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1985-04-12 第102回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月十二日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 粕谷  茂君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 後藤  茂君 理事 城地 豊司君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    奥田 幹生君       梶山 静六君    高村 正彦君       佐藤 信二君    仲村 正治君       原田昇左右君    奥野 一雄君       上坂  昇君    浜西 鉄雄君       水田  稔君    横江 金夫君       和田 貞夫君    渡辺 嘉藏君       木内 良明君    西中  清君       福岡 康夫君    青山  丘君       横手 文雄君    工藤  晃君       野間 友一君 出席国務大臣        通商産業大臣   村田敬次郎出席政府委員        通商産業大臣官        房審議官     矢橋 有彦君        通商産業省立地        公害局長     平河喜美男君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君        通商産業省機械        情報産業局長   木下 博生君        通商産業省生活        産業局長     篠島 義明君        工業技術院長   等々力 達君        工業技術院総務        部長       荒尾 保一君        資源エネルギー        庁長官      柴田 益男君        資源エネルギー        庁公益事業部長  山本 幸助君        中小企業庁長官  石井 賢吾君        中小企業庁小規        模企業部長    井上  正君 委員外出席者        法務省民事局参        事官       濱崎 恭生君        法務省刑事局刑        事課長      東條伸一郎君        厚生省健康政策        局総務課長    多田  宏君        厚生省保健医療        局老人保健部老        人保健課長    大澤  進君        厚生省薬務局審        査第二課長    小宮 宏宣君        厚生省社会局更        生課長      池堂 政満君        厚生省社会局生        活課長      大木 知明君        農林水産省経済        局農業協同組合        課長       阪田 彰夫君        農林水産省農蚕        園芸局肥料機械        課長       清田 安孝君        自治省税務局府        県税課長     前川 尚美君        商工委員会調査        室長       朴木  正君     ――――――――――――― 四月十二日  特許法等の一部を改正する法律案内閣提出第  四六号)(参議院送付) 同月十日  大店法廃止等に関する請願上坂昇紹介)(  第二七七二号)  同(山中末治紹介)(第二七七三号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第二八一六号) 同月十二日  大店法廃止等に関する請願外一件(西中清君紹  介)(第三〇四九号)  中小企業の育成に関する請願玉沢徳一郎君紹  介)(第三〇六九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 粕谷茂

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大規模小売店舗における小売業事業活動調整に関する法律及び小売商業調整特別措置法の一法を改正する法律審議の過程で、五十三年十月十七日であったと思いますが、八十五国会でその際に附帯決議がなされておるわけです。その附帯決議二つ目に、「中小小売業事業活動機会が適正に確保されるよう、物品の販売事業を行う各種協同組合活動についても、各協同組合法趣旨に則り、所要の改善が行われるよう措置すること。」この附帯決議があるわけでございますが、ややもいたしますと法案につけ加える附帯決議が、どうも行政側が軽視しやすいわけでありますが、この問題につきまして通産省、どのように対処されたか、まずお答え願いたいと思います。
  4. 石井賢吾

    石井政府委員 御指摘の、大型店舗以外の実質的に小売事業を行うといいますか、そういった生活協同組合あるいは農業協同組合等に関しましては、それぞれその組合を所管いたしております厚生省及び農林省に対しまして過去二度にわたりまして、それぞれの法律の厳格な執行によりまして、それぞれの組合の枠の範囲内において適正な事業活動を行っていただくように、大型店出店抑制を踏まえた出店の自制あるいは中小小売商との話し合いの場の設定、こういったことについての指導方を要請してきたところでございます。
  5. 和田貞夫

    和田(貞)委員 後で質問いたしますが、それではあなた方の方はまるで他力本願。自分らの方で対処をするということでなくて、確かに法律はそのとおりでございますが、他の省庁で努力をしてもらっておる。極めて消極的な態度であると言わなくてはなりません。後でさらに具体的に質問したいと思います。  それでは、今通産省の方からの答弁があったわけですが、これを受けて農林省漁業協同組合並びに農業協同組合に対してどのような措置をとったか、お答え願いたいと思います。
  6. 阪田彰夫

    阪田説明員 お答えいたします。  現在、農協設置をいたしております生活購買店舗は約八千五百店あります。おおむね小規模のものが多いという現状になっております。  先ほどお答えがございました中小企業庁からの御依頼を受けまして、極力地元商店街摩擦を起こさないようにという指導をいたしております。具体的には、五百平米以上の大規模店舗については原則として自粛をいたすということにいたしております。さらには、それ未満のものにつきましても、地元との協議会あるいは都道府県によります調整を行うという指導をいたしております。  私ども、このような指導によりまして、現在特段の摩擦が起こっているとは聞いておりません。今後とも十分指導を行ってまいりたいと考えております。
  7. 和田貞夫

    和田(貞)委員 厚生省は、生活協同組合に対してどのように指導されておるか、お答え願いたい。
  8. 大木知明

    大木説明員 さきに通産省の方から御答弁がありましたけれども厚生省といたしましては、通産省の要請も受け、あるいは消費生活協同組合法趣旨に基づきまして、消費生活協同組合というものが発展する場合において、地域社会発展と調和を持って発展すべきである、そういう認識を持っておりまして、それに基づきましてそれぞれ出店あるいは員外利用につきまして従来から指導を行っておるわけでございます。  指導内容につきましては、今農水省担当者の方から農協の例について発言がございましたが、生協の場合にも大体同趣旨指導をしておるわけでございます。大型店につきましては原則として自粛するということ、例外的にはもちろん出店は許されますが、原則自粛。それから小型店店舗につきましては、出店する場合には組合員の意向を的確に把握して行うべきである。また、摩擦が発生することも予想されますので、発生しないように関係団体と極力話し合いをしてやるべきである、そういう指導をしておるところでございます。
  9. 和田貞夫

    和田(貞)委員 今、双方から御答弁がございました内容は、二回にわたってそれぞれ各県の知事あて、あるいは地方分局に通達されておる内容であると思います。  しかし、この内容が、現実の問題として必ずしも摩擦が起こっておらないということは言えないわけでございまして、まして、この通達の中にも明記されておりますように、もちろん、それぞれの協同組合事業活動をやるにつきまして、本旨としては、員内に、組合員に対する施設の利用ということでございますが、しかし、そのようなそれぞれの店舗設置をされるに当たって、員外利用を誘発するような宣伝あるいは広告、そういうようなことは一切やってはいかぬ、こういう行政指導をされておるわけですが、そのことは厳格に守られておりますか。
  10. 大木知明

    大木説明員 員外利用を誘発するような宣伝広告というのが各生協で行われているのかどうか、そういうことでございます。  生協によりましては、組合員の数がかなりな数に達し、それに対する情報の提供、生協事業というものの内容を周知徹底するという意味におきまして、例えば機関紙以外に新聞のチラシをやるとか、そういう事例もございます。確かにそういう場合には、非組合員に対してそのチラシが目に入る、結果的に員外利用を誘発するということもあり得る、私どもはそういうふうに考えております。ただ、そういうものにつきまして、全然だめというわけにはいきませんので、チラシ等につきましては生協らしいチラシ、そういうものを配布すべきであるということで、生協団体あるいは都道府県に対して指導をしているところでございます。
  11. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、この機会にひとつ厚生省の方に言っておきたいのですが、きょうこの点についての質問をするので、通産省の所管でない、農水省厚生省、これは来てもらわなければいかぬので、こういう内容質問をするんだから来てくれ、こういうふうに通告したわけです。通告したら、会館の事務所に夜八時半まで、私の地元事務所に九時ごろまで、ちょうど私の孫ができまして家内が千葉の方に行っておって、下の娘が一人限り、何も関係のない私の娘が一人しかおらぬ家にまで、やあこら、やあこらと、あすの発言をやめろ、と。厚生省、そういうような外部の団体にそういうことをやれというように指導したのか。
  12. 大木知明

    大木説明員 私ども、もちろんそういう指導をしているはずもございません。ただ、先生が今御指摘の事実というものがあったことは、私どもも十分承知しております。  この件につきましては、生協上部団体である日生協という団体がございますけれども、そこを通しまして、そういうことをしてはいけないということで厳しく指摘し、指導しておるところでございます。
  13. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そうすると、やるようにもやらぬようにも指導するんだな。生協に対して、そういうことをやれともやるなともいうことをあなたのところは指導するんだね。
  14. 大木知明

    大木説明員 答弁がちょっと舌足らずでございましたけれども生協につきまして、そういうことは断じてやるべきでない、非常識である、そういう形で指導しております。
  15. 和田貞夫

    和田(貞)委員 少なくとも自主的に国民生活を守るという観点に立って生協運動が行われておる団体でありますので、私は、そういうような非常識なことは大方の協同組合はやらないと思うのです。しかし、現実にあったことでありますから、ひとつ日生協を通して、そういう不心得の生協があるとするならば、現実にあったのですから、それは生協本来の姿でない、こういう観点に立って行政指導を強く望みますが、どうですか。
  16. 大木知明

    大木説明員 先生の御発言もあり、まことにそのとおりだと思います。再度厳しく指導いたしたいと思います。
  17. 和田貞夫

    和田(貞)委員 ひとまず厚生省農林省の方をおいでおいで、本論に入りますが、通産省、私は一つの例を挙げたいと思うのです。  先ほど通産省答弁でも、あるいは農水の答弁でも厚生の答弁でも、いわゆる大規模店舗調整規制がされておる五百平米以上の店舗、これを中心に今御答弁がそれぞれあったわけです。もう一つの問題といたしまして、小売商業調整特別措置法というものがある。この商調法による小売店舗――小売市場というように我々称しておるわけですが、それに対して三者ともそれぞれ対応していないということがわかりました。私がこれから指摘したいのは、事業協同組合認可を受けて、そしてその小売商業団体商調法三条に基づく小売市場知事認可を受けて市場経営を行っておる。もちろん商調法の三条の規定以外の建物には、そのような許可のない建物には小売市場商業活動をしてはいかぬというようになっておる。したがいまして、それ以外、そのような条件の伴わない市場ができれば不許可になるのは当然です。許可を受けた市場壁一つを隔ててそういう不法市場ができた。今はその罰則といたしまして三百万円でございますが、その当時は罰金が五十万円だった。五十万円の罰金、現行では三百万円の罰金を出せば、そういう不法市場壁一つ隔ててあっても、これに対して行政の手が伸びない、これが現実の姿であります。そしてまた、他の法律に基づく協同組合店舗がその真ん前にできるとしても、通産省は何の手も差し伸べることができない、あるいは厚生省農水省の方もそのようなことができない。ただ付近の商業者との間にいろいろと悶着が起こらないようにやりなさいという行政指導をするだけです。これでは、この商調法をせっかくつくって、これは議員立法じゃないですよ、行政の方から出してきた法律なんです。その法律を出してきて、その法律どおりに手続をさして、許可を受けて商売をやっている商人、たまったものじゃないですよ。過日の当委員会において、通産大臣おめおめと、私は中小企業大臣ですというようなことまで言うた。これで中小企業大臣と言えますか。これで中小企業政策だと言えますか。これで小売商業者を守る立場に立った中小企業庁と言えますか。責任ある答弁を願いたい。
  18. 石井賢吾

    石井政府委員 小売商業調整特別措置法におきまして、中小小売商業者利益を確保するために中小商業者以外の者との調整を盛り込んだ規定があるわけでございますが、ただいま御指摘のような生協農協というのが、ここに言う一般消費者対象とした小売事業を行っているかということに関しまして言えば、まず生協の場合には、基本的に原則として員外販売はできないわけでございます。特定の場合に、許可を受けた場合のみ、その員外利用ができるという建前をとっておる限りにおきまして、相互扶助組織である生協一般消費者に対する小売事業を行っている事業者ということでこれを直ちにみなすことは不可能であろうと思います。  ただ、出店前の段階ではわかりませんが、現実出店後におきまして員外者に対する販売を行っておれば、それは中小小売商以外の小売事業者とみなせて、一応商調法対象として調停、あっせんの対象たり得るというふうに考えておりますが、今先生の御指摘のような出店前の段階で、それが員外利用が許されているのかどうかということがはっきりしない段階におきまして、直ちに小売事業を行っている者ということでみなして、商調法を発動することは非常に困難ではなかろうかと思っております。  確かに、先生指摘のように、中小小売商業者生活協同組合との間で多くのあつれきがあることを私ども承知しております。先生指摘の点について昨日調査いたしましたが、それにつきましても現実小売市場との間で大きな問題が起こっておるということは承知いたしております。しかし、結局、これは法律建前で処理するということでいけば、本来的には生協法の枠内においてその厳格な規制が行われてしかるべきであり、それがそもそも生協法という一つの社会的な有用性を認めて、制度づくりがされております限りにおいて、その生協法を否定しない限りにおいては、一応出店段階において員外販売が行われるという事実あるいはそういう意思が確認できない限りにおきましては、いわば中小小売商以外の一般小売事業者だということでみなして、その調整をするということはなかなか困難ではなかろうかというふうに思っております。
  19. 和田貞夫

    和田(貞)委員 員外活動をやらぬ限りは、確かにこの自主的な共同購入共同販売というか配布ということで協同組合事業活動でありますが、生協につきましては員外活動があれば、これは小売業とみなされるわけですね。小売業にみなされるならば、大店法だけでなくて商調法に照らしてもこの点の行政指導をやってもらわないといけない。本来、商調法に基づく市場がその同一場所に申請があれば、これは許可がおりないのです。にもかかわらず員外活動はやらぬという建前に立った協同組合店舗であれば、別な法律によってそれが認められる。確かに法律は別であります。しかし、その許可を受けておる零細小売商店には必ずしも影響がないかというと、影響がある。そうでしょう。そうした場合に他力本願的にそれは厚生省や、これは農水省やということで腕をこまぬいておるというような、そういう通産省、そういう中小企業庁に私は腹が煮えくり返るほど腹が立つ。そういう零細企業をいかにして守っていくか、こういう立場に立ってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  20. 石井賢吾

    石井政府委員 御叱責を受けまして我々恐縮いたしております。我々といたしましても、例えば小売市場許可をおろしたわけでございますから、周辺消費者の利便に供し、かつ周辺小売商との調整の上で小売市場が発足いたしておるわけでございますから、それの健全な発達を私どもは念願いたしておるわけで、その意味においては歯がゆい思いをいたしておることも事実でございます。  ただ、建前といたしましての生協法上の規制というものが貫徹される限り、本来であれば一般消費者への販売事業としてのあつれきは生じないはずでございます。特定の場合のみ例外的に員外利用を認めておるわけでございますから、この都道府県知事員外利用許可をおろす段階における厳しい条件を付し、その条件を完全に守らせれば、そういったあつれきは本来的に生じないはずという建前がございます。そういう建前との関係で私ども実際の乖離といいますか、実態の乖離という点が歯がゆい思いをするゆえんでございますけれども建前として現在生協法が存在している限り、その消費者相互扶助組織発達というのもやはり国がこれを進めておるわけでございます。  それとの間の適正な調整を図りたいというのが我々の気持ちでございますので、私どもはそういったそれぞれの法律建前の相克といいますか、あるいはそれぞれの法理念法利益のトレードオフといいますか、そういった場合にはそれぞれの当事者が円満に話し合えるような場をつくり上げていくということが一番現実的な解決手法ではなかろうか。そういう意味においては私ども厚生省にもこれをお願いし、また必要があれば、これを許可いたしました大阪府に対しましても、そういった指導をお願いしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  21. 和田貞夫

    和田(貞)委員 せっかく認可をし許可を与えたそういう小売商業活動をやる零細企業は、一般的な路線の個々の商売人じゃないのです。商業活動をその地域において守ってやろうということでおのずからその認可許可を与えておる。認可許可を与えればそれに責任を持つというのは行政上当然の姿でしょう。この点につきましては最終的に、大臣がおりませんので後でもう一度議論することにいたしたいと思いますが、私は戦後、生協活動にかかわってきた一人です。  生活協同組合精神にのっとって生活協同組合というのはどんどんと伸びてもらいたい、どんどんと発展してもらいたいと思うのです。その限りにおきましてそれぞれの地域において、私は、大規模店舗、大資本の店舗であればいざ知らず、私が今話をしておるのは、その地域が全く小学校もなかった、交通機関もなかった、おのずから、今でこそ人口が密集いたしましたので我も我もということで店舗が林立するようになっておりますが、小さな小売商人が集まって、個々にはできないので自分たち協同組合をつくって、そして共同事業活動だということで市場を経営して、その地域に対する社会的貢献度は、この四十年間に限りない社会的な貢献があったと私は思うのです。そういうような零細小売業者を守るという立場に立って、この生協の正当な運動を妨げるような、セーブするような動きが起こってこないような措置が必要であると私は思います。  また、生活協同組合自体が本来の生活協同組合精神を逸脱しないように、金さえ用意できたらどんなことでもやっていいのだということでなくて、生活協同組合の本来の精神に基づいて、弱い者をいじめるような結果に現実にならないように、あくまでも弱い者を助ける、弱い者の身方になるという精神を逸脱させないように行政指導をやってもらいたいと私は思います。また、生活協同組合連合会自体もそういうような動きを排除するためにも、自主的な規制の中で地域における弱い零細業者悶着が起こることのないようにやってもらいたいという希望を私は持っておるわけであります。この点について法律には関係ないのだということだけでなくて、担当厚生省生活協同組合に対してこれからどういうように対応されるか、生活協同組合を大きく発展させるために大事な問題でありますから、お答え願いたい。
  22. 大木知明

    大木説明員 生協消費者自衛組織ということで、消費者生活向上という意味で存在を許されているということでございます。そういう生協でございますから、零細小売との間に摩擦があり、零細小売の方がそれで圧迫を受けるということであれば、そこは当然調整をして調和的な発展を図ることが必要であろうというふうに考えておりまして、そういう方向でもって行政を進めてまいりたいと思います。
  23. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、日本列島一つの点の問題を取り上げていると解釈してもらったら困る。今私が投げかけている問題を点の問題として対応するのではなくて、これが横に大きく広がっていくことによりまして、生活協同組合運動生活協同組合活動を妨げるような、阻止するような動き現実にあるのですから、そういうことが起こらないような姿に生活協同組合をこれからも十分指導してもらいたいということを私は強く厚生省に要望しておきたいと思うのであります。  さらに私は具体的に今例を挙げます。名称は東浅香商業協同組合で、現在小売市場を経営しておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、バラックでその地域におけるところの社会的な貢献度を高めてきた。しかし、地域発展するに従ってそれを鉄筋の建物に改築してきた。そしてまた地域ではミニスーパーが林立する。大型店舗法の枠をくぐって大店舗ミニスーパーを無数に建ててきて小売商業者にいろいろな影響を与えておる、あるいはスーパーがたくさん出てきておる。それに対応するためについ最近、昨年でありますが、一億円の金を制度融資を受けられないので市中銀行から借りて店舗を改装して、何とか消費者の皆さんにサービスしようということで努力なさっておられる。その金が返済にかかったところなんです。九五%の金がこれからまだ返済していかなければならないという立場にあるわけです。そのような中で、ひとつ通産省は腹を据えてこれの対応策を考えてもらいたいと思います。  あと、通産大臣が参りましたら、大臣を含めての質問の時間を留保いたしまして、ひとまずここで質問を終わりたいと思います。
  24. 粕谷茂

    粕谷委員長 和田貞夫君の質疑は終わりました。  続きまして、水田稔君の質疑に入ります。
  25. 水田稔

    水田委員 私は二つの問題を質問したいと思うのです。その一つは電力問題についての二、三の点であります。電気事業法の第十九条によって供給規程が定められる。その供給規程によって特別料金制度があるわけでありまして、新たに増設するものについては、会社によって違うわけですが、二五%から三五%の割り増し料金を課することになっておるわけです。この制度がつくられた趣旨、どういう料金体系の中で特別に割り増しをとるということになったのか、まずその理由をお伺いしたいと思うのです。
  26. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 特別料金制度設定の趣旨でございますが、この制度は昭和四十九年三月の電気事業審議会料金制度部会の答申に基づいて導入されたものでございまして、第一次石油ショックを受けまして、当時の高騰いたしました原価実態を料金制度に反映する、と同時にエネルギーの効率的利用を図る観点から新増設電力需要に対し割高な料金を設定いたしまして新旧需要家間の負担の公平を図る、そういう趣旨から設けられたものでございます。
  27. 水田稔

    水田委員 この考え方が取り入れられた時期というのは、特に産業用の電力が高度経済成長という中で急激にどんどんふえていく、新しい電力需要を賄うための次の発電のコストというのはだんだん高くなってくる。新たに参入するものは既存の電力で貯えないわけですから、そういうものを当然負担しろ、そういう考え方がそこにはあったと思うのです。それが本来、今教科書に書いてあるような答弁ですが、内容的にはそういうことだったと思うのです。確かにその当時の電力需要の伸びというのは、いわゆる家庭用の電灯よりは電力の方がずっと伸びておった。それに対する、一つは電力の伸びの抑制とそして将来に対する発電設備の負担をそこにかぶってもらう、これが本来の考え方だったと思うのです。  ここ数年、いわゆるオイルショック以降の電力需給の状況を見てみますと、例えば電灯が昭和五十四年に対して五十八年は一一五、そして電力は五十四年一〇〇に対して一〇六ということですから、この特別料金制度をつくったときの電力、いわゆる産業用電力がどんどん伸びるという状況は変わってきておるわけですね。今電力で一番問題は、ピークは例えば高校野球であるとか、プロ野球の大きな試合があるとか、夏大変暑いとき、クーラーとか、そういうものがまさに今、発電所をどう建てるかという計画の中で一番大きなウエートを占めてきておるわけです。ですから、特別料金を産業用に入れたときとは状況が変わってきておるわけです。そういう点はどういうぐあいにお考えになりますか。
  28. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 先生指摘のように第一次石油ショック、第二次石油ショックを経まして電灯、電力の伸びに鈍化が見られてきたわけでございまして、特に電力につきましては先生今数字をお示してございますが、第二次石油ショック以降ゼロ成長のような時代がございましたけれども、五十八年度から需要はまた回復している状態にはございます。第一次石油ショックまでの電力需要の伸びに比べれば確かに最近の需要の伸びは落ちているということでございますけれども、新しい設備をつくる場合のコストというものは既存のものよりも高いというこの現実はまだそのまま続いておりまして、そういう意味で新増設の需要家に対してある程度の割り増しの負担をお願いするということは現在でも合理的だろう、そういうふうに考えているわけでございます。
  29. 水田稔

    水田委員 今、電力会社が九電力に分割されて、それぞれの企業の努力というのか、あるいは置かれた条件、そういうものによって、現実には原価主義をとっておりますから、それぞれの地域で相当な電力料の差がそこには出てまいっておりますね。そういう中でさらに電力多消費の産業ではこういう特別料金の問題、地域における格差の問題、そういう問題から、特に構造改善をどんどん進める中で、では幾つかに分かれた地域に工場を持っておるところであればどこをつぶすかといったら、電力料の高いところをつぶすわけですよ。そういうことになってきておる。  一画言えば、電力は確かに原価主義ではあるけれども、今、九州から北海道まで全部電力は行っておるわけですね。例えば安いところから高いところは買っても、電力会社同士で買うときには安い値段で買って高く売れるわけです。あるいは私の中国地方で言えば、高い電力を関西電力へ送る。高いのを売って、向こうでは安くもらえるわけですね。しかし工場で使う場合は、一つは電力会社ごとによる今の電力料の差の問題、もう一つは今言った特別料金というのが、新規に参入した場合、特に電力の高い中国地方ではまさに電力多消費の基礎産業というのは、もはや例えば企業立地ということで分散していこうと思ってもいけなくなってきておる、こういう問題まで起こっておるわけです。  この点はひとつ立地公害局の方で立地政策の上からも、この電力料問題というものは今置かれた条件というのは変わってきました。原価主義ではあるけれども、全国的にとにかく融通できる状態ができている。そして各地域ごとの格差がある。そしてまた新しく立地しようとすれば、そこで二五%から三五%のペナルティーを科される。そしてこれは公益事業部ですか、この三月に出しているのは、国として望ましい工場移転については、この場合はそれを科さないというようなことを決めておるようですね。  例えば移転ということもあるけれども、私の地元で申し上げますと、これは大気汚染、いわゆるNOxの割り当てが、改めて公害防止計画によって決まって割り当てられた。そうするとディーゼル発電でやっておる。どんなにしてもこれはNOxがオーバーする。それに対応するためには買電に切りかえなければならない。そうするとそこでは、それでなくても他の地域より高い中国地方の電力の上に二五%-三五%のペナルティーを科されると、とてもじゃないがやっていけないという問題が起こる。  例えば「工業再配置促進法に基づくなど国として望ましい工場移転」、だから国の施策として必要だというなら、公害問題でそういう転換をせざるを得ぬという場合には、当然考え方としてはそういうものが入ってもいいと思うのですね。この場合は移転ですから、例えば関西電力の地域から中国電力の地域に行けば、当然今までは二五%から三五%のペナルティーを科される。しかし公益事業部の、これはまだ正式の決定か通達か知りませんが、これによると、移るときだけは同一の電力会社の区域内で移転した扱いにして、取らなくてもいい。そうすると、その土地から動かないけれども、国の要請により、あるいは都道府県の要請によって国に出した公害防止計画に基づいて、それをクリアするためにどうしても買電に切りかえざるを得ぬという場合はやはり新規として扱われるわけですね。そういう点は一体どうなるのか。  そういう問題も起こってきておるわけですから、そういう点では特別料金の問題というのは、最近また需要が伸びだと言いながら、まさに今問題になるのは、大変夏暑いときだとか、あるいはテレビやクーラーを各家庭で一斉につけたときがピークで、これがパンクするという問題になってきておる。産業用電力は夜間を含めてコンスタントに使うわけですから、電力の需給の点から言えばむしろいいわけですから、そういう点はもう少し考えてもいいんじゃないかというぐあいに思うのですが、立地公害局とエネ庁、両方からひとつその点についてお答えをいただきたいと思います。
  30. 平河喜美男

    ○平河政府委員 先生指摘の、工場移転に伴う電力料金の問題でございますけれども、企業の立地地点の判断につきましては土地の問題、労働力、関連企業の集積その他いろいろございますが、御指摘のように、電力料金というのも判断の一つになろうかと思っております。このため、これまでにも同一電力会社の供給区域内におきましては、工業再配置の趣旨に沿った工場移転にありましては、移転先において旧工場の基準電力を適用するということを措置しておりました。また今般さらに、他の電力会社の供給区域に移転を行う場合でありましても、引き続き工業再配置の趣旨に沿ったものにつきましては、旧工場の基準電力を適用するということが措置されております。これは先生指摘のとおりでございます。今後とも関係機関と緊密に連絡をとりながら、こういう工業再配置の円滑な推進に努めてまいるつもりでおります。
  31. 山本幸助

    ○山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。  工場移転が行われました場合の特別料金制度の取り扱いにつきましては、ただいま立地公害局長がお答え申し上げたとおりでございますが、工場移転ではなくて、先ほど先生が御指摘のように、今まで自家発であったものを新たに切りかえたという場合につきましては、新たな電源との関係で、新たな電源についてはどうしてもコスト増になるということにつきまして、そのコスト増分を負担していただくという制度趣旨から、新たな電力の買電といいますか買う行為が起こった場合には、現在の制度では特別料金制度を適用せざるを得ないということになっております。
  32. 水田稔

    水田委員 今そうなっておることは私も十分承知して言っておるのです。だから、おかしいではないかと言っておるのです。例えばほかの地域から移った場合、そこで新しい電力の需要が起こるわけでしょう、その負担はよろしいというんですよ。しかし、そこで、同じ国の施策で、いわゆるエネルギー政策で言えば、ディーゼル発電の方がエネルギー効率はいいわけでしょう。いいからディーゼルをやったんですね。しかしそれは本来、その当時は問題なかったけれども、いわゆるNOxの割り当てにどうしてもクリアすることができない、国の施策によってかえざるを得ない。だから、その転換するための費用、それからその後の費用を負担しなければならぬわけです。国の施策であることは両方変わりがない。片一方、こっちからこっちへ移るのは認めるけれども、その土地で国の施策で転換せざるを得ないものまで考える必要はないというのは不公平じゃないですか。そのことを言っておるわけです。  私は、今の手続上はできないことはわかっておるのです。考える必要があるのではないか。考える必要がないと思うのか、検討するというのか、お答えいただきたいと思います。
  33. 山本幸助

    ○山本(幸)政府委員 ただいまの先生の御指摘につきましては、公平性という観点から見て確かに一理あるということは当然納得いたしますけれども、先ほど申し上げましたように、特別料金制度は、新たに電力を需要する者に対して、新しい電源のコストが高くなるということの公平のためにつくられた制度でございますので、確かに先生指摘のような御事情がございましても、新たな電源を必要とする場合についてのいろいろなケースがございますので、そういういろいろなケースとの均衡その他を十分に検討する必要があるということでございますので、私ども今後十分に勉強させていただきたいと思います。
  34. 水田稔

    水田委員 よそのところから移る分と私が言った分とはそこで不公平が起こる、こう言われるのですね。私の言うのは一理がある、しかし、ほかで不公平が起こる、その言い方はようわからぬわけです。だから、確かにここからここへ移るのは、新しくここでも発電の量がふえるわけですから、これは同じことなんですね。そういうことがあるということで、勉強じゃなくて、そういう全体的な公平さを考えながら、検討するぐらいの答弁があってしかるべきだと私は思うのです。人の理屈を認めながら、なおかつそれは不公平になるというような、そんな答弁はないですよ。どうですか、もう一遍答えてください。
  35. 山本幸助

    ○山本(幸)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、特別料金制度は、古い今までの需要と新しく起こった需要との間に電源のコスト面の差があるということにつきまして、それを埋め合わせるという、公平を目指すための制度でございます。したがいまして、ただいま先生が申されましたような点につきましては、そういう特別料金制度内の公平の問題と、それから工場移転ではなくて新たに切りかえた場合の公平の問題ということでございますので、十分勉強させていただきたいと思います。
  36. 水田稔

    水田委員 納得できませんけれども、ではほかのところからまたそういう問題に返っていきたいと思います。  一つは、今、エネルギー源をいろいろなところからとっていこう、例えば石油、石炭からかえる、あるいは電力にしても単に重油発電ではなくていろいろなものにかえていこう、こういう努力はされておるわけです。そういう中で、実際にはすぐに使えないにしても例えば地熱発電を今既にやっていっておる。あるいは日本ではまだ実用されていないけれども風力発電というのも考えられる。コストの点でまだ問題ですが、太陽光発電というものも考えられる。あるいは質の問題を考えなくてもいい電力なら、かつて水車をたくさん日本で使って、今でもまだ使われていますが、そういうところへ小型の発電機をたくさんつけて、田舎の集落ではそれによって家庭の電力を賄うというようなことなども考えれば、大きな発電所を次々考えなくてもいいと思うのですね。そういうことが今考えられておる。  そういう場合に、質の問題もありますが、例えば十世帯か二十世帯で幾つかそれを置いて、そこへ配線して自分たちだけで使う。これも自分のところだけ使うのはいいけれども、その十戸くらいの配線というのは、今電気事業法で恐らくできないだろうと思うのです。そこで、あれは昼は余りますし夜は足らなくなるから、そういうときに今の電気事業法では、バックアップできる一つは法的な問題、一つは技術的な問題、余り電力会社にとっては得になりませんからそういう研究はされていないのかもしれないけれども、有効に日本の国内のエネルギーを使おうとすれば、そういう開発が必要ではないかと私は考えるわけです。  それからもう一つは、例えば地熱発電というのはへんぴなところでしかやれぬわけですが、そこへ工場を持っていって使えば自家発になるわけです。それはいいですけれども、これが何十キロとその電力を使う工場が遠いところに離れていると、当然送電線までというと大変なことになるから電力会社の送電線を使う。もちろん使わしてはくれるのでしょうが、結局は地熱発電をつくっても、その送電線を使う料金まで含めると買電と同じかあるいは高くつくということで、そういう点では積極的にやろうという意欲がわいてこないという問題などもあると思うのです。  それからもう一つは、燃料電池がまさに間もなく実用化の時代を迎える。例えば都会におけるビルでは、その冷暖房をガスでやるか電気でやるか、その中で一つは燃料電池で電気を賄う。こういう電力会社とガス会社との競争というものも既に起こりつつあるわけです。そういう場合に、現在の電力会社の電力の線と結びつけてそれをバックアップするというシステムを検討すべき段階に既に来ておるのではないか。そういう点で、何も電力を賄うのはすべて電力会社の大きな発電だけで賄うのではなくて、いろいろなものを取り込んでいくということが必要な時代に来ておると思うのです。  周辺のそういったローカルエネルギー、地熱発電、あるいは都市におけるごみ焼却場の発電、いろいろなものがあるわけです。そういうものを今の電気事業法の中にどう接点をつくっていくか、一つは技術的な問題と、一つは法制的な問題があるだろうと思うのです。そういう点について今どのようにお考えになっておるか。私はそういうことなども含めて、さっきの不合理な点は是正してほしいということを申し上げておるのです。時間の関係でまとめて言いましたけれども、まとめてそれぞれお答えいただきたいと思います。
  37. 柴田益男

    ○柴田(益)政府委員 今水田先生の大変貴重な御指摘があったわけでございまして、私の方から基本的な考え方を申し述べたいと思います。  制度的な面につきましては公益事業部長の方から答弁いたしますが、今先生が例に挙げられました地熱とか風力あるいは太陽光発電、あるいはごみ発電、いわゆる我々の言うローカルエネルギー的なものを分散型電源として活用する、あるいは都会では、先生が後に指摘せられましたコゼネレーション、こういうものの導入が今進んできておるわけでございますけれども、こういうものの導入については、エネ庁としては積極的に前向きに対処すべきだという立場をとっております。  ただ、こういう分散型電源につきましては、御指摘にもありましたように、バックアップをどうするか、あるいは託送をどうするかというような問題がございまして、その場合も我々の基本的判断は、一般電気の消費者に悪影響を及ぼさないようにやっていく必要があるというのが基本的考え方でございまして、その立場に立ちまして、今制度面、技術面の調整を進めようというところでございます。
  38. 山本幸助

    ○山本(幸)政府委員 補足して説明させていただきます。  まず託送でございますが、託送につきましては、現在電気事業法の二十五条の規定に基づきまして、当該託送を実施することが電気事業の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないということを審査しまして、ない場合には認めるということでやっております。  それからバックアップでございますが、先生指摘のとおり、分散型電源の場合には、電力系統によるバックアップをされるということによって最も経済的な運転が可能になるということでございます。その際、電力系統との間に解決すべき技術的な問題、例えば逆流するとかどうかという問題とか、あるいは不足電力の場合、予備電力の場合等の問題がございます。  今後、分散型電源を有効に利用していくに当たって、電力会社による一般需要家への電気供給との間に負担の公平を保ちつつ、調和のとれた関係を形成していくということが肝要でございますので、今後こういう点を勘案しながら総合的に検討してまいる所存でございます。
  39. 水田稔

    水田委員 ぜひ検討していただきたいわけですが、既に使おうと思えば使えるものも今あるわけですから、そういう点では燃料電池が実用化、何年か先というようなことで、時間をかけて検討ということかもしれませんけれども、実際には既にこみ焼却の発電、しかし今の法の枠の中でそれは利用を考えておるわけですね。そういう問題がありますし、あるいは、これはエネ庁だけの問題じゃなくて、場合によっては地域暖房というような問題での温水の使い方等を含めて、早急にこれは検討を進めていただきたいということを要望として申し上げておきたいと思うのです。改めて、またこれだけでの質問もさしていただきたいと思います。  それでは次に、肥料、特に肥料の中でBB肥料の問題について、幾つかの点を質問したいと思います。  肥料の問題というのは、大変な過剰設備を持っておる。外国からの輸出攻勢、コストの点で引き合わない、いろいろな問題がありまして、過剰設備の廃棄あるいは共同行為などの構造改善事業を行ってきたわけでございます。今二年目を迎えたわけでありますが、事業がどのように進んでおるのか、あるいはこの構造改善事業がどういう効果を上げた、こういうぐあいに考えておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  40. 野々内隆

    ○野々内政府委員 肥料につきましては御指摘のとおり、第二次石油ショックによります原燃料の高騰によりまして、国際競争力がなくなってきているというのが基本的な問題でございますが、現在、特定産業構造改善臨時措置法に基づきまして五つの業種、アンモニア、尿素、湿式燐酸、溶成燐肥、化成肥料、この五製造業につきまして構造改善の計画をつくっております。  そのポイントは、一つは設備の処理でございまして、アンモニアが六十六万トン、二〇%、尿素につきましては八十三万トン、三六%、湿式燐酸が十三万トン、一七%、溶成燐肥が二十四万トン、三二%、化成肥料が八十一万トン、一三%、この設備の処理を中心に置いておりまして、そのほか事業提携などによりまして生産を集約化し、あるいは生産の合理化のための活性化投資、こういうものを主たる内容といたします構造改善基本計画、これが五十八年六月二十一日に告示されまして、現在構造改善を進めております。  この設備処理に関しましては、四月一日現在では、アンモニアが七十七万八千トン、尿素が六十九万八千トン、湿式燐酸が八万一千トン、落成燐肥が十一万一千トン、化成肥料が三十五万三千トンというような設備の休廃止が行われておりまして、アンモニア、尿素につきましては相当程度進んでおりますが、そのほかの業種につきましては雇用問題あるいは取引先、地元との関係等が現在検討中でございまして、最終的にはかなりの設備処理の達成ができるのではないかというふうに考えております。  それから事業提携につきましては、既に日東化学、ラサ工業、東北肥料、サン化学、この四社が統合いたしましてコープケミカルを設立いたしますとか、あるいは日本燐酸へ燐酸、燐安の生産集約化を行うというような問題、あるいは鹿島アンモニアが解散をいたしまして、その分が他企業によって集約的に生産をされているというような形で事業提携が行われております。  また、活性化投資の例といたしましては、宇部興産でアンモニアを石炭のガス化によって生産するということで、従来の石油系の原料からのコストダウンを図っております。  こういうような構造改善対策の実施に伴いまして、設備の操業度が向上する、あるいは原料転換というものが図られておりまして、コスト低減というような効果が出てきているというふうに考えております。
  41. 水田稔

    水田委員 そこで、そういう構造改善が進む中で、一画言えば、最近肥料の輸出が割に好調なわけですね。これは永続性があるのか、あるいは単発的なものか、そういう輸出の状況と、その見通しはどういうぐあいにごらんになっておるのか。  それからもう一つは、これは農水省になりますが、一面、輸出はそういうぐあいに伸びておるけれども、国内の需要というのは、減反もこたえておるわけですが、需給の足踏み状態にあるわけです。  そういう中で、本州の方では大体のところ一割ぐらいでとまっておるようですが、北海道ではBB肥料というのが年率五〇%ぐらいで大変ふえるというような状態にあるわけですね。輸出はそういうことですが、国内で特にそういうことになったのは、一体、農水省としてはその背景というのはどういうものなのか、どういうぐあいにごらんになっているのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  42. 野々内隆

    ○野々内政府委員 肥料は、御承知のように、基本的には国際商品でございまして、国際的な市況の変動によりまして輸出入が動くというのが基本的な原則であろうかと思っております。  今後、我が国の輸出市場でございます中国とか東南アジア、こういう国では肥料の自給化が相当程度進展をすると思われますけれども、当分の間はかなりの輸入が行われるだろうというふうに考えております。  この中国などの近隣諸国は、日本の肥料というものにつきまして非常に高い評価をいたしておりまして、これは品質ですとか、納期、あるいは地理的に近いというようなことから評価をいたしておりまして、したがいまして、我が国としてこの構造改善を行ってコストの低減を一層進めるということを行いますと、国際市況の問題が基本的にございますが、国際市況の回復をいたしますと、これらの中国とか東南アジア、こういう国を中心といたしまして一定量の輸出が行われるというふうに考えております。  最近は特に尿素の輸出が行われておりますが、これはもう完全に商品の国際市況の問題でございまして、市況が回復をしてきて輸出が出ていくという形で、そのかわりに尿素は今度は日本に入ってこないというような形で、市況によって動くということかと思います。  また、これらの東南アジア、当然LDC諸国と言われるわけですが、こういう国は非常に外貨不足に悩んでおりますので、従来から経済協力によります支援の中で、肥料というものがウエートを高めておりまして、食糧増産援助、こういうような形での肥料が出ておりまして、こういうものも含めて輸出の確保というものを図っていきたいというふうに考えております。
  43. 清田安孝

    ○清田説明員 先生指摘がございましたように、近年、北海道の畑作地帯におきまして、牧草、麦、トウモロコシなどを中心に粒状配合肥料、いわゆるBB肥料でございますが、この需要が増加してございます。  この背景としましては、大きく分けて二つあるのではないかと見ておりますが、その一つは、最近の農業生産におきます作物栽培が非常に多様化してきた、あるいは施肥技術が向上してまいりましたことに伴いまして、地域別に作物あるいは土壌条件に対応したきめ細かい肥料が求められてきておりますけれども、このBB肥料といいますのは、このような地域の実態に合わせて成分配合が容易に対応できるという特徴がある。もう一点は、BB肥料というのは、先生御案内のように、化学肥料と異なりまして原料を物理的に混合して製造するものでございますので、一般的には、化学肥料に比べて価格が安い、そういうことがこの背景にあるというふうに考えております。
  44. 水田稔

    水田委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、北海道地区で特に伸びておるわけですね。この点はどうなんですか。  それから、通産省の方へは現実に、これは両方とも、今言われましたコープというのは全農系ですね、BBを北海道で大量にやっておるのは北酪ですから、これも全農系だと思うのですね。同じ中で起こっておる問題なんです。現実に化成肥料の構造改善を一方では進めておる、片一方ではそれとは別にBBで食われて、現実には生産をダウンしていく。特に、五万トンを切れば恐らく生産単位としてはコストが引き合わぬだろう、そういう化成の肥料の工場が、既に十万トンやっておったのが六万トンに落ちてくる、こういう実態が起きておるわけです。これは、一つは構造改善で、先ほど御説明がありました化成肥料はこういう形で生きていく、そのための設備廃棄なりをどうやっていこう、こういう計画があるわけですが、その中で、こういう北海道のような事態を予測して計画を組まれたのかどうか、まずお伺いしたいと思うのです。
  45. 野々内隆

    ○野々内政府委員 BB肥料が伸びている背景というのは、今農林省の御説明がございましたが、やはりそれぞれの用途あるいは価格ということから考えて、BB肥料というのが伸びてくるだろうというのは当然予想されるわけでございますが、御指摘のとおり、同じ配合肥料の中でございますので、当然調整が必要になってくるというふうに考えておるわけでございます。肥料全体といたしましては最近予想以上の伸びが見込まれておりまして、当初構造改善計画をつくりますときには、肥料全体の伸びの中で化成肥料は若干低目に予測をいたしておりまして、その分はBBが伸びてくるであろうということは当然予想はされたわけでございますが、ただ、御指摘のとおり、全体として余りふえない中でBBだけが相当伸びているというのは事実でございまして、特に北海道地区で、今回全農系の工場でそういう計画があるということでもございますので、北海道ではBB肥料の生産のうち大体六割ぐらいが現在農協系で行われておりまして、他方、化成のメーカーは八社ございまして、そのうち農協系が二社三工場という形でございますので、農協系同士の競合になるということは御指摘のとおりでございます。今後農水省ともよく連携をとりながら、そのあたりは適切に対応してまいりたいと思っております。  産構審の化学工業部会の答申の中でも、このBB方式というのは今後、原料供給面における制約の可能性もあるけれども、他の生産方式に比べて、地域の多種多様な需要にこたえやすいという特性を持っているという前提で、ただ、配合肥料全体の合理化の進展を配慮しながら、地域需要を中心に慎重に対応する必要があるということを言っておりまして、今後農水省ともよく連携をとりながら、構造改善全体の伸長が図れるように、そのあたり要請をしてまいりたいと思っております。
  46. 水田稔

    水田委員 次の質問まで答えていただいたわけですが、私はこのことをまず聞きたかったのです。  肥料であることは間違いないわけですね。そして国も法律をつくり、そして構造改善計画をつくり、そして援助しながら肥料の構造改善を進めている。全く同じ、完全に互換性のある、まさに肥料です、それが全然野放しの状態で、片一方は計画を進めても、なおそれとは全然別のところで侵食していくというので、全体の肥料の構造改善が狂ってしまうのではないかという点、その点をどういうぐあいに受けとめておられるかということをまずお伺いしたかったのです。その後のことは全部局長、答えられましたから、まさにそのとおりで、そういうぐあいにしていただきたいと思うわけですが、余談になりますけれども、例えば異性化糖というのがあります。これは北海道のバレイショのでん粉も使う、あるいはアメリカから輸入のトウモロコシ、コーンのでん粉も使う、そしてこれは砂糖としては国内の砂糖、沖縄そして北海道のでん粉等も使って、そしてこれは砂糖に互換性のある異性化糖五五というのをつくっている、それが砂糖を侵食していくということで、法律の枠の中では国内産、そして輸入の砂糖、そして異性化糖を一緒にして、異性化糖をつくるところからは一キロ当たり五円の賦課金をとってやっておるのですね。そういうぐあいに、関連のある同じ種類のものは、同じ甘味なら甘味で扱うということだけれども、同じ肥料が、ほかは全部一つの枠の中で構造改善しておる、しかしBB肥料だけは全く関係ないのですというあり方に問題があるのではないか。そういう点では、通産省の方からはお答えいただきましたのですが、これは農水省の方が主役ですから。それはわかります、農家の皆さんが農産物を少しでも安く、あるいは畜産価格を安くということで、これはBBを使えば一割ぐらい安いわけですね。それがまかり通るならば、つくる側もそういうぐあいになってしまうわけですね。安い物はどこからでも、外国からでも買えということになってしまう。それでは大変なことになると思うので、通産省からは、よく御理解をいただいて、農水省とも十分な話し合いをしたい、こういう御答弁ですが、農水省の方はその点の現状をどう理解して、そのために、全農系ですから調整ができるものじゃないだろうか、私はそういうぐあいに思うのですが、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  47. 清田安孝

    ○清田説明員 農業生産の発展のためには化学肥料の安定的な供給は不可欠でございまして、化学肥料の構造改善の適正かつ円滑な推進が図られますように、農林水産省といたしましても通商産業省と連携をとりつつ適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  48. 水田稔

    水田委員 重ねてお伺いしますが、今まで農水省は、この問題について状況なり実態について聞かれて、何らかの助言なり御指導をなさったことがありますか。これは通産省もそうなんです。両方からお答えいただきたいと思います。
  49. 野々内隆

    ○野々内政府委員 配合肥料全体としての合理化というものが必要であろうと思っておりますので、十分事情も把握をいたしておりますので、農水省とも連携をとりつつ、既に要請もいたしておりますが、今後とも全体として何とかうまくいくように考えてまいりたいと思っております。
  50. 清田安孝

    ○清田説明員 ただいま通商産業省の方からのお答えがございましたように、私どもといたしましても事情をお聞きし、また連絡をとりながら進めております。
  51. 水田稔

    水田委員 北海道というのは、一たん工場閉鎖になりまして労働者が失業いたしますと、再就職というのは極めて困難な地域であることは、皆さん御承知のとおりだと思うのです。  産構法の精神も、構造改善をやるけれども、企業だけ生き残ってはみ出した労働者は仕方がないから出てくれ、これはいけません、労働者の雇用というのも一つの大きな柱として進めていく中でぜひ考えてもらいたいというのが、法案の審議の中で何回もお互いに確認したところでありますから、そういう立場でこの問題について取り組みを通産省農水省ともにお願いをしておきたいと思います。  最後に、これは基本的なことですが、輸出の問題というのは将来にわたってはいわゆる中国なり東南アジアも自給力をつけてくるだろう、そうなりますと、まさにコストの点で今国際価格に近づけるための大変な減量対策なり、合理化をやって努力をしておる。しかし、その中で肥料産業というのを、日本の農業のためにどうしても太刀打ちできなければ外国から輸入すればいいということにはならぬだろうと思うのです。国内の農業を維持するための、例えば肥料というのは、国際商品として見た場合に非常に余裕の少ない商品だと私は思っておるわけです。ですから、もしどこかで問題が起こって、供給がちょっととまるということになれば、国際的に大変な暴騰をするような、そういう性格を持った商品だと思うのですね。したがって、そういう点からいえば、国内で必ず全部とは言いませんが、ある程度の供給を確保するということが、肥料を国内の農業に対して安定供給するために欠かすことのできない条件だと私は思っておるのです。そういう国内産業として、肥料産業をどういうぐあいに通産省として位置づけ、そして今後についてどういうぐあいに進めていこうとされておるのか、基本的なお考えについてお伺いしたいと思うのです。
  52. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘のとおり肥料は食糧生産を確保いたします上で非常に重要な資材でございますので、私ども何とかしてこれを安定的に供給をできるようにしたいというふうに考えております。  国際商品であるという観点から非常に価格の変動が激しゅうございまして、例えば尿素あたりでもここ数年の間に、上は三百ドルから下は百ドルぐらいという非常に大きな動きをいたしておりますし、また肥料の需要そのものが季節的な偏りあるいは地域的なばらつきというものを考えますと、国内にかなり強い肥料工業がないとどうしても安定的な供給がしにくいという点があろうかと思っております。もちろん、できるだけ安く供給をするという観点から考えますと、国際価格と離れた高い肥料を農民に供給するということは余り意味のないことでございますので、その辺の勘案が非常に難しいところかと思っております。  他方、肥料は化学工業の中でも一定の地位を占めておりますので、化学工業としてもやはり存続、育成を図っていかなければいかぬという二面性があるかと思っております。したがいまして、この二面から考えて非常に重要であると考えておりますので、特定産業構造改善臨時措置法に指定をいたしまして現在構造改善を進めているという実情でございます。
  53. 水田稔

    水田委員 終わります。
  54. 粕谷茂

    粕谷委員長 これをもちまして水田稔君の質疑は終わりました。  午後一時より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩をいたします。     午前十一時二十五分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  55. 粕谷茂

    粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上坂昇君。
  56. 上坂昇

    上坂委員 大型店の進出の問題について、質問をいたしたいと思います。  まず初めに、五十九年の三月五日に産政局長の通達が出まして、大型店の進出に対する抑制措置といいますか、第二次行政指導といってもいいと思いますが、その指導要領が出されました。これを出した理由について御説明をいただきます。
  57. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 大型店出店調整の問題につきましては、先生御案内のとおりでございますが、五十七年の二月から、大型店出店の相当水準地域及び小規模市町村に対する届け出の自粛指導を中心といたしますところの、大規模小売店舗の届け出に係る当面の措置を実施してまいったわけでございます。その後、その効果もございまして、届け出の件数も大幅に減少しているところでございます。  この「当面の措置」の取り扱いにつきましては、五十八年十二月に「八〇年代の流通ビジョン」が出たわけでございますが、それを受けまして、昨年二月、通産大臣談話を発表いたしまして、従来講じてまいりました措置を引き続き継続いたしますとともに、商業調整の適正かつ円滑な運営、地域経済社会との調和等の観点を考慮いたしまして、所要の手直しをも行ったところでございます。  そして、従来講じてまいりました措置を延長いたしました理由は、一つは、従来からの措置の効果もございまして、先ほども申し上げましたように、大型店の届け出件数が大幅に減少したとは申しますものの、現在調整中の案件がなおかなりあるという状況にあるということが一つございます。  それから、いま一つは「八〇年代の流通ビジョン」にも指摘されておりますように、小売商業におきます今後の競争環境などの動向が必ずしも明らかでない面もあるといったことから、引き続き継続することが適切であると判断したのがその理由でございます。
  58. 上坂昇

    上坂委員 前の通達と変わった点について、簡単に御説明をいただきます。
  59. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 手直しのポイントでございますが、一つは商調協の運用の問題でございます。これは、例えば四者協議体制の活用の問題でありますとか、周辺小売商の意見聴取への一層の配慮などといった点を盛り込んでおります。  それから二番目は、大店審の活用にかかわる問題でございますが、地方部会、これは現在十六ございますけれども、そのもとに地方小委員会設置して、機動的な運用が可能になるように配慮するといったこと。  それから大きな三番目といたしましては、都市再開発事業に係る出店調整の円滑化のために、計画策定時に商業者の意見を反映させるなどの措置をとることとしたといった点が主なものでございます。
  60. 上坂昇

    上坂委員 商調協の運用の問題ですが、やはり運用が非常に不備だった、あるいは調整能力がなくなっている、そういうところからこの通達を出さなければならなかったのではないかと考えますが、いかがですか。
  61. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 商調協の運用につきましては、今日まで各地で全体としては円滑に行われてきたと考えるわけでございますけれども、ケースによりましては、なかなか円滑な審議がうまく進捗しないといった事例もあったことも事実でございます。  いずれにいたしましても、私ども大型店出店調整の問題につきましては、商調協において十分な審議が行われるということ、そしてその過程で地元の意見あるいは地元の状況等がよく勘案されることといったことが一番大切だと考えておるわけでございまして、その商調協の運用をよりよくするための努力を常に続けなければならないという考えを持っておるわけでございまして、その考えの一環として、先ほども申し上げましたような措置を講じたわけでございます。今までがだめだったから修正をするということではなくて、常によりよいものにしていこうということの一環であると考えております。
  62. 上坂昇

    上坂委員 従来よりもよりよいものにするということで新しく四者協議を設けたということでありますが、商調協の自主性を侵してまで、いわゆる都道府県や市や、あるいは商工会議所、そして通産局、これが介入をしていくということについて、どうしてそういう必要があるのか、そういうものを組織して、それが介入しなければ通産省の思うような指導ができないのかどうか、私はそう考えておりますが、いかがですか。
  63. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま四者協の問題を挙げての御質問でございますが、新たな措置で、四者協により商調協に対する指導を強めることといたしましたことは御指摘のとおりでございます。  先ほども申し上げましたように、大型店出店調整の問題につきましては、商調協において十分な審議が行われることが何より大切であるということから、五十七年二月の「当面の措置」におきましても、既に御指摘のような通産局、都道府県及び市町村に商工会議所ないし商工会を加えました四者協議体制を設ける等の運用の改善を図ってまいったわけでございますが、昨年の二月の措置におきましては、これを一層適正かつ円滑な運営を図るために、特に調査審議の経験の少ない商工会議所ないし商工会の商調協、あるいは調査審議が円滑に進まず困難な状況にある商工会議所ないし商工会の商調協については、四者協で商調協の審議の進め方、審議内容等について協議するよう指導をしたところでございます。  それで、このことと商調協の自主性との関係でございます。ただいま先生は、四者協で商調協の運営を左右するというようなニュアンスのお言葉がございましたけれども、決してそういうことではございませんで、私ども、やはり地域関係者の意見を十分聴取することとか、地域商業の実情を踏まえた調整を行うことが一番大切であると考えておりまして、そうした意味から、商調協におきましては、あくまでも自主的な立場から十分な審議が行われることが大切であると考えているわけでございます。  そこで、四者協議体制との関係でございますが、四者協議体制は、先ほども申し上げましたようなケースにつき指導を行うということでございまして、これはあくまでも商調協に対する指導助言を行うという補助的な機能でございます。商調協は、あくまでも自主的に審議が行われるべきものであると考えておりまして、その点については今後も最大の配意をしてまいりたいと考えているところでございます。
  64. 上坂昇

    上坂委員 商調協というのは、大体大店舗法の法律にはない組織なんで、商工会議所が勝手に設ける、あるいは自主的に設ける組織なんですね。そういうところに一切の今までの紛争の調停を任じてきたというところに、根本的に問題があるわけなんです。しかし、そういう問題を既に通産省は把握しているんだろうと思うのです。そうするとなかなか思うようにいかない。したがって、通産省は思うような指導をやるということで、新しく今度は四者協議を設けて、それで指導をしていく、こういうことになったと私は解釈せざるを得ない。でなければ、今ごろ四者協議なんていうものを出してやる必要はないのです、今までも指導してきた点でやればいいのです。これは答えなくていいですよ。  それからもう一つ問題なのは、地元経済環境との調和を図る、こういう言葉が出ているわけですが、どんなふうにこれは地元との調和を図るのですか。
  65. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 昨年二月の大臣談話では、手直しの一つの柱といたしまして、「地域経済社会との調和に一層配慮するため、都市政策当局との連携強化等を図る」ということを追加しております。この「地域経済社会との調和」の意味でございますが、これは申すまでもなく、小売業地域に根差した産業であり、地域経済社会と調和のとれた発展を図る必要がある点を強調したものでございます。すなわち、大型店の急激な出店に伴う地域商業環境の変化によって地域小売業全体の健全な発展が阻害されることのないようにし、また、全体としてバランスのとれた商業集積の整備が図られることが必要であると考えたからでございます。
  66. 上坂昇

    上坂委員 従来、地域商業活動の活性化を図るということで大型店出店許可してきたのが通産省の考え方だったと思うのですが、そういう地域で一体どんな状況が出ているか。  それからもう一つは、今調整中のものが非常にあるということで、調整中という名前を使っておるけれども、実際は、これは紛争中であります。その紛争中の地域では許可することによってどのような成果が上がっているか。これについては後で私のところへ書類をもって提出していただきたい。  そこで、五十六年十一月に全国地域小売団体連絡協議会が発足したのは御存じですね。この中小小売商業者のつくった理由というのは、各地に紛争が巻き起こって何とも手がつけられないから全国的に連絡をとって、そして連絡を密にして対処をしていこうということなんであります。しかし、この団体は決して出店の相手側に対していろいろな、言ってみれば、我々の言葉で言えば闘いであるけれども、そうした抵抗をするということではないのです。むしろこういう団体通産省のやり方に対して一番不満を持っているのです。  そこで、こういう団体ができて、通産省並びに通産局というのはまことに悪いところだ、小売商業者をつぶすために一生懸命になって努力をしているのだ、したがって、ここに対しては、今の法を改正してもらってそういうことのないようにしてもらわなければ困るということで、現実にこういう団体ができたということなんです。ですから、私たちはこういう団体を応援して通産省と闘わなくちゃならないと、実際こう思っているわけなんです。本当なんです、これは。  そういう組織ができて、通産省のやり方というのは全くおかしいのですが、四者協議なんかやって、私はこれから四者協議の実態を明らかにするわけでありますが、株式会社日本統計センターというところが五十八年度の中小企業庁の委託事業として実施した調査研究、「都市別中小小売商業実態及び対策調査」、これの対象として特に福島県の喜多方市が選ばれたのであります。そしてその報告書が五十九年の三月に発表されました。  この報告書をどのように受けとめて、また、今後の都市対策あるいは地域小売商業振興のためにどのように活用しようとしているのか。これは通産大臣いかがでしょう。
  67. 井上正

    ○井上(正)政府委員 お答え申し上げます。  今先生指摘調査でございますけれども、昭和五十八年度に中小企業庁が株式会社日本統計センターに委託して行ったものでございまして、喜多方市におきます中小小売商業の実態あるいは喜多方駅前の地区再開発の事業基本計画が実施された場合の地域に与える影響といったようなものにつきまして調査分析を行ったものでございます。  本報告書は、福島県の喜多方市をモデルにいたしまして、都市における再開発事業の計画が仮に実施された場合に、当該都市それから周辺地域中小小売商業者に及ぼす影響といったようなものにつきまして調査分析を行ったものでございまして、商業調整あるいは小売商業振興といったようなことを行います際の行政上の一つの参考という性格だというふうに理解しているわけでございます。  中小企業庁といたしましては、商業政策と都市政策との連携の強化を図るということが非常に重要であると考えておりまして、このような観点から、都市計画等の町づくり計画と整合性のとれた地域商業の振興ビジョンでございます地域商業計画の策定等を推進いたしますとともに、都市計画担当でございます建設省とも相談いたしまして、市街地再開発事業等の計画案の策定に当たりましては地元小売商の意見を十分反映させていただくようにというようなことで、再開発事業と地元小売商との調整を図っているわけでございます。
  68. 上坂昇

    上坂委員 答える場合は余り同じことを言わないで、きちんと要領よく答えてくださいよ。  この報告書は、結論的に要約しますと、大型店出店による商圏拡大の効果は少ない、むしろマイナス効果の方が大きい、こういう結論を出しているのです。したがって、喜多方市に類似都市の都市計画なりあるいは商業振興についてはやはりそうした結論が出るだろう。参考だなんて言うけれども、私はこれは非常に大切な報告書だろうと思うのです。  そこで、喜多方市は結局、大小小売店舗取りまぜて既に現状では小売業は極めて過密であると報告をされているのであります。これをどういうふうに受けとめますか。それはそのまま受けとめていいですか。
  69. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 五十九年三月に出されました日本統計センターの報告書の中に、ただいま先生がお述べになりましたような記述がございますことは事実でございます。  この内容の受けとめ方、商業調整との関係における受けとめ方でございますが、当該地域の商業環境についての実体的判断とか、あるいはそれを踏まえて大型店出店調整を具体的にどうするかという実体判断の問題につきましては、三条届け出後の商業活動調整協議会で行われるものでございまして、そして、その商調協での議論では、このような報告書も審議資料の一つとして参考にされるべきものであると考える次第でございます。
  70. 上坂昇

    上坂委員 そうしたら、それはもう商調協の自主性に任せて、地元の商調協がどういうふうに判断しても構わないということなんですね。そうすると、この報告書というのは単に研究報告をさせただけで、大きなお金を使って、一生懸命モデル地区を出して、そのモデル地区でせっかくできた報告書も、これは単なる参考人だ、こういう考え方ですね。
  71. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 これは中小企業庁から委託をいたしました、委託による調査結果でもございますし、また、内容を見ますと相当精力的に研究をしたという跡もあるものでございます。そういった意味において、これを商調協の重要な参考の一つとして使うということはむしろ当然かと思っております。ただ、商調協では、このことだけでなくてそのほかのいろいろな材料もあわせて総合的に判断されるものだと考えておるわけでございまして、必ずしもこれだけが根拠になるというわけではないかと存じております。
  72. 上坂昇

    上坂委員 商調協がどう利用するかということを聞いているのじゃない。通産省がせっかくこれだけのお金をかけて調査をさせて、そしてモデル地区の実態があらわれたんだ、そうしたら、それを参考にして、通産省行政をやるためにこれが利用されなければならないと僕は思うのです。それをこういう書類、今度研究させてどんどんつくるから、それはみんな商調協で全部利用しなさい、こんな無責任な話がありますか。そういう考え方だから、あなた方の下にいる人たちはろくなことをやっていないんだ。とんでもないことばかりやっている。その実態は後で明らかにするから、今の点についてもう一度……。
  73. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 行政との関係についての御質問でございますが、私どもももちろん一つの重要な参考としてこれを使うことは当然かと思いますが、ただ、私どももこれだけでなくて、商調協における審議の経過なり結論なり、あるいは場合によったら大店審における議論なり、そういったことを総合的に勘案をして行政を行うということは必要かと思っております。これを参考にすることはもちろんでございます。
  74. 上坂昇

    上坂委員 「ただ」の方は言わなくてもいいんだよ。そんなの当たり前のことなんだ。こればかり参考にするんじゃないなんて、こればかり参考にしたのじゃ行政できないからね。「ただ」の方はむだなんだ。そういうことをやっているから時間がなくなっちゃうんだ。こういう報告書が喜多方市に出ているのに、それにもかかわらず、極めて安易に大型店のヨークベニマルの出店について三条の届け出の受理をしてしまったのですね。これは、どういう理由なんですか。  時間がないからもう一つ言いますよ。さきの四者協議の前に市に対する事前の説明を行うようにという指導をしているはずですね。ところが、市に対してその説明がやられていないのですね。その四者協議の主体の一つである地方自治体ですよ、市の当局が説明を受けてないというのに、四者協議の機能が発揮できると思いますか。私は、発揮できるとは思わない。出店側の自治体に対する説明というのは届け出の重要な要件ではない、こう解釈してよろしいですか。
  75. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 通達におきまして、届け出を行おうとする者または核店舗として入居しようとする予定のある小売業者に対しまして、届け出前に出店予定地の市町村等への出店計画内容について説明を行うよう指導しているところでございます。この事前説明は必ずしも法律上の要件というわけではございませんけれども、私どもといたしましては、調整手続を円滑に進めるための方法の一つとしてこれを重視しておるところでございます。そして通達によって指導している次第でございます。
  76. 上坂昇

    上坂委員 重視をしているということはわかりました。  そこで今度は、市の方は五十九年の九月十日の喜多方市の定例議会で一般質問が行われたのです。その議事録は今私が持っていますが、その一般質問に対する、ヨークベニマルの出店計画に対する質問に対して市長は議会で、事前説明は受けていない、こう答えている。それからもう一つは、出店に対する判断の根拠としては、通産省の委託報告書を判断の根拠としている、要約してこの二つを答えているのです。ところが、私が仙台通産局へ行ったんだ、そして調査をしたら、仙台通産局の消費流通課長とかなんとかというのが調べに行って、そして帰ってきた報告については何だというと、説明をした、こういうふうに答えている。仙台通産局長が部下を信用し、かわいがって、部下の報告を信用するということについては私はとやかく言うわけではないんだ。だけれども、地方自治体の長がその地方自治体の議会の中で答えたものが誤りであるという判断をどうしてできるのか。これは大臣どうですか。あなたは政治家としてどう思いますか。  議会の長が、自治体の長が言っているのに、国会の下請機関でもなければ県会の下請機関でもないんだ、あくまでも独立したものなんだ、議会というのは。その議会でその市の長が、そういう説明は受けていないのですと言っているのに、通産局の連中は受けた受けたと言っている。私はちゃんと行って調べてきているんだ。これはおかしいよ。
  77. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 市に対する事前説明につきまして、通産局は出店者から五十八年六月以降、四回にわたり市を訪問をしておる、その中で直接市長に対してではないが、助役及び担当課長に書類に基づいて説明をした、こういう報告を受けており、本省としても市に対する事前説明は行われたと判断をしておったところでございます。  しかるに、五十九年九月十日の市議会において市長さんが、出店計画内容の説明は受けていない、書類の提出であって説明とは言えない、こういった趣旨発言をされたと聞いております。この市長の発言は、市議会という公的な場での発言でもございまして、私どもとしてはやや戸惑いを感じておる、そういうのが率直な印象でございます。
  78. 上坂昇

    上坂委員 戸惑いとは何ですか。そういうおかしなことを言うから変てこになってしまうんだよ。戸惑いとは何ですか。少なくとも市議会で市長が議員の質問に対して答えているのですよ、私は説明を受けていませんと。そして助役に対しても答えさせているのです。助役だって、書類を置いていっただけだ、こう言っているのです。それを通産局の職員だけは、説明を受けた受けたと言っているのです。こういうことをやるから、さきに私が言ったように、四者協議というのはここから来ているんだ、これをやりたいから四者協議なんというのを持ち出して、そして通産局をあなた方は利用して、そして大型店舗をどんどん出店をさせるという、そういう意向である、方針である、こう解釈せざるを得ないのです。私は三条受理したのは全くおかしいと思うのです、事前説明を受けていないんだから。  大体あなた方が指導したことをやっていないんだ。やっていないにもかかわらず、大店側もやっていないし通産局もやっていないのにもかかわらず三条受理だけはするのですよ。そして今度は何を言うかというと、いや、そんなことは構わないんだ、商調協を早く開きなさい、商調協は開店日、面積、時間、休業日、その四項目だけどんどん審議を進めればいいんだ、こういうお墨つきを与えているんだ。これが仙台通産局のやり方なんです。  私はもう一回大臣に聞きますが、公的な議会という神聖な場所で、少なくとも国ならば総理大臣ですよ、その人が答えたことに対して、それを尊重せざるを得ないでしょう。戸惑っちゃいけないな。戸惑っちゃったんじゃだめだ。戸惑わないでくださいよ。きちんとしてくださいよ。やはり尊重してもらわなければならぬ。尊重するということになると、通産省指導方針には従っていないんだから、それでも従うというならば、通産省指導方針はあくまでもいいかげんなものだと言わざるを得ない。だからこれは大臣からはっきりとした答弁をいただきたい。
  79. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 市議会という公的な場における市長の発言というものは非常に重みのあるものであることは先生指摘のとおりだと思います。本件についてはいろいろ経緯があると思われますが、今後とも関係機関との連携を密にして、行き違いのないように気を配ってまいりたいと思います。     〔委員長退席、田原委員長代理着席〕
  80. 上坂昇

    上坂委員 もうこれは行き違いができちゃったんだね。それはこれからやったってだめなんだ、もう行き違いができているんだから。その行き違いをきちんと認めることが大切なんだ。認めて、そして三条受理というのは間違いでしたと。過ちて改むるにはばかることなかれということなんだよ。それをやらなければだめだよ。
  81. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 三条受理のいきさつについて申し上げたいと思います。  三条受理をいたしましたのは五十九年八月二日でございます。これは、その前の四月二十日付で地元商業者団体でございますところの会津喜多方商店街連合会から商調協において審議することを了解する旨の見解が出されたということ、また、それまでの商工会議所による出店計画のお知らせ会二回、それから出店者による説明会二回、それに加えまして、通産局の指導によります商工会議所主催の説明会も行われたことなどから、商調協において審議する段階にあると判断をして三条届け出を受理したわけでございます。実は八月二日時点では市長の御発言はまだなかったわけでございます。届け出受理後市長の御発言があった。それは九月十日であったわけでございます。
  82. 上坂昇

    上坂委員 そういうことはみんな知っているんだよ。そういう余計なことばかり答えるから時間がなくなっちゃうから、私はあなたに説明を受けなくてもいいと言っているんだ。これは基本的な問題なんだ。地方自治体の長が、やっておりませんと言っているんだ。それにもかかわらず、やったやったということはどういうことなんだ、あなたは座っていればいいんだ。もう一回大臣大臣が一番の責任者なんだから判断してくださいよ。政治家としておかしいと思わないですか。――余計なことを答えなくていいよ。間違っているか間違っていないか答えなさい。
  83. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 大臣答弁の前にちょっと、事実関係について申し上げたいと思います。
  84. 上坂昇

    上坂委員 いいよ。事実はみんな知っているんだ。いつ幾日商調協を開いて、商調協開け開けと言っているんだから開くよ。受理して開け開けと指導しているんだから聞かざるを得ないでしょう。そういうことをやっていて、そして市長がやっていないということに対しては過ちだということを絶対に認めないんだ。そういうやり方だから、あなたたちは、大店舗の進出に対しては賛成して、何でもいいから小売商業をみんなつぶせばいい、こういう考え方に立っていると言わざるを得ない。  「企業倒産廃業が続出」これは地元の福島民友という新聞なんです。六十年四月五日です。「市始まって以来の不況」こうなっているのです。もう何十件もつぶれているのです。その中には建設業ももちろんありますよ。しかし小売業、卸業がつぶれているのです。その間、昭和電工という一番大きな工場まで閉鎖をしてしまったんです。そういうところだから購買意欲が非常に低下をしている。したがって小売商店はみんな困っているんだ。困っているところへ持ってきて大店舗が進出するということについては、これはまずいということをこの報告書で、あなた方が依頼したところの偉い人いっぱい入っているんだよ、東大の先生から何から。私は余り尊敬しないけれども、あなた方が尊敬する東大の先生がみんな入っているんだ。そうしてやっているんだ。それにもかかわらず、こういうものが出ているのに三条を受理して、そうしてどんどん進行させていってしまうということは、通産局は全く言語道断だと思うのです。大臣が通産局の職員をかばうのはいいよ。あなたは長だからかわいいと思う、それは私は認める。しかし間違いは間違いとして認めてもらわなければ困る。そして、間違いだったらそれを改めなければいけない。そこのところをはっきりしてください、大臣――大臣に聞いているんだ。何であなたが答えるの。
  85. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 市への説明の問題につきまして先ほど来御指摘があるわけでございますが、それの事実関係についてやや詳しく御説明させていただきたいと思います。  先ほども大臣から申し上げましたように、五十八年六月十五日、五十九年二月二日、五十九年五月十一日、五十九年六月二十二日、四回にわたりまして会社は市を訪問しております。市長御自身にはお目にかかっておりませんが、助役及び担当課長にお目にかかっておるわけでございます。そのうち二回は書類を渡して説明をした、このように会社から通産局に対して報告を出されておったわけでございます。そこで、その段階では、このような次第でございますれば当然市に対する説明は済んだと私どもは思っていたわけでございます。ところが、先ほども先生指摘のように、九月十日になりまして、つまりこれは届け出受理後でございますが、市議会での市長の御発言があった、こういう時間的経過になっているわけでございます。  出店者が市を訪問いたしまして助役及び担当課長と会って話をしていること自体は事実であろう。問題は、それが説明と言えるかどうかということであろうと思うわけでございます。会社の方では十分説明をしたという報告をしておりますけれども、そこのところにつきましては、若干事実関係の突き合わせが必要となってくることもあろうかと考えているわけでございます。ただ、市に対する説明という場合に、必ず市長御自身に説明をしなければならないか、それにかわる助役さんなり担当課長に説明をすればいい場合も一般的にはあろうと思っておりまして、その点についてはもうちょっと事実関係を突き合わせる必要があろうかと考えているわけでございます。
  86. 上坂昇

    上坂委員 会社は説明した、説明したと言っているんだ。だけれども、助役も説明しないと議会で言明しているんだ。そうしたら説明しないというように受けとめなくちゃいけないじゃないですか。幾ら小さな町だって、四万の人口があってそこから出ている議会ですよ。その代表に対して答えているんですよ。そんな無責任な答えはできるはずがないのですよ。だから、あいさつに来て、これを置いていきます、お願いしますと言ったって説明したということになって、会社が言うとあなたたちはすぐ会社の方ばかり信用して、市の方を信用しないというのはおかしいじゃないですか。だから私は政治家である大臣に聞いているんだ。大臣、どうですか。おかしいでしょう、これは。
  87. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 先ほど来委員質問とそれからまた政府委員答弁とをいろいろ承っておりました。大店法の運用の問題につきましては、法令、通達などに基づいて今後ともその手続に遺憾なきを期してまいらなければならないと思います。いずれにいたしましても、大型店出店調整については、消費者利益の保護に配慮をしながら周辺中小小売業事業活動機会を適正に確保するよう努めてまいりたいと存じております。
  88. 上坂昇

    上坂委員 だめだね、それじゃ。答えになっていないね。答えになっていないのはわかるけれども、とにかく答えようがないなら答えようがないとはっきり言ってもらった方がいいんだ。地元小売商業の調整をやるというわけだ。やるんだったら、大型店を入れたら小売商業は困っちゃうんだという報告書も出しているのですよ。それにもかかわらず、これを受けたら調整ができないじゃないですか。幾らうまいこと言って調整する、調整するといったって、調整にならないじゃないですか。ですから私は、通産省は抑制するなんてうまいことを言っているけれども、実は抑制する意思は全くない、全部認めたいというのが本音である、どうしてもこういうふうに解釈せざるを得ないのです。だから紛争地域小売商の人たちがみんな集まって、あなた方に対する不信を出しているわけですよ。こうした出先の人たちのやり方によって通産省の信用がますます失墜していくということは、私はゆゆしき問題だと思うのですよ。  小売商業が今いかに困っているかということは知っているわけでしょう。これが全国的な傾向なんですよ。それを考えたときに、調整する、単なる調整なら、やめる、撤回した方がいい。受理を撤回してもとに戻してもう一回やりなさい、こういうふうにすべきだと思うのです。そして市なら市の意見を聞けばいいんです。市はこれを尊重すると言っているんだから。これを判断の基礎としたい、こう言っているんだから。そういうやり方が一番正しいと私は思う。  ところが、通産局の人たちは矢橋さんが言ったのと同じことを言っているんだ。だから親が親なら子も子だということになっちゃうんだな。それてどうしても出店をさせたい、させたい方向に進めていくということなんだ。だから困っちゃうのです。非常に困る。これでは中小企業は助からないのだ。特に、商売をやっている人たちは非常に困る。だから商店街がだめになって、経済が疲弊してしまうのです。地域経済が疲弊しているから中小企業の倒産が後を絶たないところか、どんどんふえているじゃないですか。したがって、この結論を持っていくと通産省地域経済を復興させるなんてうまいことを言っているけれども、実はそうではない。地域経済をますます疲弊させるために一生懸命になって努力をしているというふうに解釈せざるを得ないのです。そういうふうに信用がなくなっちゃうのです。だから私にちゃんと言明してください。いいですか。市長の言うことは、これは尊重します、したがって、あの通産局がやったことは、まじめに調査をしたかもしれないけれども、判断が誤っている、したがって判断が誤っているならば、三条受理を撤回しなさい、そこから始めるべきだ、そういうふうに思わないですか。
  89. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま先生から三条届け出の受理を撤回すべきではないかという御指摘でございますが、この件につきましては商業者団体でございますところの喜多方商店街連合会からの見解も出され、先ほど申し上げましたような説明会等も十分行われ、商調協の審議段階に立ち至っている、そういう判断で三条を受理した次第でございます。  現在、既に商調協において審議が行われておりまして、今日までに九回審議が行われておりますけれども、円滑に審議が進むように指導してまいりたいと思うわけでございます。  特に、商調協におきましては、商工会議所会報で意見を公募いたしまして、希望者に陳述の機会を設けることとか、また実は市長からは商調協会長に、今年に入りまして意見書が出されているわけでございますが、その市長からの意見書と申しますのは、先ほど先生がお挙げになりました中小企業庁委託調査報告書の内容について十分検討されるようにという意見書が出されているわけでございます。そういったこととか、それからその他市民の暮らしと営業を守る会からの意見書といったものも照会をいたしまして検討するなど、慎重な審議を行いつつあるように私どもは受け取っております。今後とも慎重かつ円滑な審議が行われますよう指導してまいりたいと思っております。
  90. 上坂昇

    上坂委員 だから、余り円滑にまいるように指導しちゃうから今みたいなことになっちゃうのです。そうでないのです。その前の問題なんです。それはあなた、通産局が一生懸命になって商調協を開け、開け、審議しろ、審議しろと言うんだもの、それは審議するよ。それじゃないんだよ。市長が説明を受けてないということについて、あなた方は説明をするということは重要な要件であるというふうに解釈しているのでしょう。それがなされていないということを議会で言明し、市長ばかりじゃないのですよ、面会をした助役もそういうふうに答えているのです。それにもかかわらず、あなた方はどうしても、それを説明を受けたというふうに解釈をするということはおかしいと私は言っているのです。  そこで、これはもう幾ら矢橋さんに聞いたってああいう答えしか出ないのだ、僕だって最初からわかっているのだ。だから、大臣が判断をして、よろしい、これは再調査するなら再調査する、したがって今の商調協についてはこれはストップをさせる、ここまでひとつ言明していただきたい。
  91. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 上坂委員と矢橋審議官といろいろ質疑応答を申し上げておるところでございますが、現実に市役所に赴いて助役、担当課長に会ったということは事実であるというふうに通産局及び通産省では認めておるようであります。しかし、現実に市長が市議会に対して、会っていない、説明を聞いていないということを言っておるわけでございまして、この辺のところの行き違いはこれはなかなか判断が難しい点がございますが、客観的に申しますと、一応市役所に赴いて書類を提出し助役にいろいろ説明をしたという事態がたびたびあれば、訪問をした方の側からいえば説明を申し上げた、こういうことになるのだろうと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げておりますように、大店法の運用については法令、通達等に基づいてしっかりとやっていかなければなりませんから、今後ともその手続に遺憾のないようによく考えていかなければならない。そしてまた、大型店出店調整の問題は、究極的には消費者利益の保護に配慮をしながら周辺中小小売業事業活動機会を適正に確保するように努めてまいらなければならない、こういうふうに考えておるところでございますので、通産省のスタッフ及び通産局とはこういった観点に立って指導してまいりたいと思います。
  92. 上坂昇

    上坂委員 今の答えは納得ができませんね。私が質問しているのは違うんだ、間違えたら間違えたと認めなさいと言っているのだ。だって、向こうは、出店側は説明した説明したと言ったって、受けている方は説明を受けてないと言っているのに、何で受けたというふうに受けとめるのか。それはおかしいじゃないですか、それじゃ。だから市長は怒っているわけだよ。ばかにするな、通産省は地方自治体をばかにする、こう言っている。これはやっぱりおかしい。  そこでもう一つ、通産局がやっている実態を明らかにしたい。  それはいわき市平の問題なんです。このいわき市の平で一つ出ているのです。これは三条届け出が出されて、受理している。だけれども、その審査の方法として、学識経験者の小委員会をつくって、その小委員会に説明書をいろいろ出したのですね、納得させようと思って。それは通産省が一番最初にライリー・コンバースという審査の基準を出したのです。ところが、それは既に古いということで五十四年にこれはもうだめだということになっちゃったのです。それで、五十四年からずっとことしまで六年間も修正ハフモデルというものに対して、これを利用してその審査をしなさい、こういう指導をしてきた。そして五十三年、五十四年の通達、これは審査方法という形で出ている。五十七年には審査要領という形で出ている。そして五十九年にはまた審査要領という形で出して、毎年毎年進歩した、進歩しているのかどうか僕はわからないのだけれども、進歩していると考えざるを得ないのだ、通産省がやっているのだから。進歩したその審査方法を指示しているわけだ。  ところが今度は、その小委員会に出したモデルのやつはどういうふうに指導しているかというと、これも仙台通産局、悪いんだ、通産局というのは。これはどういう指導をしているかというと、そういう今出ている大店審の審査の方法なんというのはどうでもいいのだ、自分の町に都合のいいものでやればいいんだ、こういう指導をしているわけだ。そしてまたライリー・コンバースというものでやらしたのですね。このライリー・コンバースというものでやると、出店側が有利なように計算ができるようになっているのですよ。  これを詳しくやると三時間ぐらいかかるから時間がないからやらないんだけれども、そういう指導をするわけですよ、通産省の役人は。これは大臣の部下だからね。これは困っちゃう。それがこういうことをやって地元を混乱させているわけですよ。ところが、いわき市の市の商工会議所は新しい開発計画というものをちゃんと出して、そしてこれに基づいて我々はやるから出店には反対だと言っているにもかかわらず、どんどん今言ったように出店の面積を出して、そしてこれに合意させよう合意させようとしているのです。その書類はちゃんと通産省にも来ていると私は報告を受けている。来ているのですか。来ているものに対して通産省は何も言わないから、通産省は本庁まで認めてしまったと喜んでいるのです。
  93. 矢橋有彦

    ○矢橋政府委員 ただいま先生から、ライリーの法則あるいはコンバースの法則の適用問題についての御質問でございます。  これはちょっと技術的な問題で恐縮でございますけれども、ライリーの法則あるいはコンバースの法則と申しますのは、競合する都市間の商圏分岐点を求め、ある都市の商圏が他の商圏にどのような変化を与えるかということに着目したものでございます。他方、ハフモデルと申しますのは、特定の個別の店舗がその商圏内にある個々の商業集積の消費者行動をどう変化させるかということを判断するものでございまして、実はこれは新しいモデル、古いモデルということではございませんで、目的が違うものでございます。したがいまして、いずれの目的や観点に着目するかによりまして、どちらの方法を採用するのがよいのか、あるいは両方を参考にした方がよいのかといった判断が出てくるわけでございます。  確かに、ライリーの法則とかコンバースの法則の方がハフの法則よりも前に開発されたものであることは間違いございませんけれども、改善されて新しくなったというのではございませんで、今申し上げましたように目的の違う法則でございます。  それから、大店審では、実はハフモデルを出店による影響度を見るための指標として使用しているわけでございますが、その他の指標などを含めまして、大店審の審査要領は大店番がみずから審査する際に使うということを主目的としているわけでございます。が、あわせて商調協に対しましても参考とされるように周知を図っているということでございます。  なお、先生指摘のように、ライリーの法則なりコンバースの法則を使えという指導を通産局がしたという事実はございません。
  94. 上坂昇

    上坂委員 大体、中小企業庁なり通産省の答えは最初からわかっているのだ、そういう答えしか出てこないのだ。そして一生懸命擁護をしているのだ。そしてその擁護が結局は大店舗をどんどん進出させるということにつながっているところに問題があるわけです。  だから、私が大臣に言いたいのは、大臣、あなたかわってこっちへ来て、ここで私が言ったことを質問した場合、今の答えで納得できますか。これは政治家としてですよ。市議会の長が聞いてないと言っているのだ。会社は説明したと言っている。会社の言うことばかり受け取って、それでは通産省の信用はなくなってしまうと僕は言っているのです。それではだめだ。だから今、小売商業者の目は実に大きく通産省に不信となってあらわれておるのですよ。  これは答えはおかしいが、私は質問をやめませんよ。こんなわけのわからない答えではだめだ。これは理事会でちゃんとやってもらうしかない。
  95. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 上坂委員のおっしゃっておる御主張そのものは理解できます。したがって、これは事実関係のものでございますから、ひとつよく事実関係調査をして、そしてまた御連絡を申し上げる、こういうことでいかがでございましょうか。
  96. 上坂昇

    上坂委員 それでは私は、この質問についてはその回答が出てくるまで保留しておきます。また詳しくやらせていただきます。  時間が来ましたから終わります。
  97. 田原隆

    ○田原委員長代理 和田貞夫君。
  98. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大臣、先ほどの上坂委員質問に対する通産省答弁を見てみましても、私はどうも中小企業庁なり通産省というのは、確かに製造部門にわたる中小企業に対しましてはいささかの施策というものがあることは認めますが、零細小売事業者小売商業活動をやっておられる小売商人に対するところの通産の中小企業の対応の仕方というのは極めて冷淡である、こういうように言わざるを得ないわけであります。朝から質問をさせていただいたこともその一つでございますが、まずひとつ大臣にお答えいただきたいわけでございます。  行政庁がつくった法律に基づいて許可なり認可手続をとって商業活動をやっておる団体、この団体に対していわゆる法律に基づかない不法の商業活動をやる部門については、これは適正な商業活動をやるために許可なり認可を受けた商業活動者、団体に対しましては、あくまでも行政庁は温かい手を差し伸べて適正な商業活動をやるために保護する、これは当然だと思うのですが、どうですか。
  99. 石井賢吾

    石井政府委員 御指摘のとおり、小売市場につきましては小売市場発展のために小売商業調整措置法によりまして許可をし、その育成を図っていくという方針でございます。御指摘のように、その周辺においてその小売市場活動を損なうような違法な活動があるという前提でのお尋ねでございますので、その違法な活動一般消費者に対する小売事業活動ということであれば、小売商業調整法の規定に従いましてその紛争調停をしなくてはいかぬと考えておりまして、そういう意味においてその事業活動の対応がそういった違法な状態の、例えば具体的に言えば生協員外活動という形において一般消費者への販売活動であれば当然に調整すべき問題であると考えております。
  100. 和田貞夫

    和田(貞)委員 答えになっておらぬと私は思うのです。余りにも実態を見きわめておらない通産省であると言わざるを得ないわけであります。そこを先ほど申し上げたわけです。  例を挙げますと、私の地元東浅香商業協同組合の生い立ちですが、昭和二十九年八店舗で商店会をまずつくった。そのころその地域は住宅もない、学校もない、道路も不十分、そして交通機関もない、その地域に住んでおられる住民、消費者のためにこの八店舗共同して地域に大きな貢献度を尽くしてきた。それが徐々に三十四年に今度はさらに、八店舗では消費者の皆さんに商業活動が十分に施すことができないので二十四店舗で商業協同組合をつくった。そして商調法に基づくいわゆる小売市場認可を受けたわけです。当時この協同組合をつくるのに一口わずか七百円の出資金、合わせて五百二十五万円でこの協同組合をつくった。ところが六年たちまして四十年に、壁一つ隔てた隣に不法市場ができておるのです。いまだにその市場が現存しているじゃないですか。さらには新日鉄の社宅ができた。その新日鉄の社宅の購買会組織として花田マートというのが約七百五十平米の規模で開店した。これが今ではダイエー系のスーパーに身がわりしておる。四十三年にはそういうことに対応するために鉄筋二階建てに改装した。そこで制度資金を含めましてその費用が約六千万円かかっておる。ところが、後二年たちますとこれまたスーパー大黒というのが出店をしておる。さらに一年置きますとまた不法市場ができてきておる。それからスーパーダイエーという大型店舗ができておる。さらにダイエーが大型店舗規制の法の裏をくぐってミニスーパーを無数に出してきておる。まさにこの法律に基づいて許可を受けた市場認可を受けた協同組合というのは今や死活の状態になっておる。それをその法律措置によって処理することであって、商調法大店法規制対象にならないというようなことで事を済ます限りにおきましては、法律で保護された商業活動をやっておる者は大変じゃないですか。そのことを放置するということは、まさに零細小売商人を、小売商業活動をやっておる者を切り捨てるというのが通商産業省の姿勢であるというように断ぜざるを得ないわけです。そういう具体例の中でそのような商業活動者をどのように救っていくか、どのようにその死活の状態に対処し、これを生かす方向にしていくかというのがあなた方の仕事であればこそ中小企業庁の役割が果たせることになりますし、また、かつて委員会で村田大臣が、私は中小企業大臣だということまで言われた。このことを処理できなければ中小企業大臣じゃない。中小企業庁はもう要らない。この法律を廃止したらよろしい。この点について大臣、答えてください。
  101. 石井賢吾

    石井政府委員 昨日、先生の御指摘を受けまして周辺市場状況を調べてみました。ただいまわかっている限りにおきまして、今先生が御指摘のように、不法市場といいますか本来許可をとるべき小売市場ができておるということが一カ所判明いたしたわけでございます。こういった不法な市場につきましては法に基づきます措置をとるということで現在調査を進めております。大阪府とも共同いたしまして今後この対応を的確に進めてまいりたいと思っております。
  102. 和田貞夫

    和田(貞)委員 何年たっているのだ。これから調査するのか。もう十年も十五年もたっておるじゃないか、不法市場が。これから調査すると言うが死活の問題になっておるのです。しかも、こういう状況の中でなお消費者のニーズに合わせたサービス活動をしたいということで、五十七年一億円の資金を借りて改装して、九五%の借金をまだこれから返済していく、こういう段階にあるんだ。それを今のような答弁で納得できますか、満足できますか。そこに微に入り細にわたっての保護策、指導があってこそ初めてあなた方の役割を果たすということになるじゃないですか。これは大臣、決意を込めて答弁してください。時間がない。答弁できなかったらもう中小企業大臣じゃない。
  103. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 和田委員から御指摘をいただいた問題につきまして、不法に出店をし、そして地元中小小売業に大変な迷惑をかけておる者があるということでございますので、そういった不法の事実があるかないかということを早急に調べまして対応をいたしたい、そして今後とも正しい運用の方針に従って対応してまいりたいと思います。
  104. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それは血の通った答弁じゃないじゃないですか。それが中小企業大臣だというように豪語するあなたですか。それが通商産業省の姿勢ですか。それが中小企業庁の責任ある態度と言えますか。これじゃ先ほどの上坂委員と同じように通産省に対する国民の、特に商業活動をやっておる者は信頼ができない。こういうことを私は声を大にして零細業者立場に立って苦言を申したい。決意のほどをもう一度、大臣、ここで全国の零細商業者のためにあなたが血の通った答弁をしてください。
  105. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 お答え申し上げます。  速やかに調査いたしまして対応いたしたいと思います。
  106. 和田貞夫

    和田(貞)委員 終わります。
  107. 田原隆

    ○田原委員長代理 木内良明君。
  108. 木内良明

    ○木内委員 きょうは本委員会は朝から大分白熱した議論並びに政府に対しまして厳しい指摘の数々が飛んでいるわけでありますけれども、私は、地味ではありますけれども極めて国民生活にとって重要な意義を持っております医療福祉機器技術研究開発委託制度並びに総合計画の策定の必要性、こうした視点から質疑を行いたいと思っております。  まず、医療福祉の分野において開発が要請されております機械、器具を国が開発能力のある企業に委託費を出しまして研究開発を行う制度として医療福祉機器技術研究開発委託制度があるわけであります。この医療福祉機器の種類は極めて多く、その開発では医学、生物化学、電子工学など広範囲の高度な技術が要求されるわけでありまして、最新の先端技術、電子技術とバイオテクノロジー等との結合を図り、医療福祉機器開発分野の先駆的役割を果たすものとしてこの制度並びに五十一年以来政府が行ってきた施策について私は高い評価を行うものであります。同時に、その開発に対する要請と期待が国民の各位から極めて大きい。こういう特性に対しまして、この開発の進め方とか実用化の面については今なお改善すべき点も多い、このように認識をしているわけであります。そこで、まずこの制度の目的と概要について御報告を願いたいと思います。
  109. 等々力達

    ○等々力政府委員 この制度は、高度な福祉社会の実現を図るという観点から、医療及び福祉の分野におきまして緊急に開発が要請されているもののうち、リスクが大きいというような理由で民間において独自に開発することが困難な機器を国が先導的な役割を果たしつつ開発するということを目的といたしております。  ただいま先生からお話がありましたように、五十一年度に発足したものでございまして、通産省が開発能力のある機関に研究開発を委託するというような方式で実施をしてまいっております。その際、厚生省関係の機関ともよく御相談、協力をいたしまして、関連する各分野の専門家の助言を得ながら開発を推進してまいっております。現在といいますか、五十九年度末までに十四の機器の開発を終了いたしまして、現在は八テーマで九機器の開発を実施しておるところでございます。
  110. 木内良明

    ○木内委員 今院長の方から御報告いただきました。確かにこうした機器を製造する企業というのは中小企業が多いために、こうした高度の技術開発を行うにはリスクが極めて大きいということに加えまして、機器の需要が多種少量であって、また需要先も勢い限定されざるを得ない、採算性の問題もあるわけであります。また、医学と工学の境界領域にあるために、いわば関連技術分野が医学、生物化学、電子工学、さっき申し上げたような領域等いわゆる学際的研究を非常に要求されるという特殊性がございますために、今我が国の行政のあり方の中ではこれが縦割りになっておりまして、なかなかこれがまとめにくい。こういう状況の中で通産省がこれまで先駆的にこの制度の運用の中で開発を委託し、事実医学関係でありますとか、あるいは身体障害の方々に大変な貢献をしているという認識を実は私は持っているわけであります。  ところで、大臣にお聞きするわけですけれども、こうした申し上げたような意義は極めて高く評価されるにもかかわらず、五十一年の発足以来のこの制度における委託費予算の推移というものが実は非常に心もとない状態になってきていることも否めない事実であります。発足の昭和五十一年三億円よりスタートしていまして、実はピークが五十六年度の九億八百万円、その後五十七年度には八億一千五百万、五十八年度に七億六千五百万、五十九年度六億八千百万、そして今年度の予算では六億四千六百万と、実は減少の一途をたどっているわけです。先ほど院長の方から答弁もいただきました、この制度の目的、趣旨から考えますと、この事実は極めて憂慮すべきことであります。  私もいろいろ調べてみましたけれども、こういう各学問領域をジョイントさせていわば学際的研究を実用化の段階にまで昇華させるという、この制度というものはほかにないわけでありまして、そういった意味から、むしろこの制度における予算の拡大化が今後図られなければならない。当然こうした財政事情の折ということもございますけれども、シーリングの問題等あるでしょうけれども、これはむしろ特例枠を今後設けるなり、あるいは重大な決意を持ってこの委託費の減少傾向に歯どめをかけ、同時にさらに国民の総意と言うと大きな言い方になりますけれども、非常に意義のある制度でありますので、ともどもにこれは育成をしていかなければならない、こういうふうに思うわけであります。  まず、この点についての大臣の御所見を伺いたい。
  111. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 委員指摘のように、医療福祉機器技術研究開発委託費の推移を見てみますると、五十六年度をピークといたしまして、その後漸減をいたしておる。六十年度当初予算は六億四千六百万という数字になっておるわけでございます。御承知のとおりに昨今の厳しい財政事情の中ではございますが、国による開発が求められている新規医療福祉機器の開発を促進するために、通産省としては開発に必要な予算を確保しなければならぬ。そして、より効率的な研究管理を行うなどにより、研究開発に支障が生じないよう努めてまいらなければならないと思います。  今後とも医療福祉機器の研究開発の充実に、このような厳しい財政事情下でございますが、努めてまいる所存でございます。
  112. 木内良明

    ○木内委員 実は今回私はこの質疑を行うに当たりまして、関係方面にいろいろ調査をいたしました。残念ながらそのときの私の受けた印象というのは、通産省でこういう非常に立派な仕事をしているんですか、へえ、驚きましたね、これはすばらしいことですねという、初耳であるという人が実は大分いたわけですね。もっともっとこれは、予算化の面で隘路がいろいろおありならば、きょう私は中間的にあるいは提案も、私の主張を申し上げたいところでありましたけれども、法制化を行うなり、またこの法制化によって総合計画を策定するなり、また開発を進める中での再評価であるとか見直しも行っていくなり、もっともっと日の当たるところでこの開発を行ってもらいたい、こういう意図を実は持っているわけであります。  ところで、今大臣から今後この制度への予算獲得の決意をいただきましたので、ぜひこれは改めて強く要望をまずいたす次第であります。  この具体的な年度ごとの予算推移の中身でありますけれども、五十六年度までは各年度とも医療機器分野が実は多額を占めておりまして、五十六年度では四億九千三百万、これは全体の五四・三%、福祉機器におきましては四億一千五百万、四五・七%、実はこうした傾向でこれまで推移していたものが、五十七年度以降は逆転しているわけです。この制度の沿革に加えまして、社会ニーズの多様化でありますとか種々の理由が考えられると思うわけでありますけれども、このいわば委託費の割合の逆転現象というものは何らかの政策的な判断に基づくものなのか、あるいはまた後ほど指摘するところでありますけれども、人工臓器等については治験あるいは臨床実験等のいろんなネックがあるために方向転換せざるを得なくなって福祉機器の方に重点が置かれてきているのか、まずこの点を聞きます。
  113. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 ただいま委員指摘のとおり、この制度がスタートいたしました当初は医療機器が大体概数で申しまして六割程度、福祉機器が四割程度であったわけでございますが、最近はむしろ福祉機器の割合が高くなっておる、御指摘のとおりでございます。この結果、五十一年スタート以降六十年度までの累計で申しますと、医療機器が五六%、福祉機器が四四%ということになっておるわけでございます。  今御指摘のように、なぜその逆転が生じたかという点でございますが、これはそれぞれの年度におきまして、新しく医療機器あるいは福祉機器の分野で開発にスタートいたします機器あるいはそれまでにやっておりまして開発が終了した機器というものの積み上げでそれぞれの比率が決まってくるわけでございますけれども、そういった機器の着手あるいは終了の程度によりまして、あるいは進捗度合い等によりまして、今申しましたような逆転が生じたわけでございまして、特別に医療機器から福祉機器へ乗りかえるという政策的意図に基づくものではないわけでございます。今後におきましても、この医療機器と福祉機器それぞれの個々のテーマごとの重要性に応じまして採択をしていきたいというふうに考えておりまして、それぞれのテーマで非常にいいプロジェクトあるいは重要性、緊急性が高いプロジェクトが来れば、また今の福祉機器が多い割合というのが逆に医療機器が多くなるということもあり得るわけでございます。個々のテーマのプロジェクトの重要性によってこういった事態が生じておるということでございます。
  114. 木内良明

    ○木内委員 開発期間の、タームの延長というものが行われますと勢い、既に検討されている次のテーマへの着手がおくれる懸念が実はあるわけですね。ですから、これはまた先ほどの議論に戻るわけですけれども、この委託機器の予算のパイ自体が大きくならなければいわば間口の広い研究開発テーマの採用というものも行われ得ないということになるわけです。今の答弁によりますと、若干研究開発が当初の計画よりもずれ込んで、改良を加えるための期間措置が必要であるというケースもあるようでございます。  そこで、現在開発を進めているテーマの問題です。一つ一つ五月雨的に消化をしていくのでは何十年もかかってしまうような、実は百前後のテーマが今審査機関で検討されているというふうに聞いているわけです。特にこれまで人工腎臓装置でありますとか心臓機能に関する開発、これは開発はしたけれども周辺の事情によって実用化されなかったりという、研究の成果は十分あるものの当初の目的である実用化段階まで、汎用的に実用化されないような状態のものも実はあるわけです。したがって、今後開発テーマについては慎重な議論なりまた検討が行われなくてはいけないというふうに思うのです。  そこでお聞きするわけですけれども、今開発されておりますテーマ、それから今後のいわゆる時代的特性を踏まえたテーマの選択についてどのようなスタンスを持っておられるのか。今申し上げたことについては、例えば今後我が国は大変な高齢化社会を迎えるわけでありますけれども、既に一部開発されております介助移動装置、このいわゆる在宅で使え、さらにまた個々のケースに非常に臨機応変に対応できる機器というものが開発されることも時には必要であろうし、あるいはまた盲人用読書器にしましても、発声発語訓練装置にしましても、センター型からさらに在宅型の訓練装置への開発が必要でありましょう。そうした点について要望をすると同時に、今後の計画についてもあわせてお尋ねをするものです。
  115. 等々力達

    ○等々力政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、研究テーマとして候補に挙がっておるものは大変多いわけでございます。現在開発中のテーマ、これはかなり技術的になりますが申し上げますと、六十年度は免疫学的ながん診断装置等医療機器四テーマ、それから盲人用読書器等福祉機器四テーマ五機器を開発中でございます。このうち免疫学的がん診断装置というのは六十年度から新たに開発に着手しております。  具体的にもうちょっと内容を申し上げますと、医療機器といたしましてまず一番目に、新生児あるいは乳幼児の神経障害の早期発見、治療のための神経障害診断治療支援システム、それから二番目に、重症筋無力症等の自己免疫疾患の治療のための免疫疾患用血液処理装置、それから三番目には、レーザーを用いました光化学反応を利用してがんの発見あるいは治療を行うための光化学反応がん診断治療装置、それから先ほど申し上げましたけれども、第四番目には、新規に開発に着手いたしております腫瘍マーカーを免疫反応を利用いたしまして、高速しかも高精度でがんを検出する免疫学的がん診断装置を開発しておるわけでございます。  また福祉機器といたしましては、下肢の切断者のための動力義足、及び同じく下肢の麻痺患者の機能的な作業を可能といたします作業用の三次元車いす、それから二番目には漢字仮名まじりの文庫本の内容を読み取り、しかもこれを音声出力するような盲人用の読書器、それから三番目には、ベッドに寝たきりの身障者の介助負担を軽減する身体障害者用の介助移動装置、それから四番目として、体温調節機能を補助しまして、身障者の社会参加の場を広げるための体温自動調節器、こういうものを開発いたしておるわけでございます。  今後どういう方向でこのテーマを取り上げていくのかという御質問には、御指摘のように、高齢化社会に伴いまして成人病の増加というものが非常に顕著になってきておるわけでございます。こういう点にかんがみまして、成人病の主なものは先刻御案内のようにがん、動脈硬化、心臓病、糖尿病などでございまして、これらは中年以後に多発してまいるということで、しかも社会的に重要な地位を占めてくるような年齢の人たちにこういう病気が出てまいるわけでございまして、社会の活動力を脅かすというようなことで、こういう病気に対する診断治療、そういうものが非常に重要になっておるわけでございます。実際に、病気によります死亡の原因の調査によりますと、がん、脳血管の病気、それから心臓の病気、こういうようなことで、これは我が国の男性でも女性でも、ともに死因の上位を占めておるということでございますので、こういう方向に向かって研究のテーマの選定を持っていくということも非常に重要かとも考えております。  先ほども申し上げましたように、既にがん対策機器といたしまして、昨年度からレーザーによる光化学反応がん診断治療装置、それから今年度からは免疫学的ながん診断装置の開発を進めておるわけでございます。それから心臓疾患に対応する機器といたしましては、先ほど先生指摘のように臨床用の人工心臓装置というもの、それから脳血管の病気に対しましては、陽電子放出核種横断断層装置というものの開発を五十七年度に終了いたしております。そういうことでありますが、今後ともこういうような病気の対策機器の開発には全力を傾けていきたい、そういうふうに考えております。  また福祉機器の方に関しましては、こういう福祉施設に働いていらっしゃる方々の人員不足の問題、あるいは過重労働の問題、こういうものを解決するための福祉機器の研究開発を実施しておるところでございますが、こういう方面についても今後一層努力を傾けていきたい、そういうふうに考えております。  そういうことで、先ほど御指摘がありましたような今後の老齢化社会の進展に対応いたしまして、高齢者の方々のハンディキャップを少しでも軽減するような方向に、また、そういう方々のニーズにこたえるように新しい機器の開発を積極的に進めていきたい、そういうふうに考えております。
  116. 木内良明

    ○木内委員 大変るると御報告いただいて恐縮していますけれども答弁を聞いておりますと、どうも社会労働委員会質疑を行っているような錯覚さえ起こすような感じがします。  今お話のありました盲人用読書器について具体的にお聞きします。  実は、先ほど昼の時間に私の事務所へ戻っておりましたら、「通産ジャーナル」という本がありまして、この「道標」という欄に等々力院長の随筆が出ていました。学者さんの等々力院長は昨年九月まで筑波の研究所に勤務しておられて、月曜日はよく電車で東京の御自宅から行かれたというところで、電車の窓から見える山を見ながら、「しかし、自分の前後に名峰を見つけて、ほんの束の間ではあるが貴重な宝を見出したような気がする。」と大変名文の随筆がございまして、下町育ちで大変人情家の、それでいて学者さんの院長なんですけれども、こういう盲人の方が今まで知り得なかった世界に直接タッチすることができる、あるいはまた人生に別世界を見出せる、こういう意味から大変朗報として受けとめられているのが盲人用読書器なんです。しかし、一部の報道と異なりまして、その実態というのはまだまだ改善すべき点があるというふうに聞いているわけであります。  我が国には約三十四万人の視覚障害者がおられるわけですけれども、この人たちは視覚による文字情報の摂取が難しく、点字または晴眼者による対面朗読に現在頼らざるを得ないわけであります。本をセットすると自動的にまずページをめくり、今院長のお話にもありましたけれども、文字認識、文章解析を行い、さらに音声合成が行われ、話し言葉の音声となって聞こえる装置、こういうものなんですね。これはもう大変視覚障害者の方の自立やあるいは社会参加への大きな助けとなるものでありまして、大きな期待が寄せられているわけであります。開発期間は昭和五十七年度からでありますけれども、既に試作器の製作には成功して、現在、夏目漱石や太宰治だとか星新一といった文庫本を読める段階まで来ているという。  実は、私は大変この盲人用読書器に大きな関心を持ちまして、工技院の方に、ぜひ現物を拝見したい、こう言いましたら、委託している先の企業というか研究所で、それぞれの装置が全部違うフロアにありまして、まだ巨大なものであって、これをコンパクトにするには実はまだまだ時間と技術開発が必要なんです、現場を見るといっても実感がまだわかりませんのでということで、遠慮願いたい、こういう話が実はあったわけであります。  時間の関係で簡単で結構ですけれども、この開発の進捗状況と、これが完成した場合にどの程度のコストでどの程度の範囲まで汎用的に実用化が可能なのか、お答え願いたいと思うのです。
  117. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 今お話しのとおり、第一次試作器ができておるわけでございますが、これは文庫本サイズの印刷本の文字を読み取って音声出力する機能を持っておるわけでございますけれども、一種類の字体で約三千字種の読み取りが可能という段階でございます。正読率、正しく読む率が目標の九七%ということを設定しておりましたけれども、これは満足しておりまして、一次試作器としては成功しておると思っております。しかしながら、今御指摘のとおり、もっと実用的に印刷物を読み取る装置をつくる必要があるわけでございますので、そういった点につき、第二次の試作に入ろうとする段階でございます。  それが実用になりましたときにどのくらいのコストで生産できるだろうかという点についての御質問でございますが、なかなか難しい面がございまして、実用化の時期とかあるいは生産台数、それから製品の性能等によっていろいろな幅が生ずるわけでございますが、たくさんの仮定を置きまして、その仮定を前提にして考えますと、おおむね三千万円程度ではないだろうかというふうに考えられております。
  118. 木内良明

    ○木内委員 今荒尾総務部長の言われた三千万円程度というのは六十三年度の話でしょうか。一部報道によりますと、在宅用の盲人用読書器が二百万円程度で、それも小型のテレビ程度にまで圧縮できる、こういう報道があるのですが、これはどうでしょうか。
  119. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 御指摘のような報道があったことは事実でございますし、また、そうすることは非常に望ましいことでございますが、私ども、これを委託しておりますメーカー等に聞いてみますと、そこまで行くのはかなり先のことといいますか、生産台数等も非常にふえた段階であって、今すぐにそういう段階というふうにはちょっと申し上げられないということでございます。
  120. 木内良明

    ○木内委員 その生産台数の問題等ありましたけれども、これは、採算性の問題、あるいは、技術の見通しがありながら、委託費あるいは予算が限られているために開発のスピードアップが図れない、こういうことになりますでしょうか。
  121. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 予算の問題と申しますよりも、マーケットへ出たときにどれだけの需要が果たして確保できるかどうだろうか、それによって、生産台数が非常にふえますとその生産のコストダウンが図れるということであるわけでございますが、なかなかそこが見通しがつかないということでございます。
  122. 木内良明

    ○木内委員 実は先ほども申し上げましたように、この開発のテーマといいますのが多品種少量ということですから、もともと採算ベースには合わない。しかしまた、大変なニーズを個々の生活の現場で持っておられる方々に大きな恩恵を持つ開発でもありますので、例えば、この採算性が見込めないから年数がなかなかかかるんだということではなくて、むしろ逆に、この開発に国家予算を投入してその成果をあまねく盲人の方々、またほかのテーマもそうですけれども、身障の方々がその恩恵が享受できるような周辺制度の整備というものも必要になると思うのですね。  これは通告にないことですけれども大臣、いかがでしょうか、率直な御感想で結構ですが。
  123. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 御指摘のように、せっかく開発したものが普及される、それが真に必要な人たちに十分利用されるということは非常に大事なことだと思います。  そういう点から、私どものところにおきましても、例えば福祉機器関係の展示会でのデモンストレーションを行うとか、あるいは盲学校、盲人用図書館での採用をお願いするように関係機関に働きかけるとか、そういった努力をしておるわけでございますが、いずれの機関におきましても、これまた予算の問題といったような問題がありまして、なかなか台数を非常に大幅にふやすということが難しい状況にはございますけれども、今後ともそういった努力を引き続き行いたいというふうに考えます。
  124. 木内良明

    ○木内委員 どうも六十三年度ですと数千万で、余り在宅の利用であるとか個々の需要を持った人のもとでは使い切れないなという感じがするわけですね。仮にこれが開発年度の期間内に十分そういうコンパクトな低コストのものができない場合に、さらに期間の延長を行うなり、さらに、新規テーマも先ほど大臣答弁もあったことですけれども、新規テーマの開発をスタートさせると同時に、この開発期間の延長も行いつつ、まさに実用化できるようなところまでこの制度が面倒を見るということが必要だと思うのです。  ここで一たん六十三年度に開発期間が終わってしまいまして、そうして実用化されないままこの技術が死蔵されてしまいますと、一体どこがやるんだということになるのです。採算がとれないから企業は当然やらないでしょう。やはり国がやるしかない、私はこういうふうに思うのですね。どうでしょうか。
  125. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 国の委託制度でどこまで開発委託費をやっていくかということが、問題点としてはあろうと思います。私どもが目的としておりますのは、第一号器といいますか、そこまでは委託費で行う、そして、実用化の段階、普及の段階になりました後は、それぞれの企業に対する各種の、例えば開銀からの融資その他の制度によりましてその実用化を図っていくということでございます。  今御指摘のようなケースが仮に生じた場合、コストが非常に高くてなかなか実用化できないというようなケースのときに、開発官庁においてはそのあと開発委託をどこまで続けていくか。例えば開発期間を延長しあるいは開発計画を少し見直すことによりまして、あと少しやるとコストが非常に安くできる、そういうものを委託制度としてやることがふさわしいという評価ができました場合には、そういった変更もまた可能だと思います。ただ、実用化段階までといいますか商品化段階まで国の開発費で行うという点には無理があろうかと思いますので、今のような見通しというものを専門家の方々に評価をしていただいて、その上で開発計画の変更なり期間の延長ということを考えてみてはどうかなという感じを持ったわけでございます。
  126. 木内良明

    ○木内委員 今の答弁で了解いたします。その時点で必要が生じたならばぜひ検討の対象としていただきたい、こういうふうに思います。  しかしながら、六十三年度というタイムリミットで考えますと個人的な利用というのは望めない。そうするとどういうことになるかといいますと、いわば行政関連の各種公共施設でこれを汎用的に利用し、そうしたニーズの中で申し上げたコンパクトで低コストなものへの開発もさらにパワフルになるのではないかと思うわけであります。  きょうは文部省の方には来ていただいておりませんけれども厚生省各局からそれぞれおいでをいただいておりますので、お尋ねします。  六十三年度の実用化を想定して、視覚障害を持つ方々の汎用的利用を可能ならしめる上からも、この福祉機器としての盲人用読書器を福祉施設等の公共施設に設置できるよう、まだ二、三年先の話になるわけでありますけれども、まず認識として予算措置等についてのお考えを伺いたい、こういうふうに思います。
  127. 池堂政満

    池堂説明員 お答えいたしたいと思います。  ただいま開発中の盲人用の読書器でございますが、伺いますと、日本語の書籍をそのまま自動的に読み取りまして、そしてこれを音声で出力するという、障害者の立場から見ますと画期的な計画ではないか、まずこのように私どもは評価をしているわけでございます。  ただ、先ほど来先生の方からもお話がございましたように、この計画は、五十七年に始めまして実際は昭和六十三年に終わるということで計画を進めておられるように伺っているわけでございます。したがいまして、現在開発中のこの機器について昭和六十三年度において完成した暁に予算的な措置なりその対応をどうするかという問題につきましては、現段階でこれをお約束申し上げるということはなかなか難しい状況でございます。ただ、この機器が完成された暁におきましては、性能なりあるいは価格の問題、これらの面も勘案しながら検討してまいりたい、かように考えております。
  128. 木内良明

    ○木内委員 通産省は、いわばこういう機器の生みの親だと思うのです。生み落とした後の育ての親としても、やはり先駆的にこの制度のイニシアチブを持っておられるわけですから、面倒を見ていく必要があるのではないかというふうに思います。  今厚生省のお考えを聞いたわけですけれども、例えば全国に盲人学校があるわけです。これは文部省ですね。こういう機器開発の段階から各省庁間にまたがるそうしたテーマについては、当然十分な事前の意見聴取等も行っておられるでしょうけれども、完成した際のいわゆる利用のプランニングも当然並行して進めていくべきだというふうに思います。例えば盲人学校等について現段階で文部省への働きかけはいかがなものですか。
  129. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 各種の施設、例えば今例示されました盲人学校等で導入をしていただくことは非常に重要でございますし、そのための働きかけは非常に重要なことだと思っております。六十三年度までの計画でございまして、今第一次の試作器が完成したという段階でございますので、具体的にその予算化ということになりますと、厚生省あるいは文部省にお願いするにいたしましても、まだ性能その他についてもっともっと詰めなければいかぬ点がたくさんあろうかと思います。しかし、研究の進捗状況に応じまして、我々はひたすらお願いする立場でございますので、文部省あるいは厚生省等に今後とも引き続きアプローチをいたしまして、採用されるように助力をお願いしたいと考えております。
  130. 木内良明

    ○木内委員 文部省、厚生省等への積極的なアプローチという答弁でありますので、ぜひ今の段階からスタート願いたい、こういうふうに思います。先ほどの総務部長答弁では、技術的な開発の見通しまでの段階それから製品化の問題を分離しておっしゃったようなニュアンスもあったわけですけれども、私は、通産省のよって立ついわば基本的な性格からいきまして、原理的な開発も当然する、実用化もする、また各省に働きかけを行って、よりニーズにこたえるという姿勢が大事なのではないかというふうに思いますが、これは要望にとどめておきます。  次に、新たに取り上げることになっております免疫学的がん診断装置について聞きます。  がんは、現在日本人の死因の第一位を占め、今なおその数は増加傾向にあり、国民健康上大きな問題になっています。  がん予防対策としては、検診による早期発見、早期治療が現段階での重点施策とされているわけです。しかしながら、いまだその原因の解明と診断治療体制は確立されておらず、関連医療機器についても早急な開発が期待されているわけです。このたびの免疫学的がん診断装置の開発研究もこうした社会的背景を考えるならば極めて重要なテーマである、こういうふうに考えます。  簡単で結構ですから、この装置の開発の予定及び内容をお答え願いたいと思います。
  131. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 御指摘のように、がん対策は非常に重要でございますが、特に肝がんとか膵がんといったような深部がんにつきましては非常に発見が難しいというような事情がございまして、早期診断法の開発が強く望まれていたわけでございます。  このために、昭和六十年度からこの免疫学的がん診断装置の開発をしようとするわけでございます。がんなどの腫瘍の発生に伴いまして血清中などにある種の生化学物質、これを腫瘍マーカーというふうに呼んでおりますが、これが増加してくるということが知られておるわけでございます。今回の研究開発は、この腫瘍マーカーを高速かつ高精度に計測できる装置を開発しようとするものでございます。従来もこういった装置はあったわけでございますけれども、その腫瘍マーカーが単一である、一つであるとか、あるいは検査に非常に時間がかかるという問題がございます。今回開発しようといたしておりますものは、複数の腫瘍マーカーを高感度にかつ高速に測定する、そういう装置を開発しようというものでございます。
  132. 木内良明

    ○木内委員 今厚生省の方で老人保健事業として、がんの集団検診等が幅広く行われているわけです。例えば四十歳以上の男子についてはバリウムを飲んだりあるいは胃カメラを使っての診断が行われており、三十歳以上の女性については子宮の擦過による子宮がんの検診が行われているわけですが、実際には今お答えいただいたように、肝臓、膵臓等の発見しにくい部位については集団検診等でなかなか対象となりにくいという実はうらみがあるわけであります。  そこで、厚生省にお聞きするわけですが、国民的課題とも言えるこのがん予防に対しまして、主務官庁としての取り組みが申し上げたように行われているわけでありますけれども、まずその概要についての御説明を願いたい。特に、肝臓がん、膵臓がん、胆のうがんといった発見しにくい部位のがんについて、現在早期発見の体制がどうなっているかお聞きします。
  133. 大澤進

    ○大澤説明員 現在、厚生省のがん予防対策の概要でございますが、あるいは御案内かと思いますが、がんの予防対策、今日とれる現実的なものとしては早期発見、早期治療が何より重要でございまして、そういう可能なものについて現在老人保健法に基づいて保健事業の一つとして取り上げております。これらの早期発見、早期治療については、検診方法がもちろん確立し、しかもその後の治療の効果がある、こういうものについて取り上げられているわけでございまして、具体的には胃がん検診、これにつきましては四十歳以上の者を対象にしております。それから子宮がんにつきましては三十歳以上の者を対象に現在実施しているところでございます。  ちなみに六十年度の事業でございますが、老人保健法が五十八年二月に施行されまして、それ以後、保健事業の五カ年計画、こういうものに沿いまして年次計画を立てましてがん検診事業の拡大を図っておるところでございますが、六十年度予算におきましては、胃がん検診につきましては六百七十五万人、対前年度百七十九万人の増を見込んでおります。また子宮がんにつきましては五百三十四万人、対前年度百六十二万人の増を見込んで、全国およそ三千三百の市町村において実施するべく現在事業の推進を図りつつあるところでございます。  第二点のいわゆる深部がん、肝臓とか膵臓、体の内部の奥にあるがんの発見、非常にがんの発見しづらい場所にあるこれらの臓器についての早期発見体制はどうなっているか、こういう御質問かと思います。これは御承知かと思いますが、今日のがん対策としては早期発見、早期治療、こういうことが大変重要でございますが、これらのがんについては、残念ながらまだその方法が確立していない、こういうことでございまして、胃がんあるいは子宮がんのように老人保健法における保健事業の検診項目として取り組んだ体制には至っていない、こういう状況でございます。     〔田原委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕
  134. 木内良明

    ○木内委員 胃がん、子宮がんについてはそれぞれ年次ごとに検査の件数はふえて、大変な御努力をなさっておられることも十分認識しているわけでございます。しかしながら肝臓がん、膵臓がん等についての検診体制というものは残念ながらまだ確立されていない、こういう答弁もありました。そういう状況の中で、通産省が委託制度によって免疫学的がん診断装置を開発している。これは厚生省立場から見ればいろいろそれなりの認識もおありでしょうけれども、がん対策には大変に有効な機器であるという認識を持っていただいているのではないかと思います。  なぜ先ほど来盲人用読書器あるいはがん検診装置等についていろいろ答弁いただいているかと言えば、せっかく国家予算が投じられて開発をされたものが、実用化を見ていないものも残念ながら実はあるわけでございます。これはもろもろの社会的背景もさることながら、各省庁間のいわゆる協力体制あるいは開発段階からの十二分な協力体制の練り上げというものがないために、せっかく技術の開発が行われても実用化されないのではないかという心配が実はあるわけなのです。今厚生省の方から肝臓がん等については残念ながらという答えがありました。通産省の開発しておりますがん検診装置が、腫瘍マーカーによってそうした部位の発見にも相当役に立つものであるということであるならば、むしろこの装置の開発に対して種々御協力をいただくなり、あるいは通産省も逆に厚生省のその種の研究に対してみずからの開発を進めているノーハウを情報として提供したりという相互の連絡体制が確立されてよろしいのではないか、私は今こういう視点から申し上げているわけであります。  厚生省に再びお聞きするわけでありますけれども、仮にがん検診装置というものが期間内に開発されたような場合、集団検診等でこれを活用されるお考えがないかどうかお聞きしたいと思います。
  135. 大澤進

    ○大澤説明員 深部のがんについて早期に発見する一つの有効な方法として、今日研究されつつある免疫学的な手法を用いた診断方法が今研究開発の途上にあるわけでございますが、我々といたしましても、先ほど申し上げましたように、がんというのは日本国における大変な国民病である、死因のトップにあってなおかつ現在相対的にふえておるという状況から考えまして、一日も早くがんの早期発見、早期治療、ひいてはがんの撲滅ということを願っているわけで、我々もそれらの諸対策を進めているところでございます。今日深部がんについては残念ながら適当な方法がないということでございますが、通産省その他の関係あるいは専門家の研究の推進によりまして早期発見の有効な方法として開発されれば、我々としてもこれらの方法を保健事業の体制の中に組み込んで活用していく、我々も期待しているところでございます。
  136. 木内良明

    ○木内委員 厚生省から大変心強いお答えがありましたので多としたいと思います。ぜひこれは申し上げたような情報の交換等を有機的に行っていただいて進めてもらいたいと思います。また、通産大臣の方からもぜひ厚生大臣の方へということで、十分な協議を願いたい、これを要望しておきます。  次に、個々のテーマにわたって恐縮でありますけれども、植え込み型人工中耳の問題について聞きます。  先ほど来申し上げておりますように、国家予算を投じながら、技術開発は終了しているけれどもいまだ実用化の行われていないものが幾つかございますけれども、そのうちの一つであります、申し上げております植え込み型人工中耳は昭和五十八年度に研究開発を終了しているのです。機器として当初の性能を満たすものの開発に成功している。しかし、いまだ実用化を見ていない。この植え込み型人工中耳について、旧来のものと比較してどういうメリットがあるのか、工技院の方からまず御説明願います。
  137. 荒尾保一

    ○荒尾政府委員 この装置は、音をマイクロホンで集めまして耳の中のあぶみ骨を直接振動させるということによって内耳に音を伝達するものでございます。したがいまして、従来の補聴器等がただ音を大きくする、鼓膜がなければならないというのに比べまして、慢性中耳炎患者などにも使用できるというようなメリットがあるわけでございます。
  138. 木内良明

    ○木内委員 今のお話のように、これは世界的に見ても大変画期的な技術開発であったわけであります。現在厚生省の厚生科学研究費補助金を活用して研究を進めているものが幾つかあるわけでありますけれども、こうして国としての技術開発の成果のあったものについては、申し上げた制度の活用を積極的に行って、早期の実用化を目指すべきであると私は考えるわけですけれども厚生省、いかがでしょう。
  139. 多田宏

    ○多田説明員 ただいま先生お話しございました植え込み型の人工中耳につきましては、五十八年度、五十九年度と先生指摘の厚生科学研究費補助金をもちまして治験と申しますか、人体に埋め込むものでございますから、それだけの医療上の安全性とか有効性を確認しておかなければならないということになるわけでございまして、物としての開発は一応それなりにできておりますが、人体に埋め込むということについての確実性みたいなものを現在研究を進めてもらっている、こういった状況にあるわけでございます。
  140. 木内良明

    ○木内委員 研究を進めてもらっているというのは、これは通産省の方でやっているということですか。
  141. 多田宏

    ○多田説明員 厚生省の方で予算を計上して進めてもらっております。
  142. 木内良明

    ○木内委員 また、製品化に当たって薬事法の認可が必要となるわけですけれども、この点、今後の見通しはどうでしょうか。
  143. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 ただいま御質問の埋め込み型人工中耳でございますが、薬事法上の取り扱いといたしましては、医療用具という分類に入るわけでございます。  先生御案内のように、埋め込み型の人工中耳につきましては、従来厚生省でおろしております医療用具ではまだ認められていない新しい医療用具ということになりますので、先ほどお話がありましたように、有効性、安全性等のデータをつけて申請していただき、それをもとに有効性、安全性の審査をする、こういうような段取りになっているわけでございます。  現在のところ、まだこの埋め込み型人工中耳につきましては、薬事法に基づく製造承認の申請は出ておりませんが、それらの関連資料とともに申請が出された段階におきましては、中央薬事審議会に諮りまして、その有効性、安全性につきまして鋭意検討させていただきたいというふうに考えております。
  144. 木内良明

    ○木内委員 手法については今御答弁いただきましたけれども、具体的な結果の出る時期というのは、いつごろになるのですか。
  145. 多田宏

    ○多田説明員 五十八年以来今までに三例、実際に埋め込んでいろいろ検討を続けているところでございますが、何せ人体に埋め込むというものでございますから、拙速をとうとんではいけないということで、研究者の方も極めて慎重に事を運んでいるということでございまして、現在のところ、この時期に大体いけそうだといったような具体的な見通しはまだついていない状態でございます。
  146. 木内良明

    ○木内委員 こうした人体にかかわることですから、拙速は避けなければならないわけであります。また同時に、国の開発した技術については、ぜひ一日も早く実用化が行われるような、そういう配慮を要望したいと思います。  医療機器開発テーマに人工臓器なども含まれているわけであります。これまで臨床用人工心臓装置の研究がありました。五十五年十二月に開発を終了し、五十七年に薬事法による認可申請を行っているわけですけれども厚生省より時期尚早との理由で受けつけられず、現在に至っているのが実情です。今後、内外世論の動向を含め、臨床応用を行い得る環境が整えば、開発の成果は生かされる可能性も考えられるわけでありますけれども、この人工臓器の治験等については、倫理と医学の問題等を含め、人道上の問題も非常に大きな社会問題になっておりまして、慎重な対応が必要です。機器の普及進展を図る上から、これからの治験に当たり、何らかのガイドラインを設けるなり、あるいはこの制度における開発テーマの進捗の中で、厚生省通産省は有機的に連携をとっていくべきではないか、そうすることによって、この研究成果の意義をさらに高めることも可能であると思います。この点の対応はいかがでしょうか。
  147. 小宮宏宣

    ○小宮説明員 ただいま先生から御質問のございました人工臓器でございますが、これも薬事法上は大部分が医療用具ということで薬事法の規制を受けるわけでございます。このような新しい医療用具あるいは医薬品も含めて新しいものを開発する場合には、その開発の過程におきまして、どうしても臨床試験というものが必要になります。  そういうことで、薬事法におきまして昭和五十四年に法律改正を行いまして、そういう新しい医療用具あるいは新しい医薬品を開発する場合の臨床試験について、その治験を依頼する場合の遵守基準というのを決めまして、それに基づいて適切に行われるように一応指導しているわけでございます。  ただいまの人工臓器につきましても、そういうことで、薬事法の施行規則におきまして包括的な遵守基準を決めておりまして、そういうものに基づいて適切に行われるように指導しておるという状況でございます。
  148. 木内良明

    ○木内委員 これは答弁は必要ありませんけれども、この研究開発成果というものが死蔵、凍結されないための今後のこのテーマの選択であるとか対応がどうしても必要になってくると思います。医療機器技術開発調査委員会というものが医療、福祉、それぞれに設けられているわけでありますけれども、この医療機器の方には厚生省健康政策局からも構成メンバーが参加しておられるわけですし、せっかくそうした予算を投じ研究を進めているのに、この成果が結局世に出ないまま終わってしまうということのないような対応を、今後望みたいというように思います。  それから福祉機器の方でありますけれども、モジュール型電動車いす、盲人用歩行補助器、言語障害者用発声発語訓練装置など、身体障害者が直接購入する装置というものも実は開発、商品化されているものがあります。こうしたいわば直接の利用者にとって費用負担が軽減されるような措置というものが今後必要なのではないか、こういうふうに思います。  関連の法律はいろいろあろうかと思います。身体障害者福祉法における助成制度等いろいろあると思いますけれども、こうした種々の制度によってどのような対応が行われるのか、まず総合的に厚生省としてのその具体的な方策を一点。  さらに、身体障害者福祉法における助成制度のあり方と、こうした制度によって開発された補装器具等のいわば扱いをどうされるか、以上二点についてお聞きします。
  149. 池堂政満

    池堂説明員 お答えいたします。  政令によりまして、幾つかの福祉機器の開発が行われているわけでございますが、私ども行政のサイドにおきましても、従来から可能な限り、これを身体障害者福祉法に基づく施策の中に取り入れているということでございます。  例えば具体的な例を申し上げますと、電動車いすでございますが、これはたしか昭和五十三年度に開発を終えたわけでございますけれども、これにつきましては、五十四年度から身体障害者の補装具として給付の対象に取り入れたところでございます。  なおまた、特殊尿器というのがございますが、これらにつきましては、昭和五十八年度から身体障害者の日常生活用具として取り入れて、現在、行政の施策の中に織り込んで処理をしているという状況でございます。  そこで、実はこの障害者のための補装具等への取り入れ、これにつきましては、行政サイドにおきましてこの決定をする際には、身体障害者福祉法に基づく身体障害者福祉審議会というのがございます。この中に補装具小委員会というのを設けておりますが、この構成につきましては、障害者の代表であるとかあるいは業界の代表であるとか、さらには学識経験者等によって構成しているこの小委員会におきまして御審議をいただき、そして採否を決定しているという状況でございます。  したがいまして、今後また幾つかの福祉機器の開発もなされるであろうということが予想されるわけでございますが、この福祉機器の開発がなされた際には、その時点におきまして、その成果なりその利用度等につきまして当小委員会に報告をしながら、この決定をしてまいりたい、かように考えております。
  150. 木内良明

    ○木内委員 ぜひこれも十分に利用されるような配慮を、さらに要望いたします。  まあ非常にうまく取り入れられているものとそうでないものとが実はあるわけなんですけれども、言語障害者用の発声発語訓練装置であります。これは国立病院あるいは国立リハビリテーションセンターなど従来既に設置されているところもあるわけでありますけれども、今後さらに幅広い利用厚生省の方にぜひ要望したいと思います。  実はせっかくいいものができているのに、センター型として国が予算を措置しなければ設置できないような高いコストに終始しているケースが多いので極めて残念なんです。その一番いい例がこの発声発語訓練装置です。私は実はこれの現物を見ました。今まで言語障害者の方々は、訓練士の方がそばにいてもらって一時間なり二時間、訓練をする人と受ける人が汗みどろになって実はやるわけです。ところが、この訓練装置といいますのはその必要がないのです。初めに使い方のマニュアルを障害者が自分のものにしてしまえば、カセットを一つ持ってきまして、そしてこの訓練装置に入れますと、このカセットを教師にして自分が発声練習するわけです。これは大臣、大変すばらしいものですよ。お休みになっておるけれども、聞こえておられますね。  例えば発声の仕方が正常でないとテレビの画面のようなところにたしか山形のグラフが画像となってあらわれてくる、あるいは、あいうえお、かきくけこというこの発言が、聾唖者の方はなかなか御自分で聞けませんから、正確な発言になっているかどうかが全部画面になって出てくる。この画面にあらわれた画像がより正確なものに近づくように在宅で訓練ができるものなんです。これは大変すばらしいものです。だけれども、在宅用のものがほとんど利用されていない。高い。むしろセンターに一々足を運んでこの機械のあいている時間にやるしかない、実はこういううらみがあるわけなんです。     〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕  これは、ぜひこの軽量化あるいは低コスト化を図っていただきたいことを要望すると同時に、実は機械があって、訓練をする方の問題もあるのです。  それで、厚生省に要望するわけでありますけれども、聾唖者の方々における訓練をより効果的に実施し、あわせてこうした極めて意義のある機器の幅広い活用を図るという見地から、言語訓練士の養成の過程で、今あるこの活用のあり方をさらに質量ともに伸ばしていただきたい、拡大していただきたい、このことを要望いたしますが、どうでしょうか。
  151. 池堂政満

    池堂説明員 ただいま先生から御指摘のありました、この発声発語訓練装置でございますが、実はこの開発途中から国立の身体障害者リハビリテーションセンターに置きまして、実験的なあれもやったわけでございます。  そこで、これをさらに普及せしめることについての考え方でございますが、実はこの国立身体障害者リハビリテーションセンターにおきましては、聴能士、言語士の専門職員の養成を行っております。したがいまして、その養成の過程におきましてこの装置を活用し、そして一般に普及するような考え方で指導もしているわけでございます。ただ、これをさらに全国的にその効果を広めるためにはどうしたらいいかという問題があるわけでございますが、最近におきましてはこの装置を活用した成果を学会等で発表し、そしてまた関係者へその効果を十分普及しながら対処してまいりたい、かように考えております。
  152. 木内良明

    ○木内委員 本委員会でこの種の審議というのは非常に珍らしいことだと思います。ただ、この審議の持つ意味をぜひ、御出席の大臣初め関係各局の皆さんは御理解願いたい。  これは、私どもが精力的な働きかけをすることによって、例えば今の発声訓練装置にしても、先ほどの三十四万人の視覚障害者の方々の立場からしても、私は大変に意味のあることだと思うし、この制度を大事に大事に育てていかなくてはいけないというふうに思います。この省庁間のいわゆる連携というものが非常にうまくいっているケースもあれば、もう一つやはり御協力をいただかなくてはならないケースも実は本日の審議で浮かび上がってきているわけであります。  そこで、私は、時間の関係ではしょって言うわけでありますけれども、これは、この制度の健全な充実した発展を期待いたしますと、どうしても通産省だけでは十分でない結果にならざるを得ないわけであります。御出席いただいている厚生省のお知恵もかりなくてはいけない、あるいは科学技術庁でこれまで研究開発されてきたその成果というものも導入しなければいけない、あるいは盲人学校等については、あるいは教育機器等については文部省の力もやはりあわせていただかなくてはいけない、こういうふうに思うわけです。  そこで、大臣、こういういい制度が既に発足して今十年目を迎えているわけでありますけれども、私は、一つの歴史的な転換点として、今申し上げたような各省庁間の横断的なこの制度の充実発展を期待する上からも、プロジェクトチームなりあるいはそういう連絡体制というものが今後しかれてよいのではないか、こう思います。ぜひ前向きの答弁を願いたいと思います。
  153. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 医療福祉機器の研究開発制度につきまして、木内委員の非常に研究された御質疑を承っておりまして、大変に感銘をいたしました。  これまでも関係省庁と連絡をとりながら、民間、大学、研究機関等の研究者、技術者、医療福祉関係者の研究成果を結集いたしまして効率的な研究開発を実施してきたところでございますが、これら関係省庁等との意見交換を踏まえ、学識経験者で構成しております産業技術審議会研究開発部会医療福祉機器分科会の審議を経まして、テーマごとの基本計画、開発計画を策定し、また、計画の見直し及び成果の評価についても同分科会において審議をするところでございます。  また、研究開発の実施については、厚生省通産省の共管でございます技術研究組合医療福祉機器研究所に委託をして実施いたします。  今後とも、委員が御指摘になりましたように、厚生省関係省庁の協力連携体制をしっかり確保しながら所要の処置を前向きに講じてまいる所存でございます。
  154. 木内良明

    ○木内委員 医療福祉技術の開発は、どれをとっても人間の生存にとって重要なものばかりであります。今、大臣から非常に前向きな答弁がありました。例えば医療機器は、人命にかかわるものだけに、早急に安全確実な技術の確立が望まれるわけであります。あるいはまた、数多い技術の中からどれを選び、限られた開発資金の効率的運用をいかに図っていくかということも大事な課題であります。今の答弁の中の各省庁間の協力体制の整備といった必要もあります。再評価、見直し機能というものもやはりそれぞれの各視点から整備をしていかなくてはなりません。  私自身、この制度についてはさらに発展充実させるために、あるいは立法化が必要ではないかという視点からきょうは種々質疑をさせていただきました。答弁のとおり、ぜひ各省庁力を合わせていただいて、こうした制度を含める周辺の環境の発展に尽力されるよう要望いたしまして、質疑を終わります。
  155. 粕谷茂

    粕谷委員長 これをもちまして木内良明君の質疑は終わりました。  続きまして、横手文雄君の質疑に入ります。
  156. 横手文雄

    ○横手委員 私は、長引く不況の中で苦しんでおりますポリエステル長繊維関連業界の振興策を初め繊維産業問題について、大臣初め政府関係者に御質問申し上げます。  私ども民社党は、昨年十二月十四日、村田通産大臣に対しましてポリエステル長繊維関連業界の振興に関する申し入れを行いました。その際、大臣からは、各項目ごとに見解が示され、力を尽くすとのお約束をいただいたのであります。そして、篠島局長初め皆さん方が産地にも出かけていただき、産地の実情に触れられ、いろいろと御指導いただき、また、表裏一体の関係にあります合繊メーカーに対しても強力な行政指導が行われたところであります。このことに対しまして、申し入れを行った当事者として敬意を表します。また、福井県を初め産地の各業界の代表の方々も感謝しておられるところであります。しかし、織物加工賃は底をついた感はありますが、なお期待される上昇の実が上がっておりません。この実情をどう見ておられるか、まず御質問を申し上げます。
  157. 篠島義明

    ○篠島政府委員 確かに、御指摘のように主要品種の在庫凍結あるいは合繊メーカーの思い切った減産等々、関係業界が積極的に取り組んでおりますが、残念ながら、現在の時点で需給のアンバランス、在庫過剰あるいは工賃の適正水準を割り込むといった事態が完全に解消していないということは事実でありまして、これまでの諸措置趣旨が十分に実効を上げて、問題ができるだけ速やかに解決されるよう今後とも行政当局として関係業界とも十分話し合いながら積極的に対処していきたい、こう考えております。
  158. 横手文雄

    ○横手委員 今御答弁の中にございましたように、いろいろの方策がとられてまいりましたし、また、とられようとしておるのでありますが、その方策の一つに、過剰織機の共同廃棄事業がございます。この進捗状況は現在どうなっておりますか。
  159. 篠島義明

    ○篠島政府委員 昨年の十二月初めに、現在廃棄事業を行おうとしております綿糸それから綿スフ織物、絹人繊織物、日本毛織物等工業組合あるいはタオル工業組合、こういった組合にかかわる品種につきまして、それぞれ買い上げ単価を設定いたしまして、この三月の初めにそれぞれ説明会を関係業界に対して開き、それから三月末には指導会議を開きまして、現在関係工連に対して指導会議の事情聴取に基づく若干の勧告をしておりますが、その勧告の回答があり次第、各工連でそれぞれ廃棄希望者と廃棄物買い上げについての契約を行うという予定になっていまして、早いところは四月の末から五月の初めにかけてそれぞれの契約が進められる予定になっております。
  160. 横手文雄

    ○横手委員 この不況脱出のため、つまり景気の回復のためにとられましたもう一つ措置は、不良在庫の賢い上げ事業、このことが行われたわけでございまして、当初六カ月の計画で行われ、三カ月たったところで見直しをしよう、こういう形でスタートいたしましたけれども、これはどういう動きになっておりますか、そして、これからいかなる動きをするのでございましょうか。
  161. 篠島義明

    ○篠島政府委員 合繊長繊維織物の主要品種につきまして、この一-三月で買い上げ総数量が百二十万匹ということでございます。四-六についても引き続き在庫凍結買い上げを行うことにはしておりますが、この在庫の買い上げ数字等が対外的にいろいろ市況に悪い影響を及ぼすというようなこともありまして、数字についてはその後公表をしないということでやっておりますが、今後とも在庫凍結を続けながら、これを十分実効あらしめるための織物の減産体制を積極的に行っていくということで基本的に対処したいと思っております。
  162. 横手文雄

    ○横手委員 今御答弁の中にございましたように、これの効果あらしめるためには、いわゆる生産調整というのが表裏一体の形で行われなければこの効果は出てこない、こういうことになると思います。そこで、効果を求めてこの買い上げ事業を行ったけれども、当初例答弁いただきましたように、いまだに思うような実効が上がっていないという残念な事実があるわけでございます。さすれば、この過剰在庫買い上げの効果が上がっていないということは、つまり生産量が減っていない、こういうことにつながるのではないかと思いますけれども、現在、生産量の動きというものはどういう形で推移しておるのでありますか。と同時に、この織物の生産調整ということは、さかのぼって原糸の供給にも波及をしてこなければならない、このように私は思っておるわけであります。原糸の生産の状態がどうなっているのか、この点について御質問を申し上げます。
  163. 篠島義明

    ○篠島政府委員 長繊維織物につきましては、去年の末から生産は徐々に減っております。減っておりますが、需要が内需あるいは輸出ともにやや低調でございまして、在庫は残念ながらふえかげんにございます。原糸の生産につきましては、これも通産省として報告を受けておる限りにおいては、十-十二月から一-三月にかけてある程度北陸産地に投入された糸の量は減っておるわけでございますが、しかしながら、輸入糸がふえるというような問題もあり、それから需要が低調であるということもあって、実際には生産量は落ちていても、見かけ上まだ十分な減産ができていないというような印象を与えておるという状況にあると思います。
  164. 横手文雄

    ○横手委員 おっしゃいましたように、生産の量を数字的に、あるいはグラフにかいてみると落ちてきておるということでございますが、生産調整というのは当然のこととして、需給バランスをとる、こういうことにつながってこなければならない。したがって、生産量は落ちているけれども、しかしなお過剰の供給である、供給が過剰であるということは、早い話生産過剰だ、こういうことにつながって、これでは不況からなかなか脱却できない。これが現在の産地における苦しみが今なお続いておる実態であろうと思うのであります。しからば、考えられる幾つかの問題については手当てが行われてきた、しかし、なおかくのごとき状態の中にある、これに加えて何らかの措置をとらなければならない、こう考えるわけでございますが、そのために産地においてはさらに減産対策として自主操短や不況カルテルによる操短等の意見が出ております。しかし、操短をやるということになりますると、休業補償の問題や、産地の足並みがそろうかどうか、こういった問題がまた出てまいります。非常に難しい問題だと思いますけれども、このような声が産地で出ていることに対する通産省の見解はいかがでございますか。
  165. 篠島義明

    ○篠島政府委員 先生指摘のように、カルテルを結んで北陸の機屋さんの間で生産調整を行えるような体制を積極的につくるべきであるという議論も一部に有力に出てきております。ただ、これもまた御指摘のとおりでございまして、休業補償等の問題もあり、一律減産というカルテルでやるのが果たしていいのか、あるいは、各合繊メーカーに直結する系列の機屋さんにそれぞれきちんとした減産体制をとらせるというメーカー個別の対応でやっていくのか、ここら辺は、現在生じております短期の需給の崩れを回復していくための手段としてのみならず、ウオータージェットルームを中心として設備の能力増が構造的にあるような状況で安定的に合繊の織物業を発展させていくために、どういう対応でこの短期の問題を乗り切るかということは中長期にもつながる問題でありまして、合繊メーカー、機屋さん、両方ともに現在真剣に、短期、中長期の観点からどうやるのが一番いいかということを検討中でございます。  その結論あるいは体制がまとまった方向で、我々としてもスムーズにそうした対応が実効を上げるようできるだけの支援をしていきたいと考えております。
  166. 横手文雄

    ○横手委員 需給バランスをとるためには、どこかで大幅に消費がふえるか、それが困難だとするならば生産調整に入る、この道しかないと思うのであります。あるいは第三者機関が一定期間凍結のために買い上げを行う、こういうことでございます。現在の状況では、第三者機関が在庫を買い上げるということも実施をしていた、これに大きな期待をかけていたけれども、しかし現実は回復がない。あるいは、生産調整においても、見かけの数字は減ったけれども需給バランスにおいてはバランスがまだとれていない。ということは生産過剰が続いておる、こういう見方にもつながってくると思うのであります。  こういったときに、今申し上げましたように飛躍的な消費の期待がなければ生産の大幅なダウンに入っていかなければならないということで、今お尋ねいたしましたような動きが出てきているわけでございまして、通産省としても、それら産地とメーカーとの間で十分な話し合いがつけばこれに対して応援をしていきたいということが披歴をされたわけでございますが、さらに私は、個々の問題として、このことが直ちに景気浮揚につながるかどうかということは多少疑問を持っておりますけれども、ムード的な問題として幾つかの問題を指摘したいと思うのであります。  御案内のとおり、合繊の織物業界には織機の村区分がございません。したがって、革新織機導入の際のスクラップ部分は県外の織機が破砕をされる。つまり実質的に県外から織機が流入をしているという現象があります。これは全体的な動きではない、一部の機業者の中に行われていることでございます。しかし、申し上げましたようにこれは景気対策、よく経済は心理学だということも言われるわけでございますけれども、一部そういった形で県外の織機が流入をしていますよというムードが出ると、それが全体の足を引っ張ってしまうことになってしまいます。これをとめる方策を講ずべきではないかということが一つ、  それから村区分ができないという見地から、たしか二、三年前だったと思いますが、織機の認定制がしかれました。これを復活すべしという要望もありますけれども、これらに対する通産省の見解はいかがでございますか。
  167. 篠島義明

    ○篠島政府委員 ウオータージェットルームの新増設に伴う県外からの登録織機の移しかえでございますが、確かにこれが実際に北陸におけるウオータージェットルームの新増設を進める方向にある程度働いていると思います。しかしながら、この問題につきましては、登録制にかかわる審議会でのいろいろ基本的な議論もありまして、方向としては登録制を廃止すべしという議論が大勢を占めておる状況でございますので、現在の北陸産地のウオータージェットルームの流入の状況等を見て、確かにこれをある程度抑える必要もあるかと思いますが、それを登録制の運用という形で県外流入を抑える形でやることがいいのかどうか、ここら辺についてはいろいろ考え方があろうかと思います。  御指摘がございましたように、福井産地で登録織機の県外からの流入について、認定制をカルテルをしいて抑えていたところがございますが、これは一部産地だけでやってもどれだけの実効性があるかという問題もあるわけでございます。また公取等の考え方として、よほど緊急やむを得ざる場合に限るべきであるというような考え方もあり、そういう意味で産地でいろいろ議論が行われておりますが、やることが実態として意味のあるような結論が産地において得られ、法律に基づいてカルテルを結びたいということが申請されてきた場合には、我々としても法律に基づいて適切に対処していきたいというふうに考えております。
  168. 横手文雄

    ○横手委員 私は、この北陸産地のポリエステル長繊維の不況脱出のために今とられている処置、あるいはこれから起こってくるであろういろいろな問題に対する対処、こういった問題について御質問申し上げたわけでございまして、今通産省としても大変な力を入れてもらっていることもよく承知をいたしております。しかし、今問題を提起いたしましたけれども、そのいずれもそれぞれ難しい問題がこれあり、こういうような答弁に終始するわけでございまして、まさに今非常時だと私は断定をせざるを得ないのであります。  ここで何らかの積極的な対策をとる必要があると思います。今私が申し上げましたこれらの問題もその一つであろうと思います。今の答弁を聞いておりますと、残念ながら、通産省、腰を切るぞというぐあいに、私に伝わってまいりません。ならば、ほかに方法をお持ちであろうか、こういう疑問がわいてくるわけでございますが、これについていかがでございますか。
  169. 篠島義明

    ○篠島政府委員 北陸産地の合繊長繊維織物にかかわる状況が、短期的に極めて深刻な状況にあるということは私も全く同感でございます。それから、それは単に短期的な問題のみならず、中長期的な構造問題がその根底においてあるわけでございまして、そういう観点からも今度の短期の問題をいかに解決していくか、これは中長期の問題にもつながるわけでございまして、そういう意味でこの際、今までと全く違ったそういった問題意識で、合繊メーカーあるいは産地それから商社それから役所も入りまして議論をするだけして、とにかく思い切った、先を見た対応をしていかなければならない。その特効薬というのが必ずしも見出しがたいというのが悩みでございまして、基本的にはウオータージェットの能力いっぱいに動かさないで、そのときどきの需要に見合う生産をどう確保していくかというその体制づくりが問題でございます。今後とも関係業界と議論を詰めるだけ詰めて、この際適切な手を最大限見出し、打っていきたいというふうに考えます。
  170. 横手文雄

    ○横手委員 大臣にお伺いをいたします。  今お聞きのとおりでございまして、先般もその内容についてお訴えを申し上げました。今局長の方から、いろいろの問題を取り上げてこれから思い切った施策を講じていきたい、そのためには何が特効薬なのか、それぞれの関係者と話し合っていきたいということでございますが、先ほど幾つかの問題を提起いたしました。そうしますと、これをやろうとすると政府の中において調整をしてもらわなければならない問題、例えば公取の問題が出てくるとか、こういったことにつながってくるわけであります。これを放置しますと、そこで行き詰まってしまう、こういうことで、せっかく産地の方々が期待をしていただく、あるいは通産省として力を尽くしていただいてもなお産地にそのような恩恵がこうむってこないということでは大変残念なことだと思いますけれども大臣としても、そういった政府内部においても、これらポリエステル業界の振興のために思い切って頑張ってまいりますという決意がございましたら御披瀝をいただきたいと思います。
  171. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 先ほど来、横手委員の御質疑承っておりました。また先般、私の方にも直接御要請をいただいたところでございまして、繊維の不況問題というのが非常に深刻な問題であるということを認識をし、そしてできる限りの対応はなさなければならないという決意をし、また関係部局を督励をしておるところでございます。  織物産地と合繊メーカー、商社との間で需給バランスの回復を目指していわゆる在庫の凍結でございますとか、原糸及び織物の減産といったような自主的な対応がとられているところでございますが、今後とも委員指摘のように、各般の問題にわたって関係省庁とも連絡をとりながら繊維不況に対応してまいらなければならない。ただ、それにはどこまでも織物産地の自主的な御努力ということが自由経済社会では何より基本でございますので、そういった点もよく勘案をしながら繊維不況の克服のために努力をしてまいりたいと思います。
  172. 横手文雄

    ○横手委員 私は、今回の合繊不況を振り返って幾つかの原因があると思いますけれども、北陸における合繊織物は全体的に見て約七割が輸出であります。その輸出先は、主としてアメリカとイランを中心とする中近東であります。  一昨年年明け早々アメリカは、日本の合繊織物はダンピング輸出であり、そのダンピング率は最高二〇〇%である、したがってアメリカはこれらの製品に対してダンピング税をかけると言ってまいりました。当時業界はもちろん、政府としても、このアメリカの処置は不当であると展開をいたしました。いろいろなやりとりがありましたけれども、結論として我が国が輸出の数量規制を行うということで決着を見たのであります。したがって、その時点でアメリカ向けの輸出の伸びは大きく規制をされました。一方、イランにおいてはイラクとの戦争が長引き、ためにイラン向けの伸びも期待できない状態にありました。国内にあっては天然繊維へ流行が移ったため国内消費の伸びも期待できない。こういった状態、つまり合繊織物の消費の拡大は輸出、内需ともに期待できないことが明らかであったのでございますが、にもかかわらず、昨年の三月から五月にかけて産地は戦後最大の生産量がございました。消費とは関係なく生産だけが大幅に伸びていたという状態にあったのであります。  私は当時、このままの状態を放置するならば近々のうちに生産過剰による底深い不況が訪れると叫びましたけれども、その声は届きませんでした。そして昨年九月、大不況にと落ち込んでしまったのであります。不況対策も大変重要なことでございますけれども、月々の数字をしっかりと握っておられる通産省においては、転ばぬ先のつえ、かかることが予見された時点で業界に対して警鐘を鳴らし、行政指導を行うことは大変大事なことだと思います。この問題については先般の委員会でも触れたことでございますけれども、改めて通産省として今後の、先ほど言われましたように今後中長期にわたってということでございますが、これらの問題に対する見解がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
  173. 篠島義明

    ○篠島政府委員 合繊長繊維織物の需給の安定化につきましては、通産省で毎四半期ごとに需要見通しを策定いたしまして、この数字を見た上で合繊メーカー各社が自主的に適切な生産量を行うという形で需給の安定化を達成していくというのが基本的な枠組みといいますか、発想になっておるわけでございますが、残念ながら昨年合繊メーカーの生産がやや多過ぎるのではないか、需要見通しに比べてもある程度数量が多かったわけでございますが、と言いながら結局、後半以降明らかに需給の失調をだれもが認めるような状況になったことは非常に残念でございまして、ただ、その後におきましては、この四-六の需要見通しにつきましても極めて厳しい線を出しましたし、合繊各社の責任者に対しても問題の深刻さを十分認識して適切な減産体制をとるようにと、自主的な判断に基づいてということでございますが、強く要請しておるところでございます。
  174. 横手文雄

    ○横手委員 ぜひ今後、今回のこの教訓を生かしながら行政指導に当たっていただきたいということを強く申し上げておく次第であります。  次は染色業界についてお伺いをいたします。  染色業界の不況も大変厳しいものでございましたし、現実に倒産も出ております。この染色業不況の打開のために局長もいろいろとお骨折りをいただきました。よく聞いております。また、業界も、適正加工賃の設定のために大変苦労をされておりました。輸出製品の加工賃のカルテルがこの四月一日から新しい形で発足をしたと聞いておりますが、その内容をお示しをいただきたいと思います。  ついでに、今後このカルテルが守られていかなければなりません。そのためには、通産省としてもいろいろの御指導がなされることだと思います。私は、今日までの経験から見て、この不況カルテルを守っていくためには、その規制品目にない、しかし規制品目と大変近い製品に値崩れが起こって、そしてそれがそれら規制品目にも及ぼしてくる、こういった現象を見てまいりましたので、この点については、業界の皆さん方がその辺のところについてもしっかりと適正加工賃を守っていただくということが大変重要なことだと思いますし、業界の自助努力を期待をするものでございますが、こういった関連について、通産省の御見解をお伺いいたしたいと存じます。
  175. 篠島義明

    ○篠島政府委員 この四月から、新たに従来の染色の輸出向けの織物についての引き渡し数量制限あるいは加工賃制限をやっておりますカルテルを延長しておりますが、延長に当たりまして改正をいたしました主要な点は二つございます。  一つが、総調整数量を決める際に、従来六カ月単位で決めておったわけですが、これを三カ月単位でその都度決めるということに変更をしております。きめ細かく対応しようということでございます。  それから二番目に、加工賃を制限する対象品種、これは加工賃のウエートが高くて、しかも値下がりが、値崩れがしばしば大きいものを選んで、数量以外に加工賃の制限をやっておるわけでございますが、対象品種につきまして見直しをし、現在の置かれておる状況に適切に対応するようにということでいろいろ洗い直しをやりまして、それからまた、その最低加工賃も実際に守られるようにということで慎重に検討した上で決めております。  その周辺部分について、これがまたいろいろ値崩れを引き起こす誘因として問題があるのではないかということでございますが、こういった点については基本的に染色業者の、去年極めて深刻な状況があったわけでございますけれども、お互いの首を絞めるような赤字受注というのはこの際絶対に行わないように自粛すべきであるという各社の責任者の意識の浸透もその後急速に進んだと理解しておりまして、そういう意味で、周辺部分についてもカルテルの対象になっていないからということで、また去年のような値崩れに陥るというようなことはないと信じております。
  176. 横手文雄

    ○横手委員 ぜひそれらの問題について御要請を申し上げておく次第であります。  次に、設備廃棄事業の問題でありますけれども、先ほどお話がございました五業種のほかにも設備廃棄事業が準備され、あるいは準備を始めようというところもあるとお伺いをいたしております。この中身については時間がございませんので省略をいたしますけれども、その中の一つにニット業界も入っておりますが、御案内のとおりこの業界の組合中小企業でも特に小企業が数多く、また業界の組合の中でも編み立て専業者もあれば、むしろ編み立てよりも最終製品までの一貫工程を持っておるところもある。むしろそちらにウエートがかかっているという企業もあります。また、たてよこまるということで機種もそれぞれ分かれており、大変複雑な業界であります。一方、設備共同廃棄事業を進めようとすると、中央で全国団体がこれを取りまとめるということに相なります。  申し上げてまいりましたように、いろいろな形の複雑な業界であるだけに、その業種あるいは産地によってその受けとめ方が大変異なってまいります。つまり希望の強い産地は事前に予備調査をする、早々にまとまってまいります。そしてもう既に企業側ではあるいは産地業界では期待を始める、いつからだろう。ところが今申し上げたようなところがありますから、全国的にはなかなかまとまってこない。全国団体がまとまらないから具体的な問題に入っていけない。そうしますと早く進んだところではいらいらが起こってきたり、あるいは組合不信につながったり、あるいは政治に対するまた不信につながったり、そしてまたようやくやろうとしても、これらの廃棄事業そのものの効果が薄れてしまう、こういう悩みを持っております。  そこで、現地の要請といたしましては、各機種ごととか産地ごととかに分かれて行うような弾力性を持たせてもらいたいという要望もあります。あるいは転廃業対策としての設備共同廃棄事業の仕組みの説明の中で「この事業は一部の方々の単なる救済目的では実施できません。丸経緯の区分ごとに全国ベースで三〇%以上の過剰設備があり、傘下企業数一〇%以上、かつ廃棄設備七%以上の規模でなければ計画の承認が得られず、実行未達の場合は繰り上げ償還になります。」こういうことでルールがつくられております。  私は、一定のルールをつくることは大事なことであるし当然のことであろうと思いますが、先ほど申し上げましたような業種を抱え産地を抱えておりますので、せっかくの設備共同廃棄事業というものの効果が薄れてしまうようなことがございますから、規定規定としてこれを今すぐ変えなさいとは言いませんけれども、やはり弾力的な運用が必要ではありませんか、こういうことをきょうのところは提起だけ申し上げておきたいと存じます。  次に、輸入問題についてお伺いをいたします。  昨年の本委員会で私はこの問題について取り上げさせていただきました。織工審の中でも、日本の繊維産業が先進国型産業に脱皮しなければならない、こういうことがあるわけであります。しかし、今日輸入増によって業界が大変な打撃を受ける、こういった問題について野放していいのでございましょうかという御質問を申し上げました。大臣からは「我が国といたしましては、我が国繊維産業の創造性と活力を減退させる輸入規制等の保護的措置は可能な限り差し控えたいと思います。しかしながら、いかなる場合においてもMFAを発動しないということではございません。輸入の急増品目に対しましては、事態に即しまして実効ある適切な措置をとり得るように、引き続き輸入動向、国内需要の動向等を注視してまいる所存でございます。」という答弁をいただきました。私はそのときに、「それでは大臣確認をさせていただきますけれども、新繊維ビジョンの中にも、「如何なる事態においても輸入を放置せよということではなく、輸入急増に伴う過度の影響を緩和するためには、事態に即して機動的に対応することも必要である。」「特定品目の輸入急増によって国内産業に重大な被害を生じるような場合にはMFAを適用した措置をとること。」このように述べられておりますけれども大臣もこれを肯定するということでございますかという質問をいたしましたら、大臣からは「その考えでございます。」という御答弁をいただいておるわけでございます。特に綿の糸、きれ、ニット製品について、輸入増のために大変な事態を迎えておるわけでございますが、通産省の方針はいかがでございましょうか。まず大臣……。
  177. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 今横手委員が読み上げていただきました答弁にもはっきりと出ておるわけでございますが、原則はどこまでも繊維産業の創造性と活力を減退させる輸入規制などの保護的措置は差し控える、これは繊維だけではなく全般的な方針でございます。自由貿易体制のもとにおいて積極的に構造改善を進めていくというのが基本的な考えでございます。しかし、輸入急増に伴う過度の混乱を緩和することも非常に必要な場合がございます。したがって、事態に即して機動的に対応しなければならない。こういうことが必要であるというのが基本的な認識でございまして、通産省としては、国内関係業界と緊密な連絡をとりながら輸入動向、国内需給等十分注視していくとともに、必要に応じて政府レベルの協議を行う等により秩序ある輸入の確保に努めてまいりたい、そして業界の育成ということも十分配慮したいと考えております。
  178. 横手文雄

    ○横手委員 大臣のそのような御答弁は私は一年前に聞いてまいりました。その後なお輸入はふえ続けております。しかし、それが消費と見合ったものでなく国内産業に対して大きな打撃を与えているという事実にかんがみ、この答弁を踏まえていかなる措置であったでございましょうかということを申し上げたわけでございますが、通産省の方、どうですか。
  179. 篠島義明

    ○篠島政府委員 基本的に大臣から今お答えした方針で輸入問題に対応しておりますが、具体的な現状認識といたしましては、昨年の綿糸、綿織物の輸入については、かなりの部分が内需が非常に大幅に伸びたという要因によって生じた要素が大きかったと考えております。したがいまして、生産は横ばいあるいは若干減少しておりますが、価格動向等につきましてもそれほどというか、むしろ輸入によって非常に直接的に値崩れが出たというようなことは昨年中においては必ずしもなかったのではないかと思っております。ただ、非常に輸入量が急増しておりまして、その絶対量においても国内生産量に対して非常に大きなウエートを占め始めておる。  それから綿製品の需給は循環的な性格があるわけでございまして、去年のようにずっと高い伸びを示していれば問題ないわけでございますが、場合によっては今の天然性志向あるいは女性のファッション傾向等に変化が出て、あるいは夏の猛暑が逆に冷夏に終わるというようなことになると、綿についても需給が非常に反転して問題が出てくる場合もございます。そういう意味においてはこの四-六の綿糸あるいは綿布の輸入動向については慎重の上にも慎重に見ていかなければならぬと思っておりますし、綿織物につきましては中国が八割くらいを占めておりまして、中国との間では去年から政府ベースで、民間ベースでも頻繁に関係の公司と接触が行われておりますが、政府ベースにおいてもいろいろ具体的にこの問題について中国側の協力を求めまして、基本的に日本に迷惑をかけないようにということを了承してもらっておりまして、先日参りました絹を除いた繊維製品の輸出入をつかさどっておる進出口総公司の総経理の朱友蘭さんと会談をいたしました。そのときも、せっかく中国側が日本の構造改善にあるいは産地の混乱に結びつかないよう抑えてくれるというなら、四-六については格別細心の注意を持って、むしろ安全を見込んで輸出を抑えてもらいたいということを依頼しまして、よくわかったという返事をいただいております。  それからニットにつきましても、これはむしろ国内の需要が急速に粗ゲージあるいは手編みのものに変わってまいりました。これがいろいろな数多くの商社がかなり思惑的な輸入もあったと思いますが、急速にふえまして、国内にはそういう粗ゲージあるいは手編みの生産業者は今や非常に少なくなっておりまして、そういう向きに対する直接的な影響は必ずしも深刻な状況になっているとは思っておりません。しかし、間接的にはニットの関連、ある意味で競合する品種もあるわけでございまして、そういうところに対していろいろ影響も出ておるのではないかと考えておりますが、むしろニットについては、先ほども指摘がありましたように、よこ編み、丸編みそれぞれの事情がございますけれども、構造的に輸入問題以外にいろいろ問題があると考えております。なお、昨年急増いたしました粗ゲージあるいは手編みのセーターについてはことしはかなり数量が減るというふうに見ております。     〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
  180. 横手文雄

    ○横手委員 時間が参りましたので、もう閉めなければなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、合繊織物の場合にも供給は確実に減りつつある、あるいは悪い方向に行きつつあるにもかかわらず、生産はその時点で最高を誇っておった、そして不況の中に入った、こういうことでございます。今局長おっしゃいますように、好況のときに、市況が持ち直したときにどっと入ってまいります。そして悪くなったときにみんなが騒ぎ出す、これは輸入のせいだということになってくると、その時点では輸入は減っております。それは何もいろいろな形の中で減ってきたのじゃなくて、商売にならないから減ってきた、こういうことになりますから、業界の皆さんにしてみれば、市況がよくなってくれば輸入がふえてくる、そして余りにも急激な輸入増大のために生産調整の拡大をする、雇用調整をしなければならない、こういったような循環をしてくる。こういうことで、もう少し先を見た中で輸入政策についても確立をしていただきたいという要望が強うございますから、ぜひお願いを申し上げたいと思います。  特にきょうお聞きしておきたい問題が二つ三つございますので、まとめて申し上げますが、日米繊維協定が本年度で切れます。改定の準備が始まっていると思いますが、基本的にいかなる態度でございますか。あるいはMFAⅢが来年七月で期限切れに相なります。このスリーのときには、いろいろな問題のときに日本とアメリカが中へ入って仲立ちをしたようなことでございますけれども、今アメリカでは少し保護主義的な動きが強いようでございますが、この時期日本の立場は大変難しいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。  それから、これは繊維と直接関係があるわけではございませんけれども、公害健康被害補償の制度について、産業界としても努力をしてきた。状況はかなりよくなったはずだけれども、なおこの補償金額について、企業の負担に対して大きな圧迫である、こういった問題が提起をされておるわけでございますが、もう時間が参りましたので、簡単にひとつお考えをいただきたいと思います。
  181. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 最初の二点についてお答え申し上げます。  日米繊維協定が本年末で切れるわけでございますが、改定交渉に対する通産省の方針は現時点ではまだ未定でございます。ただ、当省といたしましては、日米間の繊維貿易及び国内繊維産業の発展を図るという観点から、関係業界とも緊密な連絡を図りながら適切に対処してまいりたい、このように考えております。  それから、MFAⅢの問題でございますが、MFA、国際繊維取り決めは一九八六年七月で取り決め期間が終了するために、現在ガットなどの場でMFAの継続の是非を含め、その後の国際繊維貿易のあり方について議論をされているところでございます。MFA改定交渉に対する通産省の方針は現時点ではまだ未定でございますが、当省としては現在のMFA体制がより保護主義的なものになることは好ましくない、このように思料いたしておりまして、いずれにいたしましても、各国の対応を十分に注視しながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。
  182. 平河喜美男

    ○平河政府委員 公害健康被害補償法関係についてお答えいたします。  同制度につきましては、大気汚染の大幅な改善にもかかわらず、認定患者が増加し続けております。こういう矛盾があることは我々もよく存じている次第でございます。一方、臨時行政調査会も昭和五十八年三月の答申におきまして、同制度の指定地域の指定要件及び解除の要件の明確化を図る等を指摘しております。これらを受けまして、昭和五十八年十一月に環境庁長官から、同制度の基本的事項につきまして中央公害対策審議会に諮問がなされております。これを受けまして、現在同審議会の環境保健部会専門委員会において審議がなされております。私どもといたしましても、産業界を初め関係各方面の納得が得られるような結論が早急に得られることを期待しておるところでございます。
  183. 横手文雄

    ○横手委員 終わります。ありがとうございました。
  184. 粕谷茂

    粕谷委員長 これをもちまして横手文雄君の質疑は終わりました。  続きまして、野間友一君の質疑に入ります。
  185. 野間友一

    ○野間委員 私は、自動車の売買取引をめぐる自動車の取得税、こういう名下でディーラーがユーザーから全員を騙取するというような事例の幾つかを挙げまして、これについての是正を求めたい、こういうふうに思います。  既に新聞報道等でも三月二十八日付の朝日、読売で大きく報道されましたので大臣も御案内のとおりだと思いますが、一部の悪徳ディーラーがユーザーから今申し上げましたように自動車取得税名下で全員を徴収して、実際にはこれは納めなくてもいい税金もありますし、また上回って取る場合もありますが、いずれにしても、これで善意のディーラーも大変迷惑をしておりますし、ユーザーも大変困っておる。これは大きな社会問題あるいは政治問題になっておるということであります。  この事件、よく考えてみますと、やっぱり通産省など関係省庁の指導あるいは監督の不徹底の問題ですね。そのために業界にさまざまな法違反の悪徳商法が横行したということとか、あるいは各都道府県が自治省の直接指揮のもとに長期にわたって法違反の徴税実務を反復継続してきた、こういう構造的な犯罪とも言うべきことだと思うのです。私はきょうは時間の関係で、この事件をめぐります法律問題と通産省指導監督のあり方の問題に絞りましてお伺いしたいと思います。  まず自治省にお伺いします。幾つかあわせて聞きますので、事実の確認、よくお聞きいただきたいと思いますが、私も同僚の柴田睦夫議員と沖縄から北海道までずっと調べてみたわけであります。自動車の各税務事務所での徴税事務の実態ですね、これを調べてみたわけでありますが、結果、法律どおりの徴税を行っているところはどこにもないというのが実態なんですね。  少し詳しく言いますと、この自動車の取得税、これは地方税ですね、地方税法ではこの自動車取得税の課税標準、これは六百九十九条の七の一項にありますが、「課税標準は、自動車の取得価額とする。」こういうふうに定められておりますが、実務では取得価格で徴収せずに、無償でなされた取得などの際の最低のいわゆるみなし取得価格、これは六百九十九条の七の二項以降ですね。このみなし取得価格を定めた「課税標準基準額及び税額一覧表」、これは(その一)、(その二)というのがありますが、実はこれを使って徴収をしておるわけでありますね。そこで、この一覧表を見てみますと、新車の課税標準基準額は、これは取得価格、実勢価格と違いまして、一割程度低い。一覧表(その二)の中古車の場合を見てみますと、この課税標準基準額は、経過年数一・五年から二・五年の一般の自家用乗用車の場合、これは新車の実勢価格の二分の一から三分の一程度になっております。  また税率を見てみますと、これは六百九十九条の八と九、附則の三十二条、これで税率が百分の五ですね。五%。それから免税点、非課税が取引価格が三十万円以下、こういうことも規定がされております。  さらに同法によりまして、この取得税の徴収はユーザー本人の申告納付の方法によらなければならぬというのが法律で定められておりますが、実際の取引ではディーラーが申告書の作成、届け出を代行する、こういうケースがほとんどなんですね。現行法は、当該申告書に契約書の添付、これも義務づけがあります。これは六百九十九条の十一です。ところが現場ではこれは添付させておりません。領収書もユーザー本人に交付するというケースがほとんどなくて、通常申告を代行したディーラーがこれを受け取るということに終わっておる。これが自動車取得税に関する徴税実務の実態だと思いますが、自治省、この点まず確認をしたいと思います。
  186. 前川尚美

    ○前川説明員 お尋ねの自動車取得税にかかわる徴税の実務の問題でございます。  御指摘にございましたように、自動車取得税の課税標準は自動車の取得価額ということでございますが、具体的に取得価額とはいかなるものを指すのかということで、通達で今おおむね御指摘がございましたようなことが書かれておるわけでございます。通達で示しておりますのは、自動車を低価格あるいは無償で譲渡した、あるいは代物弁済で取得したといった場合の通常の取引価額というのを新車、中古車別にそれぞれ示しているわけでございます。  新車につきまして、新車のいわゆる公表小売価格といいますか標準価格の九掛けであるという御指摘がございました、自動車取得税の課税標準となる取得価額につきましては、自動車が通常、標準小売価格からさらに何がしかの値引きが行われておるといったような事情等々を考慮して、その基準価格表では新車については九掛けという考え方になっておるわけでございます。  中古車につきましては、課税標準とすべき価額について、いろいろな考え方があるわけでございますが、現在用いておりますのは、耐用年数をもとにいたしました残価率によりまして残存価額を算定いたしまして、それをもって通常の取引価額といたしておる。実際に中古車の取引につきましては、市場をめぐるいろいろな条件、いろいろな要因があって価額が決まっているということでございまして、画一的によるべき価額というのを算定する場合に、今申しました法人税法等その他の税制で既にとられております残存価額という考え方を用いておるということでございます。  実際の税務の運営に当たりまして、御指摘がございましたように契約書の添付義務、これは自動車取得税は申告納税の税でございますから、申告書を納税義務者にお書きをいただいて、その申告書の中にはもちろん自動車の取得価額というのを書くことになっておるわけでございますが、それを証する書類として契約書を添付する、そういうことになっておるわけでございます。ただ、実際の実務の取り扱いの点におきまして自動車取得税、御案内のとおり取得件数が新車、中古車ともに大変多いということもございます。これはユーザーあるいは徴税側等々の関係者の事務負担を軽減してできるだけ簡素、合理的な方法で税を納めていただくという趣旨から今、基準価格を上回る取得価額の場合には、申告書にその契約書を添付しなくてもよい取り扱いになっているということでございます。  領収証の点についてお尋ねがございましたが、税でございますから現金でお納めいただけば領収証を交付するというのは当然のことでございます。やはり税をその場で納めていただいた方に窓口で領収証をお渡しするというのが通常のことであろうかと思うわけでございますが、自動車取得税の場合、御指摘にございましたようにディーラーが代行して事実上納税者、ユーザーですね、自動車を取得した人にかわって税をお持ちになるということもございますので、特に私どもとしてはそういった場合でも確実に領収証を出すようにという指示をいたしているわけでございまして、私どもの承知いたします限りでは各税務事務所とも、様式、方法はいろいろございますが、税を領収した場合には領収したということがわかる書類をそのお持ちいただいた方にお返しをしている。それから先その方が本当にユーザーにお渡しになるかどうか、これは私はその業者の問題であると思っております。
  187. 野間友一

    ○野間委員 私の質問に対してほぼ正確にお答えになったと思いますが、ちょっと抜けたのは、課税標準基準額及び税額一覧表によりまして、三十万円以下の場合には非課税、それから税率が百分の五ということについてはそのとおりですね、法律はそうなっていますから。
  188. 前川尚美

    ○前川説明員 失礼をいたしました。  現在自動車取得税につきましては御承知いただいておりますとおり、税率と免税点の暫定的な特例措置がございます。それによりまして、今回の地方税法の改正でその暫定措置が三年延長になっておりますので、その中身を申し上げさせていただきますと、免税点につきましては課税標準額で三十万円以下のものは免税、こういうことになっております。それから税率につきましては、自家用の自動車とそれから軽自動車、全部でございますが、自家用の自動車につきましては五%、それから営業用と軽自動車につきましては三%、こういうことになっております。
  189. 野間友一

    ○野間委員 私がお聞きした、中身を申し上げて、大体そのとおり自治省は認めたわけですけれども、いわゆる地方税法の規定と、それから実際の実務の運用ですね、それとの乖離、ギャップ、これが詐欺罪が横行する大きな温床になっておるわけですね。先ほど申し上げたように、例えば取得税は、本人が納税義務者でその取得価額を基準にして百分の五を納めなければならない、自家用車の場合ですね。二項では特例で、親戚関係がある場合とか無償の譲渡の場合には基準表をつくりまして、それに基づいて税額をはじき出すわけですね。ほとんどの実態が、先ほどもお話がありましたけれども、この二項によって局長通達等が出されて、それで運用されている。ですから、取引価額でユーザーからディーラーが金を徴収する。ところが、実際にはこれは基準額以下であったり、あるいは実勢より低いわけですから、納めなくても済む、あるいは低くて済む。その差額を着服するということになっておるわけなんですね。  自治省にあらかじめ申し上げておったのですけれども委員長、資料を渡したいと思います。――今お渡しいたしましたこの資料の一ページを見ていただきたいと思います。ここで左にある「自動車注文書」、この用紙の「法定費用」のところ、これは右側の上の方ですが、自動車取得税八万円。つまりこの高月という人は取得価額百九十万ですか、百九十万で自動車を無限オートセールスから買った。そして自動車取得税として八万円相当のものが、「車輌代×五%」と書いてありますが、これをディーラーが取った。それから右の欄の下、「納税証明書」ですね、ここで一体幾ら納めたのかということですが、これは品川の自動車税事務所ですが、ゼロですね。つまりこの車の場合には、運用上三十万円以下ということになりますから、税金は必要ないわけですね。ところが八万円をユーザーから取っておる。この事実については既に自治省に確認をしておったところですけれども、お認めになると思いますが、いかがですか。税額はゼロであったと思いますが。
  190. 前川尚美

    ○前川説明員 資料を拝見いたしましたが、個々の納税者の課税標準あるいは取得税額をめぐる事情につきましては、これは個々の課税権者の問題でございますので、私どもで有権的にかくかくであるということは、これはちょっと私どもの能力を超えるお話になるわけでございますが、ただ私どもでできます範囲のことで申し上げますと、ここに自動車の車種と年式が挙がっております。この車種と年式に対応する、ここに登録の年月日がございますから、それをベースに、これは中古車でございますから、その中古車の基準額表に照らし合わせて額はどうなるかということを見ますと、ここに「基準額」と書かれており、それから「納税証明」という欄がございましてここに税額が書かれておりますが、おおむねこういう数字になるのではないかと推定をいたしております。
  191. 野間友一

    ○野間委員 自治省は、これは公文書ですから、調べた上でゼロということを今えんきょくに認めたわけですけれども、こういう状態なんですね。この無限オートセールスは、後からまた申し上げますけれども、八万円を返したそうでありますけれども。  そこで、続いて申し上げたいのは、この八万円を自動車取得税名下に取り立てて、実際には納税事務所に納めていないわけですから、これは着服したということにしかならない。私のこの事実が正しいとするならばそうならざるを得ないと思うのですけれども、どうでしょう。このディーラーを調べたと思うのですよ。
  192. 前川尚美

    ○前川説明員 お尋ねの件でございますが、私どもとして直接ディーラーに調査をするという権限を持った立場にございませんので、ディーラーに一々かくかくであったかと当たるわけにはまいりませんが、しかし、今御指摘がございました資料をいろいろ拝見いたしておりますと、確かにユーザーがディーラーにこういう金額をお支払いになった。一方、私どもが持っております基準額表で推定をいたしますと、おおむねここの「納税証明」という欄に書いてある金額が……(野間委員「ゼロですね」と呼ぶ)一番上のケースはゼロですね。それからその次は三万七千五十円、以下、ゼロのもありますし、金額の入っているのもあります。しかし、そのいずれにいたしましても、差し引きの差が出ておりますから、この分は税務事務所には入っておらないということであろうと思います。
  193. 野間友一

    ○野間委員 今多少余計な答弁がありましたが、私がお聞きしたいのは、無限オートセールスのこの件について、それは今お答えがありました。ゼロということですね。  もう一つの問題は、この注文書をごらんいただいたらわかりますけれども、この八万円、つまり取得税名下に八万円という数字がありまして、その右のところに「車輌代×五%」、こういう不動文字があるわけですね。これが欺罔の手段としてこれでは使われておるわけですね。つまり、売買代金の五%を納めなければならぬ。正確にはこの百九十万円が八万円にはなりません。これは多少まけてやっておるということで八万円になっておりますけれども、「車輌代×五%」、これは実際の自治省が扱っておる運用からすれば不正確というか、事実と違うわけですね。こういう書き方をしておること自体が大変問題になると思いますけれども、いかがですか。
  194. 木下博生

    ○木下政府委員 自動車取得税の課税標準は自動車の取得価額とされておることは、今先生の御指摘のとおりだと思います。したがって、車両価格の五%と注文書上表示すること自体が問題があるとは考えておりません。
  195. 野間友一

    ○野間委員 そこが自治省と通産省の違いなんですね。通産省、よく聞いておったでしょう。自治省の場合には、実際の徴税の運用の実態は実勢価格よりうんと低いわけですね。取得価格そのものではないわけですよ、百分の五というのは。そうですね。だから、「車輌代×五%」と書くこと自体が、実際に自治省がつくっておる一覧表、これに基づいたらうんとまだ低いわけです。先ほど申し上げたように、新車の場合だって一割低いわけですね。それが正しいというか、ずっと三十年間そういう運用をやってきたし、私は、むしろ法を変えなければならぬという立場から質問しておるわけです。今の運用の実態そのものがユーザーにとって利益ですからね。そういう立場で聞いておるのですけれども、自治省の今の運用の実態からすれば、「車輌代×五%」というのは間違いなんですよ。その点について私は聞いておるのです。これは自治省、答えてください。
  196. 前川尚美

    ○前川説明員 誤解があってはいけませんので、もう一度申し上げさせていただきたいと思いますが、私どもが通達で課税団体に指示をいたしておりますのは、基準価格を上回る取得価格の場合には契約書を添付しなくても差し支えないということでございます。それ以上の意味はないわけでございまして、法律上、自動車取得税の課税標準が自動車の取得価額であるということは極めて明確でございます。  ただ、その実際の契約に当たって発注者がどういう様式を使うのが妥当なのかという御質問だと思いますけれども、これはちょっと私どもも業界の手法について知悉しているわけではございませんで、むしろ通産省の方が御専門でいらっしゃいますが、税の立場から申し上げますれば、取得価格と書くか課税標準額と書くか、これは理論的にイコールの話でございますから、書きぶりについてはいろいろな書き方があってもいいだろうと思います。
  197. 野間友一

    ○野間委員 こんなところでやりとりして時間をとってもしようがないのですけれども、つまり私が聞きたいのは、実際の課税標準そのものは、六百九十九条の七で一項、二項とありますね。そのすべてが二項によって、それを受けた通達によって行政をされておるということなんでしょう。これは一番最初に認めたわけですよ。それからすれば、この一項で言うその実際の取得価額そのものではないわけで、にもかかわらず「車輌代×五%」と書くのは、これは誤りだということを申し上げているわけですよ。そうでしょう。
  198. 前川尚美

    ○前川説明員 自動車税の課税標準はあくまでも自動車の取得価額でございますから、取得価格とお書きになるか、理論的に言えば課税標準額とお書きになってもよろしいかと思いますけれども、そういう範疇の話ではないかと思っております。
  199. 野間友一

    ○野間委員 どうも煮え切りませんね。  この調査をしますと、こういうようなケースがアウトサイダーから自販連系のディーラーにまで広範に及んでおるわけですね。私ども調査の結果でも、トラブルがあった例がたくさん持ち込まれました。これは自動車ユニオンの方にも持ち込まれたわけであります。業者の話もずっと聞いてみたのですが、大体中古車の年間販売台数が四百十万台で、そのうち約半分ぐらいがこういうケース、つまり詐取のケースがあるというのは、私たちは、調査の結果大体間違いないというふうに思っておるわけです。  しかも、ずっと調査してみますと、大体一台平均二万三千円見当ではなかろうか。新車の場合も一部若干の詐取がありますが……。それで、いろいろ計算しますと、大体年間五百億円ぐらいが、実際にユーザーがディーラーの詐取によって被害を受けておるということになるわけですね。これはもう大変なことなんです。  そこで、このお配りしておる資料の二ページのところを見ていただきたいと思います。これはナンバー一から十一までディーラーの名前を書いております。それからユーザー、これは売買によって買い受けた人ですね、これをイニシアルで書いております。それから「該当自動車」、これは年式、登録番号等書いてあります。それから「課税標準」のところ、これは、大体自動車の取引は売買契約でなくて注文書という形で取引しますね。これは後で資料をかなりのものをつけておりますが、この「注文書(車両代)」と書いてあるところが実際の売買代金なんですね。それから「基準額」というのは、自治省が策定しております課税標準基準額による本件それぞれの自動車の価格、これは納税の基準となる価格なんです。それから「自動車取得税額」という欄があります。この「注文書」というのは、「課税標準」のところの「注文書」の、例えば一の場合、百九十万とありますね。これを基準にして、八万円取得税名下に全員をディーラーが受け取ったという数字であります。その次の「納税証明」というのは、それでは実際幾ら納めたのかというところですね。納税の実際の額はゼロ。  これは一から十一までありますが、いわゆる中販連の傘下の業者、それからマツダファミリア、これは四のところ、あるいは九がトヨタオート多摩、十が日産プリンス千葉、こういうところは新車の自販連系統のディーラーであります。そういうふうにこの資料は私の方で一応整理したわけであります。  これによりますと、この「自動車取得税額」の欄を見ていただけば、ユーザーから「注文書(A)」というところの全員をそれぞれ受領し、それから「納税証明」のところを見ていただけばわかりますが、ここではゼロ、あるいは納めておるのもありますけれども、これが実際の納税額です。この差額がこれだけでも二十四万九千五百三十円、こうなるわけです。つまり、取得税が要るぞということでユーザーからディーラーがその金を受け取って、実際には納めなくてもいいものを、つまり三十万円以下のもの、あるいは自治省の基準からすればうんと安くなるのにもかかわらず、取得価格の五%ということで受け取って、実際には自治省の運用の基準に基づく全員を割り出してそれを納める、この差額ですね。  法務省、お越したと思いますが、こういうふうに自動車の取得税名下に全員を受け取る、そして実際には納めないということになりましたら、これは明確に詐欺罪が成立すると思うのです。いかがですか。
  200. 東條伸一郎

    ○東條説明員 細かい具体的な事実関係が明らかでございませんので、今御指摘の事実それ自体についてそれが詐欺罪になるとかならないとかいうことは申し上げかねるわけでございますが、一般論として申し上げますと、自動車の販売業者におきまして、購入者に対して本来支払う必要のない自動車取得税を支払う必要があるというようなうそを言いまして、自動車取得税に充てる全員という名下でお金をだましとったという事実があれば、これは詐欺罪になるというふうに考えております。
  201. 野間友一

    ○野間委員 所管の通産省ですが、表をきのう既に渡しておりますが、この一から十一まで、これは自治省も当事者ですけれども、こういう事実がまかり通っておるとすればとんでもないことだと思うんです。これについて通産省はどのような考えを持っておるのか、お聞きしたいと思います。
  202. 木下博生

    ○木下政府委員 もし今おっしゃったような事実があれば遺憾なことであると考えております。
  203. 野間友一

    ○野間委員 これは犯罪行為ですからね。  自治省、既にあなたの方にずっと前から、一々これを調べておけと言ってありますけれども、調べた結果はどうでしたか。
  204. 前川尚美

    ○前川説明員 先ほど冒頭にも申し上げましたように、課税関係はそれぞれの地方公共団体と納税義務者との関係でございますし、また、商取引の方はそれぞれディーラーと買い主との商取引のお話でございまして、自治省といたしましてその事実関係を確認するというのは、これはちょっと私どもの能力を超える話であると思いますが、しかし、いろいろ資料をいただいております。いろいろ御意見もお伺いしました。こういうことがあれば、私どもはやはり現在の自動車取得税の課税のあり方そのものももう一度見直さなければいけないのではないかと思いますが、それはそれとして、これはやはり現在の課税の仕組みを悪用した不正行為と言わざるを得ないと思うのです。  そういう意味で、この問題は税制そのものの問題ではないと私どもは考えておりますが、しかし、単に業界の取引だということでは済まされない問題点を含んでいると思います。そういう意味で、関係の業界に対しましては、やはり善良なユーザーの保護ということもありますので、この中古車販売業者による自動車取得税に関する税務の取り扱いについて、厳正適正を期するように厳重に改善方を申し入れたところでございます。事業を所管しておる通産省におかれても適切な措置をおとりになるように期待をいたしております。
  205. 野間友一

    ○野間委員 通産省、えらいほんまに誠意のない答弁に私は憤慨しましたが、遺憾だ、それだけですか。こんな取引がずっと行われておるのですよ。一人や二人のディーラーじゃないんですよ。こんなものをそのまま放置しますか。あなたはどう思いますか。正常な取引じゃないでしょう。
  206. 木下博生

    ○木下政府委員 近年の中古車市場は新車市場を上回るような規模で推移しておりまして、国民の足としての中古車が重要な役割を担っているということで、その取引関係が正常に行われることは極めて重要だと私どもは考えております。そのような中古車の取引における消費者保護を確保するため、通産省といたしましては、従来から所要の対応策をやってきているところでございますが、現在、主たる関係業界に対しまして、適正な中古車取引を確保する観点から、各種費用の徴収問題等につきまして調査検討を要請しているところでございます。通産省といたしましては、このような調査検討と連携をとりつつ、所要の指導等適切な対応をやっていきたいと考えております。
  207. 野間友一

    ○野間委員 通産大臣、いかがですか。
  208. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 ただいま木下局長からお答えしたとおりでございますが、そういった事実が現実として行われておるとすれば、非常にこれは重大な事態でございますから、適切に業界と連絡をとりながら対応しなければならないと思います。
  209. 野間友一

    ○野間委員 法務省の民事局にお伺いしますが、一般論でも結構ですけれども、いわゆる詐欺罪というような刑事上の犯罪を構成するような場合には、これは民法上も当然不法行為になって、その損害賠償の責任があるというように思いますが、その点について確認したいと思います。
  210. 濱崎恭生

    ○濱崎説明員 民法上の不法行為の成立の問題につきましても、個々具体の事案によりますので、一般的なことしか申し上げられませんけれども、御指摘のような事実関係を前提とすれば、民法上も不法行為が成立する場合が多いであろうというふうに考えます。
  211. 野間友一

    ○野間委員 自治省に再度聞きますが、実際に自治省が行っておる実務の実態は、つまりディーラーがユーザーにかわってこの取得税の申告、これは申告制度ですから申告書を書く。しかもその際に、売買契約書等のたぐいは必要ない。実際、そうでしょう。そうしますと、ディーラーが勝手に書き込んで、勝手に納税事務所へ行く。それで幾ら払ったか、しかもディーラーが領収書を受け取っても、これはユーザーに渡さないというのが非常に数が多いのです。  そこで、一つは、いわゆる納める額を決める一覧表というものをディーラーがユーザーにきちっと示して、この車の売買については取得税はこれだけになりますぞということとか、あるいは仮に代行して県税務事務所に納める場合に、直接の買い主でありますユーザーに必ずその領収書を渡すということになれば、ユーザーが一体幾ら払う義務があったのか、幾ら払ったのかということがわかるようになるわけです。こういう実務の取り扱いを自治省も変えなければならぬ。また、通産省もそういう方向で、こういう悪がはびこらないような形で、どうしたらよいのかということを十分検討する必要があるのではないかと私は思うのです。実際、ディーラーの中にはまじめな人はたくさんおるのです。我々もそういうふうに思われるのかということで、こういう人がみんな泣いておるのですよ。両者から答弁を求めたいと思います。
  212. 前川尚美

    ○前川説明員 領収書の点でございますけれども、私どもとしては、領収書を受け取ったディーラーが的確に自動車の買い主にそれを渡す、そういう関係に信頼を置いて事務の簡素化の見地からとっておる措置でございますが、今御指摘のように、直接本人に領収書が渡る方法を講ずべきではないか、これは費用も手間も大変かかります、やり方によっては買い主の方にも何分かの御協力をいただかなければならないという方法をとらざるを得ないこともあるかもしれません。しかしながら、基本的にはユーザーの方が、県税事務所はとにかく税をいただいたときには領収書あるいは領収したということがわかる書類をお渡しするわけですから、それをきちんと買い主の方に渡していただく、そういう良識ある商取引の慣行をきちっと確立していただく、そうすればこの問題はなくなるわけですから、そういうことをまず検討してしかるべきではないかと思います。
  213. 木下博生

    ○木下政府委員 今御指摘がございましたように、悪意で、ユーザーから受領した金額より少ない金額を納税してその差額を利得するというようなケースがあるとすれば、それは問題だというふうな感じを受けるわけでございます。税金でございますから、買った方が御自分で税務事務所に行って払われれば一番いいわけでございますので、本来そうすべきなのでしょうが、取引の慣行上、実際上売っている人にそれを任せているという実態があるのだろうと思います。そのような行為が、先ほど申し上げましたように悪意で利得したケースがあってはならないことはもちろんでございまして、そういう点については本来役所の指導以前の問題だというふうに考えますけれども、御指摘の点も踏まえまして、今後関係業界に対して税務当局の領収書をユーザーに渡すようなことができるだけ行われるよう指導を行っていきたいと考えております。
  214. 野間友一

    ○野間委員 もう時間が参りましたのであと一問だけで終わりますけれども、局長、この二ページ目のトラブル例、十一挙げております。このうちの幾つかはユニオンがいろいろ刑事告訴等もやったケースもありますが、慌てて返還する。例えばナンバー三と四ですね、これはディーラーが不当利得というか騙取を認めてユーザーに全額返還しておるのですわ。ナンバー九のトヨタオート多摩、これも慌てて返還をしておるわけです。こういうように一つ一つ、トラブルがあったその都度これを取り上げてやらなければ返還しないということになりますと大変な問題になりますからね。なぜこういうケースが起きたのかということは、とりもなおさずこういう不正の温床を一掃するということのためにも非常に大事だと思いますので、せっかくトラブル例を挙げておりますので、これらについて一つ一つ調査していただきまして、これからこういうことが業界の中でないようにぜひ指導していただきたい、このことを最後に局長と通産大臣答弁を求めて終わりたいと思います。
  215. 木下博生

    ○木下政府委員 今御指摘の十一の点につきましては、できるだけ早く調査いたして、どういうことになっているか調べてみたいと思います。
  216. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 先ほど申し上げたことによって承知していただきたいと思います。
  217. 野間友一

    ○野間委員 そんなそっけないことじゃなくて、今いろいろお聞きになってわかったと思うのです。こんなものを放置しておったらゆゆしいことになりますから、ぜひこの点について、私の要求を踏まえて厳しく業界を指導するという決意を聞かしてください。
  218. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 先ほど申し上げましたように、業界と対応いたしまして対処をいたします。
  219. 野間友一

    ○野間委員 終わります。
  220. 粕谷茂

    粕谷委員長 これをもちまして野間友一君の質疑は終わりました。  次回は、来る十六日火曜日午後三時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後四時五十五分散会