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1985-03-26 第102回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年三月二十六日(火曜日)     午後一時三十六分開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       糸山英太郎君    大島 理森君       加藤 六月君    金子原二郎君       瓦   力君    笹山 登生君       塩島  大君    田中 秀征君       中川 昭一君    東   力君       宮下 創平君    山崎武三郎君       山中 貞則君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    武藤 山治君       石田幸四郎君    古川 雅司君       宮地 正介君    矢追 秀彦君       安倍 基雄君    玉置 一弥君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         国 務 大 臣          (総務庁長官) 後藤田正晴君  出席政府委員         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省関税局長 矢澤富太郎君         大蔵省国際金融         局長      阿部 充夫君         文部省教育助成         局長      長門 保明君         厚生大臣官房総         務審議官    行天 豊雄君         厚生省社会局長 正木  馨君         厚生省児童家庭         局長      小島 弘仲君         自治大臣官房審          議官      土田 栄作君  委員外出席者         防衛庁防衛局防         衛課長     宝珠山 昇君         防衛庁教育訓練         局衛生課長   河路 明夫君         防衛庁装備局調         達補給課長   猿渡 聰一君         外務省経済局開         発途上地域課長 松井 靖夫君         厚生省薬務局審         査課長     代田久米雄君         厚生省薬務局麻         薬課長     山本 晴彦君         農林水産大臣官         房参事官    上田 敬介君         林野庁林政部林         産課長     脇元 裕嗣君         林野庁指導部計         画課長     三澤  毅君         通商産業省通商         政策局国際経済         都通商関税課長 雨貝 二郎君         郵政省電気通信         局電気通信事業         部監理課長  五十嵐三津雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   玉置 一弥君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   永末 英一君     玉置 一弥君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例  等に関する法律案内閣提出第八号)  あへん特別会計法廃止する法律案内閣提出  第五三号)  関税暫定措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第五六号)      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。占卓三君。——上田卓三君の質疑をお願いいたします。
  3. 上田卓三

    上田(卓)委員 ただいま議題となっております国の補助金等整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案につきましてでありますが、この法案は、五十九本の法律、六十六項目にわたっておるわけでございます。行革特例法の三十六本のを入れますと七十七本という膨大な法案にかかわっておるわけでございまして、そういう点で、私たちはこの大蔵委員会においては、大蔵大臣中心にして、総務庁長官あるいは厚生大臣あるいは自治大臣など、当然総理大臣も出ていただかなければならぬ、このように思っておるわけでございますが、今見ますと、肝心かなめ大蔵大臣が出席していないということでございまして、私としては質問に入るわけにいかぬ、こういうふうに思うわけでございます。当然私だけじゃなしに、あと引き続いて渋沢委員、また他の党の先生方も御質問される予定でありますが、恐らく大蔵大臣なしでこの質問はできないんじゃないか、こういうように思っております。若干の手違いもあったかもわかりませんが、その点について、事と次第によりましては、私自身質問に入るわけにいかない、こういうような状況もありますので、その点冒頭に申し上げておきたい。  また同時に、せっかくきょうは——厚生大臣もいないじゃないの。質問できないですね、委員長。これはだめですよ、委員長
  4. 越智伊平

    越智委員長 先刻の理事会で決定をいたしておりますとおり、御質問をいただきたいと思います。
  5. 上田卓三

    上田(卓)委員 だめだよ、人をペテンにかけるようなことをして。厚生大臣がおると思って、最初厚生大臣質問しようと思ったんだけれども、全然いないじゃない。それはだめですよ。大蔵委員会大蔵大臣もいないし、厚生大臣もいないじゃない。だめですよ。僕だけじゃない、他の党の先生方のときにもいないんでしょう。大蔵大臣厚生大臣もなしでやれというのですか。これは一括法案ですよ。(「こんな委員会の開き方はないよ」 「休憩休憩」と呼び、その他発言する者あり)
  6. 越智伊平

    越智委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止
  7. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  暫時休憩をいたします。     午後一時五十八分休憩      ————◇—————     午後三時三十二分開議
  8. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  あへん特別会計法廃止する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。沢田広君。
  9. 沢田広

    沢田委員 最初に、本日はそれぞれの要望もありましたけれども、委員長においても、今後これら重要法案を審議するに当たっては、五十九本もの法律の内容にも関することでもありますから、単に大蔵だけでなく、それぞれ関係分野においては待機しその質問に答えられるよう準備されることを、まずもって委員長にひとつ善処を要望しておきたいと思います。  最初に、特別会計というものの設定の趣旨というものは、私があえて答えて申し上げれば、その特別会計を置くことによってまず経理を明確にするということが一つ、それからもう一つは、そのことの内容的なものによって、それを一般会計として扱うことが適当でない特別の案件に必要なもの、こういう性格特別会計を設定するものであろうと思います。それについてどういうふうに考えておられるのか、私の言ったとおりかどうか、その点ひとつお答えをいただきたいと思います。
  10. 平澤貞昭

    平澤政府委員 特別会計につきましては、現在三十八の特別会計がございます。そしてこの特別会計設置につきましては、財政法の第一三条第二項に規定がございまして、それを読んでみますと、「国が特定事業を行う場合こそれから「特定資金を保有してその運用を行う場合その他特定歳入を以て特定歳出に充て」、その後でございますけれども、「一般歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、」設置することができるというふうになっております。したがいまして、この三つの場合に設置を認められるということでございます。
  11. 沢田広

    沢田委員 そういう意味において、このあへんの取り扱いについてはまだその特別会計として存置すべき理由があるのではないか。総体的な金額が十一億ぐらいでありますから、金額が小さいからといって、これを廃止するという性格のものではない。特に大麻の密輸入であるとか、あるいはアヘン密輸入麻薬密輸入というものも非常に現在は顕在化し、しかもまだ、アングラマネー一つの大きな根拠として、今日日本国内にも相当入ってきている状況であります。これは実は警察を呼んで、現在の麻薬密輸入状況あるいは量、こういうものから判断して、金額が十一億で少ないからこれを廃止するという性格のものではない、あるいは、今後はこの特別会計の存在の意義はもっと大きいということも考えられるというふうに思うわけでありまして、そういうことで、まず廃止をするには該当しないのではないかと思いますが、これはいかがですか。
  12. 平澤貞昭

    平澤政府委員 あへん特別会計につきましては、先生指摘のように金額が大変小さいわけでございます。現在約十九億円という予算規模でございます。しかし、この規模が小さいからといって、この特会廃止する理由にはならないわけでございまして、この特会は三十年に設置されたわけでございますけれども、その後いろいろ事情が変わってきております。特にアヘンの購入につきましては、国内産のアヘンを購入いたしまして、輸入アヘンとプールして、その上で売り渡し価格を決めて必要先に売却していくという仕組みがこの特会の大きな役割でございますが、国内でのアヘン栽培がもう今非常に微量になっておりまして、そういう意味でのプール計算必要性というのがほとんどないということが一つの大きな理由でございます。     〔委員長退席中川(秀)委員長代理着席〕  そのほか、こういうようなことを受けまして、臨調最終答申におきましても、特に規模が小さいものそれから区分経理必要性が今申し上げましたように乏しくなってきている、そういうもの等については廃止または一般会計への統合を行うように見直しを行うというふうに指摘されているわけでございまして、以上私が申し上げましたようなことを総合的に勘案して、今回あへん特別会計廃止するという法案をお出ししているというわけでございます。
  13. 沢田広

    沢田委員 金額が小さいからということで、結果的には一応理解はしていこうというふうには思っております。しかし、若干安易な提出じゃないかという気がするわけです。  その一つは、これは定員は六人ですね。六人で組んでおりまして、予算では千九百十六万円、人件費として組んでおりましたね。そうでしょう。きょうは急の質問ですから、今原本は持ってきませんが……。
  14. 平澤貞昭

    平澤政府委員 まず定員でございますけれども、現在五人ということになっております。  それから給与関係でございますが、これは職員の基本給、諸手当等々、それから共済組合負担金も合わせまして二千四百万円程度になっております。
  15. 沢田広

    沢田委員 私は前年度の、前々年度か、決算で見たんです。その決算ではそうなっていたと思いますが、それは後で調べてみてください。それを計算しますと、前の数字でいきますと一人当たり三百二十万円、今の計算でいつでも一人当たり四百万円。こんなことは、一般公務員経費計算からいってそんな数字には絶対なってないんですね。これはある意味においては極めて安上がりな会計になっておる。あるいは漏れておるということになっておるのかもわかりませんが、そういう前年度三百二十万円、今言われた数字でも年間四百万円の人件費。これは、特別会計経費として見れば非常な行革沿い予算ということになっている、あるいは一般会計その地やみで負担しているかどっちかだ、こういうことになるわけなんだ。その点はいかがですか。
  16. 平澤貞昭

    平澤政府委員 細かいお話でございますので、ちょっと厚生省が来ておりませんので私の方から申し上げますと、一人当たり人件費でまいりますと、六十年度の予算額でございますけれども、これは四百九十一万円になるわけでございます。大体公務員の一人当たりよりも——ほぼ似たぐらいの数字ではないかと思うわけであります。そういう意味では、この五人については特会の中で必要額を払っているということでございます。
  17. 沢田広

    沢田委員 さっきの、前年度は少なくとも六人の定員で千九百十六万円であった、これは私の記憶が間違ってないという大体確信を持っているのですが、それで計算をするとさっき言ったような数字になる。それが妥当かどうか。一般会計の全体ではじゃ幾らになるのかということもありますから、時間がないですからこれは後でひとつお答えをいただきたいと思います。  ですから、特別会計をもし廃止をするとすれば、今言ったような人的給与等について、例えば災害の場合とかあるいは公傷の場合とか、そういうようなものは、五人の定員だなんというふうに置いてもこれは名目上の定員で実質的に人間が張りついているというふうには思えないし、あるいは需用費その他を考えると、それらは一般会計から出されておる、こういうことだと思うのですが、ほかの会計もそのとおりですか。
  18. 平澤貞昭

    平澤政府委員 特別会計一般会計関係につきましては、これは法律に規定されておるごとく経理を明確に区分して行うということでございますので、その意味では特会において必要な費用はやはり特会予算から支出されているということでございます。
  19. 沢田広

    沢田委員 これは本来からいえば、電気代から紙一枚、コピー代というものまで、言うならば特別会計特別会計として処理するという考え方なのか。事務所の例えば一隅を借りて仕事をやっているわけであります。これは何もこの会計だけのことを言っているのじゃないのですよ。産投会計にしてみてもその他の特別会計にしてみても、庁舎の一部の中で仕事をしていくという場合も経理の明確さというものは図るという建前でいるわけですか、その辺は図らなくても適当でいいという建前でいるのですか、その方針だけひとつお聞かせください。
  20. 平澤貞昭

    平澤政府委員 それにつきましては、例えば五十九年度予算をごらんいただきますと、歳出の方に庁費ということで今おっしゃいました電気代その他が千八百万円ありますとか、それから土地建物の借料が約五百万円とか、それから修繕費が十五万円とかということで、必要な予算はおのおの特別会計の中に見込んでいる、したがってそこから支出されるということでやっております。
  21. 沢田広

    沢田委員 これは何もあへん特別会計だけではありませんので、ほかの特別会計全体に通ずる問題でありますから、その点はじゃ確認をしながら、やはり特別会計を設定する以上その目的というものが生かされることを前提として考える、そういう会計処理をしてもらうことを期待をして、きょうはおきます。あとは、違った点はまた別な機会に指摘をしていきたいと思っております。  それから、厚生省がおいでになりましたのでお伺いをいたしておきますが、現在のアヘン利用状況、簡単で結構ですが、お答えをいただきたい。  それから、アヘンなり麻薬なりの利用研究というものは——衛研を呼ぼうかと思ったのでありますが、こういうことになれば呼ばなくてよかったというふうに思いますね。後でまた改めて衛研には来てもらおうと思っていますが、麻薬利用研究はどういう方向で進んでいるか、お答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  22. 山本晴彦

    山本説明員 御説明さしていただきます。  最近の国内におけるアヘンの生産及び利用状況という御質問でございますが、この点につきましては、最近の状況といたしましては、アヘンにいたしまして約十キロ前後が国内で生産されております。それからあと、そのほか輸入によって六十トンから七十トン程度のものをやっておるところでございます。  そして、これの利用状況でございますが、こうしたアヘン麻薬製造業者に売り払われまして、これらの薬物はモルヒネであるとかコデインであるとかあるいはジヒドロコデインであるとか、こういうような麻薬に変換されました上、鎮痛、鎮咳の目的で使用しておる状況でございます。  次に、麻薬研究状況という点でございますが、御承知のとおり、モルヒネ等につきましてはがん末期疼痛等に非常に有用ということで、この方面でいかに効果高く使っていくか、こういうような点でいろいろ研究が進められておる状況でございます。  以上のとおりでございます。
  23. 沢田広

    沢田委員 これは、研究は国でやっているものと民間でやっているものとがあろうと思いますが、いわゆる衛研なりでやっているものはどの程度分野でやっておられるのですか。
  24. 山本晴彦

    山本説明員 お答え申し上げます。  現在のところ国の方でやっておりますのは、ケシの優良品種の育成とか栽培採種技術の改良、こういうような点について研究を行っております。  先ほど申し上げましたような鎮痛等目的での研究病院等国以外の機関で行われて、医療の目的で行われている、こういうような状況でございます。
  25. 沢田広

    沢田委員 これは大蔵省の方にお伺いしますが、いずれにしても特別会計先ほどのような立場から全体的に見直す意思はあるのかないのか。これは単にあへんだけじゃなくて全体的に一回見直してみて、その必要度合いというものが検討されるべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  26. 平澤貞昭

    平澤政府委員 先ほども申し上げましたように、臨調答申におきましても特別会計設置の抑制あるいは見直しの推進について指摘されているところであります。したがいまして、そういう観点から今後ともその点については検討を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 沢田広

    沢田委員 それで、揮発油税関係で一千百十億が特別に——一般会計を、一兆八千億ですか、一部は通って、一般会計から道路財源に出る。四千八百億程度は、これは通らないで市町村道路財源に充てられる。今回特に千百十億が市町村道の舗装という名目一般会計をトンネルして、トンネルというのはくぐりもしないのですね、バイパスを通って市町村に流れていった。こういう会計処理は妥当だと考えておられますか。
  28. 平澤貞昭

    平澤政府委員 道路特会につきまして、今お話のございましたように、千百十億円について揮発油税から直入いたしております。先ほども申し上げましたように、特別会計経理を明確化するという点も設置必要性一つでございます。そういう点からいいましても、この一千百十億円につきましては経理を明確化する必要性がございますので、そういう意味で、特別会計に入れましても今委員のおっしゃいましたような問題はないというふうに考えるわけでございます。  それでは、なぜ明確化する必要があるかといいますと、少し話が長くなりますが、道路整備の第九次五カ年計画の達成の状況を見てみますと、非常に厳しい財政事情の中で行っておりますので、特に市町村道の中、しかも必要な割合小規模改修工事その他等が非常におくれているわけでございます。そのために、それらを行う必要性から、揮発油税収入の一部を特会に入れましてそれを地方への交付金として直接交付するということで、その問題をできるだけ解決しようという趣旨で設けられたわけでございます。そういう観点からいいましても、特会に入れてそれを出すという点は必要性があり、問題がないのではないかというふうに考えております。
  29. 沢田広

    沢田委員 厚生省の方は、後でまたあるかどうかわかりませんが、あへん関係は結構ですからどうぞ。  今のは苦しい答弁なんですが、これは極端に言えば、一般会計へ入れれば道路費用だけが大きく膨らんでしまう。道路財源はそうでなくとも目をつけられているところである、だからこれは一般会計を外して特別会計へ持っていけば、一般会計歳出というものが見かけが小さくなる。あるいは、一般会計からすると、補助金を一方削っておいて、片っ方は補助金がふえる、こういうアンバランスも出てくる。こういうことをよけるために、言葉はちょっと悪いかもしれませんが、我々の目をごまかすというか、はぐらかすというか、そういうようなつもりで一千百十億が市町村道ということで回っていったのではないのか。特別会計ということを考えていった場合には、今の言葉からいうと一般会計を通って特別会計に入っていく、この筋道が必要であったのではないか、あるいは入らないのなら入らないで、全部をそういう措置を講ずる必要があるのではないのか、いずれかに整理をするべきではなかったのか。一兆八千億の中に含めて出すかどうかということから考えると、ややこれは違った方法をとり過ぎた、こういうふうに考えられますが、いかがですか。
  30. 平澤貞昭

    平澤政府委員 先ほども申し上げましたように地方道、特に一部の市町村道につきまして、道路整備緊要性が非常にあるわけであります。そういうところへ適切にお金を配分するためには、一般会計を通じてやります補助制度でいきますと、いろいろほかの道路費用とのバランス等から、なかなか必要額が十分回らないこともございます。     〔中川(秀)委員長代理退席堀之内委員長代理着席〕  他方、譲与金制度というのを使う道もあるわけでございますけれども、そういう方式でいきますと、これは地方一般財源として完全に行ってしまいますので、その使い方が完全に地方の判断のもとで行われるということがあって、適切に使われるかどうかという点も自信がないということから、こういう交付金制度をつくるために特会に直入して、明確にそちらに資金が配分されるように仕組みをつくったということでございます。
  31. 沢田広

    沢田委員 以上の点で、時間の関係もありますから、それが今言われたような目的に沿うよう適切な指導とそれから会計上の処理が行われることを期待し、こういう方法はなるべくとらぬように要望をして、どうせ一兆八千億の中へ入れて出しても、目的税目的的に使用を明示すれば同じことですからね。私は、その方法が妥当であったか、だめだと言うと今までの予算がおかしくなるでしょうからきょうは勘弁しておきますが、若干今後検討を要する案件である、こういうふうに指摘をして、次の問題に入りたいと思います。急な開会でもありましたから、来ている人もその他の省がないのでありますが、警察の方もまだ来ていない。これはあへん関係は一応やむを得ません。次に行ってしまいます。  次は、今の貿易摩擦状況について、大蔵としてというのと  通産も来ていないのですか。経済企画庁は来ているか。——大蔵省経済企画庁で聞いていくということになりますが、どういう状況と判断されているか、簡単にお聞かせをいただきたいと思います。
  32. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 最近の貿易摩擦状況でございますが、一番の大きな原因は、アメリカ貿易収支赤字が大変に大きなものになっているということでございます。一九八三年、一昨年でございますが、約八百億ドルぐらいの赤字が、昨年の数字では千二百三十億ドルぐらいになっているということでございます。その中で日本の対米貿易収支アメリカから見た対日貿易収支でございますが、二百三十億ドルぐらいの赤字が、昨年は三百三十億ドルぐらいに拡大をしたということでございます。したがいまして、アメリカの中で大変ないらいらが募っていると同時に、日本アメリカの最大の貿易相手国でございますから、対日貿易貿易収支均衡是正ということが現在の焦点になっておるというふうに考えます。  それと同時に、ASEAN諸国中心に一部対日貿易赤字を抱えている国がございます。こういった国からも対日貿易の不均衡是正をめぐって、いろいろ市場開放の要求が出ているというのが現状でございます。
  33. 沢田広

    沢田委員 大蔵省で答えられるかどうかテストみたいになっちゃいますが、現在の国連でいろいろの採決、投票が行われているわけでありますが、この二年ぐらいの国連における採決、投票の結果の、例えば共産圏を含む第三世界の票及び先進国と言われている国々の票、これの推移を、あるいは今見られなければもう少したってからでもいいですが、ひとつお答えをいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  34. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 ただいまちょっと手元に資料がございませんので、また調べまして御報告させていただきます。
  35. 沢田広

    沢田委員 これは外務大臣あたりに聞かないとわからないのですが、今レーガン政権もスターウォーズだのいろいろ言っておりますけれども、今は、ユネスコと同じでありますが、国連におけるアメリカの地位がだんだん下がっておる。言うならばソ連を初めとする諸外国の扱いの方が優位に立ってきておる。少なくともアフリカあたりから東南アジアにかけて、いわゆる国連における第三世界の国を含めた力というものがだんだん大きくなってきておる。ですから、関税も日本へのようなやり方をやっておると結果的には国連の中の少数派になる。そのときにはアメリカは脱退するでしょうけれども、そういうふうなところに追い込まれるだろうと思う。単なる力の征服だけを考えている状況が続けば、恐らく数年を待たずしてそういう状況が生まれてくる。  これは武力ではない。第三世界の国々がソ連の提案する案件に賛成をする、拒否権は使えるでしょうけれども、そういう状況が生まれてきたときに我が国がどうなるのかということは、国の財政、経済を考えたときに極めて大きな影響を持つと思うのです。ですから、保護貿易を主張される方々も多いと思いますが、今世界の中における日本が果たすべき役割というのは、やはり国連における多数派をどうつくっていくか、そのために我々は海外援助を行い、またそれぞれの未開発の国にどう寄与するか。  四、五年前ですが、アフリカに対して日本はもっと積極的になれと私は主張した。当時、外務省にはアフリカ担当の課もなかった、本も六年前の本しかなかったという状況ですが、今はどうなんですか。これは、外務省はいないのですけれども、大蔵省としては予算査定をやる立場ですからわかっているでしょうが、何かアフリカ対策ぐらいの訳なりは置いてあるのですか。それからまた、アフリカに対する問題認識というものは持って対応しているのですか。その点をお伺いしたいと思います。
  36. 平澤貞昭

    平澤政府委員 定かには存じませんが、アフリカ一課、二課という課があったと記憶しております。
  37. 沢田広

    沢田委員 前はアフリカ課なんというのはなかったのですから、それから見れば大きな前進をしたということになるのですが、南アがあるがために手を出さなかったというような経緯もありました。しかし、手おくれでありましょうとも日本貿易摩擦を解除していく分野は、単にアメリカだけの問題ではない、そういう視野が必要だと思いますけれども、いかがですか。
  38. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 開発途上国との間で貿易を拡大することが、世界経済の発展のために、また日本経済の発展のために大変重要でありますことはただいま委員指摘のとおりでございまして、私どもとしては、ガットの場あるいはUNCTADの場を通じまして、開発途上国との貿易拡大にいろいろと配慮をしているところでございます。特に開発途上国との貿易につきましては、昭和四十六年度にガットの決まりに従いまして特恵関税制度をつくりまして、例えば鉱工業品でございますと一定の金額の枠内で原則として開発途上国からの輸入は無税でできるというような制度をつくりまして、最近に至りましては、特にそういった特恵のシーリング枠の拡大を図りますとか、原則無税と申しましたが例外的に実行税率の半分の関税を課しているものも幾つか残っておりますが、そういったものを撤廃するとかいうような方法によりまして、開発途上国一般との貿易の拡大に努力をいたしているところでございます。
  39. 沢田広

    沢田委員 今日本アメリカへ酒を大変輸出しておりますが、原価幾らで輸出をして、幾ら関税を取られていると思いますか。
  40. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 ちょっとただいま手元に資料がございませんので、わかり次第お答えさせていただきます。
  41. 沢田広

    沢田委員 牛肉は、これも前に一回、畜産事業団の為替並等の放出について指摘をしたのでありますけれども、そのときには肉の日というので二十九日、ニクらしいというのでありますが、肉の日の二十九日、安いかなと私もたまに見るのですがそれほど安くはない、宣伝もされていない。それで、もう一日つくりましょうかとそのときには答弁でうまいこと言っておったけれども、それもどこか消えちゃったようだというふうに現在感じております。  この畜産事業団が一手に買い入れて放出している肉の利益、それは一般国民にも還元されるべきで、単に農業者関係だけじゃなくてそれ相当に消費者にも還元されるべきである、こういう立場で申し上げたわけでありますが、もう一日肉の日を、二十九日は二つありませんから違う日にならざるを得ませんけれども、つくって、やはり国民にその需要をより多く求めていくという必要性があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  42. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 牛肉につきましては、ただいま輸入制限品目ということで、一定の輸入枠の中で輸入が行われておるわけでございますが、昨年の四月の対外経済対策におきまして、対米との関係でございますが、この牛肉の輸入枠の拡大を図ったところでございます。
  43. 沢田広

    沢田委員 貿易摩擦の解決をするためには、もちろん国内産業の問題もございます。全然ないとは言わないのですが、ただ保護することだけが、今の教育問題じゃありませんけれどもすべてではない。「おしん」の映画があれだけ大きく反響を呼んだということも、一つには過保護だけがすべてではないんだ、世界の貿易の中の荒波にある程度は挺して、またその中で創意工夫を凝らすあるいは開発をしていくということが必要で、そのために物を考えていかなくてはならぬ。日本は狭いんですから、肥料をつくるにしたって全部輸入ですし、それは大変だと思うのですが、これからは遺伝子工学だとかいろいろなものもふえてくる、先端産業も伸びるわけですから、そういうものによって支えられていく基盤はあると判断しているわけなんです。  さっきの酒は、今四百円くらいですね。答えられたら答えてください。関税は一〇%くらいだと思う。今肉の方から酒の方へ行ったけれども。
  44. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 アメリカの酒の関税率でございますが、一升、一・八リットル当たり約三十円ということでございます。また清酒の日本から出ていくときの対米輸出価格でございますが、一升、一・八リットル当たり七百五十円というような数字でございます。したがいましてこの三十円の率は約四%という率に相なります。
  45. 沢田広

    沢田委員 ブドウ酒を入れるのには今度下げて三八%ですね。三八%も関税をかけてワインを入れているんです。日本の酒は今言ったようにべらぼうに低い関税でアメリカは入れておるし、諸外国も入れておる。日本の酒はそういうふうな状況であるのに、我が方が入れるものは今度下げて三八%。せめて二〇%か一五%ぐらいに、これはEC諸国を含めての貿易摩擦解除のためには必要な条件じゃないのか。  あなた、どう思いますか。片方は四%、一〇%でも四%でもいいのですが、とにかくそれに対して貿易黒字国が三八%も取るという。逆な立場になったら憎たらしくなるでしょう。どうですか、あなた。
  46. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 今回改正法案でブドウ酒の関税の引き下げの御提案をしているわけでございますが、引き下げ後におきましても、なおアメリカ等と比べまして関税率が高いのは御指摘のとおりでございます。  しかしながら、一方において日本国内事情を見ますと、ブドウ酒用の原料用ブドウの価格が日本の場合大変割高でございまして、アメリカ産あるいは東ヨーロッパ産と比べますと約四倍ぐらいの高さになっている。しかも、現在七万六千戸ぐらいのブドウ生産農家があるというような状況でございまして、そういった状況のもとでは、今回御提案申し上げております関税率の引き下げ幅というのは、外国と比べると確かに高いことは事実でございますが、国内の特殊事情を考えますと限度いっぱいのところではないかというふうに考えております。  なお、今回の措置につきましては、つい最近、アメリカのカリフォルニアのワイナリーの協会の方から総領事館の方に感謝の話がございまして、かなり下げてくれた、これでアメリカのカリフォルニア産のワインも相当売れるようになるのではないかというような話があったということも聞いておりますので、一応の評価は得られているのではないかというふうに考えております。
  47. 沢田広

    沢田委員 それを称してそらぞらしいと言うのです。そんな、四八が三八になって、片方は四%か五%ぐらいで輸入していて、ちっともありがたいなんて、それは下げたからそうなのかもしれませんけれども、しかし、急な質問になって資料を持ってくる時間もなかったぐらいですが、記憶をたどって物を言っている程度でありますけれども、要すれば、酒類にしても日本の関税は少し国内の保護的な性格が強過ぎる。これは大いに検討して貿易摩擦解除、特にEC諸国などは、フランスにしてもドイツにしてもイタリアにしてもユーゴにしても、そういうものを求めている国々が多いわけですね。ですから、そういうものに対応していくということが必要だ、そういう方向で御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
  48. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 ただいまお話のございました農産品等につきましても、その特殊性だけを強調して、これは関税引き下げの対象外だというような考え方はもとよりとるべきではないと思います。  ただ、特殊事情がある点も事実でございますので、農業部門において生産性向上の長期的目標の達成に努めつつ、これに応じて関税による保護を漸次軽減していくという方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
  49. 沢田広

    沢田委員 来る人が今になってぽつぽつ来るわけですから、質問もあちこちいくことはお許しをいただきたいのです。  さて、防衛庁は、防衛の施設の輸入国内の生産の比率はどういう位置づけに置いているのか。例えば、前年度の決算だけで結構ですが、輸入はどれだけ、あるいは国内調達は幾らか、お答えいただきたい。
  50. 猿渡聰一

    ○猿渡説明員 ただいまの御質問に五十八年度の数字で申し上げますと、私どもの輸入の調達につきましては総調達額の九・七%というふうになっております。金額につきましては輸入額一千三百五十六億円でございます。
  51. 沢田広

    沢田委員 そうすると、国内は残り全部ですか。
  52. 猿渡聰一

    ○猿渡説明員 はい、国内につきましては一兆二千六百七十三億円でございます。
  53. 沢田広

    沢田委員 そうすると、防衛の関係輸入は一〇%以下である、そしてあと国内で。  ここ数年の傾向としてはどうですか、過去数年の傾向として。
  54. 猿渡聰一

    ○猿渡説明員 年によって変動もございますが、過去五年間で申し上げますと、五十四年度が一四・八%、五十五年度が一一・五%、五十六年度が一九・五%、五十七年度が一一・四%、五十八年度がただいま申し上げました九・七%でございます。
  55. 沢田広

    沢田委員 防衛庁のこれは防衛産業が伸びていっている大きな理由一つであるのかもわかりませんが、そうすると、今後の傾向として見ると、一兆二千なり一兆三千億台のいわゆる調達は国内が主体になって、輸入の依存率は少なくなってくる、開発もまたより進むだろうから余計に国内調達の方がウエートが高くなる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  56. 猿渡聰一

    ○猿渡説明員 私どもとしましては、輸入で買わなければいかぬものもございますので、そう大きな変動はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  57. 沢田広

    沢田委員 この前から戦車などは日本は使う場所はないんじゃないかということを言っていたのですが、あなたは調達される側で、発注するのも同じかどうかわかりませんけれども、本土決戦とかなんとか考えてこういうものは調達しているわけですか。
  58. 宝珠山昇

    ○宝珠山説明員 先般も御説明をいたしましたけれども、自衛隊の任務としましては、侵略を未然に防止するという観点からのものでございまして、戦車を持っているということによりまして侵略をしかけてくる側もそれなりの準備をしなければならないということで、本土決戦というようなことにならないような力を持ってそういう事態にならないように努力していくというのが趣旨でございます。
  59. 沢田広

    沢田委員 きょうはもう時間がないから論戦はしませんが、日本の国の中で戦車ががたがた歩いて、今ミサイルの時期なんだし、そんなものは何の役にも立たないし、一般市民を、イラ・イラ戦争もそうでしょう、全然そういう戦闘部隊でない人間が多く殺傷されているわけでしょう。日本国内で戦車が動くなんてことを考えること自体が、これはあなたの子供にだって笑われるだろうと思うのです。だから総理もだんだん幾らか考えついてきて、今度は空と海に力を入れなくてはいけないなんて言い出してきたということは、言うならば本土の中で撃ち合うなんということはあり得ないのです。そのときはもうおしまいなんです。それはもう国民全部が損害をこうむるときなんです。そういうことは沖縄で十分証明済みなんです。過去防衛庁は戦争を知らないから、だからそういうことを考えているのかもしらぬが、速やかな反省を求めて、あなたはもう結構です。あとはまた別な時間で防衛論争はやりましょう。とにかく、要らないものにこんな金をかけたりしていることはかえってむだであるということを指摘しておきたいと思います。  また今度は経済企画庁が来て、本当にあっちこっちいってしまうので、順不同と言うけれども本当に順不同になって参ってしまうのです。では、それはもういいです。  今度は木材に入りますが、木材は閣議でも議論をしたようでありますけれども、私は、日本の木材はもっと保護すべきである、間引きは別でありますけれども。木材は日本の資源、国土の保全のために絶対必要なものである。だから、業者だけを中心として考えるのではなくて、木材をどう保護していくかという立場に立って輸入も考えていかなければならない。  また、建設省は呼んでないんですけれども、湿度の高い日本の風土からいきますとやはり木材の家屋の方が喜ばれる。あるいは風、通風というようなもの。あるいは雨季というようなものを持っている場合に、コンクリの家の中がどんどん湿っちゃって、カビが生えてきてどうにもならないという状況は、今日市民の批判を浴びている内容です。ですから、そういう意味において、我が国の風土からいっても木材の需要というものは、今後違った工夫は行われるといたしましても重要な資源である。それから、水をまずつくってくれる、保存してくれる、それからまた洪水に強いというような条件を考え合わせますと、いわゆる利益だけを追求して若いうちに木材を切ってしまう、こういうことは国土の破壊につながる。ですから、アメリカじゃありませんが、アメリカは自分の石油は掘れるけれども、それは蓄積をしてどんどん買っておる。それと同じように、木材も輸入にある程度依存をしつつ、国内の木材を保護していくという姿勢をとらなけりゃいかぬ、私はこういうふうに思っている一人です。  それは個々には、それぞれの産業を守るとか守らないとか、いろいろ意見はあるでしょうけれども、国土全体がつぶれてその産業だけが残るということはあり得ないのですから、やはり日本の国土全体を守る中での産業の育成、こういうことが必要な条件ではないのか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  60. 三澤毅

    ○三澤説明員 確かに森林は、木材生産機能のほか、国土の保全、水資源の酒差等の公益的機能を果たし、国民生活に極めて重要な役割を果たしているところでございます。このため、私どもといたしましては、森林計画制度に基づきまして伐採、造林等の適切な施業が計画的に実施されるよう努めるとともに、国土の保全、水資源の酒差等の観点から、特に重要な森林は保安林制度によりその保全に努めるほか、これらの機能を高めるため治山事業等を実施しているところでございます。  今後とも、御指摘趣旨を踏まえ、森林資源の整備、林業生産基盤の充実、林業構造の改善、林業生産活動の活発化等を推進してまいる所存でございます。
  61. 沢田広

    沢田委員 今の答弁、大蔵省としては文句ありませんか。
  62. 平澤貞昭

    平澤政府委員 今お話しのように鋭意努力しておりますので、我々としてもそういう努力の方向に協力していきたいと思います。
  63. 沢田広

    沢田委員 続いて、さっきの牛の方にまた戻って恐縮でありますが、先ほど述べたことについて答弁がなかったものでありますから、二十九日、肉の日以外にもう一日設定をするか、あるいはさらに一般消費者向けに肉の放出を行うか、その点明快に、この前約束したんですからね、それを実行されなかったんですから本当は腹切ってもらわなければ困るところなんですから、お答えいただきたいと思います。
  64. 上田敬介

    上田説明員 御案内のとおり、五十八年度から輸入牛肉の指定店を増加いたしまして、二千三百店を三千店まで増加いたしております。それから、肉の日だけのために、約九千二百店特別に設けて、安売りをいたしております。  なお、二十九日だけでは仰せのとおり不十分でございまして、そのために、各地の実情に合わせまして週に一回とかあるいは日にちを肉の日だけではなくてもう一度やる、創意工夫して自主的にやっていただいております。
  65. 沢田広

    沢田委員 やっている具体的な都道府県の安売りの日での実績表を後で出していただけますか。
  66. 上田敬介

    上田説明員 後で先生に御説明に参ります。
  67. 沢田広

    沢田委員 その差はどの程度に置いているわけですか。
  68. 上田敬介

    上田説明員 おおむね市価の二割ぐらいの値引きを考えております。
  69. 沢田広

    沢田委員 その値引きが完全に実施されているかどうかの点検は、どこで、だれがやっているんですか。
  70. 上田敬介

    上田説明員 その点につきましては、消費者団体の御助力を得ましてモニター制度を設けております。
  71. 沢田広

    沢田委員 都道府県の協力をもらいながら、保健所等においては特に食肉検査等も行われるわけでありますから、そういう協力を得ながら一応確実な指標をとるということも必要なことじゃないかと思うのです。今までやってないようなんですが、それはやるお考えはありますか。
  72. 上田敬介

    上田説明員 物の性格上、都道府県等行政機関を通じての実施というのはなかなか困難であろうかと思います。
  73. 沢田広

    沢田委員 困難というのは、何か金を、予算をつけなければできないという意味で困難だと言っているんですか。それとも——それ以外には大体考えられないね。役人がやることだから親切にやるなんということは考えられないのかもしれぬけれども、それぐらいのことは都道府県も協力してくれるんじゃないかという気がするのでありますが、いかがですか。
  74. 上田敬介

    上田説明員 御案内のとおり、肉の安売りにつきましては畜産振興事業団の仕事としてやっておるわけでございまして、畜産振興事業団は特殊法人でございますが、県に対しまして協力の依頼はいたしております。しかし、先生がおっしゃっておりますように値段の監視、完全な仕組みの中に県を入れるということは、なかなか大変でございます。
  75. 沢田広

    沢田委員 外務省は来ていませんか。
  76. 熊谷弘

    ○堀之内委員長代理 来ています。
  77. 沢田広

    沢田委員 累積債務が八千億ドルにも達してきたということでありますし、この債務国の今後の対応ということについてお伺いしようと思ったのでありますが、これは海外援助の問題とも関係してきますし、貿易摩擦関係してきます。     〔堀之内委員長代理退席委員長着席〕きょうは貿易摩擦だけについてお伺いしますが、こういう債務国との関係で、より一層貿易の輸入を促進をしながら債務を少なくしていくという配慮が特に必要だと思うのでありますが、その点はどうお考えになっておりますか。
  78. 松井靖夫

    ○松井説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、債務累積問題は途上国が直面しております最も大きな問題の一つでございまして、これが中長期的解決のためには、債務国の輸出の増大というのが不可欠でございます。この輸出の増大を図っていくためには、無論先進国を初めとする世界各国の安定的な経済成長というものの確保と、同時に個々の国の輸出を伸ばしていかなければいけない。こういったことのためには、先進国はこれらの途上国の輸出増大になる措置、環境づくりというのを必要としておりますし、まさに我が国がこれから進めていきますニューラウンドというのも、こういうような貿易環境づくりに非常に資するというふうに考えております。各国の貿易摩擦についても、こういう観点も含めまして対処していきたいと思っております。
  79. 沢田広

    沢田委員 時間が極めて少なくなってきましたが、外務省にはさっき、国連の投票の結果についての推移というものを報告してくれというふうに実はお願いをしたわけです。日本も、これからは単に防衛だとかという力のものではなくて、ユネスコの二の舞になればアメリカも国連を脱退することになりかねない。そういう状況も将来出てくるだろう。だから考え方としては、武力ではなく、日本を支持してくれる国々をどうふやしていくかというところに外交の方向というものを置いていかなければならぬ、私はそういう主張を持っております。  言うならば日本が提案することは非武装、我々言っていることと憲法で言っていることは同じですから、日本の憲法で言っていることがどう国々に理解をされるか、そういうことが今後の外務省なりの大きな仕事だ、そしてその提案が受け入れられていくというところに今後の日本の外交なり経済援助なり、あるいは貿易摩擦解消の道が存在するんだと思っているのです。これは私の考えでありますけれども、まああなたは安倍さんじゃないから同じ答えは得られないだろうと思うけれども、これからその気になって頑張ってもらうことを前提として、あなたがどう考えているか。  それから特に政務次官、政務次官がこれからの大蔵省をしょって立つつもりで頑張っているわけであるから、余り聞いてなかったようだけれども、どう考えているか、お答えをいただいて、時間になりましたから私の質問を終わります。  最後に、ワインは、酒並みにまでは言わなくてもいいから、若干の犠牲があっても二〇%台には最低下げる、これはアルカリ性ですから酒類とはまた異なった効用もあるわけで、これは貿易摩擦も含めてやはり進めなければいかぬ、こういう考えで提案をしますから、ひとつお答えをいただいて私の質問を終わります。
  80. 松井靖夫

    ○松井説明員 先生指摘のように、我が国の外交の大きな柱は国連中心主義でございます。そういう国連中心主義の中で我が国が平和と安定、繁栄を目指すためには、やはり多くの国々の共感を得ていかなければいけないと思っております。これは国連のみならず、各種のフォーラムでも同じようなことだと存じます。  今まで外務省としても、そういう先生の御趣旨を体して国連について種々努力をしてきたと思いますが、今後とも、いろいろな難しい問題が多々ありますので、こういう環境の変化にも応じつつ、一層努力をしてまいりたいと思っております。
  81. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)政府委員 委員指摘のとおり、国連中心主義でいくためには多くの国の共感を得なければいけないわけでございますが、開発途上国対策にいたしましても、今回の関税の改正におきましてもいろいろな措置を講じているわけでございまして、今後とも、引き続き市場開放の努力を払うとともに、新しい多角的貿易交渉の早期開始に向けて積極的役割を果たしていきたいと考えているところでございます。
  82. 沢田広

    沢田委員 呼びまして、質問もしないでお帰しする方々が多かったのは私のせいではありませんで、時間の制限によって起きたものでありますので、おわびを申し上げながら終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  83. 越智伊平

    越智委員長 古川雅司君。
  84. 古川雅司

    ○古川委員 ただいま議題になっております二法案の中で、関税暫定措置法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして私は若干の質問を進めさせていただきます。  本法案が、昨年の対外経済対策において決定された東京ラウンド合意の繰り上げ措置、諸外国の関心の強い個別品目の関税率の改正、特恵関税制度の改正といったものを織り込んでおりまして、大蔵省の御説明では、もしこの法案が三月二十一日の期限に通らないとすれば、適用税率が大幅に引き下げられぬものやまた逆に引き上げられるものが多く生じて、国内産業の保護や国民生活の安定の面で重大な支障を生ずるというふうに言っておられます。私はその点も十分理解をいたしておりますが、なおかつ、我が国の対外的な信用を失墜し、そしてまた対外関係に重大な支障を生ずるということも述べておられるわけでございます。  では、この法案が期限内に成立した場合に、そうした対外的な信用が向上し、あるいは対外関係に大きなメリットを残すものになるのかどうか、その点についてまず大蔵省のお考えを伺っておきたいと思います。
  85. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 今回御提案申し上げております関税暫定措置法の改正案につきましては、ただいま委員からもお話がございましたように、昨年四月の対外経済対策の決定、また昨年十二月の経済対策の決定を主として具体化したものでございます。  昨年四月の経済対策は、一昨年末にアメリカから、シュルツ国務長官から多数の関税につきまして関税の引き下げ要求がございまして、それに対してこたえられるものはこたえるということを内容といたしたものでございます。その後、昨年四月に経済対策が発表されますと、今度はASEAN諸国から、どうも四月の対策は先進国向けであって我々ASEAN諸国の裨益するところが少ないのじゃないかというような御意見がございまして、この夏の終わりに総理から開発途上国向けにも対策を講じるようにという指示がございまして、十二月の対策と相なったものでございます。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕  そういう意味では、一昨年来の種々の対外的な要請にこたえているというものが内容でございますので、この法案を御可決いただければ対外的な評価もまた高まってまいるというふうに感じております。
  86. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、我が国の関税政策の姿というものを考えてみなければならないと思うのでありますが、今、国民の間でも我が国の関税政策に対する関心が非常に高まっております。  そこで、関税政策については大蔵省は、外務省とか通産省とか農林水産省とか、そうした各省庁との間でどういう立場あるいはまたどれだけの物が言える位置にあるのか、その点をひとつ御説明をしておいていただきたいと思います。
  87. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 個別の関税率の決定に当たりましては、その物資を所管する省庁の御意見を聞いて決定するのは当然でございますけれども、私どもといたしましては、関税定率法あるいは関税法を施行し、また立案をする責任のある官庁でございまして、対外的な要請あるいは国内的な諸要請、こういったものを関税率審議会にお諮りいたしまして毎年の関税改正法の中身を決定して、国会に御提出しているところでございます。
  88. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、我が国の関税政策が、国際的な市場開放要求との絡みで、あるいは最近日米両国の間などで主張されておりますアジア・太平洋経済圏構想、そういったものと関連する形でいろいろ議論が深まってきておるわけでございます。こういう点については、大蔵省としてはどういう見解をお持ちでございますか。
  89. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 最近の関税政策の基本的な考え方を御説明申し上げますと、ここ十年ぐらいの期間を通じて一貫した姿勢でございますが、第一は、我が国は一貫して低関税政策、つまり関税水準を引き下げる政策を進めてきております。これは申すまでもなく、世界貿易の拡大を通じて世界経済と我が国経済の発展を図ろうという我が国の政策的判断に基づくものでございまして、そのためには各国における保守主義の台頭を抑え自由貿易体制の維持強化を図ることが必要である、このような見地から、例えば東京ラウンドなども、これはケネディ・ラウンドの最終年度でございました一九七一年に我が国が提唱をしてエンジンがかかったというようなことでございます。その結果、現在、我が国の関税率は世界でも最も低い水準になっているということでございます。  第二点でございますが、これは全体的な関税率引き下げの過程で工業製品の関税率の引き下げに重点を置いてきております。一九七〇年ごろ、今から十五年ぐらい前までは、加工貿易型の産業政策がとられておりました結果、関税率も原材料に軽く、半製品にやや重く、完成品に最も高いという税率が張られていたわけでございますが、我が国の経済力の仲居に応じまして、水平分業を重視するということから、製品関税の引き下げに努力をするというような方向がとられております。いずれにいたしましても、この関税率の引き下げは多角的に行われるということが最も望ましいあり方でございますので、我が国としては、東京ラウンドが間もなく終わるわけでございますが、その後のニューラウンドの推進に向けて積極的な立場をとってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから、御質問のございました東南アジア自由貿易圏のような構想でございますが、アメリカの昨年の通商法でそういった芽が少し出ているわけでございますが、こういった考え方につきましては、ガットの多角的な貿易、自由な貿易という観点から考えますと好ましいものではないというふうに判断をいたしております。
  90. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、我が国の関税政策に取り組む姿勢と今後の問題という点をこれからまたずっと伺っていくわけでありますが、昭和四十七年十二月の関税率審議会の答申で、「輸入の促進と国際協調の確立に資するようその改善を図ること」、これを大前提として、以後努力が続いているわけでございますが、日本は非常にその点は消極的である、もっと積極的に取り組むべきだという内外の意見もありますし、また、この関税率の一層の引き下げに対して一方では大きなブレーキがかかっているわけでございまして、国内の関連業界の保護という理由に加えて、先ごろやったはかりなのにという意見とか、あるいは今御答弁の中に世界一の低関税国だというような指摘があって、果たして日本が政府がおっしゃるように世界一の低関税国なのか、実態は必ずしもそうではないという批判の中で、この点をどうとらえていくのか。  ちなみに、この東京ラウンドの関税引き下げ後のいわゆる昭和六十二年以降の税率がどのぐらいになるのか、そしてまた、こうした内外の声に対してどう対応していくのか、その点をひとつ御答弁いただきたいと思います。
  91. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 関税率の水準でございますが、一九八三年現在の関税の負担率、これは関税収入額を総輸入額で割ったものでございますが、日本は二・五%という数字でございます。     〔熊谷委員長代理退席中川(秀)委員長代理着席〕 これに対して、一年前の一九八二年の数字でございますけれども、アメリカが三・六、ECが二・七、それからカナダが四・三というような状況でございまして、最近のいろいろなアメリカの文献を見ましても、例えば昨年出ました日米諮問委員会の報告を見ましても、日本の平均関税率水準は低いというような指摘がございますし、またアメリカの大統領経済諮問委員会の報告にも同じような指摘がございます。ただ、日米諮問委員会の報告等では、一般的に関税率が低いけれども、まだそれでも特定の産品について高い関税率のものが残っているというような点が問題にされているわけでございます。  それから関税引き下げの要求でございますが、ひところと比べますと、かなり個別品目についての引き下げ要求というものは数が減ってきているという感じがいたします。むしろ関税そのものではなくて、基準あるいは認証でございますとか、あるいは通関の前の他省庁のいろいろな許認可、こういったものが少し国際的でないんじゃないか、煩雑であるんじゃないかというようなところに問題の焦点が移りつつあるように感じているところでございます。  東京ラウンド終了後の今後の関税政策の方向といたしましては、先ほども申し上げましたように、ニューラウンドの早期開始を積極的に提唱をいたしまして、多国間の、マルチラテラルな交渉を通じて全般的な関税率の引き下げにさらに努力をしていきたいと考えております。
  92. 古川雅司

    ○古川委員 関税率何%……。
  93. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 関税率全体の目標は、これは多国間の交渉によって決まるものでございますから、現在確たるその数字と申しますか、先の目標というようなものはまだ頭の中にございません。     〔中川(秀)委員長代理退席、熊谷委員長代理着席
  94. 古川雅司

    ○古川委員 昭和六十二年以降のその時点での税率については今明確にはお答えいただけないということでありましたが、これはちまたで大体三%ぐらいになるのではないかというようなことが言われております。その辺は、根拠はございますですか。
  95. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 先ほど申し上げましたが、一九八三年の姿で、平均関税率が二・五%ということでございます。したがいまして、新ラウンドにおきましてこの実行税率からどの程度引き下げるのを目途として各国で協力していこうじゃないかという話になるか、どの程度金額になるかちょっとわかりませんが、恐らくそういった率が決まりますと、おのずと新ラウンド終了後の平均関税率の水準というのも明らかになってくるんじゃないかと考えます。
  96. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、今の問題について続けてお伺いをするわけでありますが、日本市場の開放度が欧米に比べて遜色はない、そのように自信を持って我が国の政策担当者はおっしゃるわけでありますが、確かに今御答弁もいただきましたとおり、大蔵省のお調べでも、主要国の関税負担率の推移を見てまいりますと全くそのとおりであります。  しかし、これは非常に率直な疑問として、なのに、なぜ海外から日本はこうも非難をされ続けるのかということがまずあるわけでございまして、特に米国の主張は、最近の経済摩擦の中で、もうまるで諸悪の根源が日本の市場の閉鎖性にあるというふうに決めつけられているわけでございまして、その点について大蔵省当局としては一体、これは米国を例に挙げれば、米国の誤解なのかあるいは先入観なのか、そういう先入観とか誤解に基づいた認識であるというふうに受けとめていらっしゃるのか、あるいは日本の対応が非常に小刻みであって、それに対する不満だとお認めになるのか、その辺はいかがでございますか。
  97. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 大変に難しい問題でございますが、ことしに入りましてから、対米貿易摩擦解消の見地から、いわゆる四分野におきましてMOSS方式の対米交渉が行われているわけでございますが、このMOSS方式の各分野での交渉というのは、木材の関税率を除きますと、主として基準・認証制度に係る問題でございます。そういう意味で、基準・認証制度がまだ国際的でない、国際的な水準から比べて複雑であるとか、あるいは決定過程の透明性が欠けているというような批判があるということは事実であろうかと思います。  しかし、日本市場全体の開放性という点につきましては、これはやはりアメリカ側でも誤解という点もかなりあろうかと思いますので、外務省を通じまして、そういった実態を正しく知らせるというような努力も同時に必要ではないかというふうに考えております。
  98. 古川雅司

    ○古川委員 きょう私は外務省はお呼びしておりませんので、主に大蔵省としてのお考え方、御見解を中心にお伺いを進めていくわけでありますけれども、ただいま御質問申し上げた特に日米経済の摩擦の激化については、これは非常に古くて新しい問題でもありますけれども、特に最近アメリカでは、保護主義の妖怪とも言われる輸入課徴金の問題がまた表面化をしてまいりました。例えば最近のシュルツ国務長官の発言あるいはマンスフィールド駐日米大使の発言といったことが報道をされているわけでございまして、大蔵省としてもその点は既に十分にお聞き取りになっていると思うわけでございますが、この辺は一体、真のねらいは何だというふうにお考えになっているのでしょう。大蔵省内でそうしたことについて一つのお考えをまとめていらっしゃれば、その点を伺っておきたいと思います。
  99. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 輸入課徴金のアメリカでの動きにつきましては、時々刻々変化しつつあるというのが現状であろうかと思います。  これまでの動きといたしましては、ただいま委員が御指摘になりましたように、昨年秋にアメリカの電機メーカーでございますモトローラ社がデータ・リソーセズという調査機関に輸入課徴金の影響調査を依頼いたしまして、モトローラ社はその調査結果を添えて政府に輸入課徴金の導入を提唱したというようなことも伝えられております。また、昨年の暮れには、ただいまお話がございましたように、ダンフォース上院議員が米議会の予算局に輸入課徴金の影響調査を依頼した。最近その中間報告というのが新聞に載っておりました。また、本年二月には下院のシュルツ議員が輸入課徴金法案提出したというような動きがございます。  これに対して、米国の行政府の受けとめ方は現在までのところ比較的冷静でございまして、例えばブロックUSTR代表が議会で証言をいたしておりますが、輸入課徴金は貿易を阻害し外国の報復を招くからやめた方がいいというような証言をされておりますし、またボルカーFRB議長も、輸入課徴金をかけると国内物価水準の上昇を招いてインフレ期待に火をつける、あるいは輸入の減少を通じてドルの再上昇の圧力になるとか、あるいは、財政赤字の消滅といってもその効果は一時的ではないか、結局のところ世界貿易の縮小を招いて、他国の報復措置を誘発する危険が極めて大であるという否定的な見解をとっております。  しかしながら、最近の新聞情報等によりますと、アメリカ議会の中での対日貿易赤字に対するいらいらというのが大変大きなものになっていて、輸入課徴金の導入につきましては現在警戒を要すべき段階にあると私どもは考えております。そういった意味におきましても、我が国としても一層の市場開放の努力を通じまして、米国議会内の保守主義の台頭をできるだけ鎮静化していくという努力を払うことが必要であるというふうに感じております。
  100. 古川雅司

    ○古川委員 この輸入課徴金につきましては、こうしたアメリカの中で議論をしている人たちの言い方を聞きますと、いわゆる財政赤字の解消、そしてまた貿易収支の改善といった一石二鳥をねらっているということが盛んに言われておりまして、我が国でこうした非常な警戒心が高まっている、大蔵省も同じく警戒をしているという御答弁でございますが、先のことでわかりませんし、相手のあることでありますけれども、これは十分導入される危険があるというふうな認識まで持っていらっしゃるのか、あるいは恐らく輸入課徴金というようなものを導入することは無理だろうという多少の楽観論もお持ちなのか、その辺はいかがですか。
  101. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 先ほども申し上げましたように、日々事態が変わりつつある状況でございますので、現段階で見通しを申し上げるのは大変困難でございますが、あえて申し上げると、警戒すべき段階にあるというふうに考えております。
  102. 古川雅司

    ○古川委員 通産省に来ていただいています。これと多少関連をすることで一つ気になることがございましたので、お伺いをしていきたいと思います。  いわゆる鉄綱などの輸出自主規制を評価をしております稲山経団連会長を、ダンケル・ガット事務局長が三月十五日のシンポジウムの講演で批判をいたしております。この点についてダンケル事務局長は、病気より危険な薬だという言い方をしているわけでございますが、この辺の事情について、通産省としてはどう受けとめていらっしゃるか。  あわせて、非鉄金属の国際市況が依然として低迷をいたしております。非常に長期化をしているわけでございますが、我が国における関連業界にも非常に暗い影を投げかけているわけでございまして、この辺の今後の取り扱いも非常に重大な問題になってくるわけでございますが、通産省としてのこの点の取り組み、対応についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  103. 雨貝二郎

    雨貝説明員 ただいまの先生の御指摘の点、私どもも日ごろから大変な問題であるというふうに感じているところでございます。特にいわば輸出の自主規制といった問題でございますが、私自身はダンケルと経団連会長との会談内容、詳細を承知しているわけではございませんが、基本的な考え方を御説明させていただきますと、御案内のとおり、自由貿易主義というのはやはり日本経済発展の基盤でもございますし、そうした観点からいたしまして、貿易立国の我が国としましては、輸出の自主規制を初めとしていわゆるガットで言われております灰色措置といったものの対策が広く広がりますことは、実質的に貿易制限を広げることでもございますし、自由貿易体制を損なうおそれもあるというふうに考えております。それからまた、無差別に行われることではなく、差別的な措置でもございますので、ガットの大原則でございます無差別体制の形骸化をもたらす、こういう懸念もある問題だと基本的に考えております。  ただ、考えなければいけませんことは、政府の経済運営の基本的態度でも明らかにされているところでございますが、我が国としては調和ある対外経済関係の構築に努める必要がある状況に今ございますが、そうした状況から考えますと、例えば輸入国が極めて困難な経済情勢に直面し、また、日本が自主規制を行わないといった場合には当該輸入国において厳しい輸入制限といったものが行われそうだというような場合においては、短期の視点というよりも長期あるいは中期の視点から、自由貿易主義をむしろ健全化させるための一時的な措置として大局的な観点から我が国としてはやむを得ず自主規制等を実施せざるを得ない場合もあるというふうに考えております。  したがいまして、短期あるいは当面の政策課題としては、やはり秩序ある輸出というのは大秦なポイントであろうかと思います。それからまた中長期の課題といたしましては、今大事なことは、灰色措置というのがガット上どうかというのを単に批判するだけではなく、今新ラウンドといったことが大いに国際的にも議論されておりますが、そうした大きな枠組みの中でセーフガードシステムの改善といったことに積極的に取り組んで、経済の実態に即した新たなルールづくりというのに日本が積極的に取り組むことが大事だと思います。  また第二点の、現在の素材産業あるいは非鉄金属といった市況の問題でございますが、いわば軽薄短小の時代と申しますか、原単位も低下しているという中で需要が堅調に伸びておらない状況にございます。またNICSといった新興の工業国からの輸入も増大しておりまして、そうした中でどういうふうに国内産業を考え、あるいはまた貿易面では例えば特恵制度をどういうふうに位置づけていって、シーリングを拡大するのにどういう程度で改善を図っていったらいいか、こういう問題に我々は年度改正に当たっては常に直面するわけでございますが、そうしたときには、先生から今お話がございましたように、各個別業界の体力あるいは新興途上国の国際競争力の程度あるいは日本への輸入の動向といったものを総合的に勘案して、できるだけ関係御当局の方々ともよく協議いたしまして、私どもとしては個別産業の実態を踏まえた関税面での施策あるいは国内面の施策を展開してまいりたいと考えているところでございます。
  104. 古川雅司

    ○古川委員 今通産省からいろいろ御説明いただいたわけでございます。この点については、大蔵省としては特に問題点として今後こういうふうに対応をしていこうというお考えをお持ちでしたら、御答弁をいただきたいと思います。
  105. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 ただいまの通産省の説明と全く同じ考え方でございます。
  106. 古川雅司

    ○古川委員 さて、関税政策について引き続いて伺っていくわけでございますが、いわゆる変動為替相場制のもとでは関税制度の効果は絶対不変のものではないという議論があるわけでございます。この点、今日の為替相場の中で、今回の法改正も含めてその辺をどうお考えになっていらっしゃるか。関税率を変更しても為替レートの変動で埋められて意味がないじゃないかということがしばしば言われてきたわけでございます。  時間がございませんので全部ひっくるめてお伺いするわけでございますけれども、その辺をどうとらえていらっしゃるかということと、特に、為替相場の変動による内外価格差の変化を通じて、関税の産業保護効果という面でも非常に影響を受けるということも指摘されておりますので、その辺にどう対応していくのか。現状をどうとらえていくかという問題と、その対応をあわせて御答弁いただきたいと思います。
  107. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 大変に難しい問題でございますが、今の一つの問題は、変動為替相場が本来の機能を発揮してないところに一つの問題があろうかと思います。本来、変動為替相場のもとでは、貿易収支赤字になれば、例えばアメリカでございますが、ドル安になって均衡に持っていくようなメカニズムを予想していたわけでございますが、それがうまく働かないところに一つの問題があろうかと思います。  そこで、変動相場と為替レートの関連でございますが、実際の関税率の決定という点で私どものこれまでの例を見ますと、為替レートの変化は頭に余り置いてない、むしろ中期的に見ました国内産業の競争力でございますとかあるいは輸出入の状況等を勘案して関税率が決定をされているというふうに考えます。また、ガットにおける交渉等におきましても、為替レートが頭にあるというようなことではなくて、それを度外視してというのはちょっと言葉が適切ではございませんが、一応捨象いたしまして、競争力なり輸出入の状況に応じて個別に関税率が決定をされているというのが状況でございます。  なぜそうなのかという点でございますけれども、恐らくこれは変動為替相場、為替は日々変動するといたしましても、ある期間をとってみるとおのずと、これが具体的に幾らになるかということはわかりませんが、ある一定の均衡水準に戻ってくるのではないかというようなことを想定して、今申し上げましたような方法で関税率の決定が行われてきているというのが現状であろうかと思います。  確かに、御指摘のように国内の物価と例えばアメリカの物価、外国の物価の相対関係が全く変わりなくて、そこで現在のような円安・ドル高という現象が起こりますと、アメリカの物は日本円に直しますと価格が上がるわけでございますし、また現在の関税率は従価税をとっているわけでございますから高いものに一定の率がかかるということで関税の絶対額もふえるわけでございまして、輸入阻害的な効果を持つことは当然であろうかと思います。ただ、これが果たして長期的に続くかどうかという点が問題でございまして、実際の関税率の決定に当たりましては、いずれはある均衡水準にこの為替レートも回復をするんじゃないか、収れんをするんじゃないかというようなことで関税率の決定が行われると解釈をいたしております。
  108. 古川雅司

    ○古川委員 関税率水準の低下が特に円高の時期において保護効果との関連で問題になるわけでございますが、これについては今の御答弁に尽きているとは思いますけれども、国内産業の状況に応じて、あるいは国際的に合意されたルールに従いながらいろいろな特殊関税制度の効果的な適用といいますか、そういうことも行っていけるわけでありますけれども、その辺の技術についてはいかがでございますか。
  109. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 一般的に、例えば円高が定着をした、その場合に国内産業保護のために関税率の水準をどういうふうに改めるべきかということにつきましては、いまだかつてガットの場等におきましても議論をされたことはございませんので、恐らく今後の検討課題になろうかと思います。  ただ、そういった現象が生じまして国内産業に重大な損害をこうむるような事態が発生した場合には、関税定率法の中に緊急関税制度というのがございまして、一時的に関税を増額して国内産業を保護するという制度がございますので、非常に極端な事態が発生した場合にはそういった緊急関税制度の発動というようなことも考えられようかと思います。  なお、今までこの緊急関税制度を発動した例はございません。
  110. 古川雅司

    ○古川委員 では、大臣がおいでになる前に、具体的な事例で二、三お伺いをしていきたいと思うのでございますが、今市場開放問題の焦点になっております合板の関税引き下げに関連をいたしまして、まず、三月十九日に農林水産大臣の発言がございます。  これは既に大蔵省の耳にも入っていると思いますが、焦点は林業の救済策、さらに農水大臣は、森林資源の保護に対する手当て、そういったことに言及をしているわけでございます。この点はまだ調整段階であるという御答弁は予測がつくわけでございますけれども、農水大臣の方は具体的に、この合板問題の焦点は救済策の規模と内容だというところまで触れているわけでございます。もとより百億円単位じゃ納得はできない、そういう意見が非常に強くて、農水省案の総額では約一千億円を超える見通したということが言われているわけでありまして、しかも財源について農林水産大臣は口約束ではなく担保が欲しいというところまで報道されているわけでございます。農水省おいでになっています。大臣ではないと思いますので大変その辺は言いにくいと思いますけれども、農水省全体としてはそういう姿勢でございますか。
  111. 脇元裕嗣

    ○脇元説明員 木材製品の関税引き下げについてでありますが、我が国の林産業界は、御承知のように木造住宅建築の停滞であるとか、あるいは木材需要の低迷、あるいは木材製品価格の低迷等から、長期にわたる深刻な不況下にございます。いまだ不況回復の兆しが見られておりませんで、倒産件数も引き続きかなりの数に上っております。  このような林産業界の不振が、林業経営費の増高と相まちまして我が国の林業に深刻な影響を与えて、森林の持つ国土の保全あるいは水資源の酒差等の公益的機能にも極めて悪い影響を及ぼすおそれがございます。したがいまして、木材製品の関税引き下げにつきましては、私どもは極めて困難であると考えておりまして、慎重に対処していく所存でございます。
  112. 古川雅司

    ○古川委員 まだ大臣お見えになっていないので、できれば副大臣の方からお答えいただくことになると思います。  そのことは八日の閣議で総理が、摩擦解消に当たってはある程度の出費を覚悟で国内産業対策をやることが必要であり、資金大蔵省に出させると述べていると言われているのですね。また、十九日の閣議後の会見で河本対外経済問題担当大臣も、予備費や財政投融資、民間資金などいろいろあると前向きの検討を表明をしているわけでありますが、ただいま農水省にお伺いをしました木材、合板の問題につきましても、こうした総理や対外経済担当相の発言とは裏腹に大蔵省には非常に強い反発があるということが言われております。その辺は非常にばらばらで、各部署で勝手に発言をしたりアドバルーンを打ち上げているという感じを受けるわけでございますけれども、いかがでございますか。
  113. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)政府委員 今の合板の問題につきましては、農林水産省から具体的な話がないわけでございますので何ともまだ申し上げられないわけでございますが、いわゆる市場開放問題につきまして関係省庁において米国との間で鋭意交渉が進められておるわけでございまして、そうした各省の交渉の推移を我々は見守っていかなければならないと考えているわけでございます。市場開放によりまして国内産業が果たしてどの程度の影響を受けるか、他産業に対する措置とのバランスの点でどうかというようなことも考えていかなければなりませんし、とりわけ極めて厳しい財政状況の下で、財政改革を強力に推進しているという状況を踏まえた場合には問題はないか等について、当然のことながら慎重かつ十分な検討が必要ではないかと思うわけでございます。
  114. 古川雅司

    ○古川委員 今の御答弁はどこまでお詰めになった上での御答弁かわかりませんけれども、木材に関してだけでも既に、三年にわたって引き下げていくというところまできょう報じられているわけでございます。これは一体報道の方が先走りをしてしまっているのか、政府のどこかで、大蔵省の知らないところでそういったことが次々に打ち上げられていっているのか。さっき私が申し上げました総理の発言、あるいは河本対外経済問題担当相の発言、こういったことは大蔵省とは全く無関係に発言が行われてきているのでありましょうか。  木材についても佐藤農林水産大臣の発言はかなり具体的で踏み込んだ発言でございまして、問題は、大蔵省がどう対応していくか、財政的にどう対応するか。しかもさっき申し上げたとおり、農水省では百億単位では納得しないと言っている。千億程度になるだろう、あるいは口約束では満足しません、ちゃんとした担保が必要です、そこまで言われているのに、大蔵省としては正式に聞いていないとか、あるいはまた考えていないとか詰めていないというのはおかしいのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  115. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)政府委員 委員の御指摘ではございますが、農水省から具体的な話があったわけではないということは事実でございまして、先ほども申し上げましたように、各省庁と相談をしていかなければいけないと思いますが、どうしても考えなければいけないことは、財政事情の極めて厳しい中で財政改革を強力に進めているという立場でこれに対応していかなければならないわけでございますから、極めて慎重な検討が必要であると考えるわけでございます。
  116. 坂口力

    ○坂口委員 ちょっと関連して……。  今古川議員が質問いたしました件は非常に重要な点でございまして、農林省からは全然聞いていないというお話でございますが、しかし、例え正式に話があるなしにかかわらず大蔵省も十分御存じのことでありまして、先ほど林野庁からお話がございましたように、木材関係が非常に厳しい環境下にあることは御承知のとおりでございます。もし仮に新聞に載っておりますように、三年間という段階的な期限つきとはいいますものの、引き下げが行われるということになりましたならば、その与える影響は非常に大きいと思わなければならないと思います。  もしそういうふうになるといたしましたら、それにかわるべき何かの手を——もしそうなりましても日本の林業がそれによって大きな打撃を受けない何らかの方策というものがそこに必要になってくると思うわけでありますが、その辺について、これは大蔵省の管轄をかなり超える話にもなるわけでございますけれども、大蔵省としても、何らかそこにやはり大蔵省としての手を差し伸べる必要が出てくるのではないかと思うわけであります。その辺についての議論が進んでいるのかいないのか、そしてもし進んでいるとしたら、それはどんなことなのかということをここでひとつ明確にしていただきたいと思います。
  117. 中村正三郎

    ○中村(正三郎)政府委員 大臣がお見えになりましたので大臣からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、具体的な話がないことは、再三申し上げておりますが、事実でございます。  また、我が国の木材製品業界は中小企業が多く、第二次石油ショック以降住宅の停滞だとか設備過剰等によって恒常的な不況に陥っていることは、先ほどからいろいろお話が出ているとおりでございます。このような木材産業について、過剰設備の廃棄を進めてきたほか、いろいろな合理化対策、不況対策を講じてまいったわけでございますが、こうした厳しい国内産業事情にもかかわらず米国の要請に応じて五十九年度には再生木材の関税引き下げを実施したわけでございまして、大蔵省の立場といたしましてはこれ以上の引き下げが困難な状況にあるとは考えているわけでございます。  大蔵省としては、木材製品関税の取り扱いについてこうした事情を踏まえつつ今後とも物資所管省である農林省とよく協議してまいりたいと考えているわけでございます。  あとは、大臣が参りましたので……。
  118. 古川雅司

    ○古川委員 私が最初に、関税政策に取り組む中にあって、他の省庁の中で大蔵省がどういう立場にあり、そしてまたどれだけ物が言える位置にあるのかという質問を申し上げました。それをお聞きしたのは、今伺っているようなことで非常にちぐはぐな点が出てくるからということで伺ったわけでありまして、先ほど来木材の問題で伺っておりますけれども、農水省から具体的に話がないからということでお逃げになるのでは、これは関税政策に取り組む大蔵省としては非常に納得できないんじゃないか。既にマスコミを通して報道されている事実でありますし、農水大臣がそんなことを言ったことはないと否定するようなことであっても、むしろ大蔵省の方から積極的にこの点はどうなっているのだという接触をとるべきではないか、私はそのように感ずるわけでございます。  時間がございません。大臣が今お着きになったわけでございますが、これと関連することで、タイから非常に要求の強い骨なし鶏肉の関税引き下げの問題につきましても、その影響と国内における被害等がいろいろ議論をされているわけでございます。これはタイの国内事情、これがいわゆる企業における輸出制限条項の隠ぺいを策しているんじゃないかというような批判があるわけでございますが、これは農水省や通産省の御見解を伺っている時間がございませんので、大蔵省としてはこの辺はどのように情報を受けとめて、そしてまたこれにどう対応していらっしゃるのか。  あるいはまた、この鶏肉の輸入につきましては、米国との差の拡大、一方では幾ら譲歩しても、他方ではまた批判が高まってくる、そういう一面があるわけでございます。それにどう取り組んでいかれる御所存であるか、その点を伺っておきたい。
  119. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 この骨なし鶏肉の問題でございますけれども、御承知のように、アメリカが主要輸出国であります骨つきもも肉につきましては東京ラウンドの譲許品目となっておりまして、年々関税率が下がりまして、今回御提案をいたしております関税暫定措置法では一一・三%の税率になる予定でございます。これに対して、タイの関心品目でございます骨なし鶏肉につきましては東京ラウンドの非譲許品目でございまして、五十九年四月に二〇%から個別品目の引き下げということで一八%に関税率を下げたわけでございますが、ただいま委員から御指摘ございましたように、タイ側は関税率でアメリカとの間に格差があるということを問題にいたしているわけでございます。  そもそもこの格差は、日本の国産品との競合の度が違うということでございまして、骨つきもも肉につきましては競合の度合いが少ない、しかし骨なし鶏肉につきましては、日本の国産品が主に正肉の生産でございますので、競合の度合いが大きいということで設けられたものでございます。  一方、国内の鶏肉生産は生産過剰が続いておりまして、価格は長期にわたって低迷しているという状況でございます。また、最近ではタイからの輸入も順調にふえているというようなことがございまして、骨なし鶏肉についての関税引き下げが極めて困難な状況にあるわけでございますが、私どもといたしましては、こういった問題のある個別の物資につきましては、その所管省庁であります農林水産省と十分に協議いたしまして対応してまいりたいというふうに考えております。  また、タイ側におけるこの輸出規制と申しますか、あるいは輸入促進と申しますか、御指摘の点につきましては、私どもとしては目下のところ何も情報を得ていないということをお答えさせていただきます。     〔熊谷委員長代理退席委員長着席〕
  120. 古川雅司

    ○古川委員 大臣がお見えになりました。先ほど来木材の問題、ただいま鶏肉の問題を例にとりましてお伺いを進めているわけでございますが、私、先ほどから非常に気になりますのは、これだけ問題が一般的になっているにもかかわらず、大蔵省御当局としては聞いていない、まだ何も情報を確認していないという意味の御答弁が続いているわけでございまして、その点はいかがかと思うのでございますが、そういうものでございましょうか。
  121. 竹下登

    ○竹下国務大臣 関税の措置によっていわゆる経済摩擦問題等に対応いたします場合、結論から言うと、それは間々国内対策も伴うものになるわけでありますが、それらについては所管省で十分検討され、それが並行し我が方との協議に入っていくというのが行政の筋だと思っております。  ただ、ちょっと話が長くなりますのは、きょう新聞にも出ておりましたので、実は昨日、政府・与党首脳会議がありました際に、金丸幹事長から、たまたま私も島根県森林組合連合会長をやっておったこともございますし、金丸幹事長は現在まだ山梨県の森林組合連合会長であります。そういうことから私に対して何らかの見解を述べる、こういうことがありましたので、したがって私の経験から、大蔵大臣というよりもそういう学識経験、余り学がございませんけれども学識経験者として述べよというので、こういう場合には大体二つの対応策があるものだ、一つは、これも自分でつくった言葉だが、川上対策、一つは川下対策である。川上対策というのは、いわば林業あるいは植林とか森林そのものの問題である。  ちょうど五十二年に私が建設大臣をしておりましたときに、日本は大体ほかの先進国と比べまして面積当たり倍雨が降る。そして真ん中に山脈があって、川は急流である。したがって、五千万人までの人口であった場合には汚物を、ふん尿を含め太平洋と日本海へ巧みに流す。したがって下水道は現実問題おくれた。ところが、フランスは緩やかな流れたから、したがってジャン・バルジャンは百年前に既に下水道の中へ逃げておる。こんな話と同じ論理で、川が急流であるから倍の雨が降れば一遍に洪水になってしまう、こういうことを申し上げたわけであります。  そこで、そのためには川上対策というものが、いわば森林というのは国土保全という関係に立脚せざるを得ないように、木炭の需要が恐らく一万分の一ぐらいになっているでございましょう。あるいは薪炭の需要もプロパンガス等に押されているわけでございましょう。したがって、そういう川上対策としては発想の転換が必要であり、川下対策の場合は、五十四年にこれは一遍合板のスクラップをやったことがございます。それはちょっと何億か忘れておりましたが、十数億だったような気がしております。そういう川上対策と川下対策と二つあるというような意味のことを私が申し上げましたことは事実でございます。  したがって、いわば大蔵省としてかく考えるということでなく申し上げましたが、私ども部内ではいろいろな場合を想定した勉強は当然しておらなければならぬ課題でありますが、この問題の処置はあくまでも所管省を中心にそれの考え方が固まって協議に応ずる、こういうことになる性格のものではなかろうかと思っております。
  122. 古川雅司

    ○古川委員 大臣の御到着が予定より大分遅くなりましたので、たくさんお伺いする予定でおりましたが、時間がなくなってしまいました。また、お伺いしたことに対しては非常に懇切丁寧に御答弁をいただいておりまして、端的な御答弁がいただけないわけでございます。私がかなりお答えにくいことをお伺いしているんじゃないかなということも考えたわけでございます。  以下、時間の許す限りそれぞれ違った問題を、大臣をお待ちしておりましたので四点続けざまに伺いまして、御答弁をいただいて質問を終わろうと思います。  合板の関税の引き下げ、木材の問題については、先ほどからずっと伺っているのでございますが、どうも私は合点がいきません。  これは長くなっちゃいますから、この点に関して最後に伺いたいのは、林業に対する税制面、あるいは内地材を利用するための助成などということでもって考慮をなさっていくお考えがあるかどうか、これが一つ。  それから、先ほど来日米の通商摩擦問題について伺っていたわけでございまして、これは年中行事でありますけれどもことしは特に例年になく厳しいわけでありまして、米議会を中心にして輸入課徴金だの報復的措置の立法だのと、保護貿易ムードが高まるばかりであります。先ほど私はアメリカの方の立場ということでお伺いを進めてきたわけでございますが、これは大臣にお伺いしておきたいのでありますけれども、その最大の原因の一つ日本側にもあるのじゃないか。  それはどういうことかと申しますと、一月の日米首脳会談の中曽根総理の発言であります。全体を通して見てまいりますと、非常に格好よさが目立っておりますし、必要以上の物わかりのよさ、これがかえってアメリカを刺激して、こうした非常に厳しい日本に対する対応になってきているのではないか。日米貿易の不均衡で、内需主導の推進と、それからより一層の市場開放を決意表明した総理の姿勢、みずから一つ一つチェックするとまで言っているわけですね。米側は、この発言を日米の約束と思っているわけであります。そうしたことが最大の原因ではないかというように考えるのでございますが、関税政策における最高の責任者である大蔵大臣は、この総理の姿勢をどうお考えになるか、これが二番目であります。  それから三番目に、新ラウンドの問題、先ほど局長からずっと御答弁がございました。ただ、これはいわゆる先進国と開発途上国との間でいろいろ問題があったことはもう御承知のとおりでございまして、これはいわゆる国連方式のパターンにだんだん移りつつあって、南北対決の色彩が非常に濃くなってきております。そういう点で、我が国が果たす役割をどう考えていらっしゃるか、これが三番目。  最後に四番目でございますが、今度のこの法案を審議するに当たりまして、やはり思い至るのは、税関業務に携わっている職員の方々のことであります。  先日も本委員会で、委員長中心にいたしまして東京税関、横浜税関を視察さしていただきました。税関業務の一端を目の当たりに見せていただいたわけでございますが、近年の国際的な社会経済交流の緊密化あるいは輸送手段の高速化、大型化、そういったことで税関業務が非常に煩雑になり、また多岐にわたってきております。特に、麻薬、覚せい剤であるとか、あるいは暴力団につながるけん銃の密輸等、こういったものにも非常に危険を冒して取り組んでおられるわけでございますが、これはいつも問題になっておりますけれども、ベテラン職員の在職率の高さと、それから一人一人の職員の資質の高さ、そういったものに支えられてきた。非常に旺盛な責任感と使命感によって仕事をしてきたわけでありますが、現場で働く皆さんからも、これももはや限界である。そういう意味では、いかに法の改正を行って対外的にあるいは国内的に対策をしても、税の確保あるいは関の機能という点においてはむしろ大きなそごを来していくのではないか。この点には、大蔵省みずからもっと厳しい態度でこの充実拡大に取り組んでいくべきではないかということを痛感するわけでございますが、以上四点をお伺いして、私の質問を終わらしていただきます。
  123. 竹下登

    ○竹下国務大臣 大変遅く参りまして、参議院大蔵委員会におったものでございますから、おわび申し上げます。  まず第一の問題については、合板の問題、いわゆる木材関係の問題でございます。  林業税制というのは、相続税のときもたしか、五分五乗方式というような制度はございますが、別に議論としてなされる議論の中には、農地の細分化というものが好ましくないので、それと同じように、林地の細分化に対して税制を直すべきじゃないか、こういう議論等がございますが、この問題は、川上対策として必ずしも今適切であるかどうか、これは勉強をさせていただきたいというふうに思います。  それから、いわゆる工法の点からいいますと、在来工法、内地材を使った建築に対して何らかインセンティブを与えるような施策はないかというので、今まで私の頭の中に残っておりますのは、住宅金融公庫の融資のときのいわゆる割り増し融資等が幾ばくかの制度上に存在をしております。ただ、たしか、これも数字間違っている危険性ございますけれども、ここのところ数年間で、いわゆる学校建築を木材地なんかは木材でやった方がいいというのをかなり奨励しましたら、結局ほんの五校とか六校とかという話でございました。しかも一つ一つ調べてみたら、みんな分教場でございました。私が生まれたようなところの分教場みたいなものばかりでございましたので、いわゆる耐火建築という面からはどうしても木材の建築の需要が減っておるということは見逃し得ないデータが確かにございました。したがいまして、そういういわば内地材を利用して、それにメリットを与えるような制度というのはどういうふうなことが考えられるか。いわば指導行政の中でかなりのことを行っておりますが、この間も私、法要がございまして田舎へ帰ってみたら、僕のところでも鉄骨の公営住宅が建っておりまして、木材を使えばいいのになと思いましたが、やっぱり鉄骨の方がいいようなことを言っておりましたので、ああ灯台もと暗しだな、こんな感じを受けた一人でございます。  そういういわば川上対策だけでなく、川下対策とでも申しましょう、そういう問題については、いろいろな議論をこれからもしていかれる課題があるであろう。基本的には林野庁の問題であると思いますが、我々もそれに対応していかなければならぬ数々の問題があろうと思っております。  それから二番目は、日米関係の問題でございます。  御案内のように、アメリカの下院は二年に一遍選挙がございますので、確かに選挙前きつうございます。が、来年はまたちょうど上院の選挙がございます。そういうことを新聞等には書かれております。私がそういう批判をしたわけじゃございません、書かれておりますが、とにかく一つは、やっぱりドルの独歩高からきますところのいわば経常収支の赤字問題、私どもが円ドル委員会では、日本の方が資本が結果として流出しておって、アメリカの資本不足というものを補っておるのじゃないか、こういうことでマネタリストだけの話はそれで済むわけでございますけれども、それぞれの選挙区を抱えた議会の皆さん方から言えば、日本はアンフェアで、したがってあれだけのものをため込んでおる、こういうような感情もあろうかと思っております。これはそれこそ超党派の議員交流なんかによってそういう対応をしていかなければならぬ問題でございますが、中曽根総理の一月の日米首脳会談のときは、あの数日後に私もアメリカへ参っておりましたけれども、言ってみれば、日米両国が世界経済のインフレなき持続的成長と開放的かつ多角的な国際貿易体制の維持発展のために、責任を共有しようということを確認をされた。それについては個々の、MOSSでございますが、そのときのお話を聞きますと、要するに日米円ドル委員会というのが私とリーガン財務長官、それから大場財務官とスプリンケル次官、そういう大臣折衝と次官折衝でとなったから、あの方式でというようなことが向こう側から提案されてMOSSという新しい言葉ができた。いわば相互の協議体制になっておるわけでございますので、総理がアメリカに対しまして過大な期待感を持たせられたというふうには私は思っていないところでございます。  したがって、ちょうどきょう、いわゆる一つの問題は、御案内のように、郵政省さんの方がアメリカへ行って、あれは四月一日から電電が民営化——法案を通していただきましたので民営化になりますので、それに合わすタイムラグがございまので今行っております。  それから、その後は恐らくOECDの閣僚会議が十一日ぐらいからたしかございますから、したがって、それまでにあとの三つの問題について何らか、中長期にわたることになったといたしましても、いわばM9という九人の大臣の会がございまして、私もその一人でございますが、それで詰めていかなきゃならぬなというような方向でございます。  対米関係はそうでございますが、合板問題というのは、アメリカの合板はあれは針葉樹合板でございますので、節があったりしますし、そして金額は大きな金額ではございません。むしろシンボリックな商品として出ておって、金額そのものよりも、恐らく業界自体ではインドネシアからの製品輸入の方がむしろ問題であろう。そうなりますと、当然今度はタイの方は今古川さんおっしゃった問題が起きるでございましょうし、マレーシアの方はパーム油の問題、あるいはフィリピンの方はバナナの問題とか、そういういろいろな問題がございますので、それはすぐ間に合う問題では必ずしもございません。したがって、今の個々の協議でそれなりの誠意が示されていくではなかろうかというふうに私は第二番目の問題は思っております。  それから、新ラウンドの問題は、昨年のロンドン・サミットのときに日本側から積極的に主張いたしまして、米側もこれに賛成、ヨーロッパ側はどっちかといえば原則は賛成だがその前にもっとやることがありはしないか、こういうような感じでございました。今後、六月までに予定しております一連の国際会議がございます。まずはOECDの閣僚会議がございます。それからボン・サミットが五月にございます。それで、六月に予定されますいわゆるガットの高級事務レベル会合の七月開催に向けてこれからもコンセンサスづくりに努力していかなきゃならぬ。  しかし、おっしゃいますとおり、途上国の説得がキーでございます。ヨーロッパ側は、言ってみますならばかつての宗主国でございますから、英領がありましたり仏領がありましたり、かつての宗主国であったがゆえに、開発途上国に対する考え方が依然として我が方のような進みぐあいまでにあるいはまだいっていないかなという感じが私はいたしております。  それから四番目の問題は、これは御激励を賜りまして本当にありがたいことでございます。大蔵省と申しますと、財政改革といいますとすぐ隗より始めよ、こういうことになります。そういう二面的な顔を私は持っておりますが、しかし国会での御支援というのが支えになって、少なくとも資質の向上あるいは機械化等々におきまして対応する支えになっております。これは大変ありがたいことだ、そして我が方の税関職員の皆さんは本当に一生懸命でお仕事をなすっておるという認識の上に立って、私も御声援にこたえなきゃならぬというふうにいつも考えておるところであります。  非常に粗っぽいお答えになりましたが、四点についてのお答えを終わります。
  124. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  125. 越智伊平

    越智委員長 安倍基雄君。
  126. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私、この関税の論議でいろいろ今まで論議されておりますけれども、さっき古川委員がちょっと触れられましたが、一つ大きな点が欠落しているのじゃないかということを感じております。  何かと申しますと、例えば東京ラウンド、それが審議されたときと現在と比べて、円とドルの相場に大分変化ができてきている。簡単に申しまするならば、当時から比べて円が大分安くなっている。となりますと、外国から輸入する商品が高くなるわけでございますから、自然的に輸入が抑制されるということでございます。  一つ最初の出発点としてお聞きしたいのですが、東京ラウンドが論議された五十四年の四月ごろあるいは五十五年の四月ごろ、現在と比べて円ドル相場はどう変わっているのかということ。これを簡単に申しますると、その間にドルが上がっているということは、実質的にどのくらいの関税が課せられたと見ていいのかという点についてお聞きしたいと思います。
  127. 行天豊雄

    行天政府委員 東京ラウンドが発足いたしました昭和五十五年四月三十日の東京の外国為替相場は、円ドル相場終わり値が一ドル二百三十八円三十銭でございまして、これを本日、三月二十六日でございますが、の終わり値、二百五十六円九十七銭でございましたが、と比較いたしますと、この間に円がドルに対しまして七・三%切り下がったということになるわけでございます。
  128. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 あるいは質問がはっきりそちらへいっていなかったかもしれませんけれども、五十四年四月はもう少し円が高かったと思います。二百十九円ぐらいだと思いますが、そうなると、関税率としては大体どのくらいのあれでございましょうか。
  129. 行天豊雄

    行天政府委員 お答えいたします。  五十四年、先ほどお答えいたしました一年前でございますが、の四月末におきます円の相場は一ドルが二百十九円十五銭でございました。その時点からの円の切り下がり率は、ドルに対しまして一四・七%ということに相なるわけでございます。
  130. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 簡単に申しますると、そのころから比べて円がずっと安くなっている。ということは、海外からの輸入が非常に抑えられている。これは実質的には関税率がその分だけ上がったというぐあいに見てもいいんでしょうか、矢澤さん。
  131. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 為替相場と関税率の関係は大変に難しい問題でございますが、今委員が御指摘になりましたように、五十四年四月末の日本アメリカの価格が全く変わらない、その為替レートが変わったということを前提といたしますと、大変乱暴でございますが、円安の率だけ関税率を引き下げるということによって、関税込みの総体価格が維持されるということになろうかと思います。
  132. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今、非常に東京ラウンドの前倒しが行われている。実は非常にやりやすい環境なわけです。下げてみたところで国内産業に対する影響は非常に弱いということでございます。したがいまして、私は、今までの論議はどうも相場と無関係に率ばかり言われているのではないかと考えるのでございますが、次に、ほかの省庁の方にお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕  例えば木材の問題が非常に大きな問題になっておる。またあるいは医薬医療品、あるいは機器の問題が問題となっておる。こういったときに、業者との間でこの円ドル相場ということが十分論議されているのかどうか。あるいはアメリカとの交渉において、例えば円とドルが東京ラウンドの論議された五十四年四月のころのようになったような場合に、果たして競争力があるのかどうかということまで議論されているのかどうかをお聞きしたいと思います。
  133. 脇元裕嗣

    ○脇元説明員 円ドル関係は、四分野が提案された背景でございます米国の対日貿易赤字の主原因であるというふうに考えて、日本側の基本的な態度として米側に、貿易問題の根源であるということを指摘をしているところであります。  日米間で進めております四分野の協議につきましては、これら分野ごとにそれぞれ貿易に係る幅広い話し合い、MOSS方式を行うものでございます。したがって協議に当たりまして、双方の基本認識といたしまして円ドル問題があるということはございますが、分野別協議そのものの中では、特に特定のレートを想定しているものではございません。
  134. 代田久米雄

    ○代田説明員 医薬品、医療機器に関しましても、MOSS方式の一つといたしまして、米国側から例えば外国臨床データの受け入れでございますとか輸入手続の簡素化など七項目の提案がございまして、これにつきましては米国との協議を通じまして相互理解を深めるということで、問題の解決を図っていく所存でございます。  ただ、この七項目につきましては、いずれもその基準・認証問題でございまして、医薬品、医療機器につきましては人の生命、身体に直接関連するものでございまして、その有効性、安全性が最も大事であろうということで、その確保を図ることが重要であるという観点から検討しておりまして、この七項目を議論するに当たりましてはこういう点について十分配慮するということは考えておりますが、円ドル相場について特に念頭に置いているということではございません。
  135. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 じゃ結論的には円ドル相場を考えないで、変化を考えないで、現在の円ドル相場がそのまま持続するという想定のもとに、国内業者の対外競争力を考えて議論をしていると理解してよろしゅうございますか。木材の方をお願いします。
  136. 脇元裕嗣

    ○脇元説明員 現在の木材製品の関税引き下げにつきましては、我が国の林産業界が、木造住宅の低迷であるとかあるいは木材製品価格の低迷等からいまだ深刻な不況下にございまして、しかもまだ倒産件数もかなりの数に達しております。一方で林業経営費も増高しております。こういう中で、我が国の森林、林業に深刻な影響を与えている、あるいは今後国土保全、水資源の酒差等にも大変大きな悪い影響を及ぼすおそれがある、こういうことから、木材関税の引き下げについては極めて困難であるとして、慎重に対処する所存でございます。
  137. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは大臣にちょっとお聞きしたいのですけれども、日米貿易摩擦でもってどんどんとこうやって国内の関税を下げていく。ただ、この根底に現在のドル高という問題がある。ドルが高いうちは、輸入しようと思っても高いから、要するになかなか輸入できないという状況でございます。現在のドル高を前提にすれば、関税率を下げることは容易なわけです。下げてみたところで大したことはない。もし円ドル関係が全く逆転するということになりますと、輸入に対する需要がどっとふえるわけです。そのときに関税率をもう一遍上げようと思ってもすることはできないということでございまして、国内産業との競争力を問題とするときには、関税率とともに将来円ドル相場がどうなるのかということを基本に踏まえて国内業者とも議論をし、アメリカとも議論をするということが必要じゃないでしょうか。その点について、これは一番基本的な問題だと思いますが、大臣の御意見を承りたいと思います。
  138. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに、私が五十四年の十一月でしたか、大蔵大臣に就任したときは二百四十二円、それから五十五年にやめますときに二百十九円二十銭ぐらいでして、しめたと思いました。  ただ、私ども関税の議論をします場合には、今の当面の問題としてドルの独歩高の議論はいたしますけれども、いわゆる為替相場は円高の場合もあれば円安の場合もある、向こうで見ればドル高の場合もあればドル安の場合もあるというので、為替相場というものはいずれは相殺されるというので、おおむね横に置いて議論をするというのが大体通常の議論の仕方でございます。  ただ、今の場合のドルの独歩高というのは、私もノルマルではないと思っております。このことのさらにその前の議論をすれば、あるいはアメリカの財政赤字というような問題も出てくるでございましょうが、それに対しては関税問題とは別に、いわゆる高金利政策あるいはそれの原因となっている財政赤字問題という議論はいつでもしておるところでございます、まさに私どもがしなければならぬ課題でございますから。しかし、関税を議論する場合は、いわゆる為替問題というのは相殺される性格のものであるということが前提にあるというふうに私は理解をしておるところであります。
  139. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 長期的にそういった考えもありますけれども、ただ、今私が述べましたように、東京ラウンドが交渉されていたころから比べますと一五%近くも変わってきているわけですね。ということは、一般的にそれだけの関税が課せられていると見てもいいわけです。この時期に関税を下げるというのは非常な冒険なわけです。もし非常に円高のときに関税を下げるのであればそれはわかるけれども、円安のときに関税を下げるということは非常に危険である。万が一、円ドル関係が逆転したというときにはどっと輸入がふえる、そのときにばたばたしてもしようがない。現在アメリカがいろいろ輸入課徴金を課す課さない言っておりますけれども、これは一つはそういった相場によって彼らとして課さざるを得ないような問題になってきておる。もし我々が円とドルの関係は将来どうなるかということを考えますと、まさに慄然たるものがあると私は思います。でありますから、円安のときに関税には余り触れるべきではない。関税に触れて、それを下げたときに円高になったら、もう非常に困る企業が続々と出てくると私は考えるのであります。  実は私、かつて中国の財務局長をしておりました。そのときにべらぼうに円高になりまして、次々にばたばたと造船会社がつぶれた。それとともに永大などの合板が、これは逆に輸入が多くなってつぶれたわけです。そのころ企業は、採算点はどこであるかということを、一円、一ドル、非常に細かく計算して、それでもって対応してきたわけでございます。でございますから、現在関税を下げて、また再び円高になったとき、そのときの格差というのは非常に大きいものでございます。果たしてそのときに、彼らが要するに採算がとれるのか。私は、もしこの時期に余り関税を下げると、円高になったときに倒産が続出するんじゃないか、そのときになって課徴金を課そう、あるいは関税を上げようと思っても間に合わないと思います。  その意味で、本当に私は、今大臣が、関税は長期的なものであるということを言われますが、大きな円ドル相場の変化、この時期に関税を下げるということはまことに冒険である。その意味で、各所管省も将来円ドルがどうなるかということを踏まえて業界と話すべきであり、また、外務省あるいは大蔵省もこの相場の動きを考えながら、将来円高になることを考慮しながらアメリカと交渉すべきではないか、外国と交渉すべきではないか。私は、あと一年あるいは二年後に円ドル相場が逆転したときに、次々と倒産する会社が続出するんじゃないかと心配しております。この点をどうお考えになるかということをまずお聞きしたいと思います。  第二の点、これは大臣が今いみじくもおっしゃいましたけれども、現在のいわば円ドル相場、本来ならばあれだけ日本の黒字ができれば当然円ドル相場に反映すべきところ、それが反映しないということは、資金の流出が向こうに対してある。流出は何によって起こっているかというと、アメリカの高金利にある。アメリカの高金利は、アメリカの財政赤字が彼らの、要するに貯蓄率も上回るものだから、民間に対するいわば資金需要が逼迫して金利が上がる。貿易摩擦問題というものは一に、日本のいわばバリアが高いからじゃなくて、アメリカの、誤ったと申しますか、高金利政策、財政赤字問題が引き出してきているドルの独歩高によっているわけでございまして、アメリカの有識者は、そのことをとらえまして、この貿易摩擦問題はアメリカの財政赤字、高金利、それによって生じているんだということを言い始めています。  でありますから、貿易摩擦問題というのは、こちらのバリア、あるいは関税を上げ、あるいはいわゆる非関税障壁の問題ではなくして、専らアメリカの政策による。アメリカの、誤ったと申しますか、財政赤字がもたらす高金利からこのドルの独歩高が生じ、それがいわば貿易摩擦の根本になっている。今のお話のように、一五%も一般の商品についていわば関税が上がったと同じような状況をもたらしているのは、専らアメリカのこの政策です。  でありますから、貿易摩擦問題について、どうも中曽根さんは、日本が悪いのだ、こっちが悪いのだ、だから開きましょうというような態度は全く逆でございまして、アメリカのやり方がおかしいんじゃないか、ドルが高いからこうなっているんだ、我々は世界一関税率は低い国じゃないかということを堂々と主張してほしいわけでございます。単に木材業界に対して助成金をやるなんていうようなことで表面を糊塗しておっても、恐らく円ドルが逆転したときには、もうばたばたと倒産して助成金が足りなくなる。そのときの財政負担は大変なものになると私は思います。この点について、第一の点、第二の点についての大臣のお答えを聞きたいと思います。
  140. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いわゆる今日のドルの独歩高、その原因は、私どものサイドから言わしていただくならば、財政赤字、それに伴うアメリカの高金利、そして日本の資本流出というものが、結果としては、もっと上がっておったかもしらぬアメリカの金利を押し下げる効果を働かしておるではないか、こういうことを私は言っておるわけであります。本当にいい理屈だと思って言っておるわけでありますが、そういう議論の外で個々の業界がいわば日本に対して、いわゆる保護貿易主義の台頭をお互いに防がなければいかぬということから、市場開放を個別的にさまざまの角度から申しておるわけでありますが、基本的には、私は関税問題というのは、いわば為替レートと中長期的には相殺されるべきものだ、ただ、乱高下がやはり一番いけないと思うわけであります。  されば、アメリカのドルの独歩高というのは、アメリカの財政そのものの責任に転嫁するだけでいいかという問題もまたあろうかと思います。それはなぜかと申しますと、私どもがよくパートナー、当時のカウンターパートでありますリーガン財務長官と話をする場合に、そうは言ったって、仮にベトナムで戦火が起こっても、さあ逃げようというときに円を持って逃げる人間は、どうもベトナムに電話して聞いてみたら、まだおらぬじゃないか、すぐドルを持って逃げるのじゃないか、そういういわば危機に強いドルという問題もございましょうし、そして、アメリカの、数字で見たところの成長率とかいうすべてのものを含めたファンダメンタルズが、まだドルの信認という点はつなぎとめておると見なければならぬから、おまえのところの高金利だけがこの責任だ、それをもたらした財政赤字だけが責任だ——日本も相当な財政赤字でございますから、そこはおのずから我々の段階ではその議論をいたしますけれども、それだけでもってすべてを律するわけにもまいらない。  したがって、やはり相互理解を深めながら、お互いが自由貿易というものを旗印としておるわけでございますから、そこには相互理解の中で現実的な対応の施策が行われていかなければならぬ。そこで四分野の方々が、今大変に一生懸命話し合いを進めておられるというふうに私は理解をいたしておるところでございます。  それから二番目は、整理すると……
  141. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 じゃ、言いましょうか。円が安いときには余りに関税率をいじくるべきじゃない、下げたりするべきじゃない。要するに、今下げるととんだことになるのではないかなということでございます。
  142. 竹下登

    ○竹下国務大臣 恐らくその問題は、いわば為替レートの変化だけを理由として関税率を変更した例は、今までのところはございません。国内物価の相対的低下等によりまして、円高のように、内外物価の相対的関係に変化がない場合、これは関税は有効であります。それから、極端な円高による特定産業の重大な損害に対しては、これはめったに言うべきものじゃございませんが、いわゆる緊急関税の発動というようなものもあるにはありますが、それは私は、今それぞれの立場な主張しながら話を詰めていらっしゃるときに言うべき問題ではない。  ただ、いつの時代にも申しますのは、やはりドルの独歩高ということについては、私どもはそれを指摘しております。ただ、財政赤字というところまで踏み込みますと、内政干渉のおそれが皆無ではない。日本も相当な財政赤字じゃないか、こういう議論も呼び起こしかねないという点はございますが、そういうものに配慮をしてやれという安倍さんの御提言というのは、私どもには理解ができます。
  143. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私の一番の根本は、こういう円安の時期、ドル高の時期は関税は下げては危ないよ、だからアメリカさんに対しても、いわばこの貿易不均衡というものは関税問題よりは相場問題だ、もしこのときに下げて、今逆に円ドルが逆転したときに、じゃ、緊急関税を課してもいいのか。緊急関税の実績というのはほとんどないはずでございます。そのときに、緊急関税を課するというときの摩擦の方がよほど大きいと私は考えます。その意味で私は、現在は余り関税を下げるという方向に向かうべきではないと考えます。  貿易摩擦の問題につきましても、中曽根さんがいい格好をして、これを下げて、そのかわり助成金を出すなんということは、中曽根さんは率直に申しまして経済については余り理解のない方でございますから、竹下大蔵大臣、これはもし円が上がったら大変なことになるよ、そのときにどんどんと倒産がふえてもいいんですかということを、実は説得するのがむしろ大蔵省の役目であり、各省庁の役目ではないか。格好をつけるために、何か木材だって譲ってやるなんというような言い方も、これは全く円ドル相場ということを考えない、経済音痴の総理大臣ではないかと私は考えています。私にもしそういった機会があったら、いささか目の前ではっきり言おうと思っていますけれども、この点について大臣、どうお考えか。まあ、別に中曽根さんが経済音痴ということはございませんけれども、こういった点でひとつ、もっともっと啓蒙していただきたいと思っております。
  144. 竹下登

    ○竹下国務大臣 基本的には、一時的な円安の影響は一時的な円高によって相殺されるというのを、やはり関税問題を議論するところのベースに置かなければいかぬと思います。ただ、今のドルの独歩高は異常じゃないか、このことは私にも十分理解できるところであります。円高が一時的ではなくて、ある程度今度は期間が定着する場合、そうなると、輸入物価のみでなく、我が国の国内の物価もまた下がってまいりますから、したがって、物価の安定という、相対的な低下を反映しているような場合もあり得ますので、いわゆる円高が定着をしたとしても、相互の相対的な経済情勢が変化してくるという前提において円高定着を考えたならば、それはやはり関税というものの意義がなくなってしまうというものではないというふうに考えます。  最近の円ドル問題というのは、やはり私は、短期的には為替は両方の金利差というのが大きいと思います。が、中長期的にはやはり経済の諸情勢ではないか。そうすると、日本の経済のファンダメンタルズは、私はなお円高基調というものをまだ期待できるというふうにも見ておりますし、今のドルの独歩高ということは私は認めますが、関税を議論するときに、その問題だけを議論したら、一時的円高は一時的円高によって相殺されるという論議がやはりベースにはあるべき課題ではないか。私も専門家ではございません、あなたの方がその意味においては専門家ですから、貴重な意見として聞かしていただきつつも、それだけで関税問題を論議するのはいかがなものかな、こういう考えてあります。
  145. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 将来どういう円ドル相場になるかということは非常に微妙な問題でございまして、これはあるいは経済企画庁あるいは国際金融局からお答えをしてもらっていいのかもしれませんけれども、時間の関係もございますから、余り詳しいことに立ち入るのはやめますけれども、ただ、本当に私は、現在の円安、ドルの独歩高というのは、やはりずっとこれが続くものとは考えていない。となりますと、もう少し落ちつくべきところの相場があるのではないか。そのときを考えた上で競争力なり何なりを考えるべきなので、基本的には、円安のときには関税を余りいじくると危険であるということは、私は確実に言えるんじゃないかと思っています。その逆にドル相場が逆転したとき、そのときになって助成金を弾む、あるいは倒産を防止する、緊急関税を課すると言っても間に合わないんじゃないかと私は考えています。  この点、本当は各省庁にそれぞれの物品について、一体、皆さんがその業界で議論するときに競争力をどう考えているのか、アメリカと交渉するのにどうであるかということを一つ一つお聞きしようと思っておったのでございますけれども、時間が限られておりますので、せっかくお呼びしたわけでございますが、さっき沢田委員も、呼んで質問しないのは私の責任じゃなくて時間の責任だとおっしゃいましたが、私も同じような弁解をさせていただきます。  その次に、さっき公明党の委員からもお話がございました。今度は税関職員の問題でございますけれども、私自身も一年間門司の税関長をしたことがございます。その際に、税関の職員というのは非常に専門的な知識を要求される。輸入品、輸出品、それぞれの非常に技術的な問題も要求される。また反面、監視の一部門では、ほかの部門の職員に比べて本当に危険な要素が多い。私が門司におりましたころ、金の輸出品の関係で、職員がかなり危ない状況に立ち至った状況も聞いております。最近、けん銃、麻薬という問題で、例の山口組の解体以来、暴力事件が非常に大きな問題となっておりますし、麻薬問題というのはこれから一番大きな問題であります。こういった、本当に昼夜命を賭して働いている職員、大蔵省のそれぞれの職員もそれぞれ重みはございますけれども、税関においてその面を非常に痛感したわけでございますけれども、その点についての大臣の考え方を、あるいは重複になるかもしれませんけれども、一言お聞きしたいと思います。
  146. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かに私は率直に言って、税関というものを現地視察させていただいたのはいまだに一回しかございません。が、かねがね関税局等を通じまして、この税関職員の勤務の特殊性、そういう社会悪物品でございますとか、そういう問題が年々仕事の上では増大かつ複雑化してきておるという認識はそれなりに持っております。  したがいまして、税関職員の待遇については、従来から種々な配慮をしておりますし、これからも十分努力をしなければならない課題であるというふうに考えております。業務量の増大複雑化に対処するための業務運営の効率化を図るということ、そして人員の確保に努めるということ、これは私どもに課せられた大きな責務である。したがって、行政改革等を論ずる際、まず隗より始めよと言われる私どもに対する大きな御激励の、そして我々が対処する支えとなる御発言であるというふうに理解をさせていただきたいと思います。
  147. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 若干時間もございますから、ちょっと問題を変えまして、最近何か米国から電話機など、本当に役にも立たない電話機をごっそりと買わされているという話も聞きますけれども、どのような状況なんでございますか。
  148. 五十嵐三津雄

    ○五十嵐説明員 ただいま先生から、米国から買い求めております電電公社の電話機のことについて御質問ございましたが、御存じのとおり、電電公社は昭和五十六年から、電電公社の資材調達に関する日米取り決めをアメリカと結んでおりまして、内外無差別、競争的な調達手続を採用しております。この手続に従いまして、今まで米国から電話機などを購入しているという実態でございます。  具体的なお尋ねのございました電話機の関係でございますが、昨年八月から十二月ごろにかけまして、アメリカから電話機を六万台ほど購入をいたしておりますが、十一月の初めぐらいから東京、関東、近畿、東海、こういった管内で売り出しを開始したところでございます。  そういったところで、現在の段階では三千五百台ほど販売してきているということで、時間の経過とともに販売台数は上がってきておりますが、今後とも電電公社におきましては積極的な営業活動を行っていくというふうに承知をいたしているところでございます。
  149. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 これは何か積極的に売り込んでやるという親切な気持ちがあるようでございますけれども、何か押し売りみたいな形で買わされているというように聞いているわけです。もちろん貿易摩擦云々ということがやはり根底にあるのでしょうけれども、私どもに言わせれば、さっきお話しいたしましたように、いいものだから自然に買う、安いものだったら自然に買うというのなら話はわかるのですけれども、結局円安で値段も高い。やはり一番の根本はその辺にあるのであって、無理やり買って、それをみんなに売りまくるという必要は毛頭ない。この辺、非常にやり方がこそくなんじゃないかなという気がいたします。  貿易摩擦問題について、もっと胸を張って、今のドル高はおかしいんだ、このドル高に根本があるんだという姿勢でもって臨むことが、関税問題につきましても、ほかの問題につきましても大切なんじゃないか。何か黒字が多いからおまえがおかしいんだと言われますけれども、これは本当に、本来上がるべき円が上がらないで、資金の流出によって押さえ込まれて、こういう結果をもたらしている。こういうメカニズムを無視して、何か貿易のバリアがある、あるいは売れないものだって買えという方式は、全く私は理解されない。その点、どうも現在あらわれている日本の態度も、表面アメリカと妥協しさえすればいいというような感じが非常に強い。ロン・ヤス——私はちょっと駄じゃれをつくったのですけれども、「ロンより証拠を突きつけられて、たちまちばれるヤス受け合い」という、ロンとヤスでございますが、どうも安受け合いをちょっとし過ぎているのではないかと私は思うのでございます。この点、こういう貿易摩擦の問題は、向こうにも非常に落ち度があるのだし、そのときに無理やり口をこじあけておくと、将来逆転したときに大変なことになる。  実は私はさっきも言いましたけれども、中国財務局長をしたころに、次々と倒産していく企業を見て、そのときに真夜中でも銀行から電話がかかってきまして、これ以上支援できないということで、私と日銀の支店長と、もっとやってくれということを何回も繰り返したことがございます。それだけに、いわば相場とか価格というのは大きな影響を持つ。将来円高になったときに、関税も安い、緊急関税をやろうと思っても間に合わないというようなときに、倒産が次々とあらわれたらどうなるのだろうかと本当に思うのでございます。この点ひとつ大蔵大臣、今簡単に関税を下げられる環境だから下げてみて、一年後、二年後に倒産が続出しないように、それを本当に考えていただきたいと思うのでございます。  時間も参りましたから、最後に大臣のお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 竹下登

    ○竹下国務大臣 現在はドルの独歩高である、そしてアメリカの公聴会でも、その責任はドルの独歩高に八割と言いましたか、七割と言いましたか、ちょっと忘れましたが、そういう証言をなさったという事実もあります。したがって、そのことは私どもも十分踏まえて対応すべき問題であるという問題意識は十分持っております。  ただ、関税そのものにひっかけて議論をいたしますとき、為替レートは元来、円安、円高それぞれ、いわば中長期的には相殺されるものであるということも、現実の議論としてはあり得る。しかし、今はあくまでもドルの独歩高について大きな原因があるということは、私は、いかなる立場にあろうと主張して結構なことだというふうに考えております。
  151. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 もう質問は終わったのですけれども、ただ、今もう一遍ちょっと念を押したいのは、円が安いときには余り関税はいじくらないようにということでございます。  では、質問を終わります。
  152. 熊谷弘

    ○熊谷委員長代理 正森成二君。
  153. 正森成二

    ○正森委員 関税暫定措置法等について質問をさせていただきます。  「貿易と関税」の一九八五年三月号に矢澤富太郎さんとおっしゃる方の論文が載っておりますが、これは関税局長のことですね。冒頭に「最近のわが国に対する市場開放の要求は、エンドレスとか玉ねぎの皮むきとかと評されているように、年中行事となっている観がある」云々というふうに非常に巧妙な表現を使われております。この論文の中に、今同僚の安倍委員がおっしゃった、「米国の貿易赤字の原因はドル高にある」、これは一九八四年二月の初めに出ました米国大統領経済諮問委員会年次報告の言葉を引用されているのですね。  この論文の中で——あなたの論文ですが、  ドル高の是正であるが、ドルの為替レートが一%低下すれば、貿易収支が二〇億ドルぐらい改善されるだろうといわれており、一〇%ドル安になれば、二〇〇億ドルぐらい改善されることになる。 こういう表現があります。  その同じページには、   また、ある資料によれば、現在、米国のGNPは三兆三〇〇〇億ドル、財政赤字が二〇〇〇億ドルであるから、二〇〇〇億ドルのうち、GNPの一%相当分、つまり三三〇億ドル削減した場合の、貿易収支の改善効果は、一年目一五億ドル、二年目四五億ドル、三年目五一億ドル、四年目七六億ドルぐらいになるとされている。ただし、最近の数字を当てはめると、これが二倍ぐらいになるとされており、四年目には一五〇億ドルぐらいの貿易収支の改善が見込まれるという。 したがって、かりに米国の二〇〇〇億ドルの財政赤字をゼロにするということになると、一五〇億ドルの六倍ぐらいということだから、九〇〇億ドルぐらいの改善可能性が貿易収支にあることになる。そういう意味では、財政赤字の削減は、貿易収支の改善に大きな効果をもつものといえよう。 こう書いてあります。  これは非常におもしろい議論でありまして、今伺った大蔵大臣の御答弁では、ドル高要因に注目しつつも、それに必ずしも重点を置かないと受け取れる答弁でございましたが、あなたのこの論文を見ると、そこに相当ウエートを置いておるようですが、これについて執筆者である関税局長大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  154. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 私の論文を御引用いただきまして大変光栄でございますが、もとは、委員お話しございましたように、アメリカの大統領の経済諮問委員会の昨年の報告でございます。大統領の経済諮問委員会は、こういった計算を根拠に、行政府に対しまして財政赤字の削減をその後で非常に強く迫っているわけでございますけれども、アメリカの中でもいろいろな意見がございまして、大統領のこの諮問委員会は、最も学者的な意見を述べるところではないかというふうに言われております。  そういう意味で、一つの見解ではございますけれども、果たしてこの現実の政策にどのように反映させるかということになりますと、また行政府の対応とか立法府の対応が必要になるというふうに考えておりまして、一つの学問的な分析の結果がこういった格好で披露されているというふうに受けとめております。
  155. 竹下登

    ○竹下国務大臣 経済諮問委員会の報告は私も承知しております。それが一方、米国における有識者の世論ではないかというような評価をする人もございます。その限りにおいては私もそういう認識を持っております。  ただ、先ほど申しましたのは、関税というものをいわば為替レートによって下げたり上げたりしたことはない、中長期的には相殺するというのが、お互いが議論するところの共通土俵だ、今ドル高である、独歩高であるということは事実である、こう申しておるわけであります。
  156. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣の仰せになることもわかりますけれども、関税局長が言いましたように最も学者的な意見、それが現実に行われるためには、立法府なり行政府なりがそれが妥当であると認めて施策を行わなければならないということでございますが、私は、有識者の見解として、公平公正な一つの見識を示しておるということを、先ほどの同僚委員質問と関連して申し添えておきたいと思います。  そこで、本来の質問に移しますが、東京ラウンドの前倒しについて、我が国以外にこれまで前倒しした国がございますか。ありませんね。
  157. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 今手元に資料がございませんので、調べまして……。
  158. 正森成二

    ○正森委員 それはないはずであります。  我が国がこれまで行ってきた東京ラウンド前倒しの措置はどれくらいありますか。答えられますか。
  159. 矢澤富太郎

    矢澤政府委員 今回の措置を入れますと四回でございます。第一回目は昭和五十五年度に前倒しを行っておりますが、これは貿易摩擦解消という見地ではなくて、むしろ加入に伴う技術的な制約でございまして、五十五年の一月一日に前倒しをできない国は二年分一括して前倒しをする。日本は四月一日から年度が始まるものでございますから、二年分の前倒しを行っております。その次は昭和五十七年度でございまして、例外なしに一律二年分の前倒し繰り上げを行っております。第三回目は五十八年度でございまして、これは鉱工業品につきまして一年分の繰り上げ措置を行っております。今回第四回目の繰り上げとして、今回の改正案を御提案しているところでございます。
  160. 正森成二

    ○正森委員 今お答えのとおりでございまして、それ以外にも東京ラウンド前に、昭和四十七年に一律二割カット、昭和五十三年に、東京ラウンドの交渉中に前倒し引き下げをやっております。そういうぐあいに率先してやっておりますのに、今回またまた前倒しをやっておるということになるわけです。  この前倒しに至る経過を見ましても、昨年の一年前倒しの際にも、四月二十七日の対外経済対策でも、たしか主要先進国における繰り上げ措置の実施状況を勘案してというようにされていたと思うのですね、記録が残っておりますから。ところが、アメリカは前倒しを放棄した。EC諸国は途上国向けのみを実施するという関係になっておるにもかかわらず、またまた事実上我が国が単独で実施するということは、今までの経緯から考えても非常に異例なことではなかろうか。  ですから、昨年十月ごろの日本経済新聞などを読んでみますと、大蔵省は「国会審議の中で日本だけ先行することを問題にされる恐れがあると主張している。」と載っております。農水省も「欧米と足並みをそろえるべきなどの意見だ。」こういうように言っておるのですね。十一月段階では、十一月二十一日の毎日新聞ですが、「通産、農水省内に異論が出始めている。」「日本だけが前倒し実施を忠実に実行するのは損だという判断から」である、こう言っているのですね。にもかかわらず、政府の政策が変わりましたのは、十二月四日に中曽根総理がレーガン大統領との首脳会談を振りかざして——十二月四日に出ました各紙の夕刊を見ますと「役所まかせにせず、各閣僚は蛮勇を振るって決断する時」という指示をしていますね。つまり各省庁の実務者の良識が中曽根総理の蛮勇によって打ち破られた。その蛮勇に最も忠実であったのは、えらい言葉は悪いですが、大蔵省である、大蔵大臣であるということになれば、良識の府でなきゃならぬ大蔵省としては蛮勇に屈したということで、いかにも口惜しいことではないかというように思いますが、大蔵大臣の御所見を承ります。
  161. 竹下登

    ○竹下国務大臣 貿易あるいは経済摩擦問題というのは、これは私の経験からいたしましても、とかくおれの大臣の間だけはやめよう、あるいは、私は役人をしたことございませんけれども、おれの課長の間だけはやめよう、おれの局長の間だけはやめようというのがあるいはあるかもしれません。そうすると、これはどこと折衝しているかというと外務省とだけ折衝している。こんな感じになりますとなかなか物が解決しないというので、MOSS方式というものになったんじゃないか。これは私の想像も含めての話でございますけれども。  したがって大蔵省という立場は、関税問題については、それは関税というのは、貿易自由化の原則からいえば、地球上に生存する人類がおよそ安価にして良質なものを世界じゅうどこからでも持ってきた方がいいというのが原則でございましょうから、そういう貿易自由化の旗印のもとに関税というものを持っておって、しかしその実行に当たっては、年に一回関税率審議会が十二月にございます、そしてこうして審議していただくわけでございますが、あくまでも受動的とでも申しますか、ちょっと表現が適切でないかもしれませんが、それぞれのものを所管しておられる省のお方との濃密な連絡の中でこれを実行に移すわけでございますから、別に蛮勇に屈したとかということではなく、極めてニュートラルに対応しておるんじゃないかな、私以外の人はみんなニュートラルに対応しておる、こう思います。
  162. 正森成二

    ○正森委員 しかし、内容を見てみますと、時間がございませんから、一々お答えいただかずにこちらから数字を申しますが、グレープフルーツの輸入先及び国ごとの輸入実績を見ますと、アメリカが十六万六千六百トンですか、たしかそのぐらいですね。それからイスラエルが六千トン、キューバが四千トン、メキシコが二百六十トンというように、アメリカのシェアが圧倒的ですね。それを途上国関連であるということで二年前倒しにするということは非常に割り切れないというのが、いろいろなところから出ているのですね。こういう点については、私どもはよくよく考えてみなきゃならぬことだと思うのです。御答弁は要りません。  次の問題に移りますが、アメリカ市場開放について次々に圧力を加えてくるのですね。御承知のように、昨年の十二月十日にはオルマー商務次官が製品の輸入比率の目標設定などを要求して、たしかことしの一月三十日には次官級会談で百億ドルの輸出増を要求するということで、通産、外務、農水各省はこれに反論をしたと承知しております。今から二十年前ですが、一九六四年の第一回のUNCTAD総会で、途上国が輸入ターゲットの設定要求を先進国にしたことがございます。そのときの資料を見ますと、発展途上国が先進国に輸入ターゲットの設定を要求したのに対して、先進国側はこり言っているんですね。貿易の主体は私的企業であり、政府が輸入目標を定めることは論外であると反撃したと書いてあります。それは現在でも、我が国は資本主義社会でございますから、理屈は同じであろうと思うのです。それなのにアメリカ側が、製品輸入比率目標を設定しろ、それから百億ドルの輸出増の目標を設定しろということを言いますのは、発展途上国に対して先進国がとりました態度から見ましても、資本主義国といいますか、あるいは自由主義諸国といいますか、そういうところではあえてとり得ないようなことを要求して、これがとれないのならせめてこれだけはやれというような格好で圧力をかけてくるという手法につながるものではないかと思うのです。  一方、自分たちは、輸入課徴金を導入するというようなことを議会でいろいろ言う。これに対して、日経の十二月二十四日を見ますと、国広経済局長は、米国政府当局者は、約束できないことは百も承知でこういうことを言っておるんだ、そして、これを要求しては次々に譲歩をかち取るようにしておるということを言っているんですね。こういうことについて、大蔵大臣としてどういうようにお考えになっておりますか、御所見を承りたいと思います。
  163. 竹下登

    ○竹下国務大臣 自由主義経済あるいは資本主義経済、あるいは市場経済と言った方が一番適切かもしれません、市場経済下におきましては、最初前段でおっしゃっていることは原則であると思っております。したがって、アメリカの自動車産業が大変お困りになって、今でもその問題は、いわば向こうから言われたものでなく、こちらの自主規制、こういうことになっておるわけです。それなりの節度というものは、私は、それぞれお互いの友好国がそういう背景を考えた場合に、配慮としては存在すべき問題ではなかろうかと思っております。ただ米国のやり方というのが、言ってみれば次から次へとやってくるとおっしゃいますが、事ほどさように、国内で大変いろいろな議論がなされておるという一つの証左だと思います。いわゆる財政赤字から来る高金利、それによるところの経常収支の大幅赤字、こういうような議論がなされておるのでございましょう。しかし、それらに対しては相互理解を求めながら、特に関税が障壁でなく、現実はお互いの理解不足によってなっておる問題もたくさんございますので、そういうのは今後詰めて話して解決していく課題ではないかといつでも対応して、これからもいかなければならぬと私は思っております。  それからもう一つは、国民性の問題があるかもしれません。イエスとノーがはっきりしておって、非常にフランクに物を言う。まあ竹下登などは、むじゅむじゅむじゅと何を言っているかわからぬ。そういう国民性の問題も幾らかあるかなと思います。
  164. 正森成二

    ○正森委員 今国民性の問題も出ましたので申し上げたいと思うのですが、以前の関税改正の質問で、議事録に残っていると思いますが、日本語が最大の非関税障壁であるということをアメリカの一部が言っておるのはとてつもない不当な議論であるということを申しましたが、最近でも、例えば一月六日付のワシントン・ポストの解説記事を見ますと、日本人の島国性など目に見えない障壁があるということを言っておりますし、あるいは別のところではロス米上院議員が、日本政府が国民に、国産品を買うことだけが美徳ではないことを理解させ、外国製品を買おうというコンセンサスをつくることだ、その方法論として国家目標をつくるのはよいことかもしれないというようなことまで言っておるんです。  矢澤さんの論文を引用いたしましたので、均衡上敬意を表しまして、前関税局長の垂水さんの昨年三月の「貿易と関税」の論文を引用させていただくと、こういうことを書いておられるのです。   つまり、日本の財政・金融政策の根幹、あるいは産業政策の根幹についてかなり立ち入った議論をしている。極端な表現を使えば、他人の座敷に土足で乗り込んできているとすらいえるのが、最近の米国の態度である。 と十二ページの上段で言っておられます。  あるいは十三ページの下段には、   次に、日本人と米国人との特性の違いを理解しておく必要がある。私の乏しい経験によれば、まず米国人は強いナンバー・ワン意識の持ち主だと言えよう。これは、米国歴史の中で不可避的に育まれてきたものであり、これまでの強大な国力を背景にしており、それ自体を責めるわけにはいかない。 したがって、米国人はきわめてしばしば唯我独尊に走る。その点では、米国も日本と同様に島国であり、また日本人以上に島国人であることを感じさせる。 垂水さん、なかなかいいことを言っているんです。   次に、その唯我独尊の国民が、強烈な使命感に燃えているという点を見落としてはならない。何事も自国中心に判断し、それがあたかも普遍的なものであるかのように思い込む傾向が強い。  その次のページには、時として非常に激しやすい一面が露呈される。米国人を直線的だとすれば、ヨーロッパ人はかなり屈折的である。 竹下登さんなどもそうであるかもしれませんが、  話し合いをしても、最後の落ち着き先を常に考えながら交渉に臨むのがヨーロッパ人であり、自分の主張を行けるところまでトコトン主張するのが米国人である。 こういうように言っておられるんです。  そして最後に十五ページには、フットボールのショットガンという戦術を米国は好んでいる。米国は、ショットガン戦術によって日本を攻め続けていれば、日本はやがて自分のほうから譲歩のカードを出すに決まっていると考える。こういった戦術によって成功したこれまでの日米交渉の成果を誇り、それが通用すると信じているように思われる。こう言っているんです。  さらに垂水さんは、もうおやめになると思ったかもしれませんが、最後に、   しかし、私は、そういう戦術は決して長続きしないし、いつまでも通用する筈がないであろうと考える。 と締めくくっておられるのです。  この垂水さんの見解を果たして矢澤さんは引き継いでおられるのかどうか。自分はまだ現職であるから、そこまでは言えないとお思いなのかどうかわかりませんが、この垂水さんの論文は、アメリカの現在の国民性といいますか、ずばりと言えば、非常に焦った態度といいますか、そういうものをあらわしていると思うのです。日本人の国民性について大臣の御所見がございましたので、このアメリカ人の国民性についての御所見を承りたいと思います。
  165. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これは垂水前局長がまさにフランクな気持ちでお書きになったものじゃないかと思います。確かに国民性の相違はございます。習慣の相違もございます。土足で畳の上に上がるというのは、大変これは非礼なことでございますが、じゅうたんの上に靴で上がるというのは、向こうにとっては余り痛痒を感じないことでございましょう。したがって、土足で他人のうちに上がるという表現も、恐らくアメリカには通用しない言葉かな、こういう感じがいたします。  そうして、いつも思いますのは、彼らはあれだけの、日本の大体二十六倍ございます、農地が七十七倍、人口が約倍、こういうことでございますが、ロッキー山脈へ上がって、両方の海は見えないし、これぞアメリカ大陸というところで快哉を叫ぶでしょうし、我々は四畳半でスズムシなどを聞きながら……、そういうような環境の相違も私はあろうかと思っております。したがって、アメリカのいわゆるナンバーワン意識というのはそれなりに存在しておると私は思います。国際国家日本とか、あるいは国際人とか申しますのは、別に私は他の国民のまねをすべきものではございませんが、他の国民にも信頼と尊敬をもって見られる人間を育てることが国際人のあり方だという意味におきましては、激しやすければこちらがなだめるのも結構でございましょうし、そしてヨーロッパはそれぞれの国の一人当たりの面積は狭うございますから、したがってまずその中で落ちつく先を模索しながら対応していくというところは日本と似ておる点がありはしないか。決していわゆるショットガンのようなものに押し切られてしまうというような形ではなくして、平静な話し合いの中に結論を模索していけばいいのではないか。  しかし、本委員会、きょうは短い時間でございましたが、いろいろな角度からの御示唆をいただきましたことは、私どもがこれから対応していくための大いなる参考になったことを心から感謝をいたします。
  166. 正森成二

    ○正森委員 これ以上は申しませんが、ほかにもスタンレー・カーノーという人が新聞に「日米摩擦 試練の年」ということで書いておりますが、それを見ましても大分けしからぬことを言っておりますね。 「日本政府が途方もなく強力な”農民ロビー”の影響をまともに受けている事実を見過ごしている。 興味深いことに、日本の農村が持っている異常なまでに強い影響力は、第二次大戦後、米国の占領時代につくられた選挙制度のせいだ。」こういうように言いまして、「日本の政治制度を変えなければならない。」人の政治制度まで変えなければならないと言っておるのですね。これは一月二十一日付の日経に載っているところであります。さすがに言い過ぎたと思って、その後で「しかし、そうした急激な変革はだれも望むところではない。」こういうように、とってつけたように言っておりますけれども、その前段では日本の政治制度を変えなければならないというようなことまで言っておるわけで、こうい亘言い方を貿易摩擦に関連して言うということは、やはり節度を超えたものであるという気が私はいたします。  あともうほんの二、三分になりましたので、最後に一言聞かしていただいて終わらしていただきます。  対日赤字の原因論については、同僚委員も今お話しになりました。矢澤さんの論文の中でも引用してございましたが、経済諮問委員会の報告書を見ましても、八〇年と八四年を比較して貿易赤字の悪化幅が八百五十億ドルのうち、四分の一はアメリカの経済成長が速いことによる、六百から七百億ドルはドル高による、対日貿易は二国間の収支に重点を置くのは間違いであるということを言まして、三月八日のワシントン・ポストの社説では、主因は米国の無謀な経済政策にあるということを言っております。そしてスチーブ・ハンケというアメリカの上下両院合同経済委員会の顧問は、新聞に対する投書の中で、これは十二月三十一日の読売にその引用が載っておりますが、大統領側近が経済について誤った進言をした、日本の関税は最低で、工業製品の平均関税でも米国より三六%低い、農業製品への関税は国際基準に比べて低い、日本はガット規定をかなりよく守っており、規制も欧米に比べて緩やかである、ということを言っているんですね。そういう点を見ますと、いろいろ言っておりますように、アメリカの財政赤字というのがドル高を招き、それがアメリカの産業の輸出競争力を減退させ、結局貿易赤字を招いておる、貿易摩擦を引き起こしておるということは何人にとっても疑い得ないことであろうと思います。  これに対して我々が、アメリカの政治制度を変えなければならないとか、アメリカの軍拡政策を変えなければならないと言えば、これは先ほどアメリカの人に対して批判したのと同じことでございますから、そこまでは申せないにしましても、そういう背景があり、アメリカ側に、貿易赤字に重大な原因があるということはよくよく認識をしていただかなければならないということを申し添えまして、ちょうど時間になりましたので、大蔵大臣なり局長から御意見を承って質問を終わらしていただきます。     〔熊谷委員長代理退席委員長着席〕
  167. 竹下登

    ○竹下国務大臣 フェルドスタインさんの米国大統領経済諮問委員会年次報告、いわゆる日本経済企画庁——フェルドスタインさんは、かくしてまた大学へ去っていったわけですね。そしてその後、行天君、大場君の親友でありますスプリンケルさんがそこへ行ったわけです。これがどういうか、私も友人でございますので、本当は静かにこれを見守っておるところでございますが、私どももその意味においての主張というものは絶えず続けていかなければならぬ問題であろうと思います。  選挙制度、政治制度ということになりますとこれはまた論外でございまして、日本は明治二十三年七月一日に初めての国政選挙が行われました。そのときから今日まで九十五年目になります。ずっと続いてきておるわけでございますが、それにはそれなりの歴史的背景というものがあるわけですから、そのよって立つ政治基盤というのは、お互いが理解しながら対応していくべきことであるというふうに私は考えております。
  168. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  169. 越智伊平

    越智委員長 次回は、明二十七日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十六分散会