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1985-08-06 第102回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年八月六日(火曜日)     午前十時十一分開議 出席委員   委員長 中村  茂君    理事 大石 千八君 理事 細谷 昭雄君    理事 水田  稔君 理事 薮仲 義彦君    理事 横手 文雄君       榎本 和平君    鹿野 道彦君       西山敬次郎君    野呂 昭彦君       原田昇左右君    山岡 謙蔵君       若林 正俊君    小澤 克介君       清水  勇君    田並 胤明君       辻  一彦君    富塚 三夫君       浜西 鉄雄君    水谷  弘君       森本 晃司君    菅原喜重郎君       野間 友一君    林  百郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  委員外出席者         警察庁通信局無         線通信課長   宮野 嘉文君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 蓼沼 朗寿君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         大蔵大臣官房企         画官      坂  篤郎君         大蔵省主計局主         計官      中島 義雄君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       鏡味 徳房君         国税庁直税部所         得税課長    加藤 泰彦君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         厚生省社会局施         設課長     荻生 和成君         厚生省社会局老         人福祉課長   阿部 正俊君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君         農林水産省構造         改善局計画部資         源課長     津田  隆君         林野庁指導部治         山課長     船渡 清人君         中小企業庁小規         模企業部参事官 中澤 佐市君         運輸省運輸政策         局運輸道路業務         課長      高野 富夫君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省河川局砂         防部長     矢野勝太郎君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      渡辺 義正君         建設省道路局有         料道路課長   駒田 敬一君         建設省道路局地         方道課長    吉越 治雄君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君         建設省住宅局民         間住宅課長   鹿島 尚武君         自治大臣官房参         事官      奥田 義雄君         自治大臣官房地         域政策課長   今泉 浩紀君         消防庁長官   関根 則之君         消防庁防災課長 石橋 忠雄君         日本国有鉄道施         設局長     神谷 牧夫君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ――――――――――――― 委員の異動 八月六日  辞任         補欠選任   池端 清一君     浜西 鉄雄君   中村 重光君     清水  勇君   松前  仰君     小澤 克介君   山中 末治君     田並 胤明君   中川利三郎君     林  百郎君 同日  辞任         補欠選任   小澤 克介君     松前  仰君   清水  勇君     中村 重光君   田並 胤明君     山中 末治君   浜西 鉄雄君     池端 清一君   林  百郎君     中川利三郎君     ――――――――――――― 六月二十五日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(長野地附山地すべり災  害)      ――――◇―――――
  2. 中村茂

    中村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る七月二十六日発生長野地附山地すべり災害について政府から説明を聴取いたします。国土庁杉岡防災局長
  3. 杉岡浩

    杉岡説明員 長野市の地附山地すべり災害につきまして、被害の概況及びその対策について御説明申し上げます。  お手元資料といたしまして「長野地附山地すべり災害について」と、それから図面をお配りいたしております。これに基づきまして御説明申し上げます。  一ページでございますが、七月の二十日の午後から夜にかけまして豪雨が続きまして、その影響で長野市上松の湯谷団地西方戸隠有料道路付近土砂崩壊発生いたしました。地元では七月二十一日から伸縮計設置し、警戒体制を続けておりました。  七月二十六日の午前中から土砂崩壊の兆候があらわれ、長野市では十六時三十分に、特に危険と思われる湯谷団地住民三十八世帯に対しまして避難を指示いたしました。十六時五十八分ごろ、流出土砂量約五百万立方メートルと推定されます大規模な地すべり発生いたしました。お手元図面にございますオレンジ色の部分でございますが、これがその地すべりの区域でございます。十七時三十八分ごろにも他の団地住民に対しまして長野市は避難を指示いたしましたが、地すべりにより老人ホーム松寿荘の五棟が押し出された土砂埋没、全壊し、老人ホームに入居しておりました老人二十六人の方々が亡くなられたのを初めといたしまして、負傷者四人を出し、また山ろくの湯谷団地でございますが、これを中心に合計五十五棟の住宅埋没、全壊をいたしましたほか、半壊五棟、一部破損九棟という被害が生じたところでございます。  また、お手元図面にも赤く塗っておりますが、この範囲につきまして現在避難を継続しておりまして、多数の住民小学校あるいは高等学校等指定避難場所あるいは親戚等避難をいたしております。  次に、この地すべりに伴う主要な施設についての被害状況について御説明申し上げます。  まず、道路関係でございますけれども、長野企業局が建設いたしました戸隠有料道路、これが起点より延長二キロメートルの区間で崩壊いたしまして、料金所等倒壊いたしました。この崩壊区間につきましては、県道の迂回ルートがございまして、道路の運行は確保されております。また、湯谷団地長野市の市道でございますが、これが三カ所、延長七百六十メートルの被害が出ておるわけでございます。  次に、農林水産関係被害でございますが、果樹園が二・九ヘクタール埋没いたしましたほかに、林地十四・四二ヘクタールが被災を受けました。  それから、社会福祉施設でございますが、先ほど申しましたように、特別養護老人ホーム養護老人ホーム松寿荘が全壊いたしまして、二十六人の御老人が亡くなったわけでございます。  二ページにおめくりいただきたいと思います。  水道関係被害でございますが、水道施設はその配水池埋没するなどの被害によりまして、湯谷団地及び望岳台団地約千百戸が断水をいたしましたが、自衛隊等による給水活動を続けました結果、被災水道施設の仮復旧に努めまして、避難地区を除きまして七月三十一日に全域の給水を開始いたしたわけであります。  それから、電力施設でございますが、電柱が倒壊いたしまして四百戸が停電いたしましたが、湯谷団地二百八十戸を除きましてすべて復旧をいたしております。  それから、電話でございますが、一般加入電話百三十六回線が不通になりましたが、家屋倒壊による修理不能の八十八回線を除きまして八月二日までにすべて復旧をいたしております。  さらに、地附山山腹にはテレビ、ラジオの中継局がございまして、これらの局舎倒壊あるいは送電施設等が壊れまして不能になりまして一時停波をいたしましたが、現在は仮送信所設置いたしまして送信を行っております。  なお、これらの施設につきまして警察消防自衛隊などのいわゆる実動機関ではそれぞれ多数の人員、車両等を投入いたしまして、行方不明者捜索あるいは応急救援対策活動、こういったものに全力を尽くしてまいったわけでございます。今なおその警戒監視を続けておるところでございます。  次に、その2の項目でございますが、災害対策関係省庁連絡会議等につきまして御説明申し上げます。  災害発生直後、関係省庁におきましては係官を現地派遣いたしまして、災害の態様あるいは被害状況等の把握に努めてまいったわけでございます。七月二十八日には政府調査団として、その団長といたしまして河本国土庁長官、それから七月二十九日には消防庁長官、それから昨八月五日には建設大臣がそれぞれ現地視察調査をいたしたわけでございます。  政府といたしましては、災害発生をいたしました翌日、関係十六省庁から成る第一回の災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、六項目にわたる当面の重点項目について申し合わせたところでございます。これにつきましてはこの二ページの中ごろに書いてございます。  この各省連絡会議におきまして政府調査団派遣を決めまして、翌七月二十八日、国土庁長官団長といたしまして、十省庁、十八名から成る政府調査団が東京から自衛隊のヘリコプターで現地入りをいたしまして、この資料の三ページにそれぞれ行程が書いてございますが、この行程でつぶさに災害現地調査してまいったわけでございます。  翌二十九日には、この政府調査団調査結果を踏まえまして、第二回の災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、当面の重点事項でございます六項目を決定いたしました。これにつきましては三ページにそれぞれ書いてございますが、これについて御説明申し上げます。  まず第一でございますが、松寿荘におきます行方不明者捜索、救出に全力を尽くすことでございます。これにつきましては、警察自衛隊消防団消防職員、こういったものが全力を挙げまして捜索に当たった結果、八月一日までに行方不明者全員発見をいたしたわけでございます。  それから第二に、引き続きまして地すべり監視警戒を的確に行うとともに、専門的な調査実施することでございます。現地におきましては、被災地域周辺の二十四時間の監視体制をとっておるところでございます。また、専門的な調査につきましても、建設省科学技術庁等関係省庁におきまして実施を行い、また行う予定にいたしております。  それから、第三でございますが、地すべり箇所応急対策工事の迅速な実施でございます。と同時に、恒久的対策につきまして、災害関連緊急地すべり対策事業地すべり激甚災害対策特別緊急事業激甚事業でございますが、これの実施を図ることでございます。また、被災公共土木施設応急対策についてもその復旧に努めるということにいたしております。応急対策につきましては、既に現地におきましてH鋼ぐいの打設を行っているところでございます。また、恒久対策につきましても、本年度は災害関連緊急地すべり対策事業、それから来年度以降につきましては地すべり激甚災害対策特別緊急事業実施することといたしております。  第四に、被災者、それから避難者生活救済に万全を期することでございますが、まず災害救助法の適用を災害発生当日、二十六日の二十二時五十八分に発動いたしまして、避難所設置、あるいは炊き出し、食品の給与等の所要の応急措置実施いたしております。また、住宅被災者に対しましては、住宅金融公庫による災害復興住宅資金の貸し付け、あるいは被災した老人ホーム入居者に対しましては他施設への分散入居等措置を講じてまいったところであります。さらに、亡くなられた方々遺族のうち二十人の方々には災害弔慰金を支給してまいったところでありまして、残る六人の方の遺族につきましても今後支給をすることといたしております。  第五は、被災した老人ホーム松寿荘早期復旧でございます。この問題につきましては、現在代替の土地の検討を含めまして地元の県、市と検討中であります。  最後に、災害復旧事業に対する起債、地方交付税措置でございますが、この問題につきましても被災状況及び財政状況を勘案いたしまして適切に対処してまいる所存であります。  以上の六点のほかにも、状況に応じまして適宜適切な対策を講ずることといたしております。  四ページに入ります。  続きまして、政府といたしましてこれまでとりました主要な項目について御説明を申し上げますが、先ほどの項目と重複するところがたくさんございますので、主な点について御説明申し上げます。  まず2のところでございますが、地元長野市、それから県におきまして災害対策本部設置をいたしております。  また、自衛隊につきましては、県知事の要請によりまして七月二十六日から八月一日までの間、災害派遣実施いたしまして、給水支援行方不明者捜索救助活動実施しておるところであります。  それから、その次が5でございますが、県と市の災害対策本部は、緊急通報体制を取り決めまして監視警戒体制の強化を図っているところであります。  最後に、被災者住宅確保についてでございますが、住宅金融公庫災害復興住宅資金の申し込みを受け付けたわけでございます。七月三十日に開始をいたしました。また、仮住居といたしまして応急仮設住宅設置、それから公営住宅確保等に努めておるところでございます。  以上で報告を終わりますが、今後とも関係省庁におきまして緊密な連携をとりまして、この地すべり対策につきまして万全を期してまいる所存でございます。  以上でございます。
  4. 中村茂

    中村委員長 これにて説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 中村茂

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若林正俊君。
  6. 若林正俊

    若林委員 質疑に入ります前に、今回の地附山地すべり災害により被害を受けられた皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、不幸にして亡くなられた方々への御冥福をまずお祈りをいたすところであります。  私は、今回の災害のありました長野市に住んでおりまして、多数の悲しい犠牲者が出ました松寿荘でお年寄りのお世話を担当している職員の中に私の小学校時代の同級生が二人おります。敬老の日には慰問に伺うなど、私にとっては大変身近な方々のところで大惨事が起こったわけであります。まことに痛恨のきわみと言わなければなりません。  災害発生したとき、私はちょうどアメリカに行っておりまして、国際民主同盟会議出席していたのでありますけれども、ワシントンでテレビ報道され、多くのそれを見ていた人たちからお見舞いの言葉をいただきました。国際的にも大変注目される異常な地すべり災害発生したわけであります。  私は、予定を切り上げて帰国したわけでありますけれども、災害発生後直ちに現地調査に来てくださいました中村委員長自民党井上災害対策特別委員長初め各党の国会議員方々に心からお礼を申し上げる次第でございます。また、河本国土庁長官にはみずから政府調査団団長として現地を御調査いただき、迅速適切なる対応措置を御指導いただき、おかげさまで応急措置が円滑に進められておりますことに敬意感謝を申し上げる次第であります。さらに、きのうは木部建設大臣現地に来ていただき、緊急地すべり対策事業実施状況を直接御視察いただき、この事業早期完成について御指導を賜りました。本当にありがとうございました。  地すべり災害発生してからきょうで十二日目になりますが、先ほど政府から報告がありましたように、行方不明になられた方々全員が発見され、ただいまは二次災害発生を防止するための緊急地すべり対策事業など諸対策が重点的に効果的に実施されております。これも本日御出席河本木部大臣を初め関係省庁皆さん方おかげでありますが、同時に、現場において吉村知事柳原市長陣頭指揮のもとで、真夏日の中で寝食を忘れて救済復旧の作業に当たってくださいました県庁、市役所の職員自衛隊警察消防皆さん日赤奉仕団地域のボランティアの人たちの御努力、御支援のたまものでもあります。ここで改めて敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。  本日の委員会で、私は大きく分けて二つのことについて質疑を行いたいと思います。一つは、今回の災害に対します具体的な対策の進め方、もう一つは、今回の災害から何を学び、これからの防災対策にそれをどう生かしていくかということであります。与えられた時間は四十分でありますので、政府側におかれましてはできるだけ簡潔にお答えを願いたいとお願いしておきます。  まず、今回の災害に対する具体的対策について伺いたいと思います。  厚生省にお聞きいたします。  災害発生後直ちに災害救助法が発動されまして、大変効果を上げております。行方不明者全員が発見されたのでありますが、避難勧告は引き続いております。あさって八月八日にはその期限が切れるわけでありますが、避難勧告が続いている限り、給食その他の応急対策のために災害救助法期限延長をすべきだと思いますが、どうでしょうか。
  7. 荻生和成

    荻生説明員 災害救助法延長につきましては県の方と御相談いたしまして決めていくわけでございますけれども、少なくとも今お話がありましたように、避難勧告が出ている期間につきましては当然延長をいたすということで考えております。
  8. 若林正俊

    若林委員 建設大臣にお伺いさせていただきます。  二次災害発生を防ぐために二十二億五千万円という膨大な予算をつけていただきまして、ただいま緊急地すべり対策事業実施が行われているわけでございます。心から御礼申し上げます。  きのう大臣御自身御視察いただきましたように、大変順調に早いテンポで事業が進められております。しかし、現地で一番心配しておりますのは雨が降るということであります。九月には台風シーズンがやってまいりますので、八月中にも基幹的な、根幹的な工事につきましては終わるんだというようにしていただきたいと思いますが、その見通し、また大臣の御決意を伺っておきたい、このように思うわけであります。
  9. 木部佳昭

    木部国務大臣 昨日現地を見さしていただきまして、短期間ではございますが、非常に県を中心にされて自衛隊皆さん方やまた市の方々、そういう方々が献身的に、当面の災害の処理の問題につきまして大変熱心に御努力されていることに胸を打たれた次第でございます。  今御指摘のありましたような、いよいよ九月になりますと台風シーズンになりますので、そうした問題等につきまして、これは全力を挙げて、私どもといたしましては関係機関と協議して協力をしながら二次災害発生しないように、これが当面の我々の一番大事な実行しなければならぬ仕事である、そういうふうに考えて、全力を挙げてこの二次災害に備えて努力をさしていただきたい、かように考えております。  なお、この災害関係の緊急の地すべり事業につきましては、三月までに完成できるように、これも地元皆さん方に御理解いただきながら、私ども誠心誠意実行してまいりたい、かように考えております。
  10. 若林正俊

    若林委員 ぜひそのように取り進めていただきたいわけでありますが、重ねてお願いを申し上げますが、九月の台風シーズン前に基本的な諸施設など、災害発生のおそれのないように措置していただきたい、このようにお願いを申し上げておきます。  建設省事務当局にお伺いいたします。  緊急地すべり対策事業が完成するまでは、あの地域の地盤は大変不安定な状況にあるわけであります。そこで、二十四時間の観測体制をとる必要があるのでありますが、これにはレーザー光線を使用した定点移動観測システムを採用するのが大変に効果的でありますし、また科学的な措置でございますが、大変費用がかかります。しかし、人の命にはかえられないと思いますので、緊急地すべり対策事業を行っている期間、つまり当座安定するまでの期間、この工事の一環として国の助成をお願いしたいのでありますが、いかがでございましょうか。
  11. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  今回発生いたしました地すべりは広大な面積でかつ膨大な土量であることにかんがみまして、地すべり地に対します十分な観測体制重要性は承知しているところでございます。したがいまして、レーザー光線による移動観測システムにつきましては、災害関連緊急地すべり対策事業で助成すべく検討してまいりたい、そのように考えております。
  12. 若林正俊

    若林委員 ぜひそのようにお願いをいたします。  八月一日の自民党災害対策委員会においても私はお願いをいたしました。そして、ただいま防災局長からの報告におきまして既に決定を見たような御報告がありました。地すべり激甚災害対策特別緊急事業実施のことであります。来年度からは現在の緊急地すべり対策事業地すべり激甚災害対策特別緊急事業、いわゆる激特事業に切りかえて本格的な復旧事業実施していただきたいわけであります。  今回の被災地県部長野市での災害であります。善光寺裏という大きな市街地に接した地域での地すべり災害でありますから、市民はもとより県民も一日も早い、安心できる状況が来ることを望んでいるわけであります。木部大臣も昨日現地長野で、前向きの意向で取り組むというお話がございました。ただいまは政府報告の中でそのように措置するという報告がございまして、ぜひとも激特事業によって早期完成を図っていただきたい。三年という期限が一応ありますが、このような事情を御理解いただきまして、できるだけ早い機会に完成できますようにお願いを申し上げたいと思います。いかがでございますか。
  13. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えをいたします。  今回の災害の実態にかんがみまして、恒久的な対策といたしまして昭和六十年度以降地すべり激甚災害対策特別緊急事業実施いたしまして、早期に完成させるように努力いたしたいというふうに考えております。
  14. 若林正俊

    若林委員 そこで、農林省建設省お願いしておきたいことがございます。  今回の地すべり地域は約十六ヘクタールに及ぶ広大なものですが、その四分の一に当たる四・一ヘクタールは果樹園などの農地であります。先ほど政府報告の中で二・九ヘクタールというふうに出ておりますが、実測値によりますと四・一ヘクタール、四分の一に及んでいるのであります。ここは南斜面で、すばらしいリンゴ園でありました。したがって、本格復旧に当たっては、農地農業用施設が従来の効用を発揮できますように、農林省建設省とよく相談されまして、関係農家の要望にも耳を傾けて特段の配慮をしてもらいたい、このように考えているわけであります。いかがでございますか、農林省建設省
  15. 吉國隆

    吉國説明員 ただいまお話のございましたリンゴ園復旧につきましては、地すべり対策の工法なりその工程等との関係建設省を含めまして関係機関とよく御相談申し上げながら、従前の効用回復のためできる限り早期復旧に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  16. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  今回の地すべり災害は非常に広い面積にわたっておりまして、また地すべり地も種々の用途に使用されていたことを考え合わせまして、それらを配慮いたしまして関係機関と調整検討してまいりたいというふうに考えております。
  17. 若林正俊

    若林委員 大変に難しい問題を含んでいることは承知いたしております。  しかし、先ほど申しましたように、四分の一に及ぶ農地でございます。また、それに生活をかけて農業に励んでおります専業農家がいるわけでございます。ぜひとも効用回復工事お願いしたい、重ねてお願いをいたしておきます。  続いて農林省にお伺いいたしますが、この被災農家の中に横山勉さんという専業農家の方がおられます。三人の息子さんを含めまして家族六人で立派なリンゴ経営をいたしております。私が見るところ、年間一千万を超えます経営であろうかと思うのでありますが、その方は約二ヘクタールの農地と一億以上の農業機械施設等の資産をすべて一瞬のうちに失ってしまったわけであります。茫然自失の状況からようやく気を取り戻しつつあるのでありますが、当然のことながら農地取得資金等を初めとする多くの借金をかかえております。行く先のめども立たないまま途方に暮れております。その他の農家を含めまして、このような農業者のこれからの生活、営農の再建などについて温かい指導、援助等を特にお願いしたいのであります。農林省、いかがでございますか。
  18. 吉國隆

    吉國説明員 お話のございました果樹農家、専業農家が三戸、兼業農家が二戸というふうに承知をいたしております。  特にお話のございました横山さんの場合は負債も抱えているということで、大変お気の毒な実情にあると考えておりますが、この負債の問題につきましては、とりあえず一年間の返還猶予措置を講ずるという方向で処置をしてまいる考えでございます。その後の経営再建の問題につきましては、復旧との関連、また農家の意向等をよく承りながら全体の復旧計画との調整も図り、県ともよく御相談をして適切な措置を講じてまいりたいと考えておるところで。ございます。
  19. 若林正俊

    若林委員 農地自体が復旧されるまでには相当の期間を要するわけでございますので、周辺の他の農家の農地をあっせんして、借りて経営ができるようにするなど、農業委員会などとも十分協議の上措置していただきたい、このように御要望申し上げておきます。  建設省事務当局に伺います。  二次災害を防ぎまして、その背後の市街地を守るということのために、一種の緊急避難のような性格だと思いますが、湯谷団地内にH形鋼を打ち込みまして、防護壁をつくりつつあるわけでございます。ところが、その山側に取り残される形で約七十五戸と承知いたしておりますが、住宅が入っております。このように取り残される立場の人たちの気持ちは察して余りある大変お気の毒なことであります。これらの人たちは全体のためにいわば犠牲になるというような姿になっておりますけれども、これからの復旧工事の進め方にもよると思いますけれども、これらの人たちが納得できるような道を講じられないものでしょうか、お伺いしたいと思います。
  20. 帆足建八

    ○帆足説明員 お答えいたします。  応急工事といたしましての土どめ工の目的でございますが、未被災の市道、家屋を二次災害から防ぐものでございまして、さしあたりまして公有地である道路の部分から着手してございますが、くい打ち工によります土どめ工の施工が困難と思われます流出土砂の末端部と未被災家屋の境界につきましても、布団かご等を施工することによりまして未被災の市道及び土どめ工より山側の未被災の家屋を二次災害より守るべく検討するように県を現在のところ指導しているところでございます。
  21. 若林正俊

    若林委員 どうもありがとうございました。被災者の立場になって温かく対策を講じていただきたい、このようにお願いをいたしておきます。  そこで、湯谷団地自体でありますが、あそこの地盤につきましても、地下水の浸透などによりまして地すべりの危険があるのではないかという住民の不安が高まっております。そのようなことになっては大変なことでありますが、そこで早急に湯谷団地内においてもポーリング調査等科学的な調査を行いまして、安全性の確保につき必要な措置を講じなければならないと思うのですが、どうでしょうか。
  22. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えをいたします。  湯谷団地の地盤の調査実施につきましては長野県を指導していきたいというふうに考えております。これらの調査結果によりまして、地すべり対策事業の必要があり、長野県から事業の申請がございました場合には、内容を検討の上、前向きに対処してまいりたいというふうに考えております。
  23. 若林正俊

    若林委員 湯谷団地住宅被害者は住宅ローンなどの負債をかなり抱えているのではないかと言われております。火災の場合は通常損害保険金でカバーできるのでありますが、今回のような場合、保険金の支払いの関係はどのような実情になっているのでしょうか、お伺いいたします。
  24. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 今回の地すべり災害につきましては、関係者の方におきまして水災によります損害だというふうにお認めをいただきまして、被災建物について保険の約款にのっとりまして損害の割合、程度に応じまして保険金の支払いが行われるというふうに私ども承っております。
  25. 若林正俊

    若林委員 大変に実情に即した措置であろうか、このように評価いたすのでございます。  それにしてもこれらの方々は、今後改築あるいは移転など新しい住宅入手などにも多額の資金を必要としているわけであります。それぞれの事情によりますが、せめて既往の住宅ローンについて償還の猶予あるいは場合によっては利子の減免など、償還条件の緩和などにつきましても行政指導お願いいたしたい、このようにお願いだけ申し上げておきます。  また、住宅金融公庫の復興住宅資金の融通につきましては、先ほど政府報告にもありました七月三十日に決定、既に手続が開始されているわけであります。被害者の立場に立った温かい気持ちでの取り扱いをぜひともお願いを申し上げておきます。  次に、厚生省に伺います。  松寿荘は全壊いたしましたけれども、そこにおられたお年寄りの方々は他の施設に一時収容されたり病院に入院したり自宅待機をしたりしておられます。そこで、長期にこのままというわけにはまいりませんので、どうしても早急に新たな施設を建設する必要があります。幸い松寿荘の管理者であります長野地域広域行政組合が、長野市の隣の牟礼村に、本年度と来年度二カ年をかけて七十人定員の施設を、国の助成を受けて建設することになっておりますので、これを本年度単年度で完成できますように予算措置等をお願いしてはどうか、このように思うわけでありますが、いかがでございましょうか。
  26. 阿部正俊

    ○阿部説明員 今先生からお話のございました牟礼荘でございますが、これは幸い今回の件とは別に、長野市等から御要望があった件でございまして、私どもも当初二年計画でやりましょう、こんなふうな判断をしておったのでございますけれども、今回の事故が起きましたので、全体の再建というのは別にございますけれども、少なくともこれにつきましては六十年度中に完成というふうな方向で県の方に財政的な助成措置、市の方に財政的な助成措置等を講ずるように努力していきたい、こんなふうに考えております。
  27. 若林正俊

    若林委員 きのう当組合の役員会がございまして、松寿荘にかわるべき施設を建設するということで、用地等の検討も始めたようであります。この場合、安全な場所にということは当然でありますが、同時に、今までのように二百人を超える大施設というのも、災害があってみますと、避難の面などでいろいろ問題があるんじゃないかという意見も出ていたようであります。  したがいまして、今後二つまたは三つというように分けて再建することも考えられますけれども、いずれにしても早急にということで、本年度中に組合の方から申請があった場合には、予備費等を活用してでもこれに対する予算措置を講じてもらいたい、このように考えるわけであります。いかがでございますか。
  28. 阿部正俊

    ○阿部説明員 私どもの方にも昨日の理事会の結果等概要が伝えられておりますけれども、その線に沿いまして六十年度中にも、一般の整備は大体もう方針が決定している時期でございますけれども、何とか予算をやりくりをしまして、御趣旨に沿うように努力するべくこれから検討してまいりたい、こんなふうに思います。
  29. 若林正俊

    若林委員 ぜひとも、災害を受けられ、今不安定な気持ちになっておりますお年寄りの皆さん方のお気持ちを察して特別の配慮をお願い申し上げたい、このように思います。  それから、松寿荘におられた方々は、先ほど申し上げましたように、かなりの方が他の施設に一時預かっていただく、こういう形になっております。そこで、それらの施設に対しまして、ベッドでありますとかポータブルの便器だとか洗濯機だとか、そういった什器の購入、また寝巻き、おむつなどの生活必需品の購入など、いろいろ預かる側の施設に費用がかかってまいります。そこで、措置費の中でこれらが見れますように特別の扱いをお願いをしたい、このように思いますが、いかがでございますか。
  30. 阿部正俊

    ○阿部説明員 現在百七十名余りの方々がほかの老人ホーム等に収容されておるわけでございますけれども、新しい施設の建設もさることながら、被災された方々に対するあるいは細かい心遣いというふうな点からも、今先生がお話に挙げられましたような生活必需品等につきましても公的なお金の中で格段の工面をしながら配分できますように努力したい、こんなふうに考えております。
  31. 若林正俊

    若林委員 ぜひそのようにお願いをいたします。  次に、上水道の復旧の件でございますが、先ほど政府報告にもありましたように、断水戸数は千百十七戸に及んでおります。その復旧につきましては、配水池、送配水管の整備等、かなりのものになるのでございます。そこで、応急復旧分も含めまして最大限の助成対象の拡大など、特別の配慮をお願い申し上げたい、このように思います。いかがてございますか。
  32. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明申し上げます。  お話のように、ただいま仮復旧ということで仮配管を路上にいたしまして、直径が五十ミリから百五十ミリ程度でございますが、これも大体一千メートル程度やっております。ポンプも新たに四つのポンプを借り上げまして運転しております。これから状況調査いたしながら本復旧ということにまいろうと思いますが、その場合に、ただいまやっております応急仮復旧、本復旧含めまして、できるだけ地元の御負担を少なくするように努力してまいりたいと思っております。
  33. 若林正俊

    若林委員 今回の地すべり地域内に県企業局管理によります戸隠有料道路、通称バードラインがございます。このバードラインは、七月十二日以降、通行不能になっております。今回の地すべりによりまして決定的なダメージを受けたわけであります。このバードラインをいわば前提として成り立っております背後地の戸隠高原や飯綱高原などの観光地は大打撃を受けております。旅館、民宿、そして冬場ではスキー場など、いろいろ奥地の観光開発が進んでいるわけでありますけれども、これらの人たちにとっては、まさに死活問題に直面いたしております。ただいま七月十二日からの通行どめでありますけれども、その七月を前年に比べてみましても、戸隠では四〇%、飯綱で二〇%という入り込みの減少になっております。  そこで、通産省にお伺いいたしますけれども、これら旅館、民宿、ペンションなどの中小企業に対しまして、災害の特別融資などの措置は講ずることができないものか、このように思うのでありますが、これら中小企業対策についてお伺いいたしたいと思います。
  34. 中澤佐市

    ○中澤説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました戸隠や飯綱の旅館、民宿等の件につきましては、県とも十分連絡をとりながらその状況の把握に努めておりますが、県の融資制度でございます中小企業振興資金の活用を図るなど、きめ細かな金融対策を行いますよう県を指導してまいる所存でございます。
  35. 若林正俊

    若林委員 しかし、何といいましても、このバードラインにかわるべき道路の整備が必要なわけであります。しかし、これがなかなか難しいのであります。現在の代替道路は三つありますが、その一つはとても遠くて、信濃町の方を回るわけですが、観光道路としては時間がかかり過ぎる、残りの二つは大型バスが入れない、こういう状況でございます。  そこで、建設省にお伺いいたします。現在あります県道の長野戸隠線と長野市市道の一ノ鳥居線、通称七曲がり、こう言っておりますが、これらについて全体を二車線に拡幅するということは、当面、立地上困難であることは承知いたしておりますが、特に冬期間の積雪期のことなども考えまして、車の交換ができるような場所を整備するなど、早急に特別の措置を講じていただきたい、このように思うわけでございますが、いかがでございますか。
  36. 吉越治雄

    ○吉越説明員 バードラインが今回の災害によりまして交通どめになっておりまして、一応の迂回路は指定してございます。この代替路線として考えられます、お申し越しの一般県道長野戸隠線、それかる市道の一ノ鳥居線、これは大変未改良区間が多い路線でございまして本格的な整備はなかなか難しい状況にございます。しかし、今回の災害にかんがみまして、当面の処置といたしまして、あるいは交通安全の確保の観点から、待避所の設置あるいは冬季に向けての除雪等を優先的に実施するよう県並びに市と鋭意検討いたしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  37. 若林正俊

    若林委員 もう時間も少なくなってまいりましたので、個別の災害対策につきましてはまとめて御質問申し上げ、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず、自治省でありますが、長野県は、災害列島日本の中でも特に災害の多い県であります。しかも、この五年間は毎年激甚な災害発生を見ております。今回の災害復旧等、災害対策のために長野市も長野県も膨大な財政負担を強いられております。そこで、長野市に九月交付することになっております普通交付税につきまして、前期分の三〇%の繰り上げ交付の措置などをとっていただきたいことと、特別交付税によります措置につきましては十二月交付分で十分措置願いたいと思うわけでありますが、長野市につきましては、特に三月交付分において特段の配慮をお願いを申し上げたいのであります。  次に、国土庁にお聞きいたします。  ことしの梅雨期は、長雨と台風六号等によりかなりの被害が各地に出ております。しかし、梅雨明け宣言後の不安定な気象条件のもとで、各地にその後も集中豪雨等がありました。実は、地附山地すべりの引き金となりました七月二十日の集中豪雨は、長野県北部一帯で農地、小河川等に土石流、がけ崩れ等の大きな災害をもたらしております用地附山地すべり災害の陰に隠れて余り報道されておりませんけれども、信濃町などではかなりの被害であります。  そこで、この七月二十日を中心とする豪雨による被害を、梅雨期の長雨、台風六号による被害と一体不可分のものとして、これら一連の気象条件による災害を激甚法の指定災害とすることをぜひともお願いをいたしたいのであります。  それから、警察庁にお伺いをいたします。  先ほども述べましたように、長野県は気象、地形等からとりわけ災害が多いのですけれども、地理的、立地的に見ましても、山間部など不便なところで起こることが多いのであります。これら災害を、初期の段階でその状況を迅速的確に把握をいたしまして、早期に適切な対策を講ずることができますように、静岡県が導入いたしております人工衛星を活用いたしました通信システム、これをぜひとも長野にも取り入れることを検討してみてはどうか、こう思いますが、いかがでございますか。  この三つにつきましてお伺いをいたします。  冒頭、実は大きく分けて二つのことをお伺いしたかったわけでございます。一つは、以上にて終わりましたが、個別の具体的な災害対策であります。もう一つは、今回の災害に何を行政側が学ぶかということであります。最後に、それらについても私見を述べさしていただきたい、このように思いますので、答弁はごく結論だけ簡単にお願いを申し上げます。
  38. 奥田義雄

    ○奥田説明員 お答え申し上げます。  まず、普通交付税の繰り上げ交付の件でございますが、これにつきましては、この災害災害救助法の適用される大きな災害でもございますし、県を通じて要望もあることでございますので、先生のお話のとおり、明日にでも交付できますよう現在手続を進めておるところでございます。  それから、被災団体が行います災害復旧事業等に要します経費についてでございますけれども、これにつきましては被害状況等がはっきりいたしませんと対処できませんので、実情を十分調査をいたしまして被害状況及び財政状況等を勘案いたしまして、特別交付税あるいは地方債というようなことで適正に対処をいたしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  39. 杉岡浩

    杉岡説明員 今回の梅雨期につきまして、それから台風六号、これにつきましては、人的被害が三十七名、それから施設被害につきましても各地で相当大きな被害が出たわけでございます。  この激甚災害の指定の問題につきましては、農地農業用施設中心に、現在関係省庁において鋭意調査を進めておるところでございます。  この激甚災害としての災害期間でございますが、一連の災害としてとらえる期間につきましても、ただいま御要望のございました点を踏まえまして現在検討を進めておるところでございます。
  40. 宮野嘉文

    ○宮野説明員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のように、通信衛星は災害等が発生いたしました場合にその状況を的確に把握するに大変有効なシステムでございまして、現在警察庁では、静岡県に地上設備一式を災害対策用として設備しているところでございます。厳しい予算事情ではございますけれども、今後も災害多発地等を重点に整備を進めていきたいと考えております。よろしくお願いします。
  41. 若林正俊

    若林委員 もう時間も数分になってしまいました。本日、関根消防庁長官、お見えいただいております。先般は、本当に地元消防皆さん方、大変な御努力をしておられます、その激励も相兼ねていただきましてわざわざ現地にいらしていただきました。本当にありがとうございました。  そこで、実はいろいろ申し上げたいことがあるわけでございますけれども、災害が起こってからの措置は今回も大変スムーズでございます。地元被災者を初め関係者は感謝をしているわけでございますけれども、事前の予防的措置、また被害が拡大するのを防ぐ措置が大変弱いように思うわけであります。その結果として、ただいまも地元ではいろいろ問題になっておりますが、今次災害が天災ではなくて人災ではないかといったような意見が出ているわけでございます。  私は、ここで法律上の責任の有無について論ずるつもりはございません。ただ、今回の地すべり災害発生に至ります経過を政府側としてもしっかりと把握し、そして自治体も含め行政側もそれを謙虚に受けとめてこれからの防災対策に生かしてもらいたい、このように思うのであります。そのことによって初めてとうとい犠牲を払われた方々の霊も報われる、このように思います。  消防庁にお伺いしたいのでありますが、ほとんどの市町村が地域防災計画を定めております。長野市も立派なものがございます。ここに持ってまいりました。こんな膨大なものであります。大変膨大、詳細なものでありますけれども、それが実際に関係職員にまで果たして理解されているのだろうか。むしろ理解されていないのが一般的なようにも思うのであります。長野市の場合におきましてもそのような点があったのではないかなと危惧いたしております。幾らきれいに計画を定め、絵をかいてみても、いざというときにそれが生きてこなければ何にもなりません。むしろ形式的な責任分担、縄張り論が強くなって、かえって緊急の場合にはマイナス面すら出てきかねないのであります。  消防庁では毎年本当に立派な通達を長官、出しておられまして、そのとおり下部が、あるいは担当者が実行しておればかなり迅速な対応がとれるわけでありますが、どうもこれを受けとめる側でマンネリ化しているのではないか。市町村段階で、あるいは都道府県段階で行われています防災訓練なども形式化しているおそれはないだろうか、関係者の研修のあり方、教材あるいは訓練などの見直しなどをしてみる必要はないだろうか、このように思うわけでございます。この点についてのお考えをお聞きしておきたいと思うのであります。  そして最後に、せっかく両大臣がお見えでございます。それぞれ現地視察をいただきまして御指導、御指示を願っているわけでございますが、両大臣に、今回の災害に関しまして、その所見なり、また、それらの教訓を生かしての防災行政の拡充につきまして決意のほどをお伺いをいたしておきたいと思います。  以上をもって質問を終わります。
  42. 関根則之

    ○関根説明員 防災計画につきましてはできるだけ実戦的なものをつくるように指導をいたしておるところでございます。一たん災害発生しますと人間の判断力というのは極めて当てにならないものであるというふうに私どもは考えておりますので、こういう事態が起こったときにはこう対応するということを事前にきちっと決めておきまして、それを徹底して頭の中にたたき込んでおく。しかも、それを単に観念的に覚えているんではなくて体をもって自動的に動けるようなそういう訓練を繰り返す必要があるというふうに考えておる次第でございます。  そういう意味におきまして、計画そのものが地域の実態に即したものでなければならないということは当然でございますが、いろいろ環境が動いてまいりますので、その都度新しい事態に対応した見直しというものも常に必要であろうと思っておりますし、また、その計画に基づく実戦的な訓練も、末端まで含めてできるだけ形式的に流れないで実戦的な訓練をするようにこれからも十分指導していきたいというふうに考えているところでございます。
  43. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 まず最初に、今回の災害で亡くなられた方々の御冥福を心よりお祈りする次第であります。――私は、去る七月二十八日、関係省庁から成る政府調査団団長としてヘリコプターで現地をつぶさに視察したわけであります。想像をはるかに超えた現況でありまして、県知事、市長初め関係者の方々から詳しく説明を聞き、要望を伺ってまいりました。政府といたしましては、この現地調査の結果を踏まえて、先ほど防災局長からも報告しましたように、関係省庁会議におきまして地すべり監視警戒地すべり対策事業実施被災者避難者の生活救助などに関する当面の重点対策を決定し、これを基本として関係省庁が所要の対策に鋭意取り組んでいるところでございます。今後とも関係省庁が力を合わせまして、地元と十分連携をとりながら、被災者方々が一日も早く正常な生活に戻られるよう努力してまいりたいと思います。  なお、災害から国民の生命財産を守るという意味から、財政事情は非常に厳しい中ではございますが、災害関連予算につきまして、関係省庁におきまして重点的な取り扱いをしていただくよう先般の閣議におきましてお願いしたところでございます。  今後とも関係省庁と十分連絡をとりながら、災害予防を初め災害関連予算の拡充に努力してまいりたいという決意でございます。
  44. 木部佳昭

    木部国務大臣 今回の災害で不幸にして亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、また御遺族方々にも心からお悔やみ申し上げると同時に、家屋など被害を受けました方々に対して、一日も早く立ち上がっていただきますようにお見舞い申し上げたいと思っております。  私は、昨日も現地に参上さしていただきまして、二つのことが、特に我々建設省側としての大きな教訓になった。  その第一点は、御承知のとおり、今全国で五千八百カ所ぐらいの危険地すべり地域があると言われております。特に、台風シーズンになりますので、家屋とそうしたところと接近しているところにつきましては万全を期さなければならぬ、これが第一点でございます。  第二点は、今回の災害現地を見せていただきまして、先ほども御質問がありましたように、非常に住宅に接近しておるところでございまして、それだけに被害を受けた方々の不安というものは私ども想像以上だというふうに御推察を申し上げておるわけであります。  そういう意味で、恒久対策に向かいましては、三年ということでこだわってはいかぬ、これはもう少し技術陣の総力を結集して、そして一日も早い恒久的な対策に取り組むということが、住宅やああした特殊なところの皆さん方に対する今回の災害の非常に大きな教訓だ、そういうふうに私自身は考えておりまして、そうした点等については事務当局に、その辺を十二分に理解しながら、県その他と相談をして全力を挙げて取り組む、そういうことで指示をいたしておる次第でございます。
  45. 若林正俊

    若林委員 どうもありがとうございました。  終わります。
  46. 中村茂

    中村委員長 次に、清水勇君。
  47. 清水勇

    清水委員 質問に入る前に、私からも今度の地すべり災害を通じてとうとい命を失われた多くの皆さんに謹んで哀悼の意を表すると同時に、心から御冥福をお祈りいたします。また、多数の被災者皆さんにもこの機会に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  実は、我が党は、この災害発生した直後の二十七日に田邊書記長を本部長とする対策本部を設置し、二十八日には九名の国会議員による調査団を現地派遣をし、種々その状況を把握をするとともに、災害の原因の究明あるいは二次災害の防止あるいは被災者皆さんに対するお見舞い等について一定の手だてを講じてまいりましたが、この間、政府関係省庁皆さんにも迅速に対応されたことに対し、この機会に敬意を表する次第でございます。あわせて、地元の自治体関係者はもとより、地域関係住民皆さん災害復旧に向けて積極的な取り組みをされているわけでありますが、この点についても心から敬意を表する次第であります。  さて、今度の長野市の地すべり災害について、幾つかの複合要因があると私は見ております。私の所見は申し上げませんが、まず最初に、政府としては今次災害の要因についてどのように所見をお持ちであるか、冒頭に承りたいと思います。
  48. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  今回の災害の直接的な要因は、観測史上第二位と言われます梅雨期の異常な豪雨であったのではないかというふうに長野県から聞いております。
  49. 清水勇

    清水委員 長野県の感想を聞いているのではなしに、政府としてどのような所見をお持ちであるか、これを承っているのです。
  50. 渡辺義正

    渡辺説明員 今回の災害の直接の要因につきましては、先ほど申しましたように、観測史上第二位と言われますところの梅雨期の異常な豪雨にあったというふうに私ども考えております。
  51. 清水勇

    清水委員 さて、今度の災害の前後から、例えば災害発生の当日午前十一時から建設省土木研究所の藤田砂防部長が地附山周辺を視察される、午後三時まで視察をした。その直後にあの地すべり発生をしたという時間的な経過がございます。また同時に、多くの専門家あるいは学者の皆さん災害の前後から地附山周辺に入って専門的、学術的な調査をされている。そういう中で、いみじくも一致して指摘をされている点は、崩れやすい裾花凝灰岩層に例えば盛り土をする、切り土をする、そして有料道路を建設する、これが地下水や水の流れをせきとめて水分を地層に浸透しやすくしている。なるほどあの異常な大雨が直接的な引き金であったと私も思いますけれども、遠因はその辺にあるのではないかという指摘があるのですが、いかがでしょうか。
  52. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  バードラインの開通につきましては昭和三十八年でございまして、その後長年にわたりまして異常がなかったという報告を受けております。したがいまして、バードライン建設が地すべり発生にどのようにかかわったかということは判断することができないわけでございます。
  53. 清水勇

    清水委員 それでは、こういうふうなお尋ねをしておきますが、この戸隠有料道路というのは、御承知のとおり、道路運送法上の道路、そうですね。そこで、いわゆる建設省の進める指定道路と異なって、例えば水抜きをするとか砂防を行うといったような、そういう配慮がこの道路の建設に当たっては行われていなかったのではないか、こう思いますが、いかがですか。
  54. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えします。  戸隠バードラインにつきましては、道路運送法によりますところの道路でございますもので、運輸省で所管しておりますので、私どもの方では、今御質問の点につきましてはわかりません。
  55. 清水勇

    清水委員 運輸省にも指摘をしておいたのですが、ちょっと行き違いで来ていないようですから、やむを得ませんが、それでは改めてこういう角度でお尋ねをいたしますが、実はけさの各新聞にも、ここに持ってきているのは朝日新聞、それから地元の信濃毎日新聞のけさの記事ですけれども、実は今度の地すべりの箇所を見てみますと、五十六年豪雪の雪解けの時期に、たまたまあっちこっちにひび割れが入りました。そのひび割れの箇所が今度の地すべりの両端であるということが判明した。また、去年も融雪期に道路にクラックが入る、あるいは一部小さな崩落、ひび割れ等が拡大をする、のり面なんかも大分影響を受けるというようなことがあって、かなり危険度というものを増幅をさせている。そこで、県の間に、これは国において地すべり防止地域に指定をしてもらって本格的な公共による砂防等の工事を行ってもらわなければならない、こういう認識が深まっていたわけですが、どうしてこれは指定地域に指定をされなかったのか、伺いたいと思います。
  56. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えをいたします。  戸隠バードライン付近におきますところの小規模なのり崩れ等が発生しておりましたわけでございますが、現象が非常に局部的でございまして、これが今回のような大規模な地すべりであるというふうな想定ができなかったということのために、地すべり防止区域に指定するための申請をしなかったというふうに長野県から聞いております。
  57. 清水勇

    清水委員 いずれにしても、私に指摘をさせれば、こんなに大規模な地すべりが起こるとは思わなかった。あるいは当日の午前から午後にかけて、権威ある建設省の砂防部長も現場を視察をされている、しかし、残念ながらつかみ切れなかった、こういうようなことが言われているわけでありますが、いずれにしても今度の大災害というものを教訓にして再びこのような悲惨な災害を繰り返さない、こういうことのためには、責任があっちにある、こっちにあるというようなことを言い合うのではなしに、国も県も市も一体となった形で万全な防災体制を築き上げる、これを新しい教訓と出発点としなければならぬと私は思うのですが、国土庁長官、どうですか。
  58. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  この地すべりの問題につきましては、この災害発生して直ちに長野県におきまして地すべり関係の専門の委員会設置いたしたところでございます。この委員会には県の土本部長を初めといたしまして関係の部長、それから長野市の関係者、さらには建設省あるいは信州大学の諸先生、こういった方々が入っておるわけでございます。  こういった委員会等を通しまして当然警戒避難体制等についての検討を進めるとともに、今後その地すべり監視あるいはその対策等につきましても十分検討されるということでございます。それを通しまして関係省庁におきましても必要な指導を行うということにいたしております。
  59. 清水勇

    清水委員 ちょっと念のためにお尋ねをしておきますが、これまでには県から地すべり防止地域への指定の申請が出されていなかった、こう言われておりますが、今回この災害を契機に申請がされた場合には指定地域として指定をいたしますか。
  60. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  ただいまの件でございますけれども、県の方から指定の申請が上がってまいりました場合には、それに対しまして適切に対処いたしたいというふうに考えております。
  61. 清水勇

    清水委員 実は長野市地附山と同様な危険箇所、建設省資料を見ても約五千八百カ所ある。指定をされてない地域というのは非常に多いと思うのですね。それらについてどういうふうな対処をされるつもりであるか。
  62. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えをいたします。  建設省といたしましては、地すべりの危険箇所の見直しを必要に応じまして適宜実施してきたわけでございますけれども、今回、地すべり危険箇所見直しにつきましては、本年度当初におきまして各県に既に調査を指示したところでございまして、現在鋭意作業が開始されております。  今回の災害にかんがみまして見直しを適切に行うよう再度周知徹底するように指導してまいりたいというふうに考えております。
  63. 清水勇

    清水委員 例えば長野県下の地すべり危険箇所というのが七百三十五カ所あると指摘をされている。こういう点については具体的にどういう見直し作業が行われていると承知をされているか。
  64. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えいたします。  ただいまの質問でございますけれども、今回の地附山の地すべり災害というふうなものにかんがみまして、先ほど大臣からも答弁がございましたように、人家、集落の密集地にかかわるようなところにつきましては特に注意をしてまいるというふうに各県を指導してまいりたい。具体的に今のお話でございますと、長野県を指導してまいりたいというふうに考えております。そのほか、より綿密に、空中写真でありますとか地形図、それから必要に応じましては現地踏査というふうなものを実施いたしまして、より精度を上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 清水勇

    清水委員 これは、いずれにしても人の生命、貴重な財産、これを守るための地すべり防止対策、これは緊急を要することは言うまでもありませんが、とかく政府にあっては財政事情を口実にして、最近この種公共事業費というものがマイナスシーリングといった影響をこうむっている。だから、大臣はこの際に鋭意というようなことをさっき決意として述べられているけれども、決意を具体的な施策にあらわすために必要な予算が確保されなければ、これは口頭禅に終わってしまう。えてしてこのような大災害が起こると、政府関係大臣も重大な決意を表明して、迅速果敢に防災に当たるというようなことを言われるけれども、時日が経過をすると、どうもその決意が薄れてしまう。これでは仕方がないのであって、予想される危険箇所の防災を含めて、予算の裏づけをもって迅速に対処する、こういう決意が明らかにされる必要があると私は思いますが、いかがでしょう。
  66. 木部佳昭

    木部国務大臣 私、先ほど申し上げましたように、今回のこの痛ましい災害、またお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御指摘のように、この教訓をやはり生かさなければならぬ。  そこで、先ほども御答弁申し上げましたように、二つの点があると思いますが、一つは、今申し上げるように、全国で約五千八百カ所ぐらいの指定を危険箇所としていたしております。これにつきましても、台風シーズンになりますので、各都道府県並びに地建その他を通じて、まだまだ非常に危険な箇所というものがかなり相当部分あるだろう、そういう問題を含めて、特にまた住居部分に非常に近い集落とかそういうところについては、もう一度見直すとかというような表現ではなしに、徹底的にこれは調査をし、そして県を督励して、また地建を督励して、総点検し、見直ししていかなければならない。率直に申し上げますと、今回のこの地すべり災害は別でございますけれども、自分の選挙区のことを申し上げて恐縮でありますが、我々の伊豆半島なんかも、何回も地震や風水害であの種の災害に近いような大きな災害を受けておりますけれども、やはりいろいろな人間の、風雪に耐えて安住の地を求めて、あっちでやられ、こっちでやられて、そしてきた、そういう元部落とかというようなところは割合被害が少ないのですね。最近のように非常に経済が高度化し、社会が高度化して開発が進んでおるようなところの被害というようなものは非常に大きくなってきておる。そういう点なども私どもは非常に重視をしていかなければならない、そんなことも実は考えております、  それからまた、予算と激特とは関係ございませんで、関係というと失礼ですが、指定をした以上は、いかに財政的に困難であろうとも、そうした復旧に対しての全力を挙げての努力政府としてする義務があるわけでありますが、人命尊重とか、そういう災害復旧の責任に対して当然これは行政が背負っていかなければならぬ、実現しなければならぬ、そういう義務があるわけですから、そういう問題等については、私は今御指摘のようなそんな心配はない。むしろこういう住居部分に近いとか、この間の災害長野のああいうところを見てみまして、三年とかいうような基準がありますが、そんなことは超越しても技術的にも、また県と市町村関係者と相談して一日も早い恒久対策を確立するということが私どもに課せられた使命である、そういうふうに受けとめさせていただいているわけでございます。  そういうことで、この間も実は、話が多少それる部分もありますが、私は汽車の中で行きかけに、先ほども御指摘がありましたように、指定を受けている地域で一体何%ぐらいの確率があるんだ、こう言って聞いたら、今まで八〇%くらいの確率がある、こう言っておりましたから、気象庁の予報も大体そのくらいかな。しかし、それはそれとしても、今申し上げるように、あらゆる点で万全の対策を、措置を講ずるようにということは指示をいたしております。今申し上げるように、特に台風シーズンに入っておりますので、そういう点については万全の対策を立てる、そういう考え方で私どもは取り組んでまいります。
  67. 清水勇

    清水委員 いずれにしても長野市のど真ん中といってもいいかもしれませんが、広大な住宅地を控えた崩れやすい山が崩落をする、五百万立米の土砂がいわば流出をする、これは大変な災害ですね。だから、こういう大災害に対しては超法規的な立場からでも一つは二次災害を防止をする、そういう取り組みをすることは当たり前なことでありますし、また今度の災害を教訓にして、長野市内にも実は地すべり危険箇所が現に存在をする、そういうところの災害を未然に防止する、こういうことで鋭意取り組んでもらいたい。  さて、そこで、今の点の所信も後で述べてもらいますけれども、現実にH鋼を今ぶち込んで、さっきも質疑がありましたけれども七十戸を超す住宅がもう使用不能という状況になる。一方ではあの災害で無傷だった住宅もたくさんあるわけでありますけれども、台風シーズンを前にして大雨でも降ればとても安心して住んではいられないといって現に転出を考えられる方々が続出をしてきている、こういうようなことに関連をして私はちょっとお尋ねをしておきたいのでありますが、先月でありましたか、気象庁はことしの台風シーズンには四つか五つの台風が本土に上陸をするといった予測を長期的に出されているわけでありますが、その見通しがどうであるのか、また、その見通しとの関連で少なくとも台風襲来以前に緊急かつ応急な手だては万全に講ずる、こういうことが裏づけとして行われなければならぬと思うわけでありますが、気象庁と建設省、どうでしょうか。
  68. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答え申し上げます。  これから十月にかけましての台風シーズンでございますが、この間に関東、甲信地方に影響する台風の数でございますけれども、三ないし四個というふうに予想してございます。それで、現在の時点ではどのような形で来るかということは見通しはできないわけでございますけれども、台風が接近してくる場合には、現在奄美諸島の東の海上に台風八号がございますが、この台風を含めまして、接近してくる場合には、台風情報あるいは大雨、洪水等に関する注意報、警報を現地の現状に即しまして適切に発表いたしたい、それからまた、地元長野市あるいは県などと密接な関係をとりながら情報を綿密に提供して対処してまいりたい、そのように考えております。
  69. 井上章平

    井上説明員 御承知のように、ただいま鋭意事業を進めておりますのは、まずH鋼による土どめ工でございます。それから、地表水の浸透防止のため、のり崩れのありましたのり面の表面整形をやっております。それからさらに、それの表面に排水工を設置すべく努力をいたしておるところでございます。地すべり直後は大変危険でございまして、危険を冒してできる限りの努力をいたして今日に至っておるわけでございますが、台風シーズンは九月といたしますと、八月中にどれだけのことができるかということになるのであろうと思います。私どもといたしましては、可能な限り、ただいま実施中のそれぞれの工事につきましては、この台風シーズンには間に合わせることによりまして何とか二次災害を防止してまいりたいと努力いたしているところでございます。
  70. 清水勇

    清水委員 そこで、今もちょっと触れておきましたが、H鋼が打ち込まれる。山側の住宅はもう使えなくなる。無論それ以前に土砂に埋まったり全壊をしたり半壊をしたりという住宅もたくさんあるわけですが、いずれにしても、H鋼から山側の住宅というのが二次災害防止の犠牲にされるというようなことにもなるわけであります。これらの住宅に対して、例えば地すべり防止法の十七条でありますか、損失補償という規定があるわけでありますが、どのような補償が考えられるのか、ひとつ見解を示していただきたい。
  71. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  地すべり等防止法の十七条によりますところの補償は、これは工事に伴いますところの補償でございます。
  72. 清水勇

    清水委員 工事に伴って当然無傷の住宅でも現実にもう住めないという状況になりますね。そうでしょう。山側にH鋼が打ち込まれるでしょう。
  73. 帆足建八

    ○帆足説明員 お答えいたします。  まず、無傷の住宅につきましては、現在公有地の方にH鋼を打っておりますけれども、今度は私有地の部分にH鋼ではなくて布団かご工というようなもので、極力未被災の家屋については救おうと考えております。  それから、補償の問題でございますが、市道が現在被災しておりまして、その市道を復旧するに当たりまして例えば土どめのための片のり枠工等施工するために必要な用地、また、そういう物件がかかります際は補償の対象になります。そういうことで対応して、できるところはやってまいります。
  74. 清水勇

    清水委員 いずれにしても、災害地における住宅補償についてはこれからの県等との関連で課題になっていくわけですが、国としてもさまざまな制度を最大限に活用しながら、最大限のいわば救いの手を差し伸べる、こういう点をひとつ配慮しておいてもらいたいと思います。  さてそこで、今日まで全国的に大きな災害が随分起こっているわけでありますが、例えば災害住宅を失った場合、市中銀行等とローンの契約を結んでいるそうした方々に対して、税法上の貸出金償却としてこれを損金に落としている、返済を棚上げしているという例が現実にある、そういうふうに私承知をしているわけでありますが、大蔵省としてはこの種の先例に倣って、今回の災害に当たって住宅を失われた皆さんに対するローン返済関連の問題について、市中銀行等へ特別に被災者救援対策として配慮をするように指導される気持ちがあるかどうか。
  75. 坂篤郎

    ○坂説明員 お答え申し上げます。  先生今御指摘のような措置が既にとられているかどうかについては存じておらないのでございますけれども、今回の災害に対しましては、私ども現地長野財務事務所を通じまして、民間の金融機関に対しまして、災害状況等に応じて適切な措置をとるようにという指導を行っておりまして、既に地元の金融機関におきましては、その被害状況に応じまして、例えば既にある住宅ローンにつきましては金利の引き下げを行うとか、あるいはその遅延損害金の免除を行うとか、あるいはその融資期間延長を行うとかといったような弾力的な取り扱いを行うことといたしております。また、新たに長野地附山地すべり災害のための特別融資という取り扱いも民間の金融機関において始めておると聞いておりまして、この取り扱いを使いますと一般の住宅ローンよりは有利な条件でローンを得ることもできるというふうに聞いております。したがいまして、このような取り扱いを利用されれば有利な住宅ローンを組むこともできるのではないかと思っております。  債権償却の件でございますけれども、一般に金融機関の貸出金の償却というのは金融機関の経理上の措置でございますけれども、その回収が不能になった場合にケース・バイ・ケースでやるということでございまして、今回のケースにつきましても、罹災された方々の実情に応じまして、つまり、とても払えない、あるいは回収がどう見ても不能であるということであれば個々に金融機関が判断をして、必要であれば償却を行うということになるケースもあるかと思います。
  76. 清水勇

    清水委員 関連してちょっと国税庁関係に聞いておきたいのですけれども、例えば住宅や家財が大きな損害をこうむる、当然雑損控除という措置なりあるいは災害減免法の適用を受けることができる、こういうふうに思うわけでありますが、この場合、少なくてもきめの細かい、被災者によく理解ができるような周知方法を講じながら、例えば現に損害計算例なんというようなものをこれまでの災害の場合に出されている地方国税局等もあるわけでありますから、こういう点で雑損控除だとか災害減免法だとかの適用についてきめの細かい指導が行われる必要があると私は思うけれども、どのように考えているのか。
  77. 加藤泰彦

    ○加藤説明員 お答えいたします。  今お話しの雑損控除または災害減免法に基づく所得税の減免の措置の適用に当たりましては、災害により被害を受けた住宅または家財等の資産の損害額の計算について、被害のあったときの時価をもととして個々に損害額を計算するのが建前になっておるわけでございますけれども、被害を受けた資産について個々に計算をするということが非常に困難な場合があるということもありますので、お話のありましたように、一部の国税局におきまして、専ら納税者の便宜を考慮いたしまして簡易な方法による計算をしていただいておるわけでございます。  関東信越国税局におきましても、長野県西部地震の場合の前例もございますので、今回の被災者に対しましても、基本的にはこのような簡易な計算方法を選択できるようにPRに努めるとともに、適切な相談、指導を行いまして、簡易計算を希望する方に対しましては不便をかけることのないよう適切に対処してまいりたいと思っております。
  78. 清水勇

    清水委員 この点はひとつきちっとやっていただきたいと思います。  さて、そこで、さっきもちらっと触れましたけれども、崩れやすい崩積土の山を抱えているという状況の中で、例えば湯谷団地住民皆さんの中には、どうも安心して住んでいけない、他に転出をしたい、こういう動きがたくさんございます。これらに対して、例えば地すべり等防止法の規定あるいは国土庁絡みの法制度によって一定の援助なり助成を行う手だてがあると私は思っているわけでありますが、具体的にどのようなことが考えられるのか。
  79. 蓼沼朗寿

    ○蓼沼説明員 お答えいたします。  防災集団移転促進事業というのがございますが、これは災害発生した地域等のうち住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため住民の住居の集団的移転を促進することが適当であると認められる区域を移転促進地域として定めまして、その区域から住居の集団的移転を促進する事業でございます。今回の災害につきましても、移転促進区域内にあるすべての住居が移転され、移転戸数の二分の一以上が一つ住宅団地に入居するような場合には防災集団移転促進事業として制度の適用が可能であると考えております。
  80. 清水勇

    清水委員 これはこれからの課題になるわけでありますから、必要な場合には十分な手だてを講じていただくことを注文をしておきたいと思います。  それから次に、住宅金融公庫災害復興住宅、できるだけこの制度を生かす、こういうお話がありますが、これは何といっても既往のローンを抱えたまま新しいローンをセットするというようなことは二重払いになるわけでありまして、これはなかなか口で言うほど簡単にこの資金の制度を活用する、あるいは返済にたえられるというようなことにならない。そこで、既往のローンの返済についても最大限の特別な措置が講じられてしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  81. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 公庫融資住宅のうち今回の災害被災を受けたものにつきまして、私ども原則として公庫の特約火災保険というものをつけていただくようにしてございます。そこで、この保険の特約をつけていただきますと、今次の災害につきましては保険関係者の向きにおきまして、これを水災による損害だというふうに認めていただくようになっておりまして、被災建築物につきまして、災害の程度に応じて損害保険が支払われるということになっております。そうなりますと、支払われました損害保険によりまして償還の残額というものに充てていただきますので、新たに公庫の災害復興住宅融資を受けてお建てになる分につきましては、それだけ一つの新たな負債を負うということになるわけでございます。
  82. 清水勇

    清水委員 時間がなくなりましたので、後はかいつまんで申し上げます。  一つは、松寿荘の仲なんですが、二十六名が亡くなられる。実は昨日も自宅にとりあえず避難をされているお年寄りが亡くなられる、こういうことがございまして、大変痛ましい被害を見ているわけでありますが、これは、いずれにしても避難命令が出なかったというところに最大の原因がある、この点について政府はどんなふうに受けとめておられますか。
  83. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  先ほど政府報告いたしましたように、当日、災害発生するおそれがあるということで、その三十分前に一番危険と思われる湯谷団地に対しまして避難指示をいたしたわけでございます。その後三十分弱で被害が、地すべりがあったわけでございますが、地すべり対策についていろいろと予知、それを解明するというのは非常に難しいわけでございますが、その松寿荘の方の山につきましてはそれほど大きな地すべりがないというような判断をいたしまして、そういった避難勧告あるいは避難指示が出なかったわけでございます。その結果、二十六名の方々が亡くなられたことについてはまことに残念でございます。今後もこういった避難対策につきまして、地すべりのハード面の解明とともに今後は避難あるいは予警報、こういったソフトの面につきまして関係省庁と十分の連絡をとりながらその対策を進めていきたいというふうに考えております。
  84. 清水勇

    清水委員 ちょっと延びて申しわけありませんが、御勘弁願います。  今ソフト面を今後は重視をするというお話があるのですが、しかし、あの時点でも伸縮計等を使って現に観測をされているのですね。例えば日によっては一千ミリを超すような伸びが見られる、非常に危険だというようなことが言われている。しかし、残念ながら避難命令というふうに連動しなかった、そこに判断の甘さがあったと言えばそういうことかもしれません。  そこで、今後こういうことを繰り返さないということのために、今防災局長言うように、情報の収集あるいは解析、これを適切に提供する、これをもって災害を未然に防止するというソフトの面の対応というものは私は非常に重要だと思います。だから、これはひとつきちっとやっていただきたい。  さて、そこで、先ほども質疑がありましたが、松寿荘の復興について七十名ぐらいの施設を三つぐらいつくりたい、こういうことで、先ほど、市側から、広域組合側からこれが出されてくれば厚生省としても精いっぱい取り組むというお話がございました。具体的に、今二百二十名の松寿荘でありましたが、これを七十名程度の施設三つぐらいに分散をして復興をしたい、こういう構想のようでありますが、そういう構想を厚生省としては認めていく、こういうふうに承知をしてよろしゅうございますか。
  85. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  まだ直接正式にはそういう話を聞いておりませんけれども、漏れ聞くところによりますと、そういったふうな御方針だというふうに聞いておりますので、私どもといたしましても、これからの老人ホームの本来的なあり方からしましてもできるだけ地域に密着してというふうな構想でおりますので、具体案が固まればその線に沿って対処するように努力してまいりたい、こんなふうに考えております。
  86. 清水勇

    清水委員 それでは、具体的に広域組合の方で協議を進めて、多分七十名程度のものを三カ所というようなことになりましょうが、これに対しては前向きに対応していきたい、こういうふうに理解してよろしいですか。――うなづいているからイエスだと理解しますよ、いいですね。  さで、いずれにしても既往の松寿荘の起債の未償還分が元利合わせて七億三千五百万ばかりありますね。御存じありませんか。これはどうしますか。
  87. 中島義雄

    ○中島説明員 先生御指摘の未償還分とおっしゃいますのは、資金運用部からお貸ししたものと県の振興資金でお貸ししたものの元利を合わせた数字かと存じますが、そのうち私ども資金運用部の点について申し上げますと、貸し付けの残額は約四億六千六百万円でございます。この残債の取り扱いにつきましては、対応の施設が減失した場合は残債を整理するために繰り上げ償還をするというのが一般的なルールでございまして、その旨借用証書に明記されておるわけでございますが、災害等によりまして減失した場合には繰り上げ償還を求めないということにいたしておるところでございます。
  88. 清水勇

    清水委員 いずれにしても今度の予期せざる大災害を通じて、先ほども指摘がありましたけれども、県も市も莫大な臨時支出を余儀なくされている。普通交付税につきましては繰り上げてあしたにも出そうという自治省の御意見でありましたが、これはぜひそうしてもらわなければなりません。いわゆる特交等については、水道災害復旧から始まって仮設住宅の建設等さまざまな経費があるわけでありますから、これらを包括して特別交付税の中で財政的に面倒を見ていく、こういう措置が必要だと思いますが、いかがでしょう。
  89. 奥田義雄

    ○奥田説明員 被災団体の行います災害復旧事業等に要します経費につきましては、今回の災害は非常に被害額が多いというふうに考えられますので、被害の実情等十分調査いたしまして、その被害状況あるいは長野市等の財政状況等を勘案いたしまして、御指摘のとおり特別交付税、地方債というふうなもので適切に対処してまいりたいと考えております。
  90. 清水勇

    清水委員 最後のくだりになりますが、さっきも指摘がありましたけれども、長野市周辺だけをとらえてみても、この時期に、例えば信州新町では一時間に九十七ミリというような集中豪雨があり、大変な災害が起こる、信濃町でも土石流が出て二十三ヘクタールの田畑が痛めつけられる、ひょう害もあるし、大変な事態を迎えているわけであります。これらについても適切な措置を講ずるということは先ほどお話がありましたからこれ以上追及はいたしませんが、激甚災等できちっと対応できるように措置をしてもらう。  同時に、少し時期は早かったわけでありますが、能登半島の能登線で死者七名を出すという大事故が起こっております。中村委員長地元である佐久の小海線もレールが宙づりになるというようなことで約一カ月間鉄道が運休になる。  そこで、つらつら考えることは、安全第一と言わなければならない国鉄においてああした災害発生をしているということは、私としてはどうも理解ができない。能登線等々の事例を教訓的に受けとめながら、国鉄としては安全性を確保するためにどのような対応をやるか。ともすれば財政再建との絡みで安全性無視というようなことが最近出ているわけでありますが、ひとつ所信を披瀝していただきたい。そして、前段のこと、つまり周辺の災害等のことについてはもう一回防災局長の方から所信を披瀝をしていただくことを希望いたします。
  91. 杉岡浩

    杉岡説明員 今回の梅雨前線豪雨によって相当大きな被害が出たわけでございます。人的被害あるいは施設被害、相当被害が出まして、それに対しまして関係省庁応急対策を懸命に進めておるわけでございます。また、被害がありました公共土木施設あるいは農地農業用施設あるいは学校あるいは社会福祉施設等々の施設復旧に関しましても今後全力を挙げてその対策に邁進する予定であります。
  92. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 まず最初に、能登線の事故で多数の死傷者を出しましたことについて深くおわびしたいと思います。また、小海線、一カ月の代行バスによる輸送、利用者の皆様方に大変御不便をおかけしたことをおわびする次第でございます。  今お尋ねございました安全対策でございますけれども、国鉄といたしましてもかねてから安全輸送につきましては最大の配慮を払ってまいったつもりでございますが、残念ながら今回能登線のような大事故を起こしてまことに申しわけなく思っております。今後、非常に厳しい財政事情下ではございますけれども、安全輸送につきましては最大の使命であると自覚して取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  93. 清水勇

    清水委員 時間を延ばしてしまいまして大変恐縮に存じます。謹んでおわびを申し上げます。  なお、私ごとで恐縮でありますが、私の自宅は災害地から六、七百メーター程度しか離れておりません。そんなこともありますので、今度の災害を私自身もまた党としても重大な教訓として引き出しながら、国にも引き続きさまざまな注文、要請をしていくつもりでございますので、原因の究明を含め、二度とこうした痛ましい犠牲を出さないためにしっかり対応されることを両大臣並びに関係省庁皆さんに強く御要望をして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  94. 中村茂

    中村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ――――◇―――――     午後一時三分開議
  95. 中村茂

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 質問を始める前に、このたびの災害被災された多くの方々に対してお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた二十六名の方の御冥福を心からお祈り申し上げるものでございます。  我々この災害対策委員といたしましていつも思うことは、再びこのような災害を起こすまい、このような決意でおるわけでございますが、これから台風シーズンを迎えますけれども、このような悲しい、痛ましい事故の再発を防止できることを決意しながら、国土庁長官建設大臣初め関係省庁の皆様に質問をさせていただきたいと思います。  このたびの事故、災害後直ちに国土庁長官現地を視察なさいました。また、建設大臣も昨日おいでになられて、被災状況をつぶさに調査された上で、万全の対策を講ずるという御発言も現地でなされたようでございまして、長官並びに大臣のそのような行動は被災者にとっては大変心強いものであり、民生の安定に大変好ましい結果を生んでいるわけでございます。私も現地を視察させていただきました。今思いますことは、やはり現地の方が建設省、県、市に心から期待しておりますことは、二次災害だけは断じて起こさないでほしいということが多くの方が異口同音に申されたことでございます。同僚議員からも質問がございましたけれども、私も重ねて長官並びに大臣の二次災害防止に対する御決意を伺ってから具体的な問題に入りたいと思いますので、長官、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  97. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 政府といたしましては、現地調査の結果を踏まえまして、関係省庁連絡会議におきまして、まず一つ、引き続き地すべり監視警戒を的確に行うとともに、専門的な調査実施する、二つ目は、地すべり箇所への応急対策工事を迅速に実施するとともに、適切な恒久的な対策実施を図るなど、当面の重点対策を決定いたしまして、これを基本といたしまして関係省庁が所要の対策に鋭意取り組んでいるところでございます。今後とも関係省庁が力を合わせまして、地元と十分な連携をとりながら二次災害の防止を図るための適切な対策を積極的に進めてまいる所存でございます。
  98. 木部佳昭

    木部国務大臣 私も昨日現地に参上させていただきまして、今薮仲先生から御指摘のありましたようなそういう気持ちで非常に大きく胸を打たれた次第でございます。  応急対策といたしましては、当面上どめ工ののり面の整形の問題とか表面排水路など、これを鋭意実施していく必要があるだろう、そういうふうに思っております。そうしたことにつきまして、これらにつきましては八月中には何としても可能な限り完成させて、そして基本的には二次災害を未然に最大限に防止する、これにすべてを、私どもは建設省といたしましても地元と連携を強化しながらこの実現のためにかけていかなければならぬ、私はそういう考え方の上に立っており、私ども建設省もそうした考え方で最大限の努力を尽くさせていただきたい、こういうふうに考えております。  先ほど来、私、申し上げておりますように、九月に入りますといよいよ台風シーズンでございますから、これらの点は何としても今御指摘いただきましたように、二次災害の防止に当面は全力を挙げる。私はきのうも知事さんにも申し上げたのですが、いろいろな復旧作業をしていくことについて、例えばこの分については予算が想像よりかかるとか、また、この部分については法の適用範囲だからというようなことは遠慮されないで、ある意味じゃそういうものの枠を踏み越えてもそういう問題と真剣に取り組んでいただくような、そういうことで知事さんの方でもそうした配慮を念頭に置きながらひとついろいろお願い申し上げたいということも知事さんに率直に私の気持ちをお願い申し上げたところでございます。
  99. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官並びに大臣から大変心強い、また具体的な御答弁をいただいて、関係方々も大変意を強うされておると思いますので、どうか被災者の生活が再建できるように、ただいまの御決意のさらなる推進を重ねてお願いをするところでございます。  ところで、これは具体的な問題でもうちょっとお伺いしたいわけでございますが、これは河川局長に具体的にお伺いしたいと思うのですけれども、やはり今大臣おっしゃられたように、表流水を排除するということは非常に大事な事柄だと思います。それから、あの地形がどうしても非常に地下水の多いところである。地下水をどうやって排除するかということは大事な具体的な工事になろうかと思うのでございます。地すべり防止のために地下水をどう排除するか。今おっしゃられたように、表流水の方は台風までにはやっていただける。ただし、深井戸を掘ってさらに横にパイプを通して地下水を排除するという方向については、いつごろをめどに事業が進んでいくのか、現時点で予想が立つのであればお話しいただきたいと思います。
  100. 井上章平

    井上説明員 ただいま鋭意進めておりますのは、大臣からも御答弁ございましたように、地表水の浸透防止のための表面排水工が主体でございますが、引き続き地下水についての対策を講ずる必要があります。これにつきましては、災害関連緊急地すべり対策事業によりまして来年三月までに二十二億五千万の予算がいただけましたので、これによりまして十一基の集水ボーリングを掘りまして地下水の排水に努めるという計画でございます。
  101. 薮仲義彦

    薮仲委員 大体その井戸ができ上がるのはいつごろ、相当な期間を要するのですか。
  102. 井上章平

    井上説明員 私どもといたしましては来年の三月までには完成させたいということで鋭意工事を進めたいと思っております。
  103. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、これは国土庁長官にちょっとお伺いしたいのでございますが、長官も心を痛めていらっしゃるとおり、現在約二千百名余の方が避難をしていらっしゃるわけでございます。指定された避難先には二百名ぐらい、あとは親戚、縁者を頼っての避難ということでございますが、いずれにいたしましても湯谷団地方々が今の住まいに住めなくて、二千名を超す方が避難をしていらっしゃる異常な事態であるわけでございまして、これから、今おっしゃられたような緊急の地すべり事業が進んでいく、また、それに伴って、崩壊した土砂の安定度も確かめて、いずれは避難命令を解除する時期が来ると思うのでございます。やはりこれは大変難しい問題かもしれませんけれども、ここまでは危険です、ここから先は現在の工事によって崩落の危険は薄らいでくるというような安全ラインといいますか安全の宣言といいますか、ここまでは居住可能ですということをしなければならない時期が来るのじゃなかろうか。このまま二千名の方がずっと避難しているということは将来の生活、子供さんの教育、勤務状況、家庭の状況からして非常に異常な事態でございますので、いずれは安全宣言をしなければならないときが来ると思いますけれども、長官としてその辺のお考えはいかがでございますか。
  104. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 御指摘の非常に多数に上る被害者の生活救済につきましては、政府といたしましても、当面の重点的な対応すべき問題と認識しております。関係省庁における万全の取り組みを申し合わせたところでございますが、しかし、この問題は、最終的解決は避難状況をいつまで継続することとなるかという点にかかっておりまして、今後現地地すべり状況の的確な把握に努めて、行政が適切に判断を下していかざるを得ないと考えておる次第でございます。
  105. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し具体的なことをお伺いしますけれども、私も現地へ行ってまいりまして、専門委員会等をつくってこの対策をいろいろ研究していらっしゃるようでございますが、この問題はやはり避難していらっしゃる方にとって一番重要なポイントかと思いますけれども、大体この工事の進捗を見合って、いつごろまでには判断を下さなければならないかというようなことがある程度推測できるか、現在はほとんど不可能か、その辺はいかがですか。
  106. 井上章平

    井上説明員 多数の被災者がおられる現状にかんがみまして、的確な安全基準を早急に出すことの重要性は十分認識いたしておるところでございます。したがいまして、現在工事を進めております災害関連緊急地すべり対策事業の進捗状況を見ながら、それともう一つ、ただいまお話がございましたように、地すべり調査、観測等が行われておるわけでございますので、それらを勘案しつつ、かつ学識経験者の意見等を参考にして判断することになろうと思います。ただいまのところ、いつというようなことは申しかねるわけでございます。
  107. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、今度災害に遭われた方の個人住宅について具体的に聞いてまいりたいと思うのでございますが、その前に、そこに市道の保全というような形でのH鋼を打たれて、そこを最後の安全ラインにしようという工事が現在行われておるわけでございますけれども、あのH鋼を打たれた山側に全然災害に遭ってない無被災といいますか、完全な状態である戸数は何月でございますか。
  108. 帆足建八

    ○帆足説明員 当初の矢板工の計画が、現地状況で、地元折衝の結果、再々ラインが変わったわけでございます。私ども当初聞いていたのは、十戸程度残ると県から報告を受けておったのですが、その後土地所有者、地元と交渉しておりますので、その辺の数字は多少動くかと思います。
  109. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほど来保険の問題が出ておりますけれども、問題は、現在の保険の機能はどういう場合に機能するかといいますと、火災の場合は焼失したとか全半壊とかございますけれども、そういう被害に遭われる、あるいは今度の場合は総合保険に入っておられて災害特約等の場合に保険がきいてくるわけでございますけれども、今H鋼の内側で無傷の状態の家屋について、それでは保険の査定をどうするかといいますと、保険会社としては非常に困難な問題があるわけでございます。全然無傷である、ただし今言われたように、ここまでは現在の地すべり状況からとても住める状態にはないということでございます。  そうしますと、だれかがどこかでこの家屋についてその価値を判断しなければならない。財産上の価値が喪失するかしないかという判断をせざるを得ない段階にこれは来ると思います。特にまだ精査されていらっしゃらない段階だと思いますので、基本的な問題を何点かお伺いいたしますけれども、ほとんどの方が住宅金融公庫のいわゆるローンを受けていらっしゃると思います。住宅金融公庫の場合は保険それ自体が災害特約等を結んでおりますので、火災のみならずこのような地すべり等の災害の場合も、経済的な損失をこうむったということの範疇の中に入って、無傷であっても住宅金融公庫に係る保険は対象になる、こういう判断に立ってよろしいかどうか、その辺をお答えいただきたいのでございます。
  110. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答え申し上げます。  先生お話しのように、住宅金融公庫に係る融資につきましては、保険会社の災害の特約保険を結んでいただいております。この災害住宅が無傷だけれども中が住めない、現実には住居としての機能が損なわれているという場合に保険事故に当たるかどうかということでございますが、これについては基本的にはその契約者と保険会社との間の契約事項に係る問題でございますが、私どもしかるべき者が、これは住宅として存続が難しい、困難である、住居の用に供することが困難であるということがはっきりいたしたならば、保険会社としてはこれを支払う意思があるというように聞いております。
  111. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点、これは住宅局長にお伺いしたいわけでございますが、さっき安全ラインの話がございました。今後の事業の進捗によってどこに安全ラインを引くかは、居住なさる方にとって非常に重大な事柄であろうと思います。避難命令そのものが解除されるのが、例えば半年であるとかあるいは短い期間で解除されるという可能性があればこれはよろしいわけでございますが、では例を簡単にするために、ここは二次災害の危険がありますから住まないでくださいというような避難命令が永久に解除されない、しかし家屋は無傷である、この状態についても、今局長がおっしゃったような状態で、例えば行政機関が罹災証明なり、これはもう家屋としては価値を認められないというような証明を出せば、避難が永久な場合に住宅金融公庫の保険については適用されるというような判断でよろしゅうございますか。簡単に。
  112. 吉沢奎介

    ○吉沢説明員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、具体の住宅が住居の用に供することができないということが客観的な形で証明された場合の話でございますが、その場合に、これもまた一つ申し上げておきたいのですが、住宅金融公庫の融資に係る保険でございましても、その保険自体は被保険者と保険会社との契約関係でございますので金融公庫の方からどうこうと言う筋合いのものでないということが一つの前提でございますけれども、保険会社の方ではそうしていただけるのではないかと聞いておるということでございます。
  113. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、大蔵省お見えだと思いますけれども、今のはいわゆる政府関連の金融機関、住宅金融公庫のローンでございますけれども、全然被害は受けておらない、現状のままである、ただし居住はできないというような同じような条件で、民間の総合保険に入っている方についてはやはり今と同じような認定の仕方で保険が適用される、こう判断してよろしゅうございますか。大蔵省、来ておるのでしょう。
  114. 鏡味徳房

    鏡味説明員 ただいま先生のお話のございました件につきましては、住宅金融公庫に係る特約火災の保険と同じように損害の保険の目的について生じた損害ということの解釈でございますけれども、これは崩壊等の物的損害にとどまらず使用不能等の損害を含んだものと解されますので、同じような適用が行われるものと考えております。
  115. 薮仲義彦

    薮仲委員 これからそういう具体的な保険にかかわる問題が出てくると思いますけれども、個々具体のケースは、今申し上げた何点かの基本的なルールではなくて非常にふくそうするかと思いますけれども、どうか被害に遭われた方々の事情にかんがみて適切な措置を講じていただくようお願いいたしておきます。  次に、県の企業局の対応が云々ということが再々問題になっておりますが、この問題について何点かお伺いしたいわけでございます。  その引き金となったと言われるあのバードライン、一般有料道路、これは運輸省と建設省の共管の道路運送法によってできた一般有料道路でございまして、ここに大きな問題があるわけでございます。時間の関係もございますのでポイントだけ質問させていただきますと、この道路運送法の六十八条、そこでいわゆる維持管理ということが義務づけられておりますけれども、第四項で、運行に支障を来すような状態があれば遅滞なく運輸大臣、そして建設大臣報告しなさいということが義務づけられております。  建設省並びに運輸省が、このバードラインの状況について詳細に知ったのはいつであったのか、これをお答えいただきたいのでございます、承知したその日付だけ。
  116. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  私どもが災害につきまして報告を受けましたのは、七月十二日にまず最初の報告を受けたところでございます。これにつきましては、路面の亀裂などによりまして通行不能となった区間が生じたということにつきまして緊急な連絡を受けてございます。  さらに、二十七日に、今回の地すべりによりまして、道路の一部区間でございますけれども、全壊したということで通行禁止の措置をとっているという報告を受けているところでございます。
  117. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  ただいま運輸省の方からお答えになったのと同じ報告を受けております。
  118. 薮仲義彦

    薮仲委員 委員長長野御出身、先ほど御質問なさった若林先生も長野御出身、私も長野に行ってまいりました。県の企業局がこの地すべりについていつごろから承知しておったのかという資料があるわけでございますけれども、もう既に五十六年当時、今から四年ぐらい前からこの道路については非常に危険を予測しておった。私の手元企業局の撮った写真があるわけでございますが、これは恐らく大臣もう御承知のとおり相当なひどい亀裂であり、崩落が路面上にあらわれております。これは五十六年当時からもう既にこういう事態が発生していたのではないかということが言われますと、先ほどの六十八条の報告義務、こういうものと一体どうなのかなという問題はこれから出てくると思うのでございますが、ちょっと済みません、委員長資料大臣にお見せしたいのですが。
  119. 中村茂

    中村委員長 はい、どうぞ。
  120. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは今マスコミ各社が何回か取り上げておりますコンサルタントの報告がこうであるぞということが出ておるわけでございまして、お手元にお配りしました資料には、「戸隠有料道路地すべり対策調査委託工事」、昭和五十九年度報告書、これはコンサルタント名が出ておるわけでございますが、ここにありますように、五十九年四月二十八日から六十年三月十日まで行ってこの報告がなされております。  この資料の二枚目をおめくりいただきますと、ここに地すべりが拡大した状態が出ております。  それから、その次をおめくりいただきますと、「今後の活動および拡大状況の予測 今後、地すべり活動が活発化および拡大すると考えられる場所は①、③、④地区である。」こう出ております。この地図を見ていただきますと、ちょっとファックスが鮮明じゃございませんが、①というのは一番高いところですね。④というのは松寿荘の上でございます。③というのは湯谷団地の上でございます。この①、③、④は今後活発になりますよ。以下詳しく、①について、③について、④について、段差、亀裂が拡大するとか、あるいは豪雨後亀裂及び段差が拡大して極めて不安定な状態にある、すべてここには危険な状態がもう報告されておるわけでございます。そのときに、四ページの拡大というのがついていると思いますが、これは現実に今度崩落した状態を点線で書いてあるわけでございます。最初に①が崩落して、②がやって、③、④と続いてこの大地すべりになったわけでございますが、確かにマスコミが指摘しますように、五十六年当時からこのような異常な事態について県は承知していたのではないかと言われるような報告がここに上がっておるわけでございます。  もう少し正確に言いますと、五十六年当時、最初は中部地質コンサルタント、これに調査を依頼して、ある程度の概括的な地質の調査を終わっておりました。さらに、今お渡しした明治コンサルタントの指摘にありますように、具体的な形で地すべり発生するということはもうここに出てきておるわけでございます。そうしますと、きょう委員会で渡されたこの図面と今のコンサルタントの地図を重ねますと、全く指摘のとおりの地すべり発生したのかな、こう思わざるを得ません。  そうなってまいりますと、やはりこの一般有料道路を所掌する監督官庁である運輸省あるいは建設省、そういうものが的確な調査をした結果を報告を受けておればあるいはという考えがあるわけでございますけれども、今お手元にお配りした図面を、ごらんになって、長官並びに大臣は、余りにも的確なこのコンサルタントの予測に対していかがお考えか、一言ずつお伺いしたいのでございます。
  121. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 今資料をいただきまして①、③、④地区を拝見しますと、現地を見ましたのと、全くコンサルタントの指摘したことに驚かされておる次第でございます。今後、こういうことを参考にして、各省庁連絡会議をフルに活用して対策に万全を期していきたいという考えでございます。
  122. 木部佳昭

    木部国務大臣 今御指摘のありましたバードラインは、昭和三十九年に完成されたというふうに伺っているわけでございます。今有料道路課長に、こうした問題のあるようなところについて一体総点検なり報告を受けておるかということを伺いましたら、何か昭和四十六年に、こういうふうな地域道路につきましての総点検をするような指示はしたそうでございます。しかし、それから何のあれもないみたいでございますから、私どもは一つの教訓として、こうした地方自治体なり、また、これはもちろん日本道路公団の有料道路につきましてもそうでございますが、そうした災害の点等について心配がないかというようなことにつきまして、改めてこの種の災害一つの教訓として総点検させたい、かように考えております。
  123. 薮仲義彦

    薮仲委員 今木部大臣が申されましたように、一般自動車道というのはこの戸隠ラインだけではなくて、四十三の事業者が五十六の路線を持っております。  それで、もう時間が参りましたので、具体的な問題点だけ指摘させていただきたいと思うのでございますけれども、このような地すべりの危険があるということは県の企業局は知っておった。ところが、先ほど申し上げましたように、道路運送法による道路でございますので、企業局道路に対して国費が投入できない。道路法による道路であれば、これは道路局あるいは建設大臣もずく国費を投入して地すべり対策はできたかもしれない。このような企業局会計、事業者がやっている道路に対しては、一般会計を投入できないという隘路があるわけでございます。しかし、事態はこのように非常に深刻な事態になっておって、一企業局がこれを処理することが不可能になっているのが、だんだんおくれおくれてこのような大災害になってくる。この点を私は国土庁長官並びに建設大臣に、今もお話ございましたけれども、よく御検討いただきたい。このような被害がないかどうか総点検してくださるというお話がございましたが、五十六路線についてもう一度改めて総点検をして、このような危険がないかどうか、建設省報告義務を怠ってないかどうかお調べをいただきたいということを重ねて建設大臣お願いをいたしておきます。  と同時に、やはり御研究いただきたいのは、企業局のその会計に対して道路局が対応できないというこの制度上の問題点については、御専門の立場から、どうすればこの対応ができるのか。住民の生命、財産を守るために、私は、企業局の会計でやりなさいという法体制ではなく、積極的に県なり国なりが乗り出していってこの対策ができるような方途というものを御検討いただきたい。  さらに、私はいつも申し上げますけれども、地すべり防止区域の指定基準についても検討すべきではなかろうか。私も県へ行きました。これは木部大臣も恐らく御承知だと思いますけれども、今度の地すべりの緊急事業をやる前になぜ地すべり事業をやらないのかというと、採択基準という壁にぶち当たってできなかった。ここには御承知のように、渓流に入ってくる、河川を阻害する、道路、鉄道あるいは官公署、学校、それをつぶす危険があるとか、あるいは人家が十戸以上被害に遭わなければ等々の壁がありまして、この地すべり防止区域に指定して国費を投入することができなかった。しかし、このような危険な箇所については、さっき木部大臣はいみじくも、法律の枠を越えてもやらなければならないことはやるとおっしゃってくださった。これを長野だけではなく、危険な箇所については、総点検の上で、どうすれば解決できるか。どうかこの辺は、この被災を再び繰り返さないために再検討をしていただきたいことを私は大臣お願いをする次第でございます。  これは大臣お答えいただいて、時間が来て申しわけないのですが、消防庁長官、せっかくお見えいただきました。私は前にもこの災害対策特別委員会で長崎の災害の土石流災害について質問いたしました。これはその長崎市の地域防災計画書です。こちらは長野地域防災計画書です。あのとき私は、長崎災害を教訓として、災害で人命を損傷しないようにというお願いをいたしました。その当時の消防庁長官は砂子田長官でございました。地域防災計画を、地域の実情に合わせ、具体的かつ形式でない生きた地域防災計画をつくるべく見直しをしますとお約束をしてくださいました。私はそのことを国民の一人として期待しております。  この長野地域防災計画書、私も詳細に拝見させていただきました。私は御努力のあった方の名誉のために具体的には申し上げませんけれども、もっと生きた防災計画にして、危険な箇所あるいは避難のマニュアル等を具体的につくって、地域住民に教えていただきたい。  木部大臣は伊豆半島に住んでいらっしゃる。伊豆大島近海の地震があったときに火事が起きなかった。人命の損傷がなかった。静岡県民は地震に立ち向かっていこうと勇気を持っていったのです。長官も副知事をやっていらっしゃるからよく知っていると思う。地すべり地域に住んでいるならば、雨が降った、あるいは長期間の異常事態が発生したときには避難をしなければならないなという、立ち向かっていくマニュアルを住民に教えることも私は必要だと思うのです。  もう時間がありませんからやめますけれども、新聞にもございましたように、やはりそういう具体的なマニュアルをつくって、地すべりやあるいは土石流、そういうものに対処して、人命を損なわないような、生きた地域防災計画を、消防庁長官がこの地域防災計画の所掌の長官でございますので、どうか総点検をしていただいて、その地域に合った、生きた防災計画、そして避難の方法をおつくりいただきたい。大臣と長官にお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  124. 木部佳昭

    木部国務大臣 生命、財産を守るということが政治の要請であることは私も肝に銘じておるわけでございます。これはお互いに政治家としてのすべてはここになくてはならないというふうに思っておるわけであります。  先ほど来、私、申し上げておりますように、ともかく地すべりの危険箇所その他についての総点検もさることながら、今御指摘のありましたように、制度上の問題でもそうした問題点があるかないかという問題を含めまして点検をさせていただきたい。そういうふうに最善の努力を尽くすことを申し上げまして答弁にいたします。  どうもありがとうございました。
  125. 関根則之

    ○関根説明員 先生から前々から、地域防災計画の具体化と申しますか、実際に役に立つような計画をきめ細かくつくるということについての必要性についてお話を承っておるところでございまして、消防庁といたしましても、そういうお話を受けまして、警戒避難につきましての具体的なマニュアルづくりというものの指針を示しまして、各地方団体の指導を行っているところでございます。例えば熊本県等におきましては、警戒水位と避難とを連動させるというような具体的な計画を持っているところもあるわけでございます。そのほかにも、そういった具体的な計画、地域の実情に即してマニュアル化しているところもあると思います。  いずれにいたしましても、余り観念論、形式的な計画では意味がありませんから、できるだけ御趣旨のような方向で、具体的に、実際に何かあったときに役に立つような、そういう計画にしていくということで指導もしてまいりたいし、私ども自身の勉強もしていきたいというふうに考えております。
  126. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。どうもありがとうございました。
  127. 中村茂

    中村委員長 次に、水谷弘君。
  128. 水谷弘

    ○水谷委員 ただいま薮仲理事の方から種々御質問がございました。大臣の御決心も述べられたわけでありますが、今回の長野市の地附山地すべり災害でお亡くなりになられた皆様方に対する私どもの責任の上から、どうかひとつ今後万全の対策と、二度とこのような悲惨な災害発生しないようにお取り組みを真っ先にお願いを申し上げたいと思います。  去る二月十五日に新潟の青海で土砂災害がございました。その件につきまして私もこの席から、二度とこのような災害発生しないようにということから、当局の取り組みについてお尋ねをしたわけでありますが、それからわずか半年もたたない間に、またこれだけの大規模な災害発生をいたしました。私ども公明党は、災害発生直後、急違対策本部をつくりまして、私どもも薮仲団長中心現地調査に参りました。  今回の災害のあの現場に立ちまして、真っ先に私が痛感をいたしましたのは、確かに近因は集中豪雨による大規模な地すべりということになりますが、これは避けられなかったのかなということが真っ先に頭をよぎったわけであります。今もバードラインの問題について詳しく薮仲理事から質問がございましたように、自然の力というものを我々は余りにも軽々に考え過ぎたのではないのか、開発をしてはならないところに大規模な開発をしてしまったのではないか、これが今回の地すべりの最も大きな原因になったと、私はあの場に立ちまして実感をしたわけであります。  もう一つは、あの松寿荘皆様方が今回の災害でとうといお命を失われたわけでありますが、なぜあそこだけが取り残されてしまったのかと本当に残念でならない、こういうことが災害の現場に立ったときの感じでございました。  そこで、先ほどから、国民の生命と財産を守る国土防災の最高責任者というお立場に立っておられる長官に対して、今回のこの災害をどうとらえられ、そしてまた今後どのようにこれに対して対応されるか、種々議論があったところではございますけれども、改めて私は、現在国土庁を中心にして連絡会議等を今日まで開かれて、地すべりやまた土砂災害に対する国土防災上の種々の取り組みをされてきたわけでありますけれども、それらを踏まえながら今後の長官の決意と対応について、最初にお伺いをしておきたいと思います。
  129. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 御指摘の土砂災害でございますが、私も、二十八日に現地に伺いまして、想像以上の土砂災害でびっくりしたようなわけであります。  近年、がけ崩れ、地すべりなどの土砂災害が頻発しておりまして、また、今回の地すべり災害によりましても、とうとい人命、財産などが失われたということに対して、まことに遺憾のきわみでございます。  政府といたしましては、現在、治山、砂防施設の整備の推進、危険区域の指定、予警報の伝達、避難体制の整備などに努めているところでございますが、近年の土砂災害による被害が甚大であることにかんがみまして、今後関係省庁がより緊密な連絡をとって、ハード、ソフト両面にわたる総合的な土砂災害対策を推進していく必要があると考えております。既に御承知の、昨年十月末、関係省庁によりまして土砂災害対策推進連絡会議を発足させ、さらに本年五月には、学識経験者によります土砂災害対策検討会を設置いたしまして鋭意検討を進めているところでございますが、今回の地すべり災害の事例をも踏まえまして、今後関係省庁の密接な連絡のもとに土砂災害対策の推進にさらに積極的に取り組み、国土庁の任務であります国土防災に対しまして万全を期してまいる所存でございます。
  130. 水谷弘

    ○水谷委員 各省庁との緊密な連携と同時に、今回の場合は、長野県の県の内部における意思の統一といいますか、問題の重大性に対する対応といいますか、こういうものについて大変な問題があったというふうに私は考えております。私どもが参りましたときのいろいろな県の当事者の話の中から、重大な危険があるとか、また、そういう地すべり発生の危険性があるということは、公式ではないけれども非公式に聞いておりましたとかというようなそういう発言が飛び交うわけです。こういうことのないように、やはり国土庁としては各現場の、全国の危険箇所二十七万カ所とかいろいろ言われておりますけれども、どこ一つとってもおろそかにできないところであります。ですから、一つ一つの現場でいろいろなことが、表に出てこなくとも、いろいろなことが問題になっていることを即刻各市町村または都道府県に対して、緊急に対応できるもの、また現在の法律の枠内で対処できなくともこういうものは必要なんだという、対応できないが、ぜひ緊急に対策を講じなければならない問題があるというところについては、国がもっともっと積極的に打って出る態勢でどうかひとつ取り組みをしていっていただきたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。  それから、今回のこの問題の一番大きな原因であると言われている有料道路の開発、これについていろいろな事前の調査とかすべてが行われてきたと思うわけでありますけれども、昭和三十九年完成、現在から比べれば技術的にも相当いろいろな面でまだ未開発の部分が多く、予測できない事態がたくさんあったかもしれません。しかし、今後の問題も含めて、このような急傾斜地と見られるような地域、さらにまた地質、地形、そういうところに対する開発について、国がもっと厳しくその開発をチェックする、そういう体制が私は必要であろうと思っておりますが、具体的に、今回の問題を一つの契機として、このような開発について今後どういうふうに対応をされていくか、お尋ねをしたいと思います。
  131. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  自動車道に関する部分につきまして、運輸省と建設省共管でございますので、将来自動車道の建設が行われる場合でございますが、これは道路運送法に基づきまして免許申請がなされることとなっておりますので、免許基準に適合するかどうか慎重に審査いたしまして対処してまいるということにいたしたいと思っておるわけでございます。さらに、免許後は工事施行認可という手続がございます。この段階で技術的な点につきまして十分審査をいたしまして対処してまいりたいと考えております。
  132. 水谷弘

    ○水谷委員 今運輸省から答弁いただきましたが、国土庁それから建設省、こういう今後の開発についてどういうふうに取り組んでいかれるか、お尋ねします。
  133. 杉岡浩

    杉岡説明員 お答えいたします。  先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、こういった地すべり地帯あるいは急傾斜地帯、こういった問題がたくさんあるわけでございますので、土砂災害対策の一環といたしまして現在関係省庁の間で勉強をいたしておるわけでございます。その中で、当然のことでございますが、ハードの面の推進のほかにソフトの面ということで、いろいろな面で検討をいたしております。この中には当然そういった開発と地すべりあるいは急傾斜等々の危険地の問題、こういったものも含めていろいろと今後の対策等について勉強いたすわけでございます。  今後、国土庁といたしましてもその開発に携わっておられる関係省庁等と十分連絡をとりながら、こういった開発に伴う災害、こういったものが少しでも未然に防げるように、あるいは災害発生した場合も被害が軽減されるような観点から勉強してまいりたい、あるいは関係省庁と十分な連絡をとってまいりたいと考えております。
  134. 水谷弘

    ○水谷委員 具体的にこういう有料道路等の開発計画が出てきた段階で、運輸省、建設省、それから国土庁、国土防災上の見地から同じテーブルについてしっかり検討ができるような体制をつくっておいていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。  いよいよ台風シーズンを迎えるわけでありますが、万全の第二次災害の防止の対策と、それから災害に遭われた皆様方に対する救済措置の万全の確立を心からお願いをしまして、時間でございますので、私の質問を終わります。
  135. 中村茂

    中村委員長 次に、菅原喜重郎君。
  136. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 七月二十六日発生長野市の地すべり災害につきまして質問を申し上げるわけでございますが、その前に、私も、災害死亡者の御冥福と罹災者へのお見舞いを心から申し上げるわけでございます。  我が民社党といたしましてもこの災害に緊急に対応するため、二十七日に長野地附山地すべり災対策本部を設置いたしまして、翌々二十八日午前十時には小沢貞孝災害対策本部長を団長調査団を派遣現地入りし、災害発生の原因調査被害状況調査、また現場での事情聴取等を行い、さらに当局からの復旧対策に関する陳情を受けておる次第でございます。  今回の災害は、四百五十ミリ前後という梅雨期の大雨が引き金になったとはいえ、危険な地層構造軽視の有料道路住宅団地の設置、造成が誘因になっていると見るものであります。  ついては、国土庁長官政府調査団団長として現地をつぶさに検分をしております。その調査、視察の結果の所見をまず伺いたいと思います。
  137. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 今回の災害、私も政府調査団団長として現地へ伺ったわけでございますが、非常に想像を絶する災害であるということを痛感した次第であります。災害によって亡くなられました二十六名の方々に本当にお悔み申し上げるとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。  現地は想像をはるかに超えた惨状を呈しておりますので、政府といたしましても現地調査の結果を踏まえまして、関係省庁連絡会議におきまして、さきにも御答弁申し上げたのでありますが、六項目にわたる当面の重点対策を決定いたしまして、それに基づき関係省庁が所要の対策に鋭意取り組んでいるところでございます。今後とも関係省庁が力を合わせまして、地元と十分な連携を図りながら一日も早い復旧が図られるよう適切な対策を積極的に進めてまいる所存でございます。
  138. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 開発優先から来る人災、この問題は私たちは常に監視を厳重にしなければならない、殊に監督官庁はこういう対応をしなければならないわけでございます。今回の地すべり災害は、昭和五十六年豪雪の融雪期に際してもその前兆、亀裂が発生しており、また昭和五十九年豪雪の解けた水の浸透で路面段差、側壁のひび割れ等も発生しているわけでございます。その際、どのような処置を県、市は講じていたのか。その時点で、国の方ではその事実を把握し、何らかの指導を行ったのか、この点について私もお伺いいたします。
  139. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  ただいま御質問のございました五十六年及び五十九年における道路における被害の件でございますけれども、私ども、それから建設省といたしましてその報告を受けておらないところでございます。災害報告につきましては、道路運送法第六十八条四項に、自動車の通行に支障を生じたときは運輸、建設両省に報告しなければならないというふうに規定されておるところでございまして、県の話によりますと、そのような支障を生じなかった、こういうことで報告がなかったと聞いておるところでございます。  なお、事後に県当局から五十六年豪雪の融雪時におきます被害について聞きましたところ、擁壁などにつきまして亀裂が発生したということでございまして、県当局は、保護工事や排水工事実施したというふうに聞いておるところでございます。  さらに、五十九年六月以降は、地下水位の調査を行ってきたというふうに聞いておるところでございます。
  140. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 運輸省の方では、昭和五十六年の時点での報告は事後に聞いたわけでございますか。
  141. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  今回の災害が生じた時点で、事後的に県の方から聞いた、こういうことでございます。
  142. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 実は、道路直送法で有料道路の免許、これが運輸省の方で所管していて、与えるようになっているようでございますが、運輸省の方でこういう有料道路なんかというああいう大事業でございますが、こういう許認可をしながら、その後のできた道路の監督権というものはどうなっているわけでございますか。
  143. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  道路運送法によりますと、自動車道の維持管理につきましては、自動車道事業者が基準に合致しているかどうか、みずから維持するという形になっておりまして、さらに、みずから自主的に点検するという形になっておるところでございます。  法律ではこのような体制になっておるところでございますけれども、自動車道の維持管理の万全を期するため、私どもと建設省両名で過去二回にわたりまして通達を発しまして、交通安全対策の強化あるいは危険箇所の点検、交通パトロールの実施などを指示いたしまして、自動車道の維持管理の万全を指導いたしておるところでございます。
  144. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私は、今回の、この有料道路がやはり災害の誘因になっているという見方をしてこれを調べていくうちに、これが道路でございますから、本来、建設省の方が一切監督権を持って管理できる体制なのかと思いましたら、運輸省が入ってきているものですから、これは非常に勉強になったわけでございますが、同時に、こういうような体制で果たしていいのかという、そういう疑問も感じたわけでございます。  本来なら、だれしも国民は、道路の建設あるいは管理は建設省、あるいは農道でしたら農林省がやるという常識なんですが、運輸省までがこういう有料道路に入ってきておりますと、企業局との対応が、ますます道路専門の建設省サイドから見ると難しくなってきているのじゃないか、こう考えるわけでございます。  そこで、人命に関するような警告、このことは県企業局も地質調査会社をして調査をさせたところ、その会社から地すべりの危険ということに対して報告書が出ているわけでございます。こういう地すべりが起きますとすく人命にかかわると思えるような、こういう報告書が出た場合、何とか横のつながりが万全にできないものか、そういう体制は今後どれないものか、このことをひとつお伺いしたいと思うわけなんでございますが、こういうことを実は質問通告の中でいろいろ調べましたら、全く各省庁の権限がばらばらになっておりまして、一体そういう連絡をどこにとったらいいのかということで迷ったわけでございます。  結局、国土庁に一応お鉢を回す以外にないなと思いますので、国土庁の方に、こういう人命にかかわると思われるような報告書が出た場合、横の連絡ができるような体制がとれないものかどうか、このことをひとつお聞きしたいと思います。
  145. 杉岡浩

    杉岡説明員 道路の建設につきましては、ただいまの法律では、道路運送法に基づくもの、あるいは一般有料道路として道路特別措置法に基づくもの、あるいは農道あるいは林道といったようなふうにそれぞれ所管が異なっておるわけでございます。これは建設の経緯あるいは財源等々いろいろとその理由があるわけでございますが、しかし、こういったものにつきまして、一つ災害発生したというときには、我々といたしましては関係省庁の連絡会議を開催いたしまして、運輸省とか建設省とかそういったことじゃなくて、政府全体として対応の取り組みを考えるわけでございます。ただ、法律自体がそういった共管の法律ということで、そこは運輸省とそれから建設省の間で十分連絡をとってその対策を図っていただくということでございます。我々といたしまして、もし災害対策の面で、そういった今後の対策の面で両省庁の調整が必要だということになれば両省庁とも十分話し合ってまいりたい、このように考えます。
  146. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 災害が起きてからの対応は、横の対応も迅速に政府として各省庁にさせていること、これは認めます。ただ、災害が起きる前に、事人命にかかわるようなそういう報告書が出た場合、少なくとも消防庁なりにこういう報告書のあったことを一応連絡もできないのかということを消防庁の方にもお聞きしてあったわけですが、そういたしましたら、これまた消防庁の現在の機構では市町村長の方から来ない限りどうにもならないという、これまた事前の対応ということはできないわけでございますね。  ですから、私は、事人命の問題では、これは民主主義の政治を維持する基本理念を守っていくところの問題でございますから、事人命にかかわるようなそういう災害の予想とか報告書が出た場合は、今後、何らかの意味で横の連絡を事前にし合えるような体制をまず望んでおくわけでございます。  次に、長野県の企業局が、展望台付近にボーリングをいたしまして地下水の動きを監視するようになって、三本たかのボーリングをしてこれを監視したようでございますが、だんだんに、調査用のボーリング十三本、あるいは四十二本の横井戸、それから三十メートルの集水井戸二本、水抜き用の横井戸九十三本を掘ることにしていた。これは一応新聞の記事からでございますが、知ったわけでございます。しかし、地すべりが激しくなったため、ボーリング十本、横井戸三本のほか、展望台下方に長さ七十メートルから百メートルの、調査と水抜きを兼ねた横穴四本を掘っただけで作業をやめたというわけですが、地下水を監視している途中で地すべりのためにこの地下水の監視もできなくなった。そういう時点では、専門家の目で見ますと、これは当然地すべりの前兆として早く危険信号を出さなければならなかったんだ、この件に関してはこういうように専門家が見ているわけでございます。  そこで、この時点でもなお企業局から運輸省、建設省の方に何ら通告がなかったのか、この点をお聞きしたいと思います。
  147. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  地下水位の調査を五十九年六月以降行ってきたという報告を事後的に受けたわけでございますけれども、そのときに聞いたお話では、七月十四日の時点で、水位観測が不能となったため、県当局は地すべり現象が活発化しつつあるものと認識いたしまして、隣接の伸縮計の観測頻度を増すなど、観測体制を強化したというふうに聞いておるところでございます。
  148. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 そういうことを聞いて、ただ聞いただけで終わったわけでございますか。
  149. 高野富夫

    ○高野説明員 先ほども御答弁申し上げましたが、その時点では報告を受けておりませんで、事後的に報告を受けたものでございます。
  150. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の地すべりは、二十六日の発生前にも生じておりまして、警戒態勢がとられたわけでございますが、しかし、この住宅団地の方を重点的に地すべり監視地域として、老人ホームの方は結局見失われた、その結果がこういう大きな人命災害にまでなったわけでございます。こういう警戒態勢と同時に老人ホーム松寿荘、こういう施設におけるところの避難体制ということに問題がなかったのか、この点について厚生省の方に。お伺いいたします。
  151. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  老人ホームを初めといたしまして社会福祉施設等におきましては、入所者の状況等も考えまして、少なくとも年二回の避難訓練等を実施するというふうな定めになってございます。今回の松寿荘につきましてお聞きしましたところ、昨年の九月とことしの四月、この一年間を振り返りますと二回の避難訓練を実施しているということでございます。  ただ、災害発生した直後の避難状況といいますのは、ある種のパニック状態の中での避難でございまして、県からの事情聴取をしておりますが、十五分ないし二十分程度の中での避難ということでございましたので、だれがどういうふうにどうしたかというふうな確認まではなかなか困難でございますけれども、私らとしては今の段階では、がけ崩れが起こった後の避難状況としては最大限の努力を払ったんではないか、こんなふうに理解しておるところでございます。
  152. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 さらに、今回百七十人の避難者の中で四十人だけが家族に引き取られたということでございます。しかし、さらに家族と暮らすのは十四人くらいだというふうな記事でございますが、こういう避難時に何親等以内かの家族が緊急に引き取るような体制ができないと、一切施設あるいは公共的な配慮でそれに対応すればよいわけでございますが、やはりある程度日本の現在の社会風潮からして、身内に対するところの何らかの連帯責任、そういうものも入所させるとき、ある程度約束させておかないと、こういう緊急避難時に本当にお役所あるいは公的なそういう施設だけで対応できるかとなると不安でございますので、こういう入所者に対しては、やはり緊急時の何らかの家族の引き取り義務というものも今後考えていただきたいなということを、まずこれは要望しておきます。  次に、現在危険地域が全国にたくさんあるわけでございます。一応建設省、農水省ともどもに所管されているわけでございますが、今回のこの災害を契機に危険地域の再点検あるいは見直しが必要ではないかと私は考えているわけでございます。まず、現況がどうなっているのか。地すべり対策事業という、そういう法律のもとでもこの災害防止には各省庁が一応当たっているわけでございますが、現況を各担当の方からお聞きしたいと思います。
  153. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  建設省所管の地すべり危険箇所の数でございますけれども、昭和五十五年の調査によりますと、全国で五千七百七十七カ所あることが判明いたしております。
  154. 津田隆

    ○津田説明員 農地及び農業用施設にかかわりまする全国の地すべりの危険箇所は、昭和五十五年時点で二千三百三十七カ所でございます。
  155. 船渡清人

    ○船渡説明員 お答えいたします。  林野庁所管にかかわります地すべり発生危険地区は、五十三年度の調査結果でございますが、全国で三千二百九カ所ということになっております。
  156. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 新聞によりますと、この危険指定箇所が一応一万を超えるわけでございますが、実際に調査したらこれの二、三倍は出てくるのではないかというふうにも書かれているわけでございます。さらに、林野庁の地すべり対策事業は五十九年度が百二十六億、六十年度が百二十三億になっております。建設省の方は六十年度二百四十三億ですか、これは幾らかふえているようでございますが、どうも予算面、今補助金一律カットの中で厳しいとは言われながらも、やはり予算面の伸びが芳しくないと、今後こういう災害がどのようになるのか心配でございます。  そこで、さらにお聞きしますが、この危険地区の中で、発生いたしますと人命にかかわるような災害が起きそうだと予想される箇所はどのくらいになるのか、このことをお聞きいたしたいと思います。
  157. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えを申し上げます。  地すべり危険箇所につきましては、人家にかかわるもの、公共施設にかかわるもの、渓流、道路、そういったものが指定要件というふうになっておりますものですから、それに全部人命が絡んでおるというわけにはまいりません。そういうことで、人命だけという危険箇所というものは現在のところは把握しておりません。
  158. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 農水省の方もそうですか。
  159. 津田隆

    ○津田説明員 特に人命だけということで調査はいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、農地及び農業用施設にかかわります危険箇所はすべてが危険の可能性があるわけでございまして、そのうち地すべり防止法に基づきまして防止区域として指定されておりますのは千三百七十二カ所でございます。
  160. 船渡清人

    ○船渡説明員 林野庁にかかわります地すべり発生危険地区につきましても同様でございまして、保全対象にはいろいろな種類があるわけでございまして、人家だけというものの把握はいたしていないわけでございます。  なお、危険箇所のうち、いわゆる地すべり防止区域に指定されております危険区域といいますのは、林野庁の場合には六十年三月末現在で千三百七カ所というようなことになっております。
  161. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この地域に対するところの再点検とか見直し、あるいは今後の監視ということに対しましてどのような対応をとろうとしておるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
  162. 渡辺義正

    渡辺説明員 お答えを申し上げます。  地すべり危険箇所の見直しでございますけれども、私ども建設省といたしましては、今年度調査の見直しをすることにいたしまして、本年五月に各都道府県に見直しの実施を指示いたしました。現在作業が鋭意開始されております。  なお、今回の災害にかんがみまして、この見直し作業を適切に行うよう再度周知徹底する予定にいたしております。
  163. 津田隆

    ○津田説明員 農地及び農業用施設にかかわります地すべり危険箇所の最近の総点検は、五十五年度から五十八年度までの四年間にわたって実施いたしました。その結果、地すべり危険箇所は三千七百四十三カ所となっておりますが、この箇所数につきましては一部建設省あるいは林野庁所管の危険箇所と重複するものもございますので、本年度中に省庁間の調整を行うことといたしております。
  164. 船渡清人

    ○船渡説明員 お答えいたします。  最近山地災害が多発しておるという実態等にかんがみまして、林野庁におきましても山地災害危険地区全体の見直しをやろうということで、今年度並びに来年度の二カ年にわたって実施することといたしております。この一環といたしまして、地すべり危険地区につきましても現在見直しのための再調査を行っておるところでございます。
  165. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の災害は、危険地域の指定地域じゃないところに起こっておるわけでございます。ましてやこういう危険地域の指定を受けておる箇所に対する国の対応、これは各大臣ともに要望するわけでございますが、今後十分の対策を講じていくようにお願いする次第でございます。  次に、今回の地すべり関係がないわけではございますが、今杉山崩壊ということが起きております。NHKでも放送になったわけでございますが、東北にも表層の、いわゆる密植による、あるいは単純一斉林によるところの被害、殊に農村におきましては家の裏山等に植林箇所がたくさんございまして、こういう単純一斉林の崩壊が危険視されるところが出ているわけでございます。私、このことは農水委員会で再三質問しているところでございますが、大きな災害を引き起こすという事例が発生している現時点においてはやはりこれも国として早急に対応策を考えなければならないのではないかと思います。  ついては、こういう杉山崩壊を起こすような危険地域に対して今後どのような対応をしていくのか、あわせてお伺いしたいと思います。
  166. 船渡清人

    ○船渡説明員 お答えいたします。  森林の整備に当たりましては、自然的、経済的な諸条件に即した施業の実施というものが重要でございまして、施業方法の採用あるいは伐期齢の選択等に当たりましては画一的な取り扱いにならないような配慮が必要であろうというふうに考えております。  先生御案内のとおり、現在我が国の人工林はほぼ一千万ヘクタールというようなことになっておるわけでございますが、その半数が間伐の時期になっております。このため林野庁といたしましては、森林総合整備事業あるいは間伐促進総合対策といったようなことを実施いたしまして森林の健全化というようなことに全力を挙げておるわけでございます。  さらにまた、今お話がございましたような単純一斉林というようなことに対しまして、複層林施業あるいは広葉樹林施業等も取り入れながらきめ細かい施業を通じまして多様な森林づくりを推進していくということが、森林の多面的な機能の高度発揮というものに対する国民のいろいろな要請にこたえていくためには重要ではないかと考えておるわけでございまして、今後これを推進してまいりたいというふうな考えでおるところでございます。
  167. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 時間もなくなってまいりましたが、今回のこの災害に対しまして、復旧対策の推進を図っていただきたいという地元からの陳情が参っております。総合調査実施被害の拡大を防止するためにもこの処置を講じてもらいたい。これは国土庁に対しての要望として私たちのところにも参っております。さらに、建設省には地すべり激甚災害対策特別緊急事業実施を図っていただきたい、建設省住宅金融公庫につきましては被災者住宅の確保について万全の対応をしていただきたいということ、また、厚生省に対しましては社会福祉施設災害復旧について、さらに厚生省に対しまして長野市上水道災害対策についての全面的な補助についての要望、自治省については交付税の繰り上げ、特別交付税による処置等の陳情が参っておりますので、こういうことに対しまして各省庁万全の対応をしていただきますことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  168. 中村茂

    中村委員長 次に、林吾郎君。
  169. 林百郎

    ○林(百)委員 これは国土庁長官にお尋ねすることだと思いますが、本件の特に松寿荘のお年寄りが二十六名命を落としたという、これは人の命は地球の重さにもかえられないと言われますけれども、いかにお年寄りといえども二十六名の人命が亡くなったのですが、この責任は一体どこにあるのですか。被災者のところに知事が行って、これは天災だからと言ってうそぶいていて非常に大きな批判を受けて、そこで直ちに抗議を受けたのですが、一体どこが責任を直接的には負うのですか。――いや、長官に聞いているんだよ。国土庁長官に聞いているんだよ。(「いいよ、そんなのは」と呼ぶ者あり)よかないよ。
  170. 中村茂

    中村委員長 ちょっと待ってください。順にあれしていきますから。杉岡防災局長
  171. 杉岡浩

    杉岡説明員 まず、事務的に御報告申し上げます。  今回の災害によりまして二十六人のとうとい人命が亡くなったことにつきまして、まことに遺憾であります。それぞれの災害部局におきまして、今回の地すべり発生につきまして非常に危険になりました当日、まず危ないと思われる湯谷団地におきまして避難指示をいたしたわけでございます。それからさらに、予期しない大きな地すべり松寿荘の方に起こってとうとい人命が失われたということについて遺憾でございます。しかし、それぞれの部局におきましては、それぞれの立場から万全を期して対策を、あるいは避難指示をいたしたわけでございます。  今後こういった問題につきまして、さらにその警戒避難体制あるいは的確な指示、こういったものが十分とれるように今後も災害対策につきまして指導していきたいというふうに考えております。
  172. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 私は、政府調査団の一員として二十八日に現地をつぶさに視察をいたしました。二十六名の方々に対しまして、特に予期せざる事故となりまして、心から冥福をお祈りし、お見舞い申し上げる次第であります。  防災局長から御報告申し上げましたとおり、想像を絶する惨状でございまして、地すべりの恐ろしさを改めて痛感している次第であります。  この現地調査の結果を踏まえまして、関係省庁連絡会議におきまして引き続き地すべり監視警戒を的確に行いますとともに、専門的な調査実施する、さらには地すべり箇所への応急対策工事を迅速に実施するとともに、適切な恒久的対策実施を図る、被災者避難者生活救済に万全を期するなどの当面の重点対策を決定いたしまして、これを基本といたしまして関係省庁が所要の対策に鋭意取り組んでいるところでございます。今後とも関係省庁が力を合わせまして地元と十分な連携をとりながら、被災者方々が一日も早く平常の生活に戻られることが望ましいことであり、また適切な対策を積極的に進めてまいる所存でございます。
  173. 林百郎

    ○林(百)委員 私は対策を聞いているのではなくて、どこが被災者に対して責任を持って応対する責務があるかということを聞いているわけなんですよ。  それから、委員長、私の質問に対して、私が答弁者を求めているとき、よその方から、いいじゃないかとかなんとかというああいう妨害はさせないように、ひとつ審議が円満にいくように御注意を願いたいと思う。  まず、私の方の調査によりますと、前の企業局の管理者だった相沢武雄氏の話によると、この地附山地すべりについては、バードラインをつくった後の管理の対応を怠っているところに根本的な原因があると言っている。現企業管理者の吉田氏は認識に甘さがあった、当日朝現場を視察したが、認識に甘さがあったと言っている。これは明らかに県が認識について甘さがあったということを言っているわけなんですから、県に一端の責任がある。それは国に責任はないとは私は言いませんけれども、そういうことは当然県当局が言っているのですから、それを認めていいのではないでしょうか。どうでしょうか、国土庁長官。あるいはもし長官でなかったら係でいいです。
  174. 杉岡浩

    杉岡説明員 災害の原因等につきまして、現在は災害応急対策あるいは今後恒久的対策という観点から技術的にその方策等について検討いたしておるわけでございます。そういった技術的な専門的な調査に基づきまして判断されるわけでございまして、現在災害の原因等につきまして完全にこれだということがはっきりしない段階だろうというふうに考えております。
  175. 林百郎

    ○林(百)委員 これは損害賠償について当然民事的な訴訟も起きると思うのですよ。そういう場合、一体どこに責任があるかというのは司法の判断を仰がなければならないので、ここで答弁をしたからそれでいいということにはならないと思うのですね。そういう意味で、もっと厳格に考えておく必要があると思うのですよ。  それで、雨が降ったからこの災害が起きたなんというのは非常に甘いと思うのですね。第一、ここの土質自体は凝灰岩で、付近一帯は凝灰岩ですけれども、その一端が崩れて丘をつくっている、崖錐性堆積物としての丘ができているわけなんですが、その凝灰岩は、第一には、水を含みやすいという性格を持っている、崩れやすいという性格を持っている。風化しやすいというもろさを持っている。もうその付近の地質全体がそういう地質なんですよ。  これは、昭和二十三年に長野県の地質学者が県にそういうパンフレットをつくって、歴史的に危険な地質であるということを指摘して県にパンフレットを出しているわけですね。そこからちょっとデータを、時間的にやってみますと――ところが、三十九年に戸隠のバードラインをつくった。この際、谷を埋め、水の流れをせきとめていた。御承知のとおり、道路運送法によってこれは運輸大臣建設大臣に申請をしなければならないわけですね。その後、そういう状態が公共の安全を害するような事態があれば改善を命ずることができるとあるのですね。こういうところへこのバードラインができたからこそ今度の災害の大きな原因があるということはもう一般に指摘されているところなんですよ。それで、そのバードラインに亀裂が方々にいっぱいできているわけですからね。  その道路開設申請をした場合、今の運輸大臣が運輸大臣でありませんし、建設大臣木部さんじゃなかったわけなんですけれども、そのとき一体政府はどういう検討をなさったか。全然検討なさらなくて、書面で申請が出たからよかろうということになっていたのでしょうか。何か検討したことはあるわけなんですか。
  176. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  戸隠バードラインにつきましては、昭和三十八年三月十八日付で、長野県より運輸、建設両省に対しまして道路運送法に基づきまして一般自動車道の開設の免許申請がございました。審査の結果、道路運送法の免許基準に適合いたしておりましたので、三十八年の五月六日付で免許を行ったところでございます。  さらに、構造及び設備に関しましては、三十九年三月二十八日付でございますが、運輸大臣及び建設大臣に対しまして工事施行の認可の申請がございました。これにつきまして審査いたしましたところ、技術上の基準に適合いたしておりましたので、五月二十日付で認可をいたしたものでございます。
  177. 林百郎

    ○林(百)委員 その地盤の検討というようなことはしなかったというわけですね。  それで、七月の十日にバードラインの通行をとめているわけですね。通行を阻止しているわけです。道路運送法の六十八条によると、「一般自動車道が天災その他の事由により自動車の通行に支障を生じたときは、直ちにその通行の禁止その他適切な危害予防の措置を講ずるとともに、その復旧をしなければならない。」第六十八条の四項に「自動車道事業者は、前項の場合には、遅滞なく省令で定める事項を運輸大臣及び建設大臣報告しなければならない。」とあるのです。だから、七月の十日にバードラインの通行を停止した場合に、この道路運送法六十八条の四項の通知は運輸省へ来ているのですか。
  178. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘がございました道路運送法六十八条第四項の規定に基づきます報告でございますが、七月十二日の時点で、一部区間につきまして道路の亀裂等がございまして通行を禁止する、こういう報告を、これは文書では間に合いませんので電話で、建設省とともに私どもも報告を受けておるところでございます。
  179. 林百郎

    ○林(百)委員 その報告を受けてどういう指示をしたのですか。報告の受けっ放しですか。
  180. 高野富夫

    ○高野説明員 自動車道の管理につきましては法律に規定がございますが、技術的な基準に適合するように自動車道事業者が維持管理しなければならないと、これは法律の六十八条にございますが、さらに自主的な点検を行うべきである、こういうことになっておりますが、さらに、それに加えまして、過去二回にわたりまして私どもと建設省と一緒になりまして通達を出しまして、安全対策の強化、危険箇所の総点検、それから維持管理に万全を期するようにということで指示をいたしまして指導いたしてきておるところでございまして、この報告、この時点におきましても万全を期するようにという趣旨のことを伝えておるところでございます。
  181. 林百郎

    ○林(百)委員 その報告は、六十八条の三項によると、「自動車道が天災その他の事由により自動車の通行に支障を生じた」とありますが、何で通行をとめたというのですか。天災だというのですか、何だというのですか。
  182. 高野富夫

    ○高野説明員 お答えいたします。  処すべりに起因する路面の状況が、自動車通行上支障があるということでございます。
  183. 林百郎

    ○林(百)委員 それはどこの係ですか。もう七月の十日に、事故の起きたのは二十六日ですが、それから十五日も前に、付近の道路は天災によって通れない、そういう通知が運輸省へ来ているのに、それに対する、災害に対する対策はどこがどのようにとったのでしょうか。あるいは国はどのように指示したんでしょうか。
  184. 高野富夫

    ○高野説明員 自動車道の維持管理に係る部分につきましては、長野企業局におきまして、これは事後的に私ども報告を受けたところでございますが、いろいろな対策を講じたというふうに聞いておるところでございます。
  185. 林百郎

    ○林(百)委員 いろいろの対策を講じたというが、いろいろとは何ですか。何をしたのですか。
  186. 高野富夫

    ○高野説明員 詳細についてはこれからいろいろ伺ってまいりたいと思っておりますけれども、五十六年、五十九年の時点からひび割れ等がございまして、それに対応する防護工事、排水工事あるいは水位観測などの対策を講じてまいったというふうに聞いております。
  187. 林百郎

    ○林(百)委員 道路に対しては仮にあなたの言うようなことをやったとして、付近の同じ地質で崩壊の危険のある地域、そこには老人ホームもあれば住宅もある。それについては何らかの措置を県はとったという報告は聞いていますか。あるいはバードラインのことだけ聞いているわけですか。
  188. 中村茂

    中村委員長 まず最初に、高野運輸道路業務課長。聞いているかどうか、その辺。
  189. 高野富夫

    ○高野説明員 自動車道の維持管理につきましては先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
  190. 林百郎

    ○林(百)委員 自動車道路以外についてはどうなんだと聞いているのです。
  191. 杉岡浩

    杉岡説明員 我々の方に報告が入ってまいっておりますのは、七月二十日、午後から夜にかけまして相当の豪雨があったわけでございます。そういった観点から長野市では、特に上松の湯谷団地、戸隠道路の付近におきまして多少、ある程度の土砂崩壊がございましたので、地元に対しまして警戒態勢をしくとともに、二十一日には伸縮計設置してその警戒態勢をしいたわけでございます。地元災害対策本部がつくられておりますので、そういった点も含めまして伸縮計設置等の警戒態勢に入っておるわけでございます。
  192. 林百郎

    ○林(百)委員 では、七月十日前後に警戒態勢をとったというのにどうして松寿荘なんかがああいう崩壊に遭い、三十数戸ですかの家屋が崩壊しちゃったんですか。それに対する対策はどうしたんですか。
  193. 杉岡浩

    杉岡説明員 土砂の崩落によりましてこういった警戒態勢をしいたわけでございますが、現地報告によれば、これほどの大規模な地すべりがあったというふうには予想しなかったわけでございます。したがいまして、実際に避難を指示いたしましたのは七月二十六日の十六時三十分ということで、湯谷団地避難の指示を出したわけでございます。
  194. 林百郎

    ○林(百)委員 あなた、事実と違うことを言っていたのじゃだめですよ。七月十九日には伸縮計が、一日平均〇・九四が実は五十二・六の五十倍になっているのですよ。伸縮計が五十倍にもずれているのに、大したことはないと思いまして何にもやりませんでしたでは通らないじゃないですか。  それから、先ほども話が出ましたけれども、もう既に昭和五十六年八月、株式会社中部地質が「戸隠有料道路地質調査」をしているわけです。それによりますと、付近が非常に崩壊の危険がある。「誘因としては、融雪水・多雨期に地下水位が上昇して地中の有効応力を低下させるとともに、浸透能力を増大させ浸透力による崩壊の引金となることと、崩積土を切土したことにより安定性を低下させていること、更には、地すべりの頭部と成り得る個所、例えば、トラック型カーブ内に盛土や構造物を建設したことも誘因として考えられる。」こういう報告をしているわけですよ。だから、地域の崩壊の危険が重なって非常に危険になっているということが既に五十六年の八月――県も危険を感じたんですよ。だからこそ株式会社中部地質に鑑定を求めたわけです。  続いて、昭和五十九年三月、明治コンサルタント株式会社に「戸隠有料道路地すべり対策調査」を委託したのですが、これによりますと、「地表踏査および空中写真の判読によると図Ⅲ-1に示すような、非常に規模の大きな地すべりブロックが推定される。」五十九年三月、県が発注したコンサルタント株式会社がこういう答申をしているのですよ。「大きな地すべりブロックが推定される。」それが今言ったように、大したことはないなんてどうして言えるのですか。  それから、続いて六十年にも県が今言った明治コンサルタント株式会社にコンサルタントを要望したのですけれども、それによりますと、「地すべり状況 ここでは、昭和五十八年十二月の地表踏査時から現在までの地すべり状況について地区毎に述べる。」地すべりブロックが、ちょうど今度の地すべりと全く同じところが推定されているのですね。それから、「段差が再度拡大し一~四メートルの滑落崖を形成している。また、STA一・九キロメートルプラス四十メートル付近の路肩の沈下は現在でも進行しており、補修が継続して行なわれている。」続いて、「この区間道路には昭和五十八年の十二月に亀裂が認められ少しずつ変状が進み、昭和五十九年四月には段差が大きくなり、車の通行に支障がでてきた。この段差は、谷側が盛り上るような形態を示している。現在は補修されているが、昭和五十九年四月時点より盛り上りがやや大きくなっている。」それから、同じもので、「昭和五十九年六月十九日~七月二十六日にかけての降雨後、切土部の擁壁およびモルタル吹きつけ部に亀裂と変位が生じ、かなり不安定な状況となっている。」それから、五十九年の七月以降変状が拡大した部分があるといって、ここが示されているわけです。これは今度の崩壊位置と同じなんです。  県が不安を感じて、専門のコンサルタントがこういう地質の調査をしているのに、ますます拡大しているという報告が来ているのに、これをこのままにしておくということは行政の責任でないと言えますか。ただ大したことがないから何の警告も発しませんでしたということで済むと思いますか。これは国土庁長官、どうですか。
  195. 河本嘉久蔵

    河本(嘉)国務大臣 災害の原因につきましては、先生御指摘のあらゆる面からの調査をまたねばならないと思っております。現在の段階におきましては、どういうことが原因がということにつきまして何とも申し上げられない現況でございます。  防災行政を預かる立場といたしましては、今回の災害を教訓といたしまして、このような災害が二度と起こらないように万全の対策を講じていきたいと考えております。
  196. 林百郎

    ○林(百)委員 それから、問題は、二十五日に新たに二カ所に伸縮計設置した。それは警報器と連動しているけれども、警報器のスイッチは初めから切られている。一日平均の五十倍もずれができて伸縮計が新しく設置されて警報器がつけられているのに、その警報器が鳴らないようにスイッチは切ってあるというのですよ。なぜ切ったかというと、警報器が鳴ると不安が非常に高まる、そういうことを理由にして切ってあるわけですね。  これはどういうわけで切ったのでしょうか。これは警察なりあるいは消防庁に聞きたいのですけれども、せっかくつけた伸縮計への警報器を切っている、これはどういうわけでしょう。どこの責任で切ったのでしょう。ちょっと補足しますが、要するにパニックが起きるというのですよ。警報器が鳴りっ放したというのです、ずっと。それはもう一日平均五十倍もひずんでいるのですから。しかし、それを正直に知らせればパニックが起きるからとめちゃえといって切っているのですよ、二十五日、前日の日に。これはどこが一体切ったのですか。
  197. 石橋忠雄

    ○石橋説明員 消防庁でございますが、二十五日の警報器の設置につきましては報告を受けておりませんで、スイッチを切った理由については今後調査してみたいと思います。
  198. 林百郎

    ○林(百)委員 切っだということは認められるのですか。切ったということは認めるけれども、どういう理由で、どこがどういう関係で切ったかわからないという意味ですか。それでは同時に、その警報器の管理権はどこが持っているのですか、切ったり切らなんだりするというのは。
  199. 石橋忠雄

    ○石橋説明員 消防庁として地元から伸縮計と連動した警報器の件について報告を受けておりますのは、有料道路関係伸縮計にセットされた警報器のスイッチを七月十二日に切ったということを報告を受けております。(林(百)委員「七月の幾日」と呼ぶ)十二日でございます。これは有料道路関係で、警報器の設置目的そのものが通行車両の安全運行確保を図るため設置していたということでございまして、七月十二日に有料道路を一時閉鎖したということに伴いまして警報器のスイッチを切ったというようなことを聞いておりまして、七月二十五日の件につきましては報告を受けておりませんので、調査してみたいと思います。
  200. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、十二日にはどこが切ったのですか。どこがどういう理由で切ったのですか。警報器というのは、むしろそういうときに鳴るのが警報器でしょう。それを危険が切迫しているときに切っちゃったんじゃ用をなさないじゃないですか。
  201. 石橋忠雄

    ○石橋説明員 先ほど御説明申し上げたとおり、当該警報器の設置目的が有料道路の通行車両の安全運行を確保するために設置していたということでございまして、地面に一定規模以上の動きがあった場合に警報器が鳴って、同時に赤信号がつく、それによって通行車両をストップする仕掛けになっていたということでございまして、先ほど申し上げたとおり、七月十二日に有料道路の一部を通行どめにしたということに伴いまして通行車両がなくなりますので、設置目的がないということでスイッチを切ったという報告を受けております。
  202. 林百郎

    ○林(百)委員 伸縮計というのは、付近の地域の地盤がひずむことのために伸縮計というのはあるわけでしょう。それが道路がストップしたからもう警報は要らないということでいいんですかね。少なくとも仮にその十二日に県が警報器を切ったということで、それは運輸省なり建設省報告があったんでしょうか。あって、運輸省や建設省は聞きっ放しなんでしょうか。
  203. 高野富夫

    ○高野説明員 ただいまの件につきましては報告はございませんでした。
  204. 林百郎

    ○林(百)委員 警報器を切って通行を停止するというような重大な事態ができているときに、道路運送法の六十八条の通知をしなくてもいいんですか、これは。許されることなんですか。
  205. 高野富夫

    ○高野説明員 六十八条の災害報告につきましては、自動車交通に支障が生じたときに義務づけられておるものでございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、その報告につきましては十二日の時点で電話報告を受けておるということでございまして、その時点でサイレンの話につきましてはその報告の中に含まれていなかった、こういうことでございます。
  206. 林百郎

    ○林(百)委員 これで行政が責任がないなんて言ったら住民は到底納得できないと思いますね。  そこで、今度は対策を考えますが、仮に行政訴訟が起きたとした場合に、今ここで説明したようなことで原告側の要望に対して対抗できるとお考えでしょうか。これは国土庁長官建設大臣に聞きたいんですがね。私は、こんなことで裁判所、許しっこないと思うのですよ、行政の責任を。どうお考えになります。
  207. 杉岡浩

    杉岡説明員 今彼にその訴訟がというお話でございますけれども、そういった場合におきましてはこれから公正な裁判所においていろいろと判断がなされるわけでございまして、私どもがそれに対してとやかく言う段階じゃございませんと思っております。
  208. 矢野勝太郎

    ○矢野説明員 現在の私どものとりますことの最も重要なことは二次災害の防止でございまして、台風期を控えまして、二次災害を防止するために極力仕事を完成させることに目標を置いておるわけでございまして、将来の訴訟等もちろんあり得る可能性はあるといたしましても、私ども、とり得るところといたしましては二次災害の防止に極力努めてまいりたいと思う次第でございます。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 そこで、それでは今後の対策について考えますが、H鋼を打ち込んでいますね。それで、H鋼の内部に、崩壊土とH鋼の内部に入っている家屋や半壊家屋は、これはどうなるのですか。
  210. 帆足建八

    ○帆足説明員 H鋼の内部に入っております、山側に入っております家屋、未被災の家屋につきましては、極力、私どもの今のH鋼を入れているところの間を、H鋼施工できないところは、布団かご等の工法を変えまして極力防御してまいりたいと思っております。それから、被災している家屋等が工事によりまして、今のは仮工事被災家屋にはかからないようにしておりますが、本工事でかかるようになりましたら、それは地すべり対策事業災害復旧事業のいずれでも補償の対象になると考えております。
  211. 林百郎

    ○林(百)委員 補償の対象になるのは結構ですけれども、敷地はどう心配するのですか。どこがどういうように心配するのでしょう。
  212. 帆足建八

    ○帆足説明員 その敷地につきましては、現段階では地すべり対策事業並びに災害復旧事業の詳細が実はまだ決まっておらないわけでございます。どのように復旧するのか、本工事復旧を。で、その敷地がもとの状態になり得るのか、その辺が今の段階では、測量も終わっておりませんので、はっきり申し上げかねるような状況でございます。
  213. 林百郎

    ○林(百)委員 災害家屋についての住宅金融公庫との約款で保険金で埋めることができるということになるにしても、今度は耕しぐうちを建てるには新しく借り入れをしなければならない。もちろん、国の地すべり対策の資金援助があるけれども、うちを新しく建てる場合はやはり新しい借り入れをしなければならないことになるのですか。
  214. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 今次の災害によりまして被災をされました方が住宅を新たにまた取得される、そのときに災害復興住宅資金の融資、公庫がやっておりますが、これを御活用になるということでございますと、新たな融資をしていただくということになるわけでございます。
  215. 林百郎

    ○林(百)委員 これは自治省に関係すると思いますが、松寿荘は一部事務組合で特殊法人をつくって建てた建物なんですが、何かきょうの答弁を聞きますと、あれを三カ所ぐらいに分けて新しくつくると言いますが、そういう場合に地方自治体の財政負担はどうなるのですか。
  216. 奥田義雄

    ○奥田説明員 お答えいたします。  組合でもってつくっておるものでございます。その費用負担等につきましては、各組合の構成地方公共団体で負担することになろうかと思いますが、所要の起債その他につきましては適正に処置をいたしてまいりたい、かように考えております。
  217. 林百郎

    ○林(百)委員 適正な処置とはどういうことですか。もっと具体的に言ってください。
  218. 奥田義雄

    ○奥田説明員 災害復旧事業につきましては一〇〇%の起債措置がございます。その起債の償還財源につきましては、財政状況に応じまして普通交付税で算入をする、その団体の財政力いかんによりますけれども、二八・五%から五七%の範囲内の交付税措置をするというふうな手当てになってございます。
  219. 林百郎

    ○林(百)委員 最後に、これも企業局に言っておるのですが、全然はかどらないのですが、上伊那郡の飯島町というところに県の企業局が中電に売電するための発電ダムをつくっております。そのダムが災害で崩壊いたしまして、秋田から出稼ぎに来ている人たちが三人死亡いたしまして、一人の遺体がまだ上がらない。これは大成建設と銭高と徳倉の三企業体がさらに長野県の筒木特殊土木株式会社へ孫請させている。それで、今ここへ来ている人たちが心配しているのは、一体この三名の亡くなった人たちに対してはどういう補償が出るのか。うちの方では、正規にもらう賃金を秋田へ送ってそれで家族の者に生活させ、超過時間で稼いだものでようやく生活を立てている状態なのに、もし、これで金が入らないということになるとどうしていいかわからない。七月から八月十日までにかけては、亡くなった遺体の捜索をやれと言いつかっている。まだ、県はもちろん大成からも筒木からも見舞い金も出なければ、今後八月十日に、遺体を捜すために一月働いた賃金が出るかどうかもわからない、今後またこの仕事が続くかどうかもわからないということで、亡くなった方の遺族が来て涙を出して我々に訴えているのですが、これは国の方は知っていますか、こういう状態になっているというのを。
  220. 杉岡浩

    杉岡説明員 突然のお尋ねでございますので……(林(百)委員「きのう言っておいたよ」と呼ぶ)この上伊那郡の企業局のダムの事故、これで、ただいま先生おっしゃいましたように、三人のうち一人がまだ行方不明というのは承知いたしております。  これに対します対策につきましては、現在聞いておりませんので、関係省庁あるいは関係の県等に連絡をとりましてその実態を把握してまいりたいというふうに考えております。
  221. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わりますが、建設大臣、今言った問題ですね。企業局の発注による売電の貯水ダムの三人もの死亡の問題がこの長野市の陰に隠れていますが、三人亡くなって、しかも出稼ぎの人たちでして、これで生活を立てているわけなんです。それが一体どうなるのかということで非常に不安に駆られているわけで、大成というような大企業が孫請に全部責任を負わして、孫請の方は本人たちが仕事をやりたいと言うからやらしたら水害が起きてきたと言って、結局、仕事をやった者が悪いということになって、どこも責任を負おうとしていないわけですね。これは重大な人道上の問題だと思うのですよ。場合によっては、私は弁護士だから訴訟ばかり言うようですけれども、これも訴訟が起きるかもしれない。そうすれば、人が死んだことで企業局を相手に訴訟があっちこっちいっぱい起きてくるわけですよ。しかも、長野県の企業局というのは、その電気は中電へ売って、中電は県へ払った電気料の十倍ぐらいの電気料を一般の消費者から取っているわけですよ。十分の一ぐらいの安い値段で企業局は中電に売電しているわけですよ。そういう大企業本位の仕事ばかり企業局が考えているということは、地方自治としての本旨に反すると思うのですよ。  自治省もおりますけれども、これに対して一体どういう考えをとっているか、県に対して厳重な調査をし、勧告もする必要があると思いますが、建設大臣と自治省の考えを聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
  222. 木部佳昭

    木部国務大臣 今回の災害の問題につきましては、先ほど国土庁長官からも御答弁がありましたように、今原因の究明中でございますし、調査中でございますから、私どもとしても長官の答弁と同じ考え方で当面は取り組んでいきたい、そういうふうに思っております。  それから、今のダムの孫請の問題でございますが、これも私、実は本当に初めての御質問でございますが、この問題につきましては、私は林先生の御指摘のように、人道上の問題もあると思いますので、一度調査をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
  223. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 お答えいたします。  地域開発一般でございますけれども、これは本来、当該地域の生活環境の改善とかあるいは産業振興等に資するという観点から、地方公共団体がその責任におきまして、当該地域の実情等に応じながら計画実施されるものというふうに理解しております。  その計画を実施する場合におきまして、一般論として申し上げますると、地域の中長期的な経済情勢なりあるいは自然的、社会的環境への配慮といったものが当然なされるべきでございますが、もとより災害発生につきましてもこういった安全面に十分な配慮がなされることが必要であるというふうに私どもは考えております。
  224. 林百郎

    ○林(百)委員 それで、自治省は今の問題も県へ問い合わせして、企業局事業について、国会でもいろいろ問題になったけれども、十分な配慮をするようにということを自治省としては県へ助言をするつもりですか、どうですか。
  225. 今泉浩紀

    ○今泉説明員 関係省庁と相連絡し合いながらやってまいりたいと思っております。
  226. 林百郎

    ○林(百)委員 じゃ、結構です。
  227. 中村茂

    中村委員長 委員長からちょっとお願いしておきたいというふうに思うのですが、今ずっと質疑をやってまいりましたが、縦割り行政の中で、一つの問題もそれぞれの省庁にまたがっているために、一つの問題を解明するにも三省庁で答弁しなければいけないというような実情で、先ほど確かに防災問題については国土庁に防災局ができているから、災害が起きた後の対策については一応統制がとれてきたというふうに私は感じております。しかし、今もいろいろありましたように、その前の防災対策については、やはりそれぞれの省庁がばらばらという実情ですから、先ほども質問がありましたように、一つ道路の問題をとってみても、事前の連絡、対応というのを真剣に取り組んでいただきたいということを委員長からも各省庁お願い申し上げておきたいというふうに思います。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十二分散会