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1985-05-23 第102回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年五月二十三日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中村  茂君    理事 大石 千八君 理事 桜井  新君    理事 田名部匡省君 理事 渡辺 秀央君    理事 細谷 昭雄君 理事 水田  稔君    理事 薮仲 義彦君 理事 横手 文雄君       鹿野 道彦君    菊池福治郎君       笹山 登生君    塩島  大君       田中 直紀君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    原田昇左右君       堀之内久男君    山岡 謙蔵君       若林 正俊君    松前  仰君       村山 喜一君    山中 末治君       遠藤 和良君    武田 一夫君       水谷  弘君    森本 晃司君       中川利三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  出席政府委員         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁大都市圏         整備局長    佐藤 和男君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   越智 俊典君         環境庁企画調整         局調査官    山岡 通宏君         環境庁自然保護         局計画課長   田村久仁夫君         文部省教育助成         局施設助成課長 遠山 耕平君         林野庁指導部計         画課長     三澤  毅君         林野庁業務部経         営企画課長   小沢 普照君         水産庁漁港部防         災海岸課長   三橋 宏次君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 久賀 俊正君         工業技術院総務         部研究業務課長 松下  弘君         運輸省港湾局         管理課長    小池 公隆君         気象庁総務部企         画課長     新田  尚君         気象庁地震火山         部地震予知情報         課長      津村建四朗君         建設省都市街         路課長     依田 和夫君         建設省都市局公         園緑地課長   勝浦 康之君         建設省河川局治         水課長     萩原 兼脩君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省河川局砂         防部砂防課長  成田 久夫君         建設省道路局有         料道路課長   駒田 敬一君         建設省道路局国         道第二課長   田口 二朗君         消防庁防災課長 島崎  実君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団理事)  高山  昭君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ————————————— 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   辻  一彦君     村山 喜一君 同日  辞任         補欠選任   村山 喜一君     辻  一彦君     ————————————— 三月二十九日  災害予報体制及び避難施設整備等に関する  請願簑輪幸代紹介)(第二五二五号)  同(松本善明紹介)(第二五三三号) 四月四日  災害予報体制及び避難施設整備等に関する  請願梅田勝紹介)(第二七〇七号) 同月十日  災害予報体制及び避難施設整備等に関する  請願佐藤祐弘紹介)(第二七九八号)  同(渡辺嘉藏紹介)(第二八二九号) 同月十二日  地震の場合における重度障害者避難体制確立  等に関する請願石橋政嗣君紹介)(第三〇〇  六号)  同(上野建一紹介)(第三〇〇七号)  同(岡田利春紹介)(第三〇〇八号)  同(田邉國男紹介)(第三〇〇九号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第三〇一〇号)  同(保利耕輔君紹介)(第三〇一一号)  災害予報体制及び避難施設整備等に関する  請願不破哲三紹介)(第三〇六〇号)  同(山原健二郎紹介)(第三〇六一号) 同月十七日  地震の場合における重度障害者避難体制確立  等に関する請願工藤巖紹介)(第三二〇七  号)  同(熊川次男紹介)(第三二〇八号)  同(佐藤誼紹介)(第三二〇九号)  同(安田修三紹介)(第三二一〇号) 同月十九日  地震の場合における重度障害者避難体制確立  等に関する請願池端清一紹介)(第三五三  三号)  同(梶山静六紹介)(第三五三四号)  同(渡辺美智雄紹介)(第三五三五号) 同月二十二日  地震の場合における重度障害者避難体制確立  等に関する請願野呂田芳成君紹介)(第三九  七三号) 同月二十三日  地震の場合における重度障害者避難体制確立  等に関する請願北口博紹介)(第四三五七  号) 五月十七日  地震の場合における重度障害者避難体制確立  等に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第四六  九八号)  同(小坂徳三郎紹介)(第四六九九号)  同(堀昌雄紹介)(第四七〇〇号)  同(山下元利紹介)(第四七〇一号)  同(若林正俊紹介)(第四七〇二号)  同(渡辺省一紹介)(第四七〇三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 中村茂

    中村委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、本州四国連絡橋公団理事高山昭君に参考人として御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村茂

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 中村茂

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石千八君。
  5. 大石千八

    大石委員 東海沖地震が予想されるということで地震財特法昭和五十五年につくられまして、そしてまた六十年度から延長という措置になったわけでありますが、昭和五十一年の秋にこの東海沖地震が予測されるに及んで、特に専門家の間でその地震の原因となるであろう駿河トラフが発見され、それが百年ないし百五十年に一度大地震となって起きている、このような過去のいきさつに絡んで、本格的に東海沖地震を予知し、その地震に備えていこうということになったわけでございます。  ちなみに、今から五百年前、十五世紀末のことでありますが、マグニチュード八・六という大地震が起きたわけでありますが、それから百三十一年前の安政地震まで四回にわたって、百年から百五十年の間隔でマグニチュード八前後の地震発生をしているわけであります。  そういう過去のいきさつ、データからいいますと、もう既に安政地震から百三十一年が経過をしておるということになると、これは射程期間に十分達してきている、こういうことが言えるわけでありまして、地震対策に対する緊急整備ということはどうしてもやらなくてはいけないということになるわけでございます。  それで、昭和五十五年にこの地震財特法が制定されまして、緊急整備事業をスタートさせたわけでありますが、五年間に進捗率が七五・五%ということでございます。静岡県がそのうちのおよそ六割弱を占めるわけでございますが、静岡県は七三・五%ということでございます。五年でとにかく事業を終了しようという目的で行ったわけでありますが、四分の三が事業が行われましたけれども、まだ四分の一は事業が行われていない。そこへまた新たに一千億円の事業の追加もありますので、これからさらに二千四百億円の事業が行われるということになったわけでございます。  これは既にこの災害対策特別委員会でこのおよそ二千四百億の事業を今後五年以内に推進をし、速やかにこの緊急整備事業を進めていこうという採決、そしてまた、そういう決議も行われたわけでございまして、これは住民の生命、財産、特に生命を守るためにどうしてもやっていかなければならないことでございますので、本日はこの点を中心に、地震財特法を進めていく、緊急整備事業を進めていくということを、各関係省庁にひとつ決意いろいろ話をしてもらいたいと思いますし、また具体的な方策についてもいろいろお聞きをしていきたい、このように考えているわけでございます。  ところで、五年間延長になったわけでありますが、今言いましたように、これは五年かけてやるということでなしにできるだけ早い方がいい、こういう前提に立っていることをまず主張してまいりたいと思います。  それとともに、新たにこれからの五年の時限立法ということでスタートしたわけでありますので、当然この窓口になっております国土庁ではそのこれからの改定計画をもう一遍つくって、それに基づいて各省庁事業を進めていくということになろうと思いますが、国土庁はこの改定計画をいつごろ作成し、そしてまた特になるべく促進をするという観点から進めておられると思いますけれども、その点の決意と、そして改定計画について国土庁から説明をしてもらいたいと思います。
  6. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  地震対策緊急整備事業計画改定につきましては、先般地震財特法有効期限延長されたことに伴いまして、国土庁といたしましては四月一日に関係の六県に対しましてその改定の作業に入る指示をいたしたわけでございます。関係六県におきましては、現在それぞれ所管しております関係省庁事前調整を図っておもところで、検討いたしておるわけでございます。  各県におきましては、承認申請は、一応そういった事前詰め等がございまして、六月にはその申請ができるものというふうに我々は承知をしておりますが、その申請があり次第直ちに関係省庁と正式の協議をしてまいりまして、できるだけ早く承認できるように全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
  7. 大石千八

    大石委員 関係六県の正式のそういう具体的な要請をまとめて可及的速やかに各省庁連絡をとって進めていくということでございますが、この新しい緊急整備事業促進していくということになりますと、当然各省庁の理解と積極的なこの事業推進する心構えが必要になってくるわけでございます。財政状況も非常に厳しいときでありますから、各省庁もどうもまた財政的に地震対策のために取られるということであるいは迷惑顔もされておるかもしれませんが、これはちょっとそういうことでは困るわけでありまして、本当でしたらぜひそれを各省庁特別枠を組んでやってもらいたいぐらいでございます。しかし、法的にそこまでやらなければならない、特別枠でやらなければならないということもございませんので、それを要求するということは無理かもしれませんが、そのくらいのつもりで補助金重点配分、優先配分してもらいたい、このように考えているわけでございます。  きょうはそんなわけで、特に、関係省庁は幾つかございますが、建設省文部省、農水省、消防庁運輸省、このあたりの、地震対策を進めていく上で非常に関係のある省庁担当課長さん等に来ていただいておりますが、それぞれ新たな一千億円をつけ加えた地震対策緊急整備事業を進めていく上で、そのような十分な心構えを持って事業を進めてくれるのかどうか伺っていきたいと思いますが、建設省、いかがですか。
  8. 帆足建八

    帆足説明員 お答えいたします。  地震対策緊急整備事業計画策定以来、事業推進につきましては格段の配慮を行ってまいったところでございますが、公共事業費全体の伸び悩みと地元との協議等に時間を要しました事業もございまして、当初の五カ年計画計画達成はできませんでした。しかしながら、建設省といたしましては、地震対策重要性及び緊急性にかんがみまして、現在策定中の新しい事業計画につきましてより一層事業推進を図ってまいりたい、このように考えております。
  9. 大石千八

    大石委員 建設省はいろいろ地震対策に絡んでの施設整備していくという項目がございますので、特によろしくお願いをしたいと思います。  次に、文部省でございますが、特に公立小中学校につきましては、全面的に老朽度の高いところは改築をしていく、あるいは補強をするということが、これは特別のかさ上げ補助金もこの地震対策特別立法の中でつくられているところでございまして、この小中学校建設改築、そして補強は極めて重要な意味を持っておりますし、また、ある意味では地元からも大変歓迎をされているわけでございます。これまでの進行状況も七四%、静岡県の場合は八〇%ぐらいいっておりますけれども、まずまず順調にきているとはいえ、恐らくこれから推進していくためにはなかなか難しい問題もあろうと思いますけれども、文部省の方に公立小中学校の問題、建設改築補強事業等中心として、これからの推進に関して承っておきたいと思います。
  10. 遠山耕平

    遠山説明員 お答え申し上げます。  公立小中学校建物に係ります地震対策緊急整備事業と申しますのは、地震財特法に基づき、構造上危険な公立小中学校校舎改築、それから耐震補強整備を行うものでございます。先ほど先生からお話がございましたように、全体の進捗状況は七四%でございます。しかし、静岡県につきましては、全体で八〇%という状況で、他府県に比べて進捗をしているわけでございます。  中身を見てみますと、特に改築につきましては、木造校舎改築は九七%、非木造につきましては六九%、こういうことでかなり進捗をしているわけでございますが、補強工事につきましては全体で五九%ということで、かなり改築に比べておくれているわけでございますが、その主な理由としましては、耐震補強工事といいますものが設計方法にかなり時間を要するわけでございます。と申しますのは、昔の設計図を引っ張り出してまた強度計算等を再計算するというようなこともございますし、それから補強工事は夏休みの期間中に集中的にやらなければなりませんので、そういう点で業者の確保が困難だというような点もあるわけでございますが、一番大きな問題は、補強工事によっては建物の使用上の機能の向上が図られない、いわば使い勝手が悪くなるという点で市町村希望が非常に少ないわけでございます。しかし、いわゆる補強に該当する校舎につきましても、補強ではどうしても建物機能が著しく低下するという場合でございますとか、それから補強工事では地盤関係でどうしても適当でないという場合には改築も認められておりますので、そのような方策によりまして地震財特法延長に伴う整備計画進捗をさらに進めるように市町村指導をしているわけでございまして、今後とも文部省としましては整備計画が早急に達成されるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
  11. 大石千八

    大石委員 今の話にありましたとおり、改築の方は非常に進捗度が高いけれども補強はなかなか進まないということでございます。これは当然のことでありまして、改築はいいものができるわけでありますが、補強は窓が小さくなったり暗くなったりというようなことで、地震が来なければ全くやる必要のないことでありますから、地震が来ないと仮定したらやることないことでありますから、希望がなかなかないのもある意味では当然だと思います。  それから、これまでは古い建物がどんどん改築されてまいりましたから、それで進捗度もかなり進んだと思いますが、残ったものは何らかの理由によってなかなか進まなかったというものが恐らく二割強残っているのだと思いますので、これまで順調に進んできたからといってこの公立小中学校改築補強が今までのペースで進むとはちょっと考えにくい。と申しますのは、今申し上げましたとおり、やりやすいものからどんどんやってきていますからそういうことが言えるのではないか。そういう意味で、これまでとはまた違った対策を考えていく必要があるのではないかというふうに思うわけです。  それと、今の答弁でもちょっと触れておりましたけれども、単なる老朽度調査だけで改築とか補強とかというのを決めるのではなくて、地盤の強弱によってもそれを改築するかあるいは補強にするかということの整合性を考えていかなければいかぬのではないかというふうに思います。特に具体的には藤枝市の西益津小学校は、補強をするということが要求されているわけでありますけれども、極めて地盤が弱いので、今までのような補強の仕方では、むしろ全体が重くなってしまって、もし建物が揺らいだ場合にはさらに被害が大きくなるのではないかという心配をしているようであります。いっそのこと土台からやり直す、つまり改築の方が望ましいのではないかというようなことを言っているわけでありまして、確かにいろいろ、先ほどの答弁のように、前向きに、どちらが適当か調査をしてやってくれるということでありますからその点は評価してまいりたいと思いますけれども、重ね重ねのようでありますが、今までとは違って、小中学校改築補強の場合は今までと同じような努力では今度はなかなか進まないと思いますので、特にその辺の前向きな姿勢というか具体的な取り組み方がありましたら、簡単で結構ですから、もう一言加えてもらいたいと思います。
  12. 遠山耕平

    遠山説明員 お答え申し上げます。  先生も言われましたように、補強対象となる建物につきましても、補強工事によりまして教育環境が著しく低下する、そういう建物でございますとか、あるいは地盤状況が悪くて補強工事によってはその目的を達成できない、そういうものにつきましては地震改築対象とするということで今後取り組んでいく予定でございますので、よろしくお願いします。
  13. 大石千八

    大石委員 ひとつよろしくお願い申し上げます。  それから、農林水産省でございますが、漁港あり、そしてまた林野の砂防工事あり、あるいはため池の崩壊防止あり、これまたなかなか広範囲に及んで農林水産省関係もいろいろたくさんございますけれども、農林水産省関係のこれまでの進捗度がやや低いといううらみもございます。これから農林水産省にもひとつハッパをかけて進捗を進めてもらいたいと思いますが、農林水産省の方からその辺の御決意をお伺いしたいと思います。
  14. 吉國隆

    吉國政府委員 農林水産省関係緊急整備事業といたしまして、お話のございましたような五種類のものがございます。事業種類によって進捗率について多少の差がございますが、全体として申し上げれば、御指摘ございましたように、まだ五十九年度までの五カ年間で全体の計画を完了しておらないという状況でございます。  こういった防災的な事業につきましては、先生御案内のとおり、全国それぞれの事情によって非常に要望が強いわけでございますが、これに対して予算制約等もございまして、また事業によっては個々の地区の事情等も若干あるようでございますが、必ずしも全体の計画を達成するに至っておらないわけでございます。私どもといたしましては、この地震対策の性格ということも考えまして、緊急を要します事業につきまして今後とも事業促進を図って、できるだけ早期に目的を達成するようにしたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 大石千八

    大石委員 五項目ほどありますので一つ一つ、特に進捗度の低いもののこれまでのいきさつ、そしてまた、これからの計画など聞いてみたいと思いますが、時間もありませんのでちょっと省略をいたします。  その中で問題として残っている具体的なものは、特に焼津漁港でございますが、廃船が全部で二十六隻。廃船といっても別に規定があるわけではございません。使わないで係船といいますか、つながれたままになっている船が二十六隻あるということでございます。一隻だけはいわゆる水産庁計画によって減船処分になっているところでありますが、そのほかのものはそういう処分対象になっていない。ただ、係船にして港に停泊しているということでございます。  焼津港も大分防潮堤整備が進んでおりますけれども、船の出入り口になっているところが、それをゲートで閉めるとさらに数百億円も予算を計上しなければならないという厄介な問題もありまして、大分整備は進んでいるとはいえ、まだそういう船の出入りするところがあいておりますので、大きな津波が来ますとやはりその係船が凶器となって第二次災害を起こす心配があるということでございます。これは持ち主がありますので、全部スクラップされてつながれているのでしたら処分のしやすい問題と思いますが、ちゃんと所有者がありまして、しかも、それを勝手に始末することはできない、商品価値もあるということでありますので、この問題はなかなか難しい問題だとは思いますが、まあ仕方がないで簡単に済まされる問題でもありませんので、水産庁、このことに関してどういうふうに考えておられるか、ひとつ伺ってみたいと思います。
  16. 三橋宏次

    ○三橋説明員 お答え申し上げます。  基本的に言いまして、津波、特に港内での停泊が危険と考えるような津波発生のおそれがあるという警戒宣言が出された場合には、船としては、先生承知のように、原則として港外に退避するようにするというのが望ましいわけでございます。  それで、焼津漁港におきましても、管理者であります静岡県は常日ごろ、利用漁船船主等に対しましてこのような緊急時の対応について注意を喚起しているところなんでございますけれども、今お話のございました長期係留船除去策として、警戒宣言等が出された場合に二次災害の防止のためにどうするかということでございますが、基本的にはその船を港外へ退避させるということが望ましいので、自力で動かせればそれで港外へ退避していただく。ただ動けないような場合には、他の船で曳航していくというような形があろうかと思います。  それで、そのほかにいろいろのやり方もあると思いますし、今先生おっしゃったように、船主がはっきりしている長期係留船でございますのでいろいろな問題もございますので、現在、県では総合的な対応策を検討中でございまして、水産庁としましても県と十分な連携を保ちつつ、できるだけ早急に効率的な対応策を検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  17. 大石千八

    大石委員 今、ほかの船が曳航していくというような形で沖へ避難するという話がありましたけれども、今までの訓練でそういうことは焼津市もやっておりませんし、果たしてそれが可能か、私は極めて疑問に思います。これはどうしても、今、頭の中で考えているだけではなくて、やはりこれから新たな対策を講じていくという姿勢が必要のように思われますので、今お話しのとおり、これからさらに本腰を入れてこの問題への対応をお考えいただきたいと思うわけであります。  それから次に、建設省に伺います。  特に避難地避難路、これがこれまでの五カ年におきまして進捗率が極めて悪いわけであります。避難地に関しましては、これまで全体では七七%ですが、静岡県が極端に悪くて三二・五%、これが避難地でございます。避難路の方は、これはもう六県全部悪くて三八%ということでございます。  これには用地買収とか、いろいろ財政的な措置だけでは難しいという理由もあろうと思いますが、避難地避難路も極めて重要な整備事業でございますので、その辺のこれまでおくれてきた理由と、それから、これからどう促進すればいいかといった点について伺っていきたいと思います。
  18. 勝浦康之

    ○勝浦説明員 避難地の分についてお答え申し上げたいと思います。避難路につきましては、後ほどまた担当課長の方からお話しさせていただきます。  まず、静岡県のおくれております理由でございますが、一つは、静岡県の避難地の必要性ということで事業量が非常に多うございまして、箇所数が多うございます。片や、一方公園事業の伸びが非常に厳しく抑制されておりまして、予算上の制約でもなかなか進捗しないというのが大きな問題かと思います。もう一方、やはり避難地というのは市街地の中でかなり大きな面積を買収いたしますので、家屋の移転あるいは用地買収等におきます地元調整に時間を要しております。これらにつきまして、鋭意県を通じまして指導申し上げているところでございます。  こういった今までの実績等から考えますと、これらの調整等がかなり進んでまいっておりますので、今後さらに事業進捗が図られるものと考えておりますが、私ども、避難地といいますのは、非常に重要な防災上の観点から今後重点的に進めてまいりたいと考えておるところでございまして、現在の公園事業の中でも非常に大きな重点の一つとして進めてまいる所存でございまして、今後さらに推進してまいりたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  19. 依田和夫

    ○依田説明員 避難路についてお答え申し上げます。  地震対策緊急整備事業として実施いたしております避難路でございますが、五十五年度より事業を鋭意進めてまいったところでございますが、避難路という性格上、これは既成市街地内で行う事業でございまして、対象となります地権者の数も多く、また代替地をお世話するというような問題も多々ございまして、調整に長時間が必要であったわけでございまして、このようなことで進捗が心ならずもおくれたわけでございます。  これからは、今まで積み上げてまいりました調整等の実績から進捗が上がるものと考えておりますけれども、また、期限延長の六十四年度までには避難路整備を完了すべく県並びに関係市を指導してまいりたいと考えております。
  20. 大石千八

    大石委員 そのようにひとつよろしくお願いしたいと思いますが、特に避難地に関しまして、具体的に焼津市の塩津公園を避難地として指定しているわけでございますが、ただ用地の買収が進みにくいとかということでなくて、予算さえつけば積極的に事業を進めたいという気持ちで区画整理事業と一緒にやろうという積極的な姿勢を見せているわけでございます。しかし、全体的なそういう計画の中での予算の枠がなかなか足りないために、やむを得ず用地国債などで土地の買収を始めているというようなことでありまして、私は、都市の中の区画整理事業も一緒に進めていくという積極的な姿勢が欲しいと思いますし、また、いろいろな事情によってその市がなかなか積極的でないというか、進めるに当たって障害があるという地域も確かにあると思いますが、積極的に区画整理事業も進めて町づくりをやろう、その中での避難地をしっかりしたものにしようというような地域に関しましては、さらにそれを積極的に援助してやるというか一緒に取り組むという姿勢が欲しいと思うわけであります。特に、今申し上げました焼津市の場合などはそういう積極的な姿勢があるわけでありますので、これからはそういった意を酌んで、都市づくりの中の避難地というような心構えでも積極的に取り組んでもらいたい、こういうふうに思います。  それから、最後になりますが、地震整備事業を進める傍ら、どうしても地震の予知というものがしっかり行われなければならないわけであります。特に、静岡県の調査によりますと、マグニチュード八の地震が、予想された駿河トラフ中心に起きた場合に、死者の数が一万九百人、それから負傷者が一万一千五百人、こういう想定がされているわけでございます。しかし、地震が予知できれば、死者、負傷者ともに一万人以上というのがゼロになる。予知ができるかできないか、この差は非常に大きい、こういう調査になっているわけでございます。それだけにこの地震の予知は、ほかの地震と違って、既に駿河トラフというものが地震の原因であると設定して予知をしているのはこの東海沖地震だけでありまして、ほかは予知対策がいろいろ進められておりますけれども、この駿河トラフというのは地震の巣窟であるという前提に立った予知が行われておりますので、東海沖地震だけはほかの地震とは違って間違いなく予知できるという前提でこの財特法もつくられているわけでありますから、これは非常に重要な問題でございます。  先ほど冒頭申し上げましたとおり、既に五十一年の秋にこの東海沖地震の起こる可能性が強いということが言われ始めまして、そのときから地震の測定、ひずみ計とか地震計とか、そのほか全部で九種類ぐらいありましたか、百四十八カ所設定をされておるわけでございますが、もう既に九年近くもたっているものもございまして、機材などの見直しも必要ではないかと思いますので、そういった点も含めて気象庁に、地震予知の整備の万全を期しておられるかどうか、その辺を確認しておきたいと思います。
  21. 津村建四朗

    ○津村説明員 気象庁は、東海地震の短期直前予知のために、ただいま先生から御指摘のとおり、地震計、海底地震計、体積ひずみ計に加えまして、関係機関の協力を得まして傾斜計、水位計等、各種観測データを気象庁にテレメーターで集中いたしまして二十四時間体制で常時監視を行っております。気象庁で観測しておりますこれらの機器には整備後十年程度経過したものも若干ございますが、現在、観測は支障なく行われております。今後とも機器の点検、保守に努めるなど、観測には万全を期してまいりたいと考えております。  なお、新たに昭和六十年度から二カ年計画地震活動等総合監視システムというものを整備いたしておりまして、これにより気象庁に集中されております各種観測データを迅速かつ総合的に処理し、この地域の監視強化を一層図ることにいたしております。
  22. 大石千八

    大石委員 私も静岡県内各地を回ってまいりまして、改めて五年間の財特法延長に対しての、私、自民党の地震対策特別委員長という立場からもしっかりやってもらいたいということで、状況も視察をし、そして、きょうの質問時間を地震対策のみに充ててきたわけでございますが、静岡県を初めとする六県にとりましては、極めてお金もかけてもらっているところでございますし、ぜひこれは万一の、万一というよりも、起こることが非常に有力だと言われておりますから、そういった設定に立った地震に備えるためにとにかくこれからもしっかり対策を立てなければいけない。スタートしたときには、地震がいつ起こるかわからないということで大分大騒ぎになったというか、これは備えなければという機運が強かったわけでありますが、あれからもう既に十年近くたちますので、ある意味では備えに対しての認識がとかく薄れがちなところもあるわけであります。しかし、これは実態としては可能性がなくなったわけではない、ますます可能性が高まってきていると言っていいわけです、年数も百三十一年経過をしたわけですから。  そういった意味でひとつ万全を期していただきたいということでお願いを申し上げてきたわけでございますが、最後に、大臣のこの辺のことを踏まえた御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  23. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 先生御指摘の地震対策でございますが、東海地震発生した場合の被害をできるだけ小さいものにするというための地震対策緊急整備事業でございますが、このことは、私といたしましては、関係省庁とよく連絡を密にして、事業種類によりまして五年と言わず、五年よりも四年、四年よりも三年、できるだけ早く実施するという決意で頑張っていきたいという考えでございます。
  24. 大石千八

    大石委員 終わります。どうもありがとうございました。
  25. 中村茂

    中村委員長 次に、松前仰君。
  26. 松前仰

    ○松前委員 地震財特法延長ということで、これからこの整備に向けて頑張っていただくということについては今、国土庁長官の御決意もあったわけでございますが、私どもは今までの五年間のこの経緯というものを、どこまで進んでいるかということについてチェックいたしまして視察をさせていただきました。特に進捗状況の悪いところについて視察をさせてもらったわけでございますけれども、視察した結果によると、いろいろな問題点がある。その点について例として私は御質問させていただきたいと思います。例ということでありますので、視察以外のところについてもやはり十分な対策はとられなければいけないという立場で質問をさせていただきたいと思う次第でございます。  まず最初に、避難路避難地事業、これについていろいろ今の質問でお答えになっておるわけでございますけれども、おくれた原因というのがどうもまだ本当のところがよくわかっていらっしゃらないんじゃないだろうか、そういうふうに思います。今まで御説明いただいたところの集約、これをちょっとしていただきたい。どういう点がおくれたところか。建設省にお願いいたします。
  27. 依田和夫

    ○依田説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、避難路事業計画に比較いたしましておくれたわけでございますけれども、避難路の性格上、既成市街地内ということでございまして、対象地権者も非常に多い、また商業地等の場合の代替地をお世話できるかどうかという問題、あるいは用地補償費等の折衝ということで地元調整に非常に長期間を要したところでございまして、これらが時には単一に、時には複合してまいりまして、進捗がおくれたということでございます。
  28. 松前仰

    ○松前委員 今のお答えでは代替地の問題だけでございますが、そのほかに気がついたところ、ありませんか。
  29. 依田和夫

    ○依田説明員 私どもで掌握しております理由といたしましては、先ほど御説明申し上げた範囲でございましたが。
  30. 松前仰

    ○松前委員 やっている側としてそのぐらいの認識では、私は大変に心配であると思います。都市計画の一般事業と全く同じにしてやっておりますから、これは特別にそれだけに集中してやるということになっておらない。これがまず第一点。第二点は、先ほど話のあったかわりの土地を見つけるということが大変である。かわりの土地を見つけるのは県が努力をしていると言っているけれども、これはやはり国の補助体制というものが確立されておらない。もう一つは、これは神奈川県でありますが、文化財の保護が優先されておる。こういう格好になっておるのですね。地震というのはいつ起こるかわからぬのですよ。ですから、これについてはとにかく特別枠を設けてでもやってほしいと思いますが、その辺御決意を承りたいと思いますが。
  31. 依田和夫

    ○依田説明員 今後の事業の進め方に対する構えでございますけれども、私どもといたしましてこれまで調整を重ねてきておりますので、今後の五カ年間につきましては実績がかなり進捗できる、予定の年限までには整備が完成できるように県、市を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 松前仰

    ○松前委員 先ほど、なるべく予算前倒しにして早くやるということでお話ありましたのですけれども、今の話では、五年間だから五年でやればいいじゃないか、こういう感じである。これではやはり大変問題があると思います。今まで五年間の経緯があって、それで進捗率が非常に低い、これは何とかしなければいけないですよ。これをぜひともやっていただきたい。  国土庁長官にお聞きいたしますが、東京オリンピック、万博、こういうものは期限がぴしっと決まれば全部できているじゃありませんか。もっと早くやる、三年なら三年でやりたいということになれば、それでもってきちっとできる方法だってあるわけですから、その辺について国土庁長官の御意見をいただきたいと思います。
  33. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 お答えいたします。  先生御指摘の、オリンピックとかああいうのは期限どおりきちっとやる、全くそのとおりでございますので、何年ということは申し上げられませんが、五年よりも四年、四年よりも三年がベターだということだけは認識しておりますし、各省庁連絡を密にして緊急に対策を講じていきたいという考えでございます。
  34. 松前仰

    ○松前委員 ほかの例がそういうことでありますから、ここだってできないことはないのですから、ぜひともそれを実行していただきたいと思います。  それから、津波の問題ですが、神奈川県で津波対策がないのはなぜか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  35. 杉岡浩

    杉岡政府委員 東海地震によりましていろいろな被害が生ずるわけでございますが、それにつきましては地震防災対策強化地域を決める委員会を中央防災会議につくりまして、そこで各専門の先生方に御検討をいただいたわけでございます。  それで、駿河湾を震源といたします地震、いわゆる東海地震でございますが、この場合は伊豆半島の南部から西の方、駿河湾の内部、この地域が大津波があるということでございます。すなわち、伊豆半島から以東につきましては東海地震による津波というのは大津波ではないという判断があったわけでございます。  しかし、これは東海地震でございますので、そういったことで緊急整備事業計画には入っておりませんが、神奈川県におきましても当然、過去の関東の大地震、こういったものがあるわけでございます。そういった観点から、一般的な津波対策あるいは高潮対策ということでその整備を進めてきておりますし、それからまた津波に対する訓練、これも県あるいは関係市町村の段階におきまして、その津波に対する訓練を、九月一日の防災の日等を通じまして十分それを進めておる段階でございます。
  36. 松前仰

    ○松前委員 今、駿河湾の地震を想定して、予算について見ますと、静岡県が全部、一〇〇%という格好で、神奈川県についてはゼロでございます。それは震源地を想定してやったからそういうことになったと思うのですけれども、しかし、神奈川県の住民は大変な不安を感じております。どこに行っても津波に対して知識が全くない、知らされていないということでございます。そういう少ないということなら少ないということぐらい教えたっていいじゃないかと私は思いますけれども、そういう点が大変にPR不足であると思います。  今、小さな津波しか行かないだろう、こういう話でありますけれども、日本海中部地震を見ていただきたいと思います。あれは高潮に相当するくらいの津波、余り大きくないです。それなのにあれだけの被害が起こっている。こういう点が非常に不足していると私は思うのですけれども、その辺はどうお考えになりますか。
  37. 杉岡浩

    杉岡政府委員 地震対策緊急整備事業計画の中には、いわゆる東海地震を前提といたしました津波対策ということで静岡県をその対象にした計画になっておるわけでございます。すなわち、神奈川県につきましては、その分は計画に入っておりません。しかし、過去に関東大地震等があったわけでございまして、神奈川県におきましても当然この関東大地震の痕跡を十分把握しながら必要な海岸堤防を高潮対策事業として現在鋭意進めておるところでございます。  それから、津波につきましての訓練でございますが、周知徹底は神奈川県は非常に進んでおります。日本海中部地震の経験を生かしまして津波対策につきまして訓練をいたしておりますし、我々といたしましても、九月一日の総合防災訓練には東海地域あるいは関東地域の海岸に接する市町村につきまして津波に対する知識を普及し、また訓練を十分にするように指導し、またその関係市町村におきましてもそういった訓練を進めておるところでございます。
  38. 松前仰

    ○松前委員 訓練を進めておられるということで大変結構だと思うのですけれども、神奈川県あたりになりますと、一番問題になるのは、そこに住んでいる人以外の人、海水浴に来た人、釣り人、こういう人たちが全然知識がなくて、地震が起こってもその警報が一体何だかわからぬという状況で来てさらわれていくという例、これは日本海中部地震の例がまさにそのとおりなのです。こういうことに対する対策がどうしても必要である、誘導するのにどうしたらいいだろうか、地元は大変に悩んでおります。この辺十分地元の人と話し合って対策を立てていただきたい、そういうふうに思います。  時間がありませんので次に進みますが、船の問題、先ほど焼津漁港廃船の問題が出ました。しかしながら、これは焼津に限ったことではない。この辺についてそういう問題があるところを全部把握しておられますか。これは海岸担当の幹事省の方からお答えいただきたいと思います。
  39. 小池公隆

    ○小池説明員 港湾局の管理課長でございます。  焼津港は漁港でございますが、私どもはそのほかの一般港湾というものを所管しているわけでございます。  先ほど大石先生の御質問に水産庁の方からお答え申し上げましたが、大体ああいうことかと思います。廃船の問題につきましては、確かに安全対策上の問題があろうかと思います。ただ、それ以上に廃船につきましては港湾の管理運営上も問題がございまして、港湾管理者といたしましては常日ごろからこの対策について心を砕いているわけでございます。そして、所有者の判明しております船舶につきましては所有者に適切な処理を求めるとか、あるいは所有者の判明していないものにつきましては、警察あるいは海上保安庁といったところの協力を求めまして所有者を探し、なお不明なものにつきましては港湾管理者処分する、こういう手続をとっているわけでございます。  昨日も私どもの関係します清水港につきまして調査をしてもらったわけでございますが、清水港には港湾管理者として、ちょっと見当たらない、こういうようなことでございますが、なお関係の港湾につきまして十分調査をし、そしてまた港湾管理者あるいは海上保安庁といったところとも密接な連絡をとりまして対策に努めてまいりたい、このように考えております。
  40. 松前仰

    ○松前委員 私が質問するということでもって恐らく調べられたと思うのですけれども、そんな状態じゃ廃船の問題を処理することは全くできませんよ。これは焼津で先ほど話がありましたような大変な問題なんです。焼津の場合にはたしか所有者がいるはずです。だれも所有者がいない船なんて、ほっぽらかすばかはいないと思います。所有者がおって、廃船という言葉が悪いので、廃船ではないはずなんです。そこから引き取って、そうして沈めるにしても相当なお金がかかる。一トン三万円ですか、そのくらい平均してかかるという話であります。これをどうしようもないからほったらかすということでは、これは大変な二次災害を起こすわけですから、この辺については国の方として何とか金を借りてでも処理できるような方向をとっていただきたい。  この辺について総括しておる国土庁の方からその辺の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 杉岡浩

    杉岡政府委員 ただいま運輸省あるいは水産庁等からこれについて御答弁があったわけでございます。新しく補助金の制度を開くというのは非常に難しい問題があるわけでございます。我々といたしましても、この問題につきまして関係省庁等ともいろいろと連絡をとりながら進めてまいりますが、そういう個人的なものにつきまして、あるいはいろいろな面で新しい補助金の制度というのはいろいろと難しい問題があるかと思いますけれども、関係省庁の御意向も十分聞いてまいりたいというように考えております。
  42. 松前仰

    ○松前委員 新しい補助金が難しいという問題は確かにあるかもしれません。しかし、これは五年間やってきて、そして、そこでもう一度点検してみるといろいろな問題点が出るというので各県が新しい予算をつけてきておるのですが、それでもまだ点検してみるとこれは大変だというところが残っているわけですから、その辺については難しいところを何とか克服するということで関係省庁の皆さん、ぜひ御努力をいただきたい、そういうふうに思います。  もう一つ津波について申し上げますが、先ほど焼津の陸閘の話が出ました。津波が来れば閉じてしまうという問題がある。それを防ぐということで、陸閘という名前になっておりますが、その話が出たわけでありますけれども、この陸閘について調べてみても、これは津波が来たときに緊急にそれを閉じて保護するという格好にはなっておらない、そんなように思うわけであります。二分五十秒ぐらいで閉まるということでありますけれども、あそこは駿河湾の特徴でありまして津波は非常に速いスピードで来ます。深いですから、津波の速さは深さに関係するから物すごく速い。五分で来てしまう。五分で来る津波に二分五十秒で閉めるということで、人が飛んできて、閉めるよと言ってボタンを押したりなんかしたら、大変おくれてしまうわけであります。これはもう全く意味がなくなるということになりますから、こういうところを何とか効果があるような方向にしてもらいたい。例えばあそこを何かやって自動的に閉めちゃうと人が通っているときにつぶれるとかいう話があったのですけれども、何であそこで警報を鳴らさないのか、プーっと音でも出せば逃げるじゃないですか。そんなことも全然やってない。ただ金をつぎ込んでつくったではだめだと私は思うのです。  この辺について、ほかのところもたくさんこういうのがあるのでありますが、一つの例として焼津関係について農水省の方からちょっと御意見を伺いたい。
  43. 三橋宏次

    ○三橋説明員 ただいま先生からお話がありました陸間の問題でございますけれども、これは全国に数多くありまして、焼津の場合を先生ごらんいただいたわけでございます。  お話しのように、自動的にやるもの、手動的にやるもの、いろいろございまして、関係者としましてはかなりいろいろと考えてやっているつもりでございますけれども、先生の御指摘のように、時間的な問題あるいは安全性とか周辺の状況に対する配慮の問題等、今後さらに検討していかなければいけない問題が多々あると思いますので、今後そういう問題につきまして海岸管理者等にも十分指導をし、検討をしていき、なお一層安全性を高めるような努力をしてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  44. 松前仰

    ○松前委員 これは金をつぎ込んでただつくっただけでこれで大丈夫だと住民に言っても、住民の方は信用しないのは当たり前だ。私らが見たってすぐわかる。だから、総点検というのをやはりやらなければいけないですね。国土庁防災局なんてせっかくできたのに金の配分ばかりやっているようじゃいかぬのです。それが確かにうまくいっているかということの総点検をやってもらわなければやはり困ると思うのです。  それはまた後にしまして、もう一つ津波関係では清水の折戸湾、ここに材木がたくさん浮いております。これは市の方から大変な問題であるということで盛んに圧力をかけて一応防波堤ができることになりましたけれども、防潮堤というのですか、それについては私が見た限りでは、ある程度は効果はあるが、非常に広い開口部があってこういうところからの津波という問題があります。この辺についてもやはり十分に検討をして、シミュレーションした結果がどうだという話であるようでございますけれども、大丈夫だという結論が出たということでありますが、そこのところは私はまだちょっと信用しておらないので、こういう点も総点検の中に含めていただきたいと思います。時間がないのでお答えは結構でございます。  次に移らせてもらいますが、消防庁の方にお伺いいたします。  同報無線はいろいろなところにたくさんつくってございます。ただ問題は、屋外で鳴らすものですから、南とか台風とかいう場合には大丈夫でしょうか、その辺をお答えいただきたい。
  45. 島崎実

    ○島崎説明員 市町村の防災無線の同報無線の受信設備でございますが、これは現在屋外に設置した拡声スピーカーによる屋外拡声受信機が主体となっております。それで、この施設は屋外におります住民に対しては非常に広範囲に伝達し得るものでございますけれども、今御指摘のように、台風とか豪雨のときには窓を閉ざした家の中におりますと声が聞き取りにくい、そういう問題が確かにあるわけでございます。その意味で、消防庁といたしましては屋内で受信する設備、戸別受信機と言っておりますけれども、これも助成の対象ということにして、その普及を図っているところでございます。
  46. 松前仰

    ○松前委員 これについてもう一つ、夜になるとちょっと問題があるように思ったのは、公共施設のところにこれが設置されているものが多いですね。公共施設だと夜間人がいなくなる、そうすると電源が切られる可能性だってある。そういう点で、この同報無線自体が有効に使われない場合があるのではないか。ある程度電池を設置して自動切りかえをやっているというようなことも伺っておりますけれども、こういうものはどんな場合でも常に火が入っていなければ全く意味がないのです。同報無線もほぼ完成したという話でありますけれども、これもやはり総点検をして、常に有効に生きるようにもう一度点検をして考えていただきたい、そんなように私は強く希望いたすわけでございます。  次に、学校の補強改築、この問題については先ほど質問があって答弁があったわけでありますが、これだけではどうも不十分であるように私は思います。  さっきの答え以外に、学校補強改築、この辺について問題となるものは何か、文部省の人にその辺の問題を把握しているかどうか聞きたいと思います。
  47. 遠山耕平

    遠山説明員 学校の校舎につきまして補強工事を行うことによりまして問題となる点ということでございますが、廊下の窓あるいは教室側の窓の大きさが減少するというようなことによりまして採光の面あるいは風通しの面というようなことでいろいろ教育機能上の低下を来すという例が若干見られるわけでございますが、私どもとしましては、できるだけ設計あるいは工事の面で工夫をしていただいてそのような教育上の機能が低下しないようにいろいろやっていただきたいとお願いをしているわけでございます。例えば、ただそういう補強工事をやるだけではなくて一緒に内装の改善と申しますか、天井ですとかあるいは床あるいは壁等を明るい色に塗りかえていただく、それから照明器具をより多く設置するとか、そのようなことを一緒にやっていただいて、できるだけ教育機能が低下しないように建物補強を行っていただきたい、このように考えているわけでございます。
  48. 松前仰

    ○松前委員 時間がございませんので私の方から申し上げますけれども、そういう問題も確かにあります。そのほかにもたくさん問題がある。  その一つを言いますと、例えば改築をやる、改築したいのは当たり前でございますが、この場合にほかのプレハブをつくらなければいかぬのですね。プレハブをつくってそこで授業をしなければいかぬ。そうすると、プレハブには国の補助金は出ないのですよ。だから、これは改築しにくくなってしまっている、こういうようなことでおくれが出てくるということなんです。おくれの原因は、いろいろと官僚的な制約というものが多くておくれているというのが現実ではないかと私は見ました。  公園、避難路避難地は都市計画の一般の事業と全く同じにして特別枠にしない。最初にお話ししましたように、東京オリンピックとか科学万博、こういうものはきちっと期限を決めてしまえばそこまでに全部できてしまう。これよりもこの問題の方が大事なんです。こういう科学万博、オリンピックよりも、人命にかかわるのですから、こっちの方をずっと優先しなければいかぬものですから、そういうことをしっかり頭の中に入れてこれから完成に向けてどんどんやっていただきたい、そういうふうに思います。  それからもう一つ。国土庁としては防災局というものがせっかくできて、総点検はやはりしてもらわなければ困る。全体的に、各省庁がそれぞれずっといろいろな担当でやっておる。同じものをやるにしても各省庁は違うやり方をやっておるということもあるし、また有機的な結合というものがその中で図られていると私には必ずしも見受けられなかった。これではトータルの防災ということを考えた上で抜けがたくさんあるのではないか、そういうふうに思うわけです。ぜひ国土庁としては今までやってきたところをトータルで見直して、これから前進を続けていただきたい、そういうふうに強く要望するわけでございます。  国土庁長官にその辺の御決意を最後にお願いしたいと思います。
  49. 杉岡浩

    杉岡政府委員 国土庁といたしましては、東海地震に備えまして、大規模地震対策特別措置法によりまして各種の計画をつくっておるわけでございます。  まず、国におきましては基本計画をつくりまして、その基本計画に基づきましてそれぞれの省庁の防災業務計画あるいは公共団体における地域防災計画、これをそれぞれ東海地震対策のためにつくっておるわけでございます。また、民間におきましても地震防災の応急計画ということで、関係の企業等についてもそれぞれつくらせておるわけでございます。  そういったように、計画整合性を保ちながらそれぞれつくっておるわけでございまして、こういった計画につきましてまだまだ不備な点がございます、やはりそれぞれ公共団体等からの話も聞きながら徐々にこういったものの点検をしていくということも必要であろうかと考えております。  我々といたしましては、九月一日、静岡県あるいは関東、こういったところを中心にいたしまして相当大規模な防災総合訓練をいたしておるわけでございます。この訓練を通しましてさらにいろいろな問題点が出てくればそれを毎年改定するというようなことで、この東海地震対策についてこれを進めていくという格好でやっておるわけでございます。
  50. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 御指摘の各省庁との連絡でございますが、有機的に防災対策が講ぜられるよう頑張って連絡を密にしてやっていく決意でございます。
  51. 松前仰

    ○松前委員 これで終わります。
  52. 中村茂

    中村委員長 次に、村山喜一君。
  53. 村山喜一

    村山(喜)委員 質問に入る前に、委員長並びに政府委員関係並びに委員の皆さん方に、現地の写真を持ってまいりましたのでぜひ見ていただきたいと思いますので、そのような措置をとらせていただきたいことをお願いいたしたいと思います。
  54. 中村茂

    中村委員長 結構です。
  55. 村山喜一

    村山(喜)委員 私がこれから質問をいたします問題は、鹿児島県菱刈町湯之尾地区における地盤沈下及びこれに関連をする問題でございます。  私は、そういう状況が出ましてから四回ほど現地に調査に参りました。最後の日は今月の十九日に現地に参ったのでございます。また、大変な問題であるということで、社会党の県議団八名ほど泊まり込みで参加をいたしまして現地の調査にも当たりました。そこで、そういうものを踏まえながら関係の各責任者にいろいろとただしてまいりたいと考えております。  まず、昨年の八月二十五日から二十六日に北薩地区におきまして集中豪雨がございました。二十五、六日にかけまして、川内川工事事務所は、洪水対策といたしまして湯之尾の可動ぜきを開放いたしました。その結果、左岸の白滝観光ホテル前、秀泉閣旅館付近の護岸が部分決壊をいたしました。秀泉閣周辺の地盤が陥没する、そして沈下いたしてまいりました。現在は左岸の方は二メートル十七センチぐらいだと思いますが、沈下いたしております。左岸の五戸は、ちょうど二日ぐらい前から町の手によりまして解体作業が始まりまして、撤去中でございます。ところが、九月には右岸の方の国道二百六十八号線に沿いましてひび割れが発生いたしまして、現在の時点では護岸で低いところが一メートル十センチ、道路が七十四センチほど沈下いたしております。この十五日間に三センチほど沈下を続けておりますので、現在進行中であると見ているわけでございますが、これに対します事実関係の認識を建設省はどういうふうにされておりますか。
  56. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えをいたします。  ただいま沈下量等、先生が数字的におっしゃいましたことは、私ども、そのような事実があるということで認識をいたしております。
  57. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、昨年十月八日に左岸の住民六名が、湯之尾の可動ぜきの操作ミスではないかということで被害補償要求、関係者被害者同盟というものが結成されまして、被害救済の運動が展開されました。今日なおその被害救済の運動は続いておりますが、名前が変わりまして対策協議会ということで住民は関係者をもっていろいろと運動いたしているところでございます。  そこで、私は湯之尾可動ぜきの問題について建設省にただしたいと思いますが、これは温泉街を洪水から守るためにつくられたものでございまして、ここに五十七年三月の概要書を持っておりますが、五十八年六月からたしか稼働を始めたと思います。  そこで、お尋ねいたしたいのは、操作規則はあるのでしょうか、この点でございます。
  58. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えをいたします。  湯之尾の可動ぜきと申しますものは、あれと将来行われます湯之尾温泉を避けます捷水路、ショートカット、これが一組になりましてあの地区の河川改修計画が完成するわけでございますので、せきそのものはできましたのですが、河道全体でとらえますと改修途上ということでございますので、現在工事中の操作規則案を手元に持ちまして操作をいたしております。
  59. 村山喜一

    村山(喜)委員 今お話がありましたように、これは護岸が完工しておりません。それから、床とめ工も災害発生をいたしましたときにはなかったわけでございます。ショートカットのバイパスも計画だけはございますが、これまた進んでおりません。ない場合は案でやっているとおっしゃいました。戦後最高の流量というのは湯之尾の滝てたしか一秒当たり千六百トン、ところが可動ぜきの毎秒の計画は二千七百トンというふうに聞いているわけでございますが、その差が千百トンある。  そこで、住民の人たちが菱刈の出張所長のところに参りましてどういう規定に基づいて放出をされたのですかと聞いてみましたら、いや、これは規則によってやっているので問題はありませんということでございました。今、萩原治水課長お話では、これは案でやっているんだ、こういうことでございますが、そうなりますると、この案の段階ではそういうような通報等はどういうふうにやられているものなのでありましょうか。  それと同時に、これから集中豪雨の時期を迎えて、大変地盤沈下が続いている中で、県と町と川内川工事事務所は、警戒水位が二メートル余になったときには放流をするようになっていたわけでございますが、これを五十センチほど下げて一メートル五十センチのところで放出をする、こういうふうにその案を変えられたということでございますが、そこら辺はどういうふうになっているのでしょうか、説明願います。
  60. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えをいたします。  私どもが承知しております限りでは、昨年の出水の前後を通じましてせきの操作方法を変えるというようなことは考えておりません。したがいまして、せきの操作を開始いたします水位等について特段の変更をするようなことは聞き及んでおりません。ただ、御指摘のように、町の中の護岸が実際に沈んでおりますので、町と共同いたしまして、いろいろこの新しい出水期に対しまして災害対策の配備計画というものを町が立てておるわけでございますが、その中で従来いろいろ町が出水のための準備を始め出します水位とかあるいは警戒を始め出します水位とかいいますものを、御指摘のように、ことしに限って相当程度下げておるということは聞いております。これは多分実際に護岸が下がっているという現実を町当局が考えましていろいろおくれることのない災害対応ができるようにそのような措置をとったように聞いておりますし、私どもも町はそうするという相談を受けておりますので、その町の対応にそごのないような対応を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  61. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、この湯之尾ぜきの構造についてちょっと内容的に質問をいたします。  この図面の中にもございます。非常に見にくい、小さく印刷がしてございますが、正面図を見てみますると、ここには支柱が四つございますが、このナンバー一の支柱、これは二十一メートル九十五センチの下の方に安山岩がございますが、そこまで達していない状態で工事が完了いたしておる。そこで、これは一体どういうことであろうか。N値も一〇以下の大変弱いところでございます。そこで、これは設計ミスではないだろうかという声が住民の中に出ております。というのは、こういうような河川の放出、稼働によりまして洗掘が始まり、大規模な渦巻き現象がこのナンバー一の支柱の下の方で生まれたのじゃないだろうか、そこからシラスの大量流出があったのではないだろうか、こういうことが指摘をされているわけでございますが、設計ミスではないのかどうか、この点についての説明を願いたいと思います。  同時に、この操作によりまして堤防が決壊をし、沈下が始まったということから、いわゆる吸い出し現象によりまして土砂が流出をしていって堤防が壊れたのではないだろうかということも言われておりますが、これに対する技術的な説明を願いたいと思います。
  62. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えをいたします。  まず、湯之尾ぜきの一号のせき柱の基礎の問題でございますが、おっしゃいますように、ごく一部分に安山岩の基岩が深くなっているところはございましたが、全体の基盤といたしましては安山岩に岩着をさしておるわけでございまして、そのごく一部深いところにつきましては、俗にデンタルワーク工法と言っておりますが、コンクリートの床板をせき柱の下に設けまして、両側の健康な岩盤にその応力を伝えるような措置をいたしまして施工しているわけでございます。したがいまして、御心配のような設計ミスであるとか施工が不十分であるとか、そういうことは全くございません。  また、いろいろ類推されますお話として、そういう施工不良があったためにそのせき柱の下で欠けたとか渦が巻いて掘れたとかいうことがあるのではないかという御指摘でございますが、このせき柱の上流測に向かいましてコンクリートの床板が二十メートルの長さにわたって施工されております。さらに、その上流に三十メートルにわたってコンクリートブロックが置いてございます。これを俗に護床工と申しておりますが、それも出水後何ら変状を来しておりませんので、いろいろ一部においてお話が出ましたような事実は全くなかったと私ども考えております。  それから、湯之尾の温泉街におきまして左岸の方で一部護岸の決壊がございました。これは八百トンという大きな出水でございましたので、いろいろ壊れたと思いますが、それが問題になっております地盤沈下と余りかかわりがないのではないかということは、いろいろ調査委員会の中間報告等を読みましてもそのような形で議論が推移しておるのではないかというふうに読み取れますので、私ども、そう考えております。
  63. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、今、課長の方から話がありました湯之尾地区地盤沈下調査検討委員会、これが五十九年十一月十二日に発足をいたしまして今日に至るまで三回の会合が持たれ、なおワーキンググループが二回ほど開かれて、三月二十六日に中間報告が出されました。これは内容的には難しい専門用語がずらりと並べてありまして、素因と誘因、それから地盤機構の問題に触れておりますが、要約いたしますると、要は、沈下の原因は軟弱地盤の圧密沈下である、そして二番目に空洞陥没である、こういうふうに結論を出しているわけでございまして、なぜそうなったのかということについては触れられていない。  そこで、住民の方も関係者の方もこれは不満だということから、私たちも現地調査に生起忠先生を伴いまして調査に当たりました。本答申の中で、今月の末には出るということでございますが、期待ができるかどうかということになりますると、大変難しい問題があるようでございます。  そこで、圧密沈下の状況や空洞の原因のパイピングの問題等につきましては時間の関係で省略をいたしますが、鉱山開発の現状は一体どういうふうになっているんだろうか。これは湯脈、温泉脈があることはボーリングの段階でわかっていたのではないか。湯量はどういうふうになっておるのか、その利用についてはどのようなふうになっているのかということを説明を願いたいと思うのですが、鉱業法の二十二条、「鉱床説明書」の第二項に規定をされておりますのは、「予想される鉱害の範囲及び態様について記述しなければならない。」そしてまた三十五条、鉱山保安法の二十四条の規定もございます。それから、鉱業法の第六十三条の、採掘権者が事業着手前の段階で施業案をつくって通産局長の認可を受けるということに相なっておりまして、その施業案の様式が施行規則の二十七条で決まっておりますが、それを見てみますると、どうも温泉法との関連というものが十分に取り上げられていないのじゃないだろうか。温泉法の第十一条では知事は必要な措置を命ずる権限がありますが、今日までそれを発動した事例は一件もないようでございまして、そしてなお鉱業権者がそういうような鉱害を起こした場合には、鉱業法第百九条によりまして賠償の義務を負わなければならないということも規定をされておる。  そこで、私は「環境影響評価の実施について」という五十九年八月二十八日の閣議決定を見てみましたが、「実施要綱」の十二の対象にはなっていない。しかしながら、推進会議のメンバーには通産省の立地公害局長も入っております。  そういうようなことから、この鉱業法という法律は大変古い法律でございますので、そういうアセスの段階における手だてが十分でなかった嫌いがあるのではないだろうかということを考えるわけでございますが、それについては鉱山課長はどういう見解をお持ちであるのか。  また、このアセスの問題につきましての結論はいずれにいたしましても出るということを考えますると、大変な事態でございますので、鉱山の問題についても近ごろの新しい考え方を導入をする必要があるのじゃないだろうかという気がいたしますが、これについてはどのようなお考えをお持ちであるのか、そこら辺をお尋ねいたしたいと思います。
  64. 久賀俊正

    ○久賀説明員 お答えいたします。  住友金属鉱山は、この菱刈鉱山の開発に先立ちまして、温泉水位の低下とかあるいは温泉水の減少等につきましても独自のアセスメントを一応はやったわけでございまして、我々もその内容は聞いておりますけれども、特段の影響はないのではないかという当時の結論であったわけでございます。  また、先生御指摘のように、通産省としては、閣議決定にもあるような例の環境影響調査というふうなものの対象にして十分な事前評価をしてはどうかという御指摘でございますけれども、御承知のように、先ほど御指摘になりましたように、鉱業法第六十三条によりまして、施業案の審査段階にあって通商産業局長は鉱山保安監督局部長に鉱害防止、危害防止についての協議をすることになっておるわけでございまして、本件につきましても福岡通商産業局長から福岡鉱山保安監督局長に施業案審査の段階での協議がございまして、施業案中「操業上の危害予防に関する事項」というのがございますが、そこにいろいろな周辺の鉱害に対する配慮等も書くことになっておりまして、十分の検討をしたつもりでございます。その結果は、当時の知見に照らしまして問題がないものという結論を得て認可を行った次第でございます。  ただ、湯之尾地区で地盤沈下により被害者の方が出ていらっしゃるという現実は十分承知しておりますし、先生御指摘のように、閣議決定による環境影響評価の実施に基づく環境アセスメントをやってはどうかということでございますけれども、施業案の認可の段階で、一般的には水質汚濁とか鉱煙による大気汚染、あるいはそのほか地盤沈下等につきましても皆記載をすることになってございまして、厳重な審査を行っておるわけでございます。  そういうことで、今回の現象も踏まえまして、先生の御指摘も踏まえて、今貴重な経験をいたしたわけでございますので、施業案審査をより厳格にしていくことによって対応をいたしたいというふうに考えております。
  65. 村山喜一

    村山(喜)委員 メタル系の非鉄金属の鉱山で温泉がとまった例はございますが、地盤沈下につながるような問題の例は、調べてみましたけれども、今までないようでございます。そういうようなことから今お話しがあったような話になってきているのだと思います。しかしながら、施行規則の二十七条によります施業案の様式第二十を見てみましても十分でございません。今後の課題として研究をお願いしておきたいと思います。  そこで、時間の関係がございますので、次に、この菱刈町は三千万円余りの予算を組みまして、ボーリングによる地質調査を二十二カ所、一生懸命やってまいりました。なお、五十九年度に八千七百八十四万円関連の金を出して努力をしているわけです。本年度も千九百七十六万円金を出しまして、トータルで一億七百六十万円の金を出している。しかも、これは予算規模においては三十億円ぐらいの小さな町でございます。  そして、現在撤去中の五戸が移転をするためのプレハブ住宅を建設中であります。なお、護岸の地盤沈下が進行中のところの家屋も大変危険な状態にありますので、十一世帯分の建設をやっている。十六世帯のプレハブ住宅の用意をしておるところでございます。  そこで、建設省は、これは豪雨対策で左岸の堤防のかさ上げ約一千万円、それから右岸の護岸の根固め、テトラポットを投入いたしまして四千万円、これは応急対策としておやりをいただいているようなわけでございますが、国道二百六十八号線は今でも水俣に通ずる主要な道路でございまして、私は二百六十八号線のあたりを調査してみますが、どうも右岸の方に空洞が店先のあたりは出ておりまして、コンクリートの下は五十センチくらいの空洞が生じておるところが多数ございます。そこを大型のトラックがじゃんじゃん走っておるわけですから、地盤沈下に拍車をかけているような状態の中にある。こういうような状況の中では、背後地につけかえ道路が今予定をされておりますが、七百メートルから八百メートルが未開通でございます。橋をかける必要もない。これは災害対策の上からも国道のつけかえを急いでもらいたいと思うのでございますが、その問題についての考え方をぜひはっきりさせていただきたい。  なお、地盤沈下が進行中の段階では抜本的な処理はできないであろうと思いますが、おさまった段階で、災害対策についての堤防の根固めを初めとする護岸対策等について対応するお考えがあるのかどうか、この点についての考え方を承りたいと思います。
  66. 田口二朗

    ○田口説明員 お答えいたします。  ただいまの地盤沈下の原因については、先ほど東お話が出てございました調査検討委員会を設けて今調査中であるというふうに承知しているわけでございます。  なお、この二百六十八号は菱刈町を通過しているわけでございますけれども、現在の交通量は、昼間の十二時間でございますけれども、五千六百三十七台、そのうち大型車が八百六十三台あるということになっておるわけでございます。  御質問の、現在行っておりますバイパス、菱刈バイパスでございますけれども、これにつきましては現在の道路の幅員が町中で非常に狭うございますので、この混雑解消を図るために昭和五十二年度から事業を進めているところでございます。延長が七・二キロメーター、全幅が十一メーターのバイパスでございます。このうち五十八年度に三キロメーターを供用いたしておりまして、引き続き今年度におきましても鋭意工事促進しているところでございます。なお、全線の供用に当たりまして一層の努力を進めてまいりたいと考えております。
  67. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間がございませんが、温泉のお湯の確保については、住友鉱山が十一億七千万円を出しまして、第三セクターで三トンのお湯を確保できるような対策が高ぜられております。したがいまして、あとはこの地盤沈下に関連をする問題の処理が、なお災害が、被害が続いておるわけでございまして、これに対する対応の仕方をきちっとやらなければならない段階に来ていると考えるわけでございます。  そこで、近いうちに最終報告が出るわけでございますが、国の対応は、見守っていくだけではだめだと思うのでありまして、建設省なり通産省なり国土庁はそれぞれの対応の仕方を、答申の内容は定かではございませんが、いずれも代表がこの調査委員に、検討委員として参加をしているわけでございますから、結論が出たら当然尊重をしていく、そしてまた国土庁の方が防災局を中心にしておまとめいただく、こういうことで処理を願いたいと思いますが、時間の関係で、政府を代表して河本国務大臣にお答えをいただきたいと思います。
  68. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 先生御指摘の今回の地盤沈下につきましては、地元の皆様方に心からお見舞  い申し上げる次第であります。  私も先般、久保町長と親しくお目にかかりまして、つぶさにその状況を聞いたわけでございます。月末の調査検討委員会の結論を待ちまして、国土庁といたしましては各省庁に緊密な連絡をとってその対策に万全を期していきたい。特に、当面は出水期を迎えておりますので、護岸対策などにつきまして、近所の施設であるとか住民生活に支障のないよう努力していきたいという考えでございます。  町は、久保町長の話を聞きますと、だれが悪いということを結論づけるよりも地元の住友鉱山とも共存共栄でやりたいという御意向でございましたので、そのことも十分承知しておりますので、当面どうするかということについては最善の努力を払いたいという考えでございます。
  69. 村山喜一

    村山(喜)委員 どうもありがとうございました。時間の関係で、これで質問を終わります。
  70. 中村茂

    中村委員長 次に、遠藤和良君。
  71. 遠藤和良

    ○遠藤委員 本四連絡橋の一つでございます大鳴門橋が、昭和五十一年の着工以来九年の歳月と千六百五十億円を投じていよいよこの六月八日に開通をいたします。ここに至りまして、関係者の皆さんの多大な労を心から感謝申し上げたいと思うわけでございます。この東洋一の大鳴門橋でございますけれども、きょうはこの安全性について若干質問をさせていただきたいと思います。  最初に、建設省にお伺いしたいのですが、五月十七日に工事完了検査を行っておりますが、この結果はいかがでございましたか。
  72. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  本州四国連絡橋公団が工事を実施しておりました、今先生がおっしゃった大鳴門橋の一部工事区間、これは一般国道二十八号の津名・一宮インターチェンジ−洲本インターチェンジ間、一般国道二十八号の西淡出入口−鳴門化インターチェンジ間、それから一般国道二十八号及び本四淡路線供用部、これが大鳴門橋でございますが、これに関する完了検査は五月十六日及び十七日の二日間にわたって建設省の職員二名をもって完了いたしました。  工事完了検査は道路整備特別措置法に基づいて行っておるものでございまして、検査の結果は、建設大臣から本州四国連絡橋公団の総裁にあてて文書で通知することといたしております。  検査の目的でございますが、有料道路の工事の適正かつ能率的な実施を確保するとともに、有料道路としての供用に遺憾なきを期することを目的として、書面検査及び実地検査により実施するところでございます。道路の構造及び施工方法について、許可された工事方法に適合しておるかどうか、道路が適正に供用開始できる状態にあるかどうかという点について工事検査を実施するところでございます。  今回行った検査の結果は、適正であったと報告を受けております。
  73. 遠藤和良

    ○遠藤委員 きょうは本四公団からも御出席を願っておりますので、若干細かいことをお伺いしたいと思います。  この工事完了検査に先立ちまして五月十五日、十六日に振動実験を行っておるわけでございますが、この実験はどういう目的で行い、その結果はどうであったのか、お伺いしたいと思います。
  74. 高山昭

    高山参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、今月の十五日から振動実験を現地で行っております。現在まだ実験が続いておる段階でございます。  この実験は、実際の橋梁、私どもは実橋と申しておるのでございますが、実橋の振動数や減衰状況を測定しまして、今後のつり橋の耐風設計、耐震設計等の基礎資料にするものであります。  結果につきましては、私が今申し上げましたとおり、現地で実験がきょうも施行中でございまして、それらの資料を踏まえまして分析した時点で結果が出てまいりますので、その点、御了承いただきたいと思います。
  75. 遠藤和良

    ○遠藤委員 大鳴門橋は、いわゆる設計値でございますけれども、マグニチュード八の大地震あるいは風速八十三メートルの超大型台風にも耐える設計である、こういうふうに伺っておりますが、実際の橋ができましてこれが確証できるかどうかという問題でございます。  振動実験ではこれらの設計値より高い安全性が実証できたかどうか、これが私は大鳴門橋が開通する以前に結果の公表がなければならないと思うわけでございますが、結果の公表の日程についてお伺いしたいと思います。
  76. 高山昭

    高山参考人 お答えいたします。  先生承知かと思いますが、私どもの橋梁の設計方法は、力学その他の手法をもちまして静的に設計をいたしまして、さらに動的な設計としまして風洞実験等を行い、慎重の上にも慎重にそういう作業を経て設計をしておるわけでございます。それで、それらの設計をもちまして、その設計に適合するような橋梁ができているかどうかということで私どもは十分安全性が確認されているというふうに思っております。  また、現在行っている振動実験の結果云々ということを先生御指摘ございましたが、先ほど申し上げましたように、私どもはこの振動実験で得る大鳴門橋の振動数、それから減衰状況等をつかまえまして、今後のつり橋の耐震設計、それから耐風設計の基礎資料にするという目的でございます。
  77. 遠藤和良

    ○遠藤委員 それでは、いわゆる設計どおりできておるから、マグニチュード八の地震あるいは風速八十三メートルの超大型台風にも十分耐え得る設計である、このとおり工事が完了しておる、このように理解してよろしいわけでございますか。
  78. 高山昭

    高山参考人 お答えいたします。  風速八十八メートル、それからマグニチュード八以上の地震に耐え得るように設計ができております。
  79. 遠藤和良

    ○遠藤委員 設計どおりできているものを実証するのに僕は意味があるのではないかと思うわけでございますが、そういう慣例であるというふうに聞いておりますので、できる限り実験結果を、内部資料として検討するだけではなくて、公表をしていただきたい、こういうふうに要望するわけでございますが、いかがですか。
  80. 高山昭

    高山参考人 お答えいたします。  先生御指摘のように、分析した結果を十分踏まえまして、学会、大学等の関係者とも協議いたしまして、貴重な資料として私ども今後活用してまいりたい、かように思っております。
  81. 遠藤和良

    ○遠藤委員 次の問題に移ります。  いわゆる交通の安全性でございますが、警察にお伺いしたいのですが、徳島と兵庫の両県警では、大鳴門橋関連の風の車両への影響調査というものを徳島大学工学部建設工学科の宇都宮英彦教授らに委託をしておりましたが、この結果がこのほど明らかにされたと聞いております。報告書の内容はいかがでございましたか。
  82. 越智俊典

    ○越智説明員 大鳴門橋の強風等の際の通行の安全を確保するために、徳島、兵庫両県警におきまして、徳島大学工学部の宇都宮教授に対しまして、大鳴門橋関連の風の車両への影響について調査研究方を依頼したところでございます。このほど四月にその調査結果がまとめられ、提出されました。  その内容によりますと、平均風速二十五メーター以上の場合は通行禁止の措置が必要である。また、二輪車とかキャンピングトレーラー等、強風下の走行安定性が劣る車両に対するいわゆる車種別規制がとれない場合の規制値については、平均風速二十メーター以上が適当であろうというふうに報告されております。
  83. 遠藤和良

    ○遠藤委員 その報告書に基づきまして今検討していると思うのでございますが、警察は交通規制を決めるに当たりまして大体どういうふうに考えておるのか、そして、いつまでに結論を出すのか。例えば、今話がありましたように、いわゆる六十キロ、四十キロあるいは通行どめという三段階方式でいくのか、あるいは車種別規制、いわゆる二輪車、キャンピングトレーラーには特別規制を強化する、こういう規制を設けるのか。過去にも関門橋、因島大橋等の関連もあると思いますけれども、大鳴門橋についてはどういう方向で今検討しておるのか、お伺いしたいと思います。
  84. 越智俊典

    ○越智説明員 交通規制につきましては、通常時の速度規制は六十キロメーターでございます。この橋には可変標識が設置されておりまして、四十キロの規制、それから通行どめの二段階の規制を考えておりまして、その運用につきましては現在徳島、兵庫両県警におきまして、報告書を基礎にいたしまして、他の大きな橋の規制の事例や事故事例等を参考にしながら、道路管理者も含めまして協議中でございます。  車種別の規制をとるかどうかにつきましては協議中でございまして、現在のところは結論は出ておりません。  私どもとしましては、この橋の安全の確保に最も適切な規制を実施するよう両県警を指導していきたいと思っております。
  85. 遠藤和良

    ○遠藤委員 新聞の報道によりますと、これまでの気象観測では、同海峡付近は年間平均で風速二十メートル以上の日が三十五日、視界百メートル以下の濃霧の日が約四十五日、単純に考えると年間八十日間も通行禁止にしなければならない、こういうふうに報道されているわけでありますが、せっかく橋をつくりましても一年のうち八十日間使えないとなりますと、これは問題であると私は思います。  警察が現在検討中で結論は出ていないと思いますけれども、最終的に交通規制は一年のうち何日ほどのめどで通行どめにする、気象条件なども勘案してこういうふうな結論をお出しになるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  86. 越智俊典

    ○越智説明員 具体的な通行どめの回数は気象状況との関連もございますので極めて難しい問題でございますけれども、一応のめどといたしましては、宇都宮報告書によりますと、四十七年から五十八年までの十二年間におきます大鳴門橋周辺の強風の発生頻度、平均風速二十メーター以上が年平均で二十二・五回、約七十時間でございます。これが一つのめどになるかというふうに思っております。  また、濃霧につきましてですけれども、これは本四連絡橋公団が昨年五月から本年四月までの一年間で観測したデータによりますと、視界が百メーター以下になった場合が二十回で十三時間というふうになっておりますので、これも一つのめどになるのではないかというふうに思っております。
  87. 遠藤和良

    ○遠藤委員 関門橋とか因島大橋の場合は通行どめになったのはないらしいのですね。橋といいますのはできるだけ通行どめがない方がよろしいわけでございまして、警察がお考えになっているのでは年間八十日も通行どめになることはないということでしょうか。
  88. 越智俊典

    ○越智説明員 八十日というのは私ども承知してない数字でございまして、先ほど申し上げためどのデータからいきますと、そういう八十日間というようなことにはならないかと思います。  それから、こういう強風とか濃霧の規制は、例えば三十分とか一時間とか、長くても三時間とかという形でしばらく橋の両方で待ってもらって、回復を待って通行させる、そういう規制になるかと思います。  なお、他の関門橋等につきましては、一応規制基準を持って対応はしておりますけれども、現在まで強風による通行どめはなされておりません。
  89. 遠藤和良

    ○遠藤委員 交通の安全を確保するために交通規制を行うことは十分理解ができるわけでございますが、一面におきまして、例えば地震や台風とか災害発生をした、緊急な事態が起こったというときにこそ橋が有効に生かされなければならないという考えもできるわけでございます。  これは確認でございますけれども、通行どめの事態にありましても、いわゆるパトカーとか消防車、あるいは救急車を初め災害時の救援物資の輸送車等の通行は妨げてはならないと思いますが、この点を一応確認をいたしておきます。
  90. 越智俊典

    ○越智説明員 緊急自動車につきましては、道路交通法の四十一条一項で、一般に通行禁止になった道路であっても、必要がある場合には通行を認めることができることになっております。また、災害応急対策に必要な物資の緊急輸送を行う車両など、公益上、通行どめの区間を通行させる必要があると認められる車両につきましては、安全の確保に十分配慮しつつ、規制の対象から除外して通行させてまいりたいというふうに思っております。
  91. 遠藤和良

    ○遠藤委員 時間がございませんので、最後に、大臣にお伺いをしたいわけでございますが、この大鳴門橋はいよいよ完成をいたしました。地元を代表して心から御礼を申し上げます。しかし、本四連絡橋のいわゆる神戸−鳴門ルートの完成という本来の目的からいたしますと半分できたという状態でございまして、このままでは地域開発橋の域を出ない、あるいは経済効果は十分の一ぐらいであろうという指摘もございます。  そこで、明石海峡大橋の着工のめどでございますけれども、大臣もいろいろな席で明石海峡大橋の早期着工を話をしているわけでございますが、きょうは正式な御見解を伺ってみたいと思います。
  92. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 明石海峡大橋を含めまして、本四架橋は本州と四国を結ぶ非常に重要な事業であると認識しております。架橋につきましては、財政的、臨調答申等の困難な問題等もございますが、今後各省庁とよく協議して、私は前向きに努力していきたいという考えでございます。
  93. 遠藤和良

    ○遠藤委員 もう一点確認をさしていただきたいのですが、いわゆる四全総との絡みでございます。四全総に明示されない限り明石海峡大橋の着工はできないということが巷間言われているわけでございますが、四全総に明示されるということが明石海峡大橋着工の必要条件なのか、あるいは十分条件なのか、あるいはまた四全総に明示されなくても着工は可能なのか、この三点に絞りまして、四全総を取りまとめる主管大臣としての御認識をお伺いしたいと思います。
  94. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 四全総は二十一世紀への国土づくりの指針を示す基本的な計画でございますので、明石架橋を含めまして幹線交通施設などにつきましては、事業重要性事業の円滑な推進などの見地から計画に位置づけておくことがベターだというふうに考えております。
  95. 遠藤和良

    ○遠藤委員 ベターだということは、言葉を裏返しますと、必ずしも必要条件ではないということですか。
  96. 小谷善四郎

    ○小谷政府委員 法律的に四全総に書かれなければ着工できないというような意味での必要条件ではございません。したがって、先生のおっしゃるとおりでございます。
  97. 遠藤和良

    ○遠藤委員 四全総の策定につきましては、先ほど来都道府県あるいは政令指定都市からヒヤリングが行われたと承知しておりますが、この明石海峡大橋についても強い要請があったと思います。四全総に明石海峡大橋が明示されるのかどうかということは、地元では大変な関心でございまして、現段階における見通しというのは大変難しいかもわかりませんけれども、この取りまとめの主管をされます大臣自身は明示されるお気持ちがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  98. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 先般意見聴取を行いました地元からの要望が非常に強烈であったということは御承知のとおりでございます。幹線交通体系整備の見地からも十分検討していかねばなりませんが、私は鳴門大橋をつくって片一方をつくらないというのはちょっと片手落ちだと個人的には考え方を持っておりますので、前向きに対処したいというふうに考えております。
  99. 遠藤和良

    ○遠藤委員 くどいようでございますけれども、せっかくの機会でございますからさらに確認をさしていただきますけれども、この間、四月十一日でございましたか、明石・鳴門架橋促進議員連盟、原健三郎先生が会長をされておりますが、その席で河本国土庁長官も発言をされておりまして、阪神地区と四国を結ぶのは国土政策上極めて重要である、その意味で明石海峡大橋は早期建設に着手しなければならない、四全総での大きな課題だが、関係省庁と緊密な連携をとりつつ対処したい、こういうふうなお話をされたと伺っております。このお話とおり現在も進めていかれるおつもりなのかどうか、最後に確認をさしていただきたいと思います。
  100. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 そういう考えを持っております。
  101. 遠藤和良

    ○遠藤委員 リーダーシップを発揮されまして四全総に明示されるように特段のお計らいをお願い申し上げまして、時間になりましたので質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  102. 中村茂

    中村委員長 次に、薮仲義彦君。
  103. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、国土庁長官に、国土防災の見地から何点かお伺いをしたいと思うのでございます。  長官も、国土庁に防災局ができましてから鋭意国土保全、防災、さらには生命、財産を守るために日夜努力していらっしゃる、その点を十分踏まえた上で問題提起をさせていただきたいと思うのでございます。  私は、昭和五十七年にこの委員会でちょうど長崎の集中豪雨の問題を質問させていただきました。あのとき百名を超すとうとい人命が失われたわけでございますが、土石流の恐しさというものはそこでも指摘し、その対策については国土庁初め建設省消防庁関係省庁に私はお願いをいたしておきました。きょうはそのことも踏まえながら御質問させていただきます。  五十九年十二月に総務庁が都市河川に関する行政監察というものを行っております。この指摘は、私がちょうど五十七年当時に指摘したこと、それがもしも消防庁建設省も本気になって取り組んだのであればある程度改善されていたのかなという思いを込めながら私は質問させていただきます。  ここで、我が国は都市への人口の集中化ということによってどうしても浸水や土石流の被害が発生しやすい状態になっておる、特に山間部の開発が進んでおるので、土石流による被害も非常に拡大しておるということが指摘されております。こういう中で、じゃ治水事業計画はどうかといいますと、大臣も御承知のように、治水計画の五次五計、最終年度は昭和五十六年度、治水の事業の達成率は三八%、また土石流の整備は五次五計でどこまでいっているかといいますと、土砂害対策施設整備率は二一%、これは非常に低いわけであります。さらに、それが六次の計画で作業が進められていきましても、昭和六十一年度達成時で大体四七%と推測されておりますし、土石流対策では三一%、全体の目標の三割程度しか進まないだろう、こういう点が指摘されているわけでございます。  このような状況の中で、どうやったら浸水もしくは土石流の被害というものを最小限に食いとめるか。あのときちょうど国土庁長官は松野さんでした。消防庁長官は砂子田さんでした。消防庁は地域防災計画を所掌している官庁であるけれども、地域防災計画にはいろいろ書いてあっても実際に人が死んではしようがないだろう、人命を守れるような地域防災計画に見直しなさいということを私指摘しました。松野長官は、関係省庁協議をして、少なくとも現在のような治水対策進捗率からいくとやはり住民に対する生命の安全を確保するためにどうしたらいいかを鋭意研究し、対策を立てたいと申されたし、消防庁長官もそういう話でございました。きょうはその会議録も私は持っておるわけでございますから後ほど読み上げたいと思いますが、何が大事かということがここに指摘されております。「浸水が予想される区域、土石流危険渓流及び土石流の危険が予想される区域についての情報を、関係行政機関及び住民に提供することによって関係行政機関及び住民が」水害を防止するための対策を行うことができるであろう、こういう指摘がなされているわけでございます。あのとき私が指摘したのは、土石流の発生の要因は多岐にわたっておって、例えば雨という一つのファクターだけで結論は出せません、過去において山間部、源流の地域がどうであるかといういろいろな条件を加味しながら土石流の原因究明はしなければならぬだろう、でも一つの情報あるいは条件を住民にわかりやすく提供すれば人命を損なうことはないのではないかということで、そのマニュアルをつくってほしい、研究してほしい、技術的に非常に困難であるかもしれないけれどもやるべきだということを私はお願いしたのです。  ところが、この総務庁の指摘、私がきょうなぜ取り上げたかといいますと、災害対策基本法の四十二条には市町村で地域防災計画を作成することが義務づけられております。そこの中で、浸水が予想される区域あるいは土石流危険渓流だけではなくて、土石流の危険が予想される区域を地域防災計画の中に組み込んでおくことは必要ですよという指摘がなされておりますが、これはまさに私もそのとおりだと思うし、私が地域防災計画を見直しなさいと言ったのはこういうことなんです。  ところが、現状はどうかといいますと、ここにありますように、「浸水が予想される区域及び土石流の危険が予想される区域の土地利用について、」きちっと情報提供が行われているのは土石流危険渓流だけてあります。なぜ徹底できないかというと、「市町村等の関係行政機関が地域防災計画への組込み、災害危険区域の指定あるいは住民への周知を行おうとしても、河川管理者又は砂防担当部局でなければ浸水が予想される区域、土石流危険渓流及び土石流の危険が予想される区域を把握することが困難である」、いわゆる国土庁あるいは建設省関係省庁が持っているすぐれた資料を提供されておらないから地域防災計画に組み込めないのです、また住民にも周知徹底できないのです、情報の提供が災害を防止する上で非常に大事ですよということがここで指摘されているのです。  もう少しいきますと、ならば土石流あるいは浸水を防止するためにどういうことが必要かということが最終的に指摘されてくるわけでございますが、その前にこういうことが書いてあるのです。浸水が予想される区域について、その状況を的確に把握するとともに、把握した情報をまず行政機関に提供しなさい、また土石流の危険渓流については、地域防災計画の中に組み込ませなさい、また土石流の危険を発見するためにそのメカニズムについて研究しなさい等々、重要な指摘がなされているわけでございますけれども、これを読んでみますと、実際にはその指摘が非常におくれておるわけでございます。  これはこうなっておるのですよ。まず、浸水の方からいきますと、「水害を防止するための対策の現状」「市町村地域防災計画への浸水が予想される区域等の組込み状況」、これについては、建設省が時間雨量三十ミリ、五十ミリ、七十ミリの浸水予想区域の調査を実施しております。ところが、その成果について関係行政機関への情報提供は行われておりません。ですから、浸水区域の情報は建設省は持っていらっしゃる、でも行政機関に情報を提供しておらぬのです。ですから、地域防災計画に組み込まれない。「したがって、これらの浸水予想区域を地域防災計画に組込んでいるところはない。」となっているのですよ。組み込んでいるところは一つもないというのです。市がその必要性から独自に把握した浸水予想区域を地域防災計画に組み込んでおるところは、調査した二十市の中で四市だけです。これは自分のところで予想して組み込んでいるわけです。建設省の持っておるもっとすぐれたデータをもとにして組み込んでおるわけじゃないわけです。  ですから、私はきょう何を言いたいかと言いますと、国土庁は防災局という立派な調整官庁があるわけです。この防災というのは、単に建設省が持っておる資料だけではないと思うのです。気象庁の持っておる雨量の状態あるいは台風の進路、あるいは環境庁の持っておる植生の状態であるとか、各省庁がそれなりにみずからの省庁ですぐれた資料を持っておるわけです。それを防災の観点から国土庁がきちっと整理、系統立てて組み合わせて、どうしたらば被害を最小限に食いとめられるかということをやっていただきたいので私はこの質問をしておるわけなんです。ここにこう書いてあるのですよ。土石流危険渓流が市街化区域内に存在する調査した二十市について見ると、地域防災計画に組み込んでおるのは二十市のうち二市だけです、一部を組み込んでいるのは六市ですと。ほとんど危険渓流も地域防災計画の中に組み込まれていないのですよ。私があの長崎災害のときに国土庁長官国土庁、そして消防庁にお願いをしておいたのに、この答弁を見ると、本気になって関係省庁とやる、こう公式の場でお約束した。砂子田長官もこういうことをおっしゃっているのですよ。「地域防災計画というのをやはり実態に合ったような見直しをしていくということがまず非常に大事だと思っております。しかも、これは厳しく見直しをしなければならぬだろう。さらには、避難体制をどうするか。いまお話がありましたように、どういう点でだれが判断をしていくかということも大変大事ですし、住民自身もやはり判断ができるような体制を整え」、いわゆる自主防災が必要であるということを言っているのです。  それで、住民の生命を守るために、防災計画に関するそういう避難のマニュアルというものをもしも国土庁中心になってやるのならば消防庁も一緒になってやりますと言って、地域防災計画を見直すと消防庁もお約束したし、松野国土庁長官も、この人命尊重の立場から安全な避難の手引き、マニュアルというものが必要であるということをお認めになっているのです。きょうは時間がありませんから全部読みませんけれども。  私は長官にお願いしたい。防災局をつくられた。ならば、こう総務庁などから指摘されるまでもなく、建設省国土庁というものはこういう防災のプロであり、林野庁だってプロです。私は、この指摘を読んでみてなるほどと思うけれども、当然やっておかなければならないことが進んでいなかったという点で、私もこの当該委員会委員として、反省を込めながら大臣にお願いしているわけです。こういう住民の不安をなくすのが我々の立場であり、行政の上では長官の大きな責任であろうかと思います。私は、そういう意味合いにおいて、この地域防災計画に土石流であるとか浸水危険区域が組み込まれていないとか、こういうことだけではないと思うのです。もっと、気象庁の持っていらっしゃる津波の情報であるとかあるいは工業技術院が持っていらっしゃる活断層であるとか、それぞれの省庁はすぐれた資料を持っております。それをもしも防災局できちんとした形で整理なされば、あの工業技術院が持っていらっしゃる活断層の資料も生きるでありましょうし、環境庁の持っている植生図だって生きると思うのです。どういうところにどういう植生をすれば山崩れやあるいはがけ崩れが防げるかということもあるいは立体的に究明ができるかもしれません。  そういう意味合いを込めて、きょうは時間がないので一方的にお話しをしましたけれども、大臣、今私が関係省庁にどういう資料を持っているかをちょっと質問しますから、聞いていていただきたい。やはり日本の国の関係省庁はすぐれた資料を持っていらっしゃる。それを国土庁が有効適切に住民に提供できるように整理してやることがどれほど国土保全の立場から、人命尊重の上から大事かということです。  各省庁、自分のところで防災上からどういう資料を集めていらっしゃるか、簡単に言っていただきたいのですが、気象庁言ってください。
  104. 新田尚

    ○新田説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生もおっしゃいましたように、台風、集中豪雨の過去の発生状況、降雨、降雪及び風に関する統計資料、過去の地震の震源、規模、全国の火山の活動状況、沿岸の津波、潮汐、波浪等の資料がございます。
  105. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、建設省お願いします。
  106. 帆足建八

    帆足説明員 お答えいたします。  建設省の保有しておりますデータといたしましては、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所、土石流危険渓流、浸水実績図、土地条件図等でございます。
  107. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、農水省、林野庁、それから工業技術院、環境庁、お見えだと思いますが、順次今の順番でお持ちになっている防災の観点からの資料を言ってください。
  108. 吉國隆

    吉國政府委員 農水省でございますが、林野庁の関係では山腹崩壊危険地区、崩壊土砂流出危険地区、地すべり発生危険地区、この三つについて調査をいたしてデータを持っております。  また、農地、農業用施設の関連の地すべりの危険箇所についても調査をいたしております。
  109. 松下弘

    ○松下説明員 通産省におきましては、先生先ほど御指摘の、工業技術院におきまして、地質といいますか、活構造図を作成しております。
  110. 山岡通宏

    山岡説明員 環境庁でございますが、防災に直接関連するデータは保有してございませんが、関連するデータとしましては、例えば現存植生図、それから地盤沈下等のデータを保有しております。
  111. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、ただいまざっと申し上げたのですが、もっと関係省庁が詳しく精査すれば、防災に役に立つ資料というものは日本の関係省庁の中に数多く蓄積されていると思うのです。国土庁も、こうは言うものの、長官も御承知のように、国土数値情報ですか、国土の保全に関することはきちっとしたものを持っていらっしゃる。これは私も知っておる。土地保全図、これは私は静岡県のものを持っておるのですが、国土庁も立派な数値は持っておるのです。これを読むのに、専門的な知識がないと読みにくい、解析しにくい部分がたくさんあるのです。災害の経歴図や何かありまして、すぐれた資料を国土庁が持っているのは私も十分わかっておるのです。でも、それをどう使いやすくし、住民に提供するかはやはりプロの専門の皆さんが研究していただいて、これとこれを組み合わせればこういうように役に立つように研究していただきたいと思うのです。  ここにあるのは、これは工業技術院の活断層の図面でございますし、きょう私が、ある県の図面を長官にちょっとお見せしますけれども、これはある県が既存の公表されている雨水あるいは表流水、地下水等の、もちろん日本の国の関係省庁がもう既に公表している資料をもとにしてつくったこういう図面があるのです。これは何かといいますと、一つの図面の上に重ねてある。これは雨水の流出性条件図、それから洪水等による浸水可能性条件図、この二つが一つの地図の上に重なっているのです。これをこうやって見ますと、この地域の雨水による影響性が、二つの資料を重ねただけで大体わかるのです。でも、これに気象庁の持っている年間雨量であるとかそういうものを継ぎ足せばさらに生きてくる。環境庁が持っている植生図などを重ねてみると、何かが立体的に、今まで気がつかなかったことが私はわかってくると思う。各地方自治体でもどうやって住民を被害から守ろうかということでいろいろ苦労していらっしゃる。これだけでなくて山地崩壊の危険図もこれにくっつけてあるのです。これは、今林野庁の方でおっしゃったけれども、林野庁の公表されている図面を重ねてあるだけなんです。もしもこれを国土庁が本気にやったらすばらしいものができると思う。これは林野庁の持っていらっしゃる資料だと思うのです。山腹崩壊・がけ崩れの可能性条件、地盤振動・液状化の可能性条件、地すべりの可能性条件、地盤沈下の可能性条件、これは出ている資料を四枚のフィルムで重ねますと、これを縦に見ていくとこの地域はこういう地域特性があるんだな、開発するについてはこういう点を注意しなければならない、あるいはここへ宅地開発をするということは将来浸水の可能性がある、あるいは河川管理者が、これ以上住宅をふやしてはいけない等々わかっていただけると思うのです。  きようはこういう指摘だけでとどめておきますけれども、長官、私の言うことを意を外されて、国民のために防災マップに近いようなものを提供なさって、今私の住んでいるところは津波が来るのか、あるいは地すべりの危険が予想されるのだな、地価が下がるとか上がるとかそんなことじゃないと思うのです。大事なことは人命尊重だと思うのです。生命、財産を守らずして、安全ということは口にできないと思うのですね。せめて長官にこういう防災マップを、国土庁長官関係省庁協議なさって、防災局長も厳然と控えていらっしゃるわけでありますから、何とか防災マップに近いものをおつくりいただきたい、これをお願いしておく。  最後に、長官にそのお答えを聞きますけれども、この中で非常に残念なのは、建設省消防庁に伺いたいのですが、なぜ危険渓流を地域防災計画に入れなかったのか。今度は一〇〇%入れるのが当たり前だと思うのですけれども、おやりになった方がいいと思うのです。砂子田長官が言っている会議録を読んでください。長官が約束したことを後の方々がやらないということは、よくないと思うのです。長官が委員会の席でしっかり約束したのですから、地域防災計画を人命尊重の立場から見直していただきたい、そういう意味消防庁は、この中で指摘されている何点があるわけでございますが、今後、地域防災計画をしっかり見直されるかどうか、建設省も危険渓流を地域防災にきちっと入れるように協議をしていただきたいと思うのです。  まずお二人の方からお答えを伺って、最後に、防災マップをどうお考えか、防災局長と長官の御決意を伺って、きょうの質問を終わりたいと思うのです。
  112. 島崎実

    ○島崎説明員 地域防災計画の見直しでございますが、確かに市町村段階では、既にわかっております土石流危険渓流等についても、まだその登載の状況が十分ではないということは認識しておりまして、前々からも指導しておるところでございますが、最近の土砂災害の実情等にかんがみまして、さらにその指導を徹底してまいりたい、かように考えております。
  113. 成田久夫

    ○成田説明員 土石流危険渓流の関係につきましては先ほど先生御指摘のとおりで、私どもといたしましては、近年の土石流災害の実態を踏まえまして、昭和五十七年の八月十日に、建設事務次官通達で地方建設局及び都道府県が把握いたしております土石流の危険渓流に関する資料を関係市町村に提供いたしまして、地域防災計画に組み込むよう指導をしてきておるところでございます。今後も関係行政機関と十分連携をとりながら、引き続き指導に努めてまいりたいと思っております。
  114. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 薮仲先生御指摘の各省庁から御説明がありました災害対策に関する各種の資料、これを活用して総合的に集約した、さらに効果的な活用を図ることは非常に結構なことでございます。国土庁といたしましても、各省庁の御協力を得ながら、先生の御提案に対して勉強してまいりたいという考えでございます。
  115. 杉岡浩

    杉岡政府委員 各種の資料の集約化につきましては、ただいま大臣が御答弁を申し上げたとおりでございます。  なお、土石流の対策でございますけれども、昨年の十月に関係省庁省庁連絡会議を設けました。そして、その中でただいま薮仲先生が御指摘になりましたような危険箇所の地域防災計画への記載とかあるいは住民への徹底とか避難誘導体制とか、こういったものにつきまして、その土石流対策の一環として十分勉強してまいりたいということで、今鋭意勉強しておるところでございます。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 大変、大臣初め関係の皆様に、何か自分の責任を棚上げして言っているようでございますけれども、私もやはり災害委員として深くこのことは責任を感じております。どうか皆さん方のすぐれた資料や経験、そういう技術、そういうものを生かされて、国土の保全、人命尊重に長官どうか鋭意努力なさるように、関係省庁と御協議をいただくよう最後にお願いして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  117. 中村茂

    中村委員長 この際、休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時三十一分開議
  118. 中村茂

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横手文雄君。
  119. 横手文雄

    ○横手委員 私は、去る四月二十三日、内閣より国会に提出されました六十年度版のいわゆる防災白書を中心に御質問申し上げます。  日本列島は間もなく梅雨の季節に入ります。既に沖縄では梅雨を迎えております。さらに台風シーズンにかけて、例年集中豪雨、台風などによって土砂災害、河川のはんらん等が多発し、多くの犠牲者を出しているのであります。昨年は本土に上陸した台風はなく、風水害こそ少なかったのでありますが、熊本県五木村の山崩れ、長野県西部地震に伴う土砂災害、ことしになってからは新潟県青海町において土砂災害発生し、土砂災害の危険が大きくクローズアップされました。このような実情を踏まえ、白書は、土砂災害に対してその対策を例年になく強調しているのであります。土砂災害対策推進について長官の決意をまずお伺いを申し上げます。
  120. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 近年、がけ崩れ、地すべり等の土砂災害が頻発しまして、人命、財産等に多大の被害が生じております。政府といたしましては、現在、治山、砂防施設整備推進、危険区域の指定、予警報の伝達、避難体制の整備等に努めているところでございますが、近年の土砂災害による被害が甚大であることにかんがみまして、今後関係省庁がより緊密な連携を保って、ハード、ソフト両面にわたる総合的な土砂災害対策推進していく必要があると考えております。  既に、昨年十月末に関係省庁による土砂災害対策推進連絡会議を設けまして鋭意検討を行っているところでございますが、今後、学識経験者による土砂災害対策検討会、これも設置いたしまして、専門的な検討を行うなど、関係省庁との緊密な連絡のもとに土砂災害対策に積極的に取り組んでまいる考えでございます。
  121. 横手文雄

    ○横手委員 私は、去る三月七日、当委員会で土砂災害対策について御質問をいたしましたが、本日もまた重ねてお尋ねをいたします。  ことしに入って、二月から四月にかけて降水量が多く、所によっては平年の二、三倍となっております。また、長期予報にも、梅雨後半に局地的な大雨が予想され、秋口の台風上陸が加わりそうだと予報をしておられます。急傾斜地の近くに住む人たちの不安の声が聞こえてまいります。土砂災害を予防し、国民の命と財産を守る、このことのためには、治山、砂防工事施設整備を着実に進めていく必要があります。白書はこれらハードの面の対策とあわせて、今大臣の御答弁の中にもございましたように、気象衛星、レーダー等を利用した土砂災害予測技術の開発など、ソフト面からの取り組みの必要性も強く訴えておりますが、政府はこれらのことについて具体的にどのようなことをお考えになっておるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  122. 杉岡浩

    杉岡政府委員 先ほど大臣が関係省庁の土砂災害対策推進会議について申し述べましたが、これは関係省庁いろいろな面で勉強いたしておりますが、さらに、我々といたしましては専門の学者あるいは専門の実務家、こういった方々にもお集まりいただきまして専門的な分野からの検討をいたしたいということで、近くその第一回の会合を開く予定にいたしておるわけでございます。  それで、土砂災害につきまして具体的に、いろいろな問題点があるわけでございますが、一つは、土砂災害の予測等の調査研究、このメカニズムがなかなか難しゅうございますので、それを調査研究する必要があるということでございます。それから第二点は、予警報の伝達体制あるいは避難体制の整備推進、こういったことが必要でございますので、これをどういうふうに持っていくかということでございます。それから三番目は、土砂災害の危険区域を住民へ周知徹底するということでございます。さらに四番目が、土砂災害の危険区域の指定の促進でございます。こういったようなもろもろの問題があるわけでございまして、関係省庁、それから専門家の諸先生、こういった方々の御意見を聞きながらこの対策を進めていくわけでございます。  今後、地方の公共団体等の御意見も聞きながら、十分綿密な連絡をとりながら、こういった土砂災害対策推進について進めてまいりたいというふうに考えております。
  123. 横手文雄

    ○横手委員 今御答弁の中にもございました土砂災害危険区域の指定促進の問題についてお伺いをいたします。  白書は、「土砂災害の危険区域の指定は、私権の制限を伴うものであることなどから、その指定状況は十分ではないが、今後とも指定を促進していく必要がある。」と述べております。土砂災害の危険地域を把握し、これを住民に周知徹底し、警戒避難体制の整備等対策は必要であります。白書が指摘しておりますように、この指定をしようとしても、地価に与える影響など、地主や周辺住民の利権や利害関係が複雑に絡む、加えて、建設省農林水産省でそれぞれの指定の基準の違いがあり、行政の縄張り意識からスムーズに決まらない事情もあるとの指摘もあります。災害対策を統括する国土庁として、見解はいかがでありますか。  さらに、政府は都道府県に対して、急傾斜地崩壊危険区域の指定の促進について指導をしておられますが、その指導状況はどうなっておりましょうか、あわせてお示しをいただきたいと存じます。
  124. 杉岡浩

    杉岡政府委員 ただいま横手先生御指摘のとおりでございまして、関係省庁におきましては危険区域の指定につきまして鋭意努力をいたしておるわけでございますが、土砂災害の危険区域は全国に非常に多く散らばっておるわけでございます。それから、指定いたしますと私権の制限等々がございまして、指定するのになかなか住民との合意が成り立たない、あるいは先ほど先生から御指摘がありましたように、地価に影響もあるということでなかなか指定が進まないわけでございます。急傾斜の指定等につきましてもまだ一六%程度、あるいは地すべり関係では四六%というような指定の区域があるわけでございますが、なかなか一〇〇%とか相当の率を確保するのは難しいわけでございます。いろいろとこういう問題点があるわけでございますけれども、関係省庁におかれましてもこういった問題点を克服しながら、地域の住民あるいは公共団体と十分連絡をとって、この指定が促進されるように努力をいたしておるわけでございます。そして、そういった指定をしたものあるいは危険区域相当につきましては、地域防災計画に記載するように指導をいたしておるわけでございます。
  125. 横手文雄

    ○横手委員 今、私の質問の中で、建設省あるいは農林水産省において指定の基準に違いがある、そういったことにも指定のおくれを来している一面があるという指摘がある、こういうことを申し上げたのでございます。それを統括する国土庁としていかがでございますか。こういった災害が起こってまいりますと、よく人災だというようなことも言われるわけであります。危険地域だとわかっておりながら、地域の皆さん方の利害が絡むから、あるいは各省庁の基準が違うからということでおくれていた、そのことによって指定がなされていなかった、それがなされていたならばあるいはというようなことがよく聞かれるわけであります。私たちはそういう声を聞くたびに大変残念に思います。したがって、繰り返しでございますけれども、この点についての国土庁の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  126. 杉岡浩

    杉岡政府委員 建設省あるいは農林水産省等におきまして地すべり等の指定の基準が違うということをいろいろと御指摘を承っておるわけでございます。それぞれの省庁におきましてそれぞれの基準に従って指定をいたしておるわけでございますが、そういったことによって問題が生ずるということはやはり問題があるわけでございます。したがいまして、先ほど申しましたように、関係の十省庁連絡会議というものを昨年の十月に設けたわけでございます。そういった場を通じまして、そういった問題点があって災害対策にいろいろと支障があるという場合には十分話し合ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  そして、指定があるいはあれば災害が少なくなったのじゃないかということは確かに御指摘のとおりだと思います。そういった面からやはり危険箇所の指定、それから法的指定というよりも住民への危険箇所の周知徹底、これも必要かと思っております。法指定の前に危険箇所がどこだということを住民に周知徹底させて、災害を未然に防ぐために避難誘導対策をとっておくことも大事であろうかということで、我々はそちらの面につきましても今関係省庁と話し合っておるわけでございます。
  127. 横手文雄

    ○横手委員 くどいようでございますけれども、これは本当に大事なことだと思いますから、白書もいろいろ難しいことがあって十分進んでいないけれども今後とも指定を促進していく必要がある、こういうことを強調しておられるわけであります。いろいろな障害があるからこれを取り除いていくということ、住民の理解を求めていく、そして、少なくとも各省庁間でその基準に違いがあったならば、これは政府内でできることでございますから、住民の皆さん方の利害とも全く関係のないことでございまして、山は一つなんでございます。建設省の部分が崩れてきた、農水省の部分が崩れた、そんなことはないわけでございますから、これらの基準の違いがあるとするならば、それらについても基準見直しあるいは統一化を図っていく、こういう姿勢であると理解してよろしゅうございますか。
  128. 杉岡浩

    杉岡政府委員 先ほど申しましたように、それぞれの基準の違いによりまして災害対策上いろいろな問題が出てくるということはいけないわけでございます。そういった観点から、そういう問題点を我々関係省庁で話し合って摘出して、必要があればそういった基準の整備ということもいたしたいと思っております。
  129. 横手文雄

    ○横手委員 必要があればということではなくて、ぜひこれらの問題については統一を図っていただきたい。それでなければまた政治の手落ちだとかあるいは政治の怠慢がこういったことを招いた、こういう批判を受けるということは、私どもを含めて耐えられないことでございますから、ぜひお願いを申し上げておきたいと存じます。  次に、建設省にお伺いをいたします。土石流発生の監視装置及び危険渓流の標識の設置についてであります。  昭和五十七年に「総合的な土石流対策推進について」という次官通達が出され、これに基づいて土石流危険渓流の周知、警戒避難体制の確立、土石流災害に関する情報の収集、伝達制度の確立のための基礎資料を得るためにいろいろと御努力を重ねていただいております。これに関しまして、次の三点についてお伺いをいたします。  五十九年度から建設省はモデル事業として監視装置の整備を内容とする事業を直轄で実施しておられますが、全国的に何カ所対象としておられるのか。また、それはどのような成果を期待しておられますか。その実績はいかがでございましょうか。これが一つ。  さらに、現在設置されている監視装置の機器について、地区によってはその操作に苦慮しているという話を聞きます。例えば鹿児島県の大隅工事事務所からは観測装置に火山灰が積もってその除去に苦慮しているとか、亜硫酸ガスによる腐食が速い、あるいは地域によっては電気系統の故障が多い等々の話を聞くのであります。設置された機器は常に万全の体制でなければいざというときに役に立ちません。その実態と対策についてお伺いをいたします。  さらに、危険渓流の標識の設置については、これもまた必要以上に住民の不安をあおるなどのほかに、先ほど申し上げました急傾斜地危険区域の指定に絡む問題と同じようなことが起こると聞いております。ふだんからお互いに十分な対策を立てるという意味合いからも地域住民の皆さんと十分な話し合いを行う必要があると存じます。このことに対する現状と今後の対策について御質問を申し上げます。
  130. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいま先生お尋ねの土石流発生監視装置の件でございますが、昭和五十九年度は長野県の安曇村、それから岐阜県の中津川市、それから兵庫県の神戸市、鹿児島の桜島、この四カ所でモデル事業を実施いたしております。その結果でございますが、先ほど先生お話の中にもありましたように、五十九年度は台風が一度も上陸しなかったというような気象条件もございまして、この四カ所のうち実際に活動いたしましたのは鹿児島県の桜島でございます。ここでは避難が三十七回というようなことで、この装置が有効に動いておるわけでございますが、実際のはんらんはそのうちで三回起こっております。  それから、これの実態といいますか、いろいろな問題点でございますが、先ほど先生の御指摘の中にもございましたように、活火山地帯における装置の腐食の問題とか、同じく活火山地帯における降雨のデータの観測の問題とか、いろいろな問題が出ております。またそのほか、警戒避難体制をとるための基準雨量の設定につきましても、それぞれの地域の特性等もございますので、この設定についていろいろな問題点を提起いたしておりますので、これについて解決をしていきたいと考えております。  それから、標識の問題でございますが、災害を防止する上で非常に有効な施策の一つだというように考えておりまして、現地に設置するよう指導しておるところでございますが、いろいろ地価の問題その他ございましてなかなか進まないというのが実態でございますが、今後も地元住民の理解を得ながら、設置の促進に努めてまいりたいと考えております。
  131. 横手文雄

    ○横手委員 全国に四カ所設置をされて、現実に機能し、住民に対してそれら予報を出しておるのは桜島の装置だということでございますが、私の質問の中に、これら設置をされたものにどういう成果を期待をしておられるのか、こういうことでございますが、その点についてはどうですか。
  132. 成田久夫

    ○成田説明員 ただいまの件でございますが、こういった監視装置を設けることによりまして、警戒避難を少しでも円滑に進めるということでございますので、地域の住民への連絡体制等もございますし、また発生監視装置そのものの機器の問題等もございますので、機器の点につきましては先ほど先生の御指摘の中にもありましたし、私が先ほどお答えいたしましたものの中にもあったわけでございますが、そういった機器の問題点を把握いたしまして、これはモデル事業でございますので、機器の問題点といいますか改善点と申しますか、そういったものを改めていくことを検討したい。  それから、ソフト面ではやはり警戒避難の伝達の方法等もいろいろ問題がございます。有線で伝達をするとかあるいは警報で伝達するとか、それぞれの地域の特性に応じた対応をしたいということで、そういう点の把握に努めてまいりたいということでございます。
  133. 横手文雄

    ○横手委員 続いて、建設省にお尋ねをいたします。  土砂災害防止月間についてであります。最近とみに頻発する土砂災害に対して、政府においては昭和五十八年度から六月の一カ月間を土砂災害防止月間として設置し、国民の理解と関心を深める運動を展開をしておられます。ことしの白書が土砂災害についてかなり力点を置いている事実にかんがみ、ことしのこの月間は、昨年あるいは一昨年とは各種行事においても違った面が出てくることを期待をいたしております。政府として、この土砂災害防止月間においてどのような行事、訓練を行おうとしておられるのか、そのお考えをお伺いいたします。
  134. 成田久夫

    ○成田説明員 お答えいたします。  土砂災害防止月間は、先ほど先生の御指摘のように、近年頻発いたします土石流、地すべり、がけ崩れ等の土砂災害による人命、財産の被害の現状にかんがみまして、土砂災害防止に対する国民の理解と関心を深める、それから土砂災害に関する防災意識の普及を高める、それから警戒避難体制整備促進を図るといったようなことを強力に推進するということで実施をいたしております。  従来から、がけ崩れ防災週間というのを昭和四十八年から実施をしておるところでございますが、そういったがけ崩れ防災週間を含めました一カ月間を土砂災害防止月間ということで、いろいろな運動を展開しておるわけでございます。  この月間は五十八年から実施いたしておりまして、今年度で三年目に当たるわけでございますが、地域へのいろいろな問題がございますので、ポスターでありますとかパンフレットを配布するとか、あるいは講演会を実施いたしますとか映画会を実施する等々いたしまして、この土石流の危険性についての啓蒙をいたしておるところでございます。さらに、土石流等の危険箇所の周知あるいは点検といったことも実施をいたしております。  それから今年度、全国大会ということで各都道府県あるいは市町村の防災関係の方々を一堂に集めましてこういった土砂災害についての認識を改めるということで、六月四日に長野県木曽福島町で実施をいたすことにいたしております。御承知のように、昨年の長野県西部地震がこの木曽福島町のすぐ近くの王滝村で発生しておりまして、そういった長野県西部地震状況等も、そのときあわせて現地を見学して認識をさらに高めていこうということで考えております。
  135. 横手文雄

    ○横手委員 次は、消防庁にお伺いをいたします。  同報無線の整備についてであります。災害発生時における避難指示への住民の対応は、同報無線の有無でその差は大きく分かれます。王滝村と三宅島を比べた場合にそれがはっきりしていることは周知の事実であります。ただ、王滝村災害と三宅島災害とでは必ずしも状況が同じようなことではございません。三宅島は噴火をしてから溶岩が流れてくるまでに多少の時間がある、地震の場合は全く一瞬のうちに起こってくる、こういった違いはあると承知はいたしております。とはいいながら、王滝村の住民を対象にした東大新聞研究所のアンケートが示すところによると、同報無線がなかったため避難指示が徹底せず、口コミ情報でさまざまなデマが飛び交ったことが数字の上からも浮き彫りになっております。同報無線がなく、有線放送網も、停電や非常用のバッテリーの転倒で使用不能となったことが住民に対する避難指示が徹底しなかった大きな原因だと指摘をいたしております。  白書は、全国三千二百七十八市町村中九百五市町村のみが同報装置を整備していると述べております。これは全体の三割にすぎません。地域的な、あるいは緊急性に即応して随時整備は進められていると思いますが、王滝村の苦い経験を踏まえて、政府は今後これにどう対処していかれるのか。  また、都道府県の防災行政無線網について三十九の都道府県が運用中で、一県が一部運用中、一県が整備中とあります。それはどの県であるのか、残り六県についてはどのような計画を持っておられるのか、あるいは行政無線網の整備に何か特別な隆路があるのか、この点についてもあわせてお伺いをいたします。
  136. 島崎実

    ○島崎説明員 市町村の防災無線についてのお尋ねでございますが、市町村の防災無線のうち、同報系無線につきましては、お話にもございましたように、的確な防災対策を実施する上で、特に住民に対する避難の勧告、指示等を伝達する手段として極めて重要でございまして、その有効性は最近の災害でも実証されておるとおりでございます。消防庁といたしましては、昭和五十三年度からこの施設整備事業に対する補助制度を設けまして整備促進を図っているところでございますが、その整備状況は、ただいま御指摘のように、全国的にはまだ低い水準にとどまっておるわけでございます。そういう意味で、六十年度予算におきましては、その市町村に対する補助金につきましても一三%の増額を図りまして、それで今後とも地震防災対策強化地域とか、特に災害の危険性の高い地域の市町村中心にいたしまして、整備促進を図ってまいりたいと考えております。  それから次に、都道府県の防災無線でございますが、現在未整備が六県ということになっております。未整備の六府県は、県名を申し上げますと、群馬県、石川県、京都府、兵庫県、和歌山県、香川県、この六県でございまして、このうち群馬県が今年度から整備を開始するということになっております。  これの整備について何か隆路があるのではないかということのお尋ねでございますが、制度的に何か隘路がある、こういうことは特にございませんで、私どもとしては、残る府県に対して整備計画策定を早急に行うように指導しておるところでございます。
  137. 横手文雄

    ○横手委員 次に、山村震災対策についてお伺いをいたします。  白書は、長野県西部地震の教訓として、山村地域における震災対策を取り上げております。その中身は、「山村地域の特性に応じた災害応急対策等の検討が必要である。」と述べております。特性に応じた対策とは、具体的にどういう対策を考えておられるのか。この山村震災対策の全般的な考え方について、お伺いをいたします。
  138. 杉岡浩

    杉岡政府委員 山村地域におきます地震対策でございますが、これは、地震がありますと山崩れ等によりまして山村がいろいろ被害を受けるわけでございます。特に交通面、それから情報面、この二つで、被害を受けた山村は孤立をいたすわけでございます。  これに対してそれぞれ対策をとるわけでございますが、まず一つは、被害状況を的確に把握して、それに対して的確な応急対策をとるということが必要でございます。先ほど防災無線の話が出てまいりましたが、やはり山村地域におきましても無線等の整備をいたしまして、情報が的確に把握できるようにしなければならないというふうに考えております。場合によりましては、例えばヘリコプター等によって現地の状況を把握するというようなことが必要になってこようかと思っております。いずれにいたしましても、情報の的確な把握と、それに対する必要な応急対策がとれるようにすることが第一点でございます。  それから、王滝村の教訓でもございますけれども、村に入ってまいります道路、これが被害を受けまして、なかなか復旧のための資材あるいは人員の輸送が難しかったということがございます。そういった観点から、資材とか人員の輸送、こういったものをどうするかということでございます。王滝村の場合は重機械をヘリコプターで、分解しまして運んだということでございまして、そういったような資材の運搬方法、こういったものをさらに検討を進めて、それに的確に対処できるようにしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  また、白書でも指摘しておりますけれども、山村地域におきましては、やはり防災意識の高揚というか、防災知識、こういったものが低うございます。地震に対する備え、王滝村とそれから東京等と比較した表がございますけれども、非常に低うございますが、常日ごろから防災体制の整備といいますか、防災に関する知識あるいは意識の普及ということをいたしまして、住民の方々が災害に遭った場合にも的確に対処できるような措置が必要であろうかというふうに考えております。
  139. 横手文雄

    ○横手委員 最後に、大臣にお伺いをいたします。土砂災害対策予算編成の取り組みについてであります。  国土が狭いのに山岳が多く、地形が急峻で雨も多い、述べてまいりましたとおりであります。そのために、我が国の治山治水には大変なお金がかかります。さらに、高度経済成長に伴う国土開発が自然を無計画に切り刻み、太古から保たれてきた自然の調和を崩して危険を増大させていることも否定できないところであります。土砂災害の危険地域は非常に多く、その数、全国で約五万八千カ所と言われ、その整備率は一四%にすぎません。土砂災害をなくするためには、危険地域を総点検して安全対策を講ずると同時に、何としても危険なところをきもんと防災工事計画的に実施することが第一であります。備えあれば憂いなし、転ばぬ先のつえということでありましょう。財政事情が苦しくても、国民の命の安全にかかわりの深い事業は最優先にやらなければなりません。政府は、先ほどもお話の中にありましたように、昨年十月に、関係省庁から成る土砂災害対策推進連絡会議を発足させられました。長官には、防災対策の面から特に土砂災害対策について、来年度予算において概算要求から予算編成に向けて頑張ってもらわなければなりません。長官の決意をお伺いいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせてもらいます。
  140. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 政府といたしましては、従来より、治山、砂防施設整備推進、予警報の伝達体制整備等に関するための予算措置でございますが、十分やってきたところでございますが、さらに、土砂災害対策重要性にかんがみまして、関係省庁と密接な連絡を保ちながら、今後の予算編成におきましても必要な予算確保に十分な努力をしたいという考えでございます。
  141. 横手文雄

    ○横手委員 ぜひ頑張っていただきたいと存じます。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  142. 中村茂

    中村委員長 次に、中川利三郎君。
  143. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大都市の震災対策について、まずお伺いするのでありますが、国土庁は南関東地域地震被害想定調査というものを五十六年から始めまして、これは五十七年度末までを目途として実施することになっております。  南関東地域といいますのは、御承知のとおり、一都三県、つまり東京都、千葉県、埼玉県及び神奈川県にかかわる地域でございますが、このことは我が国の中枢部である首都圏の地震対策にとりまして極めて重要であると思うわけでありまして、その点につきましては行政管理庁の五十七年九月の勧告の中でも、国土庁では昭和五十六年度から南関東地域における地震被害想定調査を実施しておると大きく評価をしておるだけでなくて、また国土庁自身も川俣審議官が、「地震の被害について正確な認識をいただいて、住民の方々それぞれが関心をもち、そして、そういう地震が起きました場合にどう対応するか、また、事前の予防対策をどうするかといったことに役立てたいと思っております。」こういうふうに宣伝し、大いに重視してきた調査であります。  あれから昭和五十七年末目途にやったわけでありますから、当然その結果が出ておると思いますが、調査結果はどうなっておりますか、まずお伺いしたいと思います。
  144. 杉岡浩

    杉岡政府委員 お答えいたします。  被害想定の調査につきましては、現在一部のものにつきましてはそれなりの計算値は得ておるわけでございますが、調査項目が非常に多岐にわたるということと、作業量が相当膨大になってくるわけでございます。また、その想定する方法でございますが、被害想定の方法等につきましてまだ手法が十分固まってないような調査項目もあるわけでございます。  現在、その応急対策の活動システムを調査いたしておるわけでございますが、その調査の段階におきましてもさらにそういった被害の調査をしなければならない項目が出てくるというようなことでございまして、全体の被害それ自体の想定はまだ十分できてない段階でございます。
  145. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、あれこれお話ありましたが、まだ調査継続中ということですね。調査継続中でありながら、例えば「昭和五十九年度において実施すべき防災に関する計画」ですね。百一国会に出した防災白書の五十七ページによりますと、例えば「南関東地域における大規模地震被害想定」云々というところに、「昭和五十六年度から実施していた南関東地域地震被害想定調査の結果を踏まえ、」云々と書いてあるのですね。どうして結果を踏まえられるのですか。まだ継続中ですから結果を踏まえてこうするといったって何もできないことになるので、これはうそを書いていることになりませんか。
  146. 杉岡浩

    杉岡政府委員 先ほど申しましたように、被害の想定につきましてはいろいろな項目があるわけでございます。被害の中で一部計算値等も得ておりますし、我々といたしましては本来の目的は応急対策の活動システムを立てるということで、その前提としていろいろと試行錯誤しながら進めておるわけでございます。そういった関係で、一部の計算値を得ながら応急システムの一部を進めるということで、各般のシステムがたくさんございますが、そういったものにつきまして個別個別で調査を進めておるわけでございます。
  147. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにしましても、国土庁がみずから発表してはっきりうたったことと現実に食い違いがある。しかも、この矛盾を指摘されましたならば、それは一部はやっているから何でもないというような言いかえをするというのは、私は非常に残念なことだと思っているわけであります。  そこで私、さらにお聞きするのでありますが、しからば皆さんはいろんなところにこの調査その他を委託しているということでありますが、どのようなテーマをどういうコンサルタントに委託したのか。今、年間何ぼお金をかけているのか。簡単で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  148. 杉岡浩

    杉岡政府委員 調査につきましてはいろいろな研究機関に委託いたしておるわけでございます。例えば、地震動あるいは建物の被害状況あるいはライフラインの被害状況、こういったものにつきましてそれぞれ委託をいたしておるわけでございますが、主な研究機関を申しますと、例えば地震動等について非常に専門的である応用地質調査事務所、それから野村総合研究所等々の調査機関があるわけでございます。
  149. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 年間相当の金がかかっているだろうと申しましたが、その答えはありませんでした。いずれ、野村証券だとか応用地質研究所だとか、いろんなところに頼んで調査させているわけですね。  それで、二カ年だということになって、まだガタガタしているという状況がはっきりしたわけでありますが、あなたの方、国土庁調査をやるんだといった種類の中にはフローチャートが出ているのですよ。ちゃんと図面というかフローチャートが出ておりますが、これを見ますと、一年目はこれこれだ、二年目は、例えば「被害想定」として「人的被害」「物的被害」、こういうものをまとめることになっているわけです。ちゃんと書いてあるわけですね。ですから、あなたが一部にせよ、計算値ができているんだ、こうおっしゃるならば、各項目ごとの意見がまとまった分で結構ですから調査資料を公表するとか中間報告を出すとか、国民の税金を使っているわけですから、そういうことは当然だと思うわけでありまして、ただコンサルタントの懐に金が入っていくだけで、国土庁は自分で資料をひとり占めにするような、そういうことではいいかげんなやり方ではないかと言われても仕方がないんじゃないかと私は思うのでありますが、いかがですか。簡単で結構ですよ。
  150. 杉岡浩

    杉岡政府委員 先ほど申しましたように、それぞれの項目について、ある程度のものにつきましては計算値を得まして応急システムを進めておりますし、それからまだ想定の手法の開発をいたしておるものもございます。したがって、応急システムの調査を個別にいたしておりますけれども、やはりこれは総合的なシステムの集大成ということが必要であろうかと思っております。個別の問題を出しましても、次のほかの関連におきましてまたフィードバックしてシステムの調査をするというようなことになってまいりますので、それぞれの調査を全部まとめまして、やはり総合的な南関東の広域応急対策システムということで結論を得てまいりたいと考えておる次第でございます。
  151. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、あなたの言うのは、総合的に全体がまとまらない限りは、中間報告であれ項目ごとの発表であれ一その公表はしないんだ。あした地震になればどうしますか。  私は、ここに東京都の震災予防条例を持っております。これは革新都政時代にできたものでありますけれども、例えばその条例の十七条を見ますと、「知事は、おおむね五年ごとに、地震に関する地域の危険度を科学的に測定し、その結果を都民に公表しなければならない。」こういうふうにちゃんと公開が原則になっているのですね。なぜあなたの方だけそんなことをしなければならないのですか。  同時に、この予防条例前文を見ますと、まさに私は非常に立派な震災予防に対する考え方を述べていると思いますので申し上げますが、「いうまでもなく、地震は自然現象であるが、地震による災害の多くは人災であるといえる。したがって、人間の英知と技術と努力により、地震による災害を未然に防止し、被害を最少限にくいとめることができるはずである。この条例は、その英知と勇気を導くための都民と都の決意の表明であり、都民と都が一体となって東京を地震による災害から守るための合意を示すものである。」こういうことを書いているわけでありますが、これについてどう思いますか。
  152. 杉岡浩

    杉岡政府委員 南関東の地震につきましてはそれぞれ公共団体、特に例えば東京都、神奈川県、埼玉県等々におきまして、地域防災計画でそれぞれ地震編をつくりましてその対策をとっておるわけでございます。例えば地震発生いたしましたときの避難体制、消火体制、あるいは水、食糧等の備蓄、こういったものは地域防災計画にそれぞれ書いてございます。そして、我々はそれについて促進をいたしておるわけでございます。ただ、各県の計画のさらに上といいますか横の連絡といいますか、広域的な南関東の計画が必要だろうということで、我々は各県の地域防災計画を踏まえながらその上の広域計画を検討いたしておるわけでございます。そういう意味におきまして、各県におきまして地域防災計画に基づいて地震対策を十分とられておるということについて我々は大きく評価をいたしておるわけでございます。我々といたしましては、さらにそれを広域的な見地から、国の立場で検討をいたしておるわけでございます。
  153. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 大臣にお聞きしますが、今東京都の震災予防条例の前文を少し読み上げましたが、あの前文について何か御感想がありましたら二言。
  154. 河本嘉久蔵

    ○河本(嘉)国務大臣 先生御指摘の問題は地域の条例でございますので、東京都といたしましても、その条例に基づいて南関東地震対策を立てておられるというように理解しております。
  155. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 同じく東京都でありますが、「あなたのまちの〔地域危険度〕」こういうグラフにした大変に立派な、各区ごとに町の危険度を全部出した一覧表があるのですね。例えばこういうものをずっと見ていきますと、一番最初には「地震を正しく恐れるために」、心にくい表現ですね。しかも、住民の立場に立った表現の仕方だと私は思うのです。あるいは「地震は繰り返す」とか「危険度はどうやって測るか」とか「地盤の話〈山の手と下町〉」だとか、こういうふうにずらっと図解でやられているわけであります。  それで、地震を正しく恐れるために、どの項目を見ましても、避難の項でもどこの項も、結局は被害想定を受けて行政も住民もこうしようじゃないか、そのことから出ておるわけであります。このことを見ましても被害想定が重要な出発点だ、こう言われるのは当然でございますが、先ほど来の国土庁の御答弁を見ますならば、まさに調査結果があいまいなままという地震対策姿勢が非常に問題ではないかと私は思うのであります。  同時に、特に私が指摘したいのは、一つには、国のやり方ですね。この調査地震に強い都市づくりにどう生かすか、そういう方向ではなくて、避難をどうするか、あるいは物資や要員の配置はどうするかというような格好で、つまり発災後の、震災が起こった後の応急対策に活用することに主眼があるように私は思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  156. 杉岡浩

    杉岡政府委員 現在調査いたしておりますのは地震発生した場合の応急システムでございます。ただ、都市を不燃化すると申しましょうか、地震に強い都市づくりをするということは地震対策の一半でございます。我々は、昭和四十六年につくりました大都市震災対策推進要綱がございますが、それにうたっておりますのは、まず第一が地震の防災体制の強化、それから地震に強い町づくりあるいは国土づくり、三番目が地震予知の推進といったような項目でこの対策を進めておるわけでございます。そういった観点から、都市の不燃化あるいは地震に強い都市づくり、これは関係省庁におきまして日夜努力をいたしておるわけでございます。街路事業、公園事業あるいは再開発事業といったようなものを通しまして徐々に、これは非常に時間がかかるわけでございますけれども、それぞれの都市におきまして防災、不燃化が進んでいきつつあるわけでございます。
  157. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた、あれこれおっしゃいますけれども、実際は発災後、震災が起こった後のあれこれが主眼になっていることは疑いないですね。つまり、あの東京都の条例にもありますように、震災はまさに人災だ、人間の英知と努力によって地震による災害を未然に防止することができるのだ、被害を最小限にすることができるのだ、ここの観点が全く抜けているのじゃないか。  特に私が指摘しておきたいのは、五十七年十二月、臨調第二部会で防災体制整備について原案をまとめたといって各紙に一斉に報道された記事がありますが、これは五十七年十二月十一日のある新聞の大見出しですが、「大災害、首相強権を明確化」、総理大臣の強権を明確化する。「この中で特に注目されるのは、大災害時に首相に強力な権限を認めている点だ。」こういうことをいろいろ説明しているわけでありますね。しかも、行政管理庁が五十八年五月出しました行政計画の体系化に関する調査研究の結果報告書がございますが、これを見ますならば、大衆、労働団体のデモから核戦争まで一緒くたにして、大地震も不測事態一般に解消いたしまして、緊急事態の対応を検討する、まさに危機管理そのものなわけですね。その一環としてとらえているのですね。しかも、そこへ国土庁の震災対策課長もヒヤリングに出かけておるわけでありまして、ストライキからデモから核戦争まで皆ここにくくっているのですね。一括しているのですね。  さらに、五十九年十一月、当時の危機管理の担当大臣であった中西さんが私的に設置したと言われる危機管理問題懇談会、これを拝見いたしますと、大規模地震を引き合いに出しながら何を言っているかと言いますと、災害対策法を改めて民間防衛をやれと言っている。シェルターをつくって有事の拠点とせよ、秘密保護法を制定せよなどとぶち上げていることは御承知のとおりです。五十九年九月発足の行革審小委員会は、災害も取り込んだ形で危機管理体制のあり方を六十年度中にまとめる、こうおっしゃっているのですね。注目されるのは、被害想定でコンサルタントをやった野村総研、先ほどお答えもありましたが、危機管理懇談会にも行革審小委員会にも両方参加しているのですね。国土庁が被害想定をあいまいにしたままに中身はそっちに行っているということにならないのかどうか。私はまさに危機だと思うのです。国土庁自身が、こういうことでは、大地震の震災対策を危機管理に流し込もうとしている、こういうことになると思うのでありますが、いかがでありますか。
  158. 杉岡浩

    杉岡政府委員 我々の調査をいたしております被害の想定でございますが、これは南関東に大地震が起こった場合の対策についての調査でございまして、それの応急活動システムをどうするかということの調査でございます。
  159. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ここに危機管理問題懇談会の経過報告というものを私は持っているのです。ここでずっと読めばまさに大変なことを想定して書いてあるのです。あなたはなかなか答弁に迫力がなかったけれども、やはりそういう点が腹の中にあるから何ぼか答弁がさえない、こういうことにもなろうかと思うのですが、あの関東大震災のときに一体官憲は何をしたかというと、これは大変だということで、結局進歩的な人々を投獄したり殺したりしている。同じ発想が震災を想定しながら出ているということについて、私は強く警告しなければならないと思うのですね。  そこで、時間の関係もありますから次へ移りますけれども、実は五十八年の五月に、御承知かと思いますけれども、今の関東大震災を前提とした首都改造計画がJAPICというところから出されました。ここに「東京再開発計画の一考察 予想される関東大震災の前に、また後に何をなすべきか 社団法人日本プロジェクト産業協議会 昭和五十八年五月」、一連の報告書がございます。JAPICというのは、御承知のとおり、鉄鋼、建設、自動車、造船、その他金融など、大企業グループ十七業種団体が計百十社集まって構成され、都市改造など大もうけをねらっている大企業のグループでございます。ここに何が書いてあるかといいますと、今度大震災になったら五十万戸焼けるだろう、そこで東京都内を三つに区分けして再開発を行い、住民にここは邪魔だからあっちへ移れとかと言ってもとのところには再び家を建てさせないとか、こういう再開発事業計画をつくっているわけであります。しかも、平時ならば住民の私権を制限するからなかなかそういうことはできないけれどもこういう機会ならまさにやるチャンスだ、ここにはこういうことを堂々と平気で述べているのですね。でありますから、私はまさにファッショ的な発想だと思うのでありますけれども、あなた方はこういうことをどのように理解していますか。
  160. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、社団法人の日本プロジェクト産業協議会、いわゆるJAPICと言っておりますグループが、昭和五十八年の五月に「東京再開発計画の一考察 予想される関東大震災の前に、また後に何をなすべきか」というリポートを出していることは事実でございます。この内容は、震災前の対策としての再開発を推進すること、それから復旧後について、主として山手線外側の区域に関しての相当大胆な復興計画を提示しておるわけでございます。私どもとしては、大都市の震災に対応できる都市の整備というのは、先ほど来お話がありましたように、いわば首都東京を中心とします場合には最も肝心なテーマでございます。このために、現在も首都改造計画ということで、私の方としての超長期的なビジョンの中でもこのテーマを中心課題として据えて策定作業を進めておるわけでございます。幾つかの民間の団体の御意見として拝聴いたしておきたいと思っています。ただ、内容は非常に詳細なチェックを経たものではございませんで、極めて大胆な御提案というふうに受け取っております。
  161. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 極めて大胆な御提案だけれども我々としては若干違う部署でやっているから、こういう御答弁でありますね。しかし、このJAPICは、今もあなたの御答弁にもありましたとおり、建設、国土、経企、通産、四省庁の認可法人ですね。政府の委託研究を、例えば通産省は銀座再開発を例として委託しているのだな。経企庁の場合も、公共的事業分野への民間活力導入方策を委託している。こういう格好になって、しかも、中曽根さんが民間活力の何だかんだやっていますが、今その重要な位置を占めているわけであります。  この中に書いてあることはつまり何かといいますと、死の商人と同じやり口ですわな。良さしく震災待望論ですね。まさしく震災必然論、そういう前提に立って、その機会にあわよくば都市を道具にして大ぼろもうけをする計画にほかならないということは一目瞭然ではありませんか。戦争でもうけるのは死の商人というのですが、震災で金もうけをたくらむのは、これはぼろもうけのチャンスだと言っているわけでありますから、私は、これこそまさに東京都の条例の趣旨にも全く反することだと思っております。こういうあり方について大臣はどのような御所見をお持ちでございますか。
  162. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 今ほどお話し申し上げたように、私どもは、首都の問題を考える場合に、防災性の向上というのは一番大きな、中央に据えるべきテーマだというふうに考えております。JAPICの提案は、私どもが拝見している範囲では、都心部においてはさほど大きな被害は出ないだろう、それから、都心を取り巻く山手線の外側の部分で相当の被害が出る、その際に復興条件として極めて大胆な公共土木事業を含めた都市の高層化を図っていこうということでございまして、今先生が言われるように、提案者が災害を種にして金もうけをするということであれば断じて受けることができないということでございましょうが、一つの災害時における復興指針としての御意見としては承っておきたいと思います。
  163. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、何を言っていますかと言わなければなりませんね。この再開発計画の中には、この中身のこういうひどいものをちゃんと書いてある中に、この最初の「はじめに」というところに「末筆ながら本報告書作成に当り、ご指導、ご協力いただいた建設省国土庁」その他に謝意を申し上げますと書いているのですよ。これはあなた方も共同して参画したものじゃありませんか。そういうことでありながらそういうような、いかにもそうでないはずだなんというような言い方は、近く選挙もあるようでありますけれども、東京都民は知ったら本当にびっくりするだろうと思うのですね。  そういう点で、さらに国土庁建設省は五十九年度あるいは六十年度にわたりまして震災被害地復旧指針策定調査を実施することになっているわけでありまして、この調査のメモを私持っているわけでありますが、このことこそJAPICのこうした構想を追認するものになっているのですね。震災対策費を削り、震災予防をなおざりにしながら震災待望論だ。そこまでいかなくても、震災不可避論ですね。ここに立って大もうけを考えるという構想をバックアップするような、何重にも国民を欺くものだと私は思いますが、最後に、一言この問題についての大臣からの御答弁をいただいて、この問題に限って私の質問を終わらしていただきます。
  164. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 先生御指摘の震災被害地復旧指針は、先ほど来の御議論がありますような大都市地域が震災を受けた場合の、その被災地の復旧に当たって、いわば先ほど来の御議論があります応急的な復旧に加えて、長期的、公益的な視点に立って、特に市街地の特性に着目した復旧指針をつくっていこうということで、本年度から調査を開始したものでございます。
  165. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それでは、次の問題に移らしていただきますが、時間の関係もありますので若干省略をさしていただきたいと思うのです。  一つは、簡単にお答えいただきたいのですが、せんだって森林・林業・林産業活性化推進議員連盟ができました。短時間の呼びかけの中で三百人近い方々がわっと集まったのですね。それで議員連盟が発足いたしました。私はやはりその背景には日本の森林、林業等の問題が内因、外因を含めて大変な危機的状態にあるという認識の中でそういうものが発足したと思うのです。  そこで、林野庁にお聞きするのでありますが、長い間そういう危機的状況をつくった責任者とは言いませんけれども、やはり行政の一半の責任ある者としてこういう森林議連の発足についてどのような評価をしているのか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  166. 三澤毅

    ○三澤説明員 御高承のとおり、森林は木材供給のみならずいろいろの公益的機能を有しており、近年その公益的機能に対する国民の要請というのがとみに高まっているところであります。一方、我が国林業の現状は、御指摘にもございましたように、木材需要の低迷、木材価格の下落、低迷、さらに林業諸経費の高騰等極めて厳しい状況にあります。このような時期に、我が国森林、林業、林産業の現状を打開するために多数の議員の先生方が党派を超えて結集され、木材需要の拡大を中心として森林、林業、林産業の活性化のために積極的に取り組まれることになったことは、まことに時宜を得たものであり、私どもとしても大変心強い限りであると考えているところでございます。
  167. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 せんだって十七日の晩に、八時からNHKが「杉山崩壊」というのをテレビで上映いたしました。それによれば、昭和三十年代に植えつけた杉山が、猫もしゃくしも杉の方がメリットがあるといって天然林をばったばったと切ってその代替に杉を植えたところが、今全国的に一斉に崩壊現象を起こしているというのだ。私もあれを見てびっくりしたわけでありますが、林野庁としてはその感想、例えば教訓、反省、もしあるならばそれを含めてどのようなことをお考えでしょうか。時間がありませんから、簡単で結構です。
  168. 三澤毅

    ○三澤説明員 造林地におきます山崩れ寺といいますのは、植栽された樹種、例えば形なら杉ということではございませんで、むしろその林地を覆っております植生の状況、地形あるいは地質、そして多く関係しておるのは降水量等々、種々の要因が重なって実はできているものでございます。したがって、先般のテレビにつきましては、全国どこでも崩壊しているということではございませんで、たまたまそういった状況が重なったところについてあのような災害が起きている、こういう状況がレポートされたのだろうと思います。  一般的に言いまして、幼齢林というのは土壌緊縛力が弱うございますし、さらに適正な施業が行われないということになりますと、山崩れ等の森林災害発生の誘因になるおそれもあるわけでございまして、私どもといたしましては森林計画制度とか保安林制度、さらに、それらについて立地条件を踏まえた施業の指針、そういうものを示しながら適正な伐採あるいは保育等の施業が行われるよう指導をしてきているわけでございますけれども、今後もこれらの諸制度を適切に運用いたしまして、より適正な施業が行われるよう指導してまいりたい、かように考えているところでございます。
  169. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今いろいろお話がございましたが、例えばいろいろな条件が云々ということをおっしゃいましたけれども、あのテレビの中で非常にショックだったのは人工衛星のランドサットから、つまり七百キロの上空から見た写真が出ておりまして、九州の宮崎県境にある市房山という一千七百メートル台の山の光景でしたが、十年前はナラやクヌギのうっそうたる原生林であったというのですね。十年後に全部切られて、今は山肌がまさに地獄現象ですね。恐らくどなたもあれを見てびっくりしたと思うのであります。ところが、峰を一つ越えた隣の山は天然林のまま、うっそうとした自然林そのままなんだな。ですから、私は、あのことは今の林野行政に対する無言の警告というか、また叫びである、そういうふうに受けとめたわけであります。  時間がございませんので、ここで余り論議することができないのは残念でございますけれども、やはり経済合理性を優先させて天然林をやみくもに伐採した、そのツケがいかに高価で不条理なものか。しかも、出てきたのは災害であり、住民の期待が逆に裏切られたことであり、したがって資源にとっても防災にとっても複層林施業、つまり単独ではなしに複層林施業、このものがいかに大事であるかということを教えたものだと私は思っているわけでありますが、林野庁はそのことでお聞きしても、私たちもそのとおりやっていますという程度の答弁しか来ないので、ここで論議はできませんけれども、そのことをひとつ警告というか、私、強く主張しておきたいと思うのです。  私がお聞きしたいことは、秋田県では昭和三十年代以降、小畑さんという知事のころから、当時私、県会議員でございましたが、しかも林務委員でございましたが、ブナ林を切ってとにかく経済メリットのある杉を植えるということが県の林業行政の主流でありました。もちろんそれは皆さん方の御指導によるものであったと思いますが、今山が崩れないから大丈夫だ、条件が違うと言うかもわかりませんけれども、今日崩れておらないことは確かでありますけれども、どういう状態になっているかというと惨たんたる状態になっているということは、私はこの前の決算委員会で申し上げたわけであります。  特に私きょうお聞きしたいのは、我が国唯一のブナ原生林、今テレビでも新聞でも論議されておる唯一と言われるブナ自然原生林、秋田と青森県境を結ぶ白神山地、標高約千メートルの地帯に林道を通そうとするいわゆる青秋林道問題、これは近くブナ・シンポジウムも開かれまして、また一層世論の注目を浴びるものだろうと私は思っているのであります。  私はこの前、決算委員会で環境庁長官に対しまして、こういう問題については自然保全地域の指定を国としてやるために積極的に努力をしてほしいということを言いましたならば、非常に積極的な御発言がございまして、このことは翌日のNHKのテレビにも出ておったようであります。その後まだ一カ月ぐらいしかたっておりませんからどうかわかりませんが、環境庁は林野庁とどのような折衝をしたのか、この点についてお答えいただければありがたいと思います。簡単で結構です。
  170. 田村久仁夫

    ○田村説明員 お答えいたします。  先日、四月十一日の決算委員会で、先生の御質問に対しまして環境庁長官が答弁いたしたわけでございますが、先生承知のとおりに、この白神山地の重要性というのは環境庁はそれだけ認識をいたしているわけでございまして、先生承知のとおりに、五十八年、九年、二カ年にわたりまして秋田県で学術調査を実施いたしております。青森県は五十九、六十ということで実施いたしております。環境庁といたしましても、その保全、保護策の一環となるような科学的知見を得るための学術調査を実施いたしております。林野庁は、先生承知のとおりに、五十九、六十ということで、それぞれの立場で学術調査を実施しておりまして、この学術調査の結果を踏まえて環境庁はその保全、保護策を考えていくということで、秋田県の方は間もなく出るようでございますので、出次第、まず地元調整が大事でございますので、両県を呼んで協議をいたしたいと考えておるわけでございます。
  171. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 最後に、営林署の統廃合の問題についてお聞きして、私の質問を終わります。  この前、昭和五十九年四月十八日、衆議院農林水産委員会では、国有林野事業改善特別措置法の一部を改正する際に、附帯決議が出ております。この附帯決議は「組織機構の整備に当たっては、地方自治体及び関係団体等の意見をも踏まえつつ、地元サービスの低下をきたさないよう慎重に対処すること。」こう書いてあります。  ところが、私の手元には今、秋田県議会から林業の振興について、あるいは秋田県鹿角市の「十和田営林署・花輪営林署の存続に関する陳情書」、あるいは秋田県の二ツ井町からはやはり「二ツ井営林署を存続して下さい。」こういうのが次々たくさん参っておるわけであります。  特に、一つの事例を申しますと、二ツ井町の場合はどうかというと、この町は農業と林業が二つの柱で、どっちが欠けても町が成り立たないようなところなんですね。そのどっちが欠けてもだめだというところなわけでありますが、特に、山林の全面積に対する割合は七八%になっているところですね。ですから、町は、林業振興地域整備計画、森林整備計画あるいは森林総合整備計画、第一次、第二次林業構造改善事業等補助事業、次から次へと積極的に導入して、まさに大変な努力をしているわけですね。ところが、この営林署の統廃合問題でもしこれがなくなれば、現在二ツ井営林署が管理する国有林野の面積は一万二千何がしヘクタールでありますし、木材の生産販売は年間一万一千立方、森林蓄積は百二十七万九千立方、従事している従業員は百七十八名で、予算は約九億九千万円、こういう状態でありますが、これが統廃合するかどうかということはまさに町の運命に直接響くのですね。この鹿角市の場合も、十和田営林署や花輪営林署を廃止されると、全く町そのものが滅びていくという状況になるわけですね。  そこで、この附帯決議の趣旨もあるわけでありますので、合理化、整理の方向で山村の息の根をとめる、こういうことではなくて、長引く木材不況打開のためにも、なお一層、地域林業振興のために、こうした営林署の統廃合じゃなしに、存続、充実こそ今大事なものだと私は考えているのでありますが、この点について一言お答えいただきたいと思うわけであります。
  172. 小沢普照

    ○小沢説明員 ただいま先生からお話のございました二ツ井の御要望書等も十分承っておるところでございますけれども、また附帯決議の趣旨も十分に体しまして、私ども、この営林署の統廃合問題には取り組んでおるところでございます。国有林の経営の改善のために組織、機構の簡素化、合理化、これもまた極めて重要な課題となっております。  それで、昭和六十年度は統廃合実施ということで全国で九つの営林署ということになっておりますけれども、その具体的な選定につきましては、そういう各地域の実情等いろいろ、ございますので、御意見等も承りながら、慎重に対処してまいりたい、かように考えております。
  173. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  174. 中村茂

    中村委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十三分散会