○安倍(基)
委員 これが一応個別的な私のいわば関心項目についての
質問でございますけれ
ども、一般論に戻ります。
貿易摩擦というものが随分問題になった。私は連合審査のときに総理に、特に木材の関税を今引き下げるとすごい補助金を将来払うようになるだろう、我々が補助金一括
法案でこれだけ苦しんでいるときに、一言下げると言うと途端に何千億もの補助金が出るようなものは問題であるというようなことをお聞きしました。最終的には比較的緩やかなというか、時間を置いた形の引き下げという形で落ちついたことは非常に私はいいと思うのでございますけれ
ども、この問題と関連しまして、金融の自由化という問題がずっとあったわけでございます。
これは私は、総理がこの前、百ドル買いましょうというようなことを言われたのは非常にいいのでございますけれ
ども、ただ、しかし、向こうのものが高い以上はどうしても入ってこない。高い理由が最終的には向こうのドルが高い、ドルが何で高いかというと、資金がすばらしく流出していっているということでございます。
私、ちょっと自分で金融の自由化についてどんな問題点があるかということを数え上げてみたのでございますけれ
ども、
一つは、こういう資金の海外流出、これは為替の自由化の問題がございますけれ
ども、向こうはもともと円が安過ぎるから自由化するというような形を言っておりますけれ
ども、その結果、最終的にむしろ円の安過ぎるのを助長するような
資本流出が出てきているということが第一の問題でございます。第二番目は、金融機関がやはり倒産する可能性があるなということでございます。第三は、今度
日本の
景気が悪くなってきたときに金利政策ができなくなる。かつては低金利政策でもって
景気を引き上げたということがあるわけであります。第四点が
財政投融資の変化という問題でございます。今まで
日本は第二の
予算としていろいろなものに資金を投入しておった、それが金利が上昇してきますとコストが上がってくる、
財政投融資というのができなくなるのじゃないか。こういう四つの問題がある。非常に大きな問題が含まれておる問題でございます。それで去年私も、金融の自由化というのは注意しなきゃいかぬ、特に
アメリカの高金利のときにこれは急いでやっちゃ困るよということをしきりに言ったわけでございますが、何か最近、新聞あたりあるいは雑誌あたりでもいよいよ非常に大問題になってきているという感じがいたします。
この四つの点があるのでございますけれ
ども、まず第一の金融機関の倒産問題ということをひとつお聞きしたいと思うのでございます。
私、いろいろ調べてみますと、
アメリカでは金利の自由化以降どんどんと倒産がふえている。一九八一年までは大体年間十件だったのが、八二年には四十二件、八三年四十八件、八四年は七十九件と、すごい倒産が起こってきているわけでございます。
ここでちょっと
アメリカと
日本との違いを言いますと、
アメリカの金利は小口まで大分自由化されているのでございますけれ
ども、
アメリカの場合には他の州に支店を持てないという要素があるのでございまして、バンク・オブ・
アメリカという非常に大きな銀行がございますけれ
ども、これはカリフォルニアだけに支店を持っている、ほかの地区には支店を持てない。でありますから、非常にローカルな銀行はそれぞれの地区でもって要するに自分のところを守っていればいい。でございますから、
アメリカの場合には金利の自由化があっても、ローカルな銀行はどんどん倒れておりますけれ
どもまだまだ安全である。
ところが
日本の場合には、全国銀行が各地に支店を持っておるわけでございますから、金利を自由化して高い金利を預金にぽこっと払いますと、そこへ資金が集中していくようになる。そうすると、ほかの中小金融機関は資金を集めるためには預金金利を上げていかなくちゃいけない。となると、
アメリカにおけるいわばバリアと申しますか、現在
アメリカでは、余り自由化は進め過ぎるとそういったものは困る、現在州際というか、州の間のバリアを外すか外すまいかということで、むしろ外さない格好で反撃が出てきているという形でございます。その
意味で、むしろ金利の自由化をやり過ぎたのじゃないかという動きさえ出てきているわけでございます。
私は、実際上
日本の制度の場合にまず心配なのは、中小金融機関が倒れていくかもしれない。特に
日本の場合には中小企業者が中小金融機関に頼っておった。私、実はかつて役人のころに、豊川信金の取りつけ事件というところに遭遇しました。そのときに、取りつけが始まってどうそれを
防衛するかということで非常に心配したことがございます。これは
大蔵大臣にお聞きするのがあれでございますけれ
ども、これはむしろ総理に、これから金融機関、中小金融機関がどうなっていくか。倒産する可能性が、
アメリカでもこれだけあった、しかも
アメリカの場合には州と州との間で自由に支店を持てないといういわば制限のもとにこうあったということになると、
日本の場合には県と県との制限もなしで、信用金庫、中小金融機関は本当に僕は何カ所かどんどん倒産していくのではないかという心配がございます。こういったものに対してどういう対応を考えられていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。