○正森
委員 ほかに二、三事例がございますが、時間が残りましたらまたさせていただくことにいたしまして、別の問題に移りたいと思います。
政務次官に伺いたいと思いますが、これまで政府が言明しておりましたことが再々変わっておるというケースがあるのですね。今
一括法案が出ているわけですけれ
ども、
国民に対してあるいは
地方自治体に対していろいろ
負担を求める、あるいは、
言葉はどうかわかりませんよ、
負担を転嫁するというような場合には、政府が言ったことは必ず守られるというか、守られてきたというか、そういう信頼が非常に大事だと思うのですが、残念ながら、最近の
財政再建の過程でしばしば破られているということを
指摘しないわけにはまいりません。
例えば、赤字国債を
昭和五十年に発行いたしましたが、この
昭和五十年のときには、御承知のように、赤字国債の借りかえはしないということは
法律に明記されていなかったわけですね。大平蔵相が
国会の
答弁の中で言っておるだけであります。
それを念のために、どう言われておるか読み上げますと、
昭和五十年十二月三日の
大蔵委員会の議事録でありますが、
それから国債の借りかえの問題でございますけれ
ども、これは先ほどの御
答弁にも申し上げたわけでございますけれ
ども、国債管理の問題は政府の
責任で行政権の問題としてやらしていたたきたい、政府を御信頼していただきたいということを私
ども申し上げたわけでございます。
「御信頼」という
言葉を使っているのですね。したがって、借りかえはいたさないで、十年満期の公債でございますので、十年たちまして
昭和六十年ごとしですね。に現金償還いたしますということを
国会にお約来いたします、
予算の説明書にもそのようにうたってあるわけでございますので、御了承を賜れますまいかということをお願いいたしておるわけでございます。
それを
立法化するつもりはないかということでございますが、
立法する、しないの問題は
国会の管轄の問題で、私からとやかく申し上げられませんけれ
ども、私といたしましては、政府の国債管理という問題につきまして、これは行政府に信頼をもってお任せいただきたいということをこの際お願いをする次第でございます。こういうように「信頼」という
言葉を二回にわたって使われております。
あるいは別のところで、
政府といたしましては、たびたび申し上げておりますように、この公債につきましては借りかえを途中で行わずに、満期のときに現金償還を
一括して行うという方針で、そういう
決意で当たっておるわけでございます。
中略いたしますが、
政府がお約束いたした以上は、六十年度借りかえなく全額現金償還を行うということを
財政運営の基本といたしましてやってまいる
決意でございますので、その点は十分御信頼をいただきたいと思います。
ここでも「御信頼」ということを言っておられるわけであります。そして
昭和五十一年度の公債の発行の
特例に関する
法律案では、御承知のように国債
整理基金特別
会計法第五条の規定による償還のための起債は行わないものとするということで、ここで
法律になったわけですね。
あるいは今度の
一括法案の中に入っております
厚生年金等の
国庫負担減額分についても、
特例後列恩をつけて返すという約束について、当時の鈴木
内閣総理
大臣あるいは村山
厚生大臣はどう言っておられるかといいますと、
昭和五十六年十月十二日の行
財政改革に関する
特別委員会議事録でありますが、鈴木
内閣総理
大臣はこう言っておられます。
この問題につきましては、先ほど来、
大蔵大臣並びに
厚生大臣からるる申し上げておりますように、これは保険
財政に支障を来さないように必ず返す。金利はもとよりのこと、運用益につきましても適正な運用益を加算をして返済をする、こういうことを明確に申し上げておるわけであります。こういう
国会の正式な
委員会で速記をとり、明確にいたしておるわけでございますから、御心配のないように
措置してまいる方針でございます。
速記をとるから大丈夫だということを言うておるのですね。速記を何ぼとっても、あかん場合はあかんのですな。村山国務
大臣も、
いま森井
委員の御心配の点でございますが、この
法律ではっきり書いてありますように、これは三年間の
特例措置でございます。
つまり、それ以上延ばさぬ。
したがいまして、
昭和六十年度からはもとどおり二〇%
国庫負担をいたしてもらうことに両省一致しているのでございます。
こう言っているのですね。
渡辺国務
大臣も、必ずお支払いをするということは申し上げて差し支えありませんということを言っておられますし、挙げればきりがないのですね。
最後に、十月二十八日にもう一度鈴木
内閣総理
大臣が出てまいりまして、
ただいま数点にわたりまして、本
特例法案の
審議の過程において問題点として特に取り上げて御論議をいただいた問題につきまして、政府に対して
答弁を要求されました。
関係閣僚から明確にお約束を申し上げたところでございますが、私も最高の
責任者といたしまして、ただいま各担当閣僚から申し上げたことは、誠実にこれを実行してまいることをはっきりお約束申し上げます。
こういうように二度、三度と大見えを切っておるのですね。それがことごとく実行されないということで今日の事態を招いたのですね。
竹下大蔵大臣などの
答弁を聞いておりますと、初めはそういうつもりだったのだけれ
ども、第二次オイルショック等があって非常に難しいことがあったのでやむを得ずこういうことになったので御理解を賜りたい、中村政務次官の御
答弁の要旨にもそう書いてあると思うのですが、それはもう既に承知しておるわけです。
しかし、こういうように御信頼を賜りたいと大平国務
大臣、後の総理ですね、それから鈴本当時の総理
大臣が二度三度とおっしゃったことが、借りかえの問題でも行革
一括法案の問題でも、あえて
昭和五十九年までに赤字国債から脱却するとおっしゃったことが六十五年に延び、それがまたどうやら危ないというようなことまでは言いませんが、本
法案に関連のある
部分でもそういう状況なんですね。御感想を承ります。