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1985-06-12 第102回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月十二日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       糸山英太郎君    大島 理森君       金子原二郎君    瓦   力君       笹山 登生君    自見庄三郎君       塩島  大君    田中 秀征君       月原 茂皓君    中川 昭一君       東   力君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    山岡 謙蔵君       山崎武三郎君    山中 貞則君       若林 正俊君    伊藤  茂君       上野 建一君    川崎 寛治君       戸田 菊雄君    野口 幸一君       浜西 鉄雄君    武藤 山治君       元信  堯君    草川 昭三君       古川 雅司君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    玉置 一弥君       塚田 延充君    中野 寛成君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      角谷 正彦君         大蔵大臣官房審         議官      関   要君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省証券局長 岸田 俊輔君         大蔵省銀行局長 吉田 正輝君         大蔵省国際金融         局長      行天 豊雄君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    太田  博君         通商産業省通商         政策局南アジア         東欧課長    小澤 通成君         通商産業省機械         情報産業局通商         課長      岡部 武尚君         通商産業省生活         産業局文化用品         課長      北畠 多門君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 六月十二日  辞任         補欠選任   加藤 六月君     月原 茂皓君   宮下 創平君     若林 正俊君   山中 貞則君     自見庄三郎君   渋沢 利久君     浜西 鉄雄君   野口 幸一君     上野 建一君   藤田 高敏君     元信  堯君   石田幸四郎君     草川 昭三君   安倍 基雄君     塚田 延充君   玉置 一弥君     中野 寛成君 同日  辞任         補欠選任   自見庄三郎君     山中 貞則君   月原 茂皓君     加藤 六月君   若林 正俊君     宮下 創平君   上野 建一君     野口 幸一君   浜西 鉄雄君     渋沢 利久君   元信  堯君     藤田 高敏君   草川 昭三君     石田幸四郎君   塚田 延充君     安倍 基雄君   中野 寛成君     玉置 一弥君     ————————————— 六月六日  不公平税制是正大型間接税導入反対に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第五三二五号)  同(加藤万吉紹介)(第五三二六号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案反対等に関する請願小沢和秋紹介)(第五三七七号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第五三七八号)  同(工藤晃紹介)(第五三七九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第五三八〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第五三八一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五三八二号)  同(中林佳子紹介)(第五三八三号)  同外一件(野間友一紹介)(第五三八四号)  同(林百郎君紹介)(第五三八五号)  同(不破哲三紹介)(第五三八六号)  同(正森成二君紹介)(第五三八七号)  同(松本善明紹介)(第五三八八号)  同(三浦久紹介)(第五三八九号)  共済年金掛金引き上げ反対等に関する請願柴田睦夫紹介)(第五三九〇号)  同(田中美智子紹介)(第五三九一号) 同月十一日  毛皮製品に対する物品税課税廃止に関する請願鯨岡兵輔紹介)(第五四三五号)  不公平税制是正大型間接税導入反対に関する請願大出俊紹介)(第五四三六号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案反対等に関する請願外一件(浦井洋紹介)(第五四三七号)  同(東中光雄紹介)(第五四三八号)  同外一件(経塚幸夫紹介)(第五五〇四号)  同(田中美智子紹介)(第五五〇五号)  同外一件(梅田勝紹介)(第五五五二号)  同(柴田睦夫紹介)(第五五五三号)  同(瀬崎博義紹介)(第五五五四号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第五五五五号)  同(津川武一紹介)(第五五五六号)  同(辻第一君紹介)(第五五五七号)  同(中川利三郎紹介)(第五五五八号)  同(中島武敏紹介)(第五五五九号)  同(不破哲三紹介)(第五五六〇号)  同(藤木洋子紹介)(第五五六一号)  同(藤田スミ紹介)(第五五六二号)  同(簑輪幸代紹介)(第五五六三号)  同(山原健二郎紹介)(第五五六四号)  共済年金掛金引き上げ反対等に関する請願津川武一紹介)(第五五〇三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第七六号)(参議院送付)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出第七七号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  まず、政府より順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。     —————————————  国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律   の一部を改正する法律案  証券取引法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  最初に、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  国際金融公社は、加盟開発途上国民間企業に対し投融資を行い、もって当該国民間経済活動促進等に資することを目的とする国際開発金融機関であり、世界銀行グループの一員として世界銀行及び国際開発協会活動を補完しております。昨年六月、同公社につきまして、総額六億五千万ドルの増資の合意が成立したところでありますが、我が国は、世界銀行グループの役割の重要性にかんがみ、本増資についても、これに応募することとし、本法律案を提出した次第であります。  法律案内容は、今回の増資に伴い、政府が同公社に対して新たに三千五十一万ドルの範囲内において追加出資ができるよう、規定の整備を行うものであります。  次に、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  我が国公社債市場は、国債残高累増等背景に、近年急速な拡大を示しております。公社債残高が累増するに従い、価格変動リスクを回避する必要性が、証券会社金融機関機関投資家等の間で高まっております。また、諸外国において債券先物取引は、今や金融資本市場の重要な一分野として定着しつつあります。  このような状況を踏まえ、証券取引所において債券先物市場が開設されるに当たり、取引活発化円滑化等を図るため、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、証券取引所は、国債証券等に係る先物取引について、会員以外の証券会社及び外国証券会社並びに証券業務の認可を受けた金融機関のうち大蔵省令で定める業務を行う者に債券先物市場における取引資格を与えることができることとし、この場合、これらの者を、国債証券等先物取引を行う範囲において、会員とみなすこととしております。  第二に、証券取引所は、国債証券に係る先物取引について、その取引円滑化に資するため、取引対象として、利率償還期限その他の条件を標準化した標準物を設定することができることとしております。  第三に、先物取引の履行を確保するとともに、投資者保護を図る観点から、先物取引について、売買証拠金及び委託証拠金に関する規定を設けることとしております。  以上が、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  4. 越智伊平

    越智委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  5. 越智伊平

    越智委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
  6. 上田卓三

    上田(卓)委員 証券取引法の一部改正につきまして、それを中心にしまして若干質問を申し上げたい、このように思います。  今趣旨説明があったわけでございますが、我が国公社債市場は、国債大量発行背景として増大の一途をたどっておる、こういうことで、去年の売買高は七百六十七兆円にも達しておる、こういうような状況で、特に価格変動リスクを回避するという立場で、この先物市場必要性というものを我々自身はある程度理解はできるわけであります。しかし、これは初めての試みでもあるということで、大変心配する向きもあるわけでございます。そういう点で、債券先物市場をつくる必要性というものをもう少し詳しく、また実際上の機能について説明をしてもらいたい、このように思います。
  7. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 先生指摘のように、最近公社債残高が累増してまいりまして、債券価格変動が及ぼします影響がますます大きくなってきておるという状況でございまして、この価格変動リスクを何らかの方法で回避したいというニーズが、事業会社投資家の間で高まってきているわけでございます。特に、これからの金融市場国際化金利自由化進展に伴いまして、金利変動幅拡大をする可能性があるわけでございます。また、六十年度からは、国債大量償還、借換債の発行増額等が、国債流通価格金利全体に影響を及ぼすものと考えられてきているわけでございまして、債券価格変動に対しますリスクヘッジ必要性はますます高まってくるという状況でございます。  また、最近では、先物取引は世界の主要な金融市場の重要な一分野として定着をいたしてきているわけでございまして、我が国でもこれを導入いたしませんと、国内のこういうリスクヘッジニーズが海外へ逃げていくというようなことも考えられますし、また、外国投資家日本債券市場に入ってまいります場合に、こういう先物市場がない場合には、投資の意欲を減退させるというような状況も出てくるかと思うわけでございます。このために、そのリスクヘッジを広範に、機動的に、かつ低コストで行うことができる先物取引我が国にぜひできるだけ早く導入をいたしたいというふうに考えているわけでございます。  先物取引と申しますのは、不特定多数の投資家が参加します取引所で、定型化されました形で行われるというのがまず一つ特色でございまして、投資家にとりましては非常に便利であり、また、取引所機能を使うことによりまして、コストも低廉で行われるということになるかと思います。  それからまた、こういう多数の取引でございますので、いわゆる先物決済をされますときに、現物取引だけでなしに、差金取引で行えるというのが一つ特色でございます。諸外国の例を見ましても、ほとんどがそういう差金決済で行われているというような制度になっているわけでございまして、証拠金その他も非常に低率なものに考えているわけでございますが、投資家にとりましては低コストで、証拠金も低率で行えますし、取引を通じましてリスクヘッジもこういう形で効果的に行えるという機能を持っているわけでございます。
  8. 上田卓三

    上田(卓)委員 リスクヘッジあるいはまた大量の国債の円滑な消化あるいは相場の維持、こういうようなものになる、それで取り急ぎ先物取引市場を創設するということになったんだろうと思うのです。  そこで、今回の対象長期国債に限っておる、そういう意味で、その理由は一体どこにあるのかということ。それから、短期中期国債も当然先物市場対象になってくるんじゃなかろうか、こういうように思うわけでございまして、その点はどうなるか、あるいは債券以外の金融商品についてはどういうような見通しがあるのか、そういう点についてお答えいただきたい、このように思います。
  9. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 昨年の十二月の証券取引審議会で報告をいただいたわけでございますが、その場合、先物取引対象証券適格条件というものにつきまして、これは債券発行の主体が支払い能力が高く、それから支払い不能等リスクが少ない、また、利息の支払い、元本の償還等条件の規格が統一をされていること、それからまた、債券自体発行量発行残高が多くて、現物市場においての取引高が大きいということが要件の一つになっておるわけでございます。また、現物市場におきまして、価格情報が広く継続的に提供され、しかもその情報に対します人々の信頼度が高いというものが、先物取引対象証券として適格なのではなかろうかなという御指示をいただいておりまして、こういう観点を考えてまいりますと、まず長期国債が最もよくこの条件を満たしておるということになるのかと思います。したがいまして、当面、長期国債から先物市場で開設をしていきたいというふうに考えているわけでございます。  ただ、先生指摘のように、今後とも長期国債だけに限るのかということになりますと、やはり中期短期といった期間の異なります国債対象とすることも、これはニーズによりまして当然また今後考えていかなければならない問題かと思います。それからさらに御指摘のように、国債のみならず、金融先物につきましてこれからどうしていくかということも、全体の投資家ニーズその他諸般の情勢の推移を考えながら、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  10. 上田卓三

    上田(卓)委員 次に、取引所税の関係でございますが、現在先物取引では、商品取引にはこの税金がかかっておるわけでありますが、債券先物取引では非課税、こういうことのようでございますが、大蔵省内部でもやはり課税すべきではないかという意見もあったやに聞いておるわけでございます。当然、これは非常に投機性の高いものだと我々はやっぱり考えざるを得ない、こういうように思うわけでございまして、非課税でいいのかどうかという点で非常に疑念もあるわけでございますし、また、他の金融商品にも将来拡大するということになれば、それについてもどうするのかということが我々の大きな関心であるわけでございますので、その点について明確にお答えをいただきたい、このように思います。
  11. 角谷正彦

    角谷政府委員 一般的に言いまして、有価証券あるいは今先生指摘商品に対する先物取引につきましては、取引所税法における取引税というのが課せられることになっておるわけでございます。すなわち、取引所税法における取引税というのは、特定法律に基づいて設置されました公開の市場である取引所、つまり商品取引所あるいは証券取引所において行われます売買取引のうち、いわゆる差金の授受によって決済できる清算取引、いわば先物取引でございますが、そういうものに対しまして、背後に担税力を推定いたしまして課税するということになっておるわけでございます。そういった意味で、現在の法律規定におきましても、地方債社債というものにつきましては万分の一、それから有価証券株式等でございますが、そういったものにつきましては万分の二〇、それから商品につきましては今御指摘のように万分の二・五といったふうな税率で課税することにしているわけです。ただ、地方債等を含め有価証券につきましては、戦後四十年にわたりましてGHQの指令もございまして、先物取引現実に行われていないといったふうなことから、現実課税は現在商品取引にとどまっているという状況でございます。  そこで、現段階におきましてどういうことかといいますと、国債につきましては明治三十九年以来非課税という取り扱いになっておるわけでございます。これはなぜ明治三十九年以来非課税になっておるのかといいますと、当時の記録を調べてみますと、日露戦争のときに非常に大量に国債発行した、その国債の円滑な消化を図る必要があるということを主たる理由といたしまして非課税になって、それが現在に至っているという状況でございます。そこで今、今回の証券取引法改正に伴いまして、新たに証券取引所におきまして、国債につきまして先物取引が実施されるといったことに伴いまして、それを課税すべきかどうかといった点について、私ども事務的にも十分検討したわけでございます。  ただ、先ほど証券局長申しましたように、国債先物取引といいますのは、国債価格変動リスクを回避するという手段を提供することによりまして、大量の国債発行あるいは消化流通円滑化に資するといった機能を持つものとして、戦後初めて開設されるものでございまして、その立ち上がりをやはり円滑にやっていく必要性はそれなりに認められるであろう。  それからもう一つ、さっき申しましたように、先物市場が償券については現在ございませんものですから、一体今後、今回開設されます国債先物市場の姿といったものが具体的にどういうものになるかということにつきまして、なお十分な材料も現時点においてないといった状況にあるわけでございます。こういった事情から、当面、国債先物取引につきましては、現在の取引所税法非課税規定というものはこれを維持するということにいたしまして、今後先物取引が開設されました後の市場の姿とかあるいは取引の実態等踏まえながら、その取引税課税問題についてできるだけ早く結論を得るように引き続き検討していきたいというのが、現在の状況でございます。  それから、今後、先物取引対象が他の金融商品等に広がったときに一体どうなるかといった問題でございますが、これは先ほど御説明しましたように、国債についてのみ今非課税になっておりますので、一般の地方債社債あるいは株式等有価証券取引されるようなことになった場合には、これは現在の法律規定におきましても課税されるということになっております。  それからまた、さらに今後、経済取引進展等に伴いまして、有価証券以外のいろいろな金融商品といったものが清算取引で出てくるといったことも予想されないわけではないわけでございますが、これはまだその段階におきまして、現在の商品取引所法あるいは証券取引法範囲でどういった取り扱い商品を含めていくかということとも関連するかと思いますけれども、そういった時点におきまして、私どもとしましては、課税対象とされているものとの課税のバランスとか、それからその取引実態等を踏まえながら、取引税課税のあり方について検討していく必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  12. 上田卓三

    上田(卓)委員 大量の国債の円滑な消化ということから非課税、こういうことを考えておられるようですが、先ほど私も申し上げましたように、非常に投機性の高いものであるということ、それから将来やはり債券以外の金融商品にも拡大する可能性を秘めているということを考えた場合、とりあえず非課税で実施して云々というよりも、将来を見通した場合、その点を明らかにしておくことが非常に大事ではないか、こういうように考えておりますので、その点ひとつ留意していただきたい、こういうように思います。  次に、先物取引のやり方として標準物を設定する、こういうことのようでございますが、その標準物というのは、いわゆる実在する多数の銘柄利率あるいは償還期限等条件を標準化した架空債券、何かこういうように定義されておるようでございますが、これを有価証券とみなして取引所に上場して取引を行う、こういうことのようでございますが、実際上は存在しないという架空債券ということのようでありますので、実際私自身も一体どういうものなのかということで、ちょっと想像しにくいわけであります。非常にわかりにくいわけでありますが、その点についての設定の仕方とか、あるいは交換の比率などについてひとつ詳しく説明いただきたい、このように思います。
  13. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 先物取引対象といたしまして、これは具体的な個別の銘柄を挙げてもいいわけでございます。ただ、その場合は、具体的な銘柄でございますと、例えばその時期によりましてだんだん残存期間が短かくなるとか、また銘柄を入れかえますとクーポンレートがまちまちになってくるとか、それからまた非常に多数の銘柄をやりますと、非常に複雑になってくるわけでございます。そういう面で、こういう具体的な銘柄を挙げるのはどうかなというのが欧米でも言われていたわけでございまして、ここに考え出されましたのが、先ほど申します標準物という考え方でございます。  これは、先ほども申しましたような問題点を回避をいたしまして、取引円滑化に資するために、先物取引対象になります国債につきまして、取引所が、利率とか償還期限等条件を標準化すると申しますか、特定をいたしまして、ある意味では非常に観念的な債券を創設をするわけでございます。それに、これを対象にいたしまして取引をいたしますということになりますと、対象物一つでございますので、取引が非常に簡明になってくるという点もございますし、また、既に諸外国におきましてこういう標準物も採用されておりますので、外国投資家日本市場に入ってまいります場合にも、非常になじみやすいというような利点があるわけでございます。  この債券自体が観念的なものですし、概念的なものでございますので、これを実際上決済するときどうするかという問題が出てくるわけでございます。事実上は、先物取引取引所を通じますいわゆる差金決済という形で、差額につきまして現金で決済をするという形になっているわけでございますが、投資家の希望によりましては現物を引き取りたいという話が出てくるわけでございます。この場合は、取引所がこの標準物債券現実債券との間の換算率につきまして非常に大きな詳細な表をつくっておりまして、投資家がそれを見れば、標準物で幾らの差額が出たから現物はどれだけもらえるかということが明確になるように操作をしたいというふうに、制度の構築を考えているわけでございまして、結論的に申しますと、標準物を採用することによりまして取引が簡明になりますし、それから、実際の受け渡しにつきましても、先ほど申しましたような一つの新しい制度をつくって投資家にも周知徹底させて、簡便にそれを行えるようにしていきたいというふうに私どもは考えているわけでございます。
  14. 上田卓三

    上田(卓)委員 次に、証券取引所会員ですね、証券会社と、それから国債のディーリング、いわゆる窓口販売が認められている外国銀行を含む三十七の銀行が当面この市場に参加できる、このようでございます。しかし、この窓口販売の認可銀行は、この六月から新たに地方銀行が四十四、それから相互銀行が一つ追加されて拡大されているようでございますが、さらにこの東京証券取引所会員になっていない証券会社の中にも、この先物市場への参加を希望する方々がおるやに聞いておるわけでございますので、これらの取り扱いをどうするのか、参加者の枠を今後どういう形で広げていくのか御説明いただきたい、このように思います。
  15. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 先物取引市場につきまして、先生指摘のように、この際、取引所会員のみならず非会員証券会社、それから外国証券会社も含みますが、さらに金融機関でディーリングを行うものも取引対象となることができるというふうに改正をお願いしているわけでございますが、現実にこれが取引所取引ができるかどうかという問題になりますと、これは証券取引所の定款で、さらにこれらの機関の国債のディーリングの遂行能力その他を勘案をいたしまして、今後検討の上で決定をしていきたい。すなわち、現実に広がりました枠の中から、ある程度まではその遂行能力その他で選定をするということが、今後検討されていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  16. 上田卓三

    上田(卓)委員 次に、証拠金の額をどうするのかということでありますが、売買の最低単位を例えば一億円にする、そして証拠金の料率をアメリカ並みの三%前後にすると三百万円ですね。これでは個人投資家でも参加できる、こういうことで、一千万円にするとか、そういう最低単位を設定するというようなことが必要になってくるんじゃなかろうか、このように思いますので、その額をどうするのか、それから個人投資家の参加条件を今後どう見通しておるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
  17. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 先物取引の売買の単位それから証拠金の率、これは現在私どもとして、今後法律の成立をいただきました後において検討いたしたいというふうに考えているわけでございますが、私どもとしての基本的な考え方といたしましては、やはりこの先物取引と申しますのは、現物市場なり何なりに安定的に作用するとは考えておりますが、しかし一方において非常にリスクの多い市場にもなることも考えますと、やはり基本的には機関投資家中心の市場というものを考えているわけでございます。そういう意味におきまして、個人投資家にもやはりリスクヘッジニーズというのはあるわけでございまして、一つには投資家保護の面からある程度まで売買単位なり証拠金率を上げなければいけない。しかし、一方において個人投資家にもリスクヘッジ機能を果たすためには、ある程度低めなければいけない。両サイドの考え方があるわけでございます。私どもといたしましては、今後の検討の課題でございますけれども、この両面を考えながら検討していきたいというふうに考えております。  ただ、ちなみに今一座言われておりますのが、売買単位一億円それから証拠金率三%と、先ほど先生が御指摘されたようなものが一つの考え方としては出てきているということでございます。
  18. 上田卓三

    上田(卓)委員 先ほどこの先物市場の創設の意義としてリスクヘッジということが強調されておったわけでありますが、一方、証券取引審議会の提言の中にも出ておりますように、この先物取引現物取引に比べて非常に投機性が強いと先ほど私も申し上げたわけでございますが、そういう点でこの先物取引の過度の投機が市場を混乱させるということも大いにあり得るのじゃないか、こういうふうに思います。また同時に、この先物市場の本質を一言で言えば、リスクを他人に転嫁するのか自分が引き受けるのかという、そこにやはり選択の場があるのじゃなかろうか、こういうように思うわけでありまして、そういう点で投機取引そのものである、こういうふうに断言してもいいのではないか、こういうように思います。  そこで、そういう投資家保護の観点から、やはり過度の投機にならぬように市場をコントロールをするということが非常に大事だと思いますが、そういう点についてどのような対策を考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  19. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 先物取引は、先ほど申しましたように、低率の証拠金があれば売買ができるわけでございますし、差金決済で行えるというような点で、ある意味では当然非常に投機的な面があるわけでございます。このために、先物取引の仕組みを構築するに当たりまして、その点私どもも十分検討し、投資家保護の実が上がるように、仕組み自体を構築していきたいというふうに考えているわけでございます。  具体的に申しますと、証拠金の率をどういうふうにしていくか、例えば非常に投機的な動きになってきた場合にはそれをどういうふうに上げるかというようないろいろな制度的な問題もあるかと思います。またさらに、日々に投資家が損益がはっきりわかるようないわゆる値洗いというものを導入をしていきたいというふうに考えておりますし、さらにまた、変動の大きい場合には値幅制限ということで、取引の一定の幅以上については申し込みを受けないというような方法も考えられるわけでございます。またさらに、先ほど申しました売買単位でございますが、投資家保護の観点から余り金額を少なくするということになりますと、資力のない者もこの市場に参入してくるという場合には非常に危険もあるわけでございますので、売買単位を決めますときにも、そういう投資家保護ということの観点から十分考えていかなければいけないというふうに考えております。またさらに、この先物市場が、リスク回避の非常に重要な市場であるけれども、一方においてリスクのある市場であるということにつきましての周知徹底を、やはり図っていかなければいけないというふうに考えているわけでございます。  最後に、やはり先物取引取引につきまして、債券現物ないしは株式と同じように、価格の監視体制というものも十分強化していきたいというふうに考えております。
  20. 上田卓三

    上田(卓)委員 次に、先般の委員会でも私は貿易摩擦の問題、そしてその解消のために内需の拡大、景気回復策をとるべきではないか、そういう観点で質問申し上げたわけでございますが、きょうは通産省の方もお見えでございますので、特に市場開放の問題、とりわけ革靴の輸入の自由化の問題、非常に業界の方々が御心配いただいておりますので、そういう点で質問申し上げたい、こういうように思うわけであります。  特に、今回アメリカから革靴の自由化要求が非常に強い形で出されておる。そういうことで、ことしの二月にアメリカは、日本の革靴の輸入総量の規制がガット十一条違反、こういうことで日米の二国間協議を要求をされてきた。そして四月から、二十三条一項に基づいて二国間協議を開始されたようであります。ところがこの六月に入って、六月六日のガットの理事会でアメリカが、ガット二十二条二項に基づく多国間協議への移行を強く主張してきた、こういうことのようでございます。革靴の自由化については、後で申し上げます日本の国内産業のさまざまな経過、そういうことから、方策といいますか施策がとられてきておるわけでありますが、そういうことも含めて日米間にどういうような経緯があるのか、ひとつ詳しく御説明いただきたい、このように思います。
  21. 北畠多門

    ○北畠説明員 上田先生の御質問について御説明をいたしたいと思います。  我が国の革靴の輸入割り当て制度につきましては、ガットあるいはアメリカ等の方から大変強い圧力を受けておるような状況でございますが、その状況について簡単に御説明をいたしたいと思います。  アメリカの方におきましては、アメリカに全米履物協会という協会がございまして、こちらの協会の方が、アメリカの通商法に基づいて、日本を初めとする各国の輸入制度がおかしいのではないか、こういうような主張がございまして、昭和五十七年の末でございますが、アメリカ政府に対して訴えを出しておるようなわけでございます。それを受けまして、昭和五十八年の一月でございますが、米国からガット二十二条に基づきます二国間の協議の申し入れがございまして、この場所におきましては、革靴の輸入割り当て制度につきましての情報交換を行ったわけでございます。  その後、アメリカの方等からは、もちろん日本制度についていろいろクレームがあったわけでございますが、ことしの二月になりまして、先ほど上田先生指摘のとおりでございますが、ガット二十二条一項に基づきます二国間の協議を申し入れてきたわけでございます。これを受けまして、ことしの四月でございますが、ガット二十二条の一項に基づきます二国間の協議をジュネーブで実施をいたしました。  その協議の際におきましては、我が国としては、先ほど先生指摘のございました革靴産業の困難な状況及び輸入割り当て制度必要性というものにつきまして、強く米国側の理解を求めるべく十分な説明をいたしましたし、さらに、現実的な解決策を提案するということで、米国側が日本市場に対して関心があるのであれば、例えば見本市を開くとかあるいは業界間でいろいろ情報交換をしたらどうかというようなことを提案をいたしました。しかしながら、米国は、輸入割り当て制度についてはガット違反であるというようなことを主張をいたしまして譲らなかったようなわけでございます。  私ども、このような事態を大変重視をいたしまして、私どもの幹部がアメリカのワシントンの方に参りまして、そのような日本の国内の事情あるいは日本側の誠意ある提案というものにつきましてるる説明をし、米側の理解を求める努力をしたわけでございます。しかしながら、米国側の主張といたしましては、ガットにおきまして、日本の革靴の輸入割り当て制度が、先ほど先生の御指摘のとおりガットの十一条違反であるということを非常に強く主張して、多国間の協議に移るべきであるということを六月六日に主張したというのが経緯の概要でございます。  いずれにいたしましても、米国など諸外国からの我が国の革靴の割り当て制度の撤廃の要求につきましては、相当厳しいものがあることは事実でございます。私ども通産省といたしましても、米側に理解を求めるなど最大限の努力をしてまいっておるつもりでございます。
  22. 上田卓三

    上田(卓)委員 いずれにしても国内の業者の保護という立場から考えますとアメリカとの二国間協議を先行すべきであって、多国間協議ということになりますと日本は大変不利をこうむる。それは先般のなめし革の場合についてもそういう苦い経験を我々は得ているわけでございますし、一応政府はこのウエットブルー、半製品の部分だけ開放しよう、こういうことになったようでございますが、それでも業界は大変な打撃をこうむっていることは先刻御承知のことだろう、こういうふうに思うわけでありまして、そういう点で通産省としてぜひとも、多国間協議には移らさない、あくまでも二国間で協議していくんだ、そういう強い決意というものをやはりここでお示しいただきたい、このように思います。
  23. 北畠多門

    ○北畠説明員 先ほど御説明をいたしましたように、私どもといたしましては二国間の協議の場を通じまして、我が国の立場について十分説明をする努力を今後とも続けてまいりたいと思っております。
  24. 上田卓三

    上田(卓)委員 革靴に限って申し上げるならば、今アメリカに大きな害は与えていないのではないか。数字で申し上げますと、日本がアメリカに対して輸出している数量が約二十八万足、金額にして十億一千四百九十一万円ということでありますが、逆にアメリカの製品の輸入は約十四万足で十億七千四百三十二万円。そういう意味で、少しでありますが日本の方が入超になっておる、こういうことではないか、こういうように思っておりますので、そういう点で、靴に限って言うならば決してアメリカには害を与えてない。  それだけではなしに、革靴の原料の輸入ということになりますと、もう大部分がアメリカからの輸入ということになっておるわけでありますから、アメリカの靴を大量に輸入することによって日本の国内の業者がつぶれてしまうということになれば、アメリカからの原材料、原皮を輸入することはできなくなるわけですから、日本に靴、革の業者がいなくなるわけであります。そういう意味で、アメリカの業者を守るという立場からも、日本の革靴業界をこれ以上瀕死の状況に追い詰めるということはいかがなものだろうか。そういう意味で、私はアメリカに情理を尽くして話せばはっきりわかってもらえるのではないか、こういうふうに思うのですね。  ちなみに、ケミカルシューズも含めてアメリカの全体の市場の〇・五が日本からの製品であるということを考えたら、もっと、例えば、後で申し上げますが、台湾とか韓国とかブラジルとか、そういう国の製品が大量にアメリカ市場を荒らしておるということであって、日本がそういうアメリカの困った状況を救わなければならぬという状況は全くないのではないか、私はこういうふうに考えておりますので、その点について、私が申し上げたことについて課長の見解なりを聞かしていただきたい、このように思います。
  25. 北畠多門

    ○北畠説明員 ただいま先生の御指摘がございました革靴につきまして、日本と米国との間の輸出、輸入について大体バランスしておるんじゃないかということについては御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、米国に対しては、そのようなアメリカの革靴市場に対して日本の製品の輸入シェアが非常に小さい、御指摘のとおり一%以下というような状況でございますので、そんなような状況についてもアメリカ側によく説明をし、しかも今回の原因になっております問題点は、私どもの、日本の革靴がアメリカに輸出されるためではなくて、ほかの、ブラジルとか韓国とか台湾の製品がアメリカに入っていくというあたりにそもそも問題があるんではないかということをアメリカ側に対して強く主張をし、アメリカの利益について、アメリカが本当に日本に対して関心があるのであれば、我々としても十分協力をしていきたいといういろいろな提案をしてきておるような段階でございます。
  26. 上田卓三

    上田(卓)委員 次に、革靴の業界の実態でありますが、課長も御承知のように、革靴を初めとする皮革産業全体が、地域改善対策法、地対法が今あるわけでありますが、いわゆる同和地区の差別されている方々の伝統的な地場産業と言っても過言ではなかっただろうというように思うわけであります。それだけじゃなしに、今日では同和地区を中心として、周辺の、本当になくてはならないところの地元産業といいますか、そういうものにあるわけでありますから、この問題は非常に深刻な問題だろう、こういうように思っておるわけであります。そういう点で、非常に零細な企業が多いのですね。これは後でまた言っていただいたら結構だと思いますが、本当に毎年、東京だけでありますが二十軒ぐらいがつぶれていくというような状況にあるわけであります。  それだけじゃなしに、例えば製造業者が二千二百九十六軒あるわけでありますが、その従業員数が二万八千七百三十一人、こういう状況でありますが、そのうちの半分の四六・六%が従業員が三人以下である、あるいは従業員九人以下が全体の七四・二%、こういうような状況で、非常に家内労働的な、本当に零細な、また劣悪な環境のもとで仕事に従事している。こういう状況になっておるわけでありますから、やはり一にも二にも国際競争力をつける、そういう対策が必要であって、自由化が成っても怖くないような、影響を受けないような、そういう保護政策といいますか対策があってしかるべきだ、こういうように思っておるわけでありまして、その点について、革靴産業の実態の把握をどのように考えておられるのか、また競争力を高めるためにどういう努力がなされておるのか、そういう点について詳しく説明いただきたい、このように思います。
  27. 北畠多門

    ○北畠説明員 今の上田先生の御質問について御説明をいたしたいと思います。  まず、革靴産業に対する通産省の認識についてでございますが、先生指摘のとおり、革靴産業については従業員が九人以下の事業所が全体の七〇%を占めるというようなことで、小規模零細企業で構成をされておりますし、国際競争力もなかなか乏しい、こういうような状況であるわけでございます。それに加えまして最近は、御指摘ございましたように倒産が増加をするというようなこと、あるいは合成品、合成材料とそれから天然皮革でございますが、その材料との競合関係等がございましたりしまして、革靴の需要が非常に低迷をしておるというような状況でございまして、業界としては非常に厳しい状況が続いているというふうに認識をしております。  こんなような状況でございまして、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、アメリカの方からございます革靴の輸入制限の撤廃の問題については、日本の国内の事情をよく説明をするというような努力を最大限してまいったつもりであるわけでございますが、このような状況の中におきましても、企業と申しますかあるいは産業の体質の強化というのはやはり図っていかなければならないだろう、こういうふうに思っておるわけでございまして、その重要性については十分認識をしておるつもりでございます。  私どもの生活産業局の関係ではございますが、その予算の関係におきましても、特に国際競争力というのは革靴をつくる技術によるわけでございますので、その技術研修に対して補助をするとか、あるいは国際的な見本市が開かれるような場合におきまして、そちらの方に出かけていって、実際国際的にほかの国はどんなものをつくっているだろうかということをよく学んだりするというようなこと、あるいは外国の事情等をよく知るということが非常に重要だと考えております。したがいまして、そういうような施策について従来から補助を行ってきておるような状況でございます。また、各種の中小企業開運の施策ということで、信用保険法等の法律の関係を活用をしておるような状況でございますし、先生御案内のとおり、革靴関係につきましては東京とか大阪とか各地域に産業があるわけでございますので、それを全体として見ております都なり府、いわゆる公共団体でございますが、そちらの方とも十分な連絡をとりながらこういうような施策の展開を図ってまいっておるつもりでございます。  今後ともこれらを組み合わせながら、活用しながら対応を図ってまいりたいと思っております。
  28. 上田卓三

    上田(卓)委員 先ほど課長もお認めのように、この業界は非常に零細な弱小資本で細々とやっておる、こういうことです。特に革靴については、やはり日進月歩といいますかファッション化して、そういう意味では非常にいろいろな形で研究を重ねなければならぬ、一業者だけではなかなか追っつかないというような状況もあるわけでありますから、同和対策という観点からも、これは非常に力を入れていただかなければならぬというふうに思っておるわけでありますし、同時に、この業界に関連して多くの人が生活をしているという実態を理解していただいて、もっともっと国際競争力がつくように、業界の育成のために頑張っていただきたい、このように要望しておきたいと思います。  それと同時に、先ほど申し上げたように、アメリカとの関係を見ましても、わずかであっても日本の方が入超になっておるということ、あるいは原皮、原材料は大半をアメリカから輸入している。だから、そういう点で、日本の産業が衰退すればアメリカにも大きな打撃が起こるんだということをアメリカに説明をすると同時に、アメリカ人にはなかなか理解されにくいかもわかりませんが、同和問題について、部落問題について、牛肉の自由化の問題等でもこの問題は絡んでおるわけでありますが、そういう点で、アメリカ側に対する認識を深めるための努力は、そういう観点からもされておるのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  29. 北畠多門

    ○北畠説明員 ただいまの点について御説明をいたしたいと思います。  上田先生の御指摘のとおり、この革靴をめぐります問題につきましては、原皮の問題にしましても、ほとんど日本の場合は海外から、特に牛馬——牛、馬の皮でございますが、特に海外から九割程度輸入をしておるような段階でございますし、その中でもほとんどがアメリカであるというような状況でございます。それから、企業の小規模零細性の問題につきましても、これも非常に重要な、日本の現在置かれている状況でもあるようなわけでございます。さらに同和問題と申しますか、この問題につきましても、従来から私どもとしてはアメリカに対してるる説明をしておる、こんなような状況でございまして、アメリカの方に対する我が方の主張すべき点については、包み隠さず主張してまいったつもりでございます。その意味におきまして、私どもといたしましても、私ばかりではなくて、通産省の幹部をアメリカに訪問させるというようなことで対応を図ってきたような状況でございます。  ただ、一つだけ重要な点として申せますのは、アメリカの方は、そのような実態があるにもかかわらず、日本のとっております革靴の割り当て制度が、ガット上の規定に明らかに違反するんではないかということについて、ある意味での法律論といいますか、そういうような議論を非常にやっておるような状況だというふうにも考えられるわけでございまして、そのあたりについても、一層理解を求めるべく努力をしてまいりたいと思っております。
  30. 上田卓三

    上田(卓)委員 次に、先ほども少し触れましたが、開発途上国の追い上げが非常に厳しいわけでありますが、我が国も開発途上国に対して市場を開放しよう、こういうことで、今月の二十五日にも関税の引き下げを決定するというように聞いておるわけでありますが、本当に原皮のコストとかあるいは人件費などを見ましても、圧倒的に競争力を持っておる。こういうことでありまして、先ほど申し上げた韓国、台湾、ブラジルなどの革靴が日本に入ってまいりますと、それこそ、アメリカの製品もさることながら、この分野においても大変な脅威であると言ってもいいんじゃなかろうか、こういうふうに思いますので、この今考えている関税引き下げ、その中にはよもや革靴は入ってないでしょうねと言いたいわけでありますが、その点についてひとつ明確にお答えをいただきたい、このように思います。
  31. 北畠多門

    ○北畠説明員 政府の方で現在検討しております市場開放のためのアクションプログラムにつきましては、先生御案内のとおり、現在政府部内で検討しておりますので、これについて私どもの方からコメントをするというようなことは難しいかと思うわけでございますが、革靴につきましては、我が国の抱えております革靴産業をめぐる諸般の情勢について、私どもとしては十分説明をしておるつもりでございますが、今後とも、この問題については慎重に対処をしてまいりたいと思っております。
  32. 上田卓三

    上田(卓)委員 ちょっとよくわからなかったのですけれども、今回の引き下げの中には革靴は含まれていない、こういうことですね。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  33. 北畠多門

    ○北畠説明員 先生の御指摘の、含まれているか含まれていないかということにつきましては、現在このアクションプログラムに関しての検討が政府部内として全体で行われておりますので、これについて含まれているか含まれていないかについて申し上げることは難しいと思います。しかしながら、私どもといたしましては、革靴の産業をめぐる情勢について十分説明し、慎重に対応すべきであるというようなことを申し上げておるような段階でございます。
  34. 上田卓三

    上田(卓)委員 課長、くどいようですけれども、先ほど私も申し上げたように、台湾、韓国、それからブラジル等のそういう発展途上国の製品は、原皮のコスト、それから労働力など非常に安いものですから、大量に日本に入ってくるということになれば、それこそ壊滅的な、そうでなくてもそういう状況にあるのですから、もう死んでしまえと言うに等しいのじゃないか、そのこと自身課長自身が一番よく御存じではないか、こういうふうに思っております。アメリカでさえも、先ほど申し上げたような形で市場の多くのシェアを占めている、こういうことでありますし、今検討中云々ということでありますけれども、そういう点で、業界の方々が今非常に心配されておるわけでありますから、心配のないように、今回の措置だけでなしに、今後においてもそういう形でやっていきたいというその決意、もう少し歯切れのいい決意をお願いしたい、このように思います。
  35. 北畠多門

    ○北畠説明員 先生の御指摘の点につきましては、十分拝聴いたしまして、対処をしてまいりたいと思っております。
  36. 上田卓三

    上田(卓)委員 私の質問に対して、意見に対して、それを体してと、こういうことですが、言葉だけじゃなしに、実際、死活の問題でありますから、絶対にこの点については私もまた業界の方々も引き下がるわけにいかぬ問題であるということを十分ひとつ頭に入れて対処していただきたい。課長の発言では革靴は含んでいない、検討の中には入っていないというように私自身は理解をしておきたい、こういうように思います。  そこで、革靴に関してですが、それに関連する予算というのは非常に微々たるものですね。年間五千万ほどじゃないですかね。あるいは外国からのそういう専門家を数名招待するとか、あるいは海外の市場調査ということで日本から海外に数名行くというような、本当にお茶を濁すような対策しかなされていないということでありますので、抜本的にこの問題についてぜひとも取り組んでいただきたい。先ほど申し上げたように、やはり市場ニーズといいますか、消費者ニーズといいますか、そういうものに即応した業界の体制が整えられるように、やはり政府として、通産省として手厚い対策をぜひともお願い申し上げたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、竹下大蔵大臣、先ほど来ずっと聞いていただいておったと思いますが、これは革靴あるいは皮革だけじゃなしに、日本の農業あるいは林業、そのほか中小零細企業が、例えば自動車であるとかあるいは電気製品、鉄鋼関係とか、そういう大手の輸出の裏返しとして、欧米からの市場開放要求の中で次から次へと譲歩せざるを得ない、こういうことになっておるわけであります。やはり日本だけじゃなしにアメリカにおいても、他の国においても、今国際的な競争力がないということで保護して、力を蓄えて、そして一歩一歩、市場開放するものはしていく。そういうことは日本だけじゃないと思うのですね。そういう点で、やはり靴業界の今の状況というものを、なめし業界もそうでありますが、ひとつ勘案していただき、また同和対策ということも考えて、大蔵大臣の所見といいますか、考え方というものを御披露いただきたい、このように思います。
  37. 竹下登

    竹下国務大臣 私も今の問答を聞かせていただいておりまして、私自身がそういう知識の持ち合わせが非常に薄いわけでございますけれども、問題の所在点は私なりにわからせていただいたような気がいたしております。いわばニューラウンド、こういうものを主張し、そして原則自由、例外制限でございますか、そういう方針のもとに今各省でそれぞれのアクションプログラムをつくっておられる。今通産省のお答えを聞いておりましても、非常に慎重に対応しておられるな、こういう印象を受けたわけであります。  しかし、いずれにせよ、今自動車の例が出ましたけれども、私もふと思い出しましたのは、もう二十年前には、まさにエンジンの輸入もいけない、組み立て工場もいけない、そして強烈な体制金融というものによって、例えば自動車の部品工業にも力をつけた。今は、力がついたからこそ、一日にアメリカだけで六千三百台でございますか、輸出しておるというような計算になるわけでありますが、そういう国内政策と相まちながら、いわば開放体制に向かっていった。どこの国でもその歴史はあろうかと思うのでございます。  ただ、通産省のお答えを承っておりましても、初めからこれは例外ですということをおっしゃれる立場に、今作業中でございますからなかろうということは私もわかりましたが、そうした諸般の問題については、やはりいわゆる原則自由、例外制限という枠の中で、十分説明のつき得るものはつき得るものとして慎重な対応が必要であろうし、そして、それの将来にわたっての産業政策というものもやはり考慮のうちに入れるべきものであろう、こういう印象を強くさせていただきました。
  38. 上田卓三

    上田(卓)委員 この問題につきまして大蔵大臣は、また通産当局も、今後さらに一層御努力いただくということにいたしまして、これについては終わりたい、このように思います。  次に、我が国の貿易黒字といいますか、特に去年は三百三十七億ドル、このうち三百二十一億ドルまでがアメリカとの関係の黒字である、こういう数字が出ておるわけであります。そういう意味で、我が国は非常に大きくアメリカとの貿易に依存していると言ってもいいのだろう、こういうように思うわけであります。去年の対米輸出額、それは輸出総額の三五・二%、また輸入は一九・七%を占めておるわけでありまして、輸出の場合は三分の一がアメリカ、そして輸入の場合は五分の一がアメリカ、こういうことであろう。そういう意味我が国の貿易構造が対米一辺倒というのですか、非常に偏った貿易構造になっているということは事実だろうと思います。そういう意味から、アメリカからいろいろ圧力がかかってくる、それに対して屈するというのですか、それを聞かざるを得ない非常に弱い立場にあるということもこれまた事実ではないか、こういうように思うわけであります。  アメリカに対して抵抗力というのですか、あるいは相対的な力関係という意味で、もう少しアメリカ以外の国との関係、当然ASEANあるいはヨーロッパというものもあるわけてありますが、ここで私が問題にしたいのは、特に日ソ間につきましてここ二、三年来非常に冷え切った状況があったわけであります。去年あたりから少し改善がされてきたのではなかろうか。そういう意味で、東西の貿易というものを拡大することによって対アメリカとの関係も交渉の余地が残ってくるのではなかろうか、こういうように思っておるわけであります。それだけじゃなしに、東西の緊張緩和といいますか、貿易を通じて平和共存体制を確立するという、世界平和という立場から見ても非常に大事な問題ではないか、こういうように思っておるわけであります。そういう点で、以下若干御質問申し上げたいと思うわけであります。  通産省の方お見えだと思いますが、この二年間、日ソ貿易が減少しておるわけでありまして、統計によりますと、去年の実績は、輸出が二十五億一千八百三十一万ドル、輸入が十三億九千三百九十八万ドル、こういうことのようでございまして、おととし、八三年には貿易額が前年比二三・四%と大幅に落ち込んでおるようでございます。また去年も八・五%と、こういう形で二年連続の減少ということのようでございます。当然これはソ連に対する経済措置といいますか、経済制裁といいますか、そういうもののあらわれでもあろうというように思いますし、また、ソ連側からも言われておるように、ソ連にとっては入超になっておるという問題とか、長期協定がないというような問題もあろうかと思いますが、数年前までならいざ知らず、最近大型のプロジェクトの提案もソ連側から来ているやに聞いておるわけでありますので、そういう点も含めて、ひとつ通産省の考え方というものを述べていただきたい、このように思います。
  39. 小澤通成

    ○小澤説明員 ただいま先生の御指摘ございましたように、日ソ間の貿易は八一年それから八二年、これは過去最高の水準にまで達したわけでございますが、八三年には二三・四%減少した、それから八四年には八・五%の減ということで、二年連続の減少ということになったわけでございます。  この減少をもたらした要因につきましてはいろいろあるかと思います。先生今御指摘の対ソ制裁等のこともございましたが、私どもが分析をしてみますと、基本的にはやはり経済的な要因によるところが大きいのではないか。これは具体的に申し上げますと、輸出面では、八一年、八二年の対ソ輸出の大幅な増加の原因になっておりましたのは、第三次極東森林開発プロジェクト、それからソ連の天然ガスの開発プロジェクトというようなものに対します鉄鋼だとか機械、機器というような資機材の輸出が集中したということがございました。それからまた輸入面では、金の輸入が八一年、八二年にかなりあったわけでございます。それが八三年、八四年になりますと、こういう大型プロジェクトが一巡をいたしまして、そういう鉄鋼、機械、機器等の資機材の輸出が減ってきたということがございますし、それからまたソ連からの金の輸入も大幅に減少した。また一方、ソ連からの輸入の大きな割合を占めております木材の輸入が、これは日本の住宅建設の不振ということがございまして、そういうものが停滞したというような要因がいろいろあるわけでございます。  確かに、今私が申し上げましたような単なる大型プロジェクトの一巡であるとか、また金の大幅輸入減というようなことだけではなくて、もっと環境面におきましても、日本の産業構造自体が二回のオイルショックを通じまして、省資源、省エネルギー型に変わってきたというような基本的な要因もございますし、また西欧諸国が天然ガスの輸入を背景にいたしまして、かなり輸出攻勢をかけているというような面での環境変化もいろいろあるかと思います。  以上が、最近二年間輸出が低迷しております、私どもの考えでおります要因でございます。  対ソ経済関係につきましては、従来から申し上げておりますが、基本的には無原則な政経分離はとらないということで、ケース・バイ・ケースで検討していくということでございますが、今後の日ソ関係の発展というものを図って一いくためには、今申し上げましたようないろいろな条件の変化を踏まえた、新しい協力の可能性というものを今後見つけ出していく努力が大事ではないかというふうに思っております。日ソ関係につきましては、昨年の十二月には日ソ経済合同委員会、これも五年ぶりに開催をされましたし、またことしの一月には、政府ベースの日ソ貿易年次協議というものも再開をされるということで、政府ベース、民間ベース双方を通じまして交流がだんだん促進されてきておりますので、今後ともそういう努力を通じまして、日ソ間の安定的な貿易の発展が図られるように努力してまいりたいと思います。
  40. 上田卓三

    上田(卓)委員 昨年の日ソ経済合同委員会で、ソ連側が提案した四大化学プロジェクト、この商談、新聞などで報道されているところを見れば、一つのプラントが十億ドルから二十億ドルだろう、総額一兆円に近いプラントである、こういうことのようでございますが、これを日本が受注すれば、日ソの関係、経済的な結合が大変強まるということは事実ではないか、こういうように思います。ヨーロッパ勢も大変これに注目しておるようでございますが、そういう点でこの化学プラントの受注の成否といいますか、これはやはり輸銀の融資ではないか、こういうように思うわけです。そういう点で、輸銀の融資条件が相変わらずプライムレートプラス〇・五%のOECDのガイドラインにあるんではなかろうか、こういうように思うわけであります。  例えばイギリスとかフランスは、このガイドラインがありながら、現実としてもっと有利な形でソ連との関係を進めているやにも聞いておるわけでありまして、そういう意味で、輸出業者はぜひとも低利の、ヨーロッパ並みの輸銀の条件にしてもらいたい、こういう要望が、これは通産省にも相当いっているんじゃないかと思いますが、私の方にも、これはぜひとも取り上げてもらいたい、こういうような要望もあるわけでございまして、こういうようなプロジェクトに対して日本が参入できるように、どのような決意を持って臨んでおられるのか。そんなものはどうでもいいというように思っておられるのか、是が非でもこれは受注させなければならぬという決意を持っておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたい、このように思います。
  41. 岡部武尚

    ○岡部説明員 ただいま上田先生御質問の点でございますけれども、私の方から説明をさせていただきます。  先生今御指摘のソ連向けの大型プラント輸出でございますけれども、最近この三年来大型案件が途絶えておりまして、昨年の末にロン経済合同委員会におきまして四つの化学関係の大型プロジェクトの提案がございました。これについてまず簡単に御説明をさせていただきますけれども一つは、化学製品の原料でございますオレフィン、ポリオレフィンのプラントがございます。二番目が繊維の原料でございますポリエステルファイバーでございます。三番目がナイロンの繊維でございますナイロン・ポリエステル・コンプレックスでございます。それから四番目が塩化ビニールの製造プラントでございます。この四つのプラントが現在日本側に対しまして提案されておるわけでございます。  これらのプラントにつきましては、先生指摘のとおり、いずれも二千億あるいは二千五百億を超える大型案件でございまして、日本のプラント業界は、先生御承知のとおり、昨今プラント輸出が非常に低迷をしておる状況下でございますので、何とかこの四つの案件を受注したいということで、各企業ともども頑張っておるところでございます。通産省といたしましても、こういうプラント輸出の状況でもございますので、できる限りの支援を送りたいと思って検討をしておるところでございます。  こういう状況でございますけれども、この四つのプラントにつきましては、それぞれの案件ごとに進捗状況に若干の差がございまして、このうち現在進んでおりますのが、ポリオレフィン、ポリエステルという二つの案件につきましては、既に御承知のことかとも存じますけれども、六十年の五月に日本企業がプロポーザルを提出いたしまして、現在テクニカルな技術のネゴの段階に入っておるわけでございます。そのほかの二つの案件につきましては、仕様等に若干変更がございまして少し先に延びているということで、プラント業界から私ども聞いておるところでございます。  そういう状況でございますけれども、プラント業界、先ほど申しましたとおりの状況でございますので、ぜひとりたいという意欲は非常に強いわけでございまして、当省といたしましても、今後これらの案件につきまして、その商談の進捗状況に合わせまして、それをよく注視をしつつ適切に対応していきたい、こう考えております。  それから欧米、特にヨーロッパ諸国のこのプラントに対しますアプローチが非常に強うございまして、先生指摘のとおりヨーロッパから有利なファイナンスを提示しているやに聞いておりまして、先般もイギリスから輸出信用の期間でございますけれども、八年半の提案がございました。これは、ソ連向けの輸出信用の場合は、OECDの輸出信用アレンジメントというのがございます。これによりますと約五年でございますけれども、それをヨーロッパ勢が八年半ということで提案しておりますので、日本といたしましても、このヨーロッパの条件に合わすべく、テクニカルな言葉で申し上げますとマッチングという行為がございますけれども、マッチングを先般行いまして対応しているところでございます。  今後とも、期間に限らず、例えば金利ですとかあるいは頭金という問題につきまして欧米諸国から具体的な有利な条件提案がある、そういう段階におきましては、我々としても関係省庁と十分検討いたしまして弾力的に対応していきたい、そういうふうに考えております。
  42. 上田卓三

    上田(卓)委員 ソ連は何も日本とだけ話し合っているんじゃなしに、イギリスとかフランスとか、その他の国々とも話し合っているわけで、やはり条件のいいところと契約するということになるわけです。日本も、この四つをとりたいという決意だけではいかぬわけですから、やはりその中身で、輸銀融資の低利なもので業界が契約にこぎつけるような努力をしなければならぬ。そういう意味で、ヨーロッパ並みのマッチングという形でぜひともやってもらいたい、こういうように思います。  次に、ソ連という国でありますから、例えば契約されたとしても、政治状況でまたごろごろ変わるということでは、やはり信用しないというものがあるのじゃないかと思うのです。だから、例えばサハリンの石油開発のあのプロジェクトのときも、日本政府の保証といいますか、そういうものがなされて覚書がなされておるわけでありますが、そういう点で、まだ向こうは何とも言ってきていない、まだ契約をしていないわけですから、そういうことは言ってきていないにしても、言ってくる可能性は契約の段階で大いにあるのじゃないかと思うので、その点についての政府保証というものを一体考えておるのかどうか、その点について御答弁をいただきたい、このように思います。
  43. 小澤通成

    ○小澤説明員 この四大化学工業プロジェクトにつきましては、今先生からお話ございましたように、我が国だけではなくて、各国に対しても引き合いが今ちょうどソ連から出されているという段階でございまして、特にそういう政府保証というような要請がまだ関係筋から出てきておりませんので、まだ検討するというには至っておりませんけれども、今後いろいろ事態の推移を見つつ、その必要姓の有無については検討を進めていきたいというふうに思います。
  44. 上田卓三

    上田(卓)委員 ぜひともそれは努力をしてもらいたい。やはり政治状況によって変わるということじゃなしに、そういうことも大きな影響をすることもわからぬこともないのですが、政経分離といいますか、政治の分野がどうあろうとも経済的な問題で、特にソ連だけじゃありませんが、社会主義国は計画経済でありますから、ことし言って来年ということじゃなしに、長期の契約を望んでおるという部分が多いのじゃないか、こういうように思っております。五カ年計画もことしで終わって、来年度以降の問題がありますので、その点についてどう考えておられるのか。  それと、西ドイツとかイギリス、フランス、イタリアなどは、ソ連との関係で十年から二十五年の長期契約を結んでいますね。そういう点でやはり日本もそういうことをやっていくべきではないか。領土問題とか平和条約の問題等もあるということはよくわかっておりますが、これは日本とソ連だけじゃなしに、ヨーロッパがやはりソ連との貿易を考えているわけですから、それと対抗していこうと思えば、それなりの日本側の貿易に対しての決意と政治姿勢というのですか、そういうものも非常に大事になってくるのではないか、こういうように私は思っておるわけでありますので、その点についての長期契約についてどう考えておるのかということをお聞かせいただきたいということと、最後に大蔵大臣の方から、大蔵大臣として答えるべき問題ではないかもわかりませんが、やはりニューリーダーという立場から、東西貿易というものについてのそれなりの御所見が私はおありではないかというように思っておりますので、その点についてお聞かせをいただきたい、このように思います。
  45. 小澤通成

    ○小澤説明員 先生指摘ございましたように、ソ連の第十二次五カ年計画というものを始まっていますし、また、いろいろな引き合いも今後出てくると思います。基本的には、政府の対ソ経済関係というものにつきましては、これは必ずしも経済だけ切り離して考えるというわけにはいきませんけれども、極力安定的な貿易の発展を図るということで努力をしていきたい。  それから、長期協定の問題でございますが、これにつきましては、ソ連からかねてそういう要望がございますが、日本側としましては、単に経済だけではなくて政治も含めた両国関係の改善というものがまず大事であるということでございまして、そういう原則にのっとって、この間総理がゴルバチョフ書記長と会われたときにも、当面そういう長期協定をやる考えはないということを言っておりました。それが今の基本的な方向かと思います。
  46. 竹下登

    竹下国務大臣 ソ連との問題につきましては、五十七年のポーランドでございましたか、それから少し停滞しておりますが、去年の十二月、向こうからたくさんいらして私もお会いする機会がございまして、非常にフランクにお話をいたしたつもりでございます。若干まだ何と申しましょうか、新しい計画に対しての物の固まりぐあいががちっとしていないという印象は受けましたものの、大変前向きなお話をいろいろ聞かしていただいて、私自身も大変勉強になりました。  ソ連と言わず東西貿易、この国交のない国の問題は、いわば政経分離とかいうことにならざるを得ないかもしれませんけれども、そうでない国に対してはやはり積極的な対応が必要であろう。  ただ、いつも感じますのは、ヨーロッパはいわゆる対ソ連圏との問題は、天然ガスの問題で両方とも陸続きの大変濃密な関係がありますので、その点やはり向こうの方がアプローチが上手と申しますか、積極的と申しますか、そんな感じはいつも受けておりますが、当然我々も貿易立国である限りにおいて、大いにアプローチすべきものであるというふうに考えております。
  47. 上田卓三

    上田(卓)委員 時間が来ましたので終わります。
  48. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 川崎寛治君。
  49. 川崎寛治

    ○川崎委員 金融先物取引というのがシカゴの商品取引所で一九七二年に始められたと言われておるわけでありますが、このシカゴの商品取引所というもののルーツは、探ってみれば我が日本の大阪の堂島の米市だ、こういうふうに言われておるわけでありまして、実は先般久しぶりなんですが、「孤愁の岸」というお芝居を見ました。森繁さんや竹脇無我とか西郷輝彦とか、そういう人たちが演ずる芝居でございます。これは二百三十年前に岐阜県の濃尾三川、ここに蓑輪さんがおいででございますけれども、実は幕府に命じられまして、薩摩藩がここで大治水工事で大変な出血をするわけですね。二百数十名犠牲者を出すわけでありますが、先般の大水害のときには白骨が出てきたというふうな悲惨な話もございました。  その芝居の中で、これは堂島の米市ができたのは一六九七年、元禄時代だ。二百八十年ほど前です。宝暦四年はちょうど二百三十年ほど前でございますが、薩摩が大変資金調達に苦労いたしまして、堂島に出かけていってやるわけです。一方、薩摩が沖縄とかあるいは奄美を押さえて黒糖を調達しておる。そこで黒糖一万斤ですか、そういうもので資金調達をしたりするのを見ておりまして、なるほどこれが堂島の姿なんだなということを思ったわけであります。  そこで、そのことは今ここで問いませんが、そういうルーツを探りながら、なお、戦前日本で長期清算取引というのが行われていたということでございますが、それはいつからいつまでで、どういう中身であったのか、そのことを御説明いただきたいと思います。
  50. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 債券先物取引でございますが、歴史的に申しますと、明治十一年に東京の株式取引所が発足いたしますと同時に定期取引という形で始められまして、活況を呈したということが記録に残っております。これがデフレ政策の浸透に伴いまして、大正元年以降休止状態になったわけでございます。再びそれが先生指摘の長期清算取引という対で大正十四年、第一次世界大戦に伴います起債市場の活況を背景に再開をいたしました。これは債券売買高の四〇から七〇%までを占めるというような市場規模の拡大を示したわけでございまして、非常に活況を呈したわけでございますが、戦時経済に入りまして債券金利が人為的に固定化されるというような状況から、昭和十五年をピークに急速に縮小いたしまして、昭和十八年に廃止という状況になっております。  このような戦前に行われました定期取引ないしは清算取引でございますが、いずれも取引所を中心に行われておりまして、将来の一定の時期に債券及びその対価の授受を約する取引でございまして、転売、買い戻しをしましたときは差金決済という形で、まさに現在検討いただいております債券先物取引と基本的には同じ取引になっております。ただ、そこで対象になります債券その他は具体的な特定銘柄を挙げてやっておりまして、まだ標準物というような技術的なところまでは進歩はいっていなかったというのが歴史でございます。
  51. 川崎寛治

    ○川崎委員 そういう日本のかつての状況を振り返りながら、これからの大量国債発行、それから大量残存という時代に入るわけでありますけれども、アメリカの金融先物取引の歴史というものをずっと見てみますと、大変いろいろなものをつくったり廃止したりということをしながらやってきておるわけですね。つまり、簡単につくって簡単につぶれるのか、そういうことをどんどんやって定着するものを伸ばしていくという形になるのか。我が国の場合には、今度は長期国債ということに絞ってやっていこうということでございますけれども、そういうアメリカの歴史というか、ちょっと前の姿なんでございますが、そういうものを見ますときに、現物市場先物市場というものとの比較をしてみますと、大変短い時間に先物の方が取引高において現物を超過するという状況が見られるわけでありますけれども国債大量発行、大量残存という時代に入って、日本の場合にそれがどういう市場への影響を与えるのか、そして今アメリカで見るような現物市場先物市場との関係というもの、これはまだ入ってみなければわからぬ、こういうことになるかもしれませんが、将来展望したときにどういうふうに判断をされるのでありますか。
  52. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 先物取引に関しまして、特に金融関係の先物でございますが、アメリカ、イギリスその他ヨーロッパの諸国でも、非常に多種のものを対象にいたしまして先物取引が行われてきて定着をしてきているのが現状でございます。ただ、私どもといたしましては、債券ないしは金融先物に対します経験が、戦前はございましたが戦後は全くないという状況でございます。この先物取引制度をすることにつきまして証券取引審議会で御審議をいただきまして、その段階におきましてやはり一番安定的なものを対象にしてやるのがいいのではなかろうかなという御示唆をいただいたわけでございまして、そういう意味におきまして、当面は長期国債ということに限ってまず市場の動き方を見ていきたいと考えております。諸外国におきまして既にそういう金融先物がいろいろな形で行われておりますし、恐らく投資家の間のニーズというものがこれからますます広がってくるだろうと思います。そういう現状を踏まえまして、長期国債以外の先物取引につきましては今後検討してまいりたいと考えております。  それから、これから先物市場がどうなるかという御質問でございました。戦前の歴史でも、先物の方が現物よりも大きくなったというような事実もございます。またアメリカでも、先物の方が短期間に確かに現物より広くなってきているという事実はございます。ただ、私どもといたしましては、まず長期国債対象といたします先物市場を安定的にスムーズに運用していくということを期待をいたしておりまして、これがますます発展をすることを期待をいたしておりますが、どのくらいの規模になるかということは、現状においてはなかなかちょっとお答えしにくいかと考えております。
  53. 川崎寛治

    ○川崎委員 次に、これはけさの日経にも出ておる問題でございますが、スイスにおける資金調達の問題ですね。それに関連しまして住友系の伊藤萬がさきにスイスで外債発行をいたしました。住友銀行が買収をしたゴッタルドが主幹事になったのでありますけれども、そのことについて、証券取引法六十五条に関します三局合意ということをめぐっていろいろな議論が行われてまいりました。このことについて大蔵省はどう考えているか。これはまた、長期信用銀行の完全な子会社でありますスイス長銀が、スイス・フラン建て社債で主幹事になっておるという問題もございますが、あわせてそれの御見解を伺いたいと思います。
  54. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 三局指導の問題でございますけれども、居住者が発行いたします外債の引き受けにつきましては、邦銀系の証券現法が主幹事になります場合は、国内におきます親銀行の影響力と申しますか、そういうことの関係で実質的な引受行為が国内で行われるというような危険性もあるので、五十年に三局で合意をいたしまして、いわゆる主幹事というふうな形では邦銀の現法はならない、これは形式的にいわゆる墓石広告の順番ということでこれを合意をいたしておる次第でございます。  今回のゴッタルドの事件でございますけれども、これは議決権の株式数が五〇%を超えておるということから、三局指導の問題と絡めまして議論があったことは確かに事実でございます。ただ、今回の解決の方法でございますが、このゴッタルド銀行の実体を見てまいりますと、同行を買収いたしました日本の銀行の持ち株は、議決権株式では五二・六七%、五〇%を超えておりますけれども、無議決権の株全体で四二%でございます。なおかつ残りの株式が外国人で三千人に上る個人株主というような状況でございますし、また、邦銀がこのゴッタルド銀行の議決権株式の過半数を取得しました後も、同銀行の主要な経営陣、経営方法、組織は、基本的には全く変わっていないわけでございます。またスイスの市場におきましても、いわゆるスイスの企業という形で認められているわけでございます。この実質を見ていく限りにおきましては、外国の銀行とみなしても支障ないのではなかろうかということで、これは三局指導の枠外と申しますか、これを認めることが三局指導に全く違反するということにもならないという考え方で今回認めたという次第でございます。  それから、先ほど御指摘の長期信用銀行のスイスの方でございますが、これは行いましたのが私募債でございまして、三局指導の問題はいわゆる公募の問題でございますので、私募債につきましてはこの枠外であるというふうに考えておるわけでございます。
  55. 川崎寛治

    ○川崎委員 現在、企業が資金調達をするについて、直接金融の時代というふうなことが言われておるのです。しかし、アメリカと比較をしてみますと、日本は間接金融の割合が大変大きいと思います。特にスイスなどで資金調達が見られるわけでありますけれども、それは日本における有担保原則というような問題に縛られている問題もあると思うのであります。いろいろと検討しなきゃならぬ点もあるのではないかと思うのです。  そこで、海外の起債市場が大きくなっております今日、三局合意の意義は、今局長が御答弁になった点にかかわるわけでありますけれども、五十年、つまり十年前の証取法六十五条に関する三局合意をしたときよりも大きくなっておると思うのでありますけれども、いかがでありますか。
  56. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 三局指導の問題でございますけれども、これができましてから十年を経過いたしておるわけでございます。一面におきましては、その間に邦銀の証券現法が力をつけでまいりまして、実際に自分のところで引受行為をする能力も出てきているという一面もございます。また、昨年の十二月には、ユーロ円債につきまして外国業者にも主幹事を開放しているというような情勢があるわけでございます。  また一方におきまして、確かに先生指摘のように、最近の国際化の大きな流れの中で日本企業の資金調達が海外で非常に大きくなってきている。ちなみに数字で申し上げますと、十年前の五十年でございますが、日本の企業における資金調達が国内では八四・七%、海外で一五・三%でございます。ところが、最近の五十九年で見てまいりますと、国内で五二・五、海外で四七・五というような状況になってまいりました。こういう状況から考えてまいりますと、三局指導のもとにあります邦銀の証券現法が海外で起債をする機会は非常に大きくなってきている。そういうことからは、三局指導につきまして、銀行、証券その他関係方面の関心といいますか、その重要性につきまして非常に高まってきておるということも言えるのかというふうに考えております。  三局指導の問題、これからのいろいろな情勢変化で、これがいつまでも続くものであると私どもは考えていないわけでございますけれども、親銀行がその発行体のメーンバンクとしての実質的な支配力が現在でもあるというふうに考えますと、邦銀現法に実質的な引受能力があるということだけでこの問題を解決していくわけにもなかなかいかない。諸問題をいろいろ考えていかなければならないのではなかろうかというふうに考えているわけでございまして、六十五条の問題もございますし、これから関係方面と引き続き検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 川崎寛治

    ○川崎委員 この点に関しまして、大蔵大臣はいかがでございますか。
  58. 竹下登

    竹下国務大臣 金融国際化自由化時代、いろいろなことを進めておるわけでございますが、いわば資金調達の問題で、海外において我が国が資金調達し、また最近はヨーロッパ共通通貨の起債を本邦内で行ったとかドル建て債を本邦内で行ったとかという状態が非常に広まってきておりますと、今度は我が国の仕組みでございます三局合意でございますとかそういう問題と、諸外国のよってもって立つ銀行、証券等々の分離していないところ、そういう問題がいろいろ出てまいりますのについては、その都度双方の理解を求めながら適切に運用されておると私自身は見ております。
  59. 川崎寛治

    ○川崎委員 ただ、先物取引の場合に、過大な取引が行われますと影響も大変大きいと思います。ですから、証券や銀行が先物取引を過大にやりまして経営に影響が出るのを防ぐことも大変大事な問題ではないか、こういうふうに思います。  新聞によりますと、債券先物残高規制をしようということが報道されておるわけです。一方、シカゴやロンドンなど海外の先物市場では通常ポジション規制が実施されていない、こういうことが言われておるわけでありますが、その点についての大蔵省の考え方を伺いたいと思います。
  60. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 債券先物取引を行いますディーラーは、自分の持っております現物有価証券価格変動リスクをヘッジするために先物売買を行うと同時に、投資家からの売り注文や買い注文があった場合に、それに対応するために対応の玉を持っていなければいけない。これはマーケットメーキングと申しておりますが、そのための債券も持たなければいけない。それの価格ヘッジといいますかリスクを抱えておるという状況でございますので、価格変動が非常に大きくなりましてリスクが過大になるときには、やはりディーラーでございます証券会社金融機関の財務の健全性の面で問題があるということは否定できないという状況ではございます。したがいまして、ここで直ちに先物ディーラーのポジションを規制するかどうかということになりますと、また財務の健全性の確保の観点から、さらにまたもう少し検討してみなければいけない問題ではなかろうか。確かに先生の御指摘の点、十分念頭に置きながら検討してみたいと考えておるわけでございます。
  61. 川崎寛治

    ○川崎委員 続いて、個人投資家を過度な投機に結びつけないために、そういう過当な投機を予防する、そして投資家を保護する、万全を期していくためにはどういう方策を立てようとしておられるのでありますか。
  62. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 債券先物取引は、先ほど来申し上げますように低率の保証金で参入できますし、損益につきましては差金決済で行うということでございまして、一面において投機性がある。片や債券リスクのヘッジをする側がございますが、それに対応いたしますのはいわゆる投機家ということになりますので、投機性を否定するわけにはいかない。そういたしますと、投資家の保護をどうするかが、私どもがこの制度を構築いたします上の非常に重要な課題だと考えております。  具体的には証拠金の率をどういうふうに持っていくか、それからいわゆる日々の値洗いの制度をどういうふうに運用していくか、ないしは一日一日の変動に対します値幅制限ということも制度的に考えていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。また、取引の単位も、零細な投資家が直ちに参入することのないように、ある程度の規模の取引単位にしなければいけないというようなことも考えておるわけでございます。また、この先物取引に対します投資リスクがあるということにつきましてのPRも十分徹底させていきたい。それからまた、先物取引市場価格形成につきまして、十分に健全にいっているかどうかの監視体制も行っていかなければいけないというふうに考えておりまして、これらの諸制度は、法律の成立をいただきました後の段階におきまして十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  63. 川崎寛治

    ○川崎委員 ソビエトなど社会主義の国が、金とかあるいは為替などの先物取引をやっていると思うのですね。そういう社会主義国の今言うような先物取引への参加といいますか、それは国際的に見てどういう状況にありますか。
  64. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 私どもといたしましては、具体的なソビエトなどが行っております先物取引状況というのは把握はいたしておりませんけれども、少なくともロンドン、ニューヨークその他の先物市場というものは非常にオープンな世界でございますので、そのリーダーその他を通じまして、先物取引に参加する機会は十分にあるのではなかろうかなというふうに考えております。
  65. 川崎寛治

    ○川崎委員 それはあと、フランスとかあるいは香港とか、いろいろ新しく日本に引き続いて広がっていくと思うのです。そうすると、国際的な金融資本市場というものの広がりが考えられますし、また、ソビエトにしましても、これは後ほど銀行業務の問題と関連をしてお尋ねもしますが、そういう意味で、だんだんそういう垣根を越えた動きというのが出てくるのではないか、こういうふうに思います。これはまた改めてひとつお尋ねしたいと思いますので、一応この問題はこれでおいておきたい、こういうふうに思います。  次に、IFCの問題でございますが、この融資状況というものを見ますと、地域的にもあるいは国別にも非常に偏っているのじゃないか、こういうふうに思います。地域で言えば、やはり中南米が四三%というぐあいに大変多いわけですし、また、国別で言えば、ブラジル、メキシコなどが際立って多い、こういう状況でございます。一方、日本の民間銀行の融資状況というものを見てみましても、中南米とアジアあるいは東ヨーロッパ等というふうに見てみますと、やはり中南米に偏っている、こういうふうに思うのです。これは、世銀グループの一員だというのでありますけれども、やはりアメリカの中南米政策に非常に引っ張られている面があるのじゃないかということが一つ。それからもう一つは、融資の対象は石油とか建設とかというのが多いわけですね。そうしますと、石油は今のOPECの状況等からしまして、それらの地域別の企業に対する融資の方向というものが今後どういうふうに検討されていくのかというか変わるのか。日本は出すだけだということでは困るのでありまして、国民の税金でありますから。ですから、日本の大蔵省として、そういう今後の融資の方向というものを、情勢変化の中でどういうふうに判断をしておられるかを伺いたいと思います。
  66. 行天豊雄

    行天政府委員 IFCの融資実績を地域的に分けてみますと、委員指摘のとおり、中南米地域の比重が高いことは確かでございます。  先ほど委員が申されました四三%というのは、従来までの累計の数字を御指摘になっておると思いますが、最近では、例えば八四年、昨年の融資実績を見ますと、中南米地域は二三・九%ということで、欧州、中東、アフリカなどが三七・六というようなことでございますが、いずれにしましても、中南米地域の比重が高いことは御指摘のとおりだと思います。  その理由でございますが、御承知のとおり、IFCと申しますのは、健全かつ収益性があって民間資本を誘引する魅力を持っておる、しかもその国の経済に貢献する、そういう企業に対して投融資を行おうということでございますが、現状で世界の各地の開発途上地域を見てみますと、相対的には中南米地域に、そういう意味での民間企業の数が多いということもまた否定できないのではないかと思っております。  ただ、私ども、そういう意味でこのIFCが中南米に偏った投融資を行うというようなことは、これは決して好ましくないと思っておりますし、IFCが、先ほど申しましたような民間企業の育成ということを世界じゅうの開発途上地域に押しなべて促進をしてもらって、その意味でも世界全体の途上地域の経済発展が図られるということが望ましいと思っております。  実はIFCにおきましても、今後の融資について部門別あるいは地域別にどういう重点を置いていこうかということを鋭意検討しておりまして、実はことしに始まります五カ年につきまして、新五カ年計画というものをつくっておるわけでございます。それを見てみますと、主な柱が四つあるようでございますが、最近、世界的に景気がどちらかというと停滞ぎみでございますけれども、IFCが特に途上国政府の経済調整政策に従って業務の改善を行っているような、そういう民間企業に優先して投融資を行っていこうというのが一つ。  それから、今委員も御指摘になりましたが、実はIFCは、従来、部門別に見てみますと、どちらかというといわゆる地場産業と申しますか、建設資材とか繊維、食料品というようなところへの投資が多かったわけでございますが、今後は開発途上地域でのエネルギーの自給あるいはその輸出力の発展というようなことも考えまして、特に石油とかガスの探査プロジェクトというようなものも新しく重点を置いてやっていこうというのが二番目の柱でございます。  それから、これも最近非常に大きな関心を呼んでおりますが、いわゆるサブサハラのアフリカ諸国、こういう国が現在特に非常に厳しい経済的な困難に直面しておるわけでございますし、こういうサブサハラ諸国で比較的小規模なプロジェクトが多いわけでございますから、そういうところに通常の投融資案件よりは小口なものを見つけ出してやっていこうというのが三番目の柱でございます。  それから四番目の最後の柱は、この開発途上国の問題というのは、もう御高承のとおり、せっかく国内でたまった貯蓄がなかなか生産的な目的に投資されていないというところにあるわけでございますが、こういった事態を改善するために、開発途上国におきます国内貯蓄が国内での生産的な投資に向けられるよう、その国の国内金融資本市場というものを整備する必要があるわけでございますので、そういった関係のプロジェクトに新しくまた重点を置いていきたいという柱でやっておるわけでございます。  私ども、御承知のとおり、日本を代表いたします理事も派遣しております。こういった計画の策定につきましても、理事会の審議の際に、私どもとしてのIFCの将来の役割というものを十分考えまして、この機関が、一定の地域に限ることなく、全世界の途上国経済の発展に一層寄与するように、できるだけの力を尽くしてまいりたいと考えております。
  67. 川崎寛治

    ○川崎委員 その点は、ひとつ十分検討して進めてほしいと思います。  次に、社会主義国でIFCに加盟をしておる国はどこですか。
  68. 行天豊雄

    行天政府委員 現在IFCに加盟しております社会主義国といたしましては、ユーゴスラビアがかなり古いメンバーでございまして、これは一九六八年に加盟しておりますが、最近では中国が昭和五十五年、今から五年前の五月に加盟いたしまして、さらにことしに入りまして四月にハンガリーが加盟をいたしております。
  69. 川崎寛治

    ○川崎委員 ユーゴですが、大蔵省からもらった資料を見てみますと、八一年には企業としては十五ですか、それが八二年に十七、八三年に十八、こういうふうに対象がふえておるんじゃないかと思うのです。そうしますと、ユーゴにおける対象の企業の業態というのですか、どういうものに融資されておるのか、その点を明らかにしてほしいと思います。
  70. 行天豊雄

    行天政府委員 ユーゴスラビアは、御指摘のとおり、このIFCからかなり大きな投融資を受けております。どんな業種かということでございますが、今私が手元に持っております資料によりますと、一九八一年には製紙でございます。特にダンボールのような製造業に投資が行われております。八二年には自動車関連の部品会社、それから、何と申すのでございましょうか医療器関係の企業、それから八三年になりますと、ユーゴスラビアの中に御承知のとおり各地域がございまして、県のようなものだと思いますが、そのうちの一つの輸出向けの産業というふうに聞いております。昨年ではエネルギー関連、電気製品製造というような薬種に対しまして、このIFCから投融資が行われておるようでございます。
  71. 川崎寛治

    ○川崎委員 中国は一九八〇年加盟、こういう先ほどのお答えでありましたが、中国は何か企業で融資を受けるという考え方があるのかどうか。それは今の中国の経済建設なり経済改革なりの方向とも絡む変化の問題もあると思うのでありますけれども、その点はどういうふうにごらんになっておるのですか。
  72. 行天豊雄

    行天政府委員 御指摘のとおり、中国は今経済面でいわゆる開放政策と申しますか、だんだんと市場経済志向型の政策を導入しておるようでございまして、具体的には株式会社制度導入して、これは民間企業と呼べるのかどうかあれでございますけれども、少なくとも株式会社形態の企業をつくることを認めておる。それからまた、これも御承知のとおり、対外関係その他において一層大幅な自由を認める、経済特区というものを設置するとかいうような政策がとられておるわけでございます。私ども推測いたしますに、中国がこのIFCに加盟をいたしましたのは、やはりこういった全体的な経済開放政策の中で、中国のそういう企業に対しましてもIFCからの投融資を期待しておる、それが中国加盟一つの大きな背景であったのではないかと考えております。現在のところはまだ投融資を受けた実績はございません。
  73. 川崎寛治

    ○川崎委員 そうすると、ハンガリーは中国よりも早く経済開放体制をとっておるわけであります。ハンガリーはこの四月加盟ということでありますが、加盟と同時に具体的に要望というのですかが出ておるのかどうか、いかがですか。
  74. 行天豊雄

    行天政府委員 現在のところ、まだ加盟したばかりでございまして、具体的な要望が出ているというふうに聞いておりません。ただ、委員御高承のとおり、ハンガリーも外資との合弁企業というものをかなり熱心にやっておりますようで、いろいろな業種で外資との合弁企業がつくられております。先ほどの中国の場合と同じように、ハンガリーがことし加盟いたしました背景には、ハンガリー内の企業に対するIFCからの投融資を期待しておるという要素があるのではないかと私ども思っております。
  75. 川崎寛治

    ○川崎委員 今ユーゴ、中国、ハンガリーと来ておるわけでありますが、ほかに社会主義国で何か希望があるとか出しておるとかというのがありますか。
  76. 行天豊雄

    行天政府委員 ただいま現在では、私どもまだそういう新しい社会主義国の加盟については承知しておりません。
  77. 川崎寛治

    ○川崎委員 これはソ連や中国などとの貿易問題、先ほど上田委員もソ連との問題を中心にいろいろ御質問もあったわけでありますけれども、今ソ連や中国などが我が国で銀行業務を始めたいという申し出が来ているという新聞の報道もあるわけです。またそういう要望も強く聞いておるわけであります。中国との関係で言えば、中国政府は東京に中国銀行の駐在員事務所を置いておりますね。日本も銀行はそれぞれ北京を初め駐在員事務所を中国に置いておるわけでありますが、この駐在員事務所を支店に昇格させようという交渉が日中両政府間で行われておるのか、行われるのか。今その状況はどうなっておるのでしょうか、伺いたいと思います。
  78. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 先ほども国全局長から触れましたけれども、中国政府が深川などの経済特区を設けまして、対外開放対策を打ち出して外国銀行の営業を認めるという決定を行っているわけでございます。中国の銀行の日本への進出につきましては、現在中国銀行一行が、営業活動を行わない駐在見事務所を設けておるわけでございます。今正式に中国からは申し出はございませんが、中国政府が現在東京支店設置を希望しているということは事実でございまして、この取り扱いにつきましては、実は相互主義の見地から今後検討してまいりたい。  その相互主義と申しますのは、銀行法で、外国銀行から銀行業の免許の申請があったときには、「当該外国銀行等の主たる営業所が所在する国」、この場合には中国になるわけでございますけれども、中国において、日本の銀行に対し、「この法律による取扱いと実質的に同等な取扱いが行われると認められるかどうかの審査をしなければならない。」という相互主義が書いてあるわけでございます。でございますので、ただいま申し上げましたように、銀行法上において外国銀行と日本の銀行が実質的に同等の取り扱いが行われるかどうかということを中心にして、こういう相互主義の見地から検討してまいるということになると思います。
  79. 川崎寛治

    ○川崎委員 二つ問題があると思うのです。  一つは、中国側が深川などの経済特区に日本の銀行の支店を認めよう、こう言ってきておるわけですね。そうしますと、日本側の銀行、金敵機関でこれにどう対応しようとしておるのか、その動きがどうなっておるかというのが一つ。  それから、今相互主義というお話がありましたが、つまり、深川という特別の特区に支店を開設するということと、中国側の東京における駐在員事務所を支店に昇格するということとは、私は相互主義にはならないと思うのです。格好は支店としてみても、全然機能が違うと思うのです。そうしますと、やはり東京と北京というふうな支店業務ということにならなければいかぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、今の二点、いかがですか。
  80. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 確かに形式的に申しますと、経済特区だけで支店が設けられているのと、東京、つまり日本全体で銀行法上の活動ができるかどうかという点は違うという御指摘はそのとおりでございましょう。それで、ただいま、そもそも経済特区で中国が外資優遇措置を含めて対外開放対策をとって支店を認めるということでございますけれども、まず第一に、どの程度の銀行活動が認められるかどうかについてまだつまびらかになっていない点がありまして、政府や銀行において今その中身を調査しておりますので、まずそれを待つ必要があると思います。その場合に、ただ支店の数だとか支店の活動だけじゃなくて、全体としましてはその営業の内容、それから範囲、あるいは場合によっては進出する数などによりまして実質性の判断をやっていかなければならぬというふうに考えているわけでございまして、形式的だけではなくて実質の問題として、今後検討する課題になっていくだろうというふうに考えているわけでございます。
  81. 川崎寛治

    ○川崎委員 今の質疑を通じて大蔵大臣、私は日中の経済交流、経済協力というのは、アジア、太平洋ということを考えました場合にも大変大きな課題だ、こう思うのです。ですから、私はそれは積極的に進めるべきではないだろうか、こういうふうに思うのですが、大蔵大臣の見解を伺いたいと思います。
  82. 竹下登

    竹下国務大臣 考え方としては私も同感です。今おっしゃいましたように、やはり北京と東京、これがまさに相互主義だ、だが、国の事情が違いますので、特区というものが一つ存在しておる。その辺の整理の仕方もきちんとすれば、今のところは駐在員事務所は日本の方が数が多うございます。向こうは一つでございますけれども、私は、積極的な進め方というのは大変いいことだというふうに思っております。
  83. 川崎寛治

    ○川崎委員 次に、ソビエトとかブルガリアも今度は駐在員事務所を開設したい、こういうふうな動きがある、打診がある、こういうふうに報道されておるのでございますけれども、その点について大蔵省としてどう考えておられますか。
  84. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 事実関係でございますけれども、私どもの承知しているところでは、ソ連も一度希望したわけでございますけれども、アフガニスタンのとき以後、接触がないわけでございます。それから、ブルガリアはただいま接触してきだしておりますので、検討中でございます。
  85. 川崎寛治

    ○川崎委員 終わります。
  86. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  87. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮地正介君。
  88. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは、証券取引法の一部を改正する法律案並びに国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部改正案、この二法案につきまして質問をさせていただきますが、最初に証取法の一部改正案の問題等から若干質問をしていきたいと思います。  今回の改正案の主な理由は、三点に絞られていると思います。第一点は、金融機関を直接参加させていわゆる会員とみなすという、みなし会員の問題、第二点が、標準物の設定の問題、そして第三番目に、投資者保護に伴うとこうの売買証拠金及び委託証拠金に関する規定の設定の問題であろうと思います。     〔堀之内委員長代理退席、熊谷委員長代     理着席〕  そこで、今回のこの法案の大きな流れとして、一つはこれからの国際社会の中における我が国金融自由化の問題に対する対応、もう一つはいわゆる大量国債償還時代という新たな事態が国内にも発生をしてきておる、こうした一つのバックグラウンドがありましてこうした法案の改正、私はこの法案の改正については大変に前向きに敬意を表するわけでございます。  まず大蔵大臣に、この法案についてこうしたバックグラウンド、そしてこれからの対応はやはり国民的ニーズにこたえてきめ細かな行政指導というものが問われるわけでございますが、この点についての大臣の所見を伺いたいと思います。
  89. 竹下登

    竹下国務大臣 今度の改正は、この提案理由でも申し述べましたし、それから今まさに宮地さんおっしゃるとおりの環境の中で整備していこう、こういうわけであります。金融国際化自由化という中で、これだけ世界から注目を受けておる東京市場と申しますか日本市場というものが、そういう投資先がほかへ逃げていくものを傍観視しておることはない、したがって今度法律改正をお願いしようということでございます。  しかしながら、午前中にもいろいろ議論を聞いておりましたが、どっちかといえば、金融に限らずすべてでございますけれども、アメリカの物の考え方というのはいわゆる自己責任主義でございます。日本の場合は投資家保護、預金者保護というような、体質的にそういう育ち方をしておりますが、アメリカ市場はトライ・アンド・エラーを繰り返しながら今日まで来た、したがいまして我が国も、やはりまずは安全第一というところから入っていくわけでございますが、将来にわたっては徐々になれていけば他のものも対象になって進んでいくであろうというふうに私は考えております。やはり、先般の円ドル委員会とか円の国際化自由化というものがあったから必要になったというものでは必ずしもございませんけれども、自然の流れでございましょうが、それに一つの拍車がかかったことは事実ではなかろうかと見ております。
  90. 宮地正介

    ○宮地委員 特に今回のこの法律改正の中で私が大変注目している問題の一つは、みなし会員規定であります。これは法律によりまして第百七条の二に明確になっているわけでございますが、特に債券先物市場への金融機関の参加の問題につきましては、今までも金融機関側と証券業界側におきまして御承知のようにいわゆる先物市場二号免許といわれるブローキングの可能性の問題についていろいろ議論がされてまいりました。これが今回、法律改正をしないで今後大蔵省の判断によりまして金融機関に対するいわゆるブローキングの認可というものが可能になった、その仕掛けが法改正でできた。この点は私は大変注目すると同時に、いわゆる大蔵省の権限強化がされたという見方も一面にあろうかと思います。この点についても私は今後大蔵省としての対応というものは非常に重要であると考えておりますが、この金融機関に与えるブローキング問題について、今後どのようなタイミングのときに対応されようと考えているのか、まずこの点について証券局長から伺いたいと思います。
  91. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 金融機関にどの範囲証券業務を認めるかという点でございますが、昭和五十六年の銀行法、証取法改正以来いろいろな議論があったわけでございます。金融機関先物取引には一応参加いたしますが、そのブローカー業務をどうするかということにつきましては、ことしの三月末の業際問題の処理に当たりまして種々議論をいたしました結果、今の段階では大体次のような考え方で処理をいたしたいと考えております。  金融機関先物取引に係る取次業務を行う必要性があるという強い主張があることに鑑み、債券先物市場が発足した後、その健全な発展を図る見地から上記の必要性が生じた場合には、遅滞なく金融機関の取次業者としての先物市場への参加について具体的な検討を行う。非常に長い文章でございますが、相当いろいろな折衝の結果、こういうことで現段階では対応していきたいと考えております。
  92. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣、この問題は先ほど少しお話ししましたように、法律改正をしないでも、今後大蔵大臣のいわゆる権限の範囲金融機関に対するブローキングができるようになるわけでございます。一面これは、考え方の角度を変えてみますと、銀行業界としては大蔵省に一つの大きな脅威を感じる、また大蔵省としては銀行業界に対して一つの大きな行政指導といいますか、権限の強化につながるおそれのある大事なところではないか。  今証券局長は非常に慎重な言い回しで、金融機関からの強い主張などがあれば、またそうした経済環境、これからの先物取引市場の推移、発展の中で考えていきたいというふうにおっしゃっておりますが、事務当局としてはごもっともであろう。しかし、大臣のお立場としては、国民的立場に立って、これが余り権限強化につながらないような公正な立場で、日本のこれからの先物取引市場の発展、また経済環境、国民的ニーズというものを慎重によく見た上で的確な判断をすべきである。よもや権限強化の上にあぐらをかいて行うような大蔵省の、言葉を悪く言えばおごりの中でやってはならない。そういう点について竹下大蔵大臣から御見解をしっかりと聞いておきたいと私は思います。
  93. 竹下登

    竹下国務大臣 申すまでもなく強い主張というのは、一つには先物市場の直接参加者が取次業務を行い得ないのは合理的でないとか、販売した公共債のリスクヘッジを目的とした先物取引ニーズに対応しがたく、顧客に対するアフターサービスにおいて証券会社とのイコールフッティングが確立されない等々の議論が存在しておることは事実であります。かれこれ勘案いたしまして、今慎重な答弁を証券局長から申し上げたわけでございますが、私どもとしてもこれは非常に慎重に対応すべき課題だというふうに理解をしております。
  94. 宮地正介

    ○宮地委員 次に、いわゆる標準物方式の採用の問題について少し伺っておきたいと思います。  特にアメリカなどにおきましては、長期国債先物取引の場合、標準物については残存期間が二十年、利率年八%、こういうものを設定をしているようであります。日本の場合、果たして今後どのようになっていくのであろうか。十年物、七%を設定するのか、こういったような御意見もいろいろ聞かれております。まず、この点について証券局長とういうふうにお考えになっておられるか。  また、こうした方式については、御存じのようにもう一つ、代表銘柄方式という方式もあるわけでございまして、私は標準物方式を採用したのは的確かなという感じがしておりますが、代表銘柄方式をなぜ採用しなかったのか。  この二点について御説明いただきたいと思います。
  95. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 具体的な標準物条件でございますが、先生指摘のようにアメリカではクーポンレートが八%で残存期間二十年、それからロンドンなどではクーポンレート一二%、残存期間二十年というようなことでございます。私どもとしてどれにするかということは具体的にはまだ全く決めていない段階でございますが、ある程度まで長期のもので金利も大体標準的なところを選んで検討してみようかなというふうに考えているわけでございます。  それから、なぜ具体的に特定銘柄対象にしないで標準物にするかということでございますけれども債券先物取引の歴史から見てまいりますと、過去においては具体的な銘柄を上場してやっていた時代があるわけでございますが、実際上は銘柄も多くなりますし、対象債券の入れかえもいろいろ出てくるということで、どうも投資家としては不便なのではなかろうか。したがいまして、アメリカなどの制度ないしはイギリスも既に標準物を使ってやっているわけでございますが、国際的に見ましてももう標準物の時代に入ってきているのではなかろうかなと私ども考えまして、審議会でも御検討いただきました結果、これが採用できるような道を開きたいと考えているわけでございます。
  96. 宮地正介

    ○宮地委員 今、大体常識的なものとおっしゃいましたから、日本の場合は恐らく十年物、七%の設定の方向に行くのではないかな、今の段階では証券局長お話しできないと思いますが、私はそんな感じがしております。  先ほどの金融機関のブローキング問題について、もう一点だけ御確認しておきたいと思います。  ことしの六月五日に銀行局がまとめたいわゆる金融行政の自由化、弾力化の第五次措置によりますと、証券業務取り扱いとして、五月に新たに地方銀行四十四行、相互銀行一行及び外国銀行五行に対して公共債のディーリング認可を行いまして、今申し上げましたように過去の三十七行に加えて八十七行になった。  この八十七行のディーリング業務のできる銀行、いよいよ将来的にブローキングをやる場合にはこの中から選定をしていくことになるわけでございますが、証券局長、もう少し具体的に、もしそうしたブローキングの、いわゆる先物市場二号免許を与える可能性のある銀行としては、この八十七行の中でどんな条件が必要なんでしょうか。
  97. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 具体的にどういう基準でやるかということまではまだ検討はいたしていないわけでございますが、ディーリングの遂行能力等を勘案するということで考えております。  ただ、現在八十七行のディーリングでございますが、将来またさらにふえてまいります。そういう広い範囲の中からどういうふうにしていくかということで、この八十七行の中から選ぶとかいうことよりは、もっと広い範囲で考えていかなければならない問題がなと考えております。
  98. 宮地正介

    ○宮地委員 今私がお話ししたのは、公共債のディーリングの認可をされていないような銀行に対してやることはまずないと思うのです。そういう意味で、現在は八十七行が公共債のディーリング認可を受けておりますから、将来的には恐らく百くらいになるかもしれませんし、あるいはもっとふえるかもしれません、百六十四くらいあるわけですから。そういう中で、そうした具体的な基準、規定というものをこれから詰めると思いますが、先ほどの大臣の所見に沿ってぜひ慎重に対応していただきたい。これは強く要望しておきたいと思います。  次に、債券先物取引にかかわる流通税の問題についてお伺いをしておきたいと思います。  御承知のように、欧米各国におきましては、先物取引に対する流通税の課税は創設をされておりません。我が国においても取引所税とか有価証券取引税、こういう対象がいろいろ考えられ、大蔵省としても課税をすべきだという議論と、いや課税をすべきではない、今から課税をしてしまうとせっかく創設した債券先物市場がワーキングしなくなってしまうおそれがある、こういうことで慎重になって、当面は課税はしない、こういうように我々は受けとめておりますが、それでよろしいのか。また、今後この課税問題については再浮上するおそれがあるのか。この点について御確認をさせていただきたいと思います。
  99. 角谷正彦

    角谷政府委員 戦後現在に至るまで我が国におきましては有価証券先物取引というのが行われておりませんので、課税実績がございませんけれども取引所で行われますところの有価証券先物取引につきましては、基本的には取引所税法におきます取引税が課せられるということが建前になっておるわけでございます。  ただ、国債先物取引につきましては、これは明治三十九年に、当時の日露戦争のときの国債大量発行背景にして、国債の円滑な流通を図るという観点からいわば政策的に非課税になっておる、それが現在に至っておる、こういう経緯がございます。したがいまして現在でも、一般の公社債につきましては、仮に先物取引が行われた場合には課税されることになりますが、今回国債について先物取引が行われる場合につきましては、現在の規定におきますと非課税、こういう扱いになっておるわけでございます。  そこで、今回の証取法の改正に伴いまして、新しく取引所におきまして国債先物取引を行うといった場合に、この取り扱いをどうするかということにつきましては、今委員指摘のように、部内でもいろいろ慎重に検討させていただきました。この点につきましては、国債先物市場といいますのは、証券局長もたびたび申しますように、やはり国債発行背景に、価格変動リスクというものを回避する手段を提供するということで大量の国債発行あるいは消化流通円滑化に資するということで、戦後初めて開設されるという意味でそれなりの政策的役割はある、それをやはり立ち上がりとして、当面見守る必要があるのじゃないかという点が一つと、もう一つ、現時点におきましては、まだ具体的に国債先物市場というものの姿がはっきりしてない点がございまして、技術的にも課税を検討するに至るだけの十分な材料がない、こういう事情にございます。  こういった点から申しまして、結論から申しますと、当面は国債先物市場に対します現在の非課税規定はこれを維持するということにいたしまして、今後、先物市場が開設された後の市場の姿とかあるいは取引の実態等を踏まえながら、国債先物取引について課税すべきかどうかにつきましてできるだけ早く結論を得るようにさらに検討していく、こういうのが現在の私どもの考え方でございます。
  100. 宮地正介

    ○宮地委員 今後の推移を見守って当面は非課税措置でいく。  もう一点、現在の商品取引あるいは証券取引、こういうものとの税制の比較をすると、現物との間にやはり先物取引は一面優遇されているのじゃないか、ちょっと不公平じゃないか、こういう声も国民の間にはあるわけですね。この問題についてはどのように受けとめておりますか。
  101. 角谷正彦

    角谷政府委員 有価証券現物取引につきましては、御承知のように有価証券取引税が、国債を含めてこれは課税されております。それから、取引所税の問題につきましても申し上げたとおりでございます。それから商品取引につきましては、現にいろいろな商品取引所で行われておる取引につきまして、大体年間百七、八十億程度の課税の実績がございます。  こういった課税のバランス等も含めまして、今後課税の可否について国債につきましても検討していきたい、こういうふうに思っております。
  102. 宮地正介

    ○宮地委員 ぜひその点は、やはり国民の目から余り不公平だというような声が沸き上がらない、また、だれが見ても常識だな、こういう的確な判断を、私は将来的には検討していただきたい。当面は、債券先物市場、これをやはり一つの軌道に乗せていくという意味で暫定的に非課税措置にしておるというように私は理解したいな、こう思っておる次第でございます。     〔熊谷委員長代理退席、堀之内委員長代理着席〕  次に、先ほど来、午前中も少し出ておりましたが、この先物取引の問題の一つに、やはり投資家リスクヘッジに絡んでの投機の問題があろうかと思うのですね。特に過度の投機が市場を混乱させるおそれが全くないとは言えないと私は思っております。そこで、やはりこの先物取引導入が常に債券現物価格の安定要因として働くように努力をすべきではないか。こういう点について、証券局長、今後具体的にどういうふうにこの問題に取り組んでいかれようとしておるか。先ほど少し監視を強めるとかいろいろおっしゃっておりましたが、その点について御説明いただきたいと思います。
  103. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 先物取引は、御承知のように少額な証拠金で行うことができますし、差金決済が可能であるというような点から考えまして、リスクヘッジで安定的に機能するという面は確かにありますが、一面において確かに投機的な性格もあるわけでございます。これが過度の投機によりまして市場が不安定になるということが私ども一番心配をいたしているところでございまして、これを防止するために、制度の構築に当たりまして十分配意をしていきたいというふうに考えております。  具体的には証拠金率の引き上げとか値幅制限の問題とか、かつまた、現物市場とか株式市場でもやっておりますが、価格形成が安定的に行われているかどうかという点につきまして、先物市場の監視体制というものを十分強化していきたいというふうに考えております。
  104. 宮地正介

    ○宮地委員 さらに、証拠金の最低限度額ですね、特に「売買証拠金及び委託証拠金に関する規定を設ける」、こういうことになっておるわけでございますが、やはりこの証拠金の料率の問題ですね。これは今後どういうふうに決めていかれるのか。いろいろマスコミ等の報道を聞いておりますと、大蔵省は少し高目に設定をしていくというようなニュアンスの報道もされておりますね。この点については、証券局長どうでしょう。
  105. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 証拠金率につきましては、一つは、やはり先ほど申し上げましたように投機的な一面があるということから、こういうものに熟達している機関投資家が参入するということが中心になると思いますが、そういう点から考えますと、ある程度まで取引単位とか率というものを高目に持っていった方がいいのかなということも感じますが、しかし一方におきまして、市場に厚みを加えるといいますか、かつまた一般の投資家リスクヘッジができないようでも困るわけでございまして、そういう意味合いからはある程度まで低くしなければいけない。この両面の兼ね合いのところで売買単位とか証拠金率というのができてくるのではなかろうかなというふうに考えておりまして、今後この両面を慎重に考えながら決定をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  106. 宮地正介

    ○宮地委員 そうしますと、今いろいろ言われている委託証拠金は三%とか売買証拠金は二%とか、こういう具体的な数字も既に出ているのですが、これについてはどうお考えでございましょうか。
  107. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 関係方面でいろいろな議論がございます。確かに先生おっしゃいますように、三%、二%というのも議論の中には出てきている数字でございます。
  108. 宮地正介

    ○宮地委員 証券取引法一部改正案については、この程度で一応終わりにしたいと思います。  次に、きょうは少し大蔵委員会で法案と関係ない問題で失礼でございますが、国際金融公社の問題は後ほどまた終わりの方でやることにして、大蔵省は財政のいわゆる助成措置も国としてやっておりますので、ちょっと国鉄関係の問題に入らせていただきたい、こう思いますので、少しの間御承知おきいただきたいと思います。  きょうは国鉄から岡田常務理事が見えておりますので、この十月一日からいわゆる通勤新線、通称通勤別線の開業がいよいよ予定されておりまして、この開業に伴いまして、特に私の地元に走っております国鉄川越線は、この問題との絡みでもう三カ月前でございますので相当煮詰まっていると思いますが、現状の報告をまずしていただきたいと思います。
  109. 岡田宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  川越線の電化の問題につきましては、先生今お話もございましたように、大宮から赤羽までの東北新幹線に併設をいたしまして通勤別線をつくっております。この通勤別線の開業と同時に、川越線の電化並びに川越線大宮−日進間の一部の線路増設の工事をいたしまして、十月には開業をする予定で工事を進めているところでございます。開業の日程、日時等につきましてはまだ具体的に詰める段階に至っておりませんが、いずれにいたしましてもただいまの見通しては、十月中の開業は可能であると考えているところでございます。
  110. 宮地正介

    ○宮地委員 実際に今回高麗川まで電化をされました。日進までは複線化されまして、日進−高麗川間はまだ単線である。通勤別線は高麗川まで行くのですか、それとも川越で折り返しなんですか、それとも日進で折り返しなんですか。どういう方針で今取り組んでおられるのですか。
  111. 岡田宏

    ○岡田説明員 通勤別線と川越線の列車の関係でございますけれども、御承知のように大宮の駅におきまして通勤別線と川越線とは直通乗り入れが可能なような設備で考えております。また、この通勤別線は赤羽駅におきまして現在の赤羽線と直通乗り入れが可能である。したがいまして、線路といたしましては池袋までつながってくるという形になるわけでございます。  列車の運行形態につきましては、現在さらに検討をいたしておりますが、川越線の電車につきましては、高麗川−川越間のお客様の数と、川越−大宮間あるいはさらに大宮から通勤別線を通りまして赤羽までの間のお客様の数との間に相当大きな差がございますので、そういったことから、例えば電車の両数にいたしましても、川越から大宮を経由いたしまして赤羽を通って池袋に入ってくる電車につきましてはかなり長い編成の電車を動かさなければいけない。一方、川越線の高麗川から川越までの間につきましてはかなり短い編成の電車を運転することになりますので、ラッシュの時間帯につきましては川越線内、すなわち高麗川から川越までの列車につきましては川越駅で折り返しをする。そして川越駅で通勤別線と接続をいたしております長い電車がそれを待ち受けておりまして、ここでお客様に乗りかえていただいて、川越から大宮を経由して赤羽、池袋まで直通運転をするということで考えております。  今申し上げたのはラッシュの時間帯でございまして、日中の時間帯につきましては輸送力に若干の余裕がございますので、短い電車を大宮まで入れることができますので、データイムの時間帯につきましては高麗川発の電車も大宮まで直通することにしたいと考えているところでございます。  なお、詳細につきましてはさらに検討中でございます。
  112. 宮地正介

    ○宮地委員 岡田常務理事、東北新幹線が上野まで開通をした。通勤別線がそれに伴って十月から運行する。最大の国鉄のネックは何であったかというと、車両基地の問題なんですね。その車両基地を川越線の南古谷というところに設定する、その代償と言うと失礼ですが、そのかわりに、現在の人口急増の中にディーゼルカーで単線運転している国鉄川越線に通勤別線を相互乗り入れして何とか人口急増の通勤通学難解消、そして輸送力増強をやろう、こういうことで地元の地域住民は納得したんです。今のあなたのお話では、川越までは何とか入ってくるけれども、川越から以西の高麗川間については何ら配慮されていない。これはどういうことなんですか。
  113. 岡田宏

    ○岡田説明員 今先生指摘の問題につきましては、川越以西のお客様、川越から高麗川までの間のお客様につきましては、今川越の駅のホームの改造工事をいたしておりまして、同じホームですぐに乗りかえができるという形に改造工事をいたしております。したがいましてラッシュの時間帯に川越以西からお乗りになりまして大宮の方に向かわれる、あるいは池袋の方に向かわれるお客様につきましては、川越でホームにおおりになりますと向こう側のホームにすぐ長い電車が、しかもがらあきの形で待っていて、そこからすぐお乗りかえいただくことができるという形になるわけでございます。  現在ディーゼルカーで走らせておりますが、それは川越を越えて直通しておりますけれども、かなりの長い時間川越の駅に停車いたしまして時間の調節等をいたしております。今回の場合には、両方とも同じ電車を使うわけでございますけれども、川越の駅ですぐに乗りかえができる。それから電化によるスピードアップもございます。したがいまして川越以西のお客様に対しましても、大宮あるいは赤羽あるいは池袋方面にお出になるのに大変お便利になると考えている次第でございます。
  114. 宮地正介

    ○宮地委員 川越から高麗川の間の乗降客が赤羽線と比較対照して云々ということであなたはおっしゃっておりましたが、高麗川というところは入間郡日高町で、ここはもう人口五万になんなんとして、近い将来市になるのです。そして川越から高麗川の間には最近県立高等学校も新設校が二校、私立の学園もできておりまして、大変な教育都市に変わってきまして、通勤通学客も大変に急増しているのです。もう一つは、先ほど申し上げましたように、南古谷の車両基地を地元でのむとき、川越までなんていうそんな条件はないのですよ。川越線に相互乗り入れ、本来なら川越線ですから高麗川ということになっておりますが、昔はあれは大宮と東飯能の駅を結びますから大飯線と言っておりました。本来なら東飯能まで電化して対応するのが筋なんですけれども、皆さんの方は、東飯能は八高線ということでどうもカットしたようです。  あなたの話を伺っておりますと、川越で乗り継ぎをして何とか通勤新線につなぐから、うまく対応しているというように聞こえるのですけれども、地元はそうじゃないのです。川越線に相互乗り入れということなんだから、やはりきちっと目標は高麗川の駅までの相互乗り入れということなんで、この約束は不履行にするのか、こういう声が上がっている。例えば、当面予算的に厳しい、日進から川越をこれから複線化しなければならないでしょう、将来的には川越から高麗川までも複線化しなければならないでしょう、その複線化が終われば自動的に十両編成の車両が川越に入ってくると同じように高麗川も入れられますと、当面の措置として今あなたのおっしゃったようなことなんですか、将来ともこれでいくのですか、どうなんですか。
  115. 岡田宏

    ○岡田説明員 今先生からお話ございましたように、川越以西につきましての川越線の沿線あるいは八高線の八王子−高麗川間につきましても、首都圏の外縁化に伴いまして大変発展を続けている地区でございます。そういうことは私ども十分認識をいたしておりまして、それに応じた輸送の体系をとっていく、あるいは設備の改良を行っていくということをしていかなければいけないという覚悟を持っておるわけでございます。  ただ、当面の措置といたしまして現在の時点で考えますと、輸送量にかなりの差があることは事実でございます。したがいまして、もしその通勤別線に使います長い電車を川越から先の方の高麗川の方に入れてまいるといたしますと、例えば各駅を全部ホームの長さを延ばさなければいかぬというようなことで相当巨額の投資を要することになります。そういった意味で、今回当面の対策といたしまして今申し上げましたように極力私どもスピードアップを図るということで、川越以西のお客様については川越の駅で乗りかえていただくということで当面御不自由をしのいでいただきたいと考えている次第でございます。
  116. 宮地正介

    ○宮地委員 当面の措置ということで私も理解したいと思います。  そこで、将来的には高麗川まで持っていくということですね、確認しておきたいと思います。
  117. 岡田宏

    ○岡田説明員 そのとおりでございます。私ども川越を越えて電化もいたしたわけでございますし、輸送量が伸びてくるのに応じてそういう施策をとってまいりたいと考えております。
  118. 宮地正介

    ○宮地委員 その辺がはっきりしませんと地元は納得しませんからね。その辺をしっかりとしておきたいと思います。  そこで、当面高麗川−川越間はラッシュ時には折り返し運転の編成をやるわけですね。現在ラッシュ時は、高麗川から大宮は四両編成か五両編成なんですね。例えば三両とか、これより減ることはないでしょうね。
  119. 岡田宏

    ○岡田説明員 編成両数を減らすことはいたしません。四両編成でまいります。
  120. 宮地正介

    ○宮地委員 それでぜひお願いしたいと思います。  もう一つお願いは、現在でも四両編成、五両編成でやっておりますと、先ほど申し上げたように人口がふえておりますし学校もふえておりますので、特に通学の子供たちがこの川越から高麗川間のわずか四つか五つの駅で積み残しされているのです。通勤別線が川越に入ってくる、そこで乗り継ぎをする。私も現地の改良工事、駅を見ておりますが、一つは、この乗り継ぎを今度はそのままホームの反対側ですぐ乗れる、こういう便、これは御苦労しておるようです。もう一つは、川越—高麗川間のダイヤ編成のとき、朝のラッシュのときは今より少し過密ダイヤにしてもらいたい。今は相当な間引き運転なんです。そういう点で、通勤別線が高麗川まで行かないんだから、当面折り返しでもって対応するのですから、ぜひダイヤ編成のときはラッシュの乗降客の実態に合わせた編成を組んでもらいたい。この点についてどうでしょうか。
  121. 岡田宏

    ○岡田説明員 先ほど先生に申し上げました御答弁でちょっと不手際がございまして、その修正を含めまして答弁をさせていただきたいと思っております。  川越線を電車化いたしましたときの基本的な編成は三両といたしたいと考えております。そのかわり増発をいたしまして、フリクエントを増します。本数を増しまして、全体の輸送力は現行の輸送力よりプラスアルファ、要するに現行の輸送力を上回る輸送力をつけたいと考えております。編成を四両と申し上げましたのはその意味で間違いでございますので、訂正させていただきたいと思います。  そういった意味で、そういったことも兼ねまして川越線の川越以西の輸送力につきましては、輸送の実態に合わせまして今後ともレベルアップを図っていくことで努力してまいりたいと思っております。
  122. 宮地正介

    ○宮地委員 確かに、三両のことを含んでおりましたから、あなた四両と言ったから私はしめたなと思っていたのですが、あなたは間違いということだからあれですが、輸送力を低下させないようにレベルアップということですから、そして今本数をふやして対応するようにおっしゃいましたから、ぜひそれを守っていただきたいと思います。  今回の通勤別線の川越線への乗り入れ問題については、やはり南古谷の車両基地問題が絡んできている。あそこは過去に石油基地をつくるということで、大変な猛反対があってつぶれた経緯もあなたも知っているはずなんです。歴史的な地域でございますから住民も非常にシビアになっているわけです。その上に人口の増加という新たな現象も起きているわけです。そういう実態をどうかよく把握して適切なる輸送力の増強に対応してもらいたい。これは私は強く要望しておきたい。  もう一つは、埼玉県の場合は東西の輸送力は今まで非常に弱かったわけです、武蔵野西線が。それで、今回の通勤別線が川越線に乗り入れるというのは東西を結ぶ一つの重要な路線である、将来的には、今あなたおっしゃったように環状線として八高線とのドッキングによって首都圏の重要な一つの路線になっていく、こういう大きな背景もあると私は思うのです。そういう点では、この路線の強化はペイをするものと私は信じております。特に国からは六千億近い助成措置が国鉄にはされているわけでございますから、その助成された資金が付加価値を生んで、なおそうした輸送力の増強、新しい首都圏における東西を結ぶ重要な路線に発展をしていく、これは生きた資金の活用ではないかと私は思っているわけでございます。  大蔵大臣、お話を聞いていて、同じ資金を使うにも、国鉄というと何か赤字問題ということで国民からは余りいいように見えないわけでございますが、発展する首都圏の中で、こうした一つの路線においては投資をすればそれなりの効果を生めるんだ、また、地域住民もどんどん今増加をして通勤通学客も増加の一途をたどっていく、こういう地域においては、同じ助成金においても思い切ってスピーディーに対応できるよう大蔵省としても国鉄当局、運輸省などを通じましてそれなりの行政指導をしていくべきではないか、私はこう思っているわけでございますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
  123. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題につきましても、特に緊急性に配慮して六十年十月開業を目途に所要額二百五億円、こういうことをあらかじめ調べておきましたが、私も今話を聞きながら、私の選挙区なんかから見れば五万人の都市ができるなんということは予想もできないことだな、そういう印象を非常に強くいたしましたので、いわば都市交通とでも申しますか、そういうことの重要性は問答の中で私のような環境におる者にもよく理解のできるところでございました。
  124. 宮地正介

    ○宮地委員 理解のできるところでございますので、その後の言葉が大事なんで、前向きに対応しますとか、その辺、大臣もう少しお話しいただかないと、ちょっとおさまりがつかないのですが。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 これはやはり国鉄当局自体で御判断なさる問題でございましょうし、したがって、予算編成の過程におきまして私どもがどこまでその調整権限で臨む課題がどうかは別問題といたしまして、大変問題自体をよく理解させていただきましたので、そのような姿勢で調整作業にも臨むべきであるということは申し上げます。
  126. 宮地正介

    ○宮地委員 岡田常務理事、ありがとうございました。決算委員会で呼ばれているようですから、行ってください。合わずかな時間でございましたが、地域住民のそうした声また過去の一つのそうした流れ、こういうものをよく実態を見まして、どうか適切な対応をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。  次に、本題に戻させていただきたいと思います。国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部改正案、これに関連いたしまして、私は最初にいわゆる政府開発援助、ODAの問題についてまずお話を伺っていきたい、こう思っております。  ODAに対する基本的な考え方ですが、中曽根政権ができ、またレーガン大統領との非常にロン・ヤス関係が強まる中で、最近ODAに対して特に、今までの援助の流れが少し変化をしてきているんではないか、こういう国民の声もやはりあるわけです。それはどういうことかといいますと、いわゆる安全保障上の見地から重要と考えられる国に対する援助、いわゆる戦略援助、こういうような兆しといいますか方向といいますか、こういうものが日本の中でも少しずつ導入といいますか指向されてきつつあるんではないか。本来ODAの援助の基本的な姿といいますか考え方というのは、人道主義的援助、中立的な立場での援助、こういうものがやはり大変に言われているわけでございますが、そうした国民の声というものも現実に最近出てきているわけでございます。この点について外務省、いわゆる我が国のODAの援助に対する基本的な考え方は変わってきているのでしょうか。この点についてどういう考え方に立ってやられているのでしょうか、伺いたいと思います。
  127. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  我が国は、平和国家といたしまして、また自由世界第二位の経済力を有する国として、世界経済の発展及び世界の平和と安定に貢献する、そういう観点から経済協力をこれまでもやってまいった次第でございます。  経済協力というのは、基本的には南北関係、これを基調に進められるべきであり、我が国は、南北関係の根底にございます。ただいまも先生が御指摘になりました人道的考慮、それと相互依存関係、この二つを理念として実施しておりまして、目的といたしましては開発途上国の経済社会開発、民生の安定、そして福祉の向上を支援することにございまして、こういう我が国の経済援助実施の基本的な考え方というのは従来から一貫していると言えると思います。
  128. 宮地正介

    ○宮地委員 ことしの一月、安倍外務大臣とシュルツ国務長官の会談が行われまして、そのときシュルツ国務長官は、日本のODAが量の増加ばかりでなく援助対象国という面で世界の平和と安定に重要な地域への援助を考えて実施していることを歓迎する、こういうお話があったわけですね。これは、とりようによっては戦略援助に賛意を表している、こういう見方もあるわけですね。これは外務省、どういうふうに受けとめておりますか。
  129. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  我が国の経済協力の基本的な考え方は先ほど御説明したとおりでございますが、それに加えまして、五十六年の鈴木総理の訪米のときに日米共同声明の中で、我が国が世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化するという考え方も明らかにいたしております。  もちろん、この場合にどういう地域が世界の平和と安定の維持のために重要かということは、我が国が独自にそのときそのときの国際情勢に応じまして判断をいたしておりますし、それから、そういう世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助の内容でございますが、これは先ほど申しましたような人道的な考慮あるいは福祉、厚生あるいは経済的な基盤の充実、こういうことを内容にした援助ということでございまして、これも先ほど申しました基本的な理念にのっとった形の援助であるというふうに考えております。
  130. 宮地正介

    ○宮地委員 特にODAの予算といわゆるDACからの国際目標、この関連についてちょっと伺ってみたいと思うのですが、DACの方では、ODAのGNP比〇・七%、これが当面の国際的な目標である。日本の場合は現在、一九八三年のデータによりますと〇・三三、OECDの諸国の中では十二位。国民一人当たり見ますと大体三十一・五ドル、十二位。ODAに占める技術協力が大体一〇・二%で十四位、こういう状況にあります。  そこで、いよいよ第三次ODAの中期目標、これが六十一年から始まるわけですね。第二次の場合は、今回政府も前年度比一〇%アップしまして、何とか倍増というところに近くなりまして、国際的には信義を果たしてきたと私は思います。第三次のODAの中期目標、これはいわゆる量から質的な拡充の時代ではないか、こう言われているわけでございますが、まず外務省、この第三次ODAの中期目標については、国際的に我が国がどの程度対応していけば、信義といいますか日本の果たす一つの役割、こういうものが成功するのか。まず、どの程度に目途を置いておられるか、この点について伺いたいと思います。
  131. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  まず、我が国の経済援助全体に対する評価でございますが、まず量の面で、対GNP比では先ほど先生指摘のようにまだDACの平均に達しておりませんけれども、量で申しますと、つい最近発表されました昨年のODAの我が国の実績は四十三・二億ドルということで、これは従来からDAC、OECD等で我が国の援助の量の増大の努力が高く評価されているところでございます。質につきましては、これもただいま先生指摘のとおり、DAC平均に及ばないというのは事実でございますが、これまでも我が国は質の向上に努めてまいりましたし、それから今後とも一層質の向上に努めたい。  ただいまの御質問のどの程度質の向上を達成すれば国際的に日本のすべきことをなしたことになるかということにつきましては、一概に具体的な数字をもって言うことはなかなか難しいかと思われますけれども、国際的な日本の援助に対する期待がますます高まっているということもございますので、できるだけこういう国際的な期待にこたえられるように、少しでも質の改善を図っていくということかと存じます。
  132. 宮地正介

    ○宮地委員 大蔵大臣、これは非常に大事な問題なんです。国内的には財政事情が大変に厳しい状況下にあるわけです。その中で六十年度予算は前年度に比べて一〇%増、大蔵省としては大変努力されたと思うのです。いよいよ今度は六十一年度以降、今申し上げましたように第三次ODAの中期目標の時代、来年度から五カ年間の新たな計画、目標を立てなければならない、そういう時代に来ているわけです。これについて、今までと同じように倍増計画でいくのか、あるいは若干緩やかな目標にして全体としてレベルアップしていくのか、やはりそうした非常に大事なときを迎えていると私は思うのです。  特に今、南北問題は非常に大事な立場にあるわけでございまして、国際的に日本の果たす役割が非常に要請されているときでございます。これをむげに抑制するということも、今まで以上に予算をカットするということもやはり厳しいと思いますし、さりとて国内の財政事情は厳しい、しかし国際的な大義の面からは日本の立場を果たしていかなければならない。今外務省当局もできるだけ質的な向上をしたいと願望をもって言っておりましたが、大臣としてはこの問題にどういう方向性で取り組んでいかれようとされておるか、御見解を伺いたいと思います。
  133. 竹下登

    竹下国務大臣 四月四日のことでございますが、安倍外務大臣、竹下大蔵大臣、金子経済企画庁長官及び村田通産大臣は院内で会談し、四月十一、十二日の両日パリで開催されるOECD閣僚理事会における政府開発援助、ODAの拡充問題についての対応につき協議を行った。そこで、今おっしゃいましたように「我が国は一九八六年以降も新たな中期目標を設定し引き続きODAの着実な拡充に努める。」それからもう一つは「無償資金協力及び技術協力を拡充するとともに国際開発金融機関に対する出資等の要請に対し積極的に対応する等により、併せて質の面でも可能な限りの改善に努める。」こういうことを申し合わせたわけであります。  それで、今まだ折々私のところで考えておるという程度でございますけれども、あの今までの分は面積で五年で倍、こんな感じでございますよね。要するに、この財政の厳しいときでございますから、目標を掲げて結果として裏切るようなことになってはいけませんので、実現可能なものでなくてはいかぬというふうには基本的に思っております。そうすると、今外務省でODA実施効率化研究会というもので検討をしていただいておるその結果も見なければならぬ、それと同時に、六十一年度以降の財政状況についてのある程度の見通しも立てなければいかぬということで、これからその中身について議論を固めていこう。だから、今も例示としておっしゃいましたが、五年というものなのか十年というものなのか、その辺もまだ別に詰めたわけではございません。  それで私、いつも思いますのは、これはいささか自己満足でございますけれども、あのときの為替レートで計算しますと十分達成できているんじゃないかということが一つ。しかしこれは、時にはちょっと通用せぬ議論かもしれません。それから、各種増資のときにいつでも日本がおおむね主張した線で合意ができておったらば完全なものになっておったではないか、私はこういう感じは持っておりますので、今後とも厳しい財政事情のもとでございますが、この予算編成の過程を通じて、実現可能である、うそをつくという結果にならぬように十分努めてまいりたい。  それからもう一つ、私見でございますけれども、質的な問題はもとより大事でございますが、我が方はかつて世銀等から金を借りてやった経験がございますので、どちらかといえばASEANあたりに対しましては、我が方の経験から自立自助というものが——ODAのカウントの場合にはそれは無償援助の方がいいのでございますけれども、自立自助というようなものも考えた場合には、日本のASEANにおける地位からいうと円借なども本当は実体としての効果は上がるんじゃないかなという気持ちが私の意識の底にはいつも存在しておるということであります。
  134. 宮地正介

    ○宮地委員 私も質的な面で、今大臣おっしゃいましたようにこの円借款の貸し付け条件を緩和していく、これも非常に大事なポイントじゃないかと思うのです。特に無償資金協力あるいは技術協力、この組み合わせによる贈与と円借款問題、今大臣おっしゃいましたように、日本は援助国平均七九・七%に比べましてまだ五五・二%、オーストラリアなんか既に一〇〇%、アメリカでも八五・五%、日本は十六番目、贈与の比率が非常に低い。その上、円借款の貸し付け条件にいたしましても、金利の問題にしましても日本の場合三・三%、DAC平均が二・九%、償還期限にいたしましても日本は二十七・六年、DACの場合は二十八・四年で大体一年ぐらい長い、償還期間日本の方が短い。据置期間日本は八・八年、DAC平均八・二年ですが、こういうふうな円借款をふやしながら、また貸し付け条件の緩和、これも質的な面の非常に大事なポイントだと思うのですが、この点について外務省、実際にあなた方現場にいて厳しい思いをされると思うのですが、今大蔵大臣もおっしゃいましたように、日本は一時は世銀等でお世話になったわけですから、御恩返しの意味も兼ねて、やはり将来そうした方向というものも強めていくべきではないか。いみじくも今大臣から、個人的には円借問題がな、こういうお話がありましたので、時間も限られておりますし、私は大蔵大臣に強く要望しておきます。政府部内でもこうした問題をぜひ御検討をいただきたい、このように思います。  最後に、もう時間がございませんが、IFCの問題についで若干お伺いをしておきたいと思います。  IFCは、第三世銀というふうに言われております。昨年の九月にIFCのジュドビール・パーマー副総裁が、新しい事業計画を説明に来日されました。その五カ年計画は、一九八五年、ことしから一九八九年まで、一つはサハラ以南のアフリカでの活動を強化する、二つ目には途上国企業の経営の再建、三つ目には途上国資本市場の育成、四つ目には石油開発援助などの事業計画の説明に参りました。そのときにこの副総裁から、日本の企業と組んだ合弁事業が非常に優秀な成績をおさめておる、やはり日本の企業が、単にアジアだけでなくてメキシコなどを含めた国々に企業参加をしまして、どんどん経営者あるいは技術陣を送り込んで、もっともっとラテンアメリカにも関心を持ってもらいたい、こういうお話があったようでございますが、これを受けまして、その後どういうように政府として取り組んでおられるか、この点について御説明いただきたいと思います。
  135. 行天豊雄

    行天政府委員 御指摘のように、IFCは、生産的な民間企業を育成するということを目的としておるわけでございます。恐らくこのねらいは、一つには、IFCのような形で投融資を行うことによりまして民間資金のいわば呼び水になる、その結果、IFC自身が行います投融資額に比べますと非常に大きな規模の民間資金が途上国に流れるというメリットと、それからもう一つは、まさに委員指摘のように、民間の資本が途上国の民間企業にかかわることによって、管理技術であるとか経営のノーハウであるとか、いろいろな面でのテクノロジーといったものが途上国に移転されることというのが非常に大きなねらいだろうと思うわけでございます。まさに私どもも、パーマー副総裁がその意味日本の企業が果たしてきた、また現に果たしておる役割を評価したということは大変喜ばしいと思っておるわけでございます。  御承知のとおり、IFCを含めました世界銀行グループは東京に事務所を持っておりまして、この事務所がIFCの事業あるいは民間の金融機関あるいは企業に対するそういう意味でのPRというようなことで大変活発な活動をしておるわけでございますが、私ども常日ごろこの世界銀行グループの東京事務所と緊密に連絡を保っておりまして、そのPR活動あるいは日本金融機関その他民間企業との間の連携がますます強化されるように、これは側面からの援助でございますけれども、私どもといたしましてもできるだけの協力をしておるわけでございます。今後ともそういった協力はぜひとも活発にやっていきたいというふうに考えております。
  136. 宮地正介

    ○宮地委員 特に中小企業相手の問題でございますから、日本の企業がそうして協力していく。昔はエコノミックアニマルとか企業の無謀とか、日本企業のそういう一つの体質といったものを東南アジア諸国か至言われたことがよくあります。ぜひそういうようなことのないように、先進国としてのプライドと、またそれなりの経済大国になりました誇りを持って、襟度を持って、本当に国際社会の中で日本の果たす役割を真摯にやっていくべきではないか、やはりそこに国際金融公社への資金援助というものが生きてくる、こう私は思っております。  たしか昭和五十四年、アフリカ開銀に参りましたときに、開銀総裁から、日本の援助資金がアメリカに次いで第二位である、我々の国は昔はフランスの植民地でした、しかし、地球の裏側の小さな日本の国からこれだけの資金を援助していただいて本当に感謝をしておりますと言われた、あの黒人の総裁の声がいまだに私の脳裏に焼きついております。かんがい用水あるいはビート工場などを見さしていただきました。やはりやれば日本のそうした資金援助が生きてくると思うのです。そうした方向に大蔵省としてもぜひ全力で取り組んでいただきたい。最後に、その点について大臣の所見を伺い、質問を終わりたいと思います。
  137. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、おっしゃいますようにアフリカ開発銀行では第二位、こういうことでございます。先ほども申し上げましたように、日本がある意味において信頼され尊敬されるのは、かつて債務国であった、世銀から金を借りておった、その経験者が、若干後追いになっておりますものの、今や各機関に対する増資等から見ましてもこのようないわば出資同になっておるということで、私は人道的に考えても、世界全体の経済のことから考えても、やはりこの道は日本としては進まなきゃならぬ道だといつも自分にも言い聞かしておるつもりでございます。
  138. 宮地正介

    ○宮地委員 では終わります。ありがとうございました。
  139. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 玉置一弥君。
  140. 玉置一弥

    玉置(一)委員 今の宮地先生の続きのような話になるわけでございますけれども、今回の国際金融公社への出資の問題、今の日本の海外に対するいろんな協力、この日本の努力というものが海外から本当に認められているかどうか、この辺についてお伺いをしていきたいと思います。  特に政府開発援助、ODAと言われるものがこの厳しい予算の中でも上積みをされてきているというような実情もございますし、また、経済協力の面においてアメリカの次に出資をしている、最近こういう状況になったということも聞いております。そういう意味で、今の厳しい財政状況の中でかなり日本政府としててこ入れを行っているのは確かだと思います。しかし一方では、貿易摩擦そのものが年々高まってまいっておりますし、また発展途上国等からも日本に対する大変強い要望がいろいろ出てきている。こういう状況を踏まえて考えていきますと、幾らお金を出しても大して効果が出てないんじゃないかな、こういう感じがするわけでございまして、この辺についての考え方を聞いてみたいというふうに思うわけでございます。  そこで、まず現状認識という意味で、今国際金融機関にどういう比率で、日本円にして幾らくらい出資をされていて、それぞれ順位は何番目が、この辺についてお聞きをしたいと思います。     〔堀之内委員長代理退席、熊川委員長代     理着席〕
  141. 行天豊雄

    行天政府委員 国際金融機関はかなりの数になっておりますが、主なものにつきましてお答えを申し上げますと、まずIMF、国際通貨基金でございますが、我が国の出資のシェアは四・七%でございまして、順位が第五位でございます。それから世界銀行でございますが、ここにおきましてはシェア五・二%で、今増資をやっておりますが、今回この増資が終わりますと、米国に次ぎまして第二位ということになる予定でございます。それから第二世界銀行は、シェアが一三・六%で、これも米国に次ぎまして第二位でございます。それから今御審議をお願いしておりますIFCでございますが、今回の増資が終了いたしました後でシェアが四・七%、こちらは順位が五位でございます。  それに対しまして、日本が非常に大きな役割を果たしておりますアジア開発銀行がございますが、こちらではシェアが一六・四%で、これは米国と並んで第一位。それからアジア開発銀行の中に附属しておりますアジア開発基金というのがございますが、ここではシェアが三七・一%で、同じく第一位。  それから、これも地域開発銀行でございますが米州開発銀行、こちらでは日本が域外国ということもございますが、シェアは一・一%。ただ、域外国の中では、日本のシェアが一位でございます。それから米州開発銀行の中にございますやはり特別基金、これはシェアが二・一%で、同じく域外国の中では第一位。  それからもう一つの地域開発銀行でございますが、アフリカ開発銀行、ここでのシェアは四・七%でございまして、域外国の中では米国に次ぎまして第二位。同じくこのアフリカ開発銀行の中にございますアフリカ開発基金、ここではシェアが一三・八%で、同じく米国に次ぎまして域外国の中での第二位を占めておる、こういう実情でございます。
  142. 玉置一弥

    玉置(一)委員 ほとんどが二位から五位という間に入っておるわけでございまして、その割には評価が上がってないと私先ほど申しましたけれども、ここにいろいろな日本に対する要望というのが強くなっておりますし、また日本の経済構造、これが従来の山銀からいろいろ融資をいただいていたころからかなり工業化が進んで、むしろ工業先進国のアメリカと争うような状況になってきている。こういう状況から考えますと、今さら日本の貿易摩擦を責められてお仕方がないというような、私そんな感じがするわけです。というのは、貿易黒字がなければ当然資源というものが確保できないし、そして経済の発展もあり得ない。こういうことから考えますと、やはり今の貿易摩擦そのものについてのいろいろな対応というのも、場合によっては今の海外協力を通じた形で、相手の要望をもっときめ細かく、逆にニードに合わせた形で政策としてある程度組み込んでいかなければいけない、そういうふうに思うわけでございます。  そこで、今お聞きしましたいろいろな出資でございますけれども、大まかにこれがどのように生かされているというふうに大蔵省は考えておられるか、これについてお聞きしたいと思います。
  143. 行天豊雄

    行天政府委員 開発途上国に対します援助のやり方といたしまして、もちろん二国間のやり方と、こういった多国間の機関を通じるものとあるわけでございます。我が国がこういう多国間の開発金融機関に積極的に参加をしておりますゆえんは、やはりこういう国際金融機関と申しますのはいろいろな面でメリットがあるのじゃないか。つまり、こういう機関には、大体非常に長い深い経験から得られた知識なりあるいは技術経験というのが蓄積されておりますから、同じ金を使うにしても、そういう知識、経験が非常によく生かされるということもございましょうし、また、こういう国際機関でございますと、往々にしてありがちな政治的な配慮というようなものも排除されることもあるだろうし、それからまた我が国といたしますと、もちろん開発途上国というのは世界じゅうにあるわけでございますけれども、やはり地域によっては我が国と従来のつながりが非常に薄くて効果的な協力ができないというような場所も中にはあるわけでございますが、こういう機関を使えばそういった方面への我が国の援助も有効に活用されるというようなメリットもあろうかと思います。  したがいまして、私どもこういった国際機関に対しましては、これからも厳しい財政事情でございますけれども、その中で許す限りの協力をしていく必要があると思っておりますが、同時に、やはり私ども単に金を出すということだけではございませんで、こういった国際機関の運営ができるだけ効率的に行われますよう、我が国の発言権と申しますか、経営に対するいろいろな意味でのアドバイスというものを積極的にやっていきたいと思っておるわけでございます。  ただ、その点につきまして、やはりこういう開発金融機関でございますから、どうしても出資のシェアとその機関におきます広い意味での発言権というものの間には関係があるわけでございますから、やはりある程度の出資を覚悟しないと発言の方も保てないという事情もございますので、その意味でも、こういった機関に対しましては今後とも財政事情の許す限り協力をすることによって、我が国の援助の政策をできるだけ世界全体の途上国地域に効率的に浸透させていきたいというふうな方向で考えてまいりたいと思っております。
  144. 玉置一弥

    玉置(一)委員 同じ質問を、外務省太田参事官にお願いしたいと思います。
  145. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  ただいま行天局長の方から説明がございましたように、国際機関を通ずる援助には、幾つかの明らかなメリットがございまして、我が国としても、国際社会の責任ある一員として、多国間援助、国際機関を通ずる援助もやはり推進していかなければならないというふうに考えております。他方、二国間援助につきましては、先ほど先生から御指摘がございましたように、二国間援助としての長所は明らかにあるわけでございまして、より具体的には、我が国の外交政策の意図に沿った機動的かつきめの細かい援助というものが可能である。それから我が国の援助努力が、受領国、相手国に直接印象づけられて、相手国との友好親善関係の増進に役立つというような長所があるかと思われます。  したがいまして、マルチ国際機関を通ずる援助、二国間を通ずる援助、それぞれのメリットがございますので、我が国といたしましても、この双方のメリットをそれぞれ最大限に生かすような形で今後とも援助を続けていくべきではないかというふうに考えております。
  146. 玉置一弥

    玉置(一)委員 政府の方では、五年倍増計画ということで今やられているというお話を聞いておりますけれども、今回を含めて、五十五年ぐらいから国際金融機関に対する増資がかなり当大蔵委員会でも続いてまいりました。果たしてどこまでいくのかなという心配というか、投資効果というか、そういう面から考えてどこがいいのかなというそういう気持ちもあるのですけれども、今太田参事官の方から話がございましたように、国としての援助の中で、二国間の比率が今大体七割ぐらいというふうに言われております。そして多国間の援助というのが今国際機関を通じたような形で約三割。  そういう中で、日本の経済協力、これを見ていつも思うのですけれども、確かに物も行っている、お金も行っている、しかし、現地で受け取ってそれを配分しているのは日本人でないということが非常に多い。特に国際金融機関の中あるいは国連の中、それぞれが出資比率ほど職員を採用していただいていない。先ほど出資比率と発言権というお話がございましたけれども、確かに理事会とか表の席ではいみいろな発言がありますけれども、実際問題いろんな事務的なことを進めていく上での折衝の場では、ほとんど外国の方が日本のお金をどう配分するかということをやっておられる、こういうことでございます。  私も昨年でございましたか、南太平洋、豪州の方も行ってまいりまして、日本の海外援助がどういうふうに具体的に使われていって、どういう評価を受けてきたかということについて調べきしていただきました。そのときにまさに感じましたのは、やはり目で見てわかるものがなければ、その国の方々は日本に対して何ら恩恵を感じないということでございまして、やはり人でありますとか物でありますとか、現実日本から出ていったものがわかる、こういう形態をとらなければ援助というのはなかなか相手の国から評価をしてもらえない、そういう感じを受けました。帰ってきていろいろな方に報告したわけですけれども、そういう意味で考えてみますと、従来のいわゆる多国間の援助、この問題についても、今七、三という比率で申し上げましたけれども、もっと比率を変えるなり、あるいはもっと日本が評価されるような方法を具体的に考えていくべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。  ここで大蔵省と外務省、それぞれ別の質問をいたしますけれども、先ほど申し上げました五年間倍増計画がございます。これは経済協力全体の話だと思いますけれども、これにどう対応していくのかということが一つと、それから、外務省も含めての話でございますけれども、海外経済協力につきましてのこれからの国の方針として、もっと具体的に目立つような、目立つようなというと言い方は悪いですけれども、目に見える方式をとっていくべきじゃないかと思いますけれども、これについて大臣、お願いいたします。
  147. 竹下登

    竹下国務大臣 マルチとバイということになりますと、まず国際機関というものは非常に中立性もあるし、これに対して増資意欲というのは十分持っておりまして、それで最初、今でもIMFはまだ五位でございますが、世銀の特別増資でも二位になるにつきましては、やはり私がずっとたびたび行かしていただいて感じたことは、一つはやはり敗戦国だったということがあろうかと思います。しかしそれは大体払拭されて、したがって第二位もなったわけですが、かなりの時間がかかった。その蓄積の中に、第二位になって発言力もそれなりにできた。  しかしながら、おっしゃいますように、出資比率に比して人は少のうございます。これは、役所は強制的じゃございませんが、いわば理事に出向するとかというようなことがございますけれども、民間の永久就職みたいな人ということになりますと、ほかの国は割に多うございますが、我が国は語学の問題等があって、民間で一生懸命鍛えてせっかく一人前になったという人を余り離したがらないという傾向もございます。しかし、たびたび国際機関の総裁とか副総裁が来ますたびに、私ども日本人職員の採用方を依頼して、逐次ではありますがふえてきております。それから、給与体系が日本がよくなりまして余り魅力がなくなったというようなこともあろうかと思いますけれども、今後とも積極的にこれは対応していかなきゃならぬ課題だ。  しかし、今別の角度から、ありがたがられるという言葉は表現は適切でないかもしれませんが、実感として、非常に感謝されるというのはやはりバイの場合、二国間の場合が日本の円借によってできたためなんだということは、確かに出かけてまいりますと、そういう形の感謝の度合いはいわば国際機関になりますと若干間接的になりますので、そういう点もあるのだな、こう思っております。したがって、国際機関でも、増資交渉がありますといつも一番先に手を挙げる方でございますから、そういう姿勢も続けていかなければいけませんし、二国間の問題になりますと日本は多くの分野をアジアということになりますけれども、これからも積極的に進めて感謝されるようなふうにならなければいかぬというふうに私も思っておるところであります。
  148. 太田博

    ○太田説明員 補足的にお答えさせていただきますと、先ほど先生も御指摘のように、我が国の場合、年によって多少の変動はございますが。近年国際機関を通ずる援助というのが大体三割内外、七割前後が二国間援助ということになっております。これは主要援助国の平均比率も大体こんなところでございまして、比率としては妥当なところかなという感じもございます。ただ、先生も御指摘のように、二国間援助の場合には、より目に見える形で日本が行った援助ということで、受け入れ国にそれだけ大きなインパクトを与えるということでございまして、援助の効果的なやり方としては非常に有効でございます。  その際、やはりそういう意味で一番目につくといいますか効果があらわれますのは、被援助国、援助受け入れ国の具体的なニーズに真に合ったものである場合には、それがダムの場合もありましょうし、あるいは道路の場合もありましょうし、あるいは研修センターの場合もありましょうし、あるいは通常の言葉で言えば無形に当たるかもしれませんが、いわゆる技術協力を通ずる人づくりに対する援助、この場合でも相手国の真のニーズに合った援助をいたしますと、これは日本がやってくれた援助であるということで相手国に多とされるという点があると思いますので、相手国の真のニーズを踏まえつつ、今後とも二国間援助を充実してまいりたい、そういうふうに考えております。     〔熊川委員長代理退席、中川(秀)委員長     代理着席〕
  149. 玉置一弥

    玉置(一)委員 具体的なニードをつかんだ個別の対応が必要だと思いますし、また逆に、日本からここをやるんだという、ある程度集中的に援助の相手先を限定してそこに厚くやる、そのことの方が、補助金と同じで毎年少しずつではなかなかありがたみがないと思うので、その辺もぜひ考えていただきたい、かように思います。  先ほど大臣の方からもお話がございましたけれども、今国連の中で人の派遣がやはり問題になっておりまして、その問題点としていろいろ取り上げられております。これを一応参考までにお話し申し上げますと、何で人が少ないか、こういう一つ理由に、新興国が先進国のポストをねらって就職をするというのがございます。それと、やはり日本が敗戦国で、西ドイツとともにそのポストの割り当てが少ないということ。そして公用語、これが非常に問題でございまして、公用語二カ国語を話さなければ採用できない、これが日本人にとってかなりの致命的な要因である。  そして、これは日本の社会の中での一番マイナスの要素でございますけれども、例えば国連だけではなくて海外に出張する、あるいは出向する、そういうときに、海外にいる分が日本の国内で空白ということで評価の対象にならない、こういうことが大体日本の社会の中で行われている。あるいは海外の学校を卒業してあちらに勤めていて、途中で帰ることができない。こういう事情が、日本から表へというか外へ出ないように、出ないようにしているのではないかというふうに思うわけでございまして、先ほど大臣の方から役所から出向している人もいるということでございますけれども、少なくともこれから各役所について出向制度をもっと大幅に導入していただいて、なおかつ海外での活躍も評価に入れるというようなことにすべきだと思いますけれども、大臣としてはいかがお考えになりますか。
  150. 竹下登

    竹下国務大臣 役所でございますと、出向しても三年ぐらいすれば帰ってまいります。それは海外における活動は大いに評価されて、本人の将来のためにもきちんと評価の基準に置かれるわけでありますが、民間の場合は、確かに完全に海外プロになってしまいまして、時に、一つの商社の海外の支店なり現地法人なりの社長業で、人工衛星のように回って年をとって帰ってくる、こういうケースもあります。しかし、国際人としてそれなりに洗練されてお帰りになる方はそれなりにまた評価すべきだと思いますが、いずれにせよ、政府としましてはそれはもちろん大きな評価の基準として置くべき課題だというふうに考えております。  金融機関ということになりますと、我が省からの出向が多いわけでございますけれども、外務省に出向して、また大使館等で勤務させて訓練をしていただいておるのも、我が省にもたくさんおりますし、そしてほかの省も今やアタッシェを毎年充実していただく、こういうようなことで、それらが総合評価の中に位置づけられるという方向にこれからも進めていかなければならぬということは同感でございます。
  151. 玉置一弥

    玉置(一)委員 ぜひ大蔵省、外務省、外務省は当然ですけれども、率先してそういう体制をとっていただきたいと思います。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども貿易のアンバランス、この問題をとらえて、これは藤尾政調会長だったと思いますけれども、先月の三十一日に財界との懇談会の席上で輸出課徴金を導入する考えをほのめかした、こういうふうな話があります。これは後で決算で質問しようと思ったのですけれども、考えてみたら大蔵大臣の方がいいかなと思って今突如追加をいたしましたけれども、我々としても、今でこそ勢いがあって輸出が盛んになっておりますが、やはり円の力なりあるいは日本の経済力が成熟化していくときにどうなるかということも考えてみなければいけないし、逆に言えば輸出抑制したら輸入がふえるかという問題もあるわけですから、その辺に立って考えますと、輸出課徴金についてはいろいろ異論があるところです。しかし一方では、では貿易摩擦の解消のための財源をどこで生み出してくるのかということもあるわけでございまして、野党でございますからおおむね反対でございますから、その辺を踏まえて、大蔵大臣の方にも既にいろいろな問い合わせがあるかと思いますけれども、大臣としてぜひお答えをいただきたいと思います。
  152. 竹下登

    竹下国務大臣 よく輸出課徴金の議論が出ますのは、輸入課徴金を取られるならばこっちでやった方が財源にもなっていいじゃないか、こういう議論はよくある議論でございます。  いずれにしても、輸出税、輸出課徴金というようなものの構想が議論の上に出ておるということは私どもも承知しておりますが、まず一つは、自由貿易というものである限りにおいてはこれは本質的にいい制度だとは言えないというのが一つございます。それから二番目は、変動相場制のもとで果たしてそれが成り立つだろうかな、こういう問題がございます。それから、立法化しますとそれまでに時間がかかりますから、駆け込み輸出といいますか、そういうものがふえていくということも考えられるということで、これは慎重の上にも慎重を要する課題である。  それから仮に、いわゆる円安差益みたいな感じがございますけれども、財界の一部にはそれを自発的に拠出してそれをファンドにして摩擦関係に使ったら、こういうような御意見も承ったことがございますけれども、そうなるとだれが基準を決めるかとか、これもまた大変難しい問題であろう。それから、物によりましては課徴金をかけたところでいいから売れるというものが何ぼでもありまして、そういうことから私どもとしてはもちろん慎重な態度で臨まなければいかぬ、問題が多過ぎる、こういうふうに思っております。あるいは通産当局だったらもっと初めからかくかくしかじかで絶対いけませんという答弁をするかとも思いますが、そういう感じでございます。
  153. 玉置一弥

    玉置(一)委員 今大臣おっしゃったこと、確かにすべてごもっともでございまして、その意見が出てきたときには同じような発言を党内向けにもぜひお願いをしたい、かように思います。  先ほども宮地委員の方からお話が出ておりましたけれども、累積債務の問題、これが必ず毎年取り上げられてくるわけでございます。状況がだんだん悪くなってきているということが非常に不安である、一言で言うとそういうことでございます。累積債務がなぜこれだけたまってきたかというのは、国によってそれぞれ違うわけでございますけれども、やはり累積債務をためるそれだけの構造的なものがあるのではないか、そういうふうな感じがするわけです。ですから、一時的な現象ということではなくて、やはり相手国の構造、ここにタッチをしていかなければこの累積債務の解消というのができないのではないか、こういうように思うわけでございますけれども、現時点を踏まえて、大蔵当局は今のこの累積債務の解消についての見通しをどういうふうに考えておられるか、逆に言えば、現時点でどういうふうに受けとめてどういう対応をしようというのか、それについてお伺いしたいと思います。
  154. 行天豊雄

    行天政府委員 確かに累積債務の問題は一朝一夕に片づかない根深い問題でございます。ただ、率直に申しまして、この問題が日に日に悪化しているという感じは実は私ども持っていないのでございます。  と申しますのは、確かに債務の絶対額そのものはふえております。ちょっとここに数字がございますけれども、例えば開発途上国の対外債務は一九八〇年には五千六百五十億ということでございましたが、これが八四年、昨年では八千二百七十七億ドルというふうにふえてはおるわけです。しかし一方、債務の返済とそれから輸出額の比率、俗にデット・サービス・レシオと言われておりますが、これは御承知のとおり一九八二年、昭和五十七年に悪化のピークに達しまして、開発途上国の平均で二四・六%というところまでいったのでございますが、これは昨年、八四年には二二・五%まで下がっております。それから、累積債務国は結局経常収支が改善いたしませんと債務の返済もできない、それだけまたますます外から金を借りなければいけないという悪循環に陥るわけでございますが、肝心の経常収支について見ましても、一九八二年には、世界の主要債務累積国七カ国の合計でございますが、全体で三百九十八億ドルという赤字を経常収支で出しておったわけでございますが、これがその後毎年改善してまいりまして、昨年はその七カ国について申します限り全体でも十五億ドルの赤字というふうになっておるわけでございます。ですからその意味で、私どもこの累積債務の問題は徐々にではあるけれども改善を見せておる面もあるというふうには感じております。ただ、御指摘のとおりなかなかすぐには解決しない問題でございます。根の深い話でもございます。  そこで私どもといたしますと、この見通してございますが、何せ累積債務国自体がやはり相当腹をくくって国内の経済調整というようなことをしっかりやってもらわなければならないということは申すまでもないと思いますけれども、同時に、債権国の例あるいは金を貸しておる民間銀行の側でも、そういった債務国の努力を見守りながら、それを励ましながら、しかし同時に、その回復への手助けというものはしていかなければならない。  そこで、やはり私どもこの関係で一番大事な役割を持っておると思いますのは国際機関でございまして、御承知のとおり国際通貨基金、IMFとか世界銀行がいろいろな形で役割を果たしておるわけでございますけれども、これからもこの債務国自体の自助努力と、それからこの国際機関のいわば調整的役割を中心にした債権者の側の協力といったようなことがこの問題を長期的に解決するために必要な戦略であろうかなというふうに考えておるわけでございます。
  155. 玉置一弥

    玉置(一)委員 今のお話を聞いておりますと改善の方向に向かっているということですが、確かにデット・サービス・レシオというのが改善をされてきているというようには聞きます。しかし、国別に申し上げまして、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、この辺はいわゆるDSレシオというのは六七、五九、八八と非常に高いのですね。八八というと残り一二しかないわけですから、これはとてもじゃないけれども、サラ金以上に悪い形になっているわけです。こういうところは、とてもじゃないけれども回復不可能だろうと思います。ブラジルにしても六七%、メキシコも五九%。ですから大きいところがより悪くなっている。だから、相手はふえたけれども、大きいところが悪くなって、あとが引っ張って若干よくなっている、こういう感じがするわけです。  そういうふうに考えていきますと、経済中発展国というのですか、要するに工業化を屈指して大体失敗した国ですね、そういう国ですからなかなか農業国に戻ることもできない。ブラジルなんかは、コーヒーだけではどうもうまくいかないということで今小麦を輸出しようとかいろいろ計画していますけれども、そこまで待っていて本当にできるのかどうかという問題もあります。少なくとも一時期よくなった原因の一つはアメリカ経済の回復だというふうに思いますけれども、もう既にことしの今ごろにアメリカ経済が非常に先行き暗いという話が出ておりまして、こうなるとまた戻るわけですね。多分そう思います。そういうように考えていきますと、やはりもっと具体的なことを対策として考えていかなければいけないし、日本としても何らかの発言をしなければいけないのじゃないかというふうに思うわけです。  それからもう一つは、民間で協調融資で肩がわりをするとか、あるいはアメリカの銀行に様子を合わせていくとか、いろいろな方法をとっておられますけれども、これだけ悪くなったところへ深追いをすると、それこそ国際金融恐慌どころか、それが起これば最悪ですけれども、もうどこか一カ所ぽこっといっただけで日本金融は大混乱をするという可能性もあるわけですから、それに対する歯どめもやはり大蔵当局としては考えていただかなければいけないと思うわけでございまして、時間もありませんので、二分以内に今のお答えをまとめてお願いします。
  156. 行天豊雄

    行天政府委員 二分以内というお話でございましたが……。  確かに御指摘のとおり、いわゆるNICSと言われております中進国というのが、結局工業化のために一番金がかかるものでございますから、それだけ債務が多いということで現在苦況に立っておることは御指摘のとおりでございます。しかしまたある意味では、こういうNICSは国内の経済組織から考えましてもやろうと思えばかなりやれる面もあるわけでございまして、まさにその意味で、先ほど申しましたように私ども一方で自助努力を求めると同時に、非常に苦しいときでございますから、当面何とかこの債務の支払いを少しでも緩和させるために、御承知のとおりいわゆるリスケジュールということが最近公的なレベルでも民間のレベルでも行われているわけでございます。  一昨年のロンドンのサミットでもこの問題が取り上げられまして、ケース・バイ・ケースに相手の国の努力次第でこのリスケジュールということも考えていこう、したがって、こういうふうに片っ方では債務負担を国際的な協力のもとで緩和していってやりながら、一方必要最小限の新規融資も続けていく、同時に国際機関を中心とした政策調整というものを強力にその国に対して求めていく、私どもはやはりこういう地道な努力が、恐らくこの問題を解決するためには一番適当な方法ではないかというふうに考えております。
  157. 玉置一弥

    玉置(一)委員 終わります。ありがとうございました。
  158. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 正森成二君。
  159. 正森成二

    ○正森委員 まず最初に、証券取引法改正について質問をさせていただきます。  本法案は国債大量発行に伴ってリスクヘッジの手段を提供するということが言われております。しかし、先物取引というのはやはり非常に投機性の強いものであるというように言われているのですね。  ここに、アメリカの連邦準備理事会、FRB、それから証券取引委員会、SEC、商品先物取引委員会、CFTCの三つの政府機関が「先物取引及びオプション取引の経済に及ぼす影響に関する調査」というのを一九八四年十二月に出しておりまして、それを見てみますと、その途中で一般公衆参加者について調べたところがございますが、いろいろ調査をした集計では、「回答者の大多数は、調査対象となった市場をヘッジのためよりも、スペキュレーションのために利用している。」という結果が出ております。  それからまた、野村総研が出している「財界観測」というのがあるようですが、その一九八五年二月一日号を見ましても、「先物取引への参加者は性格によって、スペキュレーダーとヘッジャーに分けられる。」というように分類しました上で、こう言っております。「先物市場は基本的にゼロサムゲームであって、参加者の全員が儲けるということはありえない。」「コマーシャルと分類されるヘッジを目的とした顧客は利益を得ており、投機家の中でも取引規模の大きい一部の人は成功しているかもしれない。だが、小口の顧客を含む大半の投機家は、トータルでみて損失を被っている。全体の七〜九割がこうした状況にあるとみられる。」こういうように言っております。アメリカの例を挙げまして、アメリカではコモディティーファンドというのがあるのだそうですね、商品の基金のようなものをつくって、それで先物をやる。それについて、「八三年の成績をみると、七十三ファンド中、元本をプラスに保ったものは、わずか十六本にとどまった。八本のファンドは三〇%以上値下りし、他の九本も二〇%以上落ち込んだ。」というふうに述べられております。  つまり、事ほどさように、スペキュレーダーとヘッジャー、両方に分けられるけれども、ゼロサムゲームですから、こっちでもうければ必ずこっちで失った人がおるわけですから、それで小口は大体七割から九割まで損をしておる。そして、コモディティーファンドなんかで専門的にやっておる者でも、そのうち利益を生じている者は比較的少ないということで、非常に危険性が多いものであると言われておるのですね。  そういう状況の中で大蔵省としては、アメリカでは十数年前から先物市場が非情に発展してきたのですが、アメリカでの経験等にも学んで、そういう投機のリスクということをさせないために、あるいは一般の方を保護するために、どういう点を留意して、どんなことを考えておられるのか、なるべく丁寧に答えてください。
  160. 岸田俊輔

    岸田(俊)政府委員 このたび先物市場を創設する最も大きな目的は、やはり大量の債券を抱えております投資家その他がリスクをヘッジできるということで市場をスムーズに発展させていきたいということでございますが、確かに先生指摘のように、ヘッジャーがいればスペキュレーダーが対応する、たまたまヘッジャーとヘッジャーが対応する場合もございますが、スヘキュレーダーが入ってくるということも当然の話でございまして、低率の証拠金で、かつ差金決済ができるというような形でございますと、やはりスペキュレートする者がどうしても出てくる、投機的な動きがあるということが私どもも一番心配な点でございまして、制度の構築に当たりましてこの点をできるだけ防止していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  具体的には、私どもとしてはいわゆる証拠金を徴収をする。これは、過度の投機の場合には証拠金を上下させるというような制度も考えられるだろうと思います。それからまた、今度新しくやります制度の中には値洗いの制度というものがございまして、これは毎日毎日いわゆる投資家先物相場においてどのくらいの損失または益を得たかというのがわかるようにしておりまして、それが自分たちの出しました証拠金の限度を超えました場合には、証拠金の追加ないしはそこで取引をやめるというようなこともできるようにしたいと考えております。また、値幅制限という制度を設けまして、前日の終わり値から例えば上下一円動いたような場合には、それ以上の売り買いにつきましては注文を受け取らないという形で、自動的に市場を縮小するというような制度も考えられるわけでございます。  それからまた、一つ制度といたしましては、先ほど言いました機関投資家とか相当手なれた人だちが参入するように、それがまた市場の中心になるようにということで、取引の単位を相当まとまったものにしていきたい。例えばアメリカの場合でございますと、これがたしか十万ドルぐらいだったと思いますが、それ以上のものを考えていってはどうか。関係者の中では一億円単位というようなことも考えておるようでございます。ただ、これはいろいろ御意見がございまして、やはり一般投資家もヘッジをするニーズがあるのだ、こうおっしゃいますと、それをむげに全部断るわけにもいかない。そこら辺も考慮をいたしたいと思いますが、基本的には投資家に大きな被害のないような形で考えていきたいというふうに考えております。  それからまた、この制度を実際に発足させるに当たりまして、ヘッジのニーズだけとかヘッジに対するものだけでなく、これについてはリスクがあるのだということにつきましては十分に期間をかけてPRをし、徹底をさせていきたいというふうに考えております。  それから、過度の投機その他で市場価格形成が不安定になることを防止するために、これは御承知のとおり、債券現物市場でも、それから株式の市場でも価格形成が非常に乱高下いたします場合には、一定期間十分な監視体制を整えるということをやっておりますが、それと同じような制度先物取引について採用していきたいというふうに考えております。
  161. 正森成二

    ○正森委員 今御説明がありましたが、機関投資家や専門家は安全かというと必ずしもそうではありませんで、銀行局も来ておられるかもしれませんが、既にございます為替投機で都銀が海外で非常に大きな損失をこうむっておるということが再々報道されているわけであります。  例えば第一勧銀が、シンガポールですか、大きな損失をこうむったというのが出まして、さらに五十九年には富士銀行が、百十五億円ですか、為替相場の投機で損失をこうむったということが報道されております。これで見ますと、大蔵省が各行別に為替の持ち高規制をしておるということになっておりまして、基本的にはそんなに大きなぼろもうけもできないかわりに、ぼろ損といいますか、大きな損失をこうむらないようになっている。にもかかわらず、海外では他国の主権との関係で自主規制に任せているということがあるのかもしれませんけれども、こういうことが行われているということになりますと、これは債券先物市場でも投機性が非常に強くて、そのことによって不測の損失をこうむるということがあり得ると思うのです。この銀行の為替投機の問題についての大蔵省のお考え方と監視の体制等について御説明をいただきたいと思います。
  162. 行天豊雄

    行天政府委員 過去におきまして、我が国の銀行が海外支店におきまして為替取引に端を発します大きな損失をこうむった事例があったということは、御指摘のとおりでございます。  私ども、為替銀行の為替業務につきましては、委員指摘の持ち高制度というものを持っておりまして、各行ごとに総合持ち高の枠を決めておるわけでございますが、海外店につきましては、これも御指摘のとおり、現地の通貨監督当局との関係がございまして、私どもが持ち高規制を課しておりますのは本邦店、本邦に所在する店に対する総合的なものでございまして、結局それぞれの銀行は自分のところのいわば内規という格好でそれぞれの支店に同じような持ち高の枠を与えておるわけでございます。過去に起こりましたこういう事件を調べてみますと、結局、海外店で特定の人物が、こういうそれぞれの銀行の内規をいわば無視いたしまして投機的な行為に走った、それが裏目に出て損失をこうむった、こういうことであったろうと思うわけでございます。  私ども、こういった事態に対しましては、一つには、銀行に対しまして内部管理体制を従来にも増して強化するということを指導してまいりたいと思いますし、一方、御承知のとおり、国際的にもこの為替取引、特に海外にあります店舗での為替取引を国際的に何とか一つの監視の網のもとに置こうという動きがございまして、国際決済銀行、BISで実はこの問題は既にかなりの時間をかけて議論をされておるわけでございます。目下のところは、だれがそれぞれの店について責任を持つかというようなところから始まりまして話が進んでおりますが、こういった国際的な監視を強めるということも、一つこれは大事なことではなかろうかと思っております。  基本的には、何と申しましてもそれぞれの銀行の内部管理体制が十分効力を上げるように、私どもといたしましても、本店への指導監督を通じて万遺漏なきを図ってまいりたいというふうに考えております。
  163. 正森成二

    ○正森委員 第一勧銀や富士銀行だけでなしに、過去には三井銀行にもそういう話がございましたが、最近では某都銀が、五十七年には香港で、五十九年にはシンガポールで第一勧銀と同程度の損失をこうむったというような話が巷間流れております。私のところへも投書が参っておりますが、確認されておりませんので名前を申すことは控えておきますが、もしそういう点があるとしますと、ほかの銀行はそれぞれ責任者を処分したり厳正な対応を示しておりまして、それぞれ社会的な名声を落とすというような制裁も受けておるわけですが、それがもし隠されておるということになりますと、今後そういうことが絶対に起こらないという保証を得る上から見ても問題がございますし、国金あるいは銀行局でどのように把握しておられるか、御説明を願いたいと思います。
  164. 吉田正輝

    ○吉田(正)政府委員 先生が御指摘のような事実は実は把握しておりません。私どものところには決算報告が入りますし、それから時に応じて検査も適宜やっておるわけでございますけれども、ただいままでそういう事実は把握していない。それから、仮に言われるような、先ほど例を引かれましたような多額のものでございますと、これはなかなか隠ぺいできないのではないかというふうに考えておりますので、ただいまのところはそういうことはないというふうに思っておるわけでございます。
  165. 正森成二

    ○正森委員 参議院でも、また午前中の質問でも、先物取引についての税の問題について御答弁がございました。それを前提として伺いたいと思いますが、アメリカの例を見ますと、先物市場というのは非常に急速な発展をしておりまして、これはフェデラル・リザーブ・ブレティンというのですか、その統計資料でございますけれども、財務証券ですか、TBの店頭取引が、一九七六年には一日六十六億七千六百万ドルであったのが八二年には百八十二億八千三百万ドル、こういうふえ方なんですね。ところが先物は、一九七六年が四億三千六百万ドルであったのが、八二年には一挙に二百六十三億八千五百万ドルという急増ぶりを示しております。あるいは十年を超えるTボンドでは、先物は七七年にわずか千三百万ドルにしかすぎなかったのが八二年には六十七億二千八百万ドルというように、一日の出来高が急成長を示しているのですね。  もちろん、私はよく知りませんが、先物の場合には差額だけの受け渡しですから、現金の移動というのはそれの二、三%とか〇・何%とかいうようには聞いておりますけれども、非常に大きな取引高であるということになりますと、国債でも現物の場合には有価証券取引税が一定の割合で課されるとか、あるいは先物市場でも他の商品の場合には取引所税が課されるとか、いろいろありますものとの均衡の上からいいましても、将来の売買高が恐らく急速な発展を遂げるであろうという点から見ましても、全く課税しないというのはいかがなものであろうか。  新聞にあらわれた動向を見ますと、去年の暮れからことしの一月については、大抵の新聞には、債券先物取引には課税というのが出ていたのですね。ここにあります新聞では、日本経済新聞とかなんとか、いろいろ出ております。証券界の反発必至とかいうのが出ておりましたら、三月ごろになって課税せずと。こういうぐあいになったということになりますと、これは一般の公平を重んずるよりも業界の意向を重んじ過ぎて、先物市場を育成するという観点が強過ぎたのではないかという気もいたしますし、この点についてのお考えを、参議院での御論議ときょうの午前中の御論議は私も読んだり聞いたりしておりますけれども、その上に立って簡潔に御答弁を願いたいと思います。
  166. 角谷正彦

    角谷政府委員 午前中もお答え申し上げたところでございますが、先物取引につきましては、国債以外の一般の地方債、社債券あるいは株式については現行法でも課税ということになっております。ただ、国債につきましては、これも先ほど御説明しましたように、明治三十九年以来非課税、こういうことになっておりまして、今回たまたま国債標準物につきまして先物取引が行われるということになった結果といたしまして、この非課税規定をどうするかということがまさに問題になったわけでございます。  確かにそういうことをいろいろ検討させていただくわけでございますけれども、まず一つは、国債が現在におきましてもことしの末で百三十三兆というふうに非常に大きな金額で、その国債を円滑に償還しあるいは取引させるための先物市場が戦後初めて開設される、こういうことから、その立ち上がりを当面円滑にやらせるという政策的必要性はそれなりにあるのじゃないだろうかという点が第一点でございます。  それからこれも、有価証券から一般の国債を含めまして先物市場というものが戦後我が国に開設されたことがないものですから、現実にどのような姿でこれが行われるかということにつきまして、私ども十分なデータの持ち合わせがない。したがって、仮に課税を検討するとしましても、どういう形でやるのが一番妥当であるかということについて、なおかつ十分な資料もない。こういった現状から、当面この国債非課税規定は存置する。  したがって、非課税のまま置くということにしたわけでございますが、この問題につきましては、今後その取引が行われた段階におきまして、いろいろ諸般の事情を考えながら、先生方御指摘課税のバランスも含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  167. 正森成二

    ○正森委員 標準物債券とはみなさないという立場をとるのでしたかね。そうしますと、これの売買については、利益が出れば法人の場合はもちろん法人税が課せられるでしょうが、個人の場合には事業所得あるいは雑所得というような形では課税される場合があるということかと思いますが、そうですか。     〔中川(秀)委員長代理退席、堀之内委員     長代理着席〕
  168. 角谷正彦

    角谷政府委員 取引所税法上の有価証券国債証券というものにつきましては、取引所において行われる先物取引課税関係を考えるということでございますが、今回の証取法におきまして標準物国債とみなすということになっておりますので、その限りにおきまして国債証券ということで非課税規定が適用される、こういう考え方でございます。  それから、今一般の譲渡所得税についてのお尋ねがあったと思いますけれども標準物についてのお尋ねでございますので、それを中心に御説明いたしますと、標準物先物取引というのはいわゆる所得税法上の有価証券の譲渡といったものには必ずしも該当しないと考えますので、その所得は一般的には事業所得ないし雑所得という形になろうかと思います。ただ、先物取引でございましても、差金決済によらずに現物を引くという形で決済される場合がございます。そういったものにつきましては、有価証券の売買でございますので、これにつきましては有価証券の譲渡ということになろうかと思います。(正森委員「原則非課税」と呼ぶ)さようでございます。その部分に関しましては原則非課税でございます。
  169. 正森成二

    ○正森委員 IFCについて若干伺いたいと思います。  IFCというのは、ここに世銀のパンフがございますが、そこのIFCの説明の部分などを読みますと、「IFCが援助する事業は、財務的に健全でありかつ潜在的採算性を有している必要がある月これらの投資基準を維持・適用することによって、はじめてIFCは事業面及び金融面の提携者を誘致することができ、また投資持分を売却しながら資金を回転することが可能となる。」こう申しまして、IFCの援助する事業は、採算性がなければならないということになっておるのです。これは参議院の御論議を見ましても、たしか国全局長の御答弁にもあったかと思いますが、民間の投資を誘致する触媒の役割を果たすという意味からいってそういうことが考えられておるということのようであります。  しかし、他方、例えばここに第三十九回IMF・世銀総会で各国蔵相の演説がございますが、その中には非常に興味深い演説がいろいろございます。その中で、インドの大蔵大臣のP.K.ムケルジー氏の演説を見ますと、「近年開発融資における譲許的資金の役割に関する議論が行われ、この問題は合同開発委員会の分科会によって十分検討がなされました。一九七〇年代及び一九八〇年代初頭の経験から、開発途上国において特にインフラストラクチャー、かんがい、農村開発及び人的資源の開発といった分野投資を促進するのにこうした援助が果たし得る役割が極めて重大であることは明らかです。こうした分野での投資は開発途上国の長期的な生産能力を強化します。しかし、即座に十分な外貨の見返りを得ることはできません。」ということを言っておるのです。つまり、開発途上国はインフラストラクチャー、かんがい、農村開発及び人材資源の開発といった分野で非常に援助を求めておるのだが、援助をもらったからといってすぐ外貨の見返りを与えることにはならない、即座に採算性があるものではないという意味のことを言っておるのです。  そうしますと、IFCというのは開発途上国が今切に求めている要請を十分に満たすという性格を持っておらないのではないかという気がするのですが、いかがですか。
  170. 行天豊雄

    行天政府委員 確かに開発途上国の資金需要はいろいろな性格を持っておると思います。委員指摘のように、農業その他インフラストラクチャーを中心にした資金需要は量的にも非常に大きくございますし、またそれは確かに、お金をつけたからといってすぐ収益性が出てくるものではない。したがいまして、御承知のとおり開発金融機関におきましてもそういった多様なニーズに対して多様なチャンネルでこたえていこうというのが、恐らく戦後の歴史を振り返ってみますと発展のパターンだと思います。  世界銀行グループをとってみましても、当初は世界銀行の本体だけでございまして、これはまあ一般の金利よりは多少譲許的な金利でもって大規模なプロジェクトを中心に金を貸しておった。しかし、それではまさに委員指摘のように、インフラストラクチャーのようにすぐに収益性を生まないプロジェクトは救えないということで、御承知のとおり第二世銀というものが生まれたわけでございます。その後さらに、こういう資金だけでも途上国の発展のために十分でない、途上国の中で生まれ育ってきておる民間の活力を育成する、それからまたそういう企業に対して外から民間の金を協調融資という格好等で呼び水にするためにはまた別のチャンネルが必要だ、恐らくIFCが生まれた背景には、そういうふうにだんだん多様化していく途上国の資金ニーズにこたえていこうという国際的なコンセンサスがあったのだろうと思います。その意味では、世銀、第二世銀、IFCといったような機関が、それぞれお互いに補完をしながら、全体として多様なニーズにこたえていこうというのが現在の姿ではなかろうかと思っておるわけでございます。
  171. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣に伺いたいと思うのですが、アメリカはIMF・世銀総会でレーガン大統領も演説しておりますが、途上国は投資規制をやめるという意味のことを言っているのです。利益を生む投資には、あるいはそういう環境づくりには非常に熱心なようでございますが、その分、例えば、例をほんの少し挙げましても、一次産品の共通基金、CFと呼んでいるようですが、これは拠出率が足りないで発足できないままであるとかあるいは世界の食糧危機を克服するために設立された国際農業開発基金、IFADですか、これも増資がおくれて活動計画が狂いがちである。これはいずれも最大の出資国であるアメリカが国際機関の援助活動に消極的な姿勢を見せているからである。あるいは非常に譲許的な条件で資金を提供しているIDAにつきましても、第七次の増資はたしか九十億ドルに値切られた上に、第八次増資はアメリカは拒否する構えであると報道されております。あるいは最近は、アフリカの飢饉に対しましてアフリカの特別基金をつくろうじゃないかと世銀の中で呼びかけられましたが、これに対しては、イタリア、フランス、オランダ、スウェーデン、ノルウェーなど十カ国は賛成しましたが、アメリカが真っ向から反対である、それに対して我が国も、アメリカに同調して二国間援助で行うという方向をとっておるようであります。  つまりアメリカの考えは、こういう世銀や国連の考え方でいく場合には反米的な国に対してもこれらの援助を行うことになって好ましくないということで、二国間援助を行っているようであります。もしこういう考え方をとるならば、我が国としては非常に好ましくない方向に進むのではないかと思われますが、大蔵大臣は政治的にどういうようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  172. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに今おっしゃいましたように、一次産品基金は米国が未応募のため発効しておりません。それから国際農業基金、これも米国が出し渋って交渉が難航しておる。これは大蔵省関係ではございませんが、全般的に最近国際機関を通ずる援助に消極的な態度を示しておる、そしてそのことがたびたび増資交渉の際に難航しがちな要因になっておる、こういうことは私もそのとおりであろうと思います。  IMFなどで私が感じましたことは、アメリカには一万四千五百も銀行があって、それらの融資したのが焦げついたのを間接的に助けることになりはしないかとか、こんな議論がこれは国会議員さんでございましたがなさっておりました。だから、国会そのものも割合消極的じゃないかという感じは持っております。  しかし、我が国は専門的ノーハウを有しておりますので、中立的立場から援助を行います国際開発金融機関機能を高く評価する、こういう立場をとり続けておりますし、今後とも増資交渉等については積極的な協力を行う。そしてアメリカさんに対しても、あなたのところは一番だから一一番を超すことはなかなか難しゅうございます。したがって、事あるごとに前向きの姿勢をとるように働きかけようという立場をこれからもとっていこうと思っております。
  173. 正森成二

    ○正森委員 外務省おられますか。外務省はこの間対アフリカ食糧・農業問題総合対策調査団というのを派遣されまして、そこから報告書あるいは提言が出ているようであります。ここではアフリカの農業育成ということで積極的な意見が出ているようでありますが、それについて簡単な御報告と外務省の考え方を伺いたいと思います。
  174. 太田博

    ○太田説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘になりました調査団でございますが、この報告書は実は現在まだ取りまとめ中でございます。その調査団からとりあえず報告を受けましたところによりますと、同調査団といたしましては、我が国が中長期的かつ総合的な視点からアフリカに対する農業関係援助に腰を据えて取り組む必要性が大いにあるという点がまず強調されております。それとともに、協力の基本的な方向といたしましては、アフリカにおける主要な食糧の生産者であります小農、これを重視した協力を進めるべきである、また、農村生活の水準の向上のための基盤の整備も必要である、それから、生産に直接関係がございます流通、輸送等の条件の改善にも重点を置いて実施する必要がある、こういう諸点が述べられております。  外務省といたしましては、今後ともアフリカに農業関係を中心にした援助を実施、強化していきたいと考えておりますけれども、今申しましたような点を中心といたします調査団の提言をできるだけ反映させた形で、今後のアフリカ援助を進めていきたいと考えております。
  175. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、ここに一月二十五日付の東京新聞の社説があります。大臣、こういうぐあいに述べております。「今こそ「人道援助」の拡充を」というパラグラフで、   例えば日本では最近、アフリカ特にエチオピアの飢餓状況に対し官民を通じて関心が高まり、政治体制のいかんを超えた人道的援助への機運がかつてない盛り上がりをみせているが、これに対し米政府はエチオピアはソ連寄りだという理由政府援助を行わず、日本に対しても西側の一員としてのソマリア援助強化を望んでいるといわれる。   もともと敵国甲斐の領民に塩を送った上杉謙信の故事が美徳とされているように、民族的伝統からいっても日本人には敵、味方を区別するレーガン流の援助方式はなじまない。 云々と。   そうした意味でも、わが国は、今こそ人道主義に基づく援助の量、質両面の拡充を図るべき時であり、安保面にこだわる戦略援助の強調は、せっかく盛り上がってきた国民の経済協力への意欲に水をかけ、世論を分裂に導くことになりかねまい。 こう書いてあります。  アメリカはとかく戦略援助、それも二国間援助ということで、国際機関を軽んずる方向が現在出ておるようでありますが、我が国が自主的な対外援助政策をもって本当に途上国に喜ばれる援助に今後とも努められるように希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
  176. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  177. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  178. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  179. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 本案に対し、熊川次男君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。坂口力君。
  180. 坂口力

    ○坂口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して朗読いたします。     国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 公社の運営に当たっては、常に平和の維持・促進に努めるとともに、公平、公正に配意しつつ、融資先の国民生活の実情、経済の強化に対応し、かりにも戦争・紛争の助長にならないよう努めるものとすること。  一 現下の国際金融情勢において、累積債務問題が最大の課題の一つであることを認識し、開発途上国への民間直接投資の助長に努めること。 以上でございます。  よろしく御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  181. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  183. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 次に、証券取引法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  184. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  185. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 本案に対し、熊川次男君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より趣旨説明を求めます。上田卓三君。
  186. 上田卓三

    上田(卓)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して朗読いたします。     証券取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 債券先物取引が一般投資家に対し、過度の投機を助長することのないよう配意するとともに、先物市場が、現物市場価格形成の安定化要因として機能し得るよう、諸般の措置を講ずること。  一 一般投資家の周知理解を深めるとともに、不当な損害をもたらす勧誘、営業が起ることのないよう充分配意すること。  一 先物取引制度設計に当たっては、公正な価格形成が確保されるよう配意するとともに、売買取引監視体制の充実に努めること。  一 金融、証券市場自由化の情況を迎え、適切な国債管理政策の運営に努めること。以上であります。  よろしく御賛成くださるようお願いいたします。
  187. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。  お諮りいたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  188. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  両附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。竹下大蔵大臣
  189. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案につき御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。     —————————————
  190. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  192. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時九分散会      ————◇—————