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渋沢委員 どうもこれは、「税経通信」で福田さんという前の
国税庁の長官ですか、「全く徹底しない
限度管理に終わった」、彼の
言葉をそのまま言うと、そういうことを言っておりますけれども、まさに今の説明を聞いておってもそういうことだろうと思うわけであります。
それで、今平均的に世帯の貯蓄というのは四、五百万、五百万から六百万とか、最近少し上がってきているというようなことで言われていますけれども、しかしいずれにしても三百万、三百万、三百万で九百万、それから郵便貯金の場合は住宅積み立ての五十万というのもあるのだな。財形がある。一人でしょう、これは。四人世帯の家族なら、四つ掛ければ、それは大変なものが
非課税の
対象になっている。こういう資産所得の優遇措置なんですね。ですから、わずかな税で苦労している、あるいは勤労所得のサラリーマンの立場から見ても、これは今までの
政府の対応あるいは今回の措置というものは全くおざなりに過ぎる。福田さんが言うように、全く徹底を欠いた
限度管理だということになっているわけであります。非常にこれは遺憾と言うほかはない。
しかし、これが精いっぱいだというのが正直な
局長の説明だろうと思いますが、これじゃほとんど変わってないですね。ほとんど変わらない。税務調査という
部分についても、今郵政省が率直に言うとおり、あの五役
会議やさらにその秘密覚書で解説されているように、
新聞を通して
世間にもこれは明らかになっているけれども、これはまさに慌てないで細かいところは適当にやるということで、大体従来どおりの方向で、ただ形ばかり本人確認を強めるという措置に終わっているということのように思います。
この件はもう時間がないので終わりますが、最後に、これは
局長でも次官でもいいですからちょっと
お尋ねをしておきたい。
実は
大臣と少し時間があれば
議論をしたかったというか、
意見を聞きたかったところなんですけれども、私は先ほど、
税制改正に取り組む観点について、それは新税以前、
大型間接税以前の
課題にこそ責任を果たすべきだという
意見を申し上げたわけでありますけれども、しかし、いずれそれは
税調あるいはその他の
検討の中で出てくるという心配を持っているわけであります。ただ、
考えなければならないのは、一体近い将来に
大型の
間接税を導入するような経済的な環境なのかどうかということについては大変疑問を持っておる。わからない
部分もありますので、最後にそれをひとつ
お尋ねをしておきたいと思うわけです。
今の経済の
状況で、輸出は非常に伸びておる。世界の
状況、
アメリカも非常にいいと思います。輸出が伸びるということの中で、例えば中国の
関係も非常に伸びている、いい。鉄もいいというような形で、設備投資も非常に伸びている。今の景気回復はまさに輸出、設備投資主導の景気という
状況になっていることは言うまでもないと思うのでありますが、しかしそういう中でも、業種間のばらつきが依然として残っているということと、あわせて中小企業の史上最高の倒産、これは前年比八・八%増、この一月も同じ状態です。千四百二十件、まさに史上最高という数値を出しておる、今こういう特徴がある。景気回復景気回復、輸出は伸びた、こう言われながら、一方では史上最高の中小の倒産が進んでいく、こういう
状況があるというのが今の特徴だろうというふうに思うのですね。
この一月の倒産なりここ数カ月の
状況を見ましても、倒産の業種で見ると、トップが建設で二番が繊維で三番目が食品で四番が不動産なんですね。衣食住なんだな、どういうわけだか。衣食住四業種が倒産の中で四六・五%、半分近くを占めているという形になっている。専門の
機関が分析したところによれば、その倒産理由の大
部分は、やはり
個人消費が低迷しているというこの
影響。公共事業が圧縮されている、住宅建設が多少伸びてきたという
部分があるけれども、しかし流れとしては伸び悩んでいるという、これがそれぞれ複合した形であらわれている、倒産理由になっている。放漫経営でおかしくなったという例はほとんどない。去年、大沢とかリッカーでしたか、比較的
大型の
世間を騒がすような倒産がありましたけれども、技術革新にちょっと乗りおくれた、そういう特殊な
失敗といいますか経営不振というような形のものがありましたけれども、おおむねやはり
個人消費の低迷ということを下敷きにしてこの史上最高の中小倒産が進んでいる、こういう
状況があるわけですね。
ですから、これは今の
日本経済の中で
政策課題としても最大の問題である。
個人消費をどう伸ばすか。内需をどう伸ばしていくのか。輸出依存型で、そしてこれがますます甚だしくなって、これで保護貿易でも出てきて輸出が参ったというようなことになると、これはえらいことになるんじゃないかということはだれしもが心配しているのであります。どうしてこの内需喚起、
個人消費を暖める手だてが必要かということが、やはり今の
政策課題の主要な
部分だろうというふうに思うのです。
これはずうっと悪くなってきている。厚生省が去年の九月に出した一世帯平均所得を見ましても、前年比の伸びが、五十六年が六・九、五十七年は三・四、五十八年は二・九、こういうひどい落ち込みである。ことしも春闘がありますけれども、どこまで伸びるかということで、やはりなかなか難しい
課題もある。こういう
状況の中で、こういう経済
状況はかなり続くと見なければならぬ。いや必ず伸びます、伸びますということを
政府は言ってきたけれども、実際はここ数年伸びていないというこの
状況の中で、私は、近い将来
大型間接税、消費税をこの
財政の危機を乗り切る主要な手だてとしていくというこの感覚、こういう
政策の選択というのは、こういう経済
状況の中で何をもたらすんだろうか、デフレ
傾向、効果を招く以外にないという
状況の中で、第二臨調以降冷え切っている
個人消費の低迷をさらにひどい状態にしていくというふうな心配があるわけであります。やはり経済的な
状況というものを見て
税制というものは
考えられなければならない。
税制が体系的に理屈が整った、あるいは
財政的なバランスが数字の上でとれたといっても、それで
日本の経済や景気というものがおかしくなったんではどうにもならぬということがあると思うわけであります。こういう
状況認識に立って私は、これからの
税制改正の
議論の中でも、
大型の消費税、
間接税というようなものの扱い方は、これは極めて慎重な配慮が必要だというふうに思っているわけでありますが、次官あるいは
局長の御見解を伺っておきたい。
〔
委員長退席、
中川(秀)
委員長代理着席〕