内容関係部局と協議をし、趣旨に沿った対策を講じたい、このように答弁をいただいたわけでございますが、その地元住民の要望の中でも、特に特交の増額については最重点事項であった、このように伺っております。  このような要望にこたえるためには、やはり本年の特交総額は現行のままでよいとは言えないのではないか、このような気がするわけですが、再度御答弁をお願いしたいと思います。
  59. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今年度の雪の状況を私どももいろいろ注目して、どういう降り方をしているのかという情報を集めておりますけれども、確かに新潟方面はかなり降っておりますが、昨年度のように北日本といいますか、日本海側全般に降っておるというふうなことでもないようでございまして、降っているところがかなり偏っていると申しますか、そのような状況も聞いておるわけでございます。今後、この状況も十分見なければなりませんけれども、適切な措置は現在留保しておる三月分の交付税で賄えるというふうに私ども考えております。
  60. 吉井光照

    ○吉井委員 では次に、退職者医療制度の発足に伴う財政負担増について厚生省にお尋ねをしたいと思います、  御承知のように、五十九年の十月から退職者医療制度が発足したわけですが、現在までの加入状況を見ますと、全国平均の加入率が五十九年十二月末で六・四%、厚生省が当初予定された加入率は一〇%、このように聞いておりますが、随分開きがあるわけでございます。特に小さな市また町村になりますと、その差が非常に広がっておる。また関係者からは、国庫補助金を削減するために意識的にこの率が高められたのではないか、そして一〇%に設定されたのではないか、このようなことさえ言われておる実情でございます。  国保財政の悪化、国保税の増徴等が憂慮されるわけですが、この点全国町村会からも制度改善の強い要望が出ている、このようにも聞いております。したがって、このままでは国保財政が赤字となる団体が続出するのではないか、このように考えるわけですが、見通しはいかがですか。
  61. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、退職者の数の把握状況は現在私どもの見通しの六四%ぐらいでございます。いろいろこれには原因があるわけでございまして、制度の施行後間もないわけでございますし、この対象者につきましては、老齢年金とか退職年金の受給者ということで把握しておりますので、この年金のリストを送りまして認定をしていただくというふうなシステムをとっているわけでございます。そのリストの新しいものが昨年の十一月末から十二月にかけて出たわけでございまして、これが約四十万件ぐらいございますけれども、これはまだ届いて間がないわけでございます。それから住所移動等もございましてなかなか把握し切れないというケースがあるわけでございます。  いろいろな要素があるわけでございますけれども、今後とも私どもは、都道府県、市町村の協力を得まして、広報活動の強化でございますとかあるいは職権認定というふうなこともお願いをいたしまして対象者の掘り起こしに現在努めておるところでございます。早急に当初見込んだ対象者を把握したいというふうに考えているわけでございまして、この結果、国保の財政の安定というものにも資すると考えたわけでございます。  それから、一〇%という数字でございますけれども、この数字は私どもがいろいろな統計の数字を用いまして推計した数字でございまして、約四百万というふうな見込みをしているわけでございますけれども、いろいろなデータから見まして過大なものではないというふうに考えているものでございます。
  62. 吉井光照

    ○吉井委員 加入率が一〇%を下回った上に、旧制度の国庫補助金と比較をいたしまして、新制度の国庫補助金とそれから被用者保険からの交付金との合計額が少なくなる団体、これに対して財政調整交付金がその少なくなった差額、いわゆる影響額といいますか、この七〇%だけを交付される、このようにも聞いておるわけですが、これは、一〇〇%ではなくして七〇%とする理由がどうも明らかでないわけでございます。個々の団体のその差額を積み上げると、予算計上の財政調整交付金の額を超えてしまうので、そのため薄まきをするために七〇%という数字をはじいたのではないかという気もいたすわけでございます。もしそうであるとすれば、今後の影響額の増加次第では、七〇%が六〇%、五〇%とだんだん切り下げられることになるのではないかという懸念をいたすわけでございますが、いかがですか。
  63. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答えいたします。  国の国保に対する補助でございますけれども、改正後は医療給付費の五〇%ということになっているわけでございます。そのうち四〇%は定率部分でございまして、一〇%がその財政調整交付金と言われているものでございまして、医療給付費の一〇%相当額でございます。  それで、先ほど先生の御指摘のございましたマイナスの影響分の補てんの関係でございますけれども、この一定割合を補てんするということにいたしましたのは、この制度改正によりまして最も急激な財政影響を受けます——この普通調整交付金は財政力いかんによって変わってまいりますので、この普通調整交付金を受けることができない団体、いわゆる不交付団体を念頭に置きまして、不交付団体につきましてもマイナス影響分というものを埋めよということで七割ということにしたわけでございますけれども、いろいろ私ども考慮いたしまして、交付される団体と不交付の団体のバランスというものを考えまして、現時点のぎりぎりの判断といたしまして今まで七〇%と言ってまいりましたものを三分の二という形で今回決めさせていただいたわけでございます。  これは、重ねて申し上げますけれども、調整交付金の交付団体と不交付団体とのバランスを図るというふうな趣旨でございまして、不交付団体にたくさん行きますと交付団体に行く調整金というものが減ってまいりますので、この辺のバランスをとったというものでございます。  それから、残りの三分の一部分につきましては、不交付団体にはもう出ませんけれども、交付団体につきましては、これを財政調整の対象の需要額というものに組み込みまして、これに応じまして、これは財政力によって変わりますけれども、その全部または一部につきまして普通調整交付金で手当てをする、そういうふうな仕組みになっておるわけでございます。
  64. 吉井光照

    ○吉井委員 では、最後にお尋ねをしておきたいと思いますが、財政調整交付金によって完全に補てんされないとなりますと、ある市町村によっては国保税をふやさなければいけない、こういうところも出てくるのではないかという気もいたします。これでは補助金の減少分の地方への負担転嫁にとどまらず住民への負担転嫁ではないか、こういうことにもなってくるわけでございます。  国の制度改革によりましてこのような財政悪化を招いている市町村につきましては、特交の特別な事情に該当するものと思うわけでございます。したがって、自治省としても特交として配分はできないのか、このような補てん措置は大体本来なら厚生省予算によるべきでしょうけれども、その補正ができないというのであるならば、やはり特交に依存せざるを得ないのではないか、こういう気持ちもするわけでございます。その点、ひとつ最後にお尋ねをしたいと思います。
  65. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 国民健康保険事業と申しますのは、私ども本来保険料と国庫支出金で賄われるべきものであるというふうに考えておるところでございまして、これまでも一般会計から国民健康保険事業会計へ繰り出しするということにつきましては、一般住民を対象としております保健施設にかかる経費、こういったものは認めておりますけれども、そうでないものは行うべきではない、あくまでも保険料と国庫支出金で賄うべきであるというふうに考えておるところでございまして、今回の医療保険制度の改革に伴います退職者医療給付制度ができましたけれども、これによって生ずると見込まれます財源不足と申しますか、これにつきましては所管省において十分の考慮を払われるべきである、そしてまた、その配分等につきましても所管省と十分協議をしてまいることといたしておるわけでございます。
  66. 吉井光照

    ○吉井委員 終わります。
  67. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、岡田正勝君。
  68. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、最近の風潮といたしまして、地方自治体の公務員の諸君は国家公務員に比べて給料が高過ぎる、退職金も高過ぎる、年金も高過ぎる、こういう事実があちらこちらにあらわれ、それを非難する声が非常に高まっておることを事実として認めるのでありますが、そのためにか、実際には地方においては、道路の整備率にいたしましても国と比べたら話にならぬ低い状態であり、社会資本の充実なんかは、これはもう論ずるに足らぬと言ってもいいぐらいの状態であるにもかかわらず、地方自治団体の方が国に比べてはるかに裕福である、お金持ちである、こういうような声がどことはなしに流れてくることを非常に恐れておる一人であります。  そういう観点から、本質的な問題は六十年度予算の審査のときにお尋ねをしなければならぬのでありますが、本日御提案の案件に関係をいたしますので、冒頭にまずお尋ねをしておきたいことは、高率補助金の原則一割カットという問題であります。  この高率補助金の一割カット、すなわち地方負担の増大という最大の理由は、地方財政が国に比べて裕福であるからだということではないかと私は邪推をしておるのであります。地方財政にそんなに余裕があるのかどうか、その具体的な根拠についてお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 六十年度財政収支の見通しを立てましたところ、今回の国庫補助負担率の引き下げを行う前ではその収支が均衡したわけでございます。しかし、現在の地方財政は、五十年度以降大幅な収支の不足を生じておりまして、そのために地方債の増発と交付税特会の借り入れで対処してきたわけでございます。現在ではその借入金の残高は五十六兆円にも上るというふうな状況でございまして、特に交付税特会借入金に係る借入金残高五兆七千億、これは六十六年度以降に繰り延べるという措置を講じてようやくつじつまを合わせているわけでございます。そういうことから、地方財政というものは余裕があるわけでは毛頭ございません。三千三百の団体を見ておりましても、公債費負担比率の上昇しているところが非常に多くなっております。こういうふうなことから、地方財政というものは余裕があるわけではございません。  ただ、現象的に給与が高いとか、あるいは退職手当の率が高いとか、こういったことで地方財政全般が推しはかられるということは非常に残念でございますけれども、実態は、先ほど申し上げましたように地方財政決して裕福ではございません。そういったことから、今度の国庫補助負担率の引き下げにつきましても、この地方負担の増加に対しましては、これに対する万全の措置を講じなければならないという事態であったわけでございます。
  70. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。今おっしゃるように地方は決して裕福ではないのでありまして、借金も相当なものであります。しかも、交付税特会の五兆七千億に至っては六十六年から返還をさせていただこうなんというような特例まで認めていただくというほどの惨たんたるありさまでありまして、地方財政においては余裕はないということが当局の見解で明確になったことは、私は非常に心強いと思うのであります。  そこで第二の問題としてお尋ねをいたしたいのでありますが、今回御提案になりましたことで非常に不思議に思われますのは、自治省が昨年発表されました「地方財政参考試算」によりますると、新規施策に充てるための予備枠を設けないというケースで、六十年度におきましては一兆五千億円不足をする、そして予備枠を設けた場合、これはさらに膨らんで一兆九千七百億円の財源不足が出るであろうと試算をされておったのであります。  ところが今回の地財計画におきましては、国庫補助金の地方転嫁分を除きますると、収支は約十年ぶりにとんとんという状態になると見込まれておるのでありまして、大幅な赤字が出るであろう、収入不足があると言われておったものが、一年もたたぬうちに収支とんとんになりましたというような報告は、どうも私にとっては聞きづらいのであります。どうしてこういう見通しに相なったのか、その理由は何であるかを御説明いただきたいと思います。
  71. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十九年度の「地方財政収支参考試算」と本年度地方財政の収支見通しの状況を比較いたしますと、まず第一に歳出の面におきまして、おおむね国と同一の基調によりまして経費全般にわたり歳出の削減を行ったということがございます。  もともと「地方財政参考試算」の一般歳出の伸び率というものは、国の中期展望の率をそのまま借用しておりましたためにこれが非常に高く出ておったということから、一般歳出におきまして比較しますと、これは国庫補助率を削減する前の状況の収支の見通してございますが、約八千億円ばかり一般歳出が減るわけでございます。  それから第二番目に歳入面では、地方税地方交付税について大幅な伸びが見込まれる。地方税につきまして約九千億円、これは参考試算に対してでございますが、交付税につきましても約四千億円、一般財源といたしまして一兆三千億円ばかり自然増が出てくる。もちろん交付税精算分千二百九億円も含めて見でおったわけでございますが、そういったことでございますので、六十年度の収支見通しは、補助率を引き下げる以前では収支が均衡したわけでございますが、これは主として我が国経済が一昨年の後半から拡大基調になってきた、これが順調に本年度も推移してきたということに大きな原因があるというふうに考えております。
  72. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それもよくわかるのですよ。それも私は理解をするのでありますが、ということになりますと、昨年お出しになっておりましたところの「地方財政参考試算」の意味というのは一体どういうことになるのでありましょうかね。我々は一体何を信用して論議をすればいいのか、大変途方に暮れるような気がするのでありますが、いかがでありますか。
  73. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御承知のように地方の分につきましては、国におきまして中期展望を出したときでも地方ではこういった展望のようなものはつくれない、いわゆる国のような後年度負担の推計ができないということで当分お休みをしておったことがございますけれども、五十九年度におきましては、交付税会計からの新たな借り入れをやめるというふうな一連の財政対策の見直しをやらなければならない、こういうことを踏み切るに当たりまして、国の財政の中期的な展望との関連で地方財政のアウトラインも検討する必要があるのではないか、地方財政は歳出の抑制と歳入の確保を図ることによって中期的に健全化していかなければならないという趣旨も含めて、御審議の参考に提出したものでございます。
  74. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 といいますと、前段の御説明それからただいまの追加説明をあわせて考えていきますと、ますます地方財政余裕論というものが台頭してくることになりはしないか、拍車をかけるのではないかというような心配があるのでありますが、いかがでございますか。
  75. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 確かに地方財政は、国庫補助負担率の引き下げの前では収支が均衡した状況であったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、五十六兆円にも上る借入金の現在高を抱えております。財政構造的に地方財政が健全化したということは決して言えないわけでございまして、この地方財政に余裕がある状況ではございません。今後とも国と地方と歩調を合わせながら財政の健全化に取り組んでまいらなければならないというふうに私ども考えておる次第でございます。
  76. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ということになりますと、当初例説明がありましたように、地方財政には決して余裕はありはしない、むしろ困窮の状態である、まさしく健全化を図っていかなければならぬ、懸命な努力が必要であるということに落ちつくわけであります。ということになりますと、今回のこの補助率のカット、地方への負担の転嫁という最大の理由は一体何であったのでしょうか。  私の勘ぐりでありますが、もし国の財政状況にあるのだということになりますると、国の財政状況というものは、御承知のとおり大増税をやらない限り好転はありません。六十五年度までの見通しをお出しになっておるわけでございまして、少なくともそれまでの関大増税をやらなければ好転をする兆しはどこにも見受けられないのでありますが、その点について、補助率の今回のカットの理由というものが、このままほうっておきますと、国の中期展望に基づいての結果になるわけですから、地方の方もこの補助率のカットというのは一年限りなんというそんな生易しいものではないのでありまして、国が大増税を行わない限り、この一年限りの補助率のカットという問題はもう泡のごときものであって、六十五年度まで延々と続いていくのではありませんか。大変心配をしておるのであります。いかがでありましょうか。
  77. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の補助率の引き下げの問題につきましては、国と地方との立場ではこの意見が全く相反しておったわけでございます。結局最後までお互いに合意を得るわけにまいりませんでした。このため、とりあえず一年間の暫定措置として、六十一年度以降の補助負担率のあり方につきましては六十年度において検討をしようということになったわけでございまして、この六十一年度に向けての検討というのは、この六十年度におきます補助率の引き下げを前提として行うのではなくて、五十九年度までの補助負担率、引き下げ前の補助負担率を前提に議論をしようという考え方を持っておるわけでございます。  国の中期展望におきましても、この補助負担率は補助率を引き下げない形でつくられておるわけでございます。そういったことで、六十一年度以降の問題につきましては六十年度に検討をする。これは財政状況のみならず、社会保障のあり方とか国と地方の機能分担、費用負担のあり方等、こういった問題も議論されるというふうに考えております。
  78. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ということになりますと、ここで大臣に答弁と、こういかなければいかぬのでありますが、大臣予算委員会に御出席でありますので、幸い信頼すべき小澤政務次官がお見えでございます。政務次官にひとつ質問をさせていただきたいと思います。  今局長さんからもお答えがございましたけれども、今回のこの補助率の一割カットについて三省の大臣の覚書というのがありますね。この覚書をどのように受けとめていらっしゃるのか、それをお伺いいたしたい。  いま一つは、先ほど私が言及をいたしましたが、国の中期財政展望によりますと、大増税をやらない限り、一割カットという問題が六十年度限りで終わるなんということはもうとてもとても考えられもしないと思うのであります。ということになると、自治大臣としては、増税を期待しておるということになるのでありましょうかということが二つ目であります。  いま一つは、されば、そうではないということになるのならば、一体今後何を見直すべきか、この三つの問題について小澤政務次官から明快なる答弁を期待いたします。
  79. 小澤潔

    ○小澤政府委員 岡田先生にお答えをいたします。  ちょっと風邪を引いておりますので、声が悪い点お許しをいただきます。  社会保障に係る昭和六十一年度以降における補助負担率のあり方については早急に検討を開始することといたしまして、現在その具体的な進め方について協議しているところであります。  昭和六十一年度以降の国の財政は、国債費の増加などますます厳しい状況を迎えますが、地方財政も、巨額の地方債、交付税特別会計借入金を抱え引き続き厳しい状況にあるため、行政の果たすべき役割及び国と地方の間の役割分担等の見直しを行い、行財政の簡素効率化を図ることを基本として、地方財政の健全化と地方自治の確立を図る方向で検討する必要があるものと受けとめております。  また、国と地方との基本的な税財政制度については、特に変更がないことを前提に検討を進めることといたしておりますので、よろしく御理解いただきたいと思います。
  80. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まことに明快なる答弁をいただきましてありがとうございました。また詳細なる点につきましては、六十年度の新予算の審議のときに言及をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは続いて質問させていただきます。  自治省は、五十八年度地方交付税の精算額及び五十九年度自然増収分、合わせて千四百九十七億円でございますが、そのうち千二百七十二億円を六十年度に繰り越した、その理由というのは一体何でございますか。
  81. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の補正予算に伴います地方交付税増加額、千四百九十七億円でございますが、このうちの五十八年度精算に係る千二百九億円については、通例これは六十年度の当初予算に計上されるものでございます。  それで、補正に伴う交付税増加額からこの調整減額の復活という二百二十五億円を控除した千二百七十二億円を六十年度へ繰り越すことにしたわけでございますが、その理由といたしましては、五十九年度地方財政は、年度途中に生じた財政需要につきまして、当初地方財政計画に計上しております追加財政需要額、四千億円ございますが、これと地方債の増発によって賄える。それから五十九年度におきましては、地方税について自然増収が四千五百億円程度見込めるのではないかというふうに考えておるところでございまして、これは五十九年度交付税を配分しなくても地方財政の運営には支障がないというふうに考えられるわけでございます。  また、地方財政は、先ほど申し上げましたように巨額の地方債、交付税特別会計の借入金残高を抱えておりますので、中期的な観点に立って地方財政の健全化につながる措置を講ずる必要があろうというふうに考えましたこと、それから今回の補正予算が執行されますのが年度末に近いわけでございますから、五十九年度の新規の財政需要に充てるのは非常に困難でございます。また、この交付税の再算定を行うということはこの時期におきまして大変難しいわけでございまして、こういったことを総合的に判断いたしまして六十年度に繰り越しをすることといたしたわけでございます。
  82. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 理屈としては一応うなずけぬでもないのでありますが、その年度に出ましたものを六十年度に繰り越すということは、地方交付税法の第六条の三の第一項の規定に反することにならぬですかね。これは五十九年度処理すべきものじゃございませんか。法律趣旨はいかがですか。
  83. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 法律趣旨は、おっしゃいますようにその年度の特別交付税に加算をして地方団体に交付するのが建前でございます。ただ、先ほど申しましたようなこと、また本年度におきます災害等に係る特別の財政需要が昨年度よりも減少しておるというふうなことから翌年度へ繰り越すこととしたわけでございますので、法律の建前はさようでございますが、新たに法律をもちましてこのような措置をお願いいたしたいということでございます。
  84. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、特別に災害がたくさんあったとかそういうことではないので来年度に繰り越せばいいじゃないか、これはもちろん債務もたくさんあるけれども、やはりこれも中期的な展望を持っていかに償還をしていくべきかという観点から考えればいいのであって、しかも年度中途で配分したのじゃ非常に使い方に困るというようなことも御心配になっておるわけであります。  しかし、今の法律趣旨から見ましても、明らかに交付税そのものは地方固有の財源ですよ。それを特別交付税として加算すべきではないか、加算してあげるべきではないかという私の主張は間違っておると思いますか。いかがでございますか。
  85. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 本来はそういうシステムになっておるわけでございます。これがただ通常の、地方財政が健全な状況でありますときには、毎年度交付税不足をしないわけでございますが、最近のように地方財政が非常に悪化しておりますので、現在この措置を特別交付税で配分いたしました際には、さらに明年度におきまして借金をしなければならないというふうなことにもなりかねないわけでございますので、そういったことも勘案いたしまして、この法律を提出させていただいたわけでございます。
  86. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、こういう考え方はいかがでございますか。本年度におきましては一兆五千百億円の財源不足に対しまして、一兆二千百億円の財源対策債を発行する、つまりその分だけ地方自治団体に借金をさせるということになっておるわけてありますが、いわゆる借金をさせるということは、とりもなおさず地方自治団体の公債費比率が高まっていって、先ほどもお話がございましたが、一五%以上の団体、二〇%を超えておる団体、相当な数でございますね。もう千四百近くあるのではないかと思いますが、その比率がますます高くなっていくのではないでしょうか。だからこそ地方交付税の自然増があったということになれば、当然その分だけ財源対策債の発行を抑える、すなわち借金を抑える、借金を減らしていくということが当たり前のことじゃないかと思うのでありますが、地方自治体を指導なさる立場に立たれる局長さんの立場からはいかがでございますか。
  87. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 おっしゃいますような措置を講ずることも考えられるわけでございますし、特に趣旨といたしまして地方債の発行額を減らすということは、現在の地方財政にとりまして非常に重要なことであろうと存じます。  ただ、現実の問題といたしまして、三千三百余の団体につきまして財政運営が行われているわけでございますが、ここで仮に交付税上の再算定を行って、そして財源対策債を減らすということは地方債の充当率をここで変更するわけでございますので、団体によりまして大変な混乱を生ずるおそれがあるわけでございます。公債費比率をできるだけ引き下げていくという考え方につきましては、六十年度地方財政対策におきましてそういった措置を講じて、先生の御趣旨と合うような考え方で地方債の削減を行っておる次第でございます。
  88. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 承りますと、一兆二千百億円の財源対策債というのはまだ発行しておらぬという話ですね。二月か三月ごろに発行する予定であるというようなことを聞いておるのでありますが、そういうことであるならば、充当率の変更があるから混乱するだなんだというそんな思いやりよりは、むしろ実効的に、まだ債券を発行しておらぬのでありますから、ずばっと減らしていくという方が私は正しい使い方じゃないかと思うのでありますが、いかがでありますか。
  89. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 起債の発行につきましては、利子負担をさせないようにできるだけ早く発行しない方がいいわけではございますけれども、一面銀行あるいは金融機関あるいは証券会社等の関係もございまして、平準的な発行をしなければ、一時にまとまってそのような借り入れを行われるということも問題があるわけでございますので、すべての地方債が年度末に発行されるわけではございませんで、もうかなりの発行が行われておるわけでございます。
  90. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 かなりの額が発行されておるのでありますということでありますが、幾らですか。——いいです。それじゃ時間がありませんから、それはまた後でお答えをいただくとしまして、次に入らせていただきます。  地方交付税の自然増加分を翌年度に繰り延べるということは法律趣旨に反することでもあり、それは国のベースで考えたことでありまして、本来は地方自治団体の自主性、自律性に任せるべきでありまして、法の精神を踏みにじっておるのではないか、これは地方自治団体の中で年度間調整をしていただくべきものであって、国がそこまで手を突っ込む必要がないではないかというふうに私は思っておるのであります。  私、聞いたことがあるのでありますが、物すごく活躍する人のことを称して、ある一面では阿修羅のごとき活躍をする人だ、こういうことをよく言うようであります。小澤政務次官なんかもその日ではないかと思うのでありますが、私は勉強が足らぬものですから、阿修羅というのはどういう意味なんでしょうかと一遍聞いてみたことがあるのです。阿修羅というのは、実はなまはんかなことをやっておったのでは戦争にも勝てないし生きてもいけない、とにかく相手が今食べ物を口の中に入れた、自分があれを食べたいと思ったら、相手の口の中に入ったものであってもその口をこじあけて、のどの中に手を突っ込んで引っ張り出してでも食べてしまう、これが阿修羅というのだそうであります。  まさに地方自治団体の固有の財源であるべきこの問題を、しかもその年度に特別交付税として出さなければならないと法律規定されてあるものを、国がわざわざ手を突っ込んでことしは食わさぬ、来年だと言って引っ張り出すのは、まさにこれは悪い阿修羅じゃないんですか、いかがでございますか。
  91. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の補正予算で繰り越します額のうちの大半というものは、五十八年度の精算に伴って生じたものでございまして、この精算分というのは本来ならば六十年度の当初予算に計上されるべきものでございます。国の予算編成の都合でたまたま五十九年度にこれが補正をされたわけでございますので、これはまあこれを繰り越すという形にしておるわけでございますが、やはり私ども現在の地方財政というものを子細に見てみますと、巨額の借入金を抱えておる地方財政でございますので、この健全化を図る趣旨からいいますと、確かに法の建前は御指摘のとおりでございますけれども、そういった中期的な健全性を図るという意味からいきまして、これを繰り越すこともやむを得ないのではないかというふうに考えた次第でございます。  しかも、先ほども申し上げましたように、一応年度中途の財政事情にさほどのものがない、また地方財政の、例えば自然増等でも賄えるというふうなことでもございますので、地方財政の健全化を図る見地からこのような繰り越しをさせていただきたいと思う次第でございます。
  92. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が参りましたのでこれをもってやめさせていただきますが、一つだけ希望を申し上げておきます。  私どもこの地方行政委員会において審査をいたします対象となるべき地方団体、すなわち地方財政というものは、御承知のとおり、国の財政と同じ規模を持つものであります。それだけの大きな規模を持つこの財政を論議いたします自治省が、この指導監督の任に当たります自治省が、実際は地方自治団体は裕福ですよ、金持ちですよというような風潮にあおられて、国の御都合によっていいように引っ張り回されていくんではないかという、大変失礼でありますが心配を持っているのです。そういう心配が実際のものとなってこないことを私は希望いたしまして質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  93. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 先ほど御質問ございましなどのくらい発行しておるかということでございますけれども、ちょっと発行そのものはつかんでおりませんが、起債の許可額は現在のところ八四%済んでおる状況でございます。  それから、先ほどの先生の御指摘、十分私どもも心に銘じまして地方財政の運営に当たってまいりたいと存じます。
  94. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 頑張ってください。
  95. 高鳥修

    高鳥委員長 次に、経塚幸夫君。
  96. 経塚幸夫

    経塚委員 まず最初に、警察庁にお尋ねをしたいと思います。  和歌山県の下津町の不正借り入れ事件についてでございますが、お尋ねをしたい点は、この不正借り入れ、それから不正使用の金額の問題ですが、当初捜査本部発表によりますと三十億八千万円、こう発表されておりましたが、起訴されました金額は五億五千万円であります。しかも、これも第一回の公判では、峰野なる男は五千万円は借り入れしたけれどもということで、あとは否認しております。したがいまして、一体この金額の差、真相はどうなっておるのかということにつきまして、地元からは大変疑惑が起きております。  この問題につきましては、一月の二十二日に有権者の四〇%を超える監査請求も出されて、極めて重大な社会問題、政治問題に発展をしつつありますが、今の段階でこの金額の差を含めまして警察庁の方では真相をどのように把握されておるのか、御報告をいただきたいと思います。
  97. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 御指摘の事件につきましては、昨年十一月十七日に下津町の出納室長を業務上横領の容疑で逮捕いたしまして、現在までに五回にわたりまして合計で二十四億九千九百万円余を、これは詐欺等の事実で送致をいたして、引き続き捜査中でございます。また、この出納室長を恐喝いたしました暴力団の幹部を昨年の十一月二十二日に恐喝容疑で逮捕いたしまして、これは本年の一月十二日現在までに四回にわたりまして計五億五千万円余を恐喝事実で送致をいたしまして、引き続き捜査中であります。  なお今後、一般会計財政調整基金等から流用をいたしました分につきましても捜査を進めていく方針でございます。
  98. 経塚幸夫

    経塚委員 そうしますと、金額にかなりな差があるわけでありますが、今後なおいわゆる追加で送検あるいは追起訴ということが十分考えられるわけですか。その点はいかがですか。
  99. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 今申しました一般会計等から流用いたしました分につきましても、今のところ十一億円余を捜査中でありますし、これから逐次捜査が進んでいきますとはっきりいたしました分については追送致をしていく、こういうことでございます。
  100. 経塚幸夫

    経塚委員 それから、もう一点お尋ねをしておきたいと思うのですが、一体町の側に責任があるのかないのか。これは町当局あるいは町民にとりましても、あるいは貸し付けた農協など金融機関にとりましても極めて重大な問題になっておるわけです。仮に町当局に責任があるということになれば、これは町は返済の義務を負わなければならぬ。町当局に責任がないということになりますと、農協など金融機関は町に対していわゆる債権の請求ができないということにもなりかねない。だから責任があるのかないのか、どちらの側に立ちましても、町当局が、そうでなければ金融機関の側かが重大な損失を受けなければならない、こういうことで、今までの捜査の範囲では、どうも町当局の責任についてはあるともないとも明確にはされておりませんが、全くないというふうに受け取れるようにも考えられますので、その点は一体、今後の推移を含めてどういうことになるのでしょう。
  101. 金澤昭雄

    ○金澤政府委員 現在までのところでは、町の当局側の刑事責任を問い得る、こういう事実について把握をしていないという報告を県警の方から受けております。しかし、現在捜査中でございますし、申すまでもないことでございますが、今後の捜査の成り行きによりまして刑罰に触れるような事実を把握いたしましたならば、当然これは適切に処理をしていく、こういうことで考えております。
  102. 経塚幸夫

    経塚委員 これは今後の捜査の推移を見なければわからないことでもありますし、あわせて公判の推移も見なければわからないことでありますが、いずれにいたしましても大変重要な問題でございます。  そこで、自治省の方に、特に政務次官の方にこれをお尋ねしたいわけでございますが、今の町の状況は、このままでいきますと、五十九年度の決算の見込みとして四億四千六百万円欠損が出るのではないか、こういうふうに言われております。既に十二月の補正でかなりの金額を削減されたようでございますが、例えば教育関係が大変影響を受けておりまして、塩津の小学校などは、校庭を拡張してもらいたいという住民の長年の要望がございまして、既に用地は買収済みでありますが、造成ができないということで予算を削減をする。それから小学校などは、備品の購入費、理科教材費を何と八〇%当初予算からカットをする。小中校合わせて四五%カットをする。それから土木工事は、高潮対策として防波堤をつくる、これを魚釣り公園に計画をするということで進めておったようでありますが、これも中止をする。各種事業の調査費は全額カットする。こういう事態で、直接その影響が住民にまであらわれてきております。しかし、残念ながら町長は入退院を繰り返しておって、一体どんな再建の方策を講ずるのか、これはいまだ明らかにされておりません。  こういう事態に対しまして、自治省として今までどんな対策をとってこられたのか、あるいは今後どういう対策を講じようとしておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  103. 小澤潔

    ○小澤政府委員 経塚先生にお答えをいたします。  細かい点については、局長から答弁をいたさせたいと存じます。  下津町の事件は、非常に希有の事件でありますが、地方自治にとってまことに残念なことであります。自治省といたしましては、事件が発覚以来、和歌山県と緊密な連絡をとりながら適切な助言、指導に努めてきたところであります。しかしながら、町の財政再建については、まず町自身が再建に取り組む意欲を持ち、みずから取り組むことが基本であります。目下町当局におきましては、和歌山県の指導を受けながら再建案を策定しつつあり、近く町議会の全員協議会も開かれる運びに相なっておると伺っておりますので、自治省といたしましては、これらの状況及び和歌山県の対処方針を見きわめつつ、必要に応じて適切な助言、指導を続けていく所存であります。
  104. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 下津町の財政の運営につきましては、おっしゃいますようにいろいろな影響が出てきておるわけでございまして、私どもも、この事件発覚以来いろいろとその状況を地元に聞いたわけでございますが、当初段階では、警察に書類が皆押収されているということで、なかなか事実の究明が難しかったということもございましたが、結局、現在の段階では、先ほど政務次官からも御答弁がありましたように、この不正借入金について債務確定まではこれを棚上げをして、確定した場合に対処をしていくための積立金をつくっていく、そのための自主再建の方策をつくろうというふうな考え方で、町が和歌山県と連絡をとりながらその再建策を進めておるようでございますので、私どももその推移を十分見ながら、十分適切なる助言をいたしたいというふうに考えております。
  105. 経塚幸夫

    経塚委員 そうしますと、今の段階では県と印とが自主再建の方向を目指していろいろ協議を進めておるということで、自治省としては今まで関与しておらなかったわけですか。
  106. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 これは、もともとどういうふうな措置をとるかということにつきましては、町の方がまずどういうふうな考え方でこれを持っていくかということが基本でございますので、私ども事情の聴取はいろいろしておりましたけれども、特に私の方からこうやるべきであるというふうな物の言い方はいたしておりません。あくまでもこれは町、それから県、この辺の御相談を受けて、方策が決まった場合に私どもこれに対する適切なる措置をいたしたいというふうに考えております。
  107. 経塚幸夫

    経塚委員 もちろん町の自主再建が基本だろうと私は思うのですけれども、北海道の喜茂別町のあの事件とはまた違いますね。喜茂別の場合は、町長自身が自主的に再建計画を立てて事の処理に当たれるという状況にあった。ところが下津の場合は、私先ほど申し上げましたのはそこの点であります。極めて困難な状況下に置かれておるわけでありますから、自治省としても積極的に状況を把握され、そして県ともよく協議をされながらも、もっと積極的な自主再建に向かっての策が講ぜられるような対応を講ずべきじゃないか。  聞くところによりますと、この下津の町長というのは、和歌山県下でもこの事件が起きるまではどこの町村長よりも、もう何回も自治省に足を運ばれて、極めて積極的な町長だったようですよ。ところがこの事件が起きてからはもう全然自治省にも協議にも行っておらぬ、こういうことも議会の中で言われておるようであります。したがって、そういう状況にあるわけでありますから、自治省としてはもう少し積極的に対応策を講ずべきじゃないか。自主再建策が出てくるのを待っておりますというような消極的な態度では、なかなか自主再建策自体も、これはいつ出てくるのか、どんな内容になるのかもわからない、こう考えるのですが、その点はいかがでしょう。
  108. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 町におきましては、町長さんがなかなか出てこられなかったので対応もおくれたようでございますけれども、二月からずっと出勤されておるということで、今後自主再建の考え方について議会ともお諮りになった上でこちらの方と御相談をしたいという状況でございます。まだ地元自体で議会にもお諮りをしてない状況でございますので、私どもその状況を見ました上で適切なる措置をとりたいというふうな考え方であります。
  109. 経塚幸夫

    経塚委員 重ねて、極めて重大な問題でありますから、自治省としても、行政、財政両面を含めまして、下津町の再建のためにひとつ積極的に取り組んでいただきたい、このことを要望いたしておきます。  次に豪雪対策の問題についてお尋ねをしたいと思います。  二月六日の公表によりますと、全国で死者が六十五名、負傷者が四百六十二名ということで、これはまだ豪雪が二月末まで続くという状況でありますから、今後どれだけ被害がふえるか推測しがたいところでございます。  特に新潟の被害状況をお聞きいたしますと、死者が一月二十三日三十二名であったのが、二月三日では三十九名とふえております。人的被害も、百八十六名が二百五十一名ということでございます。農産物の被害が一体どの程度あるのか、これはまだ雪の下の話で推測もしがたい、こういう状況であります。二月六日には新潟県の知事専決で二十二億の専決を行ったそうでありますが、当初予算が三十億、既に支出済み額が二十九億九千万、最終は五十九億に達するだろう、こう言われております。既に、新潟だけじゃなしに富山、石川、福井なども陳情が参っておりますが、まず最初に政務次官にお尋ねをしたいと思うのです。  昨年私もこの雪害問題についてお尋ねをいたしましたが、昨年度措置といたしまして国庫補助金の大幅増額が行われましたね。これは特別会計、道路の予備費を充当して、いわゆる国庫補助を対象事業として公共事業の採択がかなり積極的に行われた。それから、国土庁の方からもいわゆる特別対策が講ぜられた。ことしもあわせてこの積極的な国庫補助の大幅増額を図るべきだと思うのですが、しかるべく建設省あるいは国土庁に対して自治省からも要望していただきたい、こういう陳情が参っておりますが、その点いかがでしょうか。
  110. 小澤潔

    ○小澤政府委員 お答えいたします。  今年度の降雪量は新潟、北陸地方を中心に相当な水準に達することが考えられ、昭和五十一年、五十五年、五十八年度におきましては市町村道の除排雪経費に対する国の特別措置を講じた例もあることから、今後関係省庁と協議してまいりたいと考えております。御理解いただきたいと思います。
  111. 経塚幸夫

    経塚委員 それじゃぜひひとつ積極的に働きかけて、国庫補助の大幅な増額をぜひひとつとれるようにしていただきたいと思うのです。  次にお尋ねをいたしますが、先ほど来の各委員質問に対しまして、この特交の配分問題でありますが、これは雪害についても現在の特交の配分の枠で十分な対策を講ぜられる、こういう御答弁だったわけですが、それじゃお尋ねをしたいと思いますが、五十八年度五九豪雪に対しては、これは一〇〇%面倒を見ることができたんですか、特交の配分などを含めまして。どうなんです、その点は。
  112. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 五十八年度におきましては、除排雪の経費に要する財源といたしまして、普通交付税によりまして九百億円措置しておったわけでございます。今度、地方団体におきます雪の状況、除排雪の所要経費の増高を勘案いたしまして、特別交付税におきまして百八十億円の措置をした。これに先ほど御指摘のありましたような国庫支出金等を加えますと、おおむね適切な措置が講じられておるというふうに考えております。
  113. 経塚幸夫

    経塚委員 おおむねじゃはっきりいたしませんが、それじゃ例を挙げてちょっとお尋ねしたいと思うのです。  新潟の場合、県に対して、五十八年度はこの雪害対策の特交の配分、幾らやったのですか。市町村には幾らやったのですか。
  114. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 新潟県についてのお尋ねでございますが、特別交付税は、各種の財政事情につきまして一定のルールに従って算定をしながら当該団体の財政需要を総合的に勘案して決定しておるわけでございまして、この新潟県の雪につきましては、五十八年度に配分されました普通交付税及び特別交付税の額というものは、それぞれ県分が四十五億円、市町村分八十四億円でございます。
  115. 経塚幸夫

    経塚委員 私がお尋ねしたのは、この豪雪対策、雪害分に対する特交の配分、県、市町村それぞれ幾らかとお尋ねしているのです。
  116. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 特別交付税は先ほど申し上げましたような算定をいたしておりますけれども、地方団体についての項目別の算定につきまして明らかにいたしますと、いわゆるひもつき財源的な取り扱いをされるということもございまして、従来から全国ベースの算定について公にしておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、新潟県及び同県下市町村に対しまして、除排雪経費として五十八年度に配分されました普通交付税及び特別交付税の額は、四十五億円及び八十四億円になっておるということでございますので、御了承いただきたいと思います。
  117. 経塚幸夫

    経塚委員 先ほど来からの各委員質問に対して、五十九年度特交の配分は豪雪対策に十分手当てが講じられる、こう自治省の方では御答弁なさっている。そこで私は、十分な対策が果たしてこの額で講じられるのか講じられないのか、この点をお尋ねするために、五十八年度一体それじゃ雪害対策の特別交付税としてどれくらいの配分をされたのか、これをお聞きしないと、五十九年度、この六十年豪雪に対して十分な手当てをされると口でおっしゃっても、本当にされるのかどうなのか何の担保もございませんでしょう。おおむねという程度じゃ困りますよ。きっちり一〇〇%保証されているのかされていないのか、ここが決め手だと私は思うのですよ。これを一〇〇%保証したと御答弁できますか。
  118. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 新潟県、県と市町村合わせましての除雪の支出に要した経費に対する財源措置をした率は九七%でございます。
  119. 経塚幸夫

    経塚委員 その中身につきましては、これは後刻御報告を求めたいと思います。かなりの違いがあるわけでございますから、これはとてもそれだけ手当てされておりません。  時間がございませんのでその説明は避けたいとは思いますけれども、五十八年度五九豪雪によりまして、県としては二十七億三千万、さらに市町村としては七十二億、これは財源を考えざるを得ないという状況にあったわけであります。こういう五十八年度対策を前提にして考えますと、六十年豪雪に対しまして万遺憾なき対策が今の枠内で講ぜられるかどうか、これは極めて疑問であります。  そこで、補正とも関連をいたしましてお尋ねをいたしますけれども、先ほど局長の御答弁では、いわゆる交付税は地方の固有財源である、それから法令の建前もその年度に配分をすべきだ、こう御答弁になりましたが、この年度間調整の権限は挙げて地方公共団体にある、そうじゃないのですか。その点はどうなんですか。
  120. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 ちょっと先ほどの数字で、新潟県と申し上げましたが、全国の措置傘でございますので御訂正いただきたいと思います。  なお、雪につきまして一〇〇%かどうかという問題がございますけれども、例えばどのくらい降ったら除雪をするか、これは地方団体の対応もいろいろ差がございまして、わずかに降った場合でも対応する、あるいはこの程度積もれば対応する、各団体の措置の問題でございますので、必ずしもこれが一〇〇%でなければならないとは私どもちょっと考えでおりません。  それから今回の御答弁でございますが、本来的には、確かに今年度増加した交付税額というものは地方団体において調整をするというのが建前であろうと思うわけでございますけれども地方財政の中期的な健全性を確保する観点からこのような措置をすることもやむを得ないというふうに判断をして、今回繰り越しの御提案を申し上げたわけでございます。
  121. 経塚幸夫

    経塚委員 私のお尋ねしたことにお答えいただきたい。  四条の三でどう書いてあるのですか。滑り出しは、年度間調整につきまして「地方公共団体は、」と書いてあるのですよ。だから、年度間調整のこの権限は挙げて地方公共団体にあるのじゃないですか。その点をお尋ねしている。どうです。
  122. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 地方財政法の四条の三の年度間の調整の問題でございますが、これは地方財政の運営ということにつきまして、地方団体におきまして交付税の額が大きく配分されたとかこういった場合には、その当該団体の将来の財政の健全性を図る見地から、こういった積み立てなどをして年度間の調整を図るように指導をした規定であると考えておりまして、今回のお願いをしております法律案、この問題とは直接の——直接と申しますか、今回法律を御提案申し上げまして繰り越しをさしていただきたいというふうなものと、財政運営の基本というふうな点と、それから交付税総額をどう扱うかという点とは若干違うのではないかと思っております。
  123. 経塚幸夫

    経塚委員 それは局長、詭弁ですよ。年度間調整を法律規定した項目はここだけなんですよ。そうでしょう。その滑り出しが「地方公共団体は、」こうある。だから、あくまでも年度間調整の権限は挙げて地方公共団体にあるのでしょう。交付税は地方の固有の財源だ。さらに増収、増額分につきましてはその年度に地方に配分する、これも法例の建前だ。挙げて地方の自主性、独自性という観点から地方公共団体年度間調整の権限もある、これが建前でしょう。過去においてもそういうように言われてきたわけであります。  したがいまして、局長の答弁では、地方には四千何がしかの増収が期待されるとかいろんな理由を挙げておられます。しかし、どんな理由を挙げられようとも、年度間調整をどうやるべきかについては、これは地方が決めるべきことなんですよ。地方が決めることなんですよ。勝手に上の方で、ああしましょう、こうしましょうと言える性格のものじゃないのですよ、これは。増収があろうと、あるいは増収がなかろうと、その権限は挙げて地方にある。私はそういう見解をとっておりますし、そのことがまた法例の精神だ、かように考えております。  過去において昭和四十八年、四十九年、これは地方に増額分、増収分を配分した、単価を見直して、そして需要額を引き上げて、そういう立派な例があるじゃないですか。そして長期の財政運営、もしこれを六十年度に繰り越さなければ、また長期の財政運営から見て新たに借り入れをしなければならなくなる、こう御心配をなさっておりますが、そういう状況が生まれてくればそういう状況が生じたて、それはまた交付税法に定めておりますように、国の責任においてそのことをどう処理するかは新たな協議すべき対象の問題じゃございませんか。それを国の事情によって一方的に地方の権限を侵すということはしてはなりませんし、過去の例から見ましても、法例の精神から見ましても相反するものである。したがいまして、私は、今回提案されておりますいわゆるこの法案に対しましては、反対を表明するものでございます。  以上で質問を終わらせていただきます。
  124. 高鳥修

    高鳥委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  125. 高鳥修

    高鳥委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  昭和五十九年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  126. 高鳥修

    高鳥委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 高鳥修

    高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  128. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十六分散会      ————◇—————