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1985-05-29 第102回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月二十九日(水曜日)     午前九時四十分開議 出席委員   委員長 小川 省吾君    理事 北口  博君 理事 野田  毅君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺 省一君    理事 多賀谷眞稔君 理事 中西 績介君    理事 斎藤  実君 理事 小渕 正義君       金子原二郎君    古賀  誠君       自見庄三郎君    松田 九郎君       三原 朝雄君    岡田 春夫君       沼川 洋一君    宮崎 角治君       小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         資源エネルギー         庁石炭部長   高橋 達直君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    高木 俊毅君         労働省労働基準         局補償課長   佐藤 正人君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 小川省吾

    小川委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、三菱石炭鉱業株式会社南大夕張礦業所におけるガス爆発と見られる災害実情調査につきまして、便宜、私から御報告を申し上げます。  派遣委員は、私、小川省吾を団長とし、山崎平八郎君、多賀谷眞稔君、斎藤実君、小渕正義君、小沢和秋君の六名であり、現地において岡田利春君、岡田春夫君、池端清一君が参加をされました。  日程は五月二十二日の一日間であり、千歳空港到着後、夕張までの車中において、札幌通産局札幌鉱山保安監督局及び北海道労働基準局から災害概況等について説明を聴取いたしました。  夕張市においては、三菱南大夕張炭鉱病院負傷者をお見舞いし、礦業所の坑口で献花、黙祷を行った後、夕張南部コミュニティーセンター三菱石炭鉱業株式会社から実情説明を聴取し、北海道夕張市及び南大夕張炭鉱の各労働組合から要望等を聴取してまいったのであります。  災害概況等につきましては、去る五月二十一日、政府から当委員会説明されているものと重複をいたしますので省略し、次に、調査の結果について申し上げます。  爆発した可燃性ガス滞留及び火源等原因究明は、現在、警察及び札幌鉱山保安監督局による司法捜査並びに政府事故調査委員会により進められており、詳細はその結果を待たなければなりません。しかし、重大災害連続的発生による社会的影響、今後の保安確保対策への適切な措置等について早急に対応する必要があり、この際、原因究明が速やかに推進されるよう、特に要望しておきたいと思います。  また、私どもは、原因究明とともに明らかにされるべき問題点として、次の点を指摘しておきたいと思います。  第一は、ガス感知器設置等ガス測定に関する問題についてであります。  今次災害においては、ガス流出の経過、その滞留状況等従来の測定方法では十分と言えない状況があるように推定されます。この点は、集中監視システムの機能とも関連をしており、坑内条件変化が事前に十分把握できるよう、ガス測定のあり方についてさらに慎重な検討が行われる必要があると思われます。  第二は、先行ガス抜き実施状況についてであります。  現段階では、まだ爆発地点は特定されておりませんが、坑内被害状況から、採掘現場である一卸の八片区域の疑いが強いと言われており、可燃性ガスを多量に含有する自然条件下採掘に先行するガス抜き作業が必要十分なものであったかどうか、その実施状況点検をしておく必要があると思われます。  第三は、会社保安対策実態考え方についてであります。  去る四月二十四日の高島炭鉱に続き、同じ会社で連続して大災害が惹起されました。まことに遺憾でございます。炭鉱における保安確保生産活動に優先をする前提条件であり、また、この事態の今後の石炭政策への影響も憂慮されるところであります。会社保安確保に対する姿勢、考え方実態的な保安管理体制について厳しく見直すとともに、この際、全炭鉱について同様の趣旨による総点検実施する必要があると思われます。  次に、現地における要望事項でありますが、北海道及び夕張市からは、原因早期究明保安対策充実強化早期操業再開遺族被災者援護救済対策、新石炭政策に与える影響への配慮夕張地域振興策に対する援助、中小企業に対する特別措置等要望され、各労働組合からは、徹底した原因究明保安対策確立採掘区域深部奥部化に伴うガス対策等保安技術の向上及び研究開発の促進、万全の遺族補償負傷者に対する医療体制確立現有炭鉱長期安定操業体制確立等要望されました。  最後に、政府及び関係機関に対し、殉職者に対する最大限の補償措置及び負傷者に対する医療、遺家族の今後の生活対策に万全を期するよう、また、原因究明を可及的速やかに行うよう重ねて強く要請いたしまして、報告を終わります。     —————————————
  3. 小川省吾

    小川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
  4. 自見庄三郎

    ○自見委員 ただいま委員長の御報告にもございましたように、五月の十七日に南大夕張炭鉱で、ガス爆発可能性が強いということでございますけれども、六十二人のとうとい人命が失われた、殉職者の方が出られたわけでございまして、また、御存じのように四月二十四日には高島炭鉱で死者が十一人、また、昨年の一月十八日に三井三池炭鉱で、戦後四番目の殉職者の数でございますけれども、八十三人の方がお亡くなりになられたわけでございます。この約一年半の中で百五十六人の殉職者の方が出られたわけでございまして、私は亡くなられた方々に対して本当に心から哀悼の意を表さしていただきたいと思うわけでございます。  近時、昭和二十五、六年ころでございますか、ぐらいから比べますと、いろいろなデータを見ますと、確かに炭鉱災害率というのは下がってきておるわけでございます。五十八年度でございますか、稼働延べ百万人の災害率が八三ぐらいに減少したというふうなデータもいただいておるわけでございます。しかしながら、近年非常にこういった我が国の重大災害が起こっておるわけでごさいまして、今後、今委員長の御指摘にもございましたように、炭鉱深部化と申しますか、そういったものに伴って重大災害をなくす努力が私はぜひ必要だと思うわけでございますけれども、この南大夕張炭鉱災害を含めまして、まずそのことにつきまして大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  5. 村田敬次郎

    村田国務大臣 自見委員にお答え申し上げます。  ただいま御指摘になりましたように、約一年半の間に重要な三つの炭鉱災害発生をいたしました。鉱山保安行政を担当しております通産大臣といたしまして、まことに遺憾のきわみに存じております。私は、先般も御報告申し上げましたように、今回の南大夕張炭鉱事故のありました翌日、直ちに現地に飛びまして、調査、そしてまたお見舞いを申し上げたところでありますが、今後本当にこうした災害が起きないように、心からの願いと祈りとを持っておるものでございます。  この時点におきまして、南大夕張炭鉱の今回の災害についての原因を徹底的に究明いたしますために、早速十八日の日に学識経験者から成る事故調査委員会を発足させまして、既に現地調査に出向いております。原因を徹底的に究明いたしますと同時に、今後の対応につきまして遺憾なきを期したい、このように存じておるところでございます。
  6. 自見庄三郎

    ○自見委員 少し具体的な質問をさせていただきたいと思うわけでございますけれども高島に引き続きガス爆発を起こしたようであるということでございますが、炭鉱では従来、言うまでもなくガス爆発が最も恐ろしい災害一つに数えられておりまして、その絶滅を図る、これは非常に技術的な問題、いろいろあると思います。そういった問題についてはまだ後から質問させていただきたいと思うのですけれども、まず、当局は日ごろこの南大夕張炭鉱について、ガス爆発防止のためにどのような指導をしていたのかということを少し具体的にお聞かせいただければと思うわけでございます。
  7. 平河喜美男

    平河政府委員 先生御存じのように、南大夕張炭鉱というのは非常にガスの多い山でございます。それで、私どもとしましては、そのガス保安対策としましては、まず徹底的なガス抜きのボーリングの実施、それからガスがたまらないような通気等々についての実施、あるいはガスの検知を中央集中管理をして常に把握しておいて対策を立てる等々の指導をしてきたところでございます。
  8. 自見庄三郎

    ○自見委員 ガス抜き指導をやってきたということでございますけれども、聞くところによりますと、非常に集中管理をして、日本の今稼働している十一鉱の炭鉱の中で、非常に保安設備も近代化しておったという話も聞くわけでございますが、現実にはそのガス自動警報器が働かなかったという説もあるというふうな話も聞くわけでございますが、その点につきましてどういうふうな調査段階かというのをお聞きしたいわけでございます。
  9. 平河喜美男

    平河政府委員 自動警報器等がどのような作動をしたかというのは、ただいま詳細な検討をしているところでございますけれども爆発の時間と思われるころにかなりの機器に異常を起こしましてストップした、これがどういう事情によるものか、今後詳細に調べたいと思っております。
  10. 自見庄三郎

    ○自見委員 また、今回の南大夕張炭鉱災害につきまして、発生箇所は八片連れ坑道だという説が高まっているようでございまして、その点につきまして、今の調査段階でどういうふうな結果か、お知らせいただければと思います。
  11. 平河喜美男

    平河政府委員 爆発箇所その他につきましては詳細な今後の調査を必要とするかと思いますけれども、この前政府調査委員会方々現地調査されましたときの感触でございますが、先生の御指摘のように八片の卸坑道の近辺ではなかろうか、こういう現段階での推定でございます。
  12. 自見庄三郎

    ○自見委員 その八片連れ坑道ガス源といいますか、着火源、何か火が出ないと爆発しないわけでございますが、それにつきましては現段階ではどういうふうな調査結果になっているのかということをお聞きしたいわけでございます。
  13. 平河喜美男

    平河政府委員 着火源につきましては、なかなか難しい問題だと思いますので、今後の調査結果にまつことになろうかと思います。  一般論としまして、炭鉱ガス爆発等着火源については、電気系統からの何らかの故障によるスパークとかあるいは静電気によるもの、あるいは金属の接触による火花とかという一般的なことが考えられております。またこれを絞り込む段階には至っておりません。
  14. 自見庄三郎

    ○自見委員 被害に遭われた罹災者の方の中には、一酸化炭素中毒もあるというふうに聞いておるわけでございます。そうなりますと、これは炭じん爆発が併発したのかというふうなことも推測されるわけでございますけれども、その点につきましてどういうふうな結果か、お知らせいただきたいと思います。
  15. 高木俊毅

    高木説明員 ただいま先生指摘炭じん爆発可能性でございますけれども、実は政府調査団あるいは現地鉱山保安監督局におきまして現在鋭意その周辺につきましては調査をやっておるわけでございます。それらを総合いたしますと、ガス爆発が起こったことは先生指摘のような状況でございますけれども、そのガス爆発に伴って炭じんが舞い上がった可能性というのはあるようでございまして、一部炭じん爆発を起こした可能性はあるような可能性が所々に散見される状況でございます。
  16. 自見庄三郎

    ○自見委員 今調査段階だと思いますので、これから先の質問は控えさせていただきます。  もう一つ高島炭鉱災害についてお聞きしたいわけでございますけれども、この採掘跡からガスが浸出した可能性が高いというようなことをお聞きしているわけでございます。十分に密閉していなかった、何かの原因で掘った跡の坑道からガス発生し、それが漏れたというふうな話も聞くわけでございますけれども、そのことが断定できるのかどうか。  それからもう一点は、当該箇所ガスを排除するために局所に扇風機をつけていたということでございますけれども、これがとまって、排気と申しますか、換気と申しますか、ガスがたまったままになっておった。いずれにしても、ガス滞留していたということも聞くわけでございます。これまでの高島炭鉱災害についての調査結果ではその実態はどうだということをお聞きしたいわけでございます。
  17. 平河喜美男

    平河政府委員 高島炭鉱災害時に密閉箇所からガスが漏れてたまったのじゃないかということにつきましては、現在までの現地での調査結果に基づきますと、ほぼそのような方向であろうかということでございます。  それから、その場所に置かれていました局部扇風機、これが何らかの原因でとまっていたのではないかということについても、ほぼとまっていたのではないかという調査結果でございます。
  18. 自見庄三郎

    ○自見委員 こういった災害が起きたとき、科学的に感知するハードの部分と、それを運用するのはいずれにいたしましても人間でございますから、ヒューマンファクターと申しますか、というのがいつも複雑に絡み合っている。むしろヒューマンエラーと申しますか、人間は必ず間違いをするものでございまして、私はそういうふうな確信を持っておるわけでございます。それを機械なりでチェックしていく。いろいろな保安システムをつくっても、やはり二重三重のチェックを人間がしていくということが基本的に大事だろうと私は思うわけでございます。  しかしながら、日本炭鉱は切り羽の平均深度と申しますか、深度も以前に比べて非常に、マイナス六百四十メートルくらいですか、というふうに深部化、それから奥部化してきた状況において、同時に一方では、科学技術の偉大な進歩もあるわけでございまして、日本科学技術立国として、今後ほかの分野でも非常に伸びていかざるを得ないというふうな状況でもございます。  そういったことで、保安機器研究開発について、私、一点お聞きしたいわけでございますけれども、今年度の特別会計からでも鉱山保安技術調査委託費が五億二千万円支払われるような予定でございます。感知器の問題にいたしましても、例えば一酸化炭素感知器、メタンガス感知器、それから火災を早く見つける煙の感知器、それから温度の感知器というふうにあるとお聞きしているわけでございます。それもいわゆるポータブルのものとか、インターロックですぐスイッチが切れたり入ったりするタイプのもの、それからアナログタイプのもの、いろいろあるというふうに聞くわけでございます。  正直申しまして、今全国にございます炭鉱は十一くらいが主なところでございますから、こういったものは当然全部防爆坑道と申しますか、火花が散ると爆発原因になるわけでございますから防爆坑道にしなければならないということで、どうもそこら辺の技術革新がそういった背景で、こういった鉱山保安に関しまして十分に技術革新が進んでいるのかどうかということを私は思うわけでございます。その点につきまして、やはり近代科学の粋を集めて、そういった必ずしも商業ベースに乗らないところは国が——これは委員長が申されましたように、何よりも鉱山における保安確保というのが大前提でございますから、そういった保安機器研究開発についてひとつお聞きしたいわけでございます。
  19. 高木俊毅

    高木説明員 先生指摘のとおり、現在日本炭鉱におきましては、その自然条件というのはだんだんに悪くなっていることは御指摘のとおりでございまして、深部化奥部化等になってまいりますと、いろんな自然条件変化が伴ってまいりまして、それに対応する技術というのは当然のことながら開発を進めていかなければならないわけでございます。それで、そういうことにつきまして通産省といたしましてどういうことをやっているかということにつきましては、先生指摘のとおり、本年度につきましては五億数千万の予算を確保いたしまして実施しているところでございます。  この実施状況あるいは見込み等について先生お尋ねになっているわけでございますけれども、この計画につきましては、実は五十八年に学識経験者から成ります。そういう委員会を設置いたしまして、保安技術に関する総合プランというのを計画いたしまして、この指針に基づきまして、先生指摘のようないろいろな研究開発をやっているわけでございます。その中で基本的な研究につきましては、私どもにもいわゆる基礎研究を行う研究機関がございまして、公害資源研究所というところでございますけれども、そういうところで研究をやっていただいております。それから、これと並行いたしまして、やはり現場でいろいろな適応研究というのをやっていかなければなりませんので、先生の御指摘のような観点につきましては、石炭技術研究所、これは財団法人でございますけれども、これを中心研究開発をやっているところでございます。この研究機関を通じまして、実際に現場にそういう実験器具等を持ち込みまして研究開発をやっているという状況でございます。具体的にはいろいろございますけれども、これらにつきましては、また資料等先生の方に差し上げさせていただければと思います。これらの研究開発につきましては、短期的なものもございますし、あるいは長期的なものもございますが、どちらかといいますと、現場に即応したものについては非常に短期的なターゲットを持ちながらやっているという状況でございます。  それから、先生指摘の中にございましたいわゆる防爆型関連等々、現在使っている保安機器等の改善についての御指摘もあったわけでございますけれども、これらについてはやはり同様に研究を進めておりまして、一例を申し上げますと、酸素マスク等につきましては、昨年の一月の三池の坑内火災大変脚光を浴びたものでございますが、これらにつきましても数年前から研究開発に取り組んでおりまして、今年に至りまして現場適応化研究が進んでいるという状況でございます。若干舌足らずのところがございますけれども……。  それから、国際的にどうかということでございますけれども、私ども自負するわけじゃございませんが、非常に自然条件が厳しいというところから、これらはかなり世界の先端をいき得るものだと思っております。特に一例といたしまして、ガス突出対策についての応力解放技術につきましては、世界的にも注目を浴びているところのものでございます。  以上でございます。
  20. 自見庄三郎

    ○自見委員 今お答えございましたけれども通産大臣にも、こういった先端技術と申しますか、そういったものが鉱山保安機器として十分に活用できるように、ぜひ通産省の方でも力を入れていただきたいというのが私の強い要望でございます。  それから、いろいろお聞きしたいことがあるわけでございますけれども、こういった不幸な災害が起きたわけでございますが、私は新聞記事で、大臣記者会見国内炭重要性を認識され、基本的には現在の生産量をこれ以上減らしたくないというふうに述べられたと拝見させていただいたわけでございますけれども御存じのように、来年度、政府の第八次石炭鉱業審議会答申が出るわけでございまして、今から日本国内石炭産業をどうしていくのか、これは保安の問題もありますし、深部化奥部化の問題もございますし、それから、おのおのの炭鉱によって非常に条件が違うということもございますし、また、当然海外炭国内炭御存じのように炭炭格差の問題もございますし、そこら辺を通産大臣としては一体第八次石炭政策にどういうふうに取り組む所信なのかということをお聞きしたいということでございます。
  21. 村田敬次郎

    村田国務大臣 現在の第七次石炭政策昭和六十一年度末まででございます。政府としては、保安確保に最大の配慮を払いながら、当面第七次石炭政策の展開を図っていく所存でございます。昭和六十二年度以降の石炭政策については、ことしの夏ごろから石炭鉱業審議会において一年程度をかけて検討される見込みであります。  今御質問にありましたように、私、夕張市に参りまして、その場で記者会見をいたしました。その際に第七次石炭政策の根本的な変更をするつもりはないということをはっきり申し上げたわけでございます。第八次はこれからの問題でございますので、諮問に対する答申を待ってこれは白紙で検討すべき問題である、このように考えておりますが、いずれにいたしましても、保安対策というものは最も重要な問題でございますので、このことを基本に置いて、また国内炭重要性というものを考えながら対応していくつもりでございます。
  22. 自見庄三郎

    ○自見委員 何よりも我々の国は民主主義国家でございまして、同時にまた国家安全保障という見地からエネルギー自給率の問題もございましょう。しかし、そのエネルギー自給率安全保障と同時に、経済効率性と申しますか、それになおかつさっきも大臣が何度も強調されました、炭鉱におきましては保安をまず第一にしてやっていかれるということでございますけれども、これは労使の方々、各業界の方、それから国民の意見を聞いて、十分な立派な審議会答申が出てくるだろうと私は思うわけでございます。大臣として、所轄事項でございますから、ひとつしっかりそういった保安の視点も抜かないように御推進をいただきたいと思うわけでございます。  それから、余り時間がございませんけれども産炭地振興の話をちょっとお聞きしたいのですが、昨日産炭地域振興審議会が開かれまして、いわき市を中心としたいわき炭地域経済生活圏がいわゆる財政力指数の上昇等々によりまして産炭地域振興対策の目的を達成したと評価される基準を満たすようになったというようなことで、同地域を二年後に産炭地域振興臨時措置法に基づくいわゆる産炭地域の指定から解除すべきだという答申がなされたというふうに聞いておるわけでございます。私の選挙区は福岡四区でございまして、田川市、田川郡というのは六条地域でございまして、大変な疲弊をしておるわけでございます。しかしながら、私はいわき市が臨時措置法施行以来初めて解除になったということは、大変坂の上に雲を見たような感じがいたします。  私も選挙区を歩いておりましても、年齢の高齢化、それから生活保護の方の停滞と申しますか、まず何よりもそのためには雇用の場がないわけでございまして、自見さん、働く場所があったら我々は生活保護をもらわなくていいんだ、働く場所を持ってきてくれという痛切な声を選挙区に帰りますと耳にさせていただくわけでございます。そういった意味で、日本国というのは自由社会でございますから、こういった困難な状況を克服するのはやはりみずから汗を流して人も企業も自治体もやっていただくというのが基本だと私は思います。そのためには、自力でなかなか難しいところに対しては当然こういった法律によって国が政策的に財政的に税制上非常に手厚い保護と申しますか、そういうのをやらせていただいておるわけでございますけれども、そういった法律のもとでの初めての卒業生だと思うわけでございまして、第一回の卒業生を送り出したというようなことで、私自身の心の中では本当に光明を見出したような気がするわけでございます。  産炭地域振興基本的な問題につきまして、いわき市という第一回の卒業生が出たということにつきまして、これは臨時措置法でございますから六十七年まででございますけれども通産省の今後の産炭地振興についての御見解をお聞きしたいと思います。
  23. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 産炭地域振興対策でございますが、先生指摘のとおり昨日産炭地域振興審議会を開いていただきまして、いわき市を中心といたします産炭地域経済生活圏の指定解除の問題についてお諮りをしたわけでございますが、もともと基本計画が五十七年にできておりまして、そのときにそういった産炭地域の目的を達成した地域は指定解除をすべきであるという基準が定められまして、さらにしかし一定の猶予期間は設ける必要がある、こういう必要性も明示をしたわけでございますが、今回その猶予期間は二年、そして基準から見ましていわき炭地域経済生活圏はその二年後に指定を解除する、いわゆる卒業するというような答申をいただいたわけでございまして、私どもとしてもその線に沿って指定の解除を行う方針にしたところでございます。  御指摘のとおり、こういった産炭地域対策の目的を達成したと評価される地域があらわれたことは私どもとしてもまことに御同慶にたえないところでございまして、長期間にわたります地元の関係者の御努力を私どもとして多とさせていただくところでございます。今後こういった地域がまた第二、第三とあらわれる方向で私どもとしても産炭地域振興対策の努力を進めていく所存でございます。関係の地元の方々のまた自主的な努力も私どもとして期待しているところでございます。
  24. 自見庄三郎

    ○自見委員 最後に、時間がなくなりましたが、ひとつ鉱害対策について簡単にお聞きしたいと思いますけれども、いろいろ昨年度からこの委員会でもあったわけでございますが、鉱害対策について現在までの進捗状況、それから残存鉱害が私の九州の福岡県でもあるわけでございまして、一体本当に六十七年度までに完了するのだろうかという不安が非常に住民の側にございます。隣の家まで鉱害復旧がなったんだけれども私のところまではならないというような、非常にそういった不安が、正直言って不安が不安を呼ぶということがあるわけでございまして、これが昨年のいろいろな事件に結びついて一つの大きな、国民の側における本当の気持ちじゃないかと私は思うわけでございます。  一体六十七年度までにちゃんと完了するのかどうかということと、昨年も委員会でも御報告がございましたけれども、鉱害復旧事業にかかわる改善策の実施状況、これは非常に地域の問題もございます。いろいろ改善されたということもお聞きしておりますけれども、また地域実態というものもいろいろございまして、そういった三点、現在までの鉱害復旧の進捗状況と、最終年度、六十七年度までにきちっと残存鉱害が解決できるのかどうかという点と、もう一点は改善策をやったんだけれどもその後どうなったかという実施状況、この三点についてお聞きさせていただきたいと思います。
  25. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 鉱害の復旧の状況でございますけれども、まず最終年次までにこれが終了するかどうかということでございますが、御案内のとおり昭和五十七年度にその後の十年間の復旧の計画を立てたわけでございますが、五十七年度の価格ベースで五千九百億の鉱害が残存しているという推定をしているわけでございますが、その後の復旧事業の規模あるいは予算の状況を見ますると、おおむねこの五千九百億を消化するペースでこれまでのところ来ていると私どもとしては評価しているところでございます。それでは今後このペースを続けて最終年度までに五千九百億を終了するかどうかということにつきましては、私どもとしましては予算をできるだけ確保いたしまして、その予算を効率的、重点的に使っていくことによりましてできる限りそういった努力をしてまいる所存でございます。  なお、業務の方の改善の状況でございますけれども、昨年の九月以来業務の改善につきまして福岡の通産局及び鉱害事業団が実施をしておりまして、その後公正かつ客観的、能率的にこの鉱害業務が行われつつあるというふうに私どもとして承知をしておるところでございます。
  26. 自見庄三郎

    ○自見委員 どうもありがどうございました。これをもちまして終わらせていただきます。
  27. 小川省吾

  28. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 最近における炭鉱災害、しかもこの災害は極めて多くの死傷者を生み、さらにこれらの炭鉱が非常に優良な炭鉱である。高島炭鉱は確かに江戸時代から開発された炭鉱でありますけれども、ほかの有明鉱にいたしましても南大夕張にいたしましても、昭和四十年代の後半から操業した炭鉱であります。私はこれらの炭鉱開発時においてタッチした関係上、まさに非常に残念に考えておるわけであります。  そこで、まず高島炭鉱災害南大夕張災害、さらに振り返って三池の有明の災害後の対策、そして戦後一連の炭鉱災害に対する諸政策の変遷、これらをお聞きいたしたいと私は考えておるわけであります。  そこで、高島炭鉱災害についてお聞かせ願いたいと思いますが、調査団が編成をされまして、一応の災害についての高島炭鉱災害事故調査委員会報告書が出ておるわけであります。この説明をまずお願いをいたしたいと思います。
  29. 平河喜美男

    平河政府委員 高島炭鉱ガス爆発事故原因究明の経緯について簡単に御説明いたします。  六十年四月三十日政府事故調査委員会が発表したとりあえずの所見によりますと、まず、今次災害の種類につきましては、現場におけるアーチ枠の倒壊、巻き上げ室の鉄板張り等の離脱等々破損の状況が見られる、あるいはゼロ片の巻き立て坑道にあった鉱車の一部に変形が見られる、また罹災者状況あるいは坑道における火災の形跡等々から見まして、ガス爆発であると判定をいたしております。  それから爆発発生箇所につきましては、飛鳥二卸の上部の可能性が高いとしております。  当該箇所坑道可燃性ガスが存在した理由につきましては、当該坑道採掘跡を密閉した箇所とつながっており、ここからガスが浸出し、通気不良により停滞した可能性が極めて高いと見ております。  着火源につきましては、現場の施設の状況等から見まして電気機器の故障等によるスパーク、ケーブルの短絡等によるスパーク、風管に発生した静電気のスパーク、巻き上げ機のロープ等の異常接触による摩擦火花等の可能性が一般的には考えられるわけでございますけれども、今回につきましては、最初に申し上げました電気機器の故障等によるスパークか、あるいは二番目に申し上げましたケーブルの短絡等によるスパークの可能性が高いのじゃなかろうかというふうになっております。  福岡の鉱山保安監督局によります長崎県警と合同の捜査につきましては、現場の実況見分はおおむね終了している状況でございます。  また、これまでにガスの停滞試験を行っておりますが、それによりますと、時間経過とともに部分的に高濃度のガスが停滞することが認められておりますけれども、現在、災害前の状況等との関連を含めて細部を捜査中でございます。  また、火源につきましては、現在警察庁の科学警察研究所、長崎県警と合同捜査を行っておりますけれども、まだ特定する段階には至っておりません。
  30. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 実は、密閉した箇所からメタンガス発生したのではないかという指摘が既にいろいろあったわけです。私自身も先般高島炭鉱に参りましたときに所長さんにお聞きしたのですが、いや、そういうことはあり得ないのだとおっしゃっておりましたけれども調査委員会報告書においても、採掘跡を密閉した箇所とつながっておって、どうもそれからガスが漏れておるのではないか、こういうお話でありました。参議院においても指摘されておったのですが、この密閉箇所保安図に書かれてなかったというのはどういうことなんですか。これはどういうように調査をされていますか。
  31. 高木俊毅

    高木説明員 当該箇所先生指摘のとおり岩石坑道であるわけでございまして、その箇所はかつての採掘跡に通じる坑道があったということにつきましては、今回のガス爆発事故の後判明したような次第であるわけでございますけれども、これにつきましては、私どもといたしましてはこういうふうに考えておるわけでございます。  昭和五十三年までの間に当該坑道を使って採掘等を行ったわけでございますが、その後五十四年から五十六年にかけて当該坑道を密閉してきております。最終的には五十六年の十二月に密閉を完了したわけでございまして、五十六年の十二月までには当該箇所の古坑道につきましては保安図に記載をいたしておりますけれども、正確に申し上げますと五十七年三月からでございますが、これらにつきましては記載がないということでございます。  これらについては、私どもといたしましては、この保安図をその後ずっと使ってきたという状況でございます。
  32. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういたしますと、保安図に掲載されてないということになると、この密閉箇所手前のガス検定というのはほとんどなされなかったと考えでいいですか。
  33. 高木俊毅

    高木説明員 先生の御指摘可能性でございますけれども、この箇所につきましてはガス測定がなされていたか否かについては現在調査中でございますが、保安規則上はどうなっているかということから考えますと、やはり測定を行っていなければいけなかった箇所であることは疑いのないところではなかろうかと思っております。ただし、それが毎作業時間だとかそういうことではなくて、いわゆる坑内の巡回の際に測定すべき場所ではなかったかと考えております。
  34. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 局扇がとまっておったということですけれども、局扇というのは保安規則の百三条、局部扇風機は百三条の一項二号です。局部扇風機は、特別の事由により保安のため必要がないときのほかは連続して運転しなければならない、こういう規定があるわけです。それから、局扇をとめる場合にはだれの指示によってとめるのか。運転停止は一体どういうようになっておるのですか。
  35. 高木俊毅

    高木説明員 局部扇風機をとめる判断でございますけれども、これにつきましては、どうしてとめたか、あるいはなぜとまったのかということについては、現在調査中でございます。
  36. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この保安規程はどういうようになっているのですか。管理者の指示がなければ運転は停止することができないことになっているのでしょう。
  37. 高木俊毅

    高木説明員 先生指摘扇風機状況でございますけれども、実はこの飛鳥二卸の坑道は三月二十七日以降大体ほとんど使われていなかったという状況でございます。その際に、局部扇風機がそこに設置されていてそこの通気を確保していたわけでございますが、それがいかなる理由でとまり、あるいはだれが停止させ、また、とめるについてのいわゆる規則上の、あるいは保安規程上の問題点があるのかどうか、これらについては司法捜査段階で現在調査中というところでございます。
  38. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、今度は局扇を動かす場合ですね。局扇が運転を停止した後に運転を再開するときは、可燃性ガスの測定をし、危険のおそれがないときでなければ運転を再開してはならない、こう言っているのですけれどもガスが少なくとも爆発点に来ておるということは事実ですから、測定がなされなかったのか。局扇を動かそうとすれば当然そういう問題が起こるのですけれども、その後周扇は全然動かないままだったのですか。あるいは局扇を入れたその前にガス検定がなされなかったのか、こういう問題についてはどうなんですか。
  39. 平河喜美男

    平河政府委員 当時局扇のスイッチを入れたかどうか、一部入れたという説明会社の方はしておりますので、その辺は詳しく調べているところでございます。  それから、入れる前にガスの検定をしたかどうか。係員が当時検定器を持って入っていることは事実でございますけれども、それが操作なされたかどうか、まだ現在のところは調査中で詳しくわかっておりません。
  40. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 作業が中止をされている箇所に、言うならば操業を再びやろうとする場合には、事前にガス検定をしなければならぬわけでしょう。
  41. 高木俊毅

    高木説明員 先生指摘可燃性ガスの測定を作業開始前にということでございますが、これにつきましては、石炭鉱保安規則の百二十一条に明確にうたっておりまして、甲種炭坑におきましては、鉱山労働者の入坑時前三時間以内にするほか、各作業場において一作業時間に二回以上しなければならないということでございます。
  42. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、局扇の問題は横に置いても、作業が中止されておった箇所は、可燃性ガスの測定は少なくとも労働者の入坑前三時間以内にしなければならぬという規定が百二十一条の三項にあるわけです。ですから、それが行われていなかったのかどうか。第一、ほとんど一緒に入っているわけです。違うのですか。ばらばらに入ったのですか。その点はわからぬのですか。
  43. 高木俊毅

    高木説明員 先生の御指摘のところにつきましては、詳細については調査中でございますけれども、概要ということで御容赦いただければと思いますが、一般的に炭鉱におきましては三交代で作業しているわけでございますので、連続的に作業している場合におきましては、この百二十一条の二項に該当する点につきましては大体前方の方々がこういう調査をおやりになるだろう、たまたま今回の場合には作業を中断していたところに新しく入られた、こういうことでございます。したがいまして、それにつきましては私ども非常に関心事でございますので、本当に測定を行ったのか、あるいはどうやって測定をしようとしておったのか、そういう事態について今後の調査に任せていただければと思っております。
  44. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 少なくとも三月二十七日以降は使っていないのです。ですから、相当期間休止しておるのですから、どこにガス漏れがあったかは一つ問題点でしょうけれども、少なくともガスの測定をしないで入坑して作業に入った、これはやはりどこか大きなミスがある。すなわち、作業休止が保安管理の休止につながっておるのではないかと思いますね。どうですか。作業をやっていないから保安の方も全部お休みだということにはなっていないのか。これは、今作業をしている箇所がその付近になかったということで注意しなかったのか。その辺、一体どういうことになっているのか。
  45. 平河喜美男

    平河政府委員 先生の御指摘は、巻き上げ機をとめて、帰るときに局扇をとめたかどうかということに関連する御質問かと思いますが、いつとまったかということについては現在捜査中でございましてまだよくわかっておりませんけれども、とまってしまったとすればそこにガスがたまる可能性があるということについては御指摘のとおりだと思います。
  46. 高木俊毅

    高木説明員 先生の今御指摘のところはまさにポイントのところでございまして、そこはやはり明確にしておかなければいかぬ点がございますので、補足的に政府委員説明をさせていただきたいと思います。  会社側がそれではこの地域についてはガス測定を行わなかったのか否かということにつきましては、現在の段階で判明している事態は次のような感じでございます。  いわゆる規則上一月に、三十日に一回というぐらいのところははっきりと明確に定めておるわけですが、これにつきましては、三月は二十六日に観測を行っております。したがいまして、三月の二十七日前でございます。それから四月でございますけれども事故が起こったのが二十四日でございますが、この間に四月についてはまだ測定していなかったというような状況が明確になっております。明確というか、会社側が説明いたしております。  それで、どういうガスの測定をしておったかということですが、どうも会社側の説明では、ガスは通常全くなかったので、一番詰め先まで行っていわゆる風量だとかそういうものを測定してはいなかったようでございまして、戻り風で測定した可能性があるようでございます。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも今お話があったように、巻き運転の休止というのが保安管理も休んでおったということになっておる。ですから、今度は高島の問題に関して言いますと、火源が何であったかというのはちょっと不明ですけれどもガス爆発点に達しておったということは事実ですし、それがどこから出てきておるかということもほぼ意見の一致を見ているわけです。そして、その原因は一にかかって密閉箇所からガス漏れがある。その時点でガス測定がなされておればまた注意したであろう。しかし、少なくとも操業を再開する前にガス測定が十分なされていないということ、そして労働者が皆稼働しに入ったということ、それからなぜ局扇がとまっておったのか、だれがとめたのか、そうして連続して局扇が動く必要はなかったのかどうか、そういう点も割合に事件は明快ではないか、私はこういう感じを持つわけであります。  そこで、高島炭鉱というのは非常に古い炭鉱ですから、密閉箇所というのは相当多いと思います。ですから、これが保安図から消えておったということも私は非常に疑問だと思うのです。なぜ保安図から消えたのか。役所の方は、保安図なんかを届け出るときは前のものはチェックしないのですか。忙しくてそんな暇はない、炭鉱から届けられたものはもうそれでよしということでそこまでは目を通さないという慣習ですか。前とどこが違っておるかというのは余り点検しないのですか。
  48. 高木俊毅

    高木説明員 保安図に記載されている事項は非常に多岐にわたるわけでございまして、重要事項が多々あるわけでございます。変化については当然押さえてはおりますけれども、大体そういうことにつきましては私どもとしては善意のもとに受け取っておるという状況でございます。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 三菱高島炭鉱とか南大夕張とか有明というと日本の非常に大きな炭鉱ですから、これまで一々チェックしておったのではとても役人はたまらぬ、信用しておるということもあるのでしょうけれども、事実はこういう点が抜けておるのですね。保安図から消えておったということ、これは極めて大きいことだと思いますよ。ですから、このような炭鉱において保安図から消えていったり、再開時にガス検定がなされなかったり、局扇がだれも知らないうちにとまっておったり、これから見ると、指摘いたしますと保安規則違反がずらっと出てくるわけですね。これはさきの有明といい今度の高島といい、私は非常に残念に思うわけですね。ですから、後から質問しますが、保安に対する不信感というものが炭鉱の内部からも外からも批判されておる。これはなかなか難しい議論です。  最後に大臣にお聞きいたしたいと思いますが、保安国家の責任だという議論があるのですよ。保安だけは国家管理でやれとか、こういう意見が新聞の論壇の中に出てくる。こういうことは、私は保安管理というものが非常にずさんであるということを意味しておる、こういうふうに思うのですが、これは後ほどこの点に絞ってお聞きいたしたいと思います。  そこで、これらを踏まえて一体どういうように法改正あるいは規則改正をなさるか。高島炭鉱についてはそういう必要はない、規則を十分遵守してもらえばよかったということになるのか。そして今後の対策はどういうように指示をされたのか、お聞かせ願いたい。
  50. 平河喜美男

    平河政府委員 具体的な規則改正等についてどうするかというのは、原因究明が終わった段階でまた考えたいと思いますけれども高島炭鉱のケースにつきましては、基本的には先生の御指摘のような点を十分私どもとしても注意いたしてまいりたい、かように考えております。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、私は三菱南大夕張炭鉱災害について質問をいたしたいと思います。  この炭鉱も戦後開発された、しかも最も優良炭鉱として保安にも随分気をつけられておると我々は聞いておったわけであります。その炭鉱においてまた災害が起こったということは、非常に残念に考えるわけです。  そこで、先般からいろいろな意見が出されておるわけでありますが、まず第一に、保安の改善指示がなされておったという、これについてどういう指示がなされておったのか。それから、殊に同じ会社高島炭鉱事故があったわけですから、当然南大夕張炭鉱では相当の保安に対する総点検をされた、こういうように思いますね。ですから、それに対してどういうような総点検がなされ、改善がされ、その後において鉱務監督官は巡回においてどういう指示をなされたのか、これをお聞かせ願いたい。
  52. 高木俊毅

    高木説明員 高島炭鉱災害後にどういう巡回検査をやっておったか、こういう先生の御指摘でございますけれども南大夕張炭鉱の巡回状況でございますが、災害前の五月の七日から十日にかけまして巡回検査をしております。この際にいろいろな指摘事項をやっておりますけれども、例えば通気だとか落盤関係の予防だとか、あるいは加背が狭小化している等々の指摘を各部にわたって指摘いたしております。それで、この指摘件数は先生御案内のとおりでございまして、その中でこれらの改善を指示した後、監督局といたしましてはその改善がなされた旨の報告を受けているわけでございます。  それから、いわゆる総点検のことでございますけれども、実はこの高島炭鉱災害後総点検を各炭鉱にお願いしたわけでございますが、ちょうど指示をしてその結果を五月の二十日にいただくというのが私どもの予定であったわけでございまして、その結果を待っている最中に今回の南大夕張炭鉱災害発生したという状況でございまして、それらについても現在調査中ということでございます。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私が申しましたのは、高島炭鉱は同じ系統の会社、三菱石炭鉱業の会社ですから、高島災害があった、しかもガス爆発があったということになると、恐らく南大夕張でも一層自主的な点検がなされたであろう、こう想像されるのですけれども、それがどういうようになされたのか。それから、今の改善指示というのはどういう指示をなされたのか、これをお聞かせ願いたい。
  54. 高木俊毅

    高木説明員 再度の御質問でございますけれども、いわゆる総点検のことでございますが、総点検につきましては、高島炭鉱災害後、類似災害を防止するという観点から、札幌鉱山保安監督局の指示に基づきまして、当該炭鉱におきましては五月一日から四日にかけてやっております。当然のことでございますが、この際の最重点箇所といいますのは、いわゆる袋詰め坑道とかあるいは密閉箇所等々のいわゆるそういうガスの管理に関してのもの、あるいは通気状況等を点検するのが主なものでございまして、それに伴いまして、いわゆる火源と考えられます扇風機類あるいはケーブル類等を点検したという報告は口頭で受けている状況でございます。  それから、それじゃ鉱山保安監督局が具体的にどういう指示をしたか、指示というか、巡回検査の際に指示をしたか等につきましては、いわゆる当該一卸区域、これは、南大夕張炭鉱につきましては先生御案内のとおり区域が三区域に大きく分かれるわけでございますけれども災害を惹起いたしました当該一卸区域につきましては、三点ほど指摘しているわけでございます。  第一点は、いわゆる切り羽内における鉄柱の当たりつけが若干悪いということで改善を指示しております。それから、一部坑道の通気量の改善を示達しておりまして、これはいわゆるガス抜き坑道の通気量の改善を指示いたしております。それから、当該坑道周辺の落炭の清掃等、これらを指示しておるような次第でございます。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 改善指示をなされた場合に、要するにこの内容は一般の労働者には知らさないのですか。
  56. 高木俊毅

    高木説明員 そういう改善指示をした場合には、いわゆる鉱山保安関係の管理者に手渡しているわけでございまして、当局と申しますか、現地鉱山保安監督局は、指導といたしまして、そういう改善指示書が出た場合には、当該炭鉱において組織している保安委員会保安委員会と申しますのは鉱山保安法に基づいて設置されるものでございますけれども、この中には労使双方を委員として構成している、そういう場所に出すように、そこで検討するように指導をしているところでございます。
  57. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 要するに監督局、監督部でもいいのですが、鉱務監督官が行政の処分というか、処分をした場合には、当該保安管理者は保安委員会に通知しなければならぬというふうに書いてあるのですね。その処分というのはこういう改善指示も入っているのですか。どの程度のものを処分と言うのか。
  58. 高木俊毅

    高木説明員 先生指摘の法制的に明らかにする点につきましては、この改善を指示した事項については含まれないというのが現状でございます。ただし、いろいろな措置があるわけでございますけれども、その措置のうち、かなり高度のものになってまいりますとそういうところにかかるものもございます。
  59. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その辺が明確でない。高度なものとか重要なものという判定はだれがするのか。事故はささいなところから起こってくるわけですよね。そこで、これは大変大きな問題がありまして、三池の大きな災害後に、一般労働者にも周知徹底すべきだ、いやしくも改善命令を出し、指示を出した場合には周知徹底さすべきだという議論が非常に強かったのです。ところが、当時、鉱業権者の方は、一般労働者にまでそれを周知徹底することはやがて保安闘争を惹起するという非常な危惧から、これは法改正や規則の改正に盛られなかったという経緯があるのです。  しかし、今日、これは全部に知らすべきだと私は思うのですよ。なぜかというと、災害が起これば山がつぶれるのですから、率直に言いますと。それから日本石炭政策にも影響がおるわけですから、これはやはり鉱務監督官が来てこういう指示をしましたというのは、繰り込み場がどこかへ掲示すべきだ。そうすれば、自分が関係なくても、こういうところが危険なんだと、やはりみんなが保安に対する注意を喚起することになる。この点がどうも秘密主義といいますか、何も漏らさなくてもいいじゃないか、今までのような上下の命令でいけば大丈夫だ、こういうことですが、これは物の考え方を抜本的に変えなければならぬと私は思うのです。  大体、日本鉱山行政というのは秘密主義なんですよ。例えば坑内のどこを掘っておるかというのは、地上権者には全然わからぬでしょう。ドイツなんかに行きますと、何年度にはこの地域を掘るのですよというのはちゃんと見せてくれるのです。だから、その地域に家を建てても過失相殺で必ずしも賠償しない、初めから周知させておるのですから。そのかわり、土地の値段は下がりますよ。下を掘るなら土地の値段が下がるのは当たり前ですよ。いわば大きな構築物はできないのですから。そうすると、その差額は補償するのですよ。そういうように極めてオープンなんです。ところが、日本は、地上権者は自分の下を掘られても全然わからない。家が傾いてから初めてわかるのですよ、しかも、おれの方じゃない、隣の炭鉱だなんという紛争が今まで随分あった。そういうところはぴしっとすべきだ。ましてや命にかかわる問題でしょう。やはり労働者には全部周知徹底をする必要がある、こういう指示をしましたよ、命令を出しましたよという。ここがやはり自主的な保安管理が抜けておるのですよ。  今、保安闘争で山をつぶそうなんという気持ちの労働者は一人もいないのですね。山を何とかして生かしたい。ですから、そういう点はオープンにして、それでお互いに保安管理をするという体制がないと、役人だけでどうやろうといったって、役人が保安総括者に言ったじゃないかと言ったって、末端の職員に通じてなければだめですよ。末端の職員が労働者に通じてなければ何にも意味をなさぬわけですからね。そういう点が基本的に今の保安管理体制が抜けておるんじゃないかという点が一つです。  これはひとつ、重要な問題ですから、大臣から御答弁願いたい。
  60. 村田敬次郎

    村田国務大臣 先ほど先生おっしゃいました保安体制についての、例えば東大教授の意見等もいろいろございまして、これは後ほどまた御質問がありましょうからお答えをしたいと思いますが、保安問題というものについて、これは、人の命は山よりも重いということでありますから、いかようにでも注意すべきことは徹底的に注意すべきであると思います。したがって、多賀谷先生の御指摘のいろいろな点、精査をいたしまして、今までの処置が誤っておる、そういった点については徹底的に改めなければならない、このような認識を持っております。
  61. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ぜひ検討事項に入れてもらいたいと思うのですね。後にまた保安体制について質問をいたしますけれども、私はこれも一つ問題点だと思います。  そこで、センサー、ガス感知器の位置の問題が大変いろいろ論議されておるわけです。時間も余りありませんから率直に言いますと、我々が現地調査をして所長から聞いたところでは大体百五十センチぐらい、目の高さということでした。ところが、保安の監督部の方で指示をしておるのは天盤から三十センチぐらいのところだということです。この南大夕張は三メートル五十くらいの深さがあるわけで、それだけ層が大きいのでありますが、そうすると当然メタンガスは上部に滞留するではないか、感知器や自動警報器は余り役に立たないではないかという意見がある。ところが労働者に聞いてみると、やはりそれが目に見えないといかぬと言う。固定したものが目に見えなければ役に立たぬ、一々脚立を持っていって見るわけにいかない、現地で聞いてみるとこういう意見があるのですよ。  そこで、これは一体どういう指導をしておるのか。三菱鉱業の方では少なくとも南大夕張に関しては百五十センチくらいの目の高さという指示をしておる、それから役所の方は天盤から三十センチくらいおりたところという指示をしておるということになると、この調整をどういうようにするのか。労働者の方は目に見えないところに置いてあっても感知できないではないかと言う。これは一つ問題点だと思いますけれども、一体どういうように考えられておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  62. 高木俊毅

    高木説明員 先生指摘のセンサーの位置の関連でございますけれども、御案内のとおり鉱山保安規則の百二十二条第二項にそういうガス自動警報器というのは「効果的に監視することができるように設置しなければならない。」と規定いたしておるわけでございまして、これが効果的に監視できるようにいたすために、私ども、運用といたしましては、可燃性ガス警報器を取りつける場所は大体原則としてはり下あるいは天盤より三十センチくらいのところということで運用をしてきておるわけでございます。これはあくまでも運用の原則でございまして、いわゆる乱気流等がある場合にはそういう効果的に測定できる場所というのは当然いろいろな場所が考えられるわけでございますので、今回の南大夕張炭鉱においてはそういうことが云々されておるわけでございますが、これらにつきましては今後捜査結果を待ちたいと思っておる次第でございます。
  63. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 捜査結果よりも、こういう事態を、何もこの事件でなくてもいいわけですが、要するに天盤までが三メートル五十ある。そうすると、目に見えるところというので一メートル五十ぐらいのところに設置しておる。役所の方は天盤あるいははりから三十センチぐらいのところに置けと言う。これは矛盾しているわけです。ですから、この事件の前に、これは一体どういうように判断するか。メタンガスは当然上に上がるのですから、一メートル五十ぐらいまでいくには、警報が鳴るには、メタンガスが相当充満するという状態になるでしょうね。充満をずっとし過ぎれば爆発が起こらないわけですけれども、〇・五ないし一・五%ぐらいのところにいけば爆発が起こる危険性が当然あるということですから、これはどういうように判断するのですか。役所は今どう考えられておるか。
  64. 高木俊毅

    高木説明員 南大夕張炭鉱の場合は、現在そういう箇所については全部捜査は行っているわけでございますけれども、それらを総合いたしまして、その指導、それから現地でどう判断しておったかということでございますが、それぞれ高い場所につけておるものもございますし、先生指摘のようなものもあるわけでございまして、一概にどれがよかったか、悪かったかということについては判断がなかなか難しいところでございまして、今後の調査にまちたいというふうに考えております。
  65. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 事件としては調査にまちたいのでしょうけれども、この問題はどういうように判断するのか。調査にまちたいということですからもうそれ以上申し上げませんが、これは問題点だと思います。  それから、地上の集中管理室のセンサーから感知する計器は一体動いたのか動かなかったのか。十五時三十五分前後から計測が不能になったということを言っておるのですけれども、不能になったというのはどういうことなんですか。その箇所だけが不能になったのですか、全部が不能になったのですか、一体どういうようになったのか。
  66. 平河喜美男

    平河政府委員 先生指摘集中管理装置の操業状況でございますけれども災害の前まではいずれもガス濃度を連続して記録していたものと理解しております。当日、災害発生したと見られる時刻にいずれも計測不能になっておりますが、その経緯は、パンクといいますか、計測結果が出る範囲に針がおさまっていないということでございます。
  67. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、不能になったというのは、結局地上の集中管理室から見ると何か大きな事態が起こったということになるわけですね。
  68. 平河喜美男

    平河政府委員 ガス濃度の急上昇によるスケールアウトによるものか、あるいは爆発その他の事故による電源遮断によってスケールアウトしたものか、今その辺を調査しておるところでございます。
  69. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 その計測不能になる以前に一番近い数字はどれくらいになっておりますか、これはまだわからないのですか。
  70. 平河喜美男

    平河政府委員 物によって差がございますけれども、特に異常な数値はあらわれておりません。
  71. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 具体的に今メタンガスのセンサーから、このセンサーは、この箇所は二カ所ですか、八片全部入れて四カ所ですか、これは地上ではどういう数値を示しておるのですか。
  72. 高木俊毅

    高木説明員 先生指摘ガス自動警報装置でございますけれども、これはいろいろな種類がございまして、当該箇所につけられておりましたものは、先生指摘の四点がいわゆる集中管理装置に持ってこられておるものでございます。そのほかにもまだいろいろなセンサー類があるわけでございますけれども、これらの数値が中央管理室でどうであったかということでございますが、現在これらにつきましては調査中でございますけれども、おおむね大体コンマの何%前後のものであったことは明瞭でございます。
  73. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 一つは、センサーとかだけではなくて、そういう天盤が高いところならば当然検定棒でガス測定をしなければならないでしょう。ましてや一メートル五十ぐらいのところに固定したセンサーがある。それ以上の、上の方は天盤に向かって検定棒で測定をするのが当然な義務ですけれども、それは余りなされていないのですか。
  74. 平河喜美男

    平河政府委員 南大夕張炭鉱におきましては、一作業時間内に六回、発破の前後二回、切り羽の点検時に二回、その他適宜二回のガス測定を行っていたと会社から聞いております。  災害前のガス測定状況につきましては、現在慎重に調査を行っているところでございます。
  75. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、八片の下層坑道の掘進箇所で発破をかけているのですね。ですから、この前後には測定をしておるはずですね。その測定がどうなっておるのか。亡くなった人が多いのですからどうも難しいのですけれども。一作業中に六回も測定するというなら、当然検定棒で天井の方を測定するはずなんですね。それが全然探知できなかったというのもまたおかしな話です。何にしてもガスが出たことは事実です。  そこで、今までの事件を見ますとガスが多いのですね。殊に北海道の重大事故というのはほとんどガスに関係する事故が多いので、それだけガス突出を防止するためにポーリング等をされるのですけれども、またガス爆発だということで、私は非常に残念に思います。その検定も十分されておったのではないかと思うのですけれども、それがこういう大きな事故を起こしたということは非常に残念に思います。そこで、これらの調査を待っていかなければなりませんけれども、今のところその後の調査の進展はないわけですか。
  76. 高木俊毅

    高木説明員 その後の調査の進展でございますけれども爆発した箇所が大体こういうところであろうという推定ができたことは非常に大きな成果でございまして、爆発影響の出方を逐次測定いたしましてそれらを総合いたしますと、先ほど政府委員からもお答え申し上げましたように、八片連れ坑道内であるということがほぼ明確になったことが大きな進展でございます。今後、これらをもとにいたしまして火源の特定等を行い、また、箇所の精査を行っているというのが現状でございます。
  77. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今までの災害の状態を見てみますと、残念ながら政策が後々になっている。今からちょっとお聞きいたしますけれども、三池の有明の災害後の坑内火災対策委員会が意見を出されておりますが、これらの主な内容はどういうものであるのか。それから、これに伴って鉱山保安法並びに規則はどういうように改正されるのか、これをお聞かせ願いたい。
  78. 平河喜美男

    平河政府委員 三池の事故の後の坑内火災対策部会の報告と、その後の私どものとっている措置等の経緯についてお答えいたします。  報告書の内容としましては、事故の教訓を踏まえまして火災発生の防止、火災の早期発見、初期消火あるいは坑内の不燃化、難燃化対策、あるいは緊急時の退避システム等について総合的な検討を加えまして、今後実施すべき必要な対策についての御指摘をいただいております。  それに基づきまして私どもいろいろ今検討しているところでございますけれども、そのために石炭鉱保安規則を改正すべき点については改正いたしたいと思いまして、ただいま作業を進めているところでございます。  また、坑道の不燃化、難燃化対策等につきましては、技術開発等各種の対策が必要でございますので、予算措置の検討も必要ではないか、来年度の予算の編成にかけてそういう検討もいたしておるところでございます。
  79. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 随分問題が指摘をされておるわけですが、この坑内火災防止対策委員会報告書もかなり詳細をきわめておるわけです。その中で火災発生の防止、火災の早期発見、初期消火、火災拡大の防止、安全な退避、これらが言うならばほとんど網羅的に問題点として指摘をされております。  有明の災害というのは極めて明白でして、残念ながら素人目にもよくわかるのです。まず、ローラーあるいはローラースタンドが腐食しておった。そしてそれがローラーと摩擦をして、そこで熱が出た。しかも、そこには粉炭あるいは落炭があったということを書いておる。それで、コンベヤーのキャリア台のローラーの角とローラースタンドとの間に異常摩擦があった。そこに粉炭といいますか、落炭が随分あった。それに着火したということです。ですから、これを見ると、部品が定期的に検査をされ交換されていたら災害は起きなかったであろう。次に、部品の取りかえがなくても落炭を法規どおり掃除しておったら事故は起こらなかったであろう。それから、掃除を怠っておったとしてもベルト当番がいたら、定時にこの測定をしておったらそういうこともなかったであろうし、集中管理システムが完備しておったら、なかったであろう。第五としては、保安管理システムにトラブルがあったとしても、水道施設が十分であれば火災は起こらなかったであろう。今度の南大夕張のときには吹き飛ばされた人々が火災を消火しておるわけですから、私は勇気があったと思います。三池のときには、水の系統が河系統があったらこういうことは起こっていなかったであろうということが言われる。それから、退避命令が早かったらこういうようにはなっていなかったであろうということが言われる。それから、例のCOマスクがもう少し整備されておったらどうか。それから坑内退避所、これがいわば退避所の役目をしていない。こういうところから、今度のこの調査報告書では少なくとも長期に籠居のできるような施設でなければならないというようなことを言っておるわけです。そういう点も十分でなかったという、指摘をするとこれは余りにも教訓の多い事件でありまして、私はこの法律、規則あるいは指示の改正をぜひお願いいたしたい、こう思うわけであります。  そこで、時間もだんだんたちますから、最後に、戦後の災害をずっと見てみますと、我々も残念だったという悔悟の念にさいなまれるわけでありますけれども、随分いろいろな事件がありました。戦後最大の三池の炭じん爆発昭和三十八年十一月九日、死亡者四百五十八名と、さらに多くの、千名近いCO患者を出したわけです。三十六年三月十六日に大辻炭鉱坑内火災があった。このときは所長以下救護隊が全く無防備で坑内へ入って、COで二次災害を誘発したということからCOマスクを携帯する、あるいは坑内にぜひ設置しなければならぬということになったのです。そのときに、中小炭鉱にその危険が多いということで大きな炭鉱は後回しということになりまして、三池は後回しになった。そこで、三池で起こったときにはCOマスクがなかったということですから、あのとき三年計画なんて言わないでなぜ早くできなかったのかというのが私は残念でたまりません。  ところが、今度の坑内火災対策委員会でも五年間に長期的にというのがあるのですよ。それは、可燃性のものを坑内から除去するという意味で金がかかるという意味もあるでしょうけれども、長期計画でというのは、私の判断からすると、こういう災害の起こったときには短期にだっとやらないと、ゆっくりやっているうちにまた同じ災害が起こる、こういうことを私どもは経験した者として非常に残念に思う。ですから、今までの役所の考え方先生方の考え方は、経営もなかなか困難だから長期にやらざるを得ない、それは短期にはできないよ、こういう頭でしょうけれども、事保安に関して言えば、やはり短期的に集中的に予算をつけて改善するところは改善するという対策をやらないと、今までのようにゆっくりした、長期計画を立ててやるのだということは、むしろまた災害を惹起するのではないかという感じが私はいたします。これはぜひ対策が決められたら早くやってもらいたいと思うわけであります。  それから、ちょっと古いのですけれども、茂尻炭鉱昭和三十年の十一月一日、六十名死亡者があった。このときはガス爆発から炭じん爆発に移って、跡ガスのCOで亡くなった。ですから、いわば罹災者は三通りあるわけです。殊にCOで亡くなった患者の場合は、私は非常に残念に思ったのは退避所です。今、三池の有明で問題になった。これは退避所がありまして、そして亡くなった方はそこに衣類を全部かけてCOの通るのを防ごうとした。そして地にはいつくばって、なるべく地上の空気を吸わないようにということで、穴を掘って口を地中につけておった。そうして、一人だけ助かった人は、五、六メートルのホースがそこへ転がっておった、そのホースをくわえておったために助かったのですよ。その間から清浄な空気が来ておった。そして、COはだあっと坑口に出ていってしまった。こういう人が一人だけ助かった。  ですから、三池の場合でもあの退避所が完備しておったらかなりの人が助かっておったのじゃないだろうかと思いますね。それを一体保安監督官はどういうように——あれは見ればわかる。新聞によると炭車を入れておったというのです。そういう管理体制を一体どういうふうに見ておったのか。そういう注意もしたということを私は聞いておりません。ですから、非常に残念に考えるわけでありますけれども、ベルトの事故というのは三池では起こりがちなんです。炭じん爆発が起こったけれども、あれはベルトのところで起こったかどうか、いろいろ問題があるのですが、ベルトを多く使う三池のような場合には大きな注意点だ。ですから、三池自身が「昭和五十八年度の保安方針」の中に「ベルトコンベヤーの機械の摩擦による火災防止対策の必要性」というのを出している。そういうことも幹部だけが知っておって、組合員が知らない、あるいは労働者が知らないというところに問題があると思うのですよ。こういうものは全部に周知徹底させるべきではないか、こういうように考えるわけです。  そこで、大臣にお聞きしたいのは、先般来保安に対して外部からいろいろ意見が出ております。東大教授で資源開発工学の外尾さんが、昨日ですか、炭鉱保安は国の責任である。それから、社会党の福岡県本部の有明対策総括委員長の蓮尾信治郎君も昨年十月十六日に朝日新聞の「論壇」に投稿しておる。「鉱山保安法の改善を望む」ということなんですね。それからやはり昨年十月十七日には、これは放送作家でありますけれども、毛利恒之さんという方が、「炭鉱事故は国にも監督責任」があるのじゃないか。そのほか真鍋毅さん、これは佐賀大学教授ですが、「十分予見できた有明鉱の火災」というような投稿や批評が出ておる。  そこで、保安だけを国家管理という意見は北海道には割合に強いのですよ。この前も、石炭に対して非常に造詣の深い、かつては佐賀大学、後には九州大学教授をされました野口雄一郎さん、この人は石炭政策については「世界」という雑誌に随分書かれた。この人も、この間雑誌では「保安国家管理でやれ」。どうも我々はなれ過ぎておるのか、保安だけを国家管理でやるというのはどういうようにやったらいいのかなということで、私もちょっとその意見には戸惑っておるのです。戸惑っておるのですが、これほど外部からは何をしているのだという意見が出ておる。ですから、大臣は一体どういうように保安管理体制をやろうとされておるのか。今までの発想を転換して、国もやるし労使も全部保安について最重点に目を向ける。事故が起こったら山はつぶれる、ほんのこの前の北炭新夕張事故が閉山につながったわけですから。そのことが八次政策に影響がある、我々はこう思っているのですよ。  そこで、大臣、どういう御所見であるか、お聞かせ願いたい。
  80. 村田敬次郎

    村田国務大臣 多賀谷委員の先ほど来の御質問、傾聴させていただきました。外尾東大教授の見解も読ませていただきました。炭鉱保安確保のために、国が直接保安確保するための体制に改めるべきではないか。確かに人命は山よりも重い。そしてまた、こういう災害に接するたびに私どもも何とも言えないいら立ちと悲しみを感じるわけでございまして、そういった気持ちからお書きになっておることはよくわかるのでございます。しかし、炭鉱経営は私企業体制で行っておるわけでございまして、これは多賀谷委員も御指摘になったとおりで、保安体制を生産体制と分離したということでおのおのが主体的な取り組みができるかどうか、その実効が上がるのかどうか、むしろ連絡調整等に関して両者でそこを来す、あるいは生産体制が無責任になるなどの弊害も出てきはしないかというようなことから、現在まで自主保安体制を継続してきたものと承知をしております。  こういった災害が続発いたしましたために、率直に申し上げて国会議員の先生からも、この際石炭の二千万トン体制というものを改めるべきではないかという深刻な御意見等も賜っておることは事実でございますが、まず保安について申し上げますと、炭鉱保安については引き続き私企業体制、自由経済体制、これに基づく自主保安体制というものを維持いたしまして、国として必要な監督指導を強化していくという現在の考え方というものはやはり継続すべきであると思っております。そして、国内炭重要性というものは、こういった災害にもかかわらず、根本的な石炭政策を変えるというところまで率直に申し上げて私はまだ決心をすることができません。これは、地域の事情、そしてまた雇用の問題、例えば夕張などでは、夕張市の炭鉱の生産というのが市の生産の五割まで占めておるのでございますから、これをもし閉山というようなことにすぐ結びつけるような短絡的なことを責任者である私が申し上げたら、これは本当に大変な大混乱が起こると思うのでございまして、二千万トン体制は前提としながら第七次石炭政策は進めていく。第八次は、これは諮問をし、それに対して答申は白紙でいただくわけでございますから、これは今後の問題としてよく検討していくということではないか、こういうふうに思っております。
  81. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣、私は本当は八次のことを聞いているのですよ。八次に対してどういう姿勢か。というのは、炭鉱はメタルマインのように天盤がかたくないのですよ。ですから、一回操業を中止すると永久にその鉱区は振れない。それから、人間、すなわち技術者もいなくなれば、労働者もいなくなるのですよ。ですから、かなり鉱区を持っている、もと炭鉱を経営しておった会社がありますよ。しかし、景気は少しいいからといって、炭鉱を再開する気持ちはさらさらない。それは、技術者がいない、労働者は集まらない、こういう性格のものですよ。今までおった経験のある人は続けていきたいと言うけれども、じゃ、新しい労働者が入ってくるかというと、入ってこない。今、ILO条約の中に、十八歳未満は坑内に入れないというのがあります。ところが、これを反対したのはイギリスの労働組合です。小さいときから入れておかないで、十八歳になって物心がついて、どうして坑内へ入るか。炭鉱というものはそういう劣悪な条件にある。  ですから、じゃ日本の石炭はやめようというなら、永久にやめなければならない。それはもう再開はできない、不能ですよ。そういう性格のものであるということと同時に、二千万トンなら二千万トンを持っておくことが、今後炭価の折衝とかエネルギーの折衝にどれだけ役に立つか、これは大変大きい問題ですよ。今、極めて近視眼的に見るべきでない、長期的に見るべきだということを私は考えておるわけです。  最後に、八次について大臣はどう考えておるか。もう七次も終わろうとするのに、七次について御意見を言われても困るので、八次について大臣はどういう気持ちであるか。白紙ではなくて、二千万トン体制というのは、二千万トンぎりぎり出せという意味じゃないのですよ。そういう体制でいくのだということでありましてね。最後に、大臣から決意を承りたいと思います。
  82. 村田敬次郎

    村田国務大臣 多賀谷先生の御高見、よく承りました。事実、日本炭鉱はついに千メーターの深さまで行って掘っております。これは労働条件としては本当にお気の毒な条件でありまして、露天掘りなどをするオーストラリアだとかカナダだとか、そういうところと炭価その他の面で匹敵し得ないのは当然のことであります。したがって、炭価はますます値差が開いてくるわけでございまして、そういったことのために、ユーザiにも理解をいただき、そしてまた生産者にも大変な苦痛を忍びながらやっていただいておる、こういう条件がまずあるわけであります。  しかし、第八次の、これから対応いたします問題といたしましては、やはり国内炭を残さなければならない。これはエネルギー供給の安定性ということから、今多賀谷委員が御指摘になったように、一度廃止をすればもう二度と掘ることはできません。したがって、国内炭というものは残さなければならない。ただ、二千万トン体制のままでいいかどうか、ここにはやはり非常に大きな問題点があろうかとも思います。現にもう千七百万トンを切っておるわけでありまして、そういった具体的な問題については今後のいろいろな検討にゆだねながら、国内炭を依然として日本エネルギー全体の事情、また地域の雇用や地域の将来のためと、そういったいろいろな観点から国内炭自体を残すべきであるという観点に立って検討してまいりたい、こう思っております。
  83. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 終わります。ありがとうございました。
  84. 小川省吾

  85. 斎藤実

    斎藤(実)委員 まず最初に、通産大臣にお尋ねをいたします。  三菱石炭鉱南大夕張礦業所で十七日に起きました坑内事故では、死者六十二名という大惨事でございまして、大変痛ましい、断腸の思いをいたしておるわけでございますが、犠牲者の方々に対しましては心からお悔やみを申し上げたいと思うわけでございます。私も現地へ参りまして、いろいろお伺いをしておきたいことが何点かございますが、今回の事故は、昨年一月に三井三池有明鉱の坑内火災事故、さらには四月二十四日の三菱高島礦業所でのガス爆発事故、一年半の間に三件も大きな事故が起きているわけでございます。しかも百人を超える人命が失われておるわけでございまして、こういうふうに炭鉱事故が続発するということは、石炭政策を監督指導する政府の怠慢と言っても過言ではないと私は思うのですが、政府が今までのような発想を変えない限り、また石炭と引きかえに多数の人命が消え続けるという指摘をする人もたくさんおるわけであります。通産大臣が最高責任者でございますので、現地においでになった大臣の、この炭鉱事故についての率直な感想をまずお伺いしたいと思う。
  86. 村田敬次郎

    村田国務大臣 斎藤委員にお答え申し上げます。  五月十七日、国会審議、法案審議をしておりますときに、どうも南大夕張災害があったらしいという第一報が入りました。それから私は、国会審議を終えて直ちに通産省に参りまして、その後の情報から、当時はまだお亡くなりになった方の数がはるかに少なかったのでございますが、これは自分で行ってお見舞いを申し上げ、調査をすべきであるという判断を直ちにいたしまして、それで五月十八日の早朝の飛行機を手配して参ったわけでございます。  夕張の町は非常に憂色に閉ざされておりましたし、そしてまたその段階ではお亡くなりになられた方々の数字がだんだんとふえていくという段階でありまして、非常に痛ましい限りのことでございました。したがって、お亡くなりになられた方に御冥福を心からお祈り申し上げますと同時に、高島炭鉱に引き続いて南大夕張のこういった事故が起こった、これは非常に深刻に受けとめるべきことでございますし、何とかひとつ御遺族方々に対するいろいろな措置に万全を期さなければならない。それからまた、こういう災害が起こったことについて重大な過失がありはしなかったかということで、三菱石炭鉱業の社長あるいは現地の責任者、そしてさらに労働組合の代表の方々の御意見も聞き、もちろん当局の御意見も聞きまして、そして当日は御冥福をおささげしながら帰ってまいりました。  その日のうちに、出発のとき総理、官房長官にも御連絡をとってお願いをしておきましたので、災害対策本部が私を本部長として発足をし、私はまた調査団長として出向いたということになっておったわけでございます。帰りましてから直ちに関係各省の人々に集まっていただきまして、通産省災害対策本部としての第一回の会合をいたしました。そして、事故調査委員会も十八日のうちに学識経験者中心として編成をしたわけでございます。  そうしたことに基づいて今事故調査が行われておりますし、果たして重大な過失があったかなかったかということについても徹底的に調べをしていただいておるわけでございます。こういった保安上の問題、これは御承知のように鉱業権者に第一次的な責任はございまして、私どもは監督責任ということでございますが、いずれにしてもこういった災害を限りなくゼロに近づけていくという願いを込めて今後のことに万全を期したい、こういう気持ちでいっぱいでございます。
  87. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣、この石炭産業が今日くらい非常に内外ともに厳しい条件下に置かれているときはないと私は思うのですね。相次ぐ災害、しかも国内炭と輸入炭との炭価の格差、しかも深部化しておって、非常に保安の問題も出てきておるわけでございまして、こういったことが続きますと作業員の士気にも影響するだろう。大臣石炭産業については大変厳しい御答弁をされておりますが、今、年産二千万トン体制ということで基本方針を掲げておるわけでございますが、輸入炭との差は開く一方なんですね。では実際の出炭量はというと一千六百八十三万トンというふうに、今一千七百万トンを割ってしまいました。  今回の事故をきっかけに、六十二年度からスタートする第八次政策では目標出炭量の大幅修正を含めた石炭政策の抜本的見直しが行われるのではないかという論議が各方面にされておるわけですね。電力ですとかあるいは鉄鋼などの需要業界からは、国内炭と輸入炭との格差が非常に開いてくるので、高い国内炭を買わされているということに対して厳しい目で見ているだろう。もうこうなれば国内炭は要らぬじゃないかという論議も出てきておるわけでございますが、こういう石炭産業をめぐる状況の中で、今後の基本的な方針、計画などについてどういう所見を持っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  88. 村田敬次郎

    村田国務大臣 日本ぐらいエネルギー事情が非常に厳しい国は、本当に経済先進国の中でもないと言っていいと思います。原油等については九九%外国からの輸入でありますし、石炭についても採掘条件が極めて悪いわけですね。こういった職場でお働きになる方も大変な苦しみを日々味わってやっていらっしゃるわけでありますが、本来、こういうものは露天掘りでやっていけば危険性などは極めて少ないと思います。しかし、五百メーター、千メーターの深さになってまいりますと、ガスがたまったりいろいろ条件が悪化するわけでありまして、そういったところで石炭を採掘して国全体のそういったエネルギー事情に対応していただく、その意味では、私は国内炭を採取するということは大変大切な大切な産業であると思います。  したがって、大臣に就任いたしまして、昨年の秋であったかと思いますが、石炭業界の首脳の方々にお集まりをいただいて今後の対策を相談をしたところでありますが、二千万トン体制を現在とっておって、実際には千七百万トンを切っております。御指摘のように間もなく第八次の諮問を行い、そうして答申をいただくという段取りになるわけでありますが、これは多賀谷委員にも先ほどお答え申し上げましたように、国内炭自身を現在それではもう思い切り激減していいとか、なくていいとかというような乱暴な議論をとることは、私は許されないと思います。やはり貴重な国内エネルギー資源を大事にする、そうしてまた地域実態地域方々石炭産業に対する期待というものも考えていかなければなりません。したがって、今御指摘になったような電力業界であるとか鉄鋼業界とかのユーザーの側にも格段の御理解を求めつつ、今後も国内炭に対する一定のシェア確保ということは私は必要であろうと思います。ただ、実際には外国炭の輸入はまだまだふえてまいるでございましょうし、全般としての国内炭の比重は少なくなっていく方向になるかもしれない。これは第八次の答申を待ってよく考えるべきことであろうかと思っております。
  89. 斎藤実

    斎藤(実)委員 事故が今回起きまして、その後道警と監督局によりまして合同の現場検証が行われたわけでございます。報道によると、これまで予想されなかったガスの湧出事態であるとも報ぜられているわけでございますが、通産省事故調査委員会の入坑調査原因調査の進行状況、現在までどういうことがわかってきたのか、今後の調査のポイントはどの辺まで絞られてきたのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
  90. 平河喜美男

    平河政府委員 南大夕張炭鉱災害につきまして、現地札幌鉱山保安監督局及び北海道警察合同で捜査を行っているところでございますが、これとあわせて五月二十一日から二十三日にわたって、政府学識経験者から成る事故調査委員会現場を見ております。その現在までの成果について、簡単に御報告いたしたいと思います。  とりあえずの事故調査委員会のまとめといたしまして、まずガス源につきましては、現在のところ特定はできないけれどもガス爆発であるということを言っております。それから、ガス突出の形跡は現在のところ確認されていないということを言っております。なお、着火源につきましては、まだ特定できておりませんけれども、電気工作物の故障あるいは静電気、金属摩擦火花、この三つを重点的に今後検討する必要があろうということを指摘しております。爆心地につきましては、坑内状況や爆風の方向等から推察いたしますと、八片部内と考えられております。特に八片連れ坑道に注目されているところでございます。  今後の調査のポイントでございますけれども、現在までの調査結果あるいは今後の調査データ等を踏まえまして、ガス源として考えられております密閉箇所あるいはガス抜きボーリング座、払い跡片等の調査、それから着火源といたしましての電気工作物、静電気、金属摩擦火花等の調査に重点が置かれることになろうかと思っております。  今後の調査の目途につきましては、まだガス源着火源の絞り込みができていない状況でございますので、明確にいつまでということはお答えできませんけれども、なるべく早く原因究明を図ってまいりたい、かように考えております。
  91. 斎藤実

    斎藤(実)委員 南大夕張礦業所ガス集中監視システムが非常に完璧であったというふうに我々は聞いておるわけでございますが、この集中監視システムの機能が発揮されていなかったのではないか、あるいは機械監視そのものに不備があったのではないかというふうに指摘されておるわけでございますが、この災害発生間近に保安検査の状況は具体的にどういうふうに指摘をされ、また監査をされたのか。また、その点検に対して指示、指導、教育はどのように指摘をされたのか、伺いたい。
  92. 平河喜美男

    平河政府委員 南大夕張炭鉱におきましては、他の炭鉱に先駆けまして、生産関係の計測装置のみならず、微小破壊音の検出装置あるいは可燃性ガス等の保安計測を集中監視いたしまして、各種の情報解析及び制御を行うシステムを採用してきておるのは先生指摘のとおりでございます。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕 これらの各種計測装置が今度の災害時に有効に機能したかどうかという点につきましては、現在各種センサーの作動状況等を含めまして鋭意調査中でございます。  なお、点検状況でございますけれども、当炭鉱のAEを含めた各種の保安計測データの管理は、中央管制室におきまして集中監視及び解析を行っております。中央管制室におきましては技術系職員が二名配属されておりまして、情報を管理し、機器のメンテナンスにつきましては、坑内部分と坑外部分、おのおの担当の電気の保安係員等が実施しておるところでございます。  さらに、鉱務監督官の巡回検査等におきましては、ただいま申し上げましたような集中監視施設による各種の保安計測データ等につきまして、規定値を超えているか超えていないか、管理が十分行われているかどうか等についてチェックを行っているところでございます。
  93. 斎藤実

    斎藤(実)委員 鉱山保安法の第三十八条では、鉱山労働者の義務といたしまして、鉱山における違反の事実等について鉱山保安監督局長等へ申告することができる、こうなっておるわけでございますが、しかしながら、新聞等の報道によりますと、坑内員の証言といたしまして、通常、ガスの濃度が一・五%以内であれば通常の作業が可能である。 一・五%にダイヤルを合わせますと、一・五%以上ガス濃度が上回った場合にはブザーが鳴る仕掛けになっておるわけですね。事故発生一カ月前から一卸の六片、八片坑道ガス量が二%に達していたにもかかわらず掘進採炭作業を行っていたというふうに報道されているわけでございまして、なお事故発生一カ月前から毎日山鳴りがひどかったという証言も報道されておるわけでございますが、これが事実としますと、この保安法の三十八条に基づく申告がされていなかったというふうに考えられるのですが、この辺の事実関係はどうでしょうか。
  94. 平河喜美男

    平河政府委員 当該炭鉱におきましては、三十八条による申告はなされておりません。
  95. 斎藤実

    斎藤(実)委員 こういった事態には、やはり事前に何らかの形で会社なりあるいは監督局との密接な連携というものが必要ではないかと私は思うのですね。それがないと大きな事故につながるのではないか、こう思うわけでありまして、また、監督局としてもその辺ひとつ十分配慮をしていただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、札幌鉱山保安監督局から月一回各山に鉱務監督官が行っておるわけでございますが、このときに、この保安点検日を前もって会社に告示をしておるわけですね、いついつ行きますよと。それでどういう対応をするかといいますと、各鉱業所では、極端な話ですが、その日だけ、監督官が入坑するということで水をまいたりあるいは岩粉をまいて坑道をきちっと整備しておく、ガス警報器などの作動もちゃんと動くように整備する、それで監督官が帰ると平時の保安体制に戻る、こういう表現を私も聞いておるわけでございますが、この点検日、監督官が来るときだけ坑内の整備をするというのではなくて、やはり随時平時から抜き打ち的な保安点検というものが必要だろうと私は思うのですが、この点いかがですか。
  96. 平河喜美男

    平河政府委員 先生指摘のとおり、炭鉱におきまして常時保安について十分な対策を立てておくというのは当然でございます。私どもの方の巡回検査につきましては、立入検査の場合は抜き打ち検査を原則としております。ただ、炭鉱に入ります場合、人車に乗って入るとかいろいろな事情がございますので、行きましても人車がないというようなことでも困りますので、迅速な入坑を可能とするために検査直前に人車その他の手配等を連絡しております。しかしながら、その際でありましても、検査箇所等については事前に通告をしないということにしております。  なお、年にほぼ一度ぐらい実施しております総合検査につきましては、全体的な検査効果を上げるために多くの資料をあらかじめ準備させる必要がございますので、これについては多少前広に通告をしております。
  97. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次に、国の石炭勘定でございますが、これは六十年度で一千二百六十億円でありますが、このうち四分の三は閉山した旧産炭地の鉱害復旧だとかあるいは地域振興対策等に使われているわけでございます。現存の石炭鉱業安定のための対策費は三百八十七億円でございまして、しかも、保安確保対策に回るのはわずか一割にも満たない九十八億円、こういう現状にあるわけでございます。これでは疲労し切った炭鉱が辛うじて生き残っているだけで、保安確保も含めて国内炭鉱の窮状打開にはほど遠い現状にあると私は思うわけでございます。私は、金の使い方を再検討していま一度業界の体力強化に取り組むべきではないかと思うのですが、今後の方針についてお伺いをいたします。
  98. 平河喜美男

    平河政府委員 先生指摘のとおり、石炭の保安確保のための予算は六十年度につきまして九十八億円でございます。最近の厳しい財源状況にもかかわらず、前年度に比べまして技術開発については一六・二%増、保安補助金につきましても二・八%増という予算を確保しているところでございます。  先生指摘のように保安についてもっと大幅に予算をふやしたらどうか、私どもにとっては非常に心強いお話でございます。今後とも補助金の適正なる利用あるいは確保等について努力してまいりたい、かように考えております。
  99. 斎藤実

    斎藤(実)委員 今回のような事故に遭いまして亡くなった方に対して、組合との間で労災保険のほかに会社独自の弔慰金を上積みする協定を結んでいるということでございますが、ぜひひとつ補償の万全を期していただきたいと思うわけでございます。政府におきましても罹災者並びに残された道家族の人々に対する対策に万全を期していただきたい、罹災者援護対策に十分努力をしていただきたいと思うわけでございます。また、被災者に対する弔慰金、生活資金あるいは遺族の就職、住宅確保及び学生の奨学資金の援護とか、あるいは医療対策の特別設置を考えるべきだと私は思うのですが、具体的な方策を伺いたいと思います。
  100. 佐藤正人

    ○佐藤説明員 労働省の方からお答えしたいと思います。  まず、労災補償関係でございますけれども事故がございましてから早速私ども現地指導を行いまして、事業主に対しましては請求書の提出指導を行いました。さらに呉当面必要とされます資金の確保を図ったというような状況でございます。  なお、先ほどお話がございました上積み補償の問題でございますけれども、これは本来的には労使間の問題でございますが、私ども行政といたしましても積極的な指導をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、私どもの方の制度の中で就学援護費制度というものもございますので、学童等に対する援助等も行ってまいりたい、このように考えております。
  101. 斎藤実

    斎藤(実)委員 今回の三菱南大夕張と北炭真谷地の二つの炭鉱を抱えております夕張市は、人口の二九・四%がこの二つの炭鉱に直接に関係しているわけでございまして、関連産業を含めますと四〇%が石炭産業に依存をしているわけです。市の財政上の直接的な影響は、三菱南大夕張礦業所の鉱産税が出炭ストップで一日に約七十万円ずつ不足を来しております。同礦業所の出炭再開時期によっては、大幅な税収の減少ということも予想されます。地方税収入の七七%を炭鉱から得ている夕張市の影響、これは私どもは重大な地域問題として心配をしているわけでございますが、大臣、一体この市の財政に対する対応をどうされるのか、伺いたいと思います。
  102. 村田敬次郎

    村田国務大臣 炭鉱災害によって考えられます地元への影響は、今委員も御指摘になりましたが、操業の停止に伴う鉱産税の減収、下請企業への影響等々いろいろございますが、今次災害におきましては現段階ではまだその実態を把握できる状況ではございません。今、調査が進んでおるところでございます。今後事態の推移を見守りながら、必要に応じ地元北海道及び夕張市とも連携を密にして、また政府の関係各省ともよく御相談をいたしまして、地元に著しい影響が生じないようにきめの細かい配慮をしてまいる所存でございます。
  103. 斎藤実

    斎藤(実)委員 三菱石炭鉱業ですが、先般の長崎の高島礦での事故に引き続いて今回の大惨事を起こしたわけです。これだけの大惨事を起こしますと、三菱石炭鉱業の経営は大変ピンチになると思うのです。今後遺族への補償ですとか、あるいは山の再開までの出炭減だとか、あるいは新たな保安対策等で収支が悪化することは目に見えているわけです。さらに、同社は累積欠損が九十億円もあるということでしょう。これから採炭停止が長引くと経営に深刻な打撃を与えることは明白でございますが、このままこうしておいていいのかどうか、通産省政府融資や補助金等によって経営支援対策検討すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  104. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 今次災害企業経営に及ぼす影響につきましては、災害の程度が不分明な現在、具体的には把握できない状況にございますけれども先生指摘のように三菱石炭鉱業の経営基盤の脆弱な中にありまして、大きな痛手であることは事実でございます。政府といたしましては、企業の具体的な対応を待ちまして、必要に応じて予算制度上所要の支援を講じてまいる所存でございます。
  105. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣も御指摘になりましたように、日本石炭産業はだんだん深部化奥部化になってきているわけです。深部化に伴いまして、当然保安技術研究とか、保安状況を完璧にすることが大変重要になってくるわけです。それで、保安技術研究機関状況は一体どうなっているのか、もし足りなければ今後各研究機関が一体となって国立深部保安技術センターのようなものを強力に設立してこの保安技術の完璧を期すことも大事ではないかと私は思うのですが、大臣の御所見を伺いたいと思うのです。
  106. 村田敬次郎

    村田国務大臣 詳細な点につきましては、事務当局でまたお答え申し上げます。  実はこうした災害の続発について非常に深刻な衝撃を受けておりまして、稼働延べ百万人当たりの災害率とかいろいろな角度で調べてみますと、現実には災害は相当減っておるという数字は裏づけられるのでございます。昭和二十五年は百万人当たり千三百九十七人であった、昭和四十五年は八百十七人であった、五十九年は九十三人であったという、相当災害を防除することに努力が集積をされておることはわかるわけでございますが、斎藤委員が御指摘になったような保安についての新しい研究、新しい角度からの対応ということは極めて大事なことでございますから、後ほど事務当局からお答え申し上げますが、そういったことについて私どもも最大限の努力をいたします。
  107. 平河喜美男

    平河政府委員 補足して説明させていただきます。  まず試験研究につきまして、一般的な基礎研究をやっているところといたしましては、私どもの方に国立の研究所として公害資源研究所というのがございます。それから石炭一般につきまして、例えば坑内火災状況に関する試験研究等につきましては、石炭技術研究所中心になって行っております。また、一番難しい深部化奥部化に伴うような研究開発等につきましては、もちろん今申し上げましたような公害資源研究所なり石炭技術研究所でもやっておりますけれども、個別炭鉱によってかなり事情が違うという面もありますので、個別炭鉱現地において研究の協力をしていただいている、こういう状況でございます。
  108. 斎藤実

    斎藤(実)委員 深部採炭炭鉱災害率が高いというわけじゃありませんけれども、問題は、一度発生すると大災害につながるということなんですね。これは大問題でございます。したがいまして、これから日本炭鉱深部採炭ということでいくだろうと思うわけでございますが、政府も二度とこういう災害を起こさないように十分保安技術の拡充なり、あるいは指導監督をやるというふうに再三事故の後に答弁されるわけですが、二度とこういう災害が起きてはならないと思うわけでございまして、我が国の石炭状況深部ということで極めて厳しい採炭を余儀なくされているわけでございますので、保安対策あるいは技術指導については十分配慮をされて、万全の対策をひとつ講ぜられることを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  109. 山崎平八郎

    ○山崎(平)委員長代理 小渕正義君。
  110. 小渕正義

    小渕(正)委員 質問がほとんど同じような焦点でございますので、少し念のためにということでお尋ねいたしますが、先ほどからも南大夕張災害原因ガス爆発であるという点については大体断定されたように思います。この四月の三菱高島礦の場合にもガス爆発ということが新聞で報道されておりましたが、立地公害局としては、監督官庁である見解としてやはりこの高島についても南大夕張についてもガス爆発であるということについては間違いない、こういう見方であるかどうか、念のためにもう一度お尋ねいたします。
  111. 平河喜美男

    平河政府委員 御指摘のとおり、ガス爆発であるというふうに考えております。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
  112. 小渕正義

    小渕(正)委員 そうしますと、問題は、ガス爆発であるということははっきりするとするならば、なぜガス爆発が起きたのかということになるわけですが、高島の場合には、約二十日間から一カ月近くですか、使ってなかった坑道に入った途端に発生したことになっているわけですから、事前の検知が行われなかったのではないかということはもう我々素人でも推定できるわけでありますが、なぜこういうふうなガス爆発が起こるのか。  南夕張の場合には非常に近代的ないろいろな集中管理制御装置等があって、中央で統制できるようになっているわけでありますが、そういう点からいきますならば、南夕張の場合にはそういう設備されておる近代的な機能、そういう機器類が機能をしなかった、こういうふうにも考えざるを得ないわけでありますが、その点はどのようにお考えをお持ちですか。
  113. 平河喜美男

    平河政府委員 ガス検知等につきましての集中管理装置を備えているのは先生指摘のとおりでございますが、この装置がどういうふうに稼働したかについては、今詳細を検討中でございますけれども、今までわかっている範囲におきましては、爆発とほぼ同時刻にこれが機能を停止しているということでございます。事前には兆候が出ていなかったということでございます。
  114. 小渕正義

    小渕(正)委員 事前の感知機能が実際に機能してなかったというふうに考えられるわけですが、要するに爆発と同時にそういう機能がとまったのか、それとも何らかの事情によってそういう機能がもう実際に正常に作動してなかったのか、この点についての疑問がまだ残るところですけれども、その点についての見解をお聞かせいただきたい。
  115. 平河喜美男

    平河政府委員 爆発前の時点ではちゃんと記録をしております。
  116. 小渕正義

    小渕(正)委員 それから、集中管理システムでこういう近代的な機器類を設置して、検知その他いろいろな機能を持っているわけでありますが、こういう設備をした場合には、平常というと悪いのですが、通常のほかの炭鉱と比べますと、やはりガス検知員という仕事を持っている人たちがかなり減員されておるのじゃないか、これは当然のことだと思いますが、そういう点からいってどうなんですか。今回のガス爆発ということは、なぜそれが検知できなかったかということになるわけですから、そうなりますと、南夕張の場合には機械にある程度頼って、そういう人による検知ということは平常行われておるのかどうか、その点いかがですか。
  117. 平河喜美男

    平河政府委員 現場現場におきますがス検知等については、通常のペースで当然行っております。
  118. 小渕正義

    小渕(正)委員 先ほどの質問の中にもちょっと触れておりましたが、これは週刊文春の、先週出された三菱南大夕張事故の記事なんですね。皆さん、お読みになったでしょう、なってないですか。この中で非常に大事な問題が語られているのです。  これはカメラマンの戸田れい子さんという人のお話によるということで、   夕張にいる保安監督官は、仕事がルーズだといわれて評判悪いんですよ。監督官が調査に入るときは、事前に会社側に知らされていて、大通り(メインの坑道)はきれいに掃除して片付けてある。路地の方は入れないように立入禁止の札がかけられている。当然監督官も大通りを見るだけで、調査は一日で終わってしまう。坑夫の話だと、地底は相当熱いらしいんです。温度が四十度で湿度一〇〇%。安全靴はグチョグチョになる。そんな最先端のところまで、監督官が入るわけないですよ。それにガスがすごく出る。そんなところで掘るんですから、事故がおこらない方がおかしいですよ。こういうふうな記事が載っておるのですね。これをお読みになりましたか。
  119. 高木俊毅

    高木説明員 お答え申し上げますけれども、非常にセンセーショナルなお書き方をされておるようでございますが、私どもとしては非常に遺憾でございます。
  120. 小渕正義

    小渕(正)委員 あなたたちから見ればまことに遺憾千万の記事だと思うのですが、ただ、これが必ずしもすべて虚構の記事でもないのじゃないかという気が私はするのです。そういう意味で、この真偽のほどは別として、やはりある面から見るとこういうふうに見られるような監督行政のあり方があったのじゃないかという気がしてならないわけです。しかし、これは水かけ論ですから申し上げませんが、遺憾に思われるならば思うなりに、こういう無責任な記事についてはやはり何らかしかるべき形できちっとなさらないことには、ただ遺憾だと思ってあと聞きっ放しということで済まされるかどうか、その点はどのようなお考えですか。
  121. 高木俊毅

    高木説明員 内容を詳細に検討させていただきたいと思いますけれども、例えば一例として、先生指摘の温度が非常に高い、四十度を超すというような話が出ておるようでございますが、石炭鉱保安規則では三十七度以下にしなければならないというふうに決めておるわけでございまして、こういう温度等については、現場において鉱山労働者の方々が非常に敏感なものでございますので、その点についてはかなり守られていることは事実でございます。そういう点から、今の記事内容については、私どもとしては、今の段階で、先生のお読みになったところで感ずる限りにおいては非常に遺憾であるし、今後内容の詳細な検討に入らせていただきたいと思っております。     〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕
  122. 小渕正義

    小渕(正)委員 これは一般の国民の皆さん方、実情を知らない方にとりまして非常に誤解を招くことですから、こういう事故発生した直後に週刊誌等でこういう記事が出るということについては、やはり行政のあり方まで問われるようなことになりかねませんから、私もまさかこんなことはないとは思いますけれども、そういう意味では、災害が起こると結果的にはすべて万全じゃなかったわけですから、あらゆるものがいろいろな別の角度から言われますが、この点は、余りにも不用意なというか、不謹慎な内容であれば、それなりのきちっとした対処をする必要があるのではないかということを申し上げておきます。  それから次に、今回の南大夕張のような集中管理システムのああいう設備を導入されているいろやられている炭鉱は、ほかにもいろいろな山はありますが、大体全部なのか、何カ所なのか、そこらあたりいかがですか。
  123. 平河喜美男

    平河政府委員 山の状況におきまして細部については異なるかと思いますけれども、一応集中管理システム的なものを各炭鉱とも用意していると思います。
  124. 小渕正義

    小渕(正)委員 機械に頼ると言ったらなんですが、そういう近代的な先端技術を導入されたこういうシステムですから、それに依存されることはそれなりに理解はいたしますが、やはりそれぞれの坑内の置かれている状況は違うわけです。そういう意味では、このシステムが平常の場合において見るとすばらしい、完全なものだと思われるかもしれませんが、やはりそれぞれの現場の中で実態と合わせた場合にどうなのかという点では、もっともっときちっといろいろなところで何か試験研究的なことをやられないと、ただそういう機能を持つような装置を設備したからということでは、こういうものを導入しながらも過去いろいろな災害発生していることを考えますならば、この点については行政の方でどこかがきちっとこの問題を中心にして、あらゆる条件の中でどのようにセンサーが働くのか、どのような形になるのか、あらゆる条件を想定しながら、これらの機能の向上のためにももう一度徹底的にやられる必要があるのじゃないかと思うのです。その点について、やるとするならばこれはどこでやることになりますか、その点はいかがですか。
  125. 平河喜美男

    平河政府委員 装置に頼るばかりでなくて、常に人間がこれを注意して有効に使わなくちゃいかぬという先生の御指摘はそのとおりでございます。我々もふだんからそのような感じで各保安監督局が個別の炭鉱指導しているつもりでございます。
  126. 小渕正義

    小渕(正)委員 この装置はどこか一社が開発されたものなんですか。それとも、各メーカーそれぞれいろいろやりながら、お互いが研究し合って、いろいろな条件の中でいろいろな型式があるのかどうか。その点はどのような状況ですか。
  127. 平河喜美男

    平河政府委員 個別の機械、装置等につきましては数社ございます。
  128. 小渕正義

    小渕(正)委員 先ほど申し上げましたが、どこか数社、個々のそれぞれのメーカーで研究されておるかもしれませんが、それと現場のそれぞれ採用されたところと一体となっていろいろやられていると思いますが、どこか一つのところにまとめられた中で、鉱山保安センターですか何か、場所は別として、行政がこの問題についてもう少し徹底的に突っ込んでいって、本腰になって、この問題でそういう業界の人たちもそれぞれの持つニーズを全部出し合って、もっともっといろいろな条件の中で完全なものにしていくような体制をとらないことにはいかぬのじゃないかという気がするのですが、その点いかがですか。
  129. 平河喜美男

    平河政府委員 先生指摘のとおりでございますので、私ども石炭技術研究所中心にいろいろな方の意見も持ち寄って研究しているところでございますけれども、今後ともなお一層充実してまいりたいと思っております。
  130. 小渕正義

    小渕(正)委員 ぜひひとつ、このような事故が再度発生しないためにも、これは早急に取り組んでいただかなければならぬ問題じゃないか、かように思いますので、ひとつよろしく善処方をお願いしたいと思います。  それから、これは佐伯さんという方が、ある新聞の今回の事故に対するそれぞれのお立場の人たちの座談会の中で言われている中に、ガス爆発防止に打つ手はあるのだということを言われているのです。この佐伯さんという方は何か石炭協会の副会長だそうですが、だから、ガス爆発防止に対する打つ手はあると言うにがかわらずこういうことが起こっているということに対して、どうもまだ我々素人から見ると合点がいかぬわけでありますので、そういう点からいきまして、このような言葉をそのまま受けとめると、やはり監督の立場にある行政の突っ込みがまだ足らないのじゃないかという気が私はするのですが、そういう点で、今までの保安行政といいますか、監督行政といいますか、そういうもののあり方が問われるのじゃないかという気がしてならないわけです。そういう意味で、この問題に対する御見解がありましたらお聞きいたします。
  131. 平河喜美男

    平河政府委員 ガス爆発事故炭鉱において多いことは事実でございますから、これに対する対策を立てるのが必要であるということは我々もふだんから痛感している次第でございます。ただいまお話しございましたように、対策につきましてはいろいろな先生方の意見も聞きながら、私どもも経験を踏まえながら万全の対策を考えていきたいと思っております。
  132. 小渕正義

    小渕(正)委員 時間がないので次に移りますが、先ほどの斎藤委員質問の中でも触れられておりましたが、今回のこういった事故、例えば高島礦の事故発生に伴って高島自治体の方からも私たち調査団はいろいろ要望を受けました。御承知のように高島の場合は山がなくなれば可もなくなるような運命共同体的なところですから、そういう意味で、災害発生したために地方財政にいろいろな影響を与える、そういうものについて何とかひとつ御考慮いただきたい、こういう強い要望が当局から出されておりました。  それから、先ほども今回の大夕張事故につきましていろいろ、母子家庭その他子供さんの就学の問題、そういうものがこれからの自治体としての非常に頭を痛める大きな問題だというようなことも言われておったわけでありますが、それぞれの特殊なそういう地域ですから、そういう意味で、そういう自治体のいろいろな要望に沿ってどのような解決策があるのか、その点について、これはやはり前向きにその気になってやるかやらないかによってかなり変わってくると思いますので、そこらあたりに対する大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  133. 村田敬次郎

    村田国務大臣 非常に重要な御指摘だと思います。高島の場合は炭鉱の島、そしてまた南大夕張の場合は炭鉱の市というくらいに炭鉱に依存をしている市民生活、島民生活があるわけでございまして、これは先ほどからもいろいろ申し上げましたが、いろいろな意味で市や町の減収もあろうかと思いますし、そういった点は例えば自治省の課題であるとか、それから御遺族方々に対するいろいろなお手当てと申しますか、措置については、労働省その他いろいろ関係各省があろうかと思います。こういった点は災害対策本部でもかねてから非常に考えておるところでございまして、今小渕委員の御指摘の点はまことにごもっともだと思いますから、適切に対応いたしてまいりたいと存じます。
  134. 小渕正義

    小渕(正)委員 その点、よろしく善処方をお願い申し上げます。  それから、これも先ほど触れられておりましたが、今回の南大夕張事故によりまして三菱石炭の会社ですか、経営的に非常に不安定になるのじゃないかというようなことで、経営支援策等について何らか考えがあるかというような意味の御質問が出ておりました。特に三菱石炭ですか、この会社高島と大夕張と二鉱で成り立っているわけですが、どちらかというと高島が非常に苦しいといいますか、採炭条件その他いろいろ特殊な状況に置かれて非常に苦しい中で経営をされて、その分のマイナス面を三菱大夕張の方でカバーして何とか会社全体としての採算が確保されてきたというふうに聞いておるわけであります。そういう点からいきますならば、今回のこういった事故によりましてかなり経営基盤が不安定になるのじゃないかという気がいたします。  そういう中で、特にこれは日ごろから安定補給金の配分の問題で私が質問した場合にも言われておったのですが、高島は、ほかの炭鉱と違って海底の非常に深部、しかも地熱が高いとか塩分が多いとか、ともかくいろいろ特殊な条件がございます。そういう意味で、安定補給金についてももっと考えるべきではないかという質問をした際に、これは全体的に三菱大夕張との兼ね合いの中で配分を考えているようなことが言われておりました。したがって、高島でたとえそう面倒を見なくても三菱大夕張の方で何とかできるからというような形だったと思いますが、今回こういうようなことになりますと、やはりもう一度そこらあたりも含めてこれは全面的に見直さざるを得ないようになるのじゃないかと思います。また、そうしないことにはいかぬのじゃないかと私は思うのですが、この点はいかがでしょうか。ひとつもう一度見直して、こういう問題を含めてやっていただけることにならないことには、今のようなことではどうにもならなくなるのではないかという気がするわけでありますが、その点に対する見解をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 高橋達直

    高橋(達)政府委員 先生指摘のとおり、今回の事故あるいは前の高島事故によりまして、三菱石炭鉱業株式会社がかなり痛手を受けるのではないかということは私どもも予想しているわけでございまして、被害の額あるいはその対応策が順次判明する時点で企業の具体的な対応を待ちまして、私どもとしても所要の支援策を講じていく所存でございます。  御指摘の安定補給金につきましては、これも先生からお話がございましたように、私どもとしても、これまで企業間格差の是正という観点から、最終的にはやはり自然条件の困難さに着目をしてその傾斜的な配分の基準をつくってきたわけでございますが、ただいまの先生のお話も、今後予算要求等の状況の中で踏まえさせていただきまして、もう一度検討させていただきたいと思うわけでございます。
  136. 小渕正義

    小渕(正)委員 最後に、大臣にぜひこれはお願いしたいのですが、結局、石炭産業についても、全体的に災害発生件数その他はかなりよくなってきていることは事実なんですね。しかし、これは今日の産業社会の中で、社会全体が全部そういう傾向ですから、そういう中で見ると、やはりこのような大変な事故発生する、まさに石炭政策は人柱によって維持されておるのじゃないかとさえ言わざるを得ないような状況であります。  したがいまして、先ほどからいろいろ言われておりますが、今までのようなことでは、石炭の各企業が自立自助の中に石炭政策として国の助成等を含めてやっていくんだということだけで、そしてそれぞれの企業により保安を徹底させるということで、かけ声だけ幾らやってみても、この種災害というものが果たして防止できるのかという気がしてなりません。だから、ここらあたりで石炭政策の中における保安対策というものは、今日までのそういうあり方というものを思い切って転換して、何らかの形でこの保安対策については国がもう少し突っ込んで、石炭政策として政府石炭産業を維持していくなら、やはりそれだけの新しい覚悟の中でこの保安対策というものについて腰を入れて取り組んでいただかないことには、これは企業だけではとてもじゃない気がしてならないわけであります。というのは、過去のいろいろな事例からいって、どうしてもそういう不安が払い切れません。  そういう意味では、まことに申しわけないわけですが、今回の大夕張事故の皆さん方のとうとい犠牲を一つの転機にして、国のそういう石炭産業における保安対策という意味で、新たな発想の転換の中で取り組んでいただくということが、これはぜひやらなければならないことだと私は思うのですが、そこらの点についての大臣のそういう前向きな決意をぜひお願いしたいわけでありますが、いかがでしょうか。
  137. 村田敬次郎

    村田国務大臣 非常に適切な御指摘であろうかと思います。事実、災害発生率からいいますれば、先ほど申し上げましたように、関係の方々の御努力で非常に減ってきておることは事実でございます。しかし、産業の災害というものを見ていきます場合に、石炭産業のこういった災害状況というのはやはりずば抜けて高いと思います。人道的な考え方からいたしましてもゼロに近づけていかなければならない問題でございまして、そのために保安関係に注意をすべきことは幾らし過ぎてもし過ぎるということはないわけでございます。御指摘に基づいてこれからも本当に気をつけてまいります。
  138. 小渕正義

    小渕(正)委員 では、終わります。     〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 小川省吾

  140. 小沢和秋

    小沢(和)委員 まず最初に、大臣にお尋ねをいたします。  またも、二件も炭鉱重大災害が連続して発生したわけであります。しかも、その二件ともが保安に力を入れていると日ごろから自慢をしておりました三菱で起こったことを私は特別に重視しております。  私は、発生直後、直ちに高島にもあるいは南大夕張にも党を代表して参りまして、お見舞いと調査を行ってまいりました。そこで痛感したのは、余りにも初歩的あるいは基本的な保安サボによってこれらの大災害発生したのではないかということであります。大臣は、この事態についてどのようにお考えでしょうか。
  141. 村田敬次郎

    村田国務大臣 相次いで災害が起こったことに対しては、本当に遺憾の意を心から表する次第でございます。  今委員も御指摘になられましたように、非常に設備がいいと言われておる南大夕張炭鉱でこういった災害が起こった、何かこれについて基本的な点検が確実になされていなかったのではないかという御指摘があったわけでございまして、これは、現在、事故調査委員会が発足をいたしまして、会社側そしてまた地元保安関係の監督官庁とともに災害を詳細に調べておるところでございまして、そういった調査結果を待って対応をしてまいりたいと思います。
  142. 小沢和秋

    小沢(和)委員 時間もありませんので、原因の問題に絞ってお尋ねをしたいと思うのです。  まず、高島事故についてでありますが、この事故現場は一カ月も遊休状態になっておったということですけれども、しかし、石炭鉱保安規則の上では依然として操業している現場であることには変わりはないし、局部扇風機は連続運転していなければならない場所であるというふうに考えます。ですから、とめていたということが事実だとすれば、石則の百三条違反であることは明瞭ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  143. 高木俊毅

    高木説明員 先生局部扇風機のとまっていたことについての御質問でございますけれども先生指摘のように当該坑道は生きている坑道であるわけでございますから、当然、常時運転しておかなければならなかったであろうというふうに私どもは推測いたしております。したがいまして、それをもとにどの条項に違反するんだということになってまいりますと、先生指摘の百三条あるいは百四条あたりがそういう指摘事項になるんじゃないかと思っております。
  144. 小沢和秋

    小沢(和)委員 新聞の報道によりますと、事故現場では節約のために電灯も切っておったというようなことが報道されているわけですが、そうだとすると、当然私は会社が節約のためにこの局部扇風機も切ったのではないかと思うのです。会社の指示で切られたのかどうかということについて、どうもさっきからのお話では捜査中ということではっきりしないわけであります。  そこで、はっきりさせる意味で私お尋ねをするのですけれども、この局部扇風機を切ったりすることのできる権限は一体会社の中でだれが持っているのか。その人に対して恐らく当然既に事情の聴取はされたと思うのです。その人が指示をしたかしなかったかというぐらいのことはもうここで答弁できるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  145. 高木俊毅

    高木説明員 同様の質問につきましては、先ほどもお答え申し上げているわけでございますけれども局部扇風機をいかなる理由をもって、いつ、だれがとめたかということにつきましては、捜査上やはり非常に微妙なところでございますので、ここで明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。  それから、保安規程、あるいは保安規程上と申しますか、命令系統の中においてどういう指示命令系統になるのかということにつきましても、それぞれ当該者がいるわけでございますので、微妙なところでございますので、御返答を差し控えさせていただきたいと思っております。
  146. 小沢和秋

    小沢(和)委員 いや、微妙なところと言われるけれども、だれが局部扇風機をとめる権限を持っているかということは、これは指揮命令系統ははっきりしているのでしょう。その人を取り調べたかどうか。この二つについては明瞭に答えてください。
  147. 高木俊毅

    高木説明員 取り調べるとかそういうあれで、いろいろな捜査の段階がございまして、先生御案内のとおり、そういう災害が起こった場合に、その指揮は検察庁の指揮に入ってそういうことをやっていくわけでございますので、現状におきましては事情聴取その他が行われておるわけでございまして、それから現場検証等が行われておりまして、総合いたしましてそういうことを詰めるわけでございまして、今の先生の御指摘の、だれがそれに該当していくのか、あるいはその規則上と申しますか、保安規程上どういう方々がそれに該当していくのか、それは当然明らかなことであるわけでございますけれども、そういう方々がどういう方々であるかということについての言明は遠慮させていただきたいと思います。
  148. 小沢和秋

    小沢(和)委員 事実上それは答弁拒否だと思いますけれども、いろいろお尋ねしたいので先に行きたいと思うのです。  局部扇風機がそういうふうにとめられて、次に再開をするということについては、また百四条に規定があるわけですね。この規定を見ますと、運転の再開の事前にも可燃性ガスの測定をし、危険のないことを確認をして運転を再開するということになっているし、運転を再開した後でまた測定をし、危険がない場合でなければ当該区域へ送電したり、また鉱山労働者を就業させないことということにもなっているわけですね。ところが我々が新聞などで承知をしているところでは、一カ月ぶりに作業をするというのに、現場の労働者とその測定をする保安係員とが一緒になって入っていったというふうに報道されている。もうそれだけでも、これもまた明らかに百四条に違反をしている行為ではないかと思われますが、いかがですか。
  149. 高木俊毅

    高木説明員 先生指摘のとおり、休止しております扇風機を運転する際にはそういういろいろな規則を決めておりまして、それを鉱山労働者並びに鉱山で働く方々が遵守していただくよう指導しているところでございますが、その条項につきましては先生指摘のとおり百四条関係が局部扇風機の通気に関する事項でございまして、その担当の係員が守らなければならない事項については先生指摘の第百四条三号あるいは四号が該当するわけでございまして、これらについての違反と申しますか、そういう状況等については現在調査中というところでございます。
  150. 小沢和秋

    小沢(和)委員 その高島事故からわずか二十数日後に、今度は南大夕張で六十二名の死亡者を出すという大災害が起こったわけであります。この事故を調べてみればみるほど、私は高島の二の舞だという気がしてなりません。爆発した場所は八片の連れ坑道ではないかというふうに言われておりますが、これは高島爆発現場と同じ岩石坑道でしょう。また、ここでガスがたまった原因についても先ほどから議論されておりますが、密閉個所からのガス漏れの可能性もあるというような話も出たようですね。そうすると、これも高島でも同じようなことが言われている。全くうり二つみたいな事故じゃないかと思うのですね。私は、高島事故の最大の教訓というのは、ガスは思わぬところにたまって爆発事故を起こすということではないかと思うのです。だから、そういう教訓をもし会社が本当に真剣に高島段階で学んでおったら、南大夕張保安対策に直ちにそれが生かし得て、これが防げたのではなかっただろうかと私は非常に残念でならないわけでありますけれども、実際に会社があの災害後の二十数日の間に、南大夕張高島の教訓を具体的にこう生かして改善をさせたというようなことが何かあったのでしょうか。
  151. 高木俊毅

    高木説明員 高島炭鉱災害後、立地公害局におきましては、ガス爆発重要性にかんがみまして直ちに全鉱山保安監督局に対しまして総点検の指示をしたところでございます。これをもとに、それぞれの鉱山保安監督局におきましては各炭鉱に対しまして総点検を指示させたところでございます。  その結果でございますが、先ほどからもお答え申し上げておりますように、ことしの五月の上旬に同南大夕張炭鉱におきましては総点検実施いたしております。ただし、その際に重要なところは、高島炭鉱の教訓を生かすべしという観点からガス管理に重点を置いた総点検をやっておりまして、一例を申し上げますと密閉等の調査もやっております。それから後、労使一体となりました保安点検を五月十五日にやっておりまして、先ほどの一斉点検以上に、同様にやられたわけでございます。
  152. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私が聞いているところでは、五月十五日の労使一体になっての点検というのはわずか二、三時間ぐらいで上がってきたというようなことも聞くのですよ。そうすると、あれだけ長い坑道の中でですから、実際にはほんの重立ったところを、皆さん安全に気をつけてくださいよと言ってちょっとぐるぐるとふれ回ったという程度のことだったのではないだろうか、本当に高島の教訓が生かされるような具体的な措置は結局この間に講ぜられていなかったのではないかと私は思わざるを得ないのです。  この南大夕張事故を見ましても、これもまた石則に違反しているのではないかというような問題を私幾つも感じないわけにいきませんが、その中の一つが先ほどから議論されているセンサーの位置の問題ですね。この石則も百二十二条ではセンサーは「可燃性ガスを効果的に監視することができるように設置しなければならない。」ということになっておって、その具体化として立地公害局長の通達で天盤の下三十センチのところにつけなさいということになっているわけでしょう。だから、目の位置、見やすいようにつけるということはあなた方のこういう指導方針から見るならば明らかに違反じゃないのですか。
  153. 高木俊毅

    高木説明員 センサーの位置の問題でございますけれども先生指摘のとおり、百二十二条に設置する場合の効果的なづけ方を規定しているわけでございまして、「可燃性ガスを効果的に監視することができるように設置しなければならない。」ということで規則上は置いております。これを受けて、立地公害局、監督局といたしましてはその取りつけ方については原則としてはり下または天盤より三十センチ付近に設置するということで指導してきているところでございます。
  154. 小沢和秋

    小沢(和)委員 だから、天盤の下三十センチのところにつけるということは保安上極めて重要な意味を持っていると私は思うのです。  つまり、メタンガスが空気より軽いために上の方にたまってくるから、それをいち早くキャッチできるようにここにつけなければならないということでこういうようなことを決めたわけでしょう。ところが南大夕張の場合には、多くの坑道が四メートル近くの高さもある。そういうことになると、目の高さにつけるということは、この坑道の半分以上のところに相当に濃密なメタンガスがたまるという状態にならないとセンサーにひっかかってこないということになる。だから、こういうような取りつけ方はあなた方の指示にも明らかに違反しておるし、極めて危険な状態をこれによって引き起こしかねない、また実際危険だったということが今度立証されてしまったのではないかと私は考えるのですが、いかがですか。
  155. 高木俊毅

    高木説明員 私どもといたしましては、原則としてはり下あるいは天盤より三十センチ付近に設置ということで指導しているわけでございますけれども炭鉱によってそれぞれ事情が違ってまいりますので、先ほど申し上げました百二十二条二項、効果的に測定することが可能なようなことについては当然承知しているわけでございます。  例えば十分な乱気流があって、坑道に通気が十分に確保されておって攪乱状態が十分にあり得るという判断をした場合には、こういうところから若干低目のところに置かれた場合もあろうかと思います。ただし、それについては可燃性ガスを効果的に監視していくという観点、保安から今後検討する課題でもございますけれども、現状におきましては、そういう当該問題がこの災害に関係したか否かについては今後厳重なる調査あるいは捜査を行っていく必要があろうかと考えております。
  156. 小沢和秋

    小沢(和)委員 乱気流などで空気が攪拌されるような特別にいい条件にあるところは下につけても差し支えなかったじゃないかというお話ですが、しかし、そういう例外はあるかもしれませんけれども、全体として見るならば、天盤の下三十センチのところにつけるということが保安上極めて重要であることはあなたの方からもはっきり確認をしていただかなければならぬ。その辺の指導がこれまであいまいだったということはないのですか。
  157. 高木俊毅

    高木説明員 はり下あるいは天盤から三十センチということは、原則として指導しておるわけでございます。
  158. 小沢和秋

    小沢(和)委員 原則として指導しておるのだったら、五月七日から十日の間にもあなた方は坑内を巡視したということを言っておられるわけですから、そのときいやでも——センサーはもうどこでもみんな目の位置のところについている。天盤についていたものもあると先ほど言われましたけれども、大体目の位置のところについている。そうしたら、これはいいのかということをそのときでも気がつかなければおかしいのじゃないですか。そして現にあなた方は、一番末端のところは空気の通りが悪い、乱気流が起こるとかなんとかよりも、大体空気のよどんでいるような状態じゃないかと指摘をされた。そうしたら、なおさらそういうところではメタンガスが上にたまりやすいわけでしょう。そういうところだったら、なおさらちゃんと上の方につけなければならないという指導をそのときぴしっとやらなければいけなかったのじゃないですか。  だから、行政上その点についてはあなた方は今何か反省されているのかどうか、今後はそこを監督しなければならぬというふうに反省されておるかどうか、お尋ねしておきます。
  159. 高木俊毅

    高木説明員 センサーの取りつけの位置でございますけれども、いろいろなセンサーがあることは先ほどから御説明をしているところでございまして、当該箇所の電源の遮断のためのセンサーあるいはまた集中監視装置の方に行くセンサー、それぞれいろいろな目的があるわけでございますが、センサーの位置につきましては、いろいろな角度から取りつけていくべきことについては先ほどから御議論になっているところでございますが、私どもとしましては今後それらについても十分に見ていきたいと思っております。  ただし、先ほど先生指摘の中におきまして、巡回検査をやった際にそういうものに気がつかなかったのかということがございましたけれども、私どもセンサーの位置等について気づかなかったわけではございません。当然のことでございますが、それぞれその設置箇所等におけるガスの濃度あるいは天井際における濃度等を測定してまいりますと、その時期においてはほとんど差異がなかった。また同時に、そういうふうなことを常に監視している旨を会社側からも説明を受けているような次第でございます。
  160. 小沢和秋

    小沢(和)委員 大変納得がいきませんけれども、時間が来たようですから、最後に大臣にもう一遍お尋ねしたいのです。  最初に申し上げたように、会社保安に力を入れているというふうに非常に宣伝し、新聞報道によると、社長はあの高島事故の直後に、人災とは思わぬ、つまり自分たちには手抜かりは何もなかった、すべきことはみんなやっておったという趣旨の談話を出している。私はこういうような過信がこういう災害を立て続けに起こす原因になったのではないかと考えるわけであります。  今回の災害を契機にして、炭鉱奥部化深部化などによって不可避的に起こった災害じゃないか、そういう状況の中で我が国で炭を掘る必要があるのかというような議論も一部にありますけれども、これはちょっと飛躍した議論じゃないか。本当に保安をきちんと守っていれば国内で十分掘れる、今言ったようなごく初歩的なことが不十分だったことが今度の教訓じゃないかと私は思うのです。こういう会社に対して特に行政としてもっともっと厳しい指導をしていただかなければならぬというふうに私は考えますが、大臣の決意を含めてお尋ねして、終わります。
  161. 村田敬次郎

    村田国務大臣 五月十八日に南大夕張炭鉱に出向きましたときも、会社の社長、現場の責任者の方、労働組合の代表の方の御意見、そしてまた御説明もいろいろ承りました。今小沢委員の御指摘の点は非常にごもっともだと思います。なお今後の調査の進展に応じて、会社のそういった保安責任のことにつきましてもよく究明をいたしたいと存じます。
  162. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  163. 小川省吾

    小川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四分散会