○村田国務
大臣 基盤技術研究円滑化法案につきまして、その
提案理由及び要旨を御
説明申し上げます。
一九八〇年代も半ばに至った今日、世界経済は技術革新の胎動期を迎えております。とりわけ、新素材、マイクロエレクトロニクス、電気
通信などの基盤技術
分野における
技術開発は、国民経済や国民生活の基盤の強化に大きく寄与するものであり、二十一世紀における新技術文明の幕あけを告げるものであります。このような
分野における
技術開発を積極的に推進し、その萌芽を将来に大きく開花させていくことは、我々の
世代の責務であります。
我が国は、戦後四十年間、比較的恵まれた国際経済環境の
もとで欧米諸国から先進的な技術を導入し、国民のたゆまざる努力によって今日の経済的繁栄を手にすることができました。しかし、かかる繁栄を次の
世代に引き継いでいくためには、みずからの創造性に富む技術力が充実強化されなければなりません。同時に、国際経済社会の有力な一員となった今日、我が国としてもこれまでの蓄積を生かし、ニューフロンティアの開拓に努力し、広く人類の福祉向上に貢献していくことが、諸外国からの期待にこたえる道でもあります。
現在、欧米諸国は、国を挙げて先端的な
技術開発に取り組んでおります。これまで我が国は、ともすれば、欧米諸国に比べ基礎、応用段階の
技術開発の取り組みが必ずしも十分でなかったのが現状であります。しかし、みずからの創造的な技術力が育ち、我が国
産業活動や国民生活が一層充実したものとなるためには、波及効果も大きい基盤技術
分野における基礎、応用研究段階の
技術開発に格段の努力を払っていくことが重要であります。
基礎研究、応用研究等を推進していく上で、国の果たすべき役割が大きいことは申すまでもありませんが、同時に、民間
企業が我が国全体の
技術開発費の約七割を支出している現状を考えますと、民間
企業が基盤技術
分野の
技術開発に向けてその活力を最大限に発揮し得るようその環境条件の整備を図ることこそ、まさに喫緊の課題であります。
政府は、かかる認識の
もとに、民間において行われる基盤技術に関する試験研究を円滑化し、民間の基盤技術の向上を図るために、国の財産を弾力的に活用し得る道を開くほか、民間において行われる基盤技術に関する試験研究の推進
機関として、基盤技術研究
促進センターを設立することなどを内容といたしまして、この
法律案を提出いたした次第であります。
次に、この
法案の要旨につきまして、御
説明申し上げます。
第一は、国有試験研究施設等の積極的活用についてであります。
政府は、基盤技術に関する試験研究を行う者に国有の試験研究施設を使用させる場合において、基盤技術の向上を図るため特に必要があると認めるときは、その施設を廉価で使用させることができることとしております。
また、政府は、基盤技術に関して外国政府等と共同して行った国際共同研究の結果として国有となった特許権等について無償または廉価で通常実施権を許諾できることとしております。
第二は、基盤技術研究
促進センターについてであります。
基盤技術研究
促進センターは、民間活力を最大限に活用して民間において行われる基盤技術に関する試験研究を推進するための
機関であり、民間の発起により特別認可法人として設立するものであります。
このセンターにおいては、民間が行う試験研究に必要な資金を供給するために出資事業や融資事業を行うほか、国立試験研究所と民間とが行う共同研究のあっせん、海外の研究者の招聘その他民間において行われる基盤技術に関する試験研究を
促進するために必要な
業務を総合的に行うこととしております。なお、政府は、センターの事業の運営に当たっては、民間の創意と活力が十分発揮されるよう、その自主性を最大限尊重することとしております。
以上がこの
法律案の
提案理由及び要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
次に、
貿易研修センター法を廃止する等の
法律案の
提案理由の御
説明を申し上げます。
ただいま議題となりました
貿易研修センター法を廃止する等の
法律案につきまして、その
提案の理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
貿易研修センターは、昭和四十二年に
貿易研修センター法に
基づく特別認可法人として設立され、以来、静岡県富士宮市の施設を中心に、我が国と外国との間の経済の交流
促進に資するため、貿易を主とする国際的な経済活動に係る
業務に従事する者等に対し、専門的かつ効率的な研修等を実施することにより、我が国の国際化に大きく貢献してまいりました。
このような研修は、世界経済の相互依存
関係の高まりの中で、今日ますますその重要性を増しておりますが、一方で、複雑化、多様化する国際経済情勢に円滑かつ機動的に対処していくためには、民間活力の一層の活用を図ることが必要となってきております。
このような状況にかんがみ、政府といたしましては、昨今の行政改革の要請をも踏まえつつ、これら研修事業の実施について民間活力の一層の活用を図るという観点から、
貿易研修センター法を廃止するとともに、貿易研修センターの民法上の財団法人への組織変更を可能にするための措置を講ずることとし、ここに
貿易研修センター法を廃止する等の
法律案として
提案した次第でございます。
次に、この
法律案の内容の概要について、御
説明申し上げます。
第一に、
貿易研修センター法は、この
法律の施行の際に廃止することとし、その際、現に存する貿易研修センターにつきましては、一定期間内は経過的な措置として旧
貿易研修センター法は、なおその効力を有することといたしております。
なお、昭和六十一年三月三十一日を経過するときにおいて、貿易研修センターが存在する場合は、昨年十二月に閣議決定された「行政改革の推進に関する当面の実施方針について」を踏まえまして、これを解散させることとしております。
第二に、貿易研修センターは、昭和六十一年三月三十一日までの間において、その発意に
基づき民法による財団法人に組織変更できることとし、民間の創意を生かしつつ、
業務を引き続き行うことができるようにいたしております。
以上が、この
法律案の
提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。