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1985-04-11 第102回国会 衆議院 大蔵委員会内閣委員会地方行政委員会文教委員会社会労働委員会農林水産委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十一日(木曜日)     午前九時三十分開議 出席委員  大蔵委員会   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       糸山英太郎君    大島 理森君       瓦   力君    笹山 登生君       塩島  大君    田中 秀征君       中川 昭一君    東   力君       平沼 赳夫君    伊藤  茂君       川崎 寛治君    藤田 高敏君       古川 雅司君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君  内閣委員会   委員長 中島源太郎君    理事 戸塚 進也君 理事 小川 仁一君    理事 元信  堯君       石原健太郎君    菊池福治郎君       塩川正十郎君    二階 俊博君       堀内 光雄君    角屋堅次郎君       鈴切 康雄君    柴田 睦夫君       三浦  久君  地方行政委員会   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君       伊藤 公介君    工藤  巖君       中川 昭一君    松田 九郎君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    山下洲夫君  文教委員会   委員長 阿部 文男君    理事 大塚 雄司君       青木 正久君    稻葉  修君       臼井日出男君    榎本 和平君       田川 誠一君    二階 俊博君       木島喜兵衞君    中西 績介君       藤木 洋子君  社会労働委員会   委員長 戸井田三郎君    理事 村山 富市君       愛知 和男君    古賀  誠君       斉藤滋与史君    谷垣 禎一君       長野 祐也君    林  義郎君       湯川  宏君    竹村 泰子君       浦井  洋君    小沢 和秋君  農林水産委員会   委員長 今井  勇君    理事 田名部匡省君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君       菊池福治郎君    鈴木 宗男君       松田 九郎君    駒谷  明君  運輸委員会   委員長 三ッ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君       関谷勝嗣君     福家 俊一君       児玉 末男君    左近 正男君       関山 信之君    梅田  勝君       辻  第一君  建設委員会    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 新井 彬之君       榎本 和平君    東   力君       森田  一君    上野 建一君       清水  勇君    山中 末治君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         農林水産大臣  佐藤 守良君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         自 治 大 臣 古屋  亨君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   藤田 康夫君         臨時教育審議会         事務局次長   齋藤 諦淳君         警察庁交通局長 太田 壽郎君         総務庁長官官房         長       門田 英郎君         総務庁長官官房         審議官     佐々木晴夫君         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      角谷 正彦君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省銀行局長 吉田 正輝君         文部大臣官房長 西崎 清久君         文部大臣官房審         議官      菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      阿部 充夫君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生省健康政策         局長      吉崎 正義君         厚生省保健医療         局長      大池 眞澄君         厚生省生活衛生         局長      竹中 浩治君         厚生省社会局長 正木  馨君         厚生省児童家庭         局長      小島 弘仲君         厚生省保険局長 幸田 正孝君         社会保険庁医療         保険部長    坂本 龍彦君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君         農林水産大臣官         房予算課長   鶴岡 俊彦君         農林水産省構造         改善局長    井上 喜一君         農林水産省畜産         局長      野明 宏至君         農林水産省食品         流通局長    塚田  実君         林野庁長官   田中 恒寿君         水産庁長官   佐野 宏哉君         運輸大臣官房長 永光 洋一君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省地域交通         局次長     熊代  健君         運輸省貨物流通         局長      栗林 貞一君         運輸省港湾局長 藤野 慣吾君         運輸省航空局長 西村 康雄君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君         建設省都市局長 梶原  拓君         建設省道路局長 田中淳七郎君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君         自治大臣官房審         議官      土田 栄作君         自治省行政局長 大林 勝臣君         自治省財政局長 花岡 圭三君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         参  考  人         (日本鉄道建設         公団副総裁)  永井  浩君         参  考  人         (地方制度調査         会副会長)   柴田  護君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         文教委員会調査         室長      高木 高明君         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君         農林水産委員会         調査室長    矢崎 市朗君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君         建設委員会調査         室長      井之上俊一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例  等に関する法律案内閣提出第八号)      ――――◇―――――
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより大蔵委員会内閣委員会地方行政委員会文教委員会社会労働委員会農林水産委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小川仁一君。
  3. 小川仁一

    小川(仁)委員 内閣委員会の一人として質問をさせていただきます。  先日の岩手地方公聴会に出席させていただきました。この法案に対して、地元の陳述者赤澤副知事以下六人の方でございましたが、言葉のあやの違いはあれ、皆反対でございました。全く迷惑至極、絶対通してはならないという強い声もありました。そして、ほとんどの人たちは、このような法律を提案される竹下大蔵大臣は、かつて島根県で県会議員もしておられた、地方財政力の弱い実情は十分御存じなのにというふうな、終わってからの声もございました。将来ある竹下さんがこういう状態を出しますと、そこで出された声の一番大きな問題は、国と地方信頼関係を損なうということでございます。国と地方の政治の信頼関係行政信頼関係を損なうということは、今後のあり方について非常に大きな課題を残すと思います。特に財政力の弱い地方では、そういう課題について本当に真剣に考えておりますだけに、ぜひ国と地方信頼関係の回復、こういう問題を含めて御所見を伺いたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 小川さん、現地公聴会に参加をしていただいたという報告は、大蔵委員会のこの報告の中で私も聞いておりました。いわゆる地方財政力の弱いという表現でございますが、大体沖縄、鹿児島、そこのところまでは毎年確定しておりますが、その後が島根であり青森であり、小川さんの岩手である。大体いつもいい勝負をしておる、お互い環境を等しくしておるという意識は私も持っております。そこで、いわゆる平衡交付金制度から交付税というものになり、徐々にいわゆる地方自治の本来あるべき姿という方向が打ち出されて今日に至っておる時期に、言ってみれば補助金のカットということによって相互信頼関係を損なうではないかという御質問でございます。  国の立場から財政というものを考えてみまして、この厳しい環境の中で歳出削減を図るということになりますと、どうしても一般歳出の四割を占めますところの補助金の徹底した整理合理化、これを積極的に進めなければならぬというのが、そこに結論として出てくるわけであります。この補助金については、第一次臨調答申あるいはその後の臨調答申行革審答申というものに沿いまして、最初はいわゆる行財政簡素合理化、また地方公共団体自主性自律性の尊重という観点を踏まえながら、終期が既に来たものとかあるいは奨励的意義を既に失ったものとか、地方に同化定着したものとか、そういうところからこの問題を取り上げ、そして、第五次答申以後は、あわせて国と地方との間の機能分担費用負担の見直しということで進めていく必要があるということで、今日この法律を御審議いただいておるということであります。  その中に、特に二分の一超の高率補助につきまして、いろいろな御指摘もございますので、したがって、あくまでも単に負担地方に転嫁しようという措置ではなくして、いわば国と地方との費用負担あり方という見地からお願いをすることに結論を得たわけであります。しかしながら、これに伴いますところの六十年度の地方財源不足五千八百億円と見込まれるわけでありますが、交付税追加加算並びに建設地方債の増発で、いわゆるマクロで見ますところの地方財政の円滑な運営に支障を来さないような措置をとることにして、この法律の御審議お願いしておるというのが現実の姿でございます。  しかしながら、私どもとして意を用いなければならぬのは、このような措置を行いましたところ、最初世間には、言ってみれば一方的補助率負担転嫁である、こういう意識が蔓延をいたしましただけに、そうではない、このような措置をしました、現実マクロで見る地方財政計画の土俵でいきますならば、ことしはとんとんになっておるものが、このような形で迷惑をかけることになったものについてはきちんとした措置をいたします、これからもなお国会の問答等を通じながら相互理解を深めることによって、その両者の間のいわば車の両輪として円滑に回っていくような施策と、そしてこれが普及啓蒙をも含めて、地方に御理解を求めていく努力は引き続きやらなければならないものである、このように考えます。
  5. 小川仁一

    小川(仁)委員 今のお話だけでは、なかなか地方と国との財政問題の不信感は氷解しないものという実感がはっきり存在いたします。  そこで、今の最後のお話の中に、地方に迷惑をかけたものについてはきちんと後で始末をする、こういうお話がありました。ぜひこの点をお忘れなく、地方団体に対する対処をお願いしておきたいと思います。  地方のこういう高率補助金、一律に一〇%カットしています。それは生活保護者にもあるいは子供たち教材費にもマイナス影響を与えているときに、逆に、これから私が申し上げますいわゆる国所管公益法人補助金はむしろふえている、こう見られるわけでございます。いろいろ各省庁に御調査お願いしましたけれども、なかなかお出しくださらない省庁がありまして、総額はわかりませんけれども、見ますと、不急不要の補助金公益法人の中であるような感じがいたします。  そこで具体的なお伺いをいたしますが、公益法人に対する補助金総額、それから国の所管公益法人の総数、そのうち国から補助金等を与えている法人の数、またその補助金総額、同時に、補助金をもらいながら元公務員常勤役員として存在している、いわゆるひもつき団体といいますか、天下り受け並みたいな団体、こういうのが幾つあって、その補助金総額幾らかということをお示し願いたいと思います。
  6. 藤田康夫

    藤田(康)政府委員 補助金総額につきましては後ほど大蔵の方から御答弁があろうかと思いますが、先生お話しございました各省所管法人の数でございますが、おおむね現在私のところで把握しておりますのは四千六百ぐらいでございます。で、いわゆる各省庁所管する公益法人のうちで、これは五十八年度の決算ベースで申し上げますが、補助金等交付を受けておって、かつ昭和五十年度以降に退職いたしまして、退職時において管理職以上であった国家公務員常勤役員として就任をしております法人の数、これは昭和五十九年三月末現在で百五十六法人ございます。また、上記の国家公務員であった者の合計の人数でございますが、五十九年三月末現在で二百十五人でございます。  以上でございます。
  7. 平澤貞昭

    平澤政府委員 お尋ね総額でございますけれども、一応計算いたしますと、五十八年度に千百八十一億円、五十九年度に千二百八十億円、六十年度は減りまして千百六十億円、こういう数字になっております。一般会計数字でございます。
  8. 小川仁一

    小川(仁)委員 天下りをしておられる団体、これは天下りした役人一人当たりになると幾ら金額になりますかね。
  9. 平澤貞昭

    平澤政府委員 元公務員常勤役員として就任しております公益法人の数は百五十六ございます。それに対する補助金等の額が八百七十八億あるわけでございます。その天下りしております公務員の数が二百十五人ということでございます。
  10. 小川仁一

    小川(仁)委員 そうすると、非常に乱暴な物の言い方になりますけれども補助金等総額、それを二百十五人で割りますと、一人四百万ぐらいの平均になりますかね。天下り法人に対する補助金総額を二百十五人の元公務員の数で割りますと、一人平均四百万程度、こう見ていいわけですね。
  11. 平澤貞昭

    平澤政府委員 約四億でございます。
  12. 小川仁一

    小川(仁)委員 ああ、四億。そうすると、公務員一人当たり四億の補助金が、それらの補助を出している法人に行っているということですね。大変な数じゃないですか、これは。もし法人を一つつくって補助金をいただきますと、そして元公務員常勤役員に迎えますと、一人迎えれば平均で四億、十人迎えるということもないでしょうが、十人迎えると四十億、その補助団体といいますか公益法人はもらえるということになる。こういう計算をして、これは少し度が過ぎているななんというふうな印象をお持ちになりませんか。どうですか、大臣
  13. 竹下登

    竹下国務大臣 まあ物の見方でございますけれども、いわゆる人件費そのもの人件費相当部分というのはもっと小さいものでございましょうし、そうして、それぞれの公益法人事業費――だから一概にこれは今の小川さんのような角度から議論するわけのものではないな、こんな感じでございます。
  14. 小川仁一

    小川(仁)委員 給与の方からいいましても、退職金なんか見ますと大変な数ですよ。御存じでしょうから、一々数字を言いませんが。ただ、私は機械的な物の言い方をするつもりはございませんし、事業中身もあるとは思いますけれども、しかし、それにしても、公務員が一人行けば四億円行くのかなという印象を世の中に与える可能性が非常に強い。そしてまた、この具体的な事業の内容をいろいろ見てみましても、なかなかわかりかねる面があるのです。  例えば、私はそれを見たいと思いまして、五十八年度の決算額と六十年度の予算見込み額お願いをしたのですが、どういうわけか文部省だけは出してくれないんですね。何か出せない理由があるんですか、大臣
  15. 西崎清久

    西崎政府委員 先生お話ではございますが、事務的に私ども先生からの資料の御要望を承っておらなかったわけでございます。(小川(仁)委員「そんなことないよ」と呼ぶ)従来から、法人参議院段階お話が出ておりましたときにはそれぞれ資料を出しておるわけでございまして、御要望があれば必ず出すということで役所は対処しておるわけでございます。何かの手違いであったのではないかと思います。
  16. 小川仁一

    小川(仁)委員 手違いならわかるけれども、さっきもここへ、あなた方の連絡員が来て、間に合いませんと言っている。資料請求しているから間に合わないのであって、請求していなければ、間に合う間に合わないの話じゃない。だから、一つ一つ事業中身を比較してみないと不急不要の補助金というのがわからないと思ってお願いしたのですがね。  それで、経済企画庁の方はどういうことを言ってきたかというと、個別の金額も必要ならすぐ出します、微々たるものです、こうおっしゃるのです。なるほど、見ますと、二億一千百万ですから、経企庁なんかの数字では微々たるものでしょうが、税金を納めている方からいえば、やはり二億円になれば微々たるものじゃないのですよ。こういうふうな物の言い方をしておられて、五十八年度決算もまだそれぞれ所管省庁が掌握していない。  六十年度の予算配賦見込みといいますか、こういうものについてお尋ねをしましたら、農林省の方はこういうごあいさつでございます。まだ配分決定でございます、配分決定理由は、予算が決まりましたけれども、どの団体にこの予算をやれば一番ふさわしいか、その事業ができるかということを検討中でございます。先に予算が決まって、分ける団体を見通している。公務員が行っているところに余計やるのか、あるいは仕事のところに余計やるのか、そういうことは全然説明なしに、決定はまだ未配分。こうなってきますと、一体予算要求のときどういうことをし、大蔵省がどういう査定をしたのですか。予算は、補助金であっても、要求のときには事業必要性をもって大蔵省に持ってくる。それを大蔵省の方が見て、この団体には幾らということを御査定なさって、必要額でお決めになる、私はこう考えております。いまだに配分した団体配分しない団体が存在するというふうな状態。これは金額でいったら、あるいは億単位の微々たるものであるかもしれませんよ、私はそういう言い方は好みませんけれども。未配分だという理由はどういうことなんですか。予算決定の過程を含めて、御説明を願いたい。
  17. 平澤貞昭

    平澤政府委員 公益法人等へのいわゆる補助金の中には、委託費というのが非常に大きな額を占めておりまして、委託費につきましては総額として予算査定いたしまして、それを、配分を受けました各省庁においてその委託費をおのおのの団体にさらに配分するということになっておりますので、それにつきましては予算が成立した後で、総額の中で一番適切な団体にしかるべき額を算定して交付しているということでございます。したがいまして、恐らく農林省の場合は、その委託費部分について申し上げたのではないかと考えられるわけでございます。
  18. 小川仁一

    小川(仁)委員 農林省の場合も、六十年度予算見込み額資料として出していただいておらないので、委託費補助金かわかりません。仮に委託費だとしても、それにふさわしい団体幾つか存在するということ自体が、公益法人認可の上で非常に大きな問題があると思うのです。さっきの話で、四千六百も公益法人を認可しているでしょう。莫大な数ですよ。この莫大な数の中で、委託費をおまえさんの方にやろうか、やろうか、やろうかといって、三つぐらい競り合わせるというふうな形、こういう形態の中に、実は、いわゆるひもつき補助金とも言われるものの問題点が存在するのではないかと思います。  ですから、逆にお聞きしますが、委託をする費用がお決まりになる、それにふさわしい団体というのは一体幾つぐらいあるのですかね、選択をすると。
  19. 平澤貞昭

    平澤政府委員 例えば、具体的に申し上げますと、調査委託費というのが大きなウエートを占めておる省庁もございます。その場合にはしかるべき公益法人、あるいはその場合は民間の通例の調査機関等も含めまして、その中からその調査委託を一番適切に行い得る団体を選んで、そこに委託費交付して事業をやってもらうというような場合もございますので、予算決定後しかるべき配慮を加えながらそういう団体決定しているということでございます。
  20. 小川仁一

    小川(仁)委員 あなた方のお答えはそうなるでしょうけれども、実際問題としては、委託費を決めて、後から、幾つかある認可団体からどこを選びますかなどというふうなやり方をやるということは、公益法人を正常に育てる意味でも、また、委託費の正常な使い方の意味からも非常に問題が出てくる点が多いと思いますから、こういう点は、今後の委託費決定の際に、目的と団体を十分明確にしながらお決めいただかないと、いろいろな嫌なうわさ、話が出てくるということを銘記しておいてもらいたいと思います。  それで、大蔵省の方にお聞きしますが、中央、地方金融機関信用金庫とか信託とか銀行――都市銀行地方銀行を含めて、もと大蔵省におられた方がいない銀行がありますか。
  21. 吉田正輝

    吉田(正)政府委員 全国で都市銀行地方銀行、その他信用金庫まで含めまして六百程度ございますけれども、いない銀行あるいは信用金庫、相当ございます。
  22. 小川仁一

    小川(仁)委員 御調査にならないと思います。御調査をいただきましたら一人事院承認を得て行った方の数ははっきりしているのです。ところが、調べてみますと、人事院承認を得ないで、何か民間団体公益法人に移っておいて、二年たった後こっちに行かれたという人もあるわけなんです。おたくの調査人事院の分だけです。人事院承認を得ないで、抜け道とは言いませんけれども、二年間優雅な生活をどこかでなさりながら銀行に行かれた人もあるのです。私の知っている範囲では、相当数あると言うけれども、大体七、八割は大蔵省出身の人が占めているんじゃないかという、私の狭い経験の範囲内からの推定ができるのですが、どうなんです、その辺。もう少し詳しくわかりませんか。
  23. 吉田正輝

    吉田(正)政府委員 先ほど先生が御指摘になりました、人事院承認を得て民間金融機関役員に就職した者をまず申し上げさせていただきますと、五十九年十二月末現在、過去十年間で人事院承認を得て民間金融機関役員に就職し、かつ在職している者の数は百八十五名でございます。これは、全部の役員の数が五千三百六十七名おりますので、三・四%でございます。  先生が御指摘になりました離職後二年、つまり人事院承認を得る必要がなくて就職した者、つまり離職後二年を経て就職した者の数は、正確には把握しておりませんけれども先生がおっしゃられるような大きな数ではないというふうに考えております。ちなみに一つぐらい抽出してみますと、地方銀行で、先生八割程度とおっしゃいましたけれども、私の感じでございますけれども、一割程度というふうに存じております。
  24. 小川仁一

    小川(仁)委員 かなり開きがありますので、これはゆっくり調査をしてまいりたいと思いますが、一割としてまずお答えを聞いておきましょう。  さらに、天下り役員補助金の関係の問題を含めながら各省庁にお聞きいたします。  総務庁にお聞きいたしますけれども、今度新しく全国ダンプカー協会というのが総務庁の所管になりまして、二千六百万円の補助金措置がついておるようであります。総務庁とダンプカーというのはどういう関係にあるか。ちょっと勢いが強いということで存在しておるにしては……。よく調べてみましたら、これは去年までは警察庁の方の所管団体なんです。土地転がしという話は聞いたことがあるけれども法人転がしという話は余り聞いたことがないのですが、こんなふうに転がすのですか、法人を。転がすたびに補助金がふえたりなにかするということになると、これはやはり問題があるのですが、これは何で総務庁の方にダンプカーが移ったんです。
  25. 門田英郎

    ○門田政府委員 お尋ねの全国ダンプカー協会でございますが、これは昨年五十九年の六月に、当時の総理府本府の認可を得て設立されたものでございます。原局として所管しておりますのが交通安全対策室でございます。七月から総務庁が発足したわけでございまして、総務庁の所管ということに相なっているわけでございます。  これは先生御案内のとおりで、ダンプカー事故というものが人身事故を含んで非常に多いわけでございます。この交通規範というものを確立するためにも、全国的にこういった協会、地方にございますそれぞれのダンプカー協会、こういったものに対する指導監督ということをやっていくという趣旨で設立されたものということでございますので、ひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。
  26. 小川仁一

    小川(仁)委員 そういう任務なら、むしろ前のとおり警察庁に置いてもいいだろうと思いますが、警察庁にあったダンプカー協会というものと総務庁に行った全国ダンプカー協会というものは違うものなんですか。同じものなんですか。それとも両方にあるというのですか。
  27. 門田英郎

    ○門田政府委員 ただいま私の答弁がちょっと舌足らずでございましたが、この全国ダンプカー協会というのは警察庁、それから私ども総務庁、さらに運輸省、この三省庁の共管ということで昨年設立されたということでございます。
  28. 小川仁一

    小川(仁)委員 警察庁の方にお伺いいたしますけれども、共管の場合の補助金は総務庁の方でついておるわけです。警察庁の方には補助金がついていないのかどうか。
  29. 太田壽郎

    ○太田政府委員 警察庁の方にはついておりません。
  30. 小川仁一

    小川(仁)委員 共管というのはわかります。補助金がついているところが主体だというふうに考えますが、警察庁の方で財団法人全日本交通安全協会という法人がございます。これには委託費もついているようでございますが、この団体に対する委託業務の内容を御明示願いたいと思います。
  31. 太田壽郎

    ○太田政府委員 財団法人の全日本交通安全協会に出されております委託費でございますが、五十九年度におきまして八百十二万程度でございますが、内容といたしまして、交通安全国民運動中央大会の開催の費用、それから自転車の安全な乗り方教室の指導者の講習会、あるいは春秋の交通安全運動の際の広報資料の内容、そんなようなものになっております。
  32. 小川仁一

    小川(仁)委員 一年間に、原付免許を含めて免許証の交付総数というのはどれくらいありますか。概数で結構です。
  33. 太田壽郎

    ○太田政府委員 約百八十万件でございます。(小川(仁)委員「百八十万人」と呼ぶ)はい、そういうことでございます。
  34. 小川仁一

    小川(仁)委員 この交通安全協会というのに関連してお聞きしますが、これは各警察署と非常によく連絡をおとりになりまして、私たち理解できないようなことがあるわけです。  例えば広島県警の例がありますけれども、運転免許試験課長というのが各警察署長に「原付免許試験日の指定制実施について(依頼)」という文書を出しまして、それを繰ってみますと「受験心得」というところに「手数料、諸費六千円位」と書いてある。この六千円の中身を見ますと、その中に「安全協会費千円」というのが書いてある。この安全協会というのは公益法人でございますから、なぜ公益法人の会費を取るのに警察が文書の中で任意手数料なんという形で数字をお出しになるんですか、その辺御説明願いたいと思います。
  35. 太田壽郎

    ○太田政府委員 安全協会は三つの組織に、なっておりまして、全国レベルでは、先ほど申し上げました財団法人全日本交通安全協会、それから各府県の段階で都道府県の交通安全協会というのがそれぞれ独立した団体としてございます。それからただいまお話がございましたように、各警察署を中心にいたしまして地区の交通安全協会、これもそれぞれ独立した団体として存在しているわけでございます。  私、ただいまのお話の内容はっきりわかりませんけれども、今のお話の面に即してちょっと推測をいたしてみますと、地区の交通安全協会、要するに大体警察署の管轄区域を中心に組織されている団体でございますが、これはほとんど任意団体でございます。したがいまして、その地域に居住いたしますドライバーの協力によって運営されているという面があることは事実でございます。したがいまして、そういう協力を要請するという場合もあり得るということで、恐らくそういう話になったんではないかというふうに推測するところでございます。
  36. 小川仁一

    小川(仁)委員 東京都で免許証の交付申請に行きますと、ちゃんとそこの交通安全協会が警察と一緒の場所で千円お取りになって、こういうのを渡してくれる。見てみましたら「国家公安委員委員長 田川誠、」と書いてある。これはおかわりになったはずだなと思って……。田川誠一さんの分は古本で廃棄する分ですね。千円ずつ、試験をし講習をする場所で、弱い立場にある、試験を受けている方々から、普通の手数料、いわゆる受験手数料やなんかと込みにしてその地区でお金を取るということは、これは非常に警察に対する不信感が増すと思います。今後の行政指導の中で、安全協会費を納めるようにという警察からの通知、文書を出さないとお約束できますか。一緒にこういう文書につけて出さないということ。
  37. 太田壽郎

    ○太田政府委員 この問題につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、地区安協の運営のために主として使われる経費の御協力をお願いしているということだろうと思いますが、前前から問題が非常にございまして、窓口においてはっきり分けるということは現在行政指導いたしております。したがいまして、警察に納めるべき正規の手数料、それからいわゆる安協に対して会費という形で納めていただく任意の形のもの、これをはっきり窓口を分けて現在指導いたしておるところでございますが、今先生お話がございましたような趣旨は今後も十分徹底してまいりたいというふうに考えております。
  38. 小川仁一

    小川(仁)委員 それじゃ、こういうふうに警察の書類、通知の中に「安全協会費千円」なんというのは書き込まないように指導する、これを一つ確認をし、さらにお金をいただくときに、はい、こっちは交通安全費、こっちは受験料というふうに同じ場所で、いわゆる警察の中で取らない、業務を警察署の外に出す、こういうお約束ができますか。
  39. 太田壽郎

    ○太田政府委員 文書を出して、そういう誤解を招くといいますか、任意性について問題を醸し出すような、そういう形の問題については避けてまいりたいと思います。  ただ、県レベルの交通安全協会あるいは地区の安全協会の窓口というものにつきまして、現実の問題といたしましてかなり警察の施設の中の一部を借用している。正規に使用料等を払ってもらっているのが大部分でございますが、そういう形で運営しているものにつきまして、今の御趣旨を体して十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  40. 小川仁一

    小川(仁)委員 使用料を払ってといいますのは、警察の建物を使って使用料を払ったら、それはどこへ入るの。
  41. 太田壽郎

    ○太田政府委員 手数料、使用料を納めるとすれば、県の収入になる……(小川(仁)委員「納めているかと聞いているんだ」と呼ぶ)これは納めているところもあると思いますが、そういう実態については詳しく承知をいたしておりません。
  42. 小川仁一

    小川(仁)委員 天下国家の政治に関係するようなことではありませんから、それ以上は言いませんが、さらに聞きます。  中央の交通安全協会、さらに地方の安全協会に元警察官、警察にお勤めになった方がどれぐらい常勤役員、職員としておいでになるか、お調べになったことありますか。
  43. 太田壽郎

    ○太田政府委員 財団法人全日本交通安全協会の関係では五人でございます。それから、都道府県の交通安全協会のレベルでは百十人程度というふうに承知いたしております。
  44. 小川仁一

    小川(仁)委員 警察というものの立場もございましょうから、今後、今申し上げた種類のものについては立て分けを明確になさるように要望しておきます。  続いて、同じ建物の中に公益法人を存在させている防衛庁の方にお伺いいたしますが、隊友会というのがございますね。これはことし約一億円ぐらいの増額になっていますが、この団体、予備自衛官の管理事務を委託している。予備自衛官といえども公務員に該当するものでありますが、民間団体にそういう人の管理事務を委任するということそれ自体、組織としては非常に不見識だと思いますが、いかがでございますか。
  45. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えをいたします。  予備自衛官は御案内のとおり非常勤の防衛庁職員でございまして、日常は一般社会人としてそれぞれの職業に従事をいたしておりまして、原則として年一回の訓練招集で出頭する以外は、自衛隊と余り接する機会がないわけでございまして、自衛隊との連携と申しますか接触は非常に少ないという状況でございます。  自衛隊といたしましては、予備自衛官の制度の趣旨にかんがみまして、常に緊密な連携を保っておくことが必要ではございますけれども、管理を担当いたしておりますのが地方連絡部でございますが、これの現在の体制では、管理の人数が非常に少のうございまして、地方連絡部だけでは十分把握することが困難である。こういうような現状でございますので、自衛隊の実情を十分認識をし、かつ社会の実情にも明るい、主として元自衛官で構成をされております社団法人でございます隊友会に、予備自衛官の管理事務の一部をお願いしておる、こういうことでございまして、委託の内容は、所在の確認でございますとか勤務意思の確認あるいは訓練出頭時期の調整等の業務をお願いしておる、こういうことでございます。
  46. 小川仁一

    小川(仁)委員 別に自衛隊の管理体制を強化しろと言うつもりはないのですけれども、ただ、予備自衛官といっても非常勤の職員でしょう。職員を社団法人に管理させるなんという軍隊はめったにないと思いますがね。その程度の自衛隊だという認識をしておきましょう。  それで、この隊友会の山口県支部連合会が問題を起こしておりますね。中谷さんという人の御主人が亡くなったのを護国神社に祭るということで、現在裁判になっておりますが、隊友会の事業の中に、死んだ人の合祀申請まで入るのですか。
  47. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  隊友会も独立の人格でございますので、私どもからお答えするのは適切かどうかわかりませんが、定款を見ますと、第四条の五項に「正会員で重度障害となった者、死亡した正会員、又は殉職した賛助会員の遺家族に対する援助」というような項目がございまして、御遺族の援護というようなことで隊友会が事業を行ったものと承知をいたしております。
  48. 小川仁一

    小川(仁)委員 死んだ主人の祭祀なんというのは宗教上の問題であり、個人的な問題であります。隊友会などというものが援助という名前で、自分の死んだ主人の身を祭る場所まで勝手に決められては迷惑至極なんです。こういう憲法違反のような仕事をするような隊友会については、即刻解散をさせるか、あるいは業務の見直しをするかしなければいけないと思います。憲法違反の仕事をしているような隊友会に、補助金を出すこと自体も非常に大きな問題でございますだけに、責任ある御答弁をお願いしたいと思います。
  49. 友藤一隆

    友藤政府委員 以前の事件でございますが、当時の調査によりますと、隊友会の方で御遺族の御意思ということで合祀の手続を行ったというお話でございましたけれども、それが御遺族の十分な同意が得られてないというような結果でございまして、そういった行き違い等によりまして、信教の自由を侵すような結果になったというような事案に今発展をして、訴訟になっておるというようなことでございます。  私どもといたしましては、こういうような御遺族に対する御援助につきましては、よく遺族の御意思に従ってやっていただくということが必要ではないかと考えておりまして、いやしくもそういった誤解を招かないように隊友会を指導してまいりたいというふうに考えております。
  50. 小川仁一

    小川(仁)委員 誤解じゃないですよ。これは岩手県の釜石で亡くなられたから、事情その他は私は承知しておりますが、奥さんが御主人を護国神社に祭らないでくれと頼んでおるのに、強引に祭っているのです。それで憲法違反だといって訴えられているのです。祭祀問題まで扱うような隊友会というのは、憲法違反をやっておるわけです。既に敗訴もしているはずであります。こういう事業は一切やめてもらいたいし、これは後でもまた御質問申し上げますが、憲法違反になるような仕事をする公益法人には今後補助金は出さないでもらいたいということをはっきり言っておきます。  時間がなくなってきましたが、続いて運輸大臣にお伺いします。  これは大臣、就任前のことで、詳しく御承知ないかと思いますが、実は先日新聞に挙がりました財団法人港湾近代化促進協議会、それから財団法人港湾運送近代化基金、もう一つ財団法人港運構造改善促進財団という三つの財団があるわけでございます。これを調べてみますと、まことに立派と申し上げるか恐れ入りましたと申し上げるか、若狭得治事務次官以来次々と事務次官が交代してこの三つの財団の役員をしておられる。例で申し上げますと、若狭得治氏は四十三年から四十六年五月まで、次の事務次官の堀武夫さんが六月から四十七年七月まで、その次の事務次官の町田直さんが四十七年七月から四十九年八月まで、こういうふうに皇統連綿のごとく続きまして現在の杉浦さんに至っているわけです。  それで、毎日新聞によりますと、その方々の言い分がまことに心憎いと申しますか、あきれ果てたと申しますか、こういう談話をお出しになっています。事実かどうかは別として、新聞によって申し上げます。「協議会の会長というのは、代々腰かけというか、無給で名目だけ。みんな二年ぐらい遊びますが、そのとき机や部屋があった方がよいだろうと……。私より前の次官の方も、そこにいましたからね。」こんなふうなお話でございます。また、ある方は「企業に直接行くには、人事院承認がいるでしょう。その二年間を過ごすためのところ。」いわゆる人事院の目をくらますところだ。「手当は出たとしてもわずかだった。名誉職だから、批判されるようなことはない」。そして現在どうなっているかというと、前運輸次官の杉浦さんが港運構造改善促進財団の会長、港湾近代化促進協議会の会長、そして近代化基金の理事、三つやっておられる。専務理事は全部兼松さんという元海上保安庁総務部長さん。これはどうしても納得できないのですよ、こういう進め方。大臣の所見を伺いたいと思います。
  51. 山下徳夫

    山下国務大臣 先生も私も同じ政治家という立場から国民の利益を守り、また公務員の、役人の襟を正さなければならぬ立場にあることは当然でございます。したがって、天下り等先ほどから大変貴重な御意見を承っておりましたけれども、私ども同じ立場に立ってきちんとすべきはしなければなりませんが、今御指摘の問題につきましては、結論から申し上げると、これは大変に適役だと私は思っておるのです。この協会は港湾運送に関することでございますけれども、非常にすそ野の広がりの広いいろいろなものを扱っている、各団体の権威者が理事としてお集まりになって運営されておりますが、こういうものを運営するとなりますと、一局長を務めたということよりも、いわゆる運輸省の行政全般に通じた次官をやった者の方がよりいいということがまず第一点でございます。  それから、この会は無給でございますし、非常勤でございますし、国からびた一文助成金も出ておりません。したがって、せっかく三十年、四十年役所に勤めて晴耕雨読、マンションで晴耕雨読はどうか知りませんが、いずれにいたしましても悠々自適にやっている人に対して、おまえ少し手伝ってくれぬかということに対して手伝うということは、ごく自然な姿であって、自分の長年にわたる博識をもって、これも一つの国家に対する御奉公のつもりでおやりになるのはいいことじゃないか、私自身はそう思っておるわけでございます。  ただ、全般的な天下りの一つ一つについては先生と同じ考え方で、私ども所管についてはそれぞれチェックしてまいらなければならぬと思いますが、少なくともこのことに関しましては、私はそういう意見でございます。
  52. 小川仁一

    小川(仁)委員 適役であるということですが、物の見事に、きれいに――こういうふうに私は線を引いてみたんですが、次官をおやめになるとすぐそこへ行かれる、そして前の人がおやめになる、余りにつながりがはっきりし過ぎているんですよ。見え見えなんですよ。それで、どなたか適役の人があったら、ずっと長くおやりになっていればいいです。晴耕雨読をやりながら、無給で五年でも六年でもおやりになったらいい。無給じゃなくて有給にしてやってもいいです。ここはかなりの財産がありますからね。  ところが、こうかわった都度どうなるかというと、その後は大変御立派で、どなたかがくしくも言ったように、二年間遊びますと、かの有名な若狭さんはその後全日空社長から現在も会長、そして訴訟をおやりになっている。それからその次のの堀さんは山下新日本汽船の会長、町田さんは日本航空の専務、同副社長、二年間の余裕後にさらにまたすばらしく適任の場所においでになって、それぞれのお仕事をしておられる。こうなるとやはりトンネル機関じゃないかという批判がある。もしこの批判を超えようとするならば、適任の人を長く有給でそこに置かれたらいいと思う。こういう点はひとつ大臣、十分に御配慮を願いたいと思うわけでございます。
  53. 山下徳夫

    山下国務大臣 私は若狭さんがそんなことを言ったというのは若狭さんらしくないと思うのでございますけれども、どういう気持ちでおっしゃったか、ここでいろいろ申し上げることもないと思いますが、いずれにいたしましても、先生の御意見は御意見として十分承っておきたいと思います。
  54. 小川仁一

    小川(仁)委員 もう時間がなくなりましたから、いろいろ聞いた点を総括的にお願いしておきますが、今の団体補助金はありませんけれども補助金を出している公益法人に対して、大蔵省というのはもう少し良心的に臨んでいいのではないか。天下り、ひもつき、一人につき四億円という端的な物の言い方は、これは私もそのとおりだとは言いませんけれども、そんな印象を与えるような形での補助金の査定は、ここをしっかりしないでおいて地方をやっても、問題は非常な不信感として残りますから、大臣の今後のお考えをお聞きして終わりたいと思います。
  55. 竹下登

    竹下国務大臣 個別問題は別といたしまして、今の小川さんのような意見が臨調の第五次答申にもきちんと出ております。   民間団体に対する助成の縮減   社団法人、財団法人民間団体に対する助成  については、それが基本的には団体事業の一  部を一時的に奨励援助する趣旨のものであるに  もかかわらず、全面的に国の助成に依存した  り、助成が長期化する傾向にある。   社会的意義の乏しいものの整理を進めるとと  もに、人件費及び一般管理費に対する助成を計  画的に縮減する等民間団体の自立を促すことに  より縮減を図る。これが大体の答申でございます。  そこで、それに対処しまして廃止したものもございます。また、いわば補助率の引き下げをしたものもございます。それに沿いまして、あくまでも今後とも補助金についてその整理合理化に積極的に取り組んでいく。その際、まさに今の御指摘等にこたえるような方向で具体的な措置を講じていくということが、総括したお答えになるではなかろうかというふうに存じます。
  56. 越智伊平

    越智委員長 小川委員、先ほどの文部省房長の答弁に間違いがあったようでありますから、もう一度答弁させます。文部省房長
  57. 西崎清久

    西崎政府委員 先ほど先生お話しのありました、公益法人にかかわる補助金に関する資料でございますが、先生の御要望は、各省の一つとして文部省の方にも御要望があったことは事実でございます。私どもの事務の内部的な手落ちもございまして、本日間に合いませんでしたことにつきましてはおわびいたしますが、本日中に提出をさしていただきたいと思っております。
  58. 小川仁一

    小川(仁)委員 終わります。
  59. 越智伊平

    越智委員長 駒谷明君。
  60. 駒谷明

    ○駒谷委員 私は農林水産委員のメンバーでございますが、公明党といたしましては初めて農林水産委員からお尋ねをするわけであります。したがって、基本的な問題をまず大蔵大臣、自治大臣、厚生大臣にお伺いをいたしたいと思っておるわけでございます。  国庫補助金等整理合理化についての基本的な考え方でございますが、国、地方を通ずる行財政簡素合理化地方公共団体自主性自律性の尊重という観点から事務事業の廃止、縮減を行うとともに、本来地方自主性にゆだねるべきものは、一般財源に移行することを基本として推進をされるべきではないか、私はそう思っておるわけであります。  特にこの点につきましては、地方制度調査会及び地方財政審議会から、国庫補助負担割合の一律引き下げについては明確な考え方が示されておるわけであります。  昭和五十九年十二月四日、地方制度調査会の「地方財政に関する当面の措置についての答申」の中でございますが、   国と地方との間の機能分担費用負担あり方を根本から見直すことなく、国庫補助負担割合を一律に引き下げ、あるいは、補助負担対象を一方的に縮小するなどは、単に国の財政負担地方に転嫁するにすぎず、国・地方を通ずる行政改革の理念に反するものである。したがって、このような方策は、国の財政の立場を優先する余り、国と地方の間の財政制度の基本的枠組みをゆるがし、その信頼関係を損うこととなるので、とるべきでない。 こういう調査会の答申が出ておるわけであります。  また、地方財政審議会、これは五十九年十二月十八日、「昭和六十年度の地方財政についての意見」というところでございますが、その中にも、  事務事業を従来のまま存続させながら、国と地方との間の機能分担あり方を見直すことなく国の補助負担割合を一律に引き下げることは、国の支出する補助金等金額を減少させるだけにすぎず、国・地方を通じた行政の減量化につながらないので、厳に行うべきではない。 これは意見書でございますが、こういうことが出ておるわけであります。  大蔵大臣、今度のこの補助金の一律削減の整理の問題でございますが、行革審あるいは臨調答申に基づいて行ったという答弁を伺っておるわけでございますけれども、この点について、基本的な考え方について、どのようにこの答申、意見を受けとめられてきたのか。あるいはこれは自治大臣の諮問機関でありますけれども大蔵大臣はこの意見にどういう考え方を持っていらっしゃるのか。これは大蔵、自治両大臣から御所見をお伺いしたいと思います。
  61. 竹下登

    竹下国務大臣 今駒谷さん御指摘のとおりでございます。五十九年十二月四日、地方制度調査答申、それから十二月十八日、「昭和六十年度の地方財政についての意見」、お読みになったとおりに私どもも承知をいたしております。そこで、その意見をまず念頭に置くべきであるというのは、政府として当然のことと思います。その上に立って、関係省庁間で検討、協議を行いました。その結果、今お願いしておるような考え方のもとに実施するということでお願いしておるわけであります。  それはどういうことかと申しますならば、六十年度予算を取り巻く環境が厳しい。これは申すまでもないことでございますが、そこに一方、今も駒谷さんから御指摘がありました臨調答申、この指摘を踏まえまして、徹底的な整理合理化をまず補助金として進めてきたわけであります。  さらに、この補助率の見直しというのは、基本的にはその意見書にありますとおり、国と地方の役割分担、費用負担あり方、これはやはりあわせて検討しなければならぬということから、これは地方制度調査会の答申にもございますので、そういうことから議論を詰めてみましたが、その問題、役割分担、費用負担あり方についてはさらに今後検討していこう。が、今回の措置は、したがって当面、なかんずく高率補助等に着目した場合は、六十年度における暫定措置ということで、これを措置することに最終的な結論を見たわけであります。  ただ、そうなりますと、いわゆる費用負担地方転嫁の問題が答申の中で残っております。したがって、これについては、我が方から見ますと、どちらかといえばマクロの土俵で議論します地方財政計画というものが土俵になりますけれども、いずれにしても、それらについての、地方財政の運用に支障を生ずることのない所要の措置を講ずることによって、それを含めて法律案として御審議をちょうだいする、こういうことにいたしたわけであります。もとより、御指摘がございましたとおり、いわゆる業務分担、そして費用負担あり方という点からこれは議論をすべきものであるということは、私も論をまたないところであります。     〔越智委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  62. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 地方制度調査会あるいは財政審議会の答申は、今先生お話のとおりでございます。私どもはその答申を受けまして、誠心誠意地方補助金の見直しはしなければならぬ、しかし、一律カットはかえって国の負担地方に持っていくだけだから、地方の立場からしてはこういうことはできないということで、自治省と大蔵省予算編成の直前まで相拮抗といいますか、論争をしておったところでございます。  ところが、私どもは、言いましたように一律カットは――補助金整理合理化はもちろん必要である、また地方に定着した補助金等地方の一般財源でやるべきである、そういう点も、その地方制度調査会等の答申にあるとおりでございます。私どもは、その答申を重んじておりましたが、予算編成の直前になりまして、国の極めて厳しい財政状況におきましては、今大蔵大臣お話しになりましたように、一年間に限り、地方に転嫁した分は全部国で面倒を見る。一年に限って、その間にもう一週補助金の役割分担ということを検討し直すという話になりまして、私どもはそれによりまして一年限り、五千八百億は一千億が交付税、四千八百億が地方債、道路建設債でございます、というものによって賄う。しかもこれは一年間であり、その一年の間に仕事の分担、補助金の見直しをいたしましょうということで、この問題が地方制度調査会あるいは地方財政審議会の御答申の趣旨とちょっと違ってまいりましたのは、この一年間に限り、暫定的にそういう国の極めて厳しい財政状況でこれをしようという結論になりましたので、そういうようにしたわけでございます。  私どもはそういう意味で、地方の仕事は負担を国が見てくれても、今後はやはり事務の分担とか仕事の役割、こういうことを考えて費用分担を考えていかなければならぬということで、この一年間にそれを検討し、また、この間の来年度の予算編成についての大蔵大臣の閣議における発言につきましても、特にこういう事務の分担あるいは費用負担というものについて大蔵省においても十分研究されて、こういうことのないように、私どもは申し入れをしたところでございます。
  63. 駒谷明

    ○駒谷委員 厚生大臣にお伺いをいたしたいと思います。  今回のこの補助金一括削減の中で、特に厚生関係、社会保障関係の補助金のカットで、相当地方財政負担が及ぶわけであります。特に、生活保護費とか心身障害者保護、老人福祉、児童養護措置、福祉手当給付金等々、基本的には憲法第二十五条の生活権の問題、いわゆる国の責任に基づくものが多いわけでありますけれども、この補助率の十分の八が高率であるというところからも、その趣旨がよくわかるわけであります。したがって、こういういわゆる措置につきましては、やはり温かい行政というものを国民が求めておるわけであります。生活権の保障という観点からも、これは大変重要な問題であろうと私思っておるわけであります。この点につきましても、地方財政審議会の意見で、やはりこれについての事務については、基本的な国の責任に基づくものであり、現行の国と地方との負担の割合は堅持されなければならない、そういう審議会の答申、意見が出ておるわけであります。  そういう点、今回は地方に転嫁した行政改革の理念、これは大変これに反した問題である、信頼関係を損なうものではないか、そのように私は思っておるわけでございますけれども、厚生大臣、この処置について今どのように考えておられますか、お伺いをいたします。
  64. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 地方に関しましての両審議会から、御指摘のような御意見が述べられておることは承知いたしております。また一方、臨調第五次答申並びに行革審の御意見には、高率補助の引き下げが提言されておることも御高承のとおりでございまして、したがいまして、私どもといたしましては、この際は実質的な福祉の水準が低下することのないように、国としての責任を果たしていかなければならない、いわば福祉を受けられる方方に対する措置が実質的に低下しないようにということを中心に対処してまいったわけでございます。  先ほどから大蔵、自治両大臣からお話もございますように、地方負担につきましては、財政対策において措置をされておるということでございまして、したがって、この際は一年限りの暫定措置として、私どもも福祉を守る立場からそれをのんだわけでございます。  今度の、一年間にわたっての、政府部内において検討さるべき問題は、先ほど自治大臣からお述べになったとおりでございますので、適切な結論を得るよう、その間にも、冒頭申し上げました福祉の水準、実体が低下することのないように対処してまいりたいと思っております。
  65. 駒谷明

    ○駒谷委員 大蔵大臣大臣の御答弁を伺いまして、やはり機能の分担の問題、これは結局現段階では、明確に機能分担についてのきちっとした結論が出なかったということのように私は受けとめたわけであります。したがって、費用あり方について、これは一年間の暫定措置ということで、これが先行したというような形であろうと私は認識をするわけでございますが、そうしますと、この機能の分担の問題については、いつまでに国と地方との機能分担ということを各項目別に検討をなされて、結論を出されるのか。  私は、この整理合理化の問題については、やはり必要のないといいますか、今後整理していかなければならない問題はたくさんあろうと思います。これは当然していかなければならないし、また費用の分担等についても、具体的にこれは詰めていかなければならない。私はこれについて反対するものではありません。しかし、機能の分担という問題については、この際早く結論を出した上でやっていかなければならない。これはあくまでも国と地方との話し合いの中で決めなければならぬ問題であろうというふうに私は思うわけでありますけれども、この機能の分担に対する結論というのは、いつごろまでにお出しになるのか。これは自治大臣との関係等もありましょうと思いますが、大蔵大臣にお伺いします。
  66. 竹下登

    竹下国務大臣 これは駒谷さん御指摘なさいましたとおりでございまして、費用負担あり方機能分担、これはやはり絶えず、過去も、そして今日も、将来にわたっても、念頭に置いておかなければならないことであると思います。  そこで、先ほど来お答えいたしておりますように、地方財政審議会の意見は私ども十分承知しております。一方、臨時行政調査会等々の答申等政策選択の調和をどこに求めるかということで議論を進めたわけです。その中に、今御指摘なさいました議論が一番強烈など申しますか、強い意見としてあったわけであります。機能分担費用負担あり方、これは結構だろう、がしかし、なかんずく社会保障については、まずはそのあり方を一年かかってやって、その後でいわゆる法律としてお願いするのが適切ではないか、こういう議論が確かにございました。それについて、短い間であろうとも、それぞれの機能分担費用負担あり方も議論いたしました。  が、結論から申しますと、これは御存じのように長い歴史がございます。昭和二十一年、いわゆる援護法が変わって、戦争に負けたときでございますが、五分五分であったものが、一時期全額国が持っておったこともございます。そうしてGHQの間接統治下でございますから、GHQの命令――当時は命令でございましょう、三十億という金がついて、されば八、二というものが決まりまして、それ以来いろいろな意見はあったものの、一度も変わったことのない八割、二割というこの仕組みでございますから、したがってとことん議論して、ではことしのところは費用負担あり方として、必ずしも一律ではございませんけれども、おおむねこの一律という中に、社会保障は八、二のものは七、三にしようということで暫定措置としてお願いしたわけであります。  それでいつまでとおっしゃると、ここに一つ問題点がありますのは、一年以内ということだけは合意しておるわけでございますが、一つ私にとっては予算編成の過程で概算要求の段階がございますよね。そのときどういう措置をとるかということも含めて、これは議論もしなければならぬ。したがって、現在のところは可及的速やかに入ろうや。どういう形でその議論を進めていくかというのは、関係省庁で今話を詰めておる最中でございますが、その一番土台になる議論は、こうしたもろもろの答申のほかはやはり今国会での議論じゃないか。その議論を整理して、お互いがどういう場所で、どういう時期から開始していくかということを今部内で折々相談しておるという段階でございますから、少なくとも一年以内という合意の中には、すなわち一年以内と申しますのは、昨年の十二月でございますから、六十一年予算編成の最終期までには、その結論はきちんと得なければならぬ課題だという問題意識を持っております。ただ、整理して概算要求の段階ではどの辺までとかいうことの御説明ができる段階ではございません。
  67. 駒谷明

    ○駒谷委員 一年限りの措置で、結論がいつになるか、その事情についてはよくわかります。今回は一年限りの措置ということになりますと、先ほど大臣からお話のありましたいわゆる八月の概算要求の時期、これについては、少なくとも機能の分担という役割分担については結論が出ていないということになろうかと私は思うわけですけれども、そうなりますと、当初約束事として決めた一年間の措置、その観点からいきますと、これはもう六十一年度には必ずもとへ戻すというのが大前提になければいかぬと私は思うわけです。この点については、機能の分担、法律的な問題がきちっとなれば、これはこれでまた双方合意の上でいけるでしょうけれども、少なくとも一方的に、国の財政事情からこのように費用負担の割合を、結局削減をお願いしてきたという形であります。地方の各自治体からも決議が出ておりますけれども、どうしてもやはりこの問題については一年限り、そしてきちっと話し合った上でということ、自治省も、自治大臣もそういうお考えを持っておられるだろうと思うのですが、大臣、本当の一年限りということで、ともかく財源措置についてはもとへ戻すということをここでお約束できませんか。
  68. 竹下登

    竹下国務大臣 一年かかって費用負担あり方等々を検討して予算措置を決めようという考え方でございますから、したがって一年限りの暫定措置でことしはお願いしよう。が、今先生おっしゃった概算要求ということになりますと、これは言ってみれば概算要求基準というものを設けて、数字上の概算要求が出てくるわけです。いみじくも、このままではあるいは出ないかもしらぬという予測をも含めての御質問でございますが、私も率直に言って気になるところでございます。だが、その段階は、言ってみれば概算要求基準を決めるわけでございますから、その基準の決め方というものはまた工夫のしようもあるだろう。ただ、姿勢をあらわすためと言っては非常に失礼でございますが、予算審議等に提供いたしました資料としての中期試算とかあるいは将来の仮定計算とかいうような問題は、もとの補助率に返した形でお出ししておるということになってはおります。
  69. 駒谷明

    ○駒谷委員 自治大臣、この点についての御意見を伺いたいと思います。
  70. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今大蔵大臣が答弁されましたように、これが一番大事な問題でありまして、社会保障の国家的責務とかいろいろと考えますと、相当慎重に、この問題はまた地方団体の意見も聞きながら行いますので、一年のうちには結論は出さなければなりませんけれども、それが概算要求までに間に合うかどうか。これからの事務をあれしまして、とにかく予算決定までにはそういうことを決めなければならぬわけでございますので、私どもも十分地方の意見を聞きながら、また国会の御論議の様子を私どもの胸のうちに置きまして、この問題を検討して、とにかく結論を出していきたいと思っております。それにはやはり地方制度調査会とか財政審議会の意見というのはもちろん、こういう財政状況においてことしはこういうふうになったが来年度どうしたらいい、いろいろそういう問題もお伺いしながら慎重に検討して、一年以内に結論を出すというのが私どもの率直な立場でございます。だから、大蔵大臣の今の答弁とはほとんど私変わらないと思っております。
  71. 駒谷明

    ○駒谷委員 これに時間をかけていては、四十分でございますのであと十五分少々しかありません。ひとつこの点については、やはり地方、そしてそれに関連する福祉予算等については、国民一人一人が大変関心のある問題でございます。国の責任という問題を十分に考えた観点から対応していただくように特にお願いいたしておきます。  農林水産関係の今回の一律補助の削減の関係で、実は森林病害虫防除の補助に関連をして、林業の振興の問題でお尋ねをする予定でございました。実は去る九日に、木材の市場開放という問題を絡めたいわゆる経済対策閣僚会議が開かれて、通商摩擦の解消を目指して対外経済対策を決定され、そして発表された。そういうことで、この関係に絡む林業振興ということで農林大臣、一部大蔵大臣お尋ねするかわかりませんが、お伺いしたいと思います。  この問題につきましては、対外経済対策を九日の夕刻に決定され、市場開放に向けて今後三年以内に政府が実行すべき行動計画、七月中にその骨子を作成するという方針を示されておるわけであります。そのうち木材製品の市場開放に関しては、合板の関税について昭和六十二年度から引き下げるという方向に決定がなされておるわけであります。実は昨年、そしてことしにかけまして、私も、この木材の関税関係、大変厳しい林業の状況、そして木材関係産業の大変厳しい状況の中で、農水委員会において再三大臣にもお伺いしたところでございます。  中曽根総理大臣がテレビを通じて記者会見で、木材関税の引き下げにおきます諸問題について公約をされていらっしゃる。その中に、合板やその他の直接影響を受ける人たちに対しては万全の措置をとる、あるいは林業自体をもっと生産性のある、外国に対抗できるような林業行政を確立する。その中で、ことしは特に国際森林年である、その意味で日本の林政の改革をするために五カ年計画というものを作成してスタートさせる。それから財源の問題については大蔵大臣農林水産大臣、経済企画庁長官と相談をして来年度の概算要求の絡みで善処していきたい、そういうことを記者会見で、私もテレビでそれを伺っておったわけであります。  林業関係の産業に対する活性化に向けて、林業の専門家の人たちの意見というものが数多く出ておるわけでございます。国土の面積の七〇%を森林が占めている山林国と言われる日本であります。木材需要の七〇%近くを外材で賄わなければならないという現況は、大変異常な状態であろうと私も思うわけであります。自給率を上げていかなければならないというのは、関係者の意見だけでなしに、国民の皆さんの中からでも大きく上がっている問題でもございます。また国土保全、水源涵養という立場から見ても、森林の荒廃は今の段階で放置できない状況であろう。大蔵大臣島根県の御出身でございますから、山林の状況等についてはよく御存じだろうと思うわけであります。豊かな林業、木材産業の活性化、この問題に向けてどのような視点から、いわゆる改革をこれから進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか、農林水産大臣に基本的な方針をお伺いしたいと思います。
  72. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 駒谷先生にお答えいたします。  最初に、竹下大蔵大臣は今おっしゃった島根県の御出身で、私より森林・林業に御案内のように詳しいわけで、大変御理解と御協力をいただいておることを感謝しております。  先生御指摘のとおりでございますが、実は森林・林業の置かれた現状は非常に厳しいわけでございます。そんなことで、今度の問題を契機としまして、単に合板業界の体質改善のみならず、中長期の視点に立って木材産業及び林業を通じた対策を進める必要があると考えております。  そんなことで、森林・林業及び木材産業の活力を回復させるという観点から、先生も先ほどちょっとおっしゃったようなことでございますが、木材需要の拡大あるいは木材産業の体質強化、間伐、保育等森林・林業の活性化等を中心に、財政金融その他所要の措置を当面五カ年にわたり特に講ずることとし、現在鋭意検討中でございます。
  73. 駒谷明

    ○駒谷委員 これから検討される問題でございますので、これ以上のお話は出ないと思いますけれども、林業政策のあり方についていろいろ専門家の意見が出ております。これについてはまだ機会を見まして論議させていただきたいと思いますけれども、この森林計画のあり方も、経営計画と森林計画、実際に林業に携わる人たちのいわゆる経営計画と、国あるいは都道府県が政策的な立場でリードしていく計画、この二本立てにすべきであるという専門家の意見もあるわけであります。特に林業普及指導事業関係については本当の専門家がやらなければわからない、したがってそういう人材を全国に配置して、今後の林政のあり方というものを根本的に見直さなければならないという意見等、まだほかにたくさんあるわけでございます。そういう点も十分に配慮されて、この五カ年計画を十分に内容のあるものにしていただきたい。しかもそれは早急にしていただく必要があるのではないか、そのように考えますので、その点特につけ加えてお願い申し上げておきます。  時間が過ぎてまいりましたので、あと四点ほどお聞きする予定でございましたが、一部質問を割愛をいたしまして、漁港施設の整備の問題について一点お伺いしたいと思うのです。  漁港法第十七条の規定によりまして、昭和五十七年から六十二年まで第七次漁港整備計画が現在推進されておるわけであります。この整備につきまして、一月でございましたか、実は総務庁の行政監察局から、周辺水域の漁業の振興に関する行政監察の結果が報告されておるわけであります。私もこの中身を拝見いたしましていろいろとお尋ねしたいわけでありますけれども、一点だけお伺いをしたいと思います。  いわゆる一種漁港が全国に二千百八十ある中で百六十九港が、利用漁船が五年間で二十隻未満になっている漁港である。その中に、利用漁船数あるいは属地陸揚げ量及び漁業経営体もゼロという漁港があるという指摘が行われておるわけであります。この二十五港ある中で、私兵庫県出身ですが、兵庫県の中の淡路におきましても三つの漁港がそういう指摘の中にあるわけであります。場所は私はよく知っておるわけですけれども、あれが漁港がという感じがするわけであります。漁港整備事業を実施しているものが、このゼロの中で三漁港ある。東京に二カ所、三重に一カ所、これは整備計画に基づいて進められておる。恐らく今後の将来計画というものがあろうかと思いますけれども補助金の効率化の問題から考えますと、この計画どおりにいくかいかないか、これは大変重要な問題であろうかと思うわけであります。その点についてお伺いいたしたいと思います。  二点目は、最近、海洋のレクリエーションがどんどん発展し活発になってきました。いわゆる遊漁船と言われるレジャー船、それからヨット、これが漁港の中で利用の問題に向かっていろいろと問題が起きておるわけであります。垂水におきましても、漁港の周辺に釣り場ができました。その周辺でビニールあるいは飲み物の空き缶等が相当海底に埋もれているというような問題等が出てきておるわけでございますけれども、漁港の維持管理の適正化という面で、今後の利用についての考え方、これはどういうふうに進めていくのか、この二点についてお伺いをいたします。
  74. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 お答えをいたします。  先生が言及なさいました行監指摘の二十五港のうち、現在漁港整備事業を実施しております三漁港というのは、東京都の新島の羽状、大島の差木地、三重県の津にございます白塚という三つの漁港でございます。この三つの漁港が調査時点で利用ゼロということになった事情は、これらの三漁港それぞれ登録漁船はございますが、防波堤とか水揚げ施設などの漁港施設が未整備のために、近隣の漁港を使用しておったという実態でございます。私どもは、この三漁港の地区の関係漁民の皆さん方が、漁港の整備を熱望しておられるというのをよく承知しておりますので、水産庁といたしましては、この御希望にこたえて現在鋭意整備を進めておるところでございまして、そのうち二つの漁港につきましては、もう既に利用を開始されておるところでございます。今後とも、関係漁民の御希望にこたえて予定どおり事業は進めるつもりをいたしております。  遊漁等の関係でございますが、殊に都市周辺で釣りの基地になりますような漁港について、遊漁船あるいはレジャーボートなどが集中して、漁業者の漁港の利用が阻害されておるという実情が生じておりますことは先生御指摘のとおりでございます。私どもとしては、漁港の公共的性格から見まして、これらの遊漁者などを一方的に排除するということは適当ではないと思っておりますが、利用区域あるいは利用時間などの調整を図りまして、円滑に漁業者の利用と両立できるよう、漁港管理者に対して指導を行っているところでございます。このような指導によりまして的確な利用調整が図られている漁港が多くなってきておりますが、なお、利用調整が十分行われていない漁港も見られるところでございますので、今後とも指導の徹底を図ってまいりたいと考えております。
  75. 駒谷明

    ○駒谷委員 沿岸漁業の問題等がありまして、これから漁港の整備が大変重要な問題でありますので、効率化の問題等について特に力を入れていただきたいと思うわけであります。  もう一点お伺いをする予定でございましたが、この問題については過日各委員からもお尋ねがあった問題でございますので、大蔵大臣、これについては私、お願いをしておきたい。  これは農林年金の問題であります。今回一年延長されました。今、改正案で審議が行われております年金法の絡みの問題があるわけでございますけれども、六十二年以降、この農林年金については、元金が約二百二十七億、これは四年間ですね、そういうことになっております。農林大臣もぜひ聞いておいていただきたいのですが、この年金についてのいわゆる運用利回りの適用。これは当初の法制定のときには、渡辺大蔵大臣でございましたけれども、農水におきまして私の同僚の武田委員質問に対して、運用利回りについてはやはりいわゆる実勢、現在農林年金で運用されている利回りというものを考慮せざるを得ないだろう、そういう考え方を示されております。そういう点、これからの返済に当たってのあり方について、特に。ひとつ十分に検討をしていただきたい。その点を、これはこちらの方の要望にいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 木島喜兵衞君。
  77. 木島喜兵衞

    ○木島委員 これはどなたでもいいのでありますけれども、市町村の学校の職員は、身分は市町村であるのに県が給与を負担する、そしてその財源は国庫負担法によって半分、交付税で半分、この物の考え方は一体どこにあるのでしょうか。
  78. 松永光

    ○松永国務大臣 義務教育費国庫負担制度というのは、先生がよく御承知のとおりでございまして、義務教育について教育の機会均等を図り、全国的なレベルで水準の維持向上を図るということから、教職員の給与費について国がその二分の一を負担するという制度なのでありますが、その場合に、市町村の義務教育の学校の教職員を県が負担をするのはどういうことであるかという御指摘であると思いますが、これは教育水準の維持向上を図るためには、財政力が県に比べてやや劣るその市町村に二分の一の給与費を負担させるよりは、やはり県に負担をさせることによって県全体としての平準化が図られる、そしてまた市町村の財政の安定にも資する、こういったことから今のような制度になっておるものと私は理解をしておるわけでございます。
  79. 木島喜兵衞

    ○木島委員 このような職種というのは他にありましょうかね。身分が市町村であるにかかわらず県がその給与を負担し、そして国が負担法で半分を負担するというのは他にない、異例なことだと思うのです。他にありますか。ないんですよ。
  80. 阿部充夫

    阿部政府委員 恐らく他には例がないことだと思っております。
  81. 木島喜兵衞

    ○木島委員 だから、そのような異例なことまでしながら、なおかつ国が負担法で決めておる意味は一体何であろうかということを聞く順序でありましたが、先ほど大臣がおっしゃったから結構でございます。  しからば、大臣がさっきおっしゃいましたように、義務教育費国庫負担法の第一条では、「義務教育無償の原則に則り、国民のすべてに対しその妥当な規模と内容とを保障するため、国が必要な経費を負担することにより、教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的とする。」とあるわけでありますから、この基本は憲法二十六条にある、これは法律家である大臣でありますから、そう理解してよろしゅうございますね。
  82. 松永光

    ○松永国務大臣 この制度は、先生御承知のとおり戦前にもあった制度でありまして、戦後それが再開されて今日に至っておる、こういうことでありますが、国の方で給与費の二分の一を負担するというのは、全国的な教育水準の平準化を図るという見地からいえば、各県に財政力のばらつきがありますから、そこで、新潟県であろうと埼玉県であろうと、同じ水準の教育がなされるようにするためには、やはり給与関係も平準化が図られることが望ましい。こういったことから国が二分の一を負担しよう、こういうふうになったものと思うのでありまして、義務教育の精神から来ているものというふうに思います。
  83. 木島喜兵衞

    ○木島委員 違うんです。おっしゃるとおり、給与については国が二分の一を明治の時代から負担してまいりました。しかし、そのころには給料だけでありましたが、給与体系が単純であったことも含めて、給料と年功加俸程度だったらしい。しかし、戦後は給与体系が大変複雑になりましたから、したがって給料その他の給与と言って旅費も含まれた。同時に教材費も含まれた。これは一体何か。  だから先ほど申しましたように、義務教育費国庫負担法のこの法律の目的の中に、「義務教育無償の原則に則り、」という――直接的な無償の方向は教材だけでしょう、直接的なものは。これが入ったのは一体何か。     〔熊川委員長代理退席、越智委員長着席〕  憲法二十六条は、国民に教育を受ける権利を与えました。その権利を与えたことは、国がそのことを保障する責任と義務がある。しかも「義務教育は、これを無償とする。」とあるわけでありますから、そういう中でできたものであって、給料だけであったならば戦前から続いておるだろう。けれども、戦後の中において新しく変わったものは何か。戦前は教材費は入っておらないですね。そこに違いがあるから、憲法に根拠を置いておるのですかとお聞きしたゆえんがそこにありますが、いかがですか。
  84. 松永光

    ○松永国務大臣 憲法第二十六条の「義務教育は、これを無償とする。」というのを正面から解釈をすれば、義務教育につきましてはその対価を徴収しないということであろうと思います。そして憲法二十六条を受けまして、教育基本法にそのことがさらに明確に書かれておるわけでありますが、それはそういう解釈だと私は思います。  私が今、義務教育の精神から来ているのであろうと申し上げましたのは、戦前も義務教育がありましたし戦後も義務教育があったわけでありますが、義務教育というのは国民に対して基礎的な教育を施すということであります。しかも、国民に対して基礎的な教育を施すことが、民主的な国家として国を支えていくために大切なことでありますし、また、国民の側にとっても基本的に大事なことでありますから、そこで国の責務として義務教育は行う。同時にまた、国が責務として行う教育でありますから、地方地方によってその水準がばらばらであっては公平でもありませんし、よろしくないことである、そういったことから、戦前におきましても義務教育の本旨にのっとりまして、中身は多少違うにいたしましても、その精神においてはやはり国がその責務において行うという教育の本旨にかんがみまして、全国的なレベルでの教育水準を確保しよう、そして教育水準の維持向上を図ろう、こういったことで戦前にその制度ができた、そして戦後さらにそれが復活された、こういうことであろうと思います。  そしてまた、そういう歴史、実態から見まして、この義務教育費国庫負担制度の中核をなすものは教職員の人件費であるというふうに私ども理解しておるわけでありまして、先ほど申されました教材費というのは、これを義務教育費国庫負担の中に取り入れた当時の地方財政の事情その他を考慮して取り入れられたものだというふうに理解しておるわけでございます。
  85. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今あなたが御答弁になったことは、例えば義務教育は国の責務であるからということは、なぜかというと憲法二十六条によって国民の教育権を保障する、その責任と義務があるから、だから新しく出発したのでしょう。今あなたのおっしゃったことは、憲法二十六条というものが前提にあるから、だから今あなたがおっしゃったようなことになったのです。それまでは国民の教育権を保障しておりませんでした。だから、義務教育ではあったけれども、国民の教育権という広い意味においての保障はない。憲法で言えば、だから義務教育は保障する、それは二項にありますね。第一項は国民の教育を受ける権利。だから、今あなたがおっしゃった国の責務ということは、そういう意味では新しい憲法の精神にのっとってそこから出発した。さっきから言いますように、給料は確かに負担法は明治のころからありました。しかし、新しく出発したというその時点を考えなければならないと思うのです。その点はどうなんですか。一緒のようだけれども、ちょっと違うみたいね。大臣、どうですか。
  86. 松永光

    ○松永国務大臣 先ほど申し上げたとおり、憲法二十六条「義務教育は、これを無償とする。」その場合の無償とは何ぞや、それは授業料であるというふうなのが実は政府の解釈なのであります。  それで、義務教育を無償とした場合に、教職員の給与費を国が直接負担するかあるいは地方に分担させるかというのは、一つの政策課題であると思うのでありまして、先ほど申し上げましたように、全国的なレベルで水準の維持向上を図っていきたい、こうなっていけば、全国それぞれの地区で財政力の差がありますので、できるだけレベルの平準化と向上を図っていくためには、国がその二分の一を負担することが政策上望ましいということで、義務教育費国庫負担法はできたものであるというふうに私は理解しておるわけでございます。
  87. 木島喜兵衞

    ○木島委員 給料だけでなくて、なぜ戦後教材費が入ったのか。おっしゃるように、憲法は「義務教育は、これを無償とする。」と言っている。けれども、教育基本法では、公立の義務教育においては授業料を取らないとありますから、今おっしゃるように、授業料を取らないことが義務教育の無償となっておりますけれども、それはある意味では一つの例示的なことであって、例えば教科書は無償で配付しておる、それはその無償の精神を尊重しての話でしょう。だから、その延長として無償というものを考えれば、まず授業料を取らないこと、その次は学校で使う教科書、その次は学校で使う教材という順序になりますから、教材まで含めて負担法になったのじゃありませんか。それは戦後の問題なんです。戦後の出発からそこにあるのです。そのことが理解されなければこの問題の解決はない、この問題の理解ができないと思うのです。大蔵大臣、どうお思いですか。
  88. 松永光

    ○松永国務大臣 純粋に法律的に解釈すれば、憲法二十六条の義務教育に関する規定を受けて具体化した法律が教育基本法第四条であるわけでありまして、義務教育の期間は九年ですよ、義務教育に関しては授業料、しかも義務教育の中の国または地方公共団体の設置する学校では授業料を徴収しないんですよ、こういうふうに憲法二十六条を具体化する規定が教育基本法第四条というふうに解釈上なる、私はそう思っております。そしてまた、義務教育の精神を生かしていく場合に、国が直接負担するかあるいは地方公共団体負担するか、財政負担の問題はこれまた別の問題なんでありまして、それは政策課題の範疇に入るものだというふうに私は理解しておるわけであります。
  89. 竹下登

    竹下国務大臣 憲法二十六条の前段、後段、両法学博士の議論を聞いておったわけでございますが、私は、これは確かに統一見解として、義務教育はその対価を求めないということであるという基本認識に立っております。  それで、今度議論をいたしました過程におけることをちょっと披露してみたいと思っております。  その問題は、国庫負担法はもとより大正七年でございますか、それから十五年改正、そして二十五年に廃止されまして、二十八年に今の対象の拡大ということ、これは木島さんお話しなすったとおり。そして旅費、教材費、共済費、恩給費まで含めて議論しましたので、そこのところだけ、ポイントを申し上げますと、これらの経費は、義務教育に関する地方公共団体の責務等にかんがみれば、地方公共団体がみずから負担すべきものと考えられる。特に共済費、恩給費等については給付の内容が制度上決められており、国庫負担地方公共団体に対する財源保障の問題にすぎない。このような観点からも、現下の国の財政事情のもとでこの問題を検討しようということから議論をいたしたわけであります。  したがいまして、私は、地方公共団体の責務として考えた場合、あの当時範囲を拡大したのは、当時の地方財政の事情からして、多くがPTAの方々あるいは父兄負担になっておった、そこでそれを対象とした。そこで、今日の時点ではそれがいわば父兄負担というような範疇に属さなく、まさに定着してきたという判断の上に立った、こういうことでございます。
  90. 木島喜兵衞

    ○木島委員 今大蔵大臣おっしゃいましたが、戦後、戦前の教育の反省から、その中央集権を排して地方分権にする、これが教育基本法の第十条であります。だから教育委員会ができた。だから、この戦後の二十八年の負担法ができるときには、おっしゃるとおりこれは確かにいろいろありましたよ。私はあえてここで言う必要もないのでありますが、御案内のとおりでありますから。しかし、あのときは自由党が全部国家公務員にしようとしたのですよ。そういう法案を出したこともあるのですよ。  僕が最初に聞いたのは、市町村の身分であるのになぜ県が負担するのか。そして国が負担法でもって半分、交付税で半分だったら、これは自治体でやったっていいでしょう。地方分権の時代であるから、国が出したのでは中央集権がますます強化されるという意見があの当時もあった。あって、反対論もあった。大蔵省が抵抗したこともあった。自治省が抵抗したこともあった。そういうことを通しながらできたものは一体何か。だから私も、あなたがおっしゃるように自治体が持つということ、いろいろ問題がありますけれども、本来そうあるべきだろう。教育基本法の第十条からいうならば、財政もつけてすべきだろうと思う。しかし、それはなかなか困難です。だからそういうことはいい。いいけれども、いずれにしても、戦前からあったのと戦後にできた負担法では性格が違う。でなかったら教材が入るわけがない。  先ほど申しましたように、この負担法の第一条、「義務教育無償の原則に則り、」というものは一体何か。給与は直接じゃありませんね。直接無償の原則にのっとるものは教材費でしょう。これが入ったということは、少なくとも国民に教育権を与えた、保障した、その保障の責任と義務が国にあるから、だから無償の精神にのっとって教材費が入ったわけでしょう。それを今なぜここで切るんですか。憲法の精神に反することになりませんか。戦後ここまで定着したところのこれを、なぜここで切らなければならないのですか。私はわからない。これは憲法の精神を否定することになる。これを聞きたい。
  91. 松永光

    ○松永国務大臣 こういう場所で判例など持ち出すのは大変どうかと思う点もありますけれども、そのことについては、先生御承知のとおり、昭和三十九年二月二十六日の最高裁大法廷の判例があるわけでありまして、憲法二十六条の解釈は、その対価を徴収しないということを定めたもの、すなわち授業料不徴収の意味と解すべきであって、授業料のほかに教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない、こういうふうに最高裁の判決はなっております。  今申したようなわけで、教材費等について国がどれだけ負担し、地方がどれだけ負担するかなどという負担区分のあり方等は、まさしく立法政策の問題だというふうに私どもは解釈をしておるわけであります。
  92. 木島喜兵衞

    ○木島委員 大臣、それは私も判例を知っていますよ。だが、あなたそんなことを言ったら、大蔵大臣にやにや笑っているよ。これで来年の教科書無償は、大臣がそう言っているんだから大丈夫かと喜んでいるよ、きっと。あなた、これやれるかい。確かにそれは政策課題かもしれない。政策課題だから旅費も、賃金だって徐々に切ったっていいということになるかもしれない。通勤手当や住居手当なんかはだんだんこれから切ったっていいかもしれない。そうなっていくかもしれない。だんだん拡大するおそれはありませんか。だからこそ、例えば事務職員や栄養職員をカットしようとしたわけでしょう。  私は、ここにはいろいろ議論があることを知っておる。けれども、今あえてずっと言っていることは何かというならば、戦前からの給与だけの負担と、戦後、「無償の原則に則り、」という、教材費も含めたという、それは政策課題であるかどうかは別として、これを含めてそれが今日定着しておる。これをなぜ切らねばならないか、そこを聞きたいんです。大蔵大臣、どうですか。
  93. 竹下登

    竹下国務大臣 木島さんの論理は、それはそれなりに一貫しておると私は思います。今度は私の方の論理でいきますと、父兄負担が過重である。したがって、いわゆる自治体の責任においてやるべきものであるが、自治体の財政状態から見て、適用範囲を拡大することによって国がこれを見てきた。で、今の立場は、言ってみればそういう制度、施策の根源にさかのぼって議論して、役割分担と費用負担あり方からすれば、まさにこれは同化定着したから地方の方でお持ちいただきたいこいう、いわば制度、施策の根源にさかのぼったところの財政負担あり方からこれを検討して、結果として今日審議お願いしておる法律になったということであります。  だから、木島さんの御議論は、それを私は否定しようと思っておりません。木島さんの理解の上に立ったら、そういう論理の展開は、憲法違反かどうかという問題は別として、これは可能な論理であると思っております。が、私の方は今日の時点において、もろもろの答申等からいたしまして、国と地方との役割分担、そして費用負担あり方の中でこの問題をお願いしておる、こういう角度でございます。
  94. 木島喜兵衞

    ○木島委員 大臣、あなたは今、あるいは地方財政も豊かになってきておるからという意味を含めてでありましょうが、もう定着しておるということを言われました。しかし、そういうことになると、しからば今度は人件費も、今言いましたように住居手当も減らそう、通勤手当も減らそう、だんだんカットしていこうということになるでしょう。事務職員もカットしよう、栄養職員もカットしよう。だんだんと定着しているんだから、地方財政はそう苦しくないんだからいいじゃないか。だから今回、旅費も切ったんだ、教材費も切ったんだとおっしゃることは、さらに定着をして、時間がたてばたつほど定着するんだから、したがってこれは切っていくんだ、そういうことになるんですか。それでは負担法の精神が成り立ちますか。
  95. 竹下登

    竹下国務大臣 理屈を言えば、我々はよく国庫負担法を半額負担法と言うくらい、常識的には定着をしておると思うのですよ。だが、率というものは、これは必ずしも法制化されたものではない。しかし、これは理屈でございますから、政治家同士の理屈の言い合いのちょっと外に置いた方がいいかもしらぬな。しかし、そこのところで、こういう国会の問答を通じながら相互のコンセンサスがどこにあるかということを求めていくということは、国会の問答のまた意義ではなかろうかな、こういう感じで受けとめさせていただいております。
  96. 木島喜兵衞

    ○木島委員 本会議があるものだから、どうも途中で切られちゃうんですよ。だから、私はもうやめなきゃならなくなっちゃったんですが、学校教育法の二十八条、「教諭は、児童の教育をつかさどる。」「教頭は、必要に応じ児童の教育をつかさどる。」ところが校長は、「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」であって、教育をつかさどることはない。すなわち、教育をつかさどるのは教諭である。教頭は必要に応じてやる。校長はない。校長は授業を持てないんですな。すると、これは教育職の俸給をもらっていていいんだろうか。高いんですよ。だって、もしも教育の環境を整備するという意味で校長が校務をつかさどり、所属職員を監督するものであれば、それは教育委員会の職員も文部省の職員も同じかもしれない。教育行政である。とすれば、なぜ教育職のあの高い月給を出すんだろうね。大臣、どうですか。
  97. 阿部充夫

    阿部政府委員 先生おっしゃいました学校教育法の校長の職務に関する規定でございますけれども、校務というのは、学校内における事務的なことばかりではなくて、具体の教育等まで含めた全体の仕事を指しているわけでございます。したがいまして、校長が具体に児童等の教育に当たるということは不可能ではない、法律上可能であるというふうに解釈をいたしております。
  98. 木島喜兵衞

    ○木島委員 時間がありませんから余り深入りいたしませんが、私はそれを否定するんじゃありません。ただ、学校という一つの独立した社会というのは、校長も教頭も教員も事務職員も栄養職員も、一体となって子供の成長と幸福のために協力し合って努力する、それが学校という一つの社会にと思うのです。それを大蔵省は、事務職員を、栄養職員をカットしようと図られましたね。教育を知っているの、と言いたくなっちゃう。教育の現場を知っているのだろうか、教育のあり方を知っているのだろうかと思うのですが、大蔵大臣、どうですか。
  99. 竹下登

    竹下国務大臣 事務職員及び学校栄養職員を義務教育費国庫負担の対象外とするということにつきまして、文教関係者等の方が極めて困難と言っていらっしゃることは、これは十分承知しております。教育の現場、これはやっぱり文部省が一番詳しいわけでございますから、文部当局との予算折衝の段階で議論をするわけでございますが、この基本理念は、教壇に立つ先生の給与について国庫負担を行うということから来ているんじゃないかという議論をしたことは事実であります。
  100. 木島喜兵衞

    ○木島委員 だから、今言ったとおり、教壇に立つ、立たないは関係ないのですよ。校長は、法律的に言えば教壇に立てないんだよ、これは。そうでしょう。教諭は教育をつかさどる、教頭は必要により教育をつかさどる。校長は教育をつかさどることがない。だから、教壇に立たない。校長も含めて、事務職員も栄養職員も養護教員も、教壇に立ちません。それを含めて、子供の成長と幸福と先ほど申しましたが、そういうものが学校なのです。それをなお切ろうという考え方は改まりませんか。
  101. 竹下登

    竹下国務大臣 したがいまして、お答えいたしましたように、文教関係者の間でそのことは困難だという意見があるということは、十分承知をいたしております。  ただ、予算というものは、年々年々そのときの国の財政事情を通じて議論を積み重ねて編成するわけでありますから、あらかじめ未来永劫にこのことは念頭にありませんということを私が答えるだけの余裕はない、こういうことであります。ことしは切らなかった、これは言えると思いますが……。
  102. 木島喜兵衞

    ○木島委員 義務教育諸学校施設費国庫負担法、松永さん、これは法の中身は、実際は補助法です。ですけれども、元来負担法というものの趣旨は、国と地方が共同して責任分担をしょうということから出発するものでありましょうから、元来負担法と名づく限りにおいては、両方が共同責任を持つ。しかし、校舎を建てるのは、市町村立てありますから、事業主体は市町村である。したがって、本来もし負担法というものがそのまま生きるならば、市町村が発議され、校舎を建てることを議決されたならば、それは負担法によって決められた負担率を国が負担するというのが本来の筋と考えてよろしゅうございますね。
  103. 松永光

    ○松永国務大臣 国庫負担というのと、それから補助というものの基本的な分け方というか考え方というものは、先生のおっしゃったようなことになろうかと思いますが、その場合、先生の今おっしゃいました施設費国庫負担法の第三条には、政令で定める限度においてその一部を負担する、こうなっておりまして、そしてまたいろいろありますけれども、施行令もございまして、そういうわけで、法律的には地方自治体の申請に無制限にこたえる義務ということまで規定しているものではない。したがいまして、先生のおっしゃりたい意味はわかりますけれども法律の規定等はそうなっているということでございます。  ただ、私どもの考え方としては、学校施設の整備は教育条件整備の基幹をなすものでありますから、毎年予算編成に当たりまして所要の予算額の確保に全力を傾注しているところでございます。
  104. 木島喜兵衞

    ○木島委員 元来負担法というのはそういう精神のものだということですが、今おっしゃったように、施設負担法は、これは負担法だけれども中身補助法です。ですから、これは私は本来は変えなければいかぬと思っているのですがね。負担法という名前をつけて、それで中身補助法じゃ始まりませんよ。負担法なら負担法らしくやらなげればいかぬ。大蔵大臣はうなずいたって、じゃ直そうとしないだろう、今金ないだろうから。たけれども、本来政治はそういう筋というものは立てなければいかぬと私は思っているのです。まさにこういうのを「羊頭狗肉を売る」と言う。だから、私がさっきから言っていることは何かというと、この義務教育国庫負担法というものも、戦前からのと大臣は言うけれども、それは授業料、給料のことであって、賃金であって、教材費や旅費が入ったというところに、新しい憲法の精神が生きておる。それを今なぜ切らねばならないかというところに一番問題があるのであって、そういう意味では、時間がありませんからやめますけれども、この負担法に関する限りは、少なくともこの一括法案から削除して、先ほど大蔵大臣専門家とおっしゃったけれども、専門家の意見をもう少し慎重に議論をした上でもって結論を出さなければ、百年の大計といわれるところの教育、これを、ただ、今金があるかないかというそんなつまらぬことでもって、わずかのことで教育の大道を誤ってはならないと思う。そういうお考えはございませんか。
  105. 竹下登

    竹下国務大臣 徐々に範囲が拡大されてきた、その経過というのは、もちろん財政上の問題もあったでございましょうが、今木島さんがおっしゃったような精神、教科書無償の場合も、その精神があったと思うのでございます。しかし、百年の大計あるいは万年の大計のもとになる教育といえども、年々年々の予算ということになりますと、これは財政を完全にネグレクトしてこれに対応するわけにもいかぬ。しかし、負担法の存在するその精神の根幹というものはやっぱり守らなければならぬというのは、私も、その点に限っては思いを等しくしておる、こういうことであります。
  106. 木島喜兵衞

    ○木島委員 終わりますが、今大臣おっしゃいますように、年々年々の予算が変わる、年々年々予算の関係でもって教育制度が変わっちゃ困るのです。だから、そういう意味で、私はこういうのはやめなさいということと、同時に、先ほど大臣がおっしゃったように、専門家でもって議論するためには、この一括法案から除いて、文教委にかけて、そこでもってまともな議論をしよう、そうすべきだと思うのであります。  そのことを申し上げまして、時間が参りましたから終わります。
  107. 越智伊平

    越智委員長 暫時休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時五分開議
  108. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中西績介君。
  109. 中西績介

    ○中西(績)委員 午前中に木島同僚委員の方から質問ございまして、時間的に残すところわずかでございますから、一問だけ集中的に質問を申し上げたいと思います。  それは、先ほどの質疑の中におきましても大蔵大臣が答弁をしておりました負担法とのかかわりでございますけれども、この中におきまして、前回答弁の中にございましたように、負担金は定着したものとして見直しできる、こういう見解の中で、この問題についてはコンセンサスがあれば変更できるのではないか、こういうことを申しておるわけであります。  そこでぜひ明確にしておかなくてはならぬのは、政府は国庫負担の対象から教材費を除く理由として、小中学校の教材整備が市町村の事務として定着しているからであると今まで言い続けてきたわけでありますから、それではだれが、いつ、何を根拠にして定着をしたかということをお聞きしたいと思います。先ほどの論議の中では、このようにして国会における審議の過程の中でコンセンサスを得るというようなことも言われておりましたけれども、少なくともこれを出す以前の問題として、ぜひこの点を明らかにする必要があろうと思いますが、どうでしょう。
  110. 阿部充夫

    阿部政府委員 国庫負担金の中での教材費、旅費でございますけれども、最近かなり長い期間にわたりまして国が負担金として半額を計上し、交付税で残りの金額措置している。それに見合う程度金額がずっと、十年、二十年にわたりまして市町村あるいは都道府県において計上されてきておるというその事実を見て、定着をしている、こう判断をいたしておるわけでございます。
  111. 中西績介

    ○中西(績)委員 私はこの問題については、あくまでも義務教育無償の原側に従いまして国庫負担の対象とした教材費、今回恒久的にその対象から除外するという内容でございますけれども、そうした理由や、政府部内でどのような手続を経て決定したのかを明確にする必要があろうかと思います。  例えば、中教審が存在するならば、中教審そのものの審議される重要な中身であったと私は思うのです。しかし、今回の場合中教審ございませんから、具体的には、ただ単に十年なり二十年なり、各市町村段階におきまして、例えば教材費なら教材費の問題を一つ取り上げてまいりましても、市町村の負担があってそのことが実施されたという言い方をしておりますけれども、少なくとも、こうした国会で審議される前に、具体的にそういう組織的手だてを尽くした中でこのことは実施さるべきではないかと思うわけでありますけれども、この点どうですか。中教審などにかわるようなもので措置をしていく何かの方式を考える必要があったのではないですか。
  112. 松永光

    ○松永国務大臣 義務教育無償の精神で、教材費についての半額国庫負担、残りが地方交付税による措置、今までの制度はこうなっておるわけでありますが、そもそも義務教育無償といえばどういうことかというと、父兄に負担をさせない、公の経費で負担をする、これが無償の精神だろうと思います。その公の経費を国が半分負担する、それで地方の方で半分出す、それをどの程度にするかというのは、文字どおりこの費用負担という、国と地方公共団体の間の負担の区分の問題だと思います。  そもそも、教材費につきまして義務教育費国庫負担法の対象に取り入れられた当時は、先生がよく御承知でございますけれども、市町村で必ずしも教材について支出をしていなかった。もともと学校教育法に、設置者が経費はこれを支弁するとなっておるわけでありますから、理屈からいえば、前々から地方公共団体でちゃんと教材は整備をして父兄には負担させない、こうあるべきであったわけでありますけれども、その当時は地方財政が苦しゅうございましたから、そこで、割り当て給付などという制度で父兄負担に相当部分がなっておった。その実態を踏まえて、これを解決しようということで義務教育費国庫負担の対象に教材費がなった、こういういきさつがあるわけでございます。  ところで、先ほど局長が答弁をいたしましたように、最近におきましてはもうすっかり事情が変わりまして、公費でちゃんと教材は整備をする、その半分を国が負担するということになっておったわけでありますが、さようなわけで、公費で支弁するということが定着をしてまいりましたから、そこで、地方財政計画で財源措置をきちっとやれば、父兄負担はなしにちゃんと設置者である市町村で教材の整備がなされる、こういうことで、文部省としては、関係省庁、すなわち大蔵省、自治省と相談をいたしまして、自治省の方できちっと財源措置をする、具体的には二・八%増の財源措置をしてくれることになりました。したがって、これで教育水準の低下にもなりませんし、むしろ二・八%ふえるという計算にも実はなるわけでありますから、そういうようなことで今回の措置に踏み切った、こういういきさつなのでございます。
  113. 中西績介

    ○中西(績)委員 増額されたということを言っておりますけれども、それではもう一つ聞きますけれども、増額されたその理由は何ですか。地方財政が大変厳しいから、むしろ逆にこの増額をし、しかも、国家財政をそのようにして支出をしていくということになるのですか。実際面からいってどうでしょう。
  114. 土田栄作

    ○土田政府委員 六十年度におきましては、物価のアップ分を見込みまして二・八%上げたということでございます。
  115. 中西績介

    ○中西(績)委員 今言われておるように、実際に増額したのでなくて、文部大臣は増額までして云云ということを言っておるわけですけれども、あたかも、今までより以上に国の支出する財源が多くなり、しかも、地方自治体はより以上に今度は豊かな財源措置をしてくれるという、こういう物の言い方をしておったけれども、物価上昇率、このものがそこに加わったということでしかないわけですね、今言う答弁では。そこははっきりしてくださいよ。
  116. 松永光

    ○松永国務大臣 ちょっと私の申し上げたことが舌足らずであったかと思いますが、先生御承知のとおり、物価がある程度上がっておるのに、五十七年が一〇%減、五十八年が一〇%減、五十九年が一五%減でございました。そうすると、それに対応する二分の一の交付税の方も、実は結果的には減ってきておったわけでありまして、言うなれば、それは歯どめがかかりましたよと。したがってその意味では、今後とも、地方財政当局に財源措置をきちっとしてくれということを要求し続け、その充実がなされるならば、教材費の整備も、今までは三年間一〇%、一〇%、一五%へずられてきたわけでありますから、そのへずりに歯どめがかかって、そして、できるならば将来は、今度は二・八で終わらせたけれども、もっとふやすようなことの努力を私どもはしていくことによって、それで教材費の整備を進め、教育水準の向上を図ってまいりたい、こういう私どもの考え方できちっと財源措置がなされる、こういうふうになりましたから今回の措置に踏み切った、こういうことなのでございます。
  117. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、この前からの答弁で大蔵大臣を初めとして言っておるところの、コンセンサスを得て、皆さんの了解なり何なり、その中でこういう措置ができたという、このことは、今の答弁の中から考えますと余りないわけでありますけれども、あくまでも同化定着をしたということは、先ほど言っているように、長い期間あったからそれが定着をしたんだ、こういうあれですけれども、少なくとも負担法と、それから財源措置をする、こうした一般財源化するというこの違いの中における制度的な方向が違ってきているわけですから、その点に関してやる場合には、今言うようなすべての問題がやはり完全に皆さんとの間におけるコンセンサスが得られて、しかも後に憂いのないような状況というものが、今あなたがそこで答えられたように、果たしてないようになったからこういう措置をとったということになるのか。一つはコンセンサスの問題、それからもう一つは、後顧の憂いかないということを条件にしてやったと今言われましたが、その点についての再確認をしたいと思いますが、どうでしょうか。
  118. 松永光

    ○松永国務大臣 いわゆる負担金、すなわち、国が奨励的な補助金で出すものではなく、やはり国と地方とで経費を分担するような分野のいわゆる負担金につきましても、地方公共団体の事務として定着するに至ったものについては、これは見直すこともできるという考え方に立つわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、五十七、五十八、五十九とすごい減額であったので、これは国の財政状況がまことに厳しいということの反映だったと思うのでありますけれども、六十年度、今回の措置をするに当たりましては、その減額に歯どめがかかりまして、そして、物価上昇分という話でございましたけれども、とにもかくにも金額的に二・八%増の財源措置がしてもらえた、そういうことなんでありまして、これからはその財源措置が将来にわたって充実するような努力をしていくことが私どもの務めであるというふうに思います。同時にまた、その財源措置に見合う教材費の支弁というものを地方公共団体でしていただけるように指導していくことも、私どもの務めであるというふうに思っているわけでございます。
  119. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは、自治大臣にちょっとお伺いします。  このようにして、むしろ増額をしてこの財政措置をしたということを言っておるわけでありますけれども、そうしたときに、その分だけはこの交付税なりの中に入るわけですからね。そうすると、全体の交付税、今まであった交付税に上乗せしてプラスの分がこのようにして措置をされたのかどうか、この点どうですか。
  120. 土田栄作

    ○土田政府委員 ただいま委員が御指摘になりました、地方交付税にはね返ってまいります増加分というのは、三億円程度と推計されますけれども昭和六十年度の地方交付税は、国の税制改正のはね返りその他がありまして一〇・九%、九千二百億円ほどふえておりますので、三億円程度の増は十分吸収可能であったということでございます。
  121. 中西績介

    ○中西(績)委員 結局そうすると、今まで一〇・数%の増加分、そしてその範囲の中に入れるわけですから、その分は実質的な増額にはならないわけですよ。同じ升の中で配分をするのに三億円だけはそこから差っ引くわけですから、結果的には他の分を何か食わなくちゃならぬ、こういう結果になるわけですから、この点は、先ほど文部大臣が言ったように、そのようにして十分な態勢ができたという認識が果たしてできるだろうかということを私は一番心配するものであります。もう時間がございませんから、この点についてはまだ後日時間をとりまして、委員会か何かで具体的な討論をしてみたいと思っております。  そこで、最後になりますけれども、いずれの形にしても、このようにして制度的な変更を求め、そして定着をしたということを理由にいたしまして措置をした旅費あるいは教材費、こういう問題について、先ほど文部大臣もちょっと言っておりましたけれども、私が一番心配するのは、これは必ず問題になりますように、市町村に手渡りましたときに、財源調整を行うことによってそれがそのまま丸々と、今度はひもつきでなくなるわけですから、本当にそれが消費できるような予算措置をしていけるかどうかというその保証はだれがするのですか。
  122. 阿部充夫

    阿部政府委員 御案内のように、交付税措置というのは一般財源でございますので、ひもつきではないわけでございますから、各市町村長が判断をして措置をするわけでございますけれども、私どもといたしましては、従来からのそういう実績もあり、それだけの財源措置交付税上講じていただいておるわけでございますので、それに沿って適切な予算計上をしていただくように、各都道府県を通じまして市町村に指導してまいりたいと思いますし、それに必要なことはやっていただけるものと期待しているものでございます。
  123. 中西績介

    ○中西(績)委員 それは期待感であって、私たちがかつて経験をしてきた中では、県段階において例えば定数配置がされておっても、その定数配置を完全に各現場の学校に配置をせずに、それをまとめておいて他のものに流用するというような予算措置をしておるところだって、文部省の方はお気づきの点があると思いますね。こうしてひもつきでなくなったときには、必ずと言っていいぐらいに、財政の厳しい市町村の段階では、どうしてもこのような教材費が抑え込まれる現象というのは、今まで多々見受けられたところです。ですから、この点は少なくともちゃんと指導できる体制というものがなければ、十分な対策とは言い得ないだろうと思います。今後どういう指導をしていこうとするのか、この点について明確にしていただきたいと思います。
  124. 阿部充夫

    阿部政府委員 既に予算の段階におきまして、おおむねこういうことになる見込みということを事務連絡の形でも、そしてまた会議等の形におきましても、各都道府県を通じて市町村に御連絡を申し上げているわけでございますけれども、この法案についての御決定がいただけました暁には文書によって正式に御連絡をする、同時に、各地方の実態等も把握をするように努めまして、必要に応じてまた個別の指導等も行うようにいたしたい。この点は自治省とも連絡をとりながら御協力を得てやってまいりたい、かように考えております。
  125. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは最後に、各大臣御出席のようですから、もう大蔵大臣の国庫負担金に対する見解は何回もお聞かせ願いましたので、きょうは時間がございませんから省きますけれども、この点について他の大臣、特に各省庁における制度的なものの見直しの中で、例えばこの前から問題になっておるように、生活保護費の問題を初めとする国の負担金、自治大臣の言葉をかりるならば割り動的なものであり、負担金は義務的な経費として考えなくてはならぬということを言っておったのでありますけれども、この高率補助金を一律削除することによってそれぞれ大きな被害を受け、あるいは制度を改正することによっていろいろ多くの問題を派生しておるわけでありますから、ぜひこれは少なくとも本年一年限りで終わらせるとか、あるいは将来的にはこうした被害が地方財政に及ばないように、そして、それがまたさらに今度は国庫負担につきましても、例えばこの前の時間にやっておりましたように、人件費にまで及ばないような対策をというような、いろいろな多くの問題があるはずです。したがって、この点についての考え方なり決意を、それぞれの大臣よりひとつお聞かせいただきたいと思います。
  126. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 厳しい財政状況下ではございますけれども、私どもといたしましては、実質的な水準の低下がないように十分気を配ってまいりたいと思います。
  127. 松永光

    ○松永国務大臣 義務教育諸学校の教職員の人件費、これは義務教育費国庫負担制度の根幹をなすものでありますから、それを維持するために、今後とも一生懸命努力をしていきたいと考えております。
  128. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 費用負担の問題につきましては、私どもいろいろのいきさつもありまして、大蔵大臣と話し合いをいたしまして、予算編成の直前におきまして、一年限りということで、こういうようなその間の一年の負担は中央において持つ、一年限りということで話をしておりますので、十分検討し、また教育関係の重要性につきましては十分認識しておりますので、地方に転嫁しないように十分努力をしてまいります。交付税措置で完全にこれを補うようにいたします。
  129. 中西績介

    ○中西(績)委員 以上で時間が参ったようでありますので、大蔵大臣、今各省庁の皆さんの場合、やはりこうした切なる願い、期待というものがみんなあるわけでありますから、そして高率補助削減については一年間という一応の限定をすると同時に、さらに行革関連特例法については一年の延長という、こうしたものが全部附帯的についているわけですから、今までの経過からすると、必ずそれが恒久化するという状況が何回かありましたが、この点は何としても私はやってはならないと思うのですが、この点についてのお答えを最後にいただきたいと思います。
  130. 竹下登

    竹下国務大臣 確かにおっしゃいますように暫定措置でございますから、これは一年限りの措置であります。したがって、社会保障関係に関しましては、御案内のような三大臣の申し合わせによって、一年間かかってあるべき補助率の問題を検討しよう、そして結論を出そう。他の問題につきましては、それぞれ若干の違いはありますが、必要に応じ、いわばそれぞれの制度、施策の持つ哲学的背景とは別の角度から、いわゆる地方と国との費用分担のあり方、こういう角度からの検討は不断に続けていかなければならぬ課題だ。財政当局からすれば、そのような角度からお答えをするのが正直じゃなかろうかな、このように思います。
  131. 中西績介

    ○中西(績)委員 以上で終わりますが、その検討の仕方が問題ですから、各省庁におけるこれからの行政の効果が十分上がるように、あるいは発展をするように、この点についてぜひお考えいただければと思っています。  終わります。
  132. 越智伊平

    越智委員長 浦井洋君。
  133. 浦井洋

    ○浦井委員 私は社会労働委員でありますから、社会保障の問題に絞ってお尋ねをしたいと思うわけであります。  今度の国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案というものの中で、国費の削減額が九千四百七十九億円、そのうち社会保障関係と言われるものが約六千二百五十億円で六六%を占めておる。それから措置事項が八十九項目あるわけでありますが、そのうちいわゆる社会保障関係が二十項目になっておる。これは間違いないですね、大蔵大臣
  134. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今お話しのうち、総額のチェックは私できましたが、その社会保障関係の方の数字をもう一度伺わせていただきましたらチェックさせていただきます。
  135. 浦井洋

    ○浦井委員 社会保障関係六千二百五十億円、措置事項八十九のうちの社会保障関係が二十項目、それでよろしいですか。
  136. 平澤貞昭

    平澤政府委員 それでいいと思います。
  137. 浦井洋

    ○浦井委員 大蔵大臣と厚生大臣、よく聞いておいていただきたいのですが、この法案をいろいろ検討してみますと、この内容であるとかその内容に裏づけられた数字、こういうものでいよいよ自民党。政府が弱者切り捨てに乗り出したというふうに言わざるを得ない。非常に怒りを感じておるわけであります。厚生大臣大蔵大臣、この辺のところをよく聞いておいていただきたいと思うのですけれども、我が国の社会保障制度というのはもちろん憲法二十五条の理念にのっとっておる。この憲法二十五条は、国の責務と国民の権利ということをはっきりとうたっておるわけであります。そういう中で、それをあえて分類をいたしますと、医療保障の問題がある。これは健康保険を軸にしておる。それから所得保障の問題がある。これは年金保険を軸にしておる。そして、そこに該当しないような部分が公的扶助などを中心にして、これは表現の仕方は学説がいろいろありますけれども、社会福祉、狭い意味での社会福祉制度という格好になって、全体としてその三本柱で社会保障制度というものが憲法で明確にされておるわけであります。  ところが、中曽根内閣になりましてから、戦後政治の総決算と言いながら何をやってきたかといいますと、今の厚生大臣ではないですけれども、前の厚生大臣の時代に、百一国会で健康保険の改悪をやった、あるいは今参議院にある年金保険の改悪をやろうとしておる。これは一言で言えば、いずれも給付を下げて負担を上げるというようみ方向ばかりであります。これで、さっき言いましたような三本柱の二つが、ほぼ中曽根内閣としては目的を達した。だから今度はいよいよ狭い意味での社会福祉だということで、俗に言う一括法案を出してきたのではないか。ここで社会福祉の切り捨てをやろうとしているというふうに私は考える。そう考えれば考えるほど非常に憤激にたえないわけであります。私の認識について、両大臣は一体どう考えておられるか、一言ずつお伺いをしたいと思います。
  138. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 私どもは、今回の措置に対しましても終始福祉水準の実質的な低下がないようにということで対処してまいっておるわけでございます。したがいまして、国と地方との負担の区分の問題が出てきておるわけでございますけれども、その中でも特に生活保護費の面につきましては、この厳しい中でも一定のベースアップと男女格差の撤廃という問題も解決をいたしておりますので、御指摘のような意図を持っておるものとは全く考えておりません。
  139. 竹下登

    竹下国務大臣 今の三本柱についても議論のあるところだと思いますが、それを前提とした上で、まず医療問題、それと年金問題共通の問題は、我が国が今日、急速な高齢化社会がやってくる、その際に適正負担、適正給付を二十一世紀を展望しながら今からやっておかなければならぬというのが、最初の二つの、改悪ではなくして改正の趣旨だ、こういうふうに思います。  それから、今の問題につきましては、視点が若干変わりますのは、末端の給付水準そのものは落とさないで、ひたすら国と地方のいわば費用分担のあり方という角度から、まとめて今御審議お願いしておる、こういうふうに理解しております。
  140. 浦井洋

    ○浦井委員 大蔵大臣と厚生大臣、ニュアンスが違うようには聞こえますが、実際は同じことを言っておられる。いみじくも最後に大蔵大臣言われたように、末端では今までと一緒だ、ただ地方と国の負担割合が違うだけだという辺に、私はちょっとペテンがあると思うわけであります。  そこで、少し話が外れますけれども、これは厚生省からいただいた資料でありますけれども、これをきのうのある新聞が上手に抜粋をしていただいておる。それをちょっと読み上げますと、改正健保法が「施行されてから半年がすぎた。改正後、被用者保険の受診率と医療費が大幅に減り続け厚生省は「狙い通り」と評価している」。さらにここに具体的な数字がありますけれども、政管健保の本人の受診率がこの四カ月間――四カ月間というのは去年の十月一日施行でありますから、それから四カ月でことしの一月三十一日までであります。「受診率は前年同月より五・〇-八・八%もダウン、一件当たりの医療費も五・二-六・九%減った。被用者保険全体の被保険者本人の医療費総額も七・四-一二・三%減少した」、こういうふうに新聞では書かれておるし、厚生省の資料もはっきりとそのことを示しておるわけであります。  そこで、この数字を見て両大臣お尋ねをしたいわけでありますが、これは厚生省がそう言っているのかどうか、新聞記事によりますとねらったとおりだ。厚生大臣大蔵大臣もねらったとおりだと思われるのか。私はこう思うのですよ。普通は、少々健康保険の改悪が行われても、受診率とか医療費というのは一カ月あるいは二カ月でまた上昇するものであります。だから、それが四カ月も同じように減り続けておるというのは全く異例のことであります。このことが病気の早期受診、早期発見、早期治療を妨げて、マクロで見ますと国民保健にとって極めてゆゆしい事態にならないであろうか、悔いを千載に残さないだろうかと私は思うわけでありますが、厚生大臣大蔵大臣大臣から、一体どちらだとお思いか、お尋ねをしたいと思います。
  141. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 健康保険法改正後若干の期間、本人の受診率が落ちておることは御指摘のとおでありますけれども、私どもは、この現象は的なものであって、例えば、例が悪うございますけれども、国鉄運賃が上がりまして、しばらくはお客さんが減るけれども、またもとに戻るというような現象に近いものではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。したがって、必要な受診につきましては妨げられておるものではないというふうに考えるところでございます。ごく最近の情報によりますと、持ち直すといいますか、受診率が上がる傾向もあるように聞いておるわけでございます。
  142. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり、所管省の大臣のおっしゃったとおりと、こう私はお答えすべきであろうと思います。
  143. 浦井洋

    ○浦井委員 厚生大臣、私も医者を長年やっていましたからわかるのですが、先ほど私が申し上げたように、少々の改悪は、確かにタクシーやあるいは国鉄の運賃と同じように、一たん下がるのですよ。ところがまた上がるはずなんですよ。上がらないところが今度の特徴だ。最新の情報によると、また受診率が上がってきておるというようなことを、何を根拠にして言われておるのかわからぬのですけれども、私はこれは絶対にうなずけない。今度の、今参議院で審議されておる年金についても、それもやはりきのうのある新聞が報道しておるように、これはもう思い切って負担が重くなる、逆に給付は下がるということをやってきておるということは、これは紛れもない事実でありますから、私はこういうことを強く指摘をしておきにいと思うわけであります。  そこで、そういうような中で二、三、今度の法条の中身についてお尋ねをしたいと思うわけでありますが、資料を配っておいていただいていますか。――まず、生活保護の補助率のカットというのは、これは金額的にもまた社会的にも最大の問題でありますけれども、私は、まずいろいろな福祉施設、それの措置費についてお聞きをしたいと思うわけであります。これが、生活保護費の削減と並んで、今度の法案の大きな目玉になっておるわけですね。約一千億円だというふうに言われておるわけでありますが、これを見ましても、先ほど言いましたように、いよいよ竹下大蔵大臣、中曽根総理大臣を先頭にして、児童であるとかお年寄りであるとかあるいは障害者であるとか、そういう本当に保護を必要とするような弱者にまでもあなた方が攻撃をかけてきた、攻勢をかけてきたというふうに言わざるを得ないわけであります。何でこんなことをするんだろうというふうに私は思います。  そこで、大臣にもお渡しをしたその数字を見ていただきたいと思うのでありますけれども、例えば、これは措置費制度の典型的な例として保育所の費用をとってみたわけでありますけれども、この表のように、五十五年と六十年の項を見ていただきますと、総事業費の中に占める割合のパーセントを見ていただきますと、五十五年度で、いわゆる父母負担である費用徴収が四二・九一%である。それが六十年度にはどんどん上がって五二・一七%。そして逆に国庫負担は、五十五年度四五・六七%が今度は三三・四八%になっておる。父母負担である費用徴収を除いた額の、その中の八割を国が負担をするということになるわけでありますから、国庫負担はどんどん減っていっておる。だから、これでいきますと、六十年度は国庫負担は三三・四八、三三・五%でありますから、これは果たして高率補助の対象になるんだろうか、高率ではないではないか、三分の一負担にすぎないのではないか、私はそう思うのですが、あえてこれをやるつもりですか。
  144. 小島弘仲

    ○小島政府委員 保育所等の措置費につきましては、まず措置権者が一応支弁しますが、その利用者と申しますか、その施設に入所なさった方々の費用負担能力に応じてその費用をいただくことにしております。  それで、国の補助というのは、保育所を例にとれば、措置権者である市町村長、したがって、市町村が負担した金額の八割を補助するという意味で、市町村に対する関係の補助でございますので、高率補助には変わりありません。
  145. 浦井洋

    ○浦井委員 それは答弁にならぬわけでありまして、この数字は厚生省が出した数字をまとめたものでありますから、ごまかしてもいかぬわけです。超過負担なんか含んでおらぬわけです。実際上、約三分の一しか、保育所の措置費に対して国の負担が出ておらないということを、大蔵大臣、厚生大臣、よく認識していただきたいと思うわけであります。  そこで私が指摘したいのは、この父母負担である費用徴収基準が毎年のように上がっていっておるわけであります。そうすると、今も児童家庭局長が言われたわけでありますけれども、そういう中で、費用負担が上がれば上がるほど、国の負担は減っていく。国の負担が八割、これが今度七割になるわけでありますけれども、それがより一層この傾向に拍車をかける。だから、そういう点でひとつ厚生省に聞きたいのですけれども、この費用徴収基準というのを、今のようなペースでこれからもどんどん上げていくつもりなのかどうかということを聞いておきたいと思うのです。
  146. 小島弘仲

    ○小島政府委員 費用負担につきましては、総費用のうちでどれだけ御負担願うかということでございますので、その世帯の所得の状況に応じまして、無理のない徴収基準を定めておるわけでございますが、総体といたしましては、措置費の額が給与改善とか何かによりまして膨らむにつれまして、それは徴収基準も上がらざるを得ない性格を持っております。そこで、そういうものが具体的に各家庭に無理のないように、世帯の経済状況によってきめ細かく区分いたしまして、その所得の能力に応じまして無理のない御負担を願うというような措置を講じているところでございます。
  147. 浦井洋

    ○浦井委員 児童家庭局長、やはり父母負担費用徴収基準は上がらざるを得ない、しかし、そこはきめ細かに、余り家庭の負担にならぬようにしたいというような、これもどないでもとれるような話でありますけれども、厚生大臣それから大蔵大臣もこれを見ておっていただきたい。  この下の棒グラフでありますが、このグラフ、大体の傾向でいきますと、一番下の一番黒い感じのところが国庫負担でありますから、このままこの調子でいつでも、私、計算したのですけれども、大体十四年か十五年この調子でいきますと、しまいに国庫負担はゼロになるのですよ。だから、こういうような格好で、ときどき国の負担率を八割から七割に落とし、あるいはこのままいけば、また六割に落とすかもわからぬ。そういうようなことになれば、措置費制度そのものが全体として崩壊するのではないか、国の責務であるところの、それに基づいてつくられた措置費制度が自然消滅するのではないか、そういう危惧を持たざるを得ないわけでありますけれども、そういうことは絶対にいたしませんな、厚生大臣
  148. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 近年におきましてのそのような傾向につきましては、やはり所得水準の向上を含めます社会経済情勢の結果がそのような姿になっておると思います。私どもが意図的にそのことを操作をしたものでもございませんし、今後もそういう操作をいたす気持ちはございません。
  149. 浦井洋

    ○浦井委員 何か、こういうふうになったのが社会現象であると、天然自然の現象であるみたいなことを厚生大臣は言われるわけでありますけれども、やはり政治というものが政策をつくり出して、そしてそれできちんと父母の負担ができるだけ安くて、しかもできたら無料で、安心して保育所に子供を預けられることを目指すという、そこのところの理念をしっかり持っていただかなければならぬと私は思うのであります。  そこで、保育所を典型的な例として出したのでありますけれども、これと同じようなことが、今大蔵大臣でしたか、二十一世紀に向けてそれに見合うような、言うたらしんの強い制度をつくり上げるために今やっているんだというような趣旨のことを言われたのですけれども、老人ホームの場合にもそれが一番大事なところですね。そういう中で、特養に対する措置費というのが千六百三十三億円ある。それから、養護老人ホームに対する措置費というのがほぼ六百億円ある。だから、合計いたしますと二千二百五十億円ぐらいになるだろうと思うのですが、一応これは確認しておきたいと思います。
  150. 正木馨

    ○正木政府委員 老人福祉施設に対する保護費補助金でございますが、養護老人ホームが六百八億円、特別養護老人ホームが千六百三十四億円、養護委託葬祭費が十億円、合計いたしまして二千二百五十二億円、これは六十年度予算数字でございます。
  151. 浦井洋

    ○浦井委員 厚生大臣、よく聞いてくださいよ。この措置費二千二百五十億円というものを、今度は何とか六十一年度ぐらいから減らそうということを一生懸命考えておられるのではないですか。何かよい手口、厚生大臣、部下の方から聞いておられますか。なかなか保育所対策と違って高齢者対策、しかも今特養が足らぬ、高齢者、寝たきり老人をどうするかということが、各地でいろいろ話題になっておりますから、なかなかやりにくいだろうと思うのですよ、あなたの立場に立って考えてみますと。この措置費、もっとふやしていきますか。これを何とか減らしたいとあなたは考えておられますか。どっちですか。
  152. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 老人ホーム等にお入りになっておるお年寄りのことを考えれば措置費をふやしたいと思いますし、また、在宅でじっと辛抱していらっしゃる方のことを考えますと、その均衡もやはり考えなければならぬというジレンマがあるわけでございますけれども、その間の社会常識、社会通念に即応した判断を下さなければならないというのが私どもの任務であろうと思います。
  153. 浦井洋

    ○浦井委員 判断を下すのが私の任務だと。しかし、とにかくこれから老人対策というのは大事になってくるし、当然費用も要るわけですから、一つのパイを分け合うという格好の発想では、国民にとって安心できるような施策は絶対できっこないわけですよ。パイをふやさなければならぬ。ところが、先ほどから私が指摘してきておりますように、今のあなた方のとっておられる施策は、パイそのものを減らそうとしておる。  そこで大臣、これは私、この間社労委員会で議論したのですけれども、中間施設という概念が出てきましたですね。これをどうされるつもりですか。私は、この中間施設を簡単に短絡させて言えば、老人ホームの措置費を減らす手段に使われるのではないか、そういうふうに思わざるを得ないのでありますけれども、中間施設について、ひとつ大臣の認識を聞きたいと思う。
  154. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 中間施設のことにつきましては、まだ構想が固まったわけではございませんのですが、私どもとしましては、やはり高齢化社会を本格的に迎える時代になりましたので、お年寄りの方々の必要なサービスというものは、非常にニーズの多様化ということが出ておるわけでございまして、そういう意味合いから、病院と福祉施設、あるいは福祉施設と在宅という中間的なものを考えようということでございまして、決して先生御指摘のような費用を減らすための目的でやっておるわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。
  155. 浦井洋

    ○浦井委員 地方自治体などでは、本当の意味での中間施設というのは必要だという声もあるわけですね。そういう声も吸収されて、中間施設をつくろうというようなことで検討会を発足されるのだろうというふうに私は思うのです。しかし、保険局長来ておられますけれども、保険局サイドから見ますと、私は、これは非常に危険な存在にならないだろうかというふうに思うわけです。  それで、これはこの前と同じになりますけれども、幸田さんとそれから正木さんにお聞きしたいのですが、老人病院、老人保健法の結果できました医療法の特例許可病院と特例許可外病院を中間施設の中に入れたいのか、あるいは特養ホームは中間施設の中に入れたいのか入れたくないのか、その辺についてお聞きしたいと思う。
  156. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 中間施設の問題につきましては、省内にプロジェクトチームをつくりまして現在検討を進めている段階でございます。プロジェクトチームの中ではさまざまな意見がございまして、まだ結論に達しておりません。どういう形で中間施設というものを考えていくか、私どもの検討課題というふうに考えている次第でございます。
  157. 正木馨

    ○正木政府委員 ただいま保険局長から答弁したとおりでございます。
  158. 浦井洋

    ○浦井委員 中間施設についてはなかなか言を左右にして、検討会待ちということで、この前と同じようなお答えしか返ってこないわけであります。ということは、逆に言えば、私が言ったようなことは確約できないということであります。  例えば、大臣、この辺よく聞いておいてくださいよ。特養をもし中間施設の中に入れるというふうに見ますと、ことしの一月二十四日に社会保障制度審議会が建議を出した、その中間施設というのは、食費などは自己負担で、そして運営の費用については医療保険を使うという建議をしておるわけであります。だから、それがもしそのままやられるとしたら、厚生大臣にしても、あるいは大蔵大臣なんか、のどから手が出るほど欲しいだろうと思うのですが、先ほどの老人ホームの措置費二千二百五十億というものが丸々要らぬようになるのですね。そういうことを厚生大臣にしても大蔵大臣にしても考えられたことがございますか。
  159. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 中間施設につきましてはまだ結論が出たわけでございませんけれども、どのような結論になろうとも、特養老人ホームがなくなるというようなことは全く考えておりません。
  160. 浦井洋

    ○浦井委員 特養ホームがなくなるということはあり得ない、これは私も大臣と同じなんですよ。その特養ホームを老人病院と一緒にして、制度的に別の中間施設をつくらないか。中間施設なるもの、そういう制度をつくらないか。実体は一緒ですよ。しかし、そういうことで制度を変えて、金の出どころを変えないかということを私は心配しておるわけです。そういうことは絶対にしないなということをもう一遍、厚生大臣、私は念を押したいわけです。
  161. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 先ほど来政府委員からお答えいたしておりますように、確かにお話のございましたように、中間施設の体系を考えます場合に費用負担をどうするか、これは極めて重要な課題ではありますけれども、今検討中で、実のところ答えが出ておりません。したがって、直接にはお答えできない。御了解賜りたいと存じます。
  162. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、特養を中間施設の中には入れないということは確認できぬわけでしょう、吉崎さん。
  163. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 お年寄り対策を全体として考えます場合に、まず最も大事なのは、さきの医師会長武見さんの言葉をかりますと、健やかに老いる、このことも力を入れていかなければいけませんけれども、どうしても介護と医療を必要とする方々がふえるわけでございます。  そこで、現在の体系はどうなっておるかということでありますが、一つは病院の体系がございまして、これは適切な治療をして一刻も早く社会復帰をしていただくための施設の体系でございますし、老人ホーム等は、そこでもって暮らす、そういう体系であります。  一方、お年寄りのそういう要介護、これまたいろいろな態様の方々がふえできます場合に、この二つの体系ではちょっと対応し切れない、それでこの中間的な性格を持った施設の体系というのを新しく考える必要があるだろう、こういうことなのでございます。そこで、これもまた一つではなくて幾つかの類型に分かれるのではなかろうか、こういうことも検討課題でございます。
  164. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、そういう意味での、本当の意味での中間施設、それで類型化するかもわからぬ、その辺のことを我々に早く意見を発表して検討させなければならぬわけですね。でないと、発表したわ、これでやりますということになってしまいますと、私が先ほどからもうしつこく言っておりますように、措置費制度の根幹を揺るがすようなことにならぬだろうか。現に養護老人ホームにしても特別養護老人ホームにしても、ことしからさらに食費相当の自己負担分がずっとふえておるわけでしょう。保育所と同じですよ。だから、そういうことになってきたら、だんだんと措置費が減っていきまして、老人の福祉施設でも措置費制度が崩壊しないだろうか。こういうことを私は危惧をしておるわけなんです。  そういうことには絶対ならぬ、やはり憲法二十五条の理念に沿って、子供にしても、あるいは老人にしても、国の責務としてやっていくんだということを約束できますか、厚生大臣
  165. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 やはりいつの時代になりましても、特別に介護を要するお年寄り、しかも所得の少ない方々がゼロになるとは考えられませんから、現在やっております制度をなくそうという気持ちは持っておりません。
  166. 浦井洋

    ○浦井委員 まだちょっと不十分なんですが、時間が迫ってきておりますから、とにかく私が今言ったような中間施設の必要性は私も認めます。しかし、それによって国の医療費であるとか措置費であるとか、国が責任を持って出さなければならぬお金を何とかけちろうというのが、ここ数年のあなた方の傾向でありますから、私はそれに警戒信号を発しておるわけであります。絶対にせぬようにということを強く厚生大臣並びに大蔵大臣要求をしておきたい、このように思います。  そこで、一番の目玉でございます生活保護の問題であります。もう既に議論をされ尽くしておるようでありますけれども、もしこの法案が成立いたしますと、国の負担金として千五百十億円削減されるわけですね。それがほぼ地方自治体に回される。そうすると、今盛んに生活保護者の中でいろいろな声が出ておりますけれども、受給の適正化という名のもとで、支給制限というはうな現象が一層強まるんではないかというふうに私は危惧をしておるわけでありますけれども、そんなことは絶対にないということがお約束できますか。
  167. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 今回の措置は、国と地方との負担区分の見直しであることはたびたび申し上げておるところでございます。なおかつ地方負担につきましては、別途財政対策が措置されております。また、特に新しく生活保護臨時財政調整補助金二百億円を計上いたしておりますので、この使用を適切に行うことによりまして、御心配のないようなことにいたしたいと思います。  私どもといたしましても、生活保護は生存権保障の最後のよりどころであると考えておりますので、不正受給の防止も図る一方で、本当に生活に困窮される方々に対しては必要な保護を確保するよう、今後とも地方自治体に対して十分指導してまいりたいと思います。
  168. 浦井洋

    ○浦井委員 総論的に私がお尋ねしようということに対して、厚生大臣の御意見が先に出てしまったんですけれども、例えばこれはきのうお願いしておいたんですけれども昭和五十一年度から五十八年度までの生活保護の不正受給件数というのはどういうふうに推移していますか。件数を一遍言ってみてください。
  169. 正木馨

    ○正木政府委員 先生、手元に五十六年度からしかございませんが、それでよろしゅうございますか。――五十六年度が廃止件数百八十件、五十七年度が三百七十五件、五十八年度が二百九十五件……(浦井委員「いやいや、不正受給件数」と呼ぶ)  失礼しました。不正受給件数は五十六年度が四百七十九件、五十七年度が八百十三件、五十八年度が七百八十九件でございます。
  170. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうふうに言われると何か変化がないように思えるわけであります。私、厚生省にお聞きをして、これをずっと五十一年度から調べてみたんです。そうすると、不正受給件数を五十一年度から順番に五十八年度まで言いますと、二百九十一件、三百二件、三百三十六件、四百五件、四百二件、それから今正木社会局長の言われた五十六年度が四百七十九件、五十七年度が八百十三件、五十八年度が七百八十九件、こういうことで、五十六年、五十七年、五十八年だけを聞いたんではわからぬけれども、五十七年度から飛躍的に不正受給件数なるものの数がふえておるのは、これはちょっと異常なんですね。これは何に原因するわけですか。
  171. 正木馨

    ○正木政府委員 改めて申すまでもありませんが、生活保護は生存権保障の最後のよりどころであるということで、これについて漏れがあってはならないわけでございますが、同時に乱れがあってはならないということで、生活保護の適正実施については私どもかねがね努力をしておるわけでございますが、非常に残念ながら、新聞紙上でも出るわけでございますが、暴力団関係者等による不正受給の例がいろいろ出てきております。そういうことで、さらに力を入れて適正実施というものについての努力を続けておる、そういう結果がこの数字にあらわれているというふうに思います。
  172. 浦井洋

    ○浦井委員 ここにこういう資料があるのです。ある自治体の職員組合のケースワーカーの組織がこう言っておるのです。「昭和五十六年十一月十七日の社保第一二三号通知」俗に言う一二三通達ですね、「通知では、生活保護の申請時及び現在の受給者に対して、収入資産について、挙証責任をおわせ、同時に関係機関への調査の一括同意書をとるものである。調査は年金や、貯金等個々の収入調査について、本人の同意をとり調査するのが原則であるにも拘らず、すべてについて、一括同意書ですますことは、生活保護者の権利侵害、受給者抑制につながりかねない。」こういうふうに職員組合のケースワーカーの部会の方はまとめておられるわけでありまして、昭和五十六年十一月十七日にその一二三通達が出てからこの数字がびゅっとふえておる、こういうふうに見るのが極めて自然ではなかろうかというふうに思う。そこへもってきて、今度は昭和五十八年十二月一日に社保一一一通達、これはもう不正を見つけたら告発を第一にせいというようなものが出てくるということなんですね。だから、本庁からこういうようなずっと強い指示が出る、これに従わなければならぬというふうにもってきて、そのために五十七年度から飛躍的に数字が上がったのではないかというふうに私は憂えざるを得ないわけであります。  そこで、一二三号通達でありますけれども、これをまだ実施しておらない市町村があるようでありますが、これは全国のどことどこなんですか。
  173. 正木馨

    ○正木政府委員 一二三号通知、五十六年十一月に出たわけでございますが、これは保護の適正な実施を行うためには、要保護者の資産、収入状況を的確に把握するというためにこの通知が出たわけでございます。これにつきましてはいろいろ御意見のある向きもあったわけでございますが、既に大部分の都道府県、指定都市においても実施をされておりまして、指定都市で申しますと現在川崎市と京都市、神戸市が未実施でございますが、近く実施の運びになるというふうに承知をいたしております。
  174. 浦井洋

    ○浦井委員 今社会局長が言われたように、これが出てケースワーカーがぐっと生活保護者を締め上げるということで、大変御意見があったというふうに社会局長言われたわけでありますけれども、とにかく印鑑を押せということで無理やりに同意書をとったというようなケースが、その当時大分問題になったわけであります。これは私はずっと読んでみましても、一二三号通知、通達というのはやはり人権侵害のすれすれのところ、その疑いがある。だから、これは確実に完全に実施をすれば受給抑制につながるというふうに思うわけで、これはひとつ厚生大臣、撤回する御意思はございませんか。
  175. 正木馨

    ○正木政府委員 先生のせっかくのお話でございますが、やはり生活保護については、不適正があるということは何としても避けなければならないということで、この一二三号通知によります資産、収入の的確な把握ということは、生活保護の実施の大前提であると思います。そういう意味で一二三号通知が出されておるわけでございます。  さらに申しますと、この通知で言っておりますのは、一つには関係先に対する照会がいつ生じてくるかわからないということで、あらかじめ同意をとっておく必要があるのじゃないか。また、敏速に行うべきではないか。また、被保護者との関係を円満に行うためにも、やはりあらかじめ同意書を出しておいてもらう。そして、的確な収入、資産の把握をするということが適切ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  176. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、一二三号通知というのが生活保護――あなた、ことしの二月二十六日に全国主管課長会議で、生活保護の適正な実施に努めているものでというようなことを言われて、今も言われたわけですけれども、生活保護の適正な実施、その適正なということの軸に、むしろ一二三号通知、通達を持ってきておるわけですか。
  177. 正木馨

    ○正木政府委員 生活保護の実施につきましては、定められたところによってきちっとやっていただくということが何よりも必要でございます。この一二三号通知に示されたことも、その一つの柱になっておることは間違いございません。(浦井委員「そうすると、適正な中に含まれておるわけですね。そういうことですね」と呼ぶ)もちろん、定めたところに従ってきちっと適正に実施をしていただくということを、私どもとしては強く望んでおるわけでございます。
  178. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、大臣が一番初めに総論的に言われたのですけれども、いわゆる生活保護臨時財政調整補助金二百億円、そうですね厚生大臣、これは一二三号通知を実施しておらぬところには配分をしないということですか。
  179. 正木馨

    ○正木政府委員 臨時財政調整補助金は、今回の補助率の引き下げに伴います地方負担についての措置でございますが、基本的には地方交付税によって措置される。しかし、団体によりましていろいろ影響度の度合いが違うということで、特に財政基盤の脆弱な団体を重点といたしまして配分をするわけでございますが、やはりその前提におきましては、生活保護についてきちっと適正な実施を図っていただくということが前提であることは間違いないわけでございまして、そういった点も加味することが当然必要になってくるのではないかというふうに思います。
  180. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、財政調整補助金配分の条件の中に、一二三号通知というのは一つの条件として入るのだというふうに理解してよろしいですね。これは大変なことですよ。千五百十億の国費を削減して、その中のたったの二百億を調整補助金というような格好で、それさえも厚生省の言うことをストレートに聞かなければやらない。まさに自治体を二重に苦しめる、ひいては受給者を苦しめるようなことになる。こんなことは絶対やめておくべきだと思うのですよ。大臣、どうですか。
  181. 正木馨

    ○正木政府委員 先生たびたびのお言葉でございますが、やはり生活保護については、先ほども申しましたように、漏れがあってはならないと同時に、乱給があってはならないということで、適正な実施ということについては、やはり国と地方が力を尽くしていかなければならない。その点についてはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
  182. 浦井洋

    ○浦井委員 理解はできません。適正なということによって、医療費の適正化ということで健康保険の改悪が行われておるわけですし、今度の場合でも適正適正ということで、低所得の人にとっては非常に脅威的な存在である一二三号通知というものがあり、これに基づいて地方配分をする財政調整補助金までも左右するというのはとんでもないことなんです。こういうことはやめておく。これは大臣、約束できませんか。どうですか。
  183. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほど局長からお話し申し上げましたように、既に大部分の都道府県、指定都市は実施しておられるわけでございます。私ども、国民の貴重な税金をお預かりいたしておる立場でございますので、それなりの手だてを尽くして施策を行わなければならないと思います。
  184. 浦井洋

    ○浦井委員 大臣、それはだめですよ。本当に生活貧困な方、低所得の方というのは非常に困っておるわけなんです。それで、昭和五十六年の一二三通達以後、非常に人権じゅうりんの例も起こっておるし、非常に皆憤慨しておられる。そういう声にこたえるのが政治家の任務ではないかと思うのです。私はもう一遍大臣の決意を聞いて質問を終わりたいと思うのですが、大臣、どうですか。これはもう撤回して、撤回するだけでなしに、この二百億というようなけちなことはやめておく。そしてこの一割カット、八〇%から七〇%に下げるというようなことをもうやめる。社会保障制度の一環としてこういうものがあるわけですから、この制度はきちんと守っていくということを、厚生大臣として、私は最後に聞いておきたいと思う。
  185. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、既に大部分の都道府県、指定都市が実施されておるところでございます。未実施の市におきましても、速やかに実施する方向で検討中であるということを聞いておりますので、そのような判断から対処してまいりたいと思います。
  186. 浦井洋

    ○浦井委員 終わります。
  187. 越智伊平

    越智委員長 この際申し上げます。  参考人として日本鉄道建設公団副総裁永井浩君に御出席を願っております。  御意見の開陳は委員の質疑にお答え願うことといたします。  上野建一君。
  188. 上野建一

    ○上野委員 私はまず最初に、建設大臣に明確に答えていただきたい点が一つあります。  これは通年、いつも予算案が成立しますと、新年度の補助金の実施箇所について、いわゆる箇所づけといって発表しておりますね。ところが、ことしに限ってこれを発表してない。発表しない理由は、当委員会の審議が終わらなければだめだ、こう言っているそうですけれども、それに対して地方自治体は実際問題困りますから、早く審議をやれ、早く上げろというようなことを言っているのですね。ところが委員会は慎重に審議するということになっている。そうなると自治体を人質にして、いわば当局が、あなた方の方が早く審議を上げてしまえ、こういうことになってきております。     〔越智委員長退席、堀之内委員長代理着     席〕  ところが、地方自治体の八割近いと思っておりますけれども、これらは、この法案に対しては反対をしている。こういうことを考えますと、建設省はもう箇所づけが終わっておるなら発表をして、地方自治体がもうちょっと仕事がしやすいようにしてやるのが当然だと考えますけれども、これを発表する気はないかどうか、お答えいただきます。
  189. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私からちょっと事務的にお答え申し上げたいと思います。  御案内のとおり、昭和六十年度の予算は、現在御審議いただいておりますこの補助率の一括法案と表裏一体というような関係にございます。そのため、私ども作業としてはいろいろと進めておりますが、この法律案が成立いたしましたところで、各公共団体に対しましても箇所づけの御連絡を申し上げたいと思っているところでございます。
  190. 上野建一

    ○上野委員 今検討中と言うけれども、実際の内部の話を聞くと、もう終わっているということですよ。終わってなければおかしいでしょう。去年なんかとっくに発表しているのですから。しかも、あなたはこの法律が通らなければということを言うけれども、それにかかわらない、この法律に関係ないものもあるでしょう。それをどうするのですか。それなら、それだけでもすぐやるべきじゃないですか。しかも、去年は文部省の関係で、育英会法の改正案が通らない前でも、ちゃんと前の法律でやったじゃないですか。そういうことからいったって、今度もやるべきですよ。やらないで、法律を無理やりに、早く通させるために、地方自治体を使ってハッパをかけているような状態では、これは結果的にそうなりますよ。そんなことじゃなくて、地方自治体は今仕事をやろうとして困っているわけだから、しかも総理が言うように内需の拡大ということを言うなら、実際問題としてそういう仕事をやらなければだめでしょう。これはぜひ大臣、今官房長からお話ありましたから、大臣の責任で早急に発表してください。それはできませんか。
  191. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、現在作業を進めております。その中に、確かに補助率の一括法に関連する事業もございますし、また、同じ事業の中でも補助率の低い、直接この法律に関係しないものもございますが、私ども、それぞれの事業の地域別の配分当たりましては、やはり事業費の地域間のバランスといったようなことも検討して総合的に見る必要もございますし、また、一つの事業につきましても、同じ地域で相当補助率の高いもの低いものがまざっておりまして、こういったようなものを仕分けいたしますのに相当日数も要るといったような事情もございますので、できますならばこの法案を早く成立させていただきまして、一括して内示できればと考えているところでございます。
  192. 上野建一

    ○上野委員 これは実際問題もうできているのですよ。できていなければおかしいでしょう、だれが考えたって、常識的に考えたって。それを発表しないということは、早くこの法律を通させるために、つまらぬことですけれども、こういうことをやっているのですね。地方自治体に催促させている。地方自治体も、困るから何とかしてくれといって我々のところに催促に来ているわけですよ。それを利用しているのが建設省でしょう。これは官房長じゃだめですから、大臣、これは政治家として、地方自治体がこういう現状ですから、早急に発表するように検討するとか、発表するために努力するとかなんとか、そういう明確な答弁をいただけませんか。
  193. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今官房長から答弁したとおりでございますが、決して意地悪しているとか取引しているとか、そういうことはございません。これは発表する直前まで、慎重に地域の実情等もよく考えて我々しなければならぬ責任があるわけですから、そういう意味で、おっしゃるとおりまだ固まっておりません。
  194. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ、これは時間がもったいないですから、後の委員会で。実際、作業はもう終わっているんですから、後で追及させていただきます。  そこで、今当委員会で問題になっておりますこの法律との関係で、大蔵大臣と厚生大臣と自治大臣で、先ほどもちょっと問題になりましたが、覚書ができている。この覚書の中で一項目は理解ができるんです、まだこれとの関連では。「この措置は、昭和六十年度における暫定措置とする。」こう明確にある。ところが二項目になると、国と地方との関係その他で負担の見直しをやる、そして補助率のあり方について一年以内に検討する、結論を出す、こうなっていますね。そうすると、一項と二項とはどっちともとれるようになるんですよ。何でこんな覚書をやらなければならぬのか。暫定であるということだけでいいじゃないですか、そういうふうに法律案がなっているなら。わざわざ暫定であると言いながら、一方では検討します。そうすると、来年から暫定でなくなる可能性も非常に多くあるのじゃないですか。これは厚生大臣、どうなんですか。あなたの方はそれをどういうふうに受けとめているんですか。
  195. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 この覚書につきましては、その文言どおり、一年以内に協議をして決めるということでございます。
  196. 上野建一

    ○上野委員 だから、厚生大臣に聞いているのは、そうするとこの検討の結果は暫定でなくなる可能性が強いんじゃないですか。そうなる可能性があるから、こういう二項目をわざわざ入れたわけでしょう。
  197. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 私が一人で決めるわけではございませんので、三省間で決定をするわけでございます。
  198. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ自治大臣にお伺いしますが、自治大臣はこの二項目目はどういうふうに受けとめて、しかもこの検討の対象になるのは、地方財政法でいうとどことどこの部分になるんでしょうか。それをお答えいただきたいと思います。
  199. 土田栄作

    ○土田政府委員 お答え申し上げます。  第一項は、今回の措置が一年限りの暫定措置である、それで、これから一年間に何を検討するかという検討項目を第二項で定めているわけでございます。そして、第二項で定めます内容でございますけれども、これは主として国の負担金、地方財政法の第十条から第十条の三までの経費というものが中心になろうと考えております。
  200. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ自治大臣、それから厚生大臣、しかし二項目には「役割分担・費用負担の見直し」とありますね。ですから、今までの負担じゃだめだから見直すんだ、検討するんだということでしょう。今まででよければ、わざわざこれを出す必要はないわけですからね。  そうすると、今までの補助率のあり方、国と地方の役割分担ではだめだ、あるいは検討し直さなければならぬというのは何と何でしょうか。具体的に挙げてもらいたい。この地方財政法第十条の四では、専ら国の利害に関係ある事務について地方自治体は負担をする必要はない、義務を負わない、こうあります。それから十条の一項については、それぞれ国が全部または一部を負担する法律に基づいて実施するんだ、その項目を挙げている。すると、十条の一項と十条の四との関係で何が検討、見直しの対象になっているのか。これだけはっきりと三省で書いてあるからには、その点が明らかだからこういうふうに出しておられるのだろうと思うので、その点を厚生大臣、自治大臣、お答えいただきたいと思います。
  201. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 私の関係についてお答えいたします。  上野先生も御承知と思いますが、私ども補助金整理合理化は絶対にやらなければならない問題だと思っております。ただ、一律カットということは、私はちょっと目的が違うと考えまして、この問題は予算編成の直前まで、私の方と大蔵省とで考究して決められなかったところでございます。最後に、国の財政が厳しいから一年限りとし、そうして地方自治団体負担するようになる五千八百億につきましては、国で何らかの形で面倒を見る、補てんをいたします。結局これが交付税一千億と建設地方債四千八百億ということになったわけでございます。そういうようなことからいたしまして、今度の覚書は、この一年間に制度をどういうふうに見直すか。私ども、見直すことはもちろん賛成で検討もしておりますが、一律カットというのは地方自治の建前からまずい、こういう考え方でございました。  そういう考え方でございましたが、結局そういう覚書になりましたのは、国の財政が厳しいから、この一年間に検討をして、この問題はどういうふうにするかということを一年内に結論を出そうというのがその覚書の趣旨と考えております。
  202. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 負担あり方につきましては、ただいま自治大臣からお述べになったとおりでございます。私どもといたしましては、そのような判断を行う過程におきましても、福祉の実質的な水準が低下いたさないように、今後とも留意してまいりたいと思います。
  203. 上野建一

    ○上野委員 そこで私は、覚書というのは、実は一項目の「暫定措置とする。」ということが、二項目によって、場合によると全部否定されてしまう可能性があると思うのです。したがって、この一律カットとの関連で、大蔵省は特に国と地方との役割分担、費用負担の見直しという点でどこを重点に考えておられるのか、検討し直さなければならぬ項目として何があるのか。特に地方財政法の十条との関係においてあるだろうと思うのです。今度の一律カットはいけない、これは困るということを自治大臣は言っている。厚生大臣も同じような趣旨ですね。しかし、大蔵省は何としてもやろうとしている。すると、二項目の関連で、一括削除をする、カットをする場合に、今大蔵省はどこを重点に見直そうとしているのか。一年間で結論を出すと言っておりますけれども、その日程などを含めて一体どういう検討の仕方をするのか、その点を大蔵大臣にお伺いします。
  204. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、今両大臣からお話があったとおりでございます。  まず財政再建、そして一方、大変財政環境が厳しいといいますと、さあどこをカットするかということになると、これは常識的に一般歳出の四割強を占める補助金にどうしても着目をしていくわけであります。その補助金の中で、今まで例えば臨調の第一次答申から今日までの経過をずっと考えてみますと、最初法律補助がおおむね八割だ、予算補助が二割だ。地方自治体を通ずるものと、さにあらざるものとを比べると、これまた八対二くらいになる。もう一つは、文教、社会保障、公共事業、この三つ足したものが金額でまた八割、さにあらざるものが二割。そうしますと、その枠から飛び出るものは非常に薄いものになってまいりますが、最初はまずその辺から、補助金のいわば終期を設定して終わったものとか、あるいはその必要が薄くなったものとか、あるいはスクラップ・アンド・ビルドの精神でそれらにだんだん手をつけてきたわけであります。そうして今度のものは、もとより補助率そのもの、あるいは法律でこうしてお願いしているわけでございます。そしてその次の段階は、制度改正に伴うものがどうあるかといいますと、これも健康保険法の問題でございますとか年金の問題でございますとか、そういう問題があった。そこで、ことしは各種の答申等から見まして、高率補助というものに着目をして種々協議を重ねたわけであります。  最終段階におきまして、先ほど来両大臣からお答えがございましたごとく、社会保障関係については、今いみじくも上野さんおっしゃいました地方財政法第十条のことからして、国の負担がいわば義務であるということになって、しかも昭和二十一年以来いろいろな歴史を経て今日まで八、二というものがずっと継続して定着してきたではないか。したがってそこに、それぞれ一割カットというものにはいささかの哲学もないではないか。だから、財政当局がいわばその制度の、施策の根本にさかのぼって、この問題は役割分担と費用負担あり方という点から議論をしてみようということにいたしましたが、この議論がなかなか結論が出なくて、よし、されば暫定措置としての一年ということで、ことしはこれで合意をしよう。が、一年かけて、少なくとも昭和二十一年以来の議論がいろいろあるのだから、きちんとしたものを出そうではないか。こういうことで申し合わせがあるわけですから、まずこれが検討の対象になっていくというのは事実であります。  さあ、さようしからばどういうふうな手順でやるか、こういうことになりますと、たびたび申しておりますが、一つ気にかかりますのは概算要求というハードルがございます。それまでにどうなるかという問題がございますが、なかなか難しいじゃないかとおっしゃる意見も、本委員会の審議等を通じて出てきております。そのハードルを一つ考えなければならぬ問題もございますが、ではこれから地方自治体の意見をどのような形で聴取するか、あるいは関係団体等々ございますが、そういうことにつきましては、まず国会でのいろいろな議論を聞こうじゃないか、そういう議論をもとにして、そしてどういう仕組みでやるかということは今後検討しようというので、内部で折々検討を進めておるというのが、この検討を続けておる手法に対する今日の生煮えのお答えになろうかと思うのであります。  もう一つは、さればこの申し合わせにないのに、たくさんほかにもあるじゃないか、その問題をどうするか。これは今、制度、施策の全体にさかのぼって引き続き費用負担あり方を検討するという状態の中にあるわけでございますから、それぞれ必要なるものについては、その都度検討を続けていこうということになっておるというのが現状であります。
  205. 上野建一

    ○上野委員 大蔵大臣は先ほども哲学という話を出されましたが、ちょっとよくわからないのは、地方自治法、地方財政法、これを含めて地方自治に対する一定の哲学が貫かれていますね。そしてその哲学を裏づけるものとして財政がある。そうすると、大蔵大臣の考えておられるのは、今までの地方自治というものに対して、貫いておった哲学については検討しなければならぬ、もう古くなった、今の現状に合わないからこれも検討するんだ、したがって、そこから財政問題も当然出てくる、こう考えておられるんですか。
  206. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり地方自治というのは戦後の三大変革の大きな柱であると思うのであります。したがって、その地方自治あり方そのものを、私はいわば哲学として変更しようというような考え方は全くございません。言うなれば、その中における車の両輪である国と地方との役割分担と費用負担あり方について勉強していこう、こういう考え方にとどめております。
  207. 上野建一

    ○上野委員 それがおかしいと思うんですよね。だって、地方自治法なり財政法なりあるのは、哲学を裏づけるものとして、それを保障する意味で今あるわけですね。今だって不十分なんですよ。これについては後で申し上げますが、超過負担もあり、地元負担もあり、いろいろな形で地方負担しているわけですね。それから、補助金制度を通じて、実際問題として地方自治体が中央の統制下に置かれている。こういうことを含めて、不十分な点はあるにしても、この地方自治法を守っておるものは、ある意味では財政の裏づけなんですね。財政だけはカットいたします、簡単に言えば、きっと国の方の負担を軽くするということでしょう。そういうことになれば、地方自治というのは、これは事実上崩壊しますよ。戦後の最もいい意味での民主的改革の一つである地方自治が、その財政の面からもう破綻してしまう。今でも三割自治と言われているんだけれども、率直に言って、一割自治ぐらいにしょうということだろう。今の大臣お話を聞くと私はそう思うのです。そのように考えるしかないと思うのですが、どうですか。
  208. 竹下登

    竹下国務大臣 これは私はそのような考え方は持っておりません。  三割自治という問題は、いわゆる財源の方から、税源とでも申しますか、財源、税源から見たら確かに三割自治とか、あるいは私どもの田舎の方は二割自治とかいうような言葉がございますが、この地方自治の本旨というものは、あくまでもこれは守らなければならぬ。  今申しておりますのは、そのいわば費用負担あり方でありまして、したがってこそ、ことしもいわゆる財政当局からいたしますと、地方財政を勉強させていただきます場合は、マクロ地方財政計画というのを土台にさせてちょうだいするわけであります。そのマクロ地方財政計画で見ますならば、いわばこのことがなかったならばとんとんだった。それが、このことによってとんとんでないようになったということは、先ほど自治大臣からお答えがございましたように、特別な財政措置をこれに対して行ったということにして、出口ベースにおける、いわゆるマクロ意味における地方財政計画というものに対して充当していったということでございますので、地方自治の本旨をこれによって変えていこうというようなことは全く考えてもいないことでございます。
  209. 上野建一

    ○上野委員 その財政を抜きにして、地方自治を守ると言ったり、あるいは今までの地方自治はそのまま再検討しないんだ、哲学はそのままだ、こういうことを言われても、実際問題は違うんで、そうはならぬと思うけれども大臣はそういうことを繰り返し言われる。それなら、そこでお伺いしたいのは、この地方財政法については、そうすると全面的に再検討を考えていると思われますけれども、そう受けとめていいかどうか。  それから大蔵大臣と厚生大臣、自治大臣の三大臣でこの覚書をされておりますね。ところが、本当はほかにも大臣がいなければおかしいんですね、社会保障だけの問題じゃないわけですから。そうすると、ほかの、この覚書から外れている大臣所管については検討の材料にならないのですか、なるのですか、どちらでしょう。
  210. 竹下登

    竹下国務大臣 これは他の関係ももとより検討の対象になるわけです。広範な意味におきまして、いわゆる国と地方との費用負担あり方という意味においてはなります。  ただその問題は、先ほどいささか舌足らずの点があったと思いますが、最後にぎりぎり議論をいたしました。政治家同士の討論でございますから、言ってみれば、公共事業についての考え方の一つとして、これは私自身が思ったことかもしれませんけれども、いわば補助率をいじることによって事業費が確保される、ないし、いささかでも伸びるという一つのメリットとでも申しましょうか、そういうことがあろうかとも思われました。社会保障につきましては、個々の給付はダウンはいたしません。がしかし、個々の給付がそれによってかさ上げされるという問題ではないわけでございます。  したがって、この議論をとことん行いまして、そこで哲学がないと申しましたのは、昭和二十一年以来のいろいろな書類を読んでみますと、大変な議論をして八、二というのが決まっているわけですね。それはその当時参画された方々のお話を聞いてみましても、一つの哲学論争であった、こう言われております。いや、見方によっては、当時の地方団体というのは大変に財政力がなかったんじゃないか。あるいはわずかな期間でございますけれども、全額国費でやった時代もございます、その前は五分五分でございますけれども。したがって大変な議論をして、これが今日続いてきたものであるという主張と私どもの議論とがいわば平行線でありまして、したがってこのたびは暫定ということにおいて費用負担あり方として合意をしよう。が、本格的な議論は一年かかってやろう、こういうことで申し合わせになったわけでございますので、他の関係の分はどうでもいいという性格のものではもとよりございません。
  211. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、時間がありませんから、もうちょっとその点申し上げたいのですけれども、重要な問題が残っておりますのであれしますが、いずれにせよ、大蔵大臣地方財政法も含めて、これはもう全面的な地方財政との関係について見直しをやる、こう受けとめざるを得ないと私は思います。しかもそれは地方自治体に対する事実上の逆の作用を及ぼす、地方自治が大きく後退をしかねない、そういう危険性を含んでいる、こう思われます。  そこで具体的な点で、今度の補助金カットでどういう影響を受けるかということを、私は地元の市川と千葉市、それから千葉県、このところを検討してみました。そうしたら、いずれも社会福祉関係、社会保障関係の方が負担が大きいのです。例えば千葉市の場合には、補助金カットによって六〇%の影響を受けます。カットの中の六〇%が社会福祉なんです。そのほかのところは大したことじゃない。全体としては大変なことですけれども、その割合からいくと、六〇%が福祉関係です。  こういう点を見ますと、厚生大臣、これはもう社会福祉がこれだけ影響を受けるということについて、あなたは大臣としてこれから責任を全うできるのでしょうか。そこら辺のことはどういうふうにお考えか、お伺いします。
  212. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御承知のように、福祉関係の仕事は広範多岐にわたるわけでございますけれども、そのいずれをとりましても欠かすことのできない重要な政策ばかりでございます。したがいまして、今回の措置を行いますにつきましては、その一つずつにわたりまして、負担区分が変わることによって実質的な福祉の水準の低下を来すことがないかどうかという観点から対処してまいったわけでございます。  そのような観点から申し上げますと、今回の厚生省予算全般にわたりましては、必要な経費はいただいておるものと判断いたしておるわけでございます。今後もそのような観点から努力をしてまいりたいと思います。
  213. 上野建一

    ○上野委員 厚生大臣は、地方自治体の実際仕事をやっていることを御存じないようですね。カットされる中で、社会福祉の関係が六〇%も占めているということについて、費用は確保されていると非常に軽い気持ちでおっしゃいますけれども、そういうことだと、事実社会福祉は、それでは影響はほとんどない、大丈夫、いろいろな形で金はちゃんと確保できる、こう自信を持って言えますか、厚生大臣
  214. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、負担区分の変更によって実質的な福祉の水準が下がることはないものと思っております。
  215. 上野建一

    ○上野委員 そこで、今地方自治体の補助金の問題も大変なことですけれども、それと同時に超過負担というのがございます。地方財政法十条にもある、国が当然全額負担しなければならぬ仕事も地方自治体が金を出している、こういうのもあります。そういうことで、一つの例として市川市の場合を私はモデルにしてとってみたら、大体ほかの市とも似たような数字になっているようですが、この超過負担を見ると大変な状態になっております。  例えば、国民健康保険の事務、それから国民年金に対する事務、こういうものが合わせて大体一五%も超過負担をしておる。それから保育園の運営費などについては、七三%も超過負担になっております。これは結局は何かと言えば、人件費などの費用が実態に合わない、単価が合わない。それから、例えば六人のゼロ歳児を一人の保母さんで面倒を見ろという国の決まりになっている。六人のゼロ歳児を一人で面倒を見ることはできるわけないわけです。したがって、それは地方自治体がやむを得ず出さざるを得ない。ところが、その費用補助の対象にはなっていない、こういうことがございます。それから、例えば保育園の園長にしても、全然給料を上げられない。上がらないということを前提にしています。人件費十九万円しか見ないのです。こういう実態があるのです。それから、伝染病予防事務なんというのは九五%から九七%の超過負担をしております。  だからむしろ補助は、実際はないと同じぐらいの状態にまでなっています。こういうものについては、かねてから、超過負担については解消するのだということになっているけれども、遅々として進んでいない。ですから、今度の一括法案が出なくても、実際問題として地方自治体は一括的にカットされていると同じことなんですね、超過負担がこれだけ多いのですから。これについてはどう考えておられるのか。これは厚生大臣、単価の引き上げとか、実態に合わない人件費とか、ゼロ歳児を六人もまとめて一人が面倒を見ろ、こういうやり方というのは改める気はないのですか。こういうことをやりもしないで、大丈夫だみたいな話を厚生大臣がされたって、我々納得できませんよ。明確にしてもらいたいと思うのです。
  216. 小島弘仲

    ○小島政府委員 保育所の超過負担と言われるものの中には、一つは費用の徴収基準について、市町村独自で減免措置を講じている分というのがあります。もう一つは、先生今御指摘いただきましたように、職員を国の基準を上回って配置している面があります。第三の問題としては、給与格差の問題があります。  第一の徴収金の減免については、市町村独自の判断でございますので、超過負担の問題は出ないものと考えております。  第二の職員の配置基準、今乳児について六、一の問題も御指摘をいただきましたが、これらについては必要に応じまして逐次改善を図ってきているところでございます。  第三の給与格差につきましては、昨年大蔵、自治、厚生三省で共同で実態調査をいたしまして、その結果に基づきまして六十年度、六十一年度の二年間で是正措置を講ずることといたしております。
  217. 上野建一

    ○上野委員 今私が申し上げているのは、地方自治体が独自でやっておる金の取り方その他については最初から除外しているのです。補助対象事業費としての関係で申し上げているのです。だから、今局長さん、あなた、順次解消していると言っているけれども、六人を一人で面倒を見るというのはいつ解消するのですか。それから、例えば園長なんというそういう道のベテランに、十九万円でいつまでも給料を渡せというのですか。これはいつになったら直すのですか。それなら具体的に聞きましょう。
  218. 小島弘仲

    ○小島政府委員 乳児、いわゆるゼロ歳児につく保母の配置基準につきましては、今一部につきまして三対一というようなことをとってまいっておりますし、全体の見直しの中で考えてまいりたいと考えております。
  219. 上野建一

    ○上野委員 いつやるのかと聞いているのです。
  220. 小島弘仲

    ○小島政府委員 現在全体の見直しを行っているところでございますので、検討をさらに進めてまいりたいと思っております。  それから給与でございますが、これは平均的な勤務年数等々を勘案いたしまして平均ではじいておりますので、特定の保育所等につきましてはそういう問題が出るかと思いますが、全体として、措置費といたしましては平均ではじくという手法をとっておりますので、そのような取り扱いといたしております。
  221. 上野建一

    ○上野委員 全然答弁になっていないのですよ。見直しをしていると言っている。見直しなんか十年も前からやっているじゃないですか。さっぱり進んでいない。だから大蔵大臣、覚書にある、補助率とかいろいろなことを検討する、見直しをするというけれども、実態はそういうふうにいろいろ問題があるわけです。当然国が出さなければならぬものも出していないし、基準も非常におかしな基準になっているし、そういうものはそのままにしておいて、そして一括カットというものがいかに地方自治体に重いかということを自覚していただきたいし、もっと実態を見ていただきたい。その上に立って検討しないと、これは本当に地方自治体がお金の面では地方自治体ではなくなってしまう。借金ばかり背負っている自治体になりかねませんから、その点を要望しておきたいと思います。  そこで、今の超過負担と同じような意味で、今地方自治体に対して別の意味負担がかかっています。これは地方鉄道の問題であります。私どもの近くでは、新たに鉄道をつくるとすると第三セクターというような形になる。これは東京の通勤圏あるいは首都圏と言われているところに対する交通の問題なんですけれども、そういう一方で負担がどんどんかけられる、こういうことなんです。  そこで、まず鉄建公団にお伺いしたいのは、成田空港ができることによって、国は成田新幹線を考えた。ところが、成田新幹線については計画が余りにもずさんなものであって、これはもう問題にならない。したがって、たちまちこれは御破算になりました。御破算になったわけですけれども、そのかわり成田空港の地下に駅ができてしまった。成田新幹線の駅だけはできてしまった。その費用が合計して五百七十九億円。現在のところ全くむだな金になっている。それに加えて利子が約二百六十六億円加わっている、できてから随分時間がたちますからね。そしてやはり合計八百何十億かの赤字になっているわけですね。一体これを鉄建公団はどうしようとしているのか。しかも、計画がずさんなためにできた赤字とか負債というものについては、だれが責任を持って負担しようとするのか。まず鉄建公団に、何でこんな駅をつくってしまったのか、運輸省に言われてつくったのか、国鉄に言われてつくったのか、あるいは自分のところで勝手につくったのか、その点をお伺いします。
  222. 永井浩

    ○永井参考人 成田新幹線の現状でございますが、ただいま先生御指摘のように、現在は空港と成田線の交差部分の土屋というところまで路盤部分がほとんど完成しておりますが、それから都心に向かってのルートにつきましては、諸般の事情によりまして事実上凍結という状態にございます。  そこで、これをいかに利用するかということでございますが、その後成田空港のアクセス並びに千葉県北西部のニュータウン開発が進みまして、これらのニュータウン住民の通勤通学の足を兼ねるという意味で、新しい高速鉄道をつくったらどうかという構想が出てまいっております。それで、五十七年には、運輸省の諮問機関であります調査会が、この成田空港並びにニュータウンのための高速鉄道についてA案、B案、C案という案を報告されまして、特にB案は民営鉄道関係が非常に関連しておりますので、B案について鋭意関係者で勉強会をやっております。先般、運輸省の方からもB案を中心にしてこれを推進するようにというお話がございましたので、早急にこの勉強会の結論を出して、仮にB案を採用するといたしますと、先ほど申し上げました新幹線の土屋-成田空港間の施設も有効に活用されるのではないか、このように考えております。
  223. 上野建一

    ○上野委員 あなたの方でやったのか、どういう責任でやっているのですか。
  224. 永井浩

    ○永井参考人 新幹線の計画につきましては、政府の方で基本計画というのをお決めになります。それから整備計画が決められまして、それに基づきまして私どもの方が工事実施計画というものを策定いたしまして、運輸大臣の認可を受けて工事に着手するわけでございます。そういう手続を踏みまして、四十九年にこの工事を始めたわけでございます。
  225. 上野建一

    ○上野委員 どうも責任が明確じゃないのです。例えばその駅を利用するために、第三セクターなりそういうものでやる。しかし、第三セクターですから当然地方自治体、県とか市あるいは町が関係してくる。そうすると、この八百四十億のお金はその第三セクターなり何かの責任に負わせるのですか。運輸大臣、このお金はどうなるのですか。
  226. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 成田の新幹線の経緯は、今、先生お話がございましたことと鉄道建設公団の副総裁からお答え申し上げましたような経緯でございますが、今御質問の駅の施設が既にでき上がっておる。これにつきましては、いわゆるB案というような形で極力有効な活用を図りたいということで、現在検討しておるわけでございます。ただ、その際に先生御指摘のように、それを第三セクターで行わせるというようなことについて、現在具体的な計画があるわけではございません。どういう形でB案というものを推進するか、現在検討中の段階でございます。  御質問のもう一つの、その場合にその負担をどうするんだという問題につきましては、どのような形で高速の鉄道を成田に持っていくか、その形態との関連におきまして、その時点において判断をいたしたい、かように考えております。
  227. 上野建一

    ○上野委員 大蔵大臣、このようにむだがあっちこっちにあるのです。国がやっているいろいろな施策の中にこういうむだがある。それが今や成田の空港駅の問題だけで八百四十億ぐらいのむだ遣いがあるわけです。これは将来どう生かすかということは、今話を聞いてもまだわからないでしょう。全部検討中、検討中になってからもう何年もたっているのです。そして、これから鉄道をつくるとなれば、第三セクターになれば地方自治体の負担になる。そういうことを解決しないで、すべてが地方自治体の負担になってしまう。こういうことですから、この辺についてはちゃんとしないといかぬのじゃないかと思います。  大蔵大臣地方自治体にはいろいろな補助金をカットするけれども、国がやる仕事は、一方ではむだ遣いが非常に多い。こういうことについてはどういうふうにお考えでしょうか。これを最後にお伺いして、終わりたいと思います。
  228. 竹下登

    竹下国務大臣 十四兆数千億の補助金、それのみならず国自身の行っておる仕事の中に、言ってみれば中途でストップして、そしてそれが利払いにかさむ利払いを生んで、客観的な角度から見ればまさに国費のむだ遣いをしたではないか、こうした例は私も皆無とは絶対に申しません。あると思います。一つ一つのプロジェクトをとってみますと、それは中止とか将来検討せざるを得ないような客観的状況に立ち至った事業もあろうかと思います。しかし、可及的速やかに、財政改革の本旨にもとるような形で措置してはならぬという考え方に基づいて、関係省庁においてそれらの問題は一つ一つ解決していかれるべき課題である、また我々もそれを促進する立場でこの予算協議に応じなければならない課題だというふうに思っております。  いずれにせよ、補助金全体の中でいわゆるむだだというものがあってはならぬことは御指摘のとおりであります。
  229. 上野建一

    ○上野委員 終わります。
  230. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 山中末治君。
  231. 山中末治

    ○山中(末)委員 私は、ただいま議題となっております国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案につきまして若干御質問を申し上げたいと存じます。  政府は非常に御苦労なさっているようでございますけれども、例年ならば、予算案が決定をして、もう事業の箇所づけといいますか、こういうものの内示が各自治体等に行っているという時期でありますけれども、まだ内示があったようには聞いておらないわけであります。内示がおくれている理由は一体どの辺にあるのか、また内示の時期はいつごろになるのか。まずこういうことをお聞かせいただきたいと思っています。  例年どおり、今いろいろな地方公共団体から中央の各省庁に対して箇所づけについての問い合わせがあるわけであります。一説聞いてみますと、予算は通って箇所づけはできているけれども内示はできないんだ、その理由は、今、国会の方で審議されているこの法律案が終わらなければ内示はできないんだ、こういうことを言っておられる省が幾つかあるようでございます。これは関係の部局のサボタージュじゃないか、このように私は思うのですが、いかがなものでございましょうか。まず大蔵大臣にこの点をお尋ね申し上げたいと思います。
  232. 竹下登

    竹下国務大臣 補助金整理特例法案、今御審議いただいておるわけでございますが、先般成立いたしました六十年度予算とはまさに表裏一体のものであります。したがって、箇所づけという言葉は、いわゆる公共事業の箇所づけというふうに限定してお答えしますならば、公共事業につきましても、基本的には今の法律案の成立をまって執行するということが適当であると考えております。  したがって、私どもといたしましては、本法律案についての可及的速やかな成立というものを期待しておる。政府の場合は期待権とでも申しましょうか、そうした言葉で表現申し上げた方が適切ではなかろうかな、こういうふうに思っております。  事実、予算関連法案というのは、その年度の予算をどうして使うかという使い方を示す法律でございますが、普通の場合、予算案は十二月に予算編成をし、一月の二十日直後ぐらいにこれを国会に提出いたしまして、それに伴う予算関連法案は、おおむね今度は二月の最終の木曜ないし金曜の閣議ということで取り扱っておりますが、ことしの場合は、これはまさに表裏一体のものであるからというので、予算案提出と同時に、同日に国会へ提出をいたしました。このことば、そういう期待を猛烈に持っておったからという一つの証左として御理解をいただければ幸いである、私の立場からはその程度お答えしておきましょう。
  233. 山中末治

    ○山中(末)委員 大蔵大臣から大体要領よくお答えいただきましたので再質問をする必要はないと思うのですが、それなら、各本省へいろいろな方方が公共事業の箇所づけについて問い合わせをするときに、各省の方々は大蔵大臣のような説明をなぜなさらないのか。とにかく早く今の補助金の一括法案を上げてもらわぬことにはどうにもならぬという言い方をしている。これは私は間違っていると思うのです。  今おっしゃったように、それなら先に法案を出してそれを審議をして、そうしてその後でその法案に沿ったところの予算案を出してくるのが本当だ、その手順を今度の場合は、これは緊急の課題であって並行的に出したんで、今、大蔵大臣こういうことをおっしゃいました。そのとおりです。それが悪いとは言っていません。しかし、そうは説明しておらない。そういうことから見ると、これは大蔵省が中心になって、各省庁に対してこの一括法案が成立するまでは内示をするなということを指示もしくは指令しているんじゃないか、このように思えてなりません。  それともう一つは、この法律案の中に含まれない補助金がほかにもたくさんあるんじゃないか。補助金総額というのは、御承知のように十四兆四千三百一億ある。これが全部いわゆる今度の法律案に触れる補助金ではないはずだ。二分の一以下の補助率ですね、こういうものがあるはずだ。なぜこれを早く内示されないのか。そういうものをひっくるめて、今の一律の法案が通らなければ出さないんだというやり方、余りにもフェアじゃないんじゃないか、私はそのように思えてなりません。  その点について、まことに申しわけありませんけれども大蔵大臣初め関係大臣の御所感等をお伺い申し上げたいと思います。そしてついでに、いつごろに御指示をなさるのか、あわせてお願いを申し上げたいと思います。
  234. 竹下登

    竹下国務大臣 私の方から、一般論になるかとも思うのでございますが、今度のいわゆる高率補助の引き下げ、まさに不可分の重要な柱としてこの実現を見たいというのでこの法律お願いした。したがって、従来の慣行にとらわれることなく、同時に提案をした。同時に提案したが、まだ通していない方が悪いんですとは、行政府は断じて言ってはならぬ、これは。これは言ってはいかぬです。これを言うのは間違いだと思います。これは国会は国会の責任で、国権の最高機関にお集まりになった皆さん方の考え方で運営はなされるわけですから、これは行政府たるものは言の端に上してもならぬ。私も国会議員の一人としてそういうふうな戒めを言わなければならぬと思っております。裏腹の問題は別といたしましてです。私はそれが筋だと思います。  じゃ、そうはいっても、いわゆる補助率カットに関係のないものがあるじゃないかというのが今山中さんの御意見でございます。この問題については、私どもも、これは私なりに判断して申し上げてみますと、いわば公共事業であった場合はおおむねの地域配分、それで政府として、行政府として考えていなければならぬのは二つあります。一つは、これが通ることを前提としての考えというのは必ず持っていなければならぬ。これは当然です。しかし、国会というもので通るであろうという仮に見通しが立ったとしても、通らない場合に対する考え方というものも、これはやはり執行部たるものは考えていなければならぬ。そうなると、補助率の変化等によって配分そのものが違ってまいりますね。そうすると私は、にわかにこれをこの分だけはやってしまおうということの判断には所管省の方としてもなかなか立ちにくい問題ではなかろうかな、こういう感じを持っておるわけでございます。
  235. 山中末治

    ○山中(末)委員 各省の大臣の方にはまたお考え方をお聞きしたいと思うのですが、今大蔵大臣おっしゃったように、各地方公共団体に対しても、補助金を申請して待っている人に対しても、フランクにそういう説明をしていただければいいんですよ。ところが、実際はそういう説明をしておらない。だから、こういう大事な問題が、法案としての提出時期が本当にもう半年でも早ければ、もっともっと熱心に審議ができて妥当な結論が出て、そうして予算がつくられていく、私たちはそれを望んでいましたし、また大蔵大臣もそれを望んでおられたと思うのですが、しかし、それができなかった。これは今となってはやむを得ないと思います。しかし、そういう説明をせぬと、とにかくいろいろなことで連絡に行って、公共事業の箇所づけ、どうなっていますか、早くお願いしますと言っていった人に対して、あたかも今の法案を早く議了するようにハッパをかけるような、そういうふうに聞こえるような、受け取れるような言い方をしているというのは、これは明らかに議会の審議権の制限を持っている、制約というものをやはり来してくる、こういうふうなことになりはせぬか。私はそれを実は心配しておったのです。  大蔵大臣はそこまではっきり。おっしゃったので、そういう問題については、やはり国会で審議をしている問題があかんからどうだこうだということはフェアでないということで、これからもひとつ、大蔵大臣が今おっしゃったようなありのままの説明をされるようにこの機会に要望しますが、いかがでございますか。
  236. 竹下登

    竹下国務大臣 これは怒らないで聞いていただきたいのですが、その衝にある役所の諸君も、考えようによれば国民の一人として請願、陳情権はあるかもしらぬな、そういう意味であるいはそういう言動があったとすれば、およそその公務員たるものの節度は守らなければならぬ、これは、私が国会議員ですからいつもそう思っております。  ただ、私が答弁しましたことが非常にざっくばらんだと言っていただいたことは大変うれしいことでございますが、私自身後からここへ座りながら、山中さんにそれほど褒められるほどの答弁だったかなという反省もまたいたしております。
  237. 山中末治

    ○山中(末)委員 いや、まともにおっしゃった。普通なんですよ。普通におっしゃっているのです。ほかのところは、各省が普通じゃないということを申し上げているので、今後も今のこういうことのないように大蔵省として一層御指導を賜りたいと思いますし、各省庁におかれても、やはりせっかく予算を組んで、この予算を通してほしいという気持ちで一生懸命組まれた予算ですから、それが通ればいち早く指示をする、内示をする、これは大事だと思うのです。これは、私も地方行政をちょっとやりましたので、雪が降る場合にちょっとおくれると工事ができなくなるところもありますし、急いでやらなければならぬところがたくさんある。もう雨期を迎えますね。そういうことで、これはお釈迦さんに説法ですからこれ以上申し上げませんけれども、ひとつできるだけ早く内示をしていただくということと、国会の審議の責任じゃないんだということを明快にしていただきたい、このように要望いたしておきます。  それと、請願権の問題は、大臣がおっしゃったようにそれは否定はしませんけれども、受ける側ですからね。ですからそれも、請願権もあるけれども受ける責任も非常に重いというようなことで、各公務員の方は一層頑張っていただきたい、このように思うわけでございます。議会の審議権を制約されずに済んでよかったなと思って喜んでおります。  さて、本論に入るわけでありますが、社会福祉関係費を含む今度の政府の負担金、補助金の率の引き下げ、これは国と地方との機能分担あり方等、各制度、施策等の抜本的な見直しを行うことなしに、単に国の財源対策といいますか、これだけで進まれたような気配が非常に濃いわけです。これは御承知のように、地方自治体等が東京へ集まりまして、それで決起集会をやって、そこでいろいろ決議された内容にも明らかに出ています。  これはもう少し申し上げようと思ったのですが、先ほど同僚の上野議員の質問に対して大蔵大臣が、その点についてはやはり一年間、次の概算要求までの間ぐらいにあるいは次の予算が編成されるまでの間にそういうものを極力考えていきたいんだということをおっしゃっておりましたのでこれ以上申し上げませんけれども、そういうことで突き進まれたような印象が非常に強いわけです。したがって、ことしだけは何とかこの法案を通して予算を執行させよとおっしゃる気持ちはわかるのですが、私は、そういう無理押しして、問題を後に積み残しておいてたとえ一年でも突っ走るというのはよくないんじゃないか、このように思いますので、まず基本的に、ここで総理大臣がおいでになったら総理大臣に申し上げるのですが、大蔵大臣がおられますので、大蔵大臣、総理大臣にかわってひとつその気持ちで申し上げたいのですが、この法案を今撤回される御意思はございませんか。
  238. 竹下登

    竹下国務大臣 種々部内でも議論いたしまして内閣一体のもとに提出したこの法律で、しかも付託委員会たる大蔵委員会のみならず、このようにして連合審査会まで開いて熱心に御審議いただいておるさなか、これを撤回する考えなどは毛頭持っておりません。
  239. 山中末治

    ○山中(末)委員 撤回する意思がないというなら審議を進めていかざるを得ないわけであります。  実は、大臣、やはり問題を随分積み残しているわけですよ。これはもう二十年ぐらい前から国と地方の分担、あるべき姿、こういうものをはっきりして、税財源というものも含めて配分を決めていかなければならぬ、これは年々歳々決議され要望されしてきたのですね。この中で、今二つの項目はさわっておられますけれども、あとまだ二つの大きな項目が置き忘れられています。それについて、先ほどの議員と同じような質問になるかもわかりませんけれども、随分これは至難なわざだと思うのです。時間のかかる、そしてかんかんがくがくの議論が出てまいる内容のものだと思うのです。それを来年、昭和六十一年度の予算編成までにやり切るということで、その決意のほどをお聞かせいただきたい。  それからもう一つは、議会その他の審議機関等の意見も十分聞いて尊重しながらやっていくということですが、やはり地方自治体、地方団体等もありますし、そのほかにもいろいろな組織があると思いますけれども、そういうところにも大きな比重を置いて、そして本当に腹を割った話を聞いていくというふうにされる御用意はございますか。それもあわせてお聞かせいただきいと思います。
  240. 竹下登

    竹下国務大臣 これは先ほど来申し上げておりますが、私ども、十二月、この申し合わせをいたしました。そこで、一年間というのはすなわち六十一年度予算編成まで、こういうことでありますから、これはタイムリミットであるという認識は十分に持っております。それ以上にいささか懸念がございますのは、八月の概算要求というものがある、その際、どのように扱うのかというような問題も重要な問題だなという感じがいたしております。  そして、再三申し上げましたように、いつから、どういう場所でやるかということについては各方面の意見を聞くということにしておりますが、その各方面とは何ぞや、まずは国会ありきじゃないか、ちょうどこの法律審議していただいているのですから、この中で御議論いただいたようなものを整理して、それを参考にさせていただいて議論をすべき問題ではないかというふうに思っております。  その上に、まさに六団体という御表現もありましたが、そのような御意見をどういう形で聞くかということにつきましては、この法律審議するに当たって国会において岩手と三重両県へ出て地方公聴会をお開きになったというような問題も、公聴会方式を政府がとるということはございませんけれども、やはり参考にすべき一つの手法だというふうに理解させていただいております。
  241. 山中末治

    ○山中(末)委員 それでは、あわせてそのときに出ておりました、これも古くて新しい問題ですけれども、厚生省の方も説明しておられましたけれども、超過負担の問題がありますね。大分あります。それらの問題もあわせて審査の対象にしていただきたい。これは要望を申し上げておきます。  ことしの場合は、地方団体等から昨年非常に強い要望が出ておりましたね、あれが、今日までの段階で後からお聞きするいろいろな措置を講ぜられるということで一応やむを得ないなということになったのかもわかりませんけれども、しかし、そのときに主張していました問題点、四項目か五項目ございます。これは私も何回も読みましたけれども、その主張というのは基本的に正しいと思います。そういうものも、今年度で話がついたんだから来年度はまた別だということでなしに、引き続いて要望に対して沿っていただけるように御尽力賜りたい、できるだけ沿っていただきたい、このように要望をいたすわけなんです。  さて、撤回する意思がないということでありますので本論に入らせていただきますが、これは内容は、補助金の廃止、つまり交付税措置する、あるいはまた補助金交付金化する、また補助金臨時特例法の措置を恒久化していくんだ、また先ほど議論になっていました補助率の引き下げについては、交付税地方債等で措置をして、物によってはその元利償還もしていくんだ、こういう措置をされているのですが、その中でひとつお聞かせいただきたいのは、これは政府の方から出ている資料なんですが、この補助金負担金等の「引下げ措置の対象となる地方公共団体に対し、その事務・事業の執行及び財政運営に支障を生ずることのないよう財政金融上の措置を講ずるものとする。」ということが明記されておりますね。これを一つの裏づけとしてこの制度というものは考え出されてきた、私はそう思っているわけですが、果たしてそれはその趣旨どおりにいくのかどうか、ちょっと心配しておるんです。  と申しますのは、余りいい例ではないのですけれども、一例を挙げますと、私の方に最近地方議会の決議として政府へ出された意見書の写しが来たんです。あるいはもう大臣のお手元に行っているかもわかりませんけれども、四月二日に私のところへ来ました。これは写してございますが、「国民健康保険に対する適切な財政措置を求める意見書」ということでして、その中に、「制度改革に伴う国保税の負担増とはならないとの国の言明にもかかわらず、国保の財政は急激に悪化し、深刻な事態にたち至っている。」と書かれているわけです。私もまだそれ以上調査していませんけれども地方議会がそういうことを決議して、法に基づく意見書として出してくるくらいの状況ですから、これはやはり一方のものじゃないんじゃないかと思います。それと先ほど質問した内容と同じことと違いますかと言ったら大蔵大臣に失礼かもわかりませんけれども、そういう心配が実はあるわけです。  それでお尋ねをしたいのですが、まず補助金の廃止、これはこの説明の中で、地方が自主的に行うことにつき要望の強いものの補助金を廃止して一般財源に移す、こういう書き方ですね。「義務教育費のうち教職員の旅費及び教材費補助の一般財源化」あるいはまた「児童相談所等の相談、指導等運営費の補助の一般財源化」、こういうものを本当に地方が自主的に要望したのかどうか、これは率直な疑問を持っているのです。果たしてあったのでしょうか。これがまず第一点です。  それから第二点は、補助金交付金化という問題で、これは七法律。これによって国費の削減効果はないということを明記されておりますけれども、これの説明の中にアンダーラインを引っ張って「ひもつき補助から定額交付へ。」こう書いてあるのです。ひもつき補助というのは一体何なのか、これが第二点目なんです。  それから第三点目は、臨時の措置の恒久化は別としまして、高率補助の引き下げを交付税地方債で賄って先ほど申し上げたような裏づけをするということでございますが、そのときに、交付金の特例措置として一千億を交付税会計にお入れになっています。一般会計から一千億交付税会計へ出して、そして一般会計の中で措置をしなければならない補助金の切り下げ等が行われている。その一千億を交付税会計に出すんなら、一般会計の中でその一千億を使って、例えば非常に大きな問題になっておりますところの生活保護とか教材費、それから教職員旅費ですか、そういうものをなぜ措置されなかったのか、私不思議でたまりません。無理にややっこしいことをしているのではないかというような感じがします。  それからもう一つは、生活保護費の査定の後だったと思うのですが、大臣がおっしゃっているのを聞いたような気がします。いわゆる生活保護費の国の負担分、これは十分の八でございますね。これを一割カットすると十分の七になる。そうですね。それが十分の七になったときのお話だと思いますが、計数が七・二、非常にわかりにくいような、ややっこしいような、そういう意味の話をされていまして、本当は七・二なんだけれども、七に計数整理をしたんだというふうにおっしゃったことを聞いたような感じがするのです。今でもそういうふうにお思いでございますか。ほかにも何かおっしゃったんじゃないかと私は思うのですが、それだけが印象に残ったのです。三分の二というのは今たくさんありますね。これは十分の六・六七でしょう。四分の三は十分の七・五でしょう。そういうのがある。何で生活保護費だけ七・二だったらややっこしいのか、ちょっと疑問を感じました。ちょっとこの辺で質問をやめて答弁をいただきたいと思います。
  242. 竹下登

    竹下国務大臣 具体的な問題につきましては事務当局からあるいは所管省からお答えした方がより正確であろうかと思いますが、いわゆる十分の八と十分の七、おっしゃるとおりでございます。本当の一割カットじゃないわけでございます。が、社会保障全般が、地方財政法十条に基づくものからいえばオール十分の八であったものが十分の七、これはわかりやすくいたしました。それで、それぞれ下げていく段階において、三分の二は、おっしゃるとおり六六・六六六六無限大、こういうことになるわけですから、それをわかりやすくするために、それをカットしていわゆる十分の六にした。そういうふうに、一つ一つ見れば工夫をしてわかりやすくしておりますから、パーセントでいえばたしか七%くらいなものから十数%くらいまでになると思います。アバウト一割カット、こういうことになろうかと思っております。  その前の三つの問題につきましては、これはいささか正確を要しますので、私のアバウトな答弁ではいけませんので、事務当局からお答えするのが適切であるかと思います。
  243. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今委員から御質問ございましたのは四つありますが、四番目は大臣から今お答えがございましたので、私の方から一番、二番、三番について御答弁したいと思います。  まず第一の、いわゆる補助金の廃止あるいはそれに伴う一般財源化というものにつきまして、地方団体その他から要望があったか、どういう根拠でやったのかという御質問でございますが、今回やりましたものは、地方団体等との間でいろいろ議論しておりまして、同化定着したもの等あるいはもう目的を達したもの等は廃止が望ましいのではないかあるいは一般財源化が望ましいのではないかという御議論は、従来からもございました。そういう中で、我々としても今回自治省とも相談して、各省とも相談して、適当と思われるものをここに入れたわけでございます。  それから二番目の、交付金化につきまして、ひもつき補助から定額へというのは、これも委員御存じのように、補助ということになりますと、補助金交付の基準が非常に細かくなります。各省がその基準に従って各般の施策を地方団体どれという指示をするのが通例でございます。しかし、交付金化をいたしますと定額で地方団体に与えますので、地方団体がその中で自主的な判断に基づいてやれるというような意味で、俗な言い方で恐らくひもつきという言葉を使っているのではないかというふうに考えるわけでございます。  それから三番目の、交付税の特例措置で千億円ということでございますが、御存じのように、五十九年度の予算編成の際に地方に対する財政措置の仕組みを大幅に変えまして、地方財政計画上、歳入歳出を算定いたしまして、その結果出てくるいわゆる不足財源、これを交付税措置あるいは地方措置等によってやっていく方法に変えたわけでございます。今回におきましても、五千八百億円不足が出ましたので、その一部である千億については特例加算ということで交付税に加算している、そういう仕組みを五十九年度からつくりましたので、それによって措置した、こういうことでございます。
  244. 山中末治

    ○山中(末)委員 やはり担当の方に聞くより、大臣に聞く方がいいですね。わかりやすいと思います。  それで、大臣から御答弁になりました今の計数、これは今度改正で引き下げられた結果が、三分の二になっているものも四分の三になっているものも、たくさんあるのですよ。だから私は、それだけしか聞いてなかったのですが、ほかにも多分理由をおっしゃっていると思うのですよ。しかし、おもしろいものだからその辺だけ耳に残っていまして、事これ国庫負担金でしょう。政府は、国庫負担金の負担率を整理をしていくというお考えですね。その中で、ちょっとややこしいからとか計数がどうだとかいうことだけが国民の耳に入っているんじゃないか、私の耳にもそれだけ残っていますので、ちょっとこれはやはり軽率だったのと違うかいうふうに思います。そういうお考えでなしに、これはやはり一般奨励補助とかそういうものでなしに、国がみずから負担をするという国庫負担法の中での負担率の問題でございますので、これから御協議を賜りますときにもそういうお考えでひとつやっていただきたいと思うのです。  先ほどおっしゃったことはよくわかっておるのですが、わざわざ一千億一般会計から交付税へ入れて、それで一般会計の中で先ほども申し上げたように十分の七・二でもいけるものを、十分の七に削って、そしてその足らぬ一般会計から交付税会計へ入れている。国民感情としましては、これの方がややこしいんじゃないかと私は思うのですよ。この一千億を一般会計へ戻して、そして国庫負担金の率を上げるとしたらどうなるか、もとの七・二にあわせて一千億ペイしますと、大体七・五ぐらいになるんじゃないか、こういう感じがします。それの方が大臣としてはよかったんじゃないかという感じがするわけです。しかし、法案を撤回する考えはないということですし、将来に向かってそのあたりはやはり整理をしていってほしいなというふうに思います。  それからもう一つは、いろいろ議論をしている中で、それはもう交付税で見なさいというのが最近大分ふえてきたのですよ。交付税というのはパイが一定でございまして、国税三税の三二%の中で地方公共団体がいわゆる自主財源、一般財源を付与されているわけですね。このルールの中へいろいろな要素が割り込んでくるということになると、これはもう国税三税の三二%をふやすか、また今のお話のように、一般会計から何億か出してきてそのパイを大きくするかでなければ、これはもう全国の地方自治体は限られたパイの取り合いになってしまうんじゃないか、これを実は非常に心配するわけです。  今でも、交付税いろいろな経過がありますけれども、国が負担をしていくという約束をされたものが、二分の一は地方が持てやという話も出てきて、六十年度では国税三税の三二%が三一・五%ぐらいになってしまっている。そこへまたいろいろな要素が入ってくるとなりますと、果たしてこの補助金の今の法律の中で、一千億だけ見て交付税の中で見切れるのかなというふうに思うのです。  ここでお尋ねしたいのですが、これだけは切らぬでおいてほしいのですけれども、やはり交付税法にちゃんと決まっているのですから、だから国税三税を、交付税の内容が非常に変わってきたら、単位費用の改正とか補正の係数を変えるとかというようなことではなしに、交付税の三二%のパイをふやしていくということをしていただきたいと思うのですが、大蔵大臣のお考えはどうですか。もしもそれがされなければ、やはり余り交付税交付税といって、地方公共団体の自主的な財源の一番大きなものを侵すことのないようにしていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  245. 竹下登

    竹下国務大臣 これはあるいは自治省からお答えした方が適切だと思いますが、大蔵省が対自治省との予算折衝の際には、マクロのベースではいわゆる地方財政計画ということでまず議論を申し上げるわけであります。そういたしますと、ことしの場合は、言ってみればこの措置さえなかったらとんとんになるというような一応の計算が出るわけです。だが、この措置が行われたことによってこれだけの不足分が起こるということで、それを補てんする財政措置をとったということでございます。  それから交付税の中――交付税の中というのは、いわゆる基準財政需要額の算定基礎の中と、こういう意味ではないか。あるいは正確を欠くかもしれませんので、私のお答えはこの程度にしておきます。
  246. 山中末治

    ○山中(末)委員 交付税の枠が決まっていますので、往々にして今まででも交付税の単位費用とか補正係数とかそういうものがさわられてきた経過はあるのです。そんなものだけでさわってもらいたくないというのが、質問の趣旨なんです。御了解願いたいと思います。  時間が迫ってまいりましたので、あと二つ、三つありましたけれども、これは自治省の方、自治大臣の方からお聞かせ願いたいのですが、最近道路整備緊急措置法の一部を改正する法律案というのが、三年間の時限立法で、揮発油税の十五分の一を財源として道路整備の緊急の課題と取り組むということでこの法律が確定しましたね。これも本当に緊急に出てきた問題ですから、この法案ができるちょっと前ぐらいに各地方公共団体は、あっ変わった法律ができるな、こういうことが出てきたわけです。それで、話を聞きますと、東京の方へも、本省の方へもいろいろな団体から、あれについて起債つきませんかという要望があるようですね。  それで、これは交付金ですから交付されるわけですが、やはりそれはつかみの金で、どこの公共団体も何百万という形じゃなしに、やはり事業計画を出して、その中で交付をしていくということになろうかと思うのです。そうしますと、今まで例えば道路とか河川とかそういうものを継続事業として各市町村がやっている。ところが、こういう法律ができたので、一本の道路の路線だけに対する新設とかいわゆる改良とかの国の補助じゃなしに、今度は面で改良が出てくるということになったのですね。だから、道路の隅切り、やりたくてもできなかった。そういうものがたくさんあるのです。こういうものを、路線じゃなしに、面で計画を出してこいということで、今まで継続してやっている事業とあわせて、こういう新しい法律ができたのでこれに乗っていきたい、こういう要望が出てきた。これについて何とか起債の面倒を見られないか。一般単独債でもいいのですけれども、見られないか。ぜひとも見ていただきたいと思いますが、いかがなものでしょう。     〔堀之内委員長代理退席、越智委員長着     席〕
  247. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 御質問地方道路整備臨時交付金の対象事業の実施につきましては、これは補助事業の場合のような意味での地方負担、いわゆる裏負担というものが当然に生ずるというふうには私ども考えておりません。そういうことで、これは地方財政計画でも単独事業に計上されておるわけでございますので、これにつきまして特に裏負担が生ずるということはございませんので、これに対して起債を充てるということはございません。
  248. 山中末治

    ○山中(末)委員 何か静かに聞いていましたら、あっさりと薄情な言い方であるように思うのですが、――薄情なんて言ってごめんください、悪い意味で言っているんじゃないですよ。話を聞きますと、やはり自治省へも建設省へもこの法律に対する要望というのは大分出ているようです。そして、起債をつけていただけませんかという要望が随分あるようです。  今花岡さんがおっしゃったように、私もその辺の筋はわかっておりますけれども、これは何とか救ってやる方法はないか、こういうことで今質問をしているわけです。質問した以上、何とかこれは考えてみましょうぐらいのことで、何カ所が適用になるのか、事業量がどうなるのか、これは私は一切わかりません。わかりませんけれども、今おっしゃったように、それは一般財源の中での話だから、それは交付金もらわれたらもらって、あとは団体の自主的な財源でおやりになったらよろしい、これだけでは、三年の時限法ですから、せっかくこういう法律がつくられた価値が半減してしまうんじゃないか。そうするとまた国会の中で、第九次道路五カ年計画の第三年目を迎えるのに地方道はまだまだ置き忘れられてその進捗率が低いじゃないかと、要らぬことを言われなければならぬ。だから、その辺で大臣、どうでございますか、政治家としてひとつ。
  249. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 この交付金に対して裏措置をするというふうなことになりますと、現在御審議いただいております補助率の引き下げ、これによりまして、道路の事業につきましても補助率が引き下げられておるわけでございますが、さらに新しい交付金で十分の四というふうな交付率のものを設けられますと、現行の公共事業よりもさらに補助率の悪い制度が出てくる。こういうことになりますと、私ども地方団体の立場から物を見ます場合には、やはり国と地方との財政秩序という面から見ましてこれは大きな問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。なお、これは建設省との間でもそのようなことで話し合いがついておるものでございます。
  250. 山中末治

    ○山中(末)委員 私はそんなことを答弁を求めてないのです。大臣からお願いしますと言うたのに、あなたが出てこられてちょっと心外で、今の時間はちょっとまけてもらわなければいかぬですな。  それで、大臣、建設省の方からもいろいろ話は聞いたんです。ですから、この法律ができるまでの道順ですか、そういうものも多少は知っているつもりなんです。その上に立って要望していますので、大臣、何とか一言お願いしたいのと――じゃお願いします。
  251. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今の問題につきましては、実は厳しい地方財政事情下におきまして、道路につきましては道路財源のあるもの、道路財源のある法律と、それから交付税で処理をいたしますというのがずっと自治省の考え方でございまして、これに新たにこういうもので十分の四、あとの残りを見ろと言われましても、これは起債しかないわけでありますから、起債が今は大変厳しく制限されておりますので、先生に今すぐ私がやりますとかそういうことはちょっと言いにくいと思うのですがね。やはり地方財政の立場からいいますと、こういうものは大変難しいのじゃないか。今財政局長が理論的に答弁したとおりでございます。
  252. 山中末治

    ○山中(末)委員 一層努力してみてください。
  253. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 これは将来大きい問題になるのじゃないかと思っておりますが、だから、私も地方のそういう道路事情というのはよくわかっておりますから何とか進めたいと思っておりますが、この厳しい財政事情下で今はい、そうしますと言うわけにはちょっといかぬと思いますから……。
  254. 山中末治

    ○山中(末)委員 実は時間が来てしまいまして、ほかの大臣の方々にも御質問をしてお答え願おうと思っておりましたが、一番初めに申し上げた内示の問題ですね、それでお一方ずつお願い申し上げたいということを申し上げたのですが、大蔵大臣から一括して答弁いただきましたので、時間も来ましたので、申しわけございませんが以上で終わります。
  255. 越智伊平

    越智委員長 この際、去る八日の村山富市君の質疑に関し、竹下大蔵大臣より発言を求められております。これを許します。竹下大蔵大臣
  256. 竹下登

    竹下国務大臣 去る四月八日、村山富市委員からお尋ねのあった行革関連特例法による年金国庫負担金の減額分の返済についてお答え申し上げます。  一、行革関連特例法による年金国庫負担金の減額分の返済については、同法において「年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、年金国庫負担金の減額分の繰入れその他の適切な措置を講ずるものとする。」と規定し、法律上その旨を明らかにしているところであります。  二、これを踏まえ、政府は「行革関連特例法による年金国庫負担金の減額分については、積立金運用収入の減額分を含め、将来にわたる年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例適用期間経過後において、国の財政状況を勘案しつつ、できる限り速やかに繰入れに着手する。」との見解を示してきたところであります。  三、政府としては、今回行革関連特例法を延長するに際し、この方針を何ら変更するものでありません。しかし、返済の期間、方式等返済の具体的内容については、今後の国の財政状況を勘案する必要があり、現時点で明らかにできないところでありますが、政府としては、国の財政改革をさらに一層強力に推進するなど誠意をもって対処し、特例適用期間経過後において積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担金の減額分のできる限り速やかな繰り入れに着手する所存であります。
  257. 越智伊平

    越智委員長 吉原米治君。
  258. 吉原米治

    ○吉原委員 質問に入ります前に、一言御礼申し上げたいと思いますが、本朝まで続いておりました私鉄の賃上げ紛争、御案内のようにけさ方円満に解決ができました。運輸大臣初め大蔵大臣、各閣僚の皆さんに大変御心労を煩わしまして、ありがとうございました。本来賃金の決定というのは労使双方で自発的に自主的に決めるものでございますから、許認可事業であるがゆえに、政治の介入といいますか、そういうものを私ども事前に心配をしまして特に運輸大臣等々にはお願いをした経緯もあるやに承っておりますけれども、せっかく円満に解決がつきましたので、この席をかりまして御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。  さて、私ども運輸委員会にかかわります五つの法律がございます。改正法案です。まさに陸海空三部門にわたって補助金が削減される、そういう内容のものでございますから、私どもも極めて積極的にこの連合審査を申し込んだ委員会でございます。きょうは、陸海空三部門にわたっておりますので、私は陸の方の地方鉄道軌道整備法、この法律一本に絞って、大蔵大臣並びに運輸大臣の方からひとつ現況を若干お尋ねをしたい、こう思っております。     〔越智委員長退席、熊川委員長代理着席〕  まず最初に、大蔵大臣お尋ねをするわけでございますが、昭和二十九年に制定をされております補助金等臨時特例等に関する法律、これは一体どういう世情といいますか、国の経済情勢あるいは財政状況等々の背景でつくられたものなのか。必要があってつくられたには違いないのでしょうが、一体どういう背景と理由でもってこの法律がつくられたのか、これをまず大蔵大臣からお答え願いたいと思います。
  259. 竹下登

    竹下国務大臣 昭和二十九年における経済財政的状況を概観いたしますと、一九四五年が昭和二十年でございますが、一九四五年からの五年間とでも申しましょうか、いわゆる四〇年代後半というものは、まさにお互い国民生活は食うに精いっぱいであったと思われます。その中で驚異的なインフレがございまして、そしてさらにそこのところへ来たのが、昭和二十五年の暮れ、一九五〇年の暮れからのいわゆる朝鮮動乱でございます。そうして財政は、まさにそのときから膨張の一途をたどって、そういう朝鮮動乱による特需と内需の好調を背景に経済はインフレ傾向となって、国際収支は今のアメリカみたいというとちょっと対象が余りにも大きさが違いますけれども、いわゆる国際収支は大変に悪化したという状態でありました。  そこで、このため、早急に国際収支の均衡を回復して経済の正常化を図ることが当時の我が国経済が直面した緊急の課題であるという認識に立って、たとえ消費水準や生産の上昇を阻害したとしても断固たる決意を持って財政支出を強力に圧縮しなければならぬという、いわばまさに厳しい緊縮方針というものが打ち立てられたわけであります。  この方針に従って、二十九年度予算の編成に当たっては、総額を今からすれば金額は小さい話ですが一兆円予算、一兆円を切る、こういう緊縮予算が編成されました。当時の主計局長がたしか森永さんでございますか。したがって、その緊縮予算が編成されたときに歳出削減策の重要な一環として補助金等整理が取り上げられた。そこで、昭和二十八年の十二月二十九日に昭和二十九年度予算編成大綱が決定されますとともに、補助金等整理要綱が閣議決定されて、それにうたわれた基本方針に基づいて法改正を要する二十三本、法律を一括して取りまとめて補助金等臨時特例等に関する法律案としてこれが国会に提出された。  なお、参考までに、当時地方財政平衡交付金制度から地方交付税制度への移行について地方制度調査会において検討されておって、昭和二十八年十月の答申の中で補助金等整理合理化の、いわゆる地財からもその提言がなされておったという、日本経済を振り返りますときに、四〇年代後半と五〇年代の上半期の大変な状態のときの、言ってみれば緊縮予算を組まざればこれ以上インフレが高進してかなわない、あるいは経常収支が悪化してかなわないという状態のときにとられた措置である、そういう状態であったと間がされております。
  260. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで大臣、この特例法という、あくまでも特例法、文字どおり特例でございますが、これが、いろいろ経過を私も承知をしておりますが、二十九年に制定をされてから今日まで、三十一年目を迎えておるわけでございますが、二十九年以来だから、長い年月を経て特例法の趣旨が定着をしたからこの際廃止をする。廃止をするだけなら私はどうこう思わなかったわけでございますが、廃止をしながら、その中のそれぞれの措置について個別法に移して逆に恒久化する、こういう考え方に立たれておるようでございます。  さて、今回出されました四十六条で言う地方鉄道軌道整備法、この法律は実は二十八年に制定をされておるわけでございます。つまり、この法律ができて翌年にこの特例法が出されて、この規定の読みかえの特例法ができ上がったわけでございますが、なぜこの特例法によって「限度」という文字を挿入したのか、「相当する金額を限度として」の「を限度として」という文字が入ったのか。これは常識的に考えますと、相当する金額ずばりでなくて、それは限界でございますよ、それ以下がありますよという趣旨だと私は理解をするのですが、大蔵大臣もそのようにお考えでございましょうか。
  261. 平澤貞昭

    平澤政府委員 この地方鉄道軌道整備法の第八条第一項から第三項までの規定でございますけれども、もう三十年も前なので立法の趣旨が若干不明瞭ではございますが、固定資産の価額の六分相当額または欠損金相当額、それと同一でなければならないという趣旨になっておったわけでございます。したがいまして、二十九年当時、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、非常に苦しい財政事情のもとでそのものずばりでいくのはきついと恐らく考えたと思います。したがいまして、先ほど委員が御指摘のような趣旨から、これを「限度として」というふうに読みかえて今日まで三十年間来たということだと考えます。
  262. 吉原米治

    ○吉原委員 その趣旨は私の解釈で間違いないということだろうと思います。「限度として」というのは、あくまでもそれは天井ですよ、それ以下もあり得ますよ。頭には「予算の範囲内」という文字は入っておりますけれどもね。  この私の理解に間違いないとするなら、実はこの特例法が、当分の間とかいろいろ経過はあって今日まで来ておるのですが、結果として三十年も続いてきておるわけです。三十年もたって、しかもその中身については定着をしてきた、これは法の提案理由の中にそういう文言が入っておるわけでございますが、少なくとも特例法という限り二、三年、あるいは長くて五年ぐらいのものを容易に連想できるわけでございますが、三十年も続く特例法というのが一体あるのだろうか。そういう例がありますか。
  263. 平澤貞昭

    平澤政府委員 この補助金臨時法は、成立いたしました当時は毎年一年ごとの限時法でございました。しかし、三十六年に改正いたしまして、その後当分の間というふうに改正した経緯がございます。  したがいまして、そういうことからいいますと、二十四、五年たっているわけでございますが、ほかの立法例といたしましても、当分の間ということでこういうふうに長いものは幾つかあると私も記憶いたしております。具体的な例は今調べさしております。
  264. 吉原米治

    ○吉原委員 後で聞かしてください。  そこで、大臣、三十年この方特例法で実施されてきた、それが定着をしたからもう必要なくなった、だから廃止をするんだ。廃止しっ放しなら私は問題はないと思うのですよ。ところが、廃止すると言いながら、その中の一番気になる文言をそのまま本法へ繰り入れてしまう。これは本法自体の改正になるわけですね。だから、特例法を廃止する、現行法の本法の方をこういうふうに一部改正しますという法案の提出の仕方なら、中身は賛成できないとしても提案の仕方としてはそれなりにオーソドックスなやり方だ、こう私は理解をするのですが、大蔵大臣は長らくやっていらっしゃいますから専門家ですが、その点いかがなものですか。
  265. 竹下登

    竹下国務大臣 いや、この問題、別に専門家でも何でもございませんが、本法律案を一括しましたのは、要するに今回とられた各措置がいずれも六十年度予算編成に当たっての国の財政収支の改善を図る見地からとられるところの国の歳出の縮減に関するものであるということ、いわ障る大蔵省の設置法で持つ財政という問題と予算調整権という中で一括し得るという判断の上に立って一括して提案をした、こういうことに相なろうかと思います。
  266. 吉原米治

    ○吉原委員 大臣、私はこのことに余りこだわりたくはないのですけれども、特例法を必要がなくなったから廃止をするということと、もとの法律を改正するということと、同時に提案されておる、その提案のやり方が正常なやり方でしょうか、こうお尋ねしておったわけです。一括して出して、結果的にそうなっておるのだ。これは地方鉄道軌道整備法だけじゃないと思いますよ。ほかの関連する法案いずれもそういう趣旨になっておると思うのだが……。  そこで、地方鉄道軌道整備法の補助というのは、欠損金に相当する金額を三十年来十分の十を実は補てんをしてもらっておるのですね。そうしますと、三十年やってきて定着をしたから本法に「限度」というものを移すということは、従来特例法でやってきた措置をそのまま今後も引き継ぐんだ、そういう理解になりますな。  もう一回言いますと、特例法で三十年間やってきたことが定着した、もう特例法要らなくなった、だから、従来三十年やってきた実績というものがあるから、本法にその文字が入ろうと入るまいと、三十年間やってきたこの既定の事実というのは消すことができないのだから、今後も従来のやり方と同じ補助の仕方を続けていくのだという理解に立つのですが、その点は、大蔵大臣、私の考え方は間違いですか。
  267. 平澤貞昭

    平澤政府委員 仮にこの規定を廃止いたしますと補助の制度がなくなってしまうわけでございますので、したがいまして、その部分を本法に入れて恒久化の措置をとったということでございますから、今委員がおっしゃいましたように、今後、その本法の中に入れたもので従来と同様にやっていく、こういうことになるわけでございます。
  268. 吉原米治

    ○吉原委員 いや、特例法の中にあるものを本法に入れて恒久化する、その特例法の中には「限度として」という文字がある、その文句をもとの法律の中に入れる。だから最初に聞いた、「限度として」という文字が入るというのはそれ以下もあり得るのだということを指しているのか、こう言ったら、まあ肯定されたような気がしたのですが、間違いでしたか。だとするなら、この「限度として補助する」のだという文言を入れてもなおかつこれから先も三十年のとおりにやっていきます、そういうように今あなたおっしゃったような気がするのだが、間違いないですか。
  269. 平澤貞昭

    平澤政府委員 「限度として」というのを本文に入れて恒久化しましたので、従来やっていたことをそのまま法律的にも続けていく、従来当分の間と言っていたのが恒久化されたということでございます。
  270. 吉原米治

    ○吉原委員 だから私はさっきからしつこく聞くのですが、今国が二分の一、地方公共団体が二分の一、フィフティー・フィフティーですね。だから、受ける方の地方鉄道業者は三十年間十分の十もらっておるのだ。従来と同じようなやり方をするというなら、この「限度」という文字が入るのがおかしいわけだ、逆に言うと。あなたは「限度」というのを入れて今までどおりやっていきますと言うから、この法律はそういう意味で矛盾が出てくるのじゃないか、こういうことをさっきから繰り返し質問しておるのです。私の質問の趣旨はわかりましたか。
  271. 平澤貞昭

    平澤政府委員 従来特例法によって、「限度として」ということで予算を査定し計上してやってきておるわけでございます。したがって、特例法で「限度として」というそのままの仕組みを本法の方へ入れたわけでございますから、従来やっているやり方を続けていくということでございます。
  272. 吉原米治

    ○吉原委員 私が頭が悪いのかどうか知りませんけれども、「限度として」という一これは余りしつこく聞きたくない点なんだ。「限度として」という文字を入れる趣旨は何か、僕はこう最初に聞いておるわけだね。だから、限度以下もあるという意味理解をするのかと言ったら、いや、それは三十年間そういう文字で十分の十補助してきたのだから、これは文字を入れても従来と同じようにやります、こう言われるから、それならその「限度」なんというものは必要ないじゃないか、ずばり本法そのままでいけばいいのじゃないかというのが私の質問の趣旨なんです。
  273. 服部経治

    ○服部政府委員 屋上屋の答弁になるかもわかりませんが、私の方からちょっと御説明させていただきます。  先生がおっしゃっているとおりでございまして、地方鉄道軌道整備法そのものの表現では六分に相当する額そのものというふうに読まれるおそれがあるという議論がございまして、特例法によりまして「限度として」という言葉を入れたいきさつがあるというふうに私ども理解しております。  それから、二点目でございますが、今回臨特法を廃止することに伴いまして、その「限度として」という表現をそのまま平行移動いたしまして、本法であります地方鉄道軌道整備法の中に移しかえることによりまして、確かに先生おっしゃるように、従来は臨時の措置というふうに位置づけられておったものが恒久化されるということはそのとおりでございますけれども、確かにそれは形式的にはそうなるわけでございますが、先ほど来、平澤次長が御答弁申し上げておりますように、そういう制度の仕組み、運用というものが、臨時法が施行されて以来三十年以上経過いたしまして実体的に定着してきたというような事情を踏まえまして、形式的にいえば今回のような恒久化の措置がとられることになったという先生の御理解、そのとおりでございます。
  274. 吉原米治

    ○吉原委員 局長、一応わかったような答弁だったのですが、恒久化するということは、「限度として」という文字が入ってそのまま恒久化されるわけでしょう。そうすると、今日現在では、いや地方鉄道なんというものは大変な企業体だから――まあ国鉄も特定地交線など廃止しなければならぬ。そういう過疎地域を走っておる多くの路線ですよ。大変だろうからこれは十分の十、国と地方で半分ずつ出し合って何とか維持していこう、その気持ちはおありになるから今抵抗なくそんなことをおっしゃるけれども、我々から見ると、ああ、これはもう来年、再来年、またこれ地方鉄道の補助金も削減する気なのか、こう疑わざるを得ぬでしょう。なぜ「限度」という文字を入れるのか。従来どおりやるとおっしゃるなら、本法のままの方がすっきりしていいんだから、入れる必要はないじゃないか。やめっ放し、廃止しっ放しの方が私どもは納得がいくというのです。将来、補助金を削減される意思があるのですか。
  275. 服部経治

    ○服部政府委員 お答えいたします。  先ほどは臨時法が制定されるに至りました根っこにございます形式論理の問題を取り上げて御説明したつもりでございますが、私どもに言わせていただけば、もともとそういうものがあろうがなかろうが、「予算の範囲内で」という大きな縛りがかかっておりますので、本当の理屈の話ではないかなという感じがしております。  その臨時法に「限度として」という読みかえ規定を入れたのも、今度移しかえるのも、まさに形式論理の話でございまして、私どもといたしましては、従来同様に、実際に欠損補助対象会社に該当するとして認定いたしました会社につきましては十分な欠損補てんの措置がとっていけますように、これまで同様に努力をしてまいりたい覚悟でございますし、今回のそういった改正によりまして制度の実体あるいは運用の実体に何らの変更を生じるものでもないというふうに理解しております。
  276. 吉原米治

    ○吉原委員 局長の再三にわたる答弁で一応私も了承しますので、大蔵大臣地方の民鉄の現状を今から若干の質疑をやりとりをして、少なくとも今の地方民鉄の現状というのはそう生易しいものじゃないんだ、こういう認識を持ってもらう、こういう立場から若干の質疑をこれから運輸省とやりますので、少なくとも「限度として」という文字を入れることによって将来地方民鉄に対しての補助金も削られる、また堂々と削ってよろしいというふうなことになってはなりませんので、若干大蔵大臣にもお聞き取りをいただきたいということで、あえて運輸省に質問を申し上げる次第でございます。  御案内のように、大都市への人口の流出あるいはモータリゼーション、こういうものの進行によって地方民鉄は深刻な経営収支悪化というハンディを負いながら、公共的使命を果たすべく事業の運営に全力を挙げているわけでございます。また、巨額の累積赤字に加えて、輸送量の減少あるいは人件費の上昇、金利負担の増大、そういう傾向も依然として続いておりまして、まさに地方民鉄の経営の現状というのは瀕死の重症だ、こういう現状でございます。それなりに労使が協力すべき点はきちっと協力しながら現状を切り抜けておるわけでございますが、そういう状況の中にあって、今地方民鉄に交付されております欠損補助は、全国、一体欠損会社が幾らあって、そしてそのうちの何社がその補助対象になっておるのか等等について、まず欠損補助の点、運輸省からお答えを願いたいと思います。
  277. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  五十八年度の数字でございますが、旅客輸送を主体とする中小民鉄が現在六十社ございます。そのうち赤字経営を余儀なくされております事業者が五十社ございます。ちょうど六分の五でございます。  以上でございます。
  278. 吉原米治

    ○吉原委員 いや、六十社の中の十社という話がございますが、赤字会社はとても十社や二十社じゃないはずなんで、だから――今、お答えになりましたか。(服部政府委員「はい」と呼ぶ)それは私がうかつでした。お答えになっておれば結構ですが、なぜその赤字会社全部に対して、その中の十社をより抜いてやっているのか。一応の指定基準か何かがあるわけでしょう。赤字会社は五十なら五十ある、そのうちでこうこうこういう条件に合致したところに、十社だけを選んで出しております、こういう説明でないと納得いかぬですよ。私は知っていますよ。知っていますが、広く皆さんに聞いていただくために、あえてお尋ねするのですよ。
  279. 服部経治

    ○服部政府委員 大変言葉足らずで失礼申し上げました。  先ほど申し上げましたように、五十八年度現在の数字で申し上げて、中小民鉄の数が六十社、そのうち赤字経営のものが五十社、ちょうど六分の五、八〇%強ございます。  ただ、この欠損補助につきましては、先生御承知のとおりでございまして、地方鉄道軌道整備法にもその趣旨が明確にうたわれてございますように、ただ単に欠損を生じているというだけで補助の対象になるわけではございませんで、その鉄軌道の輸送人員が一定数以上の路線であるとか、あるいはそういった一定数以下の路線でございましても、並行した道路が未整備であるといったような事情によりまして、たとえその中小私鉄の経営収支が非常に悪い状態でございましても鉄道からバス輸送に転換するという方策をとり得ない、そういう事例が幾つかございます。そういう鉄道につきましては、いかに経営が悪化しておりましても、そのバス転換ができないわけでございますから、その鉄道の運営をやめますと地域の住民にとりまして大変大きな影響を与えることになりますので、これについては補助をしてでもその運営の維持継続を図ることが必要だ、そういう認識のもとにこの鉄軌道整備法によります欠損補助制度が組み立てられておるというふうに理解するわけでございます。  そういうような観点に立ちまして、私ども欠損補助対象会社の選定に当たりましては、補助金交付基準に照らしまして厳正に対処しておるところでございます。したがって、その結果選定いたしました会社数が、赤字五十社のうちの五分の一の十社という現状になっております。
  280. 吉原米治

    ○吉原委員 わかりました。  そこで、これは少し拡大をした物の考え方かなと私も質問しながら思っておるのですが、今度国鉄は特定地方線第一次、第二次それぞれ、今度第三次まで提案されておるわけでございますが、既に廃止をされて、バスに転換するならバスに転換する、あるいは第三セクターなどで軌道を守っておる会社がございますね。これは御案内のように再建特別措置法によって五カ年間、キロ当たり転換交付金も出るし、一定の補助体制で五年間はいいのですが、五年後、今局長おっしゃったように同じ条件下なら、国鉄じゃないんだから、民鉄なんだから、やはり欠損補助の対象になるのかならないのか、このことをちょっと聞きたい。
  281. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生お尋ねの点につきましては、私どももう少しよく勉強いたしまして、そういう時点になりまして改めて考える必要もあろうかとは基本的には思っておりますけれども、なお補足して申し上げれば、こういうことではないかと思うのです。  国鉄の地方交通線というのは、これは釈迦に説法でございますけれども、輸送量が一日四千人以下というようなものをとらえて地方交通線として扱っておるわけでございますが、もう一つ、それに加えましてバス転換が可能なもの、輸送人員が一日四千人以下であって、かつその中でもバス転換が可能なものを地方交通線ということで取り上げて対応してきている。その中で、当初のもくろみどおりにバス転換が図られておるものもございますけれども。地域社会の合意に基づいて、それがやはり鉄道という形で第三セクターによって維持されるというケースがあるわけでございます。  そういたしますと、前に申し上げましたように、この地方鉄道軌道整備法に基づきます欠損補助というのは、バス転換ができないものを対象にしておるわけでございますから、ちょっと趣旨が違ってくる、こういうふうに思っております。
  282. 吉原米治

    ○吉原委員 四十分という限られた時間でございますから、十分な質問もできませんけれども、続いて、近代化補助と踏切補助があるのですね、地方民鉄に対しては。これは、時間の関係で二つ一括して答えていただきたい。  地方民鉄におけるATS、これの設置状況。それから、営業キロに対してどの程度設置キロがあるのか。ATSでも非常に旧式なATSと、そうでないものとがあるはずでございますから、一番旧式のATSが何キロ、比較的新しいものが何キロ、こういう分類ができたら、その分類別にお答え願いたい。  もう一つ、踏切補助の種類別と、警報機もない、遮断機もないという、何もない踏切がまだたくさんあるはずでございますが、それは全国的に見てどの程度のウエートか。何もないところですよ。警報機も信号機も何もない、遮断機もない、もちろん踏切警手もおらない、そういうところが全体の何%程度まだ残されておるのか。これを二つお答え願いたい。
  283. 服部経治

    ○服部政府委員 中小民鉄におきますATSの設置状況ということでございますが、三月三十一日現在で、これは先ほど申しました中小私鉄六十枠と数が違いますのは、準大手を七仕入れております。六十七社のうち二十二社でございまして、延長キロで計算いたしますと、全体の約三二%のものがATSを備えておるということでございます。  それから踏切でございますが、踏切は、現在全国に一万五千二百九十四カ所ございます。そのうち二七%に当たる四千百四十カ所が保安設備のない第四種の踏切になっております。
  284. 吉原米治

    ○吉原委員 だんだん時間が迫ってきましたが、大蔵大臣、運輸大臣は専門ですからしょっちゅう聞いていらっしゃるわけだが、大蔵大臣にぜひ認識をしていただきたいと思ってあえて今の質問をやっているわけでございまして、今地域交通局長の方からお答えがございましたように、実は欠損補助も五十社の中の十社しか対象になっていない。近代化補助、つまりまだATS等の設置状況も三二%だ、七〇%はそういう意味ではまだATSが設置されてない。踏切に至っては約二七%、これまた三〇%近い安全施設が何もない踏切がまだ放置してある。  そういう地方民鉄の現状からして、今最初大蔵省平澤主計局次長さんがお答えになったように、「限度として」という文字を入れる意味は別に他意はない、言い方を変えますと、三十年やってきたことを、現行をそのまま継続していくだけでございます、また地域交通局長は、極めて形式的なものでございます、こういうお答えがありましたが、その趣旨にのっとって、少なくとも「限度として」という文字を入れることによってとにかく大威張りで削減することのないように、大蔵大臣、最後にひとつ決意のほどを伺って、時間が参りましたから私の質問を終わろうかと思いますが、いかがですか。
  285. 竹下登

    竹下国務大臣 法律形式の問題、今お話がありましたとおり、あるいは私も今調べてみましたが、その前にあるいは「予算の範囲内で」と書いてあるのじゃないかなと思いましたが、そういう諭理は別として、私からお答えするのはいかがかと思いますが、所管省の運輸省で十分御検討になることでございましょうし、それに沿って誠意を持って予算調整作業に当たる、こういうことがお答えの限界がな、こういう感じです。
  286. 吉原米治

    ○吉原委員 二言念を押しておきたいのですが、毎年運輸省は概算要求を組まれて大蔵折衝に入られますね、年末にかけて。ところが、大蔵大臣、一家の中でも同じですが、やはり何といいましても金を持った方が強いわけでして、とかく運輸省側は、要求していいのか悪いのか、竹下大蔵大臣の顔色を見ながら、おっかなびっくりで要求されるという嫌いもあるやに実は私も心配をするわけです。――ないですか。なければ幸いでございますがね。そういう意味でひとつ、必要のない予算要求をされるはずがないわけでございまして、特にきょう取り上げました地方民鉄の現状は、十分ではございませんでしたが、大蔵大臣にも若干認識を持っていただいたと思っておるわけでございます。自後、そういう意味で運輸行政についても大蔵大臣の立場からひとつ何分の御理解を賜りたい、こう思いましてあえて申し上げました。御答弁は要りません。  これで終わります。ありがとうございました。
  287. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 左近正男君。
  288. 左近正男

    ○左近委員 私は、今回の補助金一括削減法案、このうち特に空港整備にかかわる問題について若干の御質問をしたいと思います。  今回の補助率の引き下げに関係する空港は幾つあるのか、そして、その補助率引き下げによって国費はどれくらい削減されたのか、また、地方公共団体はどれくらい負担増になったか、これを明らかにしていただきたい。
  289. 西村康雄

    ○西村政府委員 このたびの措置の結果、関係する空港は第二種空港のAが十九空港、第二種空港のBが三空港、第三種空港が十空港、計三十二空港でございます。  それで国費の削減につきましては、二十九億円でございます。それから事業費の拡大になりましたのが総額で三十七億円ということでございます。
  290. 左近正男

    ○左近委員 この地方公共団体の三十七億円の負担増については本法六十条で政府は面倒を見るということでありますが、具体的にどういう方法で面倒見るのですか。
  291. 土田栄作

    ○土田政府委員 国庫補助金のカットに見合います地方負担の増加額というものにつきましては、その見合いの額につきまして地方債を充当する、それから、その元利償還が昭和六十一年度以降発生いたしますけれども、この元利償還については一〇〇%基準財政需要額に算入するということで、負担金のカットに伴いましてそれぞれの交付団体については痛まないような財政措置をするということでございます。
  292. 左近正男

    ○左近委員 今回の措置によって、例えば第二種空港であれば従来国が七五%、地方が二五%であったものが国が三分の二、地方が三分の一になる、地方が約八・二%程度負担増になるわけですが、一般的に、法律上このような理解でよろしいですか。
  293. 西村康雄

    ○西村政府委員 二種空港について申せばそのとおりです。
  294. 左近正男

    ○左近委員 ところが国の七五%の支出額については確保されておるんじゃないですか、どうなんですか。削減されてないんじゃないですか、どうですか。
  295. 西村康雄

    ○西村政府委員 今回の措置で国の負担が減になるわけですが、その負担の減分は予算上は全額そのまま計上しておりますので、したがいまして全体としては事業費の増という形でそのままになっております。
  296. 左近正男

    ○左近委員 だから、これは出されておる法案の削減よりも地方は二重の負担になっておるんじゃないですか。地方は、本来であれば三分の一、三三・三%負担でいいわけですが、現実問題は三八%程度地方負担になる。こういう二重の負担が今回の補助金の引き下げの法案によって出てきておる、これはおかしいじゃないですか。どういうことですか。
  297. 西村康雄

    ○西村政府委員 まず、地方は国との負担の比率が変更することによって一時的にふえますし、さらに今回は全体としての事業費増がございますので、それに伴う負担分がふえております。
  298. 左近正男

    ○左近委員 だから国費が、冒頭答弁されましたね、空港関係で二十九億円削減されておると。現実には削減されてないでしょう、どうなんですか。
  299. 西村康雄

    ○西村政府委員 おっしゃるとおり、当初の計画に対しまして二十九億円国費が削減されましたが、削減された分は全体として国費の負担の増にもう一度振りかえまして、その結果事業費が全体としてふえております。
  300. 左近正男

    ○左近委員 だから、これは手品を使っているわけですね。あなたが出されたこの補助金の削減法案では従来地方が二五%持っておったものを三分の一、三三・三%程度にする、八・二%負担増になる、それであればわかるわけですよ。ところが、さらに。国費の支出分を、従来の支出額を保証してきた、そのために、逆算をして二重に。地方に。負担をかけておる。これは今回出された法案に法律違反じゃないですか、どうですか。もう時間がないからよろしい。  大蔵大臣、そこで地方公共事業についてはすべてこの方式でやられているんですか、どうですか。
  301. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる補助率が下がりますね。そうすると、国費が昨年度予算と同じベースであったとしたら、その補助率が効いてまいりまして地方負担がそれだけふえてまいりますから、同じベースであったらそれだけ、地方負担増分だけ事業費そのものがふくらんでくる、こういうことになるわけでありまして、わずかながら国費は公共事業全般については国費ベースで見ると減っております。しかし事業費ベースで見ますと、結果として、補助率が効きますからふえておる、こういうことになるわけであります。
  302. 左近正男

    ○左近委員 いや私は、今回補助金の率を引き下げていく、その国が引き下げた分だけを地方に持たしていくということでちゃらにしていくということであればわかるわけですよ。ところがそうではなしに、従来国が支出しておった額を一〇〇%支出して事業費をふやして、そして国が補助金を引き下げした分以上に地方負担をしておる。二重の負担になっておるわけです。このことをお認めになりますか、大臣
  303. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる昨年と同額仮に国費が出ておれば、そうすれば同額ですから、地方負担の率の増加分は丸々事業費の上乗せになる。だから、今度の要求からいよいよの予算折衝。の段階で、私どもは結果として地方負担の分については財政措置をいたします、したがって、結果として事業費が確保される、あるいは事業費が伸びるわけですから、それが妥協点に達したということであります。
  304. 左近正男

    ○左近委員 いや、だから、地方では財源が裕福なところはよろしいですよ。しかし、窮屈なところは二重の負担がかかっておるということは、大蔵大臣お認めになりますね。これは認められませんか。この法案のとおりの金額よりも、国が従来の補助率の金額を一〇〇%保証している関係上、逆算をして事業量をふやした。事業量をふやした分の負担分が地方に行っているということですよ。これはお認めになりますね。
  305. 竹下登

    竹下国務大臣 事業費がふえた分は、補助率が効いてきてその分だけはふえておりますから、それは地方負担をなすっておる。そこで、不交付団体は別として、そうでない団体にはその分に対する財源手当てを別途行っておる、こういうことです。
  306. 左近正男

    ○左近委員 私は、この法案の裏に隠れた地方負担分が今回の処置によって増されておるということについて、大蔵大臣も十分考えていただいて、後ほどの財源処置については万全にしていただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。  そこで、補助率二分の一を超える補助金等について、今回平均約一〇%程度削減がされたわけですが、この対象外になっているものもかなりあるのじゃないですか。どれぐらいありますか。これは運輸省関係に限ってで結構です。
  307. 永光洋一

    ○永光政府委員 お答えいたします。  運輸省関係で補助率等が二分の一を超える補助金等で、今回の措置の対象外とされた補助金はどういうものがあるか、こういうお尋ねでございますが、まず、国が空港の管理者として騒音対策を講ずる責務を有しておりますため、国の全額負担となっています教育施設等騒音防止対策事業等でございます。それから第二番目に、受益の範囲の特定が困難である港湾区域外の航路事業等でございます。あるいは第一種空港整備事業、航空協整備事業等でございます。第三番目に、暫定措置になじまない共用飛行場整備事業あるいは第二種空港Aの附帯施設整備事業並びに第四番目に災害復旧事業等がございます。
  308. 左近正男

    ○左近委員 自治大臣、これは成田の財特法の絡みの問題はどうなっていますか。
  309. 土田栄作

    ○土田政府委員 この法律は自治省の所管でございまして、今回御審議いただいております法案の第五十八条に規定を置きましていろいろの特例を設けております。
  310. 左近正男

    ○左近委員 これは空港整備の周辺整備計画にかかわる部分については、従来どおりという判断でよろしいですか。
  311. 土田栄作

    ○土田政府委員 これは団体別それから事業別によりましてやや適用関係が複雑でございますけれども、大体の話で申しますと、河川とか下水とか土地改良は従前どおり、それから町村の行います建設事業につきましては従前どおりというのが、正確ではございませんけれども、大体のところでございます。
  312. 左近正男

    ○左近委員 次に、空港整備特別会計の問題についてお尋ねしますが、この主要な財源というのは何ですか。
  313. 西村康雄

    ○西村政府委員 空港整備特別会計の歳入につきましては、空港整備特別会計法に定めておりますが、これのまず一つは、着陸料、航行援助施設利用料、特別着陸料等の空港使用料でございます。それから地方公共団体の工事費の負担金でございます。そのほか一般会計からの繰入金。以上の三つでございます。
  314. 左近正男

    ○左近委員 航空機の燃料税とか通行税等が非常に大きな部分を占めておるわけですが、この航空分の五十九年度、また六十年度は見込みですが、これの通行税は幾らになりますか。
  315. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 五十九年度予算におきますところの通行税収の見込みは、全体で七百三十億でございます。六十年度予算としましては七百七十億を見込んでおります。  そのうち航空機利用に係る分がどのくらいかというお尋ねでございますが、これはまだ、どの程度航空機利用になるものか、確定的な数字というのは出ていないものですからはっきり申し上げられませんけれども、五十八年度の税務統計から申し上げますと、そのうちの大体九四%が航空機利用ということでございます。従来の傾向から見まして、恐らく全体の中の九四%程度のものが大体におきまして航空機利用によるものになるのじゃないかと一応推定してもそう大きな狂いはないと考えております。
  316. 左近正男

    ○左近委員 これは今お話があったように。通行税、他の部面もありますけれども、九四%、九五%程度飛行機に乗るお客さんがこの通行税を払っているわけですね。これは全部空港の特別会計に入るのですか。これはどうなっていますか。
  317. 平澤貞昭

    平澤政府委員 通行税につきましては、これは一般財源として一般会計で受け入れておりますが、他方、今の航空機燃料税以外に一般財源として入れている額は、例えば五十八年度は五百二十億、五十九年度は四百八十八億、六十年度は四百三十七億ということになっております。そこで、通行税と仮に一般財源としてその他入れているものとを比較してみますと、最近数年間は通行税の額を下回った額が繰り入れられているということでございます。
  318. 左近正男

    ○左近委員 それは今下回っているというようなそういう御答弁ですけれども、実際問題、飛行機に乗ったお客さんが通行税を負担をして、この一般会計に一応繰り入れられますが、ほとんどの金額が全部飛行機のお客さんですね。これは五十五年はそのうち二四%程度一般会計へ留置された。五十六年は約三〇%、五十七年も三〇%、五十八年は二六%程度、五十九年は三〇%程度だったのですね。ところが大臣、六十年度のこの計画では、予算では、四一・七%も一般会計に留置するのですよ。これは余りにもひどいじゃないですか。飛行機に乗るお客さんが通行税を払った。そのうち、本来であれば空港整備に全部特別会計に入れねばあかぬのに、四〇%を超える金額大蔵大臣のところで分捕っている。どういうことですか、大臣。今まで大体三〇%以下であったのですよ。六十年度だけは四〇%を超えるのですよ。もう日本には飛行場は要らないのですか。これは大臣に聞いている。一般的な飛行機でもうけた金を何で一般会計で全部取るのか。
  319. 平澤貞昭

    平澤政府委員 先ほども申し上げましたように、これは一般財源として入ってきているわけでございます。(左近委員「何で」と呼ぶ)法律上そういうふうになっております。  そこで、過去の場合は、通行税に比較いたしまして一般財源の繰入額が多い年も続いていたわけでございます。したがいまして、この通行税につきましてはそのときどきの国の財政事情その他等を勘案しながら今まで予算上対処してきたということでございます。
  320. 左近正男

    ○左近委員 だから私は今五十五年からずっとパーセントを示したのでしょう。大体三〇%以下ぐらいのところが今まで一般会計に留置されている分だ。ところが六十年度は異常に高いじゃないかと言っているのですよ。これは運輸大臣大蔵大臣予算折衝で折衝負けしたのですか。どうですか、大臣
  321. 山下徳夫

    山下国務大臣 この種のものはやはり私どもは目的税であろうかと思うのでございますけれども、ただ、このように国の財源自体が非常に不足しているときは、これはいろいろ議論の分かれるところでございます。  ただ、通行税というものは国鉄においてはグリーン車だけなんですね。ですからそういう意味においては、多い少ない、もっとよこせとかいうことよりも、むしろグリーン車並みを奢侈税的な感覚の方がちょっとどうかと私は思うのでございまして、多い少ないよりもむしろ別途空港整備の財源を求めて、廃止されるべきものだ、私はそういう感覚ですがね。
  322. 左近正男

    ○左近委員 この通行税の歴史はここでいろいろ言いませんよ。これは実際おかしいわけですよ。昔日本人は余り旅行しなかった。たまに旅行する者から金を取ってやろうかというような歴史的な経過もあるらしい。私はよく知りません。しかし、私は六十年度の一般会計の留置分が非常に高いではないかということを言っているわけです。大蔵大臣、どうですか。今まで三〇%ぐらいだったのですよ。六十年度は四〇%にはね上がっておるのですよ。
  323. 竹下登

    竹下国務大臣 おっしゃるとおり、税というのは本当は色のつかない税金をちょうだいして、それを資源の再配分あるいは所得の再配分に使うのが理想的でございます。が、しかし、間々その事業を特に促進するためのいわゆる特定財源としての目的税というのがある。  ところが、元来通行税というのは目的税ではないのです。一般財源です。しかしながら、そこに着目をされて議論があるわけですから、言ってみれば、自動車重量税にしましてもあるいは石油税にしましても、その都度の財政状態で貸しがあったり借りがあったりするわけです。ただ感覚的に、少し召し上げ過ぎじゃないか、こういう感覚をお持ちになる。それはやはり航空事業に熱心の余りの左近さんの情熱がかくある発言をもたらしたということではなかろうかと思います。
  324. 左近正男

    ○左近委員 次期総理になられるような立派な政洽家からそういうことを言われたら、もう引き下がらざるを得ないと思います。いずれにしてもこの点は、まだ空港環境問題もかなり残っているわけです。したがって、大蔵大臣もひとつよろしくお願いをしておきたい。  次に、全体的な問題は抜きにいたしまして、補助金法律補助予算補助と二つあると思うのですが、運輸省関係で、法律補助については今回どれぐらいカットしたのか、予算補助についてはどれぐらいカットしたのか、その金額を教えてください。
  325. 永光洋一

    ○永光政府委員 今回の措置によりますのに関連いたしましての補助の削減額でございますが、この補助負担率の引き下げによりますところの運輸省関係分では全体で百四十億ほどでございます。補助率等が法令によるものが約百二十九億、予算措置によりますもの約十一億円、そういうふうに算定しております。
  326. 左近正男

    ○左近委員 これらの削減された金額については、この法六十条の精神を生かして後で面倒を見るわけですか。
  327. 永光洋一

    ○永光政府委員 今申し上げましたものはこちらの国費の方の補助の削減額でございますが、それに見合いまして事業費で向こうの地方の方に負担がふえれば、それは当然そういう形で面倒を見てもらうということになると思います。
  328. 左近正男

    ○左近委員 法律補助予算補助も国が面倒を見るという今御答弁ですか。そういうことでよろしいのですか。
  329. 永光洋一

    ○永光政府委員 その削減によりまして相対的に地方負担がふえる部分につきましてはそういうことでございます。
  330. 左近正男

    ○左近委員 私、この機会に、きょうは大蔵大臣、自治大臣もおられますが、都市の交通問題が今大変な状況になっているわけです。これはモータリゼーションで車が社会的に非常に急増をいたしました。その関係で路面交通は非常に行き詰まっているわけです。地下鉄を建設をすれば地下鉄一キロについて三百億円近い金が要る。こういうことで、国の方におかれてもかなり今日までいろいろな角度から建設費の補助という問題について対処してこられた。このことについて私は高く評価をいたしております。  ところが五十九年、六十年と、これは予算補助の問題でございますが、地下鉄の建設費の補助金がかなり削減をされたわけです。補助率の調整ということが具体的にやられたわけですが、これについては、従来の計算方式でいった補助金と、五十九年度、六十年度やられた方式、削減方式による形で計算された金額との差というのは、どれぐらいになるんですか。
  331. 服部経治

    ○服部政府委員 お答えいたします。  五十九年度におきます調整額は公営で五十五億百万円でございます。営団が十二億六千四百万、計六十七億六千五百万円でございます。六十年度におきましては両方合わせまして百十九億一千三百万円でございます。(左近委員「六十年度。営団と公営と」と呼ぶ)公営が九十一億九千百万円、営団が二十七億二千百万円でございます。
  332. 左近正男

    ○左近委員 補助金の全額はどれぐらいでしたか。
  333. 服部経治

    ○服部政府委員 五十九年度の補助金総額が四百九十億二百万円でございます。それから六十年度におきましては四百六十億五千二百万円でございます。
  334. 左近正男

    ○左近委員 この補助金の調整というか削減というのは、非常に大きいではないですか。どうですか。
  335. 服部経治

    ○服部政府委員 削減額が非常に大きいことは御指摘のとおりでございますが、ぜひとも御理解いただきたいのでございますが、これは国の大変厳しい財政事情を踏まえまして、マイナスシーリングという格好の制約の中での予算編成を余儀なくされた。そういう事情を踏まえまして大変難しい調整を要したわけでございますが、結果的には、各公営企業の理解も得ましてそういう削減措置をとったところでございます。
  336. 左近正男

    ○左近委員 この五十九年度、六十年度、ただ単なる削減というのじゃなしに、ばさっと削っているわけですね。これはどうも僕は理解できないんですよ。  それで政府としては、運輸省は、削減した分は貸しておいてくれと言っておられるのですか、後で返すから。
  337. 服部経治

    ○服部政府委員 私どもとしましては、これは補助金の先送りであるというふうに基本的に理解しております。
  338. 左近正男

    ○左近委員 それでは近い時期に、今、六十七億、百十九億、これらの金額については、地方公共団体なり営団に別途処置でいつかの時期に渡すのだという理解でよろしいですか。
  339. 服部経治

    ○服部政府委員 この問題は国の財政事情と非常に深い絡みのある問題であろうかとは思いますが、私どもといたしましては、そういう財政の事情も踏まえましてできるだけ早く回復いたしたいというふうに考えております。
  340. 左近正男

    ○左近委員 大蔵大臣、この経過は御存じですか。
  341. 竹下登

    竹下国務大臣 いや、本当は知っていなければいかぬでしょうが、私、田舎出でございますので、都市交通のことは本当は詳しくございません。今の問答を聞きながら勉強させていただいておった、こういうことです。
  342. 左近正男

    ○左近委員 だけれども大蔵大臣、これはかなりの金額のカットなんですね。今運輸省の服部局長の方からああいう答弁をされたということは、やはり大蔵省もいつかの時期にはこれは返すのだという御理解なのでしょう。やはり今、十年計画で補助金がやられているわけですが、その補助率をちょっといろうて六十七億なり百十九億もカットしてしまったわけですよ。それで、これは各地方怒りますから、いつかの時期に面倒を見るということで今答弁されたとおり。だけれども大蔵省のアグレマンがなければ、これは運輸省だけでいけるものではないわけですよね。これはどうですか。今の答弁、よし、わかった、わしもそのように考えるということ、大蔵大臣どうですか。
  343. 平澤貞昭

    平澤政府委員 先ほど運輸省の局長からも御答弁がありましたが、国の大変苦しい財政状況のもとで、この五十九、六十年度、委員がおっしゃるような金額を一応先に繰り延べたわけでございます。したがいまして、これを今後どうしていくかということにつきましては、そのときどきの予算の編成の際にまたいろいろの状況を考えながら処理していくということになると思います。
  344. 左近正男

    ○左近委員 それでは、削減された分については、大蔵省としてはいつごろ具体的に面倒を見ていくということなんですか。
  345. 平澤貞昭

    平澤政府委員 これにつきましては、財政事情が許す限り、その中で考えていきたいと思います。
  346. 左近正男

    ○左近委員 私、大阪出身ですが、大臣、今各地方では、大都市ではやはり大変な状況なんですね。それで、今地下鉄をどんどん掘っている。物すごく高くつく。この補助金がほんまになければやはり工事もなかなかうまいこと進まないというような現状なんですよね。この点、十分御理解をいただいて、大蔵大臣とこのようにしてやりとりをするというのは、私ら新米議員にはほとんどないんですよ。だから、せっかくの機会ですので、この点についてはよくわかった、一遍よく検討してみるという前向きな答弁をひとついただけませんかね、どうですか。
  347. 竹下登

    竹下国務大臣 左近さんはたしか井岡さんの後継者でございましたね。ですから井岡先生と一緒に、バッジをおつけになる前から私、お会いしたことがございますので、いつでもお話しできますから……。  ただ、予算というのはいわゆる単年度主義でやってまいりますので、いついかなるということは、今、大蔵大臣という立場にありますのでなかなかお答えしにくい問題でございますが、大都市は大都市なりにそうした問題を抱えているという事実認識だけは十分させていただきました。
  348. 左近正男

    ○左近委員 ありがとうございます。  自治大臣、やはり公営交通の問題は自治大臣も非常に関係があるわけですね。今大蔵大臣の答弁もございましたし、交通問題に対する所信をひとつ言ってください。
  349. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 私の方は、結局起債の問題だと思います。それで、公営交通なり地下鉄の問題につきましては、起債の上で措置を講じておる。その数字はひとつ審議官から説明申し上げます。
  350. 左近正男

    ○左近委員 いや、そんなこと、詳しいことは私、わかっておるのや。一生懸命やる言ってもらったらいいのや。
  351. 土田栄作

    ○土田政府委員 大臣の命を受けまして、一生懸命やります。
  352. 左近正男

    ○左近委員 後藤田長官、きょうずっとおられるわけで、御苦労さまです。ちょっと質問を一点だけさせてください。  私、公務員出身ですので、この四月十七日に公務員共闘は、ことしの人勧を完全実施せよということでいろいろと行動も構えているわけですね。大臣公務員共闘の代表者と会われましたか。会う計画はございますか。
  353. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私は従来から、職員組合の方方とはいつでもお会いをいたしますということを部内でも言っておりますし、組合の諸君にも申し上げております。  ただ、御案内のように、公務員はストライキは禁止でございます。ストライキを決定をして、その上、その直前に会ってくれと言われても、私はやはり国民に対する責任もございますから、それは御勘弁を願いたい。それが済めば、公務員の問題というのは人事院の勧告が八月でございますから、その後にいつでもお会いをいたしましょう、私はそう申しておるわけでございますから、十七日の前にお会いをするという考え方は持っておりません。  もちろん人事院勧告が出た段階におきましては、これは従来から言っているように政府としては完全実施に向けて最大限の努力をする、こういうことははっきりと言明をいたしておる次第でございます。
  354. 左近正男

    ○左近委員 長官、これはやはり政府にも責任があるんじゃないですか。やはり人事院勧告を、いろいろな事情があったにしてもずっと値切りっ放しですよね。完全実施をしていないところにやはり大きな問題もあるわけですよね。去年はお会いになっているのでしょう。それで、長官なり関係大臣とも交渉して、そして実力行使については中止をしているわけですよ。やはりそういうようなことについて十分おわかりのはずなのに、十七日の行動前には会わないというのは、これは大変硬直した考え方じゃないかと思うんですがね。どうなんですか、腹を割って話したらいいんじゃないですか。
  355. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 組合の方からも、長官、政治家だから余り窮屈なことを言わぬ方がいいですよという御忠告もいただいておる。しかし、去年と事情が違う。去年は八月の段階で大蔵当局とは厳しい折衝を私はしたのです。そうしてできる限り、ともかく完全実施をすべきではないのか。しかし、行革のさなかで国民各界にいろいろな痛みを伴う仕事をやっておるし、また財政を取り巻く環境も厳しい、そういう中でやむを得ざる抑制措置が続いておるにしても、このままでは公務員諸君の不安感は消えないのではないかということで、昨年、厳しい対大蔵省との折衝の結果、御案内のような官房長官談話の線で一応おさめたわけでございますから、去年の四月の段階とことしの四月の段階は異なっておる。私としては、政府として最大限の努力をした結果、ことしなおかつストを構えて、会ってくれと言ってもそれはお会いできない、こういうことでございます。
  356. 左近正男

    ○左近委員 私も大阪の市労連の委員長をやっておりまして、何もストライキが目的じゃないのですよ。やはり仕事をしたいわけですよ。私も交通ですが、何もストを構えて電車をとめたくないのですよ。だから、もう少し腹を割って会ってあげてくださいよ。そうしたら解決しますよ。だから、それを特にお願いをして、もう時間ですので私の質問を終わります。
  357. 熊川次男

    ○熊川委員長代理 関山信之君。
  358. 関山信之

    ○関山委員 大変お疲れだと思いますが、もうしばらく御勘弁いただきたいと思います。私の質問に入る前に、今ほど同僚の左近議員と大蔵大臣あるいは運輸大臣との間で御議論のありました飛行場の通行税の問題、これはちょっと違うと思いますので、この際、お考えをただしておきたいと思うのです。  ここであれこれ議論するつもりはありませんけれども、そもそもこの公共事業関係の財源負担をどうするかという歴史を調べてみましたところが、明治四年に太政官布告第六百四十八号という大変古い法律がございまして、そこには「道路橋梁河川港湾等通行銭徴収ノ件」というのがあるのですよ。そもそもここから始まっているわけですから、先ほどの議論は逆だと思うのですね。今の財政事情がどうであるかこうであるかは別にいたしまして、こういう歴史的な経過をもって今日まで公共事業関係の財源問題がずっと発展をしてきている。明治の時代は飛行機がありませんから飛行機の通行税はなかったわけですけれども、しかしそもそもはそこから出発して、近代国家が成立してくる過程では、財源の弱い部分では国家の財源負担というのは非常に小さかったけれども、次第に国家が足らざる部分を補なってきておる。こういう流れがありますので、先ほどの御答弁はちょっと修正しておいていただいた方がいいのではないか、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
  359. 竹下登

    竹下国務大臣 申しましたのは、要するに、いわゆる道路はただのものなり、こういう観念が一つあって、それで今の道路三法でございますが、昭和二十七年ぐらいでしたか、できたときから有料道路ができたという一つの歴史が一方であると私は思っております。  そこで、道路から始まったのが、特定財源としての目的税というものが始まってきた。したがって、目的税というのは元来は好ましいものではない。しかし、特定の事業を特に促進するために間々設けられた例が今日でもある。  通行税というのは、これは歴史的に申しますと、奢侈品等にかけると同じような形で最初はかかったものだ。だから、これは本来廃止すべきだ、飛行機などは今やまさに大衆の足ではないか、こういう議論が一方にあるわけでございますが、現実ございます通行税というものは一般財源でございます。したがって、そのときの財政の事情によって違ってまいります、法律で特定された目的財源ではありません、こういうことを申し上げたわけでございます。
  360. 関山信之

    ○関山委員 これでやりとりをするつもりはありませんが、そういう歴史の古い古い経過もあるということを踏まえて、いずれこの補助金負担金の問題は改めて議論しなければならぬのでしょうから、お胸にとめておいていただきたいと思うのです。  私も、所管委員会にかかわって、そういう関係で主として公共事業系統のことを頭に置きながらしばらく御質問申し上げるわけなのですけれども、この二日間、連合審査会を私もずっと拝聴いたしておりまして、公共事業費関係の補助率カットというのは、一体どういう背景と経過で浮上してきたのだろうか。大臣御承知のとおり、昨年の夏の段階ではこの話は余りなかったわけですよ。つらつら考えてみますと、補助金の中では社会保障、教育、そして公共事業、これで八割を占めて、それぞれが三分の一ぐらいずつシェアを占めている。どうも社会保障と教育だけやったのでは国民に対する手前が悪いからこの際公共事業も、こんな感じで乗っかってきたのかな、こうも思ったりするのですが、この際、改めて公共事業費補助率カットの浮上の背景、経過をお聞かせいただきたいと思います。
  361. 竹下登

    竹下国務大臣 一つは、社会保障といわず公共事業といわず教育といわず、いってみれば聖域でない。そういうことになると、国の財政が厳しいときに十四兆数千億になるいわゆる補助金等に着目しがちなものでございます。そこで、各種答申等で高率補助率に着目しろということになれば公共事業とて例外でないということが一つ。  それからもう一つは、これはいろいろ地方からの要請もございますし、それから公共事業の持つ景気に対する波及の度合いもありますので、事業費を落としたくないという考え方は基本的にはあったと思うのであります。したがって、概算要求に際して各省庁とも、公共事業についてでございますが、高率補助率の引き下げについては、今後予算編成過程で、事業費確保の方策の一環として地方財源対策等を含め総合的に検討する旨表明をしたわけであります。そこで、その後の予算編成過程において各省と協議を重ねて、公共、非公共を問わず引き下げを行った、そして公共事業につきましては結果として事業費確保あるいは幾らかの上乗せができたということになるわけであります。
  362. 関山信之

    ○関山委員 そこで、事業官庁として運輸大臣、今の経過を受けとめられながらどのようにお考えになっていらっしゃるのか。特に、先ほど来地方の財源負担の問題などもあるのですけれども、これは閣議で了承したというような話がこの議論の中でございましたが、個別に運輸大臣と自治省あるいは大蔵省お話し合いがあったのかなかったのか、あったとすればどういうお話し合いがあったのか、なかったとすればどういうことだったのか。
  363. 山下徳夫

    山下国務大臣 難しい話は別といたしまして、一口に言えば、今大蔵大臣もおっしゃったように、何せ金がないときだからということが基本的には一番の端的な理由だと思うのでございますが、さらに累次にわたる臨調の趣旨を踏まえて行われたということで私ども理解をいたしておるわけでございますし、先ほどもお答えしたのでございますが、これは一つの暫定措置として私ども理解をしておるわけでございまして、そういう暫定的に国の台所が非常に不如意のときにはみんなで乏しいのを分け合う。ただ、乏しいのを分け合う場合に、これも大蔵大臣おっしゃったように、仕事の量はふやさないでほしいという地方自治体等の要望も非常に強い。その場合にはこういう措置もやむを得ない。私の所管いたしております運輸省のいろいろな事業におきましても、ある程度負担していいからこの事業だけは早くやってほしいというような要望がたくさんあるわけでございますから、両々相まってこういう措置がとられた、つまり私はこういう時期にはある程度やむを得ない措置であると理解をいたしております。
  364. 関山信之

    ○関山委員 それはそうおっしゃっても、私はやはり、この法案がなぜ一括法案として出されたのか。一括法案として出すことについては無理があるではないかという御議論も今まであるわけなんですけれども、全く理屈、論理の違うものを一緒にして、もし今大蔵大臣がおっしゃっているように国の財政が厳しいというのなら、ここは減らさないまでもふやすことはないわけで、現状のまま、周りは減らしているのだけれども公共事業はこれだけで確保していくとか、つじつまが合えばいいですよ。  しかも、後ほど議論も申し上げるけれども、公共事業関係の補助率カットというのは、それこそさまざまな歴史的な経過やさまざまな事業内容を含めていて、これは何といっても補助率だけで決まりがつく話ではない。経常費関係は額が決まっているわけですから、あとは国と地方の財源負担の問題ということになるでしょうが、公共事業はそうはならないのですからね。幾らでも膨らんだり縮んだりするのですから、これはやはり矛盾を一緒くたにして説明をするというのはどうしても無理があるのじゃないですか。
  365. 竹下登

    竹下国務大臣 一括法を出したことについて無理を感じないか、こういう御質問と受けとめますと、随分議論しました。昭和二十九年度予算編成の際の法律を一括化したことあるじゃないかとか、それで法制局とも議論をいたしまして、この問題については、いわゆる大蔵省設置法でいうならば大蔵大臣予算調整権の範囲内の問題であるということと、それから、いずれにしてもいわゆる歳出削減という財政措置の問題だということで一括にいたしましたから、見ますとそれは社会保障の問題もあるいは四十人学級の問題も、そして港湾の問題も一緒になっておる。それは異質じゃないか、素朴にそうした議論が行われることは十分本当は覚悟の上で、かくしてお願いをし、連合審査に今日至っておる、こういうことであります。
  366. 関山信之

    ○関山委員 覚悟の上でとおっしゃられれば、これ以上そのことで申し上げてみても仕方がありません。  そこで、裏負担地方負担の問題がずっと議論になってきていまして、同じような議論が行ったり来たりしておるのですけれども、私はちょっとごまかしがあると思うのですね。先ほど自治省の土田審議官でしたか、左近議員の質問に対して、五千八百億の削減については十分地方税と起債で措置をしている、借金返しも一〇〇%見ているという答弁がありましたね。間違いないですか。
  367. 土田栄作

    ○土田政府委員 御質問は国費カット分、それがダイレクトに地方に響いてくる分という意味でお答え申し上げているわけでございまして、二千億の国費カットがありますと、それが個別の地方団体に響いてまいります。その分につきましては起債を起こし、その元利償還金について一〇〇%基準財政需要額に算入するというふうにお答えしているところでございます。裏負担の分についてまで申し上げてはおりません。
  368. 関山信之

    ○関山委員 あなたね、そういうことをきちっと説明もしないで今日まで来ているところに、質問が絶えず行ったり来たりする最大の要因があるのじゃないですか。まあいいでしょう。  今あなたのおっしゃった公共費系統のうちの臨時特例債を発行して補てんをするとしている二千億、これについては、その元利償還金については一〇〇%交付税算入をする、これは間違いないですね。そのことをついて言っているのです。それからもう一つ、今、裏負担と申し上げたのは、調整債、財源対策債扱いの分はどうなんですか。
  369. 土田栄作

    ○土田政府委員 調整債の二千八百億につきましては、これは従前の地方財源不足を補てんいたします財源対策債と同じ扱いということにいたしますので、単位費用と公債費見合いと合わせまして八〇%の算入というものを予定いたしております。  なお若干説明させていただきますと、二千億の国庫補助のカットというものを事業費の拡大に回しますと、それは別に色分けがつくわけではなくて、普通の年の事業費がふえるのと同じ性格のものでございますので、そこのところにつきましては、特別に一〇〇%とかそういう措置をする必要がない。従前どおりのルールで取り扱うというふうな財政措置をしたいということでございます。
  370. 関山信之

    ○関山委員 もう一遍聞きますけれども、四千八百億のうち二千八百億は、一〇〇%じゃなくて八〇%しか見ないのでしょう。
  371. 土田栄作

    ○土田政府委員 おっしゃるとおりでございます。  これには理由がございます。一〇〇%――よろしいですか。
  372. 関山信之

    ○関山委員 理由は、あなたがさっきおっしゃったように、事業が拡大をしていくのだから、したがってこれについては従来の財源対策債と扱いは同じでやるのが妥当とおっしゃるわけですね。そうはならないのじゃないですか。  私は、百歩譲ってもいいですよ。しかし、この財源対策債扱いになる調整債は二千八百億あるわけでしょう。千二百億は文字どおり事業拡大分ですよね。二千億のいわゆる補助金カットに見合う事業拡大分。これはいいでしょう、百歩譲って。それだって私は納得しませんがね。しかし、少なくとも残る千六百億については経常経費系統の振りかえでしょう。これはやはりきちんと措置すべきではないですか。
  373. 土田栄作

    ○土田政府委員 これは交付税の算定方法のもとに返って御説明申し上げなければいかぬわけでございますけれども、まず一千六百億の、今先生おっしゃったものは経常経費系統でございますけれども、これは基準財政需要額の経常経費の方でカウントいたしまして、それぞれ、例えば生活保護世帯の多い団体交付税がふえるという形での財源措置をするわけでございます。  一方、それを一千六百億立てかえて地方財政全体として財源を生み出さなければいかぬという問題がございますけれども、この財源を生み出すためにはどうするかといいますと、三千三百団体の基準財政需要額のうちの投資的経費の分を理論計算して、その分だけ抑えるという形になります。その分だけ交付税から起債に振りかえるという形になるわけでございます。  そういう意味で、地方財政全体としてかぶるものにつきましては、今申し上げたように八〇%という対応でございますけれども、個別の団体がかぶる需要増というものに対しましては一〇〇%ということで対応したいと考えている次第でございます。
  374. 関山信之

    ○関山委員 後ろの方にくっついている技術的な話をされるとみんなわからなくなってしまうのですけれども、そうじゃないのですよ、はっきりしているのだから。四千八百億のうち二千八百億は八〇%しか見ない。  私はなぜそう言うかというと、今まで一〇〇%見るとあなた方が言ってきているから、それは間違いじゃないかと言うのですよ。明らかに間違いだ。交付税の計算がどうのこうのというのは事務レベルの話ですからいいですよ。いずれにせよ四千八百億は、将来の元利償還も含めて一〇〇%見ますと言ってきているのじゃないですか。その点は今事務当局は、そのうちの二千八百億は八〇%です、こう言っているのですから、自治大臣、お疲れのところ本当に申しわけないのですけれども――あなたはいい、わかった。わからぬ計算の話で時間をとられるのは困るのです。
  375. 土田栄作

    ○土田政府委員 私ども再々申し上げておりますのは、国費カットに見合う二千億の分については一〇〇%と申し上げておりますけれども、二千八百億の分について一〇〇%と申し上げたことはないと思います。
  376. 関山信之

    ○関山委員 それはあなた、とんでもないごまかしですよ。大臣はどういうふうに御理解をなさったのですか。
  377. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 これは極めて難しい数字の問題でありますので、私も数字を見ながら……(関山委員「いや数字の問題じゃないです。これはまさに政治的な問題です」と呼ぶ)だから、一千億は御承知のように交付税で、四千八百億が建設地方債でございます。     〔熊川委員長代理退席、熊谷委員長代理着席〕  それで今の二千億は、例の半分国費が出してくれるという分ですね、投資的経費の。それで、千二百億が今審議官が言った分と、それからあとの千六百億ですね。この経常経費の千六百億は、六百億は不交付団体、そういうところの分でございますので、これは財政計画にのせますけれども交付税で出すわけにいかぬからこれが起債になる。それからあとの一千億につきましては、これは大蔵省と話し合って六十六年以降の交付税に加算をするという約束でございますが、この一年間の相談によりまして……
  378. 関山信之

    ○関山委員 そこら辺の話を聞いているのじゃない。交付税会計の話じゃない。交付税会計の問題は別の問題でして、将来見るか見ないかはこれはまた別のやりとりなのよ。大体見ない大蔵省けしからぬという話はまた別にしなければならぬのですが、今まで皆さんは、各大臣も事務当局も、今回の補助率カットは地方負担じゃないか、いやそうではありません、地方の財源負担は一〇〇%見ます。それはそうでしょう。一年間分は起債と交付税で見ているという限りでは一〇〇%だけれども地方団体は将来に向けて元利償還も含めて心配ない、こうならなければ一〇〇%見たという話にならない。今ごろになってそんなこと言った覚えないなんて言ってくれますけれども、そんなことは通りませんよ。これはあなた何日間かの議論の中でみんなそう思って議論してきているのだから。これはごまかしと言う以外ない。
  379. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 いや、私は何もごまかしてきておりません。
  380. 関山信之

    ○関山委員 あなた自身、大臣自身も御存じないような感じになってきますと、これは今までの議論何だったのかということになってしまうのですね。
  381. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 私も正直言いましてわからぬから、一生懸命こういうのをつくらせまして勉強したわけなんです。それで、その勉強の結果に基づいて答弁をしておるわけでして、もしそういう点で私に誤解があるのだったら、ひとつぜひ私も解かせていただきたいし、また勉強し直さなければならぬと思っております。(「休憩しろ」と呼ぶ者あり)
  382. 関山信之

    ○関山委員 これは国対委員長いますけれども、こういう答弁じゃ話が先に進まぬで、時間ばかりとられるんだな。こっちへ行くと交付税の計算例がどうのこうのなんていう話をされても、これから先は僕だってわからなくなってしまう。いずれにせよ四千八百億のうち二千億だけは一〇〇%元利償還は見るけれども、二千八百億については八〇%しか見てないのですね。もう一遍そこだけ答えてください。
  383. 土田栄作

    ○土田政府委員 各団体に対してそういうふうな財政措置をいたします。
  384. 関山信之

    ○関山委員 どうですか、大蔵大臣、自治大臣、この間みんなそういうふうに受けとめてきていると思うのですね。そうじゃないでしょうか。要するに、地方は一〇〇%元利償還将来見てくれる、しかし二〇%分はいずれにせよひっかぶりだということをこの際改めて御確認をいただけますか、お二方それぞれ。(発言する者あり)
  385. 熊谷弘

    ○熊谷委員長代理 速記をとめて。     〔速記中止〕
  386. 熊谷弘

    ○熊谷委員長代理 速記を始めて。  竹下大蔵大臣。     〔熊谷委員長代理退席、越智委員長着席〕
  387. 竹下登

    竹下国務大臣 私からお答えするのが適切かどうか問題としまして、要するに今の措置、そして大蔵省と自治省でやるマクロないわゆる地財計画の中では、完全に消化できる問題だというふうに私は思います。
  388. 関山信之

    ○関山委員 私の伺っているのは、今年度の財源対策は間違いなく、大臣おっしゃるように、それから今まで自治大臣が御答弁なさっているように、これは起債と交付税の特例加算で見る、これはわかっている。私も全部承知です。  元利償還の話です。元利償還まで将来に向けて地方自治体では心配ない、一〇〇%見てくれる、こういうことだから話はずっと進んできているのじゃないでしょうか。ですから、今までのやりとりの経過を踏まえて、二千八百億分については八〇%しか見ないという御理解をこの時点で改めてお持ちをいただきたいわけですね、もしそう思っていらっしゃったんだとするなら。二千八百億分の元利償還については一〇〇%見ないわけですから、八〇%しか見ない、交付税算入しないんですから。
  389. 竹下登

    竹下国務大臣 将来にわたった問題につきましても地方財政計画の土俵の中では消化できる問題で、ただ、個別に不交付団体があったりいたしますね。その問題になると、私の答弁の限界、能力の限界を超すと思います。
  390. 関山信之

    ○関山委員 それでは同じ扱いで――二千億については臨時特例債を発行しているわけですから、これは一〇〇%見ているわけです。同じ扱いにしたらどうですか、四千八百億。そうすればつじつまが合うのです、今まで皆さん方のおっしゃっていることが。四千八百億のうち二千億だけが臨時符例債で一〇〇%見るけれども、二千八百億は財対債扱いで八〇%、その事実をまず認めていただりればいいんですよ、その事実を。いいか悪いかの議論は今は先へ送りましょう。
  391. 土田栄作

    ○土田政府委員 おっしゃるとおりでございます。それで、あるいは今まで私の御説明が悪かったのかもしれませんけれども、私ども昭和五十年代に地方財政の財源不足に対処いたしますために多額の財源対策債を発行してまいりました。それで昭和五十九年度についていえば一兆二千五十一億発行してまいったわけでございます。それに対します交付税措置というのは八〇%でございますので、それと同じように八〇%ということで考えておりましたし、この点につきましては地方団体サイドも別に何の異論もなく受けとめているというふうに承知いたしております。
  392. 関山信之

    ○関山委員 異論があるとかないなんて聞いていませんよ、そんなこと。大臣、ここは何遍でも繰り返すよりしようがないんですね。八〇%しか見ないという事実について、自治大臣大蔵大臣も今の事務当局の答弁をそのままお認めになるほかないわけですね。お認めになりますね。これを答弁としてお答えいただきたい。
  393. 竹下登

    竹下国務大臣 大蔵委員会で答えました答え方で答えさせていただきます。というのは、従来から私は措置であると理解しておるという言葉を使っておりますので。  だから、いわゆる建設地方債の増発額に係る元利償還費について標準事業費方式(単位費用への加算)を併用するのは、建設地方債の増発額は各団体の政策によって事業量が左右されるものが多く、実際の発行額のみを基礎として交付税算入を行う場合には、各団体のあるべき財政需要額を算定するという基準財政需要額の趣旨からかけ離れたものになる場合がある。したがって、そういうことを踏まえた措置であるというふうに理解をしておる。
  394. 関山信之

    ○関山委員 ですから、恐らくそれが大臣の本音であれば余りにも御理解が行き届いてなかったのじゃないかという、ちょっと大変な話になってきてしまうものですからね。今おっしゃっていることは、要するに従来の財対債扱いにするということなんですね。しかし、財源対策債とことし一年限りでやっている経常経費系統の五千八百億のカットというのは一緒くたにすることにどだい無理があるわけですよ。しかし本来建設地方債ですから、自治省サイドの方のそういう諭理でいけば一緒にするという理屈もあるでしょうけれども、そこへ入れることは政治判断として間違いだ、こう言っているわけですよ。政治的な物の言い方として、地方は将来にわたって心配ないと言ってきている発言とは食い違いが出てくる、このことも言っているのです。
  395. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今のお話を聞きまして、五十九年までの例によりまして八〇%とおっしゃる。ただ、地方は困るかもしれませんので、この八〇%でいいか、もっとふやすかということは、ひとつ私も大蔵省と十分折衝いたします。
  396. 関山信之

    ○関山委員 自治大臣の積極的な御発言がありました。二千億を除いた二千八百億の扱いについては改めて大蔵と協議をする、こう確認していいですね。大変恐縮ですが、大事な点ですから。よろしゅうございますか。ちょっと一言だけお答えいただけませんか、立ったり座ったりさせて恐縮ですが。大蔵大臣の方はいかがですか。――自治大臣ああおっしゃっていますから、そういう性格のものだと思います。これはどう決まりがつくにせよ、そういう性格のものだと思いますね。大蔵大臣からもお答えをいただきたいと思います。
  397. 平澤貞昭

    平澤政府委員 技術的なお話ですので、私からも発言させていただきたいと思います。元利償還費でございますので、六十一年度以降の交付税の問題になるわけでございます。その際の基準財政需要額をどう見るか、こういうことでございますので、基準財政需要額の算定は原則として自治省がおやりになるわけでございますが、この際に、今自治大臣から御発言がございましたように、この問題について何らかの検討を加えるこいうふうに私は理解しておるわけでございます。
  398. 竹下登

    竹下国務大臣 それはいわゆる基準財政需要額、百も御承知のように、マクロの対応をしますわね。そして、今度は六十一年度以降のまたその都度のマクロの対策の中で、その元利償還費をいわゆる基準財政需要額の中でどうされるかというのは、適切に対処されるであろうということと理解しておるというのが限界なんです。いわゆる基準財政需要額の問題は自治省そのものの問題でございます。
  399. 関山信之

    ○関山委員 それではだめですね。やはり基準財政需要額に、要するに調整債扱いの二千八百億は八〇%しか見ないのですよ。そのことの理屈はいろいろあるのです。その理屈は聞いたって事務レベルの話ですから、財源対策債のとき八〇%にしたのが悪いと言っているんじゃないですから。ことしの四千八百億については二千億の臨時特例債と同じように処置すべきだ、このことは自治大臣はおわかりになったようで、大蔵大臣と相談する、こう言っているわけですから、その点は大蔵大臣も受けて御相談いただきたいですな。
  400. 竹下登

    竹下国務大臣 基準財政需要額の問題については、私が公式に協議しますと言う立場にはないと思うのですよ。したがって、十分今の御趣旨を踏まえて、お互いが協議というよりも、十分その趣旨を踏まえて相談をもとよりします。
  401. 関山信之

    ○関山委員 いずれにいたしましても、それだけでちょっと引っ込むわけにいかないのですよね。もう少し明確に相談をされて、今までおっしゃっている経過からすれば、二千八百億については何らかの措置をするという、するというか、することについて協議をする、こうならないと、これはやはり後々問題になりますから。
  402. 竹下登

    竹下国務大臣 だから、私が申しておりますのは、何らかの措置をされるものと理解しておる、今までこういう答弁をしてきているのですよね。というのは、協議する立場にあるかどうかということにちょっとこだわり過ぎております、従来の答弁からして。したがって、今の御趣旨を十分体して対処されるものと私も理解しておりますが、私自身十分それに注意を払ってまいりますというのが限界かなと、こんな感じでございますが、いかがですか。
  403. 関山信之

    ○関山委員 おっしゃる意味はわかるのです。それは将来この先の問題として交付税会計の中での扱いをどうするかという問題に絡むからなんでしょうけれども、当然絡むでしょう。しかし、これは自治と大蔵と改めて協議をしていただかなければならぬ事柄なんじゃないでしょうか。これはまさにおっしゃるように後年度の問題ですから、今までの答弁との食い違いが出てくるにしても何にしても、この時点で八〇%だということを改めてお認めになっているわけですから、これはやはり改めて協議をするということにならないと私としても下がれません。
  404. 竹下登

    竹下国務大臣 今知恵をつけられたわけですが、今なるほどと思いますのは、交付税法を出さなければいけませんわね。そのときは内閣一体だから、私も当然意見を申し上げる立場にあるわけですね。したがって、その意味における協議をして御趣旨に沿いたい、こういう答えでしょう。いわば基準財政需要額をつくるときに大蔵大臣が入っていってというのはちょっと権限の外へ出るのじゃないかということでかなりこだわっておった。元来、素直でございますから。
  405. 関山信之

    ○関山委員 この際、自治大臣の御認識も改まったようですから、今まで一〇〇%だと思っていたけれども、そうじゃない、八〇%だ。とすれば、後年度の元利償還については改めて大蔵と協議をする、相談をする、心配のないようにするというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  406. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 そういうふうに御理解くださいまして結構でございます。
  407. 関山信之

    ○関山委員 少々時間がかかりましたが、ありがとうございました。  これで時間をとってしまいましたので、あれこれ申し上げたいこともありますが、若干の心配についてまとめてちょっと伺っておきたいと思いますが、あとは、やはり財政力、要するに経常費系統の振りかえ分について、マクロ数字でおっしゃれば、大蔵大臣がおっしゃるように八〇%とかいう問題は別として措置されているのだけれども、個別の公共団体についていいますとやはり不安も残るわけでして、財政力の少ない団体で建設事業などの未消化の部分が出てこないかというような問題、あるいは公債費比率との関係ですね。  公債費比率は、最近は制限公債比率でやっていらっしゃるようですけれども、いずれにせよ既に二〇%を超える団体が八百団体にもなっておるということになってきて、起債制限団体だってその中に幾つかあるのじゃないかと思うのですね。  きょうはそんなことやら何やら細かく聞こうと思ったのですが、時間もなさそうです。いずれにしろ、そういうところにまさにしわが寄らないように、これはもう個別の公共団体になりますと、マクロで手当てしても大都市と中都市と小都市じゃまるっきり対応が違ってくるということで、これはぜひ心配のない措置を願いたいということを申し上げて、これはどこから御答弁いただけますか、お答えをいただきたいと思うのです。
  408. 土田栄作

    ○土田政府委員 起債制限団体がふえるのじゃないかという趣旨に受けとめてよろしゅうございますか。
  409. 関山信之

    ○関山委員 それもそうだし、そういうところの手当てをどうするか。
  410. 土田栄作

    ○土田政府委員 これは現在、起債制限団体というのは三十二団体ございます。六十一年度以降若干ふえる傾向にございますけれども、今回の措置につきましては、起債制限比率を算定いたしますときには、この大部分――また先生に指摘されますと別途正確に御連絡申し上げたいと思いますけれども、概念的には大部分、この分は除いて計算するということになりますので、このことによりまして起債制限団体が大幅にふえるというようなことはないだろうと思います。  私どもとしては、起債制限団体が非常にふえるということは好ましいわけではございませんので、昭和六十年度の地方債計画なり地方財政計画を策定いたしますときにも、総体としての地方倍の額というものを削減するという措置をとっておりますし、そういう措置昭和六十一年度以降も続けてまいりたい。つまり地方債の発行総額を抑制するということによりましてできるだけ公債費比率を下げる、それによりまして起債制限団体になるような団体というものをできるだけ少なくするという方向で地財計画というものを組んでまいりたい、このように考えております。
  411. 関山信之

    ○関山委員 非常に時間もなくなってしまいましたが、最後に公共事業系統の補助率の問題ですけれども、これもいろいろな御議論がありました。この部分については、一年限りじゃなくて絶えずこれを見直していくというような大臣の御答弁があったわけですけれども、しかし臨調行革がいろいろ方針も出しておりますし、その中には我々とても賛成をしなければならない部分もあるわけなんですが、先ほど申し上げましたように、財政的見地からいっても、この公共事業関係の補助率の問題は一括でやってもできる代物じゃないのじゃないか。  例えば、私が担当いたしました港湾関係にいたしましても、三つの法律のうち、特定港湾施設整備特別措置法なんというのは、来年度ゼロなんですよ。事業はないんだ。あるいは、港湾法第四十二条二項、これも、十分の十以内を十分の九に引き下げるというのですけれども、実際の実行補助率は十分の七・五ですから、法律を変えなくたってやれるのですね。こういうものまで入ってきて、今回一括法案で出てきているわけですね。これはまことに乱暴な話と言わざるを得ない。  しかし一方では、この財政事情の中でありますから、将来に向けて補助事業がどういう方向で進むべきかという点については極めて大事な問題だと思いますし、とりわけ地域格差を是正するとか、あるいはナショナルミニマムを確保するとかというような部分について言えば、やはりきちっと国の手当てでやっていただかなければならぬということが、私どもの主張としてはあるわけなのですけれども、これは運輸大臣から一言、そして最後に大蔵大臣から言いただいて、私の質問を終わりたいと思いますが、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  412. 山下徳夫

    山下国務大臣 港湾関係の整備事業につきましては、内地といいますか、内地は比較的低額の補助か多うございますので、今回の措置についてはさほど影響はないと思っておりますが、内地以外の離島地域等におきましては高額補助がございますので、ある程度の影響はあるかと思います。
  413. 竹下登

    竹下国務大臣 地域的に見れば、北海道、沖縄、奄美、それから関山さんも私も抱えております離島、そういうところが実際問題としての具体的な影響というものは私にも想像のつくところでございますが、それにつきましては、基本的には自治体、なかんずくこれは都道府県でいろいろ御指導いただかなければならぬ面があろうと思いますが、公共事業の地域配分寺含めて、財政全体の中でこれは適切な対処をしなければ、私自身も困ります。
  414. 関山信之

    ○関山委員 ありがとうございました。
  415. 越智伊平

    越智委員長 この際申し上げます。  参考人として地方制度調査会副会長柴田護君に御出席を願っております。  御意見の開陳は、委員の質疑にお答え願うことといたします。  佐藤敬治君。
  416. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 最後の最後で、一番締めくくりであります。詳しいこと、随分細かくいろいろ委細討論しておりますので、締めくくりみたいな形でもって基本的なことについて、今まで議論のあったことをまとめてみたい、こういうふうに思います。どうかひとつ、ほとんど事務当局の答弁は要りませんから、大臣に御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず第一に、私も国会へ入ってから十二年になりますけれども、こんなような八委員会の連合審査なんというのを見たことがない。これは大変な、何というか、さっきも質問が出ておりましたけれども、各常任委員会の審議を軽視するというので、各常任委員会とも大変憤慨をいたしているわけであります。しかも大蔵委員会でこれを審議するということは、さっきも大臣から、これは財政調整の問題だからおれの方でやるのは当然だというお話がありました。しかし、これはよく考えてみますと、この法案が出て一番困るのは地方なんです。各常任委員会が一番の被害者なんです。その被害者を棚上げしておいて、加害者である大蔵のところが主になって被害者を裁判するというのは、どこの裁判へ行ったって被害者は原告の席にいて加害者は被告の席にいるんですよ、大体これは逆なんだ。こんな本末転倒した審議というのは、私は大変おかしいと思いますよ。  しかも、加害者である大蔵審議日数というのは、あしたを入れると八日もある。被害者の連合の審議はたった三日しかない。こういう本末転倒した審議の仕方、しかも各常任委員会の審議権というのを全く無視したようなやり方は国会のあり方としても大変おかしいと私は思うのですよ。大蔵大臣がこれを大変主張したようにも聞いておりますが、それはさっきお話を聞きましたから、もう答弁はいいです。ただ、与党としまして、お互い議員なので、こういうような審議あり方というものを代表してひとつ委員長、どういうふうに思うか、感じを述べてください。
  417. 越智伊平

    越智委員長 理事の皆さんと協議をいたし、また各常任委員長さんと協議をいたしまして、このように決定をした次第であります。
  418. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 同じ議員さんの仲間ですから、余りあれすることはないのですけれども、願わくば、あなたもそのうちに大臣になって、総理大臣になるかもしれませんから、こういうようなむちゃな審議をしないようにこれからもひとつリードしていただきたいと思います。  それから、もう一つあれしますけれども、今までこの法案に対して地方が猛烈な反対をしました。こんなに激しい反対を地方団体が一致してしたことはございません。こういうような大きな反対があったのにもかかわらず、この法案の審議が始まったと思ったらぴたっとやめてしまって、音なしの構えになってしまいました。もうあっちこっちのところにみんな異口同音、物に書いた本を読んでいるような格好で、先ほども質問がありましたけれども、これが通りませんと仕事ができません、こういうようなあれでみんなの議員のところに来ているのです。私は、こういうことをやっているのがどこかわかりませんが、一番の元凶は大蔵大臣じゃないかと思いますが、どうですか。
  419. 竹下登

    竹下国務大臣 私も国会の子でございまして、国会というものを行政府の意思で、俗な言葉で言えばきりきり舞いさせようとか、そういう大それたことを考えたら、私自身が失格する、こういうふうに思っております。
  420. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 私も小さい町の市長をやったことがあるのです。交付税なんか通すときは電報がどんどん来るのですね、自治省から。そして早く通させろ、圧力をかけろといって、何ぼ電報もらったかわかりませんよ。だから今回も、あなたはやったとは言われないでしょうから、仕方なくやらないと言っているでしょうけれども、私はやったと思っているのです。ただ私は、地方団体があれほど激しい反対をしておきながら、政府の圧力におびえてぴたりと音なしの構えになってしまった、逆に早く通せと言って我々のところに、今までは通すなど言っていたのが今度は通せと言ってねじ込んできているんだ。こんな君子豹変というか、態度がころっと変わってしまうんだ。地方団体の連中、連中といったら語弊がありますけれども、あの人たちの考え方も、態度というもの、やり方というものも全く理解できないんだ。  それでお願いするのは、政府の圧力によってこういうようなことがあれば、民間地方団体の考え方、世論というものが国政の審議に正確に響いてきません。審議の公平を欠くことになる。こういうふうに思えます。したがって、今大蔵大臣はそんなことはやった覚えはないと言うけれども、その言葉はひとつこれからも正確に各大臣に守っていただいて、民意が正確に国政に反映するようにひとつ御努力をお願いいたしたい、これをまずお願いをしておきます。いかがですか。
  421. 竹下登

    竹下国務大臣 私も、この法律作成以前とでも申しましょうか、いわゆる地財審等からの答申、さらには意見あるいは各三千三百二十五の自治体からの意見書の決議とか、そういうことがあったのは十分承知しております。したがって、少なくとも三大臣合意に達するまでの間に、その方々に対し財政措置に対する理解を求める、この努力はしなければいかぬ。それで、そのことは私はある程度理解をいただいたのじゃないかというふうに思っております。  その後ぴたっととまったとかとまらぬとか、私から申し上げるべき事柄ではございませんが、行政府の方からそれは大館市長さんに電話をして、あるいはは電報をして、そんなことはやるべきことじゃないと私も心得ております。
  422. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今、私の方の関山委員からカットした分を完全に補てんするのだ、この問題についていろいろお話がありました。これからその問題について少し、ついでですから忘れないうちにいろいろお話ししておきたいと思います。  今、関山委員からあれしました一〇〇%補てんする、総理から本会議でも、もう完全に補てんするということを再三にわたって答弁があるのです。私どもは、ことしの分だけを完全に補てんする、こういうものでないと理解しております。私もそれを質問しようとしましたら、幸いにして関山先生からお話がありました。そのとおりでありまして、これは一年で終わるものじゃないのです、負担というものは。非常に長い時間、いつも影響をしてくるわけであります。  だから、その点につきまして、来年度今言ったようにまさに八〇%しか、これは大蔵大臣の問題でないかもしれませんけれども交付税の方からいけば八〇%だということになっている。しかしこれでは完全負担にならない。しかも六百億という不交付団体のやつはもう完全に欠如していると思いますが、今のお話を聞きますと二千八百億入るというのですから、これもまた大変微妙な問題です。六百億が入れば、あるいは今までの不交付団体交付団体になるかもしれない。いろいろな微妙な問題を含んでおります。ぜひひとつそこで両者協議をしまして、総理が再三にわたって本会議で言明しているように、一〇〇%補てんできますように、特に金を出す方の大蔵大臣からひとつ御配慮をお願いいたしたい。いかがですか。
  423. 竹下登

    竹下国務大臣 これはちょっと私もこだわりましたのは、権限内における答弁としてはそういうふうになることと理解しておるというのが限界だと思っておりましたが、関山さんとの問答の中で、考えてみれば交付税を出すときには、私も閣議議定書にサインをしなければならぬわけだから、その意味においてきょうの趣旨を踏まえて十分協議をします。
  424. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 この万全の措置という問題について、この前ここの問答を聞いておりましたら、だれでしたかな、主計局の次長でしたかだれか、答弁を聞いておりましたら、完全に補てんしているから地方財政法に違反していないのだ、こういうようなことを話しておりました。――あなたでしたか。そういう話をしておりました。それはそのとおりですか。
  425. 土田栄作

    ○土田政府委員 たしか私も御答弁申し上げたと思いますが、そのとおりでございます。
  426. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そうですね。そうしますと、まず最初に出てくるのは今出てきました二千八百億の問題、それから私が今言おうとしておりますけれども、さっきの不交付団体の六百億の点ですね。これは、今度は少し違ったようですが、今までのあれからいきますと、もう完全に完全補てんじゃないですよ。不交付団体は六百億もろに被害を受けている。後で私は申し述べますが、不交付団体の連中はどうしてこれをカバーしたらいいかといって頭を抱えているのですよ。だから、そういう点からいって、これがあなたが答弁したやつの逆からいくと、これはまさに地方財政法に違反している、こう言ってもいいと思うが、いかがですか。あなた、完全に補てんしているから違反ではないと言っただろう。あなたははっきり言った。補てんしていないことがわかったから違反じゃないの。
  427. 土田栄作

    ○土田政府委員 私どもとしては、国庫補助金のカットしたものを地方交付税で受けると申しますか、地方交付税の基準財政需要額に算入するということを通じて地方財政措置をするというふうに申し上げているわけでございまして、そういうことで基準財政需要額に入ります。一方、基準財政収入額はそれぞれの団体のその年その年の税収で決まってまいるわけでございまして、結果的に収入が非常に上回って不交付団体になれば、それはそれぞれの団体の税収で対処するということにならざるを得ないと思います。それは地方交付税制度の性格上、当然そういうことになるということでございます。
  428. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは面倒くさい問題だから、時間が足りないからもう少しそのままにしておきますが、そうすると、今完全に補てんしないというのは地方交付税のあれでもって二千八百億か、あれを補てんしないという点はどうなるのですか。これも完全補てんじゃないですよ。
  429. 土田栄作

    ○土田政府委員 これは昭和六十一年度以降において元利償還が発生する時点でどう対応するかという問題でございまして、先ほどの大臣答弁の趣旨を受けて私どもも対処したいと存じています。
  430. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 とても時間がなくて細かいことはやっていられません。月曜日にまた大蔵大臣とやることになっていますからそのときに回しますけれども、全体といたしまして、完全補てん完全補てんと言いますけれども、例えば地方財政がこういうふうに変に窮迫したのは昭和五十年から始まるのですね。あのとき、地方交付税法の六条三の二項によって税率を上げろ、そうでなければ制度を変えろ、こうして要求したけれども、制度も変えなければ交付税率も上げないで、そして借金でそれをほとんど、半分特例で来たけれどもあとの半分は全部借金でやって、借金借金を十年越しで、十一年ですか、ことし六十年は十二年目ですね、去年まで十一年間というものほとんど借金でつないできました。そのときもどう言ったかというと、これは完全に補てんしていますという形でもって、借金で全部つないできた。その結果はどうですか。今地方債の累積が六十兆でしょう。もつ身動きがとれなくなってきた。これは影響がない、完全に補てんするといったって、もう二、三年すればすぐどんどんなってくるのです。これは大蔵大臣もよく御存じでしょう。こんなことで完全に補てんしたなどということを言えるかどうかということなんです。私はこれは大変疑問があると思うのです。大体、完全に補てんするならば何も切る必要はないですよ。補てんする財源が皆あるならば自分でやればいいんだもの。これは完全に補てんしていないのですよ。政府や大蔵省がもうけているのですよ。大蔵省がもうけているだけ地方が明らかに損しているのです。完全補てんなんというのはあり得ないのですよ。それを完全補てんだ完全補てんだといつも言っているところに、私どもは何としても納得できないところがある。今申し上げましたように、小手先のこういうような、補てんした補てんした、だから大丈夫なんだ、おまえらは満足しろといっても、なかなかそうできないのです。  自治大臣にちょっとお伺いしますけれども地方財政にとって重要な法律が二つありますね。一つは地方財政法、もう一つは地方交付税法。この中で、最も基本で一番大事な条項は第何条ですか。
  431. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 条文よりも、国の都合によって地方財政負担の転嫁をやらないということでございます。
  432. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 それは地方財政法ですね。交付税の方は六条三の二項で、もう十分におわかりのことなんです。  今申し上げましたように、五十年以来、政府は違反してないと言うけれども地方交付税法六条三の二項にこれは完全に違反しているのです。病の当時、自民党の与党の中にもこれはだめだという人がたくさんおったのです。それを強引に、これは違反でないというのであの二分の一方式、我我は四分の一方式と言うのですけれども、四分の三を借金でつないできた。それが今日こういうような地方財政の窮乏につながってきた。法律どおりやれば決してこういうことにはならなかったんだ。もう一つの地方財政法第二条の第二項、これも今大臣がおっしゃったようなことです。  この二つは、ともに法律の最も根幹なんです。この二つが崩れれば地方財政法も地方交付税法も無意味なんですよ。その二つを、さきには地方交付税法に違反しつつ、今度は地方財政法に違反しようとしているのです。根本のこの二つの方式のそのまた根本に違反して、どうしてこの地方財政は成り立っていきますか。私はこういうようなやり方というものは、決して地方財政の再建にもつながらなければ、国の財政の再建にもつながっていかない、こういうふうに思います。大臣、いかがですか。それから自治大臣もいかがですか。
  433. 竹下登

    竹下国務大臣 従来とった措置、そして昨年度でございましたか、それに一つの決着をつけたと申しましょうか、新しい措置を行った、こういうことになりますが、当時の財政状態も確かに苦しかったと思います。  しかし、しょせんは地方財政と国の財政はとにもかくにも車の両輪だ、そういう認識の上に立って、その都度財政状況を勘案しながら相互理解と協力の上に立ってやらなければどうにもしようのない問題だということを私なりにしみじみと感じております。
  434. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 委員御承知のように、この問題は私どもも、昨年自治省としても予算編成の直前までは、補助金整理合理化というものは必要であるが、一律カットは国の負担をそのまま地方へ回すものでこれはとらないところであるという態度を持ってきたところでありますが、予算編成の直前におきまして、非常に厳しい国の財政事情下において一年限りの措置である、それも交付税あるいは起債の問題で見るから、一年の問題としてその間に十分検討をするということで、私どもそういう点について地方にも御了解を得るように努めておったところでございます。
  435. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 ちょうど一年限りの措置というのが出ました。各委員から、一年限りで本当にもとに戻してくれるのか、こういうので随分議論がありました。自治大臣は今、一年限りで戻してくれる、こういうことをおっしゃられましたが、文部大臣にちょっとお伺いします。  あなたのところは、学校の旅費とか教材費、これを一般財源化されて交付税で見る、こういうふうにこの間からあなたは答弁して、大丈夫だ大丈夫だと言っているのですが、本当に完全に補てんされると思って満足しているのですか、これでいいと思っていますか。
  436. 松永光

    ○松永国務大臣 前語りはやめにしますけれども、現在の義務教育費国庫負担制度の根幹をなすものは人件費であるという私どもの認識であります。そして旅費及び教材費につきましては、その当時の財政事情から国庫負担の対象に取り入れられた。しかし今日におきましては地方の事務として定着をしておる。一方、国の財政状況は極めて厳しいということがございますので、地方財政当局と相談をして、そして地方交付税で財源措置をきちっとしていただくということになりましたので、今回御審議をしていただいているように国庫負担の対象から外すという措置がなされたわけでありますが、これからもきちっとした財源措置がなされるように一生懸命努力をしていくと同時に、定着している地方の事務が財源措置に基づいてなされるように指導していくということでこの問題は対処をしていきたいと考えておるところでございます。
  437. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは何回も出てきた問題ですけれども交付税総額がふえなければ、これも交付税だ、これも交付税だといっても幻の財源であって、本当の財源にはならないのですよ。今度の法律の中にも、交付税に入れる、交付税で見てやるとみんなあるけれども交付税総額が確保されなければ本当の財源にならないのです。総額を確保しなければだめだというので交付税法六条三の二項というのがあるのです。ところが、この交付税法六条三の二項というのが十年くらい無視されて、これは全然発動していないのです。その中で、しかも交付税率の三二%というのは実際には低下して、三一・何%くらいにしかなっていないのです。総体が減っているのに、どんどんほかのものをこれも交付税交付税だといってやればどうなりますか。  水割りという酒がありますけれども、水割りは酒の中に水を入れて割っているのですよ。ところが、余り水の量が多くなれば酒臭い水になってしまうのです。これは何の効果もないのですよ。何でも掃きだめみたいにみんな交付税に入れて、あれも交付税交付税だといって、本体がふえなければだんだん薄められていくのですよ。何もならぬのですよ。だから私は今聞いたのですが、何でも交付税交付税といって喜んでいたんでは何もならぬのですよ。実質的にはこの分はばっさり削られたと同じ効果なんですよ。だから私は、これで喜んでいるのかとあなたに聞いているのですよ、いかがですか。
  438. 松永光

    ○松永国務大臣 交付税法全体に関することにつきましては私の答弁する事柄ではございませんが、文部省の関係からいえば、先生よく御承知のとおり、国の財政が厳しいがために、教材費につきましては、五十七年、五十八年、五十九年と一〇%、一〇%、一五%というふうに削減をされてきました。したがって、それに伴う交付税の方も減ってきた。全体としては、教材費として公費で出すべき分が伸びないところか、減ってきたといういきさつもございます。そういう厳しい財政状況でございますから、財政当局と相談をして、前回を少しでも上回る財源措置がなされる、将来ともなされ続けるならばということで我々としては了承をした、こういうことでございます。
  439. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 あなたが了承しても、困るのは県の財政ですね。県の財政、確実にこれはこの分減って困りますよ。  自治大臣にお伺いしますけれども、最近、国というか大蔵省、続けざまにいろいろな約束をほご  にしている。  まず第一は、地方交付税特別会計の借入金、これは元利とも政府が負担するといって長い間公言してきたにもかかわらず、五十七年度からは利子の二分の一を地方負担にしてしまいました。これは大臣御承知のとおりです。五十九年度からは全額、全部地方に押しつけてしまった。これも御承知のとおりです。こういうふうに、国会を通じて国民に約束してきたことを全然、ほご同然に捨て去ってしまっておる。  二番目は、五十九年度からは元金のおよそ二分の一に当たる五兆五千億円を地方負担に回してしまいました。これも御承知のとおりです。六十六年度からはその返済をしなければいけなくなっております。  そして今回、行革特例法の分。三年前約束しました行革特例法の分を利息をつけて返すと、私はあの当時特別委員会の理事でありましたし、絶対に間違いありませんといって再三にわたって発言しておるけれども、これも今回ほごにされてしまいました。  これでもなお、今度一年限りで大蔵省はちゃんともとに戻してくれると考えますか。
  440. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 私どもは、一年間で検討し直すということでございますので、その検討の場面におきまして、国会の論議、地方団体の意向というものを十分反映をいたしましてその検討に臨むという気持ちでございます。
  441. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 これは、大臣の答弁を聞いておりますと、必ず返してくれるというそういう信念を持って答弁しておるようなんです。だけれどもどもは、何回も申し上げましたように、何回もだまされてきている。私どもはそのたびに大蔵大臣とやったけれども、自治大臣とも随分あれしてやり合ってまいりました。しかし、さっきから言っておるとおり一度も守られていない。次から次に、あしたに一城、夕べに一城とどんどん持ち去られていって、こんな状態になってしまっている。今度また特例法まで、利子もつけないで延ばしてしまって、また延ばされるかもしれないんですよ、これは。また延ばされるかもしれない、それをのうのうと受け入れているというのは、私は余り人がよ過ぎると思うのですね。何かそこに今度は絶対大丈夫だという歯どめの措置がもう少しあってもいいじゃないか。  現に三月五日の某新聞にこういう記事がある。「大蔵省は四日、六十年度予算案で一年限りの暫定措置として導入した地方自治体への高率補助金の一割削減を恒常的な制度に改める方針で検討に入った。」と、ちゃんとあるんですよ。大蔵省は一年限りで返そうなんて意思は何にもないんです。恒常的にするといって検討に入ったんだもの。厚生省は、この間やはり同じようなことをやっておるんです。これはもうとても大蔵省にはかなわぬ、何とかもう少しよくなる方法がないかというので、医療制度だとか年金制度だとか老人ホームだとか生活保護だとか医療費、こういうものの検討に入ったと、ちゃんと新聞に書いてある。     〔越智委員長退席、熊谷委員長代理着席〕  もうあなたの言うように純情可憐な、と言うと語弊がありますが、正直な方が何ぼ大丈夫だと言ってやっていても、向こうの方がずっと上手なのでなかなか歯どめがかからぬのですよ。何とか自治大臣としてここのところに歯どめをかけるようなことを考えなければ、次から次と押されっ放しで地方財政はおかしくなってしまいますよ。法律を守らぬでしょう、さっき言ったとおり。約束したことも守らぬで、そして、どんどんと取られていっておる。私は長い間地方の行財政にかかわった者として、大変心配なんです。いかがですか、御意見は。
  442. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今恐らく叱咤激励の意味お話しになったと思いますが、私も正直に申しまして、もうおわかりと思いますが、誠実一点張りの男と自分では思っておりますし、将来総理になられますということが自他ともに言われておる竹下さんでございますので、私は大蔵大臣との話し合いを誠実に行っていける、そういうふうに私は考えておりますので、過去にいろいろあったかと思いますが、今度の場合はそういう意味でひとつ見守っていただきたい。
  443. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今の自治大臣のお言葉に対して、大蔵大臣はいかなる御感想をお持ちですか。
  444. 竹下登

    竹下国務大臣 まさに三大臣が最後に申し合わせをしたことに対して誠実にこれからお互いやっていこうという気持ちがにじみ出ておるというふうに、私は年齢的にも後輩でございますし、私が内閣官房副長官のときに古屋さんは総理府総務副長官でございましたが、一緒に仕事をしておりまして、当時からのことを思い出しながら、私も古屋さんのような精神で政治家としてこれからもやっていかなければいかぬというふうに感じました。
  445. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 そういうことになると、二人ともやめてもらっちゃ困るので、しばらく留任してもらわなければいかぬようなことなんですが、これは冗談じゃなくて、本当にこの十年間、地方財政というものはどのぐらい圧迫されてきたかわからぬ。本当に私の真情から出た心配です。どうかひとつ、そういう点で十分に御配慮をお願いいたしたいと思います。  ついでに、地方財政がよく金持ちだ金持ちだと言われているのですが、その問題を少し論じてみたいと思うのです。  後藤田長官にお伺いします。あなたが一億円持っていて私が二億円持っておれば、私はあなたより金持ちだ、そう言えますね。どうですか。そうですね。  今度は山下運輸大臣にちょっとお伺いしますが、あなたが二億円借金があって私が一億円借金があれば、私のことを金持ちだと言いますか。あなたのことを私より金持ちだと言いますか。借金ですよ。あなたに二億円借金をしょわせるのは大変だから、私が二億円借金をしています。あなたが一億円借金しています。そのとき世間の人は常識的に、あなたのことを私よりも金持ちだと言いますか。どうぞ。これは質問です。
  446. 山下徳夫

    山下国務大臣 預金がなくて借金だけならばそういうことになりましょうね。
  447. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今おっしゃいましたけれども、金をプラスの方に持っていれば余計持ってしる方が金持ちだと言うのですよ。ところが借金をしているのに対して、二億円借金しているのと一億円借金しているのと比べて、一億円の方が金持ちだなんてだれも言いやしません。ところが今、地方財政裕福論といって、地方が金持ちだ金持ちだというのはまさにこの論理なんです。借金も財産のうちだなんという言葉も昔からあります。そういう意味からいうと余計借金している方が金持ちだということになるわけなんです。今は国よりも地方の方が金持ちだと盛んに言っているのはまさにこういう論理なんです。  この間私が聞いておりましたら、総理がここで言いました。地方は五十兆円、六十兆円の借金だ、国は百十兆円だか百兆円のあれがある、地方は金持ちだ、そう言っていたんです。私が今言った借金も財産だというならば、国の方がずっと金持ちなんです、百兆円も持っているんだから。こういう世間に通らないような論議、地方裕福論というのを展開しているのです。そして、地方は裕福だから今みたいにピンはねして五千八百億取ってしまう、こういう論理の展開なんです。これは何というか全く非常識な考え方だと私は思うのです。もう百兆円であろうが五十兆円であろうが、ここまでくれば同じなんです。それを、片一方が金持ちだからピンはねするなんという考え方はまことにおかしいと思うのですよ。この間、大蔵委員会審議を私聞いておりました。どなたかが質問していたら、おれがパンクしたからおまえもパンクしろという理屈と同じだと言っているのです。本当に地方裕福論という非常識な論理を展開して強引に、少しばかり高い給料の都市があるとか、こういうほんの一握りもないような現象をとらえて、それを特徴的にとらえて地方は全部金持ちだ、そして地方裕福論を展開して、苦しい地方をもっといじめてやろう、こういうようなやり方はぜひひとつ改めてもらわなければいかぬ。特に竹下大蔵大臣お願いしますけれども、金のないのはどっちも同じなので、地方が裕福だから、金持ちだから金を巻き上げるというような考え方はぜひやめてもらいたいと思うのです。これはいつもよく出てくるように、国の財政規模も五十何兆、地方も五十何兆、似たようなものですよ。その中で比べれば地方の方は借金が少ないから金持ちだ、こう言うのです。しかし、そんなものじゃないのですよ。まず見てごらんなさい。今回のように、地方団体を横にずらりと並べておいて、一刀のもとに一%すぱっと切るのです。これは大変な権力ですよ。地方はそれに対して何が抵抗できますか。初めは反対しているけれども、電報が来れば、ぱっとやめて早く通せと言ってくるのです。まことに弱い。首を洗って切られるのを待っているだけなんですよ。これだけ国と地方というものには力の大きな差があるのです。地方というのはいわば石ころを三千三百集めたようなもので、団結した力は何もない。国は機能的にも何も全部日本じゅうをみんなまとめた強大な力を持っているのです。それを同列にして、都合のいいときだけ車の両輪だといって、おれがパンクしたからおまえもパンクしろ、こういう論理を展開してもらったら地方は滅びてしまう、私はこういうふうに思うのですけれども、いかがですか。
  448. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる地方財政富裕論という議論は確かにございますが、私も地方財政富裕論というのは遠慮しながら、申し上げる言葉といたしましては言葉を選びながら、これは例えば財政計画等で比べてみた場合に今おっしゃったように公債残高がこれだけ違うとか、そういう意味の見方であって、現実問題としては地方も国もどっちも苦しいんだ、したがって両方ともが財政改革を行って健全な体質にならなければならぬ、こういう考え方の上に立っておりますし、また、車の両輪論というものは、私もずっと言い続けてきておりますが、地方と国が対立関係にあった場合に困るのは国民であり、なかんずく住民の方でございますから、したがって、この車の両輪論という物の考え方は、今後とも国民全体の中に浸透していくような心構えで対応していかなければならぬということを自分自身にも言い聞かしておるところであります。
  449. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 自治大臣、車の両輪、私の意見に対する意見はありませんか。
  450. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 しばしば申し上げておるように、数字の上でも五十七兆という借入金があり、それから地方団体三千三百近くのうち四分の一が公債率二〇%以上、赤信号というところが八百二十団体あるということは、私はこれはもう本当に厳しい財政状況にあると思っております。
  451. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今回の補助の一律削減というものにつきまして、各方面から大変不信感を買っているのじゃないかと思います。まず第一に地方から非常に強い不信感を買っていると思うのです。自治大臣にお伺いしますけれども、一体この不信感というものはどこに原因があると思いますか。
  452. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 国は一本だが、地方は三千三百の集合体であるということもその一つの理由だと思います。ただ、いろいろな事務がほとんど地方自律性を害するような方向で、権限とかそういうことが移譲されないでそのままにおるとか、あるいは今法案が出ておりますように国の関与の見直し、適正な廃止というようなことも行われておりますが、これだけでは私は足らぬと思いまして、正直申しまして今権限の移譲とかそういうことも十分考えていかなければいけないというように私は考えております。
  453. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 まさにそのとおりですね。私はあちこち見てみましたが、知事の段階でもかなりいろいろな不信感があるのですよ。例えば、一年限りというけれども、この一年限りが二年に延びることも三年に延びることもあるのじゃないか、行革特例法の再延長がそのいい例だ、補助金の再カットもあるかもしれない、こういうような不信感を述べている知事もおります。あるいは、自治体の財政事情がよいといっても千差万別、補助制度のあり方なもっとじっくり検討してからやるべきじゃないか、こういうようなこともあります。あるいは、国の借金を地方に肩がわりするだけだ、あるいはまた、見直し作業を進めようとしているけれども財政基盤が弱くて、こんなに削られてはどうやったらいいか全然見当がつかないと頭を抱えているところもある。あるいは、不交付団体で百億も削られるので、削減をもろに受けてどうしたらいいかわからないと言っているところもあります。いろいろなところからいろいろな意味不信感というものが沸き上がってきているのです。大蔵大臣はそういうことについてどう考えますか。例えば、地方から不信感が出ているということを全然感じませんか。
  454. 竹下登

    竹下国務大臣 私どもは、やはり腰を据えて話し合いをすれば不信感というものはなくなるし、またあってはならないことだと思っております。  いつも思いますのは、私も、昭和五十一年でございましたか、官房長官をやめた後初めて所管大臣というものをやったことがございます、これは建設大臣でございましたけれども。一つの例でございますが、それこそ国家公務員たる者、地方公務員に対していささかの優越感も持ってはならぬ、県庁職員もまた市町村職員に対してそうではないか、だからお互いの信頼関係がまず何よりも大事だということを就任に当たっての訓辞で申したことがありますが、今大蔵省という役所を所管しながら、そのことを忘れてはならぬというふうに自分にも青い聞かせておるところであります。     〔熊谷委員長代理退席、越智委員長着席〕
  455. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 自治大臣にお伺いしますけれども、五十九年九月に、自治大臣、自治省が一律削減の不当性を主張しまして、「国庫補助金等整理合理化方策について」というメモを出していますね。このメモが大蔵省に全然取り上げられなかった理由は何ですか。
  456. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 大蔵省も、それを読んで、その意味は恐らく理解してくれたかと私は思っておりますが、財政状況が厳しくて、どうしてもそれを検討する余裕がなかったのじゃないだろうかという率直な気持ちを私は持っておりますが、私どものそのメモでは、補助金というものの本質、それから補助金というものの整理合理化の必要、そして事務などの縮小あるいは要らぬものは廃止するとか、そういういろいろなことをあわせてそういうメモが出ておるということは私はよく知っております。  だから、そういうメモを、これは地方の意見を集約しましてつくったものだろうと私は思っておりますので、今後この一年間でいろいろ協議する場合にもこれは重要な資料である、私はそう理解しておるのであります。
  457. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 大蔵大臣に今のことでお伺いしますが、自治省が出したメモをなぜ取り上げなかったのですか。
  458. 竹下登

    竹下国務大臣 あれは、あの当時の議論でございますが、いわゆる高率補助あり方にかわるべき考え方として出てきた。したがって、私どもは両方をやらせていただく、こういう立場に立って、言われた点の中でつまみ食いでは決してございませんが、一般財源化の問題でございますとか人件費補助の問題については、これを消化させていただいてお願いしておるということでございます。
  459. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 もう時間がないからよしますけれども、あなたの本心はそういうことではないと思うのですよ。自治省から出たのは、一律削減なんという一律減反みたいな乱暴な案じゃなくて、仕事もなくする、金もなくする、こういう案なんです。そうすれば地方負担がかからぬ。それをやりたければ地方が勝手に財源を探してやればいいのです。まさに行革の精神に合致している。自治省は地方負担をかけたくないから、金を減らすならば仕事を減らせ、こういう形でもって、余り重要でない仕事を減らして金を減らせという案を立ててあなた方にやったのです。ところが、これを実際に実施するというと各省が猛烈に反発する、なぜおれのところを減らすのかと言って。それでやれない。ちょうど一律減反をやっているのと同じですよ。各省の反発が強いからあなた方やれないのです。だから全然行政改革につながらない。そして一律にばさっとこんな乱暴なことをやったのです。あなたはそうは言わないけれども、私はそう思っていますし、多分それが真相でしょう。  今あなた方は、口を開けば、この一律カットは行革だ行革だと言って、行革をかさに着てやっていますけれども、行革でも何でもないのです。自治省の出した方策というもの、あのメモこそがある程度本当の意味行政改革に近いものなんです。あなた方のやっているのは、行革を口にするけれども、何の行革でもないのですよ。並べておいて一律にばさっと一〇%切ってしまう。まさに、こんな乱暴なことをやるよりも、やらなければいけないことがもっともっとたくさんあるのじゃないか、私はこう思います。  せっかく柴田さんが出てきておられますので、この一律カットにつきまして地方制度調査会が非常に立派なことを言っております。地方制度調査会は五十九年十二月四日にこれにつきましてこう言っております。「補助負担対象を一方的に縮小するなどは、単に国の財政負担地方に転嫁するにすぎず、国・地方を通ずる行政改革の理念に反するものである。したがって、このような方策は、国の財政の立場を優先する余り、国と地方の間の財政制度の基本的枠組みをゆるがし、その信頼関係を損うこととなるので、とるべきでない。」このように大変立派な答申をしています。  この問題については、竹下大蔵大臣は信頼を損うようなことはやるべきでないと言っているのです。今度この法律ができて、まさに成立するかもしれない状態になってきていますが、今でも地方制度調査会ではこの考えに変わりはございませんか。
  460. 柴田護

    柴田参考人 補助金整理必要性は前から言われておりますし、補助金整理するといえば仕事を整理する以外に方法はないのです。本筋からいえば、お互いに国と地方の分担を考え直して、その結果補助率をいじる、これが本筋だと思います。その考え方は変わりません。
  461. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今地方が非常に不信感を持っているのは、行革をやるから不信感を持っているのではないと私は思うのです。逆に、行革をやらないで金だけをぶった切る、こういうことをやっているから地方の不信が非常に高まってきていると私は思うのです。今だれでも、私ども野党であるけれども、野党でさえも、全面的にあなた方の臨調の行革に賛成するわけじゃないけれども、何かしら行革をやらなければいけないと思っているのです。それをむしろ逆に期待している。ところが遅々として進まない。例えば、許認可の問題でもあるいはまた園の関与の問題でも、つめのあかみたいなやつが出てきているけれども、また機関委任事務の問題でも、長い間、しかもこうやればいいという答弁まではっきり出ているような問題でも、柴田さんおられますけれども、十七次地方制度調査会の大変立派な、模範になるような解答が出ているのにさっぱりそれを取り上げようとしないで、そうしておいて金が足りない金が足りないといって金を集めにかかる。ここのところに地方自治体の最大の不信感がある、私はそう思います。自治大臣大蔵大臣の御所見を聞かしてください。
  462. 竹下登

    竹下国務大臣 先ほども御指摘のありました、昨年九月に出ましたところのいわゆる補助金等整理合理化の方策についてという、前文から読んでみましても、それは地方自治のあるべき姿というものが行革を含め真剣に書かれたものであると思っております。そして、今柴田さんからもお話がありましたが、あの答申そのものも忠実に読むべきであるというふうに私は思っております。その問題について、今日かくなる法律を御審議いただいておるのは、その後各方面へ理解を求めんとしたのは、いわゆる財政措置というものの具体的な問題をお示しをしてきた。が、いずれにせよ、私はいつもばかの一つ覚えみたいに申しますが、いわゆる車の両輪たる地方財政と国家財政あり方については、その基本に流れるものは相互信頼関係であらなければならぬ、時に痛みを分かち合う場合もそういう理解の上に立ってやらなきゃならぬ課題だというふうに私は考えております。
  463. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 今回の一律カットぐらい最近評判の悪い法律はないですよ。どの新聞の論調、社説を見ましても全部反対だ、私はみんなここに持ってきていますが。今柴田さんがおっしゃられたように、同じ総理大臣の諮問機関である地方制度調査会も真っ向から反対している。さらに、ここに「昭和六十年度の地方財政についての意見」という地方財政審議会が出した意見もある、これも真っ向から反対です。これくらい各方面、各層から反対の多い法案というのは、私はしばらく見たことがないくらいこれは反対が非常に強いのです。しかも、これを排除して強引に進める、ここのところに国民全体から非常に不信感を買う原因があると私は思うのです。財政が苦しいから行政を改革する気になるのである。苦しいから行政を改革しないで金だけ集めよう、こういうようなことはのど元過ぎれば熱さ忘れて、今一%カットしても、国の財政がまたあれになれば、与党というのは補助金でもって票を集めているのですから、もう少しなれば、またすぐカットした分取り戻せといってどんどん補助金攻勢をして、またもとのもくあみになって、何の改正にもならなくなるのじゃないかと私は思います。  だから、やはり苦しいときこそむしろ歯を食いしばって、金集めより先に行政を改革しなければいけない、こう思いますよ。それなのに今政府のやっていることは財政のつじつま合わせで、本当の行革は何もしていない。今国が強引に地方への補助金をカットしている、これはまさに地方財政法に違反しているとしか思われないのです。これは違反してないと思うけれども、しかし、こんなことよりも国と地方の間のむだというものをもっと一生懸命精力的に整理する必要があるのではないか。財政だけがどんどん先行していけば、金に引っ張られてますます制度がゆがんでしまうのですよ。だから、この際何とか歯を食いしばってでも、金よりも財政よりも先にまず行政を、あなた方の言うように身軽な行政にする必要があるのではないか、こう思います。  さっきも申し上げましたように、今国が貧乏で地方が金持ちだ、こんな議論をしておっても全く不毛の議論なんです。国も地方もどういうふうにしたらいいかということをもっと大きな視点から考えなければいかぬと思います。中曽根総理は、この間八日の連合審査で聞いておりましたら、はっきり言わしてもらうけれども地方は金持ちだと言って開き直ったのです。私はこれを聞いてびっくりしました。なるほど、行革なんて立派なことを言っているけれども、やはり地方を金持ちに仕立ててピンはねするつもりだなとぴんときましたよ。語るに落ちたというか、馬脚をあらわしたのではないかと私は思っておりますけれども、こんな議論しておっても何もならぬのです。  竹下さん、あなたはただの金庫を守る番頭型の大蔵大臣じゃなくて、創政会を率いて一国の宰相をねらっているのですから、いわば日本の政治家の代表の一人なんですよ。いかに財政が苦しいといっても、何の哲学も持たないで、弱い地方をいじめて幾ばくかの金を集めるというような、こんなさもしい心を持たないでもらいたい。もっと根底的な改革にみずから飛び込んで取り組んでもらいたい。これは野党の批判としてではなくて、国民がみんなそう思っていると私は思います。こんな小手先の小わざで財政の再建なんてできるはずがないのですよ。どうかひとつ、真の行政改革に取り組むために、この法案を勇断を持って撤回して、しっかりと財政改革、制度を改革してそれに金をつけるというような本当の意味の改革に取り組んでいただきたい、こう思いますけれども、いかがですか。
  464. 竹下登

    竹下国務大臣 ここまで熱心に審議をしていただき、その審議の間にもろもろの忠告をいただいただけに、私はこの法律が早期に成立することを心から期待をしておるということが、私が正確にお答えする誠実な答弁ではなかろうかというふうに考えております。
  465. 佐藤敬治

    佐藤(敬)委員 終わります。
  466. 越智伊平

    越智委員長 柴田参考人には、夜間御出席いただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午後八時七分散会