○正森
委員 私は、
日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題となりましたいわゆる
補助金一括
カット法案及び自由民主党・新自由
国民連合の修正案に対し、反対の討論を行います。
まず最初に、広範多岐にわたる多数の法案を一括提出した問題であります。
本法案の
カット対象は、
社会保障、文教、生活密着型公共事業
関係が中心となっており、いずれもが長年にわたって血のにじむような
国民の声と闘いを反映して築き上げられてきたもので、国会では、社労、文教、地行、建設
委員会など八常任
委員会と五特別
委員会の所管にかかわるものであります。ところが、四年前の行革一括法を含め、何と七十五本もの多数の法律を、国の
負担、
補助金等の
整理合理化という一点で一括提出し、
あまつさえ修正案でさらに二本を追加し、七十七本もの法律を当
大蔵委員会だけに押しつけたことは全く前代未聞であります。
我が党が、国会の審議権を著しく制約したこのようなやり方に断固反対し、本一括法案の撤回と各法律ごとの再提出を主張してきたのは当然のことであります。
次に、法案自体の持つ重大かつ深刻な問題についてであります。
第一に、福祉、文教、
地方財政に関する原理原則のじゅうりん、国の責任の放棄と
国民生活への深刻な影響の問題であります。
今回の
措置では、民生
関係削減額の九割以上、公共事業
関係のほとんどが、本来国が進んで経費の全部または一部を
負担しなければならない国庫
負担金そのものなのであります。その一方的
カットは、
地方への
負担転嫁を禁じた
地方財政法の原則を平然と無視し、国の責任を放棄したものであります。特に、生活保護法や義務
教育国庫
負担法の原理原則をじゅうりんする
補助金カットや一般財源化は重大であり、断じて容認できないものであります。
政府は、口を開けば、国と
地方との
負担区分の
調整で、
国民には直接影響なしと述べておりますが、これはとんでもないうそであります。審議で明らかになったように、生活保護などでの非人道的な受給制限の強化、打ち切り数をケースワーカーが競争させられるという事態、保育料の値上げや保育所の閉鎖、老人ホーム入所料などの値上げ、
教育条件悪化などの傾向が、本法案により、一層拍車がかかることは必至であります。
そして、これら福祉、文教、生活密着型公共事業などについて、
地方自治体の財政力の強弱によって、本来平等、同質であるべき住民への給付も、今後ますます落差が広がることも必至であります。
第二に、
政府の一年限りの
措置という言い分が全く根拠のないことであります。
昨年十二月の
大蔵、厚生、自治三
大臣が交わした覚書には、確かに「
昭和六十年度における暫定
措置」とあります。しかし、この覚書は
社会保障に係る申し合わせであり、それ以外の大部分については何の約束もされておりません。むしろ審議で明らかになったように、
大蔵省の「中期展望」で、投資部門について今年度の削減率のまま作成されていたことは、「一年限り」のうそを既に証明したものであります。
さらに、その
社会保障についても、「国と
地方の間の
役割分担・
費用負担の見直し等とともに、」
検討を進めて一年以内に結論を得るとしているだけで、見直しの結果、六十一年度以降も
カットが恒常化する可能性は大いにあり、しかも、そのときは国からの財源
措置は何らとられないことになりかねません。
第三は、万全の財源
措置を講じたという言い分も、真っ赤なうそと言わなければなりません。
一括法で経常経費二千六百億円、投資的経費三千二百億円、計五千八百億円の
地方負担増となりますが、結局このうち国が確実に財源
措置をするのは経常経費の一千億円だけてあります。あとの八割以上に上る四千八百億円相当の
地方債元利償還額は全くの不確実もしくは丸々
地方負担となりかねないのであります。これが
地方自治体の財政を圧迫し、さまざまな悪影響を及ぼすことは余りにも明白であります。
最後に、以上重大な内容を持つ本法案は、
政府の臨調行革路線の一環であり、軍拡、大企業擁護の政策によって生じた財政赤字のツケを、責任のない
国民と
地方自治体に一方的に転嫁し押しつけるもので、中曽根反動行革路線を一層新たな
段階に押し上げようとするものにほかなりません。だからこそ、
全国八割の自治体がこの法案に反対の決議を上げ、
国民の怒りも高まっているのであります。
日本共産党・革新共同は、このような臨調行革路線の新たな
段階を画す本法案に断固反対し、行財政
改革を
国民本位の方向に根本的に転換するよう強く要求し、私の反対討論を終わります。(拍手)