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伊藤(茂)
委員 同僚委員の時間をいただきまして若干
質問をさせていただきたいと
思います。
まず
最初に、一昨日の当
委員会における
大臣の御
答弁に関係をしてお
伺いをしたいと
思います。
去る六日の本
委員会で、私の
先輩議員である
川崎さんの
質問に対して
大臣の御
答弁がございました。五十四年十二月の衆参本
会議における
財政再建に関する
決議という
内容であります。それに関しまして大変な文言の
答弁がございまして、
一般消費税(
仮称)について
国民の
理解が得られないので否定をされた、
国民の
理解が得られるならば今後
導入の
検討の対象となり得る、恐らくは仮定の
お話だと
思いますし、
国民の
理解が得られたという今日
段階での確たる
証拠物件はないわけでありますから、全くの
言葉の
論理として述べられたというふうなことではないかと
思います。
率直にこれは
大臣のお
気持ちを
伺いたいのでありますが、実は私は、それらの
議論、
予算委員会以来の
議論を伺っておりまして、非常にやりきれない
思いがいたします。本年の
大蔵委員会にも数数の
法案が付託をされておりますし、
審議に当たっておりますが、それ以上に
税制の大きな
転換期になっているわけでありまして、それにふさわしい、あるいはまた
国民に語りかけ、
国民に納得を得られるような
議論をするのが今
国会における
大蔵委員会や
議会の使命であろう、ひとしくこれは私
ども思っているところであります。ところが、今までの
税制に関する
議論でも、いろいろなところから御批判もこうむっておりますが、
総理から、
シャウプ以来の
抜本的見直しをやりたい、
税制の
プリンシプルは公平、公正、簡素、
選択であるというふうな大上段の話がありまして、しかし、それから後は
総理の言われる多
段階、包括的、ほか、ほか、投網をかけるようなという全くあいまいもことした発言、また
竹下さんの今までの御説明でも、肝心なこと、
具体論になりますとそれは権威ある
政府税調に御
審議を願います、
国会のさまざまな御
意見は予断を交えずそちらの方に
報告をしたいというところで実は全部終わっているわけであります。そういうことの繰り返しで来ているわけであります。私は、今の
段階で税の
専門委員会である我が
大蔵委員会の
議論がそんなせこい話でいいのだろうかということを実はこのところ思わざるを得ないわけでありまして、この際、
大臣に大所高所に立った御
見解を
伺いたいのでありますが、その前に実は二つ申し上げたいと
思います。最近読みまして
関心を持った文章がございまして、二つ申し上げたいわけであります。
その
一つは、かつて
答弁席にも何遍も座っておりました
福田幸弘君が「税とデモクラシー」という本を出しています。
内容には私
ども賛成、反対いろいろあります。本をばっと本屋で読みましたら、英語の図案が書いてあります。TAXANDDEMOCRACYという
言葉がずっと並んでいます。そんな装丁になっています。彼らしいなと実は思ったところであります。
その
冒頭のところに、「われわれ
国民が「税」を考える場合の基本は、「税は
民主国家と
一体である」ことを
認識することである。」「この思想は一二一五年のマグナ・カルタまで遡る。国が何をやるのかということと、それに必要な財源とは、
国民が選んだ
代表者による
国会で定めなければならない。
予算以上に国は金を使えないし、
税法によってのみ
国民に税を課すことができる。」ということからこの本が始まっております。中身はいろいろありますが、私はそういう発想は大変大事なことだろうと
思います。
そして、その中でこういうことが書いてあります。「歴史的にいって、現在ほど、税金問題が
国民各階にわたって活発に
論議された
時代はなかったのではなかろうか。」「
先進諸国のように
国民の間に、税と
一体となった真の
民主主義を根づかせなかったといえよう。税の不平、不満が
世上がまびすしい今日こそ、
民主主議の原点としての税の本質を、
国民全体がはじめて
認識することになる好機であり、そういう
意味で、現在、
日本の歴史になかった
民主革命が、税を通して静かに進行していると
理解すべきであろう。」こういうことが
冒頭部分に言われております。これは、
大臣もそうでありますし、
主税局長もそういう
哲学は常に念頭に置かれていることだろうと
思います。
私はそういう
ベースで考えますと、今この
国会でも最大の問題が税の将来というときに、さっき申し上げたようなあいまいもことした
内容、あるいは
言葉じりをとらえられないようにガードを固める、少しずつ本音を出していく、一昨日の御
答弁はまさしくそういうことだと
思いますが、そんなことでいいのだろうかというふうな気がするわけであります。
もう
一つ申し上げたいのでありますが、これは
アメリカのことであります。
総理も
大変関心を示されていたようでありますけれ
ども、
アメリカの昨年暮れの
財務省報告、
税制改革についての
レポートが出されております。それを、全部は無論読めませんので
総括部分だけ読んだわけでありますけれ
ども、読むと、非常にこれは率直であります。その書き出しが、「現在の米国の
税制は、緊急に
簡素化と
改正を必要としている。複雑であり過ぎるし、不公平である。また、
貯蓄、
投資、
経済成長を妨げている。」この
財務省の「提案は、全国的に行われたいくつかの
公聴会で示されたたくさんの
国民の声を反映している。」
云々というようなことが書いてあります。要するに、
現状は不公平であり、
金持ち優遇であり、直さなければならない、単刀直入にそういうことを言っておるわけであります。
また、
内容は全部
賛成でありませんが、先般二月の初めに
アメリカ大統領の
一般教書が発表されました。その
税制のところを見てみますと、例えば「
税制改革であり得べからざることの
一つは、それが姿を変えた増税であってはならないということである。」
云々と書いてあります。あるいはまた、「ともに本年、公平と簡素と
成長を目指す
税制法案を成立させ、
わが国経済をわれわれの夢の原動力とするとともに、
アメリカを
世界の
投資の
中心地とするようにしたい。さあ、ともに始めようではないか。」まあ
レーガン流ですね。
内容の是非はともかく、私は非常に率直に事態を語っていると
思います。
大臣、そういうことを考えますと、私は、この
国会決議の
言葉の位置づけあるいはとらえ方という問題でも、
言葉の
論理学の問題ではないと
思います。やはり率直に
政治家として今
国民に将来をどう語るのかということが必要な
段階ではないだろうかと思うわけでありまして、そういう
意味でいいますと、今までたくさんの波乱と、あるいは大平さんの
時代を含みましたさまざまの大きな税に関する大変な
論議の
時代がございます。そういうことの
経過をきちんと踏まえながら、そうして
現状の
問題点を明確にしながら、
国民に向けてどのようにしていくのかということを語っていく、それが今日問われなければならないことではないだろうかと思うわけであります。
そういう
気持ちでおりますと、先般の御
答弁の言い方その他についても、聞いておりましてけしからぬということと同時に、私は非常にやりきれない
思いが実はするわけであります。そういう
意味で、きちんと
経過をとらえ、
国民全体は忘れていないわけですから、そういう厳粛なる事実
認識の上に立って将来を考えるという角度からの
大臣のとらえ方があるべきであろう、
言葉の
論理の問題ではないというふうに思うわけでありまして、そういう
意味で、せこい
意味ではない御
見解を
財政再建に関する
決議につきましてまずお
伺いをしたい。
〔
委員長退席、
中川(秀)
委員長代理着席〕